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#1
第096回国会 文教委員会 第4号
昭和五十七年三月三十日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     宮之原貞光君     大木 正吾君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     大木 正吾君     宮之原貞光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 正英君
    理 事
                大島 友治君
                田沢 智治君
                小野  明君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                山東 昭子君
                杉山 令肇君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                松浦  功君
                大木 正吾君
                藤田  進君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  小川 平二君
   政府委員
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部大臣官房審
       議官       宮野 禮一君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文部省社会教育
       局長       別府  哲君
       文部省体育局長  高石 邦男君
       文部省管理局長  柳川 覺治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       文部大臣官房人
       事課長      倉地 克次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。小川文部大臣。
#3
○国務大臣(小川平二君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、昭和五十七年度における国立大学の大学院の設置、大学附置研究所の改組等について規定しているものであります。
 まず第一は、島根医科大学の大学院の設置についてであります。
 これは、昭和五十一年度から学部に学生を受け入れ、昭和五十六年度に学年進行が完成する島根医科大学に医学の博士課程の大学院を設置し、同大学における教育研究の水準を高めるとともに、研究能力のある人材の養成に資することとするものであります。
 第二は、九州大学温泉治療学研究所の改組についてであります。
 これは、生体が本来備えている防御機構に関する医学の研究を推進するため、九州大学に附置されております温泉治療学研究所を発展的に改組し、その名称を生体防御医学研究所に改めようとするものであります。
 以上のほか、昭和四十八年度以後に設置された医科大学等に係る職員の定員を改めることといたしております。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(片山正英君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 なお、本案に対する質疑は後刻行うことといたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(片山正英君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○柏原ヤス君 大臣の所信表明を拝見いたしますと、教科書の無償制度については引き続き存続させると述べていらっしゃいます。いまさら申し上げるまでもなく、教科書無償は憲法の義務教育無償の精神にのっとったものであり、法律で定められた国民の意思であると、こう思っております。次代を担う子供たちにとっても学校教育に不可欠で重要な教材、国民全員の負担で提供をしようとするこの考え方に立った施策でございます。この教科書無償は将来にわたって堅持すべきだと考えておりますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
#7
○国務大臣(小川平二君) 義務教育教科書無償給与の制度は長い間にわたって定着をいたしておる制度でございまするし、広範な国民的支持をも受けている制度でございます。改めて申すまでもなく、憲法の定めておりまする義務教育無償の精神をより幅広く実施しようとする制度でございますので、私といたしましてはこれをあくまで堅持してまいりたいと、こう考えております。
#8
○柏原ヤス君 教科書無償については中教審で論議されております。田中前文部大臣は、当然中教審でも無償の答申が出るであろうと考えているという旨の答弁をしていらっしゃいますが、小川大臣も同じ考えであると思いますが、その点いかがでしょうか。また、中教審が無償堅持の答申をした場合、それを根拠に政府全体が無償の方向で意思統一すべきだと考えますが、この点もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(小川平二君) 義務教育教科書無償給与の制度につきましての私の考え方はただいま申し上げたとおりでございますが、現在中教審に対しまして教科書のあり方、検定、採択、給与を含めまして無条件で諮問を申し上げておるわけでございますから、この際私があらかじめ結論を拘束するような発言をいたすということは差し控えるべきものかと存じております。しかし、中教審におかれては必ず世論の動向をも踏まえられて、良識に基づく答申をなさっていただくに違いない、こう考えておる次第でございます。
#10
○柏原ヤス君 小川大臣のお考えと田中前文部大臣のお考えとは少し違う、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#11
○国務大臣(小川平二君) 基本において少しも異なるところはないと考えております。
#12
○柏原ヤス君 それならば中教審を拘束するような答弁は差し控えるということは理解しますが、あくまでも教科書無償を堅持するという文部大臣の立場で、自分としては文部省の、しかも文部大臣の堅持するという意思に立って無償の答申が出るであろうということを期待しているという程度のことはおっしゃってもいいんじゃないでしょうか。
#13
○国務大臣(小川平二君) 期待をしておると申し上げます。
#14
○柏原ヤス君 そのお答えを非常に力強く思うわけでございます。
 いまお聞きしました中で、中教審が無償堅持の答申をした場合、まだ答申が出ておりませんけれども、答申をした場合には、政府全体が無償の方向で意思を統一すべきだと、無償堅持の答申をした場合ということを取り上げて申し上げるんですけれども、これは当然なことをお聞きしておりますけれども、その点について大臣のお考えもお聞かせいただきたい。
 これは、予算審議のときに文部省がそれこそ強い姿勢で堅持ということを主張しているけれども、相変わらず有償という論議が蒸し返される、こうした政府の内部の問題を今後ないようにしていただきたい。
   〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
意思統一をしていただきたい。中教審が無償堅持という答申が出た場合は当然だと思うんですね。
#15
○国務大臣(小川平二君) 御高承のとおり、今日まで財務の当局は非常に強く抵抗いたしておるわけでございますが、私といたしましては、財務の当局を啓蒙いたしまして、最終的に必ずこの制度が維持できますように全力を尽くす決心でございます。
#16
○柏原ヤス君 そこで、もう一点お聞きしたいんですが、再度臨調で教科書無償の見直しが取り上げられないように、この無償の意義、その重要性というものを文部省は十分臨調に説得すべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#17
○政府委員(三角哲生君) 文部省といたしましては、臨時行政調査会に対して、これまで機会あるごとに義務教育教科書無償供与制度の意義でございますとか重要性につきまして説明を重ね、かつ主張をしてまいったところでございます。そして、前回の答申につきまして、すでに第一次答申で指摘がございまして、そして現在中央教育審議会において今後のあり方について検討をしておるところでございますので、今後予想される答申に関しましてもさらに臨調側の理解を求めてまいり、今後とも努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。
#18
○柏原ヤス君 では次に、公立文教施設についてまず大臣の御見解を二、三お聞きしたいと思います。
 まず、校舎、屋内運動場、こうした公立文教施設は、人的要素としての教職員とともに、物的要素として教育の基本条件を形づくるものであると思っております。ですから、そのときどきの財政の都合などによってその整備に支障を来してはならない。
   〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
このように、文教施設に対しては重要な問題と思っておりますので、大臣はどうお考えであろうか、お聞かせいただきたい。
#19
○国務大臣(小川平二君) 先生の仰せにまことに御同感でございます。
 公立文教施設の整備ということは、教育環境を改善し、教育の円滑な実施に資するとともに、教育水準の向上を図ってまいりまする上で必須のものであると信じております。もちろん、財政の事情ということをまるまる無視するわけにはまいりかねますけれども、この問題に限らず、一般に文教施策は国策の基本でございますから、これを単に財政の観点からだけあげつらうという態度は私は組みしないところでございます。
#20
○柏原ヤス君 そこで、五十六年度に続き五十七年度も公立文教施設整備、その予算を見ますと、額、事業量ともに大きく落ち込んでおりますが、その落ち込んだ理由は何なんでしょうか。
#21
○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘のとおり、五十七年度予算におきまして前年度比減額の措置になっておりますが、事業量につきましては、昭和五十六年度に比べまして一一・一%とかなりの城となっております。
 その主なものは、小中学校の校舎新増築費一八・二%減、小中学校危険建物改築費七・七%減、高校危険建物改築費一八・八%減等でございます。これに伴いまして、公立学校施設整備費補助金の額も四百九十五億円ほどの減額になっております。
 この理由といたしましては、臨時行政調査会の第一次答申におきまして、「公立文教施設の整備は、緊急性の高いものに限定し、事業量の大幅な削減を行う。」という御答申がございまして、この答申の趣旨にも沿うということでございますが、実態的にまず第一に、小学校の児童数が昭和五十六年度をピークにいたしまして以後減少に転ずることから、校舎等の新増築計画の減少が見込まれているということでございます。
 また第二に、木造危険建物の改築を鋭意促進してきました結果、小中学校建物に占める木造建築の割合が減少いたしまして、昭和五十六年五月一日現在では一五%というような状態になってまいりました。これに伴いまして、改築事業量が減少してきたことなどから、都道府県、市町村の昭和五十七年度の計画事業量が五十六年度のそれに比しましてかなり下回るということが見込まれたゆえでございます。
#22
○柏原ヤス君 理由をお聞きして納得する点もたくさんございますが、一点だけ、児童生徒数が減少してきている、こういうふうにおっしゃったようですけれども、私、この児童生徒数の推移の表を見ますと、昭和五十六年度、五十七年度、ここまでずっと小学校、中学校合わせた児童生徒数もふえている。小学校の児童数は確かに減っていますけれども、中学校の児童生徒数は減るどころかふえている。今後もふえていくわけです。ですから、小学校の校舎を中学校の校舎に使えるなら別ですけれども、使えないわけで、やはり中学校の生徒数がふえているんですからその校舎は建てていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思いますが、この点はどうなんでしょうか。
#23
○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘のとおり、五十九年が中学生のピークになります。したがいまして、それまでの間は上昇にあるわけでございますので、中学校の新増築それ自体伸びるということは見込まれます。しかし、全体といたしまして、小学校の方が学年も倍の学年になしまして在学生の児童の数が中学校の倍ということでございますけれども、やはり小学校の児童数の減ということの事業量に与える影響の方が大きいというような結果であろうと思います。
#24
○柏原ヤス君 いろいろお聞きしてさらにつけ加えて御説明を聞かせていただきたいのは、地方の事業量の減が理由だという御説明ですが、全国の知事や市町村長で組織している全国公立学校施設整備期成会という会ができておりまして、毎年度予算について要望額と要望事業量を示して陳情を行っておりますが、これは五十七年度予算の主な項目についてやはり期成会の要望額の事業量、予算案の額、こういうものが示されております。文部省のお手元にも届いていると思うんですが、この期成会の出されている要望に対してどういう御説明をなさっているんでしょうか。
#25
○政府委員(柳川覺治君) 御指摘の全国公立学校施設整備期成会が毎年五月に次年度に向けましての予算の要望をまとめられます。
 五十六年五月にまとめられましたものにつきまして御説明申し上げますと、まず建物関係で要望額が四千二百二十一億円、その事業量が六百九十一万平方メートルでございますが、これに対しまして五十七年度予算案は三千八百二十七億四千三百万円の要求、事業量は六百十四万二千平方メートルの実となっております。また急増市町村の小中学校の用地取得のための取得費に対する補助でございますが、その要望額が五百九十二億八千百万円、その事業量五百八十六万一千平方メートルの要望でございますが、これに対しまして用地取得関係の予算額は四百六十六億三千八百万円でございまして、その事業量四百六十六万七千平方メートルとなっております。
#26
○柏原ヤス君 それについてどういう御意見があるんですか。
#27
○政府委員(柳川覺治君) いま御説明申し上げましたように、結果におきまして、予算額はこの期成会の要望額に対しまして減額となっておりますが、その主な理由といたしましては、一つには、予算査定におきまして国庫補助率の引き上げを望んでおりましたが、たとえば急増市町村の小中学校の屋内運動場新増築に対しまして、二分の一補助を三分の二補助に実現したいということの要望が認められなかったということがございます。また、補助単価につきまして、概算要求額に対し減額の査定でございました。そのようなことが直接には下回った理由でもございますが、なお、事業量につきましても、先ほど御報告申し上げましたとおりの減量になっておりますが、これは例年の例でございますが、期成会の要望事業量をまとめました時期から予算の査定時――十二月でございますが――までの間に、それぞれ市町村の財政事情等も、あるいは準備等もございまして、その当初の整備計画が変更されて事業量が減少するというのが実態でございます。
 ちなみに、本年二月に、各都道府県を通しまして、市町村あるいは都道府県立学校の整備建築計画を事情聴取したわけでございますが、その結果におきましては、ほぼ予算措置に対しまして一〇一・二%という、一・二%が要望として上回っているという程度にとどまっておりまして、実際の整備計画とそれなりに見合った予算額あるいは事業量ということに結果としてなっておる次第でございます。
#28
○柏原ヤス君 そこで、政府が昨年の臨調答申にうたわれた「緊急性の高いものに限定し、事業量の大幅在削減を行う。」という方針にやはりとらわれている、こういうふうに思います。けれども、生徒急増の校舎不足の解消、危険校舎の解消、いずれも緊急性の低いなどと言われるものではないのであって、緊急性が高い、政府予算の事業量の大幅削減というのは、教育条件をますます悪化させる、これは明らかだと思うのです。大臣の御意見はいかがでしょうか。
#29
○国務大臣(小川平二君) 公立文教施設の予算を削減いたしました理由は、ただいま政府委員からるる御説明申し上げたとおりでございまして、一つは児童生徒数の減少、一つは木造建築物の比率が毎年低下して今日に至っておりまするので、市町村から提出してまいりまする事業計画の数字そのものが下がってきておる、まさしくこれに対応した予算を編成いたしたわけでございまして、このために文教施策が大幅に後退したとは私は考えておらないわけでございます。
#30
○柏原ヤス君 予算削減の理由として危険面積の減少ということがいま大臣のお言葉からも指摘されました。しかし、本来危険面積が減ったということが行政の成果として喜ぶべきであろうかと、まだ危険面積が存在すること自体が問題じゃないのかと、こう思います。特に日本のように地震とか台風、こういう自然災害が多発する国ではこの一日も早い解消を図っていただきたいわけで、面積が減ったからということで予算を大幅に削減するということはすべきではないと思います。
 そこで、この数年の危険面積の推移を見ますと、確かに耐力度点数四千五百点以下の危険建物は減っておりますが、緩和措置の対象となっている四千五百一点から五千五百点までの建物の面積は目立った減少はしておりません。
 そこで、今後これらの解消に本腰を入れて取り組んでいくために千点緩和措置、これの恒久化を実現すべきだと考えますが、文部省の方針はどうでしょうか。
#31
○国務大臣(小川平二君) 公立文教施設の整備につきましては、先ほど来先生仰せのとおり、非常に大事な仕事と心得ておりますので、昭和二十九年の第二次補正予算以来、点数を四千五百点から五千五百点に引き上げて今日までこれを継続いたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この制度を恒久化したいことがやまやまでございまして、そういう気持ちで毎年大蔵省とも折衝に当たってきておるわけでございますが、遺憾ながらまだそこまでに至っておりません。毎年毎年つないできておるという現状でございますが、できればこれを恒久化したいと考えておるわけでございます。
#32
○柏原ヤス君 できれば、などという弱い態度でなくて、毎年これにお骨を折っている文部省の気持ちはわかりますけれども、ぜひ恒久化、これを強くお願いいたします。
 自然災害はいつ起こるかわからない、危険建物の改築はまさに私は緊急事業、それこそ臨調の言っている、程度の高いものである。あくまで危険面積の解消が――私が申し上げたいのは、危険建物をゼロにすると、この点は文部省も同じ意見でいらっしゃると思います。
 そこで、そのためには毎年どの程度の事業を行うのか何年度までに解消するのかという確固とした計画が必要じゃないかと思います。そこで、文部省は危険建物をゼロにするためにどのような計画なり見通しを立てていらっしゃるか、何年度までにゼロとする考えか。予算を見てなどということでなくて、ゼロ計画、こうした計画を立てていただきたい。これに対して明確な御答弁をお願いしたいと思います。
#33
○政府委員(柳川覺治君) 先生の御熱意のとおり、常に危険の建物がない状態にしていくということが基本であろうと私ども存じておりまして、そのために木造建物の危険なものにつきましては、鋭意これを耐久化するという努力を重ねてまいりました。
 ちなみに、昭和四十七年度には五四%、四千八百万平方メートルが木造の建物でございましたが、五十六年度には一五%、二千万平方メートルというように大幅に木造建物が減少してきております。
 ただ、実際問題といたしまして木造の建物につきましては、倉庫等、今後も木造のままで使用することが必ずしも支障がないというようなもの、あるいは統合等により使用しなくなる建物も将来統合する、それまでの間ということで、そういう建物も含まれておりますので、今後何年間にゼロになるという見通しはなかなかに立てにくい状況でございますが、現在改築を要するという建物が六百万平方メートルほど見込まれております。来年度予算では百六十六万平方メートルの危険校舎の改築を計画しておりますので、まあ現在のものでございますと、市町村の計画が出てくればそれなりに対応していくという措置が従来もとられてまいりましたが、まあ数年にしてその状態は解消できるというように感じておるところでございまして、今後御指摘のとおり、市町村の改築計画に見合う予算措置を十分確保してこの面の改善を図るということの基本に立ってまいりたいと思っております。
#34
○柏原ヤス君 次に、五十四年度に養護学校の義務化が実施されてから三年たちますが、その施設面を見ますと非常に劣悪な状態でおります。文部省の公立学校施設実態調査報告によりますと、必要面積の三分の一以上、面積で言いますと百十万七千平方米が不足していると。体育館についても必要面積の二分の一以上に当たる二十六万四千平米が不足していると、非常に不足しているわけです。こうした状況を文部省も御存じですが、この改善のための施策をどういうふうにとっていらっしゃるか、お聞かせ願います。
#35
○政府委員(柳川覺治君) 先生いまお示しのような不足の状態がございます。特に昭和五十四年度に補助基準面積の改定を行いまして一八%アップをいたしました。その結果、既設校の保有面積がさらに下回ったということの現象が起こってきております。たとえば、五十一年度には保有面積が七十六万八千平方メートルの校舎がございました。さらにその必要面積百七万三千平方メートルに対する保有率は七一・六%でございましたが、五十四年度に基準を改定された。そのこともありまして、その後所要の保有面積増を図ってまいりまして百五十万七千平方メートルの保有面積がございますが、必要面積が二百三十五万一千と学校増と、同時に基準の面積の増ということで高まってまいりまして、五十六年度の保有率が六四・一%というように、むしろ数字の、保有割合の上では下がってきたというような状態がございます。
 また、病院や福祉施設に併置されているものが多うございまして、これらの施設を使用しているものがかなりあるということでございます。
 また、基準といたしましては、小学部、中学部、高等部等、それぞれの施設の整備を期しておるわけでございますが、併置しているものが多うございまして、その間、共用できる施設も多いというようなことから、どうしても保有面積が補助基準面積に達していないという状態が実情でございます。
 また、屋内運動場につきましても、一般的には児童生徒を収容するための校舎の整備から着手しておるというようなこと、あるいは小規模校が多い、あるいは小学部、中学部、高等部が併置でございますので、これも高等部と小中学部は別の屋内運動場を持つようにというように指導しておりますが、実際に共用しておるということで、なかなかにその面の計画が立たないというようなことがございます。
 なお、これらの面につきましては、今後ともよりよき施設整備がなされるよう指導していきますとともに、私どもは従来から養護学校につきましては、計画が出されましたものは全部これを見ていくという考え方で対処してまいった次第でございます。今後の各地におけるこの面の一層の整備促進を期待して、また指導していくとともに、その計画に見合う実行は必ず行っていくということを考えていきたいと思っております。
#36
○柏原ヤス君 養護学校においては機能訓練のためにもプールと、これは普通学校に劣らないほど必要性を持っているものと思いますが、五十六年度の学校種別のプール保有状況をお聞かせ願います。
#37
○政府委員(高石邦男君) 五十六年五月一日現在の保有率は、小学校は六八・九%、中学校は六〇・三%、高等学校は五三・四%、盲学校が四四・九%、聾学校が五五・六%、養護学校が一九・七%であります。
#38
○柏原ヤス君 養護学校のプール設置率は一九・七%といまお聞きしましたが、きわめて低い、こう感じます。養護学校にはプールは必要がないと考えているからこのように設置率が低いのか。しかし、必要性を認めているのなら状況改善のための努力と、これをいろいろされていると思いますけれども、具体的にはどのような措置を講じていらっしゃるのか。さきの校舎、体育館の不備も考え合わせて、単に補助を行うだけでなくて、この劣悪な現状打開のための積極的な措置を検討すべきだとこう思いますが、その点はどうでしょう。
#39
○政府委員(高石邦男君) 御指摘のとおりに養護学校におけるプールは教育訓練施設として必要であると考えております。そこで、養護学校全体がまだ整備の途上にあるわけでございます。校舎とか体育館その他の施設の整備計画の一環として学校プールの整備も順次行うという方針でそれぞれの府県では整備計画が進められているわけであります。したがいまして、設置者のこの計画に従いまして国の予算措置も十分に対応できるようにしていきたいと思っております。
#40
○柏原ヤス君 現状打開のためのもっと積極的な措置を期待しているわけですけれども、そういう点は文部省としては受け身の姿勢でいくというわけですか。
#41
○政府委員(柳川覺治君) 養護学校の校舎、屋内運動場の整備につきまして一層各都道府県の今後の整備計画が進捗するよう十分実情聴取等を通じまして指導してまいりたいと思っております。
 なお、この大変厳しい予算の中、財政事情でございましたが、公立文教施設につきまして少し新しい試みをということで、たとえば校庭を十分子供たちが活発に動き回れる、動きの環境づくりをしていきたいということで初めて屋外教育環境整備費に対する補助金の新規実現がございました。これは小中もとより中心でございますが、養護学校につきましても身体障害の児童生徒に合った運動場をどのようにしていったらいいのかということも、私ども含めまして、こういう校庭あるいは校舎両面で、先生最初のときに学校施設の重要性を御指摘ございました。まさにその趣旨に沿いまして、校地、校舎、そこで子供たちが本当に伸び伸びと豊かにたくましく育つ、そういう面の学校施設の整備ということをこれらの面でいま鋭意検討し、学校あるいは地方公共団体と一体化してこの面のより向上を期しているところでございます。
#42
○柏原ヤス君 次に、育英奨学事業についてお尋ねいたします。
 文教予算のあり方を考える場合に、最も基本的で、また重要な点の一つは教育の機会均等の実現であると考えますが、この点大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
#43
○国務大臣(小川平二君) 国民に対しまして、その能力に応じてひとしく教育の機会を確保する、非常に大切なことだと信じております。
#44
○柏原ヤス君 そうであれば、育英奨学事業の拡充に関する予算は文教予算の根幹の一つと考えても言い過ぎではないと思います。そういう立場で、いまお答えになったその大臣の御精神の上で、この育英奨学事業に関する五十七年度予算の内容をどう評価していらっしゃるか、お伺いいたします。
#45
○国務大臣(小川平二君) 五十七年度予算におきましては、大学院の修士課程の貸与人員を三百人増員することにいたしております。と同時にまた、過年度の拡充から出てまいりまする当然増の経費、これを合わせまして前年度に比べて六十八億円の増、パーセンテージにいたしまして六・六%になっております。総額として一千百三億円でございまして、今日のこの厳しい財政状況下におきまして育英事業の所要経費をどうにか一応確保できた、このように考えておるわけでございます。
#46
○柏原ヤス君 いま大臣の御説明、私は貸与額の据え置き、貸与人員も実質的には据え置きとなっていると言えると思うのです。一方では国立大学の授業料の値上げ、公立高校の授業料の値上げ、私学の学費の大幅値上げ、物価上昇、学生の生活費は高騰していると、こう言えます。むしろ育英奨学の水準は引き下げられたと、こういうふうに考えざるを得ないわけですが、大臣の御認識はいかがですか。
#47
○国務大臣(小川平二君) 貸与額につきましては、臨調の答申が育英奨学事業を見直すべし、かような答申が出ておりまするので、これは尊重しないわけにはまいりませんので、今回はこれを据え置いておるわけでございますが、これにかわる措置といたしまして授業料の免除枠を一〇%から一五%に拡大をする。これによって経済的に就学が困難な学生の援助を図るというような措置も講じたわけでございまして、ただいまの非常に厳しい財政の状況ということを念頭に置きまするとき、まずまずの予算ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
#48
○柏原ヤス君 ところで、臨調の第一次の答申の中には有利子制度への転換、返還免除制度の廃止、返還期間の短縮などが挙げられております。こうした面は、国民に教育の機会を平等に保障するという立場からは私は大変な問題を含んだ内容であると受けとめておりますが、大臣はこの臨調の第一次答申をどういうふうにお考えですか。
#49
○国務大臣(小川平二君) これらはいずれも育英制度の制度そのものの根幹にかかわる提案だと存じております。したがいまして、高等教育に対する助成のあり方とも関連することでございますから、学識経験者等の御意見も十分承りまして慎重に対処していくべき問題だと考えております。五十七年度予算におきましては、このような調査のための経費をも計上いたしておるような次第でございます。
#50
○柏原ヤス君 そこで文部省は、こうした臨調答申もあるので育英奨学事業に関する懇談会を設置したと、こういうお話でございますが、この懇談会はどういう目的でつくったのか、項目について、どういう項目を上げて検討されるのか、また具体的に示していただきたい。そして、この報告はいつまでに報告されるものか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
#51
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、育英奨学事業に関する懇談会をすでに本年度御議論をいただいているわけでございますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、具体的な予算措置といたしましては、ただいま御審議をいただいております五十七年度予算にその調査研究のための経費を新規に計上をいたしていただいているわけでございますが、私どもといたしましては、昨年七月に出されました臨調答申の趣旨も尊重いたしまして、本年度つまり五十六年度内は、まず学識経験者等による懇談会を発足させましてその問題点の検討をお願いしているところでございます。具体的には、先般の会議を含めまして本年度すでに四回の会合を開いて御検討をいただいているわけでございますが、その結果を、五十七年度の予算計上されております調査研究に具体的に引き継ぎまして、引き続いて慎重に検討をお願いしたいと、かように考えているわけでございます。
