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#1
第096回国会 社会労働委員会 第14号
昭和五十七年五月十三日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     高杉 廸忠君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                村上 正邦君
                対馬 孝且君
               目黒今朝次郎君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
       発  議  者  安恒 良一君
   国務大臣
       労 働 大 臣  初村滝一郎君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田 正輝君
       大蔵省主計局次
       長        宍倉 宗夫君
       厚生省年金局長  山口新一郎君
       労働省労政局長  吉本  実君
       労働省労働基準
       局長       石井 甲二君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  望月 三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       篠沢 恭助君
       大蔵省銀行局貯
       蓄奨励官    上川名清次郎君
       林野庁職員部長  関口  尚君
       建設省住宅局政
       策課長      北島 照仁君
       日本専売公社管
       理調整本部職員
       部長       丹生 守夫君
       日本国有鉄道理
       事        三坂 健康君
       日本電信電話公
       社総務理事    小川  晃君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○雇用における男女の平等取扱いの促進に関する
 法律案(田中寿美子君外二名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、高杉廸忠君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(粕谷照美君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○目黒今朝次郎君 財形が発足して今日まで約十年ぐらいたつわけでありますが、今日時点で、政府側の説明によりますと、五十七年の二月、財形貯蓄の加入者が千二百七十万人、たまった金が五兆三千三百四十七億円と、こういう報告がありまして、大変なお金が集まっている。こういう理解をするわけであります。
 財形貯蓄法の還元融資ということについては、大体三分の一の一兆六千億程度はいろんなものに使ってよろしいと、こういうことがこの法の精神からあるわけでありますが、現状において、持家融資、あるいは進学融資、個人融資を含めてどういう現状にあるか、まず冒頭この現状について御報告願いたい、こう思います。
#5
○政府委員(望月三郎君) 勤労者財産形成促進制度のうちの財形貯蓄は、先生いまおっしゃったように、昭和五十七年二月末現在で契約者数が約千二百七十万人、貯蓄残高が約五兆三千三百五十億円、事業所数約百三十万事業所となっております。
 また、財形貯蓄を原資とする持家融資は、昭和五十七年三月末現在で総額千九十億円となっております。さらに、財形進学融資制度は、昭和五十七年三月末現在の貸付件数累計が約六百件、金額は約四億円でございます。これら財形融資については、財形貯蓄残高の先ほど御指摘のように三分の一まで資金調達できることとなっておりますが、これまでの融資実績は残念ながら約二%と低調にとどまっているところでございます。
#6
○目黒今朝次郎君 第一に、財形持家分譲融資ということについては、ここにあります資料を見ますと、約九年間で六千八百戸金額にして五百八十四億円、それから個人融資の関係については、五年間で戸数で一万七百六十六戸、金額にして四百五十五億、こういうデータをもらっているわけでありますが、これは大体間違いありませんか、確認方お願いします。
#7
○政府委員(望月三郎君) おっしゃるとおりでございます。
#8
○目黒今朝次郎君 そうしますと、この一兆六千億前後から見ますと、分譲住宅が五百八十四億、それから個人融資が四百五十五億、約一千億です。それから進学融資も先ほどあったとおり。こういう面から見ますと、融資枠に対する実績という点で非常に実績が上がっていない。こういう現状については認めますか。
#9
○政府委員(望月三郎君) 全くおっしゃるとおりでございまして、所期の三分の一ということから見ますと、この点については非常に欠陥があったわけでございます。
#10
○目黒今朝次郎君 その原因はいろいろあろうと思うんでありますが、労働省サイドでこの財形貯蓄を運用してみて、枠は十分あるんだけれども融資が少ないという点は、大体どの辺に問題があるというふうに受けとめておるか、その分析と対応等について若干御報告願いたいと、こう思うんです。いかがですか。
#11
○政府委員(石井甲二君) ただいま先生御指摘のように、特に住宅についての融資の現状は以上のとおりでございまして、まことに低調でございます。その原因につきましては土地の問題というのが基本にございます。また建築費の問題もございます。土地問題、建築費問題等は、土地価格問題あるいは物価問題という関連がございまして、かなり広範な対応を必要とするわけでございますが、そのほかに基本的に貸付利率の問題がございます。財形の場合には、御承知のように、いわゆる調達金利ということでございまして、従来の一般のローンと大体同じぐらいの金額がその調達金利として設定されるわけでございます。現在七・九九%という高率でございます。
 そこで、どういうことを考えたかということに関連いたしますが、この住宅問題についての対応を進めるために、また最近の内需喚起という問題も住宅と非常に関連がございますけれども、そういうことも含めまして、この際勤労者の持家取得を一層容易にするために、財形持家個人融資について利子補給制度を創設することの御審議をお願いしたいということでございます。
 なお、利子補給制度は、財形持家個人融資一件当たり五百五十万円につきまして、貸付金利を一−二年目は二%、三−五年目は一%に引き上げることといたしておると、こういうことでございます。
#12
○目黒今朝次郎君 建設省にお伺いしますが、いまの財形関係で、八年も十年もさかのぼるということは無理ですが、ここ二、三年の間で大体財形の計画は全体で何戸ぐらい、そのうち実績はどのくらい、ここ三年ぐらいの程度で結構ですから、数字があったら参考までに教えてもらいたいと、こう思うんです。
#13
○説明員(北島照仁君) 財形持家個人融資の計画戸数につきましては、昭和五十四年度につきましてはほぼ四万戸五十五年度及び五十六年度につきましてはそれぞれ三万戸程度でございます。
 これに対しまして貸し付けの実績は、五十四年度は約四千三百戸五十五年度は約二千戸、五十六年度は約千三百戸となっております。これはいずれも雇用促進事業団及び住宅金融公庫等を合算した数字でございます。
#14
○目黒今朝次郎君 そうすると、財形の方の実際を見ても九年間で六千八百五戸それから個人融資が一万七百六十六戸、これは累計ですね。それからいま建設省の方の住宅関係のやつですと、五十四年が四万をもくろんで四千三百、四万戸の予定で実数は四千三百と、こういうように受けとっていいんですか。
#15
○説明員(北島照仁君) 先ほど申し上げた数字は、労働省関係、建設省関係等を全部含めた数字でございます。建設省関係につきましては、五十四年度は二万戸の計画に対しまして三千三百三十八戸、それから五十五年度は同じく二万戸の計画に対しまして千七百一戸五十六年度が二万戸の計画に対しまして千三十一戸と、こういうことでございます。
#16
○目黒今朝次郎君 いまの数字、前段のやつを含めて傾向として言えることは、大体建てる予定の戸数の約一割前後と、こういうふうに言えると思うんです、建設省の所管で考えれば。そうしますと、財形をやって金をためて、融資枠があるのになかなか持ち家が進まない、あるいは建設省サイドで考えても予定に対する実際の建物は一割前後だと。
 こういうような勤労者の持ち家の現状という点は、一体根本的なその原因はどこにあるかと、こう見ますと、いま労働省側の政府委員から言われた七・九九という高い利息ということもあるけれども、もっと根本的には、勤労者の所得自体が家を建てるだけの財布のゆとりがない、こういうことじゃないだろうか。また勤労者の財布に見合う土地政策、これは労働省サイドじゃありませんが、国全体の土地政策という点が十分考えられていないというところに、こういう制度をつくってもなかなか思うようにいかないという根本的な問題があるんじゃなかろうか。こんなふうに私は考えるわけでありますが、この私の考えについては、予算委員会なりあるいは決算委員会なりの場を通じて、建設大臣もたびたび表明しておることでありますから、私は、政府としても余り間違いないと、こういう認識を持っておるわけでありますが、この認識について労働大臣の方から、基本的に間違いがあるかどうかお考えを聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
#17
○国務大臣(初村滝一郎君) せっかく持家制度の法律をつくりましても、金利が高いとか、あるいは建築金額全体が土地問題を含めて高いので利用されない。仮に三千万かかるとしても、何十年かでそれの支払いをしなければいけない。その償還計画を立てるについて、どうしても労働者の皆さん方の財布のひもが固い、あるいはまた払うだけの可処分所得がない。こういう点からせっかくの制度も利用されておらぬのではなかろうかと、かように考えます。したがって、目黒議員の言われる趣旨に変わりはないと思います。
#18
○目黒今朝次郎君 そこで、財形問題をいろいろ議論しても、財布の方のやりくりが十分でないと家が建ちません。たまたまこの財布の問題に一番大事な仲裁裁定の問題が五月の八日公労委から提示されました。公労法のたてまえから言うと、裁定提示後十日以内に政府は何らかの方法を決める、こういうたてまえになっておるわけであります。水面下では労働大臣に各組合の代表者が会っていろいろお話ししていると思うんでありますが、主管大臣である労働大臣に、この仲裁裁定の取り扱いが今日段階でどうなっているか、また会期も五月十九日まででありますから、この五月十九日までの間にこの問題を、労働大臣として、あるいは政府として、どう処理されようとしているのか、今日時点における現状について労働大臣からお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
#19
○国務大臣(初村滝一郎君) 御承知のとおりに、先般公労委から仲裁裁定が出たわけであります。したがって、政府としては早目に結論を出して御返事を申し上げなければならないということは事実でございます。したがって、私といたしましても、仲裁裁定の重要性を考えるときに、これを早期に実施しなければならないというようなことで、実はきのう給与関係閣僚会議を開きまして、これに対する結論を出そうとしたわけでございますが、意見が分かれました。
 それで、私は、何といっても仲裁裁定、特に公労法三十五条の精神にのっとって、早急に完全実施をすべきであるというような意見を強く申し上げたわけでございますが、それに賛同する関係主務大臣もおりましたけれども、一部にまたいろいろな問題もこれあり、財政上の問題もこれありというようなことで、きのうは結論を出すに至らなかったのであります。したがって、あす午前八時三十分から再度給与関係閣僚会議を開いて、結論を出すような運びになっておるのでございます。したがって、私はあくまでも、前にも申し上げましたとおりに、公労法三十五条の精神にのっとって速やかに完全実施をすべきであるということを主張もし、さらに今後もその主張を続けてまいりたいと、かように考えております。
#20
○目黒今朝次郎君 いま労働大臣の担当大臣としての見解ということについては、それなりに理解は私もするわけでありますが、政府全体として、毎年の春闘なりいろんな問題が起きますと、官房長官名をもって、公労協の組合はストライキをやってはならない、スト権にかわる仲裁制度があるのであるから、それで十分に平和的に解決するのが筋道であるからやってはならない、やれば断固処分するぞと、こういうことでその都度問題を提示されて、いま国労、動労は二百二億の損害賠償という問題も提示されておるわけであります。
 その二百二億の損害賠償の政府側の論理を見ますと、公労法があって仲裁・調停制度がある、にもかかわらず云々と、こういう点が裁判の政府論告あるいは国鉄論告の中心に据えられておるわけであります。したがって、問題が発生してそういう事態になると、最悪の手段で裁判問題まで持ち出してこられる。
 しかし最も根本にある仲裁裁定の問題となりますと、労働大臣の努力は多といたしますが、少なくとも公労協のいろんな行動について官房長官名をもって警告するということは、政府全体の統一意思であるし、また当然だと思うのであります。したがって、三十五条の精神からいっても、労働大臣は言うに及ばず、大蔵大臣も含めて、特に鈴木総理は、現在の公労協、三公社の問題については、いろいろ臨調を含めて議論されておるわけでありますから、労働大臣はもちろんのこと、いま労働大臣の言ったことは、少なくとも政府全体として、公労協労働者並びにその家族に対して約束しておる大事なことではないのか。その問題は破られてはならない、政府みずからが破ってもならない。そう思うんですが、その辺の関係を、くどいようですが、スト権の代償とのかかわり合い、今日までにおける労使紛争の根本的な問題の解消という視点から、きちっと政府は姿勢を正して、取り扱いに過ちのないようにすべきではなかろうか。こう思うんですが、いかがでしょうか。
#21
○国務大臣(初村滝一郎君) 目黒議員おっしゃるとおりでございます。したがって私も、せっかく仲裁裁定ができて、しかも公労法第三十五条の精神にのっとってこれを速やかに完全実施すべきであるという主張を申し上げましたところが、主務大臣の中にはほとんどの方がそうだ、三十五条の精神にのっとってやるべきであるという意見が強いわけでありましたが、ただ資金的に、財政的に非常にむずかしい状況であるというような発言の閣僚もいらっしゃったものですから、そういう点をうまくすり合わせをして、できるだけ政府統一見解をやるべきであるということで、あしたさらにやるわけであります。私どもはあくまでもさっき言ったような精神でやりたい。特に今回、春闘始まって以来の私鉄並びに公労のストライキがなかったということは非常に労働者側の理解ある処置であったと、私どもも非常に感謝しておるわけでありますから、そういう点についても報いなければならない。こういう気持ちでやりますので、さよう御了承賜りたいと思います。
#22
○目黒今朝次郎君 それで、ストなし春闘、公労協、交運共闘ともども、今回は非常に話し合い、公労委、中労委をお互いに活用して平和的に終わっておる段階でありますが、ただ議論をする際に、公務員の給料が高いじゃないか、あるいは国鉄も高いじゃないか、こういう議論があるんで、問題の認識を深める意味でこれは労働省の皆さんに伺うんです。
 われわれがもらっておる資料では、四月二十七日段階で、春闘共闘、同盟の皆さんを含めて、中小企業を含めて、加重平均で一万三千三百七十七円、加重平均で七・一%前後というのが大体今日時点におけるこの八二春闘の定昇込みの相場だと、こういうふうに受けとめておるのでありますが、この認識には労働省も変わりがないかどうか、あるいはどの程度になっているかお答え願いたいと、こう思うのです。
#23
○政府委員(吉本実君) ただいまの御質問でございますが、先生のおっしゃっていること、直接手元に資料ございませんが、そのとおりだと私、記憶しております。
#24
○目黒今朝次郎君 そうすると、中小企業を含めた一般の民間相場が大体一万三千三百七十七円、七・一%前後。五月に入ってまだ未解決の組合がありますから、ローカルも含めて若干下がるかもしれませんが、七%前後というのがことしの相場、間違いない、こう思うのであります。
 この問題について、仲裁裁定も、私から言うまでもなく、一万三千四百三十四円、大体六・九%、こうなっておりますから、ベースアップ並びに絶対金額の段階では、公労委の裁定というのは大体ことしの相場に合っているなあ、高くもなければ低くもない、いろいろ縦割りの議論はあるにしても、大体傾向としては高からず低からずということで、いいところへいっているんじゃないかと、こういう点で、私は財政問題でいろいろ議論されておる大蔵省、大蔵大臣の立場もわからないわけじゃありませんが、労働大臣の言うとおり、ストなし春闘ということで終わった段階では、金額的にも世間相場だという場合には、やはり世間相場として処理してやるというのが一番客観点にも主体的にもいいことではないのか。これに変なこじつけますと、こじをつけられた方が、いつまで黙っていて何を言うんだ、こういう反発も起きかねませんから、この辺は金額的にもまあまあいいところだという点で、大臣に特にお願いしたいと思うのですが、これは政府委員でも結構ですから、この相場の認識について見解を聞かせてもらいたい、こう思うのです。
#25
○国務大臣(初村滝一郎君) 公労委において仲裁裁定がずっと出たわけで、六・九%、一万三千四百三十四円という数字は私は適切な金額である、決して高くもなければ低くもない、公平な見方。したがって、従来の私どもの積算した百人以上の中小企業、こういうものをずっと参考にして出した数字である。したがって、これをいろいろな意味で値切るとか、変なことをすれば、また問題が起きると思いますので、それを尊重してやるべきである。したがって担当大臣としても、そういう趣旨を踏まえて、できるだけ速やかに完全実施するようにあすの閣僚会議でも意見を申し上げたい、かように考える次第でございます。
#26
○目黒今朝次郎君 それでは、この仲裁裁定の扱いは、われわれも大分苦労させられた経験もあるし、国会に来てからもいろいろこの問題では苦労をしておるわけでありますが、大臣も御存じのとおり、議決案件か承認案件かというのが一番大変な問題になるわけであります。
 私は労働省にも公労委にもある資料から検討しますと、昭和二十四年から去年の五十六年までずっと毎年毎年あるわけでありまして、四十九年までは私自身も当事者として取り扱った問題でありますが、これをずっと見ますと、昭和三十六年には補正予算という形でやられたわけですが、それ以外を見ますと、承認案件の際も議決案件の際も、いわゆる三公社五現業でおのおのいままでの予算の枠内で合理化して財源を編み出したり、むだと言っては変でありますが、優先順位をやりくりしたり、予備費の流用をやったり、あるいはいろんなやりくりをしたり、いわゆる当事者の企業の、国会で決められた予算の枠内の運用操作、捻出といいますか、やりくりといいますか、そういうもので三十六年以外は全部やられているわけですね。この事実関係には変わりないですか。私はそういう認識をしているんですが、政府の認識はいかがでしょうか。
#27
○政府委員(吉本実君) ただいま仲裁裁定の過去の処理経過ということでございますので、若干細かくなりますが御説明させていただきます。
 先生御承知のように、昭和二十年代におきましては、完全実施はされなかったこともありますけれども、三十二年以降は国会に付議されることがありましても、最終的には完全実施になっておるわけでございます。三十二年以降昨年まで国会に付議されたのは十一回でございまして、このうち国会の議決を得たものは五回、そのほかは予算上、資金上可能となったので自然消滅した、こういうような経過でございます。
 その自然消滅した内容につきましては、一つは、予算関連法案の成立によりまして自然消滅したのが、四十一年の郵政、それと五十一年の国鉄、電電。それから二番目が、経費の移流用等によって実施可能となって自然消滅したのが、三十二年の郵政を除く四現業、それと三十四年、四十七年の国鉄。それから三番目に、ただいま先生御指摘の補正予算の成立によって自然消滅したのが、三十二年の三公社、郵政と、それからただいま御指摘ありました三十六年の三公社五現業、こういうことになっております。したがいまして、三十七年以降にはそういったことはないということでございます。
#28
○目黒今朝次郎君 だから、四十七年の国鉄の緊急措置法とか五十一年の国鉄運賃法改正の問題、公衆通信法改正の問題などの関係は若干関係がありますが、たとえば国鉄なり、あるいは林野なり、あるいは専売なり、そういう関係で、特別の議決案件として国会に意見を求めて、そのために関係企業体の法的な予算の変更をやって云々という取り扱いはなかったんではないかということを言っているわけです。昨年も議決案件でありましたけれども、結局、議決をしたものの、議決をしたから大蔵省から国鉄や林野の方に特別に金をくれたんではなくて、国鉄は国鉄の内部で編み出しなさい、やったことについては承認いたしますよということでやられたと、こう私は思っておるわけでありますが、この点は、いま局長が言ったことも含めて、たとえば昨年のような取り扱い、あるいは五十二年の取り扱い、こういうことについては、国会には議決案件として出したけれども、いわゆる予算の裏づけ、資金の裏づけについては、企業体の努力によってやってもらったということに変わりはないと思うんですが、いかがでしょうか。
#29
○政府委員(吉本実君) ただいま先生御指摘いただいているところでございますが、国鉄につきまして昨年は、もう先生御承知のように、この仲裁裁定を処理するためにそれに直接補正予算を組むということはなかったわけでございますが、国鉄全体の処理として年度末に補正は組んでいるわけでございますが、先生御指摘のような意味での問題ではないというふうに理解して差し支えないのではないかと、こういうふうに思っております。
#30
○目黒今朝次郎君 そうしますと、労働大臣、いま労政局長は、若干私が深追いし過ぎたのか、あるいは局長の方が少し気にかけ過ぎているのかわかりませんが、ちょっぴり食い違いはあるけれども、大筋において、議決案件として国会に承認を求められた件が議決された後、仲裁裁定を実施するための財源の捻出については、大部分は、当該企業体の既存の予算の中の流用、節約その他の方法を考えて捻出されておったという事実行為は、間違いないと思うのであります。
 そうしますと、労働大臣の、今回の裁定の問題で議決案件にすべきか承認案件にすべきかという議論、これは昨今の公企体をめぐる臨調の動向からいって、いろんな政治情勢があるということは私なりにも理解をいたします。しかし同時に、企業体がそういう非常にむずかしい現状にあればあるほど、労使関係を大事にすべきである、公労協と政府の信頼関係を大事にすべきである。今回公労協が、あるいは私鉄がストなし春闘で一定の締めくくりをしたのも、急にそうなったのではなくて、半年なり一年なり長い間の努力、中央幹部の努力、それを受ける現場組合員の受けとめ方、そういうものが一つの集大成となって、今回のストなし春闘なりあるいは私鉄の妥結ということになって実を結んだものと、こう私は思うのであります。
 そうしますと、議決案件か承認案件かというその取り扱いの、政府なりあるいは特に望んでいる方の政治的意図はわからないわけでありませんが、私もいやというほど経験していますから、その意図がわからないわけでありませんが、この段階になって、いま前段で申し上げたような昨年の議決案件の取り扱いを三公社五現業がおのおのやっておったという現実から見ると、あえて紛争を醸し出すような議決案件に本件の取り扱いをするということは余り賢明ではないではないか。国会もあと五月十九日まででありますから、そういう大乗的判断でこの問題は承認案件としてむしろ処理して、公労協の幹部を通じ国民に対して、今後の厳しい八〇年代を乗り切るための理解と協力を求めるということでむしろ積極的に問題を提起した方が、長い目で見ると、労使関係の確立のためにいいではないか、あるいは公労法の立法の精神からいって当然そうあるべきではなかろうか、また公労法三十五条の規定に沿うのではなかろうか、こう私は総合的に思うのでありますが、この辺について大臣のお考えを。なかなか言いにくいことだろうと思いますけれども、私の言っているところに無理はないではないか、こう思うのでありますが、事実問題として、大臣の判断はどうでしょうか御見解をお願いしたい。
#31
○国務大臣(初村滝一郎君) 全く目黒議員の言うとおりでありまして、私はそれを言っておるわけですね。仮に国会に議決案件として出しても、完全実施をどうせするんでしょう。するならば、むやみにそういうことをしなくて自主的に承認案件としてやるべきではなかろうか。
 特に私どもは基本給についてとかく言うべきでないと思う。したがって、去年の実施状況をこの表で眺めたり、あるいは五十七年度の不足金額を眺めてみると、総額においてことしは約三百億近く少ないわけなんです。そういう面からいたしましても、それぞれの企業体が流用して自主的にできるはずなんです。できるはずだからして、そういうふうに持っていってもらいたいという要請をいま閣僚会議でやっておるわけですから、この結論を得るまでは、まだ決まっておらぬわけですから、私どももできるだけ承認案件として出すべきである、議決案件とすべきでないということをやらなければ、政府自体に自主性がない、私はこう思います。したがって、そういうところを私どもは強く要請して期待に沿うように努力をすると、かように考えております。御了承を賜りたいと思います。
#32
○目黒今朝次郎君 ぜひそういうことで御努力願いたいと思います。
 ただ、老婆心ながら、私が非常に危惧をしていることが一つあるんです。これは老婆心ですから答弁は要りません。労働問題を話すと、当然労使間だ、労使間の団体交渉を十分やれと。ところが、民間の場合にはそれなりにいろんな行動ができますが、公労法はその際、前提として、公労委に行きなさい、そして調停、仲裁と。で調停、仲裁をやる。調停、仲裁が出て、いざこれでまとまるかと思って組合の幹部が腹を決めて事態収拾をする。組合員も不満ながらそれに従う。そうやってこれで終わったのかと思うと、もう一回国会に来て、それで議決案件だ承認案件だとやられちゃって、それで議決案件になるとまた、新聞報道によると、この国会が間に合わなければ秋の臨時国会までと。そうすると、公務員以外の皆さんは賃金が決まってしまうのに、公労協の皆さんは決まらない。半年お預け、財布のひもはますますかたくなる。財形に金をためるのももったいないからやめようかと、こういうところに連動してくる。
 そうすると、一体公企体の労使関係というのはだれが本番なんだ。最終的に基本賃金のベースアップは政府が直接の相手ならば、もう国鉄総裁も、林野庁長官も、専売とか電電の総裁も問答無用、公労委も問答無用、政府を相手に、労働大臣、運輸大臣、大蔵大臣、郵政大臣、この四大臣を相手に、官房長官を窓口にして、毎日毎日団体交渉をやらなければ、労働問題は決まらないではないかという発想に運動が転換していくと、私はそう思うんです。運動が転換していったら、これはブレーキが効かなくなってしまう。
