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#1
第096回国会 社会労働委員会 第7号
昭和五十七年四月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                安恒 良一君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                対馬 孝且君
               目黒今朝次郎君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       労 働 大 臣  初村滝一郎君
   政府委員
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  山村 勝美君
       運輸省港湾局長  松本 輝壽君
       労働大臣官房長  松井 達郎君
       労働省労政局長  吉本  実君
       労働省労働基準
       局長       石井 甲二君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  望月 三郎君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        加藤  孝君
       労働省職業訓練
       局長       森  英良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局審査部第
       一審査長     樋口 嘉重君
       行政管理庁長官
       官房審議官    近藤 輝彦君
       林野庁林政部林
       産課長      三沢  毅君
       通商産業省機械
       情報産業局産業
       機械課長     見学 信敬君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  林部  弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○目黒今朝次郎君 労働大臣、冒頭お伺いしますが、けさのニュースにもあるとおり、ことしの春闘が山場を今週迎えると、こういう情勢にあります。それで、民間の金属労協が昨年対比〇・六%ぐらい減というところで一両日中におさまると、こういう情報も、けさありました。問題は、労働問題全般についてはこの前いろいろお伺いしてますが、当面の春闘について公労協の諸君が十日に有額回答を迫るという情勢にあるし、もちろん労働大臣は、私から言うまでもなく、公労法の精神、仲裁裁定を十分尊重して対処されると、こう思うわけでありますが、公労協が有額回答を迫っておる情勢にどういう姿勢で対応されるのか、ひとつ基本的な問題でありますから、冒頭お考えをお示し願いたいと、こう思うんです。
#4
○国務大臣(初村滝一郎君) 労働者側から今回の春闘においていろいろ要望を受けております。したがって、私としては、この有額回答問題等について、ぜひ十日にはという要望がありますけれども、いまの時期から推してみてなかなか十日は無理ではなかろうか。そういうことでなるべく早く出すように話があれば私として促進をしたい。それから今回の賃金等については、何といっても、これは労働者と使用者との円満な解決が一番望ましいわけでありますから、私どももそういう姿勢に沿って今回の春闘を円満に解決していきたい。額その他についてはいずれ、民間準拠といったてまえがありますから、そういう民間準拠のお話がまとまりますれば、政府を督励してぜひそういう線に努力してまいりたい。いずれにしても、いろいろと問題が起きておるようなストの構えですね、こういうことは、それは自由でありましょうけれども、ストに入るということのないようにできるだけ努力をしていきたいと考えております。
#5
○目黒今朝次郎君 行革をめぐって厳しい情勢であることは、私もわからないわけじゃありませんが、しかし角度を変えてわれわれから言わせれば、今日の国鉄の問題にしろ、林業の赤字の問題にしろ、政治欠損、政治的な構造欠損ということについても、歴代総理大臣並びに運輸大臣が運輸委員会、予算委員会で明言したことでありますから、それをここで繰り返すことはいたしません。しかし、現実にいろんな批判をされながらも、毎日毎日北海道から鹿児島に至るまで国鉄は動いておって重大な仕事をしておるんですから、働いておるまじめな組合員なり、あるいは家族のことを考えると、それなりの対応すべきだと、私はこう思うんであります。マル生を実際にまともに受けた経験を持つ私といたしましては、マル生問題で再び労働組合を攻撃目標にして云々というようなことのきっかけにならないように、今次の春闘についても慎重でしかも大胆な対処をお願いしたい。労働者はばかじゃありませんから、毎日毎日新幹線を運転しておる運転士にすれば、やっぱり忍従の限界があるということを十分に考えて前向きに対処してもらいたい。そして再び労使関係が変なことにならないように、労働の元締めである大臣の見解を改めて聞いて、さらに十三日お互いに交通ゼネストと考えておる段階でありますから、そういう突入のないように労働大臣は関係各省に最大の努力をしてもらいたい。われわれもわれわれの立場で努力することはやぶさかではありませんが、大臣の再度の見解を聞いて本題に入りたいと思いますが、いかがですか。
#6
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおりに、いま臨調その他が国鉄関係については非常に神経がとがっておると私は思います。したがって、働く方々は家庭生活を負わされておるわけでございますから、その基本給等についてはなるたけ格差を余り他の企業とつけないように努力すべきではなかろうかというのが、私の根本の考え方でございますから、何といっても、そういう厳しい情勢にありますけれども、円満にこの春闘関係が乗り切っていけるように環境をつくるべきではなかろうか、こういう考え方でございます。
#7
○目黒今朝次郎君 前の藤尾大臣も辞表をふところに入れてがんばったという裏話もあるそうでありますから、そういう事態にならないように、われわれも政治的な面で努力をしますが、最後の努力を要請しましてこの問題については終わります。
 私はきょう、当面の課題である丸太輸入の雇用関係、港湾関係、そういうものについて若干、二、三十分お願いいたします。
 この前、三月の二十五日の予算委員会の一般質問でいろいろあったわけでありますが、まず林野庁にお伺いします。丸太の輸入、それから製品と半製品の輸入といろいろあるわけでありますが、港湾の皆さんなり、あるいは製材業者の立場を考えますと、原則的には国内村でやりたいというような基本があります。しかし五十年前後かかるんです、国内材は。で、当面は、理屈の上では国内村はわかりますが、外材に依存せざるを得ないという現状認識についてはこの前の予算委員会と変わりないと思うんです。それで、この製品と半製品の輸入と丸太輸入、こういう点で丸太輸入を原則として輸入交渉をやる、こういう立場であるかどうか、再確認になりますが、改めて考え方を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#8
○説明員(三沢毅君) ただいまの御質問、大変むずかしい問題ございまして、国内産業の点からいきますと、基本的には丸太の供給という形が望ましいわけでございますけれども、資源供給国側の事情もございまして、製品の輸出圧力の高まりというのが相当ございますので、私どもといたしましては、丸太形体での輸入が望ましいと考えておりますけれども、むずかしい点がある点を御理解願いたいと思っております。
#9
○目黒今朝次郎君 はいわかりました。
 それで、この前の予算委員会で質問した際に、いわゆる港湾関係の六大港、地方港、そういうお願いをしたんですが、いま地方港の資料はもらいました。労働省ですね、これは。
 それで、運輸省の方はこの地方港の調査はどんなになっていますか。まだまとまっておりませんか。いま調査中ですか。いつごろまとまりますか。
#10
○政府委員(松本輝壽君) 現在わかっておりますのは、五十六年の四月から九月までの統計はまとまっております。それ以降の統計につきましては、少々時間がかかろうかと思います。
#11
○目黒今朝次郎君 そうすると、五十六年の四月から九月までの地方港は持っているけれども、それ以降は現在調査中だと、こういうことですか。そうであれば、五十六年四月から九月の具体的な資料を後ほど御提示願いたい。こう思うんですが、ありますか、そこに。
#12
○政府委員(松本輝壽君) お答えいたします。
 港湾局で把握しております船舶積みおろし量のうちの原木の輸入量は、五十六年の四月から九月の全国の計で約千三百万トン、対前年同期比二二%減でございます。
 主要港について御説明いたしますと、大阪港は約六十五万トン、対前年同期比一八%減、名古屋港約七十九万トン、対前年比三〇%減、広島港約五十四万トン、二三%減、関門港約三十二万トン、一一%減というような状況でございます。
#13
○目黒今朝次郎君 大分、二〇%から三〇%落ち込んでいるという点がありまして、五十七年度はさらに、この前の林野庁長官の答弁ではさらに落ち込んでいく、こういう情勢でありました。それはわかります。
 それで、この前ちょっと落とした検数業者の倒産があるのか、あるいは検数業者の解雇とか、そういう関係があるのか。これは運輸省と労働省両方に検数業者の動向について説明願いたい、こう思います。
#14
○政府委員(松本輝壽君) 木材不況の検数事業者に対する影響につきましては、木材関係の検数を主としている事業者がほとんどございません。各事業者が社内的に配置転換等によりまして対応していると考えられまして、現在のところ影響は出ていないと考えております。
 また、木材の寸検を行う検量事業者に対する影響につきましては、少数の離職者が発生しております。四名というふうに聞いております。ただし事業者の倒産は起きていないと聞いております。
#15
○政府委員(関英夫君) 木材の輸入減少に伴いまして、検数業、特に大阪におきます検数業におきまして雇用調整を実施したいというようなお話がございまして、昨年九月一日から木材を扱う検数業につきまして指定をいたしました。また、検量業につきましては、昨年七月一日から名古屋港の関係、八月一日からやはり大阪の阿倍野安定所管内の関係、それぞれ雇用調整助成金の業種指定を行ったところでございまして、そういったところで雇用調整を行われているというふうに考えております。
#16
○目黒今朝次郎君 いまのところ検数業者の離職者はごくわずかであるけれども、大勢としては内部配転その他で対応している、こういうことでありますが、五十七年度の住宅建設の関連などもありまして、非常に瀬戸際に追われている、こう思うんであります。したがって検数業関係の雇用、倒産などについても前もって事前の対策を十分やってもらいたい、こう思うんですが、港湾局どうですか。
#17
○政府委員(松本輝壽君) いまの先生のお言葉のとおり、今後十分に対策を検討していきたいと思います。
#18
○目黒今朝次郎君 そのようにお願いいたします。
 この前の予算委員会で運輸大臣に対して、いま言ったような検数の問題も含めて、当面の緊急対策について四者会議をもって、労使関係、それから官庁関係、それから商社、利用者、そういう関係で何とか対応してもらえないか、こういうことで大分運輸大臣としつこくやり合ったわけでありますが、運輸大臣としては、当面労使関係が努力してもらうということで、この国会の議事録にも載っておるわけでありますが、そういう回答でした。
 それで、私は当面の労使に対して、とにかく大臣がこう言っているから労使でまとめてもらいたいというところでお願いしましたところ、労使関係は、きのうのレクチュアでおたくの方に渡しておきましたが、日本港運協会の田端労務委員長と全国港湾労働組合協議会の吉岡議長との間に仮協定書が調印されました。したがって、この事実関係は労働省、運輸省確認していますか。
#19
○政府委員(松本輝壽君) 確認してございます。
#20
○政府委員(関英夫君) 伺っております。
#21
○目黒今朝次郎君 確認しておるとすれば、この第一項に、この前提起した「日本港運協会は、木材関係労働者の雇用確保のため「特別基金制度」を責任をもって確立する。この特別基金制度は、全国適用とする。」と、こううたっております。
 それで、この関係についていろいろこの前の予算委員会でも一トン当たり一円の金を集めて業界が自主的に努力するということについても、例を挙げて皆さんに御説明したとおりであります。したがって、この特別基金制度そのものについてもやっぱり業界としても大変な努力が必要だと、こう思うんであります。
 その際に、四月一日ですか、四月一日の段階で日本港運協会が一定程度業者と話したそうであります。いわゆる輸入商社四団体、木材輸入、アメリカ材、南洋材、北洋材、この四団体と協会が話し合ったところ、一応テーブルについて今後さらに努力していきたい、こういう話し合いの第一歩が始まった、こう聞いております。しかし、中身はこれからの問題でありますから、この商社四団体について、政府筋においても港湾局あるいは林野庁、あるいは労働問題もありますから労働省、この三省庁からこの商社四団体に、おのおの大臣答弁の趣旨に従って業界としても最大の努力をしてもらいたいという要請と行政指導をすべきだ、こう考えますが、運輸、林野、労働、この三省庁からおのおの考え方を聞きたい、こう思います。いかがですか。
#22
○政府委員(松本輝壽君) 三月三十一日に日本港運協会と全国港湾の間で締結されました仮協定における特別基金につきましては、今後日本港運協会が中心となって制度の検討を行うということになると思います。ただし、資金の拠出方法等についてはまだ具体的な内容の検討段階には至っていないと聞いております。ただ、先生がただいまおっしゃいましたように、日本港運協会は今月に入りまして木材輸入業者の団体との話し合いに入った、同じテーブルについたというふうに聞いております。これは一歩前進ということで、当面は両者の話し合いの状況を見守っていきたいと思っております。
#23
○説明員(三沢毅君) 近年の木材需要の減少によりまして、木材関係の港湾事業も、深刻な不況下にあって、関係者がその対応に大変苦慮しているという事情につきましては理解しているところでございます。
 特別基金制度につきましては、その具体的内容が明らかになった段階で検討するという段階でございますけれども、他方木材産業及び木材輸入業も引き続く不況の影響を受けまして倒産の多発等深刻な事態にあり、その対応に苦慮しているという事情についてもひとつ御理解を賜りたいと、かように考えております。
#24
○政府委員(関英夫君) 関係労働者の雇用の安定と福祉という観点から、関係省庁と密接に連絡をとりつつ、必要に応じて先生お話しのような措置も含めて対応してまいりたいと考えております。
#25
○目黒今朝次郎君 運輸省ね、この前の予算委員会でやって、結局は運輸省が一つのポイントを握っているんですがね、この問題は。大臣はこう答弁しているんですよ。「私は、くどいようでありますが、労使関係で話がいい方向が出ませんと、後いろいろやりましてもなかなかうまくいかないというふうに思っておりますが、せっかく」の目黒委員の発言でもありますが、労使間で最大の努力をしてもらいたい、タイミングが来れば出ることにやぶさかでないと。これは議事録どおりです。ですから、タイミングをつくるに私は努力したんですよ、労使に対して、大臣の言葉に従って。そこで、労使が努力してこの協定を結んだんですよ。この協定を結べば、この大臣発言に従って、やっぱりグッドタイミングじゃないですか。あとはお金の集め方だ。お金の集め方について商社四団体はテーブルに着いたというんですからね。あとはトン当たり一円出すのか、トン当たり二円出すのか知りませんが、現在はトン当たりで年間四億ないし五億集めているんですよ。現在木材・いかだ労働者はもう非常に困っているわけだ。グッドタイミングだ。大臣の説に従って、目黒委員と港湾の労使が努力してこの協定を結んだんですから、これに実が入るように一歩突っ込むのが運輸大臣の仕事じゃないですか。だから、労働大臣ね、大臣も関係あるわけだから聞いてもらいたいんですね、この前者さんがやったんですから。私も努力し、労使も努力してこの協定を結んだんです、ちゃんと判こを押して。だから、これに水が入るように、実が入るように業界を、働く労働者が心配ないように、業界の皆さんの指導体制を強化してもらいたいということを運輸省と労働大臣が業界に要請することは、私はグッドタイミングだと思うんですよ。これは大臣、そこまで言ってはだめだよと言われてきたかもしれませんがね。タイミングはタイミングだと、こういう認識だと思うんです。まずこれは労働大臣に。私は条件づくったんですからタイミングだと、こう思うんですが、あなたの政治判断はどうですか。
#26
○国務大臣(初村滝一郎君) せっかくの協定まで、目黒委員のお勧めによってできたということであるんですから、関係大臣としてはそれに前向きに取り組むべきだと思います。そういうことで、関係大臣と私の方も十分話し合って前向きで検討したいと思います。
#27
○政府委員(松本輝壽君) ただいまの労働大臣の御返答にもございましたように、三月三十一日の仮協定書における対策会議の設置等に関しましては、関係者の意向を十分に考慮しながら設置のタイミングについて十分に考えていきたいというふうに思っております。
#28
○目黒今朝次郎君 きょうは労働大臣しか来ていませんから、大臣に特にお願いしたいのは――官房長官から、通産大臣から、もちろん労働大臣、運輸大臣とも、当面の緊急的な対応については前向きに最大の努力すると、そういう答弁をしていらっしゃるんです。われわれは受け皿をつくったんです。まさか官房長官が出てきても大変でしょうから、せめて運輸大臣と労働大臣と通産大臣、この三人の大臣なりあるいは政務次官の皆さんが、この協定に基づく関係業界、それから利用者を政府としてお呼びして、いま大臣が言ったような趣旨を含めて、早急に中に血液を投入する、いわゆるどういう方法でどの程度のお金を出し合っていかだ関係労働者に当面の緊急の対応するか、そういう場を設けて緊急に対応してもらいたい。その主導権を、きょうは労働委員会ですから、労働大臣にお願いする。
 私は十五日運輸委員会で同じ質問します。十五日の運輸委員会では運輸大臣に、労働大臣にこう言ってあるから、おまえさんも負けないように運輸大臣もがんばれよということを、運輸大臣に十五日の委員会で要請したいと思いますから、そういう方向でひとつ労働大臣対応方お願いしたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#29
○国務大臣(初村滝一郎君) まあ、いまお話があったとおりに、通産大臣、運輸大臣ともよく話し合ってみたいと思います。
 なお、十五日に運輸委員会で運輸大臣にお話をするということでありますが、強く御意見を申し上げていただけば、私も話し合いがしやすいのではなかろうか。よろしくお願いします。
#30
○目黒今朝次郎君 まあ、片方は港湾政策、片方は労働政策、うらはらですからね、車の両輪ですから、そういうことでひとつ十分対応してもらいたい、こう思います。
 それからついでに、この協定書は東京港、名古屋港、大阪港、この三港についてもいろいろ雇用関係をうたっておるんですが、この三つの問題については港湾局としてはこれへの対応方いかがですか。
#31
○政府委員(松本輝壽君) 運輸省といたしましては、港湾運送事業を主管するという立場から、今後この仮協定書に基づいて、東京港、名古屋港及び大阪港における事業者が経営基盤の強化を目的とした事業の集約化を進める中で、当該港湾における港湾運送に関する秩序の維持、事業の経営の安定及びこれを通じた雇用の安定が図られることを基本といたしまして、事業者、労働組合等関係者の動向を見きわめながら、この仮協定の趣旨が十分に達成されるよう、行政当局として適切な対応を図る所存でございます。
#32
○目黒今朝次郎君 港湾五カ年計画で大分議論したんですけど、設備の方をつくっても、そこで働く労働者がいなくなればどうにもならぬし、またそれを利用するお客さんがいなければどうにもならぬ。そういうことでありますから、特に東京、名古屋、大阪、いろんなことが具体的に書いてありますから、いま言った基盤整備、それからここで働く労働者が、特に丸太・いかだ労働者がきちんとなるように、集約合併なども含めてぜひ対応してもらいたいと、こう重ねて要請しておきます。
 それで、労働省にお伺いしますが、東京、名古屋、大阪の問題もしょせんは当面する木材・いかだ関係労働者の雇用の安定、そういうところに視点が置かれて、その裏づけになる港湾の機能の整備という点がうたわれておると思うんです。ですから、各関係の都道府県を通してこの協定が十分に実現されるように、雇用体制が十分やれるように、運輸省並びに地方港湾局と十分連携をとって、そして組合の意見なども聞いて対応されるように、行政指導を十分やってもらいたいと思うんですが、労働省の見解を聞きます。
#33
○政府委員(関英夫君) お話のような方向で関係のところに十分指示をし、指導いたしたいと思っております。
#34
○目黒今朝次郎君 ひとつぬかりのないように、運輸省、労働省、お願いいたします。
 それからこの前労働大臣は、港湾労働の全般的な問題ということで提起したところ、総理府に設置されている港湾調整審議会、これでいまやっておられるという話がありました。これは常用工の皆さんも含めてきちっとするという方向で議論されていると。それはそれなりにわれわれ一定の成果を認めます。ですから、それは促進してもらいたい。こう思うんですが、もう一歩突っ込んで――この港湾調整審議会というのは、大体港湾労働法を基盤とした調整審議会ですね。ですから、港湾労働法だけでは、いま港湾の問題はなかなか複雑多岐にわたって、今回の丸太のように商社もあれば業界もあれば利用者もある。もちろん政府側にも労働省、運輸省、林野庁、通産省と、こう多面的にわたっている。でありますから、ひとつ港湾の機能整備とそこに働く労働者の雇用、それから労働条件、社会保障、そういうもの全般を含めて港湾労働のあり方、あるいは魅力ある港湾――この間だれだ、運輸大臣か、魅力ある港湾という言葉を使っていましたが、そういうものをするためにもう一歩突っ込んだ、しかも幅の広い審議会を持ったらどうかと、私はこういま考えておるわけですよ。ですから、当面はこの調整審議会はそれなりに成功してもらいますが、そういうもっと角度の広いしかも中身の濃い港湾のあり方ということをやるための委員会、審議会ということについて、関係各省でもう一歩、この際、やろうと思えばこういうむずかしい協定も実を結ぶんですから、もう少し一歩突っ込んだ対応方をお願いしたい。港湾労働対策審議会でも結構ですわ、幅の広いやつ。もちろん、現在の港湾労働法を、飛び越えてと言っては変でありますが、乗り越えていく地方港湾の皆さんの問題も含むやつ、そういうやつをぜひやってもらいたいと思うんですが、これは提言です。
