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#1
第096回国会 外務委員会 第6号
昭和五十七年四月十五日(木曜日)
   午前十時五十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         稲嶺 一郎君
    理 事
                鳩山威一郎君
                松前 達郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                安孫子藤吉君
                中山 太郎君
                夏目 忠雄君
                細川 護熙君
                宮澤  弘君
                田中寿美子君
                戸叶  武君
                宮崎 正義君
                立木  洋君
                木島 則夫君
                宇都宮徳馬君
   国務大臣
       外 務 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       外務大臣官房長  伊達 宗起君
       外務大臣官房審
       議官       藤井 宏昭君
       外務大臣官房審
       議官       田中 義具君
       外務大臣官房外
       務参事官     都甲 岳洋君
       外務省中南米局
       長        枝村 純郎君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省条約局長  栗山 尚一君
       外務省国際連合
       局長       門田 省三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       外務省経済協力
       局審議官     藤田 公郎君
       外務省情報文化
       局審議官     加藤 淳平君
       農林水産省経済
       局国際部貿易関
       税課長      重田  勉君
       水産庁海洋漁業
       部国際課長    真鍋 武紀君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府と
 の間の文化協定の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。
 両件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○松前達郎君 日本とスペインの文化協定並びにバングラデシュとの間の文化協定ということで、いろいろとこれからお尋ねをするわけですけれども、その順序をちょっとかえまして、その前に、いまちょうど日ソ漁業交渉が行われておりますから、その交渉中で大分いろいろと仕事がお忙しいということでございますので、それをちょっと先にやらしていただ。きたいと思うわけです。
 日ソ漁業交渉が毎年行われて、年中行事みたいにやってきているわけなんですが、その交渉の経過等をずっと見てまいりますと、ソビエトの方の主張の中には必ずと言っていいぐらい魚族の資源量の問題がその論拠として入っているわけですね。今回もわざわざソビエト側が生物学上の統計資料がそろってない、こういうことで交渉開始を十三日に延期をした、こういう経過があったわけなんですが、その辺の経過をちょっと詳しく説明していただけませんか。
#4
○政府委員(田中義具君) 経過を御説明いたしますと、日ソサケ・マス交渉は、当初は四月七日から開催されることで合意しておりましたけれども、四月二日になりましてソ連漁業省は、在ソ日本大使館に対し、本件交渉日を十三日に延期することとしたいというふうに通報してまいりました。
 その理由としてソ連側は、生物学統計資料が十分にそろっていないということを挙げて、延期を申し入れてきました。
 その後日本側は、何とかもう少し早くならないかということで交渉をしておりましたけれども、結局最終的に十三日ということで合意せざるを得ない状況になりまして、それで十二日から交渉が始まっているという現状でございます。
#5
○松前達郎君 そうしますと、ソビエト側が提示している生物学上の統計資料の不足、そろわないという理由を日本側としては認めて、それで十三日から開始するということに合意した、そういうことになりますね。
#6
○政府委員(田中義具君) そういうことでございます。
#7
○松前達郎君 ソビエトの交渉の姿勢をさっき申し上げましたけれども、交渉の基礎にあるものは科学的なデータといいますか、そういう統計資料等を含めたデータで、その基礎の論陣を張ってくるわけですね。これはもういままでのソビエトの特徴だと私は思うんです。そういう論拠がソビエト側にある、それに対してわが国が交渉の過程において、わが国なりの論拠を持って交渉をやっているのかどうか、その点についてちょっと御説明いただきたいんです。
#8
○政府委員(田中義具君) この点についてはいつも日ソ間のサケ・マス交渉をやるときの最大の問題点の一つで、日本側も水産庁を中心に水産関係の科学者を動員して最大限度可能なデータをそろえて、それで交渉に入ると同時に、まずそういう専門家同士の間で双方の資源の評価に関するデータを突き合わせて検討するというような作業を毎回やって、その結果に基づいて交渉しているという状況でございます。
#9
○説明員(真鍋武紀君) 日ソ間の漁業交渉につきましては、日ソ間で日ソ漁業委員会というのを設置しておりまして、その中の重要な任務の一つといたしまして、お互いの国の間で科学者が集まりまして、それぞれいろいろな魚種につきまして資源評価をやることになっておるわけでございます。その魚種の一環といたしまして、サケ・マスにつきましても昨年の十一月に一度暫定的に資源評価を、それぞれ日本側の主張それからソ連側の主張をお互いに意見交換をしたわけでございます。また、今回の交渉に当たりましても、それぞれ資源論を議論いたしまして、それに基づいて合理的に漁獲規制を行っていくというふうなことになっておるわけでございます。
#10
○松前達郎君 そうしますと、専門家が集まって資源量等のデータを持ち寄るということですね。そこでいろいろと議論があるのだと思いますが、日本側の資源調査というのは、定期的に系統的な一つの方法をとりながら資源調査をやっているのかどうか、その点いかがでしょうか。
#11
○説明員(真鍋武紀君) これにつきましては、水産庁に遠洋水産研究所というのがございます。ここにサケ・マスの専門家がおりまして、これにつきましてはいろいろなデータを集め、また現地で調査船を出して調査をするというふうなことをやりまして、各海域にサケがどういうふうに回遊しておるかとか、あるいはどういうふうに資源量が変化してきておるかということを魚種別といいますか、シロザケ、ベニザケ、カラフトマスというふうにいろいろサケの中でも魚種がございますが、そういうものごとに資源評価を継続的にやっておるわけでございます。
#12
○松前達郎君 遠洋水研というのは静岡の清水にあるやつですね。
 そこで、その日本側がやった資源調査の結果とソビエト側が持ってくるデータというものを突き合わしたとき、かなりの相違が初めからあるんですか、信頼性とかそういう問題もあると思うんですね。お互いに協力してやっているわけじゃないから、そういう点についてはいかがでしょうか。
#13
○説明員(真鍋武紀君) 昨年の十一月に行われました日ソ漁業委員会の資源見解では、ソ連側はサケ・マスの資源量は徐々に回復をしてきておるというふうなことは認めておるわけでございますが、過去の漁獲のせいでかなり資源量が低い水準にある、回復はしておるけれども非常にテンポが遅い、思ったほどの速度で回復はしてきていないというのがソ連側の見解でございます。日本側の見解は、この漁獲、日本の沖取りと称しますが、このサケ・マス漁業に対する規制が強化された結果、ここ四、五年でございますが資源量はかなり回復をしてきておるというふうなことでございます。回復をしてきておるという点については大体意見の一致を見ておるわけでございますが、テンポがソ連側は、あるべき水準といいますか回復の度合いが非常に遅いというふうなことを言っておる、その点が食い違っておるわけでございます。
#14
○松前達郎君 そうしますと見方の問題ですね、これは。調査の結果の見方の問題になってくると思うんですけれども、その漁業委員会でのそういったようなやりとり、あるいは両国の専門家による協議、こういうものである程度資源の量の問題についての合意さえできていれば、漁業交渉の中でああいうふうなことが出てこないんじゃないかと思うんですけれども、それが食い違ったままただお互いに発表してお互いに検討するという情勢で、もしその中で食い違いがあった場合に、その食い違いがあったまま漁業交渉の方にそれを持ち込んでいくということなんですか。恐らく、そこで合意されていればその問題はある程度結論が出てくるはずじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#15
○説明員(真鍋武紀君) その点につきましては、お互いの科学者がそれぞれの科学的なデータに基づきまして主張をし、できるだけ合意できる部分は合意するということでございますが、時間的な制約もございまして完全に一致するというところまではいかないわけでございまして、過去の例を見ますと、かなり隔たりのあるまま漁業交渉に入っていくということでございます。
#16
○松前達郎君 その辺が、やはり交渉がいつも必ずと言っていいぐらい資源量の問題が出てくる、そういうことの一つの大きな基本的な問題じゃないかと私は思うんですけれども、たとえば日ソ両方で共同調査みたいなものをやれば、その結果が合意していればそれについては恐らくソ連も文句言えないんじゃないか、こう思うんですけれども、共同調査というのはいままでやられたことがありますか。
#17
○説明員(真鍋武紀君) 共同調査につきましても、いろんな魚種につきましてすでに実施しておるものもございます。そういうことで、できる限り共同なり同じようなデータに基づいて評価をしていくというふうな方向に近づけていこうということで、お互いに努力をしておる段階でございます。
#18
○松前達郎君 その共同調査をしますと、お互いに立ち会った上での調査ですから、その結果がどうのこうのと後で言えないわけですね。一方的な調査をやりますと、非常にこれは統計資料なんというのはある程度作為的に数字が変えられると思うんです。ですから、お互いに信頼をしないというかっこうになってくる九じゃないか、それが交渉の段階において表面に出てくるというふうな感じを持ってしようがないんですが、実は私、東海大学に籍を置いておりますけれども、これは櫻内さんが農林大臣のころから始めているんですけれども、日ソ共同シンポジウムというのをやっているんですね。これは魚族の増殖に関するシンポジウム、やはり資源量の問題がこれがクローズアップしてきましたから、この資源を枯渇させないように大いに増殖をして、大いにとろうじゃないか、こういうふうな考えのもとに、当時はイシコフ漁業大臣だったと思いますが、漁業省との間に定期的に、もうすでに八回ほど漁業シンポジウムをやってきたわけなんです。恐らくそこに出てくるメンバーは関連があると思うんです、これは、漁業省ですから。こちら側の方からは、私どもの大学以外にも遠洋水研あたりからもメンバーが参加をする。これは学者同士ですからフランクにデータ交換なり今後の問題について討議が行われていくわけなんですが、こういったようなものを使って、ある程度事前に資源量等についてはお互いに認識をしておくという、そういう作業が行われると非常に私は漁業交渉そのものに対するソ連側の論拠も薄まっていくんじゃないか、非常にやりやすくなる面もあるんじゃないか、政治的な問題は別として。ソ連側がその資源量の問題を言いますから、そういうことでこういうものも使っていったらいいんじゃないかと思うんですけれども、これは民間でやっておるので、政府がやっているわけじゃないのですが、しかし、こういったものについてのシンポジウムというものを今後、これは漁業交渉のためにやるわけではありませんが、活用していくというお考えはありませんか。
#19
○説明員(真鍋武紀君) サケ・マス資源につきましては、先ほど申し上げました政府間でも共同調査というふうなことで、昨年の十一月にやりました日ソ漁業委員会の中で、やはり資料の交換でございますとか情報の交換、それから共同調査、専門家の交換とかというふうなことを議論したわけでございますが、この中で共同調査というふうな項目で、サケ・マスの資源調査につきましてもソ連の専門家を日本側が受け入れるというふうなことで、一部についてはすでに着手しておるわけでございまして、いろいろな機会を通じましてお互いに資源評価を近づけていこうという努力をしておるわけでございます。
#20
○松前達郎君 ソビエトの方はどうも科学的な根拠というやつを盛んに主張しますから、そういう面でのお互いの交流を普段やりながら合意をしておくということですね、これをひとつ土台にしておくと、その面での交渉の問題というのは少なくなってくるんじゃないか。そのほか政治的な面もあるかもしれません。これは政治の問題ですから、それはそれで解決していかなきゃならない、そういうふうに私思うので、できましたら相互の調査データというものをお互いに信頼できるような、そういうデータにしていくための共同調査というもの、これはやり方はいろいろあると思いますけれども、これを継続的にやっておく必要があるんじゃないか、そうしてもう、交渉のたびに漁業資源がどうのこうのということで押しまくられるようなことのないように、前もってそういう点は十分お互いに評価をしておくということが必要だと私は思っておるわけなんで、そういう面では、いま申し上げたようなシンポジウム等も大いに利用していただいたらいいんじゃないか。さらにこのシンポジウムを、来年からですが、二国間だけじゃなくてアメリカ、カナダを入れて北太平洋の魚族の問題まで拡大していく、これはソ連も合意しているわけです。そういうことですから、こういったものは私、案外これは重要な役割りを持っているんじゃないかと思うんです。学者のそれぞれの研究発表というだけではなくて、さらにその成果がある程度、これは何にも日ソだけじゃなくて日米もあると思いますから、そういうものに反映していくということ、これを少し努力をしてみたらどうかと私は思っておるわけですが、この点どうお考えですか。これは外務省も含めてお考えを聞かしていただきたいと思います。
