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#1
第096回国会 文教委員会 第13号
昭和五十七年八月三日(火曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     中村 鋭一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 正英君
    理 事
                大島 友治君
                田沢 智治君
                小野  明君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                山東 昭子君
                杉山 令肇君
                内藤誉三郎君
                中西 一郎君
                仲川 幸男君
                降矢 敬義君
                粕谷 照美君
                藤田  進君
                宮之原貞光君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                中村 鋭一君
   衆議院議員
       発  議  者  西岡 武夫君
   国務大臣
       文 部 大 臣  小川 平二君
   政府委員
       文部大臣官房長  高石 邦男君
       文部省初等中等
       教育局長     鈴木  勲君
       文部省管理局長  阿部 充夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○私立学校振興助成法の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 私立学校振興助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○宮之原貞光君 本日の議案の質疑に入ります前に、冒頭大臣にお尋ねを申し上げておきたいと思います。
 御承知のように、教科書問題が非常に国際的に大きな問題になっておるわけでございますが、新聞の報道によりますと、このこととかかわって何か予定をされておった大臣の訪中をおやめになったとか、あるいはまた向こうからお断りが来たとかというようなことが報ぜられておりますが、そのことの経緯と並びにそのことを契機にいたしますところのこの問題に対しまするところの大臣の今後の処理の方向といいますか、そういう所信について、まず冒頭でございますけれども、伺わさせていただきたいと思います。
#4
○国務大臣(小川平二君) 仰せのように、教科書の問題をめぐる当面の事態にかんがみて、私に対してかねて招請状を出していたのだが、しばらく見合わせてほしい、表現を正確に記憶いたしておりませんが、取り消すという意味ではございませんけれども、当面控えてもらいたいというような意思表示がございました。
 私自身も、現状は訪中をいたしますのにふさわしい状況、雰囲気ではないと考えておるわけでございます。今後とも誠意を持って当方の立場、当方の真意を理解してもらうことに努力いたしまして、問題を円満に解決して、できれば晴れ晴れとした気持ちで訪中をしたいと、こう考えております。
#5
○宮之原貞光君 大臣のお気持ちは、この問題についての円満解決をやった後にできたら訪中をしたいと、こういう御心境だというふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
#6
○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。
#7
○宮之原貞光君 きょうはそのことが本議題でございませんので、じゃ提案されております問題について質問をさせていただきたいと思います。
 私は、先般本委員会におきますところの提案説明を聞きながら、七年前の七月一日、本委員会におきますところの発議者の提案説明及び私と発議者の質疑の数々を思い出しておりました。それは提案の趣旨が幼稚園の学校法人化を促進をするという一つの命題は全く同じである。かつまた、五十年のいわゆる本委員会におきますところの提案者の藤波君の、私の、五年後は一体大丈夫なのかという質問に対しまして、この立法の趣旨を踏まえて、五年以内に学校法人に容易に宗教法人立や個人立等の幼稚園をすることができるように行政の措置をあらゆる角度から講じ、また、国公私幼稚園の適正配置についても、十分強い姿勢で各県、市町村を通じて指導していくというようなことを文部大臣とも確認をとっておるので、ぜひ五年以内にこれを実現をさせたい、まさに大丈夫であるとして胸をたたかんばかりの自信を持ってここで提案をされたことを私思い出すのでございます。私どもはそのときの発議者の答弁をそのまま深く信じまして、それならいいということで、この法案は全会一致で成立したところの経緯があるのでございます。
 ところで、このような当時の約束が進んでおるならば、再びこういう提案はなかったと思うのであります。それだけに一体こういうことの責任はだれが負わなきゃならないんだろうかと、こういうことを私はあの提案を聞きながら強く感じたのでございます。もちろん責任の中には、いわゆる法人化をすることを約束をして助成金をもらいながら、いまだに法人化をされてないところの幼稚園の当事者の責任は私は大きいと思うのでございますが、しかしながらやはり最大の問題は、これを法律として執行された場合には行政府が責任を持たなきゃならぬわけでございますから、行政府の、文部省の責任も私はきわめて大きいと思うのでございますが、この点大臣は、この五年前の経緯と今日の実情の中からその責任の問題と絡めてどういうお考えでございますか、まず冒頭にその御心境をお聞かせいただきたいのでございます。
#8
○国務大臣(小川平二君) 文部省といたしましては、期限到来前に法人化を達成すべく鋭意努力をしてまいったわけでございますが、それにもかかわらず、なお多くの個人立あるいは宗教法人立の幼稚園が法人化を達成することなしに残っておるというのが現状でございます。
 仰せのとおり、このことにつきましては文部省に責任なしと申すわけにはまいらないと存じます。それらの幼稚園もまた今日まで幼児教育の振興のために努力をしてきたわけでございますし、真剣に法人化の努力を行っている途上で期限の到来を迎えた幼稚園も相当多数あるわけでございますから、したがいまして、今回提案されておりまする法律の趣旨は文部省は十分理解をし、成立を期待いたしておるわけでございます。成立いたしました暁には、学校法人化を促進いたしますために全力を挙げてまいるつもりでございます。
#9
○宮之原貞光君 鋭意努力をしてきたということでございますが、これはこれからおいおいその鋭意努力をされてきたところの中身についてお尋ねをしてまいりますと、果たして鋭意努力してきたかどうか大臣もお感じになると思うのであります。
 もう一つは、責任なしと思わないということじゃなくて、もっと積極的に責任を感じてもらわなきゃ困るんですよ。えてして行政府には、議員立法の場合は、あたかもその責任が立法府に執行後もあるみたいな錯覚をお持ちのところが多いんですよ。議員立法であろうと政府提案であろうと、審議をされて成立をいたしましたなら同じ法律として執行されるわけでしょう。だとすれば、やはり法律執行に当たるところの行政府としては、議員立法であろうが政府提案であろうが同じような責任を感じてもらわなきゃ困ると思うんです。どうもそこらあたりが、私衆議院におきますところの本法案の審議の会議録を拝見いたしますと、議員立法でございますからという、何だか軽いような気持ちで受け答えをされておるところの節が感じられないではございません。それは私は誤りだと思うんですがね、その点いかがですか大臣。私は、法律として歩き始めたらやはり行政府の責任だと思うんですが、議員立法はやっぱり軽いんですか、どうですか。
#10
○国務大臣(小川平二君) 議員立法であるからといってこれを軽視いたすようなつもりは毛頭ございません。
#11
○宮之原貞光君 それでは、これからいろいろお尋ねをいたしたいと思いますが、まず本法執行後から現在までの法人化の状況、さらには本改正法案と関連しての状況についてまず御報告を願いたいと思います。
#12
○政府委員(阿部充夫君) この法律が成立しまして以降の状況でございますけれども、個人立等の幼稚園の学校法人化につきましては、学校法人の認可基準の緩和あるいは各都道府県における学校法人化の指導等によりまして年々法人化が進んでまいっておりまして、昭和五十一年度から昭和五十六年度までに合計いたしまして九百六十七園の学校法人化を見たところでございます。
 なお、昭和五十一年度から補助が開始されました幼稚園について申し上げますれば、千九十五園が対象となっておるわけでございますけれども、そのうちで五百数十園が法人化をすでに済ましておりまして、その他若干のものが廃園になったもの、あるいは法人化が困難であるということで途中で辞退したケースがございますけれども、そういったケースを除きまして四百八十園がまだ法人化されないままに残っている、こういうような状況でございます。
#13
○宮之原貞光君 これは、五十一年の法人化への志向園は千九十五園でございましたね。これはしかし、固定化したものでなくて、年々志向園というものは増減があるんじゃないですか。だから、いわゆる五十一年当時千九十五園だったから何%になっておるという、私は数字は出てこぬと思いますがね。その点、その年度別の大体の状況を聞かせてください。
#14
○政府委員(阿部充夫君) それぞれの年度から新たに志向園として認定されたものにつきまして補助がなされるわけでございますので、各年度――五十一年度から始まったものを初めといたしまして、五十二年度、五十三年度等々ということで新たに追加して認定をされる園があるわけでございます。
 年度別に数字を若干申し上げますと、先ほど申し上げましたように、昭和五十一年度に補助を開始されましたものが千九十五園でございまして、このうち学校法人化がすでに済んでおりますのが五百五十二園、廃園になりましたものが十四園、辞退をいたしましたものが四十九園ということで、現在期限切れの時点で学法化が済んでおりませんものが四百八十園という状況でございます。なお、五十二年度以降につきまして概況を申し上げますと、五十二年度に補助開始になりましたのが三百三十六園でございました。このうち学法化が済んでおりますのが百二十四園、五十三年度は三百二十六園が新たに認定されまして学法化が済んでおりますのが百九園、五十四年度は百五十園が認定されまして、学法化が済みましたのが三十六園、五十五年度は百三十六園が補助が開始されまして、学法化が済みましたのが二十七園、五十六年度で百六十七園が認定されまして、学法化済みが十三園ということでございまして、年度が近づくに従いましてまだ学法化が十分進んでないということは当然のことであろうかと思います。
#15
○宮之原貞光君 それで、私、冒頭に、本改正法案と関連をしてと、こう申し上げておるんですがね。それで、御説明のように、いわゆる五十一年度の千九十五園の現在法人化に至らぬものが四百八十園というのは、これはわかりますよね。
 そうすると、今度は本改正法案との関係で申しますとね、これが三年延びるわけでしょう。そうすると、また五十八年、五十九年という形が考えられますわね、期限切れのものが。それは一体どうなっておるの、そこらあたりまでやっぱり聞かしてもらわなきゃ。質問に正確に答えてください、要らぬところの答弁は要りませんからね。
#16
○政府委員(阿部充夫君) 今回の法案に関連いたしますものといたしましては、昭和五十一年度から補助が開始されましたものが期限が三年延長になり、五十二年度からのものが二年延長になり、五十三年度からのものが一年延長になるということで、この三年間のものが関係をするわけでございます。
 現在の時点で申し上げますれば、五十一年度に認定された千九十五園のうち学法化が達成されておりませんものが、先ほど申し上げました四百八十園、それから、五十二年度からのものにつきましては百九十一園がまだ学法化されていない。それから、五十三年度からのものにつきましては百九十八園が残っているということでございます。
#17
○宮之原貞光君 そうすると、衆議院でお答えいただいた数より減っているということは、これがより正確な数だというふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
#18
○政府委員(阿部充夫君) 衆議院で幾つかの時点でお答えを申し上げておりますが、あの時点の場合には昭和五十六年度末の数字がまだ確定しておりませんでしたので、若干数字が違っている面があろうかと思いますけれども、ただいま申し上げましたのは、五十六年度末までのことを固めた結果の数字でございます。
#19
○宮之原貞光君 それはよくわかりました。
 それで、まあこういうことに対する、法人化へのいろんな、先ほどの大臣の言葉をお借りいたしますと、文部省としては鋭意努力をされてきたという話でございますが、その法人化のために努力をされてきたところの具体的な問題についてどういうことをやってきたのか、それがどうなっているんだと。それをちょっと明らかにしていただきたい。
#20
○政府委員(阿部充夫君) 文部省が講じてまいりました措置につきましては、大きく分けて三点ほど申し上げられるかと思っております。
 一つは、個人立等の幼稚園が学校法人化をするということに関しまして、従来の学校法人となるための、あるいは幼稚園となるための幼稚園の設置基準あるいは学校法人としての認可基準等につきまして、個人立幼稚園等の実態等を見ながら弾力化の措置を図ったということでございます。
 具体的には、細かい点になりますので、典型的なものだけを申し上げますと、たとえば校地、校舎等の所有の基準につきまして、従来まるまる自己所有でなければならないといたしておりましたものを、二分の一まで自己所有ならばよいというようなたぐいの弾力化の措置を図ったということが一点でございます。
 それから第二点は、同じ時点での通知におきまして、各都道府県に対する指導といたしまして、公立、私立の幼稚園の今後の配置状況等がこの問題とも関連をしてまいりますので、各都道府県で条例等によりましてこの問題に関する連絡協議会等のものをつくって将来の方向というのを見定めていってほしい、こういう指導をいたしました。
 それからさらに、第三点は、個々具体の指導でございますけれども、各都道府県を通じましてあらゆる機会に主管課長会議等の席におきまして法人化の促進のための努力を依頼をしてきたということでございます。
#21
○宮之原貞光君 その緩和問題でございますが、私も手元に既成幼稚園の学校法人化の認可基準、この問題についての具体的なその措置の中身を持っておりますからこれ以上は申しませんが、こう見てみますと、私はやはりこのことはいわゆる学校教育法に定められておるところの法人としてのぎりぎりのところにきているのじゃないかと判断をするのです。言うならば、その点、法人化の誘導策として思い切ってここまで下げられたような形で指導したところのその努力は多としたいと思いますが、今後の問題と関連をしますのでお尋ねいたしますけれども、しかし、この基準もそれならばもっと緩和すべきものではなかったか、こういうことになりますと、私はやはり問題があるのではないだろうかと思うのです。法人化したいためにノーズロ的にずっとまいりますれば、一体学校教育という中におけるところの法人の学校のあり方から見てどうかという一つの疑問が出てまいりますし、さらにまた、今日まで法人幼稚園として何とかして基準に達しようとして努力をされてきたところの皆さん、すでに法人化をしておる人人がまたばかをみるような緩和措置がこれに輪をかけてあるようなことになるとすれば非常に問題だと思う。そういう点から見ますれば、この緩和措置ということはぎりぎりのものではないだろうかと判断をいたしますがね。
 このことに関連をいたしまして、今後の法人化の促進の問題と関連して、この問題についてはまず起案者の西岡先生としてはどうお考えなんですか、それと文部当局はどうお考えですか。
#22
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 先ほど来、文部省から答弁をされておりますように、法人化への努力というものは当初予想していたよりは実績としては低いものでございますけれども、年々着実に法人化が進んできているという実態になっているわけでございまして、幼稚園教育の中で個人立、宗教法人立等の幼稚園が果たしてこられた役割りというものの大きさと、現在幼稚園の経営をめぐって置かれております厳しい客観的な状況等を踏まえて今回三年間の延長を提案させていただいたわけでございますが、この措置が認められますればさらに学校法人化の努力が関係者の間において着実に進められていくであろうと、このように提案者としては期待をしているところでございます。
#23
○政府委員(阿部充夫君) 基準の問題についてお答えをさせていただきますが、学校法人化を図っていくということのねらいは、申し上げるまでもなく、当該学校教育の永続性あるいは安定性というものを確保し公共性を高めていくということをねらいとしておるものでございますので、学校法人化に当たりましての認可基準の緩和ということを考えます際にも、やはりその要請の見地からのぎりぎりの線というのを考えなければならぬと思っておるわけでございます。そういった見地から、この許可基準の緩和措置、五十一年に行いましたものにつきましては、部内でも十分協議をし、あるいは関係都道府県等の意見等も十分踏まえてこれをつくり上げたものでございますので、これをさらに緩和するかどうかという今後の問題につきましては、これはにわかに現段階で緩和するという方向をとるのは適切でなかろうと思っておるわけでございます。
 ただ、この基準の運用につきましては、必ずしも基準のとおりに運用されてないような向きもあるやに聞いておりますので、その辺のところにつきましては、なお今後検討あるいは指導等の余地はあろうかと思っております。
#24
○宮之原貞光君 どういうことですかね、私は、緩和措置は学校法人としての体を整えるためにはもうこれがぎりぎりだと思うんですよ、これが。またこれを緩和しますということになりますと、一体この基準に達するために非常な血のにじむような努力をされてきて、法人化をされたところの幼稚園の苦労ということは一体どう考えるかということになりますと、何だと、正直者がばかをみると、行政当局のやることはある程度時間を待っているならば幾らでもまたユルフンになるんだというふうにこれは法律の運用というものを解釈されるということになると大変なことだと思うんですよ。ただ、確かにあなたが御指摘されたように、府県によってはこの緩和措置に対しても非常に必要以上の厳しいところがあるということも私も承知をしております。そういうところをこの緩和措置に基づいて行政指導をするんだというなら私はわかりますけれども、ただ将来の問題として何とも申し上げられませんということでは困るんです、これ。そこのところをやっぱりはっきり局長はしておいてもらいたい。
#25
○政府委員(阿部充夫君) あるいはお答えが不明確であったかと思いますけれども、私申し上げました趣旨は、この基準そのものについてはぎりぎりの線で都道府県とも相談して決めてきたものであるというふうに考えておるわけでございますので、今後運用等についてはあるいは検討の余地のある部分もあろうかと思います。しかしながら、基準そのものを緩和するということは現時点では考えておらないということを申し上げたつもりでございます。
#26
○宮之原貞光君 やはり指導の基本的な問題と関連をするわけでございますが、四十六年六月に中教審のいわゆる幼児教育に関するところの答申の中には含まれておるわけでございますが、それに沿って、恐らく私は、文部省の幼稚園教育振興十年計画というのもできました、あるいはまた就園奨励費の補助制度というのも設けられたと思いますが、本法案との関連の中でいまお聞きをしたいと思います。
