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#1
第096回国会 農林水産委員会 第8号
昭和五十七年四月十五日(木曜日)
   午後一時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     下田 京子君     市川 正一君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     楠  正俊君
     市川 正一君     下田 京子君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     楠  正俊君     高木 正明君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     下田 京子君     市川 正一君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     下田 京子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                川村 清一君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                高木 正明君
                中村 禎二君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                八百板 正君
                中野  明君
                下田 京子君
   国務大臣
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       水産庁長官    松浦  昭君
       水産庁次長    山内 静夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   参考人
       全国漁業共同組
       合連合会会長   宮原 九一君
       全国漁業共済組
       合連合会副会長  中里 久夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 漁業災害補償法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として全国漁業協同組合連合会会長官原九一着及び全国漁業共済組合連合会副会長中里久夫君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(坂元親男君) 次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。
#5
○国務大臣(田澤吉郎君) 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じてその経営の安定に重要な役割りを果たしてまいりました。
 しかしながら、近年におけるわが国水産業を取り巻く厳しい諸環境の中で、共済事業の運営は新たな対応を必要とするに至っております。すなわち、二百海里体制への移行を契機とする魚価の著しい変動、漁場環境の悪化等により共済事故が多発してきております。また、危険の分散に必要な幅広い加入がいまだ確保されていないという事情もございます。
 今後とも漁業共済事業が中小漁業者の経営の安定のためにその機能を十分に発揮してまいるためには、このような新しい事態に対応した仕組みの改善を図っていかなければなりません。また、中小漁業者の共済需要に積極的にこたえる措置を講じて加入の一層の拡大を図ってまいる必要があります。このため、漁業共済事業等につき所要の改正を行うこととした次第であります。
 次に、漁業共済基金の廃止とその機能の中央漁業信用基金への承継について申し上げます。漁業共済基金は、漁業共済団体のほか、政府、都道府県が出資して設立された特殊法人であります。漁業共済基金は、共済金支払い資金の不足する漁業共済団体に低利資金を融通しておりますが、その機能は漁業共済事業等の健全かつ円滑な運営に欠かすことのできないものであります。しかしながら、行政改革の一環として特殊法人の整理合理化を進めるという観点から、昭和五十四年十二月の閣議決定に基づき、今回これを廃止し、その機能を中央漁業信用基金に吸収することとしたものであります。本法律案におきましては、これに必要な法的措置を定めております。
 以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。まず、加入の拡大を図るため、地域の実態に応じ、加入集団や加入区を設けることができるようにいたしております。また、継続的な加入を確保するため、継続申込特約方式を導入し、この方式による契約については補償水準が大幅に変動しないようにいたしております。
 第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。まず、加入の拡大を図るため、契約締結要件を緩和し、漁業者が自己の共済需要に応じて加入できるようにいたします。また、共済金の支払い方法を改め、特定の共済事故についてはてん補の対象としない道を開くこととしております。
 第三に、その他の共済事業の仕組みの改善であります。まず、現在試験的に実施している特定養殖共済について、養殖施設を共済の対象とすること等の改善を図ります。また、新たに地域の共済需要に応ずるため、漁業共済組合が自主的に地域共済事業を実施することができることといたしております。
 第四に、漁業共済基金の整理でございます。漁業共済基金を解散し、その業務を中央漁業信用基金が行うことができるようにするほか、権利及び義務の承継等所要の措置を講じております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(坂元親男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 それでは、先ほど決定されました参考人の方々の御出席を願っておりますので、御意見を承ることにいたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ、当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いし、審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。御意見をお述べ願う時間はお一人十五分程度とし、その順序は、宮原参考人、中里参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質問がありますので、お答えをお願いいたします。
 それでは、宮原参考人からお願いいたします。
#7
○参考人(宮原九一君) 全漁連の会長の宮原でございます。
 まず最初に、本日参考人としてお招きをいただき、漁業災害補償法の改正法案について意見を申し述べる機会をいただきましたことに対して深く御礼申し上げますとともに、漁業共済制度の改善はもちろん、水産全般につきまして平素から諸先生の特段の御理解と御尽力を賜っていることに対しまして、この機会に厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 さて、私は全漁運の会長としてだけではなしに、全国の漁協系統組織を挙げて漁災制度の改善を促進するための運動母体として漁災制度確立推進中央本部というのをつくっております。その本部長として今回の制度改正問題に取り組んでまいった次第でございまして、まず、私どもは業界の意見を集約するために昭和五十三年から漁済運の中に制度改善委員会を設けて、二百海里以後の厳しい漁業情勢のもとでの本制度のあり方並びに制度改善の具体的方向について検討を重ね、昭和五十四年の六月の漁済連の総会におきまして今次制度改正に関する業界の要望案を取りまとめ、さらに、次いで水産庁に設置されました漁業共済制度検討協議会の委員として五十五年三月から翌年の七月までの間検討に参画いたしたのでございまして、したがいまして、今回提案されております改正法案につきましては私ども業界とも十分に議論を尽くしたものでございまするし、したがって、この際速やかな成立を期待を申し上げるところでございます。
 ところで、本日は、事業実施団体を代表して、漁済連の中里副会長が参考人として意見を申し述べることになっておりますので、法案についての専門的な意見は中里参考人にお願いすることとして、私は別の角度から二、三の点について意見を申し述べてみたいと存ずるので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、最近の漁業経営の状況について申し述べますと、二百海里時代の到来、燃油価格の高騰、漁価の低迷という三重苦の中で、漁業経営危機はいまや沿岸漁業をも含む多業種に及んでおり、漁業全体が想像を超える深刻な事態に立ち至っております。たとえば、昨年金漁連におきまして漁業経営の実態について調査いたしましたが、その結果、新たな対策を必要とする業種は沿岸漁業を含めて二十一業種にも及んでおり、実に調査対象の半数が、償却前利益を償還に充てるといたしましても二十年以上の年数を費やさねばならないというほど多額の負債を背負っていることが明らかになっております。
