くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 社会労働委員会 第12号
昭和五十七年四月二十七日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     伊藤 郁男君     藤井 恒男君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     高杉 廸忠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
    委 員
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                高杉 廸忠君
               目黒今朝次郎君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  森下 元晴君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       工藤 敦夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     正木  馨君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
       厚生省医務局長  大谷 藤郎君
       厚生省児童家庭
       局長       幸田 正孝君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法案(第九十四回国会内閣提出、第九
 十五回国会衆議院送付)(継続案件)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、伊藤郁男君が、また、本日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君及び高杉廸忠君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(粕谷照美君) 前回に引き続き、老人保健法案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○前島英三郎君 老人保健法案の目的、基本理念を見ますと、大変すばらしいことが書いてございます。「(基本的理念) 国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」「国民は、年齢、心身の状況等に応じ」と、いろいろ書いてあるわけですが、「基本的理念」のところの「自助と連帯の精神」云々の部分にはいささか気になるものがないとは言えませんけれども、全体としては保健、すなわちヘルスの面と医療に関する面と両方あわせて一貫したものとして推進していこう、このような文面に読めるわけでございます。これが文字どおりに実行されていくのでありますと、だれも反対する人はいないわけなんですけれども、しかし残念ながら文字どおりに受けとめられない面が多々あるようでございます。
 ある新聞、会報に近いものでありますけれども、こんなふうに解説記事がございました。
  近年経済の低成長下にあって、国の財政が極めて窮屈になってきたなかで、老人医療費の膨張が激しく、老人加入者の多い国保(国民健康保険)への国庫補助金が二兆円を遥かに超えるまでに激増して看過できなくなったため苦肉の策として考え出されたものである。
 ちょっと真ん中は略しますと、
  その上、この意図を覆いかくすため、充分な準備も成算もないままに「保健サービス」を表に出し、五カ年計画というあいまいな形で将来に託している。
そして、保健サービス、つまりヘルス対策の弱点を挙げまして、次のように記事を結んでおります。
  保健サービスの充分な計画も確立していないのに、費用負担方法だけが特にクローズアップされているところに、この法案に対する国民の不安も高まろうというものである。
こう結んでいるわけなんですね。
 私は決して苦肉の策として考え出したとは思いたくありませんけれども、このような批判が成り立つような面が存在することは否定できないと思うんです。真に老人の健康を願ったものでなければならないのに、どうしても財政本位の発想が見え隠れするという、そういうきらいがあることは本法案の重大な問題でございます。
 まず、大臣にこの点を確認していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#5
○国務大臣(森下元晴君) 私は、社会保障制度、特に社会福祉の基本的な考え方は性善説の上に立たなければいけないと思っております。人の性はすべて善である、いわゆる人類愛、人間愛の上に立って施策をやるべきである。しかし、人間のやることでございますから、間々そうでない部面が出てまいりまして、大変御迷惑をかけたり不信感を買っていることは事実でございます。したがって、老人保健法の趣旨も、目的、理念に書いてございますように、そういう考え方の上に立って私どもも、高い理想も含めて、人類愛また老人は健やかに長生きをしていただこうというようなことを書かしていただいておるわけでございまして、決して財政を目的にはしておりません。
 ただ問題は、限りある医療資源の中でどういうふうにそれを活用していこうか。われわれはあくまでもむだはこれは省かなければいかぬと思います。だから、どの点までがむだであるか、むだでないか、こういう点の選択において多少意見の食い違いがときにはございましたり、また私の方の間違いもときにはあるかもわかりません。しかしながら、決して財政本位で、財政の苦しいのをこの法案によって少なくするんだというようなことは、絶対にございませんし、あくまでも高齢化する老人の健康をいかにして守っていくかということが目的でございます。そういう面で一生懸命やらしていただきたいと思っておるわけでございます。
#6
○前島英三郎君 大臣は、財政が窮迫しておるからということではないとおっしゃっておるわけですけれども、以下、いかにいろいろ問題点が多いかということは、私も質問をしながらまたただしていきたいと思っておりますけれども、老人医療費の問題は医療費の増高というきわめて深刻な問題の中の最大の問題である。大臣は否定はされておりますけれども、私はかなりそこにウエートがあるというぐあいに承知しているわけであります。
 しかしながら、その前に、わが国の社会の成り立ちを考えたとき、もう一つしっかりと踏まえておかなければならない点がある、私はそのように申し上げたいわけであります。
 老人福祉法は、その第二条で基本理念を次のように述べております。「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」、はなはだ含蓄に富んだ条文でございますけれども、私は、この中に世代間の信頼と連帯の精神を感じ取るわけでございます。この世代間の信頼と連帯の精神を失ったとしましたら、わが国の社会はきわめて弱い、もろいものになると私は思いますし、また危惧するものでございます。
 昭和四十八年、七十歳以上の老人医療費の無料化を実施した背景には、そのような危惧があらわれていたことが一つの大きな要因であったはずでございます。当時の政府の提案理由には、老齢人口の増大、扶養意識の減退といった表現が見られますが、これはその危惧を指しているものと言えると思うんです。すなわち、老人医療費の無料化は、直接的には、老人が必要な医療を容易に受けられるようにするという現実的な目的を持つと同時に、世代間の信頼と連帯を回復して強化するという精神の一つのあかしでもあったはずでございます。
 このような世代間の信頼と連帯の精神の重要性について、昭和五十五年九月の中央児童福祉審議会の児童手当制度のあり方に関する意見具申が述べている点が大変注目に値すると思うんでございます。現行の児童手当制度については、いろいろな意味で各方面から批判も出ていることは承知しておりますし、また批判もあるわけなんですが、その批判の中には耳を傾けるべきものも少なくはございませんけれども、いま申し上げた中央児童福祉審議会の意見具申は、それに明確に、老後の問題と連帯をさせながら答えていると思うんです。厚生省としては重くこれは受けとめていると思うんですが、これは児童家庭局長に伺った方がいいかもしれませんが、その内容をお述べいただくとともに、できればその意味について見解を述べていただきたいと思います。
#7
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘のございました昭和五十五年九月の中央児童福祉審議会の「児童手当制度の基本的あり方について」の意見具申におきましては、「来るべき高齢化社会の担い手となる年少世代に対し現在の生産年齢世代が何らかの形で配慮し、全世代を通ずる国民全体の連帯感のきずなを作っておくことが」「極めて重要である」と。こういう御指摘と同時に、具体的には、「生産年齢世代は、年金の保険料負担等を通じて老人を社会的に扶養するとともに、児童手当制度を通じて児童の養育に参加し、老人になってからはその扶養を受ける」と。こういうことで児童手当制度の意義を考えるべきであると、こういう御意見でございました。
 私どもといたしましては、今後の児童手当制度の改正に当たりましては、この意見具申の御趣旨を十分に尊重しながら、また現在の社会経済情勢の動向を勘案しながら検討してまいりたいと、かように考えているわけでございます。
#8
○前島英三郎君 児童手当制度の改正の問題ではなくて、その中でうたわれている言葉と老人に対する一つの連帯という問題をいま局長に伺ったわけですけれども、そこにその意義といたしまして、「世代間の信頼と連帯の醸成に資するものである。今日、老人扶養は年金等によりかなり社会化されているが、このような社会的扶養が円滑に維持されていくためには、将来の社会の担い手である児童を「社会の子」として社会的に配慮していくことが当然必要となる。特に高齢化社会においては」と、このあたりの一つの理念というものが私は非常に含蓄に富んでいるということでいま申し上げたわけでございますけれども、老人保健法案をまとめるに当たりましても、当然その世代間の信頼と連帯の精神という点を根底に据えておられたであろうと思うのでございますけれども、この辺をどのように配慮されたのか伺っておきたいと思います。
#9
○政府委員(吉原健二君) これからの高齢化社会を考える場合に、社会の構成員、それから国、地方公共団体、それから民間活動、個人、そういった相互の間の自己責任の原則と、それから相互に助け合うという相互扶助といいますか、連帯の考え方というものは非常に大切だと思います。そういう認識の上に立ちまして、この老人保健法案におきましても、いま御指摘のございましたように、第二条で自助と連帯の考え方を基本に置いているんだ、据えているんだということをはっきり規定しているわけでございますけれども、高齢化社会における老人医療というものをしっかりした制度にするためには、老人の医療費というものを国民みんなで負担をしていく、支えていく。
 具体的には、若い働いている人がその費用を負担するということになろうかと思いますけれども、そういうことと同時に、現在各医療保険制度がたくさん分立をしております。その分立している医療保険制度が、個々に自分の制度に加入をしている老人の医療費を負担するだけではなしに、もっと制度を越えた老人医療費の負担といったものを考えていく必要がある。現に個々の医療保険制度の中でやろうといたしますと、非常に不均衡なりアンバランスというものがございますので、そういったものも是正していく方向で、制度の枠を越えてその医療費というものをみんなで負担していく。そういう仕組みをつくろうというのがこの老人保健法案の基本的な考え方になっておるわけでございます。
#10
○前島英三郎君 負担の公平を図るために工夫をする、あるいはまた世代間の信頼と連帯の精神を貫くためにこの法案がつくられたと、そういう大体の御説明ですけれども、医療費の一部負担の導入というのは、私は世代間の連帯にくさびを打ち込むものであると言わざるを得ないと思うのです。
 一部負担金、外来で一診療科当たりに原案では一カ月五百円、衆議院の修正では四百円になりましたけれども、老人の場合、一診療科で済まないケースというのが大変多いということを考えていきますと、これは四百円とは言っているけれども、実は八百円であり、あるいはまた千二百円であり、さらには千六百円であって、決して安くはないと思うんです。入院につきましても、一日三百円、一カ月にすれば九千円でございます。この金額を大したことはないと思えるような階層の人もありましょうけれども、そうでない人々も多いはずでございます。老人医療全体から見ると、ごくわずかな比重にしかならないはずですが、個々の老人から見ると、これは決して小さくはない、そういう問題があると思います。
 一部負担金の老人医療費に占める比率はどのくらいになるのか、またこのような一部負担金を導入する目的、理由は何なのかお答えをいただきたいと思うんですが、どうですか。
#11
○政府委員(吉原健二君) 一部負担を導入する理由でございますけれども、これはこの委員会でも繰り返し御説明をさせていただいているわけでございますが、現在の無料化制度のままですと、健康への自覚を弱めている、それからとかく行き過ぎた診療なり受診というものを招きやすいというような弊害があるということが言われているわけでございます。そういった弊害をなくして健康に対する自覚を持っていただく。それから行き過ぎた受診については御自制なり御注意をいただく。こういう趣旨。
 それから同時に、将来老人医療費というものは相当程度増加することは避けられないと思いますが、そういった老人医療費について、国民みんなが公平に負担をしていく、その中で老人の方々にも無理のない範囲内で一部を持っていただく、それがむしろ連帯の精神に私どもとしてはつながるのではないか。まあ前島先生、連帯の精神にくさびを打ち込むんじゃないかという御質問、御指摘でございましたけれども、私どもとしてはむしろそうではなしに、老人の方々にも一部を無理ない範囲で持っていただくことによって国民全体の、若い人もお年寄りの方も含めた、連帯の考え方をむしろ育てていくのではないか、むしろそういった考え方に基づいての一部負担ということでお願いをしたいと思っているわけでございます。
 それから老人医療費全体に占める一部負担金の額でございますけれども、五十七年度で推計をいたしますと、全部で四百八十億、満年度ベースで四百八十億円程度になろうかと思っておりまして、五十七年度の老人医療費総体で約三兆というふうに推計をいたしておりますので、それに対する比率といたしましては、一・六%というふうに思っております。
#12
○前島英三郎君 三兆の中の四百八十億、全体の比率は一・六%というのは、従来から所得の多い老人などが支払っていた分と新たに導入する一部負担金とを合計したものでございましょうし、今度の法律によって新たに出てくる負担金の比率というのはその四分の一程度、〇・四%ぐらいではないかと思うんです。医療費全体から見てきわめてこれは小さい額だと思います。
 当委員会におきましても、石本委員に対する答弁で、老人医療の財政が苦しいから負担していただくという考え方ではないと、こう言っておりますし、先ほども健康への自覚を弱める、あるいは行き過ぎた診療に対する一つの問題点もある、こういう御答弁があったわけなんです。
 それでは、なぜかというと、自分の健康は自分で守るという自覚を持ってもらうということを再三繰り返しながら、私も聞いておったんでありますけれども、これは考え方、見解の違いと言えばそれなんですけれども、筋が違うのではないかという気がするんです。これではあたかもいまの老人は自分の健康に関してはまるで自覚を持っていない、そう決めつけていることになるような気がしてならないわけでありますが、厚生省はそのように思っているのかどうか、その辺も伺っておきたいところであります。それは老人に対して大変失礼というものだと思うんです。
 いまの七十歳以上の方々とはどのような時代を生きてきた人たちかといいますと、戦中から戦後にかけまして激動の時代を支えて生きてきた人たちでございます。そして戦後ヘルス対策がだんだんと軌道に乗る過程でも恐らく重要な役割りを果たした人が多いと思うんです。少なくともその過程に参加して目の当たりに見てきた人たちであると思うんです。それにもかかわらずというか、あるいはその時代に生きたからこそというべきか、七十歳を超えた現在、体のあちこちが完全とは言えない、病気がちである、医者通いをする、そういうことだと私は思うんです。それなのに、健康に対する自覚を持ってもらうというのは余りにばかにしているというか、何か老人に対して失礼ではないかという気を抱くのは私だけではないと思うんです。健康に対する自覚を持ってもらうというのは、結局余り医者に行ってほしくない、そういうことになるような気がしてなりません。
 この一部負担金の導入は、要するに受診抑制という、ただそれだけのことではないかと思います。だとすれば、病気はかえって重くなりまして、つまるところ医療費も余分にかかる、果てない悪循環が続くことになってしまうと思います。これが本案の目的にかなうかどうか、繰り返して質問したいと思うんですが、明確な答弁をお願いできればと思います。
#13
○政府委員(吉原健二君) 現在の老人の方々が大変苦しい時期を、いろんな困難を乗り越えられまして、日本の社会なり経済の今日の発展に寄与されてきたということは、私ども十分認識をしておりますし、敬意を表しているわけでございますけれども、老人医療が無料化になりまして、率直に言いまして、よい面も確かに多かったと思いますし、基本的には医療費の心配なしに老人の方々がお医者さんにかかれるというような制度というものは、これからも基本的には維持していかなければならないと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、いろんな弊害といいますか、あるいは弊害というと言い過ぎなのかもしれませんけれども、いろんな問題点というものが、率直に言って、各方面から指摘をされてきたということも事実だろうと思います。
 それから実際問題といたしまして、この制度ができましたのは四十八年でございますけれども、その後の社会経済情勢の変化、経済が低成長の時代に入ったというようなことでありますとか、あるいは今後も財政の面あるいはいろんな資源の面で制約の多い時代になっていく。反面、高齢者の人口がふえていくというような状況を考えますと、従来どおりの無料化制度というものをそのままの形で維持をしていくことが客観的になかなかむずかしい状況になってきたということは、私、率直に認めざるを得ないと思います。
 そういった中で、医療費の、お金の心配なしに必要な診療は受けられるという制度を今後十年、二十年維持していくためには、全くいままでのようにただでいいかどうかといいますと、その点については考え直す必要があるのではないかというような考え方に立ちまして、今回の一部負担をお願いしているわけでございます。
 なるべく医者に行ってほしくないとか、あるいは受診の抑制というようなつもりは毛頭さらさらございませんし、そういう結果になってはいけないというような考え方に立って、金額なり方法というものも十分私どもとしても考え、また審議会その他いろいろな方々、老人の方々、老人団体の御意見というものを十分に踏まえまして、今回のような案を提案さしていただいているわけでございます。
#14
○前島英三郎君 だんだん冒頭の大臣のお答えと現場の意見との違いみたいなものを感じざるを得ないわけですけれども、一般論として、一定の自己負担をすべきだということは私は否定はいたしませんけれども、しかし健康保険は保険料という形ですべての世帯が自己負担をあらかじめしているわけでございます。老人につきましても、ある年代までは負担してきたわけですし、制度創設以前には、それにかわる形で社会的な蓄積に十分貢献してきた歴史があるわけでございます。そのことをきちんと評価して、必要な医療は安心して受けてくださいということが私は世代間の信頼と連帯の精神にかなっているのではないかと思うんです。一部負担金の導入は、その世代間の信頼と連帯にくさびを打ち込み、わが国社会の成り立ちを弱く、もろいものにするばかりである。そういうことをさっきも申し上げましたけれども、何かそういう感じを非常に強く抱いてしまうわけですけれども、この辺は特に再考をお願いしておきたいと思います。
 さて、今日の医療費の増高の問題に対処するには二つの道があると思います。一つは、医療内容及び医療費の支払いが適正であるように効果的な施策がなされること、もう一つは、国民の健康保持、疾病の予防に効果のある施策が展開されて、国民が健康だから医療費が少なくて済むという姿をつくり出すこと、この両面が並行して進むことが最も望ましいと思います。
 そこで、まず前者の問題について伺いたいと思うんですが、厚生省におきましても、医療費適正化対策に取り組んでいると思うんですが、老人保健法との関連で今後どのようにその辺を実施していくのか、伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(森下元晴君) 医療費の適正化につきましては、従来より指導・監査の強化、それからレセプト審査の充実改善、薬価基準の適正化、検査の適正化、それから高額医療機具の共同利用の促進、医療費の通知の充実等を推進してまいっておりますが、今後老人保健制度の創設の後も、一層これらの施策を充実強化していく、こういう方針でございます。
#16
○前島英三郎君 そのレセプト審査の充実に関して伺いたいんですけれども、これまでの実績から見ますと、レセプト審査による財政的な効果は組合健保ではかなり大きなものがあったのに対しまして、国保の方ではほんのわずかしかありませんでした。国保の場合、レセプト審査が十分に行われていない、こういう指摘が多いわけでございます。逆に、組合健保におきましては、加入者の状況を把握しやすいという好条件はありますけれども、それなりの経営努力がレセプト審査の面でもはっきりあらわれている、そう言えるわけです。このレセプト審査は、医師の自由診療、自由裁量が認められている中にあって、保険者の側からはほとんど唯一の医療費適正化の手段であるという実情もあります。
 ところが、この老人保健法案の場合、医療費の支払いは市町村が行うことになっておりますために、レセプト審査もすべて従来の国保並みの甘い水準になってしまうのではないか、そういう危惧が出てきておるようであります。こうした点を踏まえて、レセプトの流れにつきまして、当初の案では、市町村を経由して保険者にレセプトが回ってくる、このシステムを予定したのに対しまして、保険者の方に先にレセプトを回すように流れの形態を改める考えであると聞いておるんですけれども、私は前の方が適切だと思うんですが、もう少し具体的にこの辺をわかりやすく説明していただければありがたいと思うんですが、お伺いします。
#17
○政府委員(吉原健二君) 最初、レセプトの流れとして考えておりましたのは、老人の方が医療機関で診察を受けられたとします。そのレセプトは医療機関から支払基金、それから国保連合会、これが現在の社会保険の審査支払い機関になっておりますので、そこへレセプトが回るということになります。
 で、従来は、その後すぐ市町村にレセプトが返る、市町村が審査した上で医療機関にお金を支払う、費用を支払う、その後保険者の方にレセプトを回しまして保険者にも見ていただくというような仕組み、流れを当初は考えていたわけでございますが、その後、保険者自体のレセプト審査の迅速化といいますか、レセプト自体を市町村より先に早く回してほしいという御要望が強かったわけでございますので、その流れを変えまして、医療機関から支払基金等に行く、その後すぐに保険者の方にレセプトを回す、保険者としてのチェックなり審査をしていただいた上で再び支払基金等を経由して、本来の実施主体である市町村に戻すというような流れに変えたいと思っておるわけでございます。そうすることによりまして、従来被用者保険、特に健保組合におきまして、レセプトの審査というものをきちんとやっていただいていたその体制は、今後とも引き続き続けていけるようなことになりますので、そういったことにして、従来以上にレセプトの審査というものが全体としてしっかりしたものになるようにしたい。
 市町村ではレセプトの審査をしないとか、非常に甘いとかいう御意見もございますけれども、私はこの老人保健制度につきましては、市町村に、従来のようなやり方ではなしに、そういった甘いという批判を受けないように、市町村の方にも実施主体としてしっかりとした審査をやっていただきたいと思っておりますし、ぜひそういうことで強力にお願いをしたいと思っております。それはそれといたしまして、レセプトの流れというものも、市町村よりも先に保険者に回すということによりまして、保険者としてのレセプトチェックも従来以上にお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。
#18
○前島英三郎君 わかりました。
 次に、医療費適正化対策の中で、医療費通知について伺いたいと思うんですが、国保につきまして実施保険者の拡大を挙げております。しかし、その実施保険者といいましても、その中のほんのわずかの加入者について通知しておりましても、実施保険者の一つとして数えられるわけですね。これでは実施保険者一〇〇%であっても意味がないわけで、今後はその内容の充実ということに重点を移す必要があると思うんですけれども、その辺はいかがですか。
#19
○政府委員(大和田潔君) 全く先生のおっしゃるとおりであろうと思います。この医療費通知は、国民健康保険におきましては、昭和五十五年度から始めたわけでございます。とにかくまず全保険者が実施するということが必要でございますので、それを目標に現在まで鋭意推進してまいったわけでございますが、昭和五十六年度末現在の国保の医療費通知の実施状況は九六・四%、一〇〇%実施の目標をおおむね達成したというようなことでございますので、これからは、いまおっしゃいましたように、内容の充実というものを図っていかにゃならぬ。医療費通知の定着化を図るということとともに、通知内容であるとか、あるいは回数、方法といったようなことにつきまして改善充実を図るようにしなきゃならぬと思います。そういったような方向で保険者を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#20
○前島英三郎君 さらに、これまで二、三の問いの中で国民健康保険について触れてきたわけですが、そこで伺いたいんですけれども、国保財政がなぜこんなに赤字というか、独立して成り立たなくなってしまったか。繰り返し説明される内容は、老人加入者が多く医療費の支出が多いからということになっております。
 しかし、前にも私が述べましたように、国保においてはレセプトの審査も甘い、あるいは医療費通知も十分でないなどの問題点を抱えているのも事実でございます。経営努力の不足とは申しませんけれども、老人加入者の比率が高いためだけだとはとても言えないと思うんです。国保財政の赤字の要因、あるいはどうしてそのようになったのかというようなことについては、どんなふうにお考えをお持ちでございますか。
#21
○政府委員(大和田潔君) 国保の財政の悪化につきましては、加入者に低所得者が多い、ですから保険料負担につきましてもなかなか限度がありはせぬかというようなこと、あるいは老人が多うございますので老人医療費であるとか、あるいは高額療養費といったようなもののふえ方が著しいという問題がございまして、それらの要因で国保財政が厳しくなってきているということは、何といっても基本的な事柄であると思うんであります。
 しかしながら、国保につきましても、医療費適正化ということは強く推進していかにゃならぬというふうに考えておるわけでありまして、療養取扱機関等に対します指導・監査の強化であるとか、先ほどお話ございましたレセプト審査の充実、あるいは、これもお話ございました医療費通知の充実といったような医療費適正化対策を推し進めていくということによって、さらに国保の健全運営に努めていくということが必要であろうと思いますし、その方向で努力をいたしたいと思っておるわけであります。
#22
○前島英三郎君 国鉄にいたしましても、いろいろな問題でいま経営努力という問題が出されておりますけれども、そういう点では若干経営努力の不足があったのではないかということも私は感じるんですけれども、国保財政が抱える問題点はいろいろあると思うんですけれども、明確な反省がなされなければ、それは老人保健法の中にも引き継がれてしまうという心配がございます。
 さて、新制度において市町村が重要な役割りを果たすことになっているわけですが、市町村の財政的あるいは事務的な負担がどのように増減するのか。これは大変重要だと思うんですが、具体的にどの程度まで予測できるか伺っておきたいと思うんです。いかがでしょうか。
#23
○政府委員(吉原健二君) まず医療について申し上げますと、基本的にはいままでより市町村の事務量がそれほど大きくふえるというふうには考えておりません。といいますのは、現在もうすでに七十歳以上の方々に対しまして老人福祉法によって医療費の公費負担というものが行われているわけでございまして、その事務は市町村がやっているわけでございます。今度の老人保健法案におきましては大体その医療の対象者は同じでございます。七十歳以上の者と六十五歳から六十九歳までの寝たきりの方が入るということになっておりまして、強いて対象者の違いを申し上げますと、被用者保険で七十歳以上本人の方、これはいままでは老人福祉法の公費負担制度の対象ではなかったわけでございますが、それが新たに今度の老人保健法の対象になるという違いがある程度でございます。
 それから事務的事務量といたしまして、従来は所得制限という事務がございまして、一定の所得以上の方には公費負担をしないという仕組みがありましたために、毎年の所得の把握と該当者の認定という事務が、市町村としては相当大きな事務であったわけでございますけれども、今度の老人保健法案におきましては、そういった所得制限という仕組みをとっておりませんので、そういった事務がなくなるということもあるわけでございます。
 そういったことでございますので、もちろん、先ほどの御質問にも関連いたしまして、市町村におけるレセプト審査というものは従来以上にきちっとやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、医療の事務量全体としてはそんなにふえない、実質的にはほとんど従来と変わりないのではないかというふうに私は思っております。
 ただ、ヘルスの面につきましては、これは予防なりリハビリなり、そういった保健事業というものを従来とは全然比較にならないほど拡充をしていきたいというふうに思っておりますので、ヘルスについての市町村の事務量というもの、あるいは要員というものは相当ふえる、またふやしていかなければできないというふうに思っています。
#24
