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1949/03/30 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第13号
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1949/03/30 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第13号

#1
第007回国会 文部委員会 第13号
昭和二十五年三月三十日(木曜日)
   午後二時十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○小、中学校の教員養成問題に関する
 件
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山本勇造君) これから委員会を始めます。
#3
○鈴木憲一君 私は主として小学校、中学校の先生の養成について、大臣にお伺いしたいと思うのであります。昨年国立大学が発足いたしまして以来、第二年目になりまして、名国立大学も、文部省も、鋭意その組織の整備と内容の充実に努められておることは認められるのでありますが、併しながら、組織或いは設備等に盡力をされるとは反対に、全国にあります国立大学の教員養成部の実態は、生徒の方面において、入学希望者というようなものが極めて不振のようであります。これは従来我が国の教育行政機関が、いつも辿つて来た途でありまして、経済界の状況にいつも圧倒されて、師範学校の入学者というものが、質を落したり上げたり、減つたり殖えたりしておつて、極めて日本の教育の実際を掌ります先生の養成の根本策というものが、絶えず明治以来識者の間に心配をされて来たことは、皆樣存じの通りなのでありますが、本年も聞くところによりますると、どの学校も定員に足りない。殊に北海道などになると、新聞の伝えるところによれば、二百人の定員のところ三十五、六人しか志願者がないというような、誠に憂うべき事態であると私は思うのです。こういうような現状をこのままで置けば、今後もやはり繰返して行かなければならない。日本の国の教員養成というものは、ずつとこういうような極めて不安定の中に連続をして行かなければならんというような状況が絶えず起つて来るのだろうと思われる。聞くところによると、イギリスなどでは、イギリスのロンドンで、終戰後中学校の生徒に、お前達は将来何になりたいかという希望を募つたときに、ロンドン市における中学の生徒の希望の第一位は、有名な牧師になりたい、第二位が学校の校長になりたいということであつたと言われておりますが、さすがに大英帝国はこういつた面でも実にがつちりしているなという感じを起すのでありますが、我が国のごとく、少し経済界が調子を持つて来ますというと、もう先生になり手はなくなつてしまう、そういう場合にいつも文部省などでは、本年のように多少金でも余計やつたなら人が集まつて来るのじやないかというような案を考えられるのでありますが、私は日本の国の教育の将来、殊に日本が文化国化で立つて行こうというような立場をはつきり決めた今日、教員の志願者が質のよい者が続続とこの線に集まつて来るような根本策を、この際文部省として、国として立てるべきときじやないか、こういうふうに考えるものなんでありますが、いつもどこの場面でも、今文化国家建設というようなことは單にお題目に過ぎないような状況で、実質はそれと逆行しているというようなことが各方面から懸念されておるのでありますが、文部省はこの際こういう教員養成、日本の国の教育の根本を永久にはつきり安全ならしむるために、何か天下の智能を集めて適当な対策をこの際研究するとか、或いは審議会を起すとかいうようなことによつて決定をして行つたらどうかというようなことを私は考えるのでありますが、聞くところによると、文部省内には純潔教育審議会なんというような審議会があるようでありますが、偉い方達が沢山集まられていろいろ如何にしたならば純潔を守れるかというような審議をされておるようでありますが、こういうようなことも幾らいい案を拵えても、先生のいいのが集まらなければどうにもならんのだろうと思う。やはり何にしましても、よい先生を養成する、学芸学部、教育学部というところに人材が集まつて来るような根本策を文部省はこの際立てる御意思があるかどうか。私は是非そういう面について高瀬文部大臣初め文部省一統の方が、この際こういう方面に大努力を傾倒されるようにお願いをしたいと思うものなのであります。それに対する御意見を伺うと同時に、現在の本年度におきます教育者養成学部の実態に御報告をお願いしたい。先ず第一にそれをお聞きしたいと思うのであります。
#4
