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#1
第096回国会 農林水産委員会 第11号
昭和五十七年五月十一日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     赤桐  操君     村沢  牧君
 五月四日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧君     山田  譲君
 五月八日
    辞任         補欠選任
     山田  譲君     村沢  牧君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧者     山田  譲君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     山田  譲君     村沢  牧君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                川村 清一君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                藏内 修治君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                中村 禎二君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                八百板 正君
                山田  譲君
                中野  明君
                藤原 房雄君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産省経済
       局長       佐野 宏哉君
       農林水産省構造
       改善局長     森実 孝郎君
       農林水産省畜産
       局長       石川  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       外務大臣官房審
       議官       藤田 公郎君
   参考人
       国際協力事業団
       企画部長     市岡 克博君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として山田譲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(坂元親男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農用地開発公団法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として国際協力事業団の役職員の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(坂元親男君) 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○山田譲君 農用地開発公団法の質問に入ります前に、まず外務省の方いらっしゃいますね。――一般的な海外協力の問題、大分ことしもこの予算などもふやしているようでありますけれども、そういった海外協力全般についての基本的な方針をまず伺うということと、一体その中身はどれとどれとどれであると、それについて予算はこうなっているというその内訳を教えていただきたいと思います。
#7
○説明員(藤田公郎君) ただいま御質問の経済協力の一般的な考え方ということでございますが、これは累次総理の施政方針演説及び外務大臣の外交演説等々で明らかにしておられますように、わが国としましては南北問題の根底にございます相互依存それから人道的な考慮という二つの理念に基づいて経済協力を積極的に推進していくということが基本的な考え方かと思われます。特に委員御高承のとおり、わが国は平和国家でありかつ経済大国として非常に開発途上国との相互依存性が強い、他の先進国に比べましても強いという特徴を有しております。また資源小国ということでこれも開発途上国を含めます世界の各国との相互依存性が非常に強いという特色を備えているかと思います。こういうわが国の平和国家、経済大国、資源小国という特別な立場にかんがみまして、わが国が南北問題の解決のために経済開発援助、政府開発援助を積極的に推進していかなければいけないという必要性はより強いものがあるのではないかと思われます。
 それから委員御質問の第二点、いかなる手だてを講じているかということでございますが、この点はすでに御高承のとおり、昭和五十二年から五十五年の三年間にかけまして政府開発援助を倍増するという方針を内外に宣明いたしまして、基準は昭和五十一年のわが国の政府開発援助の実績約十四億ドルでございますが、これを昭和五十五年におきましては、これは暦年でございますが、におきましては倍の二十八億ドル以上にするという方針を宣明したわけでございます。このため予算上の手当て等を非常に手厚くいただいて努力を重ねました結果、昭和五十五年、暦年におきましては三十三億ドル余りということで公約以上の実績を達成した次第でございます。引き続きまして昭和五十六年、昨年でございますが、昭和五十六年以降は、昭和五十六年から六十年までの五年間にその前の五年間の政府開発援助の合計額、これをこの五年間に倍増以上すると、実績において倍増以上すると。そのためには政府開発援助にかかわる一般会計をやはり倍増以上達成するという中期目標というものを昨年の一月鈴木総理が明らかになさいまして、このための予算上の手当てが行われている次第でございます。先ほど御承認をいただきました昭和五十七年度予算について見ますと、一般会計につきましてはこの中期目標の達成に必要な一一・四%の増という手当てをしていただいておりまして、きわめて財政事情が厳しく他の経費が軒並み抑えられております中で、政府開発援助については非常に特別の御配慮を得ている次第でございます。
 若干詳細になりますが、その予算の内容いかんという御質問でございましたので大きな項目だけを申し上げますと、大きく分けまして政府開発援助は二つに分かれるかと思います。
 第一は贈与ということでございまして、この返ってこない、グラントと称しておりますが、贈与にかかわるものでございます。贈与の金額としましては、総計で四千七百億円余り。うち二国間の贈与、これは二国間におきまして経済開発等援助費と申しまして、学校ですとか職業訓練センター等々の建設等が例として挙げられるかと思いますが、そのような経済開発等援助費に九百二十億円、それから食糧増産等援助、これは日本米、それからタイ、ビルマ等の第三国米ないしは第三国のその他の穀物、小麦等がございますが、こういう食糧を供与するもの及び食糧増産援助と申しまして、肥料、農機具、農薬等の食糧生産を増大することを目的とする贈与と、この二つが含まれておりますが、この食糧増産等援助費に四百九十六億円、それから技術協力、本日の御審議を願っております法案に関連しております技術協力としまして九百九十一億円がこの二国間贈与の内訳でございます。
 次に、贈与の第二番目のグループとしましては、国際機関への出資、拠出というのがございます。これは御高承のとおり、世界銀行ですとかアジア開発銀行等々国際開発金融機関に対するもの及び国連の関係機関、児童関係の国連機関でございますとか難民関係の機関等々に対する拠出、出資というものを含めまして二千二百九十七億円が計上されております。
 それから非常に大きく申しまして、以上が贈与でございますが、第二のグループが借款でございます。この借款が、現在は海外経済協力基金がこの借款を主として行っておりますが、この借款が総額で五千二百八十八億円ということになっております。その他回収金等々がございますので、それを差し引き等々いたしますとODA、政府開発援助の事業予算という点で申しますと九千四百十八億円ということになっております。そのうち先ほど申し上げました一一・四%の増をいただきました一般会計分と申しますのが四千四百十七億円でございます。
 以上でございます。
#8
○山田譲君 どうもありがとうございました。
 そこで、海外協力全般については大体わかりましたけれども、その中で今度特に、そういうとりわけ農業関係の協力ですね、農業関係の協力についての今後の基本的な外務省としての方針、それからいままでどういうことをやってきたかというふうなことについて伺いたいと思います。
#9
○説明員(藤田公郎君) 農業分野につきましては、昨年一月鈴木総理がASEAN諸国を訪問されまして、各国におきましてわが国の援助方針を表明された次第でございますが、その際鈴木総理よりわが国の今後の経済協力の重点分野としては四つの分野が挙げられるということで、第一に農業及び農村開発、第二がエネルギー、第三として人づくり、第四点として中小企業の育成という方針を掲げられました。この農業及び農村開発という分野を最も痛い優先度を与えておられるわけでございますが、これはわが国のみでなく、たとえば国際開発金融機関たる世銀でございますとか、アジア開発銀行等の最近の傾向といたしましても、農業及び農村開発というものが結局はその人づくりと並んで国づくりの基礎であるという認識が非常に強く徹底している結果かと思われます。このような形でわが国としましても農業及び農村開発という分野を最も高い優先度を置いて考えていきたいということでございます。しからばいままでどのような状況であったかというお尋ねでございますが、金額の実績ベースで見ますと、ここ四年ばかりをとってみますと若干年によっては違っておりまして、わが国の政府開発援助の大体二〇%ぐらいが農業及び農村開発に向けられていた年、それから一〇%強であった年ということで若干年によっては異なっております。この理由は先ほどちょっと触れましたわが国の政府開発援助の約四割を占めております借款が、どの程度農業及び農村開発に向けられたかということによって若干この金額の差が出てきている次第でございます。この借款につきましては年によりまして一七、八%から一〇%弱というその若干の移動がございます。しかしながら、無償援助、特に二国間の無償援助というものにつきましては半分弱、四十数%が農業ないし農村開発分野に向けられている状況でございます。またその無償援助の中でも技術協力につきましては、農業、農村開発分野の占める地位というのは非常に高うございまして、大体金額ベースで申しますと二〇%余りでございますが、人数という点でとらえますと、御承知のように技術協力はわが方の専門家を海外に派遣して行うもの、それから先方の人員を研修生という形で日本に受け入れて教育するものと二つ人的な協力がございますが、これを昭和五十五年の実績でとってみますと、専門家の二五・九%、まあ二六%が農業分野でございまして、受け入れ研修員のうちでは一六・四%が農業分野の人たちであるという状況になっております。
#10
○山田譲君 五十五年はそういうことですけれども、今度ことしの五十七年度においては農業関係に使うお金が多くなっているんですか、パーセンテージでは。
#11
○説明員(藤田公郎君) 五十七年度予算につきましては、御承知のとおり、予算の御承認をいただいた直後でございまして、今後各プロジェクトにつきましての詰めを行ってまいりますので、正確に何パーセントが農業分野に向けられるかということは現在のところ数字としてはございません。しかしながら、農業以外には使われないものというのはもちろんございまして、先ほどちょっと申し上げました二国間贈与のうちの食糧増産等援助と申しますのは、これはもうもっぱら食糧ないし食糧関連の農業援助ということでございますので、これは四百九十六億円というのは全額が農業関連に向けられます。それから技術協力及び経済開発等援助及び借款、そのうちどの程度が農業関係に向けられていくかと申しますのは、現在先ほど申し上げましたように正確な数字としてはございませんが、恐らくは過去の趨勢が若干増大する傾向にあるのではないかと思われます。この理由は資金協力が行われます際には、その先行のものとして技術協力で調査等を行っておりまして、その調査等の趨勢を見てみますと、その調査を行ったものに円借款ないし無償資金協力というものがついていくという形になっておりますので、その先行の指標みたいなものを勘案いたしますと増大の趨勢にあるということは申し上げられると思います。
#12
○山田譲君 そこで次に、この国際協力事業団のことについてお伺いしたいんですけれども、従来そういう形で農業援助をかなりやってきているようでありますけれども、そういう中で国際協力事業団が果たした役割り、事業団としてどんな仕事をやってこられたか、これについてお伺いしたいと思います。
#13
○説明員(藤田公郎君) 先ほどちょっと触れましたが、国際協力事業団の行っております仕事の第一は、もちろん当然のことながら技術協力でございます。技術協力の内容としてさらに三つのものが分けられるかと思います。
 第一は、わが国の専門家を現地国に派遣して指導するということ。それから第二が、先方からの研修生を受け入れて日本で教育するということ。それから第三は、これはその専門家派遣ないし研修員が研修を終えて帰りますときに、研修ないしその技術の習得に必要であった機材というものが、専門家ないしは研修生の帰る際についていく、機材を供与すると申しますか。この三つの金額的に申しますと、カテゴリーに分かれるかと思います。
 そのうちの専門家の派遣につきましては、先ほど申し上げましたように、約二五%余り、それから研修生につきましては一六%余りが農業分野に向けられているということでございます。機材供与のうちどの程度が農業関連に向けられているかというのは、いまちょっと数字を調べてすぐに御報告申し上げます。
 以上が国際協力事業団の仕事の大宗をなします技術協力でございます。
 それからその次に、事業団としましては、開発投融資事業というのを行っておりまして、これは日本の民間の方々が海外に行かれて事業を営まれるに際しまして、その地域においては全く前人未到の事業であるということから、経済効果はきわめて大きいにもかかわらず、
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
その民間ないしわが国の企業の負う経済的な危険というものが非常に大きいと。そういう一般的な商業ベースないし風聞ベースでは対処できないと思われます試験的な事業、それからもう一つは関連インフラ整備と申しておりますが、関連基盤整備事業、これはたとえば具体的にインドネシアの例で申し上げますと、アサハンという地域にダム建設及び水力発電、それに関連するアルミ製錬工場というのを建設しておりますが、スマトラ島の北部にございますトバ湖という湖の、ほとんど住民のおりませんでしたところに非常に大規模な工事を行うということから、現地の人たちが非常に大量にそこに移住してこられるという結果になります。その工事自体につきましては、円借款ですとか民間の投融資ということで対処できるわけでございますが、大量に新しいところに住民が来られる結果、たとえば小学校ですとか診療所ですとか、直接そのプロジェクトとは関係がないけれども、その事業の遂行のためにはどうしても必要であり、かつそれの建設を援助することがその事業の円滑な進展、それから日本の協力に対する現地国の感謝の念というものを得るためにも不可決であると思われます関連した基盤整備事業というものに対しまして、国際協力事業団がきわめて低利、長期の融資を、日本の民間に対して行いまして、これをもってそういう関連基盤整備ないしは試験的事業を行っていただくという仕事でございます。これは国際協力事業団が創設されましたときの大きな柱の一つであったわけでございますが、何分新しい分野でございまして、かなりの成果を上げてはおりますけれども、それほど世の中にいままで知られてはおりません。この投融資事業という業務を行っております。この分野におきます農業の占めます比率は六割程度であったかと記憶しておりますが、かなりの部分が農業分野に向けられている次第でございます。
#14
○山田譲君 そうしますと、いまの野川家派遣とか研修とかそれから機材供与ですね、こういった内容のもの。それともう二つあったわけですが、これは今後とも大体こういった内容でやっていこうとしておられるわけですか。
#15
○説明員(藤田公郎君) そのとおりでございます。
#16
○山田譲君 そうしますと、後で詳しくいろいろ聞いていくわけですが、今度の農用地開発公団の仕事ですね、これについてはいまの御説明の中のどれになるわけ、やっぱり専門家派遣ということになるんでしょうか。それとも後で言われた関連基盤整備事業、これは全部が全部農業じゃないようですけれども、こういった内容の仕事になるんでしょうか。そのうちのどの分野になるんですか。
#17
○説明員(藤田公郎君) 第一の専門家派遣という分野に入りまして、この中には調査団の派遣ないし調査というのが非常に大きな分野を占めておりますが、調査という観点からの専門家派遣、そういう形でとらえますと、専門家派遣でカバーするものというのが一番大きいかと思われます。
#18
○山田譲君 そこで、次にお伺いしたいのは、この農用地開発公団がこういう改正をして積極的に国の機関が協力事業団の委託を受けてやっていこうということになるわけでありますけれども、現在、世界の各国の中、いわゆる開発途上国というんですか、そういうところから日本に対していろんな意味の農業関係の援助を要請してきていると思うんですけれども、その要請の実情ですね、あるいは将来どこら辺からまた来るんじゃないかというふうなある程度見通しがあると思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#19
○説明員(藤田公郎君) まず開発途上国からのわが国の援助と申しますか、経済協力に対する要請は、主として調査をしてくれないかという要請から始まる場合が多うございます。もちろん、中には調査が自分の国ないしはアジア開発銀行ですとか世界銀行等の技術協力ですでに済んでいるもの、ないしは第三国ないし日本のコンサルタント等を使いまして調査は済んでいると、その調査結果に基づいて日本に資金協力を要請してくる、ないしは技術協力を要請してくるという場合もございますが、大宗はやはりまず調査から始めまして、そのプロジェクトの技術的及び経済的な可能性、実現性というものをわが国の専門家によって調査をしてもらって、その結果を現地国に提出いたしまして、その調査結果に基づいて現地国が果たしてこのプロジェクトをその国として進めていくかどうかということを決めるというのが一番多い形かと思われます。
 ちなみに、そういうことから申しますと、まず最初の出発点でございます調査の要請というのがどのくらいあるかという御質問かと思いますが、現在、外務省に現地の大使館等を通じまして各国から寄せられております調査要請というのは百件余り、まあ二百件近くございますが、うち五十件が農業関係の調査要請ということになっております。この五十件の調査要請、これはまだわが国が手がけていないものでございますけれども、現在、手持ちの調査要請の候補というものが五十件あるという状況でございます。
#20
○山田譲君 その今後の見通しはどんなもんですか。
#21
○説明員(藤田公郎君) これは調査要請が参りまして、これをわが国としてはわが国なりにその案件の性格、それからその国とわが国との相互依存関係、それから当然のことながら、わが国の予算の規模等々を勘案いたしまして、関係省庁等とお諮りしながら毎年その候補案件のうちどの案件の調査をその年度内に手がけるかということを決定いたしまして、
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
その決定後、まず非常に予備的な調査団と申しますか、おおよそのそのプロジェクトの輪郭を知るという調査団を派遣いたしまして、そのプロジェクト自体が果たして真剣に調査を、本格的に調査を行うに値するものかどうかというものをまず調査いたします。で、その後その結果が良好であるという結果が出ましたものにつきまして本格的な調査団を派遣いたしまして、各分野の専門家を網羅して、各プロジェクトの各面につきまして技術的、経済的な評価を加えていくという手続をとっております。
 五十七年度の開発調査関係と申しますのは約百六十億円程度の予算をいただいておりますので、この予算の範囲内で各候補案件のうちどれを今後拾っていくかということを詰めていくという作業に現在取りかかっております。通常は、予算通過後二カ月程度で詰めを行いまして、順次予備的な調査団の派遣等を行っていくという状況でございます。
#22
○山田譲君 さっきちょっとコンサルタントの話が出たんですけれども、私ちょっと伺いたいのは、すべてこの技術援助といいますか、海外援助というのは全部外務省にまず来て、それぞれの国の大使とかそういうところがあるでしょうけれども、それを通じて日本の外務省にまず入る。そして、外務省がそれをごらんになって、そして各省とも連絡をとるんでしょうけれども、一応主体は外務省である。外務省が、これは確かに援助した方がいいというふうに判断した場合に、いままでの話ですけれども、コンサルタントに今度は頼むわけです。コンサルタント以外のところというのはあったかなかったか、それと、何か聞くところによるとコンサルタント――これは大体会社でしょうけれども、公益法人の組織でもってつくっておるところもあるというふうに聞いておりますけれども、そうすると、まず外務省が受けて、それからそれを今度は外務省として判断をされて、これは確かによかろうというやつについて民間のコンサルタントに今度は委嘱する、あるいは公益法人のところに委嘱する、こういう段取りになるように聞いたわけでありますけれども、その辺はどうなっているか。それから、いわゆる外務省として使っておられるコンサルタントですね、これが現在日本に何カ所ぐらいあるか、それから公益法人というのは何カ所くらいあるか、これについて伺いたいと思います。
#23
○説明員(藤田公郎君) いま委員御指摘のとおり、当初の要請は現地にあります日本の出先――在外公館でございますが、在外公館に対しまして現地国政府の、通常は経済企画省でございますとか、外務省等々、その国の援助要請を一元的に行う機関から優先度を付した要請がなされます。すなわち、その国としてはまずこの順序で調査をやってもらいたいという、その国なりの優先度を付した要請が出てまいります。それを部内で検討するとともに、たとえば農業関係の案件でございますと、農林水産省と御協議いたしまして可能性があると、これは調査に値するという結論が出ましたものにつきましては、これが国際協力事業団に参りまして、この案件の調査を行うということを国際協力事業団に指示いたしまして、この国際協力事業団がいま言及をなさいました民間コンサルタントを利用する場合ですとか、それから官ベースで、全く関係省庁の専門の方だけで行うという場合もございますし、それから第三には、いま委員がおっしゃいました公益法人に委託するという場合もございますが、いろいろなそのプロジェクトに最も適した方法で調査を実施するということになっております。
 で、ちなみに国際協力事業団がどの程度の民間コンサルタントの活用を行っているかという御質問でございますが、農林水産業関連ということに限って例示として申し上げますと、五十六年度に農林水産業関連の調査を行いましたのが全体で七十件ございました。その七十件のうち、事前調査だけで、これは余り本格的に調査を行うに値しないということで本格調査に行かなかったのが十一件でございます。実際に本格調査というものを実施しましたのが五十九件ございます。五十九件のうち、昨年について見ますと、民間コンサルタントを用いましたのが五十八件でございます。それから公益法人、これは海外農業開発コンサルタント、この公益法人にお願いしましたのが一件、計五十九件ということでございます。したがいまして、かなりの部分がと申しますか、大部分が民間のコンサルタントにお願いしているという状況でございます。
#24
○山田譲君 協力事業団そのものが技術者を持っていて出かけると、こういうことはないんですか。
#25
○説明員(藤田公郎君) 当然のことながら国際協力事業団が委託といいますか、お願いをして行いますので、協力事業団の職員がその調査団には必ず入っておりますけれども、それは一応その監督と申しますか、そういう立場でもってその調査団の中に入っているということでございまして、事業団が全メンバーを構成して行うということはございません。
#26
○山田譲君 これはメンバーにだれが入っているかという問題じゃなくて、事業団のだれが行くかは別として、事業団としてその調査に行くということはあるかないかということなんです。
#27
○説明員(藤田公郎君) これは民間コンサルタントに委託いたします場合も、これは調査を行いますのはあくまでも国際協力事業団が行うということでございますので、国際協力事業団がその民間コンサルタントと契約をいたしまして、民間コンサルタントが調査結果を国際協力事業団に持ってまいります。国際協力事業団としてそれを評価、検討いたしまして調査の結果自体、結果は相手国政府にもちろん提出するわけでございますが、あくまでもその名前は国際協力事業団としての調査結果ということで相手国政府に提出されるわけでございます。その際にもちろん実際に調査を行ったのはこういうコンサルタントであったということは付記されますけれども、責任はあくまでも国際協力事業団にございます。
#28
○山田譲君 そういうことだと思います。
 つまり、当然委託するというからにはこちらに権限があるわけだから、それをだれかに委託するんでしょうから。そうすると、いまのお話ですと五十九件あったうち民間コンサルタントが五十八件、公益法人が一件ということになりますと、要するに協力事業団は外務省から何らかの指示を受けてこれを全部、形式的にその事業団かどうかは別として、事業団がやるんでしょうけれども、実質的には全部民間とその公益法人、これにやらせているというふうに考えていいわけですね。
#29
○説明員(藤田公郎君) そのとおりでございます。
#30
○山田譲君 そうしますと、今度の法律の改正になるわけですけれども、今度はこの法律改正によって協力事業団の委託を受けて公団がこの調査の業務をやるということになるわけですけれども、そうすると、なぜそういうことにしたかということですけれども、従来五十九件のうち五十八が民間で公益法人は一件だと、今度これにプラスされて公団というものが出てくるわけですね、そういうことに理解してよろしいですね。そうすると、この法律改正をした趣旨というのはどういうことなんでしょうかね、いままで民間なり公益法人じゃこれはだめであると、こういうことになったからですか。
#31
○説明員(藤田公郎君) 五十九件というのは五十六年度の実績として申し上げたわけでございますが、農林水産業関係の調査と申しますのはもう年々きわめて早い伸びで伸びてきておりまして、その前年五十五年度におきましては本格調査を行いましたのが四十一件、四十一件が約六十件になっているということでございます。その前の年が三十八件、五十三年度が二十六件ということで、最も高い伸びを示している分野ということが言えるかと思います。こういう趨勢は、先ほども申し上げましたように、今後ともわが国として農業分野というものを非常に重点分野として考えていくということでございますので、ますます件数としても多くなることが予想されますし、最近の傾向としましては、それに加えまして各案件がきわめて大規模かつその内容がきわめて複雑な案件というのが増加している趨勢にございます。したがいまして、この大規模化、複雑化という状況にかんがみますと、いま御審議を願っております法改正によりまして公団に委託をして調査をお願いするという必要性というものは今後ますます増大してくるものと予想されるわけでございまして、この民間コンサルタントがだめであるからそれにかわるということでは全くございませんで、これからの増大していく趨勢に対処する方策の一つというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
#32
○山田譲君 そうするとあれですか、おっしゃる意味は単に量的にふえるばかりでなくて、質的にも非常に大規模なやつが要請があるとそれは一般の民間のコンサルタントではなかなか手がけにくい、やはり国家的なスケールを持った公団のようなところが引き受けるのが望ましいんだと、こういうことで公団に事業をやらせると、こういう考え方だと思うんですけれども、ちなみにさっきちょっと言われました公益法人ですね、この公益法人というのはこの五十六年のときには一カ所だけのようですけれども、一つの公益法人だけのようですけれども、その公益法人というのは職員は何人ぐらいいるんですか。