#21
○政府委員(田中義具君) 先生の御指摘のような形で、できるだけ日ソ間の専門家の間で絶えず知識を交流しておいて、少しでも共通の判断が得られるように努力するということはもうぜひとも今後やっていかなければならないことだと考えております。
#22
○説明員(真鍋武紀君) いま外務省の方からお答えがございましたように、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ共通の資源評価ができるように今後とも努力してまいりたいと思います。
#23
○松前達郎君 そこで、いま協定成立に対して努力をしているわけなんですけれども、この十三日から始まって、恐らく時間的な制約もあると思いますね、ある程度の時間内にはこの協定を成立させなきゃいけないという面があると思います。その際、条件交渉で日ソ間で折り合いがつかなかったような場合には決裂も辞さないというような強硬論があるというふうなことが報道もされているわけですが、この点どうなんですか。決裂するという、これはいまからそんなことを言ったら悪いかもしれませんが、日本側としては何とかしてこれを成立させたい、あるいはもうどうしようもなければ、これはパーセンテージからいったら漁獲量の中のごく一部だから、この辺はもうある程度決裂しても仕方がないんだと、そういうふうな考えがどこかにあるのかどうか。差し支えなければおっしゃってください。
#24
○説明員(真鍋武紀君) いま交渉が始まったばかりでございまして、まだ先の予測は非常にむずかしいわけでございますが、御承知のように日本のサケ・マス漁業というのは、日本の伝統的な、非常に危険を冒して開発をし、また育ててきた漁業でございますので、この漁業が安定して維持、継続されるように最大限の努力をしていくというのが水産庁の基本方針でございます。
#25
○松前達郎君 そこで、カニの交渉がありますね。カニ交渉というふうに言われているんですが、これは個別の交渉かもしれませんが、今回は窓口を一本化したというふうに聞いているのですが、その交渉の経過によっては、その他の交渉との関連も出てくるんじゃないかということも懸念されているわけですね。その点いかがですか。
#26
○説明員(真鍋武紀君) おっしゃっておられるのは日ソ共同事業のことだろうと思いますが、日ソの漁業関係の枠組みとしまして、日ソ、ソ日協定といいまして、お互いの二百海里の中でスケトウダラとかイワシ、サバをとる、お互いの二百海里の中でとり合う相互乗り入れをする関係が一つでございます。
 それからもう一つは、いま御議論いただきました日ソサケ・マス交渉ということで、これは日本側が一方的にサケ・マスをとるという関係でございます。それから、この枠外に共同事業と称しまして現在のところ甲殻類、エビ、カニでございますが、これについて個別に民間でソ連側と交渉してやる漁業というのがございます。これにつきましても、やはりほかの政府間交渉でやります漁業に影響が出ないように、いろいろ調整をしながら交渉をしておるということでございまして、そういう影響の出ないように今後とも指導をしていきたいというふうに考えております。
#27
○松前達郎君 ちょうど現在進行中の日ソサケ・マスの交渉ですから、これ以上お伺いいたしませんけれども、できるだけ有利な条件で妥結ができるようにと念願をしておるわけです。
 漁業交渉についての質問はこれだけにいたしておきます。どうも御苦労さまでした。
 次に、文化協定に関連した問題でお伺いをいたしたいと思います。
 二つの文化協定は、これは両方見ますとほほ同様な内容のものですね。ほとんど共通した問題が取り上げられておるわけですが、その中に学者とか教員その他の交換の問題が入っておるわけですね。これは留学生ももちろん入るし芸術家も入っている。これらの交換について具体的な裏づけというのが用意されているのかどうかですね、それについてまずお伺いします。
#28
○説明員(加藤淳平君) 二つの協定とも、ただいま御指摘ございましたように、第一条で、学者、教員、研究員、学生、芸術家等の日本とそれぞれの国との間の交換を奨励するということを規定いたしております。しかし、これによりまして直ちに具体的な必要な措置、すなわち予算措置とかあるいは交流自身の実施でございますとか、そういうことを義務づけていることではございません。したがいまして、この協定を締結したということによって直ちに新たな具体的な措置をとるということではございませんが、この協定の締結によりまして、日本とそれぞれの国との間の文化交流の基本的な枠組みをつくるということになりますので、その枠組みの中で、第一条に規定されておりますようなさまざまな人的交流が今後促進されていくということになると存じております。
#29
○松前達郎君 この協定の第二条ですか、修学、研究のための奨学金についてたしか出ていたと思うんですが、これなどはどうなんですか。やはりいまおっしゃったように新たな予算措置を行わない、いまあるものの中からこういうものに対応していくというふうなことなんでしょうか。それが一つ。
#30
○説明員(加藤淳平君) そのとおりでございます。
#31
○松前達郎君 これは芸術家ももちろん同じですね、そうなりますと。
#32
○説明員(加藤淳平君) そのとおりでございます。
#33
○松前達郎君 そこで、国内措置としては特別の予算措置を行わない、そういうことだと思いますが、各種の文化交流事業のうち政府資金が関係するものでは、これは外務省と文部省が関係するんじゃないかと思います。さらに、国際交流基金というのがありますね、これなどの予算内で行うんだと、もっと詳しく申しますとそういうことになりますね。
 そうなりますと、文化協定を結ぶ国がどんどんふえていった場合、予算措置は一つの枠組みを決めておいて、協定国がどんどんふえていくとなりますと、ドアをノックしてあけただけならそれは話は別ですけれども、具体的にある程度内容をうたっている以上、だんだん薄まっていくんじゃないかというような気がするんですが、その点どうですか。やはり予算措置をある程度しておきませんと実績が上がらない。上がらないとすれば、こういう文化協定なんというのは飾り物にすぎない、こういうことになりかねないんで、その辺どういうふうにお考えでしょうか。
#34
○説明員(加藤淳平君) 文化協定そのものは、具体的な交流計画あるいは予算措置というものを決めるものではございませんが、毎年の文化交流計画の実施に当たりまして、文化協定を結んでいるかどうかということも十分勘案しつつ、文化協定を結んだ国との間の文化交流というものにつきましてはできるだけその効率化を図っていくということでございます。したがいまして、ただいま薄くなるのではないかという御質問でございましたが、薄くならないように、できるだけ全体計画の中で調整をしながら実施してまいりたいという考え方でございます。
#35
○松前達郎君 財政の問題が非常に問題となっていますから、なかなか予算をそこへつけるということが大変かもしれません。そういう意味からいきますと、今度は民間の外交というか、民間が文化交流をやりたいというのがあっちこっちで行われているわけですね、そういう意思のもとに。これはいまのスペイン、バングラデシュだけではなくて、民間の文化交流というのが盛んに行われている。これもある意味じゃ、協定そのものとリンクをする中で非常にこれはプラスになっていくんじゃないかと思うんですね。ですから、これらについてやはり外務省としてバックアップをしていくべきじゃないか、お金を出すということじゃなくて、便宜的にバックアップをするということでは大いにこれは考えられるわけですね。ですから、今後お金がなければ民間がやるということについて、できるだけ積極的に後ろ盾になっていこう、促進していこうということが必要だと思うんですけれども、その点いかがですか。
#36
○説明員(加藤淳平君) 先生まさに御指摘のとおりでございまして、協定の第三条におきましても、大学その他の教育研究機関の教育及び研究を奨励するとか、その他の大学あるいは民間の行う協力、交流を容易にし、かつ奨励するという規定がございますが、私どもといたしましてもこの趣旨に沿いまして、でき得る限り民間と御協力しながら交流を活発化したい、かように存じております。
#37
○松前達郎君 そういうことでしょうけれども、それはそれで大いにやっていただきたいと思うんですけれども、往々にしてこういうことを聞くんですね、民間の文化交流が行われているときに、そのブレーキになるのは外務省であるというふうな声を私聞くんです。これはいろいろな考え方なりいろいろな立場があるんじゃないかとも思いますけれども、どうもその声が一つ、二つじゃないものですから、もっとはっきり言いますと、文化協定が結ばれたらもう終わりなんだ、それでストップしちゃうんだというふうな極論まで出てくるものですからね。ですから民間の交流に関してのバックアップ体制というものについて積極的にやるといまおっしゃいました。それは大いに結構なことで、そういう点も言われているということをひとつ頭に置いていただいて、これは外務省のシステムの問題だと思うんです。
 たとえば交流をしようというときにバックアップを頼むときに、一体どこへ持っていったらいいのか、たとえば外国にある日本の在外公館に頼むのか、あるいは東京にある外務省に直接頼むのか、頼むというか、そういうことをやるということを連絡をしてバックアップを頼むのか。その辺がどうもはっきりしてないわけですね。そういう点もある程度民間の交流をやろうとする人たちにわかるように、取り扱い方法その他についてもはっきりさせておいた方がいいんじゃないか。こう思いますけれども、現在はどうなっていますか、その点は。
#38
○説明員(加藤淳平君) ただいまの窓口の問題でございますが、これは在外公館におきましても文化交流の関係の担当官が必ずおりますし、それから本省におきましても、私どもの情報文化局の文化一課及び二課というところが窓口になっておりますので、その点ときには御批判はあるかと存じますが、私どもとしてもこれまでも十分努力をいたしておりますし、ただいまのような御指摘があったことを十分考えまして、今後とも努力いたしてまいりたいと思っております。
#39
○松前達郎君 そういうことでひとつよろしくお願いしたいと思うんですが、それともう一つ、これまた重言なんですが、国のそれぞれの外交上の問題、シチュエーションもあると思いますけれども、大学等で外国人留学生を呼びますと地元の警察がそれにつきまとってどうしようもないんですね。そして情報を集めては県警の方に上げていく。それがたまたま法務省の方に入っていったりあちこち入っていくということです。それで比較的好ましからざる人物だとかなんとかいう評価が出てくるわけですね。そういった留学生とかあるいは研究者を引き受ける場合には保証するところがあるわけですから、その点独自にやられちゃいますと何かおかしなことになってくる。やはり何か不穏当な行動があるならあるで、その責任をとった、保証をしたところに連絡してもらえればこれをばっちり注意することができるわけですね。そういうのがつい最近もあったわけなんで、これは外務省のあれじゃないと思いますけれども、その辺もちょっと頭に置いておいていただきたい、かように思うわけです。これは私の方からそういうことがあるということを申し上げただけでありますが。
 そこで、このスペイン、バングラデシュそれぞれの国からの現在日本に来ております留学生の現状は一体どのぐらいになっておりますか。
#40
○説明員(加藤淳平君) 留学生につきましてでございますが、昨年の五月現在、と申しますのは毎年五月現在で統計をとっておりまして、これが最新の数字でございますが、スペインから参りましてわが国の大学に在籍しております留学生は、国費留学生が六名、私費留学生が六名、計十二名でございます。それからバングラデシュでございますが、同じく五十六年五月現在でわが国の大学に在籍しておりますバングラデシュの留学生は、国費留学生四十一名、私費留学生五名の計四十六名でございます。
#41
○松前達郎君 そうしますと、バングラデシュの方が圧倒的に多いということになりますね、四十一ですから。まあこれはいろいろな国情等もあると思います。この受け入れ審査というのはどういうところでやるのですか。
#42
○説明員(加藤淳平君) 留学生受け入れ事業につきましては、文部省と外務省とで協力して受け入れを行っておりますが、まず文部省と相談いたしまして毎年の受け入れ枠を設定いたしまして、それに基づきまして大体これぐらいということを大使館に通報いたします。それとともに日本語の能力を、これはぜひとも日本語の能力がある程度なければいけないというものでもございませんが、日本で勉学するための目安といたしまして、どの程度の日本語能力があるかということを調べるための問題を送りまして、現地で、つまりバングラデシュにおけるわが国の大使館とそれから現地政府と協力いたしまして、それぞれそのような日本語のテストも含めまして審査をいたすということになっております。
#43
○松前達郎君 日本語ができた方がいいというのは当然ですね。それが日本に来てから日本語をやるという手だてもあるわけですね、そういうのを各大学持っていますから。そういうことも含めて、できるだけ指導的といっても、将来指導的役割りが果たせるかどうかまだ留学生ではわかりませんけれども、これは一つの相互理解のための大きな力になるんじゃないかと思いますので、これもひとつ、予算の枠もあると思いますが、積極的にお願いをしたいと思います。