○前島英三郎君 そうすると、事務的な負担がある程度減って、保健事業にそのエネルギーを投入するかどうかはこれから質問していきますけれども、そのようにエネルギーをそういう形で投入できればこれはベストであると思うんです。しかし保健事業つまりヘルス事業は、当面きわめて薄いものであること、これはもう明白だと思うんですね。したがって、ヘルス事業に関しては、従前に比べて各市町村とも、量としての仕事はともかく、質的には大幅に前進しなければならない、いまおっしゃったようにこれはもう当然そうならなければならないと思うんですが、それは本当にそうなることが期待できるかどうか、それはどうですか。
#25
○政府委員(吉原健二君) それは私ども期待をしておりますし、またそうしてもらわないと、この老人保健法案の最大のねらいといいますか、眼目が予防その他の保健事業を充実させることにあるというふうに考えておりますので、これはもう何としても市町村の方に、そのための要員の確保でありますとか、あるいは施設の整備、それにつきましては真剣に取り組んでいただきたいと思っておりますし、市町村長あるいは市町村会を通じて、この法案を出しますときにいろいろ御意見も伺ったわけでございますけれども、そういった保健事業につきましては市町村としては最大限の努力をしていきたい、こういうことであったわけでございますので、そういったことも信頼いたしまして市町村にお願いしたいと思っておりますし、また国としても最大限のバックアップをしたいというふうに思っておるわけでございます。
#26
○前島英三郎君 私はかつて健康保険法改正案の審議のときに、疾病の予防そのほか保健事業の充実の必要性を強く訴えたことがございます。その一つは保健所のアンバランス、人口規模が著しく違っていること、保健所によってその機能の発揮の状況が著しく違ってきていること、そのようなことがありまして、答弁として、保健所はその地域の状況によってタイプ分けして目的に沿った機能を持つようにしていること、それから二つ目として、市町村に順次保健センターを設置して、全体としてネットワークを形成しつつあることなどでございました。
 今回、老人保健の実施に関してこれらが大きな役割りを果たすことになっているわけですが、市町村保健センターは五十三年から十年計画で整備することになっていたと思うんですけれども、その辺はどうなっておりますかね。
#27
○政府委員(三浦大助君) 市町村保健センターにつきましては、五十三年度から国民健康づくり対策の一環として整備をしてきたわけでございますが、現在五十六年度までの四カ年間で三百九十一カ所整備をしてございまして、これから毎年百二十ぐらいずつ整備をしていきたい、六十一年までに、これからの五カ年間ですが、大体全国に千カ所ぐらいにしていきたい、最終的には全市町村に一カ所ぐらい置けるようにしたい、こういう計画でいま整備を進めているわけでございます。
#28
○前島英三郎君 保健所に関して保健所医師の確保が困難であるという問題がありました。いまから一年半前のことですけれども、私がこの点を指摘したことがあるんですけれども、保健所医師の多くは所長であり、高齢化の傾向がきわめて顕著でございました。人数的にもトータルで千二百六人、とても充足している状態には遠く及ばないという実情でございました。今日、状況を聞いてみますと、トータルで千二百三人でしたか、千二百三人。ふえるどころか、わずかながら保健所医師の数が減ってしまっているんですね。減少してんですよ。こんな状況でいいのかどうかという問題だと思うんですけれども、保健所医師の必要数をどのくらいに考えておるのか、その充足はどう図るのか。五十三年から、答弁では、あしたには非常に希望が持てるような答弁を伺うんですけれども、実質的にはなかなかそれに伴ってないという心配があるんですね。その辺はどうなんですか、あわせて伺いたいと思うんです。
#29
○政府委員(三浦大助君) 現在、保健所の医師は御指摘のとおり千二百三人ということになりまして、これは定員が千七百九十三名ございまして、充足率わずか六七%ということで大変申しわけなく思いますけれども、私どもともかくこの定員を満杯にするということを当面の努力目標にしておるわけでございまして、そのために私ども医学生に対する公衆衛生修学資金の貸与だとか、あるいはこういう予防医学に関心を持っていただくために大学の医学部の学生と保健所との共同研究とか、あるいは保健所職員の待遇改善とか、こういうことで私どもいまその増員を図っておるわけでございます。
 しかし、いま御指摘のように、五十から五十九歳ぐらいのところの先生方が大体半分を占めており決して、定年を迎えてやめていかれる方があるために、どうしても若干減りぎみでございますが、ただ一方で私ども希望を持てますのは、若い層の職員がだんだんふえてまいっておりますので、今後これからのこういう方向に進む人たちを確保するために最大の努力をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
#30
○前島英三郎君 だから、こちらの方では、市町村の事務的なものは軽減されて、それの見返りとしていろんな意味でのリハビリテーションあるいは疾病予防、そうした充実ということを叫ぶんですけれども、また現場の方になると非常にその充足率は低い。それから今後の見通しの中にはどうも余り期待ができそうもないという部分があるんですけれども、その辺が答弁の中でバランスを欠いているように私はさっきから感じてならないんです。
 マンパワーの確保対策の中でも、PT、OTに関しては半分これはあきらめているようにさえ私は感じられるんですね。絶対的に不足しているという現状は私はよく承知しているつもりであるわけなんですが、地域の保健活動の中で新しい仕事をやってみたいという魅力のある何物かを生み出す必要があるのではないか、そういう気がいたします。現在でもそうですし、そして老人保健法が成立したとすれば、なおさら保健所におきましてはそういうPT、OTがどうしても必要になってくると思うんですね。マンパワー対策の中で、この老人保健法を絡めた形の中で今後の見通し、どういう対策を検討しておるのか、この辺を伺いたいと思うんですが、いかがですか。いま若年層という話が出ましたけれども……。
#31
○政府委員(三浦大助君) 今度の老人保健対策でマンパワーの中心となりますのは、何といいましてもこれは保健婦でございます。これにつきましては、私どもこの老人保健対策のためにこの五年間で八千名を確保しようということでいまやっておるわけでございますが、その八千名の中身と申しますのは、現在一万五千人ぐらいの保健婦が全国におりますが、そのうちの二千名をこれに振りかえよう、それから新規に約三千名の保健婦を採用しよう、それから退職した保健婦さんを雇い上げて、これは主として訪問指導に充てるわけでございますが、これが三千名、合わせて八千名ぐらいの保健婦さんを確保しようと、こういうことでやっておるわけでございます。
 それから医師とかあるいはOT、PT、こういう方につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に足りないのが現状でございますが、これはお医者さんにつきましては、地元の医師会あるいは病院、こういう方々にひとつ応援をいただこうというふうに考えております。
 OT、PTにつきましては、現在でもPTは全国に約三千名、それからOTが約千名しかありません。これは養成が少ない関係もございまして、六十年から六十五年にかけてPTが六千人、OTが四千人ぐらいの養成をしようといういま計画はあるわけでございますが、当然これは足りませんが、これも地元の医療機関にひとつ応援をいただこう。それから簡単な機能訓練のようなものはなれた保健婦さん方にお願いしよう。こういう計画でいまやっておるわけでございます。
#32
○前島英三郎君 いま日本に施設と名のつくものが四万二千ぐらいあるんだそうですね、いろんな施設、あらゆる施設を含めますと。専門のPTの人が必ずそういう中にはいなければならないというようなことが何となく言われているんですけれども、専門のPTの人がいま二千四百人ぐらいですかね、二千四百人か六百人ぐらいだと思うんです。とてもPT、OTというものは不足をして、しかも毎年二百人から三百人ぐらいしか新しい卒業生は埋めていないというような状況ですから、これはいろんな意味で僕はなかなか期待が持てないんです、正直言って。おっしゃることは、五年間で八千人なんて、言葉では数字でぽんと出てきますけど、果たしてそれが五年後八千人になるかというと、何か答弁に期待ができないような気がしてならないんです。
 保健婦さんについて伺いたいんですが、地域保健活動において中核的な役割りが期待されているんですけれども、このところ全体として、その訪問延べ人員というのは減少の一途をたどっているんですね。訪問だけが保健婦活動とは言えないにいたしましても、五十四年から五十五年にかけては、ほとんどすべての項目について訪問件数が減少したのは、保健婦活動の内容の変化ばかりと言えないのではないかと思うんです。訪問の減少についてはその理由はどう考えておられますか。それはいかがですか。
#33
○政府委員(三浦大助君) 保健婦の家庭訪問につきましては、結核対策あるいは母子保健対策、こういうものの訪問件数は御指摘のとおりいま減っておるわけでございますが、ただ一方におきまして、成人病とかあるいは精神衛生、こういったものの訪問指導というものは増加をしてきておるわけでございます。
 特に、こういった成人病とか精神衛生の訪問指導と申しますのは、非常に専門的知識を要するために一件当たりの手間が非常に多くかかっておるということもございますので、全体として保健婦の家庭訪問業務が後退しているというふうに私ども見ておらないわけでございまして、特に成人病につきましては、家庭訪問というものは個別指導よりもむしろグループ活動とか、あるいは住民組織の活動の方がかなり効果があるんではないだろうか。
 で、こういった方法で指導がふえてきておるということでございまして、一方また保健婦の本来の業務以外のいろんな附帯の業務がふえておるわけでございますが、こういう保健活動を行う上でどうしても必要な事務というのは、これは保健婦さんにやっていただかなきゃならぬわけですけれども、できるだけその附帯の事務というのは他の職員にお願いしまして、訪問事業といいますか、そういう保健婦の本来の業務が遂行できますように私ども都道府県をいま指導しておるわけでございます。
#34
○前島英三郎君 確かに、保健婦さんは事務的な仕事が多くて、保健婦本来の仕事ができにくいという問題提起がいろいろ私のところにも寄せられております。保健婦さんの数の確保も重要ですけれども、現職の保健婦さんがみずからの能力を高めて、そして本来の業務をやりやすくするということも、これは今後大切に育てなければならないと思うんですね。ぜひそういう点では言葉に沿った施策が現実となるようにひとつ御努力をいただきたいと思います。
 健康診断についてお伺いいたしますが、循環器系の検診について見ますと、現状で二〇%、五十七年度で二三%の受診率、これを六十一年には五〇%に引き上げるという計画になっております。しかし、これこそ卓上の数字でありまして、何の裏づけもないような気がしてならないんです。実現していける保証がどの辺にあるのか伺っておきたいと思うんですが、いかがでございますか。
#35
○政府委員(三浦大助君) これにつきましては、現在御指摘のように二〇%程度でございますが、一応五年後には五〇%まで引き上げるようにということで私どもやっておるわけでございます。
 実現の可能性ということでございますが、これはいろんなマンパワーあるいはいろんな施設の関係もございますので、私どもは無理のない範囲で実現可能な範囲で五〇%という目標量を決めたわけでございまして、これに向かいましてひとつ全力を挙げたいと考えております。
#36
○前島英三郎君 だから、いろいろないままでの経緯を見ますと、なかなか数字はかっこうよく出てくるんですけど、僕は伴わないんじゃないか。大臣どうですか、お聞きになってて、これ伴っていく、実現可能だというふうにお感じになりますか。どうですか、その辺は。
#37
○国務大臣(森下元晴君) 簡単ではないと思います。私どもも地域地域考えましても、マンパワーをこれだけそろえていくことはそうなまやさしい問題じゃない。しかしこれをやらなければ、この地域医療また地域保健の問題は解決しないし、老人保健法の精神も実行に移せないわけでございまして、これが老人保健法の最大のむずかしい問題であると同時に、やらなければいけない重大な問題でもあると、このように実は受けとめておるわけであります。
#38
○前島英三郎君 ぜひがんばっていただきたいと思います。
 さて、その健康診査の中で肺がん対策が立ちおくれているわけですけれども、現在の死亡原因の状況などを考えますと、このままでは済まないように思います。私のおふくろも肺がんで他界をいたしましたが、その肺がん対策について伺っておきたいと思います。いかがでございますか。
#39
○政府委員(三浦大助君) 現在肺がんは、五十五年ですが、二万一千名ぐらい亡くなっておられますが、この十年間に倍増しておるわけでございまして、私どももこれは非常に問題として大きな問題ではないだろうかということで、いまいろいろ研究、調査などもやっております。
 こういうものは今度の老人保健法案にも含めて、本来なら対策にも含めて考えなきゃいかぬわけでございますが、何分その診断、集団検診の技術の確立、こういうものに対して学会の内部でもいろいろ意見がまだ分かれておるわけでございます。現在、都道府県とか市町村段階で、結核検診に合わせていろいろこの肺がん対策をやっておる都道府県がございまして、そういうところの調査資料などもいただきまして、もう少し集団検診でどうやって効果的に見つけたらいいかということを確立してから取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、そのためにはここ一、二年はちょっと無理でございますが、本年度予算で約一千万ばかりその調査費を組んでおるわけでございます。私どもそういう意味で早く対策が軌道に乗るようにそういう集団検診の確立というようなものを確立していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#40
○前島英三郎君 ぜひがんばっていただきたいと思います。
 医療以外の保健事業に関して一部負担金を取ることができることになっておりますね。一般健診が百円、精密の場合は費用の三分の一負担金を徴収するというようなお考えがあると聞きますが、これはまさか七十歳以上の老人からも取るというようなことはないと、そう理解してよろしいですか。それはいかがですか。
#41
○国務大臣(森下元晴君) 御指摘のように、七十歳以上の方々につきましては、一部負担を免除することといたしておりますし、蛇足でございますが、低所得者につきましても、免除について特別の配慮をすることにしております。
#42
○前島英三郎君 いろいろと伺ってまいりましたけれども、特にヘルス事業について、厚生省の意気込みはわかりますけれども、実際に軌道に乗るのは数年先という感じがいままでの御答弁を拝聴いたしましてもいたします。本法案の附則第二条でも、市町村は「逐次これを行うことができる」としておりまして、間に合わない市町村が出てくることを予定しているほどでございます。
 一方、老人医療費の拠出をめぐって、青天井にいかに歯どめをかけるか、支払い方式はどうするのか等々検討すべき事項が多々残されておるように私は感じます。この際、保健事業が軌道に乗るまで新制度はじっくり検討してはどうかと、そう私は考えるんでありますが、最後にその辺を大臣にお考えを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#43
○国務大臣(森下元晴君) いろいろ問題があるから検討して、急ぐなというような発言の趣旨だと思いますけれども、この高齢化時代が大変なスピードで迫ってきておりますし、私は決して一〇〇%とは言いませんけれども、ここで老人保健法をぜひ制定していただきまして、できるものからでも早くどんどんやっていく。多少試行錯誤的なものもあるかもわかりません。これは全力を挙げてそういうことがないようにやりたい。そういう強い決意でやっておりますし、それが御老人の健康を守る、健やかに老いていただくためには最良の法案である、このように確信をいたしておるわけでございます。
#44
○山田耕三郎君 老人保健法案についてお尋ねをいたします。
 今日の医療保険制度の運用のむずかしさはよくわかります。その上、現在のような財政事情や、社会を取り巻きますもうけ主義等までが加わって、さらにその困難性は倍加をされております。しかしながら、わが国の今日の医療には余りにも問題が多過ぎます。その上、対策を誤りますと、医療制度そのものの崩壊を招きかねないような重要な時点にきておりますことについて、大変な危惧を持っております一人です。そして、ただいま何よりも必要とされますことは、せっかくできておる制度が正しく運用されておらなければならないということであります。そのような立場から老人保健法案について質問をいたします。
 まず第一点は、先日の渡部議員の質問に対する答弁の中で大臣は、日本型福祉を確立すべき時代が来た旨お答えをしておられますけれども、大臣の考えられます日本型福祉とはどういうことでありますか、再度表明をしていただきたいと思います。
#45
○国務大臣(森下元晴君) 日本型福祉という言葉で代表されておるわけですが、私は福祉、社会保障、この制度は、戦前、戦中、戦後と諸外国に比べて非常におくれておりまして、そして福祉元年といわれて全力を挙げ出したのが昭和四十八年でございまして、それ以降は飛躍的に進んでまいった、このように思っております。
 現在の福祉関係また社会保障関係におきましては、もうすでにかつて先進国と言われましたヨーロッパまたアメリカに比して決して遜色はない、むしろある面では進んでおる点があるんではないか、私はこのように実は思っておるわけでございますけれども、低成長時代そして高齢化時代等を迎えました今日においては多少見直しの必要もある。そしてまた、いままで行き過ぎた点も私はあると思いますし、また多少のむだ等もございまして、公平の中に不公平が生じておるのではなかろうか、このように実は考えておるわけです。
 西欧諸国に比べまして、日本の特殊性と申しますか、同じ民族が、小さな島でございますけれども、一億仲よくやっておるという特殊性もございまして、そこに日本型の福祉、たとえば御老人が、一番いいのは、自分の生まれた家で、自分の育った家で老後を安らかに暮らす、また病気の静養もできる、そこに家族的な温かみを感ずる。
 きょうの新聞にも載っておりましたけれども、もっと心温かな病院をつくってくださいというような患者の話も載っておるようなことでございまして、その一番いい形が家族的な病院で、それは言うべくしてなかなか行われることは少ないわけでございますから、いわゆる在宅福祉また在宅医療という面でひとつ、日本型の福祉という言葉に代表される、諸外国に比べて違った意味での世界一福祉大国としての日本の行き方を今後進めていきたい。その一つに、老人福祉、老人保健法があるべきである、このように実は考えておる次第でございます。
#46
○山田耕三郎君 ただいまのお言葉の中で特徴的な言葉を二、三点私なりにとらえさせていただきますと、ただいまの福祉の中にはむだがあるとい御見解、もう一つは公平の中の不公平があるということ、さらには在宅、すなわちこの法案が示しております家族連帯、そういうようなことを意味しておられますと思います。いまはそのことについての意見の交換はできません。ただ、大臣がお答えになられましたのが今日の政府の持っておられます平均的な考え方、すなわち政府の方針だと理解をさせていただきます。そのような福祉に対する考え方の中から今日のこの老人保健法案が提案されておるというように理解することが正しいと思います。
 次に、先ほども前島委員の御質問の中にありましたように、この法案の持っております理念ですけれども、私は次のように要約をいたしておりますんです。すなわち、一つは、近い将来直面する高齢化社会に対応するために自助と連帯の精神は何としても基調とせなければならない。二つは、老人保健対策として、予防から治療、機能回復訓練に至る包括医療を実施をする。さらに第三点は、特に医療対策だけではなしに、健康づくりを壮年期より実施して病気にかからない老人をつくる、いわゆるヘルスの事業をあわせ行う。四番目は、これらを行うに当たっての経費は全部の国民が負担をする。以上のとおりだと理解をするのでございますけれども、その理解でよろしゅうございますか、お尋ねをいたします。
#47
○国務大臣(森下元晴君) そのとおりでございます。
#48
○山田耕三郎君 それでは、昨日の参考人の意見を拝聴いたしました結果でもわかりますように、それぞれの分野についての問題があります。
 すなわち、老人保健対策としての包括医療でごいますけれども、これも前島委員の質問の中にもありましたように、数の少ない理学療法士や保健婦の現状において果たして包括医療が円滑に実施される見通しがあるのかということが一つ。
 もう一つの問題は、実施主体の市町村は、それを代表なさる方の意見として、完全実施ができる体制をつくってほしいという御要望がありました。市長さんの気持ちはわかりますけれども、これを本当に厚生省が主体的に条件づくりをやっていけるのかどうか。
 さらに、経費の負担の面におきましても、国民全部が負担をするという立場から、その七〇%を負担されます保険団体からは、納得するための条件整備ができておらないということで厳しい反対の御意見がありました。
 このように事業を進めていくに当たりましての見通しが大変暗いということ、関係団体の理解と納得が得られておらないということ、こういうことについて果たしてこのままでやっていけるというように思われるのかどうか、その辺の見解を承りたいと思います。
#49
○政府委員(吉原健二君) 市町村が実施主体になりまして医療とヘルスを含めた包括的な医療保健サービスというものをやっていくということが、この法案の新制度のねらいでございますけれども、きのうの参考人の御意見にもございましたように、初めから完全な形で実施することは確かに無理があろうと思います。そういったことで五年程度の期間をかけまして、五十七年度から発足をし、六十一年を目標にいたしまして、この法案、この制度が考えております本格的な事業の実施体制というものができ上がるようにしていきたいというふうに思っているわけでございまして、私は、その体制ができるまでこの制度の発足を見合わせるということにいたしました場合には、この体制の整備というものはむしろ進まないと思います。
 新しい制度をつくり、一つの目標を掲げて、その目標を実現するために最大限の努力をしていく。こういうことでないと、一向に体制の整備というものはいまの現状のままでは進んでいかない。そういう考え方に立ちまして、最初から完全な形での実施は無理かと思いますけれども、五年ぐらいの期間をかけて市町村にも努力をお願いし、国も最大限のバックアップをして体制づくりをやっていく。そういった中で五年後、十年後にはこの制度が考えている本格的な事業というものが円滑に動いていくような形に仕上げていくということを考えているわけでございます。
 市町村の方々とも、この法案を出すに当たりまして、十分意見を交換いたしまして、最初から完全な形で市町村にやれと言ってはとても無理だ。ある程度の時間的な余裕をもらいたい。その余裕の中で市町村もそれぞれの市町村の実情に応じて努力をしていく。また国が画一的にこれで全部、全市町村一斉にやれと言われても無理なんで、市町村の地域の実情なり特色なりあるいは創意工夫というものが生かせるような形でひとつやってもらいたい。こういうのが市町村の強い御要望だったわけでございますし、そういう考え方であれば、市町村としても十分やっていきたいし、やっていけると思うというお話だったわけでございます。
#50
○山田耕三郎君 この問題にはいろいろ原因がありますと思いますけれども、このように各方面からの理解が得られておらないということだとか、関係者の中に危惧の念がかなり大きくありますということのその原因は、私なりに考えてみまして、国の財政がきわめて窮迫してきております中で老人医療費の膨張が依然として激しく、老人加入者の多い国民健康保険への国庫補助金が二兆円を超えるというような激増の状況を見過ごすことはできない、そういったことから厚生省が考え出されました。したがって、財政対策が先走って、法案全体を構成する他の重要な施策を具体化する場合の手法でありますとか、関係団体に対する対話がまだまだ不足しておったのではないか。そういう結果、いま申し上げましたようなことが依然不安として残っておって、昨日のような参考人の意見が出てきました。こういう状態だと私は思いますんですけれども、仮にこの法案を実施されるといたしまして、政府が予定をされます十月までに、そのような不安が全部取り除かれて、理解と協力が得られるとお考えになりますかどうかお尋ねします。
#51
○政府委員(吉原健二君) 十月実施までに私としては理解が得られると思いますし、またそのための最大限の努力有しなくてはならないと思います。
 財政対策からこの新しい制度をつくろうとしているわけでは決してございません。もちろん、国の財政が御案内のような非常に厳しい状況にあるということが背景にはございますし、新しい制度を考える場合に、現在の国の財政の状況あるいは将来どうなるかということはもちろん念頭に置いて制度を立案したわけでございますけれども、財政対策というものを念頭に置いて、財政対策として新しい制度をつくるのでは決してないということは十分いままでも御説明してきたつもりでございますし、御理解をいただきたいというふうに思います。
#52
○山田耕三郎君 吉原審議官のお答えでは、御理解をいただきたい、そのために一生懸命努力するということでありますけれども、私がお尋ねしましたのは、このまま法案を強行をなさるということで可能かどうか重ねてお尋ねします。
#53
○政府委員(吉原健二君) このままといいますのは、具体的にはどういう御質問なのか、あるいは取り違えておるかもしれませんが、私どもとしてはいま政府の考え方を御説明しているわけでございまして、昨日来いろいろ御意見があったわけでございます。千分当委員会で御審議をいただきまして、御賛成が得られれば、御可決を得られればそのような形で実施をしたいと、まあ私どものお願いでございます。
#54
○山田耕三郎君 それでは、話をもとへ戻しますけれども、もう一つの問題として、老人医療費が国民医療費の二倍以上の増加率でふえ続けるということについては、この増加ぶりは異常であると常識的に考えられると思います。もちろん老人には老化現象による心身機能の衰えからくる特異性にも原因はありますけれども、その多くの部分は無料化という老人医療費制度にあるというように厚生省が御判断をしておられるように思うのですけれども、その点はいかがですか。
#55
○政府委員(吉原健二君) 医療費の増大、いろいろな要因があると思います。老齢人口の増加、それから疾病構造の変化、成人病等が多くなっていることというような疾病構造の変化、それから医学医術の進歩によりまして、昔、従来は考えられなかったような高度な検査だとか治療だとか手術ができるようになった。それが大変高価なものになっているというようなこともあろうかと思いますし、それから新薬の開発等も医療費を増加さしている要因だろうと思います。医療費がふえておりますのは、老人だけではございませんで、国民医療費全体がふえているわけでございまして、あながち老人医療費だけの特別の原因というものはないと思いますけれども、老人医療費がふえております特別のものを強いて挙げるといたしましたならば、やはり老齢人口の増加とそれから疾病構造の変化というようなものが大きな要素になっているのではないかと思います。
 無料化制度が原因ではないかという御質問でございますけれども、確かに老人医療の無料化制度ができまして、老人の受診率がそれ以前に比べまして大変高くなったということは事実でございます。したがいまして、四十八年度以降の老人医療費の増高というものが決して無料化制度と無関係であったとは思いません。やはりそれも老人医療費の増高と大変大きな関係があるということは認めざるを得ないと思います。
#56
○山田耕三郎君 私は、この問題が老人医療費の増加から出てきておるとすれば、老人医療費がなぜ増加するかということについての究明が徹底して行われる、その上に立って法案がつくり上げられてこなければいけない、このように思うのでございますけれども、われわれが社会にありましてよく聞きますことですけれども、医療機関の方にはいろいろ不心得な人もありますことによって、社会的な不正義が行われておりますことは、これは新聞にも報道されておりますとおりであります。患者側すなわちお年寄りの側に乱用があったとすれば、それは多くの場合には医学的無知に基づくものでありますと思います。
 私たちもこういった問題を担当をいたしましたその経験から申し上げまして、いろいろ原因探究に取り組んでまいりました。専門家でありませんからよくわかりませんけれども、たとえば男性の老人に特有の病気であります前立腺肥大症というのがございます。これはなかなか治りにくい病気でありますから、Aのお医者さんに行かれましても一向にはかばかしくない、だからまたBのところに行って検査を受けられる。同じ検査が繰り返されておって、その当時検査料だけでも六千円の支出であるというようなことに出くわしたことがありますけれども、こういったものであっても、医師側の方の適切な指導さえあれば、そういうむだは積み重ねられないで済んだのではないか、このように思います。
 先日の当委員会におきましても、厚生省側からは、一カ月に五十三日間受診をしておられるというようなことで、これは原因がどこにあるか知らないけれども、異常であるという立場からの報告がありました。そういうことがありましたら、それは徹底して究明をしていかれる必要があるのではないか。その原因が患者側にあるとすれば、これは諭していかなければなりませんでしょうし、これが医療の供給側にありとすれば、医学的な専門知識を持ったお医者さんとして、患者さんによく話をしてやっていただいたら、こういった結果は取り除かれていくのではないかと私は思います。
 こういった面で厚生省が、一人一人の患者さんというわけにはいきませんけれども――私は老人医療費制度というのはいい制度だと思っておりますんで、だからこの制度がいつまでも守られたい。だから、この制度を守っていくためにみんなが努力をしていかなければならないと思っておるんですけれども、そういう制度をつくられましたお立場から、その制度が崩れかけようとしておるのにかかわらず、問題点をなくしていくための強力な市町村指導や医療機関指導が余り感じられないんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#57
○政府委員(吉原健二君) おっしゃいましたように、従来、お話しのような意味での保険者に対する指導でありますとか、あるいは医療機関に対する指導、そういったものが大変不十分であったことは反省をしなければならないと思います。とかく医療費のむだあるいは乱診乱療というものが制度に由来するものである、具体的には出来高払いが原因であるというようなことが強く指摘をされているわけでございますけれども、そういった制度的な原因も私は確かにあろうかと思いますけれども、むしろ制度を動かしている行政当局あるいは患者、医療機関、そういった側にいろいろ反省をすべき問題が率直に言ってあるのではないかというふうに思います。