 このような漁業経営の窮状は、水産庁の統計によりましても全般的に一段と深刻の度を増していることが読み取れるわけでございまして、とりわけ、従来比較的安定していると言われておりました沿岸漁業においてさえ多数の漁業者が従事するイカ釣り漁業の全般的な不振や、安定業種と見られていた小型底びき漁業の危機的な状態などが生まれてきております。養殖業の分野におきましても、ハマチ養殖における急病の多発やノリ養殖業の不振など、きわめて厳しい現実に直面いたしておりまして、私ども漁協系統組織にとっても一大試練のときを迎えているのでございます。
 すなわち、漁業経営危機はそのまま漁業協同組合の経営悪化に直結し、崩壊寸前の漁協が少なくない状態であります。水揚げ不振による販売事業の伸び悩み、燃油を中心とした購買代金回収の遅延、滞り、貯金の伸び悩み、後ろ向き資金の激増によるところの信用事業の不振など、漁協はいずれの事業においてもむずかしい問題を抱えて四苦八苦している状態でございます。
 以上、漁業経営並びに漁業協同組合経営の窮状について申し述べましたのは、この漁業災害補償制度に対する漁業者及び漁協系統組織の期待がどのようなものであるかを申し述べたいからであります。率直に申し上げて、今日、漁業者の立場から漁災制度に期待いたしますものは、その原因のいかんを問わず漁業経営上生じた損失についてはこれを漁済によってカバーしてもらいたい、危機的状況にある漁業を守るためのとりでとしてこの際漁災制度が十二分に働いてもらいたいというところであろうと思われます。
 なぜかと申しますと、この制度の目的、仕組みはともかく、個々の漁業者の経営と直結して、しかも漁業経営上の収支そのものを補てんの対象とする制度はこの制度をおいてほかにないからでございまして、今回の制度改正に当たって私どもが最も重要であると考え、また水産庁の制度検討協議会の場においても論議の中心となった問題は、漁業経営安定対策として抜本的役割りを果たすための漁災のあり方いかんという点であり、まさに漁業者の声にいかにしてこたえるかというところのものであったのであります。
 この点につきまして、学識者をも含めて相当の議論をいたしました次第でありまするが、共済収支の長期的均衡の中でこの問題を抜本的に解決することは言うべくしてとうてい困難であり、当面実現可能な改善方策を求めざるを得なかったのでございます。
 私どもは、漁災が恒久的な制度として健全に運営される中で、今後とも引き続き漁業者の要望にこたえる努力を傾注いたしたいと考えておりますが、当面の改善措置としては今回の改正諸点はおおむね時宜を得たものであると考える次第でございます。特に、今回の制度改正と並行して、私どもが強く要望いたしました漁業共済団体の累積事業不足金対策につきましては、ゼロシーリングという財政のもとで初年度七十億円の十年間無利子棚上げの措置を講じていただいたことにつきましては、漁済団体の経営の改善を通じて、制度の健全な発展を期していこうとされる当局の御配慮によるものとして高く評価をいたしておるところでございます。
 さて、せっかくの機会でございますので、この機会に漁災制度と漁協系統運動のかかわり合いと申しますか、別言すれば、漁協系統運動における漁済の位置づけという点について私見を申し述べてみたいと存じます。
 申すまでもなく漁業協同組合は、その組合員である中小漁業者の相互扶助の精神的結合を基盤として各種の事業を展開し、もって中小漁業者の経済的社会的地位の向上を図らんとするものであり、このため従来から販売・購買事業や信用事業などに力を注いでまいっておるわけでありますが、昨今の漁業事情に最もよくあらわれておりますように、漁業者の経営安定なくしては漁村の繁栄はあり得ないわけであり、一たび不漁や災害に見舞われますと、浜は灯の消えた状態になるというのが漁村の実情でございます。
 このような漁村の実情からいたしますと、漁業者の経営を安定化させるための漁済は、漁業協同組合にとって、最も早くから着手すべき、最もベーシックな事業であるとも言えるのであります。
 しかしながら、漁業における不漁や災害は、生命保険や火災保険などのように、過去の統計によって得られた確率どおりに発生するものではなく、かなり広域的に集中危険が発生するという性質を持ったものでありまするので、国の援助なくしてはとうてい実施困難なものであり、その実現がおくれたのもこの点にあったのであります。
 また御案内のとおり、特に漁獲共済については漁業者個々の水揚げ高を正確に把握することがこの制度を成立させるための前提条件になっておりますので、漁済を実施するためには漁業協同組合による共同販売事業の整備が必要とされているということにつきましても、漁災制度の発展をおくらせた一つの要因であったと考えられるのであります。
 換言いたしますと、漁協系統運動にとりまして、漁済は必要不可欠の事業であるとともに、漁協の発展なくしては漁済も実施できないという関係にあるわけであります。
 私どもが本法の制度に当たって、全国の漁協系統組織を挙げて要望運動を展開し、かつまた漁協系統組織を基盤として漁業共済団体を組織するよう政府に強くお願いいたしたゆえんのものであり、その後も漁災制度の改正についてその都度全国の漁協系統組織を挙げて運動を展開しているのもこのためでございます。
 以上、漁災制度について所信の一端を申し述べたわけでありますが、最後に、関連する二、三の問題について簡単に要望意見を申し述べたいと存じます。
 まず第一は、水産物の消費流通対策についてであります。
 御承知のとおり、国民の嗜好、生活様式の変化、肉類と比較した割り高感等により、魚離れ傾向があらわれている中で、生産コスト低減を進めることと並行して消費者への啓蒙、ニーズに合った商品開発、合理的な流通システム開発もまた重要な課題であり、国としてもこの面の施策充実を図っていただきたいのであります。
 次に、漁業者年金等の福祉問題についてでありますが、一般の船員保険についても負担能力の面から格別の配慮をお願いしているところでありますけれども、この船員保険にも加入できない圧倒的多数の漁業者は福祉の谷間に置かれております。幸い昨年の七月多年の悲願でありましたところの漁業者年金が御承認いただいて発足し、短期間のうちに一万人強の加入を見ました。私どもは引き続き加入拡大に努力をしていく決意でございまするけれども、漁業者の担い手を確保するためにも、また漁業者の希望の灯を消さないためにも、この制度につきまして格別の助成並びに税制面からの育成措置を講じられるようにお願いをいたします。
 なお、この年金の事業主体は全国水産業共済会、いわゆる全水兵が行っております。この全水兵の行う各種の共済事業は、本来漁協の事業として位置づけるべきものであるにもかかわりませず、農協等と異なり、ひとり漁協系統のみこれが認められていないのでございまして、速急に同様な制度的裏づけの措置を講じていただきたいのでございます。
 最後でございまするが、水産物自由化問題について、全漁連の会長並びに全国十四業種類の業種別団体あるいは系統等で組織しております水産物輸入対策協議会の会長としてお願いを申し上げたいと思います。
 すでに水産物の多くは自由化されております。で、現在マグロ、ワカメといったように自由化されたものの輸入圧力によって業界はきわめて苦しい立場に置かれております。また残っております輸入制限品目のほとんどは近海産あるいは海藻といったもので、中小零細漁業者にかかわるものでございます。その影響を考えますると、自由化はとうてい受け入れられないところのものでございまして、厳しい漁業再編に取り組みつつある漁業者の努力が水泡に帰さないように、またそのために、自由化の結果、ソ連とか韓国、中国等との間にわが国周辺海域で激烈な漁獲競争が起こるといったようなことを防ぐためにも、この際自由化については絶対反対をいたしておるものでございまするので、諸先生方の漁業に対する特段の御高配をお願い申し上げまして意見の開陳を終わる次第でございます。ありがとうございました。
#8
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 次に、中里参考人にお願いいたします。中里参考人。
#9
○参考人(中里久夫君) 本日は、われわれ漁業共済団体に対しても漁業災害補償法の一部改正法案の審議に当たり、われわれの見解を直接述べる機会を与えていただきまして、心から御礼申し上げます。なおまた、平素漁業共済事業につきまして御指導をいただきまして、あわせてこの際御礼申し上げる次第でございます。
 さて、私は全国漁業共済組合連合会の副会長という立場から、漁業共済事業の当面している課題のうち主なるものを御説明し、ただいま審議されようとしている本法律案との関連について言及してまいりたいと存じます。
 去る昭和三十九年漁業共済事業が法律に基づく制度として発足して以来まる十七年経過いたしたのでございますが、今日依然として第一の最大の課題は、加入の普遍化が十分に達成されていないということでございます。加入の程度は漁業によってずいぶんと差がございますが、漁獲共済で加入の率は二四%程度、このうち比較的加入率の高い漁業は昆布、ワカメ、アワビなどをとるいわゆる漁業権漁業、それからサンマ漁業、サケ・マス流し網漁業、大型定置漁業などでございます。一方養殖共済は、加入率は三七%程度でございまして、このうち比較的加入率のよい養殖業はハマチ、タイ等の魚類の養殖業でございます。
 以上申し上げた加入率の問題で特にわが国中小漁船漁業のうちそのほとんどを占める十トン未満の漁船漁業の加入がおくれていることは、非常にわれわれとしては重要な課題あるいは目標となっておるわけでございます。申すまでもなく、この制度の利用の普遍化を進めることは、この制度加入が強制加入を導入しておらないとは言いながら、事業組織は漁協系統団体であり、国を初め都道府県もこの事業の保険または補助を通じて強力な援助をしているのでありまするから、漁業者が漁業共済をあまねく利用し、自然災害や不漁に備えることは法の目指す政策目的にかない、かつ漁業共済事業基盤を安定化するゆえんであると思います。