 文化協定についてはそのぐらいにしまして、その次にアメリカと中国の関係について、これがちょうど台湾への武器輸出問題との絡みで、最近多少その様相が変わってきているような感じもいたしますので、それについてお尋ねをいたしたいと思うんですが、アメリカの国防総省が軍用機の部品六千万ドルですか、この輸出を議会に通告して、多分これは通るであろう。それに対して中国は、かねがね台湾に対する武器輸出についての問題に神経をとがらしていたわけですが、中国の主権を侵犯する行動であるというふうなことからアメリカ政府に対して強烈な抗議を行った。強烈な抗議というところでいまの段階では終わっておるわけです。そういうところを見ますと、米中関係というのは、急速にではないけれども、徐々に悪化とは言いませんが冷却の方向に向かっているような感じを私は抱いているわけですが、それと同時にブレジネフのタシケントでの呼びかけ等もありましたし、中国側はそれに対して、実際に行動で示せというふうなこと直言っている。ドアが少しずつあいてきたような感じがするというふうなことだと思います。しかもそれに対してソビエトのプラウダあたりは、北京の反応というものに対しては満足をしているんだと。この辺のやりとりが最近非常に頻繁に行われておるわけですね。しかも北朝鮮あたりは、中ソの和解が将来徐々にではあるけれども進むであろうという予測もしている。その予測のもとに対中外交といいますかあるいは対ソ外交というのを展開をしなければならないというふうなことも北朝鮮が言っている。しかし北朝鮮は中立路線をあくまでも守るんだと、こういうことで外交を進めていこう、こういうふうな状況だと思うんですが、この辺について、多少そういう変化が見られてきつつあるものですから、外務省としてその辺の状況判断というのはどういうふうにされておるか、それをお伺いしたいんです。
#44
○政府委員(藤井宏昭君) お答えいたします。
 まず第一に、米中関係でございますけれども、台湾に対するアメリカの武器供与をめぐりまして、特に昨年の秋から米中間でいろいろ話し合いが行われております。その過程におきまして、新華社あるいは人民日報等の論説その他におきましてもアメリカに対する不満というようなものが表明されておりますし、昨日もアメリカの台湾に対する六千万ドルのパーツの供与に関連いたしまして、ただいま先生御指摘のように、中国外交部のスポークスマンの声明が発せられておるわけでございます。この台湾に対するアメリカの武器供与の問題は、一九七九年一月に米中国交正常化いたしましたときから存在している問題でございます。現在、米中間で本件につきまして話し合いが行われているわけでございます。米中双方の国際情勢全体に対する大局の利害、認識が相当に一致しております。さらに、中国が対外経済開放政策等をとるということ、中国の近代化を目指して進んでいるというその政策についてのアメリカの認識も中国と一致しておると思います。したがいまして本件につきましては、米中双方の話し合いによって解決が見出されることを強く希望しているわけでございます。
 それから、御指摘の中ソ関係でございますけれども、御指摘のようにタシケントにおきましてブレジネフの声明が行われる等、いろいろ動きがあるわけでございますけれども、先般、日中の外交当局者間会議におきましても、中国の符浩副部長から外務省の方に対しまして説明がありましたところでは、一言にして言えば中国外交部スポークスマンの声明に尽きておるわけでございますけれども、すなわち、タシケントにおけるブレジネフ書記長の声明を留意すると、それから、今後は実行を見守っていくと、実際の行動を見守っていくということに尽きているわけでございますけれども、同時に、一朝一夕に中ソ関係が急速に現在のありようから変わっていくということはないという趣旨の説明を受けております。したがいまして、今日いろいろな動きが表向きありますけれども、基本的な流れというものは現在と変わらないというふうに認識しております。
#45
○松前達郎君 アメリカの場合、どうも最近見ておりますと非常にレーガン政権というものが気が短いというのか、短絡的といいますか、政策そのもの比較的強引な政策が目立っているような気がするんですが、アメリカにおけるレーガン政権の人気というのが急速に低下している、特に婦人層に低下している。これは分析しているのがワシントン・ポストあたりの分析ですけれども、恐らく戦争と平和というか、軍拡の問題でこれは女性の評価というのがどんどん下がっている、こういうふうに報告があるわけですね。しかもレーガン大統領の動きというのは、まあこれは香港の評論家の記事を見たのですけれども、反ソ帝国主義というよりも反共主義ということで徹底していると。彼は単純であってイデオローグである、共産主義者を悪いやっというふうにみなして、そして反共主義者を、たとえばエルサルバドルであるとか、あるいは台湾であるとかをよいやつというふうにみなすんだと、こういう単純な見方というのがどうもアメリカにあるんじゃないかと、こういうふうなことが言われておるわけなんで、非常にその辺がやはりわが国の外交政策としても十分考えながらやっていかなきゃならない面があるんじゃないかと思うんです。
 白か黒かというアプローチの仕方をレーガンがとるということになれば、中米などの不安定化についても大いに寄与したんじゃなかろうかと、こういうことになるんじゃないか。しかも、チャイナカードをアメリカが使っていたのが、これはソ連が今度は使う番になったのじゃないかと、こういうふうな評価もされているわけですね。ですから、動きが徐々に変わってきたということですね。そういう状況の中でわれわれの外交は進めていかなければならない、こういうことになろうと思います。そして、たとえば台湾と中国の外交上の取り扱いですね、これはアメリカがいま苦悩しているわけですが、わが国にとってやはり問題がいろいろあるわけですね。一つ一つ問題をここでは申し上げませんが、台湾と中国の外交上の取り扱いについて、わが国としてはどういうふうに今後取り扱っていくのか、その点をお伺いしたいんです。
#46
○政府委員(藤井宏昭君) 中国につきましては隣国でございますし、歴史的にも深い関係にございます。したがいまして、わが国は中国との友好協力関係の増進をわが国外交の主要な柱の一つとして努力をしてきたわけでございますし、今後とも努力していくということであろうかと存じます。台湾につきましては、わが国としては日中国交正常化以降、日台関係は民間の地域的な関係であるというふうに認識しておりまして、この日中国交正常化の枠組みの中で、貿易、経済、文化等の諸般の実務関係を取り進めていきたいというふうに考えております。
#47
○松前達郎君 そこで、だんだんとアジアの方に、たとえばヨーロッパあたりの問題、核の問題でいろいろと論議をされている。しかも、新しい核ミサイルの配備という問題で非常に軍縮の問題にそれが発展していっている。そういう状況ですね。ですから、それと同時にアジアでもどうもだんだんとその様相が変わっていくような気がしてしようがないんです。北朝鮮あたりも、南北の統一は自力でやるんだということを言い出していますね。よその国が介入すべきでないような、そういう発言等をしておるわけで、その辺大分アジアの状況というのが変わってきたと私は考えておるわけなんですが、そのアジアとまたずいぶん遠い国であるアルゼンチンの問題も、フォークランド諸島の問題で紛争がいま起きつつある。これもまた予測を許さないような状況になろうとしているし、この取り扱いを間違いますと、イギリスの政権もやめざるを得ない、責任をとらざるを得ない、そういうところまできておるわけなんですが、最近になって、イギリスとアルゼンチンの間の紛争であるものが国連の場を通じていろいろと問題提起をされて、わが国としてもその問題に対して何らかの対応をせざるを得ないような状況になってきつつある。しかも、同時にソビエトあたりがまたこれに介入をしそうであると、ソ連と米国の対立というのがこの問題でもやはり浮き彫りにされようとしている。
 そういうふうな状況で、たとえばソビエトの場合に、穀物輸出をアメリカがとめましたけれども、それに対してアルゼンチンから輸入をしていたということもありますね。これは私、ソビエトの高官の人から聞きましたが、アメリカが幾ら対ソ穀物輸出をとめてもソビエトはちっとも困らないと。どうしてかといったら、アルゼンチンという名前がかつて出てきていたわけです。ですから、そういうこともあって、どうもアルゼンチンとソビエトの間が急速に近づきつつあるような感じを私持っておるわけなんで、そういうふうな面から考えても、やはり中国的に言えば超大国の干渉というやつが、どうもすべて何か一つ事があると、バックにいるのがソビエトとアメリカだと、こういうふうなことにどうも最近なりつつあるわけですね。
 アルゼンチンの外務省あたりは、アルゼンチンはマルビナス諸島と言うんだそうですが、この紛争に関して国連安保理事会に英国の案が提案されたと。これ撤兵の決議案ですね。アルゼンチンの軍隊をマルビナス諸島から撤兵をするという案が出されて、それに対して日本が賛成したということをアルゼンチンの外務省当局が言っておるわけですが、それはきわめて遺憾であると、こういうことも見解として述べているんですね。彼らの言い分というか、その理由というのが北方領土返還問題と全く似ているじゃないかと、日本が国連の場でアルゼンチンの苦しみを理解していない、そういうふうな苦言を言っておるわけなんですが、この辺は非常に取り扱いはむずかしいと思いますけれども、これらの問題については外務省はどういうふうに考えておられますか。
#48
○政府委員(田中義具君) 日本としましては確かにフォークランド諸島、アルゼンチンのスペイン語ではマルビナス諸島ですが、その領有の問題をめぐって紛争があるということは認識しておりますけれども、その問題はあくまでも平和的に、外交的に解決されなければならないという立場でして、今回のアルゼンチンの措置は、それを武力を行使して解決しようとしたというところに問題があるわけで、日本政府が安全保障理事会の決議に賛成しましたのも、そういう武力行使は国連憲章違反であると、したがって即時アルゼンチンは撤兵すべきであるという点に賛成したからでございます。
#49
○松前達郎君 条約局長、何かございますか。
#50
○政府委員(栗山尚一君) 基本的にはただいま欧亜局の方から御答弁申し上げたことでございますが、先生北方領土との関連で御質問がございましたのでその点について若干補足して申し上げれば、ただいま申し上げましたように北方領土の問題を含めまして、日本としては領土問題についてはこれをあくまでも平和的手段でもって解決する、北方領土につきましてはソ連との間に粘り強く交渉を続けていく。あくまでも平和的な手段で解決を図るというのが日本の基本的な立場でございまして、この点につきましては日本自身が抱えている領土問題のみならず、他国におきましてもそういう領土問題の解決はあくまでも平和的手段でもって解決しなければいけないのだというのがわが国の基本的な立場でございまして、今回のアルゼンチンとイギリスの紛争につきましても、日本がとりました立場というものは、いま申し上げましたわが国の基本的な立場の一環としてとられたものでございます。
#51
○松前達郎君 そういった平和的解決ということで、国連の場とかそういう場でもって大いに日本の態度というものを説明をしておく必要があると思いますね。反対、賛成だけ言うと結論だけぱっと出てきますから、さっきの黒白みたいな、黒白つけるような問題になってきちゃって、なかなかそれが誤解の原因になるんじゃないか。ですから、その辺恐らく説明してあると思いますけれども、そういうふうないま申し上げたようなアルゼンチン外務省の見解があったものですから、ちょっとお伺いしたわけなんです。
 そこでもう一つだけお伺いしたいんですが、実は国会からの派遣で、参議院の方からの議長の命令で、実は昨年のヨーロッパ評議会に私出席をしてこいというのでしてきたわけなんですが、その際、ちょうどその評議会ではヨーロッパとアメリカの問題を中心にしていろいろ議論が行われておったわけです。ヨーロッパ評議会のプログラムとしては、この次は日本とヨーロッパの問題をやるということに決めたわけですね。特にその中で問題になってくるのは、貿易摩擦とかそういう問題が非常に討議されておりましたから、恐らく貿易摩擦等の問題がここでもクローズアップしてくるんじゃないか。これは恐らくことしの十月の評議会だと思います。
 その際、お互いに理解をしないで、シチュエーションをわからないでおいて、ただその結果だけで議論し合ってもこれは話にならないから、やはり日本の事情とかそういうものを十分理解させるようなセミナーみたいなものを行いたいと、評議会のデ・アレイサという議長ですが、その人からわれわれに提案があったわけです。われわれとしてはそれをすぐ受け入れて、じゃ、やりましょうと言うわけにもいかない。したがいまして、持ち帰ってからいろいろ検討するということになっておったのですが、その際議長の方からの提案に対して、どういうふうにしてこのセミナーをやったらいいかという問題のいろいろな問い合わせがあったんですね。私の方としては、これはやはり外務省を通じて一度申し入れをしてもらう必要があるんじゃないかというふうなことを申し上げて帰ってきたわけなんですが、OECDの皆さんもフランスに駐在している方々も一緒に来られましたけれども、こういうことを努力をしておくということは非常にいいんじゃないかと、そういうふうな意見であったわけです。私も全くそのとおりだと思います。そういうことで、このセミナーというのは多分五月ごろという話を聞いておりましたけれども、外務省に対して何かそれらについて要請なり何なりございましたか。
#52
○政府委員(田中義具君) 先生のお力添えもございまして、本件につきましては六月二十四日、二十五日の両日にフランスのストラスブールにおいて日欧双方の有識者の参加を得て日欧セミナーが開かれるということが決まっております。このセミナーは、日欧間の対話、協力関係の強化ということで、大いに日欧間の相互協力、相互理解の増進に寄与すると考えられますので、現在外務省が中心になって積極的に取り組んでいるところでございます。一部出席者等も確定しておりますけれども、国会議員の先生方の御出席についても国会事務局を通じてお願いしているところでございます。
#53
○松前達郎君 それでは、それは進捗しているということですね。これは小さな話かもしれませんけれども、しかし、こういう努力の積み重ねというのが、日欧間の問題について一つの大きな、何といいますか摩擦の防止に対して役に立つとわれわれは思っておるわけです。これについては、加藤先生と二人で一緒に参りましたので、進捗状況をある程度、その都度じゃなくて結構ですから、ひとつお知らせいただければというふうに思います。
 それじゃ、私の質問はこれで終わらしていただきます。
#54
○委員長(稲嶺一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、十二時五十分まで休憩いたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時五十二分開会
