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1981/03/31 第96回国会 参議院 参議院会議録情報 第096回国会 社会労働委員会 第4号
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1981/03/31 第96回国会 参議院

参議院会議録情報 第096回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第096回国会 社会労働委員会 第4号
昭和五十七年三月三十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     園田 清充君
     村上 正邦君     江藤  智君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     村上 正邦君
     園田 清充君     関口 恵造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
    委 員
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
               目黒今朝次郎君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  森下 元晴君
       労 働 大 臣  初村滝一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房会
       計課長      坂本 龍彦君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局長  大谷 藤郎君
       厚生省薬務局長  持永 和見君
       厚生省社会局長  金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  山口新一郎君
       厚生省援護局長  北村 和男君
       社会保険庁医療
       保険部長     入江  慧君
       社会保険庁年金
       保険部長     小林 功典君
       労働大臣官房長  松井 達郎君
       労働大臣官房会
       計課長      高橋 伸治君
       労働省労働基準
       局長       石井 甲二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       文部省大学局医
       学教育課長    前畑 安宏君
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       建設省計画局労
       働資財対策室長  熊  新六君
   参考人
       医療金融公庫総
       裁        北川 力夫君
       環境衛生金融公
       庫理事長     加藤 威二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和五十七年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(
 厚生省所管、労働省所管、医療金融公庫及び環
 境衛生金融公庫)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 去る三月一二十日、予算委員会から、三月三十一日から四月一日の二日間、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(粕谷照美君) まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 本件審査中、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(粕谷照美君) この際、お諮りいたします。
 理事会で協議いたしました結果、予算説明につきましては、概略を厚生、労働両大臣から聴取することとし、詳細な予算説明につきましては、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(粕谷照美君) まず、森下厚生大臣から説明を求めます。森下厚生大臣。
#9
○国務大臣(森下元晴君) 昭和五十七年度厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要について御説明申し上げます。
 昭和五十七年度厚生省所管一般会計予算の総額は、九兆百六十八億円余でありまして、これを昭和五十六年度当初予算額八兆七千六百四十二億円余と比較いたしますと、二千五百二十五億円余の増額、二・九%の増加率となっており、国の一般会計予算総額に対し一八・一%の割合を占めております。
 御承知のとおり、明年度予算は、行財政改革の基本路線を堅持し、財政再建をさらに強力に推進するという厳しい状況のもとで編成されたものであり、厚生省予算につきましても、歳出内容の徹底した節減合理化、限られた財源を最大限有効に活用するため、各施策について優先順位の厳しい選択、給付の重点化、負担の公平化等の見直しを行い、将来にわたり社会保障制度を安定的かつ効率的に運営していくことを編成の基本方針としたものであります。
 幸い、厚生省予算は、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして、社会福祉、社会保険、保健衛生等各般の社会保障施策の推進に必要な予算措置を講ずることができ、これにより福祉水準は全体として維持されたものと考えております。
 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力を傾注する決意であります。
 昭和五十七年度の予算編成に当たりましては、真に必要な分野に重点的かつきめ細かい配慮を加え、各施策の合理化適正化を図ることといたしましたが、この際私の特に留意した点を申し上げたいと存じます。
 第一に、本格的な高齢化社会の到来を控え、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保並びにこれに必要な費用負担の公平化を図るため、予防、治療、機能訓練等を総合的に実施する老人保健制度を本年十月に創設することとし、特に保健事業について重点的に配慮することとしたことであります。
 第二に、昭和五十六年度の消費者物価上昇率は五%を下回る見込みでありますが、所得保障の中核であります年金制度におきましては、厳しい財政状況下ではありますが、拠出年金の物価スライドを特例的に実施し、福祉年金及び遺族年金等についても改善を図ることとしたことであります。
 第三に、低所得階層、心身障害児・者、老人等社会的、経済的に弱い立場にある人々に対しては、引き続き着実にその福祉の増進を図ることとし、生活保護基準の引き上げ、身体障害者社会参加促進事業の充実、老人家庭奉仕員の増員等による在宅福祉対策の拡充強化を図るとともに、社会福祉施設運営の改善等を行うことといたしました。
 第四に、国民の保健医療を確保するため、僻地医療体制の計画的な整備、救急医療、医療従事者の養成確保、母子保健対策、精神衛生対策の充実を図ることとしているほか、国民の健康づくりの推進、保健所等の整備充実、難病対策等の拡充を図ることといたしております。
 以上のほか、生活環境施設の整備、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、医薬品安全対策、血液、麻薬、覚せい剤対策、環境衛生関係営業の振興等につきましても、その推進を図ることといたしております。
 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきましては、格段の御協力をお願いいたす次第であります。
#10
○委員長(粕谷照美君) 次に、初村労働大臣から説明を求めます。労働大臣。
#11
○国務大臣(初村滝一郎君) 昭和五十七年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は、五千十六億六千五百万円で、これを前年度予算額四千九百九十億九千八百万円と比較いたしますと、二十五億六千七百万円の増加となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予算額とも一兆四千八百六十五億二百万円で、これを前年度予算額一兆三千六百四十二億九千四百万円と比較いたしますと、一千二百二十二億八百万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予算額とも一兆七千二百五十二億三千七百万円で、これを前年度予算額一兆六千七百八十二億六百万円と比較いたしますと、四百七十億三千百万円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予算額とも二兆二千四百六十三億五千五百万円で、これを前年度予算額二兆一千百九十六億四千五百万円と比較いたしますと、一千二百六十七億一千万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百八十七億三百万円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百九十二億七千五百万円と比較いたしますと、五億七千二百万円の減額となっております。
 昭和五十七年度の予算につきましては、臨調第一次答申を最大限に尊重し、一般行政経費の抑制や補助金等の整理合理化を初め、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、節減合理化を図ることといたしました。一方、雇用失業情勢等の社会経済情勢に即応した高年齢者対策や心身障害者対策及び財形政策等について重点配分を行い、きめ細かく、かつ効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。
 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
#12
○委員長(粕谷照美君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#13
○委員長(粕谷照美君) 速記を起こして。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○対馬孝且君 参議院改革の初の常任委員会に対する委嘱審査ということになりました。きょう私は労働省関係にしぼって御質問申し上げたいと思っております。
 まず、大臣、冒頭お伺いしたいことは、いま大臣から労働省所管にまつわる予算の概要が説明されました。そこで、全般的に見ますと、前年度に対比をいたしまして、いま大臣からの説明によりますと、全部前年度予算額の増あるいは現状維持というふうに私は理解しているわけですが、ただいまありました石炭並びに石油特別会計の財源による石炭勘定分が実は五億七千二百万減額となっている。これに対しては、高齢者対策を含めましてきめ細かい配慮をして対策をいたしてまいりたいと、こういうことなんであります。
 これは額面にして五億七千二百万というかなりの大きな数字でございます。もちろん緊就、開就による高齢者がある程度の年齢に達しまして、それによる退職というようなことももちろんおありだと思います。しかしこの部分だけがかなり大きな減額になっている。こういうことになっておりますので、この点、もちろん行革、臨調の行革の理念に絡んでということはございますけれども、もっとそこらあたりを、労働省としてどういう受けとめ方でこの減額をこうせざるを得なかったのかということをまず冒頭お伺いをしておきたいと思います。
#15
○政府委員(関英夫君) 先生御承知のように、労働省の石炭対策の財源になります原重油関税、その辺の収入が、最近におきます省エネの進展に伴いまして、どうも伸びが見られないというふうに財源的に非常に苦しい状況にあることは事実でございます。しかしながら、石炭対策の重要性は少しも変わるところがございませんし、私ども必要な予算は確保しなければならないということで予算編成に臨んだわけでございますが、先生もちょっとお話しございましたような点、あるいはその他炭鉱離職者という数、そういう対象者の数の減、こういうものを積算いたしますと、現在のような予算額になるということでございまして、従来の施策を後退させたり軽視したり、そういうことで予算編成をいたしたわけではございませんで、これからも石炭対策上必要な予算は確保していきたいと考えているところでございます。
#16
○対馬孝且君 いま関安定局長から、一応このことによっていわゆる政策の後退はないという答弁ですが、確認する意味で申し上げておきたいのは、特に石炭勘定の中で、いわゆる緊就、開発就労の関係での削減、こういう現象が出てくるのかどうか。この点、自然退職とかそういうことは、当然ですからあたりまえのことでありますけれども、ただこの削減に伴って緊就、開就に実は切り込みをするのか。つまり切り込みがあるのかという点の認識。そういうことになるとこれは政策の後退につながるもんですから、そこをちょっと確認しておいてもらいたいというあれがあるもんですから、ひとつ改めて確認したいと思います。
#17
○政府委員(関英夫君) 炭鉱離職者関係の就労事業につきましては、従前から実施してきておるわけでございますが、相当長い年月にわたって今日に至っておる関係上、そこに働いておられる方々も次第に高齢の方が多くなってきております。そういう意味で、こういう就労事業に引き続き就労していただくことが非常に困難な高齢、病弱者も出てきている現状にあることは先生御承知のとおりでございます。
 で、昨年実は失業対策事業につきまして、高齢、病弱者につきまして自立、引退を促進するという意味で特別の援助措置を実施いたしましたが、炭鉱関係の事業についてはこれを実施しなかったところでございますが、同じような措置を実施してほしいという要望もまた一部にあるわけでございます。しかしまた同時に、そういったことがこの事業の急激な廃止につながるんではないかというふうな不安を抱く向きもあることも事実でございます。私どもこれをやみくもにやめていこうということではなくて、ただいま申し上げましたように、非常に高齢になられ、あるいは病弱となられて、もはやこの事業に就労することが非常に困難な、そういった方々につきまして円滑に自立、引退をしていただこうということで、来年度、失対事業におけると同じような特別の援助措置をとることにいたしております。そういうことによりまして、多少の就労者の減というものを見込んで事業を計画する、そういった予算は組んでおります。しかし、それは決して、まだまだこの事業に就労することが十分できる方々がおられるにもかかわらず、この事業をやめてしまうという意図のもとに行うものでないことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#18
○対馬孝且君 そういう実態は、いま安定局長が言われましたことは私もそれなりに理解をします。ただ問題は、高齢者の来年度に向けてのいまお話がございました点については、もちろんこれは九州が中心でございますから、ひとつ十分現地段階の御意見、地方事情等も十分入れられて、結果的には当事者が理解をしないというようなことのないような配慮を含めて十分対処してもらいたい。これを要望しておきます。これは要望だけしておきますから結構です。
 それでは、きょう私は限られた時間でございますけれども、出稼ぎ労働者の全般の問題について一回、労働省の考え方、それから厚生、建設省の考え方をまずお伺いしておきたいと、こう思います。
 第一の問題ですが、通年雇用対策ということをかねがね私も当委員会で申し上げてまいりました。通年雇用の基本的な態度についてどういうふうにこれから進められていこうとするのか。一つは通年雇用の進捗状況とこれからの通年雇用に対する基本的な対策、方針をまず冒頭にお伺いしたいと、こう思います。
#19
○政府委員(関英夫君) 出稼ぎ労働者といいますか、あるいは季節的な就労をされる季節労働者といいますか、定義が非常にむずかしゅうございますし、実態もしたがって把握が非常に困難でございますが、一つの考え方として、一カ月以上居住地を離れてそして就労される、そういう出稼ぎ労働者、これを職業安定機関の調査で把握いたしておりますが、それによりますと、約三十万人、うち北海道で五万人というふうに承知しておりますが、もう一つの見方といたしまして、毎年就労とそれから季節的な失業、離職を余儀なくなされる、そして雇用保険の特例一時金、これを受給いたします労働者、これを見ますと、昭和五十五年度で約七十三万人という多くの数に上るわけでございます。このうち北海道が約三十万人と圧倒的多数を占めておるわけでございます。
 先生の御質問は、むしろこの広い意味において、必ずしも居住地を離れて出稼ぎしているとは限りませんが、季節的に離職を余儀なくなされるような季節労働者の雇用を安定させるために、通年雇用を促進すべきである、その対策の進捗状況と、こういうことと理解いたしましてお答え申し上げたいと思いますが、労働省といたしましては、まず通年雇用奨励金制度、それから積雪寒冷地冬期雇用促進給付金制度、こういうようなものを持っておりますし、通年雇用を促進いたしますための融資制度等もあるわけでございますが、こういう諸制度を積極的に活用いたしまして通年雇用の促進に努めておるわけでございます。
 で、通年雇用奨励金制度の対象となった労働者数は、昭和五十五年度において約二万四千人、うち北海道が六千七百人というような進捗状況でございます。
 また、いわゆる積寒給付金、この支給対象となりました労働者数は、昭和五十五年度で十六万七千人、うち北海道が十三万一千人、こういうような状況でございます。
 季節的な就労者の雇用の安定のためには、何としても通年雇用を促進することが重要でございますので、労働省のこういった施策もさらに積極的に活用しながら通年雇用の促進に努めてまいりたいと思いますが、基本的にはその産業、事業におきまして通年雇用、通年施工、通年的に事業を行うような工夫がまず何よりも大事ではないかと思っておる次第でございます。
#20
○対馬孝且君 そこで私は――労働省の方に一部いっていると思うんでありますが、北海道の季節労働者の白書というのが、そちらに送付してあると思うんでありますけれども、これを全部やるわけにはいきませんから、これを集約したものがございまして、北海道教育大学の三好教授にこれを一年がかりで取りまとめをいたしていただきました。この中に安定局長が言われるようなことを収録した統計が全部出ているわけでありますが、これでいきますと、七年から十二年間というのは一定の建設業者に定着をしておるんですね、ほとんどの方が。これが定着していながら通年雇用になかなかかわっていっていないと、こういう特徴が出ているわけです、これは後で差し上げますけれども。これを見るとやっぱりこれは問題点があると思うんですよ、局長。同じところに実際本来通年雇用されるべき者が七年も十二年も同じように毎年毎年千葉組とかあるいは関紙とかいうところに結果的にはこれは行っているわけだ。本来的には通年雇用体制としてこういうものこそ切りかえていくべきだ、定着さしていくべきだ。それがなかなか実態ではそうなっていない。これは結果は数字ですから、数字はうそを言いませんから申し上げますが。
 そういうところからいきますと、私はやっぱりいま行われている通年雇用の制度、特例の一時金の扱い、積寒給付金制度、それなりに手だてをしていただいているわけですが、もっとこれを――労働省段階ではなかなか私は限界があると思います。そういう意味では、建設省あるいは農林省、運輸省という、俗に三省協定と言われる、後で申し上げますが、三省協定賃金に関係する行政官庁がある程度積極的に仕事づくりをしてもらう。もちろん、地方自治体のこれからの公共事業の確立ということももちろん必要なことですけれども、ある意味ではそういうものをもう少し横の連携である程度整理して、そういう中で定着していくというようなそういう体制がとれないかということを、一度特に自治大臣に申し上げたことがあるんですが、特別交付金で仕事を地方に発注するというような制度をもう少し制度的にひとつ考えてもらうという意味で、何らかこういう関係の、通年雇用制度に切りかえていくための関係省庁の、もちろんこれはあると思うんですけれども、雇用対策連絡会議という場でもうちょっと深めていった方がいいんではないか。私はこういう意見を持っているわけです。
 この点ひとつ、今後通年雇用の充実に対して――特に北海道の場合は相変わらず通年雇用はそうふえてはいない。それはそれなりの労働省の努力でふえて、若干のあれはあるけれども、むしろ定着性がないという点を私は非常に心配しているわけです。この点ひとつお伺いをしたい、こう思います。
#21
○政府委員(関英夫君) ただいまの白書自体は私もよく勉強さしていただきたいと思いますが、お話にございますように、問題の一つは、毎年毎年同じ作業に、あるいはさらに同じ事業主のもとで従事しながら、しかし毎年離職を繰り返す、失業を繰り返すところにあるわけで、たとえば製造業におきますと、東北地方から出稼ぎ労働者を季節的に雇用いたしております場合に、毎年同じ方に来ていただくとすれば、たとえば期間雇用というような特別の、年間フルタイムで働く人とは違いますけれども、全く臨時雇用ではなくて、身分を安定させてその人が毎年毎年安心して就労できるような体制をつくった力することも指導もいたしまして、できてきておるわけでございまして、一挙に冬期施工が無理であっても何らかの形で雇用を安定さしていく、そういった努力が必要であり、定着を図っていくことが必要であると思います。
 そういう意味でこれからも私どもも努力いたしたいと思いますが、基本的にはやはりその産業、事業が年間を通じて行われることが一番望ましいわけですし、一挙にそこまでいかぬとすれば、その冬のオフシーズンを自治体の工事なり、いろいろな形で補っていくことも当面は必要なことでございます。先生がいつもそういった問題をお取り上げになり、私どもも自治省に特別の財政的な配慮をお願いしてもおりますけれども、これからも関係各省と十分に連携をとりながら長期的対策、それから当面のそういった対策、その両者についてさらに努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
#22
○対馬孝且君 そこで、いまそういう対策をとってまいりたいということですから、ひとつもう少し、われわれも決して労働省だけに言っているんじゃなしに、毎年予算の十月段階、十二月段階ではもう自治大臣と何回も私ども折衝をやって、ある程度は特別交付金による地域の特別事業発注ということを目安をつけて、市町村別にある程度のあれを出してわれわれはやっているわけですから、これは北海道の特有なあれということでなしに、そういう意味でもうちょっと促進をされる、これをもっと進めていく手だてというのがあっていいんじゃないか。だから、そういう意味では、私が先ほど申しましたように、雇用対策、通年雇用関係省の雇用対策促進会議というふうな横の連絡をもうちょっと強化されていいんじゃないか。
 こういうふうに考えていますので、ここらあたりもう一歩私は積極的に取り組んでもらいたい。後から申し上げますけれども、実際いま、五十五年度は二十九万の北海道季節労働者が現実には三十万を突破してしまった。減っているんじゃないんですね。これを見てみれば、労働省の数字ですが、三十万を超えてしまっている。こういう状態をひとつ認識をして、そこらあたりの通年雇用への強化対策というものをもっとひとつ積極的に進めてもらいたい。このことについて大臣に姿勢をお伺いしておきます。
#23