#33
○政府委員(森実孝郎君) いま御指摘ございました一件というのはいわゆる中国の三江平原の開発に通称ADCAと言われております社団法人が参加しているものでございます。これは実はこの公益法人自体の技術者の数は数名でございましてそう多くはございません。ただ、これははっきり申し上げますと、非常に長期的な複雑なプロジェクトで民間の企業採算に合わないし、なかなかやり切れないと、そこでADCAが中心になりまして国、県等の技術者のOBとかそれから民間の技術者等をコーディネートいたしまして派遣をしていくという形になっております。
#34
○山田譲君 そのADCA、公益法人ですか、これに対して国は何らかの補助を出していますか。
#35
○政府委員(森実孝郎君) 一定の範囲で補助金は出しております。ちょっといま数字を拾いまして御説明いたします。
#36
○山田譲君 その数字わかりましたら教えていただきたいと思うんですが、そうすると、これからの話ですが、公団が協力事業団から仕事を受けてやることができる、いままではそれができなかったものをできる能力をこの公団に与えると、こういうことのようでありますけれども、そうするとまず協力事業団が受けて、それをこれはコンサルタント、これは公益法人、これは公団と、こういうふうに仕分けをするわけですか、仕分けをするとすればそれはどういう大体標準でおやりになるかどうか。
#37
○説明員(藤田公郎君) これは通常民間コンサルタントに委託いたします場合にもその案件の性格等々によりまして、まず通常行います委託の仕方は、各コンサルタントからプロポーザルと申しますか、技術提案書というのを提出させまして、それを複数提出させたものを、事業団の中に委員会及び審査委員会という二つの次元の審査する機関がございまして、それによって審査をして委託をするということになっております。しかしながら、きわめて特別な知識経験を必要とする案件というものにつきましてはそういう通常の手続をとりませんで、特定のコンサルタントに委託するという手続もとっております。
 今般の公団法の改正によりまして、公団が公団として調査に従事していただけるということになりました際には、どのような性格のものを公団にお願いするかというのは、これは各案件の性格を検討いたしまして、先ほど申し上げましたようにきわめて大規模なものであり、かつ複雑かつ技術的にもきわめて高度の必要性、高度の経験が必要なものというようなことで事業団内で検討して、その振り分け、仕分けが行われるということになるかと思いますが、現在特定の標準、どういう標準があるかという御質問に対しましては、いま私お答え申し上げましたような抽象的かつ一般的なことを申し上げる程度かと思います。実際には具体的な案件に即して公団にこれはお願いせにゃいかぬということで事業団内で協議をしまして委託をするという形になるかと思います。
#38
○山田譲君 もちろんこれからそういった標準というか、基準みたいなものができて、それに基づいてやっていかれることになると思うんですけれども、私はなぜこんなことを言うかというと、いま申し上げたようにコンサルタントあり、公益法人あり、今度は公団がそれに加わる。それでいままでは何とかやってきたけれども、今度はでかいやつが出てきたからいままでのようなコンサルタントや公益法人ではできませんというやつを公団にやらせますと、こういう話のようですけれども、実際問題としてその仕分けが非常にむずかしいし、従来のコンサルタントと競合するとか、さっきの公益法人、これは数人しか技術者いないというけれども、やっぱり相当実態的にはかなり大きな能力を持ったところ、だからこそ三江平原あたりをやったと思うんですが、そういう公益法人でしかも補助金幾らかまだわからないにしても出しているような法人がある、片や公団がある、そうなりますとその三カ所にいろいろ仕事が競合したりダブったりなんかする面が出てきやしないかということを私はおそれているからこれを伺ったわけです。
 今度は角度を変えまして、これは農林省の関係にお伺いするわけですけれども、公団の事業、この今度の法律改正の話は別としまして、いままでやっていた日本国内の農用地の開発という仕事、これは今後の見通しというものはどうなっているか。
 それと、特にお伺いしておきたいのは、いわゆる食糧自給率向上という問題があるわけですけれども、それとの関係において一体どのようにこの公団を位置づけていかれるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(森実孝郎君) 最初に、先ほどちょっと答弁漏れのございました点についてお答え申し上げます。
 ADCAに対して国が助成しておりますのは、農林省自体としてはいわゆる基礎調査とか事前調査の関係で、一千二百万の助成を行っております。これは二分の一、特に大規模プロジェクトの事前調査は三分の二という補助率で、あとは民間の負担でやっているわけでございます。これ以外に、実は三江平原の調査について、JICAから五十六年は一億三千万の委託費、それから五十七年はおおむね二億七千万程度の委託費が充当されることになるだろうと見ております。
 それから、公団の行っております事業でございますが、私ども現在、農用地開発公団は四十九年の設立以来二万八千四百ヘクタールの農用地造成を行ってきておりまして、事業の区域も完了十七を含めて四十四区域となっております。五十七年度にも新たな七区域を加えるということになっております。
 私ども農政全体の立場で見ましては、やはり革地畜産の定着とか、特に低開発地域の開発、さらに大規模な能率の高い農場性農業の創出、特に酪農、肉牛経営の創出という点では農政上重要な役割りを果たしてきたと思っておりますし、今後も全体としては、やはり農用地の供給を確保するという視点からも、そういった新しい畜産経営の創設を図る意味からも事業を計画的に進める必要があると思っておりまして、五十七年度においても新しく七区域を全体設計に着手するということにしております。
#40
○山田譲君 食糧自給率向上との関係はどう考えておられますか。
#41
○政府委員(森実孝郎君) 現在実は、農用地の壊廃が、自然壊廃を含めまして大体四万ヘクタールから五万ヘクタール程度の間で壊廃が行われていることは事実でございます。一方、農用地の造成はようやく最近ピッチが上がってきまして、従来の二万ヘクタール台から三万ヘクタール台までに上がってきておりますが、しかしなお一万ヘクタール程度のギャップが現状であることは数字として否めないところでございます。
 私ども現在、農政の視点から考えた場合、農産物の長期見通しの線に沿って今後農用地を確保するとすれば五百四十万ないし五百五十万ヘクタールの農用地の確保が要るだろうと思います。その意味においては、農用地の造成ということは、一方において転用の抑制と並んで重要な課題だと思いますし、その場合今後、開発適地というものがやはり中山間部等の低開発地域に集中していることは事実でございます。その意味で、畜産経営の創設を中心としたいわゆる公団営事業による比重は非常に高いものと思っておりまして、今後とも事業の着実な進展を図る必要があると思っております。
#42
○山田譲君 そういうふうに今後国内においても積極的に農用地の開発に努めていこうと、当然それは日本の食糧自給率の向上にも非常に役立たせられることになると思うんですけれども、そこで、実は伺いたいのは、そういう積極的に国内において事業を行っていこうということで、それに従事する職員ですね、公団職員、これは何人いるんですか。
#43
○政府委員(森実孝郎君) 公団職員全体の数は現在約六百六十名でございます。これは五十六年度末の定員でございます。
#44
○山田譲君 それで、今度の事業を新しくやるわけですね、委託を受けて。これについては何人増員になるんですか。
#45
○政府委員(森実孝郎君) 私ども、この海外業務への稼業については二本立てで考えております。
 一つは、やはり海外業務に専任的に充当される職員、これにつきましては六名を考えております。しかしそれ以外に、その都度海外の農業開発のための調査チームを編成するわけでございますが、この調査チームの編成に当たっては、事業の繁閑の程度等に応じまして他の部門に従事している技術職員も充てましてチームを編成していきたい。またさらに不足があれば県その他の、あるいは民間等の協力も仰いでまいりたいというふうに二本立てで考えております。
#46
○山田譲君 いや、そういうことじゃなくて、この事業を行うと当然仕事がふえるわけだから、その分は増員が予算上認められたと思うんですけれども、まず、その増員は何名ですかということです。
#47
○政府委員(森実孝郎君) 五十七年度の定数全体としましては、特殊法人全体の定員削減計、面で六名の減がございます。しかし、農用地開発公団につきましては、いわゆる海外業務につきまして三名の純増並びに三名の内部振りかえということで六名を確保しておりますし、さらに従来業務についても二名の純増ということで、差し引きゼロという形になっております。
#48
○山田譲君 公団に対する一律削減の結果と、それからこの仕事によってこれだけふえますというやつのその差し引きがゼロになっていると。そうすると、いままでも相当の仕事をやってこられたようですけれども、さっきのお話のとおり、これからも公団として国内の仕事についてもより積極的にやっていかなきゃいけない、それにプラスされてこっちの方の海外の仕事までやらなければいけなくなった、それで実人員は一名もふえてないと、こういうことになって満足な仕事をやることができるかどうか不安に思うわけですけれども、この点どうですか。
#49
○政府委員(森実孝郎君) 確かに農業開発に関する調査の要請というのは年々増加してきております。問題は、実はどういう制度をつくるとしても農業開発に充当できる技術者自体の数は日本全体としては変わらないわけでございます。私ども大事なことは、問題が生じた場合にそれに対応できる、チームづくりが有効にできる体制をどうつくるかということが非常に重要ではないだろうかと思っております。そういう意味においては、農用地開発公団自体はやはり公的機関でございまして農用地開発についてのノーハウをそれ自体持っている、つまりそういう技術者をたくさん抱えていると。それ以外に実は従来からも海外の開発協力に随時個別にJICA等の委託を受けて技術者を派遣している実績があるわけでございます。それからもう一つは、公団職員以外に外部の技術者も集めてチームづくりをする、一時的に身分を移してチームづくりをするという場合においても、いわゆる特殊法人であるという立場から非常に技術者を集めやすいと。特に農用地公団の場合は、いわゆる農業土木だけではございません、畜産とか農業等各種の技術者の総合チームで従来からの業務を行っております。こういった各種の技術者の母集団と非常につながりを持っているわけでございます。そういう意味においては一番スピーディーに、しかも総合的なチームづくりができるという判断に立っているわけでございます。その点は御理解を賜りたいと思います。
#50
○山田譲君 必ずしも公団職員以外は行っちゃいけないということではないから、いまおっしゃるように、チームにとにかく集める、そのチームに入る人はいろんなところから集めてくるんでしょうけれども、その集めてくる相手はどういうところですか、たとえば都道府県だとか地方公共団体だとか、あるいはその他の類似の公団みたいなものがありますね、そういうところから集めるのか、あるいは民間の会社等もあると思うんですが、その点はどうですか。
#51
○政府委員(森実孝郎君) 従来の例や現実の技術者の存布状況から見ますと農業土木の技術者が中心になります、あるいは農学の技術者、畜産の技術者が中心になります。これらの技術者は、もう先先も御案内のように国家公務員、地方公務員またはその出身者が圧倒的な比率を占めているというのが技術者の存布の現状でございます。
 そういう意味で、現在の身分は県の職員、市町村の職員あるいは民間団体、民間会社の職員ということになるわけでございますけれども、実際問題としてはやはり国、県の技術者またはそのOBが中心になってくるということは事実だろうと思います。
#52
○山田譲君 そこでお伺いしたい、細かい点で恐縮でありますけれども。私もある県で人事課長をやっていたときに、派遣してくれというふうな要請があって出しました。ある公団で私は人事部長をやっていたからわかるんだけれども、やっぱりその公団でも派遣してくれと言われたことがあったんです。その場合に困るのは、公団の要請に応じて出す人間の身分の問題、あるいはその間を休職にするかどうするかというような問題、あるいは旅費をどうするかというような問題が、非常に細かい問題ですけれども、あるわけです。恐らく都道府県の取り扱い全部違うんじゃないかと思うんです。そういう場合に、これは一体身分は農用地開発公団の職員になるのかどうか、それとも身分は都道府県の公務員のままなるのか、あるいは細かい話、旅費規定みたいなものはどうなっているのか、それはどうですか。
#53
○政府委員(森実孝郎君) この点は、特殊法人でございますし、身分は従来の身分を保持しながら嘱託という形で公団に来ていただくということでございます。ただ、はっきり申し上げますと、国際協力事業団から委託を受けて実施しますその経費の中に、いわゆる給与の支払いの予算を確保してあるわけでございますから、派遣先に対するその期間中の補てんの措置は行うこととしております。
#54
○山田譲君 細かく言っている時間がありませんから、この辺特にお願いしておきたいのは、府県に依頼するのは結構ですけれども、やはりその職員たちの身分、これをどうするか。みんなせっかく一つのチームに入ったところが、A県から来た人は違う、B県とまた違うというふうなことになってはまずいだろうと思うんですね。行っている間の一年なら一年の間の休職扱い、あるいは保険の扱いだとか、いろんな細かい問題が出てくるわけですけれども、この点はぜひ、今後この事業を実施するに当たってまた一層こういうことが出てくると思うんで、特に注意をしておいていただきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと先急ぎますが、この法律によりますと、「前条の業務の遂行に支障のない範囲内で、」という言葉がありますね。これは一体どういうことですか。
#55
○政府委員(森実孝郎君) 従来から農用地開発公団が実施しております国内の農用地開発業務に支障がないという意味でございます。
#56
○山田譲君 一番最初からお伺いしたのはそのことを言いたかったわけですけれども、これから国としても積極的に海外援助やっていこうと、その中でとりわけ農業についての援助が非常にウエートを占めてきていると、それでそれを受けて公団にもこういう仕事をさせようと、こういう話なんで、ですから、どうして「業務の遂行に支障のない範囲」というふうな非常に消極的な表現を使って、へっぴり腰でもってこの仕事をやろうとしておられるか、そこのところがどうも納得できない。完全にいままでの公団にプラスしてこういう委託を受けてやる仕事もできるんだと、なぜこういうふうにしなかった。何となくいままでの仕事に支障があればやらないんだというふうな姿勢がそもそも最初から聞いているような国の基本方針と反するんじゃないかという感じがするんだけれども、それはどうですか。
#57
○政府委員(森実孝郎君) 確かに御指摘のように、いろいろな物の見方や考え方があるだろうと思っております。現実の海外における農業開発の調査というのは、やはり民間のコンサルタントあるいは財団法人、社団法人等の公益法人が現在委託を受けてやっている。ところが、件数がふえると同時に大規模複雑なプロジェクトが出てきて、なかなか民間だけではやり切れないと。そういう状況から、いわば農用地開発公団についての一種の特例措置としてそういう権利能力を付与するということにしたわけでございます。まあ積極的にすべて公団がやるとか、非常に公団が大きなウエートを持ってやるというお考えも確かにあるだろうと思いますが、私どもの見方では年々、先ほど外務省からも御答弁がありまして、農林水産業の開発案件が五、六十件ありますが、そのうち農業は六、七割、三十件ぐらいでございますが、農業開発の案件のうちで当面いわゆる大規模複雑で農用地開発公団が乗り出さなければならない案件は一、二件、多い年でも三件程度ではないかと私ども見ておりまして、そういう意味では農用地開発公団自体が非常に高いカバー率でやるということをいまの事態は特に考える必要はないのではないだろうか。問題があるところに答えられるようにすればいいのではないだろうかということで、こういう制度改善をお願いしたわけでございます。
#58
○山田譲君 何かいまの話聞いていると、最初の話と大分違ってくるんで、最初の話は、物すごく仕事量がふえてきているんだ、だから積極的にその受け入れ体制をつくるために公団にこういう能力を与えるんだというふうなことだったと思うんだけれども、最後になってきて、いまの局長のお話は、そう大した件数じゃないんだろうと、ですからこれで十分いけると思いますというような話だけれども、そうすると、どうも先ほど来の話から大分違ってくるんじゃないかと思うんだけれども、この辺どうですか。
#59
○政府委員(森実孝郎君) 従来、先ほど申し上げましたように、民間の力でこの開発調査が行われてきたわけでございます。例外的には国の職員が、農林省の職員等が派遣されている場合もあったわけでございますが、まあ民間の事業としてやられておるのが主力だったと。現在民間の事業自体も順調にいっておりまして、かなり活力を持っていると私ども見ております。ただ、はっきり申し上げますと、三江平原に代表されますように非常に大規模なプロジェクトというのが出てきたのが最近の特徴である。かたがた全体としては件数はふえている。そういう意味で、大規模なものを中心にして公団に担当させることが有効なチームづくりという視点からも、それからアフターケアという点からも有効であろうというふうに判断させたわけでございまして、あくまでも私どもとしては、今回の制度改正はいわば量的に増大する、質的に大型化の傾向があるその中でのワン・オブ・ゼムという形でお願いをしたいというわけでございます。先ほども申し上げましたように、結局、日本から派遣される技術者の総数自体は変わらないわけでございます。それをどこでコーディネートするのが一番適当であるか、能率的であるかという視点であり、公団のようなものがやるのは、やはり大規模複雑なものについてはそれが適当であろうという判断によるものでございます。
#60
○山田譲君 まあ、よくわからないけれども、私が言わんとするところは、この「業務の遂行に支障のない範囲内」、そうすると、これは本来の業務に支障があるからこの仕事は受けられませんなんということは現実にあり得るとは思えないんですよ。やはり外務省がまず受け、それから協力事業団がさらにそれを調べて、これはいいだろうと思うやつを、さらにほかのコンサルタントにはこれやれないと、公団しかできないんだといって公団に頼んだ仕事を、本来の業務に支障があるからやれませんなんということは考えられますかね。
#61
○政府委員(森実孝郎君) 「業務の遂行に支障のない範囲内」というのは、特殊法人が本来の業務以外の新しい業務を行う場合のいわば立法上の例文でございまして、他の特殊法人についてもいずれもこういう立法技術上の表現が入っているわけでございます。また、こういう業務については主務大臣の認可制にかかわらしめたいというのが通常でございます。
 そこで、立法の形式としては、新しい追加業務という意味で、特に今回の法律改正が特例になっているとは私は思っておりません。他の立法例に準じたものと思います。ただ実質論が、さっき先生御指摘のように問題だろうと思います。実質論につきましては、繰り返して申し上げておりますが、何といっても日本全体の農業開発に必要な技術者の総数は限られているわけでございますから、それを有効に稼働させてチームづくりをしなければならない場合に公団が稼働するというのが基本的な考え方ではなかろうかと。そういう意味では大規模複雑な大型案件ということが中心になるわけで、その件数は世界的に見ればかなりございますが、年々の件数としてはそう大きな数にはなってこない。まあわれわれの見方では二、三件程度ではないだろうかということを申し上げているわけでございます。しかし、件数は少なくても派遣する技術者の数等は、こういう大規模プロジェクトについては普通の場合二、三名というのが、これがその十倍とか八倍というふうな人数になるわけですから、非常に大型になってくるということは御理解を賜りたいと思います。
#62
○山田譲君 一つの公団が新しい仕事をする場合は「前条の業務の遂行に支障のない範囲内」というのをつけるのは例文であるからこれはしょうがないと、こういうお話ですけれども、私はやっぱりそんなものは、まくら言葉みたいなものは要らないと。はっきりと公団がやろうとしている、国もそういう積極的な姿勢を打ち出しているときに、いかに例文とは言いながらそんなものをつけてやる必要はないというふうに私は思います。まあしかし、それはそれとして先へ進みたいと思いますけれども、この「国際協力事業団その他政令で定める者の委託に基づき、」という「その他政令で定める者」というのは一体だれですか。
#63
○政府委員(森実孝郎君) これは相手国政府、相手国の地方公共団体またはそれに準ずるものを頭に置いております。まあ相手国政府、地方公共団体が中心だろうと思います。これははっきり申し上げますと、いわゆる開発調査の方ではございませんで、もう事業が具体的に軌道に乗った場合の設計とか施工監理を頼まれた場合の個別的な問題を頭においているわけでございます。
#64
○山田譲君 「調査その他の業務」とありますね。そして、「(国際協力事業団以外の者の委託に基づく場合にあっては、政令で定めるものに限る。)」と括弧書きで書いてあるけれども、ここで言う「政令で定めるものに限る。」というのは一体どんな内容のものですか。
#65
○政府委員(森実孝郎君) 開発途上にある海外の地域の政府、地方公共団体及びその他公共的な性格を有する機関、並びに国際機関等を頭に置いておりまして、業務については工事の設計、監理とする見込みでおります。
#66
○山田譲君 そうすると、公団が今度は設計、監理をやることもあり得るということですね。
#67
○政府委員(森実孝郎君) 具体的にこれは調査の段階が終わりまして事業が軌道に乗った場合、やはり施工の監理とか工事の設計、特にその一部等をこちらの技術者に委託してくる場合は十分考えられると思います。そういう個々の案件に対応するということでございますが、これはあくまでも相手国の政府、地方公共団体等の委託の場合だけに限定していきたいと思います。
#68
○山田譲君 調査まではやって、その後の設計、監理、あるいは実際に工事をやるということもあると思うんだけれども、そうすると、設計、監理は大体相手国が世界の各国に対して入札するというふうなことが多いと思うんですけれども、そういう場合に公団として積極的にその入札に参加するというようなことはあり得ますか。
#69
○政府委員(森実孝郎君) 入札に参加することは考えておりません、いまのところは。私どもとしては相手国政府が一般の各国の民間企業のように入札にゆだねる前に何か基本的な詳しい実施設計書が欲しい、それを何とか中立的な立場で公平なものを、りっぱなものをつくってほしいという要請がある場合とか、あるいは入札が終わった後、向こうに相応の監督する技術者がいないから工事の監督を重要な部分について当たってほしいというふうな場合に限定していくべきものと思っております。
#70
○山田譲君 いまの話ですと、この国際協力事業団抜きで相手国から直接委託を受けてやることがあり得るというようなお話ですけれども、それは外務省、構わないんですか。
#71
○説明員(藤田公郎君) 調査の委託をお願いいたしまして、その結果、調査報告書が出てまいります。その調査報告書を国際協力事業団から相手国政府に提出いたしまして、その後、その相手国の政府、現地の政府がそれにつきましてどういう形で日本の技術協力ないしは資金協力を得てそのプロジェクトを進めていくかという段階に至りました場合には、これは国際協力事業団の手を離れまして相手国政府と、たとえば現在の例ですと公団との関係ということになります。したがいまして、国際協力事業団はその段階におきましては関与してまいりません。
#72
○山田譲君 そうするとあれですか。先ほどの局長言われたように、そういう相手国政府からの委託で直接受けてやる場合というのは調査以外のことであると、設計とか監理とかね。そういうふうに考えてよろしいですか。
#73
○政府委員(森実孝郎君) 先ほど申し上げましたように、業務は工事の設計とそれから工事の監理を頭に置いております。非常に個別的、例外的な実施段階の過程と思います。
#74
○山田譲君 それでは今度別な問題になりますが、これからこういうことで積極的に公団の人たちも海外に出かけていくという場合が多いと思いますけれども、それが正式に公団の事業としてできることになったわけですが、そういう場合にこれから行く人たちに対するいろんな待遇ですね。いろんな旅費をどうするとか宿泊をどうするとか、そういった問題、保険をどうするかとか、こういう問題についてはこれから恐らく組合と話し合いが始まると思うんですけれども、その点はどうですか。
#75
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のとおりでございます。現在公団が持っております現行の業務規定というのは本来海外業務を予定しない段階のものでございまして、今後新しく農業開発に関する海外業務を行うための規定ではございません。したがって新しい規定を設ける必要があると思います。この場合の処遇につきましては他の公的機関において同種の業務に従事する者の勤務条件等を考慮して適切に定めるよう指導してまいりたいと思っています。具体的にはJICA自体の規定等も十分吟味する必要があるだろうと思っております。
#76
○山田譲君 それから、この事業のために特別な組織をつくられるかどうか。そうしますと、当然その組織の長というふうな一つのポストができるわけですけれども、この辺はやはり農林省からいわゆる天下り的に行くのかどうか。具体的な人事は私は云々しているわけじゃないんだけれども、そうするとやはりその天下りのポストが一つふえていくと、そういうことはなるべく避けるために、そこのポストには天下りの人が行ってもそれは仕方ないにしても、ほかの方はその分だけ減らすとか、こういうことは考えておられませんか。
#77
○政府委員(森実孝郎君) 五十七年につきましては、室長、主任技術者、専門技術員はいずれも内部振りかえで考えております。企画連絡係と専門技術員二名だけが純増として考えてまいりたいと思っております。したがって、御指摘のようなことはまずございません。
#78
○山田譲君 最後になりましたから、これはひとつ大臣に決意のほどを伺っておきたいんですけれども、いままでのお話でいろいろおわかりだと思いますが、とにかくこれから日本としては海外協力をもう積極的にどんどんやっていこうと、その中でしかも非常に多いのが農業の問題である、農業開発を積極的にするためにひとつ公団にもこういう事業をやらせようと、こういうことで、そういう意気込みでこの法律改正がなされたと思うんですけれども、ところが聞いていくと、人員は差し引き一人もふえていない一あるいはまたそれはまくら言葉だとはいうものの業務遂行に支障のない範囲内でしかやらないんだとか、こういうことではちょっと困るんでしてね、せっかくやろうというそういう国策が確立された以上、それに基づいてひとつ積極的にやるための公団の体制をつくる、そしてまた同時に国内の食糧自給率向上のためにも、この公団をもっともっと積極的に活用していくというふうなことが必要だと思うんですけれども、これについての大臣の御決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#79