 そこでこのため、まず共済契約が成立するためのいろいろな要件または制約を緩めて成立しやすいようにする。また、加入を促すような措置をするということをわれわれは要望してまいったのでございまするけれども、今回の改正法案では、おおむねこの方向に沿って改善がなされていると思います。なお、改正法案には直接関係はございませんが、予算措置として、漁獲共済における義務加入の対象範囲の拡大がなされますことは、これはこの措置の大きな一環であると存じます。
 さて、共済契約の成立を容易にするまたはこれを促すという、いわゆる形式上の要件を改善いたしましても、共済契約の内容自体が漁業の実態及び漁業者の需要にできるだけかなったようなものでなければならないことは言うまでもないことでございます。しかしながらこの課題は、そもそも共済事業が基本的には漁業者の相互扶助、具体的には加入する漁業者の拠出する掛金が共済金の給付の主なる財源でありますから、これとの兼ね合いがございます。つまり、共済事業の収支が長い目で見て均衡するようなことがなければ恒久制度として確立しないわけでありますので、極力漁業者の需要にできるだけ対応しつつ契約を普遍化し、かつ共済事業の収支を長期的に安定化しようということはなかなかむずかしい命題でございます。あえていろいろの改正を要望して大事な点はこの法案におおむね取り入れられているというふうに言えると思います。
 たとえば、漁獲共済における継続申込特約制度の創設は、これは一定年間継続加入を前提とし、その期間は一定の補償の水準を維持するほか、掛金率をできるだけ優遇しよう、また無事故の場合の戻しも実行しようという仕組みでございます。これは漁業者の共済需要を考え、また共済団体側の加入促進、逆選択的利用の防止による共済収支の均衡などもねらいとした苦心の策と言えるのではないかと存じます。共済団体としては、この継続申込特約制度を今回の法改正の大きないわゆる目玉として評価いたしているのでございます。
 また、この法案の中で、新たに都道府県の共済組合が地方の共済需要にも対応することができる、主体的に地域共済事業を実施することができるようになります。これなどは私どもがかねてから、漁業における共済需要というのは多種多様でかつ流動的であり、地域性のあるものが多いのにもかかわらず、これに対する制度としての対応がきめ細かくできないという不便がありますので、これが対応措置を要望いたしておりましたが、ようやく曲がりなりにもできるようになったのは、危険分散など不十分なところがありまするけれども、前進だと理解しております。これは今後共済団体に課せられた新しい課題として、新しい宿題として受けとめたいと存じます。
 さて、次には漁業共済基金でございますが、この漁業共済基金を本法案によって解散し、新たに中央漁業信用基金がその機能を行うようにするということは、私どもといたしましてはきわめて重大な関心を持っているところでございます。そもそも漁業共済基金が特殊法人であり、かつその組織機構が小さいというゆえをもってこれを整理するというかねての政府の方針については、われわれ共済団体は反対の意向を明らかにして、かつその申し入れをしてまいりました。漁業共済基金が国にかわる信用力を持ちまして共済団体に対し、特に最近事業収支の不均衡となっている共済事業について必要な共済金支払い資金のきわめて円滑な融資の機能を果たしている事情にかんがみ、われわれの反対はきわめて真剣なものであったのは当然でございました。しかし、遺憾ながらわれわれの要望は通りませんでしたが、本法案では中央漁業信用基金が引き継ぐこととされています。従来漁業共済基金が果たしてきた機能をそっくり承継するというふうにされておりますので、結果としてはやむを得ないと存じておりますが、従来強硬な廃止反対を唱えてまいった経緯がございまするので、念のためにこの際申し上げておく次第でございます。
 以上、共済事業及び共済団体の諸課題についてその主なものを申し上げましたが、さらに申し上げたいことは、漁業共済団体における多額の事業不足金の存在とこれが対策措置、並びに将来における漁業共済団体の経営安定、経営基盤の強化の問題でございます。
 ところで、漁業共済団体の責任に係る事業不足金は昭和五十五年度末で約百四十八億円にも達しており、さらにその後も事業不足金は上積みになる傾向にございます。共済団体は漁業共済基金の信用力によりまして借り入れを行い、共済金の支払いは滞りなく行われておりますけれども、利子負担及びこれが返済には非常な負担を伴い、漁業共済団体、特にその支払い責任の集中する漁業共済組合連合会の運営を大きく圧迫するおそれが現実となっております。この事業不足金の発生は、五十二年以降、いわゆる二百海里時代到来及び赤潮の大規模発生にその主なる原因があるとわれわれは考えており、これらの異常な支払い原因は本来共済設計に含まれておらず、したがって共済の範疇を超えるものということであるから、政府において所要の措置を講ずるよう要望してきております。
 一方、これら事業不足金は、ともかくも制度の運用の中で発生してきたものであるから、保険理論的には長期的な収支均衡を図る中で解消すべしという対立する議論がございます。私は、ここでは反論することを避けますが、現実問題として、漁業共済団体は、前述のように非常に運営の困難な状況に立ち至りつつあるわけでございます。このまま放置すれば、共済金の支払いに支障を来すおそれがございます。いまは議論する時間はなく、現実的な対応をすべきであると割り切りまして、共済団体の経営対策措置として今年度以降事業不足金のうち約半分、すなわち七十億円を十年間無利息棚上げし、元本はこの期間中毎年国の援助も得て加入者負担により定額償還する。この無利子棚上げのための損失てん補のため、棚上げ機関、すなわちただいまは漁業共済基金、後にはこれを承継する中央漁業信用基金ということでございますが、この棚上げ機関に、国と県と共済団体で三年間三十億円の増資を行うことと予算措置等がされております。このような、いわば後始末的な措置を背負いながら、新制度による前進をせねばならないという共済団体の立場は、新たに国と共済団体との責任分担区分も改善されるということなどを考慮に入れましてもなかなか楽なものではないと考えられまするけれども、何回も申し上げまするように、この制度は漁民にとって長期的な制度でありますので、長い目で忍耐強くこの制度を維持強化すべきであると理解して、この法改正並びに予算措置を受け入れるという決意を固めているところでございます。
 法律案及び予算を個々に検討すると、漁民及び共済団体側から見ますると、改善の面とやや厳しくなる面と、つまり甘いものと辛いものとが取りまぜになっていて、互いに切り離せない一体となった法律改正案及び予算措置となっているというふうに私どもは理解しております。こういう視点で、総合的に判断いたしまして、この法律案をわれわれは理解の上、賛成いたし、これで前進していこうと現実的、実践的な判断をいたしております。諸先生方におかれては、われわれ共済団体の立場も御理解くだされ、ともかくもこの法改正案の御審議を促進されるよう要望いたします。
 大変めんどうな陳述を展開いたしまして、かつ直接お聞き取りいただきまして、心から御礼を申し上げます。
 これで私の意見開陳を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
#10
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 以上で、参考人の方々の御意見の開陳を終わります。
 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○坂倉藤吾君 本日は大変御苦労さんでございます。
 いま宮原会長の方からは、漁業を取り巻く全般の問題が要約して述べられました。また、中里さんの方からは、特に制度に限っての御説明をいただいたわけでありまして、よく理解ができたわけです。ただ、お二方が今日までこの漁災制度について当局と十分に話をしてきて、そして詰め切ってきたという立場の中で一定の評価をされておるわけでありまして、これは当事者として当然のことであろうというふうに思うんですが、いま中里参考人の方からもお述べをいただきましたように、私どもが眺めましても、この法律案の中で少し前進をしたなと思う部分と、むしろこれは今日の状況から見ていかがなものかと思う点がたくさんあるわけでございます。
 そこで、これはずばり本音をお話しをいただきたいな、こういうふうに考えて申し上げるところでありますが、まず宮原参考人にお伺いをいたしますが、要約をいたしまして、漁業者の方々が原因のいかんを問わず、ともかく今日損失があればそれをすべて補償してもらいたい、これが一口に言って総括的な現状に即した素直な意見であろう。こう思うわけであります。そうしますと、そのことにきちっとこたえていくためには、今日のこの制度の中でいわゆる長い目で見てというお話もございますが、共済収支の枠の中ではなかなか処理し切れない問題があるだろうと思うんです。しかも、漁業を取り巻く状況の中で二百海里問題等、あるいはこれは赤潮にも代表されるわけでありますが、きわめて自然災害的な要素の問題、それから人為的要素といいますか、国際間のあつれき等も含めまして具体的に問題が発生をしてきている。これらの問題をいわゆる共済制度といいますか、この漁災の法律に基づく制度の中で、これのみで解決をしていくことが果たしてできるのかどうかというと、私はできないだろうと思うんですね。したがって、この人為的部分についてはこの制度以外のところできちっと私は対処をしていくのが政治のあり方であろう、水産政策のあり方であろう、こういうふうに基本的には理解をするわけであります。そこのところが少しいまの御説明の中に御遠慮されたんではなかろうかなという気がするもんですから、ひとつ明確にお答えをいただいておきたいな、こういうふうに思うんであります。
