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#1
第096回国会 社会労働委員会 第11号
昭和五十七年四月二十六日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     前島英三郎君     野末 陳平君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     藤井 恒男君     伊藤 郁男君
     野末 陳平君     前島英三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
    委 員
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
               目黒今朝次郎君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                伊藤 郁男君
                山田耕三郎君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   参考人
       全国市長会国民
       健康保険対策特
       別委員会副委員
       長
       小野田市長    川村 政一君
       中立労働組合連
       絡会議社会保障
       対策委員会副委
       員長
       全日本食品労働
       組合連合会中央
       執行委員     栗原 丑吉君
       日本医師会副会
       長        小池  昇君
       国民健康保険中
       央会理事長    首尾木 一君
       健康保険組合連
       合会会長     西野嘉一郎君
       日本経営者団体
       連盟専務理事   松崎 芳伸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法案(第九十四回国会内閣提出、第九十
 五回国会衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(粕谷照美君) 老人保健法案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、お手元に配付しております名簿の方々に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴いたし、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人十五分以内でお述べを願い、全部終わったところで一たん休憩し、昼食をおとりいただきます。参考人の方々には、午後の委員会で委員の質疑にお答え願いたいと存じますので、御了承願います。
 なお、委員会の終了目途は午後三時でございます。
 それでは、まず、全国市長会国民健康保険対策特別委員会副委員長・小野田市長川村政一参考人。
#4
○参考人(川村政一君) ただいま御紹介をいただきました全国市長会国民健康保険対策特別委員会の副委員長をいたしております小野田市長の川村でございます。
 参議院社会労働委員会の諸先生方には、日ごろ社会福祉行政の諸問題につきましては、特段の御配慮、御尽力をいただいておりますことを厚く御礼を申し上げます。
 本日は、老人保健法案について、全国市長会を代表して意見を開陳できる機会をいただきましたので、地方の第一線で住民と直接に触れ合う行政に携わっておる者として、若干の意見を陳述し、御審議の一助になればと考えております。
 わが国の人口の高齢化は、世界にも例を見ないような速さで進んでおり、二十一世紀には世界一の高齢化社会になるという予測もなされております。また、一言で人口の高齢化と言っても、都市部と郡部とではその程度は大きく異なっております。このような人口構造の変化がわが国の社会経済に与える影響は大きく、またさまざまであろうと思います。住民の福祉を第一の行政課題とする市町村としては、このような社会経済情勢の中で老人の福祉をどのように守っていくかは最大の問題であり、その中でも健康の問題が最も重要であろうと考えております。
 全国市長会としては、このような観点から、従来より、予防からリハビリテーションまでを行う総合的な対策の必要性を訴え、国保に過重になっている老人医療費負担の不均衡の是正を要望してきたものでありますが、多数の関係者の利害が錯綜する問題でもあり、今日まで抜本的な制度の実現が見られなかったものであります。
 したがって、われわれといたしましては、現在審議されております老人保健法案は、高齢化社会に対応する老人保健医療対策の基盤を確立するものとして高く評価するものであります。
 最近の新聞報道によりますと、老人医療費の費用負担のあり方などについて関係団体から御意見が出されているようですが、年々増加の一途をたどる老人医療費をだれがどのように負担するのかという問題を考える際には、負担の公平をいかに実現するかということが最も重要な課題と考えております。特に市町村国保は、被用者保険からの退職者の流入もあって、老人加入率は高く、老人医療費の占める割合は三〇%にも達しております。もともと低所得者が多く、財政基盤の弱い市町村国保にとって、老人医療費の圧迫は大きく、その運営に危機的な状況をもたらしていると言っても過言ではないのであります。このため毎年、国民健康保険税・料の改正を余儀なくされ、市町村長として頭の痛い問題となっております。
 人口の高齢化に伴って、老人医療費の増高は今後とも著しいことが予想され、負担の不均衡の是正はもはや一刻の猶予も許されないような状態にあることを関係団体の方々にも御理解をいただき、一日も早い老人保健法案の成立と実施を強く望むものであります。
 老人保健法案の最大の眼目は、保健事業の積極的な拡大にあると考えております。保健事業については、予防を重視した諸活動に住民ぐるみで取り組み、脳卒中の発生予防等において著しい成果を上げている市町村が少なくありません。また、そのような市町村においては、長期的には老人医療費を中心とする医療費が隣接の市町村に比べて低くなっているという注目すべき報告も公表されております。
 今回の老人保健法案は、保健事業の拡大により、このような先進的な市町村の活動を全国的に広げていこうというものであると考えますが、全国的に見れば、保健事業はまだまだ十分な実施体制ができているとは言えません。事業が円滑に実施されるのでなければ、結局絵にかいたもちにすぎないのでありますから、実施体制の整備を図ることが最も重要な課題となってくると考えます。保健事業の実施については、実施主体である市町村の主体的な取り組みが重要であることは言うまでもありませんが、国としても次の点について十分な配慮をされるよう要望したいと思います。
 第一は、保健事業の中心となる保健婦の確保が現在では十分ではないという点です。
 厚生省では、五カ年計画で八千人の増員を図ることとし、五十七年度予算においても所要の措置が講ぜられているとのことですが、今後ともそのような増員ができるよう十分な財源を確保していただきたい。また、保健婦が未設置の市町村も全国には四百六十ほどあると聞いておりますが、離島、僻地を抱える市町村にとっては、保健婦の確保は非常にむずかしい現状となっておりますので、このような点について十分配慮をしていただきたい。また、保健事業の実施の拠点となる市町村保健センターや検診車等の施設面の整備についても、十分な補助を行って、その充実が図られるようにしていただきたい。
 第二は、保健所の機能強化であります。
 市町村には、保健婦の未設置市町村もある等、実施体制には大きな差があり、全国的な実施が期待できません。そのためにも、実施主体である市町村の整備とあわせて保健所の機能を強化し、市町村を支援する体制をとっていただきたいと思います。
 以上、保健事業の実施体制について幾つか要望を出させていただきました。
 現在、国家財政については、財政再建の努力が進められており、行政改革は政府の最大の課題となっております。地方財政においても、財政の建て直し、行政改革は必須の要請であり、市町村それぞれの努力が重ねられております。このような状況において、老人保健事業を積極的に推進させるための財源やマンパワーを十分に確保することはきわめて厳しいものがあります。しかしながら、高齢化社会に対応するための対策は、緊急かつ着実に進めていかなければなりません。国として十分な配慮をお願いするところであります。
 以上、老人保健法案についての所見を述べさせていただきました。この法案は、高齢化社会に対応する老人保健医療対策を推進するためにはぜひとも必要なものであると考えております。法案の実施は本年十月を前提として国の方でも予算を組んでおられるようですが、そのためにも法案の早期成立をぜひともお願い申し上げます。どうぞよろしく。
#5
○委員長(粕谷照美君) 中立労働組合連絡会議社会保障対策委員会副委員長栗原丑吉参考人。
#6
○参考人(栗原丑吉君) 私は、中立労連の栗原であります。
 私は、中立労連、総評、同盟の担当者と、老人保健法案の参議院審議に際して労働三団体としての意見を調整してまいりました。その内容をこれから申し述べるつもりであります。
 労働三団体としては、治療中心の医療制度から、保健、予防、治療、リハビリという包括医療体制をつくる趣旨の老人保健法には賛成の立場をとるものですが、その内容においてまだ納得しかねる点が多々あります。したがって、以下、主要な点について意見を申し述べ、審議の際御留意くださるようにお願いする次第です。
 まず第一は、老人医療費の支払い方式の検討機関についてであります。
 社会保険審議会では、医師会代表一名の委員を除くすべての委員が、老人保健制度では、現行の支払い方式の見直しが必要であるという点で意見が一致し、政府原案でも、老人保健審議会でこれを審議することになっていたのは御承知のとおりであります。
 しかし、衆議院での修正で、審議が中医協に移されましたが、現在の中医協の実態から、支払い方式見直しはしり抜け同様になったと見ざるを得ません。したがって、労働三団体の意見としては、一つ、支払い方式の検討は政府原案どおり老人保健審議会に戻すか、二つ、または中医協の構成の改革を断行し、医師会のわがままを許さない毅然たる態度での、言葉だけでの、考えましょう、努力しましょうということだけでなく、具体的な納得のできる案が示されなければなりません。労働団体や病院側の参加の増員は当然であることも意見の一部であります。
 私たちは、いや国民は、中医協の運営について余り信用できない不信感がありました。現行の出来高払い方式の有する欠陥を是正することが必要であります。したがって、支払い方式の再検討を速やかに行うことを法文上明記してほしいというのが第三点の意見であります。支払い方式の変更はむずかしいといってさじを投げるのではなく、高齢者の症病の特徴に対応した支払い方式の検討が早急になされるべきであると考えます。
 以上、支払い方式についての意見ですが、私たち勤労者は、実質的な増税、物価、社会保険料の引き上げなどで可処分所得が低下する一方であります。五年連続の国鉄運賃の値上げや教育費など一連の公共料金値上げは生活を圧迫しています。そういった中で新たに老人医療費の負担を強制されるのですから、支払い方式の再検討によって、荒廃した医療などと言われない方向で改善されることを強く要望するものであります。
 第二の問題としては、一部負担についてであります。
 労働団体の中では、受診抑制にならない程度の受益者負担ならある程度はやむを得ないのではないかという意見もあり、賛否両論があります。わずかな患者負担であっても、内科、外科、歯科、眼科といったように月のうちにかかれば、それはそれなりの負担の増加になります。あるいは入院時の負担についても、差額ベッド料を払うことになれば大変な負担であり、付き添いでも頼むということになれば、いま一万円が相場だというふうに言われております。
 私ごとですが、私の母親もいまから十年前に入院をして、二十四時間の付き添いでした。酸素吸入器をつけておりますから、無意識のうちに手をやってそれを取ろうとする。取らせないように付添人がついている。二十四時間の付き添いです。三日分の付き添い料が取られます。いまそうなったと思うと恐ろしい思いです。幸いというか、親不幸というか、長い期間にならずに亡くなってくれましたが、ほっとしました。自分の親が亡くなってほっとしたなどというのが、それが社会保障だとは思いません。
 一部負担が進むことについて、大工や左官屋さんで結成されている全建総連では、健康こそが仕事と暮らしの土台であるとして、早期治療のために十割給付を長年維持してきました。老人の有料化が進むことによって、若い大工さんや中高年層の左官屋さんでも、一部負担をするのはあたりまえだ、そういったような攻撃が出てくることも間違いないということで、安易な一部負担の導入には反対である、そういう態度をとっております。
 また、自治体の組合や地方の組織には、国の基準を超えて給付をするその給付の規制についても、安易な規制については一定の不信の念を持っているものであります。
 したがって、一部負担については次の四点を意見として結論的に申し述べます。
 一部負担を取りやめるか、二つ目、もしくは、老人になるべく負担にならない初診時負担となるよう再検討すること。入院時も同様です。三番目は、保険外負担の解消こそ先決されなければならない前提条件だということであります。四点目は、老人保健以外の保険にも画一的な患者負担を強制せず、慎重に対応するような措置をとっていただきたいということであります。
 以上の四点が労働団体としての意見であります。
 第三の問題ですが、第三には保険者の拠出金についてであります。
 医療費は五十七年度には十三兆八千億に達し、このうち老人医療費は三兆円になると言われております。老人が五・四%の構成比で一八%の医療費を占めているわけですが、今後の高齢化が急速に進むとき、実は先日厚生省に懸談会を持っていただいてお伺いした際も、厚生省の言うことは、老人医療費は今後も毎年二〇%は上がるであろうと、こういうことでした。私は唖然としました。それをそう上がるであろうとしたならば、どのように規制をしようとしているのかという答えが全然返ってこないわけであります。これでは私たちの負担も年々二〇%ずつ増加することになるわけで、全く恐ろしい思いであります。
 傘下の健保組合に拠出金の試算をさせましたところ、保険料をすでに上限まで上げて付加給付もできない、付加給付は全部やめちゃった、そういったところにも拠出金の割り当てが出てくる。人数は千五、六百名でも千二百万からの支出増加になる。これでは付加給付の復元どころか、健康診断さえもできなくなる。そういう危機感を持っているわけです。安易な画一的な財政負担のあり方については賛成しかねるわけです。したがって、拠出金については拠出についての一定の歯どめをかけることを労働三団体は要求します。拠出金の算出の明確な計算内容等につきましては、社会保険審議会に提示され十分な審議がなされなかったと聞いております。衆議院の段階でもそれらの計算方式等についても事前に示され十分な審議がなされなかったのではないでしょうか。私の記憶が間違いであれば訂正いたします。
 拠出金の方法が明らかになるにつれ、労働組合の内部でも、保険者や経営者団体の中からも反対の声が強まり、拠出金の歯どめを要求しているのが現状だと思います。労働三団体としても拠出金の歯どめを規定化するよう強く意見として申し述べる次第ですが、歯どめの方法としては、経営者団体の言うような総額で規制をして三年から五年据え置くべきだという強い意見もあるというふうに聞きますが、労働三団体としては、具体的にはたとえば一定の歯どめの方法を考え、内容として老人の増加率程度の伸びにとどめるといったような方法で、拠出金に歯どめをかけるようなことも考えられると思います。
 医療費の伸びをそれに見合うように抑制するよう努力し、それでも不足を生ずるようなときはその不足分を再度保険者に回すのではなく、国、都道府県の負担によって賄ってほしいということです。国や都道府県の保険への経営努力も当然のことであるからであります。
 第四点として、保健事業についてであります。保健事業については、五年間で三次の計画で市町村を指導していくこととされていますが、たとえば健康相談は月六回市町村人口の状態に応じてやるとか、健康教育は年十二回やるとかというふうに計画が示されております。健康診査も年一回やるとされております。ただし、健康診査については、医療各保険法その他の法令によって健康診査を受けた者または受けることができる者を除くとなっております。わが国の場合には、御承知のように皆保険であります。私も、家族も、すべて保険によって健康診査を受けることができる者であります。そうしますと、どういうことになるのでしょうか。健康に不安のある者がいつでもこの健診を受けられるようにと思っておりましたが、それは過剰な福祉を求めるものだというのでしょうか。
 健康手帳の交付は、実施計画で、七十歳以上の者と四十歳以上で健康診査の結果健康管理上必要な者に交付をするとなっており、そして市町村の健診を受けた者に事後の指導を行うとあります。そうしますと、他の保険による健康診査を受けた者には手帳は交付しないという意味になり、市町村は知らないということにはならないでしょうか。仮に受診できたとしても、負担はいますぐに始まるわけです。計画は五年がかりでというのでは気が遠くなるような思いであります。しかも健康診査にも検査料が要る、健康相談、健康教育にも足代をかけて行くというのでは、医者に行く方が手っ取り早いということにならないでしょうか。そうならないような形での計画の完全実施とそのための国の支出の増加をもっと考えるべきだというように、意見として申し述べます。
 以上が労働三団体として調整した意見の内容であります。終わります。
#7
○委員長(粕谷照美君) 日本医師会副会長小池昇君。
#8
○参考人(小池昇君) 本日、われわれ医師の意見をお聞きくださるという御厚意に対して、心から感謝を申し上げます。
