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#1
第096回国会 農林水産委員会 第15号
昭和五十七年七月九日(金曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                村沢  牧君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                藏内 修治君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                高木 正明君
                中村 禎二君
                勝又 武一君
                川村 清一君
                中野  明君
                藤原 房雄君
                下田 京子君
   国務大臣
      農林水産大臣    田澤 吉郎君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
       食糧庁長官    渡邊 五郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       千野 忠男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○村沢牧君 私は米価を中心として質問をいたしますが、米価の決定は申すまでもなく、米価審議会の答申を得て政府が決定することになっております。ところが、その手続を得る前に農水省がことしの生産者米価は引き上げられる状況ではないというようなことを宣伝をしたり、また大蔵省は財政難を理由に、米価の引き下げすら求めておるということが報道されておるわけであります。このことは米価の結論を誘導するものであり、なおかつ米審の機能を形骸化するものであって、まさに本末転倒と言わざるを得ないし、政府の取るべき態度ではないというふうに思います。過去においてもこうしたことがたびたびあったわけでありますけれども、大臣はこのことについてどのように考えますか。
#4
○国務大臣(田澤吉郎君) 今年度米価につきましては、実はまだ結論を得ていませんので、ただいま御指摘のようなことは農林水産省としては発表いたしておらないのでございまして、御承知のように五日にいわゆる前広米審を開きまして米審の方々のいろんな意見を聞いたのでございまして、米をめぐるいろんな事情、生産、流通、消費にわたっての意見を聞いたのでございまして、私たちはその意見を聞きながら十三日から開かれる米審に対して、それなりの資料を提供して御審議を願おうということをいま準備中でございまして、したがいまして、ただいま御指摘のようなことはございません。
#5
○村沢牧君 大蔵省は財政難であるので米価の据え置き、あるいは引き下げが当然だというようなことを示唆するような報道がされておるわけでありますけれども、大蔵省はどうなんですか。
#6
○説明員(千野忠男君) 米価の政府諮問につきましては、目下主管官庁であります農林水産省を中心に鋭意検討中でございますが、その検討の過程で財政当局としてもその立場からいろいろ御協議にあずかるということはございます。その間、ただしどのような議論、検討を行っているかということにつきましては、これはまあ政府部内の問題でございますので差し控えたいと思うのでございますが、ただ、財政当局といたしましては、米のきわめて深刻な構造的な過剰、それから、それに対処するために生産調整などにこれまで巨額の財政資金を投入してきているといったことなどにかんがみまして、かつまた、マイナスシーリングというようなかつてない厳しい財政事情のもとで、生産者米価の取り扱いにつきましてはこれまで以上の厳しさをもって対処すべきものと考えております。
#7
○村沢牧君 大蔵省の態度はいまの説明でわかったわけでありますが、まだ米審が開かれておらないその段階において米価は引き下げるべきだ、据え置きも困難である、こういう報道をされておるんですが、そういう態度でおるんですか。
#8
○説明員(千野忠男君) 非常に厳しい財政事情とか需給事情などにかんがみて、厳しい態度でこれは臨んでいただきたいというような希望を所管の官庁でございます農林水産省に希望を申し上げておりますけれども、具体的なお話は差し控えさしていただきたいと思います。
#9
○村沢牧君 大蔵省の見解については後ほどまた伺ってまいりましょう。
 そこで大臣、今日まで米価を据え置きにするとか、引き下げをするというような発言を行っておらない、そういう答弁でありますが、そのことはそのまま受けとめるとしまして、そうなれば据え置きにするという方針を固めているわけではない。つまり、当委員会やその他のいろいろな意見を聞いて食管法に基づいて正確な数字でもって米価を算定をしていく、このように理解していいんですか。