 それから、中里参考人の方にお伺いをするわけでありますが、冒頭述べられましたいわゆる加入率が非常に低いという問題ですね。私は率直に申し上げて、加入率が低いのか、あるいは高く加入率をこれからよくしていくことができるのかという課題は、むしろこの制度がいわゆる政策的制度でありますから、そういう意味合いでこの政策制度としての価値評価というものが漁業経営者の方々にどう映っておるんだろうか。ここの映り方がいわ似る政策制度としての価値評価が低かったがゆえに、言うならば、この加入がなかなか伸びなかったのではないのか。ここのところの問題は、具体的に突っ込んで一体どう本音をお持ちなのか、これをまずお聞きをしたい、こういうふうに思うんですが。
#12
○参考人(宮原九一君) 実は先ほどの陳述でも申し上げたわけですけれども、私どもといたしましては、いわゆる漁業における経営の安定をいろいろな形で国からも援助をいただいておりますけれども、端的に言って、この漁災制度が果たす役割りというものが非常に多いのではないかという想定のもとで、きわめて活発な意見を展開しながらやってまいりましたけれども、結局それが漁業者の願望と現実には大きな乖離がございまして、たとえば単純に全国の漁業者があらゆる共済事業に全面加入をしておるという形が仮にあるとするならば、私どもの要求についてもそれなりの正当性を見出し得るわけでございますけれども、先ほどの陳述にもありますように、その加入の偏りが非常に大きいという中では、この漁業共済制度で経営安定のすべてを賄うということは理論的にも問題がある。現在の二百海里体制の中で、あるいは燃油高騰その他を含めて厳しい経営環境の中にありますがゆえに、やはり自然災害に対するフォローは漁災制度が中心の役割りを果たしていくけれども、その他については別の制度の中で特別の配慮を願いたい。したがって、たとえば今回の漁業構造再編の問題にしましてもあるいは漁時法における省エネ対策の問題にしましても、その辺の発想から展開をしていただこうとするわけでございまするので、私どもとしては、制度の改善については残念ながら今回はあめの部分とむちの部分があるけれども、まあ、あめの方が多いかなということで、なるべく早くこの法律を通してほしいというようなことでございます。本音はそういうところでございます。
#13
○参考人(中里久夫君) 加入率の低い問題に対しての所見でございますが、私どもはこの制度はもともと国がつくったのではなくて、いわゆる漁業系統団体がこの共済事業をやろうというそのイニシアチブをとって事業を組織化したわけでございますので、まずこの制度が、国がどういう政策的な助成をするかということは一応置いておいて、特に系統団体、なかんずく漁業協同組合、わけても漁協の指導者がこれを理解するということについて、私はまだ徹底しない点があるというところに私どもの努力目標、力の至らない点がございます。
 それからもう一つ。特に漁獲共済制度という制度を考えた場合に、これは系統団体による共販制度がどうしても基礎になるわけでございます。この共販制度が基礎にならないと水揚げ金額が確認できませんので、この共販の徹底ということが一番大事な前提になるわけでございますが、これにつきましても、先ほど宮原全漁連会長さんがおっしゃったように、こういう問題についてもまだまだ十分ではない。この共販の徹底の必要性等はございます。
 それからもう一つ、やはりこれは災害補償対策でございまするけれども、ほかのいろんな政策との連携プレーがこれは主として国、都道府県の立場からする、あるいは都道府県に対する注文でございまするけれども、そういう連携プレーが必ずしも十分でない。たとえば金融制度と共済制度とのつながりにつきましても、最近は魚類養殖等につきましては非常に連携プレーができるようになりましたけれども、やはりこういう横のいろいろな諸対策、わけても金融対策、あるいはそれ以外の生産対策、その他のいろいろな諸政策と十分関連して初めてこの制度は普及するというふうに考えておりますので、国の政策的なものもございまするけれども、われわれ側が、あるいは行政側が、都道府県側がやるべき事項もたくさん残されているというふうに私どもは理解しております。
#14
○坂倉藤吾君 少し具体的なことをお教えをいただきたいと思うんですが、今回ノリ共済が実は試験実施のままで本格共済にならなかったわけです。本来なら、今日までもうすでに試験実施をしてきたわけでありまして、データ的にも相当そろっているというふうに思いますが、なぜこれが本格実施の方に移らなかったか、この辺が本制度とのかかわりの中で、構造的にといいますか、そういう意味合いで、何か問題が提起をされておるんだろうか、これが一つであります。
 それから、これはむしろ宮原参考人にお聞きした方がいいのかなというふうに思うんですが、ずっと眺めておりますと、カツオ、マグロとこの共済の制度がきわめてまだ問題が残っているようでございまして、カツオ、マグロも具体的な共済制度になじむようにしていくためには一体どういうふうな今日問題を整理をすればいいんだろうか、この点が一つの課題。
 それから三つ目の問題は、今度の改正の中で、ブリの養殖についての補償足切りが出てきているわけですね、この足切りの問題というのは、私は率直に言ってこれは政府側と論議を詰めていくことになりますが、むしろこれは今日の事情から言って逆行するのじゃないか、簡単に言えば、こういうふうに思うんですが、この辺についてのお考え方は一体どうなんだろうか。
 それから、中里さんにもう一つだけお聞きをしておきたいのは、この漁済基金の赤字の処理がいわゆる十年償却で行われていくということになりまして、そのためのいろんな準備活動が今回盛られることになりました。しかし、十年間でこの七十億の元が完全に償還できるんだろうかどうだろうか、きわめて今日の成り行きから見て私は不安でならぬわけであります。後の処理どうするかというのはこれは政府の責任になりますから、ここはお聞きをしなくていいんですが、この十年間で七十億円の償還が果たして可能だというふうに今日御判断をされておるんだろうかどうだろうか。
 それから、漁済基金から事業が中央漁業信用基金の方へ移るわけでありますが、中央漁業信用基金自体が今日、じゃ裕福な財政を示しておるのかといえば、相当不安な様相を持ってきていると。そうすると、そこに吸収をするわけでありますから、この辺でたとえば資金の流れその他に支障が出てきやしないんだろうか、どうだろうかというところにも一つの不安を感じておるわけでありまして、その辺の御判断等ひとつお教えをいただきたい、こういうふうに思います。
#15
○参考人(宮原九一君) 特にカツオ、マグロの問題で御質問がございましたので、私はその点について考えを申し上げてみたいと思います。
 率直に言いまして、カツオ、マグロの業界というのは経営者でございまするので、きわめて明確に漁獲金額とそれから可能な共済金額というものを計算ができる立場にございます。したがいまして、その計算上共済加入が有利か否かという判断が先に働くという問題も一つございまして、普遍的加入を確立するまでには至っていないというのが現状でございまして、この研究会の過程におきましても、まあ一般から言えば百トン以上のちょっと大きな船、大型漁船における共済制度の仕組みというものをどうすることがいいのかというような点で相当の議論をいたしましたけれども、残念ながらまだ方向を確立するまでには率直に申しまして資料不足でございまするので、今回の制度改正の意見の中には、引き続きこの問題は国もひとつ責任を持って調査をしようということの確約をいただいておりますので、ただいま先生の御質問についてはもう少しお時間をいただけたらありがたいと、このように思っております。
#16
○参考人(中里久夫君) それ以外の御質問に対してお答え申し上げます。
 ノリに関する共済制度につきましては、今回の法律改正では本質的な改正はなされておりません。やはり従来どおり本法によるいわゆる本則共済とそれから附則に書かれておるいわゆる試験実施中の、われわれはノリの特定養殖共済というふうに考えておりますが、この二本立てでいき、かつ従来二本立ての前提のもとで改善すべき点を改善するというふうな程度でございます。それはなぜかと申しますと、これは先生方御承知かと思いますが、ノリの生産実態というものがまだまだ流動的でございまして、生産技術なり生産管理の問題が非常にまだ固まっておりませんので、非常にしっかりしたノリの生産というものが確立されてない、流動的でございますので、制度としてこれを全国的に統一的にやるということはなかなか割り切れない。われわれは、当初は試験実施ということでノリについても漁獲共済的なものをこれを考えてこれを本則化しよう、本格的化しようかということでいま試験実施中でございますが、それについてもまだ各県の漁業者あるいは共済団体に聞きますけれども、まだまだそこまでいかないと、流動的で。で、二本立てでいこうと、割り切って、その前提のもとで改善をすべきものは改善するというふうに今回この法案はなっております。
