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#1
第096回国会 大蔵委員会 第11号
昭和五十七年四月二十二日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     神谷信之助君     近藤 忠孝君
     柳澤 錬造君     三治 重信君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     野末 陳平君     前島英三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河本嘉久蔵君
    理 事
                衛藤征士郎君
                中村 太郎君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
               大河原太一郎君
                大坪健一郎君
                梶木 又三君
                嶋崎  均君
                鈴木 省吾君
                塚田十一郎君
                土屋 義彦君
                藤井 孝男君
                赤桐  操君
                鈴木 和美君
                和田 静夫君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
                前島英三郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       大蔵政務次官   増岡 康治君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
       大蔵省主税局長  福田 幸弘君
       大蔵省理財局長  吉本  宏君
       国税庁次長    小山 昭蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       環境庁企画調整
       局企画調整課長  伊吹 文明君
       農林水産省構造
       改善局建設部防
       災課長      吉川  汎君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器課長     若曽根和之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、神谷信之助君及び柳澤錬造君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君及び三治重信君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(河本嘉久蔵君) 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○鈴木和美君 私は、四月二十日の当委員会でグリーンカードの問題について御質疑したんですが、時間の関係で私の言わんとすることをできませんので、後ほどまたそれを取り上げさせていただきます。
 そこで、大変恐縮ですが、重複するかと思いますが、一番最初に、五十六年度における税収不足額は補正後に比べて約二兆円以上もの巨額に達するものと見込まれておりますが、改めて大蔵大臣にどの程度の見積もりなのか、また五十六年度の歳入欠陥は当然五十七年度税収の見込みにつながっていくと思うんですが、五十七年度の税収欠陥はどの程度見込んでおられるのかお尋ねしたいと思います。
#5
○政府委員(福田幸弘君) まず、五十六年度の税収についてお答え申し上げます。
 御審議いただいておったときのデータ、一番新しいのが一月税収で三月八日の発表であったわけですが、その前の十二月税収、これは二月八日発表ということで御審議願っておったわけです。で、十二月の税収は前の年の同じ十二月に対して一三・八%、それから一月は一二・〇と、こう高い伸びが続いていまして、経済指標もまだ楽観できる数字であったわけです。で、その中身としまして大法人、これは法人税のうちの大法人でございますが、十一月税収以来二〇%程度の伸びが続いておったというのが税収見積もりを変えなかった前提というか背景であったわけです。
 九月のところの決算が十一月税収になりますが、これが一二三%と前年同期比伸びておりました。それから十二月は十月決算でございますが、一二九・七、それから十一月の決算が一月税収になりますが、これが一二一・〇と、こう非常にいい数字が予想外に続いておったということが審議いただいておったときの実際の数字でございます。私の答弁もそういうことを踏まえて、楽観は許さないけれども所定の税収はということで期待をいたしておったわけであります。
 その後、これはたまたまでございますが、審議が終わりました後の四月八日、この数字というのは集計が終わりませんとはっきりしませんので、大臣に御説明したのも直前でございますけれども、この二月末の税収というのが予想外の数字でございまして、全体の伸びが五・六ということで二けたが半分になってしまったと、五・六%に低下いたしました。したがって、累計が一一〇%ということで、対補正後予算伸び率は二八・五でございますので、ここのところでこの一一〇を前提に伸ばしますと二兆を上回る数字には計算上はなるわけです。
 しかし、その数字がそのままになるということについては、後に申し上げますようにまだ不確定要因があるということで、まだこの二兆を上回るという数字は公表はもちろんいたしておりません。大臣は数%という感触をお持ちになったのはこの一一〇%ということからであろうと思います。
 特に、法人税がここで不振になったわけで、これは大法人を含む中小法人まで含んだところで九二・七%と前年の七・三%ダウンしたということが今後の税収を占う非常に悪い要因である。そのところの原因でございますけれども、その予想以上に輸出が伸びない、鈍化しておるということを背景にして、生産活動が伸び悩んでおるという姿が表に出てきております。それまでの経済指標はそうでもなかったんですが、特にこれは円安が影響したんではないかと思われますので、円安ですと輸入する方ではこれはマイナスに働きます。石油と石油化学がこの二月税収で非常に悪くあらわれた最大の原因です。電力も同じ影響を受けるであろうというふうに考えられるわけです。
 この円安の進み方というのが予想外であったということと、円安ですと輸出が伸びるわけで、輸出が伸びますとそこが相殺される、もしくはそれ以上の税収のプラスになるのが普通の姿でございますけれども、貿易摩擦の関係から輸出が円安にもかかわらず伸び悩んでおる、これは両方から挟まれておる姿が表に出てきたわけであります。一方、円安にもかかわらず物価の上昇は伴わない、物価の安定は五十六年度の特色でございますが、これが最後まで物価が落ち着いたままでインフレ的な税収のあらわれ方はないということでございます。
 こういうことを考え合わせますと、残りましたところでは所得税の確定申告が今月の終わりにあらわれてきます。これは国税庁の方から報告をわれわれ受けることになると思うんですが、税収の発表はおくれますけれども、この所得税の確定申告が余りよくない感じでございます。それから三月期も決算法人、これが税収の一割、法人税収の三割を占めますけれども、これがいまのような最近の背景から見れば、いろいろ聞き込みもやっておりますけれども、なかなか決算は厳しい様子であるということから、補正後予算額に達することは期待できないということを正直に最近は申し上げておりますけれども、いずれにしましてもそういう不確定要因がございますので、どれだけ歳入減になる、税収減になるというふうには申し上げられない現時点でございます。
 そういうことで、まだ三割方残っておりますので、そういうことで不確定な段階であるということ、しかし非常に不安があるということ、それからさらに歳入欠陥と申しますと、今度は歳出の方の不用等の問題がございますので、そのことを考えますから確定数字は申し上げられない。
 五十七年度でございますが、これも経済の方の前提がどうなるかというのが経済見通しは変わらないままで推移しているわけです。先ほど申し上げましたわれわれの税収の悪さも、経済見通しは実績見通しとしてはその後改定がないままで、ただ、国民所得計算が十月−十二月が悪いという数字が発表になったままです。ですから、経済見通しの前提が狂ってきますと、やはり税収は影響を受けるわけです。
 それが五十六年度の終わりのところですが、経済見通しはまだ変わらないままで、また五十七年度も内需が中心に回復基調に政策が展開されるだろうと、こう見ているわけですから、物価の安定で消費が回復するというパターンが今後あらわれるということをも考えましたら、五十七年度の税収について、これは始まったばかりでございますので、直ちにどうなるかというふうには申し上げられないということで、しかし最初のところの、五十六年度のところの終わりのところが悪ければ当然影響を受けるだろうというのが、これは常識的な判断であろうと思います。
 ただ、直ちに税目のそれぞれにどう影響するか、たとえば物品税あたりは非常に好調な数字がまた続いていますので、その辺がやはり個別の税目でどうあらわれるかは、やはり税収というものが五十六年度の土台に不安があっても、直ちに五十七年度がそのままどうなるというふうには申し上げられない。
 繰り返しますが、年度に入ったばかりでございまして、今後の経済運営、もしくは国際環境がどうなるかというふうな要因を踏まえながら慎重に税収を見守っていきたい、こう思っております。
#6
○鈴木和美君 予測ですから、それぞれの見方はあると思うんですが、大変な私は事態を生じさせるんじゃないかと思うんです。
 そこで、四月の十七日、大蔵大臣と総理は五十九年度赤字公債脱却を堅持するということを確認なさったようでありますが、巷間伝えられているところによれば、この確認は政治姿勢の問題が一つと、それから五十八年度予算をやりやすくするためには歳出をカットするということの、つまり意図的な目標を置いたとか、臨調の答申を待たなきゃわからぬとかいうようなことなどがあって、赤字公債を脱却するという方針は必ずこれを堅持するということを確認なさったという報道がされているわけですね。
 しかし実際は、もはや五十九年度赤字公債の脱却というのはもう不可能なんじゃないかというように大勢は見ていると思うんです。大臣、どうでしょうか。
#7
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは見方は人によっていろいろ違います。違いますが、総理大臣の方針として、五十九年度までに赤字国債から脱却するという方針は、これを変えないということを言っておるだけのことでございます。
 その解釈としては、いまおっしゃったような見方もあるでしょう。それはむずかしいんじゃないか、経済情勢がこうでああでと、しかし絶対できないかというと、できないということもだれも言えないわけですよね、これは。臨調答申をどういうふうに実行するのか、どれだけ活況化できるのか、今後の景気動向がどうなるのか、五十八年も五十九年も悪いというふうにだれもまだわからぬわけですから。ですから、そういう不確定要素がたくさんある中で、やればできる可能性もたくさんまだあるわけですから、やはりいまからギブアップするというようなことはできない。
 そんなことをしたら、結局赤字国債を伸ばしちゃっていいんだということになれば、財源に余裕があるということですから、財源に余裕があるとすればなかなか歳出カットと言っても、それはもらっている方からすれば月給値下げぐらいのショックがあるわけですから、もらっている方からすれば。そうすれば財源があるんなら、そんな一遍にやらなくていいんじゃないかという話が必ず出てくる。したがって、やはり財源を増税でいっぱい取っちゃうよとか、赤字国債をもっと続けて発行するんだよということになれば歳出カットが鈍ることも間違いない。だから、大型増税も念頭になく、五十九年までにはもう赤字国債を出さないよという、しりをふさいじゃっておいて、財源の道をふさいでおいて、そして、結局ふえるものはふえるんですからね。ふえ方も抑まえていく。
 しかし、どうしても抑えられないものはありますよ、たとえば年金なんというのはふえるのを抑えようがないですから、これは。これはもう最優先になるでしょう。人件費と言ったって、人件費は極力抑制ぎみと、これだって減らすよと言ったって口だけで、現実には減らすなんということはむずかしいでしょう、これだれ考えても。ということになれば、減らすべきものについてはかなりきつく減らす方針をとっていかなければ、前年度の同じぐらいの予算の額では抑えることは不可能に近い。
 したがって、それをあえて挑戦する以上は安易に財源を与えない、安易に。一番安易なのは赤字国債をもっと続けて出すよというのが一番簡単ですから、財源としては。その次は増税ですよ。そういうものをやらないという前提で、もう歳出カットに最大の力点を置くということでございます。それを解釈するといま鈴木さんのおっしゃったような解釈もいろいろ出てくるんですよ。
 ただ、総理はそういう解釈はしてない。だから、そういうことでやるんですということで私の方もそれでいきましょうと言っただけでございます。
#8
○鈴木和美君 そのことは、六十年度以降も赤字公債に依存しない財政体質になるんだということに一致しますか。――いまおっしゃったことは、六十年度以降も赤字公債に依存しない財政体質にするということにつながりますか。
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことを念頭にやらなければ、赤字からの脱却なんというのは言うべくして、これはアヘン問題のようなものだから、ある意味では。なかなかそれは、こいつは切るのに禁断症状が起きるわけですよ。アル中患者にアルコールやめろと言うとばたばた騒ぐみたいな話で、それと似たような、全く同じではありませんが、似たような面なきにしもあらずということで、それはそういうふうにつらいことなんです。
 ですから、五十九年脱却と言って、やるつもりでやっているわけですから、五十九年は脱却するんだけれども、六十年にまた発行するんだと、そういうことは全然考えておりません。
#10
○鈴木和美君 決して私は事にするための議論をしているつもりじゃないんですよ。だれが考えても、これだけの財政状態の中で本当にやっていけるんだろうか。もちろんいま総理大臣が言うておる五十八年度予算を目指しながら、当面はこうありたいということは当然でしょう、それは。しかし、それだけで本当に大丈夫なのかということはだれしも心配しているわけですね。だからもっと虚心坦懐に物を述べた方がいいんじゃないかということを私はつくづく思うんですよ。
 そこで、もう一つお尋ねしますが、そういう意味では五十八年度の予算編成というものは大変だと思うんです。そこでいまマイナスシーリングとかいろいろな話がされていますが、その五十八年度予算編成の大綱とかマイナスシーリングの問題について、国民の前に考え方というものを出すのはいつごろになりましょうか。五十八年度の予算に関する大綱ですね、われわれに示していただけるのはいつごろになりますか。
#11
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、予算編成大綱というのはいつも予算編成の直前、いつも十二月の初めか中ごろか、予算の最終決着の前のあたりに予算編成大綱というのを出して、それで最終的に党三役折衝かなんかに持っていくという慣例になっております。だけれども、予算の枠組みとか、そういうのは去年は六月の初めに、二カ月ぐらい繰り上げてシーリング枠を示して八月の概算要求ということにしたわけです。
 ことしどうするか、いつやるか実は内部で、まだ大蔵省の中で相談してないんです。毎日もうみんなそれぞれの委員会に張りつけになってますから、これは一人や二人で相談できる話じゃありませんから、関連してますから。ですから、この連休期間中にでも内部で徹底的に詰めてもらって、連休後いつごろに発表するかという、いつごろシーリングを示すかということは連休過ぎないと私の方も見当がつかない。予算の概算要求の時期はいろいろむずかしい問題はあるけれども、年内予算編成ということを前提にするとやっぱり八月末というのは動かせないところじゃないかと、九月末にはできない。七月にもできるわけがない。ですから、やっぱり八月末。
 そうすると、ただ去年のように六月早々出すか、七月の終わりのころ出すか、そこらのところしかないわけですから、去年は二カ月早めたと、ことしもどうするかまだ決まっておりませんが、まあ早める方向になるんじゃないかなといまのところは思っていますが、まだ具体的にはわかりません。
#12
○鈴木和美君 そのときのシーリングの示し方は、現状の財政の状況、状態を見ると、マイナスシーリングということになりましょうか。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもまだ計数を詰めておりませんから数字はわかりません。かなり厳しいものにならざるを得ない。
#14
○鈴木和美君 厳しいものになるときに、五十八年度の問題は総花的にばっと切りますか、それともやっぱり防衛費は別だということになりますか。
#15
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもまだ具体的に決めておりません。おりませんが、たとえば海外経済協力は、五年間で過去の実績の二倍にするというようなことは国際的にしゃべっておりますからね、国際的なお約束みたいなものは、急にここで引っ込めてしまうということもなかなかむずかしいんじゃないかなと。しかし、年によって一律に順調にということもあるいはいかないかもわからない、五年間のうちに倍にすればいいんだから。
 だから、それを平均で割るのか、まあここ二、三年は少し少なくっても、後段でふくらませればいいのか、そういうようなことなども一切まだ決まっておりませんので、去年と同じようにするかどうかも含めまして、今後の検討課題でございます。
#16
○鈴木和美君 いまの問題は、どうぞ大臣、早めにやっぱり示して全体的な国民のコンセンサスを得るような努力をしていただきたいと思うんです。
 そこで私は、現在の財政状況を見まして大変心配なのは、いろんな前の議事録を、当委員会の長年の議事録見さしてもらいましたら、一つ心配が出てまいりましたのが、去年の九月の六日毎日新聞だったと思うんですが、国債消化難打開のために国債の日銀引き受けという問題が出ておりまして、大変私はショッキングに感じたんですが、それで、そういう立場から議事録を、ずっといままでの議論を見さしてもらいましたら、いつも財政法の第五条のただし書きのところが問題になっているようですね。
 この財政法五条という問題は、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受け」させてはならない。「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」というこの規定を議論されていると思うんですね。
 そこで、お尋ねしたいのは、この財政法の五条ただし書きという問題と日銀法や特別会計法の関連ですね、これを読んでいくと、何か五条ただし書きというのがなくともいいのじゃないのかなということが考えられるんですよ。ですから最初に、第五条の問題と日銀法の問題と特別会計法の問題の関連をちょっと教えていただきたいと思うんです。
#17
○政府委員(西垣昭君) 財政法第五条の関係につきましては、私から御説明申し上げます。
 財政法の第五条は、財政の健全性を確保するため公債の発行方法を制限した規定でございまして、具体的には、国民経済及び財政の健全性の見地から、公債の日銀引き受けによる発行を禁止し、公債は市中資金により消化するという原則を明らかにしたものでございます。
 ただ、ただし書きがございまして、これは御指摘のとおりでございますが、この例外といたしまして、「特別の事由がある場合」で、かつ「国会の議決を経た金額の範囲内」という要件のもとに日銀の引き受けを認めております。で、この財政法第五条ただし書きの「特別の事由がある場合」といたしましては、特別会計予算総則に規定を置きまして、日本銀行が保有する「公債の借換えのために」発行する公債の金額については、国会の議決を経まして日本銀行引き受けにより発行をしているというのがいつもの例でございます。これは借換債の性質上、通貨膨張の要因となるものではございませんので、「特別の事由」に該当するものと解されているわけでございます。
 一般的に申しまして、「特別の事由」がどういう場合かということを一義的に申し上げるのは困難でございますが、いずれにいたしましても、そこのところは慎重に、国会の議決を経てということで歯どめとなっているものでございます。
#18
○鈴木和美君 私たち野党がいま弱いものですから、数が少ないので心配ばっかりするのですが、この「特別の事由」というのは、確かにいま御説明のあったようなことに限定されていると思うんです。
 しかし、財政が窮屈になってくると、それでなくとも国債が非常に大量増発されておって、シ団側の方もそれから金融界も、大変な引き受け困難の状況などをいま言うていると思うのですよ。そのときに「特別の事由」というものが、仮にちょうど借りかえに来るような時期のときにどうにもならなくなってくると、結局その「特別の事由」ということを理由にしながら、法律改正を多少やりながら、結局日銀の引き受けに回していくんじゃないのかと、そういう心配を国債問題について大変私は心配をするんですが、そういう状況ということに対して御見解を承りたいと思います。
#19
○政府委員(吉本宏君) 最近の国債の発行状況でございますが、国債の流通利回りの実勢に即しまして条件の設定を行っておりまして、発行消化はきわめて円滑に行われております。
 昭和五十六年度の発行予定額につきましても、特例公債として残されております三千七百五十億でありますか、その分を除きまして全額市中の消化分を終わっておりますし、五十七年度につきましても、すでに予算が成立した後、四月分一兆円の長期国債の発行を行っております。
