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1949/03/29 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第12号
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1949/03/29 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第12号

#1
第007回国会 文部委員会 第12号
昭和二十五年三月二十九日(水曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国立学校設置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出衆議院送付)
○図書館法案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山本勇造君) 只今から委員会を開きます。日程に従いまして最初に国立単校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続きまして質疑を行うことにいたしたいと思います。
#3
○河野正夫君 この別表の改正に関連してちよつと伺いたいと思いますが、事務当局から伺うところによると、二十五年度において現在の国立大学の職員の定員壇が四百九十一名に達すると、こういうことであります。そのうち公立から移管さるべきものの定員が二百六十七名を占めるということでありまするが、それに関連して文部大臣に最初にお伺いいたしたいとこう思うのであります。この四百九十一名の壇加はこの別表改正の中に示されておるのでありまして、又同時に予算の案にも入つていると承わつております。併しながら政府が企図しているという新定員法によつてこの四百九十一名が減ぜられる運命にあるやうに承わつておるのでありまするが、その辺は如何相成つておるか、先ずその点を承わりたいと思います。
#4
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 四百九十一名の増員は今度の国立学校設置法一部改正と関連いたしまして、どうしても必要な増員であります。その理由は私から説明するまでもなくもう御承知だろうと思います。それでただ一方におきまして、文部省だけでなく各省を通じての行政簡素化その他の理由による定員の縮減を図りたいという方針があるわけであります。これとの関連の御質問と思いますが、国立学校設置法と問題しての具体的な増員につきましては、これは別個に切離して考えて償いて結構だと思うのであります。只今政府部内で各省を通じていろいろ一般的な減員ということが問題になつております。ですから四百九十一名は一応別に手を触れないで考えて頂いていいだろうと私は考えております。ただ一般の定員問題と異なり国立学校の定員というものは他の事務職員とは違い非常に特殊な性質を持つております。講座に関連して教授、助教授、講師、というものは当然配置されなければならないので、講座を廃止するとか学校を廃止する、或いは整理するということであれば定員減少ということもできますけれども、一定の今までの計画を国立学校教育として実施して行くことになりますと定員に手を着けることは困難な事情になるというわけであります。併し政府の一般方針としてできるだけの政府定員は少くして国費を減じて行きたいという方針は、これはまあ一面からいえば尤もなことでありますので只今のところは今申したようにそういう方針としては是認されるわけであげますが、国立学校の定員というものは特殊な事情にありますからして、その点を十分に考慮して貰わなければならぬということで、今日御出席になつておられます管理庁担当の本多大臣とも只今いろいろ話をしている状況であります。
#5
○河野正夫君 まあ一応お説の通りであれば、この国立学校設置法の面では問題とする必要もないように思われるのでありまするけれども、大臣先刻御承知の通り広島市立、愛知県立等の三校の工業専門学校、岡山県立、山口県立その他の七校の農業専門学校、この十校の公立高等専門掌校が国立大学に併合せられるということについては関係者の間に覚書も交換せられ、学生も教授もそのつもりで安心して勉強しておつたのでありますけれども、今問題になつているこの政府の考えている新定員法によつて四百九十一名が確保できない、四百九十一名でなくつて五百名であるか六百名であるか存じませんが、削減を受けるということになつた場合に、結果としてこの公立校の併合を繰延べ乃至は中止するというようなことになるのではなかろうか。この点が関係する地方公共団体並びに学校当局父兄などが非常に心配しておるところなんでありまして、お説のように絶対に国立大学の定員を減ぜずという、こういうことが確定すればとにもかくにも、万一にもそれが何程か減少しなければならんというときが来ればそれのしわをどこへ寄せるかということが重要になつて来る。それをこの併合の予定であるところの公立高專には寄せないということであれば先ず今問題とする十校の関係者に対しては安心を与え得ることになろうかと思うのであります。その辺について確実な言明をして頂きたいと、こう思います。
