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#1
第096回国会 社会労働委員会 第9号
昭和五十七年四月二十日(火曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     戸塚 進也君
    目黒今朝次郎君     青木 薪次君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     戸塚 進也君     関口 恵造君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君    目黒今朝次郎君
     前島英三郎君     江田 五月君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
               目黒今朝次郎君
                沓脱タケ子君
                藤井 恒男君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  森下 元晴君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
       厚生省医務局長  大谷 藤郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       社会保険庁医療
       保険部長     入江  慧君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局監察官   宮地 靖郎君
       自治省財政局財
       政課長      持永 堯民君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法案(第九十四回国会内閣提出、第九
 十五回国会衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、老人保健法案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○渡部通子君 先週の末でございますが、一部の新聞報道によりますと再修正の方針決定と、こういったことが報道されておりますが、端的に伺いますが、事実でございますか。
#4
○国務大臣(森下元晴君) 新聞に載っておりましたことは私も実は拝見いたしたわけですが、政府といたしましては、御指摘のような事実は実は承知しておりませんし、また老人保健法案を修正することは考えておりません。
#5
○渡部通子君 大変心配をしております拠出金の問題について伺いたいと思います。
 保険者の一部から、拠出金が年度により変動したり、また著しく増大することを危惧する声が上がっております。保険者及び被保険者の負担が青天井に年々増加するんではないか、これによって企業経営が危なくなると、こういう心配が出てくるのは当然だと思いますし、また特に都市部のサラリーマンにとっては、一部負担導入の問題よりもいまはこっちの方が大変だと、こういう意見もあるくらいでございます。このような声に対して、特に問題となっております保険者の事例調査を行ったことはございますか。
#6
○政府委員(吉原健二君) 昨年の八月でございましたか、法案を国会に提出さしていただいた後でございますけれども、法案が成立をいたしました場合のいわば準備といいますか、参考資料とさしていただくために、各保険者ごとに老人加入率、七十歳以上の加入者の数、それから七十歳以上の方に対する医療費の額等を、各保険者ごとに調査をお願いをいたしまして提出をさしていただいたということはいたしました。
 いま保険者の拠出金が著しくふえることに対して何か上限を設けることができるかという御質問でございますけれども、この法案、新しい制度におきましては、一定の割合、一定の方法によりまして、かかりました老人医療費というものを各保険者に公平に分担、負担をしていただくということで制度をつくっておりますので、保険者の拠出金そのものに上限を設けること自体なかなかむずかしいわけでございまして、医療費に上限を何か設けることができない限り、拠出金そのものに一定限度の枠をはめるということが大変むずかしいわけでございます。医療費全体といたしまして、この制度全体としては、できるだけ医療費の伸びを少なくしていく、抑えていく、そのために予防とかその他の事業を進めていくということは当然ねらいにしておりますけれども、保険者の拠出金そのものに一定の限度をつくるということは大変制度上もむずかしいというふうに思っております。
#7
○渡部通子君 いま事例調査を行ったということでございますが、そういう中から特に心配な点とか、突出してくるというようなことが見受けられるのかどうか。それからいま上限を設けるのは非常にむずかしいと、こういうお話でございますけれども、異常に突出するような場合に激変緩和の処置が必要ではなかろうか。そういった点で何らかの検討をする余地はございませんですか。
#8
○政府委員(吉原健二君) いま申し上げました調査に関することでございますけれども、初めての調査でございますし、それから法案がまだ御審議いただく前の、保険者に特にお願いをしてつくって出していただいた調査でございますので、内容的に非常に、率直に言いまして、ミスが多うございます。そういったことでございますので、現在そういった誤解でありますとか、ミスでありますとか、そういったものについての再照会をしているわけでございまして、その調査自体に基づきましてまだどうこうというようなことが言えないというのが現在の状況でございます。
 いま、保険者によっては相当負担が急にふえるところがあるのではないかという御指摘でございますけれども、確かに保険者によってはそういうようなところがございます。特に約千六百の健保組合一つ一つについて考えてみますと、いままで老人の加入者が非常に少なかった健保組合におきましては、この新しい制度ができることによりまして、相当負担がふえてくるというところは確かにあると思います。しかし、その負担の増加というのは、あくまでもいままでの負担というものが非常に低くかった、少なかったということによる負担の増加でございまして、逆に言いますと、特に国保に多いわけでございますけれども、いままで非常に負担のきつかった、多かったところが逆に相当負担が少なくなる、軽くなるというところもあるわけでございます。そういったことである程度、こういう制度をつくります以上は、いままでと違いまして、負担の増加あるいは減少というものが生ずるのは私はやむを得ない、ごしんぼういただきたいというふうに思っております。
 仮に健保組合の中で相当負担の増減があるとした場合に、一体どういう対応措置が考えられるかということでございますけれども、健保組合自体の負担の増加というのは、全体としては、先生御案内だと思いますけれども、それほど私どもむちゃくちゃに大きな負担増加だとは思っておりません。料率にいたしまして千分の二・三程度の負担増でございますので、それほど大きなものとは思っておりませんが、個々の健保組合にとってみれば、千分の十近くになる組合もあろうかと思います。ですから、そういった個々の健保組合の負担の増加等に対する対策といたしましては、健保連で現在共同事業というのをやっております。すでに財政窮迫に対する共同事業とか、あるいは高額医療費に対する共同事業というのは、もう法律上の事業としてやっておりますけれども、いわば健保組合全体としてこの老人保健拠出金に対する事業を共同でやっていく、そして個々の健保組合の負担の増なり減というものを調整していただくということは十分可能でございますし、そういったことをいまお願いをしておるわけでございます。
#9
○渡部通子君 ぜひその辺、非常に負担増が激しいところに対しての緩和措置というものをお考えいただきたいと思うわけです。
 それから総医療費の抑制ということなら考えられるという、こういうお話でございますが、老人一人当たりの平均医療費の抑制ですね、これもやはり御指導いただかなければならないと思うんですが、老人一人当たりの医療費の特別高い県とか地域とか、こういうものがありましたらひとつ挙げてみていただきたいんです。
#10
○政府委員(吉原健二君) 老人一人当たりの医療費は、特別に高い県、これは五十五年度の数字でございますけれども、高知県が一番高い状況でございまして、五十五年度で老人一人当たり四十八万三千五百円ということになっております。これに続きまして、大阪府が四十八万二千五百円、北海道が四十七万七百円、福岡県が四十五万一千三百円、熊本県が四十二万九千五百円という状況でございます。
 それから老人一人当たりの医療費が低い方の県を申し上げますと、一番低いのが沖繩県でございまして、沖繩県は二十万七百円、静岡県が二十四万三百円、山梨県が二十四万三千六百円、滋賀県が二十四万四千三百円、千葉県が二十四万七千円というような状況でございまして、全国平均を一〇〇といたしました場合の指数で申し上げますと、高知県の場合には一四〇・八、沖繩県の場合には五八・五と、大変大きな開きが実際にございます。
#11
○渡部通子君 新聞にも報道されておりますように、高いところと低いところでは二倍近くの開きがある。これはいろんな原因が考えられるとは思うんですけれども、ここにむだとか、そういったものも多分に分析すれば出てくるのではないかと思うんです。ですから、その原因というものを、多角的でしょうけれども、何かお考えになるところがあるかどうか。
 それから一人当たりの医療費の抑制ということで、何らかの指導、ガイドラインといいますか、御指導を強化していかれるおつもりがあるかどうか、これもあわせて伺います。
#12
○政府委員(大和田潔君) 特に老人一人当たりということになりますと、私の方では分析をしておりませんが、一人当たり医療費というものの高低、要するに、先生言われましたのは、俗に西高東低といったようなことを言われるわけでありますが、そういったようなことについてどういう原因でそういうふうになっているかという問題でございます。
 これはなかなか実はむずかしい問題でございまして、いろいろ分析をしなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございますが、一人当たりお医者さんの数といいますか、お医者さんの数が多いというようなところであるとか、あるいはベッド数が多いというところはえてして医療費が高くなっている、その逆の場合は低くなっているところが多いといったような現象は見受けられるというわけでございます。
 なお、これらにつきましては、私どもの方としてもっと研究をしていかにゃならぬというふうに考えておるところでございます。
#13
○渡部通子君 保険者が医療費抑制に努力するの余り、通知制度等によりまして必要な医療までの受診抑制につながらないか、これも心配するわけでございますけれども、間々圧力がかかる話も聞きます。こういう心配に対してはどうお考えですか。
#14
○政府委員(大和田潔君) 医療費通知制度は、私どもとっておりますところの医療費適正化対策の中では、かなり私どもといたしましては効果が上げられるんではないか、本人の健康管理意識というものを高めるということによりまして医療費の節減ということにつながってくるんではないかと思います。
 ただ、先生おっしゃいましたように、たとえば本人のプライバシーといったような問題がわかるような形ではこれは困る。その辺は私どもといたしましては非常に神経質に進めておるところでございまして、ただいまおっしゃいましたような心配というものは私どもはないというふうに確信をしておるところでございます。
#15
○渡部通子君 確信は結構なんですけれども、現実にあります、肩たたき同様に。ですから、そういうところはひとつ御指導をよくやっていただきたい。医療費抑制は大事でございますけれども、そういうところに圧力がかかったんではいけないんではないか、こう思うわけです。
 先週の質疑内容に多少重複をいたしますけれども、なお確認のために若干お尋ねをいたします。
 診療報酬について中医協で審議をすることとなって、これまでの政府答弁では、支払い方式についても検討されるはずだと、こういうことになっておりますけれども、これまでの中医協の歴史の中で支払い方式について検討審議がなされたことはございますんでしょうか。
#16
○政府委員(大和田潔君) 中医協におきまして、いわゆる支払い方式の見直しの問題等について正面から議論として取り上げてまいったことはございませんけれども、かなり基本的な問題につきましていろいろ突っ込んで論議をいたしておる、診療報酬につきまして論議をしておるというようなことはあるわけでございます。
#17
○渡部通子君 まあ、ないということですね。
 それで、中医協は、これまで診療側の審議拒否に遭って、不正常な事態がしばしばあったと聞いております。中医協の招集のあり方、大臣の指揮権など、その運営はどうなっているのか、また三者の委員構成のあり方が公平なのかどうか、中医協委員の選任のルールはどうなっているのか、こういった点が非常に私たちにとっては不明瞭でございます。この際、中医協のあり方について見直す必要があるのではないかと思いますけれども、いま挙げたような問題点はどうなっておりましょうか。
#18
○政府委員(大和田潔君) 中医協は三者構成のために紛糾しやすいんではないか、その場合、大臣の指揮権といったようなことはどうなのか、こういうようなお尋ねでございます。
 それで、指揮権ということがちょっと私、具体的にどのようなことであるかは明らかでないわけでございますが、たとえば中医協の運営に関しまして、諮問をする立場の厚生大臣が、支払い側委員であるとか、あるいは診療者側委員を罷免をするとか、あるいは裁定権を行使するといったようなことであるとすれば、そういったことは現行法上はできないというふうに考えられるわけでございます。それからかつてのようないわゆる職権によりまして診療報酬点数の告示を行うというようなことも、これは非常に問題になったことは御承知のとおりであります。
 したがいまして、指揮権というのは、いまのようなことであるとすれば、大変むずかしいわけでございますが、従来、中医協の審議に際しまして円滑を欠くというような場合には、これは公益委員を中心にいたしまして審議を軌道に戻しているというようなことでございます。
 御承知のように、現在は円滑な運営が行われておるわけでありまして、これからもいわゆる三者間で、公益委員を中心といたしまして三者間で円滑な運営が保たれるというふうに私どもといたしましては考えておるところでございます。
#19
○渡部通子君 その八・八・四の根拠、公益が特に四という理由はあるんですか。
#20
○政府委員(大和田潔君) この八・八・四は、昭和三十六年にこの三者構成につきましては改組をされたわけであります。それまでは四者構成になっておったということであります。
 それで、三十六年に社会保障制度審議会の御意見をちょうだいいたしまして、これは「社会保険等の適正な診療報酬を定めるため採るべき方途について」という御意見をちょうだいいたしまして、その制度審議会の御意見によりまして三者構成に改組をいたしたわけでございまして、そのとき以来八・八・四という構成で今日まで来ておるわけでございます。
#21
○渡部通子君 余り適切なお答えじゃないんですよ。何か四という数に根拠があるんですかと聞いたんですけれども、経過だけをお答えになったようです。まあ、いいでしょう。
 それで、いま一生懸命確信をしていらっしゃるという御答弁でございますが、いかに中医協で老人保健にかかわる支払い方式についても審議されるんだ、こうおっしゃっても、いままでされた経過はない、それから審議拒否に遭ってしばしば紛糾をする、それから支払い方式の問題はすぐれて利害に絡む問題でございますね。そういったことを考えてみますと、されると思うと局長がいかにおっしゃっていただいても、中医協の体質が変わらなければこれは望みは薄いのではないか。この点が心配されるわけでございます。そういった点について何らかの改善策がなされないものか。そうでない限り、幾ら御答弁いただいても、ちょっと信用できかねるということになりますが、重ねていかがでございますか、局長並びに大臣、両方答えてください。
#22
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申しましたように、たとえばかなり前のこと、これはもう改組前の、四者構成のころでございますけれども、この中医協におきまして、診療報酬体系と申しますか、新医療費体系ということで、かなり抜本的な検討をしておることはあるわけでございまして、中医協におきましてそういう検討をしたことはないということはないわけでございます。
 なお、現在の中医協でそういったことができるかという御質問でございます。これは先ほど申しましたように、現在の中医協で私はできるというふうに考えておるところでございます。
#23
○国務大臣(森下元晴君) 中医協の制度につきましては、三十六年以来現在の委員構成でございまして、その以前は、いま局長が御答弁いたしましたように、いろいろな割り振りがあったようでございます。現在は八・八・四という体制で大体定着をしておりますし、特に公益委員の数が半分の四名でございますけれども、それぞれ大変見識のある方ばかりでございますし、数が少ないからといって特に劣ったり、また全体の審議が不公平になるというようなことはないはずでございますし、われわれもそれを確信いたしまして現在の制度でやっていける、十分果たしていけると、このように確信をしております。
#24
○渡部通子君 こればかり余りしつこく言うことはやめますけれども、いままでもやったことがないし、審議拒否はしばしばだし、公益が四で、体質がいままでのままであって、そして今度支払い方式をされると、こう思っていらっしゃるのは、いかにも大臣苦しい御答弁をなすっていらっしゃるんではないかと思うんですね。ここでとめておきますけれども、中医協でやるとおっしゃるからには、やれるような体制をひとつお考えをいただきたい、これを申し添えておきます。
 それからレセプトにつきまして、老人保健では扱いが市町村となっておりますため、従来保険者がチェックできたものが非常にできにくくなる。これは衆議院でもいろいろ議論があったようでございますが、保険者特に健保連などは、内容が知らされないままに経過する時間が長過ぎる、医療費の不正請求があってもなかなか見つけられない、こういった点で拠出金だけを負担させられる、これは非常に納得しがたい点だと、私もそうだと思います。支払い側の納得のいく審査方法を検討すべきだと思いますが、いかがでございますか。
#25
○政府委員(吉原健二君) 私ども、衆議院でこの法案の御審議をいただいている段階からそういう御意見がございまして、いろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、当初考えていた方法を変えまして、いま御指摘、お話しのございましたように、できるだけ早くレセプトというものを健保組合等の保険者に回して、その内容を御審査といいますか、チェックをしていただくようなことにいたしたいというふうに考えているわけでございまして、レセプト全体の流れとしていま考えている内容を申し上げますと、医療機関から審査支払い機関、支払基金等にまず参ります。支払基金等で審査をいたしたものを、当初は市町村に先に回すということを考えていたわけでございますけれども、市町村よりも先に保険者の方に回しまして、保険者としてのチェックをしていただいた上で、保険者から市町村、実施主体である市町村に回していただくというような方法を考えておりまして、実質的にいままで健保組合等がレセプトでもってしっかりした審査、チェックをやっていただいておりましたそういった体制というものは、この法律ができました後もやっていただけるようなことにしたいというふうに思っているわけでございます。
#26
○渡部通子君 医療費の節減対策といたしまして、医療機関の監査、指導の強化、これは非常に大事になってくると思うんですけれども、医療保険全体として監査、指導の強化や適正化対策、こういったものがどの程度の効果があるとお考えでございますか。
#27
○政府委員(大和田潔君) 大変むずかしい御質問で、たとえば監査がこれだけ、医療費通知がこれだけ、何がこれだけというのはなかなかむずかしいと思います。これは数量的にあらわすのはむずかしいと思いますけれども、私は、医療機関に対する厳正なる態度をもって指導、監査に臨むということによりまして、医師の保険医療に対する態度というものもやはり自覚されていくというような面で、これはかなり効果があるというふうに考えるわけでございますし、また支払基金におきまするレセプト審査の充実、改善、強化ということも、これは保険診療というものを是正する上に私は非常に効果があるというふうに考えておるわけでございまして、いずれも、私どものとっております医療費適正化対策を進めることによりまして、医療費の効率的な使用という観点から効果が出ておるものというふうに考えておるわけでございます。
#28
○渡部通子君 それはしっかりやっていただきたいと思うわけです。
 それから医療費への関心がこれだけ高まっておりますし、理解を深めるためにも、医療機関の窓口での領収書あるいは医療費明細書の発行を義務づけるべきだと思いますが、この点はどう進められますか。
#29
○政府委員(大和田潔君) ただいまおっしゃいました領収書及び明細書の問題につきましては、昨年の第二臨調におきまする御答申にも書かれてあるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、それを受けまして、さらに昨年の六月の中医協の医療費改定におきまするところの答申にも、この問題が言われておるところでございまして、それを受けまして、私どもは領収書の発行を勧める。それから明細書については、可能な医療機関からこれを出すように勧めていくというような態度で持っていきたいというふうに考えるわけでございます。
 ただ、これにつきましては、法律上、患者が請求をしないでも出すというところまではなかなかいかぬわけでございますけれども、患者の請求が行われれば領収書は必ず出すようにこの徹底を図るようにいたします。それは昨年来さまざまな方法で私どもは周知徹底をしてまいったところでございまして、これにつきましては、逐次効果が上がっているものというふうに考えておるところでございます。
#30
○渡部通子君 いま義務づけをなさるかどうかということを伺ったわけですけれども、請求があれば出すという形、これは窓口では請求はまことにしにくいんですね。ですから、それはちょっと無理ではないかという気がいたします。重ねてちょっと伺います。
#31
○政府委員(大和田潔君) 最近におきまして、窓口におきまする領収書の発行を徹底させるというような方向で指導しておるわけでございますので、これは請求がありますれば、発行というものにつきまして、かなり徹底するような方向でいま進んでおるというふうに私どもは考えておるところでございます。
#32
○渡部通子君 お答えにならないんですけれども、ひとつ義務づけをなさるおつもりはないかと伺ったんです。請求があれば出すという段階ですか、いまのやり方というものは。それ以上一歩も出ませんか。
#33
○政府委員(大和田潔君) そのようなことでございまして、法律上、現在のところは、これは御承知のように、領収書の発行につきましては、一般的に民法におきまして発行を要求する権利というものが認められておるわけでありまして、それによりまして患者が請求をする、これは民法上請求をする、それに対しまして領収書の発行というものが行われるというたてまえになるわけでありますので、そういうことでもって進めていきたい。
 ただ、従来は、なかなか領収書の発行につきまして、請求をしても、医療機関の方が出さないというような事例があったわけでございますが、それにつきましては、そのようなことのないように、請求をすれば必ず出すようにという強力な指導をしておるわけでございます。
 それはもちろん私ども、行政の分野におきまして、行政を通じまして強く指導をしておる以外に、たとえば新聞あるいは週刊誌、その他の方法によりまして、そのような領収書の発行の徹底というものにつきましての指導、PRを十分行っておるということでございます。したがいまして、法律的に民法以外に義務づけるというようなことは考えてはいないわけでございますけれども、領収書につきまして実効が期せられるように努力を進めておるというところでございます。
#34
○渡部通子君 よくその点わかりましたけれども、大臣にも重ねて伺っておきますが、窓口で領収書を請求するということは、患者の立場にお医者に対しては非常に弱いものでございますからね、これはおよそしにくい。私も経験しますけれども、これは言いにくいものでございます。ですから、それならば領収書を必要な方は御請求くださいというようなことを張ることを義務づけるとか、あるいは医者に行って領収書をもらうのはあたりまえという、そういう常識を啓蒙するとか、もう少し何とか考えていただかないと、これはなかなか進まないのではないか、こういう気がいたしますが、いかがですか。
#35
○国務大臣(森下元晴君) 習慣上の問題もあってななか進んでいないことだろうと思います。しかし、これではいけないんで、いま局長が申し上げましたような強力な指導をしていきたいと思っております。いま急に義務づけるということは、せっかくの医療行政に何か強く干渉し過ぎるような感じもせぬとも限りませんし、指導の段階で推移を見守りながら、将来においては義務づけるという考え方も出てくるかもわかりませんけれども、いまの段階においては強力に御指導をしていく、そしてこれを習慣づけていこうと、こういう考えであります。
#36
○渡部通子君 ILO百二号条約における一部負担と限界、これはどうなっているのか。それから老人保健制度の一部負担導入は同条約に抵触するものか、しないものか、これも伺っておきます。
#37