 これは西岡さんにお聞きをした方がいいと思いますが、この法案が最初に提起されたのは、やはり中教審答申を受けた形での中での幼児教育の振興策の一助として私は出されたものだと理解をしておるわけであります。したがって、第一回目に出されたのは四十七年の五月でございましたね。それから、成立したのが五十年ですから、三年の歳月を経ておるわけですよ。与党の多数の中で三年もやはり法案がかかったということは、これはやはりそれ相応の理由があると思うんですがね。この難航したところの理由の問題と、その問題点ですね、それはどこであったのか。そして、またその問題点についてどういまお考えになっておられるのか。そこのところをお聞かせ願いたい。
#27
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 宮之原委員御指摘のとおり、今回提案を申し上げております三年間延長の部分にかかわる立法の作業が行われましたのが昭和四十七年でございまして、第六十八国会に提案をいたしまして以来かなりの時間がかかったわけでございます。このときに問題になりましたのは、当然学校法人以外の幼稚園に対して助成をするということに対する現行法制下における問題点が最大の問題であったわけでございまして、学校法人化を図るということを前提として、わが国の幼児教育における個人立、宗教法人立等の幼稚園の現実に果たしておられる当時の状況とその比重等を勘案して、この存在を無視した形での幼稚園の振興策を策定するということは実際問題としてはむずかしい、であるならば学校法人になるということを前提として個人立、宗教法人立等の幼稚園に対しても限度を設けた一定の財政援助を行うことが望しいという趣旨で立法をお願いしたわけでございまして、確かにそのこと自体についていろいろな論議があったことは事実でございますし、法律が制定されましてからもこの問題についてのいろいろな考え方というものが各方面から出されてきているということも私どもは十分承知をいたしておりますが、現に幼稚園の振興策を推進していく上で、この措置は結果としては正しい措置であったと私どもは考えているわけでございまして、そういう現状を踏まえましてから、なお学校法人化への着実な努力というものが行われているという実態を見つつ、さらに三年間延長するということをお願いしているわけでございまして、これは幼稚園だけではございませんが、大学までも含めて、私立の学校に対しての経常費助成を行うという問題についても、宮之原委員十分御承知のとおり、当時いろいろな議論があったわけでございますけれども、私学振興助成法を制定する以前の段階として予算措置を行い、この裏づけとして、私学振興助成法を成立させたという経緯等を振り返ってみますときに、こうした施策について、やはりいまこの時点で振り返ってみますと、適切な政策であったと考えておりますし、立法政策としていろいろな議論があることは十分承知をいたしておりますけれども、わが国の幼稚園教育の振興という観点から、いまこの時点でもいろいろ問題、議論、御意見等はあることは十分理解しつつも、立法政策としては正しい方向であろう、このように認識をいたしております。
#28
○宮之原貞光君 一般論としてわかるんですが、私が端的に聞いておるのは、三年もかかったでしょう、この難航したところの最大のポイントというものは何であったかということを聞いておるんですよ。それは、あなたがおっしゃるように、私立学校に対する経常費補助の可否という問題は一番大きな問題だったかもしれませんけれども、この法案が実に三年以上もかかってきた。これは問題があったわけでしょう。あなたも当時発議者の一人ではなかったかと私は思うんですが、端的にどこだったでしたかね。
#29
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 先ほどお答えを申し上げましたように、本来私立の学校は学校法人によって設立をされるということが原則でございまして、その原則からいたしますと、学校法人立でない幼稚園に対して財政的な援助を行うということに問題点があった。これは率直に、当時の状況からいたしましてその点をめぐって法律の成立が難航をしたということは事実でございます。
#30
○宮之原貞光君 私はそのことは否定をしませんが、端的に申し上げて、当時出されたところの法案なるものは、当初はいわゆる専修学校の問題とこれは込みで出されたですよ。それといま一つは、やはり常に問題になっておりますところの附則二条五項の問題ですよ。当初は「措置するものとする。」という形で皆さんは提起されたでしょうが。一体これが五年後に効力があるのかないのか、いわゆる国立大学のあの臨時措置法と全く同じになるんじゃないか、法人化への五年の歯どめというのはしり抜けじゃないか。そういう問題が大きな問題になったんでしょうが。だからあなた方は衆議院段階でこれを修正して持ってこられたんでしょう。そうじゃなかったですかね。
#31
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 宮之原委員御指摘のとおり、この私学振興助成法の附則二条の第五項の条文につきましては、当初私どもが提案をいたしましたときは「措置しなければならない。」という義務の規定にはなっていなかったことは御指摘のとおりでございます。その後、国会等の論議等を踏まえまして、最終的に現行の附則二条の五項に定められておりますように「措置しなければならない。」ということに条文を変更し法律を成立させるということになったわけでございまして、当時も、もしも法人化が行われなかった場合には一体交付された助成金はどうなるのかということについての論議が委員会を通じてあったことは事実でございまして、この点に関しましては、これもいろいろな考え方があったわけですけれども、幼稚園の関係者の方々、またこれを直接に指導監督をするという立場にある地方自治体の行政というものが適切に行われるということを私どもとしては期待をしてこの立法をお願いをしたわけでございまして、そういう意味では、あくまでも就学前児童の教育ということを中心として、それに果たしておられる幼稚園の皆様方の努力、しかも学校法人化すべきであるという方向づけ、そうしたものに向かって関係者の皆様方が努力をされるということを当時から期待をし、またそのことに幼稚園教育の将来というものをやはり大きくかけていかなければいけないということでこのような措置をとったわけでございまして、それは現に、この問題が提起をされました昭和四十六年当時学校法人になっております幼稚園が三〇%そこそこという状態であったのがすでに御承知のとおり六〇%を超えるという状況になったということを考えますと、この法律が果たしてきた役割りというものはお認めをいただけるのではないかと思いますし、もちろん御質問の趣旨については私どもも十分承知をしているわけでございまして、それでもなおかつ、現に学校法人化が行われていないという実態が残っているということについて、これは善意に基づくものでありながら、なお条件が整わない。それぞれ個人立、宗教法人立によって理由が多様にあるわけでございますけれども、これは、あくまでも善意に基づくものであるというふうに私どもは理解をして、さらに三年間延長することによって、多くの個人立、宗教法人立等の幼稚園の皆さん方が学校法人化への道を進んでいただけるものであると、このように期待をして提案をさせていただいているわけでございます。
#32
○宮之原貞光君 私は、本法律が果たしてきたところの役割りを否定する気持ちであなたに質問申し上げておるんじゃないんです。ただ、少なくとも、今後のこの法案のねらいの一つである法人化への促進という問題を考えてみた場合に、実は、お尋ねしたところの問題は、きわめて重要な問題だと私どもは当時から認識しておったんですよ。あなたが来られる前も私冒頭に申し上げたんですけれども、いわゆる「措置するものとする。」という、大学臨時措置法みたいな、一体しりが締まっておるのか締まってないか、これでは困ると。だから「措置しなければならない。」という厳しい規制を持たせたんだという経緯から、実は各党全会一致でこの法案成立させたんですよね。そのことは一番あなたが御存じだと思うんですがね。私どもは、この意義というのは、確かにそれは、この法案が幼児教育の重要性ということを認識して幼稚園教育を発展をさせなきやならない、そのための公の助成の道を開くんだという趣旨があることは承知をしておりますよ。あわせてこの問題については法人化促進という重要なやはり意義もあるんですよ。このことは、あなたやあるいは文部省当局の衆議院におけるところのいろんな会議録を引っ張り出してみても、明確にあなた自身答弁をされておるんですよ。したがって、その法人化促進という重要な一つの課題をこの本法には加えられており、言うならば五年間鋭意努力してきたけれども、それができないんだから三年間だけ延ばしてくれと、こういうのがざっくばらんのところだというふうに私は理解しておるんですが、そういうふうに考えて間違いないんでしょう。
#33
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 率直に申し上げまして、ただいま宮之原委員の御指摘のとおりであると申し上げた方が非常に簡明であろうと思います。
 ただ、新しく今回三年間の延長をお願いをいたしましたもう一つの趣旨は、すでに各委員御高承のとおり、就学前児童の数というものが現時点で激減をしてきている。そういう状況の中で、幼稚園の教育、保育所との関係等もこれあり、これからどうあるべきなのかという根本的な行政としての対応、政治としての対応というものが迫られていると。そういう中で、私どもは今回この措置を三年間延長させていただくことによって、その三年間に非常にさま変わりになってきております幼稚園をめぐっての環境に対応して、幼児教育――幼稚園教育というよりは幼児教育のあり方というものをどういうふうにすべきであるかということに根本的な答えを出さなければいけないのではないかと。そうしたきちっとした政策というものが確立をするためにも、三年間という時間がこの機会、最低限求められるということも実は今回の提案に含まれている前提でございまして、そうしたことも考えつつ、今回の三年間の延長ということを御提案を申し上げてるということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#34
○宮之原貞光君 その問題も、私は、いまあなたが答弁されたところの問題も、提案趣旨を見ましたけれども、説明の中にどこにもないんだよ。そうしたところが、あなたがいまおっしゃったところの最後のところは、提案される際に何か墨で消されたんだそうだな。それは後ほどいろいろお尋ねしますよ。
 ただ、私がいまここであなたにお聞きしておるのは、附則二条五項のこのやはり解釈の問題をあなたに端的にお聞きしておるんですよ。
 これは前の管理局長もこういう答弁をされておりますね、この問題については。「助成を受けた幼稚園の単なる努力義務を規定したものでは」なく、「実際に学校法人化しなければならない旨の義務を課したものと」判断をいたしますと、こう衆議院では答弁をしておるんです。このことは、新しい管理局長に聞きますが、局長はかわっても解釈は変わらぬのでしょうね、どうなんですか。
#35
○政府委員(阿部充夫君) この法律の規定を読みます限り、法律上学校法人化をする義務を課したものというふうに解釈をいたしております。
#36
○宮之原貞光君 そこでお尋ねをしたいんですが、先ほど私は文部省の行政指導のあり方について、どういう処置をしてきたかということに対して、管理局長の方は、緩和措置の問題と、折に触れ、ときに触れて、いろんな機関で説明をし努力を願いましたと、こういう指導をいたしましたという答弁があったわけですが、いまの御答弁を聞く限りでは、いろんな機関でもそういう立場に立った積極的な指導がなければ、これは言行不一致だと思うんですよ。ところが、どうもいろんな文書を見ますと、一体文部省が果たしてこの二条五項の精神に沿ったところの積極的な指導をされてきておるんだろうかどうだろうかということに疑問を持たざるを得ないんです。
 そこで、まずお尋ねしますが、ここに「学校法人立以外の私立幼稚園に対する経常費助成について(文部省・未定稿)都道府県私立学校主管部課長会議 資料」という文書があるんですがね。これ、本当に出されたんですかどうですか、まずそれから聞きたいと思うんですが。この文書は、出されたとするならいつ出したのか。
#37
○政府委員(阿部充夫君) ただいま御指摘の資料は、昭和五十二年の十一月に都道府県私立学校主管部課長会議におきましての説明用の資料として配付したものと承知いたしております。
#38
○宮之原貞光君 そうすると、これはあれですね、文部省が責任を持って出されたところの指導文書だという理解をしてよろしゅうございますね。どうですか。
#39
○政府委員(阿部充夫君) この文章に沿いまして都道府県の主管部課長会議で説明をいたしました。
#40
○宮之原貞光君 そこで、いろんなことをこの指導の中に書いてあるんですが、ここに「問四」というのがありますね。「「学法化に努力する幼稚園」の判断をどのようにするつもりか。」と、こういう設問をして、いろいろ書いてありますけれども、あなたのところの説明は、「経常費助成を受けた場合は、学校法人立の幼稚園と同様の所轄庁の監督が法律によって行われること、経常費助成は学法化を推進するためのものではないこと等を考慮した場合、現時点においては「学法化のため、何らかの努力を行っていれば、学法化に努力するもの」と判断すべきものと考える。」と、こういう文章なんですね。そうすると、どうですか、先ほど御答弁いただいた二条五項との問題で、どう考えてもわからぬのですがね。「経常費助成は学法化を推進するためのものではないこと等を考慮した場合」とわざわざ書いてあるんですよね。先ほどの答弁あるいは法律解釈、これは当時の立案者西岡さんも同様に認められていることなんですけれども、これはどういうふうに理解したらよろしゅうございますかね、こういうことは。これは明文化されてないから、何らかの努力を行っていく、何かやりますと言いさえすればもらえるんだからそうしなさいというふうに、裏表読んでもそうしか解釈できませんよね。これと先ほどの答弁とどうなるんですか。ちょっとはっきりおっしゃっていただきたい。
#41
○政府委員(阿部充夫君) お話しの御質問の中身が二つあろうかと思っておりますが、一つ、努力の態様でございますけれども、努力の態様につきましては、それぞれの幼稚園がそれぞれの特別な事情を抱えておるわけでございますので、一律にこういうたぐいのものなら努力と認めるといったような基準を示すことも大変むずかしかろうと思うわけでございまして、そういった見地から、努力という跡が認められればそればいいではないかということで、具体の判断を各都道府県の方の判断にゆだねたという趣旨でございまして、かっこうだけつければいいというような意味で申したものではないと思っております。
 なお、もう一点、「学法化を推進するためのものではない」という表現でございますけれども、この資料の最初のところにも書いてございますように、都道府県等からいろいろこの経常費助成の性格についての質問が参りまして、特にその質問の中心になりましたのが、学法化ができなかった場合に返還が必要かどうかという点でございます。それに対して、この補助金の性格というのは、補助金自体といたしましては経常費の助成でございますので、振興助成法の第一条の規定にございますように、教育条件の維持向上、あるいは父兄負担の軽減等々ということを直接の目的といたしておりますので、それに沿って消費されたものであれば、これについて返還ということにはなじまないであろうということを書いたわけでございますが、その場合に学校法人化ということが付加的に生じてきております義務――法律上の義務でございますけれども、この義務は付加的に法律によって生じてきておるものでございまして、それ自体を法律上直接の目的にしておるわけではないという法の制度に触れたわけでございます。その点が、あるいは表現といたしまして、その部分が強く出ておるような印象があるかもしれませんが、ここに「未定稿」とございますように、当時も文章まで必ずしも十分練ってなかったという点はあろうかと思います。私どもといたしましては、法律の趣旨を体しまして、学校法人化のための努力というものは、こういった表現自体は別といたしましても、あらゆる会議でそういう趣旨での説明をしてきておるつもりでございます。
#42
○宮之原貞光君 その未定稿のものを何で課長会議に出したの。大体、文部省のしきたりというのはそういうものですか。さっきあなたは、五十二年の十一月に出したんだと、こう言っておる。出すときには未定稿のものを出すの。官房長、これはそういうしきたりですか。中身は別にして、皆さんは、いろんな会合に出すのは未定稿のものを出すの。そのしきたりについてまず聞かしてください。
#43
○政府委員(阿部充夫君) 当時の事情というのを私も十分承知しておらないわけでございますけれども、恐らく当時といたしましては、必ずしも文章が十分練れてないという意味で「未定稿」というふうにつけたんだと思います。未定稿のまま出すという風習があるとかそういうことでは必ずしもなく、このときたまたまそういうことになったというふうに理解をいたしております。
#44
○宮之原貞光君 官房長、これは責任を持って答えてくれよ。一体、文部省の仕組みというのはいろんな会合に未定稿の文書を出す仕組みになっておるのかと言うんですよ。それだけ答えてもらえばいいんだから、なっておるか、なっておらぬということを。
#45
○政府委員(高石邦男君) 公文書につきましては所定の決裁を得て出すわけでございますから、未定稿のものが出るわけではございません。ただ、会議の配付資料としていろいろな内容を説明、敷衍するというような場合においては、何もそういう決裁手続を経ないで文書を出すということは参考のためにあり得ると思うわけでございます。
#46
○宮之原貞光君 そうすると、この文書を出したのは、たまたま文書を出した課長か局長の責任であって文部省の責任でないと、こういうことになるのかね。
#47
○政府委員(高石邦男君) そういうことではなくして、公文書の形をとる文書につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、会議の配付資料としていろんなものを配付するわけであります。その時点におきまして一応の事務当局の考え方としては、こういうような考え方で物事を取り決めたいという途中の段階で参考のために出す、そしてその論議で、いろんな論議が重ねられた結果、最終的な方針という形で文部省の公式的な文書が出されるという、途中の経過のものを出すということはあり得ると思うわけであります。
#48
○宮之原貞光君 そういたしますと、これで聞きますけれども、何か意見を聞いて、後からまた正式の指導、通達を出されたんですか、どうですか、今度はいまの管理局長に聞くけれども。出されたのなら、これとこう変わっておりますというものをちょっと資料を出してくれよ。
#49
○政府委員(阿部充夫君) 本件につきましてはその後通達等をしたことはございません。
#50
○宮之原貞光君 出したことはないということは、これが文部省のやはりこの法律案に対するところの正式な見解だと、こう受けとめられるのはこれは当然でしょう、常識的にはね。どうですか、その点。
#51
○政府委員(阿部充夫君) いずれにいたしましても、この時点におきましてこういう資料を配付し、この会議で文部省の考え方として説明したということでございます。
#52
○宮之原貞光君 それから内容の問題ですが、あなたいろいろ弁解をされておりますけれども、いわゆる補助金の返還の問題は第五問の答えに書いてあるんです。いわゆる「経常費補助の目的からみて、補助金の返還を求めるべき性格のものでないと考える。」と、はっきり出しているんですよ。だから、それに至るところのいわゆる前文だというふうにはこれは常識では考えられませんよ。