 そういう状態でございまして、現在のところ国債の消化は円滑に行われていると私ども考えておりますが、先行き借換債についてどうかというような問題につきましても、これは六十年度以降、特に五十年度以来の大量発行の借りかえが行われるということでございまして、これにつきましては今後さらに研究を重ねなきゃいかぬと思っておりますが、いやしくもその借りかえのために日銀の引き受けとか財政法五条のただし書きを適用するというようなことは、万々ないということを申し上げていいのではないかと、かように考えております。
#20
○鈴木和美君 国債の消化の状況が、昨年六月から八月の長期国債が休債に追い込まれましたね。もちろんそれはアメリカの金利の問題というようなことは当然議論はされておると思うんですが、私は、これからもシ団側もクラウディングアウトの発生などを考えると、条件次第では国債の引き受けを拒否するというようなことだってあり得るのじゃないかと思うんですね。そうすると、結局は日銀が引き受けざるを得ないような事態に追い込まれるのじゃないかなというような、大変国債の先行きを見ながら心配しているわけです。
 したがって、これは大臣にもう一回お尋ねしたいんですが、正式にもう日銀に国債の直接引き受けをさせるということは、国の経済軍事化、また、かつての忌まわしい状況などなどを見ながら、大変悲惨な思い出があるわけですね。したがって、明確にこの段階で日銀引き受けの問題については絶対しないということを確約できるのかどうか、明確な答弁をいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私といたしましては、国債の日銀の直接引き受けというようなことは検討いたしておりません。
 ことに、個人個人の国民は特優、国債三百万非課税という制度があってもほとんどの人が余り国債持ってない、直接個人的に。恐らくこの中にも職員の方いっぱいいますがね、国債持っている人、三百万持っている人といったら私は少ないんじゃないかと、そう言っちゃしかられるかもしれませんが。アンケート調査やってみたところでは、一般の講演会でも何でも国債持っているという人は町場に少しありますが、農村部なんかもうほとんど皆無に等しい。お金はあるんですよ。
 ですから、私は、三百万円以上のマル優オーバーというような人は、ぜひともこの際は国債持ってもらいたいということを話しすれば、いままでは大都市まで行かなければなかなか支店がないから買えなかったけれども、今度は銀行で窓販というような問題もやればどこでも国債が手に入るというようなことになるので、日銀引き受けなどしなくたって私はもっともっと国民に持っていただけるんじゃないか、そう思っておりますから検討はいたしておりません。
#22
○鈴木和美君 昨日、参考人の皆さんから御意見を聞いた中で、横田参考人ですか、シ団側の要請として、国債を引き受けやすくするために期間六年とか七年とか八年の中期国債を公募入札方式で発行するとか、国債の売却制限を撤廃するとか、それから長期国債の引受手数料を百円につき七十銭に引き上げられないか、そういうことを要望したいというお話がありました。さらに国債の売却制限を撤廃することを認めた場合には、私は事実上の国債の日銀引き受けを認めることになるんじゃないのかなと、そういう心配を実は持っているんですが、いかがですか。
#23
○政府委員(吉本宏君) ただいま御指摘の点でございますが、まず六年ないし七年の公債、国債を公募発行できないかという御指摘でございます。
 これは、シ団としては正式にこういう長いものを公募してくれという話を、シ団として正式に話が私どもに来ているわけではございません。シ団の中でも証券会社あるいは金融機関でも都銀、地銀、興長銀、それぞれ若干考え方の相違がございまして、私どもの方にシ団で取りまとめた意見として来ているわけではございませんけれども、これについて私どもの考え方としては、現在二年、三年、四年ということで約二兆八千億円余の公募発行をやっておりますし、十年債も先ほど申し上げましたように円滑に消化が行われておりますので、特に六年、七年というようなものを公募発行するということは考えておりません。
 それから、売却制限の話でございますが、これは明確な形で売却を制限する、明示的な形で制限しておるわけではございませんけれども、一つの慣行的な意味で、かつては一年、それが最初に上場をして最初の利払いを終わった後、これは六カ月ないし七カ月ということでございますが、半年ぐらいは持ってほしいということを言っておりまして、最近ではこれが百日と、約三カ月程度は保有をしてほしい、その後は売却して結構だと、こういう話が行われているわけでございますが、これは金融機関が引き受けに際して手数料を取得しておるということもございますし、やはり若干の保有期間と申しますか、売却制限と申しますか、そういう期間を置くのはこれはある程度やむを得ないんじゃないか、このように思っております。引き受けたものをすぐ右から左へ売るということでなお引受手数料を取得するということも、若干問題があるかというふうに思いますので、この程度はやむを得ないのではないかと思っております。
#24
○鈴木和美君 それでは、ちょっとグリーンカードに移らしていただきますが、二十日のときにも申し上げたんですが、なお整理して申し上げたいと思うんですが、政府は自民党グリーンカード対策議員連盟というところからまだ正式にお話を承ってないということでコメントするのがなかなかできないというお話でした。これは近々やられるんでしょうから、そのこと自身を追及することはやめますが、「エコノミスト」にグリーンカード対策議員連盟の幹事長をなさっている小渕恵三議員がこういうことを述べているわけですね。「二年前、国会で審議したときには予測できなかった問題が出てきた。それでもう一度見直そうと主張しているわけだ。予測できなかった点は不明を恥じるが、改めるべきことは、実施前に改めるべきだと信じる。これまでグリーンカード制については、医師優遇税制、株式等のキャピタル・ゲイン非課税、利子・配当分離課税という三大不公平税制の見直しと、税制的な観点だけから議論されすぎた。これが経済に与える影響については、むとんちゃくすぎた。」と述べられております。
 そしてその次に、「経済に与える影響とは何か。」ということに対して、「金やゼロ・クーポン債のブームは放置できない状況だと思う。金などへの換物運動はインフレを助長するし、ゼロ・クーポン債を通じての海外市場へのおカネの流出は円安傾向を助長する要因になる。こうした状況が続けば、日本経済の活力が失われ、」、こう言われているわけですね。これがいま巷間伝えられているグリーンカード見直し論の一つの主張だと思うんです。それからもう一つは、やはり課税限度額を超えている金額に対しての追跡調査を嫌がる、隠し金ができないというようなことが嫌だというような二つに分かれているように思うんです。
 そこで私は、大蔵省から明確に答えていただきたいことは、前段に小渕さんが述べているような日本経済への影響が大変なんだということに対して、大蔵省は先般、四月の六日ですか、私は日経しか読んでおりませんけれども、これに対して大蔵省の見解が述べられました。二十日のときには公明党の塩出委員からの質問にも大蔵省は答えられた。つまり、割引債や株式への大量資金の移動問題とか、特別マル優への資金の移動問題であるとか、郵便貯金の状況やゼロクーポン債による海外への資金流出、金または土地などへの資金移動、定期預金、定期積金及び相互掛金などなどについて大蔵省はそれなりに見解を述べられていると思うんです。
 時間がありませんから、一々これは答えてもらうつもりはありませんけれども、包括して大蔵省としては、この小渕さんの言うみたいな主張に対しては、いやそうじゃない、御心配要らない、われわれは責任を持って日本経済を預かっておる、ただ足りぬことはPRや説明が不足しているものだからなかなか皆さんに納得してもらえないんだ、こういう態度をとっておられると、私は二十日の委員会の自分なりの受けとめ方、そうとったんですが、それに間違いはございませんですか。
#25
○政府委員(福田幸弘君) 最初の金やゼロクーポンへの移動という問題でございますが、これは繰り返し申し上げていますが、客観的な数字で申し上げますと、金が五十六年中に五千七十五億円輸入いたしております。半分が個人の退蔵と見まして二千五百億円、五十六年中の個人金融資産の増加額は三十五兆三千億円でありますので〇・七%程度。それからゼロクーポン債は昨年から売り出されたものでありますが、二月に相当これは買われたわけです。七億ドルを上回ったと思うんですが、それまでの一年間で十一億三千万ドル、二千六百億円でございますので、ほぼ金の個人退蔵分と同じぐらいです。したがって個人金融資産の増加の〇・七、合わせて一・四、個人金融資産の増加額に占める割合はそういうものである。
 個人の金融資産の残高は五十六年末で三百三十八兆でございます。したがって、両方合わせましても〇・一五%程度のウェートである。全体の金融の中で占めるそのウェートから見れば金融への影響、経済への影響はおのずから判断が出るわけです。個人金融資産の増加は、三百三十八兆円の増加はここ一年間対前年の増加率で一一・七%、預貯金が二百二十九兆で一一・四%伸びております。そういうことでございますし、さらに個人預金の都地銀の五十七年三月の最近の前年同月比も一一・四と伸びていますので、この辺の数字を見れば影響があったとは言えないということは申し上げております。貯蓄率も、これは五十五年の春にこの法案決まった後も低下はいたしておりません。また貯蓄の伸びはいま申し上げたとおりでありますので、客観的な数字から言えばそういう問題はなかろうという判断がございます。
 金はやはり値段が高下しますので、それに応じて輸入が変わります。さらに最近金への選好が生じておるということは言えますが、直ちにこれがグリーンカードからというふうには言えない、金自体を選ぶという問題があろうかと思います。しかし値段が下がる危険もある。
 国内に個人預金がたまるということもまた言えるわけですが、ゼロクーポンの方は新しい商品で、これは課税関係でキャピタルゲインが課税にならない、また償還差益のところで支払い調書がないというような、いままでにない国際商品に対する対応がないという点を強調されたこともあって売れたということもございますが、むしろ金利高という点からこういう商品がヨーロッパでもやはり魅力があるものとして税務当局はその対応策に迫られておるわけでありまして、そういう動きが国際的にあったということは直ちにグリーンカードからというふうに短絡的には言えないというふうな感じを持っております。
 あと限度額をオーバーしておるかどうかの問題はこれは一つの問題点であろうと思います。
 仮名、架空預金もどうかという、実態はこれはなかなかつかめないわけでして、しかしそういうことを限度を守ろう、架空、仮名を排除しようという課税の公平からきた問題でございますので、その辺の問題が生じましてもこれに対して的確な、金融の問題とすれば、そういうことから波乱が生じないように対応していく、しかし課税の公平は期していくということではなかろうか、こういう意見であります。
#26
○鈴木和美君 いまわざわざ御説明いただきましてありがとうございます。
 私は、別にいま自民党さんと公開討論会やるつもりは全然ございませんけれども、参議院の大蔵委員の自民党さんの中にも入られている方も入られてない方もおありなんでしょう、だれかれということはわかりませんけれども。しかし、いま主税局長があえてここで自民党さんのいわゆる主張と言われるものに対して、国の頭脳と言われる大蔵省が責任を持って、そう皆さん誤解は要りませんよということを述べられているんだと思うんです。ですから、グリーンカード問題については改めて自民党さんもちゃんと公開の委員会に立たれて、大蔵省と渡り合って見解を述べられたら私はいいと思っているんです、これは感想ですが。
 言いたいことは、国の責任ある大蔵省が経済情勢、そしてグリーンカードが実施された後の状況などについても責任を持っておられるということに対して、私はそう受け取っているんです。それがなぜこういうふうな問題が起きてくるのかということで、これも渡辺大蔵大臣はこれからりっぱな内閣総理大臣になられるのかもしれません。それに対してこういう皮肉って「エコノミスト」にも書いてありますね。つまり渡辺さん不幸な時代に大蔵大臣になったのかもしらぬのですが、つまりこういう非常に世知辛い時代なものですから。
 それに対してこういうこと書いてありますよ。「大蔵省に対する自民党の反感もその底流にあるという見方もある。これをヒトの面でみれば、急速にニューリーダーとしての地位を高めているミッチーこと渡辺蔵相への反発ということになる。」、これが自民党の底流の中にあると「エコノミスト」では述べられているんですよ。それからもう一つ、鈴木総理のことも書いてあります。自民党絶対多数なものですから、昔は大蔵省の人にいろんな予算のことを頼めば、おれの言うこと聞かなきゃだめだぞと言われた。幾ら陳情しても金がない。それでは自分の地元の票もとれない。だから、理不尽だということはわかっておっても騒がにゃいかぬというような、これが――まあ決してこれはそういうものだけではないかもしれませんよ。しかし、そういうことが巷間言われているということになると、私は国の政治の中でまじめに、まともに議論して、不公平税制というものに取り組んでいる。また給与所得者から見れば全く雲の上の話なんですよ、正直に言えば。九百万以上の問題についてどうだこうだということはむなしさを感じていると思うんです。徹底してやってもらいたいと、私はそういう気持ちだと思うんです。
 だから、ここではっきりさしておいてもらいたいことは、さっきも言うとおり、本当に大蔵省の経済見通しが誤っているという経済見通しの観点からだけ議論をするということになれば、大いに議論なさったらいいと思うんですね。そうじゃない面から出てくることは私はおかしいと思うんです。だから、渡辺さんも私はしっかりしてほしいと思うんですよ。私はいま大変腹が立っているのは、金丸さんにも腹が立っています。あの法案を通したときの国対委員長は金丸さんですからね。あの国対委員長が先頭に立って、自分の国対委員長のときのやつをひっくり返すみたいな話をすると世の中政治に対する不信が出ちゃうんじゃないんですか、これは。そんなことを私は大変憤りを感じるんです。
 そこで大臣に、大臣はそういう意図で言っているのかどうか知らぬけれども、必ずグリーンカードの問題が起きると高額所得者の問題と渡辺さんおっしゃられますね。それは一つの論理として私は研究することもいいと思うんです。しかし、私が心配することは、上の税額をいじるということは下もいじらなきゃならぬということになりましょう。そうすると、広く国民の意見を聞こうということになりましょう。どうやって聞くかというと、税調ということになりましょう。そうなってくると時間が延びちゃうんですね。
 この前の私への答弁は、しばらく勉強さしてくれとおっしゃった。そのしばらく勉強さしてくれということは何を意味するかということが世の中の問題なんですよ。渡辺大臣は大蔵大臣だから、当該大臣だからなかなか言えない苦痛がある。けれども、貯蓄国債をぶち上げてみたり、それから高額所得者の税率をいじるというような問題を言っている意味は、言外に自民党さんのこともちゃんと顔色見ながらぶち上げているんじゃないかというように見られているんですが、そういうお気持ちなんですか、どうですか。
#27
○国務大臣(渡辺美智雄君) 「エコノミスト」に何が書いてあるか知りません。それから、自民党であなたのおっしゃったようなことでやっているかどうかはこちらの人に聞いてもらった方がよっぽど早い話で、私が論評を加える筋合いはありません。
 私としては、要するに総合課税ということは日本の税制にとって何十年ぶりの大変革であることは間違いありません。本質論の問題であります。したがって、先進国が総合課税なんだから、世界の例のないようなことをいつまでもやっていちゃいけません、それは不公平になるじゃありませんか、こういう議論が一つございます。私は率直に認めて、総合課税結構ですということを言っているわけですから、持論ですから私の。しかしながら、先進国が総合課税にしている以上、先進国の税率もやはり参考にしなければならないわけでありまして、総合課税の国で最高税率が地方税、国税両方で九三%なんて国は私は寡聞にして知りません。
 アメリカは所得税だけだと五〇%、イギリスやフランスも六〇%というところでございまして、日本は七五ということになっておるわけですから、日本の経済は世界の経済とつながっておるわけでございます。したがって、税率の問題も極端なことをやると経済に影響があります、これは。現に一番の問題は金利の問題です。金利の格差があるために、要するに日本の円が売られてドルが買われて円安ということが起きているわけですから。
 幸いなるかな日本は物価が世界一安定をしておるということのために、円の利息が安くとも物価が安定しているから結局はそんなに違いはないんじゃないかという見方の人もあって、外国の資本も日本に貯金をしたり日本の国債を買ってくれたり現にやっておるわけですから、それはインフレがないからであって、これが外国のようにインフレになったら、いまの金利などでいったらもうどんどんどんどんそれは円安になりますよ。そのことは不幸なことになります、国民にとって。それと似たような現象が税率問題においてもあるわけでございますから、それは資本というのは自由なんですから、どこに移動しようといまは原則自由なんですから。
 ですから、余り観念論だけにとらわれてもいけない。やっぱり国民全体の幸せ、どういう形で、仮に円安でどんどん資本が逃げるということになればインフレになって、だれが一体かぶるんだと、一番ひどい目に遭うのは持たざる人が一番ひどい目に遭うんですから、結果的には。そういう状態も考えられるわけですから、ですから私としては、総合課税にする以上はやはり税率も世間並みにすべきであるという持論はそこから出ているわけです。
 いつするかということは、それは私は発足と同時がいいだろう、望ましいと、そういう問題の動きが出る前の方が望ましいということを言っているだけでございまして、それは最高税率を減らすというのは下の税率を動かさないということを言っているわけではありません。やっぱり世間並みにしたらいいだろう。ということになると、世間並みにしたら日本は一番税率が下の方は安いから、じゃ下の方を上げるのかという議論があります。しかし、私はそういうことは考えておりません。世間並みにするといっても、いまよりも上げるというようなことは考えておりません。下げることがあっても上げることは考えておりませんということを言っておるわけでございます。
#28
○鈴木和美君 恐縮ですが大臣、そうするといまのお話をそのまま素直にとりましょう。素直にとったとすると、そういう国民的なつまり税率構造を見直そうというような意見を聞いて、それで発足当時まで間に合えばいいという、発足当時というのは大臣としてはいつだとお思いになるんですか、その発足というとこは。それまで間に合えばいいということなんですが、いつだと思われますか。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はグリーンカードによって総合課税をされる申告の締め切りの日と。
#30
○鈴木和美君 国税庁おいでになっていますか。
 私は国税庁にお尋ねしますけれども、いま申告の日という大臣がお述べになったですから、国税庁から私が聞いているのには、五十九年一月一日から実施するに当たっていまこの国会で修正をされる、または延期をされるというようなことなどが決められた場合に一番困るのは何かと聞いたんです、一番困るのは。まず困るその修正の中身というのは非課税の限度額の修正というのもありましょう、税率の改正というのもありますね、いろんなことがあるけれども、総合課税制度問題に関して廃止されるか廃止されないかということが一番問題だというんですね。
 だから、いま大臣が述べられているその税制のお話というものが、五十八年の一月一日まである程度決着がつくという見通しに立たれてそのことをおっしゃっているのかどうかですね、そこが問題なんですよ。五十九年だというんであれば、総合課税に移行するんであれば、こういう税率にしたらどうかというふうなことを言うんですから、こっちが決まらなければこっちも決まらないということになりますね、大臣のお話でいけば。たとえば税率が決まらないということであれば、総合課税にしたいということがあったとしてもこっちが決まらないんだから、まあ理不尽だからちょっと延ばそうやというふうなことになりかねないんじゃないですか。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう総合課税の年は決まっているんですから。決まらないのは、私が言ったのは、それは一年も一年半もあるわけですから、だからその間に詰められるじゃありませんかということを私は言っているわけです、時間があるじゃありませんかと。
 税率問題いまこの国会でやらなければならぬという話はないんであって、だから、五十九年度の申告から総合課税にするんでしょう、実際問題として。ですから、五十九年からグリーンカード、貯金や何かという問題は五十九年の一月一日からやると言うんでしょう。それならそれでやって、実際の申告の問題というのは六十年の三月までに申告させればいいんでしょう。五十九年の十二月の年末調整に間に合えばいいんですから、一番おくれたとしても。
 だから、私はその間時間があるじゃありませんかと。だから、現在のやつは現在のやつで進めておいて、それに追っつくようにやってみたらどうですかということを言っているわけですよ。
#32
○鈴木和美君 五十八年一月一日からつまりグリーンカードの交付などの作業が始まっていくわけでしょう、始まっていきますね。
 そこで、くどいようですけれども、渡辺大蔵大臣としては絶対に総合課税と。いまいろんな巷間言われている総合課税を延ばせとか、結局廃止するんだとかということに対しては、もう体を張っても総合課税ということだけは大臣の名誉といすにかけてもそれだけは死守するという前提に立っておっしゃられているんですか。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵大臣は憲法と法律を守るんですよ、憲法と法律を。それを決めるのは国権の最高機関が決めるんですから、国権の最高機関の決めたことに従うのは当然なんです、これは。いま決まっているんですから、決まっていることを私はやりますと言っているんですよ。そのほかにその環境整備として改善すべきものがあるから、そういうものも改善したらいいという提案をしているだけなんです。