#10
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、米価決定に当たりましては食糧管理法にのっとりまして、いわゆる米の需給状況だとか、あるいはまた再生産のことだとかというのを十分配慮しながら米価審議会の議を経て適正な米価を決定しようといたしているのでございまして、ただいま米価に対して結論を得ていないということでございまして、先ほど大蔵省からもお話がありました。しかし、米をめぐる情勢はどうかと言いますというと、前広米審でもすでにお話がありましたように、米作の中核農家の育成問題だとか、米作の体質強化だとか、自由化問題だとか、米の需給状況等についていろいろな意見があったわけでございまして、そういうのを通じて考えますというと、確かに米をめぐる情勢というのは厳しいというこの中で、この米価をどう決定するかということをいま鋭意検討をいたしているわけでございまして、結論を得ておりません。
#11
○村沢牧君 生産者米価は食管法第三条二項で「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」というふうに規定されております。食管法のたてまえは生産費、物価を優先的に反映することであって、その他の経済事情を参酌するということは第二義的なものである。私はこれが正しい解釈であるというふうに思いますが、大臣の見解はどうですか。
#12
○政府委員(渡邊五郎君) 御質問のように、食管法におきましては「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」というふうに表現しておりますが、生産費及び物価が参酌されるべきことは当然だと存じます。ただ、これだけを特に優先して参酌するということではなく、私どもこの法文の解釈は同時にこれらの要素のほか、各般の経済事情を総合的に勘案して、米穀の再生産を確保することを旨として定めるべきものと理解いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、本年の生産者米価については、食糧管理法の規定に従い適正に決定いたしたいと考えております。
#13
○村沢牧君 「其ノ他ノ経済事情」の中には需給や財政状況が入っておることも全然否定するわけではありませんけれども、米穀の再生産を確保するために米価を決定するとするならば、その他の経済事情よりも、生産費や物価を正しく反映させる、このことが基本ではないかというふうに私は指摘をしているんです。
#14
○政府委員(渡邊五郎君) 生産費及び物価というのは重要な要素であることは私どももそう存じますが、やはり経済事情として、御指摘のような需給事情あるいは財政事情というような要素もやはり総合勘案して再生産を確保することを旨とする、そうした適正な米価を定めるべきものだ、このように考えておるわけでございます。
#15
○村沢牧君 この論議は、私も何回もこの当委員会でやっておりますが、なかなかかみ合わない点もありますけれども、しかし私がいま主張したように、その他の経済事情も参酌するけれども、生産者米価を決める場合においては生産費や物価をまず優先的に考えなければいけない。私は、ここで何回もやりとりしても余りらちが明かないというように思いますから、この問題についてはこれ以上追及いたしませんが、そのように私は指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、農水省は去る七月五日の前広米審に対して「米をめぐる事情」と題する資料を発表しております。この資料を見ますると、米は過剰傾向である、食管会計の財政負担が大きい、米の収益性は他の作物に比べて高い、米価は国際価格と比べて高い、このようなことを資料として強調しているわけです。しかし、米の生産費が上昇しているということや、米価は四年間も据え置きになっているけれども、その間にはずいぶんいろいろな経費が、物価が上がっている、そういうこと。また、米をつくっても採算のとれない厳しい農家があるというこの実態については全然触れておらない。これが大蔵省の資料であるとするならば、大蔵省がまた出したかというふうにも受けとめられるわけでありますが、農水省の資料としては全くお粗末であり、血も涙もない資料であると思うんです。この資料は米価据え置きをねらったものである、こういうふうに断定せざるを得ないが、どうですか。
#16
○政府委員(渡邊五郎君) 私ども、先般前広米審に提出いたしました「米をめぐる事情」というのは、私どもとしましては、米価決定以前に米をめぐる各般の困難な問題点について、ある意味では率直に現状を理解していただくという意味で提出いたしました。私どもとしましては、米価の上昇の足取りが消費者物価との関係でどういうふうになってまいったかとか、あるいはそれぞれ農家経営におきましても従来と異なりまして、すべて平均的に眺められる状況ではございませんで、地域なり階層なりによって大分相違も出てきている、そうした現状につきまして皆さんによく理解していただくためにこの資料はつくったものでございまして、私どもの資料としてはそういう考え方、そして財政的にはどういう地位を占めているか、最近の特に日本の農産物をめぐります国際的な情勢というのはやはり国民最大の関心事でもあるわけでございますので、そうした事情について率直に申し上げるべきものと考えまして、資料をつくったものでございまして、御指摘のような特段の意図を持ってしたものではございません。