 しかも、あなたに私は解釈を聞いたんですけれども、法律というのは、附則にあるから軽くて、本法のどこかに書いてあるから重いんだという解釈をしなきゃいかぬのですか。私はそういうふうに理解しておらぬですけれども、そんなものですか。
#53
○政府委員(阿部充夫君) 法律の条文につきましては、本則か附則かということについて、その効力に差はないと思っております。
#54
○宮之原貞光君 これは常識ですわね。それをあなたは、法律の本文上でなくて法律上の付加的事項であるから、少し軽かったから書いてないなんて――当時の提案説明の記録があるでしょうが。いわゆる幼稚園教育の発展振興ということとあわせて法人化を促進するためのものがこの法律の目的ですよと、こう説明をし、今度の改正案の説明もちゃんとそう出ておるんですよ。それを先ほど、非常に積極的に指導しましたと言いながら、こういう物の言い方はきわめてあなた方の姿勢が、法律は法律、自分たちは自分たちとして、まさに官僚がひとり歩きするところの姿ですよ、これは、何と申し上げようと。どう言おうともきわめてこれは不適切であったということば事実でしょうが。
 大臣、いま相互のやりとりを見てそう感じませんか。これはやっぱり正しいものだったでしょうか、どうでしょうか、大臣。大臣の見解をちょこちょこっとお聞かせ願いたいんだなあ、これ。
#55
○国務大臣(小川平二君) 御指摘のある文書の性格につきましては、先ほど局長が答弁申し上げたとおりでございます。そのようなものと御理解をいただきたいと思います。
#56
○宮之原貞光君 いまの話に答えてくださいよ。
#57
○国務大臣(小川平二君) 率直に申し上げまして表現として若干十分でない、舌足らずの点があったことは認めないわけにまいりません。
#58
○宮之原貞光君 まあ、五十二年の文書ですから余りいまの大臣を追及するのもこれは当を得てないと思いますけれども、もう不適切どころじゃないんですよ。というのは、この法律案を審議したときに、さっき私紹介しましたでしょう、議事録にもありますように、当時の発議者の藤波さんはこういうことについては文部大臣も確認をして二つの事項をこの目的に沿ってやるんですと、だから今後も市町村を強力に指導しますと、こう言いながら、肝心のお役人の皆さんはこういうふうに骨抜きの指導をされておるんですよ。――いや、こればかりでないですよ。
 これもう一つお聞きしますが、日私幼要覧の五十六年度版に「経常費助成費補助金の基本的事項について」というのが出ておるんです。五十二年の二月一日と書いてありますね。日私幼と書いてある。との前文に「文部省(管理局企画調整課)、大蔵省(主計局法規課)、内閣法制局、衆・参両院法制局の間で、次のとおり、合意されているのでお知らせします。」と、こういう前書きで文書が紹介されておるんですがね。
 これ管理局長聞きますけれども、この文書はおたくの所管のいろんな団体ですから知らぬとは言わぬと思いますが、これは合意された事項ですか。まずそのことから聞きたい。
#59
○政府委員(阿部充夫君) この資料につきましては日私幼という団体でまとめられた資料だと存じまして、私どもとしては承知をしておらないものでございます。
#60
○宮之原貞光君 そうすると、この中身は合意しておるの、しておらないの。中身、あなた持っておるでしょうが。あるでしょうが。冒頭に「合意されているのでお知らせします。」と書いてあるんだよ。合意の事実がなければ、これは日私幼で偽造したものとしか言えないんだよ。もし合意したものだとするなら、そのとおりじゃありませんか。どうなんですか。まず、中身じゃなくて、手続の問題で聞いておる。
#61
○政府委員(阿部充夫君) こういう文書を関係の行政機関の間で合意したということはございませんので、恐らく、これは想像でございますけれども、日私幼の関係者が各省をいろいろ訪ねて回った結果をまとめたものではないかというふうに理解をいたしております。
#62
○宮之原貞光君 そういたしますと、この文書は合意したものでないということは、これははっきりしました。そうすると、残念ながらこれは日私幼さんの要覧には誤りがあるということは明確でございますね。
 さて、いまのお話を聞きますと、あなたのお話では各省回って確かめたことだということですから、こういうことは文部省はそれでいいということで指導されたんですかね。いろんなのがありますけれども、「補助金の性格について」という項目のロ、「したがって、学校法人にするため(なるため)のものではないのである。」、こう出ておるんですよね。これ合意事項でないことはわかりましたけれども、それは関係者が聞きに来たときには、文部省としてはそういう指導をされたのですか。そういうことになりますね。ちょっとその点はっきりしてくれよ。
#63
○政府委員(阿部充夫君) 恐らく当時口頭で質問等があり、お答えをしたというようなことはあろうかと思いますので、この字句の一々について私ども承知をしておるわけではございません。
 ただ、先ほども申し上げましたように、学校法人にするという義務が法律上加えられておるわけでございますが、しかし経常費助成自体の目的は教育条件の維持向上等ということでございますので、そういう趣旨のことをお答えをしたことはあろうかと思います。
#64
○宮之原貞光君 それで、端的に聞くのだけれども、これは間違いなのかそのとおりなのかということを聞いておるんだよ。いろんな修飾を抜きにして、こういう指導の物の考え方はどうなんですか。
#65
○政府委員(阿部充夫君) 学校法人にするということは、この附則二条の規定の根底に横たわっている考え方でございますので、この表現では誤解を招く面があるのではないかと思います。
#66
○宮之原貞光君 いや、誤解を招くことと誤りとは大分違うよ。どっちなんだ、それ。もう一回聞かせてくれよ。
#67
○政府委員(阿部充夫君) 法律上、制度上考えますと、直接目的をしているとまでは言い切れない部分があろうかと思いますので、そういう点でこの表現は舌足らずの面があるだろうということを申し上げておるわけでございます。
#68
○宮之原貞光君 これは重要な問題ですよね。これ衆議院の四月十三日の議事録を見てみますと、発議者の西岡さんは、この問題について、「法人化のためのものではないという点は明らかに誤り」ですと、こう言っておる。それから、あなたの前の局長の管理局長は、本法にその表現がないが、補助を受けた幼稚園が附則二条五項により学校法人化の義務を負うことは変わりございませんと答弁しておるんですよ。これは誤りじゃありませんか。「学校法人にするため(なるため)のものではない」というのは、これは誤りじゃありませんか。誤りは誤りと認めなさいよ、あなた方は。だから今後の指導に大きな問題を起こすんですよ。これが適切と言えますか、あなた。もしあなたが、だと言うならば、前の局長の見解と文部省は違うということになる。発議者もはっきりこれは誤りだとおっしゃられておる。どうなんですか、それは。
#69
○政府委員(阿部充夫君) 前局長からもお答えしておりますし、私からもお答えしておりますけれども……
#70
○宮之原貞光君 君の答弁と違うんだよ。
#71
○政府委員(阿部充夫君) 法人化をする義務を課したということについてはそのとおりでございます。
#72
○衆議院議員(西岡武夫君) 私から付言させていただきます。
 このときの立法の趣旨はあくまでも私立の幼稚園を振興するということが基本的な目的であって、その方向として学校法人化されることが、これが基本であるということをこの法律の中ではうたったわけでありまして、先ほど来管理局長からの答弁にあります意味は、この立法政策の目的は学校法人化を誘導するということ、誘導策がこの立法の趣旨ということではない、目的ではない。しかし、この財政援助を行うということを前提として学校法人化が図られなければならないという方向が示されているということを局長は答弁されている、このように私どもは考えております。
#73
○宮之原貞光君 私どもに配られたところの提案説明の公式文書は、率直に申し上げて、五十年のときも今度のときも変わらぬのですよ。この趣旨は、いわゆる幼稚園教育を振興、発展させるために助成をやりますと、あわせていわゆる学校法人化を促進するためのものですよと、こう言っているんですよ。それが違うわけですか、その提案説明とは、皆さんの本旨は。だとするならば、二つの目的があるということは明白なんでしょうが。どちらが主でどちらが従と私は申しません。あわせてというのは、法律用語では二つの目的がありますよと、こういうことなんですよ。違いますか西岡さん。どうもあなたの補足は、そこは幼稚園の法人化の問題はきわめて肩の荷が軽いんだと言わんばかりの説明なんですが、どうも私は皆さんの提案説明から見ると違うんで――そうならこれは審議できませんよ、私どもに説明していることと違うんですから。
#74
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 衆議院の審議でもその点の御質問がございましてお答えをしたわけでございますが、この法律が求めているものは学校法人化であるということは、これは御指摘のとおりでございまして、それはいささかも御質問の趣旨と私どもの答弁とは違っているところはないわけでございます。衆議院の論議を通じまして申し上げましたのは、この法律の目的としているところは、先ほども触れましたように幼稚園教育の振興ということを目的としているわけでありまして、同時に、そのためにも学校法人化されることが方向として正しいわけでありますから、そのことをここで求めているということで、何ら御指摘の点と私どもが申し上げているところとは相違するところではないわけでございまして、一つ一つを区分して申しますと、先ほど局長から答弁がありましたような形になって誤解を招くおそれがなしとしないということは認めざるを得ないわけでございます。
#75
○宮之原貞光君 私は、昔の文書を穴をほじくって聞く気持ちから言っているんじゃないんですよ。問題は、やはりこの法律の趣旨、ねらい、これはやっぱり法案が議員立法といえども成立すれば法律ですから、行政府もやってもらわなければ困るんですよ。先ほどから何回も申し上げているように、そういう趣旨に立つとするならば、文部当局はむしろ法律以上にこの法人化というのを積極的に促進するという立場にあるのが当然でしょうが。けれども、先ほどの課長会議に出したところの文書、あるいはこの要覧で紹介しましたところの指導文書、こういうものを見ると積極的な姿勢がうかがえますか。僕はこの点は西岡さんの方でも文句言ってもらわなければ困ると思っているんですよ。われわれの立法の趣旨と違うじゃないかと、こんな逃げの姿勢でどうするんだと、これがあってしかるべきではないでしょうかね。
 こればかりではありませんよ。たとえば一つの問題は、なぜこの幼稚園の法人化が進まないかという問題と関連をいたしまして、七年前も問題になったんです。そのときに、参議院におけるところの発議者の藤波さんはこう言いましたよ。いろんな要素があるけれども、せっかく法人化をしたと。その翌年に隣の方に公立の幼稚園ができるということになると、これは法人立の幼稚園はつぶれざるを得ないと。そういう不安もあるので、いわゆるそれぞれの国公私立の幼稚園の適正配置ということはこの法案の趣旨を生かすためにもきわめて重要でございますと、したがってこの適正配置については十分強い姿勢で各県市町村等を通じて指導していくということを文部大臣は確約しておりますと、こういうことを言明されておるんですね。
 ところが、いま二つほど指摘しましたところのこれから見て、このこともさることながら、たとえばいま申し上げたところの具体策の、じゃそれぞれの府県がイニシアをとってやるところの連絡会議は一体このためのどういう機能をしておるんだと、幾つぐらいありますかと、こうなりますと、衆議院の答弁から判断されるのは、まだ十六県が置かれておりません、まだ計画中のものが二県ありますと。もう法律が歩いてから六年も七年もなるのに、肝心かなめの法人化を促進するための重要な要素であるところの適正配置の問題について県が積極的に指導するような行政指導を果たしているのかと疑いたくなるんですよ。あなたどう思いますか、十八県もまだできてないんですよ。これは、それは府県のやることですと、こう逃げるわけに私いかぬと思うんですよ。いや、それは認可権が知事にありますから私どもは指導文書しか出せませんという、こういう逃げの姿勢でこういう法案の精神が生かされますかね。私は、起案者の、あるいは発議者の西岡さんなりその他の皆さんが一番文部省を叱吃激励してもらわなきやならぬと思うのだけれども、事ほどさようにそうじゃありませんか。適正配置のためのこの連絡協議会の設置の問題もまだ受けておりません。しかもこの中には、御承知のように、秋田も東京もあるんですよ。だからそれは促進されるはずですよね。あるいはその公立との適正化というやっぱり不安を除かなきゃならぬわけですから、隣に公立ができたらおれのところつぶれてしまうと、これでは法人化どころではないやという不安がありますよ、これは。それを指導するのが文部省の仕事でしょう。これは一事が万事なんです。それだけに、私は、せっかく三年に延長してみても、いまのような文部省の逃げの姿勢――まあ私もいろいろ仄聞をしておりますよ。この問題についてはおたくの中でも、与党の中でもさまざまの議論があるということも承知をしております。さらにまた、それぞれの政治勢力もあるということも承知をいたしております。しかしながら法律ができたらその法律の趣旨に沿って努力をするというのが行政当局の責任じゃないでしょうか。だとするならば、私から指摘されたような問題を今後は努力をするということだけでは済まされぬと思うんです。それだけに、後から聞きますけれども、三年延ばした後はまた再び延ばしてくれと言ってくるのじゃありませんかという疑念を持つのは私一人だけじゃありませんよ、おたく以外の各党みんな持っているんですよ。それは文部省の指導姿勢がきわめて消極的なんです。あっちこっち見て政治的配慮が強過ぎるからなんですよ。これではちょっと私は、幾ら三年延長したってまた同じことが出てくるとしか思えません。西岡さんはその三年の間にこうするのだという構想をお持ちのようでございますけれども、それは後からまたゆっくり聞かしていただくにしても、こういう行政府の指導姿勢で一体どんなもんでしょうかね。過去五年間振り返って、これでいいと言えましょうかね。そのことに対する発議者の所感と、いま私が指摘をしたところの問題は今後のまた文部省の指導姿勢とも関係ありますから、これはまた現職の大臣がどういうようにお感じになっているか、お二人からそれぞれひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
#76
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 宮之原委員御指摘の文部省の指導が十分でなかったではないかということにつきましては、一〇〇%文部省が責任をとってこれを進めていくんだという状況でないということもあり、また現実に都道府県に対する行政指導というものを行うわけでございますから、結果として文部省の指導がもう全くやる余地のないほど十分行われたものであるとは私も率直に申し上げて思われない。しかし、現実にこの法の延長が論じられている間、すなわち五十六年度中に学校法人化が行われておりますのは三百十四の園において行われているわけでありますから、そういう意味での努力というものも一方においては着実に行われてきているということもお認めをいただきたいと思うところでございます。
 したがいまして、もう一つの御質問であります再延長という問題、三年たってもまた同じではないかという御指摘でございますけれども、この三年間にさらに文部省にも強い行政的な指導をしていただきまして、相当の学校法人化が期待されるとこのように考えておりますし、三年後に再延長をお願いするということは提案者としては全く考えていないところでございます。
#77
○国務大臣(小川平二君) 学校法人化の促進につきましては今後も鋭意努力をするつもりでございます。そのために国公私立幼稚園の適正配置が必要であることは御指摘のとおりでございます。連絡協議会を設置しておらない府県におきましても適正配置ということは十分念頭において指導をいたしておることと存じておりますが、協議の場でありまする連絡協議会の設置につきましては今後都道府県を指導して促進をいたしてまいるつもりでございます。
#78
○宮之原貞光君 西岡さんの御答弁は、衆議院では、議事録を拝見する限りは、きわめて積極的に、過去の行政府の努力の不十分さ、こういうことも端的に指摘されておったんですが、どうも参議院に来られるとこう御答弁がトーンダウンをしておるんですね。これは私の感じですけれどもね。あなたは一番与党の文教行政に影響力を持っておる方ですけれども、足らぬところは足らぬと、僕らの目の前でも、やっぱり当局にきちっと言っておいてもらわぬと困りますよ。そうせぬで、いつまでもあなたまで文部省の肩持ちばかりされたんでは何のためかということになる。議員立法に対するところのあなたの情熱、あるいはまたこの三年間のあなたの情熱はいまから聞きますけれども、それを物にしようと思えば思うほど、これは大事なことだと思いますよ。その点だけは感想として私失礼ですけれども申し上げさしていただきます。
 これ大臣ね、いまもいろいろお尋ねしてお聞きしたように、この問題についてはたくさんのいわく因縁があることは私も承知しておりますけれども、やっぱり行政当局としては決まったものを、その趣旨を生かして積極的にやるというこれがあってこそ、私はまた国民の期待にこたえるところの政府になると思うんですよ。その点は、言外の大臣の決意も私わからないでもございませんので、うんとひとつ、いろいろ積極的な省内の指導をしてくださいよ。
 それで、もう一つまた関連をしてお聞きいたしますけれども、これ衆議院でも問題になったんですけれども、この百二条の問題、それから憲法八十九条との関連ですね、このことについても、これは行政当局として、どこに本旨があるんだということを、いま申し上げましたところの質問との関連の事項でも、私はやはりわきまえておいてもらわなきゃならないと思うんですがね。
 そこで、まずお聞きいたしたいのは、憲法八十九条とこの助成法との関連性の問題なんです。
 御承知のように、憲法八十九条は、巷間では、最近では市町村の忠魂碑への公金支出の問題とかかわったところのいろんな訴訟問題が起きているところの条項の問題ですがね。これは中身は御承知だと思いますけれども、この八十九条の後段はこれはやっぱり教育とも関連があるんですよ。御承知のように八十九条、ちょっと読みますと、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と、こういう条文がありますわね。この後段の問題については、衆議院の文教委員会でもこの解釈についていろいろやはり議論のあったところでございますけれども、私が先ほど具体的に指摘をいたしましたところのこの指導の消極性ということから関連をいたしますと、皆さんは、これは法律がいわゆる法人化されてないところの幼稚園にも補助することになっておるんだからこれは構わないんだと、憲法とこの法律とのかかわりはないんだと、こういうふうに御理解をされて、おるんじゃない、だろうかと思う。私は、その点は憲法の本旨というものと法律とのかかわりの中で、法律にあるからこの問題については何ら考慮しないでいいんだ、こういうふうに理解できるだろうか、どうだろうかと疑問を持つ者ですがね、その点どういうお考えですかね。これは管理局長かな。
#79
○政府委員(阿部充夫君) 憲法八十九条と私学に対する助成との関連でございますが、先生のお話にもございましたように、憲法八十九条では、公の支配に属しない教育の事業に公金を支出してはならない、こういうような定めになっておるわけでございます。公の支配に属するか属しないかというところがこの判断のメルクマールになるわけでございます。