 それからもう一つ、ブリの養殖につきましての、特定の場合補償対象にしないという制度を導入するつもりでございまするけれども、ブリの、特に最近ブリ養殖業における急病が非常に広まりまして、そして特定の地域ではこれが常習的になっているという事態がございます。これを放置いたしますと、それは常習的に起こっているところにつきましてはこの損害てん補を受けることはよろしいんでございますが、また別途ブリの養殖を非常によく管理いたしまして、急病についてはほとんど影響のない、心配なのはただ台風とかそういういわゆる天災の事故が一番心配だというところもございます。したがいまして、これを放置いたしますと、掛金率等はそういう急病に起因いたしまして上がるということになりますと、漁業者間の不均衡、不公平になるということもございまするので、われわれ漁業共済団体の内部におきましても、急病については共済金の給付を制限すべしという声が実際出ております。それやこれやを勘案いたしまして、といって全く不てん補にするわけにはまいらぬだろうということで、ある一定の限界を超えるような常習地帯については一定の限度でてん補にしないようにするという、言うなれば、共済団体あるいは漁業者団体側としては一種の妥協的な割り切りをいたしたわけでございまして、共済制度というものは漁業者の掛金負担で行われている限りにおいては、こういうような漁業者自体の抑制措置も決して私どもは逆行ではない、むしろこの制度を長く維持するための、言うなればやむを得ざる当面の措置ではないかと考えております。
 次に、最後の御質問でございまするが、赤字の処理に関連いたしまして、十年間で七十億円の償却が可能であるかどうかという御質問でございます。非常にむずかしい質問で、ここでできますと胸を張るというわけには私の立場ではいきません。御承知のように、漁業の実態はきわめて流動的でございまして、今後十年、どのような漁業の状況になるか私どもとても予測できませんので、それはわかりませんけれども、われわれはこういう目標を与えられたんだと、こういう目標に向かって事業の推進なり、あるいは制度改善を図っていこうというふうに考えざるを得ない、そういうふうにわれわれは万全の努力をしたいということでございます。
 それに関連いたしまして、漁業共済基金が廃止になりまして、解散になりまして中央漁業信用基金に移りますが、私ども率直に申し上げまして不安がないわけではございません。これも先ほど冒頭申し上げましたように、やむを得ない一つの措置であるということで割り切りまして、幸いにも法案には全く同じ事業を中央漁業信用基金がやるようになっておりますので、それに期待いたしまして、資金の流れが従来と全く同じになるようにわれわれは要望して、これを確保したいというふうに考えております。
#17
○川村清一君 宮原参考人と中里参考人、お二人に二、三お聞きしたいんですが、まず第一問は、お二人から御意見を賜りたいんですけれども、実はこの制度が昭和三十九年にできまして昭和四十二年に国の再保険制度ができたわけです。その昭和四十二年の国の再保険の制度化のときに実は私がこの委員会で質問いたしまして、当時中里参考人は専務さんをされておりまして、たしか当時の安藤会長さんと傍聴されておったことを記憶し、私も安藤会長さんにいろいろ教えていただいて勉強して質問したわけですが、その質問の中で私が最も強く申し上げたのは、これは一つの保険なんですから、それで一つの危険を全漁民によって分担するという、その基本原則に基づいて組み立てられておるわけでございますから、やはり保険に加入している人が多くなければこれは保っていけないわけです。ですから、加入率を高めるということ。加入率を高めるというためにはむしろこれは義務加入にすべきではないのかと、義務加入にすべきであるということを強く申し上げました。当時の政府は、これはあくまでも民主的に個人の意思によって加入するんだということで、私の主張を入れなかったわけでございます。その後、やはり私が言っているとおり情勢がそうだんだん進展していって、昭和四十九年の制度改正でこれは義務制ということになったわけですが、義務制になった今日いまだに、先ほどのお話によりますというと、漁獲共済においては加入率は二四%である、養殖共済においては三七%である、きわめて低いわけですね。これは一体どこに原因があるのか。いろいろありましょうけれども、行政の一つの怠慢と言えば失礼ですが、行政もこれに力を余り入れなかったんだろうし、それから先ほど宮原参考人はこの加入率を高めるということを強く主張されておりました。当然であります。そしてこの共済というものを系統運動として取り上げたいという御説明があったわけでございますが、やはり系統としてどれだけ加入率を高めるために努力されておったのか。四十九年に義務制ができましても、今日になおまだこんなような状態では、これは本当に努力しておったのか、――各都道府県の共済組合があります、あるいはまた単協もあるわけですね。単協においてあるいは都道府県の共済組合において、いわゆる全漁連の系統の中においてこのためにどれだけ努力をされてきておるのかどうかということにちょっと私は疑問を持たざるを得ませんし、それから全共済の方も一体このためにどのような努力をされてきたのかということもちょっと私としては疑問を持つわけでございます。したがって、何としましても加入率を高めなければ、これは災害補償法、いわゆる一つの保険ですが、これの目的を達することができませんので、今後どうなされようとしておるのか、これをお聞きしておきたいことが第一点であります。
 それから第二点は、私は、漁船損害補償法のやはり審議がときどきあるわけですが、その法案が出てまいりましたときには、いつもその審議に当たって主張しておりますことは、漁船保険と、それから漁業災害保険、これは一体となるべきものではないのかと。もちろん、この制度が発足した時点あるいは歴史的な発展の違いがあるわけですから一概に一つになれといってもなかなか困難であることは当然わかっておるわけであります。しかしながら、両制度とも、言うならば漁民の幸せのために、漁業の発展のために、漁民のいわゆる経済的な一つの安定を得る、発展のためにある制度でありまして、それから、この事務をやっておるのはずうっと末端へいきますと単協でやっておるわけです。この単協と言ったって大から小までありまして、小さな単協ですと職員がわずか四人か五人ぐらいでやっているような単協もあるわけです。その単協の職員が一方においては漁災の方の事務をやる、一方においては漁船保険の事務もやると、同じような事務をやっているわけです。そしてねらいは何かというと、いわゆる漁協におけるところの漁民の生活安定、漁業の発展というためなんですから、目的は同じなんで、山の上に登るのに両方から登っていけばいいのであって、むしろこれは一体になるべきじゃないかということをいつも主張しておりますが、これはなかなか実現いたしません。漁船保険の方はたくさん金を持っておると、そして漁業共済の方はたくさんの借金を持っておると。借金と金を持っているものが一つになればおのずから道が開けるんではないかと思うのでありますが、この件については私はそう主張しているんですが、これ、こんなことを言ってもう十何年以上もたっているんですが、いまだに実現されないんですが、御両者におきましては、これはどういうような見解を持たれるか。
 いろいろ聞きたいことがありますが、時間がありませんからやめますが、もう一点、最も基本的な問題なんですが、これは農業共済と違うのは、農業共済はいわゆる農畜産物の、農業生産物の生産量でやるんです、量で。ところが、漁業共済の方は生産量でなくて生産額なんです。いわゆるPQ方式、ここに問題があるんじゃないか。いわゆる金高でいくわけですよ。農業の方は生産量でいくわけですよ。魚価というのは、二百海里時代どうなったこうなったと言いますが、べらぼうにぐんと魚価が上がってみたり、またがたんと下がってみたり、その経済事情なりあるいは需要の動向によってどんどん変わっていく。そこでこういう問題が発生するんですが、抜本的に、根本的にこれをやるならば、その辺の私は制度を何とか変えなければ根本的な解決にはならぬのではないかと思うんですが、この辺に対する御見解はいかがなものでしょうか。
 それからもう一点だけてありますが、漁業災害補償法というものは、あくまでも自然災害というものを対象に仕組まれた一つの保険でございます。したがいまして、二百海里時代になってどうなったとか、もちろん二百海里時代になって漁獲量も減ったこともわかっていますが、漁獲量が減っただけでなくて、二百海里の時代に入って漁業の情勢ががらっと変わってしまったということがありますし、それから赤潮なんというものはこれは一体自然災害なのか、あるいは自然災害でなくて一つの公害であるのかといったようなことも学者の意見も必ずしも一致しておらないような気がするわけでありますが、これが自然災害でないとするならば、二百海里の問題だとか赤潮の問題は当然この保険の対象外になることであって、別の方途によってこの問題への解決のために対処していかなければならないものではないかと私は思うんですが、どうか。
 この四つについて、時間がありませんので、ごく簡単で結構でございますが、御見解を承りたいと存じます。
#18
○委員長(坂元親男君) まず、宮原参考人からお答え願います。
#19
○参考人(宮原九一君) まず第一点の加入拡大につきましては、先生御指摘のとおり、私どもとしても大変残念でございます。ただ、それぞれの現地におきましては、私も三重県の漁連会長をやっておりますが、漁連会長が中心になりまして信連、共済組合等を含めて加入促進協議会といったような県一本の組織をつくりながら、それに各地の単協の組合長にも参加願い、それなりの工夫をこらして加入の拡大をやっておりますわけですけれども、やっぱり前提になる漁業者の意識を高揚する、それから共販制度のさらに拡充を図る、それから魅力ある制度とするための仕組みの改善、これが今回の法律改正で相当部分前進をしますので、この今回の改正を踏まえてさらに全漁連としては各県に強力な指導体制を組んで拡大を図っていくように努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、漁船保険との合併問題については、少なくともわれわれ全国の漁業協同組合系統においてはすでに精神的なあれは成熟をいたしておるわけでございます。先生おっしゃるとおりに、機会あれば合併を促進いたしたいという熱意をいまもって失っておらないわけでございます。残念ながら結果がまだ十分でないので申しわけないと思っておるわけでございます。