 具体的な項目についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、基本的な問題としてはまず育英奨学事業の基本的なあり方、これは高等教育に対する国の関与のあり方とも関連する非常に基本的な問題であろうかと思っております。そしてまた、具体的に育英奨学事業の目標としては、英才の育成なり特定分野の人材確保とか、あるいはまた教育の機会均等の確保というような観点から、どのようにいけばよろしいのか、そして、それらの目標を達成するための規模なり内容についてどのように考えていくのか、そして、そのための方法といたしまして給費制なり貸与制をどのように考えていくか、また、貸費生についても、現行制度の無利子、そしてまた、提言されております有利子というようなものについて、どのような考え方で対応すればいいのかというようなことがございます。そして、現行制度で私立大学生に対する育英奨学事業として育英奨学事業援助という制度を現在やっておりますが、必ずしも十分機能していないうらみもございますが、それらが実際にどうすれば十分機能することになるのかというような問題点の検討、そして、臨調答中でも提案されております外部資金の導入というようなことが言われておりますが、それについてのメリットなりデメリットというようなものについてどう考えるかというような事柄がございます。そのほか、返還免除制度のあり方の問題、特に研究職なり教育職なりというものを確保するために、今日までその制度の機能してきたことの意味なども十分見ながら、そのあり方についてどう考えるかというようなことなどが検討課題であろうかと、かように考えております。
 そしていつごろまでに報告してもらうのかというお尋ねでございますが、これは私どもとしてもなるだけ早く御検討をということで事実上五十六年度からもすでに審議していただいたようなこともございますので、できるだけ早めに御検討をお願いしたいということで申しておりますが、もちろん制度の基本にまで立ち返った検討をお願いすることでございますし、大変重要な事柄だと思っておりますので、若干の時間は要するものとかように考えております。
#52
○柏原ヤス君 そこで、この臨調の第一次答申の提言であるだけに、これに対応して発足した懇談会だとこういうふうに受けとめているわけです。ですから、育英奨学制度の充実のための懇談会というよりはむしろ臨調の意向に沿った経費節減のための懇談会という印象を持っておりますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。
#53
○国務大臣(小川平二君) 育英制度の見直しを行うべしというのが臨調の答申でございまして、これは無視するわけにまいりません。臨調の答申にどのように対応すべきかということは政府として方針を決定いたしておりますので、そこで、この答申を受けて懇談会を発足させたわけでございますが、私といたしましてはあくまで白紙で検討をお願いしておるところでございます。何でもかんでも経費を減らそう、そのような方針で作業していただくわけではございません。
#54
○柏原ヤス君 懇談会で育英奨学事業のあり方を議論する際に、育英奨学関係の予算のこの現状をどう見るかということも、この報告なり結論が左右される問題点だと思うんです。
 そこで、文部省として、この懇談会には育英奨学予算についてどういう説明をなさっていらっしゃるか、また、予算のことは関係ない、理想的な育英制度のあり方を検討するように依頼していらっしゃるのか、この点どうでしょうか。現状程度の予算の範囲内での制度改善を議論してもらおうとしているのか、この点具体的に説明をお聞きしたいと思います。
#55
○政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、基本的な問題にまで立ち返りましまして育英奨学事業が高等教育に対する国の助成のあり方とも関連するというような大変基本的な事柄でございます。そういうような立場に立ちまして、単に臨調答申で提言されている事柄だけに限らないで、そういう基本的な問題点も含めまして御検討なり、今後のあり方全般について総合的に長期的な観点に立って御検討をお願いしているわけでございます。
 日本育英会の今日までの事業実績でちなみに申し上げれば、日本育英会の創設以来今日まで三十八年間に奨学生としては全体で三百十三万人、貸与した奨学金総額は全体では六千三百億余りに上っている、大変今日までの積み重ねとしては非常に私どもとしては十分実績を上げてきたものとかように考えているわけでございます。今後の高等教育のあり方とも関連をしまして、そういう面に立ちまして私どもとしては御検討をお願いしているというのが現状でございます。
#56
○柏原ヤス君 最後に、外国の育英奨学事業を見ますとほとんどが給与となっております。貸与というのは限られた者だけになっている。こうした諸外国の育英奨学事業の実態を見ますと、こういう外国の例を踏まえて日本においても教育の機会均等を実現する立場からも、国家の基盤である教育を最も重要視するという立場からも、この育英奨学事業は一段と拡充をすべきだとこういうふうに思います。大臣の今後の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#57
○国務大臣(小川平二君) 仰せのように、先進諸国における公的な育英制度は給与が主体であって、貸費の制度は一部これを補完するものとして行われておるのが実情だろうと存じます。これらの制度の実態をも十分踏まえて、調査研究会におきまして十分調査研究をいたしてまいりたいと、こう考えております。
#58
○佐藤昭夫君 大臣の所信表明において、その第一に初等中等教育の改善充実の課題を掲げておられますが、まず高等学校教育の問題について質問をいたします。
 中学生から高校生という時期は、少年期を脱して青年期に入り、一定の人生観、社会観の基礎をつくり上げるという時期でありまして、高校教育は国民的な教養の基礎を完成するという重要な課題を担っていることは言うまでもありません。しかし、この大切な時期がいわゆる受験地獄によって損なわれ、学校教育がゆがみ、多くの非行を生み出す重要な原因の一つにもなっています。こうした点でまず文部大臣にお尋ねをしますが、この高校受験地獄を解消するために何をなすべきか、どのようにお考えですか。
#59
○国務大臣(小川平二君) 高等学校への進学につきましては、全国的に申しますれば昭和五十六年度において九四・三%の進学率になっております。その意味で高等学校が一つの国民的教育機関の性格を帯びてきている状況でございますから、文部省といたしましても、高等学校教育の普及並びにその機会均等を図りまするために、希望する者のなるべく多数を入学させることが望ましい、こう考えて指導を行ってきているところでございます。
 ただいま受験地獄の解消という観点からの御質疑がございましたが、かねてから入学者の選抜につきましては特定学校への志願集中等によって受験競争が激化し、正常な中学校の教育が阻害されてしまうというようなことがありませんように、調査書の活用あるいは学力検査の実施教科に対する配慮等を指導いたしてきております。各都道府県におきましても、その趣旨に沿って適切な改善措置を実行に移しておるところでございまして、たとえば調査書に五〇%のウエートを置くというような府県も次第にふえてきておる現状だと承知しております。
 都道府県の実態についてさらに申し上げまするならば、昭和五十六年度で総合選抜を実施しております県が十五県、学力検査の実施教科数につきましては同じく五十六年度において五教科が四十一県、三教科が四県、九教科が一県、その他が一県、かようなことになっておりまして、推薦入学を実施している県は二十七県でございます。
 以上でございます。
#60
○佐藤昭夫君 高校受験地獄を解消する方策について幾つか触れられたわけでありますが、それをめぐる問題については、後おいおいさらに質問をしていきたいと思いますが、いずれにしましてもこの問題を根本的に解決するためには、大臣もいま高等学校は国民的教育機関という位置づけをされておりますけれども、高校教育をどのように国民の要求に照らしてとらえるかという、このことをはっきりさせる必要がある。いまも言われてますように、高校進学率がすでに九四%を超えているという実態は、父母も子供もせめて高校だけは卒業させたいという願いを持っているあらわれであろうと思うんですが、念のためにお聞きをしますけれども、高枝教育というのは国民の最小限の教育要求と見るのか、それとも選ばれた者が進学をすればよい教育機関だというふうに見ておられるのか、その点どうでしょうか。
#61
○国務大臣(小川平二君) 一言にして申しますれば、高等教育を受けるべき資質と能力を備えた者に対する教育だと、このように理解をいたしております。
#62
○佐藤昭夫君 ちょっとただいまの答弁については意見ありますけれども、さらに議論を進めていきたいと思います。
 今日、高等学校に行かなければ社会的にも平均的な生活さえ困難であるという事実が急速に進行をしてきている。いわばこの高度に発達した科学技術の進歩が、すべての青少年に確実な基礎知識に裏づけられた多面的で創造的な能力を身につけることを要求していると思うんですね。
 お聞きをしますが、たとえば中学校卒業で取り得る国家試験資格、これにはどういうものがあるか。大学卒業、短大卒業、高校卒業、これと対比して中学校卒業という程度でどういう資格が取り得るのか、お答えを願いたい。
#63
○政府委員(三角哲生君) いろいろな国家試験等によります資格がございますけれども、そういう資格につきましては、いま若干御指摘もあったわけでございますが、それぞれの職種で必要といたします知識、技術等の度合いに応じましてそれぞれの所管する関係各省庁が法令で定めておるわけでございます。これらの資格のうち、たとえば高等学校を卒業することにより受験資格が与えられるものとしては准看護婦、これは高等学校の衛生看護科でございます。それから保母、これは保育科でございますが、そういったものがございます。また、高等学校の専攻科を修了することによって受験資格が与えられるものといたしましては、看護婦――これは衛生看護科専攻科でございます――とか、甲種二等航海士、これは漁業科専攻科でございますが、それらなどがございます。さらに、高等学校を卒業した後に実務経験を要件とするというようなものも幾つかあるわけでございます。
 こういったものではなくて、学歴資格を設けずに義務教育修了によって国家試験の受験資格を認めるものとしては、無線通信士、あるいはクリーニング師などの例がございます。
#64
○佐藤昭夫君 幾つかの例を挙げられましたけれども、数で言えばどういうことになりますか。
#65
○政府委員(三角哲生君) これはもう大変広くまたがっておりますので、全体の数を掌握はいましておりませんけれども、中学校卒業者が取得できる受験資格として、ただいま申し上げましたもののほかに、海技従事者、四級小型というものでございますが、それから特殊無線技士、電気工事士、放射線取扱主任者、二級建築士、ただしこれは卒業後七年以上の実務経験を必要としております。それから調理師、これは卒業後二年以上の実務経験を必要とする、そういったものが先ほど申し上げました二つのほかにありますが、全体の数はちょっとただいま把握しておらないのでございます。
#66
○佐藤昭夫君 局長の答弁で幾つか部分的に触れられておりますが、私も念のために自由国民社、ここから出している「国家試験資格試験全書」と、ういうものをずっと調べてみたんですね。大学卒こでどういう資格が取れるか、短大卒でどういう、高校卒でどうか、中学卒というので、詳細にそれを分類してここに書いているわけです。
 念のためにもう一回私から申し上げてみますと、大学卒で取れる資格と受験資格、まず無試験で取れる資格、これは教員、栄養士など二十一種。それから大学卒で受験資格が得られるもの税理士、学芸員など二十四種。それから大学卒業後一定の実務経験を経て得られる資格、これが防災管理者、電気主任技術者など十一種。大学卒実務経験で得られる受験資格、一級、二級建築士など二十二種。それから大学卒業程度の学力でもって試験が受けられるというのが国家公務員の上級職初め十三種、等々全部で百三種類のそういう資格が取れる。もちろん若干の実務経験なり試験を受ける受験資格というものを含めてですよ。それからあとは、もう内容は個別には省略をしますが、短大卒で取れる資格と受験資格五十九。高校卒で取れる資格と受験資格七十三。中学卒で取れる各種受験資格、これは国家公務員初級職など四十六種。それから中卒だけで受験できるが、ただし実際はこの合格がなかなか困難なものですけれども、これが四十種あると。したがって中学校卒業したということだけで取得できる資格は何にもない。もう一遍試験を受ける、受験をしなくちゃならぬという形になっておりますよね。しかし、さっき局長もちょっと触れられていますように、十七歳以上とか十八歳以上とか、そういう年齢制限、それから一定の実務経験を経なければならぬという、こういう問題とか、高校卒程度の学力が要求をされると、そういうことで実際に中学卒ということで各種の受験資格が取れるというのは、整理をしてみますと十四種類、あとは年制齢限とか一定の実務経験とか、こういうものが全部ついできますから、単純に中学卒ということで受験資格が出てくるのは十四種類ということになる。これは一つの判断の実例として私提起をしているわけですけれども、こういうふうに見ますと、中学を卒業したということだけではなかなかいまの日本の社会においても生きていくことのできる世界というのは非常に狭いということを如実にこの事実が示しておると思うわけですけれども、まずこういう実情にあるという御認識を文部省としても持っておられるかどうか。これは中学校教育、高等学校教育というものを、どういうふうに国民のそういう力をつけていく上での位置づけをしていくかという点に非常に深くかかわる問題でありますので、いま私が申しました中学校卒業ということだけでは非常に生きていく世界というのは限られたものだという冷厳な事実を文部省としてはお認めになるかどうか。このことをまずお尋ねします。
#67
○政府委員(三角哲生君) いろいろな資格でございますが、これは先ほども申し上げましたが、それぞれの職種で特に必要とする知識や技術やあるいは実習等の経験、そういったものを考慮いたしまして、そしてその度合いに応じて定められておるものでございますから、もちろん中学校卒業と高等学校卒業では、ただいま申し上げましたような知識、技術あるいは実務経験、そういったものに相違があるわけでございますので、ただいま佐藤委員がお挙げになりましたような件数の状況にあるということは、私どももそれはそのとおりであろうと、こういうふうに思うわけでございますが、たとえば中学校卒で受験資格が直ちには与えられないものでございましても、その後の、委員も御指摘になりましたが一定の実務経験というもの、これを加えることによりまして高卒者並みに受験資格等が与えられる、こういうものもほかに、ただいま御指摘の件数のほかにあるわけでございまして、たとえば三級自動車整備士でも、あるいは看護婦、准看護婦、それから乙種二等航海士、乙種二等機関士、保母、それから毒物劇物取扱責任者、そういったような例があるわけでございまして、関係各省庁とも、そういった実務経験も生かして、そしていろいろな資格が高校卒業者並みに取れるような道をつけるという配慮はしておるというふうに考えるのでございます。
#68
○佐藤昭夫君 そこで、私提起をしたのは一つの判断の基準ですけれども、父母にとっても子供にとっても、今日高校教育というのはいわば社会的にミニマムの教育要求であるということは、これはもうはっきりした問題だと思うんです。そういった点で、今日高校教育を希望するすべての子供に保障するという、こういう方向が文部省や教育行政が施策を進めていく上での国民教育としての重要な課題としてある。
 歴史的に見ますと、昭和二十二年の文部省の通達「新制高等学校実施準備に関する件」という戦後の高等学校教育の出発に当たっての通達でありますが、ここで新制高等学校の実施は日本の再建、文化国家の建設に対してきわめて重要な事業であるというふうに位置づけをして、「将来においては、なるべく多くの新制高等学校ができて、希望者がもれなく進学し得るようになることが望ましい」というのが、これが発足当初の理念であったわけですね。この理念は今日も変わりませんね、文部大臣。
#69
○国務大臣(小川平二君) 先ほど申し上げましたように、志望者のできるだけ多くが入学できるように現に指導もいたしておるわけでございます。
#70
○佐藤昭夫君 さらに昭和二十六年の文部省通達、「公立高等学校入学者選抜について」という通達でありますが、その中で、入学者選抜方法について、「入学志願者数が募集人員に満たない場合は、全員入学を許可するものとする。」とされ、さらに「入学志願者数が募集人員を超過した場合は、入学者の選抜を行う。」とされたのでありますが、その際に「なるべく多くの志願者を入学させることと、適切な学区制を実施して、志願者を各高等学校に均分させる」これが必要だというふうに述べているわけですが、「これの実施は決して容易でなく、種々の障害と困難が伴うものであるが、しかし、この他に根本的に解決の方法がない」というふうに断定をしているわけですけれども、この通達がこういう結論を出した理由はどういうことでしょうか。
#71
○政府委員(三角哲生君) 御指摘の通達でも現在の高等学校は義務制ではないと、こういうぐあいに言及はしておりますが、確かにただいま御引用のような記述になっておりますが、これはその後二十八年におきましてそこのところを変更いたしまして、やはり希望者はおよそ希望すればすべてだれでもということではなくて、高校というものはやはり選抜をして入学者を決定すると、こういうぐあいにいたしたわけでございます。これは、その間のいろいろな推移によりまして、やはりそれぞれの学校が入学者について選定をするということが必要であるという認識に立っておるわけでございます。それから、昭和三十年にはさらに学校教育法の施行規則を改正いたしまして、昭和三十八年でございますが、高等学校の入学者選抜に当たりましては、志願者が定員を超過すると否とにかかわらず、学力検査を実施するということを原則としておるのでございます。
#72
○佐藤昭夫君 局長は先走って答弁をなさっていますけれども、私が提起をいたしましたのは、戦後の新制高等学校が発足をしたその当初の理念、この理念でいけば、なるべく希望をする者すべてを入学をさせるということと、適切な学区制を実施して志願者を各高等学校に均分をさせていくというこの理念でずっと出発をしてきたという、まずここを文部省としてはよく確認をしていただきたいという、ここの基本理念については変わっていませんねということで、先ほど大臣にお尋ねをして、その理念は変わってないと。まあ、ただということでいま局長から三十八年の通達の問題が言われているわけですけれども……。
 ところで、所信表明で、文部大臣としても高校の施設の整備、私学助成の推進、これに力を入れてまいるということを述べておられるわけですけれども、特に今日のこの受験地獄の解消の観点から、高校増設、並びに増設とはいかなくとも、高等学校の収容定員増、これができるだけ希望者を受け入れていく上での必要な施策になると思うわけですけれども、そういう高校増設及び高校の収容定員増、それから公立高校と私立高校との教育条件の格差是正のための私学公費助成、こういう課題について文部省としても一段と努力をしていく。同時に、地方と申しますか、各都道府県教育委員会や自治体がこういった方向での必要な努力もやってもらうと、こういう方向で文部省としても積極的な働きかけをしていく、これは当然文部省としての目指されるべき方向だと思うんですが、そうでしょうね。
#73
○政府委員(三角哲生君) 高等学校教育の普及とその機会均等ということのために、先ほど大臣からも申されたのですが、私どもは志願者の全員というふうには辛さないんでございますが、なるべく多数を入学させることが望ましい、こういうことでこれまでも施策を進め、指導を行ってきたところでございまして、その結果として今日の進学率九四%を超えるという状況ができてきておるわけでございまして、新制高等学校発足当時は四〇%そこそこのものであったものが今日の姿になっているわけでございます。その間、ただいま御指摘もあったわけでございますが、高等学校の新増設につきましては、各地方自治体が非常な努力を重ねてまいりましたし、それから、昨今の第二次ベビーブームによりますところの高校生急増のこの期間におきましては、特に臨時特別の措置として国からも建築費の補助をすると、こういうようなことをいたしておるわけでございます。それから、私学助成についても年々拡充を図ってまいりまして、非常に財政厳しい状況のもとにおいても精いっぱいの措置をとってきておると、こういうことでございまして、私どもとしては今後とも、冒頭申し上げました志願者のなるべく多くの人たちが高等学校教育に必要な資質と能力を有する限り、入ってこれるように努力を続けると、こういう方針でおるわけでございます。
#74
○佐藤昭夫君 たくさんしゃべっておられますけれども、私が尋ねておるのは、そういう高校増設、高校の収容定員増、それから私学助成、こういう二つの課題について国としても一層の努力を今後とも続ける。それから、地方自治体としても可能な限りの努力をやってもらうよう、それを励まし援助をしていくという、この点についてもう一遍確かめておきたい。
#75
○政府委員(三角哲生君) 具体的にまあどういう意味で仰せかわかりませんけれども、お話の限り、私どもとしてはこれまでやってまいりましたし、今後もそういう方向で努力をすべきものと、こう思っております。
#76
○佐藤昭夫君 それでは次に、先ほどの昭和二十六年通達の中でも触れたわけですけれども、戦後の新制高等学校発足に当たって学区制という、この考え方を打ち出したわけでありますけれども、この学区制の目的というか本来の意義、これはどこに置いてきたんですか。
#77
○政府委員(三角哲生君) 学校は、その学校に入ります児童生徒なり学生の年齢の段階がいろいろ異なるわけでございますと同時に、学校というものは非常に一般的な教育を施す段階から漸次だんだん高度の内容を含む教育内容を持つ、あるいは非常に専門的な教育内容を持つ段階に、上の方に行くに従って進むわけでございます。大学や大学院になりますと、さらにはいろいろな意味の世界的なレベルでの研究機能というものも出てくるわけでございます。そういうことで、やはり年齢の低い段階、幼稚園のようなところは非常に地域に密着して、通園の距離とか時間とかいうものが非常に重要な要素になります。小学校、中学校とだんだんに上に上がるに従って、その辺のところはさらに広い地域で考えることもできますし、それから、教育内容や学問の内容によってはより専門的な学校を求めて遠くへ行くということもあるわけでございまして、大学の場合になりますと、これは世界じゅうから行ったり来たりすると、こういうわけでございます。高等学校の場合についても、当初高等学校なりの、公立高等学校につきましては入学者の特定の高等学校に対する区域を定めるということで学区というものを考えたわけでございます。
#78
○佐藤昭夫君 何か内容がはっきりしないんですけれども、この二十六年通達で学区制という考え方を打ち出したと。その目的、理由というのは、たとえば二十七年に文部省の調査報告として、高等学校入学者選抜実施状況及び学区制に関する調査報告というのが出されておって、そこに、「(1)教育の機会均等(2)地域社会の実態に即した高等学校の育成(3)学校差をなくすること(4)通学の便をはかり経済的負担を軽減する(5)特定校への集中を排除し、入学率を均等化して競争入学による弊害の除去」をするというふうに書いておる。これが学区制の目的、理念であったわけですね、ところが昭和三十八年に文部省の新しい通達で、通学区域の定め方について「一つの通学区域内に数校の高等学校が含まれるようにすることが適当である」という、こういう内容が出てきた。つまり中学区、大学区、これが適当であると公式に打ち出したわけでありますけれども、この根拠は一体何なのか、その根拠を何か文章化したような公的文書はあるのか、この点はどうですか。
#79
○政府委員(三角哲生君) 学区というのは、ただいま二十六年時点の考え方について御指摘があったわけでございますが、旧教育委員会法におきまして都道府県の教育委員会が通学区域の設定をするという規定がございまして、それは「所轄の地域を数箇の通学区域に分ける。」と、こうありまして、その目的としては、「高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るため、」というふうに規定があったわけでございます。そして「必要がある場合には、生徒の就学につき」その通学区域というものを「調整することができる。」と、こういうふうに定められておったわけでございます。そして、当時学区をいろいろな状況で定めてあったわけでございますが、小学区がわりと多かったわけでございます、都道府県の数で見た場合。もちろん中学区もございますれば小中の併用といいますか、そういう学区もあったわけでございます。
 文部省としましては、ただいま御引用いただきました三十八年の通知の中で「一つの通学区域内に数校の高等学校が含まれるようにすることが適当である」と、こういう考え方を示しておるわけでございますが、これはいま申し上げましたように戦後かなりの府県で採用されました小学区制というものが実情にそぐわないと、こういうことで次第に中、大学区制に切りかえられてきたという実態がございます。こういう実態を踏まえるとともに、私どもといたしましてはやはり生徒の学校選択の自由でございますとか、学校の特色の発揮でございますとか、それから能力、適性等を同じくする生徒が集まるということによります教育の効率でございますとか、それから職業教育の充実、そういった点でそれまでの小学区制にはやはり問題があるということを考慮いたしまして、この通知のような考え方を一般的に示したものでございます。
#80
○佐藤昭夫君 幾つがこの理由を挙げられてはいますけれども、その理由を文章化した公的文書というのはないわけですね。この文部省の昭和三十八年通達、これが背景になって昭和四十一年に北海道教育委員会が、いま文部省も触れている学校選択の自由とか子供の能力、個性を伸ばすとか、そういう理由で小学区制をやめて大学区制にしたと、これは一例ですけれども。こういう大学区制がどのような弊害を高校教育にもたらしたのか、文部省は調査をしたことありますか。
#81
○政府委員(三角哲生君) 私どもは入学選抜の問題につきましては、これは従来から当然のことながら各都道府県の教育委員会が地域の実情、生徒の状況等を考えて改善を図ってきておると、こういうことがございまして、具体的な学区の設定につきましても、これは従前から各都道府県が、御指摘もありましたが、都道府県内の生徒の通学の便でございますとかあるいは地域の要望等を考慮して最もふさわしい区割りをつくると、これを入学者選抜方法とも関連させて弾力的に対応していくということが適当であると考えて県を指導してきておりますわけでございますが、そういったことで、各県からいろいろと状況につきましては聞かせていただきまして承知をしておるわけでございます。
 ただいま中学区制あるいは大学区制についての御批判があったわけでございますが、私どもとしてはそれは確かに小学区制に比べますと、入学競争というものが小学区制の場合よりは度合いが強くなるといいますか、激しくなるということがございます。それから、程度の差ではございますが、小学区制よりは通学距離も拡大する、あるいは持っていき方と申しますか、指導の仕方と申しますか、そういったことによりましては、学校選択に伴いまして不相当な優越感や劣等感といったようなものが出てくるということは考えられると思うのでございますが、反面、先ほども申し上げたわけでございますが、学校選択の自由を確保する、あるいは学校の特色を発揮して特色ある学校がそれぞれ生き生きとした教育活動を展開する、あるいは能力、適性、興味、関心等が比較的共通の子供たちを集めることによって非常に目的意識もはっきりした指導なり学習なりができる、あるいは職業教育の充実を図ることができる、こういったメリットも非常に大きいと、こういうふうに思っておるのでございます。
#82
○佐藤昭夫君 いろいう言われておりますけれども、問題の本質のとらえ方が非常に弱いと思うんですね。いまの北海道の例でいきますと「みんながそろって高校へ」という、こういうタイトルがここに掲載をされておるわけですけれども、全道の生徒九千二百九十九名、ずっとこのアンケートをとって、いま通っている学校は中学時代から入学を希望していた学校ですかという問いに対して、ノーというのが私立ては七九・六%、公立ては四四・六%ということで、大部分が、公立ても半分近くが自分の望んでない学校へ行かざるを得なかったと、決して進路、適性に応じた高等学校へ進学をするという、うたっている目的のような形には実際はなってない。
 それから、全道の教師三千四百四十四名のアンケート、大学区制が教育をよくしたのか悪くしたのかということで、悪い影響が出てきたというのが七五・九%、学校格差が広がったというのが九三・六%という、やっぱりこういう生徒や教師のアンケートの結果が出ている。これは北海道だけじゃない、全国の学区がどんどん拡大をされていく中から共通した意見として出てきておる問題だと思うんですね。
 片や長野県では、昭和四十九年に四通学区制から十二通学区制、すなわち大学区制を中学区制に改めると、こういうことをやったわけですが、このことによってどういう教育的効果があったのか、一定の報告が出ているのですけれども、文部省は御承知でしょうか。
#83
○政府委員(三角哲生君) 私、ただいま承知しておりません。
#84
○佐藤昭夫君 やはり、学区制問題に対する文部省の真剣な取り組みがなされてないあらわれの一つだと思いますが、紹介をしておきましょう。
 長野県教委の報告によりますと、通学時間が節約され、クラブ活動が活発になり、生徒指導も行き届くような方向へ向いてきたと。それから、いわゆる有名校がばらまかれ、それが均一化するわけですね。高校格差が縮まってきた、国立大学への入学者は前の大学区制のときとほぼ同じであると。こういうことで、やはり学区制を縮めたことで教育効果が上がってきたということを公式に長野県教育委員会としても報告をまとめておるわけですね。
 二つの例を挙げたわけですけれども、文部省の発行しました昭和五十五年度の教育白書、ここでも「昭和三十年代末から四十年代に入り、進学率の上昇とともに高等学校の学力面の学校閲格差、受験準備教育の過熱が指摘されるように」なったというふうに、その教育白書の五十五年版九十四ページのところで触れていると思うんですけれども、こういった学力面での学校格差は解消すべきであると、こういう考え方に文部省としては立っているんでしょうか。