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、中長期的に見て、国際的に食糧需給状況というのは非常に不安定でございます。そういう影響もございまして、最近のいわゆる農業開発あるいは食糧増産に対する要請が非常に強い。しかも、それは量的にも質的にも非常に増大しているのは、ただいま御説明申し上げたとおりでございます。したがいまして、総理も昨年の一月ASEAN諸国を歴訪した際にも、特に農業あるいは農村開発というものに重点を置いて今後国際協力を進めていこうということを表明いたしたわけでございますので、その趣旨に沿って私たちも積極的な体制を整えていかなければいけない。ことに、いま御説明申し上げましたように、公団がその役割りを果たすということは、それなりに大規模なあるいは複雑な要請にこたえるためのものでございますので、したがいまして、やはり民間との関係というものをよく調整してまいらなければならないと思います。そういう点に私たちも意を用いながら積極的な体制を整えたい。
 一方、やはり国内の自給力の確保というものは、これもまた大変いま重要な課題でございますので、これについてはやはり何としても、いま一番私たちの自給力の弱いものはやはり穀物特に飼料作物でございますので、そういう点からまいりますと畜産関係のやはり国内農用地の拡大ということは絶対必要な要件でございますので、そういう点にもこれまで以上にやはり力を注いでいかなければならない現状にございますので、したがいまして、その二つの面をよく調整しながら、ただいま御指摘のような点を十分積極的に進めてまいりたいと考えておりますので、今後ともひとつ御理解をいただきたい、かように考えます。
#80
○山田譲君 どうもありがとうございます。
#81
○説明員(藤田公郎君) 先ほど山田委員の御質問のうち、数字を後刻調べてお答え申し上げると申し上げましたが、第一点、技術協力のうちの機材供与の数字でございます。機材供与のうちに占めます農林関係の割合は四〇%を占めております。
 それから第二点で、事業団の行っております投融資事業中に占めます農林業の割合につきましては、五割以上約六割程度と先ほど申し上げましたが、正確な数字は五二%でございます。補足さしていただきます。
#82
○山田譲君 はい。ありがとうございました。終わります。
#83
○八百板正君 どうも皆さん御苦労さんでございます。
 この法律の一部改正というのは、字面だけから見まするというと大変簡単な一部改正でございますが、背後にあります考え方と申しましょうか、重要な政治の基本の問題を背後に抱えておると、こういうふうに思われるわけであります。ですから、この基本の点で現実の日本の政治のようにあいまいなものであってはこれは困るのでありまして、そういう意味で、いま山田委員からのお尋ねに対して大臣の御見解がございましたが、ちょっと農業一般についてお話を申し上げ、御意見を伺っておきたいと思います。
 で、この農用地の開発という仕事につきましてはいろいろと批判もあり、ロスがあると、こういうふうな声も私耳にいたしますが、たとえロスがあったとしても――ロスがあっていいということはございませんけれども、それによって現実に土地に値打ちをつけていくという効果があらわれてまいりまするならば、少なくともその限りにおいては私は高く評価していいと、こういうふうに考えておるのであります。
 しかし、言ってみれば、農業の構造の問題についてのいわゆる開発でございますから、当然にいわば入れ物でありますから、その入れ物を本当に活用できるような人間と申しましょうか、そういう面が充実されていかなかったならば、これまた入れ物だけでは何にもならないのでありまして、そういう意味では政治の基本は私はいつもそう思っておりまするが、国というものを単位にして考えまする場合にはやはり国土と人間だと思います。そういう意味で意欲的な農民、あるいは人材がこれに従事するような、そういう状態をつくっていかなけりゃだめだと思うんであります。
 そういう意味で、一体この土地をふやすという考え方に対して、いまの政府なり大臣なりの御見解をずっと伺っておりますると、既存の土地を集めるというふうな考え方、集中というふうな考え方に比較的いま比重がかかっておるようでございまするが、やはり日本の国土をもっと開いて土地をふやしていくという点に頭を向けないことには、日本農業の規模を拡大すると言っても、そういう点で欠くるところがあるのではないか、こういうふうに思うんですが、この辺のところからひとつ大臣の御見解をちょっとお聞かせいただきたいと存じます。
#84
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほどもお答えいたしましたが、いま私たちはやはり食糧のいわゆる自給力を高める意味において、あるいはまた新しい農業をつくり上げるためには、何としても農業の技術開発を普及をしなければならない。もう一つは、やはり何としても経営規模を拡大するということが大きな柱だと思うのでございます。したがいまして、そのためには、すでに農地三法を改正いたしまして、いわゆる農用地利用増進法に基づいて、それぞれ農地のより高度な利用を図ろうということを進めておるわけでございますが、一方、やはり未開発の土地を有効な農地に変えていくということはこれからも積極的に進めていかなければならない仕事だと私は考えますので、そういう点でこの農用地開発公団の役割りというものは非常にこれまでも大きかったし、今後またしていかなければならないと思います。私は、そういう意味で今後もやはり農地の開発、農地を拡大するということは、これからも新しい農業を進める上には絶対的に必要な要素であると、かように考えておりますので、仕事としては非常にむずかしい仕事でございますけれども、これにはやはり積極的な姿勢で臨まなければならないという考えを基本的に持っております。
#85
○八百板正君 たまたま、ふと農水大臣の、日本に合った農業というような、座談会というか、あれを読みまして、大変快く拝見をいたしまして、気持ちのよい読後感を受けたのでありまするが、褒めると後がこわいんでありまするが、ところが、たまたま部屋をいじっておりまするというと、三十年前の古い本がちょっと偶然に出てきまして、これは私の友人でもある団野信夫きんが書いた、ちょうど三十年前、「農業・農村・農民」という、これは本当にもう黄色くなって、恐らく読まないままで私はしまい込んだんじゃないかと思うんですが、いまちょっとこれパラパラと見まするというと、何かいま日本が農業問題で、大臣も含めて、ああしなくちゃいかぬ、こうしなくちゃいかぬと言っていることがそっくりなんですね、三十年前と。ということになりまするというと、もういまいろんなことを言っていますけれども、もう三十年も前から同じようなことをもうたくさんの人が言っているんですね。そうするというと、日本の政治というものは一体三十年間農業に対して何をやってきたんだというふうな思いにふける心境なんであります。
 それで、ねばならぬとか、こう思うという、思うだけではこれはだめなんでありまして、そういう意味で、これは大臣に言っても無理かもしらぬけれども、やっぱりただ日本の農民と日本の国土を食いつぶしてきたんじゃなかったかというような感じを私は三十年を顧みて思うんであります。ちっともよくなってない。で、現に、ねばならぬと、こうあってほしいというような意見の中からは、たとえばアメリカの農業がどうだとか、――御承知のようにアメリカの農業の近代化は集中型に進んでおりまして、いわゆる知識集約型農業とでも申しますか、そういう方向にいまアメリカが進んでおることは御承知のとおりであります。で、アメリカは御承知のようにいわゆる先進工業国として、あるいは車とか、あるいは鉄、鋼とか、あるいはエレクトロニクスとか、いろんな面で世界の先進を、車なんかは無論トップを走ってまいりましたいわゆる先進国でございまするけれども、そういう先進国工業の科学技術の発達の土に立って、今度はこれを農業の面に集中して、いわゆる知識集約型の農業としての将来の農業というものを展望しているというのが現実のアメリカのスタイルであります。で、よく一部の人は、何かアメリカに追いついた日本は、アメリカよりも上に立って、科学技術、工業の水準をちょっとアメリカを軽蔑するような考え方もちらちら出ておりますけれども、しかし、現実はアメリカはその工業の、科学技術の発展をそこからまた卒業して、今度入っていく産業の方向は、知識集約型の農業の面でぐんぐん先端を切っていこうと、こういう方向をとっておる、これがいまの新しい、新しいと申しましょうか、現実のアメリカの姿であります。もちろんアメリカの農業が土地の荒廃とかいろんな問題は指摘されておることは事実でございまするけれども、大勢としてはやっぱりアメリカ、カナダ、豪州というふうな条件のいいのを活用いたしまして、ぐんぐんこの近代科学技術の最高のものを農業の中に織り込んでいくと、そういう方向に発展の方向を目指しておるということは言い得るわけであります。しかし、アメリカの農業もたくさんの小さい農業やたくさんの農民があったのがだんだんだんだん一つの力のある農業になってきたわけでございまするけれども、これにはやはり長い歴史があるんです。百二十年ぐらいかかっています。たとえば四〇%かそこらの農民がいま一〇%もむろんないでしょう。そういうふうに持ってまいりました経過の中には、百二十年ぐらいの歴史がある。しかし日本の場合はやっぱり四〇%ぐらいの農家がいまは一〇%もどうかという状態にぐぐっと引き締めて押しつけてまいりましたけれども、これは二十五年の経過であります。ずいぶん無理があると思います。そういうふうな点と同時に、今度はただいわゆる構造政策と申しましょうか、経営規模を拡大してというふうないまの考え方でいっても果たして日本の農業にそういう方向だけで発展の方向があるかどうかということになると大変問題があるように思うんであります。現に日本の農業も優秀なる人材が残って、そして農業を継いで新しい近代農業に発展してもらわなくちゃいかぬ。そのためにやはり少なくとも十町歩の、十ヘクタールの耕地が必要であるとかあるいは二十ヘクタールとか三十ヘクタールぐらいに規模を上げていかなくちゃならぬ、そして国際競争力もその程度になれば何とかなるだろうというふうなことが言われておりまするけれども、現実には農業者の中に発展の芽は育っていないのであります。人材も離れただけで戻ってはいかないのであります。こういうふうなことを考えますというと、ただこうなければならないというふうなことだけでは一向に進まないのではないか。現実に政治の中にもっと強力なる方向を打ち出していかなければならないと思うのであります。そういう点では言うだけであって、現実には一向にその方向に進んでおらないと、こういう状況であります。こういうふうな政治の状態に対して、日本政治の現状に対して大臣は恐らくこれは困ると、こう思っておるでしょうけれども、果たして現実にそういう政治の方向というものをもっと農業を見直すというような方向に持っていく自信と方向を、どうすればいいかというようなことについて一つの考えがありますか、あったらひとつ聞かしてもらいたい。
#86
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに先生御指摘のように最近の農業に対する魅力といいましょうか、そういう点は全体的には非常に落ち込んでいると私は思います。ですから私は、先ほど申し上げましたように、この枠組みとしては、やはり新しい技術の開発普及をする。もう一つは、経営規模をやはり拡大するための要素を十分つくってやる。それからいわゆる対外経済に対するいろんな圧力に対しても農林水産省がそれを支えてやる。そうして農林水産省のやはり農業に対する政策はできるだけ一貫して国民あるいは農民に信頼されるような立場になければならないと思うのでございます。そうしてそういう枠組みの中で現にこれから農業を営む人はやはり農業に積極的に取り組むという人の問題だと私は思います。たとえば山形県の松田甚次郎というかつてのすばらしい篤農家がございますが、この方は盛岡高等農林をお出になってから、みずからこの高等の農学を修めながら農業にはだしで飛び込んで作業をしたと、こういう方がおるからいままでの日本農業というのは私は支えられてきたと思うんですよ。で、いましからば大学を出、農林高等学校を出て、その中でいまの農業が厳しいからこれに自分でみずから飛び込んで農業の新しい芽を育てようとする人が一体どのくらいあるだろうかというと、私は非常にさびしい現状だと思うんです。しかしそれはやらなければならないのじゃないだろうかと、こう思いますものですから、やはりできるだけ私たちとしては環境を整備してやる。その環境の中で新しい若い人たちが積極的に農業に取り組むためのその人材を私たちはつくらなければならないと、こう思うんです。過般も私、連休に田舎に帰りまして、私の部落はせいぜい二百戸程度の小さい部落でございますが、私が帰りましたら、この前、約四、五年前でしたが、中核農家というものは非常にあいまいな状態だったんです、兼業農家が多うなりまして。そこで最近どうだとこう聞いてみましたら、農業高校を出た者でやはり積極的に中核農家として取り組もうという若い者が最近出てきたよと、こういう話を私、隣近所の連中から聞きまして、ああやっぱり私の村も農業を捨てずに積極的に農業に取り組む若い者が出てきたなあと私は非常に喜んでいるわけですが、そういう例が日本全国にかなりあると思うんです。私はそういう人たちに激励重して、そうしていま点であるいわゆる新しい農業の芽を線にし、それで面にして日本農業をいわゆる積極的なものにしていかなければならない。もちろんいままでの戦後の農業の経営というものは農業基本法ができてからもかなりの変化でございます。しかしその中で、私たちは多くの変化の中でやはりその時代に即応した農業を進めていかなければならないと、こう思いますので、非常に厳しいことでございますけれども、いま現に生きている新しい芽を私たちは育てていくということに積極的に努力をしてまいりたい。そのためのもろもろの政策をそこに集中していきたい。たとえば水田利用再編対策にしても、これは集団化、定着化さして、それを基本にして新しい農業のための大きな支えにしたい。そのためには基盤整備をそこに集中するとかいろんな政策を新しい農業のために集中して、いわゆる密度の濃い農政というものを進めてまいりたいというのが私の考え方でございます。
#87
○八百板正君 大臣の意欲大いに結構なんですが、やっぱり芽を育てるといっても芽を殺すような現実の政治が進んでおるんでありまして、そういう意味で農林大臣に文句言ったってこれは無理なんですけれども、やっぱり総理大臣にでもなってやってもらわないとだめですな、(笑声)そのお考えを具体的になにするためにはですね。それで、いままでの農林省というか、農林大臣をずっと見てきていますというと、人の名前を出しちゃ悪いけれども、河野一郎農林大臣あたりから農業というものを大事にするという立場の大臣じゃなくなってきております。私は口が悪いものだから、あの当時は農林省と言いましたが、もうそろそろ農林省も林の横にさんずいをくっつけたらどうだと、こういうふうなことを言ったことがございますけれども、農業をいかにして縮小し、結果においては犠牲にして、そして、この日本のいわゆる貿易中心の形の経済に持っていくかというような方向に、結局農業はそのいわゆる被害者として、農林省は、ある場合には農林大臣はその下手人として派遣されてきたというような形の大臣が、悪いけれどもずっと来ているんです。しかし、御本人はそうでないつもりで一生懸命がんばっているんです。だけれども、結果においてはそういう政治の大勢の中に押し流されて、その逆な任務をさせられてきておるという場合が多いんであります。まあそういう意味で大いにひとつ大臣がんばっていただきたいと私は思うんであります。
 一般的な話が出ましたついでに、どうせ時間も余りありませんから、私の見解をちょっと申し述べておきますが、石炭とか石油とかというのは、御承知のように、これ何百万年、何億年のいわゆる自然の蓄積であります。で、これをわれわれは、五十年、百年のわれわれの世代がこれを食いつぶすという資格はないんです。ないはずであります。よし仮に、現状やむを得ず、一時的にこれを許すとしても、もっと短い蓄積にわれわれは目を向けなくちゃいけないと思うんです。たとえば資源植物――バイオマスエネルギーなんというようなことが言われておりまするが、こういうこの資源植物に期待を移すと。いわゆる何億年という蓄積を三十年、五十年のわれわれの人生が食いつぶすんではなくて、もっと短い蓄積の中にわれわれは価値を求めて取り組んでいくと、こういう身構えが基本であります。そういう意味では、植物資源のエネルギーに取り組んでいくと。で、これは、あるいは三十年、四十年、五十年、百年の中に蓄積されるもっと短いエネルギーであります。さらに、今度農業になりまするというと、多年生植物ではなくて、一年生のものが多いわけでありまするから、もっと短い形で、太陽エネルギーを受けて、そして光合成を通じて炭水化物をつくっていく、そして草木が繁茂するという、こういう比較的直接的なエネルギーの蓄積をわれわれ人類、人間は活用できると、こういうふうに入っていくわけでありまして、その方が、いわゆる人間の生き方としては、生物としての人間の生き方としては賢明であり、同時に正しい方向だと私は思うんであります。そういう意味で、もっともっと短期にわれわれはわれわれの生命のエネルギーを摂取するということになりまするというと、やっぱり太陽と土と空気と水、ここで価値を生み出していくという、この草木の繁茂の短いメカニズムの中に農業というものを位置づけていかなくちゃいかぬと私は思うんであります。まあライフサイエンスとか遺伝子組みかえというふうな問題が、今日、何か科学技術の花形みたいに言われております。で、もちろん資源の少ない日本の産業の方向としては、科学技術の面で、やっぱり日本の条件に合った、アジアモンスーンの湿気の多い、この有機物のふえる条件の中にありますわれわれといたしましては、そういう微生物と申しましょうか、日本に現に古来あるものでありますから、われわれの先輩がその中にたくさんの文化を積み上げてきておるわけでありまするから、そういう面で微生物産業の面に日本の将来の産業のかなり重点を移していくという考え方は私は正しいと思う。そういう意味で、それとのかかわり合いと申しましょうか、そういうものの一つとしてまあ遺伝子工学というような問題も、私はこれを軽視するというものではございませんけれども、その比重と申しましょうか、順位というものを考えますというと、やっぱりじかに太陽のエネルギーを受けて草木が繁茂して、光合成を通じて炭水化物をつくって、そして蓄積していく、それを生物が食べて、そしてこの生命を繁栄さしていくという、ここの方が近いと申しましょうか、順位が優先されなくちゃいけないわけであります。そういうふうな点を私は脅えております。そういう意味で農業の持つ位置づけ、また同時に農用地開発公団の果たしてまいりましたこの土地の価値を高めるという実績については、いろんなロスがあっても私はこれはそういう意味で評価をしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
 そういう考えに立って、今度は国際的な関係について見てまいります場合に、この法案の中には、そういう国内の農用地の開発とあわせて、海外に対する日本の蓄積された技術を協力、支援すると、こういう問題をここに含んでおるわけでございまするが、こういう問題については、まあそうだと言ってしまえばそうなんでありまするけれども、やはり基本的には一体どういうふうに考えて海外に協力するかという問題をやっぱり考え直す必要があると思うんです。で、素朴な農民は、たとえば、現実にいまの日本の農業はアメリカその他の農産物の圧迫を受けて、そして大変困難な農業の立場に追い込まれたと、こういうふうに考えておる人もあります。そういう考えの延長として、海外に対する技術の協力というふうになりまするというと、日本の技術を海外に持ち込むということによって外国の農業が、せっかく日本で蓄積したノーハウを提供することによって、外国の農業の方がぐんぐん条件のいいところで進んでいくということになるというと、逆に今度はその圧迫を受けて日本の農業が苦しくなっていくんじゃないか、こういうふうな考え方を持つ人があります。一体外国に技術を提供して何の得があるんだ、何のメリットがあるんだと、こういうような意見を持つ人がないわけではありません。そういう点につきまして、いわゆるこの農業の技術を海外に持ち込むと、技術協力するということについて、外務省もそうだが、農水省もどういうふうにお考えになっておるか、この辺の考え方を一言聞かしてもらいたい。
#88
○政府委員(森実孝郎君) 私ども、発展途上国においては、農村地域の振興と農業の振興ということは、その国の経済社会の離陸を図る意味におきましても、当面している食糧問題の解決のためにも、非常に重要な問題だろうと思っております。したがって私どもは、やはりそれぞれの発展途上国が自助努力によって農業の振興を図っていくことに対しては、あらゆる側面でできるだけの応援をしていくことが非常に大事ではないかという認識を持っております。その意味で、私ども今回の法案改正も含めて農業協力の積極的な推進、特に最近中心課題になっております開発協力への積極的な推進を考えているわけでございますが、実施に当たりましてはやはりその国の発展段階に応じて考えるということと、それから自発性を尊重して、それに有効な助言を与え、援助を与えていくということを基本に考えたいと思っております。私どもはやはり、決して海外、特に発展途上国に対する農業に関する援助がわが国の農業や、あるいはわが国経済全体の将来に悪い影響を与えるというふうには思っておりません。
#89
○説明員(藤田公郎君) ただいま構造改善局長からお答えになったことに尽きているかと存じますが、最近の経済協力問題につきましての世界的な考え方と申しますものも、やはり第一には食糧不足、世界で四億数千万人の人が栄養不良に悩んでいると言われておりますが、この飢餓ないし食糧問題の解決と申します点一つとりましても、単に食糧を供与するということは全く短期的な解決にしかならないわけでございまして、やはり基本的には開発途上国自体の農業生産の改善、そのために先進国としては開発途上国の自助努力を技術面、資金両で助けていくという分野での協力がやはり長期的、本格的な協力の姿勢かと考えられます。
 それからもう一つ、最近の考え方といたしましては、開発途上国と一口に申しましてもやはりかなり進んだ製造工業を持っている国というものもございます。しかしながら、開発途上国の中でも特に貧困な部門と申しますのがやはり農業部門、農村でございまして、その農村の開発ということなくしては開発途上国の本当の発展というものは見られないという認識がここ数年間特に高まってまいりまして、国際的な金融機関でございます第二世銀、それからアジア開発銀行等も農業及び農村開発の面を特に最重点分野ということでアジア開発銀行のうちの最もソフトな資金を供与いたします特別基金などは五十数%が農業及び農村開発に向けられているという状況にございます。わが国におきましても、先ほど御紹介ございましたように、鈴木総理が昨年一月のASEAN御旅行の際に、農村及び農業開発というのを他のエネルギー、人づくり等と並びましてわが国の協力の最優先重点分野ということで重要視している次第でございます。
#90
○八百板正君 お話のとおりでしょうけども、何と申しましょうか、発展途上国が、たとえば農業の面で新しい技術を入れることによって、あるいは日本の協力によって経済的な近代国家への離陸を図るために自助努力に期待しながら協力していきたいと、こういうことはそのとおりわかるんですけれども、そこで、そういうふうにして、たとえば食べ物は自分の国で賄えるような状態に農業が伸びたと、そうすればそれに伴って生活水準が上がっていくから購買力も出て、その購買力はやがて日本の工業製品も買うような力になっていくから、だから相手国がそういう状態になることは望ましいのだ、こういうふうな考え方でいくとしますると、やっぱりこれはまた何と申しましょうか、市場を開発するための先行投資というふうな考え方になってしまうわけでありまして、その辺のところの考え方が、もうちょっと私は皆さんとともに考えていかなくちゃいかぬじゃないかというふうな感じをいたすのであります。
 それから、言葉をどうこう言うわけじゃございませんけれども、古くは後進国というような言葉を使い、今日、発展途上国というような言葉に相手国を呼んでおりますけれども、しかし発展途上国とかというような言葉で型の中に入れて考えるというようなことは、やっぱりちょっと考え方として問題があると私は思うんであります。現に発展途上ということになりますと、われわれ自身も後進国型のいわゆる発展途上国でありまして、ただ幾らか先んじてきたようなつもりのところも幾らかあるというだけであって、常にそれぞれの国なり民族の先行きは発展を求めて発展途上にあるわけでありまするから、その点ではどの国といえども、日本も変わりはない、みんな同じ発展途上の国でありますから、そういう意味で何かこう、おまえの方は未成年だと、おれは成人式を終えた成人だというふうな考え方、そんな考えはございませんでしょうけれども、そんなふうな何かひとつ差をつけて、おれはおまえよりも進んでいるんだというふうな立場で物を教えるとか、あるいは協力するという形になりますると、これは国際関係の中に、当面は向こうさんもまあ教えてもらうんだから、援助してもらうんだからというんで何していますけれども、決してよい関係を育てていくということにはならない心配があるんじゃないかというふうな点を私は思うんです。そういう意味で背に腹はかえられませんから、何と行われようがひとつ御援助を、御協力を、御指導をと、こういうふうな立場をとるといたしましても、何かおれの方がずうっと上なんだというふうな立場で取り組んでいくようなにおいを感じさせないような配慮があってもいいんじゃないかと私は思うんです。そういう意味でなるたけ発展途上国とかというような言葉でなくて、現実にそういう協力関係をつくっていく相手方が現実に出ればその相手方なんですから、そういう意味で協力相手国とかあるいは連携協力相手国とかというような、何らかそういうふうな形にニュアンスを出すような配慮が望ましいと、こんなふうに私は思います。
 それで、私、余り実務の点は詳しく存じませんので、話がまとまりつかないかと思うんでございますが、比較的多く、私中国との関係で技術協力と申しましょうか、そういう形の若干やってまいっておりまするので、そういう関係を頭に置きながらひとつ若干の問題を御検討願いたいと思うでありまするが、先ほど来三江平原の話が出ましてまあ聞きようによれば三江平原などというような大型の複雑な開発計面が出てまいったので、そういう問題に対応できるような配慮もあって、この農用地開発公団法の改正が持ち上がったと、こんなふうにもとれるような発言を感じたのでありまするが、ある時期に私は三江平原のような大規模の将来何年かかるかわからぬというふうな問題については、何かひとつ総合的にひとつ工夫があってしかるべきではないか。現在は四万ヘクタールですか、ぐらいのところを一応目標にして調査立案をやっているということのようでございますけれども、あの全体の面積はたしか五、六百万ヘクタールでしょう。物すごい土地です。本当にあの土地を近代農業をやれるような水準に高めていきまするためには私はまず百年はかかると思います。とても五年、十年ではちょっと手をつけるだけと、こういうことでありまして、したがって、これに対して日本が協力して取り組んでいこうということになりまする限りは、いろいろやっているうちに変化と発展はあるでしょうけれども、とにかく日本の蓄積されたいろんな農業の技術を協力するという意味で何かひとつ横断的な機関を考えなくちゃいかぬじゃないかというふうな話をしましたところ、農水省の責任者が、いや農用地開発公団法の改正で対応する考えだというふうなことをちょっと言われました。私はそれで、ああそうかなというような感じがしたのでありまするが、しかしいろいろ伺ってみますると、その辺のところがさっぱりわかるようでわからないような感じがいたすわけであります。山田さんも何かわからないけれどもなどとたびたび質問の途中で発言されておりましたが、私もよくわからないのでありますが、具体的に言って、公団が大きく取り組んでいくというそういう展望と構想を具体的に頭の中に置いての改正でございましょうか、具体的に三江平原という場合を考えていると。
#91
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。