#55
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#56
○渋谷邦彦君 局長さん方の御都合を見計らって、最初文化協定について若干御質問申し上げたいと思います。
 文化交流が最近とみに日本としても積極的に推進するような方向に向かったことは歓迎すべきことであろうというふうに思います。そうした中でも、いろんな予算上の措置だとかそういう面もありまして、やりたいけれどもなかなかむずかしいというような側面もあるように思えてならないわけであります。すでに何カ国かどの間に文化協定が結ばれてまいりました。協定それ自体については、さほどどうこうという問題はないと思います。大いに推進をすべきであるということになるわけでございます。しかし、その協定が結ばれた後においても、果たしてどういう成果が上がっているんだろうかということを概観いたしますと、必ずしもわれわれが期待し得るような方向に進んでいないのではあるまいかという疑問がございます。きょうはそうした観点に立って、今後国際文化交流の進め方はいかにあるべきか、いろいろと細かい問題まで触れるということはこれだけでも相当の時間がかかるであろう。概観的に一つの視点に立ちながら触れさしていただきたいというふうに思います。
 日本と相手国の国際文化の交流、これについての推進の役割りを果たしているものの中に国際交流基金というものがあると思います。私もずっと読ましていただきました。ただ、それを一見いたしますと、先ほど申し述べたようにかような少ない予算で果たしてできるんだろうかという問題もあります。現在基金が四百八十五億、その中で果実を中心とした約四十億前後が運用されておると、こういう経過のようでございます。日本の文化の紹介もあれば、また相手国からのいろんな文化の紹介、人事の交流というものが中心であろうかというふうに思いますけれども、欲を言えば切りがないとは思いますが、せっかくこういう文化協定が結ばれるその一つの手がかりともなるべきものが、こういう協定が結ばれたときにもう一遍認識をし直して、積極的に取り組む必要があるのではないか。かつて予算の委嘱委員会のときにも私、若干この問題に触れさしていただいたはずでございます。今後、この国際交流基金を中心とした文化の交流というものは、いま申し述べましたように、それだけの役割りがございましょうし、また相手国にとっても大変な期待感というものがあるであろうというふうに思えてなりません。
 まず最初、そういった面からの今後のあり方、また問題点、そういったものがあれば、概括的にお伺いをさしていただきたいというふうに思います。
#57
○説明員(加藤淳平君) ただいま国際文化交流の促進につきまして大変な御激励をいただきましてありがとうございます。
 御指摘のように、主として国際交流基金の行っております文化交流の事業につきましては、予算的な制約の中で精いっぱい日本文化の紹介及び国際的理解の推進のために努力をしておるところでございますが、基本的にはどういたしましても現在の非常にむずかしい財政状況の中で大きな制約がございますことは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。そういう点がまず一番大きな問題点であるかと存じますが、その中で国際交流基金の業務の内容についてもいろいろ御研究いただいたことと存じますが、たとえば日本を紹介する面につきましては、諸外国における日本研究に対する援助と並びまして、日本語の普及という事業がございまして、この日本語の普及につきまして昨今、特にここ数年来、海外におきまして大変な日本語に対する要望などもございます。こういう点につきまして、まだまだ国内的な体制ができておらない。そういう国内的な体制に立って国際交流基金が十分な仕事ができるということになるわけでございますが、国際交流基金の仕事が円滑に進められるための国内体制の整備ということ自体、これからの問題である。これは日本語は一つの例でございますけれども、というふうに考えております。
 その他、問題点はまさに山積いたしておるわけでございますが、私どもとしては何とか一つ一つそれを片づけながら進めていきたいというふうに考えております。
#58
○渋谷邦彦君 林健太郎さんがいみじくもこうおっしゃっているんですね。これは十分政府当局としても承知をされておることではありますけれども、一応読んでみましょう。「われわれ国際文化交流事業に遅れて参加した日本人が、まず“自国の文化紹介”を最大の目的として事業を始めたときに、彼ら先輩諸団体はすでにその段階を越えていたということです。」と、いかにおくれているかということが、この二言をもってしても私ども十分理解のいくところである。恐らく十年以上のおくれがあるんではないかという感じすらもする。いまそれに追いつけ追い越せというそういう状況の中で、非常に限られた予算の範囲で、いまわれわれが願っているような方向へ向けるということは、いま相当遠慮しいしい御答弁なさったようですけれども、やはりお金のかかる問題であることは言うまでもないんです、これは、はっきり申し上げて。ただし、いま財政硬直という背景を持っておりますので、言うべくしてなかなかむずかしい問題があると思うんです。経済交流結構だと思うんですよ。しかし、経済交流の前に文化交流というものを積極的に推進することによって、いろんな国々との間にお互いの認識と理解というものが深まることによって、むしろ経済交流も大きな効果を側面的に果たすという、かえってそういう点に私は非常に大きな効果が出てくるんじゃないかという判断を持つ場合がございます。ですからこの点、総枠が決まっているそういう中で多少でも文化交流の方へ、昭和五十八年度の予算編成に当たっては少しでも文化交流に貢献できるような予算措置というものがとられていいのではあるまいか、こんなふうにも考えられるわけです。外務大臣どうでしょうか。
#59
○国務大臣(櫻内義雄君) 結構な御意見をちょうだいしまして、私も明年度の予算の概算要求からそういう心得で努力をしてみたいと思います。
#60
○渋谷邦彦君 国際交流基金の内容をずっと拝見をいたしますと、これは両面持っているというか、要するに日本文化の紹介と相手国の文化の紹介というものと両面交流というふうになっているんですが、実質的にはどうも日本文化の紹介の方に傾斜しちゃって、相手の方の交流というものは非常におくればせながらついてきているような状況であるまいか。これはやはりバランスよくその辺を考えて今後の交流ということを考えていく必要があるんではないかというふうに思えてならないわけでありますけれども、法律的には両面交流ということがうたわれているわけでしょう。けれども、現実には両翼じゃない片翼でもって飛んでいるような状況。これは何とか是正する方法はないんですか。
#61
○説明員(加藤淳平君) 先生御指摘のとおり、国際交流基金の事業は、確かにわが国文化の紹介ということにかなりの比重がかかっておるのは事実でございます。これはただ、先ほど御指摘いただきましたように、諸外国において日本の文化、あるいはもっと広く日本というものが知られてないという実情がございますために、このことが一番優先順位が高く、まあ国際交流基金十周年を迎えようとしているわけでございますが、この十年の間では最も優先順位が高く事業を行ってきたということでそうなっているわけでございますが、まさに両面交流の必要性ということも特に昨今非常に強く感じられておりまして、ここ数年、向こう側からの日本への受け入れという事業を、比重としては少ないわけでございますが始めておるところでございます。その場合に、御案内のとおり先進国にはいろいろな文化交流機関がございまして、それぞれ非常に活発に日本にそれぞれの文化の紹介をしているわけでございますので、私どもとしましてはそういう機会の少ない開発途上国の文化、特に開発途上国の芸能でございますとか美術でございますとか、そういうものを日本に紹介して、日本の開発途上国に対する理解を深めるということをここ数年重点を置いて実施してまいっております。
 幾つか例を挙げさせていただきますと、昨年の主な事業といたしましては、インド、ネパールの伝統舞踊の日本に対する紹介でございますとか、あるいはアジアの仮面の展覧会でございますとか、そういうようなものを国際交流基金の主催事業として実施いたした次第でございます。本年度は、これは十周年記念事業の一環といたしまして、インドネシアのバリ島の舞踊でございますとか、それからアジアの宇宙に対するいろいろな考え方を、まあ曼陀羅というようなものを集めました展覧会を企画いたしておりますが、そういうような形でアジア諸国に対する日本側の理解を深め、それによって国際交流の一助にいたしたいと、こういうことで事業を進めておるところでございます。
#62
○渋谷邦彦君 確かに、そういう点で日本文化の紹介ということは特に発展途上国に対しても必要な要素の一つであろうというふうに思うんです。ところが」きょうは余りもう時間がないものですからはしょって物を言わなくちゃなりませんけれども、おもしろい指摘があるんですよ。
 これは駐日EC委員会代表部の一等書記官という方が苦言を呈されているぐらいで、これは私が言うことじゃないですよ。「「外務省・ピープル」はもっと日本の紹介に関心を持つべきだ。」云々とこうあるんです。それから、「日本人は学ぶことには熱心でも、教えることは上手といえない。」大変痛烈なこれは指摘でございまして、だからやはり日本文化を紹介するに当たっても、果たしてその効果という面を考えてみた場合に、あるいはこの方の指摘することが大変正当な評価をしているんではないだろうかというふうに思えてならないわけなんですよ。そのほかずいぶんあります。
 そこで、今後やはり取り組む一つの方法として、特にいま触れられた中にございますように、発展途上国に対する交流というものは特に関心を持っていただきたいなと。先ほど申し上げましたように経済援助も必要でございましょうけれども、むしろ日本をよく理解してもらうということも、親善交流を深める上において非常に大きな条件になってくる、柱になってくるだろうと思うんです。日本から相手国、相手国から日本と、それは留学生の交流、学者の交流、あるいはいろんなものがございましょう。
 それともう一つ、特にASEAN諸国を中心として一例として考えましょうか。マレーシアだとかあるいはシンガポールの方々で、日本へ来たいんだけれどもまずアメリカへ行ってみたいという人もいると思うんです。あるいはヨーロッパへ行って勉強したい、研究をしたいという場合がある。そういったときに、国際交流基金を通じて何らかの助成手段というものが講じられないであろうか。そういったことをやはり果たしてあげることも、発展途上国の方々の日本に対する期待感というものは一層深まるであろうというふうに思えるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#63
○説明員(加藤淳平君) ただいま御指摘のような協力でございますが、これは実は国際交流基金ではこのような協力を現在も行っておりませんし、今後も恐らくそこまで手を伸ばす余裕がないのではないかというふうに考えるわけでございますが、一方政府ベースで、と申しますのは外務省が直接拠金をいたす形の文化協力によりまして、一九七八年と七九年に、ASEANでございますけれども、ASEAN文化基金というものを拠出いたしております。これは金額にいたしまして五十億円でございますが、これが基金になりまして、その基金を使ってASEAN諸国の中の人物交流、ただいま御指摘ございました諸外国、つまりASEAN域外の国への留学ということには実はこの資金は使えないわけでございますが、この資金ではむしろASEANの域内の人物交流でございますとか催し物でございますとかセミナーの開催でございますとか、そういうことに使えることになっておりまして、七九年からこの事業が開始されております。八〇年に本格的なスタートいたしたわけでございますが、大体百七十六万ドルという事業規模でございますので、もうこれはかなり大きな事業規模であるかと存じますが、そういうことで域内の交流をいたしております。
 それから先ほど御指摘ございました外国に対する、ASEAN域外の国に対する留学その他につきましては、これもASEAN奨学金というものを拠出したわけでございまして、これを使いますとASEANの国から域外への留学ができ、そういう面ではある程度の努力をいたしておるところでございます。
#64
○渋谷邦彦君 そうした制度、仕組みというものの中からお互いの交流を図るということもそれは当然であろうと私は思うんです。私がいま申し上げているのは、その国際交流基金の中からそういう新しい道が開けないかどうか、それも数が五百人も千人もという大ぜいの人じゃございませんね。恐らく有能な人でぜひアメリカなりヨーロッパへ行って研究をしたい、勉強したい、ただし資金的な面の原因で行くに行けない、あるいはそういう方々がいろんな国々に散在しているんじゃないかという感じがしてならないわけです。だから国際交流基金の中でそういう道が開ければ、もっとダイナミックな援助の仕方というものができるんではないだろうかというふうに思えるわけですね。やっぱりそれは道が開けませんか。
#65
○説明員(加藤淳平君) この点につきましては実は私どもも余り真剣に検討いたしたことはございませんので、果たしてそういうことが、まずその法的な制約の中でそれができるかどうかの検討が必要かと存じます。それから第二は、先ほど申しましたような予算の割り当てという制約があるわけでございますから、この点を含めまして検討させていただきたいと存じます。
#66
○渋谷邦彦君 検討大いに結構だと思うんですが、何か障害になっているような問題がありますか。たとえば大蔵省がそれを認めないとか、そういうようないきさつはございませんか。
#67
○説明員(加藤淳平君) 基金法の制約の中でできるかどうかということが基本的なまず第一の問題であるかと思います。
#68