#85
○政府委員(三角哲生君) 学校格差という言葉は必ずしも意味内容が明確でない言葉じゃないかというふうに思うのでございます。場合によりましては、学校間の相違であるとかあるいは学校ごとの特色であるとかといった方がいい場合もあろうかと思うのでございます。学力による学校格差というのを、もしそれを全部同じにしようといたしますれば、学力の差というのは全部の学校の中に今度は閉じ込められると、こういうことになるわけでございます。学校の格差として私どもこれは解消しなくちゃいけないというのは、施設設備の条件でございますとか、その学校に配置される教員の質でございますとか、その学校で行われる指導の充実の度合いとかそういうことでございまして、高等学校ということになりますと能力、適正、興味、関心、非常に多様なものが入っておる。特に九四%入っておるわけでございますから、そういうことですから、いろいろ特色のある内容なり教育のやり方なりを研究して主体的に判断をして学校づくりを進めると、こういうことが大事なことでございまして、私どもは学力による学校格差云々ということは考えておりません。
#86
○佐藤昭夫君 何をぼけたことを言っているのか。
 いまここに手元にある数字で申し上げましょう。東京都の、文部省が先ほど来問題にしておる、私が問題にしておる三十八年通達を出したその時点、東京の第一区内部立高校の現役、浪人を含めての東大合格者――ここの第一区というのは学校が全部で十二校あるんです。この中で三つの学校で圧倒的にそこへ東大合格者が集中している。日比谷に百六十七名、小山台に四十四名、九段に十六名。これはよくいろんな本に引用される数字ですから有名な数字なんですよ。三つの学校で東大に全部で二百二十七名集中しておるんです。そこの第一区十二校全体で二百四十名。だから、二百四十名の東大合格者のうちの圧倒的部分、二百二十七名が十二校のうち三つに集中している。これはたまたま東京だけの例じゃないでしょう。全国至るとこみにこういう問題が今日発生をしてきているんじゃないんですか、特定の学校にがあっと集中をしてくる。これがいわゆる学校格差、学力面での学校格差ということが言われているのです。この事実を全く知らないんですか、局長は。大臣は知らないんですか。そんなことはございませんというようなそういうばかげたことが国会の場で通用する論法じゃない、知らないんですか。
#87
○政府委員(三角哲生君) そのような状況なり傾向なり知らない人はまあ少ないと思います。
#88
○佐藤昭夫君 さっきそんなことございませんと言ったじゃないですか。
#89
○政府委員(三角哲生君) ただ、学校格差という字を使いますと、何かそれがいいことであるとか何とかいう感じになりますが、私どもはそういう観点を持っておらないと、こういうことでございます。
#90
○佐藤昭夫君 ますますばかげた答弁を続けるわけですけれども、具体的な数字を出して私指摘したんですから、少なくとも大臣は御理解いただいたはずだと。局長はかたくなに自分の一たん答弁したことを固守をしていますけれども、大臣はひとつ率直に、東京だけじゃない、全国的にそういうゆゆしき問題が今日起こってきているんだということをしっかり認識をしていただきたいと思うのです。
 近年、大臣も所信の中でも力を入れてやっていくというふうに言われておる中学生、高校生の非行問題が重大な問題になってきていますけれども、非行に対する対策指導をどうするかというこの問題でも、学校の教師と父母、地域、ここが緊密な協力態勢をとっていくということがきわめて重要だということはいうまでもないわけですね。同時に、非行問題の重要な原因の一つに学力問題がある。できる子、できない子という劣等感、ここからいわゆる落ちこぼれといわれるこういう現象が生まれてみたり、果ては非行というところへ突き進んでいく。そういう非行そのものに対する対策指導をやる上でも、教師と親とが緊密に地域的に結びついておるような態勢。それから、子供の学力を豊かに育てていくという点でも小中高が一貫して、結びついたそういう結びつきの態勢。これが非常に教育的に重要であることは明白だと思うのですけれども、そういった学力、非行問題の解決のためには、今日長野県教委の報告も出ていますように、学区を拡大をする方向じゃなくてむしろ縮小する方向、これが教育的に非常に有益だし、そのことこそが今日求めていくべき方向なんじゃないか、こういう点について大臣の見解どうでしょう。
#91
○政府委員(三角哲生君) 委員長……。
#92
○佐藤昭夫君 局長、あなたはもう答弁要らないですよ、大臣の答弁ということで要求しているんですから。
#93
○政府委員(三角哲生君) ちょっと前座を務めさせていただきます。
#94
○佐藤昭夫君 要らぬよ。
#95
○委員長(片山正英君) 簡明に願います。
#96
○政府委員(三角哲生君) おっしゃいます地域とのつながりでございますとかそれから生徒指導の面、こういうことは私どもも考えておるところでございます。しかし、高等学校という段階になりますとこれはやはり幼稚園や小学校とは若干状況が異なりますので、学区というものはある程度の広がり――私どもはこれまで中学区ということで指導してまいっておりますけれども、それがあった方が能力、適性、興味、関心、進路等が多様な年齢段階の生徒を構ってあげるやり方としては適切ではないかと、こう思っておるのでございまして、長野県の例は御指摘がありましたように私どもも勉強をしたいと思いますが、要は縮める場合も大から中へとおっしゃいましたけれども、縮めぐあいが地域の実情なり生徒の状況にどういうぐあいに適合していくか、こういうことであろうかと思うのでございまして、私どもはやはり高等学校について小学区制とすることは先ほど来申し上げておりますような理由から適当ではないと、こういうふうに思うのでございます。もちろん地域とつながりを持つために、あるいは小中高等学校との連係を密接にするためにいろいろな手だてを講ずべきことはいうまでもないわけでございまして、私どもが進めております生徒指導対策推進地域のシステムなどはそれをねらったものでございまして、各学校がそのために努力をしていくと、こういうことは必要であると思っております。
#97
○佐藤昭夫君 大臣の御答弁をいただく前に、もう一遍念のために申し上げておきますけれども、私は小学区制がベストだという見解を文部省として公式に打ち出しなさいという、そういう性急な問いをしているわけじゃない。いまこの学力問題、非行問題が重大化してくるこういう時期に、学区を広げるんじゃなくて、むしろ学区を縮めると、こういう方向が大事なんじゃないかと、学区制を検討するとすれば。文部省としての指導方向としてそういう立場をとってもらう必要があるんじゃないかと。もちろん学区を決める問題は都道府県教育委員会の自主性の問題ですからあれですけれども、その点を聞いているんです。大臣どうですか。
#98
○国務大臣(小川平二君) 先ほど来政府委員から申し上げておりまするように、非常に多くの府県で小学区制をとっておりましたのが、経験に徴して逐次中学区制、大学区制に切りかえてきておるというのが現状だと存します。これは経験に徴して小学区制と中、大学区制を比較いたした場合に、やはりこれも先ほど来申し上げておりまするような中学区制ないし大学区制のメリットに着目をして逐次切りかえておいでになったものと考えております。さような実態をも踏まえまして、文部省としては中学区制で指導いたしてきておるわけでございまして、私は学区を小さくすればするほど教育効果が上がるという考え方は持っておらないわけでございます。
#99
○佐藤昭夫君 この問題の昭和三十八年通達以来すでに二十年経過しているわけですね。二十年といえば、いろいろ制度についての見直しをやる必要の出てくるかなり長い年数だと思うんです。で、この中学区制がいいんだということを打ち出した昭和三十八年以来それだけの年数がたっておると、しかも当時には考えられなかったような非行問題というようなゆゆしい教育上、社会上の問題も今日登場をしてきている。こういう状況のもとでどういう学区制が一体好ましいのかという問題について、私は広げる方向じゃなくて、やっぱり狭める――それは何もストレートに性急に小学区制へ持っていけということを言っているわけじゃない。しかし、広げるんじゃなくて狭めるという方向に、もし検討するとすればそういうことが検討されてしかるべきじゃないか。重ねて大臣に答弁願います。
#100
○国務大臣(小川平二君) 先ほど非行問題に関連をして学区は小さくした方が望ましいと、私は御発言を聞き違えておればお許しをいただきとうございますが、お話であったと存じますが、これはお言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、能力、適性において大きな格差を持っておる学校、いわゆる落ちこぼれが出やすい学校じゃなかろうか、これがほぼ均質であるという学校の方がむしろ生徒指導も徹底を期することができるのではなかろうかと、こう申し上げればおしかりをいただくでございましょうか。私はそのようにただいま考えておるわけでございます。
#101
○佐藤昭夫君 私の尋ねていることにお答えください。
 学区制をもし検討をするとすれば、もうここ二十年ぐらいたってきたわけでしょう、ということで、もし検討するとすれば、広げる方向じゃなくて狭める方向こそ教育的に有益じゃないかという見解にお立ちになりませんかと、こういうことを聞いている。
#102
○国務大臣(小川平二君) どのような制度にもメリット、デメリットがあると存じます。これを比較考量いたしまして、文部省としては中学区制あるいは大学区制を指導して今日に至っておるわけでございまして、これを縮める方向で検討いたすつもりはただいまのところございません。
#103
○佐藤昭夫君 長野県教委の報告も挙げながら提起をしているんですけれども、よく研究をしてください。どういう学区制のあり方が教育的に好ましいのか文部省として研究をすると、いろんな報告書なんかも取り寄せて、この点はお約束できますね。
#104
○国務大臣(小川平二君) 学区制、申すまでもなく非常に大事な問題でございまするから、ただいま御指摘のあった事例等も十分調査をしさいにいたしまして、これからも改善の余地があれば改善を図らなければならない大事な問題と心得まして検討を続けるつもりでございます。
#105
○佐藤昭夫君 もうこの問題で大部分の時間がなくなったわけでありますけれども、最後に一つ別の問題でお尋ねをしておきますが、教科書検定をめぐる教科書における自衛隊の問題の記述にかかわって、その検定の物差しですね。教科書では自衛隊は、合憲、違憲両論併記をする、これがたてまえだというふうに私ども承知をしているわけですけれども、ところが二宮書店発行の「現代社会」という教科書、この教科書において検定前の白表紙本では、「自衛隊はその規模・装備・能力からみて、保持を禁止された「戦力」にあたり、違憲であるという主張もある。」と、こういう記述があった。これに対して二度にわたり調査官による改善意見があり、結局削除をされてしまったということでありますが、この二宮書店発行の「現代社会」、ここにおける自衛隊の両論併記、どこが問題であったんですか。
#106
○政府委員(三角哲生君) ただいま特定の出版社の特定の教科書について御指摘があったわけでございますが、私ども自衛隊に関する教科書の記述について検定を行います場合には、まず自衛隊の任務や役割りが生徒に正しく理解されるような記述となるように求めておるところでございます。
 これは「現代社会」の教科書でございますから、私どもとしては、この自衛隊のような問題について、やはり日本の現在の状況で実現されております法的、制度的な面についての基本的な理解の上に立って実態についての正しい理解を得させると、そういうことが基本でございます。その場合に、憲法第九条と自衛隊の関係を記述して違憲論にも触れている場合には、これは全体としてバランスのとれた記述になるように求めておるのでございまして、両論併記と申しましても、これは学説を羅列するのが教科書の目的ではございませんので、いま申し上げましたように適切な均衡のとれた記述ということを求めるということでございまして、違憲論にも触れている教科書――教科書は皆それぞれ違憲論にも触れているわけでございます。特定の教科書に対しての検定の経過ないしは理由等につきましては、余り立ち入って申し上げることは差し控えたいと思っております。
#107
○佐藤昭夫君 先ほど私が引用いたしました、これこれ、これこれのあれで「違憲であるという主張もある。」という、ここのくだりが削られているんですけれども、その前段に、「政府は」これこれ、これこれで「違憲ではないという見解をとってきた。」というのが前段に明記されているわけです。その後に続けて、違憲であるという意見もあるという、ここを削りなさいと。しかも、著者が言っておられるところによりますと、自衛隊は国民の八〇・七%以上賛成しており、この記述は好ましくないんだという、こういう意見を調査官の方から二回にわたって言ってきた。わが国の憲法、行政法などの公法学者四百十八人を対象に法律時報という雑誌の編集部が自衛隊、安保条約、憲法問題についてのアンケートを行った、その結果が昨年の五月号に掲載をされておりますので、これも御存じないと思うんですけれども、自衛隊は違憲であるという四百十八人の公法学者の七一・三%が、やっぱり専門家の意見がそういうことになってきていると、こういう状況で、この違憲であるというふうに書いたこれが、国民の八〇・七%が自衛隊に賛成しておるんだから、そういう記述というのはよろしくない、それは削りなさいと、こういう調査官の指示というのは、これはもう明らかに不当であるというふうに思いますし、そういう特定の考え方をいやしくも子供の教科書に押しつけてくるということになったらゆゆしき問題、そういう点でこういった恣意的な検定強化、これは断じて改める必要があると、それから検定内実を公開をすべきであるということを強く主張をするものでありますが、こういった事実関係を含めて大臣の答弁を求めます。
#108
○政府委員(三角哲生君) 重ねての御質問でございますから申し上げますが、違憲論にどの教科書も触れておると思っておりまして、まあ御指摘の教科書だろうと思いますが、その教科書にも、憲法九条に関しては国民の中にも対立がある。自衛のための戦力は合憲であるとする者、自衛隊は戦力に当たり違憲だとする者、憲法を改正して自衛のための戦力保持を明記すべきだとする者、憲法は改正すべきではないとする者などがある。自衛隊をめぐる第九条の解釈についていまこそ国民の合意が望まれるのであると、こういうことで最後の締めくくりはそもそも当章の著者が考えていたトーンで締めくくられておると、こういうぐあいになっておるんじゃないかと私思いますけれども、まあ御指摘でございますので、もう一遍原典に当たって調べてみてはと、こういうふうに思うのでございます。
 私どもは決して恣意的な検定を行っておらず、検定基準及び学習指導要領に基づいて検定を取り運ぶよういたしております。
 それから、検定の経過を公開と申しましても、検定というのは非常に長期にわたりまして、そうして発行者、著者との間に何遍も、こちらからも意見を申し、先方からもいろいろと申し出をいただくという作業をやっております非常に複雑で内面的な作業でございます。そうしてでき上がりましたものはできるだけ公正な採択に付すと、こういうことが眼目でございますので、その採択に対して検定の経過というようなことが何らかの影響を与えるということも考えられますので、私どもは、検定をした後はどんなにいろいろな意味での御批評なり攻撃めいたことがありましてもできるだけ沈黙を守ると、こういうことで従来やってまいりましたし、今後もやっていきたいと、こう思っておるのでございます。
#109
○佐藤昭夫君 大臣。
#110
○国務大臣(小川平二君) 教科書の検定は、改めて申し上げるまでもなく、検定基準にのっとりまして、中正を旨として、教科用として真に適切なものたらしめるべく検定を行っておるところでございます。
 ただいまお話しの自衛隊の問題でございますが、自衛隊をめぐって合憲、違憲の両論があることは否定できない客観的な事実でございまするから、両方の論を併記しておるからといって不合格にするようなことはもとより考えておりません。ただ、教科書は幾つもございまするし、文部省自身が著作をするものではございませんから、教科書によってニュアンスの相違が出てくるでございましょう。人おのおの立場が違い、価値観を異にしておりまするから、仕上がりに対してはいろいろな御批判もあろうかと存じます。それらの御批判は申すまでもなく謙虚に受けとめて今後の参考にいたしますが、文部省の姿勢は冒頭に申し上げたとおりでございまして、これからもそのような方針で厳正な態度で検定をしてまいるつもりでございます。
#111
○委員長(片山正英君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#112
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大。木正吾君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
    ―――――――――――――
#113
○委員長(片山正英君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は御発言願います。
#114
○小西博行君 大臣の所信表明に対する質問を幾つかやら世でいただきたいと思います。
 まず冒頭に非常に私はりっぱなことが書かれているというふうに感心したわけでありますが、「これからのわが国の教育は、一方では、変化する社会環境の中で生涯にわたってその個性、能力を伸ばし、他人を思いやる心の温かさと社会的な連帯意識を有し、生きがいのある充実した生活を送ることができるような国民の育成を目指」すと。それからもう一方では、「進展する国際社会の中で信頼と尊敬を得るような日本人の育成を図っていかなければなりません。」、大変私自身もこのように早くやっていただきたいという気持ちでいっぱいなわけです。
 そこで、所信表明というのは非常に短い文面でまとめなきゃいかぬという一つの要望もあると思いまして、中身がなかながわかりにくい面があると思います。そういう意味で、これはもう少し何か中身の具体性のあるそういう所信表明ができましたら大変助かるという感じがしているわけです。
 いずれにしましても、いまの二つの方向ということを明確にされているわけでありますから、それぞれに対する具体的な大臣のお考え方、これからどういうふうにやってそれを達成していくか、この辺をまずお伺いしたいと思います。
#115
○国務大臣(小川平二君) 御承知のように、非常に大きな変化が急速に進んでいきつつある環境下におきましては、生涯の各時期を通じて絶えず学習することによって個性、能力を伸ばしていく必要がある、いわゆる生涯教育ということが今日の大きな要請であると存じますので、学校教育の改善充実はもとよりでございますが、社会教育、体育・スポーツの振興を図っていかなければならない、かように考えておりまするし、国際関係、ますます緊密の度を加えておりまするから、これに対応した教育、学術、文化の、特に国際交流ということが大切でございますので、この目的に合至するもろもろの施策をますます充実をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
#116
○小西博行君 いまおっしゃいましたようにたくさんのそういう問題がございます。言葉では、確かに最後に申されましたように、国際社会の中でという項目で、国際的な教育というものをよく考えていかなきゃいかぬ、お互いに交流を図らなきやいかぬ。で、この問題を一つとらえましても、大変受け入れ体制にいたしましても、海外へ出てもなかなか教育の充実というところまではいっていないという現実があります。その問題につきましては、今度また委嘱審査ということでかなり予算の関連を含めて詳しい質問ができるというふうに聞いておりますので、これ以上深く入らないことにいたしますけれども、いずれにしても、その後に、第一、第二、第三というふうに六つほど具体的な項目で掲げておられます。私、その中で、まず先ほど午前中も少し質問がありましたが、四十人学級の問題ですね。これはできるだけ早くそのように実現されるという大臣の決意だそうでございますので、それ以上は追及したくはありません。
 もう一点は教員数のいわゆる定数の問題ですね。私はどうも教育行政全体を見てみますと、やや量的な整備というものがどんどんやられて、現実的には質の向上というものが大変おくれているんじゃないか。その第一は、やっぱり教員の資質といいますか、教員をもう少し訓練し直すといいますか、そういう面が非常に私は大切だと思います。それはなぜかといいますと、この間ちょっと予算委員会の方でも質問申し上げたわけですが、たとえば蓬莱中学というのがございますね。非常に非行問題で悩んでいた学校が最近は非常にいい方向に解決されつつある。それから中野七中の場合はもうこれ大変いま悪い状態にある。具体的にそういうような問題がもう出ておるわけです。もちろんこれは教員だけでこなせるとは私も思いませんけれども、やっぱり地域の問題とか、皆さんが協力して解決している。しかし少なくとも教員そのものは指導力であるとか、それから使命感、こういうものを私はどうしても持っていただくような教員の再教育あるいは採用に当たっても優秀な人をお願いしたい。このように考えておるんですが、その辺に対する具体策ですね、それをお聞きしたいと思います。
#117
○国務大臣(小川平二君) 仰せにはまことに御回感でございます。教員の資質向上に努めまして使命感を持った、かつ十分な指導力を備えた権威と魅力のある教職員を養成していかなければならない。そのために、今日まで新規に採用いたしました直後の研修あるいは各教科ごとの研修も行っておりまするし、都道府県教育委員会が行っておりまする各種の研修事業にも助成をしておる、こういう現状でございます。
#118
○小西博行君 どうも具体性に欠けるんで、私も、いや実はこういうことをやったら一番いいと思いますと、何かそういう具体策が本当は欲しいのですね。
#119
○国務大臣(小川平二君) ただいま大変大ざっぱなことを申し上げましたので、具体的に現にやっております施策については政府委員からできるだけ詳細にただいまお耳に入れさせます。
#120
○政府委員(三角哲生君) 教員の資質向上のための研修事業の状況について申し上げます。
 まず第一は、新規採用教員、この時期が非常に重要でございますので、これに対する研修事業を実施いたしておりまして、一つは一般研修で、これは小・中・高等学校、特殊教育諸学校の新採用教員を対象に、教育基本法、教育の使命、それから教員としての服務、それらの基本的な心構えについての研修でございまして、期間といたしまして十日間、五十六年度の採用者につきまして約四万二千三百人を対象に実施をいたした次第でございます。それからもう一つは授業研修でございまして、これは養・小・中・高・特殊の新採教員を対象に教育指導に関する講義演習等の授業形態でございまして、年間を通じてこれまた十日間という日程で実施しておりまして、これは五十六年度採用者約五万三千人を対象に行っております。
 それからもう一つは教職経験者研修ということでございますが、これは研修の機会が比較的少ない時期に差しかかります新採用後五年程度の小・中・高等学校、特殊教育諸学校の教員に対する研修でございまして、これは年間六日間を期間にいたしておりまして、五十六年度は約三万四千人を対象に実施をいたした次第でございます。そして、以上の経費として明年度予算でお願いしておりますものは二億四千百九十一万一千円ということで五十六年度と同額になってございます。
 もう一つは、小西先生御存じの教員海外派遣研修でございます。五十六年度の実績派遣人員は三千七百五十七人、こういう状況でございます。
 それから、さらにもう一つのカテゴリーとして実施いたしておりますものは校長等の研修でございまして、これはまず中央での研修といたしまして校長、教頭等研修、これが千人でございます。それから中堅教員研修、これが八百人でございまして、この両者を実施いたしておりますが、この内容といたしましては、学校管理、それから教職員の服務関係や各教科の指導上の基本の問題などにわたりまして取り上げておりまして、それの形といたしましては参加者相互の交流、研さんを深めるという趣旨も含めまして長期の宿泊研修として筑波にございます国立教育会館の筑波分館、ここにおいて実施をいたしておるのでございます。
 なお、このほか都道府県単位におきましても文部省の予算支出による研修としていま申し上げましたような校長等研修を実施しておりまして、これらの経費は四千五百五十五万二千円、五十六年度実績の人数は先ほど申しましたのと同人数の文部省の中央研修は千八百人と、こういうことでございますが、このほかに都道府県ないしは指定都市が行いますいろいろな趣旨の研修につきまして文部省といたしましてそれに対して経費を支出をいたしましたり、あるいは奨励をするというような方法も別途講じておる次第でございます。
#121
○小西博行君 いま局長のお話ですとずいぶんそういう研修会なんかも催されたり、あるいは海外へ出していただいて、そして勉強して帰る、教員の資質向上という面では相当やっておられるんだけれども、どうも教育全体という形で見ると余りいい方向に走っていないような感じが、後ほどちょっと述べます非行問題とか暴力問題というひとつ数字でこう出てしまう、その辺に私は非常に大きな問題があると思います。
 次へ移りますが、実は日本学校健康会ですね、これもひとつの大きな合理化の一つということで私も伺っております。いま健康会法案ということを審議中でありますけれども、これも実際には児童の健康といいますか、そういうものを大前提として置いてがんばっているわけなんですけれども、どうもこういうものも全体を含めてもっと機能向上ができぬのだろうかな。私はこの法案に対しては大変疑問を持っておるわけでして、ずっと反対はしておりますけれども、二つの組織を一つにまとめる、給食会と安全会を一つにまとめて健康会というのをつくろうと、その趣旨はよくわかるんですけれども、機能的にはじゃどういうふうにいい方向にいくんだろうかということになりますと、どうもまだまだあいまいで私自身が納得できないわけなんですけれども、合理化するんであればもっとそれぞれの職員が少なくなるような方法とか人数そのものはもう五、六名しか少なくならないということでありますから、そういう意味で中央から地方の段階へかけてもっと何か同じように金を使うのならば、目的ははっきりしているわけですから、それに向けて機能的な整理ということはできないんだろうかな、そういう感じがするものですからちょっとお伺いしたいと思います。
#122
○政府委員(高石邦男君) 先生御承知のとおり、放送大学学園を特殊法人として設置する際に、特殊法人全体の数を総枠の中で抑えるという大前提のもとで行政機構の合理的再編成ということを文部省としては考えたわけであります。そこで、健康問題について同じような取り扱いをしております日本学校安全会、日本学校給食会というようなものは、食べること、それから子供の安全教育、そういう点で関連のある仕事をやっている両法人を統合させるということは、それぞれ別個にそれぞれの特殊法人がやるよりも、健康問題を考える場合には一歩前進した対応であるということでございます。
 ただ、健康問題全体を総合的に取り扱うという点においてはこの両法人の統合だけでは十分でないという点もあろうかと思いますけれども、それらの問題は今後逐次整備していくということで、とりあえず一歩前進の形でのこの両法人の統合の内容をお願いしているわけでございます。
#123
○小西博行君 どうしても中央でコントロールしないと地方のいわゆる安全会であるとか給食会がうまくいかない、そのために中央で一つの組織をつくられてやっておられる。これは私よくわかるんですけれども、しかしいまほど大ぜいの人数をかけてやらなくても、もう米にしても食糧関係はほとんど地方で満たされるような状態になっていますね。だから、私その辺も、大臣含めましてもう一度検討していただきたいなと、そういう感じがしております。この問題は次の段階でまたやらしていただきますのでこのぐらいにしておきたいと思います。
 次は非行問題あるいは校内暴力、こういう問題について二、三点お尋ねしたいと思います。
 私は非行問題とか校内暴力をずっと調べていけばいくほど現在の教育あるいは社会環境、こういうものがやはり非常に深い関係があるという感じがしておるんですね。と申しますのは、この間、高木先生が非常にいい質問をされたと思うんですが、教科書一つとらえても、中身の論議は別にいたしましても、非常に煮詰まったものが、エキスばか碁連続で出てくるという――まあある誌面の制約があるんでしょうからそうなるんでしょうが、予算の関係で。おもしろく本を読めるというようなことではないような気がするんですね。私自身は大学でいろいろ教えておりました、十二年ほど教えておりましたけれども、大学へ入ってくる子供さんなんかでも劣等感のかたまりというのが非常に多いんですね。大体講義を聞くときというのは後ろの方へ座る。後から入ってきて後ろへちょこんと座って出席だけとるとか、大体こういうようなスタイルというのは、私立大学の場合ですけれども、恐らく三分の二ぐらいが大体そういう雰囲気で授業に出ているんですね。いろいろ聞いてみますと、やっぱり小学校時代から自信を持って、自分は数学ができたとか、あるいは国語で百点とったんだとかという、その喜びをほとんど知らない子供さんが多いですね。私はそういうような感じで、どうも非行問題というのはずっと追っかけてみますと、やっぱり学校がおもしろくないんですね。学校行って先生にまたやられりゃいかぬし、中身はわからないし、九九もできないのに高等学校へ入っているというのが現実にあるわけですから、その辺が実は学校における一番私は大切な教育の問題じゃないかと思うんですね。社会問題のことばかり言っても、これはいまの場合は文部行政としてすぐさま解決できないと思いますので、私はそういう意味で教育の仕方というのがどうも問題があるんじゃないか。あの六・三・三制という学年制も実は問題があるんじゃないか。これも次のまた委員会に質問してみたいと思っておるんですが、やっぱりこの六年制、たとえば中学、高校が六年間そのまま継続できるような学校がありますね、私立なんかでも、あるいは附属なんか。こういう学校はたとえば東大の合格率なんか見ましても非常に高いわけですね。あるいは慶応、早稲田でも非常に高いです。だから、何かそういう受験勉強のためにもう大半の者が理解されないけれども、トップクラスといいますか、上位の者を中心型で押していくという、そこにおもしろくない現象が出てきているんじゃないだろうか。つまり、自分の満足感というのは一回も得ないままに大学まで行ってしまうというのがいまの教育のいわゆる量的な拡充といいますか、私はそういうような感じがしてならないんですね。その辺のことに対しまして大臣はどういうようにお考えでしょう。私はいま申し上げたように感じているんですが、どうなんでしょうか。
