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#1
第096回国会 文教委員会 第7号
昭和五十七年四月八日(木曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     松本 英一君     宮之原貞光君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 正英君
    理 事
                大島 友治君
                田沢 智治君
                小野  明君
    委 員
                山東 昭子君
                仲川 幸男君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                藤田  進君
                宮之原貞光君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                近藤 忠孝君
                小西 博行君
   政府委員
       文部省体育局長  高石 邦男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   参考人
       福岡県教育庁指
       導第一部参事兼
       保健課長     足達  九君
       杉並区立四宮小
       学校養護教諭   中神 暉子君
       都立墨田工業高
       等学校養護教諭  竹井 紀代君
       学校災害から子
       どもを守る全国
       連絡会代表委員  升井登女尾君
       苫小牧市立澄川
       小学校教諭    佐藤  勲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本学校健康会法案(第九十三回国会内閣提出
 、第九十四回国会衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本学校健康会法案の審査のため、本日の委員会に福岡県教育庁指導第一部参事兼保健課長足達九君、杉並区立四宮小学校養護教諭中神暉子君、都立墨田工業高等学校養護教諭竹井紀代君、学校災害から子どもを守る全国連絡会代表委員升井登女尾君、苫小牧市立澄川小学校教諭佐藤勲君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(片山正英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(片山正英君) 日本学校健康会法案を議題といたします。
 本日は、お手元の名簿にございます五人の参考人の御出席を願っております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ御出席をいただきありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 つきましては、議事の進行上、名簿の順でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず足達参考人にお願い申し上げます。足達参考人。
#5
○参考人(足達九君) 私は、現在福岡県教育庁指導第一部参事兼保健課長として勤務をしている者でございます。私は医師でございますが、昭和三十四年に教育庁が所管いたします教員保養所というところの所長を拝命いたしまして、教職員の結核の治療並びに教育管理の仕事に従事してまいったのでございますが、昭和四十二年度末、福岡県の教職員の結核休職者が、私が参りました当時四百名おりましたものが、そのころはすでに二十数名を割るというような状況になりまして閉鎖をされました。その後、昭和四十二年から現在の保健課長を拝命いたしまして、学校保健、学校安全、学校給食の仕事を所管として今日に至っているものでございます。したがいまして、学校安全会については福岡県支部の主幹といたしましてその管理に当たっているものでございますが、そのような立場から、現在御審議をいただいております日本学校健康会の問題につきまして意見を述べさせていただきます。
 もともと学校安全会は、昭和三十五年に設立以来、学校安全の普及充実と児童生徒の学校管理下における災害に対して共済制度による必要な給付を行ってまいりましたが、今日までの実績が示しますとおり、その効果はきわめて大きいものがあったと考えております。
 これを災害給付の面から見ますと、学校管理下で起こります災害の状況は多種多様でありまして、その対象が発達段階にある幼児、児童生徒であることから、その原因や責任の所在等につきましては必ずしも明確でない災害が大部分であるという現状から、現実に起こる精神的苦痛や経済的負担に対して、国と設置者と保護者との協力関係において災害給付を行う共済制度であるというところにきわめて大きな教育的な意義があり、特に昭和五十三年に死亡見舞金、廃疾見舞金等の額が大幅に改正され、このような制度の面目を一新し、保護者及び設置者の受けます恩恵といいますかあるいは利益と申しますか、これはきわめて大きいものがございます。
 また一方、学校安全の普及充実という面から見ますと、各学校におきまして起こりました災害につきましては、すべて災害報告書によって報告され、各都道府県支部及び本部においてその結果が分析、集計されまして、災害の防止や安全教育の資料として活用される仕組みになっております。また、日本学校安全会が指定いたします学校安全研究指定校というようなものもございまして、二ヵ年間の学校安全に関する研究の結果を、県段階あるいは国の研究会に発表いたしまして、学校安全の普及充実に資するというようなことも行われております。そのほか、本部におきまして作成されます学校安全に関する手引書や資料というものもたくさんございまして、私どもは現場においてこれを有効に活用させていただいておるわけでございます。
 このような役割りを果たしてまいりました日本学校安全会が、このたび日本学校給食会と統合して、心身ともに健康な児童生徒の育成に資するため、日本学校健康会を設立するという法案が御審議されているわけでございますが、学校保健、学校安全、学校給食を所管している者といたしまして、日本学校健康会の設立にきわめて意義の深いものがあると考えておる次第でございます。と申しますのは、学校保健、学校安全、学校給食はそもそも目的を一にするところでございまして、心身ともに健康な児童生徒の育成ということ、これは教育の目標と一致するものでございます。これらが統合され、総合的に推進されるということは、行政機構の合理的再編成という観点からばかりでなく、きわめて重要なことであり、有意義なことであると考えまして、今後さらに効果の大きいことを期待するものでございます。健康会は安全会及び給食会の業務を継承することになっておりますが、このことは当然であろうかと思いますが、そのほかに文部大臣の認可を受けてその目的を達成する必要な業務を行うことができるというふうになっていると聞いておりますが、さきにも述べましたように、心身ともに健康な児童生徒を育成するためには、保健体育、安全、給食、これが三位一体とならなければならないというふうに考えております。このような意味で、今後児童生徒の健康の保持増進に関する施策が総合的に充実推進されるということを期待しておるものでございます。と申しますのは、現代の子供たちの健康問題について考えてみますと、一般的には、体位は伸びたが体力はこれに伴っていないということがよく言われます。この事実は背筋力あるいは立位、前屈あるいは懸垂力という、この三つに顕著にあらわれております。また、現代の子供たちの体のおかしさということを、ふらふら、ぐにゃぐにゃ、ポキポキ、パタンという言葉で表現されているのがございますが、これは朝からあくびをしたり、日がとろんとしているとか、あるいは背筋がしゃんとしなくて脊柱側湾症が増加しているとか、骨折や、朝礼のときに起立性調節障害で倒れる者が多いというようなことであろうかと思うわけでございます。
 さらに、現代の教育環境について考えてみますと、まず第一には家庭の教育機能が低下しているということが挙げられるのではないかと思います。昔は三世代家族構成であったわけでございますが、現在はそれが核家族化しております。また非常にきょうだいが多かった――私の名前は「九」と書きまして「ちかし」と読むんですが、これは十人きょうだいの九番目に生まれたということでございまして、そのようにきょうだいが多かったわけでございます。それが現在では非常に一人っ子がふえた、あるいは両親の共働きが多くなったというようなことから、家庭の教育環境には大変な変化が起こっておりまして、家庭教育機能は低下していると思うわけでございます。このような環境の中で現代の子供たちは、一方では過保護と過度の期待と過度の干渉というものがございますし、また一方には虐待と無関心と父権喪失というまにまにさまよっておるのではないかというふうに考える次第でございます。
 また一方では、同一的な価値観というようなものが非常に乱れておりまして、これは価値観の多様化という言葉で言われております。さらにこの都市化現象といいますか、交通機関の発達その他によりまして運動不足という問題が非常に深刻になっておるわけでございます。
 以上のような背景の中から、心身ともに健康な子供の育成を目指すためには、学校と家庭と地域が一体になって協力しなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 このような意味から、すでに保護者と設置者と国との共済制度によって、これを基盤として学校安全会の業務がなされてきておったわけでございますので、それに給食会を統合し、総合的に健康問題を解決するということで推進していただくということになりますので、家庭教育機能の回復ということをあわせまして、きわめて重要なことではないかと考えまして、健康会法案の早期設立を期待しておるものでございます。
 以上でございます。
#6
○委員長(片山正英君) 大変ありがとうございました。
 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#7
○委員長(片山正英君) 速記を起こしてください。
 次に、中神参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(中神暉子君) 中神でございます。
 私は公立の小学校の養護教諭として二十八年ほど経験いたしました。
 実際に子供がけがをしなときに直接立ち会っている者の立場から、健康会法によるものでなくて、無過失の災害補償がぜひ欲しいということで意見を述べたいと思います。
 まず最初に、資料を皆さんのお手元に差し上げましたけれども、これは日教組で出しました健康白書第一号ですが、そこを見ていただきますと、これは文部省の保健統計では出てこない部分をここに実態として出してあるわけです。文部省の保健統計のその他の疾病ということで数だけしか出てない部分、ごく少ない数なんですが、その中身は何だろうかということで全国調査をしたのがいまの冊子なんですが、私たちがそれを集めました場合にいろいろさまざまな病名、私どももわからない、また一緒に協力してくだすった先生も余り聞いたこともないけれども文献を調べてみると確かにあるというような診断名があって、六百種以上の、もっと詳しく調べればもっともっとたくさんあるかと思いますが、白書の三十八ページを見ていただきますとわかりますが、いろいろな種類の難病があります。五十六年に杉並区内でありましたのでは、いわゆる子供の成人病と言われていますが、蜘蛛膜下出血の子供が二人出まして、一人は朝頭が痛いと言ってそのまま夕方死亡しました。それから一人は、やはり学校へ来て突然頭痛を訴えて、何だろうということでわからなかったんですが、何軒か病院をたどって、これは蜘蛛膜下出血で、手術をすれば大丈夫だろうということで命は取りとめておりますが、昔にはそういう聞いたこともないような病気が実際に出ています。それからもう一人は、区内の養護教諭で話し合ったときに、小児の糖尿病ということで、学校の教室の中に砂糖水を用意しながら学習している子供などというような話が私たちの間で話がされているわけです。
 それから、二番目として骨折が増加しているということで、これは学校管理下ということで、五十ページを見ていただくとわかるんですが、これが年々ふえている状況がそこに出ております。
 あと、ちょっと資料外なんですけれども、私の杉並区で安全会適用のをまとめましたところ、やはりけがの子供が多くて、特に春と秋、それから体育のクラブ活動なんかでも安全会適用の四〇%を占めているような現状があります。
 それから、保健室を訪れる子供が非常に多いということが言われておりますが、健康白書の百二十六ページを見ていただきますとわかりますが、大体平均した学校規模で千人規模というところのある学校の事例なのですが、そこに一年間の月別にそれが出ております。それからぽつぽつとなっておりますのが、これは安全会対象のけが人の数ですが、こういったぐあいに、この白書を後でまた十分読んでいただければわかりますけれども、子供の健康実態というのが非常に厳しい状況があるわけです。その中で特にけがをする子供についての安全会適用ということで、これは学校の管理下、いわゆる朝家を出て家へ帰るまでの間のけがの対象しか安全会適用にならないわけですけれども、そしてその安全会というのは便宜供与の限界ということがあります。
 それからもう一つ、安全会の業務に関しては、私たち養護教諭は、これは法律を洗ってみますと私たち養護教諭の本務ではないということなんです。で、特殊法人の下部組織としてこれはぜひ地教委に専門課員が配置される必要があるんですけれども、いま私たちはそういう理想的なことを言っていられませんので、実際に学校の校務分掌の中で協力して仕事をしておりますので、大変忙しい思いをしております。それからもう一つ、安全会業務に関しては大変事務手続が複雑で、いろいろな種類の書類をつくらなければならないわけで、その辺が大変なわけです。
 で、特に養護教諭は、いわゆる全国的に見ますと六〇%から七〇%しかまだ配置されていないので、養護教諭のいないところは一般の先生がそれを肩がわりし、また養護教諭が兼務をしている学校があるわけですが、そういう方は幾つもの学校の業務をやらなければならないような現状です。もっともっと、こういった形でなくて学災法へ私たちはぜひお願いしたいというふうに思っております。
 一九七七年に日教組、社会党の提唱によりまして、超党派で学校安全会法の一部改正で給付の増額がされましたが、まだまだそれでは十分な補償ができておりません。それから、廃疾年金制度の確立の要求がまだ出ております。それから、給付増額と適用範囲の拡大ということで、これは学校管理下ということに限定されておりますので、たとえばPTAが主催でいろいろ行事をやった場合にはこれが適用されないので、別にお金を払いまして、安全協会の方の保険を使っているような現状です。
 実際に、学校災害の発生に伴いまして私が体験した中から幾つか事例を申し上げてみたいと思うんですが、子供同士がけんかをしまして、腕の骨折をしまして二ヵ月入院加療いたしました。私は一生懸命安全会適用で医療費をちゃんと取ってあげたわけなんですけれども、やはり子供同士のけんかで、被害者の方が親戚に弁護士さんがいて、相手の方から取れるものなら取ってあげるということを言われて、安全会からの医療給付だけでは満足できずに、いわゆるけんかをさせられた相手のお子さんの家へぜひ見舞金が欲しいという話を持ち込まれました。その間に立ちまして、言われた方は私の方に相談に見えます。私も困りまして校長さんに相談したんですが、そういう問題は学校では触れたくないと言われて、結局窓口は私一人で、何とかそういうことなしに円満におさめていただきたいというふうに大変努力をいたしましたが、最終的にはそのときには二人の家庭から十七万取られたという形でありました。だから、学校で子供同士がけんかをした場合に、親がそれで損害賠償を払わなきゃならないような風潮というのは私は大変現実には困っております。
 それからもう一つ、よくこのごろ子供は前歯を折るんですね。前歯を折りますと、永久歯を折りますから歯医者さんへ行って治療するわけですが、現在の安全会の医療費では保険の範囲内でしか治療ができないわけです。これは最低の金額なんです。私初めてこれを経験したときに、あるお母さんから恨まれたんですけれども、実は歯医者さんで、保険の範囲内の治療ではとてもだめなので別にいい材料を使いますと言われて、二万ほどかけて治療したそうですが、学校から安全会適用では当時二千円しか出なくて、十分の一しか出ないということで少し恨み言を言われた経験がありまして、いまでも前歯を折られますと、そういうことで安全会から十分にお金が出ないんですけれども申しわけありませんがと言って謝って、それで治療していただくようなことをしております。
 それから三番目ですけれども、養護教諭のいない学校では、一般の先生が素人ですから、心配の余りけがをしますととにかくお医者さんへ行って診てもらえということで、まあ養護教諭がいれば――たとえばこういう事例がありました。余り高くない鉄棒で、下が運動場ですから土の上なんですね。体育の時間に鉄棒からおっこって頭を打ったんだそうです。もしそこに私がいたらその子をすぐ医者へ連れていかずにしばらく学校でベッドに休ませて、二時間なり三時間なり経過を見て、それで何でもなければおうちへお帰しすることができるわけですが、素人の方では、頭を打ったということで大変あわてすすのですぐ医者へ連れていきます。で、連れてこられたお医者さんの方では、大したことないと思うけど、来たんだから何かしなきゃいけないと言われて一応レントゲン撮りましょうということでされたそうで、結果的には何でもなかったわけですが、もしそこに養護教諭がいたら医者へ連れていかなくてもよかったような場合があるわけで、そういうことで、ぜひ全校へ養護教諭は全部配置していただきたいなというふうに思っております。
 それからまた、全校の何百人という子供を一遍に連れて全校遠足する場合に、これは最近子供たちは一人っ子とか、そういう子が多いこととか、それから年の違う年齢の子と余り家で遊ばないので、できるだけそういう子供たちとの交流を深めたいという目的で、低学年の子も高学年の子も一緒に連れていって遊ばせようというような企画をする場合に、やはり異常に、事故がこわいので余りやりたくないという先生たちからのお声もあります。
 それから、次には水泳指導に当たりましても、事故が起きますと教師の方が非常に責任追及をされるわけで、どうしても消極的になりやすいという現状があります。
 そういうことで、実際に現場にいる者にとっては、いわゆる共済制度じゃなくて、もっともっと無過失のいわゆる災害補償というものをしてほしいと常に考えているわけです。この点については国と設置者でぜひお願いしたいというわけですが、事故を起こしましても、教師が責任を問われて、そして個人ではどうしても賠償できるような金額はとても負担できませんので、ぜひお願いしたいというふうに思っております。
 ことしは養護教諭の増員を日教組を通してやっておりましたが、それが定数法ではゼロ査定ということで大変私たちは不満に思っているわけです。やっぱり子供は大事ですから、命と健康を守る重要性の立場で、そして憲法の二十五条に健康は権利だと言われておりますし、特に二十五条の第二項には、国がそれを保障するということがうたわれていますので、やはり憲法の二十五条に沿ってぜひやっていただきたいということです。
 養護教諭は、養護をつかさどるということで子供の健康を考えていきたいと思いますので、ぜひ養護教諭を全国に配置していただくように増員をお願いしたいと思います。
 以上です。
#9
○委員長(片山正英君) ありがとうございました。
 次に、竹井参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(竹井紀代君) 都立の墨田工業高校に勤務しております。養護教諭になりまして中学校で十四年間、それからただいまの高等学校でいま四年目を終わろうとしております。私の場合は高校でも定時制ですので、その辺の定時制の状況もあわせて皆さん方にぜひ知っていただきたいと思ってお話ししていきたいと思います。
 まず、私の場合は、先ほど中神さんの方は小中学校を中心にいろいろ言われたわけですけれども、私の場合は高校の方で、高校といいますと一応義務教育じゃないというところで、それが一つのネックになってさまざまな問題を生じてくる。そういうようなこともあわせながらちょっと状況を報告してみたいと思います。
 まず、私がいまいます定時制の方なんですけれども、定時制の生徒につきまして、つい最近、三年がかりで、私たちの方で定時制生徒の健康実態をアンケートを通して調べてみました。そのときに生徒の職業、どういう職業についているかということをまず調べてみなんですけれども、やはり中学卒で勤める生徒が多いものですから、かなり下請的な労働現場というかいわゆる単純作業労働が多いわけです。そういうところなものですから当然労働条件なんかも非常に悪くて、職場の健康診断ですとか、それからたとえばけがをしたり病気になったりしましても、いわゆる医務室とか保健室みたいなのが全くなくて、赤チンが置いてあればいいというような職場の中にいます。それで労働条件も悪いものですから、一応有給休暇があったとしてもそれがなかなかとれない。日給月給になっているものですから、結局一日でも休むと給料が差し引かれるし生活に支障を来すということで休めない。だから当然有給休暇があってもとらない。そういうような厳しい労働現場の中から毎日通学しているわけです。ですから、当然そういう日ごろの労働のいろんな影響から体に及ぼす影響は非常に大きくて、そのアンケートをとりましたときに、体の状況ももうほとんどの生徒が何かしらの訴えを持っているわけです。本当に健康であると答えた生徒はわずかで、そういう状況の中で学校に来まして大体五時から九時、それからクラブ活動が入りますと十時ぐらいまで体を使っていろんなさまざまな授業を受けるわけです。その中で、慢性疲労が蓄積された中で当然事故が起こってきたり、そういうようなことがかなりあるわけですね。そういうような状況の中で一つ問題になるのは、そういう労働条件の悪さというところから、いわゆる定職を持たないわけですね。いわゆるパートとかアルバイトにどうしてもついてしまう。それはいまの社会状況の一つの問題点なんだろうと思うんですけれども、先ほど中神さんの方から出されました健康白書の百三十三ページにもちょっと定時制生徒の問題が載っていますけれども、七七年に私たちの方で調べたときはパート、アルバイトの生徒がわずか一七・四%だったのが、最近調べた今度のその調査の結果では三六%、約四〇%近くになっているわけです。当然、そういう職場のそういう状況の中から体の問題についてもさまざまな問題を生じているというところがかなり関連してあるわけです。