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 小学、中学の教育を向上充実さして行く上からいたして、教育養成というものが実は一番根本的な重要な問題だと私も考えております。施設の方面ももとより重要でありますけれども、尚一層私は重要だと思つているのであります。それに対して只今お話がありましたように、昨年度は教員養成の大学及び学部に対する志願者が非常に少くて、定員に満たないところが非常に多かつたというような実情にありましたことは、非常に遺憾でありまして、何とかそれに対する対策を考えなければならないということで、文部省はいろいろと工夫努力をして参つたのであります。その一つとしては、只今もお話がありましたけれども、いわゆる育英会の予算を増額いたしまして、今度増額された金額の半額以上を教員養成の大学学生に奬学貸付金として出すということをいたしたわけであります。無論これだけでいいというわけではありませんけれども、これも一つの日本の現状から申しますと、有力な手段と私共は考えている。それも相当影響した結果と思いますが、今年度の入学志望者は昨年に比べますど、遥かに多くなつて来たようであります。正確な全体の数字は、まだ締切らないところもありまして、調査ができておりませんけれども、現在調査のできました十九大学の学部について見ますと、定員が一万七百四十五人に対しまして、志望者が一万六百四十五人、九九%というわけであります。昨年この同じ十九大学がどういう状況であつたかと言いますと、七三%という状況であつた。ですから七三%が九九%まで殖えたというわけで、相当の増加と見てよかろうと思います。他の大学についてはまだ分りません。又これを全体に併せた数字でありますから、個々の大学については相当のでこぼこがあるわけでありまして、定員を相当超過しているところもあり、九九%よりも遥かに下廻つているという志願者の状況の学校もあるだろうと思います。ですから決して満足すべき状態ではない。定員にようよう達したという状態でありますから、満足すべき状態ではありません。これらについてはもつと尚真劍に考慮して対策を練る必要があると思います。ただ文部省え大学の学長さんが見えられたときに、いろいろ聞きますと、人数だけの問題でなく、質の問題もあるわけでありまして、志願者の質が昨年に比べると、非常によくなつておるということを言つて喜んでおられます。ですからまあ数の上で以て昨年よりも相当多くなつているという上に、質においても確かに相当よくなつておるということは事実のようであります。この点まだ無論満足すべき状態ではありませんけれども、相当の効果が現われて来たということで、私共は喜んでおるのであります。今後無論いろいろと対策を考えて行かなければなりませんので、今お話のありましたような教員養成についてのそういう研究をし、対策を練つて行く審議会を文部省に作るということにいたしまして、教員養成審議会を設けることにいたしました。そこで十分に專門的な方々に考えて貰うということで出発をいたしましたわけであります。尚無論育英制度による貸付金も今後尚拡張する必要も私はあると思います。これも来年度予算においては、もつと拡張をして行きたいと考えております。それから御承知のように、昨年の九月教員養成の大学の教授に限りまして、アメリカへ一年間の留学を五十名派遣したわけであります。これなんぞもまあ教員養成の大学の内容を拜見して、実質的にもつと向上させたいという意味からでありまして、教員養成に対する特別な考慮から来ておると言つてよかろうと思つております。それからまあ大体の傾向から申しまして、昨年は惡かつたのでありますが、一昨年に比べれば昨年の方が或る程度よくなつておる。質の点は決して必らずしもそうではなかつたかも知れませんが、募集人員は殖えているようであります。ですから絶対数においては殖えて来ておると言つてよかろうと思います。ですから漸次よくなつておるということは言えると思うのであります。これはやはりお話にもありましたように、経済界の影響が相当大きな力を現在與えておると思うのでありまして、経済界が安定に段々に向う。或いは不況時代というものが一時来るでありましようが、そういう時代等に向つて行くに従いまして、志願者の数は無論殖えて行くだろうと思います。けれども、まあ経済界が不況だから殖える。不況でないから減るということでは、今お話がありましたように、決して面白い現象ではありませんので、まあ一般的に教師に対する社会の見方、社会的な評価の仕方というものが、もうちよつと変つて来なければならんものだろうと思うのであります。お話にありましたようなイギリスの例は、やはりそういうところから来ておると思うのでありまして、日本における教育に対する見方、教師に対する見方、特に小学校における教師に対する評価というものが社会的に非常に低いというところが根本的な原因だろうと思うのであります。これはやはり一般的な教育尊重とか、教育者尊重の観念というものをもつと織り込んで、強くして行くという方策を何とか考える必要があろうかと思つているのであります。それらのいろいろな点を考えて行かなければならないことでありますから、文部省としてはさつきも申しましたように、委員会を作りまして、そういうようなことを十分検討して頂きたい。こう考えておるわけであります。
#5