 私立学校につきましては、学校教育法それから私立学校法、私立学校振興助成法で各種の監督規定が設けられておるわけでございますし、それからただいま御指摘のございました個人立等の幼稚園の場合でも、これが助成を受ける際には私立学校振興助成法の関係の監督規定の適用があるということになるわけでございますので、私どもといたしましては、これは公の支配に属している事業だというふうに理解をし、したがって憲法上の疑義はあるとは考えておらないわけでございます。
#80
○宮之原貞光君 それは、皆さんの根拠は、この五十年にこういう法律が決まったからという物の考え方でしょう。本当はこれは非常にこじれていけば、一つの行政訴訟というか、大きな訴訟上の問題に私は発展しかねないと見ておるんですよ。
 大臣はこういう違憲判決の事例を御存じですかね。立法不作為の違憲判決の事例、御存じでしょうか。これは、公選法の改正の中で、かつていわゆる議員提案で在宅投票制を明確な合理的理由もないのに禁止したんですよ。これが大きな問題になりまして、訴訟事件に発展しまして、そうして、地裁、高裁で違憲判決が出ておる。この違憲判決の問題の趣旨は、国会の立法など、国会議員の国会に対する発案権は全く無制限的な自由裁量にゆだねられるものと解するのは不当であります、あくまでも憲法を頂点とする現行法秩序の許容する範囲のものでなければなりませんよ、こういう判断から、いわゆる基本的な権利の一つであるところの投票権を、いわゆる病人だから、障害を持っておられるからということで、かつてあったところの在宅投票制というのを禁止したことがある。立法した。これに対して出されたところの問題なんです。これは、私どもから見れば、百二条とも関連をいたしますけれども、あくまでも当面の課題のいわゆる問題であって、本質的にはやはりみんな学校教育体系の中では法人化してもらわなきゃならない。それに対してこそ公の助成をするのが筋なんだ、ここのところを皆さんはきちんと踏まえといてもらわぬ限り、これはこういう訴訟問題にも出てきて、「当分の間」が当分の間じゃなくて、一世紀にも二世紀にもなったというか
 つこうになると、これはとんでもないことになりますよ。こういう問題を、この問題は単に法律があるからよろしゅうございますと胸を張っといて答えたんならば大変なことになりますよ、こういうことだけ私は警告申し上げておきたいと思いますよ。
 それだからこそ、やはり「当分の間」とかいう百二条の問題にしても、この問題にしても、鋭意努力をして、教育基本法六条なり、学校教育法なり、私立学校法の本旨に沿ったような形に行政府は努力をしていただく、そのためのやはり法人化の問題ということは大きな積極的な課題であるということをどうしても理解しておいてもらわなきゃ私は困ると思うんですよね。その点、大臣のちょっと御所見を伺わしてもらいたい。
#81
○国務大臣(小川平二君) ただいま引用なさいました判決の趣旨は、私も十分理解をいたします。また、御意見につきましては御同感でございますので、御趣旨に沿うような方向で指導をしてまいるつもりでございます。
#82
○宮之原貞光君 時間の関係上、先を急ぎますが、ちょっと論点を変えて申し上げます。
 この学校法人化がなかなか進展をしないたくさんの要因があると思うのでありますが、私、衆議院におけるところのいろんな御答弁の中から大体想像はできますけれども、進まないところの大きな問題点は何かという理解、認識に立っておられるか、これは発議者とあるいはまた文部当局からそれぞれひとつお聞かせ願いたいと思います。
#83
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 中心的な幾つかの理由を簡潔に申し述べてみたいと思います。
 一つは、やはり学校法人化のための基準にどうしても達しないという園が残念ながら存在をしているのではないか、なりたいと考えているけれども、なかなか実際問題としては基準に達することができないということが、これが一般的な、基本的な法人化が行われていないという理由であろうと思います。
 もう一つの問題は、先ほどもちょっと触れたわけでありますが、先々の幼稚園の経営に対して、就学前児童数が非常に減ってきている。大体、ここ数年来、年間就学前児童数全体の数で申しますと、四十万人前後、ずっと減少をしていっている、そういう状況の中で、将来の幼稚園の教育、幼稚園の経営に対しての不安がある。出生率等についても、厚生省の予測よりははるかに出生率というものが低下をしてきている、こうしたことも大きな理由の一つであろうと思います。
 もう一つ、このことと関連をいたしまして、昭和四十六年に出されました中教審の答申の中で、義務教育の年齢を引き下げるということが一つの学制改革の方向として提示されているということもございまして、満五歳から義務教育化が行われるのではないかという不安が幼稚園関係者の中にかなり根強く現に存在をしている、こうしたこと。
 このことと関連もするわけでございますけれども、冒頭に申し上げました現在の人口動態が非常に変化してきているという中で、これまで以上に保育所との関係というものも幼稚園の経営の将来に大きな不安を与えている。これがすべてではないと思いますけれども、多くの理由の中での主な学校法人化が進まない理由は、以上挙げましたところにあるのではないか、このように提案者としては考えております。
#84
○政府委員(阿部充夫君) 法人化できない理由につきましては、ただいま西岡議員の方から大筋お話があったとおりであろうかと思っておりますが、若干統計的に申し上げさせていただきますと、五十七年三月末で期限切れになりました四百八十園につきまして、具体の事情を調査いたしました結果でございますけれども、多いものから順番に申し上げますと、幼児の減少期を迎えまして今後の経営に不安があるというあたりを不安に思っておりますものが百五十四園ということ。それから、法人化につきまして、宗教法人あるいは家族等の同意が得られないというものが百三十八園。それから、用地の取得等につきまして地主の交渉が難航しているとか、あるいは認可申請手続がまだ途中で、済んでいないとか、いろいろな理由がございますけれども、大きなものはただいま申し上げたようなことになっておるわけでございます。
 基本的な事情というのは、西岡議員のお話のとおりであろうかと思います。
#85
○宮之原貞光君 いろいろ進まないところの理由について御答弁いただいたわけでありますが、私も、いま御指摘いただいたところの問題点は共通の問題だと思います。特に、児童の減少という中において今後の幼稚園教育をどうするかという、単に経営上の不安から見てもそうでしょうけれども、そういうところから、後ほど西岡さんからいろいろ説明があると思いますけれども、三年間の一つの大きな課題というような問題に発展をしておるとも思っておるわけでございますが、いま列挙されなかった以外にも私は非常に大きな問題点があるというふうに見ておるんですよ。
 ここに、これは「全法幼時報」ですが、ことしの二月のものですけれども、皆さんは皆さんで、何かこの文書の説明を見ますと、各府県の関係者からずっと聞いて挙げられたようでございますけれども、この学校法人化の阻害要因として考えられるところの事項、この第一は「土地・財産等を寄付するのに抵抗がある」が三七・五%、二番目が皆さんの御指摘いただいたところの「園児減少等幼稚園経営に対する将来不安」が二七・八%、第三番目が、これも先ほどの答弁とも関連をいたしますけれども、「物理的条件で財産等を寄付するのが困難」、いわゆる宗教法人とか家族の同意云云というところでしょう、これが一五・三%、「設置基準上の条件を満たしていない」が一一%、「その他」五・六%、さらに「学校法人制度に対する誤解・認識不足」が二・八%という集計をしておるわけでございますが、まあそれはそれぞれのアンケートのとり方でございますから、どっちがいや一番だ、二番だとは私は申しませんけれども、皆さんの御答弁の中で落ちておるところの寄付に対するところの心情的な抵抗感というのはあるんじゃないでしょうか。皆さんは非常にりっぱな方々ばかりですから、性善説に立っておられるからそういうことをおくびにも出されていないけれども、まさにこれは人間性の持つそのままの本音を私は出しておるところだと思うんですよ。それだけに、やはりこういうことに対してどう対応すればいいかということも、私は今後の問題点として大事だと思うんですがね。ただ、皆さんがおっしゃっただけのきれいごとだけでは済みませんからね、これ。そこの一番言うに言われない心情のところはどこであるか、本音のところを皆さんは指摘し、これはこうこうしよう、こうすればいいじゃないか、こういう方途を編み出してもらわぬことには、私はなかなか学校法人化というものは、それぞれの皆さんの経営者の立場に立てば、やっぱり抵抗出てくると思いますよ。したがって、この点は、頂門の一針とは申しませんけれども、やっぱり皆さん関係者が十分考えながら対応していただきたいものだと、こういう点をこの機会に私申し上げておきたいと思います。
 そこで、本改正案の目的ですが、これは西岡さんの御発言、特に四月十六日の発言は非常にさまざまの議論を呼んだようですね、この議事録を拝見する限りにおきましてはね。これはわが党の中西議員なりあるいは公明党の鍛冶議員の方からも、この西岡さんが後者の方に非常にアクセントを置いて説明されておることからなんでしょうけれども、なおまた議事録を拝見する限りでは、提案説明にも若干消してあられたところの部分がいみじくも西岡さんが本音として言ったことらしいんだけれどもね。しかしいろいろありますけれども端的にお聞きしますが、つづめて言えばこういうことになりますかね、あの議事録を拝見いたしますと、おたくと鍛冶さんとの問答の中で、「端的に申しますと、仮にこの三年提案されているのが通過するといたしますと、もう三年限りで、提案者としては後は一切延長等は考えていないということですか。」と。西岡さんが、「結論から申し上げますと、そのとおりでございます。と申しますのは、少なくともこれから三年間の間に、幼児教育のあり方、幼児教育についての行政のあり方、幼児教育機関の設置の形態のあり方、父兄負担のあり方、こうしたものについて一つのきちっとした方向というものをつくり上げることができなければ、これはやはり行政の責任であり政治の責任であると考えておりますので、提案をいたしました自民党といたしましてはこれは再延長は考えていない、このようにお答えを申し上げます。」、こう述べられておる。同時に、鍛冶さんが「そうしますと、本法案についてはそういうことで私も了解いたし、確認をいたしておきますが、別の観点から根本的に幼児教育」云々と、いわゆる西岡さんが、今後幼児教育の問題についてはこの猶予期間の三年間に本格的にいろいろやりたいと、こうおっしゃっておるんで、法案そのものとの関連で言えば、三年後はもうできょうとできまいとこの法案はこれで終わりですよと、これはもう明確ですね。そういうように理解しておいてよろしゅうございますか。
#86
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 そのとおりでございます。
#87
○宮之原貞光君 それで、私がお聞きしておきたいのは、西岡さんのこの三年間におけるところの今後の幼児教育と申しますかね、これに対しますところの、それはまあ聞くところによりますと、衆議院の方もこの幼児教育の小委員会をつくられるようですからね。そこで各党それぞれ知恵を持ち寄っていろいろ議論することだと思いますがね。ただ、何といってもこの問題の中心は実力者のあなたですから、あなたはまたこの問題についていろんなところでもいろんな御意見を出しておられるんですが、そのあなたの出しておられるところの中で教育クーポン制というのがありますね。そこのところの問題を、少しあなたの構想を、これはざっくばらんな話ですけれども聞かしてくださいよ。それはいま言ったからといって揚げ足を取ろうという気持ちで決して申し上げておるんじゃないんで、これは少なくとも、先ほどちょっとあなたも言われたように、いわゆる日本の場合、幼児教育という教育的な立場のものがある、福祉施設という関係からの保育所というのがある。それはそれぞれ所管は違います。しかし、実際の運営というものを見ていると非常に両者接近をしておる部面がないでもない。一体このままでいいのかということから一元化の問題も議論として出ておりますわな。また、その問題と関連して、ならばいっそのことそれぞれの父母の好むところにこの問題は処置したらどうか。とすると、補助費、助成のところを見ると、片一方は福祉施設だから市町村まで国の補助というものが非常に行き届いておる、片一方の幼稚園はなかなかそうもいかないというところの面がある。いわゆる全体の幼児教育というものから見ると、一体そのあり方をどうするのかということから恐らくまああなたはクーポン制の問題を出しておられるんじゃないだろうかとも推測をするわけでございますけれども、いずれにいたしましてもこの問題は避けて通ることのできない重要な問題であることは私ども承知をいたしておりますから、この法案と離れた中でちょっとそこらあたりのものを、まああなたに講演を願うわけじゃないですけれども、あなたの見解というのを一応ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
#88
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 ただいま宮之原委員御指摘の問題は、実は現在私ども自民党の党内に幼児問題調査会というものが設けられておりまして、この機関でこれから議論を積み重ねていくという段取りになっておるわけでございまして、私自身個人的に一つの考え方を持っているということは御指摘のとおりでございますが、自民党として、自民党の文教部会として、あるいは幼児問題調査会として、この問題を、議論を具体的にしたということはいままでにまだないわけでございます。そういうこともございまして、この公的な場で党の中での議論を経ていない私の個人的な考え方を申し述べるのは差し控えるのが適当ではないかと考えますので、お許しをいただきたいと思います。
#89
○宮之原貞光君 それはなかなか慎重な態度でよくわかりますが、それでは質問をいたしますが、先ほど私が申しましたところのいろんな問題から見て、日本の幼児教育のあり方というのが曲がり角に来ておるということはこれは事実なんで、そこで、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、アメリカのある州で採用されておるそのところの問題、クーポン制の問題、その問題についてはどういうふうにあなたは受けとめておられますか。それならいいでしょう、質問なんだから。
#90
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 この問題は、まあいろいろな要素があるわけでございますけれども、何と申しましても、家計の負担というものがそれぞれの所得に応じて一定の範囲内である程度は公平でなければいけないということが、これからの幼児教育についての行政の基本的に考えていかなければいけない問題であろう、このように考えます。そういう意味において、ただいま宮之原委員の御指摘の新しい試みは一つの形ではないだろうか、このように認識をいたしております。
#91
○委員長(片山正英君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
#92
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、私立学校振興助成法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○柏原ヤス君 初めに教科書問題について若干質問させていただきたいと思います。
 中国が大臣の訪問を拒否してきたわけですが、これは、検定説明で理解されると楽観していた政府に、予想以上に事態が深刻であるということを理解させたと思います。私は、ここで政府も思い切って措置を講ずる必要があると思います。その点いかがでしょうか。そうしない限り、事態はますます深刻化してしまうと思います。この点をお伺いいたします。
#94
○国務大臣(小川平二君) 日中両国の間の友好親善関係、あるいは相互の信頼関係をますます強めていかなければならないこの時期に、今回のような不測の事態と申しますか、思いがけない状況が出てきたことにつきましては、私もまことに心を痛めております。
 このことに関連をいたしまして、訪中をしばらく見合わせてほしいという中国政府からの意思表示があったわけでございますが、けさほど宮之原委員に答弁を申し上げましたように、私自身も、今日のこの状況と申しますものは、訪中にふさわしい関係、環境、雰囲気ではないと考えておるわけでございます。私といたしましては、全力を挙げて、わが方の立場、わが方の真意について理解を求めまして、問題を解決した後において、晴れ晴れした気持ちで訪中をしたいと、こう考えておる次第でございます。
#95
○柏原ヤス君 中国側は政府に、改ざん部分の是正、すなわち再検定を強く求めております。大臣はこれにこたえる用意があるかどうか。文部省は、改めて検定の説明をすると言っておりますが、さきの説明内容、方法、これをどう改めて説明していくつもりか、具体的にお示しいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(小川平二君) 私はちょっとお言葉が聞き取れずに失礼いたしますが、改善とおっしゃったんでしょうか、改ざんとおっしゃったんでしょうか。
#97
○柏原ヤス君 改ざんです。
#98
○国務大臣(小川平二君) 改ざんというお言葉でございますると、文部省は歴史の改ざんを意図したつもりは全くないのでございます。どのような理由で指摘されておるような事項について改善意見を出したかという御質疑でありますれば、詳細にその事情を御説明もいたしますが、そのような意図は全くないのでございますから、あくまで当方の真意を説明することによって先方の理解を得たいと、その努力をしたいと考えております。
#99
○柏原ヤス君 改ざんの問題についてはわかりましたが、文部省は中国に対して改めて検定の説明をすると、こう言っていらっしゃるわけですね。で、さきにも検定の説明をなさったわけでしょう。それじゃ、その説明の内容、方法、これを同じことを繰り返していたのでは中国を納得させることはできないと思います。そこで、その説明内容をどう改めるかと、そこをお聞きしたいわけです。
#100
○国務大臣(小川平二君) わが国の検定制度の仕組み、あるいはまた検定に臨む政府の基本姿勢ということについては、先般文部省に王暁雲公使を招致いたしまして初中局長から詳細に説明をいたしたわけでございます。しかるところ、文部省は責任を民間企業に転嫁しているというふうに受けとめられておるようでございます。したがいまして、まだまだ当方の努力すべき余地が広範に残されておるという印象を持っておるわけでございますが、しからば同じ問題について改めて大使館の当局に対して説明をするのが適当であるかどうか。何分、事はすこぶる慎重を要する問題でございます。何としても日中の友好関係を大きく損なうような結果にしてはならないと考えておりますので、どのように対処していこうかということにつきましては目下外務省とも相談をして検討中でございます。
#101
○柏原ヤス君 いま大臣がおっしゃったように、広範に残されておる問題があるとおっしゃったんですね。その広範に残されておる問題は何なのかと。これは、その会に御出席なさって御説明なさった局長さんにお答えいただきたいと思います。
#102