 一応定時制の状況はそういうことで、関連しましていわゆる全日制の――まあ全日制の生徒の方が全体的には多いわけですけれども、全日制の生徒の状況を簡単に言いますと、体が大分大きくなってきて、その中で運動量とかそれから運動する技術的なものがかなり高度なものになるというところから、かなりけがとかそういうものが重傷になってくるわけです。そういうことからも、けがする件数などもかなり大きくなりまして、七八年にこれは全日制を中心に調査した結果から言いますと、安全会の適用件数が、年間の件数ですけれども、一番多いのが二十件から三十件が大体三四%、それから三十一から四十件が一九%、それから五十一から七十件までが一七・四%で、七十件以上というのが六・三%もあるわけです。やはりこういう中でどういう事故があるかということをちょっと幾つかつかんだものをお知らせしますと、たとえば男子で体育の時間にバレーボールをしていて二人でボールをとろうとして正面衝突して、結局一人は右の額をがばっと割創というんですか、五センチぐらいの傷をつけて出血が多量にあって、相手の生徒は頭部を打撲して、失神状態まではいかなかったけれども、とにかくすぐ保健室で休ませた。それからもう一つは、たとえば体育の時間に千五百メートルを走行中倒れ、それは救急処置したんですけれども結局心臓麻痺で死亡した。またある場合は、体育祭の騎馬戦でげんこつで結局目をつつかれて左眼底出血を起こした。それから、これはたまたま先生が来る間なんかにちょっと生徒同士がふざけてやったんだろうと思うんですけれども、マット運動のときに使うマットに、結局生徒をくるんでちょっと布団蒸しみたいな形で遊んでいたら、それによるショック状態を起こして、それで最初は何でもなかったんだけれども、後から気持ちが悪いということで急に意識を失ってしまった。それからクラブ活動ですけれども、野球部で硬球が右の頸部に当たって呼吸困難を起こすとか、それからこれはちょっと直接けがということじゃないんですけれども、後でもちょっと出したいと思いますのでちょっと言いますけれども、女子の生徒が、水泳のテスト中に泳いでいまして急に気分が悪くなったということで、すぐ引き上げて処置をしたんですけれども、最終的には大脳動脈閉塞症ということで、左上下肢の運動麻痺の後遺症が残って、その後がなりリハビリテーションなんかで回復するのに時間がかかったと。これは本当に氷山の一角というか、こういう事故がわりと中心に毎日の学校生活の中で起こっているという状況があります。そういうような中で、じゃ、先ほどもちょっと出ましたけれども、安全会では実際にはどういう形になっているのかと、やはり私たちが日ごろそういうものを安全会の書類申請する中で非常にいろいろ問題を感じ、ぜひこういうところは改善していってもらいたいというようなことを幾つかちょっと出してみたいと思います。
 まず一つは、高校の場合は義務制でないということが大きいんだろうと思うんですけれども、安全会の掛金が一部個人負担になっているわけです。全日制の場合ですとやはり三百円近く、それから定時制の場合は百十円なんですけれども、これやっぱり掛金が個人負担になっているというようなこともありますし、そのために教育委員会の方で同意書とか委任書とかというのをちゃんととっておかなきゃならない。そういうようなことから、やっぱりぜひこのあたりは掛金についても個人負担をなくすようにしていってもらいたいというふうに思うんですけれども、実際にこういうように安全会に加入していても、実際に医療等の状況という、お医者さんで幾ら幾らかかりましたという書類をお医者さんで書いてもらいまして、それを安全会の方に出すわけですけれども、その書類を毎月毎月何十件も担当のお医者さんに書いてもらうわけです。その書類の作業は結局私たち養護教諭が一々やっていられませんので、そのけがをした生徒が各自で病院に行って取ってきてもらうと、そういう形に学校ではしているわけなんですけれども、その辺もかなり、特に定時制なんかですと休んで行かなきゃならない。そうすると仕事休めないから、じゃもう安全会の方はいいですというような形になってしまうわけです。それは全日制でもあるわけですけれども、結局そういう書類を取ってきたりなんかするのがめんどうくさいということで、私は、もし生徒が行けない場合はなるべく自分で行くような形にはしていますけれども、結局そういう形で書類がかなり手続がめんどうだというところで安全会の申請をもう生徒の方がやらなくてもいいよみたいな形でやめちゃう、そういうような状況がかなり各学校、現場であります。ですから、そのあたりもやはり書類の事務の簡素化という形で私たちの方でもいろいろお願いしているわけですけれども、その辺十分考えていただきたいというふうに思います。
 そういうことからさまざまな問題があるわけですけれども、もう一つは、定時制の場合、いわゆる正規の通学経路だったら、たとえばうちから職場に行って、職場から学校に行く場合のその三角経路で事故を起こした場合は補償されるんですけれども、たとえば職場からどこか出張でほかの場所に行って、そこから学校に来た場合は結局正規の通学経路じゃなくなっちゃうわけですね。だからそういう場合は適用がされないわけです。そういうちょっと問題も残っています。
 それから、一応安全会である程度の補償はされるわけですけれども、たとえばこれは定時制に多いんですけれども、全日制もあるというふうに聞いてます。これは本人または家族の生計維持者という生徒がいるわけですね、結局働きながら家族を養って学校に行っている。そういう生徒が学校で負傷した場合――会社で負傷した場合は労災で認定されるわけですけれども、学校の場合は結局安全会だけなものですから、そういう場合の生活費の補償が全くどこからも出ないわけです。そういうことで、生徒の方も、病院には通わなきゃならないんだけれども会社も休めないとか、そういうようなことになると結局転職をしたり、それから学校をやめたり、それから治療を中断してしまったりとか、そういうもろもろのやっぱり問題をいま抱えております。
 それからもう一つは、これは安全会のこういう法規集というのが各学校に来ていて、この中にもちゃんと、たとえば医療等の状況をお医者さんで書いてもらったときに、普通は診断書料が取られるわけですけれども、この安全会の書類については一応文書料は取らないということが、いろいろ医師会とか歯科医師会とか、そういう各組織に取らないようにということでお互いにそういう取り決めがあるわけです。だけど、実際に私たちが行ってみますと、お医者さんとか病院によりますとその文書料を取られてしまうわけです。たまたま私もこれは自分で行って初めて知ったんですけれども、みんなそういうとりに行った場合、生徒が結局文書料を払っていると、そういう文書料の問題なんかも残っております。
 それから、これもやはり私が経験したんですけれども、医療機関に医療等の状況を、証明書をもらいに行ったときに、いままで中学校にいたときに私が行ったときは、一度もそういうことはお医者さんで言われなかったんですけれども、たまたまこの間行きましたら、一応それは確かに生徒の方の守秘義務というんですか、いわゆる本人以外の人間がそのカルテを見る場合はやっぱり本人の委任状を持ってこなければだめだというふうに言われたわけです。私はそのときはかなり事情を説明して委任状なしでもらってきたんですけれども、病院によってはそういう委任状を持ってこないと医療等の状況は一々出せないと。でも私たちにしてみれば、学校として必要な書類なんだから、別に生徒から一々委任状とらなくても、私たちの責任で出してもらえないのかということでやり合った経験があります。そういう問題も残っています。
 いまの安全会そのもののもろもろの問題点がありますし、当然いまの段階ではその辺をぜひ改善していただきたいというふうに思うんですけれども、私もやはり先ほど中神さんが言われましたように、やはり国で補償していくという形、学災法の制定をぜひ早急に進めてほしいと思います。それと同時に、先ほど言いましたいわゆる生活の補償についてもやはり救済制度をあわせて考えていってほしいというふうに思います。
 それから、こういう状況の中でやはり教員がかなり負担を――負担というか、事故がないように。教育活動を進めるわけですけれども、そういう事故がないようにするために、やはり教員の精神的な負担というものが物すごく大きいわけです。これはもちろん養護教諭もそうなんですけれども、一般の教員も、先ほど中神さんから言われたように、遠足もやめだいみたいな、そういう事故か何かのことを考えると行事も本当に十分やっていけないみたいな、そういうところがあるわけですけれども、私はちょっと養護教諭の立場で言いますと、これは私が勤めている学区のある養護教諭が経験した話ですけれども、先ほどの、女子の生徒で水泳中に頭の事故で結局上下肢が麻痺したというその生徒なんですけれども、これについては学校のプールで起こったという因果関係がなかなかお医者さんの方で証明できないというようなこととかもろもろのことがありまして、やっぱり安全会に申請してもなかなかすぐ適用されなかったわけです。それで結局、学校の方としても校長以下、安全会でもだめだと言っているんだからもうどうしようもないと。でも実際には親としては、学校で起こった事故なんだから何とかしてほしいということで、養護教諭がかなり校長さんとか担任にも言ったらしいんですけれども、結局学校としてはどうしようもできないということで、親はもう養護教諭が一つのせめてものパイプ役だったわけです。その養護教諭がとにかく都の教育委員会の安全会の方に日参しまして、彼女はとにかく何かあったらもう辞表を出すということで、それこそ辞表をふところに教育委員会に日参したというようなことがあります。最終的にはそれは大分時間かかったけれども、一応認められて補償金がおりたらしいんですけれども、一応そういうようなことが、もうこれだけに限らずかなり日常起こっているというような状況があります。
 そういうことから、ぜひお願いしたいのは、先ほども養護教諭の完全配置ということが出ましたけれども、やっぱり養護教諭が果たす役割りというのは、そういう意味では学校の中でかなり大きい部分を占めているわけです。一つ一つ、そういう行事とか毎日の何か教育活動を行うときに、やはり養護教諭が日ごろの健康観察を行い、事前にチェックできるものはチェックして、そういうけがを大きくしないような形で健康診断を行い、健康診断である程度ひっかかった者については事前にお医者さんで治してもらうとか、そういう形で日ごろの健康観察とか健康診断、そういうものを行っているわけです。
 そういうことから当然救急処置においても、その場にたまたま養護教諭がいたから未然に大きな事故にならないで済んだというようなこともかなりあります。そういう救急処置の問題とか、それからその後、結局けがをして先ほどの上下肢の麻痺の生徒、そういう後の、後遺症とかいろいろ事後指導ですね、いわゆるぐあいが悪いのがすぐ治らないわけですから、けがをしたら、そういう骨折をしたら副木を巻いて学校に来るとかいろいろそういう状況の中で、養護教諭がそれなりにそういう不備な部分をいわゆる学校生活の中でやっぱり生徒のその辺のことを考えながら教育を受けさせていくと、そういうようなことをやはり養護教諭自身がかなり大きな部分として担っているわけです。
 そういうことから、やはりいま、東京の場合例に出しますと、一応小中高校の全日制は全校配置になっています、ただ、島がちょっと一校か二校いないところがあるんですけれども。ただ、私がいます定時制につきましては、いま配置率が四〇%です。で、実際に生徒は毎日学校生活を送っているわけで、実際に生徒がかなりいろんな問題を、保健室を通して、保健室の中で養護教諭が生徒と向き合う中で、ただ単に薬を上げれば、おなかが痛いと言ってきたから、じゃ薬をやってそれで痛みがとまるかというとやっぱりそれだけじゃなくて、いろいろ皆さん方新聞等で御存じだと思うんですけれども、結局いろいろ精神的な部分……
#11
○委員長(片山正英君) ちょっと参考人に申し上げますが、時間の関係もございますから、要約して要点をひとつお願いします。
#12
○参考人(竹井紀代君) ああそうですか、もう終わります。
 それで結局、養護教諭がただ赤チンをつけたり、薬をつけたり飲ませたりするだけの仕事だけじゃなくて、やっぱりそういう生徒の裏側に隠されている部分というのを日ごろの接触する中でつかんでいくと、そういうような役割りを担っているというところから、ぜひ養護教諭の完全配置と、それから大規模校、規模が大きい学校なんかですとかなり一人では大変だというところから複数配置を要求しておりますので、ぜひその辺をあわせてお願いしたいと思います。
#13
○委員長(片山正英君) ありがとうございました。
 次に、升井参考人にお願いいたします。
#14
○参考人(升井登女尾君) 私は、学校災害から子どもを守る全国連絡会の代表委員でございます。
 私どものこの会は昭和五十三年の五月三日に発足いたしました。というのは、この年は学校安全会法の改正があった年なんですけれども、こういう法改正に至る私たちの運動の中で、私たちの会は子供を学校災害から守り、発達成長権を保障する教育諸条件の整備確立、また不幸にして災害のあった場合の救済制度の確立を目的として会を設立しました。
 で、全国の学校災害の被災者を守る会とか、それから学校災害の被災者、それから教職員の団体、婦人団体などがいま集まって会員になっております。
 それで、いま私たちがどういうことをやってきたかといいますと、学校災害補償法の制定を求める請願運動、それから学校災害に関する電話相談、それから各地にある学校災害に関する裁判の支援ですとか、それから東京都の教職員組合と協力しまして学校の安全点検運動をいたしました。それからこういうようなパンフレット、本の発行などもしております。それから被害者の調査をしております。これは安全会などのような件数だけではなくて、学校災害を受けた場合にどういう状況にあったかと、いま養護の先生が事例をお話しになりましたけれども、そういう、具体的にどこに問題があったのかというふうなことがわかるような被害者調査などもしております。ことに電話相談は、会の発足と同時に毎年学校事故弁護団の協力をいただいてやっているんですが、最初の具体的措置でしましたのは、一日に五十二件の電話相談がありまして、鹿児島あたりからもかかってくるのがありました。それで、とてもその日では応じ切れませんで、後三日も四日も話し中だったからというので電話相談が続きまして、会が発足して三年間、総会のたびに記念事業として電話相談をするわけなんですが、いままでに百件以上電話相談がありまして、ことしになってから約三十件ぐらいの電話相談があります。それは、相談の事例というのは全くさまざまでして、後ほどまたそういうことを参考にしながら意見を述べたいと思います。
 学校災害補償法の制定を求める請願というのは、衆議院で、第九十四国会でしたか、それで出したのですけれども、これは保留――採択がなりませんでした。それは、五十三年に安全会法が改正されて給付も非常に大幅に上げられたというようなことの理由のようですけれども、これから述べます学校災害の実態は、まだそういうふうには解決したというふうにはとうていなっていないと思います。
 その一番目としまして、学校災害の災害件数が年々ふえているということですね。昭和五十三年に安全会法の改正で給付基準というのが大幅に上がりましたけれども、その年に、あわせて医療給付が、それまでは五百円以上かかった場合に安全会の適用を受けるというふうになっておりましたのが、その法改正のとき、昭和五十三年から施行されたわけですが、そのときは最低額が二千五百円に、五倍に引き上げられたのですね。だから、二千五百円以下の者は安全会適用、医療給付の適用にならないというふうな改正がありましたので、私は、少なくとも五十三年は相当安全会の給付件数は減るであろうと思っていたのですが、実際は前年の五十二年が百十万件ではっといったところですが、五倍に引き上げられたその年は百十四万件でして、やはりこの学校安全会の給付件数が全部学校災害の数ということではないのですけれども、それしか統計がありませんので、それが五倍に引き上げられた年も百十四万件に上がったということ、それからその後も毎年少しずつやはり学校災害の件数がふえておりますので、それは、学校災害の問題というのはやはり依然として大きいんだなと思います。
 ちなみに申し上げますと、いま交通事故は大体年間六十万ぐらいでございます。ですから、この件数だけ見ましても、非常に学校災害が多発しているということがわかっていただけると思います。その中には、死亡する子供が一年間に約二百人、それから、一級から三級ぐらいの重度の障害ですね、一生車いすだとか、私どもの会員の中でも、もう八年間も意識が戻らないで付きっ切りで介護しているという事故の人もおりますけれども、そういうような重度の障害というのが一年に約五百件ぐらいはずっとございます。これは大体もう横ばい状態、絶対減ってはいないわけで、そうしますと、学校安全会が発足してからだけでも、学校災害で亡くなった子供は約五千人ぐらいいるわけですし、現在重度障害で車いす生活というような子供が少なくとも一万人ぐらいは全国でいる。一日に三人ぐらいは死んだり大災害を受けるということが毎日起こっているんだということになりますので非常に心を痛めております。
 こんなふうに学校災害が多い原因は何だろうかということを私たちが数だけではなくて、災害の起こった実態に即していろいろ調査をやりますけれども、それから私が思いますのには、学校というのはもともと大変未熟な子供たちがたくさん集まっているところで、しかも非常に活発な場所と、非常にそういう意味では事故とかそういうことが起こりやすいそういう場所なのです。だから、一般の社会とは違った発達途上にある子供がたくさん集まって非常に活発に動いているという場所である、そういうところであるということを考慮しての設備条件というものがまだ非常に不十分なのではないか。不十分というのか、危険が非常に多いということを痛感いたします。
 これは先ほど申しました学校の安全点検運動を東京都の教職員組合と一緒にいたしました一例でございますけれども、東京二十三区内で校庭が非常に狭いそれで五十メートルから百メートルのトラックしか駆けないという。これでは、五十メートルから百メートルのトラックですと絶対走ったら飛び出してしまうわけですね。そういうところが小学校の二三・五%ございます。中学校では六・六%。それから百メートルから二百メートルの円周のトラックというのでは、これですと全力疾走はできないんです。小学校では七四・五%がこういう校庭の狭さである。中学では六九・一%。二百メートル以上あれば何でも競技ができるわけですが、そういう学校は二十三区の中で小学校の中の二%しかございません。
 これは一例なんですが、こういうふうに活発な運動をして丈夫に育てるべき学校の運動場の広さというのが非常にこういう状態であるということとか、それから学校のけがはやはり校庭のけがが一番安全会統計でも多いんですが、校庭がアスファルト、コンクリートでなっておりますとけがが非常に起こりやすいし、何といいますか、重傷になる。それからダストでしますと、転んだときには非常に深いけがをするというような事例もございます。それから校舎もですが、校舎の中では床がPタイルで張ってあるものですから、ちょっと雨が降ったりするときには滑って転ぶ。そういうときに脳震盪を起こすとか、こういう例は非常に多いんです。それから、周りの壁がコンクリートだからぶつかれば、子供はおとなしく歩いていなくてふざけ合ったりしますのでそういうけがが多いとか、あるいは教室の窓が非常に古い建築基準法によって窓の採光を多くとってあるものですから、窓からの転落事故というのが非常にたくさんあるように思います。これは一例ですが、子供たちのそういう学校の設備の不備というのが非常に多い。先生方から伺いますと、何か起こるなあと、こう思っているというわけですね。そういうのが窓枠が危いからというので、この窓枠に桟をつけようというのでPTAで決めて交渉して、つけさせるのに二年はかかってしまったというようなことの事例もございます。
 それから少し飛ばしますけれども、その次には、最近は中学校も対抗試合をしますので非常に勝負過熱といいますか、選手養成というところに非常に目がいっておりまして、そのために本当に子供の強い健康な体をつくるというそういう体育じゃなくて、スポーツ万能主義というか選手養成に傾くというようなこともやはり事故を多くしているように思います。これは一例ですが、山形の山形高校の近野光正君の場合も二回転宙返りで失敗して落ちてそして首の骨を折ったということなんですが、これはまだ技が未熟なのに、先生は選手の方の指導をやっていて目を離したときに二回転宙返りをみんなにおだてられてやって、そして下にはマットがあったんですが、武道館なんかではちゃんとスプリング工法で設備がいいんですが、その山形高校のマットは、何といいますか、マットレスが相当古びていて、しかも間がちぎれていたんです。そういうところで、マットがあるからということだったんですが、そういうちぎれていたりして、それで突っ込んでいって大きなけがをして、現在もう十年以上になりますけれども、寝たきり生活をしております。