 それから、漁済の現在の仕組みのPQ制度というものを抜本的に改善すべきであるかどうかという点については、残念ながら私自身まだ明確な方針を持つに至っておりません。私としては、PQ制度の中で仕組みをもう少し成熟さしていく形の方がいいのではないかという見解は現在もまだ持ち続けておるわけでございます。
 それから、二百海里関連がいわゆる漁済の中にどう仕組まれていくかということにつきましては、その不漁の原因をどう明確に処理できるのかといったような問題もありますので、共済団体といたしましては著しい条件変化がある場合には引き受けの制限を加えるといったようなことで当面は対応をしていかざるを得ませんので、引き続きこの辺の関連事項についての研究は進めていただきたいものであるということを考えておる次第でございます。
 以上です。
#20
○委員長(坂元親男君) 中里参考人お答えいただきます。
#21
○参考人(中里久夫君) いま宮原参考人のおっしゃられたこととほとんど変わらないんでございますが、共済団体側としての視点からのみ申し上げますと、まず普及の拡大、普遍化の問題でございまするけれども、これはかねてから川村先生が何度も繰り返しておっしゃるとおりでございますが、いまだにまだ不十分でございます。連合会あるいは共済団体としては、まず制度的にこれを解決する方法として、今回の法律改正でもございますが、加入を普遍的に拡大するためのいろいろな共済契約の締結の要件を緩和する、あるいは仕組みをよくすると、あるいはさらには制度的には義務加入対象漁業の範囲を拡大するというようなことで、いろんないわゆる制度的に加入拡大が図れるような方向でいろいろな改善措置をこれからこの法案が通りますれば行われ得るということにわれわれは非常に期待しておりますが、それだけじゃなくて、やはり私は何度も繰り返すように、この制度を、系統団体、特に漁業共済団体の構成員である漁業協同組合の役員の方々がこれをいかに受けとめるかということが一番大きな大事な点じゃないかと思います。
 それで、最近は特に漁業協同組合長をわれわれは対象にして、しかも共済組合長を県ベースじゃなくてブロックベースに、たとえば東北あるいは四国というようなフロックベースにお集め願いまして、この普及の一番の拠点にしていただくというようなところまでなっております。従来は県レベルでの共済組合がまあ一種のコネを利用しての共済推進というようなことが多かったのでございますが、今度は組織力をもってこの普及推進ができるようになりつつあるということでございますので、私どもといたしましては、制度改善措置が行われると同時に、この組織力に乗った共済事業推進というのがそろそろ可能になってきたということに大きな期待をしております。
 連合会といたしましては、常にそういう企画には現地に参りまして参加いたしております。それから、地元の道府県並びに主要な沿海市町村につきましても、われわれはできるだけこの共済事業の推進に役立つようないろいろな助成措置、たとえば掛金助成とか無事故戻し奨励とか、あるいは事務費等の助成というようなことをしていただくようにいろいろな事例を紹介して、地元の地方公共団体が肩を入れるということに側面から努力いたしてまいっております。
 次は、これは宮原参考人から御説明になったところでございますが、大体同じようなことでございますが、漁船保険と漁災制度とのかかわり合いの問題でございますが、私どもといたしましては、特にたくさん赤字を抱えている立場から非常に言いにくいんでございまするけれども、これはたてまえとしては漁業者の災害対策措置として、漁船も、それから漁獲物も、あるいは養殖の動植物も全く漁業経営とすれば同じ災害に対する経営対策の一環でございます。ですから、この組織が分かれているということにつきましては、実は私どもといたしましては、これは長い目で見て統合されるべきだというふうに考えております。そういうふうな基本的な考え方でおりますが、現実にはなかなかむずかしい問題もあるということも承知しております。しかしながら、あえて私どもは前と同じように一体的な運営、組織化がなされるべきであるというふうに考えております。
 それから、PQ方式でございますが、確かにこれは、PQ方式というのは漁業における非常にユニークな制度でございますが、これをPを外した制度にすることにつきまして、私ども内部でずいぶん研究、討論をやったんでございますが、やはり基本的にはPQ方式でいうと、しかしその運営とかあるいは改めるべきところは改めていこうじゃないかということで、PQ方式を基礎にした制度の改善ということを私どもは考えております。
 それから、最後の二百海里あるいは赤潮等に対する共済の対応でございますが、基本的には二百海里による漁場制限あるいは異常赤潮一掃に対する共済金の支払い等に対しましては、共済制度が漁業者の掛金、漁業者のふところから出す掛金を当てにしたいわゆる相互扶助制度であるということが基本でございますので、こういうような自然災害に即さない、そういうようなものが明らかな場合には、これはやっぱり対象外として排除する方向で制度を割り切った方がいいと、またその方向で運用すべきではないかと、原則はそういうふうに考えております。
#22
○鶴岡洋君 大変御苦労さまでございます。貴重な意見ありがとうございました。
 私、二、三点簡単にお答え願いたいんですが、宮原全漁連の会長さんにお願いしたいんですが、漁災制度に対する期待は大であると、これはもちろんそうであると思います。漁業者の経営を守るためにも、また生活を守るためにも当然そうでなければならないと、こういうふうに思うわけですけれども、だからここで法律の改正案が出て審議をするわけです。ですけれども、二百海里規制がされ、また燃油の価格の暴騰、それから魚価の低迷と、これは大体外的要因になるわけです。生活様式も変わる、国際情勢も変わる、また経済情勢も変わる、時代の流れもこういうふうに変わってきている。そういう中で、一番先に言ったように漁災制度に対する期待は大であると、これはもう当然でございますけれども、その反面、全漁連として経営の健全化、近代化といいますか、それから技術の改善、こういういわゆる経営の強化に対してどんな姿勢でおられるのか。もちろん努力するとはおっしゃられると思いますけれども、この点についてどういう考えをお持ちでおられるか、これが一点。
 それから、漁業者年金の加入が約一万人になったと、こういうお話でございますけれども、現場におられてこの点について見通しはどうなのか、これが二点目。
 もう一点は中里参考人にお伺いしたいんですが、この改正の経緯で昭和四十九年に赤潮特約の新設が導入されておりますが、この赤潮特約の運用の効果、また実績はどんな評価をしておられるか、この三点についてお伺いいたします。
#23
○委員長(坂元親男君) まず、宮原参考人お答え願います。
#24
○参考人(宮原九一君) 全漁連といたしましては、漁業全般の体制におきましては水産庁と十分協議を重ねながら、コストをどういう形で低減できるかということでいわゆる合理化方策をどう打ち出すかということ、具体的にただいま詰めておりまして、その辺でがんばっていきたいと思いますのと、もう一つは需給バランスを改善しながら安定した魚価を確保して、要するに経費でふえてきたものをどう節減するかということと、安定した魚価をどういう形で保っていくかという両面から今後対策を講じていきたい。
 それから、沿岸漁業関係につきましては、今後はいわゆるいま言われておる資源管理型漁業ということでございますので、ことしから個々の営漁指導、地域の営為計画といったようなものを含めて計画的な漁業のあり方という形の中で将来の漁業の安定を期してまいりたいと、このような作戦計画を立てておるわけでございます。
 年金の関係は、一年間で一万人ちょっとでございましたが、とにかく私どもとしては五年間で二十万人というものをただいま目標に置いて加入拡大を図ってまいりたいと思っておりますが、それについても先ほどもちょっと申しましたが、税制上の恩典について強くお願い、運動をいたしておりまするので、諸先生方にもそういう改善についても御配慮いただくならば大変ありがたいと考えておる次第でございます。
#25
○参考人(中里久夫君) 赤潮特約、つまり、異常赤潮に対する共済の対応につきましてどのような効果があったか、あるいは実績についての説明をせいということでございますが、いわゆる異常赤潮に対する共済事業は先生方御承知のように、その掛金につきましては漁民の負担にしない、国が三分の二、都道府県が三分の一負担するということで、掛金負担は漁民負担にしない。かつ、異常赤潮が発生する特定の水域に限ってのいわゆる特約ということで対応してまいっているわけでございまするけれども、これは、このような制度が発足いたしましておおむね赤潮の発生するような水域は全部指定されまして、そして、この特約制度は異常赤潮に相当有効に働いているということは言えると思います。現にこの赤潮の事業収支につきましては、これは赤字が出たから有効というわけじゃございませんですけれども、大変相当な出し前になっております。そういうことで、運用の効果、それから実績も通算収支は当面赤字でございまするけれども、最近赤潮の被害が幸いにして小康を得ております。そういう意味で収支も逐次改善されております。特に先生方に申し上げたいことは、今回の制度改正の一環として、この異常赤潮にかかわる分につきましては保険、言うなれば国の保険がすぐに発動するように改善されます。いままではほかの事業とどんぶりになりましてすぐには発動されなかったんでございますが、異常赤潮にストレートに国の保険が発動するように改善されますので、そういうことで異常赤潮に対するいわゆる赤潮特約の運営につきましては、従来よりも特段に改善されるというふうに私は理解しております。
#26
○中野明君 大変御苦労さまでございます。