 そのために国鉄の民営分割論なんて考えているばかもいるらしいけども、それは労使問題の別な点であって、構いませんが、そういう発想の転換を誘発するような政府の労働政策はとってもらいたくないし、とるべきではないと、私はそう思うのであります。
 でありますから、労働問題の原点は労使だ。そこに権限を与え、財政的な幅を与え、そこで問題を解決するというのが原点ではなかろうかと、こう私は思うのであります。そういう意味では、去年は去年の経過がありましたが、去年の轍をまたことし踏みますと、私が懸念するような方向にも行きかねない。むしろ政府が故意に誘導したと言われても弁解の余地がない。こういうふうになりかねない問題を含んでいますので、労働大臣、大変苦労でありますが、前回の藤尾大臣も、辞表をポケットにしまっておれはやっているんだ、と言ってたんかを切っておったことありましたが、それはまあ冗談として、労働大臣が主管大臣でありますから、各局長も含めて最大の努力をお願いしたいと、こう思っております。
 ついでに、私は労使関係を重視する意味で、きょうは三公社の総裁と一番問題のある現業の林野庁長官の出席をお願いしたわけでありますが、いろいろな都合で総裁とか長官が来られなかったので、きょうは労務担当の常務理事並びに部長さんに御出席願っておりますから、電電公社、専売、国鉄、林野庁の職員部長の順番で、労働問題の当事者として、いま労働大臣の言われたこと、私が言ったことなどについて、仲裁裁定と労使の安定、信頼関係の回復という点から、どんなお考えを現時点で持っているか、電電、専売、国鉄、林野の各労務担当の方に御見解を述べてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#33
○説明員(小川晃君) お答えいたします。
 公労委におきまして仲裁裁定が提示されました以上、関係当事者でございます電電公社におきましても、これに従わなければならないというふうに考えております。かつまた、事業を円滑に運営していくためには、労使関係の安定ということは欠かすことができないものであるというふうに考えております。かつまた、電電公社におきましては、先生もう御承知のように、国の財政再建の一環といたしまして、昭和五十六年度より毎年千二百億、向こう四年間四千八百億の国庫納付金を義務づけられておりまして、今後経営努力を一層行う必要がある。そのためには、職員の協力というものを得まして、経営の効率化というものを一層進めていかなければならないということでございまして、私どもとしましては、今回の仲裁裁定がぜひ早期に完全実施されることを強く要望しておるところでございます。
#34
○説明員(関口尚君) 今回の仲裁裁定につきましては、公労法第三十五条の精神を踏まえて対応するということで、財源措置につきましては、現在関係方面と慎重に協議検討中でございます。
#35
○説明員(三坂健康君) 国鉄も幾多の問題を抱えておるわけでございますが、仲裁裁定の実施につきましては、公労法の精神を十分尊重いたしまして対処してまいりたいというふうに思っております。
 また、財源措置につきましては、現在既定の予算で対処することができるのかどうか、関係政府等と十分に協議検討いたしておるところでございます。
#36
○説明員(丹生守夫君) 専売公社におきましては、納付金制度が二年ほど前に改正になりました関係がございまして、事業部面の効率化ということにつきまして大変努力をしてまいらなきゃならないというような状況にございます。したがいまして、良好な労使関係の維持ということが大変必要であるというような観点からいたしましても、仲裁裁定の早期実施が望ましいというぐあいに考えております。
 不足の財源につきましても、職員全体が一体となりまして企業努力をいたしまして、この財源捻出を考えてまいらなきゃならないというぐあいに存じますけれども、現段階では、具体的に予算の可能性というものを断定的に考えるということはちょっとむずかしい、こんな状況でございます。
#37
○目黒今朝次郎君 労働大臣、三公社並びに五現で当面一番問題であると言われている林野庁の四者からおのおの話がありました。個々の問題ではいろいろ事情があろうと思うのでありますが、今回の仲裁裁定の各項目を見ますと、中西会長外最も問題のある国鉄問題を担当する金子公益委員のことも含めて、公労委裁定の中身に盛られておる精神というものを十分にかみ砕いて、今回の問題が円満にこの国会開会中に解決できるように、ひとつ大臣並びに関係者の最大の努力を要請しておきます。
 私は、この問題を取り上げたのは、冒頭言ったとおり、財布がかたいとなりまして、この問題は中小企業の民間の皆さん、国家公務員、地方公務員、地方公務員などの関連労働者、こう見ますと、日本国民の大体半分近くはこの公労委の仲裁裁定がどう処理されるかによって家計の財布のひもに関連する、こういう因果関係を持っておるということは、再三予算委員会などを通じて政府側が、あるいは経済企再庁長官が表明しておることでありますから、大きな意味では、いま審議されている財形の円滑な運用というものに重大な影響があると、こう思って遠回りながら取り上げたわけであります。そういう点でぜひお願いしたいと思います。
 それで、時間も余りありませんが、この財形で先ほど政府委員が七・九九%の問題について五百五十万を範囲に利子補給を考えたと、こういう御答弁がありましたが、この五百五十万という金を算出した、まあ厳格なめどはないと思うんですが、おたくではじいた大体めどといいますか、それは那辺にあったんだろうか。住宅を建てる上に資金繰りをどうするか、こういう資金繰りの総体をどうするかということについては、この前もちょっと担当官から説明は受けたんですが、この五百五十万の範囲でということを限定した根拠といいますか、それをぜひ教えてもらいたいと、こう思うんです。
#38
○政府委員(望月三郎君) 先生おっしゃる貸付額を五百五十万円の範囲といたしましたのは、この融資の実際の貸付額が、平均的にいままでの実績が五百五十万円程度でございましたし、また私どもとしては、できる限り広範な勤労者に、かつできる限り大ぜいの人に等しく国が援助を行うようにするためであるとともに、他の住宅金融公庫その他の公的住宅融資の貸付額等を考慮いたしましたわけでございます。
#39
○目黒今朝次郎君 すると、実績でやってみたと。できれば、この新しい制度を導入して貸付額が、経済の変動にも影響されますが、ふえていくとか、あるいはもう少し拡大してほしい、そういう要望があった場合には、基金運営に余り悪影響を及ぼさない範囲で適当な時期に修正するにはやぶさかでない、こういう弾力的な考えがあるかどうかお伺いします。
#40
○政府委員(望月三郎君) 私どもいま、五百五十万円を対象ということで申し上げたわけでございますが、他の公的住宅融資がこのほかにございまして、たとえば首都圏では住宅金融公庫の通常貸し付けが六百二十万ございます。それから年金福祉事業団の厚年の被保険者貸し付けが六百万円という枠がございますので、これらを併用する場合には、首都圏におきまして平均的な住宅、これはマンションになろうかと思いますが、を取得する場合の平均的な借入金の額に相当する約千八百万円程度の貸し付けを受けることができるわけでございます。また、その場合の総返済額は、平均的な住宅取得者の収入状況から見ますと、平均収入の二五%程度以下の負担となる試算も私どもしておりまして、このような面からも今回の改善は一応効果が上がるというように思っております。
 なお、先生御指摘の、さらにこれからまた、物価等が上がったり、そういうことはあってはならぬことでございますが、そういった情勢につきましては、そういった情勢を見ながらまたさらに制度を充実していきたいというように考えております。
#41
○目黒今朝次郎君 実績と、いま言った住宅を建てるある程度の目安、住宅金融公庫、厚生年金融資、財形を考えて、大体千八百万前後ということで考えたということはそれなりにわかりました。
 ただ、この一−二年が各二%、三−五年各一%云々と、これは七・九九%が高いので云々ということはわからないわけじゃありませんが、問題はせめて住宅金融公庫並みに。皆さんは金を自分で出して、ある程度金をつくって、そのつくった金が、これは意地悪いようですが、財投を通じて国の政策全体に寄与しているわけですな。いま五兆円も金があって、実際は一千億ちょっと。そうすると、約一千六百億にしても、一兆五千億は余裕があって、どこかの国の政策に財投として協力している。そういう面では、この財形そのものが別な面で国に協力するという点から考えますと、住宅困窮者に提供する住宅金融公庫程度の利子補給があって、期間的にも大体十年程度、そのぐらいのことを考えてもいいではないか。したがって、一−二年の各二%、一%三−五年という問題については、せめて住宅金融公庫並みぐらいにやるべきだと思うんであります。
 労働省がそういう考えで努力したけれども、大蔵省が厳しかったという点もいろいろあろうと思うんでありますが、その辺のこの財形の日本経済に対する貢献度と住宅金融公庫との均衡という点を考えて、もう一つ配慮すべき余地があるんではなかろうかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#42
○政府委員(石井甲二君) 御指摘の融資の利子補給の問題につきまして、一−二年目二%、三−五年目一%、つまり五年間という限定がございます。この基礎には、先ほど部長もそれに関連をいたしましてちょっと申し上げましたが、結局どれだけの金を借りて、それに対して、収入に対してどれだけの毎月あるいは毎年の返済を行うかということを基礎にしませんと、非常に絵にかいたもちになる可能性がございます。
 私どもはこの五年間につきまして、二%ないし一%の利率を引き下げるとした根拠の中にも、一つの計算がございまして、大体四十歳ぐらいの方が始めるといたしまして、たとえば四十万程度の平均の賃金と見た場合に、大体いまの利率で、しかも公的年金の金融公庫あるいは年金からの融資を兼ね合わしましてやった場合におきましては、大体一年目におきましていわゆる可処分所得の二五%におさまるだろう。しかもこれが年々、まあどの程度賃金がふえるかは予測できませんが、少なくとも七%、ことし程度になりますれば、どんどんふえていくわけでございまして、したがいまして、その二五%の可処分所得の線というものがどんどん下がってくるだろうということからしまして、いずれにせよ一年から五年目ぐらいが一番厳しい、苦しいときであるということの実態を踏まえまして、五年ということにいたしたわけでございます。
 そういうことでございますので、いずれにせよ、これを何とか全力を挙げて活用の促進を図っていくという行政努力をさしていただきまして、何とか勤労者の住宅を促進するということに対応してまいりたいと思いますので、御理解を願いたいというふうに考えております。
#43
○目黒今朝次郎君 おたくからもらった資料を見ますと、大分努力はしたけれども、なかなか大蔵省との折衝が大変であったということは、それなりにネタもらっていますからわかりますが、できれば、一遍にはできないとしても、そういう利子補給の拡大と期間の延長というものについてはさらに機会あるごとに努力してもらいたい。特に労働大臣に、住宅金融公庫を一つの目安にして、機会あるごとに努力してもらいたいなということを要望しておきます。
 それからもう一つは、今回の改正で住宅貯蓄の控除制度がなくなったんですな。これは租税特別措置法で云々と、衆議院でも議論になっておったようでありますが、私は衆議院の議論を繰り返そうとはいたしません、きょうは大蔵省が来ていませんから。私は、財形法の筋道から言うと、財形法の本体の議論を十分して、そうして財形法の運用、展望というものをきちっとした上で、大蔵省が租税特別措置法の整理をすべきだ、順序が逆じゃないかという点だけ、今後の問題もありますから、参議院段階でもきちっと言っておく必要があると思います。したがって、こういう逆手にならないように労働大臣に今後一層の配慮を、今後もあることですから、要請しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#44
○国務大臣(初村滝一郎君) 今回の財形制度の改善については、いろいろと大蔵省ともずっと協議をしてきたところでございますが、大蔵省とも相談した結果、二つの法案を同時期に国会に出しちゃどうかということでやったわけであります。その結果、御承知のとおりに、租税特別措置法の改正法案は二月二日に、財形法の改正法案は二月九日に国会に出されたわけであります。
 私どもは一緒にいくんだろうと思っておったんですけれども、いろいろな国会の審議状況、あるいはまた租税特別措置法の改正法案の審議が日切れの関係から先行したということでございまして、私どももこういうことの今後ないように努めなければならないと、かように考えております。したがって、両法案の並行的審議を予想して大蔵省とも連絡をとってきたわけでございますから、いま申し上げたような諸般の事情でございますので、ぜひ関係委員会においても、住宅貯蓄控除制度の廃止等について、十分御審議の上、特別措置法が成立したことでもございますから、今回の法案の審議をよろしくお願いしたいと、かように考えております。
#45
○目黒今朝次郎君 お願いします。
 時間が来ましたから、最後に一つだけ。
 この財形年金貯蓄制度を今回新設されたわけでありますが、いま年金関係は、臨調でも議論されておりますし、厚生省段階でも議論されておるし、別な面では国鉄年金の問題をめぐって大蔵省を中心にいろいろ議論されておる。いろんな制度があって試行錯誤しておるわけでありますが、しかし、新しい制度をつくる際に、公的年金とのかかわり合いということをきちっと交通整理をした上で始めないと、混線をしてしまうし、国の政策にも過ちを犯す、こう思います。
 これは労働省と厚生省、いろいろ御相談になったと思うんでありますが、公的年金と企業年金との関係――財形年金は私的年金だと思うんでありますが、こういう年金との関連性を厚生省はどう考えておるか、またどう指導しようとしておられるのか。まず、基本的な問題でありますから、この辺をお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
#46
○政府委員(山口新一郎君) ただいま先生からお話ありましたように、最近では老後の生活を支える手段としまして公的年金のほかに企業年金、それから私的な努力と三本柱ということがよく言われております。私どもは、中心はあくまでも公的年金である。長期間にわたる生活の保障でございますから、生活水準の変化あるいは物価の変動、これらのものにしっかり対応できるのは公的年金しかないわけでありますから、どうしてもこれを中核に据える。その上で、各企業なり、あるいは個人の段階で、それなりに老後の生活をより豊かに願うというような観点から、プラスアルファを考えるということは当然あっていいのではないか、かように考えております。
#47
○目黒今朝次郎君 そうすると、今回、厚生省の財形年金が一応発足するんだけれども、国の基本としては、老後の基本的な生活部門については公的年金が中核になるべきだ、中心に位置づけられるべきであって、企業年金とか私的年金というのは、プラスアルファと言っては語弊がありますが、より豊かな生活を求めるための手段にすぎないというふうに政府の方の統一見解として指導していきたいと、こういうふうに受け取っていいですか。
#48
○政府委員(山口新一郎君) 私どもはそのように考えております。
#49
○目黒今朝次郎君 そうすると、労働省が今回、財形年金を導入するに当たって、いま厚生省の全体的な年金制度の基本ということを十分に理解した上でこの財形年金の発足を考慮したのかどうか、お考えを聞かせてもらいたい、こう思います。
#50
○政府委員(石井甲二君) ただいま厚生省からお話がございましたとおりでございまして、労働省といたしましても、老後の所得保障が基本的には公的年金によってなされるべきであるという考え方は全く同じでございます。財形におきましては、先ほど来先生も御指摘のように、自分の努力で、あるいは自分の選択においてこれに努力する者に対して援助する。しかもほかのに比べまして、勤労者の老後生活の貯蓄の充実をバックアップする、こういう位置づけにしておるわけでございます。
#51
○目黒今朝次郎君 もう時間が来ました。
 労働省からもらった経過の資料を見ますと、今回は元金が五百万、五年積んで五年払いと。しかし、大蔵省との折衝の段階で八百万、月六万の年金の確保という考えもあったと、こういうふうにデータが出ておるわけであります。それはそれなりの経過があったと思うんでありますが、こういう私的年金の枠といいますか、枠を拡大する際には、厚生省の公的年金とのかかわり合い、関連性というものを十分に配慮しながら、ひとり歩きをしないように、悪い意味では、こちらの方とか郵便年金の方が肥大化するために公的年金が後退をしていく、あるいはブレーキになるということのないように、ひとつ十分な配慮をした運用をお願いしておきたい。
 それからもう一つは、年金でありますが、短絡に考えると、十年間ぐらいの落差があるわけですね。公的年金は物価スライドというのがあるわけでありますが、この年金はスライドは考えておられないようであります。ここら辺についても、十分今後経過済変動に対応する手だてについてはそれなりの配慮を検討しておくべきじゃなかろうか。
 この二つを、これは回答要りません、要請いたしまして、私の質問を終わります。
#52
○安恒良一君 私は、私の持ち時間であります九十分の範囲内で、財形法の改正について、労働省、それから大蔵省はきょうは主計局次長、それからそれぞれ関係局の審議官においでを願っているはずでありますから、質問をしたいと思います。
 まず第一点は、財形持家個人融資に対する利子補給制度であります。これは目黒委員からも少し触れられましたが、現在まで約九十万人余の勤労者に対しまして、五十六年でほぼ二百七十億の税控除を行った実績があります。これは住宅貯蓄控除が今回廃止をされたわけであります。そのいきさつについては、いま目黒さんと労働大臣の間にやりとりがあったわけでありますが、私は、これは労働省が主体的に選択をしたんだ、いわゆる政策転換である、このことの方が住宅を、持ち家を持つことへのより積極的な政策だ、こういうふうにあなたたちは説明をされているわけであります。でありますから、決して大蔵省から押さえつけられてやったことではない、租税特別措置法との関係でやったことではない、こういうことがすでに衆議院段階でも言われているわけであります。
 そのことはそのこととしまして、そういうことであるならば、目黒さんも触れられましたように、利子補給のための予算措置の内容が余りお粗末ではないかということを私はお聞きをしたい。それはどういうことかというと、利子補給期間はたった五年間。そして利子補給の幅が、目黒さんも言われたように、二%と一%ですね。これでは他の公的融資に及ばないじゃないか。意欲的に主体的に労働省がお考えになったというならば税控除の実績相当額ぐらいの利子補給をまず予算措置でやる、こういうことを言われるならば、私たちはそれをある程度評価できるんですが、どうもそこがはっきりしない、わからないわけです。
 また、これも目黒さんも言われたと思いますが、財形法というのは、特別の法律に基づきまして、しかもその融資原資は勤労者みずからが財形貯蓄で行っているわけです。その中から持家融資が行われるわけですから、なぜ公的融資並みに改善ができないのか。端的に言うならば、公的融資並みにできないというのは財形法に対する政府全体の認識が低いのではないか。
 まず前段、労働省に聞きます。労働省は意欲的だと言っている。意欲的だと言っておきながら、いままでの税控除額にも当たらない、しかも他の公的融資に比べてもなお低い、しかもその財源たるや勤労者みずからが積み立てたものが使われる、こういうことであると、きょうは大蔵省も来ておられますから、大蔵省自体も財政に対する政府全体の認識が低いのではないか、低いいからこんなことになるのではないかと思います。
 以上二つのことについて、まず労働省の考え方、それから大蔵省の考え方、それから政府全体ということになると、これは主管大臣でありますから、労働大臣の考え方。以上のことについてまずお答えをしてください。
#53
○政府委員(石井甲二君) 御指摘の住貯控除を廃止いたしましたこと、また利子補給を、先ほど御指摘のように、五年間にわたりまして二%ないし一%というものを新たに設定したこと、その他ございますが、これは労働省が現在の勤労者の住宅について、財形貯蓄のそもそもの原点に帰りまして、住宅について対応するという新しい政策転換をいたしたわけでございます。
 その場合に、住貯控除をなぜ廃止したのかという問題について、先ほど来もお話がございましたが、これについてはくどくどと御説明を申し上げませんが、いずれにせよ、住貯制度というものが、勤労者が財産形成として持ち家を取得するという一つの対応の形としては、経験上必ずしも十分な役割りないし対応ができなかったという評価を与えざるを得なかったということが一つでございます。
 それからもう一つは、それでは二百七十億の住貯を廃止したわりには、たとえば金利につきましても少し貧弱ではないのか、あるいは五年間に限定ということも、これも少し貧弱ではないのか、こういう御指摘であろうかと思います。労働省の考え方を申し上げますと、財形持家融資は財形貯蓄による資金を調達して行う融資でございますので、基本的にはその貸付利率はその調達利率によるものであるということが第一点でございます。
 また、今回貸付利率を引き下げることとしておりますが、その水準につきましては、金融公庫の普通貸し付け等に比較して高いではないかという御指摘でございますが、この水準につきましては、勤労者も含め一般国民を対象とする住宅金融公庫の通常貸し付け等に対する国の援助というものが一般的にございます。それに追加して財形の加入者に援助するものとして設定されておりますので、持家融資の貸し付け利率が、住宅金融公庫の場合よりは多少高くなるというのはやむを得ないのではなかろうかというふうに私どもは考えております。
#54
○政府委員(宍倉宗夫君) ただいま労働省の方から御答弁申し上げましたのと私どもの考え方と変わりはございませんので、特につけ加えるべきことはないように思いますので、そのようにお受け取りいただければありがたいと存じます。
#55
○国務大臣(初村滝一郎君) 安恒さんからいろいろお話がありましたが、この新しい制度の発足のものと、それからいままでやった制度のものと比較した場合には、先生おっしゃるとおりな隔たりがあろうかと思います。したがって、私どもはどうしても財産形成をする、持家制度をするについては、従来のような金利の高い八・三四%、ことしの三月一日からですか、七・九九になるわけでございますが、その金利では余りにも高過ぎる。したがって、これに利子補給をして、当初の返還の五カ年間が一番きついから、その五カ年間だけを、一般の金融公庫の貸付金の金利程度六%を基準にして、利子を引き下げたらどうかということでやっていくわけでございますから、当初はこれが普及するまでは余り効果も出ないと思いますけれども、われわれ関係機関が全力を挙げて普及宣伝をすると、従来の持家制度に非常に効果的な面があらわれはしないかというような意味から、新しい政策として打ち立てたものでありますから、その点を十分御了解賜りたいと思います。
#56
○安恒良一君 そこで重ねてお聞きしたいんです。財産形成貯蓄契約者は千三百万人ですね。そしてその残高は五兆三千億円になっていますね。ところが、財形持家融資の実績は、これに比べるとほとんど取るに足らないですね。これは数字を挙げるのもちょっと恥ずかしいぐらいです。
 そうすると、何の役割りを果たしておるかというと、これを預けて、預かった銀行はこの金を使っていろいろうまくもうけるだけの話なんです。もちろん、これは預けたら家が建たなきゃ意味がないんですよ。ただ何があるかというと、マル優の枠が一つふえているだけだということ。そのこと自体は私は否定しません。マル優の枠がふえることはいいことだ。しかし本来、この法の精神というのはそんなものじゃないんですよ。マル優の枠をふやすということじゃないんだ。それならマル優の枠を、いまの三百万を別に全体でいじればいいことです。これはそうじゃなくて、これをつくったのは家をつくろうということ。
 ところが、実際、そこで今度は政策転換をしたというんだよね、家をつくれるように。そういう意味で、税控除よりも具体的に家をつくらせるためにこういうふうにしたというんです。それならば、せめてもう少し利子補給の幅も高めたらどうか。人様の財源を使うわけじゃないんですよ。いいですか。住宅金融公庫が国民一般に貸し付けるのは、その人が貯蓄をしておろうとしておるまいと、住宅金融公庫の規定にさえ合えば国民は借りられるわけです。その金利の方が安いんですよ。そうでしょう。この場合は、これを借りる人はまず自分が財形貯蓄をしておかなきゃだめなんです。そこに基本的な住宅金融公庫からお金を借りて建てる場合と違うんです。
 現実に、住宅金融公庫の貸付金利は安いんですよ。それなのに局長は、いや、その上にまた貸すんだから、少々高くてもやむを得ない。そんなばかな話はないですよ。こっちはちゃんと自分が預けているんですからね。しかもいま言ったように五兆三千億円もの金になっているんですよ。五兆三千億円もの金が余っているんだ。ですから、私から言わせると、せめて少なくとも五年間この利子補給の二%とか一%はもう少しふやす。そうでないと家が建たないじゃないでしょうか。
 そこで、もう一遍お聞きをしますが、じゃ今回の措置によって、いま一番問題になっているところの持家融資がどれだけふえるというふうにあなたたちは計算をされているんですか。これをやることによって、いままで非常に実績が上がらなかったが、今度は本当に、安恒さん、これだけの実績が上がってどんどん融資の利用者がふえますよと、そういうふうにあなたたちはお考えなんですか。それをちょっと説明してみてください。
#57
○政府委員(望月三郎君) 私どもは、今回の改正によりまして、昭和五十七年度は三万一千戸、それから平年度六万二千戸ということで計画を立てていきたい。五十七年度は、この法の施行が十月一日ということでお願いしてございますので、三万一千戸の約半分一万六千戸程度の利子補給について用意をしておるわけでございます。
#58
○安恒良一君 利子補給を用意しているということを聞いているんじゃないんですよ。家が幾らよけい建つようになりますか、そういうことをお考えになって。いままでは財形で建てた家というのはもう見るべき実績は哀れ無残なんだよ。それがこれをやることによって、これを利用して、これからたとえば五十七年度はこれだけの家が建つ見込みです、さらにこうなるんですと。それはお金を用意しておくのはあたりまえですよ。これだけの金を預けてあるんだからね。それは何戸分用意しておりますということと何戸建つということとは違うんですよ。これは勤労者が家を建てなきゃだめだ。それがためにつくった法律なんですからね。そのことを聞いているんだ。