#17
○村沢牧君 この資料に載っている数字は正しいというふうに私も理解をいたします。
 しかし、問題のとらえ方が悪い。つまり、私が後段で申し上げたようなことが全然この資料の中にはないわけですね。ですから、こうした問題について二、三指摘をしてまいりますが、まず、米は依然として過剰傾向にあるという強い指摘ですね。今日まで農林水産省が米の大幅な生産調整を行い、ことしも六十三万一千ヘクタール、こういう生産調整をしておるわけですけれども、しかしこういう生産調整をしてもまだ過剰傾向であるということは、いま進めている水田利用再編対策には限界がある、これ以上転作はできない、そういう立場に立って言われるんですか。それとも、米価を抑えなければやっぱり米の生産はずっと続いていくんだ、こういう立場に立って言われるんですか。その点、どうですか。
#18
○政府委員(小島和義君) 私どもといたしましては、米の全体の需給基調というのは依然として潜在的には過剰の基調を続けておる、かように考えておるわけでございます。
 そういう情勢の中で全国の稲作農家の方にお願いをいたしまして、全国各地でそれぞれ転作を実施していただいておるわけでございまして、結果的に単年度の需給ということになりますと、その年の作、不作の問題がございますから、予定どおりの米が必ずしも生産されない場合、あるいは予定よりもかなり大きく生産される場合がございますけれども、こういう政策を続けておることによって当面の需給は均衡を保たれておる、そう考えておるわけでございますけれども、しかし毎年三千数百億の金を使ってただいまの転作をやっておるわけでございますから、こういう事態というのは、米としてやはり供給過剰という事態が続いておるもの、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
#19
○村沢牧君 それでは、毎年三千数百億の金を使って転作を定着をさせていこうとしている。しかし、依然として米は過剰だ。そういうことになると、一体この水田利用再編対策というのはどういうことになっているのか。第三期のこの対策を進めようとしているんですけれども、幾らやったって米は過剰になるんですか、幾らやっても米は過剰になるから、米価を下げて米づくりをやめさせようとするんですか。一体、何のために水田利用再編なんかやっているんですか。
#20
○政府委員(小島和義君) 水田利用再編対策は、米の過剰を防止するというねらいはもちろんございますけれども、わが国の農業生産全体として見ますと、米がいま申し上げたような過剰な状態でありながら、一面、他の作物においてはまだまだ自給度が低いものがございます。これはやり方によりましては自給度を高められる、こういう考え方に立ちましてただいま農産物の需給の長期見通しというものを掲げまして、その方向に農業生産を誘導していこう、こういうねらいもあわせて持っておるわけでございます。
 で、現在行われております転作が、いわば転作奨励金という座布団の上に乗っかりまして、その上に行われているということは私どもも否定しないわけでございますが、将来とも転作奨励金に支えられた転作しか成り立たないということになりますと、日本農業の将来はきわめて暗いものになるわけでございます。したがいまして、時期をいつと申し上げるつもりはございませんが、農政審の基本答申なんかでも述べられておりますように、方向としては転作奨励金を脱却するという方向に日本の農業生産を持っていくというのが私どもの考え方でございます。
#21
○村沢牧君 私は、転作奨励金のことを聞いているんじゃないんですよ。この資料を見れば、十年たっても米は過剰だと言っているんですよ。水田利用再編対策を第三期からまたやっていっても、これは幾らやっても過剰なんですか。一体、何のためにやるんですか。転作は定着しないですよ。
#22
○政府委員(小島和義君) 転作が完全に定着をいたしまして、米がそれなりに需給均衡が保たれるという事態になりますれば、これは米の需給均衡が回復したと言えるわけでございますが、ただいま現在の時点においては、やっぱり潜在的な過剰状態が続いているというふうに理解をいたしておるわけでございます。
#23
○委員長(坂元親男君) 暫時休憩をいたします。
   午後一時十九分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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