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおりに、通年雇用促進のためにもっと強力な政府各省庁の連絡会議でもつくったらどうかというような御意見が出まして、私ももっともであると受けとめます。したがいまして、特に関係の深いと思われる建設省ですね、あるいは運輸省等ともよく横の連絡をとって、そういう方向に前向きで進めていきたいと思います。
#24
○対馬孝且君 いま大臣からそういうお答えがございましたから、安定局長の言われることを十分理解しますので、そこらあたりをさらにひとつ、通年が一年経るごとに何千人ふえた、あるいは何万人ふえていったと、こういう報告が得られるように希望しておきます。この点申し上げます。次に、三省協定の賃金につきまして、建設省来てますかな……。これは三省協定賃金が御案内のとおり、元請、下請、公共事業発注の段階で毎年六月と十月に見直しをして決めるわけですね。実際問題としてこれはどういうふうにつかんでおりますか。いま通称言われる出稼ぎ労働者の賃金実態というのをまず労働省にお伺いしたいのでありますが、これは北海道の例を後で私申し上げますけれども、大体どの程度の水準にあるか。通称いま九十日、特例一時金の場合、あるいは積寒給付金制度適用者でも結構でありますが、大体どのレベルに出稼ぎ労働者の賃金水準があるか。年収で結構です。年収で結構ですから、大体三段階ぐらいに分けてちょっと出してください。
#25
○政府委員(石井甲二君) 建設業関係についての出稼ぎ労働者の賃金につきまして申し上げます。
 昭和五十六年、月額でございますが、事業所規模三十人以上におきまして二十二万二千二百六十八円と、こういうことでございます。
#26
○対馬孝且君 建設、土木あるいは雑役でいいですから、年収をちょっと出してくれと、こう言ってるんです、年収を。
#27
○政府委員(石井甲二君) いま調べておりますので、ちょっとお待ちください。
#28
○対馬孝且君 ちょっと認識の意味で私は申し上げたいんだけれども、これは先ほど申し上げた昨年の集約をしました調査によりますと、これはこういうふうに出ているんです。これは北海道の場合、関安定局長も言いましたが、いわゆる積寒給付金対象、特例一時金対象者中心でありますが、大体三十万人を対象にしてやったあれで言いますと百七十四万八千円なんです。出稼ぎ労働者の、季節労働者の年収の総収入が百七十四万八千円。これは間違いありませんから、これは北海道庁の方に確認した数字でありますから申し上げます。それから一般の民間平均でいきますと三百四十六万四十四円、もちろんこれは賞与、ボーナスも全部入っています。こうなっていきますと、季節労働者と民間平均をこれはとってみたのでありますが、もうこれは全く話になりませんね。これは大臣、ひとつ認識してもらいたいですがね。
 そこで、厚生省が来ておりますから、ぼくはちょっとお伺いするんですが、いま生活保護世帯の一級地の生活扶助、教育扶助、住宅扶助を入れまして幾らになりますか。
#29
○政府委員(小林功典君) 標準四人世帯で申し上げますと、一級地該当で月額十四万三千三百四十五円、これは五十七年度の予算の数字でございます。
#30
○対馬孝且君 教育、住宅扶助を全部入れて。生活扶助だけじゃないだろう。――じゃ、いいです。
 これはことしの五十七年度予算案で言いますと、生活扶助でいまあなたが申された十四万三千三百四十五円、教育扶助が千五百九十円、住宅扶助が九千円、トータル年収に直しますと百八十三万四十円、こういうことなんです。これは厚生省のデータですから。
 ところが、私が申し上げましたように、北海道の季節労働者が――これは大臣ね、建築、土木です。全く家族離れ離れで、奥地に入って農地開拓事業あるいは河川治水、こういうところへ行くわけです。そうしますと百七十四万八千円、私が言ったように。これは北海道庁も確認していますがね。ところが生活扶助の方が百八十三万もやっているんだよ。これは一体どういうことだと言うんだ。私はここが問題だと思うんですよ。それで通年雇用の意欲を燃やせとか、すぐ官僚の方はおっしゃるんだけれども、こういう結果が出たんでは、私はこれから建設省にお伺いするんだけれども、それで三省賃金というのは一体守られていると思っているのか。現在守られているとあなた方認識していますか、この点について。これを含めてまずお伺いしてから、労働省にもお伺いします。
#31
○説明員(熊新六君) 先生御案内のように、三省協定賃金といいますのは、農林水産省、運輸省、建設省の三省で毎年二回実態調査を行いまして、それで対象労働者数にして約十五万、それから対象工事件数にして約一万というかなり相当広範囲な賃金実態を調査し、その賃金台帳から写す、複写または転記ということでやっておりまして、われわれといたしましては、実態の把握は十分にされているというふうに考えておるわけでございますが、ただ調査なものですから、統計の処理の問題がありまして、調査段階ではそれよりも高いもの、あるいは低いもの、いろいろございまして、それは個々の労働者の方々の能力とか、あるいはその職場の労働条件等々で決まってくるものだというふうに考えておるわけでございます。
#32
○対馬孝且君 いま建設省のお答え聞きますと、当該労働者と当該の事業所で決められるべきものであって、高い低いがあると言うが、実際はそうじゃないですよ、あなた。これは三省協定というものであなた方書類一つ飛ばして守られると思ったらとんでもない話ですよ。これも北海道庁で確認した数字だ、私申し上げるけれども。これは一般建設業でもって四五・二%より守られていませんよ、三省協定のこれで。このとおり、これをあなたに差し上げてもいいよ。それからあなた、時間もあれだから個々のことを申し上げないが、セメント製品製造業で四一・四%、採石・砂利業なんというのに至っては二九・一%ですよ、これは。林業なんか二九・三%より守られていないよ、現実の問題として。そんな大きいこと言ったらだめだよ、君は。こういう数字が出ているんだから、数字はうそいわないんだから。
 こういう状態があるということを踏まえて、私は、三省協定の問題では、一つは建設省は、本当に雇い入れ通知書が、果たしてそれじゃどこまで雇い入れ通知書が出されているのかあんたにお伺いしますよ、どこまで雇い入れ通知書がきちっと確認されて雇用が結ばれているのか。どういうふうに把握していますか、それじゃ。
#33
○説明員(熊新六君) 個々の事業所あるいは企業の具体的な賃金の決め方等につきましては把握してないわけでございます。ただ、賃金水準そのものについて建設省あるいは第三者として云々はできませんけれども、いろいろ通達等で、労働基準法とか、いろいろな最低賃金法というような法令を遵守して、直接毎月一回以上とか、あるいは直接労働者にとか、金額とかというような意味の適切な賃金の支払いというようなことの指導はしておるわけでございます。
#34
○対馬孝且君 あんたはやっぱり全然調べてないから答弁になってないよ、君は、はっきり申し上げて。雇い入れ通知書が現在――全国平均の例で私申し上げますか、あんたそんなこと言うんだったら。何も調べてないんじゃないか、君、そんなこと言ったって。雇い入れ通知書が実際に全国的にどれだけ把握されているかとぼくは聞いてるんだよ。建設省として、どれだけの雇い入れ通知書が今日の業種全体の中で、大体粗筋でいいから、大体どの程度と把握しているか。何も把握されてないじゃないか、君らのところで。
 私がここに持っているデータでいくと、雇い入れ通知書を現在出しているのは、昨年の十二月末の段階で五七・三%より出していませんよ、出ていませんよ、雇い入れ通知書を実際に出しているのは。あとは出てないということ、雇い入れ通知書が。出てないで雇用されているということだよ、ぼくが言っているのは。そういう現状というのはまだ徹底されてないということだ。だから元請、下請の関係でいけばいくほど、いかに安易な労働というか、むしろ全く前時代的な雇用関係ということになっている。私はこれを指摘したいんだよ。こういう認識を踏まえて、三省協定というものがどう守られていくかということにいかないと、これはやっぱり問題ではないか。こういう意味で私はあなたに言ってるんであって、そういう認識は建設省お持ちなのかということを私は言ってるんです。だから、お持ちならお持ちでいいんだよ、なかったらなかったでいいけれども、その点を聞いてるんだよ、ぼくは。
#35
○説明員(熊新六君) ちょっと勘違いしておりまして、先生御指摘のように、特に建設労働者の場合は、雇用関係そのものが必ずしも明確にもなってないという数は相当ありまして、それはわれわれも十分知っておりまして、労働省とも絶えず連携をとりまして、現実を厳しく踏まえまして今後とも努力していきたいというふうに思っております。
#36
○対馬孝且君 そこで建設省ね、一応六月、十月見直しをして翌年度を決める。見直しをする。ところが建設業協会で資料を出さないんだよ、問題は。これで困っている、はっきり申し上げて、公開しないんだよ。たとえば土木とか、あるいは一般建設とか、あるいは土石業とかという労働者のあれが三省協定で決まったにかかわらず、業者に対しても通達を余りしてないし、あるいは業者もまた公開しようとしないんだ、これはっきり申し上げて。だから、そこのところ格差ができているということですよ。同じ土建業であっても格差がある。
 現実、北海道で申し上げると、これデータがありますから、私は北海道の例を申し上げるのだけれども、一万三百円、高い方で一万三百円、低い方へいくと七千円と、同じ作業をしていながら実態はそういうふうに格差があるんだよ。私が言うのは、北海道建設業協会で、一応三省協定に従って、仮に一般土木なら土木は大体七千円から八千円です。いま。大体八千円。八時間で八千円と出たら、それを公開をしてむしろそれを守らせる。それでなければこれは意味がないでしょう。この三省協定を出したという意味は、少なくとも三省が一定の協定をしてその水準を出したとするならば、働く労働者がその賃金をもらわなければならぬわけだ、当然。そのために出しているんだ、三省協定というのは。それが全然守られていないという実態があるということを私は申し上げているわけだ。
 それに対して、いまあなたは労働省と連絡、行政指導しているというんだが、私は、そういう守られない事業主に対してはもう公共事業を発注しない、こういう強い歯どめがなかったら、これは守られませんよ、ぼくははっきり言って。そこらあたりが基本的な問題だ。これに歯どめをかけ守らせる、遵守させるためにはどういう手だてがあるか、ぼくもいろいろ聞いてみたの、北海道で業者を集めて。やっぱり守るところは守っても、守らないところは守らないということになるから買いただきになるわけだ、結局。そういう業者に対してはもう公共事業は発注しないと、地方自治体の場合でも国の場合でも、そこまでの態度をとらないと、これは出稼ぎ労働者というのはもう奴隷社会だ、私に言わせれば。一定の人間、人たるに値する生活を守るためにはそのぐらいの歯どめをかけ、そういう姿勢を堅持するくらいの行政指導をするならすると、こういう態度をお持ちなのかどうかということを聞きたいんだ、ぼくは。
#37
○説明員(熊新六君) 三省調査額そのものは、都道府県別平均値という形で、職種別平均値ということで公表をしておるわけでございますが、実際のそれに基づきまして決められる設計労務単価といいますか、これは積算の一部を、あるいは予定額の一部を構成するということで公表はしてないということでございます。
 それで、もう一つお尋ねの、都道府県別の平均値としての調査額を守るように業界を指導できないかというお尋ねであろうと思うんですが、それにつきましてはわれわれはこう考えておるわけでございます。あくまで三省調査額は毎年行う実態調査の平均値を公表しておるということでございまして、具体的な個々の労働者の賃金水準というのは、やはりその人の能力とか、あるいは経験年数とか、あるいはその会社の経営状況とか、いろいろ複雑な要因がありまして、基本的に労使関係で決めるべきもんでございまして、建設省としてこうこうという指導はできないんじゃないだろうかというふうに考えております。
 もちろん、労働福祉の問題とかいろいろな面で、建設労働者の福祉の向上、あるいは労働条件の改善というようないろんな施策なり指導は一般的にはしていきたいという気持ちは持っておるわけでございます。
#38
○対馬孝且君 建設省というのは一体どういう認識を持っているのか。たとえば労働省が地域最低賃金というのを決めているわけだ。地域最賃以下の状態もあるということを私は言っているんですよ、これ。そういう状態の中で三省塁が全然――平均は、もちろんそんなこと君が言わなくてわかっているんだ。そんなことを言っているんじゃないんだよ。それすら守られていないということに対して、ただ行政指導しますという抽象論ではだめだというのだ、ぼくが言っているのは。だから、そういう事業主に対しては――建設業界におたくは言ったといったって、これは私らのところに投書が来てますよ、そんなことを言ったら。この組は、この会社は現に三省協定は守られていないという投書が入っているんだよ。入っているんだったら、これやりようがないだろう、業者同士の中では。そういうものはチェックをしてわかったときには、きちっとやっぱり建設省は、そういうことについては次の公共事業を発注しない、こういうふうな通達を出すとか、あるいはそういう業界に次官通達も出すとか、あるいは局長通達も出すとか、そういうことをやらなければ、とてもこれは三省協定というだけであって守られていかないとぼくは言っているんだよ。そういう姿勢を堅持できないのかとぼくは聞いているんだよ。どうなんだ、それ、あんた。
#39
○委員長(粕谷照美君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#40
○委員長(粕谷照美君) 速記起こして。
#41
○説明員(熊新六君) われわれが行っております三省調査額は、公共工事の設計単価の資料とするためにやっておるわけでございますね。それで、その水準に合ってない賃金の支払い状況があるからといいまして、直ちに発注をとめるとかなんとかというようなところまではいってないわけなんでございます。
 それで、何回も言うようですけど、それは労使間で決めるべきものでありまして、さらに最低賃金法とかいろいろ労働基準法に違反するようなことは、それは労働行政の問題として許されないことだというふうに考えておるわけでございますが。
#42
○対馬孝且君 君はもう話にならぬわ、全然。そんな認識だから、あれだよ、三省協定を出して、書類だけ出したから何とか守られていると思っている。そんなこと知ってますよ。単価五千円以下の場合云々というようなこと、そんなことあんた常識だ。そんなことはこっちは百も承知で聞いてるんだよ。問題は、そういう三省協定が現実に守られないという実態がある。あるなら、その業者に対しては場合によっては次の公共事業を発注させませんよというくらいな姿勢を持たなければ、そういう賃金の水準というのは守っていかれないんだ。こういう行政指導はできないのかとぼくは言ってるんだけども、あんたが何回言ったって、できないならできないでいいんだよ、次の対策を考えるんだから。
 この点、労働省としてどういう認識持っておりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#43
○政府委員(石井甲二君) 労働省といたしましては、特に賃金の問題につきまして地域最賃あるいは産業別最賃をやっておるわけでございます。特に問題になりますのは、地域最賃が毎年決定されますから、これがそれを下回るということは、これは許されないことでございますので、監督を通じまして厳正に対処していくということになるだろうと思います。
#44
○対馬孝且君 いずれにしても、そういう歯どめになることをやらないと、これは結果的には特に不況になればなるほど仕事がない。ないから買いたたかれる、単価が買いたたかれる。だから、まあ下請まではまだいいにしても、孫請までいったらもう全然話にならぬ。結局やみ協定みたいなもんで、もう買いたたかれ放し。大体あんたのところで、いまだに北海道にこういうこと、後から差し上げますけれども、土木で五千円そこそこですよ、五千円前後。これはっきり申し上げる、これに全部出てますからね。こんなことなんて許されないと思うんだ、私は。労働の汗を流すことは同じなんだよ、労働の汗かくのは。こういう状態に対してやっぱり建設省みたいな感覚でやるから談合問題が起きるんだよ、ぼくに言わせたら。談合問題の金があったら、本当にこんなの労働者にまともな賃金が払えるんだ、それ以上の賃金が払えるんだ。そういう談合が起きる根源というのはそういうことにもあるんだよ。本来談合とかそういうことがなかったら、まともな賃金が払える、これははっきり言って。まともな賃金以上のものが払えるよ。建設省が談合になまぬるい今日までのことをやってきたから、今日こう買いたたかれて、結果的には労働者の賃金を抑えられる。奴隷だよ、私に言わせたら、こんなもの。そういうことに対して、いや、そのまた認識は、なかなかそう簡単にいきませんなんて、何言ってるか、君。そういう建設省の姿勢だから、談合なんかができるんだよ。これは後で徹底的に建設委員会で私はひとつやりたいと思いますから申し上げておきますよ。
 いずれにしましても、いま基準局長も言われましたように、実際には最低賃金、地域最賃すら守らない実態がある。こういうことの数字が出ている限り、私はもっと積極的な賃金の行政指導をするということが一つ。
 それともう一つは、いまなお最近傾向としてふえてきておることは、単価が買いたたかれたのはいいけれども、一夜にして社長が逃げちゃってだね、夜逃げしちゃって、賃金が未払いになっている。この現象は、まだ北海道では相変わらずこれは続いております。こういう問題に対しては、もちろん賃確法があります。賃確法はあるが、その賃確法をもう少しきちっと守らせて、そして不払いかないような、遅払いが起きないような行政指導の体制だね。特に出稼ぎ労働者の場合、季節労働者の場合、一番そこがたまり場になっているわけです、一番やりやすい場所なんです、事業主が。ここらあたりに対して今後どういう対策を強化していただけるかと、これをお伺いしたいと思います。
#45
○政府委員(石井甲二君) 出稼ぎ労働者に係る賃金未払いの問題でございますが、現状を申し上げますと、基準監督機関において把握した建設業の出稼ぎ労働者につきましては、昭和五十六年の上期におきまして、件数で七十七件、対象労働者数で三百六十七名、金額で五千八百三十六万八千円という数字を把握をいたしております。
 申すまでもないことでございますが、賃金の未払いということにつきましては、労働条件の基本的な問題でございますし、また労働の対価が支払われないということについては大変重要な問題でございます。労働省におきましては、いわゆる賃確法によって一つの対応をいたしておるわけでございますが、しかし賃確法があるから、これによって事業主の責任がそれで満たされるということではないと思いますし、また賃確法自身も最高四十七万円程度でございますから、そういう賃確法を安易に利用するということによって責任を免れるという風潮は、これは断固としてあるべきことじゃないと思います。したがいまして、まず何よりもその賃金が支払われるように監督、指導をする。場合によっては、それを支払わないということになりますと、基準法に上りまして監督権限を行使するということを通じまして厳正に対処をいたしたいと思いますし、特に先生御指摘のように賃確法を安易に利用して、それを隠れみのにするということは、断固としてこれを許さないという態度で対処してまいりたいと思います。
#46
○対馬孝且君 いま基準局長からはっきりした答弁が出ておりますから、それをさらにひとつ強化をして指導に当たってもらいたいということを強く申し上げておきます。現実はどうも最近の傾向がまた悪い傾向にいっていますね。
 不況という言葉を逆用しまして、言うならば悪周して、そして賃金遅欠配をやるという傾向が非常に出てきております。そこらでもう一回チェックをしていただいてひとつ強化した指導をしてもらいたいと特に申し上げておきます。
 それから建設省に、先ほど私が言ったのが実態ですからね。生活保護法以下の季節労働者の実態になっている、はっきり言えば。昭和五十七年度一級地で百八十三万四十円だ。しかし、北海道の例を先ほど私が申し上げましたが、現実に百七十四万のベースである。これ自体がやっぱり私は問題だと思うんだ。そういう意味でこの三省協定賃金のベースを見直すということ、引き上げると、こういう方向をこれからひとつ、この資料を後で差し上げますから、これをひとつ参考にして、今後賃金引き上げの問題について検討してもらいたいと、これを申し上げておきます。どうですか。
#47
○説明員(熊新六君) 非常にむずかしい御質問なんですが、われわれといたしましては、賃金の不払いとか、あるいは賃金低位水準とかいうものの大きな原因が、元請、下請関係ですね、元請が十分な下請代金を払ってないようなそういうような事態もあって、結果的に、根本原因といいますか、そういうようなこともあるんじゃないだろうかということで、御存じのように元請・下請関係の合理化指導要綱等を定めまして、元請はその下請に対して適正な賃金を支払うように、現金払いでと、できるだけ現金でというようなことも従来からやってきておるわけでございまして、今後ともそういうような徹底、あるいはもちろん関係法令のさらに一層の徹底というのを図っていきたいというふうに思っております。
#48
○対馬孝且君 一応答弁はいまの段階での答弁ということでとどめておきたいが、後からこれ建設委員会でやりますから。
 そこで次の問題にひとつ入りたいと思いますが、出稼ぎ労働者の退職金共済制度について、現在、労働省として、どのくらい加入して共済制度が適用されているかということを把握をしておりましたら、まず数字を発表してもらいたいと思います。
#49
○政府委員(石井甲二君) 建設業退職金の共済制度でございますが、現在、加入している建設労働者が約百三十五万人でございます。ただ、その中で出稼ぎ労働者がどのぐらいいるかについて全体的に把握するという調査が現在実はございません。中小企業建設業全体での建設業退職金共済制度の加入率は約四〇%でございます。そういう実態でございます。
#50
○対馬孝且君 いま基準局長が言われた大体百四十万の四〇%と、こういうふうに私も全国的な趨勢の数字は押えています。そのとおりだと思います。ところが、その北海道の三十万の季節労働者の建退共に加入している実態というのはどうなっているかということも、これ実は数字が出ておるんでございますけれども、これでいきますと――もちろん規模によりますわね。参考までにちょっと申し上げますと、五人から九人までの事業規模、これは退職金共済制度に加入していないというのが全体の九三%、これは入ってないんですね。入っているのは七%、こういう数字が出ています。これはびっくりしましたな、私もこれ見まして。それから三十人から百人規模でいつでも、これは退職金制度に加入している、「ある」というのが四一・七%、それから「ない」というのが五八・三%ございます、基準局長。これも後で数字差し上げますから。これでは私は、退職金なんて、普通の企業のような、それこそ労使間の退職協定で大体慣行として一年一カ月というような、これはいまの定説ですが、そんなものでないです、基準局長御存じのとおり、建退共の場合は。それなのに、こういう十人規模でいくと七%。これはほとんど退職金制度がないといった方が私はいいと思うんです。はっきり申し上げて。こういう状況が実態なんで、いまあなたも全国の実態を言ったって、いま言ったように四〇%だ、あとの六〇は実際は入ってないと。
 こういう問題についてもっと具体的に、どう積極的にこれを建退共に、林業共済制度に加入させていくか。これがせめてもの出稼ぎ労働者の本当の最低の願いだ。こういうのが率直に出ているんですが、この点どのように今後加入の促進について指導されようとしているのか、またはその強化をしていくべきだと、こう思いますが、どういうふうに対策をお立てになりますか。
#51