○渋谷邦彦君 いま述べられましたように、恐らく情報文化局でもいろいろ試行錯誤を加えながら今後のあるべき取り組み方というものにもっともっと弾力性を持った、また何ができるだろうかということを絶えず検討も加え、取り組んでおられると思うんですね。ただ、それを具体化し、そして実際実効の上がるような方向へ向けるためにはやはり決断と実行がどうしても必要でございますからね。せっかく国際交流基金というものがあるわけですので、ただ短絡的に、法律の拘束もそれはやむを得ない場合があるかもしれませんよ。その辺やっぱり窓口を広げて、特に発展途上国に対する助成の仕方というものを考えることが、より以上発展途上国が先進国に追いつく一つの原動力にもなるであろうということも十二分に考えられますので、その辺は真剣にしかも積極的にお取り組みを願いたい。先ほど櫻内外務大臣も予算の編成に当たっては、特に来年度においては真剣に考えて、その枠をふやすために努力をするということをおっしゃっているわけですから、自信を持ってこれは取り組んでいただきたいと思います。
 それからいろんな問題があるわけですが、これをごらんになったことありますか、「外国教科書日本偏見」というやつ、これを読むと大変参考になりますよ。こんなことが日本紹介の中にあるのかと思えるほどわれわれ本当に残念でたまらなりしかもこれは、特にイギリスがひどいんです。最近編集されている教科書というものは、そう極端な間違いはないかもしれませんけれども、もとになっている材料がもう十年も二十年も前のやつを材料としているものですから、いまの日本の国情に合わないことが指摘されているわけです。そういうようなことも日本文化の紹介を通じて、やはりお互いに交流を図る中で是正をし、日本を紹介する以上は正確なやっぱり認識をしていただかなければ何にもならないわけでございますので、その辺も十分配慮されながらやっていただきたいなと、こう思うんです。これはまあ文部省の所管にもなるかもしれませんけれども、しかし、実際にその衝に当たられるのはどうしても外務省がこれを発見し、また是正もし、文部省と話し合って、そうしてその相手国に対してもいろいろと御注文申し上げるということになるんじゃないでしょうか。その辺の連関を持った動作というものは、非常に何か見ていると鈍いような感じがするんですけれども、日本を本当によく知ってもらうためにはそういったことが必要です。それは貿易摩擦の問題もいろいろございます、いま日本を取り巻くその環境の中で。しかし、それも大変認識が不足をしているというようなことがいつの場合でも指摘されているわけです。意外と日本の事情を知っているようで知らないという、そういうことから起こる誤解が、いろんな経済摩擦にいたしましてもあるいはその他の問題にしても起こるということを考えてみた場合に、やはりこの文化交流というものはもっともっと大事にしながら進めるということの必要性があるであろうというふうに思いますので、まあ恐らく外務大臣としてもその辺は十分心得てやってくださるだろうという期待をしておりますから、願望を込めていま申し上げておきます。
 あとわずかな時間でございますけれども、先ほども同僚委員の方から述べられたことで私もちょっと触れさしていただきたいと思うことは、米国の台湾に対する武器輸出の問題。
 先ほど答弁を聞いておりましてそれなりに私も理解をいたしました。ただし、この問題はこれで済むかという問題があるんですね。米国側が引き続き継続的に台湾に、まあ部品とはいいますけれども武器の輸出をするそういう可能性を持っているのではないだろうかというような心配を実はするわけです。中国側は中国側として、主権の侵害ではないか、あるいは内政干渉ではないかというようなことから大変今回の武器輸出についても相当、まあ表向きかどうかは私はわかりません、厳しい態度で臨んでおる、まあ今回に限ってはという弾力性があったようであります。けれども、今回だけじゃなくまたその次も続く、先行きこれが繰り返された場合に一体どうなるんだろうか、その辺の分析はどういうふうにされておいでになるでしょうか。
#69
○政府委員(藤井宏昭君) 先生御指摘のとおり、今回の中国の外交声明を拝見いたしましても、現在アメリカと中国で交渉しておるということを強調しておるわけでございます。アメリカが、今後台湾に対しましてどのような武器あるいはパーツの輸出の計画があるのかそれは存じませんけれども、当然のこととして、今後もそういうことが行われるということはあり得ることだと思います。その辺を含めまして、米中間でいま話し合いが続行中ということでございまして、けさほども本委員会で申し上げましたように、われわれとしてはこの成り行きを注目しながら、同時に米中間で円満な解決が図られるということを強く期待しておる次第でございます。
#70
○渋谷邦彦君 ただ、こういったことはレーガン政権の時代において、あるいはかわればどういうことになるかわかりませんけれども、伝えられるところによりますとレーガン政権は親台湾派である、あるいはレーガンを取り巻く側近も大体保守的なそういう考え方を持って固められている、あるいは一方国務省あたりについては親中国派が非常に強い、あるいは財界というような、三すくみみたいなアメリカにおける国内事情というものがあって、やはりそこらあたりが今回の一つの具体的な行動になってあらわれた背景ではなかろうかというふうに見られる場合もありますし、そうすると、いま述べられたように将来もあり得るという判断をされた場合に、米中間の問題ではありましょうけれども、これが硬化し、そして米中間の関係というものが大変険悪な事態になった場合、一体日本としても拱手傍観はできないという立場がありますので、その辺の対応というものは常に日本も考えておかなければならない問題であろう。そういうアメリカの国内事情というものは相当強く今回の武器輸出についても色濃くあらわれているのではなかろうかという判断についてはいかがですか。
#71
○政府委員(藤井宏昭君) アメリカの国内の事情につきましては、われわれといたしましてもいろいろとフォローしておりますけれども、この場でそれを具体的に論評することは差し控えさしていただきますが、けさほども本委員会で申し上げましたように、この武器輸出の問題それ自体はすでに一九七九年一月に米中国交正常化が行われました時点から、一つの未解決と申しますか、問題として残ってきている問題でございます。したがいまして、それ自体が特に新しい問題ということではないかと存じます。
#72
○渋谷邦彦君 こうした事態が積み重なっていった場合、一方、ソビエトとの接近というものが強まるかどうか、これは私どもにとっても最大の関心事で実はあるわけです。恐らくアメリカあたりの見方というものは、将来ともにわたってこの中ソというものの不信感というものはそう簡単にぬぐい切れるものではなかろう、そういう見方に立っているのではあるまいか。したがって、その一つのつながりの中で、今回の武器輸出もまあ何とかなるであろう、短絡的な見方かもしれませんけれども。しかし、これが度を過ぎてまいりますと、一つの上海コミュニケだとか、あるいは国交正常化において一つの中国を認めておりながら、中国に対するアメリカ側のとる態度というものに恐らく不信感を抱くであろうことは、これは常識として考えられる。そうした場合に一つの方向転換の上から、あるいはこの際ソビエトとの接近を図るという口実を与えるようなことになりはしないかという点についてはいかがですか。
#73
○政府委員(藤井宏昭君) けさほども本委員会で申し上げましたように、中国のソ連に対します態度は、最近のタシケントにおけるブレジネフの声明に対する外交部スポークスマンの声明にあらわれておりますとおりでございまして、一つはブレジネフ声明を留意するということでございますし、もう一つは国際情勢及び中ソ関係につきましては今後のソ連の実際の行動を見守るということであると理解しております。と同時に、中国側のわれわれに対する説明におきましても、ソ連と中国の関係が直ちに好転することは考えられないということでございますし、中国とソ連のいろいろな歴史的な関係等を考えますと、この関係が直ちに大きな改善の方向に向かうということは当面は少なくとも考えられないというふうに理解しております。
#74
○渋谷邦彦君 四月一日の当委員会において外務大臣は、中国も台湾も一つの中国を原則としていることも配慮と、日本が正面切って米国に理解を求めることが裏目に出てはいけないという答弁をされているわけです。
 ただ、こうしたことが果たしていいかどうかというのはやっぱり慎重に対応しなければならぬ問題であろうと思いますけれども、いずれにしても明確にするというような場面も出てきはしまいかということが、まず近くブッシュ副大統領が訪日をします。そして続いて趙紫陽中国首相が訪日をいたします。六月のサミットがあります。そして秋には鈴木首相が訪中される。こういった一連の外交日程の中で、一体どう対応するのかということを迫られる場面が出てきはしまいかということが当然これは考えられる問題の一つではなかろうかというふうにも感じられますけれども、言うなれば大変厄介なことをしてくれたなというわれわれは側面から見た場合感じるこの問題。いたずらにお互いに神経を逆なでするような、摩擦を増幅させるような、そういう行き方というものはわれわれにとっても非常に心配な材料の一つになります。
 いま申し上げたように、そうしたような外交日程があります中で、一体政府としてはこの種の問題についていろいろ意見の交換もなされる場面が予想されるんではないか。そうした場合の対応の仕方というものは外務大臣としてどうお考えになっていらっしゃるか。
#75
○国務大臣(櫻内義雄君) いままでにもアメリカ、中国それぞれ要人との接触があったわけでございますが、私は、米中関係に溝ができる、深まっていくということはアジアの諸情勢の中から見て好ましくない、したがってむずかしい問題がございましても、両国が友好親善の関係を持続するための努力をしてもらいたい。一つ一つの問題に何か意見を言うということになりますと、特に武器問題でありますと台湾との関係の問題になりますので、そういうことよりももう一つ大所高所から両国の友好持続のためのお互いの腹蔵のない意見交換であるとか努力であるとかいうことを、いままでにも繰り返しその辺を強調しておるわけでございます。
 御承知のように、中国は一つの中国、こう言っておることで、日本が積極的に台湾との関係についていろいろ言うということは、いわばとりようによっては内政干渉的なことになりますので、現実に台湾の武器問題で米中間がそこにまずい空気ができておるということは認めながらも、しかし、そのことの解決は両国がひとつ真剣にやってもらいたい、こういう姿勢をとってまいっておりますし、いまお示しの要人の方々が見えられましても、やはりそういう両国の友好が促進されるような面で、われわれが熱意を持って臨む、こういうことではないかと思うのです。
#76
○渋谷邦彦君 大変残念ですけれども、時間がありませんのでこの問題は一応ここで打ち切っておきたいと思うんです。
 最後に、先般の当委員会においても、私、フォークランド諸島の問題を取り上げました。これは個人的な手紙によりますと、在留邦人がやはり相当な危機感を持っているということを訴えてまいりました。依然として英国−アルゼンチンの状況というものはやはり予断を許さない、一触即発というとあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、これから戦術的にどうするのか、戦略的にどうするのかは別問題として、そうした三万有余の在留邦人に危機感を与え、排日運動にそれがつながるというようなことになった場合には、日本としても日本―アルゼンチンの間における親善友好というものが、完全に百年来の伝統が崩されるというおそれがあることを非常に私は心配する一人であります。
 したがって、国連においていろいろな討議をされる場合もこれから出てまいるだろうと私は思うんです。できることならば、われわれは申立を一貫して貫いていただくことが、そうした在留邦人等への配慮にもつながるのではないだろうか。きょうあたりの報道によりましても、あるいはボリビアが軍事協力を申し出ている、あるいはペルーの調停工作が失敗した、あるいはブラジルの艦隊が演習と称してフォークランドの方面へ出動しているというようなことが相次いで伝えられる関係を考えてみると、南米諸国はこぞってアルゼンチンに対して味方をするということになって、もし一たん戦端が開かれた場合に、これはやっぱり相当の被害が起こることが予想されるだけに、これは何としても平和的に解決をしなければならないのは当然でありますけれども、日本としての現在置かれている立場を考えてみた場合に、ブラジルにも在留邦人は何十万といる、あるいはペルーにもいる、アルゼンチンにもいるということを考えてみた場合に、相当慎重な配慮でもって、私はできることならば、あるいはほかの先進国から批判を受ける場合があったとしても申立を貫いていただくことが大事ではないかという、この問題一点だけを答弁していただいて、時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
#77
○政府委員(枝村純郎君) 先生の御心配の在留邦人の問題でございます。これは大きなところでいろいろ考えますときに、一環として私ども念頭に置いておくべき一つの要素であるということは事実であろうと思います。
 ただ、私どもとしてやはり国連憲章を尊重し、国際紛争を武力の行使によって解決するような試み、これは容認できない、アルゼンチンの撤兵を求める、こういうことについてはやはりわが国の外交方針、平和主義の憲法、そういったものに基づいて当然とるべき態度であろうと思うわけですが、この点についてはなかなか妥協のできるところじゃないと思います。
 したがいまして、確かに一部アルゼンチンで、この国連安保理におけるわが方の態度が報道されましたときに若干の不満といいますか、若干の失望といいますか、そういった感情の兆しのようなものがあったということは報告されておりますけれども、それに対しては日本のそういうあり方、国是というものを説明する努力をいたしておりますし、私どももそれなりの努力をいたしておるわけでございます。現在そういう点は鎮静化しているというふうに承知しております。
 今後わが国のとるべき立場でございますけれども、やはり先ほど申し上げました国連憲章にのっとっての正しい立場というものは貫かざるを得ないと思います。だからといって、今後どこに同調するとか、どこから言われたからこうするとかということじゃなしに、私どもとしては引き続き国連憲章を初め、関係の国際法規というようなものも尊重しながら公正な態度でこれに臨むということが、長い目で見て、やはりアルゼンチンなり関係諸国の理解も得、われわれ在留邦人も安心して暮らせる状況をもたらすゆえんであろうというふうに思っております。
#78
○渋谷邦彦君 終わります。
#79