 三番目には、いまこちらの前の参考人がおっしゃいましたので余り申しませんけれども、子供の体が非常にもろくなっていて、いろいろ危険についてすばしっこく避ける能力が欠けて、備わってきていないといったような問題があると思います。
 それで、次に学校安全会のことについて二、三申し上げたいのでございますが、学校安全会の五十二年の改正は、給付が大幅に引き上げられましたので、これは大変ありがたいことでした。大変皆受けた人は感謝しておりますけれども、それでも一級災害千五百万円となりましても、それだけでは、もう一生そのまま車いすで二十四時間介護という人たちは救われないということでございます。特に重度の場合については、前回の国会での質疑の中で文部省は、一時金を信託にして運用して、そして年に百万程度の年金的運用をするという答弁をしていらっしゃるんですけれども、それはその後全然やられていないんですね。それで、やはりこういう重度災害の場合は、年金による形の給付というのをぜひ考えていただきたいということは切実な願いでございます。
 それからもう一つ、あと制度面について申しますと、学校安全会は、契約の当事者が学校設置者つまり校長先生とそれから安全会との契約、掛金を掛けるのは父母、だけれども、当事者は学校の管理者とそして安全会というふうになっておりますので、往々にして学校安全会に適用できる問題がもうそのまま適用されないでしまうというような例がたくさんございまして、私どものところへ寄せられます電話相談の中でも、大体六、七割はこの安全会の関係についてのトラブルということで、非常に多いように思います。
 非常にひどい例もたくさんございますけれども、たとえばこれは茨城の例なんですけれども、学校安全会に校長先生が一応申請をする場合に、同じ事件について災害報告書が三枚出ている。どうしてかといいますと、それは三十分間災害の発生時間が違っているんですね。それはどういうことかというと、三十分の違いというのは、運動会のプログラム中に、旗を振っていてその旗が目に当たったという、そういう災害なんですけれども、三十分違っているというのは、その走るコースが四コースなのか六コースなのかというその違いなんですね。六コースでしたらば一般の子供の応援席との間が一メートルそこそこしかないわけで、そういうことになりますと、学校の方が悪いことになるらしいですね。ところが、それが四コースの場合でしたら、子供が飛び出していってやったんだと、こういうふうになるということの関係のようなんですが、これは裁判になりまして、非常にうっとうしい裁判になっておりますけれども。
 そういうような形で、安全会の適用についてなかなか適用がされない。それから、中にはその現場の先生が、その学校の責任でのけがを、けがじゃなくて子供が自分で転んだようにしてほしいというふうに言われたり、それから、子供同士のけんかだとこれはもう安全会適用できないよというふうに先生が誤解していらっしゃるのか、しないでもうそれきりになっちゃう。また逆には、安全会が適用できるからいいですよというので、加害者の親は安心しちゃって、ひどいけがをさせていても謝りにも行かないというようなトラブルがございます。で、この安全会の契約当事者が校長先生で、親が何の請求権もないということについて、制度としてはどうなのかなというふうに思います。
 それから次に、文部省……
#15
○委員長(片山正英君) そろそろ時間でございますから、要約をしていただきたいと思います。
#16
○参考人(升井登女尾君) わかりました。
 安全会については、先ほど言われました労災法の適用がそのまま安全会の給付の等級になっておりますので、先ほど養護の先生もおっしゃいましたが、大変不合理な点がいろいろございまして、それも問題。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、医療給付が五年で打ち切られる。これは重度の方は五年たっても医療給付が必要なわけで、これが打ち切りになっているということも大変問題ではないかと、延ばしてほしいという要求がございます。
 以上、安全会について申し上げましたけれども、安全会があるということは大変いいことだと思いますけれども、なお非常に不十分である。ですので、私どもも学校災害補償法をつくってほしいという請願を出しているのでございますけれども、学校災害については、これはまだ成長の発達途上にある子供のことであるということで、子供の教育権を保障するという意味において、もっと施設設備を安全なものにしてほしいということと、もし災害が起こった場合の補償については十分に考えていただきたいということを学校災害については要望したいと思っております。
#17
○委員長(片山正英君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。
#18
○参考人(佐藤勲君) 私は、北海道の一小学校の教員として、学級担任としての仕事、あるいは校務分掌の中で健康指導を担当してきた体験の中から、また子供たちの本当の幸せを願い、議会制民主主義を尊重し、教壇実践で勝負することを合い言葉に設立されました日本新教職員組合連合、略称新教組と申しますが、その組合員の一員として全国の仲間と交流してきた中で、今日の教育課題における健康安全教育の役割り、それから学校安全会の二つの主要な目的である災害給付制度、学校安全の普及充実、さらに学校における健康安全教育に関する組織と運営について、日ごろ思っていることの一端を申し述べてみたいと思います。
 受験戦争、非行問題、校内暴力問題が教育の今日的課題として大きく取り上げられ、豊かな人間性の育成、人間性の回復が学校教育の理念として強く要望される今日、これにこたえる施策の充実とともに、直接教育に携わる私たち教職員が一致協力し、創意と工夫のもとに望ましい方向に向かって着実に実践を積み重ねる努力が求められていることを深く認識いたしております。
 とりわけ、健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図る健康安全教育活動は、発育期の子供たちにとって欠くことのできない全教育活動の基礎となる重要な位置を占めるものであります。
 先ほど足達さんの方からもお話がありましたが、子供たちの体がおかしいと言われ始めてずいぶんたちます。朝からあくび、背中ぐにゃ、アレルギー、朝礼でばたんなんというようなのが昭和五十三年にNHKの調査で「身体のおかしさワースト1〇」ということで発表されております。これらの原因は、生活リズムの乱れ、筋力、反射神経の低下、すなわち体力の低下などによるところであると指摘されておりますが、私の勤務する学校においても、毎年本校での学校保健統計、あるいは子供たちの生活リズムについて調査をし集計をしておりますが、その中にもやはり背筋のおかしい子、それからちょっとしたことで骨折する子、疲れやすい子、原因のはっきりしない頭痛、ころんだときに手を出せないで顔から突っ込んでいくという、いわゆる顔面制動などの事例が多く見られます。心身ともにたくましい子供の育成が急務とされ、そのためのあらゆる創意工夫が求められているところであります。
 健康安全の問題は、学校教育の中で各校の創意工夫による展開が最も期待され、また大きな効果が期待される分野であります。直接関係する保健体育の教科指導や健康診断、給食指導のみならず、遠足、運動会、マラソン大会等の体育的学校行事、あるいは二校時、三校時の間などにある二十分から三十分にわたる休憩時間を利用した業間体力づくり、さらに清掃活動など勤労生産的活動というように、学校のあらゆる活動を通じて総合的、継続的に推進していかなければならないし、子供たちの心身の変化の原因が生活リズムによるところが多く、家庭や地域社会が一体となった活動も必要であると思います。また、これらの教育活動を支える重要な要素として、学校安全の維持推進は欠くことのできないものであると思います。
 次に、学校安全会の共済給付制度についてでございますが、私の勤務する学校の保健室利用状況を見ますと、昭和五十六年度においては二十八学級、千百十人の児童のうち、他校と比べて決して多い方とは感じませんけれども、外科的なもので三百七十四名、内科的なもので六百七十四名、計千四十八名の利用がありました。そのうち学校安全会給付の適用を受けたものは二十五件、二十三万九百六十九円になっております。子供にけがをさせない、万全の予防措置をすることが第一でありますが、もし子供の事故に対する補償制度がなかったとしたら一先ほどからも指摘がありましたように、事故を恐れるあまり教職員の教育活動は萎縮し、心身ともにたくましい子供を育成する教育活動に思う存分取り組む姿勢は期待できないものになると思われます。ただ、恐れだけでこの指導を抜いていったならば、ただでさえ耐久力が不足する子供たち、甘えの中につかりっぱなしの子供たちはますますその傾向が強まるだろうと思います。それに関する考えについては最後の学校健康安全の組織運営の中で述べたいと思います。
 そういう意味からして、数年前の国会での各党一致した御関心、御配慮により、昭和五十三年度から学校安全会の給付水準が大幅に引き上げられましたことは、現場の実情にこたえた措置であり、学校現場では創意工夫のある存分の教育活動が展開できるための条件整備がなされたと感謝しております。しかし、給付基準等まだ十分とは言えず、今後とも必要に応じた改善が必要であると思います。
 この学校安全会の給付制度は、国庫補助のほかに学校設置者と保護者が掛金を負担して実施するという共済制度であることを基本としておりますが、家庭の負担は現在の程度で特に過大であるとは思われません。子供の健康安全は学校、家庭、地域社会の連携協力によって守られるべきであり、とりわけ家庭への啓蒙活動は重要であります。
 さきに申し上げました保健室利用状況を見ますと、内科的なものでは頭痛、腹痛によるものが大部分ですが、ほとんどが学校の教育活動によるものではなく、家庭での生活リズムの乱れによるものであり、また、私どもの学校では電気暖房を採用しておりますのでやけどをするということは考えられない状況でございますが、六名の子供が保健室で治療を受けております。また、健康診断を例にとってみましても、学校の定期健康診断によって初めて病気に気づく親も多くあり、わが子の体位の向上、身体的な変化にどれほどの関心を持っているのか疑問を持つことがあります。学校の定期健康診断のほかに、身長、体重、視力などを家庭で測定する日を設け、父母への啓蒙を図る工夫など各学校で盛んに実践されているところであります。
 このような実態から、家庭でも多少の負担をすることによって子供の健康安全について注意と関心が高まり、学校と家庭とが協力して子供の健康安全を守っていく環境をつくり出すためには、現行の父母負担制度は適当なものであると思います。
 次に、学校安全に関する普及活動についてでございますが、普及活動の一つとして、私の勤務している学校では学校安全会の委嘱研究を受けまして、「児童自らが主体的に取り組む安全活動の可能性を求めて」という研究主題のもとに交通安全指導について研究に取り組んでおりますが、校外班のリーダーによる安全リーダーの活動、あるいは地域父母による補導モニターや、交通安全母の会との交流などを通しまして、交通安全についてはもちろんのこと、生活安全についても意識の高揚が図られております。
 今日子供を取り巻く環境は複雑であり、また変化の激しい状況にあり、子供の健康についてもかつての伝染病予防などが主体でなく、さきに触れましたように、心臓、腎臓、脊椎側湾症、骨折問題等新しい対応の必要なものが多くなってきております。これらの問題を考えたとき、健康安全に関する普及活動が創意工夫ある学校教育活動の展開を支えるものとして重要な課題となり、学校安全の普及活動の一段の充実を望みたいと思います。
 従来、学校安全会では、学校や家庭における安全教育に資するために「事故防止必携」その他種々の資料を提供していただき、普及活動を実施していることを聞いておりますが、これらの活動が一層充実されることを望みたいと思います。さらに加えて、子供の健康安全、さらに今日憂慮されている体力の低下を盛り返し、生き生きとしたたくましい子供を育成するために、子供の健康安全に関する適切な学術研究の推進をお願いしたいと思います。この面の研究は、医学、体育学、心理学等の総合分野であることから、大変むずかしい面があると聞いておりますが、それだけに一層研究推進の必要性を現場では感じております。これらの研究推進によって、たとえば骨折問題一つでもその有効な対応ができるようになれば、学校教育の展開にどれほど大きなプラスとなるかはかり知れないものがあります。
 最後に、学校における健康安全教育に関する組織と運営についてでありますが、初めに、今日の学校教育の推進には全教職員の一致した努力が必要であり、学校における健康安全問題に対応していくためには最も必要なことであると述べましたが、現在学校においては、校長、教頭のほか、子供の健康安全については直接には養護教諭、保健主事、学校栄養職員等がそれぞれの職務に応じて担当しておりますが、さらに関係教職員、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、PTA、地域父母の協力も得つつ、保健委員会や安全委員会等を設置し、全教職員が協力して取り組み、効果を上げている学校も多くあります。
 もちろん、これらの推進のためには十分な教職員の配置は重要なことであり、言うまでもないことでありますが、それにも増して、教職員間の相互協力を図る組織づくり、そしてその運営が健康安全活動推進の基本であり、最も効果を上げるものと思います。このような体制を校内につくるようにしていく必要を強く感じております。
 これに呼応して、国におかれましても、子供の健康に関する施策を総合的に推進するようにしていただくことを最後に特に強く望みたいと思います。
 以上です。
#19
○委員長(片山正英君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、参考人の皆様には、各委員の質疑時間が限られておりますので、大変恐れ入りますが、簡潔にお答えくださるようお願いをいたします。また、お答えいただく場合には大変恐縮ですが、ちょっと挙手をいただいて、整理させていただきたい、こう思います。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#20
○小野明君 まず、中神暉子参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 中神参考人が実際に学校現場で安全会事務というものを担当されて、御苦労されていることがよくわかったのでありますが、そこで第一の質問でございますが、学校保健法あるいは施行規則等で書かれておりますが、安全点検ということが大変強調をされているわけでございます。
 そこで、もし危険な部分あるいは改修してほしいと思う場所を発見をした、その際に、設置者の方で速やかに応急処置をしてくれているかどうか、その点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
#21
○参考人(中神暉子君) それではお答えしたいと思うんですが、簡単な場合でしたらすぐにできるんですけれども、やはり多額の予算が伴うような場合はなかなかむずかしい場合があります。
 簡単な場合では、一つ私が経験しましたのは、保健室の流しの壁のところにタイルが張ってあります。どこの御家庭でもおふろ場なんかにタイルが張ってあると思うんですが、子供がたまたまそこが汚れていましたのでぞうきんがけをしてくれましたら、ばらばらっとタイルが落ちたんですね。これはもう安全点検する以前の問題だなというふうに私は思ったんですけれど、非常に校舎のつくり方が粗雑だなという感じがしました。そのときは、応急的に簡単に直していただけました。
 こういった程度の簡単なものでしたらすぐ直せるわけですが、杉並では一つ大変大きな問題を抱えております。
 と言いますのは、二年ほど前でしたか、いわゆる問題を発見してやったというのは、ある学校で予算――予算というか、いつも赤い水が出るところがあって、なぜその水が出るかということで調べていったら、いわゆる水道の鉄管がさびているということがありました。これは杉並区内を調べましたら小中合わせて二十一校ありまして、学校現場ではその赤い水を何とかとめてほしいということで教育委員会に何回も言っているわけですね。教育委員会の方では、それはなぜ赤い水が出るかと言えば、ある年度に工事をした部分のところがさびているというのがわかっていて、その鉄管を取りかえるには大変金額が張りますので、そこにさびどめの薬を点滴で入れていたという例があります。これは、点滴で薬を入れていたというのを発見しましたのは、ある学校で十万ほどの予算を組んで何に使っているかわからなかったわけです。で、養護教諭が職員会でその部分を追及していった場合に、それが薬代だったということでわかって私たちも大変驚いたんですけれども、それで二十一校ほど――正確に言いますと、ここに使われていたのは「アクラリン−SLコンク」という薬品名の燐酸塩なんです。それを使ってさびをとめていたわけです。
 こういうことでは、飲み水に薬を入れてさびをとめるわけですから、長い間には子供の健康に非常に影響が出るということで、その薬を入れるのはやめてほしいと。これは、じゃ鉄管のさびをとめるにはどうするかというと、一番理想的には鉄管を全部取りかえなければならないわけで、一校で五千万、いやもっとかかるという予算でことしからそれに取りかかる約束をしてくれていたんですけれども、やはり二十一校となりますと莫大なお金がかかるので、これについて具体的な、何と言うんでしょうか、先の見通しがまだ明るくないわけです。こういったぐあいに、いわゆる安全点検と称して、子供のために危険な部分があるというのがわかって教育委員会に言ってもなかなか予算を伴う場合はそれを改善がむずかしいわけです。
 私はそのとき考えたんですけれども、こういうこと、いわゆる学校保健法の第三条の二には安全点検を学校でして、それで発見をしたらそれをすぐ直しなさいっていうことを言われていますけれども、今度の水道管のような場合は教師が安全点検をしてから、そしてああこれは危険だということを言ってから教育委員会に申し出るんじゃなくて、校舎を建てるときにもっと私は子供の安全ということを考えて校舎を建ててもらいたいなあというふうに私個人的にはそのとき思いました。
 先ほども、プラスタイルの廊下が梅雨どきになりますとぬれて危険だというお話も出ておりましたけれども、これもどこの学校でもあることで、六月になりますと、湿度が上がりますと廊下がびしょぬれになるわけです。私なんかも無器用ですから廊下を歩くのになかなか恐くて歩けないんですけれども、そこでやっぱりすべって子供が頭を打つというようなことがありますので、こういうことはやっぱり事前に考えて材料を吟味しておく必要があるだろうと思うんです。最近は木造から鉄筋に校舎を取りかえましたけれども、決していまの学校現場では、何と言うんでしょうか、安易に安全点検をして改善すれば事故防止ができるというような状況じゃなくて、あらゆるところが危険であるというふうに考えてもいいんじゃないかと思うんです。私の学校なんかでも教室はコンクリートの上にじかに木を張った床なんですけれども、そこで子供がお相撲とりますと頭を打ちますと大変重大なけがを起こすわけで、本当に安全にということになると、いまの現状の校舎では子供が活発に安心して活動できるような現状でないので、私はもっともっと校舎全体に見直しが必要だと思っています。
 以前に聞いた話ですが、北欧の方へ旅行された方なんかの話ですと、北欧の方では子供がけがをしないように壁の回りとか床にじゅうたんを敷くとか、それから何と言うんでしょうか、いまのふわふわの材料がありますよね、そういったもので弾力を持たせて子供がひっくり返ってもけがをしないように最初からできていて、そういうところが欠陥があったらそこを見つけて修理するというのならわかるんですけれども、最初から石の中の建物の中に子供が暮らしていてけがをしないようにというのは、ちょっと私も現実にいて非常にやっぱり矛盾を感じております。
#22
○小野明君 非常に的確な御指摘で、私ども学校に参りましても、いまお話しのように、スリッパ履いてつるっとすべってこけるんじゃないか、これはあぶないなあということを感じますことが非常に多うございます。的確な御指摘だと思います。
 次に、第二問なんですが、中神さんは学校災害補償法の制定をぜひという御要望がございました。現在改められた新しい給付ができておるわけですが、現在の災害給付ではやはり不足なんでしょうか。
#23
○参考人(中神暉子君) 決して十分ではないし、むしろ不足だと言っていいと思うんですけれども、まず第一には人身事故の場合の最近の補償の要求は四千万とか五千万というように言われております。裁判なんかでも障害を一生残したような方に対しては八千万前後の決定を見た例もあったと思うんです。だから、子供だから、共済扶助方式だからと決めてしまわないで、やっぱり子供は次の時代を担う貴重な存在だと思うわけで、そういった立場から現行の千二百万という死亡見舞金ではやはり御父兄の方は納得しないんじゃないかと思います。
 それから、第二は廃疾になった場合ですけれども、これは障害者の認定で何らかの形で補償される場合はともかくとして、それが十分でないと言えます。まして治療継続などで長期にわたる場合は、非常に障害者を持った御家庭というのは一家が大変いろいろ経済的な負担がかかりまして、以前にも日教組で災害補償制度の運動に取り組んだ際に、廃疾者を抱えたお母さんからときには夫や子供に内緒で身を売って子供のために生活をつないだということも聞いたことがあります。
 それから、給付金の拡大という大変前進した改善がされましたけれども、そのことは評価しますけれども、たとえば一千五百万の一級給付金は現在の日本の生活で病人を抱えてはあっという間になくなってしまうと思うんです。それを基金に預金をして利子を生活の足しにしたという意見もあったと聞いておりますけれども、いまの生活に困っている人がそのようなゆとりは全くなく、やはり年金制度の確立などで長期的な確立を望む声を私は周りに聞いております。