 したがいまして、今度の老人保健制度ができましたときには、むだな医療あるいは乱診乱療がないような指導というものを市町村に対して、それから医療機関側に対しても、十分徹底してやっていきたいというふうに思っております。
 保健事業の一つとして、健康教育とかあるいは健康手帳とか、そういったことを考えておりますのも、そういった意味での患者教育も含めて、健康教育というものを幅広くとらえてやっていきたいというふうに思いますし、健康手帳というものを渡しまして、その患者さんのそれまでの受診の記録等というものを健康手帳にして、それを持ってお医者さんにかかっていただく、それを医療機関側で十分見て診察なり検査をしていただく。そういったようなことを考えておりますのも、できるだけ医療機関のむだなはしご、Aの医院からすぐまたBの医院にかわって、また一から検査を受けるというようなことがないように、できるだけそういった意味でむだのない合理的な医療というものが行われるような仕組みというものにしていきたい、そういった面の努力というものは十分この老人保健制度ができましたときにはやっていきたいというふうに思っております。
#58
○山田耕三郎君 私はさきに参議院の予算委員会を傍聴いたしました。岩手県沢内村の増田院長さんが次のように言っておられます。「一体医療費が上がるのはなぜ上がるのか」、「つまりそれは沢内村の経験ですと、老人でも十割給付」、すなわち無料制度「でもなさそうです。要は老人の医療費がただであるという制度をだれかがどこかでかなり経済的に利用しているというようなところがあるかもしれません。」という意見を申し述べておられます。
 で、これに対して政府委員としての答弁は、「無料化であるためにややもすると行き過ぎの医療があった、よく言われます薬漬け、検査漬け医療、こういうものがございました。したがって、いろいろなことがございますので、ひとつこれからはごくほんのわずかなものを御負担いただこう」ということで、有料化へ変更していく旨の答弁をしておられます。
 で、もしどこかでだれかが経済的に利用しているものがありとするなれば、そこを徹底的に究明していく指導をなさるのが厚生省の責務であって、それがあるからといって、わずかかもしれませんけれども、私はわずかとは思っておらないんですが、この道が一たび開かれれば、また財政が苦しくなったからといって一部負担が増加される可能性は多分にあるわけですから、わずかとは思っておりませんのですけれども、わずかであったとしても、お年寄りに負担をさしていくということで解決をしようとなさる厚生省の態度には同調ができませんのですけれども、その方法より解決策はないんでしょうか。
#59
○国務大臣(森下元晴君) 沢内村の例を挙げられまして、私も、肉体的にも精神的にも、両面から大変りっぱな医療、医療行政をおやりになっておると常日ごろ感心しております。いまお話をされたのは、老人ばかりが責任じゃないぞ、ほかにまだあるというようなことでございまして、私もそのとおりだと思います。
 いろいろこういう事例――先般も三郷病院の問題で、老人狩りをして、そして老人を食い物にして、そろばんだけで経営をやっておる。これは保険医の取り消しもされておりますけれども、そういう問題が新聞をにぎわしたり、社会問題、政治問題になっておることは事実でございます。
 そういうことで、一部負担のこの問題につきましては、健康に対する一つの認識と申しますか、それはそれで当然である、またその必然性を私ども認めておりますけれども、そこだけに観点を持っていくのもどうかと思います。
 いま御指摘のようなことにつきましても、たとえばレセプト審査とか、たとえ無料でございましても、あなたの健康を守るためにはこれだけの金がかかったんですよということによって、御本人も、いままでは無料でございまして、無料であっても、これだけのお金をかけて私の健康は守られておる、その認識が私は必要だろうと思うんです。今後有料になりましても、これは御負担の非常に少ない金額でございまして、これだけの金額で自分の健康に対して技術的な、またお薬等も含めた大きな医療が行われておるんだと、こういう認識があれば、御老人の方々も、また一般の方もそうでございますけれども、健康とはいかに高価な精神的なまた技術的な面で守られておるんだ、こういう認識こそが一番大事な問題じゃないだろうかと、私はこのように実は思っておる次第であります。
#60
○山田耕三郎君 ただいまも大臣から一部負担についてお答えがありました。先ほど吉原審議官からもお答えをいただきましたが、国民がすべて自分の健康に関心を持っていただくためにごく少額の自己負担をしていただくのだという答弁がずっと続いております。
 ところが、私は、果たして国民が健康というものに関心を持っていないのだろうか、そのことを考えてみました。そうしたら、昭和五十六年度の政府が発行なさいました国民生活白書では、「何よりもまず「健康」が大切」というタイトルで、日本人が収入よりもまず健康の維持を心配していることを第一位に挙げられております。
 さらにもう一つの問題は、有料化することによって健康に対する自覚を促せるかどうかはきわめて疑問ですということから、沢内村の例をとりますけれども、増田院長は答えておられます。健康に対する意識はみんな持っておるのですから、問題は医療の側にあるのかもしれません。そのためには、患者が医者と絶えず自由に接触できる体制が必要であります。沢内村の十割給付、すなわち無料化がその役割りを果たしておるだろうと思います。こういう意味のお答えをしておられますのですけれども、これは大臣もちゃんと聞いておられました。二十年間にわたって地域医療づくりに成功をされてきた方の発言ですから説得力があります。
 だから、政府の方で答えておられます、一部負担金というものを課するのは自覚を持たす効果があるからだという意味のお答えは、どうもつけ加えられただけのように思えてなりません。本当のところは、一部負担を持たすことによって、この制度を乱用し、悪用する部分を抑制したい、子のねらいがあるように思うのですけれども、いかがですか。
#61
○政府委員(吉原健二君) 一部負担のねらい、考え方につきまして、いろいろ申し上げているわけでございますけれども、健康への自覚を持っていただきたい。ただですと、そういった認識なり自覚というものがとかく乏しくなるということは言えるのではないかと思います。単に国民が健康に対する関心を十分持っているというだけで十分かどうか。もっと積極的な意味で自分の健康は自分で守る、またできるだけ病気にならないようにするというような気持ちが必要なのではないかと思います。
 それから行き過ぎた受診というものを抑制したいということがあるのではないかというお話でございますが、率直に言いまして、先ほども御答弁申し上げておりますように、無料のままですと、患者の側、それから医療機関の側にもむだな受診というものが生じやすい、あるいは無料であることを乱用するというような傾向が一部にあることは、私は率直に言って事実だろうと思います。そういった意味での行き過ぎた受診なりむだな受診というものは、できるだけ御自制なり注意をしていただきたいと、そういうお願いの気持ちもあることは、この法律を出しましたときに園田大臣等から申し上げたとおりでございます。
#62
○山田耕三郎君 ただいまのお答えではありますけれども、私は、一部負担を課する制度に変えていくということは罪のない老人に負担を持たすということであって、行政としては本末転倒の行政なのではないか。そういうことによって、これは健康に関心をお持ちになったりするような効果は全然望まれない。いまわれわれが健康について一番心配なのは、お医者さんに診てもらって大変な難病として宣告されないだろうか、そういうことが一番心配はあるとしましても、日常の中で健康をおろそかにするなんということは考えられませんのですけれども、もう一度、老人いじめの本末転倒の行政のように思えますので、お答えをいただきたいと思います。
#63
○政府委員(吉原健二君) 重い負担ということになりますと、おっしゃるような大変老人いじめということになろうかと思いますが、負担の額、それから負担の仕方につきましても、そういった意味での必要な受診というものを妨げるようなことにならないように、それは十分配慮をしたつもりでございます。
 それから諸外国の制度がどうなっているかということも、この制度を考える場合に私ども十分調べたわけでございますけれども、老人だからといって医療費というものを全くただにしている制度というものは、実は現在の時点ではどこの国もございません。確かに従来は、たとえば西ドイツ等におきましても、老人につきまして、あるいは年金受給者というとらえ方をしておりますけれども、無料にしておったときがあったわけでございますけれども、もう現在では薬剤の一部負担という形で老人の方々にも一部負担というものがとられておりますし、よく社会保障が発達をしていると言われておりますスウェーデンでも、老人の方々には一部負担がございます。フランスにも当然ございます。若干償還率というものが若い人と老人の場合とで違いはございますけれども、フランス等の場合におきましても、老人医療というものは全くただではございません。アメリカは、老人保健というのは六十五歳以上の保健制度しかないわけでございますけれども、これも相当の自己負担というものが初めからあるわけでございます。
 したがいまして、老人の方々に一部負担をお願いするということが即老人いじめあるいは老人福祉の面から大変問題だということにはすぐにはつながらない。その負担の仕方、負担の程度、そういったもので国民的な支持が得られるかどうか、御賛成が得られるかどうか、そういったことから判断をすべき問題ではないかというふうに思うわけでございます。
#64
○山田耕三郎君 ただいまも少額というお答えがありました。確かにわれわれの常識的な感覚ではどうも少額のように思います。けれども、特異な事例かもしれませんけれども、こういったこともございます。
 私が最近自宅に帰りますと、いつの場合にでも一人のお年寄りの御婦人が来ておいでになります。家の者に聞きますと、こういう方が三人ほどおいでになりますということでありました。事情を調べてみました。
 昨日のあれにもありましたように、病院やあるいはお医者さんの待合室がお年寄りのサロンになるという意見がありました。だから、それは解消せなければいけないということで、前職の時代に老人福祉センターを建設をしてきました。これはきわめて盛況であります。おばあさん、なぜそこへ行かれませんかということをお尋ねをしましたら、月のうち半分はそちらへ参りますんです。半分は知り合いのところへ訪問をしますんですということでありました。
 妻に聞きましたら、お弁当は持って出ていらっしゃるけれども、おかずがありませんということでした。今日のお年寄りですから福祉年金ももらっておいでになるわけですから、そのようなことくらいはと思いますんですけれども、立ち入って聞かしていただきました。老人福祉センターへ参りましても、食堂はちゃんとありますけれども、それは料金が要ります。そこで昼食はとります。それを毎日続けることができませんのです。
 あなたは年金をいただいておられますが、それが困難ですかと聞きましたら、私は子供が三人あって、前の夫に死に別れました。そして再婚をしましたけれども、どうしても三人の子供は新しい夫の手前その、まま置いておくことが困難でした。子供をやりました。その子は戦死をしてしまいました。ところが、その子供をもらってくださった方も家が絶えてしまいました。そうしますと、みたまの祭りをしてやってくださる方がありません。しかも、私が再婚をしたばっかりにそういうことになりました。やっぱり自責の念に駆られます。だからその弔いをしておるのです。ですから大変不自由ですというお話がありました。
 家庭へ行ってみますと、新しくできました新興住宅団地にお住まいの方のようです。家庭の事情で、お年寄りがその家の中にじっとおいでになるわけにはいかない、いまの日本の住宅事情でそういうことになっております。だから出歩かざるを得ないということでありますんですけれども、こういう人たちが病気になりましたときには初診料をすら出しにくくなられるというような人なのではないか。そのように思いますことがありましたので、参考までに申し述べさしておいていただきます。
 その次には、私は、今日の日本の医療体系というのはかなり乱れておるのではないか。たまたまいま大臣が三郷中央病院のことを申されました。末端の医療機関の運営に携わる人たちは、これを何とか抜本的に整備してほしいものだという声がございます。さきの薬価基準を改定なさったときにも、出てきた現象だけをとらえて、百把一からげでやられますから困りますという点もありました。それはどういうことなのか詳しくは聞いておりませんが、何かそういうものを感じておる面があるんだろうと思います。
 で、厚生大臣も、沢内村の医療体制はすばらしい、できるだけこの体制をつくることに取り組んでいきたいという答弁をしておいでになります。そういうようにお答えになっておられます厚生大臣のお気持ちが本当だとすれば、沢内村の医療体制というのは、いま政府が成立をさそうとしておいでになります老人保健法案の目指す道とは私は違うと思っておりますんですけれども、同じなんでしょうか。この辺のところの見解をお尋ねいたします。
#65
○国務大臣(森下元晴君) 沢内村とか長野県の佐久というところ、そこらが全国代表的な、町村と病院、また町村民が協力して保健の効果、また医療の効果を上げておる、また財政的にも非常に大きな負担にならずに模範的な方法でやっているということを聞いております。
 ただ問題は、地域的に山村であり、また農村という地域性もございますし、また村長さんや病院長さんの心構えと申しますか、また町民、村民の協力と、いわゆる啓蒙啓発等が非常に行き届いて理想的な姿になっておりますから、それをそのまま国に拡大するということは、経済事情とか、また職業的な配分等においては必ずしも私は一緒ではないと思っておりますが、しかし考え方としては、できるだけ健診を多くしよう、そして病気にかかる前に、また病気が軽いうちに治してしまう、だから医療費も必然的に少なくて済む、そしてまた御老人の方々も一般の方々も、他の地域に比べて非常に健康である、こういうような結果が出ておりますから、基本的な考え方においては違わない、私はこのように実は思っておるわけでございます。
#66
○山田耕三郎君 そういうことですから、この医療体系の問題では、社会的不正義が存在しないような体系をぜひつくることに本気でがんばっていただきたいと思います。
 それからそれに関連をしてもう一つありますんですけれども、私は近年連続して一つの精神病院の運営を眺めております。そこのお医者様の話によりますと、精神障害者の治療にはいまだに定説はありませんということです。そして、治療に当たって、患者に対して薬物を使用するということは極力避けた方がその人の体のためにはよろしいと。精神病というのは社会病理が原因でありますから、その人の生活の中から社会病理を取り除いてあげるように治療をしていかなければならないとすれば、それは当然のこととして対話であり、人間関係であります。ところが、対話は点数になりませんということであります。けれども、良心的な医師の懸命の努力によって、この病院には退院があります。患者の新陳代謝がございます。十名退院をしますと、二名ぐらいはまた病院へ戻ってこられますけれども、その返ってこられます二名の追跡調査をしてみますと、地域社会における受け入れの状況がきわめて悪い、家庭事情がきわめて悪い、そういうことのようでありますけれども、そういう要因を取り除いてあげれば、社会復帰は可能でありますというように申しております。
 今日、多くの場合象徴的に言われますのは、治療なき格子戸というように言われております。このことについては、患者の退院が非常に少ないということ、しかも入院患者の年齢が高齢化されてきておりますということ、そういったことから治療の困難性はわかりますけれども、何かこの辺に対する厚生省の努力というものが必要なのではないか。これは自治体行政の中で見ましても、公立の精神病院をつくるということは、法定事項になっておりますけれども、つくれてない府県がまだまだございます。さらに、もっといけないのは、その府県に精神科の専門医が配置をされておりません。
 だから、私は、懸命にやっておられるんだといたしましても、たとえば京都の十全会でありましたように、たとえば高島屋、朝日麦酒の株の買い占めがありましたような事実から見て、医療法人がどうしてこういう財政力を蓄えることができるのか。これは他の病院に対しても大変御迷惑なことである。だから、こういった批判が出てくるのではないかと私は思いますのですけれども、そういう面には野放しであってはいけないと思いますんです。この辺の指導も強化していただいて、こういった面から医療費が増高をしていったり、むだに使われていくということについての歯どめをかけていただく責めは、責任は厚生省にあるように思いますが、いかがでしょうか。
#67
○政府委員(三浦大助君) 精神科医療と申しますのは、最近非常にいい薬がたくさん出てまいっておりまして、あるいはまた精神療法とか作業療法というものがかなり最近発達してまいりまして、定説はございませんけれども、かなり系統的な医療技術が確立されてきた。したがって、開放的な医療体制というものが非常に進んできたというふうに私ども見ておるわけでございまして、したがって、こうした精神医療の進歩の状況を踏まえながら、精神障害者の社会復帰のための施策を私ども重点的に進めておるわけでございます。今回予算の中にございます職親制度などもその一つのあらわれでございます。
 御指摘のように、精神衛生法の四条で各都道府県に精神病院の設置を義務づけているわけでございますが、現在まだ八県が未設置になっております。これを調べてみますと、こうした県では、国立療養所あるいは他の公的な医療機関が精神医療の中心的な役割りをしておる、したがって県立病院に精神病床がないということでございますが、私どもこういうことでは、今後の精神医療というのはますます重要な分野になってまいりますので、この八県につきましてもできるだけ早急に精神病院あるいは病棟が設置されますように県の方をいま指導しておるわけでございます。
#68
○山田耕三郎君 次は、保健サービスについてお尋ねをいたします。これも前島委員がお尋ねになりまして丁寧な御答弁がありましたので、私はごく限られた部分でお尋ねをいたします。
 それは昨日の参考人として出てこられました小野田市長さんも申しておられましたように、やっぱりあの言葉からしても非常に困難であるということが裏書きをされます。私自身も、先ほど申し上げましたように、病院だとかお医者様の待合室がお年寄りのサロンになっておるという言葉は耳にします。これはお年寄りにとって大変酷な言葉だ、だから病床もふやしていこう、そしてサロンにならないように老人福祉センターもつくっていこう、こういうことで対応をしてきました。老人福祉センターをつくれば、せめてもその周辺からは健康が取り戻されて医療費が減っていくのではないかというようなことも考えてもみました。まだまだそれらを資料として集約するのには期間も短いのかもしれません、顕著な例は出てきておりません。
 先ほども保健センターについてお答えがありました。もうこの事業が始まってから約五年になります。けれども、そのことによって病気を減らしていく、医療費を減らしていくという効果は、どうもまだまだあらわれてなさそうでございます。けれども、今後はこういうものがヘルスの中では大変重要な施策の一つになってまいります。いままでやってこられました経過から将来を見通されまして、目的どおり機能していく見通しがありという御判断をなさいますかどうか、その辺についてお答えをいただきたい。
#69
○政府委員(三浦大助君) 私ども保健事業を達成するためには、施設整備の面とそれからマンパワーの面、両方から推進していかなければならないわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、一応現在完全な形でやることは非常に困難でございますので、五カ年間を目標に何とかひとつ一定の水準まで持っていこうということでございます。しかも現在かなりの市町村がいろんなことをやっておるわけでございますので、これを五年後にひとつある一定の水準まで持ち上げるように全力を挙げたいと思っておりますので、その意のあるところをひとつお酌み取りいただきたいと思います。
#70
○山田耕三郎君 それから同じく保健サービスについて、在宅ケアのことについてお尋ねをいたします。
 今日の日本の大部分の住宅事情というものは、一人の寝たきり老人がおいでになりますということになりますと、その家庭の機能が大変阻害されていく心配がありますのが実態でございます。そういうことからいたしまして、入院をしておいでになりますお年寄りに対して、もう病気は治りましたから退院をされてよろしいですよということをドクターが申し上げても、先生、済みませんがもうちょっと置いておいてくださいという答えが返ってきます。留守宅の方に連絡をいたしましても、また同じ答えが返ってきます。そういうことからいたしまして、こういう問題解決のために、それ専門の職員を配置して、いわゆるケースワーカーとしての仕事をさしていかないと、なかなか病院経営が困難になってまいります。けれども、そういったケースワーカーを配置いたしましても、必ず全部が解決される、こういうことにはどうもなりません。そういう問題を解決するためには、一口に在宅治療あるいは訪問治療と申されますけれども、条件整備が大変困難である。したがって、病院ではない施設として、このようなお年寄りの方々のケアをしてあげる施設がどうしても必要なのではないかと、私はこのように感じてまいりましたのでございますけれども、その辺に対するお考え方を承りたいと思います。
#71
○政府委員(大谷藤郎君) 先生がお話しのような事例は確かにあるかと存じます。ただいまのところ常時の医療サービスを必要とはいたしませんが介護あるいはその他のケアを必要とするというふうな方々につきましては、特別養護老人ホームに収容いたしますとか、あるいは在宅福祉サービスを実施するというふうな考え方で、必要に応じて医療と福祉の連携を図ってこういったニーズに対応しようと、こういうふうなシステムの考え方を一応とっているわけでございます。したがいまして、こういった考え方に沿いまして諸施策、あるいは諸施策間の連携というふうなことの充実を当面図っていかなければならないというふうに考えます。
 しかし、先生がおっしゃいましたように、アメリカ等でも老人の方々の看護あるいは介護、そういうものを中心といたしまして、しかも医療を行うというふうなナーシングホームというものが設けられております。こういったものについて、わが国においてもそういったものを制度として取り入れてはどうか、こういうふうなしばしばの御提言も私ども十分承知いたしております。しかしこの問題につきましては、医療法上どういうふうな位置づけをするか、あるいは社会福祉施設というふうなものとの関係をどういうふうに規定するか、あるいは具体的な問題になりますと費用負担を一体どうするか、こういうふうないろいろなかなかむずかしい検討すべき点が多うございますので、私どもこういった点につきましては、十分研究をさせていただいて、このナーシングホームの問題については今後の課題といたしたいというふうに考えているわけでございます。
#72
○山田耕三郎君 それでは最後に、大臣にお尋ねをいたします。
 国保財政を抱えておいでになります自治体側は、その負担の軽減されるという立場から賛意を表しておられますことはよくわかります。けれども、今日までの審議を通じ、さらに昨日の参考人の御意見を聞かしていただいて、一つは、医療費が異常に増高をする原因の究明がやっぱりまだまだできておりません。二つは、たとえば老人保健サービス事業につきましても、お答えを聞きましたが、願望として答えられておる面が非常に多うございまするし、精神的な構えとして表明をしておられます面が非常にたくさんございまして、果たして具体的にそのとおり進むのかということについては、もっと関係者が寄って論議を深めていく必要があると思います。三つ目には、拠出金を負担をする保険団体が要望をされております基盤整備がやはり不十分でありますように思います。この辺のところをもう少し慎重に解明し対策を立てていく必要がありますと思いますけれども、それがないままに発足をされましたら、これは大変なことになるように思いますけれども、慎重に対応していくというお考え方は大臣として出てきませんかどうか、お尋ねをいたします。
#73
○国務大臣(森下元晴君) この老人保健法案は画期的な法案でございまして、いろんな意味を実は持っております。多少構造的な改善――私の方では改善と申し上げたいと思いますけれども、そういうことでかなり啓蒙啓発、よくこの内容を吟味して理解をしてもらわなくてはいけない。そうして各地方自治体また被保険者の方々にも御理解をいただかなければ沢内村とか佐久のようにうまくいかない。これが一番大事でございまして、その点私どもは、地方自治体初め拠出をしていただく財界、それから組合の方々、こういう方々にも、十分御意見も聞くし、またよく理解をいただくように、本当の私どもの意図はここにあるんだという精神をよく知っていただく。これが一番大事なことであると思っておりますし、将来の高齢化時代に備えまして、私どもは自信を持って出さしてもらっているわけでございますから、これの運用に当たり、また効果を期待するに当たりましては、これは全力を挙げてやっていきたい。こういう強い覚悟で実はやっていることを申し上げたいと思います。
#74
○山田耕三郎君 終わります。
#75
○委員長(粕谷照美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#76
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、老人保健法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#77
○高杉廸忠君 私は、現代が不確実性の時代、不透明の時代とはいえ、確実にやってまいります高齢化社会の到来等々にかんがみ、そしてまた本法案の審議に際しまして、まず高齢化社会と老人医療について、第二に医療供給体制について、三点として現行の医療制度の矛盾と老人保健法について、第四番目として医療法の問題について、第五として退職後の医療継続について伺い、さらに第六番目といたしまして、拠出金の性格と老人保険料の定め方等々について尋ね、さらに老人保健法の、医療を除くヘルスですね、保健事業について、さらに保健事業全般について、各般にわたり以下御質問を申し上げたいと思っております。
 そこでまず第一に、高齢化社会と老人医療についてお伺いをいたしたいと思います。
 わが国における高齢化社会についての最近の論議は、高齢化のマイナス面、たとえば高齢者の扶養にかかわり得る生産年齢人口の激減、一方これに扶養されなければならない対象者である高齢者の急増という点に集中していまして、高齢化社会について常に暗く悲しい側面しか見られない現状であろうと思います。実は、高齢化社会とは、人類の歴史が英知を傾けて闘い取った文明社会にほかならないと考えます。そういった点で高齢化社会をどう見るか、どのように認識をしているのか、まず明らかにしていきたいと思います。
 まず、大臣の御見解をお伺いいたします。
#78
○国務大臣(森下元晴君) 高齢化社会に入ったということは、御指摘のように人類の英知が生んだ高度な文明、文化社会に入ってきたという一面もございます。平均年齢が一年延びるということは、ちょうどピラミッドと同じように、底辺を広く大きくしなければ一メートル高くならないと同じように――一歳、二歳と平均年齢が延びていく、しかもわずか三十数年の間に世界に例を見ないスピードで高齢化社会になってきたということは、それだけ日本の医療とか、薬、またそれに対する国民の認識、協力、また政治もそうでございますけれども、そういうすべての総合的な力が高齢化社会を迎えるような文明、文化社会をつくり上げたんだというふうに、私はいま御指摘のような認識もしておるわけでございます。
#79
○高杉廸忠君 問題は、いかに健康に加齢するかという点に集中できると思います。わが国の医療その他諸施策については、そういった高齢者が健康に加齢し得るための対応といった点で、はなはだ不十分であったと言わざるを得ないのであります。本老人保健法案を審議するに当たりまして、現在、老人の医療のあり方を見直すというか問い直すというか、そういう時期にあるのではないかと考えるんです。従来の惰性で老人に対する医療が行われてはいけないのではないかと、こういうように思うんです。そういった観点から順次質問をいたしたいと思いますが、大臣はまず、こういった点にいかなる御見識をお持ちでありますか伺うところであります。
#80
○国務大臣(森下元晴君) 高齢化社会を迎えて平均年齢が上がった。いま御指摘のように私も、健やかに高齢化社会を過ごさなければいけない、寝たきり老人とか植物人間のような形で平均年齢が上がることは本当の福祉社会でない、このように実は思っておりまして、健やかに老いていくためにはいかにすべきかということで、老人保健法もそういう目的を持った法でございまして、この法の運用によって、老人が健やかに生きがいのある老後が送れるようにいたしたいと、このように思っておるわけであります。
#81
○高杉廸忠君 大臣も御承知のとおりに、老化が進むと治療効果があらわれるのに時間がかかることは言うまでもないんです。従来の医療技術は、若年者を対象に開発を進めてきたものと思っているんですが、それをそのまま老人に当てはめて即効性を期待したり検査や治療を集中的に行うことは、弊害を生じやすいんではないか。現に多くの弊害を生じているところであると思うんです。技術中心だけではなくて患者中心に考える、ゆとりを持って老人に対応していくことが何よりも必要であると思いますけれども、そういった点どのように考えておりますか伺います。
#82
○政府委員(大谷藤郎君) 医療というのは本来、痛みを取り除くとか化膿したものを切り開くとかいうふうな技術上の問題だけではありませんで、心理的精神的あるいは社会的な側面からも、トータルにこれをアプローチするということが必要だということは当然のことでございます。特に先生も御指摘のように、お年寄りの方々につきましては、家族との関係あるいは社会との関係あるいは経済的負担の問題等々多くの精神的心理的な問題を持っておられる、また生活上の問題を持っておられる。そういうふうな意味で、単に長引いている病気を技術的あるいは身体的に処理するということだけではなしに、そういった面の配慮ということが特に必要であろうかと存じます。
#83
○高杉廸忠君 御承知のとおりに、老人患者は環境への適応力が低下していると思うんです。そのため、生活環境から生ずる心身のストレスによって、病気が悪化したり治療が十分な効果を発揮しないということが少なくないと思うんです。したがって、老人患者に対しては、診療だけではなくて、カウンセリングであるとか、あるいはケースワーク、このことが必要であって、何よりも患者中心の看護が行われなければならないと考えるんです。現在の老人に対する医療がそういった点を配慮するものになっていると言えるのかどうか、どういうふうにお考えになっておりますか伺います。