○政府委員(吉原健二君) いま手元にILOの条約を持ってきておりませんので、正確な表現はあるいは間違っているかもしれませんが、社会保障の最低基準に関するILOの条約の中に、社会保障について一部負担をとることができる、ただしそれは過重な負担になってはならないというような条文がございます。この老人保健法案がそれに抵触するかどうかということでございますけれども、一部負担そのものはこのILO条約で認められておりますし、私どもがお願いをしております外来の場合に月四百円、入院の場合に一日三百円二月の範囲内というような程度の一部負担でございましたならば、老人の方にとって決して過重な負担ではないというふうに思っておりますので、この条文に抵触をするようなことはない、むしろその趣旨に沿うものと言えるのではないかというふうに思っております。
#38
○渡部通子君 ではこれから少し保健事業の問題についていろいろ伺いたいと思うんですが、まず総体的に法案の性格について伺っておきます。
 本法案の目的は、健康な老人をつくるため、予防から治療、リハビリまでの一貫した保健事業を総合的に実施することになっておりますね。しかし、この本法案に盛られた保健事業、これは現行の老人保健医療対策といわゆる成人病対策とを集めたもので、この限りにおいては新立法の意義が薄いのではないかという気がいたします。これで総合的な老人保健法案と言えるのかどうか、まずその御認識から伺ってみます。
#39
○政府委員(吉原健二君) いままでの老人保健対策は、実際問題といたしまして、医療、もっと端的に言いますと、医療費の保障ということに偏っていたということが言えると思います。確かに医療以外の疾病の予防でありますとか、あるいは老人の健康診査、そういった事業も老人福祉法によりまして行われてきたことは確かでございますけれども、疾病の予防というような考え方は、現在の老人福祉対策の中には入っておりませんし、それから成人病対策、これを公衆衛生行政の一環といたしまして従来から私ども力を入れてきてはおりますけれども、必ずしも十分ではなかったということが言えると思います。そういった意味におきまして、医療と予防、その他の保健事業というものがばらばらに行われていた、一貫性も連携も十分なかったということは、もうはっきり言えるかと思いますし、この法律によりまして、医療というものをそういった予防や保健事業と連携を持たせて一貫した保健サービスを提供できる仕組みをつくろうということでございまして、考え方から言いましても、あるいは事業の実際の効果、運営の面から言いましても、私ども考えておりますのは、画期的な前進を図りたいということでございます。
#40
○渡部通子君 五十六年四月二十五日の社会保険審議会、それから社会保障制度審議会、これらの答申を見ますと、本法案は老人総合保健法案として盛るべきことがかなり落ちているんだと、こうあります。たとえば寝たきり老人等いわゆる終末ケア対策の必要性、特養の拡充、一定の療養や介護を要する老人のための中間施設の早期設置等、これらについて両審議会ともに触れておりますが、こういったことがない限り総合的な老人保健と言うわけにはいかないと思うんですけれども、こうしたことはどうするおつもりですか。
#41
○政府委員(吉原健二君) 社会保険審議会等で御指摘をいただいておりますのは、単にこの老人保健法案をつくっただけではなお老人の保健医療対策としては不十分ではないか、さらに中間施設のあり方、あるいはナーシングホームのあり方、そういったものも検討をすべきである、あるいは老人の方々に対する、何といいますか、最後の段階の医療のあり方、ターミナルケアというようなことも言われておりますけれども、そういったあり方についても検討をすべきではないかという御趣旨の御答申をいただいたわけでございます。
 私ども中間施設あるいはナーシングホームのあり方そのものにつきましては、この法案の中に直接は何も触れておりませんけれども、従来の医療施設あるいは社会福祉施設以外に、そういった老人の方々のための中間的な施設あるいはナーシングホームというものを検討する必要があるということは十分認識をいたしておりますし、検討を今後進めていきたいと思っております。
 ただ、中間施設について申し上げますと、それを医療施設として考えていくべきなのか。あるいは従来福祉施設として特別養護老人ホームという施設がございます。それが実際問題として諸外国で言う中間的な施設あるいはナーシングホームとしての機能を果たしているというような面がございますので、そういった福祉施設の面からのアプローチ、あるいは機能の強化というような方法も考えられます。そういったいろんな方法なり、あるいは問題点がございますので、これをひとつ今後の課題として検討をさしていただきたい。
 それから先ほどちょっと申し上げました老人のターミナルケアのあり方につきましても、今後の課題として十分研究し、研究の成果に基づいて行政として推進をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#42
○渡部通子君 そういった意味も全部ひっくるめて、あるいは科学的研究も全部する意味におきまして、老人福祉法制定当時から言われてまいりました老人保健の研究開発センター、こういったものの設置をぜひ法案に盛り込むべきではないか、こう思いますけれども、いかがでございますか。
#43
○政府委員(吉原健二君) 確かに高齢化時代に対応して老人学といいますか、ジェロントロジーというふうにも言われておりますけれども、そういった科学あるいは学問の推進あるいは研究というようなことが必要だろうと思います。ただ、そういった場合の学問なり科学の推進、研究というのは、単に保健とか医療の面からだけではなしに、もっと広い社会全体あるいは経済学あるいは社会学、心理学、社会福祉、そういったものとの連携を考えてやっていかなければならないと思います。従来から医療の面あるいは保健の面につきまして、あるいは福祉の面につきまして、それぞれいろんな形で社会局なりあるいは公衆衛生局なり医務局なりで、厚生省の関係だけをとりましても、いろいろ研究なり調査というものは進められてきたと思います。そういった面はこれからも大いに充実、推進をしていきたいと思っておりますけれども、全体的な何か新しい研究所をつくるかどうかにつきましては、こういう御時世でもございますし、ひとつ今後の研究課題として検討さしていただきたいというふうに思います。
#44
○渡部通子君 先ほど画期的な法案だと。私も予防に一歩踏み出したという点については評価をいたしますけれども、総合的なものが少し欠落をしておりますと、これは財政調整のためにやられたんではないかという疑念が残るわけでございまして、総合的な老人保健事業と言いながら、真のねらいが臨調答申を踏まえて、各医療保険者間の財政調整、それから患者の一部負担導入、これを行って老人医療費に対する国庫負担を削減するにあるのではないか、こういう点が指摘されるわけです。したがって本法案の性格は財政調整行革法案だ、こういうことを言われる向きもあるわけでございます。私は、本来老人保健制度というものは行革法案とは別個に考えられなければならない、こう思いますので、この点については大臣から御所見をいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(森下元晴君) 決して財政調整行革法案であってはならないと思っております。いままでの御老人に対する考え方が、とにかく医療か福祉、二つの方面が非常に強く出されておりまして、いま渡部議員からお話ございましたように、もっともっと御老人というのは深い配慮の上に立たなくてはいけないというふうにおっしゃったように思いますが、私もそのとおりだと思います。いろいろ御老人の中でも、非常に元気に生きがいを感じて、病気もしない、また福祉施設にも入らないというような方もたくさんおいでになって生き生きと生きておられる、そういう方もおられるわけでございます。心理的な面から見ても御老人は非常に孤独に陥りやすい、だから病院に行きたがる。またいろいろと自分で生きがいを感じなくなる、さびしくなる。そういうことも含めて、私は深く研究して、本当の老人対策は何であるか、医療とか福祉だけではないんだという、そういう面で研究、検討をしていく必要もあるんじゃないだろうか、このように実は思っております。しかし基本的にはやはり私は福祉の面とか医療の面における分野がかなり広いということも承知しておるわけでございます。
#46
○渡部通子君 今度は医療給付の対象の問題になりますけれども、今回の老人保健法案では、医療給付の対象年齢が原案において「七十歳以上の者」とされていましたのを、衆議院の段階で、六十五歳以上七十歳未満で一定程度以上の障害のある者、これを追加されました。これ自体は喜ばしいことですけれども、しかしそもそも医療給付の対象年齢については、私は社会通念から見ても六十五歳以上、これが本当は妥当ではないか、こう思っているわけです。老人福祉法の対象や国民年金の受給開始年齢あるいは労働行政の老人施策等がすべて六十五歳、こうなっていることから見ましても、医療給付の対象年齢を六十五歳で通していただくことが妥当ではないか、こう思いますが、この点の御検討はいかがでございますか。
#47
○政府委員(吉原健二君) 老人というものは一般的に六十五歳以上の人をいうと言われていることは確かでございますし、国際的な通念ともなっているわけでございます。ただ、それぞれの制度によりまして、一口に老人対策あるいは高齢者対策といいましても、何歳以上の方を制度の対象にするかというのは、その制度の目的なりあるいは効果というものを考えました場合に、若干の年齢による違いというものは出てきてもやむを得ない面があるのではないかと思います。
 今度の老人保健法案で医療の対象年齢を原則として七十歳といたしましたのは、現在の老齢人口の数、それからそれの今後の推移、それから現在の老人の疾病の状況なりあるいは受療の状況、そういったものを考えまして、いままでの制度が、御案内のとおり、七十歳以上の者を対象にして無料化制度が行われてきておりますので、それを踏襲いたしまして、その年齢にあわせて、新しい制度におきましても、原則七十歳以上ということにしたわけでございます。
 実際問題として、六十五歳以上に仮にするといたしますと、対象年齢も一挙に約四百万人ほどふえることになりますし、それから老人医療費自体も現在すでに五十六年度で二兆五千億、五十七年度ですと三兆円ぐらいになるというふうに予想しておりますけれども、さらに一兆円以上対象の医療費がふえてくるというようなこともございますので、これからの老齢人口の推移なりあるいは国民の負担というものを考えた場合には、いまこの対象年齢というものを七十から六十五に下げて発足するということはなかなかむずかしいし、国民的な合意あるいは国の財政の状況等も考えました場合に、実際問題としてむずかしいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#48
○渡部通子君 今度は保健事業の対象でございますが、これが四十歳以上、こうなっておりますけれども、これは若ければ若いほどいいということになるかとも思いますが、子宮がん検診のみが三十歳以上の女子を対象としておりますけれども、これを横並びにすることは考えられないかどうか。これは主婦が対象になると思いますから、人口がそれほどふえるということではないと思いますけれども、この点の御検討はなさったことはあるんですか。
#49
○政府委員(三浦大助君) 老人の病気の多くのものは高血圧とか脳卒中、心臓病、こういう循環器系統の病気でございまして、一たんかかりますと慢性化しやすく、なかなか治癒しにくいという特徴がございます。したがって、健康な老後を確保するためには壮年期からの予防や発見に努めなきゃならぬということでございまして、このために私どもおおむね四十歳以上からこういう対象にした方がいいんじゃないだろうかということは、脳卒中とか心臓病が四十歳ぐらいから死因の上位を占めてまいりますし、また高血圧が四十歳ぐらいから非常にふえてくるということがございまして、一応四十歳以上の者を対象としたということでございます。
 なお、子宮がん検診につきましては、三十歳から三十九歳までの者は予算措置として行いたいというふうに考えております。
#50
○渡部通子君 四月十八日の朝日新聞に報道されたところによりますと、基準看護病院でありながら入院患者の負担で付添婦をつけていた、こういうことで東大分院が基準看護の承認を取り消されたと、こういう記事が掲載されておりました。昨年六月に診療報酬が改定になりまして、医療費も変わったわけですけれども、それにもかかわらず基準看護が実情に合わないという不満は陳情も非常に多いわけでございまして、どの大病院も抱えている問題だと思うわけです。東大分院の処分をきっかけとして基準看護を返上する国公立病院が出てくるのではないか、こういう新聞報道でも懸念があるわけでございますが、衆議院審議の段階で、従来無料であった老人医療に自己負担が導入されたことでもありますので、それはどうなるかは別として、この付き添いや差額ベッド料、こういった保険外負担が、これが速やかに解消されるべきだと思うんですけれども、附帯決議にもあるようですけれども、実情はこの新聞報道のようにむしろ逆行しているのではないか、こういう懸念をするわけです。
 で、その看護料、基準看護加算、この改善がぜひ必要と考えますけれども、こういった問題についてはどう処置をされますか。
#51
○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃいましたように、いわゆる保険外負担というものの解消、これはどうしてもやっていかにゃならぬというふうに考えます。そこで、特に付添看護、それから差額ベッド、こういうことになるわけでございますが、付添看護につきましては、これは基準看護病院でありながらなおその付添料を取っているというような、付添料を払わなければ入れないといったようなことがあれば、これはゆゆしいことであるということで、これに対しましては、厳しい私どもは措置をとるという方針でまいったわけでございまして、先般の新聞記事もそうでございました。付添料をとるということであればやはり基準看護は取り消さなきゃならぬということで、私どもといたしましては、そういう処分をしてまいったわけでございます。
 で、この問題につきましては、実は差額ベッドあるいは付添看護の問題につきましては、前回の昨年の医療費改定におきましても、これはいわゆる重症者加算制度というものを設けまして、看護につきましては、重症者看護特別加算、これは患者一人一日につき四千円、それから室料につきましては重症者室料特別加算、これは個室は一日二千円、二人部屋は一日千円ということで、重症者の加算制度をつけることによりまして、室料の差額というものを解消するという方向でこれは強力に進めてまいっておるところでございます。
 特に室料差額につきましては、大学の附属病院、これが差額ベッドを取っている数が多いわけでありまして、これにつきましては強力に指導をいたしまして、三年を目途に三人室以上の室料差額は取らないようにいたしましょうと、こういうことも言っておるところでございまして、この点につきましては早急に保険外負担の解消に努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
#52
○渡部通子君 けしからぬ、ゆゆしいとおっしゃいますけれども、実際実情に合わなきゃやっていけないわけですね。ですから、それで厚生省が取り消すなどということになれば、むしろ返上しようというようなことが起こってくるのではないかということが心配されているくらいで、私はこういうところをひとつ手厚くやっていただかないと、制度があっても中途半端なままでどっちも生かさず殺さずで死んでいるのではないかという気がするわけですね。
 だから、けしからぬ、取り消すと、これはまことにお役人的なやり方でありまして、そう言われても、実際この基準看護料ではやっていけないという実情があれば、これは患者負担でも何でもやらざるを得ないというところへ追い込まれてくるのではないか。これは国がお金を出しておきながら非常に中途半端的な出し方をやっていると、こういうむだにむしろなっていくのではないか。こういう点では手厚くすべきではないか。むしろこっちの方向に厚生省は努力をすべきであって、取ってるとはけしからぬという御答弁は、まことにこれは冷たいものだと思いますが、いかがですか。
#53
○政府委員(大和田潔君) ただいま申しましたように、これは昨年の医療費改定におきまして加算制度というものを設けておるということは、ただいま先生おっしゃいましたように、こういったようなことによりまして経済的な裏打ちをしていこうということで、こういう制度を設けたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、保険外負担の解消につきましては、ひとつ病院につきましても御協力願いたいと、こういうスタンスでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
#54
○渡部通子君 それじゃ現場は非常に困るだろうと思うんですね。この点については後ほど大臣からも保険外負担ということで御答弁はいただきたいと思っておりますけれども、保険外負担というのは実にいろいろあるんで私もびっくりするんです、細かく言いますと。
 それで、事例を二つばかり申し上げて厚生省の御見解を伺っておきたいと思うんです。病院名は申し上げるわけにはいきません。患者さんの方にいろいろまた圧力が来ると大変ですので申し上げられませんが、ある兵庫県下の病院でございますけれども、領収書の中に一部負担金というのがありまして、そこに電気料、洗濯料、おむつ料など、これは老人の入院者ですけれども、こういうのがありまして、五十四年、五十五年にはそれをひっくるめて千二百円とか千五百円とかというお金が取られていたわけですけれども、これが五十六年になりましたら、同じ一部負担金、電気料、洗濯料、おむつ料というのが二月の段階で月一万五千円、五月になりますと二万二千五百円と、こういうふうにけた外れに上がってきているわけですね。こういう一部負担金、保険外負担というものを厚生省はどう受けとめられるか。これは一つの事例として伺っておきます。
#55
○政府委員(大和田潔君) 療養上必要なもの以外で患者が特に希望したときには、患者負担となる場合があるわけでございますが、療養上必要なものにつきましては、これは保険で給付するということを基本にしておるわけでございます。たとえばただいま先生おっしゃいました洗濯代というのはどういうものであるかわかりません。これは療養上必要なたとえばベッドであるとかシーツであるとかといったようなものについての洗濯代、これまで患者負担ということになれば、それはおかしいというふうになるわけでございます。ただ、自分の個人的なものをたまたまその病院で洗濯してもらったといったようなものはこれは別でございますが、そういったようなことで、ただいま申しました療養上必要なものにつきましては、これは保険で給付するということを基本としておるわけでございます。
#56
○渡部通子君 その中身が必要な洗濯物であったか御自分の洗濯物であったかというのはわからないんですが、これが千二百円とか千五百円から急に一万五千円になったとか二万二千円になったとかということは、ちょっとおかしいとお思いでございますか。
#57
○政府委員(大和田潔君) ちょっとまだその程度のお話だとよくわかりませんけれども、具体的に事例をお聞きをしなければ何とも言えないんでございますけれども、そのままであれば全く変わらない、実態が変わらぬで急にこれらが上がったというのは、やはりどういうわけかなという感じは私もいたします。
#58
○渡部通子君 じゃ、もう一つ事例を伺います。
 これは埼玉県下の病院でございますけれども、エアコン代というのが一日七百円、十日で七千円、これを取られているわけでございますね。これは部屋代の一部として考えてもらえないのかどうかということです。
 それから心電図、これもやはり保険外負担ということらしいんですけれども、自己負担になっています。これは心臓病の患者で、長いこと入院したり、出たり入ったりという時期を長く過ごしている患者さんだものですから、大変負担が大きいということで訴えがあったわけでございます。
 これも病院名は申し上げられませんけれども、こういうエアコン代一日七百円、こういったことが保険外負担として徴収してよろしいものか、部屋代とは別に。こういうことが常時行われているのかどうか。こういうことについては厚生省はどういう御見解か伺います。
#59
○政府委員(大和田潔君) 心電図というのはちょっと私も解せないと思います。心電図については、これはもう療養上必要なものであって当然保険の対象になるべきものだと思います。
 エアコンというのはちょっと私もよくわかりませんが、つまり差額、一人部屋あるいは二人部屋の個室で特別にクーラーをつけたといったような場合、これは室料差額の一部というふうに考えられる場合がないではないというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、額につきましての問題は別にいたしまして、いまのようなふうに考えるとすれば、考えられないわけではございませんけれども、この問題につきましても、その辺の線引きなり区分なりがなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えられるものでございます。
#60
○渡部通子君 それじゃ、心電図は、明らかにこれは診療上の必要なものだという御見解。
 それからエアコンの場合についてはむずかしいとおっしゃるけれども、私は一日七百円というのは少し高過ぎるのではないかと思いますね。患者さん一人から七百円をエアコン代として取るというのはちょっと高過ぎるのではないかという気がする。
 いずれにしても、保険外負担というものがこういう微に入り細に入り、何も高級な差額ベッドとかそういったことばかりではなくして、一日一万円もする付添看護婦さんということではなくして、こういう細かいところに保険外負担というものが、洗濯代、電気代、エアコン代、こういったところにまでかかってくる。これがむしろ患者さんにとっては非常に大きな問題として累積をされている。これが実情だと思うんです。
 一部負担導入などということを法案を通してお願いするからには、こういったよけいな負担というものを、当然解消すべき負担というものを、実質的に減る方向に厚生省が大なたをふるってでも努力していただかない限り、この法案成立はむずかしい、私はこう思うわけですね。この保険外負担について大臣の御見解を伺います。
#61
○国務大臣(森下元晴君) 完全看護とかまた必要最小限度の医療、治療については、すべて保険で賄えるというようなことは、よく指導されておるようでございますけれども、間々そういうような超過負担と申しますか、一部負担があることは私どもも実は聞いております。
 ただ、ただいまお話ありましたエアコンの問題ですが、いわゆる集中冷房とか暖房をやっておるような病院の場合は、常識でわかると思いますが、一般的にやっておらない、特別にその部屋につけるために、それを御承知で、特別に払います、払ってくださいというような例があるかもわからないというふうに私は感じたわけであります。そのいまお話しの病院がどういうふうにしておるのかわかりませんけれども、本人が当然無料だと思っておったのが請求の中に入っておる、そこで予想外の負担を取られる。
 そこらあたりの具体的な例を見ないとわかりませんけれども、私はそういう負担がないように、ちゃんと患者の方々に御安心願って入院なり治療をしていただく、そういう方向で指導すべきでないか。いろいろ法の不備もある場合もございますし、また運用上の問題もあると思います。そういう点は十分気をつけてやっていきたい、また指導もしたい、こういうつもりでおるわけであります。
#62
○渡部通子君 保健事業について引き続き伺いますが、今回の法案が疾病の予防、健康づくり、こういう点に対して保健事業を実施する、これは非常に評価をされるべき点だと思います。
 どう受け入れ体制ができるかということが一番問題でございまして、それらの点に懸念が集中しているわけでございます。特に保健事業の成否というものは、マンパワー対策、これが決め手となると考えるわけですが、とりわけ保健婦さん、この存在、これをどう確保するか、こういった点が一番中心になってくるのではないかと思うのです。
 そこで、保健事業の意義の重要性から見るならば、全市町村にフルタイマーの保健婦、これが当然配置されなければならないと思います。
 五十五年末現在の市町村保健婦の設置状況を見ますと、保健婦未設置市町村数が四百五十八カ所ですね。一方、五十七年度予算の市町村保健婦の増員、これは二百八十七人、こう聞いております。この未設置市町村解消についてどう対応なさるのか、まず伺います。
#63
○政府委員(三浦大助君) 保健婦さんを置いてない町村でございますが、いま御指摘のように約四百六十市町村ございます。これにつきましては、県から派遣なり駐在制度をとっているところが、その中で百七十町村ばかりあるわけでございますが、残りの完全に未設置というところにつきましては、これから私ども鋭意設置していただくようにという方向で指導をしてまいりたいと思っておりますし、また保健事業を行うにつきまして、保健婦さんがいないというようなところにつきましては、当面保健所からの応援体制、こういうことも考えておるわけでございます。
#64
○渡部通子君 そうしますと、来年度で末設置、保健婦さんのいない保健所というのはどのくらいになるんですか。
#65
○政府委員(三浦大助君) 来年度にどのくらいになるかといいますのは、これから私どもいろいろ指導をしていかなければなりませんので、ちょっとまだ私ども来年度どのくらいになるかということはわかりません。ただ、五年間で私どもこの老人保健事業のために八千人の保健婦さんを確保したいということを考えておりまして、五年間の間にとにかく逐次増強していただいて、五年後に一応保健事業は全市町村が一定の水準までできるように、こういう方向でいま考えているわけでございます。
#66