○立木洋君 文化協定に入ります前に、去る十二日のワシントンでの日米農産物協議の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、最初に大臣に御所見をお伺いしたい。
 ワシントンにおける先日の協議が、アメリカ側は輸入制限存続を前提とした話し合いには応じる気配がもはやなくなったという状態で、この農産物協議の問題がまた新たな局面に立ち至ったというふうに判断せざるを得ないと思うんですが、こういう局面に立ち至った点について、大臣としてどのように受けとめておいでになるのか、また今後の問題についてのお考えもあればあわせてお尋ねしたいんです。
#80
○国務大臣(櫻内義雄君) 日米貿易小委員会での話し合いに基づきまして、作業部会がワシントンで開かれたわけであります。そして、この作業部会におきまして、わが方においては日本の農水産業の現状、何ゆえ残存輸入制限を維持しているかについて十分説明をいたしたところであります。
 また、農水産物については、御承知のようにわが国のみならず、アメリカ自身あるいはECも制限的措置をとっていることでございます。さらには、日本は米国農産物の最大のお客である、こういうプライドは持っていいと思うんですね。
 アメリカ側は日本の農水産物の輸入制限を早期に自由化してもらいたい、いつまでも現状のような状態を続けておることは好ましくない、そういうことであればガットの紛争解決手続に持っていかざるを得ない、こういうことで、いわば作業部会が物別れに終わっておるわけでありますが、実際にその衝に当たった諸君がまだ帰国しておりません。帰りますれば詳細報告を受けまして、今後どのように取り計らっていくか。作業部会はこれで終わっておるので、米側の出方もございましょうし、またあるいは日本の主張というものに対するある程度の理解が持たれておるのではないかと、しばらく事態の推移を見守りたい、こう思っております。
#81
○立木洋君 いま大臣もお触れになったけれども、農林省にお尋ねしたいんですが、日本の全輸入農産物のうちアメリカの農産物がどれくらいの比重を占めているのか、またアメリカの輸出農産物のうち、日本がどれくらいの割合を占めているのか、ちょっとお尋ねします。
#82
○説明員(重田勉君) お答えいたします。
 わが国の米国からの農産物の輸入額は年々増加してきておりまして、一九八一年には七十八億ドルになっております。これはわが国の農産物総輸入額百八十五億ドルの四二・一%を占めております。また、米国の農産物輸出額を米国農務省の統計で見てみますと、一九八一年には四百三十二億ドルの総輸出がございまして、このうち日本への輸出額は六十六億ドルでございます。比率にしますと、一五・一%ということになります。
#83
○立木洋君 大変な比重をどめている。ほかの国の場合ですと一けたのパーセンテージだと思うんですがね。だから日本の場合には第一位で、きわめて大きな比重を占めておると思うんですが、牛肉、オレンジの問題に関する最近のアメリカ側の要求でこれは一九七八年の十二月でしたか、牛場・シュトラウス会談によって合意がなされ、その後の東京ラウンドによってもさらにはっきりされた。その後の交渉があったのですが、あの場合一九八三年まで、高級牛肉の場合には三万八百トンですか、そしてオレンジの場合ですと八万二千トンということが、八三年までの数量というのは決まっているわけですね、お互いに合意で取り交わして。ところが、これがアメリカ側からは、さらに早く協議をすべきであるというふうに期間を繰り上げたり、また最近に至っては、全面的な自由化を要求するというふうな形になってきているんですが、こういうアメリカ側の要求について農林省としてはどのようにお考えになっていますか。
#84
○説明員(重田勉君) お答えいたします。
 牛肉及び柑橘の輸入につきましては、一九七八年の東京ラウンドにおきまして、八三年までの輸入量について、これを安定的に増大するよう努力することで合意ができております。また同時にその東京ラウンドの合意におきまして、八三年度以降の分につきましては、八二年度の下期に話し合いをすることで合意ができております。これにつきまして、去る三月に行われました日米貿易小委員会におきまして、アメリカ側からは十月一日以前に話し合いを開始したいということがあったのでございますが、これは東京ラウンドの合意に、枠組みから逸脱するものであるということでございまして、わが方からはこれを拒絶いたしまして、むしろ当方から代案といたしまして、十月中の双方に都合のよい時期に協議を始めたいという提案をいたしまして、米側の応諾を得ている次第でございます。ということで、十月以降の交渉につきましては、MTNのときに合意されました範囲内ででき上がっている協議手続でございます。
#85
○立木洋君 当然、合意しているものがそういう形でどんどん崩されていくというようなことになると困るわけですから、そういう点はやっぱり筋を通さないといけないと思うんですが、とりわけ牛肉の場合、自給率はアメリカやイギリス、西ドイツ、フランスなどに比べて最も低いわけですし、現に長年の間、そういう畜産振興ということでどんどんアメリカから飼料穀物が入ってきて、飼料穀物の自給率が二%という大変な状態にまでなったわけですね。今度は畜産まで自由化する、牛肉まで自由化するというふうなことになれば、そういう自給率がいま述べた国々に比べてよりも低い状態になっているのに、これはまた大変な打撃を受けることになると思うんですがね。この点についてはどのようにお考えになっていますか。
#86
○説明員(重田勉君) お答えいたします。
 わが国の畜産、果樹農業が現在種々困難な事情にあることからいたしまして、農林水産省といたしましては、牛肉、柑橘の自由化要請に応じることはできないと考えておりまして、十月から予定されております協議におきましても、これらの点につきまして米側に十分説明いたしまして、その理解を得ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
#87
○立木洋君 こういう大変な状態を与えることがもう明白になっているこうしたものに関する自由化というふうなことは、最後までやはり毅然とした態度で日本の農業を守るという立場でやっていただかなければならないというふうに思います。
 それで、この間の交渉の内容を新聞等々で若干見た程度なんですけれども、実際にはアメリカ側の要求というのは、やはりどのように見てもこれは筋が通らない、そういう点が多々あるのではないかというふうに思わざるを得ないわけです。実際に実行関税率を見ましても、日本の場合がアメリカやECに比べても低いわけですし、これは開放度ということを示す点から見てもこの問題は大切な点だと思いますし、さらに日本の残存輸入制限品目が農産物を含めて二十七品目、アメリカの場合は七品目だというふうに言われていますけれども、いわゆるウエーバー適用品目が十三品目あるわけですから、実際には二十品目にもなっている。同時に、日本に輸入を迫っておるつまり牛肉の問題でも、食肉輸入法で上限を制限しているわけですし、またこういう問題に関しては、乳製品の問題では、かつてオランダからその制限問題に関して提訴され、ガットからは違反の裁定を受けたというふうな状態がありながらも、依然として継続されておる。それからアメリカ側と日本側といろいろ協議した日米経済関係グループ報告書、あるいは日米貿易研究会による指摘、アメリカの下院歳入貿易小委員会などの指摘を見ても、今日日米間におけるこの貿易の不均衡というのは、日本側の市場の閉鎖性が最大の問題ではないというふうに結論を出さざるを得なくなっているというもろもろの問題を見ても、今日のこうしたやはりアメリカの日本の農産物の自由化の迫り方というのはきわめて異常ではないかというふうな感じがするんですが、その点外務省としてはどのように受けとめておいでになりますか。
#88
○政府委員(深田宏君) 農産物の問題につきまして、アメリカ側から折に触れまして要望が参っておることは事実でございますが、米国としましては、ほかの工業製品の分野等を含めて包括的な対処についていろいろ注文と申しますか、日本側に要請ないし要望してきておるわけでございまして、特に農産物だけを取り上げて議論をしておるということではないというふうに考えております。
#89
○立木洋君 ちょっとお答えになってないんですけれども、大臣、もうこの問題おしまいにしたいのですが、いままで日米間のいろんな交渉の経過を見てみますと、アメリカ側はどんどんやっぱり厳しい要求を出してくる。どうも日本側が一歩一歩譲歩していって、結局はアメリカの要求を受け入れてしまわざるを得ないような事態にならざるを得ないというふうなことを、いろいろな交渉の経過を見ても常々感じるわけですね。先般も問題になりました航空協定の問題についても、相当きつい要求をアメリカ側が提起してきている。今度のこの日米農産物の協議の問題についても、いままでの話の筋から見ても、これはきわめて大変な状態が出されてきている。
 これは一九七九年一月にアメリカの下院歳入委員会の貿易小委員会に提出されました、いわゆるジョーンズ報告の中にこういうふうなことが書かれてあるんですね。「われわれとしては、日本にとってより一層受け入れがたい代案を持ち出す必要がある。そうすることによって、貿易障壁の除去というこの厳しい措置が日本にとって相対的に魅力的なものになるようにすべきである」、こういうようなことまで書いているわけですね。私は大変な態度ではないかというふうに思うんですけれども、今後の外交のあり方の問題を考えていただく上で、こうした点についてはやはり日本の外交として毅然としていただく必要があると思うんですが、この点についての大臣の御所見を承りたいんです。
#90
○国務大臣(櫻内義雄君) アメリカ政府要人と話す場合、日本として主張すべきことは繰り返し申し上げておりますし、また、ただ単に日米間の貿易不均衡からだけ物を言うというのではなくて、それは結果なんですから、一体原因は何かということになりますれば、世界経済の今日の停滞というようなことも当然その原因の中に入ってきますから、そういうことから世界経済の再活性化ということ直言われるわけで、あらゆる角度から協議の場では意見を言い合っておるわけであります。それはまた、時の経過とともにある程度の浸透をしつつある。私がこういろいろ話して、非常に効果があったよというような、そういううぬぼれは持っておりませんが、時の経過を見ておりますとある程度事態はおさまりつつある。しかしまた、米側としては米側としての言い分があって、いまのところサミットを念頭に置きながら日本としての努力をする、こういう方針に立っておるわけであります。これはヨーロッパとの間も貿易インバランスがあって、やりようによっては欧米と日本というようなまずい関係になってもいけませんから、また、日本に対していろいろ指摘をされておる、これは農産物の問題でなく、他の面においても市場開放努力というものが行い得る余地があるならば、それはやはり日本もやるべきだと、こういうことでまいっておるわけであります。
#91
○立木洋君 この点については述べるべきことは述べるというのはもちろん当然ですが、そうした姿勢を貫いて、日本が譲歩してアメリカの言いなりになるというふうな批評を受けることがないようにも御努力をいただきたいということで、次の文化協定の問題で一、二お尋ねしたいと思います。
 日本が昭和二十八年にフランスと文化協定を締結してから三十年近くなるわけですが、この間二十一ヵ国との間で文化協定が締結され、今回スペイン、バングラ合わせると二十三ヵ国になる。これだけの経過を経てきた中で、やっぱりこれからの文化協定をただ単にいままでと同じようなマンネリの形で結んでいくのではなくて、いまどういうふうな問題があるのか、これをどう打開して本当により効果のある文化交流の内容にしていくべきなのか、これは非常に大切な点だろうと思うんですね。先ほど来同僚議員の指摘もありましたように、いろいろなやっぱり日本を正しく理解してもらうという意味から言っても、その他の面から言っても、この交流の持つ意味というのは重要性がありますから、現在の文化協定を実施していく中で、三十年近くを踏まえた今日の時点でどういう問題があるのか、その最大の問題がどこにあるのか、それをまずちょっとお尋ねしたいと思います。
#92
○説明員(加藤淳平君) ただいま御指摘ございましたように、現在まで二十一カ国、それからこのバングラ、スペインを合わせて二十三カ国との間に文化協定を結んでいるわけでございますが、これらの文化協定の中には混合委員会というものを持っている国と、それからそれぞれ協議をするという規定のある国と、そういう協議条項もないという国と三つの種類がございます。特に混合委員会という規定を有する国との間には非常に有効な形で協議が行われておりまして、それぞれその協議の機会に、混合委員会という場あるいは協議という場双方ございますが、いろいろな問題点を出し合ってこれを解決していくということをやっておりまして、文化交流全体の推進のために非常に役に立っていると私ども考えております。
#93
○立木洋君 もう時間がないのであと二点だけお尋ねしますが、一つは、これから文化協定を結びたいというふうに言っておる国はどういう国があるのか、またそれは内々の話でもいいですが、そういう国がどれぐらいあるのか、あるいはまた、日本側からも結んだ方がいいというふうに思っている国がどれぐらいあるのか。
 それからもう一点は、社会主義の国の場合はユーゴだけですね、文化協定があるのは。その他の社会主義の国とは文化協定がないわけですが、これはどういう事情によるのか、相手側がそういうものを望まないのかどうなのか。
 その二点だけお尋ねして、終わります。
#94
○説明員(加藤淳平君) 第一の点につきましては、具体的な国名を申し上げることは御勘弁いただきたいと思いますが、相手国との全体的な関係を判断いたしまして、その中で、その国との文化交流を促進するためにこのような協定を締結することが望ましい、かつ必要であるという場合にその国と協定を締結するということにいたしております。
 それから第二の点でございますが、社会主義国につきましては、ソ連、東欧の八カ国、具体的に申しますと、ハンガリー、モンゴル、ルーマニア、ブルガリア、チェコスロバキア、東独、ポーランド、これらの国と及び中国との間には文化交流取り決めというものを締結いたしております。ソ連、東欧八カ国につきましては文化取り決めと申しておりますし、中国との間では文化交流協定と申しておりますが、いずれも政府取り決めとしての協定を締結いたしております。これは社会主義国との間では、国の政府の行っている事業について規定するということが協定の中心内容になりますために、これは行政取り決めレベルでの協定を結んでおるということでございます。
#95
○木島則夫君 フォークランド紛争の問題にしましても、これは距離から言えば日本から非常に遠いところの問題でありますけれど、決して遠くない外交の問題。また米中の冷却化の問題も、日本としてこれを座して見過ごすわけにはいかない。次から次へむずかしい問題が続出してくる、こういうときでございます。この一つ一つについてお伺いをする時間的余裕はきょうはございませんので、日本が世界平和に貢献するために、自主的で誤りのない外交を進めていただきたいということを前置きとして申し上げておきたいと思います。
 一つ気がかりな日韓経済協力問題でありますけれど、外相の訪韓が五月の連休からずれるのではないかという見方がございます。この辺についての真偽をまず伺いたい。どんなものでしょうか。
#96
○国務大臣(櫻内義雄君) いろいろと取りざたされて私もほとほと困っておるわけでありますが、従来私が五月連休に訪韓するんではないかと、これは私の連休後の日程がベルサイユ・サミットとかあるいは特別軍縮総会とか、ASEAN拡大外相会議とか、ずっと詰まっておりますから、そこで連休連休ということが取りざたされたのではないか。現状は、韓国から日本の中間回答に対してのいろいろ意思表示が行われて、それが非常にむずかしい、日本の考えと相当懸隔もある、なかなかここまで来るとそれが一致点を見出せるのかどうかというようなことから今度は連休後じゃないかと、そう言っては恐縮でございますが、すべていまの経済協力の要請に対しての動きに伴う私の訪韓に対する予想であるわけでございまして、現在私として、行く上におきましてはやはりこの大事な問題の解決をしたい、そのめどが立ったら行きたい、こういうことでございます。
#97
○木島則夫君 時間の関係でごく端的に伺いますけれど、外務省の主張と大蔵省の主張に隔たりがある。歩み寄りを図るために事務レベル協議の接触がある、そして場合によっては、大蔵、外務あるいは官房長官を入れての折衝が早い時期に行われる、こういうお話でございましたけれど、そうしますと、連休からずれることもあり得るということは、この日本の中での調整がうまくはかどる可能性があって、そのためには多少時期的にずらしてもいいんだと、そして、その対案を韓国に示すことによって、一気の解決はむずかしいとしても、あるいはそこで交渉の継続あるいは進展が見られるような可能性が当然そこに見出されるからその辺の時期は流動的だと、こういうふうに解釈してよろしゅうございましょうか。大変勝手な伺いようで恐縮であります。
#98
○国務大臣(櫻内義雄君) 私と大蔵大臣、官房長官とは、短時間ではございますが打ち合わせをいたしました。打ち合わせをいたしましたところ、この範囲の話ではわれわれの話すあれじゃないじゃないかと、もう少し事務的によく詰めさせようやと、それには大蔵大臣は大蔵大臣なりに、私は私なりに事務当局に、この辺の問題は片づくじゃないかというようなことをしようじゃないかというのが三人が寄った結果でございます。内容は、非常にデリケートなときですから控えさしていただきますが、そういうことでいま事務的にさらに協議をしてもらっておると、こういう段階なんです。
#99
○木島則夫君 多少しつこくて恐縮でございますけれど、そうしますと事務的な協議、あるいはその上での閣僚協議が行われてその対案ができたとして、韓国側とのテーブルにつく上での交渉の進展を当然見越した可能性の上に立っていると、こういうふうに解釈して、前進が図られているんだというふうに解釈してよろしゅうございましょうか。そのための時間がかかるのであれば、それは連休後にもなり得ると、こういう勝手な解釈を私さしていただくわけでありますが、どんなものでありましょうか。
#100
○国務大臣(櫻内義雄君) 私が就任以来の懸案でございまして、それなりにむずかしい面があるのでございますから、したがって、いませっかくのお尋ねでございますが再度事務レベルにおろした、それならすぐ結論が出て、近々に何か意見がまとまるのかと、これはなかなか協議なものですから私としても推定がつきかねますが、しかし常に申し上げておりますのは、こういう問題で、隣国との関係のことでありますから誠意をもって臨むと、それは最大の努力をしておるところでございます。
#101
○木島則夫君 藤井審議官、誠意をもって臨むという外務大臣のお話の中にすべてが含まれるであろうと思いますけれど、誠意をもってこの問題に臨むということは、できるだけ国内の調整をして韓国との交渉の可能性を多からしむるということであるならば、それが連休よりずれることになってもいいのだという解釈はどうでしょうか。もうちょっと補足がございますれば伺いたいんでありまするが。
#102
○政府委員(藤井宏昭君) 本件につきましては、ただいま大臣がおっしゃいましたように誠意をもって臨むということで、外務省内及び関係省庁との間で大臣の御指示を得ながら鋭意努力しているところでございます。話し合いをしながら努力しているところでございまして、できるだけ早期に本件が解決するようにということで、まさに誠意をもって臨むべく努力をしている最中でございますので、大臣の訪韓の時期等について事務当局として現段階で予測をすることは困難でございます。
#103
○木島則夫君 ありがとうございました。
 文化協定の問題について多少伺いたいんでありますけれど、先ほどからこの文化協定について同僚委員からもお話がございました。文化協定国がどんどんふえていくということ、これは大変結構なことだと思います。しかし、ふえていくその裏づけとなる予算措置というものが一定の枠に縛られていてはなかなか実効あるものに進展をしていかないということは、私も率直に認めざるを得ないというわけでございます。新たな予算措置をとらないということになると、文化協定が友好の一つのシンボルにとどまってしまうことになる。これではいけないということであります。政府の予算の枠が決められているとすれば、民間レベルでの交流もこれはやっていただかなければならない。その場合の援助ということも必要であると。この辺はお答えは結構であります。文化協定を推進する上で寄与するものが国際交流基金、これも先ほど来のお話で私もよく理解をしているところでございます。
 そこでお伺いをしたいわけでありますけれど、国際交流基金の事業というものは一つは日本文化の外国への紹介、あるいは外国文化を日本に紹介をする、両サイドがバランスをとって行われなきゃならない、これも当然でございます。大事なことは、発展途上国の文化、芸能、伝統、こういうものを日本に紹介し、日本が開発途上国への理解を深めることも非常に大事なんだという、こういうことも私は当然であろうと思います。
  一つだけ伺っておきたいんでありますけれど、日本を発展途上国に知ってもらう、あるいは発展途上国の文化、伝統、芸能、こういうものを日本に紹介をする上でどういうものを紹介をするかというそのとらえ方が、私、非常に大事だと思うんです。日本から外国に紹介をする場合に、相も変わらず古典で、まあ実際に名前を言うと語弊がありますけれど、やれお花だ、お茶だ、空手だという決まり切った枠の中での紹介ということにどうもこだわりがあるようですね。そうじゃなくって、生き生きしている庶民の文化とか庶民の生活、そういうものをもっと外国に紹介をする。また当然、日本が向こうから紹介してもらいたいものもそうでなければならないということは、最近若い人たちの口からもよく言われるところです。どの辺の視点、どこにその相手国の紹介のポイントを置くのか、日本を外国に紹介をする上でどの辺のポイントを重点視するのか、ちょっとその基本を聞かしていただきたい。非常に大事なことだと思うんですね、これは。
#104
○説明員(加藤淳平君) ただいま先生の御指摘の点は、私ども文化交流を進めていく場合の非常に重要な点でございまして、まさにその点で中でもいろいろ議論をしておりますし、また、果たして試行錯誤的にやってみたものがよかったか悪かったかというようなことについていろいろ考え、思い悩んでいるところでございますが、まず、日本を紹介する際に古典的なものと現代的なもの、これが片方ではいけない、双方がバランスされた形でなければいけないということなのではないかと思います。
 そこで、確かに御指摘のように、ある種のものについて非常に要望が多いのでございます。たとえば、御指摘ございましたけれども武道でございますとか、生け花でございますとか、その種のものにつきましては非常に要望が多いものでございますから、どうしてもそういう点に比重がかかる場合があるわけでございますが、出す方といたしましては、向こうの要望も十分に勘案しつつ、日本の全体像を理解してもらうためにはどういうやり方がいいのか。具体的に最近の例で申しますと、ロンドンで江戸美術展というのを昨年からことしの初めまで開いておったわけでございますが、これは江戸の美術を全般的に紹介するものでございますけれども、その解説等の中では、現代日本との関係というのをかなり精密に説明をいたしておりまして、古い物を見ることがそのまま現代の理解になり得るのではないか、そういう効果をねらった展覧会でございまして、幸いこの展覧会は非常に評判がようございましたものでございますから、一つの成功例であるかと存じておりますが、今後ともそういう形で、古典なら古典だけというのではなく、現代日本との関係を十分に考えた上で古典を出していく、それから現代日本の非常に複雑多様な文化のあり方というものを紹介して、日本の全体としての理解に資するような事業をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#105
○木島則夫君 この辺で文化論を戦わしているとあと五分ほどの持ち時間の中ではとてもできませんから、そこのところをよくひとつ考えてやってください。相も変わらずある種のものというんじゃなくて、そこのところは私は日本の理解を妨げる一つの大きな、何というか障壁になっていると思いますね。御要求が多いものだけにおこたえをするんじゃなくて、要求が多いものにもっとプラスアルファをつけて売り込むくらいのセールスマンでなきゃだめですよ。
 そこでバングラデシュとの文化協定、これは大いに結構だと思います。経済協力、経済援助ももちろん大事ですけれども、人的交流あるいは文化面での交流というものも必要だと思います。いまバングラに対して一番必要な援助というものはどういうものなんですか。それが具体的にどうやって行われているか聞かしてください。
#106
○説明員(藤田公郎君) 先生御承知のように、バングラデシュは世界の最も貧困と言われます後発開発途上国という観念がございますが、LLDCと称するものでございますが、その中で最大の人口、約九千万の人口を持つ国でございまして、経済一般が非常に社会開発の需要が大きいという上に、食糧問題に非常に悩んでいるということが最大の問題かと思われます。したがいまして、わが国のバングラに対します援助も食糧援助ないし農業開発のための援助というのが、まあ年によって違いますが、ほぼ五〇−六〇%を占めているという状況にございます。
#107
○木島則夫君 いまあなたが御指摘のように、九千万も人口がある後発途上国の最大の国、しかも個人所得は低いというようなむずかしい条件がたくさんあるわけですね。その中で援助をしていく上で、たとえば農業あるいは医療、それから、イスラムですから家族計画などの進行も非常にむずかしいというふうに私聞いております。この援助をしていく上で特に気を使っていかなければならない点、これから進めていきたい点、具体的にひとつおっしゃっていただきたい。
#108
○説明員(藤田公郎君) 先生おっしゃいましたように、バングラデシュはイスラムの国としてはインドネシアに次ぐ人口を持つ国でございます。そういうことで、先ほど申し上げましたように食糧、農業関係の援助に加えまして二・四%と言われております人口問題というものを間接的な形といいますか、母子の健康というような形でお助けするということで家族計画面に対する協力というものも現在技術協力という形で行っております。
 バングラデシュに対します経済協力で一番問題点と考えておりますのは、何と申しましても絶対的貧困という状況にございますので、経済協力は主として現地国のプロジェクトの外貨分と申しますか、外国から輸入する部分について協力を与えるということになっておりますが、バングラデシュの財政というものも非常に厳しいということから、国内での調達、現地国政府が予算で見なければならないというものについてもなかなか意に任せないという点が多々ございまして、バングラデシュがLLDCであるという特異な状況というものにも着目いたしまして、できるだけそういう点にもわが国の経済協力では配慮を払っていくという考え方で進めております。
#109
○木島則夫君 無償協力ですね、文化の無債協力の面でたとえば理科実験器材を送るとか、いろいろあるようですね。そういった点でどういうことを行っているのか。私が聞いている範囲では、理科実験器材とかあるいは語学研修のための器材を供与するとか、いろいろやっているようですね。まあお答えは結構です。こういったものもひとつこれから積極的にやっていく。そのためには、やはりある程度のではない予算の裏づけというものもこれは積極的にやってもらわなきゃならないわけでございます。バングラデシュと日本との関係というのは、故大平総理のお葬式のときにも元首として大統領がお見えになったというふうな、非常に親密度のある国でございます。そういう親密度がある国であるから、在外公館との間での交流も非常によかったと。そういうことからクーデターのデータや情勢なんかもつかめたというふうに私は勝手な解釈をしているんだけれど、せっかくこういう親密度を単なる文化協定というものが友好のシンボルに終わらせないように、ひとつ実のあるものにさしていっていただきたい、していっていただきたいと、このことを要望して、何か最後に補足することがあったら伺って、終わりましょう。
#110
○説明員(藤田公郎君) ただいま先生御指摘の理科学用教材という、文化無償と称しておりますが、金額的にはそれほど大きなものではございませんけれども、これに加えまして、先ほどちょっと先生の言われた教育面の援助でございますけれども、教育分野につきましてはたとえばバングラデシュ農業大学校の建設ですとか、その他小中学校増改築計画のための機材協力、これも五億円という程度でそれほど大きなものではございませんが、教育面についてもできるだけの配慮を行っていきたいと、今後とも考えております。