 この前も労働大臣は、前向きに検討してみたいと、こうなっているんですが、ひとつ大臣、これを機会に関係各省と第一歩の相談に入ってもらえないか。相談した結果どうなるかまだわかりませんが、前向きに検討してもらいたいなと、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#35
○政府委員(関英夫君) 先にちょっと現在の進行状況等御答弁さしていただきたいと思いますが、港湾調整審議会で港湾労働のあり方につきまして抜本的な検討を現在進めているわけでございます。したがいまして、それは現行港湾労働法枠内というふうに限定されているわけではございませんで、むしろ制定以来相当年数を経、また実態も非常に変わってきたということで、非常に抜本的に総合的に今後のあり方について検討いただいているわけでございます。そういう意味で関係各省等、関係があれば十分その御意見が反映されるようなことも私ども考えまして、この抜本的総合的な検討を進めてまいりたいと思いますので、事務的には私どもこれを進めて、その上でただいまの先生のお話しのようなものが必要であるかどうかさらに検討してみたいというふうに事務的には考えるわけでございます。
#36
○国務大臣(初村滝一郎君) いま安定局長から御答弁がありましたとおりに、港湾調整審議会というものは港湾労働法でやっておるわけですから、それをフルに活用していまの問題を取り上げなければならないと思いますが、取り上げておらないところに問題がある。したがって新しい別途の審議会でもどうかという御意見であります。私は、現在ある港湾審議会の中で十分これを取り上げてみなければならないと思いますよ。しかしながら、どうしてもこれでは率直に物事が解決しにくいという場合にはさらに検討する必要がありはしないか。問題がそこで初めて出てくるのではなかろうか。その場合には前向きで検討してみたい。
#37
○目黒今朝次郎君 そうすると安定局長、港湾労働法に拘束されない、それから幅を広げて、この前大臣が言った魅力ある港湾労働ということを多面的にやってみたいと、そういう御答弁ですが、その中には、じゃ、もう一歩突っ込んで、現在問題になっている丸太とか、いかだ関係であるとか、こういう関係で、たとえば商社関係、それから利用者関係、あるいは全木連という製材関係、合板関係も私は関係あると思うんですが、こういう製版、合板関係、もちろん労使関係、こういう四者構成で今回木材の問題に緊急に対応した、また対応しなければならなかった、この問題点、問題の所在ということも含めて、当面その港湾調整審議会というところで審議できるんですかな。
 大臣は、やるだけやってみると。やるだけやってみて、どうにもならない場合は目黒提案を考えようということなんですが、それを振り出しに戻して、安定局長、私がいま言ったような問題をとりあえずこの港湾調整審議会で、権限上、機能上可能なのかどうかという点が確認されないと、大臣の答弁が空撃ちになってしまうと思うので、ひとつ権限、機構上どうかということをお願いします。
#38
○政府委員(関英夫君) 私ども港湾調整審議会で検討いたします場合には、港湾労働問題ということが基本的視点でございます。そこから関係してまいりますのは、単なる荷役業者だけではなく荷主の問題、船主の問題、いろいろありますので、十分そういった方々の御意見も聞いていくようなヒヤリングも進めているわけでございます。
 そういう意味で、港湾労働という視点から広げていく、できるだけそこでやってみるということは可能だろうと思いますが、今回の木材の問題のような場合には、主管官庁、そちらの御意見、私どもはそういうものと労働省という立場から十分密接に協力してやっていくことが必要でございまして、あらゆるものを労働の立場から、全部労働関係の審議会なり協議会なりで取り上げていくという形では、それぞれの主管官庁との関係もおかしくなるわけでございまして、そういう意味で木材の関係等については主管官庁と十分協議して、私ども労働という立場からそれに積極的に参画していきたいとは思っておりますが、この港湾労働のあり方についての抜本的検討というのは、そういう意味で労働という立場から、関連するところ、できるだけ御意見を伺いつつ、現在の審議会でもう少し検討を進めてみたい、こういうふうに考えているところでございます。
#39
○目黒今朝次郎君 まだ中身がわかりませんから、これ以上やっても抽象論になりますから、基本的には労働大臣の言ったことでひとつきょう時点は了解したいと存じます。
 ところが、私は、運輸省に特にお願いしたいのは、これは私の経験から言うと、たとえばタクシー問題とかトラック問題でいきますと、労働基準法違反で基準局にどんなに摘発されても姿勢を変えようとしない。罰金を納めればいいんだ。ところが、運輸省の自動車局の方から、免許取り上げたぞと一言おどかされると、いやいや速いこと速いこと、まず、いまの「こだま」「ひかり」なんというものじゃないね。それくらい縦割り行政というのは徹底しているんですよ、悪い意味で、悪い意味で徹底している。
 ですから、いま港湾労働法あるいは労働省の立場から港湾調整審議会で努力されることは子としますがね、いま申し上げたような縦割り行政の悪が港湾労働なり港湾全体に及ぼさないように、これは運輸省も重々留意して、結局必殺の剣は港湾局持っているんですよ。そうでしょう。港の免許のあれは。免許を取り上げるか停止か保留か、これはあんたが持っているんだ、必殺の剣は。だから、あなたのところが本気にならないと、労働省が何ぼやったってこれ物にならない。
 だから、あなたのところへもう一回、港湾局長、新任の局長だからがっちりがんばってもらって、いま大臣の趣旨に合うように運輸省側も協力体制をとってもらいたい。そうしないとこれは空文化してしまうと、こう思うので、くどいようだけれども、港湾局長、あなたの決意をひとつ聞かしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#40
○政府委員(松本輝壽君) 港湾運送の分野におきましては、従来から労働省及び関係都道府県労働部等と協力をしながらその秩序の確保に努めてまいったところでございます。今後とも関係各省と十分に連携をとりまして、先生のおっしゃるような港湾労働の秩序の維持、確保に努力したいと思います。
#41
○目黒今朝次郎君 運輸大臣によく言ってください。私がしつこく質問して、タクシーとかトラックの例も言ったと。そういうふうにならないように、港湾局がんばれということがあったということを大臣によく言ってください。
 それからもう一つ、大事なことを忘れちゃった。林野庁。この問題について商社四団体はテーブルに着いたんですが、ただ一つ全木連、これはテーブルに着かないらしいですな、この製材、合板関係業者。外国から丸太が来て、港湾の皆さんが陸揚げしてやって、それで自分の商売の材料になってくる。その陸揚げをしてくれる港湾の問題に、全木連の皆さんがテーブルに着かないというのは、これはどういうことなんです。もってのほかなんで、いろいろ林野庁から聞きました、全木連の機構その他。ここで機構の問題は聞くことはしません。
 ただ、製材とか合板の業者の連絡機関が全木連ですから、全木連もこの輸入商社と同じように、いま言った問題のテーブルに着くように、それで筋金を入れるようにあなたの方から特に指導してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#42
○説明員(三沢毅君) 確かに全木連は、組織上の問題、もうすでに御説明が別途してあるようでございますので、その点に触れませんけれども、組織の運営上ややむずかしい問題が内部的にございまして、したがいまして的確な対応を当時欠いた、こういうふうなことかと考えております。
 したがいまして、今後におきましては、問題は非常にむずかしい問題でございますから、問題に対して直ちに回答できるかどうかということは問題ございますけれども、対応としては十分関係者の皆さんの御意見も聞くように指導してまいりたい、かように考えております。
#43
○目黒今朝次郎君 言うことを聞かない人には港で揚げた丸太を配給しないことにしましょうよ。丸太を揚げてもらって初めて商売道具が入ってくるんですね、わが日本に。外国へ行って持ってくればいいんです、合板会社は。インドネシアヘ自分で船を持っていけばいい。
 そう考えると、この前の農水大臣の答弁はきわめてけしからぬですよ。これは確かに港に揚げてもらって初めて商売が成り立つんだから。その港に揚げてくれる人の労働条件について、おれは責任がないと、商社がみんなでそろって話しましょうやと言うのに、全木連だけ向こう行っちゃ困るでしょう。みんなでちゃんと解決しなさいということは、労働大臣、農水大臣と林野庁長官両方の答弁を持っているんですから。その大臣の意を受けて、最大の努力をしてもらいたい。次の会議はいつだかわかりません。十二日とか十三日とか言っていましたが、次の会議には、この輸入商社四団体と同じように全木連の代表もテーブルに着くように最大限の努力をしてもらいたい、こう思いますが。課長、重荷ですか。
#44
○説明員(三沢毅君) 確かに丸太は一たん商社の手によって、それから各製材工場等に来る、こういう流れになっておりますので、切実感と申しますか、ややワンクッションある形に全木連側としては受けとめているかと存じております。しかしながら、一連の関連する問題の重要性というのは当然ございますので、さらに全木連側に対しまして、私としてさらに話し合ってみたい、かように考えております。
#45
○目黒今朝次郎君 まあ、その程度しか出ないでしょうが、近く決算委員会で農水問題の決算がありますから、そのときに大臣に篇とお願いしますから、この次の決算委員会の農水大臣のときには、テーブルに着いたという朗報が来るようにあなたの努力を期待します。
 きょうはあとヤクルトおばさんの労働条件問題で一時間ぐらいやろうと思って考えてきたんですが、時間がなくなりました。
 それで、ひとつ労働省にお伺いしますが、この前、全国五万七千四百二十三名のヤクルトおばさんのうち、労働者的な関係があるのが一万三百七十一名、こう言っているんですが、われわれの調査ではどうもぴんとこないですがね。少なくとも雇用関係というのは、社会保険、厚生年金、あるいは組合保険あるいは政管保険かは別にして、何らかのそういう社会保険の適用を受けているというのが雇用関係の最低のぎりぎりだ、こう思うんですがね。われわれの確認ではそういう社会保険の適用を受けているというのはごくわずかであって、ほとんどが契約なのか自由業なのかわからない形でほうり出されているというのが現状なんです。ですから、おたくの方で調査したデータなり中身なりというのがあれば、きょうはやりとり若干しようと思ったんですが、時間がありませんから次回にやりたいと思いますから、おたくで調査された資料を提示願いたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○政府委員(石井甲二君) ヤクルトおばさんの就労実態を前提といたしまして、いわゆる雇用関係についての明確化あるいは請負なら請負として非常に明確にこれを線引きをするということが、再三にわたり目黒先生の御指摘もあり、労働省といたしましては、再三にわたりヤクルト本社に対して、これについての契約関係の明確化の指導をしてまいったわけであります。
 そこで、ヤクルト本社におきましても、現状におきまして、いま先生御指摘の第一線の販売従業者は五万七千四百二十三名である、そのうち一万三百七十一名が雇用関係にある者というような報告が来ておるわけでございますが、ただ現実にこのヤクルトも膨大な一つの組織規模になっておりますし、またさらにこの契約関係あるいは雇用関係をはっきりさせるためには、もう少し一段の努力が必要だという判断を持っておりまして、さらに指導をしております。
 そこで、ヤクルト本社におきましては、本年の三月三十一日現在の時点においてヤクルトおばさんの就労実態の調査を現に実施しておるわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、このようなヤクルト本社の調査を引き続きやっているという前向きの状態にございますので、その実態をどのように把握をしてくるか、まずその状況を見てまいりたい。先ほど言いました三月三十一日現在の調査の結果をもう一度労働省としては把握してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#47
○目黒今朝次郎君 この前私が何日も質問したとき、前の藤尾労働大臣は、いや、そんなに悪くないと、こう答弁せられたんですね。その後の答弁は、いま局長が言ったような答弁。ですから、私は、労働大臣の答弁だって個人的な答弁じゃないと思うんですよ。だから、労働大臣の発言の裏づけになる労働省の資料はどういう資料であったのか。それからことしの一月、労働省が調査の中間報告として私にここで答えたその中間報告の根拠はどのことなのか。その二つを後ほど資料として提示願いたい、こう思うんです。
 私は、大臣ね、時間がないから――そうは言ってもここに一枚の伝票があります。これは去年の十一月三十日の伝票とことしの一月三十一日の伝票と二月十七日の伝票。これは東京中央ヤクルト販売株式会社と判こが押されているね。判こ見えないかな、後で見せますけれども。私に情報を提供した人は個人ですから、個人の秘密は守るために、これは個人のところは隠して後で提示しますが、これ見ると、依然として私がずっと一年半にわたってやってきたことが現実に行われているんですよ、これは遺憾ながら。いわゆるヤクルト十七種類を全部署に当ててその手数料だけはもらう。雇用関係は請負。請負と言っていながら手数料はもらう。手数料は十一万二千三百九十六円、売り上げ高は五十五万四千五百五十円。ヤクルトは本数千七百三十四本、一本当たり三十円、売り上げ高が五万二千二十円。これ以下でも以上でもだめですよというのがあって、これを消化しないと、これを見ますと、未納金を払う。おまえさんは全部売らなかったから、売らなかった分は納めなさいよと。未納金を見ると、未納金が十七万五百二十円、これだけは、あなたは消化不良を起こしたから、あなたの責任ですから会社へ納めなさいよと。ちゃんと伝票に出てもんですね、これは。こういうことをやっているところを見ると、やっぱり依然として私がずっとやってきたことをやっているんですよ。
 それで、まず公取にお伺いします。これは昭和四十年(勧)第十九号株式会社ヤクルト本社に対する件。これは当時そういうことをやってはいけませんよ、こういうことをやってはいけませんよということを勧告しているんですね。これは四十年の勧告書です。ところが、その当時と同じことが現実に、この伝票で裏づけされるように、四十年の勧告を受けたくせに現実にこうやられている。これではもう一回公取が再調査すべきだ。私は一年半にわたってずっと提起してきたんだから、公取としてこの調査に入って、このおばさんをいじめるとかヤクルトをいじめるんでなくて、ヤクルトおばさんの労働が正当に評価されて、正当に社会的に保障されるという雇用関係をつくるためにも、公取はやっぱり中身について発動すべきじゃないかと、こう思うんですが、まず公取、この四十年の経緯から見てどうですか。私のこのネタは後で必要ならあなたにやります。
#48
○説明員(樋口嘉重君) お答えいたします。
 前にヤクルトに対しまして独占禁止法違反であるとして審決をいたしましたのは、先生御指摘のとおりでございますが、その審決の内容、いま手元にございませんのであれでございますが、ヤクルト本社と販社との関係で再販売価格維持の疑いがあるということで、独禁法違反として処理した案件だと記憶しております。
 ただいま先生が御指摘されましたヤクルトおばさんの点につきましては、販社とヤクルトおばさんとの関係が雇用関係にあるのか、事業者となっているのか、まだはっきりしていないという点があるやにうかがわれますので、その点につきましては、独占禁止法違反になるかどうか、ここでははっきり申し上げることはいたしかねるところでございます。
 なお、先生従来から御指摘の点につきましては、いろいろ私どもといたしまして情報の収集に努めておりまして、内々ではございますが、実態の把握につきまして調査を進めているところでございますので、先生いま御指摘の点も含めまして検討させていただきたいと、かように考えております。
#49
○目黒今朝次郎君 きょう時間があればじっくり……。公取ね、それはきのう、おととい私、出したわけじゃありませんからね。ヤクルトおばさんの雇用条件というのは直接関係ないですよ。販売価格の二重、三重やっているということもあるんですからね。時間がありませんが、ぜひこれは調査をしてもらって、調査の結果をこの委員会で私に報告願いたい。どうしてもいやだというんなら、決算で一日やりますよ。これは決算委員会でもあなたの方にげたを預けているんだから、いまのような答弁では、時間がないから私は下がりますがね、絶対納得できません。だから、納得しないということを頭に置いて、資料が必要であればお上げしますから、誠意を持って再検討して、次回に何らかの報告ができると、そういう努力をしてもらいたいと思いますが、いかがですか、くどいようですが。
#50
○説明員(樋口嘉重君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、ヤクルト本社に対しましては内々で調査を進めておるところでございます。ただ、独占禁止法は事業者と事業者との間の取引についての不公正な取引方法等について規制する法律でございますので、雇用関係については規制が及びません。それで、もしヤクルトおばさんが雇用関係にあるというようなことになりますと、独占禁止法の規制が及ばないことになるわけでございますので、その点について先ほどちょっと申し上げた点でございます。
 そういうことでございまして、決して調査をしないとか渋っているというところではございませんので、その点もう一度申し上げておきたいと思います。
#51
○目黒今朝次郎君 雇用関係なら雇用関係らしくきちっとせいというのが私の主張でありまして、都合のいいときは雇用関係、都合の悪いときは一事業体というふうにやろうとしたから、こういう勧告が出たんでしょう。だから、これと同じような形態で現在行われているから再調査をしてもらいたいということなんですよ。もうくどいようですから答弁要りません。
 それで、労働省ね、ここがまた変なんです。同じ人が、こっちの請求書では請負だと言っていながら、こっちでは財形の掛金に加入しているんですよ。労働省、財形、持ち家住宅ね。財形の中には、今回も提案しているとおり、いわゆる中小企業に対する三%、五%、一〇%、その規模に応じて交付金制度があるわけですな。だから、ヤクルトおばさんが財形に加入すれば加入するほどいわゆる交付金が来るんですよ。こっちは請負だと言っていながら、こっちは雇用関係で、雇用先は名称・東京中央ヤクルト販売株式会社。こっちは雇用関係なんです。こっちは請負なんですよ。この使い分けを全国五万に及ぶヤクルトおばさんでやっているというのは、これは確かに企業はもうかるけども、ヤクルトおばさんはたまったものじゃないですよ、社会保険も何にもないですから。だから、この実態にひとつ抜本的にメスを入れてもらいたい。
 それで、雇用なら雇用でいいんですよ。請負なら請負でいい。請負なら請負で、先ほど言った未納金十七万何は納めなさいというようなことはやるべきじゃないんですよ。だから、そこのところはきわめて巧妙に二重帳簿をやっている。私はこれはヤクルトおばさんの人権問題だと思うんですよ。ヤクルトおばさんというのは、しょせん中高年齢の方々で、だんなに死なれたり、あるいは子供を抱えているのが大体ヤクルトおばさんの七割から八割ですよ。そういうヤクルトおばさんをこういう法の無知を利用して使い分けるというのは、私は残酷だと思うんですよ。ですから私はずっとこの問題を追ってきているんですよ。最後はこういう証拠物件を持ってきました。ですから、いよいよ労働大臣ね――大臣もヤクルトとはいろんな関係があることは私も承知します。承知しますが、それをどうこう言う気はありません。ありませんが、労働大臣になっているんですから、労働大臣の政治生命をかけてこの社会悪だけは整理をして、企業も企業としてりっぱに成り立つ、ヤクルトおばさんも喜んで働く、家族も安心して働けると、そういう体制にぜひ、労働大臣、この機会に、前は藤尾さんにやってもらおうと思ったけど、藤尾さんは途中でかわっちゃったから、今度は大臣にひとつ最大限努力してもらいたいということで、あとは大変残がありますが、次の機会に譲ります、時間がありませんから。そういう点でぜひ大臣の最後の締めくくりの発言を聞いてきょうのところは終わりたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#52
○国務大臣(初村滝一郎君) 目黒先生が国会の委員会等でヤクルトおばさんのことに十分関心を示されて、いろいろと御質問されていらっしゃるということは、私も前々から関心を持っておったわけであります。きょう初めてじかに目黒委員のいろいろな点を私の耳に直接聞いたわけでございます。
 何といっても、この雇用関係というものは、働く方々が喜んで働けるような条件にすべきである、そういうことが、いろいろといま資料によって、まあ不思議なようなお話がありましたが、そういうことが疑いの目で見られるということはやるべきでない。私も若干関係をしておるわけでございますので、特に社長とはもう何十年来の、郷里が一緒でございますから、身内のような関係でありますので、身内であればあるほど他人よりも厳しくしなければいけない。こういう気持ちでございますから、よく実態を調査して、とかく言われないように、私が恥ずかしくなるから、そういうことのないように今後指導して円満に解決したいと思います。