 第三番目、掛金のことですけれども、一九六〇年の学校安全会が制定されましたときの国会審議では当時の松田文部大臣が本来無償であるべきだがという発言をされていたようですけれども、掛金は次々に値上げされてきている状態です。子供は親だけでなくて国や社会でも一緒になって育てていく必要があろうかと思います。
 第四番目に、現在の安全会では、日常生活の中で子供と一緒に暮らしている教員はできるだけ事故がないようにということで非常に神経を使ってるわけですが、たとえば水泳などで死亡事故が起きますと刑事責任を問われるというような例が前にもございました。そういうことで非常に神経質になっております。それから、保健室で子供が休養している場合、私たちが打ち合わせとかそれから電話をかけに、子供の脇にべったりついているわけにいきませんから、ちょっと目を離した際に重大な事故が起こった場合なんかですと、やはりその責任を追及されたという例もあるわけです。それからまた、スポーツをしていて首の骨を折ったり、それから廃疾されたりしたというようなことで、現在の教員の給与では、先ほども申し上げましたけれども、それにかかわった教師の場合、やっぱり先生が個人的にそれを補償する蓄えなどは持っておりません。そして、林間学校とか遠足などで死亡事故の起きた場合なんかもたまにあるわけですが、そういうときなどは非常に気の遠くなるような賠償などもあるわけで、これは何例があるわけですが、そういったことを考えますと、やはりこの共済制度じゃなくて、何回も申し上げておりますけれども、不可抗力で死亡するということだってあるわけですから、やはり無過失の調査の段階で証明されることですが、やはり命を預かって私たちは仕事をしているわけで、それが絶対一度も事故は起こさないということは、やはり全国的に見れば不可抗力の場合もあるわけですから、そういったことをも考えてぜひ――教師だって最初から事故があるようないいかげんなやり方はしていなくても事故が起きるわけですから、そういった点でぜひ災害補償をやっていただきたいということでお願いしたいわけです。
#24
○小野明君 それでは次に竹井紀代参考人にお尋ねをいたします。
 工業高校の定時制という大変厳しい現場でがんばっておられますことに本当に御苦労だと思います。
 そこで第一問ですが、働く青少年が対象の職場なんで、実際事故があれば生活にも響くという御主張でした。そこで安全会の取り扱い、たとえば給付額あるいは不適用というようなことで、保護者とか本人からの不服などが多く出ておるのではないか、それに直接あなたがぶつかるということが多いのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#25
○参考人(竹井紀代君) 私の場合は定時制で、いわゆる全日制とか小中みたいな形で保護者がきちっといるということが少ないわけです。どっちかというと地方から出てきて一人です。だから雇用主が保護者がわりになったりとかという形になっている。だから、実際に私のところで、親の方からあるいは雇用主の方から何か申し出があったということはいまのところないんですけれども、ただ、私が前にいました中学校ではかなりいろいろ親から直接――親が直接安全会の方に物申しができないわけで、結局学校の方にいろんな形で文句というんですか、いろいろ問題点が出されたことはあります。特に私が最近、先ほどもちょっと例を挙げましたけれども、女子生徒が水泳中左の脳動脈閉塞症というので上下肢が麻痺になったという、その養護教諭とかなり接触を持ちながらいろいろ経過を聞いてきたことがあるんですけれども、やはりなかなか親が直接言えないから、養護教諭がその間に立っていろいろかけ合ったわけで、最終的には親の方が、どうしても学校の方で何ともならなかったらとにかく裁判でも起こしたいみたいなことを言われて、それでその養護教諭も、とにかく何かそういう形じゃなくて、もうちょっと穏便に安全会で補償されるような形にならないかということでかなり、それこそ辞表をふところにがんばったということがあります。そういうことから、確かに親からじゃなくても、私たちの方で書類を出しても、かなりいろんな理由で適用されないことが多いわけです。一応そのときは学校の方が親の代理というか、学校の方で全部書類をつくりますので、どうしてこれが申請されないのかということが直接やりとりの中でわかるわけですけれども、でも最終的にはこちもが納得できなくても、安全会の方でだめですって言われればそれで引き下がらざるを得ないという状況というのは結構あるわけです。かなり適用されないこともいままでありました。そういう意味から、私たちとしては、こういうものっていうのは多分ほかの制度の中ではあるんじゃないかと思うのですけれども、いわゆる不服審査機関っていうんですか、そういうものがやはりあれば、そこにいろいろこちらで不服に思っていることを申し出る場があればすごくこちらにとっても都合がいいなということはいつも思っています。一応安全会の中には運営審議会とか、それから給付審議会とかっていう組織があって、その中でいろいろ関係機関から人が出ていろいろ審議されているようなんですけれども、東京の場合はその中に管理職ではなく現場の教職員が入っているということがあるわけですけれども、地方に行きますと、そういう現場の教職員が入っていないというようなところがかなりあるというふうに聞いています。そういうことからも、やはりいわゆる現場の教職員が一番そういう問題に直接携わっていて、それをどこかで吸い上げてくれる場がないと、やはり何となく泣き寝入りで終わってしまって、親の方にも何とか適当にごまかして納得してもらうみたいな形で、いまこう解決しないまま何となく立ち消えになってしまうということが多いわけで、そういう意味では安全会というのは災害いわゆる共済扶助制度ということで、親も一応掛金を払っているわけですし、そういうことからもやはり親のそういうものが反映できるような形のものがあればいろいろなトラブルとかそういうことが解決していかれるんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひそういう不服審査機関というものをできたら設置していただきたいというふうに思っております。
#26
○小野明君 それでは重ねてお尋ねをいたします。
 高等学校の生徒ということになりますと、件ももう大きい、かなり激しい運動もやると思われるわけですが、校内の事故は普通高校と先生がお勤めになっていらっしゃる職業高校というのでは災害の発生率に違いがありましょうか。
#27
○参考人(竹井紀代君) 余りはっきりした違いということはないと思います。件数から言うとそんな違いないと思います。ただけがの種類といいますか、そういうものについてはかなり職業高校な普通高校とは違った形でのものがあらわれてくるんじゃないかっていうふうに思います。大きいけがということについては、先ほど幾つか例を挙げましたけれども、特に職業高校の場合は、私のところは工業高校で電気科、機械科、建築科というふうに三科あるわけです、工業高校にはそのほか電子科ですとか、それから食品化学とか、その学校によっていろいろ置かれている科が違うわけですから、私のところはそういうことで建築、電気、機械ということで、特にやはり機械関係の実習というのが、とにかく工業高校の場合はだんだん高学年に行きますとかなりウエートを占めてきまして、まる一日四時間びっしり実習というようなこともあり得るわけです。そういうことから、やはり普通高校では体育とかクラブ活動というようなところでの事故発生が多分件数を占めるんじゃないかと思いますけれども、職業高校についてもその辺はそんなに変わりはないけれども、やはりそういう実習中のけがというのがやはり普通高校とは違った形でかなり出ているような気がします。私がいま直接安全会にかけた伺っていうのは、まだちょっと工業高校に来てそんなにたってないものですから、いまのところはないんですけれども、ただふだんちょっとしたことでも、切り粉が目に入るとか、それから機械に手が――油ですべっちゃうわけですね、機械にちょっと接触しちゃうとか、そういうようなことのけがっていうのはわりとしょっちゅう起こっています。
 ただ、工業高校で定時制ということで、とにかく先ほどの校舎自体のつくりの問題が出ていましたけれども、うちの学校も非常に歴史が古くて校舎全体が非常に暗いわけですね。昨年度から建てかえで改築しているんですけれども、実習場なんかに行ってみますと物すごく薄暗くて、特にまた夜なもんですから、そういう中で機械を使って実習をしているということで、教員側からとにかく常に目を光らせて、けががないようにかなり細心の注意を払ってやっているわけです。ですから、やっぱりそういう意味で、けがはいまのところは、うちの場合は辛うじて免れているというところもあるんですけれども、実際にほかの学校の状況なんか聞いてみますと、やはり特に農業高校なんかでも、いま大分いろんな農機具というのが機械化されて、そういうものを使いながら実習していくというところでは、かなり職業高校での、いわゆる普通高枝とは違う形での大きな事故というのは出ているようです。ただ、具体的にそういう事例というものをちょっといま手元にないものですからお知らせできないんですけれども、一応そういうことです。
#28
○小野明君 それでは最後に、足達参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 いまお聞きのように、安全会の仕事が現場においては養護教諭の皆さんに実務が任されているようなかっこうになっていますね。それで、これは中神、竹井お二人の参考人が述べられましたように、養護教諭の皆さんというのは全校配置ではないわけですね、小中学校で六、七〇%ですか、高等学校で四〇%ぐらい。こういう皆さんがあなたが主幹をなさっておられる下部の責任者としての仕事をなさっておられることは、いまお聞きのとおりです。
 そこで、最初に私がお尋ねをいたしました学校保健法に安全点検ということが規定をされておるわけですが、実際にいま、お話がありましたように、学校の施設設備というものが災害を未然に防止をする非常に大きなこれは要素を占めると思いますね。あるいはまた、危険個所があれば、これを養護の先生が御指摘になる、しかし、なかなか地教委の方も直ちにその措置をしてくれないというような悩みがあることもいまお話がございました。この安全点検という問題、施設設備の早急な改良、これが災害を未然に防ぐということでは非常に大事な点ではないかと思うんですが、あなた主幹をなさっておられるわけですが、その辺でどういう御苦心がおありになるのか、ひとつお話しをいただきたいと思います。
#29
○参考人(足達九君) 学校保健法の改正によりまして環境衛生検査並びに安全点検ということが義務づけられたわけでございますが、それには定期点検と日常点検があるということでございます。したがいまして、環境衛生検査につきましては年間に一回、安全点検につきましては学期に一回というのが定期の点検でございます。それだけではもちろん不備でございますので、日常、常に点検をするという形で、各学校におきましては点検の点検簿というのを備えまして学級でやるもの、学校でやるものあるいは学年でやるもの、いろいろ決めまして日常の検査をやっているわけです。
 そこで、いろいろな問題が出た場合にどういうふうにして改善をするかということは先ほども参考人の方々がおっしゃいましたように、いろいろなケースがあるわけでございますので、私どもの指導といたしましては、佐藤参考人がおっしゃいましたように、やっぱり学校がそれに対する組織づくりというものをきちっとやって、そこにかけまして、これは直ちに学校でできるもの、あるいは学校が業者に頼んで直ちにできるもの、あるいは地教委まで上げなければできないもの、それを分類いたしまして速やかにその手続をとる、そういうことでできるだけ早くそれぞれの措置ができるようにという指導を現在しておるところでございます。
 私どものところでも、今度国の方からの研究費をいただきまして、県としてそういう一つのモデルを、手引書をつくりましてそして各学校に配りまして、それによっていま申し上げましたような措置がどこの学校も速やかにできるように指導をしているところでございます。
 まだこの法律が改正されまして日が浅うございますので、いまそういう意味での指導をしておるところではございますが、だんだんこういうものの制度がやっぱり理解をされまして定着していくのではないかというふうに期待をしております。
#30
○小野明君 重ねてですが、現場では養護教諭の先生が実務を担当されておられる、いまあなたはずっとそういう御指導をなさっておられるということで結構だと思いますが、そういう学校の施設設備の安全あるいは危険個所というものがストレートにずっとあなたのところまで上がって来ておるんでしょうか。
#31
○参考人(足達九君) 御承知のとおり、私どもは県の段階でございますので、市町村立のいわゆる義務制の学校についてそういうことが私どもの方に上がってくるということはございません。
 県立学校につきましては、そういう施設設備に関するものは、施設課という課がございまして所管をしておりますので、そういうところに上がってくるわけでございますけれども、いま申し上げましたように県の段階まで上がってくる予算を伴うものですね、そういうものにつきましては、私どもの方にこういう経過で上がってきたという形の合い議というものがございます。たとえば照明ですね、先ほど定時制の照明が非常に暗いというようなことがございましたけれども、そういうものはこういう検査の結果こういうことであるのでこういう改善をするということにつきましては、書類が私どもの方にも参って、私どももそれを認識した上で改善が行われるということができるような組織になっております。
#32
○小野明君 終わります。
#33
○宮之原貞光君 時間の制約がありますから、最初にそれぞれの参考人の皆さんに御質問をみんな申し上げますから、質問が終わった後でみんなお答えをいただきたいと思います。
 最初は、五人の参考人の皆さん方に共通な質問でございますけれども、それぞれ自分の考え方をお聞かせいただければありがたいと思うんです。
 これは極論ですけれども、この安全会法ができてかえって学校の現場でいろいろな指導の面に消極的な傾向が見えないでもない、こういう声があるんですが、私それほどとは思いませんけれども、せっかく安全会法というものができておりながら、特に学校の教育活動の中での体育指導の面で非常に消極的な気風というのが強く出つつあるんじゃないかとよく指摘されるのです。たとえば先ほど佐藤参考人も若干それと似たことを言われておるわけなんですがれもう一つは、先ほど竹井参考人からの御答弁の中でもありましたように、子供のけがをした場合の補償の問題で、よく父母の泣き寝入りということが言われておるんですよ。私はやっぱりこれらの問題は、本来学校安全会法ができておりながら、除去されなければならない問題点が依然として解消されておらないということを示しておると思う。ここは、一体制度的に見て現在の安全会法がどこに制度的に問題があるとお感じになっておられるか、制度上の問題として。そこのところを管理の立場にある人あるいは現場で実際それを指導しておるところの皆さん、あるいは運動をやられておるところの皆さん、それぞれ私は感じられておるところの面があると思いますので、それぞれの参考人から、まず共通の問題として、時間がありませんので簡単でよろしゅうございますけれどもお聞かせをいただきたいというのが第一問です。
 第二問、次の問題は足達参考人にお伺いをしたいんですが、実はこれは古い資料ですけれども昭和四十九年の日本学校安全会要覧からこう見ますと、負傷発生時の状況が、いわゆる小学校ではどちらかというと休憩時間の負傷が多いんです。中学にいきますと、各教科、道徳あるいは特活の場合に多いという大体のデータが出ておるんですが、福岡県においてはこういう傾向というのは、いま申し上げましたような全国傾向と一致しておるのかどうか。また、だとするならば、たとえば中学校、高等学校あたりは特に特活活動で非常にあるという状況等の中からどうして子供の安全を守っていくかという面での災害を少なくするところの指導というのをやっておられるか、その指導方針ですか、このことをお聞かせいただきたいんです。
 いま一つは、先ほど竹井参考人からもお話がありましたけれども、この申請をすると却下をよくされるんです。そこから先ほどは父母の泣き寝入りという話がありましたけれども、言うならば制度的にこれは不服審査機関というものがない、その制度がないというのが問題点だとよく指摘されておるんですが、あなたは管理をするという立場から見てその問題についてどうお考えになっておられるか、そこをお聞かせいただきたいと思うんです。
 それから、中神参考人にお聞きいたしますが、先ほどの陳述の中で業務の適正化ということをこう言われて、業務手続の簡素化ということをたしか言われたと思うんですが、具体的にそれは何を指すのか、ありましたらひとつお聞かせを願いたいと思います。
 それから竹井参考人に、改善すべき問題点として、いわゆる学校通学路以外での事故の取り扱いの問題について問題を指摘されておったようですが、これをちょっともう少し具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
 一応それぞれからお答えいただきまして、もし再質問があれば、その場合にはまた若干お許しをいただきたいと思います。
#34
○委員長(片山正英君) それでは、五人の参考人に御質問でございますから、いまのお答えを私から指名させていただきます。
 まず最初に、足達参考人からお願いします。
#35
○参考人(足達九君) 第一点の御質問でございますが、安全会の制度ができてから教師の体育活動に対する指導その他に消極的になったんではないかということの御発言がございまして、それに関連して、それは制度上どこに問題があると思うかという質問でございますが、この件に関しましては私もはっきり制度的にどこに欠陥があるからそうなったんだということはどうもお答えできないわけでございますが、むしろ先ほど佐藤参考人からもおっしゃいましたように、この制度ができてそういう体育活動が十分やれるようになったというお話がございましたので、私もそのように感じておるわけでございます。
 ただ、けがをさせたりあるいは非常に不幸な事故として死亡があったりというような場合に、非常に父兄その他の方からいろんなことがありまして、つい消極的になるということはないのかということでございますが、それはあろうかと思いますけれども、この制度がなかったということを考えますと、それ以上のものがあるであろうというふうに私は思います。したがいまして、この制度の中のどこをどうすればそれがなくなるのかということについては私にも実はわかりません。ただ、先ほど参考人の方々がおっしゃいます中に、補償を迫られるということが非常にこわいというようなお話がございましたけれども、これは制度上、学校の先生方は教育委員会の職員でございますから、万一そういうことがございましたらもろにその先生にそういうものがかかってくるということはございませんし、当然設置者でございます教育委員会がその責めを負うわけでございますので、そういうことを理解していただきますならば、そういう御心配を先生方がなさる必要はないんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
 二番に、私に、小学校では休憩時間にけがが多いと、それから、中学校では教科の時間に多いんではないかということでございますが、福岡県におきましてもおっしゃるとおりでございまして、小学校におきましては休憩時間のけがが約二四・八五%でございまして、一番多うございます。それから、中学校におきましては運動中ということでございますから、これは体育教科、並びにクラブ活動を含めましてでございますけれども、これは五四・六%でございます。したがいまして、おっしゃいましたとおりであるということでございます。
 それでは、そういうことに対してどういう指導をしておるかということでございますけれども、私どもは休憩時間の安全指導あるいは体育教科中の安全指導、あるいはクラブ活動の安全指導ということで、教科指導なり何なりの指導の教案、そういうものの中に必ず安全ということを加味して、それではどういうふうに安全の面から指導するかということをそれぞれ教案の中につくっていただくというようなことを、研究指定校その他そういうところで体育の研究指定をやるところはもちろんのこと、安全の研究指定をやるところはもちろんのことでございますが、そういうところを通じてそういうカリキュラムのつくり方というようなものを指導いたしまして、さらに手引き等をつくりまして、安全にそういう体育活動ができるようにあるいは休憩時間の過ごし方ができるようにというようなことで指導をしているところでございます。
 以上でございます。
#36
○委員長(片山正英君) 次に、中神参考人。――ちょっとその前にお願いしますが、大変時間が制約されておりますので、一分半ぐらいで要領よくやっていただくようにお願いします。
#37
○参考人(中神暉子君) 最初の質問で、安全会法ができたにもかかわらず消極的であるということで、ちょっと私最近の例ではないんですけれども、少し古い事例ですが、私の友人が、やはり夏休みの水泳中に死亡をされた経験を二例くらいお持ちだったというふうに聞いておりますが、やはりこういう事故がありますと、非常に刑事さんからいろんな方が見えて克明に調査をされるということで、絶対にそういう事故のようなのは起こしたくないということを、非常に強く言われたことはあります。ちょっと後でまた思いつきましたらお話したいと思います。