#84
○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、当然のことといたしまして、そういった点に配慮しなければいけない、包括医療として進むべきだ。でありますから、単にお医者さんに治療を受けるということだけでなしに、看護婦さんその他ケースワーカー、いろんな方々の援助も得まして、総合的にそういった点にアプローチしていかなければならないということが言われておりますし、現にそういう方向に向かっているわけでございます。しかし、確かに先生御指摘のように、そういった問題が万全にできるというふうにはなかなか、多くの人手、多くの設備というふうなものも要しますので、むずかしい点もあるかと存じます。
#85
○高杉廸忠君 これは現在の医療保険制度のあり方とも深い関係があると思うんです。診療報酬が出来高払いであること、そこでは検査や注射や投薬には個別の評価がされていることが大きな影響を与えているのではないかというふうに思うし、それが弊害としてあらわれているんではないかと、こういうふうに思うんです。その点はいかがですか。
#86
○政府委員(大和田潔君) 現行の出来高払い方式につきましては、いろいろ問題が指摘はされておりますけれども、長年これでやってまいったものでございますし、その方式の基本を改めることはなかなかむずかしい問題でございますが、この現行方式の長所、現行方式に長所はあるわけでありますが、これを生かしつつその短所を補完する施策を推進していきたいというふうに考えておるわけでございます。昨年六月の診療報酬改定におきましても、物と技術の分離を図るなどをいたしまして、技術料重視の診療報酬体系の確立に努めてまいったところでございます。今後ともこの技術料中心の診療報酬体系の確立がなされますように最大の努力を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#87
○高杉廸忠君 一方、看護に対する報酬、これは実際に行ったその看護の内容とは関係なく、入院患者一人につき一日幾らという一定額が施設・基準別に支払われるだけではないかと、こういうふうに思うんですね。この点はどういうふうにお考えですか。
#88
○政府委員(大和田潔君) 現在の診療報酬点数につきましては、看護料を含めまして、保険医療機関の健全な経営と患者に対する適正な保険医療が確立され、また各診療科ごとの均衡が保てるように設定をされておるものでございます。で、この看護につきましても、この看護の行為を点数化するというようなことにつきましては、なかなか患者個々の病状であるとか、あるいは看護行為の種別とか頻度、いろいろ複雑な要素がございまして、いま先生おっしゃいましたような現行診療報酬点数表にこういったものを導入することはなかなかむずかしいわけでございます。
 ただ、看護につきましては、御承知のように、昨年六月の診療報酬改定におきましても、看護料につきましての引き上げを行っておるところでございますし、また重症者加算制度というようなものを設けまして、これらを評価しておるところでございます。今後ともこれらにつきましては、いろいろと御意見を承りながら審議を進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
#89
○高杉廸忠君 診療所へ入院した患者に対する看護料ですね、これは昭和五十六年七月現在では一人一日七百八十円、こうなっているようですが、確認したいと思いますが、そのとおりになっているんですか。
#90
○政府委員(大和田潔君) そのとおりでございます。
#91
○高杉廸忠君 もう少し看護行為を個別に評価する点数表が必要だと思うんですけれども、これはどういうようにお考えになっておりますか。
#92
○政府委員(大和田潔君) 先ほど触れましたように、この問題につきましては、看護料も含めまして、これは保険医療機関の健全な経営というものが確保され診療科ごとに均衡が保てるように、そういうようなことで設定をされたものでございまして、したがいまして、いまのような看護料につきましても、決して妥当でなくはないというふうに考えるわけでございます。
 なお、先ほど申しましたように、重症加算というようなことも加えまして、看護料に対する評価というものは行われておるんではないかというふうに考えるわけであります。
#93
○高杉廸忠君 リハビリテーションも、専門職である理学療法士が患者さんと一対一で長時間にわたって運動療法を行った場合でも、低い評価しか受けてないと思われるんです。点数表の上で専門職である理学療法士等がどのような評価を受けているのか、具体的にひとつ伺いたいと思うんですけれども、どうですか。
#94
○政府委員(大和田潔君) いまの先生の御質問は、リハビリ関係の点数というものをどう評価しているかと、こういうようなことであろうかと思います。
 これにつきましては、私ども昨年六月の医療費改定におきましてかなり評価したところでございまして、たとえば身体障害運動療法というものにつきましては、認定施設で複雑なものというものを例にとりますと、百六十点を三百点と約倍近くに引き上げておるところでございます。さらに作業療法におきましても、簡単なもの、複雑なものがありますが、たとえば複雑なものをとってみますと、同じように身体障害者作業療法複雑なもの、これは百六十点を、昨年の六月に同じように三百点に引き上げておるというようなことをやっております。また精神リハビリの観点から申しますと、精神科通院カウンセリングといったようなものを百十点から二百点に引き上げておりますし、精神科デーケアもやはり百点から二百点というふうに引き上げておる。こういったようなことで、リハビリテーションにつきましては、かなり積極的に評価を行っておるというふうに私どもは考えておるところでございます。
#95
○高杉廸忠君 私どもの聞くところでは、リハビリテーションの専門職である方々の点数表の評価についてはかなりまだ低い、こういういろんな陳情や御意見をいただいているんですよ。そのことが看護婦や理学療法士の方々の要員の不足、こういうことと相まって、老人医療にとって不可欠な看護やリハビリテーションの供給を大きく阻んでいるんではないか、こういうふうに思うんです。この点はいかがですか。
#96
○政府委員(大谷藤郎君) 私は実態についてちょっと申し上げたいんでございますけれども、確かに看護あるいはリハビリテーションといったものが非常に需要が高まっている、そういうふうなことでございますが、いままでこういった点に着目いたしまして、看護婦等につきましては、たとえば第一次需給計画あるいは第二次需給計画というふうなことで進めてまいっておりまして、昭和四十五年、看護婦の場合、三十三万五千二百四十四人を一〇〇としますと、第一次需給計画の終わりました昭和五十三年には一四六・六、つまり一・五倍、また第二次が終わります昭和六十年には二倍、二〇〇というふうな数字になるというふうになっているわけでございます。
 また、理学療法士及び作業療法士につきましては、これは看護婦の制度と比べまして、大変おくれて発足いたしましたものでございますから、非常にその点は問題でございますけれども、最近急激に伸びておりまして、たとえば理学療法士につきましては、発足いたしました年に百八十人というのが、昭和四十五年には千八十二人、昭和五十六年には三千四十五人。また作業療法士につきましては、発足いたしました年が二十二人、四十五年に三百五人、昭和五十六年には千八十九人と、こういうふうにほかの事業に比べますと相当数増加をいたしているというふうに考えているわけでございます。
#97
○高杉廸忠君 午前の同僚委員の質問でも、OT、PTに対する養成についてはまだ不十分だという指摘はあるし、私もそう思うんです。で、お年寄りなるがゆえに、積極的な診療も看護もリハビリも行うことなく、漫然と入院を続けさせるということが行われているのでは、私は非常に残念だと思うんです。現状はそうだと思うんですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
#98
○政府委員(大谷藤郎君) 確かに、先生おっしゃるように、できる限りそういった面にウエートを置いて、いわゆる包括医療という見地で、医療というものを狭い医療の枠の中だけでなしに進めていくべきだと思います。それについてはいろんな諸方策があろうかと思いますが、私どもといたしましては、いろんな方策を考えてこれを段階的に進めていかなければならないというふうに考えるわけでございます。
#99
○高杉廸忠君 お年寄りの健康の問題を考えると、どうしても医療と福祉の連携が欠かせないものである。これは否定できないと思うんですね。行政だけに任せておけない。患者なりその家庭の立場に立っての親身な相談等にあずかる人が必要なんだと思うんです。そういう際に、制度化されてはいないけれども、メディカル・ソーシアル・ワーカーですね、医療ソーシアル・ワーカーの設置が必要となると思うんです。現在この制度についてどういうようなお考えを持っておられるのか、この際お考えを聞きたいと思っているわけです。
#100
○政府委員(三浦大助君) 医療ソーシアル・ワーカーと申しますのは、医療機関あるいは保健所におきまして、疾病の治療、予防あるいは更生の妨げとなりますような患者や家族の経済的あるいは精神的社会的な問題につきまして、患者、その家族を援助するものでございますけれども、特に社会の適応性がややもすれば乏しいという方、あるいは福祉サービスに対するニーズが比較的高い老人につきましては、この医療ソーシアル・ワーカーの役割りというのは、非常に大きいのではないだろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。従来から私どもの方で、日本医療社会事業協会というのがございまして、これと共催いたしまして、講習会の実施とかいろいろなことをやりまして資質の向上に努めているわけでございます。
#101
○高杉廸忠君 そういうようなお考えであるにもかかわらず、現状は御承知のとおりに医療ソーシアル・ワーカーがまだ国の制度としては確立をしてないわけですね。報道によりますと、一般にはメディカル・ソーシアル・ワーカーの存在を知らない人も多い。そして、いまお話がありました日本医療社会事業協会の調べでは、医療ソーシアル・ワーカーがいるのは、国立病院で五カ所に一カ所、都道府県立で四カ所に一カ所程度の状態ですね。こういうような状態で望むらくは、これだけ大きな役割りを持ってきている社会の趨勢なんだから、これは制度化をして、そしてお年寄りの方々に対する対応、これも国の制度としていく必要があるのではないかと、こう考えるんですが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
#102
○政府委員(三浦大助君) 医療ソーシアル・ワーカーの機能というのは、一般的には医師とか保健婦、看護婦あるいは特定の事務職員がその役割りを代行しているのが現状であるわけでございます。その業務につきましては、一般のソーシアル・ワーカーや保健婦などの業務と明確に現在区別することが非常に困難な面もあるわけでございまして、一般のソーシアル・ワーカーの身分の資格が法制化されていないという現状で、医療ソーシアル・ワーカーの資格制度をいま直ちに法制化するということは、いまの時点では非常にむずかしいんではないかというふうに考えるわけですが、この役割りのこれからの重大性ということを考えますと、私ども何とか早くこの身分を確立してあげなければならぬというふうに考えておりますので、いま内部においていろいろ検討しているわけでございます。
#103
○高杉廸忠君 言うまでもなく、欧米先進諸国については、この制度はすでにもう制度化されて、医療チームに欠くべからざる職種としてその位置づけがきちっとされているわけですね。わが国ではいまのようなお話の状態。その活動というのは、お年寄りの方々、それから確実にやってくる高齢化社会に対する対応、こうなりますと、その対応の一つのきちっとした位置づけ、こういうことが必要であって、いまのような現状では一体具体的にどう進むのかというような展望が私はないんじゃないかと思うんですが、そういう制度化ができない理由というのは具体的に何があるのですか、ちょっとその辺を示していただきたいと思うんです。
#104
○政府委員(三浦大助君) 先ほど申し上げましたように、一般のソーシアル・ワーカーとの、あるいは保健婦との業務の区別というのが、まだ明確にされておらぬということが一つございまして、まだソーシアル・ワーカー自身の身分が確立されていないということで、医療ソーシアル・ワーカーの身分をどうするかという、その辺の区別がまだ非常にあいまいな点がございます。先ほど申し上げましたように非常に大きな役割りをこれから担っていくわけでございますから、何とか私の方で検討を早めてまいりたいと考えております。
#105
○高杉廸忠君 ぜひ制度化についても積極的に取り組みをいただきたいとお願いをするところであります。
 それから続けますけれども、医療ソーシアル・ワーカーの充足率の低さの原因、これはどこにあると考えておりますか。先ほどのお話でも、いよいよこれからの制度化に向けて養成も必要だろうし、業務分担、役割りというものも必要だろうと、こう思うんです。そういう将来の展望の上で十分確保していく必要がありますが、いまは非常に低い充足率になっているけれども、どこにその原因があるか、この点わかっていたら教えていただきたいと思うんです。
#106
○政府委員(三浦大助君) 一つは、先生御指摘のように、身分が確立しておらぬということがあろうかと思います。保健所におきましても、現在八百五十五の保健所がございますけれども、全部で百六十名しかおらぬわけでございまして、また、あるいは病院の中でこれが医療の面でまだ点数化もされておりません。そういういろんなもろもろの理由で設置がおくれているんではないかと思いますが、先ほど御指摘ございましたように、やっぱりその役割りをきちんと明確化するということが一番最大の問題じゃないかと思います。積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
#107
○高杉廸忠君 いまお話しのように、確かに社会的任務に対する一般の認識といいますか、まだ不十分さもあると、こう思うんですけれども、しかし最大のネックは、お話がありましたように専門職としての資格制度が確立していない、このことが大きな原因である、こういうように思うんですね。この点は先ほどのお答えからも明らかだと思うんです。しからば、こういう医療とか福祉とか、これからお年寄りに対する先ほど申し上げました対応ですから、積極的にこれらの制度化をしていく。こういうような前向きの取り組みについていま要請もいたしましたけれども、こういう専門職としての資格制度についていろんな役割り分担があるし、包括医療というようなさっきのお話もありましたけれども、そういうようなことで現在進められているこういう取り組みに対しての、何といいますか、資格制度については具体的に何かお考えがあるんじゃないかと思うんですけれども、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
#108
○政府委員(三浦大助君) まだ具体的にどう進んでいるということも申し上げるような段階には至っておりませんで、昨年の暮れにもこの団体の方からいろいろ御相談を持ちかけられておりますので、私どもいま内部でむしろいろいろ相談をしておりまして、その相談の結果、これから団体とどういう協議をしていこうかということもございますので、中身につきましてはまだ御説明申し上げるような段階には至っておりません。
#109
○高杉廸忠君 医療ソーシアル・ワーカーの大学教育における養成、それから資格制度の実現、その職種としての確立というのは、先ほども申し上げましたとおりに緊急事である、こういうように思うんですね。今日の老人医療にこういったきめの細かな対応がおくれていることにこそ問題があるんではないか、私はこういうふうに考えるんですが、この点はどういうようにお考えになっていますか。
#110
○政府委員(三浦大助君) いま私ども、こういった仕事に対しましては、中で老人保健の推進力になります、主力な推進力になります保健婦さん方にいろいろその種の役割りもお願いしていこうかということを考えております。
#111
○高杉廸忠君 次に、医療供給体制等について以下質問をしていきたいと思うんです。
 現在審議しております本法案の第一条の目的において、「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し」云々、こうしています。国民がこの目的を読んだときにどのように感ずるのか、こういうふうに思うんですけれども、わが国医療の現状に非常に不安を抱いている国民は、この目的の中に使われています「適切な医療の確保」とは医療保険の前提条件であります医療供給体制の整備を真っ先に考える、こういうことだろうと思うんです。
 本法案では、ヘルスですね、「保健事業を総合的に実施」するとうたっていますが、保健事業はいまでも公衆衛生で行われているところですね。本法案ではそれらを若干力を入れて行われようとしていますが、保健事業を行う体制が一朝にしてでき上がる、こういうわけにはいかないと思うんです。とすると、結局、残りは各保険者による財政調整だけということになる。医療費増大に対する歯どめはされようとしていない。これはきのうの参考人のお話からもそのことがうかがわれる。医療供給体制も不備のまま。
 もともと老人保健法案が検討されるようになった発端というのは、老人医療無料化を一部有料化しようと財政当局から昭和五十年の予算編成段階で指摘されたことであった、こう考えるんです。そして財政当局の挙げる理由の一つは、老人が、お年寄りが病院から病院へ過度な受診を受けていると見られる事例です。そのときの調査によれば、一カ月に六十八回も受診した事例というのが挙げてあるんです。先日の本委員会でも論議されましたが、厚生省は、この財政当局の過度な受診がなされているということを厚生省自身が認めているのかどうか、いま申し上げましたようなことを厚生当局が認めておられるのかどうか、どのようにお考えになっておりますか伺います。
#112
○政府委員(吉原健二君) まあ過度な受診があるかどうか、過度な受診とは何か、いろいろ人によって御意見が違うかと思いますけれども、率直に言いまして、老人医療の無料化制度によりまして、行き過ぎた受診というものがときに見られることがあるということはよく指摘されることでもございますし、私どももそういう面が率直に言ってあろうかと思っております。先ほどもこの委員会でお答え申し上げましたけれども、行政管理庁が行いました行政監察報告におきましても、そういった例が具体的に指摘をされているわけでございます。
 そういったことから、行き過ぎた受診というものがないように、またそれは本人なり、患者さんなり、医療機関なりの自覚の問題もございますけれども、制度的な面でも検討すべき面があるのではないかというふうに思っているわけでございます。
#113
○高杉廸忠君 この「わが国の医療保障について」という五十年六月のこれを見ても、いまの老人の過剰な受診の事例としていま申し上げましたようなことが載っておりますし、なお四番目として、医療費増大の影響というのは各医療保険ごとに相違があるけれども、老人を多く抱えている国民健康保険においてその影響が最も大きくあらわれている、こういうふうに言われているんですが、これはそのとおりにお認めになっておられますかどうか。
#114
○政府委員(吉原健二君) そこに書いてございますいま御指摘の点は、そのとおりの面があろうかと思っております。
#115
○高杉廸忠君 わが国の医療施設数、病院数、ベッド、一般診療所、これは世界第一位、病床数はソ連に次いで世界第二位、これはわが国の現状なんですが、反面、患者の在院日数は、諸外国に比べて、五十五・一日であり、六十五歳以上が百三・一日、こういう状況ですね。しかし、その医療施設については、諸外国と同様都市部に偏在をして、都市部でも埼玉や千葉などの人口急増地区では不足をしているような状況ですね。したがって、病院がサロン化されていると言われているのは一部の地域であると言うことができるんですが、老人の医療保障を考える場合、諸外国と比較をしておくれている点は、老人専門病院の不足、
 これが考えられると思いますし、あるいはまたナーシングホームのような中間施設のないことが考えられるんです。さらに在宅医療のおくれ。こういうふうに私は考えるんですが、これはどういうふうにお考えになっておられますか。またその現状をどういうように把握されておられますか伺います。
#116
○国務大臣(森下元晴君) 老人の医療保障が諸外国に比べて立ちおくれておるではないかという御質問でございますが、老人の医療保障を考えた場合に、老人の心身の特性に配慮しつつ医療供給体制の整備を図るとともに、その推進に当たりましては、保健対策や福祉施設と連携を保ってまいる必要があると認識しておるわけであります。
 特に、今後における人口構成の高齢化に伴いまして、老人の機能回復を図るためのリハビリテーションが重要であると考えますんで、リハビリテーション機能を有する医療機関の整備とか、それからOT、PT等の医療従事者の確保について重点的に今後推進してまいりたい。ということは、これだけおくれておるということでもございます。また、常時医療を必要とはしないが介護その他のケアを必要とする者については、特別養護老人ホーム、この特養への収容や、それから在宅福祉サービスの提供のほか、必要に応じまして医療と福祉の連携を図っているところでございまして、おくれた施設の充実及び施策間の連携強化をさらに図ってまいりたい。
 なお、老人の看護や介護を中心としたナーシングホームについては、医療法上の位置づけ、福祉施設との関連、それから費用負担のあり方など、検討すべき多くの問題がございますので、今後関係方面の御意見も伺いながら検討してまいりたい。
 この老人医療の問題は、諸外国に例を見ない制度でもございますが、この制度とは別に、また外国には外国として老人専門病院、中間施設、そういうすぐれた点がたくさんございますので、そういう点も十分勉強いたしまして、老人医療とまた老人の社会保障という面においては今後急速に追いつくための努力をいたしたいと、このように思っております。
#117
○高杉廸忠君 次に医療従事者について伺いますが、厚生白書にありますとおりに、五十五年度末には医師、お医者さんの数、人口十万に対して百四十人になると、こういうふうに推計をされていますし、当面の目標とした六十年までに人口十万に対して百五十人、六十年を待たずに達成できることが確実になっていると、こういうふうにしているんですけれども、具体的に何年に達成できるのか、こういうようなことで伺いたいと思うんです。
#118
○政府委員(大谷藤郎君) 医師国家試験の合格率等を勘案いたしまして推計いたしますと、昭和五十八年中に達成できるというふうに推計をいたしております。
#119
○高杉廸忠君 この厚生省目標の人口十万に対して百五十人、これが達成をされても、五十八年と言われましたが、都道府県間に格差が見られる。同じ都道府県でも、たとえば一例を挙げますと、北海道にとりますと、北海道の百二十九・四人に対して札幌市は二百五・五人、このように都市部への偏在等の問題があるというふうに考えるんですね。こうした状況に対して厚生省はどういうように考えておられるのか。たとえ五十八年に達成できると言っても、同じ県なり同じ地域の中でも不均衡になっている、格差がある、こういう現状ですね。
 それから最近、医師の過剰時代の到来が言われているということですけれども、こうした地域的偏在があっても過剰と言えるのかどうかですね。この点が第二の問題。
 それからついででありますからもう三点目として、厚生省は五十八年までに医師の適正数を割り出していまのように達成をする、こういうことなんですけれども、こういう一つの均衡がとれるような具体的な策といいますか、施策といいますか、これはどのようにお考えになっているのか、これもあわせて伺いたいと思うんです。
#120
○政府委員(大谷藤郎君) いままで無医大県の解消でありますとか、あるいは自治医科大学を設置する等のことをいろいろやってまいりまして、府県間格差あるいは地域間の格差というものを是正しようということでいろいろ努力してきたわけでございます。しかし、確かに先生おっしゃいますように、この問題につきましては、多少改善されておりますけれども、いますぐこれが改善できるかというと、これはまことにむずかしい点があろうかと存じます。特に、そういうわけで、目的を五十八年中に達成すればそれは過剰と言えるのかというお尋ねでございますけれども、そういう意味では地域間格差というものを是正しなければ、これは過剰であるというふうには申せないように思うわけでございます。
 したがいまして、これをどういうふうにやっていくかということでございますけれども、多少オーソドックスで迂遠というふうな点もあろうかと思いますけれども、やはり年来私どもとして推進してきております地域医療計画というものをじみちに近めていく、あるいは僻地医療対策というものをさらに一周推進していくというふうなことで、こういった問題に対処していくつもりでございます。
#121
○高杉廸忠君 この医師の地域偏在ですね、これは都市と農村の医療格差の問題にとどまらずに、医療の機会、チャンスもない無医地の存在、これは現状のとおりであろうと思うんです。昭和四十八年より五十三年までは多少無医区が減少していますけれども、依然として全国に千七百五十の無医地区が現存するわけなんですね。最も多いのが北海道、先ほども申し上げました例でありますけれども、北海道の二百九地区、こういうふうになっているんですね。この無医地区対策それから僻地医療対策、これについてどういうように取り組んでこられたのか、あるいはまたこれからどう取り組まれるのか、これもあわせて伺いたいと思うんです。
#122
○政府委員(大谷藤郎君) 無医地区あるいは僻地に対してどのように取り組んできたか、これからどういうふうにやっていくかというお尋ねでございますが、昭和三十年代の初めごろから、医療行政の最重点施策といたしまして、第一次僻地医療計画というものを策定いたしまして以来、昭和五十五年には第五次計画を策定すると、こういうふうなことで進んできているわけでございます。
 最近の第五次僻地医療対策計画について御説明申し上げますならば、第一には僻地医療供給体制のかなめといたしまして、広域市町村圏単位で僻地中核病院を整備し、またあわせて僻地診療所、僻地保健指導所を整備する。つまり従来の単なる点から面への拡大を図って、層を厚くして僻地あるいは無医地区の対策を進めていく。二番目には、僻地巡回診療車あるいは患者輸送車等のそういうふうな移動性というものを確保する。三番目には、僻地巡回診療というものを実施する。また、最近の科学の成果でありますところのいわゆる情報処理伝送装置、こういうふうなものを利用いたしました僻地医療情報システムというものを僻地医療計画の中に組み込んでこれを進めていく。また五番目には、医学生に対しまして修学資金を貸与する。また僻地勤務医師を紹介する業務を行う、あっせんを行う。こういうふうなことを柱といたしましてやってきております。五十七年度には総額四十七億円ということで僻地医療対策を進めることにいたしております。今後とも一層この点につきましては力を入れてまいりたいというふうに考えております。
#123
○高杉廸忠君 点から面への僻地対策、大変結構だと思うんですけれども、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。
 同時に、僻地中核病院の整備が僻地医療対策の中心であるわけですけれども、現在の話では中核病院になかなかお医者さんが定着をしないということをよく聞くんですよね。五十四年末に全国自治体病院協議会と開設者協議会とが行った全国自治体病院・診療所、国保直営診療所などを対象にしてのお医者さんの充足状況実態調査によりますと、広域の市町村単位に設けられている僻地中核病院は、当時六十一カ所の大部分が含まれているんですね。それから二百ベッドから二百九十九ベッドの病院でのお医者さんの充足率は六八・五%でしかなく、中核病院が十分に機能していない。こういうことが明らかにされているんです。調査は五十四年度のものですが、私が現地のいろんな方からのお話などを総合しますと、その実態はいまでも変わってない、こういうふうに思うんです。
 で、厚生省の方では現状をどういうように把握をされているのか、そしてこれに対する対応をどういうふうにされるのか、これも伺いたいと思うんです。
#124
○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、僻地中核病院の考え方は、第一次以来、第四次計画で初めてこれを取り入れたものでございまして、僻地対策の一つの革命的な物の考え方ということで、私どもといたしましては非常な力を入れている。そういうわけで、無医地区、僻地に対する医療の層を厚くする意味でこの僻地中核病院に非常な力を注いでいるわけでございます。
 したがいまして、そういった僻地中核病院の本来の性格から考えますと、その病院本来の医師のほかに、僻地専任のお医者さん、あるいは看護婦さんをさらに配置して、そして当該市町村圏の無医地区の巡回診療、あるいは僻地診療所への医師派遣等の応援を行うと、こういうふうにしなければならないわけでございます。
 しかし、先生がただいま御指摘になりましたように、私どものそういった期待と申しましょうか、そういうふうなことと同じように実態として医師充足が進んでおりますと非常によろしいのでありますけれども、確かに地域の実情によりましては、先生がただいま御指摘になりましたように充足ができていないところもあるわけでございます。したがって、今後は私どもとしては、この僻地中核病院をできるだけ機能としても魅力あるものに仕立てて医師、看護婦の充足を図る、また都道府県にも、こういった点で僻地中核病院の医師確保について十分努力していただくように指導、あるいは連携ということをやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
#125
○高杉廸忠君 お話ですが、僻地医療対策として五十七年度で百五カ所の中核病院を整備して、いまのお話しのように巡回診療なんかを行っていると、こうお答えいただいたんですが、中核病院にお医者さんが来なければ僻地医療対策というのは絵にかいたもちにすぎないと思うんですね。局長も認めると思うんです。これらのお医者さんの確保について、地方に任せるというようなこと、あるいはまた自治医科大学の卒業生を待つというような消極的な態度というのはちょっと残念なんですね。
 したがって、点から面へというような積極的な今後の対応、対策というようなことで取り組まれるならば、それに見合う裏づけをきちっとして、そして具体的にそういう僻地、無医地区、こういうものに対する医療というのを充実させていくことが私はこれからの仕事だと思うんですが、そういう積極的なことを期待するんですけれども、これらについてもう少し積極的な具体的な姿勢を――大臣どうでしょう。聞いててもなかなか現状は困難なようなお話ですが、進めていかなければこれは困るわけで、大臣どうですか、お聞きになりまして、これからのお取り組みについて。