 この法案の必要性というものが唱えられてから久しいんでありまして、今回もう衆議院を通過いたしまして、参議院でこれが審議されているという段階にあります。しかも審議はかなりお進みになっている様子で、大体最終段階に入ったんではないかというふうに私は考えております。したがって、私が今回述べますことも、そういう段階に応じた物の述べ方をしたいというふうに考えております。
 この法案が審議されましてから、私たち医師の手元には老人の方々からたくさんの意見あるいは不安を訴える声が参っております。本来、私たちに老人の方々がそういう不安を訴えてくられるというよりも、本当なら審議をなさっている国会の方々へこれは意見を言われるのが本当ではないかと思うんであります。しかし国会の方へは直接物を申す機会がなかなかありません。それに反しまして、医師は毎日患者と直接話をしているという関係にもございますし、私たちに直接訴えの声がたくさんあるわけであります。
 そういう意見の中で何が一番大きいかといいますと、将来の自分たちの医療がどうなるかということであります。で、それらの声をまとめまして、私たち新聞に意見を出しております。けさの朝日、毎日それから読売、日経四紙に載っておりますので、先生方はもう御存じだと思いますが、先生方は朝大変早起きでいらっしゃいますので、あるいは広告欄というのは素通りされて、政治欄の方に、そちらへ目が行かれると思います。けさ出ております、「幸せに、長生きして欲しい…」という全面意見広告であります。これは老人の声を率直に編集して、国民にもあるいは国会の皆さんにも読んでいただきたいという意味から出しましたので、きょうのこの参考人意見聴取の日を意識したわけではございません。ここにありますのは老人の声を中心にしたのであります。
  いま、お年寄りの皆さんの持っていらっしゃるこの「老人医療費受給者証」は、現在国が行なっている「老人医療無料化制度」によるものです。
  これは日本の最もきびしかった時代、戦中−戦後を生き抜き、世界一流の経済大国再建につくしてきた七十歳以上のお年寄りたちへの国民の感謝のしるしです。
  ところが、そのおかげもあって日本が世界最高の長寿国になったいま、「老人は邪魔者だから」といって、こんどは医療費を有料にしてしまい、しかも若い人と同じ保険医療を受けられなくしようという法案が国会で審議されています。
  たとえどんな人であろうが、すべて七十歳以上になると、この老人保健法の中に入れられてしまい、一般の健康保険から切り離されてしまうのです。年寄りは金食い虫で、保険財政を食いつぶそうとしている、というのがその理由ですが、これは老人に対する福祉対策と公衆衛生についての国の努力が欠けているからであって、老人だけ医療の質を落としてまで保険財政を守ろうという考え方は、本末転倒もはなはだしいといわなければなりません。
  七十年という長い年月を、それぞれ違う家庭職場、生活環境の中で働いてきたお年寄りの病気は、一人ひとりがみな異なった条件から起こってくるもので、それぞれの症状に応じて適切な診療が必要です。しかし、この法律はそうした医師の自由な診療ができなくなる方向で論議されています。
  国民皆保険といいながら、七十歳以上のお年寄りだけを健康保険から放り出し、十把ひとからげの診療方針で、今までより安上がりの医療を、しかも有料で行わせようというのがこんどの老人保健法案ですが、そんなことでよいのでしょうか。
  人はみな年老いるのを免れることはできません。社会の一員として精いっぱい働いたあげくの果てに、肉体的にも、精神的にも、経済的にも、社会的にうまく適応する能力を次々と失っていく老人は、また明日の若い人たち自身の姿でもあります。
  お年寄りが、こんなかたちで差別、冷遇されることのないよう、国民の皆さんと一緒に、もう一度考え直していこうではありませんか。最後に日本医師会の意見をちょっぴり加えてあるわけです。
 このようなことは、日本医師会としては二十年前から申し述べているのであります。主張は一貫変わることなく、人間というのは揺りかごから墓場まで、いや揺りかごに入る前の母親の体の中にあるときから墓場に入るまで、これは一貫して人間を一個の有機体として眺めて取り扱うということが医療の最も望ましい姿であります、七十歳以上という線で一応区切りをつけ、それ以上の人間を別枠の部屋へ入れる、極端に言えば別枠のおりに入れる、そういう形は医療の一貫性を妨げるものとして私たち賛成することができなかったんであります。
 しかし、こういう二十年来のわれわれの主張というものは取り上げられませんでして、すでにこの法律案が衆議院で通過しておるのであります。若いときは七十歳以上の老齢になるのははるか遠い将来のような気がするわけであります。私もそうであります。私は何歳であると皆さんお思いでございましょうか。私はこの三月十八日で七十歳になったわけでして、老人保健の枠の方へ入れられてしまった人間の一人であります。この法律をつくられたのは、政府案でございますから、恐らく政府の方々がおつくりになったんでしょうが、恐らく若い人がつくられたんではないかと思います。老人の気持ちを酌んでいないそういう法律ではないかというふうに私は考えます。
 しかしながら、すでに今日衆議院も通りまして参議院で御審議も進んでいるし、あと何日かで、私の耳に入っているところでは、もうこの法律は通るんだというふうにも伺っております。したがって、こういう年来の主張を繰り返すということは無意味なことでもありますが、一応私たちの考えとして、これはこれからも変わることのない気持ちとして、これからの審議にそういう老人を思う気持ちを反映さしていただきたいのであります。
 こういういまの段階におきましては、私たちが老人の気持ちを代弁しまして幾らか申し上げたいこともございます。今回の審議の中で、これまでの経過を拝見しておりますと、要するに老人というものを一つの枠の中に入れる、そうしてそれらの人々を扱う医療というものをどうするかということを考える。つまり、一般の方々と老人を区別した医療体制の中へ入れる、あるいは支払い体系の違うところへ入れるというお考えがあるようであります。支払い体系が異なれば、この医療の中身というものは当然変わってきます。医療というものには経営が無視できません。これは国立病院であろうが、あるいは公的な市町村立の病院、都立病院、そういうところでも経営というものに対して、必ず独立採算という形で収支償うという考え方が入ってきます以上、支払い体系が変われば、医療の中身は、医師がいかに好まなくても、それは影響を受けてくるということは言えると思います。
 そういう状況でありまして、私たちは、もしこの法案をお通しになるんなら、七十歳以上の人間の医療というものについて、現在の健康保険の形あるいはその内容、これ以下にしていただきたくないのであります。これ以下の医療、そういう形を持ってこられるとすれば、これは老人の人権を無視したお考えとして、これは老人から激しい非難の言葉が来るだろうというふうに私は考えます。私の医療に対して言いたいのはこのことでありまして、いまの国民に親しまれた健康保険というものを老人においてこれ以下のものに切り捨てるということはしてほしくないのであります。生活保護法の医療においても、健康保険と全く同じ扱いを受けておるわけであります。したがって、老人だけを弱い者として形を変えるということは、生活保護の医療以下にするということでありまして、よくよく考えていただきたいと思うのであります。
 たとえば、その中で入院というのはどういう扱いをされているかといいますと、健康保険あるいは国民健康保険では、保険者の一種の許可制という形が出ております。しかし、現実にこれは行われるべきでありませんので、もう何十年来医師の判断に任せられているわけであります。給付の中の病院、診療所への収容というのが許可制になれば、医療の実態に即しない、人命にかかわる問題が出てきます。緊急の場合、許可制というものは通用しない。あるいは特に老人の場合には収容というものについて、本人の意思以外の場合に収容しなければならない場合もたくさん出てきます。一々市町村の許可制ということになれば、臨機応変の病院への収容というものができなくなってくるわけであります。健康保険法では、したがって法律では許可制という意味の条文がありますが、実質的にはこれは合わないということで、医師にその判断がゆだねられているわけであります。したがって、これは国民皆保険になる際に、たとえば共済組合法のようなものではこの条項は除いてあります。それは実情に合わないということでお除きになったんだろうと思います。
 具体的に言いますれば、この法案の中で給付の十七条四号というのがございますが、この四号は共済組合法のような新しい法律では抜いてあるわけです。しかし、今回この老人保健法の中では入っております。これはやはり実情に合わせて新しい形にしていただきたいと思うのであります。
 それから医療の方は、先ほどから私申し上げたように、健康保険のレベルは少なくとも保っていただきたいということでありますが、保健事業の方につきましては、これは国営あるいは公営的色彩が濃厚であります。現在、そういう形で末端の市町村は、この法律に述べられているような中身の保健事業を現実に行い得るかどうかということははなはだ疑問であります。医師の団体あるいは歯科医師の団体あるいは病院の団体、あるいは大学病院その他大きな都立病院、そういう形の病院団体、そういったものが地域医療というものを今日まで二十年間進めてきたわけでありまして、あるいはがんの検診とか、あるいはその他検診車を走らせる、そういった検診に関しても各団体が非常な熱意を持って今日まで行ってきたのが地域医療であります。こういう地域医療の現状というものをよく把握していただきまして、今回行われます保健事業というのが末端において混乱を起こさないようにしていただきたいんであります。
 また、各市町村以外に、健康保険組合とかその他の団体もこれに参加できるようになっておりますが、そういう各現実に行っている現場の団体とトラブルが起こらないような実施要綱というものをこれから厚生省で決めていただきたい。そういう実施段階のトラブルが起こらないように関係専門団体との意見等を十分聞くという前提をまず置いて、そして実施していただきたいんであります。
 これはいずれ厚生省でお考えになることではありましょうが、去る一月十九日に全国の衛生部長さんにお話になった実施の要領といいますか、そういうものでは、関係団体との協調というものが重要事項としてはうたわれていないのであります。その点、これから私たちも厚生省に申し上げる機会はあると思いますが、何よりも法案審議の段階で、国会のこの社労委員の方々が行政当局と十分話を詰めて、これを確立していただきたいというのが私の希望であります。
 たとえばこの法案の中にあります機能訓練にしろ、あるいは保健婦の訪問看護にしろ、主治医というものと、それから市町村で行うこれらの事業の実施者である人々との間に食い違いが確かに起こる可能性もあります。そういうことがあれば、対象となる患者は戸惑うばかりであろうと思います。
 そういった意味でこの保健事業というものが末端のこれに応ずる人力、施設、そういったものがほとんど完備していない、こういう状況において発足するに際しては、地域団体との連携をプランをつくる段階から密接にしまして、これを実施していただくということが国民のためではないかと思います。そして、これは皆さんの力によることであろうというふうに思うわけであります。
 そういう事情をいろいろお話すれば切りがないんでありますが、私が今回皆さんに聞いていただきたいのは、これからの審議を通じまして、老人の気持ちを考えて、老人を一つの枠へ入れて実験動物扱いするというような気持ちでなく、温かい心で老人をこれから扱っていただくという考え方に徹して御審議願いたいという希望であります。そして、もしこれをお通しなさるとすれば、私の疑いが晴れますように御審議をいただきたいということでございます。
 以上が私の意見でございます。ありがとうございました。
#9
○委員長(粕谷照美君) 国民健康保険中央会理事長首尾木一参考人。
#10
○参考人(首尾木一君) ただいま御紹介にあずかりました国民健康保険中央会の首尾木でございます。
 本日は、当委員会におきまして、国保保険者の立場から老人保健法案に対する意見表明の機会を与えられましたことに厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 改めて申し上げるまでもなく、現在の老人医療保険制度は、各種医療保険制度の一部負担部分を老人福祉法によって公費負担とする措置を昭和四十八年に発足させたものでございますが、この措置自体は老人福祉、老人医療の確保という観点できわめて有意義なものであったと考えております。しかしその反面、老人医療費は、この措置によりまして急増すると同時に、特に老人加入率の高い国保において、また国保の保険者のうちにおいても、特に過疎地帯等における市町村において負担の重圧をもたらし、分立する医療保険制度の陥りやすい制度間、保険者間の負担不均衡という欠陥を露呈してきたことも事実でございます。しかも、このような傾向は、今後わが国社会が高齢化社会に移行するに従いましてますます強められていくことは、当然予想されるところでありまして、このような状態で推移するときには、国民健康保険の運営がきわめて困難な状態になり、ひいては、国民皆保険を支える基盤が崩壊するのではないかといったような心配を、私ども全国の保険者、多くの保険者におきまして持つに至っておるものでございます。
 そういうような観点から、すでに昭和五十年当時から老人医療保障制度のいわば抜本的な見直しを訴えてまいったのでございます。政府におかれましても、この問題につき改革の要を認められまして検討を重ねられてまいったのでありますが、何分にもこの問題は各界の利害が錯綜するということもございまして、今日の老人保健法案の提案までかなりの長い期間を要し、その間にもさきに述べたような傾向は著しく進行を続けているのでございます。
 私どもは、今回の法案が、従来私どもの訴えてまいりましたところと大筋においてそのねらいを一つにするところ、そういう私どもの判断から、昨年法案が国会に提案された当初より、その一日も早い成立を強くお願いをしてまいったのでありまして、この機会に、まず当委員会の諸先生方に改めてよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 以下、法案につきまして、具体的な点を三点につきまして申し述べさせていただきたいと存じます。
 その第一点は、この老人保健法による老人医療費の財源負担についてでございます。
 この老人保健法案におきましては、国、都道府県、市町村の負担のほかに各保険制度からの拠出金をもってこの財源を賄うということにいたしておるわけでございますが、財源負担の拠出金の拠出を通じまして、各医療保険制度間の、保険者間の現状における著しい不均衡、それも制度上の仕組みとか、あるいは制度を取り巻く環境条件の違いといった、保険者として克服し得ないような理由によって生じている不均衡を是正しようとしておる点につきまして、私どもはその考え方について賛意を表しておる次第でございます。
 急激な高齢化社会への移行、老人人口の増大とともに、わが国社会全体としての老人医療費の増大は、大勢として今後不可避であろうと存じますが、その負担が社会保険各集団の相違することによって大きく偏っているという現状のもとでは、高齢化社会における老人医療保障の円滑な財源確保を期することはできないと考えます。
 もともと、今日の医療保険制度は、いわば短期保険といたしまして、そのときそのときにおける人々の就業上の地位に基づいて各制度に加入するという形になっておるわけでございますが、高齢者の医療保障問題というのは、老後という人生の一時期に対する医療保障でございまして、その備えは一生を通じての問題として考慮されるべき問題だと考えておるわけでございます。たまたま今日、国民健康保険の被保険者になられておるということでございましても、過去においては被用者保険の被保険者であった方々も多いと、こういうのが現状でございます。また、今後もそういったようなことが予想をされるわけでございます。これは国民健康保険制度ということだけに限るわけではございませんで、各種の医療保険には、先ほど申し上げましたように、人生のその時点その時点における就業上の地位に基づきまして加入するという形になっておるわけでございまして、そういう観点から申しますと、老後の備えというものは、いわば一生かかっての問題として考えるべき筋合いのものではなかろうかとも考えておる次第でございます。
 その意味におきまして、本法案が高齢者の医療保障の財源を、国、地方公共団体の負担とともに、短期保険としての医療保険諸制度から老後にある人のための拠出に求めるということは、いわばその時点その時点において老後における備えをしていただくということの考え方と通じるものと考えておる次第でございまして、その意味におきまして私どもは、老後の保障にふさわしい財源負担のあり方ではないかと考えておる次第でございます。
 申し上げるまでもなく、いわゆる産業構造の高度化に伴いまして、戦後のわが国の被用者化は著しく、また一方におきまして核家族の進行、あるいは老齢年金の今後の成熟とともに、国保人口では、一方において若年者の被保険者が減少をし、一方におきまして高齢者の人口の増加が年々進行しておるわけでございます。最近の統計によりますと、国保人口は、総体としてはこれはほぼ横ばいの状況を続けておるわけでございますが、その内部を、人口構造を分析いたしてみますと、年々の傾向は若年人口の減、そうして負担能力から申しますと、比較的負担能力の少ない高齢化人口というものが増加をしておると、こういうような状況でございまして、そういう観点から考えますと、この法案のように医療保険各保険者からの拠出金の取り方というのが、二分の一はそれぞれの実績により、二分の一は加入者の割合による、割合を加味したものによるという考え方のもとにおきましては、これはなお国保の負担過重というものが今後とも進行するのではないか、この点については十分な調整がとれておらないのではないかといったような声も、国保保険者の中には残されているのでありますが、われわれは、それらの論議を持ちつつも、この法案が好ましい方向へ向かって勇断を持って改革を行っているという点につきまして評価をいたしまして、法案の早期成立を期して、大局的な見地から賛意を表しておる次第でございます。
