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#1
第096回国会 大蔵委員会 第8号
昭和五十七年四月十五日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
     穐山  篤君     青木 薪次君
     近藤 忠孝君     佐藤 昭夫君
     三治 重信君     柳澤 錬造君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     近藤 忠孝君
     柳澤 錬造君     三治 重信君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君     穐山  篤君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河本嘉久蔵君
    理 事
                衛藤征士郎君
                中村 太郎君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
   委 員
                岩動 道行君
               大河原太一郎君
                大坪健一郎君
                梶木 又三君
                嶋崎  均君
                鈴木 省吾君
                塚田十一郎君
                土屋 義彦君
                藤井 孝男君
                赤桐  操君
                鈴木 和美君
                和田 静夫君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁調査
       局長       田中誠一郎君
       大蔵政務次官   増岡 康治君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田 正輝君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
       大蔵省主税局長  福田 幸弘君
       大蔵省理財局長  吉本  宏君
       大蔵省証券局長  禿河 徹映君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  宮島 壯太君
       外務省アジア局
       外務参事官    長谷川和年君
       外務省経済協力
       局外務参事官   中村 順一君
       中小企業庁長官
       官房総務課長   宇田川治宣君
       中小企業庁計画
       部振興課長    桑原 茂樹君
       中小企業庁計画
       部下請企業課長  姉崎 直己君
   参考人
       日本銀行副総裁  澄田  智君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に穐山篤君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(河本嘉久蔵君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁澄田智君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
#7
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。昭和五十七年度予算は、何よりも行財政の徹底した合理化、効率化によって財政再建を進めるべきであるとの世論がつとに高まったことにかんがみ、行財政改革による歳出削減を中心として、昨年春以来の一連の行財政改革の基本路線に沿って編成いたしました。
 まず、歳出面におきましては、各省庁の予算要求に当たって原則として前年度と一律同額にとどめるという方策、すなわちゼロシーリングに基づき、経費の徹底した節減合理化によりその規模を厳しく抑制いたしました。特に、国債費及び地方交付税交付金以外の一般歳出の規模を極力圧縮したことにより、一般歳出の伸び率は、前年度当初予算に対して一・八パーセントと、昭和三十年度以来の低い水準にとどまっております。
 また、歳入面におきましては、経済情勢の変化等により、昭和五十七年度の自然増収が、ゼロシーリング決定の際参考とした財政の中期展望における自然増収より約七千億円不足することが見込まれましたので、経済の実態に即し、この不足分を補うため、まず税外収入において極力増収を図り、なお残る不足分を税制面の見直しにより措置することとしたところであります。
 このような歳出・歳入両面にわたる見直しにより、公債につきましては、その発行予定額を前年度当初予算より一兆八千三百億円減額いたしましたが、昭和五十七年度においても、なお引き続き、財政法の規定により発行する公債のほかに、特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 このため、昭和五十七年度の特例措置として、国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行できることとすることを内容とする本法律案を提案するものであります。
 しかし、このような措置はあくまでも特例的な措置であり、政府といたしましては、昭和五十九年度特例公債脱却を目指し、引き続き財政の再建に全力を傾注する決意であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十七年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることとしております。
 第二に、租税収入の実績等に応じて、特例公債の発行額の調整を図るため、昭和五十八年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、昭和五十七年度所属の歳入とすることとしております。
 第三に、この法律の規定に基づき、特例公債の発行限度額について国会の議決を経ようとするときは、その公債の償還の計画を国会に提出しなければならないこととしております。
 第四に、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は行わないものとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 なお、本法律案はその施行日を昭和五十七年四月一日と提案しておりましたが、その期間を経過しましたので、衆議院におきまして公布の日に修正されておりますので、御報告いたします。
 以上でございます。
#8
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより本案の質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○和田静夫君 まず初めに、経企庁長官に尋ねるところでしたがお見えになりませんので、局長の方から答弁をいただきますが、現状の問題については調査局長が答弁可能だということを聞いていますから、見通しについてはいま調整局長が入るという約束になっていますから、栄たくの方で選択をしてもらえば結構だと思うんです。
 最近の経済の動きについて、まあ中長期的な視点から尋ねてみたいんですが、私は、日本の経済は第一次オイルショック以降おおむね五%水準の中成長をとってきたと考えています。ところが、八〇年代に入って、これがさらに下方にシフトしてきたと思うんですね。そういう疑問を私は率直に持っているわけですが、つまり日本経済というのはさまざまな成長の制約条件を抱え込んでいるのではなかろうか。また、経済の成熟段階到達説という説がいろいろ書かれ出していますが、経済企画庁というのは、低成長への屈折というのをまずどういうふうにお考えになっているわけですか。
#10
○政府委員(田中誠一郎君) わが国のある意味での潜在成長力の高さをどう評価するかという点でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、わが国は一九六〇年代はいわゆる高度成長の時代でございました。いわゆる二けた成長が可能であったわけでございますが、一九七〇年代に入りまして、成長率が若干屈折いたしまして、特に第一次石油危機によりましてエネルギーの制約、そして高価格によりまして成長率が下方に屈折したというふうに考えております。その後の経済の足取りを見ますと、第一次石油危機を克服した後、五%台の成長をしたわけでございますが、再び第二次石油危機が起こったわけでございます。現在はその第二次石油危機の影響をなお色濃く受けているわけでございますが、したがいまして、成長率はなお第一次石油危機後の五%台から比べますと下がっているということでございます。
 しかし、中長期的に見た潜在成長力がどれくらいあるかという点でございますけれども、潜在成長九は一般的に言いますと技術と資本と労働という組み合わせ、そして昨今ではエネルギーの制約というのが一つの要因として加わっているかと思われますが、私ども経済審議会の長期展望委員会で、いまその点検討中でございますけれども、ただいま私どものいろいろ検討している段階では、潜在成長力は第二次石油危機後、そう大きく落ちているということはないのではないかというふうに考えている次第でございます。
#11
○和田静夫君 昨日あなたは、けさの報道によりますと、月例経済報告で日本には五%成長する力があるのかという田澤農水大臣のいわゆる質問か意見が出た。それに対して、その実力ありとあなたはお答えになったと報道されているわけです。ところが、長官お見えになっていないんですが、河本経済企画庁長官は、いや実に田中調査局長の声は蚊の鳴くような声であったとこういうふうに言って、自信のなさを裏づけているんですね。私はここのところ、実は率直なところじゃないかと思うんです。余り高姿勢で発言をされ続けるというのは将来に向かってよくないというふうに思っているんです。
 民間経済機関の予測値というのはやっぱり大体四%弱、三%というところをずっと予測して出しているでしょう。これにいま若干の反論がありましたが、明確に反論されますか。
#12
○政府委員(田中誠一郎君) ただいまの御指摘のとおり、五十七年度の経済の見通しにつきましては、三%ないし四%の成長率についての見通しが民間機関には多いかと思われます。
 しかし、もう少し長い目で見ました日本の経済の潜在成長力がどれくらいかというのは、なお各界におきましていろいろ議論のあるところでございますが、ただいまの先生の御指摘になりました昨日の閣僚会議におきましては、潜在成長力、いまのところ大きな低下はなくて、おおむね五%程度前後ではないかというふうに申し上げたわけでございます。
#13
○和田静夫君 私はここにあれ持っているんですがね、「日本経済展望」、これはおたく、経済企画庁の香西さん、これは最近東京工業大学の教授になられたわけですか、それから荻野由太郎さんの著述ですね、一九八〇年代の著述です。非常にむずかしいんですけれども、よくわからぬのですけれども、中長期的な自然成長率が低下しているということですね。これは経済企画庁全体の立場と考えてまずよろしいでしょうか。
#14
○政府委員(田中誠一郎君) ただいまの著作の内容は、いま先生が御指摘されました両名の著書でございまして、企画庁としては、自然成長率をどう見るか、潜在成長力をどう見るかという点については必ずしも同一意見ではございません。
#15
○和田静夫君 そうすると、自然成長率はどういうふうにごらんになっていますか。
#16
○政府委員(田中誠一郎君) 自然成長力をどれぐらいに見るかという点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、経済審議会のもとにいま長期展望委員会等を開きまして検討している最中でございますが、非常に大幅など申しますか、潜在成長力がかなり低下したというふうにはまだ私ども見ていないわけでございます。
#17
○和田静夫君 私は、これを読みながらかなり感銘を受けたんですが、自然成長率が下方にシフトしている場合、景気刺激策をとってみてもこれはなかなかポンプアップしない、その波及効果は弱いのではないかという、全く常識的に考えたわけですよ。
 そうすると、高度成長期で期待成長率とでも言いますか、そういうものが最も高い時代であればわずかな刺激策でもかなり効果を発揮したでしょう。ところが、下方屈折期ではそれほどの期待を持つことはできない、これは私は常識ではないかと思うんです。一般論としてそう考えてよろしいですか。
#18
○政府委員(田中誠一郎君) ただいまの仮定のお話としまして、先生から御指摘のとおり、仮に潜在成長力が低下したということになりますと、やはり政策的な刺激を行いましても、成長力の限界がそこにあるわけでございますから、それ以上の効果を期待するというのは困難かと思います。
#19
○和田静夫君 そこのところは大体合っているんですね。
 そうすると、これは大蔵省も含んで両方から聞きたいんですが、基本的には景気刺激策は制約的とでも言いますか、あるいは禁欲的とでも言うんですかね、彼ら学者の言葉をかりて言えば、そういうふうに考えてよいのか。すなわち、基本的なスタンスとしてどういうふうに両方お考えになりますかな、まず企画庁。
#20
○政府委員(田中誠一郎君) 現在の状況でございますけれども、先ほども触れましたように、言うなれば第二次石油危機の影響をまだ残している段階でございますので、したがいまして成長力が特に現段階においては低いわけでございますけれども、潜在成長力の面で見ますと必ずしも第二次石油危機後大きな屈折を見たとは考えておりませんので、したがって、政策運営のよろしきを得ることによって潜在成長力を生かすことは可能ではないかというふうに考えているわけでございます。
#21
○政府委員(水野繁君) 大蔵省といたしましても、いまの石油ショック以後いろいろと情勢が変わってきているということで、経済審議会では現在も長期展望委員会を持って審査をしておられますけれども、この後また、従来ございます経済社会七ヵ年計画、これについてもどうするかということを御検討いただくやに聞いております。そういう過程を踏まえましてこの先見てまいりたい。基本においては経済企画庁のお考えと変わっておりませんけれども、そういうふうなところもこれから御検討願いたい、こういうふうに考えております。
#22
○和田静夫君 そうしますと、国民経済研究協会が五十七年の実質経済成長率を四・一から三・四%に下方修正しましたね。また山一護券のあれを見ましても三・七から三・〇%に、修正したですわ。これはどういうふうに見るんですか。
#23
○政府委員(井川博君) 各民間機関が前に出しました見通しを下方修正しているということは事実でございます。
 やはりその一番大きい原因は、現段階、これはわれわれも予想しなかったわけでございますけれども、海外需要が予想以上に弱い。反対から言いますと、輸出が急速にダウンしている。そういう状況を踏まえまして、全般的にそういう傾向を勘案した上の見通しになっているというふうなこと等もございまして下方修正をいたしているわけでございます。
 ただ、この点についてはいろいろ見方がございまして、基本的にわが国の国際競争力はきわめて強いものがございます。と同時に、本年後半から米国あるいはヨーロッパの経済が上向きになるということが一般的な観測でもございますので、そう現状自体から弱気に見ていいのかどうかというふうな問題がございまして、そういう見方自体に直ちにくみするということもどうか、こういう考え方もあるわけでございます。
#24
○和田静夫君 そこのところなんですよ。経済企画庁長官と少し話してみたかったのはそこのところなんですが、予算委員会等の論議をずっと拝聴していまして、これは大蔵大臣の場合も、まあ鈴木内閣としてそうなんでしょうが、ことし下半期になってきて上がってくるという意味のことを盛んに言われているわけです。ところが、いまあなたのところは神戸大学の天野さんの協力を得ながら世界経済モデルを作成中なわけでしょう。その天野先生の計量モデルのフレックス−4Aの推計を読んでみましたよ。そうするとどうなっていますか、五十六年度の実質成長率が二・八%でしょう。それから五十七年度のそれが二・九%でしょう。その天野先生のあれでモデルが全部でき上がるなどとは考えているわけじゃありませんけれども、基本に座る人の考え方というのはここに明確です。そうすると、これにはどういうふうにコメントされますか。
#25
○政府委員(井川博君) 天野先生の数値自体についてどうこうというふうな問題は私ここでコメント申し上げるわけにはまいりませんけれども、現在五十六年度についてどう見るかという問題がございます。
 政府は、昨年末に四・一という数値を出しましたけれども、四・一は現状絶対不可能というふうな状況でございまして、われわれの感じといたしましても三%前後、場合によりますと二%台ということがあり得るということになろうかと思います。しかしながら、その現状自体をそのまま五十七年度に移していくという考え方はわれわれはとっていないわけでございまして、五十六年度については御案内のように物価は落ちついているけれども、消費あるいは設備投資等々いわば最悪の状況になった。
 第二次石油ショックの二次的影響、一次が物価、国際収支でございましたが、二次的影響である所得、消費、個人投資というふうな面に影響が出てきている、こういう状況でございますけれども、五十七年度になりますとやはり第二次石油ショックからの脱却が可能であろうか、と同時に、先ほど申し上げましたように五十六年度につきましては予想外に、これはだれも予想してもいなかったわけでございますが、輸出が急激に落ちてきた、こういうことがございますけれども、その輸出についてはわが国の国際競争力及び国際経済の情勢、今後の見通しからいいましてそう大きく悲観的になる必要はないということになりますと、政府が見通しておりますライン、これは河本大臣も申し上げておりますように、じっとして達成できるものではございません。各般の施策が必要でございますけれども、五・二%達成し得ると考えておるわけでございます。
#26
○和田静夫君 そのまま五十七年度にあれするつもりはないんだという企画庁のあれですが、水野さんの方もそうですか。
#27
○政府委員(水野繁君) 非常にむずかしい局面でございまして五・二%というのは厳しい状態になっていると、こういうふうには考えておりますけれども、それならどのくらいかということと、もう一つ、じゃ五・二%絶対にいかないのかとこう言われますと、まだそう言い切る勇気はございませんと、こういうのが現状でございます。
#28
○和田静夫君 それじゃ、ちょっと現実的な話に入りますが、まず経済企画庁ですが、長官は、事務方が五十七年度実質成長率を三・八%とはじいて持ってきた。いまも五十七年度の話ありましたが、政策努力というものを積み重ねてみてそして五二%まで上積んだ、こう発言しているんですよ。
 その事務方の三・八%という数字ですが、これは民間機関の予測に近い数字でしょう。これは明確なんですよ。そうすると一・四プラスされたということは、日本経済というものを中成長に維持させるのだという並み並みならぬ決意を示されている。私は決意は多としますよ。しかし、その決意は決意で終わってしまって実際はそうはならない、こういうことがあるのではないかと思うんです。その辺のところちょっと承りたい。
#29
○政府委員(井川博君) ただいま先生言われましたように、われわれも厳密に三・八という数字をびしっと出したわけではないんです。そのときの現状、昨年末でございますけれども、現状のベースで諸要件あるいはいろいろな国内の諸要素が動かないとすればというふうなことになると、やっぱり四%を切るラインというのが出てまいりますというふうなことで、それから翌年度、すなわち現在の五十七年度の議論に移ったわけでございます。
 ただその場合に、やはり物価が二年続き四%台という世界でも一番安定した状況にあるということ、これは長い目で見れば必ず消費喚起につないでいけるのではないかというふうなこと。それからもう一つの住宅問題については、これは単に所得が多少拡大したというふうなことだけではいけまい。というのは、住宅ということになりますと相当大きい個人としては投資になる。それであれば国の施策、政策努力というふうなものが大きく物を言う。そのためには、やはり住宅対策あるいは関連しての宅地供給円滑化対策が必要であろう。さらには設備投資の問題で、御案内のように大企業の設備投資はきわめて根強いものがあるけれども、問題は中小企業はマイナスである。そういうマイナスを放置するということは日本経済の成長力からいってもきわめて問題である。したがってこれを上げていかなきゃいかぬが、そこらあたりは大変むずかしいけれども可能な限り金融政策の弾力的な運用というふうなことを考えていかないといけないであろうというふうな、そういう政策と現実とのいろいろな絡み合わせで計算をした結果が五・五%ということでございます。
 したがいまして、そういう意味からいいますと、政策努力を加えた結果としての見通す数字になっているということは事実でございます。
#30
○和田静夫君 そこで、その政策努力の部分ですがね、需要項目別には一体何が一番寄与するとされたんでしょうか。すなわち、設備投資主導型なのかあるいは個人消費主導型なのかあるいは公共投資主導型なのか、その辺はどうですか。
#31
○政府委員(井川博君) 実は、これは国会で総理も答弁をされておりますように、五十七年度経済につきましてはこれ一つでもってというふうなやり方ではない。というよりは、現在のいろいろな政策手段を縛られております現状からいたしまして、あらゆる政策手段のミックスによって実現をしていくという方法以外にないというふうなことになるわけでございます。
 しかし、その中でただいま先生か言われたそういう感覚からいたしますと、特に民間との違いというのは住宅建設にございます。御案内のように民間の方の見通しが百十万戸台、このところ民間の見通し自体も多少上方修正していいかという感じも出ているようでございますが、少なくとも当初百十万戸台、すなわち前年の五十六年の横ばいかちょっと上ぐらい、こういうのが大部分でございまして、百二十万戸という数字を出すところはきわめて少ないという状況でございまして、これは建設着工戸数に直しての問題でございます。
 しかしながら、政府としては先ほど申し上げました住宅対策あるいは宅地供給円滑化対策等々を講ず令ことによって百三十万戸を実現をするというふうなことをいたしました結果、民間との一番大きい違いは住宅の違いである。ただ、この点につきましては、民間の見通し自体はすべて政府の住宅対策が十二月末出る以前のものであったということが言えるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、民間との一番大きい違いは個人住宅の違いが大きかったということでございます。
 しかしながら、GNPに占める大きさからいいますと、これは過半が消費でございます。ただその消費につきましては、実は民間の見通しと政府の見通しにそう大きい違いはございません。民間の見通し自体も、二年続きのそうした物価の安定によって消費が拡大していくという見方をとっておりまして、ほかの項目に比べますとその政府と民間との違いは余り大きくないということになるわけでございます。
 それからもう一つの違いは、企業設備投資がございます。これは民間におきましても中小企業の設備投資はふえていくという見通してございますが、政府とそのふえていくという見方の違いがある、こういうことになっておりまして、具体的な寄与度を別にしまして、民間との違いで最大のものは住宅建設であり、それからその次は企業設備投資、消費についてはそう大きい数字の違いがない、こういう状況になっておるわけでございます。
#32
○和田静夫君 ちょっと一つずつ尋ねてみますが、まず輸出ですがね、五十七年度の輸出見通しはこれはどうでしょう。秋ごろまでは鈍るだろう、世界景気の回復から私はさらにずれ込むと思っていますから、そこのところは、ずれ込むとすれば輸出の伸びというのは一〇%を大きく割り込む可能性があるのじゃなかろうか。
#33
○政府委員(井川博君) 五十七年度の輸出の見通し、実は政府の発表では兆円という日本円で発表をいたしておるわけでございますが、これをドルに直します場合に、貿易収支で三百億、そのうち輸出は千六百五十五億というふうなことで前年度比で八・二%と置いているわけでございます。
 御案内のように、五十五年度あたりは前年度比非常に大きく輸出が伸びまして、これはもう二十数%アップということでございまして、五十六年度の実績見込みが一三%程度でございます。そんなに伸びることはないというふうなことで、ただいま申し上げましたように八%の伸びということにいたしてございます。ただ、先生言われますように、いまの時点から見て対前年で横ばいとかマイナスという状況じゃないか、一体八・二が実現できるのか、こういうお話はあろうかと思います。しかしこの点に関しては、わが国の国際競争力及び今後における世界経済の動向を考えますと、大体この程度のことは実現は可能ではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
#34
○和田静夫君 次に民間設備投資ですが、これは各機関の見通しを見てみますと、日銀が四・八%、それから開発銀行が一一・二%、興銀、長銀が七から八%、こういう程度になっています。一応この設備投資の伸びというのは堅調ではありますが、先ほども触れられましたが、政府見通しを若干下回ることは間違いない。特に中小零細は消費不況のあおりを受けてなかなか言われるとおり伸びないわけですね。
 こういうような事実から見ますと、設備投資が景気を牽引することは、これはむずかしいんじゃないだろうかと考えますが、その点はどうなんですか。