#34
○鈴木和美君 興奮しないで。そうすると、大臣くどいようですけれども、大変恐縮なんですが、そうすると、その時期までにいわゆる環境整備と言うんですか、環境整備というのは、大臣がいままでのおっしゃっている中では税制問題、税率問題だけなんですから、そこのことだけを大体その時期までに調整すればいいじゃないかということですね。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はそう思っています。なるべく早くした方がみんなが心配しないでいいじゃないかというようにも思っています。
#36
○鈴木和美君 残り時間がなくて恐縮ですが、大臣それはそれでわかりました。
 大臣、先ほど国債問題でなるべく安定的な国債の受け方というものは、保有層という言葉、あれに代表されるように国民が持つのが一番いいですよね、なるべく多く。それで貯蓄国債ということを挙げられたあの真意はどういう意味なんですか。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は新聞見たんです、新聞。私はそういうことを表に公式に発表したことはございません。強いて言うならば、国民が国債を持っていないと、もう大部分の個人個人で国債を持っている人は非常に少ないと。したがって、グリーンカードを適用すればそれはもう銀行でオーバーする人もあるでしょう。そういう人はみんな国債を買ってもらうようにしたらいいということですね。
#38
○鈴木和美君 最後に、私は最近の政党政治というものはそれぞれいい点もあるかもしらない。けれども、やっぱり自分の後ろについている応援団のことを大概気にするのが多いものですから、その応援団のためにちょっとでも曲がるようなことがあると、経済に水を差したら大変だと思うんですよ。
 そういう意味では、大蔵省というのは憎まれっ子になってもやっぱり国の頭脳なんですから、そういう意味では政党のいろんな問題を超えてかじ取りを間違えないように、一たん決めたものは決めたように、私はグリーンカードで大いに皆さんを叱咤激励しますからやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
#39
○矢追秀彦君 何度も質問に出ておるかとも思いますが、私の方からもまず初めに税収不足の問題について質問をいたします。
 大蔵大臣が五十六年度の税収不足が二兆円を超す、こう言明をされたのは、いつどこで一番最初にやられましたか。
#40
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、超すという明言をしたことはございません。いまだにありません、いまだに。いろいろ想像としていろんなことを言われるわけでございますが、四月八日か何かに、要は二月の税収の発表が行われました。そこで、その税収の発表が非常に思ったより低い、初めて数字を具体的に見たときに。しかしこれも三月決算というのは五月に入らないとわからない。わからないけれども、そう言ったってなかなかここで三〇%も四〇%も前年対比で残りの税収がふえるということは考えられないじゃないかという質問が多かった、圧倒的に。常識的だと私は思いますよ、常識的に、別に間違っていると思いません。
 しかしながら、本当にそのように法人税なんかもっとよく出てくるかもわからぬが、仮に、四月の八日に発表したような数字が続くとすれば、すればですよ、それは数%ぐらいの見積もり違いというようなものもあるいは出てくる可能性があるかもしらぬというような意味のことを申し上げたように記憶をいたしております。
#41
○矢追秀彦君 これは、四月八日の経団連会館の信託会議で言われたということを明くる日の日経の朝刊で読んだわけですけれども、まず場所について、ここで言われたことはこれは重要な発言ですから。なぜかといいますと、国会ではなかなかそういうことは言われないで、こういう会合で言われたということは適当であるのか不適当であるのか、どうお考えですか。
#42
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、その前の日に、四月の七日に国会で、衆議院の大蔵委員会でいろいろな質問がありまして、その質問に対して結局いままでの見積もりの違いというのは、まあ多いときは前後二〇%当初予算に対してあります。大体、残念ながらなかなか天気予報が当たらないと同じに、経済見通しが当たらないということになれば、そいつをベースにある程度税収見込んでいますから、そこに狂いがくる。例年、したがってまあ五%から一〇%ぐらい行ったり来たりしていることが多い。ひどいときは二〇%も上下したという話をいたしまして、まあ数%ぐらいのものは違いの出てくる場合もともかく心配もないわけではない、しかし、確定したことはわかりませんということを質問に対して言ったわけであります。
 したがって、国会で一切言わなかったというわけではないわけでございます。
#43
○矢追秀彦君 それは、いま言われた問題も事実でしょうが、私が問題にしたいのは、参議院の予算委員会なんですが、三月二十七日にはわが党の大川委員が質問をし、また三月二十九日には中野委員が税収不足の問題について質問をしておるわけです。そのときにはお答えにならないで、そしてこういうところで言われた。
 いま国会でも言っておると言われておりますが、予算のときはなかなか口がかたかった。これは時期が早かったからそうなったのですか、それとも予算審議中にそういうことはもう禁句であるということでおやりにならなかったんですか。
#44
○政府委員(福田幸弘君) 国会で御審議いただいておる時点での税収発表を追いますと、二月八日に十二月分の税収、三月八日に一月の税収であったわけです。そのあとが四月八日の最近の数字でございますが、十二月のところで先ほど申しましたが、一三・八ということで、一月が一二・〇、この姿は上向きの傾向を示したとわれわれは判断したのです。
 と申しますのは、日銀短観も下期は上期よりも相当伸びる数字を発表いたして、それがさらに見直しをした数字でもまたそれを上回る見直しであったという背景がございます。もう一つは、法人税のうちの大法人がこの九月期決算以降二〇%の伸びを続けておるというのが、この経済を引っ張っていくだろうというふうに判断をしておったわけです。
 これが予算審議をいただいておったときの背景でございまして、御質問ございまして、私もその背景で御回答申し上げたんですが、やはり楽観を許さないのがこの税収の見積もりでございまして、所定の税収が入るかどうか、これはやはりそれる期待をしておったということは、以上のような数字を見ながらお答えしておったわけであります。補正ではっきりしたものは補正減を立てたわけでございますので、その補正減を立てたことはそれまでの実績から見てこれはもう回復し切れないというものは手直すわけですから、その後の数字についてはいまのような判断を持っておったということです。
 ただ、その後の経済変化が急速に変わってきた一つは、円安の進行です。円安の進行をどう判断するか、これは非常にむずかしいところであって、迷っておったのが二月末の税収にあらわれたわけです。ここのところで輸入の関係が石油を中心に円安がコスト高になるということで、石油及び石油化学系統がのべつ悪い数字を示したわけです。それと輸出の方が反面伸びないといういままでにない姿を示したのは貿易摩擦が端的にあらわれたということで、この五・六%に二月税収はなったわけで、二けたが半分に減ったということです。
 ここで、そのまま楽観を続けていいかどうか。やはり四月八日発表の、これは七日には数字を大臣に御説明しておったんですが、そのところでこういう数字を持ったということは、やはり率直にいろんな御答弁にあらわれてくるという方が正しいと思うんです。補正を立てたこともやはり一つの実態を見たわけですけれども、この五・六になったということは、今後の税収についてはやはり率直な判断を下すべきデータであったと思います。特に法人税が先ほどのようなことでマイナス七・三という数字になったわけです。二%台を示しておった大法人の方もやはり影響されております。
 そういうことで、この辺から見ればやはり不安があるということを感じざるを得ないわけで、これは審議中にその辺が同じ状況であったというよりも、これたまたま審議が終わった段階であらわれた、二月が格段の違いを示した、二月はいい数字を示すだろうと期待しておったんです。三月の決算というのが法人税の三分の一を占めますから、税収の一割を示すわけで、これがやはり取り込みで先を読むことが非常にむずかしい前提でやってきたその結果がだんだんとこれからあらわれてくるわけです。
 それから、三月の確定申告がいまの時点での経済情勢を反映して余りよくない感じがある。これはまだ数字をもらっておりません、庁の方からは。こういうことでいまのようなかっこうの数字を見ながら、振れがやはりございますので、悪い方の振れとして数%というようなことで申し上げたわけでございまして、しかし、幾ら減るかということは、われわれとしてはまだ確定数字はもちろん申し上げられないということでございます。
 五十七年度に入りましても、まだ税金がこれから入るわけですから、その五十七年度の経済自体にもまたいろいろ見方がありますが、われわれとしては経済見通しという経企庁の数字を前提にせざるを得ない。そういうことですから、五十七年度にどう影響するかについてもまだはっきりしたことはもちろん言えないという、この税収見積もりという性格からいきますとそういうことでございます。
 確定的な数字は、当然これはもう結果としてはあらわれるんでございまして、その際には経済情勢の反映ということもございますし、われわれの見積もりに問題があるとしましたら、今後その辺をどういうふうにその精度を高めるか。やはり法人税に非常に大きく依存したいまの税収構造、しかも年度取り込みで次の次の年の三月まで読まなきゃいけないというようなことの前提での税収見積もりというものの性格を今後どういうふうにそこを精度を高めるかは努力したいと、こう思っています。
#45
○矢追秀彦君 いま言われることは一応わかるんですが、率直な疑問として、いま言われたように四月の初めになって二月の租税収入の実績発表があったと。しかし、それには法人税の三月決算も入っていないし、また確定申告も入っていないわけです。いま言われた二月に期待をしておったのが期待どおりいかなかった、だからこうなんだとストレートにきておるんでして、わずか一週間ですよね、中野委員が質問したのが、たしか申し上げたように三月二十九日です。そのときはお答えにならないで、ただ二月だけを見てこういうふうにすとんと言われたと、少し御説明はありましたけれども。
 この辺で、私は一つはひがみかもわかりませんけれども、国会軽視、特に参議院の予算委員会軽視という感じが非常にするわけです。その点をまず大臣はどうお考えになっておりますか。
#46
○政府委員(福田幸弘君) 税収の見積もりは事務方がやっておりまして、その数字をぎりぎりに大臣に御説明するわけです。国会審議のちょうど終わりの段階でございますが、われわれとしては数字をよくチェックした上で申し上げるだけに相当重要な問題で、それを別に隠したというようなことじゃなくて、四月八日に発表を別にずらしたわけでもない。そのぎりぎりで直前に大臣に申し上げたと。われわれの中でそれは検討しておる際に不安はございますが、確定数字として申し上げるということはいまなお言えないわけで、そういう見積もりの性格としては御理解願いたいと思います。
 税収見積もりに責任があれば、私の問題であります。
#47
○矢追秀彦君 いや、その四月の八日に出したのがずれたんじゃなくて、二十九日ですからまあ大体私はできたんじゃないかと思うんです。だから非常に唐突に、確かにその二月の問題だけでこうなんだというのならわかるんですよ。だけれども、非常にそれまでは何だかんだそうじゃないと言われながらも二兆円を超すということを突如ばっと言われると、ここら辺が予算委員会軽視ということになりやせぬかと、ひがんでいるかもしれませんよ、大臣から見れば。特に参議院は第二院ということで、非常に全国区制度なんというようなことはよけいそれを助長すると私たち反対しておるわけですけれども。(笑声)
 それはちょっと別といたしまして、なぜ私はこれを取り上げたかといいますと、特例公債と非常にこの法案とかかわりが出てくるから申し上げているわけでございまして、ひとついま主税局長がいろいろこれからの税収見積もりのあり方検討すると言われております。だからといって、法人税からいわゆる一般消費税とか大型間接税、もっとやればそっちはうまくいくんだというふうなニュアンスにとれないこともないんですけれども、それは別にいたしまして、大臣としてはこういった面のあり方についての再検討はおやりになりますか。
#48
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が言う前に、新聞や野党の方からも、与党の方からも税収について不安があるということはかねがねずうっとこれは言われていることなんです。しかし、私の方としては根拠がないわけですから、根拠が。まして国会の場で言うのに根拠がないことを言うわけにもいかない。
 しかしながら、ともかく大体数字がはっきり出れば、数字が出れば意外な数字が出たなというようなことで、そいつをしかし数字が出てもまだ三月が出ないんですからわかりませんと、これは公式答弁それでいいんですね、いまでもわからぬわけですから、実際のところは。申告が何ぼ出てくるかわからぬわけですから、それはわからぬでいいんですよ。しかし、それじゃ余り不親切過ぎるではないかという議論も一方出てくるわけです。そこで数字がわかった段階で、仮にそいつの状態が飛躍的によくなるということも常識上どうも考えられない。飛躍的に悪くなることもないだろうけれども、このままの数字で移行すると仮定すればどうだという質問がありますと、そういう発表する寸前の数字があるわけですから、私は知っているわけですから、そのときには。だからそういうのを頭に入れると、仮にそうなると仮定すればまあ数%も上の方というような不安もないではない。
 ですから、信託大会で言ったこともみんな前置きがあるわけですよ、私の話というのは必ず。それは速記録見てもらえば一番よくわかるんでしてね。しかしながら、前置きのところ全部切っちゃってそこのところだけ二兆円前後とばっと出るわけですがね。それにはいろいろ前置きがあって、そこで言ったけれども、数%を金額に直せば一これは算術の問題ですから、数%というのを金額で言うこともですね。数%も一から九まであるけれども、上の方ということになれば七、八、まあ九までは言うかどうか知りませんけれどもね、普通五、六%ということでしょう。だけれども、上の方と言えば七、八、そいつを掛け算すれば幾ら幾らとすぐ出るわけですから。そういうようなことで、そいつを掛け算してみるとこうだというだけの話であって、私としては別に参議院軽視も何も、そんなことは一切念頭にはございません。質問者に対してはできるだけ私は本音ベースで答弁をするというように極力してきておるわけでございます。
 それから、いまもお話ありましたが、税収の見通しがなかなか正確にいかなくなったというのはいろいろ原因がございます。一つは、非常に経済変動が激しいという問題が一つありますが、五十三年以来五月の収入までことしの分に見込んじゃう。その前までは、四月一日以降の収入は来年分と、こうするわけですね。ところが五月いっぱいまでことしの分に見込んじまうということになれば、五十七年度の予算は来年の五月まで見込むということになるわけですから、しかも決算期が従来は年二回で三月、九月と、こうなっていたわけですね。
 ところが、商法改正その他で三月決算ということに去年あたりからだんだんだんだん統一されてきて、三月に集中するから九月の決算が出てこない。九月の決算が出てきていれば半分だけはわかるわけですよ。それで、しかも今度は三月のやつは九月のに基づいたあれですから、これどれだけというのはわかるわけですね。ところがこれは五月まで取り込んじまうということのほかに、今度はそうなると来年の三月のやつは五月まで見なきゃならぬ。しかも三月に、わからないところに決算が集中しちゃっているという点がある。そういうような法制上の違い、しかも激動する経済にぶつかっちゃったというふうなところで歳入見積もりが一層むずかしくなってきているということは、私は事実だろうと、そう思っております。
 しかし、これを直すかどうかという問題になりますと、数年間先食いしているわけですから、まあ考え方によっては発生主義なんだから、三月まで利益が出たものは四月に納めようと五月に納めようと、それは三月分のものになるんだという発想でこれは直したんでしょうがね、考え方によっては先食いともとれるわけです。したがって、これを仮に三月に入ったものだけをその年度のものと見るということにすれば、今度は四月、五月分に入ってくる税収だけ何兆円か足りなくなるわけですから、ですから、いまの財政状態の中でまたもとへ戻すということになればなかなかむずかしいでしょう、これは、できない。
 したがって、かなり将来、高度成長にならないまでも景気が世界的に回復して、順調な自然増収がうんと入るというような時期になれば、これじゃとても、なかなかこれは見積もりはむずかしいから、やっぱりそんなに先々まで見ることやめて、もうもとのように、数年前までのように三月までの分を税収に見込むということの方が無難じゃないか、まして三月決算に集中しているんだからということに統一されれば、それも方法だろうと思います、そういう時期には。
 しかし、いまこれを直すということは、財政上金がないという点からも、もとへ戻すことはいまはできないということであります。
#49
○矢追秀彦君 いま言われたように、税収見積もり一つを見てもこうやって狂ってきたもとをただせば、やはり経済、財政が非常に厳しい運営を強いられてきて、いろんな無理をしてそれがこういうことになってきているということにもなるわけですから、やはり財政の立て直しということが一番の私は大事なことだと思うわけであります。
 次に、本法律案に入りますが、五十七年度当初予算で発行予定の特例公債三兆九千二百四十億円で賄える自信と確信は大臣おありですか。
#50
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは五十七年度の予算ができたばかりで、まだ執行始まったという状態でございます。そこで、景気の落ち込みというような問題等についても、まあ公共事業の前倒しあるいは土地税制の改正、こういうようなものをやって景気浮揚という問題にも配意していくということでございますし、ことしの後半から世界の経済は上向きになるというのが大体世界じゅういまのところ一致した通説だと私は思っております。したがって、日本の経済も世界の経済と連動いたしておりまして、私はそういう点からすれば、できるだけのことをやっていけばこれでできるんじゃないかと、そう思っております。
 経済は生き物ですから、断定的なこととか、絶対的なことなんということはなかなか断言はできません。できませんが、われわれとしては、一応予算に組んであるわけでございますので、これでやっていくようにいろんな努力をしていきたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
#51
○矢追秀彦君 一応大臣は楽観論。楽観論がそのとおりになれば結構なんですが、五十七年度の租税、印紙収入見込み額は三十六兆六千二百四十億円。これは五十六年度当初比でいきますと四兆三千四百億円の増収になるわけで、補正後でも四兆七千九百二十四億円の増収と、こういう見込みを立てておるわけですが、果たしてこの見込みどおりいくのかどうか。いま大臣は自然増収期待をするお話でございますけれども、五十六年度の税収が、先ほどから言っておりますように、こう落ち込まないならば、これからの景気の回復によってある程度は見通しが立つかもわかりませんが、今度の税収の落ち込みということになりますと、私は非常にむずかしいんじゃないかと。ことしでも厳しいから、五十六年度も大変だったんだから、五十七年も大変であるということ。
 もう一つは、五十六年度税収二兆二千億円減が見込まれますと、五十七年度は約七兆円の対前年度比の増収が必要になると思うんですね。この七兆円のいわゆる対前年度比の増収ということを考えますと、これはもう大変なことになるんで、この辺でもいま言われたように、大体見通しはうまくいきそうですか。これはまあ先のことですから、生き物ですから言えませんかもわかりませんが。要するに、私言っていることはわかりますね、七兆円ということは。
#52
○政府委員(福田幸弘君) 税収自体が幾らへこむということが申し上げられないというのが苦しい立場であるわけでございまして、実情はお察し願えると思います。
 数字的に申し上げられない。したがって、またそれの延長で五十七が幾らへこむということもわからない。五十七年度はそのまま影響するとはまた言えない点もございますので、経済見通し等もそのままでございますし、税収の方はそれを前提といたしておりますから、まあ五十六年度の影響と、直にそれが影響するというのも、税収計算ではいろいろの要素がございますので、失礼ですが幾らへこむと、したがって、幾らの増収を要するというお答えができないという段階であります。
#53
○矢追秀彦君 恐らくそう言われると思っておりましたけれども、そういう仮定の議論になるかもわかりませんけれども、仮定といいましても、先ほどから大臣、いわゆる数%ということも言われてきておるわけですから、とにかくかなりの落ち込みになることはもう間違いないわけです。
 それに対して、五十七年度がたとえ世界経済がよくなっても、かつてのような高度成長というのはもうあり得ないわけですから、まあ現在の政府の経済見通しぐらいまでいってやっとこさだと、私はそれでも非常に厳しいんじゃないかと、こう思っております。戦争でも起こればこれはまたちょっと異常な景気というのは出てくる可能性もありますが、そんなことになったら大変なことで、そういうことはしないようにしなきゃいかぬわけですけれども……。