 なお、医療費の財源負担問題につきましては、一部負担の問題があるわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、四十八年にいわゆる医療の無料化というものが行われたのでございますが、この点につきましていろいろの意見があり、そうして老人の医療機会を阻害することのないような程度におきまして若干の一部負担を導入するということにつきましては、私どもとしてはやむを得ないものとして賛意を表しておる次第でございます。
 第二の点は、本法案における老人のいわゆるヘルス事業に関する問題でございます。このヘルスの問題につきましては、四十歳以上の成人層につきましての健康管理、疾病予防の強化を図ろうとしている点が特徴でございます。そのような考え方の中にも、先ほど申し上げましたように、この法案は老後という人の一生に着目をした考え方というものを色濃く出しておると思うのでございますが、今後の活力ある高齢化社会の実現を期するということにつきまして、この法案のねらいとするところに私どもは全面的に賛意を表するものでございます。特にこの点について、私どもはその実施主体を市町村としていることに着目したいと考えております。
 改めて申し上げるまでもなく、健康づくりの基本は、みずからの健康はみずからで守ることにあるとされておるのでございまして、日常生活における人々の主体的な健康管理が何よりも望まれると言われておるのでございますが、そのためには日常生活に密着した地域としての市町村段階におきまして、健康づくりの環境あるいは体制の整備を行うことが、これが最も肝要な点ではないかと考えておる次第でございます。
 先ほど市長会を代表された参考人の御意見の中にもこの点について述べておられましたように、現在の体制は決して十分とは申されないのでございますけれども、今後この法案の成立を機といたしまして、市町村段階において予防あるいは健康管理の行政というものが拡充をされ、そうしてそのような体制ができ上がっていくということに私どもは強い希望を託したいと思うわけでございます。多くの市町村の中には、すでに長い実践を通じてこれらの疾病の予防、防遏、死亡率の減少という顕著な効果を上げてきたところが多いのでございまして、国民健康保険におきましても、保健施設を通じまして国民健康保険の直営診療所の活動、あるいはまた直営病院の活動、それから国保保健婦の活動ということを通じまして、それぞれの地域においてじみちな実績を上げてまいっておるということはすでに皆様方も御承知のとおりかと存ずる次第でございますが、このようなことを考えますと、私どもはこの問題がきわめて重要であり、今後の高齢化社会における一つの大きな課題だと考えておる次第でございまして、全国にこのような状態というものが実現することを望みたいと考えておる次第でございます。
 ただ、これの運用につきましては、もちろん地域の実情というものを十分に把握いたしまして、地域の実情に即する運用がされるべきでございまして、この点については、私どもは今後の問題として十分取り組むべき問題だと考えておる次第でございます。
 なお、この法案、このヘルス事業に関連をいたしまして一つ私どもがお願いをいたしておきたいことは、この法案が成立いたしまして、医療保険の事業も医療と保健が一体として運営されるということが望まれておるわけでございますが、これらの点について、一方で国民健康保険なり、あるいは医療保険、そうして老人の医療については老人保健といったような、いわゆる縦割りの行政の弊害というものが生じるということのないように心がけて運営をしていただきたい、かように考えておるわけでございまして、それも今後の大きな課題だというふうに考えておる次第でございます。具体的に申し上げますならば、私どもは、地域保険としての国民健康保険と、そうして老人保健というものが、一体として運営されることによりまして、地域における医療並びにヘルスの一体的な運営というものが実現をされるというふうに信じておる次第でございまして、その点の留意をお願いをいたしたいと考えておる次第でございます。
 第三点は、この法案をめぐりまして、老人医療費、将来の老人医療費についての歯どめ問題というものが多く議論をされておるところでございまして、この点につきましては、私ども国保保険者といたしましても、今日の医療費の増勢につきまして、これはこのままでいく場合に、この点について、特に財政的な問題等も含めまして、この点について現状が必ずしも好ましい状態であるというふうには私ども考えておらない次第でございます。今日、医療費のあり方をめぐりましては、非常にむずかしい問題でございまして、これらの点についてはいろいろ議論がなされておるのでございますが、こういったような議論がこの機会に一つの大きな議題として取り込まれることを私どもは希望をいたす次第でございます。
 今日の支払い方式等につきましていろいろ長短が言われておるわけでございますが、これに対する改革案の具体案としてのいろいろの意見というものも、これも必ずしも確立をしておらない現状のように私どもは考えておる次第でございますが、この点について今後十分な審議が、この法案の成立を機といたしまして、行われることを期待をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 また、この法案におきまして、老人の医療に、老人の病気の特質にふさわしい診療報酬体系のあり方の検討ということも言われておるわけでございまして、これらの点につきましても、今後十分な審議がなされるべきかと考えておる次第でございまして、こういったような点につきましては、率直な意見の交換が行われまして、また医療供給側の協力も得まして、こういう点については今後望ましい方向に進むことが期待をされる次第でございます。
 以上三点につきまして、一応私どもの現在の考え方を申し述べまして、御審議の参考といたしたいと考える次第でございます。
 以上でございます。
#11
○委員長(粕谷照美君) 健康保険組合連合会会長西野嘉一郎参考人。
#12
○参考人(西野嘉一郎君) 私は、ただいま紹介を受けました西野でございます。
 私は、現在、衆議院を通過いたしまして参議院で審議しております現老人保健法案に対して、三つの点において反対をいたしたいと思います。
 まず第一は、国民経済的な見地から反対するものでありまして、先ほどから幾人かの参考人からも話がありましたように、保健事業に対する基盤整備がいまなされておりません。こういうときにおいてこの老人保健法案がもし実施されるとするならば、著しい医療費の増高となり、そうして一たん社会保険制度というものが施行されますと、それが中止をするとか、大幅な修正をするということは大変困難であります。そこで、国民経済的な点から申しますと、いまここで十分な審議をした上でこの法案を進行すべきであると私は考える一人であります。
 なぜならば、昭和四十八年、御承知のとおりに、老人の無料化というものが発足いたしたんであります。そのときの医療費は三兆九千億であったのであります。それが五十七年、本年には十三兆九千億に上っておるのであります。これは当然といえば当然かもしれませんが、この老人無料化ということが発足したことによって生じたこと。そして、医師会の御報告によりますと、老人の医療、六十五歳以上の医療は、以下の医療費の四倍を超しておると言われております。
 さらに、将来どうなるかということにつきましては、日本医師会のニュースによりますと、一九九〇年には四十五兆円になるだろう、そしてさらに二〇〇〇年には百五十七兆円になるだろうと言っております。六十五年、一九九〇年には四十五兆円になるというような医療費を、国家予算に相当する医療費を国民が負担できるでしょうか。
 最近、二十一世紀の医療という題で、総合研究開発機構による助成研究をいたしました沖中記念成人病研究所において、都留重人先生を中心に十二名の方が検討をいたしました。それによりますと、やはり同じような答えが出たんであります。コンピューターを利用し、あらゆる機関によって、近代的な経済学の立場から検討いたしますと、二〇〇〇年には何とGNPの二〇%に医療費が達するというのであります。
 このようなことが予見されておるのにかかわらず、医療費全体の問題はともかくとして、この老人保健法案をこのままの形で、いま衆議院を通過した形で成立するということになるならば、国民経済の立場からして、国民経済が破綻するんじゃないか。その前に医療制度、保険制度というものが崩壊し、そうしてそのことは国民経済の破綻を意味すると思うからであります。そういう意味において、私は、この法案をいまここで現在のままの形において通過することに対して反対をするのであり、これが第一の反対理由であります。
 第二は、衆議院を通過したこの老人保健法案は、大変不公平な財政調整以外の何物でもないということを申し上げたいのであります。
 国民健康保険法は、御承知のとおりに、国県市町村を通じまして、現在四兆円以上の補助がなされております。四五%と言われております。この財源は、われわれ企業や、われわれ勤めておるところのサラリーマンがそれぞれ法人税あるいは所得税の形において国に納めておるのであります。その税金によって国保に支出がなされておるのであります。さらに今回、財政調整の形において老人保健法案における負担がわれわれにかかるとするならば、まさに二重であります。二重の負担をわれわれに強いるものであります。組合健保は、国の補助に相当するものの比率の倍近くのものを企業が負担いたしております。しかも国民健保の被保険者の所得は、御承知のとおりに、トーゴーサンとかあるいはクロヨンとか言われているように、その半分しか所得が捕捉されていないということは世論の示すところであります。
 したがって、国民健保がいま赤字だから、組合健保は金持ちだから、これを財政調整しろということは、まずその前に国民健保における被保険者の所得把握を十分にして、そして赤字になるかどうかということを見た上ですべきである。言いかえるならば、組合健保にも四五%の国の補助があり、いわゆる国民健保と同じような形で、イコールフッティングのもとにおいて組合健保に余剰金が出ているから拠出しろということであれば、理論はわかります。しかし、国民健保には四五%の補助金が出、われわれのもとには一文の金も出ておらない。そういう中においていま財政調整をするということは、われわれは納得しがたいのであります。
 さらに、この法案が成立するとするならば、市町村において非常に多くの人員を要すると聞いております。自治労の言うところによりますと、市町村に二名ずつの人間が配置されたとしたら四千人ないし五千人の人が要ると言っています。これがさらにいま言ったような保健婦などを配置しますと、恐らく完全にすれば一万人、二万人の人員を要すると考えております。そういうような基盤整備をこれからどうするのかということであります。
 さらに、私が申し上げたいのは、組合健保は必ずしもいま財政は豊かでありません。もうわれわれの組合の中の約一割が赤字組合であります。一組合において毎年十億の赤字を出している組合があるのであります。数億を出している組合も幾つかあります。そのために、われわれは財政窮迫並びに高額医療費のために各組合から集めまして、年間三百億ぐらいの金でお互いが助け合い運動をやっておるのであります。こういうことの事実があるということをこの際申し上げておきたいのであります。
 さらに、本案による組合健保の拠出金が非常に不明であり、そして毎年著しく高騰する老人医療費の歯どめがない、青天井であるということに対して私はここで反対をするものであります。厚生省の試案によりますと、老人医療費は毎年一六・二%という計算がされて、初年度七百八十億、それが六十年には千九十億円になると言われておりますが、先ほどもどなたか言われましたように、厚生省のある役人は、一六・二%では済まぬだろう、二割以上になるだろうとわれわれに漏らしております。それによりますと、千九十億は千五百億を超えるのであります。老齢化の上昇に伴いまして、これらの数字はまた幾何級数的にふえることは当然であります。
 組合健保自身は、さらに組合健保自身が抱えております七十歳以上の家族は、その率は低いと申しますけれども、現在三千二十億円の負担をいたしております。これが六十年になりますと、厚生省の予算では四千五百二十億円になると申しておりますけれども、われわれの試算では六千億ぐらいになるだろうと見当をつけております。
 これらのことを考えますと、われわれ組合健保はこの老人保健法案が通過し、このままの形において実行されておるならば、いま現在一割の赤字組合は二割になり三割になる、そして組合健保を崩壊に導くことになるでありましょう。
 しかも、今度の老人保健法ができますと、この老人保健法の根っこの、いまのわれわれが抱えている三千億と初年度の七百八十億が加えられて、それを払わなければ延滞利子を取って、そして強制執行をするということにこの法案がなっております。
 そうしますと、各組合からはそれらの金が優先的に市町村に、われわれの手の届かないところに渡されるのであります。その結果、どうしても弱い組合はその残った資金において運営をしていかなければならない。それで支払基金に払えなくなる。払えなくなれば仕方がないということになってしまうと、支払基金に大きな累積赤字が数年の後に私は残ってくるだろうと思います。そうすることによって、保健事業そのものが破産に頻し、崩壊するということを考えておるのであります。
 したがいまして、こうした国民経済的な立場から、いま保健事業など一切のことが十分に討議されないままで、単なる財政調整の意味においてこれをし、しかも幾何級数的にふえていくであろうところのこの医療費を十分に検討なくしてこの法案が通過することに対して、私たち健保連は反対するのであります。
 したがいまして、ここにわれわれ健保連といたしましては、まず七百八十億という初年度の負担額を五年ぐらい凍結して、この間に十分に老人保健法案の趣旨に沿う医療費の著しき増高を防ぎ、また老人にふさわしい医療をし、老人が豊かな楽しい健康な生活をできる医療大国に持っていきたいと願うものであります。
 さらに、われわれは、そうした意味において老人の支払い方式を根本的に見直して、その旨を法文上に明記して医療費の適正化対策を立てていただきたい。現在、悪口を言う人に言わせますと、病院は老人のサロン化してしまっておるということを言われております。こういうようなことは望ましいことではありません。国民の医療制度というものが本当に今後十分なるところの成果を果たし、そうして国民が豊かな健康な生活をするためにはどういう制度がいいか。
 また、日本には武見前医師会会長が主張しているような中間設備というものがありません。アメリカにはナーシングホームというのがあって、これらに対しては老人に十分なるサービスがなされておると聞いております。そういうような施設なども十分にこれから検討し、そしてそれらに対する健康保険のいわゆる医療費の適正化を十分に考えることによって、今後における老人保健というものが本当に果実を結ぶのではないかと思うのであります。
 したがいまして、そういうことを一元的に審議できるようになっておりました老人保健審議会を衆議院段階においてばらばらにしてしまって、そうして老人保健審議会というものを完全に形骸化してしまったということに対して、われわれは非常に遺憾の意を表するとともに、再び政府原案のごとく老人保健審議会に一元化することを強く要望するものであります。もしこの修正が不可能であるならば、この国会において審議未了とし、改めてこれらの条件を入れた法案を再提出することを強く要望して、私の意見といたします。
 どうもありがとうございました。
#13
○委員長(粕谷照美君) 日本経営者団体連盟専務理事松崎芳伸参考人。
#14
○参考人(松崎芳伸君) ただいま御紹介にあずかりました日経連の松崎でございますが、数点、四点ばかり私の意見を申し述べます。
 まず第一は、いま西野さんからお話がございましたが、財政調整というものに対しては、これは反対いたします。賛成いたしません。それは、従来各健康保険組合がみずからの努力によりまして、医師会の方がおいでになりまして失礼でございますが、医者の乱診乱療とかあるいは不正診療とかいうようなものをチェックしてまいりました。そうして健康保険組合の経営の合理化を図ってきたのでありますが、この法案によりますと、市町村がお医者さんに金を払われる場合には、市町村みずから、または社会保険診療報酬支払基金に委託して、医者からの請求が正しいかどうかということを審査するということになっております、これは第二十九条に書いてありますが。そういたしますと、市町村もそれから社会保険診療報酬支払基金も、ともにいわば他人の金、他人である健康保険組合の金をお医者さんに渡すわけでございまして、乱診乱療あるいは不正診療というもののチェックに対して、健康保険組合はわが身のことでございますから非常に熱意を持ってこれをやるわけでございますが、市町村やこの基金なんかではその熱意が欠けるんじゃないか。したがいまして、医療費の増高あるいは健康保険組合の財政悪化というものに直結すると思うのであります。
 この問題のもう一つの問題は、土光さんの臨調がこの財政調整を認めておるではないかというお話でございますが、私たちのこれは不勉強のせいでありまして、はなはだいまになって言うのはどうかと思うのでありますが、いま西野さんもお話しになりましたように、老人保健審議会というのがあって、そうしてそれでチェックするから余り乱診乱療その他は心配せぬでもいいんだということを臨調の方々も信じられたんじゃないかと思うんです。ところが、衆議院の段階でこれが中医協に移るということで、西野健保連会長初めこれは大変だというふうに思われたわけでございますが、どうも保険のことは余り素人にはよくわからないわけでございます、安恒委員なんか非常にお詳しいわけでございますが。玄人の方が言われますと、なるほどそうかなと素人は思うわけでありますが、老人保健審議会でチェックするから財政調整をやっても心配はないんだと。これは政府案でございますから、厚生省の方が言われる、まあ厚生省の背後にどういう方がおいでになったのか知りませんが。そうすると、素人の臨調の人も、そうかなというふうにお考えになったんじゃないだろうか。