#35
○政府委員(井川博君) いま日本経済を支えているのは、大企業の堅実な設備投資というのが一つの大きい要因であるということは申し上げられると思います。
 しかし、先生もただいまおっしゃいましたけれども、問題は中小個人企業の設備投資がどうなるかということでございます。実はわれわれの予測からいたしますと、現段階、中小企業の設備投資回復への動意がまだ出てきたとは思えない、こういう状況でございまして、われわれも大変実は心配をし、関心を持って見守っておるわけでございます。中小企業は回り身が早うございますから、たとえば金利が安い、あるいは景気の先行きが晴れてきっっあるというふうな状況になりますと、これはどんと出てくる傾向がございます。
 したがって、現段階調査をいたしますと、マイナスというのが出てくるのもやむを得ないかと思いますけれども、年間を通じましてやはりだんだん景気が回復基調に乗る、そしてまた、いろいろ非常にむずかしい条件の中でございますが、先般も長期プライムについて〇・二というふうな下げが行われましたけれども、こういうかっこうで金利が低下をしていくというふうなことになりますれば中小企業の設備投資が回復に向かう、そういたしますとわれわれの見通しに近づいてまいる、こういうふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、一方において大企業の設備投資がわが国の経済を力強く支えているということは事実でございますが、さらにそれ以上の五十数%のシェアを占めます中小企業がまだ動いていない点、これが一つの問題点であると同時に、今後それが伸びるような環境づくりをやっていかなくちゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
#36
○和田静夫君 これはせんだっての委員会でもお尋ねをしたんですが、建設国債を一兆円増発する、公共事業を追加発注すると一兆二千七百億円増加するということになるわけですが、経済企画庁、これはずばり言ってそれだけで政府見通しの実質五・二%を確保できるとお考えになっているんでしょうかね。先ほど来何か言われていますけれども、どうも私は疑問だ。
 OECDの経済政策委員会の幹事会の模様が毎日新聞で報道されていましたが、この記事の中で、政府は二兆円の追加財政需要をつくり出す方針のようだというふうになっているわけです。私は、それでも五・二%というのはおぼつかないんじゃないだろうか。これは企画庁と大蔵からそれぞれ答えてもらいたいと思いますがね。
#37
○政府委員(井川博君) われわれといたしましては、現段階七五%以上というラインを政府として閣議決定をし、かつまた現実にその作業をやっておりますけれども、七七%台ということで現在作業中でございます。
 実は、公共事業の前倒しというのは、経済効果としては大変大きいと思うわけでございます。年間の枠はたとえ同じでございましても、年の後半でその金が出るということになりますと、次年度への影響としてそれがつながるわけでございますが、当該年の影響としては、前半にそれだけたくさん出す、この効果はきわめて大きいと思っております。したがいまして、現在作業をしておりますのは七七%台のどのあたりになりますか、それによっても多少は違いますけれども、そのことによって、現在多少もたもたしております国内需要に公共事業という面から一つの石を投ずる、それが広がり広がって年度後半の民間の需要へつながっていく、こういう現在構図を描いているわけでございます。
 それだけの前倒しの効果、これは計算をすればいろいろな計算が出ますけれども一これはあくまで従来のマクロモデルその他に入れた数値でございますから、ここで〇・幾らだ、あるいはどうこうだという数値を申し上げても、実はそれはあくまでモデル上の数字でございます。しかし、お考えいただいてもわかると思いますが、土地代を除きましてGNPに占めます固定資本形成、これは政府の分が二十四兆ということになっております、中央、地方を当然合わすわけでございますが。大体土地代というのが二割弱ということを言われておりますので、土地代を含めますと三十兆弱というふうな中央、地方を含めての公共事業があるわけでございます。
 そういたしますと、例年普通の場合に、これはまあ、とる年によって違いますけれども、六五%程度だとすれば一〇%以上前倒し。一〇%ということになりますと、三兆弱前倒しで上期に出ると、こういうことになってまいるわけでございまして、現段階それだけの需要をここで呼び出すというふうな効果は、これは大変大きいものがあるとわれわれ期待いたしているわけでございます。
 追加云々というのは、これは大蔵大臣もいらっしゃいますが、政府としてはまだそこまでは考えていない、少なくとも前倒しによって上期の景気を回復ということで期待をしていきたいと、こういう考え方でございます。
#38
○政府委員(水野繁君) 大蔵省といたしましても前倒しの効果、それを相当高く評価しておりまして、できるだけ七七%台でもっていけるところまでいってみようと、こういうことでございます。いま井川局長が申し上げたことと相違ございません。
#39
○和田静夫君 ここで大臣、ちょっと登場してもらいたいんですがね。
 いまと同じ質問です。いけるところまでいくということです。これは本会議でもよく聞きました。しかし、先ほどけさの読売の記事を読み上げましたけれども、農水大臣が昨日ああいうふうに、彼でさえ五%危ないと見て発言されていますね。その辺で大蔵大臣はどうお考えになっておりますか。
#40
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいままでのやりとりの中に全部出尽くしておると思いますが、非常に世界の経済は激動をしておりますから、だれも断定的なことはわからぬと思うのですよ。むしろ当たればまぐれ当たりで当たったくらいで、当たらないのが普通みたいになっちゃっている。
 そこで、われわれとしては学者じゃありませんから、まあ日本の経済も世界の経済につながっておる点から考えまして、ことしの後半から世界経済はよくなるというのが一致した、大部分の人の通説になっておるわけです。一々その根拠を私は突きとめる気はございません。したがって、そういうことならば、一応それを目安に置いてもいいじゃないかと。
 問題は、日本はいろんな面で、財政はだめだけれどもあとの面は世界の中じゃ一番いい部類でございますから、この前半が落ち込まないようにかげんをしてやるというようなことで後半につないでいくということであれば、企画庁、大蔵省でみんなして考えてこしらえた数字だろうから、達成できないこともないんじゃないか。これはやっぱり、ある程度、そういう努力目標というわけじゃなくて、これは一つの目安ですな。言うならば目安ですよ、見通しですから。ただ、もう政府が幾らてこ入れしてみたって日本の経済を大きく動かすなんということはこれは不可能だと私は思っております。二百七十兆以上のGNPを三兆か五兆で動かすなんということはできるはずがない。
 そこにどういうふうなはずみをつけるか、てこにするか。まあ経済は気分の問題でもあるし、病は気からと言うが、経済もかなり気からのところが多い。したがって心理学ですからね、これは。みんなしてだめだだめだと言っちゃったら、本当にみんなもう貯金ばかりふえちゃって、だれも金使わなくなっちゃう。そうすると貯金だけはぐっぐっとふえているわけですよ、現実の問題として。だからまあ少し財布のひもを緩めてもらわなけりゃ個人消費支出は伸びないと。
 したがって、われわれ決して楽観論を言っているわけじゃありませんが、先頭に立ってもうだめになりますよ、お先真っ暗ですよということは絶対言わないんです、私は。やっぱり大蔵大臣ぐらい、金がなくてもありそうな顔をして、それで国民にも余り心配かけないようにするということはやっぱり心理学上非常に大事だと、そう思っておりますから、せっかくの数字でございますので、私はまあ何とかなるんじゃないかということを言っておるわけでございます。
#41
○和田静夫君 いつの間に心理学者になったのか知らなかったんですけれども、ミッチー節で景気を刺激するというわけですか。
 きのう実は決算委員会やりましたね、建設省の決算委員会。これは与党質問ですよ。いまと同じような、水野さんのような答弁が建設大臣からなされまして、局長の答弁も一緒です。
 しかし、与党質問の中で、そんな見通しのないことじゃ困るじゃないか、後半だ後半だと言うけれども、あともうわずかな月数しかないじゃないか、やっぱりこの辺でしっかり見通しを立てるべきじゃないか。一兆円なんと言っておったって、そんなことではだめじゃありませんかと。われわれが言っているんじゃないですよ、与党質問でそう言っているんですよ。
 これはどういうふうに大蔵大臣受けとめられますか。
#42
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自由民主党というのは、これはもう上下左右自由党でございまして、かつては同じ自由党の中で宇都宮徳馬さんから菊池義郎さんまで全部自由党の中に入っているわけですから、下の地層の幅も非常に広いし議論の余地もいっぱい、かなり広い。したがって、私は与党の中で個人的にそういう意見が大いにあったって少しも何とも思っておりません。そういう見方もあるわけですから。だから、だれが当たるかは時が解決する問題だと、そう思っております。
#43
○和田静夫君 しかし私は、やっぱり多数意見としてそういう切実に求める意見はあると思うんです、これは与党、野党を問わず。やっぱりそれには財政の責任者としての、あるいは経済企画庁長官も同じ立場でしょうが、それにはこたえるべきだと、そういうふうに思っているんで促す。
 ちょっと具体的に質問いたしますが、この七七%を前倒しすると。そこで、渡辺大蔵大臣が委員長か座長におなりになって、各省事務次官か何かを委員として、どこの部分をどれだけ、たとえば道路をどれだけ、港湾をどれだけ、住宅をどれだけというような形の前倒し計画というものをおつくりになることになっているわけでしょう。それはいつまでに、そして渡辺構想としてはどこに比重を置きながらおやりになるのか。
#44
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に大事なところで、また非常にむずかしいところなんです。ややもするというとやっぱり利害が結びついておりますからね。公共事業といってもいろんな業種がありいろんな地域があり、そうすると、いままでの例に従うと大体横並びで、前例に従ってまくというのがいままでのやり方ですよ、これは。しかし、それでは景気対策としてやるのには効果が薄い。
 早い話が、東京のようなところで道路拡張なんて言ったって、それをやってみたところで、ともかく六割も七割も、もっと多いところによっては八割も地代だというんです。土地代あるいは営業補償費、そういうようなところへみんな入っちゃったんでは、景気対策としてやるということになれば非常に効果が薄いわけです波及効果が、貯金になっちまうんですから。だからといって、ほんとにもう土地の問題に関係のないところで、土地代金のかからない、しかも波及効果の多いようなところだけねらってやるというと、どこかへ今度は偏在的に行くということもかなりあるわけですね、これは。
 ところが、もうそういう場所はないんだと。もう大体前にやっちゃっているから、そんな数字の上で、机の上で言われるようなことはできないという議論もございます。ございますが、なるべく工夫をして、そしてその波及効果の多いようなものに重点的にやってくれということをお願いしているんです。そうなりますと、それだけでやっておって、公園なんというものは、土地でも買ってやるなんといったって、できないということになりますなこれは、実際は。だから、そこらのところはなかなか思うようにいかないんだけれども、やっぱりこういうときですから、ある程度効果的にやるということを言ってはおっても、予算というのは各省各局各課ごとに張りついておるわけですから、したがってほかの課の予算を持ってきて別な局で使っちゃうということもなかなかできない。これも現実の姿。
 でございますけれども、できるだけそれらの中でもひとつ効果的にやってくれということを言っておるわけであって、まあ細かい数字で私はどういうふうにどこの数字が幾ら幾らということまでわかりませんけれども、各省にはそういう趣旨は流してあるんです。それぞれの省の中で考えてくれぬかということを言っておるわけであります。
#45
○和田静夫君 その委員長としての大蔵大臣は、波及効果の最も大きいものは何だとお考えになっているわけですか。
#46
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは住宅関連みたいなものが一番効果が高いと昔から言われておるわけでございますがね。ですから、まあどういうところで、これは場所によってもまた違うことでもありましょうし、一概には断定的には言えないと思いますが、まあ事務局の方でいろいろ検討をしておると思いますので……。
#47
○政府委員(西垣昭君) 公共事業の執行につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、限られた財源の中で前年度並みというものを確保したわけでございます。その確保された財減をできるだけ有効に使うということで、いたずらに用地費なんかにいかないようにということで、できるだけ効率的に使っていきたい。これはもう大原則でございます。
 その中で、七五%以上の契約と。七五%以上の契約というのはまことに異例でございまして、これは各省とも相当努力をしてやらなければいけないわけでございますが、しかし、わが方といたしましては、契約率が高ければいいというものではなくて、大臣が申しましたように、できるだけ効率的にということで、見ながら契約率を上げていくということにしたいと思っております。
 その中で、じゃどの事業が一番効果があるかということは、なかなか一概には言いにくいわけでございます。大臣いま住宅関連というふうに言われましたけれども、たとえば用地比率一つとりましても、住宅が意外に用地比率が高いというような問題もございます。これはもうケース・バイ・ケースで中身を見ながら、できるだけ効率的にと、しかも契約率を高く持っていくというふうなことでやりたいということで、各省にお願いをして作業を進めているところでございます。
#48
○和田静夫君 先ほど時期の問題聞いたんですが、いつごろまでにまとめられるんですか。
#49
○政府委員(西垣昭君) 何とか今月中にまとめたいと思って努力しているところでございます。
#50
○和田静夫君 先ほど大蔵大臣、率直に各省に予算も配ってあるもんだからという前提に立った幾つかの御発言があったわけですが、各省間にまたがるものについての大胆な調整というものはあり得ますか。
#51
○政府委員(西垣昭君) 予算はすでにでき上がっておりまして、各省ごとに予算持っておるわけでございます。事業ごとに予算がございます。
 その中で、たとえばこの事業はゆっくりでもよろしいとか、この事業は急いでやれというふうなことは目標の率が低ければかなりやれると思いますけれども、ことしの場合には七五%というかってない高い率でございますので、それぞれの省庁で努力をしていただいて、合計したところが七五%以上になるように、何とか七七%台に持っていくようにということで努力をしたいと思っております。
 そういった意味で、各省間の調整というような問題ではなくて各省努力をしていただく。しかし、いたずらに契約率が高いということではなくて、効率も考えながら中身を見ていく、こういうことかと思います。
#52
○和田静夫君 企画庁、私鉄が七・三%で決着したわけですね。そうして考えていきますと、大手企業の賃上げというのはどう見ても七%程度というような感じがいたしますがね。そんなことを私が言っていいかどうかわかりませんが、これが中小零細というふうにずっと類推をしていきますと、どうしても二、三割方落ちたところで決着というのが一応の趨勢です。
 そうしますと、政府見通しの一人当たり雇用者所得六・九%、これは確保することはむずかしいんじゃないか。さらに民間最終消費を三・九%伸ばすということですね、これを今度の春闘の流れから見ていくとどうも困難になるのではなかろうか。残業などということを言われるかもしれませんが、残業もそんなに伸びるとは考えられないとなると、やはり見通しを下方修正するかあるいは見通しを実現するための政策、言ってみれば減税なりの政策をとるか、これはもういずれかの選択が迫られていると思われるわけです。
 この辺を企画庁と大蔵両方からお答え願います。
#53
○政府委員(井川博君) 御案内のように、われわれの一人当たり雇用者所得六・九と申します場合の雇用者所得の中には、所定内給与のほかに所定外ボーナスその他というのが加わっておりまして、所定内が大体半分と、こういう状況になっております。
 それで、実は過去の春闘アップ率とそれから一人当たり雇用者所得の実績を見てみますと、大体において経済が下がりカーブのときは春闘アップ率よりも一人当たり雇用者所得が下になる。その典型が昨年でございまして、春闘が七・七に対して一入当たり雇用者所得は六%前後というふうに大変下がっておりました。ところが、景気が上がりカーブになります場合は春闘アップ率よりも一人当たり雇用者所得が高くなる、こういう傾向がございます。これはもうただいま先生もちらっとおっしゃいましたけれども、所定内給与のほかに所定外がございます。そうすると、時間外手当がどんどんふえていくというふうなこと、そしてまた、夏冬のボーナスも次々出ていくというふうな問題がございます。
 したがいまして、私は、現段階の春闘妥結率を見ておりまして、これがわれわれの六・九の、どうのこうのということは申しませんが、われわれとして現段階六・九訂正の必要ありとは考えておりません。要するに景気が現在予定しております。その回復ベースをたどる限りにおいてそれは可能ではなかろうか。
 それから、消費について先ほど先生がおっしゃった、要するに消費というのは大体先導というよりは後追いでございますので、この趨勢をどう見るかというのは大変むずかしゅうございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、四%前後という非常に落ち着いた物価、特に現段階は三%でございますけれども、そういう状況下、消費というのはやはり基本的に大分おくれたけれども回復してくる要因は持っている。
 たまたま先般発表されました一月の家計調査あたりでも、消費支出の伸びがプラスになっておるわけでございますし、このところ乗用車の登録台数等々もいままでとは違ってプラスという状況が、これも先ほど申し上げますように余り楽観的に見ちゃいけないので、全体的に消費の回復向上というのは遅うございますので、まだまだ山谷はあろうかと思いますけれども、そういう趨勢を考え合わせますと、大体私といたしましては、一人当たり雇用者所得六・九、あるいは消費の実質の伸び三・九、可能であろうかというふうに考えておるわけでございます。
#54
○政府委員(水野繁君) ただいま井川局長が申し上げたところと同感でございます。
 これから生産活動緩やかながら上の方に上がっていくとすれば、上がっていくと期待しておりますし、上がっていくと思いますが、名目所得も、いまの春闘よりも、従来の傾向でございますと相場よりも上の方に出てくる傾向がございます。それから物価はずっと安定が続くと、こういうことで長期の面につきましてはいまの見通しの点でいくのではないかと、こういうふうに考えております。
#55
○和田静夫君 昨晩からけさにかけて公企体の賃上げ率は六・八%程度という線で話が出ておるようでありますが、これを完全実施しないということになりますと、さらに雇用者所得を低下させるあるいは個人消費の足を引っ張ることになると思う。この点は企画庁に見解を承っておきたいんですがね、公企体賃金の抑制というのはこれは民間中小零細にも悪い影響を与える、そういう波及効果があると考えられますか、その点もあわせて答えていただければ幸いです。
#56
○政府委員(井川博君) 大変な微妙な時期ですし、実は御案内のように、われわれが一人当たり雇用者所得を出します場合には全体的な計算、マクロ的にやるわけでございまして、それぞれの業種別にはじいておるわけではございません。そういうことでわれわれも六・九というのは全般的な趨勢としてはじいているということで御勘弁をいただきたいと思います。
#57
○和田静夫君 これは大蔵大臣どうですかね、時期が時期だからあなたの発言大変大切なんですけれども。
#58
○国務大臣(渡辺美智雄君) 公共企業体のベア率については、これは各企業体の長が自主的に労使間で決めることでございますから、大蔵大臣がいま幾ら幾らということを言うことはちょっと適当でないので、差し控えさしていただきます。
#59
○和田静夫君 賃上げ率の質問しているわけじゃないんだけれども、結局肝心のところはぐらかしているんだが。
 いままで議論をしてきたのは、実は私はこれから言いたいんですが、新経済社会七ヵ年計画は、いままで論議をしてきたようなことを前提にして考えてみますと、全く空想的であるし非現実的なものになってきてしまっているのではないだろうか。そのことの前段に約一時間の時間を使ったということになりますが、この計画に従って財政運営をすることは私はもはやできない、そう考える。フォローアップといった小手先の手直しなどというようなことではもはややっていけないということをやっぱり率直に確認しなきゃいかぬと思うんですね。計画全体の改定作業に早急に着手すべきであろうと、これはどうでしょうか。
#60
○政府委員(井川博君) 担当の計画局長が参っておりませんけれども、経済企画庁の考え方といたしましては、現在の七カ年計画も毎年フォローアップということで新しい情勢に対応をしてまいっておりますし、五十六年フォローアップで今後の平均成長率五・一%と出したことは御承知のとおりでございます。しかし、ただいま先生がおっしゃったような議論もまたいろいろ出ていることも事実でございます。
 他面、企画庁長官が現在申しておりますことは、現在二十一世紀を踏まえて長期展望という作業を経済審議会でやっていただいております。と申しますのは、石油ショック以降そうした激動後の世界経済、日本経済あるいはその抱える問題をどうするか、そういう長期展望をまずひとつ踏まえてという考え方がございまして、現在それをやっておりますが、間もなく長期展望作業というのが終わる、六月ないし七月ごろにはそれが仕上がると、こういうことになっております。その結果を見たいというのが一つ。それからもう一つ、行政についてきわめて大きい問題としての臨調の中間答申もそのころ出る、この二つを見た上七カ年計画をどうするかというものを考えていきたい。
 ただ、その場合に、経済がきわめて揺れ動いているときに計画を立てるということはどうであろうか。先ほども申し上げましたが、少なくとも現段階、いまの段階自体はわが国としてまだ第二次石油ショックの後遺症が残っているという状況である。そういうふうな後遺症が残っている状況に七カ年あるいは五カ年の前途を見きわめるという作業をしていいかどうか、また今後数カ月後の情勢も考えないといけないわけですが、そこらあたり数点の状況をわきまえ、総理とも御相談をしながら決めたい、こういうふうに企画庁長官は申しているところでございます。
#61
○和田静夫君 大蔵省としては、この七カ年計画に基づいてことしも中期展望を大蔵大臣出されるんですか。
#62
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中期展望の下敷きになるものは、やはりほかのものをとっても何からとったと言われますからね、特に歳入見積もりなんというものは。一応計画というか見通しというか、そういうものがある以上は、それを下敷きにしてつくるほかはない。
 私としては、やはりこれは後年度にどういうような姿で現在の歳出が伸びていくかというものを示すものでございますから、予算編成の手がかりとしては私は大変参考になるところが多いと思っております。したがって、やはり中期展望、現在の中期展望はこれは直さざるを得ないと思っているんです。思っておりますが、つくることはやっぱりつくっていきたいと、そう考えております。
#63
○和田静夫君 そのときに、いま経済企画庁長官が発想されているようなお話が企画庁から前段であったんですが、七カ年計画問題については、大蔵大臣はその前提になるものとしてどうお考えになるんですか。この辺はやっぱり見直さなきゃならぬ時期に来ているんだから、もう見直した方がいいというふうにお考えになった上でのいまの御指摘でしょうか。
#64
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも経済企画庁で言っているように、経済企画庁の中でもいろいろ議論があるというわけですね。大蔵省の中でももちろんあるわけですよ。しかし、こういうような非常に世界経済が不安定で不確実性がはなはだしい、そういうときに七カ年なんて長期なものを固定的に決めちゃっていいのかと。毎年フォローアップして、もうしょっちゅう本体と違うようなものばかり毎年やっていても、これも仕方のない話。
 したがって、そういう長期の見通しが果たして必要なのかという問題が一つありますよ。しかし、いまのままを適用するとすれば、現実に合ってないから、毎年直しているわけですから、毎年大幅に直すんだったら、ないと同じでね、これは。だからこれらのところも考えなきゃならぬ。それにはいま言ったように、その現在の作業と臨調答申と、そういうものが出てから、まあ秋口にでも検討しようということなんでしょう。私は、それはそれでいいんじゃないか。私の方は待っていられませんからね。概算要求という問題が一つございますから、一応そこでそれじゃ中期展望をもう一遍こしらえる、また別な計画が出たら、予算の編成のころでもまた直すということにならざるを得ないでしょう。あるいは二段構えになるかもしらない。
 ですから、私としては、早めると言ったって、なかなか膨大な作業が伴う話で、そんなに早められるわけもない。したがっていま出方待ちということです、私の方は。