 先生いま御指摘のように現在三江平原の農業開発調査についてはモデル地区の四万ヘクタールについて五十六年から三カ年の予定で国際協力事業団が実施していると。で、先生も御案内のように、どこが担当してどういうふうにチームをつくるかなかなか苦労をしたわけでございますが、現在はどうにか農水省も強く指導いたしまして、いわゆるADCAを活用して継続して調査を実施していると、しかしチームづくりは非常に広範にわたって人を確保してやっているという現実があるわけでございます。今回、法律改正を考える際に、こういった大規模な複雑なプロジェクトをつくる場合の有効適切なチームづくりと、それから経過の追跡、そういったことを考えて私どもはやはり農用地開発公団法の改正をお願いすることにしたわけでございますが、具体的な三江平原の現在のモデル地区の事業につきましてはすでに事業も二年目に入っておりますし、それから公団が新しく業務を発足いたしますのはことしの十月一日以降ということになるわけでございますので、ちょっといまの分については公団が受託することは考えられないと思っております。しかし三江平原の農業開発というのはいま実施している三カ年の調査だけで終わるわけではないことも先生御案内のとおりでございます。公団としても今後各分野にわたって協力する必要があるだろうと思います。
 たとえば具体的な問題としては、いま問題にもなっておりますが、施工機械を使った技術移転というふうな点についての専門家の派遣というふうな問題あるいは工事の実施、設計、監理等の問題も当然論議がこれから出てくるだろうと思います。さらに、現在の四万ヘクタールのモデル地区以外に全体が四百万ヘクタールという大規模な構想があるわけで、それこそ御指摘のように百年もかけてやる事業でございますから、ほかの地域もまた出てくるという問題もあるわけでございまして、そういったことは当然頭に置いていいものと思っております。
#92
○八百板正君 そうすると三年の計画で、計画立案の段階では公団が、いままでも公団が若干協力といいますか、タッチしておるようでございますけれども、それだけを頭に置いていくものではないというようなお話ですが、確かにこの三江平原の問題は先ほどもちょっと申し上げましたように、何十年もかかる仕事だと私は思います。それで、開発の問題は実を申しますと一九七〇年に中国の周恩来総理と会いましたときにいろんな農業の話をしました中で話が起こりまして、そして明くる年でしたか、新潟の亀田郷の灘波という土地改良区の副理事長を北京に送りまして周恩来と接触しそして話がだんだん進んでまいりましたのがあの三江平原の話の起こりでありまして、そういう意味では亀田郷の湿地帯の排水によって耕地を開いたという経験と実績に非常に強い関心を持ちました周恩来が――周恩来は当時総理として指導力を持っておりましたが、熱心に取り組みましてだんだん具体化して日本と中国の国家ベースの取り組みに発展したと、こういうわけでありまして、私も大変この進展の経過を喜んでおるものでございますけれども、しかし先行きを考えますというと、これはとてもとても一部の人たちだけで取り組んでどうにもできる問題ではなかろうと私は思うのでありまして、そういう意味では本当の大規模な横断的な協力体制をつくって、日本が手をかけたからには将来目的を達成できるように大きく伸ばしていくという必要があるだろうと思うのであります。
 そこで、やや私に個人的ではございませんけれども、かかわりがある問題になるわけでございまするけれども、このJICAの協力は御承知のように、私は主として中国の話を申し上げますが、中国として、中国政府の責任において外交部を通じて日本の大使館を通じて日本の外務省あるいは通産省とか農水省とかというふうな形で進展する形になっておるようでございまするが、いま御承知のように、これは中国だけではございませんでしょうけれども、中国の現状について申しますというと、ここ二、三年の間大分変化が起こってまいっておりまして、いわゆる地方の省とかあるいは特別区の北京とか上海とか、そういうふうなところとかあるいは団体、大きな団体が、民間団体的名前になっておりまするけれども、中国の場合は民間団体も政府と一体でありますから、名前は民間団体でも実は政府と一体になっております。そういう非常に大きな団体がたくさんございます。たとえば全国青年連合なんていう組織が中国ではございますけれども、これは日本流に言うというと、日本の日青協みたいな、日本青年団協議会みたいなものでございましょうけれども、しかし国と一体の活動に取り組んでおることは御承知のとおりでありまして、組織人員はといいますると、全国青連が一億八千万の組織を持っております、というふうにとにかく日本よりも人口が非常に多いものですから規模が大きいのでありまするが、そういうふうに省とかあるいは団体とか、ある意味での企業とか、そういうところがある程度の自主性を持って動き出すという形になっておるのが最近の中国の傾向のようでございます。そうなりまするというと、国家ベースには乗らないけれども、その省なり企業なり、団体としてはどうしてもこれはやりたいというふうな開発協力関係を必要とする事業が出てくるわけであります。そうしまするというと、そういう問題にたとえばわれわれが、私が取り組んで具体的に進めていくというふうなことになりまするというと、いわゆる国家を通じての話ではございませんから、したがって、皆自弁でやらなくちゃいかぬというような形の協力交流関係が起こってくる、こういうことになるわけでございます。
 たとえば、ちょうど四年目になりますけれども、吉林省の公主嶺というところを中心にしていわゆる日本式の寒冷地稲作、日本式農業というものを持ち込みまして、ちょうど十ヘクタールの土地を引き受けまして、そして日本でやっているのとそっくり同じ形で取り組みまして、一年目が成功いたしました。これは、そのチームの団長は東北凶作の際に、あの東北の凶作をある意味合いにおいて救ってくれた藤坂五号という耐冷出種を育成されました青森の藤坂試験場のかつての場長であり、現在七十九歳か八十歳ぐらいの老指導者でありますが、この人を団長にしまして、ちょうど四年目になりますが、中国に送りまして、その他自治体や研究所などから七名ぐらいの専門家の御協力を願ってやったのでありまするが、これはみごとに、いろいろ困難はございましたけれども、成功いたしまして、二年目、三年目、ことし四年目になりますかな、三年目かな。最初は十ヘクタールで実演指導したのでございますけれども、いまでは二万数千ヘクタールの水田が田中式稲作と申しましょうか、日本式稲作によって、吉林省において拡大をいたしております。
 これを私考えまするに、こういうふうに中国の積極的部分と日本の協力部分とが提携して、そして具体的に進んで効果が挙がって実績が出てきました場合に、そういうものをもっと計画的に吉林省なりあるいは東北三省なり、あるいはやがて黒竜江省の三江平原の将来の展望と――もちろんあれは水田そのものではございませんけれども、というふうな考えに立って、国家的に中国との間に国ベースでつないでいくというような、こういうふうに持っていけるという方法があってもいいんじゃないかと思うんですが、この辺のところをひとつ御見解をいただきながら、そういう方向を打ち出すように願いたいと私は思うのであります。
 それだけでなくて、具体的にたくさんの民間交流の中で実績を挙げ、積み上げてきておりまする経験と結果がございますので、そういうふうな問題を、全部国がやった方がいいというものではございませんけれども、やっぱり国の援助計画の中にもそういうものを結びつけていくという両々相まった官民提携した前進が望ましいのではないかと、こんなふうに思うのでありますが、この辺についてひとつちょっと御見解を御披瀝願いたいと思います。
#93
○政府委員(佐野宏哉君) ただいま先住の御指摘でございますが、元来農業開発をめぐる技術協力と申しますのは草の根的色彩の強い仕事でございまして、必ずしも中央政府の目の届かないところから出てくるイニシアチブで行われる仕事の中で、非常に重要な意味のあるものが多いということは先生御指摘のとおりだろうと思います。したがいまして、中国の場合につきましても必ずしも国民のイニシアチブとは言えないような企ての中で、いろいろ協力をすることは有効な分野が多いことは御指摘のとおりでございまして、またそういう分野のお仕事で先年御自身が日本中国農業農民交流協会を通じて、大変御尽力を賜っておるということもよく承知しておりますし、ただいま先生御指摘の公主嶺地帯での日本式の稲作の普及ということについても、従来からお話はよく伺っております。
 それで、私どもといたしましてもそういう民間ベースといいますか、中央政府の直轄的なイニシアチブではない分野の技術交流の重要性というのはわきまえているつもりでございまして、政府レベルでの協力を進めるに当たりましても、できるだけそういう民間レベルと申しますか、中央政府レベルではない交流との間の連携ということを今後とも一層気をつけて、双方が一体的に交流の実が上がるような進め方をしていくということには十分心を配ってまいりたいと思っております。
#94
○八百板正君 吉林省公主嶺の日本式稲作の交流の点について理解あるお答えをいただきましたが、さきに華国鋒さんが日本に来られて、その後閣僚会議を両国の間でやり、そしてことしの二月にはたしか北京でいわゆる事務レベルの日中両国の交流についてのいろんな話し合いをされたはずでありまして、その中にいま申し上げました吉林省の公主嶺の結果についても中国側が評価しているという話が出ておると伺っておりますが、ぜひひとつすでに行われたことについてどうこう言うのではございませんで、その結果をさらに発展して吉林省なりあるいは東北三省なりに広げていくという形で、組織的な協力支援体制をつくっていくというような、そういう発展的な構想を両国の間にやっていくというふうなことがあってもいいのではないか、こういうふうな点を考えておるわけでありまして、ひとつ今後いろいろと具体的にお話が進むにつれてひとつ御協力といいますか、御指導をいただきたいと思います。また同時に中国の農業の研修生をJICAを通じて、いろいろと研修生なりいろんな形の交流が行われてきておりまするけれども、この点につきましても実は私四年前、いわゆる日本と中国の平和友好条約が成立いたしましたそのとき、東京で当時の福田総理と、ケ小平さんと福田赳夫さんと調印されました。その同じ日に北京で日本との条約を記念する、いわゆる平和友好条約の成立を記念する中日、中国日本――中国流に言いますと中国の方を先に名前出しますが、日本で言う場合は日本を先に出しますけれども、中日友好人民公社というものが命名式が行われまして発足いたしました。これには北京の外務省の大使館からも御出席されましたが、この際に私が提言いたしまして、中国の農業の研修化をそれ以後呼んでおりまして、そうしてこれは日本の農家に入れて、起居をともにしながら農業の実際研修をする、こういう形で進めておりまして、去年は百四十一名入れましてことしは百四十八名入れました。いろいろと外務省を初め関係方面の御協力をいただいておりますが、これはいわゆる自弁の形でわれわれがいろいろ工夫して費用を賄っている形でありますから大変困難なんであります。こういうふうな事業を実績の上に立ってそういうものを組織的にやっていくということに対してJICAなり何らかの方法を通じて協力する、こういうふうな道につないでいっていただければわれわれも気が楽になると思うんです。気が楽というとおかしいけれども、ある程度までは民間ベースでやるが実績ができたならば今度は政府でひとつやってもらいたいというふうな形で、もちろん民間のベースのものをほごにするわけではございませんけれども、そういう形で乗っけていけば、さらにまた新たなるいろいろと発展の道が別の面でまた開けていくという余力ができてくる、こういうことにもなるように私は思うんです。この点もぜひひとつそういう方向について御検討を願いたいと思います。
 要は、海外に対する技術協力と言いいましても、実効のある、早くよく結果が出る形で取り組むということがこれは眼目でありまして、ただ形の上だけでああやったこうやったというだけでは物にならないわけでありまして、とりわけこういう問題は意欲的な部分、ある場合には少し突出部分とも言えるほど意欲的な部分と、これを受け入れる、あるいは協力する意欲的な部分とが結びついて初めてこれは意欲的な前進が見られるのでありまして、ただ国の方針としてこうだからという形で、中国の場合でもそうです、中国の国家の方針としてこうだからといって、ひとつこういうことをやるんだからあそこの地域のどういうものをというふうに上の方からお仕着せみたいに押しつけて、そうしてそれを日本と結びつけるという形にやったんでは、これはいわゆる意欲がわかないんです。そういう嫌いは中国にもありますし日本にもある、やっぱりやろうという意欲の起こった部分、場合によると少しはね上がっていると申しましょうか突出部分だと思っても、そういう積極部分を取り上げてこれに対応する交流という形でいって初めて効果のある協力という結果になると私は思うんであります。そういう意味で、民間の意欲的な部分の結合、交流、実績、積み上げというふうなものを、いわゆる国のベースのものにまたこれを引き上げると言うと言葉は不適当かもしれませんが、結びつけていく、こういうふうにしていくことが必要ではないか。ことに三江平原のお話が出ましたけれども、将来三江平原の大きな意味の開発というふうなことが日本と中国の共同によって行われるという形になりましたならば、これは本当にもう大変な規模の協力関係がそこには生まれざるを得ないというものだろうと私は思うんであります。時間もございませんから、この点希望を強く申し述べておきます。
 それで、最後にひとつ大いに大臣にがんばってもらいたいと思うんでありますが、何か農業というものの価値判断というもの、あるいはこれは農用地開発公団の仕事でもそうだと思うんです。一体いままで何ぼ金を使ったと、その金使ったことによってどれだけの面積がどれだけよくなったと、すると、経済効果はどうだと、一般の企業と比べてそんなむだな金遣いだめじゃないかと、こういうふうな論法が当然つながっていくわけです。私は、それは無論そういう意味で一般の企業に負けないような経済合理性を発揮しながら効率のある仕事をしていかなくちゃいかぬという立場はこれは官民ともに同じでございますけれども、それを否定するわけではございませんけれども、やっぱりそういう採算、そろばんだけの立場で農業というものははかれないものだということをやっぱり大臣はよく御承知でございますけれども、農水省はひとつ強調していただきたいと思うんです。で、農水省の、これはたしか農水省の試算でしょう、農業の役割りとしてどれだけ一体仮にそろばんにはじいていったならばどんな大きな協力をしているかということを農水省が、農水省の一部だと思うんですが、大臣も耳にしていると思うんですが、はじいたはずです。それによりまするというと、いわゆる米がとれたとか果物がとれたとかということと、もちろんそれも含むでございましょうけれども、一年間に三十兆円の金に換算するといわゆる経済効果が、役割りを果たしておるという数字を出しております。あるアメリカ筋の数字を見まするというと、私も余り正確に覚えておりませんが、アマゾンの流域のあのうっそうたる森林の果たしておりまする酸素供給、大気浄化の役割りは地球上の酸素のたしか三分の一だか半分というふうな数字を出しておりました。これは非常に計算のむずかしいあれでございまするが、本当にアマゾン流域の繁茂した草木の役割り、酸素を出して大気を浄化する役割り、あるいはいまいろんな問題が出ておりまするけれども、あのラプラタ河畔の植物というようなものをちょっと図面だけで考えましてもこれは世界の恐らく半分以上の酸素を供給していると言っても間違いないと私は思います。
 そういうふうに考えますというと、日本の農業が食糧の需給とか食糧の増産とか、われわれの生命を支える糧をつくるというような意味で果たしていることはもちろんこれは直接的に非常に大きなものでございますけれども、国土の保全の上に果たしておりまする農業の受け持つ仕事というものは大きいわけでありますが、こういう点についても十分に啓蒙せられまして、今日の日本の経済のゆがみというものをとんでもないところに持っていかないようにする配慮が非常に大事だと私は思います。そういう意味で農水省全体を激励したい気持ちであります。
 また、海外への協力につきましては、私はそれによって何の利益を得るというようなものではなくて、やっぱり世界じゅうの国々が皆それぞれ日本と同じような科学技術の水準に立ち、同じような農業の技術水準に立つと、これが基本でありまして、そういうふうにして、おれの方が上だとか差があるというふうな、そういう、差があれば当然に支配関係が出てくるわけでありまするから、おれの方が上だ、おまえの方が下だというふうな関係になるわけでありまするから、そういう差のない状態をつくっていくという、そういう基礎に立って海外の協力をやっていくというのが私は基本だろうと思います。そして国際的な、共通した、発達した水準の上に立って世界的な規模の秩序が保たれていくものだと私はそういうふうに考えるわけであります。
 農水大臣の御見解を一言述べていただきまして、私の質問を終わることにいたします。
#95
○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産業は、御承知のように農山漁民にとって生産の場であると同時に生活の場でございますから、その地域の安定の基盤でございますし、またこれまでの歴史をずっと振り返ってみても、日本の安定の大きな基盤をなしてきたと思いますので、その意味では私は大きな役割りを果たしてきている。一方、自然あるいは国土の保全という面で大変な役割りを果たしているのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私たちも農林水産業の役割りというものを今後も国民に理解をしていただいて、そして行政を進めていきたい。したがいまして、私は単に農林水産業に携わる方々だけじゃなくして、広く国民の理解を得て、そうして農林水産行政を進めたい、かように考えておるのでございます。
 また、海外援助の問題につきましても、ただいま御指摘のような考え方でやはり本当にみんなが一緒に食糧事情の非常に不安定な現状を打開しようというような素直な態度で対外協力をしてまいりたいと私は考えておりますので、今後とも御理解をいただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#96
○委員長(坂元親男君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、山田譲君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。
 本日の本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十四分開会
#97
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#98
○鶴岡洋君 きょうは農用地開発公団法の一部を改正する法律案でございますが、その前に、農業の基盤であるいわゆる農業基盤整備事業に関することについて最初お伺いをいたします。
 四月三十日に、行政管理庁が農水省に対して農業基盤整備事業に関する行政監察結果に基づく勧告を提出しました。言うまでもなく、農業基盤整備事業は一般に土地改良法に基づき実施される農用地の改良、それから開発、保金及び集団化に関する事業で、国がこれを実施しまたは補助するもので、日本農業にとって重要な役割りを果たす事業と承知しておりますが、まずこの農業基盤整備事業の目的と今日までの経緯を簡単に説明をお願いしたいと思います。
#99
○政府委員(森実孝郎君) 農業基盤整備事業は土地改良法に基づきまして農業生産基盤の整備、開発を行うことを内容にしておりますが、言うまでもなく、農業自体の生産性の向上、農業総生産の増大、さらに農地の流動化とか水田利用再編というふうな、いわば構造政策、生産対策というものの円滑な推進というふうな狭義の農業における役割り以外に、やはり経済発展に伴う国土利用上の調整あるいは国土資源の有効活用という多角的な側面を持っていると私どもは思います。
 そこで、この農業基盤整備事業につきましては、土地改良長期計画に基づきまして毎年事業を実施しているわけでございまして、本年度は八千九百九十七億円を計上いたしました。率直に申し上げまして継続事業の事業進度がかなり立ちおくれてきているという実態にかんがみまして、新規の抑制、特にその前提のもとでの継続事業の重点実施、それからさらに、今日的な政策課題に応ずるという意味では水田汎用化のための事業、畑地対策整備のための事業、農村生活基盤の整備のための事業等に重点を置いて現在予算を計上して執行しているところでございます。
 土地改良長期計画との関係で申しますと、第二次の土地改良長期計画におきましては四十八年から五十七年の十年間に十三兆円の投資計画でございます。現在までのところ十二兆三千九百十億円ということで、名目ベースとしては実は九五・三%の進捗になっております。しかし、この間における賃金、物価の上昇等は著しいものがございまして、実質ベースにおいてはこの事業の進度はかなり立ちおくれておるものになっているということは否めないところでございます。
#100
○鶴岡洋君 膨大な金と膨大な期間をかけてやるわけでございますけれども、これ大臣にお伺いしますが、この農業基盤整備事業は国の公共事業の予算の一四%を占めるという重要な事業であります。五十六年度では約九千億円、実施地区の数は約一万五千カ所と、こういうふうになっております。これは、国や地方公共団体の財政のみでなく、農村地域の社会経済に与える影響は、これをやることによって非常に影響が大きいものがあると、こういうふうに思われるわけでございます。この農業基盤整備事業の効果については、いま局長からもちょっとお話ございましたけれども、大臣としてどのような所見をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
#101
○国務大臣(田澤吉郎君) 農業基盤整備事業の効果でございますけれども、これは農家のレベルから考えますというと、一つは、農業生産の機械化によりましてコストを低減させることによって生産性が向上する、そこで所得の向上に大きな役割りを果たすということが第一でございます。
 それから、地域社会レベルの問題でございますが、これはやはりこれまで水利の紛争というのが非常に多かったのでございますが、この基盤整備を進めることによって紛争の解決になる、あるいはまた、そのことによって地域社会の大きな開発につながるということでございます。
 それからもう一つは、国家レベルでの効果でございますけれども、これは申し上げるまでもございません、食糧の増産あるいはまた国土の有効な利用、さらには日本全体の経済発展の基盤になるというような点だと私は考えております。
#102
○鶴岡洋君 いま大臣からお話があったように、農家にとっては所得の増大につながる、それから地域社会にとっては地域の開発、さらに食糧の増産につながるということは、この基盤整備というのはどっちかというと、いいところだらけだと、こういうふうに私は理解するわけです。
 そこで、国営の整備事業は一般的に事業規模が大変大きくそして多額の資金を要しているわけです。しかし、当初の事業計画より全体的に工期が大幅におくれているような感じがするわけです。その中で例を挙げればたとえば排水事業の滋賀県の愛知川、この事業は着工年度が昭和二十七年でございましたね。ところが途中いろいろあったんでしょうけれども計画変更等によって三十年以上も経過して現在に至っている、こういうケースも中にはあるわけです。これは愛知川のケースです。特に著しい例を挙げれば秋田凧の雄物川筋地区、国営の灌漑排水事業ですけれども、これは昭和二十一年の着工、五十五年度の完了で実に三十五年の年月かかっているわけです。特別会計等によって事業の促進、これも図られておりますが、このように工期が遅延した、大幅におくれたその理由は何なのか具体的に言っていただきたいと思うんですけれども。
#103
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように国営事業の工期がかなりおくれていることは否定できないところでございます。現時点で残年数を見ますと国営の灌排事業が十七年、農用地開発事業が十五年ということで五年前に比べると五割方実は残年数がふえているということもございます。これは一番大きな理由はやはり第一次オイルショック、第二次オイルショックを通じまして事業費の単価が大幅に増大したということが大きな理由だろうと思います。最高の時期においては一年で四割ぐらい単価アップになっているという時期もあるわけでございます。最近はようやく落ちついて五、六%ということでございます。それから二番目は、やはり国の財政事情の中で、こういったオイルショックを背景にした事業費単価の増高と大体軌を一にしまして逆に国の財政事情で関係の公共事業の予算の伸びが非常に小さくなってほとんど据え置きに近い水準で維持しているということでございます。
 しかし、ただいま先生御指摘がありました愛知川を初めとして幾つかの地区については特におくれがあることは事実でございます。これは私率直に申し上げますと一番問題がございますのはダムがございます地区で、ダム地区と末端の受益地区が食い違っていて、ダムの用地補償が非常に難航しているケース、それからもう一つは淡水湖造成等でいわゆる漁業補償が難航しているケースが間々特におくれの目立つ地区の理由として挙げられるのではないかと思っております。
 私どもといたしましても、このままこれを放置することは非常に問題だろうと思っております。その意味で実は今年度から大臣の強い御指示もございまして、新規地区数を国営事業、補助事業を通じて思い切って圧縮する、大体例年の採択量の二分の一程度に抑えたわけでございますが、これを今後とも着実に維持することによって、長期的に取り組むことによって継続事業への予算の配賦をふやしていくということが必要だろうと思っております。また特に国営地区につきましては、灌排事業等についてはこういった状況でトータルは前年据え置きの予算であったわけでございますが、国営灌排は二%強ふやす等の配慮もしたところでございます。今後ともこの点についてはできるだけの努力を続けていきたいと思っております。個々の特におくれの目立つ地区につきましては、ただいま先生御指摘の地区を初めとして数地区実は私ども非常に頭の痛い地区がございます。これにつきましては、具体的な問題の詰めをやはりこの機会に十分御指摘も頭に置きまして進めたいと思っているところでございます。
#104
○鶴岡洋君 オイルショックもあったし、また計画の変更もあったでしょうけれども、金がなければできないわけですから、こういう財政事情ですから事業の圧縮もこれも結構でございます、そういうことで推進をしていくということは結構なことですけれども、これに関連していま特別会計の話を出しましたけれども、事業費の特別会計の適用状況を見ても、足りないから特別会計でやってそして促進していく、こういうことですけれども、五十六年度では灌漑排水が六二・二%それから農地開発が二五・六%であります。これはいかに事業がおくれているかと、こういうことを示す私は数字だと思うんです。いわゆる特別会計でやってもなおおくれていると、こういうふうに言っても差し支えないのじゃないかと。この特別会計の事業を今後どのように推進していくのか、この点はどうしますか。
#105
○政府委員(森実孝郎君) 特別会計事業は、昭和三十二年に制度を国営灌漑排水事業について創設され、昭和五十一年からは農用地開発にも適用されるということになっているわけでございます。それからなお干拓はこれはすべて三十二年より特別会計で実施しております。問題はこの特別会計と一般会計の振り分けでございますが、従来から比較的規模の大きい事業である、事業参加者が事業の早期完工を特に期待しているという場合、まあ特急料と申しますか国庫補助率には差をつけまして特別会計として実施しあるいは振りかえるという措置を講じてきたわけでございます。ただ、率直に申し上げまして、公共事業全体が国債にその財源を大幅に依存するようなこの最近の数年間の状況から申しますと、一般会計事業と特別会計事業の本質的な差が、程度の差はもちろんございますが、本質的な差が非常に希薄になっているということは私否めないと思います。そういう意味では特別会計事業をどう考えるかということはやっぱり予算全体が伸びていく中でさらに特別会計事業で活用を図っていくというふうになって初めて効果が十全に発揮できる点もございますので、実は私どもも腐心しているところでございます。しかし、何と申しましても四二%を灌排で言うならば借入金に依存して早期に実施するということはやっぱり予算制約を過渡的に緩和するための措置として有効でございますので、できるだけ状況の許す限り前向きに取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