○鈴木憲一君 文部省も段々御研究下さることについては非常に喜んでおりますが、お話のごとく段々によくなつて来たと言われますが、こういうようなことが又やがて段々惡くなるというようなことにもなるのでありまして、国が教員養成のために全力を挙げるのだということを幾ら立派にやりましても、幾ら大声で叫んでも、この際どこからも攻撃を受けるようなことは絶対にないと思いますし、こういう際に文部省は大声叱呼して、国民に、こういう苦難の間にも教育者養成に対してはこういうふうにやるのだというようなことをして、苦しい間にも国民に光明を與え、喜びを與えて頂きたい。こう思うものであります。非常に万事がよい機運に向つて来たようにお話では承われるのでありますが、実際はまだなかなかそうは行かないだろうと思います。どうぞこの際大いに文部省としてはこういう根本策を立てて、そうして国民に安心を與えて頂きたいと思います。そういうことをお願いいたしまして、私の質問は終ります。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(山本勇造君) それでは日程の順序を変更いたしまして、学校教育法の一部を改正する法律案を議題にいたしたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(山本勇造君) 前回にこれの質問については、速記もつきまして、いろいろ御質疑がありましたが、尚質議を続行いたしましようか。それとも質問はあの程度で終了したものといたしますか、如何でございますか。
#8
○左藤義詮君 大体質問は盡きたと思いますので、次の段階にお進みになつて、早く纒めて頂きたいと思います。
#9
○委員長(山本勇造君) それでは質疑は終了したものと認めることと御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(山本勇造君) 御異議のないものと認めます。
 それではこれから討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。尚修正の御意見もございましたら、この際お述べを願いたいと思います。
#11
○木内キヤウ君 修正案を提出いたします。
  学校教育法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  附則第一項を次のように改める。
 1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。
 このように改めて頂きたいと思います。
#12
○河野正夫君 この法案全体に対しては賛成いたします。併しながら、実は社会党といたしましても、又その他本文部委員会における同志の諸君といたしましても、修正をしたいと、こういうことで所要の手続きをとつたのでありますが、遺憾ながら、その手続が完了することができなかつたのであります。従いましてこの際賛成ではありますけれども、次のような條合を附して置きたいと思うのであります。その第一点は、今回改正は極めて一部分簡單なものでありますけれども、学校教育法というものが施行されてから、いわゆる六三三制が漸く整つて来たので、この際過去の経験に徴し、相当度の根本的な改正をする必要な段階に立至つていると思のであります。例えば学校教育法の第三條に言うところの、学校の設備、編制その他に関する設置基準というものは監督庁が定めることになつておりますけれども、更に又各学校における教課等については監督庁が定めるというような規定が可なりに多くあるのでございますけれども、これらの点についてはその後の運用を見ておりますると、もう少しく国会の意向を反映する必要があるのではなかろうか、こう思います。他の面からの必要もありまして、文部当局も学校設置基準法とでも仮称すべきような法案を用意しているとか、考慮中であるとかいうことも承つておるのでありまするが、成るべく早い機会にこういう方面の法案を用意し、これに伴つて学校教育法を改正して頂きたい。各学校に校長、教諭、助教諭、養護教諭、技術職員その他必要な職員を置くことができるというような條文が至る所にあるのであります。今回の改正においても同じような点が現われておる。我々といたしましては、例えば養護教諭というようなものについては、高等学校以下の各学校に置くことを必然的ならしめるような法案に改め、現実に止むを得ない場合には置かないことを得るような、そういう規定にしたかつたのでありまするけれども、これも不可能でありまして、併しながら今申上げた学校設置基準に関する法律というようなものが制定せられる暁には、各種類の学校における必要な職員の種類、その任務等々をはつきり規定する際に、これらのものを適宜附加え、整備して頂きたい、こう要望するものであります。更に文部当局が折角努力中であるところの大学管理法と申しまするか、曾つて大学校を仮称せられておつたその法案が、これは審議会において案が可なり練られておるやに承つております。これができますると、恐らくは大学における教授会等々の任務、権限等につきましても、更に明瞭になるだろうと思うのです。従いまして当然この学校教育法が更に改正せられる必要が生れて来るに違いない。そういう機会に、高等学校以下の学校において職員会議というものが事実上慣習的に存在し、それが教者の効果を十分に上げておるのでありまするから、そういうことについての法制化を、そういう機会に図つて頂きたい。こういうような点を我々は要望いたしまして、今回は極めて表面的な一部改正に止まるが故に、この法案には賛成いたしまするが、将来における根本的な改正を企画し、その際に我々の要望を盛り込んで頂きたいということを條件といたしまして、この法案に賛成するのであります。
#13