○政府委員(石井甲二君) 北海道につきましてそのような状況であることを先生からいまお聞きしたわけでございますが、いずれにせよ、退職金共済制度の趣旨からいたしましても、そういう建設業が大変重要な目標といいますか、対象であるということは、これは確かでございます。したがいまして、建設業につきましては、建設業退職共済組名という別の一つの体制をとりましてこれを実施しておるわけでございます。今度林業が入りまして建設業と合同いたしましたけれども、そこが中心になって一つのプロモートをするわけでありますが、労働行政としましては、都道府県あるいは事業主団体等に対してまして、PRあるいは具体的な加入促進についての御援助をお願いすることにいたしております。特にいま御指摘の北海道につきまして、さらに詳しく現地の事情等も把握をいたしまして、具体的な促進の方策について検討してまいりたいというふうに考えております。
#52
○対馬孝且君 昨年の十二月それからこの間の二月の段階でも、全国の出稼ぎ連の代表と労働省と話し合いをいたしたときに、この追跡調査がまだ十分でないんじゃないかと、はっきり申し上げてもっと追跡の調査をはっきりやられていないから、そこらあたりの対策というものが強化されていかないんじゃないかと、こういうかなり不満が出稼ぎの代表から種々訴えられたとおりであります。これは課長が出ておりますから知っていると思うんでありますが、そういう点でやっぱりもう少し建退共、林業共済制度ももちろん今度できましたけれども、そこらあたりの促進的な指導、追跡調査というのをもう一回やってみる必要があるんじゃないか。いま局長もおやりになるということですから、この数字も差し上げますけれども、これをもう一回やって、具体的に都道府県別に、もっときめ細かいということよりも、先ほど私を言ったように、建退共などに加盟しないような、共済制度も設けられてないような事業主に対しては、むしろ公共事業の場合はひとつ仕事を与えないくらいのやっぱり指導していかないと、なかなか私はこれはそういうふうになっていかないんじゃないか。もちろんそれを何も私は決め手にしてというんじゃなしに、そのくらいの姿勢をもって対処していかないとなかなか……。
 私も北海道の建設業界の代表ともお会いしました、去年。会って、いい退職金制度には最大の努力をいたしますと、私どもに言ってくれているんだけれども、それはもちろん事業主の理解、あるいは今日の労働基本権に対する認識、こういうものももちろんありますけれども、要は行政側の、政府の労働省としての指導、積極的に絶えずチェックしていく、私はこういうことも一つの方法だと思うんですよ。こういうなされてない事業主は公表する。罰の意味とか、そういう意味じゃない、公表する。ここには建設共済制度はありませんよというようなことを公表することも、これは一つの促進をするための手だてではないかと、こういうふうに私も考えておりますし、またそういう意見が率直に出されています。この点をひとつ含めてこれから強化対策として検討してもらいたいと、このことについてどうですか。
#53
○政府委員(石井甲二君) 御指摘のように、建設業の労働者の実態から見まして、この退職金共済制度を普及するということは大変重要だと思います。要は、これをどういう方法でこれを拡大しあるいは普及させるかという方法論の問題でございますので、いま先生が御提案になりましたことを含めまして検討さしていただきたい。
#54
○対馬孝且君 それじゃ、そういう点でひとつ積極晦な指導がとられることを期待しておきます。
 それでは次にいわゆる寄宿舎規程の関係で相変わらず事故が絶えていないというのがもう御案内のとおりだと思うんでありますが、昨年は札幌の定山渓の中山組というところで五人実は殉職をされました。それから大阪では御存じのとおり五十二年柳井組で十二名のとうとい出稼ぎ労働者の命が失われている。これは何かといえば、原因調査も、御案内のとおり調べておりますから、おわかりのとおりでありますが、まさに欠陥寄宿舎でございます。たとえば警報器がないとか、あるいは避難口が二カ所つくらなければならないのに一カ所しかなかったとか。中山組の場合はそうですね、これは。
 私は北海道の現地に行ってきましたけれども、現実にあの寄宿舎の中に避難口は一カ所なんだ。逃げたいといったって逃げ場所がなかったんだ。だからあえて焼け死ななくてもいいのが、実は犠牲になっている。完全な欠陥寄宿舎ですよ。こういう出稼ぎ労働者の欠陥寄宿舎という実態をどういうふうに認識をされているか、全国的にはどのくらいの欠陥寄宿舎があるか、このことについてどういうふうにお考えになっていますか。
#55
○政府委員(石井甲二君) 建設業、特に出稼ぎ労働者といわゆる附属寄宿舎との関連というのは、大変実態的にもまさに結びついたものでございます。そこで、いま御指摘の附属寄宿舎がある場合にどうなっておるか。建設業附属寄宿舎規程というものに照らしまして、法令違反の有無についての現状をちょっと申し上げたいと思います。
 五十五年における建設業に対する監督実施事業場数は六万二千百七十四件であったわけでございます。そのうち寄宿舎に関する法違反といたしましては、寄宿舎規則の届け出等に係る法違反が百四十四件、寄宿舎の安全基準に係るものが二百六十六件、寄宿舎の衛生基準に係るものが六十八件、寄宿舎設置届に係るものが八十二件、こういう状況でございました。これに対しまして、違反が認められたものに対しましては、必要に応じて使用停止命令等を行いまして、それぞれの是正措置を講じさしたところでございます。
 ただ、今後の問題といたしまして、さらに強力にこれの指導をしてまいりたいということを考えております。
#56
○対馬孝且君 この中山組と柳井組の欠陥寄宿舎の今回の犠牲の原因は、どういう認識をされていますか。
#57
○説明員(岡部晃三君) 五十二年の大阪における柳井建設の火災事故、先生御承知のように、十二名の非常に悲惨な事故でございます。それからまた今回の札幌における事故、いずれも火災でございますが、これにつきましては、法令の遵守が行われていなかった、建設業附属寄宿舎規程に照らしまして法違反があった、これが根本の原因であったと、私ども承知をいたしておるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この出稼ぎ労働者対策及び附属寄宿舎対策ということを非常に重く見たわけでございまして、来年度の基準行政の重点施策の一つにこの問題を掲げておる。こういう私ども対応をしておるところでございます。
#58
○対馬孝且君 大臣、いまお聞きのとおりで、これ全く死ななくてもいいんだ。柳井建設の場合も去年の札幌の定山渓の中山組の場合も、避難口があれば逃げれたんですよ。全く欠陥寄宿舎だ、いま認めているように。しかも柳井組の場合は刑事事件で、裁判で出ているんです、答えが。もちろん民法上の問題はまだ解決していませんけれども、刑事事件としては、もうおわかりのとおりでありますけれども、もう刑事判決が実は出ているわけですよ。
 ところが、出稼ぎに行って、私もまさに世は残酷物語だと思いましたね、この中山組の場合なんか見まして。何もあんな、ああいうところで、入り口をつける気があったら、なんぼでもつけられるですよ、避難口なんか。それなのに、行ったら、なるほど一カ所しかないんだ、全部聞いたけれども。全くかわいそうだ。これなんか稚内の果て、留萌の沿岸から来てるんですよ。これはもう半年ぐらい来てるわけだ、定山渓の山奥に。柳井の場合だって秋田県でしょう。秋田県から、山形から行って犠牲になったわけだ。こういう問題は、この暗い谷間に置かれてる労働者の実態というのは、余り社会でわかってないと思うんだ、はっきり言うと。こういう問題こそ政治の原点の問題だ、本当の政治の原点はここにある。こういう人こそ救われないで、どうして救われる人がいるか。私本当に、ほとほと、自分自身を含めて、反省させられてるんです。
 そういう意味でのこれからの対策というものを、いま基準局長の言う使用停止も含めて、やってもらわなきゃならぬけれども、こういう問題について大胆にひとつ業者側に対して――もちろんこれは刑事事件、民事のことはありますけれども、それ以前の問題として、どうしたら点検活動をやって欠陥寄宿舎というものをつくらせないかと、この指導が私は大事だと思うんです。もう二度と再びこういうことを繰り返さない、なんて弔辞で読むんだけども、そんな問題でないと思うんですよ。そういう意味での指導というものが、行政的な事前のチェック機能を強化するとか、あるいは指導体制を強化するとか、こういう断固とした姿勢がぼくは問われているんではないか。これは私も含めて、私もこの問題については本当に痛ましい事故だ、遺族の方に顔を合わせる気持ちがないと、こういう気持ちでいっぱいなんですけれども、大臣、この所見をひとつちょっとここでお伺いしておきたいんです。
#59
○国務大臣(初村滝一郎君) いま聞いて私もびっくりするわけでございますが、この寄宿舎の規則遵守は非常に大事な問題であろうと思う。そこで、出稼ぎ労働者の就労が多い建設業では、いまなお労働条件確保上の問題が多く認められておるわけなんですね。そこで昭和五十七年度、建設業附属寄宿舎規程に安全衛生基準というものが定められておるわけで、これは話を聞きますと昭和五十二年に一回やったきりでね、後やっとらぬということらしい。そこで、今度は五年ぶりにその全国一斉監督の実施をやろうと。これは何月ということは言われませんが、それをやって、一層この出稼ぎ労働者等の、建設業で働く労働者の労働条件の確保、改善に努めなければならない、こういう決心をいたしております。
#60
○対馬孝且君 いまそれを私言おうと思ったんです。いま大臣言いましたが、実際見直されてないんですね、この五十二年度以来。そういう反省というものを私は労働省もすべきだと思うんですよ、私も含めて。私の言ってるこういう残酷物語にさしたという責任はきわめて私は重大だと思うんです。そういう意味でひとつ見直しをして、この隠そういう点検を含めての強化活動をぜひひとつ実施に移してもらいたいと、このことを強く申し上げておきます。よろしゅうございますか。
#61
○国務大臣(初村滝一郎君) はい。
#62
○対馬孝且君 それでは次の問題に入ります。
 厚生省関係でありますが、季節労働者の日雇い健保の問題、それから国民年金、厚生年金加入の状況、それから政府管掌健保の問題もありますが、どういうふうに実態を把握されておりますか。
#63
○政府委員(小林功典君) 季節労働者と申しましても、その雇用形態は非常にまちまちでございます。で、社会保険の適用という面から申し上げますと、その雇用形態に応じまして、健保、厚年が適用になるべき方々、あるいは日雇い健保と国年が適用になるような方々、いろいろございます。いずれにしましても、そういう雇用形態で適用関係が変わってまいりますけれども、社会保険の適用事務という面から申しますと、その季節労働者という意味の区分けをしておりませんので、現在の制度の仕組みから申しますと、どれだけ加入し、あるいはどれだけ加入してないという数字は把握することが非常に困難だという状況でございます。
#64
○対馬孝且君 当然厚生省は把握されていないと思うから私は申し上げるんだけれども、これに全部調査結果が出ておりますからね。これは北海道三十万人規模の対象を例に挙げて出しておりますから。実際これを見ますと、厚生年金、国民年金ともに加入しないのは、企業五人から九人規模、こういうふうに申し上げてみますと、加入しないというのはいまだにまだまだ五九・七%あるんですよ。これも後から差し上げます。これはやっぱり社会問題だと思うんですな、ぼくはこういう問題について。こういう実態把握。実態把握されてないということが問題なんだけれども、これはやっぱり実態把握をしてもらいたいと思うんですよ。これも追跡調査をして実態把握をある程度――先ほど言ったように分ければ分けられるんですよ。現に労働省が掌握しているのは、先ほど言った九十日支給と特例一時金、積寒給付金の受給者というものを対象にすれば出るわけですから、はっきり申し上げて。それでこれも出しているんですから、これは出したんだ。これでいくと、いまなお、私もこれ意外に感じたんだけれども、十人から二十九人規模で五九・七%の方が加入していない。こういう前時代的な実はあれが出ているんです。こういう問題について厚生省としても見直してもらいたいということが一点です。同時にまた追跡調査もしてもらいたい。
 もう一つは日雇い健康保険の実態申し上げますとね、これまた私も意外に感じているんですけれども、これだって三十人規模、時間がありませんから限界がありますからあれですが、この健保のあれでいきますと、これもちょうど五七・三%ですか、これが実は入っていない。まさに医療皆無の状態の人がいるという数字が出ているんですよ。私はどうもこれわからないんだけれども、実際はそういうふうに出ているんです。こういう問題見ますとこれまた大変なことだと思うんですよ。時間の関係上これは省略しますけれども、こういう問題ももう一回ひとつ見直してもらう。これは市町村ごとの全部調べりゃわかるんですよ、こんなものむずかしくない。市町村単位で、北海道なら北海道庁、秋田県なら秋田県の市町村単位で押さえさせればいい。もうでき上がっていますよ、北海道の場合なんか。そういう状態をきちっと掌握してひとつこの点の積極的な行政指導あるいはその指導体制を強化してもらいたいと、こういうふうに考えていますが、これはむしろ大臣にこれからの対策として伺っておきたいと、こう思うんですがね。
#65
○国務大臣(森下元晴君) 出稼ぎ者の方々の福祉の問題、特に年金、特に保険の問題でございますけれども、そういう方々にこそやはり社会保障の温かい手を差し伸べなければいかぬわけでございますけれども、いまお聞きしたように半分も適用されておらないと。そういうことで、厚生省といたしましても、十分北海道庁とも連絡いたしまして、そういうことのないように努力をいたしたいと、また調査指導もいたしたいと、このように思っております。
#66
○対馬孝且君 もう一回調査資料を出してください。大臣も言われるとおりに、積極的にひとつ調査データを出してもらって、都道府県にこれは聞けば全部わかりますから。それやる気があったらできることですからね。その点をひとつ調査資料を出すと同時に、ひとつその加入促進のためのそういう手だてをぜひとってもらいたいと、これよろしゅうございますね、その点は。
#67
○国務大臣(森下元晴君) 早速調査させます。
#68
○対馬孝且君 時間があと少々になってまいりましたので……。
 きのうも大臣にちょっと申し上げておりますが、北炭夕張新炭鉱の災害等でいろいろ労働省も協力していただいているんでありますが、炭鉱離職者法案をきのう議了いたしました。これは北海道の例と言うよりも全国的な例で申し上げますならば、九州の実態では、先ほど言った緊就、開就という、これは安定局長御存じの炭鉱閉山に伴う制度として今日まできているわけです。北海道は緊就、開就というのはないわけですね。ないからその後どういう流れ方をしているか。つまり炭鉱閉山後の離職者の異動趨勢というものを、これ労働省の協力を得まして現在炭鉱離職者援護会で追跡調査をさしていただいております。それなりに成果が上がっているんでありますが、最近の傾向は全部季節労働者の方に炭鉱労働者が流れでいっている。年齢的に高齢になってきていますから、大体五十代、五十を超えている年齢に達しておりますので、そういう趨勢の流れ方になってきている。先ほど安定局長がおっしゃいましたように、われわれの念願は通年雇用ということを目指しているわけですが、しかしそう言っても先ほど言ったような実態で、そう簡単にきょうあすすぐ解決されるものではない。そうなれば何といっても、これきのうも申し上げたんでありますが、炭鉱離職者臨時措置法、今回延長願ったわけですが、これに伴って積寒給付金制度ということで安定局長もえらい協力を願って今日まで充実してきておるわけです。しかし遺憾ながらこれは五十八年をもって切れる。
 大臣にきのうも答弁いただきましたけれども、もう一回ここではっきり――積寒給付金制度を見直すという段階にいまありますけれども、これがだめだということになると、さっき言った三十万人の生活を一体どうするんだということになるわけでありまして、先ほど言った生活保護法以下の季節労働者の実態になっているという認識を大臣もお認めになったと思いますから、そうなればやっぱりこの積寒給付金制度を延長するか、もしくはそれを見直しするとするならば、その見直しにかわる制度というものを検討してもらわなければならない。こういう基本姿勢をまずひとつ再確認の意味で、きのうもお聞きをしましたけれども、少しそのことを確認をしておきたい、こう思うんですが、いかがですか。
#69
○国務大臣(初村滝一郎君) 積雪寒冷地冬期雇用促進給付金制度というものは、いま委員がおっしゃられましたとおりに、昭和五十二年から五十四年度までの暫定措置として設けられて、その後昭和五十八年の三月まで延長されたわけですね。
 そこで、北海道における冬期の季節労働者の現状をいま眺めてみますると、昭和五十八年以降について何らかの対策も必要でないとは思わない、私は。必要であると思う。そういうことで、今後については地元、特に道関係ですね、道庁、地元関係の皆さま方とよく話し合って前向きで検討したい、こういう気持ちであります。
#70
○対馬孝且君 わかりました。きのうもそういうことで大臣から確認しておりますし、いまも大臣からも、何らかの制度は考えなければならない、こういうことを明確に申し上げておりますから……。
 そこでこの場合、関安定局長には今日までえらい努力をされているんです。これは私も多としているんでありますが、やっぱり地元の意見というものを私は大事にしてもらいたいと思うんです。去年の実態を申し上げますと、これは労働省は現地調査をされております。佐藤課長を派遣していただきまして現地を調査されています。遺憾ながら、北海道の場合も行政改革に伴いまして公共事業がやっぱり実は下がってきている。特にかさ上げ率の問題も出てまいりまして、今度の景気浮揚対策で前倒し四分の三、七五%と、この間予算委員会でも河本長官が私にお答えしていますけれども、そういう対策はとられるようでありますけれども、それだからといって一挙にぐんと公共事業が、それは上半期がふえたとしたって、下半期がどうなるのかということをまだ閣議だって決定されているわけじゃありません。
 そうしますと、去年の段階ですから公共事業枯れといいますかな、夏枯れ的な傾向でほとんど三万近くの方が、季節労働者が仕事にありつけなかった。これは関安定局長もお認めになっておると思うんでありますが、そういう点からいきましても、ひとつ何とかこれは、そういう実態を十分把握はされていると思いますけれども、もし制度改革の場合に積寒給付金制度にかわるものということの場合にはひとついま一度、私はざっくばらんに申し上げますが、道庁、それから建設業協会、それと北海道の季節労働者。開局長も何回もお会いいたしておりますし、大臣も会っていただいておりますが、いまはもう三万を超える北海道季節労働者組合協議会と一つの組織体になっておりますが、こういう方々の意見を十分に徴して、そして先ほど申しましたように、暗い谷間に置かれている方々に対して、本当に温かい手を差し伸べられる、こういう方向にひとつ。生活安定――出稼ぎ大会で出る言葉は、私も毎年二月に出ておりますけれども、出稼ぎしないでも生活できる社会をと、これはいまや合い言葉のスローガンです。これを目指していっているわけでありますが、好きで出稼ぎしているのはないわけでありまして、家族と離れ、子供と離れ離れに生活をするというのは、まさに人間並みの生活ではないということになるわけですから、ここらあたりを踏まえて、先ほど私が申しましたように、そういう地域の母体を中心にした意見というものを今後慎重にひとつ配慮して対処してもらいたい。この点むしろ安定局長の方にひとつお伺いをしたいと思います。
#71
○政府委員(関英夫君) 大臣からもお答え申し上げましたように、五十八年度までの制度でございますが、北海道の季節的な労働者の実態につきましては、先ほど来先生からもお話もございますし、私どもも承知しているつもりでございまして、この制度がなくなった後何らの対策なしに事が済むとは思われません。ただ、先生も御承知のように、現在までの積寒給付金制度には、必ずしも通年雇用に十分つながらなかったとか、あるいはごく一部でございましょうが、乱用的な面があったとか、いろいろ問題点がございました。北海道の季節労働者の対策としては、先生がいま御指摘になりましたように、通年雇用につながることが本筋でございます。そういう意味で、何らかのこの積寒給付金制度にかわります制度を考えます場合には、いまの制度よりもさらに通年雇用に役立つような制度を考えていかなければならないだろうと思います。
 そういう意味で、先ほど大臣お答えいたしましたように、北海道庁から十分意見を聞くことは当然でございますが、事業主団体、建設業協会等の御意見を十分聞き、また御協力を求めることも必要でございますし、関係の季節労働者の団体の御意見を十分聞き、実態を十分把握した上で新しい制度を考えてみる必要があるのではないかと思っているところでございます。
#72
○対馬孝且君 これは本来なら私ら九十日復活をしてもらいたいというのが基本原則でございますけれども、それをいま言ってもあれですから、問題はいま言ったように、変わる場合でも、やっぱり現状維持を下回るというようなことのないように生活安定を基本に考えてやると、このことだけは強く申し上げておきます。
 それから最後になりましたけれども、実は労災認定の問題でしばしばこれも問題になるんだけれども、秋田県から大阪に出稼ぎした方で、柴田ノブさんという遺族の方がいま残されて、再審の要求の段階になっております。これは労働省お聞きのとおりでありますが、私はそれよりも、出稼ぎして病死をした段階での労災認定というのは、なっているのもあるし、なっていないのももちろんあるんですが、ここらあたりがどうも監督官の判断、それによってなるべきものがなっていないというようなことが、これは間々あるんだね。この柴田さんの場合なんかはぼくは非常に憤慨しているんです。
 たとえば北海道の例で、これは林野庁から人事院までいった問題がございます。これは白ろう病の関係、振動病の関係でいったことがあるんですが、私も人事院総裁に会いまして、最終的にこれは決着の方向へ出ましたけれども、医学が進歩していけば、あるいは振動病の例を言うと、だんだん進歩していく。これはやがて医学が進歩していけば、認定になるべきものがいまの時点ではだめだと、こういう結果だってあり得るわけですよ。
 ただ私があえてここで言いたいのは、出稼ぎして、大阪のああいう重労働の中で、道路工事あるいは現場工事の中であれだけの振動する機械を扱って突然脳溢血で倒れた。これはしかし高血圧症だったからこれは認定外ですと、こういう取り扱いになって、これは審査にかかっていて、いま裁判闘争までいくかということで、出稼ぎ組合の大会でこれは裁判闘争も辞さないということで決めているわけです。
 ここらあたりはひとつ労働省として――こういう病死で現場で倒れた。宿舎で倒れたんではないよ、これは。現場で倒れたわけだからね、これは現場で。そういう状態に対してどうして労災認定ができないんだ。これは泣いても泣き切らぬというんだな。いま秋田県に遺族が費されているんだけれどもね。私も遺族にも会いましたけれども、こういう方々に対して労災認定の基本的な態度は、私も労災の基本的な考え方はわかっているけれども、今日こういうふうな認定の仕方に対して問題はないか、この点をもう一回見直してもらいたいという、私のきょうの意見として申し上げるんですが、これはどうですかな、この点は。
#73
○政府委員(石井甲二君) 御指摘の事案という問題を含めまして、労災の認定という問題に先生が問題を提起されたことだろうと思うでのす。御承知のように、労災はそもそもが使用者責任という労働基準法の流れがございます。そういう意味で、業務との相当因果関係が認められる場合ということが基本的な原則、基準になっているわけでございます。問題は、相当因果関係というものがどこまでどういう範囲で広がってくるか、あるいは非常に世の中変わってまいりますけれども、そういうことに一体どれだけの相当因果関係があるのか、あるいは医学の進歩に応じてどれだけのものがまたそこに相当因果関係という形で解明されるのかという問題だろうと思うのです。問題は、御指摘のように、本当に相当因果関係があるものが救われないということになりますと、これは大変な重要な問題でございます。ただ問題は、たとえば生活環境が急に変わる、あるいは秋田からたとえば沖縄に行くとか、あるいは大阪に行くとかいう環境の変化というものだけでこれを論じられるかどうかですね、そこにも問題もございます。