 そういうことで、まあ私が質問したいのは、この特例法が、ことしの特例法案というのは従来とはかなり性格が異なってきてるのじゃないか。法律そのものは変わってませんよ、環境というものが……。したがって、五十七年度予算で見込んだ税収がすでにこの、いま五十七年度開始の今日の時点で非常に厳しい状況になる。まあ不可能と言い切るとこれはまた断定過ぎて、これはまあ仮定の論議になるかもわかりませんが、かなり実際はもういまの段階でもむずかしいと。こうなりますと、この歳入と歳出の不足分を補てんするための国債十兆四千四百億円、特例国債が三兆九千二百四十億円、これにも狂いが出てくるということはもう目に見えるわけですから、そうなりますと結局は、最終的には増発に追い込まれるということが予想されるわけです。
 そういたしますと、いまここで審議しておる前提というのがやっぱりきちんとしてないといかぬわけです。その前提の一番スタートである五十六年度の税収不足というのがこれはもうはっきり、少々の違いがあっても二兆円前後というのはほぼ間違いないわけですから、そうなると非常にこの法案自体の性格も違ってくるし、だから、この審議のあり方についても私は相当考えなきゃいかぬのじゃないか、そう思うんですが、その点は……。従来と同じと――これは法律は同じですよ。しかし前提条件はいま申し上げました、私が。そういうことになった場合、相当本法律案のことしについてはいままでとは打って変わったものであると、こう私は考えるんですが、大臣はいかがですか。
#54
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は必ずしもそう思わないんです。御承知のとおり、この法律案は、いわゆる特例国債を発行する権限を政府に与えるというだけのことでございまして、額を決める法律案ではないわけです。額は予算で決められるわけでございまして、法律案が通ったからといって無制限に発行するとか、でかく発行するというようなことは、国会が認めない以上はできないわけですから、それは予算で規制をされておる。たとえば、去年も補正予算を出して、三千七百五十億円の赤字国債の追加発行をいたしましたが、これは、権限が与えられておるからといって、国会が認めないようなものを発行することは、これは不可能なわけであります。
 したがって、仮にですよ、仮に――これもまた仮にの話でしかられるかどうか、ちょっとね、困るんだけれども、まあせっかくのお尋ねでございますから、仮にそういうような事態ができたという場合には、必然的にそれは補正予算を組んで国会に提案をしなければならないというだけのことでございまして、その額等については国会の審査がない限り、政府の自由になるものではありません。したがって私は、性格は一つも違ってないと、そう思っております。
#55
○矢追秀彦君 ちょっと大臣、私の意味がわからぬのじゃないかと思うんですがね。いままでのこの法案の審議の時点で、要するに追加発行ということが想定される状況はなかったわけですね。いま先ほど言われた予算での議決の面はまた後で質問いたしますけれども、要するに、一応そういうことはこの時点で――後ではさっき言われたように、五十六年の補正でも出てきましたけれども、少なくもこの法案の審議しておる段階、大体三月にはそういう事態はなかった。しかし、ことしはいままでと様子を一転をいたしまして、追加発行やむを得ないという線が非常に濃厚であるわけですね。そこが、前提条件というのが狂ってきておると、この法案自体の性格は去年とは一変をしておるわけです。
 要するに、追加発行が前提となった法案の審議は極端に言うと意味がないと言いたいわけです、私は。この点はいかがですか。
#56
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、追加発行のことは決まっていないわけです。要するに、予算が通過をして、そしてその予算の歳入としては特例国債を見込んだ予算が承認をされていると。
 しかしながら建設国債は、それは政府が財政法で発行できるかもしらぬが、特例国債についてはその都度国会の承認を得るということになっておるんで、この法案は追加発行のものを前提にしておるんではなくて、現に成立した予算の中で特例国債財源というものは見込まれているわけですから、額も決まっているわけですから、額も。この法案が通ったからよけいにそれよりも余分に発行できるとか何かという筋合いのものでも何でもないのであって、すでに通った予算の裏づけとして、法律なんかもみんなそうでしょう。予算に組んであっても、ベアの法律が通らなきゃベースアップにならぬとか、年金の法案が通らなきゃ予算に組んであっても支給できないと同じことでございます。
 これは、予算に歳入を見込んであっても、この法案で特例的な御承認をいただかなけれな赤字国債の発行ができないというそれだけのことであって、この法案が通ったからよけいに赤字国債を発行できるという筋のものではないわけで、予算に決まっただけのもの以外はできないことですから、そういう意味では私は性格が変わっていないんじゃないかと。
 われわれは追加発行は考えておりません。おりませんが、仮に追加発行という場合には、国会を開いて補正予算を出して、その追加発行額についての国会の承認を経なければ追加発行はできないわけですから。ですから私は、少しも変わってないと、額がともかく自由にならぬわけですから。国債出してもいいよという権限はあるけれども、幾ら出してもいいかということは、それは予算案として上程して議決をもらわなければ、それは一億円だってよけいには発行できないんですから、そういう意味では同じじゃないかと考えております。
#57
○矢追秀彦君 これは意見の分かれるところでございますから。
 いまも言われたように、追加発行はしないと、それが本当でしょう。だから、わが党としては前からこの特例国債発行の根拠法である本法律案に金額を入れろと、発行限度額を明示すべきだということをたびたび主張してきましたが、政府はこれはもう二重議決になるから要らないと、こういうことを言ってきておられるんです。
 こういうふうな追加発行を非常に強いられてくるような状況というのが出てきますと、やっぱりここにちゃんと、いま大臣言われたように、後で補正組んでそこで金額を出して国会の承認を得ればそれでいいという議論もあるでしょうけれども、やはり何でこの法律をつくったかというと、まあ極端な言い方をしますと、一々毎年これをやるのは大変ですわね。同じ法律を毎年やっておるわけです。もうええやないかという議論もある、予算で組んであるんだからいいじゃないかと、こういう議論もある。しかし、それをやっているからやはり歯どめということが、赤字国債を出しちゃならぬのだ、借りかえはできないんだと、こういうふうなことをきちんとしてあるからこの法案というのが大事に生きてくるわけですよ。
 だから、もう一つ歯どめという意味においては金額を入れた方がいいと、予算に入っておるからいいんだと、しかしこういう非常に経済の厳しい状況の中で、追加発行が五十六年度もそうだったし、今度だって危ないとなれば、やはりそういう歯どめという意味の上からもやった方がいいんじゃないかと、こう思いますが、それでも二重議決だからだめだという理屈だけで入れないと、こういうお答えですか、いかがでしょうか。
#58
○政府委員(西垣昭君) 制度論でございますので、私からお答え申し上げます。
 いまの制度は、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、この法律で特例公債の発行権能を授権していただきまして、発行限度額につきましては予算で定めることとされているわけでございます。この考え方は財政法の規定によりまして、建設公債の発行限度額は予算総則で定めることとされているということとのバランスがございまして、特例公債につきましても同じ取り扱いをするのが適当であるということが一つございます。
 それから、公債の発行は歳入歳出予算に密着いたしました不離一体の関係にございます。五十七年度予算に即して申し上げますと、歳出につきましてはきわめて厳しい予算編成をいたしまして、一般会計の伸びとして六・二%、一般歳出として一・八%に抑制したところでございますが、その財源につきましては、税収等を三十六兆六千億と見込みましても、あるいは税外収入につきましても極力努力をいたしましても、歳出歳入はとつつかない。
 建設公債につきまして、対象経費ほぼいっぱい建設公債の発行をさしていただきましても、それでも不足する分、つまり三兆九千二百四十億につきましては、どうしても特例公債を発行せざるを得ない。こういう全体の中でその額が決まるわけでございまして、予算と一体として審議、議決を受けるのが適当であると、そういった理由によるものでございまして、これは五十一年度の特例公債の法律からずうっと同じような仕組みで来ているわけでございます。
 五十一年度に初めて特例債の法律を出しましたとき、いろんな議論がございまして、五十一年度の際には矢追先生あるいは鈴木先生からいろいろ御指摘があって御議論があったわけでございますが、その後財政審でも慎重に検討いたしました結果、やはりこれが一番適当だということでずうっと来ているわけでございます。まあことし違うじゃないかということでございますが、一貫しておりますのは、特例公債の発行は極力抑制するという姿勢でございまして、特例債の法律の中に出納整理期間中の発行の規定を設けまして、できるだけ発行額を抑制するというふうにしておりますのもそのあらわれでございますし、補正予算というようなことで五十六年度におきましては追加発行の例がございますけれども、それも極力抑制するということを貫いてきておりまして、私どもといたしましては、こういう仕組みでいくのが最も適当であるというふうに考えているところでございます。
#59
○矢追秀彦君 何度も言うようですが、いままでは過去連続七年、五十六年度補正での三千七百五十億円の増発を除けば、すべて当初予算の発行予定額を下回っていたわけです。だからそう私たちも厳しい要求というのはしてこなかったわけですけれども、最初はいろいろ言ってましたけれども。ところが、いまさっきから議論しておりますように、五十七年度についてはかなり様子が違ってきておる。
 そういうことで、やはりこの上限というものをきちんとこの法案の方にも盛り込んだ方がいいんじゃないか、こう思うわけですが、先ほど大臣も追加発行はできるだけしないような方向をと言われておりますが、この点ももう一度重ねてですが、強い決意ですか。
#60
○政府委員(西垣昭君) ちょっと技術関係でございますので、私から一言御説明申し上げますが、補正で追加した例は、昨年度、五十六年度のほかに二例ございまして、五十二年度に補正で九千七十億追加しております。また五十三年度では二百億の追加ということがございます。
 大臣から御注意がありましたのでもう一言申し上げますが、いま私が申し上げましたのは五十一年度、現在の形の財特法になりましてからの補正追加の例でございますが、その前に五十年度に年度途中で特例債の法律を出しております。それだけ追加して申し上げておきます。
#61
○矢追秀彦君 ということは、ちょっと私のデータの不足ですかね。要するに、発行予定額を上回って追加したのがいま二例また後でデータいただきたいと思います、もし間違っていたらこれは直さなくちゃいけませんから。
#62
○政府委員(西垣昭君) 五十二年度に当初発行予定額として四兆五百億ということでございましたが、補正で九千七十億追加いたしまして、補正後は四兆九千五百七十億になっておりました。その後、決算の見通し等でそこまで発行する必要がないということで、実績は四兆五千三百三十三億でございました。
 それから、五十三年度では、当初発行予定額が四兆九千三百五十億、補正で二百億追加されまして、授権されたものは四兆九千五百五十億でございましたが、決算の見通しが固まってくるにつれましてそこまで発行する必要はないということで、五十三年度におきましては当初発行予定額を下回る四兆三千四百四十億の発行にとどまっております。
#63
○矢追秀彦君 ということは、実績としては私の言ったことでいいわけですね。
#64
○政府委員(西垣昭君) 実績といたしましては、五十二年度が実績額が当初発行予定額を上回っております。それから、五十三年度は当初発行予定額の中におさまっております。それから、五十六年度はまだ決算わかりませんけれども、先ほどのような前提で考えますと三千七百五十億だけの追加が必要であろうかと、現時点ではそういうことしか申し上げられないと思います。
#65
○矢追秀彦君 この問題はこの程度にしておきます、また私も勉強しておきたいと思います。
 次に、五十六年度は財政再建元年と、こう言われてきたわけですけれども現実には非常に、先ほど来から申し上げていますように崩れてきておるわけですね。まあ目玉商品が国債発行の削減であったのも、残念ながら補正で増発をしなければならぬ。それから、税収不足というものも非常に大きな原因になった。この財政再建元年というのは崩れたと、こう見ていいわけですか。
#66
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはまあいろんな御批評がありましょうが、私どもといたしましては、赤字国債からの脱却ということで新しく年限を定めて、それに対していまでも進んでいるわけですから、一進一限はあっても崩れたとは思っておりません。
#67
○矢追秀彦君 次に、この間も少し議論をいたしましたけれども、税収不足を仮に二兆円と、こういうふうに仮定をさしていただきます。この処理についてですが、不用額による相殺、それから決算調整資金による補てん、それからその次は国債整理基金からの借り入れ、こういうことですね。いろいろ、この前は決算とそれから国債整理基金、この二つ議論したわけですが、まず二兆円として大体どの辺の、アバウトな考えでいいんですけれども、考えられますか。金額を含めて言っていただきたい。
#68
○政府委員(西垣昭君) 仮に二兆円程度の不足が出ますと、現在予定されております制度といたしましては、決算調整資金という制度がございまして、決算調整資金にございます資金がまずそれに充当されるわけでございます。で、充当可能額といたしましては約二千四百億でございます。それから、不足額が二千四百億を超します場合には、その不足額に相当する金額を国債整理基金の余裕金から繰りかえをすることができるという制度になっておりまして、先生が御指摘になりました金額と二千四百億の差額は国債整理基金から充当可能と、こういうことになっております。
#69
○矢追秀彦君 さっき要調整額と言ったと思いますけれども、不用額のこと、間違いです。
 この不用額からは不明なんですけれども、五十五年度は三千七百十四億円出ておりますから、五十六年度の予想は大体三千億程度といたしまして、これは不明になってきますから、これはちょっとまあ別にいたしましても、大体三千億程度。それからいま言われた決算調整資金による補てんが約二千四百億、そういうことになってまいりますと、国債整理基金からの借り入れというのが大体一兆から一兆五千億になってくるわけでして、そうなりますと、五十六年度当初で二兆円の特例国債を削減してもその税収不足分が補正予算で三千七百五十億円、国債整理基金への借り入れの借金が一兆ないし一兆五千億円、こういうふうにツケ回されが行われただけで、実態は国債削減にはならなかったのではないか、こう思うんですが、まず、これはいかがですか。
#70
○政府委員(西垣昭君) 先ほど大臣からお答えしたとおりでございます。
 二兆円の削減ということで歳出構造をどう改めていくかということで、私どもといたしましては、それを極力圧縮するということで、先ほどもお答え申し上げましたように、一般会計におきましては伸びを六・二%に抑えると、これはもう画期的なことでございますし、一般歳出についても一・八%の削減を行ったところでございまして、これは相当なことをやったと。まあ財政再建元年にふさわしいだけの歳出のカットをやったというふうに考えていただいてよろしいのではないか、こういうふうに思います。
#71
○矢追秀彦君 御承知のように、国債整理基金からお金を借りてきた場合、来年返さなくちゃいかぬわけで、五十八年度予算には計上しなきゃいかぬわけですから、五十八年度の予算編成というのは大変窮屈になってくるわけです。そういたしますと、政府の五十七年度版の財政中期展望の五十八年度の見通しの要調整額は三兆三千七百億ないし二兆五千億円、これは予備額を考慮していない場合、さっきのは予備額を考慮した場合。こうなっておるわけでして、これを達成するのは非常にむずかしい。それにもかかわらず、この上に国債整理基金からの借金分が上乗せになると、こういうことになると非常に来年度予算編成、いま五十七年度始まったばかりでもう来年のことを言うのかということを言われると思いますが、先ほど言ったように、いままでのときの状態とまた違いますからこういうことを言うわけですけれども、非常に厳しい大変な状況になってくるんじゃないか、さっきの税収の七兆円ぐらい伸びを見込まなきゃできないと同じように、予算編成自身も非常に厳しくなってくるんじゃないか、こう思うわけですが、この点はいかがですか。
#72
○政府委員(西垣昭君) 五十八年度、先ほどのようなことで決算調整資金を使い、国債整理基金からの繰りかえをするということになりますと、制度の上で五十八年度までにはその分を埋めなければならないということでございます。
 税収が中期展望で見積もられているとおりに入りましても、相当程度の要調整額がある。税収の見積もりがそれ以下になった場合には要調整額はさらに大きくなる。その上で、歳出の方ではいま御指摘がありましたような充当というものが必要になってくる。それだけ五十八年度の予算は厳しくなるという御指摘は、そのとおりでございます。
#73
○矢追秀彦君 これもしばしば言われていることでございますけれども、五十九年度に特例公債からの脱却という財政再建の目標は非常に厳しい、しかし総理も、これは不退転の決意でやると、こういうことになっておられますけれども、これを本当に後どうするかというと、今度は歳出カットの方がかなり重点に出てくると思うんですけれども、この辺は、実際問題われわれも協力しなければいかぬ問題がいっぱいあると思います、野党も。しかし、現実問題としてなかなか、じゃ国鉄ひとつどうするかから大議論が起こると思いますし、臨調の基本答申が今後どう出てくるかわかりませんけれども、もちろん片方においては景気を刺激していく方法も必要ですけれども、これもやらなければなりませんけれども、なかなかいまの経済状態は数%の経済成長すら世界的にむずかしい状況です。こういうことで、やっぱりカットの方へいくわけですけれども、その辺はいかがですか、大臣、大変と思いますけれども。
#74
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう御説のとおり、非常にむずかかしいと私も思っております。しかし、むずかしいからといって何かしていかなければ前へ進まないわけですから、できるだけ最大限の要するに歳出の合理化、効率化、抑制、削減、そういうことをやっていかざるを得ないと、そう考えております。
#75
○矢追秀彦君 次に、決算調整資金法の運用についてちょっと質問をしておきたいと思いますが、この法案は五十三年三月に制定をされ、五十二年度補正予算で二千億円の資金が一般会計から繰り入れられたわけですが、この第一条の目的からも明らかなとおり、一般会計の収支の均衡、いわゆる赤字決算の防止はこの調整資金の範囲内で図るべきで、これを超えるような場合は、本来補正予算で決算段階の前に事前に国会の審議を経て、歳入をふやすかあるいは歳出を削るかして収支の均衡を図るべきであると、こう思うんですが、これも大分いろんな議論が過去にも行われておりますので、あるいは過去の議論とまた同じようなことになるかもわかりませんが、実際この点は政府はやられなかったわけなんですが、これはどういうことですか。
#76
○政府委員(西垣昭君) 制度の問題でございますので、私からとりあえず御説明申し上げます。
 非常に大きな歳入欠陥が出るということが事前にはっきりいたしまして、補正予算を組む余裕がある場合には補正予算で対処するというのが当然だと思います。決算調整資金の立法趣旨は、非常に経済の変動が激しい、税収動向につきましてもなかなか予断を許さないというふうなことから、補正予算の機会がない、つまり年度終了間際になって、あるいは年度経過後大きな不足が判明したという場合に対処するための制度でございまして、そういった制度として五十三年二月に創設されたものでございます。
#77
○矢追秀彦君 そうすると、いまの話だと、時期がないからということが最大の理由ですか。いわゆる三月ぎりぎりになってしまうというそれだけの理由なのか、またほかに理由があるのか、その点はいかがですか。
#78
○政府委員(西垣昭君) 先ほども申し上げましたように、補正予算では対処し得ないような事態に備えるための決算制度でございます。
#79
○矢追秀彦君 それはどういうことなんですか。補正予算で対処し得ないというのは、具体的に、金額的な面なのか、たとえば私がいま言っている時期なのか。過去の答弁を見ておりますと、何か時期的な面というものが非常に強いような感じも受けるわけですけれどもね。先ほどの税収の見積もりともこれは絡みが出てくるわけですけれども、その辺はいかがですか。
#80
○政府委員(西垣昭君) 先ほども申し上げましたように、年度途中で税収の見積もり額に対する不足が確定的になるというようなことで、補正予算で対処し得る時間的余裕がありますときには補正予算で対処するのが当然かと思います。それができない場合のいわば緊急避難的な制度としてこのような制度が創設されているというふうに考えております。
#81
○矢追秀彦君 この点についても、昭和五十三年の二月九日の当委員会で多田委員が質問をして、当時の山口主計局次長、それから大倉主税局長が答弁されておるわけですけれども、大体いま言われたことと同じような御答弁だと思うんですけれども、結局これも、ちょうど税収というのが年度経過後に不足が判明する、こういうことからこういうことになってくるんだと思うんですけれども、しかし、かなり今回は税収不足が予想されていた。さっきの大臣の話を聞きますと、といったって言えないじゃないかと、こういうことになるとは思うんですけれども、これだけ確実に、われわれのような素人でも、二兆円とか細かいことは言えなくても予想ができたんですから、この決算に逃げるんじゃなくて、事前補正ということはできなかったのか。あくまでもいまさっき言われたような理屈でされなかったのか、その点はどうですか。やる気になればできたのかどうか、その点いかがですか。