○渡部通子君 そうしますと、いままでの御答弁を総合しますと、五十五年末現在未設置市町村数が四百五十八、そのうち保健所保健婦さんでカバーしているところが百六十六カ所、残り二百九十二カ所が無保健婦の市町村、五十五年末現在ですね。そこに今度予算措置は二百八十七人とった、こういうことになるわけですね。予算措置はとったけれども、確かにこの二百八十七人は確保される見通しでございますか。
#67
○政府委員(三浦大助君) いま保健婦さんの養成というのは五十七校ございまして、約二千人毎年卒業してくるわけでございますが、その中で約八百名ぐらいの方は職場とかさらに上の学校に行くとか、ほかの方に行きまして、約一千二百名ぐらいは市町村の方に、あるいは保健所の方に入ってくる可能性があるんではないだろうかと考えております。
 なお、その中で毎年定年退職で退職される方が六百人ぐらいおるわけでございますので、差し引き六百名ぐらいの方はこれらの市町村あるいは保健所に入ってくるんではないだろうか。
 したがって、新規の保健婦さんといたしましては、私ども八千人のうち約三千名を五カ年間で新規の保健婦さんを採用し、それから二千名は、現在保健所と市町村に約一万五千名の保健婦さんがおりますが、この中から二千名を老人保健の方に充てる。それからあと残りの三千名につきましては、退職保健婦さんを雇い上げて寝た切り老人等の訪問指導に当たっていただこう。
 こういうふうに考えておるわけでございますので、二百八十何名かの保健婦さんは、私はいずれかの市町村に採用の可能性はあるというふうに考えております。
#68
○渡部通子君 ペーパープランとしては大変結構だろうと思います。順次伺ってまいります。
 保健事業の訪問指導につきましては、潜在保健婦をパートで雇い上げて実施することになっているようですね。五十七年度予算で一千五百七人雇い上げを予定しておられるようです。過去のナースバンクの実績では、求職側に条件が多過ぎて就業に至らないケースが多い。よほど雇用条件をよくしない限り、雇い上げ計画が予定どおり進むか否かが非常に心配だと思うんです。雇用条件については何かお考えでございますか。
#69
○政府委員(三浦大助君) これは雇い上げの単価の問題が非常に大きな問題になると思いますが、一応本年度予算では三千九百円ということになっております。これが一つは安いんじゃないかという御批判もございますが、これは国の一応統一単価でございますので、この点につきましては、保健婦さんだけ高くするということにもまいりませんし、これは今後ひとつ努力していきたいというふうに考えております。
 それから雇用の方法でございますが、これにつきましても、恐らく各都道府県でそれぞれ実情に合った方法でこういう退職保健婦さんをどうするかということはお考えいただくわけでございますが、県単位にナースバンクを利用するところもございましょうし、あるいは保健所の方でいろいろまとめてお世話をするところがあるかもしれません。それにつきましては、県の実態に即応して県なりにお考えいただこうというふうに考えております。
#70
○渡部通子君 その雇い上げ費が三千九百円、これは統一単価で要求しておられるようですけれども、保健婦さんも不便な土地に行きたがらない。これは無理もないと思うんですね、お子さんの教育とかいろいろありますから。そういう実態から、都市部と郡部といいますか、僻地あたりで雇い上げ費の単価を運用で分けるべきではないか。これに対してはどういうお考えをお持ちでしょうか。
#71
○政府委員(三浦大助君) この単価は非常にむずかしゅうございまして、これからまたいろいろ今後予算要求あるたびに何とかひとつ値上げの方向で折衝し、努力はしていきたいと思っておりますが、この単価につきましては、ひとつ今年度はこれでやらざるを得ないというふうに考えております。
#72
○渡部通子君 先ほどペーパープランとしては大変結構だと私、申したんですが、実情はなかなか大変だと思うんですね。五十七年度予算では訪問指導の対象は十七万二千人と、こうなっておりますけれども、千五百七人の雇い上げでうまく対応できるのかどうか。千五百七人の配置、それから勤務時間、こういったものを考えると、どうなっているんだろうか心配になりますが、その点はいかがですか。
#73
○政府委員(三浦大助君) 恐らく一部の市町村においては必要数が確保できないというところが出てくるかもしれません。こういう場合には、看護婦さんの資格を持つ方を活用するとか、そういう方法でひとつ何とかやってまいりたいというふうに考えております。
#74
○渡部通子君 潜在看護婦の雇い上げは、いろいろな条件もあり、単価も安いので、計画どおり進まないのではないか。それは局長も御心配のとおりで、私なども実情を見ますと、なかなか計画どおりには保健婦さんが雇い上げにくいというのが実情だと思うんです。また現実のニーズというものは、訪問看護の要求は切実なんですね。ですから保健婦の養成、確保に力を入れまして、訪問指導は将来フルタイマーの保健婦でやらなければそして訪問指導でなくて看護、これが要求でございますから、フルタイマーで対応しない限りは間に合わないのではないか、対応し切れないのではないか。フルタイマーに切りかえるべきだと思いますけれども、その点はいかがですか。
#75
○政府委員(三浦大助君) この訪問指導につきましては私ども、保健婦さんだけでいいかという問題も一方にございます。食事の指導、栄養指導、こういう面で栄養士さんの協力もいただかなければなりませんし、まして訪問看護ということになりますと、お世話になりますと、これはホームヘルパーとの有機的な連絡も必要でございます。したがいまして、当面これで私どもスタートして、何とかひとついろんな職種で十分な指導ができますように、有機的な連絡をとりながらできるように指導してまいりたいと考えております。
#76
○渡部通子君 その辺はヘルパーとかさらに進んではボランティアとか、そういったことまで枠を広げて総合的にやらない限り対応し切れないのではないか。それから保健婦さんのフルタイマーの養成に力を入れていただかなければならないのではないかと、これを私は心配をするわけです。
 で、現在、就業保健婦の年齢別分布状況というものを拝見しますと、五十歳以上が一つのかたまりになっているようです。大変高齢化しております。これらの方々が退職をしてしまいますと保健婦さんの数が激減するのではないか。これは明白でございます。一方、年間養成定員数、先ほど千八百人の卒業生があるというお話でございましたけれども、就業するのは、いろんな事情もありましょうが、半数ぐらい、こう言われているようです。これらの実情に対応した養成の拡充策が早急に講じられなければなりませんが、これに対してはどうお取り組みになりますか。
#77
○政府委員(三浦大助君) ただいま御指摘のように、五十歳以上の方が約三割という統計がございますが、この五年間で、私どもの調査によりますと、約三千名の方が定年退職でやめられるんじゃないだろうかという計算をしておるわけでございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、年間千二百名ぐらいの方が保健所、市町村に入っていただける可能性があるということでございますので、そういう方々が入っていただければ、この退職の保健婦さん、五年間に三千人でございますから、年間六百人ずつといたしまして、私どもこれも考慮に入れまして、新規の保健婦さんが三千名、それから退職の保健婦さんをまた再び雇い上げて活用する方向で三千名という計画を持っておるわけでございます。
#78
○渡部通子君 保健婦さんになっても、一般の事務職についてしまうとか、保健婦さんとしての職業を全うなさらない方もいるわけですね。私は、保健婦という仕事がもう少し魅力あるものにならない限り、卒業した人が喜んで保健婦活動を続けてくださるかどうか。この点が、半数ぐらいしか保健婦さんとして活躍しないというのは大変残念なことではなかろうか。これはいろんな事情に対する細かい対応、雇い上げ、雇用に対する細かい配慮の不足もあると思うし、保健婦さん自身に対するもう少し待遇改善等も考えられなければならないんではないか。
 こう思うわけで、一昨年の社会労働委員会において、私は母子保健の観点から、助産婦、保健婦の確保対策、これについてもう少し魅力のある職業とできないかと質疑をいたしました。で、労働条件とか給与、こういった改善も図るべきだということで努力を約束してくだすったわけでございますが、その後これらの点について何か改善が図られたのかどうか伺いたいんです。
#79
○政府委員(三浦大助君) 確かに保健婦さんの仕事と申しますのは、訪問指導、あるいは健康相談、いろんなたくさんの仕事がございまして、いまのままでよいかと、こうなりますと、私は十分だとは思っておりません。ただ、多ければ多いほどいいことはわかりますが、現在のような厳しい財政状況の中で、それじゃいきなり大ぜいの方の確保はということになりますと、非常に問題ございますし、あるいはまた年間、先ほど申し上げましたように、五十七校で約二千名しか養成されておらないわけでございますから、その辺も考えて一応五年間で八千名ということにしたわけでございますが、もしその養成の数がもっとふえれば、これは私ども多ければ多いほどいいわけでございますが、その辺の現実的な姿を考えながらこの計画を立てたわけでございます。
#80
○渡部通子君 これは大蔵省の問題でもありますので、大臣にもお願いをしておきたいと思うんですけれども、幾ら老人保健法案を審議して、保健事業をやる、予防、リハビリに力を入れる、これからの高齢化対策にとってはこれは大変画期的な法案だと先ほど審議官も言われておりますけれども、実際やりようがなかったならばどうしようもないわけで、それに対応するだけの人間とか施設とかというものを確保していただかない限り、法律が通っても、これは魂を欠いてしまうわけでございまして、大変なことはよくわかりますけれども、これからの高齢化社会にとって一番大事なことですし、医療費を長い目で見て節減する上においても一番のポイントになる問題だと思います。それにはマンパワーの保健婦さんの確保ということが、これは大事なことになりますし、それからこれだけ女性が働く時代を迎えて、その女性の働き口という立場から見ても、人生の仕事という立場から見ても、これはとうとばれなければならない問題でもございますし、きょうは大蔵省お呼びしておりませんけれども、折衝に当たっては大臣に鋭意これだけは努力をしていただかなければならないと思いますので、御決意を伺っておきます。
#81
○国務大臣(森下元晴君) 保健婦さんの仕事が魅力ある仕事であるようにしたいと思っております。医療の一部を受け持つし、また時には女性的なやさしさも必要でございますし、またこの前の委員会でも、寝たきりの御老人を訪問する者がなかったために悲惨な状況になっておったというようなことも間々ございますし、いろんな意味で保健婦さんの仕事はむずかしくて、しかもなかなか大変な仕事であるということを考えました場合に、御指摘のような御趣旨をよく私どもも踏まえまして、待遇の点におきましても、りっぱな方がたくさん入っていただけるようにする方向で全力を挙げたいと思っております。
#82
○渡部通子君 次に、保健事業の実施場所の問題でございますけれども、これは市町村保健センター、こういうことで整備が進められていくことになっています。しかし現在類似の事業所が非常に多いわけですね。たとえば健康増進センター、母子健康センター、老人福祉センター特A型、農村保健センター、保健所、こういったものがあるわけで、この保健婦さんを効率的に運用するという面から言っても、また行革の観点から申しましても、これらの保健施設それぞれの保健対策に相談業務等を統合的にやれないものか。
 先般本院で視察に刈谷市に参りましたときに、これは委員全体の感想でもありまして、保健所と保健センターというものがもうすぐ近くにありまして、これどっちがどういう機能を果たし、住民としては、健康が心配なときに一体どっちに行くのかというような点で、私たち自身が了解に苦しみました。これは最後まで疑問として残った点でありまして、この前の議事録に掲載していただきました報告書の中にも、センターの利点は、「住民が気安く直接的に接触できる場所という点であり、保健所との関係では両者の一体的運営が要求されています」と、こう掲載をさせていただいたところなんですね。
 この辺のこの類似施設の効率的な運用とか統合とか業務、相談の窓口の一本化とか、こういった点については何かいい知恵がないものかどうか、これを伺います。
#83
○政府委員(三浦大助君) 私ども保健事業、たとえば衛生、健康教育、健康相談とかあるいは健診、そういった場として、もちろん検診車もございますけれども、活動の中心を市町村保健センターに持っていこうというふうに考えておるわけでございますけれども、現在まだ四百カ所しかございません。これは五年間に千カ所まで持っていきたいと考えておりますが、もちろんそれでは足りませんので、あるいは公民館を使う場合もありましょうし、老人福祉センターのようなところを使う場合もありましょうし、それは場所はひとつ市町村の方で計画のときにお選びいただきたい。ただ、保健所はそういう場合に、いろんな企画、運営あるいはいろんな高度な施設の貸与とか、あるいは専門の職員の派遣とか、そういうふうに考えておりまして、保健所と市町村センターといいますのは、これは常に緊密な連絡をとって今後運営するようにということは常々都道府県を介して指導をしておるわけでございます。
#84
○渡部通子君 そのほかにいろいろこういう農村保健センターだとか母子健康センターだとか福祉センターだとかといろいろありますけれども、これは住民側から見た場合に区別はしているんでしょうか。それとも同じように体が心配な場合にはどこかに飛び込むというふうになっているんでしょうか。
#85
○政府委員(三浦大助君) 健康増進センターと申しますのはまだそんなにはございませんが、ただ母子健康センターというのは各地にかなりできておりますが、今度の老人保健法の保健事業をするに当たりましては、その点どこでという最初にPRは十分ひとつ住民の方々にはしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#86
○渡部通子君 次に、機能訓練要員の養成確保の問題でございますが、高齢化になってまいりますと機能訓練に対するニーズは今後ますます増大することは当然でございます。しかしリハビリ要員の状況というものは五十六年末PTが三千四十五人、OTが一千八十九人、視能訓練士は八百三十五人、絶対的に不足しているという状況です。言語療法士に至ってはまだ身分法もないありさまで、これらリハビリ要員の養成確保を急がなければならないと思うんですが、PT、OTについては当分の間保健事業費に計上されている雇い上げ費により必要な要員の確保を図ること、こうされておりますけれども、具体的にどの程度の単価で、どのくらいの人数を見込んでいらっしゃいますか。
#87
○政府委員(三浦大助君) PTとOTにつきましては、現在御指摘いただきましたように、まだ約四千名程度でございますが、これが今後五カ年間ぐらい、昭和六十年から六十五年ぐらいにかけましてこれをPTを六千名、それからOTを四千人ぐらいに持っていこうという計画はあるわけでございますが、いずれにいたしましても、専門のOT、PTを使うということは、まだここ一、二年の間は非常にむずかしいんではないだろうか。本格的な機能訓練と申しますのは、これは医療の場でおやりいただくわけでございますから、私どもの考えておりますリハビリと申しますのは、要するに、回復可能な方々に市町村保健センターなりあるいは老人福祉センターなり公民館なり、そういうところにお集まりいただいて、何といいますか、体操を中心にしたようなものをひとつやっていこうじゃないか。したがいまして、その場合必ずしもOT、PTでなくも、あるいは保健婦さんにやっていただくとか、そういうことも考えておるわけでございます。この雇い上げの費用は予算にございませんが、これはひとつ公費で見ていこうということでございます。
#88
○渡部通子君 言語療法士でございますが、これは身分制定について一昨年検討委員会が発足して成案を得れば法制化すると、こういうことでございましたけれども、その後どうなっておりますか。
#89
○政府委員(大谷藤郎君) 国会の御指摘もございまして、昨年の三月に日本聴能言語士協会あるいは日本耳鼻科学会などの関係四団体の要望も受けまして、厚生省の中に学識経験者から成りますところの検討会を設置いたしまして、制度化について検討してきたところでございます。
 ただ、しかしこの制度化に当たりまして、修業年限につきましてどうも非常にむずかしい問題がございまして、まだ実は成案を得るに至っていないと、こういう状況でございまして、残念ながらまだ委員会の結論がまとまっていないということでございます。
#90
○渡部通子君 これひとつ長年の懸案でございますし、要望も多いことでございますから、努力をお願いしたいと思うわけです。
 保健所について若干お尋ねをいたします。
 保健所の果たす役割りというものもこれから大きくなるばかりでございますので、まず医師の確保でございますが、現在八百五十二カ所の全保健所の中で医師がいない兼任のところは七十カ所と聞いております。しかも保健所医師の多くは老齢で退職年齢に近いということを考えますと、大変これは重要な問題だと思うんです。地方公務員法改正に伴う定年制導入、この問題もございますし、このままでは近い将来医師の大幅不足が保健所に対しては出てくるのではないか。保健事業のマンパワー確保計画では具体的になっておりませんけれども、この辺の事情にどう対応なさるおつもりでございますか。
#91
○政府委員(三浦大助君) 保健所活動の中心となります保健所に勤務する医師の確保状況と申しますのは、必ずしも満足すべきものとは言えないわけでございますが、私どもといたしましても、医学生に対します修学資金の貸与の制度の活用とか、あるいは医学生に公衆衛生の重要性を認識していただくために、大学の医学部と保健所が共同で調査研究を実施して、なるべくこっちの方に引っ張り込んでいただくとか、あるいは保健所勤務の医師の待遇改善、こういうことによりまして何とかひとつ充足していこうということで努力はしておるわけでございます。
 こういう対策の結果、全体的にはかなり高齢のお医者さんがおりますので、やめられる方もおりますので、全体的には若干減少をしておりますが、若い医師の就職状況というのは最近だんだんとふえてまいっておりまして、この点非常に好転してきたのではないかというふうに思っております。したがって、こういう傾向が続けば将来的には医師の充足状況というのは改善してくるだろうというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、もう一つ、地方公務員法の改正に伴って保健所の医師の確保は大丈夫かというお話でございますが、これにつきましては、国家公務員である医師の定年に準じまして、六十五歳定年制が考えられておるわけでございます。この定年制の導入というのは六十年の三月三十一日からということになっておりまして、また欠員の補充が非常に困難な場合には三年間延長できる、こういうこともございますので、私どもその間にひとつ保健所の医師の充足につきましては最大の努力をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
#92
○渡部通子君 公務員の定員削減計画というものが、こういった保健所や医療職にまで来るというのはどうかと思うんです。この保健所の職員も対象にされておりますが、保健所強化の必要の観点からこれらの兼ね合いをどうするおつもりでございますか、職員の場合。
#93
○政府委員(三浦大助君) 保健所におきます国庫補助職員の定員削減の問題でございますが、これは国家公務員の定員管理計画の横並びの措置といたしまして、昭和四十三年度から他の補助職員と同じように適用されてきたわけでございますが、ただ保健予防の重要性にかんがみまして、保健所につきましては、その活動の中心となります医師とかあるいは保健婦、こういう医療技術職員につきましては、その削減を最小限にとどめるという特別の措置をいままでとってきたわけでございまして、これからも事務の能率化、簡素化等によりまして業務に支障を来さないように指導してまいりたいと思っております。
 御参考までに、その定員削減率というのは事務職で一一・七%でございますが、医療職は〇・五%ということでございます。
#94
○渡部通子君 こういうお医者さんやその他マンパワーの偏在是正をして保健対策を進めなきゃならないわけですが、医療機関等の適正配置も計画的に図っていかなければなりません。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
そのために「必要な法制の整備に努める」よう先国会衆議院で附帯決議もなされているわけですが、私は医療法の改正というものはどうしてもここで必要になってくると思うんです。今国会提出という予定も聞いておりましたけれども、これは一体どうなりましょうか。
#95
○国務大臣(森下元晴君) 医療法の改正問題につきましては、御承知のように、地域医療の問題とか医療法人の問題、その他医療費の適正化の問題を含めた内容のものでございまして、前の国会から引き続いての実は命題として厚生省としてはぜひこの法案を出したい、またこの法案を通してもらいたい、そういう気持ちはいまなお強く持ち続けておりまして、でき得ればこの国会にも提出をいたしたいと、このような気持ちであります。
#96
○渡部通子君 保健所法の見直しの点についても一つ伺っておきます。
 現在保健所関係の法律が約百。私も不勉強で、今度初めて拝見して百にも及んでいるのにびっくりしたんですが、衛生関係法律のほとんどについて保健所の協力事項になっております。要員も不足で、しかも行革で定員削減の締めつけもある。こうした業務のあり方が果たして可能かどうかと大変心配です。
 保健所の機能はいままで変遷を重ねておりますが、保健所法の改正は長年の懸案とも伺っておりますので、この際保健所法を見直して、今日的に保健所はどうあればいいか、こういう姿をイメージ的にも確立すべきではないか、こう考えますが、いかがでございますか。
#97
○政府委員(三浦大助君) 保健所法の改正問題につきましては、長年にわたっていろいろ検討をしてきたわけでございます。長い間非常に大変大事な仕事をしてきた関係もございまして、ここで一挙に改正ということはどうもいろいろむずかしかろうということで、現在のところ、いま改正はまだ考えておりません。これからますます老人保健等も加えますと、保健所の任務というのは非常に重大な任務を帯びてくるわけでございますからして、有機的に今後の活動も見きわめながら考えてまいりたいと思っております。したがいまして、現在のところまだ保健所法の改正というのは私ども考えておりません。
#98
○渡部通子君 市町村の医療に関する事務費について、細かいことですが伺っておきます。
 今回の法案の実施主体は市町村でございます。市町村に老人医療の特別会計が設けられるとそれだけ事務量がふえることが予測をされます。市町村が行い、または社会保険診療報酬支払基金や国保団体連合会に委託する審査支払い業務の費用は支払基金から交付金が交付されますけれども、交付金を充てられない医療に関する事務費は二分の一を国が負担し、残る二分の一は市町村の負担となる。市町村は、国保の事務費が多少減ってもそれにより大きな事務費が必要になるのではないかと思いますが、いかがですか。
#99
○政府委員(吉原健二君) 老人保健法による市町村の事務費でございますけれども、
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
医療につきましては、医療の審査、支払い事務費は市町村が支払基金等に委託をして実施をするということになるわけでございますけれども、これは全額交付金で賄うということにしております。それからその他の事務費につきましては国が二分の一、市町村が二分の一ということにしておりまして、これは現行制度における事務費負担、老人福祉法による現行の無料化制度による事務費の負担がそういうことになっておりますので、それを踏襲してこういった負担にしたわけでございます。
 市町村の事務量が現在とそれから新しい制度ができました場合にどういうふうになるのか、全体としてふえるのかふえないのかというようなことが一つ問題かと思いますけれども、私どもとしては、従来とも七十歳以上の方についての医療につきましては、保険の自己負担分を市町村で老人福祉法によってやっておりましたので、全体の事務量は今度の法律ができましたことによってふえるということはないと考えております。所得制限というようなこともございませんし、一方で国保についての事務量は逆に減ってくるという面もございますので、市町村の事務量というものが全体として今度の新制度の実施によってふえるということはない。で、市町村の事務費に対する負担の考え方は現行従来の考え方を踏襲したと、こういうことでございます。
#100
○渡部通子君 今度は保健事業の事務費の方でございますが、事務費としての人件費について従来の人数でこなせるのかどうか。増員をしなければならないことになりますと、地方交付税で見てもらえるのかどうか。その点はどうでしょうか。
#101
○政府委員(吉原健二君) 保健事業の事務費でございますけれども、ヘルスにつきましても、考え方といたしましては、国が二分の一、市町村が二分の一、これは予算で市町村に対して補助をするということにしているわけでございます。
 それからそのヘルスの事業をやる場合の人件費でございますけれども、これはヘルスの事業というものをこの法律によりまして相当飛躍的に拡充をしていこうということでございますので、市町村のそれに必要な人件費というものも、これは相当ふやしていかなければならないと思いまして、その点につきましては、地方交付税の中で、都道府県も若干入りますけれども、都道府県、市町村合わせまして、約四千名の増員というものを地方交付税の方で措置をするということにいたしております。
#102
○渡部通子君 わかりました。