#59
○政府委員(望月三郎君) 五十六年度の実績が、私ども従来の財形制度によって千三百戸という実績見込みでございますが、これを三万一千戸建てたいということで計画をしております。
#60
○安恒良一君 三万一千戸は融資の用意をしているだけでしょう。千三百戸の家が一遍に三万一千戸になりますか。あなたは金利を下げただけで家が建つと思っているんですか。家が建たない問題は、国の住宅政策全体に問題があるんですよ、土地改策から何から。
 しかし、私はそのことをちょっとネグレクトして、今回利子補給をこのようにやることによって、いままではせいぜい千三百戸ぐらいしか利用されてなかった、これがせめてこれぐらいふえるというのならわかるんですね。それをいきなり三万一千戸とかなんとか言ったって、すぐこれはもう来年になったら、社労委員会で、まことに申しわけありませんと、あんた頭を下げなきゃならぬことになりますよ。三万一千戸が一千戸切れたとか、それならいいけれども、大台が狂ったらどうしますか、あんたそんなことを平気で言いよるけれども。三万一千戸の利子補給を用意しているというのはわかるんだ。しかし、私がいま聞いていることは、これをやることによってどれだけ家が建つという見込みをあなたたちなり、それから実際にこの仕事をする雇用促進事業団と話をして、またこれを扱うところとも話をして、どれぐらいこれをやることによってふえるのかというところを聞いているわけですからね。予算的に組んでいるやつだけ言っておったら、議事録は残っているわ、一年たってみたら、哀れ無残に三万一千戸がせいぜい二千戸とか、そんなことになっておったら、大ごとになりますよ。それを私は聞いているんですよ。それを答えてください。
#61
○政府委員(石井甲二君) この利子補給によってどれだけの需要が喚起され、どれだけの実績が見込まれるだろうかという問題であろうかと思います。
 確かにこれまでは、財形につきましては、住宅については非常に貧弱な実績しかございません。ただ、五十七年度における財形について考えますと、確かに三万一千戸見込んでおりますが、これまでの私どもの基礎的な検討によりますと、財形について、たとえば住宅を目的にして貯蓄をしておる方々が、しかも財形の融資の資格を得ておる者がかなり大きな数ございます。そういう意味からいきまして、利子補給によりましてこの限界的な部分が相当上がってくるんじゃなかろうかというふうに考えます。
 ただ、先生、どれだけのものが想定されるかということについて、多少私どもも考えてはおりますけれども、これだけのものがこれによってふえるということを確定的に推測することは非常にむずかしいと思います。ただ、何といいましても、最初の取っかかりでございますから、これについて労働省はもちろんでありますが、地方の基準局あるいは都道府県の商工労働部、それから本当の実践部隊としての雇用促進事業団、この四者が一体になって、この条件をお認めいただければ真剣にかつ積極的に対応していくと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#62
○安恒良一君 どうもあなたたちは具体的な作業をしていないようですね、いまのやりとりでは。早急にこの制度を発足させることによって、労働省なり、雇用促進事業団なり、関係都道府県なり、またこの問題を扱うところの勤住協等を初めとして、大体いままでこの仕事の半分は勤住協がしておるんですから、そこらと相談をされて、どのくらいこれを利用する人がふえるのかということの目安というものを私は立てなければいかないと思うんですよ、幾ら初年度であっても。ただ単にあなたたちは三万一千戸だけ利用の準備をしているということだけです、いま幾ら聞いてみても。
 あなたたちは意欲的に政策的にと言われた。政策的に意欲的というのは、いままでの制度を変えると。私は税控除をやめたことをやかましく言っているんじゃないんですよ。それは新しい政策として評価しましょう。しかし評価する以上は、それがどう具体的にいける計面をお持ちですか、こういうことをあなたたちに聞いている。聞いているけれども、いまのやりとりでは結果的には、何のことない、三万一千戸分の利子補給を用意して、後は一生懸命これに努力しますと、こういうことですからね。
 もうこれで時間とってもむだですから、どのような手段を講じることによって本当に融資制度の利用の拡大が促進できるのか、これを真剣に考えて具体案を一遍、きょうじゃなくていいから、後で示してくださいね。そしてお互いがやっていかないと、せっかくこれもまたいい制度であったけれども、やってみたら大したことなかった、こういうことになると、またこれは後から聞きますが、大蔵省がそれならまたそれもやめろと言い出しかねませんからね。それは後から聞くことになります。せっかくいいことをしたけれども、またこれもだめになる。というのは、国家財政がいろいろ窮屈な折ですから、何か財源があればと目をつける悪い人がおりますからね。
 そこで、そのことについて聞きたいんですが、これは大蔵省と労働大臣にしかと承っておきますが、来年度以降の予算措置、財政上のいかんにかかわらず確保される保証があるのかどうか。この予算措置が財形法で明確に裏打ちされてないので、私は大分懸念をします。まさか、一、二年やってみた、やってみたらどうもということで、まず税控除をやめて今度は利子補給もと、こういうことになってきたんでは困る。利子補給も不十分です。不十分ですが、またこれをそのときそのときの財政事情によって、これはやめてなどということにはならぬでしょうね。これはひとつ大蔵省と、最後は主管大臣である大臣としての確固たる約束をしていただきたい。
 まず、大蔵省考えを聞かしてください。
#63
○政府委員(宍倉宗夫君) お話がございますように、今度の利子補給の制度というのは、いわば労働省としては小さく生んで大きく育てようと、こういうお考えだと思うわけであります。でございますから、初年度、二年度あたりはそれほど大きくなくても、これが積もり積もってまいりますと、計算をするとかなり大きな金額になるだろうということは、これは労働省の方も、私の方も、この制度を検討いたしますときに基礎的な認識としてそういうことを考えているわけであります。
 でございますから、先生おっしゃるように、財政事情は大変厳しゅうございまして、五十八年、九年、先を考えますと、本当に私どももいま頭を悩めているような状況でございますから、御心配な向きは当然かと思いますが、先ほど申し上げましたように、この制度をするときの考え方というのが基礎にあるわけでございますので、五十八年、五十九年それぞれの年度におきまして、その財政事情に応じた形で、労働省の予算をどのくらいのところの枠の中で御要求いただき、御相談していくかということがそれぞれ決まってくると思いますが、その要求枠の中で労働省としては、この利子補給に要する金額というのをそれぞれ選択的に順位づけて御要求あるものだろうと私どもは思っておりますし、そういう御要求が参りますれば、それに応じて私どもも御相談を申し上げていくと、こういうことになろうかと思います。
 でありますから、先生おっしゃいますように、直ちに二年たったらなくなるんじゃないかとかいうような話にはならないと、こういうふうに私は思っております。
#64
○国務大臣(初村滝一郎君) いま大蔵省の方からもお話があったのでございますけれども、私どもは、従来のやり方ではどうしても家が建たないから、今回の新しい政策に切りかえたわけでございますから、それが思わしくないから、財政事情によって将来これを打ち切るんじゃないかというようなこともいま発言がありましたが、私どもは絶対そういうことはさせない、してはならない。したがって、五十七年度には五千六百万の利子補給でありますけれども、これをずっと平年度化していくと、年間二百四十億程度の利子補給になりはしないかという積算もしておりますから、ぜひこれは続けていきたい。さらにこの実績が上がるように、事業団あるいは関係機関を通じて宣伝して実績を上げていきたいという決意でございます。
#65
○安恒良一君 労働大臣から至極明快に、そういうことをさしてはならないし、させないと、こういうことがありましたし、主計局次長は主計局次長のように何か持って回った言い方をされましたけれども、私はこういうことは朝令暮改であってはいけないと思うんですね。少なくとも財形ができて今日まで税控除制度というものをやってきているんです。しかも大体年二百七十億の税控除。それを今回は、本委員会の結論が出ないうちに、もうすでに日切れ法案だといって大蔵委員会の方を片っ端から丸め込まれてやられちゃった。本当はそんなやり方ならこの法案を審議しないと言ってごねる方法もあるんですが、労働者のためになることだから今回は許しているわけですね、今回はざっくばらんに。これからこんなやり方をしたら、法律自体を通すことについて私たちは抵抗せざるを得ない。基本法が通らぬうちに片方の方だけを先に、大蔵委員会を丸めちゃってさあっと通してしまうなんてばかなことはない。本当なら、この法案を審議しないとか通さぬというやり方もあるんですが、たまたま労働者のためにもなることだからがまんをしてこれやっていることです。今度朝令暮改的なことをやられたら、これは承知しないと思います。
 そこで、いま言われたように、これをだんだんやっていきますと二百四、五十億にはなるということなんですよね、何年か後には利子補給の額が。いまのように千万単位ぐらいだったら、こんなものよう利用しないと思うけれども、何百億という話になってくると、あなたたちはまたすぐそこに目をつけがちだから、それは朝令暮改にはなりませんなと。むしろこれをつくった以上、利子補給額というのはふえていかなきゃいかぬわけですね。ことしは三万一千戸、平年度は六万二千戸分ということですから。そうすると、それがだんだん積み上がっていくわけですからね。そこで、そのことはしかとここで確認をしておきます。
 それから労働大臣にお願いをしておきたいのは、これは今後十分研究してもらいたいんですが、これでいって、あなたたちが計画されたように、たとえば一年目は三万一千戸の利用者があった、その次からは年々六万二千戸と、こういうふうにふえていけばいいんですが、万が一ふえる度合いが少ないということになりますと、僕はそのときに、これを生かすためには、五年間という利子補給期間を延ばすとか、それから利子補給の率二ないし一%というのが低過ぎるということが出てきますから、これはやってみなきゃわからぬということですから、この法律が通った後、できるだけこれが十分に活用できるように努力をしてもらう。これはもう当然のこと。それでもなおこれはどうもちょっと思わしくないというときには、私はこの五年間をさらに、たとえば目黒委員が言われていましたように、十年に延ばすとか、いわゆる二%とか一%というのを、せめて住宅金融公庫から国民がお金を借りて建てる並みに利子補給率を高めるとか、利子補給の幅を上げるということですね。二%を上げるとか一%を上げる、こういうことに御努力をお願いしなきゃならぬと思いますが、労働大臣のお考えをまずこの点についてお聞きをしたいと思います。
#66
○国務大臣(初村滝一郎君) せっかくの私どもはいい政策と思って打ち出すわけでございますから、やってみてはかばかしくない、五カ年をもう少し延長しよう、あるいはまた利子補給も若干少なくとも公庫並みにしろというような御意見のようでありますが、私どもは、そういう事態が起きれば、制度として今後一層前向きに検討すべきである、かように考えております。
#67
○安恒良一君 次は、財形年金貯蓄制度に入るんですが、もう五分しかありませんから、委員長、ここで五分やってもあれですから、休憩に入っていただいて、午後から財形年金貯蓄制度に入りたいと、こう思います。
#68
○委員長(粕谷照美君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#69
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#70
○安恒良一君 午後は財形年金貯蓄について質問をしたいと思います。
 今回のこの財形年金貯蓄に対する国の助成措置として、退職後も継続適用となる。すなわち利子等の非課税が限度額五百万で予定されていますが、この非課税措置の内容についていろいろ問題があるので私は質問をしたいと思います。
 まず、これまで積み立ててまいりました一般財形を今回の財形年金に変更することができる期間を二年間に限定をされていますが、この二年間というのはどういう根拠なんでしょうか。そのことについてなぜ二年間にしたのか、これをお聞かせください。
#71
○政府委員(望月三郎君) 二年間にしたわけでございますが、これは従来財形年金制度がなかったわけでございますが、今回年金制度を新たに導入したということでございますので、新しく創設した制度に従来の制度から転換したいという方があろうかと思いますので、そういう方について、経過措置として二年間は、これは法施行後大いにPRをして、転換したい方については二年間の猶予期間を持って転換をしていただくということにしたわけでございます。
#72
○安恒良一君 どうも答弁する側は自信がなさそうですね。それはなぜかというと、私はこのように思うんです。
 勤労者の一般的な生活実態を見ますと、三十代、四十代は住宅費と教育費の負担に追われています。ですから、老後の備蓄に着手できるのは五十代に入ってからだと思います。そうしますと、三十代から、場合によれば、一般財形と財形年金の両方を同時に積み立てようと思っても、とてもこれは余裕がありません。したがって、払い戻しの自由な一般財形をまずやっておくということになると思うんです、率直なことを言って。そして一定の年齢に達したときに、それで住宅を建てる場合もあれば、さらにこれを一部財形年金に切りかえる。こういう考えを持つのは、いまの勤労者の生活実態から見るとやむを得ないことだと、またそれが実態だろうと私は思います。そうしますと、変更可能期間を二年間に限定することなく、随時可能にしておく。こういうことになれば、せっかくの非課税措置を十分に活用できることになるので、私は二年間というのは削除すべきだ、こう思うんです。
 きょう大蔵省の方にも来ていただいているのは、関係者、局長、審議官に来ていただいているのは、率直に言って、労働省と大蔵省の協議の過程でこういう問題も出てきたんじゃないか。いま部長が答弁した限りにおいては、全く答弁としては内容は非常に弱くて、声も余り自信がなさそうに聞こえるわけです。この点はどうなんでしょうか。私は、せっかくこういう財形年金貯蓄ということをやる以上は、随時切りかえができるということにすべきだと思いますが、この点について労働省のお考えをまず聞かせてください。
#73
○政府委員(石井甲二君) 財形年金貯蓄という新しい制度をつくることを御審議をお願いしているわけでございますが、要するに、勤労者でなくなった場合にも税制上の特別の優遇措置を講ずるという、いわばいままでの財形貯蓄と別途の奨励をするというかなり目的的な一つの政策でございます。そういう意味におきまして、将来に向かって老後目的の貯蓄という個人の一つの選択というものが明確にないといけないと思います。そういう意味で、随時いまの普通の財形を年金の方に切りかえる、まあ融通無碍ということは、この制度創設の趣旨との関係から見て、本質的に無理なところがあるだろうと思います。
 また、確かに常時、財形年金貯蓄に変更できるようにするということ、あるいは財形貯蓄の積立期間を年金貯蓄の積立期間に評価するというようなこと、あるいは短縮するというようなことは、便利な面もございますけれども、私どもはさきの制度創設の趣旨との関係あるいは手続面での問題もありまして、むずかしい問題であると考えております。
 したがいまして、ただいま先生御指摘の二年間に限りましてその変更を認めるという暫定措置を設けたわけでございますが、二年間という期間について、先生御指摘のような短いか長いかということがあると思いますけれども、私どもは二年間が適当ではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
#74
○安恒良一君 いや、幾ら聞いても、随時にはできないにしても、なぜ二年間が適当なのか、五年がなぜいけないのか、こういうことになるんですよ。いま言ったような勤労者の実態で、財形にしてもそれから財形年金にしても、それをやることによって老後生活を公的年金プラスアルファで豊かにしようということだ。一般財形はその財形をやることによって労働者の持家政策を進めようということなんです。それで準備して、さらにその分の一部を回すことを、全く認めないというなら二年間は要らぬわけですが、認めるということですから、二年間の範囲なら移行を認める、ところが二年間たったらもうその日から一切認めない、こう言うから、それは全く理論根拠はないじゃないですか。
 だから、私はむしろここのところは、これは二年間ということじゃなくて――切りかえる措置はいいことなんですからね。ただ問題は、何が残るかというと、利子に対する非課税のことだけなんです。しかもそれは五百万円が限度なんですから、利子に対する非課税のことだけなんです。せっかくこういう財形年金貯蓄ということをおつくりになったらば、二年間じゃ短過ぎるじゃないか。だから随時ができなければ、それを大幅に延ばすなら延ばすということについて、大臣、ここのところどうなんですか。
 私はどうもいまのあれを聞いておりますと、大蔵省にここで聞いとってもらうわけですから、かなりこれは大蔵がいろんなことを言ったと思うんです。そこに審議官来ておりますけれども、非課税だの何だかんだ言うたと思いますから、それでわざわざここにちゃんと座ってもらっておるわけです。大臣、どうですか、これは。私は二年間というのは何も理論根拠がないと思いますよ。
#75
○国務大臣(初村滝一郎君) せっかくの非課税措置が大蔵省との間にできたわけでございますから、いま申し上げるように、一応は二年間という期限を設けたわけでございますが、いろいろな面においてこれは不適当であるというような御意見があれば、一応やってみて、その間に私は前向きに検討する必要があると、かように考えます。
#76
○安恒良一君 ぜひ大臣、ここのところは、いま申し上げたように、これは大臣もまた基準局長も、率直に言って、非課税措置の問題ということで、いろいろあなたたちが努力したけれども、当面二年間でということになったと思うんです。それ以外には理屈はないんです。三年がなぜ悪いか、五年がなぜ悪いか。
 大蔵省に聞きますが、三年や五年は二年と違ってなぜ悪いんでしょうか、ちょっと大蔵省の考えを聞かしてみてください、ちょっとそこのとこだけ。私が言ってるのは、随時ということは問題があるならば、たとえば五年と二年とか、三年と二年ということについて、この制度の趣旨から言って問題がどこにあるんでしょうか。
#77
○政府委員(矢澤富太郎君) 御承知のように、この財形年金制度は、高齢化社会に備えまして、勤労者の自助努力をもって老後の安定に役立つ資金を蓄積しようということでございます。したがいまして、財形法の改正にもございますように、まず計画的に資産形成が行われるというのが一つの条件でございます。それからもう一つの条件は、老後に年金形式で支給が行われるということでございます。そういう意味におきまして、たとえば通常の一般財形で貯蓄したものがいつでも年金形式の年金財形に切りかわるということになりますと、最初の計画的に資産形成を行うという要件が満たされなくなってくる、あるいは非常に緩んでくるというふうに考えます。特にこの非課税貯蓄の問題につきましては、現在年齢に着目して、つまりお年寄りだからその枠をふやすというようなことは全くとられておりません。この財形貯蓄におきまして、年金財形を導入することに伴って初めて退職後も非課税を継続する。いわば高齢化社会に備えました年齢に着目をいたしました非課税措置がとられているわけでございますが、そういう環境のもとにおきましては、自助努力と申しますか、計画的な資産形成を奨励するという見地がございませんと、ほかの業種の方々とのバランス等も考えまして、こういう厳しい財政状態の折で、租税特別措置の新設もお認めできないような状況の折ではなかなか認めがたいというふうに考えておるわけでございます。
 この二年間という点につきましては、これは経過措置でございますから、この本法施行後二年以内、これは一般財形から年金財形への切りかえができるということでございまして、経過措置という意味でございますれば、私どもは二年間ぐらいが適切な期間ではないかと思っておるわけでございます。
#78
○安恒良一君 大蔵省は頭がいいんですが、答弁が長いのは必ずしも頭がいい証拠じゃありません。後段のことだけでいいんですよ。前のことは要らないんです。二年間がいいか、三年間がいいかということに何か理論根拠があるかと聞いただけですから、前のことは結構です。この次から答弁のとき注意してください。私は一時間しかないんですからね。
 いま聞いておっても、大臣、二年か三年かというのは経過措置であって、五年であったって全然理論根拠何もないんですよ。理論根拠ないです。あの人が幾ら答弁したって、わからないです。
 そうしますと、私はこれ以上これに時間をかけられませんが、大臣も経過を見て前向きにということですから、いまの勤労者の生活の実態から言って、三十代、四十代に計画的な老後の生活をそこから一挙に住宅も老後もというのはなかなか立てがたい。それで、まず住宅から出発しますよ、また子供の教育から。そういう中で財形貯蓄をしていって、余裕があったときに老後の生活へと振り向けるのは、これはあたりまえのことである。ですから、本当は随時がいいんですが、一遍に随時というところまでいかなければ、こういう点については前向きに御検討を願いたいということを申し上げて、次の方にいきたいと思います。
 そこで問題は、財形貯蓄の元金の問題です。
 財形年金貯蓄の元金がたとえば五百万円を一円でも超えた場合、その元金から生じる利子等の全体が課税対象となる、こういう税制度に今回の改正でなっていくんであります。御承知のように、あらかじめ契約した積立金は、長期にわたって積み立てることになっていますね。ですから、その過程でこの五百万円を超える場合があると思うんです。これはなぜかというと、金利が変更するわけですからね。金利というのは積み立てた本人が決めるわけじゃないんです。国の政策として金利がある場合には非常に上がる。高金利政策がとられて金利がふえる場合がある。そうしますと、五百万円の財形非課税の口座をもう一つ利用する、そして課税対象にしないマル優の非課税枠という口座を二つ設ける必要が私はあると思うんです。今回のやつは老後計画のために年金として積み立てておけば、その利子についても退職後も非課税であるというところに一番メリットがあるわけですから、そういう意味から言うと、少なくともこの二つの口座を持つことが必要だ。こういうことについて認められるのかどうか。まずこの認められるか認められないかということについて、私は認めてもらわないとうまくいかないと思いますが、いまの点について労働省どうですか。
#79
○政府委員(望月三郎君) 財形年金貯蓄につきましては、今後その要件を満たす貯蓄商品を関係金融機関に開発してもらうことになるわけでございますが、利子等の非課税限度額を有効に活用して年金の原資の形成が行われるようにしたいと考えておるわけでございまして、そのためには関係金融機関が開発する貯蓄商品は、原則として、年金支払い開始直前でその残高が非課税限度額以下になるようにしたいということで工夫したいと考えておるわけでございます。しかしながら、先生おっしゃるように、預貯金の金利変動幅は確実には予想し得ないものでございますので、年金支払い開始前に確実に非課税限度額以下になるようにできない面もあるわけでございますので、貯蓄商品の開発に当たっては、予想し得ないような金利がある場合に備えまして、何らかの措置を講ずる方向で私どもも検討したいというように考えております。
#80
○安恒良一君 銀行局もお見えになっていると思いますから、銀行局にも聞きますが、たとえばこの積立期間が終了した時点で残高が四百五十万円あった、ところが、受給開始時点までには、五十万円の利息が元金に加算されて、五百万円以内におさまるものと予定し、銀行も工夫しておったところが、金利が上昇した結果利息が六十万円になる場合があるんです。この場合は、積立金の一部を払い出すこともできませんし、また五百万円オーバーした時点以前に受給開始の時点を早めることもできない。これは制限されているわけです。いわば緊急避難することは全然できないんですよ、この制度いまのままでいくと。そうすると、金利変更といういわば不可抗力によってみすみす課税されてしまうことになる。
 このような場合には、緊急避難ができるように二つの口座制度を認めてしかるべきだ。いわゆる金利の変更というのは、これは個人ではどうにもならぬことですね。それから工夫してといっても、じゃ五百万円だから、金利がうんと上がる場合を予測して、あなたは四百万円しか積み立てできませんと言うわけにもいかぬわけですよ。ですから、こっちの部長が言っているように、そんな工夫が効くはずなんかないんですよ。五百万円だから、三百万円ぐらい積み立てしておこう、二百万円ぐらいいつでも金利の変動に備えておこうというのは、これは全く意味のないことですからね。わかりやすい数字で言っているんですよ。
 ですから私は、これは金利の変動によってできるところの不可抗力で、財形年金貯蓄をしている人本人の責任でないという場合には、緊急避難ということで二口座制を認めてしかるべきだと思いますが、銀行局どうですか。これは主税局になるんですか、どっちになりますか、この問題は。
#81
○政府委員(矢澤富太郎君) いまの口座を二つ設ける点につきましては、一般財形の場合でございますと、元本が五百万まで達した、その利子は自由に受け取れるわけでございます。元本に入れると限度額が五百万を超してしまって非課税の資格を失うわけでございますが、一度利子をもらって、その上でマル優があればマル優の口座に入れる、あるいは課税の口座に入れるということでございます。
 ただ、今回の年金財形の場合は、構成が据え置き期間中には支払いを受けないということになっておりますので、そういった意味で別の口座を設けるということは、その据え置き期間中に支払いを受けないという財形法に書いております条件から見まして、これはできないと思います。
 ただし、おっしゃるとおりに、当初はたとえば六%くらいで回るだろうということで、あと五年積み立てるんだから、その積み立て開始時点において限度額をある程度設定いたしまして、そのつもりで予定して積み立てていたところが、途中で金利が変動いたしまして金利が高くなって、先ほど委員から御指摘のございましたように、限度額を超えてしまうというようなケースはあり得ると思います。それにつきましては、ただいま労働省からお答えがございましたように、そういった場合にこれは要件違反になるわけでございます、厳密に言いますと。要件違反をどういうふうに押さえていくか。つまり例外的にどの程度までのことは要件違反に当たらないということで救済する方法はあろうかと思います。