#106
○鶴岡洋君 それじゃ大臣にお伺いしますが、きょうこの議題になっている農用地開発公団事業ですけれども、これは農業基盤整備事業の一環として行っているものでありますけれども、特に公団は広域農業、開発農業を推進する、こういうことで基盤整備の役割りに寄与している、こういうように言われているわけでございますけれども、本来の公団事業についてどのように大臣は評価しておられるか、この農用地開発公団事業の事業について、これをお伺いいたします。
#107
○国務大臣(田澤吉郎君) これまでも農用地開発事業団の役割りは低未利用地の開発を進めてまいりまして、それの活用を図っているということが第一でございますし、またいま私たちの農業を見てみますというと、自給率の面から考えますというと、どうしても飼料作物というものが一番外国に依存しているわけでございますから、そういう点から言いますというと、やはり畜産関係の振興を図らなければいけない、そういう面からやはり飼料作物を作付するための基盤を確立するというような点に重点を置いてこれまでも作業を進めてきておりますので、そういうような役割りは大きな役割りを果たしてきていると、こう申し上げてよろしいと思います。
#108
○鶴岡洋君 いま大臣から公団の役割りについて大きな役割りを果たしている、こういうことでございますけれども、開発公団についてはまた後でお尋ねするということにして、基盤整備についてもう少しお尋ねしたいと思います。
 そこで、この基盤整備の中で、農地開発事業、すなわち草地造成であるとか干拓であるとか圃場整備であるとか農道整備であるとか、こういうことが行われるようになっておるわけでございますけれども、しかしこの農地開発事業の第二次土地改良長期計画では、昭和四十八年度から五十五年度までのいわゆる農地開発事業による造成実績は八万ヘクタール、こういうふうになっておるわけです。国営補助事業の進捗率は二六・一二%、こうなっておるわけです。非補助、干拓を含めてもわずか三〇%、このような低い農地造成の達成率で本当に農地開発事業がその役割りを果たしているのかどうなのか。いろいろ理由はあるでしょうし、端的に言って非常に疑問が持たれるところなんですけれども、この辺の御見解はいかがでございましょう。
#109
○政府委員(森実孝郎君) まず、農用地造成全体の長期計画の達成実績でございますが、確かに面績ベースでは、農用地造成では四二・三%という達成率。その中では、当然のことながら車地造成が高く農地造成が若干低いということでございますが、今日の事業内容から言うと、その差を特に力説する必要はございませんで、農用地造成全体で考えればいいのではないかと思います。
 こういったふうに事業が全体としても五割弱でございますが、農用地造成は先生御指摘のようにおくれていることは否めません。これはやはり一般論であります単価が上がってきた、公共事業の予算が抑制されているということ以外にいろいろな理由が重なっていると思います。一番大きな理由といたしましては、用地調達の困難性と自然保護の要請の高まり等に伴って事業計画自体を調整しなければならない地区が非常にふえてきているということが一つございます。それからもう一つは、畜産が当然主力になるわけでございますが、従来からの経過から言うと、米なりミカンの営農を考えていた地区も従来の計画ではあったわけでございます。それが切りかわっていく、そういう過程で営農計画の調整という問題がございます。それから三番目は、何と申しましても国土資源の制約がありますので、今日のもとで農用地の造成を図るとすれば、非常に開発地域が奥地化しております。当然のことながら単価が上がると同時に防災対策費を相当講じていかなければならぬ、農地保全等の。ここら辺の実質単価の上昇が非常に大きな問題ではないかと思うわけでございます。
#110
○鶴岡洋君 いま言われましたように、営農計画の変更等によっておくれているとか、また面積が少ないとか、こういうことになるようでございますけれども、私ここで一つ特に疑問に思うのは、いわゆる壊廃面積ですね。造成をして、その後壊廃面積がふえている。新規採択地区における農地造成面積一ヘクタール当たり事業費の推移を調べても、年々専業費が高くなっている傾向にあることはこれは承知をしております。さらに、農地開発事業の参加農家一戸当たりの事業費もこれは上昇傾向にあるということも承知をしております。しかし一方では、いま言った壊廃面積は昭和四十五年から四十九年の高度経済成長期をピークにその後減少傾向を示しているけれども、依然として壊廃面積がいわゆる農用地造成面積を上回っていると、こういう数字がここに出ているわけでありますけれども、これは行政監察の結果報告書の三十七ページに出ておりますが、たとえば昭和四十四年、農用地造成面積が四万八千ヘクタールですか、その年の農地壊廃面積が七万百ヘクタールになりますね、四十四年の場合は。これがずっとこのような同じような推移できて、たとえば五十年を見ますと、五十年は二万四千ヘクタール、これが造成面積、壊廃面積が八万九千百ヘクタール、こういうことになっているわけです。それから徐々に減ってはおりますけれども、五十五年では四万三千ヘクタール、これは造成面積、壊廃面積が四万五千ヘクタール、こういう結果が出ているわけです。
 農水省として、この農地の壊廃の原因、それと、これはどういうふうに防止したらいいのか、この辺はどういうふうに考えておられるのか、いかがですか。
#111
○政府委員(森実孝郎君) 国土資源に制約がございますわが国としては、一番むずかしいところだろうと思います。御案内のように、日本人の国国一人当たりの利用可能面積は〇・一一ヘクタールでございます。この約半量が農地に充当され、残ったものが住宅用地なり公共川地に充当されているという現実があるわけでございます。そこで、過去三十年間の動きを見ますと、壊廃が百五十万ヘクタール行われて、造成が百万ヘクタール行われて、そこで昭和二十五年度の約六百万弱という農用地面積が昭和五十五年には五百五十万弱まで約五十万ヘクタール落ち込んでいるという事実はございます。また、年度別の動きを見てまいりますと、確かに先生御指摘のように農用地の造成面積はむしろ第一次オイルショック前後から逆に減ってきた、壊廃面積は四十年代の後半はピークに達しておりまして、年度で八万から九万、多い年は十一万というふうな壊廃が行われたわけでございます。最新この二、三年どうにか落ちついてまいりまして、壊廃面積が大体四万ヘクタール台にとどまるようになった、造成面積は逆に従来の二万ヘクタール台からどうにか三万から四万の間の四万に近い数字ぐらいまでに上がるようになってきた、ギャップが少なくなってきたというのが現実の問題だろうと思います。この問題を取り組むためには、やはり一方においては基本的には限界地における農用地の造成ということをやはり積極的、計画的に進めることが必要だろうと思いますが、他方やはり転用の規制なり線引き行政に対してどういうふうなけじめをつけていくかということがやはり私ども重要な問題だろうと思っております。現在、農振法、都市計画法等による線引きもようやく実態が固まってまいりまして、線引き行政がいろいろな御批判も受けながらもそれなりに私は定著してきていると思います。農地の転用許可についても、やはりそのルールというものが国民一般にかなり広く利解されるようになったと思います。私どもとしてはやはり接点部分におけるスプロール化というものの防止には十分配慮していかなければなりませんが、やはり整序的な利用体系を農業と非農業の閥でつくらなければなりませんが、基本的にはいま申し上げたこの二点を頭に置いて、抑える方と伸ばす方を両面から努力を続けることが必要だろうと思っております。私ども長期見通しのもとでもやはり現在程度の農用地規模を確保することがわが国の農業にとって必要であるという認識を持っておりますので、その方向に沿って努力をしてまいりたいと思っております。
#112
○鶴岡洋君 「世界農林業センサス」によれば、一年以上作物を栽培しないで、あるいは耕作する意思のない耕作放棄地ですか、これが約九万二千ヘクタール、こういうふうに報告されておるわけです。今度のこの行啓の勧告によりますと、国営事業の中ですでに事業が完了した地区の中でも、自立経営農家の育成及び主産地の形成を図ることを目的に農地造成を行ったにもかかわらず、造成した農地が遊休地または荒廃地、こういうふうになっているものが行管の指摘でいくと百二十八ヘクタールあると、こういうふうに指摘されております。これは御存じだと思いますけれども、農水省は、このように農地が有効利用されていないこの実態を私は深刻に受けとめなければいけないんじゃないか。今後遊休地、荒廃地を農家みずからが耕作するよう指導することはこれは当然でございますけれども、農業事情の変化によって、それ以上に営農意欲の低下、これをどう改善していくか、これは大変な問題だと思います。この点について農水省としてはどういう積極的な取り組みをするのか、この点をお伺いいたします。
#113
○政府委員(森実孝郎君) いま先生からも御指摘ございましたように、行管の指摘の中でも、干拓地における多目的転用待ちの耕作放棄の実態と、それから限界農用地造成地域におけるところの経営の定着を待たない過程における捨てづくり等が指摘されております。それ以外に、先ほどセンサスの数字の御指摘がございましたが、やっぱり一般既耕地全体といたしまして、利用率が必ずしも十分な状況にないということは否定できないところでございます。まあ農地の利用効率を上げていくということは、基本的には農政全体の中で意欲を持って農業が行える条件をつくっていかなければならないということにもなりますが、特にこういった投資地区において過渡的であるにせよそういう形があるということは、私どもまことに残念なことだと思っております。そこで、やはり少し立ち入って考えてみますと、やはり事業完了後十分な十全な効果を発揮できるような必ずしも営農指導が行われていない。特に大規模畜産を創設することが主眼でございます農用地造成地区においては、営農指導の体制、家畜衛生管理の指導体制等に欠けている点があることは、全部が全部ではございませんけれども、一部については私は否定できないところだろうと思います。そういう意味で特に農用地造成の問題について考えますならば、やはりこれはつくられる畜産経営の、持に大規模な飼養を前提にしました経営に必要な家畜の衛生管理、飼養管理、さらに飼料作の生産管理の問題についての重点的な営農指導を行うということが特に重要ではないかと思っております。その意味で基本的には普及所、家畜衛生保健所等の協力を得ながら個別地区の診断を強化し、この問題に取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
#114
○鶴岡洋君 いま営農指導が欠けているということですけど、これはもちろん全部じゃないでしょうけども、そういう傾向が強いと、このように私も思うわけです。例を挙げれば、すでに完了地区となっている石川県二子山、これは栗園のようですけども、この地区では遊休地、荒廃地面積が百十六ヘクタールあるわけです。行管の実地調査西横、いわゆる完了面積約二一・九%を占めているわけです。さらに導入作物に対するいわゆる管理町、またその未熟さ、こういう点、さらに営農意欲の低下などによって生産実績が非常に上がってないと、著しく営農不振に陥っていると、こういうふうにも報告されているわけです。私はこうした例はまだほかにもあるんじゃないかなと、行管の指摘はこれ以外にも数多くの問題を提起しておりますけども、こういうことは土地が有効的に使われていないと、こういう問題だけではなくて、後継者難とか、また経済の急激な変化による離農者の問題等、まだまだ日本農業にとってはこれにまつわる大きな問題がたくさんあると、こういうふうに思いますけども、この公団法花審議する際に、私は海外に目を向けるというのもこれももちろん結構です、いろいろな事情を午前中も私聞いてまいりましたけども、結構でございますけども、それよりも日本の農業ということを考えて、大臣今後の日本農業の将来展望ですね、こういうこともあると、海外に目を向けるのも結構だけども、こういうところを足元をしっかりしなきゃならないんじゃないか、そういう意味からこの点についていかがお考えか、大臣にお伺いいたします。
#115
○国務大臣(田澤吉郎君) お話しのとおりでございまして、私たちはやはり日本農業の常に確立をしていかなければならないと思うのでございまして、したがいまして、私たちは長期の計価のもとにやはり生産性の向上を図ると。そのためにはやはり何としても日本の国内で生産できるものはできるだけ国内で賄うと。しかし反面この国民の需要の動向というものを常に見きわめながらそれを、農業の再編成を図っていくと。そのためにはやはり何回も申し上げておりますけれども、やはり農業技術の開発、普及をする。さらに経営規模を拡大すると。そうしてそのための大きな仕事としてはいま御審議いただいていますやはり農用地開発公団の一番の重要な課題でございます農業の基盤の整備を図っていくというようなことを進めてまいりたいと思っておるんでございますが、いま現に兼業化だとか混住化あるいは老齢化というこの現象が農村社会のいわゆる背景でございますんで、したがいまして、活力ある農業というのをつくり上げるのに非常に厳しい条件にあるわけでございますので、私たちとしてはやはりできるだけ環境を整備して、現に農業を営んでいる者、これから農業を営もうとする方々に魅力のある産業にしていきたい、かように考えているのでございまして、この具体的な問題というのは非常にむずかしゅうございますけれども、いろんなメニュー化方式等を取り入れながら今後具体的な対策を進めてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
#116
○鶴岡洋君 それでは法案について今度はお伺いしますが、日本と開発途上国との関係はどうかというと、一九八〇年においては全輸入の六〇・三%、それから全輸出の四五・八%、こういう数字が出ているわけです。開発途上国との貿易の占めるシェアが他の先進諸国に比べきわめて高いと、こういうふうに言われているわけでございますが、したがって、開発途上国は日本にとって、わが国にとって必要欠くべからざるパートナーというんですか、きわめて重要性が高いし、また開発途上国の安定的発展は不可欠であることも当然であります。大臣はこの開発途上国の経済協力について、これはいろいろな形はございますけれども、この点についてどんな見解を持っておられるか最初にお伺いいたします。
#117
○国務大臣(田澤吉郎君) 南北問題は今日人類の直面している最大の問題の一つでございまして、開発途上国に対する経済協力を推進するということは、南北問題の根底にある相互依存と人道的な配慮の見地から先進国のやはり共通の役割り、使命であると、こう考えております。したがいまして、日本は幸い世界第二の経済力を持つ、有する日本でございますので、また海外に依存する度合いが非常に大きいわが国でございますから、経済協力に対する期待というのは非常に大きいと思うのでございます。したがいまして、これまでもやはり三年間に経済協力を倍増してまいりましたし、これからの五カ年の間にさらに倍以上の成果をおさめたいという目標で進めているわけでございまして、ことに農業の技術の面についてでございますけれども、中長期的に見てい汝世界の食糧の需給が非常に不安定な関係もございまして、やはり農業の開発あるいは食糧の増産という要請が非常に強いのでございますので、それにこたえる意味においてもやはり海外技術協力というものが非常に重要なわれわれの課題であると、かように考えております。
#118
○鶴岡洋君 技術協力を初め日本の海外協力ということはいまますます重大になりまた多くなってきていることはこれは承知をしております。そこで、特に開発途上国においてはエネルギーの問題、それから中小企業の振興の問題、農村、農業開発、人づくり協力に多くの実績を残しているわけでございますけれども、特に開発途上国においては平均七〇%という人が農業従事者であると、これは全部ではございませんけれども、そういうことになっているわけです。そこで、農村、農業開発というのは最も期待をされている分野ではなかろうかと、こういうふうに考えるわけです。
 これまでわが国は、開発途上国に対して食糧増産関連の援助――肥料とか農機具、これを行ってきましたけれども、過去三年間の実績で、灌漑が主なもののようでございますけれども、農業開発事業としてどんなものが具体的にされてきたか、この点はいかがでございますか。
#119
○政府委員(森実孝郎君) 国際協力事業団を通じて行います農業開発協力には、開発調査と、それからプロジェクト方式の技術協力という内容的に具体化した段階のものと二つあるわけでございます。件数で申し上げますと、たとえば開発調査は五十四年が三十件、五十五年が二十七件、五十六年が三十七件、プロジェクト方式の技術協力はそれぞれ七件、八件、九件となっております。増加の傾向にございます。
 具象的な例として二、三挙げさせていただきますと、開発調査で大きなものとしては、インドネシア、南スマトラコメリン川上流流域の約四万ヘクタールの食糧増産移住政策を目的とする開発事業。それからメクワンの灌漑計画、これはチェンマイ市郊外の流域約二万五千六百ヘクタールについての灌漑農業開発でございます。それと中国の黒竜江省の四万ヘクタールに上るモデル地区の、いわゆる三江平原の開発計画でございます。プロジェクト方式の技術協力としましては、タイの灌漑農業開発計画の中における脱農技術の改良、普及員の養成等の事業とか、マレーシアの水管理の訓練計画への参町、ブラジルリベイラ川流域における農業開発計画におけるいわゆる圃場整備技術の指導とか、稲作の栽培技術の普及とか、あるいは開発センターにおきます実用化試験等が主要な例として報告されております。
#120
○鶴岡洋君 それでは、三月二十四日に通産省から発表された経済協力の年次報告によりますと、開発途上国の経済協力の重要性がそこに述べられております。
 それによると、一つは、食糧援助のような直接的かつ即効的な援助は、困難を治癒する対症療法としてきわめて有効であるが、経済的成長のための処方せんとしてそれだけで十分であるとは言えない。二つ目には、できる限り総合的な開発を支援するという視点に立って積極的な経済協力を実施していくべきである。三つ目には、単に資金を供与するということだけではなく、開発途上国の自助努力を支援する、いわゆる広範な技術、ノーハウ、そしてわが国独自の発展経験等を幅広く移転していく姿勢が必要であると、こういうふうに指摘しておりますが、私は今度の法改正に当たって、海外技術協力に一層力を注ぐという政府の方針に対しては、これは賛成をいたします。反対をするものではございません。
 そこで、お伺いしたいのは、今回のこの改正案では、農用地開発公団に新しい業務としてこの海外農業開発に関するいわゆる調査をすると、こういうことになっておるわけですけれども、まずこの法案を提出した理由とその目的、これを簡単に御説明していただきたいと、こう思います。
#121
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、食糧の増産と、農業、農村の振興がいわば共通の重要課題になっているのが開発途上地域でございます。特にこの農業の振興を農業開発を通じて実現するという考え方が今日の状況のもとでは増大してきております。
 この結果、わが国に対する協力案件としましても農業開発協力は年々件数がふえておりますし、さらに着目すべきことは、大規模、複雑なプロジェクトがふえてきているわけでございます。従来、JICAを中心にして、民間の企業とかあるいは公益法人等がこれに参画しておりましたし、これからもこれらの方々が重要な役割りを担うものと思っておりますが、やはりこういった大型、複雑なプロジェクトの増大等を頭に置きました場合においては、チームづくりという点から見てもアフターケアという点から見ても、いろいろな面から見て公的機関による組織的推進ということが緊急の課題であろうと考えるに至ったわけでございます。その場合、従来、農用地開発公団はいわば総合的な農業開発を行っております指定法人でございまして、総合的な技術力なり知恵を持っていると、また各種の技術者のチームづくりにもすぐれた実績を持っているわけでございます。そこで、この活用を図ろうということで今回の法案改正をお願いしているわけでございます。
#122
○鶴岡洋君 そこで、この法案の十九条の二ですか、「公団は、前条の業務の遂行に支障のない範囲内で、次の業務を行うことができる。」と。公団の海外業務は、従来の業務に支障を来さないように、またその範囲でということになっておりますけれども、この海外業務はこれからの公団の業務としてどう位置づけるのか。人数はともかくとしても、海外業務に将来は重点が置かれるようになるんではないのか。このところと、またちょっと変な見方でございますけれども、他の見方として、いま行政改革問題でどの公団もいろいろ検討されている中でございます。うがった見方をすれば、この公団のいわゆる延命というか、そういう形をとりたい。またこうした仕事もさらにやることによって、新しい業務をつけ加えることによってこの公団の延命を図ろうと、こういう意見もなきにしもあらずなんです。まあ疑いたくないわけでございますけれども、こういう意見も私は聞いております。こういう点について、いま目的と理由をお話しいただきましたけれども、この二点について、この位置づけと、そういう批判もあるけれどもどうなんだと、こういうふうに思うわけですけれども、この点いかがですか。
#123
○政府委員(森実孝郎君) まず今後の公団の事業の中で、こういった海外業務がどういう比重を持つかということでございますが、私ども、農業開発に関する国際協力案件の処理はJICAを窓口にして従来どおりやはり民間なりの活力を利用して行われるのが通常の姿だと思っております。ただ、大規模、複雑なプロジェクトに対抗して有効なチームづくりを行い、腰を据えてやるとすればやはり公団がやっていかなきゃならぬだろう。そういう意味では、実は年々こういった開発のための調査が三十件とか四十件あるわけでございますが、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、年間に農用地開発公団がタッチする事業地区は大体二、三地区ぐらいではないだろうかというふうに見ているわけでございます。また、その場合でも公団の職員だけを使うという考えではございませんで、公団のこの業務を担当する専任職員、さらに他の部門にある職員の応援以外に、やはりこういった方面の技術者を、県その他からも協力を得て公団に一時的に身分を移してチームづくりをやってやるということになるだろうと思います。やはり、知期的に見ましてそういった点から考えますと、農用地開発公団の主力の業務はやはり農用地の造成であり、大規模な畜産経営の創設であるという基本は変わらないだろうと思っております。
 第二の点でございますが、この法案は当然政府部内において十分議論をして御審議をお願いしているわけでございます。私ども、行政管理庁にも臨調の事務局等にも十分お話しいたしまして、また臨調関係の面からする御懸念のような議論があってはいけないと思いますので、十分御説明を申し上げて、いわば特殊法人の役割りの中で、これからやらなければならない重要なビルドの側面を担当するものとして御評価を受けて、政府部内の意見をまとめて提案したわけでございます。その点は御理解を賜りたいと思います。
#124
○鶴岡洋君 そうすると、いまその第二点ですけれども、全然異論はなかったと、こういうことですか。
#125
○政府委員(森実孝郎君) 御案内のように、この法案をかけるに当たっては、当然各省と十分相談をしてまいりました。むしろ議論がございましたのは、やはり民間の活力を活用するということを十分重視して民間でやれるものまで公団がやるなと、大規模複雑なプロジェクトを中心にやれということについては御議論があります。その点については非公式でございますが、政府部内で関係各省の間で了解事項を交わしたような経過もございます。農業開発の協力が中核課題で、そのためには公的な機関のチームづくりによる技術者チームの派遣ということが非常に重要だということについては御異論はございませんでしたし、またその場合、農用地開発公団が総体的に見て最も適当な地位にあるだろうということについては異論はございませんでした。
#126
○鶴岡洋君 次に国際協力事業団による海外農業水産技術協力の推移を見ても、農業開発案件数が五十一年が十三件、五十五年が二十七件と約二倍にこの数字からいくと伸びているわけですけれども、これ農水省にお伺いしたいんですが、農業基盤整備関係の調査案件のうち、五十四年から五十六年度にかけて国際協力事業団から事前に協力というか相談というか、そういう点で相談を求められた案件というのはどの程度ございますか。
#127
○政府委員(森実孝郎君) 具体的には農業開発調査についての案件については外務省、国際協力事業団からすべて相談を受けております。問題は、今後農用地開発公団がどういう業務を行うかということでございますが、これについてはこれからの問題としてまだ具体的に相談はしておりません。
#128
○鶴岡洋君 外務省にお伺いしますけれども、五十年度から五十六年度までのいわゆる全部の開発調査実施数のうち、円借供与、この案件はどんな数になっておりますか。そのうち農業開発案件はどのくらいになっているか、これを教えていただきたいと思います。
#129
○説明員(藤田公郎君) お尋ねの五十年から五十六年度までの開発調査、まず総件数でございますが、五十年は八十件、五十一年百十二件、五十二年が百四十五件、五十三年が二百十三件、五十四年二百五十八件、五十五年二百八十件、五十六年が二百七十七件と、こういうことになっております。このうち農林水産業関連の調査実施件数は、再度繰り返しますが、五十年四件、五十一年十七件、五十二年二十二件、五十三年三十三件、五十四年四十八件、五十五年が五十二件、五十六年が七十件、こういうことになっております。
 それから第二番目のお尋ねの円借款との結びつきの件でございますが、委員御案内のとおり、この件数は、たとえば一つの調査案件が三年にわたります場合には、単年度主義でございますので毎年一件として計算をいたしております。しかしながら円借款に結びつくということになりますと、たとえば五十三、五十四、五十五でそれぞれ一件ずつ数えていたものが、一つの実は案件のものでございますから、計算上非常に意味のない数字になるかと思いまして、若干計算方法を変えまして、その年度に完了した案件という形で計算をいたしてみますと、重複を避けますために農林水産業関連で各年度に終了した案件数ということで見てみますと、五十年から五十五年度までこれは調べましたが、五十年が一件、五十一年五件、五十二年十件、五十三年十五件、五十四年二十八件、五十五年が二十二件、終了案件数はそういうことになっております。この調査のうち、調査が大体大きく申しまして三つ種類として分かれるかと思いますが、第一の調査の種類は基本設計調査と申しまして、これは実は無償資金協力に結びつく調査でございます。それからもう一つの調査が調査自体で完結しているもの、農業関係では余りそれはございませんけれども、たとえば地形図の作成、これは作成することでその仕事は終わってしまうものという種類の調査と、それから三つ目が委員御質問のフィージビリティー調査でございます、円借款に結びつくものでございます。そのフィージビリティー調査を行った件数ということでとらえますと、五十年以降順次申しますと一件、三件、六件、五件、九件、五件、こういう、総計で申しますと二十九件、フィージビリティー調査を行っております。これは円借款の前段階という感じの調査でございます。このうち借款に結びついた件数、これはそれぞれが一件、一件、二件、二件、二件、四件、計十二件ということになっております。したがいまして、この調査案件中円借款を念頭に置いて行いましたフィージビリティー調査二十九件中、実際には十二件が円借款に結びついた、こういう結果となっております。
#130
○鶴岡洋君 私の聞いている範囲では、円借款供与案件のうち灌漑関係が十六件、その他三件、こういうふうに聞いておりますけれども、この私の聞いている十九件の円借供与案件は現在計画がなされて実施されておると思いますけれども、事業団にお聞きしたいんですが、この工事状況またこの工事進捗状況、これはどこが掌握しているんですか、この点をお伺いしたいと思います。
#131
○説明員(藤田公郎君) お尋ねは、各案件につきましてその案件がどの程度の借款が出ているのか、出てないのか、ないしは借款要請中でいま検討中なのか、こういうお尋ねかと思いますが、これは外務省が把握いたしております。