#82
○政府委員(福田幸弘君) 五十六年度に入ってからの物価の安定とか、それから五十五年度の決算で赤字が出ておったというような問題を踏まえた数字を見て補正として四千五百二十四億、これは剰余金減税の四百八十四億を含んでおるわけでありますが、これは補正を立てたわけであります。
 その後の問題としては、先ほど御説明しましたように、その補正後予算が達成できるかと、見積もりどおりいくかという点については、この判断を毎月の税収を見ながらやっておったわけで、それで年度中にはいい数字を示しておったということでございます。で、四月になってからの発表の数字が、二月税収でございますが、それがたまたま悪いということでございまして、年度中においては補正はできることはやったと、その後の数字は経済環境は確定的な減収を予測されるまでには至らない数字で経過しておったということでございまして、年度中において税収の減をさらに立てるというところまでの確定的な数字はなかったし、それまでの判断もできなかったという実情にあったわけであります。
#83
○矢追秀彦君 じゃ、多田委員もこのときに指摘をしておりますけれども、税収が見込みが狂ったとしても何とか決算でできるんだと、こういうことで責任の所在が不明確になるんじゃないか、こういうことを言われて、また放漫財政になる危険があると、こういうふうな意味の発言をしておりますが、現実問題としてこういうことになってきたんじゃないか、こう思うんです。
 第二次補正を特に五十六年度で組まれかった理由というのは、私は二つあると思うんですね。先ほど来もいろいろ言われております、要するに歳出と違って歳入は予想ですから、非常にきちっと予測ができないというふうなこともあるので、こういったものについて歳出と違って歳入の方は不足を事前に補正することは余り厳格に行うべきではない、こういう大蔵省の伝統的な考え方というのはあるように思うんですけれども、これが一つ問題だと思います。もう一つは、やっぱり今回に限って言いますと、非常に政治的な配慮があったのではないか、これだけはっきりしておりながら、もし仮に二次補正をやった場合は二度も補正を組んだということで、鈴木内閣の政治的責任、なかんずく大蔵大臣の政治的責任というのが追及される、そういうことを恐れて、この決算があるからこれは別に補正を組まなくても逃げられるわい、こういうふうな二つの理由で今回はされなかった、こういうふうに思うんですが、違いますか。
#84
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは政治的な話でございますから、それははっきりした額がわからないということが第一です。何といっても補正を組むからには幾ら足らないんだと、ぼやっとした話はわからないことないですよ。しかしぼやっとした話だけで、たとえば仮に仮にみたいなこと言ったってそれはなかなか予算の説明はつかない、それが一つございます。これは根本です。
 それからもう一つは、仮にもう少しそれが具体的にわかったと仮定しても、結局予算がうんとおくれるということになるでしょう。そうすれば、一般においては景気問題というのはこれだけやかましく言われておって、これで一カ月もそれ以上も予算がおくれるということは果たして国民のためになるかと、私は国民の方はそういう形式論よりも現実問題として早く予算を成立さして、公共事業前倒しというんなら早く使ってくれということですから、そういう両面を考えてみて、政治責任はどうのこうのなんて私考えた覚えございません。何といったって国会に説明するだけの不足額というものがはっきりしなかったということに尽きる、強いて言えば。仮にそういうことをやって予算がずっと一カ月も一カ月半もおくれるということは、現在の経済情勢からしていかがなものかという問題点もあろうかと存じます。
#85
○政府委員(福田幸弘君) 見積もりというのが歳入予算の性格でございますので、これは黒になるというか剰余というか、上回る場合もあるわけで、今回は下回ると、昨年は反対だったんでしょうが、その見積もりで上下に振れるわけですから、その振れに応じて何か見積もりを直すというのは、この歳入だけの性格で申しますと私はないと思うんです。で、剰余を立てれば今度は歳出を強いて組まなきゃいかぬかということまで、歳出のことは私はわからないんですけれども、税だけのことでいえば見通しとしてこういうものがあると、それが確定的に動くかという問題は、決算でこれは確定で出ますから途中でどうするかという問題は歳出がらみであったりするときには判断があるでしょうが、予算的な面での歳入の性格からいえば、それが上に振れる、下に振れるというのに応じながら常に何か見直しをしていくと、予算的に、しなきゃならぬという性格ではないと思いますが、あとはいろんな状況に応じての判断があろうと思います。
 今回は確定的数字がないというか、むしろ上向きの回復過程にあるという全体の環境にもあったということもございまして、強いてそこのところをもう一つ補正を立てるには、大臣申しますように計数的な確定もない、そういうことで、別に悪意があったということではなくて、これは今後赤字を常に恐れるということになりますと過小見積もりをするという問題を生みますので、歳入見積もりは常にフランクにわれわれはやりたい、こう思っております。
#86
○矢追秀彦君 これは前にも言いましたので、重ねてになるかもわかりませんが、要するに、今回の税収不足の補いを決算調整資金それから国債整理基金、こういったことでやるという、これはやっぱりいいことではないと、これははっきりしておりますね、大臣どうですか。
#87
○政府委員(西垣昭君) 先ほども申しましたように、これは全く予期しなかったような事態に備えるための制度の発動でございまして、決していいことではないと思います。
#88
○矢追秀彦君 そうなんですが、先ほど、これまた議論になりますからもうやめますけれども、要するに、ある程度私としては、予測ができたにもかかわらず二次補正を組まないでこっちへ逃げたと。悪いとはわかりながらこっちへ来たと、そういう何といいますか、厳しい財政ですからやりくりしなけりゃならぬことはわかりますが、やはり安易に流れる、結局下手をすると放漫財政になってしまう。先ほどは、来年度予算の編成についてもしっかりやると言われておりますが、ちらほらと新聞紙上等では、もう五十九年の赤字国債脱却はあきらめた、またいわゆる財政の今後の方針というものも大きく転換をすると、こういうふうなことも言われておりまして、非常に心配をしておるわけでありますからあえてこういうことを申し上げるわけです。
 重ねてお伺いしますけれども、この二つのお金ですね、これを使うことについてもうちょっと私は、何らかの歯どめみたいなものを、法律の中でやるかあるいはまた運用面でやるか、何か考えることが一つと。それから先ほども大臣も、将来の問題としては言われましたけれども、こういうふうなこともありますから、第二次補正、まあ事前補正の問題もありますので、税収の見積もりのあり方、こういった点もまた再検討しなきゃならぬと思うんですが、総括してお伺いして、きょうは終わりたいと思います。
#89
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ税収の見積もりについては、これは本当に先ほど言ったように、非常にむずかしい。まして三月決算だけに、今度は商法改正でそこへ集中しちゃったと。しかも半年余分に先まで見なきゃならぬというようなことが、これからずっと変動する経済の中でいいかどうかも一つの問題点であることは事実。事実でありますが、では、それを元へ戻すというには数兆円の余分な財源が必要である、とりあえず。したがって、これは検討事項ではありますが、現在この制度に直すということは事実上できないという問題が一つ。
 それから、歳入の見積もりについてあんまりぎしぎしと健全第一主義で、内輪に内輪にということになりますと、これも一つのこういう時代だからいいのかもしれません、むしろ。いいのかもしれませんが、これはもういつでも金余るというような今度は予算になってまいりますから、役所の方は責任がこわいですから、いつでも金は余るように余るようにということで歳入隠しを徹底してやると、これもあんまりいい結果は生まないということなんで、まあこの歳入見積もりについては、見積もりですから私は一応の合理性を持たしたものでフランクに考えていくことの方が弊害がないんじゃないか、そう思っております。どちらに偏り過ぎてもいかぬ、そう思います。
 それからこの補正予算を、第二次補正を組まなかった、その結果決算調整資金なり国債整理基金なりから一時借りるというような問題が仮に起きるとすれば、これはいずれにしても、今度はことしじゅうにあるいは来年度予算で返さなきゃならぬから、五十七年度の補正にするのか五十八年の当初にするのかという問題はいずれにしても起きる問題でございます。いずれにしても、国会を抜けてやることはできないことでございまして、やはり国会で議論をしていただくということになろうかと存じます。こういうことはまあ私は安易に、やたらにやってもいいという問題ではないと、これは一致した意見であります。
#90
○政府委員(西垣昭君) ちょっと蛇足かもしれませんが、決算調整資金を創設しますときの財政制度審議会の建議でも、「石油危機後の経済の下では、景気のわずかな落ち込みでもかなりの規模の税収不足を招くという蓋然性が高くなってきている。」のでこういった制度は必要だ、こういうふうな記述がございます。
#91
○委員長(河本嘉久蔵君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#92
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○三治重信君 きょうはこの前御質問した残りを二、三の点にしぼって御質問したいと思います。
 ことし五十七年度は景気停滞ということで、また景気対策として公共事業を七五%前倒しでやると、こういうふうに報ぜられ、また大蔵大臣もそれを了承されて鋭意公共事業の繰り上げ実施を政府としてやられると、こういうことになっているわけなんですが、日本がいま世界的な不況のために昨年、その前、この二、三年のように貿易の収支の黒字で、また貿易の拡張によって国内景気の維持発展ということが不可能になってきた。それだから、公共事業を特にやるということなんだろうと思うんだけれども、しかし世界的な不況の場合になかなか日本だけ公共事業をやってみてもそう景気が回復するということは期待できないんじゃないか。
 また、そういうことをやっていけばこれは財政再建で五十九年度赤字国債をゼロにするということは変えないということは二、三日さき新聞に出ておるけれども、赤字国債ゼロにしても建設国債それ以上に多くしたらこれは国家の負担は同じことなんで、結果から見ると建設国債、特例公債もそんなに、結果から見たら償還ということになってくると早いか長いかというか、早くしなくちゃいかぬか長くやるかというだけの差なんで、しかしそれを余り一つのところに注意を集中して財政の組み方をいびつにしてもかえってまずいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、現在の世界的不況、先日の国連の事務局からの発表だと世界的な不況で先進国で一・五%までの成長率だと、こういうことでアメリカの高金利と景気が回復しなければ世界的な不況というものはどうしようもないんだと、こういうふうなことが新聞に報ぜられております。
 そういうことと、いまから前倒しによって景気回復をやろうという、これは政府の立場で本当に景気回復ができるのかどうか、その見通しをひとつお願いいたします。
#94
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは見通しが的確にできるという人はいないのじゃないかと、的確にですよ。われわれとしては、しかしながら与えられた条件の中で最大限の努力をいたしますということで、いま三治委員が言ったようなことを考えておるわけでございます。
 しかし、これもまた後で、何といいますか、国債の追加発行をして公共事業をふやせという要求が自民党からも来ています、私のところへ。来ておりますが、私としてはそういう具体的な数字をいまお約束することはできませんと、いずれにしても景気の動向等については十分に注意を払って効果のあるような方法、副産物とか副作用の大きく出ないしかも効果のあるような方法、おのずから限られると思いますが、そういう中でできるだけの協力はしたいと思いますということを言っているわけでございます。
 基本的には三治委員と大体似たようなことを考えているんじゃないかと思います。
#95
○三治重信君 それからもう一つは、いままで景気回復、景気刺激のために政府は自民党の意を受けて公共事業ばっかしでどんどんやってきたわけなんですが、われわれは景気の悪いときには所得税減税をやって公共事業と減税――減税といっても所得税の非常な累進課税によるいわゆる自然増収ということで、購買力をみんなというほどではないが強く、増加所得に対する所得税並びに社会保障の保険料というもので賃金所得者は可処分所得が増加しない。だからわれわれは公共事業で景気刺激やるならそれと並行してある程度所得税の減税をやれという主張をやっていたのが、一つも今日まで実現をしていない。その結果として五年間たまりたまっていまや非常な、何というのですか、私はどうもこの所得税の五年間の据え置きによって所得税こそは不公平税制のもとをなすような結果になってきているのじゃないか。
 これはかわり財源がなければどうしようもない、こういうふうに大蔵大臣はいつも言っておられるけれども、しかし、それでは財源がなければ取れるところから取るということだけではどうもひとつ足らないので、大蔵大臣としてはやはり税の公平な徴収、こういうことから、ことに特例公債を出して非常に財源不足のときなんだから、増税なき財政再建と言ってもこれは所得税をそのままにしておけばどんどんどんどん増税になっている。その点は、先日も私は本会議で言ったんですが、五年間でもう四、五%も租税負担率が上がっている。ことに五十七年度の租税負担率、いわゆる予算案による税収見込みからいきますと、これは政府が言っていることだから、この推計でも二五・四%、五十一年のときにはもう一九%だと、こういうようなことを考えると、増税なき財政再建と言っても、これはいまの税体系をそのままにしておけばどんどんどんどん租税負担率が、所得税というこの非常な累進税率のもとにおいての据え置きで租税負担率がどんどん上がっていく。
 しかも、これは所得税という非常に限られた税収で上がっていくと。これは大蔵大臣としてもまた税務当局としても、もう少し税の負担の公平ということから見てこれはもう少し、自然増収が四、五兆あってもまだ足りないんだからしようがないと、こういうことでなくして、やはり同じ租税負担率を高めるについても国民の一方に偏することでなくして、租税負担率を上げなければならぬなら上げるということを積極的にひとつ提案をしてほしいと思う。
 これをみんなの意見を聞いてと言っても、これは税金出すのはだれでも反対なんで、だからグリーンカードでも反対と言うと、みんな賛成賛成ということになってしまうわけなんで、そこは大蔵大臣、ことにいわゆる税収を図る部面から見れば増税されるのはだれだって反対、新しい税金にはだれでも反対。しかし、全体の国の財政から見るとどんどん赤字がふえるということになり、まあ赤字じゃなくても積極的な財政ということで、建設国債でも結局国の借金には間違いはないわけなんで、そういうことについてやはり大蔵大臣がこういうふうにするのが税の公平でもあるし、これだけは国民で負担してもらわなくちゃならぬのだという案をきちんと出して、それによって国会なり国政で議論がされるような積極的な態度が私はぜひ欲しい。
 そうしないというと、やはりこれは現行税制をそのままずっといつまででも税が足らぬから動かすわけにはいかぬということになれば、偏った不公平税制になって、今回の労働四団体を中心とする、また野党全部がこぞっての所得税減税と、こういうことで政府に迫らざるを得ない、こういうふうなことになるわけなんですが、そういうことについて、税収不足についてこれを中長期的に解消するためには、やはり大蔵省、大蔵大臣は国民にその構想をしっかり示していかないと、ただ国民の納得するまでとかなんとかということになれば、いつまでたってもこれはどうしようもない、こう思うわけなんですが、そういう積極的な姿勢を示す意欲をやっていっていただかないと所得税一兆円減税問題はこれはまた平行線にいつまででもいくと、こういうことだと思うんですが、いかがでございますか。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、課税最低限が数年据え置かれているということに対して、何といいますか、税負担が重いという認識が納税者の中にあるということは率直に認めておるわけでございます。だからといって、景気対策として所得税の大幅減税をやれということについては賛成いたしかねる。
 御承知のとおり、そうすれば財源が必要であるし、それに見合う歳出カットをどこでやるのかという問題が一つ。それができないということになれば他の財源どこに求めるのかと、そこらもはっきりしない。それから仮に、それはじゃ赤字国債でそういうことをやるといっても、国債は出すなという議論が多いんであって、赤字国債を所得税減税のためにふやせなんという議論はだれからも聞いたことはない、そうすると出場所がないということであります。
 仮に、国債を出して減税をするという場合と、国債を出して建設工事をやるという場合の波及効果はどっちが大きいかというと、経済企画庁のあるモデルで計算をさしても二倍以上も公共事業の方が効果があると。そういうような点から考えて、まあそういうことをやるやらぬは別としても、仮にやるということになれば効果のある方をやらざるを得ない、効果の薄い方は御勘弁をいただきたいと、そう思っておるわけでございます。
 なお、所得税の減税をいつまでもじゃあしないでおけるかとなりますと、私はそれはできないであろう。しかし、他の財源というものを考える場合において、これから社会保障というふうなものはなかなか小さくすると口では言っても、現実には年金も医療費も老齢化社会を迎えてふえていく一方でございますから、それを所得税と法人税だけ七割以上も今後もずっとそれは持っていかなけりゃならぬのかと。そういうことになれば、これはなかなか所得税の減税どころか、もう増税でもしなければ間に合わないというような時代が来るんじゃないか、逆に。したがって、私はヨーロッパ等の例を見てもわかるように、片側の税に偏り過ぎるというのでなくして、やはり直接税、間接税というものはある程度のお互いにバランスをとった租税負担の仕組みの方がいいんじゃないか、と、そういうことはかねて提案をしているわけであります。
 そいつをじゃ具体的にどうしろと、いますぐそれじゃ出したらどうだというのが私は三治委員の御質問かと思いますが、これは歳出カットをいまからやるということを念頭に置く。まず余裕財源を先に与えるということではこの放漫な肥満した財政支出を切るなたが鈍ってしまう。だから、まず最優先にすることは、臨調の答申を踏まえて歳出カットをまず最優先。それでもなおかつ足りないという問題があったりいろんな問題があったときには、そのときに応じて税の仕組みの問題も私は避けて通れない問題ではないかと。
 ですから、問題はタイミングの問題であって、政治というのはタイミングだと思うんですよ。やっぱりムードができないところへ、どうだとこう言われたってなかなかそれはうまくいかないわけですから、何となく国民の間にもそういうようなムードができて、まあそれしかないんじゃないかというときに提案をすれば通過をすると。そういうムードができないときに提案をしても悪口言われるだけで、もう骨折り損のくたびれもうけということでありますから、まあそういうタイミングも見ながら、一緒になってみんなで考えていきたいと、そう思っておるわけであります。
#97
○三治重信君 まあ確かに国民の負担を強いるということは、やはりタイミングを見ないと成功するものも成功しないということがあるわけなんですが、しかし、もう一兆円減税問題というものは急激に出てきているわけなんだから、それをいたずらに引き延ばすということのないように、特にひとつタイミングはまだまだということでないように、ひとつ特に希望をせざるを得ないわけです。
 それから、いまいみじくもおっしゃいました、いわゆる財政再建のために歳出をカットしているんだと。これをもっと徹底的にやるまで増税、税の編成がえ、こういうものはやるべきでないと。これはわれわれも何といいますか、赤字公債をどんどんと増発に対して歳出カット、いわゆる減量経営を民間で、石油の一次ショック、二次ショックを通じて非常な民間企業ではもう減量経営をやってきているんだから、政府として減量経営をやるべきじゃないかと、こういうことを再三われわれはあらゆる機会に申し述べてきた。やっています、やっていますということなんで、この五十七年度でもゼロシーリングということでやったけれども、しかし、結果を見るというと補助金全体としてはふえている。これは全額、トータルのふえ方を非常に抑えたということだろうと思うんだけれども、絶対額はふえていると。
 こういうことでは、やはり減量経営、いわゆる全体の量を抑えるだけでは、これはとても歳出カットとは言えない、こういうふうに私たちは主張する。だから、そういうふうにとことん骨まで削る歳出カットをやって、初めて、これ以上どうしようもない。赤字の穴埋め、増税と直間比率の見直し。これは大臣の御意見とわれわれも同じなんですけれども、その歳出カットの量が、量は相当抑えておりますが質の問題をもっとやはり厳しくやっていくべきではないかと、こういうことを言う。
 それじゃ、おまえ案を出してみろと、こういうことを大蔵大臣よく言われるけれども、われわれ庶民から票を受けているのは、余り個人的な意見でこれ切れ、あれ切れなんて言うと、これ大変な反対の、それぞれ利害関係が選挙区にあって、これはまあ大変なつるし上げを食っちゃって、それはとてもじゃないが一個人や、相当偉い人でもそういうことは言えない、なかなか言えない。