 しかし、いずれにしましても、その辺の財形年金貯蓄につきましての要件違反をどうするかというのは、法律が御承認いただいた上で、労働省当局におきまして政省令を出されるわけでございますので、私どもはその政省令の具体的な内容を待ってこれに対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#82
○安恒良一君 大蔵省が若干政省令の中でそういう場合はということですから、大蔵省もそういう場合は認めているわけですから、政省令を関係審議会の議を経ながらつくるときに、このことはきちっとしていただけますね。労働省、どうですか。
#83
○政府委員(石井甲二君) いま大蔵省からお答えがございましたが、要するに要件違反でないという限度においてどういうことが考えられるか。たとえば全く不可抗力あるいは予期しない一つの状態というものをどういうふうに限定的に規定するかという中身の問題に結局なってくるだろうと思います。これについては、私どもも政省令段階におきまして十分に検討いたしまして、御趣旨の面も踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
#84
○安恒良一君 大臣、いまの局長答弁、よろしゅうございますね。私の趣旨を踏まえて政令、省令をつくるときにきちっとしたいと、こういうこと、よろしゅうございますね。
#85
○国務大臣(初村滝一郎君) そのとおりでございます。
#86
○安恒良一君 それじゃ、その問題は片づきました。
 それでは次の問題に入りたいと思いますが、いまも要件違反の問題がいろいろ出て、財形年金貯蓄には要件が定められていますが、この要件に違反した場合は、課税面ではどのようなペナルティーが科せられるのか。積み立てが法定五年未満で中断したケースと、受給が決定して五年未満で自己の都合により一括払い戻しを受けなきゃならぬというケースが、それぞれ出た場合の課税関係はどういうふうになりますか。
#87
○政府委員(望月三郎君) 財形年金貯蓄につきましては、この貯蓄が年金として活用されることを確保するために、年金支払い開始日以後五年以内に要件違反があったという場合には、年金支払い開始日以後に支払われた利子等について、要件違反があった日にそれが支払われたものとみなして課税することとしております。
 また、積立期間中など、このような場合以外に要件違反が生じたときは、要件違反が生じた日以後非課税措置を講じないこととしておりまして、具体的には租税特別措置法施行令で定めることとされておるわけでございます。
#88
○安恒良一君 わかりやすく言うとこういうことですか。積み立ての途中で中断をしたケースは、一般財形並みの扱いになると。それから受給中断、いわゆる一括払い戻しケースのときには追徴の扱いになるということですか。あなたの答弁は、わかりやすく言うと、こういうことですか。
#89
○政府委員(望月三郎君) ごく簡単に申し上げれば、年金が支払い開始になった後で、その五年以内で一括払い戻すなり受給するなりという形の場合には、過去にさかのぼって追徴がある。それ以外のあらゆる場合は、その時点から後に対してだけ非課税措置が解除されるということでございます。
#90
○安恒良一君 受給の段階で要件違反があれば追徴するということですが、利息はすでに非課税扱いで計算されて元金に加算され、さらにその利息が利息を生ずるという段階で、受給者の当初に遡及して追徴するということは無理なことではないだろうか。また五百万円の限度内のことであるからそうまでする必要はないのではないだろうか。
 それはなぜかというと、本来、本人も年金としてもらうために積み立てたのですよ、そして受給開始をした。ところが、人間のことですから、不慮の事故に遭う場合もあるんですよ、大病をしたとか、家族に大変なことが起ったとか。そしたら、本当は自分も年金でずっともらっていった方が助かるんだけれども、やるを得ず金を一括払い戻してくれというのが出てくる場合があると思うんです。故意じゃないですよ。初めから本人は、自分も年金でもらうために積み立てていったのです、五百万。ところが、いよいよ年金支給開始年齢になってもらえるようになったところが、自分なり家族が大病して生き死にの問題だったら、五年も年金をもらうよりも、いまこの金を使いたい、こういうのが出てくるのは人間あたりまえですよ。
 その場合も、これがペナルティーが科されるというのは、これまたせっかく新しくつくる財形年金貯蓄の精神からいって、そういう場合については何らかの考慮が払われてしかるべきじゃないですか。その点、労働省どうですか。
#91
○政府委員(望月三郎君) いまのような要件違反の場合の課税関係を設けた趣旨は、財形年金貯蓄が、年金として勤労者の老後生活の安定のために活用されることに対して、税制上の優遇措置を講ずることとした制度の趣旨によるものでございまして、また年金支払い開始後五年間に限られてもいますので、制度の目的を確保するための妥当な措置だと私どもは考えておるわけでございます。
#92
○安恒良一君 いや、そのことを聞いているんじゃない。人の聞いたことに答えたらどうですか。そういうことで本人もやっておったが、生死の境にさまようようになったらその金が要る、そこで金をおろさなければならぬという場合があるんですよ。そしたらペナルティーをどうしてとるんですか。何か温かい措置があってしかるべきじゃないですか。そのことを聞いているのであって、妥当か妥当でないなんということを聞いてないんですよ。どうですか、それは。これは政策的なことですから、局長なり大臣、どうですか。私は無理なことを言っているか。
 本人も年金を受給しておったところが、一年目なら一年目になって、大きな病気にかかってお金が要ると、残念ながら。その金がほかにないから、自分が積み立てておった分だからそれをおろさしてもらいましようというときに、さかのぼってまた税金でペナルティーを科すというから、それはちょっと温かみがないじゃないでしょうかと。ばくちに金を使うからおろすというわけじゃないですよ。そうじゃない。そういう場合は、人間生身ですから、起こり得るんですよ。また自分じゃなくて、自分の奥さんにそういう場合も起こり得るし、子供が自動車事故に遭った、生死の境で金はもう惜しまれぬ、できない。そういうときに、貯金があるわけですから、そういう事由を明らかにしておろす場合に、それでもあなたたちは年金でもらう約束であったから、これはペナルティーを科しますよということ。その条件はちょっときつ過ぎやしませんかと聞いているんです。どうですか。
#93
○政府委員(石井甲二君) 財形年金貯蓄を今度創設するということの意味といいますか、を考えますと、要するに、退職後に年金の支払いを受けるという目的として計画的な貯蓄を奨励する。これに対して一つの政策的な援助をする、こういうことでございます。したがいまして、これが基本的な要件になっておりますから、これを途中で変更したり、あるいはいろいろな事情のもとでこれが継続できないという場合でございましても、これでこの要件の基本を曲げるわけにいかぬだろうと思います。
 ただ問題は、先生御指摘のように、ある意味で人間の一つの行動のいろいろな状況の中では、要件の範囲内といいますか、それを乱さないといいますか、そういう中で何らかの対応する余地を探り出すということは、必要なことであろうというふうに私も考えます。
#94
○安恒良一君 私が言っていることが要件の範囲内かどうかということですから、大臣、ここはどうなんでしょうか。財形審議会等もありますから、いま言ったようなことが要件の範囲内ということをもう少しはっきりさせたら。
 いま私はわかりやすい例で、本人が非常に大きな病気をしてどうしてもお金が要るとか、もしくは家族にそういう場合があって、どうしてもお金をおろさなければならないという例を言った。起こらなければいいのですが、長い人生ですし、しかも退職後なんですからね。勤めておれば、会社から一時前借りとかなんとかいろいろなことができるんですよ。ところが、老後生活に入って年金受給者になったらだめなんです。たとえば公的年金を担保にしてお金を借りられるんですよ。公的年金の場合にはそれができる。ところが、これを担保にしてお金を借りられるという法律にはなっていない。公的年金だったら、それを担保にして国民年金であろうと何でも借りられる。国民金融公庫からでもお金が借りられるんですよ。
 これは担保能力がないわけですから、何かそういうことについて、審議会なら審議会等で十分議論して、また政省令をつくる中で知恵を働かしてもらいたい。私は実はこれは非常に賛成です、やりたいと言っている。しかし万が一、安恒さん、おれが大病になったとき使えないのかと言われたら、いまの法律では、使えないどころかペナルティがあるんですから、それじゃということになると、これは年金貯蓄する人自体が減りますよ。ですから、そこのところはどうなんですか。
#95
○国務大臣(初村滝一郎君) いま仮定の問題、ずっとお話を聞いたわけでございますが、そういうこともあり得るであろうということを実質的に考えた場合には、これは研究課題としてやるべきであると考えますから、そういうように指導したいと思います。
#96
○安恒良一君 それじゃこれはぜひ、関係審議会もあることですから、十分その中で研究課題として考えて、いま言ったようなことが前向きに解決できるような御努力をお願いしておきます。
 それでは次にまいります。次は財形年金の貯蓄の預金の範囲です。
 賃金のほか給付金と基金はいい。ところが、退職金をもらうわけですが、退職金をもらった場合に、その一部を財形年金に組み込みたいという人が出てくるわけです、退職金の使い方はいろいろありますから。ところが、給付金あるいは基金の場合はいいですが、そうでない場合、退職金の場合には、これを認めないということになっています。私は退職金の組み入れも認めてしかるべきだというふうに思いますが、この点どうでしょうか。
#97
○政府委員(望月三郎君) 財形制度は、先ほど来お答え申し上げておりますように、勤労者生活を通じて計画的に貯蓄努力を行うということが基本的な思想になっておりまして、給与の中から控除して行うということでございますが、退職金につきましては、これは事業主が過去の勤続年数等に応じて支給される退職金でございまして、財形貯蓄のように計画的な形で年々積み重ねていくというものと性格を異にすると私どもは見ておるわけでございまして、このような事業主の援助制度である財形給付金あるいは基金制度というものとは違うんじゃないかというように考えられますので、私どもとしては、退職金につきましては、ちょっと制度の基本的な思想に触れるのではないかということで対象にしなかったということでございます。
#98
○安恒良一君 これも少し勉強してもらうとわかると思いますが、あなたたちは給付金と基金はあれしたんですね。ところが、退職金の代替制度としての給付金あるいは基金という制度があるんですよ。そっちは認めているわけですね。ところが、こっちは認めないっていうんだから、いまあなたの言ったこととまるっきり理論的に合わないんですよ。これも認めない、賃金しか認めないというならあなたの言い分は通るんですよ。しかも計画的に積み立てるというならいいけれども、あなたたちは賃金のほかに給付金と基金は包んでお考えになっているんですから、そして、私は民間の出身ですが、退職金をそういう形に充てている経営者も幾らでもあるわけですから、それを認めるでは、それはちょっとあなたのおっしゃったことと、せっかくですが、つじつまが合わないんじゃないですか。
 それからいま一つは、中小企業の民間の場合には、その退職金を基金制度に組みかえることすらできないところがたくさんあるんですよ。企業年金なら企業年金とか、そういう基金に組みかえられないところがたくさんあるんですよ。大きいところは、退職金を一時金と年金に分けて、企業年金なら企業年金にしてやっておけば、これとプラスして両方年金がもらえると、こうなるんです。
 そういうところもありますから、退職金の組み入れを全然認めない、しかし一方、給付金と基金はいいということでは――全くやめろと私は言っているんじゃないですよ。給付金とか基金をやめろと言うているんじゃないんです、誤解がないように。しかし論理的にはいまの御主張というのは全くつじつまが合わないと思うんですが、どうですか。
#99
○政府委員(石井甲二君) 財形制度というのは、これはもう私が申し上げるまでもなく、勤労者が計画的に自助努力といいますか、貯蓄努力を行うという体系が基本でございます。したがいまして、実態的にも賃金から天引きするという一つのシステムがそれに適応しているわけでございます。そういう意味からいたしましても、退職一時金を一部、あるいは全部でもいいんですけれども、その時点でどかっとそこに預入をするということとは、ちょっと性質的になじみにくいだろうと思うんです。しかし一方、財形給付金制度あるいは財形基金制度というのは、事業主がこれを援助する一つの器あるいはルートとしてこれを設定をしたわけでございまして、これはもう一つの財形の中き預入を認める形でございます。これは大体七年ごとにそのたまったものを預入するということを、特別に使用者の援助のシステムとして認めたわけでございまして、退職金はあくまでも勤労者個人の一つの金でございますから、これはちょっとなじみにくいということになろうかと思います。
#100
○安恒良一君 いや、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。賃金のほかに給付金と基金はいいというわけでしょう。ところが、使用者は今度は退職金の一部をこういう形にするわけですよね。その事実がないということをあなたたちは言えないんだから、あるんだから、そしてそれはいいということなんだ、何年ごとであろうと。
 だから退職金をどうかっとというんじゃない。退職金をそんなどかっとするほどもらわないんですよ。あなたたちは高級官僚で、渡り鳥で、あっちこっち歩けばどかっともらえますよ。三年か四年ごとにどかっと、使い用がないようにもらうでしょうが、一般の民間の労働者の退職金というのは、中労委調べでも調べてごらんなさい、わかっている。三十年、四十年勤めた人の退職金というのはわずかなものなんです。その中でそれのうちの一部を回したいというのが出てくる場合があるんですよ。それを全部年金に積み立てられるほどの余裕はありません。わずかな退職金しかもらえません。しかし、それでもまだ老後のことを考えて、おれは退職金のうちのごく一部分を年金の方に回したいという場合が起こり得ることがあるんだ。そのときに、片方でこういうことを認めているならば、退職金もそれを組み入れられることを認めることが当然じゃないでしょうか。
 ですから、これも十分今後検討課題として研究してみてください。大臣どうですか。私が言っていること、そんな無理なことを言っているわけじゃないんですよ。いま三十年ないし四十年勤めた人の退職金というのはせいぜい一千万かちょっとなんですよ、普通の一般労働者は。その中から何百万か回したいという人が出てくる場合が起こり得るんですよ。それは一期三年か四年勤めると、何とか公団で二十万、次の公団で何千万ともらったら、それはいいでしょうけれども、そうはいかないんですから、これは。
#101
○政府委員(石井甲二君) 繰り返すようで恐縮でございますが、財形の場合には個人の自助努力、計画性というものがどうしても必要であろうと思います。したがいまして、退職金だけ特別にこれに対して何らかの措置をするかということについては、現在の企業年金あるいは企業退職金問題との関連等もございまして、なかなかむずかしい問題がその中に介在していることは御理解を願いたいと思います。
 ただ、いずれにせよ、いま基金制度あるいは事業主援助制度、給付金制度等がございますから、これを何とか媒介にするとか、あるいはこれの活用を伸ばすという努力をすることによって、一部その問題を解決できる余地があるんじゃなかろうかというのがただいまの率直な考えでございます。
#102
○安恒良一君 大臣、これは研究課題としてひとつ前向きに検討していただく、研究課題としての検討はいいでしょう。
#103
○国務大臣(初村滝一郎君) いま局長が答弁したようないろいろな問題もあるようでありますから、先生おっしゃるとおりの前向きで検討してみたいと思います。
#104
○安恒良一君 それじゃ、ぜひひとつ、本当に財形年金貯蓄が喜ばれて生きるように、仏つくって魂入れずにならぬように、ひとつ関係審議会等の意見を聞きながら研究していただきたいと思います。
 それからその次、この財形年金貯蓄は積立期関が五年以上、受取期間が五年以上になりますね。しかし最低でも十カ年貯金をすることになります。十カ年の長期貯蓄です。しかるに銀行などでは、預金の取扱金融機関がこの財形年金貯蓄を受ける預金は、既存の定期預金であり、したがって一年ないし二年の定期預金金利が支払われることになりますが、十年も長く預けますと、一年ないし二年の金利が適用されるということでは預金者にとってはまことに不利な取り扱いだと思うんですね。預け入れを受ける方はうれしくてたまりませんね。国債十年物を考えても、それから貸付信託の五年物を考えましても、しかもこれは最低十年はおろせないんですから。これは私は少なくとも長期預金に見合った特別金利の適用が適当であるというふうに思うわけですが、その点はどうなんでしょうか。
 また、財形年金の貯蓄として同一の要件でならなきゃならぬと思います。たとえば預金契約をした場合と信託契約では利差がつきますね、これは同じ十年預けるんでも。だから、高いところに預ければいいじゃないかということを言われると思いますが、これは個人個人がどこの銀行、信託銀行を選択するわけじゃないんですよね。各企業単位に会社を通じてやりますから、なかなか簡単に信託銀行が高いから皆信託に行こうかということにはならぬのですよ。会社というのは銀行との資本関係、系列関係があります。
 だから、これを考えますと、十年据え置かせるのに、せいぜい一年ないし二年の金利でそれをやるということは、まことに私は不合理だと思う。それは銀行を擁護する立場の方はいいですよ、安い金利で預かって十年据え置いてその間自由に使えるわけですからね、この金は。札に色がついているわけじゃないんです。銀行局もおいで願ってますが、なぜこういうふうに一年、二年のいわゆる定期預金的な金利しか適用にならないんでしょうか。十年間は最低据え置かなきゃならぬわけですからね。この点についてのお考えを労働省と銀行局からお聞かせください。
#105
○政府委員(望月三郎君) 財形貯蓄制度は、先生おっしゃるように、勤労者の多様なニーズに適合するようにするとともに、簡便でかつ効果的な制度とする観点から、金融機関ごとに種々の特色を持っている貯蓄商品を利用することとして現在まで参ったわけでございます。
 今回の財形年金貯蓄につきましても、最小限の要件を付しただけで、それぞれの特色を生かした貯蓄が行われるようにしているわけでございますが、これをたとえば同一の金利にするようなことは、勤労者のそれぞれのニーズからも問題があると思われますし、金融秩序上多くの問題を含んでいるので、非常にむずかしいのではないかというように考えております。
 また、銀行の財形年金貯蓄につきましては、先生いま御指摘のように、既存の一年物または二年物の定期預金金利よりももっと高い利回りのものを適用できないかという率直な御質問でございますが、昨年実質的に既存の定期預金よりも高利回りの期日指定定期預金というのが開発されたような状況にもございますので、年金貯蓄といたしまして、よりよい利回りのものが活用されるように、関係機関とも十分相談をしながら助長してまいりたいというように考えておる次第でございます。
#106
○政府委員(吉田正輝君) 御指摘の点でございますけれども、ただいま労働省からもお話がございましたとおり、財形制度の中には各種のいろいろの金融機関が入っております。安恒委員の御指摘の、特に普通銀行のものが短くて結局金利も低いじゃないかというあたりのところが、そこがちょっとほかの長期の金融機関を使っている財形よりももっとおかしくなっているんじゃないかという御指摘かと思っております。
 そこは、ただいま労働省が御指摘のように、預金者のニーズといいますか、そういう各金融機関の特色を生かしまして、勤労者の多様なニーズというような問題が絡んでくるんだろうと思います。先生も、それは選択の問題と答えるだろうとおっしゃっておられますが、確かにそういう点もあるかと思います。ただ、私ども、金融行政と申しますか、金融制度を担当している者から申しましても、財形年金貯蓄だけについて特別の高利のものを設定するということについては、やはりちょっと金融の方からは疑問のある点もございます。
 それをかいつまんで申し上げさしていただきますと、たとえばそういう普通銀行には別途長期間こつこつ財形以外で預金をしている人も、勤労者以外で預金をしている人もおるということもございます。
 それから普通銀行と申しますのは、金融制度上、しかつめらしいことを申し上げるようでございますけれども、短期金融、割引とか、そういうことを主眼としておりますので、余り長期の高コストのもので資金を調達いたしますと、それの役割りが果たしにくい、つまり経営上かなり問題が出てくるという問題がございます。
 そういう点では、長期金融機関に対しては、長期の金融調達手段ということで高利のものをまた長期の貯蓄ということに対応してやっておるのでございますけれども、そういう金融制度上あるいは金融の普通銀行の経営上の問題があると思います。
 ただ、一つは、たとえばそういう点で金利をとるようなところはあるわけでございますけれども、普通銀行の場合には、そういう財形貯蓄者に対しましては低利の住宅ローンがございますが、それを契約している事業者を通じてとか、あるいは個人を通じてとか、財形貯蓄をしている人には、たとえば低利で住宅ローンを提供する、五兆幾らの中でということでございますけれども、その六割に近いものはそういう低利の住宅ローンで還元するというようなことで、それをやってる人はそういうメリットもある。それは先ほど申し上げましたようなニーズの問題にはある程度対応しているかというようなことはございます。
 いろいろ申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、これから財形年金貯蓄というのがことしの十月から出てまいります。そこで、それぞれの各種金融機関が、いま申し上げましたような金融制度上の自分の役割りあるいは自分の制度上の位置づけに対応した中で、どういう商品が提供できるものかということを検討しておるわけです。
 私どもといたしましては、財形貯蓄は財形貯蓄なりに意義があると思いますので、そういう制度上の限界はございますけれども、そういう工夫については十分これからそういう工夫に対応してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#107
○安恒良一君 財形貯蓄一般論をやってんじゃないんですよ。いま財形年金貯蓄をやってんです。そうしますと、十年間据え置きなんですよ。あなたが言うように、普通銀行に長期預けておる人は、いつでもおろせる体制でこつこつためてるんですよ。そうでなけりゃ国債十年物を買うとか、貸付信託を持ってて五年にするとか、こうやるんですよ。普通銀行にこつこつ預けている人は、それはいつでもおろせるというメリットを重点にやってるんです。しかし、この人たちは十年間はおろせないんですよ、積み立てたら。そうすると、国債でも十年の金利を考えてごらんなさい。普通銀行の金利と国債の金利と全然違うでしょう。
 それからニーズ、ニーズと二人は言うけれどもね、じゃ個人個人が、おれは一番金利の高いところへ預けたいということ、そんなことできないでしょうと言ってんですよ。一人一人を企業がやってくれますか。やってくれないですよ、そんなことは。一人一人、安恒君、おまえのやつはA貸付信託にしたぞ、粕谷さん、あんたさんはB貸付信託と、そんなめんどくさいことは企業はやれないよ。労働者のニーズと言ったって、労働者は選択権がないですよ。それは労働組合と会社と話して、これはどこに預けたいぐらいの話があるのはまだいい方ですよ。そうでない組合もたくさんあるんです。それでもやられるんですからね。
 そうしますと、二年や一年物の預金の金利を払っておるのは、それは余りにもおかしいじゃないですか。あなたたちでも、国債発行のときは、十年は十年の国債発行のちゃんと相場があるんだから、だからそれは労働者のニーズで片づけられては、大臣ね、労働者のニーズで片づけられてはどうにもならぬのですよ。労働者のニーズ、労働者が選択すればいいと。労働者は残念ながら、選択したいと思ってもできない、この制度は。一人一人が金融機関と個人契約をしていいというならまた別ですよ。これはそういう制度じゃないです、残念ながらね。また、そんなことしだしたら、これは大変なことになりますわね。それこそ金融機関の事務量から言って、コストから言って、大変なことになるでしょう。
 各会社ごとに、企業ごとにまとめて金融機関と契約をやるということですから、私はこの点も、私の持ち時間だんだんなくなってきましたから、これだけを追うことはできませんけれども、この点もう少し、この金利問題ですね、きょうは一遍に答え出ないでしょうが、少し銀行局なんかとも話して、長期十年間据え置きにふさわしい金利ということを僕は考えてもらいたいと思いますが、大臣どうでしょうか。これはここで、すぐするとか、しないと言うのは、なかなか言いにくいことでしょうけど、私は決して無理なことを言ってない。十年間据え置かれているという現状をお考えください。どうですか。
#108
○国務大臣(初村滝一郎君) とにかく、十年間据え置きをやって定期預金をしたにかかわらず、短い一年ないし二年間分の金利しか入らないということは、これは非常にもって不合理と私も思います。そういう関係で大蔵省とかあるいは銀行機関ともよく話し合って、預金者の金利がもっとよりよく、高くなるように今後検討させていきたい、かように考えます。
#109
○安恒良一君 それじゃそういうことで、大臣がおっしゃったこと、私、当然だと思います。銀行局は、金融機関の圧力もいろいろあるから、こんなことを考えたんだろうと思います。本当に十年間預けたら、それに見合った金利が払われるというのは、無理な要求でも何でもない。勝手に途中でおろしていいというなら別だけれども、おろしたらペナルティーというんですからね。そして金利は、おまえ二年分でいいじゃないかと。そんなばかな話は全然ないと思う。これは銀行局、よく聞いておってくださいよ。
 じゃ、次に参ります。
 次は、積立期間中、転職するケースがございます。そうしますと、前職場では甲金融機関と契約していた、ところが転職したら、転職した職場では甲金融機関が取り扱いを指定されてない場合がある。そうすると、契約を続行することができないことになります。これを避けて継続を確保する方法の一つとして、前職場での契約を解除し、これを新たな金融機関との新たな契約に振りかえる。その場合に、前契約期間の利益を失うことがないというふうにしないと。
 転職というのはどうしても起こり得ることですからね。会社をかえたら、会社は、いや、おれのところはそのところとはしてないよと、こういう場合に、これはその会社に入ったらその金融機関の扱いにしてもらわないといけないんですが、この点はどうですか。
#110
○政府委員(石井甲二君) 現在、転職の場合の財形法上の仕組みでございますが、一つは、財形貯蓄が同じ金融機関であれば、これは問題はございません。