 現在のところは少なくとも個々の事案につきましてそれぞれ、たとえば作業内容とか、あるいは作業の従事歴とか、あるいは作業環境の調査、あるいは専門医の意見ということで一応の認定をしておるわけでございますけれども、いずれにせよ、判断の適正ということについては十分に注意してまいりたいと思います。
 さらに、いまの柴田久雄氏の件につきましては、現在審査会で審査中でございますが、その結果を待つこととせざるを得ないわけでございますが、先生御指摘のその因果関係論というものについては、実際に関係のあるものが適用されないということは大変なことでございますので、いろいろな角度から検討をしてまいりたいと思いますけれども、現在のところは、特にこの柴田さんにつきましては審査会にかかっておる最中でございますので、その結果を見てまいりたいというふうに考えております。
#74
○対馬孝且君 時間参りましたから、一つだけ要望しておきますが、これは先ほどの振動病で函館の例で、これは林野庁の関係で人事院までいった問題があります。この場合、医師の認定ということを最大限――もちろんこれは因果関係の中でなるわけですが、しかしたとえば振動病の例でいうと、最初のその死亡した時点の医師と、それから北海道でいうと阿部病院とか、北大の渡辺教授とか、こういう日本で言う名医の、いわゆる振動権威者、こういう方々だったら、それは認定すべきものと、こう出たわけですね、因果関係は。こういう例が多いんですよ、局長、大事なことは。だから、何か最初の医師の認定だけでもってもうこれは業務外だ、認定外だと。これはぼくは監督官の姿勢にあると思うんですよ。そこがぼくは労働省にはっきりしてもらいたいと思うんだ。そういう最初が業務外だから、自後もうだめなんだという既成観念で、一たん出したら自分のメンツにこだわるようなやり方で葬られておったんでは大変なことになる、私ははっきり言って。現にこれは林野庁の問題で、振動病で、最初は業務外だったけれども、専門家の渡辺教授とか阿部病院の院長、これはいまや白ろう病の日本の五人のうちの二人に入っているんですけれども、そういう方々が診た結果では因果関係があったと、こうなるわけですよ。そういう手だてというものは十分尽くしてやってもらわないと、何か最初からもうとにかく認定してしまったら、いや、おれは監督官のメンツがあるんだからだめなんだというような、官僚的な発想で人間葬られてはたまらぬと思うんだ、これだけは。人の命は地球より重いということわざがあるとおり、労災認定の扱う姿勢についていま一度ひとつ監督官の姿勢を正して、何のかんのぼくは言っているんじゃなしに、そういう意味での労災法の適用ということをむしろ守ってやるべきである、この姿勢にやっぱり立ってもらいたいと、このことを申し上げておきたいと思う。いかがですか、最後に答弁いただいて終わります。
#75
○政府委員(石井甲二君) 特に振動病につきましても、第一次の審査についてのいわゆる医証の問題についていろいろございますが、先生御指摘のように、そういうことによって、かたくななことによってそれが阻害されるということは、これはもちろんのこと行政としてはあれでございますので、さらに適正を期してまいりたいというように考えます。
#76
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおり、まず最初の監督官の認定があたりまえであって正当であったかどうか、そこに疑義があろうかと思うわけです。もしそこに不審があれば、中央審議の方に上げるわけでございますが、やはり念には念を入れて、そういう不服があれば再度この問題について考え直すということはあり得ると思う。したがって、そういう労災者の身の上になってこの問題を考えなければいかぬのじゃなかろうかど、かようにも考えますので、法規的にどうなっておるか知りませんけれども、そういう点をよく考慮していきたいと思います。
#77
○関口恵造君 初めに、終戦直後のベビーブームの機会に、昭和二十二年から二十四年でございますけれども、一年間に二百七十万人の赤ちゃんが生まれまして、団塊の世代と言われておったわけでございますが、昭和五十五年には出生数が百五十八万人弱と百万人近くも減少してまいりました。
 また、女性が生涯に生む子供の数、合計特殊出生率は、同じ人口を維持していくのに必要な二・一人を下回りまして一・七四人まで低下しておる現状でございます。
 一方、つい二、三十年前まで人生わずか五十年と言われておりましたものが、いまでは八十年時代が目前に迫ってまいったわけでございます。五十五年十月を調べてみましても、六十五歳以上が千五十七万人、九%でございます。五%から九%まで、西欧におきましては七十年、日本におきましては三十年間で到来したわけでございますが、十年後の六十五年には一一%、二十年後の七十五年、つまり西暦二〇〇〇年には一四・三%というようなことでございまして、大変な高齢化時代が到来するようになってまいっておるわけでございます。
 そこで、私の専門の分野といたしております点につきまして、厚生省の大臣初め各位の御見解を賜りたいと思うわけでございます。
 現状におきます歯科保健施策は主に母子歯科保健事業にあると思うわけでございますが、健やかな老後を確保するためには、これらの事業に加えまして壮年期からの歯科保健対策がきわめて重要であると思うわけでございますが、大臣の御見解を賜りたいと思うわけでございます。
#78
○国務大臣(森下元晴君) 従来の歯科保健対策は、御指摘のとおり、母子歯科保健事業を重点に実施してきたところでございます。しかし、今後の急速な人口の高齢化に心をいたすとき、この歯の周辺病、いわゆる歯槽膿漏、こういう種類の病気もございますし、この予防を目的とした歯科保健対策の必要性はますます高まっておると考えております。
 このために、今後の対策は従来の母子歯科保健事業をさらに充実させるとともに、壮年期以降の歯科保健につきましても前向きに取り組みまして、国民の皆さんが生涯を通じまして一貫した歯科保健サービスを受けられる体制づくりに努力したいと考えております。
#79
○関口恵造君 引き続きまして、老人保健法案では、医療以外に保健事業を実施することになっておるわけでございますが、歯科保健に関係するもの、特に歯科医師会など関係者の間で要望の強い四十歳以降の歯科健診につきまして今後どのように取り組んでいかれるか、お示しを願いたいと存じます。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
#80
○国務大臣(森下元晴君) 老人保健法案における保健事業を実施するに当たりまして、歯科保健については健康教育及び健康相談などの事業の中で積極的に取り上げていくこととしております。また、一部の地域で行われております歯科健診につきましても、今後前向きに研究、検討をしてまいりたいと考えております。
#81
○関口恵造君 本格的な高齢化社会を迎えることが明らかな今日、歯科医療分野におきます成人病とも言えます歯周疾患、いわゆる歯槽膿漏の状況を厚生省はどのように把握しておられますか。またその対策についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
#82
○政府委員(大谷藤郎君) 歯槽膿漏症の有病者率は、歯科疾患実態調査によりますと、壮年代の四十−四十四歳のあたりで六〇・八%と非常に高い有病率を示しております。また、それから年を取りますに従いまして症状が悪化する、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、その対策といたしましては、そういった壮年期の時期の歯科保健指導ということが非常に大事でございますので、先ほど大臣もちょっとお話しになりましたが、老人保健法案における健康教育、健康相談等を実施する中で歯科保健の問題をぜひ取り上げていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
#83
○関口恵造君 それでは角度を変えまして、休日、夜間におきます歯科の救急医療体制を充実させるべきであると思うわけでございますが、国民の非常な要望の強い点でございますが、これについてどのような対策を考えておられるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
#84
○政府委員(大谷藤郎君) 休日におきます歯科診療につきましては、従来若干対策がおくれていたわけでございます。そこで、昭和五十年度から都道府県あるいは歯科医師会等が設置いたしております口腔保健センターの中に、休日等歯科診療部門というものを設けるようにいたしまして、また昭和五十七年度からは、休日の歯科診療のほかに、休日の夜間における歯科保健事業というものを国庫補助事業といたしたいというふうに考えている次第でございます。
 しかし、これらの事業を実施いたしております口腔保健センター等の設置場所につきましては、先生も十分御承知のように、ややもいたしますと都市部に偏重いたしております。そういった点は問題でございまして、今後私どもの検討課題でございますし、救急医療体制の全体的な見直しというふうな中で、こういった問題をぜひ是正していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
#85
○関口恵造君 もう一点、いま局長さんのお話にもございましたとおり、都市部偏在という問題が出ているわけでございますが、無歯科医地区や歯科医師過密地区というものが多く存在しておるわけでございますが、
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
これについての対策をどのようにお考えですか、お伺いをいたしたいと思います。
#86
○政府委員(大谷藤郎君) 休日、夜間だけでございませんで、歯科医師の地域分布そのものが、先生御指摘のように、都市部に偏在いたしております。その反面、地方の方では無歯科医地区というふうなものを抱えているわけでございます。こういった問題につきましては即効的な解決というのは大変むずかしいわけでございますが、現在進めております地域医療計画の策定あるいは僻地医療対策の充実というふうな施策を通じまして、地域においてバランスのとれた歯科医療を全国的に確保していくというふうに努力をいたさなければならないというふうに考えております。
#87
○関口恵造君 国民病と言われております虫歯は依然として蔓延しているわけでございますが、これに対しましてどのような対策が進められておられますか、見解を伺いたいと思います。
#88
○政府委員(大谷藤郎君) 虫歯は、もう先生が御専門でありますが、自然治癒がない、進めばもう後へ戻らない、また非常に例を見ない高い有病率を示している、こういった観点から、どうしても虫歯は治療よりはまず予防をしなければならないというふうに考えられるわけでございます。
 そういったことから、虫歯の予防対策といたしまして、国では毎年歯の衛生週間あるいは全国の歯科保健大会等の事業を通じまして、国民の方々に対しまして歯の衛生思想の啓蒙普及ということを行っております。また母子歯科保健事業といたしましては、具体的には一歳六カ月児あるいは三歳児あるいは妊産婦というふうな者を対象にいたしまして歯の健康診査あるいは保健指導ということを行っております。また必要に応じまして虫歯の予防的処置も実施いたしております。
 これらのこういうデータから見ますと、最近、若干幼児の虫歯は減少しておりますし、かつ軽症化の傾向が見られております。しかし、なおかつ虫歯予防事業というものは非常に重要でございますので、私どもといたしましては、虫歯の予防事業を全力を挙げて進めたいというふうに思っている次第でございます。
#89
○関口恵造君 それでは、われわれにとってもう一つの大きな問題があるんでございますが、歯科医師数と人口の増加率、これをたとえば昭和三十年から五十四年までの二十四年間を考えますときに、人口の増加率は三〇%増でありますのに対しまして、歯科医の数は六六%増と、約二倍強の増加率を示しております。また近直の昭和五十年から五十四年のこの比較におきましては、歯科医師数一六・五%増、人口増三・七%増と、四・四倍強の高率となっておるのでございます。
 なお、歯科医師数は、昭和三十年二万九千四百二十二人であったものが、昭和四十八年には三万八千九百九十三人と、約一万人増加するのに十八年間を要したのでございますが、その後四十八年から五十四年の六カ年の短期間に一万人を超えておる次第でございます。さらに昭和五十六年の歯科大学二十九校の卒業生、定員三千三百六十人でございますので、いろいろな角度から計算をいたしましても、今後三・三年ごとに一万人の歯科医が誕生する勘定でございまして、さらにその速度に拍車がかかりまして、早晩歯科医師過剰時代の到来が予測されるような状態でございます。
 以上のことから、将来展望として、今後におきます歯科医療のあり方や医療の公共性の立場から、慢性化しました歯科医療機関の都市集中化を考慮し、地域歯科医療の確保を図るため全国的な観点から適正配置を含めた地域分布が必要であり、その対策が今後に残された課題であるというふうに考えられておるものでございます。公正取引委員会等も、適正配置というようなことをただ、単に目のかたきという形にはしないで、法律で定めました公的医療機関には公取介入せずの原則をとりながら、私的医療機関だけに執念を燃やすというような点については考えていただきたいと思うのがわれわれの率直な気持ちでもございます。
 そこで、昭和四十五年ごろから、人目十万対五十人の歯科医師を確保するという厚生省の目標は今日すでに達成されていると聞いております。このままでは将来の歯科医師数はかなり増加するものと予想されるのでありますが、これについて厚生省としてはどのように考えておられますか、お伺いを申し上げたいと思います。
#90
○国務大臣(森下元晴君) 歯科医師数の問題につきまして詳しく御意見を述べられましたわけでございますけれども、この人口十万に対する五十人、これはあくまでも基準でございまして、厚生省は昭和四十五年以降歯科医療需要の増大に対処するために十万人対五十人ということを目標にしたわけでございますけれども、歯科大学の整備が大変進められました結果、この目標は昭和五十五年末にはほぼ確保されたものと見ております。保
 今後の歯科医師数につきましては、将来の歯科医療需要に応じた適正な規模となるように歯科医療の動向とか社会情勢の変化等複雑な要素を考慮する必要があると思います。このためには、文部省との間に検討会を設けまして鋭意検討しているところでございますので、これらの結果を踏まえまして適正な対策を講じてまいりたい、このように思っております。
#91
○関口恵造君 最初予定しておりました時間が三十分でございますが、二十分ということになりましたので、質問を文部省にもお願いしておったわけでございますが、一問だけにいたします。
 歯科医師の質の向上が望まれております現在、歯科大学におきます教育のあり方についての見直しが必要だろうと言われているのでございますが、特に国公立歯科大学において十分な教育を行う観点から、各歯科大学の定員を適正な規模にする必要があると思うが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#92
○説明員(前畑安宏君) 先生御指摘のとおり、今後の歯科医学の教育につきましては、人口の老齢化であったり、あるいは医療水準の高度化といったような諸問題に対処するためのすぐれた歯科医師の養成を目指して、その質的充実に努めるという必要があろうかと考えておるわけでございます。各大学におきましても、このような観点から、たとえば教養課程の段階におきましてすでに、基礎歯科医学あるいは基礎の医学教育というものを実施をしたり、あるいは専門教育の担当教官が一般教育へ参加をする、あるいは隣接の臨床医学との連携を充実をする、また地域の特性に留意した歯科医学教育の重視というようなことで、それぞれ改善に努力をいたしておるところでございます。私どもといたしましても、このような各大学のいろいろな改善のための努力を支援し、その実現を容易にするよう今後とも諸般の整備に努めてまいりたい、このように考えております。
 ただ、御指摘がございました定員の縮小の問題ということにつきましては、ただいま厚生大臣からも御答弁がございましたように、将来の養成規模にもかかわる問題でございますし、また規模の大きい大学が私立大学に多いということもございますので、将来の課題にさしていただきたいと、このように存ずる次第でございます。
#93
○関口恵造君 結びでございますが、人の平均の余命がその国の保健水準をあらわす指標として重要となっておることは言うまでもございません。それと同じく歯の寿命の重要性をぜひ認識していただきたいというのが率直なお願いでございます。その意味で、高齢化社会を迎える中で多くは歯槽膿漏等によりまして歯の喪失というものが招かれておるわけでございます。しかも、第一大臼歯で三十九歳ぐらい、前歯で五十九歳から六十歳ぐらいと歯の寿命はむしろ短くなっているのが現状でございまして、老人保健法案の四十歳からの保健事業における歯科の重要性について、大臣からも積極的な御答弁をいただきまして感謝にたえないところでございますが、この事業の実施につきましても強く要望いたしまして、ことに歯科健診等につきましても、よろしくお願い申し上げまして質問を終わらしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
#94
○中野鉄造君 私は、まず社会保障、社会福祉予算に関する政府の基本的態度からお尋ねしたいと思うんですが、この五十七年度社会保障関係予算の伸びは、もう申し上げるまでもなく二・八%で、厚生省の予算二・九%の伸びというのは、あの昭和二十八年度の厚生省予算の伸びが〇・六%にとどまって以来の低率であることは、もう御承知のとおりでございますけれども、この一般会計予算全体の伸びが六・二%、防衛予算が七・八と、こういう伸びを示す中で、社会福祉後退の予算といったそしりを受けてもこれは当然じゃないかと思うわけです。
 大臣にお尋ねいたしますが、この予算編成時にいかなる方針で臨んでこられたのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(森下元晴君) 確かにお話しのように福祉後退かというような声があったこと、またあることは事実でございます。非常にゼロシーリングという厳しい財政状況の中で福祉予算をいかに組むかということで私どもも最大の努力をしたわけでございます。二・九という伸び率でございますけれども、御承知のように十一カ月の保険関係の予算、これによって大体千八百億ぐらい、それから特例法を昨年の臨時国会でつくっていただきまして、年金の負担金をしばらく待っていただく、将来利子をつけてお払いするというような、悪い言葉でございますけれどもやりくりを実はさしていただいたわけであります。
 そういうことで、全体の金額は下がった結果そういう数字になっておりますけれども、内容的には私はそうでないと。むしろ綿密に計算いたしますと、外に向かっては余り大きな声では言えないわけでございますけれども、大体七・一%ぐらいの伸びになっておるんだと、こういうふうに自負をしておりまして、決して福祉は後退しておりません。過去の非常に高成長時代に急速に伸びてまいりました例に比べては、はるかに足踏みはしておることは事実でございますけれども、全般の予算の中で決してこの福祉の方は負けておらないということを申し上げて、福祉だけが切り捨てられたということの誤解は解きたいと、このように実は思っておる次第であります。
#96
○中野鉄造君 大臣はやっぱり立場上後退していないと言わざるを得ないと思いますけれども、この五十七年度の予算編成は、最終段階では、国民健康保険助成金についても、いまおっしゃったように会計年度区分を変えてみたり何かして非常に苦肉の策をとっておられる。それによって、いまおっしゃったように、千八百億円の財源がそこから捻出されたというようなことですけれども、とにかく千八百億だけでは足らないで、さらに九百億の財源が福祉予算の各項目から切り込まれている、新規事業が見送られる、あるいは厚生省が日ごろ考えていたいろいろな社会保障、福祉予算さえもそれだけ後退を余儀なくされているという事実があるわけですけれども、それでもなおかつ来年度予算は後退していないとおっしゃいますか。
#97
○国務大臣(森下元晴君) 五%の経済成長以上でなければスライドはやらぬでもよろしいというようなこともございますけれども、あえて四・五%のスライドもやらしていただいたり、いろいろもろもろの福祉予算等につきましても、スライド、アップをさしていただいておるわけでございまして、胸を張ってよくできたということは私も決して申し上げませんけれども、まあまあ厳しい財政状況の中では精いっぱいのことができたと。何と申しましても財政再建期間中でございまして、その中では何とかごしんぼういただける伸び率、また配慮ができたんじゃないかと、このように実は思っておるわけであります。
 ただ、各項目の中で御指摘されるような部門も一部あるかもわかりません。しかし、大まかに申し上げまして、福祉水準は全体として維持はされておると、一言で申し上げるとそういう言葉になるわけであります。
#98
○中野鉄造君 福祉水準は維持されておると言われますけれども、ではその水準と目標というものは明確なものがありますか。
#99
○国務大臣(森下元晴君) 水準とか、どこまで持っていこうというもの、これは私どもとしては実は多いほどいいわけであります、本当のことから言えば。これは西欧先進国と言われておる国々に非常なスピードで追いついてきたわけでございまして、まだ部分的にはその水準まで行けてない点もございますし、またいろいろ福祉の中でもいわゆる格差がかなりございます。同じ年金また保険の中でもいろんな格差がございまして、そういうものの調整等もこれからやらなくてはいけないし、またいろいろ臨調でも言われておりますし、また懇談会とか調査会、そういういろいろ英知を集めるための審議会等でもいろいろ注文がございます。
 われわれは、いままでの福祉予算でよかった、また目標としてまいりましたそれだけでよかったということは、決して思っておりません。だから、金額だけの問題ではなしに、バランスの問題とか、またまだまだ質的な向上を図らなくてはいけないという問題が実はたくさん残っておりまして、そういう面では、この五十七年度の予算が理想的な内容を持っておるかということにつきましては、胸を張って、またこれでいいんだということについての――私どもは今後ともそういう劣っておる点、またいろいろとアンバランスの点は是正をしていこう、またいろんな委員会また審議会等の御意見も聞いて、それを将来において訂正したり、また路線を多少変更したりすることはもちろんやらしていただきたい。多少試行錯誤的なところもいままでの行政の中でもあったと思いますけれども、福祉大国となるべく意欲に基づく努力は今後とも続けてまいりたい。こういう強い意思を持ってやっております。
#100
○中野鉄造君 私はいま大臣いろいろ述べられましたけれども、そういう目指すべき目標、計画、あるいはまた目指すべき水準というようなものがないところに、こういうような後退というようなことになっても、政府としては非常に都合のいいような、いま大臣がおっしゃったように後退したものではない、胸を張って言えるようなものでもないけれどもといったような表現の、実は後退というようなことになるんじゃないかと思うんです。ですから、やはり国民の前にも明確に目指すべき目標というか計画、そうした水準、一定のものを示されるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか、今後の問題として。
#101