#65
○和田静夫君 そこで大蔵大臣に尋ねますがね、税収の見込み違いといいますかね、いわゆる歳入の欠陥が明らかになったわけですが、これは確実に二兆円になる、あるいは最低でも二兆円になるということは確実なわけですか。
#66
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあこれは三月決算が出なければわからないというのが公式答弁。別に私はここで非公式答弁を言うつもりはもちろんございませんが、やはりいままでの推計からすれば、前に二〇%ぐらい違いがあったこともございます。大体五%から一〇%ぐらい行ったり来たり例年上下やっていることも事実。ことしはまあ数%、数%も上の方ということを私が予感的に直観的に言いましてね、それで二兆円という数字が出たわけでありますが、私は二兆円を下ることはむずかしい、これもわかりませんよ。まあ余り公式にそんなわからないことをしゃべるとしかられますが、まあしかし想像ですから、これはどこまでも。
 ですから、大体もう三月は終わっているわけですから、あとは事務手続だけですから、残っているのは。そういうところを勘案すると、二兆円よりも少なくなる方がいいんですがね、いいんですが、残念ながらそういくかどうか非常に疑問を持っております。
#67
○和田静夫君 そうしてきますと、五十七年度税収の基礎数字が狂ってくるわけですから、五十七年度も減収になる。五十七年度は機械的に計算すると、これは大体二兆円から四兆円ぐらいになるんでしょうけれども、幾らぐらいの歳入減になりますか。
#68
○政府委員(福田幸弘君) まず五十六年度でございますが、いままで御説明したのと大分感じが変わってきたのは、この二月分税収を見てからであります。二月分税収のところで前年比丘・六と非常に予想外に悪い数字が出たわけで、これは昨年の十月から十二月の経済実態の悪さがやはり響いたということ。それからもう一つは、この二月のところに入ってきます法人税収が石油関係が多いわけです、したがって円安というのをもろにかぶったというような問題があります。円安が輸入の方で悪い方に出てきて、一方輸出の方は貿易摩擦で伸びないということが、この法人税収が悪かった、それが五・六に落ちたということの最大の原因です。
 累計で、二月末で一〇%ですから、予算が伸び率として補正後一八・五と置いておりますので、これからおのずからやはりむずかしいという感じがはっきりした気がいたします。進捗割合が六七・七でございまして、昨年の同月と比べると五・二ポイント下回っておるわけであります。そういうことで、補正後予算額に達することを期待するのは困難であるということは言い切れると思います。
 ただ、具体的にどのくらいの幅になるかということが、いまの税収見込みの仕組みが後に多くの金額を残しておるということで、その一つが三月の、すでに済みましたが確定申告の状況、これが今月末に庁の方から連絡があると思います。この発表は来月になりますけれども、これも余りはかばかしくない感じを受けております。あと法人税の決算というのが、二月の数字を見ましても三月期決算がどれだけ回復し切れるかという点につきましては、この二月の数字から推しますと余り期待できないんじゃないかという気が、特に二月の数字を見て感じたわけです。それまでは、十二月は一三・八、これは予算審議中でございましたが、一月が一二・〇。こうずっと上がっておったのが、ここで五・六に落ちたということが今後楽観を許さないということであります。
 ただ、幾らになるかということはなかなか固められない。具体的に幾らの減収かというのは、先ほどのような不確定要因が残っておる形でございますので、あと三割方は残っておるわけですから、そういうことで具体的に幾ら落ちてしまうかということは申せないということで、大臣は非常に感触がすぐれておられますので、そういう感触から申しておるわけで、私の方は事務方でありますので、具体的数字ということは申せない。しかし、感じとしては似た感じを持っておるということであります。
 その次の、今度は五十七年度でございますが、これは率直に言って、五十六がへこめば五十七に影響するということは常識論であります。ただ、その五十六が幾らへこむかが言えないというつらい立場でございますし、五十七年度もいま企画庁は経済見通しを変えておりません、いろいろ問題があるにしましても。
 そうしますと、われわれとしては経済見通しを前提にしたマクロの前提ではじいておりますので、まあ税目ごとにもちろんやっていますが、背景としては経済見通しというものを前提にしますから、そこがいろいろ議論があっても、変えるような段階でない。むしろ内需中心に回復基調にあるそれについてのいろんな施策を今後講じようというわけでありますから、まだ五十七年度に入ったばかりのところでございますので、五十七年度税収についてどうだということが残念ながら申し上げられない。むしろいまの数字を、この間通していただいた予算の数字を置くしかないというのが税収の見積もりの立場からでございます。
#69
○和田静夫君 大蔵大臣、すぐれた勘といま主税局長が言われた、すぐれた勘で言われたんだから、五十七年度の歳入減ぐらいすぐれた勘でぱっと言ってみたらどうですか。
#70
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも経済の動向がわかりませんからね、断定的なことは言えません。一にかかって景気の動向がどうなのかと。これは外国との問題も当然絡んできます。
 しかしまあ、そう極端にことしに入ってよくなるというように見る人は少ないのでないか。ということになれば、五十七年度についても五十六年のペースを発車台に推計すると、やはり幾らか足りなくなる可能性があるのではないかということを実は危惧しているわけであります。
#71
○和田静夫君 大体私が言ったように四兆円ぐらいまでのところはいくと、いまの答弁、大体そんなことですかな。
#72
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは御想像は御自由でございますが、そんなにはならないのじゃないか、幾ら私の勘でもそれほどはなるわけがないと思ってますがね。
#73
○和田静夫君 大臣の答弁は別として、どうも政府の皆さん経済政策についてたてまえというか、メンツにこだわり過ぎているんじゃないか。もっと私は率直に実態を今日訴えてもいいんじゃないかと思っているんです。そういう実態の訴え方が、先ほど来、たとえばことし後半の問題について大蔵大臣がいろいろ精神論、心理学を述べられたことを裏づけることになるんだろうと思うが、基礎になる実態がないところで空理的な心理刺激策をやっても、心理というのはなかなか動かぬもんでして、そこのところが忘れられるとやっぱりだめなんじゃないかと思っているんです。
 大蔵省の先ほどの試算によりますと、この前も私に答弁されたんですが、建設国債一兆円増発をしても国税は一千八百億円しかふえない。そうすると五十七年度の補正で一兆円なり二兆円なりの財政需要をプラスすると考えたところで、財政という観点だけから見てみますと、これは財政硬直化を招くだけであるということにはならないんでしょうかね。
#74
○政府委員(福田幸弘君) 先般もお答えした数字を御引用になったと思うんですが、公共投資の初年度の乗数が一・二七ということでございまして、租税負担率が国税の場合一三・八ということで計算しますと、一兆と仮に置きまして一・二七ですから、GNPに一兆二千七百のプラス効果はある。それに一三・八掛けますと一千八百億ですから、一兆を公共投資した場合の国税への増収はね返りは千八百にすぎないということで、この差額は赤字の拡大ということを御指摘になったと思います。
 ちなみに、減税でしたらこれが〇・四二ですから、三分の一の乗数しかない。だから一兆やっても四千二百億しかGNPは伸びない。税へのはね返りは六百であるというのも先般申し上げたとおりであります。
#75
○和田静夫君 大蔵大臣、昨年のちょうどいまごろ、四月の二十一日の話なんですがね。この席で、「建設国債といえども国債であることは間違いない。別に、特例国債と建設国債と色違い、金に色がついているわけじゃありませんから、だから建設国債でも、問題は程度問題」とされているわけです。そういう答弁されているんですね。
 で、その建設国債といえども発行には限りがあるわけですね。むしろ、これも減額が望ましいというお立場だったわけですけれども、一兆円の増発というのはここで言う程度問題のうちに入っているわけですか。
#76
○国務大臣(渡辺美智雄君) 建設国債といえども国債であって、利息をつけて返さなければならない債務であるということは間違いございません。したがって、できることならば、なるべくそういうものは発行を少なくしていきたいというのが基本的な物の考え方でございます。
 したがって、今後どうなるかという問題は、経済の実態を見なければ、発行するかしないかというようなことをいま申し上げる段階ではありませんが、経済は生き物でありますから、財政再建もしなければならない大きな命題、これも事実。しかし私が財政演説で言っているように、やっぱり雨の日もあれば風の日もあるし、上り坂もあれば下り坂もございますから、そういうようなものも総合勘案して考えていかなきゃならない。したがって、大きな命題を踏み外すことはできません。できませんが、緩急の問題はないわけではないと私は思っているんです。
 したがって、程度問題というのは、一兆円が程度問題に入るのかどうか。また、そこまで私がい童言うのはちょっとやっぱり言い過ぎですから、ちゃんと自覚症状がございますから、これはもう少し先を見てから言わしてもらいたい、そう思っております。
#77
○和田静夫君 参議院の大蔵委員会でそう答弁をしておいて、明くる日衆議院の大蔵委員会へ行きますと、より具体的に答弁をするというんじゃ、ちょっと困るんですよね。この辺で率直に一遍、どうですか。
#78
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま一兆円という数字も、それは一兆円が程度問題とかどうとかというのじゃなくて、やっぱり程度問題というのはあるんです、何でも。ですから、そこが何兆円が程度問題だということをいま具体的に私が言う立場にないし、もう少し前倒しその他をやってもらってからでないとちょっと申し上げにくいわけです。しかし、程度問題というのは私はあると思いますよ。
#79
○和田静夫君 これは経企庁長官はもうだめになったんですか。来れない……。
 それじゃ、これは経企庁最後の質問になりますが、経企庁と大蔵大臣とにお二人にお聞きしたいんですがね。財政再建とこの中成長路線とは矛盾するのではないだろうかと思うんです。五十九年度までに特例債をゼロにするという財政再建路線をとるわけですね。それをとるのならば、この中成長路線はとれないのではないだろうか。逆に中成長路線をとるのであればこの財政再建路線は先にもう延ばすしかないんじゃないかと。大蔵大臣の答弁の感触をずっと総合的に聞くとだんだんだんだんそこに近づいているような気はしますけれどもね。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということになりはしないかということを最近しきりに思うんです。
 路線的な転換を、経済の状態はいま非常に下がっているんじゃないかという感じがしますがね、いかがです。
#80
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもまた五十八年、九年というのがあるわけですから、五十九年度までに赤字国債依存の体質から脱却するということを言っているわけです。
 皆さんの言わんとするところは、そういうような経済の状況あるいは歳入のそんな思わしくない状況から見て、そんなに国債の依存率を減らすということは非常にむずかしいではないかと、だからそういう見通しならばいまのうちから直したらいいじゃないかというお話だろうと思うんですよ、私の受け取った感じは。しかし、世界の経済事情というのは非常に激動的でありまして、来年も再来年も悪いものが続くんだということをいま断定的にまだそこまで私は言えないんじゃないかと、そう思っておるんです。
 この前の第一次石油ショックのときは日本の経済もダメージを受けました、第一次のときに。マイナスあるいはうんと低成長のときが二年続きました。今回も二年ぐらいは続く、成長率というものは伸びない、低成長。しかし、三年も四年も続くというようには過去の何から見ても考えられないし、世界的に見ても皆上向くと、こう言っているわけですから、いまの時点だけで何年間も見通しするということは、もう方向転換してしまうということは歳出カットしないということで、さなきだにいままでのだぶだぶの高度経済成長時代の歳出構造が続けられるということにもなりかねないわけであります。
 したがって、非常に厳しいという認識は私はございます。ございますが、その前に歳出の削減、合理化というものはもっと徹底してやるべきだというのも国民の世論ですよ、大体が。したがって、臨調答申が出て、それでこれに歳出カットというものに一層の発想の転換をして取り組んでいこうというやさきでございますから、そのときに当たって国債をもっと先まで増発していくんですよということは、もう行革とか歳出カットに非常に緩みがついてしまう。どちらがこわいかと。メリツト、デメリットと両方を考えてやらなきゃならない。しかもわれわれとしては、五十九年度赤字国債の脱却が完全に不可能であるという断定をできる段階に来ておりません。
 したがって、われわれとしては厳しい目標ではあるが最大限の努力をいたしましょうと。努力目標として手が届かないんじゃないかと言うけれども、すぐ届くところへ目標なんか置かないわけですから。目標というのは手が届かないかもしらぬ、あるいは届くかもしらぬと、努力の仕方でもう一息というところで励みがあるわけで、励みを使わせなくちゃやっぱり目標にならぬわけですから、そういう意味でこの目標は下げるというわけにいかない。だから総理もやれるだけのことはもうやってみようと、そしてあとは人事を尽くして天命を待ってね、これはやれるだけのことはやってみようという決意であります。
#81
○政府委員(井川博君) これは河本企画庁長官なら、先生もその答弁を期待されたでしょうが、一調整局長の答えをどこまで申し上げていいかわかりませんけれども、経済企画庁といたしましては、たとえば財政規模を縮小することによって短期的にはそれだけデメリットがあることは事実でございます。
 しかし、長期的には肥大した行政を合理化をする、そのことによって市場経済、民間経済というものがより以上働きやすいかっこうにしていくし、同じ金が効率的に日本経済全体として使えるというふうなことから言いますと、当然のところ行財政改革は長期の観点からやるべき使命であろう、こういうふうに考えておりますし、特に経済運営の面から見ますと、いまのような赤字を抱えて経済がどうであっても身動きができないということじゃ大変困るんでございまして、早く健全化して日本経済の場合財政が大いに弾力的に対応できる、要するに健康体になってもらいたい、こういう期待があるわけでございます。
 しかし、現実の問題としては大変その両方厳しい情勢にございますけれども、われわれとして現段階考えておりますのは、やはり行財政改革をやるにしても、先ほどから税収論等々が出ておりますが、経済全体が健康体でないといけない、そういう健康体であってこそ行政改革、財政再建もできるんだと、したがって、今度経済運営ではきわめて限られた手段ではあるけれども、健康体経済を推し進めるべく懸命にやらなくちゃいけない。
 したがって、その両方を両立させていかなくちゃならぬというところで大変苦労しているというのが現状でございます。
#82
○和田静夫君 私は率直に言いまして、大蔵大臣、この財政再建を凍結するというお考えがないのだろうかということを思うんですよ。財政再建モラトリアムに追い込まれるような情勢であるからあくまでも既定方針を貫くんだということ、そういうことに承っておくわけですかね。
#83
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、財政再建を凍結するという考えは毛頭ございません。
 もしそういう考えになれば、こういうようなときですからみんな悪乗りしまして、それでもう歳出カットどころじゃない、歳出切られたら不景気にもっとなっちまうとか、そういうふうな風潮になりますよ、これは。その結果が結局赤字国債の増発ということになって後年度にでかい負担を残して結局はインフレへの道を進むと。その結果はどちらが庶民大衆に被害が大きいかということになれば、私はインフレの方が被害は大きいと。
 日本で税収不足になったとしても、税収不足で国民がいますぐだれも困るなんてことはないわけですから。これは五%もよけいにインフレ加速したら国民はみな困るわけだから。それは税収は入りますよ、一時的には。インフレになれば、税収はがばっと、名目に課税するんだから。実質で物価の値上がり差っ引いて所得税課税なんかありませんしね。ですからそれは税収は一時的にはいいかもしらぬけれども、その後はやっぱりインフレは必要の母であると。こんなの世界じゅうみんなそうなっているわけですから。日本もたれか行った道を後から行くというだけのことであって、私としてはここで財政再建の旗をおろしてしまう、凍結しちまうという考えは毛頭ございません。
#84
○和田静夫君 もう一度念を押しますが、中成長路線が仮に実現をされたとしますね、それでも大幅な税収不足というのは免れませんね。
#85
○政府委員(福田幸弘君) 税収不足という意味が何に対してかということであろうと思うんですが、歳出は歳出で行革というか、緊縮した財政歳出が組まれるというのに対応して税の方がどういう見込みを立てていくか、中長期のところはいろいろ御議論があろうかと思います。
 税の見込みというのは、非常に経済の実態を反映しながら見込みますので、税収不足というのが歳出との間でギャップとして大きく生ずるということが直ちに言い切れるかどうか、いま当面のところでいろいろ五十六年度で問題を生じておるということはございますが、来年度についてはまだ経済の成り行きについては見通しを改定するに至ってない。そういう前提で考えますと、税収不足というのが直ちに中長期的に歳出に対してどう生ずるか、これは歳出の方のやはり行革、緊縮を進めていけばその差は生じないということも言えるわけで、あくまで歳出の方でどこまで緊縮した姿勢を貫いていくかによりまして、その辺の不足という問題をどう判断するかということであろうと思うんです。
#86
○和田静夫君 大蔵大臣、心理学を述べられたりあるいは最後は神がかり論になって天命論などが出てきましたからちょっと心配になって確認しておきますが、これは繰り返して私はここで確認をしてきたことではありますが、たとえば大型間接税の導入といった増税によって税収不足を埋めることは考えていないと、この点の変更はないわけですね。
#87
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうような大型間接税をやるという考えはありません。
#88
○和田静夫君 中曽根行管庁長官が、四月の十三日の衆議院の内閣委員会ですが、そこで新しい税目を起こしたり、新たに税率をふやすことを増税と考えている、こういうように答弁されておるようです。
 そこで、大蔵大臣としては増税をどのように定義をされるわけでしょうか。
#89
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税の問題というのは財源を確保するためにやるわけで、それには必要な歳出を守っていこうというために税は取るわけですから、歳出のカットも極力やると、しかしながら、そんなにしてまで切らなくたっていいというならば、何らかの形でだれかが負担をしてもらわなければ歳出は守られない。したがって、増税か歳出カットかというのは、私は裏と表だと思うんです。
 私は、大型増税は念頭になく、まず歳出カットをやるというのを第一義的に考えております。その結果国民の判断として、いやそんなこと言ってもこれはもう福祉後退だ、やれ文教の後退だ、なんだかんだと言って、そのことの方がみんなでもってもっと伸ばしたらいいじゃないか、国民の代表がそう言うならば、それも一つの道でございますし、ただいまの段階としてわれわれは要するに大型増税を念頭になくということを言っているわけでございます。
 増税というものの定義は何だと、よくこれは言われるんですよ。増税というのは、一切の増税をしないという意味かと、それは野党の方も余り賛成しないんじゃないかと私思うんですね。たとえば、所得税減税というようなことがいま問題になっております。財源はというと、やれここのところは法人税を上げろとか、いや退職給与引当金は詰めるとか、やれ何をこうじるとか、それは増税ですわね、これは。法人税の増税ですよ、その部分だけをとってみれば。だが、しかしそれは増税とは皆認識してないですね。増税反対と言っているわけですから。
 だから、これはもうそういうような個々の税目にわたって税金をふやすということを必ずしも増税と言ってないと。じゃそのふやし方にもよりますけれども、余り極端なことをやればもちろん大増税と言うんでしょうが、印紙税二倍に上げたと。印紙税二倍に上げたからといって、これは倍に上げるなんというのはその部分だけとってみると大増税ですわね、これは。だけれども、全体的には印紙税の大増税が行われたという国民の感覚はありませんね。
 したがって増税というのは、やはりいま皆さんが増税反対というのは、何か新税でいまの税体制をそのままに置いて歳出カットもしない、何もしない、減税もしないというような中で、全然別に新たに赤字対策だけで大型の新型の増税というのを大増税、そう言っているんじゃないのかなと、私としては。そうですから、増税というのは余り神経質には、個々の税目ごとに小っちゃなものまで、不公正の是正まで増税だ増税だと言われたんでは何にもできないわけですから、だから少なくともそういうことではない、そう思っています。
#90
○和田静夫君 財政再建は既定方針どおりにおやりになる、さて五%の成長率は維持をする、そして増税はしない、こんなことは現在の情勢からいって無理なんじゃないだろうか。私は種のない手品をやっていらっしゃるというふうにしか見えないですがね。
 そういう意味で、経済企画庁と大蔵大臣にもら一遍伺いますが、ずばり言って私は、増税なき財政再建と中成長路線は矛盾している。さっきも言ったとおり、これをワンセットに実行するということは、これだけ実態が明らかになった以上は不可能であると考えています、率直な話。言いかえれば、増税なき財政再建路線はもはや破綻したのではないか、こういうふうに考えているから論じているわけですが、いかがでしょうか。
#91
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはそういうような御理解のある見方の人が多ければ非常にいいんです、これは。確かに一つの識者の意見なんです。
 もともと国債発行をしたというのは、税金で賄うべきものを税を取ればもっと国民が困る、それからもう景気の落ち込みを直すのには、やはり税を取ってやるということよりも手っ取り早く建設国債増発してやった方がいいというようなことでもあったし、それからもうせっかく伸び始まった社会保障や文教の振興という問題が順調に伸びてきたものを、第一次石油ショックでもうがくんと税が減ったからまたもとへ戻しちゃうということも困ると。いずれよくなるんだから、とりあえず増税をするかわりに政府が立てかえてやっておけということですわね、これは。
 したがって、考え方によっては国債を発行したということは税金の肩がわりで、もっと極端に言えば税金の先食いじゃないか、要するに税を先取りして使っちゃったと言う識者がございます、これは。この見方を私は見識があると非常に思っているんですよ。だから、和田先生のような考えまことに見識のある考えであって、(「野党は昔から言っているんだ。」と呼ぶ者あり)ああ、そう。それはそうであって、私も大蔵大臣でなければ言いたいぐらいのこれは一つのりっぱな意見だと思っております。しかし、すぐにそういうように国民がわかっていただけるかどうか、そこに問題があるわけでありますが、一つのりっぱな見識であるということにおいては私はもう深く敬意を表します。(「もっと早く言うべきですよ、それは。」と呼ぶ者あり)
#92
○政府委員(井川博君) 事務方といたしましては、財政再建というふうな与えられた命題の中で、その中でできる限り景気を回復をしていくんだと、先ほど申し上げたように両者両立の道を模索をしながら懸命にやっていくと申し上げる以外はございません。
#93
○和田静夫君 事務方……、それで経済企画庁長官をお呼びしておったんだけれども、答弁の限界でさっぱりおもしろくなくなるんです。その辺もう少し乗り越えて答弁したっていいんですよ、もう。どうせあなた方がつくっているんですから。
 財政運営の基本的なスタンスは私は動揺している、そういう印象を強く持っているわけです。財政の国民経済に対する機能をどうとらえるのか、基本的な構えとしていかなる立場をとるのか不鮮明になってきているのではないかということを痛切に感ずるんですよ。特に、景気刺激を抑制する、この景気刺激をめぐってどういうような基本的な立場を大蔵大臣やっぱりおとりになるんですかね。この辺をもうずばり述べてくださいよ。
#94
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の基本的な考え方は、日本の経済というものは世界の経済と非常に密接な関係があります。したがって、世界の経済からかけ離れて日本だけを非常によくするといっても、それは不可能に近いと私は思っております。時が来れば解決されるものはおのずから解決されていくと。しかし、世界の経済がことしの後半からよくなると、そのときに日本の経済がそれにうまくドッキングできなくなるというようなことは困る。