 よろしくお願いします。
#53
○目黒今朝次郎君 私も昨年来ずっとやってまいりましたが、しょせん落ちつくところはそこに落ちつくんですから、五万のおばさんたちが社会保障を十分でなくとも、厚生年金とか健康保険その他を、そして最低賃金が保障されるように、そういう形態になるように、一日も早く大臣の努力を要請し、また労働省もいろんな調査をやっているといいますから、その総合調査の上にやってもらいたい。私も機会があれば、いろんなネタもありますから、大臣なり労働省なり、あるいは会社の皆さんといろいろ話をして、問題解決に努力することはやぶさかでありませんという私の立場も鮮明にして、とりあえずきょうのところは終わります。
 よろしくお願いします。
#54
○安恒良一君 私は、予算の委嘱審査の際に時間が十分でなくて問題を残しましたところの高齢者雇用問題について、きょうはさらにお伺いをしたいと思います。
 この前のときに、まず思い起こしていただきたいんでありますが、現在も含め今後の労働行政において最大の課題は高齢者の雇用対策であると。このことは労働大臣と私の間に意見が一致したことでありますし、それから、私の推計でも労働省の推計でも、今後十年間、昭和六十五年までの間に高齢者約三百万人の雇用創出が必要だ、こういうことについても数字的に意見が一致したところであります。そして、その一つの重点的なやり方として、六十歳定年制の昭和六十年実現ということについてのやりとりをやりました。私はいまの進行状況では非常に心配だということについて、労働省側はかなり自信を持ってお言いのようでありますから、これはすぐお答えが出てくることですから、そのことはそのことといたします。
 そして、その次議論をしたことは、特に卸売業・小売業、金融・保険、製造業、こういうところは高齢者雇用率が低い。労働白書ではこういうところが悪いと書いてありましたから、そこで私は女子のパート問題がそれに影響を与えているんじゃないかということについて詳しく調査をしてみますが、当時の答弁としては、必ずしも、パートもふえておればということでありました。そこで時間切れになったわけですが、きょうはそこから問題の展開をしたいと思います。
 まず、以上のことを思い起こしていただきまして、女子パートのいまの実態について、まず時間がどのくらいになっているのか、過当なり時間が。この前私が申し上げましたように、非常に時間が長いので、パートとは名ばかりのようなので、そこの実態。
 それから一時間当たりの賃率。これは東京と田舎では違うと思いますから、東京、大阪あたりの一時間当たりの賃率と、それから地方における賃率、田舎の方は余りないと思いますから、そういうところの賃率がどうなっておるか。
 それから最近の女子パートが非常な勢いでふえていますが、それがどんな企業に多いのか、こういう女子パートの実態について説明してみてください。
#55
○政府委員(石井甲二君) お答えいたします。
 まず、女子パートタイマーの労働時間について申し上げます。
 賃金構造基本統計調査によりますと、昭和五十五年六月の女子パートタイム労働者の一日の所定内実労働時間は六時間でございます。一カ月の実労働日数は……
#56
○安恒良一君 週で。
#57
○政府委員(石井甲二君) 週でございますか。週平均の実労働時間は三十二時間程度ということでございます。
 また賃金について申し上げますと、先ほど先生御指摘の大阪のというのはちょっと手持ちございませんですが、女子パートタイマーの賃金につきましては、同じく賃金構造基本統計調査によると、五十五年六月の実態は一時間当たり所定内給与額は四百九十二円ということになっております、
#58
○安恒良一君 労働白書によりますとね、週三十五時間未満が五六%、それから三十五時間から四十七時間未満が三三%、それから四十八時間以上が一一%に達しているというふうに白書では書いてありますが、これは間違いありませんか。
#59
○政府委員(石井甲二君) 平均を申し上げました。その時間につきましては先生御指摘のとおりでございます。
#60
○安恒良一君 それから私が質問したことにお答えになっていませんね。女子パートがどういう業種にふえているのか、それから増加傾向がどうなっているのか。
#61
○政府委員(高橋久子君) 女子パートタイム労働者は増加する傾向にございます。週三十五時間未満非農林業の女子短時間労働者を一応パートタイム労働者という形でとらえてみますと、昭和三十五年当時五十七万人でございましたが、五十六年にはこれが二百六十六万人と四・七倍にふえているわけでございます。女子雇用者総数の一九・六%になっております。
 それで、どういった業種でふえているかということでございますが、現在一番大きな割合を占めておりますのは卸売・小売業でございまして、この女子の短時間労働者の三三・五%が卸売・小売業でございます。それから二番目がサービス業で二七・四%でございます。三番目が製造業で二四・八%でございます。この三つの産業で多いわけでございますが、これを時系列に見てみますと、卸売・小売業の伸びが著しく、これは四十七年当時の二六・七%から三三・五%へと上がっております。一方サービス業につきましては、二五・三%から二七・四%で、それほど大きな伸びではございません。また製造業につきましては、三〇・一%から二四・八%と、その割合が低下しております。
#62
○安恒良一君 そこで、婦人少年局長はいま週三十五時間未満のやつを言われたわけですね。ところがおたくの白書では、三十五時間から四十七時間未満が三三%もあるんですからね。これはいまネグレクトして言われているわけですよ。それから四十八時間以上が一一%もあるわけですから、この両方合わせますと、あなたたちはパートと見てないと言うが、実際はそうなっておると白書に書いてあるわけだ。そうしますと、これだけでも四四%が三十五時間以上の労働のパートがおるわけですよね。ですから、白書にそう書いてありますから、そうなりますと、それがい文言われた業種にどういうふうに分布しているんでしょうか。たとえばあなたがおっしゃったように卸・小売業に非常に多い、それからその次はサービス業に多い、製造業に多いとおっしゃってます。ところが、あなたがいまおっしゃったのは、週三十五時間未満の五六%の分析にしかすぎない。しかし現実は、片方は四四%も、約半分に近いのがおるんですから、これも分析をされておかないと。いや、私はパートと認めてませんと言ったっても、現実に労働白書にそう書いてあるわけですからね。いま申し上げた四四%の人々、三十五時間以上をやっている人々はどういう業種に分布してますか。
#63
○政府委員(高橋久子君) パートタイム労働者につきまして、増加状況等を時系列の比較をいたしますのに適当な資料ということが、労働力調査の週三十五時間未満でとらえるということしかできませんので、いまそのようにお答えしたわけでございますが、そのほかに第三次産業雇用実態調査とか、あるいは雇用動向調査等によってパートタイム労働者の実情を把握しているわけでございますが、この点につきまして、私どもは三十五時間以上の労働者につきましても、その分布状況がどのような状況であるかということについては、把握しておく必要があると思いますけれども、定義がさまざまでございますので、この点については、現在のところ私どもの方では十分に把握はできておりません。
#64
○安恒良一君 時系列がむずかしくっても、少なくともこの労働白書をお書きになったときに、週三十五時間未満が五六%、三十五時間から四十七時間未満が三三%、四十八時間以上が一一%にも達しているということだから、この達しているというのはもとの数字があるわけだから、この白書のもとの数字があるわけですから、その意味から言いますと、これがどこに分布しているかということは、時系列じゃなかったらわかるはずですね。それをちょっと説明してみてください。この労働白書を分析されたときの、いま申し上げたように、週三十五時間から四十七時間の三三%はどの業種に多い、四十八時間以上は一一%もおるんですが、どの業種におるかということ。時系列じゃなくていいから、この白書の基礎になったものを説明してみてください。――女子パートタイムは通告してありますよ、ちゃんと。
#65
○政府委員(高橋久子君) 第三次産業雇用実態調査が、過所定労働時間が三十五時間以上のものが四四%に及んでいるというふうに言っておりますので、第三次産業雇用実態調査で見ますと、女子労働者のうちパートタイム労働者の占める割合が高い業種といたしましては、洗濯業、各種商品小売業、各種食料品小売業、食堂・レストラン、百貨店などで三〇%を超えているという状況がございます。
 また、雇用管理調査によってパートタイム労働者を採用している企業について見ますと、パートタイム採用職種につきましては、技能工・生産工程作業者のうち単純工、事務従事者、サービス職業従事者、販売従業者として採用する企業が多くなっておりまして、専門的・技術的職業従事者として採用する企業は四%にすぎないという状況になっております。
#66
○安恒良一君 それじゃ私、女子パートについてはいろいろお聞きしたいということを通告しておりましたが、必ずしもまだ徹底してないようですから、この労働白書をつくられたときのもとの数字があるはずですから。きょうは一応傾向としていま局長の答弁でわかりましたから、後からで結構ですからね。というのは、女子パート問題というのはきょう主要ではありませんし、これからずっと追及していかなきゃならぬと思っておりますから、この三十五時間から四十七時間未満が三三%、四十八時間以上が一一%にも達しているということの中身について、どの業種にどれだけの人がいるのか、この実態を、この白書をつくられたときの基礎数字があるはずですから、後から資料としていただきたい。
 以上、大臣お聞きくださったように、労働省自体が週三十五時間未満はパートとは認めてないと、こう言うわけですよ。認めてないと言いながら、現実には四四%も実はそういう人がいるわけですからね。あなたたちはパートと認めてないと言うのにパートがおるということは、もうこれは大変なことだと思う。婦人少年局長は、パートの定義は三十五時間未満ですと、こう言ってるんです。ところが、実際は四四%もおるわけですから。しかもそれが、私がこの前開いたように、卸・小売業、サービス業、それから金融・保険業、それから私どもでは製造業、どうもこんなところにおるんじゃないかというふうに私は思うわけです。これはまだ分析してもらわなきゃいけません。そしてその反面、そういうところが高齢者の雇用が低いんですよ。この前職安局長は、いや、女子パートがふえても高齢者雇用は高くなってますと言うけど、いまこうして突き合わしていくと、職安局長が言ったことに現実はなってないんだ、こういうふうに中身を詳細に分析しますとね。
 ですから、私は労働大臣にまず、女子パート問題はまたいずれ時間をゆっくりとってやりますが、ひとつあなたたち自身が認めでないような女子パートをパートと言うのも問題だ。少なくとも名ばかりで、もう普通の労働者なんですよ。いわゆる週三十五時間以上働いているのは、普通の労働者としてこれはきちっとしなければいけないと思うんです、きちっとして。そして目黒さんが言われたように、いろいろ社会保険の適用も全部受けなきゃならぬですね。週三十五時間以上も働いておって、この人たちは社会保険の適用を一切受けてないわけですから、そういう人が四四%もおるという実情を労働省が見過ごしておくというのは、労働行政としては私は非常にこれは怠慢だと思う。ですから、関係局ですね、婦人少年局、基準局、労政等々、職安も関係すると思いますが、この次この委員会で議論するときには、労働行政として、こういう週三十五時間以上も働いているパート問題をどうするのか、ひとつ関係局でよく御相談をした上で出向いてきてもらいたい。私は、なお細かくそのことについてはいろいろ議論を展開したい、きょうは中高年でありますから。
 そういう意味で、まず私は、中高年の雇用問題について、特にこういういま言った女子パートが多いところが非常に悪いということについて、これは労働省はどういうふうにこれからするのかということについて、この前は必ずしもそうでないとおっしゃいましたが、現実はそうなんですから、まずそこをちょっとお聞かせください。非常に長時間パートの多いところにそういうのが多いわけですから。
#67
○政府委員(関英夫君) 白書等の分析にありますとおり、また先生のお話しのとおり、パート比率の高いところで高齢者の雇用率が低いところが多うございます。そういう意味で、女子パートと高齢者の雇用というところに一つの関係があるという見方もありますが、同じく労働白書でも、サービス業につきましては、女子パートを非常にたくさん雇っているけれども、同時に定年制がないので、そういう企業が多いので高齢者の雇用率も高いというような分析も一方いたしておりまして、女子パートと高齢者雇用とどこまで直接関連があるか、この辺は一概にはなかなか言いがたいむずかしい問題があろうかと思います。いずれにいたしましても、高齢者の雇用率といいますものは、五十五の定年、たとえば金融・保険・不動産業あたりはそういったものが非常に普及しておりました。そういったところでは高齢者の雇用率は、当然のことながら非常に低くなりますし、またそういったところで女子パートをたくさん雇用しているということは、先生御指摘のとおりでございます。
 いずれにいたしましても、高齢者の雇用を高めていくためには、まず定年延長を実施し、高齢者の雇用率を高めていくことが必要だと考えております。
#68
○安恒良一君 サービス業はそうでしょうが、卸売とか製造業とか金融・保険なんというところには女子パートが多い。それがそういうことになっていますから、自分が一遍言ったんだからということで一生懸命抗弁しなくて、あなたのところの白書を分析しているんだから、一遍よく関係局長で横並びに話し合いをして、しかと答えられるようにしてこの次は出てきてください。きょうはこの問題はこれくらいにしておきますから。
 そこで次に、高齢者雇用にかかりまして、行政管理庁の指摘事項についてお尋ねをしたいんですが、行政管理庁は、高齢者雇用の率の達成指導について、十五都道府県所在の二十九の公共職業安定所の企業に対する指導状況を調査しています。その中にあって、指摘事項はもう皆さん御承知だというふうに思います、労働省の方は。これをずっと私がいまから第一五々と読み上げるまでもなく、私はここに資料をいただいていますし、皆さんもこの指摘事項をお持ちだと思いますから、指摘事項を私が読み上げるのを省略いたします。ですから、労働省の基本姿勢として、この指摘事項について今後どのような対処をするのか。いろんなことを行管庁が指摘していますから、まずそのことについて、指摘事項を読み上げることは時間を省略いたしまして、労働省の基本姿勢を述べてもらいたいと思いますが、どうですか。
#69
○政府委員(関英夫君) 高齢者の雇用率に関します勧告だと思います。ほかの事項についての勧告もございますが、ただいまのお尋ねは雇用率のところだと思いますので、雇用率の指摘事項が一番から四番までございます。それについてお答えを申し上げたいと思います。
 一番は、要するに「雇用率達成計画の作成に関する指導を今後とも強力に推進すること」ということでございますが、これについては作成に関する指導を今後とも強力に推進する考えで措置をいたしております。
 それから「雇用率達成計画の実効性を確保するため、当該企業の実情に即した指導・助言を積極的に行うこと」というようなことにつきましても、都道府県に指導をいたして、そういった方向で今後措置するようにいたしております。
 それから三番目に、「雇用状況報告あるいは適期の実施指導により一層その実情はあくに努め、当該計画の実効性を確保するため技術的援助指導の徹底を図ること」ということがございます。技術的援助指導についてまだ非常に不十分な面がございましたので、各種の事例、研究報告、そういったものを含めて都道府県あるいは公共職業安定所を指導して、こういう技術的援助指導の徹底を図ることといたしております。
 それから「特例的取扱いの企業に対して」「指導の徹底を図ること」ということがございますが、特例措置を一たん受けた後、そうでなくなる場合等についての御指摘でございますので、十分その辺の実情を把握をして、高齢者の雇い入れ等によって速やかにもとの状況に復するよう、それぞれ親も子も指導するとか、いろいろな対応策を指示いたしたところでございます。
#70
○安恒良一君 またこれ局長は都合の悪いところは飛び越して言っているんですが、まず監査の指摘事項についてちょっと言ってみてください。それを受けてどうするかということですから、あなたたちはどういうことを監査して指摘をされているんですか、この問題について。
#71
○政府委員(関英夫君) 勧告だけを申し上げましたが、その前段といたしまして、まず第一番に「管内における雇用率の未達成企業に対する指導に当たって、退職金、賃金、人事管理問題等困難な面が多いことを指摘するもの、雇用率未達成原因のはあくを行っていながら職場開発等具体的指導に至っていないもの」があるということがございまして、そういう指導を強力にする、あるいはそういう技術的指導援助に努めよという勧告になっているわけでございます。
 あるいは「具体的な指導の実態をみると、雇用率達成のための自主計画作成の指導対象とするのが適当であるにもかかわらず取りあげていない」、そういう企業があること。
 それから三番目に、「雇用率の算定に当たって親会社と子会社を一定の要件の下に同一企業主とみなす特例的取扱いの企業については、認定事例十五件のうち、認定後その特例的取扱いの要件に該当しなくなったものが三分の一みられる」、そういう意味で「その実効性が十分挙がっていないものがみられる」。
 そういう実態がまず監査の結果としてございまして、先ほどの勧告になっておるわけでございます。
#72
○安恒良一君 そこで、いま行管庁にお見えになっていただいていますが、行管庁にちょっとお聞きしたいんです。特に私が重視しているのは、「雇用率達成のための自主計画作成の指導対象とするのが適当であるにもかかわらず取りあげていないものなどがみられる」と、こういう指摘を行管庁はされているわけであります。
 そこで、まず行管庁、この指摘事項を具体的にひとつ説明をしてもらいたいと思います。文書はすでにいただいていますが、あなたたちは具体的に十五都道府県二十九の公共職業安定所を実際に監査をされているわけですから、いま職安局長が読み上げたことだけではわかりませんから、行政管理庁として具体的に説明をしていただきたい。
 さらに、労働省に尋ねますが、なぜここに書いてあるような指導対象から外したのか、その理由を行管庁の説明の後明確にしてもらいたい。
#73
○説明員(近藤輝彦君) お答え申し上げます。
 私ども、各公共職業安定所において行われております雇用率達成の作成指導の実態を調査しました時点が、五十五年の十月でございます。この時点におきましては、調査対象として取り上げました千九百十六企業のうち、達成計画を立て提出しているものは一二・一%、二百三十一企業にすぎなかったわけでございます。その後労働省の方でいろいろ指導を強化された結果だと私ども考えておるわけでございますが、五十六年の六月の時点でもう一度精査してみますと、提出率が九七・五%に上がっておるということを確認いたしております。
#74
○政府委員(関英夫君) 一定の基準を設けまして自主的に計画を作成していただいて、その計画に沿って雇用率を高めていくように指導しているわけでございますが、十分な時間的余裕を持たないとそういうものができないというような企業もございまして、おくれておったところも確かにあるわけでございますが、その後も、行政管理庁のこの監査を一つの契機といたしまして、行政指導をいたしまして自主的に計画を提出していただいてきておりますので、逐次この指摘事項の改善はなされてきていると私ども考えております。
#75
○安恒良一君 いや、私が労働省に聞いているのは、「自主計画作成の指導対象とするのが適当であるにもかかわらず取りあげていない」と、こう言われているわけですね。ですから私は、その後五十六年に行管がまた監査されたというのは、私もまだ報告書をもらってないからわかりませんけれども、これが出た時点にそのことが書かれているわけでありますから、そこで私が労働省に尋ねているのは、なぜ指導対象から外したのか。監察した結果指導対象とするのが適当だと思ったのに指導してないというんだから、だから私は、指導対象からその監察を受けた公共職業安定所はなぜ外したのかということを聞いているわけです。いま、よくなったよくなったと、こう言っているが、われわれは新しい行管の報告書をまだ見てないものですから、われわれが一番最新に入手し得るものを中心に議論しているわけですから、よくなったよくなったではだめなんで、私の質問していることは、行管庁としては、「指導対象とするのが適当であるにもかかわらず取りあげていない」という指摘ですから、だから、なぜ取り上げなかったのかということを聞いている。
#76
○政府委員(関英夫君) 私ども、計画提出を命令すべきものについては都道府県に一定の基準で必ず命令を発するように指導しているところでございますが、自主的に計画をつくって提出するように企業を指導することが望ましいという企業について、一定の基準で都道府県に示して、各公共職業安定所で努力するようにしておるわけでございますが、一つには、その業界の業況その他も考えたり、あるいはもう一つの命令企業への取り組みの方が優先的で、自主的な指導の方はなるべく自主的につくって出してくださいよという程度のことで、十分な指導が徹底していなかったり、そういうようなことで確かに取り組みにおくれがあったんだろうというふうに思っております。
#77
○安恒良一君 僕は、大臣、ここのところを非常に重要だと思いますが、行管庁が監察をしてこんなことを指摘されなきゃならぬような職安行政では、これは困るわけですよね、職安行政では。しかも、これはまだ全国やったわけでなくて、これぐらい調べた中でこういうことを行管庁が指摘をしているわけですから、自主的に自主的にといっても進まないところもあるわけですから、だから、お互いに、中高年齢の雇用というのが、これから十年ないし十五年には非常に日本にとって、労働行政にとっても、また政府の行政にとっても非常に重要だということですから、私は、こういう行管庁からの指摘を受けるようなことがあってはいけないと思うんですね。また私は率直に言って、第一線の職安行政のこのことは、わかりやすい言葉で言いますと、怠慢だというふうに思いますから、まず大臣にこういうことをお聞きをしたいんですが、今後こんなことで再び行政監察報告などを受けないようにやってもらいたい。大臣はかなり意欲的に、いろいろ財界からの反対があったにもかかわらずに六十歳定年制の実現なんかも親書を出されたということも聞いていますから、その点についてちょっと大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