 それから、二番目の業務手続の簡素化ということでは、業務というのは簡単に申し上げますと、まず、子供がけがをしまして医者にかかった場合に災害報告書を書きます。これは学校で書くわけですが、どういう状況でけがをしたかということで詳しく書き込みます。それと同時に、外科医にかかった場合、それからいわゆる骨接ぎさんにかかった場合、それから保険を使ったがどうかということでいろんな種類の用紙がありまして、それを見分けて証明書をつくるわけですが、その証明書を区の教育委員会を通しまして安全会に出して、戻ってくる場合にまたそのお金が教育委員会から学校に来て、学校からまた父兄にお金を渡すわけですけれども、学校によっていろいろなやり方があると思うんですが、そういった形で学校を常に経由しますので、金銭のやりとりですからきちんと帳簿をつけなきゃいけないということは責任上あるわけですけれども、私たち共済給付であれば学校で証明をして、こういうことでけがをしましたということでお医者さんの証明をつけて出したら、直接やはり教育委員会を通してまた学校を通して家庭へやるんじゃなくて、直接安全会の方から銀行を通して振り込んでいただくなり、いまいろいろな簡単な方法ができますので、もう少し事務手続上簡単な方法を検討していただけないかなあというふうに日ごろ考えております。
#38
○委員長(片山正英君) 次に竹井参考人、同じく簡明にお願いします。
#39
○参考人(竹井紀代君) 最初の方の質問につきましては、私も前任校ですけれどもこういうことがあったわけです。それはうちの学校じゃなくて、たまたま校長さんがこういうことがあるからくれぐれも気をつけるようにということで、ある学校で遠足に行きまして、それで何か川のそばに木がありましてその木にぶらさがっていて、それでその木が折れて川の中に落ちてしまったと、そういうことでそのときに教師が生徒たちをどこまできちっと掌握していたかというか、監督してたかということがかなりそのときに問題になったというようなことで、十分気をつけてほしいというような話が出たときに、やはり教師も人間ですから三百人近い生徒を一人一人監督するわけにいかないし、やっぱりつい目を離すという場合があるわけですね。だからそういうところまで責任を問われると非常に教師自身がどうしていいかわからない。だから常にやはりその辺の気を使うというところで消極的になるということは多分あるんだろうと思います。それは一つの例ですけれども。ただ、私がいま高校に来まして、高校の場合は生徒自体も体が大きいということだとかもろもろのことがあるんだと思いますけれども、一々そういうことを気にしていたら何もできないというようなこともありまして、かなりその辺については余り気にしないで日ごろやるみたいなところは大分小中学校の義務教育とは違うような部分は感じています。ですから、最終的には国が補償する制度ができれば一番いいんですけれども、いまの学校安全会法がいろんな点で先ほど言いましたように不備な部分があるし、事務的な部分でわれわれ自身がかなりめんどうくさい部分があるわけで、その辺の事務手続上の処理問題ですとか、たとえばいま二千五百円以下は出ないんですよね、最低二千五百円以上じゃないと出ないわけです。ですから、結局がなり二千五百円以下となりますと限定されますし、そういうもろもろの問題がありますので、その辺の不備な部分を早急に改善していただきたいということがあります。
 それから二点目につきましては、これは多分定時制の関係が大きいんだろうと思いますけれども、いわゆる通学経路以外での事故の取り扱いということで、先ほどもちょっと言いましたけれども、定時制の生徒が自宅からまず職場に来まして、職場から学校に行くわけですね。たまたまその職場が休みだから自宅から学校に行くとか、それから逆に職場から一度自宅に帰って学校に行くとか、そういう三角点で行ったり来たりする部分についてはいまのところ認められているわけです。ただ、たとえばきょうは会社が休みだから自宅からちょっと外に出ててそこから学校にくるとか、それから職場からちょっと荷物をどこかに運ばなきゃならないからそこに運んだついでに今度学校に来るとか、いろんな通学するルートがあるわけですよね。そういう形で正規に定められた経路以外の場合は、一応その安全会の書類を提出するときに通学経路のいわゆる図面を添付するわけですね。それがやはり正規の通学経路じゃないと認められないというところで、定時制の生徒の場合にはいろんなところから通学するというところで、かなりそういう正規以外は認められないというところでいろいろ問題を起こしているところがあるということです。
#40
○参考人(升井登女尾君) いまの第一の御質問ですけれども、学校安全会ができてからというふうには言えないと思いますけれども、もともと学校安全会というのは学校災害が非常に多いので、それで教育を円滑に行うために学校安全会ができたのだと、そして給付を行うようになったのだというふうに思いますけれども、学校安全会の給付は非常に短い間に引き上げられてきましたけれども、先ほど言いました近野光正君なんかは一生全身不随になって、安会全から給付されたのは三十七万円なんですね、十年ほど前なんですけれども。それで、これは五年ぐらい前ですが、両眼失明して十万円というようなことだったのです。ですから、非常に給付が少ないためにどうしても裁判を起こさなければならなくなってくるということがありまして、非常に学校災害に関する裁判がふえてきたということがありまして、先生としては、それは個人が賠償することじゃなくても、たとえば国家公務員の場合は国家賠償法を使ったりあるいは子供同士の事故の場合には民法の七百九条とかいうのでやりますと、相手側がこういう過失をしたよということを立証しなければこちらは勝てないわけですから、そういう法律を使って裁判をやりますと親の方も立証するのは非常に苦労するし、そして先生の方としてはどうしても裁判で負けないためにいろいろやらなきゃならないというような事態がありまして、これが教育の萎縮を招くということに非常になってくるということで、私どもはやはりそういうことがないように無過失責任制の学校災害補償法をつくってほしいのだということを言っております。
 それから制度上の問題として、泣き寝入りすることもあるのではないかということですけれども、先ほど申しました学校安全会の請求が管理者を通じてやるということで、適用されるものがされなかったり、なるべく学校事故が少ない方がいいと見えましてなかなか安全会に申請がされないというようなことがありまして、やはり学校の設置者のところから安全会給付がされるという制度というのはちょっとまずいのじゃないかなというふうに制度上の問題では思います。
 それから、先ほど医療給付の五年打ち切りとか、それから事故が発生してから二年以内でやらなければ全然資格がないというようなことになってしまいますので、少しトラブルがあるとすぐ二年ぐらいたっちゃって全然申請できなかったというような例もございますし、やはり制度上の問題はあるのではないかと、こういうふうに思います。
#41
○委員長(片山正英君) 次に、佐藤参考人。
#42
○参考人(佐藤勲君) 先ほど足達参考人もおっしゃいましたけれども、安全会法ができて指導の面に消極的になったというようなことは、むしろ五十三年度以降の学校安全給付に関する水準が高くなってから積極的な取り組みも見られたのではないかというふうに私は理解をしております。
 本来、体位体力の向上というのは、まず学校の体育の授業を大切にするということで効果的な指導法など職員の実技研修等を通して行ったり、あるいは休み時間を利用した業間体育の中でも、授業中で緊張していた気分をほぐすためと、あるいは子供と子供同士、子供と教師とが触れ合いを深めながら体力を高めていくというようなことから、年々盛んになってきている傾向も見られるのでないかなというふうに思われます。私は、一人一人の子供を十分に理解をした上での教師側の配慮をしっかり持ってやること、そして学校全体の組織の中で未然に事故を防止していくという方策を十分練るということが大切なことであるとも思いますし、そういう面から先ほど事故を未然に防ぐということから学校安全会の大きな事業であります学校安全の普及充実ということを強くお願いしたところです。
#43
○田沢智治君 私は、佐藤参考人、升井参考人、竹井参考人、中神参考人、足達参考人の順序で、個々の方々に具体的に御質問いたしたいと思いますので、適切にお答えいただければと、こう思います。
 まず佐藤参考人については、あなたが、学校教育の目的、使命は児童生徒を心身ともに健全に育成するところにあると申され、私も全く同感するものでございます。そこで、たくましい児童生徒を育成するためには、子供の体力に応じた教育計画を慎重に立てて事故のないように努力するというのは当然ではございますけれども、教員が災害、事故のみを恐れて萎縮する教育活動をした場合、この目的、使命の達成というものは私はできないと思うんです。
 そこで、調和のとれた教育活動をするということになりますと、教員が安心して教育活動ができるために、昭和五十三年度においては災害共済給付内容の大幅な改善が相なって非常にプラスになったというお話でございますので、私も、教育の現場を担当している者として、確かに災害補償給付額の引き上げというものによって先生方が安心して、反面において積極的な教育活動を推進することができたということは疑いない事実でございます。
 そのほかに、どのような点をどのように改善したらもっと内容の充実が図られるとあなたはお考えですか、率直な御意見を伺いたいと思います。
#44
○参考人(佐藤勲君) 先ほども、子供の体の様子というようなことでいろいろ例を挙げましたけれども、やはりいまの子供たち、厳しさに耐えていくことができない、それから恵まれた物資の中で何でも与えられるというような甘えた生活、そのような面が強く感じられるわけですけれども、また非行の面と結びつけて考えてみましても、私どもがやさしく一人一人の子供を十分理解して指導に当たることはもちろんですけれども、あるときには厳しくしかる勇気、こういうものも必要だろうと思います。同じように体力づくりの中でも、苦しさに耐えさせていけるような場面というものもつくり出してやる必要があるのではないかと思います。そのためにはまだまだ現場の中で、あるいは専門的な知識を持った人などの指導を受けながらそういう計画を立て、実践に移していく必要があるだろうというふうに思っております。
#45
○田沢智治君 ありがとうございます。
 次に、升井参考人にお伺いしたいんですが、安心して児童生徒が学校教育環境の中で楽しい充実した学生生活ができる、これはもう私たちが努力しなきゃならぬ課題だと私は思います。しかし、現実の学校教育環境を見たとき、あなたが御指摘されたように、運動場でのけがが多い、校舎内での廊下がビニール敷きになって滑って骨折したりけがをしたり、校舎の壁がコンクリートのためにすり傷が絶えない児童がたくさんいるという現実は好ましい教育環境とは私は思っておりません。しかし、たとえば校舎内にじゅうたんを敷いても転んで骨を折る人もいないとは限りませんし、そういう弊害というものを反面において克服するという意味においては学校での安全教育の果たす役割りの大きいものであると私は思っております。
 そういう意味において、学校での安全教育の普及啓蒙等についての必要性についてあなたはどのようにお考えになられておられるか、お聞きしたいと存じます。
#46
○参考人(升井登女尾君) 学校での安全教育ということは当然大事な、必要なことだと思います。
 それで、学校では人の体の仕組みをよく教えたり、そしてこういうことをしては危ないとか、そういう注意義務をもっと十分に果たすとか、そういうような教育をすることは当然必要だと思いますけれども、子供というのは非常に大人と違いまして冒険心があったり、そして事故を引き起こす例なんかを見ますと、大人が考えないようなことを子供はやるわけですね。廊下の下を同級生が歩いているのに、ここ何段跳べるよというので五段ぐらい飛びおりて、その子供に飛び乗っちゃったというようなことも、PTAからどうしたものだろうというような御相談を受けたこともありますし、そういうことを、子供がそういう冒険心、好奇心、それから非常に不注意ということでやりますことを全部禁止するということもこれまた間違ってくるかと思います。そういう点ではやはり子供の安全教育について十分学校でも教えていく必要があると思いますし、何といいますか、先ほどから指摘されております子供の体が非常に変だということについても、その子供自身がそのことをよく承知することによってやはり意識的にきちっと治していくことができるということで、こういう教育も大いにしなければいけないんだというふうに思っております。
#47
○田沢智治君 次に、竹井参考人にお聞きしたいんですが、定時制生徒の生活実態を具体的な事象を挙げられてお話しされましたこと、私も非常に関心を持ちました。
 そこで、定時制生徒に対してはかなり配慮しなきゃならぬ問題点が私はあると、こう認識したんです。
 その第一に、通学コース等についても、家から真っすぐ学校へ来るというんじゃなくて、職場というものを媒介して学校へ来るとなれば、多様的な仕事の関係でいろいろな通学方式があるかと存じます。ですから、通学コース等の問題を含めて、災害補償認定等については私は一段の配慮をやはりすべきであるという点について認識を深めました。
 それからまた、生徒の経済的な生活実態に比して掛金はわずかだと言う人もおるかと存じますけれども、掛金等の免除措置等も検討する余地はあるのではないだろうか、災害共済給付についての事務の簡素化等も当然やることによって、特に定時制に通っておる生徒そのものの心情をさらに教育的に温かく迎えてあげる、これがまあ学校の一つの環境づくりの基本だろうと、私はそう思っておるんです。
 ですから、これが災害補償的な次元での法制ではなくして、やはり学校健康会という一つの特殊法人というものの中に立って、社会的福祉救済ということじゃなくて、教育的配慮というものの中に運用されていくとするならば、こういう問題を具体的に取り扱う余地はある。ですから、社会的な次元の共済補償みたいな災害補償的なものに持っていくとすると、特殊の事例というものの扱いに対してはかなり私は抵抗があると思うんです。ですから、今回のこういうような実態を見たときに、定時制の生徒に対する教育的配慮というようなものの必要性、さらにこういう点をこう改善してもらったとするならば定時制の生徒はこういうような形で、充実し希望を持った学校生活が送れる力だというようなお感じを持たれておるのではないかと思いますが、その点二、三あればお話を承りたいと思います。
 なお、私の考えに対してどうお考えになられるか、お聞かせいただければありがたいと思います。
#48
○参考人(竹井紀代君) 先ほどちょっと言い落としたんですけれども、通学経路の中に――通学経路というが、通学する手段としてバイク通学を認めている学校がかなりあるわけです。うちの学校なんかもそうなんです。といいますのは、結局職場が大体五時に終わって、学校が早いところでは、うちなんかも五時二十分に始まるわけですね。で、その辺少し遅く始める学校なんかもありますけれども、大体会社が五時で、二十分ぐらいで学校に来なきやならない。そうすると、歩いてきたり電車とかバスとかということで時間がかかるから結局バイクを認めているわけです。そうしますと、バイクによる事故が物すごく多いわけです。結局バイクの事故は交通事故になりますので、そちらの方との関係がありまして、そちらの方の保険で出ちゃいますと安全会からはかなり適用されにくくなるわけです。その辺の状況はケース・バイ・ケースで出る場合もあるんですけれども、かなりその辺でいろいろまた問題が浮かび上がってきて、特に交通事故というか、バイクでの事故ということは学校でもそういう意味でも頭を悩ますわけです。まあバイク通学をやめれば一番その辺はすっきりするんでしょうけれども、いまお話ししましたような事情で、やはりバイクというものは生徒にとっても必要な手段ということで、だから、その辺の安全教育というんですか、そういうものにつきましては各学校それぞれいろんな形で行われているわけですけれども、そのあたりも、うちなんかにも最近何件かありましたけれども、安全会と絡ませながら非常にさまざまな問題を抱えているわけです。
 それから、定時制の問題といいますと、とにかくすごくいろんなことがあるわけで、私も、第三者的に見ていた状況と、中学校から定時制の中に入って見た状況と全く違うということで、びっくりすることはかりだったわけです。
 とにかく私たちのイメージとしては、いわゆる昔の勤労学生みたいな、働きながら学ぶ勤労学生みたいなイメージでずっと見ていたんですけれども、全日制高校の教育の中身の問題とも関連しますけれども、何ていうんですか、体の調子が悪くて病気を抱えていたり、障害を持っていたりしてなかなか昼間の通学が困難なために、辛うじて定時制だったら通えるというところで定時制に通っている生徒が最近ではかなりふえてきています。それから、登校拒否を起こして昼間の学校には行かないけれども、定時制だったらとにかく何とかその辺で生徒の方も通学するとか、そういうことでかなり定時制生徒の中身が、昔のいわゆる勤労学生ということじゃない中身になってきて、そういうところからやはりいまの定時制教育というものがかなりいろいろ問題を抱えてきている、そういうものが物すごくあるわけです。そういうことと逆に、今度はそういう勤労学生というか、定時制生徒が減っていっている現象もありますし、その中で、生徒数は少ないけれども、その生徒の抱えている問題は非常に大きい。そういうところを私も再認識させられましたし、ただ外から見ていると人数が少なくて、あんな少ない生徒で電気をこうこうと使ってもったいないみたいなことがよく言われるんですが、そうじゃなくて、生徒一人一人を見ていますと、やはり昼間学べないために夜必死に学んでいる生徒がいっぱいいるわけですね。とにかく四年間、昼間よりも一年多いわけで、ほとんど最初一年目なんか続かなくてやめちゃう生徒がいるんですけれども、それでもとにかく四年間がんばり切る、とにかく卒業証書を手にして巣立っていくときの生徒の顔というのは私なんかも忘れられないんですけれども、やっぱりそういう非常に矛盾を抱えた中でいまの定時制教育があるというところで、そのあたりをもう少し皆さん方が再認識されて、その定時制教育の必要性みたいなところをぜひ視点に入れながら考えていただきたいということで、ちょっと質問から外れたかもしれませんけれども、長くなりますので……。
#49
○田沢智治君 よくわかりました。
 次に、中神参考人に二、三お伺いしたいんですが、最近精神面に問題を持つ児童生徒がふえている、私はこう認識しているんですが、参考人の学校ではどのような状況にあるか、まずお伺いしたいんです。そしてまた、そのような児童生徒に対してどのように対応されているか、あわせてお答えいただければと、こう存じます。
#50
○参考人(中神暉子君) お答えしたいと思うんですが、心に問題を持った子供というのが多いということは言われていますけれども、私の学校では幸いにそんなに多いというほどはいままでないんですが、確かにことし三月卒業したお子さんが一人いまして、たびたび保健室に来るんですね。去年の秋でしたか、五年生のころからときどきは来ていたんですけれども、どうもちょいちょい来るんでどういうことだろうな、確かにかぜ引いたとか頭が痛いとかそういう理由で来ますので、勉強の状況はどうなのかなというふうに考えますと、どうも担任の先生としっくりいってないとか、それからお友達が教室の中にいないような、いろいろ調べてみますとそういうお子さんだったわけです。
 去年秋に一週間も続けて連日来られましたので、たまに来るときは私は余り先生にストレートに、ちょいちょい来ているんだけどとちょっと言えないような状況がありましたので、私のところで何とか回復させて教室へ送りたいというようなことをやっていたんですけれども、余りたびたび来ますので、担任の先生と話し合いましていろいろ聞いてみますと、いろいろ学級の中で問題のあるお子さんだったということが後になってわかったんですけれども、そういったときに周りの子供たちも余り保健室へ来るとか、それから教室の中で班学習のような形でやられている学級経営の中で、班長さんがいて課題を出されて、その班でどんどん勉強してやっていかなきゃならないんだけれども、十分学力がないとかいろいろな面で班の成績にかかわるので、班長からいろいろ言われるんでそれも嫌になって、何かちょっとできないと、ぐあいが悪いとか、保健室へ来ていたりそれから休んでしまったりということがたびたびありまして、その後私の方も、きょうはこういう理由で来ているんだけどということで担任の先生と話したり、それから同じクラスのお子さんが迎えに来たことがあるんです。で、その子を囲みまして班の子が、あなたもっとしっかりしなきゃだめじゃないのと、こうやって言います。そうなると子供はますます萎縮するわけですね。その中のリーダー格の子をちょっと一人呼び出しまして、確かにぐあいが悪いって来ているんだから、いろいろ責め立てるのはいいんだけれども、しっかりしなさいというのはいいんだけれども、いまの状況ではちょっと余りそういうふうに酷に言うことはかわいそうなので、もっとやさしく――悪いところや欠点ばっかりを言っていくんじゃなくて、何かいいところを見つけて励ますような形にしたらどうかしらといって言ったことがありましたけれども、その後その子は余り保健室に病気だと言ってこなくもなりましたし、卒業式も無事に卒業しましたので、何とか立ち直って中学で学習を続けてもらえることをいま祈っているわけなんですけれども。非常にいろいろ学級経営との関係もあったり、子供の環境があったりして、ちょっと余り詳しいことはここで申し上げられないんですけれども。
#51
○田沢智治君 二番目に、あなたは大変よく勉強なさっていろいろすばらしい本をまとめておるという。私も大学で学生相談室長をやっておりましたので、多くの学生を扱ってきた関係でカウンセラーの養成を初めいろいろ勉強してきたので私も大変興味を持っておるんですが、特にこういう資料を見ますと、児童生徒の災害、事故が多い。子供の健康管理についても課題が私残っていると思うんです。こういうような実態を見ると、基本的にはやはり学校と家庭との協力がなければ、こういう問題が減少していったり、実態的に児童生徒の心を救済していくということはなかなか私はむずかしいと、こう思っておるんです。
 そこで、参考人の学校では家庭に対して、そういうようなけがをしたり、事故を起こした音あるいは内臓の疾患があるような子供に対してどういうような働きかけをなさっておられますか。具体的になさられたケースがあればお聞かせいただきたいと思うんです。
#52