○梅原眞隆君 私はこの改正の法案に賛成をいたします。名誉教授の意味を明瞭にしたり、その本質を新らしく規定されたことも、これは適当であろう。又高等学校なり、各種学校の規定を整備されたことも、これは当然なことであると思うのであります。こういう点で漸次学校教育が完成して行く法的基礎が整備されることを私は喜んで、ここに賛成をいたします。但し今河野委員の説明にもありましたが、その中に我々が考えましても、尚一例を挙げたら今の教員会議のごとき、そういうようなものに警戒をすべき点もあるが、又切開かなければならん点も十分あると私も信じております。今後におきまして、日本の教育が健全に発達するように、速かに切開くべきは切開き、整備すべきは整備せられるように、これを端緒とせられまして、次の機会に一層周到に改正を企画せられることを希望いたしまして、私はここに賛成を表します。
#14
○大隈信幸君 只今学校教育法の一部を改正する法律案に対しまして修正案が出たわけでありますが、その提案の理由が承われなかつたのでありますが、私は提案の理由を大体こういうふうに解釈しておりますが、念のために伺つて置きたいと思います。この法案は参議院が先議でありまして、これから衆議院に廻るわけでありますが、原案によりますと、四月一日から施行ということになつておりますが、実際問題としてその時間的ズレが生ずるので、施行は公布の日からして、その効力は四月一日に遡つてやるという意味に解釈したのでありますが、念のためにお伺して置きます。
#15
○木内キヤウ君 御質問の通りでございます。
#16
○大隈信幸君 その修正案はよく分りました。私は修正案を含む原案に賛成をいたします。
#17
○左藤義詮君 自由党といたしましては、この法案に賛成をいたします。今の修正を含めて賛成でございます。河野、梅原両委員からお話がありましたように、国家財政その他の現状も見なければなりませんが、一日も早く学校教育の体系を整備する意味においても、大学管理法は勿論、この学校教育法につきましても、将来当委員会における質疑応答その他を参酌して、早い機会に全体に亘る改正法律案を出されることを要望いたしまして、取敢えず現在の段階におきましては、この修正案を含めた原案に賛成いたします。
#18
○委員長(山本勇造君) 外に御意見はございませんか。
#19
○鈴木憲一君 私達は、この一部改正を将来は大改正にして行くべきであると思つておる者なのであります。その点誠に満足できないのでありますが、諸般の事情から、差当つて本法案に賛成をいたします。
#20
○委員長(山本勇造君) 外に御意見は……別に御意見もないようでございますから、討論は盡きたものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(山本勇造君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれから採決に入ります。学校教育法の一部を改正する法律案、これについて採決をいたします。先ず順序といたしまして、討論の中にありました木内委員の修正案を議題に供します。木内委員提出の修正案に賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#22
○委員長(山本勇造君) 全会一致でございます。よつて木内委員提出の修正案は可決されました。
 次に、修正の部分を除いた原案に賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#23
○委員長(山本勇造君) 全会一致と認めます。よつて学校教育法の一部を改正する法律案は全会一致を以て修正議決されました。
 尚、本会議における委員長の口頭報告の内容等は、慣例の通りに委員長にお任せを願います。
 それから尚本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可することに賛成された方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
   木内キヤウ   河野 正夫
   河崎 ナツ   藤田 芳雄
   鈴木 憲一   堀越 儀郎
   大隈 信幸   梅原 眞隆
   岡崎 真一   左藤 義詮
#24
○委員長(山本勇造君) 尚外の問題も少しございますが、これは委員会を一応閉じまして、懇談会に切替えたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(山本勇造君) それでは委員会はこれで散会にいたしまして、あと懇談会にいたします。散会いたします。
   午後二時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 勇造君
   理事
           木内キヤウ君
           藤田 芳雄君
   委員
           河崎 ナツ君
           河野 正夫君
           岡崎 真一君
           左藤 義詮君
           大隈 信幸君
           梅原 眞隆君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           鈴木 憲一君
  国務大臣
   文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
  政府委員
   文部事務官
   (大学学術局
   長)      剱木 亨弘君
ソース: 国立国会図書館
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