#78
○国務大臣(初村滝一郎君) 行政管理庁からは勧告を受けたわけでございますが、それはそれなりの反省を私はしなければならぬと思うんですね。労働行政の欠陥についてこういうところがあるじゃないか、そういうことについては素直に勧告を十分前向きで検討していかなければいけない、こういうふうに考えます。
 したがって、従来の経緯等から、直ちにこれを実施することがむずかしいものもあると思う。思いますけれども、将来の高齢者雇用対策実施等についてはいろいろと考えていかなけりゃいかぬし、また関係都道府県等とも連絡をしなければいけませんから、できるだけ今後そういうものが具体的に消化していくように努力をしていきたいと思います。
#79
○安恒良一君 ひとつ大臣、これは定年制の問題からいろいろ指摘がありますから、私はきょうは指摘事項全部を洗うところまでいきませんから、定年制の延長問題、それから高齢者雇用にかかる給付金制度の問題等々、行管庁からいろいろ指摘されているわけですから、ひとつこういうことがないようにやってもらいたい。
 そこで、いまのまた報告に戻りまして、行政監察報告に次のことも勧告しています。それはすでに職安局長が読み上げられましたが、「雇用率の算定に当たって親会社と子会社を一定の要件の下に」云々ということで、これも最後に、「認定事例十五件のうち、認定後その特例的取扱いの要件に該当しなくなったものが三分の一みられるなど、その実効性が十分挙がっていないものがみられる。」と、こういう指摘をまたしているわけですね、この問題について。中を抜かしました、そこに資料をお持ちだと思いますから。
 そこで私は、ここで言っている「特例的取扱い」というのはどのような法的根拠によって行われているのか、また「一定の要件」とはどのような内容の要件なのか説明をしてもらいたい。さらに、ここで指摘をしているような企業の脱法行為は、全体の公平的な取り扱いから見ても許されるものではない。そこで今後ほどのような対策をとろうとしているのか。以上の点について考え方を明らかにしてください。
#80
○政府委員(関英夫君) 雇用率制度は、個々の企業ごとに適用されるものでございますけれども、高齢者の雇用を確保するという観点から特に設立されるような子会社、これについては例外として一定要件に該当する場合に申請に基づき適用上同一企業とみなす、そういう解釈と運用をすることがこの雇用率制度をさらに進めていく道であろう、こういうことで一定要件を定めているわけでございまして、要件としては、資本金の全部または大部分、といいますのは、出資の割合五〇%を超えなきゃいけませんが、これが親会社の出資によるものであること。二番目として、常用の高齢者を多数雇用していること。つまり高齢者の割合が三〇%を超えていること。三番目、親会社と経済的、組織的な関連が密接であること。つまり子会社の役員のうち必ず親会社から選任されている者がいること。また、子会社の従業員のうち相当数が親会社から派遣されていること。子会社に対し親会社から常時相当量の発注が行われること。これらを見まして、親会社と子会社との関係が経済的に、組織的に非常に緊密な関連があると見られること。四番目は、高齢者のために作業施設設備の改善など特別の配慮がなされていること等を要件としてこういう取り扱いをしているわけでございます。
#81
○安恒良一君 そこで、「一定の要件」の説明はあったんですが、今度は行管庁にお聞きしたいんですが、そういう「一定の要件」のもとで認定事例の十五件を調べたら、「認定後その特例的取扱いの要件に該当しなくなったものが三分の一みられる」、「その実効性が十分挙がっていないものがみられる。」ということですが、この中身をちょっと説明してみてください。
 いまいろいろ要件を挙げましたね。恐らくその要件に基づいて調べられたと。ところが、十五のうち三分の一の五会社はそういう要件に当たらぬとあなたたち言っておられるんですから、それの中身をちょっと、会社名おんか結構ですから、どういうことで当たらないのかということをひとつ言ってみてください。
#82
○説明員(近藤輝彦君) これは個々にそれぞれの要件ごとに私どもの現地の局の段階では突き合わせまして調査し、事実関係についてはそれぞれ調査対象の機関と確認し合っておるわけでございますが、いまちょっと手持ちのところで、それぞれこの三分の一に相当するものが要件のうちのどれに該当するのが、ちょっといまの段階で御説明できる状況にないんでございますが、申しわけございません。
#83
○安恒良一君 これも行管庁の方には、こういうことを監査報告については聞きますよということを通告しておったんですが、それじゃ労働省側は指摘をされたんだから、労働省側は御承知でしょう。その十五のうち五つの会社は特例扱いの要件に該当しない。だから、いま局長が言ったような、どういうことが該当しなくなったのか、労働省側は指摘を受けた方ですから御承知でしょう、どうですか、それは。
#84
○政府委員(関英夫君) 私どもの方でも、具体的にどこの句会社という形で連絡は受けておりませんが、事例といたしまして特例取り扱いを受けている親会社とその子会社について、特例取り扱いをしているにもかかわらず、その子会社分を入れても計画のとおりに六%に達しないで、この特例取り扱いをしている趣旨が全うされていない例が、二つほど私どもにも知らされております。そういうところでございますので、全国に対しまして、特例取り扱いにもかかわらず、承認基準非該当の事実を把握したら、六カ月以内に高齢者の雇用割合が三〇%を超える状況に復帰しない限り、承認の取り消しを行うように指示したところでございます。
#85
○安恒良一君 こんなやりとりでは困るわけですね。「認定事例十五件のうち、認定後その特例的取扱いの要件に該当しなくなったものが三分の一みられる」ということですから、五会社はあるわけです。そうすると、それはもう勧告をあなたたちは受けているわけですから、まあここで会社名を挙げるのは遠慮したいというのなら、それはいいよ。しかし、A会社はこうこうこういうことだ、B会社はこうこうこういうことだ、C会社はこうこうこういうことで該当しないんだと、行管の方はきょう持ってきてないというから、これは後から行管の方は資料をいただきます。しかし指摘を受けた労働省側が、そのうちの二つぐらいは知ってますけど、あとなって、そんなことやってるから一つも進まないわけですよね。あなたたちは指摘を受けておきながら――私はここで、公の席ですから、会社名を挙げろと言ってんじゃない。AでもBでもいいから、その五社はどういう意味で特例扱いの要件に該当しなくなっているというふうに監察の結果指摘しているわけですから、それを言ってみてください。
#86
○政府委員(関英夫君) 監察の結果、私どもで監察結果から把握いたしております要件に該当しなくなった理由は、三〇%以上雇用という状態を三〇%未満になった企業が調査例の中で三三%見られる、こういうことでございまして、それについての具体的な事例としてA会社の場合、B会社の場合という事例を私どもも知っておりますということでございまして、形式はどういうことかと言えば、先ほど挙げた基準のうち三〇%以上というのが三〇%未満になっている、こういうのが三三%あるという、そのために認定要件に該当しなくなったという事例として挙がっておるわけでございます。
#87
○安恒良一君 あなたの言うA会社、B会社だけでなくて、あれじゃないですか、五つの会社あるんですから、十五件のうちの三分の一ですから、AとBだけじゃないんじゃないですか。C、D、Eもあるんじゃないですか、どうですか。
#88
○政府委員(関英夫君) 率については五つの会社についてわかっております。三〇%を割った会社が五つありますということで、規模別にも、それからそれぞれの子会社の数がどうかというようなこともわかっております。ただ、親会社を含めてのすべての全体の雇用率、詳しい状況については、二会社についてわかっておるわけでございます。
#89
○安恒良一君 これもひとつ、これ以上こんなことで時間どっても、私の持ち時間なくなるばかりですから、ひとつ行管の方も、それから労働省側からも、後で資料でください。これはもうずっと前に監察の結果は指摘をされているからわかってるはずです。それがいまのようなことで、ここでこのやりとりを幾らやっておったって時間がかかるばかりですから。
 そこで大臣にお聞きしたいんです。中身のことをここで明らかにした上で大臣に聞こうと思いましたが、指摘をされているような企業の脱法行為というのは、私は全体の公平な取り扱いから見ても許されるべきものではないと思います。そこで今後はどういうような対策を労働大臣として、このような企業の脱法行為、いわゆる指摘を受けておきながら現実に監査してみたら三分の一の会社は指摘事項に当たってないと。ですから、こういうような企業の脱法行為があってはいけません。そうすると、また公平の見地から言っても私は許されるべきものでないと思いますが、そういう問題について今後大臣はどういう対策をこの点でお取りになるのでしょうか。ひとつお考えをお聞かせください。
#90
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話があるとおりに、十五件の中で三分の一の五つもそういう事例があって結局脱法行為に該当する、こういう指摘を受ければ、当然私はその旨を企業に対して通達をし、今後の指示をする。そういうことをやっておるそうでございますから、今後も一層そういう点については監視の目を緩めないという考え方でございます。
#91
○安恒良一君 いや大臣、やっているなら知っているわね。知らぬわね、局長連中。きょうここでよく細かい答弁し切らぬわけだ、中身について。そういうことをばんばんやっているなら――あんた、実情知らぬでそんなことやれるはずはないんだ。いま聞いたら、五つのうちの二つはわかってますが、あとの三つは、とか言う。こういうことをきょう聞きますよというのはずっと前から労働省には言ってあるわけですよ。これは本当言うたら、前の委嘱審査のとき聞くつもりで通告しておったんですが、時間がなくてきょうになったわけですからね。ところが、きょう聞いてみても、五つありますが大体二つはこういう中身だ、三つはちょっとまだここではわからぬと言う。わからぬ人が大臣が言うようにびしびしそんなこと命令なんか出しておるはずなんかないでしょう。わかっておるなら出せるはずですから。そこで、私はどうもそういう脱法行為をやっている会社に対する措置が手ぬるいんじゃないかと思いますから、どういうふうに大臣お指示になるんですかと聞いてるんだ。やってんならここで答弁できますね。
#92
○政府委員(関英夫君) すでにこの勧告を受けまして全国に通達を出しまして、単に行管の監察を受けたところだけでなく、全国的にそういう方針で取り組むように指示をいたしてやっておるわけでございます。具体的に監察を受けた都道府県においては、私ども具体名はわかりませんが、それぞれのところでは、安定所あるいは都道府県ではちゃんとつかんでおるわけでございますから、それの是正に十分努力をしているわけでございまして、六カ月を経てそういう状態が直らない場合には認定の取り消しをする、こういうことにいたしておるわけでございます。
#93
○安恒良一君 それじゃ、この五つの会社はそういう命令を受けてどうしましたか。きちっとなりましたか。なったならその実態を言ってください。
#94
○政府委員(関英夫君) ことしに入って出したばかりでございまして、まだ六カ月たっておりませんので、六カ月後その報告を申し上げたいと思います。
#95
○安恒良一君 それはおかしいじゃないですか。この監察は五十六年九月にあなたたちはもらっているでしょう、去年の九月に。それで何でことしになってそれを出したんですか。どういう意味ですか、それは。
#96
○政府委員(関英夫君) 勧告を受けましての労働省の対応措置につきましては、その後関係都道府県の意見も徴し、さらに行政管理庁と十分打ち合わせの上、十二月末ごろではなかったかと思います、はっきりした記憶はございませんが、労働省としての対応措置を正式に行政管理庁に回答する。それを待った上で私ども通達を出して、そして実際の行政指導に入ったわけでございます。――失礼いたしました。ことしの二月二十四日でございます。行政管理庁に対しまして回答を出し、それを待って通達を出したわけでございます。
#97
○安恒良一君 そんなことじゃ、それはなかなか六十歳定年も、それから中高年の雇用率達成も私はいかないと思うんだ。
 去年の九月に勧告をもらって、二月の二十四日になってやっと労働省は行管と話をしたと。九月からことしの二月まで、しかもい主言ったようなことはもう中身がはっきりしておる問題があるわけですから、対応を協議するまでもないことで、認定後三分の一の会社はその認定を破っておるということなんだから、そんなものについて去年の九月に行管からもろうて、ことしの二月までかかった、そして二月の二十四日になってやっと行管の方に話を持っていって、それから出したからまだ六カ月たっていませんという。私はそういうあなたたちの姿勢だから、こういう企業の脱法行為なり企業の甘えが出てくるんですよ。法律に基づいて、しかも行政監察をされた結果、当然やらなきゃならぬことについてはどんどん労働行政としては取り上げる。でなけりゃ公平の原則を欠きますよね、脱法行為をやっているのですからね。普通の雇用率達成の問題ということじゃなくて、認定を受けたが認定に該当しないというのはもう脱法行為なんですから、脱法行為なんかやっているところに対しては、早急にその脱法行為を改めるようにやってもらわなければ私はいけないと思うんです。
 そういう手ぬるいことをやっているから事態が進まないと思いますが、そういう点はどうですか。大臣どうですか。九月に監察報告をもろうて、たくさん監察があるから、中には調整に時間がかかるものがあるかもわかりませんけれども、いま言ったようなことなんかは、何も二月の二十四日まで行管の監察報告、勧告を労働省と行管で相談しなきゃならぬことないでしょう。
#98
○政府委員(関英夫君) この監察につきましては、雇用率の問題だけでなく多岐にわたっておりまして、最初大臣のお答えにも、ございましたが、中には、長い間の経緯から見て、直ちに勧告どおりに実施することの非常に困難な離職者の問題等もございます。そういう意味で、私どもこの勧告に対します正式の労働省の回答を出すまでに、行政管理庁と何回にもわたるお話し合いをした上で回答を出したわけでございます。それを待って通達したわけでございまして、確かに雇用率の問題等は直ちに手をつけるべき問題でございますが、役所として正式の回答を出すというのを待って通達するということをしたわけでございます。
#99
○安恒良一君 時間がありませんから、それはまたいずれ議論しますが、非常にむずかしいことを労働省と行政管理庁との間でお話し合いくださることは、私は時間かかるのはやむを得ないと思うんですね。しかし、明らかに脱法行為と見られるようなことの指摘について、そんなことで話し合いする時間かかるはずないわけです。そうすると、あなたの意見を聞くと、この勧告全体についての労働省と行管庁との間の話がつかないと、そんな通達は出さぬというのは私はやっぱり困ると思うんです。いいですか。脱法行為ですから、そういうものについては何もそんな時間をかけなくて、脱法行為はしてはいけないよ、こうしなさいということは、私は出されてしかるべきじゃないですか。ほかのことの話し合いが長くかかったから脱法行為も――半年と言っても去年の九月からですから、ずっとことしの二月までじっとされている。実際は二月の二十四日に話し合いはついたと言われたんで、それからでしょう。そんな行政のあり方。
 というのは、なぜかと言うと、中高年齢の雇用という問題は、わが国にとって非常に重大な問題だという認識をまず前提に置いて、一致をさしてやっている議論でしょう。そうすると、ほかのことがいろいろあったものだから、どうしてもそこのところも含めてやるために二月までになりました、そして三月になって出して、あと半年して結果を見てみますというような、そういうのろのろしたやり方をするところに、脱法行為がはびこってみたり、それから一生懸命やっている会社から見ると、公正の原則からいってこんなものばからしいと。ばからしいというのも困るけれども、そういうことになるんじゃありませんか。どうですか、それは。
#100
○政府委員(関英夫君) この勧告を受けまして正式の回答を出すまでには時間がかかっておりますが、この勧告を受けた後の全国の都道府県の主務課長を集めての会議におきまして、この勧告内容を説明し、そして中には都道府県の実情として非常に取り組みの困難な問題、たとえば安定所の再配置の問題等もあるけれども、そういう問題についても正式回答を待たずにいまから十分検討してもらいたいということも含め、この雇用率問題も含め、定年延長問題等については課長会議で取り組みを強化するような指示をいたしております。勧告内容を配り、かつ指示をいたしておりますが、正式回答が固まりますまではやはり正式通達が出せなかったというのが今日までの実情でございます。
#101
○安恒良一君 それじゃ出されました通達、それからいまの資料に付して、五つの会社に対して当該の職安はどういうことをやったのか、これも資料として私のところに御提出を願います。よろしゅうございますね。
 そこで大臣、以上のようなやりとりをお聞きくださいまして、私は人口の高齢化、それから労働人口もこれからどんどん高齢化するんでありますが、高齢化社会に当たって高齢者の雇用の場を確保することは、私は企業全体の社会的責任だと思うんです。特にこれから高齢者、十年間で三百万人の高齢者の雇用創出をしなければなりません。そこで、ひとつもう一遍、この三百万人の雇用創出についてあなたたちが、六十歳定年延長の早期実現のことは言われましたが、それ以外にどういうことをやろうとしているのか、これをまずひとつ説明してください。三百万人の雇用をつくり出すためには何と何と何をやる、その中で大体これから十年間で発生する三百万人の人々の雇用が、何とか働きながら安らかに老いていく、こういうことが私はきわめて必要だと思いますから、定年延長のことはこの前お答えくださいましたが、そのほかにいろいろお考えがあろうと思いますから、三百万人の雇用創出についてどうするのかということについて少し考え方を説明してみてください。
#102
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおりの高齢者人口がふえるんだから、高齢者の雇用創出にはどういう考え方を持っておるのか。前々から申し上げておりますとおりに、定年の延長はこれはもう申すまでもありませんけれども、高齢者雇用率の達成指導の強力な展開をやらなければいけない。さらには、再就職のためきめ細かな職業指導あるいは紹介体制の充実強化、さらには職場改善資金融資制度の活用によって高齢者の職業拡大を図っていくというようなことにあるわけでありますけれども、さらに私は高齢化の波が来る六十歳代前半層ですね、六十から六十五までの方々の職業意欲の多様化にかんがみて、高年齢者雇用確保助成金の制度、これを活用して雇用の延長を進めなければいけない。さらには就業希望者の実情に応じて短期的、補助的な仕事をするためのシルバーセンターですね、こういうものの育成援助をして対策を進めなければならない、かように考えております。
#103
○安恒良一君 一つは六十歳のいわゆる定年延長のためのいろいろ施策を、この前から、いまもまた大臣言われましたし、それから六十歳代前半層の雇用延長のための施策も言われました。それからシルバー人材センターの設置の問題、それから高齢者の再就職の促進の問題等々いろいろあると思うんです。
 そこで、シルバー人材センターですね、これは当初発足いたしましてからかなり地域的にも人気がありまして、人口が二十万人以上ということは現在十万人以上と、こういうことになってます。ところが、この人口十万というのも私は画一的ではいけないんじゃないか。たとえば百万都市の大都市の周辺に人口七万ぐらいのところがある。ありますが、現実にシルバーセンターをつくるのを決定しているわけですね。それは百万都市のすぐ隣ですから。ですから、そこらの人口十万というのは一つの目安でありまして、そういう具体的な実情に応じてその点は、私はシルバーセンター構想というのは非常にいいと思いますが、やっていただけるということでいいんでしょうか。
#104
○政府委員(関英夫君) 人口おおむね十万というのは一つの基準としてというよりは、シルバー人材センターの助成をするかどうかの判断の基礎として置いております。それはなぜそんな数にしたかというと、要するにシルバー人材センターが機能し得るようなある程度の人口集積規模という意味で考えたわけでございます。
 ですから、先生御指摘のよう事例で、すでに七万程度のところも認めておりますし、これからもそういう事例で本当に機能していくなということがわかれば、十万という数字にはこだわらずに運営していきたいと思っております。
#105
○安恒良一君 で、時間がなくなりましたから、最後に労働大臣にこのことを強く要望して終わりたいと思います。
 私は、労働大臣並びに労働省が六十歳定年延長についていろいろ行政指導を強められていることをよく承知いたします。しかし、私はこれとてももう限界があるんじゃないかという気がしてなりません。そこで、これを本格的に実施しようとするならば、法的に強い処置が必要であるんじゃないかなという気がしています。これに対していままで歴代労働大臣は、どうしてもだめなときには考えなければならぬけれども、まず行政指導でというお答えでございました。私はそのこともわからぬわけではありません。できるだけ労使で自主的にと。しかし私は、もうぼつぼつこのような処置を検討する時期に来ているんじゃないか。そこのお答えをいまいただこうとは思いません。しかしもうこのようなことを検討する時期に来ている。労働省のいろんな御努力にもかかわらずなかなか進まない。それから私が二日間にわたって高齢者問題をずっと皆さんとやりとりした中でそう思いますから、一遍新しい大臣のもとにおいて、法的に強い措置をすることについての御検討をぜひお願いを申し上げて、これはお答え結構でありますことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#106