 健康診査の点でちょっと伺っておきますが、健康診査の種類は、循環器を中心とする一般診査、精密検査と胃がん、子宮がん検診、さらに一般診査は問診、理学的検査、血圧測定、検尿、これだけが考えられているようでございますが、ここに老人の歯科保健対策が考えられないかどうかですね。平均寿命は伸びても歯の寿命は短くなってきているという昨今でございますし、消化器疾患を招くことにもなるし、悪性新生物との関係も取りざたされておりますので、健康診査に歯科検診を加えるべきではないかというこの一点。
 それからもう一つ、厚生省は最近、これからはがんの中でも肺がんがメーンになってくるのではないか、非常にふえるのではないかということをすでに発表していらっしゃるわけですけれども、この健康診査の中に肺がんということはお考えにならなかったのかどうか。この二つを伺っておきたいと思います。
#103
○政府委員(三浦大助君) 歯科保健の重要性につきましては、私ども十分認識しているつもりでございますが、当面歯科保健につきましては、健康教育あるいは健康相談の中でひとつ取り上げていこうというふうに考えておるわけでございまして、検診につきましては、当面非常に死亡率の高いがんあるいは循環器疾患、こういうものに重点を置いたわけでございまして、したがって歯科保健につきましては、健康相談、健康教育のところで重点を置いてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから肺がんでございますが、現在がんにつきましても、胃がんと子宮がんにつきまして検診を行いたいと思っておるところでございますが、肺がんにつきましては、まだ集団検診技術のようなものが確立しておらないわけでございまして、学会にもいろいろ両論がございます。これは私ども近い将来やらなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございますが、その点もございますので、ひとつ肺がんの集団検診方法の確立というようなこととあわせまして、今年度予算の中にそういう調査費も含まれておりますので、その点早くそういう検診方法の確立というようなことを見出して、これも将来加えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#104
○渡部通子君 最後に薬価の問題についても一点お伺いをしておきたいと思うんです。
 医療費の抑制という問題については、何としてももう少し薬代というものを減らすという方向に総合的に進めなければならないと思うわけです。その薬価基準の改定につきましては、厚生大臣に先日の予算委員会で私お尋ねをしたんです。ことしもやりますという御返事でございました。時期が明確にならなかったわけでございますが、いま調査はどの程度進んでいるのか、昨年の場合六月でございますから、一年に一回やるということになってくると、もうそろそろ時節が近づいているわけです。どういう段階になっておりますか御報告いただきたいと思います。
#105
○政府委員(大和田潔君) 薬価調査につきましては、すでに御案内のように、五十七年の一月に本調査を行いまして、二月ないし三月に事後の特別調査を行ったところでございまして、さらにその後の状況につきまして経時変動調査を実施するという予定でございます。
 なお、いつまとまるかということにつきましては、現時点では明確に申し上げられないわけでございますが、できるだけ早くこれはまとめていきたいというふうに考えておるところでございます。
#106
○渡部通子君 重ねて伺っておきますが、できるだけ早くというのは、夏なのか秋なのか、去年と同じくらいの期日をめどにしていらっしゃるのかということ。それから調査の進行状態、まだ途中でございましょうけれども、昨年は大変な大幅でございましたけれども、ことしはどの程度に考えられるのか。
#107
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申しましたように、いまの時点でいつこれが完了するということにつきましては、まだちょっと申し上げられない時点でございますし、したがいまして、いま現段階におきましては、その結果を待って、私どもといたしまして薬価算定作業に着手をいたしたいと考えておるわけでございますので、どのような幅であるかということにつきましては、全く私どもといたしましてもまだわからない、こういうような状況でございます。
#108
○渡部通子君 現行の九〇%バルクライン方式の改善ですね、これを厚生省としても考えているんだと、こう言われておりますけれども、どのような経過になっているか御報告をいただきたいと思うんです。その際、この薬価算定方式については、臨調答申においても、国民医療費の増大を抑制するために見直すよう指摘されておりますので、ぜひ鋭意御検討いただきたいと思うわけでございます。厚生大臣は、この問題については中医協に検討を依頼されておりますかどうか、これもあわせて伺います。
#109
○政府委員(大和田潔君) これはいま薬価算定方式につきまして中医協に検討をお願いをしております。これは昨年の九月二十六日の段階で、薬価基準のあり方、特に薬価算定方式を中心にいたしまして検討依頼という形で中医協に諮問しておるわけでございます。これが九月二十六日の段階でございまして、それ以前から、六月の段階から薬価基準のあり方につきまして一般的御審議を願っておるわけでございますが、ただいま申しました九月以降につきまして、すでに七回にわたりまして中医協におきましてこの薬価算定方式が検討されておるという、こういう状況でございます。
#110
○渡部通子君 七回行われておりますと大体いつごろ結論が得られる見通しでございますか。
#111
○政府委員(大和田潔君) できるだけ早くとお願いをしておるわけでございますが、いまのところいつというふうに明確にお答えできるような段階ではございません。
#112
○渡部通子君 厚生大臣からもこの薬価の問題について一言答弁をいただきたいと思っておりますけれども、諮問中というと絶対答えが出てこないというのがもう通例でございまして、私もここで押し問答するのはやめますけれども、薬価を改定する、改定すると言いながら、去年の場合も三年かかったんですね。毎年一回やる、ことしもやるとおっしゃっておきながら、よっぽどハッパかけていただきませんと、これまたずるずるずるずると先延ばしになる。経時変動調査などということでいかにもやっているような形で引き延ばす、こういうことが過去の経緯にもありました。したがって薬価の改定、すなわち医療費に占める薬剤費の節減ですね、これだけは何としてもやっていかなきゃならないと私も思いますので、それについては厚生大臣、責任を持ってお願いをしたいと思いますが、いかがでしょう。
#113
○国務大臣(森下元晴君) 医療費に占める薬価の割合が約三分の一でございまして、財政的に見た場合でも、この医療行政の中における薬価の問題は非常に重要な問題でございます。臨調でも大体一年に一遍必らず見直しなさいというような内容の答申もございますし、私どもは適正な薬価というものをつくっていきたい。そのために中医協にいまいろいろと検討してもらっておるわけでございまして、先ほど局長が答弁しましたように、いつということ、また幅がどの程度であるかということは、いまの段階では申し上げられませんけれども、この問題については非常に重大な関心事として私どもは見守っておるし、できるだけ早く改定をいたしたいと、このように思っております。
#114
○渡部通子君 終わります。
#115
○委員長(粕谷照美君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#116
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 午前に引き続き、老人保健法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#117
○沓脱タケ子君 それでは、本論に入る前に、最初に基本的理念についてお尋ねをしたいと思います。
 本法案の第二条に言う「基本的理念」、特に私はこの第一項というのは実にみごとにこの法案の性格を浮き彫りにしていると思うわけでございます。二条の第一項には、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」と述べられております。この基本的理念というのは、国民は健康の保持増進に努めなさい、それから二番目には老人医療費は国民が分担をして負担をしなさいと、こういう二点になっているんですね。
 そこでお聞きをしたいのは、ここで言う「自助」という言葉の意味なんですがね。自分の健康は自分で守るというような意味で「自助」ということを基本的理念にお書きになったのかどうか、その辺のところをまず最初にお聞きをしたいと思うんです。
#118
○政府委員(吉原健二君) ここで言っております「自助」でございますけれども、一つはその後に続いて法律が規定しておりますように、「自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努める」、つまり自分の健康は自分で守る、健康についての自己責任の原則、その前提というものを法律上はっきりさしたということと、それから老人医療の費用負担につきましても、老人の医療費は国民全体が公平に負担をするという考え方に立つわけでございますけれども、自助と連帯と。自助というものが前提にあって、その上で国民全体が公平に負担をしていくということを言っているわけでございます。
#119
○沓脱タケ子君 それでね、法律案の基本理念ですから余り常識的では困るわけですよね。この法律の「基本的理念」というところには、「国民は」と書いてあるけれども、政府は、国はというやつは一言もないですわな。これは恐れ入ったわけでございましてね。国民は自分の努力で健康を守りなさい、年寄りになったら老人の医療はみんなで分担して国民で負担しなさいと。こういう考え方になりますと、まさに社会保障も何もなくなるわけですね、要らなくなる。
 こういう自助と連帯の思想というのは一体どこの考え方かといいますと、これは実にきれいに出ているんです。財界でもこう言うているんですよ。これは昭和五十五年の産業計画懇談会でどういうふうに言っているかというと、「今後の福祉の拡大は、財政によらず、国民各自の手で自らの福祉を高めていく方向に発展していくことが望ましい。真の福祉は、歳出の増加を通じて実現していくべきものではなくて、国民自身が自らの手で築き上げるものとするところに根拠が置かれるべきである」と。五十六年二月にも同じことをおっしゃっている。これは財界の桜田武さんが参加をしている産計懇の御意見なんですね。
 それから自民党はどういうふうにお考えになっているかといいますと、これは自民党の国民医療対策大綱、昭和四十四年の六月にお出しになっている医療基本問題調査会小委員会報告というところを見ますと、やはり「基本となる考え方」という項で、「自分の健康は自分で守るという自己責任の原理を具現したものとして」というふうに、自分の健康は自分で守るということが基本的考え方なんですね。
 臨調の第一次答申にはどう出ているかといいますと、これは昨年の七月十日に出されましたが、ここにありますのは、「国民の自立・自助の活動、自己責任の気風を最大限に尊重し、関係行政の縮減、効率化を図る」ということで、ここも「自助の活動、自己責任の気風」と、こういうことになっているんですね。
 要は、自分のめんどうは自分で見ろ、社会保障というようなものは最小限でよいという考え方なんですね。大臣、憲法二十五条の精神と全く違うと思うんですがね、大臣はそう思いませんか。
#120
○国務大臣(森下元晴君) 憲法第二十五条は国民の権利を強く主張してございまして、最低限度の生活の保障、そのために社会福祉、社会保障を通じてと。そういうような新しい憲法における一つの大きな柱でもございます。したがって、この老人保健法も私は、その理念と申しますか、その精神を踏まえての老人保健法であるということで、「目的」、「基本的理念」、「国の責務」とずっと続いておりますけれども、その中に流れておりますのは、特に健康問題については自分のことは自分が一番よく知っているはずでもございますし、ただ問題は、それがすべて自分でできないというところに、国がどういう方法でまたどういう配慮、また義務的にどういうことをしなければいけないか、同時にまた個人の自覚、両々相まって老後の幸せ、医療というものが行われる、また憲法の精神に沿って法というものが運用されていく、そういうことを大変りっぱに書かれておる内容であると、私はそう理解をしております。
#121
○沓脱タケ子君 憲法二十五条にはこう書いてあるんですよ。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と。国の責務というのはちゃんと明記をされている。ところが、老人保健法の基本理念というところには、「国民は」、「国民は」ばかりですわ。そういうことで全く憲法理念からいうたら逆になっている。憲法の第三章では「国民の権利及び義務」ということになっているんですが、この法律案の「基本的理念」を見ますとこれは逆になって、逆立ちしているというふうに思うわけです。
 そこでちょっとお聞きをしたいんですが、総理府が五十五年の十月に実施をいたしました年金問題・高齢化問題の調査によりますと、四十歳以上の人たちは大体何%ぐらいの者が健康保持のために努力を実行しているか。これは厚生省御存じでしょう、きのうちょっと私資料を言うておいたけれども、どうですか。
#122
○政府委員(吉原健二君) 御指摘の調査と申しますのは、総理府が五十五年の十月に行いました年金問題・高齢化問題等に関する意識調査のことを言っておられるのだと思いますが、それによりますと、健康保持法、自分で健康を保持するために何かやっているかどうかという質問、調査に対しまして、男女合わせて七七%の方が何らかの健康保持法をやっていると。たとえば食事に気をつけているとか、睡眠を十分にとっているとか、あるいはスポーツ等やっているというようなことで心がけているという調査になっております。
#123
○沓脱タケ子君 おっしゃるとおり健康を願っていない国民というのはいないんですね。だから、いま御指摘にありましたように、総理府の調査でも、四十歳以上の方々になりますと、四十歳から四十九歳が七九%、五十から五十九が八二、六十から六十九が八〇%、七十歳以上の方々でも七八%というふうに、ほぼ八割以上の方々は健康保持のためにすでに努力をしているということが調査の結果出ているわけですね。こういう国民の実態というのは、これは総理府は調査をしておられるんですが、この理念でいくと、自分の健康は自分で守れというんだけれども、この基本的理念でいくともっと努力せいということですか。
#124
○政府委員(吉原健二君) ただいまの調査におきまする健康保持法といいますものは、先ほどお答え申し上げましたように、食事に気をつけているかどうかでありますとか、あるいは酒やたばこを慎んでいるかどうかでありますとか、あるいは保健薬や栄養剤を使っているかどうかでありますとか、そういったことも健康保持法に心がけているということに入っているわけでございまして、私どもそれはそれとして評価をすべきことだと思いますけれども、ここで言っております自分の健康は自分で守る、自己責任の原則として考えておりますのは、その程度のことではございませんで、もっと積極的な意味で自分の健康を自分で守る。そのために、たとえば年一回の健診等を受けていただくというようなことまでもあわせて自己責任というようなことで考えているわけでございます。
#125
○沓脱タケ子君 私は、自分の健康を自分で守れということを自助と言っておられるんで、私はこの基本的理念というのは――そういう点では国民がすでに八割、特に四十歳以上の八割の方々が自分で注意をしているという統計が出ている。さらに自分で気をつけたら病気にならないかという点を考えますと、きわめて非科学的だと思うんですよ。今日の近代集団社会で生活保障の面を見ましても、自分の健康は自分で守れと言うだけで済むんだろうか。済みますかな。そんなことが成り立つと思っていたら、公衆衛生局なんて要らぬようになってくるんですよ。公衆衛生局長、どうですか。
#126
○政府委員(三浦大助君) この世論調査にございますのは、全く自分で気をつけるという意味の自分で健康を注意しておるということでございまして、いまの科学で言いますと、健康診断も受けなけりゃいけませんし、そういう意味で国や市町村がサービスするそういう健康診断、そういうものもひとつ積極的に受けてくれと、こういうことでございます。
#127
○沓脱タケ子君 これは法律の基本理念なんですよ。そんなあなた、健康診断やらヘルスの事業にごまかしたらあかん、それは中の具体的な事業なんでね。法律の基本的理念がどうなっているかという点で私は非常に不思議だから聞いている。
 だって、自分で自分の健康を守れというけれども、早いこと言いましたら、山の中の一軒家に住んでるんだったら、自分で一生懸命守ったら、それはまあいけるかもしれませんわ。しかし、近代的な集団生活をやっているこの集団社会で一体守れるんだろうか。たとえば結核。最近でこそ減ったという状況ですけれども、結核が蔓延していっているといったら、本人の努力だけで感染しないか。伝染病なんて本人の努力だけではとてもじゃないけれども解決しないでしょう。流感がはやって、これはえらいことやと何ぼ気をつけていたって、それはうつりますわな。子供たちだったら、学校へ行ったり保育園へ行ったり幼稚園へ行ったら、おたふくかぜがはやったいうたら、おたふくかぜ何ぼ親が気をつけてもうつりますわ。
 こういう病気というのは、今日の日本の社会では、社会生活をしていく上で自分の努力だけでは防ぎ得ない。だから公衆衛生局もあり、国民の保健対策というものがやられなければならないし、そのために社会保障制度というものも確立をして前進をさせなければならないということになっているわけでしょう。
 もうちょっと言いましたら、何ぼ気をつけていてもあかんという端的な例は、たとえばスモンの患者さんですがな。サリドマイドの患者さんなんか見てみなさい。健康を守ろう、健康を回復しようと思って、国が認めた薬を飲んだ結果、大変悲惨な事態になっているわけでしょう。被爆者だって病気ですよ。あんなものは本人が気をつけたって、原爆はどこへ落ちてくるかわからへんわけでしょうがな。もっと言えば、公害病だって全部そうですわね。気をつけてたら公害病にかからぬかといったら、そんなことはない。水俣病見てみなさい。大気汚染公害の患者見てみなさい。交通災害だってそうでしょう。労災だってそうなんです。
 だから大臣ね、この法の理念である自助だけで国民の健康を守れないというのははっきりしていると思うんですよ。いかがですか。
#128
○国務大臣(森下元晴君) いま交通の問題も出されましたが、交通事故なんかでも不可抗力がございまして、幾ら本人が気をつけておりましても、突然上から物が落ちてきたり、また自動車がぶつかってきたりという不可抗力的な面がございます。したがって疾病等においても、幾ら自分が気をつけておりましても流行病、伝染病等、こういうものはなかなか防ぎようがない。それはごくわかっておるわけなんですが、できるだけ自分のできる範囲でやろうという、そういうことも考え方として欲しい。まず連帯の前に、自分でできることは自分でやって、そしてひとつ連帯という集団生活、社会生活の中で、大きな中でお互いに助け合っていこう。もちろん国も、国のできること、個人のできないこと、社会全体でできないことを国が公的な負担、また公的な御指導を申し上げて責任を持ってやっていこう。こういう三者の関係がうまくいくことによって、私は幸せな国民生活、また御老人の老後の健やかな生活ができるんじゃないか。これが私は老人保健法の趣旨であると、このように思っております。
#129
○沓脱タケ子君 大臣も、自分で気をつけるだけでは病気は防げない、健康は守るということはできないということはまずお認めになっておられるんですね。
 で私、思うんだけれども、時間の都合があるから簡単にいきたいと思うんですが、現行の社会保障や社会福祉の法律の中で、このような自助と連帯だけを強調したことを基本理念とする法律ございますか。
#130
○政府委員(吉原健二君) 法律に明文の規定をもって、こういった自助と連帯ということを書いている法律というのは、それほど多くないと思いますが、考え方といたしまして、たとえば年金制度なども、拠出制を基本にしているということは、やはり若いときに積み立てておいて、老後になって年金をもらう。それは自助の考え方を前提にした制度の仕組みになっているわけでございます。それから生活保護法におきましても、あらゆる自分の能力なり資産というものをできるだけ活用した後に生活保護法が適用される。これは昭和二十五年にできた法律でございますけれども、そこにもそういう考え方というものははっきり書いてございまして、明文で書いてあるかどうかは別にいたしまして、社会保障というものも自己責任の原則、自助の原則、あらゆる自分のできるだけ能力なり資産というものを活用した上で、その上でなお不十分な点、それを社会全体で助け合って、健康で文化的な生活を保障していく仕組みにしていくという考え方は、すべての法律に通じてある私は考え方だと思います。
#131
○沓脱タケ子君 法律にはそういう裏打ちがあるんだということをおっしゃるわけだけれども、たとえば国民年金法でも、憲法第二十五条第二項に規定する理念に基きというふうに、理念のところはきちんと明記されているんですよね。それは裏打ちされている憲法の基本的な国民の権利というものに立脚して、その法律の基本的理念というものをきちんと押さえているわけですが、この法律は、そうじゃなくて、憲法二十五条も何もない。「国民」ということになっている。国民は自助で、自分で自分の健康を守りなさい、老人医療費は国民が公平に負担しなさいと。
 こういうことになりますと、これはきわめて反国民的なというんですか、まさに憲法の二十五条の理念から外れた、新たな反国民的とも言うべき考え方を持ち込んだ法律案だと思うんですね。だから、法律を細かく国民の皆さん検討してないけれども、直感的にそういうことを感じるから、これは多くの国民の皆さん、老人の皆さん方が大反対をされているというのはそこなんですよね。私は、大臣、こういうことに法律がなっておるという点は銘記しておかれる必要があると思うんですよ。全く後世に残るような反国民的な理念を明記した法律案だと思うんですが、いかがでしょうね。
#132
○国務大臣(森下元晴君) 「国の責務」も第三条で書いてありますが、先ほど後に書いてあるからというようなお話もございましたが、私は後先の問題じゃなしに、この法律には憲法第二十五条の精神は完全に生かされておると、このように実は思っております。
 憲法上の解釈ですからこれは平行線をたどるかもわかりませんけれども、現在の御老人を対象にばかりしておるわけでございませんし、私どももやがて老人になるし、若い方もこれから生まれる方もいずれは老人になるわけで、すべては自分のことでございますから、すべての国民がこの問題には関心を持っておる。いろいろ世論調査のデータを見てみまして、確かに御老人の方はいいことないと、こういうような声が強いようでございますが、若い方はそれでいいじゃないかというような世論もかなり強うございまして、やっぱり国民ということは国民すべてでございまして、御老人も含めてすべての者が自分の老後についてどうあるべきかということについてこの老人保健法はつくられておりますし、また考え方としてはそういう方向でございまして、決して憲法の精神からは逸脱しておらないと、こう私はかたく信じております。
#133
○沓脱タケ子君 この法律の「基本的理念」の中に、国の責務というのがうたわれる文言が一言もないという点では、私が指摘した問題点はやはり依然として残るであろうと思うんです。これは明記していただきたいと思います。
 それで、時間の都合がありますから次にいきますが、この法案の具体的な内容に入っていきたいんですが、いわゆる一部負担金に関する問題なんです。私は、この法案の内容に入るに当たって、少し歴史的にお年寄りの医療費に関する問題というのを振り返ってみたいと思います。
 私は、御承知のように、本職は医者でございまして、長い間第一線の診療に携わってまいりました。ちょうど昭和二十年代から三十年代、この時代がどうであったかといいますと、病院へお年寄りが来られるということはきわめて少なかった。どういう事態がわれわれ医師に対しては要請をされたかといいますと、もううちのおばあちゃん、うちのおじいちゃんが長いこと寝ておって危ないんだ、だから一遍生きている間に診といていただかないと診断書を書いてもらえないから、一遍往診に来てやってくださいという依頼があったんです。これがしばしばです。非常に私ども医者としても無残なお思いをしましたよ。そういうのが昭和二十年代、三十年代に続いた。三十六年に国民皆保険になりまして少しは政善をされた兆しはありました。しかし五割の自己負担というものを払って病院へおいでになる患者さんというのはやっぱり少なかったんです。
 そういう事態が続いている中で老人福祉法が制定をされました。昭和四十年ごろから、福祉法が制定されて老人の無料健診制度が制度化されましたね。だから私どもは第一線医療の中で、お年寄りに対する医療というのが大変無残なかっこうになっているという思いを繰り返しておりますから、せめて無料の健康診断でもやってあげたい、そう思って、実は私ども何回もお年寄り、老人の無料健診には取り組んでまいりました。なかなか来てもらえないので、一遍病院全部挙げて、二つぐらいの校区の六十五歳以上のお年寄りがいる御家庭に、病院の全従業員をフルに動かして一軒一軒全部御案内に行ったことがあります。それでたくさん来てくれるであろうと思って期待をしておったところが案外おいでにならなかった。当てが外れた。