○国務大臣(森下元晴君) その点は私も同感でございまして、先ほど申しましたように、急速に福祉の水準を上げてきたわけでございまして、その中には試行錯誤的なものもございました。そういうことで長期展望の懇談会等を通じまして、あるべき姿、おとといも身体障害者の審議会がございまして、ありがたい一つの身体障害者のための考え方、これは三十年近くそのままになっておりましたから、ありがたい答申を実はいただいたわけであります。それに基づいて五十九年春までに厚生省で基本問題について検討していこうということも実はやっておりまして、そういう意味から言うと、実は金額的な予算ということにこだわらない、いわゆる社会保障政策また福祉の問題についても私どもはまだまだ反省しなくてはいけない問題もあるし、また時代に合ったような、また過去においていろいろと行き違いがあったり、でこぼこが出てまいったり、また時代に合わなくなってきておる、そういう点はもちろん訂正、修正また補正をしていかなくてはいけない。そういう意味から言うと、いまおっしゃいましたように後退とは言えませんけれども、まだまだ努力しなければいけないということは申し上げれると思います。
#102
○中野鉄造君 いまおっしゃったように、次年度に対するためにも、ひとついま申しましたようなそういう目標、そういうものを掲げるということをお約束していただけますね。
#103
○国務大臣(森下元晴君) お約束をいたします。一生懸命やります。
#104
○中野鉄造君 次に、年金問題にちょっと触れたいと思うんですが、年金財政が今後もう急速に厳しくなってくるということは、これはもう明白な事実でございますが、今後、たとえば厚生年金あたりについても言えることですが、保険料負担についてこれはかなり被保険者にそれがのしかかってくるということになりますけれども、国民生活に支障の出る負担を避けるように検討するということは、これは当然でしょうけれども、そこいらのところをどのようにお考えになっていますか。
#105
○国務大臣(森下元晴君) 来るべき高齢化社会において、増大する高齢者の生活費をいかに賄うかということは、社会全体としても重要な問題でございます。その中で公的年金は中核的な役割りを担うものでございまして、国が本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀においても、この給付と負担のバランスがとれまして、制度が健全かつ安定的に機能できるよう長期的な視点に立って検討を進める必要があると考えております。
 西欧の先進諸国に見られますように、年金制度の成熟化に伴いまして、大変国民の負担が増加することになりますが、これについては国民の理解と合意を得ながら進めてまいりたい。そういう西欧先進国の成熟化した例が幸いございまして、わりに見通しが立ちよいと申しますか、このままの姿では将来どうなるであろうかという一つの指針がある程度想像もできますし、やはり一つの日本型の福祉と申しますか、西欧の中でもイタリー病とかイギリス病と言われるように、やはり行き過ぎますとまたそれがマイナスになる要素もございます。そういうことで、私は日本の現在の年金の進んでおる方向は決して悪くない。いわゆる西欧の悪い点はこれを訂正するし、またいまから軌道を修正していくとか、いろんな方法がとれるわけでございまして、そういう点でも遅滞なく修正をしたり、また国民の合意を得られるような方法で進めてまいりたい、このように思っております。
#106
○中野鉄造君 こういうようにだんだん年金の財政というものが厳しくなってくるにつれて、時折いろいろ課題になってくるのが支給年齢の引き上げということでございますが、そこで労働大臣にちょっとお伺いしますが、定年が一部民間企業あたりでも五十五歳から五十八歳、六十歳と延長してきている傾向もありますけれども、全体的から見まして、まだまだ五十八歳とか六十歳の定年というのは定着していないわけなんですが、定年制については今後どのようにお考えになっていますか。
#107
○国務大臣(初村滝一郎君) 六十歳定年については、いま昭和六十年をめどに六十歳定年になるように一般企業に対して指導しておるわけであります。
 それで、現在は平均して四十数%程度でありますので、これをぜひ達成するために先日私の名前で六十歳定年に達しておらない企業について、四千数百社、労働大臣名をもって「お願い」という文書で、ぜひその線に沿ってやってもらいたい、その回答を五月十五日付で返事をくださいというようなことでやっておりますので、大体私どもの見通しとしては、昭和五十九年ないし六十年の初めには予定どおりの六十歳定年が実施できるんではなかろうか、かように踏んでおります。
#108
○中野鉄造君 それは一つの観測でしょうけれども、仮に六十歳からということになっても、それが本当に軌道に乗り出すためにはまたさらに何年かの年数も要するわけですけれども、そうこうしているうちにどんどん受給資格者というものはふえていく。そういうときに、厚生大臣にこれはもうずばりお聞きしますけれども、支給年齢の引き上げということを今後考えておられますか、おられませんか。
#109
○国務大臣(森下元晴君) 二十一世紀における高齢化社会を考えますと、この問題は十分検討しなければいけない事柄でございます。
 そこで、支給開始年齢を引き上げるということになりますと、いま労働大臣がお答えになりました、またお尋ねに中野委員からありましたが、雇用の問題、いわゆる定年制の問題と絡みましてこれをうまく連動させないと、引き上げていただくことは、これだけ考えますと、年金の財政にとりましてはまことにありがたいわけでございますけれども、やはり雇用の問題、しかもいままで老人と言われた方々は大変お元気でできるだけ仕事をしたいというような最近の世論の動向もこれあり、われわれはやはり、これは労働行政でございますが、定年制をできるだけ引き上げていく方向に持っていってもらいたい。それに連動して、将来の財政を考えました場合には、年金の無理のない引き上げの方向に国民各位の御同意も得て持っていかなくてはいけないと、こういうふうに実は考えております。
 ただ、この年金財政がかなり窮屈になると申しますか、心配なのは、大体三十年ぐらい先だ。一部共済なんかではいま大変窮屈になっておるところもございますけれども、全般におきましては、まだ成熟度が低いわけでございまして、二十年後、三十年後、四十年後をどうするか。その時代に備えていまから準備をしていく必要がある。また意識的にもそういう面で十分この啓蒙、啓発運動によって国民各位の御認識を願うというふうに実は考えておるわけであります。
#110
○中野鉄造君 少なくともこの十年くらいは引き上げませんね。
#111
○政府委員(山口新一郎君) 要するに、年金制度は現役を引退した方の生活費の問題でございますから、現役時代の賃金との間に切れる部分があってはいけないと思っております。そういう意味におきまして、いろいろな社会情勢の中で開始年齢の問題を考えるべきである。このことは、単に開始年齢で全部もらえるか、あるいはゼロになるというふうな問題だけではございませんで、一部支給というような幅のあるやり方もあろうかと思います。そういう案も全部含めまして、やはりいろいろこれから工夫をしていくということだと思いまして、十年間に全くいまの支給のあり方が変わらないかということは、ちょっと私も現在の段階で確約申し上げるというわけにはいかない問題だと思っております。少なくとも五年ごとには見直すということになっておりますので、その機会その機会ごとにその情勢に応じた対策を立てていくということだと思っております。
#112
○中野鉄造君 労働大臣は六十年度をめどにしてと、こう言われましたけれども、仮に六十年度にそういうふうになったとしても、その年齢で必ずしも就労している人ばかりとは限りませんので、どうかひとつこの支給年齢については今後慎重に検討をしていただきたいと思います。
 次に、中風残留孤児の問題についてお伺いしますが、現在中国にいる日本人孤児は数千名からあるいは一万名とも言われますが、まずその実態について御説明いただきたいと思います。
#113
○政府委員(北村和男君) 中国残留日本人弧児の現況でございますが、現在、つまり五十七年三月二十六日現在、自分の身元を調べてほしいと言って何らかの方法で日本政府に名のりを上げた人が千四百八名でございます。これまで親元、身元がわかった者が五百三十八名でございますので、それを差し引きました八百七十名の人について身元の調査を行っているところでございます。
#114
○中野鉄造君 五十七年度には中国に調査団を派遣するということが、この間、先月だったですか、最近にしては非常に希望的な話題を呼んだわけですけれども、果たして何人派遣されるんですか。
#115
○政府委員(北村和男君) ただいま御審議いただいております五十七年度予算にこの予算を計上いたしておりますが、予算上は政府職員三名ほどを派遣する予定でございます。
#116
○中野鉄造君 三名でいろいろな、聞くところによると、ビデオ撮りだとか、そういうことをなさるそうですけれども、果たしてそれでできますか、そのくらいの規模で。
#117
○政府委員(北村和男君) 北京には日本大使館もございますし、その領事部につきましては、この孤児関係の事務を行っている館員もおります。また先方中国政府でもこの問題担当の方たちがおりますので、協力をして執行に当たりたいと、さように考えております。
#118
○中野鉄造君 そういうことと相まって、これから向こうの孤児の方もまたこっちの肉親の方も、どんどんお互いに年をとっていきまして、その記憶もますます薄れていくというようなことから、うかうかしているとますますその肉親の判明というものも困難になってくるんじゃないかと思いますし、ひとつそういう肉親探しにはもっと積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、今後の計画として、その中国派遣を含めて、どういうことを計画されておりますか。
#119
○国務大臣(森下元晴君) 早急に解決しなければいけないことは私も同感でございまして、そのために先般厚生大臣の私的諮問機関として設置いただきました中国残留日本人孤児問題懇談会、ここにボランタリーの方々も含めまして有識者の方々の御意見を聞きながら早期解決をいたしたい。
 実は、きょう中国の外交副部長がおいでになりまして、私からお礼と今後のお願いを申し上げる予定でございましたが、こういう委員会の席でございまして、事務次官がいま時分お会いしてお礼、お願いをしておると思います。
 そういうことで、本当にこれは早くやらないと、もう三十七年でございますから、もう待てないし、またたくさんの方がまだまだおいでになるし、おっしゃるようにいままでの計画をうんと早めまして、幸い総理も非常に前向きで、今度中国から総理もおいでになるし、また秋にはこちらからも向こうにおいでになるというような機会がございますし、もうしっかりピッチを上げて、一日も早く孤児の方々が希望するならば日本に帰れるように、またいろんな事情で帰れないまでも、私の方の真意が向こうに伝わり、たとえば養父母に対するいろんな感謝の気持ちや、また日中の間の友好のためにも、厚生省としても全力を挙げてまいりたいと、このように思っております。
#120
○中野鉄造君 じゃ、次に孤児並びにこの引揚者の受け入れ体制についてお伺いしますが、法務省としては、身元不明の孤児に対しては、簡易帰化による国籍の取得を進めておるようですけれども、それには大前提として、彼らが日本で生活できる、自活できる、その受け入れ体制の充実がこれは不可欠じゃないかと思いますが、現在のこの援護措置と今後の体制づくりの骨組みと言いましょうか、ここいらがあったらば教えていただきたい。
#121
○政府委員(北村和男君) 残留孤児を含めまして、中国から日本に引き揚げてまいります方たちには、まず第一に旅費の支給でございます。これは全部国費で行います。それから帰ってまいりましたときには、とりあえず帰還手当を支給をいたしまして、大人一人約十二万、子供はその半額でございます。各人にこれを支給いたして当座の身の回りの用意をしていただく。それから帰国時にオリエンテーションを行いまして、日本の生活に早くなれていただくようなことをいたします。それから日本語習得のできない人がもしいましたら、日本語習得のための話学教材を支給いたしましたり、また生活困窮でありましたらば直ちに生活保護を適用する。少し言葉ができるようになりましたらば、職業訓練でありますとか、生活指導員を家庭に派遣をいたしましていろいろ援護をし、また各省にもお願いして、労働省には職業訓練、就職のあっせんをお願いし、文部省には、子供さんを連れて帰ってこられるケースがありますので、学校に入れるように、それから建設省には公営住宅をできるだけ優先的に割り当てていただくというようなことを現在実施しております。
 今後の対策でございますが、これはいろいろな御意見もございます。ボランティアの方々、専門家の方々等の御意見もございますので、現在、先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、孤児問題懇談会で夏ごろまでに今後の方向を定めていただこうと考えております。
#122
○中野鉄造君 いま公費で帰国した人というお話も出ましたけれども、私が調査したなにから言いますと、中国から引き揚げてきた方々の中には、公費で帰ってこられた人あるいは自費で帰ってこられた人がいらっしゃいますね。その区別わかりますか。
#123
○政府委員(北村和男君) 先ほど申し上げましたのは、中国から引き揚げてくるときにお金がないという方には、こういう制度を適用しますということを申し上げているわけでございまして、そのお金の必要はないんだ、お金はあるんだということで帰ってこられた方々についての実態は私ども把握をいたしておりません。
#124
○中野鉄造君 自費で帰国した人、そういう人には先ほどからいろいろあったような援護措置が講じられていないようなふうに私、見受けますが、いかがですか。
#125
○政府委員(北村和男君) 私どもその辺大変困るわけでございますが、お金がなくて帰ってくるという方は、お申し出があれば私ども先ほど来申し上げておりますようなものを援護することにいたしております。それらの方々は中国から帰ってくるときにまず北京の大使館でいろいろ手続をなさるわけで、そのとき私どもは十分大使館に連絡をして、お金がなければこういうことをしますよということを申し上げているわけでございますので、いや、それは結構とおっしゃった向きについては私ども把握をいたしておりません。
#126
○中野鉄造君 長崎県の例を見ますと、公費で帰ってきた人が三十二世帯、自費で帰ってきた人が十五世帯あります。これを見ると、全国的にもこれはかなりの方々がいらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、この自費帰国者にはいま言われているような帰還手当も、県からの見舞い会も、これは何にも出てない。自費で帰ってきた人は、いまおっしゃったように裕福だから自費で帰ってきたということばかりではないと思うんですね。そういう手続というか、そういうものをよく知らなかったというようなこともあって自費でやむなく帰ってきたという人たちもいると思うんですけれども、こういう方々には帰還手当だとか旅費の支給は、これは後でわかったならば当然遡及してもいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#127
○政府委員(北村和男君) 大変むずかしい問題でございますが、私ども前提として、生活困窮の場合には事前に申請をいただきまして、あるいは飛行機の切符をお渡しするとか、帰ってこられたらすぐ生活保護を適用するとかしているわけです。ですから、個々の実態に応じて、御存じないということが万々ないとは思いますが、ちょっと個別のケースごとに少し検討さしていただきたいと思っております。
#128
○中野鉄造君 いまも申しますように、明らかにあの人は中国から引き揚げてきたんだ、しかもその人に対して県が、国が払ったか払ってないかは、県や国がちゃんとわかっているわけですからね、その人に払っているか払ってないかは県としてわかるわけでしょう。国としてもその人に払った覚えがあるかないかわかるわけでしょう。
#129
○政府委員(北村和男君) そこが実態がわからないわけでございます。つまり御本人がお金を持っているか、あるいは日本にいる親戚の方がお払いになったか、それは知りませんけれども、中国から出国をして、成田で入国をして、それでくに元へ帰るという方は、私どもも存じませんし、私どもの出先であります都道府県の援護課も、まあおいでになればわかりますけれども、おいでにならない方につきましてはこれはわかりません。
#130
○中野鉄造君 だって私らうちの党で、たとえばこれは長崎県の場合ですけども、あの人は中国から四十八年、あの日中国交回復以後に引き揚げてきた人なんだ、そこのいまの生活の実態を追跡調査してみようということなら、この人は公費で帰ってきた、この人は自費で帰ってきたとぼくらでわかったんですから、県で、国で本気になってそれをやってわからないはずないでしょう。
#131
○政府委員(北村和男君) わからないはずはないとおっしゃいましても、正直言ってわからないわけでございます。
 それで、私ども、自費でお帰りになった方でありましても、先ほど申し上げましたような日本語の勉強をしたいとかなんとかいうときには、公費帰還組と一緒に御希望があればやって差し上げるようにとかねがね都道府県を指導いたしております。
#132
○中野鉄造君 もう時間がありませんので、次に参りますが、この受け入れ体制づくりの中で一番参考にしなければならないのは、現在、中国から引き揚げてきた千百五十五世帯、三千四百八十七名ですか、この人たちの声ですけれども、まず生活の中でたとえば日本語のこの言葉が一番の障壁になっているということをよく聞きます。それについて、たとえば日本語習得の状況、生活保護世帯の数、その実態、就職状況、住宅はどうなっているか、生活に充実感を持っているかといったようなものが追跡調査でおわかりになりますか。
#133
○政府委員(北村和男君) 自費、国費にこだわるようでございますが、国費でお帰りになった方々の実態調査について私ども、昭和五十三年に実施をいたしました結果を持っております。それによりますと、大まかに申し上げますが、日本語でございますが、初めはもともと日本にいた方でなければほとんど言葉ができなかった。五年ほどの間に日常買い物などをするのにもう九七、八%までできるようになったというデータがございます。それから生活保護でございますが、お帰りになったときには大変困ったんで、八割五分ぐらいの方がすぐに生活保護の適用を受けました。その後言葉ができたりなんかしてまいりますと、五年ぐらいたちますと、生活保護受給が二割に減っております。その間もうどっかの職業におつきになっていると、そのようなデータは私ども持っております。ちょっと古うございますが、五十五年度にも実施いたしまして、この実態調査のいま最終的な計数の整理をいたしているところでございます。
#134
○中野鉄造君 いまおっしゃったように、一番問題はこの言葉であろうと思いますけれども、地方自治体に一部そういったようなものは委嘱している、いろいろな生活指導だとかですね、そういうようなことですけれども、調べてみると、その委嘱の人数がわずか五人であるとか、そんなものですけれども、それで十分なことできますか。
#135
○政府委員(北村和男君) 御指摘のように、日本語をどのように効果的に早く覚えるかということは、現在大変大きな問題でございます。結論から申し上げますと、その具体的な効果的な方法を、現在懇談会で専門家の方々に御高見を拝聴しているところでございますが、先ほど来申し上げておりますように、現状では、まず日本の土を踏むと同時にカセットテープを渡し、テープレコーダーを渡し、それから引揚者の家庭へ生活指導員を派遣しております。これはほとんどの場合が引揚者の先輩でございます。したがって、中国語もできるし、日本語もできるようになったという方々、それを週に一回派遣をして、いろいろ相談事に応じているわけでございます。そのほかに子供さんは学校へ行きますので、学校で教わりますし、それからボランティアの方々や都道府県で自主的に日本語学校を開設してくださっているところが何県かございます。これを冒頭申し上げましたように、今後どのように組織立てていくか、夏までに結論を出したいと思っております。
#136
○中野鉄造君 私、今度長崎で調べたんですけれども、生活の非常な困窮が浮き彫りにされてくるわけなんですが、一家七人の人があばら家同然の六畳一間で寝起きしている、そういう例もありまして、おふろもなければ何もない。おふろも近所の人の好意で入れさしてもらっているとか、言葉が思うようにできないので、いい職にもつけない。中国では医者をやっておった、あるいは看護婦をしておったが、日本では経験がなかなか生かせない。そしてまたもう一つは、いまから働いてもなかなか今度は厚生年金あたりの受給資格が得られないとか、中国にまだ九つの子供を置いてきているけれども、日本政府の許可がなかなかおりないので、一緒に暮らすことができない、離れ離れに住むようなことになっていると、こういうようないろんな生の声をお聞きしたんですけれども、ここいら辺どんなですか。
#137
○政府委員(北村和男君) 非常に貴重な御意見だと存じます。私どもも長崎県とさらに連絡をいたしまして、個々のケースの実情を十分調査したいと思っております。
#138
○中野鉄造君 いまもちょっと触れましたけれども、そういう方々の年金について伺いますが、こうした引揚者の方々の中には年齢の関係で厚生年金あるいは国民年金に入れない人がおりますね。国民皆年金の精神からいくと、これはひとつ何とか特別措置による救済の施策が必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#139
○政府委員(山口新一郎君) 年金制度におきます中高年加入者の対策の問題ということだと思いますが、この問題につきましては、現在の国民年金ができますときにひとつ議論があったようでございまして、当初すでに高齢に達している方につきましては、資格期間を短縮するというようなことで措置が設けられたわけでございます。しかしながら、制度が始まりまして途中で、中高年で加入するという方につきましては、任意脱退という道をつくりまして、資格期間が得られそうもなければ入らなくてもいいというような仕組みをつくっております。しかしながら、制度が始まりましたのが三十六年でございますから、その後のいろいろな社会情勢の変化を見ますと、いまの仕組みの対応の仕方だけではやや不十分ではないかということを私どもも感じております。
 そういう意味で、この問題につきましては、ひとり中国から帰られた方だけではありませんで、ほかの一般の帰国者の問題もあるわけでございます。あるいは先般の難民条約の適用を受けられるような方もいらっしゃるわけでございます。そういう方々も含めまして、この次の改正のときには一つの課題として受り組みたいというふうに考えております。
#140
○中野鉄造君 先ほどから私は長崎県の例を引いて申し上げておりますけれども、これは大臣にお尋ねいたしますが、長崎県を例に挙げますと、五十六年度は中国引揚者の関係で約二百五十万一千円を使っているわけです。さらに五十七年度は、それに加えて、県単独事業として四百五十五万四千円を計上しております。このうち、国からは事務費として七万三千円、庁費として三万八千円、これだけしか出ていないわけなんですね。これでは国は自治体に対して口は出すがお金は出さない、こういうようなことになるんじゃないかと思うんですが、もっと自治体の積極的取り組みを推進する意味からも、国としてももう少し何か手の打ちようはないかと思うんですが、いかがですか。
#141
○国務大臣(森下元晴君) 実態、実は私も初めてお聞きしたことでございますし、かなりの大きな金額が自治体から出されております。そういうことで、私の方としてもその具体例、また長崎県の方へも照会して、十分内容を実は聞いてみたい、このように思っております。そういうことで、ここでいま地方自治体、長崎県だけではないと思います、各県においても、金額の多い少ないは別にして、そういうケースが多少あると私は感ずをわけでございまして、よく調査をして、また報告をさしていただきます。