#126
○国務大臣(森下元晴君) 実は私、徳島県出身でございまして、徳島は御承知のように医師の密度が一番濃い地区でございます。先般北海道のある村長さんがおいでになりまして、徳島県は一番多いから、ひとつ私の方の僻地に徳島県の医師をあっせんくださいというような実は注文を受けたわけでございますけれども、その日本一濃密な私の方の県でも、実は無医村もございますし、また外国の医者の方が離島においでになったりして、しゃくし定規に必ずしも医師の数と適正配置ができないという現実ですね。それは私は目の当たりに見ておりまして、御指摘のように非常にこれはむずかしい問題である。だから、かなり義務づけろような方向でいかないとなかなかむずかしいなあという感じは実はしております。
 そういう点で、この地域医療の問題とか、先ほども御質問ございましたけれども、保健所の問題、また保健センター等の問題で、そういう面で、自由の中にもある程度の秩序を持った方法でいかなければ医療というものは隅々までいかないなと、そういう感じは実はしておるわけでございまして、そういう点でも医療行政、また老人医療の問題につきましてもいろいろ配意、配慮していきたい、このように思っております。
#127
○政府委員(大谷藤郎君) ちょっと事務的なことを補足させていただきますが、僻地中核病院あるいは僻地診療所の医師の充足につきましては、医学生への修学資金というものを貸与するということで対応してきたわけでございますけれども、第五次計画からは修学資金を受けている方々を集めましてワークショップをやる。夏休みあるいは冬休みに、僻地中核病院が中心になっていただきまして、そこへ集まっていただいて、そこで僻地医療あるいは無医地区というものについての医学あるいは人道的な立場からの実態というものを若い学生の諸君に見てもらい、経験してもらい、教えて、そうして、じみちではありますけれども、僻地勤務医師というものの確保という点に努めようということで、ワークショップの予算というものをとりましてこれを実施しております。
 また、先ほども申し上げましたけれども、僻地勤務医師の紹介あっせん事業というものを公の立場からやろうということで、国が費用を出しましてそれも第五次計画からやっているわけでございます。
 先生御指摘のように、もっと抜本的ないい手はないかというふうなことでございますが、私どもといたしましても、こういった諸施策、さらには先ほども申し上げましたように、僻地中核病院というものを魅力的な病院にして、若いお医者さん方がそこで僻地の人道的な立場からと同時に、自分の医学医術というものも勉強できる魅力ある病院づくりというふうなことについても、配慮をしていくというふうな考え方でやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#128
○高杉廸忠君 局長、いまのお話の修学資金貸与のワークショップですが、僻地の勤務医師等の確保の修学資金の利用状況、これはどうなっていますか。
#129
○政府委員(大谷藤郎君) 昭和五十六年度末で三百二十人、貸与月額は月額七万三千円ということで実施いたしております。
#130
○高杉廸忠君 また、さきの全国自治体病院協議会の医師充足状況の調査にちょっと戻るんですけれども、これによりますと、先ほど大臣からもお答えがありましたが、僻地診療所に勤めたがらない日本のお医者さん、この穴埋めとして外国籍のお医者さんに依存しているところが調査でも目立っているんです。その数は、調査したところだけでも二百十五人いるんですね。台湾籍の方が百九人、韓国籍の方が九十九人、この人たちが中心になっていることが明らかにされているんです。
 さらに、このことを裏づけるのが昭和五十五年の医師・歯科医師・薬剤師調査であって、外国人医師総数が千四百七十四人ですね。そのうち診療所の開設者、勤務者で四百三十五人、こういうふうになっているんです。こうした僻地医療が外国籍のお医者さんによって支えられているという現状これは大臣の地元でもそういう例もあるようですから、こういうふうな現状を大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#131
○国務大臣(森下元晴君) 必ずしも、しゃくし定規に十万人当たり百五十人とか百六十人とかという数字は絶対的な基準にならないような感じが私いたしております。いろいろともうぼつぼつ医師を抑制したらどうだろうか、文部省と相談して、というようなことがときどき聞かれるわけでございますけれども、私はまだその段階には至っておらないような感じがいたしておりますし、また保健所なんかでも獣医さんが所長でやられておるようなところもたくさんございまして、もっともっと充実をしなければいけない。
 それと、これも余分なことでございますが、将来医療協力という問題がたびたびいろんな問題で出ておりまして、海外に日本の方がたくさんおいでになって商社活動、外交活動をやられておる、そういうところでも日本の医師が欲しいとか、また日本の病院をつくってくれ、日本の医者に来てくれというような話も大分出ておりまして、そういう面でもかなり、優秀な日本の医師の需要と申しますか、期待されておる点が多いわけでございまして、一概に医師を抑制してどうこうという段階にはまだ入っておらない、このように私は考えております。
#132
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、外国籍のお医者さんが多数僻地で御活動いただいているということは私どもも十分承知いたしております。
 厚生省といたしましては、ただこういう方々におんぶするというようなことだけではなしに、先ほどからも申し上げておりますように、僻地の医師確保対策というものをオーソドックスに進めまして、本当に僻地で喜んで働いてくれる若いお医者さんを確保していくということのために、一層の努力をいたさなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#133
○高杉廸忠君 局長も御存じだろうと思うんですけれども、僻地の医師確保の最大のネックは、僻地へ行くことによってお医者さん自身の医療技術研さんの機会がなくなるというようなこともあると思うし、また子供さんの教育にも問題がある、こう言われているんですね。厚生省は、僻地の医師確保が国会で取り上げられると、こういったことだけで済ましてきていましたが、それではいつまでたっても僻地のお医者さんの確保というのは解消できない、こう思うんですね。施設や設備だけでも解決をされないと思うんですし、さきに申し上げましたとおり、最大のネックの対策は、僻地に勤務しているお医者さんに対する、私の一つの提案でありますが、定期的な医学研修、こういうふうなことを考えてもいいんではないか、こういうふうに思うんです。私の言っているのは、一般的に行われている研修ではなくて、僻地勤務のお医者さんに対する特別な研修、こういうふうなことで医療技術の研さんの機会も有効につくられる、こういうことも必要だと、こういうふうに思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#134
○政府委員(大谷藤郎君) 先生の御提言は確かに一つの見識ある御提言であるように思います。ただ、私どもといたしましても、いろいろ人員確保あるいは予算上の問題等いろいろございますので、この点についてはひとつ御提言を承りまして、また研究の一つにさしていただきたいと思います。
 なお、ちょっと申し添えますが、先ほども申し上げましたように、広域市町村圏に僻地中核病院を設置して、それに対する施設設備あるいは運営費の補助をするという考え方の一つに、僻地で働くお医者さん、看護婦さんに僻地中核病院で研修していただく、応援だけではなしにそこで勉強していただく、こういうふうな要素を私どもは非常に重視いたしておりまして、そういった点につきましては、従来以上に力を入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
#135
○高杉廸忠君 僻地医療を中心に若干質問をしましたんですが、その中でも申し上げましたとおりに、医師の過剰時代の到来も間違いない事実であります。だからといって、僻地のお医者さんの不足が直ちに解消されるということも残念ながらできないのも事実です。また一方において、増大する医療費の総額を抑制することも私は今日の重要な課題ではないか、こういうふうに思うんです。
 医療資源を効率的に利用し、むだな医療費を排除していかなきゃならない。欧米諸国では、医療の供給を抑える以外には医療費を抑えることができないという考えに立って、西ドイツでは過剰地域では保険医の許可を三年間与えない、こんなことが考えられているようでありますし、それから疾病金庫と保険医協会から成る委員会で行われているように思うんです。フランスでは病院改革法、御存じだろうと思いますが、によって医療施設、高度医療機器の設置、これが許可制度となっているわけですね。その他イギリスにおいては、医師不足地域での開業を促進するための診療報酬による配慮が行われておりまして、アメリカでは医療機関や病床数をチェックして新増設を抑えているというようなことを聞くんです。
 諸外国とは医療制度が異なりますが、わが国においてもこうした基本的な医療費の適正化を考えるべき時期に私は来ている、こう思うんです。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
厚生省はこういうような諸外国の例も含めてどのように考えておられるのか。また、これらに対するできれば大臣の所見も伺いたいと思うんです。
#136
○政府委員(大谷藤郎君) 医療施設や高度医療機器につきまして、確かに先生お話しのように、アメリカやフランスなどのように配置の適正を図るための法的規制を講じたらいかがかという点がありますが、これは私どもとしてはなかなかむずかしい点があるのではないかというふうにいま考えているわけでございます。しかし一方では、先生がお話しになりましたように、限られた医療資源の有効活用を図るという点からの医療機関の均衡のある配置あるいは高度医療機器の共同利用を促進していくということは、重要なことであるというふうに考えております。したがいまして、厚生省といたしましては、幾つかの地方自治体ですでに地域医療計画というものの策定が進められておりますが、そういったものも参考にいたしまして、ガイドラインというものを策定して都道府県を積極的に指導していきたい、そうして地域の実情に応じましたバランスのある医療体制の総合的な整備の推進を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 また、高額医療機器の共同利用につきましても、すでに国会においても御指摘を受けておりまして、各都道府県に設置されております医療対策協議会の中に医療資源共同利用対策部会というものを設ける予算というものを確保いたしまして、これでこういった関係者の方々に協議をしていただきまして、その促進を図る、こういうふうに共同利用の施策というものを積極的に進めようとしているわけでございます。
 ただ、事柄が、いままでのいろいろな事情もございますし、非常にむずかしい条件もございますので、この点については私どもも十分それらの点を考慮しながら進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#137
○国務大臣(森下元晴君) この問題は、医療の問題だけではなしに、社会保障制度のあり方について、一つの転機と申しますか、見直し――見直しというのは前向き、また足踏み、後ずさりといろいろな意味を含めた見直しでございますけれども、そういう時期に来ておるような感じがするわけであります。その中で、暮らしと健康を守る社会保障制度の中で健康を守っていこうという問題の中での医療サービスまた保健サービスは、現状の日本ではどうあるべきかということのお尋ねでございますが、諸外国と比べまして、国の負担の割合というものはいろいろまちまちなようでございまして、その点わが国の場合は、むしろどの国よりも国としては非常にサービスをしておると、私はこのように実は思っております。
 ただ問題は、急速に進んだものですから、中にむだが生じたり、また矛盾が生じておる点も実はあるように思います。したがって、限られた医療資源の中でどういうふうに公平にそれを分配していくか、また相互保障の考え方をどういうふうに生かしていくか、また個人の割合をどの程度お願いするかと、こういう問題まで含めた一つの見直しが現代である。
 したがって、この老人保健法もそういう意味で画期的な法案でございまして、いろいろと御議論はあるわけでございますけれども、私どもはぜひ通さしていただきまして、そういう見直し、また一つの転機における新しい社会保障制度、また医療制度、特に高齢化時代を控えました日本の医療制度の中で老人医療をいかにしていくか、また将来の御老人になる方々の健康問題、いわゆる予防の問題、保健の問題についていかにしていこうかという非常に深い意味を含んだ法案でございまして、その点ぜひよろしくお願い申し上げたいと思う次第であります。
#138
○高杉廸忠君 次に、現行の医療制度の矛盾と、いま大臣から法案の成立についての御要望のお話がありましたが、この法案との関係について以下お尋ねをしていきたいと思うんですけれども、本法案は、限りなく増高する国民医療費の原因克服への努力というものを怠って、現在の医療が抱えている諸矛盾というものを放置したままでの新制度の創設ということであって、私は非常に遺憾であると言わざるを得ないんです。私は、薬づけ、検査づけ、これに象徴されるように、医療の不安、それから保険外負担、これらの解消、それから医療機関の適正配置、休日・夜間・救急・僻地等の医療の確保等々の施策がまず先行していかなきゃならないと、こういうふうに考えるんですが、大臣どうでしょう。
#139
○国務大臣(森下元晴君) まず制度をつくってそれからだんだん組み立てていく方法、それから地域医療等のちゃんと基礎をつくって、その上に新しい制度をつくって運用していく方法、いろいろ考え方はあると思いますけれども、これだけ急テンポに高齢化していくと、また同時に、財政がすべてでございませんけれども、老人医療の占める割合等を考えました場合に、私は、この段階でこの制度をつくっていただきまして、そして足らざるを補うという点も多少あると思いますけれども、ぜひ出発をいたしたい。この時期を延ばしますと、それだけ将来大変な苦労、また努力もしなければいけない。この時期がもうぎりぎりの段階である。御指摘のような多少の不備もございますし、先にやらなくてはいけないような問題もあることは私もよくわかりますけれども、それをあえて踏み切らざるを得ないという事態になっておると、このように思っておるわけであります。
#140
○高杉廸忠君 御承知のとおり国民の総医療費は国民所得やGNPをはるかに上回る速度で急増しているわけですね。昭和四十五年に約二兆五千億円であったものが今年度では約十三兆円ですね。さらに六十五年度には二十七兆六千億円にも上ると推計されるんですね。限りない医療費の増高に対する有効な対策、これは今日の医療を考えるについて避けて通れない問題、こういうように思うんです。この医療費の一体どういうところが問題か。いま申し上げましたように急増するわけですから、大臣、医療費の抑制、これについてどうお考えになっておりますか。
#141
○政府委員(大和田潔君) 先に私からお答えいたしますが、いろいろな方策で医療費につきましては節減の方策、適正化の方策を立てていかにゃならぬというふうに考えるわけであります。医療費につきましては、御承知のように人口の増加であるとか、あるいは人口構造の老齢化であるとか、あるいは医学医術の進歩といったようなことで増加するという面もあるわけでございますが、急激な増加というのは国民の負担面に大きな影響を及ぼすわけでございまして、そういったものに対しまして、さまざまな角度から適正化対策を進めなきゃならぬ。指導・監査の強化であるとか、レセプト審査であるとか、何遍も申し上げておるところでございますが、薬価基準の適正化、検査の適正化というようないわゆる医療費適正化対策をさまざまな角度から進めることによりまして、いま先生言われましたようなことに対する対処というものを進めていかなきゃならないというふうに考えておるところでございます。
#142
○国務大臣(森下元晴君) この点は、果てしなく医療費がふえ続けるという心配を五、六年前に私どももいたしまして、いろいろ検討等いたしたわけでございますが、いろいろ行政当局の大変な努力もあったと思いますが、最近数年間の医療費の伸びは一けた台になっておる、七%ぐらいの割合ですね。そういう点で、努力すれば適正化が行われるんだと。またいろいろ国民の御認識また診療側のいろんな理解等、まあ一部新聞をにぎわすような問題もございますけれども、大体良識的な線に行きつつあると、私はこのように実は考えておるわけです。
 ただ、比較するのは諸外国のGNPに占める医療費の割合――何でも外国のまねをしたらいいというわけではございませんけれども、まあまあのところへいま行っておるわけですが、しかしこのまま高齢化社会を迎えますと、成熟度の違いがございますから、飛躍的にふえ続けるんじゃないだろうか。その心配があるわけでございまして、ここらあたりでいろいろな施策をやっておかないと、悔いを千載に残すという気持ちが実はあるわけでございます。
#143
○高杉廸忠君 国民の総医療費については、ずっと推計も含めましていま申し上げたとおりのお答えをいただいたんですが、これを七十歳以上の老人医療費に限って申し上げても、今年度の約二兆五千億円、これは一九・七%ですね。六十年度には四兆三千億円、これが占める割合が二三・二%、そして六十五年度では何と七兆二千億円、二五・九%、こういうように推計をされている状況なんですね。こうした中で、現行の点数出来高払い制度のままでは、大臣はしきりにこの法案を早く成立をというようなお話ですが、この法案が実行に移されるならば、高齢化社会の到来や新しい保健事業の実施とも相まって、老人医療費というものは歯どめを失うんじゃないかというふうに心配をされる。さらに医療費問題は果てしないぬかるみ、泥沼化することは不可避である。こういうふうに私は思うんですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
#144
○政府委員(吉原健二君) 老人医療費の増加の問題でございますけれども、いまおっしゃいましたように、今後六十年、六十五年と老人医療費は国民医療費全体の伸びを上回るような形で伸びていくことは避けられないと、こう思っておるわけでございます。
 したがいまして、この老人医療費の増高に対してどのような歯どめをかけるか。私どもが第一に考えておりますのが、何といいましても、老人の病気をできるだけ少なくするということでございまして、そういった趣旨から、壮年期からの疾病の予防という事業を本格的に進めていこう。ほかにいろいろ対策はございますけれども、病気を少なくする、早期発見をする、早期治療をするということが医療費を抑える、時間はかかりますけれども、一番の近道であり、また正道だろうと思います。
 それから第二番目に、診療報酬体系の問題についての見直しとか再検討ということも必要だろうと思います。予防とか生活指導に重点を置いた診療報酬、あるいはできるだけ在宅、地域で療養ができるような条件をつくっていくこと、こういったこともあわせて考える必要があると思いますし、先ほど来いろいろ問題点を指摘されております一部負担の問題でございますけれども、適切な一部負担というものがむだな老人医療費をなくす、老人医療費に対するいわば歯どめの一つとして機能し得るんではないか。
 そのほかレセプトの審査でありますとか、チェックでありますとか、そういったいわゆる医療費の適正化対策というものも進めてまいります。そういったいろんな対策を組み合わせながら総合的にやるということによって、私は老人医療費の増高というものに歯どめをかけたいというふうに思っているわけでございます。
#145
○高杉廸忠君 さっきも申し上げましたとおり、天井知らずの医療費の増高に対する有効な手だてもないままに、財源の主たる部分を各医療保険の共同拠出や公費に依存する、患者の一部負担も新たに加わる。結局は保険料、租税、窓口の三場面で国民の医療費をいたずらに増加させるものというふうに言わざるを得ないんです。私は、国民の負担増を考えるよりも、先ほども申し上げました点数出来高払い方式の改革、それから医療資源の有効活用、さらには予防、それから生活療法、これらの確立など、国民医療費の肥大化に対する有効な施策を講ずるのが私は本筋だと思うんです。こういう認識についてどういうふうな認識を持っておられますか、大臣にもひとつお聞かせをいただきたいと思うんです。いま申し上げましたとおりの基本的な認識、有効な施策、これについての御見解もあわせて伺いたいと思うんです。
#146
○国務大臣(森下元晴君) 診療報酬の問題につきまして、現在は中医協の意見を聞く、そういうことで中医協にこれらの意図が反映できるように御期待を申し上げる次第でございますけれども、点数を下げるとか、制限するとか、そういうことは考えておりません。
 いまの日本の出来高払い方式は世界じゅうで一番、一部欠点もあるかもわかりませんけれども、いい方法である。医者の自由裁量によって適切な診療ができると思っておるわけでございます。
 ただ、私どもは医療費適正化のために、先ほどいろいろ御説明を各局長からいたしましたように、レセプト審査とか、また明細書を出していただくとか、それから一部負担という、金額的には大きな負担ではございませんけれども、ともに健康の価値というものを認識し合う。たとえば幾ら私のために医療費がかかって、そのうち幾ら私は払うんだという認識だけでも、健康に対する認識、またこの医療に対する認識をしていただける。そういう効果が出てまいりますし、また医師の立場でも、財政状況等を見ました場合に、また老人に対する診療の方法等、いろいろお互いに知恵をしぼって、結果的には財政的にはかなり抑えられるんじゃないだろうか、このように実は思っておるわけでございます。
 そういうことで、非常に放置いたしますと、ある日突然、ドイツがとったような制限法のようなことになりますと、これはあらゆる点において大変な事態になりますから、そういうことを踏まえて、行き過ぎた点はこれを少しずつ直していこう、また足らざる点はこれを補っていこうという、ちょうどタイミングとしては最もいい時期になっておるんじゃないかと、私はこのように思っておるわけでございます。
#147
○高杉廸忠君 いま大臣からお答えになりましたが、中医協のことでちょっと伺うんですが、けさの報道によりますと、中医協を事実上改組して、専門委員会をつくるという構想が伝えられているんですけれども、その専門委員会の役割りとか構成、それからこれからどういうようなことを検討されていくのか。これらについて、報道ですから、こういうことについてのお伺いをしたいと思うんです。
#148
○政府委員(大和田潔君) 中医協の構成あるいは運営のあり方につきましては、各方面からさまざまな御意見を承っているところでございますが、具体的にその構成等を変更する考え方は現在のところは持ってはおりません。しかしながら、これらの御意見で指摘されているような問題点が生じないように、中医協の円滑な運営に努めていかなきゃならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#149
○高杉廸忠君 その検討内容というのは何ですか。
#150
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申しましたように、その構成等、つまり具体的な検討というものはまだ行っておりませんが、要するに、今後の運営が円滑に行われるように、どうしたらいいか、こういう問題なわけでございまして、具体的な案というものにつきましてはまだ持ち合わせていないわけでございます。
#151
○高杉廸忠君 それじゃ問題を変えまして、保健事業と医療費との関係について以下申し上げてみたいと思うんです。
 今回の老人保健法案は保健と医療との一貫性をうたい文句として保健事業を行う、こういうふうにしていますが、その実施については保健婦の確保、それから市町村保健センターの整備計画等、中身がもう一つ不明なんですがね。これを医療費との関係で見ても、ヘルスサービスの成果によって医療費が下がる、こういうことでなければ新しい制度をつくる意味がない、こういうように私は思うんです。健康な老人づくり、医療費減に結びつく、こういうふうに考えていきたいと思うんですけれども、この点についてはどういうようなお考えをお持ちなんですか、伺います。
#152
○政府委員(三浦大助君) 保健事業の実施によりまして、
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
当面、受診率は一たんは上昇するかもしれません。したがって医療費が増加するという場合も予想されるわけでございますが、長期的にはこういった病気の発生を減少させる、したがって早期発見によって、症状が重篤になる以前に効果的な治療を行うことによって、保健事業を実施しない場合と比べて医療費の総額が全体として節減されてくると、こういうふうに見ておるわけでございます。またリハビリテーションとか、あるいは訪問指導によりまして、慢性疾患の老人や寝たきり老人が在宅で療養できるようにすることによって、医療費の節減にもつながってくるんではないだろうかというふうに見ておるわけでございます。
#153
○高杉廸忠君 私は、医療の理想は、そうした一貫性の保たれる中で受診率は最も高く、日常的な生活療法、ケアなどによる予防の徹底によって、一人当たりの医療費は逆に安上がりになることが理想と考えるんですね。大臣、どのようにお考えになりますかこの問題については。大臣の所見をひとつ伺いたいと思うんです。
#154
○国務大臣(森下元晴君) 私は患者の方、特に御老人の方が病院にたびたび行くことについては、それに対してとやかく言うよりも、むしろ今回の老人保健法で積極的に保健ということを考えに入れてできるだけ早く診察をしてもらいなさい、それによって重い病気にかからぬようにしてください、そうすることによってそれだけの医療費は軽減されるというような考え方を持っております。医者に行くといわゆる濃厚、濃密診療で、それだけ医療費が上がるというような心配はあるかもわかりません。それは過去においてほんの一部そういう例が指摘されたことはございますけれども、病院に行くことを心配しているわけでございませんので、早期診察、それによって医療費をできるだけ少なく済むようにしてもらいたい。ほかの問題と違って、むだというのは、診療を早くしてもらわないために重い病気になってたくさん医療費がかかる、これも一つのむだであると、そういうような考え方を持っております。
#155
○高杉廸忠君 沢内村のその例と一貫性の中身について次に伺うんですが、たとえば岩手県の沢内村において、健康診査、健康相談等のヘルス事業の充実によって保険財政に好影響を与えているような例があるんですね。こうしたものを全国的な規模に広げたいというのが本案のねらいとする一貫性の中身、そういうように考えていいのかどうかですね、これも伺いたいと思うんです。
#156
○国務大臣(森下元晴君) 岩手県の沢内村の医療に対する、また社会保障に対する考え方は、まことにりっぱでございまして、模範と私どもはしております。村長さんや病院長さん、また村民が一丸となって、そして健やかに生活していこうと、こういう前向きの姿勢が模範的な村を、保健の上において、また暮らしの上において形成しておると、このように思っております。この前ここの増田院長さんがおいでになりまして、私もいろいろお聞かせ願ったんですが、いま私が申し上げましたようにできるだけ診療に来い、そして軽いうちに治してしまうというのが基本的な考え方のようですね。それが効果を上げております。
 ただし、沢内村とか、長野県の佐久ですか、ここもよく例に出されますが、こういう地域は山村でございますし、わりに行政がうまくいっておるし、病院と一体となってやっておられるというところに特性があると思うんです、地域的な特性。それをそのまま県とかまた国全般に引き伸ばすのはなかなかむずかしい問題があると思いますけれども、ただ考え方において取り入れるべき問題がたくさんある、また示唆される問題がたくさんあると、このように私は実は考えておるわけでございます。そのままはとれませんけれども、一つの社会保障とか、また医療に対する考え方としては理想的な模範に足る進め方をしておる、非常に感心をしておるわけであります。
#157
○高杉廸忠君 先ほども医療の荒廃と出来高払い方式についての若干の質問をしましたが、こうしたいまの大臣のお答えをいただいた状態を理想とするとすれば、現在の医療制度には大きい問題というものがあると思うんです。それは何回か指摘もいたしましたように、わが国の医療が現実には金もうけ、営利の対象となっているということは否定できないと思うんです。そのためには、医療費の増大、不正医療といったような医療の荒廃を生む原因となっている点数出来高払い制度、この是正がどうしてもまず必要だと思うんです。現行の出来高払い制度は、お医者さんの努力や労働に報酬が比例する点など長所として考えられる点もあると思うんです。反面、短所も数多くあるのではないか、こういうふうに思うんです。どのような点が短所であり長所か、こういうことも含めて御説明をいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#158
○政府委員(大和田潔君) 現行の出来高払い方式につきましては、先ほどおっしゃいましたように、医師の働いた量に応じて点数が算定されますので、医師の努力と熱意が反映されるという長所があるわけでございます。一方、請求手続が複雑になる、審査に手間がかかるといったような短所もあわせて持っておるというふうに言われるところでございます。そういったようなことでございますので、この現行方式の長所は生かしながら、その短所を補完するということにいたしまして、この医療費適正化のための施策を推進していくということが必要になるんではなかろうか、このように考えるわけであります。
#159
○高杉廸忠君 局長、いろんな資料によって短所としてまず第一に挙げられているのが、過剰診療に結びつきやすい医療費を高める、第二に質より量の医療になりやすい、三点として技術の差が反映しない、四として予防医療を刺激しない、こういうような特徴的な短所が挙げられているわけですね。これはどういうふうにお考えですか。
#160
○政府委員(大和田潔君) ただいまおっしゃいました点でございますが、一つは過剰ということでございますが、確かに各診療行為の頻度が高くなるおそれがあるということは言えるのではないかと思います。
 それから技術の差という問題でございます。ただ、これにつきましては、技術を評価することによって技術の差というものをなくすということができるんではなかろうか。つまり物と技術の分離ということを行うことによりましてさらに是正される。これは昨年六月の医療費改定におきましてもそのような方向で実施をいたしたわけでございます。