○国務大臣(初村滝一郎君) いま私どもで、定年延長等について、私の名前を書いていろいろとやっておりますけれども、なかなかわが国のような終身雇用制のようなところではむずかしいわけでございますので、私どももできるだけ、国会等の議決等もあったように聞いておりますから、現在雇用審議会にかけておるそうでございますから、この審議会の答申が出た上で、いま申されているようなことも再検討する必要がありはしないかと、かように考えております。
#107
○委員長(粕谷照美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#108
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#109
○中野鉄造君 私は、この労働行政の中で高齢者雇用対策と定年制の問題について、種々論議が尽くされたとは思いますけれども、私は私なりの角度からまたお尋ねいたしたいと思います。
 御承知のように、景気の長期低迷とその回復への兆しが非常に見通しが暗い、こういう状況下において、雇用失業情勢はこれからますます最悪の状態に向かっていくんじゃないかと思いますけれども、もうすでに発表されておりますように、完全失業者は一月で百三十一万人、二月に入って百三十五万人に増大すると、こういうような現況でございます。一方有効求人倍率というのも〇・六八倍と非常に低いわけなんです。こうした現状と今後の見通しについてお尋ねいたしますが、特に厳しいと言われている中高年齢者について詳細にひとつお聞かせいただきたいと思います。
#110
○政府委員(関英夫君) 最近の雇用失業情勢については、ただいま先生から数字のお話がございましたように、景気の状況を反映いたしまして、このところ足踏み状態といいますか、昨年暮れにちょっと持ち直しの気配を見せたものの、その後横ばい、足踏み状態を続けているわけでございまして、求人倍率は十二月から引き続き〇・六八倍ということで、三カ月横ばい状態になっておりますし、二月の完全失業者は百三十五万人と、前年同月と同水準ではございますが、失業率に直して見ますと二・二六%というように二%を上回る高い状態にございます。
 政府といたしましては、五十七年度公共事業の前倒し、あるいは住宅対策等を行いまして、民間の需要といいますか、内需を中心とした景気の着実な維持拡大に努め、雇用の安定を図るということにいたしておりますので、政府の見通しのような経済状態であれば、五十七年度は五十六年度よりやや雇用失業情勢は改善が図られるのではないかというふうに見込んでおるわけでございます。
 特に高齢者の雇用の現状はどうかというお尋ねが最後にございました。わが国の雇用慣行のもとでは、先生御承知のように、高齢者の雇用という点では非常に厳しいものがございます。とかく若年労働者に求人が集中するわけでございまして、依然として高齢者の雇用情勢は非常に厳しいものがございますが、労働力の需給の動きで、昨年十月の年齢別の有効求人倍率を見てみますと、年齢全体では〇・七二倍というのに対しまして、四十五−五十四歳層では〇・五〇倍、五十五歳以上になりますと〇・一四倍というふうに、高齢者の求人が非常に少ない。こういうふうに高齢者の需給状況は非常に厳しい状況にございます。
 それから再就職の状況も年齢別で見ますと、年齢全体では五・八%に対して、四十五−五十四歳層で五・五%、五十五歳以上は二・九%というふうに悪くなっていくというようなことでございます。私どもできるならば高齢者を労働市場に失業者としてなるべく出さない、そこがまず第一でございますので、定年の延長とか、あるいは高年齢者の雇用確保助成金の活用とか、そういうことによって高齢者の雇用確保をまず第一とし、やむなく離職した高齢者に対しましてはいろいろな助成措置による再就職の促進に努めているところでございます。
#111
○中野鉄造君 御承知のように、かつてないような不況による倒産件数も毎月記録を更新するような状況にありますけれども、そうした倒産件数とこの失業者数というものは、これは比例していくと思いますけれども、こういう倒産による失業、こういう方々が、都市部と農村部に分けて、また再就職の率だとか、そういうものも違うと思いますが、こういう不況の中でも比較的いいんじゃないかと言われているような中京地区に多いあの先端産業関係へのその吸収といいますか、そういうような実態はどういうふうになってるんでしょうか。
#112
○政府委員(関英夫君) 企業倒産につきましては、確かに非常に多かったわけでございますが、昨年末以来やや倒産件数は減少してきておりまして、前年同月比で最近では減というような数字になってきております。また、倒産卵離職というわけではございませんで、これは企業の銀行取引の停止ということでございまして、その後できるならば企業を再建しよう、そうして離職者を出さないでやっていこうということで、労使ともに会社再建に努力するわけでございます。たとえば会社更生法の適用というような形でいきますので、倒産卵離職者の発生というわけではございません。しかし中には再建不可能でどうしても離職者が出るという場合ももちろんあるわけでございます。
 で、最近、離職票提出件数といいますか、離職しますと、公共職業安定所に離職票を提出して、雇用保険、昔の失業保険金の受給、これに入っていくわけでございますが、そういうのもやや落ちつきを見せております。そういうことで、求人倍率も横ばいというようなことで、これが非常に悪化していくというようなことではないんではないかというふうに私ども見てるわけでございます。
 なお、たとえば中京地区の雇用情勢のお話ございましたが、いままで全般的に景気回復が遅い中で、自動車産業など幾つかの産業が日本経済を引っ張ってきたという点は、先生御指摘のとおりだと思いますが、そういった自動車産業あるいは電機産業等におきましても最近やや売れ行きに伸びが見られませんので、求人を手控える傾向が出てきてるということで、求人の大幅増という形がなかなか望めない。しかし求人倍率が横ばいを続けているということは、多少ながら求人も前年同月に比べてあり、あるいは求職者の増がとまりつつあるというのが最近の情勢で、それで横ばいになってるんではないかと見ているところでございます。
#113
○中野鉄造君 農村部あたりではどうしても二兼農家という方々が非常に多いわけですけれども、労働省から発表されている失業者の数と、いわゆる二兼農家であるがゆえに失業はしたけれどもなかなか実態として表面に浮かび上がってこないというような、そこに幾らかの差があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#114
○政府委員(関英夫君) 昔は、確かに先生のおっしゃいますように失業者が出身の農家に帰る、そしてみんなで農業をやるというような形で失業者が農村に還流する、そういう形で失業者を支えておる。で、統計の上で必ずしも失業者として出てこないということもずいぶん多かったと思いますが、最近は雇用労働者は大体雇用保険の適用を受けておるわけでございまして、失業した場合に、農家に帰って今後農業をやっていくといえば、それは失業ではございませんし、また公共職業安定所に離職票を提出して雇用保険の受給に入るというようなこともないわけでございますから、そういう場合は確かに失業者でないわけでございますが、そうでない場合には大体保険の手続をとられます。そういう意味で、休職者として出てくるということになりますので、少なくとも私どもの労働力の需給関係の統計としては出てくるわけでございます。
 ただ、総理府でやっております労働力調査の統計は世帯調査でございますので、そのときに前週、調査週ですね、そういうときに働いたか、あるいは働いた実績がないにしても、求職活動をして失業者として就職の努力をしていたかどうかというような点から見て、あるいは失業者として計上されない部分が出てくる可能性というものも、全然ないことはないかと思いますが、昔から比べれば、私は失業者の統計というのは的確につかまえられる状態になってきているんではなかろうかと思っております。
#115
○中野鉄造君 特に今年度は、今年度に限ったことじゃございませんですけれども、この五十七年度公共事業の前倒しというようなことで、それがどういうような形になってくるかわかりませんが、特に農村部からのいわゆる出稼ぎ労働者、そういうような方々の今後の動向というような見通しはどうですか。
#116
○政府委員(関英夫君) 出稼ぎ労働者につきましては年々減少傾向にございます。たとえば昨年、一昨年あたりの農業におきます天候等によります不作、そういったことで出稼ぎ者が非常にふえるんではなかろうか。そういう意味で、都会における求人を特に開拓して、そういう地域に持っていくようなこともいろいろやったわけでございますが、私ども心配したほどには実は出稼ぎ労働者は余りふえませんで、多少不作によります出稼ぎに新たになった方もおりますけれども、余り大きな数ではございませんでした。そういう意味で、年々出稼ぎ労働者は総体として見ると数が少なくなってきておりまして、新たに出稼ぎという形態で就労するということに入る方は少なくなってきております。したがって、出稼ぎ労働者全体の中で高齢者の占める割合が年々高まってまいります。そういう意味で出稼ぎ労働者対策も、また高齢者対策という観点からも非常に重要だというふうに私ども思ってきております。こういう傾向というのは、好不況あるいは農業の状況等によって影響されるかもしれませんが、基本的にはいままでの傾向が続くんではなかろうかと見ておるところでございます。
#117
○中野鉄造君 労働省は五十七年度の重点施策として、冒頭申し上げましたように、六十歳定年の早期実現、六十歳代前半者の雇用保障、また高年齢者雇用率の達成と、こういったようなものを中心に今後個別指導を強化していくと、そうされておりますが、大体どういうような具体的な措置を講じられるおつもりでしょうか。
#118
○政府委員(関英夫君) 定年の延長の行政指導におきましては、まず比較的に取り組みのおくれている業種、そういったところの労使の代表の方にお集まりをいただきまして、業種別の労使会議を開催いたしまして、そういったところで労使のコンセンサスをつくり上げて定年延長に取り組んでいただく。こういうことをやっておりますし、また労働基準監督機関と安定機関と協力のもとに定年延長の研究会というようなものをやりまして、定年延長に当たっての問題点、賃金、退職金あるいは人事管理のあり方についてどうしたらいいかというようなことを研究していただく、そして定年延長に取り組んでいただくというようなことをやっております。また高齢者雇用率について、実雇用率の非常に悪いところについては、その達成のための計画をつくっていただいておりますが、その達成を指導していくことを個別企業にいたしておりますが、その指導に当たっては、定年延長をまず第一として、ほかの方法で雇用率を達成するということも可能でございましょうが、定年延長ということをまず第一としてやってもらうように指導いたしているところでございますし、いろんな奨励制度がございます。定年延長奨励金、あるいは高齢者の雇用確保のための助成金、そういったような奨励制度を活用する。
 それからもう一つは、特に本年度から定年延長の取り組みのおくれている企業、三百人以上で定年六十歳未満の企業すべてに対しまして三年間の取り組みの計画を出していただく。大臣名でお願いしたところでございますが、これを五月中ごろまでに出していただきまして、それに基づきまして、行政側で三年計画で個別企業に対する行政指導をする。そういうことによって六十年六十歳定年の一般化を実現していきたいと考えておるところでございます。
#119
○中野鉄造君 この件については、もうすでに四十八年に閣議決定が出されて、この第三次雇用対策基本計画の期間中、つまり五十二年までに六十歳定年を一般化する、そういう方針を打ち出されておりますけれども、今日までそれが実現しないで、なお五十数%の達成というような現況でございますが、こうした経緯から見ますと、この定年制の延長というものもいろいろな問題点があると思うんですけれども、一番問題になる点は端的に申しましてどういうところですか。
#120
○政府委員(関英夫君) 一つは人件費コストの問題でございます。先生御承知のとおりに、わが国では年功別の賃金、あるいは退職金慣行、こういうものが一般的に行われておりますので、五十五歳以上の者を六十歳まで雇用していくということになると、どうしても従来の体系そのままでは人件費コストが非常に高くなる。それは企業として負担にたえられない。どうしたらよいかということが一つの問題点でございます。
 それからもう一つは、人事管理がやはり年功的に行われる場合が多うございます。年功を積むに従って昇進を果たしていく。これが定年延長後、どういうふうにしたら若い人の意欲を損わず、かつまた延長後の高齢者の活力を損わないうまい人事管理ができるだろうかといったことがもう一つの問題点でございます。
 それからもう一つは、高年齢者、定年延長後の人にふさわしい仕事、職場、そういうものをどうしたらよいかということもございます。その辺がいままで大きな隆路というふうに言われてきたところではなかったかと思っております。
#121
○中野鉄造君 今後のそれを促進し、あるいは定着さしていくための一つの手段としていろいろな指導をなされるわけでしょうけれども、私一遍いろいろなお方とお話をしたときに、こういうような方法というか、なにもあるということも聞いたんですが、いまおっしゃったように、一つの隘路というのがその人件費の問題。ですから、そこらでたとえば五十歳を過ぎれば、今度は五十歳からはだんだんと給料をダウンしていく。給料アップじゃなくてダウンの方に持っていくというようなことだとか、それから役職の点についても、後進に道を譲っていくようなそういう方法だとか、そういうようなお話を一遍伺ったことがありますけれども、今後の指導の中でそういうような点もお考えになっておりますか。
#122
○政府委員(石井甲二君) 定年延長の問題、日本の場合には特に年功序列型賃金の態がございますし、あるいは終身雇用という問題もございます。そういう中で特にコストの問題と非常に関連がございます。
 そういう意味で労働省におきましても、賃金研究会で、定年延長の問題と人事管理あるいは賃金制度の問題との関連についての検討を大垣から研究会にお願いをいたしまして、その答申を受けておりまして、その中には、先生御指摘のように、やはりそういう企業の実態あるいは歴史、あるいは慣行の定着度合いというのがそれぞれ違うわけでございますけれども、たとえば御指摘のように、五十歳あるいは五十五歳から賃金を場合によっては平行に持っていくとか、あるいは退職金の基礎になる金額をある程度そこに、五十歳なりあるいは五十五歳というところに固定するとか、そういう考え方もとっていく一つのプロセスが必要じゃなかろうかということの答申を受けておるわけでございます。
 いずれにせよ、各企業におけるそれぞれの歴史なり実態が、ございますから、それに対応しながら、そういう弾力的な側面が必要であろうということで指導をしておるわけでございます。
#123
○中野鉄造君 前労働大臣は、もう何が何でも六十年までには達成さしてみせる、こういうふうに明言されておりますけれども、現況のいまおっしゃっているようなこの実態から見ると、六十年まで果たしてどうだろうか。ずいぶんと指導強化していかれるとは思いますけれども、大臣どうでしょうか、その辺の見通しは。
#124
○国務大臣(初村滝一郎君) 六十歳定年延長についての隘路等について、局長からそれぞれお話があったわけでございますが、ぜひとも六十年六十歳定年というのは着実に進んでいかなければいけない、私はかように考えております。
 したがって、こういうところに取り組んでおります中小企業が立ちおくれておるわけでございますから、先ほど局長から話がありましたとおりに、私の名前で四千三百社ですかな、「お願い」という文句をまず冒頭に書いて、その必要性を説き、さらにそういう計画を遅くとも五月中に出していただきたいというような要請をしておりますので、私は、ぜひともこの目標には達成するように一層努力してまいりたいという決意でございます。
#125
○中野鉄造君 そうすると、初村労働大臣も前大臣同様に、決してただ六十年までの達成というものは努力目標じゃなくて、実現さしていくという、そういう御決意に変わりはない、こういうことですね。
#126
○国務大臣(初村滝一郎君) そうでございます。
#127
○中野鉄造君 このいまおっしゃった労働大臣の要請書簡についてでございますが、その大臣の書簡に対して、行き過ぎだとか、あるいは不当な行政介入である、こういったような批判が出ているようですけれども、経営者側の代表の方々とのそうした話し合いの内容だとか、その後の経緯だとか、そういうことについてお尋ねいたします。
#128
○政府委員(関英夫君) 大臣からの要請書につきまして、日本商工会議所の労働委員長が労働省に見えまして、行政指導に当たっては、民間企業の自主的努力を十分尊重し、行き過ぎを招くことがないようにという要請がございましたし、その後で新聞に談話というものを発表されました。私どもその談話もいただいております。そういうことがございますが、私どもとしては、時代の要請として六十年六十歳定年を実現することは閣議決定を経た私どもの雇用対策の基本の方針でもございますし、時代の要請でもございますので、この大臣の要請書に従って計画をお出しいただき、その計画を見た上で、できるならば五十七、八、九の三年間で何とか六十歳定年を実現したい、六十年にはどうしてもでございますが、一年でも早く実現してみたいということで、今後とも行政指導を強化してまいる考えでございます。
 なお、行政指導と言う以上は、あくまでもこれは労使が自主的に話し合って決めるということが前提でございます。そういう意味で、行政指導は労使の自主的な話し合いを促進し、それを援助し、強力に要請していくものであって、決して行政が強制して実現できるものではございませんので、そういう意味で行き過ぎのないように十分注意しながらも、強力な行政指導をして計画的に実現していきたいと思っております。
#129
○中野鉄造君 その大臣の書簡に対する報告というのが五月十五日までということになっておりますけれども、どうでしょうか、こうした経営者側のいまの空気から察して、五月十五日までに果たしてどのくらいの報告が寄せられるかということは疑問に思うんですけれども、報告が来るあるいは来ない、いろいろあるかと思いますが、いずれにしても、そういったような場合に、十分でない企業に対して都道府県職安職員による個別指導というものを徹底していくと言われておりますが、その個別指導なるものが経営者側にとってはある意味の非常に強制的なプレッシャーである、そういうような感じのものが受け取れるようですが、いかがでしょうか。
#130
○政府委員(関英夫君) 従来も実は個別指導をやってきたわけでございます。それで地方において五百人以上の企業を対象にして、本省で私も自分でやったわけでございますが、五千人以上の企業を本省に来ていただいて指導をする、それから都道府県でも幹部職員が大きな企業は呼んでやる、それから安定所でもやるという形で取り組んだわけでございますが、今後とも、単に安定所に任せるのでなく、都道府県の幹部職員、それから本省の幹部職員もこれに当たりたいと思っておりまして、その場合には決して行き過ぎのないように、しかし現在の高齢化社会におけるこの定年延長の必要性というものについては十分御理解をいただき、また必要な援助措置を十分御理解いただいてそういうものを活用していただく、そういうことも含めて指導していきたいと思います。
 全国的に展開している中に、あるいは行き過ぎと受け取られるような言辞があって、そういったことがこういった商工会議所の談話等に反映しているものだとすれば、私ども行政指導に当たってその点は十分注意しなければならぬと思いますけれども、しかし同時にまた、これを六十年までに実現しなければならないということも大きな政策目的でございますので、今後とも十分注意しつつ進めていきたいと思っております。
#131
○中野鉄造君 それで、その大臣書簡に対して反発をしている中堅企業あたりでは、いわゆる高齢者の雇用には定年制延長ばかりでなくて、あるいは定年後新しい労働条件で契約する再雇用制度だとか、あるいはまた嘱託制度、あるいは勤務延長制度だとか、そういう企業の実態に応じたさまざまな方策をわれわれはとっているんだと、そこへもってきてああしろこうしろというような、そういうような労働省、大臣の言いぐさはそれこそ行政介入であるというような、そういう受けとめ方があるようですが、それなりに中堅企業のいままでとってきているようなそういうものに対する自負があるだけに、非常にぎくしゃくとした点が起こってくるんじゃないかと思いますが、そうしたいままで中堅企業がとってきているその対応なりそういうものについてはどういうように評価されますか。
#132
○政府委員(関英夫君) 確かに今回の日商委員長談話等に見られる考え方は、先生いまお述べになりましたとおりでございますし、また現実に従来高齢者の雇用には、大企業を五十五歳定年でやめた者を規模の小さいところで雇っていただいて今日まで来ているということも事実でございます。そういう意味で、今日までのそういった企業の制度の果たしてきた役割りあるいは経営者の努力、そういうものについては私ども十分評価をいたします。