 日本はいいんですよ、世界の中で一番いいんですから。一番いいんだけれども、この状態をこれ以上落ち込ませるということは困る。したがって、限りある中でとれる方法は最大限に活用していきたい。ですから、まずいま言ったように公共事業前倒しその他のことはやって、やはりみんながそういうようなことで夢と希望を持たせると、こう言っているわけですから、そういう点で最大限の努力はしていくというのが基本的な考え方でございます。これを変にアクセルの踏み外しをしますと物価に火をつけますから、そのことを私は非常にむしろ心配をしておるわけです。
 そういうふうに、物価が急激に上昇するというようなことを回避して、国民経済の安定を図りながら景気にも十分配慮をしていきたいと考えております。
#95
○和田静夫君 ちょっと話を変えますが、端的に言って非常に疑問だから聞くんですが、これはいわゆる事務方と言われる皆さんにお聞きをするんですが、官庁エコノミストというのは、いわゆるケインジアンなんですか、あるいはマネタリストなんですか、あるいはサプライサイダーになられたんですか。私の理解では、七〇年代の半ばごろまではおおむね皆さんケインズだったんですね。ところが最近幾つかのものを読んでみるとどうも変わってきているような感じがするんですが、ちょっと大蔵と経企、それぞれ代表的に答えてくれませんか。
#96
○政府委員(井川博君) 私自身がエコノミストでないものでございますから、何とお答え申し上げていいか。
 ただ、経済企画庁に関しまして、経済企画庁の中で経済理論にきわめて強い、詳しい、しかも世間的にも有名な者がたくさんございます。そういう者の意見を見てみますと、必ずしも明白に銘を打ってどうというふうな人はきわめて少ないんではないか。やはり従来ずっと六〇年代、七〇年代、ケインズ政策ということで日本の経済政策の主流が、もし名づけるとすればケインズアン政策であったことは否定できないと思います。
 しかし、このところへまいりまして、特に石油ショック以降、それへの反省というものが出てきておる。で、その世界的な反省の中でサプライサイダーというような話がございますが、実はわが国の場合は昭和三十年代以来国がとっている経済政策というのはサプライサイドを十分充実していく、構造対策を進めていくということで、これはもう日本国全体の政策がもう早くからサプライサイダーでございました。
 それから、財政によって経済をどんどん支えていくということ一本ではだめだということがわかりますと、他面それにかわるような、あるいはそれだけでない他の政策を模索していくということでございまして、経済企画庁の経済理論に詳しい人間から言いますと、現段階にふさわしいそれぞれの政策を検討しているんであって、いま先生が言われた三つのどれかに分類しろと言われても事実上むずかしいんじゃないか、私はこういうふうに考えるわけでございます。
#97
○政府委員(水野繁君) 大蔵省は経済企画庁以上に行政官でございまして、エコノミストというよりは、どういうふうにして経済理論に合って、なおかつ現実に合っている政策を持っていくかということで苦労しているわけです。
 皆若い人間を含めまして理論を一生懸命勉強しておるのは事実でございます。それを色分けして、だれは何、だれは何ということもできませんし、大蔵省の何と申しますか、担当をしている人間は、そういった理論、理屈を踏まえました上で現実の姿とどういうふうにマッチさしていくかというところに苦労しておりますので、いずれかというのはなかなか申し上げかねると思っております。
#98
○和田静夫君 まあ経企庁から大学の教授に一至る、あるいは大蔵省から一橋の教授に行かれる。行かれた途端にかなりはっきりとサプライサイダー的な論文がずっと出てくるというようなのに気づいたものですからね。現職でいらっしゃるころはどうもケインズであったというようなことを感ずる。
 そこで、そういう観点でちょっとずっと見できますと、この財政と経済の関係について財政制度審議会の報告もまた、いまかなりはっきり経企庁の答弁があったからわからないわけじゃないんですが、財政の関与すべき分野についてのあの報告ですね、八一年十二月十八日。これは財政規模の拡大は投資意欲や勤労意欲を阻害し、ひいては生産性の低下などを生み出す、五ページに書いてあるんですが、これはいかなる理論に基づいているんですか、大蔵省いかがでしょうか。
#99
○政府委員(西垣昭君) いま先生が読み上げられましたのは財政審の答申の一つのくだりだと思います。
 これは、たとえばケインジアンの理論であるとかあるいはマネタリス小の理論ということじゃなくて、そこで御議論があったことを集大成されたものと、共通の認識としてそういう認識があったということで書かれたものだと思います。
#100
○和田静夫君 実は、私はサプライサイダー的な論理だろうと思ったものですから、逆説的にどういう学理があるのだろうと思ってさかのぼってみただけのことなんですが。
 そこで、ここで私は問題にしたかったのはいわゆるラッファー・カーブなんですよ。そのラッファーが言うように、所得を全部税金に持っていかれたら、そうしたらそれ以上働く気がなくなるのがあたりまえなわけですが、しかしそういう極端なケースは幸いに現実にはあり得ないわけですね、現実にはあり得ない。
 そこで、経済企画庁にお尋ねするんですが、日本経済の中で財政規模の拡大と生産性の低下との関係ですね、これも通告してあるんですが、これは相関性が強いと言えますか。
#101
○政府委員(井川博君) だんだんエコノミストでないと答えられないような御質問になってまいりましてちょっと当惑をいたします。
 財政支出と労働生産性ということは、そういう意味では直接の関係はないんじゃないか。しかし、たとえば経団連がいま取り上げておりますような国民経済生産性というものを取り上げるといたしますと、国民経済生産性というのはGNPが伸びることによって生産性が上がる。それは人口の差、伸びの差がございますけれども、そういう論理でございます。そうすると、財政支出がそれだけふえますと、これは政府支出増ということでGNPがふえるわけでございますから生産性が上がるということになりますし、それからまた現実、実態的には、たとえば政府支出というものが国内経済の需要面で有効に作用いたします場合に、民間経済にそれだけ活況を与え、付加価値が高くなる、それだけ稼働率を上げ生産性を高める、こういう関係はございます。
 しかし、他面先ほどの財政審の答申にあったというのは、別に大きい意味で過去の高度成長時代と同じように財政が過大にどんどんふくれ上がっていくと、しかもそれが現段階、わが国の場合でも現段階のような安定成長の場合にそういうことをやっていくということになると、やはり全体として民間経済に対して圧迫要因になる。そういう意味からいくと適正な規模の財政、それがどこであるかというのは見きわめるのは大変むずかしゅうございますけれども、適正な規模の財政でしかも政府機能としていわば生産性を上げていく機能的な政府というふうなことにすることが国全体の生産性を大いに高めるゆえんである、こういうことになろうかと思います。
#102
○和田静夫君 企画庁結構です。どうもありがとうございました。
 具体的な話に戻りますが、五十六年度の歳入欠陥は決算調整資金をオーバーして、さらに国債整理基金の半分ぐらいを取り崩すことによって辛うじてつじつまを合わせる、こういうことになるわけです。その取り崩し分は五十八年度に補てんするということになる。これは、この間質問で確認しましたが、少なくとも五十八年度の歳出は中期展望の五十五兆四千億円に二兆円何がしを上乗せしなきゃならなくなる。一方で税収が落ち込んでいるわけですから、中期展望の要調整額は大幅に狂ってくる、ここまではそういうふうに考えておいていいんですね。
#103
○政府委員(西垣昭君) 決算につきましては、七月末までということで、税収の動向だけではなくて税外収入の動向あるいは歳出予算の中の不用額が固まってまいりませんとはっきりしたことは言えません。その時期までにどういう決算をするかということを政府としては決めなければならないということでございますが、いま御指摘がありましたように、現在の制度といたしましては決算調整資金の制度があり、それで不足する場合には国債整理基金の余裕金の一時繰りかえ使用ということが許されておるわけでございまして、その分を遅くとも五十八年度までには戻さなくちゃならないという要請がございます。
 したがいまして、いま御指摘がありましたように、中期展望の姿で申しますと、その分だけ五十八年度に手当てをするとしますと、歳出の増の要因ができるということでございます。
 それから他方、歳入の見積もりにつきましては、先ほど来御指摘がありますように、中期展望で前提として置いております成長率が達成されませんと、機械的計算によりますと歳入がそれだけ落ちるということで、歳入歳出の差額としての要調整額がそれだけ大きくなるという意味で非常に厳しいものになるということは御指摘のとおりでございます。
#104
○和田静夫君 そうなってきますと、国債の償還計画も大幅に狂いが生じます。いわゆる国債整理基金の資金繰りの仮定計算も新たに書き改めなきゃならぬということになろうと思うんですね。
 大臣、五十八年度の歳入は、実は六兆円ほど足りないという推計もあるんで促すよ。率直に言って、五十八年度予算はどういう形で編成されますか。特例公債の減額はどのくらい考えられますか。
#105
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は、五十八年度の予算の骨格、性格等についてはまだ内部で相談している時間的余裕がございません。国会が終わり次第早急に相談をしてまいりたい、そう考えております。
 ただ、われわれとしては、やはり五十九年度までに赤字国債依存の体質は脱却するという旗はおろさないという中で、臨調の答申等を踏まえ、現在の歳出構造に抜本的なひとつメスは入れていきたい、その程度のことであって、それ以上のことはまだ相談をしてないものですから、ちょっとお答えするのは差し控えさしていただきます。
#106
○和田静夫君 どうですか、その得意の勘の鋭さで特例公債の減額は可能ですか、その辺の答弁をお願いします。
#107
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも経済全体のことを見なきゃなりませんが、われわれとしては五十九年度までに赤字国債からの脱却ということを言って旗を掲げておるわけでありますから、可能か不可能かということについて、私はいま不可能だというように断定的に申し上げることはできない。私は、むずかしい情勢はたくさんございますが、全くできないんだというようにも考えていないと思っております。
#108
○和田静夫君 時間がありませんから深追いはしませんが、心境はわからぬわけじゃありません。ここで私は大臣に政治的責任云々なんていうことを言うつもりは一つもないんですがね、税収の欠陥の財政再建に与える意味の大きさですね、これをどのように考えておられるのか。
 これは通常の年であればやむを得ないということにもなるのでしょうが、財政再建期間中ということになりますと、税収の見込み違い程度で話が進まないと実は考えるんです。したがって、これはどういう御見解をお持ちなのかが一つ。
 それから、スーパー・ゼロシーリングという言葉が最近大蔵の皆さんから出てきましたが、スーパー・ゼロシーリングとかマイナスシーリングとかいろいろ言われますが、いかに歳出削減に努力をされようとも、そこにはおのずと限界があろうと思うわけです。ここの点はくどいようですが、もう一遍答弁してください。そうして何らかの手段で歳入を確保する必要があるということになってくるわけですが、その上に立って、一体不公平税制の是正というのはどういうふうにお考えになるのか。
#109
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税収不足の問題について、私は、いままでならばともかく、数%の見込み違いというのは毎度のことでございますから、余りみんなが大して気にもしないで、穴があいたら赤字財政で埋めたらいいじゃないかというぐらいの安易な話であったことも事実だと思います。しかしながら、同じ結果があっても、非常に財政再建という問題が取り上げられておるやさき、真剣に国民が関心を持ち、国会でも関心を持ってその問題について議論が行われていることは、大変いいことであるとむしろ私は歓迎をいたしておるわけでございます。
 それから、ゼロシーリングにするかどうかという問題については、これは先ほど言ったように五十八年度予算編成の根本問題でございまして、いずれにしても財政規模を大きくするということはわれわれも考えていないわけですから、どういう手段、方法をとるか、まだ具体的な詰めをやっておらないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、税制の公正確保という点について、われわれはどこに公平、不公平の問題があるかというと見解の相違のところがかなりございます。かなりございますが、いずれにいたしましても、いままでの既存既得権の上にあぐらをかいているというような特別措置というものを認めるわけにいかないわけでございますから、毎年毎年見直しはいたしておりますが、より一層厳しい目でこれは見直しをしていく必要がある、そう考えております。
#110
○和田静夫君 私は、実はいまここのところをもう少し時間をかけてやりたかったんですが、なくなりましたからあれですが、財源問題に関して言えば、残された手段というのは不公平税制の是正しかないのではないかと考えているわけです。所得税は減税しなきゃならない、これは不公平是正という観点から絶対に必要でしょう。大型間接税は、先ほどから言っているように導入をしない。個別物品税の拡大という話もあるが、これはせんだっての答弁によれば、課税対象の見直し程度のものであって、大幅な増収は見込めないというのが、前委員会での私に対する答弁。
 そうしますと、財源対策としてはいわゆるクロヨン、申告所得税の見直し、それと法人課税の税制改正ということになってくる。大きな増収をそこで見込む以外にこの構造的歳入欠陥から逃げ出す道というのはないだろう。そうとしか考えられないわけですね。せんだって私の質問に対して大蔵大臣は、サラリーマンは一〇〇%近く所得を把握されているのに、「サラリーマンみたいなものだけがどんとこれみんなしょってしまうというのも、これもいかがなものかな」こういう意味――こういう意味って正確なんですがね、議事録を起こしてみると。これはクロヨンのことを指していると承っておいてよいのですか。
#111
○政府委員(福田幸弘君) 先般の御質問伺っておったのでは、どうも直接税と間接税の関係から、直接税の中で所得税、こうなりますから、所得税依存が進めばそこに財源をやはり期待していくしかないわけで、そうすると減税するのもなかなかむずかしいだろうということで大臣が御答弁申し上げたと思います。
#112
○和田静夫君 国税庁待たせましたが、せんだっての委員会で、いらっしゃらないけれども、公明党の矢追委員がやられておった論議をお聞きしていまして、石教授の推計を用いて矢追委員質問されていたわけです。推計の国民所得統計と税務統計の食い違いというものですね、これは要約するに、税制上の優遇措置に基づくものであって非合法なものではないという御見解だったと理解しておいていいですか。どっちみち論議する機会はまた別にありますからね。
#113
○政府委員(吉田哲朗君) 一橋大学の石先生の論文は私ども拝見しておりますけれども、いま先生おっしゃいましたように、国民所得統計と税務統計とを比べまして、そこからいわゆる税務当局による所得の把握率を出そうとした非常に意欲的な試みであるわけでございます。
 先般の答弁を私、実は十分聞いておりませんけれども、ただこのやり方につきましては石先生自身が論文で述べていらっしゃいますように、その方法なりあるいは出てきた結果についてはいろいろ問題もあろうと。一番やはり大きな問題は、統計の性格が違うということが基本的に大きな問題であろうと思います。
 御案内のように、私どもの税務統計というのは、国民の納税義務あるいは当局の質問検査権、そういったものを含めました税務の原統計でございますし、国民所得統計というのはいろんな加工の統計でございますので、それを比較する場合には統計上のいろいろ調整が必要でございます。
 それから、いろんな所得概念がかなり国民所得統計と税務統計とでは違っているということでございます。時間もございますので一例を申し上げますと、たとえば税務におきまして無資格者というのがございます、課税最低限に達しないとかなんとか。こういったものは私どもの統計では全然上がってきてないわけでありますけれども、国民所得統計では上がってきている。こういったものを数えてまいりますと非常にたくさん出てくるわけでございまして、そこをどう調整するか、その調整の方法がどうか、あるいは諸資料の不足から調整できない部分というものも残ってくるわけでございます。
 そこで、そういったところが私どもは一番大きいのではないかと思いますが、ただいわゆる俗にアングラみたいなものがその中に含まれているかどうか、これははっきり申し上げられませんが、その差の中に含まれていないということは申し上げられないと思います。
#114
○和田静夫君 大臣、この問題の締めくくりなんですが、五十八年度の税制改正では不公平税制の是正を一層進める、不公平税制の是正によって必要財源の主なる部分を確保するという観点を私は明らかにしてきたつもりですが、というのは、増税なき財政再建のモラトリアムを行わないとするならば、当然そうなると考えるからなんです。
 で、この歳出削減問題に関連して最後に一問だけお尋ねをするのは、これも報道によりますと、経団連の防衛生産委員会が五六中業について要望書を出したということですね。この要望書をそのまま認めると、五十七年度予算ベースで約一千六百億円の上乗せが必要ということになる。経団連は防衛は行革の対象外と言っている。まあ私に言わせればまことに身勝手な要求を突きつけてきたわけですね。そこでスーパー何々というような大蔵発想が生まれるわけでしょうけれども、大蔵大臣としてはそのような考え方をとらないし、要求に対してもゼロ回答であると、こういうふうに理解しておいてよろしいですか。
#115
○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛問題は国の安全保障に関する最大の政治課題であります。
 したがいまして、必要最小限のものについては、国際水準その他から考えてつけるものはつけますが、防衛費といえども聖域ではありません。したがって、内部においてわれわれとしてはこれは必要ない、あるいはもうこいつは節約すべきだと思うようなものについては、これは容赦なくメスは入れていくということでございます。
#116
○委員長(河本嘉久蔵君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#117
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#118
○穐山篤君 最初に、日銀の副総裁にお尋ねしますが、ちょうど支店長会議を開催されているやに聞いているわけですが、この会議におきまして各地の経済活動などについて御報告がされていると思いますが、最近の状況ですね、なかんずく特徴点というものをひとつ御披露をいただきたいと思うんです。
#119
○参考人(澄田智君) 今週開催いたしております支店長会議におきまして、各地の支店長からの報告によりますと、大企業の設備投資は引き続きまして総じて堅調、多少業種による差はございますが、総じて堅調に推移しております。これに対して個人消費あるいは住宅投資、さらに中小企業の設備投資等は依然として一進一退というべき動きでございまして、国内の需要は全体としてはやや伸び悩んでいると、そういう状況であるという報告でございます。
 そうして、こうした状況下で、昨年の秋以来、十一月以降でございますが、輸出が伸び悩んでおりまして、その影響が企業の生産活動等の面に広がってきている。そのために景気は全体としてやや停滞ぎみである、そして足踏みの様相を呈している、こういうような報告でございました。ただ、こうした中にありまして特徴点といたしましては、企業家のマインドが総じて引き続いて落ちついていると、こういうことでございます。その背景といたしましては、これまで重ねてまいりました減量経営努力の効果、それから原材料価格等の落ちつきといったところから企業収益の底がたさがまだ失われていないということや、金融の緩和が続いていると、こういうこと等の事情があると、こういうような指摘がございました。こうした企業マインドの底がたさは、このままこれが続いてまいりますればやはりこれは景気回復の基盤自体が損なわれているというようなことではない、基盤は比較的しっかりしていると、こういうことになるわけでありまして、今後の景気動向について引き続いて十分注意して見守っていく必要があるというような、そういった感じでございました。
#120
○穐山篤君 いまお話がありました景気回復の基盤は全く失われていないというふうな見通しですが、ことしも予算が通過をして、財政執行上いろんな工夫がされますが、昨年も、五十六年度も同様に公共事業費の前倒しというものがある意味では目玉商品であったわけですが、最近の統計を見てみますと、なかんずく民間住宅の落ち込みというのが非常に激しい。それも十月以降ことしの一月までの数字を見ましても、対前年比でマイナスという、そのマイナスもかなり高いマイナスになっている、こういうふうに私ども見受けるわけです。
 そこで、こういう前倒しの効果といいますか、倒した後何らかの補てんをしなければ倒した意味がないんですけれども、こういう前倒しについての日銀当局としての御感想ですね、御意見という亡とになりますと財政当局を刺激することになるでしょうから、御感想で結構です、お願いします。
#121
○参考人(澄田智君) 申し上げるまでもございませんが、公共事業の執行は、これはもとより政府においておやりになっておられることでございますので、一般論といたしましては、与えられました予算の枠の中で、そのときの景気動向を勘案しつつ執行を調整するということはいわば当然のことでございまして、そしてそれは本来望ましいあり方である、こういうふうに考えるわけでございます。当面、成立しました五十七年度予算においても前倒し執行が行われるというような御決定がなされておりますが、これはやはり現在の景気動向から見てふさわしい措置である、かように思うわけであります。
 そういう場合に、下期において今度は落ち込みが予想される、こういうようなことになるわけでございますけれども、これはやはり基本的には今後の景気動向、先ほども支店長会議の報告として触れましたが、現在やはり基盤的にはきわめて緩慢ではございますが、回復の基盤がある。しかも、企業マインド等も底がたい、こういうような状況でありますので、今後の経済の動向、内外経済の情勢等の推移を見きわめまして、まあ下期になります。その時点において御判断されてしかるべき問題ではないかと、かように考えているわけでございます。
#122
○穐山篤君 次に、マネーサプライですが、去年の実績を見てみますと、M2ブラスCDで見ましても、六月までは八・三、七月で九・〇、九月に入りまして一〇二、それから十、十一、十二、一月と一〇・五から七に微増の状況にあるわけですが、これをどういうふうに評価されているでしょうか。
#123
○参考人(澄田智君) マネーサプライの伸びにつきまして、いまお示しになったM2プラスCD、これの平残の前年比というところで見ますと、昨年の九月以降が大体一〇%台で推移しております。この一〇%台、一〇%の半ばごろでございますが、こういったような状況をどういうふうに見るかということでございますが、これは名目GNPの伸びを上回っていることは御承知のとおりでございます。
 ただ、現在のような景気の、いわば停滞局面において金融の緩和基調を維持しているわけでございまして、こういうような時期においては、そういう金融緩和基調というものによりまして、マネーサプライの伸びが名目経済成長率を上回るというようなこういうパターンは、過去のやはりこういった局面においても見られたところでございます。そうしてまた、それは景気の着実な回復を図っていくと、そういう回復を促していくという意味の上で、ある程度必要なことであると考えるわけでありますが、ただ、こうした事情を考えてみましても、現在の一〇%台というこの伸びは、いわば許容し得る上限と、こういうものに近いというふうに考えられるわけでございます。
 この間、物価面では為替の円安や、円安に伴って輸入物価がじりじりではございますが、上昇してきておりますし、これが卸売物価全体に影響を与えていくというようなことが考えられるわけでありますが、こういう中でマネーサプライの伸びがさらにこれより加速していくというようなことになれば、これは将来の物価動向等にも問題が生ずるおそれがあるわけでありまして、日本銀行といたしましては、いまのような緩和基調のもとで許容し得る範囲内というようなものを厳重に考えて、そうして、今後のマネーサプライの動きを十分慎重に見守っていく必要がある、こういうことではないかと、かように考えております。
#124
○穐山篤君 確かに、名目GNPに比べまして高いということは指摘ができますが、ただ私は、トレンドを見てみますと、上り基調といいますか、上がり基調に一貫してなっているわけですね。そこで、いまは許容し得る上限であると言われておりますが、一〇・六なりあるいは一一ということになりますと、危険信号ではないか、そういうトレンドの状況にあるのではないかと推測をいたしますけれども、見通しとしてはどんなものでしょうか。
#125
○参考人(澄田智君) 昨年の秋以来、一〇%台になりまして、そして一〇%の半ばごろのところを推移しているわけでありますが、いわば瞬間風速的に見ますると、瞬間風速と申しますのは季節調整をいたしまして、これを前月に比較いたしましてそして年率に直すと、こういうやり方でありますが、そういう前月比を年率に直すというようなことをいたしますと、昨年の九、十あたりが一二、三%というところでございましたが、それ以降九%ないし一〇%というところにやや鈍化をいたしております。