 それから予防医療を刺激しないという点につきましては、現行の保険制度におきましては、保険事故に対する療養の給付を原則としておりまして、これは予防給付というものは含まれていないわけでございます。
 そういったようなことでいろいろコメントがあるわけでございますが、いろいろとこの点につきまして、現行の出来高払い制度の問題点ということは確かに指摘をされるわけでございまして、いろいろあるわけでありますが、先ほど申しましたように、長所あり短所ありというようなことでございまして、先ほどのようにこれは短所を補完していかにゃならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#161
○高杉廸忠君 私はこの際、出来高払い制の採用に起因する医療制度の矛盾を是正するためにも、思い切って人頭払い方式の採用、こういうことが具体的に検討されるべきだと思うんです。たとえば都道府県別の一件当たりの給付について見ても、いわゆる西高東低が言われたり、大臣も御存じのように、富士見産婦人科病院、さらに京都の十全会等々に象徴される医療の荒廃、これをめぐる諸問題は、支払い方式を変更すればかなり改善が期待されると考えるんです。大臣いかがでしょう。
#162
○国務大臣(森下元晴君) 富士見病院とか三郷病院、その他新聞をにぎわした、不正請求したり、また老人を食い物にしたような例がございまして、まことに遺憾きわまりないことでございまして、そういう点だけを見ました場合に、そういう制度も一つの方法であると思いますけれども、ほとんどの医師の方は私はそうでないと実は信じておりまして、出来高払い制度は、必ず裏には医の倫理という一つの精神的な、高度な聖職としての精神的な背景がある、医師としての裏づけのある出来高払い方式という――私は人間の性は善であるという考え方の上に立ってやっていきたい。ただ一部そういうまことにけしからぬ、法を悪用する、出来高払い制度という制度を悪用する医者のあることは、またあったことは事実でございまして、そういう点は別の方法で是正できると思っております。
#163
○高杉廸忠君 注目される老人医療費の支払い方式、これについては、大臣も御承知のとおりに、さきの通常国会で、外国の制度も参考にして新しい方式を考えたい、こういうような前厚相の意欲的な答弁もありまして注目されたことは記憶に新しいところなんです。厚生省として老人保健審議会にたたき台を提示して審議してもらうという意向のようでありますが、厚生省としてはどのような腹案を持っているのか、またたたき台としてそれはどのような案というものを用意されているのか、それぞれの方式についての長所、短所、この際私は示していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#164
○政府委員(吉原健二君) 老人の診療報酬につきまして、どのような診療報酬あるいは支払い方式をとるか、この法案を提出さしていただきましてから、厚生省としてもいろんな角度から実は研究をいたしているわけでございますけれども、率直にいまの時点での考え方を申し上げさしていただきますと、外国の制度、いま例に挙げられました登録人頭払いの方式でありますとか、あるいは西ドイツがとっておりますような請負方式、これを老人医療、わが国に導入することは実際問題として大変むずかしい、率直に言って、いまの時点では無理な点が多いのではないかと思っております。
 その理由でございますけれども、イギリスなどは先生御案内のように登録人頭払いという方式をとっておりまして、日本で言う開業医に限りまして登録医制度をとり、その医師について患者からの登録を前提にして人頭払い的な診療報酬支払い方式をとっているわけでございますけれども、病院についてはそういった方式でございませんで、イギリスの場合の病院は全部公費で賄われているわけでございまして、登録人頭払いという方式をとっておりません。
 それからそういった方式がとれる大前提といたしまして、日本の場合と医療制度が全く異なりまして、登録医、つまり開業医と病院との間に機能上の分化がございます。高度の医療はすべて病院で行う、登録医なり開業医が行うのはプライマリーケアと申しますか、初歩的な初期診療だけを開業医、登録医が担当すると、そういうふうに機能がはっきり分化をしておりますので、ある意味では人頭払い的な診療報酬支払い方式がとれるわけでございますけれども、仮に日本の場合にそういったことをすぐ導入いたそうとしますと、日本の場合には病院と診療所の間にそういった機能分化というものがございません。ございませんで、同時にまた患者が自由に医者を選べる、あるいは医療機関、病院を選べる、こういう自由が保障されているわけでございますけれども、それをある面で制限するような結果になるわけでございます。日本の場合の自由開業医制度、それから患者の側からの医療機関を自由に選択できる制度、そういったものを基本的に変えない限り、なかなか登録医制度というのは導入しにくいという面がございます。同時に、プライマリーケアを担当する医師というのはどういう医師であるべきかというようなこともあわせて考えませんと、いまの開業医そのものをすぐ登録医というようなことにするわけにまいりません。
 そういったことをいろいろ考えますと、現在の日本の医療制度のもとにおきまして、たとえ老人医療に限定をするにいたしましても、すぐ登録医制度を導入するということは実際問題として非常にむずかしいのではないかと思っておるわけでございます。
 それから請負方式、西ドイツでとっているような請負方式にいたしましても、これは実は開業医についてだけとられている方式でございまして、病院については全く出来高払いで支払われているわけでございます。この場合にも、西ドイツの場合にそういった請負方式がとれるということの背景にはいろんな沿革的な理由もございますし、保険者と医療機関の契約によって報酬を決めるという長い歴史もあったわけでございます。そういったことが背景になって請負方式というものがとられているわけでございますけれども、日本の場合には実際問題として請負方式というものをとり得る余地が少ない。御案内のように、昭和十八年までは医師会との請負という方式はとられておりましたけれども、それにはいろんな問題がございまして、それ以来ずっと出来高でやってきているというようなこともございます。そういったことを考えますと、請負方式もなかなか日本の場合にすぐ導入するということはむずかしいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、外国の制度をいろいろ研究しておりますけれども、なかなかそのままの形で日本の制度に導入することはむずかしい。したがいまして、やはり現在の出来高というものを基本的に前提にして、その出来高が持っております欠点なり短所というものをできるだけ少なくしていく方向で老人の場合の診療報酬も考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っているわけでございます。
#165
○高杉廸忠君 審議官、もう法案を出しているんだから、老人医療費の支払い方式の改善というのを具体的に出さなければ審議にならぬじゃないんですか。どうですか。
#166
○政府委員(吉原健二君) 具体的に、しからばじゃ出来高を前提にするにいたしましても、一体どういうことを考えているのかという御質問だろうと思いますけれども、現在の時点で私ども考えておりますのは、現在の出来高払いというものを前提にしながら、できるだけ薬づけとか検査づけと言われているような医療というものが少なく、なくなるような報酬体系というものを考える必要がある。具体的には予防でありますとか、日常の生活指導でありますとか、生活管理というものを重視した報酬体系というものを考えていく必要があると思いますし、それからできるだけ入院というものを少なくして、在宅で療養できる条件を整えていく。在宅の患者に対する医療サービスというものが報酬体系の中で評価され、それが促進されるような仕組みの報酬体系を考えていく必要がある。具体的にたとえばデーケアでありますとか、デーホスピタル、そういったものも現在の診療報酬では正面から認められておりませんけれども、そういったものも考えていく必要があるのではないか。具体的には中医協で、非常に専門的な事柄でもございますので、中医協での御意見というものを踏まえながら具体案というものをつくり上げていきたいというふうに思っているわけでございます。
#167
○高杉廸忠君 審議官ね、もうそういう検討じゃなくて、老人保健審議会にたたき台というものを出さなきゃならないんでしょう、具体的に。だから、出来高払い方式で短所もあり長所もある、これを改善していく。老人医療費の支払い方式についても、いまのお話では、出来高払い方式を前提として、そして老人保健にふさわしい支払い方式というものをたたき台として出すんだ、こういうふうに私は理解しているから、たたき台とは何だと、こういうふうにお聞きしてるんですよね。検討するとかという段階じゃないんで、私はそれを具体的にそのたたき台の案はどんな案ですかと、こういうふうに聞いているんです。それについてはどうですか。
#168
○政府委員(吉原健二君) 現在手元にたたき台の案があるかと言われますと、実はまだ具体的なそういった案というものを持っているわけではございません。従来の中医協での医療費改定の際の御審議の際におきましても、中医協での御審議を踏まえまして、具体的にどの点をどういうふうに改定していくかというふうな具体案をつくっていくというようなことでやってきているわけでございます。したがいまして、今度の老人の診療報酬を中医協で御審議をいただきます場合にも、老人の診療報酬のあり方についてさまざまな御意見がございますので、いま申し上げましたように、外国の制度を導入できるかどうかというような御意見もございますので、そういった御議論をまずしていただきまして、それから出来高払いを前提にする場合にはどこをどういうふうに変えていくか。これは診療側、支払い側さまざまな御意見があろうと思います。そういった御意見を出していただきまして、そして厚生省としての考え方を諮問をしていく、最終的につくり上げていく。そういう実は手順というものを考えているわけでございまして、初めから中医協にぱっと、厚生省はこういうことを考えている、これしかないというような形での諮問というのは、やはりいかがかなというふうに思っているわけでございます。
#169
○高杉廸忠君 大臣ね、大臣はさっき質問に対して、この法案は早期成立してくださいと、こういう御要請があったと私は素直に理解しているんです。それにこたえなきゃならないかなという判断もしているんです。肝心のこの老人医療費の支払い方式がそういうような状態になりますと、一体それじゃこの法案を審議する過程でどうなるのかなというふうに私は疑問に思うんですが、そういう支払い方式のきちっとした案を出して、そして並行していって、それならば早期成立をしようかなと、こういうふうになると思うんですが、それがないとなると審議は慎重に十分な角度からの検討が必要だと私は思うんです。大臣どうでしょうか。
#170
○国務大臣(森下元晴君) 何かたたき台、前の村山大臣もたたき台を出してどうこうという議事録が残っておることも、私も読ましてもらっております。衆議院の段階で御承知のように支払いについては中医協ということになりまして、また同時にそれには御老人の心身の特性ということをよく踏まえた上で診療報酬を決めるというふうに一つの大きな方向が示されておりますし、いままで大体考え方も申し上げたようなことでございますので、逐条的に私の方で案をつくっておるというところまで実はいっておりません。
 ただ、基本的な考え方は、いま吉原審議官がお話ししたようなことでもございますし、また衆議院の段階でああいうふうに修正があったことも事実でございまして、その上に立って私どもも心組みをするし、また当然これは、政府といたしましては、衆議院の修正を尊重してやるわけでございますから、その趣旨に沿って診療報酬の方向を決めさしていただく。またそういうような基本的な考え方は先ほども申し上げたとおりでございます。
#171
○高杉廸忠君 この法案を出した当事者としての厚生省として、いまのような老人医療費の支払い方式については、現状としては具体化されていないというのは非常に残念だと思いますし、早急にこれは確立をしていただかなきゃならぬと、こう思うんです。これは強く要請をしておきます。
 老人保健医療制度における支払い方式について審議官がお話しの中に、老人の特性にふさわしいものを検討する、現行の出来高払いの欠点を合理化したい、こういうようなことで出来高払いを前提としたものでもお考えになっているような方向で言われましたが、ここで言う老人の特性、これは一体どういうことを言うのか、具体的にひとつ示していただきたいと思うんです。
#172
○政府委員(吉原健二君) 老人の心身の特性として考えられますのは、第一に、よく言われることでございますけれども、疾病にかかりやすく、一人で多くの病気を持っている、複数の病気を持っているということが第一の特徴だろうと思います。
 それから病気の種類という点から見ますと、いわゆる循環器系の病気、高血圧でありますとか、脳卒中でありますとか、心臓病といった循環器系の病気が圧倒的に多い。国民健康調査によりますと、件数にいたしましても、あるいは費用にいたしましても、大体四〇%がこういった病気で占められております。がんが大体一割近くになっておりますので、その三大成人病で半分以上老人の病気が占められているというようなことがございます。これに対しまして、若い人の場合には、循環器系の病気は一四、五%程度と、老人の場合に比べてはるかに少ない率になっておりますので、何といいましても、老人の病気の場合にはこういった病気を中心においての診療報酬というものを考える必要があるということが第二点でございます。
 それから第三に、生理的な老化というものが併存をいたしますので、なかなかその病気と老化の区別がしにくいというようなこともございますし、機能障害を伴うことが多いわけでございます。したがいまして、リハビリテーションの持つ意味が大変大きいと思いますけれども、そういった意味での診療報酬面での配慮が若い人と違って必要になってくるのではないかと思います。
 それから先ほどの病気の種類との関係でございますけれども、予防とか生活指導、そういったものが、薬とか検査というものよりもはるかに重要な意味を持ってくる場合が多いわけでございますので、薬とか投薬だとか検査、注射というものよりか、そういったものに重点を置いた、ウエートを置いた診療報酬というものを考える必要がある。
 それから同時に、最初に先生御指摘があったかと思いますけれども、老人の病気には心理的な面、社会的な面あるいは家族との関係、家庭環境との関係、そういった点が老人の病気に大変大きな影響を与えることがございますので、そういったことも考慮した診療報酬というものを考える必要があるのではないか、そう思うわけでございます。
#173
○高杉廸忠君 そういうことであるならば、審議官、老人医療については、薬物を中心にした現行の出来高払い制度、方式ではなくて、食事や運動それから休養、こういうものを含めた日常的な健康管理、生活療法の評価を基本とした登録人頭払いまたは総額請負方式を採用するのが理にかなっていると思うんですよ。いまのような御説明であって、慢性化重度化し日常的なケアが必要だ、循環器系統の病気が多い、予防生活指導が大事だ、心理的な問題での相談等も含めたケアが必要だ。こういうようなことを考えると、なおさらそういうふうにいまの支払い方式を変えていくことが理にかなうんだというふうに私は思うんです。
 こうした老人の疾病構造を認識するならば、出来高払い制度というものを変えていくことを具体的に、先ほども支払い方式で申し上げましたが、考えていくべきだと、こういうふうに私は考えるんです。大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#174
○国務大臣(森下元晴君) お答えにならぬかもわかりませんが、実は私は、小児科とか婦人科があって何で老人科がないんだろうか、こう思うんです。過去においては人生五十年とか六十年、いまはもう七十年から八十年に延びたわけなんです。老人の特性ということになりますと、老人科というのがあって、適切な治療方法がしかるべく行われていいんじゃないかと思うんですが、まだ老人科というのができたということは聞いておりませんし、小児科なんかは薬等でもまた成人と違ったいろいろ治療をやられておるんじゃないかと思うんです。婦人科にしても、別にお産するための婦人科だけじゃなしに、婦人の特性もあるように思いまして、老人には老人の特性があるんじゃないか、そういうふうに考えます。老人の特性といえば、専門家が診断、判断すれば、どういう手当て、どういう治療をすればいいんだという結論が出てくるように私は思うんですが、専門家でないものですから、そのためにはどうしたらいいかということは実は私ではわかりません。
#175
○政府委員(吉原健二君) 先ほどいろいろ老人の心身の特性を申し上げたわけですけれども、あるいは先生と御意見が違うかもしれませんが、だからといって出来高払いを人頭あるいは請負式に変えればいいということには必ずしもならないのではないかというふうに思うわけでございます。
 先ほどのような特徴はございますけれども、ある意味で老人の病気には非常に個人差があるということも言われておりますし、その個人個人の症状に応じた違った医療というものが行われなければなりません。ですから、老人の医療は全部一人頭幾らというようなやり方でやっていきますと、また老人にとって医療内容が低下をする、あるいは必要な医療が行われなくなるというような心配も十分ございますので、出来高というものは基本にしながら個人個人、患者患者の症状に応じた医療ができるようにしていくということが必要だろうと思います。
#176
○高杉廸忠君 診療報酬のあり方については、昨年の十二月二十一日の厚生大臣と大蔵大臣との合意の中でも検討する旨がうたわれてあるわけですね。これは財政当局が老人医療の構造的な赤字を憂慮して現行の方式の変更を求めたもの、こう考えられるんですが、そういうふうに解釈していいんですかどうか、これが第一であります。
 伝えられますところによりますと、支払い方式については、すでに日医と厚生省間で合意が成っていることも報道されているところでありますが、厚生省当局としてはこの問題にどのようなお考えを持っているのか、あわせて伺いたいと思うんです。
#177
○政府委員(吉原健二君) 日医と厚生省との間に支払い方式あるいは診療報酬についての合意があるというようなことは全くございません。
 大蔵省との昨年の予算編成のときの覚書で診療報酬についての検討という項目が入っているのは事実でございますけれども、それは老人の心身の特性に見合ったむだのない医療が行われるような診療報酬というものを検討すべきであるという趣旨の合意でございまして、現在の支払い方式というものを根っこから変えるということを意味するわけではございません。
 私ども厚生省の老人の診療報酬についての基本的な考え方は、衆議院でもいろいろ御議論をいただきまして、その附帯決議で、老人の心身の特性を踏まえて現在の診療報酬の改善を図るべきであるというような附帯決議がされてございますので、その附帯決議の御趣旨に沿って検討し、また中医協にもお願いをしたいというふうに思っています。
#178
○高杉廸忠君 次に、時間の関係で医療法の関係について以下質問を続行いたしたいと思います。
 昨年の三月、「国民の医療の確保を図るための都道府県医療計画の策定及び医療法人の指導監督規定等の整備について所要の改正を行う」改正案が社会保障制度審議会に諮問されるまでに至りましたが、国会に提出されるまでには至らなかったことは私は非常に残念に思っているんです。現在厚生省で検討をし、協議をしているようでありますが、この医療法の改正についてどういうふうに用意をされていますか。
 また、先日の本委員会でも、同僚委員の質問に対して厚生大臣は、提出する、こう答弁をしているんですけれども、御承知のとおりに、今国会も残り少なくなってきて終番を迎える状況でありますから、今国会に提出をされるように間に合うのかどうか、提案されるとすれば一体いつごろになるのか、これもあわせて医療法改正について伺いたいと思います。
#179
○国務大臣(森下元晴君) この問題については私も非常に心配しておる問題の一つでございます。医療法改正問題につきましては、昨年来検討しております要綱案に基づきまして、現在までに関係方面との意見調整に努めてきたところでございます。この改正案に対しましては、医療関係団体において反対の意向が非常に強く表明されるなど種々調整すべき問題が残されている現状でございます。
 そういう中でございましたけれども、私もこの前のときにはぜひ出したいということを発言したことは事実でございます。
 そこで、党の名前を言うのはどうかと思いますけれども、自民党においてこの問題を検討するための医師法及び医療法改正に関する作業委員会が設けられておりまして、審議が行われております。そういうことで国会提出については、同委員会の御意見も踏まえまして対処をしていきたいという所存でございまして、一日も早くこの結論を出していただきたい、そういう実は心境でございます。
#180
○高杉廸忠君 大臣、心境はわかりましたが、今国会に提案されるという用意はされているんですか。
#181
○国務大臣(森下元晴君) そのつもりでおります。
#182
○高杉廸忠君 昨年の経過からしますと、問題点というのは、地域医療計画をどういうように樹立していくのか、こういう点にあると思うんですね。先日、この二十一日に厚生省は医師会と会っているようですけれども、この医療法の地域医療計画については、どういうようなお話し合いをされたのか、あるいはそれはどうなったのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
#183
○国務大臣(森下元晴君) 地域医療計画の推進につきましては、従来から医師会とも話し合いを進めてきたところでございます。今回の新医師会長との先般の話し合いでも、こうした問題も含めて、今後とも事務的に話を進めていくように申し入れたところでございます。具体的な話は実はこの前の会はございませんでしたけれども、事務次官の方よりこういう問題も含めて事務的にひとつ両方の窓口をつくって進めていこうということは話し合ったわけであります。
#184
○高杉廸忠君 保険局にお尋ねをいたしたいと思うんですが、先日の本委員会で同僚委員の医療費の推移についての質疑に対して、五十五年九・二%、五十六年七・五%、対前年度伸びで一けたになり、その原因として、医療費適正化対策によって歯どめがかかった、こういうふうに答弁をしておりますけれども、厚生省が挙げている医療費適正化とは、指導・監査、医療費通知、レセプト点検、薬価基準の適正化、検査の適正化、高額医療機器の共同利用の促進など六項目にわたっていると思うんです。このうち何によって国民医療費の伸びが鈍ったのか、要するに何が一番効果があったのか、こういう点について伺いたいと思うんです。
#185
○政府委員(大和田潔君) 医療費適正化の効果と、それから医療費改定が三年間行われなかったということがあるわけでございますが、その前段の医療費適正化の対策として何が一番効果があったのかと、こういう問題でございます。
 実は、この医療費適正化の努力が反映されていることは十分考えられるわけでございますけれども、医療費適正化対策というのは、その性格上、直接的に具体的に個々の施策ごとの効果というのは、どうも比較することは残念ながら困難でございます。したがいまして、どれがどう効果があったか、どれが一番効果があったかということを実はいま申し上げられないわけでございまして、各般の多方面からの、先ほどおっしゃいましたようなそういう幾つかの施策を、有機的総合的に推進していくことによりまして一層の効果を図るようにしていきたいと、こういうようなことでございます。
#186
○高杉廸忠君 局長、医療費適正化対策のうち指導・監査の推進、これは重要であることは言うまでもないんです。そこで、その指導・監査を担う医療指導官の充足、これはひとつどうなっていますか、これを示していただきたいと思うんです、その充足について。
#187
○政府委員(大和田潔君) 医療指導官の充足は、実はまだ約七〇%程度の充足しかしてないわけでございます。この点につきましては、すでに医療職俸給表の適用も実現いたしたわけでございまして、医療指導官の充足につきましては、条件が整い、各般の会議等で私ども努力をしておるところでございますが、なおまだ七割程度の充足しか行われてないところでございます。
#188
○高杉廸忠君 定員は百七名ですね。――それで、この二年間でいま聞いた点を含めてもわずかな人しか充足されないというんですが、この充足の見通しはどうなっていますか。
#189
○政府委員(大和田潔君) この見通しにつきましては、私どもは全力を挙げたい。これは民生部長会議であるとか、あるいは県の保険課長会議等におきまして、この充足につきましては最善の努力をせいと、こういう指示をしております。
 ただ、この医療指導官につきましては、何でもお医者さんであればというわけにはなかなかいかぬ。優秀な人材ということでございますので、優秀な人材をとにかくできるだけ早く確保するように努力しろという指示を出しておるわけでございます。
 そういうことのためになかなか思うようにはかどらないわけでございますが、しかし逐次、これは総数からいきますとふえておりませんが、リタイアした方がございますので、そのリタイアを埋めて逐次ふやしていくと、こういうようなことになるわけでございます。逐次ふえておるわけでございますが、まだまだ私どもといたしましては、もっと前向きの努力をいたしまして、この充足のテンポを速めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#190
○高杉廸忠君 局長、五十六年度に名称を医療指導官に変えたわけですね。で、医療職に見合う給料の措置を行ったところですけれども、どうもその効果がないんじゃないかなというふうに思うんですね。定員一人の県を二名にして、一人は歯科医師にしなければならない等を考えるんですけれども、まずその欠員の充足が大事だと思うんです。
 で、いま充足をしたいというお話ですけれども、充足のこの決め手ですね、この決め手になるのはどんなことをお考えになっておりますか。
#191
○政府委員(大和田潔君) 効果がないとおっしゃいましたけれども、一つはやっぱり待遇でございます。この待遇は、医療職俸給表になることによりまして、私は一段進んだというふうに考えるわけでございます。
 第二はやはり優秀な人材、これはその地方におきますたとえば県立の病院の医長であるとか、学識といいますか、そういったものの豊かな方であるとか地位の高い方、そういうような方々に私どもはお話をしながら進めてまいっておるわけでございますが、とにかく一にも努力、二にも努力という感じでございますので、そういったようなことでさらに努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、欠員の問題ございますが、当面の間は、その欠員があるからもうこれはお手上げだということではございませんで、他の県から併任をさせるといったようなこと、あるいは非常勤の医師を採用するといったようなことで現段階でできるだけの措置はしておるところでございます。
#192
○高杉廸忠君 私は一昨年の十一月二十七日に健康保険法の一部を改正する本委員会の審議の中で、御承知のとおりに、京都の十全会の問題をただしました際に、昭和五十年度以降の十全会入院患者中の死亡者数について、当時から資料を出していただくように御努力をお願いしたんです。これはどういうふうになっておりますか、これをちょっと確かめたいと思うんです。
#193
○政府委員(大谷藤郎君) 十全会系三病院におきます昭和五十年以降の死亡者数につきましては、正確な実態を把握するよう努めてきたのでございますけれども、大変遺憾ながらその数字を正確に把握することができなかったのでございます。
 しかし、十全会系三病院に対しましては、国会の御指摘以降十二分の注意をもちまして監視をいたしているところでございまして、今後二度と疑惑を呼ばないようその指導監督に最大限努力いたしているところでございます。
#194
○高杉廸忠君 最大限御努力いただくのは結構ですけど、私は国会でこの審議を通じて、入院患者の方でどのぐらい亡くなっているのか、こういう実態を、国政ですから、正確に把握をしなきゃならぬと思うんです。ですから、きょうそういう経過についてはやむを得ないと思いますけれども、数字について、資料についてはひとつ後日で結構でありますから、ぜひひとつ御提出できるように御尽力をいただきたいと思うんです。再度要請をいたしておきます。
#195
○委員長(粕谷照美君) 医務局長どうですか、資料。
#196
○政府委員(大谷藤郎君) 最大限の努力を払うよう努力いたします。
#197
○高杉廸忠君 いま確認いたしましたようにひとつ提出をいただきたいと思います。
 それから四月二十三日付新聞各紙を見ますと、三郷中央病院の不正請求約三千万円に対して厳しい処分がなされたとありますけれども、十全会の不正請求の件数と額、その後の扱いというのはどうなっているのか、これもひとつ伺いたいと思うんです。
#198
○政府委員(大和田潔君) この十全会病院につきまする不正請求問題につきましては、まず第一点は水中機能訓練にかかわる問題が一つございました。これは水中機能訓練を行う際に、医師の直接指導監督がなくて保険を請求をしていたケースがある、それについてどうなっているかという問題でございます。
 これはすでに御報告いたしましたように、五十五年の十月に厚生省と京都府が共同指導を実施いたしまして、医師の直接指導監督のないものにかかわる請求について、その事実を確認した上で必要な措置を講ずるように京都府に実は指示をしたところでございます。しかしながら、実はこの事例はなかなかむずかしいわけでありまして、どの事例が医師の直接指導監督がなくて水中機能訓練をやっておったかどうか、実はそれを特定することはなかなかむずかしいわけでございまして、そういったようなことで作業に長時間を実は要しておるところでございます。
 それからもう一つは、いわゆる準職員問題というのがございまして、準職員で、入院の必要性のない者を強制的に入院さした、それを保険請求しているというようなことがあるのではないかということで御指摘を受けたわけでございまして、もしそういうことがあれば不正請求ということになるわけでありますが、この点につきましては、京都府におきまして過去再度調査をいたしました。その結果、医学的にその必要性がないと判断できるものは実はなかった、医学的に必要性があってそういう者を入れておったんだということでございます。したがって、この点につきましては、保険請求上も不正請求と断定できるものはなかったというふうに判断をしておるところでございます。
#199
○高杉廸忠君 いまの点も局長、後日で結構でありますから、資料としてひとつ御提出いただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#200