○政府委員(鈴木勲君) 私が中国の王公使とお話しいたしました大要は、第一に、教科書検定制度、検定教科書の問題について中国におきましていろいろ議論があり、これについて日中友好の関係が損なわれることがないことを憂慮している。第二に、日本の教科書検定は客観的かつ公正であり、適切な教科書をつくるという見地から最善の努力を尽くしておりますけれども、中国からの意見につきましては謙虚に耳を傾ける。第三は、この際、わが国の教科書検定制度の仕組みにつきましてぜひ御理解をいただきたいということで、わが国の教科書検定制度が、国定制度とは異なりまして民間の発行者が著者に依頼をいたしまして多種類の教科書がつくられるわけでございますが、その教科書につきまして、文部大臣が国の教育を預かる立場から、教育の一定水準の維持あるいは教育的な配慮という観点からのその内容に一定の審査をいたしまして、その際、審査の方法といたしましては、修正意見という形で強制力を伴うものもあり、あるいは改善意見という形で強制力を伴わない指導助言的な性格を持つ意見もありますけれども、そのような検定意見を付することによりまして、教科書の内容が適切に行われるような配慮をしている。その際、文部大臣におきましては、その検定に公正を期する見地から、学識者、小中高等学校の教員等の教育出身者等から成ります教科用図書検定調査審議会の専門的な意見を聞いて、それに諮問をして行っておりますというふうな仕組みを申し上げまして、個々の検定についてのいろいろな問題はこの制度の中で起こっている問題でございますというふうな説明をまずいたしたわけでございます。
 また、日中友好条約の精神、日中共同宣言の趣旨につきましては、これは終始変わっておりませんので、現代社会の教科書等におきましても、日本史の教科書におきましても、世界史の教科書におきましても適正に記述をされておるという見地から、一貫して教科書の全体をごらんいただきますならば、そのような日中友好の精神を損なうような記述を検定によって文部省が考えているということはないのではないかということで御理解をいただけるであろう。また、今後の学校教育全体を通じまして、日中友好の精神、日中共同宣言の趣旨にのっとって友好と親善を深めていくことが大切であるというふうに考えているというふうな趣旨をるる申し上げて説明をしたわけでございます。
#103
○委員長(片山正英君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#104
○委員長(片山正英君) 速記を起こしてください。
#105
○柏原ヤス君 局長も中国の方に説明をなすったんでしょう。説明した後の話し合いですよ、きょうは。ですから、中国の申し出に対しては相当真剣な態勢で、何とか理解をしてもらいたいという熱意と誠意を込めて話されたと思うんですよ。それでもなおかつ納得していただかなかったわけです。ですから、大臣は、残された問題があると、それは広範の問題だと、それについてはより真剣に取り組むと、こういうふうに受けとめているわけです、私も。それを、局長はぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ――本気で取り組んでいるのかどうなのかと、この言いたいような、何だかおっかなびっくりしているみたいな、そういう態度そのものが私は残念なんですよね。納得させる自信がありますとおっしゃったじゃないですか、この前。その自信を持って説明をしたらしい報告、そして問題は広範、こういうところが残っているんだと、こういうものが受けとめられないから、私も何だか弱腰だなと、何か後ろめたいことでもあるのかと、何か納得できない。私が納得できなければ、やっぱり中国だってなお納得できないと思いますよ。私は、文部省しっかりやってくれ、文部省がんばれという気持ちで言っているんですから、やっているな、がんばっているなと、こういう気持ちを感じとりたいわけです。
 そういうものはゼロですね。それじゃだめだと思いますよ。それはむずかしい問題もあるかもしれませんけれども、むずかしければむずかしいほど私は誠意というものがなければならないし、正しいものは正しい、間違っているものは間違っていると言うだけの立場にいらっしゃるし、またそういう責任を持っていらっしゃるんじゃないんですか。
 それで、大臣にお聞きしますが、また説明をするわけでしょう。理解されなかった場合には文部大臣は何らかの責任をとりますか。
#106
○国務大臣(小川平二君) あくまで当方の立場を正しく理解してもらう努力を続けるつもりでございますから、目下のところ理解が得られなかった場合というものは想定いたしておりません。
#107
○柏原ヤス君 それならばもう一言お聞きしたいんですが、きのうの記者会見で、私はそういう再修正しないというような言い方を国会答弁でもしたことはないなんて、何か含みのある発言をしていらっしゃる。そういうところはまずいと思いますね。何かあるんじゃないかというような気持ちを持たせるような発言というのはなすべきじゃないと思います。これは再検討を考慮に入れた発言か、すでに政府部内でも再検討について検討に入っているということを意味する御発言なのですか、どうですか。
 以上で……。
#108
○国務大臣(小川平二君) 恐らく文教委員各位におかれては、わが国における検定制度の仕組みについて精通なさっておると存じます。したがいまして、一たん改善意見を入れて著作者が原稿本を訂正いたしたものをもとの姿に戻してほしいという申請をするということ、非常に困難なことだということは、いろいろ御説明申し上げずとも御理解いただいておると存じます。ずいぶんこれはむずかしいことであるに違いない。私はただいままでこの点に国会答弁等でも触れておりません。それはぜひもとに戻せというのが中国の要求でございますから、それに対してさようなつもりはございませんというような高飛車な返事をいたしたくない。いずれにいたしましても非常に微妙な場面でございますから、片言隻句にも注意をしなければならない段階だと思いますので、私自身はさような答弁をいたしておらないわけでございます。
#109
○柏原ヤス君 それでは今回の改正案について質問をさせていただきます。
 提案者にお聞きするんですが、この改正案はいかにも行き当たりばったり、現在の状況を何とかすればいいというだけの内容の法案じゃないかという感じが強いわけです。そういう点から、そうじゃないんだというものを御答弁でいただきたいので質問させていただくんですが、単純に助成の充実だから大いに結構だということでもろ手を挙げて賛成するわけにはいかない。そこで、まず提案者のお考え、基本的な理由は何ですか。
#110
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 今回三年間の延長をお願いいたしましたもとになりました個人立、宗教法人立に対する幼稚園振興のための国の助成策につきましては、五年間の期限を切って、その間学校法人化を一方において目指しつつ、現に幼児教育において大きな役割りを果たしていただいている個人立、宗教法人立の幼稚園の皆様方の幼稚園教育についての教育水準を維持向上させるというそういう目的を持って立法をしたわけでございますが、この間人口動態が非常に大きく変化をしてきている、幼稚園経営も非常にむずかしい、そういう厳しい条件のもとで学校法人化も一方においては当初予測していたよりは残念ながら進んでいない。しかし、進んでいないからといって個人立、宗教法人立等の幼稚園の存在を無視して、わが国の幼児教育というものを語ることはできないという現実を考えますときに、この機会にさらに三年間、特に時限を限ることによってなお学校法人化への施策を進めつつ、根本的に保育所、幼稚園を含めた幼児教育全体のあり方について、行政として、また政治として一つのきちっとした方向というものを出さなければならない時期に来ている、このように認識をいたしましてこの三年間の延長ということをお願いを申し上げ、この三年間の間に私どもといたしましては、自民党として当然各党の皆様方とも御相談を申し上げるわけでございますけれども、幼児教育の行政の仕組みというものをどうすべきであるかという答えを出してまいらなければいけない。そういう意味で今回の三年間という法の延長を御提案申し上げているわけでございます。
#111
○柏原ヤス君 そこで、先ほど細かい数の問題について御説明は伺いましたので省略させていただきます。ただ、これからの三年間のことを考えましたときに、一体これはどうなのかしらという心配がございますのでお聞きするんですが、まだ法人化されてない幼稚園があると、四百八十あるというふうにお聞きしました。また、その中で来年の三月、また再来年の三月、それぞれ法人化義務の期限が来るものがあると思います。その数は幾つかと、その点おわかりでしょうか。
#112
○政府委員(阿部充夫君) 今年の三月末日現在で期限が参りましたもの、つまり五十一年度から補助を受けたものが先ほど申し上げましたとおり四百八十園でございまして、全体の当初補助を受けた千九十五園に対しまして四三・八%でございます。それから、五十八年三月に期限が到来するものは三百三十六園でございますけれども、このうち百九十一園、五六・八%が現在のところまだ学校法人となってないわけでございます。それから、もう一つ先の昭和五十九年三月に法人化の期限が到来する組でございますが、これは三百二十六園でございますけれども、このうち百九十八園、率にいたしまして六〇・七%がいまだ学校法人となっていないということ、で、この法案と関連してまいるわけでございます。
#113
○柏原ヤス君 そこで、三年延長の間に、いわゆる志向園のうちどの程度法人化にたどり着くことができるかと、これはある程度実態を踏まえておられると思うんです。その見通しを示していただきたいと思います。これは提案者にお聞きするわけです。
 それからもう一点、三年間の猶予を与えればほとんど法人化されるのか、そういうふうにまたされると理解していいかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#114
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 先ほど来、宮之原委員との質疑を通じましてもお話しを申し上げましたように、法人化を目指しながらなかなか学校法人化ができないという現実の姿が存在をしていると。そうした中で、これからこの法の延長がお認めをいただけるということになりまして法が延長されました暁には、先ほど来の御議論というものも踏まえまして、文部省としてさらにこれまで以上に都道府県を通じて学校法人化への行政指導というものを適切に行っていただくということを私どもも強くお願いしなければいけないわけでありますが、そうしたことをやるということを前提として、かなりの園が学校法人化の方向を目指していただけるであろうと、これは期待を申し上げるということを申し上げる以外に、具体的にそれじゃ何園が最終的にはなるのかという見通しということについては、残念ながら具体的な数字をお示しすることは大変申しわけないわけでございますが、不可能ではないかと思うわけでございます。ただ、これまでやはり着実に学校法人化が進んできているということは事実お認めをいただけると思うわけでございまして、関係者の努力、善意というものに期待をいたしたいと、このように考えております。
#115
○柏原ヤス君 同じ質問ですが、文部省はその点どういうふうに把握していらっしゃいますか。
#116
○政府委員(阿部充夫君) 御指摘にございましたように、五十一年度から補助を受けておりますものに限って考えましても、現在四百八十園が学校法人化の措置が行われないままに残っておるわけでございます。これらの法人のこれまでの事情等につきましてはいろいろ私どもも調査をいたしておるわけでございますけれども、それぞれそれなりの努力を誠実に重ねてきておられながら、なおかつ各般の事情から法人化を実現するに至っていないという状況にあるわけでございますので、三年間の間にこれらのものが法人化をしていくということは決して容易なことではないだろうということは私どもも理解をしておるわけでございますが、しかし、それにいたしましても、私どもといたしましては、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、できる限り多数のものが法人化をし、全体の学校法人化への道を進めていくことができますように最大限の努力をさしていただきたいと思っておるわけでございます。
#117
○柏原ヤス君 その見通し、ある程度の実態というものはつかめないんですか、文部省としても。
#118
○政府委員(阿部充夫君) 大変恐縮でございますけれども、それぞれ具体にいろいろな事情を抱えておるわけでもございますので、現段階でこの程度は可能ということを申し上げるだけのデータを持ち合わせてないわけでございます。
#119
○柏原ヤス君 まあ先ほどの御答弁いただいたように、過去五年間で法人化しなかった幼稚園が四百八十あると、これは志向園として五十一年度から補助を受けたものです。ということは、私学振興助成法附則二条五項、この規定に半数近く違反しているということになりますね。で、今回の改正案は、これらの幼稚園に対してさらに三年間法人化を待ってあげますと、その間は助成も続けますということになるわけで、大変甘い措置だと、しかもそれによっても一〇〇%法人化の実現はむずかしい現状にあると、こういうことだと思います。もちろん幼稚園が幼児教育に果たす重要な役割りにかんがみまして、当分の間、学校法人以外による措置の設置を認めていると。これはやむを得ないと思いますけれども、現実に法人化するという条件のもとに国から助成を受けている以上、法人化できなければ、やはりできない幼稚園にとっては相当の理由があるからできないんであって、その点どういう分析をしていらっしゃるか。その分析の上からさらに延長するという判断をされたと思うんですけれども、その御説明を提案者にしていただきたいと思います。
#120
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま御指摘の五十一年から補助を受けて、五年間の時限が来た時点でなお法人化ができなかった幼稚園が何ゆえに学校法人化ができなかったかという理由の分析が行われているわけでございますが、それによりますと、やはり一番大きな理由は、将来その幼稚園の経営に対して非常に不安であるということによって学校法人化への踏み切りができないという意見が大体三分の一近くあるというふうに調査ではなっているわけでございます。
 なお、そのことともちろん関係することになるわけでございますが、法人化について宗教法人あるいは家族の皆様方の同意が得られないと。このことは内容はこれまたいろいろあるんでしょうけれども、一つは将来の経営の不安ということと重複しているということを考えますと、全体としてはやはり半数以上が、将来の幼稚園のあり方というものが明確になれば、経営の安定ということについての自信が持てるようになれば学校法人化に踏み切っていただけるであろう、このように私どもとしては考えているわけでございまして、そういう意味で、三年間の間に、幼児教育のあり方について、行政の仕組みも含めて一つの方向づけをできるだけ早い機会にやりたいと、そのことによって学校法人化という方向がかなり積極的に進められるのではないだろうかと、このように推定をいたしているわけでございます。
#121
○柏原ヤス君 文部省に同じ点をお伺いいたしますが、学校法人化できない理由を文部省はどう分析していらっしゃいますか。
#122
○政府委員(阿部充夫君) 先ほど来申し上げました四百八十園につきまして学校法人化できない理由を調査いたしたわけでございますが、その状況をパーセンテージで申し上げますと、法人化の問題、幼児の減少期を迎えまして今後の経営の面で不安があるという点を理由に掲げておりますのが三二・一%でございます。それから法人化につきまして宗教法人あるいは家族等の同意が得られないというものが二八・八%でございます。この二つを合わせますと六〇%程度のものがそういった今後の状況等を原因といたしまして、にわかに踏み切れないような要素を抱えておるというケースでございます。さらに園地の取得、借用について地主との交渉が難航しているというケースが一五%、それから法人への認可の申請手続を現在行っている最中だというものが八%、それから園地の取得について資金的問題で難航しているというケースが若干、設置基準の関係がまだ満たされていないというような理由のものも若干というようなことでございまして、全体といたしましては、やはり幼児の減少ということが、当初の予測よりもかなり大幅に減少してきたという実態等を踏まえての今後の見通しの問題というところに大きな課題があるように存じております。
#123
○柏原ヤス君 提案者の方の分析の御説明、文部省の分析その他お聞きして、そういう点を私は否定はいたしません。確かにそうだと思います。ですけれども、そこで取り上げていらっしゃらない最大の理由が私はあるように思います。それは土地や財産を寄附することに抵抗があると。これは各県の担当者が把握している実態の中で四〇%もそういうことを理由にしている、そういうことを言っている幼稚園があるということなんです。ですから、個人立のままの方がいいというわけですね。こういう個人立のままでというそういう考えが根深くあると、四〇%もあるというそういう中で私は何のための国の補助かと、こういうふうに言いたくなります。個人立の幼稚園の中でも五年間で努力を重ねて学校法人になった園がたくさんあると。ところが一方では、ただ補助が欲しい、法人化する意思がないと、しかし意思表明だけは形でやっておいて補助だけはもらっている。正直な者はばかをみるという制度だと、こう言っている面もあるわけです。
 そこで、提案者にお伺いしますが、この法人化の進捗状況、これは都道府県によって厳しくチェックしているところもあるし、それほどでもないところもあるということを聞いております。この実態は一体どうなのか。厳しいチェックをしている県、そうでもない県、こういう相違がなぜあるのか。こういう点、提案者としては実態を御存じだと思うんですね。お聞かせいただきたいと思います。
#124
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、都道府県によって幼稚園に対する行政がかなりばらつきが存在をしているわけでございまして、これはもともと、このもとになります延長をお願いたしております法律を制定いたしましたときに、いろいろな憲法とのかかわりの中での論議がある中で、すでに国の助成が行われる以前に都道府県においては個人立、宗教法人立の実態にかんがみて、都道府県の責任においてそれぞれの財政援助が行われているという実態が各地で起こってきつつあったわけでございます。これは柏原委員御承知のとおりのことと存じます。そうした状況の中で助成を行っている都道府県に対する国の財政援助という形でこの助成策というものが立案をされたわけでございますが、現時点におきましては誓約書と申しましょうか、必ず法人化になりますというようなものを志向園の中から一札都道府県の方で取った上で助成金を交付しているという県が文部省の調査によりますと十五県あるというふうに聞き及んでいるわけでございまして、そういう面ではかなり都道府県の幼稚園に対する行政にばらつきがあるということは事実でございますので、今後文部省としてどういうような対応を一この法案が成立をさせていただきました暁には改めて検討をしてもらわなければならない事柄である、このように提案者としては考えております。
#125
○柏原ヤス君 そこで文部省にお伺いいたしますが、文部省には法に定められたことを実効あるものにするという行政責任があると思います。ところが、文部省は、数年前の段階で、五年間で学校法人化しなかった場合でももらった補助金は返還させないという趣旨のことを都道府県の関係者に指導しております。返還させるさせないということの是非というものはともかくとして、法人化に全力を尽くすべきです。そういう考え方に立って指導徹底しなければならない立場にあるこの文部省が、逆に法を骨抜きにする見解を早々に表明しているというのは私は間違いだと思います。文部省は、法人化促進のために努力している都道府県に対してどう指導してきたか、また、先ほど提案者の方からも都道府県に対する文部省の態度に大きな期待を持っていらっしゃるようですが、それをも含めて都道府県に対してどう指導してきたか、またこれからするかということをお聞かせいただきたいと思います。
#126
○政府委員(阿部充夫君) お答え申し上げます。