 私、どうしたのかなと不思議に思いまして、親しくしているおばあちゃんにお会いして、どうしてせっかくの機会なのにおいでにならなかったんですかと聞いた。そのおばあちゃんが何て言ったか。ありがたいと思っているんですよ、しかしね先生、七十年も使った体ですから機械と一緒なんです、詳しく調べてもらったら必ずどこかに故障があるに違いありません、病気だとわかったら病院に行かなければならぬ、しかしうちの息子の暮らし向きを見たら私の病院代を下さいとはとても言えない、いっそそのぐらいならどこが悪いかわからない方がまだ気分など楽なんです、ありがたいとは思っておりますけれども行けなかったのはそんなことです、と言って嘆かれた。私はこのときのおばあちゃんの嘆きというのはいまも忘れることができない。本当に戦前、戦中、戦後を通じて今日のお年寄りほど苦労してきた方々はありません。戦前、戦中、戦後にかけての苦労のあげく、今日の日本を建設する礎としての役割りを果たしてきたお年寄りたちに、こんな嘆きをどうしてさせなきゃならないかと思いましたよ。
 こういうお年寄りの嘆き、そして医療に対する強い願い、そういうものが運動になり、このお年寄りたちの運動を住民の人たちがうんと支えて、革新自治体の誕生と同時に、このお年寄りの悲願というのが東京で実現をし、大阪で実現をし、全国津々浦々、全国の自治体八割までも実現をしたという中で、やっと政府は一九七一年、四十八年の一月から国の制度が実施されたんでしょう。まさにこの制度というのは、本当にお年寄りたちの悲願と願い、そしてお年寄りを支える国民の願いと運動によって実現をしてきた制度だと思うんです。だからこそこの制度は何としても後退をさせたくないと私も思っています。
 こういうふうな歴史的経過をたどって実現をした、老人医療の無料化が導入をされた老人福祉法改正のときの政府の提案理由を見てみました。そのとき私は国会にまだ来てなかった。拝見をしてみますと、昭和四十七年四月十三日の社会労働委員会で提案をしておられるんですが、こう書いてありますよ。
  医療の問題については、老人の負担能力が十分でないため、必ずしも適切な医療が確保されていないうらみがあったのでありまして、その点、医療費の無料化により老人に必要な医療を保障する方策が強く望まれていたところであります。
  今回の改正法案は、このような要請にこたえるため、老人医療費の支給の措置を講じ、もって国民皆保険制度のもとにおいて老人が必要とする医療を容易に受けられるようにしようとするものであります。
こういうふうに提案をされているわけでございます。
 お年寄りが必要とする医療を容易に受けられるようにするということ、この提案理由に述べられている内容はいまも大切な施策だと思いませんか、大臣。
#134
○国務大臣(森下元晴君) おっしゃることはよくわかります。ただ、当時とかなり時代の変遷もございますし、また昭和四十八年はいわゆる福祉元年と言われまして、そのときに老人医療の無料化というものも同時に行われたわけでございますけれども、その後いろいろ行き過ぎの点もあったように思いますし、また同時に、治療ばかりがすべてでない、予防も大事であるというような前向きの点も取り入れたのが今回の老人保健法でもございますし、決してもとに返ったというふうに私は解釈いたしません。後でお話あるかもわかりませんが、ということで、御負担もほとんど問題にならない程度のごくわずかな御負担でお願いしたいということもございますし、決して私は後退しておらないというふうに実は考えておるわけでございます。
#135
○沓脱タケ子君 そないたくさん言うてもらう必要なかったんです。御提案になったときのように、老人が必要とする医療を容易に受けられるようにする、そのために老人福祉法の改正案を提案されたんだから、そういうことの理由、いまもそれは大事だと思いませんかということを聞いたんです。医療というのは、御説明がありましたように、何も治療だけじゃありませんね。予防もあるいはリハビリも含めてだと思いますが、そういうふうにお年寄りがたやすく医療が受けられる、容易に医療を受けられるというふうにすることというのは、老人福祉法改正案を提案したときと同じようにいまも大切な施策だと思いますけれども、大臣はどうですかということをお聞きしている。
#136
○国務大臣(森下元晴君) そのとおりであります。
#137
○沓脱タケ子君 そこで、一部負担金導入になりますと、お年寄りというのは、容易に医療が受けられるという状態にならないですね。その点では制度的には大改悪だと考えるわけですが、負担金の額の多少とかそういう問題、それを超えての問題だと思うんですけれども、厚生省はいつも繰り返し言っておられるんですが、どうして今回一部負担金を導入するという改悪をされたのか、その理由をもう一遍改めて伺います。
#138
○政府委員(吉原健二君) いまおっしゃいましたように、四十八年の無料化制度の導入によりまして、老人の方々が費用の心配なしに医療を受けられるようになったということは大変よいことであったと思いますし、いま大臣からお答え申し上げましたように、基本的にはその考え方というのは今後も持たなければならないと思いますけれども、ただ実際に無料化制度が発足をいたしました結果を振り返ってみますと、医療がただであるということによって、たとえば健康に対する自覚を弱めているとか、あるいは行き過ぎた受診があるとか、それは患者、老人の方サイドだけからではなしに、同時に医療機関の側にも、無料であるがゆえに行き過ぎた受診になりやすい、あるいはむだな受診を生じやすい、招きやすいというような欠点なり弊害というものが私は指摘をされてきたと思います。そういった弊害なり短所というものも現実に出てきたわけでありますから、そういった弊害というものをできるだけなくす、健康に対する自覚を持っていただくということが第一。
 それからやはりごく一部だとは思いますけれども、そういった行き過ぎた受診というものが現実にあるということが言われているわけですから、そういった行き過ぎた受診がないように十分御自制なり御注意をいただくということも一部負担の趣旨として考えているわけでございます。
 それから同時に、今後とも老人医療費というものが相当な率でもって伸びていくということは避けられない。それを国民全体がみんなで負担していくということが必要だと思いますけれども、その場合に、実際問題として大部分は若い働いている人の負担になるわけですけれども、老人の方々にも無理のない範囲内でごく一部を負担をしていただいてこの制度に参加していただく、あるいは支えていただくという考え方は、今後の高齢化社会の到来というものを考えた場合にはどうしても必要なのではないかと思います。
 決して一部負担によって必要な受診なり正しい受診というものを妨げるような意図はございませんし、そういう結果にはなってはならないというふうに思っております。金額や方法もそういった趣旨で十分慎重に考えて御提案をさしていただいたつもりでございます。
#139
○沓脱タケ子君 たくさん言うてくれたんだけれども、医療が無料だとお年寄りの健康に対する自覚を弱める、それから無料であるがゆえに行き過ぎの受診を招いていると言われているというんですね。言われているというんですが、だれが言うているんですか。厚生省がそう言うているんですか。言われているとあなたいまも言われたんですよ。だれが言うているんかというんですよね。その辺はっきりしておかないと、国民はこういう制度、無料原則が有料原則になるという大変な大改革でございますから、その理由というのは国民が納得できるような理由、データというものが要ると思うんですが、それはいかがですか。
#140
○政府委員(吉原健二君) 私どもはよくそういう指摘を聞くわけでございます。またそういった指摘をされる方が実際に多いと思います。
 ただ、実際に一部負担というものが本当に必要かどうか、入れるべきかどうかについては、私はいろんな御議論、お考えがあると思いますが、この法案を提出するに当たりまして、二つの審議会の御意見を聞いたわけですけれども、たとえば社会保障制度審議会の答申におきましても、現在の無料化制度については基本的に見直す必要がある、そして自助努力の必要性等を考えれば、一部負担というものは入れるべきだというような御答申になっておりますし、それから社会保険審議会の答申におきましても、大変いろいろ議論がございましたけれども、患者の一部負担の導入については、現行制度における老人の受療の状況、新制度における費用負担のあり方等から見てやむを得ないという御意見、御答申になっているわけでございます。
 要は、国民全体が、皆さんがどういうふうにお考えになるか、そういう一部負担の導入についての支持、国民的な支持が得られるかどうかということを私ども一番慎重に考えたつもりでございますけれども、いま申し上げましたように、審議会の御答申も、いろいろ議論はありましたけれどもそういうことになっておりますし、また厚生省で、御参考までに申し上げますと、高齢化問題についての調査を五十五年九月にやったことがございまして、医療費の一部負担についての考え方をお聞きしたわけですけれども、その調査によりましても、一部負担に賛成、何らかの形の一部負担に賛成というのが七九・七%というような高い率になっているわけでございます。そういったことから、もちろん今後とも無料であるべきだという御議論、御意見があるということは十分わかりますし、現実にそういう御意見もございますけれども、私どもとしては一部負担をお願いをしたい、またすべきだということでこういう御提案をさしていただいたわけでございます。
#141
○沓脱タケ子君 大分たくさん御答弁をいただいたんですが、無料だといわゆる行き過ぎ診療を起こすとか、あるいは健康への自覚が弱まるとかというふうなことが言われているというふうにいつも言われているんです。私、今回も初めからずっと審議を聞いているんですけれども、いつもそう言っておられる。せっかくやられた新しい制度の成果、効果というふうなものをきちんと押さえた上で、どういうふうな結論になってきているというふうなことを厚生省がおっしゃるというんだったら話はわかるんですがね、そうではないんです。言われている、言われているって、だれが言うているんだということになるんですよ、国民にとったら。それは新聞やあるいは雑誌にはそんなふうに言われて書かれているということ――そうしたら、そういうことですかというんです。それでは国民はなかなか納得しないですよ。
 行管庁が行政監察を五十五年の一月にやっておられますね。これは具体的に御調査をなさっておられるので、これを一遍行管庁の方にお聞きをしたいんですけれども、この公費負担医療に関する行政監察の結果は、老人医療無料化は老人の健康に対する自覚を弱め、無料化であるがゆえに行き過ぎ診療を招くという結果になっておりますか。なっていないと私読んで拝見するんですが、いかがですか。
#142
○説明員(宮地靖郎君) 御説明申し上げます。
 私どもが五十五年の一月の時点で出しました報告書のレポートでは、老人医療無料化に伴いまして老人の受診率が相当程度増加している、それから医療費も増大傾向にあるなどの調査結果に基づいて、その実態を事実として指摘いたしております。
#143
○沓脱タケ子君 じゃ、重ねてちょっとお聞きしますが、この監察結果に基づく提言で、これは無料化をやめて有料化にしなさいというふうな勧告をやられたんですか。そうではありませんね。
#144
○説明員(宮地靖郎君) 調査結果に基づきまして、私どもは提言という言葉を使っておりますが、勧告申し上げました内容は、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、老人医療につきましては、老人医療費の受給資格の取得に伴いまして受診率が相当程度増加し、医療費も増大する傾向にございますし、現在の老人の保健医療に関します諸制度は医療費保障に偏重しておりまして、一貫した保健サービスに欠けている等の問題がございますので、今後の老齢化社会を展望する観点から現行制度の見直しを行い、効果的な老人保健医療対策を確立するなどの方策を早急に実現するように提言申し上げた次第でございます。
#145
○沓脱タケ子君 いま御指摘のとおりなんで、繰り返しませんが、医療に偏重している、だからヘルスの事業をもっと積極的にやるべきだというふうなことを含めて、「今後の老齢化社会を展望する観点に立って、現行制度の見直しを行い、効果的な老人保健医療対策を確立するなど健やかに老いるための方策を早急に実現するよう提言する。」ということになっていますね。
 それで、この行管庁の提言に対して厚生省はどういう御回答をなさいましたか。――これは私が言いましょうか。五十五年の十月に当時の厚生大臣園田さんから行管庁長官にこういうふうに、「老人医療費無料化の実態」ということで御指摘をいただいて回答を寄せておられますが、それによりますと、「老人医療費無料化の実態」というところで、「老人医療費支給制度の実施に伴い、それまで抑制されていた老人の医療需要は顕在化し、その受診率は向上する結果となったが、このことは老人の受療機会が確保され、老後の医療に関し、国民が大きな安心感を得ていることをも意味するものであり、本制度は所期の成果をあげているものと考える。」と、こういうふうに回答を寄せられておりますが、そのとおりですね。
#146
○政府委員(吉原健二君) そのとおりでございます。
 ただ私ども、先ほどから行管に御質問がございましたけれども、必ずしもその行管の勧告といいますか、監察結果報告というものを単に、何といいますか、受診率が向上している、あるいは医療費が増加しているということだけを問題にしているわけじゃありませんで、その原因は何か、それは無料化制度との関連があるのかないのか、そのことも踏まえて現行制度の見直しをするようにというふうな趣旨と受け取っているわけでございます。
 現にその行政管理庁の監察結果報告書の中に、私が先ほどちょっと申し上げましたような行き過ぎた受診の例というものがたくさん掲げられております。たとえば一月のうちに五十三日間受診をした例でありますとか、あるいは三十七日間受診をした例でありますとか、あるいは一年のうち三百二十日通院をした例でありますとか、そういった行き過ぎた受診と思われるような例がたくさん記載をされておりまして、こういったことも無料化制度との関連を十分に考えて見直しをするようにと、そういう趣旨で受け取ったわけでございます。
#147
○沓脱タケ子君 私が指摘をした回答は間違いないかと言うたんで、それは間違いないんですね。
 それで、いま御指摘のようなことも書いてありますね、あの行管のには。さらに、受診者一人当たりの総医療費が低額であるところは、健康教育、健康相談、在宅訪問指導などヘルスの事業を積極的に行っているという御指摘もありますね。だから、行管はいろんな事態を御調査になって御提言になったんでしょう。それに対して厚生省は、私がいま読み上げたような意味の、内容ですよ。そのとおり読んだんですがね、そういう御回答をなさった。そのことは間違いないでしょう。それだけ言うてください、間違いないかどうかだけ。
#148
○政府委員(吉原健二君) 間違いございません。
#149
○沓脱タケ子君 それで、そういうふうに御回答になるのはあたりまえだと思うんですね。厚生省は新たな施策をやったんだから、その施策が明確に効果をあらわしてきているということの調査結果なんですからね、これはあたりまえのことだと思うんですよ。それで、たとえば受診料が上がったということでは、老人医療の無料化制度のときに当然最初からねらっていたんと違うんですか。
 これは私、四十七年の四月二十六日の社会労働委員会の会議録を拝見して思ったんです。これは衆議院の会議録ですが、当時の加藤社会局長がこう言うて答弁しておられるんですよ。「老人医療の無料化ということは、結局受診率をふやすためにやるということで、いままでなかなかかかれなかった方にどんどんかかってもらうということで、受診率がふえるのは、これは当然でございまして」というふうにお答えになっておるのでも明らかなんです。大臣ね、こういうことで制度として受診率を上げる、いままでなかなかかかれなかった人たちにどんどん気安くお医者さんにかかってもらえるようにする、こういうことが目的であったということは御存じですか。
#150
○国務大臣(森下元晴君) そのとおりでございます。
 先ほど初めにお話しございましたように、なかなか御老人は悪くても医者に診てもらいたがらないというような、一つの習慣と申しますかね、そういう点があったことが、無料化によって診ていただく機会が多くなったということは事実でございます。しかしそれがすべての目的でない。健やかに老いていただくためにはというこの老人保健法の趣旨からすると、まだまだ大きな目的がほかにたくさんございます。ただ、いまお聞きの点についてはそのとおりであるということをお答えいたします。
#151
○沓脱タケ子君 ですから、私は一つは、いま行管庁の監察結果で見ましても、これは有料にしなさいという御調査の結果の客観的なデータ、裏づけにはなっていないなというふうに思うんですけれどもね。その点は非常にはっきり国民の前には明らかに理由を鮮明にしませんと、大きく制度を変えるわけですから、その辺ははっきりしてもらいたいと思いますね。だって、お金を出すようにしないとお年寄りは健康の自覚に欠けるんだとか、ただだから医者にかかり過ぎるんだとかいうふうに言われたら、きょうもお年寄りの方々が見えておられますけれども、腹立つと思うんですよ。そんなことないですからね。そんなことでこういうふうに制度を変えられると知ったら、がまんがならぬという思いが国民の中にはあると思うんですよ。だから納得のできるようにやっぱり明らかにするべきだと私は思うんですね。
#152
○政府委員(吉原健二君) 決して、今回の老人保健法案による一部負担というものを無料化発足前の状態に戻そうということを考えているわけではございません。
 四十八年以前の状態というのは、御案内のとおり、健康保険等の自己負担分、当時は三割でございましたけれども、三割の自己負担を老人の方に一般の家族と同じように持っていただいていたわけでございます。三割というと相当の負担でございます。今回の老人保健法案は、そういう三割とか二割とかというようなことではなしに、ごく一部を定額の形で持っていただこうということでございまして、これによって、せっかくお年寄りの方々が費用の心配なしに医療を受けられるようになったことが、全く昔の状態に戻るというようなことにはならないと思います。また、そういうことがあってはならないという考え方で、この金額なり方法というものは十分考え、また審議会等でもいろいろ御議論をいただいたわけでございます。
#153
○沓脱タケ子君 いや、さっぱり納得できないですが、何で有料にする根拠になっているのかというのが、恐らく国民の皆さんはおわかりにならないし、納得できないだろうと思うんですね。
 老人の生活とか生活感情というのがわからないから、そんなにたくさんな負担じゃないんですから、少しぐらいの御負担をしていただいても、もとへ逆戻りするようなことはないんですというふうにあっさりおっしゃっていられる。違うんですよ、お年寄りというのは。そういうふうに思っておられると大変な問題だと思うんで、それは後でまた触れます。
 ちょっと先へ進めたいんですが、それじゃ無料化の実施で受診率が高まったというんですが、昭和五十二年の二、三月に実施いたしました厚生省の老人健康調査というのがありますね。これにはこない書いてある。この健康診断、診査の中で、六十五歳以上の者で要治療とされた者が五三・七%、過半数ですね。また面接の際に、病気なしと答えた者は三四・四%、約三分の一ですね。この病気がないと言われた方のうち四割程度は、医師による診察の結果、要治療とされている、そういうことですね。つまり無料になったからといってやたらにお年寄りが病院へ行っているということでないということの一つのあらわれだと思うんですね。本人は、いや、どこも悪くありませんと言ったけれども、ちゃんと医者が健診をしたら、そういうふうに四割程度の人が治療が必要だというふうな状況で、医者にはかかってないんです、自分はどこも悪くないというんだから。そういう状態なんで、決してかかり過ぎるというふうには思えないんですね、これは厚生省の調査の結果でも。
 大体好きこのんで病気にかかる人はないんですよね。だから、さっきも申し上げたように、国民というのは、一人一人は賢明ですから、自分の健康は自分で守らなければならないという自覚も持っておりますよ。だから、さっき冒頭でお示しをしたように、四十歳以上の人たちは、八割以上は何らかの形で自分の健康には気をつけているということの統計が総理府でも出ているわけでしょう。だから、国民というものをもっと信頼してももらっていいんじゃないかと思う。
 大臣、この厚生省の同じ統計の中で、すぐに医者にかかる方かどうかという調査をやっておられるんですね。軽い病気でもすぐ医者にかかるという方が、これも私が言いますけれども、七十歳以上の方々では五五%ですね。重くならないとかからないというのが七十歳以上の方でも三九%、四割の方々が少々重くならないとかからないというふうに言っているんですね。これは厚生省の調査の結果ですよ。
 ですから、そういうふうに見てまいりますと、無料だからというので病院へ行って健康のことを自分で気をつけないというのは、自覚がないとかあるいは行き過ぎた診療を受けているんじゃないかというふうに言われているとおっしゃるけれども、重くならぬとかからぬと言ってる人が七十歳以上でも四割もある。そういう事態というのは厚生省の調査で出ているんですよ。そういう実態を見ながら、いや、無料だと健康への自覚が弱いとか、医者にかかり過ぎるだとか、そういうふうなことを理由にして制度を変えようというふうなことが理由になるとしたら、私、国民をばかにしているということにしかならないんじゃないかと思うんですがね。大臣、どうですか。だから、その理由というのが納得できないというのはそこなんですよ。
#154
○国務大臣(森下元晴君) だれしも健康を保持したい、元気でありたいと思う気持ちの反面、もし医者に診せた場合には、自覚症状がないけれども、病気を指摘されるかもしれないという不安感も実はあるわけなんです、これは負担できるとかできぬという問題以前の問題として。われわれにも実はそれございます。うっかり診てもらうと病気だと言われたら大変だという、そういう不安感と同時に、しかしながらやっぱり診てもらわぬといかぬなという両面の気持ちが人間だれしも私あると思うんです。医者に診てもらうことがこわいという、そういう何か人間の特性と申しますか、そういう気持ちは否定いたしません。
 だから、必ずしも無料になったから、また有料だからどうこうということがすべてではない。何かいまの御質問の中で、有料にするから急に減るとか、無料にしたからうんとふえるとか、私そればかりじゃないと思います。啓蒙運動、啓発運動等を通じて四十八年以来御老人の方々の受診がふえた、これは決して無料にしたことがすべてではないような気も実はいたしております。そういうことで有料、無料だけが論じられること自身が私としてはちょっと心外であると申しますか、ほかに大きな目的があるということもひとつ御認識を願います。
#155
○沓脱タケ子君 無料から有料にというふうに大きく制度を変えるということの厚生省がおっしゃっている理由というのが、いま申し上げたような政府の御調査をもとにしても、そういうふうな数値が出てこないですね。だから、そういう点ではいま厚生省がおっしゃっている今度の制度改正の理由というのは、国民はなかなか納得できない。
 納得できない理由しか出せない、言えないということになりますと、それじゃ、やっぱり言われているとおり受診抑制がねらわれているんだな、それ以外のことはないんだなというふうになってくるんですよね。受診抑制のためにやっぱり有料にしようとするんだなというふうになるんですよ。まともな理由、国民の皆さんが御納得できるような理由が明らかにされないということになりますと、言われているとおりやっぱり病院に行く回数を減らすように、つまり受診抑制のためにお金を出させるようにするんだなということになると思うんですが、いかがですか。
#156
○政府委員(吉原健二君) 必要な受診を抑制する気持ちはもう全くございません。ただ、現状のままですと、むだとか行き過ぎが生じやすいということは確かだと思います。これは医療に限らないと思いますけれども、何でもただということになりますと、どうしても資源というものをむだに使いやすいというようなこともございますし、患者の側だけではなしに、医療機関側から、ただだからもっと診療やろうというふうな行き過ぎた受診というものが生じているということは言えるかと思います。そういった意味でのむだな受診とか行き過ぎた受診というものは、これは御注意なり御自制をいただく必要があると思いますが、本当に必要な受診というものをこれによって遠慮していただくとか、妨げるとか、抑制をするという気持ちはさらさらございません。
#157
○沓脱タケ子君 有料にしていくという理由が納得ができないということになると、お金を取ることによって病院へ行く回数を減らそうという受診抑制しか考えてないんだなというふうに国民は理解する。それはゆえなしとしない。過去にやっぱり経験があるんですね。時間も余りありませんから詳しく言えないんですけれど、これは厚生省御承知でしょう。一部負担を導入すると受診率が下がる、つまり受診抑制が起こるという経験が過去にございますね。
 これは私ちょっと言いますけれども、昭和四十二年の八月に成立をいたしました健保特例法、このときの影響というのは、明確に一部負担の導入によって健康保険本人の受診率がどんどん目に見えて下がって、四十三年には四十二年の前年度をさらに下回るというふうな結果が出たことがございます。その特例法のときというのはどういうかっこうになったかといいますと、ぼかんとお金取るというたのと違うんですよ。あのときの特例法は、局長はよく御承知でしょうが、一つは保険料の引き上げですね。二つ目は、初診料がその当時百円だったのを一遍に二倍にして二百円にした。三つ目は、被保険者本人、健康保険の本人が外来で病院にかかったときには、一日一剤十五円のお金を現金で払うという一部負担の制度が導入をされた、あのときに。そのときにどうであったか。いま申し上げたように、この制度は昭和四十二年の九月から施行された。それで一部負担金の一日一剤十五円というのは十月から実施された。そうしますと、四十二年の十月、十一月に受診率が健康保険の本人だけがどかんと下がった。幸いにして四十三年の一月ににはかぜが大流行した。それはもう病院ひっくり返るほどかぜ引きの患者がふえたときがあったんですが、それでやっと少し持ち直したんです。これは昨日も社会保険庁から数字をいただきましたけれども、年々受診率というのは漸増しているんです、毎年ね。これは統計で御承知のとおりですが、そのときには四十三年度は四十二年の受診率さえ下回った、こういう経験があるんですね。これは事実ですからね。