 これは金融緩和に伴って伸びてまいりましたものが、ややこのところ落ちついてきている、こういうようなことではないかというふうに考えるわけでありまして、やや高いのではありますが、許容し得る限界に近いということを申したわけで、そういう状態ではありますが、その中でやや鈍化している。これは最近の経済情勢から見て自然の姿ではないかと思いますので、十分慎重に見守ってまいりますが、目下の足もとのトレンドが非常に危険な状態であるというふうにはまだ考えられておりません。注意深く見守っていくということの繰り返しになりますが、そういうふうに考えております。
#126
○穐山篤君 言われますように、トレンドとしてそれほど心配はないということですからよくわかりますが、しかし、油断をしておりますと通貨供給量がふえる可能性を常に持っているわけです。これ以上伸びないようにするために、慎重に動向を見守るというのも一つの方法でしょうが、これから上向きの状況になると仮定をするならば、金融上の配慮というのも当然必要になってくると思うんですがね。その場合に一番最初に注意をしなければならぬ、あるいは配慮をしなければならぬという点はどんな点でしょうか。
#127
○参考人(澄田智君) その問題は、これはやはりそのときの情勢がございますので、たとえば資金の需要、民間経済の資金需要の動向、金融機関の貸し出しに対する態度等も十分その情勢に応じて判断をしていかなければならないことでありまして、すぐ限度を上回ったらどういう措置をとっていくか、こういうふうな想定的なことはやはりふさわしくない。今後の金融の動き、通貨、経済の動き、こういうものをよく見て、その情勢に応じて適切に判断をしていくと、こういうことであろうと思います。
#128
○穐山篤君 次に、円安の問題なんですが、きょう現在、二百四十五、六円でしょうか月これはしばらくの間、二百四十円あるいは二百四十五円、二百四十七円と、こういうふうに円安が続いているわけですが、根本的にはどういう要因が複合してこういうことになっているんでしょうか。
#129
○参考人(澄田智君) 最初に本日の相場でございますが、前場の終わり値は二百四十七円五十銭でございます。こういう円安の状態の基本的な背景でございますが、これはやはり米国の金利が高水準を続けている。そしてそれにつれまして、ヨーロッパ諸国の金利もなかなか下がりにくい状態であるという一方、わが国の金利はこれまでの金融緩和政策の結果としまして、先進国の中で最も低い水準になっておりまして、このために内外の金利差というものが大幅になっているわけであります。そういう大幅な金利差ということから、どうしても資本が流出しがちになっている、こういうことがその根本的な原因になるわけであると考えております。
 こうした円安は、国内的胆は輸入物価の上昇等を通じて、物価全般を上昇させる要因になりますし、すでに卸売物価には一部にその影響があらわれております。また対外的には、申すまでもなく貿易摩擦問題を一層深刻化させる、こういう問題もありますので、私どもとしては十分強い決意を持ちまして円安の是正に努め、円の相場を安定させるというための努力を払っていかなければならないと、かように考えております。
#130
○穐山篤君 アメリカの高金利という問題が背景にあることはよくわかりましたが、この円の相場を安定的にしたいと。円の実力というのは客観的に見てどの程度が相場なんでしょうか。個人によっていろんな見方も違うんでしょうけれども。
#131
○参考人(澄田智君) 現在の状態は円安状態であるということだけははっきりしていることと存じますが、しかし円の力から言ってどのくらいな状態であるかというようなことは、これは申すまでもなく為替相場というのは相対的な関係でありまして、米国経済なりあるいはその他の国の経済なり、あるいはドルの状態等によって影響されるものでございますので、どのくらいなところであるかということを申し上げるということは、まあそうでなくても非常にむずかしい問題でございますし、ことに中央銀行の立場からそれを申し上げるということは適当ではないと、こういうふうに思うわけでございまして、そこは御容赦いただきたいと存じます。
#132
○穐山篤君 通常、為替レートを決める条件というのは、原則的に言うとどういう要素なんでしょうか。どういう要素が複合して決まるんでしょうか。
#133
○参考人(澄田智君) よくファンダメンタルズということが言われますが、これは経済の基本的な条件のうちで、ことに為替相場に最も関係のある条件として物価、円のドル相場であれば日本と米国の物価の状況、それから国際収支の状況、これは当然に国際収支のしりが為替の需給にあらわれますので、国際収支の状況というようなことがあるわけでありますし、その背景に国際収支の中で資本収支に影響を与えるものとして金利の差というものがある、こういうことになると思います。
 もちろん、たとえばフォークランドの問題でポンドが下がったというようなことが言われますような、そういうそのときどきの政治的なあるいは国際的な動きというようなものも為替の市場には、市場心理として動いているということはもちろんあるわけでございます。
#134
○穐山篤君 いまお話のありましたように、物価、それから国際収支、金利、こういう三つが原則的要素になるということはよくわかりましたが、さてそこで、物価の状況を国内で見ますとまあ安定をしている。国民生活の感情から言えば必ずしもそうではありませんが、まあ数字の上では安定をしている。それから経常収支につきましても、第三者から批判をされるほど、かなりわが国としては十分なものを持っているわけですね。それから金利につきましても、諸外国と比較をしてみて、まあまあ下のレベルで安定をしていると、こういう状況にあるわけですね。
 ですから、要素としてはわが国はそれほど円安を招かなければならぬ要素が全部出そろっているというわけでもないにもかかわらず二百四十何円台、あるいは心配をされる二百五十円に手が届くような状況になっているのは、さらにそれ以上の要因があってしかるべきだと、またそう考える方が私は正しいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
#135
○参考人(澄田智君) 物価や国際収支の状況につきましては、いま御指摘のような状態でございますが、アメリカのたとえば金利、まあ非常にいま資本の流出というような意味において円安の原因であるというふうに申し上げましたアメリカの金利について見ますると、昨年も高かったわけでありますが、昨年におきましてはだんだん将来下がっていくと、こういう見通しでありましたし、事実昨年の夏以降はそういう推移を示してまいりました。そういう時期においては、むしろ円は高い方になってまいったわけでございます。
 しかし、ことしに入りましてから、引き続いてそういうアメリカの金利が下がっていくというような期待が、これはまあ内外の期待でございます。アメリカの中においてもそう思われていたわけでありますが、これがむしろ逆になって、少し上がりぎみであるというようなこと。そうして、しかもそのアメリカの物価の方は、一時二けたの、消費者物価でも二けたでございましたが、これが八%、最近におきましては前年に比べて八%あるいは七%という数字も出るぐらいに鎮静をしてきておるにかかわらず、金利の方はむしろ一進一退どころか少しやや高目である、高目にまたなりかかっている。
 そして、さらにアメリカの財政赤字問題、八三年度の予算の財政の赤字というものが千億ドルを超すというようなことを政府サイドも認めるというようなことで、この赤字の処理がアメリカ議会の非常に大きな問題になっている。
 こういうところを背景に、先行きなかなかアメリカの金利というものは下がらないんではないかというような、そういう不安感、そういうものが世界に広がってきている。そういうところが現在の物価や国際収支という、そういう条件を越えて円安ドル高になっているということの背景ではないかというふうに考えるわけでございます。
#136
○穐山篤君 日銀前川総裁に前回お会いをしたときに、アメリカの高金利の問題について客観的な見方を聞かしてもらったことがあるわけですが、一番大きい要因として、アメリカの場合には常にインフレ期待感が底に存在をしている。そういうものがある限りこの金利というのはそれほど下がらないで、一時に下がることはあったにしても依然として高金利姿勢になる、こういう説明を受けたわけですが、なるほどいまお話のありましたように、多分一二%ぐらいまで下がったんでしょうかね、アメリカの場合、金利平均一二%ぐらいだと思うんですが。これがもう一度一五だとか一七だとか二〇とかというふうにはね返るといいますか、はね上がる可能性はいまの状況から言ってあるんでしょうか、ないんでしょうか。
#137
○参考人(澄田智君) いまのアメリカの金利でございますが、公定歩合は一二%でございますけれども、現在の短期金利は一四%ないし一五%というようなところでございます、いろいろの金利によって多少の差はございますが。
 そして、これはかつては二〇%近いあるいは二〇%を超えるというような金利も出ておったわけでありますが、その当時はインフレ率の方も二けたでありました。ところが現在は、インフレ率は一けた台になって鎮静の方向であるという状態でありまして、こういう状態においてそういった関係から見ますると、現在の金利はなお非常に高い、こういう感じがいたしているわけであります。そうして今後でございますが、短期金利は現在のインフレ率等から見ましてもっと下がっていくべきものと、こういうふうに期待をされるわけでありますが、長期金利の場合になりますと、なおさら、先ほどもちょっと申し上げました財政赤字の今後の展望というようなものとも関係してまいりますので、いまのところ不透明である、こういうことで、全体として金利の先安というような感じにはまだなっていない、そういうことであろうと思います。
#138
○穐山篤君 一九七一年でしたか、スミソニアン体制になってから最近まで紆余曲折がありました。時には日本が円高であってECあるいはアメリカからかなり厳しい注文がついたときもあったわけですね。たとえばドル二百円とか二百何円という時代があったわけですけれども、そういうときには貿易収支黒字減らしという部分で日本がかなり外国から注文を受けていたわけです。
 最近は、アメリカの高金利というものが国際的な経済活動というものを停滞をさしている大きな原因にもなっているわけですね。その意味から言いますと、円高に対する裏返してはありませんけれども、アメリカの高金利に対する注文というものを、少なくとも影響を一番受けているたとえば日本であるとか西ドイツである上があるいはイギリスであるとか、そういうところの金融団体が何らかの意思表示をして、もう少しアメリカに賢明な措置をとらせる、この必要性がありと私どもは前から指摘をしてきたわけですが、その点について日銀側のお考えはいかがでしょう。
#139
○参考人(澄田智君) 私どももいまおっしゃるように考えるわけであります。
 そういう立場から、日本銀行の場合におきましても、中央銀行の総裁の集まりが国際決済銀行、BISにおいて毎月会議が開かれるわけでありますが、そういう折でありますとかその他の機会に、やはりアメリカの高金利の影響というようなものについては常に問題を指摘をするということにいたしておるわけでございます。政府がやはりそういう指摘をされるということはもちろん必要なことと思いますが、金融サイドにおいてもやはりお互いの金融情勢というようなものを突き合わせまして、そこでアメリカの高金利の及ぼしている影響といったものについてもアメリカに深甚の注意を求める、こういうことはやはり必要なことと考えております。
#140
○穐山篤君 どうもありがとうございました。
 次に、外務省はお見えになっていますか。――特例公債と外務省となじまないかもしれませんが、しばらく大蔵大臣聞いておいていただいて、また意見をいただきたいと思います。
 率直に言いますと、四十九兆円の五十七年度予算、来年度何兆円になるかわかりませんが、小さい政府をつくる、減量経営を行う、増税なき財政再建を行うと、こういう政府は基本方針を持っておりますね。予算の中で国内でいろいろ議論をして節約をするというものは、それぞれのところで議論をして節約すればある意味では解決のできる道だと思うんです。しかし、気になりますのは、経済協力の問題になりますと、そう国内で始末をするというふうにいかない分野があるわけですね。
 そこで、外務省にお伺いをするわけですが、八一年の経済協力実績が出ていないようでありますので、一九八〇年度におきます経済協力、これの概況をお話をいただきたいと思います。
#141
○説明員(中村順一君) 一九八〇年はちょうどボンのサミットで当時の福田総理が公約をされました三年倍増の最後の年になるわけでございますけれども、集計いたしました結果三十三億ドルの実績がございます。これは三年倍増という目標との関連で申し上げますと、二十八億ドルが達成されれば三年倍増が達成されたわけでございますけれども、それに比べましてかなりの余裕を持って目標が達成されたと、そういう実績になっておりをする。
#142
○穐山篤君 そこで、経済協力、技術援助、いろんなものがあるわけですが、趨勢として無償資金揚力というのが一つあるわけですが、これが三億七千四百万ドル、これは八一年あるいは八二年度の傾向はどうなんでしょうか。この表をいただいておりますから、その次には技術協力が二億七千七百万ドルになっていますが、これも八一年、これからの八二年、予算が決まったわけですから、これの趨勢ですね。それから三番目が、言うところの借款でありますが、十三億八百万ドル。それから国際機関を通しての出費がいろいろあるわけですが、これも十三億四千二百万ドルですね。それからいまお話がありましたように三十三億ドル、対GNP比で〇・三二と、こうなっておりますが、八〇年に比べて八一年、それからことしの予算で推計をして、大体何%ぐらいふえるのか、その点ひとつ、推計で結構です。
#143
○説明員(中村順一君) 私ども特に無償協力、技術協力につきましては、比較的優先度を置いて経済協力の拡充を図っていきたいというふうに考えておるわけでございますが、予算の数字につきましては、円で当然のことながら計上されておるわけでございまして、五十六年度の予算と五十七年度の予算を比較いたしますと、二国間贈与につきましては一二%の伸びでございます。その中で経済開発等援助、これが無償協力になりますが、一〇・八%の伸び、技術協力につきましては一四・六%の伸びということで、全体の政府予算の中では非常に重点的に取り扱われているというふうに理解しております。
#144
○穐山篤君 そこで、たとえばUNCTADの会議なんかで、公的に債務、債務と言っちゃ語弊がありますが、公的な立場で日本は実力があるからおおむね何%、資金何億円と、こういう公的な債務的な意味の分担と、そうでない、まあ日本の好意と言っちゃ語弊がありますけれども、そういうものとに大別をして、公的債務的な性格のものがこれから大きくなっていく要素があるかどうか、その伸び率というものはおおむねどのくらいというようなことはおわかりになりますか。
#145
○説明員(中村順一君) 経済協力につきましては、国際機関の分担金という形で割り当てて各国の拠出額が決められるというよりは、それぞれの国の財政状況その他、国の政策等からその国自身が協力の規模を決めるということがたてまえとなっているわけでございますけれども、お話のような国際機関への出資、拠出、それから二国間での経済協力、大体割合で申しますと、年によって多少の変動はございますが、わが国の経済協力の三割ぐらいが国際機関を通じての経済協力ということになっておりまして、残りの七割が二国間での経済協力ということで、それぞれのいろんな要素をかみ合わせながら、経済協力の基本方針に基づき、そういった二国間の経済協力、国際機関の経済協力というものをこれから進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#146
○穐山篤君 ボンの首脳会談で、当初政府の開発援助というのはまあ五年という話がありましたが、三年で倍増と、こういうふうに政策が福田さんの決断によって変わったわけですね。
 そこで、一応三年で倍増というのは数字の上では到達をしたわけですが、さてこれからの方針の問題として、開発援助について現行ベースを守っていくのか、あるいは別に何年間で何倍という数字は示さないにいたしましても、日本が置かれている役割りあるいはEC、アメリカから注文がついている立場から見て、これは現行ベースでいくというわけにはいかないような感じがしますが、政策的にはどういうふうに考えていますか。
#147
○説明員(中村順一君) わが国に対します経済協力への期待というものは、開発途上国それから先進国を含めて非常に強いものがあるわけでございますが、先生御承知のとおり昨年、三年倍増の計画が達成されました後に、第二回の新中期目標というものを設定いたしました。
 その内容につきましては、政府はODAを積極的に拡充し、引き続きそのGNP比率の改善を図り、一九八〇年代前半五カ年間のODA実績総額を一九七〇年代後半五カ年間の総額の倍以上とするように努める、このため一般会計の予算措置あるいは政府借款の積極的な拡大あるいは国際開発金融機関への出資の要請等に対して積極的に対応するという施策を鈴木総理から表明されまして、厳しい財政状況のもとではございますけれども、わが日本政府としては引き続き経済協力の積極的な拡充に鋭意努力をしていくという方針を内外に表明しているところでございます。
#148
○穐山篤君 内外に総理が態度を表明したという抽象論はよくわかるんですけれども、これは日本の財政にかなりの影響を現在でも持っているわけですが、いずれ相当のかかわり合いを持ってくるものというふうに思いますね。また、現在の協力実績からいいましても約一兆円でしょう。そうなりますと、予算総額から言うならばいわば四十九分の一と、しかし国民の税収からいきますと、三十分の一ということで、かなり影響を持つわけです。そこで中期計画というのは、数字的な目標としてはもう少し細かくできますか。
#149
○説明員(中村順一君) 先ほど御説明いたしましたように、一九七〇年代後半の五年間のODAの総額が約百七億ドルでございます。それを一九八〇年代前半の五カ年間で倍にする、したがいまして約二百十億ドルにするというのが中期目標の内容でございまして、その具体的な内訳というようなものは特に定まっておりませんで、全体としてその目標を達成するということが中期目標の内容となっております。
#150
○穐山篤君 そこで考え方をお伺いをするわけですが、去年七月の十日の日に第二臨調から答申が行われました。理念が二つ述べられているわけです。「活力ある福祉社会の実現」それからもう一つは「国際社会に対する貢献」というのが出ているわけです。外務省として国際社会への貢献というのはどういうふうに認識をしているんでしょうか、まずその点からお伺いします。
#151
○説明員(中村順一君) 私が全体をお答えできるかどうかわかりませんですけれども、いまの経済力を擁する日本の実力あるいは日本の置かれた国際的な地位からいきまして、国際的な責任に対応するということは、いろんな分野でやはり日本として考えていかなければならないこれからの大きな課題であるというふうに私ども認識しております。
#152
○穐山篤君 その点についての大蔵大臣の考え方はいかがですか。国際社会への貢献というのが臨調の答申の理念、ずばっと言われたわけです。そのことは当然のことながら財政にかかわって、ただ単に理念だけを言ったわけじゃなくして、まあ、ある程度財政のことも考えながら言われたんだろうと思いますけれども、この臨調の二つ目の理念である国際社会への貢献というのを大蔵大臣としてはどういうふうに認識をされていますか。
#153
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建というのも日本の経済と重大なかかわり合いがございます。日本の経済は世界の経済と重大なかかわり合いがございます。ましてGNPの一〇%を日本が占めているという状況の中でありますから、世界の経済が繁栄しないで日本の経済が繁栄するということは考えられません。
 そういうようなときに当たって、いわゆる発展途上国と申しましょうか、そういうようなところで、まあ資源がありながら技術がないとか、あるいは資本がないとかいうことのために飢えているというところもございます。中には、資源がなくて本当に飢えておるところもありますが、そういうところは知的水準がえらく低いとか、いろんなことがあるわけでありますから、そういうようなそれぞれの国でてこ入れをしてやれば、いまよりましな暮らしと世界に対する経済の協力とがおのずからできると。自助努力をしなければもちろんだめでございますけれども、自分だけでは発展できない、そういう国に対して日本が先進国の一員として手をかしてやれば、それらの国が立ち上がって、自分たちで自活できるのみならず、何らかの形で世界の国にも貢献をできるということでございますので、みんな世界は兄弟みたいなものでありますから、そういう意味で日本は国力に相応した経済協力を行っていくということが世界に対する日本の貢献であって、それはとりもなおさず、日本の中長期的に見れば繁栄につながることでもある、そういうようなことではないかと私は考えております。
#154
○穐山篤君 そこで、いま大臣も言われましたように、ことし、五十七年度の予算を見てみますと、経済協力、一般会計で一〇・八%、エネルギーが一三・二%、あるいは国債費が一七・七%、まあ一〇%を超えている部分になるわけですが。
 そこで、国力に見合った経済協力、技術援助ということはまあ当然だろうと思いますが、その一つの目安として、たとえば総予算の、歳出予算の何%ぐらいをこれに充てるとか、あるいは物差しを当てる。あるいはGNPに対しておおむね何%ぐらいを対外援助の目標にする、そういう目安というものがなければ、日本は金がある、実力があるからもっと金を出せというふうに言われがちだと思うんですが、その目安を、二つの分野から言いますとどういう物差しをお持ちでしょうか。
#155
○国務大臣(渡辺美智雄君) ODAに対する先進国の経済協力の実態というものは、一九八〇年で平均がGNP対比〇・三七というようなことであります。日本は現在のところ〇・三二ということでございまして、この三七というものは将来の目標、世界の水準ということでございましょうが、これは財政事情等もあるし、こちらはGNPがアメリカと日本はばかに大きいという問題もありますから、一概にGNPだけで比べるというわけにもまいりませんが、一応の目安といいますか、そういうように、現在のGNP対比〇・三二というものを下回らない、もっとこれをふやしていくと。
 それで結局、当面としては過去五年間の実績を将来の五年間で倍にするという目標でございます。したがって、それが予算の何ぼになるかということは、そのときどきの予算の組み方によって違うと思いますが、そんなに予算はふくれるものでもないし、そんなに減るものでもないということになれば、おのずからそこには大体どれぐらいという数字が出てくるだろう、そう思っております。倍にするのには平均して一一・四ずつ伸ばせば五年間で倍になるということが数字的には言えるわけであります。
#156
○穐山篤君 そうしますと、大蔵大臣の認識としてはGNPの〇・三二、それから一般会計で言うならば歳出予算の一〇%程度なら大勢に影響なし、こういう認識ですか。
#157
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ影響はかなりあります。ありますが、やはりそこのところが大変なことで、防衛の問題とこの問題とエネルギーというのは、やはりもう三大重要政策、国際的な重要政策でございますので、仮に大変なことがあっても、やはりこれだけ日本という国が自分本位で人のことを構わぬという非難を受けておるわけですから、国際的に孤立するということは決して日本の繁栄にならない。だから中長期的に見れば、やはりやるべきことはちゃんとやるんだと、日太も。もう国際の協力はしている、もう責任分担やっているんだということを言えるだけのことはやっぱりしていかないと、世界を相手にして貿易その他で食っていく日本としては、やはり長続きをしないわけですから、それは国民の皆様にも理解と協力をしていただいて、何とかこれはもうやっていきたい、そう考えております。それと同時に、私はこれはもう、ただ倍だからといって何でも総枠で、中身もろくに調べないで、どんどん倍ではらまいて、自助努力のない国までやっちゃって、むしろ逆に使われて反日運動の拠点にでもされたらたまったものじゃない。現にそういう前例があるわけですから。だから、そこらのところは私はやはり口やかましくいまでも言っておるのがそこにあるわけであります。十分に中身の吟味というものをした上で、本当に役立つような経済協力をやっていきたい、そう考えております。
#158
○穐山篤君 じゃその点、国際社会への貢献というのは、理屈は理屈にしましても、財政への負担というものは当然伴うものでありますが、十分にひとつ配慮をしていただきたいと思うんです。
 いまの問題に関連して、対韓援助の問題ですね。ちょっと外務省の方にお伺いしますが、いま韓国は対外債務総額はどのくらいですか、細かい数字は結構です。
#159
○説明員(長谷川和年君) お答えいたします。
 八〇年末現在におきます韓国の対外債務残高は、これは韓国の経済企画院の発表によりますと二百七十三億六千五百万ドルということのようでございまして、このうち三年以上の長期債務は百六十一億三千七百万ドル、一年以上三年未満の中期債務が六億一千七百万ドル、一年以下の短期債務は七十五億七千五百万ドル、外国の銀行の勘定が三十億三千六百万ドルと、このように了解しております。
#160
○穐山篤君 それでいまの問題に関連をして、債務の返済比率というのは何か数字はおわかりになりますか。
#161
○説明員(長谷川和年君) お答えします。
 従来の推移等については詳しい数字はただいま持ち合わせませんが、約一三%と承知しております。
#162
○穐山篤君 一三%といいますと通常対処可能な水準の範囲内にある、言ってみますと、金を貸す方も借りる方も大体一三%前後ならばそれほど懸念がないと、こういう認識でしょうか。
#163