 ところが、ここに私は厚生省保険局長さんからもらった「社会保険旬報」、ことしの一月一日に出たものでありますが、ここに病院管理研究所経営管理部長の石原信吾さんという方が論文を書いておられます。これを見ますと、医療費がふえるということは、医者の乱診乱療あるいは不正診療もありましょうが、一番根本は医療技術が進歩するということに大きな要因がある。ここの例に挙げておられますが、「健保連で調査している高額医療給付費調べによると、昭和五十年度の最高レセプトは約三百六十万円であった。それが五年後の五十五年には約一千百万円になっている」と。どうもこういうところが、医療費がいま西野さん数字を挙げて言われましたようにどんどんふえる原因になっておるんじゃないかと思うんです。
 それからいま、前の参考人皆さんお話しになりましたが、健康保険の支払い方式を見直せ、昔の言葉でいきますと、抜本改正をやれという言葉がよく言われますけれども、抜本改正あるいは見直しということはどういうことなのか、皆さんだれも内容は御説明いただけないんです。
 で、この石原信吾先生の何で読みますと、たとえばイギリス方式がいいんだとか西ドイツ方式がいいんだとかいうふうに言われるんですけれども、一九六五年には、国民所得に対する医療費の比率は、日本は四・三〇%、イギリスは四・二七%、西ドイツは四・〇〇%、大体同じような数字だったんです。ところが、それから十年たちました一九七五年には、日本は五・〇八%、イギリスは六・〇五%、西ドイツは七・九四%というふうに、イギリスや西ドイツの方が高くなっております。そういたしますと、いま一括して出来高払い制度というような言葉で言われますが、これがいいのか悪いのかよくわからないんです。それで私は、中医協に老人保健審議会から権限を移すというお話がありましたときに、元の厚生大臣で厚生行政には非常に詳しい齋藤邦吉先生に何かいい案があるんですかと聞いてみたんです。そうしたら、それがないので弱っておるんだというお話ございましたが、これは、たとえばもし私が中医協あるいは老人保健審議会の委員に任命されましても、いい知恵は出てこない、齋藤先生ですらいい知恵がないんだとおっしゃるんですよ。そういたしますと、どうも老人保健審議会で、あるいは中医協でうまいチェック案を出すんだから財政調整は認めろというふうに賛成された臨調の方も、若干そこに誤解があったんじゃないかという感じがいたします。
 それから第二点でございますが、これもいわば西野さんからお話しになりました繰り返しになりますが、ともかく青天井になり過ぎておるということです。これを何とかチェックするということが必要なんじゃないかという感じがいたします。これは繰り返しになりますから申しませんが、そういうことでございます。
 それから第三点としては、私はこの法案にはメリットがあると思うんです。そのメリットは、先ほどの参考人からはデメリットだというふうに御指摘になった点でございますが、つまりこれは第二十八条の規定なんです。かつてある新聞の漫画に出ておりましたが、病院の薬局の前にお年寄りが二人おられる、そうして話をしておられる。片方のお年寄りが、Aさんはきょうは見えないねということを言ったら、相手のお年寄りは、あの方は病気だそうだと言われたというんです。つまり病院が老人のサロンとなっているという言葉をよく使われますが、健康な老人のサロンになっておって、本当の病気の方は病院に来れないという状況になっておる。そういたしますと、二百円、三百円が高い、低いという問題ありましょうけれども、そういうふうにすれば、健康な老人のサロンとなるということを予防するのに若干の効き目があるんじゃないかという感じがいたします。そういうようなことで、この第二十八条の規定というのは非常にメリットがあると思うんです。それじゃ、私の結論からいきますと、第二十八条だけは残して、あとは皆やめたらどうだということになるわけでございますが、これは余りにもエゴイズムでございますから、そういうことは言いません。
 そういたしますと、結局、いま青天井にどんどんなりそうなことを何とかチェックできないかということなんです。この間も厚生省の人の話を聞きますと、そういうチェックの方法、つまり昭和五十七年度において健康保険組合では七百八十億円ですか、それから政管健保では二百何億でしたかね、そういうようなものを固定するということは法律技術上はできないんだというお話でございました。しかしこれは私はやってやれないことはないんじゃないかと思うんです。たとえば第五十六条ですか、書いてある「前々年度」、この「前々年度」を昭和五十五年度とはっきり書いちゃえば、七百八十億は固定できるわけですから、それをおやりになったらどうか。もう少し知恵をしぼっていただいて、せっかく衆議院も通過したこの法律でございますから、この参議院において諸先生方の慎重な御審議をお願いいたしたいと存じます。
 終わります。
#15
○委員長(粕谷照美君) 以上で参考人各位の御意見の陳述は終わりました。
 午後零時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十二分開会
#16
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、老人保健法案を議題とし、これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#17
○安恒良一君 私は、まず、参考人の皆さん、大変お忙しいところありがとうございました。また、国会議員になる前に親しい友人ばっかりでなかなか質問がしにくいんですが、社会党を代表しまして、往復六十分でございますので、私も簡潔に質問をいたしますので、参考人の皆さん方からも簡潔にひとつお答えをぜひお願いをしたいと思います。それからいろいろ意見の食い違いの点もございますから、私の意見を申し上げるときに失礼な言葉があるかもわかりませんが、それはよりよい法律をつくる、こういう意味に参考人各位の方も御理解をいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げて、御質問を申し上げたいと思います。
 午前中に六名の参考人の方からいろいろお伺いをさしていただきましたが、私はその中でまず一つ支払い方式問題についてお聞きをしたいのでありますが、率直に申し上げまして、私ども社会党も、医療は安かろう悪かろうではいけない、医療費というものは適切に支払われなけりゃならない、こういうふうに思っております。
 そういう中で、まず一つは小池先生にお伺いをしたいんでありますが、小池先生の御持論を伺っておりますと、何か老人を特別視もしくは差別をして別室に隔離する、こういうふうにこの法案をお受け取りのようでありますが、そこがちょっと理解をしがたいわけです。というのは、私は医学医術を勉強しておるわけじゃありませんが、小池先生なんかとも一緒に十三年間中医協で医療問題を勉強さしていただいていますから、少しは存じているつもりでございます。そういう中で考えますと、たとえば老人に多い疾患というのは、がんとか、脳血管疾患、心臓病が大体六割を占めておりまして、これを俗に成人病とか、もしくは老人の場合に慢性病、こういうことを言っているわけです。ですから、そういう場合に、今回の法案の一番大きいメリットは、一つは成人病、慢性病にならないような予防に力を入れようというのがこの法案の一つの大きなメリットだと思います。それから二つ目には、私たちはそういうお年寄りの特殊な疾患をどういうふうにして先生方によって治療をしていただくのかということだろうと思います。それに対する支払い方式を議論しているのでありまして、決して何か老人が若い人に比べて四倍もお金がかかるから老人の医療費をただ単純に安くすればいいという発想は一つもないわけなんです。
 そこで、小池先生にお聞きしたいんでありますが、たとえばいまの支払い制度というのは、これは現物給付出来高払いでありまして、どちらかというと疾病に対する対症療法的で、それに必要な単価が決めてあるのがいまの現物給付出来高払い制度ですね。そこで、老人病を治す、成人病、慢性病を治すためには、たとえば食生活の指導であるとか、運動とか、休養とか、どういうふうにこういうものをとるのかということを工夫する、私たちは、素人的でありますが、これを生活療法と呼んでいます。そういう指導というものが、いわゆるかかりつけのお医者さんによってなされてしかるべきではないだろうかと思っています。ところが、いまの診療報酬支払い点数の中ではそのことはカバーできないわけですね、小池先生、現実に。ですから、私たちは、まずかかりつけのお医者さんをつくったらどうか、そしてかかりつけのお医者さんに、いま言ったような生活療法的なことをやった場合には、それの報酬をきちっと支払うような制度をつくらなければいけないんじゃないだろうか、こういうことです。
 でありますから、現物給付出来高払い制度というものを――私らは現物給付というのは結構なことだと思いますが、出来高払いということに問題がある。たとえば、もうおやめになりましたが、武見先生も、三分の一ぐらいの医者はくだらぬやつがおる、金もうけ主義だ、あなたたちの二十何年もやられた会長がこう喝破されておるように、問題があるわけでありますから、そういうような中で、この支払方式をお年寄りにふさわしい方式――ですから、何かお年寄りを差別して別室に入れるという考えは毛頭ないんでありますが、特に小池先生にお伺いをしたいところはその第一点。
 それからあと、この関係で、審議会のことで小池先生と首尾木さん、それから健保連、それから労働組合の代表にお聞きしたいんです。
 皆さんの御主張は、老人保健審議会でという御主張がかなり多いようでありましたが、残念なことに衆議院で自民党が政府原案を中医協に変えてしまったわけですね。そして、栗原さんもおっしゃいましたように、中医協が果たしてこの法案の意図しているような支払い方式を議論できる場でしょうかどうかということをお聞きしたいわけです。
 それはなぜかというと、私、十三年やってみました。そしたら、中医協は公益四名、医療担当者八名、俗に言われている支払い者側、これは保険者、被保険者を含めて八名の構成でありまして、私どももときには欠席戦術をとったことありますが、かなりの欠席戦術をおとりになったのは医師会なんですね。そうしますと、何にも決まらぬですよ。なぜかというと、八人が休めば、あの議事規則では何にもできなくなっているんです。だから私は、中医協というものが改組されないと、中医協にいわゆる支払い方式を持っていっても何にも決まらぬ。厚生省は私どもの審議の中では、胸張って決まる、決まると言っていますが、現実に私は十三年間――小池先生もおられたし、首尾木先生も中医協には一時おられましたね、率直に言って、一緒にやった仲です。そのときに、何か気に入らぬことがあると、どっちかが出てこないというと、一年でも、極端に言うと一年半でも開店休業という事態が続いたことは、もう御記憶に新たなことだ、私自身が大変嫌な思いをしながらやっておったわけです。ですから、中医協の改組についてどうお考えになるかということを四人の先生に。
 というのは、少なくとも中医協でやるとするならば、昔の四者構成に、いわゆる医療担当者、公益、支払い者側、被保険者、これを同数にする、そしてそこで民主的に物事を決めるということでなければ、私は中医協では決まらぬと思いますが、この点についてはひとつ、市町村代表の方を除きまして、五人の先生方に、老人保健審議会が私もいいと思いますが、もしも中医協でやるとすれば、そういう点をどのようにお考えになっているか、この点を五人の先生方からひとつ聞かしていただきたい。
 一緒に質問をさしていただいて、一緒に答えていただきたいと思います、能率的に。
 それからその次にお聞きしたいことは、第三点目でありますが、これは全先生にお聞きをしたいんでありますが、たとえば西野さんからは歯どめ問題がいろいろ出されました。そして、歯どめ問題のために、歯どめをかけて五年ぐらい凍結、こういうことを言われましたが、私は、本法の施行を延ばしたらどうか。これには賛成、反対があると思います。首尾木さん、それから小野田の市長さん、早急にという御意見でありました。
 なぜ本法の施行を延ばした方がいいのかというのを言いますと、皆さんもメリットとして保健事業を非常に強調されたわけで、私もそれはメリットだと。ところが、準備が整ってないんじゃないか。たとえば保健婦さん自体がいない保健所の数も、皆さんの意見の中でも述べられましたし、また医者のいない保健所もたくさんこれはあるわけです。
 それから私ども過日参議院社労委員会で、愛知県と静岡県の県、それから刈谷の保健所、それから静岡東保健所等を視察さしていただきました。そのとき、私たちが一番痛切に感じましたのは、保健所なり保健センターは、母子保健や乳児保健はかなり活発にやられているが、成人病に対するところの保健事業というのは、やりたくても人手が足りなくてやれないというのが現状でありました。ですから、この法が通ったときにどうしますかと聞いたら、もうお手上げですと。ところが一方、この法律は、五カ年間でお医者さんや保健婦さん等、マンパワーの問題も充足するというし、それから施設もこれからやっていく、こういうことにこれはなっているわけですね。
 そうしますと、これをこの国会で通過させまして、十月からやって間に合うだろうかといったら、私は間に合わないと思う。県段階でお聞きしたら、お金の方は、臨時県議会を開いて補正が組めますというお言葉でありました。これは財政的には何とかできる。しかし人の問題とか、事業所の施設の問題というのは、私は簡単にできないと思います。
 ですから、そういう意味から言うと、この国会でこの法案が成立したとしても、たとえば最低一年なら一年本法の施行を延ばして、その間にまず支払い方式についても十分な議論をして結論を出す。でなければ、とても中医協でやろうとどこでやろうと、十月までに支払い方式についての意見が一致を見ることは不可能だろう。最低一年はかかるだろう。だから、少なくとも一年本法の施行を延ばすというようなことについて、いま申し上げた支払い方式の問題なり、それからマンパワーの問題なり、それからいま一つは施設の問題なり、こういうところから考えましても、本法の施行は延ばしてやったらどうだろう。この点があります。
 それから次に、歯どめ問題を御提起されました健保連、それから日経連、それから労働団体にお聞きをしたいのでありますが、たとえば健保連の場合には七百八十億初年度はやむを得ないと思うが、五カ年間据え置き、こういうことを御主張されました。私は、若干五カ年というのにいろんな問題点がありはしないか。これは労働団体ではニュアンスが違ってました。
 ただ私は、歯どめとは何だろうかということになると、この法律が通りますと、後はもう自動的に健保連で御主張くださったように、七百八十億が、昭和六十年では千五百億になる――これは計算によって千億ちょっとという計算もありますけれども、そこに問題があるんじゃないか。だから、たとえば初年度これを実行するときに七百八十億の財政支出が認められる、次年度どうするかというときには、これは関係審議会で十分議論をする。たとえば老人の比率がどういうふうに増加してきたのか、また支払い方式はどういうふうに改正をされるのか、医療費の増加動向がどういうふうにあるのか、たとえば基本的な医療費自体の値上げという問題も中には起こり得るわけですから、そういう中で、毎年毎年議論を関係審議会できちっとして、そして審議会の答申を得て、私はやっぱり法定主義にすべきではないだろうかと思いますが、この点はどうか。
 それはなぜかというと、どうも国家が国民からお金を取るときには、税金で取るか、保険料で取るか、料金で取る以外はないのであります。料金というのは、たとえば国鉄運賃とか、米価、いずれもこれは関係審議会の議を経て、場合によれば法定主義で国会の議決を必要とする。しかしある一定の範囲までは審議会だけでいいというやつもあります。たとえば国鉄運賃も、一定の幅までは運輸審議会だけで、運輸大臣の認可事項になる。
 こういうような点から考えますと、どうもこの法律が通りますと、健保連も御主張されたり、日経連も労働組合も御主張されたように、七百八十億がわずか数年間で千五百億にひとり歩きをしていって、そしてそれをチェックする機関がない。なるほど市町村の国民健康保険は市町村議会というチェック機関がありますから、これはできますが、あと組合管掌、政府管掌健康保険、共済ですね、これらは全然チェック機関がない。チェック機関がありません。ですから、そこのところを、歯どめという問題は、中身のこともありますが、毎年毎年関係審議会で十分議論をして、そして国会の中で議論をし合って歯どめをかけていくということが一つの方法ではないだろうかと思います。これは歯どめ論を言われました三名の方々からこの点についてお答えを。
 以上の質問を申し上げたい。
#18
○委員長(粕谷照美君) それでは問題別にいたしませんで、先ほどの御意見をいただいた順番にお願いをいたしますので、内容についてそれぞれお答えをいただきたいと思います。
#19
○参考人(川村政一君) いま先生がおっしゃったのは、一応本法の施行を延ばしたらどうかという御質問でございました。
 その点でございますが、もう市町村は限界にきておる。何とか一日も早くこれを施行していただきたい。こういう一つのお願いでございます。これは市長会も町村会も決議をいたしまして、本法の施行を十月にはぜひひとつ実施していただきたいという要望でございます。
 と申しますのは、負担につきましても、私の市は四万五千でございますが、老人数は全体の一二・六%を占めております。ところが、医療費は四二%というような大きな数字で、市といたしましても、一般会計から五十七年度は六千万円繰り入れておる。こういう状態でございまして、これ以上の不公平な負担は耐えられぬというのが、保険者も被保険者もそういうことです。私の隣の市は、市民の要望、市議会の要望がありまして、一時はもう保険料の上昇はまかりならぬということで一年ストップしましたが、翌年にはどうにもならぬというんで、また上げなきゃならぬというような状態も起きております。
 先生がおっしゃったように、直ちに行うということはいろいろ問題もあります。保健事業につきましても、保健婦が足らぬということですが、この点につきましては、われわれはこれは健康というものは考えていかなきゃならぬというので、各市ともそれぞれにやっておるのでございます。私のところも保健センターができましたので、保健事業の健診やがんの検診やその他もやっておるし、寝たきり老人の対策もやっておりますので、ひとつ漸進的な姿で、厚生省がおっしゃるように八千人の保健婦も順次拡充していくということですので、漸進的に私はやっていただけばいいのではないかと思います。