#142
○中野鉄造君 それはもうお願いいたしますが、最後に一つだけ聞きたいんですが、現在のところは、こういう帰国後の生活援護、自立への対策は、地方自治体のきめ細かなそうした対策がどうしても現場で必要じゃないかと思いますが、現在自治体のこういう援護事業に対する国の予算上の措置はどういうふうになっておりますか。
#143
○政府委員(北村和男君) 先ほど申し上げました、帰ってまいりましたときの帰還手当の支給とか、語学教材とか、オリエンテーションとか、指導員を派遣するとか、これは全額国費で賄っております。それから帰ってまいりましたときに、生活保護は、生活保護の一般原則でございますので、八割を国費、二割を自治体で持っていただいております。
#144
○中野鉄造君 それだけですか。
#145
○政府委員(北村和男君) そのほか各省、先ほど申し上げました建設、労働、文部等でそれぞれ施策を講じておりますが、それは既存の施策のやり方でやっておりますので、それぞれの予算の支弁がございます。
#146
○中野鉄造君 終わります。
#147
○沓脱タケ子君 それでは、しばらくの時間をちょうだいいたしまして、きょうは勤労婦人対策についてお伺いをしたいと思っております。
 最初に、四年制の大卒の女子の雇用対策についてお伺いをしたいと思っているわけでございます。
 いま御承知のように、女子の雇用者というのは千三百五十万人を超えて、雇用者数全体に占める女子の割合というのはすでに三四%に達している。雇用労働者の三分の一以上になっておるわけでございまして、これはいわゆるヨーロッパ諸国と比べましても、高い水準にまで達していると思うわけでございます。こういう状態というのは、女子の労働者というのはわが国の経済や社会発展に大変寄与していると思うわけですし、その力というのはますます大きくなりますし、今後もどんどん発展をするであろうと考えられるわけでございます。
 そこで労働大臣、労働行政上、女子の雇用者対策、特に男女平等の促進、こういったものがますます重要になってくると思われるわけでございますけれども、大臣、御所見いかがなものでしょうか。
#148
○国務大臣(初村滝一郎君) 雇用における男女平等の確保が必要であるということをまず第一に考えなければならぬと思います。したがって、従来から私どもどこにそういう隘路があるのかということを考えておるわけですが、なかなかこの女子に対する雇用の問題はいろいろな面がたくさんあると思います。したがって、今後特に大学卒業の女子について前向きに就労ができるように取り組んでいきたいと思います。
#149
○沓脱タケ子君 女子の高学歴化というのですか、これはきわめてよいことだと思うんですね。社会発展の方向でもあり大変よいことだと思うわけでございます。私どもが学生のころというのは、学校の機会均等がなくて、国立大学は、私立大学も含めて、どこへも女子は入学することさえできなかった。それがいまでは、能力さえあれば、どこでも学べるというところへ来ておるわけでございますから、これは社会発展の方向できわめて大事なことだと思うわけです。
 ところが、せっかく大学で学んだ知識や技能というのが生かされてこそ、教育の効果また意義もありますし、そうして社会発展に寄与する貢献度というのが発揮されると思うわけですけれども、その場がやはり就職であり生産活動への参加であろうと考えるわけでございます。そこで、大卒の女子の就職希望率と就職率ですね、これは男子と比べましてどうなっておりますか。
#150
○政府委員(高橋久子君) 四年制大卒女子につきまして、男子と違ってなかなか就職しにくいという状況がございますのは、先生の御指摘のとおりでございます。五十六年の就職希望率は、リクルートセンターの資料によってみますと、五十六年は女子は八八・四%、就職をいたしました者は、学校基本調査によってみますと、六七・六%になっております。就職率が男子の場合は七九%でございますので、男子よりかは一〇%強低いという状況でございますが、かってに比べますと、五十二年当時はこの差が非常に開いておりまして、二〇%近くあったということを考えますと、次第に縮まってきているというふうに言えるのではないかと存じます。
#151
○沓脱タケ子君 確かにそうでして、男子と比べて一〇%余り就職率が少ないという結果が出ているようでございます。ところが、五十七年三月ですか、大学卒予定者を見ますと、就職希望率というのは男子が八一・九%で女子が八三・六%、女子の方が就職希望率というのは高いんですね。就職希望率が女子の方が高くて、そうして実際の就職率というのは男子よりかなり低いというのは、やはり大変残念な状態だと思うわけでございます。
 ところが、問題はそれだけではないんですね。そういうことが起こってくる背景というのはやはりあるんだと思うんですが、特に労働省の婦人少年局でお出しになっておられる「昭和五十六年女子労働者の雇用管理に関する調査」という大変ごりっぱな調査をしておられるわけでございますが、この報告書を拝見していろいろ考えさせられたわけでございますが、せっかくの御調査でございますので、簡潔にひとつ初任給の格差だとか、職場での昇進についての格差、あるいは教育訓練の格差、あるいは退職制度の格差、あるいは就職における格差などの若干の数字ですね、御報告をいただきたいと思います。
#152
○政府委員(高橋久子君) 女子の雇用管理に関する調査は、私ども昨年実施をいたしましたが、最初に公募の状況でございますが、四年制の大卒の公募の状況につきましては、公募したという企業が三三%ございますが、その中で男女とも公募したというのは、この三三%を一〇〇といたしまして、二六%、男子のみというのが七三%でございます。女子のみというのが一%ということから、女子に開かれている門戸というのが狭いというような大変残念な状況がございます。
 また教育訓練について見てみますと、教育訓練につきましては、教育訓練を実施しているという企業を一〇〇といたしまして、男女全く同じに受けさせているというのが四〇%、女子にも受けさせるけれども、教育訓練の種類は男子と違っているというのが三九%、女子には受けさせないというのも二〇・七%ございます。
 それから昇進の機会でございますけれども、女子にも役職への昇進の機会があるという企業は全体の五五%でございまして、女子には昇進の機会がないというところが四五%ございます。昇進の機会があるというところについて見ましても、係長相当までが三五・六%、課長相当までが二四・八%という状況で、部長相当あるいはそれ以上というようなところは比率が低くなっているというような状況ございまして、この雇用管理を見ます限り、私どもはまだ企業におきまして女子が男子と同じようにその能力が活用されているというふうには言えないかと存じます。
 しかしながらこの調査、同じような調査を五十二年にもやっておりますけれども、その数字は省略いたしますが、それぞれ以前よりかは改善されていっているということがございまして、私どもといたしましても、今後とも企業が女子の能力を活用するように積極的に取り組んでもらえるようにいろんな形での指導をしているところでございます。
#153
○沓脱タケ子君 ありがとうございます。大変具体的に全体の趨勢がわかってありがたいと思うわけですが、実は新日本婦人の会という全国組織の婦人団体が、昨年の十一月から二カ月間かかりまして全国的な規模で、これはフルタイマーで働いている婦人の労働者の五千人以上の方々の差別証言というのを調査をしてみたんですね。これは労働省へも要請などがあったと思いますので御存じではないかと思いますけれども、これを見てまいりますと、いま労働省が御調査になられまして出てきた数値を示すような具体例というのが実に随所にあるんですね。
 時間の都合があってたくさんは紹介できないと思いますけれども、ごく少数例を紹介しますと、たとえば「採用・就職の差別」というところでは、東京の商社です。名前はちょっと控えますからね。「四年制大学卒業者は採用しない。採用しても嘱託」だと。それから埼玉の製造業では、「四年制の大卒は一人も採用されない」。それから愛知のこれも商社ですが、これは四年制大卒ではないんですね、短大卒なんですが、「採用決定後、女子のみ親を呼び懇談をする。女子は縁故採用しか採らない。部長推せんを必要とする。」というふうな、これは具体例ですからね、そういうものがある。
 「仕事上の差別」ではどういうようになっているかというと、「女性は補助的な仕事しかつけない」というのが、これは群馬県を先頭に全国二十二部府県から意見が上がってきている。それから「責任ある仕事に女子はつけない」。ひどいのは、どれだったかな、大阪のあるサービス業ですがね、「仕事中でも上司のコーヒーやミルクの出前をたのまれる」と。それから京都のある保険業です。「女性は入社して定年まで仕事の内容は同じで、責任ある仕事に」はつけてもらえない。お茶くみ、掃除というのはどうなっているかというと、「お茶くみや掃除は女性の仕事。」これは埼玉。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕それから北海道の小売の職場ですが、「トイレ、事務所の掃除は女子だけの割当」。それからこれは大阪の事例ですが、「掃除は特に新入女子が三十分早くきて」やっている。時間外手当はつかない。宮城県では、「定年近くになってもお茶くみ、掃除は女性だけにさせる」。それから「役職による女性への差別」というのが、これはずいぶんいろいろありますが、これは長野県ですが、「女子の最高職は現場の組長まで」。それから栃木ですね、これは「昭和五十四年にはじめて事務職で女の係長が誕生したが、男性では三十歳から三十二歳ぐらいで係長になるが、この女性は四十五歳になってやっとなれた」。
 「賃金の差別」では、初任給差別もあるんですね、依然として。これは秋田の運輸業ですが、初任給から一万円以上の格差がある。それから福島の製造業ですが、高卒女子の賃金が初任給で八万四千円、男子は九万円と最初から六千円の格差がある。入社時は一緒だが、賃金格差が起こっていくというのは、これはもうずいぶんたくさんあって、一番ひどいなあと思うのは愛知の商社ですが、「二十七歳の男性と五十五歳の女性の賃金が同じ」。それから大阪の石油会社ですが、入社十六年目で年間男性と百五十万円の賃金の開きが出てくる。この種の問題たくさんございます。
 それからもう一つは諸手当の問題ですね。扶養手当というのがもう非常に問題になっているんですが、これは千葉の製造業ですが、「女性は世帯主にならない限り家族手当をもらえない」。夫が病弱で長く入院をしたりしている場合、あるいは仕事がなくなったときには困ってしまうという問題。それから住宅、寒冷地手当等ですが、これは秋田ですが、扶養手当、寒冷地手当、住宅手当などは女子に支給されない。それから住宅手当にも格差がある。大阪の石油会社ですが、住宅手当、女子は五千六百円、男子は二万円。
 それからいろいろありますが、帰省旅費は女性には出さない。これは東京の商社。それから教育、研修、訓練等でも、これもナンセンスだなと思うようなことがあるんですけれども、たとえばこれは大阪のサービス業。「英語研修、男性は費用会社もち、女性の場合は本人もち」。それからこれも大阪ですが、「通信教育課目は女子は二科目のみで、男子は二十科目、もし女子が全部受けたければ、全額自己負担。男子は全額会社負担」。この調子なんですね。
 その他福利厚生施設などずいぶんございます。これは時間の都合があるんでたくさん紹介をできませんけれども、結婚祝い金等についての差別も依然として職場によってはあるようです。それから定年についての差別も残念ながら解消されていない。
 私は、こういうひどさというのはいろんな形で残されているんだなということでちょっと驚いたのは、たとえばこんなことがあるんですね。これは健康保険組合の職場におる方なんですが、愛知の商社です。どんなことになっているかというと、「成人病検診内容が男子に重点がおかれている」、女子の成人病検診はない。「男子の扶養家族には成人病検診に対して四千円の補助金が出るが、職員本人である女子にはその恩恵はない」。これまた変なぐあいですが、こういう五千保人の方々からの証言ですから、無数にあるわけで、ごく特徴的なものを拾い上げたんでもこういう状態なんですね。ですから、労働省で御調査になった報告書の内容というのは、こういう形で残存しているということを示していると私は思うわけでございます。
 大臣ね、こういうお話を聞いていただきますと、いろいろ考えぬといかぬなということを率直にお感じになると思うわけでございます。まず就職は門戸が狭い。初任給から差別がある。しかもせっかく就職ができても昇任、昇格の差別があって、行を着く先はなかなか奥の細道だという状況なんですね。こういう状態を御承知いただきますと、婦人対策に力を入れなければならないし、まだまだ差別扱いがたくさんやられているんだということがおわかりいただけたと思うわけでございます。この問題についての御見解をお伺いしてもいいんですけれども、時間の都合がありますので、そこで大卒者の公募なんです。
 これは先ほど御報告の中に出ましたように、残念ながら女子の大卒の公募をしている企業というのは四分の一なんですね。非常に門戸が狭いわけなんですが、せっかく高等教育を学んだんですから、身につけたものを発揮する場がなかったら社会にも貢献できないわけですよね。
 そこで、私は大臣にひとつ考えていただきたいなと思いますのは、来年度この四年制の大卒の女子を積極的に採用するように産業界に御要請いただけないものだろうか。やっぱり大臣の御発言ということになりますと、社会的な影響というのは大きいと思うんです。労働省は行政的にはずいぶん御苦労になってやっていただいておるようですけれども、そういう点でひとつ大臣の御英断を期待をしたいと思うんですが、御見解いかがなものでしょうか。
#154
○国務大臣(初村滝一郎君) せっかくの頭脳、教育、そういうものをやった女性がいろいろな関係から雇用機会を狭くしておるということは、私どももやはり十分その点を再考慮しなければいけない、かように考えます。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
したがって、私どもは何といっても男女平等という立場を貫いていかなければならないということも従来考えておりますから、先生おっしゃるとおりに、来年度大学卒業者を企業の方に何とか採用するようにという要請をしたらどうかということでございますから、私どもよく内部で検討しましてできることはやってみたいと、かように考えます。
#155
○沓脱タケ子君 行政当局としてはずいぶん行政指導は丁寧にやっていただいていると思いますよね。その総集編というかっこうでひとつ大臣にぜひ御要請をいただきたいものだと思いますのでよろしくお願いをしておきたいと思います。
 婦人少年局長にお伺いしたいんですが、雇用における男女平等法というんですか、国によっては違いますけれども、制定している国は、私どもお聞きしているんでは、すでに十二カ国ぐらいになっていると伺っておりますが、そんなもんでしょうか。
#156
○政府委員(高橋久子君) 世界全体の数を把握しているわけではございませんけれども、先生十二ヵ国というふうに言われましたが、私どもも大体その程度の把握はしております。アメリカ、イギリス、それからEC諸国が次々にこういった法律を制定してきているという状況がございます。
#157
○沓脱タケ子君 それらの国で、すでに制定をされている国々で、女子労働者の雇用管理に関するこの調査報告で、先ほど御報告をいただきましたところで指摘されているような実態でございますね。たとえば女子の採用、門戸を開いている企業が四分の一だとか、あるいは初任給に最初から男女格差があるだとか、昇任昇進の機会はないところが半分近くあって、あるところでも非常に奥の細道だと。それから教育訓練だって、先ほど申し上げたように、具体的な格差があるとか、こういうことを企業が行えば、雇用平等法的な法律ができれば、法律違反になるのではないでしょうか。
#158
○政府委員(高橋久子君) これらの国々の法制でございますけれども、男女が平等でなければならないということで、特にいま先生がおっしゃいました募集などで男子のみという限定をつけるようなことについては、そういうことがないようにという法律になっているわけでございますが、それぞれの法律におきまして救済方法はさまざまでございまして、罰則がついているもの、あるいは委員会において個別のケースについて、労働者の方から申請があったものについて救済措置をとっていくもの、救済措置はその国のいろいろな法制度等を背景にいたしましてさまざまでございます。
#159
○沓脱タケ子君 しかし、確かに他の法律で救済される分もありますけれども、その国々によってさまざまではありましょうけれども、平等法ができれば大体救済をされていくということが決定的ですよね、そういうことになるんじゃないでしょうか。救済されないというんだったら法律つくっても意味ないわけでね。その辺がやっぱり非常に大事なところだと思っているわけです。
 といいますのは、先ほど申し上げたように、労働省としては行政指導でかなり丁寧にやっておられるわけでしょう。定年差別だってなくしようというんで、五カ年計画で、昨年ですね、五十六年度が最終年度で一定の成果を上げていただいておりますけれども、しかし行政指導という点での限界があるわけですからね。そういう点が本当に平等法的なものができれば、もっとテンポ早く実現できるというふうになって救済をされるのではないかという意味を私申し上げたんですけれどもね。そういうことになるんでしょう。
#160
○政府委員(高橋久子君) 先生がおっしゃいますとおり、法律ができますと、ない場合に比べましてより確かに平等が確保されているという状況があると思います。ただ、この男女平等の問題というのは大変むずかしい問題で、法律ができて、それで法律ができた国の平等が完全に確保されているという状態に直ちになるというようなことにはなっていないということを申し上げたつもりでございます。
#161
○沓脱タケ子君 そこで大臣、いま申し上げたさまざまな雇用における差別というのは、いろいろな事情があるにいたしましても、客観的に見て差別だと思うんですね。こういう差別をなくそうということで、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というものが国際的にも署名をされて批准をしていこうという動きが出ているわけでございますし、この条約に対しましては、わが国も署名もしております関係で、八五年までには批准をしようということになっておるわけですが、この批准の一つの重大な要件になっております平等法、雇用における男女平等の確保、これが一つ大事な要件だろうと思うわけです。御指摘申し上げましたように、こういった男女差別をなくしていくために、しかもこれをやることによって社会発展あるいは人類の進歩に寄与するという立場から言いまして、ぜひ男女の実質的な平等のために雇用平等法の制定というものを御検討いただくことが必要ではないかと思うわけでございますが、ひとつ大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#162
○国務大臣(初村滝一郎君) 婦人差別撤廃条約については、何といっても、この批准のための国内法等の諸要件が必要である、この整備をしなければいけない。昨年五月に婦人問題企画推進本部をつくったわけですね。そこで婦人に関する施策の推進のための国内行動計画後期重点目標の重点課題とされているところであることでございますから、私どももその本部に労働省から一人入っておるわけなんです。そういうことで労働省においても関係各省庁とよく連絡をしながら批准のための条件整備に進んでいきたい、図っていきたい、こういうふうに考えます。
 そこで、一応男女雇用対策の上からも雇用平等法というものをつくった方がいいんじゃないかというような御意見でありますが、私どもも、そういう男女平等の確保が必要なことであるということは言うまでもないわけであります。したがって、労働省は従来からそういうことを考えているところであります。そこで、さらにこれを進めるためには、何といっても、まず男女の平等の具体的な姿を明らかにする必要があるということが言われております。そこで、現在男女平等問題専門家会議がせっかくありまして、男女平等とは何かという判断基準に立っていま鋭意検討しておるように話を聞いております。したがって、雇用における男女平等確保のための法制化については、労働省としては、男女平等問題専門家会議の結論を踏まえて、そうして関係審議会の審議を得て具体的に積極的に検討をしてまいりたいと、こういうふうな考え方でございます。
#163
○沓脱タケ子君 専門家会議の結論が三月末ぐらいというふうに前々から伺っておったんですが、見通しはいかがですか。
#164
○政府委員(高橋久子君) 以前から、先生おっしゃいますように、三月末をめどとして御報告をいただきたいということで申し上げていたわけでございまして、実は本日もそのための会合を持っていたわけでございますが、三月末、本日ということではちょっと無理かと思いますけれども、私どもはできる限り鋭意検討を進めまして、余り遠くない時期に御報告をいただきたいと、このようにいまは考えているわけでございます。
#165
○沓脱タケ子君 できるだけ早く報告を出していただいて具体化をお願いをしたいと思っております。
 私は、きょう急にあれになったもので、あした続きをやらしていただきたいと思っているんですが、雇用における男女平等法制定を検討していく上で特に女子の保護を考えていくという基本的な立場というんですか、そういう必要な観点というものと結合して平等の立場というものを確立していくということが非常に大切だと思っておりますので、その観点についての御質問を引き続きやりたいと思っていたわけですけれども、これはまた次の機会に譲らしていただいて、きょうは終わりたいと思います。
#166
○藤井恒男君 厚生省に限って質問いたします。
 きょう余り時間がありませんから、海外在留邦人の医療対策について主として御質問いたしたいと思います。
 御存じのように、企業の海外事業活動というのが近年とみに拡大いたしまして、これに伴って海外への長期派遣在留者が急激に増大しております。昭和五十五年十月に外務省で発表した数字だけでも、民間企業で約十三万人、そのうち五〇%強が開発途上国に滞在している。最近の調査では、三ヵ月ビザで長期滞在をしておる人たちを含めますと、おおむね十九万人になるんじゃないか、二十万人近いんじゃないかというふうにさえ言われております。これに海外のいわゆる留学生というようなものを加えると、さらに人数はふえるであろう。しかもわが国の経済の国際化というのが今後ますます進んでいくということになれば、海外における邦人の長期滞在者というのはさらに増大していくというふうに私は思っております。
 そういった意味からお聞きするわけですが、私も原則として毎年ASEANのどこかに出向いておりまして、民間企業の海外の長期滞在者と出会っております。しかも最近では海外における子弟の教育環境というのがかなり充実してきたというようなことで、家族帯同者がふえている。奥さんも子供さんもおられるわけですね。何に一番皆さん方図っておられるかということを問いますと、それは食べ物でもなければ気候問題でもない、住宅でもない。すべての人が答えるのは医療問題です。とりわけ家族を帯同している場合に、国内にいれば、企業の中で母性保護という立場から奥さんのいわゆる定期的な健康診断というものも行われているわけだけど、海外に出ますと全くそれはできないというような状況ですね。
 つまり、海外の滞在者で一番困っている問題は医療問題であり、その原因は言語問題だと。おなかが痛いということは現地語でも英語でも言えても、痛さには、日本であればどのように痛いかと必ず問診で医者が問う。そうすれば、きりきり痛む、あるいはしくしくと痛む、いろんな表現がある。そういったものを問診で問うて医師というものは判断するわけなんだけれども、私の知っている企業では、そういったものを現地語に全部翻訳しまして、テキストをみんな持たしているようなわけだけれども、実際に病院に行ってそういった言葉が通ずるわけでもない。さらには医療慣習の相違というものがある、あるいは日本人の体質というものがある。こういったものを現地の医師がなかなか理解できない。さまざまな点で在留邦人が非常に困っているし、不安に感じている。中にはこれらの弊害のために誤診を受けたり、あるいは手おくれになったりしている人も現におるわけです。これは厚生省でもお調べになってわかっておることだと思う。そういった状況というものを把握された上で、この種の問題に厚生省がどのように対処しておるのか、まずそのことをお聞きしたいと思うんです。