○説明員(長谷川和年君) その問題に関しましては、具体的な韓国の経済情勢あるいは経済企画、経済の実際の実施の問題とか、そういった問題あるいは日韓の関係とか非常に広い観点から総合的に判断して考えなければならない問題と、そのように考えます。
#164
○穐山篤君 ここは外務委員会ではありませんからきめの細かいことを聞くつもりはありません。
 さてそこで、大蔵大臣に対韓国の援助問題について、日下部内で調整中、二国間でこれから折衝するわけですから、そう手の内をぞろぞろ見せるわけにいかないと思いますが、少なくとも日本の財政の状況というものを十分に踏まえて、それから少なくとも疑惑が生ずるような借款というものはもう絶対に避けなければならぬ、われわれはこういうふうに思いますが、いままでの報道では六十億ドルというびっくりするようなものがまとめて一本で話がされているわけですが、これは一つ一つプロジェクトを整理整とんをしてやるべきものだと、こういうふうに考えますが、現在時点でこの対韓援助について大蔵大臣、財政的な分野でどうお考えですか、その点をお伺いしておきます。
#165
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的な中身を申し上げることはできません。できませんが、私としては日韓両国の関係というものはもう私がちょうちょうするまでもございません。韓国が減びたのでは困る、韓国は栄えてもらわなければ日本にとって困る、そういう基本的な認識がございます。
 しかしながら、いま穐山委員からおっしゃったように、これは国民の税金で援助をするわけでございますから疑惑の生ずるようなことは困ります。それから財政の問題にしても、ただ向こうが数字を言ったからといって数字を応じられるものではないわけでございまして、おのずから限界がございます。日本としては過去の五年間をこれから倍にしますということは言ってあるわけでありますから、その大枠の中で大体おさまるという話でなくては困る。
 ということになりますと、五年間で六十億ドル、しかも政府借款、円借款というようなことを言われましても、これはもう最初から全然のめる話ではございません。したがって、そういう点についてはこれは御再考をいただいて、別に金に色目がついているわけではございませんので、工夫をすれば必要にして最小限度の仕事はできるはずでございますから、そういう点はぜひとも韓国の側でもよく日本の財政事情を考えてほしいと。
 私は、実は外務省じゃありませんから直接交渉の任には当たっておりません。当たっておりませんが、日韓会談の折とか、あるいは向こうから来ると必ず来るんですよ、私のところへ、五人も十人も。きのうも来ました。何か協力委員会とかね。この前も向こうの何か団体で来た。私が一時間ぐらい演説ぶつんですがね、来ると。意外と知らないわけです、日本の財政。そんなこと言ったって日本はもうアメリカに対していっぱい貿易黒字だとかね。ともかくもう繁栄してみんな失業がないとか、みんなゼロ成長じゃなくてプラス成長だとか、そんなことだけ言いまして日本の火の車の台所というものはわからない。何回言ってもわからないですね、これは。だけれども、よく何回も何回も言うとだんだんわかってまいりましてね。ですからやっぱり忍耐強くこっちも言わなくちゃならない。
 ですから、そういうことも含めまして、先生のおっしゃること全くごもっとも、基本的考え方も全く同じです。ですからそういうことで進めさしていただいておるわけであります。
#166
○穐山篤君 外務省の方、結構です。ありがとうございました。
 さてそこで、今度は財政、国債の問題に移りますが、午前中和田先生のお話でも明らかなとおり、中期展望についてはもとの要素が変わったのでこれは見直しをいたします、見直しをした結果数字はお示しをします、こういうことでありますので、いずれそれは明らかにさしてもらいたいと思いますが、物の考え方だけ最初にお伺いをしておきます。
 ことしの早々、あるいは去年の財政の中期展望でもそうでありましたが、五十九年度に特例公債はゼロにする、それから四条国債の方は平均ならして数字の上では六兆五千百六十億円あるいは二百億円、こういうふうに書かれているわけです。
 そこでお伺いをしますが、四条公債、建設国債について六十年までは、数字の端数程度は別にいたしましても、おおむね金額としては並みの金額を計上していくという考え方であるのか、たとえば極端に建設国債を十兆円も発行する、翌年度は六兆円に下げるというふうなことを考えずに、おおむね総予算の一〇%程度というふうな考え方でこの建設国債というものは昭和六十年まで持ち込んでいくのかどうか、その点をまず最初にお伺いします。
#167
○政府委員(西垣昭君) 中期展望の読み方の話でございますので、私からとりあえず御説明申し上げます。
 中期展望は、御存じのように毎年予算をつくりますときにその予算を前提といたしまして、それを将来に引き伸ばして、財政の体質を見て財政運営の手がかりにする、こういう性質のものでございます。その具体の年、つまり次は五十八年度でございますが、五十八年度についてどうするかという具体的な予算作成というのはその時期におきます経済、財政状況を踏まえまして、直近の時点でそこでもう一度見直しをするということでございます。
 四条公債につきましては、前提といたしまして置き方がなかなかむずかしいものですから、機械的に五十七年度と同じに置いてあるわけです。中期展望の解説にもございますが、投資部門の要調整額は四条公債の増発も含む歳入の増加あるいは歳出の削減、そういったことで処理をすると。それは具体の年度の予算を編成する段階でどちらを選択するかということが決まるんだ、こういうことになっております。
 以上簡単でございますが、考え方を申し上げておきます。
#168
○穐山篤君 原則、たてまえは多分そういうことになるだろうと思います。それは毎年毎年予算編成を行うときに、数字の上でも政策の上でもつじつまが合わなければならぬわけですから、そのことはわかりました。
 それから、建設国債にしろ特例公債も別に銭に色分けがあるわけではありませんが、物の考え方から言いますと、建設国債というのは財産、身上が残る、こういうことになっているわけですが、ここ数年の建設国債の使い方を見てみますと、やや私は問題があるんじゃないか。少なくとも建設国債を使って、一般会計でもそうでしょう、なかんずく建設国債を使って公共投資をするあるいは出資をするということになりますと、われわれの時代から子供の時代、孫の時代まで、ある意味では継承をするわけですね。
 そのことを考えてみますと、何でもかでも建設国債の枠の中になだれ込んで、全部施設設備費を計上するというのは誤りだと思うんです。間違いだというふうに思いますが、その点いかがですか。
#169
○政府委員(西垣昭君) 建設国債というのは、財政法四条で認められている公債でございます。財政法を貫いております思想というのは健全財政主義でございまして、原則として歳入は税金等普通の歳入。原則として公債でありますとか借入金でありますとか、将来返済をしなくちゃならないような財源は原則としては認められていない。その例外として認められておりますのが、いわゆる建設公債と言われておりますもので、これは考え方といたしましては先ほど御指摘がありましたように、将来資産として残るようなものにつきましては公債は発行してもいい、しかしそれが乱に流れないように。どういったものが公債発行の対象経費であるかということにつきましては毎年の予算書の中にその範囲を明らかにしておくということで国会の御承認を得ているわけでございます。
 私どもといたしましては、毎年度の予算編成に当たりましては厳重に洗い直しをいたしまして、その年ごとに国会の御承認を得るというような慎重な運びをやってきているわけでございまして、それがだんだん乱に流れていくというようなことはないと思っております。
#170
○穐山篤君 四十年に特例公債が発行になって、五十年第二回目、臨時異例の措置が行われたわけですが、建設国債の方は一貫をしてその実績はずっと高くなっているわけです。
 それで、過去の予算書あるいは財政投融資計画の説明の資料を過去ずっと拾ってみますと、かつては一般会計の中で処理したようなものまでも、今度は建設国債があるんだからということで、ごく小さな施設設備費あるいは構造物まで全部寄りかかっている傾向があるわけですね。なるほどこういうふうに一つ一つが、各省庁のやつが説明はされておりますけれども、何でもかでも建設国債におんぶにだっこということは、建設国債の性格から考えてみて、あるいは建設国債は幾らでも発行ができるんだという状況ではないわけですから、その点私は、もう一度これは見直しをすべきだろう。そうしませんと、率直に申し上げまして将来にわたり一将来にわたりというのは六十年以降もすべて足りない部分についてはこの建設国債に寄りかかる、こういう可能性というものを残しているわけですね。
 それは、先ほども申し上げましたように、私は後代に対する公平化の問題あるいは効率化の面から言ってみても問題ありというふうに考えますが、どうでしょうか。
#171
○政府委員(西垣昭君) 財政の健全性を守るために建設公債といえどもルーズにならないように、毎年の予算編成に当たっては厳しく見直しを行わなければならないという点につきましては御説のとおりでございまして、私ども予算編成に当たりましては厳しくチェックをしながら編成をしていきたいというふうに考えております。
#172
○穐山篤君 それから、参考までに仮定の話をお伺いをするわけですが、公社債の売買総額というものが八一年度、八〇年度、数字で出ると思うんです。その場合に、公共債の売買総額というものも集計をすれば出ると思うんです。私のごく単純な計算でいきますと約三分の一に近い公共債の売買総額に当たるんじゃないかと思うんです。
 そこで、仮定の話でお伺いするんですが、公共債というもの、たとえば建設国債でもいいんです、そういうものがたとえば一切昭和六十年以降発行しないあるいはされないという仮定の話ですが、そういう場合に金融市場、公社債市場の状況はどういうふうな変化になるんでしょうか。これはもう仮定の話ですから、仮定の話としてひとつお話を承りたいと思います。
#173
○政府委員(吉本宏君) 公共債の発行が仮に激減した場合どうかというお尋ねでございますが、御案内のように、国債は昭和四十年から発行されてまいりまして、昭和五十年度から特に大量発行の時代に入ったわけです。ピークが十五兆二千七百億という、五十四年度がピークであったわけでありますが、その後財政の節度という観点から国債の減額に努めてまいりまして、ようやく十兆円そこそこになった。
 一方、政府保証債は現在大体二兆円ぐらいの発行額がございます。それから公共債といたしましては、さらに地方公募債あるいは縁故債、こういったことを全部含めまして、ちょっと払いま数字を持っておりませんが、十五兆前後の公共債が発行されているんではないかと、このように思っております。
 したがいまして、これは日本の経済、特に金融資本市場にビルトインされていると申しますか、定着しておりますので、これが余り急激に減少に転ずるということになりますと、投資家側にとっては適当な投資物件を欠くということにもなりかねない。そういう意味で、私どもとしては公共債全体を含めましてある程度モデレートな形で増加していくというのが金融資本市場の立場からすれば適当ではないかと、このように考えております。
#174
○穐山篤君 いまのは仮定の話ですから、仮定の話として受け取ったわけですが、まあ理屈から言いますと、一応国の歳出というものが計画をされる、歳入の見積もりをする。で、足りない部分をどうするかと言えば、ときには歳出カット、それからいろんな形の増税と、こういうもので歳入、歳出のつじつまを合わせる。で、まあどうしようもないというところから公債の発行と、こういうものが出るわけですが、仮に、午前中の和田先生のお話にも関連をしますが、国も歳出カットを十分にやる、国民も不公正税制を含めて税の問題について新しい認識が出てきて、公債の発行の必要性がなくなるということも理屈の上からはあり得るわけですね。
 そうしますと、公社債市場、金融の分野から見ると激減をする、あるいは全くなくなってしまうということになると、それは公共債というのは何も国債ばっかりじゃありませんから、そうは言えないと思いますが、それでも国債の発行というものがゼロになる、激減になるということになれば相当の問題を市場に与えるということは間違いがないと思うんです。
 そこで、私はお伺いをするわけですが、とりあえず中期展望計画では、金額のことは別にいたしましても、建設国債を昭和六十年まで発行するという意思表示を政府並びに大蔵省は示しているわけです。しかしまあ、これもできるだけ小さくしていきましょうという気持ちがある。さて、六十年以降に問題になりますのは、一たん五十九年で政府としては特例公債はやめるという方針があるわけですから、その気持ちを延長すれば六十年以降特例公債を発行する意思というのはないというふうに私どもは見たいわけですね。それをまた特例公債が奥の手として出てくるようなことはないと確信をしておるわけです。
 そうしますと、残る問題は建設国債の問題になるわけです。それは先ほど申し上げましたように、税収の問題との見合いになるでしょうが、昭和六十年以降建設国債というものの発行をいまの状況で言えばせざるを得ないような構造的な仕組みになっているわけですから、多分そうだろうと思うんですけれども、積極的に建設国債を発行することによって財政収支のつじつまを合わせようとするのか、それとも建設国債というものを含めてできるだけそういう部分の借金というものを抑えて、その他の分野で歳入、歳出のつじつまを合わしていくのか、この点についてのお考えは、まあ少し中期的になりますが、いかがでしょうか。
#175
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやっぱり穐山委員のおっしゃったような精神で、先の話ですから、私はここで確言できませんが、そういう精神でやらなければならないと、そう確信をいたしております。
#176
○穐山篤君 もう時間ありませんから。
 それでは、国債の問題についてお伺いをしますが、毎年毎年この特例公債の発行のときには参考人の方々に来ていただいて意見を聞くわけですが、毎回同じような、窓販の問題だけは違いましたけれども、その他の点では毎回同じようなことが指摘をされ、私どももそういう認識があるわけですけれども、まとめてみますと四つぐらいあると思うんですね。
 国債の発行条件を市場の実勢に即したものにしてくれと、こういうことをしきりに指摘をされているわけです。それから十年物以外に中期物、短期物も最近つくっているわけですが、投資家のニーズに合わした商品をつくれと、これもまあ強い要望ですね。それから国債の市況対策というものも十分に支えてほしいと、これも毎年出てくる意見です。それから四番目に、国債の流通市場の整備については自助努力を市場がやっているわけなんですが、これについても強力な援護対策を欲しいと、過去四、五年の間の意見を整理をしてみますとこんなふうにまとまるような感じがします。
 そこで、消化が非常に窮屈なときもありましたし、金利の問題で商品によっては売れるものもありますし、消化のむずかしいものもある、こういう状況でありますが、この市場からの注文に対して大蔵省としてはどういうふうな考え方で五十七年度の管理政策を進めていこうとするのか、その点最後にお伺いをして終わりたいと思います。
#177
○政府委員(吉本宏君) ただいま御指摘のございました一つは、発行条件の実勢化、種類の多様化、市況対策、流通市場整備と、こういう御指摘でございますが、私どもがシンジケート団から伺っておるのも大体基本的にはこういうことでございます。
 ただ一つ、その前に国債の発行額の減額、できるだけ発行額を減らしてほしいという要望がございます。この点につきましては、先ほども申し上げましたが、ピーク十五兆二千七百億という五十四年度のときに比べましてすでに十兆円余りの額になっております。特にシ団の引き受けの十年債と申しますものをとってみますと、十兆が五兆ということで半減をしております。そういうことで、国債の発行額の減額ということが一つございます。
 さらに、この条件の実勢化ということでございますが、この点につきましては、私ども常々発行条件の弾力化について配慮をいたしております。五十六年度をとってみましても、五十六年の五月、六月、九月、五十七年の一月、さらに最近五十七年の四月に条件の改定を行っておりまして、流通市場の実勢に合わせて条件を設定をいたしております。
 それから、種類の多様化という点でございますが、この点につきましても、御案内のように公募入札の三年、二年、四年というようなものを市場の実勢に即して発行をいたしておりまして、この点につきましても五十六年度にすでに二兆五千億余の発行を終わっておるということでございます。
 それから、市況流通市場整備という問題でございますが、国債の売買を含めまして、先ほどちょっと穐山委員流通高についてお話がございましたが、五十六年の数字でも三百兆余りの売買が公社債において行われております。その半分、五六%ぐらいが大体国債の売買でございます。そういうことで、非常に活発な売買が行われておりまして、ただ一つ問題点は、市況が悪くなりますと一方通行になると申しますか、売り一方になる、買いが余り入らないというような現象がございます。そういった点から見まして、私どもは資金運用部のお金を使いまして積極的に買い入れを行う、結果としてはそれが市況対策になるという面もございますので、価格が非常に下がってきて売り一方になったときには、公共的な資金を使って流通市場に買い入れを行うというようなこともやっております。
 先ほどの国債の水準でございますが、六二%でございます。売買高の六二%が国債である、こういう状況でございまして、私どもとしては流通市場の面におきましてもかなり配慮を加えておるというふうに確信しております。
 そういった結果、五十六年度につきましては国債の発行額十二兆九千億という予定でございますが、このうち資金運用部が引き受けを予定しております三千七百五十億、これは特例公債でございますが、これを除きましてすでに全額消化を終わっておるということでございます。五十七年度につきましても、四月にすでに一兆円のシ団引き受けを実行しておる、こういう状況でございまして、私どもとしては国債の消化はほぼ円滑に行われている、このように考えております。
#178
○多田省吾君 私は、まず最初に本法律案についてお聞きしたいと思います。政府は、昭和四十年に初めて特例公債を発行し、さらに七年前、税収欠陥対策として昭和五十年度の財政特例法による赤字国債を発行いたしました。以降、臨時特例の措置であるという理由で続けられてことしで八年目を迎えたわけでございます。その結果、利払いや償還のための国債費は歳出全体の一五・八%を占めておりまして、まさに厳しい様相を示しているわけでございます。
 私どもは、五十年度の特例法案審議の際も、安易な借金政策による税収穴埋めという財政収支のつじつま合わせの道を開くことは財政改革への意欲を減退させ、財政危機を招くであろうということを予測いたしまして、赤字国債依存の財政運営に反対するとともに、高度成長政策の残滓としての財政構造の改善を主張してまいりました。
 特に、赤字国債の大前提であるべき不公平税制の是正や行政改革の徹底、あるいは国債管理政策の整備などは当然やるべきであると強く要求いたしましたが、政府はこれらの諸施策を十分措置しないままに至っております。これは安易な赤字国債の発行といわざるを得ません。そして今日の財政経済の状況をもたらしたのでありますが、このような状態に至った歴代自民党内閣の財政運営につきまして、大蔵大臣はどう考えておられるか、改めてまずお尋ねしておきたいと思います。
#179
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国債を発行するということは、私はやっぱりそれは例外的なものである、こう思っております。
 しかしながら、第一次石油ショックというものがあって、世界じゅうが大変な不況に襲われました。わが国はその不況からの脱出のため、失業者を増大させないため建設国債の大幅発行をしました。
 もう一つは、昭和四十八年に福祉元年と称して、本当にヨーロッパ並みの福祉にするということで福祉政策重点で取り上げてまいりました。これを途中でやめるということはできないというような見解から、一方税収が五十年には二兆円も落ち込んだにかかわらず、やはり福祉や教育を充実をしていこうといたしました。その財源がないというようなことから、赤字国債を増発をしたということが事実であります。それによって日本は非常に大不況から早く脱出できたし、失業者群も増大させないで済んだし、文教、福祉政策も世界の水準にちゃんとなったしというようなメリットがございますが、その反面、莫大な国債の残高の累積を持つということになったのも事実でございます。
 その間、安易に発行したじゃないかという御批判でございますが、私は必ずしも安易とは思いませんが、中を詰めてみればもう少し歳出の方を抑え込んで国債を発行しなくても済んだんじゃなかったのかなと思われる節がなきにしもあらずだと私は思います。したがって、そういう点を踏まえて臨調答申もこれあり、やはり高度経済成長のときの惰性の歳出構造をこのままにしておけないという反省の上に立って現在財政再建に臨んでいるというのが実情でございます。
#180
○多田省吾君 確かに大蔵大臣おっしゃるように、昭和四十八年秋の第一次石油危機以降においては、大変な国内民間需要が落ち込みをいたしまして、それを財政政策で下支えする必要があるという状況はございました。そしてある程度の効果も評価できますが、しかし、現在の結果を見ますと、いま大臣もおっしゃったように、歳出をもっと切り詰めればよかったのではないかというようにお考えも述べられたわけでございます。
 ですから、全体的には過去を振り返りますと、やはり安易な発行ではないと言い切れないものがあるわけでございまして、私たちはいま一度ここで八年間も続けた赤字公債発行につきましては、財政法の基本に立ち返って考える必要があるのではないか、このように思う次第でございます。
 そこで、昭和五十六年度は財政再建元年として行政改革の推進、徹底した歳出の削減、その結果一兆八千億円もの赤字国債の減額、そして五十九年度に赤字公債依存体質を脱却するということを目指して出発されたわけでございます。ところが、五十六年十二月補正予算におきまして、税収見通しの減額補正を四千五百二十四億円行いまして、追加財政需要が三千三百七十二億円に対し、歳入を確保するために特例公債を三千七百五十億円あっさり発行されたわけでございます。
 私は、この時点で昭和五十九年度特例公債脱却論というものが大きくつまずいたのではないか、このように思いますが、大臣はどうお考えでございますか。
#181
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは御承知のとおり、五十六年度の税収の見込みについて見込み違いがあったことは事実でございます。最大の原因は物価の予想外の安定、特に卸売物価は四・一が一・六になるというようなことでございますから、こういうようなものがどこから出たかというと、消費節約、私は一番の問題はそれだったと思います。
 そういうようなところで、やはり景気の横ばいというような点もあり、税収に穴があくという見通しがついたものですから、また十−十二のいわゆるGNPの速報値が出ていない状況の中だけれどもどうもおかしいというようにとられたので、そのままほおかぶりをするということはいけない。したがって、それはやはり補正をすべきだと。しかしながら、すでに一−三月しか歳出面は残っていない、しかもこれは一兆円に及ぶような大変な災害が去年はありました。それからベアの問題、こういうような問題を税金ではあがなえない。したがって、極力歳出カット、節約であがなおうとしたけれども賄い切れない部分がございましたので、これについて建設国債等特例公債を発行をしたということは事実でございます。
 これは安易じゃなくて、考えに考えた結果、ほかに方法がないものですから、この段階に来るとほかに方法がない、したがってやむを得ず発行したということでございます。
#182
○多田省吾君 いま大臣からお答えがあったわけですが、その五十六年度補正における三千七百五十億円につきましては、大臣は安易に発行したとは思わないとおっしゃいましたけれども、それではこの特例公債以外で歳入確保する他の道がなかったのか、それをどの程度努力されたのか、あるいは経費節約の面におきましても最大どのような節約をなされたのか、端的にお答えいただきたいと思います。
#183
○政府委員(西垣昭君) 五十六年度補正予算では、大臣が答弁されましたように、思いがけない税収の落ち込み分に見合うものを特例公債の増額で見ざるを得なかったと、これはまことにやむを得ない措置であったと思っております。
 いまの御質問は、歳出の削減なりその他のたとえば税外収入の増収努力なり、そういったことでやるべきでなかったかと、こういうことかと思いますが、極力やりました結果、追加財政需要等につきましてそういったことで収支のつじつまがい、しかし税収の落ち込み分だけはどうしようもなかったということで特例公債の発行をせざるを得なかったということでございます。
 具体的に申し上げますと、追加財政需要につきましてはこれを極力圧縮いたしております。五十四年度、五十五年度いずれも四千億を超える追加財政需要があったわけでございますが、五十六年度の補正におきましてはこれを千九百億に抑えております。それから給与改善費が千九百億ございまして、合わせまして追加財政需要としては三千八百億あったわけでございます。で、この三千八百億の歳出を賄いますために、税外収入の増収を千百億、それから既定経費の節減を九百億、予備費の取り崩しを千八百億。三千八百億の財源を捻出いたしましてこの分はめんどうを見たわけでございます。
 あと残りましたものが、さっき大臣からも御答弁申し上げましたように、災害復旧費であり、これは、四条公債の増発、それから税収の減少分に見合うもの、これをやむを得ない措置として特例公債の増発ということでやったわけでございまして、厳しく見直しをやってやむを得ずそのような措置を講じたということでございます。