○政府委員(大和田潔君) できるだけ努力をいたします。
#201
○高杉廸忠君 ことしの三月十二日、本院の予算委員会で片山甚市先生が浩徳会都病院、この件に関して質問をされまして、三月二十五日の予算委員会で、この件について厚生省から中間的な答弁が行われているわけですね。この中で、厚生大臣は、同問題に対して厳正な対応とともに、同病院の経営の円滑な継続が確保されるよう最大限に努力すると、こう述べられているんですけれども、私もぜひそうしていただきたいと思うんです。
 そこで、その後これがどういうふうに進められているのか。けさの新聞では、大変深刻な競売というようなニュースの報道もありますが、その後どういうふうに進められているのかお尋ねをいたしたいと思うんです。
#202
○政府委員(大谷藤郎君) その折厚生大臣からも御答弁申し上げました趣旨に沿いまして、束村山市にあります医療法人浩徳会都病院に対しましては、その状況を逐次東京都において把握し、必要な指導。監査に当たっているところでございます。
 特に、ただいま先生お話しになりました病院の継続問題につきましては、継続の努力を払うよう、最大限同法人に対して指導をいたしますとともに、現在、きょうの新聞にも出ておりますが、進められている競売につきましては、東京地裁の八王子支部に対しまして、入院患者を十分考慮するよう申し入れを行うなどの存続を図る方向で努力をいたしているところでございます。今後とも努力を続けたいと思います。
#203
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、これは大臣もそういうふうな前向きな姿勢でお答えになっておりますから、そういうお取り組みと御指導を一層いただきたいと思うんです。
 そこで、資料として私はぜひお願いをしたいと思うんですが、この浩徳会牧山理事会長が宗教法人の東善光寺代表の役員の立場を利用して都病院に肩がわりさせた五億円の使途について、ひとつどうなってるのか解明をいただきたいと思うし、それを資料として御提出いただきたいと思うんです。第二として、このお金の仮払いを決めた浩徳会理事会の会議録ですね。それから三番目として、同会の都病院の昭和四十八年度以降の決算書と財務調査の内容ですね。それから第四として、生活保護の日用品費流用に関する告発の準備、これがどういう状況になってるかですね。第五番目として、同法人役員の交代に関して同法人に行う行政勧告の内容と、その準備の状況ですね。それから第六番目として、これも最初にお尋ねをいたしましたように、医療法改正案ですね、これについてもひとつ資料として御提出をいただきたい、こういうふうに思いますし、いま申し上げました六点についての資料については御提出の確認をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#204
○政府委員(大谷藤郎君) ただいま承りましたが、中に一部、大変むずかしいものもあるかとも存じますが、できる限り最大限の努力を払い決して提出させていただきます。
#205
○高杉廸忠君 具体的に私はいま六つ挙げましたから、どういう点がむずかしいか具体的にわかってたら教えてください。
#206
○政府委員(大谷藤郎君) たとえば第一項目にあります五億円の使途の内容でございますとか、あるいは第三番目にお挙げになりました財務調査の内容等につきましては、私どもといたしましても、できる限りその解明に努力をいたしますが、あるいはその点については、若干私どもの力が及ばないことがあるかもしれないという点を多少危惧いたしましたのでそういうふうに申し上げましたが、できる限り努力いたしまして明らかにいたしたいと、かように考えます。
#207
○高杉廸忠君 大臣ね、一昨年の健康保険法改正審議のときには、その当時の園田厚生大臣ですけれども、三省庁間で協議して、国税庁、警察庁、厚生省ですね、それぞれ協議をされて、同種の問題については解明をされるというような前向きの姿勢を示されたんですね。今回のいま六つについて挙げました点の資料も、できれば大臣、その三省庁、あるいは関係省庁と連携をきれて、要求した事項についての完全な資料が提出されるように御尽力をいただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょう。
#208
○国務大臣(森下元晴君) 御指摘のように、三省庁とよく協議、またこちらからもお願いをいたしまして、できるだけ解明できるように努力をいたしたいと、このように思っております。
#209
○高杉廸忠君 だんだん時間がたちますので、以下、項目に従って質問を続行いたしたいと思いますが、次に退職後の医療継続について以下質問をしていきたいと思っております。
 御承知のとおりに、六十歳以下の定年が大勢の現状において、定年と同時に原則として被用者保険から国保へと移らざるを得ないのが、わが国の医療保険制度の仕組みなんですね。健康への不安が増大する年齢であるにもかかわらず、退職による収入減とも相まって、給付率が切り下げられるのが実情であると思うんです。定年退職から七十歳までの間のつなぎ措置、こういうものを考慮して退職者医療制度の創設が必要であるということは、過去何回かわが党を初め同僚委員からも指摘をされ、その創設について主張があったところであります。
 これについて政府は、四十六年に退職者医療制度の創設、給付期間は五年、こういうふうに思いますけれども、準備をされた経緯というのがあるんですけれども、それがどうなっているのか、まず確認をいたしたいと思います。
 また、昭和五十二年度の健康保険法改正のときに、医療保険制度改革の基本的考え方として、十四項目のうちの第四項目でその検討を約束してるんですね。
 さらに、五十五年のこれまた健康保険法改正のときでありますが、同僚の委員の質問に対して、当時の園田厚生大臣は、早急にその検討をいたさせます、御意見のとおりいたす覚悟です、こういうように答弁をされて、会議録に明確に示されているんです。
 以上のように、退職者医療制度の創設は、国会での本社会労働委員会の約束でもあるんです。現在任意継続被保険者の給付がありますけれども、その資格期間は二年となっているわけなんです。これでは定年退職と七十歳までの間の、先ほど言いましたが、その間の不合理というものがカバーができないと、こういうふうに思うんです。
 わが党は、同一の事業所に十年以上勤務、一般的な年金支給開始年齢たる六十歳以降に退職した者は、六十五歳までの間、退職時に加入していた医療保険に継続して加入することができるようにする、こういうことを実現したいと思っているんです。
 そこで、大臣に伺いますけれども、私どものこの提案についてはどう見ておられるのか、それから検討されてきたのかどうか、その内容というものはどうなっているのか、具体的に伺いたいと思うんです。こういった前厚生大臣のお約束でありますから、そのお約束を果たされるのかどうか。これら諸点について大臣からお答えをいただきたいと思うんです。
#210
○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃいました経緯につきまして十分承知をいたしております。特に、五十五年の健康保険法改正におきまする国会でのお約束もありまして、私ども実は鋭意検討はしているところでございますが、なかなか実はむずかしい問題がございます。高齢退職者の医療費は平均を二、三倍程度上回るといったようなこともございます。これをどうやって負担するかという問題もございまして、これらが検討の中心でございますが、非常になかなかむずかしい。
 先ほど先生おっしゃいました社会党の御見解でございますが、これは一つの貴重な御意見として十分に参考にさしていただく考えでございますが、高齢退職者が多い政管健保などの特定の保険者の負担が、どうしても相対的に重くなるといったような問題もございますし、幾つか問題がございまして、なかなか簡単にこの結論が出ないわけでございます。そういったようなことで検討はしながらも、なかなかこういうことでございますという結論が出ない状況でございますが、なお今後ともこれは検討をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#211
○国務大臣(森下元晴君) 私は、考え方としてはまことにりっぱな考え方であると思います。元厚生大臣が前向きの答弁をされたことも存じております。ただ、実施となるといろいろ財政情勢の問題もございますし、政管健保の内容等考えました場合になかなかむずかしい問題もございます。なお引き続き検討をさしていただきたい。
 いろいろ年金の一本化とか、保険の一本化というような、そういう問題とも多少絡んでいくような感じもいたしまして、将来の問題としてはりっぱな考え方に基づく一つの案であると、そのように私は実は考えておりますけれども、なかなかこの老人保健法だけで精いっぱいの段階でございまして、いろいろ考えました場合に、いま早急にこれに着手するという段階にはなっておりません。しかし検討は続けてやっていきたい、勉強もさしていただきます。
#212
○高杉廸忠君 慎重に検討されるのもいいんですけれども、すでに十四項目の中で五十二年に言っている。五十二年というと六年前ですよ。もう検討ではなくて実現をする、実施をする時期なんです。ひとつそういうことを具体的に早急に実現するように要請をしておきます。
 次に、拠出金の性格と老人保険料の定め方の不合理性についてただしたいと思うんです。大変恐縮でありますが法制局に。
 昨年の衆議院社会労働委員会での審議の際、また先般の本委員会における目黒委員の質問に対しまして、内閣法制局は次のように答弁をしているわけですね。「社会保険料的要素があることは否定できない」と思いますけれども、しかしながら、本法案によります「医療の実施の仕組み全体」を考えますと、「医療保険各法で従来取っております社会保険料と同一性格のもの」である、ここまでは言い切れぬだろうということでございます。こう答弁しているんですね。社会保険料と同一でないものを健康保険各法で徴収すること、このことは法理論的におかしいんではないかと、私はこう考えるんです。ですから、法制局からの見解もあわせて、厚生省の見解を伺いたいと思うんです。法制局からも伺います。
#213
○政府委員(吉原健二君) この老人保険料の性格でございますけれども、私どもは法制局ともいろいろ御相談をいたしましてこの法案を作成したわけでございますけれども、従来現行医療保険制度で老人の医療費にも従来の保険料が充てられているわけでございます。この新しい制度におきましては、確かにそれぞれの制度の枠を超えて医療保険制度全体として老人医療というものを一つの制度としてやっていこう、そのために各制度から拠出金を出していただきまして、それをもって財源に充てるということにしているわけでございます。その拠出金は、各医療保険制度から従来の保険料と同じやり方で出していただく、こういう仕組みをとっているわけでございまして、従来のように、その保険料が何に使われているかといいますと、老人の医療費に充てられるという点においては全く変わりがないわけでございます。あくまでも従来の医療保険、老人医療というものを各医療保険制度間の共同の事業、全体の事業としてやっていこうと、こういう仕組みをとっているわけでございまして、したがいまして、老人保険料というものも従来の保険料と法律的には全く違った性格のものではないというふうに思っているわけでございます。
#214
○政府委員(工藤敦夫君) お答えを申し上げます。
 ただいま、五十六年、昨年の十月二十二日に衆議院の社会労働委員会で答弁申し上げたことに関しましての御質問でございますが、去る四月の十三日、この委員会の席上でも目黒委員からの御質問に私お答えしたときに申し上げましたように、若干舌足らずでございまして、大変誤解を生じたということを恐縮に存じております。
 昨年の十月のときのお尋ねが拠出金についてのお尋ねでございました。拠出金に重点をしぼりましてお答え申し上げたわけでございますが、老人保健法案におきましては、もう先刻御承知のとおり、仕組みとして、拠出金と老人保険料と二段階の法律の仕組みをとっておるわけでございます。したがいまして、拠出金につきまして申し上げれば、社会保険の診料報酬支払い基金、これと保険者、各保険者との間の公的な債権債務関係である。で、現在のいわゆる現行医療保険各制度の場合には、各保険者とその被保険者との間の公的な債権債務者関係である。こういった意味で、拠出金はいまの保険料と法的には全く同一のものとは言い切れない、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、ただいま吉原審議官の方からお話ございましたように、私どもも決してこれが全然無関係のものであるとか、同一でないということを申し上げるつもりはございません。
 現に老人保健法に基づきまして市町村が行います医療の実施、これは各保険者によります老人であります加入者に対する医療の給付、これの共同事業的なものである、こういうことでございますし、したがいまして、被保険者全体について考えれば給付と負担との関係、これは現行の社会保険各制度の場合と相違がない。こういったところから見れば、したがいまして、被保険者の立場から見れば、いわゆる拠出金というものは現在の医療保険各制度、この保険料と実質的に相違はないものと考えておりまして、そういう意味で吉原審議官の答弁と私のとは食い違いはないんではなかろうか、かように考えております。
#215
○高杉廸忠君 重ねて伺いますけれども、現行医療保険各法で被保険者に保険料を課するに当たって、その対象、標準、料率、納付義務者等を定めているんですね。これは法制局の方に特に伺うんですけれども、憲法のどの条項と関係しているのか、これが第一であります。
 また、老人保険料については負担金的性格もある、こういうふうに答弁していますけれども、そういった負担を国民に強いることの可能となる憲法上の根拠ですね、これは何なのか。これのひとつ明確な根拠を示していただきたいと思うんです。
#216
○政府委員(工藤敦夫君) まず第一点でございますが、現行医療保険各法におきまして対象なり標準なりというものを定めているわけでございます。で、現行の医療保険各法におきます保険料、これはいわゆる租税法定主義を定めました憲法の八十四条から、そこで言います租税ではございませんで、したがって、憲法八十四条の直接の適用はないと考えております。ただ、この保険料がいわゆる強制的な賦課金であると、こういうことから言いますと、租税法定主義の精神に即しまして、これにのっとりまして、現行医療保険各法で所要の定めをしている、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから第二点の老人保険料の問題でございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、老人保険料につきましては、現行の医療保険各法によります保険料と被保険者の立場から見れば実質的に差がない、こういうふうにお答え申し上げたわけでございますが、そういった意味で現行の医療保険各制度が趣旨、目的、これが公共の福祉、いわゆる被保険者の健康の確保という観点からの公共の福祉に直接かかわるものでありますし、そういう意味におきまして被保険者を強制的に制度に加入させ、その費用を保険料として取る、被用者に負担させる、こういうものは現行制度の仕組みでございますが、これも憲法の理念に合致するものではないか、かように考えております。
#217
○高杉廸忠君 そうしますと、新しい制度のこの老人保険料も、憲法八十四条で定める「あらたに租税を課し、又は現行の租税を變更するには、法律又は法律の定める條件によることを必要とする。」、こういう憲法八十四条ですけれども、租税法定主義の広義、広い意味ですね、この租税と理解していいのかどうかですね。この点はどうでしょう。
#218
○政府委員(工藤敦夫君) 憲法の八十四条あるいは租税法定主義というものの考え方につきましては、従来からお答えしてきているところでございまして、今回のに当てはめて申し上げれば、老人保健制度におきます老人保険料、これは憲法八十四条に言う租税ではない。したがって、その規定の直接の適用はない。かように考えておりますけれども、ただいま申し上げましたように、強制的な賦課金であると、こういうことを考えますと、当然租税法定主義の精神にのっとりまして、法律に基づいて必要な定めをする、こういうことは当然であろうかと思います。
#219
○高杉廸忠君 じゃ、厚生省に伺いますけれども、審議官、老人保険料はだれが負担するんです。
#220
○政府委員(吉原健二君) 老人保険料の負担は、従来の保険料と同様に、健康保険の場合について申し上げますと、被保険者と事業主が負担をするわけでございます。
#221
○高杉廸忠君 その保険料はどのような仕組みで納付されるのか。料率についてはどのように規定しているのか。これは保険局長になりますか、伺いたいと思うんです。
#222
○政府委員(大和田潔君) 老人保険料は、健康保険の本体事業の費用に充てるための一般保険料と合わせて一本の保険料といたしまして、従来と全く同様の方法で納付されるわけでございます。
 老人保険料率につきましては、各年度におきまして、老人保健拠出金の額を当該年度の標準報酬月額総額の見込み額で除して得た率を基準として保険者が定めるというふうに規定しておるわけでございます。
#223
○高杉廸忠君 それによると、局長ね、額というものが決まり、率というのが決まってくる。したがって、自動的にこの率を賦課することによって拠出金が出てくると、こういうことになるんですね。簡単に局長は言うけれど、理論的に言って老人医療費、すなわち拠出金並びに老人保険料にそれでは歯どめがないんじゃないか、歯どめがないと思うんですよ。どうですか。
#224
○政府委員(吉原健二君) 歯どめがないではないかという御質問でございますけれども、この老人保健法の仕組みは、各年度においてかかった老人医療費というものを、一定の方法なり、基準で各制度に案分をする、全体の三割は公費で当然持つ、国も二割を持ち、地方公共団体が一割を持つ。もう頭から公費が三割持つ、残りの七割を各制度でみんなで分担して持つ、こういう仕掛けになっておるわけでございます。
 各制度の分担の仕方、案分の仕方というものが法律にきちんと書いてございまして、実績案分で半分、それから加入者案分で半分、そういう考え方で各制度ごとに案分をする。そういうことで各制度ごとの拠出額というものがこの法律に基づいて自動的に決まってくるわけでございます。その必要であった医療費というものの案分の仕方がこの法律に基づいて自動的に決まってくる。それを各制度から出していただく。そのときに、従来の保険料と同じような方法で、それと一本にして事業主なり被保険者なりに負担をしていただくと、こういう仕組みになっているわけでございます。
#225
○高杉廸忠君 だから、額というものが決まって率が決まってくる、自動的にこの率が付加されて各保険からくる。それがどんどんふくらんでいけばどんどん無限になってくる、歯どめがないと、こういうことでしょう。それが一つ。
 老人医療費というものはじゃ今後どういうように増加されると予想されるのか、それに見合って老人保険料はどのように保険料率に反映すると試算されているのか、これを具体的な例を挙げてみてくださいよ。
#226
○政府委員(吉原健二君) これからの老人医療費の伸びがどうなるかということですけれども、最近、ここ数年間、老人医療費の伸びはかなり落ちついた傾向を示してきております。これは国民医療費もそうでございまして、一けた、七%ぐらいに下がってきておりますけれども、老人医療費もかつては一五%、二〇%というかなりの伸びでございましたけれども、現在は一二、三%というぐあいになってきているわけでございます。ここ数年は老人医療費の伸びも一二ないし一三程度の伸びは避けられないんではないかというふうに思っております。したがいまして、現在五十七年度で三兆と推計をいたしておりますけれども、それが三兆三千億ないし四千億、五十八年度には。さらに六十年度には四兆を超えるような老人医療費になるだろうというふうに推計しております。
 この老人保健法の仕組みは、先ほどからいろいろ御議論ございますように、老人医療費の伸びをできるだけ抑えていく、むだな医療はなくしていく、抑えていくということを前提にはしておりますけれども、実際にかかった医療費というものをどういうふうに持つかといいますと、これはだれかが持たなくてはならないわけでございます。その持ち方を公費三割、保険者七割ということに決めまして、その七割をさっき申し上げましたような基準で各保険制度ごとで財源を拠出をしていただく。こういう仕組みになっているわけでございまして、実際に医療費がかかった以上は、それを七・三の割合で保険者と公費で持つ。これはどうしても御承諾いただかないと、医療費はかかったけれども、実際に拠出はしないということですと、当然赤字が出てまいります。特定の保険者だけが出さないということになりますと、この制度全体がやっていけないということがあるわけでございます。したがいまして、各制度を通じてこういう基準で持っていただこう、その基準を法律にきちんと決めておいて、その基準でもって計算した額を各制度にいわば割り振りまして各制度から出していただくと、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、拠出自体に確かに歯どめがございませんが、実際にかかった医療費が伸びていった以上は、それを皆さんで一定の基準で出していただかないと、特定の保険者だけ自分のところはこれしか出さないという仕組みは、制度上とれないわけでございます。
 そういったことで、一つの基準で各制度ごとに割り当てられた拠出金というものは、どんな取り方でも結構ですから、ひとつ出していただきたいという趣旨の制度になっているわけでございます。
#227
○高杉廸忠君 法制局、ちょっといまの点で繰り返して恐縮ですが、確認をしたいんですけれども、そのようにして額が決まり、率が決まります。そうすると、自動的にこの率を賦課することによって拠出金が出てきます。こういうんですけれども、そうしますと、歯どめがないでずっと自動的にくるわけですから、憲法が要請をしている要件をかなえていると考えているかどうかですね。この点は私ちょっと疑問に思うんですが、法制局のこの見解をひとつ示していただきたいと思うんです。
 私は非常に真剣に考えているんですよ。だから、いまの予想では、先ほどの答弁にありますように、七十歳以上の医療費総額というものは五十六年の一九・七%から、六十年には二三・二%、それから六十五年には二五・九%というように老人医療費は増大してくるわけなんですね。そういう点で、幾ら保険料率の定め方を規定しても保険料率を定めたことにはならない、こういうふうに思うんです。老人医療費の負担を嫌がっているわけじゃないんですよ。こういうような現状で、このような方法で行うことが問題ではないかと、こういうふうに言っているんですから、その論点はきちっと踏まえて答弁はいただきたいと思うんです。したがって、前段については法制局の方からのひとつ明確な解明をしていただきたいと、こう思うんです。
#228
○政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。
 先ほど、租税法定主義の直接の適用はないと申し上げましたけれども、また同時に、租税法定主義の精神にのっとって当然これは進めていくべきものと、かように考えているというふうにお答え申し上げました。その場合の租税法定主義というものの考え方でございますけれども、率あるいは額そのものを法律に規定していくという考え方以外にも、あるいは率、金額、そういうものの算定方法を明定していく、こういうことも許されると一般には解されております。したがって、いま、この法案にございますようないわゆる保険料率の定め方、これも租税法定主義の精神に反するものではないと、かように考えております。
#229
○政府委員(吉原健二君) 恐らく御質問の趣旨は、本来、国民から保険料にしても税金にしても取ろうとする以上は、料率そのものを法律に書かなくちゃいけないんじゃないか、端的に言いますと、そういう御質問かと思いますけれども、いま法制局からもお答え申し上げましたように、必ずしも料率そのものを書かなくても、料率が算定されるその算定の根拠、算定の仕方というものが法律にはっきり明らかにされていれば、憲法上といいますか、法律上は問題がないというふうに私どもも思っております。それが第一でございます。
 それから医療保険制度が非常に仕組みがそれぞれ制度によってばらばらでございます。被用者保険だけではございませんで、国民健康保険があり日雇健康保険があるというようなことがございますので、被用者保険だけの共同事業あるいは財政調整というようなことでありますならば、料率で規定するという制度の仕組みはとり得ただろうと思います。とり得ただろうと思いますが、国民健康保険からも拠出をしていただくということになりますと、これは料率で実は書きようがないわけでございます。
 国民健康保険は、保険料で取っているところもあれば、税金で取っているところもございますし、その料率、税率の決め方、これは市町村によって全くまちまちでございます。それから日雇健康保険は御案内のように定額制というような保険料の仕方を法律できちんと書いてございます。
 したがいまして、全部料率方式で取っている医療保険制度間で何か共同して事業をやる、そのための財源を拠出していただくという仕組みをとります場合には、恐らく政管健保は千分の幾つの料率、組合健保は幾つということが可能であったわけでございますけれども、国民健康保険からも相当数出していただくということになりますと、どうしても料率ではっきり法律で決めてしまうということができない。仮に政管で決められても、それに見合う国民健康保険の場合の料率は一体どういうふうに決めたらいいのか。その所得の把握が全然違いますし、国保税の決め方自体が市町村によって、三千二百の市町村によって全くまちまちである、ばらばらである、共通した基準がない。したがいまして、私も先生のおっしゃるような御疑問わかりますけれども、国民健康保険が三千二百ある、組合健保が千六百ある、政管健保は一つでございます。そういった全部で五千以上にも上る保険者から拠出金を出していただくときに、どうしても料率では決められない。
 私は、確かに被用者保険からお金を出していただくときには料率ではっきり法律に決める方が望ましいと思いました。しかし、どうしても国保というものがありますために料率で法定するということができなかった。金額で割り当てて、その金額の取り方はそれぞれのお家の事情、お家の方式、料率で取るんなら料率で取る、国民健康保険のように料率によらないようなやり方の場合にはそのやり方に従って取る。日雇健康保険の場合にはもう定額制ですから、定額制で取った中から払っていただく。それぞれのお家の流儀によって財源を調達していただいてこの基金に出していただく。そういう仕組みをとらざるを得なかったということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
#230
○高杉廸忠君 理論的に歯どめのない額を前提として、幾らその納付基準を規定しても、憲法で要求している租税法定主義に私はかなうとはとうてい考えられないんですよね。常識的に見ていただいてもいいと思うんですが、個々の被保険者は自己の負担を料率にして将来を予測できないと思うんですよね。できるとお思いですか。できないと思うんです。憲法が法律によらなければならないと規定しているのは、国見に負担をさせる具体的な諸条件を明確にすることでであって、少なくとも理論的に歯どめのない額を前提とするような規定の仕方、これは私はとうてい納得できないんですよね。
 きのうの参考人の方々からも異口同音に、歯どめのないこういうようなことについては、それぞれの方から主張があったんです。私はそういう点では、法制局にもお願いしておきますけれども、十分協議をし相談をされて本法律案を基本的に考え直していただかなきゃならない重要問題だと思うんですけれども、法制局とそれから大臣からもお答えをいただいた方がいいと思うんです。どういうふうにお考えですか、それを伺いたいと思います。
#231
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまの先生の御指摘につきまして、厚生省からの方の申し出に基づいて私どもの方もまた検討させていただきたいと思います。
#232
○国務大臣(森下元晴君) 十分法律的に研究、検討して出さしていただいたわけでございまして、自信を持って出したわけでございますので、疑義等については私としてはございません。
#233
○高杉廸忠君 大臣、大臣の本法案について成立をさせていただきたいという要請にわれわれはどうこたえるか、こういうことで私どもは審議を進めているわけです。先ほども私も再三問題を提起をして、出来高払い方式についても、あるいは継続医療についても、数年かかって重要な項目については本委員会でも合意をして改正に臨んできた、いよいよ老人保健法の成立をさせなきゃならない、こういう重大時期なんです。したがって、拠出金についても、保険料率についても、歯どめがないものをこのまま放置しておいて本法案の成立をさせるのはどうか、私は疑問なんですよ。ですから、いま申し上げました要請を私の方ではしますから、早急にひとつこれにこたえていただいて、本法案が成立できるような要請にわれわれもこたえなきゃならぬと、こう思うんです。その点再度確認をしたいと思いますが、大臣いかがですか。
#234
○国務大臣(森下元晴君) ただいまの御質問また御意見に対して前向きで受けとめたいと思います。
#235
○高杉廸忠君 大変細かいことで恐縮でありますけれども、七十歳以上で健保の本人、これは約三十万人と、こう聞いているんですけれども、現在該当者はどのぐらいいるのか。また、この人たちは新たに一部負担になると、こう思うんです。矛盾していると思うんですけれども、どういうようにお考えですか伺います。
#236
○政府委員(吉原健二君) 七十歳以上の健康保険本人に加入しておられる方の数は、五十七年度の予算ベースで約二十七万人でございます。
 健保本人でございますから原則十割給付でございますけれども、御案内のように従来も初診料八百円、入院一日五百円、こういう一部負担があるわけでございます。これらの人たちはこの新しい法律ができますと、老人保健法の適用になるということで、一部負担も老人保健法の一部負担を支払っていただくということになるわけでございます。負担の方法、金額若干違いございますけれども、老人保健法の方が、全体的に見ますと、健保本人よりも少し軽い少ない負担ということになっておりますので、この人たちにとって新しい老人保健制度が不利になっているということではないというふうに思っております。
#237
○高杉廸忠君 審議官、だって、一日入院については、その該当者の方は一カ月間でしょう、五百円でもね。ところが、老人保健に適用されるということになると三百円で二カ月。この数字を見たって矛盾をしているし、負担が多くなるということは明らかなんじゃないですか。どうして負担が軽くなると、こういうように判断されるんですか。ちょっとわからないんですが、その点明確にひとつ示していただきたいと思うんです。