 この法律の規定によって補助をいたしておりますのは経常費補助金ということでございますので、各幼稚園におきましては毎年度教職員の人件費あるいは教材費といったような形でこの経費が使われておるわけでございます。したがいまして、まあ結果的には子供たちあるいはその父兄のために使われているというような性格のお金でもございますので、これを仮に努力したにもかかわらず法人化が実現できなかったという場合において返還させるというのはやはりなじまないのではなかろうか、こういう考え方をとっておるものでございます。
 もちろん、私どもはそういった考え方は考え方といたしまして、学校法人化を進めるということは大事なことであるというふうに考えておりまして、そのためにこれまで最大限の努力をしてまいったわけでございまして、昭和五十一年の十二月には、午前中の質疑でもお答え申し上げましたように、学校法人の認可基準等の緩和措置を講ずるというようなこともやってまいりましたし、それから毎年各県の担当者の会議あるいは主管部課長会議、いろいろな席におきまして法人化の実現のためにさらに努力をしてほしいという指導を重ねてまいってきたわけでございます。
 なお、今後のことにつきましても、もちろん同じ精神で進んでまいりたいと思っておりますが、特に衆議院での附帯決議等もございますし、あるいはこの参議院での御論議の状況というものも十分踏まえまして学校法人化を促進するという基本方向に誤りなきを期してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
#127
○柏原ヤス君 提案者にこれに関連して御質問いたしますが、個人立の幼稚園が幼児教育に大きな役割りを果たしていることは大いに認めるところですが、中にはこのように不当に助成を受けるというところが現実にあるわけです。悪い言葉で言わせれば、個人的な利潤のみを目的にして幼稚園を経営するというような、そういうものは排除しなければならないと思います。都道府県も、この点、厳格な姿勢で臨んでいくべきであり、文部省も全国的な実態と法人化が進まない原因をもっと把握して、きめ細かな指導をする体制が整わない限り安易な延長は問題がある、こういう結果になると思います。その点、提案者いかがですか。
#128
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 御指摘のとおりであろうと思います。
#129
○柏原ヤス君 次に、幼児人口の減少に伴う対策についてお伺いいたしますが、この学校法人化できない理由に、二番目に多いのが園児の減少など、幼稚園経営に対する将来不安があるということが挙げられております。この不安こそ幼児教育が抱える今後の最大の問題だと思っております。量的な問題として出生率が低下している。六十年代に入ると百三十万人台に落ち込むという予測もされております。四十年代の第二次ベビーブームには二百万人台だったわけですけれども、それが現実に着実に減ってきている。
 文部省にお伺いいたしますが、今後の幼児人口の推移、これをどう把握されていらっしゃいますか。
#130
○政府委員(鈴木勲君) 幼児人口の推移につきましては、ただいま柏原先生からお話ございましたように四十年代は確かに二百万台で推移してきたわけでございますが、四十九年から五十年にかけまして、これは石油ショックの影響だと言われておりますけれども、一年間に約十三万人の減少があったわけでございまして、その後出生率はずっと低下をしておりまして、四十八年二百九万人でございましたが、六十一年を推定いたしますと百三十六万人まで低減いたしております。これは最近の厚生省の人口問題研究所の予測でございます。
#131
○柏原ヤス君 このように園児数の減少によって廃園に追い込まれた幼稚園が続出している。東京都を調べましたんですが、五十年度以降昨年度までで四十二の幼稚園が廃園になっております。この廃園の状況を全国的に見るとどうなのか、地域的な特徴はどうなのか、この点、文部省からお聞かせいただきたいと思います。
#132
○政府委員(鈴木勲君) 幼稚園の廃園の状況でございますが、全国的に見ますと、幼稚園経営の対象となっております三歳児、四歳児、五歳児の児童数が減少を始めたのが昭和五十三年度以降でございますけれども、それから五十六年度までの四年間に廃止されました私立の幼稚園の数は百二十一になっております。
 地域的な状況につきましては必ずしも正確な特徴をつかむことはできないわけでございますけれども、最近一年間の状況を申し上げますと、都道府県別に見ますと、最高が東京都の六件、次いで福島、愛知が四件ということになっておりまして、福島を除きますと首都圏にそういう状況が見られるという傾向でございます。
#133
○柏原ヤス君 文部省にお伺いいたしますが、三十九年度から四十五年度までの幼稚園教育振興七カ年計画、それから四十七年度から昨年度までの十カ年計画、こういう計画が立てられておりますが、この目標と、それから達成状況、それぞれ御説明をいただきたいと思います。
#134
○政府委員(鈴木勲君) 第一次の幼稚園教育振興計画は三十九年から四十五年までの計画でございますが、これはその七年間に人口一万人以上の市町村における五歳児の就園率を六三・五%までに高めることを目標といたしまして計画を策定したわけでございますが、四十六年末まで一年延長をいたしまして、人口一万人以上の市町村における五歳児の就園率は六二・二%となりまして、ほぼ目標を達成することができたわけでございます。
 第二次の幼稚園教育振興計画は四十七年から五十六年の十年間でございますけれども、これは四十六年六月の中教審の答申を受けまして、幼稚園教育の振興方策を進めるという見地から立てたものでございますが、この答申の趣旨に従いまして五十七年度当初までに幼稚園に入園を希望するすべての四歳児、五歳児を就園できるようにすることを計画の目標といたしまして第二次幼稚園教育振興計画を策定したわけでございます。で、五十七年度の学校基本調査に基づきましてこの目標達成率を算定いたしますと、四歳児につきましては六八・一%が目標でございましたが、約五二%、五歳児は七〇・五%の目標でございましたが、約六四%となっております。
 以上の状況でございます。
#135
○柏原ヤス君 いまの御説明を伺っていると立てた目標がまあ大体達成されているというように受け取られるような数字をお示しになったわけですが、私が調べてみました参考資料を見ますと、七カ年計画では公立幼稚園の増設は四二・五%、私立幼稚園の増設は八四七・四%、こういう数字が出ております。また、十カ年計画の方を見ましても、公立幼稚園の増設は四三・六%、それに比べて私立幼稚園の増設は一〇三・三%、こういう数字が出ておりますが、これは文部省の御説明の中ではいま御説明されておりませんですが、文部省でもこの数字は御存じだと思うんですね。この数字を改めて私が申し上げますのは、公立幼稚園の設置は目標に遠く及ばないんだ、目標どおりにはとてもじゃないけどいってない、半分もいってないじゃないですかと、こう私は言いたいわけなんです。ですから、いかに文部省の計画が人口の推移とか社会的な要因による変動を把握していない、文部省の計画というものは年じゅう立て直しやっている、そして目標を達成させてない、そういう計画に終わっているということを私は言いたいわけです。まあしかし、計画ですから計画どおりにいかないと、こういうふうに考えられる。まあ弁解的なことでこの計画に対しては言えると思います。しかし一方、こういう公立幼稚園の設置が目標に遠く及んでない。しかも、一方では私立幼稚園は文部省の予想をはるかに上回ってふえている。ですから、幼稚園政策が全く私立に依存している、教育費負担ももっぱら父母に押しつけてきていたと、こういうふうに言えると思うんです。この私立幼稚園に依存しているという点、父兄負担になっているというこの点ですね、これが私は問題だと思うわけです。ですから、今後急激な幼稚園の廃園、またいろいろ問題があるわけで、慎重なそして的確な計画が立てられなければならないと思います。しかも、その計画は早く対策として立てる必要があると、こういうふうに七カ年計画、十カ年計画のこの結果を見、そして今後の幼稚園の抱えていく大きな問題というものを考えた上で、文部省の方針はどうなのかと改めてお聞きするわけです。この点いかがでしょうか。
#136
○政府委員(鈴木勲君) 先ほどまでの第一次、第二次の幼稚園教育振興計画につきましては、私の方といたしましては、四、五歳児をできるだけ希望する者を入れるという見地から就園率の達成ということで申し上げましたので、柏原先生の幼稚園数という観点からの御説明とは若干違ったわけでございますが、その間におきましても公立の幼稚園の設置につきましては私どもの計画と比率から申しますとほぼ達成されているわけでございますけれども、それよりも私立の幼稚園の設置が多かったということもございまして、これは地域におきます公私のいろんな配置とか、そういう観点から出てきたものかと思います。
 この予測が狂いましたことにつきましては、先ほど申し上げましたように、厚生省の人口問題研究所も予測しなかったような石油ショックにおける激しい出生減というものがございまして、それを出発点といたしましてたびたびの計画の推計のやり直しをしたわけでございますけれども、なかなかつかめなかったという事情がございます。
 それから、これからの問題でございますけれども、五十六年度をもちまして第二次の計画が終わったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まだこちらが目標といたしました就園率に達成するまでにはかなりの距離がございますので、現下の財政事情もございますし、これからはこれまでの振興計画の趣旨に従いまして、趣旨は、希望する四、五歳児をできるだけ幼稚園に収容するということでございまして、そのためには公立は幼稚園の未設置のところがまだ三〇%もございますから、そういうところを優先的に指導するとか、あるいは現在初中局でやっておりますところの就園奨励費補助の確保を図るとか、あるいは公私の幼稚園の協調を図るという見地からの地域の実情を踏まえた入園者の受け入れ、そのための公私連絡協議会の設置の促進を図るとか、そういう地道な努力を続けてまいりまして、今後の幼児減の幼稚園が悩んでいる問題に対しまして、いろんな見地から配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
#137
○柏原ヤス君 文部省が明確なビジョン、これを示さなければ都道府県や市町村の幼稚園関係者は非常に混乱を起こすと思います。特に私立幼稚園の危機感、これは非常に深刻であって、なべやかまあるいは現金を配ってまで幼稚園の園児を集めるのに激しい競争が始まっているということがうわさされております。文部省はこういう実態を承知していらっしゃると思います。また提案者もこういうことは御存じだと思うんですが、提案者、いかがですか。
#138
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま初中局長からも答弁がございましたように、幼稚園自体が設置されていない市町村、ここを中心に、今後は公立の幼稚園は設置されるべきであると思いますし、現に私立の幼稚園がそれぞれの地域社会の中で果たしてこられた幼児教育についての貢献というものを考えまして、やはりその位置づけというものを、公私立間の調整というものを、これから行政としては十分きめ細かい配慮をしていかなければいけない、このように考えております。同時に、家計負担を公平化するという問題が、これは保育所の幼稚園化という実態を考えましたときに、特にこれからの大きな課題であろうと、このように認識をいたしております。
#139
○柏原ヤス君 文部省は、こうした私立幼稚園の危機感に対してどういう認識、そしてそれに対して今後どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
#140
○政府委員(鈴木勲君) いま柏原先生がお挙げになりましたような事例につきましてはよく聞いたりいたしますけれども、これは、やはり急激な幼児減に伴う私立幼稚園の経営安定とか、いろんな面からの御苦心の、極端な面があろうかと存じますけれども、あらわれだと思います。この点の財政援助等につきましてはできるだけの配慮をしなければなりませんが、幼稚園の教育の趣旨にやはり戻りまして、幼稚園教育要領の趣旨にのっとって心身の健全な発達に即するようなそういう教育をすることがむしろ幼稚園教育の信頼をかち得る道ではないかと思いますので、実態に即した幼稚園経営と同時に、本来の幼稚園教育の水準を高めるという観点からの教育内容の精選とか、適切な保育のあり方について私どもも指導してまいりますし、また、そういう点について私立の幼稚園におきましてもぜひ御努力をお願い申し上げたいというふうに考えております。
#141
○柏原ヤス君 最後に、提案者に期待をかけ、また締めくくりとしてのお言葉をいただきたいと思って質問させていただきますが、最初に、この提案、改正案を出されたその中で、基本的な問題を含んで取り組んでいらっしゃるということをお聞きいたしました。それについて、いままでいろいろと幼稚園教育の経緯とか、またそれに関してこの三年間の問題点などの答弁をお聞きいたしましたが、果たしてこれで根本的解決策がたった三年間で得られるのかどうかという点に大変不安を持ったわけでございます。昭和六十年三月、明確な方針が打ち出されるかどうか、この点期待できるようなお答えをいただきたいと思います。
#142
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 これから、現に自民党といたしましては取り組んでいるところでございますが、具体的な形に政策として取りまとめてまいりますためにはなお時間を必要としているわけでございまして、いまこの場で明確なビジョンを何年の何月何日ごろまでには御提案できるんだということを明確に申し上げられないのはまことに残念でございますが、事態の急激な変化という中で、幼稚園の置かれております状況というものは待ったなしの状況であるということを考えますと、行政の側からも、政治の側からも、これは三年と言わず、本当はここ一年ぐらいの間にでもきちっとした考え方を取りまとめなければならないほど事態は深刻になってきているというふうに考えているわけでございまして、いずれ、自民党といたしまして、具体的な素案というものができ上がる段階で、各党文教関係の皆様方とも十分事前にお話しをさせる場を設けさせていただきたい、このように考えているわけでございまして、その際の御協力をお願いいたすわけでございます。
#143
○佐藤昭夫君 私も最初に教科書検定をめぐる問題について一、二問質問をしておきたいと思いますが、小川文部大臣として、訪中するにふさわしい状況ではない、円満解決の環境づくりのため一層今後努力をしていくと答弁をされています。また、けさ方の幾つかの新聞は、きのうの文部大臣の記者会見で、いわゆる「侵略」という用語を「進出」と変えた記述の再改訂は絶対しないとは言っていないと発言をされたと報道をしているわけでありますが、これについて、先ほどの柏原委員の質問への答弁として、今後の中国との折衝上高飛車的な態度は避けたいという考えだというふうに答えられているのでありますが、この意味は、再改訂は絶対ないということではないという気持ちを含んでいるというふうに理解していいですか。
#144
○国務大臣(小川平二君) 先ほど柏原委員の御質疑に対して答弁申し上げましたように、私といたしましては、当方の真意を誠意をもって説明することによって問題が解決できると、かように考えておるわけでございます。原稿本記載のとおりにすでに検定を終えた教科書を改めよというのが中国の要求かと思っておりますが、私の考えは以上申し上げたとおりでございますので、先方の要求に対してはこたえておらない。これはずいぶんむずかしい問題でございますが、その点にあえて触れまして非常に高飛車な対応をしたような印象を与えてはなりません。さようなわけで、一切触れておらないわけでございます。
#145
○佐藤昭夫君 先日の二十九日の当委員会で私は、あの日中戦争、第二次世界大戦の本質をどういうふうに文部大臣としては認識をされておるのかということを繰り返しお尋ねして、なかなか答弁を渋っておられましたけれども、最終的に、侵略戦争でなかったとは決して言いませんというふうに答えられた。しかし、初中局長は用語の再改訂はしないと先日も言われておったし、きょうも繰り返しておられる。いまの文部大臣の言葉の中にもそれが出てくるわけでありますけれども、しかしこれでは、認識としては侵略戦争だと、こういう認識で、しかし教科書用語は別の用語を使うんだという、これだけ問題になっておるこの問題についてなおかっそういうふうに言い張るということは、これは全く筋が通らぬということは私も先回強調していたところですし、翌日の新聞報道もかなりこの点を取り上げておったと思うんです。
 そこで、結局残された最後の理由として、検定で一たん「侵略」を「進出」というふうに改善意見によって用語を変えさせてきたと、こういうものを再び直すということはこれはむずかしいんだと、こういうことを言われている。しかし、文部省もよくよく御記憶のことと思いますけれども、昨年の公民教科書の場合ですね、例の原発や公害企業の記述の問題をめぐって、検定も済み見本本展示も済んでおるということの段階でその教科書の記述を変えさせたと、現にこういう例があるわけですね。正誤訂正という形でこれを直してきましたということを文部省は繰り返し言ってきた。現にそういうことをやってきた例があるんですから、今回のこの記述というのは、どうも適当ではないということであれば、これは変えようと思えばやれる問題、できない問題ではないというふうに私は思うんですけれども、その点文部大臣どうですか。
#146
○国務大臣(小川平二君) お尋ねの点につきましては初中局長から答弁を申し上げると存じますが、私は先ほど来申し上げておりまするように、当方の真意が正しく理解された暁には、中国側があくまで原稿本のとおりに教科書の記述を訂正せよという要求に固執するかどうか、恐らくさようなことはないに違いない、そういう考え方で全力を尽くしたいと考えておりますので、さような点には一切触れておらないわけでございます。
 一般的な問題といたしまして、改善意見を入れて改訂をしたものをもとへ戻してほしいという申請そのものが果たして現行制度のもとでできるのかどうか、これはあくまで一般的な問題としてと申し上げるわけですが、それらの点については初中局長から答弁を申し上げます。
#147
○政府委員(鈴木勲君) いま原子力発電所に関する記述について御指摘があったわけですが、これは検定において特に意見を付することなく認めていた教科書の記述につきまして、その後教科書会社が各方面の意見を参考にいたしまして判断し、学習上支障があるということで改善したいと正誤訂正の申請がありましたので、正誤訂正の手続に従いましてこれを承諾したものでございます。
 それから、現在の問題は修正、改善意見等を付しまして、この意見の趣旨に従って著者が記述の訂正を行い、その記述の改善が図られているものでございますから、これを正誤訂正等の手続によってさらにもとに戻すということは正誤訂正の趣旨、検定制度の趣旨に照らしまして認めることはできないということを先般申し上げたわけでございます。
#148
○佐藤昭夫君 そうしますと、ちょっともう一つ念のためにいまの答弁で聞いておきますけれども、今回の例について言えば、教科書会社が問題の記述の部分についてやはり改めたいという申し出があれば、それは文部省としては受理をするということですね。
#149
○政府委員(鈴木勲君) これは正誤訂正でございますから、誤った事実の記載ということには当らないわけでございますし、現在の正誤訂正を認めている学習上その他支障があるというような項目には該当しませんので、ただいま申し上げました原発の例とは異なっておりまして、この手続はなじまないということでございます。
#150
○佐藤昭夫君 そんなばかな論法がいつまでも通ると思うんですか。