#132
○鶴岡洋君 それと始まったところの工事の状況。
#133
○説明員(藤田公郎君) 各案件についてでございますか。
#134
○鶴岡洋君 そうじゃなくて、まだ始まらぬとこもあるし、始まったところもあるでしょうけれども、要するにこの円借款によって始まったところの工事の状況とか、その後の進捗状況はどこで掌握しているのかということを聞いているんです。
#135
○説明員(藤田公郎君) 当然外務省でも掌握いたしてはおりますが、現実には非常に詳細な具体的なファクツということになりますと、政府ベースでは御承知のように関係省庁協議合意の結果、相手国政府と約束を取り交わしまして交換公文を署名いたしますが、その交換公文署名後、円借款につきましては海外経済協力基金が相手国との間に交換公文に基づきました貸付契約を締結いたしまして、その貸付契約に基づいて工事が始まるわけでございます。したがいまして、各案件のどの程度の進捗度でどのくらいわが方からの円借款がディスバースされているかということは、基金がより詳細な事実を把握しております。
#136
○鶴岡洋君 それじゃ外務省にお伺いしますがね、経済協力というものを効果的に実施するために過去の実績について評価分析、これをするためのいわゆる委員会ですか、外務省には評価検討委員会というのはあるんですか。
#137
○説明員(藤田公郎君) 昨年一月省内に評価委員会というものを設立いたしまして、経済協力局長を委員長にいたしまして、関係課長等をメンバーにし、各国、各プロジェクトについての評価検討作業を集中的に行う体制を整えた次第でございます。
#138
○鶴岡洋君 この評価委員会についてJICAも八一年、去年の七月に評価委員会を設置した、このように私は承知しているわけですけれども、そうすると外務省の方の評価委員会とこのJICAの方の評価委員会とこれはダブるんですか、それとも内容を違う評価をする評価委員会なんですか、その点はわからないんですけれども、教えていただけますか。
#139
○説明員(藤田公郎君) 国際協力事業団は当然のことながら、その職務の対象としております技術協力関係を対象としてその評価作業を行っております。外務省の評価作業は技術協力も含みますので、その点から申しますと、国際協力事業団のやられている評価もある程度参考にしながら技術協力の部門の評価を行っておりますが、そのほかに、いま委員御指摘の円借款による各プロジェクトの評価、それから無償資金協力という資金協力により建設しておりますプロジェクトについての評価、わが国の政府開発援助すべてについての評価を外務省では行っているという状況でございます。
#140
○鶴岡洋君 そうすると、この評価検討委員会、これはお金を出すわけでございますから、やはり検討して、分析をして今後どうするか、こういう基礎にもなるし、中には反省材料にもなるわけでございますから、これは慎重にやらなければならないと思いますけれども、今度この公団法ができた場合ですね、この外務省のいわゆる評価検討委員会と、それからJICAの評価検討委員会と、それから公団、こういう関連性というのはどういうふうにしようと考えておられるのか。
#141
○説明員(藤田公郎君) 先ほどから農水省の方から御答弁あったと思いますが、公団法の改正によりまして公団の蓄積されている技術力、技術人員、専門の方々によってわが国の大規模かつ複雑な農業関係の調査というものをやっていただくということになっているわけでございますが、その調査をやりました後、相手国側がその調査結果を踏まえまして、どのような形の協力をわが方に要請してくるか、ないしはわが国でなく第三国、ないしは国際金融機関の資金協力というものを求めてくることもあるかと思いますが、そういういろんな方途によりまして調査を行った案件の実施聖現地国政府が行っていくかと思います。その結果、完成しましたプロジェクトの評価ということにつきましては、もしそれがまあ技術協力ということで進められました場合には、当然国際協力事業団の評価作業の対象になると思われますし、技術協力も含めまして、円借款、無償資金協力等々、わが国の資金協力によってフォローアップがなされました場合には、外務省の行っております評価作業の対象になるというふうに考えます。
 で、公団がどういうふうに評価作業に加わっていくかというお話かと思いますが、これは公団としての関与ということはないかと思いますが、たとえば農業関係のプロジェクトの評価を行うに際しまして公団の携わられた専門家の方の知識を利用さしていただいて、評価の際に手助けとなっていただくということは当然あるかと思います。しかし、公団として評価作業をお願いするということはないかと思います。
#142
○鶴岡洋君 それじゃ端的に伺いますけれども、JICAが昨年の七月に評価委員会をつくったわけですけれども、この評価の結果を御報告いただけますか。
#143
○参考人(市岡克博君) ただいま御指摘ございましたとおり、国際協力事業団におきましては去年の七月に評価検討委員会を設置いたしました。この委員会は、技術協力に関する実施機関としての立場からこの事業団が行いました事業につきまして、プロジェクトに関する評価を行う、こういうことで発足したものでございます。
 で、この評価検討委員会はいままで主としてケーススタディーということで、われわれがプロジェクトタイプの協力と呼んでおります協力の仕方があるわけでございますが、それを中心にケーススタディーをやること、それから評価の方法をいかに客観的にきちんとしたものにするかという研究、こういうことを行っているわけでございまして、ほぼ月に一度の頻度で役員、部長グループの会合を行うとともに、随時課長及びその下の作業グループ等を含めて検討作業を行っている次第でございます。で、これらの検討におきましては、私どもはそれぞれの協力を行うに先立ちまして結ばれます国際的な約束と申しますか、相手国政府との約束でございますが……。
#144
○鶴岡洋君 もうちょっと大きい声で言ってくれないかな、聞こえないから。
#145
○参考人(市岡克博君) はい。約束がございます。その約束に照らしてそれを実現するためにどういう措置を具体的にとったか、お金と人と物と、それをどういうようにどれだけの量をどういうように組み合わせて相手国に提供して、それをもとにしてどれだけのアウトプットがあったかということ等をできるだけ調べて、それからそれとともに相手国政府は日本の協力に対応して、そのプロジェクトを効果あるようにするためにどういうことをしたか、それから、その事業がうまくいかなかった点、これがあるとすればどういうような点、何が原因であるのか、それを今後除去するためにどういうようなことが考えられるのか、こういうことを討議し、それに基づいて教訓を引き出す、こういう作業をやっている次第でございます。
#146
○鶴岡洋君 いろいろおっしゃいましたけれども、お聞きしますけれども、その評価委員会のやった評価についてこれはたとえばの話ですけれども、年度ごとに報告するとか、また公表するとか、こういうことはやるつもりはあるんですか。
#147
○参考人(市岡克博君) 事業団におきます評価検討委員会は、言うならば事業団の内部における反省材料を得ると、これからの教訓を引き出す、こういうことでやっているわけでございまして、それらの検討結果はもちろんその都度取りまとめするようにいたしているわけでございますし、かつ事業団の理事会に折を見て報告するということにいたしておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
これを、この成果をいかに公開するかという点につきましてはまだ結論を得ておりません。さよう御承知お願い申し上げます。
#148
○鶴岡洋君 それでは次に移りますけれども、大規模開発プロジェクトが最近非常に問い合わせが多くなったと、けさほどからお話があったわけでございますけれども、それでは最近開発途上国からこの大規模な開発プロジェクト、複雑化していることもそうですけれども、具体的にどんな国からどんな程度の規模のものがあるか。午前中、八百板先生の方から三江平原の話もございましたけれども、そういうたぐいの大きなもの、複雑化したプロジェクトといいますか、そんなものはどんなものがあるか、わかれば教えていただきたいと思います。
#149
○政府委員(森実孝郎君) 最近の例で申し上げますと、五十四年度にはビルマのイラワジ川の農業総合開発のマスタープラン、インドネシアのコメリン上流地域の農業開発調査、タイ国のメクロン川流域の農業開発のマスタープラン、五十五年度には、インドネシアのコメリン上流地域の農業開発調査、パラグアイのイポア湖の農業開発調査等が大規模な事業として例に挙げられるものだと思います。これらは、いずれも受益面積が数万ヘクタールに及ぶかなり大規模なものでございますが、ただ、内容が複雑かどうかになりますと、比較的簡単な灌漑排水機構の整備だけにとどまるものもありまして、こういったものが全部いわば農用地開発公団事業の対象になるというふうな性格のものではないと思います。そういう意味では、ただいま先生からも御指摘がございました三江平原のような性格のものが、やはりこれから農用地開発公団が担当していかなければならないケースだろうと思います。いろいろ想定される地区もございますが、これはまだいわば非公式な情報がある程度でございまして、十分相手国の出方を待って判断をしてまいりたいと思っております。
#150
○鶴岡洋君 大型化されたプロジェクト、この対応については非常にむずかしい点もあると思いますけれども、ところで、この改正案で新設されるJICAの委託の開発調査等の事業は、いま言ったように、今後大規模化するプロジェクトになると対応が大変だということもわかりますけれども、その反面、公団本来のいわゆる業務への影響はないのかどうなのか、この辺も心配されるわけなんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#151
○政府委員(森実孝郎君) 私どもやっぱり、大規模なかつ複雑なプロジェクトが公団として調査を担当しなければならない事案だろうと思っております。その意味でいろいろ候補地区はありますが、毎年新しく調査に着手しなければならないようなところは大体一、二地区、多くても三地区ぐらいではないだろうか。大体二、三地区ぐらいを担当するというのが、目下のところでは一つの見方ではないかと思っているわけでございます。確かに、農用地開発公団、現在国内における農用地造成の業務を広範に実施しておりまして、なかなか業務もむずかしい時期でございます。しかし、全体といたしましては、私、海外の調査協力に派遣する職員として、あるいはそれを継続的にトレースをする人間として六名の職員を専従させるということでいま予定しておりますし、さらに、国内の事業にかなり繁閑がございますので、季節的、年度により、そういった意味で、従来からも農用地開発公団の職員が技術協力に参加していた事例もあって、そういうノーハウもあるわけでございますから、そういう人を確保していく。さらに集中的に実施しなければならない場合においては、一時的に県の職員、民間の方を公団の職員に身分を移しまして、チームをつくっていくということもあるわけでございまして、本来の業務に特に支障を与えるような規模なり件数のものにはまずならないというふうに見ているわけでございます。
#152
○鶴岡洋君 それでは、今回の公団の海外業務について、職員は五十七年度が六人、五、六年で二十名ぐらいという希望であるようでございますけれども、予算としては一億四百万という調査費等が組まれているわけでございますけれども、この一億四百万のもちろん積算根拠があると思いますけれども、どういう使い道にこれを一億四百万組まれたのか、この点を教えていただけますか。
#153
○政府委員(森実孝郎君) 今回の五十七年度の予算で、公団の業務に必要な経費として国から支出します補助金、農林省から支出いたします補助金は一億三百五十万円を予定しております。これは主として情報が不備な地域における水文、気象、土壌等の基礎データ、灌漑施設の整備状況等の情報の収集、それから国内の各種機関に分散しております海外農業開発に関する情報の整備、いわばコンピューター処理、マイクロフィルム化の経費でございまして、まずこの消化には問題がないと思っております。
 で、問題は実は開発調査自体の経費でございまして、これはあくまでもJICAから委託を受けてやるということをたてまえにしておりまして、一応一億六百万円を別途予定をしております。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
まあこれは半年度の事業量でございまして、従来のいわゆるJICAが実施しております調査費の単価やその需用状況から見て、十分消化できるものと思っておりますが、これはいわば希望額、期待額でございまして、これから詰めていくことになっております。
#154
○鶴岡洋君 そのJICAの方の一億六百万は、これはまあいいんですけども、この一億四百万というのは――三百五十万ですか、正確には一億三百五十万、これは調査費であるとか、それから交通費であるとか、いろいろあるでしょうけども、一億三百五十万という数字が出てるんですから、いま言われただけではちょっと、余り抽象的なんですけども、もうちょっと具体的に、これは積算されて一億四百万でしょうから、もうちょっと具体的に、どういうところへ調査に行くとか、また、どういうものをやるとか、その辺もう少し詳しくわかりませんか。
#155
○政府委員(森実孝郎君) 調査に行きますと申しますよりも、むしろ基本的な情報の整備でございまして、一つは、海外農業開発技術情報整備ということで六千八百五十万円を予定しております。これは、情報探索、検索のシステムのコンピュータープログラムの開発とデータの分類、それからインプットしますデータの加工処理と基礎データのマイクロフィルム化の経費でございます。それからもう一つは、海外農業開発基礎データ収集費でございまして、これが気象、水文、土壌、等の基礎データの収集でございます。これが三千五百万ということで、合わせまして一億三百五十万円ということを予定しておるわけでございます。
#156
○鶴岡洋君 事業団にお聞きしますけども、この公団法の改正で、おたくの方の国際協力事業団との業務の重複といいますか、これはないのかどうなのか、これが一点。また、従来事業団が海外農業開発コンサルタント協会に委託していた事業の一部が公団に移ることになるわけですけども、民間コンサルタント業界に与える影響、また、民間コンサルタントヘの事業圧迫はこれでないのかどうなのか、この点について事業団の方としてはどういうふうに見通しを持っておられるか、この辺をお伺いしたいんです。
#157
○政府委員(森実孝郎君) 民間コンサルタントの関係につきましては、私先ほど申し上げましたように、まさに各省間で意見をまとめます場合においても重要な課題だったわけでございます。私どもといたしましては、たてまえとしては大型で複雑なプログラムを中心に担当していくということでございまして、まあ大体面積規模としては数万ヘクタール、耕種も各種の耕種を組み合わせたものということを頭に置いております。これにつきましては私ども、外務省、JICA等とも十分協議をいたしまして、運用に慎重を期すると同時に、また、制度としては農林水藤大臣の認可制ということにしておりますので、具体的には案件審査ということで考えていきたいと思います。全体として農業開発に関する調査案件が増大する趨勢にあるわけでございまして、数十件の中でのまあ一、二件の問題というふうに御理解いただけばいいわけでございまして、私ども、まず民間コンサルタントに特段の影響はないだろうと思っております。
 なお、ADCAの問題につきましては、現在ADCAがいわゆる三江平原の開発調査を実施しております。ことしが二年目、来年が三年目になるわけで、一応三年で終わりという計算になるわけでございます。ことし農用地開発公団法が改正がお認め願って、発効した場合でも、施行されるのは十月一日でございますから、まずこの三江平原の方は従来のADCAを中心にした体制――正確に申しますと、これは実は農水省も大きく絡みましてチームづくり等をやってきたわけですが、このADCAを中心とした体制でやっていくことになると思いますけれども、しかし、農用地開発公団としてはむしろその、先ほど申し上げましたように、個別の事態への対応とか、あるいはそういうモデル地区が終わった後のその他の、同じ三江平原でも地域の取り扱い、施工監理の問題等については、長期的に見れば十分活用されることがあると思っておりますが、当面の開発調査はADCAがモデル地区については実施されるということになるだろうと思っております。
#158
○鶴岡洋君 圧迫がない、影響がないということでございますけれども、事業団の方はどう見通されておりますか。
#159
○参考人(市岡克博君) この問題につきましては、事業団といたしましても昨年来相当勉強いたしまして、種々検討さしていただきまして、外務省、農水省とも協議いたした次第でございますが、いま御説明ございましたように、この開発調査案件が大規模かつ複雑なものであるということに着目いたしまして、他のコンサルタント等の問題について大きな問題が生ずることは恐らくあるまいという考え方を持っております。
#160
○鶴岡洋君 事業団ですけれども、あなたたちがいままでやってきて、それを今度委託を受けて公団がやると、こういうことでございますので、もちろん農水省の方でお答えになるのは、これはいままで研究しているんですから、それは結構なんですけれども、私は、事業団がいままでやってきたわけですから、本当ならば私は総裁に聞きたかったわけです。総裁がきょう来られないというから、あなたに聞いたわけですけれども、あなたが先にこれを本当は答えなければならないわけだ。それで、常務もだめだと。どうしてもだめだというから、あれですけれども、こういう大きな事業を委託する、またこういうふうに公団法を変えると、こういういわゆる法改正の場合は、私は当然総裁が来て――けさみんなよろしいということで、総裁を呼ぶことについては承知をしているわけですから。それが、何の用事があるかわからないが、それであなたが来て、また答えるのに農水省の方が先に答えて、おたくの方がそのとおりですなんて、けしからぬと私は思うんですよ。重要な問題ですからね、恐らくこの事業団の総裁と、それから公団の理事長と何回も打ち合わせをしてやったことは、私はわかると思いますけれども、ここへ来てきちっとこれを総裁が御返事していただきたかった、私はこういうふうに思うわけです。一言言っておきます。
 それから、農用地開発公団の本来の事業について多少お伺いします。
 公団が昭和四十九年から発足し、五十五年度まで約二万四千ヘクタールの草地を造成したと伺っておりますけれども、今日までの事業実積を概略説明していただきたいと思います。
#161
○政府委員(森実孝郎君) 四十九年の公団設立以降、五十六年までに二万八千四百ヘクタールの農用地造成を行ってきております。事業区域数は完了地区十七区域を含めて四十四区域ということになっております。これは十五道府県と百三十四市町村にまたがっております。これら四十四区域における創設牧場等の概要を申し上げますと、個別経営としては三千十八戸。うち入植五百九十一戸、増反二千四百二十七戸。共同利用牧場が四百九十カ所。受益者は七千七十六戸、公共牧場が九十八カ所、受益戸数が七万四千五百八十二戸ということになっております。
#162
○鶴岡洋君 全体実施設計区域のうち広域農業開発事業が三区域、それから畜産基地建設事業が三区域と、こうなっておりますけれども、この区域の進捗状況、それと見通し、この辺はいかがですか。
#163
○政府委員(森実孝郎君) ちょっとお答え申し上げます。
 私の方の資料、提出しました資料に不備があったのかもしれませんが、いまの御指摘の数字は、ことし全体設計にこれから落手する地区の数でございます。したがって、今年度全体設計を終わりまして、来年以降着工ということになるだろうと思います。それから、あとそれ以外に、ことし前半に全体設計をやって、後半から着工する地区が一地区ございます。
#164
○鶴岡洋君 そうするとこれ、いまからやるわけですか。いまからやるということで、これを設計区域にしたと、こういうことですか。
#165
○政府委員(森実孝郎君) そのとおりでございます。これから全体設計に入らしていただくということでございます。
#166
○鶴岡洋君 わかりました。公団事業の内容について、概要をお尋ねしましたけれども、全国的に畜産経営は厳しい状況下にある。これはこの委員会で常に言われていることでございますけれども、借金の返済であるとか、それから生産調整であるとか、価格の低迷であるとかと、こういうことで非常に畜産、酪農というのは厳しい状況下に現在あるわけです。このような状況下であるにもかかわらず、畜産経営を営みたい、こういう声も中にはあるわけです。今後の畜産、特に肉牛の進め方について、農林省の方針としてどういう方針でおられるのか、基本方針といいますか、その辺をお伺いしたいと思います。
#167
○政府委員(石川弘君) 御指摘ございましたように、畜産につきましては高度成長期に大変需要も伸びておりまして、生産も一けたの上の台、年によりましては二けた近い伸びをした時期もございましたが、御承知のように、食生活も一応安定化の方向の中で、畜産物の消費も伸びはいたしますが、大体低い伸び率になってまいりました。その中で御承知のように、酪農につきましても、あるいは養豚経営等につきましても、生産を抑制をいたしまして需給を均衡きせるという対策をしばらく続けておりまして、その関係等につきましてもかなりの負債問題等が出てきたわけでございます。幸いにいたしまして、最近の状況を申し上げますと、酪農につきましてもようやく需給均衡の兆しが出てきているとか、いろいろございますが、その中で、いま先生御指摘の肉用牛問題、これがやはり一番経営の基盤を強める必要のある部門でございまして、御承知のように、私ども国内で極力供給できるものにつきましては供給体制を整備することでやってきているわけでございますが、畜産物の中でも特に牛肉につきましては海外との格差も大きいといったようなことから、なかなか値段を上げていってどんどん生産をするということから、むしろ値段はなかなか上げられないけれども、経営体質を強化しながら経営を継続し、あるいは拡大をしていくという時代になってきたわけでございます。特に肉牛につきましては、御承知のように、その七割は乳用種から出てまいっておりまして、背後にあります酪農経営を強化することが一つの重要な課題でございますが、この場合でも酪農につきまして、御承知のように、片方で牛乳の生産を抑制するというようなことから、量をどんどん拡大するということはなかなか困難な事態になっているわけでございます。しかしながら、乳用種をもとにいたしました肉の生産につきましては、幸い相当多頭化の傾向が出てきておりまして、戸当たりの飼養規模もやがて二十頭の規模に至っておりますし、あるいは中心的なものははるかにそれを上回っているようでございますので、そういう規模拡大ということにつきましても、今後やはりある程度進めていく必要があるのではないか。それからその場合、残念ながら大家畜でございますから、自給飼料の供給量というものを多くしていきたいわけでございますが、購入飼料に対する依存度も相当大きいということから、自給飼料の給与率を上げていくということがやはり重要な課題だと考えております。
 それから飼育期間等につきましても長期化の傾向が出てきておりまして、これを余り長期なものではなくて、むしろ短期に仕上げるといったような飼育技術だとか、あるいは産肉性を高めるといったようなことも必要になっておりまして、このようなことを中心にした肉用牛、乳用種中心の生産の向上を図るのが一つの方策でございます。
 それから肉専につきましては、これは何と申しましても規模はまだまだ小そうございますので、これを規模を拡大していく必要があるわけでございまして、中核的な担い手を中心にしました肉専種の経営規模拡大、これは従来、零細零細と言われておりましたけれども、最近の場合は五頭以上で飼育しておりますものがすでに全供給量の三割以上を占めるというような状況でもございますし、こういう規模拡大が一つの重要な要件だと思っております。また肉用牛の場合は、肉専だけの単独経営というものはむしろ少数でございまして、あくまで耕種農業との関連というようなこともございます。こういうことからやはり複合的な経営で飼養基盤を強めるということが一つの政策的課題だと考えております。
 それからもう一つ、肉専は御承知のように子牛価格の変動が大変大きゅうございまして、これが経営を安定させるための阻害要因になっておりますので、子牛の価格安定というようなことも重要な項目ではなかろうかと思っております。さらに肉用種の場合に、子牛生産と肥育農家というものがこれが分離されている場合が大半でございますが、個別経営の中での一貫生産につきましてはなかなか問題もございますが、地域で一質的に生産するというふうなことも必要でございますので、このようなことも一つの政策的課題と考えておりまして、以上申し上げましたいろんな論点につきまして現在整理をいたしておりますが、そういうものを集大成しました形で極力国内での生産が安定拡大に向かい得るように、御承知のように価格の決定の際にもいろんなその他施策を考えておりますが、そういうものなりあるいは予算で認められております畜産総合対策等を有効に活用いたしまして、肉牛経営の安定に資したいと考えております。
#168
○鶴岡洋君 いまいろいろお話がありましたけれども、たとえば生産性向上の問題はこれは当然でございます。ですけれども、要は規模拡大をしていかなければ農家にとっても経済の安定に寄与しない、こういうことではないかと思います。確かに大縦横というのは理想でありましょうけれども、現実の問題として日本の土地の状況を考えると私は非常にむずかしいんじゃないかなと。狭い日本そんなに急いでどこへ行くなんということもありますけれども、確かにこの日本の狭いところで効率的に生産性を高めていかなければならない。
 そこで、私は、この公団に関連してお伺いしたいんですけれども、広域農業開発事業の採択基準なんですが、農用地造成面積が五百ヘクタール以上、周辺地域の未墾地等の面積三千ヘクタール以上、こういうふうになっているわけです。いま申しましたように、大きいということは、これは確かにいいことでございますけれども、畜産基地建設事業においても採択基準は現状に私は合わなくなっているんじゃないかなと、こういうふうにも思われるわけです。全国的に土地の高騰ももちろんでございますけれども、この採択基準の見直し、土地の確保の見通し、これも含めてこの見直しをされる考えがあるかどうなのか。その辺いかがですか。
#169
○政府委員(森実孝郎君) まず用地の確保の問題でございます。確かに御指摘のように非常にむずかしい地区が出てきていることは事実でございます。一つは国公有地の活用ということもやはり積極的に取り組んでいきたいと思っておりますが、もう一つは、農地保有合理化事業の活用による用地調達ということをこれからも重視していく必要があると思います。
 採択基準面積でございます。確かに農用地造成で五百ヘクタール、周辺地域の未墾地が三千ヘクタール、畜産基地の場合でも百五十ヘクタール、周辺未墾地が千ヘクタールという規模になっております。ただ実は、団地要件のとり方につきましては、基本は県営並みで三十ヘクタールの団地ということにしておりますが、かなり弾力的な運営を認めておりまして、いわば全体を合算すればかなりの地区面積を確保できるような運営の配慮は払ってきたつもりでございますし、これからも払っていきたいと思います。
 率直に申し上げますと、先ほども御指摘ございましたが、やはりいまやっている継続地区をできるだけ早期に完了して営農を安定させる。新規の採択ばかりを急がないということも今日の状況下では私は大事なことだろうと思います。もちろんその次の段階では農用地の確保のために積極的な造成も要ると思いますが、そういう点があるだろうと思いますが、かたがた今日の財政事情があるわけでございます。特にこの種の事業では農道――道路等の整備が非常にウエートが高いわけです。開発道路のウエートが高いわけです。非常に団地面積が小さいと、あるいは全体の地区面積が小さいと非常に投資効率が悪くなってくるという問題等もあるわけでございます。十分勉強さしていただきたいと思いますが、当面は私、団地要件の弾力的運用を中心にして考えていくべきではないだろうかと思いますが、確かにいろいろ周辺面積等については御意見のあることも伺っておりますので、さらに十分勉強さしていただきたいと思います。
#170