#124
○国務大臣(小川平二君) 仰せに私も御同感でございます。それで、先ごろ学習指導要領を改めまして、学習指導要領に書いておりますことも、従来の羅列的、網羅的なことを避けて大綱だけを示す、学校における教育も詰め込み主義を避けてできるだけゆとりを持たせようと、こういう方針で臨んでおるわけでございます。
#125
○小西博行君 文部大臣、小学校、中学校の子供さんの教科書、大分読まれましたか。
#126
○国務大臣(小川平二君) 文部大臣に就任いたしましてからできるだけたくさんの教科書を読んでおります、中学校、小学校。
#127
○小西博行君 授業参観に行きますと、教科書もそうなんですけれども、非常にテンポが早いんですね。たとえば掛け算で一けたでやっているうちはいいんですけれども、すぐ二けた、三けたということでぽんぽんと飛んでいくんですね。私は、小学時代というのはもう少し何か繰り返しを多くしてやるような方式がとれぬものだろうかなと。ところがそれをやると最後までやっぱり終わらないんですよ。私は、小学校というのはどうしてもそういう意味では、トップ層は確かにまあ余りやさし過ぎておもしろくないという不平があるかもしれませんけれども、少なくとも小学校時代というのは昔から言っている読み書きそろばん的なそういうものを十分にやっぱり訓練をしまして、そして本人がまあある意味の自信を持てるような体制にしてあげないといけない。そこで、この間ちょっと申し上げた蓬莱中学なんかは、いわゆる教科で落ちこぼれたのはスポーツでカバーする。たとえば教科では成績悪いんだけれども、クラブ活動ではおれはできるんだという、そういう自信を持たす。それでだめなら野外活動だというような、二段、三段というようなことを考えておられるんですね。私は非常に感心したわけです。そういう意味で、どうも非行問題とか校内暴力のもともとの芽はやっぱり大きな受験勉強というのが一つあるでしょう、受験生がとにかく受からなきゃいかぬという。そのためのやっぱりおもしろくない授業をどんどん詰め込むというか、だから勉強して理解するんじゃなくて、とにかくそれを一応暗記したというか、その辺に大きな私は問題が残されているという感じがするんですね。その辺をいまの学習指導要領だけ見ても、これは先生によってこれを判断してやるということなんですけれども、問題は先生そのものがそういう動機づけのできるような、生徒全体にやっぱり関心を持って常に指導できるようなそういう体制が本当にあるんだろうかなと。そのために四十人学級ということを言っていると思いますけれども、むしろ先生の方に余裕があって生徒の方は余裕がないんじゃないかな、こういう感じがしてならないんですね。
 だから、私はその辺をもう一回、これは中教審に答申するまでもなく、もう現実に調べたらそういう問題いっぱい出ているわけですからね。もう一回その教え方のカリキュラムというのを上手に私考えてみる必要があるんじゃないかという感じがするんです。
#128
○国務大臣(小川平二君) 学習指導要領を改めまして、これを受けて教育課程の改善もやったわけでございまして、時間数を減らして浮いてくる時間を、たとえば勤労生産学習というようなことに振り向けていく、小中学校ではできるだけ基礎的、基本的なことを教えていくという方向で努力をいたしておるわけでございます。
 いまお話が出ましたように、算数や国語の時間で出番のないような生徒でも、野外活動をやらせるとたちまちリーダーになるというようなことはずいぶんあることと思いますから、そういう点に着目して、それぞれの児童生徒が持っている潜在的な能力を引き出してやることに先生方が努力していただく、これは非常に大事なことだと私も考えております。
#129
○小西博行君 自主的というのはよくわかるんですよ。自主的にはそれぞれやっておられると思いますね。現場の先生方が一番本当は苦労されていると思うんです、そういう問題よくわかっているだけに。ただ、私はいつも申し上げておるんだけれども、せっかく文部省というエリートの方ばっかりが集まって文部行政をやっているわけですから、もう前々からそれ言っているんですね。当然そういう校内とか非行問題だとかいうのはもう前からずうっとふえてきておるわけですから、もっと何か要因の分析をうまくやって、もっと効果的な教育ですね、本当にここに書かれておるような生きがいのあるようなそういう人間をつくっていくわけですから、教育の中にもそういう充実感のあるような勉強の仕方というのは私はあると思うんです。だから勉強のできる子というのはその辺が非常に上手なんですね。そしていいチャンスをやっぱり一回か二回経験していると思うんですよ。絵の得意な人だとか、あるいは文部省の方は成績が優秀だったと思いますが、やっぱり算数がよくできたというのでほめていただいたチャンスがあったとか、ところがチャンスのない方が実は問題なんですね。だから、その辺を私はもう少し、文部省の中でどういう指導の仕方、教え方をしたらいいんだという、何種類かの方法はあると思うんですけれども、それを早く研究していただきたい。中には部会もあるんでしょうから、何かそういうものを、そして文部省としてはこういう物の考え方だということを、これは何も押しつけるわけじゃありませんから、そういうものをお願いしたいということをもう前の大臣からしているんですね。
 それからもう一点は、やっぱり教育の評価の仕方だと思うんです。どういう教え方をしたときにこういう結果が出たという、この因果関係が明らかになればなるほど先生は自信を持ってやられると思うんです。因果関係がなければ自信持てないということで、教育評価の問題というのも、もう前々から質問でやらしていただいておるんですけれども、どうもその辺も、研究はしておりますという答えはいただいているんですが、現実にまだ出ないということなんですが、その辺の進捗ぐあいはどうなんでしょう。
#130
○政府委員(三角哲生君) 教育の評価というのはいろいろな角度からなされなければならないものでございまして、それを私どもが具体的に各学校で実施していただくために考えておりますのは、小西委員御承知のとおり学習指導要録、こういうものでございまして、ここに個々の児童生徒の学習の経過並びに状況について記録をして、そして個別のその後の指導に役立てていく、こういうことでございまして、その内容としては前に検討しているという御答弁申し上げたというお言葉でございますが、恐らくは新しい学習指導要領の改訂に伴いまして、生徒指導要録も小・中・高の順にその標準的なものを改訂してまいりまして、そして、これらすでに高等学校の分につきましても各都道府県の方へ一つの参考としてお示ししてございます。各教科ごとに学習の態度でございますとか、意欲でございますとか、あるいは到達のぐあい、それらを先生にチェックをしていただく。それから、クラブ活動でございますとか、本人の行動なり性格などについても必要なものについてはそこへ書きとめておきまして、そして将来、その後の指導の参考にしますと同時に、また担任などがかわりました場合も一つのよりどころにする、こういうことで示しておりまして、もしまだでございましたら、そのものについては後日お手元にお届けしたいと思います。
#131
○小西博行君 そういう答えをされると大変ぼくは教育問題はさびしいなといつも思っているんですね。私は、学習指導要領をつくることが文部省の最大の仕事だというように思ってもらっても困るし、私は、それはもちろんそういうものがなければ教育をやる方もやっぱり大変困ると思うし、これはいいものをつくるべきだと思います。しかし、これはこの間大臣にもちょっと質問させていただきましたが、もういまは大きな問題というのは、やっぱり校内暴力、非行問題というのは大変な問題になっているんだから、これに対する具体的な文部省の体制というのはどうなんですかということを私は前向きな答弁をお聞きしたいんですね。もう早速年内にこれつくってやりたいと、あるいは調査したいとかということをこの際ぜひともおっしゃっていただきたいんですがね、いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(小川平二君) 教育の現場が実際にどのようになっておるのかということ、この実態を把握いたします努力というものは、文部省もかねてから実行いたしておるわけでございます。また生徒指導の面につきましてもいろいろな方法で学習の機会を与えたり指導も重ねてきておるわけでございます。しかし、生徒がクラブ活動等に積極的に参加をしているかどうか、意欲や態度はどうであるか、あるいは学校で教職員一致の体制で非行問題等に取り組んでおるかどうかということを、何かたとえば点数のような形で表示するということも、これもちょっとむずかしいことのように思われまして、いまのところはあらゆる方法で実情の把握に努めておる、こういうことでございます。
#133
○小西博行君 非行だとか校内暴力の要因というものはたくさん大臣はいますっと百も二百も言われると思うんですよ。だけど、その中でじゃおれはこれがポイントだというものは全然ないでしょうか。
#134
○国務大臣(小川平二君) これは生徒自身の素質もございましょうし、家庭におけるしっけということもございましょうけれども、やはり校内暴力ということは学校の現場で起こっておる問題でございますから、生徒の指導ということを専門の仕事としておる学校がまず責任を持ってもらわなきゃならない。学校におけるこの問題に取り組む姿勢、そのために実行しております手段、方法ということ、これが一番大事だと思っております。
#135
○小西博行君 いや、それが蓬來中学とそれから七中の差ですね、これをずっと読んで調べてみますと、やっぱりこの暴力が起こる前には相当遠因があるというんですね、ずいぶん前から。先生を殴るというのはよっぽどのことだというんですね。その前にやっぱり歯どめをしないと、もう殴った時点で殴り返すなんということは絶対だめだということを言っているんですね。それだけに、私はこの対策の打ち方というのは、現場の先生が一番よく知っているから現場の先生にお任せするだけでは、みんな自信を持っていないわけですから、当然心理学者その他りっぱな人がたくさんいらっしゃるわけですから、私は文部省の中でたくさんの分析をして、こういうものに対する対策というのは何段かの方法があるということは私は示してあげるべきじゃないかと思うんですよ。それは先生は責任があるんだからやってくださいという言い方で地方の方へ行きますと、県の教育委員会に文部省が指示を出しても、通達出しても、今度は県の教育委員会が学校長にやるわけですね。学校長は本当に方法がわからないわけです。したがって、学校長が自殺するという方向にいくんじゃないでしょうか。私は何か指針らしきものは、やっぱり研究してもう出せるだけのデータといったら、本当にこれだけの犠牲をもって初めてできるデータですから、大変私は貴重だと思います。それをやらないとだんだんふえていく、これはもう実際にふえているわけですね。ところが、戦後、戦中というのはそんなにひどくはなかったでしょう。何かそこに原因があるはずなんです。何か違うんですね。だから、それは文部省としてやっぱり考え研究して、そして研究発表でも何でもよろしいじゃないですか、本を出しても構わぬと思います。そういうものをぜひつくっていただきたい。あれもこれも大事なんだけれども、どれが当たるかわかりませんなんというのは一番私はひきょうだと思いますね。まず大臣の感覚としておれはこれだと思うんだという指針を一つ出されたって決しておかしいことじゃない。それが私はいま文部行政の中に欠けているんじゃないか、そういうことを申し上げたいんです。
#136
○国務大臣(小川平二君) これはもう全く学校の先生方にゆだねておるということではないのでございまして、実はいろいろきめの細かいこともやっております。
 たとえば、やはり学校で個々の生徒に対する配慮が欠けておる学校もずいぶんあるわけでございまして、一人一人の生徒と心のつながりを持つ、悩みがあれば聞いてやる、こういうことが大事だと思いますので、いわゆるカウンセリングなどにいたしましてもカウンセリングの技術を指導するための講座というようなことも設けておりまするし、実はいろんなことをやっておるわけでございます。しかし、先生の仰せられること、あらまし了解をいたしましたので、御期待のような方向でこれからさらに努力をしてまいります。
#137
○小西博行君 確かに専売公社とか国鉄というのは数字でちゃんと採算性がぴしっと出ますから、その実績評価というのも非常に明確だと思いますね。その他の省庁というのはなかなか、事業をやっていないものですから、いろんな手を打ってもその結果というのが明確に出にくい部分はあると思います。しかし、現実に非行問題というのは、この間申しましたように、ことしの実績を見ましても、もうぐっとふえている。この現実だけはまさにこれは正しい実績ですからね。だから、それをとらえた上で、いままでどおりの同じような方法で、さらに県に対してこう指導をしますという文書で通達するみたいな方法ではどうやら食いとめられないような状態に来ているというふうに私は思うんですね。それだけに何とかその問題はしていただきたい。
 そのほかの問題もたくさんあります。大臣の所信表明の中にいっぱいあります。実に網羅されているなと思います、これは。しかし、いまの問題だけはどうしても早日に手を打たなきゃいけませんので、田中文部大臣の時代にもそういうことどうなんですかと言って話をしても、研究しますというような回答ばっかりでして、それではせっかく文部大臣が新しくかわられて意欲を持っておられても、私らも応援のしようがないなと、そういう感じをしておるものですから、ぜひともお願いしたいと思います。来年度はまだその実績がちゃんと出るわけでありますから、その辺もまた大臣よく分析されて一つの方向をひとつ出していただきたいというふうに思います。
 それから、文部省のいろんな文部行政についての、どうも言葉が悪いんですけれども、理論武装みたいなものが私は欠けているような気がするんですよ。何か予算の時期になりますと、何とかまあ文部省も予算をたくさんとって、そしていい教育をしていきたいなんていうような考え方当然お持ちだと思うんですね。それでいろいろやっておられるんですけれども、文教行政といいますか文部行政といいますか、どうしてこういうものが必要なんだということを、理論武装を明確にしておかないと、どうも大蔵大臣は余りイエスしないような感じがしてならないんですね。言葉では言います、もっと教育条件よくしたいと。たとえば私学なんかでもずいぶん教育条件が悪いんで、国公立並みに持っていくためにはこうしなきゃいかぬ、予算もっと出せ、これはよくわかります。しかし、現実になぜそうなのかという理論が私は明確にされいないような気がするんです。その辺を整備されて、ことしはひょっとして間に合わないかもわかりませんが、来年あたり具体的にそういうものを整備して、しかも長期的なものでかかっていくという物の考え方、これをぜひお願いしたいと思うんですが。
#138
○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりだと私も思いますので、結構理論的な研究も重ねてきておるわけでございますが、御期待の方向で努力をするつもりでございます。
#139
○小西博行君 もう全部やっていただけるようなことばっかりでして、本当にそれが全部できればいいなと私も思うんですがね、どうもちょっと弱い。そのためにはどうも実態分析というのが弱いんじゃないかという感じがするんです、実態の分析が。その辺で、どうなんでしょうか、実態分析なんだが、さっき私ちょっと申し上げたのは、非行とか暴力問題がこうだという数字ありますね。全体の教育の進めでいっている中で、どういうデータが具体的に予算として拡大していく場合に必要なんでしょうか、それをお聞きしたいんです。これは通告していない事項でありますから、すぐに答えなくても結構でございますけど、実態分析をして、そして、このためにもう少し予算をいただきたいというときの条件がありますよね。この条件分析というのはもう文部省で常にやっておられるんでしょうか。
#140
○政府委員(三角哲生君) 予算にもいろいろあるわけでございますけれども、端的に申しますと、たとえば校舎、屋内運動場等、こういったものにつきましては、全国の状況について台帳のようなものをつくりまして、そしてどこまでが何年度までに鉄筋化されておるとか、老朽の状況がどうなっておるとか、そういう事柄をまずは土台として用い、そしてさらにその状況から改善を図るために全国の市町村がどういうようなプランニングを持っておって、先々数年間にどれだけの事業を必要としているか、そういうような調査をするわけでございます。
 それから教員の処遇のような問題につきましては、教員の給与が全国でどういう状況にあるかということ、これを、国庫負担の関係もございますから、当然調べをいたしまして、そうしてこれが果たしてその他の大学卒の職場の状況と比べてどういうぐあいであるかというようなことをやはり比較考量、分析をいたしまして、そして御承知のように、先年、いわゆる人確法による処遇の改善を実施した、こういうことでございます。
 一番むずかしいのは内容面でございまして、これは私どもとしましては、たとえば新しい教育課程の実施状況、到達度がどのくらいになっておるかというようなことを、これはどうしても調べたいということで本年度から実施をさせていただくことにしたわけでございますが、教育の内容面になりますと、やはりいわば学力というような形で成績に出せる部面、これはペーパーテストというような手法を講じていたします。しかし、なかなか意欲でございますとか独創性でございますとか、それから学校全体の評価になりますと生徒の性格、行動面というようなことも入ってまいります。そういったものはいわゆる客観テスト的なものにはなかなかなじまないということでございますから、これはやはりケースに入り込んで調べるということで、なかなかこれは文部省がじかにできない場合がほとんどでございますが、都道府県の教育委員会並びに当該学校を所管する市町村教育委員会の協力を得てできるだけのデータをつかんでいく、こういことでございまして、そのために必要がありますれば、これは予算面でどうこうするということになりますと、やはりどうしてもこれは対応としては物的な面に転換して行われていくということになることが多いと存じますが、理科でございましたら理科教材を充実していくとか、その他一般の教材を充実していく。それから、先ほど申し上げましたような教員の資質の向上を図っていく、こういうことになると存じます。
 いろいろ、一々申し上げておりますと大変長くなりますけれども、一言でずばりと申し上げにくいんでございますが、いろいろな角度から私どもとしてはそういう実態を把握し、そしてそれに基づくどういうニードがあるかということを割り出して予算要求をこれまでやってまいったんでございますが、先生のおっしゃる理論武装というのが具体的にどういうふうに私どもこなしていったらいいか、ただいまお聞きしてすぐにはイメージが出てこないんでございますが、一つの非常に貴重な御示唆でございますので、心にとめて研究してまいりたい、こう思います。
#141
○小西博行君 やっぱり前向きに物を進めていくという姿勢が非常に必要だと思うんですね。いま何か文部省というのは守りの姿勢ばかりのような感じを私、いつも受けて非常に残念に思っているんですよ。教育についてはもう文部省が非常に権威を持ってやっていただいているというように本当は思っているんですね。だけれども、実際の質疑なんかになりますと、やっぱり守りでがんばる、こういう感じだけでは新しい方向の転換というのは非常にむずかしいのじゃないかな、もう時代が大きく変わっているわけですから。全く何か新しい方式で打開していかなければ、これは非行問題というのはどこの国でもやっぱりふえて問題になっているわけでしょう。だから、その辺のところをあわせてぜひ考えていただきたい。そういうような前向きのことがあれば、私は予算なんかでも、さっき申し上げましたように、理論武装という言葉は余りよくないかもわかりませんけれども、説得力のある資料をつくるというその辺が私は非常に大切だと思うんです。たとえば四十人学級というのは必要だといっても、じゃ、なぜ必要なのかという、もう一歩入ると非常に説明しにくいだろうと思います。私はその辺を特に要望しておきたいと思うんです。ぜひお願いしたいと思います。
 それでは高等教育の方へひとつ移っていきたいと思います。
 高等教育のところにつきまして、やはり所信の中に幾つかあるのですけれども、「質的水準の向上」というのがあるんですね。これ、私も大賛成です。いま大学というのを調べてみましても、私立大学の大体半分ぐらいは赤字経営だというように言われていますね。調べてみますと、もう大学の数がたくさんあります。わりあい過去の伝統をもってちゃんとして管理体制もうまくやっているような学校というのは利益を上げております。そういうことで、私は何となく大きくなるばかりが目的じゃなくて、もっと大学人として、学生として質を向上していかなければいかぬ時期に来ている、こういう感じがしてならないんですね。そのことにつきまして大学局長の考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#142
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、質の向上を図るということは大変重要な事柄でございまして、高等教育の計画的整備につきましてはすでに前期計画、後期計画ということで、ただいま五十六年度からは後期計画の整備ということで入っておりますが、その考え方の基本は、量的な拡大は抑制を図って、質的な充実を図るということを基本に据えているわけでございます。そういうことを受けまして、たとえば、前期計画におきましてもそういう趣旨を踏まえて進めてまいりました結果、たとえば従来の私立大学におきます入学の実員でございますが、入学定員に対する実員の数、従来一・七倍程度でございましたものが、すでに一・四倍以内のところまで来ておるというようなことなどは、そういう面で質的な充実が具体的にあらわれてきている証左ではないかと、かように考えております。
 そのほか、具体的には大学制度の弾力化を図ってまいりますとか、あるいは単位の互換を進めてまいりますというような事柄を進めまして、基本的には私ども御指摘のような質の充実の点に重点を置いて施策を進めているというのが現況でございます。
#143
○小西博行君 学費の問題につきましても、また次回に詳しく質問させていただきたいと思いますが、どうも収入の中で学費に占める割合というのが、学費はどんどん上がりますから、パーセンテージが非常に高くなっているんですね。これ、もちろんその学校によって違いますし、たとえば全部国公立て通した人と全部私立ていった人とではもう当然違うわけですが、大体どうなんですかね、収入の中で何%ぐらいまでがまあまあいいというふうに見ていいんでしょうかね、その教育の費用のパーセンテージです。たとえば年間収入が平均が三百六十万であれば、その中で大体どのぐらいだったらまあいけるというふうに文部省の方はお考えなんでしょうか。非常に学費がいま上がっておりますので。
#144
○政府委員(柳川覺治君) いま手元に資料がございませんが、国民の家計費調査の結果でございますと、昭和五十五年において教養娯楽あるいは教育文房具等に充てた経費が一二%というようになっていると思います。五、六年前は一〇%台であったというのが高まってきているという状況でないかと思いますが、果たして、まあしかし実際に教育費その他あれしますとさらに大きなウエートに、大学等に上がりますと家計費に占める割合はきわめて高いものがあるかと思いますけれども、全体ではそんな感じがいたします。
#145
○小西博行君 そういう意味で、特に大学の場合は高くなりますね、生活費から全部入りますから。私どもがいた学校でも大体月に十万以上やっぱり親が仕送りしなければ大学へ行けないというような実態なんですね。ですから大学がたくさんできて、たとえ高等学校の中で大変成績が悪い子供さんでもどこかの大学へ入れるあるいは短大へ入れる、そういうような環境にはなっていると思うんです。しかし問題はそういう学費を親がせっせと払って大学出ても就職する場合に大変問題がある。それから中身もさっき申し上げましたように非常に粗雑になっている、余り勉強しない、そういう子供さんがどんどんふえているんですね。ですから、特に大学の場合、学校によって大変単位が取りやすい学校というのがありましてね。そういうような子供さんをどんどん量的に生産するというようなことは果たしてどうなるんだろうかなあという疑問を私はいつも持っておるわけなんですけれどもね。これから先、大学については抑制法案みたいなものが出て多少抑制していこうということではありますけれども、もっと内部の質の向上というものをぜひ図っていかないと、さっきだれかが申されましたけれども、海外へ行ったり来たりした場合でもどうも日本の教育というのは非常に劣っているんではないかなあ。特に私はこの間韓国へ行ってびっくりしたのは、やっぱり韓国のいまの学生もそうなんですが、非常によく勉強しているわけなんですね。しかも、ほとんどソウル大学あるいは高麗大学いっぱいありますけれども出て、またアメリカのハーバードへ出て、そして帰って国際的なそういう関係をやると。そういう非常に私は日本の場合のいわゆる大学生の姿と違うんじゃないかなという感じがしてならぬのですけれどもね。一部の大学では相当また勉強する人もいると思いますけれども、その辺もあわせてこの大学というのは一体何だろうというような大きな問題点をとらえてもらって、ここに言っております「高等教育の整備充実」こういう問題に結びつけてもらわないと、何か量的なものばっかり拡大するという方向にやや走り過ぎるんではないか、そういうふうに感じるんですが、大臣の御意見をお聞きいたしたい。
#146
○国務大臣(小川平二君) 量的な拡大を極力ただいま抑制いたしまして、質の向上に努力しておる具体的な施策につきましては先ほど大学局長からも答弁申し上げましたとおりでございます。まことに仰せのとおりだと存じますので、今後もその方針を貫いていかなければいけない、こう考えています。
#147
○小西博行君 最後にお聞きしたいと思いますが、学術研究というのがありましたですね。重要基礎研究の推進を言われている項目としては研究システムの効率化ですね、いろんなテーマをとらえていろんな研究をやると思いますけれども、その研究システムの方がどうも私は弱いんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、その辺のことに対して何かいい方法、こういう方法をとってやりたいんだというような御意見があったら教えていただきたいと思います。
#148
○政府委員(松浦泰次郎君) 先生御指摘のとおり研究システムということが非常に大切になってまいっておると思います。と申しますのは、御存じのように最近分野によりまして非常に巨大化いたしておる、あるいは非常に高度化、細分化あるいは御存じのように学際領域の研究というようなものが進展してまいっておりますし、また一面社会的な要請にも対応しなければならない。たとえばエネルギー問題等緊急に取り上げて対応しなければならぬというようなことがございます。従前は大学の研究者は教育と研究ということが使命になっておるものでございますから両面に対応しておったわけでございますけれど、先ほど申し上げましたような情勢から、共同して研究に取り組まなければならぬ、あるいは特定目的のための研究所を設けて研究に専念していただかなければならぬというようなこともございますし、また大学間が共同してやるための共同して利用する共同利用機関の建設というような問題があるわけでございます。これにつきましては、四十八年に学術審議会から基本的な答申を得てまいっておりますが、その中でも共同利用機関の整備というようなことが指摘されておったわけでございますが、それ以後におきましてもいろんな学術の進展がございますので、五十五年の十一月に改めて学術審議会に対しまして「学術研究体制の改善のための基本的施策について」ということを諮問いたしまして、現在審議会におきまして審議を進めていただいておるという段階でございます。
#149
○小西博行君 研究につきまして、大臣もすでに御承知だと思いますが、科学技術の分野で流動研究システムというのが発足いたしまして、産業からも学校からも優秀な人を集めてそして素材産業いわゆる金属を主にした材質の研究ですね。そういうものが去年四つほどグループができました。予算もちゃんとついております、ことしから本格的にやろうというようなことで。もう一つはライフサイエンスというのがこれもぜひ必要だということで加わりまして、いまは五つのテーマでもって進めていこうとしております。当然そこへ大学の優秀な先生方の研究といいますか、五年間なんですけれども、五年間を参加していただくということでありますから、日本の将来のために目的が明確にされておる研究に対して、私はぜひとも文部省としても参加していただきたい。そのことがやっぱり大学の中の研究というものにも拍車がかかるというふうに私は考えるわけですね。これは大学の自治ということで、大学の中におりますとやっぱり非常に狭い分野の、世間を余り見ませんからどうしてもややもすると余り世間的な価値のないものも、自分自身はわからないということでもう少しやっぱり世間に目が向くような研究のテーマを与えてあげることが非常に大学の将来にとってプラスじゃないかなというような感じがいたします。大学の中におりますと、やっぱり古い研究書あるいはノートを十年も二十年も前に使った同じようなことを、たとえば化学とか物理、こういうような問題について一生懸命にやる人もいるんですよ。そういうような実態をやっぱり見ていただいて、そうして本当に日本のためになるようないまの流動研究システム、いわゆる文部省だとか科学技術庁というようなものを超えてお互いに交流していってやっていくと、こういうような方向が科学技術の分野の方でスタートしておりますので、ぜひともそのことも認識を新たにしていただきたいというふうに考えます。
 時間が参りましたので、これでやめます。よろしくお願いします。
#150
○委員長(片山正英君) 以上で本件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#151
○委員長(片山正英君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明については、すでに聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#152