 保健事業というのは、私は非常に大切な事業であると思います。各市町村でも非常に成果を上げておるところもございまして、北海道の鷹栖町におきましては、医療費が平均十万九千三百六十八円で、県の平均は十二万四千円、それから老人でも、老人の医療費は三十七万四千円、県の平均は五十一万六千円こういうふうな保健事業で成果を上げておる。私のところの山口県におきましても、川上村というのがありますが、ここでは十一万七千円の一人当たりの医療費でございまして、県の平均は十二万二千三百円ということでございます。老人につきましても、老人が二十七万四千円でございますが、県の平均は三十六万八千円というような効果を上げておりますので、これはひとつぜひやっていただきたい、こういうふうに考えております。
 これは十月から施行にいたしましても、ほかの方はやっていけるが、保健事業は漸進的な進め方でお考えを願って、ぜひこれを早期に実施をお願い申し上げたいと、こういうことでございます。
#20
○参考人(栗原丑吉君) 中医協の改組の問題ですが、労働団体の中には、当初予定された原案に基づいて老人保健審議会で総合的に審議をすべきだという団体と、あるいは同じような効果が中医協の改組によって期待できるならばそれでいいという団体がある。ただし老人保健審議会の場合には政府原案に戻すということであり、社会保険審議会でも一致しているところですから、第一の主張はそういうことです。しかし、従来の修正の関係上もとに戻すことができなければ、中医協の中で実効を求めるというのが労働団体の二段構えの意見であるということです。
 その方法としましては、先ほど安恒理事が言われたように、三者構成を四者構成にするとか、委員を同数にするとか、あるいはそのときどきの審議の課題によって専門部会制度を設けて、福祉団体、障害者団体、それらを含めて、支払い方式全般についての見直しと関連させて老人医療の支払い方式に結論を出していくということが好ましいという観点から、そういったような運営方法をすべきだ、その実効のあるような具体的な対策を求めたいということでございます。
 それから本法の施行を延ばすということですが、私どもは、負担の問題あるいは保健事業の基盤の未整備の問題等、まだ本法の実施には不十分だということを前提にして意見を申し述べているわけですから、市町村の実態もそういうことであったり、あるいは中医協における支払い方式の見直しなり審議会における支払い方式の見直しについての確たる見通しなり、そういったものがない限りは、やはりそういう結論が出るまでは本法は延ばしてもこれはやむを得ないであろう。とりわけ負担の問題がいまの段階で青天井というようなことでは私どもは納得できない、そういう考え方でございます。
 それから歯どめの問題ですが、歯どめの問題としては、私どもは医療費全体を抑制するという問題と、それから私たちが負担をする場合でも、所得に応じた負担、医療費がこれだけかかるからやみくもに負担しろと言うんじゃなくて、私どもの生活であるとか、そういったことと関連をしまして、どういった方法が勤労者にとって合意が得られるか、私どもも金は出さないとは言ってないわけで、ただやみくもに二〇%も増加する老人医療費を負担せいということについては納得しかねるということでございます。仮に医療費全体を抑制する方法ということになりますと、支払い方式の問題等もありますけれども、これは先ほど安恒理事が言われたように、診療に対する報酬ということだけでなくて、予防や治療や、そういったものを総合的に判断できるような治療の方法あるいは支払いの方法というものがその中に見出されなければいけないと思います。
 たとえばいま私どもは健康保険証を一枚渡されておる。医者に行きますと、何月何日、どこの医者、診察日の判こをポンとそれに押すだけです。そうじゃなくて、あの診察券といいますか、その欄に――西ドイツの場合ですと大体四半期ごとに一人に一枚、家族がそれを渡されます。そして、そこに大体一枚の紙で四十二回四半期ごとに書き込む欄があるんですね。そして何月何日、どういう病気でかかった、どういうけがでかかったということで記録されるわけです。そうしますと、いまのように、医者に行くと、そうか、それじゃ検査しようというのでやたらに検査しなくても、その人が何月何日にどういう病気にかかって、どういうけがをして、そうしてこの病気、けがの後遺症があるのかないのか、その人の総合的な診断によってむだな検査を省くこともできるでしょうし、場合によってはそれによってむだな支払いを防止することもできるでしょう。
 ですから、支払い方式といって、むずかしいむずかしいというものをあえてこういうふうにしろというふうなことは、私ども素人ですから持ち合わせていませんけれども、私どもが考えても、そういう医者と患者との関係においてお互いに信頼が取り戻せるし、あるいは医療経済全体から見てもそういったこともできるというふうに思いますから、そういった意味では歯どめの問題については、医療費全体を抑制する努力と、それから私どもの所得に応じた負担、納得のできる負担ということで両方考えていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。
#21
○参考人(小池昇君) 私に対しましては三つ御質問いただいたと思います。
 最初の支払い方式の問題でありますが、確かに、今回の保健法案に予防の問題が入りましたのは大きな前進であろうと思います。私は前から主張しておったことでありますので、これは私としてもうれしいことでございます。
 そこで、支払い方式とも関連しますが、この予防というのは、七十歳になってその線から途端に手帳を渡したり、予防を指導したりといったのでは、これは遅いんであります。人間の体は若いときから刻々老化しているんでありまして、二十歳を過ぎればもう老化現象が始まるわけです。ですから、私たちは二十歳代から生活の指導もし、予防的なめんどうを見ていくべきだという主張をしておったのであります。四十歳からごめんどうを見るということなら、これはまたそういう意味で別の意味もあろうかと思います。七十歳になってから手帳を渡すというのは、余り意味がないのでありまして、そういう点いろいろ不満はございます。しかし、予防が入ったということは、総合的なめんどうを見てあげるという意味で大変結構だと思っております。
 で、御質問の核心でありまする出来高払いはどう思うかという点であります。医療というものは、刻々の状況に応じて、本当のかぜ引きからすぐ生命に直結する問題までたくさんの段階がありますが、それが即応的にどんな場合にも医師、診療所、病院側がこれに応じ得るという体制を端的に支払い方式の中であらわすとすれば、この出来高払い方式というのが私はベストの案だと思います。
 それと、もう一つは、日本の保険制度の中でもう五十年来なれ親しんだ支払い方式なんであります。各国先進国でもそれぞれの支払い方式はございますが、いずれも、私の見方としては、それが必ずしも成功しているとは言えないと思います。支払い方式が出来高払いでいかないという場合になると、先の予測もこれもつきがたいというのはおわかりだろうと思います。
 で、出来高払い方式の欠陥というのは、何といいましても、これを悪用する者が医師の中にいるということでございますから、私は、たとえばこの老人保健法が発足しまして、あるいは発足しない現在でも、老人という人間を材料にして金を生むような方式をとる医師なりあるいは病院、診療所があったら、これを厳重に取り締まるというのが私は第一だろうと思います。出来高払いの欠陥と言われているそういう点を修正することに私はやぶさかでないのであります。
 ただ、いかにもこれを日本医師会あるいは各地の医師会が悪い者をかばっているような言論もやや見られますが、これは私はないつもりで、私たちはそれに真剣に取り組みたいと思っております。私たち医師会というのは、医師の集まりでありまして、各医師に対して調査権というものはありません。あるいは監督権は若干ありますが、強制的な監督権はないのであります。あるとすれば指導権でありますが、それもさっき言いましたそういう好ましからざる人には有効とは言えないのが現状なのでありまして、この点、出来高払いの悪弊を除くのはそういう形でいくのが私は大事なことではないかと思います。制度全体を変えますると、善良な医師あるいは病院、診療所にも影響を及ぼしてくることになりまして、そういう一を退治するために十に影響が及ぶようなそういった体制というものは私は好まないのであります。詳しく申し上げればいろいろありますが、大体そういう方向で私は出来高払い制を維持するのがこの際よろしいのではないかと思います。
 もう一つ、老人に対する特性といいまして、先ほど六割ぐらいは成人病的なものであるというお話がありました。これにつきましては、生活指導、管理というものが欠かせないことは十分私も承知しております。点数表というのも年々改善されてきまして、そういう一括管理方式というものを入れるという方向で順次、出来高払いの中でもある程度の丸め方式をとった方式というものに改正のたびに変わっていっておりますので、この老人に対する管理的な考え方というものは、これからは点数表の中に当然入ってきていいと思いますが、七十歳以上だけは生活指導や何かはするけれども、六十歳代まではそんなものは入らぬでもいいという考え方も私はとれないのでありまして、人間の体というものは、親からもらった体というのは、人により、七十まで生きれる人もあれば五十歳で死ぬ人もある、九十歳まで生きる人もある。遺伝的要素が非常に大きいのでありますから、ある線で切ってそこから上はこういう方式、そこまでは別な方式というのは、現場のわれわれとしては困るということを先ほど申し上げたわけであります。中医協における議論につきましては、そういう点は今後反映する方向へ当然いくだろうというふうに思います。
 それから第二の、中医協では問題が解決されないんじゃないかという問題です。これは全般的な議論として私たちの考えておる点でありますが、政府の審議会というのはどうも専門団体の意見を尊重するという審議会になっていないように私は思うのであります。たとえば老人保健問題でも、当然法案として国会に提出される前には審議会にかけるわけでございますが、審議会で専門団体の意見が果たして尊重されましたでしょうか。たとえば社会保険審議会にもわれわれの代表が公益委員の一人として入っております。その人の意見が果たして採用されたかというと、これはゼロなのであります。審議会の答申の中にたった三行だけ、医療担当者を代表する公益委員は七十歳で一線を画して老人の医療を行うことに反対であると述べていると、その三行が入っているだけなのであります。こういうふうな審議会が専門団体で構成されていなくて、各種の団体から構成されている、学者も入っているという状況では、いまの審議会というものに専門団体の意見を尊重するという方向が見られません。私はその点で非常な危惧の念を覚えまして、たとえば老人保健法であれば、医療担当者というものは四分の一かそこら辺だというお話なのであります。そういうふうに専門団体の意見が尊重されるというものでない限りは、審議会というものは私は余り信用できないのであります。
 中医協ではどうだと言えば、これから考えられておりますような老人審議会よりは、まだまだ専門家の意見というものは重視されるように数の上での配慮がなされております。それでも支払い側と称される方が八人で、医療側が八人のほかに、公益委員が四人おるわけであります。二十の中の八というのが医療側の数であります。私は、こういうふうに専門家と、それから支払い、あるいはそれをなす方あるいは各種の患者の代表の方と対等の立場でお話し合いをして、そして公益委員のジャッジがあるという形が、まだまだほかの審議会よりはベターではないかというふうに思います。そういう意味で、中医協が当事者能力のない委員が集まっているというような状況ですとおかしなことができますが、今後はそういうことはないと思いますので、私は中医協の良識を信頼していただきたいと思うのであります。中医協というのは、医療担当者というのがそれでも全数の中での少数になっておるようなことでございますから、最終的に医療担当者がわがままを通すという形にはなっていない。これからもならないだろうというふうに私は信じているのであります。
 それから最後に、保健事業に対してマンパワーにしろ施設にしろ間に合わないから実行を延ばすという御意見に対しましては、私も確かにそのとおりだろうと思います。これはお延ばしになるかどうかは政府側と国会側とお話し合いになりまして、十分その見きわめをつけてやっていただければいいんでありますが、どうしても何かこの法案が通るようなお話を伺いますと、私としては、現場ですでに働いて実行段階に入っている関係団体、医師会とかあるいは大きな大学病院とか、そういった医療関係者とお話し合いをなさって、円満に差別のない保健事業に入られるようにというお願いをしているだけであります。
 以上、お答えをいたしておきます。
#22
○参考人(首尾木一君) 私に対する質問は二点でございますが、第一の中医協の改組についてどう思うかという点についてでございます。
 安恒先生のおっしゃいましたように、現在の中医協において一方の当事者がこれをいわばボイコットする、こういったような形において中医協が十分に機能を発揮することができなかったという過去の事実等につきましては、私どももそのようなことがあってはならないことだと考えておるところでございまして、中医協が中医協として適正な診療報酬の確保について十分な審議がされるように、今後この中医協の運営について当事者双方の協力といいますか、ということが基本的に望まれる点だと思うわけでございます。これを制度的に改組によりましてそのようなことを担保するという点につきましては、この中医協の現在の構成が、過去の長い歴史の中におきまして現在のような形になりましたそういう背景等を考えてみまする場合に、どのような形でこれの改組ということをまとめていくかという大きな問題があろうかと思うわけでございます。そのような点等を頭に置きつつ、今後これらの問題については検討をされるべき点だというふうに思うわけでございます。
 私どもが最もこの際心配をいたしておりますのは、この点についてのお話し合いが、この法案の今回における成立以前につくのかどうなのか。その点について私どもは率直に申しまして危惧を持っておるわけでございます。また先生のおっしゃいます改組というのはどういったような形のものか、その点についていろいろのお考え方があろうかと思うわけでございますが、具体的に申し上げまして、そういうような点について話し合いがつき、そうして中医協がよりよい形でその運営というものが実行できるような形に改められるということができますならば、私どもとしてはそのことに賛成でございます。
 第二点でございますが、成人病、いわゆるヘルスの事業につきまして、市町村の現在の体制が不備であるということによって、この点が、特に法案が成立をいたしましても、十月までにはとても間に合わないだろう。この法案が成立しても、それが実行に直ちに移せないだろうというような点につきましては、これは私どもも率直に申し上げまして、完全な形でこれが実施されるということについては、なお条件としまして、実施体制の整備あるいは要員の確保等につきましていろいろの問題点があることは承知をいたしておるわけでございますが、先ほど小野田の市長さんがおっしゃいましたように、この問題につきましては、少なくとも市町村側におきましては、この法案の成立を機として漸進的な方向でこの問題については努力をしよう、こういうふうに考えておる次第でございまして、そういう点を評価をしていただきまして、この法案の早期実施ということが一つのはずみとなってこの方向に進んでいくことを期待し、臨んでいただきたいと、かように考えておるところでございます。
 また、保健事業と申しますのは、この法案に書かれておる健診その他各項目だけに限られるものではないのでございまして、実は地域組織といたしまして、私ども国民健康保険の保健施設というような形といたしまして、この問題についてはかねてから力を入れておるところでございまして、そういったような実績もあるわけでございますから、私ども国民健康保険の保健施設活動も一体となりまして、こういう問題についてのそれぞれの市町村の実情に合う保健事業の強化ということに努めますれば、この法案が十月に実施になりましても、それなりの効果というものを上げていくことができるというふうに考えておるところでございます。
 以上のような点から、私どもは漸進的な意味においてこの法案の成立を一つの契機として、さらに市町村における保健事業というものの伸展というものを、これからの医療保険あるいは医療の問題、保健の問題の最も重要な問題として期待しておりますので、そのような観点からも、この法案の成立というものを原案どおり十月に間に合うようにぜひやっていただきたいというのが私どもの切なる念願でございます。
#23
○参考人(西野嘉一郎君) 私に課せられた問題は、二つ、三つありますが、まず中医協の機構の問題であります。これはいま安恒委員から申されたとおり、私たちは現在の中医協に老人保健審議会から移された衆議院段階における経緯を見ますと、なぜ移されたのか、その疑問を非常に持つのであります。したがって、中医協に対してこういう機構をそのままの現状の形においてこれを実施するということになりますと、従来と同じような運営が、いま小池さんからも話がありましたけれども、行われ、そしてすべてのこれから重要な医療問題、先ほども私が申しました国民経済から見て大変なことになっていくこの医療問題、医療費の増大に歯どめをかけ、そうして非常に健康な医療制度にするということはできないと考えております。したがいまして、いまの機構に対しましては、私たちは八・八・八と中立委員の増員を求めたい。そうして中立委員に対してもっと広範な権能を与えたい。つまり医師会が反対すれば、あるいは支払い側が反対すれば何も決められないというような機構ではだめ。したがって、場合によれば中立委員が裁定されたものに対しては、国民的な視野から公正であれば、これはその裁定に従わなきゃならぬということぐらいの機能があってしかるべきじゃないか。また同時に、中立委員の選定については十分心を配さなきゃならぬと思いますが、そういう公正な意見があるならば、これら支払い側もあるいは供給側もそれに従わなきゃならぬというような機構をつくらないと、今後中医協の運営というものがいかない。