○参考人(中神暉子君) 実は私の学校では身障学級の併設学級がありまして、十四人の身障者が一緒に勉強している学校です。そういった状況の中で、いろんな障害を持った子とか、それから健康上問題のあった子で一番印象にありますのは、ことし卒業しましたが、ファーロー四徴という心臓病の一番重症な病気を持った子供がいましたが、もうその子供に対しましてはいつでもというんでしょうか、担任も私もそれから全体の先生なんかにも、普通ならちょっとプライバシーの問題があるからそう公の場では申し上げないんですが、特にファーロー四徴というのは四つの徴候を持った一番重症な心臓病なので、昔は生きられなかった子なんですが、いま医学が発達しましてそういう子でも学校教育を受けているわけですけれども、そういうお子さんですから、いつどういうことがあるかわからないということで、全部の先生たちに毎年――先生たちも転勤してかわりますので、こういう子がいまして、何年何組にいますのでということで、事故があった場合にはどういうふうにしてくださいということを常に申し上げて、重症の場合はいつでもだれでもが対処できるような形にはしております。
 あと軽度の場合は、やはりプライバシーの問題もございますので、そのクラスの担任の先生、それから親との連絡、それと高学年になってきますと、やはりクラブとか子供の委員会活動とか、担任外の先生との教育がされるわけなので、そういう関係のある先生には、こういう状況があるので配慮していただきたいということで、もし何かあったときには担任、家庭、全部連絡をとっていただくようにということと、やっぱり一番肝心なのは校医さんなんです。校医さんに、こういう子供が何人いまして、こういう状況ですというのはいつも頭に入れておいていただいて、いつでも学校から要請があったときにはおいでいただきたいということで、大変一生懸命やってくださる方なので、こちらから何かあった場合はすぐ学校へ来ていただける、そうして御自分でできない場合は病院を紹介して処置をするというようなことをやっております。
#53
○田沢智治君 なかなか愛情を持って児童生徒に接するという中で行き届いたことができるというのは学校教育という制度の中におけるやはり私は利点だと、こう思わしてもらいました。
 最後に、足達参考人に私二、三お聞きいたしたいんですが、近時、特に児童生徒の体位は、先ほどのお話のように年々向上しているが、体力が非常に落ちている。学校生活の中での骨折事故を私は調べましたが、昭和四十一年では四万百四十件、昭和五十三年にはどうなったかというと、八万二千六百件といってちょうど倍の骨折事故になっているんです。負傷事故はどうかというと、昭和四十一年では十八万七千百八十件、五十三年にはどうかというと三十四万四千三百八十件、これは一・八倍になっているわけです。これは小学校です。
 じゃ中学校ではどうかというと、同じようなもので、四十一年では骨折事故四万三千八百六十件、五十三年には六万八千二百六十件、これは一・六倍になっています。負傷事故はどうかというと、四十一年は十七万五千二百二十件、五十三年には二十六万三千件といってこれは一・五倍になっています。
 こうして激増しているという実態、また、児童生徒の健診では心臓病や糖尿病、腎臓疾患などが発見されるに及んで、戦後の児童生徒の疾病構造の変化がかなり私は起こっていると思うんです。これに対して、保健課長をなさられ長い間研究されておる、医学博士でもある足達先生においては、学校保健行政のあり方等が今後の展望の中でやはり問題になるのではないかと、私はこう思うのでございますが、この点どのようにお考えになられておるかまずお聞き申し上げたいと存じますが。
#54
○参考人(足達九君) 子供の病像の変化という問題でございますが、先ほど私、教員保養所という先生方の結核療養所の所長をしておりまして、四百名が二十名になったというようなことで、教育委員会の方に職を置くようになったんですが、そのような大変な変化というものがここ数十年の間に起こっておるわけですね。したがいまして、子供たちの学校保健で取り扱う子供の病気の対象というものは、やはり昔は結核であり寄生虫であり、あるいはトラコーマであったわけでございますが、現在はそういうものはほとんど皆無に近くなってまいりまして、近視であるとか齲歯であるとかいうことがいま問題になっておるわけです。そのほかにやはり伝染病として一番考えなければいけないのはビールス性疾患でございまして、毎年定期的に起こってまいりますインフルエンザの流行であるとか、あるいは風疹であるとか、あるいは流行性角結膜炎であるとかいうようなビールス性疾患の蔓延ということはやっぱり十分考えていかなければならないというふうに思っています。
 それともう一つは、昔であればそこまで手が回らなかったということも言えるかと思いますけれども、検査をしてみなければ発見できない病気、そういうものがいまは手厚いいろんな検査をするということによって発見できるようになったということがございます。したがいまして、それで心臓病というものが出てき、腎臓疾患というものが出てくる。そしてその出てきたものをどう管理していったらいいのかという問題は、先ほど一例を中神参考人が言いましたような形での管理もしていくということになったことが一つです。
 それからもう一つは、機能的な疾患と申しますか、先ほど私が申し上げましたように、起立性調節障害であるとか、あるいは子供の糖尿病であるとかそういうふうな体の機能、これは多分に運動不足というような問題から来る機能の低下ですね。そこの機能を高める施策をすればいいんだけれども、その機能を高めることが環境的になかなかできないとかいうような問題から来るそういう疾患ですね、そういうものが一つは出てきた。
 それから三番目には、やはり先ほどからお話になっております子供たちの心の健康の問題というのがいま重要な問題ではないかというふうに理解をしております。しかしながら、そういうものの中で現在最も私たちが力を入れておりますのは、やはり心臓疾患、腎臓疾患、これの早期発見とそれから十分な管理であるというふうに理解しておるわけでございまして、これは文部省あるいは日本学校保健会等におきましてもこの問題に多くの予算を出していただきまして研究をしております。おかげさまで私の県では小学校は全員省略心電図から始まる心臓検診、それから中学校におきましても現在約四分の一の市町村において全員省略心電図ということができております。
 それから高校におきましては、これは私どもの直接の担当でございますけれども、県医師会の中にメディカルセンターをつくりまして、そこにコンピューターを置きまして県立高校四万五千人、それから私立高校二万五千人、合わせまして約七万人の全員省略心電図を全部公費負担でやるというようなことを五十五年度から始めたわけでございまして、そういう施策をやっていかなければならないと思います。しかし、いままでではそういうものに対するやり方というのは、やっぱり専門医でございます学校医さんを中心にそういうことをやってきたわけでございまして、今後もそのことば非常に重要ではございますけれども、そのパラメディカルのそういうメディカルセンターでございますとか、あるいは専門医療機関との連携によってそういうものをきちっとやっていくというような方向転換といいますか、考え方を変えていくというようなことが必要でないかというふうに思います。そのためにはそういう関係団体の理解を得て、そしてそこにある程度の投資といいますか、予算補助というようなものをしながら、うまく子供の健康管理ができるという体制を今後もっともっとやっていかなければならないんじゃないかと、そういうふうに考えております。
#55
○田沢智治君 現実に非常に複雑怪奇といいますか、多様化時代ですから世の中も多様化して児童生徒の心の問題も含めて安全会の充実強化というものを図らなきゃならない、私はそう理解したのでございますが、特に児童生徒の疾病構造の変化の要因についていろいろ原因があるかと思いますが、戦後の貧しいときには糖尿病になる人なんかほとんどおらない。最近は非常に食生活が向上した結果高カロリーのものを偏って食べ過ぎる、こういうような意味において、やはり自分の体に合う食生活はどうあるべきなのかということも考えながら生活しなければ私はだめだと思うんです。私も少し太っておるので糖尿の気があるんじゃないかと人は心配してくれるんですけれども、おかげさまで私は自分の健康は自分で管理しておりますので糖尿病は一切ございません。
 そういう意味で食生活の問題というものがやはり児童生徒等について大変問題があるのではないか、この辺のところについて先生いかがでございますか。
#56
○参考人(足達九君) 私たちが生きていきます上の基本は、やっぱり食べることと寝ることとそれから休養と――寝ることは休養でございますが、運動と、この三つがやっぱりそろわなければ生きていけないんじゃないかと思います。その基本になるのが食べ物でございますので、先生がおっしゃいますように、やっぱり好きなものを好きなだけ食べるとか、あるいはバランスを崩して食べると、食糧が非常に多いために好きなものが自由に食べられるということが、いま先生がおっしゃいましたようなことに関連があるんだろうというふうに思います。したがいまして、やっぱりバランスのとれた食事をするということではないかと思います。
 バランスのとれた食事とは何ぞやということになりますけれども、それはたん白と脂肪と含水炭素とその他ビタミン類ですが、バランスがとれると、大変むずかしいことを言いますけれども、要はいろんな種類のものを食べるということでございまして、まあ大体私どもは一週間に七十種類以上の食材料を、変わったものを使えということを基本に指導しておるわけでございますが、これは七十種類なんというのはだれでも食べているように思いますけれども、実際にやりますと全く七十種類に届かない人が半分以上おるわけでございまして、そこら辺の問題があるわけです。したがいまして、そこら辺はいわゆる学校給食指導の中でそれをやっていかなければいけないんじゃないか、そしてよい食習慣をつけていくということが非常に大事だと思っております。
#57
○田沢智治君 これ最後になるんですが、いま食生活の多様化、やはり児童生徒そのものの健康の維持向上を図るということにおいて、私はやっぱり学校給食というものの充実強化というものが当然叫ばれなければならない、特に家庭と学校との連携が必要だとするならば、母親等が学校給食にも積極的に参加する道を開いた現在の学校給食の運用方法であるというふうに私は認識しておるんですが、そういう意味で家庭生活の中にも児童に合った食生活がやはり普及浸透するということが当然私は求められてしかるべきだと思うんです。そういう意味において、これは高度福祉社会を担う青少年がだんだん少なくなってくるから、一人が四人ぐらいしょわなきゃならないということになるとするならば、もっとたくましい人間、健康な児童を養成するというのは私は時代の方向だと思うんです。そういう意味において、学校給食会と安全会がばらばらな状態で行政的にばらばらやるんじゃなくて、これをやはり一体的な次元の中で学校健康会法というものの機能をきちっと整理整とんして、所期の目的の達成というものをもし図ったとするならば、そういうものも含めて教育的な個々の生徒児童に配慮しながら、私は、働く者に対してはそれなりの温かさ、心の病を持った人に対してはそれだけのぬくもりさ、そして、健康な者とそうじゃない人も同じ生徒児童という次元の中でお互いに助けっこしていくということが私は学校教育じゃなきゃできない一つの要素だと思うんです。そういう意味において学校給食会と学校安全会が一つになって健康会という特殊法人を設立して、その充実強化を図りたいという考えに対して、一言でもよろしゅうございますが、先生の所見があれば所見を聞かせていただきたいと思います。
#58
○参考人(足達九君) いま先生がおっしゃいましたとおり、私も同感でございまして、そのことを先ほどの陳述の最後に申し上げましたので、これ以上申し上げることはございません。よろしくお願いしたいと思います。
#59
○田沢智治君 以上、終わります。
#60
○柏原ヤス君 与えられた時間が三十分でございまして、十問くらいお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最初に足達参考人にお尋ねいたしますが、先ほども問題が出ておりました学校災害は施設設備の不備といったことから起こる問題が非常に多い。そこで、実際に起こった災害の事例から施設設備の改善にどうこれが生かされたかと、これを足達参考人が実際に当たられた事例がございましたら、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
#61
○参考人(足達九君) そういう個々の問題についてどうこうという事例を一つ一ついま思い出すのはなかなか大変でございますけれども、最近の例でございますと、やはり学校の中に側溝というのがございますですね、そういうところで、そこに水が流れたりなんかするというような場合に、非常にそこで事故が起こりやすいわけですね、その溝の中におっこちたりなんかいたしまして。そういうときに普通、学校の建設のいわゆる基準というのがございますけれども、その基準の中ではそういうところにふたをするという基準にはなってないわけですね。しかしながら、そういう事故の現状から見て、やっぱりふたをしなきゃならぬというようなことで直ちに側溝にふたをしたというような、そういう事例はございます。
 その他いろいろあるんだろうと思いますけれども、ここにいろいろな資料を持ち合わせませんので、いま思い出したことだけを申し上げました。
#62
○柏原ヤス君 もう一問お願いいたします。
 学校安全のために福岡県として独自の施策をとっておられるかどうか御紹介いただければ結構だと思います。
#63
○参考人(足達九君) 独自の施策とおっしゃいますと、どういうことが独自になるのかよくわかりませんけれども、学校安全会の研究指定校というのは、これはすべての都道府県に必ず一校というわけにもまいらない数であろうと思いますけれども、私どもは必ず二年の研究指定期間でございますけれども、毎年必ず一校は指定して研究をさせるというふうなこととともに、ここにもちょっと持ってきておりますが、学校安全、これはどこでもやっておりますけれども、学校災害の実態というのも毎年毎年克明に統計をとりまして、どういう種類の災害があるか、どういう場所で災害が起こるか、それから死亡事故、その他重傷な事故はどういうことでどうやって起きたかというようなことをパンフレットにいたしまして毎年発行をしております。
 その他いろいろあると思いますけれども、独自と言えるかどうかよくわかりませんので、以上二件だけ御紹介させていただきます。
#64
○柏原ヤス君 次に中神参考人にお聞かせいただきたいと思います点は、最近の子供たちの健康異常、いろいろと原因があると思います。そこで、子供たちの健康を守るために家庭との連携協力、これが非常に必要だと思いますが、この点中神さんの小学校ではどのようにしていらっしゃいますか。
#65
○参考人(中神暉子君) 私がやりましたことは、いまの学校に私ちょうど五年目なんですが、転勤しましてなかなか学校の雰囲気になれませんで、どうしようかしらということで、いわゆる職員室でもなれないし、親ともなかなかコンタクトがとれないしということで悩んでいたんですけれども、たまたま昨年は私が希望しましてPTAの教養部へ入りました。そのお世話をしながら講演会や何か開催したんですけれども、三学期にぜひ私の話を聞かせてほしいという御希望がありまして、それで、私は余り話うまくないんですけれども、承知しまして二時間ほど最近の、いまの学校へ来てからの私の体験したこととか、それから私自身が健康についてどう考えるか、それから、私は子供が二人おりまして、もう二人とも成人式済みました年齢ですから母親としての経験もありましたので、若いお母さんに対しては子供を育てた経験ということなどをお話ししまして、なかなかよく聞いてくださいまして、私ちょっと最初恥ずかしいと思ったんですけれども、四十人ほどの方が集まってくだすって、とてもいい話だったから毎年お願いしますということで終わったんですけれども、またこれを機会に私も積極的にお母さんたちといろいろ話しはしたいと思います。
 あと、ごく最近ですけれども、PTAの教養部の本を買うお金があるから何を買おうかと言われたときに、たまたま私はぜひお母さんに読んでほしい本というのがありましたので、七、八冊いろんな最近出た新しい健康問題の本を買ってPTAの図書室に置きまして、皆さんに読んでいただくような方法をとりました。それからあともう一つは、学校便りといって毎月学校から家庭に流すものがありますが、前の学校では毎月必ず私は原稿を書かされたんですが、いまの学校では積極的に原稿を入れないとなかなか入れてもらえないんですが、その中で私なりにまとめたものを家庭に配って読んでいただいて、後で書いたものをどうだったかって感想を求めますとなかなかそれは参考になるということで喜ばれておりますので、できるだけコンタクトをとりながらお母さんたちと一緒に子供のことを考えていくようにやっております。
#66
○柏原ヤス君 次に、中神さんと竹井さん御両人に同じ問題二間お尋ねいたしますので、御意見をお聞きしたいんですが、養護教諭というお立場でいらっしゃるんですが、学校教育法を見ますと、養護教諭の職務については非常に抽象的で、「児童の養護をつかさどる。」と、たった短い言葉で定められておりますが、皆さんは現在どのような職務を行っていらっしゃるか。また、御自身養護教諭とはどのような職務を行うべきだとお考えになっていらっしゃるか、この点お二人にお願いいたします。
#67
○参考人(中神暉子君) 「養護をつかさどる。」という大変漠然とした中で、養護教諭の本務とは何だということでよく大ぜいの人たちと話し合いをするわけですけれども、御存じだと思いますが、養護教諭は明治に学制が始まったときは学校看護婦として入りましたので、いまでも医療職という感覚が強いわけですね。先生たちも、とにかく病気やけががあったとき学校にいていつも子供の世話をしてくれればという風潮がまだまだ強いわけですけれども、私自身の考えでは、そういうことも大変大事な仕事だと思いますけれども、いまの社会の中で富士見産婦人科問題なんか起きましたのを見まして、私は日本の国全体の人たちがやはり健康問題に十分な知識とか理解がされていないんじゃないかと思うんですね。端的に言いますと、無知だったからああいう事件が起きたんじゃないかというふうな気がするわけです。それにはやっぱり健康教育が大事だろうというふうに思いまして、私自身としては、現在は文部省は指導要領が改正されますと、なかなかいいものだとおっしゃっているんですが、私の考えでは、いま健康教育として授業の中で小学校でやる部分については、五年、六年の保健体育の中に年間十時間ということで設定されているわけですが、これが、私の学校でもそうなんですが、雨が降れば保健の授業をしようかというような程度でなかなか定着しないと。それから、昔は理科の中で歯の勉強を二年生が始めたところから体の問題をお勉強する機会がありましたが、そういうことが一切なくなって五年、六年までないわけなんです。小学校の段階で体を理解する勉強というのが現在では私不十分だと思っておりますので、何とかこの点を小学校へ入った段階から六年間で小学生は小学生なりにやはり自分の体を理解して大人になっていくということを私は望んでいるわけで、何とかそれをやりたいというふうに考えております。そういう意味で、健康教育を何とか充実したいというふうに思っています。
#68
○参考人(竹井紀代君) じゃ、いまの中神さんの意見とはちょっとダブらないように、健康教育も非常に重要な部分だと思いますけれども、もう一つ、私たちの仕事としてやはり保健室という場が学校の中にありまして、その中にいるわけですけれども、その中でやはりいわゆる保健指導に当たっているわけです。それで、救急処置ということはその中の一部分に入るんだろうと思いますけれども、その処置的なものだけじゃなくって、先ほどもちょっと言ったかもしれませんけれども、結局ただ来てけがを処置したり、病気もそこで薬を飲ませてそれで済むというようなものではやはりない状況がいまの子供たちの中にあるわけです。いろいろ話をする中で、ただ単におなかの痛いことが、いわゆる病的からくる痛さじゃなくって精神的な部分からくるものだと、だから、結局薬を飲ませて一時的に治っても、それで治ったということじゃなくて、結局毎日来るとかそういうようなことで、かなり精神的にいまいろいろ子供たちに覆いかぶさってきているものがやはり保健室という場に如実にあらわれているということが言えると思います。
 確かに先生たちが各クラスで日常接する中でいろいろ問題を把握していく部分もあると思いますけれども、やはりいま教師がいろんな意味で、忙しさの中で、どうしても、つい体のことになると当然保健室に来て養護教諭に訴えてくるという機会が多いわけで、その中でやはり子供たちと接触する中でその子供たちが抱えている問題を明らかにしながら、それを担任に返していき、親に返していき、それをどういう形で解決していくかということをやはり教師と親と協力しながらやっていくと、そういう意味で、養護教諭がいま実際にやっている仕事は一番大きな仕事だと思います。
 それで、それがどうあるべきかと言われても、ちょっと私自身もこういうものがいいというふうには言えませんけれども、やはりそういう部分で、いま特に中学校あたりで校内暴力云々ということで子供たちの非行問題が言われていますけれども、私がやはり中学校にいたときも、そういう生徒がわりと保健室に、まあ逃げてくるというか、結局授業についていけなくなって、教室にいたたまれなくなって保健室に来ると。いろいろ話を聞いてみると、本当に一人一人見ていると、どうしてあんなに暴力をふるうのかというような、それが信じられないぐらいやさしい部分を示すわけです。で、やはり子供たちにいろいろどうしてああいうことをするのと聞いてみると、それがいろんなところから影響を及ぼしていると。それは確かに養護教諭一人だけで解決できる問題ではないけれども、やはりそういう子供たちが一人一人抱えている問題というのをかなりいま保健室にいる養護教諭が把握しているんじゃないかというふうに思います。