#184
○多田省吾君 もう申し上げるまでもありませんけれども、この特例公債の発行につきましては、財政法第四条にはただし書きにおいて建設国債のみを認めているわけで、赤字国債は認めていないわけでございます。そのために公債特例法が提案されたわけでありますが、本法律案におきましても当然財政法第四条の「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」という規定に近づける努力というものが具体的な形で必要である、このように私は思うのでございます。
 その具体的な形として、やはり本法律案の審議するところは当初予算における特例公債の発行に関しての審議でございまして、補正予算等での赤字国債の発行というものはその都度審議して慎重を期する必要があると私は思います。補正予算が審議されるからその中に含まれるという考え方は、結局安易な発行に流される姿であると思いますが、この点はどうお考えですか。
#185
○政府委員(西垣昭君) 制度の問題でございますので、私からお答えいたしますが、五十年度以降の特例公債法は、例外なく特例公債の発行機能を法律で規定し、それから発行限度額は予算で定められるということになっているわけでございます。そういった制度になっておりますので、従来から補正予算で追加発行するときには補正予算の総則で発行限度額を定めるということでございまして、従来の例といたしましても五十六年度のほかに五十二年度、五十三年度そういう先例がございます。
 で、現在こういう制度にいたしておりますのは、財政法の規定によりまして、四条公債つまり建設公債の発行限度額の設定は予算で定めるということになっております。それとのバランスをとるのが適当であるということが一つございます。それから公債の発行額につきましては、歳出その他歳入等全体の中で御審議いただくというのが適当であると、これはもう表裏一体の関係でございますので、一緒に御審議いただくのが適当であるということでございます。そういった理由によりまして、従来からも特例公債の発行限度額につきましては予算で定めるということでずっときているわけでございます。
 ただ、こういう制度のもとで、それじゃルーズになるおそれがあるのではないかということでございますが、私どもはそういった制度であるからといってルーズな財政運営をするということではないと考えております。十分に御審議をいただきまして、厳しい財政節度を守っていくというのが政府の方針でございます。で、その方針を具体的に示しておりますのが五十九年度の公債脱却ということでございまして、私どもとしては最大限の努力を払ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#186
○多田省吾君 じゃ、次に大臣にお尋ねいたしますが、昭和五十七年度予算におきましても、年度後半に補正予算で建設国債のみならず、赤字国債の発行の可能性もあるのではないかと言われているわけです。
 といいますのは、昭和五十六年度の歳入欠陥が二兆数千億円に及ぶということが明らかにされ、その結果、昭和五十七年度におきましても経企庁長官等も五十七年度の成長率は三・八%程度ではないかとおっしゃったと伝えられておりますけれども、そうしますとまたまたこの五十七年度の景気の落ち込みというものが非常に厳しいわけでございます。政府は再三、公共事業の七七%以上の前倒しですか、あるいは災害復旧事業、あるいは百三十万戸の住宅建設等をおっしゃっておりますけれども、住宅建設につきましてもとうてい百三十万戸達成されるとは思えませんし、いま建設業者も非常に、特に中小建設業者は大変な仕事難に陥っているわけです。それでそれでは年度後半の景気対策はといいますとそのときに考えるということで、まだはっきり具体的な形でおっしゃっておられない。だから建設国債を年度後半に発行して補正予算を組むのではないかと伝えられているわけでございまして、その際、建設国債だけでは足りない、また特例公債を発行するのではないかという可能性も言われているわけです。
 ですから、大蔵大臣としてはこの赤字公債の五十七年度後半における追加発行を避けるためにどういう努力をしていくお考えなのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#187
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年度予算は成立したばかりでございます。もろもろの景気対策もこれに合わせてやろうということでございます。世界の景気の動向も見なければなりません。したがって、いま五十七年が幾ら足りなくなるかどうかというようなことについて申し上げみまだ時期ではないと、こう考えております。
 われわれとしては、しかしこういう厳しい財政事情の中でございますから、予算は配賦はいたしましたが、できるだけ節約できるものは節約をしてもらうようにしなければなりませんし、もし万一足らないというような場合には歳入についての見直しというようなことも当然行われるでしょう。しかし、現在の段階でそれ以上のことは申し上げることはできません。
#188
○多田省吾君 しかし、五十六年度の歳入欠陥はすでに明らかでございますし、五十七年度の景気につきましても大方の予想はやはり公共事業の前倒し、といってもこれは五十六年度も行った経緯がございますし、その結果が五十六年度の大きな歳入欠陥でございました。五十七年度の景気の動向を見ましても相変わらず低迷しております。
 ですから、予算が成立したばかりだとおっしゃっても、やはり私はある程度の予想はつく段階であると、このように思います。ですから、建設国債を五十七年度後半で発行して公共事業の追加を行って景気の下支えをするのではないかという観測も強く行われているのでございますが、これに対しても臨調部会やあるいは経団連などからもこういう安易な国債発行はいかぬというような反対論も出ているわけでございまして、幾ら建設国債といっても借金は借金でございますからこれは大変なことでございます。
 ですから、建設国債といいまた赤字国債といい五十七年度のこれからの問題でございますけれども、大臣としてはそういう公債を発行しないでも済むような何か景気対策というものがとれるのかどうか、またどういう御決意で景気の下支えをなさろうとしておられるのか、その御決意のほどをお伺いしておきたいというふうに思います。
#189
○国務大臣(渡辺美智雄君) 景気問題は日本だけではどうにもならないという大きな問題が一つございます、世界の景気はつながっていますから。しかし、その中にあっても、わが国としてはできるだけ内需喚起というような観点から金融面等においても措置をとってまいりましたし、また税制の面で土地の供給が行われて住宅が建てやすくすることにしたり、いろいろな公共事業の前倒しその他いろいろやってきておるわけでございますから、これはもう少し様子を見ないというと補正予算を組む必要があるのかなかろうかということも含めてわからないわけであります。
 しかしながら、御心配のような問題が起きたときにはそのときに応じてそれは適切に対処をするという以外には具体的にいま申し上げるという段階ではありません。
#190
○多田省吾君 次に、私は財政再建問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、確認の意味で二、三お伺いしたいのでございます。
 最初に、大蔵大臣が四月六日の大蔵委員会で五十六年度税収不足につきまして、二月の時点で見積もるより数%不足している、三月決算の法人税でどのくらい穴が埋められるか心配していると述べたことに対しまして、各紙それぞれ税収不足見通しが報道されたわけでございまして、一兆五千億円から二兆二千億円といろいろまちまちでございましたけれども、その後また大蔵大臣がその数%というのは真ん中から以降ですか、中には六%から八%程度ではないかというような報道もなされましたが、大蔵省の事務当局としては額としてどのくらい想定されておりますか。
#191
○政府委員(福田幸弘君) 二月分の税収が発表になったところで悪い徴候があらわれたというのが実感でございまして、二月分の前年比が五・六ということであります。これが一月は一二・〇と二けたでございまして、十二月が一三・八、予算審議お願いしてあった時期はこういう数字であったわけであります。
 ところが、二月がこの半分に落ちてしまって五・六であるということから悲観的見方が固まってきたということが実際であります。進捗割合が五・二ポイント昨年より下回って六七・七でありますので、単純な瞬間風速の計算をすると約二兆三千という数字がございますが、これは単純なその五・二ポイント下回ったというのを伸ばしたということでございまして、これがそのままというふうな計算にはなりませんが、一つのめどであるということは言えるかと思います。
 中味のところで、二月の悪さのところに一番影響したのは法人税の低迷でございまして、二月税収の四割を占めるのが法人税です。これは十二月決算であるわけです。十二月決算で悪いのは一年決算の中小法人がやはり低迷をしていますのに加えて、一年決算の大法人の年税額が石油それから石油化学の業況不調を反映して前年比マイナスの一〇・四というような姿であります。税収は前年水準を大幅にここで下回った姿を示したわけです。
 これも同じく予算審議中と現在との比較で申しますと、法人税収九月決算が七・九、これは前年同期比です。十月が六・六、十一月が一〇・九といういい姿を示した後、今回の十二月決算は九二・七と、こういうふうにへこんだわけであります。大法人の数字は九月が一二三・〇、十月一二九・七、十一月一二一・〇、これがわれわれ強気な見通しを持った原因であったわけでありますが、これが十二月、今回の税収に反映します十二月決算は八九・六というふうに落ち込んだのは、やはり為替の関係が円安というのが輸入の関係で石油、石油化学に影響した、一方において輸出の方にはこれがプラスにならなかったということでございます。
 ちょっと説明が長くなりましたが、あと所得税の確定申告がわかっておりませんが、これ四月末にはわかってまいります。これも率直なところ明るい感じはございません。三月期の決算が残されておりますが、これはいまの十二月決算の延長の線上でどういうふうな姿を示すかについては、個個の決算の企業の態度がどうかということにかかっておりますが、非常な不安要因があるという気がします。
 要するところ、予想以上の輸出の鈍化、これを背景とした企業の生産活動の伸び悩み、円安、それから物価の安定、これがあって税収に反映する姿としましては、補正後予算額に達することは五十六年度につきましては期待することは困難であると。ただどのくらいへこむかということにつきましては、現段階で確定数字は申し上げられないということでございます。
#192
○多田省吾君 経企庁にお尋ねをいたしますが、先ほどから、昭和五十六年度の税収不足は、物価の安定とかあるいは輸出の低迷、円安等の景気の停滞等がその原因だと、いろいろの原因をおっしゃっておりますけれども、これだけでは私は納得できないわけです。
 経済専門家の言葉をかりますと、物価の安定は内需回復の第一条件である。そしてまた、昨年来緩やかな景気回復過程にあるという見通しが政府によって立てられたのは、物価さえ落ちついていれば自律的に内需は回復していくんだという期待感もあったわけです。自律的内需とはまさに個人消費の拡大を指しているわけです。ところが、昭和五十五年に勤労者所得が実質マイナスになったときには、これは大きな問題であるにもかかわらず、それから引き続いて昭和五十六年度も、また最近に至ってもなお実質可処分所得は伸びておりませんし、まだマイナス過程にありまして、大変な姿です。
 ところで、財政再建といえども経済指標の正確性が要求されるわけでありますが、最近は非常に狂っております。昭和五十六年度の経済成長率も五・三%見込みから四・七、四・一と下方修正に向かいまして、最終的にはこれから数字があらわれるのでしょうけれども、まさに三%を切るのではないかと言われておりますが、経企庁としてはそれをどう思われているか、またその原因についてここでお伺いしておきたいと思います。
#193
○説明員(宮島壯太君) お答えを申し上げます。
 五十六年度の経済見通しの当初が実質五・三でございました。ただ、この数字は四十五年基準でございますので、昨年の十月二日に暫定試算で直しました四・七というように考えていただいた方がよろしいかと思いますが、それにいたしましても、先ほど先生がおっしゃいましたように、それが昨年の十二月の見通しをつくった段階の実績見込みで四・一とし、さらに五十六年十−十二月期の国民所得統計速報がマイナス〇・九という前期比に出ましたその関係で、これまた御指摘のように三%前後という姿になろうかと思います。三%を超えるよりは下の方に行く可能性が私どもから見ても強いのではないかという点は、御指摘のとおりでございます。
 この原因でございますけれども、先ほどから大臣あるいは主税局長からもお話がございましたが、私どもはこの主な原因は二つ考えられると思います。
 一つは、国内民間需要の回復が予想外におくれた。これは第二次石油危機の後遺症、すなわち国内の購買力がアラブ諸国、産油国に移転したその後遺症が、私どもが五十六年度当初考えていたときよりもはるかに影響が大きかったという、そのため御指摘ありましたように可処分所得が伸び悩み、これが消費支出を不振にし、また住宅の伸びを引き下げたというところでございます。
 もう一点は、これは世界経済の停滞、特に昨年の後半以降世界経済がアメリカを中心といたしまして最悪の状態になった。これによりまして円安にもかかわらず輸出の伸びが鈍化するという、非常に経済理論では逆の方向にいったわけでございます。
   〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
そういうことで、昭和五十六年度十−十二月期の国民所得統計速報はマイナス〇・九ということになったわけですけれども、ただ、この内訳を見てみますと、外需が足を引っ張った形になっておりまして、設備投資あるいは消費はかなりの伸びを示しておりまして、この傾向が五十七年一−三月期、もう終わりましたけれども、まだ指標は出ておりません。しかしながら私どもは、そういった傾向はその後も続いていくということで、五十七年度の経済にこれがつながっていくのではないかと、このように思います。
 なお、先生が御質問の中で御指摘がありました、見通しが当たってないのではないかという点でございますが、五十六年度はこういうことになっておりますが、それまでの見通しと実績を見てみますと、高度成長期におきましては大体見通しよりも実績の方が上回っている。第一次石油危機の後の五十年代に入りまして大体見通しと実績とは一致しておると。残念ながら五十六年度の見通しと実績がこのような状態になったわけでございます。私どもも経済見通しが持つ重大な意味を特に事務方として痛感しているところでございます。
 今後とも信頼されるような、そういった経済見通しを事務方として一生懸命つくるように努力していきたい、このように考えております。
#194
○多田省吾君 経企庁に引き続きお尋ねしますけれども、私は、この経済見通しの狂いというものは、一つには経企庁が承知の上で政治的加算をしているということ、それから二つには、算定方法を見直す必要があるということだと思います。
 昨年一年間を振り返っても、ドルショックとか石油ショックというようなショック物がないときにずれたわけです。いまのお答えですと、これは後で幾らでも理由はっきますけれども、第二次石油ショックの後遺症がここまで延びてきたんだとか、あるいは世界経済の停滞で円安にもかかわらず輸出が鈍化しているんだというような理由を一応挙げられておりますけれども、私は最初にも申し上げたように、やはり一つには経企庁が承知の上で政治的加算をしている、だから五十七年度もあのような目標を出しているわけです。それから第二には、基本的に算定方法を見直す必要があるのではないか、こういうことも考えられます。それに対してどうですか。
#195
○説明員(宮島壯太君) お答えを申し上げます。
 まず第一点の、承知の上で見通しの数字を上方修正しているのではないかという点でございますけれども、政府の経済見通しといいますのは、民間の機関でも予測をいたしておりますが、基本的には、その時点で考えられる内外環境の諸条件というものを前提といたしましてはじくわけでございますが、政府の場合は、翌年度における日本経済の姿というものをどういうように持っていったらいいんだろうかという、そういった経済運営の基本的態度というものを予算編成と同じ時期に決めます。
 その基本的態度のもとでの経済の姿を描くものですから、たとえば雇用の問題であるとか、あるいは経済摩擦が生ずる場合にそれにどうやって対応していくかといった場合に、内需を拡大してそれに対応しようという、そういった基本的な考え方のもとでつくられるものですから、そのときどきに応じまして、たとえば高度成長期におきましては逆に、国際収支等のネックなんかを考えますと、物価と国際収支を考えて、余り高過ぎる経済成長はどうかということで、下方といいますか、実績よりも低い数字をつくったということもございますが、現在のような状況のもとでは、わが国の置かれました有利な条件というものを最大限生かして経済運営をやっていく必要があるという認識のもとに数字をはじいているわけでございまして、承知の上でということではございませんが、そこには政策的な配慮も入っているということは事実でございます。
 それから、もう一点の算定方法を見直すべきではないかという点でございますが、これは私ども常に経済見通しというものが、先ほども申し上げましたように、持つ意味が年々重要になってきておることをよく承知しております。あらゆる指標、利用できる指標を参考にしながら、しかも過去の傾向等を十分入れまして推計式を使ったり、あるいは段階的接近法と申しましてそれぞれの需要項目ごとの整合性であるとか、あるいは国際収支、世界経済との関係、そういったものとの整合性を考えながら、できる振りのことをやっているつもりでございますが、なお先生御指摘のような、そういった算定方法を見直すべきではないかという御指摘も十分頭に入れて、今後とも信頼される経済見通しをつくっていきたい、このように考えております。
#196
○多田省吾君 大臣にお尋ねいたしますが、五十六年度の税収不足が補正後で二兆数千億円と言われ、五十七年度はこれをさらに大きく上回るとも言われております。
 きのうも御質問いたしましたが、こうした状況の中で、鈴木総理は五十九年度財政再建路線を貫く方針を相変わらず示されております。そして総理は、税収不足は私の公約ではないので、税収不足に対する責任はとれないが、五十九年度財政再建路線というものは公約だから、その場合は責任をとると言われておりますが、総理のお立場としては簡単に修正はできないと思います。しかし、宮澤官房長官や河本企画庁長官は路線変更もやむを得ないのではないかというようなお話をなさったという報道もされておりますが、昨日もお尋ねいたしましたけれども、渡辺大蔵大臣としては、現時点でこの五十九年度赤字公債脱却の方針をどう考えておられるのか、これが一点ですね。
 それから、景気回復か行政改革路線遂行がということでいま大変な論争も起こっているわけでございますけれども、大臣はこの点どう考えておられるか。
 この二点をお尋ねしたいと思います。
#197
○国務大臣(渡辺美智雄君) 現時点では五十九年度に赤字国債依存の体質から脱却するという方針は、これは変更ございません。まず、最大限の努力を積んだ結果のお話でありますから、経済は生き物でございますので、うんとよく回ってくるかもしらぬし、あるいは回らないでもっと落ち込むのかもわからぬし、もう世界の経済と日本の経済、連動していますから、だから断定はできませんが、与えられた条件の中で最大限の歳出カットを初め行革その地やって、その上の話はまた別な話でございます。したがって、いまの段階ではその基本方針に何ら変更はございません。
 それから、行革か景気かという話でございますが、これも非常にいろんな議論がありますけれども、しかし国民の税負担という観点からすると、高度経済成長時代に受け継いだ惰性で流れておる部分もあると言われる現在の行政機構あるいはいろんな行政経費、そのままではいいと言う人ばかりおりません、かなりの批判がございます。
 したがって、税負担の軽減という観点からも極力省けるものは省くという方針でやっていく必要があるし、そのこと自体が直ちに景気に影響するというようには思っておりません。
#198
○多田省吾君 大臣は最大限の努力をする、そのようにおっしゃっておりますけれども、何か一発逆転のような見通しはあるのかどうかですね、それをお尋ねしたい。
#199
○国務大臣(渡辺美智雄君) 幾ら経済が生き物だと言っても一発逆転という手はちょっと考え当たりません。
#200
○多田省吾君 昭和五十八年度の予算編成は非常に厳しいと思います。この五十八年度予算編成方針についてどう対応していかれるか、マイナスシーリングも考えておられるようでありますが、あわせてお伺いしたいと思います。
#201
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも先ほどから答弁をいたしておりますからくどくど申しませんが、具体的にどうするかという問題についてはまだ相談しておりません。今後とも、経済、財政事情の推移等総合的に判断をしてやってまいりたい。特に臨時行政調査会の答申というものを、これを生かして発想の転換を図りながら歳出の削減ということに全力を挙げたい、こう考えております。
#202
○多田省吾君 次に、減税問題と税制について若干お尋ねしたいと思います。
 昭和五十七年度の所得税減税につきましては、なお衆議院大蔵委員会に設置されました小委員会で詰めることになっておりますが、四月五日、参議院の予算委員会で採択された所得税・住民税減税問題に関する決議では、減税の実施の検討を政府に迫ったものでございます。当然、大蔵大臣も財政運営のお立場から小委員会の成り行きには注目されていると思いますし、財政運営をあずかられる大蔵大臣といたされては、独自の案も検討されていると期待もしているわけでございますが、いまどういう見詰め方をしておられますか。
#203
○国務大臣(渡辺美智雄君) 所得税減税についてのお尋ねだと理解をいたします。
 これにつきましては、目下公明党も含めて各党で選手を出して、そこで具体的な問題についての話し合いに入ったばかりでございますから、それについてのいろいろ批評、論評をすることはこの際差し控えたいと存じます。
#204
○多田省吾君 所得税減税問題と並んで、昭和五十八年度予算編成と関連して議論を呼ぶことになりそうなのが、いわゆる増税問題でございます。
 巷間では、所得税減税との抱き合わせの大型増税構想があると、このように報道もされております。第二臨調では第一次答申で明記した増税なき財政再建の増税なきという意味をなおこれからも詰めるということであるようでありますが、私は当然、大型新税の導入というものははっきりと増税なき財政再建に反すると思います。
 大蔵大臣は、増税なきということについてどのように理解されておりますか。大型新税の問題あるいは所得税減税との大型新税抱き合わせ増税の問題あるいは既存の税制における増税、こういった問題について御見解を承りたいと思います。
#205
○国務大臣(渡辺美智雄君) 増税なき財政再建とは、その増税なきというのは、私はこれは政治用語であって財政用語、経済用語ではない、そう思っておるわけでございます。
 したがいまして、増税なきというものは税目ごとに、どっかの税目が料率やなんかがふえれば増税だというようには考えておりません。野党からの所得税減税に対する要求として、その財源はたとえば法人税で退職引当金をもつと削れとか貸し倒れ準備金をもっと割れとかということは法人税の引き上げをやれということでございますから、これは増税には入らないということは大体明らかではないか。したがって、これは別な用語でございます。
   〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕
 私といたしましては、現行税体系をそのままにして、所得税の大幅減税とかなんとかそんなこと関係なく、要するに現在の体系のままでこれ以上に新型大型増税をするというようなことはしない、財政再建期間中に。それが増税なき財政再建という意味ではないかと、私がつくった言葉じゃないんですが、私はそういうふうに解釈をいたしております。
#206
○多田省吾君 次に、減税に関連してお伺いいたしますが、先般朝日新聞の「論壇」、四月四日付に東北大学徳永重良教授の投稿が掲載されておりました。
 これは前もって通告しておりますので、大蔵省としても読んでくださったと思いますけれども、「減税要求の一つの根拠」ということで課税最低限と最低生活費との関係の問題であるという論評でございます。大蔵省はこの論文をごらんになって矛盾するかしないか、またどう評価されるか、一応お聞きしておきたいと思います。
#207
○政府委員(福田幸弘君) この「論壇」読んでみたんですが、感ずるところを申し上げますと、課税最低限というのは税負担を求めるときの最低限という適正な基準がどうかということであろうと思います。一方生活保護基準というのは厚生行政の観点から定まるものですから、おのずからその二つの性格が異なっていまして、両者を単純に比較することは適当でないというのが基本的なまず考え方です。
 もう少し詳しく申し上げますと、夫婦子二人とこうやるわけですが、生活保護の場合も夫婦子二人とこうやるにしましても、生活保護を受けている世帯の類型というのはいろいろあるわけでございまして、またそれは当然生活保護を受けるような状態にある世帯ですから、一方夫婦子二人という課税最低限はこれは一般的な標準として考えられるもの、そういうことで見ますと生活保護を受けている方の世帯は高齢者世帯とか母子世帯、それから傷病者、障害者世帯というんで、その他世帯というのは一一%程度にすぎないわけです。その辺が比較するベースというか考え方が違うというのが基本にまずあろうと思うんです。