 そのほかにも解約をする場合がございますが、特に問題、御指摘の全部解約してそれを別の金融機関にやる場合の継続を考えてはどうかということでございますが、私どももその問題についてはそれが非常に有効なことであるというふうに考えまして、いろいろ問題を詰めたわけでございますが、この問題についてはなかなか、金融機関同士の実態的な問題もございますし、金融機関の資金移動が頻繁に行われることに対処しての技術上の問題、あるいはその他の問題もございますので、結局今回は間に合わなかったわけでございます。
 ただ、今後とも、御指摘のような方法を含めまして、転職の際の継続を一層容易にする方向で検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
#111
○安恒良一君 そんなばかな論理ないですよ、金融機関の都合を言われてもね。契約をして積み立てをしている、財形年金なら期間五年です。人間のことですから職場をかわる場合がある。会社が倒産する場合もあるんですよ。倒産したら次の会社へ行かなきゃならぬでしょう、人間は。そのときに契約を全部解除すると言っているんじゃない。金融機関はかわっても、それを次の金融機関に引き続いて積み立てていこうということが、だめだということはないでしょう。
 あなたたちは、その気だったけれども、これもまた大蔵省がうんと言わなかったのか知らぬけれどもね。そんな話を聞くと、もう銀行局などというのは、国民の銀行局なのか、銀行の利益のための銀行局かということになりますよ。
 いま言ったようなこと、決して無理なことじゃないですね。転職をしなきゃならぬ場合がある。そのときに、いままでA金融機関と会社が契約しておった。ところが行ってみたら、そこではB金融機関になっておったから、これを解除してBに引き継いでもらおうということについて、それはだめだと。そんな金融機関の御都合ばかり聞いて、大臣、この法律をどうしてつくったんですか。名前は勤労者の財形法とか年金法とか、名前はいいけれども、中身を見たら、金融機関の御都合が優先をしている。いまのあなたたちの答弁では優先しているじゃないですか。これは大臣、それは引き継がれるのはあたりまえですよ、会社かわっていったらね。
 倒産する場合もあるんですよ。倒産したときはどうするんですか。そんなら。倒産して本人が次の新しい会社に行かなきゃならぬときどうするんですか。そこを答えてみてください。倒産したときは特別扱いするんですか。労働者が次の新しい職を求めるのはあたりまえの話ですよ、今日。どうしますか、倒産したときは。
#112
○政府委員(望月三郎君) 先生のおっしゃること、まことにもっともでございまして、その点については私も非常に心配をしておるわけでございますが、この点については遺憾ながら解決をしなかったということでございますので、できるだけ速やかな機会に、この点について先生のおっしゃる方向に最善の努力を尽くしたいと、こういうふうに思います。
#113
○安恒良一君 労働大臣、倒産だけじゃなくて合併もあるんですよ。このごろは合併もはやっていますからね。合併したら金融機関が違う場合があるんですよ。ですから、これは少なくとも早急に――これもまた恐らくいろいろ大蔵省が抵抗しただろうと思いますね。そんなこと言うたらにらまれるから、間に合わなかった、間に合わなかったと言っていますけれども、私は大蔵省も聞いておってもらいたいんだよ、ここはね。
 倒産、合併、転職、起こり得るんですよ。その場合に、残念ながら、自分の意思に反してかわらなきゃならぬ場合があるんだよ、取扱金融機関を。そのときには、それが引き継がれるということは、これはだれが考えてもあたりまえのことですから、ぜひひとつ大臣、いまの点は早急に解決してください。よろしゅうございますか。
#114
○国務大臣(初村滝一郎君) 御意見のとおりに、転職はあり得る、そしてまた企業の倒産もあり得るし、また合併等もあるでしょうから、したがって最初の金融機関をかえる場合もあり得るんです。私は、財形年金が労働者のためになるように、これはもう早目に何とか話し合いを進めなければならない、かように考えますから、前向きで検討いたします。
#115
○安恒良一君 それじゃいよいよ時間がなくなりましたから、最後に地方公務員の住宅貯蓄の問題です。これは五十三年の法改正で、それまで民間労働者に限定されておりましたが、そのとき私が本委員会で、この問題は勤住協の地位の向上とともに、大臣にお願いして、公務員にも全部分譲できるように法の改正をお願いして、大臣もそのとおりすると、こう言われたんだよ。ところが、公務員のうちの国家公務員と三公社五現業についてはこの分譲が実現をしていますが、地方公務員は実質的に分譲はできない。
 これはどういうことかというと、いわゆる利子補給が地方公務員は各自治体になっています。その自治体がうんと言わないものですからね。ところが、これは全く法のもとに不平等なんですね。それはなぜかと言うと、住宅を建てる目的で財形貯蓄する。ところが、地方公務員以外の人はそれぞれ利子補給をやられる。国家公務員は国がやっている。三公社五現業は公社がやっている。民間の勤労者は国がやっている。国と言っても、労働保険特別会計の分でやっている。ところが、地方公務員だけは、せっかく金は積み立てたけれども住宅が建てられない。こんなばかげたことが法の前の平等のもとであるということが実際おかしいんです。ですから、三年前の審議のときにそのことについて言ったら、わかりました、前向きに一生懸命やりますと、こう当時の大臣は言ったんですが、残念ながら地方公務員だけは依然として据え置かれているわけです。これは早急に解決しなきゃいけない。
 そこで、次のことについてお聞きをいたしますからお答えを願いたいのです。まず、地方公務員問題については、今後基本的なあり方について早急に審議会を開催し、各代表の英知を集めて解決の方途を見出すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#116
○国務大臣(初村滝一郎君) 地方公務員に対する日本勤労者住宅協会の財形住宅分譲の基本的なあり方については、財形審議会で今後の地方公共団体への働きかけの状況等も勘案しまして、十分検討を行っていく考え方でございます。
#117
○安恒良一君 次は、労働省はかつてない決意で、自治体に対して強力な事前の行政指導を行い、解決の突破口をつくること。現在家を建てたいという人はたくさんいるのですよ、地方公務員で。ところが、それをやってくれないから建ちませんので、突破口をつくるということを行うべきだというふうに私は考えますが、その点いかがですか。
#118
○国務大臣(初村滝一郎君) 地方公務員の問題の解決のために、今後勤労者住宅協会の財形住宅分譲計画のある地域の地方公共団体に対しましては、事前に予算措置が行われるように強力に働きかけ、実績が上がるように決意しておるわけであります。
#119
○安恒良一君 それじゃ、ぜひ強力に御指導願って、それができるようにしていただきたい。
 そこで、その次にお聞きしたいのですが、行政指導でもなお突破口がつくり得ない、残念ながらできないという場合には、新たな基本的な解決を二カ年間で行うべきだというふうに考えますが、どうでしょうか。
#120
○国務大臣(初村滝一郎君) 地方公共団体に対する働きかけによっても地方公共団体で予算措置を講ずるものがないときには、財形審議会での検討結果を踏まえまして、御趣旨に沿った解決を図るように努力する所存でございます。
#121
○安恒良一君 以上で終わります。
#122
○中野鉄造君 午前中からの質疑で私の用意していた質問の大半が言い尽くされた感じがございますけれども、そういうわけで多少重複する点もあろうかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
 まず結論的なことからお尋ねいたしますが、今回のこの財形制度の一つの柱である持家取得を促進するという面は、少なくとも当初のねらいどおりにはなっていないと、こういう感じがするわけでございます。すなわち、現在の財形加入者の大半の人たちが、財形貯蓄で持家取得を図るということよりも、財形貯蓄を単なる天引きの便利な非課税積立貯蓄の一種であると、こういう認識に立っているのが一般的じゃないかと思うわけですが、この勤労者財産形成促進法が昭和四十六年に制定されてから今日までの約十年間、この政策の目的が果たされているか、現況どういうような状態になっているか。いま私が申しましたようなそういう一般的な認識が定着しているという感さえ強いわけですけれども、いかがなものでしょうか。
#123
○政府委員(望月三郎君) 先生おっしゃるように、財形法制定以来十年が経過いたしまして、勤労者の貯蓄資産の形成という意味では、非常に役に立ってきたわけでございまして、先ほどもお答えいたしましたように、五兆三千億ということにはなっておるわけでございます。一方、財形の持家融資制度につきましては、これも一つの大きな財形法の柱でございましたが、先ほど来申し上げておりますように、わずか二%、一千億円という低調ぶりでございまして、この面では制度の目的は遺憾ながら十分達成されているとは言えないわけでございます。したがいまして、今回これを何とか抜本的に変えようということで今回の御審議をいただいておる次第でございます。
#124
○中野鉄造君 今回のこの改正、数点ございますけれども、たとえば融資限度額の引き上げ。あるいは見方によっては、過度の持家取得促進策というようなことが、勤労者の返済能力あたりから見て、これはかえって生活水準の低下をもたらすような結果にもなるんじゃないかという感もしないわけではないのですが、その点いかがですか。
#125
○政府委員(石井甲二君) 御指摘のように、財形を通じまして、いわゆる持家取得というニーズに対応する体制をつくったわけでございます。そういう政策がむしろ勤労者のそういうニーズをあおり立てる、実力以上の対応を融資することによってさせ、別の面にまで問題を及ぼすことはないのかという御指摘だろうと思うのです。
 もちろん、この財形による持家の取得というのは、個人の将来の設計であり、あるいは選択によりまして、しかも自分の現在の所得あるいはこれからの見通しといいますか、そういうものを踏まえながら持ち家づくりをやることになろうと思いますが、政策的には一応現在の利子補給による財形の原資と、あるいは住宅金融公庫、あるいは年金の還元融資、そういうものを全体的に合わせまして平均的なモデルの中で考えますと、大体こつこつやっていく平均的な勤労者が、可処分所得の二五%の範囲内でこれが実現できるであろうという考え方に立っておるわけでございまして、あとは各個人が物的な財産をつくるという真剣な努力にまつということを考えているわけでございます。
#126
○中野鉄造君 この勤労者の定義ということについてお尋ねいたしますが、いかがですか。
#127
○政府委員(石井甲二君) 財形法上の勤労者の定義は「職業の種類を問わず、事業主に雇用される者」というのが第二条第一項第一号で規定されています。これは労働基準法等で定める労働者と同義でございます。
#128
○中野鉄造君 そうすると、雇用関係のない勤労者は勤労者とは言わないと、こういう意味ですか。
#129
○政府委員(石井甲二君) そのとおりでございます。したがいまして、財形制度は、労使関係にある勤労者につきまして、事業主の援助をかみ合わして資産形成を促進する、こういう一つの体系化をしてあるわけでございまして、たとえば事業主は対象になりませんし、また事業主と生計をともにする親族等、いわゆる家族従業者でありましても、雇用関係にあると明確に判断できるものを除きましては、これは本制度の対象にはならないということになっております。
#130
○中野鉄造君 こういうようなことになりますと、たとえば雇用関係のない勤労者という方々、それは勤労者の定義という面から言えば、いまの御答弁から見ますと、それは勤労者には入らないということになるんじゃないかと思いますけれども、一般的に雇用関係がない勤労者といいますか、そういう方々にもこの道を開いてあげるということが必要ではないかと思いますが、大臣、この点はいかがお考えですか。
#131
○政府委員(望月三郎君) 先生おっしゃるように、勤労者のみならず勤労者以外の者にとりましても、財産形成が必要なことは申すまでもないことでございますが、そのための国の援助の仕組みや内容についてはおのずから異なっておるわけでございます。
 勤労者につきましては、私ども、他階層に比べて資産形成が立ちおくれているという観点から、勤労者財産形成制度をつくりまして、事業主の援助を得て特段の措置を講ずることとしておるわけでございますが、零細事業主やこれと一体をなす家族従業者に対する持家援助等の措置は、一般の住宅政策等の観点から、これも十分考えていかなければならないことではないかというように考えておるわけでございます。
#132
○中野鉄造君 ですから、いまおっしゃった家内工業に従事している人たちといえども、これは雇用関係にある、雇用関係が適用されるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#133
○政府委員(望月三郎君) 先生のおっしゃる家内工業者の定義でございますが、自営業者としてやっていらっしゃる方々は、これは自営業でございまして、財形法に言う勤労者の定義には入らないわけでございます。
 それからもう一つ考えられますのは、その自営業者の家族であって、家内労働のような形で、たとえば夫が自営業をやって、そして家の中で家内工業を奥さんなり子供さんが働いて手伝っているというような場合の奥さんなり子供さんというのは、財形法で言う勤労者には当たらないということでやっておるわけでございます。
#134
○中野鉄造君 ですから、私がお尋ねしているのは、もちろんそういう事業主は入らないし、その事業主の家族の人たちがその事業に従事している場合は、それはもちろん入りませんけれども、そういう形ではなくて、世間にはそれこそ零細な企業、そういうところで、別に組合の組織があるでもなく何でもなく、従業員というのはわずか一人か二人、あるいは三人や四人というような、そういうところに長く勤めている方々もいらっしゃるわけなんです。そういう人たちはどうするんですかと聞いているんです。
#135
○政府委員(石井甲二君) 財形政策というのは、言ってみれば政策的な一つの展開でございます。政策を展開する場合に、だれに対してどういう形を政策としてつくり上げれば最も福祉とかそういうものに対応するか、あるいは公平性を保ちながらそれをどうやっていくかという一つの検討が、当然のことながら必要でございます。財形の場合には、また言ってみれば、その基本には、資産形成が一般の自営業者等に比較いたしましてかなり立ちおくれているという実態がございます。特に持ち家等につきましては、勤労者、いわゆる雇用労働者の階層というのは、自営業者に比較しまして持ち家の取得が非常に少ない。こういう実態の中から、特にこの勤労者対策として財形という新しい政策をつくり上げたわけでございます。
 しかも、この財形の特色としましては、勤労者の自主努力と同時に、いわゆる事業主、つまり使用者ですね、使用者がこれに対して援助するという、哲学といいますか、基本的な考え方に立脚しておりますので、これもいわば労使関係というものがそこに介在をするという意味におきましても、そういう総合的な選択として、勤労者すなわち雇用労働者に対する対策をこの財形法という形の中で実現されています。
 したがいまして、先生御指摘のように、それは自営業者の中でも非常に貧しい方もおられると思います。これに対してどうするかというのは、また別個の問題としてあると思いますけれども、財形法上の仕組みの中でこれを取り上げていくということは、その本質的な一つの制度の仕組みからして非常にむずかしい問題があるというふうに考えます。
#136
○中野鉄造君 だから、私がお聞きしているのは、なるほどいまの現行法ではそれはどうしようもない。だから今後の問題として、そうしたいわゆる超零細というか、そういうところに働いている人たちのために道を開いてあげるというような構想はございませんかということをお聞きしているんです。
#137
○政府委員(望月三郎君) 正確に先ほど来先生の御質問をとらえていなくて申しわけないんですが、先生の御質問の趣旨は多分、貯蓄余力のないような低所得層の勤労者について、今度こういう制度ができたのではあるが、大体これを利用されるのかという御質問ではないかというように御推測しておるわけでございますが、勤労者世帯の貯蓄の現状を見てみますと、所得階層別で第一・五分位に属する最も所得の低い層、これは年収が二百三十八万円、五十五年の数字でございますが、そういう第一・五分位の低い方でも、その九九%が将来の生活設計のために営々と貯蓄をしているのが実態でございまして、平均年間預入額は二十七万円という貯金を、平均でございますが、やっておりますので、財形制度の効果はほとんどの勤労者に及ぶのではないかというように考えておるわけでございます。
 また、持ち家につきましても、たとえば住宅金融公庫が比較的所得の低い階層の者にも多く利用されるようになっている状況でございますし、今回の私どもの財形持家個人融資の改善によって貸付限度額の引き上げが行われるわけでございますが、貯蓄額が少なくとも五倍までは借りられるという点、また利子補給による返済負担の軽減は、所得が低い者にも手が届く範囲でございます。
 そういうことで、ある程度これは努力すれば均てんするのではないかというように思うわけでございますが、ただ全く貯蓄余力がないという方々につきましては、これは貯金ができぬわけでございますので、その努力による資産形成ということは困難でございますので、これは低家賃の公共住宅の供給を促進して、その中で住宅対策はやっていくということでお願いをするということしかないのではないかというように考えておるわけでございます。
#138
○中野鉄造君 そういう超零細の事業主のところに働いている人たち、必ずしも貯蓄ができないというものではありません。中には、一人か二人の従業員しかいない、しかしそれこそ家族同然に優遇されてかなりの貯蓄をやっている人だっているわけですから、あながちそうは言えないと思います。
 私がお聞きしているのは、そういうような将来展望として、どちらかと言えば、いわゆる二十人、三十人以上のそうした中小企業に働いている人たちを対象としたこの制度を、いま少し幅を広げて、そういったような面にも今後道を開いていくという御構想はないのかどうかという点を聞いているんです。
#139
○政府委員(石井甲二君) 先ほどはちょっと御質問の趣旨を取り違えまして恐縮でございましたが、財形につきましては、先ほど申し上げましたように、財形法の定義がございまして、現状におきましては、いまの財形法では勤労者以外の者がこれに参加することはできない仕組みになっております。将来展望といたしましても、いまの勤労者対策という問題、あるいは労使かみ合うという問題がございまして、先生御指摘のような一つの考え方は非常にわかるわけでございますけれども、なかなかむずかしい問題がそこにございます。
 特に、財形政策という問題について今後どういうふうに広げていくかという、制度の性質上の問題が介在しまして、いろいろとむずかしい問題がございますので、いろいろ検討はいたしてまいりたいと思いますが、現在のところ、そういうことを考えているということを申し上げるわけにいかぬだろうと思います。
#140
○中野鉄造君 先ほどもちょっと触れましたけれども、この持ち家の目的が達成されたけれども、それがどうかするとかえって生活水準の低下をもたらしたというような結果もあるのではないか。そういう点から二、三お尋ねいたします。
 先ほどからいろいろ質問もあっておりましたように、現在、約五兆三千三百五十億円、その中で持家分譲あるいは持家個人融資、こういうものを合わしても一千三十八億七千万円、これだけの融資でございますが、非常にわずかではありますけれども、しかしこの融資した中から返済が滞っているとか、そういったような額あるいは件数がわかったら教えていただきたいんです。
#141
○政府委員(望月三郎君) 残念でございますが、その数はいまつかんでおりません。
#142
○中野鉄造君 あるのはあるんですか。
#143
○政府委員(望月三郎君) いまのところ焦げつきはございません。
#144
○中野鉄造君 では、次にお尋ねしますが、大蔵省として、この貯蓄は勤労者が財形のために給与から天引きされて貯蓄している金額でありまして、勤労者が納得のいくような融資をする努力も必要ではないかと思いますが、この貯蓄に対して各金融機関にどのような行政指導をなされているのか、その点をお尋ねいたします。
#145
○説明員(上川名清次郎君) お答えいたします。
 財形貯蓄資金の運用につきましては、特別の指導をいたしておりません、残念でございますが。ただし、一般的な金融機関の資金の運用の方法につきましては、金融機関が健全経営を確立しながら、公共的な使命を十分に自覚いたしまして、そして預金者の保護、信用秩序の維持、それから資金の適正配分というふうなことに心を込めまして、そして適正妥当に運用しなさいというふうなことは一般的に指導しております。ただ、いま先生がおっしゃいましたように、金融機関の場合には、雇用促進事業団等からの債券引き受け等の資金需要がないものでございますから、したがいまして、結果として余裕資金を抱えているようなかっこうにはなっております。
 念のために、財形貯蓄残高の比較的シェアの高い都市銀行、それから信託銀行につきまして、どういうふうにその余裕資金を運用しているかということをちょっと申し述べさせていただきますけれども、これは一概に申し上げますと約六割でございますけれども、その約六割の資金につきましては、財形貯蓄契約をしております企業の従業員持家制度の融資のために優先的に充当をしていることでございますし、またその適用金利につきましても、いわゆる長期プライムレートよりも低い住宅ローン金利というものを適用している状況でございまして、そういう意味では、余裕資金をそれなりに財形という広い意味の趣旨にのっとった形で運用されているのではないのかというふうに思われます。
#146
○中野鉄造君 大蔵省からのいまの御答弁でございますが、労働省としては、この金融方法をいま少し検討改善される余地があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#147
○政府委員(石井甲二君) この財形の対策と金融機関のあり方という問題は、大変重要な問題であろうと思います。先ほど来御指摘のいろいろの問題も、そこに触れた問題がございますが、労働省といたしましては、少なくとも財形というものが、いろんな形の金融機関の種類がございますが、そこに一つの器をお借りをいたしまして、そこの器の中で展開していくという政策を選択したわけでございますけれども、そこで銀行に対してどういうふうな措置をやるかということにつきましては、具体的にはいろんな手続上の問題について常に接触を保っております。
 ただ、問題は、基本的な問題についてどういう対応をするかということでございますが、昨年、銀行協会の各種銀行、たとえば都銀、地銀あるいは相互銀行を含めまして私どもとトップの会談をしたことがございます。私の方からも大臣が出席をいたしまして、いずれにせよ、銀行も財形という問題について協力をしてもらわなくちゃいかぬし、またこれについて、できるだけ勤労者のためになるような一つの措置についていろいろ検討をしてもらいたいというお話もございました。
 これに対して銀行協会側も、金融機関として一つの金融体系の問題がいろいろございまして、非常にむずかしい問題があるような意見も開陳をされましたけれども、そのときも、引き続き両者話し合おうということについてはつないでございまして、今後ともいろんな基本問題あるいは技術的問題含めまして、何とか勤労者のためになるような方途を模索していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#148
○中野鉄造君 今回、財形持家個人融資についての利子補給の導入等改善されたわけですけれども、今回のこの改善で勤労者の住宅建設が本当に促進するといいますか、そういうことになるとお考えですか。
#149
○政府委員(望月三郎君) 今回の法改正が実現した場合に、私どもは現実的にたとえば首都圏で家が建つかという点について検討をしたわけでございますが、住宅取得モデルについて一般的には設定はしておりませんが、今回利子補給制度を導入するに際しまして、特に住宅取得が困難となっている首都圏において平均的住宅、これはマンションが多いわけでございますが、マンションを取得する場合の平均的な試算というものを試みたわけでございますので、これを御説明したいと思います。
 首都圏の平均的なマンションの価格は平均で約二千五百万円でございます。また、三十歳代後半の住宅取得者の平均的な自己資金が七百万円という数字が出ておりますが、七百万円がある場合には残り千八百万円について、住宅金融公庫から八百万円、それから年金福祉事業団から四百五十万円、それから財形から五百五十万円の利子補給付融資を受けるものとして、三点で一つの住宅を建てるということで仕組みますと、その毎月の総返済額はおよそ十万円でございます。
 先ほど来申し上げましたように、いまのようなモデルでいきますと、一年目はこの三つの償還がちょうど十万円でございますが、給与所得の二五%、四分の一ということで、これはサラリーマンが支払い可能の最大限と申しますか、何とか努力すればできるというパーセンテージでございますが、これがだんだん経過していくに従いまして、五年目には二〇・六%になるというような試算をしておるわけでございまして、都内でもいまの程度の値段のものであれば、これは実現可能ではなかろうかというように考えておるわけでございます。
#150
○中野鉄造君 そうすると、大体七百万円程度の自己資金、こうなるということですけれども、仮に大部分を財形貯蓄で貯蓄をしたとして、二十歳から三十歳ぐらいでわりと楽に五百万円を仮に貯金するとすれば、どのくらいの期間がかかり、一年間にどれくらいずつ貯金すればいいということになりますか。
#151
○政府委員(望月三郎君) これは預金利率というものを年利七%程度として計算をいたしますと、五百万円をためるには、積立期間十年で、毎月積立額は二万九千円でございます。このような貯蓄の二十歳から三十歳代の勤労者の平均的な月収に対する割合を見ますと、約一〇%程度でございまして、これらの年齢階層の勤労者世帯の年間貯蓄増加額というものは、平均で月にして三万円から三万五千円でございますので、余り無理なく貯蓄できるのではないかというように考えております。
#152
○中野鉄造君 そうしますと、現在加入者の平均貯蓄高はいまどのくらいですか。
#153
○政府委員(望月三郎君) これは加入者が、けさほどもお答えいたしましたように、総数で千二百七十万人でございまして、平均いたしますと、約五十万円足らずという貯蓄残高でございます。ただ、その中で住宅貯蓄をやっている人の平均は、やや倍くらいに上がっておりまして、ほぼ百万円というところになっております。これは会社へ入りますと、もう新入生でも何でもみんな財形貯蓄へ入りますものですから、これは非常に少ない人と高い人がありますので、平均は五十万円になるという実情でございます。