 そういうことで、それ以外にもいろんなことをやっていますけれども、やっぱり保健室でそういうことも含めて、子供たちの体の問題をどう考えていったらいいのかというようなことを一つ一つ健康診断とか、それから毎日の保健指導の中で明らかにしながら、子供たちが丈夫に育っていき、そういう元気な体で学校生活が送れるようにということで日夜努力しているというものが養護教諭の大きな仕事というふうに私は考えております。
#69
○柏原ヤス君 二間と申し上げましたけれども、いま現状のお話を承って、今後これをどう推進していくべきかと、まあ確かに推進していくべきかということをお聞きしたいんですが、これは保健課長さんの方にお聞きした方がいいと思いましたので、課長さんの方にお願いしたいんですが、確かに幅の広い保健指導、これは養護教諭の方たちだけでは万全を尽くせない、これは学校医あるいは専門医、専門機関、こうした連携協力が必要だと思いますが、足達保健課長さん、いかがですか。
#70
○参考人(足達九君) 学校に、小学校、中学校それぞれ保健の学習と指導と二つあるわけでございますが、先ほど養護教諭の参考人の方々がおっしゃいましたように、学習としては五年、六年、中学校一、二、三年、高校二ヵ年間という連係で学習ができるようになっておるわけです。しかし、その中で学習は知的理解をするところでございまして、これを実行に移すための指導が保健指導であるというふうに理解しておりますし、その保健指導につきましては小学校一年からあるわけでございまして、まあ虫歯の予防ということが五年――高学年にならなければできないということではございませんで、小学校一年から当然やるべきでございます。また、やっております。そのために教育課程の改訂がありまして、保健指導あるいは安全指導というようなものが各学校の実態に応じまして、まあ大体月に一回程度はできると、年間十一時間、安全指導もそれぐらい、あるいは給食指導が四時間というふうな形で組めるようにゆとりの時間もできてきたというふうに理解しておるわけで、いまそれを特別教育活動というんですけれども、その研究なりやり方なりのあれがいま盛んに行われておるわけですね。養護の先生方はいろんな資料を持っておると先ほどおっしゃいましたけれども、その中での資料の提供というような非常に大きな役割りもあるんではないかというふうに理解しておりますけれども、そのやり方の中で、私が言いましたように、保健学習と保健指導が――これはちょっと専門的になるかと思いますけれども、大体どっちが保健指導なのか、どっちが保健学習であるのかわからないようなあれがよく見かけられ、私たち研究指定校等に行きましてもそういうやり方があるわけでございまして、やはり保健指導と保健学習のたてまえというものをきっちり分けまして、そしてあくまでも子供たちによき生活習慣をつけさせるための指導をするのが保健指導であるというようなことから、子供たちに考えさせるあるいは発見させる、実行させるという三つの段階でやっておりますけれども、いまのところはどうも発見させる、考えさせるという時間に大部分を費やしまして、実行させるという指導がどうも時間がないというような状況をよく見るわけでございますが、これはまあ指導の内容をきめ細かにやって、適切にそこら辺はやっていかにゃいかぬというふうな指導をいま盛んにやっておるところでございますので、生活習慣にまでこれを高めていくということもだんだん定着してくるんじゃないかと、そういうふうに理解しております。
#71
○柏原ヤス君 それでは升井参考人にお尋ねいたします。
 学校災害関係の訴訟事件がたくさんございます。その原因、背景、これらについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#72
○参考人(升井登女尾君) 学校災害に関する裁判が全国でどれくらいありますかということは私どももちょっと承知しておりませんけれども、数年前に日本弁護士会がお調べになった中では、全国の教育委員会に問い合わせてお調べになった中では三%だったということで、裁判になる例は災害に比べて非常に少ないというふうに思っております。
 それで、それにもかかわらずどうしても裁判になるという原因は、第一は、子供が負傷をしたとき、事故のあったときに、親はそばにいないわけですね。ですから、どういうことで子供がこういうけがをしたかということについて学校なり何なりから率直な説明が聞かれない場合にどうしても納得がいかないと、もうやっぱり法廷に訴えるしかないというようなことが一つの動機になっていると思います。
 それから二番目には、やはり学校安全会の給付はあるわけでございますけれども、いろいろ矛盾もあり、また給付金が引き上げられましても、重度の障害の場合はどうしてもそれではどうにもならないということがありまして、裁判になるというようなことが多いと思います。
 で、まあ裁判になりますと相当長期間かかりますし、裁判しますと一審、二審、もし最高裁まで行くということになりますと十年以上もかかりまして大変これは困難なことなので、裁判に踏み切るときには非常に原告の方になる人は逡巡をしますし、それから兄弟が二人、三人とある場合には、お兄ちゃんの事故があって、弟の方も学校にお世話になるんだから、やっぱりその先生との間にトラブルみたいになりたくないということがありましてやらないこともありますし、それからやっぱり、先生を訴えるということは大変周囲からも白い日で見られて、まあ裁判やった人は皆そういうことで非常に苦しみつつやっているということで、裁判は非常に少ないのですけれども、大体裁判に踏み切るというときは、先ほど申しましたような理由で裁判に踏み切ることが多いと思います。
#73
○柏原ヤス君 もう一問お願いいたします。
 これは児童生徒の安全を確保するという立場から、学校や教師に最も要望しておきたいという点は何でしょうか。
#74
○参考人(升井登女尾君) 事故が起きましたときに、やはり事故が起きるには起きるなりの原因があるわけです。それは施設設備が不備であったり、それから、たとえばスポーツ事故というのは非常に多いわけですが、スポーツ事故なんか見ましても、必ず事故が起こるときにはどこかに矛盾といいますか、手が抜けるということとか、そういう――私も柔道の先生なんかにもよく伺っておりますけれども、この子の力がこの段階までできるようになったから次はこういうふうにするということで、段階を追って指導すれば絶対に事故は起きないんだと。そこがそういうふうにされないで、わざを追求していくとかいうようなことで、それだけの体力ができてないのにわざを追求するとか勝負主義になって段階を飛び越えたようなことをさせるといったような場合には事故が起こるとか、それから施設設備の点では先ほど簡単に申しましたけれども、学校では安全点検を本当に定期的にやっていらっしゃる例も聞きまして非常に喜んでおりますけれども、危ないことが非常に多いんですね。東京都教職員組合でやりました場合にも、非常に学校にはこんなに危ないところが多いのかということで大変驚きましたんですが、そういう点で施設設備の不備とか、そういうことについてはやはりもう少し速やかに直してほしい。
 一例を申しますと、教室の広さが小牛校は同じなんですね。ところが、小学生と中学生じゃ体の大きさも違うんだから、同じ広さでいいというのは少しおかしいんですけれども、義務教育の小中校には設置の安全基準というものができていない。大学なんかにはあるんですが、義務教育段階ではできていないというようなことを聞いておりますけれども、そういう点でも、やはり安全に対する施設設備の配慮ということをぜひもう少し綿密に、事故が起こった場合にその事故から学ぶということで改善をしていただくことをもうちょっとやっていただきたいというふうに思います。
#75
○柏原ヤス君 それでは、佐藤参考人にお聞かせいただきたいんですが、教育現場では先生方が事故が起きたときの責任問題を非常に恐れていらっしゃる、そのために思い切った教育活動が行われない、こういうような声を聞きます。この点の御感想はいかがでしょうか。
#76
○参考人(佐藤勲君) 確かに御指摘のとおり、責任を問われるような事態になった場合には、以後の指導の仕方というのはかなり萎縮するだろうということは予想されますが、幸か不幸か、私はまだそのような体験をしたことがございませんので、先ほど来お話ししておりますように、十分な防止策というのを考えながら積極的な指導に当たる、積極的に指導に当たることによって体力あるいは防衛能力が向上する、それらのことから、さらにまた事故が未然に防がれていくんでないか。いまのところ、そういうような気持ちでいるわけですけれども、実際にその場面に直面したときにはどうなるのか、ちょっといまのところ予想がつかない状態です。
#77
○柏原ヤス君 もう一問お願いいたします。
 佐藤さんの小学校における安全教育の状況を御紹介いただきたいと思います。
#78
○参考人(佐藤勲君) 先ほどお話をいたしましたけれども、私どもの学校では安全教育の面では、いまのところ交通安全ということに特に力を入れて指導しております。もちろん校内での生活安全等も重要なものでありまして、それらも並行して行っているわけですけれども、せっかく学校安全会の指定を受けまして研究を進めておりますので、その一端をちょっと御紹介させていただきたいなと思います。
 私どもの学校は、新興都市でありまして、すぐ近くに高速道路が通ったというような状況で、かなり交通量も多くなっているような状態なんです。そんな中で、子供たちみずからが自分の身を守るという活動を大きな柱にいたしまして指導を進めているところであります。その中で特に特徴的なことは、どこの学校でも組織しておるわけですけれども、それぞれ子供たちが通学してくる地域ごとに校外班というものをつくりまして、その中に校外班リーダーというのがおります。その子が同時に交通安全リーダーという形になりまして、日常の通学指導に高学年として低学年を指導してあげるというようなことや、あるいは月に一度日を決めて集団登校を行い、そのとき集団で歩行する場合の指導にその子供たちが中心になって当たる。もちろん子供にだけそうして責任を押しつけた場合に、もし事故が起きた場合ということが十分考えられるわけで、そのときにはわれわれ教職員もそれぞれ重要な場所に位置しまして、児童の歩行について指導いたしますし、集団登校の場合には集合場所に出向いていって、そこからの登校の様子なども指導していくというような方法ももちろんとっております。ほかにまた地域の父母あるいはPTA等の協力も大きくいただいております。地域に交通安全母の会などが設置されておりますけれども、その母の会と子供たちの安全リーダーとが話し合いなんかをしまして、登下校に関する以外の日常の交通安全などについてもずいぶん父母の方から指摘を受けまして参考になっている部面があります。また、その活動を通して校内におきましても学校の廊下を模擬的な道路と考えまして、その中で正しい歩行の仕方を学ばせるというようなことが、児童会の中の生活委員会というのがございますが、その子供たちなどが中心になって活動していったというような事例もあります。
#79
○近藤忠孝君 全参考人にお伺いしたいんですが、時間の関係で途中までになるかもしれませんが、御了承ください。
 先ほど学校災害の原因とか責任の問題がございました。そこで升井参考人にお伺いしますが、事故の原因については子供の未熟さとかあるいは不注意があって起こることは避けられない、こういう意見がありますし、また片一方、学校管理者の責任ということで裁判にまで至るという問題もあります。そこで、大体学校での事故の起きた場合の責任というものは一体どうように考えるのか、基本的なお考えがありましたならばお伺いしたいと思います。
#80
○参考人(升井登女尾君) 学校で起こった事故の責任はということですが、それはつまり事故が起こるときというのはケース・バイ・ケースでいろいろなケースがありますので一概には言えないんですけれども、しかし、学校の中で起こった事故についてやはり学校の設置者のところに責任があるということは避けられないのだというふうに思います。たとえば、窓ガラスをふいていて三階から落ちて即死したなんというようなのがありますと、やはりそのときに先生がすぐ、よく見ていなかったからいけないのだとか、まあいろいう言われますけれども、そういうことではなくて、事故が起きないようにまず万全にすることと、そしてやはり子供というのは不注意であったり未熟であったりということで、そういう事故の起こりやすい場所であるということで、それに対してそういう角度からの安全基準――安全の決め方ですね、設置基準とか、そういうものがやはり必要なんだというふうに思いますし、そういう点で学校事故は未然にないように努力したいし、しなければならないんですが、やっぱり教育の場において、教育の本質上からいって、自分たちの限界に挑戦していく中で子供たちは発達していくわけですから、そういう点ではやっぱり事故というものはある程度避けられないこともあるんじゃないか、それを考えながら十分な指導をしていただくようにお願いをしたいというふうに、事故の責任ということについては思っております。
#81
○近藤忠孝君 もう一つお伺いしますが、先ほどのお話のように廃疾など大変大きな事故があるわけで、本人や親の悲しみが大変だと思うんですが、これも先ほどお話があったとおり、医療費が五年で打ち切られるとかあるいは廃疾年金の制度がないなど、やはり安全会による互助共済制度に限界があるのではないかと思うんですね。そこで、現実にその結果どのような困難が生じているか、そんな点、お話しいただければと思います。
#82
○参考人(升井登女尾君) 先ほど数から申しましても、学校の災害の結果生涯治り得ないような障害を負うた人というのは一万人ぐらいいると、私たちの会員の中にもかなり大ぜいそういう人はおられます。その中で岩手におられる方の小野寺さんという方は、高専に四月に入学して、その五月、全寮制の学校で全部学校の寮にいたわけですが、柔道のときに先生の投げられた投げを受けかねて頭を打ったと。そういうので、この人は頭の橋静脈ですか、というところが切れたんだそうで、それっきりいまだに八年を超えますけれども意識が戻らないという状態でございます。ですから、この人は岩手の病院にずっとお母さんがつきっきりで、それは本当にひどい状態で、二時間ごとに体位転換をしませんとすぐ褥瘡ができるわけですね。ですからもう二十四時間二時間ごとに体位転換をすると。それから食事も管でというふうなことでございますので、それについてお母さんがつきっきりでおられるんですが、そのお母さんは岩手病院にいるときには――完全看護病院ですから付き添いの設備はありません――床に布団を敷いておられたということで、いまは近くの診療所に移しておられますけれども、そのために八十歳を超えたおばあさんとまだ中学の妹、この二人が農業をやって、そしてお父さんは出稼ぎに出ている。葉たばこをやっているわけですが、もう一年のうち半分出稼ぎに行っているというような状態で、たんぼを一部売られたということを聞いております。
 それから、そのほかにもこういう方がたくさんありまして、大体重度の障害というのは頸椎骨折が多いんですね。首の骨を折ることが多いものですから、そういう方は、長い間には回復するんですが、指先しか動かないとかそれから排せつ機能が全然だめになりますので、これは広島の方ですけれども、百八十センチもある子供が卒業のときのラグビー試合で首の骨を折ったという方で、それは一週間に二回ぐらい浣腸して、お母さんが手を入れて全部排せつ物をかき出すということをやっていると。二十四時間つきっきりということなので、家もその介護のために改築しなければいけない、そうなると千五百万ぐらいはすぐ飛んでいっちゃうわけですね。そういうことで、そういう障害を抱えている方が実情を言えばたくさんありまして、本当に親は生活破壊になりますし、これは何といいますか個人でカバーできることの限界をはるかに超えているんじゃないかと。ですから、先ほど岩手の方も介護手当を支給してほしいということをずっと要求しておられますけれども、そういうものはいまございません。
#83
○近藤忠孝君 次に足達参考人にお伺いしますが、これは養護教諭の完全配置について竹井参考人や市神参考人から意見がございました。実際未配置のところで、素人ですから行かなくてもいい病院に行ってしまったとか、こういう話もあったわけですが、これは教育庁の保健課長さんの立場から見まして、そういう未配置校のところで事故が起きたときにどういう体制で臨むのか、どういう指導をされているのか、それについてお答えいただきたいと思います。
#84
○参考人(足達九君) 先ほどもおっしゃいましたように、現在七八%ちょっとの学校に養護教諭が配置されておると思います。そのほかは各市町村の単独経費で養護教諭を置いているというところもかなりございますし、私の方では文部省からいただく基準定数のほかに県単独で五十五名の養護教諭を置いているというようなこともございます。そういうことでカバーはしておりますが、現実にかなりの未配置校がございます。そういうところで事故が起きる、あるいは保険の問題をどうしているかということでございますけれども、これは心身ともに健全な国民を育成するということが教育そのものの目標でございますので、これは養護教諭一人にそういうことをさせているわけじゃ決してございませんので、校長を初め全職員がそこに向かって学校経営をやっていかなきゃいかぬわけでございますから、養護の先生がいないというところはそれなりの事務を分掌させ、すべての教員が子供たちの健康のためにやるということが基本でございますので、その学校では、安全の主任はだれである、保健主事はだれである、あるいは事故が起きたときにはどういう体制をとってやるというようなことをそれぞれ検討をいたしまして、それぞれの事務分掌によってきちっとそれができるようにということで指導をしておるわけでございます。
#85
○近藤忠孝君 ただ、先ほど中神参考人の意見のように行かなくてもいい病院へ行ってしまった例などあって、やっぱり現場ではいない場合はずいぶんいろいろ支障もあるんじゃないかと思うんですね。そういう場合の配慮などはあるんですか。
#86
○参考人(足達九君) そういう学校でございましても校医の先生あるいは学校歯科医、学校薬剤師の先生方は配置されてございますので、平素からそういう専門の先生方の御意見によってこういう場合にはこうするという手だてを前もって準備をしておくと、そのことが一番大事じゃないかということで、そういう御協力を願うように指導しておるわけでございます。
#87
○近藤忠孝君 次に中神参考人にお伺いしますが、先ほどから指摘されているとおり、子供の体がおかしいということが大変出ておるんですが、それが特にマンモス校とかあるいは学級規模の大きい都会の子供たちの場合に特徴が見られるかどうか、これが一つ。
 それから、養護教諭一人の配置ではなかなか大変だという話もあったわけですね。そこで、二人以上配置した場合にいまに比べてどんなことが可能になるかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
#88
○参考人(中神暉子君) いまここで子供の体がおかしいという形でずいぶん流行的に言われているような気がするんですけれども、私はそんなにおかしいというふうには考えていません。というのは私の学校では少なくともそういうことは余りないというふうに思います。実際にたとえば背中がぐにゃというような言葉が言われますけれども、私の学校では昨年金部九百人の子供を一人一人健診しまして若干疑いがある子は数名いまして整形外科の専門医の方に回しましたけれども、結果的にはそう大したことなかった経験がありますし、見方がやっぱり違うような気がするんですね。それからあくびとかそういう点では、私は子供が楽しいと思ってぜひ学校へ行って勉強したいというような気持ちでいるところでは、そんなに眠いとか朝からあくびが出るとかいうことはないような気がして、こういうことに関しては私はある学級経営をやっている先生方の話なんか聞きますと大変子供が張り切って学校へ来て、もう一年間通して休む子供があんまりいないし、いろいろな楽しい勉強をやっているという話などを聞きますと、これは学級経営の中で反省しなければならない面があると思うので、余り端的にただおかしいおかしいという言い方にはちょっと私はどうかなということを日ごろ考えています。
 それから大規模校に複数配置されればというようなお話がありましたが、これはぜひ実現していただきたいと思うわけですが、やはり養護教諭というのは、普通の学級担任の先生は四十人なり四十五人なりの子供と接触しているわけですが、学校規模によってそれこそ百人から千人、多いところでは千何百人という子供でもいまのあれでいきますと一名なんですね。養護教諭はやはり学校全体の子供にかかわる仕事をしているわけですから、私なんかもそうなんですが、九百人の子供をいま五年間かかってやっとこういうクラスにはこういう問題の子がいるということを理解するところに至ったんですけれども、やっぱり養護教諭一人が児童何名までという限界があると思うんです。そういう点でやはり私は子供の命を大事に考えるんでしたらやはり複数はお願いしたいと思うんです。
#89
○近藤忠孝君 それから先ほど何か兼務の話がありましたね。それは養護教諭の兼務ですか、何かほかの兼務なんですか。
#90
○参考人(中神暉子君) 学校を兼務するわけです。規模の小さい学校を、地方に行きますと規模の小さい学校を五校、六校と兼務をしている方の話なんかを聞きますとびっくりしてしまうのですけれども。
#91
○近藤忠孝君 その兼務の場合など十分効果を発揮できないんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
#92
○参考人(中神暉子君) はい、それは時間的に十分できるはずがないと思うんです。一つの学校にとどまって仕事が十分にできるということじゃありませんので、たとえ規模が小さくても養護教諭が転々として歩くわけですから、そう十分な仕事ができるとは思えません。
#93
○近藤忠孝君 次に、竹井参考人にお伺いしますが、夜間部に学ぶ生徒の場合にはいろいろ慢性疲労などで体に障害があるというとやはりこれは過労やストレスなどからくる胃の病気などが多いんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。これが一つ。