 しかし、私たちは、そういうことがなかなか困難じゃないか。いま中医協のことは法律だそうでありますが、これをまた国会で改正するということは、もう非常に短い期間でありますから、直ちにできないから、私たちは本法の老人保健審議会に一元化すべきだということを主張しているわけであります。
 それから第二の問題でありますが、歯どめ論でありますけれども、これは先ほど申しました、安恒委員も申されましたように、七百八十億に一遍歯どめして毎年審議したらどうかということであります。この説に対しましては、われわれも考えないわけではございませんでした。しかし、一たんこういう法律ができまして、そして審議会でもしうまく答申がいかなかったらどうか。これはお互いに利害関係が非常に強いんでありますから、なかなかそれが一致しないということになると、七百八十億でもう一遍歯どめできるということが保証できるかどうかということが非常に疑わしい。したがって、私は、五年なら五年で歯どめをして、その間において、先ほど言った保健事業というようなものについて十二分に検討をしてほしい。
 なぜならば、私の調査したところによりますと、いま現在日本の病院は九千五十五あります。アメリカは七千百五十九あるんです。アメリカは人口が日本の倍であります。倍であるにかかわらず病院の数は日本よりも少ない。それからベッド数は、日本は百三十二万ベッドあるんです。アメリカは百三十五万ベッドあるんです。アメリカは、人口が日本の倍である国でありながら、病院の数が少なくってベッド数が多い、こういうようなバックグラウンドがあります。また医師の数も、最近各県に大学ができましたので、八千何百人の人間が入学してきます。これが毎年卒業していくということになります。そうすると、われわれ調査したものによりますと、昭和六十年には十万人当たりの医師の数はアメリカをしのぐということであるそうでありますから、こういうようなことなどをバックグラウンドに考えますと、いまここでこの法案を、社会保険制度に属する法案を通してしまったら大変なことになる。したがってここで歯どめをかけて――われわれ健保連は何もエコを主張して一文も負担しないと言っているんじゃないんです。七百八十億というものを出して、五年間の間に十分に老人保健法案に対する諸般の準備をして、いまお話がありましたような準備をした上でやったらどうでしょうか、こういうのがわれわれ健保連の主張であります。
 以上二点かと思いますが、もしそれができなかったならば、安恒委員の申されたように、われわれはいま三つのことを私は申しましたし、そのほかにも医療制度の問題も言いましたが、この問題がもし実施できないならば、審議未了にして、これらの問題を十分考えた法案を提出すべきである。そういう考え方を持っておることを述べて私のお答えにかえたいと思います。
#24
○参考人(松崎芳伸君) まず第一の御質問でございますが、中医協の構成を変えたらどうか。私はいままでこの話を聞いておったんですが、いま安恒さんのおっしゃいましたように、なるほど欠席戦術をとってもむだだというふうに変える、これには私は大賛成です。被保険者を入れるのがいいのかどうか知りませんが、ともかく武見さん時代の医師会にはもう手をやいたんですから、これはもう大いにやっていただきたいと思います。
 それから第二番目の施行を延ばしたらどうだ。これは最初に私が申し上げましたように、いまのような青天井で健康保険組合あるいは政管健保が負担を強いられるような法律は施行してもらわない方がいいわけなんですが、メリットも、いま言いました二十八条もありますから、そこらの妥協として施行を延ばすという御構想には私は賛成でございます。
 それから第三番目の歯どめを毎年やったらどうだというお話でございますが、私は毎年これをやるというのはちょっとめんどうくさいんじゃないかと思いますので、五年ぐらいやって、そしてその五年たった後にこれを改正する場合において、衆議院で骨抜きにされました老人保健審議会でどうするかということをお決め願う。そうすると衆議院改正をここで修正されなくっても、老人保健審議会は十分に復権できるんじゃないかというふうに思います。よろしくお願いします。
#25
○安恒良一君 私の持ち時間も三十三分までですから、あともう一遍ちょっと川村さんと首尾木さんにお聞きしたいんです。
 私は、市町村の条件整備というのは、たとえば費用の点においても市町村は三分の一持たなきゃならぬわけですね。それから中核となります市町村職員である保健婦が全くいない市町村が四百五十八、一四・二%いるわけです。一人しかいない市町村が千六十八で、比率にしますと三三%です。ですから、この両方合わせますと、四七・二%の市町村は、約半分近いですね、保健婦が一人以下しかいないんですからね。そういうところで漸進的にというのは……。
 ですから、私は、この施行なんかも延ばさなきゃいかぬと言っているのは、人を充足しないとやろうと思ってもできないわけですね。これが今日の現状です。五カ年間でやればいいということでは困るわけですから、そこのところを私は本当の実施主体である市町村が真剣にお考えになって、いまのところ財政が苦しいからこの際何でもかんでも財政プールしてもらえりゃいいという、それだけが前に出ておったら私は大変だと思うんです。そこについてもう一遍お聞きをしておきます。
 それから小池先生にお聞きしたいんですが、私もいま出来高払いのメリット、デメリットがありますから、そのこと全体をいまここで小池先生と、もう中医協で長く論議していますから、いまさらやる気はないんですが、ただ私がお聞きしておきたい一つは、なるほど生活指導料というのは七十歳とか六十歳で区別すべきじゃないと、これはわかりますね。しかし、たとえば先生がおっしゃったように、老化というのは二十五歳から始まるという学説が多いようでありますけれども、しかし財政上四十で今度線を引いたわけですね。それから老人保健も、わが党の原案は六十五に下げてあるわけですが、政府原案はたまたま七十になっているわけです。
 そういう場合の、七十でもいいし、六十五のお年寄りの場合に、お年寄りの病気は慢性疾患、成人病が多いのですが、私はたとえば一つの方法といたしまして、市町村長が指定しました老人保健医療機関、これはいまの保険医療機関が全部それになるだろうと思いますが、その中から主治医を選択をする。患者側がこの人に主治医になってもらいたいというその主治医の人に対しては、たとえば現行の点数出来高払いとは別に、生活指導料というものを、先生も生活指導料というのはこれから点数化されるだろうと言われていますから、そういうものを支払うというようなことが、新しい老人保健制度というのが発足するわけですから、そういうことのお考えはないんでしょうか。
 この二点だけを三名の方にお聞きします。あとのことは小池先生だけで結構です。
#26
○参考人(川村政一君) ただいま安恒先生がおっしゃったように、施設をつくるにいたしましても、十分でないことは存じております。問題は、健康問題について何らかの方途を考えぬ市町村はないと思うんです。私は一応レールを敷いてもろうて、これは五カ年なら五カ年のたとえば完全実施というふうなレールを敷いてもらいたいと思います。いま何にもできぬかというと、そうでもなしに、健康相談日を決めて保健所からでも来てもらうとか、いろいろな方途はあろうと思います。それから私ども保健所の設備、市町村の関係をもっと円滑にいたしましてやるということもある。また市長会としても助け合いをしてやるということもあるが、いますぐ直ちに完全実施はできないにしても、五年間ぐらいのレールを敷いて、その間に保健婦もできるし、完全実施ができるような体制をひとつつくっていただきたいと、かように考えておるわけでございます。それはできぬことはないというふうに私どもも考えております。
#27
○参考人(首尾木一君) 市町村の保健事業につきまして、特に現在保健婦が全くいない市町村がかなりあると、こういうふうなお話でございました。そのような事実になっておるわけでございますが、先ほど川村市長からお話がございましたように、そのような保健婦のないところにおきましても、地元の医療機関等との提携とか、あるいは国民健康保険における直営診療施設の一体的な参加といいますか、地域医療を推し進めておりますそういう機関を活用するとか、いろいろの方法によりまして、当面そのような保健事業のねらっておりますところを充足をさしていくという手は残されておるわけでございまして、私どもとしては、全力をふるってこの法案の成立を期してそのようなことをやりたい。また、この充足につきましては、五年間というのはいかにも長い期間のように言われるわけでございますし、しかしまた保健婦の配置等につきましては、重点的な配分といったようなこともあるわけでございますので、全く保健婦のないようなところにつきましては、個別に重点的に保健婦の設置ということを促進するというふうなことも考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、川村参考人のお話にございましたように、市町村としてはこの問題に今後非常な力を入れたいと、かように考えておりますので、私どもの市町村あるいは私どものその意のあるところをお酌みをいただきまして、この問題について皆様方のまた御協力もいただきこの問題を進めていきたい、かように考えているところでございます。
#28
○参考人(小池昇君) 安恒先生のお考えとしまして、何かかかりつけの主治医を決めたら、そこで老人に対してはある別の方式がとられてもいいんじゃないかというお考えだろうと思います。これも一つの老人保健をやっていく段階でのワンステップ的な意味で意味のあるお考えだと思いますが、どんなお考え方にもいい点と悪い点といいますか、あるわけであります。現在の患者は、いろんな医療界の不祥事なども報道されておりまして、最近の傾向としては、病院へ行かれるという傾向が非常に強いんであります。しかも、大きなところであればよいようなことになりまして、大きな病院へ行きがちだという傾向が強いのでありまして、それによってまた医療費がふくれていくという傾向を生んでおります。
 主治医制というのは、医療機関の余り発達していない昔からあったんでありますが、そういう大病院志向というのは主治医制と全く相反する方向の行き方なんでありまして、主治医制をここでとるということが、ある村ではできても都会ではできないとか、あるいはその地域の関係でできがたいところもあるんではないかというふうに思います。主治医制で、患者さんがそこへ行けば何でも、余り薬や注射をやらぬで、指導という立場からめんどうを見ていただくという理想的な姿ででき得るような医療機関の配置とか、そういうものができてれば結構だと思いますが、現在の時点で若干無理がないかなあと私は思うわけです。
 それと、そういうふうになりますと、今度は何といいましても、医師の方もいま経済状況が余りよくありませんので、患者を自分のところへ吸収する策へ走っていく人が出てくるんじゃないかと思います。つまり、自分のところへ相当老人の方を集めるのに、正当でない手段といいますか、好ましくない手段で老人を集める。それによってかかりつけ的な医療費配分をそこでとるというかっこうの、好ましからざる方向の患者奪い合いというのが起こることもあるし、またこういう制度になりますと、そう次々と患者が、もしこの医師で不満があり他の医師へ行きたいという場合に、主治医をかえて自由にこちらへ行けるかということが問題で、患者の考え、あの医者は好ましくないと思いながら、ある一年間とか、かからなきゃならないという状況になってくる心配もあろうかと思います。
 それからそういう生活指導的なものを点数表の中に組み入れて、老人にだけ適用したらという考えもあります。これは年齢によって、たとえば乳幼児なら乳児指導料というものが点数表の中にあって、これは何歳までという規定があります。だから、七十歳以上の方の生活指導というものを入れて、これは七十歳以上の方に適用するという普遍的な形をとった上でのそういう生活指導料ならいいんでありますが、かかりつけの方だけに適用するとなると、病院は外されるということもありまして、いささか実行には問題点が残ろうかと考えるわけです。
 で、特に、そういった指導料的な要素をほかの検査を減らしてこっちをふやせとか、ほかの関係のない項目を減らしてこっちをふやすとか、どうしてもそういうことにしないと医療費がふえますから、そういう操作が行われるということになると、またそれによる弊害も出てくるんじゃないかと思いまして、大変いい点と好ましからざる点と、いろんなものが錯綜してくるんではないかというふうに、いま先生のお話を伺って考えたわけであります。
#29
○渡部通子君 短い時間で御質問を申し上げますし、またそれからどうしてもダブる点も出てまいります。なるべくダブらないようにお尋ねをしたいと思っておりますけれども、問題点が大分集約をされてきておりますので、万一ダブリました場合にはお許しをいただきたいと思います。
 最初に小池先生に伺いたいと思っております。
 ただいまるる伺っておりまして、大体お考えになっていることというものは了解をいたしますが、この支払い方式というものは、確かに専門家の先生方がお考えになっても、どれもこれも一長一短で、いまとしては出来高払いの方式を堅持なさることが最高だ、こういう御意見のようでございます。しかしながら、私がお尋ねしたいのは、老人医療というものにこの出来高払いというものが最高になじむものであるかどうか。特に、老人医療ということに関しても出来高払いを最高とお考えになるのかどうか。いま、一長一短はあるにしても、この出来高払いのデメリットというものが医療費の問題で非常に大きな的になっておりますから、その点については医師会としても、一応もう一考をしていただく必要があるのではないかという気がいたします。
 で、薬づけ、検査づけ、濃厚診療、あるいは不正請求というものがこのデメリットとして生まれている以上、これを医師会に自浄作用として期待をできるのかどうか、この点もひとつ伺っておきたい。
 先ほどは、監査権はなくて指導権しかないと非常に消極的なお返事でございまして、それならばほかに別途出来高払いの修正ということを考えなければなりません。したがって、この老人の特性を踏まえた高度医療とか、そういったものに対しては、ある程度件数払い制を導入する必要があるのではないか、そうでなければ医療費の歯どめというものに対して有効な機能を期待することができないのではないか、この点をまず伺っておきます。
 それから、まとめてもう少し伺いたいんですが、総医療費の抑制に対してお考えがおありかどうか、これも伺います。
 もう一点、医療機関における領収書の発行ということに対して、厚生省当局でも指導していくという見解にお立ちでございますが、現場としてはどういう御意見をお持ちか伺います。
#30
○参考人(小池昇君) 支払い方式につきましては、先ほどお答えしたところと若干ダブる点があると思いますが、老人医療に対しましても、出来高払い方式はどうしても採用せにゃいかぬかという御質問でありますが、老人の疾病というのも、慢性疾患だけでありませんで、急性疾患もたくさんございます。そういう意味では、やはり出来高払い制というのが病状に応じた対応として私は一番いいんではないかということを申し上げたわけであります。その中でもいろいろ工夫する点はあろうかと思っております。
 それから件数払い方式というのは、先ほど申し上げたように、件数を上げるばという、不当な努力がそっちへ向かうということはまことに好ましくない状況だろうと思います。そういう意味で、一括払いというのは、私としては、好ましくない方向へ行く支払い方式だという考えを持っております。
 それから総医療費の抑制ということにつきましては、現在、総医療費が二十兆とか三十兆とかいろいろ言われてますが、そういった計算というのは、これは当たったためしがないんです。過去におきましても、五年先はこんなになるから赤字は何とかせにゃいかぬという問題がたびたび出ておりますが、五年たってそうなったためしというのは、もういままでほとんどないのであります。日本人の知恵として、そういうのを黙って見てどこまでも赤字で続けるということは決してしませんで、そこら辺はうまいぐあいに知恵というものが出てくるわけです。どうしても耐えられない赤字が出るようになれば、これはすべての点でこれを直していく方向というのは、みんなが考えてやっていいわけであります。
 で、現在の赤字が、もう五年もたつとこれは何十倍にもふえていくんだなあという、そういう心配は私は余り持っておりません。国民の耐え得る範囲の伸びというのは、これはやむを得ないんじゃないかと思ってます。特に日本では人間の生命価値というのが非常に高いですから、患者さんの要求もまた非常に高いんです。これはもう世界一高い、あるいはアメリカとは違うかもしれませんが、非常に高いのでありまして、医療に対する要求も非常に強いんであります。そういう傾向で、また日進月歩の医学というものが医療に取り入れられるということになれば、また老人というものが当然ふえていくわけでありまして、ある一線で区切れば必ずふえていくわけであります。だから、医療費のふえるのを抑えるということは、私は、程度問題はありますが、これは不可能だろうと思います。これは国民の要求を抑圧するか、あるいは医療を粗末にするか、それ以外に方法はないんであります。だから、そういう方向はとるべきでないということでありまして、どうしても国民の負担に耐えない状況になるということがはっきりすれば、皆の知恵として、これは抑える方向へ当然行かなきゃいかぬというふうに私としては思います。
 それから受取の問題でございますが、これは先般の中医協でも全員一致で答申いたしましたように、これはやろうと方向は決まっております。で、私たちも、人手のないところもできるだけやってくださいと。特に、これが納税と関係いたしますので、そういう面で受取を出さないなんていうのは、これは全くいけないことでございまして、これは出すべき方向で私は指導しております。これをしないという方があれば、これは私は積極的にやっていこうというふうに思ってますが、明細書の写しまで、細かいことまですべて出せという段になると、事務的に不可能なこともあります。この点の御了承もいただきたいのであります。