 先ほど来お話が出ておりますが、私もこの制度ができまして十九年ということで、ずいぶんと皆様方も加入促進に御苦心があったと思いますが、しかしながら、お話にありましたように二四%というような加入率、これに対して本当に系統のいわゆる役職員の皆さん方といいますか、その方々が努力したにかかわらず二四%程度あるいは三十数%、これは養殖共済の方ですね、そういうことであるというこの実態といいますか、なぜ伸びなかったか、その辺はどのように御反省になっておりますか。これは御両名、どちらでも結構でございますが、それがなければこの制度を改正をしたからといって、私は急激に加入者がふえるような甘い考え方では済まぬのではないか、こういうように思います。共済というのは相互扶助ですから、漁民の皆さん方が本当に制度そのものを理解して、結果的に見れば大変な事業の不足金が出ているんですから、私はそれなりの大きな役目を果たしている、このように考えております。それにもかかわらず加入者が少ないというのは、何かここに皆さん方と現場で漁業に従事しておられる方々の間に意思が疎通していないところがあるんじゃなかろうか、そういう気もしますので、まず最初にその点お答えをいただきたいと思います。
#27
○参考人(宮原九一君) 私どもが一番残念に思っている点を先生から御指摘をいただいておるわけでございまして、考えられるいろいろな方法を講じて十八年間加入促進をやってきたことも事実でございますけれども、率直に言いまして、やっぱりきわめて安定的な漁業については掛金負担がもったいないということで加入ができないという面も現実にあることは事実でございます。
 それから、小さい漁業種類ですと漁獲物の販売が漁協に一元化されない。これは特に観光地の多い地方とか、その他ストレートに魚が処分されていくということで、共済需要があっても引き受け側でそういったモラルリスクを排除したいということからあえて引き受けを拒否するという例もございます。
 それからもう一つは、相当制度が進んできましたが、漁業の特質は日本じゅうの各地に水揚げをするということでございまして、その辺の漁獲が確実に掌握できませんと共済として引き受けるわけにはいかぬという問題がありまして、その両面から伸び悩んでおることは事実でございますが、今回の改正の義務加入の拡大あるいは長期共済といったようなことがそういう加入拡大には大きく左右してくれるのではないかという期待を込めて今後の運動を展開をいたしていきたい、このように思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 それからもう一つは、全体としまして残念ながら地方庁がこの共済に対する意識がまだ十分でない。だから、地方庁のしっかりしてやっておるところは加入率が非常に上がってきておりますので、これはもう人のふんどしでというようなことで大変申しわけないことですが、行政も一体になって加入拡大に力を入れていただきたいというようなことが一つございます。
 以上でございます。
#28
○中野明君 中里参考人にお尋ねしますが、先ほど今回の改正、これは会長さんもおっしゃっておりましたが、あめとむちがやっぱり含まれていると。で、どっちかといえば少しでも甘い方が多いということで、一緒に改正案を、どう言うんですか、審議したと、こういうようにおっしゃっておるんですが、やはり足切りもあります。恒常的な病気の足切りというようなのが辛い面だろうと思うんですが、そういうことを含まれたこの改正案、これが実施されて、担当の全漁連として本当に加入促進が進むようにお見通しを持っておられるのかどうか。ちょっと私いままでの現状から見て、この制度がこの程度変わった程度で果たして躍進的に加入率が上がるものだろうかというふうに不安を持っている一人なんですが、どういうお見通しを持っておられますか。
#29
○参考人(中里久夫君) 躍進と申されますけれども、いままでの加入率につきましては毎年毎年実は進んでまいっております。義務加入制導入以後は、特にその対象漁業につきましては非常に進んでまいっております。一般的に、平均的に申しますと、三十とか四十とかというレベルになるのですけれども、漁業は非常に種類が多うございまして、たとえば採貝採藻業、漁業の専門的な分野では、いわゆる共同漁業権というような集団操業の漁業につきましてはもう大半の人がこれを利用している、昆布とかワカメとかアワビですね。こういうところは大部分の人が利用している、むしろ利用していない方が少ない。あるいは大型定置漁業、こういう比較的移動しながら漁業をするのじゃなくて待ちの姿勢にある定置網漁業なんというのは、これは非常に利用率は高こうございます。まあ一般的に周年の漁船漁業で、魚を機動力を駆使して非常に追いかけているような漁船漁業につきましては比較的リスクは少のうございますが、漁不漁をみずから機動力で克服しますから、たとえばカツオ、マグロ漁のごとく、そういうものにつきましては災害あるいは不漁に強うございますからこの制度の利用は比較的少ない。しかし、それ以外の中小以下の漁業につきましては、やはり災害に対するあるいは不漁に対する抵抗力は少のうございますからだんだんと理解されて、まだ濃淡はございますけれども、もう一号漁業なんという共同の漁業権漁業につきましては、これから加入の推進する余地は非常に少ないぐらい普及しております。それから養殖につきましても、たとえばタイとかハマチ等は、もうこれは金融関係の疎通の基礎になっているぐらいでございますから、これももう大半の人は利用しているということで、平均的に申しますと加入率は低うございますが、これをさらに分析してみますと、やはり進むべきものは着実に進んでおります。特にわれわれ今後の重点といたしましては、十トン未満の漁船漁業につきましては、これは重点的に普及推進活動をしておりまして、まあ関係する漁業協同組合の、今後も恐らく七割か八割ぐらいはこの辺を利用するというふうになるんじゃないかと私は思っております。ですから、たまたまブリについては足切りが導入されまするけれども、これを放置しておきますと掛金率がべらぼうに高くなりましてかえって不公平になるということでございまして、漁業者の公平の観念に照らしまして、私はそんなに普及率に悪い影響を与えるものではない、むしろわれわれはこれをきっかけに漁場の管理、養殖の管理等あるいは漁業対策措置がしっかり行われるようなきっかけにさしていただきたいということでございます。
#30
○中野明君 時間もありませんので、この機会に漁連の会長さんでございます宮原さんに、この共済の問題以外になりますが、一応先ほどの御意見の中に、要するに水産物の消費と流通対策のことについてもお述べになっておられましたが、やはり最近魚離れとかいろいろ言われております。私どももいわゆる流通対策というんですか、浜で値が安くっても小売価格が下がらないというようなことで、高値安定みたいな形になっているという嫌いも感じないでもないんですが、この流通対策に対するお考えと、それから魚離れ、これに対して全漁連としては努力はいたしておられると思いますが、今後の魚離れに対する方策といいますか、その点お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#31
○参考人(宮原九一君) 水産物の流通問題は古くて新しい問題でございますけれども、私ども系統の反省は、一にかかっていままで系統全体としまして流通問題の取り組みが不十分であったという点でございます。現在日本の総生産は金額にして二兆七千億円ぐらいございますけれども、何らかの形で系統がさわっておりますのは、そのうちの一兆七千億円というものが系統の組織の中で扱っておる品物でございますけれども、その扱っておるものが、いわゆる消費末端に直通する形のものはほとんどないということでございます。多くは、市場を開いてそこに業者を集めて入札をしてしまえば、それで系統の流通はおしまいというようなことが多かったわけでございますので、一歩も二歩も進めて、いわゆる量販店に直送する体制をつくるとか、あるいは系統そのものが都市周辺に集配センターをつくって、スーパーとかあるいは大口消費地とか市場とかに物を供給していくというように、その中間の段階をいかにして排除していくかという問題が今後の重大課題でございまして、ただいま全漁連といたしましても、具体的に、たとえば船橋周辺のあの団地に集配基地をどういう形で置くのがいいのかというようなことを、学者、先生方の検討も終わって、ことしは実践の少し研究に入りたいといったようなことを含めてやっておりまするし、水産庁当局も流通問題には大変力を入れていただいて、いわゆる消費サイズの凍結品をパックにして、そしてそれを産地から消費地に送った場合に鮮度表示をしたらどうであろうか。そういうことで、新しい魚が食ぜんに上るといったようなことで、魚離れ対策にひとつメスを入れていくというようなことも踏まえ、また、アメリカあたりでは健康食品としての水産物の見直しが進んできておりますので、そういう意味でのPRをもう少し拡大をいたしたい。いま、たとえばノリにつきましては、全国の漁業者が共販金額の一万分の一を拠出して自分たちで消費宣伝をテレビ、ラジオ等を通じてやっておりますので、そういうものをひとつ拡大をしていくといったことも含めてその消流の改善をやっていきたい、これが一つ全漁連の今後の大変大きな課題であると自覚をいたしておる次第でございます。
#32