 しかし六十歳定年というのは、これは閣議決定で決めた政府の雇用政策の基本方針でございます。そこにある考え方は、現在年金の支給開始年齢も六十歳でございます。そこに五十五歳定年でございますと五歳の空白期間が生ずるわけでございます。中小企業の経営者は従来から、実質上再雇用なり勤務延長で雇ってきたというわけでございますが、再雇用という場合には、やはり一度定年でやめてしまった人を再雇用する。勤務延長という場合には、個々に見てこの人は可能だと思う人を勤務延長する。こういう形でそこに雇用関係が切れる方がどうしても出てまいります。御本人はできるならもっと働きたいと思いながらも、再雇用なり勤務延長をされない方も出てくるわけでございます。そういう意味で私は、日本商工会議所に対しても、六十歳定年はどうしてもやっていただかなければならない。しかし六十歳定年で物事を終わるわけではなくて、六十歳以上になりますと労働力個々人にとりましてはいろいろ多様性が出てまいりますので、再雇用なり勤務延長というような制度は六十歳以上についてぜひお願いしたい。年金の支給開始年齢である六十歳までの定年延長というのは、商工会議所もお入りいただいて、雇用審議会で十分御議論をいただいた雇用対策基本計画で決めたわけでございます。そういう意味で、従来いろいろな努力をしているから六十まで定年延長はしないでもいいんだというのでは、私は誤りではないかと思いますということを商工会議所の幹部の方々には十分御説明して、政府の立場として六十歳定年だけはどうしても実現するように行政指導を強めていきたいということを申し上げておるところでございます。
#133
○中野鉄造君 しかしながら、そうは言っても、企業側としては、いまおっしゃるようなそういう要請というか、そういうようなものがなかなか受けとめがたいというのが実態じゃないかと思います。
 かてて加えて、ますます今後の不況の長期化だとか、あるいは産業構造の変化など、その企業を取り巻く情勢というものはこれからだんだんさま変わりしてくるんじゃないかと思いますが、そうなってきますと、いま問題にされているいろいろな対象企業の方でも、言ってみれば、雇用維持というものが精いっぱいで、定年制延長ということについては、本当にこれはもう思いもよらないと言ったら極端かもしれませんけれども、とてもじゃないけれどもそこまではというようなことになるというような、そういうことも非常に考えられるんですけれども、そうしたときに大臣が異常な決意で臨まれるこの定年延長ということと、それはなかなかやろうにもやれない、そういうようなときに、ペナルティーというか、そういう規定を今後設けられるおつもりですか。
#134
○政府委員(関英夫君) 確かに先ほど先生がお話しになりましたような倒産企業等におきまして、会社再建というようなことに取り組んで労使で懸命にやっているところで、いま直ちに定年延長というわけにいかぬというようなところも、それは出てくるかと思います。しかし、そういう場合におきましても、会社再建のめどがついた場合には、私ども定年延長をお願いしたいと思いますが、そういった意味で企業の実態、実情に即した行政指導が必要だろうとは思っております。
 それからまた、中小企業でいまの再雇用制度、勤務延長制度を維持することが精いっぱいだというような場合におきましても、これは経済成長がある程度の成長率を達成していくことが前提ではございましょうが、しかしその中小企業は、考えてみますれば、五十五歳以上の方をある条件で現に働いていただいておるわけでございます。先ほど私、定年延長の隘路として賃金、退職金、人事管理、それから職場の問題を申しましたけれども、それが全部できておるわけでございますから、それを定年延長として実現できないはずはないというふうに私は一面では思うわけでございます。そういういままでと同じような内容のことで定年延長とすればよいわけでございますから、できるだけ労働者にとって条件がよいことが望ましいことでございますが、そこは労使で十分話し合って定年延長をしていただきたいというような要請を今後ともやってまいるつもりでございます。
#135
○中野鉄造君 非常にくどいようですけれども、先ほども申しましたように、四十八年に閣議決定をされて、前労働大臣も本当に、それこそ何が何でもこれは達成さしてみせるというような、そういう意気込みで来られた。その間にはいろいろな適切な指導またその強化というようなことで臨まれたと思いますけれども、そのあげくが今日のこういう現況なんですけれども、そういうところから申しまして、いまおっしゃったように、これから粘り強くと、おっしゃっても、そこは余りせっかちになっては、これはまたどこかに無理が生じてきましょうけれども、ある程度これはどうかすると平行線で終わっていくのじゃないかという、そういう懸念がするわけなんですが、ただ話し合いを進めていく、話し合いを進めていくと、そういうようなことだけで果たして達成できるものなのかどうか。そして、まじめにそれに対応していく企業と、少々何とかかんとか言われたってそれこそもうほおかぶりでやっていく企業もあるかもしれない。そういう場合に、さっき言ったように、前労働大臣はそういう罰則規定を設けるなんていうことは政治の中の愚の骨頂だと言われておりますけれども、そういう点についてくどいようですけれどももう一遍お聞かせいただきたいと思います。
#136
○国務大臣(初村滝一郎君) おくれている企業を行政指導するに当たってはいろいろな要素があるわけですね、賃金の問題とか人事管理の問題。だからといって予定どおりに実施されない場合に罰金制度をとるのかどうか、前の大臣は愚の骨頂だから取ることはしないということですが、私もやっぱりそう思います。したがって、それに対して労働省が先頭に立って、高齢者雇用対策のいろいろな方法を示して、それでこうこうこういうようなやり方でやるからぜひひとつ定年延長に協力してくれと、こういうような指導をすれば私はできないことはない。したがって、必ずできるように努力をいたします。
#137
○中野鉄造君 いまも申しますように、いままでだってずいぶんやってこられた。さらにそれをまた粘り強くやっていくという大臣の御決意ですから、それ以上のことは申しませんけれども、その大臣の御努力に私どもも大いに協力してまたその達成を祈りたいと思います。
 それで同時に、この高齢者雇用の問題と相まって、身障者の雇用率というのも最近低下の一途をたどっているような気がいたしますけれども、心身障害者が現在約二百万人と増加しておりますが、その重度化、高齢化がこれまた進んでおりますけれども、身障者対策に関する長期計画書においてはこれが一つの問題にされておりますが、現在どういう施策を講じておられますか。
#138
○政府委員(関英夫君) 長期計画におきまして、今後は特に重度の身体障害者に重点を置いて施策を進めていくという方針にいたしております。と申しますのは、中軽度の心身障害者につきましては、雇用率及び納付金制度の新しい制度のもとで企業側の求人も非常に出まして雇用が進んでいるわけでございますが、障害の重度化も進む。一方で重度障害者の雇用というのは余り進まないということで、これからの障害者対策の重点は、長期計画にもございますように、重度障害者対策にあろうと私どもも考えております。
 それで、従来から重度障害者につきましては、雇用率上一人雇えば二人分としてダブルカウントするとか、あるいは助成措置を中軽度の場合よりも期間を長くするとかいうような形で重度障害者対策をやってきたわけでございますが、それでは不十分でございますので、この長期計画あるいは身体障害者雇用審議会からの意見書、こういったところで重度対策をいろいろ言われておりますので、そういう方向に沿って今後重度心身障害者雇用対策を強化していきたいというふうに考えております。
#139
○中野鉄造君 そのためにはやっぱり保護雇用制度の導入、特に第三セクター方式による受け皿づくりが必要じゃないかと思いますが、岡山県に高原都市の問題等がありますけれども、そういう事例について具体的な施策があったらひとつお聞かせいただきたいと思います。
#140
○政府委員(関英夫君) 岡山吉備高原におきまして、松下電器とそれから自治体との共同出資によります工場におきまして心身障害者を雇用しているわけでございます。吉備松下という会社でございますが、資本金としては、岡山県が四〇%、加茂川町、賀陽町という地元の二つの町が四・五%ずつ、それから松下電器産業が五一%ということで、従業員数七十四人中、これは三月十日現在でございますが、心身障害者が男子二十一人、うち重度が二十人でございます。女子四人、この四人とも重度の心身障害者でございます。こういう二十五人の方を雇用してビデオ電気回路部品の組み立て加工の作業に従事しているということでございます。
#141
○中野鉄造君 では、今度はまたそこまでいくまでのいわゆる身障者各個人の適職だとか、あるいは適応能力だとか、そういったようなものを観察しながら、職業紹介体制のそうした飛躍的強化もこれは必要でありましょうし、医療から就業までに至るまでの一貫した総合的リハビリテーション施設の増設だとか、あるいは専門職員の養成というようなものが必要になってくるんじゃないかと思いますが、その辺の施策はいかがでしょうか。
#142
○政府委員(森英良君) お答えいたします。
 身体障害者の職場復帰と申しますか、特に重度障害者の社会復帰につきましては、医療から就業までの措置を一貫して行うということがきわめて効果的、効率的であるということは全く先生の御指摘のとおりでございます。そのために、職業能力を評価しまして、職業への適応性を判断して、そしてそれぞれに対応した職業訓練を行う施設といたしまして、昭和五十四年の十一月に所沢に国立職業リハビリテーションセンターというのをつくりまして、同一敷地内にあります国立身体障害者リハビリテーションセンター、これは厚生省所管でございますが、これとの密接な連携を図りながら、医療から就業までに至る一貫的な措置ということをやっておるところでございます。
 そのほか、近年、たとえば京都、静岡、千葉等に身体障害者の職業訓練校を設けておりますが、これらはいずれもその地域におきます能力評価の施設でありますとか、医療施設、授産施設等々をゾーンに集めまして、その中に訓練校も設けるという措置をとっておりまして、小規模ながらあちこちでそういう措置をとっておるわけであります。
 この点につきましては、本年三月の国際障害者年の推進本部が決めました障害者対策に関する長期計画におきましても指摘されておるところでございますので、今後ともこういう職業リハビリテーションにつきまして、医療、職業評価、福祉等の関係施設とそれぞれ十分連携をとって有機的な活動ができるように指導してまいりたいと考えております。
#143
○中野鉄造君 労働省が事業主に対して身障者雇用率達成計画の作成を要請しておられますが、どういう方針によってこれは作成されておりますか、それが一点と、雇用率達成計画の規模別産業別のそういう提出状況がどうなっているか、わかればお聞かせいただきたいと思います。
#144
○政府委員(関英夫君) 雇用率達成のための雇い入れ計画についてのお尋ねでございますが、まず、計画を出した企業につきましては、産業別に、製造業が三百四十一、卸・小売四百五十九、金融・保険・不動産二百三十二、運輸・通信二十七、サービスで百、その他で、千二百十五社に計画を作成していただいております。三年計画で雇い入れの身体障害者をそれぞれ計画しているものでございますが、雇い入れの常用の雇用身体障害者の数が、重度の身障者でどのくらい、重度以外の身障者でどのくらいというような計画になっておるわけでございます。
#145
○中野鉄造君 過日の社会労働委員会における予算の委嘱審査において、五十七年六月の身障者雇用状況調査結果によって著しく雇用率の達成がおくれている場合には、企業名や国、地方公共団体等の機関名を公表することもあり得るということが表明されましたけれども、もう一度これは確認の意味でお尋ねいたしますが、企業名等を公表することはお約束できますか。
#146
○政府委員(関英夫君) 企業名の公表といいますことは、社会的制裁措置として与える影響も非常に大きいと思いますので、私ども慎重を期した手順を踏んでいかなければならないと思いますが、すでに雇い入れ計画の作成を命令して、出していただいてから計画期間を相当経過し、その後の適正実施の勧告もし、それにもかかわらず本年の六月の状況を見ると適正にその計画に沿って実施をしてないということであれば、私ども法律の規定に従って企業名を公表しなければならない、そういう状態になるのではないかと思いまして、そういうことを御答弁申し上げたわけでございますが、それに先立ちまして、まず公の機関につきまして私どもは先に、これは法律に規定はございませんが、措置をとりまして、その上で民間について同じような措置をとるというような手順を踏んでこの問題に取り組んでいきたいと思っております。
#147
○中野鉄造君 受理された段階でいろいろ指導なさっていると思うんですが、そうじゃなくて、いろいろな勧告の例はありますか。
#148
○政府委員(関英夫君) お尋ねのその受理したときの指導といいますのは、たとえばその計画が非常にずさんといいますか、出すためにただつくったと。たとえば計画年次の終わりに、それまでは一人も雇わないで、年次の終わりに一遍に雇って、それで雇用率達成しますなんていう計画を出されても、私どもそれをまともに受け取るわけにいきませんので、そういう意味で提出時に十分指導はいたしますが、その後の実施状況が特に著しく悪いところについて勧告をしているわけでございます。
 で、勧告の発出件数は、五十四年度五十五年度両方合わせて百七十一件をすでに勧告しているわけでございます。こういったものについて、五十七年六月の雇用状況を見た上で公表措置というものを検討していきたいというふうに思っているところでございます。
#149
○中野鉄造君 いささか手ぬるいと申しましょうか、そういう感じがしないわけじゃないんですが、この雇用率の達成指導のためには、いま少し個別指導の強化が必要じゃないかと思いますが、定年延長と同じようにこれも大臣名の書簡を送付していくと、そういったようなお考えはございませんか。
#150
○政府委員(関英夫君) 先ほど定年延長のときに申し上げましたような業種別会議、こういったときにもしその業種が身障雇用率が非常に悪いものである場合には、中央でやります場合には、労働大臣にも御出席いただいて身障雇用率についてもあわせて大臣から要請もいたしておりますが、こちらの雇用率の方は法律上手続が決まって書かれておりまして、計画の命令、勧告、そしてやがて公表という手続に従っていまやっているわけでございます。そういう意味でことしの六月一日の状況を十分私ども見守っていきたいと思います。
 大臣名の書簡というものがそう何遍も出せるものでもございませんので、必要に応じて、こういう身障雇用についてもそういう措置が非常に有効に働く折があるかどうか十分検討してみたいと思っておりますが、いまのところは、手順に従って指導を進めておりますので、この指導をさらに進めていきたいと考えております。
#151
○中野鉄造君 確かに大臣名の書簡というもの、それだけが最高のものであるとは思いませんけれども、やはり先ほどの高齢者の問題、そしてまたこの身障者の問題、この二つを比較するのはいかがかとは思いますけれども、身障者の場合の就業というものは、これはもう高齢者の場合よりもより深刻な問題ではないかと思いますので、どうかひとつこれはもっともっと前向きな姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 もう時間がございませんので、もう一点お尋ねいたしますが、労働省が大学卒業就職協定の監視役から撤退した問題についてお尋ねしたいんです。その理由と真意というものは、いろいろな記事等で私も見ておりますが、要約すれば、行政として無責任との批判が非常に強いようなんですね。それについてどういうような受けとめ方をなされておりますか。
#152
○政府委員(関英夫君) 労働省といたしましては、教育上の配慮あるいは産業界からの要請等がありまして、従来中央雇用対策協議会におきますこの就職協定というものに労働省も参画し、決議遵守委員会というものが設けられて以来それに参画して活動してきたわけでございますが、この決議遵守委員会におきましても、この協定に対する違反がみずから調査できるわけではございませんで、結局学生の通報、まあ密告といいますか、そういうものに頼らざるを得ないし、それからその場合に企業当事者を呼びましても、学生の言ったようなことはありませんと言われれば、それ以上の調査というものはどうしても進まない。きわめて氷山の一角だけをとらえて注意とか勧告をしているような状況が続くわけでございまして、私どもとして、この協定を今後とも労働省も参画して行政の責任において守ってもらうためには、企業側、大学側それぞれ本当にこれを守ってもらわなければ困るということで、昨年度はいままでになく遵守活動を労働省として展開したわけでございます。
 大きな企業につきましては、労働省の幹部が直接協定遵守を呼びかけましたし、大学側にも文部省と協力して非常にたくさんの文書でもって協定遵守を呼びかけたわけでございますが、そうなればなるほど、何といいますか、表にあらわれない形で協定の網をくぐるような者が横行して、就職活動にどうもゆがみを生じてきている。この辺で私どもとしては、本来大学側が職業紹介機関として、私どもの機関が直接扱わない、求人者が直接大学側に求人を出す、大学側が職業紹介をやると、こういう職業安定法上のたてまえになっているこの問題については、その当事者である大学側と求人側がもう一度深く反省していただきたい。
 私どもとしてはこれ以上責任を持って中に入るわけにいきませんということを申し上げたわけでございますが、その後大学側、求人側それぞれ何回も会合を重ねまして、その上でとりあえず本年秋、五十八年三月卒の本年秋については従来どおりの期日でそれぞれ協定を守っていこう、来年度以降についてはざらにお互いの協議をしましょうと、こういうことになりましたので、従来にないそれぞれの側の討論の積み重ねの上に今回のことしの秋のとりあえずの措置が決まったわけでございますので、私はいままで以上にこの協定は守られる素地はできてきたと思いますが、労働省といたしましては、たとえば就職情報誌に対してそういう協定遵守を破らないような情報活動を要請する。あるいはまた大学側の紹介ではうまくいかない地方の求人あるいは中小企業の求人、そういったものを全部を学生に提供するような仕事、あるいはUターン学生の郷里におけるお世話、あるいは身障学生の就職のお世話、そういったような大学の紹介機関では扱えないようなところについて、従来以上に強力に私どもの機関で実施してまいりたいと考えておるところでございます。
#153
○中野鉄造君 時間がありませんので、大臣にお尋ねいたしますが、いまおっしゃったようなことで労働省としては、もう今後は監視役として復帰するという意思はないのか。仮に復帰するとした場合に、その復帰に当たっての具体的な条件と申しましょうか、そういうようなものがあれば大臣御答弁をいただきたいと思います。
#154
○国務大臣(初村滝一郎君) 私がちょうど就任してこの問題が起きたわけでございます。
 そこで、私どもとしては、自主的に協定を結んだんですから、なるたけそれを守ってもらえば何もないんですけれども、せっかく私どもが入ってやったことが守られないということはもう解せないということで、前大臣のときから大体決まって、それでああいうことにしたわけでありますが、将来についてやはり私はお互いが自主的にその協約を守っていくことが一番大事であると。したがって、もし呼びかけがあれば、どうしても労働省としても参加してもらいたいという呼びかけがあれば、そのときの時点でさらに考えて処置をいたしたいと、かように考えます。
#155
○沓脱タケ子君 それでは最初に、育児休業について簡単にお伺いをしておきたいと思います。
 すでに各党からも御要望、御意見等が出ておりますので、簡単にお聞きをしたいんですが、いま全産業、全労働者の中で、全産業、全労働者を対象にした育児休業制度をつくってほしいという要望というのがかなり大きくなってきていると思いますが、そういう点についての御見解と、それから育児休業をいま実施しているヨーロッパ諸国では、何カ国ぐらいがすでに実施をしているか、その点を最初にお聞きをしたいと思います。
#156
○政府委員(高橋久子君) 先生がおっしゃいますように、育児休業制度の法制化の要望は各方面で大変強くなってきております。
 それから育児休業制度を実施している国は世界でどのぐらいかということでございまして、私どもも世界の国すべてについて把握をしているわけではございませんが、現在までに労働省が把握した限りでは、西ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、オーストリア、ソ連、チェコスロバキア、ハンガリー、イスラエル、ブルガリアの十カ国で、法律によって育児休業請求権が認められているというふうに把握しております。その具体的な内容や法制定の背景等につきましては、現在在外公館を通じて調査中でございます。
#157
○沓脱タケ子君 それで、これは一九八一年の六月ですから昨年ですが、採択されたILO百五十六号条約及び百六十五号勧告ですね、これについてはわが国は賛成をしておりますね。使用者だけが棄権をしたんだったと思います。
 これは男女労働者・家族的責任を有する労働者の機会均等及び平等待遇に関する条約及び勧告という形で、これはわが国が賛成をしているわけですが、これによると、両親どちらでも育児休業がとれるということになっているわけですね。現にフランスあるいはイタリア、西ドイツあたりでも、両親いずれかがとれるというふうな制度になっておるわけでございますが、日本ですぐにそれをやるというのはなかなか大変だと思いますけれども、そういうふうに世界的にそういった制度が広がってきていると思うわけです。
 ところが、そういう中で、昨年元労働大臣の早川代議士が、夏に各国を御調査の上で、わが国でもその育児休業制度を新設するということが今日の時宜に適しているという点を大変具体的に私どもにも御報告を願ったわけです。その点は全体としての趨勢がそういうふうに向いていっていると思うんですが、大臣どう思われますか。
#158
○国務大臣(初村滝一郎君) この育児休業制度というものは、勤労婦人自身の福祉、あるいは次代を担う者の健全育成を図る上から非常に重要な意義を持っておると思います。
 それで、いまお話にありました早川先生が、世界にもこういう流れがあるからということでありますから、私もその話を聞きまして、やはり時代の流れには沿っていかなければいけない、こういうふうな考え方で、国会内にも与野党ともにこれを促進しているかのような情報も聞いております。したがって、そういうところとも呼吸を合わせて、できるだけ時代の流れにおくれないように対処しなければいけないなと、かように考えております。
#159