#167
○政府委員(大谷藤郎君) 海外に在留されておられます邦人の方々が、教育環境の問題については非常に改善されてまいりましたが、医療の問題について大変御不自由であるということにつきましては、先生がお話しのとおりでございまして、私どもとしても大変心配いたしているわけでございます。ただ、この問題は教育の問題と違います点は、医療の法制というものが国際的にわりあい自国主義でありまして、非常に厳しい点がございます。またわが国の場合医師を長期派遣するというふうなことも非常にむずかしい問題がございます。そういった点で、教育の方は非常に改善されましたけども、医療の方は余り目覚ましい進歩を見ないという点は非常に残念なことでございます。
 ただ、この点につきましては、外務省の方で巡回医師団を派遣いたしましたり、あるいは外務医務官制度というふうなものも行っておりますが、こういう点につきまして厚生省といたしまして従来から御協力を申し上げておりますし、また厚生省独自といたしましても、こういった問題に従来から検討を加えてきたところでございます。しかし、何と申しましても、こういった問題は外交上の問題が基礎にございますので、外務省の方と私どもといたしましては、できる限り協力してその問題に取り組んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#168
○藤井恒男君 あなたのおっしゃることでは、いろんな問題があるのでむずかしいから何もやってない、外務省のお手伝いをしとるというだけだね。厚生省に五十四年の十二月に国際協力懇談会というのが設置されて、その下部組織に在外邦人医療対策検討部会が発足しとるはずだ、これは五十四年の十二月。ことしは五十七年、結局何もしてなかったわけですか。
 あるいは、あなたはいま、教育問題は進展しているが、医療問題は自国主義であってむずかしいんだと言うけど、それは間違いであって、教育問題も非常にむずかしい。現在、東南アジアの中で日本人学校に日本語で「日本人学校」と看板を掲げているところはたった一カ所、ペナンだけです。それも、許可を得たんじゃなく、恐る恐る掲げたけど文句を言われていないというだけです。教育はまさに自国主義。それを長い間、たゆまぬ努力をする中で、やっとこの看板を一カ所だけかけることができた、これによって改善されてるんです。自国主義だからといってほっとけば、いつまでたったってそれはどうしようもないですよ。
 だから、いま言った五十四年につくったものは、現在まで三年ほどかかっとるんだけど、何やってたんですか、それ。
#169
○政府委員(大谷藤郎君) 委員の先生方も非常に御熱心に御討議をいただきまして、すでにある程度の中間的な御報告をいただいております。ただ、その中では、先生にお言葉を返すようでございますけれども、非常にその点、先ほどから申しております点がむずかしい。したがって、たとえば日本人医師を長期滞在させて診療に従事させるというふうな場合につきましても、たとえば実施主体についてはこれは民間が当たるべきであるし、費用負担についてもこれは受益者及び受益企業が行うのを原則とすべきだ。ただ、相手の国との交渉等民間で行うのが非常にむずかしい点については、国がそういった方向でひとつ御協力をしてこれの打開に当たろう、こういうふうな御意見が中間的な御意見として出ているわけでございます。
 そういうわけで、当面の問題といたしましては、在外邦人の健康情報の整備でありますとか、あるいは現地の医療機関の利用をできるだけ進めるとか、あるいは現行施策、先ほど申し上げました巡回医師団あるいはそれについての薬剤の充実、あるいは外務医療官の増員といったふうなことで対処していくべきだと、こういうふうにいろいろ御討議いただきましたところで、いまのところはこういった御意見をいただいているわけでございます。
#170
○藤井恒男君 そういった御意見をいただいて、それでどうしようとしておられるんですか。
#171
○政府委員(大谷藤郎君) これにつきましては、厚生省だけでは対応ができませんので、外務省と御協力してひとつ打開策を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#172
○藤井恒男君 その対策というのは、巡回医師団、いま年に一回外務省が派遣しておるわけですね。年間予算は九千万。外国にはいま言ったように二十万人ぐらいいるわけです。それを協力するというのはどういうふうに協力しようとしているのか。厚生省の厚生行政としての主体性をどこに求めようとしておるのか。どうなんですか。
#173
○政府委員(大谷藤郎君) 何度も申し上げますが、外国の問題につきましては、一応外務省の方の所管ということでございまして、その中身の問題につきまして厚生省として御協力してやっていく、こういう考え方でございまして、巡回診療にいたしましても、外務医療官の募集にいたしましても、厚生省といたしまして、その内容につきましては御協力しているところでありますけれども、いわゆる在外邦人のそういった健康を守る、権益を守るというふうなことにつきましては、外務省が所管されているところでございます。
#174
○藤井恒男君 たとえば日本人医師によるメディカルコンサルタントというようなものは、どこの国においてもこれを阻止するものはありません。したがって、外務省は年に一回これをやっておるわけですね。厚生省が厚生行政としてこれをやろうと思えば何の障害もありません。年一回ぽんと来られて一日に九十人の問診をやるというような状況では、実際には巡回医療相談ということにはなっていない。これは二遍に頻度を増すという方法もありましょう。あるいは超長期と言わなくても、そこに一カ月滞在して奥さんや子供さんの健康診断をするということもありましょう。やろうと思えば幾らでもできるんだけれども、あなたは、やるところは外務省と言われるんだけれども、それは大臣どうなんですか、厚生省としておやりになる意思ないんですか。
#175
○国務大臣(森下元晴君) ちょっと角度の変わったことから申し上げたいと思うんですが、海外協力の中で一番喜ばれるのは医療協力であると私は存じております。過去におきましても、医療協力の問題でいろいろ厚生省も相談を受けたこともあるだろうし、またそういうふうに海外へ日本の医療また医師を派遣しようという企てもたびたびあったように聞いておりますけれども、非常にむずかしい問題があったということも実は聞いております。その理由の一つは、絶対的に医師数が足らないという点もあったと思うんです。そういうことで、いままで厚生省は残念ながら、いま医務局長からお話ございましたように消極的な態度をとらざるを得なかった点はあると思います。
 そういうことで、当然二十万、恐らく将来は三十万、四十万、日本が経済的に生きていくためには海外に大ぜいの邦人が出ていかなくてはいけない。当然医療もそれについていくべきであるということも実は考えますし、同時にまた、そういう方々が現地で医療協力をすることも、別に日本人だけを診療するばかりじゃなしに、日本の医療の技術は世界的な水準に達しておるわけでございますから、そういう意味で、今後厚生省としては外務省とも協力したり、またJICA、国際協力事業団とも協力して、私は今後はひとつ積極的に、医師数もどんどんふえ続けておりますし、そういう環境がかなり変わってまいりましたので、積極的にいまお話ございましたような点で海外に出ていきたい、またそれに対するいろんな障害も排除する努力もいたしたい、このように思っております。
#176
○藤井恒男君 大臣、それは全くそのとおりで、先ほどの答弁ではそれは外務省の所管だからお願いしていますじゃ、これは全く話にならぬので、これは医療福祉の国民における均質化という問題からも、これは厚生省こそがやらなければいかぬ。在外公館が現在わが国は百八十五カ所あるけど、医務官を派遣しているところはそのうち十六ヵ所ですからね。しかもこの医務官というのは、原則として在外公館以外に手を染めることはならない。大使とか医務官の人柄によって、たまたまそこの在留邦人に緊急の事態が出たときには便宜供与を内緒でしておるというだけですよ。だから、これに頼ることもできない。外務省のいま言う巡回診断というのは年に一回であり、しかも一地域で一日九十人の問診をしておるというのは、どんなに考えても、二、三分で、あなたどうですというようなことで、それは話にならぬ。だから、これはわが国として、これからの日本の経済の国際化、その第一線で毎日張り詰めた気持ちでがんばっておられる人たちに、医療行政をもっと私は本気でやってもらわぬと困ると思う。このことをまずお願いしておきたいと思うんです。
 それで、やろうと思えば、先ほど言った日本人医師による巡回診断というものは、医療行為を行わなければ外国における自国主義というものに何も抵触しないんだから、いまでもできるわけですよ。だから、早速にでもその方面からでも手をつけていただきたい。
 それからいま一つ、いいこととしては、五十五年十一月の九十三臨時国会で健保法が改正されて、海外への健保の適用が実施された。これは非常に朗報だと思うし、結構なことなんです。しかし、これは政管健保と組合健保だけが適用されて、国民健保が除外されている。したがって、最近の海外の長期在留者というのは決して大手企業だけじゃない。東南アジア、インドネシア、マレーシアあたりには中小企業もたくさん進出している。これらは国民健保ですね。そうなってまいりますと、国民福祉の均質化、海外医療というものを国民皆保険の一環としてとらえていくといった場合には、これは著しく限定施行ということにおいて整合性を欠くことになるわけなんだけど、国民健保に対するこれからの取り扱いをどうしようとしておるのか、お答えいただきたいと思うんです。
#177
○政府委員(入江慧君) ただいまの国民健康保険の適用の問題は、制度の問題になりますので保険局の問題になるわけでございますけれども、九十三国会の健康保険法の改正のいきさつから申しますと、あの場合は、企業に働いておられる方が外国に出向した場合に、それ以前の法律によりますと適用除外になっておったのを、要するに在外企業協会等の御要望によってそれを救済するというための法律改正だったわけでございまして、その段階では要するに一応健康保険の問題として対処したということでございますので、国民健康保険といいますか、要するに日本に在住する被用者でない方々に対する外国に行った場合の医療の問題というのは、また別の問題として検討すべき問題だというふうに考えます。
#178
○藤井恒男君 まさにこれは官僚的なことであって、日本在外企業協会、これに所属しているところはいわゆる超大手企業ですよね。したがって、それぞれに組合健保を持っているわけだ。そこが物を言ったからその適用にしたと。だから問題の本質は、日本人が海外に出ている、海外に出ている人たちにひとしく国民皆保険という立場でその適用をさそうとするならば、そういう発想でいくならば問題は解決するんじゃないでしょうか。
#179
○政府委員(入江慧君) ちょっと私の申し上げたのが正確じゃなかったかと思いますが、要するに企業協会はおっしゃるとおり大企業が中心でございますけれども、要するに被用者が企業――大中がかわらず、要するに企業に働いておられる方が主として仕事で海外に行った場合に、そこで療養を受けた場合にこれまでの法律は適用除外になっておったわけですね。それを救済しようという第一段階で、したがいまして、いまおっしゃったように健保組合だけじゃございませんで、中小企業を含む政府管掌健康保険についてもこの間の改正で海外療養費の制度が開かれた。国民健康保険はしたがいましてその発想がちょっと別だった。九十三国会のときの健康保険法の改正のときには、国民健康保険の対象になる方々の海外療養費の問題というのは、一応問題になっていなかったということを申し上げたわけです。
#180
○藤井恒男君 だから、その人たちが物を言う機会がないからその人たちには適用してないわけでしょう。だから健康保険という立場から、物を言わなかったからそれは何もないんだ。だから国民健保に加入しておる人たちは主として、これは例が悪いかわからぬけれども、中小企業が多いわけだわ、中小企業が。組合健保を形成できない中小企業、国民健保に入ってますよ、これ。(「政管だ。」と呼ぶ者あり)政管だ、政管だ。国民健保に入っておる人たちがそれじゃいま言ったような形になったらどうなりますか。
#181
○政府委員(大和田潔君) 国民健康保険の被保険者が海外で病気になった場合にその取り扱いがどうなるか、こういうお話だと思います。これにつきましては、現在、先ほど医療保険部長が答弁しておりましたように健康保険、被用者保険の場合はああいう取り扱いになったわけでありますが、まだ国民健康保険につきましてはそのような取り扱いしておりません。
 この問題につきましては、今後国民健康保険制度をどうするかというこの問題の検討を懇談会を発足いたしまして検討を始めたところでございますので、今後実態などをよく見まして、私どももただいま先生おっしゃいましたようなことにつきまして検討してみたいというふうに考えておるわけであります。
#182
○藤井恒男君 わかりました、その点は。
 それじゃ、健保を現在適用されているのは政管と組合健保ですわね。それじゃその人たちの健保の適用というのは、国内における適用を海外にそのまま延長したという形になっておるわけだけれども、海外における医療行為あるいは薬剤の使用、これは全然わが国とはまた違うわけで、したがって同じ盲腸を仮に手術したとする。そのときの医療の行為の仕方あるいは請求書の出し方、処方の仕方、これは全く違う。ところが適用されるのは、わが国で適用されるのを海外に広めたというだけなんだから、実効性において、保険を受ける人たちにおいては、これは非常に実態とそぐわない状態、健保を適用されるという受ける側の認識に立ては、違う状態になっておるんだけど、その辺は弾力的に運用していくということはできないものか。いまはできないでしょう、それはいまは。しかしこれからやっぱりその辺のところは、それがたとえば先進国でおる、あるいは開発途上国である、非常にこれは差があると思うんで、そういった点を弾力的に運用するということができないものかどうか。どうでしょう。
#183
○政府委員(入江慧君) いまおっしゃいました弾力的という意味がちょっと正確にわかりませんですが、私ども海外療養費をお支払いするときには、海外で医療機関で診療を受けた方々から、大体参考になる様式をこちらからお示ししてありますので、たとえば初診料幾らとか、入院費幾らとか、医薬品費幾らというような額を海外の医療機関で記入していただいて請求していただくわけです。したがいまして、その中で使われておる薬がどうだこうだという細かい問題は私どもチェックもできませんが、そういう項目に従いまして、大体その方が仮に日本で療養費の請求をした場合に、いま申し上げた医療費なり医薬品費というのがどれぐらいの額がというのを頭に入れまして、それが非常識に高くなければお支払いしているというような状況でございます。
#184
○藤井恒男君 そうすると、それは海外のある程度実情に応じて支給していると解釈していいわけですね。
 もう一つお伺いしますが、在外勤務の国家公務員に対する共済組合法における給付の特例、これは海外での支払い額に対して定率の給付をしておるというふうに私は聞いているんだけど、そのことといわゆる民間企業の人たちの医療給付というのは違うでしょう。国内法を適用しておるだけでしょう。
#185
○政府委員(入江慧君) ちょっと不勉強で国家公務員の場合承知しておりませんが、いまおっしゃった言葉のとおり、海外でかかった医療費の総額の一定率を国家公務員について支払われているということでありますと、健康保険の場合は、要するに国内におきます療養費払いと同じ取り扱いをしておりますから、要するに点数表というのは一応基礎になっておりますので、国家公務員の場合とは取り扱いは違うと思います。
#186
○藤井恒男君 非常にいい答弁していただいたんですが、要するに海外における健保の適用については、海外における一定請求に基づいて、国内のそれとにらみながら海外の実情も勘案して払っておるわけですね、あなた先ほど言われたのはそういうことなんで。たとえば日本だったら盲腸なら何点だといって払っておるんと違って、海外の実情等も考慮して払っておるということだから、これは非常に弾力的にやられておると思って私は得心したいと思うんです。
 それで、時間がないから先に質問を進めます。あとは邦人診療所の設置について。
 先ほど大臣おっしゃったわけだけど、やはりこれが本命であって、日本人医師を外地に連れていって、そして診療行為を行わせようとするならば、その国における医師免許の問題もありましょうし、自国主義という問題もありましょう。あるいは医療におけるわが国の租界を形成するというようなことで反発を買う場合もあるかもわからない。これは非常にむずかしい問題だと思う。
 だけど、これはやりようによって、たとえば医療の開発援助ということで中国にがんの病棟を提供した、今度はエジプトに小児科病棟を提供する、外務省がですね。そのときに医師も送り込み、機械も送り込んで、その病室の中の何室かは優先的に在留邦人に適用するだとか、あるいは在留邦人に医療行為をそのときその医師がやるというようなことを二国間協定で話し合えば、私は解決する余地は幾らでもあると思う。これは外務省がその所管に当たるであろうが、先ほどのような傍観的な立場でなくて、厚生省が音頭をとって、厚生省がこれをやっていくべきだと私は思うんです。
 大臣に私はお願いするわけだけど、自国民保護についての基本法というものをぼつぼつ制定してもらいたい。もう二十万が間もなく四十万、五十万になりましょう。国が海外の医療事情をよく把握するということと同時に、在留邦人が、制度面というよりも、実際面で国内におけると同じような医療を享受できるというような形を私はとってもらいたい。また民間の海外邦人の日本在外企業協会、これらの人たちも、全部政府におんぶにだっことは一つも言ってない。金は全部われわれが出します、病院をつくってもらうならその金も出します、要はそういった隘路を、これは民間ではどうしようもないんだから政府がやってください、こういうことを言っておるわけだから、全くれと言っておるわけじゃないんですわな、これは。だから、問題は大きく外に目を開いて私は対処してもらわぬと困ると思うんです。このことについて大臣の考えを承っておきたいと思います。
#187
○政府委員(大谷藤郎君) ただいまの日本在外企業協会の問題につきまして私から事務的な問題でございますので一言申さしていただきますが、私どもといたしましても、趣旨につきましては十分了解いたしておりますので、できる限りこの面につきまして指導、援助、助言ということをやってまいりたいというふうに考えております。
#188
○国務大臣(森下元晴君) いま医務局長からお答えしたんですが、私は一応前向きにひとつ政治的なお答えをしたいわけでございまして、多少個人的な意見も入るかもわかりません。
 いま藤井委員がおっしゃいましたように、確かに日本が生きていくためには海外との貿易、したがって商社活動等のかなりの方々が海外に出てもらわなくてはいけないということはわかっております。そのための健康を守ること、それと日本の医療もまた医薬品もかなり世界的な水準になっておりまして、先ほどエジプトのお話がございましたが、サウジにも実はがんのセンター、これも協力することになっておりますし、それからスリランカ、日本に対するそういう注文が非常に多いわけでございます。機運がこれからそういう方向に向いてまいりますし、在留邦人の移動だけではなしに、現地での協力ということも兼ねて、将来の問題としてそういう面で日本の善意というものを海外に出すいい機会でもある。医師も非常にたくさんこれから出てまいりますし、これは厚生省だけではもちろんできません、やはり外務省とか他の関係省庁との調整等もございますけれども、そういう方向で進んでいきたい。かつて英国が病院をつくり医師を派遣し、また留学生を自分のところで養成していったというような先例もございまして、まさに私は、医療協力はだれからも恨まれないりっぱな海外事業でもある。それがまた海外で活躍する邦人の活動力を高めるということで非常にりっぱなことであるし、厚生省も今後の問題として考えていきたい、またそれぞれの関係省庁との連絡も十分とっていきたい、こういうふうに思っているわけであります。
#189
○藤井恒男君 時間が来ましたので、それでは残念ですが在留邦人の問題また改めて別な機会に御質問いたします。
 最後に中国の残留孤児の問題について、国民から見ても、今回の行為は厚生省としてもよくおやりになったと私思うわけですが、一つだけ、中国のことはいささか私もよく知っておるつもりでありまして、毎年私中国に行っております。そういった肌で感じた面からの危惧かもわからないけど、国民から多額のお金が集まった、それをたしか一人二十万持たして帰したということだけど、このことについて私は非常に心配しておるわけなんです。あれだけの品物を持って、そして現金二十万を持って現在の中国に帰った場合に一体どうなるんだろうかと。残留孤児については中国の温かい目があると同時に別な目もあります。そういったときに、ぴしっと背広を着てそうして電気製品をいっぱい持っていく。果たしてその帰った人が幸せなんだろうか。このことを私は中国の実情を知っておるがゆえに非常に心配しておる。つまはじきになっておるんじゃないだろうか、いたたまれぬのじゃないだろうかとういふうにも思うぐらいですね。
 したがって、その後も苗民から温かいお金がどんどん寄せられておるということで、これは非常にありがたい結構なことだと思うんだけど、お金が集まったから来た者に渡すというようなことがいいのかどうか、あるいはあの種の物を持たして帰るということ、それはこちらの親にしてみれば持たしたいだろうけれども、それがいいのかどうか。厚生省でもたくさん向こうに、大使館にもいままで行った人おるんだろうからよく知っておるはずだと思うので、その辺の指導はもっと温かく行き届いたものにしなければ私はいけないのじゃないかというふうに思うわけです。その辺のところをちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
#190
○政府委員(北村和男君) 国民の皆さんから大変なお励ましとそれから寄付をいただきました。私どもお預かりいたしましてびっくりいたしたわけでございます。
 それで第一回、昨年でございますが、四十七名の孤児さんたちが来たときにやはり同様にお金を私どもはお預かりいたしました。ちょうどそのときに一人頭四万円の金額でしたのでそれを頭割りで配分いたしました。
 今回は大変お金が集まりまして、まさに先生のおっしゃったような心配を私どもも部内でしておったわけでございますが、何分お手紙をいただいたりお電話をいただいたりするときの皆さんのお声が、いまテレビで映っているあの人たちのために何かしてやってほしい、おみやげを持たしてやってほしいという声がほとんど大多数でございました。したがいまして前回の方式にしたわけでございますが、中国は大変関税が高いというような特殊事情もございます。御親族の方がたとえばテレビなんか下さるときには、私どもよく事情を御説明して、税関にかかる分も一緒にというようなことまでお話をした事情もございます。なおその後もお金が集まって、いま千三百万ほどになっておりますので、これを銀行に預けて今後の使い方は十分研究したいと思っております。
 なお、懇談会も設置してございますが、それにも御披露をいたしまして、いろいろ御意見も承ってまいりたいと考えております。
#191
○藤井恒男君 終わります。
#192
○前島英三郎君 本日は厚生大臣、労働大臣そろっておられますので、障害者の雇用、就労対策に関しまして、厚生、労働両行政問の協力体制といった面につきましていろいろとお尋ねしたいと思います。