○鶴岡洋君 それと、この採択基準の見直し、この点もそうですけれども、もう一つ私心配するのは、公団事業の実績については私も評価をしております。しかし、公団がつくった団地に入植した農家の方々の経営状態はどうかというと、必ずしもこれはよくない、こういう結果になっているわけです。
 そこでお伺いしたいのは、この公団事業による畜産、酪農、初めに入植した実態についてどの程度そちらの方で掌握をしているのか。つくってから入った方々がどういう経営状態になっているのか、この辺は掌握しておりますか。
#171
○政府委員(森実孝郎君) 完了地区を中心にいたしまして、入植農家五百九十一戸について調べたものがございます。御指摘のように、必ずしも十分でない経営が個々にあるということは否めません。たとえば代表的な例として根室と阿武隈の例で申し上げますと、根室は酪農の専業経営でございます。この地域での専業経営の五十年入植の数字で申しますと、粗収入が三千五百万、経費が二千二百万、所得が約千三百万、ただ年償還額が六百六十万ございますので、生計費の充当額は六百万という数字が出ております。阿武隈は、これは根室とは対照的に複合経営の地域でございます。いわゆる耕種との複合経営でございます。したがって、創設期における畜産の収入というものは全体の農業収入の一部になるわけでございますが、この例で申し上げますと、粗収入が千九百万、経費が千二百万、所得が七百万、年償還額が二百万強でございまして、約四百九十万の生計費充当額という平均の水準にはなっております。
 ただ、個々別々に調べてみますと、かなり問題があることは否定できません。一つは、やっぱり入植後間もない地域、地区の経営は一般的に言うとまだ安定してない。やはり安定期間に若干の時日を要するという問題があります。それから先ほども御指摘のありましたように、わが国には少ない大規模な飼養規模を持った酪農経営なり肉牛経営をつくっているわけでございます。衛生管理を含めた飼養管理技術を十分習得されていない経営が見受けられることも事実でございます。さらに、先ほどちょっと畜産局長も触れましたが、粗飼料の生産性の問題が必ずしも十分でない。特に刈り取りの時期等の選択や、あるいはふん尿の土壌還元等も十分ではないわけでございます。そういう意味で、私どもやはり農業改良普及所、家畜保健衛生所、農協等、関係機関による指導の徹底がこれからは非常に重要であろうと思っております。そういう意味で、いわば完了した地区のアフターケアの問題については、畜産局とも一緒になりまして、ひとつ前向きに具体的に取り組んでいく必要があるものと思っております。
#172
○鶴岡洋君 いま局長から報告ございましたけれども、実際に公団法の規定によって団地をつくって、その後、経営方針であるとかそれから指導体制であるとかということについては、この第十九条ですか、これに規定されておりますので、そこまでは実際に細かくはやってないんじゃないかなと、こういうふうに思うんですけれども、いまの答弁でも余り詳しいきちっと指導体制ができてないような感じがしますけれども、大臣、この公団の業務について、いま申しましたように公団法の十九条でこういうふうに規定されておりますけれども、この経営方針や実務についてどんな指導体制がとられているわけですか。
#173
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに御指摘のような面が多いと思いますので、いま局長から答弁させましたように、私たちとしてはできるだけいわゆるこれを活用するように指導いたしているわけでございますが、今後この問題については、なかなか農業全体の背景が非常に厳しい状況にあることも大きな原因だと思いますので、そういう点をも考慮しながら、今後これらの営農指導に努力をしたいと、かように考えております。
#174
○鶴岡洋君 そこで、これ提案でございますけれども、公団法の第一条の目的には「農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資する」と、こういうふうになっておるわけです。その後にこの十九条のいわゆる業務内容が出ているわけでございますけれども、ここで施設のみの業務にとどまるということではなくて、やはり一貫性を持たして、営農指導についても、どんなにしたらいいのかということを私は最後まで公団が指導するのがこれは適当でなかろうかと。子供を産みっぱなしでそのままほうっておくと、そこまでではございませんけれども、だからこそ先ほど言ったように、いまのような、計画は、その当時の計画はよかったかもしれないけれども、状況によって、こういう大変な状況になってきているわけですから、そういうところを考えれば、最後まで公団がやはり営農、経営について指導体制をつくり、そして最後までめんどう見ていくと、これが私は本来の公団の姿ではなかろうかと。ただ十九条には、こういういわゆる施設のみの業務ということにとどまっておりますけれども、それだけではなくて、いま言ったように最後まで一貫性を持たしてやるのが、これが農家のためでもあり、またつくった目的にも適合するんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども。したがって、法改正をするまでもございませんけれども、営農、経営指導体制というものを強化するか、つくるか、この辺はいかがお考えですか。
#175
○政府委員(森実孝郎君) その種の創設農地の創設経緯における営農指導という問題は、もう先生も御案内のように長い歴史的沿革がございまして、現在の時点ではやはり一般的な技術指導の中でやるのが適当であろうという判断によっているわけでございます。しかし、確かにこういった地区について営農の早期安定を図るためには、濃密的な、集約的な指導が私どもも必要だろうと思っております。具体的には農業改良善及所、特に畜産経営でございますので、家畜衛生保健所等の濃密的な指導もありますが、さらにやはり県庁なり県の試験場がやはり重点的に指導していただけるということが非常に重要ではないかと思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように畜産局とも十分協力いたしまして、農林省の意見として、これらの地域に濃密的な指導がしかも欠けることなく、特にたとえば問題になる家畜衛生指導等も含めて欠けることなく行われるよう特段の配慮を払うことには努力したいと思いますが、公団自体が直ちに行うことについては、これはちょっと私ども現状では問題がむしろあるのではないだろうか。ただしかし、御指摘の点を実質的に頭に置きました対応はひとつ考えさしていただきたいと思います。
#176
○鶴岡洋君 それでは、具体的な例が幾つかあるんですけれどもその一つとして、島根県に公団事業として全国で初めて造成した畜産基地がございます。石央第一という、こういう区域名でありますけれども、この石央第一には金城畜産協同組合、それから永野農場、梅岡農場、この三つの経営体になっているところでございますけれども、この石央第一事業内容と今日までの経過、簡単に説明していただけますか。
#177
○政府委員(石川弘君) 石央第一地区の事業内容でございますが、島根県の金城町、匹見町、それから浜田市の三市町村を対象の市町村区域といたしまして、四十九年から五十二年にかけて行われた事業でございます。事業費は大体二十六億円を投じてございます。事業の内容といたしましては、肉用牛、養豚、採卵鶏の畜種複合型でございます。使用耕地といたしまして三百五十四ヘクタールの農用地等の造成と、それからいま申されました三つの経営体の農業用施設の整備ということを図ったわけでございます。しかしながら、この経営につきましては、四十八年にいまおっしゃいました金城畜産という農事組合法人ができたわけでございまして、一応繁殖牛七百頭、肥育牛二百五十頭、豚が繁殖豚三百頭の一貫経営ということで五十三年に事業は完成したわけでございますが、実はこの地区につきましては、入りました当初からいろいろと問題がございまして、御承知のような石油ショックの後追いと申しますか、素畜が非常に高くて生産物が安かったというようなことの中で、大変不幸なことではございますが、繁殖障害とか子牛の疾病等が異常な高い率で出ておりまして、五十三年、実は工事完了時点にすでに累積いたしております欠損が約三億円という形になったわけでございます。こういう形で経営を継続することが大変困難でございますので、五十四年に島根県が指導いたしまして経営の再建計画を樹立することになったわけでございますが、しかしながら私ども、五十四年、御承知のように豚価が大変低迷した中で粗飼料の生産が干ばつ等において非常に悪うございまして、さらに赤字が累積凄いたしまして、このままの形ではとうてい経営を継続することが困難だという事情になったわけでございます。その結果、五十五年に入りまして島根県がこの牧場を地域の肉用牛の素牛供給の基地とするということといたしまして、社団法人の島根県畜産開発事業団というものにこの農場を移管いたしますことを決定いたしまして、五十六年四月に欠損金を含みます約七億というようなものも含みまして事業団へ移管をしたわけでございます。その後この経営につきましては、実は大規模牧場運営基金というものを設けまして、これは各地域の、いわゆる地域の育成牧場に対してやっており旅した助成でございますが、こういう基金に畜産振興事業団からも助成をいたしまして、県、経済連、信連等の農業団体、あるいは金城町も出資をいたしまして、この事業団の経営をバックアップするという形になっております。
 現状でございますが、この事業団が繁殖牛約四百頭というものを飼養いたしまして、育成牛を供給するとか、豚の三元交配体系の確立のためのしW種豚の供給等を行っておりまして、いまではそういうものの、当初ねらいましたものと違った形ではございますが、一応の成果をおさめているわけでございます。現在では過去にございましたようなああいう大変な、牛の繁殖障害とかあるいは子牛の疾病といったようなものは克服いたしておりますが、現在になって見ますと、当初ねらいましたものとは違った形で実は運営をなされている次第でございます。
#178
○鶴岡洋君 時間がないのでいま一つ例を挙げましたけれども、この金城畜産協同組合、これは余りにも、一番最初やったからかどうか知りませんけれども、ちょっとお粗末過ぎる私は事業だと思うんです。これは大いに反省をしていただいて、最初の計画は牛を飼うということだったのが今度豚になってしまったり、実際国でやったのが県に委託せざるを得ないと、協同組合ではもうお手上げにしてしまったと、こういう非常にお粗末きわまりない一つの事業であるわけです。こういうものばかりではございませんけれども、実際こういうふうになった場合に、金はかかってしまった、そうしてそこへ今度行って仕事をしている人手はだれがやるか、組合の人ももちろんいますけれども、県の出向職員がやっている。この人ももちろん大変だと。これはもう計画段階の問題でもございますし、また金のむだ遣いだとも私は思います。こういうことで、先ほどから私何回も申し上げておりますように、海外に目を向けるのもこれも結構ですけれども、大臣としてぜひともこういうものを見て、そうして反省をし、さらにこの公団の指導体制にきちっとした、充実した指導体制を組んでいただきたいと、こういうふうに考えるわけです。最後に、この公団の指導体制について、いわゆる酪農、畜産の経営の安定を図るという意味も含めて、大臣から決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
#179
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま例として挙げられました金城畜産の問題でございますが、時期としても非常に悪かったということもございますわね。五十三年に完成して、五十四年から再建をしようとしたときに、五十四年からちょうどまた需要が停滞したというような関係もございまして、まあ悪い面にばかり入った点もございますけれども、しかし、この指導そのものが確かに大きな欠陥があったとも思いますので、私はこういう点も含めて、今後これらの指導体制をもっと強化しなければならないと、こう思います。
 したがいまして、私としましても、これは機会を見てこれらのいわゆる畜産についての施設を調査をしまして、今後それに対する対策をもっと強化するようにいたしてまいりたいと考えております。十分この点は注意をしながら今後もこの経営指導に当たってまいりたいと考えております。
#180
○鶴岡洋君 ありがとうございました。
#181
○下田京子君 まず、確認したい第一点でございますけれども、今回の法改正で農用地開発公団が行う開発途上国の農業開発調査については、すべてJICAの委託を受けて行うということで、JICA以外の外国政府や国際機関等の直接委託を受けて行う事業というのは、工事の設計や、監理に限定されるということだと理解しておりますが、この点について、法十九条の二、一号の政令で明記されると思うわけですが、間違いございませんか。
#182
○政府委員(森実孝郎君) そのように御理解いただいていいと思います。
#183
○下田京子君 次にお尋ねしたい点は、調査事業を他国が実施しまして、そして設計、監理だけ農用地開発公団が受注するというふうなことは相当数予定しておりますか。
#184
○政府委員(森実孝郎君) 開発調査と工事の施工監理や実施設計の担当ということは全く異質の問題だろうと思います。したがって、理論的には他国が開発調査をやって、日本の特殊法人である事業団に設計、監理を頼んでくるというふうなことはあり得ると思いますが、実際は、私は余りないんじゃないだろうかと思います。
#185
○下田京子君 理論的にはあるけれども、実際にはないと。つまり、そうしますと、今度の農用地開発公団の業務というものはJICAの一元化のもとでJICAから委託する開発調査が中心であると、このように理解してよろしいですね。
#186
○政府委員(森実孝郎君) 開発調査につきましてはJICAの委託を受けてやる、具体的には農水省、外務省が十分相談をいたしましてJICAから農用地開発公団が委託して行うという形でございまして、それ以外は考えておりません。
#187
○下田京子君 いま確認わざわざしたのに、また戻ってしまったんだけれども、つまりはもう、農用地開発公団の業務というのはJICAの一元化のもとでやることになるんですね、こういうことですよ、その確認です。
 さっき言った、他国が開発調査をして、そして設計、監理というものを農用地開発公団が受けるということは、理論的には考えるけれどもないんだということですから、大体JICAを通じてやられる一元化の業務である、このことですね。そういうふうに理解してよろしいですね。
#188
○政府委員(森実孝郎君) 設計、監理とか実施設計の問題は、これは相手国政府や自治体が直接公団に頼んでくる話で、これはJICAを通さないわけでございます。ただ、日本が開発調査をやった場合、通常日本の特殊法人に頼んでくる場合が普通であろうということを申し上げましたので、理論的には一元化とかなんとかという問題とは別な問題であろうと思っております。
#189
○下田京子君 一元化と別の問題じゃなくて、これは一元化であるということははっきりしているじゃないですか、いまの点で。そうですね、外務省。
#190
○説明員(藤田公郎君) 調査ということに限りましたらそのとおりだと思います。
#191
○下田京子君 次にお尋ねしたいんですけれども、経済協力のあり方、特にその中での政府開発援助、つまり、ODAのあり方についてお尋ねしたいんですけれども、日米摩擦の関係が非常にいま強まってきていろんな問題が出ているわけで、そういう中にあって、現在のアメリカ・レーガン政権の経済協力方針のその評価をめぐって幾つかお聞きしたいと思います。
 最近、レーガン政権になりましてから、ODAの後退ということがはっきりしている一方で、日本政府の方はむしろその面での全額がふえている。これはまさに日本政府がアメリカにかわっての肩がわりではないかと、こう思うわけなんです。といいますのは具体的に申しますと、御承知のように日本はODAの新中期目標でもって、一九八〇年代前半五カ年間のODA総額を、一九七〇年代の後半五カ年間の総額の倍以上にするのだということを決めていると思います。この方針によって見ていきますと、八〇年度に三十三億ドルの実績があったと思うんですけれども、同率で伸ばしていくとすれば、八五年度には約五十億ドルを超すことになるのじゃないか、こう思うわけです。ところが一方、アメリカのレーガン政権の場合にはこれはどうかと覆えば、通産省が出しております「経済協力の現状と問題点」という中の百三ページにも述べられておりますけれども、カーター前政権の同年度、つまり八二年度援助予算に比べますと、実際には一五・七%と大幅に減っている。「小さな政府を志向する米国は政府開発援助の量的拡充には消極的姿勢をとっている。」、こういうふうに通産省の資料等でも述べているわけなんですけれども、つまりこういったことを見ましても、明らかにレーガン政権がいまODAで後退してきている。一方、日本は大変な財政事情だと言いつつも、予算を伸ばそうというふうになって現に伸びてきているという、これはつまり日本政府の肩がわりであるとこう思うわけなんですけれども、大臣、この点はどういうふうに評価されますか。これは農水大臣。
#192
○国務大臣(田澤吉郎君) すでに御答弁申し上げておるのでございますが、開発途上国に対する経済協力を推進するということは、南北問題の根底にある相互依存と人道的交流の見地から先進国の共通の使命であると、しかも自由世界の第二の経済力を有している日本でございます。さらに資源のない日本でございますから、海外への依存というものは非常に大きい。そういう面から言って、やはりわが国は経済協力に対する期待というものを大きく見ていかないといけない国のいわゆる体質であると言って差し支えないと思いますので、レーガン政権との関係を云々するということは私たちは考えておりません。
#193
○下田京子君 考えているいないは別にして、現実がどうかという点で大臣は日本政府の決意みたいなことを述べられたんですが、アメリカ・レーガン政権のもとでODAが後退しているということは事実ですから、どう思うんだと、こう私は聞いたつもりだったんですが、この点について明確な御答弁いただけませんでした。
 外務省の方にお尋ねしたいと思うんですが、レーガン政権がなぜODA削減をしてきたか、その背景を考えますと、やはり経済協力の重点を民間投資に切りかえている、そこにあると思うんですね。ところが民間投資というものは、どういう性格を持つものなのかということを考えますと、基本的にはやはり利潤追求が目的ですよね、投資というのは。つまりそれは開発途上国の援助に対するニーズがあっても、すべて流れるかというと必ずしも保障されない。仮に流れたとしましても、その国の経済の自立的発展にこれまた必ずしも役立つということがすべて保障されるということにはならないわけですね。そういう点から見ますと、大臣もちょっと述べていましたけれども、南北問題だとかいろんな点から人道的な援助を考えたときに、いまレーガン政権がやられている考え方というのは、まさに真の解決ということにはならない。つまりはっきり申し上げれば歴史に逆行するような内容になるんじゃないか、こう思うわけなんですけれども、これはアメリカのレーガン政権のもとでとられていることについての外務省の評価です。
#194
○説明員(藤田公郎君) まず冒頭委員がお述べになりました、レーガン政権になってからアメリカのODA予算が減っているのではないかという御指摘でございます。
 レーガン大統領及び政府がODAに対して非常に厳しい見方をしているというのはもう御指摘のとおりだと思います。特に多数国間援助というものについては一層厳しい見方をしております。それから民間の活動をより重視していかなきゃいけないんじゃないかという立場をとっているのも同様でございまして、これはレーガン政府の責任ある方々のいろいろな場での発言等によくあらわれているところでございます。しかしながらこの予算の実額という点で申しますと、確かに先生御指摘のようにカーター大統領のつくりました予算案を削減したということは事実でございますが、絶対額でもって減少しているということはございませんで、一九八二会計年度――アメリカの会計年度でございますが、一九八二会計年度におきましては対前年比約八%増、それから今般レーガン政府、大統領が独自に作成しました、全く当初から作成を行いました明一九八三会計年度のODA予算というのは対前年比で六%増ということで、伸び率は落ちていることは事実でございますが、やはり実額においては伸びているのが実情でございます。
 それから、かかるアメリカのODAに対する政策をどういうふうに見ているかというお尋ねかと存じますが、ODAを供与するに際しましてもより民間の活動を重視していくべきだという見方は、実はレーガン大統領に限らず従来もそういう主張をする方はあったわけでございまして、民間の活力を、これは民間と申しますのは先進国の民間、それから開発途上国の民間、双方のイニシアチブを尊重するという考え方と理解しておりますが、確かにその活力を重視するという点では一つの考え方かと存じます。しかしながらやはり民間に先進国と開発途上国との関係を任しておくのみの行動では南北問題というものは解決しないということから政府開発援助の重要性というのが実は出てきた次第でございまして、民間がなかなか出ていきにくい、きわめて貧困なかつ困難な地域、現地においても民間の活力というものが育っていない地域というものに対して政府開発援助というものを強化していくというのが実はそもそもの発想だったと思われますので、わが国の政府としましては、OECDの場ですとか国連の場等、種々の場におきまして、ODAがやはり開発途上国と先進国との間の経済協力関係の中核的な役割りを果たすべきであるということを強く主張している次第でございます。
#195
○下田京子君 いろいろお述べくださいましたが、私が言ったところ、おおむね認められた答弁だと思います。
 簡単に繰り返しますが、アメリカがODA削減の方向に向かっていて、二つ目に、民間投資に切りかえるというふうな状況に向かい、そういう中にあって、南北問題の解決という点ではなかなか民間任せでは容易でないという点から、ODAの必要性ということが出てきたというふうなことを認められたと思うんです。はっきりとそのことが、相手がアメリカですから、ここでこういうレーガン大統領の考え方が南北問題の真の解決から見れば歴史に逆行するということは、はいそうですということはお認めにならないでしょうが、私は、外務省は、日本政府もそういう立場は重々承知ではないかと思うんですよ。
 あえて申し上げたいと思うんですが、きょうおいでになっておりませんけれども、外務省の中で経済協力局の政策課長をしております松浦さんがお述べになっておりますね、「経済と外交」の三月号、「”経済協力大国日本”への道」と、こういう中でこう述べております。「民間資金というものは利益を追求して流れるものであり、真の資金需要があってもカントリー・リスクが高ければ、その開発途上国には流れて行かない、そこで政府の政策的意図を反映したODAの供与が必要となってくるのであって、私は以上のような考え方は基本的に歴史に逆行するものであって、事はそう簡単ではないと思います。」こういうふうに明確に述べているわけであります。そういう点を大臣、しかとやっぱり受けとめてかかっていただきたい、こう思うわけです。
 さらに外務省にお聞きしますけれども、問題は日本政府の今度は態度だと思うんですよ。アメリカのレーガン政権の経済援助政策に追随するかっこうで日本がそれを補充するということをやっているのではないかと思うんです。その一番はっきりした例が昨年五月八日日米共同声明の中で述べられていると思います。
 一つは経済協力の位置づけです。これちょっと述べてみますけれども、「総理大臣と大統領は、すべての西側先進民主主義諸国がその平和と安全に対するこれらの国際的挑戦に対処するに当たり、防衛、世界経済の改善、第三世界に対する経済協力、及び相互に補強し合う外交活動の分野において、一層の努力を行う必要があることを認めた。」と、こう述べております。つまり第三世界に対する経済協力を防衛と並んだ国際的挑戦に対する安全保障の中に位置づけている。その立場からの経済協力の一層の努力を鈴木総理はレーガン大統領に約束してきた、確認しているわけです。
 その具体的な中身としてのODAにつきましては同じく述べておりますが、「世界の平和と安定の維持のためには」「重要な地域に対する援助を強化」する、こういうふうに述べているわけです。つまり外務省は、農水大臣も言っておりましたが、経済協力の理念には人道的考慮と相互依存という二つのものがあると、こう言いつつもレーガン政権との約束のもとで鈴木総理がきちんと手を打ってきた相互依存ということは何かと言えば西側の一員としてという政治選択をとりまして、しかも安全保障上重要な地域への援助という点で重視しているわけです。まさに地域選別ということでこれがはっきりうたわれているわけです。外務省、間違いないでしょうか。
#196
○説明員(藤田公郎君) ただいま委員が御引用になりました昨年五月八日の日米共同声明から引用されましたが、引用文は全くそのとおりだと存じます。
 それから、世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化をしていくという日本政府の決意表明でございますが、この前段にも述べておりますように、「世界の平和と安定の維持のためには開発途上国の政治的、経済的及び社会的安定が不可欠である」と、こういう点から「総理大臣は、日本政府が新中期目標の下で政府開発援助」を拡充していく、そうして「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化してゆく」という決意表明でございまして、これはいままでわが国が申しておりましたように、平和国家、経済大国、資源小国という日本の立場から、わが国としては経済協力という手段を通じて世界の平和と安定の維持に貢献をしていくということがわが国に対する諸外国からの期待であり、その期待に沿うように努力していくのであるということと実質的に特に変わったところはないかと存じます。
 それから先ほど大臣からも御発言ございましたように、わが国の経済協力は、基本的に相互依存と人道的な考慮に基づいて行っていくということでございまして、世界の平和と安定の維持のため重要な地域に対する経済協力も当然のことながら相互依存及び人道的な考慮、この二つの考慮に従って実施していくという方針である旨は累次外務大臣も種々の場で述べられているとおりでございます。
#197
○下田京子君 間違いないというわけですけれども、相互依存の問題なんですけれども、これはわが国がまず軍事小国である。それから二つ目には経済大国だ。三つ目には資源の小国である。四つ目にはアジアの一員である、これは事実ですね。五つ目に、わが国が選択した道として、つまりいま言われている平和国家云々の話ですけれども、西側の一員というふうな立場から物を見ているわけですね。これは外交青書においてもそういう点からどの地域に援助するかという点では、きちっと「紛争周辺国への援助の強化」ということも挙げて、特に紛争周辺国というのはタイあるいはトルコ、パキスタン、こういうことも述べられているわけなんです。
 ですから、ここで農水大臣にお尋ねしたいわけです、再度、よろしいですか。日本の政府のODAの基本的な位置づけというものは、いまもずっと話してきましたけれども、政治選択の問題として、一つは西側の一員として経済協力を行うんだと、二つ目に具体的な援助としてその西側の一員として安全保障上重要な地域への援助なんだと、こういう立場に立っていると思うんです。これは農業にあっても例外でない、こう思うわけですけれども、そうでないというふうな立場、断言できるのかどうか、農水大臣です、これは、農業の問題ですから。
#198
○説明員(藤田公郎君) ただいまちょっと事実関係のみお答えさしていただきますが、ただいま委員の御質問の相互依存関係、西側の一員ということは政治的な選択ではないのかという御質問かと思いますが、本件につきましては、当時の伊東外務大臣がやはり国会におきまして答弁されておられる中で、日本の考えております相互依存関係というのは、当然のことながら政治的、経済的、社会的なすべての関係を含む相互依存関係である。その中で西側の一員と申しますのは、経済問題あるいは政治上の考え方、こういうものにつきまして自由主義、民主主義というような考えを一つにしている、そういう考え方をともにする国家のことを考えているのであるという御答弁がございます。