 去年の場合、原発の記述について危険が大きいという記述があった、それをやわらげる記述に直そうという、これは誤った記述を正しい記述に変えようということだから受理をすると。しかし、今回の「進出」というのをもう一遍「侵略」という言葉に変えましょうという、そういう申し出が出てもそれは受け付けないと。こんなことが一体通っていいことなのか、そういう論法が。勝手気ままにあなたたちがつくったそれは正誤訂正規則ですけれども、文部省がつくった、恣意的にそれを解釈をするというそういうやり方が。そんな問題は、中国の側から文句を言われようと言われまいと、それにかかわらず日本の国民としてそれが黙っていられる問題じゃないですよ。もうきょうはこの問題が本論じゃありませんから、そのことを重ねて強く私の意見を申し上げておいて、次回までに答弁の訂正を求めます。
 それでは法案へ入っていきます。
 私立幼稚園は全幼稚園の五八・八%、全園児数の七三・七%を五十六年度の数字でありますけれども占めておるということで、わが国の幼児教育の上で私立幼稚園の果している役割というのがきわめて大きなものがあるということはもう他の方方もいろいろ触れておられる問題でありますが、しかし、私立幼稚園にとって今日きわめて深刻な問題になっているのが園児数の減少問題であります。そこから園児の奪い合いとか保育所と幼稚園との競合、これも年々激しくなってくる、経営難から廃園にせざるを得ないという幼稚園も次々とあらわれておるという姿でありますが、こういった園児の減少傾向、見通し、こういった点について、数字的に見ればどういう方向が見通されるのか、まず数字があれば御説明願いたいと思いますが、西岡さん、特に西岡さんにということでお願いをする答弁以外は大体文部省お答えいただいたらと思うんです。
#151
○政府委員(鈴木勲君) 今後の出生児の減少傾向でございますが、これは昭和四十八年二百九万ございましたものが、四十九年までは二百三万でほぼ横ばいでございましたが、その後の一年間に約十三万人の減少がございまして、それから年間約五万ないし四万というような逓減をいたしておりまして、六十一年に百三十六万人と底をつくわけでございまして、その後若干回復をして七十年代には百五十九万台に回復をするというような推計がいま数字としては行われております。
#152
○佐藤昭夫君 この七割の園児を預かる私立幼稚園が園児減で経営的に苦しくなれば、教育的な配慮を欠いた人集めに走らざるを得ないとか、教員の合理化だとか、いろんな問題がそこから出てくるわけでありますけれども、一方良心的に経営をしようと思えば、非常に経営が苦しくなり、廃園に行き着かざるを得ないと。こういった窮状を打開するために、文部省としては、この園児減対策、この問題について何か方策を考えていますか。
#153
○政府委員(鈴木勲君) これは今後の幼稚園振興計画をどう策定するかということにも関係するかと思いますが、私どもといたしましては、当面現下の財政状況等を考えまして、先ほど申し上げましたように、公立幼稚園の未設置の市町村にまず幼稚園の設置を図るとか、私立の幼稚園につきましては就園奨励費の確保を図るとか、あるいは公私の幼稚園の適正配置を図るとかという行政措置を進めまして、その後、内部におきましてこの急減の問題につきましては連絡協議会等を設けておりますが、その中で種々の角度から検討を行いまして、この急減傾向が予想されます幼稚園の対策につきまして対応をしてまいりたいと、現在のところそういうふうに考えているわけでございます。
#154
○佐藤昭夫君 答弁聞いておりましても、園児減対策ということにねらいを置いた具体的な対策というものが余り答弁の中にはないというふうに私は思うんですけれども、事実国の対策としては非常に今日お粗末であると。一方、自治体について見ますと、たとえば東京都などでは、五十七年度から園児急減対策予算約十二億円を計上をして、定数五十を割る幼稚園に補助を出していくという方向がとられつつあると。
 高等学校について見ますと、私立高等学校に対して、過疎地域の生徒減に対しては特別補助というのを文部省は始めていますが、同様の見地から、この幼稚園の園児減の問題についての特別の補助制度、こういうものを検討していく考えはありませんか。
#155
○政府委員(阿部充夫君) 先生ただいま御指摘の過疎地の私立高校に対する特別補助でございますけれども、確かに御指摘のとおり現在これを実施しておるわけでございますが、これは産業構造の変化によりまして生じた人口の流出など、社会的要因に伴う高等学校の生徒減少地域のように、一部の特定地域に所在する私立高校に対して特別に補助をしておると、こういう仕組みでございます。
 一方、現在問題となっております幼稚園の園児減少の問題は、いわば全国的な出生数の減少というものが大きく全体に背景として存在をしておるわけでございますし、かつまた、個々の幼稚園の園児数の減少の問題といたしましては、たとえば団地の近辺である年次がたちますと幼児がいなくなるといったような特殊な事情があるといったようないろいろな事情を含んでおるものでございますので、私立高校に関する場合とかなり性格を異にしておりまして、一律に考えられない面もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど初中局長からお答え申し上げましたように、現在非常に厳しい財政状況のもとにあることでもございますので、私どもといたしましては、これまで行ってまいりました経常費の助成あるいは就園奨励費等を引き続き確保をしていくと同時に、公私協調といった立場からの公立、私立の相互間の調整ということを各都道府県を通じて指導をしていくというようなことを現在考えておるわけでございます。
#156
○佐藤昭夫君 非学校法人は五十六年度の数字でいきますと三千七百五十三園ということですが、このうち二千園余りは今回の改正案でも救われない部分、こうしたいわゆる百二条園として今後とも存続をせざるを得ない幼稚園に対してはどういう方策をとろうというわけですか。
#157
○政府委員(阿部充夫君) ただいま御指摘にございましたように、昭和五十六年度の個人立等幼稚園三千七百五十三園でございますけれども、この中で国庫補助の対象になっておりませんいわゆる非志向園でございますが、二千三百十三園となっておるわけでございます。現行法におきましては、附則の二条五項の規定によりまして補助を受けた幼稚園には学校法人化の措置をとる義務を課するというたてまえになっておりまして、これによりまして学校法人化を促進するという施策をとっておるわけでございます。したがいまして、学校法人化を求めないままでこういった個人立幼稚園に対して補助等を行っていくということは現行法のたてまえにそぐわないというふうに考えておるわけでございます。もちろん、この現行法におきましても設置者に対する助成のほかに就園奨励費のように別途の助成措置もあるわけでございます。また、教員の研修費の補助とか、私学団体に対する補助等は行われておるわけでございまして、こういったことに対する面での援助措置というのはこういった個人立等の幼稚園まで含めた措置として行われておるということをつけ加えさしていただきます。
#158
○佐藤昭夫君 ここで西岡さんにお尋ねをするわけでありますけれども、こういった幼稚園に対する方策という点について、何か今回の議員立法等に関連をして今後の方策としてお考えになっている点はありますか。
#159
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 今回三年間の延長をお願い申し上げております理由は、まさにただいま御指摘の幼稚園に対するこれからの施策というものがどうあるべきであるかということを時限を切って答えを出してまいりたいというところに大きな主眼の目的の一つがあるわけでございまして、現在具体的な案は自由民主党として固めた案を用意しているわけではございませんが、この三年間の延長をお認めいただきました時点において、ただいまも党内――これは自民党の党内の問題でございますけれども、幼児問題調査会という機関におきましてこれからの幼児教育のあり方全般にわたっての検討をすでに開始しているところでございます。
 そういうことで、近く衆議院の文教委員会におきましても小委員会が設置されるということに各党の間で話し合いが行われておるところでございまして、これは全国的な国民全体の非常に注目している課題であると私ども認識をいたしておるところでございまして、早急に保育所のあり方をも含めた幼児教育のあり方について答えを出していかなければいけないと、このように考えているところでございます。
 したがいまして、いま御質問のここで具体的にどういう施策を考えているのかということについてお答えすることは不可能でございますが、ただ一点、それでは具体的な施策を考えていく上での基本的な、何と申しましょうか、前提になりますのは、あくまでも人口の激減という新しい事態を踏まえて家計負担が公平であるようなそういう幼児教育の機関というものを制度としてつくり上げていかなければいけないと、そのためにどのような工夫が必要であろうかというところがポイントであると、このように考えております。
#160
○佐藤昭夫君 そこで、問題になっております今回の法案でも救われない百二条園。とはいえ、公教育の一環として現に個人立幼稚園といえどもそういう幼稚園がある。そのもとに子供を送っておる親の立場、国民の立場から見れば、親の負担という点についてどう考えるべきかというこの問題が厳然として存在をするわけですね。依然として今日も――依然としてというよりも、公立の幼稚園に比べて私立の幼稚園、中でも個人立の幼稚園というのが年々親の負担がかさんでいくという傾向にある。この問題を、公教育の一環として、国の施策としてどういうふうに打開をしていくかということで、いまの法の体系が、仕組みが法人立でないことにはいかにも措置ができませんという、このことだけで済むのかという問題がある。この問題について文部省としては何か考えていますか。
#161
○政府委員(阿部充夫君) 御指摘がございましたように、親の負担を軽減していくというような基本的な姿勢というものも、これも必要なことでございまして、それを考えておるわけでございますが、片や、やはり幼稚園教育というのは公の教育であるという見地から考えますと、その公共性を高めあるいは安定性、継続性を確保していくという見地から学校法人化を進めていくということも基本に存在する考え方でもございます。
 したがいまして、現在は、この議員立法で国会で成立をいたしました法律の二条五項に書かれておりますような、そういう基本的な立場に立ちまして私ども対応をいたしておるわけでございますが、今後の将来の課題の問題につきましては、なお今後引き続き検討していかなければならないことであろうかと思っております。
#162
○佐藤昭夫君 そこで、次の問題として、今日の私立幼稚園の経営危機の問題を考える際に、日本の幼児教育政策のおくれ、いわば安上がり主義から私学任せの幼稚園政策を進めていきつつ、そしてその私学に対しての私学助成が非常に貧弱だという、ここからきている国の責任、文部省の責任というのがきわめて重大だと思うんです。すでに文部省は、幼稚園教育振興十カ年計画で昭和五十七年当初をもってこの計画が終了をする時点となっているわけでありますけれども、この十年間の新設園の公立、私立の計画と実際に新設をされた実績、これはまずどうなっているでしょうか。
#163
○政府委員(鈴木勲君) 四十七年から五十七年当初までの新設計画でございますが、これは公立につきましては四千六十二園、私立につきましては千九百十九園の目標でございました。これが実際に新設されましたのは、公立につきましては千八百三十八園、私立は二千七十一園でございまして、この達成状況は、公立につきましては四五・二%、私立は一〇七・九%となっております。
#164
○佐藤昭夫君 いまの数字でも明らかなように、幼児教育の私学依存、これは非常に数字的にも鮮明だと思うんですが、こうした十年間の振興計画、この中で、文部大臣裁定の四十六年八月二十八日の幼稚園教育振興計画要項、この中でも「当分の間、学校法人以外の者による新設をも認めて」いかざるを得ないという現実がありますということをはっきり記述をしているわけですね。そういうもとでつくられてきた学校法人以外の幼稚園、その幼稚園の経営危機に当たってそれに援助の対策の手を差し伸べていくということは、文部省の方針のもとでこういうことが進んできたわけでありますから、いわば文部省の当然の責任だというふうに、文部省としてはそのことを認識しているんでしょうね。
#165
○政府委員(鈴木勲君) 計画自体につきましては公立のウエートを高めると、最終的な十年計画においては公私の割合五対五という計画であったわけですが、これがそこまでまいりませんで、公立の比重はそこまでまいりませんけれども、公私の比率は四十七年当初よりは公立の割合は高まっているわけでございます。
 ただ、この間の実際に幼稚園ができてまいります実態を考えてみますと、公立の設立される計画と、それから地域によりましては保育所の問題とか、あるいは私立の幼稚園の配置とかいろいろございまして、結果としてはこうなったものでございます。この点につきましては、計画についての若干のそごはございますけれども、全体としての就園率を考えますと、ある程度目標に近づいていると、公私あわせまして四、五歳児が希望する就園が可能な状況にだんだん近づいているということが言えるのではないかと思います。
#166
○佐藤昭夫君 さらにこの振興計画の内容を見てみますと、いわゆる四、五歳児の入園を希望する者については希望者全員入園を目指していくという、そういった方向は出ているわけでありますけれども、問題は、三歳児に対する施策をどうするかということです。文部省と厚生省両省の依頼を受け、そのもとに設置をされてきました幼稚園及び保育所に関する懇談会報告、五十六年六月二十二日に出されている報告でありますが、この中で「乳幼児期は三歳未満とそれ以上とに大別して考えられるが、前者は特に緊密な人間関係の中で保育することが必要であり、後者はこれに加えて子ども集団の中で心身の発達を助長することが必要である。」というふうに報告をしておりますが、ところがこの三歳児に対する施策という点で見ますと、五十七年当初をもって終了を迎えますこの十カ年計画、この中でも全くと言っていいほど対策はなきに等しいという状況になっているというふうに言わざるを得ないわけですけれども、これからいよいよ新しい年度に移っていくわけでありますけれども、何か抜本的強化策、これを三歳児について考えておるんでしょうか。
#167
○政府委員(鈴木勲君) 三歳児の計画におきます目標値といたしましては一七%を考えたわけでございますが、達成状況は一一・四%となっております。これはやはり三歳児の発達段階から申しまして通園の状況とかあるいは身体状況、知的状況の個人差とかいろいろございましてこのような計画を立てましたけれども、実際の幼稚園に通園する幼児がそこまでまいらなかったということにつきましては、やはり種々検討しなければならない問題があろうかと思います。
 私どもといたしましては、まだ実践事例が十分そろっておりませんので、三歳児教育の研究指定校等の研究を通じまして、これは教育内容の問題もございますし、施設の問題もございましょうが、そういういろいろな問題について検討いたしまして、今後とも三歳児の計画をどうするかということにつきましては急減対策ともあわせまして検討してまいりたいというふうに考えております。
#168
○佐藤昭夫君 あともう一問、時間ですからあれですが。
 もう一つの問題として、都道府県、地方について見た場合、公立幼稚園と私立幼稚園の比率というのが非常にばらつきがひどい。東京、公立二二%、私立七八%、京都、公立一〇%、私立九〇%というふうに私立が圧倒的に多いところもあれば、岡山のように九〇%が公立で私立は一〇%という、こういう逆の傾向を持っておるところもある。
 いずれにしても、文部省十カ年計画を進めてきながら、しかし、それぞれの府県段階、自治体の段階から公立幼稚園と私立幼稚園、現にあるものがともにそれぞれ国民の教育を担ってそれぞれがともに前進し発展をしていくという方向への指導が果たして十分いっているのかというここの問題が今日関係者の大きな批判、不安の一つの問題になってきているというふうに思うわけですけれども、この点で午前中、宮之原委員も取り上げられておりましたけれども、文部省、厚生省の通知を出してすでに二十年を数えるわけですけれども、昭和五十三年の段階で地方自治体における審議機関というか、連絡調整機関、これが設置をされておるのが都道府県では二十九県、市町村に至っては四百六十七市町村ということで、市町村総数が三千二百七十九、幼稚園、保育所をともに持っておる市町村でも二千四十二、このうちそういう連絡調整機関を持っておるというのが四百六十七ですから、いかに相互に均衡をとりつつ国民の要求を担って幼児教育の役割りを果たしていくかというこの点での指導というのが非常に弱い、ずさんな姿になっておるかということの一つの例証だと思うのです。
 午前中の質問に対して文部大臣の答弁として、一層ひとつこの連絡機関の設置の促進のために努力をしますというふうに言われているわけですけれども、いままでも設置のために努力をすると言っていながらこのていたらく。こうした点で改めて指導通達のようなものを出してこの問題の前進、打開を図っていくという考え方はないのかということを最後に質問をしておきます。
#169
○政府委員(鈴木勲君) ただいま御指摘の問題につきましては、昭和三十九年と五十一年でございますけれども、すでに二回にわたりまして通知を出しまして連絡調整の機関を設置するようにという指導をしているわけでございまして、特に五十一年におきましては、「条例等による公私立の幼稚園の連絡協議会を設けて」と、その根拠を条例等に置くようにというふうな指導も行っているのでございます。
 そこで、いまお挙げになりましたように、都道府県段階におきましても、また該当する市町村におきましてもまだ十分行き渡っていないという実態がございます。その内容につきまして精査をいたしまして、必要があればさらに通達を出して徹底をするかどうか、その点について検討さしていただきたいというふうに考えております。
#170
○佐藤昭夫君 終わります。
#171
○中村鋭一君 本委員会に付託されました議案の審議に入る前に、せっかくの機会でございますので教科書の検定問題について一これ質問通告をしておりませんので、もしお答えできなければ結構でございます。
 文部省、「侵略」、「進出」、それから「暴動」、この三つの単語について考えておられます定義をお教え願えればありがたいと思います。
#172
○政府委員(鈴木勲君) 定義ということにつきまして直接のお答えになるかどうかわかりませんが、問題になっておりますものにつきましては、その歴史教科書の記述におきまして、その記述が具体的な事実について適合しているか、適切な表現であるかどうかという観点から検定の意見をつけまして、検定の意見を付する際には表記の統一とか、そういう観点から付する場合もございましょうし、あるいは全体の調和という観点から付する場合もございましょうし、そういう個々の記述についてその事柄が問題になっておりますので、この際、こういう場合にどうかということで教科書の具体的な記述についてその表現の適否という観点からの対応をしているわけでございまして、抽象的にいま「進出」、「侵略」、「暴動」というものについてのお答えするという用意はございません。
#173
○中村鋭一君 私、大臣、思いますのに、「侵略」はその中に一つのイデアというものがありますね、と思いますよ「進出」もそうだと思うのです。それはどういうことかといいますと、「侵略」は侵略をされる側の意思のいかんを問わず侵略する側の意思において行為が決定されるもの、これが「侵略」。ということは、相手は来てもらいたくなくたっておれは行くんだと言って行くというのが「侵略」で、「進出」といいますのは、ある程度相手と話し合いがあるか、そこに合意があるか、そういうニュアンスが「進出」には含まれると思います。
 たとえば、日本企業がアメリカに進出をするという場合は、当然ながらそれはアメリカが気に入らなくたってそこに一つの話し合いがあって企業が進出をすることになる。
 「侵略」というのは、これは相手側が要らないと言ったってこれは行くのが「侵略」である。
 とすれば、今回問題になっております言葉で、私は「進出」というのはいかにもやっぱり不適合であると、こう言わざるを得ないと思うのですね。中国の皆さんは日本の軍隊にちっとも来てほしくはなかったわけです。暴行も働いてもらいたくなかったわけです。まして残虐行為はしてもらいたくなかったはずです。その厳粛な歴史的事実を「進出」というような言葉に置きかえるごとは、これはやっぱりぐあいが悪いことだと、こう思いますので、その点において私はメンツだとか行きがかりだとか、そういうものは捨てて、やはりわれわれが迷惑をかけた国の人たちがああ言っておいでなんですから、しかも歴史的事実において日本が侵略しているのですから、そのことについては虚心坦懐に国民の世論の赴くところに従っていただきたいと、こう思います。
 それから、「暴動」ですけれども、これは大臣ね、私は「暴動」という言葉はいまの「侵略」、「進出」とは違うと思うのですよ。「暴動」といいますのは、文字どおり現象面としてあらわれた行為を指す言葉でありまして、その暴動の目的のいかんを問わず現実に一つの法律を破る行為があり、人心に不安を与え、社会に一つの騒擾状態が惹起した、これが私は「暴動」であると思うんです。とすればあの三・一暴動はまさに私は「暴動」と言ってしかるべきであったと思います。韓国の皆さんが何の目的のためにその暴動を起こされたかはしばらくおきまして、これは暴動であるわけですから、このことにつきましては私は言葉の正確な意味を韓国の友達の皆さんに理解をしてもらう必要があるんじゃないか、こう私は理解をしております。たまたま私ごとではありますけれども、この週末から私、韓国へ参りますので、韓国の友人の皆さんにこの「暴動」という言葉の意味につきましてはよく理解をしていただきますようにお願いをしてまいろう、こう思っているんですけれども。
 では次に本議案の質疑に移らしていただきますけれども、提案者西岡さんにお伺いしますけれども、今回のこの三年延長ですね、これ朝から各委員もお尋ねでございますけれども、何のために三年延長をしようという発議をされたわけでございますか。
#174
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 これまで五年間個人立、宗教法人立等の幼稚園に対して都道府県が行うところの助成に対して国が財政援助を行うという措置をとってきたわけでございます。そうしてそのことを一つのてことして学校法人化が図られるということも期待してこの立法政策を進めてきたわけでございますが、実態としてなお個人立、宗教法人立の幼稚園がわが国の幼児教育において果たしていただいている役割りというものが非常に大きい。これを無視することができないということを考えますときに、いまの幼児教育をめぐるいろいろな環境、先ほど来質疑の問題点の一つになっております人口の動態の激減という変化、こうした状況を踏まえていまここで五年間の時限が来たということによって財政的な援助が突然打ち切られるということになりますと、現在の幼稚園教育に大きな混乱を招くおそれがあるということを考えましたときに、この時点でさらに三年延長することによってその間根本的な幼児教育のあり方についての施策も立案しなければいけないだろうと、そういうことと両々相まって今回の三年間の延長ということをお願いを申し上げているわけでございます。
#175
○中村鋭一君 いま両々相まってとおっしゃいましたけれども、どうでしょう西岡さん、その両々のうちの両の一つですね、いわゆるエコノミカル・ポイント・オブ・ビューですね、経済的な見地ですね、幼稚園をやっていらっしゃる皆さんに補助金を差し上げなきゃいけない、そういう経済的な経営面の配慮から三年延長ということをおっしゃっている、それが実は大眼目ではないんですか。
#176
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 現在まで文部省が幼稚園に対して行ってきております財政的な援助は、特に今回御提案を申し上げております財政援助につきましては、御承知のとおり経常費助成についての補助でございますから、これは現に子供たちを教育するための経費として子供を中心に考えた場合にこれが消費されているということを考えますと、単に幼稚園の経営という問題を何とか救わなければいけないという見地だけで御議論をいただくのは正確ではないのではないだろうか。あくまでも私どもは子供たちがよりよい教育水準、環境の中で育てられるという、そういう環境をつくっていくということが主たる目的であって、そのために個人立、宗教法人立等の幼稚園の皆様方が果たしていただいている役割りというものに着目をするというところに主眼があるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
#177
○中村鋭一君 文部省にお尋ねいたします。これは確認しておきたいんですが、義務教育は何歳から何歳までになっていますか。
#178
○政府委員(鈴木勲君) 満六歳から九年間となっております。
#179
○中村鋭一君 ということは、幼児教育は義務教育ではないわけですね。――じゃ、幼稚園教育、幼児教育の文部省が理解をしていらっしゃる目的といいますか、理念はどこにあるんですか。
#180
○政府委員(鈴木勲君) 幼稚園教育につきましては学校教育法の七十七条に目的が書いてございまして、「幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」ということが目的でございまして、幼稚園教育はその目的を達成するために、健康、安全とか、あるいは自律的な精神の基礎を養うこととか、社会事象に対する理解を深めるとか、言語の使い方とか、音楽その他の情操的な教育とか、そういうような目標を持っているものでございます。
#181
○中村鋭一君 とすれば、幼稚園、保育所も含めて、この教育というもの、その教育に携わっていらっしゃるいわゆる経営者の皆さんは、文部省の御見解としては、まず第一に、幼稚園の経営を金もうけの手段としてではなく、いまおっしゃったような理念等に基づいてまず第一に子供の教育等を頭に置いて、その次に利潤を生み出す手段としての幼稚園経営がくるべきだと、そのようにお考えでございますか。優先順位の問題をできればお教え願いたいんです。
#182
○政府委員(鈴木勲君) これは法律に定める学校は教育基本法におきまして公の性質を持つということがはっきり規定されておりまして、幼稚園も法律に定める学校といたしましてそういう性質を持っているのでございまして、そのために種々の公共性とか永続性とか、そういう理念を持って学校教育が行われるわけでございます。その学校教育を行います基盤といたしまして、あるいは学校法人というたてまえ、そういうものが公共性を担保する見地から必要であるというようなことで学校法人をたてまえとしているわけでございますが、それはあくまでも、ただいまの御指摘でございますれば公共性を持った幼稚園教育を円滑に実施をするということのための一つの法人の経営があるというふうに考えられるわけでございます。
#183
○中村鋭一君 提案者にお伺いしますが、提案者はどうでしょうか、幼稚園の経営よりもやはりとにかく子供をちゃんとした子供につくりたいという、そういう園長先生や幼稚園の先生方の烈々たる気持ちというんですか、そういうものが一口に言えば金もうけよりも当然ながら優先すべきであるとお考えでございますか。
#184
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 幼稚園の経営という面は企業的な面でのやはりとらえ方というものが皆無であるということは当然考えられないところでございます。しかし、それよりもまして、まず教育者ありきであろうと、このように考えております。
#185
○中村鋭一君 非常に心強い御答弁をいただきました。そのことを確認しておきたいと思います。まず教育者ありきですね。
 そこでお尋ねいたしますが、昭和五十一年度以降国庫補助を受けた幼稚園で学校法人化した幼稚園は何園ですか。で、学校法人化しなかった園は幾つぐらいございますか。
#186
○政府委員(阿部充夫君) 昭和五十一年度以降年年新たに補助を受ける園もございますので、総計をいたしますと、昭和五十一年から五十六年までに国庫補助の対象となりました学校法人立以外の幼稚園は全部で二千二百十園でございますが、そのうちこれまでに学校法人化をいたしましたものが八百六十一園でございます。そのほか二千二百十園の中にはその後廃園になったもの、あるいは学校法人化ができそうもないということで辞退をされたもの、合わせまして百十四園が入っておりますので、したがいまして、学校法人化されたもの八百六十一園と未学校法人化の園が千二百二十五園ということでございます。
#187
○中村鋭一君 補助を受けながら学校法人化できなかった園ですね、これ理由はどうして学校法人化できなかったのですかね。
#188
○政府委員(阿部充夫君) 理由はいろいろあろうかと思いますけれども、たとえばみずからとても園地の取得等ができない、あるいは寄附等ができそうもないというような理由で辞退されたケースもあります。あるいは努力の状況からいって必ずしも十分でないということで、県側の指導によって辞退をさせたというケースもあろうかと思います。
#189
○中村鋭一君 まあ学校法人立以外の幼稚園およそ六三%、三分の二ぐらいは経営が大変苦しいと、苦しいけれども、とても学校法人化五年以内にはできないということで国庫補助を受けていない、こういう実態が一つありますね。
 それからまた、五十四年度までに私の方の調べでは六百五園が自分の財産を捨てて学校法人化に踏み切っているわけなんですがね。これはやっぱり大変不公平なことだと思うんですが、この点について西岡さんどのようにお考えでございますか。
#190
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 学校法人化ができなかった理由には、物理的にどうしてもできない、これはこの五年間の時限立法で宗教法人、個人立幼稚園について財政援助を行うことができるという道を開きました時点で、学校法人化のための基準の手直しということを五十一年の暮れに文部省において行ったわけでございまして、かなり学校法人化のための基準の手直しを行ったわけでありますけれども、それでもなおかつ、長い歴史を持っている、たとえば都市における幼稚園が設置基準に従って園地を拡大したいと言ってもなかなかその土地のお金が手当てできない、仮にお金があっても実際問題としては取得できないというような状況というものも学校法人化されない理由の一つとしてあるわけでございますから、学校法人化が行われたところと行われないところとが不公平な状況に置かれていると一概に言われないわけですけれども、しかし学校法人化をやはりなさったいろいろな事情があるけれども、学校法人化に踏み切った方々とそうでないという場合に、やはりそこに問題が皆無であるということは率直に申して言えないのではないか、こう考えております。
#191
○中村鋭一君 いや、それは皆無というよりもいっぱいあるわけでございまして、皆無でないというと英語で言うとフューですね、少ししかないという意味になりますから。これはやっぱりメニーですね、たくさんあるわけですから。その辺について大いに配慮をしなければいかぬわけですけれども、じゃ、これ三年延長すればすべて解決しますか。学校法人にちゃんとできますか。
#192
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えをいたします。
 私がただいまお答えを申し上げました理由は、一つは、文部省の調査によりましても、この学校法人化が行われていない理由は、幼児の減少期を迎えて今後の経営に不安があるというのが一番大きな理由にパーセンテージを占めているわけでございますが、やはり行政として、また政治としても幼児教育のあり方、保育所、幼稚園についての二元的な行政の実態、あるいは場合によっては満五歳から義務教育化が行われるのではないかという、そういう見通しについての確定したものがないというようなことについてやはり責任の一端があるのではないか。そうしたことを明確にした上でなおかつ学校法人化が図られないのかどうかということを見きわめないと明確なことが言えないのではないかという意味で申し上げたわけでございまして、そういう意味ではこの三年間の間にできるだけ早い時期に方向づけを明示することによってかなりの学校法人化が進むだろうと思いますし、また先ほど来の御質疑を通じまして提起されております新しい幼児教育についての費用負担のあり方、こうしたものを工夫することによって何か新しい道が開けてくるのではないか、そういうことを念頭に置きながらこの三年間の延長をお願いしているということでございまして、御理解をいただきたいと思います。
#193
○中村鋭一君 西岡さん、私、娘が二人いますけれども、二人とも宗教法人の幼稚園出していただいたんですがね。園長先生、卒園式のときは一人一人の園児にほおずりしまして、涙ぽろぽろこぼしてお送りくださるんです。よほど子供たちも印象が強烈で、もういまは上級の学校へ行っておりますけれども、折に触れてはその園長先生が泣きながらほおずりをしてくださった卒園式の思い出を言うんですけれども、こういった個人立とか宗教法人立、いわば幼児教育というものに本当に自分の宗教的信念も含めて一生懸命やっていらっしゃる、こういったりっぱな教育者の皆さんが、実はいまのこの学校法人化のはざまのようなところに置かれてしまって、三年たっても学校法人化ができないというようなことになる可能性が大きいわけですね。だから、その点についての西岡先生の発案者としての配慮と、それから文部省の十二分の配慮というものがなされなければ、最前から私が言っておりますように、ただただこの幼稚園を経営、金もうけというふうに考えて、次代を担うべき子供を小さいうちにしっかり育てなきゃいけないんだという、そういう理想を持っている人が自分の理想を見失ってしまう、こういう危険性があると私は思うんです。その辺についての御見解、御所見をお伺いしたいと思います。
#194
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 私も中村委員の御指摘の点に全く同感でございまして、そうした施策をいまの現行制度のもとで、現行法制下においては率直に申し上げてなかなか適切な施策が行いがたいという状況にあるわけでございますから、しかも保育所と幼稚園との関係というものが、保育所が誕生をいたしましたときの意味と現在の保育所が果たしている現実的な役割りというものがかなり乖離してきているということを考えますと、やはり新しい幼児教育についての施策というものがこの際考えられるべきではないか。そのためにたまたまこの法律が五年間の年限が経過をいたしまして、本来ならばこの五年間の特例措置を提案いたしましたときに、いま中村委員が御指摘の幼児教育についての真のあるべき姿をこの五年間の間に本当はつくっておくのが望ましかったわけでございますが、残念ながらそうしたことに対応することができなかったということでさらに三年間延長して、いま中村委員が御指摘の方向に、どういう政策の手段があるのかということを考えていきたいと、このように考えているわけでございます。
#195
○中村鋭一君 文部省にお尋ねいたしますが、補助はもらったと、三年たってもし学校法人ができなかったという場合は、金は返してもらえるんですか。
#196
○政府委員(阿部充夫君) 三年間経過をいたしました後に、残念ながら学校法人化を達成することができなかったという場合の補助金の取り扱いの問題でございますけれども、この補助金自体は、先ほど来お答えを申し上げておりますように、経常費の補助でございまして、そのお金自体は、教員の給与でございますとか、あるいは子供たちの教材費ということで、子供たちの教育のために現に使われているお金でもございます。そういったことから考えますと、これについて返還を求めるというのは適切でないのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#197
○中村鋭一君 それだったらあなた、全く取り得じゃないですか。国民は税金をそれは納める義務はありますよ。しかし、その税金が平等に、公平に徴収され、それがひとしく一億二千万国民に全く平等な行政サービスとして提供されるから、だから税金を納めているんですよ。そんなべらぼうな、三年たって学校法人できなかったらそれは取り得だ、あなたがおっしゃっていることは取り得ということですからね。そうしたら、もらえなかった人はばかみたいなものじゃないですか。そんなことは大変ぐあいが悪いことですから、これはもし三年たって約束どおりのことができなかったら、返却を求めるという方向でひとつ御努力をお願いしておきたいと思います。それでなければ、国民の納税の義務をわれわれが訴えることはできないと思いますよ。
 で、もし三年たっても理想の形で、いまおっしゃったようにいろいろな問題があるわけですから、できなかった場合は、さらに本法の延長はあり得ますか。それとも一切もう延長はないですか。これは発案者、どのようにお考えでございますか。
#198
○衆議院議員(西岡武夫君) お答えいたします。
 もともと、今回三年間の延長をお願い申し上げたこと自体、確かに御指摘の問題点があるということを提案者といたしましても自覚しているわけでございまして、再延長ということは全く考えておりません。
#199
○中村鋭一君 最後に大臣にお伺いいたしますが、臨調の一次答申では、私学助成は抑制しなさいということを土光さんははっきりとおっしゃっているわけですね。で、間もなく今回の臨調の答申に対しても閣議決定がなされると、鈴木総理大臣も臨調の答申を全く最大限に尊重するとおっしゃっているわけです。すでに答申の中に私学助成は抑制しなさいと、こうおっしゃっているわけです。その点について大臣は、本法律案とも関連してどのようにお考えかお伺いいたします。
#200
○国務大臣(小川平二君) ただいま臨調の一次答申という仰せでございましたが、一次答申は五十七年度予算の編成を前にしての緊急答申であったわけでございまして、その中で私学助成につきましては、私立大学への助成費を前年度同額以下に抑制することと提言されているというわけでございますから、これは直接この幼稚園の問題とは関係がございません。また、ことしの七月三十日の臨調の第三次答申、基本答申におきましても、ただいまの第一次答申と同様に、高等教育の費用のあり方に関連して、私立大学への助成についての提言がなされておりますので、直接この法案には関係がないものと理解をいたしております。
#201
○中村鋭一君 いや、ですから、なるほどその大学の問題ですけれども、直接関係はありません。私が大臣にお伺いしたがったのは、その精神においてであります。大学についても私学助成は抑制しなさいという答申が出ているわけですね。そうしたら、それはやはり敷衍して、私学振興助成法という法律なんですから、そういった全般の助成についてやはり慎重に配慮をする必要が私は文部大臣としてはあるのじゃないか。ですから、むしろ関連づけて今回のことにも対処をしていただきたい、そういうつもりで申し上げた次第でございます。
#202
○国務大臣(小川平二君) 御趣旨はよく理解いたしましたので、そのつもりで対処いたします。
#203
○中村鋭一君 衆議院で全会一致をもって附帯決議案が採択をされております。この附帯決議案にすべて盛り込まれてありますけれども、私の所属しております会派といたしましては、本法律案の改正に賛成である。賛成ではありますけれども、本日のこの討議を通じて明らかになりましたように、いろいろな問題点がございます。したがって、この補助金一つをとりましても、国民に対して十二分に納得と説明のいく形での本法律案の成立をひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。
 これで質問を終わります。
#204
○委員長(片山正英君) 本案に対する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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