 その前に一つ、具体的な問題について伺っておきたいと思うんですが、昨年の六月、医療費の改定、診療報酬点数表の改定が行われました。これに関しましては、リハビリテーション医療あるいは理学療法の点数を引き上げるよう私もこの委員会で何回か発言もいたしておりますし、昨年の改定がその趣旨に沿った引き上げを含むものであった点は、評価をしたいところでございますけれども、点数表改定後間もないころから実はいろんな苦情また問題提起が入り始めました。
 点数表からマッサージの項目がなくなったために大変困ったことになってきたわけなんです。病院に勤務するマッサージ師がどんどん解雇されてしまうというケースでございます。マッサージ師は、視覚障害者の方々にとりましては、歴史的におきましても、あるいは現実の生活という形の中におきましても、重要な職業なんですけれども、最近ではそれでなくても目の見える人たち、いわゆる晴眼者の人たちの進出が著しくて非常に職場が脅かされておると、こういうようなこともいろいろと問題になってもいるわけなんです。それに加えて、診療報酬点数表の改定が実は解雇につながるといたしましたら、これは大変な問題と言わなければなりません。
 そこで、まず確認の意味でお尋ねいたしますが、マッサージの項目をなくした理由といいますか、その経過といいますか、趣旨といいますか、まず御説明いただければと思います。
#193
○国務大臣(森下元晴君) 昨年六月の診療報酬改定において、マッサージ等の理学療法については、患者の状態に合わせて個々の療法を体系的に組み合わせて行うことがより治療効果を高めると考えることから、個々の療法を組み合わせた包括的な項目を設けて診療報酬点数を設定したものでございまして、御指摘のように、マッサージという字句が消えたわけであります。
 そこで、マッサージされておる方々は、いわゆる抹殺されたというような誤解も実はございまして、病院から解雇されたような例も、私も実は苦情、陳情も受けております。決してそうでない。やはり体系的に、包括的に全体組み合わせたということでございますので、そういう点の誤解を解くために私どもも一生懸命啓蒙運動もやっておるような事情でございまして、ここで声を大きくして絶対にそんなことございませんということを申し上げたいと思います。
#194
○前島英三郎君 実質的には、いま大臣おっしゃったように、診療内容の中にマッサージはちゃんと残っておる、なかなか現実的にはそれが啓蒙が至らなかったという点で、さらに声を大にしてというお言葉だったわけですが、点数表の改定をきっかけとして解雇されたというような実例もあるわけですね。
 ですから、以前から解雇したいと思っていたのかどうかは別といたしましても、その改定をきっかけとして解雇されたという実例も幾つかあります。たしかに毎日新聞が昨年この問題を取り上げましたけれども、解雇または解雇を予告された者はわかっただけでも二十人。これは全国病院理学療法協会に加入している病院の分だけで、加入してないところを含めますと、これはかなりもっと数字は多くなるだろうと私は思います。
 また一方、盲学校高等部卒業予定者に対する病院マッサージ師の求人が、これ以後大幅に減っているという見過ごせない問題も生じていると報じられておりますし、現実に私もその辺は二、三伺っております。ことし二月の初め、所沢の国立リハビリテーションセンターをちょうど卒業する皆さんを訪問いたしました。この春センターを卒業する視覚障害者の皆さんも、そういう切実な今後の生活の不安といいますか、職業上の不安というようなものを述べられておられました。
 厚生省では、点数表の改定がマッサージ師の解雇につながっているというその実態をどのように調べておられて、いま啓蒙もというふうなお言葉があったわけですが、どのように対処してきたのか、また対処する今後の方針などもあわせて伺いたいと思います。
#195
○政府委員(大和田潔君) このマッサージの問題につきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、包括的に運動療法として行うことによって効果が上がるということで、六月の点数改定に際しましてこのような、たとえば運動療法をいたします場合に、認定施設におきましては、簡単なもの八十点というのを百二十点、つまり五〇%引き上げた。複雑なもの百六十点であるのを三百点、約九割引き上げているということで、これは先生のかつての御質問もございましてかなり大きく引き上げておるわけでございます。
 そこで、この運動療法の中できわめて重要な部分を占めるのは実はマッサージでございます。このマッサージを運動療法の中でかなり重要な部分を占めさせ、つまり包括的な運動療法ということになりますと、温熱療法をやり、さらにマッサージやり、体操をやり、先生もよく御承知のとおりのそういうような総合的な療法を行いますことによって効果を上げるということを私どもは期待したわけでございまして、それは効果が上がると思うんであります。
 先ほど大臣が申しましたように、この運動療法の中にマッサージは当然入っておる、重要な部分でありますけれども、マッサージという表現が落されたということによりまして、マッサージはもう落とされたんじゃないかと、さっき先生おっしゃいましたようないわゆる誤解が生じてきたことは事実でありまして、これにつきましては、私どもといたしましては、たとえば全国民生部長会議であるとか、それから全国国民健康保険課長会議であるとか、あるいは保険課長会議といったような会議の都度、ただいまのような運動療法を重視いたしまして非常に点数を引き上げたということ、それからマッサージはその重要部分を占めるんだということにつきまして周知徹底を図るように指示をしてきたところでございます。
 したがいまして、私どもこういった問題につきましては、かなり周知徹底がされたんだろうというふうに考えておりますし、またもちろん今後ともできるだけ機会をとらえましてそのような周知徹底を図るというふうに考えておるわけでございます。また関係団体からも意見を聴取をいたしておりますし、これからも意見を聴取してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#196
○前島英三郎君 趣旨がどうも現場まで徹底しなかったというようなことのようなんですけれども、私もこれ見ましても、たとえば「これ以外の運動機能回復訓練を行った場合にあっては、「簡易な水中機能訓練及び機械器具による運動療法」により算定する。」、その中にはマッサージというものも包括的になっておる、こういうことですが、この言葉がないと、この文章というものは解釈の中で誤解も生じましょうし、何かこれが一人歩きしてしまいますと、それでなくても晴眼者が非常に雇用の場に進出しておる、そういう状況の中で、気持ちはわからぬではないけれども、それよりもむしろ目が見える人の方がいいわいというような安易な気持ちに、現場は気持ちを変えていってしまうというおそれを非常に感ずるわけなんです。
 ですから、解雇されて就職できない。またさらに次の就職はといいますと、これは視覚障害者にとっては次の職はないというようないまの一つの雇用体制にもなっているわけですね。ですから、その三療というものに対する期待というものは大変多いだけに、つまり点数表の告示だけではなくて、どうしても誤解が生じない方法として、「点数表の解釈」という本を見ても、私自身もはっきりわからないわけですから、ちゃんとわかるようにたとえば記載をするというような徹底の仕方はどういうものでしょうね。それは必要だと思うんですけれども、一つの通達とか、あるいは指導とか、いろいろなものではやっぱり現場までは浸透しないような気がするんですけれども、その辺はいかがお考えですか。
#197
○政府委員(大和田潔君) お答えになるかわかりませんが、やはり私といたしましては、大きな会議のあるときに、これは声を大にして、この辺の趣旨を末端までしかるべく――これは関係者の会議でございます、先ほど申しましたように民生部長であるとか、所管課長であるとか、そういう人たちを通じまして末端まで趣旨が通るように、それが一番私は効果的であるというふうに考えておるわけでございます。
 先ほどのようにこれはやっておりますが、ことしに入りまして、ことしの一月にそのような会合を頻繁に持ったわけでありまして、そういったことでかなり周知されてきておるというふうに私は思っておるわけでございますが、なお今後ともそれはやっていきたいと、こういうふうに考えておるわけです。
#198
○前島英三郎君 局長さんはそう思いましても、現場では職業としてなかなか採用もされていない、それにまた解雇された人たちがじゃ再就職しているかというと、そうでもないという実情がありますから、これはさらに徹底していただきたいということを声を大にしておきたいと思います。よろしゅうございますね。
#199
○政府委員(大和田潔君) よくわかりました。
#200
○前島英三郎君 さて、今回の問題の背景を考えますと、いろいろな問題が隠されていると思うんですが、一番大きな問題は、視覚障害者の雇用、就労対策の立ちおくれということだと思います。はり、きゅう、あんま、いわゆる三療でありますけれども、それがだんだんと職場が狭められております。一方、それ以外の雇用、就労の機会はなかなか広がらないという現実がございます。一体自分たちの職業はどうなっていくだろうという視覚障害者の人たちの不安がそういう形で声として出ておりますし、またあせりにも似た気持になっていくのが大変私にはよくわかるわけですけれども、そこでまず視覚障害者の雇用の現状、その実態をどう見ておられるか、労働省にお伺いをしたいと思うんです。
#201
○政府委員(関英夫君) お話ございましたように、視覚障害者の雇用というものは職域が現状では限られておりまして、従来からの三療あるいは最近電話交換、一部にコンピューターというような例もございますが、これはまだまだ非常にごく一部でございまして、そういった職域が非常に現状では狭められておる。
 こういった実態を反映いたしまして、障害者の雇用全体は、昨年の国際障害者年を契機として非常に進んではきておりますけれども、視覚障害者の雇用の現状はまだまだ非常に不十分なものがあると思っております。特に雇用関係で常用雇用というものに入る方の率がほかの場合と比較しますと少ないわけでございまして、いわゆる三療関係で自営業関係の方が非常に多いわけでございます。そういう意味で、雇用というのは非常に現状では不十分であり、これから取り組まなければならない大きな課題だというふうに考えております。
#202
○前島英三郎君 どうしても目が見えないということで、三療以外にはないではないか、また受ける側にもそういう無理解な部分もあるんじゃなかろうかと思います。
 いろんなところを訪ねますと、たとえば流れ作業の中で、茨城県のある会社でしたか、ネジ穴、何というんですか、それを流れ作業で、その人はもう全く全盲なんですけれども、機械が正確にリズムで打っていきますから、かえってむしろ目の見える人たちよりもその生産能力は高いというようなところも見ましたし、あるいは浜松のある楽器会社では、いわゆる調律師の方たち、目が見える人は見えるという雑念があるけれども、視覚障害者の人は音を大変厳しく正確に聞き分けるというようなもので、たとえばアビリンピックとかそういう競技の中にも、たとえば調律というような新しい種目を設けていただくと、もっと視覚障害者の雇用も拡大されるし、また仕事の理解もふえていくんだがなというような声も聞かれるわけですから、今後そういう意味での労働省の視覚障害者に対する雇用あるいは就労、そうした面での職業開発というような面は積極的に御努力をいただきたいと思うんです。
 厚生省に伺いたいんですが、授産施設などにおきまして、厚生行政でも障害者の就労対策を進めているわけなんですけれども、その中で視覚障害者の就労状況というのはどうでございましょうか。
#203
○政府委員(金田一郎君) 身体障害者の授産施設等における視力障害者でございますが、昭和五十六年四月一日現在の調査によりますと、調査対象百六十一施設におきまして、授産施設の場合は、入所者八千三十二名のうち三百六十二名、四・五%でございます。福祉工場の場合は八百九十九人のうち十二名、一・三%という状況でございます。
#204
○前島英三郎君 状況は、かなり数字は低いだろうと思いますので、この辺も含めまして、授産施設あるいは福祉工場への視覚障害者の就労という一つの生きがい対策にも厚生省は積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 視覚障害者の雇用、就労対策を今後どう進めるかという問題になるんですけれども、私は二つの面があると思うんです。言うなれば守りと攻めだと思うんですが、守りというのは、これはもう歴史的背景もある三療などの職種をきちんと確保するということが行政側の姿勢になければならないと思うんです。自立の面では視覚障害者の皆さんにとっては三療は重要な職業だと思いますが、それが晴眼者に進出されておるという点では、きちんと確保する行政指導というものが大切だと思います。
 攻めという点では、先ほどもちょっと触れられましたが、コンピューター関係などの新しい分野に進出するとか、あるいは視覚障害者向けの福祉サービスの従事者になるとか、あるいは職種と職域を開発して一般雇用の場を獲得していくというようなことも一つの考え方だろうと思います。この両者が相まって視覚障害者の全体としての雇用、就労が私は進むのではないかと思うわけです。
 そこでお尋ねしたいんですけれども、本年二月一日に身体障害者雇用審議会は、その答申の中で、昭和五十一年労働省告示第一〇八号の廃止について検討せよと、こういうことが述べられておりますね。これはあんま、マッサージ、指圧師の雇用に関するものでありますが、身体障害者雇用促進法に基づいて特定職種に指定して視覚障害者の雇用の場を確保することになっているにもかかわらず、労働省告示によってその抜け道をつくっている部分があると、まあ若干そんな感じがするんです。その抜け道はやめなさいとこの答申は言っているわけなんです。
 私の言う守りの対策の一つであると言えるんですが、この告示の廃止はできる限り早い時期に実施すべきだと私は思います。また実施できることだと私は思うんですけれども、この点を含めまして視覚障害者の雇用促進をどのように進めようとしているのか、あわせて伺いたいと思うんです。
#205
○政府委員(関英夫君) まず告示の問題でございますが、御指摘ございましたように、身体障害者雇用審議会の意見書が出されまして、この廃止を検討せよということでございまして、私ども関係のところも協議をしつつ現在廃止の手続を進めております。ただ、多少の経過期間を要すると思いますが、廃止の告示自体は、できるだけ早く、手続を終わり次第もう草々の間に行いたいということで、現在手続を進めているわけでございます。
 それから新しい職域の開発のお話がございました。非常にむずかしい問題でございますし、私どもも余りいままで経験のないことでございまして、非常に困難な面はございますが、作業補助具といいますか、機器の開発ということも必要でございましょうし、それから能力開発といいますか、職業訓練、それの進め方、やり方といったことも勉強していかにゃいかぬ。いろんなむずかしい問題ございますが、そういうことを充実していきまして新しい職域の開発に努めていきたいと思っております。現在でも所沢の職業リハでいろいろと試みをやっておりまして、まだまだそこに来ていただいている重度の視覚障害者の方の数は少のうございますが、それが一つの何といいますか、パイオニアといいますか、となって、それに続く人々も来ていただき、私どもも研さんを積み、新しい職域の開発に努めていきたいと考えておるところでございます。
#206
○前島英三郎君 ぜひ攻めの行政的な御努力をお願いしたいと思います。
 視覚障害の方々と並んで雇用対策がおくれているのは脳性麻痺の人たちの問題でございます。それに上肢、つまり手に障害のある方たちであると思うんです。比較的車いすの後天的障害の人たちの雇用の場は確保されているということを伺うわけなんですが、先ごろ重度障害者特別雇用対策研究会の報告がありまして、そこでも最大の課題の一つとして、この重度障害者の雇用の問題が検討されていたと思うんです。労働省としてどのような施策を考えておられるのか、この重度障害者の雇用問題、今後の見通しなどを例えればと思うんです。
#207
○政府委員(関英夫君) 脳性麻痺などによります全身性の障害者あるいはまたサリドマイド等を原因にしての両上肢の障害者につきましては、視覚障害者同様に就職あるいは雇用ということが非常に困難がございます。それで今日まで必ずしも十分に進んでいるとは言い得ない現状でございます。
 そういう意味で、昨年の国際障害者年におきますさまざまの場におきます検討に当たって特に問題となり、今後の課題として取り組みを要請されたところでございますが、一つには、これらの障害者の雇用を進めますためには、在学中の早い時期から長期的視点に立って就職のための準備を進めるということが必要だろうと思います。このため、来年度におきまして両上肢障害者につきまして、国立職業リハビリテーションセンターにおきまして、職業評価コースあるいはそれをさらに経て職業準備コース、こういうものに入っていただいて、各種の作業体験あるいは職業見学等の機会を与えながら綿密なカウンセリングをやりまして職業評価をするというようなことをいたしまして、卒業後の就職に資したいというようなことに新たに取り組んでいくことにいたしております。
 また、脳性麻痺につきましては、特に障害等級の関係で、全身性の、私どもから見ますと、職業能力の面で非常に困難に遭っている方々でありましても、なお現状では重度障害者になっていないというような問題もございます。こういう点も検討が指摘されているところでございますので、その点もあわせて検討を進めていきたいと思っております。
 そういうようなことで、五十七年度、まずサリドマイド等によります上肢障害者についてのコースを設けておりますが、順次こういった障害別の重度障害者の対策を進めていきたいと考えているところでございます。
#208
○前島英三郎君 いま視覚障害者、脳性麻痺の人々、重度障害者の雇用、就労対策について伺っているわけですが、厚生省側からは労働省という言葉は出ませんし、労働省側からは厚生省という言葉は出ませんし、実はここには大変密接な物すごいつながりがあるにもかかわらず、何かそこには大変大きな壁があるような気がしてならないわけなんです。特に障害者の問題というのは、生活におきましても、あるいは就労という場におきましても、厚生、労働両省にまたがる問題というのは大変多いわけですけれども、その連携という部分で、今後労働、厚生両省がお互いに連携を持って、障害者の生活の問題、そしてまた医療の問題、あるいはリハビリテーションの問題、あるいは等級改正の問題、生活における等級とあるいは就労における等級の問題、それらはすべて厚生省を見てという、まあ労働省独自のものはありませんし、そういう点でも今後やはり両省にまたがった形でしっかりと配慮していくということが大切だと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
#209
○政府委員(関英夫君) 雇用体策と福祉対策との連携、これは非常に重要なことでございまして、従来から労働省、厚生省は話し合いの場を持ち密接に連絡してやってきてまいっているわけでございますし、また私ども公共職業安定所に対しましては、安定所に見える身障者だけを対象として職業相談や職業指導をしておれば済むものではないということで、積極的に厚生省の第一線機関あるいは学校、あるいはうちの方の出先機関でございます訓練校あるいは職業センター、そういったところと協議会を持って、心身障害者社会復帰連絡会議という名前の協議機関を持って、そして単に安定所にあらわれた求職者だけでなく、そういうところに潜在的におられる方についても職業相談をしていくように指示はいたしているところでございます。
 しかし、まだまだ先生御指摘になりますように必ずしも十分であるとは言い切れない面があると思いますが、来年度は、たとえば授産施設の中におられる方で、多少訓練等を受ければ一般の雇用につくことも可能な方もいらっしゃる。また最近は企業の方でも非常に障害者の雇用に積極的になってまいりましたので、その辺を何か結びつけていくというようなことも手がけてみたいと思っているわけでございますが、さらに今後密接な連携体制をつくった上で雇用の促進に努めてまいりたいと思います。
#210
○前島英三郎君 厚生省はいかがでございますか。
#211
○国務大臣(森下元晴君) 障害者の自立と社会参加を実施するための基本的な要件の一つとして、雇用問題、就労対策は非常なきわめて重要な問題であると考えております。過去におきましては、障害者の方々には更生、いわゆるリハビリとか慈恵的な所得保障、こういう観念でおったわけでございますが、先般、身障者福祉法の答申もございまして、この中にもかなり画期的なことが書かれてもおりますし、私ども、三十年間これ手直しというか改正ができていなかったわけで、国際障害者年の「完全参加と平等」ということはまさにいま御指摘いただいたこととぴたりでございまして、守りのための歴史的な職場を、これは当然でございますが、目の不自由な方の方がかえってそうでない方よりも非常に勘が鋭いとか、それに適した仕事があると思います。そういうことはやはりきめ細かにお世話願う。それは労働省のお仕事でございまして、こちらから頭を下げましてぜひお願いしたい。これは仕事のためにもなるし、本人のためになるんです。これこそ本当の完全参加でございますといういうような考え方で、ちょうどタイミングよくこの福祉法の見直しの問題も出てまいりましたし、全力を挙げてその趣旨に沿うようにやっていきたいと、このように思っております。
#212
○前島英三郎君 リハビリテーションというのは元来チームプレーであると言われておりますので、したがって、行政システムの上でもチームプレーの精神が生かされなければならないと思います。ある意味では現場の担当者同士が顔を合わせるというような形の中が最も効果のあることかもしれません。この点については厚生、労働両省でともに現場が顔を合わせながらやっていただく。
 そういう意味でも、労働省に身体障害者雇用審議会というのがありますし、厚生省に身体障害者福祉審議会というのがあるんですが、両審議会は相次いで重要な答申を出しておりますけれども、たとえばこの両審議会が年に一回か二回はともに合同の審議会を開くというようなことも私は大変大切ではなかろうか。そういう意味でも、厚生、労働の両省にまたがる形での今後のチームプレーを大いに期待したいと思います。
 それじゃ最後に、労働大臣にひとつ両省の協力につきまして。いま厚生大臣から伺いましたが、労働大臣は部屋は私の隣でございます、お隣様でございますから、ひとつ最後にお言葉をいただきまして私の質問は終わります。
#213
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおりに、心身障害者の雇用あるいは就業の促進と安定を図っていくためにはどうしても各省庁間の連絡が必要であると思います。特に中でも厚生行政との関係が深く、政策の遂行上どうしても厚生省と十分な連携をとらなければいけない、こういうふうに考えております。この両行政の連携については、中央省庁レベルの連絡だけではなくして、私は、やはり県レベルあるいは第一線機関相互の協力体制が非常に重要ではなかろうか。こういう点から、労働省と厚生省の緊密な連携を図るについて、公共職業安定所さらには福祉事務所との密接な協力体制を図って、それで前向きであらゆるものを処理していくというのが筋ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#214
○委員長(粕谷照美君) 以上で本日の質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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