 したがって、だから大蔵大臣も大蔵省も甘くなっているんだと思うんです。それは、おまえら案をつくってみろと、心の中では思っていても言えない。だから、これはやはり悪者は主計局、大蔵大臣、また総理になってもらって、主計局、大蔵大臣ができぬことは総理がこれは切れと、こういうふうな姿勢をとってもらわぬと、やっている、やっていると言うだけで終わってしまっているんじゃないかと思うんで、のどまで来て言いたいことなんでも、それやっていると、それはいまの国会のやつは、議事録はとられるということばっかしでなくて、議事録以上に、各プレッシャーグループには事精細に尾ひれをつけて、どの議員がどうの、この議員がどうの、こういうことですぐはね返ってくる。
 これは私個人だけならまだいいですよ。ところが、それは民社党の意見だとと、こういうぐあいになってくると、そこらじゅうからいけにえにするような、民社党はこういうことに反対だから、こんなものに票をやっちゃあかぬというようなことにこれはなったりして、個人が言ったことが党に響く。したがって、党としても、各選挙区でそれぞれ利害関係が違うプレッシャーグループもあることなんだから、これを大蔵大臣、歳出カットのやつをおまえら意見を言ってみろと、こう言ってもなかなか言えない。
 僕は、だから同盟や労働組合に、君たちが一番言いやすいんだからやってくれと。それの太鼓持ちをやっても文句をわれわれは言われるわけですよね。だから同盟、組合は、ひとつ民間労組の立場でしっかり出してくれと。先日政策推進労組会議のやつが出たと新聞にちょっと出ているんですが、こういうのもしっかり見て、やはり悪者になるのは権力を持った主計局、大蔵大臣、総理と。この三つのところでこれはやらぬと、やっている、やっていると言うだけじゃ実現できないと思うんですが、いかがですか。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変本音ベースの御正直な御意見でございまして、私も感銘深く実は聞いておるわけでございます。
 大体実像を描いているんじゃないかと。歳出カットをしろと言っておられる方が、一番評判が悪かったのは造船に対する利子補給。ところが、現実のカットになるというと、それは言った団体の中からも、これだけは特別扱いで、エネルギー、船舶は造船利子を続けてくれとか、現に労働団体も来るわけですから、私のところに陳情に。ですから、この間言った話とまるっきり違うじゃないかと私が言いたいぐらいなんです、実際は。ところが、それが現実の姿であるということも実態でございます。
 したがって、私は主計局に対しましても、もう幾ら恨まれても、しかられるのが仕事なんだから、正しいことに向かってがんばってやれと。何も国会議員が人事権を持っているわけでもないんだし、団体が持っているわけでもないんだから、安心をしてやってくれということを私はお願いをしておるわけでございます。来年などは層一層悪者にしっかりなってもらわなちゃならぬ、私はそう思っておりますから、どうぞそのときには余りいじめないように、ひとついまのうちからよろしくお願いをしておきます。
#99
○三治重信君 まあひとつことし、前年度ですね、五十六年度もこの六月の決算のとき、大きな赤字が出ると、歳入不足が出るということを控えていることを想像すると、これは五十七年度も大きな赤字が出る、歳入欠陥が出る。こういうことを予想すると、これはまあひとつ主計局長、大蔵大臣、総理の使命的な大きな歳出カットをやって、殺されても構わぬぐらいにひとつやってもらわぬと、これはとてもじゃないが直らぬ。こういうふうに思うわけなんで、そのときにはせいぜい応援させていただきますから、よろしくひとつお願い申し上げます。
 それから最後に一つ、自民党の方でいわゆるグリーンカード制の廃止の問題が総務会で出て、三役一任になっている。まあ大蔵大臣とも折衝申し上げると。そういうことであると、この法案が通ると、議員立法か政府提案かで延期の法案が出されるということなんだけれども、その内容は定かでないけれども、問題は、やはりそういうことで一番、私はこういろいろ中小企業や反対者のやつを聞いてみると、結局利子課税の率の問題よりか、その元を探られるんじゃないかと、こういうことなんだ。
 主税局長、何か預金の元を、おまえはこの二千万円はどっからもうけたんだと、脱税してもうけたんじゃないかというようなことや、それからどっから入ってきたんだと。政治家に聞くと、どっからもらったということはなかなか、出した人の素性を言うことはすぐにはできないということから非常にとっちめられる。また会社も歩積み両建てをやられ、それからあるいはない金を積めと、こういうことになってくると、その金を借りるのに、詰まったときにはやみ金も銀行に歩積み両建てで積まなくちゃならぬ。そいつを、どっからこの金持ってきたと。こういうことになると、まあ知られたくない金を持っている人が、これは好意で友達に貸したのが税務署につかまると。これは、元をただされて、おまえはこんな金持っているじゃないかと、こうやられる。こういうことが一番大きな原因なんですよね。
 だから、グリーンーカードこうやっていっても、しばらくはもう利子だけは十分いただくけれども、しかも、大蔵大臣が言う総合課税で、高額所得者の税率を五〇%まで下げて、そして総合課税にする。しかし、利子だけはもらうけれども、その元本は当分は調べないんだと。どっから持ってきて、どういう元本を、こんなにあんた持っているはずはないじゃないかということを調べないということぐらい何か明示してできぬもんか。そういうことになると、大分聞くとあれとは違うと思うんですが、これはプライバシーという、そんなことはない、われわれはそんな人のポケットの中へ手を突っ込むようなことじゃないんだと書いてありますよ、この説明には。しかし、その問題がやはりわれわれは非常に大きな問題である。
 一部の問題からいけば、これも余り言いたくないんだけれども、まあ政治資金でも表と裏があって、裏金がわかっちゃ大変だということで政治家の主な者も反対するんだと、こういうようなこともうわさがされているわけなんで、そこをひとつ決意――そういういわゆるプライバシーというのは、グリーンーカードの額だけやっていて、出入りは何も税務署は調べてない。ほかのところでも利子をいただくだけで、仮名預金とか何かというものを、なければ総合課税はできない。確かにそれはそうなんだけれども、そういうぐあいにして利子は名寄せをして総合課税するのはやむを得ぬとしても、その元本をほじくり出すということが結局人のポケットへ手を突っ込んで人の金庫まで黙って強制的にあけさすと、こういうことにつながっているんですが、そこをもう一つ知恵を出してもらいたいと思うんですが、どうですか。
#100
○政府委員(福田幸弘君) これは、まず非課税貯蓄の問題と課税貯蓄の問題こうあるわけで、非課税貯蓄は御承知のとおりに限度があるわけでございます。金融機関が三百万、それから郵貯が三百万、それからマル優が三百万、それから財形があるということでございますので、これはやはり守っていただくということで、いままでとこれは同じなんです。
 ただ、いままで非課税貯蓄申告書というのを窓口で書いておるんですね。そしてこの銀行に幾ら、それからほかの銀行に幾らというのを書いて、そこで出しておるんですが、これが各銀行窓口では、各銀行ごとに三百万ということでは困るので、やはり法律どおりに三百万を守ってもらうというのにはこのカードでどの銀行、どの銀行と。そういうのはいままでも窓口では書いておるんですが、それが自分ではわからなくなってしまうので、それを自分でちゃんと三百万をどこに入れておるというのをはっきり覚えて間違いないようにする。受け入れる方の銀行も枠をそこでチェックしてもらうということでございますので、これはそこをはっきりとするということで法律どおりにそこを守るということですから、これは限度の管理ですから、そこで金の出入りがチェックされるということはない。そういう意味で三百万、合計九百万、財形で一千四百万という、普通二百五、六十万の預金が平均ですから、そういう方はもうほとんど影響ないんですね。
 ただ、そこの本人確認のというか、グリーンカードをもらうときに住民票をとって、その一枚のカードでそこを確認するのに最初だけ要る、後はもうそれを見せればいいんですから、いまの窓口の一々形式的なああいう非課税貯蓄申告書、それを税務署の方に送ってきますけれども、これは積み上げておるということでは意味がないということをはっきりさせるということですから、おっしゃっているようなプライバシーの問題じゃないということをはっきりまずさせておく必要がある。
 それから、課税貯蓄の方は、これは今度は限度を超えた人ですから本来課税されるべきである――ちょっと戻りますけれども、非課税貯蓄は免税を受けるのですから、その手続はしてもらう。そのくらいの負担がなければ、税金をまけるのですからそれはお願いしたい。
 今度は課税貯蓄のところでは、これは利息の問題なんですね。元本を押さえるよりも利息の総合をしたいというのですから、支払い調書が来るわけですけれども、そのときに仮名と架空がないようにどなたのあれかということをカードを持っている人はそこで見せる、それから公的証明書を持っておったら見せる。外国でも必ずその辺は社会保険証あたりでやっているわけですね。フランスでも口座開設閉鎖は税務署に通知されるわけですから、こういう際に本人ですよというのは、本人の預金でないと本人も困るんですね、本人がお亡くなりになったり、もし争いが起きたときに自分の預金だという主張ができないわけですから。外国ではそういうことは考えられないんですね。
 そういう意味で、この課税貯蓄について本人の確認をする、というのは分離課税をなくするということでもあるわけです。ですから、総合課税が正しいということですから、いまは税率が高過ぎるのはこれは直すにしましても、税率の高いところが適用になっているのは勤労性の所得だけなんですね。だからその利息のところの預金利息は、低い税率になっておるというところは不公平ということで総合課税になるわけですから、本人確認をそこでする一つの手段でありますから、また、その課税は利息が対象であるということですから、金の出入りをチェックする必要はないわけです。ただ、利息のところが支払い調書で来るというのは従来と変わらない。ただ、架空の問題がチェックされるのと分離課税的な三〇%の頭打ちがなくなる、普通の勤労性と同じ税率の適用を受ける。
 ですから、ここのところも金の出し入れとか残高は必要ないんです、われわれは。また、それがここでチェックしたからといって、本人のチェックはしますが、残高のチェックはできないわけです。ですから、利息のところの課税を適正にしたいだけで、ただ、査察か何か入りましてその関連で預金の調べが入ってきたときにはこれは別です。しかし、これ自体もカードの問題から元本が幾らかということをカードの方から追及するということはあり得ないわけで、この辺も誤解になっている問題だろうと思うんです。
 じゃ、かわりにどういう手段があるかといったら、仮名だったら受け入れを拒否しろとか、またはそういう仮名の場合には税務署に通報しろとかいう代案をお示しになったりされておるんですね。ところが、それはカード以上に厳しいことなんですね。したがって、そういうことではないわけで、これ以外の知恵が出なかったということはこの大蔵委員会でも審議された結果ですね。その際に、守秘義務が非常に問題になって再三質問があって、法案中にも一般公務員より厳しい守秘義務を課されておる。また、このカードを目的外に使ってはいけないという特別規定まで入っておりまして、附帯決議でもそこのところは十分注意するように、こうなっていますので、十分その辺は審議された結果である、こう了解しております。
    ―――――――――――――
#101
○委員長(河本嘉久蔵君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として前島英三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#102
○近藤忠孝君 この法案の審議に際しまして、歳出歳入面でもっと考慮をしておけばこれだけの国債残高にならないで済んだということをずっと審議してまいりました。
 私、一昨日申し上げたことは、特に租税特別措置などについて五十一年からきちっと取れたんですよ。そうすれば大体いまより二十兆円、二十三兆円ばかり少なくなっただろうし、わが党の言い分を聞いておればもっと残高三十兆から四十兆で済んだだろう、こういった指摘をしておったわけであります。
 前回は、主に歳入の面からこの問題を指摘しましたけれども、きょうは主として歳出面、わけても大企業向け補助金について具体的な指摘をしたいと思います。
 わが党は、一兆円以上の削減とあわせて、これは軍事費ですね、軍事費一兆円以上の削減とあわせて大企業向け支出約四千億円、その削減が可能であるし、これはすべきである、こう主張してまいりました。その中でも大企業補助金は、一般会計分でも年間約二千三百億円実はあるんです。その恩恵を受けるのはわずかな大企業であります。この点を指摘をしますと、大体それぞれ政策目的があるというわけです。
 そこで、きょうは、それぞれの補助金について政策目的として補助の対象になり得るかどうか、また、それが政策目的どおりに運用されているかどうか、その点について若干の問題を指摘したいと思います。
 一つは、先端産業プロジェクト補助金ですが、たとえば電子計算機開発促進費補助金六百八十六億円、すでにこれは支出されています。それから超LSI補助金、これが二百九十億円、それからOS補助金、これは百九十三億円、それからYXあるいはYXX補助金が二百十一億円、さらに民間航空機用ジェットエンジン開発費補助金、これが百十八億円、合わせて一千四百九十九億円に達するわけであります。
 そこで、お聞きしたいんですが、これらの補助対象となった団体及び関係企業を明らかにしていただきたい。
#103
○説明員(若曽根和之君) 御説明いたします。
 先生御指摘の、電子計算機関係の補助金についてまず申し上げますが、最初の電子計算機等開発促進費補助金というのは内容が幾つかに分かれておりますが……。
#104
○近藤忠孝君 省略して対象団体と関連企業だけでいいです。
#105
○説明員(若曽根和之君) はい、わかりました。
 開発促進費補助金につきましては、高性能コンピューター開発技術研究組合、それから新コンピューターシリーズ技術研究組合、超高性能電子計算機技術研究組合、そのほか研究組合が五つ、あと個別企業もございます。
 先ほどの三つの研究組合の主な構成員を申し上げますと、株式会社富士通研究所、富士通株式会社、日立工機株式会社など五社が最初の研究組合でございます。構成企業が非常に多くにわたりますので、主なものだけ申し上げます。
 それから、超LSIの研究組合でございますが、これは交付対象先は超LSI技術研究組合。主要構成企業を申し上げますと、富士通株式会社、日本電気株式会社、三菱電機株式会社など七社でございます。
 それからOSの関係の研究組合でございますが、これは電子計算機基本技術研究組合というのがございまして、ここへ出しておりますが、その組合への参加企業、主なものを申し上げますと、日立製作所、東京芝浦電気株式会社、シャープ株式会社、コンピュータ総合研究所など十社でございます。
#106
○近藤忠孝君 いま示された各企業は、いずれも資本力、技術力において、こういう補助金がなくてもこれらの開発を十分になし得る団体であると思います、企業であると思います。そこで政策目的というんですが、私は、補助対象として適切かどうか、これは改めて考えるべきだと思います。
 ただ、きょうは時間がないのでその点は後に論ずるといたしまして、問題は、その収益納付、要するに補助を受けて利益があった場合には、利益の中から返還することになっておりますが、これは実際に見てみますと、先ほど挙げた一千四百九十九億円のうち、収益納付があったのは、最初の電子計算機開発促進費補助金で、六百八十六億に対して八億五千七百万、一・二%でありますが、そのほかはまだこれは収益納付になっていないと思いますが、どうでしょうか。
#107
○説明員(若曽根和之君) 先生が先ほどおっしゃいました補助金三つございますが、そのうち一番早い時期に行われました電子計算機開発促進費補助金につきましては、先生御指摘のように八億五千七百万円の収益納付がございます。
 それから、超LSIの補助金につきましては、研究終了後三年間を置きまして、その後五年間にわたって収益納付をするということになっておりまして、収益納付の最初の年度が昭和五十八年度になっております。そういう関係で、現在時点ではまだ収益納付が行われておりません。
 それから、三番目のOS等の補助金につきましては、現在プロジェクトが進行中でございまして、五十八年度まで続く予定でございます。したがいまして、収益納付はその翌年度の五十九年度から始まるというふうになっております。
#108
○近藤忠孝君 まだ収益納付の時期が来てないということもありますが、問題は、いま冒頭に申し上げた電子計算機の例をとりましてもわずか一・二%なんですね。
 大臣、これはぜひよく見てもらいたいのは、収益納付の期間は五年間なんです。特にYXなんという航空機なんかになりますと、長い間何百億とかけて、しかし実際五年間で収益納付といったって、これはわずかなものです。結局電子計算機と同じようなことになるのではないか、こう思うわけであります。これはやっぱり二重三重の大企業への優遇措置であり過ぎやしないか、これについて大臣の所見を伺いたい。
#109
○政府委員(西垣昭君) 収益納付期間は五年でございます。恐らくこれをもっと延長したらどうだという御質問だと思いますが、現在五年間にしておりますのは、具体的には技術開発が終了いたしまして利益が生じ得る状態になってから原則として五年間、こういう考え方でございます。この考え方は、技術革新が激しい状況のもとでは、技術開発後五年も経過いたしますとその技術が陳腐化いたしまして、当初の技術の収益寄与度がきわめて少なくなるというようなことが言われておりまして、それを勘案しているものでございます。
 ただ、この五年間というのは絶対であって、今後ともこの五年間で続けるべきかどうかという点につきましては、その実態も十分調査いたしまして、私どもとしては検討していきたいと、こういうように考えております。
#110
○近藤忠孝君 その点については、期間の問題と同時に、もう一つは昨年十二月の財政制度審議会の報告です。それによりますと、この問題に触れていまして、こういう指摘をしています。これは利益があった場合ですね、「その際には、成功したプロジェクトについて、国はむしろ出資者として関与しているとの観点から補助金相当額を超えて返還させるという考え方もあろう。」
 これは一つの意見だと言われていますけれども、現在は何百億のうちせいぜい何億というこういう収益納付しかないんですけれども、これは少なくとも同額、利益があった場合はね、場合によってはそれを超えて返還さしてもしかるべきだろう、こういう意見がありますが、これについてはどうですか。
#111
○政府委員(西垣昭君) 一般的に申しますと、できるだけ民間に任せておけばいいようなものにつきましては民間に任せる、国が負担したものにつきましても収益納付というようなことで受益者に将来負担させていただけるようなことも引き続き考えていかなくちゃいけないと、こういうことでわれわれずっと検討しているわけでございます。財政審におきましてもそういった角度から検討が行われているわけでございますが、いまの補助金相当額を超えて返還させるという考え方につきましては、現在の補助金適正化法上は困難だという問題がございます。
 それで、そういった現行制度を離れまして、そういった考え方に従って制度を変えたらどうだという問題につきましては、基本的な制度の改定になりますし、もしも多額の収益が見込み得る事業でございますと、補助金というのではなくてむしろ融資に切りかえるべきではないかというふうな考え方もございますので、ここのところはそういったことも含めまして慎重な検討を行っていく必要があるんではないかと、こういうふうに考えております。
#112
○近藤忠孝君 これはいまの答弁で前向きに検討の方向が出ておりますので、ひとつ融資化する、あるいは最低限度少なくとも補助した額ぐらいは返させるという方向でさらに積極的に検討を求めます。
 時間ないので次に入りますが、これは分類的には農業あるいは公害防止事業への補助金となっていますが、実質的には大企業への補助金となっているものに、農用地の土壌汚染防止等に関する法律に基づく土壌汚染対策事業への補助金があります。
 そこで、これは農水省にお伺いしますが、制度ができてから今日まで実施されてきた事業、これは完了地区、継続地区を含めてでいいですが、その全体事業費、それから、うち企業負担額、それから国庫負担額、それぞれ簡単に御報告いただきたい。
#113
○説明員(吉川汎君) お答えいたします。
 農林水産省で実施しております土壌汚染対策事業といたしましては、公害防除特別土地改良事業と小規模の公害防除対策事業というのがございます。そのうち公害防除特別土地改良事業につきましては、十ヘクタール以上のものにつきまして県営、団体営等でやっておるものでございまして、全体事業費は完了地区、継続地区合わせまして約四百二十九億一千万円となっております。そのうち企業に御負担願っておりますのが約百五十一億九千六百万円、補助対象事業費はしたがいまして二百七十七億一千四百万円ということになります。そのうちの国庫負担額でございますが、地区によって違いますが、総計いたしますと約百八十五億一千百万円ということに相なっております。
 なお、十ヘクタール以下の小規模の公害対策事業でございますが、これも完了地区、継続地区合わせまして全体事業費が八億四百万円、そのうち企業負担として負担を願っておりますのが一億三千八百万円、補助対象事業費がしたがいまして六億六千六百万円ということに相なりまして、そのうちの国庫として補助いたしておりますのが約四億二千六百万円ということになります。
 なお、ただいま申し上げました全体事業費につきましては、事業の性格上汚染地域でないところもあわせて一部包括してやっておりますので、そういった事業も含まれておるということを御承知いただきたいと思います。
#114
○近藤忠孝君 いまの話のとおり四百二十九億の総事業費のうち、企業負担で百五十一億、それから国庫から百八十五億出ているということを渡辺さん頭に入れてほしいと思います。
 今後、いま地域指定されましてこれからかかる事業、これを大ざっぱに計算しますと、総事業費が四百六十八億、現在の一定の計算割合によりますと、そのうち企業負担が百一億、国庫負担が百三十八億、地方公共団体などを含めますと約二百億円になるんじゃないかと。これは私の計算です。だからかなりな補助金が出ているわけです。
 そこで、大臣の、これは財政というよりもむしろ国務大臣としての渡辺さんに聞きたいんですが、これは結局振りまいた公害ですね、これをもとへ戻していく、豊かな農地に戻していくという事業ですが、私はこういう事業に関しましてもPPPは貫かれるべきだ。要するに、汚染者負担原則は貫かれていくべきだと思いますが、どうでしょうか。
#115
○政府委員(西垣昭君) 原則としてPPPの原則を貫くべきだと考えております。
#116
○近藤忠孝君 この問題、渡辺さん、去年の行革国会でも衆議院の東中議員が指摘した問題で、ちょっと頭にあると思うんですが、先ほどから答弁ないので、いつもの渡辺さんとちょっと違いますので、よく話を聞いておいていただいて、最後に見解を伺いたいと思います。
 そこで、参考のためにひとつ資料をお渡しします。(近藤君資料を手渡す)
 問題は、いまお渡しした図表にありますように、最初半ぺらのものを見てほしいんですが、年々企業負担割合が減っておるんですね。半ぺらのもの、ありませんか。企業負担割合がずっと減っておるんです。最初は七五%からあったものが途中四〇%台になり、三〇%台、こういう傾向がある。ということは、逆にこれは国庫負担あるいは地方公共団体も含めた公の支出、負担がふえているという、こういう傾向があるわけです。
 これは農民の側から見ますと、企業負担がふえれば、それだけ国の支出が同じとしますと事業が早く進むわけです。早く農地が戻ってくる。そういう点で、企業負担が少な過ぎるんじゃないか、こういう意見があります。
 どうしてそんなぐあいに少なくなってきたかと申しますと、これもちょっと、こういう図がありましょう、それをごらんいただきますと、最初のころではなかった地域特性分、自然汚染分というのがあるんです。これは神通川流域の例ですが、約三三・六七%をまず引いてしまう。で、あと企業活動分六六・三三%ですが、そのうちからさらに不存在企業分を差し引いちゃう。残ったうちからさらに概定割合というようなわけのわからないものを計算しまして、三分の一引いちゃうと、残りが三分の二。全体から見ますと、三五・一三%しか企業負担分が残らないんです。
 これは神通川といいますと、御承知のとおりイタイイタイ病が発生した地域です。患者が発生して、責任が一番重いはずのところでも大体自然汚染分と同じぐらいの負担しか企業はしていないという、こういう驚くべき実態が出ておるんですね。これは昨年の行革国会で渡辺さんもお聞きになったと思います。東中議員が質問した。忘れられたんですか、あるいは聞いてなかったのか……大臣おるときやったんですね。問題は、そのとき指摘したことは、自然汚染分の中に実際自然汚染としちゃいけない計算まで入っておったというので、そのときの指摘もあり、いま現地では見直しをしている、こういう状況であります。
 これから若干の議論をお聞きいただいて、こういう補助金のあり方についてひとつ大臣の所見も聞きたいんですが、まず環境庁にお聞きしたいのは、こういうカドミウム汚染源の復元をするのは何のためか。私の思うには、これがイタイイタイ病の原因となっており、またはなるおそれがあるから、その汚染を取り除こうというんだと思いますが、どうでしょうか。
#117
○説明員(伊吹文明君) 御指摘のとおりだと思います。
#118
○近藤忠孝君 そこで、お伺いしたいんですが、自然汚染を除くんですが、自然汚染というのはどこにもあるという状況ですね。そうすると、自然の汚染の状況だけで患者が発生するのか。どうですか。
#119
○説明員(伊吹文明君) 自然の汚染だけでは先生の御指摘のような事態は発生しないと思います。
#120
○近藤忠孝君 それから、不存在企業分としてこの場合には三井金属以外にほかの企業もあったというんですが、これはごく本当に弱小企業なわけですね。それ以外、約二二%も引いているんですが、何を引いたかといいますと、三井金属は明治初年に全山統一しましたから、あとは全部三井なんですが、その前の分、江戸時代から室町時代まで不存在企業分を引いている、二二%。となれば、これはその時代からイタイイタイ病が発生したということなんだけれども、そんなこと絶対あり得ないので、これは明治のあるいは大正の、日本が資本主義発達してきた中で発生した問題ですからね。
 こういうのを計算すること自身、これはおかしいんじゃないかと思うんですが、これは環境庁の方の仕事ですか。
#121
○説明員(伊吹文明君) お答えをいたします。
 当該事業を行います場合の企業の負担をどの程度にするかというのは、これは先生よく御承知のように、公平な第三者が形成いたします、この場合におきましては富山県の公害審議会の議を経て決定されますので、環境庁の指導ではございません。
#122
○近藤忠孝君 県が出してきたものはそのままある意味じゃ、うのみにされて国が補助金を出している、こういう経過があります。ただその問題、いまここでは論じませんが、問題はさらにあるんです。
 裁判終わった後、みんなが三井金属本社と交渉しまして、この汚染源の費用負担をしろという要求をしたらば、三井金属側が言ったことは、うちの分だけじゃない、自然の分とか、ほかから来た分もある、こう言ったわけです。だから、全部責任を負い切れないと。そこで患者側が言ったことは、じゃ、よろしいと。おまえが持ってきた分だけ持って帰れ、こう言ったわけです。そうしたらば、これはさすがに部分的にまいりまして、それで誓約書ができまして、原因者として全費用を負担をします、こういう誓約があるんです。
 ですから私は、そういう誓約があるので、ここの場合には負担割合については比較的問題の解決が早いということが、前にこれは昭和四十九年ですが、環境庁の見解としてあると思いますが、どうですか。
#123
○説明員(伊吹文明君) 先ほど先生からいただきました資料で、当時の大場説明員が、「それから費用負担の問題で、ここは比較的問題が片づいているところであります」云々と述べているのは、先生御指摘のとおりでございます。ただ、大場説明員が述べております、比較的問題が片づいているということが、いま先生がおっしゃったことを指しておるのかどうかは、私つまびらかにはいたしません。
 で、先ほど来お話しになっております公害防止事業に係る企業負担につきましては、公害防止事業費事業者負担法上、事業者に負担させる費用はその事業活動がその「原因となると認められる程度に応じた額とする。」旨規定されておるのは、これは先生御承知のとおりでございます。それからまた、同条第二項に「当該公害防止事業に係る公害の原因となる物質が蓄積された期間等の事情」がある場合には、これを勘案して所要の減額を行う旨規定されておることも、これまた事実でございます。
 これを受けて、地方公害審議会の議が出たのだと私どもは理解いたしております。
#124
○近藤忠孝君 県の方で確かに一定の結論出ておるんですね。それに対しては先ほど言ったデータの問題でこれはおかしいということで、ことしになりましてからも本間教授という、この問題専門に取り組んでいる学者がレポートを出しまして、それで明らかに、県が自然汚染を決めたんですが、割合がおかしいということで県に衝撃を与えて、いま汚染研究会で再検討、こういうことになっているわけですし、さらに県議会などでは、先ほど申し上げた自然汚染とか、あるいは他の企業にそれを負担させることはどうかという、こういう問題についてもこれは再検討されている状況であります。
 となりますと、私は国の段階も、第一次の三五・一三%というこの負担割合にこだわらずに、もう一度、先ほど私が指摘したような、大体自然汚染だけじゃ患者は発生をしないんだから、ということで、もう一度見直して、これはしっかり指導してほしい。県が言ってきたからそのままこれを見てうのみにするというようなことであってはならない、こう思うんです。
 そこで渡辺さん、お聞きいただきたいのは、いま神通川流域、これはイ病が発生した最大の地域ですが、私は他の汚染地域に比べても、本当の企業が負担をしっかりしてしかるべきだ、そう思うんですが、先ほど言ったような割合です。ここは全体で約千五百ヘクタール汚染地域があるんです、すでに指定されていますが。そうしますと一それを先ほど言ったような三五・一%の企業負担割合で事業をしますと、五十六年度ベースの単価でやりますと、残った分、全体千五百ヘクタールをやりますと三百五億円、そのうち三井の負担分が百七億円にすぎないんで、国は百三十一億円、県など含めますと百九十八億円も支出されるんです。これは私は、国全体になりますともっともっと先ほど申し上げたような額になるわけですから、そういう点ではPPPを貫くことが私は大変大事なことだと思う。
 先ほど次長から話がありましたけれども、こういう事態をお聞きになって、この段階でひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#125
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も詳しいいきさつは余りよくわからないんでございますが、地域の県などが仲に入って企業から全然取れなくなっちゃっても困る、そういうような点から見て、現実的な案をこしらえて私は解決に向かっているんじゃないかと、そう思っております。
#126
○近藤忠孝君 大臣、経過御承知でないからそういう答弁だと思うんですが、……。
 そこで、環境庁お伺いしますけれどもね、この負担割合が決まってくるのに企業の負担能力を考えて決めるんですか。
#127
○説明員(伊吹文明君) 企業の負担能力を考えて決めるわけではございませんが、先ほど申し上げました種々の減額理由を県の方も審議会で考えて決めたのだと思っております。
#128
○近藤忠孝君 ですから大臣、また財政当局者として、三井金属がつぶれてしまうとかあるいはこの事業をやるためにはもう大変な危機的状況になると、私は、いままでそれぞれやってきたようにそれなりの対処の仕方あると思うんです。ところが、いまそういう段階ではなくて、企業の負担割合の決め方が全体に関係するわけですよ。先ほど図表で示したようにだんだん減っているわけですから、企業の負担割合が。その分だけ今度は国あるいは地方公共団体の負担分はふえてくる。そういう相関関係にあるわけですから、大臣が企業のことも考えてこのことを決めたんだろうという考えはひとつ財政当局者としてはさらっと捨ててもらって、やはり客観的事実、科学的事実に基づいてひとつ負担割合を決めると、それ以外の問題はまた数字外に問題だと思うんです。
 私、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、なぜ先ほど申し上げたような誓約書をとって全額原因者として三井金属が負担しますということを言わしたのかといいますと、被害住民はこんなひどい目に遭いながら、しかしその復元はやっぱり税金でやってもらうんじゃないと、それは申しわけないと、やはりPPP貫きたいという真剣な立場からこれは取り組んだわけですね。それは相手はだれとだれにやってもらえばいいんだと、こういうことではないんです。私はそういう意味では渡辺さん以上に日本の財政のことを考えておったのは農民だと、こう思わざるを得ないんです。そういう意味で、もう一度いまの話をお聞きになった上でひとつ財政当局の責任者としての基本的考えをお聞きしたいと思うんです。
 それから、あわせてこの間安中の裁判がありまして、その中で、原告勝訴になったんですが、続いてこれは「毎日」での社説が出ています。社説の中で、「全国的に汚染土壌の復元事業の進ちょく率はよくない。国や地方公共団体の事業に任せるほかに、公害源企業にも費用を積極的に負担させて、事業をおしすすめるべきではないか。」と、こういう指摘を安中公害判決を契機にマスコミも指摘をしているわけであります。こういう状況も踏まえて最後に大臣に所見をお伺いしておきます。
#129
○政府委員(西垣昭君) 先ほど申し上げましたように、原因者が当然負担すべきものについては適正な負担をすべきだと、当然のことでございます。それを前提といたしまして国の補助なり、それから地方の負担が決まってくるわけでございまして、そこのところは適正でなくちゃならないと。
 本件につきましては、具体的な事例でございますので財政当局がいま意見を言うのはいかがかと思いますけれども、制度論といたしましては、こういったケースはそれぞれ地域地域の特殊性でございますとか、それから事業の性格の相違等いろいろございまして、やはりその地方の審議会の意見を活用するのが最も妥当だということでこういう制度になってきたわけでございまして、私どもといたしましては、こういう制度を通じまして適正な負担が決められるということが必要かと思います。
#130
○近藤忠孝君 大臣に先ほど図を示したように、こういう図もあるんですね。(資料を示す)これは下の分が、これが国庫負担分ですが、ずっとふえているわけです。後の方、ちょっと減っていますのは、これは最近の行革で減らされた分なんです。それはあえて言いませんけれども、ずっとふえているんですよね。しかし一方、やはり汚染者負担原則は確立すべきだと。それに対して、こういう状況が続きますと、やはり財政当局も国も大企業に補助金の面で甘いんじゃないか、こういうそしりを免れないと思うんです。ですから先ほど一番最後の大臣の答弁は、企業のことも考えているんだろうというようなことの答弁ですと、それはやっぱり大臣の見解の差異になっちゃいますから、ひとつその後の議論進んでますので、それに対応する御答弁をいただきたいと思います。
#131
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は具体的な細かいことはよくわからぬものですからいま事務当局から答弁をしてもらったわけであります。
 事業の内容によっていろいろ違うんだろうと思いますし、これを見ると事業費がふえるから国の負担もふえるということじゃないのかどうか、わずかに、二四尾までいったのが今度国の負担が二三%になったのは行革のためだということですね。いずれにしても公正な負担ということが必要でしょうから十分検討さしていただきます。
#132
○穐山篤君 公債の発行の問題について確認をいたしますが、昭和五十六年分、これは御案内のように建設国債十二兆九千億円、特例公債が五兆八千六百億円、加えてこの間建設並びに特例公債の追加の議決が行われたわけです。
 さて、今日現在、五十六年分の消化に当たって、まあ六月まで五十六年度分の発行を行うということができるわけですが、あと残余はどういう状況になっているでしょうか。
#133
○政府委員(吉本宏君) 五十六年度分でございますが、補正で追加いたしました特例国債三千七百五十億円、その分を除きまして全額消化を終わっております。
#134
○穐山篤君 ということは、この間の四月債といいますか、の発行で建設国債、特例公債全部終わり、こういうことですか。
#135
○政府委員(吉本宏君) 四月に発行いたしましたのは五十七年度分でございまして、五十七年度分の長期国債を一兆円四月に発行いたしております。五十六年度分は三月末までに、先ほど申し上げました三千七百五十億の特例国債を除いて全額消化を終わっておる、こういうことでございます。
#136
○穐山篤君 誤解があったかもしれません。というのは、昭和五十七年度予算の成立をした十兆四千四百億円のうちの建設国債の分が四月に発行された、こういう意味ですか。それとも五十六年分、五十六年度建設国債並びに額としては五兆八千六百億円の限度を決めた特例公債は全部シ団を通じてもう消化が終わった、こういう意味ですか。その点はっきりしてください。
#137
○政府委員(吉本宏君) 五十六年度の分につきましては、補正で三千七百五十億円追加をいたしておりますね、この分は資金運用部で引き受けることになっております。六月末までに、出納整理期間が終わるまでの間に資金運用部においてこれを引き受けるということでこの分だけが残っておりまして、その他の建設公債並びに特例債はすべて消化を終わっておる、こういうことでございます。
#138
○穐山篤君 きのうの参考人の意見もそうでありましたが、前回私も国債の消化の問題について、私どの国債発行全体の問題点についてはすでに指摘をしたところですが、発行の問題について、私自身もこうなった以上消化を十分にしなきゃならぬ、こういう現実的な立場に立ちます。
 そこで、シ団側の強い要望もありますし、前回実勢に沿ったものであるとかあるいは利用者のニーズにマッチしたものであるとか、そういう点についての国債管理政策についての要望がたくさん出ているわけですね。今日は少なくとも多少額が減ったといいましても十兆四千四百億円の公債の発行をしなければならぬ。それからさらに、借換債の発行もしなきゃならぬ。もちろんこれは資金運用部資金の引き受けあるいは日銀の乗りかえもありますけれども、金額にしてかなり大型のものになるわけです。
 そうしますと、今年度、昭和五十七年度の言うところの国債管理政策というものを十分に明示をして消化をしなければならぬ、こういうふうに思いますが、その国債管理政策というものについてことし特に配慮しなければならぬというふうな問題点はどこにあるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
#139
○政府委員(吉本宏君) これは常々シ団とも話し合っておるところでございますけれども、やはり何と申しましても、発行条件を適切に設定するということが最重点事項でございます。私どもとしては特に十年利付国債についてはそのときどきの流通実勢、流通利回りを十分注意深く見守りながら条件の設定をしてまいっておるところでございます。
 昨年の五月、九月、十二月、またつい最近は四月ということで条件をかなり頻繁に改定をいたしておりまして、現在のところシ団においてもおおむね当局の条件設定について異論のないところであるというふうに理解をいたしております。ちなみに、先ほども申し上げましたが、四月におきましては〇・二%クーポンレートを引き下げましたが、一兆円の引き受けを了承しておるということでございます。
 それから、条件のことに次いで多様化をしてくれと、国債の発行の種類でございますね、これをできるだけ多様化してくれと。十年債一本でなくて公募入札をふやしてくれというようなことを申しております。この点につきましては、現在中期国債ということで二年物、三年物、四年物というものを公募で入札をいたしております。これは大体最近定着してまいっておりまして、その九割程度が証券会社によって落札されて売りさばかれておるということで、この点についても大体順調に行っているのではないかというふうに考えております。
 それから、資金運用部の引き受けにつきましても、できるだけふやしてほしいということを要望されておりまして、私どもとしても金繰りの許す限り資金運用部の引き受けをふやしてまいりまして、五十七年度におきましても総額において一兆八千億円余り国債の総額が減ったわけでございますが、資金運用部の引き受け額は財投原資が相当厳しい中にかかわらず、三兆五千億ということで横ばいにいたしておるわけでございます。
 それから、全体としてシ団が常々要望しておりますのは、やはり国債の額を減らしてくれと、こういう話でございまして、この点につきましても五十七年度は御案内のように国債を減らした分、総額を減らした分を全部十年債の引き受け額の減額ということで処理をいたしたわけでございまして、五十四年度のピーク時におきましては十年債は約十兆円という発行があったわけでございますが、それに比して五十七年度の発行予定額は五兆円弱ということで、ピーク時に比べて半減したというような状況でございまして、国債の発行、消化につきましては現在のところほぼ円滑に行われておると、このように理解をいたしております。
#140
○穐山篤君 いまお話がありましたが、二年、三年、四年物あるいは五年物の割引債、あるいは十年物というふうに、一時から見ますと商品の数も多様化したことは事実ですが、いまのお話でいきますといまの程度の商品で賄えると、新しい商品の発行は考えていないというふうに考えていいんですか。その点どうですか。
#141
○政府委員(吉本宏君) この点につきましては、御案内のように昭和六十年度以降、かなりの借換債が出てくるわけでございまして、この借換債に対応していろいろ研究をしなきゃいかぬということで常々考えておりまして、たとえば投資家のニーズに合った商品という意味におきましてもうちょっと短期のもの、たとえば一年未満というような短期国債の発行というようなことも一つの研究課題ではないかと考えております。
 しかし、これはいずれにいたしましても、借換債が大量に出てまいりますのは昭和六十年度以降でございますので、それまでの間にいろいろ研究を重ねてまいりたいと、このように考えております。
#142
○穐山篤君 もう一つお伺いしますが、借換債がことし三兆二千七百二十七億ですが、運用部の引き受けあるいは日銀乗りかえを除きますと一兆二千百五十二億円が五十七年度の借換債になるわけですね。
 そこで、これまた同じことなんですが、借りかえの方法として昭和五十九年度までは方針を変えないと。従来とってきました借換債の方針を変えない、これが方針であるし、また大蔵省もそれを考えているだろうと思いますが、借換債に応じて、借換債の商品に応じて借りかえの時期に同じものを借りかえると、こういう発想になりましょうか。その点いかがですか。
#143
○政府委員(吉本宏君) 私どもの理財局で借りかえについての懇談会というのを設けまして、五十五年十二月に「当面の国債借換問題についての基本的考え方」というのを取りまとめていただいたわけでございますが、その内容はいま御指摘のような、たとえば中期国債は中期国債で借りかえると、割引国債は割引国債、長期十年債についてはさらに検討というようなことで取りまとめをいただいたわけでございます。
 まあたとえば、五十七年度につきまして借換債が三兆二千七百億円ございまして、そのうち市中分の借りかえといたしましては、公募入札中期債で一兆一千百五十二億円、シ団引き受け五年割引国債で一千億ということで、いま御指摘の一兆二千億円を中期国債と割引国債でそれぞれ借りかえるということで処置をしてまいりたいと思っております。まあ今後も五十九年度までは十年国債の償還、借りかえが余りないものですから、大体いま申し上げました借換懇談会の御答申の趣旨に沿って処置してまいればいいんではないかと、このように考えております。