#238
○政府委員(吉原健二君) 一部負担の額と、それから負担の仕方といいますか、いただく方法というものが違うわけでございますので、個人個人、一人一人によって違いが出てくると思います。入院期間が長い場合、短い場合、それから初診が多い場合、少ない場合とそれぞれ違いが出てまいりますので、ケース・バイ・ケースによって違ってくるわけでございますけれども、全体的に見ますと、政管本人の一部負担の総額といいますのは、大体総医療費の二%程度ぐらいでございます。老人医療の方は一・六%程度、全体的な推計でございますので、一・六%程度でございまして、そういった意味におきまして、必ずしも老人保健の方が負担が重いということにはならない。確かに個人個人のケース・バイ・ケースによっては逆な場合が出てくることがあろうかと思います。
#239
○高杉廸忠君 審議官、これも要請しておきますが、具体的に対比をして資料として、後日で結構でありますから提出をしていただきたい、お願いです。
 同時に、大臣にお願いしておきますが、こういう新制度になってせっかく医療を受けているお年寄りの人に今度はまた変わった制度で新たなる負担がある、これは酷だと思うんです。したがって、矛盾がないように新たなる負担がないようにぜひしていただきたいと、私はこういうように要請をしておきます。
 それから次に、紙おむつ代について、老人重症者の問題について伺いたいと思うんですけれども、いまお年寄りの重症の方の紙のおむつは一カ月約二万五千円ぐらいかかっている実情なんです。これは老齢年金や障害年金を使っていてそれで賄っているのがお年寄りの現状なんです。国立療養所では無料なんですね。生活保護法では一定の負担をしてくれておりますが、国立病院では必ずしも無料でないんです。これは大変深刻な状態でありますから、紙おむつ代が看護料――紙おむつが出る前は、御承知だろうと思いますが、看護器材、こういうふうにして病院側が処理をしていたんですね。したがって、私はできれば、これは改定があると思いますから、点数化すべきだというふうに考えるんです。いかがですか。
#240
○政府委員(大和田潔君) その点数の問題につきまして私の方からお答えをいたしたいと思いますが、おむつにつきましては、たとえば手術直後に用いられる場合もございますれば、あるいは症状は重篤ではないけれども入院生活を送る上で用いられるといったような場合など、いろいろな実は用い方、用いられ方があります。種々雑多というような用い方がありまして、これにつきましてどういうふうにするかということを十分に検討する必要もございまして、いま直ちに点数化といいますか、これを保険給付の対象にするということはなかなかむずかしい問題でございます。
#241
○高杉廸忠君 大臣よろしゅうございますか。大臣、お聞きになっていて、お年寄りの方が月に二万五千円から三万円もかかる紙おむつ代、これは大変深刻な状態なんです。ですから、いろいろ状況がありましょうが、いま局長からの御答弁では、なかなかむずかしいとおっしゃるんですが、私は、深刻な状態ですから前向きにひとつ実現できるように一層の御尽力をいただきたいと思いますが、いかがですが。
#242
○国務大臣(森下元晴君) むずかしい問題でもございますが、老人の特性という中にそれが入るかどうか、老人の独特の一つの出費でもございますし、前向きでひとつ考えていきたいと、このように考えております。
#243
○高杉廸忠君 次に重症者加算について伺いますが、昨年六月一日に改定をされまして、結核、精神、らい、これらは医療法施行規則四十三条だと思いますが、これを盾に除外されたんですね。一日四千円を除外されたのはどういう理由なんですか。まずその理由を伺いたいと思うんです。
#244
○政府委員(大和田潔君) 昨年六月、これは重症者からの保険外負担の解消というような意味も込めまして重症者加算を行ったわけでございます。その際、精神、結核等の特殊病棟におきまする問題、これは重症者加算の対象にはならぬわけであります。これらの特殊病棟におきます基準看護の承認に当たりましては、例の医療法に規定する患者と看護婦の比率、つまり四対一、一類看護に該当するといった場合におきましては、すでに基準看護の承認でございます。この場合に、入院患者の相当数を重症者が占める、そしてこのような患者を含め十分な看護が行われるということが一つの基準看護の承認の条件になっておるわけでございまして、こういったような施設につきましては、一類看護以上になるわけでございますが、精神、結核等の基準看護承認施設におきましては、すでに重症者に対する十分な看護体制が整備されているというような考え方に基づきまして、これは一般だけというようなことで割り切ったわけでございます。
#245
○高杉廸忠君 局長も御存じだと思うんですが、この重症者加算が除外されたために、国立病院や公的な病院というのは重症者を敬遠しているわけですね、現状は。重症者加算をつけるようにぜひひとつ措置をすることを約束いただきたいと思うんです。
 また、大臣、いろいろな問題も提起しておりまして恐縮でありますが、緊急にこれらの措置をすることによって、通達を出せばもうすぐできることですから、ぜひそれをやっていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
#246
○政府委員(大和田潔君) いま申しましたように、この問題、なかなかそう簡単な問題ではないわけでございます。
 ただ、いまおっしゃいました実態をよく把握さしていただきたいと思いますし、関係者等の意見も聞いてまいりたいというふうに考えるわけでございますけれども、この問題につきましては、すぐどうこうというようなものではないわけでございます。今後検討の対象にいたしたいと、こういうふうに考えております。
#247
○国務大臣(森下元晴君) 真に必要なものは、そのようにいたすように努力いたします。
#248
○高杉廸忠君 次に、本法案と保健事業について、以下与えられた時間お伺いをいたしたいと思いますが、まず政府の基本的な姿勢について伺いたいと思うんです。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
 医療を除く保健事業は、治療中心の保険医療の現状から、予防を最優先する保健、予防、公衆衛生、これを重視する政策に転換するのかどうかですね。これをまずお伺いをいたしたいと思います。
#249
○国務大臣(森下元晴君) 健康相談、健康診査等の医療以外の保健事業につきましては、市町村や保健所における必要なマンパワーの配置、それから設備施設の整備を段階的に進めまして、たとえば循環器検診につきましては、おおむね五年間で検診率を約二〇%から五〇%まで引き上げるなど事業の拡充を積極的に図る所存でございます。
#250
○高杉廸忠君 御承知のとおり、本法案は第一条で、先ほども申し上げましたとおりに、「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ること」、これを目的としておりますけれども、これまでの国会審議の政府の答弁では、残念ながら相変らずの医療中心で、医療を除く保健事業の位置づけというものはきわめて弱く私は感じるんです。国民保健の向上と言いながら、保健事業の計画、これは全く不十分であると、こういうふうに思うんです。
 厚生省は、この計画で、いまのようなことで本当に真の保健、予防、あるいは公衆衛生の向上を実現できると考えているのかどうかですね。治療中心の保険医療、老人医療の有料化、拠出金の財政調整などの単なる部分的な補完としか見えないのはまことに残念なんです。
 わが党は、保健、予防の強化、健康確保、そのための公衆衛生行政の強化を最も優先すべき政策課題というふうに考えているんです。この法案の内容では十分な体制になっていない。こういうふうに思うんですが、まずこの明確な基本的な姿勢をお答えいただきたいと思うんです。大臣いかがですか。
#251
○国務大臣(森下元晴君) お説のとおりでございまして、この法案の目的でございます、後段に書いてございますように、「国民保健の向上及び老人福祉の増進を図る」ための保健事業である、また将来の老人が健やかに長生きしていただく、ここにこの法案の骨子があるわけでございます。
 したがって、御指摘の内容につきましても十分配意いたしまして、積極的に努力をいたしたいと、このように思っておるわけでございます。
#252
○高杉廸忠君 この法案の実施主体ですね、医療を除く保健事業の実施体制について伺いたいと思うんですけれども、実施主体である市町村が健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練、訪問指導、こういうものを総合的に実施し、しかも現状の母子保健、予防接種などの事業に加えた老人保健事業を果たして実施できるかどうか。私はその点疑問に思っているんですけれども、その見解はどのようにお持ちですか伺います。
#253
○政府委員(三浦大助君) この事業の遂行に当たっては、一つは基盤の整備という大きな問題がございます。第二にマンパワーの確保という問題がございますが、これは私ども一挙にスタートするわけにはまいりませんので、ひとつ五年間ぐらいかけてある一定の水準まで持っていこうということで努力しておるわけでございます。
 市町村が母子保健や予防接種を行いながらこういう老人保健事業の実施が可能かという御質問でございますが、保健事業の実施のためのマンパワーにつきましては、保健婦が中心的な役割りを果たすわけでございますが、これにつきましては、ひとつ五年間で八千名ぐらいを確保していこうという計画でございます。また医師あるいはOT、PTそれから栄養士、こういうものにつきましては、地元の医療機関の御協力を得ていこうということを計画をしておるわけでございます。また保健事業の事務処理に当たります事務職員につきましては、交付税の方でひとつお願いをしたいと考えておるところでございます。実施体制の不備な市町村につきましては、これは保健所が全面的な応援をするというかっこうもとっていきたい。
 こういう努力をしながら、五年後には一定の水準に達するように実施可能な方向で全力を挙げてまいりたいと考えております。
#254
○高杉廸忠君 それでは、保健事業の実施体制で重要な位置を占めます、いまお答えがありました、マンパワーの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 健康相談、健康教育、機能訓練、訪問指導など、すでに保健婦さんがかかわっていると思いますけれども、五カ年計画で八千人、こういうふうないまお答えがありましたけれども、市町村と保健所にどういうように配置をしていくのか。八千人と言われる具体的な内容をこの際明らかに示していただきたいと思うんですが、いかがですか。
#255
○政府委員(三浦大助君) 必要な保健婦八千人のまず内訳でございますが、現在保健所市町村に約一万五千名の保健婦がおるわけでございますが、このうちの二千名をこの老人保健対策の方に振りかえたい、こういうことでございます。それから新規の保健婦の採用でございますが、これを五年間で三千名確保したい、それからまた訪問指導を行います保健婦は、これは退職保健婦を雇い上げて、これも五年間で三千名確保したい、こういうわけでございます。
 保健婦の張りつけの問題でございますが、新規に増員いたします保健婦につきましては、保健婦未設置の市町村が現在四百六十市町村ございますが、こういうところからひとつ重点を置いて保健婦の設置をお願いしたい。また一人しかいない市町村もございますので、こういうところを重点に保健婦さんを採用していただきたいということでございます。
 この八千人の積算の根拠でございますが、これは予算要求の段階で、目標年次におきます各事業ごとに、標準的な事業量を設定して細かい試算をして八千名という計算を出してございます。
#256
○高杉廸忠君 その八千人の計画でいまお話しがありました。さらに進めますけれども、それならば市町村の一定の人口規模に対して、保健、予防事業をどの程度実施して、そのために何人の保健婦が配置されるか、老人保健事業の事業量とそのための保健婦必要数、こういうものを総合して保健婦の数を算定し、計画を立てたと思います。いま例として挙げますと、人口五千人、一万人、それから三万人、五万人規模の市町村の平均的事業と、それに伴う保健婦の数を明らかにしていく必要があると思うんですが、これはぜひこの際明らかにしていただきたいと思います。いかがですか。
#257
○政府委員(三浦大助君) ただいまの御指摘につきましては、要するに保健婦がどのくらい人口規模の市町村でいたらいいかというお話になるかと思いますが、これにつきましては、その地域の医療資源の配置状況また地形の状況によって保健婦活動というものはまた違ってまいります。したがって、保健婦の必要数をいまここで明らかにするのは非常に困難でございまして、私ども今後の増員計画に伴いまして、そういうことは実施のいろんな細かい計画の段階で市町村とひとつ煮詰めていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#258
○高杉廸忠君 それじゃ尋ねますが、昭和五十五年度の保健婦の就業状況ですね、市町村保健婦が七千七百五十人、保健所保健婦さんは七千六百四十九人、合計一万五千三百九十九人、こういうふうに厚生省の資料にあるんですよね。これは間違いないかと思うんですが、確認をいたしたいと思うんです。
 それから第二点として、また市町村の保健婦配置状況で、市町村で保健婦さんが一人もいない未設置市町村が四百五十八市町村、一人のみの配置が千六十八市町村、保健婦全体の数の約四〇%が一人以下の配置と思いますが、この点はどうなっておりますか。
#259
○政府委員(三浦大助君) 前段の御質問の五十五年の保健所市町村の保健婦の数は先生御指摘のとおりでございます。
 それから二番目の問題も先生御指摘のとおりでございまして、ただ、未設置の市町村数はこの三、四年の間にかなり改善されてきておりまして、昭和五十三年度は約六百ございました。それが五十五年度には四百五十八になったわけでございます。また県から駐在制などでカバーしているところが約百七十町村あるわけでございます。したがいまして、全くいないところはいま約二百九十ということになっておるわけでございます。未設置市町村あるいは一人しかいない市町村につきましては、これは保健所が広域的に支援体制をいま行っておるということでございます。
#260
○高杉廸忠君 いま確認いたしましたような現状実態の中で、保健婦の実質配置数ですね、それから市町村で新規卒業者が二千百五十人、退職者とパートで三千人、計五千二百人程度でどう配置しようとするのか、ちょっと具体的に示していただきたいと思うんですね、第一に。
 私どもわが党の石川、兵庫の調査や市町村の調査の結果では、この程度ではとても実施できない、こういうふうに言っているんですね。これが実情なんです。幾つかの特徴として、多くの市町村は、保健婦さんが配置されていても現状の業務をこなすことで精いっぱい、こういうことと市町村としては行うべき事業はすでにやっていまして、とうていこの保健事業についてもう大変だという実態にあるというのが偽らざる今日の状況なんです。
 このような現状に老人保健事業が加わった場合、事業のうち部分的に可能な市町村もありますけれども、大多数の市町村は実施ができないと答えている現状です。石川、兵庫の調査でも実施できるという町村の答えは残念ながらなかったんですが、こういうような実態についてどういうようにお考えであるか、あるいはまたどう対応されるのか、これについて伺いたいと思うんです。
#261
○政府委員(三浦大助君) 保健婦の配置を具体的にという御指摘につきましては、先ほど申し上げましたように、
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
これから都道府県あるいは保健所の段階で、細かい計画をつくる段階でひとつ煮詰めていきたいと思っております。厚生省といたしましては、各都道府県において、保健所の支援体制も含めたかっこうで、地域の実情にあった市町村保健婦の配置計画を県の方と相談してつくってまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、御指摘にございましたように、保健所の保健婦あるいは市町村の保健婦がかなり忙しゅうございます。しかし、いまかなり成人病対策その他でいろいろな対策もなされておるわけでございますので、これに積み重ねるかっこうで順次やってまいりたいと考えております。
#262
○高杉廸忠君 市町村の保健婦配置で尋ねますけれども、まず未設置市町村四百五十八に最低一人配置したとして残りは千六百九十二人、一人配置の千六十八市町村に一人を増員した場合、他の市町村にわずか六百二十四人、これを増員するにすぎないことになると思うんです、数からは。そうですね。これで老人保健事業ができると考えていることにどうも私は十分な理解ができないんです。
 そこで、その五年計画の初年度の昭和五十七年度の増員というのは、たったわずかに二百八十七人、未設置の市町村にすら対応し得ない数なんです。これが実情であると思うんです。保健所から、いまお答えがありましたような応援などで対応しようとするんですけれども、初年度すらこのような体制で、とても必要数を満たすことにはならないと思うんですよ。そうでしょう。数字的に言ったって明らかなんですよ。どういうふうにそれに対応するのか、私ちょっとわからないんですが、この点具体的に示していただきたいと思うんです。
#263
○政府委員(三浦大助君) 御指摘のように、ある町村によっては人口千二百人ぐらいに一人ぐらいの保健婦さんのところがございますし、あるいは二万人に一人ぐらいのところがございまして、非常にばらつきが多うございます。それからことしの増員分を見ましても、まさにおっしゃるとおり未設置の市町村にも全部いかないかもしれませんが、私ども五年間かけてひとつ八千人までともかく持っていきたい。できることからやっていって、それでなるべく五年後に一定の水準に持っていきたいということでやっておるわけでございます。
 ただ、この八千人をもっとふやせという御指摘につきましては、私ども多々ますます弁ずでふやしたいわけでございますが、保健婦の養成計画その他の関連もございますので、実施可能な範囲で着々とやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#264
○高杉廸忠君 大臣、聞いててもわかるでしょう。数字を幾ら合わせたって、初年度すらできないのに、どうして五年間でこの計画が実現できるか、私にはよく理解できないんです。お年寄りの保健事業というものをやっていかなきゃならないですよ。どうするんです、初年度すら達成できないのに。各市町村もできないと言っているんですよね。だから、もっと大胆にふやしていく以外に方法ないんじゃないですか。大臣どうなんですか。
#265
○国務大臣(森下元晴君) きのうも石川県の方で直接携わる方の御意見も実はお聞きいたしました。非常にむずかしいというようなお話でございました。私どももむずかしいということは承知はしておりますけれども、先ほど申しましたように、老人保健法の中でもこの保健事業は非常に大事な仕事でございます。特に地域医療の問題、地域保健の問題、これは大事な問題でございますから、五年間で八千人全力を挙げて達成できるようにいたしたい。ただ初年度の段階で多少つまずいておるということは御指摘のとおりでございますけれども、今後全力を挙げてこの問題に取り組んでいく、こういうことでございます。
#266
○高杉廸忠君 ぜひこれは、いま何回も言うように、大臣からの本法案の成立を期してくださいという要請にこたえたいんですが、それに伴う裏づけがすべての面について、審議すればするほど、裏づけが具体的に前向きにない、私は非常に残念なんです。ですから、これは初年度すら達成ができないものを五年間ですから、これは前向きにひとつ積極的に大臣が決意をもって進めていただかなけりゃならないと思うんです。
 そこで、保健所の保健婦さん、現在七千六百四十九人、多くの保健所では業務に比較して保健婦さんが増員されないで、訪問指導の件数も非常に低下しているんですね。これに対して老人保健事業では、五カ年間で八百五十人、昭和五十七年度では一〇%の増員にすぎないんですよ。こういう計画で保健所が市町村の事業を代行する場合、実際の実施体制というのが私は非常に疑問に思うんですが、これはどうなんですか。
#267
○政府委員(三浦大助君) 保健所ではすでに、成人病対策あるいは老人保健対策について、保健婦等のマンパワーを活用しながらかなり相当の実績を積み重ねていることも事実でございますので、ひとつこれをベースにいたしまして市町村に支援体制の強化を図っていきたいというふうに考えております。
#268
○高杉廸忠君 次に、退職保健婦さんの雇い上げ、パートとか、その三千百三十人、これを計画して、五十七年度で千五百七人、これが予算化されていますね。退職者の潜在保健婦の活用や協力を得ることが非常に必要であると思うんです。まず、正規の保健婦さんを必要な数増員もしないでパートで対応させるという考え方、ここに私は問題があるんじゃないかと考えるんです。
 しかも、退職されたパートの保健婦さんに寝たきり老人の訪問をさせる計画のようですけれども、これで十分な対応であるというふうに考えているかどうか、この点どういうふうにお考えになっておりますか。
#269
○政府委員(三浦大助君) 保健事業の実施に当たりましては、基本的には私ども増員という方向でやってまいりたいと思っております。
 寝たきり老人の訪問指導につきましては、これは経験豊かなむしろ退職した保健婦さんを使った方がいいんじゃないだろうかと考えたわけでございます。現在の保健婦の退職年齢と申しますのは、大体五十から五十五ぐらいの方々が多うございまして、退職後といえどもかなり活動能力を持っている者が多いんではないかと思うわけでございます。特に老人の訪問指導のような事業につきましては、むしろ退職した経験豊かな保健婦さんの経験が大いに物を言うのではないかというふうに期待をしておるわけでございます。
#270
○高杉廸忠君 局長、わが党の調査では全く反対なんですよ。というのは、退職された保健婦さんは高齢な方が多いんでしょう。集団検診のお手伝い程度は協力できても、寝たきり老人、お年寄りの方の訪問というのは、年齢的に言っても無理だという、こういう調査の結果がはっきりあらわれているんですよ。私は、いまの局長の話は現実を無視したお話であり、計画だと思うんですが、どうなんですか。
#271
○政府委員(三浦大助君) ですから、先ほど来申し上げましたように、退職保健婦さんの年齢というのは、大体五十から五十五というふうに私ども見ておるわけでございますが、したがって五十から五十五といいますとまだかなり活動能力は十分にあるんじゃないか。しかも経験が豊かだということで期待をしておるわけでございます。
#272
○高杉廸忠君 私どもの調査では局長の言われたことと全く反対であるし、現に退職されたお年寄り、お年寄りというか退職された方の保健婦さんでも、大変な仕事だということは実態を見て明らかなんです。だから、どこの調査を根拠にされているのかわかりませんが、私は現実無視の計画ではないか、こういうふうに考えるんです。だから、さらに後日で結構でありますが、資料があれば御提出をいただきたいと思います。委員長にお願いをしておきます。資料のひとつ提出をお願いしたいと思います。
#273
○委員長(粕谷照美君) 公衆衛生局長、よろしいですか。
#274
○政府委員(三浦大助君) はい。
#275
○高杉廸忠君 さらに、たとえパートで対応するとしても、多くの市町村では潜在者がいない、退職者がいない、こういうようなことも実態として私どもの調査で明らかなんです。厚生省は本当にこういうような計画で老人保健事業というものが実施できるのか、私は非常に不安なんですね。
 そこで、潜在看護婦がどういうような状況になっているかの点についても、ひとつあわせて資料を御提出いただきたいと思うんです。資料以外については、いま申し上げましたところはどういうふうにお考えになっているか確認の意味で伺いたいと思うんです。
#276
○政府委員(三浦大助君) 私どもが現在潜在保健婦として把握しておりますのが約二千五百名おります。今後五カ年間に毎年六百人ぐらいずつ退職されるんじゃないだろうか。したがいまして、五カ年間で三千人ぐらいは確保できるんではないだろうかと思いますが、ただいま先生御指摘のように、地域によっては確保することがむずかしいところがあるかもしれません。こういうところにつきましては、在宅の看護資格を持つ人たちの活用を図っていきたいと考えております。
#277
○高杉廸忠君 だんだん時間がなくなりましたから具体的にちょっとお尋ねしておきますけれども、保健婦の養成計画、八千人の計画についてはお尋ねしましたが、養成計画はどういうふうになっておりますか。
#278
○政府委員(三浦大助君) 現在五十七校で約二千名が毎年卒業してくる計算になっております。
#279
○高杉廸忠君 その二千人ですけれど、どの程度保健婦として市町村や保健所に就職できるのかどうか、この点どうでしょう。
#280
○政府委員(三浦大助君) 私ども、この約二千人の中で、中にはまた違う学校へ行かれる方あるいは職場の方に勤められる方、いろいろございますが、約千二百名ぐらいは市町村あるいは保健所に保健婦として入っていただける可能性があるのではないかというふうに考えておりまして、したがって、毎年千二百名入りますと、六百名今度は逆に定年でやめる方がいらっしゃいますから、約六百名は新規で確保できるんではないだろうか。したがって新規の保健婦は合わせて三千人ぐらい五年間で確保していこうという考えでおるわけでございます。
#281
○高杉廸忠君 そうすると、保健婦の養成、今後五カ年間で約一万人ですね。二千人ずつ五年ですから一万人。そのうち保健婦として就職するのは約六千人程度と、こう考えるんですね。どうですか。
#282
○政府委員(三浦大助君) おっしゃるとおりでございます。
#283
○高杉廸忠君 そうなると、その保健婦の八千人計画で見ると、新卒者が三千、退職の方の活用が三千、その他二千で計八千人。こうなるんです。退職者三千人がパートの対象、新卒が六千、このうち退職の補充が三千人、残りの新卒者三千人。今後の増員五カ年計画はこうなるんですけれども、そうですね。
 その地域の実態も考えない、養成の強化もない、ただ現状の保健婦養成の枠内で単なる教字合わせ的な計画ではないか、需要に対する供給の計画ではない、こういうふうに考えるんです。なぜ積極的に保健婦の養成計画を強化していかないのか、私はその点考えているんですけれども、どういうふうにお考えですか、見解を伺いたいと思います。
#284
○政府委員(三浦大助君) 私ども一応現実的な案を考えたわけでございまして、実際にはもっと保健婦が採用できればなおいいわけでございますけれども、実際に現在の養成状況ではそれ以上を望むことは無理でございますので、現実的な対応で考えたわけでございます。
#285
○高杉廸忠君 現在、昭和五十五年度の保健婦一人当たりの担当人口、これは七千六百二、こういうことですね。間違いありませんね。――これではきめ細かな保健事業ができないと思うんです。新たな老人保健事業を担う条件はこれじゃとてもないというふうに思うんですね。わが党としては、真に国民の保健事業を強化して、きめの細かな保健サービスというのに必要な保健婦は、人口二千人に一人の必要と考えているんです。政府はこの点をどういうように考えておられるのか、この点について具体的にひとつお答えをいただきたいと思うんです。
#286
○政府委員(三浦大助君) いま先生御指摘のように、五年後に五千五百名の人を一人の保健婦が担当するという計算上の根拠になるわけでございますが、実際現在千二百人に一人とか、あるいは二千人に一人とかいう市町村もかなり多いわけでございます。こういう市町村ではかなりいろんなことを確かにやっておることも事実でございますが、先ほど申し上げましたように、全国的に見た場合、現在の養成計画でこれ以上の増員を望むというのは非常に非現実的な案になりますので、ひとまず私ども五年間に八千名を確保してある一定の水準まで上げていこう、その後はまたさらに向上するように持っていこうというふうに考えておるわけでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#287
○高杉廸忠君 私にきょう与えられました時間がやがて終わるわけでありますから、最後に総括的に大臣にも要請をし、確認をいたしたいと思うんです。
 私は、本法案の審議に当たって幾つかの問題の提起もいたしました。同時にまた資料の要求もして、そして今国会における成立についても大臣の御要請にこたえたい、こういうように私も考えているんですが、どうも審議をすればするほど、まだ自信のほどが得られないのはきわめて残念なんです。
 私も精神と老人医療との問題、こういう問題についても後日機会があればまた審議に加わらせていただきたいと思いますし、きょうそれらについてはここで質疑をする余裕もありません。後日に譲りたいと思います。
 しかし私は、高齢化社会と老人医療、医療供給体制、現在の医療制度の矛盾と老人保健法についての幾つかの提言もいたしました。大臣に最後に、私どもの提言を率直に聞いていただきまして、大変敬意を表するわけでありますが、本法案成立について大臣にこれら提言をし、幾つかの提起をいたしました点についても、積極的に私どもの提言を了として、その実現を図っていただきたい。このことの再度の確認と今後の取り組みについての大臣の御決意を承りまして、本日の私の質問を終わりたいと思います。
#288
○国務大臣(森下元晴君) 高齢化社会に入っておりますこの中で老人医療がいかにあるべきか、そのために、政府といたしましては、老人保健法案を提出いたしまして審議をしていただいておるわけでございます。
 ただいまは高杉議員から長時間にわたりましていろいろ提議も含めて御質問をいただきました。非常に前向きでしかも適切な御提言もございました。私どもも了とできる点もたくさんあるわけでございます。いずれにいたしましても、この法案を一日も早く通していただいて、そして運用していきたい、そして国民の保健の向上と老人福祉の実を上げたい、このように思っておるわけでございます。したがいまして、いろいろと御提言になったこと、私どもは前向きで十分検討もさしていただくことを申し上げまして御答弁といたします。
#289
○委員長(粕谷照美君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
#290
○委員長(粕谷照美君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 老人保健法案について、内閣、地方行政、文教、農林水産の各委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#291
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#292
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト