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1981/04/21 第96回国会 参議院 参議院会議録情報 第096回国会 大蔵委員会 第10号
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1981/04/21 第96回国会 参議院

参議院会議録情報 第096回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第096回国会 大蔵委員会 第10号
昭和五十七年四月二十一日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     神谷信之助君
     三治 重信君     柳澤 錬造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河本嘉久蔵君
    理 事
                衛藤征士郎君
                中村 太郎君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                大坪健一郎君
                嶋崎  均君
                鈴木 省吾君
                塚田十一郎君
                土屋 義彦君
                藤井 孝男君
                鈴木 和美君
                神谷信之助君
                柳澤 錬造君
   政府委員
       大蔵政務次官   増岡 康治君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   参考人
       全国銀行協会連
       合会会長     村本 周三君
       公社債引受協会
       会長       横田 良男君
       東京大学教授   貝塚 啓明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、近藤忠孝君、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君、柳澤錬造君が選任されました。
#3
○委員長(河本嘉久蔵君) 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として全国銀行協会連合会会長村本周三君、公社債引受協会会長横田良男君、東京大学教授貝塚啓明君、以上三名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方からお一人二十分以内程度で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、村本参考人からお願い申し上げます。
#4
○参考人(村本周三君) ただいま御指名をいただきました全国銀行協会連合会の村本でございます。
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案に関し、私どもの意見を述べよとのお話でございますので、本日は、特例国債並びに国債一般につきまして、日ごろ私の考えておりますことを三点ほど申し上げたいと存じます。
 最初に申し上げたいのは、国債発行量の抑制がますます重要な意味を持ち始めたことでございます。最近発表されました経済の諸指標を見ますと、昭和五十六年度の経済成長率は、ほぼ間違いなく三%台を割り込んだようであります。また、五十七年度経済につきましても、内外情勢の厳しさを予想する向きが多いのであります。こうした中で、財政に景気刺激を期待する意見があることも承知いたしておりますが、より長い目でバランスのとれた経済運営を展望いたしますと、財政赤字を極力抑え、特例国債か建設国債かを問わず、国債発行量をできるだけしぼり込んで行財政改革に一歩を踏み出すことがいま何よりも大切であると存じます。
 その意味で、昭和五十七年度一般会計予算が経費節減を重視して編成され、国債発行額が前年度当初予定より一兆八千三百億円減額されて十兆四千四百億円にとどめられたことを、私は高く評価したいと思います。その結果、昭和五十年代に入ってから、歳入の二五%ないし三五%を占めてきた国債依存度は、五十七年度には二一%にまで低下いたします。しかしながら、この間、GNPに対する国債残高比率は一〇%から三四%に、一般会計に占める国債費の割合も五%から一六%に、それぞれ急上昇をいたしております。わずか六、七年という短期間でありますのに、今年度末には九十三兆円もの国債が累積し、このように国民経済全体の大きな部分を占めるという点に、国債をめぐる問題の重大さ、むずかしさがあろうと思われます。
 昨年十二月、政府の発表された見通しによりますと、昭和五十七年度の実質経済成長率は五・二%とされております。同じころ発表されました民間企業や研究機関の各種見通しでは、平均して四%を割り込んでおります。その後判明いたしました昨年十−十二月のGNPの低下、年率三・五%に及ぶマイナスを織り込みまして、私どもで計算いたしますと、五十七年度に三%成長を確保することはなかなかむずかしいのではないかという予測が出てまいりました。
 個人消費や企業設備投資など民間需要が少しずつ回復に向かうものの、海外経済の不振と貿易摩擦を反映して輸出が伸び悩み、政府需要はむしろ前年度を下回る。これが五十七年度経済が低成長にとどまりそうな背景であります。内外需要の弱さ、エネルギーや原材料など国際商品市況の軟調を考え合わせますと、物価は比較的安定を保つでありましょう。としますと、何らかの手段で財源を確保して政府需要をふやし、対外摩擦を避けつつわが国の経済成長率を高めるべきであるという主張は、一見わかりやすい議論だと言えるかもしれません。
 しかし、これはきわめて危険な選択ではないかと私には思われます。財源を確保するために増税を行うことは、個人や企業の需要自体を抑えることになりかねません。すでに、昨年後半の勤労者家計の非消費支出、税金や社会保険料は前年を一三%も上回り、実収入の伸び四%の三倍以上の増加率となっております。この結果、物価上昇を差し引いた可処分所得の伸びは実質マイナスを続け、これが個人消費低迷をもたらしている最大の原因であります。
 経済成長率が政府見通しを大幅に下回ることになりますと、予算に計上した税収さえ実際には上がらないかもしれないのであります。現に、昭和五十六年度につきましては、御当局も二兆円を超える歳入欠陥の発生を示唆されておられるようであります。残念ながら、五十七年度にもそれを上回る税収の不足が懸念されております。ここで安易に国債増発に頼れば、わが国は予想もしなかった多額の国債発行に追い込まれかねないと思います。しかも、その日はそう遠いことではございません。御当局がおまとめになった「財政の中期展望」によりますと、五十八年度の国債費は九兆円に近づき、建設国債の発行をふやさず、また、特例国債を五十九年度からゼロにする前提で今年度比半減するといたしますと、五十八年度の国債発行による収入は八兆五千億円程度と、国債費すら賄えない状況に追い込まれることになるのであります。このような状況を勘案いたしますと、五十七年度は行財政改革の第一年度として、苦しくとも十兆四千四百億円という枠を超えて国債を発行しないよう、厳正な予算執行と経費の節約を強く要望申し上げる次第であります。このことは、長期的に見て財政破綻とインフレの定着を未然に防ぐという国家百年の計のためにも、ぜひとも守っていただきたいところであります。
 同じことは、国債消化の中心を占めておりますわれわれ銀行の資金繰りからも指摘できましょう。可処分所得の実質的減少から家計の黒字、特に金融資産の伸びは鈍化してきており、売り上げの伸び悩みから企業の手元流動性の積み上げには限りがございます。マネーサプライの伸びを予想してみましても、五十七年度の預金環境は必ずしも楽観できないと思います。
 金融機関経営を預かる者といたしましては、国債市中消化の減額をフルに生かし、民間企業や個人の多様な資金需要にこたえるとともに、銀行の資金ポジションを改善し、経営の安定性回復に努め、新しい金融ニーズに積極的に対応できるよう体力を強めたいと考えております。
 第二に指摘いたしたい点は、大量の国債発行に当たって、従来以上に市場のメカニズムを生かすことに十分配慮していただきたいということであります。市場実勢を反映した国債発行条件は、常に変わらぬ私どもの要望でありますが、ことしは特にその重要性が増しているように思われます。
 一つは、昨今の金利の動きであります。米国では巨額の財政赤字のもとで根強いインフレに対処するため、依然高金利が持続し、これがわが国に円安をもたらす大きな要因になっていることはご高承のとおりであります。一方、先ほど述べましたわが国経済の現況と見通しから申せば、景気刺激のためには低金利が望ましいということになります。残念ながら、外の環境は内の要請をむしろ妨げる方向に動いているのであります。
 また、短期資金を中核にわが国の自由金利市場が次第にそのシェアを拡大していること、加えて、新年度からは新たな自由金利商品として海外のCPやCD、コマーシャルペーパーや譲渡性預金が持ち込まれ、金利の自由化、弾力化を一層促進しようとしていること、これらも無視できません。市場の実勢を正しく反映した発行条件と、金融市場に一挙に負担をかけない適正な発行額配分が、従来以上に重要となっておるゆえんであります。
 このように眺めてまいりますと、私どもが参考にすべき国債の流通市場やあるいは入札による中期債発行市場が、実はかなり狭い特殊の要因で動き、真の需給関係から離れやすい性格を持ち合わせていることに若干の危惧を禁じ得ないのであります。これをより幅広い、奥行きの深い市場にし、適切な金利が成り立つようにするには、実は市場の参加者をより広くすることが欠かせないところでありましょう。適切な国債発行条件を定め、実態に即した流通利回りを実現させる市場形成のためには、発行条件決定に当たり、シ団と十分に意思疎通を図り、市場メカニズムの現状の不備を補うよう特に御配慮いただきたいのであります。と同時に、われわれ銀行が、証券会社と同じ条件で中期国債の入札に参加し、また流通市場においても活躍できる日が一日も早く到来することを望んでいるのであります。
 第三に、この機会に申し上げたい点は、民間金融機関の資金吸収が郵便貯金によって阻害され、私どもの国債引受能力が弱められていることであります。この際、郵貯懇報告を厳正に守り、官業の民業圧迫を抑え、民間金融機関が活力を発揮できるようにしていただきたい、この点を改めて訴えたいと存じます。
 私どもの理解では、郵貯懇報告は、郵便局がその業務分野を拡大し、民間金融機関の活躍の場を狭めることに否定的な見解を明確にしておられました。残念ながら、この報告尊重を明言されたはずの御当局は、再三にわたりこれを破っておられるように見受けられます。ゆうゆうローンの枠拡大に続いて、今回は公共料金等の自動振替実施を発表され、新聞の伝えるところでは、さらに国債の窓口販売まで計画されておられるとのことであります。特に、公共料金等の自動振替につきましては、国の機関としての租税負担免除などの特典をフルに活用し、振替に要するコストも民間を大きく下回るとのことであります。
 このような形で、私ども民間金融機関は自分たちが開拓してきた市場をいままさに失おうとしているのであります。郵貯懇報告を無視し、郵便貯金の肥大化を放置しておきますれば、広い意味の金融市場が大きな混乱に陥ることは避けがたいでありましょう。最初の項でも申し上げましたように、ただでさえ家計の金融資産蓄積のスピードは鈍っております。その上、より多くの資金が郵便局に流れ込むことになりますれば、遠からずして銀行は期待されるだけの国債を消化することができなくなりましょう。そればかりか、個人や企業に対する金融にも円滑を欠くおそれが強いのであります。
 民間とは別の動機によって行動する官業が、民間企業と直接競合する市場でより大きくシェアを伸ばしていけば、金利の自由化にも大きな障害となり、経済の安定性に問題を生ずることは必定であると思われます。ぜひとも郵貯懇報告の意味合いと重みをいま一度お考え直しいただきたいのであります。
 以上、国債をめぐって重要と思われます三点を中心に私の考えを率直に申し上げました。財政を取り巻く情勢を見ますれば、昭和五十七年度特例国債を三兆九千二百四十億円発行することはやむを得ない措置と考えます。しかし、歳入欠陥の可能性が残され、一方、景気刺激を望む声があるなど国債増発の誘惑が強いことを考えますと、ともかく予算の線に特例国債と建設国債の発行額を抑えることに五十七年度は全力投球をしていただきたいというのが私の気持ちであります。と同時に、民間金融機関の活力を高め、国債の取り扱いを一日も早く銀行にも開放することによって、初めて市場メカニズムを生かした、したがって経済全体と整合性を持った国債発行が可能になることに思いをいたしていただきたいのであります。
 これをもちまして、私の意見公述を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。
 次に、横田参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(横田良男君) 公社債引受協会の横田でございます。
 本日は、昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案について意見を述べるようにとのことでございます。証券市場に携わる者としまして、その立場から本特例法案につきましていささか所見を申し述べるとともに、あわせて国債の発行、流通一般の状況につきまして御報告申し上げ、御参考に供したいと存じます。
 さて、私から改めて申し上げるまでもなく、わが国の経済の現状は二次にわたる石油ショックのインフレ的影響を克服しまして、物価の安定を達成いたしております。これは先進諸国には例のないことでございまして、りっぱなパフォーマンスと言えるかと思います。
 しかしながら、ここのところ個人消費が低調に推移し、また中小企業を中心とする設備投資が低迷するなどによりまして、国内需要の低迷が続く一方、海外諸国の不況、対外経済摩擦の増大に伴いまして輸出が伸び悩むといった状況にございます。さらに米国の高金利などを反映いたしまして大幅な円安傾向が続くという状況に加えまして、最近では税収面でも大幅な不足が懸念されているというようなことで、わが国経済はきわめて厳しい情勢にあるようにうかがえます。
 このような状況のもとにありまして、今後わが国経済を再び望ましい安定した成長の軌道に乗せていくためには、内需の拡大を通じまして景気の着実な回復を実現することが必要であります。しかしながら、一方において行政改革、財政再建はいまや国民的課題でございまして、このような課題を抱えた日本経済は、まことにかじ取りのむずかしい局面に立たされていると、そういう感を深くするものでございます。
 このような情勢を念頭に置きまして、このほど成立いたしましたところの昭和五十七年度予算を拝見いたしますと、景気の動きに十分配慮をしつつも、歳出規模の圧縮に努められたことによりまして、国債発行額につきましては十兆四千四百億円と、前年度当初発行計画に比べまして一兆八千三百億円の減額が行われることになりました。また、予算の内容につきましても、重点的かつ効率的な配分がなされており、現下の諸情勢を考えました場合、大筋において妥当なものと存じます。
 したがいまして、財政の現状に照らし合わせましたときに、昭和五十七年度予算と表裏一体の関係にありますところの本特例法案につきましては、新年度における財政運営を機動的に行う必要からいたしましても、その早期成立が期待されるのであります。
 次に、私ども証券界が担当しております国債の個人消化の状況につきまして御報告いたしますとともに、この機会に関連して幾つかの御要望を申し上げ、御理解を賜りたいと存じます。
 近年、個人を中心とする国債の消化が順調に推移していることはお聞き及びのとおりでございます。昭和五十六年度におきましても、証券会社が取り扱いました国債の総額は、長期国債、中期国債、割引国債を合わせまして三兆六千四百億円となっております。これは市中公募の総額に対して、実に四〇%にも達しております。特に、中期国債の証券会社の取扱額は二兆二千二百億円でございまして、市中消化額に占めるその割合は九〇%弱になっておるのでございます。
 このように証券会社の国債取扱額がふえてきました大きな要因の一つとして、総じて厳しい環境のもとではございましたけれども、業界を挙げてのじみで粘り強い努力によりまして、投資層の拡大、定着が図られたことが挙げられると自負いたしております。
 私ども証券界におきましては、国債の発行再開以来、長年にわたって培ってきました経験を生かし、引き続き国債の個人消化に一段の努力を傾けてまいる所存でございます。
 つきましては、委員の先生方の一段の御理解と御配慮を賜りたく、主として魅力ある国債づくりという観点から、二、三の要望を述べさせていただきます。
 まず第一点は、国債の発行条件を流通市場の実勢を十分反映した形で機動的に決定し、国債をいつでも投資家にとりまして魅力のある投資対象とすることでございます。
 最近の公社債流通市況が堅調に推移する中で、四月債から発行条件の引き下げ改定が行われました。このたびの条件改定は、ほぼ妥当なものであったと判断いたしますが、それでもその後の市況の軟化から、国債の消化はただいま現在では必ずしも容易ではないものとなっております。さらに、今後の公社債市場を取り巻く環境にはきわめて厳しいものがございます。一つには、円安の進行との関係から、金利の低下がおのずと制約されるという問題があり、また一般的に申しまして、国際的資金交流の本格化に伴い、海外金利の変動の影響を直接受けるという事情がございます。
 今後、内外の諸情勢の推移によりまして状況が変化した場合には、市場の実勢に即応して国債の発行条件を一段と機動的に改定されるよう強くお願いいたしたいのでございます。
 国債の発行条件の弾力化につきましては、発行量の増大に伴いまして、数年前から比べますと格段の改善が見られておりまして、このことは私どもも高く評価するものでございますが、昨今では公社債の年間売買規模が大変に大きくなりまして、三百兆円を超えるというような状況でございます。そこにおける価格の状況を無視しては発行条件を決定することはできない。逆に言いますと、実勢から離れた発行条件がもたらすひずみはそれだけに大きいわけでございまして、実勢対応の機動性が一層強く要請されるゆえんでございます。
 第二に要望申し上げたい点は、国債の発行に当たって投資家のニーズを十分考慮していただきたいことであります。
 まず、近年投資家のニーズが著しく多様化されていることに対応しまして、国債の種類の多様化をさらに推進していただきたいと存じます。また、現在発行されております長期利付国債、中期利付国債、また割引国債などにつきましても、それぞれの発行量、発行時期を機動的に調整していくようお願いしたいと存じます。
 特に、借換債につきましては、投資家のニーズに応ずるという意味でも、また償還金を有効に活用し、借りかえの円滑化を図ると、そういうためにも、償還時期に合わせた発行を行っていただくよう御要望申し上げます。
 要望の第三は、税制の改善についてでございます。
 現行のマル優、特別マル優の非課税限度額はそれぞれ三百万円でございますが、これにつきましては、個人の金融資産が著しく増加しているにもかかわらず、昭和四十八年十二月以降据え置かれたままになっておりますので、今後国債の個人消化を一層拡大し、国民の資産形成を促進するという意味からも、現行の非課税限度額を少なくとも五百万円程度に引き上げていただきたいのであります。また、信託財産の一定割合以上を国債を中心とする公共債に投資する証券投資信託についても、これを特別マル優の適用対象に加えるなど、現行の少額貯蓄非課税制度の改善を図られるようお願い申し上げる次第でございます。
 次に、有価証券取引税について申し上げたいと存じます。
 有価証券取引税は、流通税でございまして、有価証券を売却する都度課税されることを考慮いたしますと、その税率は本来低率でなければならないものでございます。しかしながら、現行の有価証券取引税の税率につきましては、昭和四十八年以降三回にわたりまして大幅な引き上げが行われました結果、先進主要国の中でも最も高い水準となっております。現在のような高率な有価証券取引税が継続しますと、株式公社債の円滑な消化、流通を阻害することが憂慮されます。したがいまして、株式及び公社債に対する税率を大幅に引き下げるとともに、国債については課税を撤廃されるようお願いいたしたいのでございます。
 特に、債券の短期売買市場でありますところの現先市場につきましては、有価証券取引税の課税が大きな負担となっており、コール、CD、手形などほかの短期金融取引との間で課税上の著しい不均衡が生じていて、これが現先市場の拡大の大きな阻害要因となっております。つきましては、国債を中心とする現先取引に対する課税は、早急に撤廃するよう強くお願い申し上げる次第でございます。
 以上、特別法案につきましての意見とともに、国債の個人消化に関連いたしまして若干のお願いを申し上げた次第でございます。
 顧みますと、国債発行が再開されました昭和四十年以来すでに十七年、また大量発行時代に入りました昭和五十年からは七年が経過しております。この間の証券会社の額に汗をした努力によりまして国債の個人消化が着実に増加し、いまや国民の金融資産の中核として深く根づいております。これは先ほど申し上げたとおりでございます。また、国債が過半を占めますところの公社債流通市場におきましても、昨今では年間三百兆円という大きな規模の売買が私どもの手によって円滑に成立しております。これが国債発行の大きな支えとなっていることは御高承のとおりでございます。
 この市場規模は、国際的に見ましてもアメリカに次ぐ大きなものでございまして、このことはわが国の公社債流通市場が十分に発達しており、また必要な機能を十分に果たしているということの何よりの証左であると考えております。今後国債借りかえの本格化、また発行残高の増大等を控えまして、引き続き発行、流通両市場を担当する証券会社の役割りはますます重きを加えるものと考えられますが、私ども証券会社はその債務に十分こたえられるものと確信いたしております。
 以上をもちまして私の意見公述を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。
 次に、貝塚参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(貝塚啓明君) 御紹介にあずかりました東大の経済学部の貝塚でございます。私、学者といいますか、大学の教師がこういう場で何を申し上げるべきかというのはなかなかむずかしいのでありますが、私が以下申し上げますことは、まあ利害関係者からかなり離れた立場から、少し距離を置いて現在の財政問題のかなり長期的な問題について私見を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、五十七年度の特例公債の発行につきまして一言述べさせていただきますと、現在の日本の経済情勢を勘案し今後の方向を考えますと、やむを得ない特例公債の発行であると考えます。今年度、五十七年度予算は予想以上の歳出カットが行われたわけでありまして、もし政府が見通している経済の推移がそのとおり進行すれば、恐らく今年度予算で財政再建のめどはついたというふうな感じであったと思います。しかし残念ながら、経済というものは非常に変化が激しいものでありまして、政府が予想されたものとはかなり違ったものになりました。その結果、財政の現状は必ずしも楽観すべき状況ではありませんし、財政再建の道も従来と比べましてやや困難になっているという印象を持つ次第であります。
 特に、長期的な問題として私が考えておりますことは、特例公債の発行をゼロにするというのが非常に現在の政治的な課題として、あるいは財政の課題として重要になっているわけでありますが、これがうまくスムーズに行われ得るか否かということがかなり情勢判断としてはむずかしい状況になったということではないかと思います。財政それ自身のいろんな規律は必要でありますし、当然赤字国債の解消はその場合の一つの非常に重要な条件であります。他方、しかしながら、経済情勢というものは生き物でありまして、今回の予期せざる経済情勢の変化は、私ども学者が勝手なことを申しますれば、アメリカのレーガン政権の政策のしわ寄せを日本が受けたということではないか。
 要するに、アメリカの政策が非常に危険の多い実験でありまして、その実験で世界経済全体にいろんな波及が及びまして、不況が急速に進行し、日本にもそれが波及したという状況ではないかと思います。したがいまして、財政の状況が悪化したということは、日本の政策当局がいろいろ判断を誤ったということではなくして、むしろ外的な情勢の変化であったのではないかと思います。
 元来、現在の国債の発行が非常にふえたということも、御存じのことと存じますが、第一次石油危機の時期に非常にインフレが進行し、その後の金融引き締めを長い間やったために、これまたそこで赤字が非常にふえた。それ自身も、財政当局あるいは金融当局に責任の一部はあると思いますが、言ってみれば、アラブ諸国が世界じゅうに税金を課したような状況でありまして、それが日本の財政悪化にもつながったというわけであります。そういう意味で、経済情勢の変化というものは財政が描いている進路とうまくすり合わせがいくかどうかという点については、かなりむずかしい状況に来たのではないかと思います。
 問題は、赤字財政の場合に、赤字国債の、これは御存じのとおりだと思いますが、償還のときに現金償還を行う必要がある。これは非常に重要な条件でありますが、これが、要するに昭和六十年代の初期にうまくスムーズに行い得るかどうか。それは結局、現金償還というのは一口で言えばやはり財政収入を別に得る必要がありまして、これは、平たく言えば増税が必要であるということになります。それは結局政治的にはかなりむずかしいことでありますが、現在の制度上それはやらざるを得ないということでありまして、そこのところが一番の難関ではないかと考えます。
 現在の赤字国債の発行は、特にそれほど市場の条件その他から困難ではないと考えられますが、問題は五年ぐらい先の話ということでありまして、大蔵委員会の方々は財政の長期的な展望につきまして、いま私が申しましたような問題点についてよく御検討いただきたいと思います。そのときに増税をするということ自身はかなり困難でありまして、いまの大蔵省の試算によります予算繰入額は六兆円とか七兆円でありますが、これは恐らく五年先の予算規模の一〇%か一五%ぐらいのものであります。そういたしますと、それを増税するということはかなり大変でありますが、しかし、それがなお今年度の財政あるいはその後の情勢を踏まえますと、歳入欠陥その他があるわけでありますので、そういうものは波及効果を持ちますとさらに拡大するおそれがある。そこをどういうふうに切り抜けるかというのが財政の今後の一番の問題ではないかと思います。これが第一点の私が申し上げる特例公債の今後の動向についての私見でございます。
 それから第二は、これは全く違った側面でございますが、これはむしろどちらかと申しますと金融の問題になるわけでございますが、国債の管理政策の問題について一言申し述べたいと思います。
 昭和五十年以降国債が非常に多額の発行が行われた結果――これは償還期限が十年であります。その償還期限がやってくるわけでありますね、昭和六十年に。そのときにこれをどうするかという問題があると思います。特に昭和六十年から六十五年ぐらいまでの間にいわゆる借りかえ、赤字国債以外の建設公債の借換債の比重も非常にふえるわけでありまして、あるいは額も非常にふえるわけでありまして、一体これをうまく借りかえていくことができるかどうか。要するに、政府は従来の国債を持っている保有者に対して、償還期限が来たときにその人にまた国債を持ってもらうということをやる必要があるわけですが、それがうまくいくかどうかということが一つの問題だろうと思います。
 で、いままでの借りかえとは違った面が生ずるということを申し上げたいのでありますが、それはどういうことかといいますと、昭和四十年代の国債の発行の仕方というのは、御存じだと思いますが、要するに国債を発行してシンジケート団が、主として銀行を中心とする金融機関が、償還期限が来るまでじっと持っているわけですね。償還期限が来ましたときにちょうど金融機関に対して新規の国債をまた持ってもらうという形で借りかえをやるわけであります。
 ところが、御存じのように、昭和五十年以降というのは金融機関が保有しております国債はもう売却できるようになったわけであります。ということは、昔のようにじっと持っていてくれる機関があって、そこに割り振るということができなくなったということであります。要するに、一度転売され、あるいはさらに転売された相手に国債を持ってもらわなくちゃいかぬということになります。ですから、ある意味では従来の金融機関というのは非常に安定的に国債を持っておられたわけでありますが、それとは違う対象に新しい国債をはめ込むということをやらなくてはいけないということであります。
 これは相当むずかしい話ではないか。恐らく先ほどお二人の参考人が申されましたように、市場条件に見合った条件で国債を借りかえないと相手は持ってくれない。要するにどういう人が持っているかよくわからないわけでありますが、とにかく、いろんな転々と変わる所有者に対して新しい国債を持ってもらう、借換債を持ってもらう。そのためには従来とは違う工夫が必要になると思います。そういうことを行います場合には、どうも次のようなことが起きそうであるというふうに考えられます。
 それば、国債をそういう形で発行いたしますと、従来とは違いまして市場のレートでこうやるということになりますと、いろんな他の金融の商品と競合するおそれがある。端的には、たとえば銀行の預金とかあるいは郵便貯金と競合するおそれもあります。それは国債と新しい競合が生ずるおそれがありまして、これがかなり重要な問題になるんではないか。現在、日本の預金金利というのは規制されているといいますか、法律で上限が決まっておりますけれども、もし三年後に国債がかなり自由な形で市場で借りかえが行われますと、そのときに一般大衆が国債を買うか、それとも預金を持つかということを考えるに違いない。
 その場合に、日本の最近の傾向は、御存じのように大変金利の差に敏感に人々は資産の保有形態を変えるわけでありまして、アメリカとかあるいはイギリスでもこういうことは起きておりますけれども、やはり国債といま民間の金融機関あるいは郵便貯金と競合するおそれがあり、その場合には預貯金の金利を自由化する必要があるのではないかというふうな段階が恐らく来るのではないかと思います。
 その場合には、これは金融界には大変大きな影響があるわけでありますので、国債の借りかえ、今後大量に発生する借りかえに際しましては、私どもからながめておりますと、余り金融の市場に大きな摩擦が起きないような形で、そこを非常に円滑に、うまく国債の借りかえを行っていく必要があり、その点を十分今後とも政策当局あるいは大蔵委員会の方々にも配慮していただくようお願いしたいと思います。
 以上で、一つは国債の今後の発行といいますかあるいは赤字国債の発行の見通し、それからもう一つは、いま申しましたように、借りかえについて私見を述べさしていただきました。
 以上で私の公述を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
#9
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。
 速記をとめて。
   〔一速記中止〕
#10
○委員長(河本嘉久蔵君) 速記を起こして。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○穐山篤君 どうもきょうは御苦労さまです。
 最初に、共通をした問題につきまして三人の先生方にお伺いしますが、三名の方の経済見通しについての見解、展望というのは非常に厳しいという観察をされております。そこで、政府としては最近公共事業の七七%の前倒し、こういうことを政策として挙げておられますが、計算をしてみますと、おおむね前半に五兆円程度の資金の投入を行うわけです。そこで、景気が回復をして、経済成長率が五%とか六%になれば、これはそれほど問題はないわけですが、五十六年度の経緯を見ましても、そう容易なものではないというふうに思うんですが、率直に申し上げて、もうすでに予算が成立をした段階で税収不足という事態が起きているわけです。
 それから二つ目には、五兆円前後の前倒しをいたしますと、後半戦大変息切れをするわけです。そのことについて国会もしかるべく議論をしておるわけですが、先生方に、後半経済成長が五、六%まで回復すれば問題ないわけですが、いま心配をされておりますように、三ないし四%程度にしかならないというふうな観察があるとするならば、後半戦どういうふうな経済運営についての御希望があるかどうか、三人の先生方に共通をしてお話を承りたいというふうに思います。
 それから、先ほど横田参考人の方からもマル優の問題についてお話がありました。三百万円の現行の枠を五百万円にしてほしい。ある意味で言いますと、グリーンカード制について言外に言及をしているわけです。一応昭和五十九年の一月からグリーンカード制を実施をする、こういうことで来年から具体的な準備に入るわけですが、このことについて国会議員の中にもあるいは民間の団体の中にもいろんな御意見があるわけですが、このグリーンカード制の実施に関連をして、特に三人の先生方に御感想をまずお伺いをしておきたいというふうに思います。
#12
○参考人(村本周三君) 最初の問題は、第一にわれわれが五十七年度の経済をどう見ておるかということからスタートする問題であると思います。
 われわれは現在、国内の内需はそんなに悪くない、特に個人消費と設備支出は次第に緩やかながら回復をしかかっておる。ただ、政府の支出は恐らくことしいっぱいは、五十七年度は五十六年度に比べて微減であろう。そしてまた、それに対して対外経済余剰のもとである輸出が五十六年度の伸び率に比べて五十七年度の伸び率は鈍化するであろう。そういうような条件を総合いたしまして三%前後あるいは三%を切る実質成長になるのではなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。
 したがいまして、政府支出の減少ということが一つの原因でございますから、政府の公共支出というものを前倒しでやって、少なくも年の前半はそういう面からのマイナスの状況が生じないということにいたしたいと言われる態度にはわれわれも賛成をいたしたいと思います。ただその結果、どういうことになるかというのが次の問題でございます。
 私どもも、政府がお考えのように、それを前倒しにすることによって緩やかながら回復を始めました国内経済にある程度のはずみがついて、したがってうまいサイクルと申しましょうか、そういう回復の道に、サイクルに乗ってくれればこれが一番望ましいと考えておるのであります。先生御質問は、乗らなかった場合にどうするのかという御質問が最後にあったようでございます。
 私どもも、五十七年度全体を通しますと、経済はなかなか大きな伸びはすまいと思っておるわけでございますから、公共事業を前倒しにすることによって、なるべくいいサイクルになってほしいものだと思っておるのでありますが、しかし、先生がおっしゃるように、それでも大した回復にならないということはあり得ることだと思います。そのときどうしたらいいかということ、これはなかなかむずかしい問題で、私が申し上げましたのは、現在日本はやはりかなり長期に見て低成長のサイクルに入っておるのであるから、そこで人為的な購売力というものを造出して、そのサイクルを大きくしようとすることは果してどうであろうかという考え方でございます。
 その考えの一番基本になっておりますのは、先ほど貝塚先生から御指摘もございましたように、すでに国債の累積がかなりの金額になっておりますので、国債がそれ以上になりますと、国債に対する利払いあるいは償還の経費の方が、その年々に国債で資金の流入を図れる金額を超えてくるという事態がもう目の前に見えておると思うのであります。したがいまして、われわれは国債の累積残高というものを重く見て、できる限りはわれわれが低成長にわれわれの体を合わし、われわれの衣服を合わしていくことがいいのではなかろうかと。
 いま経団連の稻山会長ががまんの哲学というふうに言っておられますけれども、どうもしばらくはそういう形で日本経済を合わしていく、その合わせ方の一つとして行政改革というものもやっていただく、そういうふうな態度の方が、われわれは長期の日本の財政あるいは経済の運営を考えたときに好ましい態度ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
 それから、先生の第二の御質問は、グリーンカードの実施についてどういうふうに考えておるかという御質問でございます。
 これは、そもそもから申し上げますとかなり長くなるわけでございますが、私どもの理解によれば明治二十年に所得税ができました。そして、明治の三十年代から利子の源泉課税ということは、現在に至るまでほんのわずかな期間を除外例といたしまして大体そういうふうに行われてきておるわけでございます。私どもはこれには二つの理由があったと思います。第一は、日本が明治から富国強兵の道を歩むために貯蓄率を高くしようという貯蓄奨励ということであったと思います。これは現在レーガンが大変、うらやむと言うと語弊がございますが、自分のところも、アメリカも減税をして貯蓄率が高くならないかしら、そういう回転にならないかしらというふうに政策をしているところからも、当時の日本のいわば開発途上国としての態度としては正しかったというふうに考えておりますが、そういう貯蓄奨励が一つと、それから、源泉課税がやはり課税の技術として一番容易であったということから来ておると思います。
 そして、大正九年から先生おっしゃったような少額貯蓄非課税制度というものがスタートし、郵便局を含めてスタートいたしたわけでございますが、私どもはそういう過程を通じて日本経済の資金循環に御協力を申し上げてきたつもりであり、貯蓄奨励という見地から源泉課税ということをお願いをしてまいってきたつもりであります。そして、戦後におきましても利子課税は税金がかからなかったこともございますし、だんだんそういう中で今度は分離課税になり、分離課税の税率がだんだん上がってきたわけでございます。
 その中でも、私どもは貯蓄奨励という見地からなるべくそれを低くしていただきたいとお願いをしてきたわけでございますが、私は当時政府の税調に関係をいたしておりまして、税調が長期の財政について考えましたときに、どうしても一般消費税というものは避けて通れないという結論に達したわけでございます。
 そして、一般消費税という増税をするためには二つの前提が必要である、一つは行政改革であり、一つは不公平税制の是正である、そういうふうに言われました。不公平税制の一番大きな目標になったのが医師優遇税制と利子配当の分離課税という二つであったと思います。しかしながら、医師優遇税制が是正され、そしてまた利子配当の源泉分離課税が論ぜられておる中で一般消費税が答申をされ採用されかかったのでありますが、選挙によりまして国民から否定的判決が下ったように思います。そこで、税調といたしましては、さらに不公平税制の是正というものを進めるにはどうすればいいかということをさらに突き詰めて考えたいということでいろいろ考えますと、結局国民背番号というものが一番公平を期すためには到達すべきゴールであるという結論になったわけであります。
 しかし、恐らく国民背番号ということを提案いたしますれば、理論的に考えて正しいかもしれないけれども、一般消費税と同じようにまた恐らく国民からノーと言われるであろう。そうすれば、不公平税制の是正という過程でどういうふうなことをするのが一番いいかということを考えまして、では一歩下がってグリーンカードということではどうであろうか、それで少額貯蓄非課税制度の本人確認もすることができるし、しかしまた背番号よりは、本人確認はあるけれども、背番号よりは一歩引いているではないかということでこういうふうな制度がいいということに相なったわけであります。
 そして、その過程で銀行界、金融界といたしましてもそういう意味の不公平税制の是正ということでは異論は全くない、したがってグリーンカードを採用されることに異論はない。ただ、それを実施される過程においていろんな点をお願いしたい。第一は、それが国民のプライバシーを侵害するというような不安を与えないでいただきたい、また利子配当収入だけがねらい撃ちにされて全体の不公平税制の是正は置き去りになるということでは困ります、また金融資産の中でいろんな不公平が、新たな不公平が生ずると、それに伴って金融資産が移動して日本経済に混乱を来すから困ります。そしてまた、まあ手前勝手かもしれませんが、金融機関に余り負担のかかるようなグリーンカード制度にしていただいては困ります、こういうふうなことをるる陳情を申し上げて、それがあのとき両院で附帯決議としてその旨を書いていただいたように記憶いたしております。
 そういうふうな過程で法律が通り、そういう制度が定まったわけでございますから、昨年の政令の発表を見まして、私どもとしてはそれに応ずる準備をしてきたわけであります。ただ、そういったグリーンカードの枠の取り合いということはどうも金融機関の過当競争で国民あるいは預金者と申し上げましょうか、預金者の方々に御迷惑をかけることになるから自粛しようということで、現在六月まで金融機関側では自粛ということにいたしておるわけでございます。
 ところが、昨年の十二月ごろからことしの二月ごろにかけての情勢を拝見いたしますと、どうも国民が何かプライバシーを侵害されるのではないかというような不安を持っていろいろな金融資産間の移しかえ、あるいはたんす預金というような動きが、あるいはそういう不安が始まっておるように拝見をいたすのであります。
 一国の法律で決まっておることでございますから、それに対して訂正のお願いをするためには全銀協といたしましても正式な機関決定をしなければなりません。そういういとまがございませんので、全銀協といたしまして正式の機関決定をいたしておるわけではございませんが、あのときの情勢を見て、私どもはこの制度をこのまま強行されては国民の不安がますます増大し、金融資産間の移動がますます増大して日本経済の運行に不測の事態を生じかねないという判断をいたしまして、実施については慎重にというお願いを改めてした次第でございます。
 これが、銀行協会の現在までにとった態度と申しますか、ただいま先生からお尋ねありました感想と申しましょうか、そういうふうな気持ちでございます。
#13
○参考人(横田良男君) 先生の前段の御質問でございますが、いま村本参考人が言われましたのとそう変わらぬ答えになって恐縮でございますけれども、国内の景気そのものは、先ほど個人消費が低調であると申し上げましたけれども、ややそれの変化が見え始めてきておるとか、あるいは今回、この春の賃金の引き上げがどういう影響が出るかまだわかりませんけれども、そういうことも考えなきゃいかぬし、それから業界によっては在庫調整がかなり進んできまして、これ以上そういう必要はないというようなこともございますし、設備投資は中小企業を中心には停滞しておりますけれども、大企業あるいは先端企業の、先端技術関係の設備投資というのは相変わらず堅調でございます。電力会社あたりに行ってみますと、なるほど電力需要はここのところ減っているけれども、しかし電力事業の設備投資というのは十年先を見てやらんならぬので、目先の電力の消費の減少で設備投資をおくらすわけにいかぬ、そういうようなこともございまして、必ずしも悲観一色ではない。
 さらに、アメリカの景気などもいろいろな説がございますが、たとえば七月一日の、所得税の減税が七月一日から一〇%あるわけでございますが、そういうものの効果があるはずだという議論も非常に強いわけでございます。そういうことで、仮にアメリカの景気が回復してまいれば日本にもそういう影響が出てきましょうから、必ずしも悲観一色に包まれる必要はない、そういうふうに考えております。
 したがいまして、国内の景気も公共投資の前倒しなどが行われることによって、あるいはアメリカの景気がもしも回復してくれば下期に政府が想定されるようなことにならないとも限らない。したがいまして、私どもはそれがなるのかならないのか、あるいはもしうまくいかなくてどのくらいの穴ができるのかというようなことを予測するすべもございませんし、そういう立場にもございませんので、大体いま申し上げたようなことで先生の御質問に対する回答にさしていただきたいと思います。
 後段のグリーンカード制度につきましては、証券界ではかねてから利子配当の総合課税移行に際しまして国民の金融資産が土地あるいは貴金属、宝石などといったような非生産的な資産の投資に流れることのないよう具体化の段階で十分検討をしていただくよう要望しておったところでございます。その後グリーンカード制度が決まってきまして、その具体案の検討に入った段階でもいま申しましたようなことがないように、あるいはまた金融機関相互間の課税上の不均衡が生ずることのないように、あるいはまた投資家あるいは政府、取り扱い金融機関に過大な事務負担がかかることのないように、そういうような要望をしてまいったわけでございます。
 私ども証券界は、法律が設けられた以上これに従うことはやむを得ないと思っていますけれども、これからも実施までに若干期間がございますが、その間にもいま申し上げましたような懸念が実現しないようにさらに具体案の細部の検討に当たっては十分に御配慮をお願いしたいと思っているところでございます。
#14
○参考人(貝塚啓明君) 御質問の前半の景気の見通しにつきまして、最初にお答えいたしたいと思います。
 景気の見通しは、お二人の参考人が言われましたように、非常に今後の見通しはむずかしいわけでございますが、私が端的に私の所見を申しますとすれば、やはり補正予算の段階で景気の状況がどういう状況になっているかを判断して、必要であれば建設公債を発行して公共投資を行うべきだ。ですから、経済の自律回復のめどがそのときについておりますれば、余り追加的なことは必要ないと考えますが、自律回復の見込みがついていないといたしますと、その段階でやはり景気政策を行うべきではないか、公共投資を中心に行うべきではないかと考えます。
 その理由は、日本経済は確かに低成長に移りつつありますが、やはり今後の日本の経済の活力を保つためには、景気が自律回復していくときはなるべくうまくそれに経済を乗せる必要があるんではないか。だんだん、だんだん日本経済はそういう、何といいますか、自律回復力が少しずつ弱くなっていくとしますと、これはやはり問題でありますので、やはりそのチャンスはうまくとらえて、今度はうまいサイクルの軌道に乗せて、恐らく五十八年度に、財政の面でいきますとある程度税収入がふえるという状況になれば幸いだと。そのためには、やはり少し追加的に公共投資を行う必要があるとすれば、その景気の判断に従って行うべきではないかと思います。それから、第二のグリーンカード制度の問題につきましては、これは非常に微妙な問題でありまして、税金の話は人々のかなり個人的な利害に関係するところが大でありまして、いろいろ意見が違ってくるわけでありますが、現在グリーンカード制度に関する意見もまさにそれを反映しているというふうに考えます。ただ、私は、先ほど村本参考人が言われましたように、利子の総合課税というのは日本の所得税ではいままで余りちゃんとやったことのないことであります。シャウプ勧告の後少しやったわけでありますが、なかなかうまくいかなかった。所得税というのは、やっぱり執行上いろいろむずかしい問題がありまして、利子所得の課税もその一つの代表的な例ではないかと思います。
 したがいまして、グリーンカード制度というのはもともとは、最初はグリーンカード制度というときに人々が予想したものは、要するに非課税の枠をちゃんと守るようにするという制度だというふうに理解した人が多かったわけでありますが、ところが同時に、この制度は利子の総合課税もねらっているわけであります。ですから、その点で恐らく世の中ではある意味では誤解があったということになるのではないかと思います。
 問題は、利子の総合課税をするときには、これは現在のようにだんだん勤労者も税負担が上がってきますときには、なるべく税金は節税したいという人がたくさんいるわけでありまして、そういたしますとそこで、先ほどいろいろ参考人の御意見がございましたように、やはり金融資産の間でシフトが起きたり、いろんなことが予想できない事態が起きる可能性がございます。したがいまして、もしそういうふうなことが予想されるのでありますれば、まずはグリーンカード制度はきっちりやると、総合課税の方はやや時間を置いてやる必要があるということも考えられるというふうに思います。
 ただし、利子の総合課税というのは言うまでもなく税制の公平のためには非常に重要でありますから少し時間を置くということで、やはり究極的にはそれを実現する必要があると思いますが、そのプロセスは少し慎重にした方がいいのではないかという私見を持っております。
 以上であります。
#15
○穐山篤君 さて次に、例の窓口販売の問題につきましてはいま村本参考人並びに横田参考人からそれぞれ特色のあるお話がありましたので、これ以上お伺いをしましても平行線だろうというふうに思いますので、そこは省略をしますが、さて問題は、五十七年度十兆四千四百億、さらに借換債が三兆二、三千億あると思うんです。その消化の問題について、当然のことでありますが、国債管理政策という問題になります。皆さん方はいつも市場の実勢に合わせてほしいあるいは消費者のニーズにこたえてほしいというふうなお話があるわけですが、これから国債発行額は少しずつ減るにいたしましても、借換債を含めますと非常に大きな額だというふうに思うんです。そこで、銀行側と証券側の方からニーズに合わしたといいますか、実勢に合わせるといいますか、そういうものについての具体的な提案を伺いたいと思うんです。
 現実に中期、長期あるいは割引債にいたしましても近年短いものをつくりまして、資金の回転もよくしながら消化を図ってきたわけですが、なおこれ以上具体的にニーズに合わせるあるいは機動性なり弾力化を図るということになりますと、いままで以上の新種の商品の発行あるいはまあ新しい条件をつくるということにならざるを得ないと思いますが、具体的なもし、たとえばこういうふうなことを考えようというふうな具体的な提案がありましたならばお二人からお伺いしたいと思います。
#16
○参考人(村本周三君) ただいま先生御指摘のとおり、まあこれから六十年からは借換債が大変ふえてくるということになるわけであります。したがいまして、われわれとしてはいままでとは全く違ったこれに対する対応というものを考えていきたい。
 よく興味本位にと申しますか、証券界と銀行界の対立と、市場の奪い合いというふうな理解をされておるのでありますが、私どもはそういう考え方よりも、むしろ銀行界と証券界と一緒になって対応しなければならないぐらい国債の市場は大変になると、そういうふうに思っておるわけであります。
 したがいまして、私どもは、いま先生から国民のニーズに合った新しい国債をつくってはどうかというようなお話があったわけでございますが、まあ国民のニーズに合ってこれまで中期利付債ができたりあるいは中期割引債ができたりしてきたのでございまして、まあ多少そういった線上で進める必要、可能性はあろうかと思いますが、そういうふうな従来の国債の期間並びに種類についての多様化ということが国民のニーズにこたえる一つの道である。
 それから私どもは、もう一つ、国民がニーズがあって欲しいと思っても、どうすればそれを簡単に手に入るようにして差し上げられるかということもまた国民のニーズに合う方法であると。それには現在証券界が、先ほど横田参考人からお話がありましたように、額に汗して国債の個人消化を図ってこられたわけでありますが、私どもはずっと多くの店舗を持ち、ずっと多くの国民との接触がございますので、従来そういう希望がありながら何となく証券会社とまだお取引のできなかったような国民の方々、そういう方々に広く銀行の窓を通じて国債に接近していただく、そういうことが国民のニーズにこたえる一つの道であろうというふうに考えておるわけでございます。
 また、その際に、やはり市場の実勢と申しますか、そういうものに合う必要があろうかと思います。先ほど横田参考人からすでに年間取引高三百兆円に達しておるのだから、市場は十分大きくなっておるというお話があったわけでございます。取引高から申せば確かに三百兆円というのは大きな金額であると思いますが、そういう大きな金額であるだけに、私どもは取引に参与する者も多くなった方が自然な価格は形成されていく、そういう意味で銀行側もディーリングに参加をさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#17
○参考人(横田良男君) 先生ただいまの御質問は、大量発行国債の償還期を迎えてますます国債を消化しやすいようになった、そのために多様化を図るという案があるならばそれを具体的に申せと、そういうことであったかと思いますが、国債の種類の多様化につきましては、昭和五十二年に割引国債が創設されております。五十三年以降には中期入札国債、二年、三年、四年というものが発行されておりまして、多様化は相当進展を見ておるわけでございます。
 翻って考えてみますと、借りかえの問題が出ている大量発行の国債の残存期限というのは、これからどんどん短くなってくるわけでございまして、われわれの方では、この期近物の国債の流通市場がこれから二、三年のうちに飛躍的に拡大するのではないかと考えております。その場合に、先ほど先生の御指摘ありましたように、初め引き受けた引き受け主体は、いま持っているのは少なくてほかの投資家に移ってくると、そういうことは事実あるわけでございます。
 しかし、そのほかの投資家が個人であれあるいは農林系統金融機関であれあるいは官公庁共済組合であれ、やはりなぜ持っているかといいますと、その残存期限が非常に適当で、直接利回りなどもその資金の運用目的にぴったりしていると、そういうところが持っているのでございまして、その持っているのはどのくらいかといいますと、これはたしか、ここには数字を持っておりませんが、たしか昨年暮れ理財局でお調べになった数字がある。いわゆるその他という項でくくってあるところが全体の国債の四〇%を持っております。このその他というのはいわゆる銀行、保険会社とかあるいは証券会社、投資信託とかいうようなことじゃなくて、個人、農林系統金融機関とかあるいは官公庁共済組合と、そういうような証券会社が国債を取り扱って買っていただいた投資先、そういうところが持っているわけでございます。
 先ほど申しました中期国債の二年、三年、四年というところが出ておりますけれども、もし残存の短くなったものが非常に流通するようになるということであれば、やはりその短いものに対する需要が大きくなってくるということでございますから、ですから、もしそのいま持たれている残存期間の短い国債は償還になってお金になってしまうと、その期間はやっぱり持っていたところはそれに対応するような短い国債が要るんだと、そういう需要があるんだと思われます。したがいまして、これからの多様化はいままでの二年以上に短いものが必要になってくるんではないかと考えます。それがまたニーズにマッチするということになろうかと考えます。
 それからあとは、消化しやすいためには、やはり先ほどの冒頭陳述でも触れましたような、税金関係でマル優枠の拡大とかあるいは現先取引などを中心とした、そのほかのあれもですが、有価証券取引税に対する処置、そういうものがあれば一層国債の消化は進展するんではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#18
○穐山篤君 借換債のことについてお三人にお伺いしますが、当面は昭和五十九年まで借換債の問題について方針が出ているわけですね、御案内のとおり。たとえば資金運用部、日銀の持っているものの借りかえあるいは市中保有の国債の借りかえあるいは十年利付国債の借りかえ、こういうものについて原則的には中期のたとえば利付国債も同様に公募入札によってやる、こういう原則が昭和五十九年までできているわけです。
 しかし、実際にこれだけ大量の発行の国債が出て、昭和六十年以降も相当の国債費を考えなければならぬということに直面をしまして、この借りかえの問題について特に御意見があればお三人にお伺いをします。
 それからもう一つ、これは仮定の話ですから仮定の問題として聞いていただきたいんですが、かつて一般消費税の導入の話がありました。まだそれがくすぶっているわけです。仮に大型の一般消費税というものが導入をされて、相当膨大な税収入が予想されるということになりますと、建設国債あるいは特例公債の発行はしなくて済むという理屈がここでは生ずるわけですね。現実に、公社債市場の売買総額というのは三百兆、国債の消化が大体六二%程度。ですから、その意味で国債の占める割合が大きいわけです。
 そこで、仮定の話になりますが、もしそういうふうな一般消費税が導入をされて、建設並びに赤字特例公債の発行がなくなる、そうなりますと、借換債だけが理屈上残るわけですね。それもいずれは借換債もボリュームは小さくなるわけですけれども、そういう仮定をした場合に、資金の動きだとか公社債市場の動向というものに相当の影響が出てくるということを予想せざるを得ないと思うんですが、そういうことを予想したことはあったかどうかわかりませんが、もしそういうことについてこういうことが考えられる、ああいう事態が発生しそうだという話があれば、お三人にひとつ御意見をいただきたい、こんなふうに思います。
#19
○参考人(村本周三君) ただいま先生から借りかえについてどういう希望を持っておるかというお尋ねであったと思います。
 私どもは、近づいてくる借りかえ、一部はいま始まり、そして六十年から大変大型に始まることにつきまして、大蔵省との間にもまあ研究会と申しますか、そういうふうな場を設けてわれわれの希望をいろいろお願いしておるわけでございます。特に、国債シンジケート団といたしましては、現在の引き受け額がまあわれわれとしては非常に重荷であるという観点から、とても借りかえ分はシンジケート団に上乗せして消化を求められてもこれに応ずる能力がない。したがって、借りかえについてはぜひ市中公募でやっていただきたいということを原則としてお願いをいたしておるわけでございます。
 その結果が、五十九年までにつきましてはただいま先生からお話がありましたように、一部の保有先を、つまり借りかえに応じてくれる保有先に対しては借りかえをお願いするが、そのほかは公募しようということに相なっておるのだと思います。
 ただいま先生がおっしゃいましたように、それでは大型の一般消費税というようなものができて新しい国債が出なくなった場合にどういうことになるのかというお話でございますが、私ども借りかえについての希望を申し述べたときには、近い将来においてそういうふうに国債の発行が建設国債も含めてまるでシ団にとって負担でなくなるような事態というところまで、どうもやや想像力が足りなかったのか考えておりませんで、シ団に対する負担がむしろこれ以上重くなるのではなかろうかという点から市場公募ということをお願いしていたのでございます。
 しかし、シ団にはシ団の社会的責任と申しますか、一つの日本の資金循環の中で果たすべき責任があるわけでございますから、もし新規国債がそういうふうに出なくなって、そして借りかえだけが問題になったときに、シ団がそれに対してどういうふうに対処するかというのは、やはりそのときの状況に応じてその場で考えていかなければならない問題ではなかろうかといま考えております。
#20
○参考人(横田良男君) 借換債をどういうふうにして消化をしていくかという問題につきましては、いま村本参考人は国債のシ団代表という立場でもございますので、われわれ証券界は国債に関しましては大きなシ団の中のメンバーということでやっております。そういうことですから、大まかなところは全く村本参考人のお話のとおりでございます。
 ただ、私考えますのは、借りかえされる国債 いまどなたかが持っているわけでございますから、そういう意味では、その部分についての資金のバランスというものはそう心配する必要はない、全体としてはですよ。だが、そのいま持っている資金をどういうふうにしてこれに移すか、その過程が非常にむずかしいのではなかろうかと思います。その辺はこれから十分シ団代表とも詰めていきたいと思っておりますが、それよりも借換債のほかに毎年毎年新規に発行される国債の方が正しい発行条件で適切な量で発行されることがむしろ重要でないかと思っております。
 それから後段の問題でございますが、一般消費税というような大型増税によりまして国債の発行がなくなるということでなくて、いわゆる財政再建、行政改革というようなことでもし新規国債の発行が大幅に減るということであれば、これは大歓迎でございますが、また、もしそういうことが実現されたとしまして、証券業界あるいは投資家がどういう影響を受けるかというのも後段の御質問であったかと思いますが、借換債だけでも、ここに数字ございますが、昭和六十九年度、いまから十一年ぐらい先ですけれども、十四兆三千億くらいという数字ですから、当分は国債の商品に事欠かないということですが、投資家もそれによって金融ニーズといいますか、投資ニーズが満たされるでございましょうと、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
#21
○参考人(貝塚啓明君) 前半の御質問でございますが、借りかえにつきましては、恐らく非常に短期の、短い証券を出す必要が出てくるのではないか。それはやはり当然市場公募でなさる必要がありまして、現在の政府短期証券とは違った形の恐らく短期の国債を出す必要が生ずるのではないかと思います。それが恐らく国庫の資金繰りを円滑にするためにはある程度必要ではないかと思います。
 それから金利の問題でありますが、やや金利は上がるという傾向は、ですから、国債費は多少は上がるということは覚悟しなきゃいけないのではないかと思います。
 それから後半の御質問でございますが、私も、参考人が言われましたようにそういう事態はなかなか予想できない状況でありますが、もし仮にそうなりましても、すでに発行された証券がたくさんあるわけであります。建設公債というのがそういうものです。それはですから、既発行の証券の流通市場というのは、依然として日本ではかなり大きい。したがいまして、金融界、証券界に余り大きな影響は及ばないというふうに考えております。
#22
○塩出啓典君 公明党の塩出でございます。
 きょうはお忙しい中を大変いろいろ御意見をお聞かせいただきまして、心から感謝をしておる次第であります。
 村本参考人からまずお尋ねをしたいと思います。
 いろいろ重複を避けまして、まず、村本参考人は、何らかの手段で財源を確保して、政府需要をふやし、わが国の経済成長を高めるということは危険な選択である、こういう御意見を述べられたわけでありますが、これは私たちも非常に頭の痛いところで、経済の成長が伸びないと税収が入ってこないというけれども、そのために財政支出をふやすことはまた新たな国債をふやす。そういうことで、ただいわゆるわが国の潜在成長力と申しますか、無理に減ることはよくないと思うんですが、大体自律回復、本来の成長に戻る、そういう意味で五%ぐらいの成長力はあるんだという説と、それが実際三%程度の低成長時代に入ったんだから、それでひとつがんばる以外にはないという、こういうお考えがあるわけでありますが、そういう点についてどうなのか、特に銀行の窓口を通して日本の経済の実態についてどういうお考えであるのか。
 特に、五十六年度は三%を切るような成長だったわけですね。そういう成長が続くと失業がふえるとかいろんな理由からやっぱり五%が必要であると、こういう意見もあるわけですが、そういう現実の経済の動きから見てどのようにお考えか、この点をお伺いしたいと思います。簡単で結構ですから。
#23
○参考人(村本周三君) 私ども日常銀行の窓を通じまして国民経済の活動状況をながめておるわけでございます。私どもも日本経済の成長力をフルに発揮すれば五%ぐらいまでいくんであろうと、若干希望的でもありますが、思っております。だが、それを現在どういう形でそういう路線まで返していけるかということが問題であろうと思います。
 確かに、私どもも中小企業の方々あるいは構造不況産業の方々の御様子をながめておりますと、何かここに新しい追加購買力が出ればありがたいなという気はするのであります。先ほどがまん哲学ということを申し上げましたが、寒い中でオーバーを着てじっとがまんをしておれば、先ほど横田参考人からも言われましたように、だんだん世界の季節が冬から春に回ってきて暖かい風が、空気が暖かくなってくるからうまくいくんではなかろうかと思ってここもとしばらくがまんをしておるのでありますが、何となく足もとからぞくぞくと寒さが上がってくるような感じは否めないのであります。(笑声)したがいまして、先生がおっしゃるように何かここで刺激をしたらいいのではないかというお気持ちは私どもも痛いほど持っており、わかるつもりでございますし、私どももそういう気持ちを持っておることは事実でございます。
 ただ、私どもはやはり金融に関与し、日本の経済を金融という面からながめている者といたしましては、ここで日本の借金の限度はもうそこまで来ておるのでありますとやはり警鐘を乱打するのがわれわれのサイドに立っている者の役目であり、そういうふうに思って、どうかそういう選択でなくてもう少し低成長に合わしてわれわれの体もスリムにし、衣服も整理をして何とかこれで回っていくようにしようではないか、その方が健全だと思いますという意見を、まあそういう金融にあずかる者として特に申し上げておるわけでございます。
#24
○塩出啓典君 続いてまた村本参考人にお尋ねしますが、郵貯問題ですね。官業の民業圧迫ということを言われたわけですが、私たちも国民の立場に立てば、たとえば自動振替利子とかあるいは全国オンラインあるいはまたゆうゆうローンの枠がふえるという、そういうようなことは非常にいいことじゃないか。これも余り反対するわけにはいかないと思うんですね。その点は、やはり銀行協会もがんばってもらわなくちゃいかぬと思います。ただ、いわゆる条件が非常に違うとか、そういう点は非常によくないと思うんですけれども、そういう点で銀行協会として今後の対応についてどういうことを考えているのかですね。ただ郵貯けしからぬ、けしからぬと言うんじゃなしに、それに対抗していいところはどんどんそれを越してやってもらわなくちゃいかぬと思うんですが、そういう点をどう考えているのか。
 それと、郵貯懇を守っていないということですが、一言で言ってどういうところが非常に守ってないのか、この二点をどうでしょうか。
#25
○参考人(村本周三君) ただいまの先生のお話、私どもは官業と民業というものが日本経済の中でどういうふうにかかわっていたらいいのかという基本的な哲学から来ていることだと考えております。
 私どもは、日本の現在の経済制度は資本主義であり、民間経済の活力を駆り立てることによって発展をしてきておるし、また発展していくべきものだと思います。したがいまして、民間でやれることは官業はしないのが現在の日本の経済制度の基本の哲学であろうと思います。郵便貯金法を拝見いたしましても、広く国民に公平に簡便確実な貯蓄手段をいわば日本の津々浦々にまで公平に与える、これはやはり民業といたしましては採算のとれる場所でなければ営業ができませんから、そういう意味で官業がそういうものを補完していただく、そういうことで官民がかかわっていくのが私どもは日本経済のあるべき姿としていい姿だと思うのであります。
 国民にとって便利なことはふえてもいいではないかという御指摘もございましたけれども、国民にとって便利なことを私どもがしていないのならばともかく、私どもで十分サービスをしておるのでありますから、たとえば通帳一つ発行いたしましても、私どもは印紙税を払っておりますが、官業は印紙税を払っておられない。われわれは法人税を納めておりますが、官業の場合には違う。そういったいろんないわば税金上あるいは補助金その他の国の資産上のプラスを持ってコスト的に競争されては民間の方としては大変困る、こういう意味で、便利だからいいというだけの考え方には、われわれとしては賛成できないというつもりでございます。
 なお、郵貯懇報告のどこが実現されていないのかということでございますが、私ども、預金金利の決定につきまして、郵貯懇が言っているようなことが昨年の金利の引き下げの場合には守られて、これは大変評価しておるものでございますが、郵貯懇全体の考え方は、一口に言いましていま私が申し上げましたような、これ以上官業が肥大しては日本民業の危機になるという認識のもとに、官業をこれ以上肥大させないでほしいというふうなことで一貫されておると思います。それが新しくいろんなサービスをお始めになるということは、官業の肥大化ということから見て、一番郵貯懇が実現されていない点であろうかと思います。
#26
○塩出啓典君 その点はひとつ金融機関としても大いに努力をしていただいて、国鉄の場合は官業と民業が並行しても民業がやはり勝っておるわけですから、そういう意味で多少のハンディが官業にあっても、やっぱり民間の方が効率もいいんだというそれぐらいの気構えでひとつがんばっていただきたい、このように思います。
 それから、村本参考人に対する最後の質問でございますが、先ほどグリーンカードの問題について異論はない。ただ、四点ほど、国民のプライバシーを侵害してはいけない、また利子配当だけが不公平税制の是正でほかの不公平税制が温存されてはいかぬ、あるいはまた新たな不公平が出てはいけない、それから金融機関に負担がかかってはいかぬという、こういうようなことでございますが、特に利子配当以外の不公平税制というか、これは具体的に何かお考えであるのかどうか。あるいはキャピタルゲイン、いわゆる証券、株式の売買のそういうものをお考えになっているのかどうか。それから、新たな不公平というのはどういうことか、特に具体的に何か御意見があればお伺いしたいと思います。
#27
○参考人(村本周三君) 最初に、民業の方もしっかりやれと御激励をいただいたわけでございますが、私どもも実は郵貯懇の中で大変しかられておりまして、国民のニーズにしっかりこたえていないではないか、生産性を向上さしていないではないかというおしかりを受けておるのでございます。
 私どもといたしましても、いろいろやりたいことはあったのでございますが、うまく実現できなかったということについてはいろいろ原因もあるのでございますが、たとえば、私どもは郵貯の定額貯金に対抗するために、ようやく皆さんの御賛同を得まして期日指定定期預金というものを始めさしていただきました。これは国民のニーズにわれわれがこたえたということでございまして、現在のところ好成績を上げておりますので喜んでおる次第でございます。こういう意味で、われわれもできるだけサービスを向上さしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 国鉄と私鉄の比較に比べてということは、どうもなかなか一口ではお答えいたしかねますので、先ほどの税金の問題であるとかあるいは税制の問題であるとか、そういうふうないろいろを込めて、またゆっくり先生に申し上げたいと思います。
 それから、どういうことが特に不公平なのかという点でございますが、今度のグリーンカードが行われますと、利子配当は全部本人を確認して支払い調書が参りますから、それぞれに総合されるわけでございますが、たとえばゼロクーポン債を買ってそれを期日前に売却いたしますと、そこの税金が支払い調書も出ませんし、いわば税務署に行くすべがないという意味で、私どもはこういうことが新しい不公平の一つの例証であると考えておるわけであります。
 先生から、キャピタルゲインとの比較ということのお話も出たわけでございますが、今度のグリーンカードによりまして利子配当が全部そういうふうな総合課税になって、ほかのところは全く影響がないと言えば、やはりそれは新しい不公平であると私どもは考えておるのでございます。シャウプ以来いろいろ税制にもひずみが出てまいりましたので、ここで一遍税制というものを基本的に考え直していただきたいというのがわれわれの現在の気持ちでございます。
#28
○塩出啓典君 それでは、次に横田参考人にお尋ねしたいと思います。
 参考人は、有価証券取引税をもっと軽くしてくれというのですね。特に現先、いわゆる短期金融市場において現先を行う場合等、ほかの場合に比べて非常に不公平である、こういうような御意見で、私たちも、先進国に比べて非常に高い、そういう点は理解をしているわけでありますが、先ほどお話の出ました有価証券の譲渡所得の課税が現実的には行われていない、それにかわるもののようなそういうような印象を私は持たれておるんではないか、このように思うわけでありますが、いまお話のありました有価証券の譲渡所得課税との関連においてどうお考えか、これをお伺いしたいと思います。
#29
○参考人(横田良男君) 有価証券取引税が諸外国に比べて非常に高いということを申し上げましたのですが、日本は、いま株券の場合は売り手にかけられるんでございますが、一回当たり〇・五五%かけられています。それから国債の場合は〇・〇三%、事業債の場合は〇・〇四五%。これをアメリカ、イギリス、西独あたりと比べてみますと、アメリカは株券も債券もゼロです。イギリスは同じようにゼロ、西独は株券については〇・二五%ですから日本の半分以下でございます。
 このように、他国の場合は非常に低率でございますけれども、特に日本の場合、われわれがいますぐにでも撤廃していただきたいとお願いしているのは、債券の短期売買市場である現先市場が一番この有価証券取引税の負担を受けて困っている市場でございます。その状況は、これは他の短期金融商品の取引と比べてどういう差があるかということをお話しすればおわかりいただけるかと思います。
 まず譲渡性預金、これを現先で扱うというのがかなり行われています。この場合は税負担が年間換算で二千円にすぎませんが、これは十億円をやった場合ですね。十億円を三カ月ごとに現先取引でつないでいって年四回やった場合。そういうふうに考えていただきますと、一回当たり五百円の印紙税で四回やりますから二千円になります。それに対して、同じく十億円を三カ月ごとの債券の国債なら国債の現先で四回やりますと四百八十万かかるわけです。それだけ投資家の負担が大きいものですから、現実に、現先市場は昨年の夏ごろから縮小に転じております。
 それから、譲渡所得税との関連でございますけれども、譲渡所得税、キャピタルゲイン・タックスというのは、日本でも年間二十万株以上、五十回以上という売買をなさった投資家についてはかけられております。それはそれでかけられおりますし、それから新規公開をするような場合、創業者利得というものについてもかけられている、全部じゃございませんけれども、一部かけられておると。そういうふうに、それはそれでだんだんと捕促されるようなシステムになっておりまして、一方、有価証券取引税の方は、取引税の方でまたどんどん上がっていく、そういうようなかっこうになっておりまして、当初はたしかキャピタルゲイン・タックスを余り追求しないかわりにというような考え方もあったと思いますけれども、いまは何か別々の体系でおのおのがふえていくというような感じになっておりますので、それをひとつ何とか改めていただきたいと要望申し上げている次第でございます。
 以上でございます。
#30
○塩出啓典君 それから、来年から銀行がいわゆる国債の窓販を開始するわけでありますが、証券業界としては、どういう影響を考えているか。非常に価格形成等にいわゆる歩積み両建てのようなそういう銀行の圧力、まあ圧力というとあれかもしれませんが、そういう形で売り込みが行われるとか、そういうような点を心配しているようにお聞きをしているわけですが、どういう点を心配しているのか、それに対する対応をどう考えていらっしゃるのか、その点を、ちょっと時間ございませんので、要点だけお願いしたいと思います。
#31
○参考人(横田良男君) 銀行による公共債の窓口販売というものは、御承知のように三人委員会で長い時間をかけて検討された結果、結論が出まして、五十八年の四月一日から公共債の窓口販売とそれのはね返り玉の買い取りまではよろしいと。あと中期国債あるいは割引国債の取り扱いといわゆるバンクディーリングについては今後の検討にまつという決定になったわけでございまして、もとより証券界としてはこの三人委員会の決定が出ればそれにお従いしますということを言っておりましたので、否やはございませんけれども、これから検討が行われる後段の部分については、やはり証券界としては極力反対であるということを申し上げざるを得ないと、そういうことでございます。
 で、窓口販売そのものにつきましては、銀行さん側ではいわゆる総合口座というようなものを使っておやりになる。したがって、そういうことはそんなにたびたびはないかと思いますけれども、国債の値段が発行価格よりもうんと下がって、そのときに金が要って売らなければならぬというときに大変損が出る。銀行さんならば担保貸ししましょうというようなことが行われる。あるいは国債の利金の支払いなどもその総合口座に自動的に振り込まれるというようなことになりますと、証券会社の方はそういう機能はいままではございませんので、証券会社で国債を買った場合と銀行の窓口で買った場合と差がついてくる。
 そういうことになりますと、われわれが過去十七年間営々として国債の個人消化に努めてきたにもかかわらず、われわれの方がこれからの販売については非常に不利に追い込まれるということがあっては非常に困る。したがいまして、私の方でも証券界についても何とか担保金融、国債に関するものだけでもやらしていただけないだろうか。あるいは、国債の利金の支払いも、そのときにすぐ窓口に来ていただかなくても、何かいい受け皿を考えて、利払いの日に一斉に殺到してこられますと、お客さんも受け取るまでに時間が大変かかるというようなことで不便をおかけしますので、そういう意味からも何か受け皿を考えていただくことによっていわゆるイコールフッティングを図っていただきたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。
#32
○塩出啓典君 この問題については村本参考人の方も御意見はあろうかと思いますが、時間がございませんので、最後に貝塚参考人にお尋ねしたいと思います。
 先生は、後半今年度の景気対策で七七%の前倒しをして、その結果余り自律回復的に景気が上向かない場合には建設国債を出せと、こういうような御意見でありますが、政府は五・二%という目標を掲げておるわけで、民間の金融機関等は四%とかそういうような程度でありますけれども、先生としては大体どの程度の成長が望ましいのか、いまの日本の経済の情勢から見てやっぱり五・二%になるまで建設国債を発行して上げろという意味ではないんじゃないかと思うんですがね、どの程度の成長が望ましいか、それだけの潜在成長力がわが国の経済にあるのか、この点の御意見を承りたいと思います。
 それともう一つは、これは将来の国債の償還で、ある時期が来れば増税が必要であると非常にいとも簡単に言われたわけでありますが、まあ増税というのは非常に国会としてもむずかしい問題なんですが、そういう将来の増税について、いろいろ増税のあり方をどういう形がいいのかという、たとえば直間比率とかそういうような点について先生の御意見を承れば幸いと思います。
#33
○参考人(貝塚啓明君) 最初の御質問にお答えいたしますが、どの程度の経済成長が必要であるかということでございますが、私は政府の見通しをきっちり達成する必要があるというふうには必ずしも考えておりません。ただ、経済がある程度はっきりと自律回復すればいいのじゃないか。したがいまして、今年度の後半に景気が好転していくめどがはっきり立てばよろしい、そうでなければ追加的な景気政策が必要であろう、そういうふうに考えております。
 まあ村本参考人が言われましたような御意見も当然一つの考え方でありますし、これはある意味で経済の活力をどういうふうに考えるかという人々の考え方の相違でもあります。まあ私どもの場合、やや高度成長路線のいまでも多少そういうものに、日本の経済はなるべく長い間活力を維持する方が望ましいというふうに考えておりますので、できる限りうまく景気が回復するようにスムーズに、ですから公共投資を前半に前倒しいたしますと後とぎれるわけですね、そのままの予算措置では。そこで、景気がうまく回復しないというふうになりますと、やはりそこをつなげてやる必要がある。つなげてやるということが補正予算における公共事業の増額ということで、つなげる必要があるかどうかは、民間の方が浮揚してくることがほぼ確実であればつなげる必要がないということでございます。
 それから、第二の御質問につきましては非常に大きな問題で、ごく簡単にお答えせざるを得ないということになると思いますが、やはり日本の租税体系は直接税依存型で来たのでありますが、昨今の状況でわれわれが、皆さんもよく感づかれたということになると思いますが、やはり租税負担というのはかなり高くなっておりまして、特に限界的にたとえば千円追加的に稼いだ場合にどの程度の税負担になるかといいますと、これは恐らく平均的に言えば二百円とか三百円、要するに地方税も含めまして直接税でかなり税負担が重くなっております。税金の負担が重くなってきました場合に、所得税だけでやっていくというのは私は、従来の財政学の定説は所得税が一番いい税金だと言われておりましたけれども、ややその点は考えを変える必要があって、バランスをとった方がいい。
 要するに、所得税だけでやっていきますと、やっぱり税負担が極端に上がってまいりますといろんな問題が起きます。グリーンカード制度の問題も一つのあらわれでありますし、そのほかいろんな節税とか、場合によっては脱税が非常にふえてくると。これはもう先進諸国で、イギリスなんかにはもう顕著にあらわれておりまして、所得税だけで政府が大きくなっていくときにそれを支えていくというのはかなりむずかしいのではないか。日本も徐々にやはり高齢化社会になりますので、政府はやっぱりある程度大きくならざるを得ないというふうに思います。その場合に、財政としてそれをどういうふうに帳じりを合わせていくかという場合には、直接税だけではなくして間接税にある程度バランスをかけてやる必要があるのではないかというふうに思っております。
 赤字国債がどうなるかという話でございますが、うまくいけば恐らく経済規模がある程度上がり、それから財政再建がある程度進みますと、予算規模もかなり拡大してまいりますし、ある程度の財政上の余裕が多少出てくればそれほど大変なことなのかどうか、そこのところはまだちょっとわかりませんけれども、もし経済が非常に成長が鈍いといたしますと、そして赤字国債の部分を新しく税収入で賄うということになりますと、先生がおっしゃいましたように、大変増税の問題は深刻になります。
 ですから、そこのあたりが恐らく今後の日本の経済成長がどの程度維持できるかがこの問題のむずかしさ、やさしさにつながるものと考えております。
#34
○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
#35
○神谷信之助君 共産党の神谷でございます。
 時間がもうありませんから、参考人の皆さんに一度にそれぞれお伺いしたいと思います。まず村本参考人に対しまして、グリーンカード制の問題については先ほども同僚委員からの質問にお答えになっています。グリーンカード制は現段階に至って反対だという理由について、部分的にはわれわれとも意見が一致をするわけです。私どもはグリーンカード制そのものには反対だけれども、総合課税には賛成だという態度であるのは御承知のとおりです。
 そこでお聞きをしたいのは、グリーンカードでなく、これを採用しないで総合課税に移行する場合どういう方法がベターだとお考えか、この点一点お聞きしたいと思います。
 それから第二点は、週休二日制の問題ですけれども、これはいまお聞きをしますと第二土曜を休日にする方向で準備が進められておるようですが、早急な実現が望ましいと思うんですが、その状況についてお聞かせをいただきたいと、以上二点について。
 それから、横田参考人にお伺いしたい点は、国債の個人消化がかなり進んでいると、業界の皆さんの努力を認めてほしいというようにおっしゃっておられるわけですが、その現状、特に所得階層別あるいは金融資産の保有階層別に見た場合に、それは一体どういう状況だろうかという点、もしおわかりになればお答えいただきたいというふうに思います。もし急なことですぐに資料をお持ちでなければ後ほどでも結構ですが、そういう点をひとつお願いしたいと思います。
 それから貝塚参考人にお伺いいたしたい点は、御承知の歳入欠陥が五十六年度でも相当出てきて赤字公債を発行せざるを得ない、こういうことで、これはとうとう八年目になってきています。今年度、五十七年度予算につきましても歳入欠陥あるいはこれからの景気浮揚対策いかんによっては、また建設国債だけで済むかどうかということもいろいろ言われているわけですね。
 そういう状態になってきますと、きわめて深刻だというように思うんですが、したがってその原因の問題ですね、歳入欠陥を来した原因の問題、これは私どもの立場から言えば軍事費の問題その他いろいろありますが、その原因の一つに、やっぱり財政構造上の問題があるんじゃないかと思います。そうして経済が全体が低成長あるいはスタグフレーションの時代に入っているにもかかわらず、高度成長型の財政構造というものをなかなか脱却し切れない、温存されているということも一つの根本問題になるんではないだろうか。この点についての御見解をお聞きしたい。
 それから第二点は、真の財政再建を実現をするといいますか、同時にまた、今日のスタグフレーションから脱却をする、そして日本経済の民主的な回復といいますか、根本的な回復を図っていくためには従来のやり方ではやっぱり行き詰まってきているといいますか、打開できない問題があるのではないか。
 したがって、大企業の設備投資を進め輸出を拡大をするというのは、御承知のように国際問題になってきていますし、それからそれらの基盤整備といいますか、資金力を強めるための大型の公共投資事業、こういったものを中心にしながら景気刺激政策を進めてきた。それだけ、そういう方向では今日の日本経済の再建というのは、国際的な面から言いましても国内の内需の状況から言っても、きわめて困難ではないだろうか。そこでGNPの最大項目を占めている消費、国民生活の可処分所得を増大するといいますか、こういった方向に、言うなれば国民生活関連の公共投資の拡充、強化という方向に日本の財政運営自身根本的に転換をする必要があるということを私ども考えておりますが、この点についての御見解をお聞きしたい。
 以上でございます。
#36
○参考人(村本周三君) 最初の、総合課税をするのにグリーンカードなしでうまく名案があるだろうかという御質問でございます。
 正直申しまして、名案がないからグリーンカードになったんだと思いますけれども、理論的には国民の租税に関するモラルが向上いたしまして、申告所得で完全に行われれば、これはいいわけでありますが、なかなかそう性善説にいきませんので、どうしても税務署の方でそれをチェックする方法が必要になるわけでございます。それには支払い調書が出て、それを税務署において総合してチェックをするということでございまして、グリーンカードはその支払い調書をつくる上において、これが本人であるということを間違いなからしめることをもう一つの目的としておるから、したがって支払い調書の集計が確実にできる。そしてまた、もしグリーンカード番号で国税庁がコンピューターで集計するならば、きわめて簡単にできるということでございます。
 それ以外の本人の証明がいろいろあるわけでございますが、それ以外の本人の証明で支払い調書がつくられて、それが国税庁で総合せられれば、総合課税がうまくできるわけでございますが、そこには理論的な公平の理論と、それから実際問題としての徴税コストの問題が出てこようかと思いますので、この点先ほど貝塚参考人からおっしゃったように、所得税だけでいいのかという、いわば日本のシャウプ以来の税制のひずみの基本にさかのぼるべき問題があろうかと思います。正直申しまして、われわれといたしましては、国民背番号か、それから一歩引いたグリーンカード以外にはとことん突き詰めての公平はないのだというのが政府の税調の結論でございまして、ああいう答申になった次第でございます。
 それから、第二の御質問の週休二日制の問題は、かねて当委員会におきましてもいろいろ先生方から激励もされ、そしてまた御決議もいただいておりまして、銀行協会としてもその実現に一生懸命努力をしていたのでございますが、本年四月一日施行されました新銀行法におきましては、旧銀行法第十八条の休日に関する規定が改まりましたのでずっと行いやすくなったわけであります。
 そこで、銀行協会といたしましては、昨年の秋からいろいろ準備を進めまして、ことしの初めになりまして労働省から、貿易摩擦に関連しての日本の労働時間の問題で週休二日制を進めたい、それについては金融機関がぜひてこになっていただきたいという御要請もありまして、銀行協会の案をつくりましで金融団体協議会で各業態にこれをお示しいたしまして、現在ほぼ各業態の御賛同を得て第二土曜日にするということにいたしております。ただ、それにはなお国民の皆様のコンセンサスをいただくということが必要でございますので、予定の日を決めてもそれまでに六カ月ぐらいを費してそういう皆様方のコンセンサスを得たいと思っております。
 この点につきましては、先生方のそういうふうな御説得と申しますか、あるいはまた各官庁のそういう方向が時代の方向であるという御認識の上に立った御勧説をいただければ大変ありがたいと思っておりますし、もう一つ、各民間金融機関はなかなかむずかしいけれどもぜひそれでは思い切ってやろうということには、これは民間金融機関というよりも全金融機関がそろわなければできないんだからぜひそろってやりたい、それには郵政省、郵便局もぜひ一緒にやっていただきたいということを切望しておりますので、この点につきましても先生方の御指導をいただきたいと考えておる次第でございます。
#37
○委員長(河本嘉久蔵君) 簡潔に願います。
#38
○参考人(横田良男君) 国債の個人消化がどういう階層によって行われているかということでございますが、昨年の五十六年六月から七月にかけて日本銀行の貯蓄増強中央委員会事務局でまとめた数字がここにございます。
 まず、所得別にいきますと、年間所得が五百万以下の割合が一八・六%、五百万から七百万未満、これが一〇・二%、七百万以上が一八・三%、不明が七・一%、そういうことになっております。これは六千四百三十五の標本による調査でございます。
 それから証券界の方でも調べてみましたところ、これは直接お答えになりませんけれども、国債の個人消化は特別マル優によって消化されているのが大部分でございます。特別マル優を利用されているお客さんの一件当たりの投資額、購入額は幾らかと見ますと、百三十二万円でございます。したがって、これを中心に上下にばらついているのではないかと思います。
 それからまた、私ども証券界では累積投資というのをやっておりますけれども、この累積投資の最低の入金額は五千円でございますから、十分いわゆる零細投資家についてもニーズは満たすようになっておると申し上げます。
 以上でございます。
#39
○参考人(貝塚啓明君) 二つほど御質問がございましたが、最初の御質問は、現在の財政が過去の高度成長期のやり方を余り変えないままでやってきて、そういう点の問題が含まれている、財政赤字の原因は一つはそういうことであるという御質問の御趣旨ですが、私もそのように考えます。一つの原因は、やはり高度成長期に拡張してきた、そしてそれが現在でもやはりそのままある程度そういう財政支出の形といいますかパターンが残っているというところに問題があるということはそのとおりだと思います。恐らく行政改革とか財政改革というのはそういうふうな方向を修正していくことであろうと思いますが、なかなかこれはある意味ではむずかしい問題であるというふうにも思います。
 それから二番目の御質問で、日本経済で従来は設備投資を中心に経済を発展させてきたわけでありますが、そういうやり方ではなくして別のやり方があるのではないか、公共投資に関しまして生活関連を中心に経済を考えていく必要があるのではないかという御質問ですが、この点は恐らく、公共投資も昭和四十年ぐらいから生活基盤型にはある程度移っております。今後の日本経済のどこが一番先になって進んでいく分野であるかというのはなかなかむずかしいと思いますが、恐らくは今後人口がある程度地方に還流するといいますか、ということは大体そういう傾向がありまして、というのは、平たく言いますと現在の社会は大体長男長女社会であって、東京へ学生が出てきましてもそのまま今度は郷里に帰るということになります。
 したがいまして、恐らく地方都市に受け皿をつくるというのが重要で、公共投資はそういう分野で行われる必要がある。それからもう一つは、恐らくは、既存の大都市といいますか巨大都市、東京のような、あるいは大阪、名古屋、そういうところの都市の再開発をある程度やり、安全投資をやるというふうな方向が恐らく望ましいのではないかと思います。大体そういうふうに考えております。
#40
○柳澤錬造君 民社党の柳澤でございます。
 参考人の先生方に貴重な御意見をお聞かせいただいたことを感謝を申し上げます。私の持ち時間は十分ですから、一問ずつお聞きをしてまいりたいと思いますし、簡潔にお答えをいただければと思います。
 村本参考人にお聞きしたいのは、五十七年度の成長率が三%もむずかしいではないか、そうであっても十兆四千四百億の国債発行高は超えてはいけませんと言われましたんですが、果たして超えないでやれるかどうかなんですね。今年度はまだ十兆四千四百億出して国債費を払っても二兆六千億ぐらいの国債のお金が使えるんですが、来年度になるともう八兆四千八百億の国債を発行して国債費が八兆八千五百億かかってしまう。言うならば、全然国債のお金が使えなくなるんですから、当然ことしのうちにその来年が関係が出てくると思うんです。だからそういう点で、三%成長すらもむずかしいということになっていくと、その十兆四千四百億の発行だけで抑え切れるかどうか。これはもう個人的な御意見というか御判断で結構ですが、お聞かせをいただきたいと思います。
 それから横田参考人にお聞きしたいのは、公社債の流通市場の規模が年間三百兆円にもなったということは大変大きなあれになっているわけですが、私ども前から、国債も自由売買市場を設けて、そして言うならば実勢金利に任せて、実勢金利に任せればそれが一つの国債を発行するコントロールになって、だぶついているから少し控えるとか、かなり国民が買って消化しているからこれはまだ出せるとかというそういうコントロールの役割りも果たすから、そういう自由売買市場を設けた方がいいではないかということを政府にも言っているんですが、なかなか聞かないんですが、そういう点について横田参考人どうお考えになるかということをお聞きしたいと思います。
 それから、貝塚参考人にお聞きしたいのは、赤字国債になっていることがいろいろいつも議論になっているわけですけれども、国家は私企業ではないんだから、だから国家経済の見地に立てば、赤字公債であろうが建設公債であろうが、国債のその総額がいま幾らあってそれが国の経済としての負担にたえられるかどうかが大事だと思うんです。ですから、その辺について貝塚参考人の御意見をお伺いしたい。
 以上です。
#41
○参考人(村本周三君) ただいま先生御指摘のとおり、十兆四千四百億円で済むかというのは一つの大きな問題だと思います。五十六年度におきましても当初の発行予定高が税収不足から追加発行になりまして、五十六年度にさらに税収不足が出てまいりますと、それを踏み台にした五十七年度にさらにやはりそういう問題が繰り越されてまいりますので、十兆四千四百億円で済むかと申せられると、私ども大変心配しておると申し上げたいのであります。心配しているからこそ、ぜひ十兆四千四百億円でとめるんだというつもりで御努力を願いたいというお願いをいたしておるつもりでございます。
#42
○参考人(横田良男君) いまの日本の公社債流通市場三百兆円のうち国債の占める割合は大体六割でございます。
 したがいまして、それだけ巨大な取引量でございますから、これは自由市場でやらなくてはできませんので、すでに完全な自由市場になっていると私どもは判断しております。確かにかつてはまだ大量国債発行時代でない時代は自由市場でなかったような形跡がございます。たとえば四社間で取引所の値段を五銭動かすあるいは十銭動かすと、とたんにどこかから電話がかかってくるというようなことがございましたけれども、そういうことはいまは一切ございませんので、完全な自由市場が形成されていると思います。
 以上でございます。
#43
○参考人(貝塚啓明君) 国債の問題につきまして、国債は赤字国債と建設国債と区別するのは余り意味がないのではないかという、国債全体で考えるべきだという御質問だと思いますが、そういう考え方も国債の問題いろいろな考え方がありまして、経済学者でもそういう考え方にあるいは賛成の方もおられると思いますが、私は次のように考えております。
 国債は金融的には、金融の面から言いますと、赤字国債も建設国債も違わないといいますか、要するに実際に売買されておりまして、これが赤字国債でこれが建設国債だから持つと、あるいは持たないというような人は両方ともどちらでもいいわけであります。ですから、金融的には国債というのは赤字国債も建設国債も区別しがたい性格のものだろうと思います。
 しかし、財政上はその点は少し違う。というのは、財政上はやはり経常支出を賄う国債と投資支出を賄う国債とは性格が違うのじゃないか。経常支出を賄うという国債というのは、やはり一番財政のディシプリンというのは、財政のディシプリンを守るときには恐らくやはり経常の部分でどんどんどんどん政府が拡大していくのが一番望ましくない。ですから、そこで赤字国債を発行するというのは、ディシプリン上はやはりまずいのではないかというふうに私は考えます。
 建設国債の方は、やはりある種の生産的な投資とか物となって残るものがありまして、それを国債で出すわけですので、ある意味で平たく言えば物の担保があるわけです。ですから、その点で違うのではないか。ですから、財政再建という問題を考えますときに、やはり赤字国債のところが重要で、建設国債の部分はやはり相当伸縮的に考えてもいいのではないかというのが私の考えでございます。
 ですから、お答えとしては金融取引の面では両者全く違いがありませんけれども、財政の上ではやはり区別する方が望ましいのではないかというふうに考えております。赤字国債の方が問題は重要であって、建設国債の方は弾力的にいろいろ公共投資その他の財源として使い得るし、使っても差し支えないのではないかというふうに考えております。
#44
○柳澤錬造君 時間、ちょっと二分ばかり残っているので、もうちょっと貝塚参考人に。
 私企業の場合だったら、社債を発行して、それで工場を建てたと言うんならば、これだけの借金したけれども、ここにそれだけ資産がある。日常の経費に使ってしまえば消えちゃったんだから。そういう点で赤字の社債なり建設の社債なりの違い、これは明らかにあらわれてくるわけです。だが、国家経済の場合に、建設国債でこれで橋をつくりました、道路を直しましたと言っても、そんなこと意味がないことなんですね、言うならば。大蔵省や何かの帳簿上というか、財政上の区別をするだけのことであって、国家経済としていまやっていけるかいけないかといったときには、そんなもの私は極端に言えば無関係だということなんです。ですから、いまその辺の点がもうちょっと簡潔におっしゃってくれませんか。
#45
○参考人(貝塚啓明君) 国家経済の点からとおっしゃる意味では、両方とも国がやっぱり信用を保証しているといいますか、国の債務であって、国が最終的にはやはり税金で調達して、ある意味で、ファイナンスするという意味では両方同じでありますが、私が申し上げているのはやはりこういうことだろうと思いますが、赤字国債が発行されまして、そして資金市場で、ですから金融の市場で赤字国債がたくさんふえた場合には、民間の投資と競合するわけですね。いまの経済でちょっと違いますけれども、大体経済が順調に行っている場合に赤字国債を発行しますと、民間の市場で民間の資金と競合するわけです。そうしますと、国債がふえますと民間の資金が減るわけです。民間の資金が減るというのは、民間の投資が減るということになります。
 ですから、建設国債の場合にはもちろんそういう民間の投資が減るんですが、同時に物の面が別の面で政府はやっておりますので、そこでやっぱり違いがあるんじゃないかという気がいたします。たとえば両者違いがないというような考え方は、同じ大学ですが、内田忠夫教授なんかは盛んに力説されておりまして、ちょっと私の意見と違うのかと思いますが、いろんな考え方があるということは承知しておりますが、私が申した点はそういうことだろうと思うんですが。
#46
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席を賜り貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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