○小野明君 まず、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 大臣は、衆議院の予算の第二分科会で、第十二期中教審の教育内容等小委員会で、六・三・三の学制の見直しを審議するだろうと、そういう見通しを述べられた上で、この審議の状況あるいは結論を見た上で六・三・三の検討をしたい、こういう答弁をなさったようですが、これは当時の新聞にも大きく各紙報道されているわけです。ところが二、三日前の報道によりますと、これは大臣が口を滑らしたのであって、その後衆参両委員会ではこの打ち消しに懸命であると、こういうことが報道をされているわけです。これは綸言汗のごとしで、一遍言われたことは間違いのないことと思うのがわれわれであり、国民一般であろうと思いますが、この打ち消しに懸命になっておられるということはこれはどういうことですか。また、その間の実情をひとつ御説明いただきたいと思います。
#153
○国務大臣(小川平二君) まず、打ち消しに懸命になっておるという事実はございませんということを申し上げておきます。
 現行の学制は非常に長い間にわたって定着しておるわけでございまして、今日の六・三制につきましてはいろいろの御意見、御批判も出ております。しかし、この問題は行政面あるいは財政の面、非常に大きな影響をも及ぼす問題でございますから、とりわけ今日のように財政が非常に逼迫しておる状況下で簡単に手をつけられる問題ではないと考えております。ただし、文部省におきましては常時各方面の御意見に耳を傾けて研究を続けておるわけでございます。中教審に対しまして、かねてから時代の変化に対応する初中教育のあり方いかんということで諮問を申し上げておるわけでございまして、学制の問題については諮問を申し上げておるわけじゃございませんが、学制の問題は教育内容と密接な関連がございますから、恐らく審議会において学制の問題についても種々の御論議がなされるに違いない、このように予想いたしておるわけでございます。いろいろな御論議がなされました場合は、そういう御論議をも貴重な参考といたしましてさらに研究を続けてまいりたい、私は、実は一貫してこのようなことを申しておるわけでございまして、一、二の新聞がいろいろな報道をいたしておりますが、大変に、前向きのことを申し上げて反響に驚いて打ち消しにおおわらわになっておるというようなことは全くございません。ただいま申したことが私の考えでございますので、そのように御理解をいただきとう存じます。
#154
○小野明君 中教審の諮問の内容を見ますと、いま大臣が言われますように、小・中・高等学校における教育内容、第一にそれが挙げられ、第二に中等教育における教育の多様化、弾力化ということが挙げられておりますよね。そういたしますと、これは大臣のお見通しは正しいと思う。学制の内容にも触れられてくるのではないかという見通しを立てられるということは、これは私は正しいと思います。
 ただ、衆議院では大臣は、その結論を得た上で検討をしたいと、こういうふうにおっしゃっておられるわけですが、そこが私は綸言汗のごとしと、こう申し上げておるんです。いま大臣は研究をしたいと、こういうふうに、大分これはそのときのニュアンスと変わった感じを受けますが、やはりそれらの答申を待って検討をいたしたいというふうに受け取るべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
#155
○国務大臣(小川平二君) 中教審に対しては学制の問題で諮問を申し上げておりませんので、恐らく答申がなされるということはなかろうと思っております。ただ、関連して学制の問題について各種の御論議が出るに違いない、こう予想しておるわけでございます。検討ということを確かに申しておりますが、検討というのは文字どおり検討でございまして、研究を続けたいと、こういうことでございますから、そのように御理解願いとう存じます。答申が出るであろうから、その答申を尊重して直ちに学制の改革に着手をするというようなことを申したわけではございませんので、その点どうぞそのように御理解をいただきとうございます。
#156
○小野明君 まあくどいようですけれども、確かにこれは学制そのものを第十三期中教審に諮問したわけではありませんね、ありません。しかし、それらに触れられた内容が出てくることはこれは予想をされるところですね、予想されると思います。大臣もそのことを私はおっしゃったと思うんです。そこで、それを踏まえて検討をしたい、こういうふうに書かれておるわけですが、この言葉に私は議事録を見ても間違いないと思うんですが、いまは大臣がそれを否定をするような、やはり巷間言われているように打ち消しに躍起ですか、そう言われてもいたし方がないような御答弁だと思いますが、ひとつ再度御見解を承りとうございます。
#157
○国務大臣(小川平二君) これは、学制の問題は諮問を申し上げておることでございませんから、結論的なものが出てまいりますかどうか、恐らく結論的なものまでは出てこないのじゃなかろうかと思っております。しかし、そういうことはあり得ないことではございません。いずれにいたしましても、その御論議を踏まえて、これを貴重な参考としてさらに鋭意検討をいたしてまいりたい、こういうことを申しておるわけでございます。
#158
○小野明君 それでわかりました。そこで、これは、初中局長おられますか。――それじゃ後で初中局長に質問します。
 次に、大学局長、これは設置法で、第三項の定員ですね、新法では一万六千二百三十八人、旧法で一万四千八百四十一人、この一千三百九十七名の増というのはどういう大学につくわけですか。
#159
○政府委員(宮地貫一君) 国立学校設置法の附則で定員を規定をしてございますが、これは先生御案内のとおり、たとえば新設の医科大学等の整備等、新たな需要に対応するものといたしまして、この国立学校設置法の附則で定員を規定することになったわけでございます。したがいまして、御指摘の今回の増員分につきましては、主としては新設の医科大学の整備、あるいはそれらの学年進行に伴います整備に要する定員を規定いたしておるものでございます。
#160
○小野明君 これは四十八年以降の国立大学に適用されるようになっていますよね。そうすると、この定員増というのはどこの大学に何名と、こういうトータルがあるはずですね。そこまで資料の中で説明すべきではないのか、いまそのことを私はお尋ねをいたしておるんです。どこの大学にいきますか。
#161
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の具体的な定員配置についてのお尋ねでございますが、浜松医科大学でございますが、浜松医科大学について七名、宮崎医科大学七名、滋賀医科大学五名、富山医科薬科大学三十一名、島根医科大学三十二名、高知医科大学百六十二名、佐賀医科大学百六十二名、大分医科大学百六十二名、福井医科大学百五名、山梨医科大学百五名、香川医科大学百五名、徳島大学歯学部三十五名、鹿児島大学歯学部六十九名、岡山大学歯学部八十名、長崎大学歯学部八十名、ほかに新構想の大学等の整備でございますが、筑波大学四十二名、豊橋技術科学大学二十四名、長岡技術科学大学二十四名、兵庫教育大学九十一名、上越教育大学四十八名、図書館情報大学二十名、鳴門教育大学三名、鹿屋体育大学三名でございます。なお、ほかにいわゆる定員削減が国立大学の教官等にも適用されることになったことに伴いまして、すでに学年進行の完成しております旭川医科大学について定員削減二名、山形大学医学部で定員削減一名、愛媛大学医学部で定員削減二名ということになりまして、以上の合計で千三百九十七名の措置をいたしておるものでございます。
#162
○小野明君 そうすると、その島根の医科大学は五十七年から大学院設置になっていますよね、これはこの法律で。そうすると、これは定員増は何もないわけですか。
#163
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど島根の医科大学については、定員の措置としては三十二名という点を申し上げたわけでございますが、これは大学院を設置することに伴います定員の措置というわけでは必ずしもないわけでございます。
#164
○小野明君 これは行政機関の職員の定員に関する法律いわゆる総定員法ですね、この法律では最高限度は五十万六千五百七十一人となっている。そうすると、これとの関連はどういうふうになりますか。
#165
○政府委員(宮地貫一君) 先生御案内のとおり、この特例措置は昭和五十二年国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律により設けられたものでございまして、これは四十八年度以後に設置されました国立医科大学等ただいま申し上げましたような大学でございますが、それらにかかわる教職員の定員については、当分の間、行政機関の職員の定員に関する法律いわゆる総定員法でございますが、それに定められております行政機関の職員の定員の総数の最高限度には含まれないということで、別途この国立学校設置法によりまして、所要の定員措置を講ずるということになりましたものでございます。これは、総定員法というのは本来国家公務員の定員管理に関しまして、それまで各省庁別の定員を各省庁設置法で定めていたという仕組みを改めて、各省庁を通ずる定員の総数の最高限度を定め、各省庁別の定員は政令にゆだねるということになったわけでございますが、そしてこれに伴って行政の簡素化、能率化の推進による定員の再配置を図るというような対応をするために設けられたわけでございますが、この国立大学のただいま申し上げましたような定員につきましては、いわゆる無医大県解消計画等によります医科大学の創設等、新しい構想による大学の創設というようなものにつきましては、ただいま申し上げましたように、それらの計画、大型のプロジェクトとしての計画が進行いたしまして、この総定員法が成立の当時に予想されていなかった事態でございますので、その総定員法の最高限度の枠内で既定の定員の再配置によってすべて対処するたてまえをとるということは必ずしも適当でないというような考え方で、別途この国立学校設置法の附則で所要の定員措置を講ずるということで対応をいたしたものでございます。
#166
○小野明君 そういたしますと、いわゆる総定員法とは別建てでこれは四十八年度以降の分については措置をされておるわけですね。いまこの定員内で措置をされておる分はよろしいわけですが、私どもいろいろ陳情を受けるわけですが、定員外の職員が非常にふえておるわけですね。この定員外の職員は全国でどれぐらい数がございますか。
#167
○説明員(倉地克次君) 五十六年度の員数で七千七百三十一人ということでございます。
#168
○小野明君 局長、七千七百名というと相当な大量の数ですが、この定員外職員の職務の内容等を検討いたしますと、たとえば大学病院に勤務をされておる方、あるいはその他教養部についてもあるいは理学部についても各部同様でありますが、定員内職員とほとんど同様の職務内容を持っているように思われるわけです。ですから、この定員外の職員に対する措置の仕方といいますか、なるべく同様の職務内容、勤務条件であるわけですから、多いわけですから、定員外職員ということで非常勤扱い、あるいは劣悪な労働条件ということはこれは許されないと思うわけですが、この点についてはどのような対策を講じられておりますか。
#169
○説明員(倉地克次君) いま先生御指摘の点は、定員外職員の給与の問題から始まると思うわけでございますけれども、私ども、これまで定員外職員の待遇の点につきましては、五十五年にこれまで七等級四号厚相当で頭打ちであった給与の改善などを行うことをいたしましてその改善に努めてきたわけでございます。ただ、待遇の問題といたしまして今後残されておりますものは、退職手当の通算問題でございますとか、扶養手当の支給の問題でございますとか、共済組合の加入の問題でございますとか、その制度の趣旨から見ましてなかなか非常勤職員には適用しがたい問題が残っているわけでございます。それでございますので、私どもそういう困難な問題であるということは十分認識しているわけでございますが、今後とも研究を続けてまいりたい、さように考えておる次第でございます。
 なお、その定員外職員の定員内職員への採用の問題でございますけれども、これにつきましては、いわゆる一般的な意味での定員繰り入れ措置ということは現在の財政状況の非常に厳しい現状から見ますと困難でございますけれども、在職中の非常勤職員につきましてまあその学校で定員増がございますとか定員に欠員があるような場合につきましては、その職員の適性その他を勘案いたしまして可能なものにつきましては毎年相当数のものを正式の職員として採用しているようなことでございまして、今後ともこういう点については十分考慮してまいりたい、さように考えている次第でございます、
#170
○小野明君 定員外職員については、そうすると、たとえば協議採用の枠の拡大あるいは採用基準等に検討を加えるということはおやりになっておりますか。
#171
○説明員(倉地克次君) 現在の公務員制度におきましては、職員の採用は何と申しましても原則として試験によって、その結果によって採用するということになっている次第でございます。これ以外につきましては、人事院規則の定めます特定の事由に該当し、かつ人事院の承認を得た場合に限り採用を行うことができる制度になっているわけでございまして、私どもといたしましては、このような場合に該当する者につきましては、定員外職員につきましてもその都度そのケース・パイ・ケースによりまして採用に努めているところでございます。
#172
○小野明君 大学局長、この総定員の別に四十八年以降の分については措置をされているわけですね。今後新たに附属病院が拡充をされてくるとか、あるいは大学院が設置をされてくるとか、こういったそういう改善が今後なされてくると思うんですが、七千七百名おる定員外職員、これについて勤務内容が同じであるわけですから、特に採用しやすい行(二)についてはもちろんですが、行(一)についてもなるべく早急に定員外職員という劣悪な労働条件に置かれている人たちが定員内に入るように、それと同じようなまた労働条件、勤務条件になるように努力をしてもらいたいと思いますが、局長いかがですか。
#173
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど人事課長からお答え申し上げましたように、非常勤職員についての現状、そしてまたその職務の内容についても、実態的には常勤の職員とほとんど変わることのないような内容に従事している場合もあるわけでございまして、それらの点の勤務条件等の改善については、なお今後改善について研究をし、対応は考えていかなければならないかと思います。
 なお、御指摘のとおり、これからも新設の医科大学の附属病院の整備等につきましては、なお残されている病院を開設に至っておりません医科大学について、たとえば五十八年度は福井、山梨、香川の医科大学について、それぞれ病院を開設するというようなことで定員措置をもちろん要するわけでございますが、ただそれらの新設の医科大学の場合の定員措置に当たりまして、先生御指摘のような、現在既存のほかの大学におります非常勤職員の解消をそれでもって充てるというのは、これはいろんな面から申しまして、必ずしもそのまま対応できるというぐあいには私ども考えられないわけでございますが、一般論といたしまして非常勤職員全体の状況を見た上で、これらの非常勤職員から正式の職員への採用のことについては、従来からもそのための努力はしてきておりますし、大変定員の状況は厳しい状況でございますけれども、実態に即した改善策については今後とも努力をいたしたい、かように考えております。
#174
○小野明君 ちょっとこの問題について大臣にお尋ねをいたしますが、たとえば医学部の附属病院で定員内が二である、定員外が二名、この四名の仕事はほとんど同じなんですね。一つは具体的に申し上げますと、配膳の準備あるいは手術患者の搬入、入院患者の準備あるいは便、尿の後始末、重症者の食事介助、他科の受診あるいは手術患者の準備、検査結果集め、シーツの交換、これら全部同様の仕事を定員外の諸君もやっておるわけですよ。ですから、定員内が二で定員外が二である、同様の仕事をやりながら一方は非常勤で日々賃金が計算される、そして共済組合の加入資格も認められていない、こういう状態なんだ。ですから七千七百名もおられるわけですから、なるべくこれを早く解消をするという方向で御努力いただきたいと思いますが、いかがですか。
#175
○国務大臣(小川平二君) 現状におきましても、定員をふやす必要がある場合あるいは欠員を生じました場合には本人の適性等を考えまして、繰り入れを行っておるわけでございます。五十六年度におきましても、かような場合でございますが、六百人を繰り入れておるわけでございますが、これから先も最近各学校の努力で定員外職員の数、漸減して今日に至っておりますけれども、業務の遂行上、恒常的な職として真に増員を必要とすると認められる部門につきましては所要の定員を確保いたしますように、これからも努力をしてまいるつもりでございます。
#176
○小野明君 最後に、私の時間がもうありませんから、大学局長にお尋ねいたしますが、共通一次ですね、これが決められた際の附帯決議を見ますと、「最近における入試準備教育の過熱状況を是正し、」「学歴偏重の打破、大学間格差の是正、各大学における特色ある教育の充実」と、こういうことが根本にうたわれながら、「第一次学力試験については、いわゆる客観テストの短所・限界を除去するよう不断の調査研究と改善に努めるとともに、その予備選抜への利用は極力避け、有効かつ適切な利用に努めること。」と、以下五項目あるわけですが、共通一次というのももう三年実施をしてまいりましたが、いろんな弊害が生じてきていると思います。「不断の調査研究」が附帯決議として挙げられているわけですから、文部省としてもこの共通一次についていかなる研究あるいは反省というものがなされておるか。これはきょうは概括的なところでよろしいですから御答弁をいただきたいと思います。
#177
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような附帯決議が付されていることについて、私どもとしてもその趣旨を十分尊重いたしまして、今日まで大学入試センターの整備拡充を行うなど、そしてまた大学入試方法改善についての経費を大学に配分する等、いろいろ必要な措置を講じているところでございます。
 なお、御指摘のような共通一次試験については、全般的については各大学の入試問題に見られたような難問が少なくなり、適切な出題がなされるというような評価も得ておるわけでございますけれども、そのほか今日までの実施の経過を踏まえまして、なお不十分な点について実施の経験を生かした改善を図るということは、私どもとしてもこれからも努力をしていかなければならない点であろうかと思っております。なお、文部省において入試改善会議等について、従来から入試改善についていろいろと国公私立大学の関係者等にお集まりいただいて、御議論もいただいているところでございまして、今後の改善については私どもとしても積極的な姿勢で対応してまいりたいと、かように考えております。
#178
○小野明君 積極的な姿勢で対応されることはもちろんなんですが、今日まで三回実施をされてきた共通一次で余りにも弊害が目についてまいると、これは次回にでも指摘をしてまいりたいと思いますが、その一番大きな問題点は何だとお考えでしょうか。
#179
○政府委員(宮地貫一君) 私ども、もちろんこの共通一次が回を重ねて、その都度必要な改善措置が講ぜられてきていると考えておりますが、たとえば二次試験が過重な負担とならないような対応としてどうするかというような問題でございますとか、そういうような面で、たとえば推薦入学を実施する大学等が順次年度追ってふえてきているというようなことなどが個別にはございますが、一つには私ども、言われておりますように共通一次の点数によりまして各本人の適性に応じた適切な進路指導ということと必ずしもかかわらないような一部のいわゆる受験産業等によります成績順での個々の大学、学部についての点数化と申しますか、そういうことを言われて、必ずしも適性に合わない大学を受けさせるような進路指導が行われるというようなことなどは基本的に一つの問題点ではないかと、かように考えております。これらについては、共通一次試験の今日までの実施の経過を踏まえまして、私ども関係者とも今後の問題点については検討をいただいているところでございますが、もちろん大学入試の問題でございますので、国立大学協会等大学の当事者においても議論をしていただく必要もあろうかと、かように考えております。そういう関係者の理解を得ながら改善の努力を重ねてまいりたいと、かように考えております。
#180
○小野明君 一点だけはあなたは正しい答えをした。三カ年たっていますから、ひとつ総括をしてもらいたいんだが、いつごろそれはできますか。時期はいつごろになりますか。
#181
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども申し上げましたように、文部省内にもそれぞれ国公私立の大学を代表する方々にお入りいただいている入試改善会議等も設けられているわけでございまして、現在その会議で高等学校の学習指導要領の改訂に伴います共通一次のあり方等について御議論をいただいている点でございます。
 御指摘の、いつまでにどういうことを対応するのかというお尋ねでございますが、やはり先ほども申しましたように、この大学入試の問題については国立大学協会等を初め大学関係者との十分な理解を得ながら進めてまいることも必要でございますし、私どもとしてもできるだけ早く対応できるように努力をいたしたいと、かように考えております。
#182
○小野明君 できるだけ早くといっても、来年の共通一次の後じゃもう意味がない。これはやはり少なくとも高等学校の教育に関係あることだから、やはりことしの夏ごろまでには出してもらわなければ困る。臨調答申が幸い七月というんだから、共通一次も七月ごろには出るように努力をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#183
○政府委員(宮地貫一君) 対応できる改善策につきましては、もちろん御指摘のような対応が必要であろうかと思っておりますが、基本的な問題点になりますと、なお高等学校教育ないし高等学校側の意向また国立大学協会側の意向その他、関係者が非常に多いわけでございますし、また基本問題にかかわる点になりますと、もちろん大学入試そのものがやはり社会的にも非常に注目されている点でもございますし、慎重な対応も必要であろうかと思います。私どもとしては、明年度からでも改善できる分については、御指摘のように対応できる改善策については対応するようにいたしたいと、かように考えております。
#184
○本岡昭次君 小野委員の質問に関係のあることからお尋ねします。
 まず、国立学校設置法の附則三項で、千三百九十七名の増員が提案をされている。その内訳は先ほど明らかになりました。しかし、一方でことしから第六次定員削減計画によって国立学校定員が削減をされています。一方では増員、一方では削減、こういう事柄が行われておりますが、五十七年度から始まる第六次定員削減計画によると国立学校定員はどのように削減されるのかお伺いします。
#185
○説明員(倉地克次君) 第六次の定員削減計画でございますけれども、これにおきます国立学校の削減数は五カ年間で四千五百八十二人ということになっております。
#186
○本岡昭次君 四千五百八十二人というのは、文部省に割り当てられた削減数の何%に相当しますか。
#187
○説明員(倉地克次君) いまパーセントそれ自体の計算はしてございませんけれども、文部省全体の削減数は四千七百九十七人ということでございますので、そのうちの四千五百八十二人でございますから、ほとんどが国立学校関係の削減数ということになる次第でございます。
#188
○本岡昭次君 そうですね。文部省に割り当てられた四千七百九十七人のうち四千五百八十二人は国立学校の定員を削っている。九五%ということになるんじゃないかと思うんですが、今年度はそれでは一体何人削減する計画になっていますか。
#189
○説明員(倉地克次君) 国立学校におきます五十七年度の定員削減の数でございますけれども、九百十六人ということになっております。
#190
○本岡昭次君 その九百十六人の内訳はどういうふうになっていますか。
#191
○説明員(倉地克次君) 九百十六人の内訳でございますけれども、教官が五十八人、それから附属病院におきます看護婦等が十二人、その他の職員が八百四十五人ということになっている次第でございます。
#192
○本岡昭次君 その他の職員というのはどういう職種に携わっている人ですか。
#193
○説明員(倉地克次君) その他の職員の八百四十五人の内訳でございますけれども、行政職俸給表の(一)ないし(二)の適用のある職員が八百十九人、それから教育職俸給表の(一)の適用がございまして、教務職員といわれますものが六人でございまして、それから海事職俸給表の(二)の適用のある職員が一人、それから医療職俸給表の(二)の適用のある職員が一人、それから医療職俸給表(三)の適用がある職員が十八人ということになっている次第でございます。
#194
○本岡昭次君 行政職の(一)、(二)というふうにおっしゃいましたけれども、具体的に国立学校でどのような仕事をしておられるのですか、もう少しわかりやすく説明してください。
#195
○説明員(倉地克次君) これは行政職の(一)と(二)でございますので、行政職の(一)につきましては本部ないし学部の事務、それから教室などの事務に携わっている職員などが入るわけでございます。それから、行政職の(二)の方でございますけれども、これはいわゆる労務関係の職員ということになる次第でございます。
#196
○本岡昭次君 そうすると、各国立学校の事務に携わっておられる方やあるいは労務に携わっておられる方あるいはまた教官が減員されるのですが、これを減員するとき、それぞれの国立学校は減員に伴ってどういう手だてを行うのですか。少なくともいままで必要であるからその定員が配置されていたと思うんですね。それが減員されるというのはそれに必要な対応をそれぞれの国立学校はしなければならないでしょう。教官を減員するというのなら、その教官の持っていた教育活動なり研究活動をどうするかとか、あるいはまた労務を担当していた者を削減する場合は、そのしておった仕事を一体だれにさせるのかといったような問題はどうなるんですか。
#197
○説明員(倉地克次君) 私ども各大学に対しまして定員削減に当たりましては、いま先生の御指摘にありましたような点についてできるだけ工夫をこらす必要があるというふうに考えておるわけでございまして、いろいろ指導しているわけでございますが、事務の合理化でございますとかそれから外部委託できるような事務については、外部委託するということでございますとか、いろいろ工夫をこらしていただきまして、できるだけ事務の執行ないし教育研究の実施に当たりまして差し支えないような方法でお願いしたいということをお願いしている次第でございます。
#198
○本岡昭次君 いや、私が尋ねているのは、まあそれは創意工夫してやればいいと言えばもうそれ一言で済むわけですが、毎年九百十六名ずつ定員を削減していくということ、それでは既設の国立学校にはそういう削減をしても学校運営、学校の経営に差し支えのない定員がたくさんあったのかということになるんですがね。もう少し削減できる理由――私の立場は削減すべきでないという立場に立っているんです。なぜ削減できるのかという理由をもう少しはっきりお知らせください。
#199
○説明員(倉地克次君) 今回の定数削減自体の問題もあるわけでございますけれども、これはまあ行財政改革の二環といたしまして、当面の基本方針に基づく閣議決定に基づきまして政府全体の共通の課題として定員削減に取り組んでいる次第でございます。
 いま先生の御指摘にありましたように、各大学におきましてこの定員削減をどのようにこなしていくかというのは大きな課題でございますけれども、やはりそうした全体的な観点から見ましてできるだけ各大学の仕事ないし教育研究に支障のないように工夫をこらしていただきまして、先ほど申し上げましたような、事務の合理化でございますとか、必要な仕事の外部委託等いろいろ工夫をこらしていただきまして、これをやってまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
#200
○本岡昭次君 それでは聞きますが、九百十六人というのを国立学校全体に分けると一校平均どのくらいの人数が減ることになるんですか。
#201
○説明員(倉地克次君) 大変恐縮でございますが、各大学平均の数字をいまは持ち合わせておりませんけれども、大きな大学におきましては四十名程度というところもございますし、中くらいの大学ですと十数名、それから小さな大学ですと数名ということになっている次第でございます。
#202
○本岡昭次君 文部省は各学校に割り当てるのに何を基準にして割り当てるんですか。
#203
○説明員(倉地克次君) 各国立学校への定員削減数の割り当てでございますけれども、これは各機関の昭和五十六年度末におきます職種ごとの定員を基礎にいたしまして案分して行っている次第でございます。ただ、国立学校設置法附則第三項の機関につきましては、まだ学年進行中の学校もあるわけでございまして、定員削減の軽減等をいたしておるわけでございます。
#204
○本岡昭次君 文部大臣にお伺いします。
 定員削減が文部省ひとりどうがんばってみても仕方がないというお話なんですね。総定員法という法律の枠の中で全体の削減計画があって、その一部が文部省に割り当てられると、こういう仕組みの中だからと、こういうことなんです。そこで調べてみると、第一次から第五次まで一万二千二百三十七人が文部省として削減をしてきております。ほとんどが恐らく国立学校関係ではないかと推察できるんですね、第六次も九五%、結局国立学校が削減しているんですから。
 そういう状況を見てきたときに、国立学校というものの教育的な機能、そしてまた現在持っている教育機関としての責任、そうしたものからして、全体の枠の中で文部省に割り当てが来るからそれを国立大学の方に回して、とにかく努力して削ってくれというふうな事柄でいいのかどうか、私は疑問を持ちます。教育というのはもっと別な側面から、学校の機能とか、組織とか、あるいは研究のあり方とかいろいろ考えていかなければならないわけで、合理化とか、あるいは予算が足りないから人員を削れというそういう機械的な問題で学校のそうした教官が削られ、あるいは事務を担当する人が削られ、労務を担当する人が削られていく。そのことは結局、そこに学ぶ学生にしわ寄せをされる、あるいはまた子を持つ親にしわ寄せをされると、こういうことになるわけでして、どうも私は削減計画の中における国立学校にしわ寄せされている状況というのはがまんならないんですが、文部大臣の御所見はいかがですか。
#205
○国務大臣(小川平二君) 先ほど来政府委員から答弁を申し上げておりますように、行財政改革に対しまする当面の政府の基本方針に基づいてこれは政府全体として共通に実施いたしますものでございます。定員を削減いたしましたところでは運営の効率化、能率の向上でこれを補っていくほかないわけでございますが、国立学校における教育の特殊性ないし附属病院における診療制の必要性ということにかんがみまして、教官あるいは看護婦等につきましては、政府の方針に従いつつも、できるだけ削減の幅を軽減するように努力してきたところでございます。
#206
○本岡昭次君 私は、結果でなくて、国立学校の定員削減という問題と全体の定数削減というかかわり方について、文部大臣としてどうこの問題をとらえておられるかということをお聞きしたので、再度お願いします、
#207
○国務大臣(小川平二君) 行財政の整理、あるいは財政の立て直し、当面の政治が直面しておりますこれは至上命令と心得るほかないと考えておりますので、この際政府の方針に従わざるを得ない、こう考えておるわけでございます。
#208
○本岡昭次君 政府の方針に従わざるを得ないという言葉と、やはり文部大臣として文教政策を預かる立場から、定員削減の問題と教育研究の充実、教育水準の向上といったものの兼ね合いというものをしっかりとした認識でもってとらえていただかなくては、文部省にかかってくる定員の削減問題が九〇%以上、全部国立学校の方に全部しわ寄せされていくと、こういう関係の中で安易にこの問題が推移するということは私は許されない、こう申し上げているわけです。
 これ以上文部大臣に言っても先ほどの答弁が返るだけですから、あとは私の強いひとつ要望というんですか、文部大臣がもう少し教育的観点に立ってこの問題について、これからの定員問題について考えていただくことを強く要望して、次の質問に入っていきます。
 もう一つの問題は、島根医大に大学院を設置するという問題でありますが、現在、国立学校設置法第三条に言う国立大学は九十五大学あります。この設置法の第三条の二には大学院の設置という項目があり、そこに大学院設置大学として名前が出ている大学が七十八大学、そして今回の島根医大が加わって七十九大学となるわけですが、国立大学と大学院の設置という問題にかかわって文部省の方針はどのようになっておるんですか。
#209
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、大学院を置く大学は七十八大学でございますが、考え方といたしましては、大学院については教育研究所、なお今後とも整備を要する分野がいろいろとあるわけでございますが、特に博士課程の問題につきましては、たとえばオーバードクター問題が生じている等、いろいろと問題点も指摘をされているわけでございます。私どもといたしましては、こういうような実情にも十分留意しながら国立大学の大学院については、まず第一に修士課程の新設、拡充ということにつきましては、その設置が当該大学の教育研究水準の向上に資することが大変大きいというようなこと、また修士課程の修了者が社会のいろんな分野で高度の専門性を備えた人材として進出することが期待されているようなことなどから、それぞれの大学の具体的な大学院設置についての構想の、何と申しますか、熟度といいますか、計画の十分練られたものについて、社会的要請を踏まえながら教員組織、その他の条件が整ったものについて設置をしてきておりますのが今日までの現状でございます。
 それから第二に、博士課程の新設、拡充の問題でございますけれども、これは医学、歯学の分野を除きましては、わが国の学術研究水準の維持向上の観点や、また博士課程の修了者の進路等を十分勘案しまして、全体的には従来からも非常に慎重に対応してきておるところでございます。今後とも考え方としてはこういう方向で対応すべきものかと思いますけれども、大学院の整備を含めまして、大学院自体についてもいろいろと問題点も指摘をされております。そういう事柄につきまして、文部省でも学識経験者による調査会を設けまして研究、調査に当たっているところでございます。そういうところでの今後御議論を得ながら、わが国の高等教育における大学院の整備とどう取り組んでいくかというのは、これは非常に大きな課題でございまして、以前に大学院の改善、充実について大学院問題懇談会ということですでに御意見もいただいている点もあるわけでございますけれども、さらに具体的にどう対応するかというような事柄については、そういう専門家の御意見も十分踏まえながら、そこでの御議論を踏まえて今後慎重に対応してまいりたいと、かように考えております。
#210
○本岡昭次君 今回、島根医大に博士課程の大学院を設置するのですが、同じ国立医大で、その後で設立されてきた福井、山梨、香川、高知、佐賀、大分、それぞれ医大がありますが、それも引き続き次々と順次追って大学院を設置するという計画になっているのですか、どうですか。
#211
○政府委員(宮地貫一君) ただいま御指摘のように、いわゆる無医大県解消計画ということに基づきまして、医科大学の整備をそれぞれ今日まで進めてきておるわけでございます。そして、御提案申し上げております島根医科大学につきましては、本年度で学部での学年進行というものが完成をすることになりますので、それに引き続く大学院の設置について御提案を申し上げ、御審議をいただいているところでございます。私どもといたしましては、医科大学については医学部の特殊性と申しますか、そういう観点に即しまして大学院を設置することについては、考え方としては、それぞれ整備が進行することに伴いまして、順次大学院の設置については既定方針としてそういう対応をいたしてまいる考え方でございます。
#212
○本岡昭次君 そこで、博士課程の入学定員と充足率、文部省からいただいた資料では私学を含めての充足率が出ているんですが、国立大学に限って充足率はどのようになっていますか。
#213
○政府委員(宮地貫一君) 博士課程の学生の定員充足率についてのお尋ねでございまして、特に国立大学についてどうかというお尋ねでございます。五十六年五月一日現在で国立の博士課程についての充足率は、全体で平均をいたしますと四七%ということになっております。
#214
○本岡昭次君 その四七%の根拠である定員とそれから入学者という数字も教えていただけませんか。
#215
○政府委員(宮地貫一君) 国立の大学の場合について申し上げますと、先ほどの資料のとおり、五十六年五月一日現在でございますが、入学定員が六千五十二名、それに対しまして入学者が二千八百五十三名で、そういう意味で充足率が四七%という数字を申し上げたわけでございます。
#216
○本岡昭次君 非常に充足率が少ない。私学を含めてと同じようなパーセントを示しておりますが、この充足率の低いということは、どう考えればいいですか。大学院が設置されているということとこの充足率が低いということを、どういうふうにわれわれは考えればいいですか。
#217
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のようなこういう現象が起こっているその理由と申しますか、どういうところからそういう事柄が起こっているかというお尋ねでございますが、一つには、わが国の大学において研究者ないし高度な技術者の養成機関としての大学院の位置づけが必ずしも定着していないということが言えるんではないかと思います。
 それから、実際に社会におきましては、いわゆる大学院卒業者よりも、むしろ学部卒業者を中心として採用いたしますわが国の雇用慣行と申しましょうか、そういうような事柄がございますので、大学院の進学希望者が少ないというような事柄が原因になっているかと思います。さらに、そういう希望者が少ない上に、大学側といたしましても、大学院学生として高度の能力を持つ研究者等としての適格者を選抜をするということになるわけでございますし、そして、これは全部の分野ではございませんが、博士課程の一部の分野では、先ほども申し上げましたように、博士課程を修了してもそれにふさわしい職につけない、いわゆるオーバードクターの問題等も生じているわけでございます。そういうふうな点もございまして入学者を一層厳選しているという面もあろうかと思います。
 なお、たとえば日本の場合は、学部に対して大学院というのが非常に比率が低くなっておるわけでございますけれども、外国におきましては、むしろ学部よりも大学院に相当ウエートが置かれるというような現状がございますが、最初に申し上げたような日本の社会の社会的な体制がただいま申し上げたような体制になっておりまして、大学院の方が必ずしも整備充実されていないというのが現状ではないかと思っております。これらの点については、先ほども申し上げましたように、なお基本的に大学院自体のあり方なり整備については学識経験者等にも御意見を承って、そのあり方の検討を願っているというのが現在取り組んでいるところでございます。
#218
○本岡昭次君 文部省の大学局が出している「大学院の改善・充実について」、この資料によると、もちろんこれは私学も含めてのことだろうと思いますが、驚くべきことが書いてありますね。「特に設置以来博士の授与が全く行われていない」学校、「なかには在学者もほとんどなく、実質的な活動が停止しているに等しい」大学院もあるというようなことが書いてあるんですがね。国立大学の大学院にもこのようなところがあるのですか、どうですか、これ。
#219
○政府委員(宮地貫一君) 国立の場合にそういうようなケースはまずないものと私ども考えておりますが、確かに博士課程が置かれながら博士の授与というようなものはきわめて少ないというようなケースは、特に人文系の場合にそういうケースが実際問題として多いんではないかと、かように考えております。そういう点については、私ども博士の学位についても規定の改正をいたしまして、従来の博士の考え方としては独創的研究によって新領域を開拓したものについて授与されるという考え方から、研究者として自立して研究活動を行う必要な能力があるかどうかというような観点から博士を授与するというようなことで、学位規則も改正をいたしまして、大学院の改善がなされるような具体的な取り組みを期待しているところでございます。もちろん御指摘のような大学院が置かれ、そこに大学院の学生がいて博士課程の修了者が現実に出てこないというようなことでは十分な機能を果たしているとは言えないわけでございまして、それらの点については、先ほど来申し上げているように基本的に問題があるわけでございますが、それぞれ個々の大学院の対応についても、私どもといたしましても、それぞれ国公私立大学を通じて視学委員等を個々の大学に派遣をして教育指導上の指導に当たっていただいておるわけでございますが、そういう個々の大学についてはそういう個別の指導を十分徹底させるように今後とも努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#220
○本岡昭次君 文部大臣、いま大学院問題のやりとりで大学院というものが実態的にどのようになっているかということをおわかりになったと思うんですね。十年間私の持っている資料では、ずっともう昭和四十三年以来、国立も私学も含めて大学の充足率、博士課程の充足率は四〇%台ですね。半分は開店休業という状態で日本の制度上最高段階の高等教育というものがあるわけなんですね。定員を全部充足することがそれでは量的に一〇〇%いったので、それで高等教育の最高段階の教育研究活動がうまくいっているというふうに私は言うつもりありませんが、少なくとも国立大学という中にあって制度上の最高段階における学術研究、そして教育研究機関としての機能、そうしたものが半分しか機能していないということ、私はこれちょっと問題があるのではないかと。私素人ですから大学院というのはそれでいいんだと言われればもうそれまでですが、先ほど私が提起しましたときに、文部大臣は定員の問題のときに、いやそれは定員削れ削れというのは政府の方針だからやむなく削っているんだということですが、やはり私は教育機関というのは、その実態の中で何が必要で何が必要でないのかというものの中から定員というものの必要なもの必要でないものがはじき出されなければならぬと、こう思うんですね。だから、今度島根医科大学で大学院を設置するということについて反対する何物もないのですが、しかし、設置されていく大学院の実態というものがずっとそういうことであれば、ここはひとつ考え直さにゃいかぬところではないかと思うんですが、いかがですか。
#221
○国務大臣(小川平二君) この現在のような状況が出てきておりまする原因は、ただいま政府委員から答弁を申し上げたとおりでございます。
 大学院というものがいわばまだ一つの過渡期にあるような状況でございまして、しかし、現状を放置しておくわけにはいかない、しからばどうしたらいいかということをただいま学識経験者等の御意見を承っておるわけでございまして、その御検討の成果をも踏まえて、私どもとしても大学院のあり方を鋭意研究してまいりたいと思っております。
#222
○本岡昭次君 最後に、今回島根医大に設置されるこの問題、それが引き続いて医大のない県をなくしていくという方針に基づいて各県に医大を設立し、そこに順次大学院も置いていくということなんですが、少なくとも医学部あるいは医大、そこに国の施策として設置されている大学院の充足率というのは、このような四〇%というふうなことじゃないのでしょうね。そこはどうですか。
#223
○政府委員(宮地貫一君) 医科大学については、先ほど御説明いたしましたように、学年進行が完了しますれば、それに引き続いて大学院の博士課程の設置を順次お願いしてきておるわけでございますが、たとえば、具体的に御提案申し上げております島根医科大学の大学院の場合で申し上げますと、入学定員については三十人ということで、相当入学定員といたしましてはしぼった数で対応してきておるわけでございます。
 なお、新設の医科大学につきまして、従来設置をされております大学院、新設医科大学につきましても、三十人の入学定員に対して、やはり必ずしもすべてが充足されているというわけではございませんので、その点はもちろん入学定員をどう決めるかという問題と基本的にかかわるわけでございますが、考え方といたしましては、医学部のいわば、先ほど申しましたような特殊性で、大学院――博士過程を置いてきておるわけでございますが、それは、いわばその医師養成という特殊性とあわせて、医学部の教育研究機能としては、やはり大学院が一体不可欠の組織として位置づけられているというようなことが言えるわけでございます。したがって、もちろん入学定員を定め、そこに大学院の学生が現実にいて、大学院の学生の教育に当たるということももちろん肝要なことでございますが、やはり医学教育というものについて、これは学部段階だけではなくって、医学というような非常に複雑高度な内容に対応するためには、そういう博士課程の大学院という組織が必要であるという観点で整備を進めてきているわけでございます。それらの点については、入学定員の設定等を通じまして、十分現実的な対応をいたすように心がけているところでございますが、それでは医学部の場合に、三十名の定員が満杯で充足されているかというと、その点は、必ずしも実態はやはり一〇〇%充足されているということではございません。
#224
○本岡昭次君 私は、その一〇〇%充足するよりも五〇%の方が行き届いた学問研究ができるということでいいんかなと思ってみたりするんですが、しかし、文部省の大学局のこの文書を読むと、これは問題だと、解消しなければならぬと、その方策がいろいろ書いてありますから、一方で大学院を設置するということであれば、問題になっているそうした点の解消にも鋭意努力してもらいたい、このように考えます。
 そこで次の問題に入りますが、今回の島根医大の問題も含めて国立大学の整備について計画的に進められております。いまは大学設置計画の後期に入っているということで、昭和五十六年から六十一年までの六年間、高等教育の整備についていろいろな御計画があるようでございますが、その中の一つの大切な課題として、地方における大学を中心に整備を進めると、こういうふうになっています。島根医科大学設置そしてそれに大学院を設置するというのも、地方における大学の整備の一環であろうと思うんですが、文部省は具体的に地方の大学を中心に整備していくという事柄について、どのように計画を持っておられるのかということと、各大学から学部増設というふうな要求も、そうしたことに合わせてたくさん出てきているのじゃないかと思いますが、どのような要求がそれぞれの大学から出、その要求に対して文部省はどういうふうな対応をしているのか、こうした点についてひとつ知らせていただきたいと思います。
#225
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、国立大学の整備充実については、かねて努力をしてまいってきているところでございますし、その際、御指摘のような地方の国立大学の整備充実ということを重点に従来から努力をしてまいってきたところでございます。
 国立大学の学部増設については、それぞれの地域から要望が大変多いわけでございますが、全体的には先ほどもちょっと申し上げましたが、高等教育の計画的整備の観点から、たとえば地域におきます収容力の格差とか、あるいは専門分野構成というようなことを全国的に考えまして、特に最近の傾向で申し上げますと、地方の大学の、それも人文社会系の分野の拡充にいろいろと配慮をしてきておるわけでございます。そして各大学における検討状況を踏まえながら、それぞれ必要なものについては、創設準備経費でございますとかあるいは調査経費を措置して、具体的に検討をしてきていただいているわけでございます。
 ただ、御審議いただいております五十七年度予算の編成に当たりまして、先ほど来いろいろ御論議もあるわけでございますが、現在の行財政事情でございますとか、あるいはまた臨時行政調査会の第一次答申におきましても、国立大学の大学学部等の新増設については原則的に見送る、抑制を図るというようなことも言われたわけでございまして、したがって、今回御提案申し上げておりますこの国立学校設置法にも学部の新設あるいは大学の新設等の問題については、具体的にはただいま準備を進めておりますものについても、引き続きなお準備を期するということで、具体的な御提案には至っていないわけでございます。
 どのようなものが具体的にあるかというお尋ねでございますが、たとえば従来から創設準備を進めておりますものとしては、三重大学の人文学部でございますとか、あるいは創設準備調査として取り組んでおりますものとしては九州工業大学の情報工学系の学部でございますとか、さらに大学改革等の調査経費を配分しております大学としては、具体的には福島、群馬、山梨、鳥取、広島、徳島というような大学におきますところでそれぞれ調査経費を配分して、それぞれの大学で御検討をお願いしているわけでございます。私どもといたしましては、五十七年度につきましてはそういうことでなお引き続き準備ということで、具体的な提案には至っていないわけでございますが、国立大学の教育研究上、真に必要なものの整備については引き続き努力をして国立大学の整備という観点から遺憾のないような対応をしたい、かように考えております。
#226
○本岡昭次君 そのほかにも、弘前大学とか宇都宮大学、和歌山大学からも学部増設の希望が寄せられていると思うのですね。宇都宮大学というのは、これは文教委員会でも視察に行って、国立大学の格差ということについて、特に筑波大学を見た後に宇都宮大学を見たもんですから、大変印象が強烈なんです。でも、そのときにも人文社会の学部を増設してもらいたいんだという話が出ておりましたが、いまずっと見るとたくさん出ているんですが、なぜこの弘前とか宇都宮とか和歌山はいまおっしゃる中に入らぬのですか。
#227
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど申し上げました点は、大学については具体的な調査経費を予算的にも配分をいたして検討いただいておるわけでございますが、調査経費についても予算の枠等もございますものですから、直ちに調査経費を配分して検討するというところまで、それぞれ大学の具体的な計画にもよるわけでございますが、まだ至っていないということでございます。
 御指摘のように、それぞれの大学で希望があることは私どもとしても承知をしているところでございます。ただ一面、こういう地方大学、特に地方の国立大学の整備について、文部省としてはもちろん大学全体の整備という観点から対応をしてまいらなければならない事柄と考えておりますが、一面高等教育の整備全体をどう考えるかという観点で、一つにはやはりたとえば臨時行政調査会等で議論をされている点で申し上げますと、地方の国立大学の整備ということについて、国立てなければならない点はどういう点であるかというようなことなども議論されていることも一つの問題点でございまして、そういう点を今後十分関係方面の了解を得てこういう大学の整備が行われるためには、私どもとしても十分な体制を整えることもやはり必要ではないかと、かように考えております。
#228
○本岡昭次君 昭和六十一年から六十七年度、十八歳人口が爆発的に増大をする、具体的には五十七年の十八歳人口が百六十四万人、六十七年には二百六万ということで、十年間で四十万人もふえるという事態がそこにくるわけで、この高等教育の整備の問題については、このことにどう対応するかということが大事であろう、このように思うんですね。したがって、いまの各地方大学を充実整備するというのも、このことと関連させ、それぞれの各大学がみずからの要望として学部を増設してもらいたいという事柄に関して、文部省も一方では行管の対応もありましょうが、積極的に対応すべきである、このように考えるんです。放送大学があるからそこで何百万人でも養成できると、何ぼでもそこで吸収できるというふうなばかげたことは私は考えぬ方がいいと思うのですね。放送大学はあくまで放送大学としての使命であって、十八歳人口がふえるその教育要求を一時的にそこで吸収させてしのごうというふうなことは絶対考えるべきでないという私は意見を持ちます。
 そこで、具体的に高等教育の計画的整備ということで、この大学設置審議会大学設置計画分科会の案によりますと、これは御存じだと思うのですが、国立入学定員について後期一万二千人増員する、年平均二千人ずつ生徒を増員するということがここに掲げてあるわけなんですね。だから、そういう事柄の具体的な検討というものはそれじゃどのように進められているんですか。
#229
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、六十一年度以降の十八歳人口がいわゆるベビーブームの第二の波として高等教育レベルに来ることは、これはもう既定の数字がそういうことを示しているわけでございます。それらに対応するための施策としては、私どもとしても現在大学設置審議会の中の大学設置計画分科会に御検討をお願いをすでにいたしているところでございます。
 ただいま御指摘の高等教育の計画的整備の後期計画の中で、国立大学については平均二千人以内ということでございますけれども、二千人ということで六年間で一万二千人という数字で示されているわけでございますが、現実に私どもの対応としては、五十六年度は国立の入学定員の増は千百三十人、それからただいま御審議いただいておりますものでは五十七年度は五百九十人の増ということで、特に五十七年度の対応などは、大変厳しい財政状況等を反映して、計画における整備規模の目途を大幅に下回っているということは事実でございます。したがいまして、私どもただいま取り進めております作業といたしましては、後期計画の対応としてまずそれの見直しが必要ではないかということが一つございます。これは五十六年から六十一年までということでございますが、ただいま、先ほど申し上げました大学設置審議会の計画分科会の中でまず後期計画の見直しということで、五十八、九、六十までの三カ年についてどう考えるかというようなことで見直しをお願いし、さらに六十一年以降の対応としては、これは先ほども御指摘のございましたように、六十七、八年ごろになりますと十八歳人口が二百万を超えるところに、ピークにいくわけでございますが、さらにその後十八歳人口の流れで申し上げますと、大体昭和七十五年ごろにはまた大体百六十五万人というような、おおよそ六十一年から大体十五年間に十八歳人口としては、一たんは二百万のピークに達し、さらにまた百六十五万人台というような、相当急激にふえかつ急激に落ち込んでいくというような姿が想定されるわけでございまして、ただいま検討をお願いしておりますのは、六十一年以降の十八歳人口のそういう対応を見ながら、高等教育の全体的な長期計画と申しますか、あるいはその長期計画を具体的にはそれぞれ五年ぐらいに区切ることになろうかと思いますけれども、これらの点についての御検討は、五十七年、八年の二カ年をかけて検討いただくように具体的にお願いをしているところでございます。
 先ほど御指摘のような地方の国立大学の整備というようなことも、地域間の配置でございますとか、先ほど申しました専門分野の地域別の格差というようなものをそういうような計画の中でどのように全国的な計画として考えてまいるか、非常に問題点はいろいろと多いわけでございます。十八歳人口の増加と申しましても、これもやはり大都市周辺が具体的な数としては大きいわけでございまして、そういうような点を踏まえたがら全体的な計画の御検討をお願いしているというのが現状でございます。
#230
○本岡昭次君 もう時間もありませんので、文部大臣に最後にお伺いして終わります。
 一つの問題は、六十一年からの十八歳人口が激増する段階における高等教育の計画的整備をどうするかという問題についてこの文教委員会でもいろいろの観点から十分論議をする必要があると私は思います。そしてそのことが一方では行政改革という問題との絡みの中で、私は行政改革がもう最優先で、それにはもう教育的な見地から何も言葉を差し挟むことができないんだというふうなことにならないように、これは文部大臣としてしっかりとした腹固めをしていただかなければならないんじゃないかと思うんですね。
 それともう一つは、当面の問題として年平均二千人、一万二千人、国立大学で学ぶ入学定員を増させようという計画があるにもかかわらず、いま局長の答弁にあったようにことしは五百九十人しか増員できなかった。これも行政改革だと、こういう形になっておる。それで、一方では私学にそれらをお任せしますと、あるいはまた専門学校の方にお任せしますと、それで全体として日本の高等教育はこのように質量ともりっぱなんですということでは国の責任が私は果たせない、このように考えるんですね。
 だから、文部大臣として、高等教育の計画整備にある年平均二千人というものに標準を合わせてこの六年間に一万二千人増員させるんだということと、その後に来る十八歳人口の爆発的な状況に対して教育的な観点に立ってしっかりとひとつ行財政問題と対応していただきたい。先ほど私に答弁されましたように内閣で決められたことですからと、行財政で決められたことですからというふうなことだけでこの問題が終わらないように文部大臣としてのしっかりとしたひとつお答えをいただいておきたいと、こう思います。それで終わります。
#231
○国務大臣(小川平二君) 十八歳人口の増加に対応して高等教育の新しい長期計画を設定する必要がございますので、ただいま大学設置審議会に御審議をお願いしておりますことは政府委員から申し上げたとおりでございます。財政の状況非常に厳しい現状でございまするけれども、国立大学の教育研究所、真に必要なものにつきましてはその整備に努めて遺憾なきを期してまいるつもりでございます。
#232
○本岡昭次君 終わります。
#233
○高木健太郎君 質問事項等あらかじめ申し上げてないものもお聞きしますので、そこにお持ちの資料でお答え願えればありがたいと思います。
 最初に、またこれで三度目でございますが、献体ということについてお伺い申し上げます。文部大臣は今回初めてでいらっしゃいますので、献体という言葉は御存じでいらっしゃいますか。――余り御存じないだろうと思いますが、医学部の教育におきましては、文部省の大学設置基準として、専門課程の一年のときに人間の死体を解剖して、それによって医の倫理を学び、また人体の構造、組織を知るというために欠くべからざる実習課程になっておるわけです。しかし、これが大学設置の当初におきましては行き倒れとかあるいは身元引受人のない人あるいは刑死人という死体によりまして充足されておりましたけれども、経済事情がよくなりましてそのような死体の供給が足りなくなりました。そこで、ひとりでに民間に、自分が死んだならばその体を無報酬、無要求で大学にそれをささげる、寄付するという運動が起こってまいりまして、現在の医学教育ではこのような任意団体の献体という行為がなくては解剖の実習は行われないというような状態になっております。このように自分の体を教育、研究用にささげるという行為を献体と申しております。
 さて、大学局長にお伺い申し上げますが、現在献体によりまして解剖の死体の充足率は、先般もお伺いしましたが、その後どのようになっておりましょうか。また、沖縄は専門課程に入ったと思いますが、死体はどれぐらいになっておりますか。その点を初めにお伺い申し上げます。
#234
○政府委員(宮地貫一君) 医学部の解剖実習用の遺体の収集状況についてのお尋ねでございますが、私ども全体では、収集体としては基準に対しておおむね七二%程度というぐあいに状況を把握してります。
#235
○高木健太郎君 沖縄はいかがでございましょう。
#236
○政府委員(宮地貫一君) 沖縄については十四体を確保しているというぐあいに承知いたしております。
#237
○高木健太郎君 いまお伺いしましたように、七二%というのは、基準にありますように学生二人に対して一体というのが一〇〇%ということ、ところが七二%というのはそれに満ちていないということですね。実は余っているところも現在出始めているわけなんです。そういうことを考えますと、七二%というのは足りないところも相当できている。また、沖縄のように非常に風俗的にあるいは慣習的に、あるいは宗教というものも絡むと思いますが、ああいう島国では非常に集めにくいのではないかと思います。といって余っているところから飛行機なりその他の輸送機関をもって死体を運搬するということは、これはまだ何ら法的にも確保されていないという状態でございまして、沖縄でたった十四体であるというのは、国立として建てた沖縄大学の医学教育は非常に大きな欠陥を持つということになります。この点は私もたびたびお尋ねしましたのでいろいろお考えになっていると思いますが、ぜひこれによる法制化というものを一度お考えいただくと幾らかそういうことが緩和できるのではないかと思うわけです。
 もう一つは、死体が足りない私立大学があるわけです。国立てはまさか行われていないと思いますけれども、足りない大学に設置審の委員が視察にまいりますと、まず死体は充足しているかという質問をいたします。すると、していないといろ返事が返ってきますと、死体の充足が望ましいというそういう批評を与えて帰ってくるわけです。そうすると、言われた大学は非常に強くこれを感じまして、何とかして集めなければならないというふうに考えますとそこでいろいろのものが動く、権利が動くということになります。