#154
○中野鉄造君 そうしますと、正直言って、平均五十万円として、その方々が持ち家を取得するというところまで、現在の加入者の何割ぐらいがその目的を達成されるとお考えになっておりますか。
#155
○政府委員(石井甲二君) いまお話がございましたように、財形の個人当たりの状態はどうかということになるだろうと思います。いま財形について融資を申し込む資格というものがございます。その場合に、たとえば三年以上財形の貯蓄を実施しておってかつその残高が五十万円以上のものを取り出してみますと、現状におきまして二百九十万人程度おると、こういうことでございます。
#156
○中野鉄造君 何割。
#157
○政府委員(石井甲二君) 二割強でございます。
#158
○中野鉄造君 先ほどからいろいろな頭金の問題もちょっと出ておりますが、現在五百万円とか七百万円、こういうようなことを言われておりますけれども、これはもう間もなく一説には、一千万円以上の頭金が必要になってくる時代が到来するということを言われておりますけれども、こういうことになるといよいよこれはむずかしくなるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#159
○政府委員(望月三郎君) もちろん、住宅建設につきましては、これは融資制度もさることでございますが、基本は土地の価格の問題が一番大きな問題だと思いますし、また住宅建設の値段もある程度高騰しているということでございまして、この二つが本当は一番重大な障害になっておるわけでございます。したがいまして、これらについては、私ども政府一体となって、地価の対策なり物価対策ということを基本的にやらなきゃならぬと思いますが、と同時に、こういった財形法の改正を通じましてこれに対して利子補給をする、それから従来の財形の貯蓄残高の三倍まで貸せるというのを今回、御承認いただければ、これは公布の日から施行するということで、三倍から五倍まで拡大するという形で、当面はとりあえず手を打っていきたい。なおさらに、制度の推移を見ながら、またそれに対応していくという姿勢でやっていきたいと、こういうように思うわけでございます。
#160
○中野鉄造君 先ほど御答弁もありましたように、融資を受けてから大体毎月十万円くらいの返済というお話がありましたけれども、これは一つのモデルであろうと思いますが、いずれにしても、現時点でも大変努力をしていかなければ、まず取得ということがむずかしい。ましてこれから住宅取得をしようとする人たちにとっては、今後の住宅価格の高騰を見込まなければならないわけでして、労働省が促進しておられる財形貯蓄の融資枠のこの効力というものが、果たしてどこまでこれに貢献するだろうかということを私はなはだ疑問に思うわけですけれども、政府として一番心がけていかなければならないのは地価抑制であるんじゃないかと思いますが、今後この点についてどのように行政措置をとっていかれるお考えなのか。この点建設省にお尋ねします。一昨日だったですか、昨日だったですか、テレビの報道を見ても、むしろ三大都市よりも地方の開発途上地域の方がより地価の高騰が顕著であるということもある現況でございますけれども、建設省としては、この地価抑制ということについてどういうような方針をお持ちでしょうか。
#161
○説明員(北島照仁君) 実は私、土地問題の担当課長ではございませんので、若干正確さを欠くかと思いますが、御承知のとおり、五十四年から五十五年ごろにかけまして、地価が一年に二けた台の伸びを示すという状況であったわけでございますが、五十六、五十七というふうにかなり地価の方は安定してきております。しかしながら、なお高い水準ということには間違いないわけでございます。
 これに対して、将来を含めまして、どのような対策をとったかということでございますが、特に五十七年度の税制改正におきまして、土地住宅税制の大幅な改善を行ったわけでございます。これはいままでの地価の高騰というものが、宅地の需給ギャップによるというものがかなり大きいだろうということで、その需給ギャップを埋めるためにいわば供給を促進する、あるいは供給促進の阻害要因となっているものを除去するという観点から、幾つかの大幅な改正を行ったということでございます。
 なお、さらに建設省におきましては、いわゆる線引きの見直しというものにつきましても、すでに昭和五十五年の九月に都市局長の方から通達を出しておりますし、また現在都市計画中央審議会におきましても、線引きのあり方等について検討している段階でございます。そのように、今後とも宅地の供給というものにつきまして促進を図っていくというのが一応建設省の基本的姿勢でございます。
#162
○中野鉄造君 労働省としては、今回のこの制度を改善、またいまも申しましたように、現在の土地価格の高騰にかんがみて、建設省に土地の地価抑制についての何か要望をされておりますか。
#163
○政府委員(石井甲二君) 今度の法案を御提出申し上げて御審議をいただく過程において、特に労働省として公的に申し入れたということはございませんけれども、ただ財形審議会等におきましても、常に建設省の御参加を願っておりますし、また私ども機会あるごとに、労働政策の見地から、それは常に申し上げていることでございまして、それは政府全体が一体になってこれを措置するということについては、間違いなく一体になってやろうという気構えは持っております。
 特に、私どもとしましては、この財形のみならず、勤労者の住宅確保の上に土地問題と建築費問題、それから金利問題、この三つがもう最大の集約された形で出ております。その中でも土地問題が大変大きなウエートを占めておる。特に都市、首都圏あるいは近畿圏において一層これが重要でございますので、今後とも私どもの立場を踏まえながら、さらに建設省あるいは企画庁その他とも話し合いを進めていきたいというように考えておるわけであります。
#164
○中野鉄造君 この件につきましては、いまおっしゃるように一番大きなウエートを占めるわけですから、ひとつ前向きに御努力をいただきたいと思います。
 ところで、従来の財形持家融資の活用状況ですけれども、多くが大手企業に利用されているのではないかと、こういう感じがいたします。この利用状況はどういうふうになっているのか、また中小零細企業の利用がなかなか思わしくない、少ないという理由はどこにあるのか、この点お聞かせいただきたいと思います。
#165
○政府委員(望月三郎君) 従来、持家融資につきまして二つの方式がございまして、一つは事業主が中に入りまして分譲融資という形で行う持家建設、それからもう一つは、転貸融資という形で事業主が雇用促進事業団からお金を借りて勤労者にお金を貸し付ける、この二つの方式があるわけでございまして、分譲融資の方は、これは先ほど来出ております日本勤労者住宅協会等がやっておるケースが多いわけでございますが、この分につきましては、大企業よりもむしろ中小企業が圧倒的に多いという実態でございます。ところが、転貸融資の方は、先生御指摘のように、多くが大企業を経由した大企業の勤労者にやや偏っておるという実態が確かにございます。
 そういうことで、私どもとしては、今後は中小企業というものに焦点を当てて、これに対して理解を深めていただいて、大いにそういう一般の勤労者に広く活用されるということを行政の重点としてやっていかなきゃならぬというように決意を固めている次第でございます。
#166
○中野鉄造君 いまもおっしゃったように、中小企業の勤労者に対する転貸融資を中小企業で利用が進むようにするには、分譲融資の場合のように事業主団体の利用をもっと積極化したらどうかと、こう思うんです。たとえばそのための団体等の設立を進めるというようなこと、これはいろいろな問題が介在してきますので、慎重を要することではないかと思いますが、これはむしろ望ましいことではないかと思います。こういう方向はいかがですか。
#167
○政府委員(石井甲二君) 事業主団体等による活用を進める御指摘のような方法は、これはまことに有効な方法であろうと思います。財形法にも規定がございますけれども、これも一つの方法として先ほど先生御指摘のいろいろの問題が介在しないような形で進めていく必要があるだろうと思います。
 それからもう一つは、事業主がその労働者との間にもう長い間の債権債務関係を背負うという問題が基本的な問題としてあるわけでございますので、これについて何らかの形で、たとえば第三者的なものが入ってそういう問題についての処理をする、あるいはいわゆる保証制度というものをある程度つくり上げていくということが、この中小企業の利用を促進するという見地から大変重要なことだろうというふうに思いますし、また実態的にはそういうものがあってなかなか進まない。中小企業事業主が労働者に対して長期的にこれを抱えていくことに対する何らかの対策をとらざるを得ないだろうというふうに考えます。
 で、これについてもなかなかむずかしい問題が介在をいたしますけれども、私どもとしては、この財形の融資が特に中小企業にできるだけ多く流れるようなことは、これは当然御指摘あるまでもないことで重要なことでございますので、この面についての検討をさらに進めていきたいというふうに考えております。
#168
○中野鉄造君 ところで、先ほど午前中の御答弁にもありましたけれども、今年度三万一千戸という目標を立てておられますが、従来のこの実積から見て、これは非常にむずかしい問題じゃないか。結果として、ただ単に努力目標として終わるんじゃないかというような危惧を持つわけですけれども、何を根拠に三万一千戸という数字が出てきたのか、それは一応おくといたしましても、この財形住宅貯蓄の契約者数が現在八十九万七千人、住宅貯蓄残高が九千五百九億円となっておりますが、実際問題、この三万一千戸を建設されるその資格者がおられるのか、その実態をお聞かせいただきたいと思います。
#169
○政府委員(望月三郎君) 現在、財形貯蓄を行っている者は千二百七十万人でございまして、その一人平均残高は、先ほど申し上げましたように五十万円程度となるわけでございますが、融資を受ける資格であります、財形貯蓄三年以上と残高五十万円以上という要件を満たしている貯金者は、現在で約二百九十万人程度に達しておるわけでございます。
 このうちどれほどの者が実際に融資を受けて住宅を取得することができるような水準の貯蓄に達しているかという点につきましては、ほかに行っている貯蓄もございますので、なかなか明確にはしがたいわけでございますが、現在までに財形融資を受けた者の財形貯蓄残高は平均二百五十万円程度でございますので、これは現在の実績でございますが、それ以上の財形貯蓄がある者が実際融資を受けることができるのではないかというように推定いたしますと、全体の千二百七十万人の中の約五%に相当します約六十万人程度に達するのではないかというように推計をしておるわけでございます。
#170
○中野鉄造君 そうすると、今年度のこの利子補給が五千六百万円と聞いておりますけれども、これだけで先ほど申しました三万一千戸という中の財形に該当するこれに充当できますか。
#171
○政府委員(望月三郎君) 五千六百万円ということで非常に少ないようにお感じでございますが、三万一千戸という目標を立てまして、そのうちの十月施行でございますので、利子補給をするのが、十月からずっと受け付けが始まりまして、半年間の間の出来事でございますので、利子補給としてはその半分で足りるということでございまして、一万六千戸分について手当てをすれば予算的には十分間に合うというように考えておる次第でございます。
#172
○中野鉄造君 そうしますと、今年度はそうですけれども、来年度、参考までにお尋ねするわけですけれども、大体どの程度になるのか、それが一点。大蔵省はこの案に対してはどういう認識をお持ちであったか、その二点をお尋ねいたします。
#173
○説明員(篠沢恭助君) お尋ねがございましたこの案についての大蔵省の認識といいますか、どういう評価をして考えたかということでございます。
 利子補給制度を新たに創設するということは、私どもにとりましては、大変いわば勇気の要る仕事であるわけでございますが、この財形ということは非常に重要な政策である。現在までの財形持家個人融資につきましての実際の貸し付けの実績とか、それがどういう原因にあるのかということをいろいろ考えますと、これは非常に問題のある状態に陥っていた。その認識は私ども労働省の説明でよくわかったわけでございます。
 そこで、勤労者の持家取得の促進という勤労者の生活安定、それからかねてこういう時期でございますので、住宅建設の促進という観点に少しでも役に立つということも必要であろう、そういう内需拡大、そういう観点も加味していろいろ考えた中で、きわめて厳しい財政事情の中でございますけれども、この案というのは有効ではないか。特に真に援助が必要な返済初期負担五カ年の利子補給ということについて、私どもは効率的な施策として恐らく実績が上がるのではないかという評価をして、労働省の御提案に賛意を表した次第でございます。
#174
○政府委員(望月三郎君) 先ほどの初年度五千六百万ということでございますが、二年目が約二十一億、三年目が約五十億で、平年度二百四十億程度の利子補給の予算になろうかと思います。
#175
○中野鉄造君 五十七年度三万一千戸の建設、その実現、これも私は非常にむずかしい面があると思いますが、それが今後さらに来年度はその約二倍になる。果たしてそういうことは可能でしょうか。
#176
○政府委員(石井甲二君) 現在の実績との関連におきまして、これを実現することには相当の努力が必要だと率直に思います。私どもはいままでの財形貯蓄者あるいは勤労者の住宅建設のいわゆるビヘービアといいますか、そういうものを見る場合に、どうしても金利負担という問題が非常に大きな要因を占めていると思います。特に返済をするということの苦しみというものが非常に大きく選択をする基準になるだろうと思います。そういう意味で、今回五年間でございますが、少なくとも六%程度まで金利を下げるということの意味は、限界的な部分の踏み切りをかなりのウエートを持って決意する場合の動機になるだろうと思います。
 先ほどお話し申し上げましたように、潜在的に財形として融資を受けるあるいは建設する資格を持っている者は、二百九十万という層がございます。その中でどれだけの者を掘り起こすかということが実は重要なことでございます。そこで、私どもはできるだけ早くこの法案を成立さしていただきまして、これを早く民間の方々に提示をいたしませんと、たとえば会社にいたしましても、その援助する場合のやり方はほとんどもう当初決めてしまうということもございます。そういうことからして、できるだけ早く成立をお願いをいたしたいと同時に、この際、いわゆる数字で結果がわかるわけでございますので、私どももすでに雇用促進事業団あるいは都道府県の労働基準局、それから各県の商工労働部にその準備をするようなことを内々さしていただいておりますけれども、これが成立をいたしましたら、一体になってこれを全体的に総洗いをしていきたい。特に雇用促進事業団におきましては、大体現在予定されているものの把握をある程度しておりますので、その辺を踏まえながら、私どもこれに対して強力に行政的な展開をしてまいりたいというふうに考えております。
#177
○中野鉄造君 もう時間がなくなりましたので、最後にお尋ねいたしますが、教育資金としての進学融資ですね、この財形貯蓄の中の進学融資というものが、いままでいろいろお尋ねいたしました持家取得ということを断念いたしまして、途中から目的変更ということで進学融資の方に切りかえる、そういうようなことができるのかどうか、それが一点。
 それと、教育資金というのは勤労者の家計にとっても相当な負担になっているのが実情でございますけれども、この融資限度額が三百万円というのは、これはきわめて低いんじゃないかと思うわけですが、この三百万円が限度になっているその根拠は一体どこにあるのか。この二点をお尋ねいたしまして終わりといたします。
#178
○政府委員(望月三郎君) 前の点でございますが、財形貯蓄をやっていらっしゃれば、住宅貯蓄であろうが一般の財形貯蓄であろうが、進学融資は受けられます。したがってその差異はございません。
 それから進学融資について三百万円ということをしたのは根拠があるかというお尋ねでございますが、これは他の融資制度を見てみますと、民間金融機関でございますが、都市銀行は一般的に限度額三百万円というようなことで決めております。それから国民金融公庫が郵便局あるいは直貸しでやっておりますが、これは五十万円ということで非常に少額でございます。医科大学等の進学ということになれば別ですが、一般的な進学というものはほぼ三百万円程度で実際には足りるのではないかというような観点から、三百万円程度というようにしたわけでございます。
#179
○沓脱タケ子君 それでは、本題に入る前に、仲裁裁定についての大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
 仲裁裁定につきましては、わが党は、裁定の出た八日の日に、政府にその即時完全実施についての申し入れを行いました。仲裁裁定は、政府が公企体労働者のスト権を奪った代償の措置であり、即時無条件で実施するのが政府の当然の義務であると思います。今回の裁定の内容というのは、率、額ともに昨年を下回りまして、可処分所得の低下と民間賃上げ率が七%を上回っているという状況の中で、きわめて不十分であります。しかし、十分でないにいたしましても、国会の議決案件として実施を引き延ばしたりしないで、政府としては直ちに完全実施すべきものであると考えます。大臣は十二日の関係閣僚会議で同じような趣旨の御主張をなさったと報道されております。これに対して問題なのは、渡辺大蔵大臣は、予算に一プロしか計上していない、いないから完全実施に自信が持てないと発言をしたとやら。あるいは中曽根長官は、政治問題だから国会に任せた方がよいなどと言われたと報道されています。
 しかし一プロという現実的でない予算を組んだのは大蔵省御自身でございますから、また仲裁裁定の実施は、これは政治問題ではないと思うんですね。明らかにこれは政府の義務、政府がやらなければならない義務事項なんですね。したがって、渡辺、中曽根両大臣の発言というのは、私は全く論外だと思うわけです、この問題に関しては。
 そこで労働大臣、政府が即時完全実施するように、あしたも関係閣僚会議がおありだというふうなお話がございましたけれども、全力を挙げていただきたいということを申し上げて、決意をお伺いしておきたいと思います。
#180
○国務大臣(初村滝一郎君) 仲裁裁定の取り扱いについては、先生御承知のとおり、きのう給与関係閣僚会議を開きまして、そこでまず官房長官が座長になりまして、それで一応担当大臣の意見を聞いて、それにみんなが賛成すればいいじゃないかというような御意見があったんですけれども、担当大臣の労働大臣としては、一応はそれぞれの主務大臣がおるわけでございますから、そういう大臣の御意見も聞く必要がある。だからして、労働大臣の発言後にそれぞれの主務大臣の意見を聞いたわけであります。
 そこで、労働大臣は、何といっても、仲裁裁定というものは尊重しなければいけない、したがって、公労法三十五条の精神にのっとって速やかに政府自身が決断をして完全実施をやるべきであるという意見を申し上げました。そうしましたら大蔵大臣が、いま言うたように、財政的事情云々ということで、人件費の自然増という分の二・三は別として、六・九%ですから二・三%引くと四・六%、その中で一%しか予算を組んでおらないので、ひとつどんなもんだろうかという御相談があったわけです。
 ところが、各大臣から、私の発言のような趣旨に賛成だという意味をそれぞれ申し上げましたら、ある大臣が、これは政治的な問題でもこれあり、ひとつ云々というような発言がありました。そこで私は、あくまでも政府自身が自主的に決めるべきじゃないか、それをどうこう言う問題じゃないと強く申し上げましたところが、きょうは一応この程度にとどめ、さらにあさって、要するにあしたの八時半からということで再度やります。
 私は所信は変わりません。あくまでも公労法三十五条の精神にのっとって速やかに政府自身が決断すべきであるという発言をしたい気持ちでございます。
#181
○沓脱タケ子君 ぜひその御決意を貫いていただきたいということを重ねて御要請申し上げておきたいと思います。
 で、本題に入ります。
 財形の問題につきましては、朝から同僚委員がそれぞれの御質問が出ておりますので、私はできるだけ簡略にお尋ねをしたいと思っております。
 今回改正をされます年金貯蓄の創設、それから持家個人融資の拡充、これは一つのといいますか、ささやかな改善になっておると思います。しかし勤労者の財形法の目的というんですか、このことはきわめて大事だと思うわけでございます。勤労者の財形促進という点で基本的な対策というのは必要だと思うわけです。今回の改正につきましても、大変御苦労をされたと思うんです、情勢が情勢だから。しかし本来の勤労者の財形促進という立場から見れば、まだささやかなと言わざるを得ないと思うわけでございます。したがって、基本的な対策を進めていく指針といったもの、こういったものを積極的に推進していただくということがきわめて大事であろうと思うわけです。
 で、四十八年の十一月二日に財形審議会の中間答申というのが出ておりますが、これが基本的な施策の指針と考えてよいのではないかと考えるわけでございます。この中間答申の理念では、非常に丁寧に問題が述べられていると思うわけです。財形とインフレ対策についてですか、これについては、「本来は、「カネ」が財産として最も価値があり、勤労者の貯蓄が減価しないような状態こそ追及されるべきであり、その意味では、インフレの防止、抑制のための総合的対策こそ勤労者財産形成政策の大前提でなければならない。同時に、そのようなインフレ対策によっても物価上昇を避け得ない限りにおいては、勤労者の財産形成をインフレに対して防衛するような措置をとることも勤労者財産形成政策の課題となるべきであろう。」と、非常に丁寧に理念を示されていると思うわけです。
 同じように、「財政・税制について」も、その項についても、これは非常に丁寧だと思うんです。「税制面においても、既にしばしば指摘されているような不公正な諸点を是正し、たとえば給与所得控除の引上げなどにより勤労者の課税最低限を引き上げる等勤労者について一般的な減税を行なうほか」云々というふうに、非常に具体的で丁寧だと思うんですね。
 住宅政策につきましても、こういうふうに述べられていますね。「勤労者財産形成政策の当面の重点を持家取得におくことは当然としても、これだけで現下の住宅問題が解決できるものではない。一般的に住宅、土地対策が強化される必要があり、勤労者に対する住宅対策としてはやはり良質、低家賃の賃貸住宅の大量供給を十分考慮すべきである。」というふうなこともあわせて提起をされているわけでございます。
 これらの指摘は、私はいずれもきわめて当を得た指摘だと思うわけでございます。ところが、これらの指摘に比べまして、政府はこの答申に対応をした施策をやってきたかと言いますと、インフレ対策、最近は鎮静しておりますけれども、インフレ対策、との十年を考えてみましても、ずいぶん大きな変動がございましたし、あるいは減税問題、住宅問題、土地対策、いずれもほとんど、この指摘された理念から言いますと、やってないに等しいと言うたら語弊があるかもわかりませんが、それに近いような状況になっています。
 さらに、その上に、今国会では、さきの予算審議の中で最大の課題になりました一兆円減税も、これまた切実な国民の要求というのがこたえられずに今日まで来ておるわけでございます。
 住宅、土地対策にいたしましても、無策に等しいというふうに思うわけですが、これは私が言うだけではなしに国民生活白書でも非常に的確に明記をされておりますね。これは五十六年度国民生活白書の住宅の部分を見ますと、こういうふうに述べられているんですね。「住宅の購入や建築を計画している世帯の割合は五十三年以降連続して減少し、四十五年以降における最低水準を更新している。」、だんだん減っているんですね。「これには、地価・建築費等の上昇による家計における住宅取得能力の低下や家計の余裕度の低下といった背景がある。」、非常に的確に指摘がなされているわけです。
 したがって、私は、今回改正程度のほんの少しばかりの手直しで、果たして勤労者の財産形成というのは、ちょっとささやかだ、私が初めに評価をしたように、ちょっとおこがましいというか、恥ずかしい程度だなというふうに思うわけです。昭和四十八年の財形審議会の答申が述べているように、本当に勤労者の財形促進ということを重視するならば、これは四十八年の中間答申の基本的対策の理念というものを本気で重視するべきではなかろうかと思うわけですが、基本的なところでございますので、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#182
○国務大臣(初村滝一郎君) 今回の制度改善は、いま先生がおっしゃったとおり、四十八年の財形審議会の中間答申が事細かに詳細にわたって核心をついておるわけなんですね。したがって、私どもはその基本理念というものを十分生かさなければいけないというように考えまして、財形制度の根本的なあり方を見直していった。特に持家制度等について、従来十年以上も貯蓄をしておるんだけれども、しかもそれが五兆円にもなるんだけれども、どうして年間一千億程度の融資しかできないのか。これをよく聞きましたところが、金利が八・三四%、これではとても金を借り入れて持ち家をつくることには相ならない。したがって、これは何とかして金融の金額そのものをまず上げなければいけない。さらにはある程度の金額の利子補給を、要するに利子を下げてやらなければいけない。こういうふうなことを考えてやったのが今回の持ち家制度の改正政策であります。
 したがって、私どもは、今後ともいま申し上げましたような中間答申の理念を十分に生かして、財形政策のより一層の充実を図るように努力していく所存でございます。
#183
○沓脱タケ子君 この中間答申というのは、いろんな点で詳しく御答申になっておるわけですが、「財産形成政策と社会保障との関係について」という項でもお述べになっているんですね。これによりますと、「勤労者の生活の安定のためには、年金等の社会保障の充実を図る必要があることはいうまでもない。このような社会保障の充実があってはじめて勤労者の財産形成も十分な意義をもつこととなる。」というふうに、この項の冒頭には述べられておるわけでございますが、この点については大臣も御異論はないでございましょうね。いかがでございますか。
#184
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお尋ねのありましたような問題についても、私どもは十分に検討をする必要がある。したがって、老後の所得保障は、基本的には公的年金によってなされるべきであって、公的年金の充実は、その財源負担の問題はあるものの、今後とも要請されるものと考えておるわけであります。したがって、私どもも、老後の生活をより一層豊かに安定していくために一層の努力をしていかなければならない、かように考えております。
#185
○沓脱タケ子君 大臣はそういうふうにきちんとお述べをいただいているんですけれども、一方では、公的年金を改悪する動きが出てきているわけですね。昨年七月の臨調の第一次答申でも、御承知のように、老齢年金の支給開始年齢の引き上げ、それから給付水準の見直し、それから保険料の引き上げ、これらを求めております。厚生省もその方向で検討しているということはかねがね言われておりますし、これは支給開始年齢の引き上げ等につきましては、これは厚生省では五十八年度中に抜本改正の法案の提出をしたいというふうなことが言われておりますしね。
 したがって、今回創設されます財形年金貯蓄については、これはきわめていろんな見方が出てきているわけですね。たとえば、報道によりますと、去年の九月でしたか、財政当局は、財形だろうが何だろうが、私的年金がふえれば、公的年金が削られるのではないかとそろばんをはじいているらしい、ひょっとすると毒入りのあめかもしれぬなんというようなことが財形年金でも、批判といいますか、そういった注目された発言も出ているというわけでございます。
 したがって、勤労者の財形という点から考えますと、基本は何といっても、先ほど大臣が言われた公的年金の整備拡充というのが基本だと思うのですが、そういう基本理念と相反する改悪の動きですね、こういうものに対しては大臣どう対処されますか。これはお考えだけしかきょうは伺えないと思います。端的に申し上げますと、こういった中で理念としては、確かにそこを拡充するというのが勤労者の財形促進の基礎になるわけですね。ところが、そういう理念で財形法を進めていこうとなさっておられる一方、片や基礎をなす、ベースをなすところの公的年金の改悪の動きというふうなものが、これは否定しがたいわけですね。そういうものに対して、これは法律のたてまえから言いましても相拮抗する立場なんですが、こういった点について大臣どうお考えになりますか。これは当然反対されるべきだと思いますが、いかがでしょう。
#186
○国務大臣(初村滝一郎君) 年金等については、大体厚生省関係で取り扱っておるわけでありますが、私どもは、何といっても、老後生活をより一層よくするには貯蓄制度を奨励していかなければいけない。したがって、それには何といっても財形年金制度をひとつ導入したらどうだろうか、その方が一般の国民に対しても老後生活のために非常によろしいんではなかろうかということで、大体これをつくったわけであります。したがって、他に比べまして立ちおくれておると見られる勤労者の老後生活のための貯蓄を促進するためにも、年金制度にした方がいいという考え方から取り入れたわけであります。したがって、財形年金貯蓄は公的年金の充実の責任を個人の努力に転嫁するものではない、こういうふうな考え方でやっておるわけでありますから、その人々のとり方によって、これに加入していけば将来の展望も開かれるのではなかろうか、かように考えおります。
#187
○沓脱タケ子君 大臣は非常に明快にお答えをいただいているんですが、いま国民は公的年金についての改悪への動きというものに非常に不安を感じています。そういう中で、公的年金、企業年金、個人年金というふうな形のものが、みずからの生活を守るという立場でのそういった動きというのが趨勢的に広がっているわけですね。そういう中で、この財形年金が個人年金としての役割りを果たしていく一つの支えになるから、公的年金は少々改悪されてもいいじゃないかというふうなことになったら、これは事だと思う。私は、この事業創設に当たって、その辺は明確にしておかなければならない基本点ではなかろうかと思いますので、ちょっとくどいようなんだけれども、特にお伺いをしているところなんですが、その点お伺いをしておきたいと思います。
#188
○国務大臣(初村滝一郎君) こういうふうな財形個人年金を取り入れたからして公的年金がおざなりになっていいとは思いません。何といっても公的年金というものはそれ相当に強化していかなければいけないというのが私の考え方でございます。
#189
○沓脱タケ子君 特に私、財形法を拝見しておって思うんですけれども、今後改善するべき重点というのは、中小企業がもっと活用しやすくするということではなかろうかと思うわけですね。労働者福祉施設制度等調査結果報告というのを拝見をいたしましても、大企業と中小企業との間には企業内の福祉対策にも大変な格差がございますね。一々申し上げませんけれども、御承知のとおりでございますが、本当に住宅にしても、医療施設にいたしましても、保健施設にいたしましても、文化、スポーツの施設、あるいは教育、娯楽、余暇等すべてを見ましても、中小企業の方が格段に悪いという状況が、これは御調査で出ているわけでございます。
 そういう中で、さらに先日労働省が発表されました五十六年度の賃金構造基本調査によりますと、この賃金格差がまた広がっていっているという状況でございますから、したがって、この公的制度である財形制度ぐらいがせめて、非常に冷たい扱いをされている中小企業で働く労働者の財形促進に寄与できるようにするべきではなかろうかと思うわけでございます。
 ところが、この利用状況を見てみますと、これまた残念なことに中小企業の方が悪いわけですね。たとえば財形促進の中での一番大きな問題でございます持家対策ですが、持家個人融資制度の企業規模別利用状況というのを伺いましょうか。どういうふうになっていますか、企業規模別の利用状況ですね、持家個人融資制度。
#190
○政府委員(望月三郎君) 財形転貸融資について御説明いたしますと、大企業においては五十六年度は二百二件、二百二戸、約十一億九千万円でございます。五十二年度からの累計では六百七十一件、六百七十一戸、約三十六億六千万円となっております。一方、中小企業におきましては、五十六年度は二十四件、二十四戸、約二億円でございまして、累計では百五十五件、百五十五戸、約九億となっております。
#191
○沓脱タケ子君 これはやむを得ないと思うんですけれども、結果としては、中小企業が利用しにくいのでこういう結果が出たんではないかと思うわけですね。なぜ中小企業の労働者が利用しにくいのかということなんですがね。
 これは五十三年度のときにも、この一部改正の折に、わが党の小笠原議員も指摘をしておったんですが、事業主が一プロの利子補給ですか、こういうことをやらなきゃならないという軽減措置があるわけですね。これは非常に勤労者にとってはありがたいわけですが、昨今の経済事情の中で、中小零細企業の企業主がその負担さえも負担しかねるというふうな状況というのが出てくれば、せっかくの制度であっても、労働者が利用することができないということにならざるを得ないと思うわけで、この点は五十三年のときにも指摘をしておると思うんですけれども、その後御検討なさったでしょうか。どのような解決策というんですか、道を開こうとお考えになっておられるのか。その辺ちょっと伺っておきたいと思うんです。
#192
○政府委員(望月三郎君) 前回の法改正の際に、先生おっしゃるように、小笠原先生から財形持家個人融資制度における事業主の負担軽減措置が中小企業への本制度の普及を困難にしているのではないか、またそれが勤労者にとって不公平となる結果を招いているのではないかというような御指摘を受けたわけでございます。
 この問題につきましては、財形制度の基本にもかかわるものでございますので、財形審議会の基本問題懇談会でも検討をお願いしてきたわけでございますが、国と事業主との援助により勤労者の持家取得を促進するという制度の趣旨から、基本的にはこれはやむを得ないものという御意見が圧倒的に多くて、これについてはまだ明確な結論は得られないでおるわけでございますが、今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
 なお、昭和五十四年には、転貸融資の負担軽減措置を事業主にとって受け入れやすいものにするといった観点から、所定額以上の住宅手当の支給をもって負担軽減措置とみなしまして、広く普及している援助制度を活用する道を開いたところでございます。
#193
○沓脱タケ子君 そうすると、基本的な解決策というのは見つからないけれども、住宅手当というのが一定の金額以上出ている分は、そのように扱うという体制になったということでございますね。
 大臣ね、私は、中小企業の労働者、いろんな面で、先ほど申し上げたように、ずいぶん不遇な立場に置かれているというのは客観的事実でございます。せめて公的財形制度ぐらいはそこの底上げを、お役に立てるというふうな制度にするべきだと思いますので、結論が出ていないそうでございますけれども、そういった点は一層促進方を、制度の利用を促進するためにもひとつ前向きに御検討いただきたいと思いますが、いかがなものですか。
#194
○国務大臣(初村滝一郎君) いま委員が申されますとおり、すべての面において、大企業と中小企業を比較してみた場合に、中小企業の方々の利用等も非常に少ない、また恩典もそうはかばかしくないというような点は十分わかりますので、いずれこれを再検討する時期が来ると思う。したがって、私どもも、そういう意見を十分反映して、前向きで中小企業にプラスになるように努力していきたい、かように考えます。
#195
○沓脱タケ子君 続きまして、最近、企業の持家援助の動向というのを見てまいりますと、銀行とタイアップしてその銀行の住宅ローンを企業内の融資制度に取り入れて活用するという方向が見られておるわけですね。これは企業があっせんしたり保証人になるというところまでいくのかどうか知りませんが、企業の信用状態というものを活用していると思うわけで、企業自身が債務負担がなくてやられているんだと思うんですが、こういうやり方で中小企業が活用していけばしやすいのではないかと思うんですがね。財形の持家融資でも、そういった点を検討するということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#196
○政府委員(石井甲二君) 先生御指摘のように、最近の企業内の住宅融資制度というのが大分盛んになっております。その場合に企業のうちの約三四%は金融機関等との連携による住宅ローンを取り入れております。こういう、言ってみれば、社内預金あるいは社内預金政策との絡み合いで、できるだけ住宅を低利にしかも銀行とのタイアップを効率的にやるという制度自身については、私どもも、中小企業対策ということも含めまして、大変重要なことでなかろうかと思います。
 その場合に特に問題になりますのは、大企業の場合には、そういうことが企業内自身でできるわけでございますが、中小企業の場合には、非常に零細な場合特にそうでありますように、なかなかそれができないということでございます。問題は、中小企業事業主が、仮に転貸で労働者との関係を見ますと、長い間債権債務関係を背負っていくということについての問題が一番大きいだろうと思うんです。
 そこで、御指摘のように、たとえば雇用促進事業団と事業主が協定を結んで、それに従って、事業主の申し出等で雇用促進事業団が勤労者の持家取得資金を貸し付ける、言ってみれば、先ほど言いましたようなそのシステムを雇用促進事業団を媒介にしてつくり上げるということも、非常に有効な手段ではなかろうかというふうに考えております。
 特にその場合に、同時に兼ね備える問題がございます。たとえば債権の保全をどうするか、債権の保全機構をどうつくるかということもあわせまして、いろいろ技術的な問題もございますので、私どもとしましては、この問題についてさらに検討を続けてまいりまして、何とか中小企業の体制を固めてまいりたいというふうに考えております。
#197
○沓脱タケ子君 中小企業の労働者が活用しやすいようにという点では、ぜひひとつ鋭意御努力をいただきたいと思います。
 さらに、お尋ねをしておきたいと思いますのは、持家融資制度で融資の対象に中古木造住宅が現在加えられていないわけですね。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕すでに中古マンションが対象になっておるわけでございますから、当然木造中古住宅も加えるべきだと思うのですが、これはいかがでしょう。
#198
○政府委員(石井甲二君) 財形の持家融資を効率的に有効にするために、対象を広げるという努力は今後とも続けてまいりたいと思いますが、御指摘の木造中古住宅につきましては、確かにそのニーズからしまして、これを取り入れるようなことを考えてまいったわけでございますが、現在その評価方法、つまり木造住宅をどう評価するかという問題等が十分に確立されていないというようなこともございます。したがいまして、今後ともこの木造中古住宅を何とか加えるように、そういういろいろな技術的な問題を克服をして、これも建設省とのタイアップ問題もございますから、さらにそういう関係省庁とも問題を詰めて、今後その実現を図るように検討してまいりたいというふうに考えております。
#199
○沓脱タケ子君 基本的には中古の木造住宅を該当させるのは当然だと思うんですがね。担保価値の評価の問題がむずかしいということですが、その辺もひとつ目安を立てて、ぜひ木造の中古住宅も対象に加えていただきたい。お願いをしておきたいと思います。
 それからもう一つは、持家分譲融資ですね。ここでは雇用促進事業団が共同抵当権の設定をしているんですね。そうなりますと、十軒のうち、それぞれの持ち家になっておっても、共同抵当権ということになりますと、一軒一軒の財産価値というのが非常に不利益になるわけですね。そういう点で、個別の抵当にするべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
#200
○政府委員(望月三郎君) 労働省におきましては、五十七年度予算におきまして、分譲を受ける勤労者ごとに個別の契約を結びまして、以後個別の抵当を設定することとしたところでございます。したがって、御指摘にあるように、従来購入勤労者にとって負担となっていた共同抵当方式が解消されるとともに、金融機関等に対する住宅の正当評価が図られることになったわけでございます。
 なお、従来共同抵当としてきた物件につきましても、関係勤労者の意向があれば、技術的に可能なものにつきましては、実行面でできる限り個別抵当へ切りかえることができるようにしてまいりたいというように考えております。
#201
○沓脱タケ子君 それはぜひそうしていただきたいと思います。
 時間がもう余りありませんので、年金貯蓄についてちょっとお聞きをしておきたいんです。
 先ほどもお話がありましたんですが、私もこれはぜひ考えるべきだと思うのは、退職一時金の預入ができるようにするべきだという点ですね。これは先ほども詳しく御質疑がありましたから私、繰り返すつもりはありません。しかし今日の状況の中では、いろいろな条件で預入を妨げられますと、差別的な取り扱いを受けるような結果になると思います。年金貯蓄というのは、あれでしょう、私自身詳しくはよくわからないですけれども、退職一時金をどうして預入できないのかなということを私どももふっと感じるように、労働者の方だって、これは常識的に見たっておかしいなというふうに感じるのは当然ですよ。もう先ほど詳しく言われましたから私、繰り返しませんけれども、その辺はどうしても前向きにやるべきではないかというふうに思いますね。その点御検討いただきたいと思います。
#202
○政府委員(石井甲二君) 退職一時金を財形年金に預入できるように、先ほど安恒先生からの御指摘もあったわけでございますが、要するに、基本的には財形というのは、特に年金という長期的なものについては、いわゆる給与天引きの形で毎月とにかくこれを努力をしながらやっていくということが前提になっておる。しかもある時期、ある期間以上ということになります。これについて先ほどの議論の中で、安恒先生の御議論がございましたが、いわゆる企業内援助システムというものがございます。これは七年ごとに一括して預入されてくるようになっているわけでございますが、そういうシステムというものを媒介するという形は、一つの実態的なあり方として考えるわけでございますけれども、この一時年金を加えるということに制度上の問題との絡みがございまして、なかなかむずかしい問題であるということを御理解願いたいと思うわけでございます。
#203
○沓脱タケ子君 これは先ほども相当論議をされましたので、繰り返すつもりもありません。
 もう一つは年金貯蓄ですね。年金という以上は継続させることがもう不可欠な条件ですよね。これがなかなかむずかしい。これも先ほどかなり具体的に例示をされて御質問が出ておりましたから、私は深くお尋ねをするつもりはございませんが、これも制度のたてまえから言っても、これは継続のできるように、しかもそれが簡潔に継続のできるような措置というのは保証するべきだ。やいやい言わなきゃどないもならぬというような問題じゃなしに、当然公的な財形法に基づいての年金貯蓄なんですからね。それは労働者の権利を保障するというたてまえで、こういった点はぜひ早期に解決のできるように御検討をいただきたいと思います。先ほども前向きにとおっしゃったんで、そのこと以上には出ないと思いますが、簡潔にお返事だけ伺っておきましょう。
#204
○政府委員(石井甲二君) この問題も、安恒先生の非常に端的な、たとえば倒産とかあるいは合併とかいう問題の例をお出しになりまして議論があったことでもありますが、私どもといたしましても、年金というものがそういう他動的な一つの状態の中で中断されるということは、大変その趣旨に沿わないことでございますので、前向きに検討させていただきたいと思います。
#205
○沓脱タケ子君 時間がいよいよありませんので、最後にお伺いしておきたいのは、これは年金貯蓄を行った方にも持家融資を行うことになるんですね。その制度ですね。この場合に、年金貯蓄を住宅資金の頭金に充てられるようになるのかならないのか。私はそういうことに運用できれば非常に有利になるんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#206
○政府委員(望月三郎君) 財形持家個人融資は、財形貯蓄を行っている勤労者を対象として、その貯蓄努力に応じて持ち家の取得に要する資金を融資しようということでございますので、財形年金貯蓄を行っている者につきましても、それに応じて持家融資を行うことができるというようにしたわけでございます。この場合、御指摘のように、財形年金貯蓄を頭金に充てることが、確かに勤労者の返済負担を少なくすることになりますので、融資を受ける場合はこれを取り崩して頭金に充てることとする予定でございます。
#207
○藤井恒男君 財形制度の改革について若干御質問いたします。
 財形制度は、財形貯蓄とその勤労者への還元融資の二本立てになっているんだけど、財形貯蓄に対する還元融資の比率がどうなっているか、できれば、十年たっておるわけですから、その間どういう推移をしておるかお聞かせいただきたい。
#208
○政府委員(望月三郎君) 財形貯蓄額に占める持家融資比率はどうなっておるかという御質問でございますが、これは昭和四十九年から融資制度が始まっておりますので、分譲融資、個人融資あわせてその経緯を御説明しますと、最初は四十九年から五十一年まで分譲融資だけだったわけでございますが、その間の経緯は、四十九年で〇・八%、五十年一・六%、五十一年一・七%、それから五十二年から個人融資というのを始めまして二つの融資が併存するわけですが、五十二年が一・七%、五十三年が二・〇%、五十四年が二・二%、五十五年が二・一%、五十六年は、これ途中でございますが、一月末現在二・〇%ということでございまして、ここ数年間はほぼ二%ということで推移しております。
#209
○藤井恒男君 財形制度の目的というのは、勤労者の資産保有を進めるということと、資産保有面における社会的なアンバランスを是正するということが大きな柱であろうと思うんですが、財形制度発足以来十一年、この間に勤労者の資産、特に住宅などの実物資産の保有の進みぐあいがどうなっているのか。また、これが勤労者とその他、つまり自営業者、農業者あるいは経営者等に比べてどの程度相対的に改善されているのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
#210
○政府委員(望月三郎君) 財形貯蓄制度は、発足以来順調な伸びを示しまして、約千二百七十万人の勤労者が加入をしたわけでございますが、その残高のトータルは五兆三千億円の金融資産として形成されたわけでございます。これを原資とする財形持家融資制度は、貸付戸数につきましては、五十六年度末での累計で一万八千戸程度の実績しかなくて、勤労者の実物資産の形成について十分役立っているとは言えない状況でございます。
 なお、財形制度そのものによるものではございませんが、勤労者世帯のここ十年間の資産保有の推移を見てみますと、貯蓄残高は十年前の約三・四倍と伸びてきてはおりますが、一般世帯の増加にはまだ及ばない状況でございます。
 また、持家比率の推移を見ますと、勤労者世帯につきましては、昭和五十三年で五四・〇%となっておりまして、十年前の四六・二%からすれば、一〇%程度の大幅な比率増加となっており、一般世帯がこの間停滞しておったのと比べますと、相当改善したわけでございますが、他の階層の持家比率と比べますと、まだ相当の格差があるというのが現状でございます。
#211
○藤井恒男君 いまお聞きしたように、財形貯蓄は昭和四十七年で十二億七千九百万円、これがおよそ十年たった五十六年十一月現在で、いまお話しありましたように五兆円、実に三千八百倍という大変な伸びを示しているわけです。
 この間、還元融資が、これまた先ほどお話があったように二%台に低迷している。また実物資産も一万八千戸ということであれば、これはそれほど勤労者の資産形成というものに、残念ながら、せっかくの財形という制度が発足して十年たったものの、実益となって、メリットとなってそんなに大きく寄与していないというふうに、統計の上から見れば言わざるを得ない。
 そこで今度の改正ということになったことと思いますが、結果的に、この間の経緯を見てみると、とりわけ還元融資がほとんど進んでいないとするならば、これまで財形制度で恩恵をこうむったのはむしろ金融機関である、勤労者じゃなくてそれは金融機関だったんだろうということにならざるを得ない。なぜならば、金融機関としては、三年間は少なくとも預金する、しかも長期にわたって安定した資金が企業を通じて戻入されてくるということ。これは金融機関が店頭である程度のコストをかけてセールスをするというような必要も全くない。表現が適切かどうかわからぬけれども、まさにこれはぬれ手でアワということであったと思う。つまり、勤労者財形貯蓄というものは、言葉を変えるならば、金融機関の基盤整備、基盤の下支えのための制度ということに結果的になった。すべてじゃないですよ。すべてじゃないが、そういうふうに見られてもおかしくないほどのことに実際なっておる。この点について、勤労者の立場に立つ労働省としてどのようにこれを思っておるのか、お聞かせいただきたいと思う。
#212
○政府委員(石井甲二君) 先生御指摘のように、千三百万人、約五兆三千億という膨大な勤労者の資金が銀行に預入されて残高として残っているわけであります。これをどう評価するかという、財形十年の歴史を振り返ってみた評価の問題と関連があるわけでございますが、一つは勤労者の金融資産の形成という問題については一定の評価をすべき面があると思います。
 ただ、問題は、当初予定をし、また金融機関も法律の上で一つの縛りをかけられておりましたいわば環元融資、特に住宅についての問題が、いろんな事情によりまして非常に低調に終わったということについては、私どもの行政的な努力の不足というそしりを受けることもあるかと思いますし、またそれには客観的な条件、たとえば土地とか建築費、あるいは利率、金利という問題が横たわっているという大変総合的な問題も絡まった結果でございます。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
 そこで、私どもはこれを環元する道をさらに深めていくということの一つとして、先ほど来御審議を願っております利子補給の問題というものに大きく踏み切ったわけでありますと同時に、また高齢化社会に対応する年金という問題になりますから、これも長期的な預金として金融機関に預入されるという形をとるわけでございます。そこで、私どもとしては銀行、いわゆる金融機関に対して何らかの一つの環元といいますか、あるいは正当な形での一つの勤労者のための貢献といいますか、これを考えながらこれまでまいったし、また今後とも金融機関と連絡をとりながら、先ほどもお話を申し上げましたが、すでに昨年におきましても、金融機関の首脳部と会ったりいたしまして、いろいろ方法論についても検討をした経過もございますし、今後とも金融機関が不当に利益を得るということのないような方途を、実質的な対応を含めまして検討をいたしたいというふうに考えております。
#213
○藤井恒男君 なかなか労働省としてもつらいところがおありだろうと思うけれども、ざっくばらんに申し上げて余り人がよ過ぎる。これは人がよ過ぎるんであって、金融機関に対するサービスが過ぎるということになる。それは翻って本末転倒であって、勤労者へのサービスがそれだけ停滞したということになるんで、もろもろのセクションがあってむずかしいこととは思うけれども、だけどその面から言うなら、酷かもわからぬけれども、労働省怠慢だったぞと言われても私はしようがないと思う。
 そういった意味で、新しい発想をしてこられたこと、それは評価すべきだと思います。したがって、これからがめつくやってもらわぬと困るというふうに思うんだけれども、そういった意味で、労働省としても当初このことを予見されたと私は思うんですが、全労働者を対象にした財形福祉公庫あるいは財形福祉基金という融資窓口を設置してはどうかということが、この財形制度というものを創設するときにかなり論議を呼んでいたと私は聞き及んでいるんだけれども、それが全然その後日の目を見ずに、結局は金融機関にそれぞれ持っていったということになったんでしょう。一体その辺の隘路は何であったのか、ざっくばらんにお聞かせいただきたいと思うんです。
#214
○政府委員(石井甲二君) 財形制度を導入する過程におきまして、実は西ドイツの財産形成政策というかなり広範な政策の経験というものが非常に参考になったことは事実でございます。
 先生御指摘のような何か財形銀行というような一つの事業体を設けて、そこに中核的な体制をとるという議論もあったという話を聞いておりますけれども、しかし実際には、西ドイツもそうでありますが、金融機関がこれにいろんな努力をしながらニーズを適合していくという、そういう形態が西ドイツの形でありましたし、また振り返ってみますと、財形がここまで大きくふくらんだということには、やはり金融機関がそこに介在をしたということが大きな一つの意味があったと思います。
 しかし、いまの時点で、特に還元融資について非常に貧困な状態は現状において御指摘があったとおりでございます。そういうものが一方で財形というものを大きくふくらました要因であると同時に、銀行がもうけ過ぎるのではないか、こういう一つの立場の御批判もある、こういう結果がいまの時点であろうと思います。