○沓脱タケ子君 大臣もおっしゃいましたように、国会内でも与野党ともに、各党そういったものをつくっていこうという御意向が、まだまとまるという段階ではないでしょうけれども、そういう御意見というのがほぼ出そろってきているわけですね。与党の自民党の中でもそういった御賛成の御意向というのがあるやに存じますし、早川先生のような方もおられますが、全体としての自民党の中でも御賛成の御意向というのがあるようでございます。私ども直接は存じませんが、自由新報等を拝見しておりましてもそういうふうに思うわけでございます。
 ところが、一方では、経済四団体からは、これは現時点では早計だ、妥当ではないというふうなことで反対の御意見が出てきているわけです。私は、世界の先進国の趨勢であり、わが国の労働者の中でも強く要求が出、そうして与野党ともにそういった機運というのが非常に高まっているという中で、こういった経済四団体がその理由として幾つか挙げておりますけれども、労務費コストがふえる、代替要員を確保しなきゃならぬとか、人事配置の面で困難を来すとか、社会保険の本人負担分、国庫負担分をやめない限り企業の著しい負担増になるだとか、実に妙なことを取り立てて反対をしておられるこの経済四団体の態度というのは、ちょっと時代の流れに逆行していると思うんですよね。そういう点で、私はこれは当然経済団体として、今日の国内外情勢、特に経済情勢の中ではそういった点をにらみながらも、当然企業の社会的責務というものを果たすという立場に厳密を期さなければならない状況の中で、反対だなどと言ってきているというのは、私はもう時代おくれだなあという感じがするんですが、大臣、この経済四団体の見解についてはどうお感じになられますか。
#160
○委員長(粕谷照美君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#161
○委員長(粕谷照美君) 速記起こして。
#162
○国務大臣(初村滝一郎君) 経済四団体がいろいろな項目を挙げて、余りその制度化に積極的ではない、私もそれは聞いております。
 これは、その団体は団体としての立場から、いまの世界の流れに沿ってこれを法制化するということもなかなかどうだろうかというような、それぞれの立場の考え方でやっておると思いますが、それを私が労働大臣として批判するのはおこがましいけれども、日本の経済界であれば、何といっても世界に尤たるものがあるわけですから、時代の波には乗ってしかるべきではなかろうかという直観でございます。
#163
○沓脱タケ子君 ぜひ世界の趨勢、そして特に与野党の動向、国民の動向、そういった点をお含みをいただいて、早く法制定の方向に踏み切っていただくように鋭意御努力をお願いしたいということを申し上げておきたいんですが、一言だけ決意を伺って次へ移りたいと思います。
#164
○国務大臣(初村滝一郎君) いまの御趣旨をよく尊重いたしまして話し合いをしてもらいたいと思います。
 大体この育児休業請求権の法制化問題については、婦人労働法規全体のあり方についてすでに婦人少年問題審議会に御検討を願っておる段階でございますから、その審議の結果が出れば早急に取り扱いを善処したいと思います。
#165
○沓脱タケ子君 次にお伺いをしておきたいのは、きょうも中高年雇用、それから六十歳定年の問題が各委員からすでに論議として出ております。労働者の六十歳定年を六十年までに一般化しようということは、かねがね労働省としては決定をして、鋭意これこそ行政指導を強めてこられたと思うわけでございます。私どももその点についてはよく見ておるわけですが、これは可能性とか、大臣自身の自信とかというふうな点でお聞きをいたしますと、先ほどからいろいろとお話があったので繰り返しになるんだろうと思いますので、ずばり言いまして、こういう丁寧な行政指導を労働省がおやりになっているにもかかわらず、これまた日本商工会議所でしたね、この場合には、こういう労働省のやり方というのは、「「お願い」という表現をとっているものの、定年延長の具体的計画の提示を期限つきで要求し、かつ職業安定機関に監視・督促させることをほのめかすなど、企業の自主的努力を無視した不当な行政介入と判断せざるをえないものであり、きわめて遺憾である。」なんて、挑戦状みたいなことを突きつけてきているわけですね。
 私は、この問題でも、育児休業の法制化の問題と同じで、日本の働く人たち、労働者の権利を守るということが、今日の日本の経済発展、社会発展の上で、企業としても当然守らなければならない責務という点を踏まえられたら、こんなことを言うべきではないと思うので、大変けしからぬという感じが率直にしているわけです。そういう中で、労働省としては、従来の行政指導を強めていかれるというお話をるる伺っておりまして、伺いながらしみじみ思ったんですが、たとえば商工会議所がそんなことを言うたといって新聞に出ますね。そのことがそれじゃ仕事を前へ進めるという役割りを果たすかというと、そうではなくて、一定の後退あるいは歯どめの役割りになるおそれだってあるわけですよ。そういう点では私、こういう経済界の動向というのが労働省のお仕事の中で大変大きな一つ一つのかんぬきになっているような気がするわけですが、そういうことを含めて六十歳定年制を実現していくという可能性、これを本当に文句を言わさずにきちんとやっていくという方法としては、やっぱり法制化を急がなければならないのではないかというふうに思うわけですが、そのことが国民的には非常に強い期待で待たれているわけですからね。そういう点での御決意とか、あるいは可能性とか、そういった点について大臣からお伺いをしておきたいと思います。
#166
○政府委員(関英夫君) 先にちょっと御説明をさしていただきたいと思いますが、定年延長につきまして確かに従来からいろいろと進めてきているわけでございますが、個別企業に対する行政指導というような形で非常に強力に進めてまいりましたのはごく最近でございます。そういう意味で、長い間の定年制の調査結果をごらんいただけばわかりますように、遅々として余り進捗しておりませんでしたのが最近になって非常に進んできた。そういう意味で、いまや六十歳定年ということは私は、社会的に労使の間にコンセンサスが得られている問題で、あとはいかにこれを実現、実行していくかという問題だろうというふうに思っております。
 先ほど来お話が出ておりますように、定年延長に当たりましては、日本独得の雇用賃金慣行からいろいろな隆路があるわけでございまして、その点については十分労使で話し合っていただく、これがどうしても前提として必要でございます。そういう意味で私どもこれを行政指導により実現していきたいと思っているわけでございますが、企業から計画を出していただいて、その計画を見た上で私どもが計画的に個別行政指導をやるというのは、これは今回初めて大臣名でお願いしてとる措置でございます。そういう意味で、いままでにない措置であるだけに、その実行に当たっていろいろの御心配をされる向きもあり、あるいは従来から高齢者の雇用に努力しているのにというような気持ちもあって、日本商工会議所の労働委員長談話も出ているかと思いますが、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、すでにこれは閣議決定もした雇用政策の方針の中の一番の大きな柱でございます。何としてもこれを実現すべく行政指導をしていきたいと思います。
 なお、法制化の問題につきましては、先生も御承知のとおりに、国会でいろいろ論議がございまして、その結果、政府の雇用審議会で審議すべしということに相なりまして、諮問申し上げて、雇用審議会で鋭意審議をしておる段階でございます。近いうちに答申も出されると思いますが、法制化問題については、私どもはその審議結果を踏まえて対処していきたいと考えておるところでございます。
#167
○国務大臣(初村滝一郎君) いま局長から御答弁があったのが実情でございますが、私も日商労働委員長の談話を新聞で見て、あっと思ったんです。あっと思ったということは、反発する気が起きたんだけれどもね、労働大臣がそういう委員長とやりとりして、業界を労働省が押さえつけて指導するというようなことに受けとられては物事が進まないということになって、私も一呼吸のんで実はじっとこらえておるわけでありますが、いずれにしましても、六十年六十歳定年というものはぜがひでもやらなければいけない。もし法制化が必要であるならば、いま局長が言うたとおりに、せっかく雇用審議会にかけておるわけでございますから、その結論を待って検討したいと思います。
#168
○沓脱タケ子君 余り時間がありませんので、強力な行政指導を強め、さらにそれで実が上がらなければ法制化に踏み切っていただくということで国民的な期待にこたえていただきたい。
 次にちょっとお伺いをしておきたいのは産業用ロボット対策なんですがね。これは産業用ロボットの導入やオフィスオートメーション、こういったものが進む中で、人減らしと配置転換というのが広がってきているわけです。労働安全上も新たな問題も起きてきております。私はこういう点では政府の対応というのに注目をしてきたわけですけれども、政府の方はなかなか、いや、まあ、ちょっと様子を見てということになっていたわけですね。各方面でも研究調査が進められておりまして、一番心配をしているのはやっぱり雇用に及ぼす影響だと思うんですね。
 日本生産性本部の五十七年度の労使関係白書を六日の新聞で拝見いたしましたが、これによりますと、経済成長がゼロかマイナスになると、ロボットやオフィスオートメーションの普及によって失業者がふえる可能性があると指摘をしていますね。これは私どもが委員会で実調に参りましたときにも、山崎鉄工でそのお話を伺ったところでございます。地方自治体でも独自の調査も大分やってきているんですが、大阪の堺市の調査を見ますと、かなり深刻な影響が出てきておるんです。
 産業用ロボットの導入によって余剰労働力が生まれたとするのは全体の五八%、百人以上の企業では六七%に達したというところまできているわけです。だから、余った労働力の具体的対策というのが一番大きな問題だというのが全体の六四%。特にとりわけその中で中高年労働者の配転を含めて問題になっておるというふうな深刻な結果が出てきております。
 労働省の対応というのは、五十七年度から二年計画で調査研究をやるという程度なんです。そういう程度なんで、ちょっとのんびりしているんじゃないかなという気がするんですが、いかがですか。
#169
○政府委員(松井達郎君) 私の方から先に事実関係につきまして若干説明さしていただきたいと思います。
 労働省の対応としましては、先生いまおっしゃいましたように、二年がかりで私どもとしましてもかなり大がかりにロボットの問題、マイクロエレクトロニクスの問題につきまして、雇用だけではございませんで、いまお話しのありました安全衛生の問題、その他技術、技能の問題もいろいろございますし、こういうものにつきまして、その影響につきまして労働省、労働行政を預かっている立場から、このような分野について調査していきたいというわけでございます。
 ただ、もちろんそれだけではございませんで、ことしの二月には産業労働懇話会、産労懇におきまして、この問題をテーマにいたしまして労使の各トップの方にこの問題に関する意見の交換もしていただきましたし、さらにまた先月は雇用問題政策会議におきまして、ここでは公労使の方々からどのような問題があるかということで、第一回の会議をやったわけでございますが、今後このような会議を引き続き持つことによりまして、具体的な問題について労使の方々、それからこの会議には通産省、それから経済企画庁の方も出席していただいておりますんで、そこで出てきます問題についてどんなふうにやっていくかというようなことについて議論を深めていくということも実際問題として進めておるところでございます。
#170
○沓脱タケ子君 何もやっていないと言っていないんです。だけれども、私は労働省がやっぱりもっと先見性を持ってもらわにゃいかぬという点を申し上げたいと思う。なぜかといいますと、一方、ロボットの開発については、促進する側の通産省というのは徹底して振興策をとっているわけでしょう。わが国が世界でロボット王国になっているというのは当然だと思うんです。通産省の開発策のスピードですね、それを伺っていくと本当にそんな気がする、あたりまえだなと思うんです。だから、振興対策をきょうお聞きしている暇はありませんが、このことを労働省の方は踏まえて対策をとっていかないと、どんどんスピードアップして、振興対策をやっている通産省の施策とそれに対応していく労働省の施策という点では、のんびりしているんじゃないかということになるから言っているんです。
 ちょっと通産省に聞いておきたいんですが、詳しく聞けないんですが、通産省に知能ロボットというのはどんなものかというのを簡単に言っていただいて、どのように開発する計画かをごく簡単で結構ですから、時間が短いですから、ちょっとお話をいただきたい。
#171
○説明員(見学信敬君) 御指摘の知能ロボットにつきましては、特定機械情報産業振興臨時措置法という法律がございまして、その政令でもって定義が決まっております。これは「感覚機能及び認識機能を有し、これらの機能により動作が制御される産業用ロボットをいう。」ということになっておりまして、現在同じく機情法の計画によって、いわゆる試験研究機種、それから工業化促進機種として定めまして、所定の目標の数字を掲げて五十九年末までの目標を立てて開発をしていただいております。
#172
○沓脱タケ子君 それで知能ロボットというのができていけば、開発されていけば工場の無人化を促進することははっきりしていますし、そのことが雇用問題に直接的な影響が及ぶということはだれが見ても歴然でございますね。労働省は従来は、いままではロボットの導入によって雇用に与える影響はまだ出てきていないというのが、この前にもお伺いしたときにはそういう御見解でしたけれども、ロボットの導入の影響というのはそう簡単ではないなということを私どもも痛感をしているわけです。
 そこで、時間がありませんから、あわせて伺っておきたいと思っておりますことは、もう一つ安全面なんですね。通産省では産業用ロボットの安全基準のJISをつくっていく準備をしておられるんですね。
#173
○説明員(見学信敬君) すでに産業用ロボットの安全問題につきましては、事の重要性にかんがみまして、業界で指導いたしまして、検討をしていただきました団体規格が五十四年にできております。そして今般できればそれを公的基準に格上げしたいということでJISの標準調査会の方にお諮りしたいというつもりでございます。
#174
○沓脱タケ子君 それで、通産省が産業用ロボットの安全基準というのをつくっているのを御存じだろうと思いますが、これつくるのに参画をいたしましたか。
#175
○説明員(林部弘君) 先生がいまおっしゃいました産業用ロボットの安全基準というのは、恐らく通産省が産業用ロボットの導入をしようとする中小企業などに対しまして、融資を行う場合の基準として、産業用ロボットの安全基準ということで定めておられるもののことだろうと思いますが、これは五十五年の十一月にたしか制定されているかと思いますが、この制定に至るまでの段階で実は通産省の機械情報産業局の中に機械の安全化無公害化委員会というのがございまして、実は私ども安全衛生部の安全課長とそれから産業安全研究所の所長がその委員会のメンバーになっておるわけでございまして、そのメンバーになっておりますようなことでございますから、この産業用ロボットの安全基準として定められたものの内容が定められる段階では、当然参画をしておるという形になっております。
 それからJISの問題につきましては、いま通産省の方から御説明がございましたが、現在原案がかなり作成された段階だというふうに伺っておりまして、これから矢その原案が工技院の方に渡されて、それで関係省庁と協議をした上で決まると、こういう手順になっておるというふうに理解をいたしております。
#176
○沓脱タケ子君 それで開発をどんどん促進をしていく方はJIS規格もつくるし、安全基準もつくるというふうにやっているわけ。ところが、労働安全衛生行政の所管省は労働省でしょうが、何となくばらばちしている感じですね。その辺は雇用問題も含めて、安全対策も含めて大事なので、こういう縦割り行政のぶざまさというんですかね、そんなことを見過ごしておれる段階ではないんじゃないか。縦割り行政だからしようがないんだということで見ておれないというところへ来ていると思いますので、これはいわゆる調査研究というふうなものもばらばらにやるんじゃなくて、大臣が十二月の四日に記者会見でおっしゃっておられましたね、労働省、通産省、経済企画庁、それから労使も入ってもらって連絡協議会をつくっていきたいとおっしゃっておられましたけれども、機械の開発は通産省だろうけれども、それを使う労働者の対策を一につかさどっておる労働省が疎外されたかっこうで進められたんじゃかっこうつかぬと思うんですね。そういう点で、私は、政府部内にロボット対策の連絡協議会のような機関を少なくとも労働大臣が中心になってつくらないかぬのじゃないかというふうに思うんですね。いま労働大臣の私的諮問機関だとか、あるいは局長の研究機関だとかというのがありましたね。通産省の機械情報産業局長の私的諮問機関などもあるようですが、そういう点、ばらばらしてるんではなくて、労働大臣が中心におなりになって、通産省やあるいは経済企画庁も含めて取りまとめて、そういった点が協議できるような体制というものを確立する必要があるのではないか。たまたま通産省がやっているところへ労働省も呼んでもらって、行って意見を述べるというようなそんなことでは間に合わぬのじゃないかというふうに思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
#177
○政府委員(石井甲二君) ただいま先生のお話でございますが、通産省はJISの問題で検討しておると思いますが、労働省におきましては、産業用ロボットの安全対策については、これは先生御指摘のように、まさに基本的な立場でございますから、現に安全確保検討委員会の中で、労働省内部でも詰めておりますし、さらに五十七年度におきまして、メーカーにおける安全対策あるいはユーザーの安全対策両方踏まえまして、現在それを進めておるところでございまして、追従するというところか、本格的に取り組んでまいりたいというふうに思っておるわけです。
#178
○国務大臣(初村滝一郎君) 私が就任した当時、ロボットの問題を聞かされまして、これは何といっても雇用につながるから、まず予算をとらなければいけないというようなことで、省内で話をしまして、それには通産省あるいは経済企画庁等の関連もありますから、ぜひこれについてはひとつ側面から応援してもらいたいというようなこともこれあり、大体私がいろいろ調査さしましたところが、現段階では雇用に対して余り心配はないというような結論でございますという報告でございますが、私はそうは思わない。これは何といったって、企業がロボットに何億、何十億と金を入れる以上は、雇用問題でこれを取らなければ、賃金をうまくコントロールして取らなければ、ロボットの機械代は取れないわけなんです、したがって、生産性向上をするにはどうしてもロボットが必要であるというようなことから、私は非常に心配しまして、これはこのままほっておけないというようなことで、産業労働懇話会というものがあるわけで、そこに通産大臣に特に要請をして御出席をいただいて、この問題を討議してもらった。その結果、今度はさらに産業労働懇話会から雇用問題政策会議にひとつそれを専門的にやれ、せっかくつくった会議があるじゃないかというようなことで、経済企画庁、通産省の出席を求めて、労働省と三省庁が一体となってロボットの問題を研究するというんで、すでにもう始めておるわけですから、労働省がよその会議に行ってそば役みたいな会議に入るなということでございますけれども、そういうことじゃない、いまやっておるのは。労働省が主体となって、経済企画庁も応援してください、通産省からもいろいろな話を聞かしてくださいというようなことでやっておりますから、先生の言われるようなことは毛頭ない。私どももロボット問題については積極的に前向きで研究していきたい、いかなければならない、かように考えております。
 なお、この労働安全問題についても、ロボットを使うことについて非常にいいところもある。人が嫌うところ、汚いところ、これをロボットでやるということも非常にいいと思います。ただ、ロボット自体に今度安全性があるかないかということも研究していかなければならないということで、鋭意努力する考え方でございます。
#179
○前島英三郎君 私は、障害者の雇用促進対策の推進につきましてお尋ねしたいと思います。その中でも特に今後の新しい方向、新しい課題、そうしたいわば将来につながる問題につきまして、若干その精神論になるかとも思いますが、お聞きをいただきたいと思うんでございます。さきの身体障害者雇用審議会の答申もそのような観点に立って審議がされておりまして、建設的な議論が展開されたやに私は理解しておるんですが、この答申の内容も踏まえつつ、さらにその枠を広げるような前向きの勇気ある御答弁をあわせて期待もしたいところでございます。
 身体障害者の雇用率は、昨年六月一日現在の数字では一・一八%、こういうことですね。法定雇用率一・五%に比べれば、相変わらず低いというのが率直な感想であろうと思うんですが、その一年前に比較すれば〇・〇五%上昇しておりますから、若干の評価はできると、こういうことでございます。このペースで一昨年から昨年にかけての伸び率が続けば、計算上は向こう十年以内に法定雇用率は達成すると、こういうことの計算ができるわけですが、そう簡単にはいくわけはないと、こう思っております。
 問題の一つは、障害者の雇用状況の実情を見ても明らかなように、産業別、職業別に見てかなり大きな隔たりがあることだと私は思っております。これまでの障害者雇用状況を一口で言いますと、産業別では製造業に、職種で言えば技能職に障害者雇用のウエートがあると言えると思うんですが、このような障害者の雇用状況を、一般労働者の雇用状況と比較しまして、どのように障害者雇用という面から見ておられるのか、まず伺っておきたいと思うんです。
#180
○政府委員(関英夫君) 現在の産業別なりあるいは職業別なりの障害者の雇用状況は、先生お話ございましたように、製造業では一・三八%と平均以上に雇用率が比較的高く、あるいはまた技能職の労働者が比較的少ないと思われますような卸・小売、あるいはまた金融・保険・不動産業、そういったようなところにおきましては、それぞれ〇・六七%、あるいは〇・八四%というようなぐあいで、半分程度というような状況にあるわけでございまして、確かに産業別なり職業別に非常に偏りといいますか、格差があるのが現状でございます。