#6
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今お尋ねでありましたような事情で、公立の学校から国立に移るというような事情から生じて来た壇員今年度二百六十村名が認められぬということになりますと、お説のように移管が完全に挫折するという結果になります。併しその点は御心配のないようになつております。ですからこの二百六十何名の増員そのものについては問題がないと考えて頂いて……ただ併しさつき申しましたように、文部省における一般の定員減少ということは各省と同時に問題になつて来ている。それと関連して国立学校についても何らかの定員減少の措置をしなくてはならぬということに若し万一なりますと、やはりそれが全般に影響して来るわけでありまして、どういう方法によつて減少を割当てるかということは又別問題としまして、今度移管された部門に対してもその影響の範囲が全然無いとは必ずしもいえないこういうことになるかと思います。
#7
○河野正夫君 もう一点だけ承わつておきたいと思うのであります。今お話で若しも仮に新定員法が実施されて定員の縮減ということが起るとしても、それは公立の移管すべきものを目当にするのではなくて、移管されたものについて在来の国立学校の職員の一般的の定員の縮減というものが考慮される、こういうふうな答弁でありましたので、その点は了承いたしました。併しながら問題はこういう教育に関する而も国立大学における教授の重要性ということから考えますると、単純に仮に公立学校に欠員が四千名ありますから、それほどの欠員のあるものについては一割を減じても差支あるまいというような単純な議論から新定員を定めるというようなことになりますると、特殊な学問の研究及び学徒の養成というようなことをやつているような、学生が一名、二名というようなこともありましようし、ときにとつては学生のない教室もあり得る、それが学術のためにも将来の日本の教育のためにも必要だということは、明治以来の日本の大学の発達した歴史を顧みると十分に分るのであります。或る年度においては教授が三名研究室におつても学生は一名しかないというようなこともあつた、そういう時代を経過して日本の学術のレベルが高まつて来た、こういうようなことがあるわけです。ところがこういうようなことを考慮しないでただ機械的に定員の縮減を行うというようなことになりますると、昨年国立学校設置法が出まして非常に多くの国立大学が新設されたわけでありますが、あの趣旨つまり日本の教育を高め学術水準を上げて行こうとするそういう全体の趣旨を没却することになるのです。その意味において今は仮定論の上に立つて縮減せられた場合には、公平に一般的に行うという言明は、それはそれとして了承いたしますけれども、更に進んで国立大学の定員については新らしくこれを一般的な意味において縮減するというようなことは絶対に行わないというくらいの言明を得たいのでありますが、その点は如何でありますか。
#8
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 日本の大学教育を充実して十分に機能を発揮させるという土から申しますと、現在の定員でも確かに不十分だと私も考えている。ですから折角作つた大学でありますから何とかしてこれを十分な機能を発揮させるようにして行きたいという立場から、是非と定員減少はしたくない、又することは適当でないという考えを持つているのであります。けれどもその点につきましては、やはり一般政府の方針とも関連しておりましてこれだけで決められない点もありますので、私はそれを必要と考えていろいろと話をしておるわけでありますが、その点まだ決定に至らないという程度で……
#9
○河野正夫君 行政管理庁を主管する本多大臣にこの点に関連して二、三の質問をいたします。
 一体昨年定員法が出ましてあれに関連した国立大学の職員、まあ主として事務系統であつたかと存じますけれども定員減に相成つたのである。ところが実は長い間助手、或いは技術職員等がての名目でおられないために、事務職員の名前の下にこういう仕事をせられておつた。やはりそれによつて教育及び学者乃至は技術者の養成ということが行われておつたという現状があるのであります。然るにそれが昨年文部大臣は行政整理は国立大学に及ばないということをしばしば言明をせられておつたのでありまするけれども、結局必ずしも文部大臣の言うようには行かなくて、本多さんの行政整理の一環に突き出されて非常な不便を来たしたという実例もあるのであります。