 だから、こういう事例から見ましても、一部負担を導入するとなりますと、どんなにわずかに思える金額であっても明らかに受診抑制につながる。過去の経験から見てもそうだというふうに思うんですが、大臣いかがですか。
#158
○国務大臣(森下元晴君) 短絡的に言われますと困るわけですが、ちょっと回りくどくなりますが、四十八年に始めまして、そのときが私の記憶では四千億かそこらの老人医療だったと思います。それが大体現在三兆数千億でございますし、それ以来十年後の来年、再来年あたりでは約十倍ぐらいの老人医療の割合になるんじゃないだろうか。全般の医療費の三分の一ですね、それが老人医療で占められて、十年間で約十倍ぐらい。その金額の多寡でいいとか悪いとかということは言えませんけれども、財政的に考えましても、いろいろと内容的に分析もしなければいけないし、濃厚診療になっていないかどうだろうか、また負担できる方にはほんの一部の負担でもしていただくのがいいんじゃないだろうか。そういうことを行管の報告書の後段でも示唆されているような点もございますし、また老人の幸せは、病気になって治療することよりも、むしろ健やかに元気で長生きしてもらいたいということにもあるわけですから、そういう面で、ひとつ予防とか日ごろの健康に対する施策においてサービスしていこうという方面に力を入れていこうということでございますから、決して後退しておらない。四十八年の時点に返っておらない。総合的な施策の中で御老人の健康を守っていこうというわけでございまして、一つだけとって言われますと、そのとおり、そのとおりと言いますと、何かすべて悪いようになりますので、ちょっと答弁が長くなりまして申しわけございませんが、そういう経過でございます。
#159
○沓脱タケ子君 いや、そのとおりやったらそのとおりと認めてもらったらいいんですよ。この法律、このままではぐあいが悪いから廃案にして出し直せという御意見も国民各層の中にあるわけですからね。財界や健保連の方でもそういう御意見もあることだから、私が言うことがそのとおりや思ったら、そうや言うてもらったらいいと思うんですよ。そして英知を集めていいものをつくればいいと思うんですよ。私も、医療費がやたらに増高すること、何ぼ増高してもよろしいかといったら、それは何ぼでも増高するのがよいと思ってないです。本当に医療費を減らす方途というのは何なのか。国民が、特に高齢者の方々が健康になって、病気がなくて、医者にかかる必要のない状態で医療費が少なくなるという事態をどうしたらつくっていけるのか。そのためにどうしなきゃならないかというので、これはいま御提案になっております老人保健法だって、そういう角度から私どもも検討してきているわけでございまして、何ぼでもふえたらよろしいんだということを言ってないんですよ。だから、現実の姿というものを直視していただくということをもとにして、本当に国民がみんな健康で、医者にかかる必要がなくて、医療費の増高が抑えられたと、結果としてね。そういう状態をどうしたらつくれるんだということであって、頭から医療費を抑える、そのためにどうせないかぬかというまともでもないような理屈つけて理由にしてみたところで、国民が納得しない。そうなると結果として国民の健康が果たして守れるんだろうか。
 その証拠に、おもしろいですよ。いま私、御指摘申し上げた四十二年の特例法の一日一剤十五円ずつというやつね、それやったときどないなったかというたら、おもしろいんですね。家族の方々の受診率の傾向というのは変わってない。健康保険本人だけが、十五円新たに一部負担が導入をされたんで、すとんと下がった。その結果どうなったかというと、患者さんの一件当たりの診療日数が少しずつそれまでは減っていたんですね。ところが、受診率が落ちた途端に、一件当たりの日数が、統計によりますと、ふえてきています。それは何を意味するか。これは病人というのは早期受診、早期に医療を受けるということが一番大事で、一部負担金かなわぬから、ついつい足が遠のいて、ちょっと売薬でというふうなことをやっていくと、病気が重くなってから病院へ行くということになって、結果としては受診日数が長引くという結果にならざるを得ない。そうしたら医療費が減るかいうたらそうじゃないですよ。受診日数がふえたらそれだけ医療費というのは増高してくると思うので、そういう点はやっぱり大事だと思うんですね。国民の健康を守っていくという上からもきわめてこれは医者の立場でも大事です。
 もう一部負担金かなわぬからいうて、その当時あったこれは具体例ですけれども、高血圧の患者さんね、一日一剤十五円ずつ払うのもうかなわぬ、一部負担金かなわぬいうので途中でやめたわけですよ。で、二、三カ月来なかった。そうしたら、突然どんなことが起こったかというたら、ある寒い日に道路上で心筋梗塞を起こされてすとんと亡くなった。そういう事態さえ起こった。これは具体例ですよ。
 そういうふうに本当に国民が医者に容易にかかり得るという状況を保障しておくということが、本当に早期診療をやって、軽いうちに病院で診てもらって、たくさん費用がかからなくて済むようになるわけですね。重い病気にかからない。そういう点できわめて大事だと思うので、この一部負担金の導入というのは、私は、ほんのわずかだわずかだとおっしゃるけれども、これはやめるべきものだと。これをやったらまた、すでに経験のあるような結果が、一番大事にしなきゃならないお年寄りのところに無残なかっこうで出てきそうだというふうに思うんですが、そういう点ではこれは考えていただきたいと思うんです。
 で、時間の都合がありますので、そういうわずかだわずかだという一部負担金の話が、吉原審議官からも盛んに出るからちょっと言うておきたいんです。外来で一カ月四百円、入院で二カ月間毎日三百円、大したことないがなと言う方々もずいぶんおられます。しかしすでに論議にも出ておりますように、差額ベッドの問題、付添料の問題というふうな保険外負担のことは、もう当然のこと、これはもうお年寄りには大変ですからね。その上に、たとえば一カ月一科四百円、何がそない大層なんやとおっしゃるかもしれませんけれども、内科で四百円、目が悪くなって眼科で四百円、腰が痛くなってどうしても整形へ行かなきゃならぬというて四百円といったら、これはもう千二百円や千六百円すぐですよ。それから入院の一日三百円の二カ月ぐらい何やというふうに言われますけれども、老齢福祉年金を考えてみなさい、二万数千円でしょうがな。その中で月に九千円というのがどのくらいお年寄りに対して過酷な負担になるかということですよ。きょう午前中にも指摘されていたように、おむつ代から空調代までというふうな病院もあるわけでしょう。
 そういう点で見ますと、お年寄りの生活実態調査を見ましても、大体七十歳以上の方々の所得というのは平均十六万ですね、あの調査の統計によりますと。十万以下の方々が四割方です。そういう中でこういう問題がどのようにお年寄りの暮らしに影響してくるかということです。そんな言うたってわずかやないかと厚生省は思っておられると思いますが、私ども医療の中でお年寄りの生活実態を知っていますけれども、お年寄りは収入が少ないんです。その少ない収入をできるだけ始末をして、亡くなった後にそれでも、おばあちゃんこれだけお金を残しておったわと言うてもらえるようにしたいというのが念願ですよ。自分のために四百円使うお金があるんだったら、孫のために使ってやりたいというのがお年寄りの状況なんです。だからこそ、一部負担金というのが一番所得の少ないお年寄りに対して過酷だというのはそこなんですね。
 だから、これは私そういうふうに申し上げていきますと、一部負担金は医学的な立場から見てもよろしくないと思うし、お年寄りの生活実態から言ってもまさに過酷だし、また今日の制度ができました経過、いきさつから見ても、これは導入をやめるべきだと思うのですが、いかがですか。
#160
○政府委員(入江慧君) 御指摘いただいた実績は、政府管掌健康保険の診療日数かと思いますので、ちょっと実績だけ申し上げさせていただきますと、確かに四十二年度と三年度と比べますと、入院外本人も一件当たり診療日数ふえておりますけれども、四十二年度と三年度と比べますと、家族もやはり入院外がふえております。
 それと、先ほどの受診率でございますが、四十一年度と比べた場合に、四十二年度は本人家族とも下がっておりまして、四十三年度は、お話しのありましたように、本人は下がっておりますけれども、家族は上がっておるというような数字になっております。
#161
○沓脱タケ子君 いまごろ気の抜けたようなことを言うたら困るんでね、家族は変わってないと言うんだよ。本人が一部負担金導入されたんだよ、一日一剤十五円。だから本人だけ受診率が下がっている。だから、一部負担金というのはどういう影響が起こるかということを過去の経験として私は引用したんで、いまごろ気の抜けたように言うてもらうとややこしいんですがね。そういうことが実証されたわけですよ。そういう点でひとつそういうことを踏まえていただいて……。
 もういいですよ。資料をくれと言うたら、資料ない言うて、あんた古い数字だけちょこちょこっとよこしたんですよ、きのうね。きのうちゃんと頼んだんだよ。その簡単な数字でもそうなっているから、その数値を用いて私申し上げたんで、そういうことになっている過去の影響を受けた経験があるわけだから、同じ経験をお年寄りのところで繰り返さないようにしてもらいたい、そのためには一部負担金の撤回を何としてもやってもらいたいと思うんですが、いかがですか。
#162
○国務大臣(森下元晴君) いままで無料であったのが急に、額は大きな負担にならないといえども、負担になることは、多少の抵抗と申しますか、それに対する御老人の方々の不審の気持ちは一部あるかもわかりませんけれども、老人保健法の趣旨と申しますか理念等考えました場合に、一時そうでございましても、私どもの啓蒙啓発、また予防等を通じまして、いやいや、それ以上の恩恵もあるんです、また将来のためにもそれが一番いい方法でございますからひとつごしんぼうを願いたい、こういうことでやっていきたいわけでございまして、せっかくの沓脱議員のもうやめろというお話でございますけれども、承服できませんので、これを申し上げたいと思います。
#163
○沓脱タケ子君 これは法案を一遍再検討してもらって、ぜひ一部負担金は撤回をしてもらいたいものだということをあわせて申し上げておきます。
 時間がせかれておりますので次に参ります。
 もう一つは、地方自治体での単独事業に対する対応の問題ですが、原案どおりこの法案を通すということになりますと、一部負担金が出てくるわけでございますが、この場合、地方の単独事業の扱いをどうするのかというのが非常に大事なことになってくるんですが、これはいかがですか、厚生省。
#164
○政府委員(吉原健二君) 端的に申し上げまして、年齢引き下げ等の地方のいわゆる単独事業については見直しをしていただきたい、こういうふうに思っております。
 ただ、地方の単独事業でございますから、最終的にどうするかというのは知事さんなり市長さんなりの判断にゆだねなければならないと思いますけれども、国の制度としてこういう制度ができ、一方で地方の単独事業がたとえば六十五歳から六十九歳までの方がずっと無料のままというのはいかにもアンバランスでございますし、不公平にもなると思いますので、そういった観点からもひとつ見直しをお願いしたいというふうに思っているわけです。
#165
○沓脱タケ子君 自治省の方にお伺いしておきたいんですが、地方自治法の十四条一項で自治体の上乗せを認めておりますが、いま御承知のように、年齢についても六十五歳以上、あるいはこの間岩手県の沢内村は六十歳からと言っておりましたか、そういうふうに年齢の引き下げも含めまして、単独事業というのが非常にたくさんやられておりますが、そういう状況で単独事業としてやっている無料化を行った場合に、地財法の二条一項によってこれを禁止することができますか。
#166
○説明員(持永堯民君) いわゆる単独事業と地財法二条の関係でございますけれども、単独事業は基本的には先ほどもお話しございましたように各自治体で判断して決めることでございます。そういった意味で、単独事業の内容といいますか、態様にもいろいろあろうかと思いますけれども、一般論として申し上げれば、単独事業をやったことが直ちに地財法二条に違反するということにはならないと思っております。
#167
○沓脱タケ子君 そうすると、法律によって禁止するという法令解釈はできないということですね、単独事業に対しては。
#168
○説明員(持永堯民君) 格別新しい立法措置を講ずれば別でございますけれども、現行法の範囲内では法律違反にはならないと思っております。
#169
○沓脱タケ子君 もう一つ自治省にお伺いしておきたいんですが、地方自治体が自主的に判断をして実施しているこの単独事業ですね、六十五歳以上とか、あるいは所得制限の緩和だとか、そういう場合に地方財政法二十六条一項の地方交付税の減額措置の適用の対象になるということはないだろうと思うんだけれども、いかがでしょう。
#170
○説明員(持永堯民君) 先ほども申し上げましたように、地財法二条との関係におきましても法律上は問題ないと思いますし、他の法令との関係においても法令違反ということにはならないと思いますので、二十六条によりまして減額対象になるということはないと思っております。
#171
○沓脱タケ子君 それでは、自治省の御見解を伺いましたので非常にはっきりしたわけですが、厚生省にお聞きをしたいんですが、自治省の御見解では、地方自治体の単独事業をやめさせるという法的根拠がないということですね。そういうことになったら、厚生省は地方に対しては単独事業に対する干渉がましいことは言わない、あくまでその地域の自主的な判断にお任せをするということでいくべきだと思いますが、その点はどうですか。
#172
○政府委員(吉原健二君) 地方単独事業を法律で禁止したりすることはできませんし、私ども干渉するつもりはございません。地方単独事業について干渉がましいことを言うつもりはございませんが、先ほども申し上げましたように、国としてこういった新しい制度を発足させるときに、地方の事業というものは全くそれといわば矛盾するような形のままでいいのかどうかといいますと、地方の事業というものも国の施策なり事業というものと整合性を持った形でやっていただきたい。これは地方自体もそういうお考えを持っておられると思いますし、ぜひそういった観点から見直しをしていただきたいと思っておりますし、現に地方自治体の方からは、われわれがやっている地方単独事業についてどうしたらいいのか、国としての考えをはっきり聞かせてもらいたいというような御意見もあるわけでございますので、私どもの国の考え方ははっきり地方に申し上げて、見直しをお願いしたいというふうに思っておるわけです。
#173
○沓脱タケ子君 干渉がましいことは言わないけれども見直しをやってもらいたい、何とかやめてもらいたい、政府の老人保健法が七十歳から、大阪や東京は六十五歳で、それはけしからぬからやめてもらいたいというんですか、見直しをしてくださいというのは。そう言って頼むというわけ、そういう意味ですか。
#174
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。見直しをお願いしたいということでございます。
#175
○沓脱タケ子君 だから、わざわざ私、自治省の御見解を来ていただいてお聞きをしたんです。
 大臣、法的根拠がないんですからね。それぞれの地方自治体で単独事業をおやりになっていることについては、干渉がましいことを言いたくないとか言わないとかと言うことはできないんですよね、本来。そんなもの、あなた、法律的根拠もないのにごてごて言われない。あくまで地方の単独事業については、そこの市町村の自主性、自主的な判断に任せると、そういうふうなお立場をとるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#176
○国務大臣(森下元晴君) 先ほどの沢内村の例を挙げられましたが、ここの状況につきましては私どもも聞いておりますし、医者そして村長さん、また村民の理解、そういう上に成り立っておる特殊な例でございます。その例ですべてを考えるわけにいきませんけれども、いま審議官が御説明いたしましたように干渉はいたさない、しかし適切な指導は現在の法体系のもとではさしてもらわないといけないと、こういうふうに実は考えておるわけでございます。いろいろ各県また各地方によって、それぞれ行き方また市長の考え方もありますけれども、国の一つの指導方針もあるわけでございますから、それはそれで示さしていただきまして、干渉はいたしませんけれども、その方針に理解を示してもらいたいというのが私どもの考えであります。
#177
○沓脱タケ子君 ちょっとなかなかわかりにくい。干渉はいたしませんけれども見直しはお願いをしたいと、こういうことですね。お願いはするけれども、聞いてもらえなかった場合も起こり得るわけですね。その場合には、当然のこととして、その地方の自主的判断にお任せするという以外にはありませんということですか。
#178
○政府委員(吉原健二君) 最終的な判断は地方自治体の判断にお任せするより仕方がないと思っております。
#179
○沓脱タケ子君 それならはっきりしたんです。最終的には地方の判断に任せる以外にしようがないということですね。
 それでもう一つ聞きたいのは、保健事業も地方自治体でそれなりに独自の事業をやっていますね。そこでちょっと聞いておきたいのは、厚生省の保健事業の概要及び実施計画案を見ますと、四十歳以上の者について循環器を中心にする一般診査、精密診査、胃がん検診、三十歳から三十九歳の女性についての子宮がん検診を行うということになっていますね。そこで厚生省の新実施計画案では、これらの健康診査に要する費用、健康診断を受ける者がそれぞれ幾らずつ払うことになるのか、ちょっと金額を言ってください。
#180
○政府委員(三浦大助君) 一般診査につきましては百円をいただくことになっております。それから一般診査でひっかかった方の精密診査、それから胃がん検診、子宮がん検診につきましては、それぞれ三分の一ずついただくことになっておりまして、精密診査は、保健所と集団検診あるいは医療機関それぞれ単価は違いますけれども、一般診査で要注意になった方の精密検査で平均しまして八百円、それから胃がん検診で千百円、子宮がん検診で八百円をいただくということになっております。
#181
○沓脱タケ子君 一般検査で百円、それにひっかかった人の精密検査で八百円、それから胃がん検診で千百円。これは間接撮影ですね。それから子宮がん検診で八百円。
 検査の中身も問題あるんですけれども、ちょっと時間がないからその問題は別の機会に触れることにいたしまして、たとえば地方自治体でやっているヘルスの事業でも単独事業をやっておられますね、いまでも。たまたま名古屋の実例を見てみますと、名古屋市では、五十五年度実績を見ますと成人病検診は無料なんですよ。それから老人健診も無料、胃がん検診が九百円、子宮がん検診が五百円。今度の新法によりますといまおっしゃったように一般診査も百円で、精密診査八百円、胃がん検診千百円、子宮がん検診八百円で大分それよりも安くできるんですね。さっきちょっと上乗せの話ししていましたけれども、保健事業における単独事業の国基準をすでに上回っているところは、これはお認めになっていく方針ですか。
#182
○政府委員(三浦大助君) これにつきましても、私ども一応原則として費用の一部負担はお願いする、無理のない範囲でお願いするということでございますので、市町村に対しましても、これに沿った費用の徴収はお願いしたいというつもりでおります。
#183
○沓脱タケ子君 そうすると、新法に移行したら厚生省基準で金を集めてもらうというふうにするわけですか、受診者負担。
#184
○政府委員(三浦大助君) 私どもは一応標準単価の費用の徴収はお願いしたいと考えておりますが、実際いま都道府県ではかなりばらばらでございます。いま御指摘ございましたように、循環器検診などの一次検診は無料でやっておるところが多うございますが、精密検査あるいは胃がん検診、子宮がん検診につきましては、一部負担二百円から千八百円ぐらいまでかなりばらばらになっております。一応これは予算の関係上標準単価をつくっておりますので、私どもといたしましては、これでひとつやっていただきたいということで費用の徴収もお願いしたいと考えております。
#185
○沓脱タケ子君 そうすると、金額もそういうことで国基準にそろえていってもらいたい。
 年齢はどうですか。名古屋の場合は年齢が胃がんについては三十五歳以上になっていますね。そういう年齢の単独事業というか上積みですね、国基準より上回る分についてはどうやりますか。やっぱり国基準に合わせてもう四十歳からにしてくれと言うんですか。
#186
○政府委員(吉原健二君) ヘルスにつきまして国の考え方、老人保健法は四十歳でございますけれども、それを三十五歳からやってはいけないというふうなことを言うつもりはございません。
#187
○沓脱タケ子君 そこら辺がまたおもしろいんだな。老人医療の方はとにかく干渉はいたしませんけれども見直してもらいたいというてお願いをしますと。ヘルスの方は三十五歳からやろうがどうしようがそれはもう認めていきますと。それはちょっといただけないんじゃないの。それは地方自治体の単独事業というのは、あくまでそこの市の自主的な判断にお任せするということ。片や医療については干渉していく、干渉はできませんけれども、とにかく見直しをお願いしますというんでしょう。ヘルスの方は何ぼやってくれても結構ですと。そんなこと国民納得できますか。何でそない区別するんやと、こうなりますよ。いかがです。
#188
○政府委員(吉原健二君) この法律におきましても、ヘルスと医療というのは少し性格が違いまして、法律上の考え方も違った面があるわけでございます。つまりヘルスの事業というのは、病気の予防でありますとかあるいは訪問指導、リハビリテーションといった事業というのは、できるだけ市町村の創意工夫なり地域の実情に応じた形でやっていただくということを前提に考えているわけでございます。全国三千二百の市町村で一律にそういったことをやろうとしても、なかなか無理がございますし、地域によっていろんな特殊性なり事情がありますから、あるいは地方団体によってのマンパワーの問題とか施設の問題もございますので、できるだけ地域の実情に合わせてそれぞれ創意工夫をしていただいてやっていただきたい、またそういう考え方でなければこの事業というのは伸びていかないと、こういうふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、国は一応四十歳からということを考えておりますし、予算補助の対象になっておりますのも当然国の基準である四十歳以上の方の健診ということになりますが、たとえばがん検診ならがん検診あるいは成人病検診なら成人病検診というものを特定の市で四十歳より早くから始めたい、それは市の単独事業として始めたいといったような事業までも、それはいけないというようなことを言う必要もないし、また言うつもりもございません。
 ただ、医療につきましては、やはりこれは全国の一つの制度としてやっていこう、その地方、市町村の事業ではございますけれども、全国的ないわば一律の制度としてやっていこう。その費用というものも、その市町村だけで賄うわけじゃありませんで、国都道府県それから各保険者、これは全国の保険者から一定の割合で出していただいて費用も負担していこう。こういう制度でございますので、その地方だけ医療については特別な扱いということは、これは法律の性格上からいいましてもなかなか認めることはできないと、こういうことでございます。
#189
○沓脱タケ子君 いや、いまの説明聞いていますとね、ヘルスの事業というのは、国基準でやれと言うたって、全国一斉に国が求める基準になかなか達しないわね。だから少々単独事業でよけいやってくださっているところをとやかく言いませんと。おくれているところは、おくれているのはしようがないので何とか引き上げる努力をしますけれども、国基準に目標どおり簡単に到達するという条件も乏しいわけですね。ないとは言わない、非常な努力を要すると。そういう状況だからアンバランスがあっても、あるいは単独事業であってもそれは認めると。そんなのあんた勝手過ぎはしまへんか。財源から言うたら一緒ですよ。ヘルスだって国と地方自治体と受診者本人、国民との負担です、財源だって。医療だって、老人保健の医療だって、国と自治体と保険者というけれども、あんた保険者のお金というのは国民の保険の掛金でしょう。同じですよ。えろう御都合がよ過ぎまへんか。ヘルスの方だけは、なかなか国基準そないうまいことぱちっと統一できるような施策にはなっておらぬから、少々でこぼこあっても文句言いませんと。医療費の方だけは、地方自治体の上乗せは、干渉はいたしませんけれども、見直しをきつくお願いしますということでしょう、まあ最終的には自治体の自主的判断とはおっしゃったけれども。そういう矛盾というのは国民から見てもおかしいので、自治体のそういった自主的判断で、地方自治法、地財法等に触れない範囲のものについては、自主的判断にお任せするという立場を貫くべきではないかと思います。
 これはもう前段で御答弁をいただいておりますから、繰り返していただく必要はないと思いますけれども、両方並べてみたらおかしいでしょう、やっぱり。国民の立場から見たらおかしいですよ。審議官はおかしくないらしい。首振っているみたいだけれども、大臣おかしい思いませんか。一つの法律で片方ずつ別々や言うたらおかしいですよ。
#190