 したがいまして、私どもは、何とかこの利子補給制度というものを中核にして、この還元融資を行政活動としても大きく展開をしながら、本来の姿に返るということが基本であろうというふうに思いますし、また、先ほど言いましたように、銀行とのいろいろな話し合いを通じて、できるだけ勤労者に有利になるような方途を探ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#215
○藤井恒男君 いまおっしゃったように、この制度発足の折には西欧、とりわけ西ドイツあたりの資産保有の社会的平等施策というようなものを大いに参考にしたということですが、同じ西ドイツあるいはオランダ、フランス、こういった西欧では、資産保有のための貯蓄割り増し金というものが導入されておるわけなんです。同じ参考にして、しかもそれをならってつくっていったとするなら、なぜ貯蓄割り増し金制度というものを導入しなかったのか。あるいはこれからでもいい、一定の所得制限を設けて積極的な財産形成を進めよう、しかも財形貯蓄の目減りというものを阻止しようとするならば、零細な立場にある勤労者に対して、貯蓄割り増し金制度というものをつくったって一つもおかしくないというふうに思います。現に労働団体では、大変な物価上昇という中で、インフレヘッジのできない勤労者の預貯金、その目減りということについて、国家責任を問うということにおける目減り裁判というものを現在やっているような状況なんです。そういったものに徴して、割り増し金制度というものを今後導入する用意があるのかどうか。いかがですか、その点。
#216
○政府委員(望月三郎君) 二点の御質問でございますが、最初に財形貯蓄に対するプレミアム支給の制度を導入したらどうかというお話でございます。この制度につきましては、私ども、財形制度創設のときもいろいろ議論があったところでございますが、何分にもわが国では全く新しい制度でございまして、また財政及び金融のあり方にかかわる問題でもございまして、勤労者福祉政策のあり方や財政金融その他既存の諸制度との調整等の問題が非常にございまして、私どもなかなかにわかに結論を得るというわけにまいりませんので、今後ともこの問題について引き続き検討をしてまいりたいと思います。
 それから第二点目の、年金について物価等のインフレ対策を考えているのかという御指摘でございますが、今度年金をやる場合には、もちろん基本的には政府の物価対策というものが基本になければならぬと思いますが、ただ制度としては、その上に、たとえば積み立て段階における利子非課税プラス年金給付段階における退職後の非課税措置とともに、積み立てる段階における目減りを防ぐような、ことしたとえば二万円月にやるというのは、五年後にはこの二万円は実質的な価値は下がるわけでございますので、逓増をしていくような掛金の契約、そういう商品を開発するというような点、それからまた給付の段階におきましては、それが五年なり十年同じ価値の給付が行われるような給付の仕方ということも考え合わせたような商品の開発の指導ということを、私どももやっていきたいと思いますし、また各金融機関ともそういう方向で、どちらの商品がインフレに強いかということを考えながら開発が進められるものというように考えておるわけでございます。
#217
○藤井恒男君 インフレヘッジのために掛金逓増というのがいいかどうか。これは給付の実質価値保障ということは当然だろう。だから、蓄えたものについて、これが目減りしないような形ということになると、私はやっぱりプレミアムだろうかなという気がするので、これは論議の分かれるところでしょうが、ひとつ大いに御検討いただきたいと思います。
 もう一つお尋ねするのは、今度のこの財形制度の加入者への住宅融資の金利が七・九九%、何もしない住宅金融公庫の金利が五・五%、どういう形でこの金利が設定されたのかということですね。財形の場合にはどんどん積んでいっておるわけでしょう。住宅金融公庫というのは一定要件を備えておれば借りられるわけですわな。この辺どういうふうに解釈したらいいのか。
#218
○政府委員(望月三郎君) 財形持家融資は、財形貯蓄による資金を調達して行う融資でございますので、基本的にはその貸付利率はその調達利率によるものでございます。したがいまして、現在七・九九%という調達利率でございますので、これが基本になるということは変わりはないわけでございます。
 しかしながら、今回私どもは、特に勤労者の持家取得を促進する観点から、貸付利率を引き下げるということでお願いをしておるわけでございまして、その水準につきましては、高い安いという評価はいろいろあろうかと思いますが、勤労者も含め国民一般を対象とする住宅金融公庫通常貸し付け等に対する国の援助に、さらに勤労者だけはそれにプラスオンして今回の改正で援助をするということでございますので、財形持家融資の貸付利率が住宅金融公庫よりは多少は高目になるという点については、やむを得ないのではないかというように考えておるわけでございます。
#219
○藤井恒男君 これは先ほど申したように、私は用地確保から住宅建設までの不動産業務あるいは融資業務、これらを統一的に扱う勤労者財産形成の専門的な独立機関――先ほど一つの例として、財形福祉公庫あるいは財形福祉基金というようなものを設定して、いたずらに第三者機関である金融機関の御用機関に堕するということのないようにということを申し上げたわけだけれども、そういった形をこれはとっていかなければ、いま言ったように、当然調達利率というものがあるんだから、貸付利率がそれに連動するということにこれは発想がいかざるを得ないわけなんです。目的は、住宅金融公庫というのはなるほど一般国民を広く対象にするものでしょう。しかし財形という形でいやしくも労働省が勤労者の財産形成ということを特記してやろうとするならば、そういったあくの強いものをやらなければ、結局それは薄め効果になって財形が機能しないんですよ。
 だから、それは建設省だとか大蔵省という枠もありましょう。だけど、労働省の主管業務として行うこの業務については、そういった公庫に対しあるいは基金に対して直接国の助成も取り入れるというようなことでプレミアムをつける等、これはあくの強いことを一遍発想しなきゃいかぬ。ちょうど初村労働大臣は非常にあくの強い方だし、思い切ったことをやる人なんだから、あなたが労働大臣をやっておるときに――過去十年の経緯というのを、いま私が申し上げたことをあなたは否定なさらないと思うんだ。結果的に金融機関に全部もうけさしておるじゃないか。そんなばかな話ないよ。そして新たな発想をするなら、同じようなぬるま湯でやっておったんでは、私は常識的に考えても、個人の返済能力、資格要件ということに照らして考えると、まず企業から融資を受ける、あるいは利率が安いんだから住宅金融公庫から貸し付けを受ける。そうすると資格要件の枠いっぱいになるんですよ。そして、今度それより高い住宅、財産形成のための基金だなんていったって、そこにいく枠がもうないということになっちゃう。だから、ふたを開けたはいいが、結果何も機能しないよということになるわけだから、大臣、これはもうあなたのまさに出番だ。ひとつこの辺でこれを成就さすためには、発想を変えて、もう一段のあくの強いことを一遍やろうということをここでおっしゃったらどうですか。
#220
○国務大臣(初村滝一郎君) まず、私はこの問題が起きたときに過去のいきさつを十分知らなかった、これが正直な私の気持ちです。ずっとやってみて、いろいろ意見を聞きますと、藤井議員が言うようなことを考えてもいいんじゃないかということはぼつぼつ私の中にも浮かんできた。したがって、一応これをすべり出してもらって、どうしてもこうした方が労働者のためになるという結論になれば、私も思い切って何らかの処置をしたい。銀行ばかりもうけさせる必要はないと私も思います。そういうことで前向きで検討してみたい、かように考えます。
#221
○藤井恒男君 財形持家個人融資制度改善、この発想は私は評価すべきだと思います。しかし、よく見てみると、財形住宅貯蓄控除による税額控除の総計が五十七年度で約二百八十ないし二百九十億。これに対して、今回導入される個人融資に対する利子補給は五十七年度で五千六百万円、二十年後に、二十年たっても二百数十億で、本年度における貯蓄控除の二百八十ないし二百九十億に満たない。この数字だけを見てみると、労働省は、勤労者に恩恵がある財形住宅貯蓄控除制度を廃止して、そして利子補給制度に切りかえるのだと、これが労働者の財産形成に恩恵があるんだというんだけれども、この数字だけを横並びにすると、それは何もいいことじゃないかというふうな見方もできる。この辺をどういうふうにお答えになりますか。
#222
○政府委員(石井甲二君) 数字を先生御指摘になったわけでありますが、数字の比較というものと現実との関係についてやや詳しく申し上げたいと思いますが、制度発足後かなりの年数を経過したそのものと、今回新たに創設しようとする制度にかかる税額とを、予算額を単に比較するということだけでは、この問題の理解に必ずしも適当ではないと思います。問題は、いままでの住宅貯蓄制度の住宅取得促進に果たしてきた効果というものと、今回創設することとした利子補給制度の内容を比較をすべきだと思います。
 私どもは、今回の利子補給制度の方が、現実に住宅建設を促進するに当たって、より効果的であるというふうに考えたわけであります。それはなぜかといいますと、一つは、住宅貯蓄制度というものは、よくよくいろんな観点を調べてみますと、結果的に象徴的に言えますのは、財形におきまして約五兆円という金がたまっております。その中で実は住宅貯蓄制度に加入している者が、金額からいうと、約一兆円近くの金額になるわけでございますけれども、その中で実際に住宅に結びついているのが一千億に満たないという状況が、象徴的に示しておりますように、実際の現実はいろいろの観点から調査をいたしますと、たとえばすでに持ち家を持っている、取得している人が利用するとか、あるいは老後目的のための貯蓄として利用する例もございますし、総じていえば、単なる節税のために利用している向きが非常にあるということが一つでございます。
 また、実際に住宅取得ができないという方々もおられますから、その場合に追徴額ということで、目的を最後まで貫徹できない方々もおられまして、その方々がかなり最近多くなってきているという事実がございます。
 また、そういうことからしますと、この際、先ほど言いました住宅というものの原点に返って政策を展開する場合には、入口よりも出口のところを押さえる方が住宅にもうストレートに結びつく政策ではないかということから、政策の大きな転換をしたわけでございます。
 そういう意味におきまして、先ほど銀行を利するというお話が続きましたが、住宅控除制度というものがある意味ではそういうことにつながっていたということも、場合によっては考えられないこともないと思います。
 そういう意味で、私どもは、言ってみれば、大きな政策転換をここでやって、少なくとも財形制度の原点を促進するためには何がいいかという政策選択を行ったということを御理解願いたいと思います。
#223
○藤井恒男君 この利子補給後の貸付金利の下限を六%としておる。住宅金融公庫はそれ自体五・五%の金利、厚生年金事業団は六%、こういうことになっておるわけだけど、六%に下限を設定する、しかも二千万まで今度は融資をふくらましておるけれども、五百五十万までが限度だと。そうすると、最初の二年間二%の利子補給といっても、実際は一・九九%ですわな、六%に下限設定すれば。この六%というのはもともと根拠があるのかどうか。どういうところからこの六%というものを引き出してきたのか。どうなんでしょう。
#224
○政府委員(望月三郎君) 六%を下限といたしました理由でございますが、今回の利子補給が国民一般を対象とする公的融資に付加して援助するものでございますので、他の公的融資、たとえば年金福祉事業団のものが六%程度であるということを考慮して、それとの均衡ということで設定をしたわけでございます。
 それから、五百五十万といたしましたのは、実際の融資の貸付額が、平均的に従来の実績ベースで五百五十万円程度でございますし、できる限り広範な勤労者に、かつできる限りひとしく大ぜいの方々に国が援助を行えるようにしたいという両方の事情から、五百五十万円が適当ではないかということで設定をしたものでございます。
#225
○藤井恒男君 これは大臣もよく考えておいてもらわぬといかぬのだけれど、先ほどから住宅金融公庫あるいは厚生年金事業団という公的機関における融資、これとの見合いが必要だというふうに言われるけれども、これは財形をする側から見れば、むしろそうじゃないんであって、公的機関というのは何もしないところだが、財形というのは、汗を流しておる、努力しておるわけだ、みんなが積み立てておるんだ。そこから受ける融資が、何もしないところから受ける融資よりも高いというのは一体何だ、低いのがあたりまえじゃないか。これは財形の側から見れば、利用する側から見れば当然起きる疑問だと思うんですよ。積み立てていっておるんですからね。そこから受けるものの方が高くて、ほっと飛び込んだ窓口の方が安いというのは、それは理解できないですよ。
 だから、財形の個人融資の金利が高いというそのこと自体が、くどいようだけど、財形貯蓄の運用が各金融機関に任されている、したがってその調達金利が高い、それに連動して金利が高くなっておるとしか見られない。だから、銀行にもうけさせ過ぎているんだ、よそのたんぼに肥やしを入れておるようなもんじゃないかという論理につながるんで、私はこの理屈というものは、勤労者という立場に立つと、そんなに持って回った理屈じゃなくて、普通の正常な物の考え方だと思うんですよ。だから、その辺のところを考えてもらわなければいけない。
 それからあわせて、労働省として財形個人融資制度というものをここでつくって、しかもそれを、先ほど大臣もおっしゃったように、思い切って少し動かした上で、再び過去のことのないようにやってみたいというふうにおっしゃったわけだけど、それをやるに当たっての要諦は、具体的に言うと、利子補給期間の延長あるいは利子補給の拡大、あるいは利子補給後の貸付金利の下限の撤廃、こういったことを直接やることが私は事業を拡大する道だと思うし、労働省がせっかく労働者の財産形成、不公平の是正という立場から思い切ってやろうとするなら、この辺に十分配意して、今後積極的にこれに沿うように努めると同時に、先ほど言ったような機関ですね、思い切って労働省で、建設省、大蔵省その他厚生省との関連もありましょうが、労働省として何らかの統一的な機関設定というものを考えるということをお答えいただきたい。いいお答えがいただけるなら、これで私は質問を終わりたいと思います。
#226
○国務大臣(初村滝一郎君) 今度の財形持家個人融資というものが、いままでなかった利子補給で持家制度をやれば、私はいままで以上の画期的な政策であるとは一応思います。しかしながら、今後、いま御意見を聞いたとおりに、今回の改善を機会にいろいろと御意見があり、さらには藤井議員からもろもろの御指摘を受けた、こういうものを踏まえて、一応走らしておいて、そのほかにこれは労働者に対してもっとプラスになるように考えるべきじゃないか。いろいろの点があるわけでありますから、私としてもそういう点を十分、大蔵省なり建設省なり厚生省、そういうところともよくすり合わして、なるだけ安い金利で家がよけい建つように、さらには労働者が貯蓄した金も、一カ所にまとめていい方法を前向きで検討してやらなければいけないという決意をさらに深めました。そういうことでやっていきたいと思います。
#227
○藤井恒男君 どうもありがとうございました。
#228
○委員長(粕谷照美君) ほかに御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#229
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、安恒君から発言を求められておりますので、これを許します。安恒君。
#230
○安恒良一君 私はただいま可決されました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
    勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、財形制度全般については、法の趣旨に照らし基本的な検討を続け、それに即した制度の整備充実を図ること。
 二、勤労者の財産形成促進に必要な税制、財政面からの優遇措置の充実に更に一層努力するとともに、財産形成の基礎的条件である物価の安定及び土地政策の推進に遺憾なきを期すること。
 三、財形貯蓄及び財形年金貯蓄については、転職の場合の継続措置の拡充等勤労者の生涯設計に即して一層利用し易いものとするよう努めるとともに、これらの取扱金融機関の選定について勤労者の意思が反映できるような配慮すること。
 四、財形持家融資制度等については、一層の充実と活用の促進を図るため、利子補給期間、貸付金利等について、財形審議会で早急に検討を行うこと。
 五、日本勤労者住宅協会の財形住宅が、地方公務員にも分譲できるよう、財形審議会で制度のあり方について検討するとともに、地方公共団体に対し事前の行政指導を行うこと。
   なお、これによつても困難な場合には、できるだけ速やかに基本的解決を図ること。
 六、住宅貯蓄控除制度が廃止されることに伴い、財形持家個人融資の積極的活用、財形年金貯蓄への円滑な移行等の措置により、勤労者に実損が生じないよう努めること。
 七、財形給付金制度及び基金制度について、事業主が積極的に活用するよう行政指導を行うほか、財形制度の周知徹底と手続の簡素化に努めること。
  右決議する。
#231
○委員長(粕谷照美君) ただいま安恒君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#232
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めます。よって、安恒君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、初村労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。初村労働大臣。
#233
○国務大臣(初村滝一郎君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後とも一層努力いたす所存であります。
#234
○委員長(粕谷照美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#236
○委員長(粕谷照美君) 次に、雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案を議題といたします。
 本案の発議者安恒良一君から趣旨説明を聴取いたします。安恒君。
#237
○安恒良一君 ただいま議題となりました雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 個人の尊厳と男女の平等は、国連憲章、世界人権宣言にうたわれております人類普遍の原理であります。わが国の憲法におきましても、すべて国民は個人として尊重され、法のもとに平等であって、性別によって政治的、経済的または社会的関係において差別されることがない旨を規定いたしております。また、一九七九年六月にわが国が批准しました国際人権規約におきましても、A規約及びB規約の双方において、経済的、社会的、文化的、政治的及び市民的権利において男女の平等を保障すべきである旨を規定いたしております。さらにまた、同年十二月に第三十四回国連総会におきまして、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を採択いたしました。
 しかるに、わが国における法制は、雇用の分野を含めて実際に男女の平等を確保する上でいまだ不十分であることは否めません。アメリカでは、一九七二年に雇用機会平等法を、イギリスでは、一九七五年に性差別禁止法を、スウェーデンでは、一九七九年に男女雇用平等法を制定しました。また、その他欧米諸国を初め多くの国でも、雇用の分野における女性の地位の平等化を目指して、各種の法律や制度を設けて国が積極的に対応しております。
 一九七五年の国際婦人年世界会議で採択された世界行動計画及びメキシコ宣言並びに同年のILO総会で採択された行動計画は、いずれも女子の労働における平等の権利を確認し、かつ、強調しておりますし、さらにILOの行動計画は、雇用における男女の機会及び待遇の均等を促進するため、国の制度として女子の参加を含む三者構成の機関を設立すべきことを勧告しております。一九八〇年開催の国連婦人の十年中間年世界会議においては、わが国を含め七十カ国が婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に署名し、五カ国が署名、批准をしております。そして、この条約は、一九八一年九月に発効し、現在では、批准、加入国は、すでに三十八カ国に及んでおります。わが国も批准を急ぐよう各方面から要望されております。
 ところで、わが国における女子労働者の地位が憲法の趣意に照らしいまだ満足すべき状況になく、国際水準に照らしても改善すべき点が数多くあります。近年わが国の女子雇用者の数が、ますます増加の一途をたどり全雇用者の三分の一を占め、日本経済にとって欠くことのできない労働力となりつつあるにもかかわらず、雇用に関する不平等はむしろ増大しつつあります。こうした実情に効果的に対処し、かつ、また前述のように女子の労働における地位の平等化を目指して活発な努力を示している国際的動向にも対応するため、国は当面の優先的政策課題として、雇用の分野における女子の差別的取り扱いを禁止するとともに、その差別的取り扱いからの救済制度を設けることにより、女子労働者の地位の平等化の促進を図る施策を推進していくべきものと考えます。われわれはここに雇用における男女の平等取り扱いの促進に関する法律案を提案し、上述の政策課題に対応すべく、われわれの態度を明らかにすべきであるとの結論に達しました。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案の骨子は、使用者等が女子を差別的に取り扱うことを法律上禁止する旨を明定することと、女子をそうした差別的取り扱いから救済するための制度を設けることの二点であります。なおここで重要でありますことは、この救済制度は、労働基準法において予定されておりますような官憲的保護により労働条件の適正化を図っていこうとするのと異なり、雇用における男女の平等は、女子労働者及び使用者双方のたゆみない自主的な努力によって実現されていくべきことを期待しつつ、それを補う支柱として、女子から申し立てがあった場合には、迅速かつ適正な手続により救済をしていこうとするものであることであります。
 第二に、差別的取り扱いの禁止については、まず労働条件等について「使用者は、労働者が女子であることを理由として、募集若しくは採用又は賃金、昇進、定年、退職その他の労働条件について、男子と差別してはならない。」と規定をし、その他職業紹介、職業訓練等についての差別的取り扱いをも禁止する旨を定めております。具体的にどういう行為が差別的取り扱いであるかを判断をしていく上に必要な指針は、別に中央雇用平等委員会が定める準則において漸次展開されていくことが予定されております。
 第三に、救済機関であります雇用平等委員会は、中央に国家行政組織法第三条の委員会として中央雇用平等委員会を、都道府県に地方雇用平等委員会を設置し、それぞれの雇用平等委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員の三者構成とし、各側委員の二分の一以上は女子でなければならないこととし、さらに中央雇用平等委員会の公益委員の任命につきましては、両議院の同意を得なければならないことといたしております。現行の労働委員会に類似した組織でありますが、二分の一以上の女子委員を含まなければならないとしている点が大きな特徴であります。
 第四に、差別的取り扱いからの救済手続は、次のとおりであります。
 原則として二審制を採用し、初審は地方雇用平等委員会が、再審査は中央雇用平等委員会が行うことといたしております。手続は、女子労働者から管轄地方雇用平等委員会に救済の申し立てがあった時に開始をいたします。以後当事者双方の意見を聞いた上、相当と認めるときは、被申立人に対し、申立人を差別的取り扱いから救済するため適当な措置を勧告することができることとし、当該勧告の内容に相当する合意が当事者間に成立したときは申し立ては取り下げられたものとみなし、迅速な解決を図ることといたしております。それに至らない場合には、当事者の立ち会いのもとに審問を行い、証拠調べ、事実の調査を経て、申し立てに理由があると認められるときは、当該地方雇用平等委員会はその裁量により原職復帰、バックペイの支払い等女子労働者を差別的取り扱いから救済するために必要な措置を決定で命ずべきことにいたしております。この地方雇用平等委員会の決定に不服がある当事者は、さらに中央雇用平等委員会へ再審査の申し立てができることといたしており、また前述の勧告は、中央雇用平等委員会も行うことができることとしております。なお、初審及び再審査いずれの手続におきましても、使用者委員、労働者委員は審問に参与できることにいたしております。また、救済の申し立ての相手方当事者が職業安定機関であります場合には、決定にかえて勧告をすることにいたしております。
 第五に、取り消しの訴えとの関係についてでありますが、地方雇用平等委員会の決定に対しては出訴を認めず、ただ中央雇用平等委員会の決定に対してのみ東京高等裁判所へ取り消しの訴えを提起できることといたしました。女子労働者の差別的取り扱いからの救済の制度としては、使用者委員、労働者委員双方の参与のもとの審問手続が予定されている行政委員会方式が合理的であるとの判断から、こうした雇用平等委員会による救済の制度を設けました以上は、地方雇用平等委員会の決定に対し直ちに出訴の道を開くのは妥当でなく、中央雇用平等委員会による再審査を経由させるべきである、との趣意に出るものにほかなりません。
 このほか、中央雇用平等委員会の重要な権限の一つとして、雇用における男女の平等取り扱いの促進に関し講ずべき施策につき労働大臣に建議ができることにいたしております。また、中央雇用平等委員会による国会への事務処理状況の報告、地方雇用平等委員会による苦情相談に関する事務処理の取り扱い、啓発宣伝活動、不利益取り扱いの禁止等に関し所要の規定を整備いたしております。なお、この法律の規定は、国及び地方公共団体の公務員であります女子職員につきましても適用があり、その差別的取り扱いに関しましても、雇用平等委員会の決定により原職復帰等の救済が与えられることにいたしております。最後に、救済手続の実効性を確保するため罰則を設けております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#238
○委員長(粕谷照美君) 以上で本案に対する趣旨説明は終わりました。
 本案の事後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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