 私に対する御質問でまだ御不審の点があればお答えいたします。
#31
○渡部通子君 一つお答え抜けているんですが、自浄作用が期待できるかどうかという点。
#32
○参考人(小池昇君) 先ほども申しましたとおり、私が医師会に監査権がないというのは、いま法律上そうなっているということを申し上げただけでありまして、積極的でないという意味で申し上げたのではございません。監査というのがいま法律上ではあるわけでございますが、監査をいたしますのは日本医師会ではございません。これにタッチするのは、都道府県知事と都道府県医師会というものがタッチしております。日本医師会がこれを監査しろという立場ではないんであります。そういう点から現状はこうなっているということを申し上げたわけであります。
 で、その都道府県医師会と各都道府県との間で、疑問のあるものについては、調査権のあるのは都道府県でございますから、そこで調査をして、これこれの理由でこの医療機関を監査したいということになれば、当然これはすべき問題でありまして、これを阻止するということは私はとるべき方途でないと思います。しかし、これが行き過ぎになりますと、点数を上げるために、指導でいいものが監査に回されたりするようなことがないように、事情の御説明は受けたいと、こう思っているだけの話であります。その点でもしそういう方向で監査が行われがたいという事情があれば、日本医師会としてこれを御指導申し上げて、監査を受けるべきだという方向へ持っていくこともできるわけであります。その点で私は、不正なあるいは極端な不当なものに対しては監査というものが十分行われるというふうにこれからは信じております。
#33
○渡部通子君 次に、松崎参考人に伺いたいと思いますが、まず拠出金の歯どめの問題でございます。自民党さんの案に対して、まだこれじゃ足りないと、こうおっしゃっているようなことが報道されておりますけれども、歯どめをどの程度にお考えになっているか。先ほどのお話では五十七年度に固定して五年間と、こういうことでございます。そうしますと、医療費が伸びてきた場合、それだけ大幅な歯どめをしてしまいますと、これを今度はどこで負担するかというイタチごっこになってまいりまして、総額医療費の抑制が必要になってくるか、それとも支払い方式も考えなきゃならないということになると思うんですけれども、支払い方式の見直し等につきまして、もう少し具体的に御要望等がございましたら伺いたい、これが一点。
 それからもう一つ、こうなりますと、どうしても定年制の延長とかあるいは退職者の継続医療について積極的な対応をしていただかなければならないと思うんですが、その点についても伺いたいと思います。
#34
○参考人(松崎芳伸君) まず第一に歯どめの問題でございますが、私の理想から物を言いますと、この第五十六条に書いてあります「市町村が前々年度において支弁した当該保険者に係る」云々というところの「前々年度」を、昭和五十五年度とはっきりさせたら、七百八十億円はこの老人保健法が存続する限り存続するんです。それが私の理想です。しかしそうも言っておれません。だから、私のもう一つの案は、附則にもう一条設けて、そうして第五十六条の「前々年度」というのは、向こう五年間、施行の日から五年間ですね、五年間は昭和五十五年度と続みかえるものとするというぐらいに御改正願う。そうして、先ほど安恒さんからのお話のありましたように、五年たった暁において、それを変えるときには老人保健審議会で審議するというふうにお直し願ったら、まあ私の妥協案は法律上うまく生きるんじゃないかというふうに考えております。
 それからそれに関連しての支払い方式の問題でございますが、これは私も先ほども言いましたように、齋藤邦吉元厚生大臣が言われましたように、よい案がないんです、私もありません。だから、そういうようなよい案のないものを老人保健審議会で、あるいは中医協で審議するんだから、青天井にはならないんだよ、だから了承しろよと言われた厚生省のお役人さんは、私は非常に知恵があり過ぎるという感じを持っております。
 それから二番目の定年退職後の医療の問題ですが、これは日経連としましてはずいぶん前から主張しております。その結果出てきましたのは、退職後二年間、あれは任意加入でしたかね、でやるということになっております。それを五年に延ばすというようなことも一つの案でございましょう。しかし事実問題、非常に技術的にむずかしいんだそうでございまして、そこらの技術を健保連その他で御勘案願ったら実行可能じゃないかという感じがいたします。その技術の問題、私も詳しくありません。
#35
○渡部通子君 いま定年制延長問題についてお答えがちょっと抜けておりましたけれども、御発言ありますか。
#36
○参考人(松崎芳伸君) 定年後いま現在二年間は自分の……
#37
○渡部通子君 それはわかりました。定年延長そのものです。
#38
○参考人(松崎芳伸君) 定年延長は、これはいま盛んに各企業が踏み切っております。いままで定年延長ができなかった大きな要因は、これは年功序列制度なんです。ですから、どうしてもお年寄りは若い人に比べて頭の働きも筋肉の働きも少し落ちるんです。年功序列、つまり年をとればとるほど賃金が上がるんです。勤続年数が長けりゃ長いほど退職一時金はふえるんです。そういう制度をとりましたら会社がダウンするんです。そこを鉄綱労連を初めとして労働組合の諸君も非常に認識されまして、ある一定年齢までは年功序列で行くが、それから先は賃金カーブは寝かせる、ダウンさせてよろしい、あるいはまたある一定年齢までは退職一時金はふえるけれどもそれを超えたらストップさしてよろしい、だから五十五歳定年を六十歳定年にしろというお話になりまして、この二、三年六十歳定年に踏み切る企業がぐんとふえてきました。だから、恐らく昭和六十年六十歳定年という労働省の行政指導というものは、その目標を達するんじゃないかというふうに私は考えております。
#39
○渡部通子君 西野参考人に伺いたいと思います。
 一番問題にしておられたのは、拠出金の青天井の問題だと思いますけれども、それは先ほど安恒委員の御質問に答えられたことで明快でございますので、重ねての御質問はやめます。
 それで、支払い方式の見直しについてもし具体的な御要望があったら伺っておきたいということ、それから医療費の伸びの抑制についてなお具体的な御要望がございましたら伺っておきたい、この二点をお伺いいたします。
#40
○参考人(西野嘉一郎君) 支払い方式の見直しの問題につきましては、かねてから健保連も非常にこの主張を続けてきておりますが、きわめて専門的な問題でございますので、私きわめて素人でございまして、どういう方法がいいかどうかということをいまここで述べることはできません。ただ、一言言うならば、いま非常に問題になっているのが支払い方式である。つまり、インプットすれば幾らでもそれが請求できるという方式で、アウトプットしたその効果に対する評価が出されておらないということは、だれが見ても――経済学においてグレシャムの法則というのがあります。悪貨は良貨を駆逐する。こういう方式をしていれば、いい医者がだんだん育たなくなって悪い医者ばかりがはびこるというようなことになりかねないという心配がある。したがって、これについてはもっと関係者が集まって知恵をしぼるべきだ。
 その医療費総額の制限という問題は非常にむずかしいんですが、これはここにおられる安恒さんなんか御反対をなさるかもしれませんけれども、老人保健法案ができたら、これはフランスがやっております立てかえ払い方式というのをとったらどうかと、こう思うんです。そうすれば、患者のビヘービアも医者のビヘービアも変わっていくだろう。したがって、三百円と四百円と今度決めましたね、その決めた金は後からお返しする。仮に二千円なら二千円、五千円なら五千円かかったとしたら、それだけ一度お払いする、そうしてしかるべきところへ持っていけば、それが三百円なり四百円なり、この法律で決まった金額は返していただけるということにすればいいんじゃないかと。六十九・九九までなった人が一晩寝ると、もうただになってしまうということは、いかにもということなんです。もちろん、それに対しては、支払いができない人とかいろいろの人がおりますね。これは例外を求めたらいいと思います。
 そうすることによって患者のビヘービアも非常に変わってくるだろうし、医者の方も、その領収書に対しては、ちゃんと二割なら二割払うということになれば、その番号を付せなきゃならぬ、付せれば、いままでのような領収書と違って金券ですから、それを持っていけば金になるんです、金を返してくれるんです。そうすると、その番号とわれわれレセプトの点検とがうまく一致して非常に照合がうまくなる。そうすると、お医者さんは、いま定額だとわかりませんけれども、定率でありますと非常にその点がチェックがしやすくなる。そのことによって医療費の抑制につながるんじゃないか、私はこういうことを考えております。これは老人ばかりでなくて全般の医療費に対して適用したらどうだろうか、こう考えております。
#41
○渡部通子君 栗原参考人に伺いますが、ただいまの退職者継続医療制度について労働組合側の御意見を承りたいと思います。
#42
○参考人(栗原丑吉君) 退職者継続医療制度につきましては、たしか昭和四十九年だと思いますが、厚生省が案を出しまして、労働組合としても検討いたしました。その場合に、技術的な問題がたくさんあったんです。要するに、退職していった人を企業の保険者が管理するわけですから、北海道にいて鹿児島に行った者を管理できるのかどうかといった問題や、長年にわたって保険料の徴収であるとかそういったものをどうやってやるのか、そういった技術的な問題でまずいろいろな問題があってできなかったということが一点。私どもの段階でも、労働団体としても反対はしないけれどもかなりそういったところで問題がある。
 それからもう一つは保険料の負担の問題ですね。やめていって所得がない人からも、当時の法案では、従来の保険料と同じように、退職時の保険料か平均の保険料でその後ずっと加入している間は徴収しなさいと、そういう問題ですね。その問題でも、ここはもうやめて所得がないわけですから、やるとしても労使三・七なり、経営者が、保険者がそれを負担するということでないと、加入する人が現に所得もない、保険料は払うが医者にもかからぬということでは、やっぱり問題があるとかというふうなことだとか、いろいろな問題がありました。
 労働団体としても、基本的には賛成すべきだ、あるいは老人医療のこの問題を議論する際にも、何らかの形で退職者継続医療制度は実現して、それと老人医療制度とが結びついていくという前提が一番望ましい医療のあり方なんだという議論をしておりますけれども、老人保健制度の問題が具体的に出てきておりますので、そこまで突っ込んでいまの段階で討議は進んでおりませんけれども、重要な課題としての認識を持っておる次第です。以上です。
#43
○渡部通子君 首尾木参考人に伺いますが、老人医療費適正化のために国保で努力の余地は残されておりませんか、それに対するお考えを。
#44
○参考人(首尾木一君) 老人医療費の適正化についてここで努力の余地が残されているかというお尋ねでございますが、もちろん医療費の適正化につきましては、保険の運営上きわめて重要な問題でございますので、これらの問題につきましては、いろいろの方法を通じまして適正化に努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 従来から老人の医療費の適正化問題等につきまして努力をしてまいっておるわけでございまして、これは一つは、医療費の適正化の一般的な方法といたしまして、医療費のレセプトを通じる被保険者の指導でございますとか、あるいはまたレセプトについての点検という意味での医療費の支払い面におけるところの点検でございますとか、そういったような行政努力というものが一つ大きくあるわけでございます。また、もうすでに申し上げましたように、老人の日常の健康管理ということにつきまして、これは国民健康保険といたしましても、保健施設事業を通じましてその徹底を図っていくという方向で努力の余地は十分あると考えるところでございます。
 ただし、先生がおっしゃいますように、先生の御質問の趣旨、その努力をするならばこの状況で国民健康保険の老人医療費負担の重圧問題というものは解決をするというところにまでは私はとてもまいらないのではないか、かように考えておるところでございます。
#45
○渡部通子君 最後に川村参考人に伺いますが、マンパワーの人員を確保したり施設を拡充したりということが一番問題だと思うし、それからそれに対するさまざまな問題があると思います。これはやっていると切りがありませんし、それから安恒委員の質問でもございましたので、ひとつ保健婦等の確保に対しては御努力をいただくことといたしまして、一点だけ伺いますが、レセプトチェックの精査は可能でしょうか。
#46
○参考人(川村政一君) レセプトのチェックはわれわれ国保の連合会で審議会をつくってやっておるところでございます。現在のところ、それ以上に立ち入ってやるということはなかなかむずかしい状態であります。もちろん県あたりが監査を間々行っております。そういう点で、自分では、これは専門的ですから、患者もわからぬわけですね、レセプトは。で、私の方で一応はお医者さんから来たレセプトを見ることは見るんです。それを市町村の連合会である国保連合会で専門医師でレセプトを監査しております。チェックの結果これは不当支出であるというのが何ぼか毎月出ております。何%かいま覚えておりませんが、現在はその程度でございます。
 今後そういうふうなものを突っ込んでやるということは、これは専門家でないとむずかしいというところに問題があると思います。
#47
○渡部通子君 終わります。
#48
○沓脱タケ子君 それでは、大変短い時間でございますが、二回にわたってお伺いをしたいと思っておりますので、簡潔にお願いをいたしたいと思います。
 最初に松崎参考人にお伺いをいたしますが、先ほどのお話の中で二十八条には賛成なんでという御意見でございましたが、お話の向きから言うと、三十二条の一部負担金じゃなかったかと思いますが。
 それに関連をいたしまして、経営者団体が老人保健法案に反対をされている理由を拝見いたしますと、患者負担を引き上げよという一項がございます。また、日経連が政府と臨調に御提出になっておられます意見書を拝見いたしますと、低額医療は患者負担にすべきだというふうにも表明をされているようでございます。これらの真意ですね、御意見の真意は何なのかということを簡潔に伺っておきたいと思います。国民の中で、特に低所得者ほど、患者負担をふやしますとますます医療が受けにくくなるというのが通常でございますので、大変心配をいたしております。ですから、医療費の抑制の効果というあたりを考えていらっしゃるのかどうかという点でございます。
 それから小池参考人に関連をしてお伺いをしたいと思いますが、いま国民皆保険になりまして、体制としては医療の保障というのが確立をいたしております。ところが、行財政改革という名のもとで、経営者団体からも医療費抑制策としての患者負担増、それから軽費医療は全額自己負担などという御意見が出てまいっております。
 医師会として、第一に、医療の中で軽費負担とか軽症とかいうふうなことが患者の立場でわかるかどうか。自分が軽症であるかどうかというようなこと、これは患者がわかるはずがないと思うのですが、簡単に割り切れないと思います。そういう点で、患者の負担増の道というのは、安易に採用いたしますと、国民の保健上大変心配が起こってまいります。特に早期治療の機会というのが奪われるのではないかという心配でございますが、そういう点で国民の保健対策上、早期治療それから初期診療の大切さ、そういう点について簡潔に伺っておきたいと思います。
#49
○参考人(松崎芳伸君) 第一点の二十八条と言いましたのは、これは衆議院修正後は、前の政府案の三十二条が二十八条になっておる、こういうわけでございます。
#50
○沓脱タケ子君 そういう意味、一部負担でございますね。
#51
○参考人(松崎芳伸君) はい。結局、一部負担というものを置けば、先ほど言いましたように、Aさんはきょうは何でおいでにならぬのだ、病気だそうだというふうなことがなくなるんじゃないかという感じを持っております。
 それから経済四団体で自民党の三役に出しました書類の中での問題でございますが、これはいまのところ、たとえばかぜ引きだとか、ちょっとの腹痛だとかというようなことはただで診る、本人であれば。ところが、本当に補助してほしいような重い病気になりますと、差額ベッドだとか付添人だとか非常に金がかかる。つまり健康保険というものの趣旨がどうも逆立ちしておるんじゃないかという意味で書いておるわけでございます。
#52
○参考人(小池昇君) 御質問の一部負担の問題でありますが、日本の健康保険制度の世界に誇るべきところは、患者さんがいつでもお医者さんのところへ行って治療を受けられるということです。これは先進国にはない私たちの医療保険の誇るべき点だろうと思います。どんな国でも、医師にかかるというのは、相当の抵抗があってその間に病気を大きくするということがあるわけであります。そういう意味で、できるだけ一部負担というのは避けたいという方向で私たちは訴えております。
 特にその中で、先ほどからお話しになっております、いわゆる軽い病気は金を取れという方向の議論でありますが、病気の重い、軽いというのは本人にはわからないのであります。ことに病気の最初の段階において、これはどの病気の発端であるということは全くわからないし、最初の段階では、検査の前には医者にもわからないという状況が相当続く例もあるわけでございます。ですから、軽い、重いというのは初診段階あるいは最初の時期において本人は判定すべきでないし、保険者が判定すべきでもないし、これはそれを受け持つ医師の判定以外には道がないというふうに思っております。ですから、この軽い、重いという議論は私は制度問題の中では軽々しく扱ってはいけないというふうに思います。主治医の判断というものが最も尊重されるべきではないかというふうに考えております。