○中野明君 それじゃ最後に、大変これ小さな問題かもしれませんが、宮原会長さんに御見解をお聞きできればと思うんですが、最近は非常に御承知のように釣り人口がふえまして、そして一説には二千万とか言われておりますが、私、四国でございますが、非常に釣りで遭難をする人がおるわけですが、そうすると、漁師の方々は人命にかかわるということで仕事を投げ出して助けに行くんですが、ところがこの助かった人が、喜びはしているんでしょうけれども、そういうことに対して、山の遭難の場合はかなり、どう言うんですか、制度ができておりまして、そして救援隊が向かって、その経費というものは一応本人に請求できるようになっているんですが、そういう点で漁師の方々に、まあ不満と言えば不満なんです。人命救助で自発的にやってはおられるんでしょうけれども、どちらかというと、自分たちのいわゆる仕事場をそういうレジャーで荒らされる、その上に助けに行かなきゃならぬと、遭難したとき。助かった人は、助かった喜びもつかの間で、おれのとった獲物はどこにあるんだというようなことで、非常にいろいろ感情的な問題も私あちらこちらで聞くんですが、こういう点については何か制度化するとかなんとか、そういう点はやはり全漁連として、将来これは問題になってくるんじゃないかと思いますが、何かお考えをお持ちになっておれば御見解をお聞きしたいと思います。
#33
○参考人(宮原九一君) 先生小さい問題と言われたが、私どもの方では非常に大きな問題としてこの問題を考えております。
 まず最初の遊漁と漁業との関係調整という問題をまず考えなきゃなりませんし、これはいま水産庁で漁場管理制度に対する基本問題を検討する会議の中でいろいろ検討し、法律を出すというところまで御決心をいただいておりますので、それに対して系統の考え方を今後まとめて出していきたいと思いますが、遭難に対する漁業者の負担ということは、これはもうきわめて大きな負担になっておりまするが、いまその災害を救助する方法には、もう余り力がございませんけれども水難救済会という制度がありまして、その辺、大体地元の漁協がその会員になってやっております。名前を変えてやはり漁業者が出動している。その出動手当が、自分たちが、全漁連が四百万円金を集めて水難救済会に金を出しておりますけれども、今度上がってたった二千五百円、一日出動というようなことで。その辺も水難救済会における制度も改善してもらいたいということが一つありますのと、それから各県に対していま条例制定を働きかけようと全漁連では研究をいたしております。山の遭難と同じような仕組みが海にも適用されるような条例を各県ごとに出してもらいたいものだということで研究をいたしておる次第でございます。
#34
○中野明君 終わります。
#35
○下田京子君 お二人の参考人、御苦労さまでございます。
 最初にお尋ねいたしたい点は、加入促進の決め手は一体何かという問題で、先ほどどうして加入促進が進まないかという理由で幾つか挙げておられましたが、一つは掛金負担がもったいないという意識だとか、あるいは各地への水揚げ、そしてまた地方庁の姿勢など、そのほかいろいろ申されておりましたが、何といっても皆さん方がいろいろと漁済に参加する運動を繰り広げられている中にあって、しかもなおかつ加入が進まないという中で、その決め手になるのは何なんだろうかということでお聞きしたいわけなんです。
 この点からいきますと、何といってもやはり漁業者にとって漁災制度そもそもが魅力あるものでなければならないと思うんです。今回の改善の中には入っておりませんでしたけれども、やはりこれ以上過重な掛金負担にならないで、しかもより充実した補償内容という点から考えていくならば、一つは国庫補助率の引き上げあるいはまた国庫補助限度の引き上げ、撤廃というふうな形で掛金に対する国の助成、これを充実させていくことが必要ではないか。
 それから、もう一つ考えられますのが、やはり漁獲共済における共済限度額を引き上げていく問題ではないか。とりわけ、もう言うまでもなく燃油高そして不漁、そういう中にあって漁価が低迷しているわけでして、漁獲金額がダウンする、こういう中にあってやはり経営をカバーできる、そういう中身に改善が据えられるということにならなければならないんではないか。これは私も北海道、東北各地の漁連あるいはまた共済組合等回りまして強く要請を受けたところであります。
 確かにいま厳しい財政事情下であります。しかし、何と言ってもこの加入促進の決め手は、漁業者にとって魅力ある制度にするためにこういったことを考えなければならないんではないかという点で参考人の御意見をお聞かせいただきたい。これはお二人にお聞きしたいと思うんです。
 それからもう一点は、全漁連の会長さんとして先ほど宮原参考人がお述べになっております水産物の輸入問題であります。これは去る十二、十三日、日米貿易小委員会の作業部会におきましていろいろと話がされました。アメリカは大変この残存制限品目について水産物についても強い姿勢で臨んできておりまして、ガットでの協議を日本側に通告すると、こういうことも言われております。その中で特にこれは沿岸中小漁業者に対する影響が大変心配されるわけなんですが、アメリカで特にまた関心を持っているのがニシンだと言われています。このニシンの自由化がなされた場合に、一体日本の漁業者、さらには加工業者の皆さん方にどういう打撃、影響が予想されるのか、その辺お答えいただきたいと思います。
#36
○参考人(宮原九一君) 申し上げるまでもございません、安い掛金で高い補償が実現できるならば、漁業者としてはもうそれにこした幸いはないわけでございますので、われわれとしては漁災制度が永続する範囲においてなるべく高い水準の助成が得られるような要求は今後とも漁業者の総意として続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 それから一緒に二番目の問題についてもお答え申し上げたいと思いますが、御案内のように、ニシン問題につきましては、三十年の後半から北海道漁連が大変苦労をいたしまして、ソ連、さらにはカナダ、アメリカといったようなところのニシンを求めて、道内の加工業者に対して均てん的に加工原料が行き渡るような努力を続けてきておるわけでございます。ただいま、特にこのごろでは日本海側ではニシンが重要な加工の原料魚となっておりまして、大体あの辺で七百軒近い業者がニシンの加工をいたしておると存じております。仮にこれが一たん自由化ということになりますと、アメリカ自身も余り得ではないということをわれわれ言っておりますけれども、それは別としましても、大手商社が自由にニシンを運んで持ってくるというようなことになってきました場合、いままで北海道漁連が国内産を含めて、輸入ニシンも合わせて加工業者に均てんする体制を整えてきたものが一挙に崩れるということでは、力の弱い加工業者がもうたちどころに経営の不振に陥るといったようなことでございまして、過って伝えられるように、北海道漁連がニシンを独占しているんだというようなことでは絶対にないわけでございますので、それに最近多少日本でもニシンがとれ始めまして、沖合底ひきとか刺し網を中心に現在約二万トン程度が生産をされておるとわれわれ理解をいたしております。この業者がもうたちどころに打撃を受けることは当然でございまするし、さらにまた、卵を抱いていないニシンあたりも自由化でどんどん入ってくるということになれば、これはほかの業種との競合ということも当然出てまいりますので、われわれ業界といたしましては、このニシンの自由化というものについては強く反対をいたしておるというのが現状でございます。
#37
○参考人(中里久夫君) いま宮原参考人から御説明があったのと全く同じでございますが、安い掛金で高い補償が得られるということは、これは漁業者の掛金負担では足りませんので、どうしても国の助成を手厚くするということがもう必須の条件でございます。しかし、もうすでに国も、たとえば義務加入の対象漁業につきましては、六五%という相当な補助率を適用している経緯もございますので、国の助成が必要なことはわかりますけれども、相当努力を要するという事態でございます。しかし、われわれはこの努力を放棄するつもりはございません。今回もさらに続けてまいりたい。特に義務加入対象の漁業の拡大につきましては、このような予算事情でございますけれども若干の補助率のアップも実現いたしました。そういうことで、国の助成をできるだけ魅力あるものにするために要求するという努力は進めてまいりたいと思います。
 それから補償水準、限度額の引き上げにつきましても同様でございますが、この制度はやはり本質的には損害、災害対策でございまするので、経営対策という面から経費を補償する、水揚げ金額が仮に下回っても経費という点だけで補償するというふうな方向に行くのはもうちょっと制度の根本的な見直しが要るんじゃないかと私は思っております。その必要性は十分わかりますけれども、経営対策に徹するにはまだ力不足という感じがいたします。
#38
○下田京子君 宮原参考人にもう一つだけ簡単にお答えいただきたいんですが、いまのアメリカが非常に熱いまなざしを送っているニシンの自由化のことについて、業界は反対であるし、これは打撃が大きいのでやめてほしいという話でしたが、鈴木総理がニシンの自由化は盲腸だというふうなそんな発言があったとかと聞いておりますが、とするとなかなか厳しいんではないか。その辺はどのようにお受けとめになっているか、一言お述べください。
#39
○参考人(宮原九一君) 実は非公式に鈴木総理の方にも、とてもじゃないがわれわれ業界としてはニシンはOK出すわけにまいりませんということで強く要請をいたしておりますので、その先のことになるとちょっと困るんですけれども、あくまでも反対を続けていくつもりでございます。
#40
○委員長(坂元親男君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、皆様には御多忙中にもかかわらず当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後二時五十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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