 それから、彼らの健康を守って就労と勉学を両立させると、そのためには特に使用者、企業側に何を要求したらいいんだろうか。また、国あるいは自治体としてやるべき勤労学生、生徒の健康面に貢献する施策について、あなた自身が考えていることがあれば、あなた自身の御経験からひとつお話しいただきたいと思います。
#94
○参考人(竹井紀代君) 最初に、いま御指摘のように胃の病気が多いんじゃないかというふうに言われたのですけれども、確かにいまかなり大人の方たちの中にもいわゆる慢性胃炎とか神経性胃炎、いわゆる神経による胃炎ですか、そういうものがすごく大勢を占めているような状況があるわけですけれども、やはり生徒の中にも、この間調査しましたところによりますと、かぜとか虫歯というのはちょっと別にしまして、一番多いのがやっぱりけがですね。けがの次にやはり胃腸疾患ということが入っています。それはデータ的にはっきり出ています。
 それから、二番目の定時制の生徒にとってのさまざまな問題ですけれども、いわゆる企業に対しては、特にいま私たちがやりましたアンケートの中でも、生徒が働いている職場で、かなり危険物を扱っている生徒が多いのです。結局部分品をつくったりそれを洗ったりというので、トルエンとかシンナーとかそういうもので油を洗うわけですね。そういうこととか、それからいわゆる染め物ですとか印刷関係ですとか。だから、そういう形で危険物をかなり扱っている生徒が多くて、結局そういうものに対して職業病みたいな形でいろんな症状が出てくるわけです。それの職業病の認定なんかも、やはり職場の中ではなかなかやり切れなくて、結局それが学校に来て保健室でわかるわけです。学校に来て生徒が頭が痛いとかのどが痛いのがちっとも治らないとかということをいろいろこう間いただしていくと、工場でシンナーを使っていたと、そういうようなことがあるわけです。
 そういうことから、じゃそういう職場では健康診断がどうなっているのかというようなことを調べてみましたら、一応お手元にあるこの中にも出ていますけれども、いわゆる労働安全衛生法でそういう危険物を扱う場合には特別に健康診断が必要ということになっているのですけれども、ほとんど健康診断が行われているというのはゼロに近いのですね。いわゆる普通の健康診断は何割か行われているのですけれども、いわゆるそういう特別に危険物を扱っている職場での健康診断というのはほとんどゼロに近い状態です。だから、そういうような中でやはりとにかくいろんな問題があるのですけれども、とりあえず学校でやれることはそういうところで、職場での健康診断を保障させていくとか、それから、結局病気にかかったりそういう事故を起こしても治療時間がないわけですね。会社から行くということは生徒にとってはそれだけ給料にも響くから結局学校を休むことになるわけです、学校を遅れてきて病院に寄ってくるとか。だから、そうなりますと今度は学業の方に影響します。それで、定時制の場合は一応一日四時間しかないものですから、一時間でも欠課になるとそれが単位に響いてくる。そういうところで結局治療にも行かないでほったらかしてしまうとか、そういうような問題で、いま私たちとしては、職場に対してそういう賃金カットをしないで治療時間を確保してもらいたいみたいな、そういうようなところを一応職場に要求しているような現状があります。
#95
○近藤忠孝君 それから自治体、国に対してのお考え。
#96
○参考人(竹井紀代君) 国に対しては、直接いま私は東京にいるものですから、都教委に対して――逆に今度は学校の中で健康診断が行われているんですけれども、それも大体全日制の生徒を中心に設定された健康診断の中身とか、時間的なものだとか、そういうものですから、結局健康診断を受けて、じゃ異状が見つかったから二次検診、三次検診ということで一応都教委の方でもその時間を設定してくれるんですけれども、それがやっぱり昼間の生徒の時間帯に合わせた形での検診体制だものですから、なかなか夜の生徒がその時間帯に行くということがむずかしくて、だから業者に対してもう少しその時間を延ばしてほしいとか、そういう要求はいまやっているわけなんですけれども……。
#97
○近藤忠孝君 終わります。
#98
○小西博行君 各委員から相当詳しくお話を伺いましたので、私は少し違う観点からお話を伺いたいと思います。
 もうすでに御承知のとおり健康会法案というのはいまもう終盤を迎えております。それはもう御承知のとおり安全会と給食会の問題でございます。二つを一つにして健康会というものをつくっていこうというような法案でございます。
 きょうはその安全会ということに焦点を合わせて、そして皆さん方の実際の立場から御意見をいま伺っているところなんです。そういう意味でまず足達参考人からお願いしたいと思うんですが、先ほどのお話では健康会をもうぜひともやっていただきたい、法案を通していただきたい、そのことが将来の子供の健康ということで前向きに進むんじゃないか、そのようにおっしゃったというように私理解しているわけですが、私自身考えてみますと、ほとんど変わらないというふうに考えております。安全会は従来のとおり安全会を推進してもらう、こういうような形に私はなっていると思うんですが、しかし、一方では非常に健康会ができれば子供のためにプラスになるということもまたおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう意味でどの点が非常にすぐれているというようにお考えなのか、その点からお願いしたいと思います。
#99
○参考人(足達九君) 先ほどから申し上げておりますように、安全会がいままで果たしてきました業務と、それから給食会がいままで果たしてきました業務、それぞれあるわけでございますが、それが統一的に統合して子供たちの健康の問題について、このいままでの業務を承継しながらやっていくということについてはいまおっしゃったとおりでございますけれども、それぞれ違った観点というのはおかしいんですけれども、立場からやっておったことが一つの法人にまとまるということでございますと、その中のいわゆる運営、考え方というのもおのずからそれぞれが融合していくと。その中で子供の健康の問題がもっと多角的にいろいろ検討されて進めていかれるんじゃないかということから、その二つが統合することそのものでもプラスの面はあるというふうに私は考えておりますし、さらに今度の法案の中に書いてあるというふうに承っております。そのほかに、文部大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができるということになっておるところに私は非常に期待しておるわけでございまして、いろいろな子供の健康を守るための一つの施策を、そのいままでの二つの業務の中でできなかったことを、どうしてもやらないかぬ問題があるならば、ここで大臣の認可を受けてやるようにしていくということが希望できるのじゃないかという意味で期待しているわけです。
#100
○小西博行君 本来なら文部大臣にもお聞きしたいような質問になるかもわかりませんのですが、この間から予算委員会でも私はずっと詰めておるわけですけれども、たとえば校内暴力だとか非行問題という非常に大きないまの問題点がございます。確かに、戦後といってもごく最近は、大変文部省の予算というのはかなりふえまして、量的な拡大というものはかなり整備されてきていると。しかし現実問題、非行問題で一つとらえましても大変量的にふえているというこの実態ですね。そこで文部省に対しては大臣何とかならないのかということでずっと詰めておるわけです。そうなりますと、どうも県の教育委員会の方でぜひやっていただきたいと、あるいは学校単位でやっていただきたいと、このような答えがずっと返っておりますので、私はこの健康会という問題も同じような問題があるんじゃないか。ある文献によりますと、どうも食生活が大変非行問題に影響があるという最近レポートが出ておりますね。たとえば糖分の非常に多いコカコーラをどんどん飲まし過ぎる、あるいは肉食を盛んにふやし過ぎるそういうようなこと、あるいはインスタントラーメン、こういうようなものが大変非行問題といいますか感情を刺激するといいますか、先生の場合はお医者ですから、これは一度お伺いしたいと思っとったんですけれども、そういうような御意見も中のレポートとしてあるわけですけれども、やっぱり大変大きな影響があるんでしょうか、その見解をひとつお願いしたいと思います。
#101
○参考人(足達九君) 非常にむずかしい問題で、何を食べたら非行が治るというそのものずばりがあればこれほど簡単なことはないと思うんです。しかし私は、まだ実際に自分がそういう体験をしておりませんので、ほかの優秀な方々が発表されることにそれが間違っているのだというようなことを言うつもりはございません。しかし、私はいままで学校給食、保健安全というものを担当してきた者としてそのことを考えますときに、食事というのは単にバランスのとれた栄養ということは必要でございますけれども、それをただ与えただけでその精神面にまでいい影響を及ぼすということは考えないわけですね。したがって、学校であれば教師と子供たちが一緒に食事をすると、その楽しい雰囲気の中でいろいろな教師は子供の学習のときには見つけることのできなかったいい面も見つけていくとか、いろんな後からのお話し合いをするとかそういう触れ合いというものが必要であるし、家庭の中では両親とともに楽しい食事をするという場がなければやっぱり効果がないんじゃないかというふうに思っています。
#102
○小西博行君 それでは中神参考人にお尋ねいたします。
 学校の健康会、特に安全会の方ですね、これは事故がなければ別に問題は私ないと思うんですね。つまり予防的な対策というのがうまくやられていればそう大きな問題は出てこないと思うんです。
 そこで私考えますのに、どうも私自身が小学校三年で終戦を迎えまして田舎でいた関係でわんぱくでして、勉強をほとんどしないで山の中を走り回るというのが毎日の日課でございました。ですから恐らく私どもの年代の人は体に幾つかの傷があると思います。足を折ったりあるいは手を切ったりという、言うなら一般の自然の中でトレーニングをしていたというような感じがしてならないんですね。したがって、最近の子供さんはどうも都会化が進む中で、遊びの中にそういう冒険といいますか、試行錯誤といいますか、対応の仕方といいますか、こういうものが非常に劣っているんじゃないだろうかなと。だから何でもないところから落ちて大けがするとかいうような問題が私は出てくるんじゃないかなあ。そういう意味でこの原因の究明というのは私は大変むずかしいと思うんですが、先生の場合、実際に子供さんに当たっておられて何かいいトレーニングの方法といいますか、そういった意味での対策というかそういうものがもしお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
#103
○参考人(中神暉子君) 私の個人的な考えですけれども、私もいま小西先生がおっしゃったように自然の中で自然にトレーニングされることを理想というふうに考えております。私も大体そういう中で育ちましたし、それからお母さんたちにも、子供を遊ばせるときはたとえば後楽園のような人工的な遊び場へ行かないで、杉並の場合ですと手近に埼玉の近辺の野山へ行けますので、ああいうところへできるだけお弁当を持って出かけたらというようなことを話しております。私もそれを理想としております。できましたら、私は子供のこういったけがを防ぐということは法案を整備して予算をつけていただくということも大事だと思うんですけれども、もう少しやっぱり町づくり全体の中から大きい目で見ていって、これは非常に夢のような話なんですけれども、たとえば交通安全教育ということで交通ルールの教育をいたしますけれども、私は非常に矛盾を感じているのは、童優先の道路をつくっていてそこで子供に交通ルールを一生懸命教育して、それで交通事故をなくそうというのはむしろ非常に矛盾があって、もう少し道路のつくり方だって人間の命を安全に守るような、保護されるような道路がつくられてもいいんじゃないかということで、非常に夢のような話をするので皆さんから余り取り上げてもらえないのですけれども、そういったことでいまの生活環境をもう少し見直すべきではないかなというふうに私は個人的には考えています。
 それで私の学校の例ですが、九百人の児童の中で杉並一と言われるくらいの広さの校庭を持っておりますので、大変恵まれておりまして、特別なトレーニングというよりは子供の生活リズムをつくるためにと言われていますけれども、私がいつも言っているのは、早起きとかそれから食事の問題とかいろいろ細かく子供に言うと小言みたいになるから、とにかく外で遊ばせてくださいと、外遊びを十分にさせることによって自然におなかがすいて何でも食べるようになるでしょうと、それから夜もいつまでも起きていなくても、起きていられなくて早く寝るようになっていわゆる朝型の子供になるということで、これは私の最初の考えで、一つのことをやれば連動していろいろつながっていいことができるだろうというふうに考えていたのですが、最近たしか小児国立病院の整形外科の先生がお書きになった本の中にも私と同じようなことを書いていらして、ああ私の言っていることは間違いなかったなということで、いま私は、何と言うんでしょう、子供の体づくりにはまずできるだけ外で運動をして遊ぶということをやっております。
 それから、健康会の法案がいま審議中ですが、これをざっと私見た中で非常に疑問なのは、十九条の中に学校安全及び学校給食云々ということで、ほかの印刷物には「学校安全(学校における安全教育及び安全管理をいう。)」というふうには書いてないのですが、ここの委員会からいただいた資料の中にこういう文書があって、ああ外郭団体からこういう要請があるということは、ちょっと学校教育の中にいる立場の者としては、私は学校教育というのはやっぱりその地域の実態で教師が教育計画を立ててやりたいと、安全管理に対してもやっぱり中の者がやっていきたいということで、この点は一体どういうことを網羅してここで評価されているんだろうかなということで、ちょっと気になる部分として疑問があります。
#104
○小西博行君 確かに予防ができればこれは最高だと思いますが、万が一にも事故が起きるという現象はどうしてもぬぐい去れないというふうに私、思います。そういった意味で佐藤さんにひとつお願いしたいわけですが、学校の保健委員会というのがいろいろ先生だとか父兄らでできておりますね。私はそれぞれの分野で機能をかなり明確にしてそれぞれの任務に当たっていかないと、どうも繁雑で大変私はそれぞれの代表の方の仕事が十分生かされないのじゃないかという心配をしているわけですが、その辺の委員会の機能ですね、この辺をひとつ御説明願い、先生の御意見があったらぜひとも教えていただきたいと思います。
#105
○参考人(佐藤勲君) 学校保健会というのは、学校保健計画の策定とその実施を推進するたかの研究協議機関であるというふうに私は押さえているわけですけれども、それらを構成するメンバーは学校長、保健主事、養護教諭、それから保健体育、理科、家庭科、社会科というような関連教科の主任あるいは給食主任、場合によっては学級指導による場合もありますので学年主任というように学校の中では教職員全体に行き渡るという部面が一つ考えられますし、外部から学校医、学校歯科医、それから薬剤師あるいは栄養士、それからPTAの役員、保健衛生に関する部門を担当するところを設けているところがあるかと思いますし、さらに地域社会、もっと広げるならば保健所だとかそれから教育委員会の関係であるとか、さらに中学校あたりでは生徒も含めるというような非常に大きな幅の中で設置されることが望まれるということがよく言われているわけですけれども、特に外部におられる学校医、学校歯科医、薬剤師等日常の仕事の方が大切ですから、その都度学校で保健委員会を開催する場合に参加できないというような問題点は残されておりまして、十分この活動が軌道に乗っていると言うことがむずかしい状態になっております。
 ただ、私どもがやっているのは本来学校でやるべき健康、安全、指導に関しては教職員全体で取り組むんだと。したがって日常の保健指導の計画に沿いまして校内の保健委員会担当者、月に一遍程度は必ず開催しているわけですけれども、その中で十分計画の見直しや指導を検討していくというようなことを行っております。必要に応じて学校医や歯科医等、専門的な御指導をいただく場合にぜひお願いをして出席をしていただくというような方法をとりながら進めているわけですけれども、なかなかこの辺がきちんと軌道に乗らないという悩みを持っているところです。
#106
○小西博行君 最後に升井参考人に一つお願いしたいんですが、私どももう以前からずっと文部省に対しまして実際に災害に遭った子供さんが将来どういう形になって成長されているかという追跡調査を依頼を申し上げておるんですが、なかなか文部省の段階では学校もどんどん変わってまいりますからわからないという実態でございます。そういう意味でさっき升井参考人の方から少しそういうお話がございましたので、もしよろしかったらどういう方向で今後そういう調査をされ実態を調べられるのか、御苦労話でも結構でございますからぜひともお願いして私の質問を終わりたいと思いますので、お願いいたします。
#107
○参考人(升井登女尾君) 先ほど被害者調査をしているということを申し上げましたけれども、安全会の方もいろいろ事例研究なんかはしておられますけれども、実際に被害を受けた人がどういう状況で被害を受けて、そして一たん被害を受けてしまえばそれで治らないわけですから、子供はだんだん成長していくわけで、そういうことについて実態も調べ、また要求も聞いてできるだけ協力したい。そういう中からこちらから言われておりますように、養護の先生がいらっしゃる学校といらっしゃらない学校では事故が起こった場合の処置が全然違うわけですね。頭を打ったりして安静にしておかなきゃいけないのにすぐ運んじゃったり一これは見たところ内出血なんかはちょっとわかりませんので、大したことないよって帰しちゃって、その夜から意識混濁がきたりというようなことがあって、そういう不納得が裁判例になるということは多いわけなんですが、そういうので私たちも養護の先生の各校配置と、それから大規模校は複数配置ということを二年かけ請願やりましたけれども、それはさっき言いましたように衆議院の方では保留になりました。
 それで一例を申しますと、これは神奈川なんですけれども、中学二年のときに水泳の練習でプールに飛び込むことをやったわけですね。そのときに、聞きますと、体育の指導の先生が人数が少なくて、水泳日に、プールに入る日が、きょうは何年の日、きょうは何年の日となっていて、一人の先生が五十名ぐらい時間交代で指導されるというようなことで、その子のけがというのは、プールの水深が非常に浅いのに、しかもその先生が助走をつけて飛び込むようにと言われたので、その言われたとおりやったらプールの底に頭をぶっつけて、そして頸椎骨折になったということなんです。その子は中学二年のときにそれをやりまして、その骨折の場所によりましていろんな機能障害が起こるわけですが、その子の場合は体温の調節機能がなくなってしまったということと、もちろんここから下は麻痺です。ですから、いまでも毎日家の中は冷暖房完備にしておきませんと、寒いときはすぐかぜ引いて肺炎になるし、暑いときは熱射病になるということで、団地住まいなんですけれども、冷暖房完備にしなきゃいけない。そのための費用を市の方と相談してこういう設備をするとか、団地でございますから、養護学校へ行くようになりまして、団地のところから外へ出るのに、スロープつけませんと、毎日毎日五段ぐらい担ぐんですね。守る会がボランテアをしまして、毎日連れていくわけですが、そういうのをスロープをやっと三年ぐらい後につけてもらったとか、それから毎日一時間ぐらい体の機能のリハビリをやりませんとすぐ体が硬直するわけですね。そういうことになりまして、その子がそれでも地域の協力で、段差解消のためにそこの区は団地から学校へ行く道の段差を全部なくしてくれたわけです。そういうような協力がありまして本人はやっと去年養護学校の高等部を卒業いたしました。それで、こういうふうにちょっと手首がこれだけ動くんですね。そういうことで親はこの子に何とか自活能力をつけさせなければ死ぬにも死ねぬということで電動のタイプを習わしたわけです。ところがいまのところでは、その子が養護学校卒業しましたけれども、その程度の障害ですと、ひどいというのでどこの障害者施設も職業訓練に受け入れてくれないわけです。それで、自宅で電動のタイプを習ったんですが、先日も親が言っておりましたけれども、一カ月に百四十円収入があったのが初めてだったと、こういうことで、そういう子供も五年過ぎればとっくに安全会給付は終わっているわけですから、今後は障害者手当が三万円何がしが出るということだけなので、非常にその親は、文部省なんか行きますと、職業訓練のぜひ手だてを考えてほしいということを言っております。それから、大体皆そういうことで、五年打ち切り後は障害者手当でフォローするということでございますので、非常に生活は困難。寝たきりじゃなくても、やっと車いすになってもそういう困難がございますので、そういう要求や願いに対しては私たちは聞き取り運動というのをいたしまして、重度障害の方を聞いて、聞き取り運動で、いま文化刺しゅうをやっとやっている人もありますし、そういうのをテープにとって今度実行委員会で総会では報告して、そういう聞き取り運動をやりながら皆さんの願いをかなえてもらえるような方法を各自治体にお願いするというようなことをいま取り上げておりますが、非常に困難な状況でございます。
#108
○小西博行君 ありがとうございます。終わります。
#109
○委員長(片山正英君) 以上で本日御出席いただきました参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は長時間にわた町貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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