 これは、製造業におきましては、生産工程をいろいろ障害者の状況に合わせて工夫をして、そして雇用していくというような努力が行われてきたし、またそれが可能であったというようなこともありますが、とかく従来から、心身障害者については技能職だというような固定的な観念が、どうも先にあってそういう結果を招いてるんではなかろうか。卸・小売業あたりは、必ずしも一定の作業を継続して行うというわけでもございませんので、そういう意味で障害者はなかなか実際の働く場で活動しにくいというような面も確かにあるわけでございますが、それが逆に先入観になって、そこに十分な創意工夫がなされないというようなこともあったと思いますし、あるいはまた障害者の雇用先について従来の伝統的な考え方のところだけであって、これから伸びるであろう特に最近新しく出てきたような職種、そういうところに障害者の雇用を開拓していくような努力が、これは行政も含めまして、お互いにいままで十分でなかったというようなさまざまな原因から、現状のような姿になっているのではなかろうかと考えております。
#181
○前島英三郎君 いまの御説明が実際労働行政の中に生きておりさえすれば、偏りもなく、障害者の職域の拡大というものも大きく前進すると思うのでございますが、どうも全体的の考えは、非常に旧式の考え方の枠からなかなか出ていない、そういう感を私自身も、数字を見ましても、非常に強く抱くわけなんですが、障害者の職業能力もきわめて表面的にとらえられてしまっているのではないかという気がするんです。
 その背景には、障害者雇用についての社会的な関心が経済の高度成長期の中で高まってきたこともあるかもしれませんけれども、手に職をつけるんだという部分にだけ、障害者の一つの旧式な感覚の中で職業指導みたいなものも行われてきた影響もあるのではないかと思うわけです。これまでと違いまして、障害者の労働能力というのはもっと多様に、もっと内面的な能力についてもとらえなければならないと私は思っております。脳性麻痺の人を初め、上肢に障害のある人、あるいは視覚障害者の雇用が大きくおくれていることは、この前の委員会でも述べさせていただいたわけですけれども、その背景の一つは、いまおっしゃっている御答弁にもありましたし、私も申しましたとおり、やっぱりそういう無理解な部分がそういう一つの数字の偏りの結果として出ているのではないかと思うんです。
 そこで、身体障害者雇用審議会のさきの答申は、「従来中心となっていた生産労働分野はもとより頭脳労働分野の職域の開発に十分配意する必要がある」と、こう述べているわけなんですが、頭脳労働分野に限らず、もっと広い視野から職種、職域を考えていく必要があると私は思います。産業別に見ましても、第三次産業が五〇%を超えている昨今の時代を思うと、特にその感を強く抱きます。また、先ほども沓脱委員から御指摘がありましたが、生産労働分野では産業ロボットの導入でただでさえ雇用の場が狭くなりつつもございます。頭脳労働分野あるいは販売サービス部門、こういったところに障害者の職域を広げていくために施策の力点を展開することも、労働行政の中で新たな雇用促進対策として考える必要があるのではないか、こう思うわけですが、職種、職域の多様化、多角化につきまして、基本的な今後の具体策をもしお持ちでございましたら伺っておきたい、こう思います、
#182
○政府委員(森英良君) 身体障害者の能力開発の問題につきまして、確かに先生御指摘のように、身体障害者訓練校における訓練職種はかつては、障害者でございますと、なかなか途中での職種転換がむずかしいだろうというふうなことから、経済の変動による影響が少なくて比較的需要が安定しているような職種でありますとか、軽工業的、家内工業的な職種を中心に選んでおったという事実がございます。しかしながら、その後そういういわば固定観念にとらわれておってはよくない、できるだけ障害者の実際に持っております職業能力に合わせまして、広い範囲の職種を訓練しなければならないということで、近年は産業経済の動向に合わせまして雇用可能性が高く、また身体障害者の希望にも適合しておりますような、たとえば製版印刷科でありますとか、電子機器科、事務科といったようなものも次々に設けてまいっておるところではございます。それで、第三次産業関連の職としましては、事務科、理容科、構内電話交換科というようなものがそれに該当いたしますし、また頭脳労働分野の関連では、化学分析科でありますとか、あるいは電子計算機科、あるいはデザイン科といったふうな職種もございまして、今後はおっしゃるとおり、特に重度の障害者に対しまして一人一人の障害者の特性に合った訓練を幅広い選択肢の中から選べるように、できるだけ訓練の範囲も広げてまいりたいというふうに考えております。
#183
○前島英三郎君 この問題は何回か取り上げさしていただいておりますので、何ができるか、できないかというときに、どうしても健康な人を標準にすべて考えておりますから、これはできないんじゃないか、これもだめだろう、あれもだめだろうということになっていきますと、なかなか障害者の職域という部分では前進がないようにも思うわけであります。社会に障害者が合わせていくのではなく、障害者にむしろ社会全体が合わせていきますと、すべての人たちが働きやすく、また社会参加しやすいノーマライゼーション、こういう方向が働く分野の中にも当然施策として考えられなければならない、このようにも思います。この問題は今後予想される産業経済、雇用の情勢の大きな変化に対応していくためにも、きわめて重要な問題だと思うんでございますし、さらにまた対策は急ぐ必要がある、このようにも思いますが、大臣、この辺はどうお考えになりますか。
#184
○国務大臣(初村滝一郎君) 私は、心身障害者の職業紹介等に当たっては、障害の種類とか、あるいはまたその程度、本人の程度、そういうものを十分に知る必要がある。したがって、それに合った職業を探してやるということが私は一番大事ではなかろうかと思うんです。したがって、私どもも雇用の困難な障害に応じた職域開発を積極的に進めてまいりたい、かように考えます。
 さらにまた、職業訓練に当たっては、障害者の能力に応じた力を引き出すというような方向に、その人その人の特性を生かして職業訓練をやっていかなければならない。こういうふうなことで特に職業訓練に力を入れていきたい、こういうふうに考えております。
#185
○前島英三郎君 大臣の後段はなかなかいいんですが、前段の部分がどうしても、何ができないかという部分が表面に出てきますとね。それよりも何ができるかという部分を今後施策の中で探していただきますと、かなりの職業が障害を持ったかなりの重度の人たちにもできる、その道をつくっていただきたいということをいまのお答えに加え、さらに私からもお願いをしておきたいと思うんです。
 次に、第三セクター方式の企業の育成について伺いたいと思うんですが、昨今この第三セクター方式というような言葉が台頭してまいりまして、それはそれなりにわかるわけでありますが、特別重度障害者の雇用促進対策の中で、さきの答申では相当に重きを置いているようでもございます。確かにその答申で述べているような効果を期待したいと私も思うんですが、しかし心配な点がないわけではございません。
 そこで何点か質問をしたいわけでありますが、まず第三セクター方式の従来の実例、実績、それに今後実現していく見通しにつきまして伺っておきたいと思います。
#186
○政府委員(関英夫君) まず岡山県で吉備松下株式会社という形で一つの実績がございますが、先生御承知のとおりでございますので、これは省略いたしまして、大阪、それから兵庫でそれぞれ第三セクターの設置の計画が進んでいるわけでございます。大阪におきましては、松下電器と自治体とで、大阪府と市、それから松下電器で出資いたしまして、音響機器の組み立て加工というようなことで、昨年の十一月十日設立、そして十二月操業開始予定というふうになっております。それから播磨三洋工業株式会社というような会社を兵庫県と加西市と三洋電機とでやりたいというような計画もございます。それからさらに、岡山県の吉備高原で、吉備NC能力開発センターというような形で、金型金属部品等の生産受託加工事業をやる傍ら、身体障害者に対する教育訓練をして、そしてそこで身につけた金型ないし電子計算機の操作の能力を生かして一般企業に就職をさせていこうというような第三セクターの計画も進んでいるところでございます。
#187
○前島英三郎君 いま御答弁をいただいたわけですが、この第三セクター方式の障害者雇用企業というのは、経営的に安定していて、しかも障害者雇用のノーハウを持っている、こう考えられるというようなことも言っているわけですが、いま伺いますと、非常に心配な点があるというのは、業種、職種がきわめて限られておるということですね。幾つかいま挙げられた、私もそれの幾つかは実際にこの目で確かめているわけでありますが、非常に限られた業種、職種であるということであります。無論、雇用対策はこの方式にだけ任せるわけではないと言われると思うのでございますが、しかし従来からの生産労働における技能職といった発想にとらわれていると、せっかくの施策が結果的には効果が上がらないおそれが出てくるのではないか。こういう一つの心配もございます。この点について対応で柔軟な姿勢で取り組むことがこの方式の成否にもかかわる点だと思いますから、今後いわば偏る形での第三セクター方式ではない、また何かの一つの施策というものをぜひ御考慮に入れていただきたいと思います。
 それと、第三セクター方式が一般企業への障害者雇用にとってマイナス効果につながるおそれはないか、こういう心配も実は私は抱いております。この点は幾つかの障害者団体も指摘しているところなんですが、その理由の一つは、子会社における障害者雇用を一定の要件を満たした場合親会社の雇用率に算入することができるという特例が設けられているということでございます。悪い方に解釈しますと、親企業の一般職場における障害者雇用努力をしなくてもよいということにつながるおそれがあるのではないかという感覚であります。
 そこで、お尋ねしたいと思うんですが、第三セクター方式による企業について親会社、子会社の特例、この特例にもいろいろむずかしい文言があるわけですけれども、適用されるかどうかちょっと伺っておきたいと思うんです。
#188
○政府委員(関英夫君) まず前段の問題でございますが、第三セクター方式は、岡山の吉備でテスト的に私ども取り組んで、岡山県と一緒になって取り組んでまいりましたが、最近、長期計画あるいは雇用審議会で厚生省の福祉工場のような保護雇用の形態のほかに、労働省においても第三セクター方式などによるいわば広い意味の保護雇用、そういったものについても取り組むべきだと指摘されておるところでございますので、これから実は取り組むわけでございまして、いままで先ほど事例を挙げておりましたようなものは、私ども手探りでテスト的に取り組んできたわけでございますが、先生の御指摘のように、製造業に確かに従来偏っておりますが、今後もう少し幅広くいろいろな業種についてこういった第三セクター方式をどうしたら広めていくことができるか、御趣旨に沿いつつ検討して取り組んでいきたいと思っております。
 それから第三セクター方式といえど、一定の要件、たとえば出資が半数以上、五〇%を超えているとか、人的交流とかいろいろな要件がございますが、そういう要件に合致するならば、親会社の雇用率に算入するという取り扱いは、私どもとしては身障者の雇用促進に有効だと思いますので、同様に算入は考えていきたいと思います。ただ、要件に満たない場合にはこれは算入するわけにはまいりません。
#189
○前島英三郎君 その辺も、そういう第三セクター方式のメリット、デメリットの両面から、ひとつ障害者の雇用という面への施策の充実をお願いしたいと思います。
 その第三セクター方式の点で、身体障害者雇用審議会は大変いいことを述べております。第三セクター方式の障害者雇用企業は「「特別重度障害者」の職業リハビリテーションの場としてとらえ、職場適応訓練を積極的に推進し、訓練終了後は、一般企業へ雇用される道を確立するための具体策についても検討することが望まれる。」、こういうことだと思います。これは大変重要な指摘であると私も思います。
 さてそこで、いろいろな制度、そしてまたいままでにもその制度が育ってきたようにも思うわけでございますけれども、その中の一つ、職場適応訓練についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、私はこの制度は有用なよい制度であると思っております。しかしその反面、本来の目的を果たせない実例もしばしば耳にしていることも事実でございます。
 そこで、まず職場適応訓練の実績について伺いたいと思うんですが、新たに実施されました職場実習制度の実績もあわせまして承っておきたいと思います。いかがでしょうか。
#190
○政府委員(関英夫君) 昭和五十五年度の数字を申し上げますと、職場適応訓練の実績が二千四百三十四人、職場実習が百四人という実績でございます。
#191
○前島英三郎君 職場適応訓練で問題となりますのは、半年または一年間の訓練期間が終了しまして通常の雇用に接続する段階。本来の目的を果たせない実例と申しますのは、いずれも訓練後雇用された場合の給与が、訓練中に支給されていた手当よりも下がってしまうということでございます。ですから、障害者自身ががっかりして離れていってしまうとか、雇い主の方も、どうしても生産性第一主義になってしまうので態度を一変するとか、その雇用に結びつかない、こういう場合が出てくるわけでございます。これは職場適応訓練が訓練としての内容を備えていない場合があることを物語っていると思うんですが、訓練という観点からこの制度をどのように今後も育て実施していくお考えか、ひとつビジョンなるものがありましたら伺いたいと思うんです。
#192
○政府委員(関英夫君) 職場適用訓練を実施いたします場合には、訓練終了後まさにその事業所に雇用されることを期待して、そういう目的を持ってこれを実施しているわけでございますが、お話しのとおりに、適応訓練期間中の手当等よりも賃金が低いというような事例の場合には、事業所に雇用されないようなケースもあるわけでございます。その理由を考えてまいりますと、私どもでの職業評価といいますか、適職の判定、そういったことが必ずしも十分でなく、結果的に職場適応訓練をやってみたけれども、その作業が御本人には余り適していない、そういう意味で十分な能力が発揮できない、したがって賃金額がどうしても低くなってしまうというようなこともあろうかと思いますし、あるいは事業所側あるいは御本人の側にもいろんな原因のある場合もあろうかと思います。しかし、職場適応訓練制度自体は、事業所で実際に働きながら訓練を受けていく、そしてその間に能力を高めていって、そして雇用に結びつける、こういう制度でございますので、私は非常に実際的な、実情に合った制度だと思いますので、今後ともこれは力を入れていきたい。その場合に重要なことは、やはり事前の評価といいますか、そういうものが非常に重要でございますが、やっと私どもも心身障害者職業センターのような評価体制が全国的に整ったわけでございます。従来から手をつけておりましたが、やっと全国的の整備を終わった段階でございますが、こういったところに十分力を入れて、御本人の能力に一番合った事業所、こういうものを開拓し、そこに事業主の理解を得て職場適応訓練をお願いしていく、そういうことが必要ではないかというふうに考えております。
#193
○前島英三郎君 なかなか半年、一年では障害を持った人がその企業になじまない、あるいはまた金の切れ目が一つの就労の切れ目みたいになる、障害者はなかなか長続きがしない。こういう意見があるかと思うと、一方では、二年目から給料が半分になってしまってとても働く意欲をなくしてしまうんだと。両方とも同じような意見の中に何とも複雑な思いをする。しかしこの職場適応訓練、こういうものは重要であるということにかんがみますと、今後もっともっといろんな知恵を出し合って育てる必要もあるというふうに思います。
 きょうは時間がありませんので深くは取り上げられないんですが、たとえばまたある企業には、障害を持った人について一年間で政府から九万何がしのお金が出る。二年目は、その人間が二年目を勤めたいと思ってもそこで首を切る。そうすると、その次にまた新しい障害者を雇用する。したがって一年ごとにころころ回していけば永遠に無料で障害者を使うことができるんだというような妙な知恵を持つ人について、ちょっと投書などがありまして、私もいま調査を始めているところでありますが、いずれゆっくり結果がまとまりましたらまたお知らせをしなければならない、提起しなければならない、そのようにも思っております。
 そこで、職場適応訓練の重要性というのは、私も大変強く思っておるわけですが、重度障害者の場合一年間となっているわけなんですけれども、人によってはこれでは短い、こういうふうな意見も当然あると考えられます。また職種によってもその実情に違いがあると私は思うんです。そこで障害の種類あるいは職種によって二年間ぐらいまで期間を延ばせるような仕組みにしていくことが実情に合っているのではないかというような意見が、雇用する側も使用される側も、それぞれの中の意見として伺っているわけでありますが、制度に合わせるのではなくて、障害者の個々の状況に合わせて制度を活用して着実に雇用に結びつけていくというように私は思うんですが、いかがなものでしょうか。
#194
○政府委員(関英夫君) 先ほど来先生が、技能職に限らず新しい職域開拓ということを指摘されておりますが、職場適応訓練は、そういった意味で、公共訓練にない種目につきましても、事業主にお願いしてやっていただけるわけでございまして、職域拡大の意味からもこれを活用していかにゃならぬと思いますが、訓練期間六カ月というのを特に重度の方について一年に延ばしているわけでございまして、一年間事業所で働くということであれば、私ども大抵普通の場合にはこれで十分ではないかと思いますが、今後たとえば視力障害者とか、全身性の脳性麻痺の方々とか、特に重度の方々の対策がこれからの重点であるということが各方面から意見書、計画等で指摘されているわけでございまして、そういう意味で、障害の種類や程度に応じた訓練期間ということについても今後も検討を進めていきたいと思っております。
#195
○前島英三郎君 時間ももうそろそろだと思いますので、ちょっと目を外国に向けまして私の意見を述べさしていただいて、また御答弁を次回にいただいても結構でございます。
 さて、わが国の経済活動に対しまして、かなり以前からエコノミックアニマルなどといった批判があります。昨今では欧米諸国との間で経済摩擦が大きな問題となっております。わが国として反省、改善すべき点もありましょうが、私は諸外国の日本に対する理解不足という面も大きいと思います。こうした国際環境にあっては、障害者の雇用促進を考えるに当たって国際的な視点というものが今後は必要となるのではないかと考えております。これまで主として欧米諸国の制度に学びながらわが国の制度を確立してきたわけですが、今後は国際的にいろんな点で寄与していかなければならないと思います。
 実は、去年五月私は韓国を訪問しましたが、その際二国間の経済協力、技術協力の中でリハビリテーションの分野にも力を入れてほしいという要望を受けてまいりました。そのほかに、現地にあります日系の企業が率先して障害者の雇用に取り組んでくれたならば、韓国の障害者対策にとって相互的な意味で大きなプラスになる、そういった意見、要望も承ってきたわけでございます。そのほか、去年十二月にはシンガポールで世界各国の障害者の仲間と世界会議を開いたんですが、各国の事情に違いはありますけれども、日本及び日系企業に対する期待、要望というのは実に大なるものがありまして、たとえばシンガポールは人口が二百四十万ですが、そこに進出している日本の企業は千社を数えております。
 そこで、焦点を私は多国籍企業というものに当ててみてひとつ伺っておきたいと思うんですが、日本にある外資系の企業、たとえばIBMは、本国においても日本においても、障害者雇用に大変大きく貢献していると思うのですけれども、外資系企業全般としては、日本における障害者の雇用というのはどういう形になっているかちょっと伺いたいと思うんです。
#196
○政府委員(関英夫君) 国内企業については、外資系であろうと否とを問わず適用がございますので、そういう意味で把握しておるわけでございますが、外資系企業だけを特に取り出して把握しておるわけではございません。
#197
○前島英三郎君 時間ですので、それじゃ一つだけちょっと述べるだけ述べておきます。
 そこで、逆に海外に進出している日系企業が障害者の雇用にいかに取り組んでいるか、把握はまだしていないんじゃないかという観測を持っていますので、そこで障害者雇用にかかわる法律制度を持っている国と、そうでない国では、状況も異なると思うのですが、たとえば特殊法人日本労働協会は海外労働情報の収集提供を事業としていますから、こういうところでひとつ障害者の海外における雇用問題について、日系企業ですね、どの辺視野に入れて取り組んでいるのか一度調査を私はしてもらいたいと思います。多国籍企業の例をとりましたのは、韓国を初め、現実に前に述べたような要望意見をお聞きしたこともありますけれども、諸外国でのいろんな事情がありましょうけれども、やっぱり系列企業を通じて障害者雇用をそれぞれの進出している企業に日本の法律で何か課すような方策はできないものか。そういうことによっていろんな経済摩擦、そういうようなものも、むしろ各国における日本の企業が障害者を現地で雇用することによって大変大きな今後の経済外交のプラスに発展していくだろうと思いますので、その辺を要望として、特に調査方をお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#198
○委員長(粕谷照美君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後三時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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