#144
○穐山篤君 大蔵大臣、まあ特例公債は昭和五十九年までにゼロにする、これはもう繰り返し鈴木内閣の財政再建に対する公約の一つであるわけですね。プログラムでいきますと、五十八年度一兆九千六百億円に下げて、そして五十九年度はゼロと、こういうことになっておるわけです。
 そこでお伺いします。まあ昨年が一番いい例でありますが、なるほど中期展望計画に基づいて昭和五十六年度の予算編成のときに十二兆九千億円にいたしましたね。そして五十七年度は十兆四千四百億円の公債発行を明示をしながら補正の段階では建設二千五百五十億円、赤字公債三千七百五十億円というふうに追加を発行したわけです。そこで来年、まあことしの問題と来年にかかわるわけですが、たとえば昭和五十八年度は、年度当初はいま私が申し上げましたように一兆九千六百億円という特例公債は発行しない、こういうふうに明示をしながら途中で特例公債の発行を新たに提示をすると、こういうふうなことはないと私は信じたいわけです。
 少なくとも、年々歳々特例公債を下げていって最終的に五十九年度にゼロにするということは、逐次下げていく傾向で最終的にゼロにする、こういうことになるわけですから、少なくとも途中で突出をするような特例公債の発行はあり得ない。それは昭和五十七年度、八年度を含めてあり得ないというふうに考えるのがごく常識的な見方だと思うんです。またそれが鈴木内閣が五十九年度に特例公債をゼロにするという手順から言えば当然の手順だろうというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
#145
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も常識的に考えてさようだと思います。それからそのための最大限の努力をしようという目標を立てておるわけですから、その目標に向かって最大の努力をするという考えでございます。
#146
○穐山篤君 そこで、政策の選択の問題について伺うわけですが、昨年の秋ごろから税収不足の問題について相当内外から指摘もされました。それから景気の対策、見方についても相当の批判があったわけです。
 昨年の暮れの国会あるいはことしに入りましてからの予算委員会の審議を通しましても、少し政府の姿勢の上で違いがあったと思うんですね。大蔵大臣は、現実に税収を毎月毎月見ているわけですから、ある意味では厳しい見方を片方ではしておった。ところが、片方の経企庁長官の方は財政的なてこ入れあるいは金融上のてこ入れ、さらには設備投資などの動向を考えてみて、もう少し待てば景気は上向きになりますよと、そういう期待感を国民に与えておったことは間違いないと思うんですね、間違いないと思う。ですから、大蔵大臣も最後まで税収の見通しについて十分客観的に判断をする材料がない、材料がないということでずっと今日まできて最終的に予算の補正をせざるを得なかったと。
 しかし、その予算の補正も私ども見ておりまして、建設国債二千五百五十億円、それから特例公債三千七百五十億円を含む補正予算というのは、客観的に見まして一晩ででき上がったかの感じがするほど手際のよいやり方をしたわけですね。少なくとも一週間前まではそういうことが余り外でも議論をされていなかった、予想をしておった人もあるだろうとは思いますけれども、それほど政治的な話題になっていなかった。
 言いかえてみますと、それは鈴木内閣全体がどちらの政策を選択するかということについて間違いがあった。その間違いを認めたものですから、最終的にやりくりの方法として一番安直な特例公債あるいは建設国債の発行になったと見ざるを得ないんです。その点どうでしょうか。
#147
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやりくりの方法でと申しましょうか、何と申しましょうか、問題は税収の見通しなんですよ。
 税収の見通しについて直さずにいってしまうかという議論と、いや十二月までの毎月の印紙税の収入、源泉税それから物品税、こういうものは毎月わかるんですね、毎月。あとのでかい法人税と所得税はわからないわけです、これは。だけれども、これはもう確実にどうもいままでの四、五、六、七、八、九と見ていてよくないというので、この税目についてだけは少なくともこの調子でいくと倍にもふくれ上がるということは考えられない。したがって、この際ははっきりと減収が数量的にある程度確実見通しのつくものだけは直しておく必要があるという土壇場になってそういう決定をしたものですから、
   〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
ですから、そこへ結局台風それから災害、冷害等で予想以上の歳出増というものが一方出てきたと。税収の増というものは少なくとも見込めないという予算編成の土壇場にきて実はこの問題は出したわけです。
 したがって、私は自由民主党の中からも大変なおしかりを受けまして、やぶから棒にそんなことを言われて政策の大変更ではないかと、もう与党の中からも突如としてそんなこと言われたってだめだという議論のあったことは新聞等で伝わっておりますから皆さんも御承知のとおりであろうと思いますが、最終決断を私がやったものですから、そういうような突然の方向転換をしたことのためにみんながびっくりしたということは事実でございます。
#148
○穐山篤君 いまいみじくも、大臣認められたわけですが、そのことは昭和五十七年度の経済運営、財政運営の面でも同じことが指摘することができると思うんです。
 大臣はしばしば予算の成立をしたばかりであるというふうに繰り返し言われておりますが、心配は依然として変化はない、いままでと余り変わりないというふうに思うんです。つい最近のたとえば経企庁長官のお話を聞いておりましても、アメリカの金利は漸次下がりぎみである、それから、インフレについても少し収束の方向を示している。そこで、今度は国内問題になりますと、大企業の設備投資はやや上向きに堅調になってきた、問題は、中小企業の設備投資に難があるので、この分野で十分な配慮をしたい、こういう非常に期待感を持たせた話が続いているわけですね。
 私は、それが鈴木内閣全体の政策の見方であるならば問題ない。ところが、鈴木内閣が一本ありながら経企庁長官の方の小回りの仕事と大蔵省の小回りの仕事はばらばらの作業をしておるというところにいつもそごを来す重要な私は原因があるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、単刀直入に、閣内の意見、鈴木内閣の政策の選択に私は少しそごがあると考えるわけですが、少なくとも五十七年度のこれからの財政あるいは経済を考えてみた場合に、財政再建というものを鈴木内閣の最大の政策の選択にしていくのか、あるいは積極的な景気対策というものを表に出して、それを鈴木内閣の大きな政策の選択にしていくのか、
   〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕
これによりましてはこれからの経済活動あるいは財政運営そして税収入の上で重大な違いが結果として生じることはあたりまえだと思うんです。その点、率直に申し上げまして、大蔵省の小回り作業と通産、経企の小回り作業ではずいぶん乖離がある、こう思いますので、その点もう一遍確認をしておきたいと思います。
#149
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、財政再建と景気とは裏表みたいなものじゃないか。要するに、景気がこれ以上落ち込んでしまうということになれば、財政再建もなかなか予定した方向で決着がつくとは私は思いません。したがって、われわれとしてはできるだけ景気にも配意をして、景気の下支えというものもやっていかなければならない、そう考えております。
 ただ問題は、どういう方法があるかというと、非常にこれはもう限られた手段しかありません。問題は、公共事業をいっぱいふやせば景気がすぐよくなる、そういうふうに私は考えておりません。そこで、物価の問題はどうするのかという問題がすぐついて回ることでございますから、これにも財源の問題ばかりでなくて、急に公共事業をふやせといったって、それはいろいろなひずみが出てくるわけですから、おのずからこれにも限界がある。
 金利の問題にいたしましても、私はアメリカの金利はなかなか下がると思っておりません。確かにインフレは七%台まで落ちつきました。しかし、運よくアメリカの金利が下がったとしても、それに追従して日本は金利を下げることはできないと思います。
 理由は簡単です。現在この円安問題というのは、主としてアメリカと日本の金利格差にあるわけですから、アメリカが下がって日本がまた下げたらば格差は永久に、永久って長い間縮まらない。したがって、円安はおさまらない。やはりその場合にはむしろ金利を上げて円高に持っていくことの方がいいんですけれども、ここで日本が金利を上げるという政策をいまとれば、設備投資その他について決してよい影響はない。だから、金利の値上げはできない。ということになれば、アメリカが下げても同じ幅だけ下げられるとは限らないわけでございます。したがって、これにも選択の幅がある。減税問題といっても財源その他の問題があって、そのわりには景気対策としては効果が薄い。
 いずれにしても、日本の中でやれることは限界があるわけであって、日本の経済は世界の経済に連動しているわけですから、日本だけ空景気をつくる気になってへた間違うと、一時的に出ますよ、物価ばあっと上げれば、一時的には税収はがばっと入ります、これは。税収というのは名目に課税するんですから。物価の値上がり引き算しないんですから。ですから、そうすれば税収はよくなるかもしらぬが、国民生活は悪くなるということになります。
 したがって、私はこれらのことを考えますと、現在の状況は失業がなくて物価はうんと安定していて、七%で文句を言いながらもストライキがなくて春闘が済むということは、やはりこれは安定しているところに問題があるわけですから、財政の問題も大事ですが、どちらかといえば国民生活がこういう時期ですから安定しておいた方がいい。世界の景気は永久に悪いわけではなくて、この半年、一年ということが見通されておるわけですから、それまでわれわれはいまの景気をうんとよくするということよりも、いまより悪くしないということの手だての方が副作用が少なくて済むんじゃないか、財政に多少副作用が出てもそれは仕方のないことである、私は割り切っておるわけでございます。
#150
○穐山篤君 さてそこで、五十七年度財政運営の経済対策の一環として公共事業費について七七%の前倒しをしよう、前倒しをすることによってある程度景気の回復をねらうわけですが、いま大臣指摘をしておりますように、べらぼうにそれだけに期待をすることは不可能だ、こういうことが言われています。当然だと思います。
 そこで、今年度予算税収は対前年比で一三・四%上げないと所定の収入が入らない、こういうことになるわけです。さて、いまの見通しでいきますと税収は二月ないし三月段階の推定でありましょうが、五%前後の歳入欠陥がある。そうなりなりますと、所定の三十六兆何がしかの税収を確保するためには、三十六兆六千二百四十億円の歳入を見込むためには一三・四%の伸びでは、これは計算が合わないわけですね。
 そこで、お伺いしますが、税収を何%にいたしますと三十六兆円の税収見込みに計算上合うことになるんでしょうか。その点をお伺いします。
#151
○政府委員(福田幸弘君) まず、五十六年度のところの税収がどうなるかという問題がございます。これは二月税収のところで五・六の伸びということで、それまでの二けたが半分になったということで補正後の数字に達することは困難であると、こう思われますが、あと不確定要因が三月の確定申告とそれから三月期法人の決算が残っていまして、この割合がまだ三割以上であろうと思いますが、そうしますと、これがわかるのが七月の初めということになるわけで、こういう仕組みになっておるものですから、悪いということははっきりしていますけれども、どのぐらいということはわかりません。
 したがって、幾らへこむということがわからないというか、言えないという段階で次の五十七年度、これは経済見通しは変わらないわけですが、いまのような実績がどう影響を与えるか、これはまだ五十七年度始まって税収がこれから入るわけですから、そういう意味で幾らへこむかということはわからない前提で、五十七年度予定の金額に達するのに一三・四をさらにどれだけ伸ばせばいいかということがお答えできないわけでございます。
 いずれにしましても、五十七年度の経済運営が内需中心にどう回復していくか、それから国際的な環境でどういうふうにまたそれが実現できるかという問題にかかっていますので、いまの数字についての御質問にはお答えすることができないのは残念である、こう思います。
#152
○穐山篤君 一般論としてはそういう答弁も無理からぬとは思いますが、去年の暮れあるいはことしの正月もそういうふうに十分見通しがつかないのでというふうに最後までぎりぎり持ってこられて、最後に公債の発行を含んだ補正予算、こういうことになったいきさつから考えてみて、見通しが明確にならないのはよくわかりますが、そこが政治だろうというふうに思います。積極的な態度をとるかあるいは消極的な態度をとるかによっても問題の打開は違ってくると思うんです。ただ、皆さんの場合には、うっかりしたことを言うと後政治的な責任をとらされるという、そういう心配があって大胆なことが国民の前に提示ができない、その弱さはよくわかりますが、いま国の財政というのは緊急事態だと思うんですね。そういうことを踏まえますと、もう少し大胆に物を考え、あるいは大胆に国民の前に政策を明らかにするという私は必要があるんじゃないか、このことを指摘をしておきたいと思うんです。
 そこで、午前中も矢追委員からも再三お話がありましたが、少なくとも昭和五十七年度の特例公債は、なるほど税収不足を補うという意味で特例公債の発行を提案をしていますけれども、従来とは相当性格の違った段階における提案であるだけに、今回の三兆九千二百四十億円というものに私ども大いに疑問を政策的に持つわけであります。午前中も審議がされましたが、いまの段階では三兆九千二百四十億円、今後のことはよくわからないというふうに突っぱねたわけですけれども、そういう態度でいくということは特例公債がマンネリ化しているということを逆に私は反映していると思うんです。そうではないんだという気持ちがあるとするならば、もっと対応の仕方が変わってしかるべきだというふうに思うわけですが、その点はいかがでしょう。
#153
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいままでの五十六年度の歳入不足の心配、その見通しというようなものの前提に立って考えると、五十七年度でも歳入不足が生ずるんじゃないかいとう議論が一つあるわけです。そういうことにもしなければ、ともかく少しまだ足らなくなるんじゃないのという理屈ですね、これは一つの見方だと私は思いますし、間違っているとは思いません。
 しかし、われわれとしては、いま予算が通過したばかりであって、一カ月もたたない現状において、まだ執行もしないうちから歳入不足になるんだというようには考えられないので、ともかく前倒しで公共事業をやったりなんかして景気の持続を図って、極力歳出の節約もしてやっていこうということを言っておるわけでございます。それでも足らなくなるんじゃないかというお話もございます。しかし、それは万一そうなったときはそのときのことであって、最初から、いまから不足額を予定をして余分にさらに発行幅をふやすということも事実上もうできないわけですから、予算は成立して終わっちゃっているんだし、新しい補正予算を出す、いますぐそれでは金がないんだから出さなければならないという状況でもないわけですね。いますぐ差し迫って金を出さなきゃならぬという状況でもない。
 しかしながら、特例公債は一部はどうしても差し迫って発行さしてもらわなければならない状況にもある。これも事実でございます。その額は幾らかというと、予算で決められた制限の範囲だけだということでございますから、私はそういう意味で御心配いただくのは非常にありがたいんです。しかしながら、これをあらかじめ私どもが認めてしまうとまた別な問題が起きてまいります。
 去年、私が一番最後までこの赤字国債の発行について決断しなかったのは三つ理由があります。
 一つは何かと、一つはわからないということなんです。もう一つは何かと、もう一つは五十七年はどうしても足りなくなる、中期展望よりも逆に七千億円が足りなくなると早々とこれは発表しているわけです。そのために増税をお願いしてある。党内で増税議論。それからもう一つは、歳出カットで予算の最後の詰めになった。そういうものが詰まらぬうちに追加の赤字国債を発行するんですと持ち出せば、増税も要らないんじゃないか、歳出カットもそんなにしなくたっていいんじゃないか、赤字国債を追加してどんどん出したらいいんじゃないかという議論が大勢を占めるという問題等もこれあり、したがって私は、泥を一人でかぶっても最後までこれは発表しなかったというのも事実でございます。
 そういう三つの要素が重なりまして、これは洗いざらい全部言うわけですから、これ以上隠したものは何にもないわけです。そういうことでいろいろ苦心に苦心をした結果、党内からもおしかりを受けましたが、土壇場で五十六年度の赤字国債の追加発行に踏み切ったというのが真相でございますので、そういう点もお考えいただきますと、今度の問題について私が早々といまの段階で追加の五十七年度じゅうの赤字国債発行ということはそれは口が腐っても言えない。
 なぜならば、すぐに予算のゼロシーリングを出さなければならない。そこで去年よりもっとひどい歳出カットの覚悟を決めてもらわなきゃならぬというやさきでもございますので、御容赦を願いたいと存じます。
#154
○穐山篤君 それ以上追及することはないとは思いますが、情勢をしかと確かめる上で、もう一回そこの部分で繰り返して申し上げますが、前倒しを前半やりますとおおむね五兆円ですね。その五兆円前倒しをした公共事業が刺激になって、少なくとも税収に五兆円もはね返ることは全く不可能であります。先ほど大蔵大臣が指摘をしたとおり刺激にはなるでしょうけれども、それを一〇〇%期待をすることは無理だと。そうしますと、財政上から言いますと後半戦息切れをしてくるということにならざるを得ない。
 そういたしますと、新たなことを増収対策として、税収対策として考えなければならぬ、こういうことになるわけですが、それ以上は言うなと言いますから私はあえて申し上げませんが、ここで特に指摘をしておきたいと思いますのは、なるほど昭和四十年に千九百七十二億円の臨時、異例の特例公債を発行して、それから昭和五十年にその次に発行し始めて、自来毎年慢性化しているわけですね。足りない部分は全部ここに食いついてきているということについてもっと反省をしていただかなければならぬ、そのことを指摘をしておきたいと思うんです。
 さて、最後にグリーンカード問題について、最終的な確認をしておきたいと思います。
 五十五年度、本制度を制定をしますときに、私どもは不公正税制の是正が不十分だと、こういう意味で税法の改正そのものには注文をつけ反対の態度を表明をしましたが、附帯決議には賛成をいたしました。そこをもう一度読んでみますと、「各種金融資産の取扱いに公正を期するとともに、プライバシー保護の観点から預金者等に無用の不安を与えることのないよう、その取扱いに十分留意し、適正な執行を行う」と。少なくとも、心配になる事項を一応全部列挙をしまして、プライバシーの保護、預金者に無用な不安を与えない、さらには、不公正税制についてさらに全体の見直しをするとか、あるいは新たな不公正を起こさないようにとか、いろんな注文ありますけれども、それが前面に出て執行をすると、こういうことになっておるわけです。
 今日見直しが行われているわけですが、心配がないわけでなし、そのために見直し論が出ているわけであります。この中には、全くグリーンカード制を理解をせずに見直し反対論が出ておりますね。それから二つ目には、誤解に基づいて反対とかあるいは延期の意見が出ております。それから最後には、まあ故意、悪質の部類になるんでしょうけれども、十分承知をしながらこの制度の執行に反対をする、こういう入りまじったものだと思うんです。で、その前段の、十分理解をしてないとか誤解をしているというものは、これは十分に教宣活動、あるいはまあ行政指導を行えば事足りるわけですが、故意、悪質でこれを引き延ばしをするというのは、作為と言わざるを得ないと思うんですね。そういう部分については、この制度の発足した意図をねじ曲げているわけですから、その点については政策的に十分に対応を図っていかなければならぬというふうに思うわけです。
 そこで、繰り返しになりますけれども、いま私が読み上げましたように、適正な執行を行うんだということをまず確認をすると同時に、その前段の問題については、十分われわれ自身も配意をしなければなりませんし、大蔵当局も十分に努力をするあるいは行政指導を行う、少なくとも見直し論がその実行の前に起きないようにすべきではないかと。実行した後でいろんな問題が出ることも考えられます。それはまあ後で十分に考えればいいことなんですが、施行前にこういう見直し論が出ないように十分措置をする決意があるかどうか、その点をお伺いして私の質問は終わります。
#155
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私は何回も申すように、大蔵大臣は憲法と法律を守るという立場にございますので、これを変更しようとすれば、国権の最高機関たる国会において直さない限りは変更できないわけですから、それは私に一生懸命やれと。私もやりますよ、やりますけれども、これは国会の皆さんがしっかりしてくだされば少しも心配は要らないということだと私は思います。
#156
○委員長(河本嘉久蔵君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認めます。よって、質疑は終局いたしました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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