 課税最低限の方をもう一回考え直しますと、資産の保有状況というのには関係がなくて、フローの年間所得をとらえまして、全国一律に課税しない水準を考えるというふうなものでございます。これに対して申しましたように、生活保護基準というのは態様がいろいろそれに要する原因を持っておりますが、資産、能力それから扶養義務者等があるかどうかというあらゆる生活手段を活用してもなお最低生活を営めないときの保護水準、これを定めるもので、その性格がそういうものでございますので、年齢とか地域とかいうことでそれぞれにいろんな要素が加味されて定められているということであります。したがって、生活保護基準と課税最低限とを直接に比較すること、単純に比較することは困難であるというのが基本的なまず考え方です。
 「論壇」の中に約二百五万円という生活保護基準が書いてございますが、どういう計算か承知しておりません。課税最低限との比較の上で用いられることのある四扶助、これは生活、期末一時、教育、それから住宅の各扶助ですが、この合計額についてみますと、五十六暦年では約百七十五万三千円、五十七年が約百八十六万五千円ということで、所得税の課税最低限二百一万五千円、これは最低限が高いということでございます。生活保護の方が上回っているということは、この四扶助の考えを計算に入れるとならないんですが、この方の計算よくわからないわけですけれども、どうもこれは仙台の方ですけれども、仙台ですから当然冬季加算は入っておると思います。
 これはそれでいいんですが、住宅のところがどうも計算のところの違いじゃないかという気がいたします。これは主計局の方でまた間違っておれば後で訂正すると思いますが、われわれが承知しています数字の一応の感触から言えば、この二百四万五千九百円と、こう言っていますのはどうも住宅扶助について一般基準は月九千円、こうなっていますが、特別基準というのがあって、三万円までが限度になっておるということでございます。
 そういうことで、じゃ住宅扶助の実態はどうかということを見ますと、特別基準を引き合いに生活保護の水準を説明するのが適当でないと考えますのは、持ち家が約四五、それから公営住宅が一三、民営が四一ですが、一般基準という範囲内で約四割がおさまっていますので、この特別基準の高いところの数字を一般的なものとして入れることはどうかと、これは非常に技術的ですが、考えられるわけです。
 せっかくの時間ですからもう少し御説明しますと、公的扶助は諸外国でもいろいろあるわけで、単純に比較することは不適当ですが、その考え方を見るのに、これは外国調査をわが方でやったことがあるんですが、英国では課税最低限の水準が公的扶助の基準額を下回っております。西ドイツも過去これは同じように下回っておったわけですが、現在はそうじゃございません。しかし、これに対しまして両国の当局の説明は、両者それぞれ独自の観点から決定されているものであると、特にそこにどうこう食い違いがあるということについての関心はないし、比較する論議も行われてないと。また、そういうふうに逆転いたしていましても、税金をもしかけましても税金控除後の収入を基準として公的扶助が行われるということであれば、それ自体問題とならないんじゃないかというふうなことを向こうでも言っております。
 それから、アメリカの場合は日本の生活保護のような公的扶助ではなくて、老人、母子家庭等に対するものが中心です。これに対して、アメリカの当局の説明は両者の比較は行わない、行っていないと。公的扶助水準より課税最低限が下回れば課税されることになるが、それは現実的にはリアケースであると。その辺何もそこで直接の関係があるものとしてはチェックしてないということを言っております。問題は、そういうふうに逆転するような状況でも、イギリスが課税最低限を低くしておることの理由はやはり社会保障が拡充してきますので、その財源を社会保険料的に広く所得税で徴収しようとする、一方においてそれが生活保護費を含む社会保障費として下の方まで歳出の方から賄われる、歳出の方から広く支出されるというようなことの現在の社会保障国家の考え方から来ておるというふうな説明もございます。したがって、財源と歳出が絡んでおるということでございましょう。
 それからもう一つは、これは主計局の問題でございましょうが、日本の生活保護基準が高いかどうかの問題がやはりあろうかと思うんです。日本の場合の数字は先ほどのようなことですが、英国あたりで見ましても、これは主計局の方の数字がいいと思うんですが、英国にしましても西ドイツにしましても日本よりはわれわれの理解するところではむしろ低いという状況。ですから、生活保護基準の水準がどうであるかということと、また課税最低限の水準がどうであるかということとのやはり関連があると思うんです。日本の場合は課税最低限が高い、また一方において生活保護水準も比較的高いという問題ございますが、しかしこれは別個の問題という前提がございます。
 いずれにしましても、この問題は今後基礎的な検討を要する問題ですが、逆転を生じちゃいけないとか、必ずここには密接な関係があるというふうに理解すべきものではないというふうに私は考えます。
#208
○多田省吾君 多方面からいろいろ御答弁があったわけでございますが、最初に、生活保護は厚生省所管である、課税最低限は大蔵省所管である、確かにそのとおりでございますが、予算案については大蔵省主計局の方で最終的に組まれているわけですから、もし矛盾があるとすれば気がつかれていいわけでございます。
 それからもう一つは、徳永教授は「これまでの議論ではあまり触れられていない一つの論点を問題として提起し、それがすみやかに是正されんことを要請したい。」と述べられています。まだ検討する余地もあるというような御答弁が中にありましたけれども、そういったことを踏まえた上で、もし矛盾があるとすれば、私は課税最低限の引き上げを図るとか、あるいは大きなこれは問題になるわけでございますし、また一つは、大蔵省がそのように思われているんでしたならば、国民の納得のいく説明として「論壇」にそれを回答されるとかあってしかるべきではないかとも思いますが、その辺はどう考えておりますか。
#209
○政府委員(福田幸弘君) いまるる御説明しましたが、両方見方が違うということで、われわれはそれはどういう数字であるかということは承知した上で最低限の数字を見ておりますし、別に矛盾があるとは考えません。問題点として指摘されていることは、これは「論壇」に限らず従来国会でも問題にされている点でありまして、これは見方が税の点と厚生行政の面では違っておって、数字を比較するにしても、直ちに比較する数字が出てこないのはそのためでございまして、したがって、この「論壇」で引用されておる数字もやはり問題がある。
 したがって、この「論壇」に反駁することはできますが、投稿された「論壇」というような新聞紙上の問題点指摘に対して一々政府当局がこれに反駁するということの必要があるかは問題でございまして、むしろこういう御質問の機会に十分論議を尽くしていくということの方が正しい行き方であろうかと私は考えております。
#210
○政府委員(西垣昭君) 予算編成に当たりまして、厚生省から要求を聞き、私ども調整をいたしております。考え方、それから数字の関係等につきましては主税局長からお答えしたとおりでございまして、特に申し上げることはございません。
#211
○多田省吾君 次に、中小企業の景気対策等について若干お伺いしたいと思います。
 先般、国民金融公庫が全国小企業動向調査を行いましたが、その調査結果について中小企業庁としてどのような御感想をお持ちか簡明にお答えいただきたいと思います。
#212
○説明員(宇田川治宣君) 御説明さしていただきます。
 中小企業の景気回復は大幅におくれが見られております。先生御指摘の、これは四月六日に発表された国民金融公庫の調査結果だと思いますが、国民金融公庫は先生御承知のとおり、比較的小規模あるいは零細企業を貸し付けの対象にいたしておりますが、そういう小規模、零細企業層に至るほど景気の回復のおくれが目立っているというのが概況だというふうに理解をいたしております。
これを景気の状況につきましてやや項目ごとにごく簡単に申し上げますと、まず生産につきましては昨年、五十六年の十月以降いわば一進一退という状態でございますが、本年に入りまして出荷が停滞ぎみとなっておりますために、在庫の方が再び上昇傾向になっているというふうに見ております。
 第二に、輸出の面でございますが、海外景気の停滞を背景といたしまして、中小企業性製品の輸出につきましてはその伸びが鈍化しているというふうに理解をいたしてございます。
 こういうことを踏まえまして、中小企業の経営者の景況感、景気に対する感じ方という点でございますが、昨年の末以来景況感の後退というのが見られておりますけれども、そういう最近に至るまで景況感の後退のままで推移しているというふうに指標であらわれております。また、中小企業の設備投資につきましてはまだ動意が十分に見られておりませんし、倒産も引き続き高い水準で推移しているというようなことでございます。
 このように。一言で申し上げますと、中小企業の景気動向につきましては、内需回復が弱いということを背景といたしまして、本年に入りまして以来停滞感を多少強めているんではないかというふうに見られる面がございますので、私どもといたしましては、その動向について今後とも十分注意してまいりたいというふうに考えております。
#213
○多田省吾君 次に、通産省は先般全国の地方通産局長を招いて通産局長会議を開かれました。深刻化する中小企業の不況打開策を検討されたようでありますが、その検討内容また今後の対策について、これも簡明にお伺いしたいと思います。
#214
○説明員(宇田川治宣君) 御説明申し上げます。
 通産局長会議は今月におきましては四月の五日に開催をされましたけれども、これは全国八つの通産局のブロックごとに、その地域地域の経済全体の動向、それから中小企業につきましては特に産地の動向というものを中心といたしまして、三月時点の状況につきましてそれぞれの通産局が精力的に情報を集めましたものを大臣に対して通産局長から報告をすると、あわせてそれぞれの地域におきまして政府あるいは通産省等に対してどういう政策の期待が持たれているかというような、各地の要望というふうなものについても事情を聴取したというのが、通産局長会議の内容でございます。
 したがって、その内容につきましては、中小企業関係だけではなくて、それぞれのブロックごとの景況というのが紹介されたわけでございますが、特に中小企業の産地の動向につきましては三点、第一点は生産、出荷が低迷し収益の悪化が続いているということ、二番目に設備投資には全体として回復の兆しは見られないということ、三番目は幾つかの産地が先行き倒産が増加するんではないかという懸念を抱いているというところが、多くの通産局長から報告が指摘された点でございます。
 先生御指摘の第二の対策という点でございますが、一般的に申し上げまして、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたけれども、まず公共事業につきまして、先般の閣議において上期の契約目標七五%以上というふうに決定されたわけでございますが、あわせてその際中小企業の受注機会というものが確保されるように十分配慮するということが決定されております。中小企業庁といたしましては、そのほか政府系中小企業金融三機関の貸出金利につきまして、三月二十九日に引き下げを行いました。その際、中小公庫、国民金融公庫の貸出基準金利を長期プライムレートよりも〇・二%低く設定するということなど、中小企業向けの貸出金利につきまして引き続き特段の配慮を払っているところでございます。また、現在所要の貸付資金枠につきまして、十分配慮をいたしているつもりでございます。
 また、このほか今後の課題といたしましては、官公需の確保対策につきまして、五十七年度におきましてもその比率を高めるように、関係省庁の御協力、御理解を得るように努力いたしたいというふうに考えておりますとともに、下請取引の適正化の推進あるいは倒産防止対策等、私どもでいろいろ持っております種々の施策を機動的、弾力的に運用することによりまして、中小企業の困難性ということを取り除くよう最大限の努力を払ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#215
○多田省吾君 当面、中小零細企業の危機打開のために、わが党におきましても緊急に中小企業向け官公需の大幅増大とかあるいは不公正な下請取引の規制強化など、十項目につきまして対策を訴えたところでございます。特に中小企業向け官公需につきましては、官公需適格組合制度により組合数がふえましても実際は仕事量とは結びついておりません。特に零細企業がほとんど対象となっていないわけです。
 政府としては、公共事業の七七%の前倒しを五十七年度前半に行うということで決定しておりますけれども、この点、これに間に合うように官公需の方も増大を図ってほしいと思いますが、いかがでございますか。
#216
○説明員(姉崎直己君) 御説明を申し上げます。
 先生御指摘のように、去る九日の閣議決定におきまして公共事業の前倒しが決定されましたが、これを受けまして、早速建設省におきましてこの決定の趣旨を具体化するための次官通達が各関係機関に出されております。また地方自治体におきましても、国の方針に準じて前倒しを行い、かつ中小企業向けの受注機会を確保する等の次官通達が自治省から出されたと承知しております。
 私どもといたしましては、これら関係当局によります通達が各公共事業執行機関に徹底されるということを期待しておる次第でございますが、またあわせまして、私ども中小企業庁で各省庁と協力して毎年度策定しております官公需の中小企業向けの契約の方針につきましても、今年度につきましては景気対策等の観点からも極力早目に策定をいたすように今後各省庁と協議をしてまいりたい、かように考えております。
#217
○多田省吾君 この中小零細企業に対する官公需の拡大は強く図っていただきたい、このように思います。
 それから先ほども中小企業庁から御答弁がございましたが、不況のときになりますといつも問題にされるのが下請代金の支払いの問題でございます。遅延防止法もできまして規制強化もされておりますけれども、しかし結局は仕事確保とも絡みまして下請企業は親企業に対して強く請求できないのが実態でございます。
 この点、親企業に対しまして指導の強化を徹底すべきだと、このように思いますが、いかがでございますか。
#218
○説明員(姉崎直己君) お答え申し上げます。
 御案内のように、下請取引の適正化につきましては下請代金支払遅延等防止法に基づきまして、この運用を公正取引委員会と私ども中小企業庁でそれぞれ分担いたしまして、過去、この運用の強化をいろいろと図ってまいったところでございます。
 今年度につきましても、諸般の状況等の厳しい中でございますが、調査対象の増加でございますとか、あるいは検査担当職員の増員といったような予算措置を講じまして、前年度比で約二〇%増というような予算措置を講じまして、取引適正化対策の強化に格段の力を入れているところでございます。
 特に、先生御指摘ございました親事業者に対する指導の徹底という趣旨から、今年度につきましては新たに下請取引改善講習事業といったような制度を開始いたすことにいたしておりまして、これは特に下請取引関係の多い業種に関します大企業の行政指導を行うという趣旨で始めるものでございまして、この事業を通じてさらに下請取引適正化に関します趣旨の徹底強化を図ってまいりたいと、かように考えております。
#219
○多田省吾君 それでは次に、通産省と大蔵省にお伺いしたいと思います。中小企業庁、どうもありがとうございました、よろしくお願いします。
 今日、中小企業は世代の交代期を迎えております。しかし、相続時の税負担が多いために事業の縮小や安定経営の阻害、また企業活力の喪失というような問題が数多く起こっております。
 そこで、事業継続の円滑化を図るために、たとえば相続税における取引相場のない株式の評価方法の改善とかあるいは一定の土地の課税価格の軽減等とか、この税負担の軽減の要請が非常に強いのでございますが、また私どもも改善の早期実現を図られたいと要望いたしますが、通産省、大蔵省はどのようなお考えでございますか。
#220
○政府委員(福田幸弘君) 御要望というか農地と同様の措置をしてもらいたいと、こういうことでございますならばこれはむずかしい問題だろうと思うんです。中小企業の事業用の財産は、農地とは同様の事情にはないというのは御承知のとおりでございまして、農地と同じ特別措置は講ぜられないということはまず申し上げます。
 農地の納税猶予制度というのがございますが、これは農地の所有と経営が不可分であるという農地法上の制約等を考えまして、農業の自立経営を目指す者が民法の均分相続制にとらわれることがなく農地等を引き継ぐことができるようにという農業基本法の趣旨に対処するため、きわめて異例の措置としてとられておるわけであります。農業基本法及び農地法というものがやはり基本になった例外措置でございます。それにならったことはやれないということであろうかと思います。
 しかし、事業用財産の評価となりますが、相続財産の評価はこれは時価によることが原則でございまして、これは相続税法二十二条でございます。これはやはり原則として考えなきゃいけません。しかし、事業用財産であるとかいいましてもまた居住用財産もあるわけでございますから、この共通の尺度である時価ということを基本にして今後考えていかなきゃいけない。
 で、取引相場のない株式の評価という問題になりますが、同族会社の株式の評価方法につきましては技術的な問題ではございますので今後検討いたしますが、この富の再分配機能という相続税の性格というものをやはり忘れますとこれは基本を揺るがす問題になりますので、この所得税をずっとかけていきますが、最後にそれを補完し、富の再分配というので、一生一回限りのこれは税金でございますので、ここのところでは税の基本というものをやはり踏まえた専門家の検討を要するということで、今後政府税調等での基礎的な、理論的な検討というものも十分踏まえませんと、単に政策的な関係が優先するということはどうかなというふうにわれわれは考えるわけで、承継税制という言葉も、相続税は相続ということで、相続に課税するわけでありますから、承継があっても承継に課税するというのが本来で、ただ事業に影響があるかという問題になりますが、これはやはりその実害がどうあるかということもやはりよく調べませんと実際にどうかと。
 また、それに対応しましては延納制度というのがあるわけでございまして、この延納というのは余り活用されておりません。二四%ぐらいでございます。不動産等が半分を占めますと、不動産に対応する部分は十五年間、年五・四という非常に有利な延納制度がございますので、やはり本来延納によって処理していくというのが相続税の負担のやはり解決の仕方であろうと思うんです。まあ百人のうち三、四人がこの課税に、死んだ百人のうち三、四人が課税になるというようなことでございますが、また中小企業の中で、四人ほどの方のうちに一人ぐらいしか親から財産をもらってない。やはり自分で財産を築いていくというようなことのやり方ということも考えなきゃいけないんで、単なる通産省の政策としての要望にこたえるというだけの答えは、税の立場からは直ちには出ないということが考えられます。
 で、そういうことでございまして、もう少し時間がございますので申し上げますと、いまの相続税の課税の仕方は、遺産取得課税体系と、こういうことで遺産額がまずベースになるわけです。その遺産について基礎控除をやります。これは二千万と、四百万に法定相続人掛けますから、五人ですと四千万が引けると。ここでもう遺産額が四千万まではかからないと。それの残額を各法定相続人が、民法に定める法定相続分によって分割取得したという前提で、その各分割された額に対して税率を掛けますので、分割課税をいたすわけです。で、超過累進で十から七十五となっていますが、この分割課税をしたその結果の税額を合わせて相続税額とするということで、見かけの累進税率よりもそこのところは分割課税の姿をとっている特殊のやり方であります。しかも、配偶者の法定相続分は、半分までは配偶者の負担軽減措置で負担を求めないということになっているわけで、この日本の特殊な課税方式ということは、現行の相続税としては相当なやはり緩和措置を講じておるということでございます。
 まあいろいろとございますが、遺産額二億円ぐらいのところで約九〇%がカバーされますので、遺産額二億円のところでの負担率は一一%、これは配偶者と子四人でございますが、いずれにしましても、この中小企業というだけのことで負担を軽減しますと、今度はサラリーマンの生活の本居である住宅だけに課税されるというような不満がまた出てきます。相続税というのは、やはり非常にその辺の公平感が重要でございますので、その辺を十分配意しながらやっていく必要がある。
 しかし、技術的な面で、同族会社の時価評価という問題については説明のできる範囲で十分な検討をいたしたいと、こう思っております。
#221
○説明員(桑原茂樹君) 最近における土地の価格の高騰等の状況がございまして、中小企業者の方から、相続に際して相続税が大きな負担となっているので何とかしてほしいという強い要望が中小企業庁の方に参っております。
 通産省としては、中小企業はわが国の経済の活力を支える非常に重要な存在であるというふうに考えております。相続税のために中小企業の円滑な承継が阻害されることになってはいけませんので、そういう観点で昨年省内におきましていろいろ勉強をいたしまして、その上で昨年、五十七年度の税制改正におきまして二つの点について税制改正の要望を大蔵省の方に出したわけでございます。
 一つは、取引相場のない株式の評価方式の改善でございます。もう一つは、個人事業者の場合でございますけれども、一定の規模、二百平米までの土地の課税価格の軽減でございます。
 このうち、最初の取引相場のない株式の評価方法につきましては、それを実施する方向で今後検討するということになったとわれわれは承知いたしております。今後そういう点について、大蔵省でいろいろ検討されると思いますけれども、われわれといたしましても、中小企業者の意見が十分反映されるような方向でその辺の検討をしてもらうよう働きかけていきたいと思いますし、そういう相続税の問題につきまして今後ともいろいろな点で努力していきたいと、こういうふうに思っております。
#222
○多田省吾君 まあ大蔵省でおっしゃる税の体系という問題もございます。また相続税でもいろいろございますが、一般相続税と異なりまして、やはり中小企業または中小、零細企業の事業の世代交代の継続という点で非常に大事な問題でございますので、いま通産省のおっしゃったように、大蔵省におきましても、日本経済の下からの発展を支えるためにもひとつ前向きに御検討いただきたい、このように要望するわけでございます。
 最後に、現在の中小企業不況の回復は、中小企業が事業の半分を個人消費に頼っているという事情から、基本的には総合景気対策によりまして内需全体が盛り上がらなければ望めないのではないかと思われます。
 それにつきましても、やはり大蔵大臣に、先ほど五十七年度の予算が発足したばかりだからという御答弁ございましたが、五十七年度下期のたとえば公共事業追加というような点を明確に宣言なさるのも景気対策の大きなてこ入れになると思うのでございますが、その辺は大臣としてどうお考えになられますか。
#223
○国務大臣(渡辺美智雄君) 明確にいま打ち出すといっても、経済は生き物でございまして、世界の景気動向もあるし、前半七七%というものをやるし、それから後はまあ病状を見て適切に対処すると、こう言っているわけですから、大蔵大臣がこの席で補正予算の追加額まで言ってしまうということはちょっと無理な話。ですから、大体そういうことを酌んでいただけばおよそ想像がつくんじゃないか、そう思っています。
#224
○多田省吾君 これが最後でございますが、けさ自民党グリーンカード対策議連が百六十名ほどお集まりになられましてグリーンカード廃止の決議を満場一致でなされたと言われております。
 きのうも総理大臣、大蔵大臣から、法律のとおり実施する予定であると。また大蔵大臣からは、グリーンカードについて誤解に基づく点もあるのでという御答弁もございましたが、国民の方々の中にはなるほど誤解に基づく点もあると思いますが、自民党の国会議員の方々は有能な方ばかりでございますからそういう誤解はないものと思われます。
 そういう点で、非常に大蔵大臣のこれからの説得も大変であろうと思われますし、大蔵省自体としても正念場だと思いますが、きのうのきょうでございますので、その辺どういう御決意で臨まれるのか、最後にお尋ねいたしまして終わりたいと思います。
#225
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国会議員は、代議士というわけでありますから、誤解に基づく人が多ければその声も代弁しなければならない場合もこれはございます。しかし、議論のある点も私大いにあっていいんじゃないか。議論がちょっと足らないというように思っていることは事実でございますから、これは税制全体とのかかわりのあることで、それだけを取り上げて云々するというわけにはいかない。安心できるような形であるべき姿をきちっともっと議論をする必要がある、そう思っております。
#226
○委員長(河本嘉久蔵君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(河本嘉久蔵君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#228
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#229
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
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ソース: 国立国会図書館
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