○政府委員(吉原健二君) その点が先生と御意見が違うわけでございますけれども、私どもはおかしくないと思っているわけでございますし、この法案をつくりましたときに、地方自治体、市町村長さんの御意見も伺ったわけでございますけれども、ヘルスの事業というのは、できるだけその市町村長が自分の工夫なりを生かしてやっていけるような形にしてもらいたいと。国で一律にこうやれと言われてもなかなかできないし、あるいはそれ以上にやりたいところもあるから、ひとつそういうことは十分やらしてもらいたい、こういうことでございました。それから同じ市町村長が、医療についてはできるだけ国画一の制度でひとつやれるような運営にしてもらいたいと。財源の負担というものも市町村の負担にならないように最終的に五%を市町村にお願いすることにしておりますけれども、五%は都道府県、九〇%を国と保険者から拠出していただいた費用で持つという、その費用負担との関係もございまして、医療についてはできるだけ国が画一的な制度としてやれるようにしてもらいたいというのが、むしろ市町村長の側からの御希望なり御意見でもあったわけでございます。私は、そういうふうな考え方でいくのが、この法律というものを市町村というものが実施主体になってやっていただく以上は、そういう御意見というものを十分踏まえた法律構成、考え方で臨むのがむしろ望ましい、必要だというふうに思っているわけです。
#191
○沓脱タケ子君 まあ、それはそのとおり、おかしいですねと言ったら、ぐあいが悪いですけれどもね、厚生省が。しかし国民の側から見たら、確かに同じ法律で、片や七重のひざを八重に折って、とにかく見直しをお願いすると言っているんでしょう。片方は何ぼでもやってもらってもよろしいと自治体に言う。整合性を大変やかましく言われる政府、厚生省が、そない整合性のないようなやり方をやるというのは、やっぱり無理があるということじゃないんだろうかというふうに思うんです。
 だから、あえて繰り返しませんが、そういう点では、自治体がどうしてもやりたいという場合には、これを拒否する法律的な根拠もないわけですから、自主的な判断にお任せするしかしようがないという御意見を伺っておりますから、そういうことだとしておきます。それで、時間の関係がありますので次に進みます。
 きょうの新聞でちょっと拝見しますと、朝もちょっと御質問が出たんですが、拠出金問題で厚生省は再修正の方針があるんですか。
#192
○政府委員(吉原健二君) けさも大臣からお答え申し上げましたように、厚生省として再修正という考え方は持っておりません。
#193
○沓脱タケ子君 これは新聞の記事だから本当かうそかわからぬと言ったらどうかわかりませんが、書いてあることを見ますと、厚生省は、同日と言うんだからきのう十九日、「健康保険組合連合会に対し自民党社会部会の方針を説明、了解を求めたが、健保連側は回答を保留した。」というふうに報道されていますが、厚生省は健保連へごあいさつにというか、連絡に行きましたか。
#194
○政府委員(吉原健二君) 厚生省としては、健保連なりあるいは経済団体から、御案内のように、いろいろこの法案についての御注文、御意見をいただいております。非常にむずかしい御意見をいただいておりますので、その御意見に対して、厚生省としては、といいますか、法案の考え方というものを、現在健保連なり経済団体に十分内容なり趣旨というものを理解していただくということで、先般来再三再四にわたりまして、現在ここで御審議いただいております法案の趣旨、内容について、御理解を求めるべく折衝なり御説明を繰り返しさしていただいているというのが実情でございます。
#195
○沓脱タケ子君 そうすると行ったわけですね。行っていることは行っているということですな。
 それで、「自民党社会部会の方針を説明」と書いてあるけれども、これは説明をして了解を求めたというふうに書かれていますが、それはやったんですか。頼まれて説明をしたんですか。
#196
○政府委員(吉原健二君) 自民党の考え方を説明したということはございませんで、私どもとしては、いま政府が提案して御審議をいただいているわけでございますので、政府の現在の法案の考え方を十分御説明をさしていただいているということでございます。
#197
○沓脱タケ子君 それはそれ以上言わないつもりでしょうから、時間とるのはもったいないですね。新聞で報道されているこの種の記事というのは、全く火のないところに煙が立たぬというたとえでね。なかなか国会ではおっしゃらないんだけれども、そういう動きが出ているということは明らかですね。これは別の機会に譲るといたします。
 私は拠出金というんですか、費用分担の問題、費用負担の問題というのは大変重要だと思うんですね。ちょっとお聞きをしたいんですけれども、費用負担について、現行制度と新法による制度との比較をいたしまして、これはどうなりますかね、都道府県市町村の負担の増減分は何ぼになるか、患者負担は満年度として幾らになるか、皆満年度でね。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
 それからもう一つは、保険料ですね、被用者保険の保険料、いわゆる保険者の負担、被用者保険の負担の増減はどうなるか。それちょっと数字を聞かしてください。
#198
○政府委員(吉原健二君) まず都道府県市町村の負担でございますけれども、新制度と現行制度を比較いたしますと、五十七年度満年度で推計をいたしまして、都道府県は五百七十億の負担増、市町村も同じく五百七十億の負担増ということになります。
 それから保険料の負担関係でございますけれども、被用者保険、国保を通じまして、国民の方に直接御負担をいただく保険料の負担は、逆に四百六十億の減になります。ただ、被用者保険の方は千百十億の負担増になり、国民健康保険の方は千五百七十億の負担減になります。
 それから患者負担でございますけれども、患者負担は百二十億の増になります。今回お願いしております老人の一部負担で、満年度四百八十億円程度というふうに見込んでいるわけでございます。
#199
○沓脱タケ子君 それで、国庫負担は、最終的に差し引きしますと、増減は満年度ではどうなりますか。
#200
○政府委員(吉原健二君) 国の負担でございますが、公費負担分で国は満年度で二千二百六十億の増になります。一方、国保に対する補助金の減額等によりまして、千八百四十億円の減になります。それから国民健康保険に対しまして臨時に補助をしております臨調が千二百十億円、これが不要になるわけでございます。したがいまして、国の負担は、合計をいたしますと、満年度で当面約七百九十億の減になります。
#201
○沓脱タケ子君 差し引き七百九十億減るんですね。
 これは私、健保連にしたっていろいろ御意見が出るのはあたりまえだなと思うのは、大体今度の老人保健法の発足に当たって、費用負担というのは、いまお話のあったように、都道府県市町村の負担増は、五百七十億ずつだから合わせて千百四十億でしょう。患者の負担は百二十億ですね、負担増。それから被用者保険の保険料ですね、これが千百十億の増ですね。そこが全部ふえて、国の負担が差し引き最終的に七百九十億減るというようなことになりますと、大概ひどいことをやるなということになるんですわな。国の出すお金は七百九十億始末しておいて、その振り分けを全部老人である患者さんに百二十億、地方自治体に千百四十億、それから被用者保険の労働者に千百十億振り分けるというふうなことで、この法律を発足しようということになったら、これはえげつないことをやるなということになりますよ。だから老人を初め国民各層から反対が出てくるのは当然だと思うんですね。いままで支出していた国庫の金ぐらい何でつぎ込めないんですか。それをつぎ込んだだけでも、これは一部負担金の百二十億やそこらは解消するのは簡単だし、保険者に対する拠出金の緩和だってできるわけですよね。そんな国だけいい目して、よそへ全部振り分けるんや、年寄りと労働者の保険の掛金と地方自治体へ振り分けて発足するのやと、こんな虫のいいやり方はありませんで。どう思いますか。反対されるのはあたりまえじゃないですか。
#202
○政府委員(吉原健二君) 国の負担が減る結果になりましたのは、端的に言いまして、国民健康保険に対する臨調、これは国民健康保険が老人がたくさんいるということで臨時に国が補助している補助金でございまして、その臨調が不要になるために国の負担が減る。その金額も臨調全額ではありませんで、臨調が減るのは千二百十億でございますけれども、国の負担が減るのは七百九十億ということで、結果として、国の負担が減る結果になったことは御指摘のとおりでございますが、決して国の負担をほかへ転嫁したということじゃありませんで、国は国として公費の二〇%を持つ。それは従来よりもはるかに大きな負担になっておりますし、それから一定の基準で被用者保険と国保に拠出をしていただく。その場合に、国保の拠出分に対しては従来どおりの補助率で国が補助をしているわけでございますから、国の負担を軽減さすとか、あるいは責任を後退さしたということには私はなっていないというふうに思います。あくまでも公平な負担という考え方で国も出し、保険者にも出していただく。
 それから高度成長の時代でございましたならば、できるだけ国も減るというようなことのないようにということも実際問題としてできたと思いますけれども、御案内のような財政事情でもございますし、必要なところへは国はもちろん当然出すべきだと思いますが、必要でないところまで、いままで出していたからそのくらいはと、そういうお気持ちなり国民のお考えは私は理解できますけれども、なかなか客観的にそういうことができる情勢にないということも御理解をいただきたいと思います。
#203
○沓脱タケ子君 それは細かい数字差し引き全部してそういうふうに伺っておるわけですから、細かいことはようわかっておるんです。
 いずれにしても、八百億近い金を政府は出すのをやめて、お年寄りと労働者の保険の掛金と地方自治体に振り分けた。結果がそうなっておるわけです、金額計算してみたら。そういうやり方というのは、老人保健法に臨調を持ち込んではならぬとけさ大臣も言っておられたけれども、国の支出を始末して国民に振り分けたという結果にしかなっていない。だからみんな反対しているんです。そういうことなんですよ。
 時間がないから私細かくもう言いませんけど、あと次にいきますが、これは国庫、国の支出金についてはどうしても考えてもらわにゃいかぬと思いますよ。
 それからもう一つ、時間の限りで少しお聞きをしておきたいのは、診療報酬と診療方針というのは中医協でやるんだということになっていますね、衆議院修正で。この支払い方式の問題というのが大変論議を呼んでおるんです。ちょっと聞いておきたいのは、十三日の本委員会の御審議の中で、吉原審議官は、老人医療向けの新しい診療報酬点数表を設定するかのごとく受け取れるお話があったんですが、老人保健法については別建ての診療報酬表をおつくりになるんですか。
#204
○政府委員(吉原健二君) 老人の心身の特性というものを踏まえた診療報酬点数をつくりたいという考え方を持っておりまして、そういったことで中医協でも諮問をし御審議をいただきたいというふうに思っているわけですが、それが最終的にどういう形になるか、全くいまの甲乙と別の表になるのか、あるいは現在の甲乙の手直しということでいくのかというのは、御審議の結果の最終的な形の問題でございますので、いまの時点で全く別の表を前提に考えているということでは必ずしもございません。
#205
○沓脱タケ子君 老人保健用の別建ての診療報酬点数表をつくろう、点数表というか診療報酬表をつくろうということのようです。それ以上お聞きしないんですが、ただ、私気になるからちょっと言うておきたいのは、お年寄りにふさわしいと言って盛んにその言葉を使われるんで気になるんだけれど、お年寄りだからといって、慢性病が多いことを理由にしまして診療内容のレベルダウンというようなことになると大変だ。いわゆる安かろう悪かろうの発想というようなものが診療方針、診療報酬に入ってきたら大変だと思うんですが、まさかそんなことを考えているんではないでしょうね。
#206
○政府委員(吉原健二君) 安かろう悪かろうという診療報酬というものを考えているということはもうあり得ないこと、そんなことはあり得ないことでございまして、老人の方の医療というものが適切にしかもむだなく行われるような診療報酬の体系というものを考えてみたいということでございます。
#207
○沓脱タケ子君 といいますのは、これはお年寄りに対する差別扱いになってはならないということが一つあります。
 もう一つは、七十歳以上の被用者保険の本人というのが二十万以上おるんですね。健康保険の本人であっても七十歳になったら、この法律ができたら自動的に老人保健法へ移行するわけでしょう。で、健康保険法に基づいて保険料を払っているわけです。診療は、健康保険法に基づく診療方針と診療報酬によって診療を受けられなくて、老人保健法の体系でしか受けられないということになると矛盾が出てくる。少なくとも健康保険法の水準よりも、お年寄りだから大事にしたということでレベルアップした水準なら、これは文句はないですけれども、だから、もし変えるとしても、決してレベルダウンしてもろうたら大変なことだなと。もしそんなレベルダウンになって、お年寄りだけ差別するということになるなら、被用者保険の本人の七十歳以上の人たちは一体どうするんだという問題が出てくるんですが、これはいかがですか。
#208
○政府委員(吉原健二君) レベルアップならいいという御指摘でございますが、私は、レベルアップとかレベルダウン、レベルの問題で考えてはいけないというふうに思っておりまして、むしろ若い人には若い人なりのそれにふさわしい医療、老人の方には老人の方にふさわしい医療、そういったものを考える必要があるというふうに思っておるわけです。
#209
○沓脱タケ子君 いや、それは非常に危険だと思うんですよ。洋服買うんと違うんですよ。洋服を買うんなら、若い人に似合うような洋服、お年寄りに似合うような洋服ということになりますけれど、医療というのはお年寄り向きの医療と若向きの医療なんてないですよ。疾病とその患者さんの病態に応じて必要な医療を十分やるということになるんですね。それをあんた、老人向きの医療なんというようなことを言われたら、危ないですな、別建てになるとしたら。
 だから、冒頭に言うたのは、レベルダウン、あるいは安かろう悪かろうみたいな別建ての診療報酬表をつくってもろうたら大変ですよ、まさかそんなことにはなりませんでしょうねと言うたのはそこなんです。もう一遍はっきり言うといてください、いろいろ問題が起こりますからね、はっきりしてください。
#210
○政府委員(吉原健二君) 繰り返しになりますが、あくまでも老人の心身の特性を踏まえた診療報酬を考えているわけでございまして、安かろう悪かろうというような医療になるような診療報酬というものは全く考えておりません。
#211
○理事(安恒良一君) 沓脱さん時間です。
#212
○沓脱タケ子君 時間ですので終わりたいと思いますが、最後に大臣ね、私きょうは突然時間が短くなったもんで途中になったんですけれども、ヘルスの問題はまた次回の機会にやらしていただくことにしたいと思うんですが、いま申し上げた診療報酬の別建てにする問題で、レベルダウンをしてお年寄りを医療の上で差別したというふうなことにならないように、ぜひ確保してもらいたいということを重ねて申し上げましたが、その点についての大臣の御見解をお伺いして、きょうはこの程度に終わりたいと思います。
#213
○国務大臣(森下元晴君) 御老人の診療につきましては、濃密、濃厚診療にはならないように、しかしながら粗診、粗療にならないようにと、そういうレベルダウンをしないような方向でやらしていただきます。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
#214
○藤井恒男君 老人保健法案について若干質問いたします。
 わが党のこの老人保健法案に対する基本的な態度をあらかじめ申し上げておいた方がいいと思いますので、お聞きいただきたいと思うんですが、そもそも老人保健法案を扱うに当たっては、老人福祉法に言われておる「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」、この基本理念を貫いてまいりたいものだと思います。また、老人保健法の「目的」の中に、「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。」という条項が掲げられており、そういった目的を受けて具体的に、治療にとかく偏重しがちな現行制度を改めて、予防から治療、リハビリテーション、一貫したサービスの供給、すなわち保健と医療との一貫性を持たせることをねらいとしておるということについては私ども評価しておるところです。
 政府原案に対して衆議院で修正が行われたわけでありますが、これからの各党とのいろいろな話し合いの上決まっていくことでありますが、われわれとしては、本院において慎重な審議を行って所要の修正をすべきであるというふうに思っております。あらかじめ申し上げておきますと、衆議院で一部の修正がなされましたが、一部負担の軽減の問題についてなお慎重な検討の上修正すべきであろうと思います。あるいは低所得者の範囲というものをなお明確にする必要がある。あるいは中医協、とかくこの運営等について国民の目から疑惑もあるし、いろいろと問題の多い中医協の改組を行うべきである。あるいは審議の経過にもよりますが、ときには実施時期ということについて弾力的に見なければいけないかなと。さらに、保険の拠出金の上限については何らかの上限設定というものを行わなければなるまい。さらに国、地方公共団体、各保険者の負担割合、これらについてもいまなお一度検討を加える必要があろう。さらに、支払基金の権限の強化、保健事業の明確化、システム化といったこと等について各党とよくお話し合いをし、所要の修正を行うべきであろうと思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいと思うわけです。
 こういった基本的な立場に立ってきょうは短い時間ですが、若干御質問申し上げます。
 その一つは、この医療費の適正化ということについてお尋ねするわけでありますが、医療費それ自体が、お示しいただいております資料でも明らかなように、およそ十年ほど前は三兆九千億、四兆近くの国民医療費であったものが、現在では十三兆八千億、かなり大きな伸びを示しておるわけです。老人医療費が増高してそれに寄与しておるということだけじゃなく、国民医療費全体として大変な勢いで伸びている。その根拠というのをいまの出来高払いという支払い制度に、悪の根源がすべてそこにあるようにとかく取りざたされておるきらいがあるわけだけれども、厚生省としては、この国民医療の著しい増高という原因をどの辺に見ておられるのか、まずお伺いしたいと思う。
#215
○国務大臣(森下元晴君) 医療費の増加の要因といたしましては、人口の増加とか、人口構造の老齢化、また医療技術の進歩等が考えられておりまして、一概に診療報酬支払い方式のみを原因とすることはできないと、このように思っております。
 先ほど御指摘いただきました、十年前には四兆が現在は十三兆八千億と。この中で恐らく四兆のときには老人医療が四千億ぐらいだったと思います。その十分の一が現在では約三兆くらいになっておりますから八倍と、医療総額が三倍になって、そのうちに占める老人医療の割合が八倍になっておる。かなり医療費全般に占める老人医療の割合がふえ続けておるということは、このデータ見てもわかることだと思います。
 そういうことで、支払い方式だけの問題ではなしに、高齢化社会を迎えつつある。しかも適正化対策を積極的に進めなければいけない部門も実はあるわけであります。新聞等をよくにぎわしております乱診乱療の例もございますし、そういうことを踏まえまして、今回この老人保健法案を出さしていただきまして、先ほども申し上げましたように、お粗末な診療にならないようにしながら、濃厚診療また濃密診療にならないように、老人の心身の特性に見合ったような健やかな御老人としての生活を送ってもらいたい。それと、いままでは老人の治療だけを中心にしておりましたが、これからは将来老人になる方々を通じて老後の保健対策をやっていこう。こういうような非常に画期的な法案であると、私はこのように思っておりますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#216
○藤井恒男君 この医療費の増加傾向というのは、ひとり日本だけの特性じゃなく、英国あるいはドイツ、あるいは米国、それぞれに医療費の対国民所得比というのがかなりな比率で上昇している。それぞれの国にはそれぞれの制度が異なったものとしてあるわけでして、たとえばイギリスの場合には人頭払い、西ドイツの場合には請負制度、こういったところでは、日本で言われておるような薬づけとかあるいは濃厚診療だとかいったような弊害をさして聞かないわけです。こういった点の違い、出東高払いという日本の制度がとかくわが国における医療費の増高の悪の張本人みたいに言う人が多いわけなんです。
 それやこれやを比較すると、どの辺にこれは問題があるのか、この辺はもう少し国民にわかりやすく説明をすることが必要じゃなかろうか。あるいは医療費の増高に伴う抑制措置というものも、わが国の場合にはわが国としての発想もありましょうが、同じように医療費がイギリスあるいはアメリカ、ドイツあたりでもふえ続けておるし、それなりのコントロールの方法を持っておるわけだから、そういった点との比較においてわが国の状況をどのようにしたらいいのかといった点は、もう少し親切に説明を要することじゃなかろうかなというふうに思うんです。そういった点についてひとつ考え方の概要をお聞かせいただきたいと思うんです。
#217
○政府委員(大和田潔君) 先生のおっしゃるとおりであろうと思います。
 先ほど大臣が申しましたように、医療費の増高の原因といたしまして、これは日本だけでなく、諸外国もそうでございますが、人口の増加であるとか、人口構造の老齢化であるとか、あるいは医療技術の進歩、高度化、これが相当に増高に寄与しているものと考えるわけでございますが、そういったようなことがやはり各国でも見られるのではないかというふうに考えられます。
 したがいまして、各国におきますところの医療費の増高傾向というものも、やはり日本同様に増高傾向が見られるわけでございまして、国民所得に占める割合ということで見ますと、日本は六・〇でありますのに対しまして、西ドイツが九・五二であるとか、フランスが九・〇五、アメリカが八・三七、イギリスが六・一七。イギリスは登録人頭払い方式というものでございますので、ほかの西欧諸外国に比べまして国民所得に占める割合は低いわけでございますが、日本は六%といいましても、人口の老齢、高齢化というものがほかの国に比べましてまだおくれておりますので、それに比較いたしますとこの六%はまだ上昇するということになろうかと思います。
 それにいたしましても、諸外国もかなりの速度で医療費がふえてきておるわけであります。こういった医療費の増高に対しまして、諸外国は諸外国なりにいろいろな方法で医療費の抑制策を講じております。西ドイツにおきましては、これは総額抑制法というようなことで医療費の抑制をいたしておるわけでございますし、諸外国それぞれにそれぞれの支払い方式に応じたところの抑制策というものを強力に推し進めておる。
 日本におきましては、出来高払いというものの支払い方式をとっておるわけでございますが、この出来高払いにつきましても、長所もあり短所もある。たとえば日本におきまして、医療費の節約を図るということになりますと、この出来高払いにおきまする薬でございますが、薬剤の分野、それから検査の分野、あるいは入院日数といったような分野、これらが出来高払いにおきましてやはり注目をしなきゃならぬ分野であろうと思います。
 それらに対しまして手を打つということによりまして、医療費の増高を抑制するということが可能になるのではないかというふうに考えまして、昨年の医療費改定は、特に薬、検査というものに着目いたしました医療費改定をやっておるわけでございますが、そういったようなことによりまして、それぞれ各国の医療費対策というものを私どもも勉強をいたしまして、私どものとっております支払い方式にふさわしい対策というものを進めていかにゃならぬ、このように考えておるわけでございます。これが具体的には医療費適正化対策ということで進めております対策になるわけでございますが、そのような方向で私どもさらに努力をしてまいりたい、このように考えておるわけであります。
#218
○藤井恒男君 いまおっしゃったように、それぞれの国で医療費抑制対策というものを施しておるわけで、それぞれの国の支払い方法というのはそれなりにメリットもあればデメリットもあろう、あるいは国情の違い等もそれぞれあろうと思うんだけれども、わが国のこの出来高払いに基づくところの薬の問題あるいは検査の問題、それだけの対応ということももちろん大切であろうが、同時に総合的に併用的にたとえばアメリカにおける医療供給のコントロール――いまおっしゃったように医療機器が非常に発達してきている。わが国の経済事情にもよるのかもわかりませんが、これをもう少しコントロールしていくことによる有効利用というのもありましょうし、あるいは西ドイツ、フランスあたりの病院建設等についてのコントロール、それから医師に対するコントロール、こういったものを総合的に取り込んでいくということが必要じゃないだろうか。わが国の医療費に対する取り扱いというものはどちらかと言えば単純過ぎるんじゃないだろうかという気がするんですが、もう少し多角的に。諸外国が現に高齢化社会というものを経験しておることだし、しかも支払い方式それ自体は違いがあるが、われわれが経験していく過程を彼らはもう経験しておるわけですから、だからもうちょっとそういったものを総合的に見直していく必要があるんじゃないかな。
 また一方、患者側からすれば、出来高払いというのは非常にいいわけです。患者側は出来高払いが一番いいんですよ、それはもう濃厚診療を受けることが患者は一番いいわけですから。そういった国民感情等全部ミックスして、私はもっときめの細かい医療行政というものを立てていかなければいけないというふうに思ってこういう質問をしておるわけなんです。そういった点についてどうお考えでしょうか。
#219
○政府委員(大和田潔君) 大変傾聴に値する御意見だと思います。