 軽いものを自分で患者に負担させれば医療費は安上がりにいくかというと、これも疑問であります。病気の発端の時期を失しますと、これは金のかかる病気に移っていくということは、実例として多々あることを御承知願いたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#53
○沓脱タケ子君 それでは栗原参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 で、お伺いをしたいと思いますのは、労働者の健康と労働条件の関係についてでございます。総医療費を抑える問題というのは、非常に論議の対象になってまいっておりますが、総医療費を抑えていくという上で一番大事なのは、国民が健康で病人が少なくなって医療費が減るということが一番望ましいわけでございますが、そういう点で少しお伺いをしておきたいと思います。
 すでに御承知だと思いますけれども、労働省の調査によりますと、二六プロの労働者が慢性病を持ちながら働いているという調査がございます。中小企業の労働者の方が、しかも比較的病人が多い。厚生省の五十五年度の保健衛生基礎調査によりますと、長時間労働者ほど疲れがひどい。職場の環境と労働者の健康というのは非常に関係があるとも言われておるわけでございます。
 で、わが国は、御承知のように、有名な長時間労働の国でございますが、総労働時間の短縮及び完全週休二日制の実施などという労働条件の改善と労働者の健康との関係というのはきわめて大切なのではなかろうかと思いますが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
#54
○参考人(栗原丑吉君) もう私が申し述べるまでもなく、先生の言ったとおりの時間短縮や週休二日制は、健康を守る上で大切な問題だというふうに考え、労働組合としては、労働団体としても、かねてから、世間から見ると二千時間要求かというふうなこともありますけれども、いかんせん下の歯どめをしていかない分にはそうはなっていかないということで、法制化要求と同時に労働四団体要求という形でも全体の足並みをそろえているところでございます。
 さらに、時短と健康の問題ですが、労働者の病気の原因というのは、生活上の要因に起因する場合、あるいは労働強化や職場の環境に起因するような場合、両方があると思われます。その場合、日本の場合には、まだまだそういう関係において生活指導をする、あるいは治療なり予防なり保健をそういう関係において総合的に判断するというふうなシステムになってないわけであります。
 したがいまして、これからの医療の供給体制ということを考える場合には、西ドイツの産業医方式をとれとは言いませんけれども、そういった視点においても、医療の供給体制というものが、地域医療計画がつくられる段階で取り入れられていかなければならない問題であると思います。
 したがって、時短や週休二日制の問題と医療の供給体制の整備の問題というのは、労働者の健康と労働条件に関連する重要な問題だという問題意識を持っております。
 以上です。
#55
○沓脱タケ子君 私、栗原参考人にちょっとお伺いをいたしましたのは、医療の供給体制のいまのお話、供給体制というのじゃなしに、健康な労働者、病人を少なくするという上で、労働条件、労働環境というのが非常に重要な関係にあるだろうという点での御見解をということでございましたので、恐れ入りますが……。
#56
○参考人(栗原丑吉君) それはもう先生のおっしゃるとおりで、私どもも同じ認識を持っております。
#57
○沓脱タケ子君 時間の都合で最後になろうかと思いますが、松崎参考人にもう一つお伺いをしておきたいと思います。
 本法案の審議をめぐりまして、保健事業の大切さという問題を非常にクローズアップ幸いにしてしてまいっております。しかし、すでに御論議の中で出ておりますように、地域でのヘルスの体制というものに、環境整備が非常におくれているという点で不安が出てまいっております。そういう中で私ども国民医療の問題というのを考えてまいります場合に、総医療費を抑えていく問題というのが一つの課題にはなっておりますが、先ほども申し上げましたように、総医療費を抑えるということが目的化するというんではなくて、国民の健康状態というのが確保されて、病人が少なくなって医療費が減るということが国民生活の上で最も望ましいわけでございます。そういう点で、ヘルスの問題というのはきわめて重要だと考えているわけでございます。ところが、それじゃ全国民を対象にして一挙にうまくいくかというとなかなかそうはまいらないわけでございますね。一番捕捉しやすくて対策をとりやすいというのは職場で働く労働者の方々ではないかと思うわけです。
 そこで、その分野について松崎参考人の御見解を伺いたいと思っているわけでございますが、労働者の定期健康診断というのは労働安全衛生法でやられておりまして、事業主に実施義務が課せられているのは御承知のとおりだと思います。この労働者の健康保持というのは事業主についてもきわめて大事なはずでございますね。ところが、この労安法に基づく定期健康診断の実施率というのは、先日も私調査をいたしてみましたが、非常に悪い。事業主の定期の健診状況の報告義務というのは、これまた法律にあるわけです。常時五十人以上の労働者を雇用するすべての事業主から報告をとることに法律上はなっているが、報告をした事業主は、これは労働省の統計によりますと、六二%です。受診をした労働者の率は六七%ですね。五十人以下の事業所の状況というのは報告義務がないわけですから、健診をやっているのやらどうやらさっぱりわからぬという状況になっておるわけでございます。こういう状況で、きわめて捕捉しやすい職場で働く国民さえもつかめていないと
 いう点について御感想を一つは伺いたい。
 しかも、こういう受診率を引き上げていく上について事業主に徹底されるという必要をお感じにならないかどうか。ヘルスの問題がここまで国民的課題になって問題になってきておるわけでございますから、しかも徹底をさせると同時に、古い時代に決まったものでして、成人病検診という問題が健診項目に入ってないんですが、この成人病検診というものも労安法の中に取り入れる必要がどうしてもあるんじゃないかと私どもは思います。そういった点について松崎参考人の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#58
○参考人(松崎芳伸君) ちょっと沓脱先生ほどそういうことには詳しくありませんものですから何ですが、安全衛生法によってそういうふうなことが行われ、かつ受診率というものが少ないと。それは多くしなければならぬと私も思っております。ただ、成人病を入れるかどうかという問題は、どういうふうになるか、これはむしろ小池さんにお聞きした方がいいんじゃないかと思います。
#59
○沓脱タケ子君 時間がないので最後に、松崎参考人にちょっと専門的にわたって申しわけなかったんですが、せっかくそういう制度があるのに、古い時代でございますので、せいぜい血圧と検尿ぐらいまでしか検査項目がないんです。いま一番の問題は、成人病対策ということになって成人病検診が課題になっておるわけでございますので、そういった点なども私どもの立場から見ると必要だと思うんです。そういう点で御感想を伺ったわけですが、御承知をいただいたらひとつお考えをいただきたい、そういうことでございます。
#60
○参考人(松崎芳伸君) 承知いたしました。
#61
○伊藤郁男君 最初に川村さんと栗原さんに、基本的な認識の問題で御意見をお伺いしたいと思います。
 今度の法案は、治療中心の医療制度から予防、治療やリハビリ等、こういう包括的な制度に前進をさしていこうと、こういうねらい、大目標があるわけでございますけれども、いままで聞いておりますと、さまざまな問題点がたくさんあることは承知をしておるのですが、今回のようなこの機会を逃したらそのような包括的な医療制度への前進というのがまた先に延ばされてしまうのではないか。こういう心配があるんですが、その点についての御認識をお伺いをしておきたいというのが一つでございます。
 あわせて、川村参考人に対しましては、保健事業の実施主体である市町村側から見まして、この保健事業を円滑に進めていくために特に国に対してどういうことを要望されるのか、その点をお伺いをしておきたいと思います。
 それからあわせて栗原参考人に、これは松崎参考人からも出ておりましたが、例の医療費の支払い側からのチェックの問題ですね。支払基金のチェック機能をもう少し高める必要があるんじゃないか、こういう意見があるわけでありますが、どのようにしていけばそういうことが可能になるのかどうか、その点もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
 それから次は、首尾木参考人にお伺いをしたいのですが、老人保健の負担割合ですね、国が二割、地方自治体が一割、保険の方が七割と、こういう負担割合を見直そう、見直すべきではないかと、こういう意見があるわけですけれども、国保側から見まして、こういう見直し論に対してどういうような御見解をお持ちか、お伺いをしておきたいと思います。
 それから小池参考人には、先ほど来からもさまざまな意見が出ておりましたけれども、この老人保健にかかわる事項はすべて老人保健審議会で行うべしと、こういう意見があるわけでありますが、医師会側としてどうこれについて考えられておりますか、御意見をお伺いしておきたいと思います。
 以上です。
#62
○参考人(川村政一君) 市町村といたしましては、従来から国民健康保険に老人のめんどうが皆かかっておる、これは国民全体の問題ではないか。ですから老人医療の別建てを要望してまいっておったわけですが、この法案にはそういうものも盛ってございます。私どもは十分ではないと思いますが、漸進的な保健法案であるということで賛成を申し上げておるわけでございます。
 私どもは、これらの保健事業については市町村だけではやれない、保健婦の確保とか、もう一つはこれをやりますと相当の経費が要ります。経費の分担を国でも十分やっていただきたいと、こういうふうな御要望を申し上げたいと思っております。
 ですから、ヘルスの問題も、先ほども申し上げましたが、市町村としては漸進的な考え方で必ずやっていくというようなことを市長会でも決議してこの法案に取り組んでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#63
○参考人(栗原丑吉君) まず、この機会を逃したらと、こういうことの質問ですが、労働三団体の意見としては、支払い方式の変更や保健事業への基盤整備やあるいは負担に対する歯どめの問題など、大幅な修正をどうしてもやってほしいというのが第一の問題です。それがどこまでできるかどうかによって――先ほど安恒理事の方からは一応、保健事業の問題を中心にして基盤整備がなされていないということもありましたけれども、どれだけ今後の審議の中で私どもの納得のできるような大幅な修正なり納得のいくものが示されるかどうかにかかっているんだということでございます。
 それから支払基金のチェックの問題ですが、まず言えることは、健保組合や国保も最近やり出しましたけれども、政管はほとんどノーチェックに等しいというのが現状だと思います。厚生省の方は、総合健保組合をつくるのにごく最近までは認可をしないという態度をとってきました。ようやくここ半年ばかり前に、三つか四つ認可をするというふうなゴーサインを出しておるところもあるようですけれども、私どもいまの政管の千六百万に及ぶ被保険者の、あるいは五人未満のところもありますけれども、できるだけ産業別や地域別に総合健保をつくって保健対策やそういう保険者としての経営努力もするということも必要だというふうにかねてから主張しているわけですから、そういった方向で政管のあり方を五人未満の事業の適用化を含めて検討していく。ただしその場合、おまえは組合つくったんだから、いままで国庫補助一六・四%出したやつは、それはもう組合つくったんだから一律的に総合健保も補助はやらないよというんじゃなくて、それはそれなりにそういった中小の集まりである総合健保には、国も補助しながら、経営努力を促進していくということが必要だというふうに考えるわけです。
 もう一つは、支払基金のチェックとあわせて、かねてから国会の健康保険の改正の都度附帯決議で出されております周辺整備の問題ですね。国会で、社労で小委員会をつくって、国会の開会中であろうとなかろうとやっていこうじゃないかということで、周辺問題の解決が大事なんだということで、そういう認識で小委員会が発足したと思うんですけれども、その後どういうふうに進んだという話も聞いておりませんし、そういった中で具体的な問題を国の政治的なレベルで取り上げてほしいというのが私たちの考え方であるわけです。
 以上です。
#64
○参考人(首尾木一君) 伊藤先生のお尋ねは、負担割合につきまして、現在の老人保健法案が国が二割、道府県及び市町村が一割、折半でございますが、それから保険者の各保険からの拠出金が七割と、こういう現在の負担を見直そうという意見があるがと、こういう御趣旨でございましたが、私、どのような方向での修正の意見ということであるのか十分承知をいたしておりませんが、この二割、一割、七割という負担区分の問題は、現在の公費負担制度とそれから医療保険の保険者負担分というもの、これは国保について言いますと、原則は七割で、それから公費の負担が三割ということになっております現状を踏まえまして、このような割合にいたしたと考えておるものでございます。
 もっとも、この国民健康保険あるいは被用者保険等においてもそうでございますが、高額療養費についての保険負担がございますので、現実の制度では、現在は全体的に申しますと、保険の負担というのはこれは八割程度になっておるわけでございまして、公費負担の点が二割程度になっておりまして、したがってその三分の二を国が持ち三分の一を都道府県、市町村が持つと、こういうふうな形になっておりまして、しかしこういったような制度をつくるならば、この際そういう点は国あるいは都道府県、市町村の持ち分というものはふえるけれども、こういう制度をつくるのであるならば、これは都道府県、市町村としても、これの負担増という点についてはやむを得ないということで、この二割、一割、七割の分配が決まったと、こういうふうに考えておりますので、私はそういう現在の法案のとりました現実的な配慮ということ、それから現在の地方団体もこれについて了承を得ているというようなことから申しまして、この原案でお通しを願いたいという考え方を持っているわけでございます。
#65
○参考人(小池昇君) 私は、政府全般の審議会というものについての見解は先ほどお答えしておいたのであります。
 ただいまは、支払い方式、診療報酬あるいは診療の方針、そういったものについて中医協よりは老人審議会に移すかどうかという点であろうと思いますが、先ほどから私申し上げているとおり、老人の医療というのは人生の長い道のりの終末の部分の一部分を占めているんでありまして、そこだけを別に切り離して議論するということは適切でないと思うんであります。診療報酬にしても、診療方針にしても、これは全般の見通しの行われている中医協において行うべきでありまして、老人の七十歳以上の上の問題だけをそこで議論すると、相当の全体に対するアンバランス的なものが出てきて、実施に不都合な面が多々生じてくると思うのであります。そういう意味で、衆議院では中医協におきまして審議する部分というものを御設定になったのでございましょうと、そう思います。
 ですから、老人審議会にはそれ相応に相当審議する部分がございます。拠出金の問題あるいはヘルスの問題、たくさんの問題がありますが、診療報酬の問題に関して中医協というのは、全般の見通しから正しかったのではないかというふうに思っておりますので、衆議院の御修正というものを私は支持いたします。
 以上がお答えでございます。
#66
○山田耕三郎君 最後に一問だけお尋ねをいたします。小池参考人にお願いをいたします。
 ただいままでのお尋ねを聞いておりますと、薬づけ、検査づけ、あるいは不正請求等が、現在の支払い制度、すなわち出来高払いの制度によると解釈されるような意見が多いように聞きました。本当にそうなのか。先生の方で、医療供給側としてそうではないんだ、こういったところに原因があるというのをもしお持ち合わせでございましたらお願いをいたしたいと思います。
 以上です。
#67
○参考人(小池昇君) どういう支払い方式にも長所と短所があるわけです。これは一つ一つ数え挙げればよろしいんでございますが、出来高払い方式については、その短所をもっぱら挙げて、出来高払い方式イコール悪だという風潮の議論が行われがちなんであります。この出来高払い制度に伴う好ましからぬ方向というのがあることも事実でありまして、それについては、それに応じての私たちの態度を厳然とすることによって防ぎ得るんじゃないかと申し上げたわけであります。
 出来高払い制が私たちとしてはベストであろうと信じておりますが、これを信じてそれを行ってもらうには、やはりそれ相当私たち自戒の念とそれに対する厳しい行動が必要でありまして、それについては、私も先ほどからその方向にいくことにやぶさかでないということを申し上げたわけであります。
 ほかの方式はいろいろありますが、件数払いにしても、登録制にしても、償還制にしても、みんなそれぞれ法律をくぐるという方法というのはその中にあるのでありまして、長所、短所をそれぞれ比べた上でこれがベストだという議論が私は好ましいのでありますが、ややもすれば出来高払い制はという目のかたき的な議論が行われていることは残念であります。
 以上が私の考え方であります。
#68
○山田耕三郎君 終わります。
#69
○委員長(粕谷照美君) 以上で、本日御出席をいただきました参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言お礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 以上をもちまして本日の審議を終わります。
 これにて散会いたします。
   午後二時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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