#199
○国務大臣(田澤吉郎君) いま外務省から御答弁を申し上げたのは基本的な考え、外交上のいわゆる西側の一員あるいは相互依存に対するこれまでの外務省の方針でございますから、その線にのっとってやはり西側の一員としては自由主義国であるあるいは民主主義国であるという、こういう一つの大きい前提のもとに、前提はそういうことで進められますけれども、あくまでも私たちの考えはそういう大前提の中にありながら、先ほど申し上げました開発途上国に対する経済協力というのは、やはり資源の少ない日本が海外に依存する度合いが大きい、そういう面から言うと、そういう意味でやはり経済協力を強力に進めていかなければならない、この基本に立って私たちは農業の技術開発をも進めていくということでございますので、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#200
○下田京子君 あのね大臣、御理解するのはいいんですよ。だから私が言っていることについて明確にお答えいただきたい。
 さっきはアメリカと関係ないんだと、こういう話していましたけれども、実はそうじゃないんですよね、いま言ったような感じの中からずっといっていると。特にいま日本においでになっていると思うんですけれども、ボルドリッジ米国務次官補ですね。この方が昨年十月二十八日、日米協会で演説しているわけです。どういうふうに言っているかといいますと、大臣はアメリカと関係ないと言っても、アメリカ側は日本のいろんないままでの対応ということについて大変評価しているわけです。ちょっと長いんですけれども、急いで読んでみたいと思うんですが、「日本は、一九七六年から八〇年までに海外援助を倍にしたのみならず、援助の焦点を戦略的、政治的に重要なパキスタン、トルコ、タイ及びエジプトなどの地域に絞るようになってきている。今日の多元的世界では、このような協力関係の存在が重要であり、我々は、日本が世界的問題にますます積極的に取り組み、より大きな役割を果すことを歓迎する。」、こういうふうに述べているわけです。ですから、私が聞きましたのは、とにかくそういう大きな中で決して農業だけ別なんだよということではないでしょうというふうに聞いたわけです。そうですね。――大臣に聞いてみても大臣がはっきり答えてないのよ、ずっと。衆議院の会議録なんかもずっと見せていただいたんですけれども、農業、別みたいのこと言っているんですよ。農業、別でやれるのかと聞いているんです、私は。やれるんですか、断言できるんですか。これは大臣でなければお答えできないでしょう。
#201
○政府委員(佐野宏哉君) 経済局長でございますが、答弁いたします。
 私どもといたしましては、農業の分野における援助の対象国としては食糧不足に悩んでいる開発途上国でありますとか、食糧生産のポテンシャルの大きい国ということをねらって世界の食糧需給の安定化に資するという見地から取り組んでおるわけでございまして、たまたまそういう援助の対象国が国際戦略的にいかなる意味を有するかということについては、私ども田舎侍でございますので、よく知らずにやっております。
#202
○下田京子君 わからないと、局長はいろいろ食糧援助や何かで人道的な立場でやっているけれども、結果でどうなるかということは、侍田舎だからわからぬ。つまり、わからないということですね。大臣、いいんですね。
#203
○国務大臣(田澤吉郎君) 外交の背景というものはいま外務省から述べたとおりでございます。しかし、いま農業技術協力というものの要請が非常に高いのは、いま局長が答弁したように、世界の食糧の需給が非常に不安定である、国際連合の機構からいっても、一九九〇年にはいわゆる飢餓人口が四億一千万から四億九千万、こう言われておりますので、しかも一年間に五千万人の死亡者がある、そのうちの三割が子供であるというような非常に厳しい世界の食糧事情にございますから、そういう点を考えますというと、やはり私たちは農業の面で農業の技術援助によってそれらの状況を排助していこうというのが基本でございまして、ですから、外交全体の背景は別としても、私たちはそういう基本に立って農業の技術開発を進め、技術援助をしようということでございますから、その点はひとつ御理解いただきたいということでございます。
#204
○下田京子君 大臣が言っている世界的な食糧不足の問題とか人道的な立場からの援助ということは、もう否定も何もしてないんですよ、理解しているんですよ。そうではなくて、そういう農業のいろんな持つ役割りというのが世界的な国際的な流れの中で特に西側の一員という政治、経済的な立場から選択して外交ルートの中で、しかも外務省が指導しているJICAという一元化の中でもって調査活動もやっていくんだということですから、農業が決して例外ではないということでどうか、断言できるか、こう聞いているのに、そのことについては明確な答弁が得られないから、それで結構でございます。とにかく問題であるということが明らかになったわけです。
 その次に、お尋ねしたいのは、農業協力の問題でいまいろいろ言われているんですけれども、この農業協力のあり方をめぐって大臣、黒い霧がつきまとっていることを御承知でしょうか。これは実は五十四年の衆議院の商工委員会の質問の会議録なんですけれども、ODAのあり方をめぐってこういうことで質問がされ、当時の小坂大臣が答弁している、ちょっと読んでみます。
  アジア開発銀行の元総裁で御存じの渡辺武さんが、サンケイ新聞の七八年九月二十七日の「正論」というところでこういうことを書いておるわけです。「金さえバラまけば援助の効果が挙がるものではない。これまで途上国に対する無益無用な援助がいかに多かったかは援助の歴史が物語っている。私自身、援助によってつくられたダムの水が、田畑をうるおすことなしに海に流れているのも見たし、化学工場として建設された建物で、単に大瓶から小瓶へのつめ替え作業が行われているのも見た。物資による援助が横派しされて、悪徳役人のふところをこやすことも少ないとはいえないし、技術援助の名目でぜいたくな旅行をする先進国の人がひんしゅくを買っている例も多い。」
 こういうふうにこれが元アジア開発銀行総裁の経験として述べられているんだけれども、どうなんだと言いましたら、小坂大臣が否定しないで、
  渡辺武さんは私もよく存じ上げている方でありまして、別にでたらめをおっしゃっている方とは絶対思わないのでございます。したがいまして、往々にしてこういう援助というものがその国の恣意によって、われわれの善意を越えた形でいろいろなされることもあるものだと思います。
 こういうふうに言われております。そのほかいろいろあるわけですけれども、こういう黒い霧が公然と認められているということについてはいかがかなと思うんですが、大臣としての御感想、一言。
#205
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、非常に海外援助、特に農業技術援助等については、やはり私たちは広い立場で、また、大きな意味を持ってこれを進めようとしているのでございますので、したがいまして、いま御指摘のようなことがあってはならない、また、してはいけない、こう考えます。
#206
○下田京子君 当然あってはならない、してはならない、こう思うわけですが、ところがこの問題について、これは時間がないから省いてしまいますけれども、日本経済調査協議会が出されている五十五年三月に発行した「わが国安全保障に関する研究会報告」、こういう中で経済人もやっぱり述べているわけなんです。そこで問題は、援助後の評価がどうかということだと思うんですけれども、円借款、それから無償資金協力、それからプロジェクト協力、それぞれについて実行済み件数とそれから評価済み件数、実態どうなのか、ちょっと教えてください。
#207
○説明員(藤田公郎君) これは外務省の行いました評価についての御質問と思いますが、円借款につきましては現在まで実行の完了しておりますプロジェクトが二百五件ございます。そのうち評価を済ませました一これは実は昨年の一月から発足してやっておりますが、評価を済ませましたのが十三件ということでございます。
 それから無償資金協力につきましては、実行の完了いたしましたプロジェクトが二百六十六件ございます。そのうち評価を済ませましたものが二十四件ということでございます。
 それからプロジェクト方式技術協力につきましては、協力の終了いたしましたものが百九件、それから協力中のものが百十四件ございますが、これはともに終了したもの、それから協力中のものをあわせて評価しておりますが、そのうち評価を済ませましたものが二十二件ということになっております。
#208
○下田京子君 事後評価が一割そこそこというふうなことしかないわけですね、いまの数字で見ますと。これでは援助が本当に適正に行われたかどうかということが非常に問題ではないかと思うんです。なぜこんなに事後評価がおくれているんですか、端的に。
#209
○説明員(藤田公郎君) まず初めにお断り申し上げましたように、ただいまの御質問にお答えしましたのは、外務省の経済協力局で昨年一月から始めました総合的な評価という数字を申し上げました。そのほかに国際協力事業団は国際協力事業団で独自にプロジェクト方式の技術協力の評価をやっておられまして、これにつきましては昨年度で十九件のプロジェクト方式技術協力評価を行っております。そのほか外務省では民間第三者に対する委託を通じまして評価も行っております。これは学者の方などを、世界経営協議会というところでやっておられるわけですが、これは昨年三カ国やっております。
#210
○下田京子君 わかりました。私なぜおくれているのと聞いたんですよ。あとそのほかもちょっとやっているのだよという話なんで、時間がないから恐縮なんですけれども、これは農水大臣にお聞きしたいのですけれども、お聞きのように、評価自体がかなりやられていないんです、はっきり害いまして。なぜこういうふうに評価がやられていないかということなんですけれども、実は「国際開発論」という本がございます。この本の中で海外経済協力基金資金課の課長代理をしております後藤さんが書いているんです。その論文の中で実務者の立場からなぜおくれているかということで次のよう指摘しています。
 「わが国の援助行政においては、一部に事後評価の実績はみられるものの、むしろ国会での対外援助に関する国政調査に対する防衛手段という配慮等から、行政府および実施機関の双方で援助案件の事後評価を積極的に推進しようとする傾向は概して少ない」、こう指摘しているんですよ。つまり、国会で取り上げられることを避けるために事後評価に積極的でないのだ、こういうふうに書いているわけです。大臣違うよというふうな感じで首を振っているんですが、とすれば、いいですか、大臣、今後事後評価を積極的に進めると、当然やはり国政の場でもきちんと議論する、そういうことでおやりいただけますね。
#211
○国務大臣(田澤吉郎君) そういたします。
#212
○下田京子君 そういうことでぜひ期待したいと思います。
 次に、ADCA、つまり、海外農業開発コンサルタント協会の問題について二、三お聞きしたいのですが、農水省はADCAに海外農業開発事業事前調査費補助金というものを出しておりますね。プロジェクトファインディングを進めているわけですけれども、そのことと向こうの政府の要請主義というふうな関係はどういうふうに位置づけておりますか。
#213
○政府委員(森実孝郎君) 現在ADCAが実施しておりますプロジェクトファィンディングの調査は、相手国政府から正式の、要請はございませんが、相手国の国内の情報あるいは国際機関の情報、それから在外公館の情報等を基礎としていわば技術力が少ないために開発プロジェクトを具体化できない地域においての開発プロジェクトの選定なり、発掘を目的とする調査でございます。これは相手国政府から正式に技術協力として要請を受けることに直結するかどうかは制度上は何ら関係がございません。すべて発掘調査の結果をデータとして相手国政府がどういうふうに判断されるかでございますが、いままでのところプロジェクトファインディング調査の約三分の一ぐらいが政府ベースの技術協力に結びついているという事実がございまして、その意味においては農業開発協力のいわば礎石としての役割りはあるものと思っております。
#214
○下田京子君 ADCAの実態なんですけれども、大臣のところに資料行きましたでしょうか――行っておりますか、ちょっとごらんいただきたいんですが、かいつまんで申し上げますと、大臣大変なOBが行っているんですね。これOBでつくった会社じゃないか。農水省関係のOBだけでも見てみますと、ADCAに参加しているのは十七社ありますね。その中でOBなどが社長になっているのが十七社中六社なんです。OBが一人もいないというところは十七社のうち一社のみなんです。何と合わせますと、農水省OBだけで九十三名と、こういうことになっております。なぜOBだけでつくっている会社が問題なのかと言いますと、私も先般予算委員会で問題にしましたけれども、建設会社の談合問題ですね、政界、官界、財界の癒着の問題あるわけですが、これ見てみますと、調査の立案、それから設計、発注、受注、工事実施と一連の段階がずっともう農水宵のOBでつながっている、こういうかっこうになるわけですね。こういうことになりますと、農業開発調査協力ということを今後いろいろやっていく中で、ADCAの役割りというものもまたまた大きくなるんじゃないかと思いますと、国民の目から見て大変やっぱりこれは納得のいかない点が出てくるんじゃないか。つまり、これは法律との関係でも明記されておりますけれども、リスクの多い仕事は公団が背負うんだと、もうけの部分は民間で対応するんだと、こういうかっこうになりますとなおのこと問題が出てくると思うんですけれども、この点も含めてお答えいただきたいと思います。
#215
○政府委員(森実孝郎君) ADCAはここにもございますように社団法人でございまして、一般的な営利事業を行っているわけではございません。いわば民間のコンサルタント会社等が集まりまして、将来の問題を考えながら、プロジェクトファインディングの調査を中心に調査を担当してもらっているということでございます。ただ、これが国際協力にも資するし、また情報の集積にも資するという観点で、国として評価してそれなりの助成なり権利を与えているということでございます。したがって、もちろん全額金を交付しているわけではございません。
 なお、いわゆる技術者の天下りの問題については、各委員会でいろいろ御指摘があったことは私どもも十分承知しているつもりでございます。現実に土木技術者、特に農業土木の技術者が官に集中しておりますために、コンサルタント会社、土建会社を通じていろいろ技術的な分野でのいわゆる再就職への要請が広範にあることは事実でございます。私ども、当然のことながら、社会的な疑惑を招くようなことや、あるいは国家公務員法の遵守を怠るようなことがあってはならないと思いまして、その点については十分これからも戒心してまいりたいと思っておりますが、ADCA自体の業務自体がそういう性格のものでないということは御理解を賜りたいと思います。
#216
○下田京子君 いずれにしても、ADCAが民間コンサルタントであるわけですけれども、何度も言いますけれども、リスクの多いところは政府が、公団がと、JICAを通じて。それで、きちっとしたもうけといいますか、そういうのが保証されるのが民間ということになりますからいろいろ疑惑が出てくる、これもう十分対応していただきたいと思います。
 次に、JICAの投融資事業の問題でお尋ねしたいんですけれども、現にいま開発投融資事業の中で試験的事業と関連施設整備事業と二つやっていると思うんですが、それぞれの事業にかかわるいわゆる資金ですね、それが規模によって違うと思うんですけれども、金利が一体どのくらいなのか、金利体系等を教えてください、簡単に。
#217
○説明員(藤田公郎君) 試験的事業につきましては、金額三億円以下が、これは一〇〇%が融資率、一〇〇%融資の対象になりまして、金利が〇・七五%、償還期限が二十年以内、据え置きが五年以内ということになっております。同じく試験的事業で十五億円以下のもの、金額の大きいものでございますが、融資率は七五%、金利が二・五から三・五%の間、それから償還期限が三十年以内、据え置き期間は十年以内、こういうことになっております。
 それから、関連施設整備事業につきましては、若干細かくなりますが簡単に申し上げますと、四億円以下のもの、これが一〇〇%が融資対象で、金利は〇・七五%、二十年以内の償還で五年以内の据え置き。それから四億円超二十億円までのものが七〇%の融資率でございまして、これは金利、償還期限等同様。二十億円超三十億円以下、これも七〇%でございまして、二%から三・五%の間、三十年、それから据え置きが十年以内ということになっております。
#218
○下田京子君 もう試験事業の場合は三億以下で〇・七五%、関連事業の場合にも二十億円以下の場合には〇・七五%の金利だと、もうとても考えられないような低利で長期の融資だということですね。この融資を受けている企業が一体どこなのかということなんですけれども、おわかりですか。
#219
○説明員(藤田公郎君) 企業のすべての名称、名前でございますか。
#220
○下田京子君 いいです、いいです。これは私の方の調査のことでお知らせします。いまの配ってあるところにありますので、大臣、ちょっと見てください。一番最後の、四枚目の資料なんです。
 「農林業分野の開発投融資における大企業向け融資事例」ということで書いておりますけれども、事例は大きく三つになっております。
 第一番目の事例ですけれども、「日本の大企業が自社の原料調達のためにおこなう開発輸入型」です。これは三つの例をここで述べておりますけれども、一つはエスビー食品、これは資本金十三億円です。マレーシアにおけるスパイス栽培試験事業、融資額、昭和五十年、五十一年、二年間で六千七十万円。それから二つ目、エーザイというこれは製薬会社、資本金四十五億円です。インドネシアにおける薬草開発事業、これは融資額がいろいろありますが、合計で一億九千百四十万円。それから三つ目に、三菱商事です。資本金が五百七十六億円です。タイのパイナップル開発事業、融資額が関連施設整備等で五十一年、五十三年で一億四千九百九十万円。
 第二番目の例なんですけれども、「大商社の開発輸入の失敗のしりぬぐい」とでも申しましょう。三井物産です。これは資本金が四百八十八億円、インドネシアのランポン地域に農業開発事業ということでもって、融資額、試験的事業と関連施設整備と合わせまして一億二千二百八十万円。
 事例三、「その他」のところですけれども、これは四つ挙げております。一つが山陽国策パルプ、インドネシアの紅茶開発です、六千二百七十万円。それから二つ目が三井物産で、タイのクンパワピ製糖開発ということで二億一千七百万円。それから三つ目が丸紅です、タイで砂糖開発、二億四千万円。それから四つ目が帝人という会社、これがブラジルのマットグロッソ農業開発、三億七千二百十万円。
 とてもじゃないけれども、もう調べてみて驚きました。そのほかたくさんあるわけですけれども、わずか〇・七五%というふうな低利で ――日本の農業の中でこういう融資を受けているところ、大臣、ございますか。
#221
○政府委員(森実孝郎君) ちょっと御質問の最後のところがよくわからなかったのでございますが、日本の農業でどういうことの御指摘だったのか、もう一回ちょっと……。
#222
○下田京子君 時間がなくなっちゃったので、じゃまとめて答えてください。局長と大臣と一緒に答えてください、でないと時間オーバーしたと言われるから。
 いいですか、いまのあれなんですけれども、こういう低利、こういう〇・七五%なんという低利で、しかも二十年間なんという、そういう長期の融資が農業でありますか、こう聞いたわけです。
 それからもう一つついでに、実はさっきも国内公団事業の問題でいろいろ出たんですけれども、私もう驚いているわけですが、五十年に入植した方からずっといま入植が続いていますね。
 それで、さっき局長が北海道の根室のお話されましたけれども、根室の新酪農村の事業というのはこれ大変なもので、五十年度入植した人の償還元金見込み額をずっと見ますと、一入植者当たりが約五千六百八十二万円にもなるんですよ。それで、建設利息分、財投から借り入れた金利負担がどのくらいになるかというと、何と二千二百万円にもなるわけです。御承知だと思います。もうこれは全償還の元金の約四割分にも相当するんですよ。ところが、言うまでもなくいまはもう乳価低迷でしょう、抑えられていますでしょう。消費は伸びない。そういう中にあって、輸入農産物の拡大問題等々があって、もう大変な状態になっているわけですよ。こういう点を考えたときに、やはり重大な問題は、もう莫大な償還金をどうやって支払うのか、この建設利息の問題ともあわせて投資のあり方というものはどうあるべきかということを考え直さなければならないんじゃないかと思うんです。つまり、海外向けのために〇・七五%、国内は、いろんな事業をやったと言うけれども、全体の借金の四割分がまさに利子で、それを延々とこれから返していかなければならない。しかし、現実、五十五年の経営状況を見てみますと、これはもう局長は数字をつかんでいらっしゃると思うんですけれども、実際に赤字になってきているわけですね。これは詳しく言えば、北海道で調べたやつもいろいろあるんですけれども、年々年々もう減っていってしまっている。赤字経営の中でどうやって借金返すんですかと、こういう問題になるわけなんです。そういうこととあわせてお答えいただきたいと思います。
#223
○政府委員(森実孝郎君) 国内におきます制度金融といたしましては、改良資金が無利子でございますほかは三分五厘資金が一番低利の資金でございます。償還期間はものによってかなり長期のものはございます。が、しかしこれは補助金との兼ね合いでものを判断しなければならないだろうと思います。
 それから、公団事業の補助残の負担の問題でございますが、確かに創設型酪農、特に大規模な酪農地域では投資規模が大きく償還額が一戸当たり平均で年五、六百万に元利償還合わせてなることは事実でございます。したがって一千百万ないし一千二百万の平均所得が当面は五、六百万、つまり経営創設期は五、六百万に所得が抑えられていくということは事実でございます。ただ、具体的に経営内容の問題につきましては、これは一般的に言うと期間がある程度たたないと安定しないということのほかにかなり個人差がございまして、これをどう考えるかという問題があるわけでございます。農水省といたしましても、昨今の畜産事情にかんがみまして、五十六年度以降五年間で特に酪農につきましてはごく長期低利の負債整理資金という制度を設けたのもそういう事情にあるわけでございまして、われわれといたしましても経営の指導とそれからさらに非常に窮迫した経営については個別に十分農協等とも相談して、そういった負債整理の問題に取り組んでまいりたいと思っております。何と申しましても、短期の投資で非常に大規模な経営をつくるわけでございますし、そういう意味ではなかなか創設期にはつらい事情もあると思いますが、生産性も非常に上がっておりますし、平均的にはかなりの水準になっておりますので、そういった個別の問題で解決していく必要があると思っております。
#224
○下田京子君 大臣。
#225
○国務大臣(田澤吉郎君) いま局長から答弁させたとおりでございます。
#226
○委員長(坂元親男君) 他に御発着もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#228
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、農用地開発公団法改正案に対する、反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、本改正案がアメリカの世界戦略に基づく援助肩がわりと、日本の大企業の開発進出の補完という新植民地主義的性格を持つ経済協力をより強化し効率的に実施するため農用地開発公団を活用するものであることです。
 昨年五月の日米共同声明にも示されたように、鈴木総理はアメリカの安全保障上重要な地域への援助強化をレーガン政権との間で約束させられ、五十七年度予算においても福祉、教育など国民的活犠牲の上に軍事費と並んで経済協力費を急増させ援助国の重点を紛争周辺国とするなど、アメリカの肩がわりを忠実に実行しようとしています。
 農業協力もこうした経済援助の基本的性格の例外ではあり得ず、その一環として重視されていることは明白です。一九七四年の国際協力事業団の設立に際しわが党は反対しましたが、本改正案による農用地開発公団が行う技術協力としての農用地開発調査は、すべて国際協力事業団の委託に基づいて実施されることになっており、とうてい賛成できるものではありません。
 第二に、農用地開発公団が行う農業協力は協力事業のうちリスクの大きい業務を引き受け、うまみのあるものは従来どおり民間企業が分担するという企業にとって御都合のよい分業を行うものになる可能性が大きいことであります。
 質問でも明らかにしたように、業務で競合するはずの民間のコンサルタント会社には農水省OBが大量に就職しており、工事を実施する大手建設会社への天下りとあわせて、今日社会的非難が強まっている官民癒着の実態を改善することが急務であります。
 また、すべての経済技術協力計画や予算を国会で審議するとともに、協力の実施実態をきちっと調査し国会に報告するなど、援助政策を民主的で開かれたものにすることが必要です。本改正案にはこうした点の保障は何ら示されていません。
 わが党は、開発途上国の深刻な食糧問題を解決するために農業協力が正しく進められるべきであること、また人口わずか二・七%の日本が世界の穀物貿易量の二二%を輸入し、国内の農業を縮小衰退させているという政策を根本的に転換して自給率の向上に向かうこと、この二つが日本に課せられた国際的責務であると考えます。
 この立場から考えたとき、農用地開発公団の法用は農業協力にとって一定の寄与をし得る可能性を持つことを否定するものではありませんが、さきに挙げた二つの問題点が解消されぬ限り農業協力は正しく進まないこと、したがって発展途上国に真に役立つものとはならないことを指摘して、討論を終わります。
#229
○委員長(坂元親男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 農用地開発公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(坂元親男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 川村君から発言を求められておりますので、これを許します。川村君。
#232
○川村清一君 私は、ただいま可決されました農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、海外農薬開発協力の重要性にかんがみ、本法施行に当たつては、次の事項の実現に適切な措置を講ずべきである。
 一、政府開発援助における農業分野の協力を一層拡充するとともに、協力の実施に当たつては、我が国の農業技術を広く活用し、相手国の要請に即したものとなるよう自主性の尊重に十分留意すること。
   また、熱帯地域等の農業に関する試験・研究の促進に努めること。
 二、公団の海外農業開発協力業務については、国際協力事業団と密接な連携を保ちつつ、その円滑かつ効率的な実施が図られるよう、人材の養成等必要な業務体制の整備に努めるとともに、当該業務に従事する職員の勤務条件等が従来業務に比し不利益となることのないよう配慮すること。
 三、農畜産物濃密生産団地建設事業については、食料自給力の向上と畜産業の健全な発展に寄与している実情にかんがみ、今後ともその促進に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#233
○委員長(坂元親男君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#234
○委員長(坂元親男君) 多数と認めます。よって、川村君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田澤農林水産大臣。
#235
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#236
○委員長(坂元親男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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