 それで、私どもといたしましては、ただいま先生おっしゃいましたものを、完全にそれを実施するところまでいっておりませんが、先ほど申しました医療費適正化対策の中で、これは指導、監査の強化、それからレセプト審査の充実、それから検査の適正化あるいは薬価基準の適正化と並びまして、例の高額医療機器の共同利用というようなものを適正化の中に入れておりますし、それから医療費通知の充実といったようなことをやっておるわけでございますが、さらにいろいろな観点から医療費適正化というものを、いろいろな観点といいますか、いろいろな事項、対策というものをもっと広げて検討していく必要があろうかと思うわけでございますが、当面、ただいま申しましたような医療費適正化対策を、これは五十五年十二月でございますけれども、立てて進めておるわけでございます。
#220
○藤井恒男君 そういった意味で、いま適正化対策というふうに言われたわけですが、この適正化の一環として、現在審査体制、これは支払基金でレセプトを集めて、審査委員会が審査している。審査の状況を私なりに調べてみますと、今日の基金の審査は、診療担当者の自覚と責任ということを踏まえて、いわゆる書類審査ですわね。審査委員会がチェックする場合でも、これは知事の承認を求めて審査をする、審査というか、疑問のあるレセプトについての調査を行う。こういうことにもなっておるし、あるいはその療養担当規則等についての事項も、これによる取り方、見方というのが審査委員の間にもいろいろな取り方ができる。だから、このレセプト審査、支払基金の審査業務というのは、当該請求というものを可とするか、不可とするかという現実決着の場所なんだけど、それが担当規則などの解釈の幅なども人によってこれは変わってくるというようなことでは非常に問題があるんじゃないか。著しく医療技術が進歩しておるし、複雑になっているということとの対応がどうなっておるのか。この辺の適正化対策としての基金の審査体制というものを私はもっともっと充実していかなければいけないというふうに思い、先ほども所要の補正を加えるべきだという項目にこれを挙げたわけだけど、この辺についてどういうふうに考えておられるんですか。
#221
○政府委員(大和田潔君) 先ほど先生おっしゃいました解釈、解釈というものが審査する人によって異なると、こういうようなことは、これは困るわけでありまして、これにつきましては、そのようなことがあれば是正をするような措置を講じたいと思いますが、要は何と申しましても、この支払基金の審査を質的に充実をしていかなければならないということは、もう言うをまたないことでございまして、これは私どもといたしては、審査委員会の充実ということによりまして、まず第一にそれをやっていかにゃならぬ。したがいまして、五十七年度におきましては、人の問題では特に厳しい環境であるにもかかわらず、審査委員のかなりの増員を図っております。専任審査委員につきましても増員を図っておるというようなことで、審査体制の人的な面でとにもかくにも体制を充実していこうということでやっておるわけでございます。
 それからまた、この支払基金におきます重点審査というものをさらに充実をしていかにゃならぬ。これは重点審査をしないで、レセプトも全部一々めくりまして、一つずつやりますと、なかなかこれは深い審査ができない。やはり重点的に必要なものをどんどん審査していくというようなことにしなきゃなりません。その重点審査をさらに充実させますために、五十七年度にはコンピューターを活用いたしました統計的資料の作成というものを開始することにいたしまして、それによって重点審査の充実、さらに促進をするということができると思います。そういったようなことを進めることによりまして、この支払基金におきまするところの審査、これは医療費適正化対策のやはり大きな柱だと思いますので、この支払基金の審査機能の一層の充実というものを図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#222
○藤井恒男君 これは局長いま非常に重要な問題だと言われたけれど、医療費適正化対策の一つのポイントだというふうに思いますので、いまのように大変な数のレセプトを、限られた人数が、しかも限られた時間帯で一月に一回審査しなければならない全数審査の形式をとっておるわけですからね。だから、一人がまあせいぜい一日四、五時間、それで四、五日ぐらいのうちにはこれを上げてしまわなければいかぬという大変な作業であろうと私は思う。そういったことで手抜きとかそういうものはまたないと私は思うけど、いまおっしゃったように、重点審査というものをもっとシステマチックにコンピューターを活用してやるとかいうようなことをどんどん取り入れて充実を図ってもらいたいし、基金機能を拡充すべきだというふうに思いますので、これはぜひひとつよろしくお願いしたいと思うわけです。
 それからいま一つ、ここにきて、大臣も先ほどおっしゃったように、十年前と比較すると老人医療費が急ピッチで増高しておるわけです。これは否めない事実だけど、厚生省はこれまで児童の医療に関してはきわめて熱心であったわけだ。そういった意味で、児童病院というのは私も見たこともありますが、それに引きかえて、老人医療については手抜きをしておったんじゃないか、これまでの間ですよ、という気がするわけです。
 たとえばこれは一つの例だけど、大阪の健保組合が出しておる新聞ですが、こういうことを書いておる。元来、病気と老化とは全く別のものであって、病気は療養によって回復する、医療によって回復するが、老化は必ずしも医療にはなじまない。老化は日常生活の改善や訓練によって多少の進行はおくらせることはできても、防ぐことも不可能なものなんだと。それをもう元来一緒くたにしちゃって――一緒くたという言葉が日本にはあるわけだけど、一緒くたにしてやっておった手抜きというものが、ここにきて問題になっておるという指摘なんですよ。私は医師じゃありませんから、その辺のところはよくわからないんだけど、これはぱっと読むとなるほどなあという気もする。
 いわゆる老人医療というものを、厚生省それ自体が四万ベッド国立病院持っておるわけなんで、もうちょっとこれまでに手を入れておったらよかったんじゃないかなという気がするんだけど、この辺はどうでしょうか。
#223
○政府委員(吉原健二君) 私どもは私どもなりに、老人医療の問題については医療の面、あるいは成人病対策の面で努力をしてきたつもりでございますが、率直に申し上げまして、いまもお話ございましたけれども、老人医療対策というものが本当に病気の場合の治療に偏っていたということは、もう率直に言って反省をしなければならないと思いますし、病気にならないような対策でありますとか、あるいは老人の方は老化と病気というものが併存をしている、またその区別が非常につきにくいわけでございますから、やはりそういった面も考えた包括医療というものをやっていかなければならない。そういったことが非常に手薄であったということは確かに反省をする必要があると思っております。
 そういったことで、ここ数年来、新しい老人保健医療制度のあり方についていろいろ研究もし、検討もしてまいったわけでございますが、ようやく厚生省としての成案を得まして法案を御審議いただいておりますので、一日も早く、おくればせながら、率直に言いましておくればせながら、一日も早く御成立をいただいて対策を進めたいというふうに思っているわけでございます。
#224
○藤井恒男君 先ほどの沓脱さんの質問にも若干触れるわけですが、私は別な立場からその問題にちょっと触れてみたいと思う。
 これから検討を進めていくわけだけど、老人医療の診療報酬体系というものについて、たとえば慢性疾患指導料の中に一定の検査や処置、注射料、あるいは一定点数以下の薬剤料を含める。または老人生活指導料といったような新項目を設定する、言ってみれば、現在甲表乙表というのがあるんだけれども、新たに丙表というものをつくってその種の対応をしていくというのも一つの考え方だと思う。これは医療機関が看護婦を派遣したり、また看護婦の付添看護料というもの、あるいは看護婦の訪問といったものに新しい点数表というものを丙表に設けるというようなことも考えられるわけなんだけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
#225
○政府委員(吉原健二君) 老人の特性に見合った診療報酬ということで検討し、中医協でも御審議をいただくということにしておりますけれども、具体的にどんなことを考えているんだという御質問かと思いますけれども、いまもちょっとお話のございましたように、老人の場合は慢性疾患が非常に多いわけでございますので、薬とか検査というよりか、日常の生活の指導、管理というものが大切だろうと思います。そういったものを重視した診療報酬の点数なり体系というものを考えていく必要がある。具体的にいまの慢性疾患指導料を手直しという形でやるか、あるいは別な、たとえば老人生活指導料みたいなものを盛り込むか、その辺は大変専門的な検討も必要だと思いますので、そういったことも含めて中医協でいま御審議をいただいて結論を出したいと思っているわけでございます。
 いまもお話のございました訪問看護でありますとか、看護とか、ケアですね、そういったものも、若い人と違いまして、老人の場合には違った意味なり比重を持っているかと思います。そういったものも点数表の中に老人の特性として考える余地があるのではないかというふうに思っているわけでございます。
#226
○藤井恒男君 これからの論議でありましょうが、それを論議する場所として中医協が設けられ、中医協にゆだねられておるわけだけれども、とかく中医協は、われわれが外から見ておりますと、その運営等にとかくの問題がある。先ほどどなたかの質問の折に、中医協の構成にかかわる沿革についての御説明がありました。ざっくばらんに申し上げて、いまの四対八対八という構成というものが正しいものかどうなのか。理屈ではあるべき姿を真摯な立場で論議する場所だということではあるけれども、八と八が、現に支払い側であり、片一方は相対する立場にある医師の利益代表みたいな形になる。中立的に四名の公益ということですがね、中労委あたりの状況、地労委も同じだけれども、を見ても、労使が仮に八対八なら公益は八とするのが常識なんです。その辺のところが改められないものかどうか。私はざっくばらんに言って、公益委員を増員すべきだというふうに思うんです。それができない理由等があるのかどうか。いかがでしょう。
#227
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、この問題は去る三十六年に中医協が八・八・四、こういう構成でスタートいたしましてから長い歴史と経緯があるわけでございまして、この構成でその四というのは、これは行司役でございます。八・八は、これは診療側とそれから支払い側ということ。四は行司役でございまして、この行司役が、中医協の審議につきまして円滑な運営というものが欠けました場合に、この公益が中心になりまして軌道に戻してきておる。こういう経過がございますし、現在は、もうすでに二年以上でございますけれども、円滑な運営というものが図られてきておるわけでございまして、この構成で十分その役割りが果たせるというふうに私どもは考えておるところでございます。
#228
○藤井恒男君 行司役が力不足とは思っておられないようですが、厚生省はいまの中医協の運営に不満だと言えば、それは問題が残るだろうけれども、外から見ておれば、中医協が円滑に運営されておるとは思わない、だれも。そんなものはとかくの問題がある。あるいは中労委や地労委がその運営で問題があるということは余り聞いたことがない。激しい利害が衝突する場所であっても、争議を円満に解決していく。それは私は公益委員、行司役とでも言っていいでしょう、その公益委員が同数の比率を持っているというところが非常に大きな妙味だと思うんですよ。だから私は――あなたの立場からはいまの中医協は非常に問題がありますとは言えますまい。しかし、現実にその運営について円滑にこれが進んでおるとはわれわれは見ていないわけだ。だから、まして今度大きな問題も論議されることでもあるし、この際変えた方が私はいいという強い希望を持っておるんだけれども、これは大臣、あなた政治家なんだから何でも言える立場なんだから、どうですか。
#229
○国務大臣(森下元晴君) いまのところ八・八・四の比率を変えるつもりはございませんけれども、御意見につきましてはよく理解できる問題でございまして、今後の中医協がどういう運営をされていくかということにつきましては、私どもとしては見守っていきたいと思っております。
#230
○藤井恒男君 いまの立場ではそれぐらいのことしか言えないのかなと思いますので、これはまたわれわれ審議する者の立場でしかるべく意見を調整させてもらいたいと思います。
 それから話を先に移しますが、今度のこの老人保健法案の中では、保健事業が円滑に運営できるか否かが最大のポイントだというふうに思います。そういった意味で保健所と病院、診療所、これが有機的に連携しなければならないと思うわけなんだけれども、私自身調べてみた結果ですが、先ほどもお話のありました岩手県の沢内村も長野県の佐久の総合病院などについても、保健の事業と医療とが同一のポジションにあるということにおいて効果が上がっておるんじゃないだろうかというふうに思うんですが、これは間違っておれば御指摘いただきたい。同一の医師と看護婦、あるいは同一の機関として運営されて初めて保健と医療というものの総合効果が出る。それを二つの機関が別々に行ったときの弊害、たとえば検査にしても二重検査がそこで行われるとか、そういった重複した問題が出てくるんじゃなかろうかという心配がある。そういった意味で冒頭にも、この辺の有機的な連携、システム化をどうやって図っていくのかということを詰めなければいけないというふうに申し上げたわけなんです。この辺についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#231
○政府委員(吉原健二君) 保健と医療の連携につきましては、基本的にはいま藤井先生がおっしゃったとおりの考え方を私どもも持っております。包括医療といいますか、予防からリハビリまでの一貫した保健サービスというものを効果的にやっていくためには、それの担い手というのはできるだけ一つの機関が一貫してやれるような体制、仕組みというものを考えなければならないと思いますし、またもう一面、一つの機関あるいは一人の医師だけでなかなか包括医療、保健サービス全部をやっていけない、いろんな職種の人が協力してやっていかなければならないという面もあわせ持っていると思います。
 したがいまして、理想、考え方としては、いまおっしゃいましたように、医療機関も単に病人の治療だけをやるのではなしに予防からリハビリまでもやっていく。そういった意味におきましても、病院が積極的に地域に出ていく、あるいは家庭に出ていくというような体制なり仕組みというものを考える必要があると思いますし、地域の保健所なり保健センターとの連携というものも十分考えていく必要があると思います。
 ただ、それが理想でございますけれども、いま一挙にそういった形で老人保健法の事業がやれるかといいますと、私はすぐにはなかなかできないと思います。従来どおり医療機関は医療が中心に当面ならざるを得ないと思いますし、保健サービスの担い手は市町村であり、市町村の保健センターであり、あるいは保健所であるというようなことでやっていかざるを得ないと思いますけれども、行く行くはできるだけ両者一体的な仕組みなり関係、連携でもって進めていく、それを目指していくべきだというふうに思っております。
#232
○藤井恒男君 機関が別々ですから、だから理想としてはよくわかるんだけど、実際これを動かしてみたときに、保健所と病院がひとり歩きしてかえって二重の動きが出てくるんじゃないか。そのコントロールというのが果たしてうまくいくのかどうか。だから保健事業の審議は公衆衛生審議会でやるわけですね、保健事業の審議は。そうでしょう。たとえば老人の保健審議会というのが新たに設けられておるわけなんで、ここらが介入するような形というような方法でもとって一体化を図る道をつくらなければならぬのじゃないかなと思うんだけど、その点はいかがですか。
#233
○政府委員(吉原健二君) もともと政府案におきましては、老人保健審議会で保健事業、ヘルスの問題も一体的に御審議をしていただくというようなことも考えて、診療報酬の問題もあわせて老人保健審議会で御審議をいただくということにしておったわけでございますけれども、衆議院の修正で老人保健審議会の機能、権限というのは拠出金に関することだけにするようにという修正が行われましたので、診療報酬は中医協、公衆衛生なり保健事業の問題は公衆衛生審議会で御議論をいただいて、その御意見をもとにやっていくということにしているわけでございますが、実施の面、これは実施主体が市町村でございますので、市町村が医療もやり保健事業もやるわけですから、実際に市町村が、この老人保健法を運営していくに際しましては、両者の一体的なあるいは総合的な実施なり運営というものを十分考えていってもらいたいというふうに思っております。地域の医療機関の活用、あるいは保健所の活用、あるいは保健センターの活用、保健婦の活用、そういったものを個々ばらばらにやるのではなしに、できるだけオーガナイズしながらやっていくというような体制で進めていくように指導をしてまいりたいというふうに思っています。
#234
○藤井恒男君 診療報酬の扱い場所は衆議院でああいうふうに修正が加わったからなんですが、いまの言う一体化のためには何か新たな発想があってもいいんじゃないかなという気がしておりますので、ひとつまた御検討いただきたいと思います。
 それから保健事業のかなめになるのが健康診査ということになろうと思うんだけど、健康診査の受診率が非常に低い、二二・三%ですわね。これはやはり高めるための方法を何か考えなければいかぬのじゃないか。一つのこれは考え方だけど、今回健康手帳を交付する、したがって健康手帳に必要な健康診査の結果が記録されておるような場合には、それだけの本人の努力がそこにあるわけなんだから、その人たちについては一部負担を減免するとか、何らかの方法を講じて、この健康診査というものの受診率を高める、そのことが予防につながるわけですからね。そういったような考え方をお持ちじゃないか。私はそうした方がいいだろうというふうに思うんだけど、いかがなことですか。
#235
○政府委員(三浦大助君) ただいま御提案ございました健康診査を受けたから初診料を無料化する、これは一例でございましょうけれども、こういうことはいま私ども考えておりませんが、受診率を高めるということはこの事業の一番のかなめでございます。したがいまして、私ども衛生教育、健康教育あるいは健康相談の場を通じて、なるべく受診率を高めるようにもっていきたいと考えております。
 現在一般診査の受診率というのは大体二三%ぐらいでございますが、それからがん検診、子宮がん検診の受診率というのは現在で八%ぐらいでございます。ただ、これを一挙に持ち上げることは非常に不可能でございますので、マンパワーの関係もございますし、一応私どもとしては五年間で一般診査、循環器のような検査は五〇%にはもっていこう、それからがん検診とか子宮がん検診は三〇%を目標としようと、こういうことでいま計画をしておるわけでございまして、これにつきましても、ひとつ受診率が上がりますように啓蒙、普及に力を入れてやっていきたいと考えております。
#236
○藤井恒男君 一度、そういった発想もあるので、御検討いただきたいと思います。
 それから病院の診療報酬が五十六年の六月一日に改定されたわけなんだけど、これは老人保健法とは異なります、別の問題ですが、診療報酬改定直後の収支が非常に悪化している。その原因が薬剤とか、あるいは検査等について診療報酬を引き下げたということは妥当なことなんだろうけど、一面高度手術料だとか看護料、入院室料あるいは調剤料、こういったものについての物価とか、あるいはそこで働く人たちの賃金、これらの上昇というものが考慮されていないんじゃないか。そういったことから病院の経営状態が非常に悪化して、そこで働く人たちがベースアップも非常に苦しい状況だということのようなんだけど、これをどのように見ておられるか。
#237
○政府委員(大和田潔君) 昨年六月、診療報酬の改定を行ったわけでございますが、これは医療機関の健全な経営というものを考慮しながら、国民の経済力を勘案しながら八・一%、これの引き上げを行ったわけでございます。これによりまして、技術料重視の診療報酬体系の確立といったようなことも行ってまいりましたし、そのような意味でいわゆる技術尊重ということを行ってまいったわけでございます。
 さらに、この八・一%という引き上げ、これは現在におきます非常に厳しい財政状況のもとでは、これが精いっぱいの引き上げであったわけでございまして、何とかこの医療費改定によりまして、医療機関の経営というものが医療の質の向上というものを確保する面からも保たれていってもらうべきであるというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
#238
○藤井恒男君 たとえば室料について見れば、室料の現価は、施設、面積、冷暖房等のサービス水準より著しく異なる、診療報酬点数は一律で、しかもきわめて低額である、一千五十円と。このようなことで病院によっては大きな赤字を強要される結果になっておるんだ。同じようなことが、特殊手術等についての高度手術料の問題あるいは看護料の問題に見られるということで病院経営の悪化を訴えている。これは病院サイドよりも、そこで働く労働組合から強い要求が出ておるわけなんだけれども、これは一度調べていただきたいと思います。いまおわかりならお聞きしたいわけだけれども、どうでしょう。
#239
○政府委員(大和田潔君) この問題につきまして、いま先生おっしゃいました手術料につきましては、先ほど申しました技術の尊重ということで、かなり各般にわたって手術料の大幅な引き上げを行っておるところでございます。また室料につきましては、いわゆる特別加算、室料とか付き添いにつきましては、そういったようなものの導入を図っておるということでございます。
 それからそれぞれの看護料等の医療費についてでございますけれども、これは看護料が何、何が何といったような個々の医療行為についてというよりも、むしろ全体として医療機関の経営が成り立つという観点から、各科のバランス等をとりながら医療費の改定を行ってきておるところでございまして、そういったような面からひとつ御理解を願いたいというふうに考えておるところでございます。
#240
○藤井恒男君 きょうはもう時間がありませんから、私また資料などもありますので、一度お見せしたいと思うので、御検討いただきたいと思います。
 先ほどもちょっと触れたことですが、老人保健法に対する附帯決議の中で、「社会保険診療報酬支払基金における老人保健業務の実施に伴い、要員の確保その他業務体制の充実強化と審査体制の整備を推進すること。」、これが入っております、第五号で。これについて厚生省としてはどういった展望を持っておられるか。
#241
○政府委員(吉原健二君) 支払基金の業務の体制でございますが、従来社会保険診療報酬支払基金は診療報酬の審査、支払いという業務をやってきたわけですが、この老人保健法の制定によりまして、老人保健のための保険者からの拠出金の徴収、それからそれを市町村に交付をする業務というものが新たに加わるということになるわけでございますので、こういった老人保健業務というものが円滑にこの支払基金でやっていけるような体制、要員というものを確保しなければならないと思っておるわけでございます。
 そういったことで五十七年度の予算におきましても、基金といろいろ御協議しながら体制の整備、予算の確保というものを考えているわけでございますけれども、いま予定しております内容を申し上げますと、この老人保健業務のために新たに六十三名、役員一名、職員六十二名、合計六十三名の定員の増加を考えておりますし、それから五十七年度の業務を実施するための予算といたしまして、六億八千万円程度の予算を予定いたしているわけでございます。業務の開始は七月一日からを予定いたしております。
#242
○政府委員(大和田潔君) 最後に言われました審査体制の整備でございます。これは先ほども触れましたけれども、審査委員の増員、これをかなりの増員を図っておりますし、専任審査委員につきましても増員を図っております。
 それから審査委員の質の向上ということで、審査研究会であるとか学術講演会等審査委員の研修、これらに努めるということでございますし、また面接懇談の積極的な実施というものもやろう。さらに診療傾向の把握的重点審査を強化するために、事務職員の増加というものもかなり図ったところでございます。それから先ほども触れました重点審査にコンピューターを活用しようという、こういったようなことも導入しようということでございますし、それらによりまして審査体制の整備というものを積極的に図っていくことにしておるところでございます。
#243
○藤井恒男君 いま一つ、この附帯決議の中に、「レセプト審査の改善充実を図り、特にレセプトが迅速に保険者に送付されるよう努めること。」と、「特にレセプトが迅速に保険者に送付されるよう」ということになっておるわけだけど、この点はいかがでしょう。
#244
○政府委員(吉原健二君) レセプトにつきましても、当初は医療機関から支払基金等の審査、支払い機関にレセプトが回る、基金等の審査が終わりましたならば市町村に行きまして、その後保険者の方に回すというようなことを考えていたわけでございますけれども、保険者、特に健保組合等から、できるだけ早く保険者に、われわれの方に回してもらいたい、われわれとして従来どおり内容の審査チェックができるようにしてもらいたいという御希望が強うございますので、市町村に回すよりも先に保険者の方に回しまして、保険者の審査チェックが済んだ後、それを市町村に返していただくというようなことを考えているわけでございます。
#245
○藤井恒男君 これで終わります。
#246
○委員長(粕谷照美君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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