 お読みになったかとも思いますが、カッパブックみたいな本で「屍体商社」という本が出ております。これは一種の推理小説なんですけれども、死体を香港なりどこかからか買うということなんですね。ベトナムから買ってくるとかあるいはインドから買うという話も聞きました。しかし、私はこれはそらごとであろうと思っておりまして、ある医師会の大家に聞きましたところ、いや実際はある商社でそういうことをやろうとしたんだ、そこまでいったんだという話を聞きました。これはゆゆしき問題だと思うわけです。
 さらに、現在厚生省ではアイバンクとかあるいは腎臓の銀行とかいうものをつくっておりまして、目に対しましてはそれの摘出料、運搬、保存という名目で角膜を取りますので献眼をした人には三万円をやる、腎臓を提供した人には二十万を同じ名目でやっております。これらは協会というアイバンクなり腎臓バンクがありまして、それを介した場合にはそこへ大体それだけの費用がかかるというのでやりますから、物を売ったわけではございませんが、そこを通さないで直接医師に自分の眼球を死後与えた場合には、これはその遺族に対して三万円なり二十万円が戻ってくるということになりますと、これは目や腎臓がその価で売れたということになるわけです。同じことが私は死体に対して起こってくるのではないかということを懸念しているわけでございます。それは絶対にしてはいけないことであるというのが私の信念でございまして、何とかこれを防ぎとめるようにひとつ考えていただきたいというのが最初に申し上げたいことでございます。
 実は、厚生省の方では目をあげましたりあるいは腎臓をやった場合には、厚生大臣の名前で感謝状を出しております。たった一片の紙切れでございますけれども、その遺族は大変これに対して感謝しているわけでありまして、これは金で買えない一つの名誉である、感謝状である、自分の善意を認めていただいたということで大変喜んでおる。ところが、体全体をあげて、しかもその中から目もくり抜かれあるいはときによっては腎臓も提供しているという人に対しましては文部省から何らの措置もない、そういう現在状態でございます。
 これは私からのお願いでございますが、年間五千体ぐらいを使っておるので大変かとも思いますが、そういう献体をなさった方に対しては文部大臣として何らかの措置をしていただきたいと思いますが、大臣初めてお聞きになったかとも思いますけれども、ひとつ御感想をお聞きしたいと思います。
#238
○政府委員(宮地貫一君) それでは私の方から現状その他についてまずお答え申し上げたいと思います。
 かねがね先生からは実習用の解剖体の確保の問題について御指摘をいただき、さらに具体的に法制化の問題等についてもいろいろと御指摘、御指導をいただいているところでございまして、私どもといたしましても昨年来それらの点について懇談会を設けまして、それぞれ専門の方々の御意見を伺ったりする機会をつくってきておるわけでございます。その法制化の問題についてはなお問題点について十分検討する必要もございますし、特に厚生省との関連が一番深いわけでございますので、その辺についてはなお研究課題がいろいろと残されているわけでございますが、ただいま御指摘の、具体的に文部省関係、大学等において献体がなされた場合に何らかそれに対する手だてということはどうかというお尋ねでございまして、個々の大学においてはそれぞれ学部長なりしかるべき方々から対応はいたしておるわけでございますが、ただいまのところ現状はそういう状況にあるわけでございます。
#239
○高木健太郎君 ぜひ文部省としてもお考えいただきたい。しかも、大学によってはやっておるとは言われますけれどもそれが非常にまちまちでございまして、ある私立の大学であると思いますけれども、そういうところでは献体の申し入れをすると、いわゆる登録をしますと病室をあけておくとか、教授の先生が先に診てやるとか、あるいは歯が悪くて歯医者にいきますと、おまえはおれのところへ献体をすればただで診てやるというと、いままでほかの医学部に登録しておった人が歯医者の方へ登録のし直しをする。そういう何かえさを、報酬をそれに対して与えるというような形もありまして、ばらばらになっておってそれが悪い方向へ向かっていくという懸念がありますので、私は、文部省として大臣が、そういう人はこれはいまの世の中でも大変いいことであるというふうにお認めになりましたら、何らかのこれに対して感謝の気持ちをあらわしていただきたい、こう思うわけです。いかがでしょうか。
#240
○国務大臣(小川平二君) 初めて承るお話でございますが、御趣旨は十分理解をいたしました。研究をさせていただきます。
#241
○高木健太郎君 では次に移りますが、これも私そちらに質問事項として出しておりません。おりませんが、心配になりましたので早急にお聞きするわけです。
 現在、御存じのように塾だとか、医学部に入るための塾があるわけです。そういうところでは、おまえは成績が悪いから医学部は無理だ、あるいは高等学校におきましてもそういうふるい分けがあらかじめ行われておりまして、たとえ医学部に行くとしましても医学部にランクをつけて――医学部というのは第一位の成績を持っていないと、いわゆる最上位の成績を持っている者でなければ受けられないという状態になっておるのは御存じだと思います。事実、私が大学在職中に入学試験の成績を見ますと、医学部の一番おしりで通った者は工学部の一番をはるかに超えているという点数を持っております。また、工学部で一番おしりになった者も理学部において同じように非常に上位の成績を占めるということになっているわけで、この傾向は各大学共通であろうと思うのですが、大体そういうものでしょうか。局長、どうお考えになりますか。
#242
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような傾向は、私ども詳しい数字で把握をしているわけではございませんが、御指摘のような状況がうかがえることは事実かと思います。
#243
○高木健太郎君 これはぜひ一度、どれくらいの程度であるか、ただ、想像ではいけませんので、ぜひデータをお集めいただきたいと思います。もしもそういうことであるならば、現在日本において、現在の教科目において最も優秀な者だけが全部医学部へ集まるという、非常にはんぱな状況を来すと思うわけです。ところが、それではそういう教科目で優秀な成績を上げる者は全部人間として優秀かというと、あるいはそういう人間は非常に偏った何か知能なり知識なりを持っておるのかもしれないと私は思うわけです。要するに、まことに何か成績のよいということだけで泳いできた人間が全部医学部に入るということが起こり得るということになるわけですね。
 昔、明治の、大学がしかれましたときに九州大学ができました。その場合に一高の卒業生が九州大学へ行かされたわけです。というのは、一番、三番、五番というような者は東京大学へ残ってよろしい。しかし、二番、四番、六番というような者は、九州大学へおまえは行きなさい。それは九州の地に行ってりっぱな大学を建てるのだということの意味であったかと思います。これも真偽のほどはしっかりわかりませんが、私そういう話を先輩から聞いたことがございます。そういう意味では私は、政治がうまく働いて九州というものの繁栄に役立ち、りっぱな医師の養成に役立ったとぼくは思うわけですね。これがいまのような状況でそのまま放置しておきますと、まことにちんばな社会ができてくるんじゃないか。医師はもちろん大事な職業でございますけれども、医師だけにそれが集まっていくということは、将来の日本を考えましたときにまことに私憂うべきことではないかと逆に考えているわけでございます。これは一度ぜひお調べいただきたいと思いますが、もしこういうふうであるとしたならば、大臣、どんなふうにお考えでございますか。
#244
○国務大臣(小川平二君) 仰せのような実態であるかどうか、恐らくお言葉でございますから、全国の調査をいたしてみましても同じようなことになるんだろうと思いますが、さあ、どうすればよいかというお言葉ですが、これは私がこの場で責任ある答弁を申し上げかねる問題でございまして、その時点でひとつ研究をさせていただくほかございません。ただ、御趣旨は私も共感を覚えるところがたくさんございます。
#245
○高木健太郎君 どうぞこの点を真剣にお考えいただきまして、国家百年の計という意味で、私は小川大臣の時期にとひつお考えをいただきたい、こう思うわけです。
 次は、各県一医大というのを先ほど本岡さんからもお話がございましたが、これは、いわゆる各県に医大を建てるということは、そこの医療、地域医療の充実ということがあろうかと思いますけれども、もう一つは、地域の学生がその大学へ行くということもねらいであったかと思いますが、実際そのようになっておるでしょうか、最初のように。
 それから、これに加えてお尋ねいたしますけれども、それまで国立医大のなかったところに国立医大をお建てになりましたが、それまでにあった福島とか和歌山、奈良というようなところは国立にならないでそのままの状態で、しかも一つの医大でしかございません。それらを国立にされないのはどういうわけかという、聞き方はちょっと悪いと思いますけれども、どういうわけでそうなっているのかということをひとつお伺いしたいと思います。
#246
○政府委員(宮地貫一君) 第一のお尋ねは、それぞれいわゆる無医大県解消計画によって医科大学のない県に医科大学を設置して――それはもちろんその地域の医療に貢献するという意味もあるわけでございます。そこで、その地域の出身者がどの程度実際に入っているのかというお尋ねでございますが、それぞれの医科大学によって差異はございますけれども、たとえば比較的地域の出身者の多い例で申し上げますと、たとえば旭川の医科大学で申しますと、ほぼ七割ぐらいが道の出身者ということになっております。そのほかおおむね三割前後の者が、それぞれ設置されております県内の出身者が入学しているという状況でございまして、必ずしも十分でないかとは思いますけれども、ある程度そういう地域医療に貢献するため、そしてまた、地域の出身者がその医科大学に入っている姿というものはうかがえるんではないか、かように考えております。
 第二のお尋ねの点で、たとえば福島、和歌山等、従来県立の医科大学のございましたものについて、それについては今後どういう対応であるのかというお尋ねでございますが、これらの県についてそれぞれ個別の従来からの事情がいろいろあるわけでございますが、私どもとしては設置者でございます地方公共団体が特にその必要を認めて設置しているものというぐあいに理解をしておりまして、設置後相当長い年月を経て地域社会に定着し、それなりの特色を発揮してきているというぐあいに理解をいたしておるところでございます。過去におきまして県立の医科大学を国立に移管したケースは幾つか例はあるわけでございますが、その後の対応といたしましては、具体的な県立を国立に移管するというような事柄は行われていないわけでございます。
 なお、特に現在の国家財政の状況から勘案いたしますと、現時点ではこれらの新設医科大学の整備充実ということも、予算的にも定員的にも大変大きな負担でございまして、ただいまのところ私どもとしては、設置をいたしました新設の医科大学の整備充実に全力を上げるということが当面の対応でございまして、それら既設の県立の医科大学について、それを国立へ移管するというようなことについては、ただいまのところ考えていないというのが現状でございます。
#247
○高木健太郎君 大体目的を達しているということで安心をいたしました。
 もう一つの問題は、自治医大というのがあるわけですが、これは各県から来ておられて、いわゆる過疎地の医療ということについて訓練を受けているわけです。ところが、御存じのように、現在の医学というものは非常に専門化しておりまして、いろいろな機器がなくては診療ができないような教育がされているわけです。だから、ある患者が行きまして医者に診てもらうと、おなかが悪いと言うと、内科に参りましても、おれは心臓が専門だから内科はわからない、よそに行けと、こういうことまで言われている状態でございます。自治医大の卒業生は非常にまじめでよく勉強もするということは聞いておりますし、事実国家試験の合格率も非常に高率でございます。ところが、それが過疎地に参りましても、過疎地の医療に対して役に立たないといううわさを聞いているわけでございます、事実、病院に参りまして聞きましても、その現地へ行って二、三年はやらなければとても物にならない、こういうことを聞いているわけでございますし、また、各途上国に日本の医師が参りましたときに、先進国であるドイツやイギリスやフランスの医師に比べまして、日本の医師は、余り専門化しているために、カンボジアの戦線なんかではほとんど役に立たない。レントゲンがない、いや血液の検査のやつがない、あれがないこれがないからおれは診断ができない、こういうことを言われるような状態になっているわけです。どこにもここにもそのような機器をそろえられるということがないので、今後の国際化あるいは国際交流の面におきまして、また過疎地の医療ということにおきましても、今後医学教育のあり方をじっくりひとつお考えになる必要があるのではないかと思います。
 今度島根大学に置かれる医科系の大学院でございますが、これと関連してちょっとお聞きしますが、現在大学院は毎年一講座に対して二名ということでございますね。どこへも入り手のない大学院がある場合には、全部埋めたときの定員よりもはるかに少なくなってくるわけですが、これは大学の中で融通ができるんでしょうか、どうでしょうか。
#248
○政府委員(宮地貫一君) 島根医科大学の大学院につきましては、研究科のもとに、専攻としては形態系専攻、機能系専攻、生態系専攻というような形でそれぞれ設けているわけでございます、御指摘の一講座について二名ということで、ない場合にどうかというお尋ねでございますが、大学の内部でそれぞれ対応していることはあろうかと思いますが、それはそれぞれの大学自体において具体的な対応として処置をしていることであろうとかように承知をしております。
#249
○高木健太郎君 要するに、大枠はある程度決めておいて、その中のあとの処置は大学に任せると。それで結構だと思いますが、実は、現在は基礎医学系に残る人は非常に少ないということは御存じのとおりです。みんな臨床にいく人が多いわけです。内科や外科は非常に多いということですが、そういうところに入りました人は、大学院というところは研究をするところであるというので、患者なんか診ないでいきなりすぐ研究室に入るということが多くて、しかもそれを三年とか四年そっちの方へかかって、学位を取るとどこかへ出ていくというようなことになる。いわゆる医療というものに対しての知識が非常に少なくなる。この点は、今後少なくとも医学系の大学院につきましては、臨床系の大学院と基礎系の大学院とでは少し差をつけなければいかぬのじゃないか。臨床系の大学院に入って――医学博士といったって診療はしますからね。ところが治療的の手腕はほとんどない、そういうことになっても先ほどと同じように非常にはんぱな医師ができるということになりますので、この点はぜひ改良なり、あるいは審議会ででも十分な御審議をされておく方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#250
○政府委員(宮地貫一君) 具体的に国立大学の医学研究科博士課程でございますが、五十六年度の入学者七百九十八名でございますが、基礎系と臨床系に分けますと、二百七十六名と五百二十二名ということで、おおよその比率で申しますと、基礎系が三四%強に対しまして、臨床系が六五%程度というような比率になっているわけでございます。大体、過去の傾向を見ましてもおおよそそのような傾向になっている。御指摘のような、基礎系について非常に十分な研究者が得られないというような悩みがあるということは、先生御指摘のような事柄が現実にあるわけでございます。そういう医学教育全体についての改善については、もちろん医学部長会議でございますとか、いろいろそれぞれ医学についての御専門の方々の検討で今後の医学教育の改善等についてはそれぞれ御議論をいただいておるところでございますが、先ほど来御指摘の幾つかの点は、先生が御経験されておりました分野でもございますので、私どもとしても十分御指摘に沿うような改善策というのは今後検討を要する課題であろうかと、かように考えております。
#251
○高木健太郎君 次に、国立大学の大学院の設置なんですが、医科系の大学院については先ほど本岡さんからもお話がございましたが、文科系が国立大学でも置いてないところがあるわけですが、それの理由ですね、主な理由はどういうことでございましょうか。いつぞや大学院の懇談会というのが開かれたことがございますが、その席である大学の学長から、どうして僕のところに大学院を置いてくれないのだという非常に強い要望を聞いたこともございます。どういうわけでそうなっているのか。同じような先生で十分資格があると思われるのに、国立大学ではなかなか文科系には置かない。これはどういうわけでございますか。
#252
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、人文系学部、社会系学部全体、国立大学について申しますと七十九学部ございますが、そのうち大学院を持たないものが十九学部、二四%に及んでおります。先ほども大学院についてのお尋ねがございましてお答えをしたわけでございますが、基本的には修士課程の新設拡充という点につきましては、その設置が大学の教育研究水準の向上に資することが大きいことでございますとか、あるいはその修了者が社会のいろんな分野で高度の専門性を備えた人材として進出することが期待されるというような分野につきましては、大学の構想を十分伺った上で、整っているものについては順次整備を図ってきているというのが今日までの状況でございます。
 ただ、博士課程の新設、拡充の問題については、大学院の博士課程全体の基本的問題もあるわけでございますが、博士課程の設置については、医歯学の分野を除きまして全般的には対応としてはきわめて慎重な対応で臨んでいるわけでございます。それは、一つには、大学院の整備については、基本的にいろいろと今後の日本の高等教育の整備という中で大学院の整備をどのような形で進めていくべきかという基本的な大きい課題が一つはあるわけでございます。そういう点について学識経験者の御検討をわずらわしているわけでございますが、そういう結論を得ました上で対応をしなければならないことだと、かように考えております。もちろん、大学の中には研究者等、十分人材のそろっているところもございまして、博士課程の設置について、戦後三十年を経ました新制大学においてもいろいろと具体的な御要望がある点は十分伺っているわけでございますが、ただいま申しましたような点で、博士課程については慎重な対応で臨んでいるというのが現状でございます。
#253
○高木健太郎君 博士課程につきましては、いまのようなことで慎重に臨まれているということはわかりますが、私立大学で同じようなところへ置かれているのに国立大学では置いていないというような、そういう見方をする人が多いものですから一応お伺いしたわけでございます。
 次に、九州大学の生体防御医学研究所のことについてちょっとお伺いします。
 御存じのように、これまでの医学は感染でございましても、がんでございましても、その原因をレントゲンでたたくとか、あるいは摘出をするとか、あるいは薬剤をもってその細胞を、あるいは細菌を撲滅するというような形で医療というものは進んでまいりました。しかし、体が弱っては、あるいは体の抵抗力がなくてはいかにそのような薬がありましても治らないということになる。そういう意味では、今回の生体防御という、いわゆる生体側に立った研究が行われるということは、私は非常にこれはいい傾向だと思うわけでして、ほかに類を見ない研究所であると思います。
 ただ、ここでお伺い申し上げたいのは、このかん研究所は九大の中に、福岡にございまして、一方は別府にあると。これだけ離れておってうまくその連携がとれるのか、あるいは大学側としても、あるいは文部省側としても、現在どのようにこれと連携をとろうとしているのか、あるいは将来どのような連携機関をつくろうとしているのか、いわゆるコミュニケーションをどうされるのかということをお伺いしたいんです。
#254
○政府委員(松浦泰次郎君) 先生御指摘のとおり、この研究所の本部が九大、それから臨床の関係が別府ということになりまして、汽車で申しまして約三時間半かかると聞いておりますが、教授会の開催につきましては、あるいはその他の連携につきましても確かに一つの問題点でございますが、聞きますと、大学としまして両部門間で毎月二回の定期研究検討会を開催するというようなことで、基礎と臨床の研究につきましてはできるだけの連携をとって同じ研究所としての機能を発揮するように努力するというように聞いております。御存じのように、こういうふうに施設が離れます場合、あるいは非常に大規模な大学におきまして、教授会と申しましても百人余りのような方が集まって教授会なかなかできませんので、代議員制度というようなことをとっておるところもあるんでございますが、重要問題につきましてはすべての教授、研究者の方々の意見が反映されるように運用されると思いますけれども、そういうような便宜的な措置につきましても、この研究所におきまして取り上げていくんではないかと思います。ただ具体的に、教授会についてもできるだけ遺漏のないようにやりたいというように聞いておりますが、それ以上の細かい話はまだ聞いていないところでございます。
 それから、旅費等につきましても、文部省でどうするかという点がございますが、遠方の大学と東京近辺の大学とは旅費にもおのずから差異も生ずる点もございまして、この点はそういう状況を考慮して配分しておるわけでございますけれども、そのことが直接できるかどうかわかりませんけれども、このような離れた場所で同じ目的のために研究を進めていくという点につきましては、私ども今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#255
○高木健太郎君 いま片に二回ですか、研究会を開くという、これはいいと思うんですが、やはり旅費ということはお考えいただかなきゃこれは何にもならないと思うんですね。それから、現在はいろいろのコミュニケーションのメディアがあるわけですから、そういうものも特に設置するということもお考えになっておいた方がいいんじゃないかと思います。それがないと、これはただ名前を一つにしただけであるという有名無実になるのではないかと思いますので、せっかく許可をされる以上は、実が上がるような旅費の支給なりあるいは便宜的手段による、そういう手段による連絡のメディアをおつくりになるということが、私はこれが必須の条件になると思います。そのことだけを一つ注文をつけておきます。
 第二は、この研究所は御存知のように生体防御でございますが、ここでやりますのはがんだとか、慢性リューマチというようなことでございますが、私、東洋医学に非常に関心を持っている者の一人でございますが、温泉というものはそれの温熱を使ってがんなんかの治療に当たる。これは物理的の方法を使っているわけですが、しかし機械的の方法、たとえばはりだとか、きゅうだとか、そういうものも、現在中国におきましてもヨーロッパにおきましても、すべての研究者はやはり体の中のバランスをとるとか、あるいは防御の活力を高める、それによって疾病が治るのであるというふうに考えております。事実私もそうであろうと考えているわけですが、もしそうであるとするならば、この研究所をさらに少しずつ今後拡大していかれる場合に、国立として現在東洋医学の講座が全然ございませんから、こういうところに一部門なり二部門を設けられて、そして生体防御機構の中に入れるということはぜひお考えになっていたただきい。富山にいわゆる薬草の方の研究がございますが、これは漢方の方でございまして、これとは違うわけですから、せっかく一緒にされるならば、行財政で苦しい財政でございますが、ここ数年の町にそのような講座をあるいは研究部門をつくられることを私はお勧めしたいと思います。
 ついででございますので時間までに申し上げますけれども、現在はりを使っているお医者さんが十五万八千のお医者さんのうち六千人ぐらいおります。またはり医師は、二万ないし四万ぐらいのはり医師がおるわけでして、お医者さんも六千人ぐらいのお医者さんがおるということです。しかし、これはどこででもそういう教育を受けていないという、そういう医師が実ははりをやっているわけなんです。非常に寒心というか、寒い心がするわけですが、何かこれの教育方法をお考えにならなければいかぬ時期にもう来ているんじゃないか。事実、はり医師にしてもらうと非常に気持ちがいいが、お医者さんにやられると血だらけになるという訴えも患者はしておりますし、いろいろはりによる治療過誤というものもそろそろ起こってきております。そういう意味ではどこかでこれを教育しなければならぬ。そのためにもこの研究所がございまして、はりの治療の原理だとか、それからその実地の実習とか研修とかいうこともここが中心になっておやりになると。これは一つじや足りぬでしょうけれども、ぜひどこかにこれをおつくりにならないと後でほぞをかむということに私はなると思っておるわけです。
 最後にもう一言だけ申し上げたいわけでございますが、最近バイオエシックスという言葉が非常に使われておりまして、アメリカではそういう講座が持たれております。これはいわゆる言いかえれば、医の倫理という学問でございまして、御存じのように、もう酸素吸入をここでとめるか、人工呼吸をとめてもいいか、あるいはもう安楽死をさせた方がいいか、あるいは生まれてくる子供がどうも身体障害児であると子宮診断がついた場合に、これは殺した方がいいか、あるいはこのまま生をうけさせるべきかということは、現在、医師一人の判断に任せられているわけでございます。そういうことでは、今後はうまくいかない、どうしてももう少し患者の意思も聞かなきゃいかぬ。患者とそれから医師との合意の上でいろいろの判断がなされなければならない時代になってきておるということであります。これが現在、アメリカでも問題になってきたところで、医療の技術が進むとともにそのような問題がますます起こってくるということになりますので、これはどこの大学ということはございませんが、大阪大学で医学概論というのをやろうとしましたが、なかなかそれの講座の許可がおりません。これは大学内の事情もございますけれども、ぜひ将来バイオエシックスなり医学概論なり、あるいは医学の倫理なり、そういうものを教える講座をぜひつくっておかれることを強く要望をして私の質問を終わりたいと思いますが、最後に大臣の、いまのようなことに対して御感想があればひとつお伺いしたいと思うんです。
#256
○国務大臣(小川平二君) 私は素人でございまして、いろいろ専門分野のお話を承りましたんですが、いまのバイオエシックス、引用されましたような事例というのは恐らくますますふえていくに違いない。これを正しく解決すべしという社会的な要請というものもだんだん強まってくるに違いないと存じますが、いま貴重な示唆をいただいたと存じますので、ひとつ研究をさせていただくつもりでおります。
#257
○高木健太郎君 ぜひまじめに、真剣にこれはやっておいていただきたいと思います。だんだん身障者の方なんかの悲惨なお話も聞きます。といって、それをあらかじめ世の中に出さないという方策を講ずるかどうかということは、もう本当に医師は苦しい立場に立っておられると思うわけですし、安楽死といいましても、本人が安楽死したいから、それじゃもう殺そうというわけにもなかなかこれはまいりません。いろいろな問題がそこに起こってくると私は思っております。これだけではございません。もう幾らもそういう例があって判断が非常に困難な状況になってきておりますので、そのようなことを専門的に研究するなりあるいは講座で教えるなりして、医師がその判断を間違わないようにするということをあらかじめ文部省としてはお考えいただく必要があろうと思うんです。大学の方で、いままでは講座を申請してくるとそれを許可するという方針で進まれました。それが一番イージーな方法でございますけれども、そうでなくてやはりある面では文部省が主導性をとって何か審議会にかけて、こういうことはどうだろうと、こちらから進んで審議会なりあるいは有識者の御意見をお聞きになっていかれるということの方が大事だ。それこそ文部省がイニシアチブをとるということになりますので、そこをうまくやっていただければ、私は医学としてももっと安定した、安心して患者がかかれる医学になるだろうと思っておりますので、このようなことを申し上げてみたわけです。
 それじゃ、これで質問を終わります。
 何か大臣、おっしゃることがございましたら、ひとつぜひよろしくお願いしたいんですが。
#258
○国務大臣(小川平二君) いろいろ御高教をいただきまして、素人の私が大いに蒙を開いていただいた点が多々ございますことを感謝申し上げておきます。
 いろいろな御提案、直ちに実行ができるかどうかはお約束できかねることでございますが、ひとつ十分研究させていただきます。
#259
○佐藤昭夫君 非常に限られた時間でありますので、私は共通一次試験の問題に限定をしていろいろお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、この問題の文部省の基本的認識について尋ねておきたいと思いますが、受験競争、受験地獄をなくすといううたい文句でこの共通一次試験が始まったわけですけれども、この四年間にどのように受験地獄が緩和をしたのか。むしろ実態は共通一次を媒介に受験産業の介入によって一層国公私立大学がランクづけされ、大学のいわゆる輪切りが促進しているのではないか、また本年の試験では志願が初めて前年を下回り、受験時の欠席者も過去最高と、こういう形にあらわれたように、高校生には負担が重いということで、これはたとえば毎日新聞の一月十八日の投書にもその声が載っているわけですけれども、こういった問題について文部省はどう考えるのか、まず、これらの点についてお尋ねします。
#260
○国務大臣(小川平二君) 共通一次試験は全国的に見まして、従来見られましたようないわゆる各大学の入試問題の難問奇間が少なくなってきておる。それからまた二次試験につきましても科目数が減ってきている、小論文、面接あるいは実技等を課すものが出てきておる、これは一定の成果であると私は考えております。そのようなものとして評価されておると思っております。
 反面、問題点といたしましては、いまも御指摘がございましたけれども、受験産業が介入する等のことによりまして、自己採点の成績を基礎に大学間の格づけが非常に極端な形で行われておる。もう一つは、一部の大学におきましては、二次試験の工夫改善という点でまだ十分でない点がありますために、受験生にとっては一次試験、二次試験二重の関門をくぐらなければならない、二重の負担になっておるという事実も率直に申してあると存じます。あるいはまた私立大学の参加、これはなかなかむずかしいことであるとは存じますけれども、一部を除いてまだ参加がなされていない、これらのことを含めまして、これから先なお改善を加えるべき点がたくさんあると思いますので、大学関係者によってさらに積極的な検討が行われることを期待いたしておるわけでございます。
#261
○佐藤昭夫君 いろいろ問題点はなおあると言われながら、入試地獄の緩和に向かって前向きに前進しているという答弁をなさっていますけれども、挙げられた問題については一つ一つ後からさらにお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど小野委員も触れておられましたが、昭和五十二年四月の当文教委員会での附帯決議、この附帯決議に基づいてこの共通一次試験の見直し改善、この方向に向かって文部省としてどのような取り組みをやっておるのかというこの御質問があったのに対して、大学局長の答弁は非常に人を食った答弁であったと思うんですね。絶えず改善に努めてまいりました、今後ともやっていきます、部分的な問題は来年からでもすぐできましょう、根本的な問題は長い時間がかかりますと。何のことはない、いま改善を求められておるのは、根本的な問題について改善をすべきだというこの制度改善が、これが求められておると思うんですけれども、単に小野委員に対する答弁ということでなく、これはこの文教委員会に対する答弁として、私は先ほどのああいう局長の答弁というのは見逃すことができぬというふうに思うんです。
 そのことを指摘をしておいて、具体的にお尋ねしますけれども、あなたが言っておる入試改善会議は文部省の諮問委員会のようなものでしょうね。ここで検討の課題に何を俎上に上せていくんですか、それを答えてください。
#262
○政府委員(宮地貫一君) 入試改善会議におきましては、先ほども御答弁申し上げましたように高等学校の学習指導要領の改訂に伴います、新しい学習指導要領に伴う共通一次の教科科目についてどう考えるかというのが基本的に一つ問題があるわけでございます。それらについては先ほども申し上げましたように、国立大学協会での検討、大学入試センターにおきます検討等踏まえまして、昭和六十年度以降の入試についてどのように臨むかということについてそれぞれ事前に公表する必要もございますので対応をいたしているというのが現状でございます。
 そのほか、先ほど私附帯決議の点についてのお答えがあるいは十分でなかったというような御指摘でございますが、若干この際補足して答弁させていただきますと、客観テストの短所・限界の調査研究と改善に努める、そして予備選抜への利用は極力避けるというようなことから以下指摘をされておりますが、具体的な対応といたしましては、一つには大学入試センターの研究部門の設置によりまして客観テストの信頼性、妥当性に関する研究などに取り組んできておる点が一つございます。そして、過去四回の経験を通じまして、単なる記憶を問うものから思考力なり応用力を問う設問の出題などの改善をいたしております。また、各大学の二次試験の出題形式につきましても、記述式、論文式によりまして入学志願者の記述力なり考察力、表現力が検査できるようにするということを指導をいたしておるわけでございます。
 なお、予備選抜への利用は極力避けるというようなことについては、いわゆる二段階選抜の問題でございますが、綿密な選抜を行うために必要な場合があることもございますが、容易な実施をすることのないように注意を喚起いたしておりまして、それらの点については、大学としては五十四年度から五十七年度にかけて順次減少をする傾向にはあるということが言えるわけでございます。
 そのほか、第二次試験が過重な負担とならないよう調査書の活用、学力検査科目の減少に努めるというような事柄につきましても、全般的には学力検査を課さない大学が二次試験においては順次ふえてきておると。具体的に申し上げますと、たとえば国立大学の場合について申し上げますと、五十四年度四十四大学、六十六学部でございましたものが、五十七年度で申しますと四十六大学、七十一学部というようなことで、学力検査を課さない大学についても増加の方向にあるということは言えるわけでございます。そして、推薦入学を実施する大学も……
#263
○佐藤昭夫君 ちょっと時間限られておるから、要点。
#264
○政府委員(宮地貫一君) 増加の状況にあるということは先ほど答弁申し上げたとおりでございます。なお、附帯決議についての十分な答弁でないというようなことについてお尋ねがございましたので申し上げたわけでございます。
 あと基本的な問題点は、たとえば共通一次についてその成績をもとに大学の志望を変更するような仕組みにしている関係から、共通一次の実施時期でございますとか、いわゆる一次と二次との間に時間的に相当間があることから、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたような、いわゆる受験産業等での大学、学部間の序列化というような対応がなされておりますが、これらの点については、たとえば国立大学についての志望について受験者にいわゆる当初の決定どおりで実施をするということになれば共通一次と二次との間に大きな間隔を置くということは問題が消えてくるわけでございまして、相当基本的なそういう問題にかかわる問題点がございます。それらの点につきましては、先ほども申し上げましたように、国立大学協会なり高等学校側なりいろいろ関係者の意見も十分聞いた上で対応を考えなければならないので、なおその点については慎重な検討が必要であろうということを先ほど答弁させていただいたわけでございます。
#265
○佐藤昭夫君 非常に長い答弁をされていますけれども、その中には検討課題に上せるという、わざわざ課題としての位置づけをするまでもなく当然の問題も幾つか含まれておるんですけれども、確認をしておきますが、一つは足切り廃止、この方向を一段と指導を強化する問題。それから期日を繰り下げる問題。これは実際に高校関係者から、現在、ことしの一月の中旬というこういうやり方では三学期の教育が非常に阻害を受けるという点で強い意見が出ておる。それを受けて入試センターのたとえば加藤所長も、技術的には期日を繰り下げるということはできないことではありませんということを高校の校長会ですか、そういう席上でも発言をしておるということもあり、期日繰り下げの問題についても検討の課題に上せると、こういうことですね。どうするという答えを求めない、検討の課題に上せる。
#266
○政府委員(宮地貫一君) 検討の課題としてはそういう事柄もございます。
#267
○佐藤昭夫君 大臣の答弁の中にも難問奇間がなくなってまいりましたと、この共通一次テストによって入試地獄が緩和の方向へ進んできたという一つの例としてそのことが言われていますけれども、しかし、どうでしょうか。このたとえば一々数字を挙げるまでもないと思いますけれども、確かに個別に見ていきますと去年よりも平均点が上がったものはいろいろありますけれども、この四年間振り返ってみて昭和五十七年度が一番平均点が上がってきたということにはなっていませんね。というのは、だんだんこの問題が改善をされて、そうして実際にこの点数を見てもこの平均点が上がってきたというふうにはなっていないと。
 それから入試センターの方は、大体平均点が六十点以上になればまあまあという妥当なところですという見解が経過的に出されておるわけですけれども、文部省としてもそうお考えになるのか。この受験者というのは、五十七年度について言えば、三十三万四千人というのは、全高校生で見れば、まだ非常に限られた高校生の中のハイ・レベル・クラスがこの共通一次テストを受けておるのであり、このクラスが受けてもまあまあ六十点だということは、まだまだこの問題のむずかしさがあるということのあらわれではないかというふうに私は思うのです。ですから、そういう角度から、この出題についても一段の工夫を加えていく、そういう指導をどうやるかということもこの検討の課題に上せていく必要があるだろうというふうに思うのですね。
 で、このこととも関係をして非常に重要注問題は、この得点、獲得をした点数の本人通知制、これが一体なぜできないのか。このことを検討に上せるのか。
 それから配点基準の公表、かなりは答案用紙にどういうふうに点数を配るかというのは記入をされているわけですけれども、非常に不透明な部分があるわけですね、枝間という形で。ここらをめぐって非常に受験生の間での疑問と不安が増大をしてきているという、こういうこの配点基準。
 配点の本人通知、これはかってまだコンピューターというような技術、機器、これがない時期に――昭和二十年代の後半期ですか、あの進学適性検査というのがやられておった、あのときには本人に点数を通知しておったわけですね。ですから十分体制をとればこれはできないことではないというこの問題を、どういうふうにやっていくかということも検討の俎上に上せるべきだと思うんですが、どうですか。
#268
○国務大臣(小川平二君) 出題につきましてはさらに改善、工夫を加えなければならないと存じております。
 それから、点数を本人に通知するという問題でございますが、制度の趣旨は、受験者に対しましておおよその腹づもりを持ってもらう、これが趣旨でございまするから、正確な点数を一々本人に教えるということ、これはむしろいわゆる点取り主義を助長するのではなかろうかと。さような観点から本人に通知する等のことをやっておらないのが現状であると考えております。しかし、その点についてはいろいろの論議があるいは出てくるかもしれません。それらの点をも含めて検討を行うことはこれは結構なことだと考えております。
#269
○佐藤昭夫君 全く暴論的な答弁がやられているんですけれども、得点を本人に通知するということは教育的に有害なんですか。だからやってないんですか。そうじゃないでしょう。それだけの体制がとれないからだということで、ともかくということで四年前見切り発車的に発車した、こういうことできているのが事の経過じゃないですか。体制がとれればやれる問題でしょう。
#270
○政府委員(宮地貫一君) 大学入学者選抜は御案内のとおり共通一次と二次との試験を合わせて選抜が行われるわけでございます。したがいまして、共通一次の点数だけで事柄が決まるものではもちろんないわけでございます。したがって、先ほど大臣からもお答えしましたように、大問、小間等の配点について公表しております点もおおよその本人の心づもりを本人が承知し得る状態にするために公表をしているわけでございまして、さらに共通一次の正規な点数によって、より大学のいわゆるランクづけがさらに行われるというようなことについては、むしろ点数主義を助長する弊害の方が私どもとしては大きいんではないかというぐあいに考えているわけでございます。
#271
○佐藤昭夫君 引き続き大臣がそう言うたからあなたも繰り返しておるんだろうと思うんですが、しからば聞きますけれども、一次テスト、二次テスト、内申書含めて総合的に選抜の判定をしていくんだということですが、しからば一次テストと内申書、二次試験との比重ですね、これも公表をしていませんね、制度的に、もちろん個々の大学のやる問題でしょうけれども。しかし、全体としてはどういうふうにやっていくかということについてこれは公表をしないということにしている。なぜこれ公表しないんですか、あなたが言うようなことであれば総合的に判定すると言うんだから。これも教育的に有害ですか。
#272
○政府委員(宮地貫一君) それぞれの大学におきまして対応している点でございまして、公表している大学とそうでないところがあるというのが現状でございます。
#273
○佐藤昭夫君 文部省としては全体としてはどういう方向へ進んだ方が好ましいと考えているんですか。
#274
○政府委員(宮地貫一君) 大学入試そのものは基本的には大学が実施をするものでございます。したがいまして、入学者の決定その他については大学自体が決める事柄でございまして、事柄としては大学の判断に従うというのが基本的な考え方でございます。
#275
○佐藤昭夫君 そういう責任を他に転嫁をするような無責任な言い方をしてはいけませんよ。文部省がわざわざ予算を組んで大学入試センターという、ここには国費による職員も配置をして、そうしてこれが入試改善に役立つんだということで鳴り物入りでやってきたわけでしょう。そういう中で、なぜ、一次テスト、内申という、これで総合的に判定をすると言いながら、その比重がどうなるのかということについて受験者はよくわからないという不安を持っているというこの問題について、それは個々の大学が対処する問題です、文部省は知りませんと、そういうことで済む問題ではないと思うんですよ。
 さらにお尋ねをしますけれども、昨年来いろんな雑誌や新聞等にも登場をし、本国会でも衆議院では本会議、参議院では決算委員会、ここらあたりも取り上げられてきたんですけれども、社会科、理科などの選択科目による平均点格差、これをめぐって人為的な点数調整がやられているんじゃないかという問題が取り上げられた。センター側はそんなことはやってませんというふうに言っているというので、文部大臣などはそんなことはないと信じてますということですけれども、これの共通テストの公平性、どの科目で受験しようとも公平にその学力の判定ができると、こういう点から共通テストの公平性を保持をしていくという点で、もしもそういう十点以上の――これはセンターも言っているわけですけれども、十点以内の格差内にとどまるのが望ましいというわけです。それ以上の格差が出たという場合には公平性保持の上で調整をやった方がいいというふうに文部大臣はお考えになりませんか。
#276
○政府委員(宮地貫一君) 特に御指摘の選択科目の平均点の格差の問題でございますが、大学入試センターにおきましても差の生じないような問題の作成に苦慮いたしているわけでございます。基本的にはそういう考え方で従来からも努力をしておりますが、なお本年も社会科においては御指摘のような平均点の差が生じたことは事実でございます。この点は、一つは問題それ自体の難易の問題もございますが、さらに各科目を受験した受験生の集団の間における学力差というようなこともございまして、実際問題としてなか在か困難な課題であろうかと、かように考えております。もちろん今後ともそのための改善の努力は私どもとしてもいたさなければならぬ点でございますが、それらの点につきましては本年二月五日の本年度の共通一次学力試験の平均点の発表に当たりまして、特に大学入試センターから各国公私立大学並びに高等学校に対して文書を配付いたしまして、十分入試センター側としての立場を説明した文書を配付をして、それらの点は言われているような点はないと、したがって採点そのものがきわめて厳正に行われているということについては十分趣旨の徹底も図っているところでございます。
#277
○佐藤昭夫君 もう限られた時間ですから、いろいろ反論をしたい点ありますけれども、もうそれはできませんが、いろいろ問題の提起をいたしました。それでいまの答弁にもあらわれているような役所仕事としての弁解、言いわけ、これが先に立つんじゃなくて、大切なことは共通一次試験をめぐって受験者、父母の中からいろんな不安が出ているんですね。よくわからないということと、それからよくわからないからどうなるんだろうという、こういう不安があるという、これに対してよく国民的理解を進めるという、こういう角度から改善すべきものは改善をする、説明すべきものは説明をする、こういうことでひとつ当局が言っておる入試改善会議ですか、ここで問題をひとつ多面的に俎上に上せて鋭意検討をやると、改善のための参議院の附帯決議の趣旨に沿って検討をやると、こういうことをはっきりひとつ御確認を願いたいと、そういう方向で作業を進めてもらいたいというふうに大臣に重ねてお願いをしておきたいと思うんですが、どうですか。
#278
○国務大臣(小川平二君) 共通一次試験の問題につきましては今後さらに改善の余地があれば引き続いて改善を図っていくべきものでございますから、これは国立大学あるいは国立大学協会、入試センター、それぞれ鋭意検討をいたしておるわけでございます。
 ただ、点数を本人名白に通知すべしという御提案でございますが、これは先ほど申し上げたような意味におきまして、文部省としてただいまそのような考えは持っておりません。おりませんが、先ほど来の御論議もあることでございまするから、検討の際にあわせていまのような御意見をも研究をしてみる、これは結構なことだと考えております。
 それからまた、一次試験にどの程度のウエートを置いておるかということを公表すべしという御提案でございますが、これはやはり大学の自主性にゆだねるべき問題ではなかろうかと考えております。
 いずれにいたしましても、せっかく導入した制度であり、私どもに言わせていただければ着々成果を上げておると考えておりますので、さらに改善のために鋭意研究をするつもりでございます。
#279
○小西博行君 医師過剰時代を迎えまして、各県に必ず一つは国立大学を設置しようというようなことで今日まできておりますが、この適正な需要予測というのはどういうような観点に立って立てられているのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#280
○政府委員(宮地貫一君) 医師の養成につきましての需要予測の問題でございますが、私どもは、昭和四十五年に厚生省から人口十万人対医師百五十人程度を確保する必要があるという目標が示されまして、それに基づきまして、医療需要の増大に対処し、また医師の地域的偏在の是正に資する、いわゆる無医大県解消計画に基づいて今日まで整備を進めてきたというのが現状でございます。
#281
○小西博行君 それに関連しまして、医師過剰時代の問題というのがこれからこの数年のうちにもうどんどん出てくると思うんですね。その問題に対して文部省はどういうように考えているんでしょうか。医者がたくさんできますと当然自然淘汰という現象も起きてくるわけでありますけれども、利点欠点、どのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#282
○政府委員(宮地貫一君) ただいま申し上げましたように、人口十万当たり医師百五十人という数字については、そういう目標で今日まで整備を進めてまいったわけでございますが、厚生省の試算によりますと、昭和六十年を待たずしてその数字は達成されるという具合に伺っておりまして、したがって、今日までのいわゆる医師不足の時代から次第に充足の時代へと転換されることになろうかと思います。
 今後の医師養成の規模の問題については、医療の動向でございますとか、社会情勢の変化等総合的に勘案することも必要でございまして、文部省といたしましては厚生省との間に検討会を設けまして、将来の適正な医師数の算定の問題については、事務的な検討にはすでに着手しておるところでございます。
 したがって、以上のような事情を受けまして、文部省の方針といたしましては、医学部の新設、入学定員増は当面行わないという方針で対応しているところであります。
#283
○小西博行君 私も二、三点問題があるんじゃないかというようなことを考えてみたわけなんですが、過剰競争というのは、非常に一方ではいい面もあるんですけれども、やはり乱診乱療あるいは不正請求あるいは脱税、こういう問題がどんどんまたふえる可能性を秘めているという問題が一点あると思います。
 それからもう一点は、若手医師の精神的な荒廃というのがいまいろいろ問題になっているわけです。と申しますのは、現在は医局の講座制というものがとられておりまして、医師の過剰、あるいは過剰になりますと若手医者へのどうしてもしわ寄せ、あるいは健診あるいは代診、そういうもので糊口をしのいでいくというような状態が起きますのでどうしてもやる気をなくしていく、そういうことが若手医者がなかなか育たないような環境になっていくんじゃないかというのが二点目です。
 こういう問題に対しまして、どのように考えておられますか。
#284
○政府委員(宮地貫一君) 基本的には医の倫理をどのように確立するかというような問題とかかわる問題であろうかと思います。そういう点では、私どもまず、先ほど御指摘もあったわけでございますが、たとえば医学部への入学者の選抜に当たりまして単に学力試験ということだけではなくて、具体的には面接等を実施して医師の適性があるかどうかというようなことを、まず入学の段階で入学者選抜に当たって本当に医師養成にふさわしい人物であるかどうかの判断をする必要があろうかと思います。その後はさらに卒後の教育等においてそういう特に言われております医療の荒廃というようなことが指摘をされているわけでございますが、それらの点については私ども卒後の教育においても十分配慮をすべき課題、そして、先ほどもやはり御指摘もありましたが、医学概論というようなもので単に専門分野だけの教育ではなくて、むしろ全人的な医学教育というようなことについて医学教育の内容をそういう面で改善を図っていくというような事柄も肝要なことではないかと、かように考えております。
#285
○小西博行君 医学部のいわゆる大学院の必要性ということにつきましては賛否両論あると思うのですけれども、なぜ大学院というものが必要なんだろうか。現在でも相当大学院があるわけでありますが、さらにこの大学院をふやしたいというその一番大きな趣旨は一体何でしょう、それを教えてください。
#286
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどもお尋ねがあってお答えしたわけでございますが、医学の分野における教育がほかの分野よりも大変内容的にも複雑高度であり、したがって医学教育については学部教育でも六年というようなほかの学部とは違う対応をいたしておるわけでございます。獣医学部その他についていろいろ議論がある点はございますけれども、伝統的に医学部については六年の学部教育をやっているというようなことが基本的にございます。それを受けてさらに医学の分野の教育研究なり後継者養成という点ではやはり大学院の果たす機能というのは基本的に欠かすことのできないものであるというぐあいに理解をしておるわけでございまして、したがって医学の分野については大学院の整備は新設医科大学等についてもそれぞれ学年進行が完成すれば、大学院の整備についてこれは既定方針として整備を進めていくという考え方をとっているところでございます。
#287
○小西博行君 医者の場合は特に精神的な倫理観の向上というのが最近は言われておりまして、そういう観点からいたしましてもアメリカあたりでは相当一般教養というようなものを勉強しないと医者になれないというような制度になっておりますね。そういう観点から、日本のいわゆる医者を育てている医学部、これを見てみますと、大体一年、二年ぐらいが一般教養がある程度で、あとはもう本当に国家試験を受けるための予備校のような勉強をしないと通らない。むしろ私立の場合はほとんどそれにかける。そういう感じが見られまして、ますますこの倫理観という面で不安な形に私はなっているんじゃないかとそういうように考えるのですが、どのようにお考えでしょう。
#288
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどもお答え申しましたように、特に医学教育で医の倫理の点を重視して教育をするということは大変大事なことであろうかと思います。具体的には、たとえば教育課程については約七割の大学で医学概論等を取り入れておりますし、また、たとえば臨床実習における少人数教育の重視を図りますとか、あるいはお話しの一般教育の問題でございますが、医学教育、特に新設の医科大学等については六年間の一貫したカリキュラムの編成をするというようなことで、一般教育を単に前期の二年だけで済ますという考え方でなくて、六年町の一貫教育全体の中で対応する必要があろうかと、かように考えているところでございます。そうして、したがって、専門教育担当教員が一般教育にも参加をするというような考え方を取り入れてやっているところでございますし、学長なり副学長が特別講義として医学概論を実施して医の倫理の涵養には努めるというようなことを現実問題としては対応はいたしております。
#289
○小西博行君 先ほどちょっと申し上げましたが、「患者の権利十二カ条」というのがアメリカの病院協会の発表というようなことでかなり具体的に出ておるわけですね。こういうようなものは、日本の中には何か類似したようなものはあるんでしょうか。これ非常に詳しく翻訳したものなんですけれども、あるわけですね。こういうようなものがやっぱり私これから医者の倫理という面を考えても相当プラスしてくるんじゃないかなと、そういう感じが実はしまして、特にこういう研究を同時に取り入れて、日本の将来の医学部のために研究して取り入れていただきたいという、そういう感じがするわけですが、たまたま私の場合はこれはアメリカだけしか手に入ってないんですが、世界にそれぞれこういうりっぱなものができているんじゃないかな、そういう感じがしております。研究をぜひしていただきたいと思います。患者の権利の章典とかいうような名称で出ておるわけです。参考までに申し上げたいと思います。
 次に入っていきますが、学用患者の問題というのがあります。学用患者――私これ一体何だろうかなと思ったんですけれども、いま高木先生にいろいろお伺いしますと、モルモットと言うと言葉は非常に悪いんですけれども、医学部の研究のために一般の患者で診ていただく、その場合にこういうことをちょっと聞いているんですが、大学病院では生活保護世帯の患者は入れないというようなことをちょっと聞いたことがあるんですが、これは事実なんでしょうか、教えていただきたいと思います。
#290
○政府委員(宮地貫一君) 生活保護世帯の患者の受け入れの問題でございますが、従来から関係大学に対して生活保護法による医療給付を行う上に必要な医療機関としての指定を受けて、生活保護世帯の患者の受け入れを容易にするような指導は従来からも重ねているところでございます。現在国立大学について、昭和五十七年二月現在では医学部附属病院本院三十九病院でございますが、そのすべてが生活保護法による医療機関の指定を受けておりますし、分院にありましては、八病院のうち万病院が指定を受けているというような状況でございまして、お話のような事柄ではないというぐあいに理解をいたしております。
#291
○小西博行君 各大学病院によってそういう規定が何か明確にあるんでしょうか、あるいはその大学によって全部そういう規定が別個に定められているんでしょうか、教えていただきたい。
#292
○政府委員(宮地貫一君) あるいは御質問の点は学用患者の問題でございましょうか。
#293
○小西博行君 そうです。
#294
○政府委員(宮地貫一君) 学用患者の問題につきましては、それぞれ各大学におきまして、たとえば具体的には大学の医学部附属病院の公費負担患者規程というようなことで、これは私どもの方でもそれの参考案を各大学にも示しまして、たとえば東京大学で申しますと、東京大学医学部附属病院公費負担患者規程というようなものが定められているわけでございます。
#295
○小西博行君 特に私はそういう学用患者の場合に、自己の便宜というか、自己都合といいますか、そういうことで途中で退院する場合がしばしばあるんじゃないかと思いますね。そういう場合にはいままで払った国費負担分、こういうものをやはり払わなきゃいかぬのでしょうか、返却するというか、返納するといいますか、そういうような規定になっているということを聞いておるんですが、これは事実なんでしょうか。
#296
○政府委員(宮地貫一君) 学用患者、いわゆる公費負担患者の制度でございますが、これは基本的には患者側の承諾を前提といたしまして教育研究に協力を求め、その費用については国で負担をするというのが制度の趣旨でございます。したがって、患者側の方でその承諾を撤回した場合には、教育研究に対する協力関係については一般の患者と同様な立場になるわけでございまして、したがって、費用の取り扱いについても通常の患者の場合と同様に取り扱うことになるわけでございます。公費負担の対象となる患者は、これは所得の額にかかわる問題ではもちろんございませんので、あくまでもその病状に照らして患者の協力を得ることが臨床教育上有意義であるというような観点から選定がされるというぐあいに理解をいたしております。そして本人の同意を得て御協力をいただいているわけでございます。したがって、御指摘の点が、たとえば具体的には承認の取り消しがありました場合には、取り消しのあった日の翌日から診療費を徴収するというぐあいに規定をされているのが通例ではないかと思います。
#297
○小西博行君 質問の最後になります。
 個々に細かい問題について勉強してみますと、いろんな問題が医者を中心にして大きな問題にこれからなってくるんじゃないかなと、私はそういう感じがします。特に最近の医者のふところもだんだん悪くなる傾向になっておりまして、医者が一軒開業しようと思いますと、医師会の方が反対したり、そういうような社会的な問題も同時に出てきておりますので、特にいい医者は幾らふえてもいいと私は思うんですけれども、自由競争の中でいい医者が残っていくような、そういうような姿が本当じゃないかな、私はこのように考えております。しかし、これから先の医学部というのは、高木先生さっき申されましたように成績中心型といいますか、試験のいいのが医学部へ行くといいますか、本当に人間的にりっぱな方がなかなか医者になれない、そういう環境になりつつあるんじゃないかと大変心配しておりまして、医は仁術というのが私はこれからも大変大切な問題じゃないかと、そういうふうに思いますので、医学部が設置された暁に、これからもっともっといい医者をつくっていただけるような、そういう行政指導を大臣にお願いいたしまして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#298
○国務大臣(小川平二君) 人間性豊かな医師を養成しなければならない今日の喫緊の課題だと承知いたしております。現在でも各大学におきまして入学者の選抜の際、あるいは卒業前の教育、卒業後の研修等に際してこのことに力を入れておると承知いたしておりまするし、また教育課程につきましては約七割の大学で医学概論、医の倫理の育成に関連する科目を取り入れまして、臨床実習の際にも小人数教育を重視する、あるいは六年間一貫のカリキュラムを編成する等、工夫、改善を行っておるわけでございます。文部省といたしましても、このような各大学の努力を支援してまいっておるわけでございますが、これからも一層力を入れてまいりたい、こう考えております。
#299
○小西博行君 終わります。
#300
○委員長(片山正英君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#301
○委員長(片山正英君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#302
○委員長(片山正英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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