#111
○宇都宮徳馬君 本日は二つの文化協定を審議するわけですが、この文化協定の中に学生の交換とか留学生の問題、これは今度の協定にもあるわけですか。
#112
○説明員(加藤淳平君) この両方の協定とも第二条に「修学」「又は研究のための奨学金その他の便宜を与えるよう」という規定がございまして、留学生についても規定いたしております。
#113
○宇都宮徳馬君 中国との文化協定ですが、これは文化交流協定という特別な名前になっていますね。これは何か理由があるわけですか。
#114
○政府委員(都甲岳洋君) 御承知のように文化協定は両国間の友好関係の象徴として、友好条約的な側面も持っておるわけでございます。それで、日中間におきましては、御案内のように、昭和五十三年に国会の御承認を得まして日中平和友好条約が結ばれておりまして、その三条におきまして、善隣友好の精神に基づき、文化関係の一層の発展のために努力するという規定が置かれておりますので、この規定に基づきまして、昭和五十四年に日中文化交流協定を締結したわけでございます。そこで、文化協定の持っております実務的な側面、各分野における交流を促進しそのために努力するという奨励規定が入っている実務的な側面におきましては、この日中の文化交流協定が手当てをしておるということで、双方合わせて見ますと、実態的には両国間での文化協定が締結されたと同じ状況になっていると、このように私は理解しております。
#115
○宇都宮徳馬君 私は日中の留学生の実情を知っているわけですけれども、なかなかこれは問題がありますね。やはり両方の生活程度や収入が違いまするし、相当問題があると思います。こういうことに対する予算はどうなっているわけですか。
#116
○説明員(加藤淳平君) ただいま御指摘の留学生は、国費留学生についてのことと理解いたしましたが、この国費留学生につきましては、文部省予算に予算としてはついておりまして、具体的な事務につきましては外務省と文部省が協力して担当しておるということでございます。
#117
○宇都宮徳馬君 せっかく留学生が来て日本で勉強して、そして、大部分の中国の留学生が日本の学術とか文化とか、そういうものに対する敬愛の情といいますか、そういうものを持って帰るようですが、しかし、これは民間で助けている面が多いわけですね。これはよくひとつ実情をお調べになって、文化協定が有効に働くように行政的に考えていただきたいと、こういうふうに思います。
 いよいよ例の日韓の経済援助の問題が問題になってきています。国民のうちにはなかなか理解できない人たちもあるわけですね。野党が最近一兆円の減税案なんか出しましたが、何年かかって韓国にお金を貸すのか知りませんが、ともかく一兆三千億円というお金を貸す、相当大きなお金ですね。これを韓国という国に貸すわけですけれども、なぜ貸すのか、なぜ急がなきゃならぬのかという事情がはっきりしない国民は私は多いと思いますよ。非常にはっきりしちゃってわかり過ぎている人もいるようですけれども、わからぬ国民も私は非常に多いんじゃないかと思います。これはレーガン政権ができまして、全斗煥大統領がレーガン大統領に会っていろいろ激励を受けた。その場合に、日本から経済援助をとれということを勧められたと、それから話が始まったということが伝えられていますが、それはどうですか。
#118
○政府委員(藤井宏昭君) まず、御指摘の第一点でございますけれども、なぜ貸すのか、なぜいま急ぐのかということでございますが……
#119
○宇都宮徳馬君 レーガンの問題だけでいいです。後から……。
#120
○政府委員(藤井宏昭君) それでは、レーガンにつきましてお答え申し上げます。
 本件につきましては、すぐれて日本と韓国の問題でございまして、アメリカの意向というようなものが本件に反映しているということは全く存じておりません。
#121
○宇都宮徳馬君 全くないということは私はないと思いますが、防衛問題についても、韓国問題についても。うそ言っちゃいけないですね、こういうところで。
 私どもは、やっぱりアメリカ自身が日本が韓国に対する援助をすることを希望している。何回かやっぱりそういう表明をレーガン自身じゃないにしてもしていると思いますし、それから日米の首脳会談の際に直言われたということを聞いています。こういう重要なお金を出す条約というか協定というか、それを決定する場合に、ちゃんとはっきり物を言ってくれないと困ると思います。そんなことは全然ないなんということは私はないと思う。
#122
○政府委員(藤井宏昭君) アメリカは、申すまでもなく韓国及び日本にとって友好国でございますし、韓国における安全保障の大きな部分を担当しているわけでございますが……
#123
○宇都宮徳馬君 説明はいいですから、あったかないかでいい。
#124
○政府委員(藤井宏昭君) 当然のことといたしまして、関心を持っているということは言えるかと思います。
 しかしながら、本件、日韓経済協力問題につきましては、アメリカも明確に何回もわが方に述べておりますけれども、これは日韓両国の問題であるということで、アメリカ政府はわれわれにそう伝えております。その点を先ほど申し上げたわけでございます。
#125
○宇都宮徳馬君 そうすると、まあこの日韓経済援助の問題というものは、アメリカの意向を考えずに日本が自主的にやって差し支えないと、こういうことですね。
#126
○政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
#127
○宇都宮徳馬君 韓国がやっぱり借りる方ですからこれは急ぐのがあたりまえ、それから日本の方が何といったって出す方ですから慎重になるのはあたりまえ、出すといってもこれは自分のお金じゃなくて国民の税金ですから。一兆円減税なんて言われたその額より、何年かかるか知らぬけれども三千億円多いお金を要求してきているわけですね。ですからこちらが慎重になるのはあたりまえ、慎重にならなきゃおかしいですからね、これは。
 で、六十億ドルと言われていますが、これがはっきり正確に請求されたのはいつですか、そういう要求を出されたのは。
#128
○政府委員(藤井宏昭君) 非常に明確にこれが出てきましたのは、昨年の夏の外相会談のときというふうに了解しております。
#129
○宇都宮徳馬君 六十億ドルは相当これは大きなお金ですが、これを大体何年くらいに分けて出せということを要求しているわけですか、韓国は。
#130
○政府委員(藤井宏昭君) 六十億ドルは、韓国の第五次経済社会発展五カ年計画の一環として要求されているものでございますので、同五ヵ年計画は八二年から五年間ということでございます。したがいまして、この六十億ドルはこの五年間ということを先方は意図しているものと了解しております。
#131
○宇都宮徳馬君 韓国は、相当巨額なお金で、まあ日本もあっちこっちにこれは当然援助しなきゃいけませんから、特に大きなお金を要求する理由として安全保障上の理由を持ち出しているということはありましたね。それが問題になって、園田外相時代ですけれども、園田外相自体に対するいろいろな誹謗等も行われたということを聞いていますけれども、最近は安全保障上の理由をつけることはやめたわけですか、韓国は。
#132
○政府委員(藤井宏昭君) 韓国側のその六十億ドルの経済協力の要求の気持ちといたしまして、安全保障、これは厳しい北と南の対決の状況において、韓国が国防費に多大のお金を使っておる。その厳しい経済環境の中で民生の向上を図っていくという状況にある。そういう気持ちから、安全保障の面で太いに負担しているということが念頭にありながら、日本政府に対して経済協力を要求したということはあったかと存じます。しかし、それはあくまで要求の背景説明でございまして、要求そのものではないと、かように理解しております。
#133
○宇都宮徳馬君 この韓国自体の安全保障上の理由は、これは韓国自体の問題であって、恐らく北の脅威という問題と関連していることだと思います。
 それで、韓国自体の安全保障ということと北の脅威の存在が日本の安全を脅かすということは別の問題ですけれども、韓国はどっちをとるのですか。安全保障を何かこう頭に置きながら言う場合に、北の脅威があるから、だからぜひ借りたいんだということは、南も北も同一民族ですから両方に統一要求があるわけですね。それで朝鮮戦争なんか起こったわけですけれども、そういう北の脅威というものに対抗するために必要だという理由ですか。それとも、それが日本の安全保障に関係するという理由で特に巨額のものを要求してきているわけですか。
#134
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほど申し述べましたように、韓国がわが国に対しまして六十億ドルの経済協力を要求しています背景の一つといたしまして、現在韓国が置かれている状況、特に軍備に多大の費用を使っているということがあるわけでございますけれども、あくまで韓国の日本に対する要求は経済協力、民生の安定、経済社会発展の向上ということでございまして、韓国が日本を守っているからとか、あるいは北の脅威があるからとか、そういうことと直ちに結びついているのではないというふうに了解しております。
#135
○宇都宮徳馬君 現在の交渉においてはそれは全然ない、こういうわけですね。
#136
○政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
#137
○宇都宮徳馬君 いずれにしましても相当巨額のお金が要求せられておるわけですが、韓国が特に急いでいる理由として、やっぱりいろんな経済上の理由とか国際収支上の理由があるわけですか。
#138
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほども申し述べましたように、韓国は非常に困難な経済状況、特に第二次石油危機以降一九八〇年には経済成長率がマイナス五・七%というような状況になりまして、その中で本年から第五次経済社会開発発展五ヵ年計画に入るわけでございます。その中で韓国は、新しい発展を遂げていこうということを意図しておるわけでございまして、その発展計画に日本がどういうふうに協力するかということが目下の問題であるというふうに了解しております。
#139
○宇都宮徳馬君 最近韓国が借金の対象としている国はほとんど日本だけで、大きなものは他はないわけですね。
#140
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまの御質問はほかに援助国があるかという……
#141
○宇都宮徳馬君 これから援助を求めている国で、相当巨額な援助を求めている国があるかというんです。日本だけですか。
#142
○政府委員(藤井宏昭君) いままでの実績ということはわかりますけれども、いままでは御承知のように日本を除きますとアメリカ、西独という二カ国が韓国に対するわりあい大口の援助供与国であったと思われます。
#143
○宇都宮徳馬君 韓国の外国に対する負債の累積額というのは現在どのくらいになっていますか。三百何十億ドルになっていますね。
#144
○政府委員(藤井宏昭君) 韓国の対外債務残高は八〇年末現在で二百七十三億六千五百万ドルでございます。
#145
○宇都宮徳馬君 ポーランドの外債とほとんど同じですね。いまの外債は債権は引いたものですか。
#146
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまのは残高でございますから、当然支払いを引いたものでございます。
#147
○宇都宮徳馬君 持っている債権を引いたものですね、債権債務を差し引いたものですね。
#148
○政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
#149
○宇都宮徳馬君 いずれにしましても、日本は外交の中枢にやはり経済関係をよくしていくということを据えなきゃいけませんから、韓国なり隣国に適当な援助をするということは反対ではありませんけれども、しかし、これは国民の税金ですから必要以上に巨額のものを提供することはできない。それからもう一つは、やはり債権ですから、全然取れない危険のあるものを日本の国民の債権として持たせるわけにいかないわけです。ですからやはりそういう危険性も十分考える必要がありまするし、それからまた、援助そのものの構成といいますか、つまり、ある国に大きな援助のおだんごを出して、他の国が非常に小さいおだんごだということになると、経済協力というものは何といっても両国の友好に役立つものですけれども、しかし余りに一国に偏りますと他の国は何だということになる。よほど巨額な援助を出す場合には国際関係全体を見て注意して出さなきゃいかぬものだと私は思いますけれども、外務大臣はどう思われますか。
#150
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから宇都宮委員の韓国に対する経済協力についてその前提あるいは背景、いろいろの面から御批判の趣でございますが、私は就任以来韓国から、ちょうど就任当時は一昨年の経済不況を受けまして民生の安定の上に、経済発展の上に非常に困難を来しておる、こういうことから経済協力の要請があったわけでございまして、それを正直に受けて本日までこちらの納得のできる説明を求める、資料を求める、こういうようなことで本日に至っておるわけでございまして、経済協力の原則は、御承知のように、今後五カ年間で倍増していこうあるいは積み上げ方式でいこう、こういうことで日本の従来の方針の中で考え得られることを考えていこうという努力をしておるわけでございます。
#151
○宇都宮徳馬君 終わりました。
○委員長(稲嶺一郎君)以上で質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようでございますので、これより直ちに採決に入ります。
 まず、日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#152
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(稲嶺一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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