ところが最近におきましてこの改正案こ出て来る定員の増加ということに関連して、大蔵当局も予算を認めてあるにも拘わらず、行政管理庁の側からは新定員法を作ることによつて、今話しつつある学年進行によるところの定員の増加並びに公立高專の公設による増加というものが、非常に困難な運命にあるということが、全国に噂として飛び出して来ている。承わるところによると、国立学校の大学の欠員が四千五百五十四名もあるくらいであるから、それを定員を減少することは当然ではないか、こういうようなことを管理庁方面では言われておるということである。併しながら医学部に器ける教授が得られないからといつてこれを法学部の教授を廻すわけにもいかんし、同じ医学部の中にもそれぞれ專門の学者乃至は教授が必要なのであります。従いまして公立学校を全国を集計して見て四千五百五十四名の欠員があるから、そのくらいであるならば定員を減らしても差支ないというのは、これは教育及び学問を破壊する暴論であると私は思う。その点について今高瀬さんに伺いますと、大分本多さんも御了解になつていらつしやるかのようなふうに承わりますけれども、教育ということが如何にも覇破約に人員を配置することではできない、非常に長年かかつて教授も養成し、或いは講座も開設している。これを一層機磯的な整理で減らすということは草間の破壊になる。日本の将来の非常な不幸である。そこで今一度その点についてお考え直しを願いたいと思うのでありますが、大臣の御所見を承わりたい。
#10
○国務大臣(本多市郎君) 大変御心配をおかけいたしまして実は恐縮いたしておるのでございますが、この学年進行並びに国立移管、学校の定員が増加するということは、これは当然のことでありまして、これらについてこれを政府が認めないために移管の実現ができないだろうというように誤り伝えられて地方にも御心配をかけたようでありますが、文部大臣からお話のございました通りそういう趣旨ではないのでありまして、これは国立大学に今日定員の数六万、中に及んでおりますが、その中に相当欠員もあります。又これは講座等の関係で特殊性のある職員が大部分ではございますけれども、事務職員、看護婦等は相当多数に上つております。小使さん、給仕等に至るまでいろいろな職員があるわけでありまして、政府の一般方針に従つて、少しでもこれを合理的に配置されておることとは存じますけれども、縮減する方法がなかろうかということで、文部省の御研究を願い、大臣とも相談いたしておるのでございます。併しこれはどこまでもお話の通りこの国立大学職員の特殊性を尊重いたしまして、無理支障のないように決定いたしたいと存じております。文部大臣から大体お答えになりました通りに考えております。
#11
○河野正夫君 甚だ定員縮減については頑迷であると承わつておつた本多さんから、非常に理解ある答弁を得たので大いに敬意を表します。さりながら行政整理一般がそうでありますけれども、何割の縮減とか、経費の方で幾ばくの縮減というようなことは、これは非常に国家財政の窮境にある場合に、やむを得ず一度きりというふうに行うならば、これは了承できないこともないのでありますけれども、しばしば政府も行政整理については言明せられておるように、これは行政の運用を能率的に且つ民主的にする、そういうような観点から割出して、そこに剰員があれば淘汰して行くこういう御案と思うのであります。そういう趣旨から考えれば、今大臣から非常に御理解ある言葉を頂いたのでありますけれども、教育の面については定員をむしろ増加して頂きたいと思うくらいであります。曾て伝えられた行政管理庁における四千五百名の大学教授、職員の定数を、どうせ欠員があるのだから少しは縮減してもよからうという議論を裏返しにいたしますならば、他の鉄道職員であろうと、或いは行政管理庁の職員であろうと、そういうようなのを、欠員があるからこれを面でに大学の方に廻したらよかろうというようなことで、甚だ暴論でありますけれども、国家全体の定員を縮減するということの中には、学校関係には殖やして、他の方を減らしたつて、時にとつては差支ないのであります。特に経済関係の大臣諸君がしばしば唯物的のものの考え方をするのであります。それで教育というものは非常に金を食う割合に、目の前に何らの生産を挙げていない。経済復興に直ちに寄与するところがない。こういうような日本の困窮時にあつては、むしろそういう生産復興の方が重点であるというふうに言われるのでありますけれども、戦後すでに四年五年に及ぶこういうふうな今日において、若しあの戦後直ちに教育の復興というものをもつと重要に考え、いわば国家的な投資をしておつたならば、もう今頃は生産復興にも緊要な力を発揮して来ておるだろうと思うのであります。その意味におきましても、こういう経済困難な時代であり、財政を緊縮させる意味もあり、新定員法というようなことを考えられることは無理からん点もありますけれども、又その新定員法全般についても私意見はありますけれども、今、事文部行政に関して申上げまするならば、国立学校の職員の定員というのは、仮にそれが事務系であつても、それは単純な事務系ではなくして、講座の保持乃至は教育の充実ということに非常に重要な役割を事実果しておることが多いのであります。どうかその点について更に大いなる同情を文教の方にして頂きたい。こう考えて申上げる次第であります。
#12
○国務大臣(本多市郎君) 御趣旨はよく拜聴いたしました。今回幾分でも縮減できないかと考えまして努力いたしております目標は、前回のように何割減さなければならん、予算で幾ら残さなければならんというような目標でやつておることは全然ないのでございまして、全く合理的にやつて頂いて減員のできるという程度のこと以上のことは考えておらないのでございまして、どこまでも無理の行かないように実情に即してやるつもりでございますから御了承願います。
#13
○委員長(山本勇造君) 外に御質問がございませんようでしたら、本案についての討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(山本勇造君) それでは討論に入ることにいたします。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと存じます。
 別に御発言もなければ、討論を終結いたしまして、採決に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(山本勇造君) それでは念のために申上げますが、国立学校設置法の一部を改正する法律案は、内閣提出、衆議院送付通り可決することに御賛成の方は事御起立を願います。
   〔総員起立〕
#16
○委員長(山本勇造君) 全員一致と認めます。よつて本案は可決と決定をいたしました。尚本会議における委員長の品質報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見岩の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(山本勇造君) 御異議ないものと認めます。それから本院事規則の第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とするお方は順次御署名を願いたいと存じます。
  多数意見者署名
    堀越 儀勞  岡崎 真一
    左藤 義詮  梅原 眞隆
    三島 通陽  藤田 芳雄
    鈴木 憲一  來馬 琢道
    河崎 ナツ  河野 正夫
    星   一
#18
○委員長(山本勇造君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
  ―――――――――――――
#19
○委員長(山本勇造君) 速記を始めて下さい。次に図書館法案を議題といたします。前回に引続きまして質疑を行いたいと思いますが、何か御質疑はございませんか。
#20
○三島通陽君 質疑は大分行われたようでございますから、すぐ討論に入つて頂きたいと思います。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(山本勇造君) それでは質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○委員長(山本勇造君) 御異議ないと認めます。それでは、討論に入りますが、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。尚修正の御意見がございましたらこの際お述べを願いたいと存じます。
#23
○三島通陽君 私は本法律案の修正を提議いたします。簡単に修正案を朗読いたします。
 第四條第一項中「司書補とする」を「司書補と称する」に改める。
 第二十條中「その他必要な援助を行うことができる」を「その他必要な援助を行う」に改める。
 附則第一項に次の但書を加える。但し、第十七條の規定は、昭和二十六年四月から施行する。
  これが修正案でございます。簡単にその説明を申上げます。先ず最初の第四條中の「司書補とする」というところでございますが、これは御承知のように、「司書及び司書補とする」となつておるのであります。併し図書館には司書及び司書補のない図書館もあるのでありますし、又外に呼ばれるところのものもあるわけでありますから、大変まぎらわしいのであります。そこでこの内容をはつきりさせるために「司書補と称する」と言つた方が間違いがなく、その内容が表現されるように思われますので、そういうように修正をいたしたいと思うのであります。次の第二十條中の「その他必要な援助を行うことができる」を「行う」に改める点でございますが、これは社会教育法と歩調を合せたに過ぎないのであります。御承知のように社会教育法の中の第三十五條の公民館のところに同様な文句があるのでありますが、「経費の補助その他必要な援助を行う」となつておるのであります。又同じく社会教育法の第十一條の最後の方にも「社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う」となつておるのでありまして「行うことができる」ではないのであります。そこで甚だこのできるということでは物足りなく思われますので、これをはつきり「行う」と改めたいと思うのでございます。最後の附則を加えることでありますが、これはすでに各地方の図書館におきましてはもう予算ができておるのでありますから、やはり入場料を昭和二十五年度までは使いたい、こういうように使われるということをはつきりさせたいと思いますので、特に十七條の規定は「昭和二十六年四月一日から施行する。」とこう改めるのは、こういう但書を加えますればここもはつきりできると思いますので、かような修正を行いたいと存ずるものでございます。どうぞ委員諸君の御賛成を頂きたいと思うのであります。
#24
○河野正夫君 三島君の修正案は質疑を行うほどのことはないと思います。極めて明瞭でありまするので私の意見を申しますが、賛成であります。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(山本勇造君) 外に御意見はございませんか。
#26
○梅原眞隆君 これは只今の修正に私は賛成をいたします。それに附加えて申上げて置きたいと思いますのは、この修正の中に「行うことができる」とその点の中にも多少問題を持つておるのでありますが、図書館のこの法的な措置をせられたことはこれは非常に社会教育を進展する上からいつても、一国の文化を高める上から申しましても誠に適当な立法措置であるのでありまして、賛成するものであります。ただこれを見ておりまして、相当に企画なり、その運営なり設置の上に可なり高度な理想を持つており、又理念を持つておるのでありますが、そうしてその文句の上では補助金を与えるという項目が出ておるのであります。これが十分に行われればもとより差支ありませんが、これを見ておりますと文部大臣がそれの施段とか或いは運営に関して基準を示している。そういう一方に基準を示して置きながらこれに対する十分な補助金が出るかどうかということを先達ても聴くと、その数字を見ると甚だ貧弱なものであつてこの法案ができ上つても容易に法案の持つておる理念を実現することに之しいのではないかと考えられるのであります。こういう点におきましては、今こういう国家財政の貧弱な時期において、殊に又政府一般の組織の上において、非常な困難な点があることは私も察しておるのでありますが、併しただその在来のような形のバランスをとるという点に置かずに、これは今後の文化国家を作る上には、教育というものには余程重大な決意を持つべきであると私は信ずるのであります。かかるが故に一般のバランスというようなことのみに引摺られ過ぎずに、又在来の因質的な文盲に対する考え方を修正しなければならないのであつて、私はこういう現状におきましてももうちよつと高度な予算的措置を講ずべきだ、こう深く考えておるのであります。従つてこの法律の上に書いてある補助金は、一方において大臣がそれの設置若しくは運営において基準を示すほど周到であるのだから、補助金も十分にこれを充実するということに当局が盡力せらるべきだ、又そうせられるであろうとも信頼したい。ただできるならばこの地方のこれを経営する母体に当るものは、一方においては義務教育の費用を確保するという措置を講じておることも私は賛成でありますが、それと同じような方面で、公共団体に向つてこの図書館を作るというようなことに関する財政的な基礎を確立するというようなことに関しても、私は当局は相当な考慮を払うべきであつたと考えておるのであります。そういう点におきまして、私はこの法案が高度な理念を持ち又新らしい日本の文化国家を作るという上に相当な役割を持つておることを現わしておるが、ただ財政的な措置において甚だ憂慮すべきものがあつて、もうちつと強固にこれを実施すべきものであると信じておるのであります。従つて地方のこれを作つて行く母体の財政に向つても、当局がもうちつと何らかの措置を講ぜられる必要があるということと、国家として十分の補助を与えられ、その補助には因習的な予算関係を多少修正をして、教育立国の立場に立つて私は今の事態に適当な予算措置を講ぜられるように、格段な措置をとられることを要望して私は賛成したいと思うのであります。
#27
○河野正夫君 この法案に対しては社会党は賛成いたす者であります。この法案が図書館奉仕という新らしい観念から社会教育法の精神に基いて、図書館の整備に関して立法せられた点については極めて適切なものがあると思いまして賛成する者であります。但し以下二、三の点について我々の要望を申述べてみたいと思うのであります。
 第一点は今梅原委員からも申されましたように、図書館事業の拡充乃至は発展ということのために、更に国庫から十分なる補助をなさるべきであるのであります。三島委員からの修正案にも援助を行うことができるというのを、援助を行うと修正された意味は明らかに我々が面会教育法の場合に同様の事柄を修正したときの精神、即ち単に国家から適当な補助をやれるときにはやれるんだということではなくして、積極的にこれを国が指導し補助しなければならないという立場から修正されたものと思うのでありまして、この精神に則つて将来特に二十六年度においては相当額の補助金を予算の上に計上せらるべきものである、こう思うのであります。
 第二点といたしましては、すでに検定等によりまして、司書の資格を得た者こういう人々に対する講習があるのであります。附則にもあり又第六條にもこれを規定してあるのでありますが、提案者の説明を伺いますると、成る程これらの一応過去の司書という資格を得た者であつても、図書館奉仕という新らしい精神に則つた図書館経営の仕事に対しては更に十五単位の講習を必要とする、こういう話であります。梅原委員からも可なり高度の理想を盛つてあるというお話がありましたが、この点もその現われと思いますけれども、現実には過去にそれだけ苦労をして一定の資格を得た者が更に講習を受け直さなければならないというような立場に追込まれて、数は少いかも知れないけれども相当苦労が要るのであります。更に又一定の資格のある者が新らしく司書になろうとする場合にも、相当の講習を受けなければならない。こういうことが図書館の向上のためにはなるかも知れませんけれども現実に図書館における要員を確保するという点について如何かと思うのであります。その点につきまして、いわゆる司書補の講習については或いは又それらに対する資格付与の場合においてはいろいろな認定におきましても成るべく現状に即するようにやわらげて頂きたいということであります。
 第三点は大学卒業生等に対する図書館学の講習をさせる必要があるのでありまするが、国立大学におけるこの講座が非常に少い。将来において、国立大学においてこの方面の講座を増設するように善処されたいのであります。
 第四点は、図書館設置基準が現状においては定め方によつて図書館の資格を失う場合が相当多いのじやなかろうかと思いますので、現実においては相当なこの基準を緩和して頂きたい。将来においてこれを向上するような行政措置を講じて頂きたい。こういう以上の希望條件を附して本法案に賛成するものであります。
#28
○委員長(山本勇造君) 別に御意見もないようでございますから討論は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○委員長(山本勇造君) それではこれから採決に入ります。図書館法案について採決をいたします。先ず順序といたしまして討論の中にありました三島君の修正案を議題に供します。三島君提出の修正案に御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#30
○委員長(山本勇造君) 全会一致と認めます。よつて三島事君提出の修正案は可決いたされました。
 次に修正の部分を除いた原案、これを議題に供します。御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#31
○委員長(山本勇造君) 全会一致と認めます。よつて本法は全会一致を以て修正議決されました。
 尚多数意見者の御署名並びに本会議における委員長の報告に前例によりまして、然るべく御一任頂きたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○委員長(山本勇造君) それでは本案を可とされた方は順次御署名願います。
  多数意見者署名
    木内キヤウ  藤田 芳雄
    河崎 ナツ  河野 正夫
    左藤 義詮  岡崎 真一
    星   一  梅原 眞隆
    堀越 儀郎  三島 通陽
    來馬 琢道
#33
○委員長(山本勇造君) 御署名漏れはございませんか……それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十七分散会
 出席者は左の通り
   委員長     山本 勇造君
   理事
           木内キヤウ君
   委員
           藤田 芳雄君
           河崎 ナツ君
           河野 正夫君
           岡崎 真一君
           星   一君
           梅原 眞隆君
           來馬 琢道君
           三島 通陽君
           鈴木 憲一君
  国務大臣
   文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
   国 務 大 臣 本多 市郎君
  政府委員
   文部事務官
   (大学学術局
   長)      剱木 亨弘君
   文部事務官
   (社会教育局
   長)      西崎  惠君
ソース: 国立国会図書館
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