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#1
第096回国会 外務委員会 第9号
昭和五十七年四月二十八日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     宮澤  弘君     江藤  智君
     宇都宮徳馬君     田  英夫君
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     宮澤  弘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         稲嶺 一郎君
    理 事
                大石 武一君
                鳩山威一郎君
                松前 達郎君
    委 員
                安孫子藤吉君
                大鷹 淑子君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                細川 護熙君
                宮澤  弘君
                戸叶  武君
                宮崎 正義君
                立木  洋君
                木島 則夫君
                田  英夫君
                山田  勇君
   国務大臣
       外 務 大 臣  櫻内 義雄君
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
  政府委員
       外務大臣官房審
       議官       藤井 宏昭君
       外務大臣官房審
       議官       松田 慶文君
       外務大臣官房審
       議官       田中 義具君
       外務大臣官房外
       務参事官     都甲 岳洋君
       水産庁長官    松浦  昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       海上保安庁警備
       救難部警備第一
       課長       田辺 淳也君
       海上保安庁警備
       救難部警備第二
       課長       赤澤 壽男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○北西太平洋における千九百八十二年の日本国の
 さけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定
 書の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ラ
 ンカ民主社会主義共和国との間の協定の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とインドネシア共和
 国との間の協定の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 北西太平洋における千九百八十二年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内外務大臣。
#3
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました北西太平洋における千九百八十二年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、明和五十三年四月二十一日にモスクワで署名された漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定に基づき、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件を定める議定書を締結するため、本年四月十三日以来、モスクワにおいて、ソ連邦政府と交渉を行ってまいりました。その結果、四月二十三日にモスクワで、わが方小和田臨時代理大使と先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの議定書の署名が行われた次第であります。
 この議定書は、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のさけ・ますの漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期、議定書の規定に違反した場合の取り締まりの手続等を定めております。なお、本年の北西太平洋のソ連邦の距岸二百海里水域の外側の水域における年間総漁獲量は、昨年と同じく四万二千五百トンとなっております。
 この議定書の締結により、北洋漁業において重要な地位を占めるさけ・ます漁業の操業を本年においても継続し得ることとなりました。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○松前達郎君 日ソサケ・マス交渉の妥結ということですが、この間、今回は日程的に変更が大分何回か行われて妥結に至ったわけなんですが、大変その間は御苦労だったと思います。
 その日ソサケ・マス交渉をやっている間、その交渉そのものについて何かいつもと違ったような問題が出たのか、あるいはその他ソビエト側の出方というものについても感じられたことがたくさんあったのじゃないかと思いますが、その経過について、ございましたらひとつおっしゃっていただきたいと思います。
#6
○政府委員(松浦昭君) 本年の日ソサケ・マス交渉は四月の十三日からモスクワにおいて開催されまして、当初はソ側は、操業条件につきまして非常に厳しい提案をしてまいったわけでございます。特に漁獲割り当て量は三万七千トン、これは特にことしがマスの不漁年であるということからこのような削減を行ってまいったわけでございますが、それからまた同時に、三角水域と申しておりますが、非常に重要な漁場におきましての漁期の短縮、このような提案をいたしますと同時に日本側の漁獲のシェアに応じた漁業協力費、これは先方四千七百万ルーブルのお金を産卵場の改善等に使っていると言っておりますが、その二七%を要求してまいったわけでございます。これによりますと、去年まで四十億ということで決まっておりました漁業協力費が大幅に増大するという状況であったわけでございます。
 さらに、昨年の漁期におきますところの日本のサケ・マス漁船の違反の問題を特に取り上げまして、この点につきましても日本監視船による共同取り締まり、あるいはソ連オブザーバーの陸揚げ港における駐在という非常に厳しい取り締まりの提案をいたしてまいったわけでございます。
 その後におきまして、日ソ双方、主張は全般的に並行線でかなり厳しい交渉をいたしたわけでございますが、日本側としては鋭意ソ側と交渉いたしました結果、特に取り締まり問題につきまして、ソ連のオブザーバーの日本監視船への乗船を認めるということに合意をいたしました。ただ、この場合におきましてわが方が明確にいたしておりますことは、取り締まり権なり、あるいは運航等の管理の権利はすべて日本側に属するということは明確にいたしました。さらに、ソ側のオブザーバーがわが方の取り締まりに支障を来すような行為はしないということを明確にいたしました上で、この合意に達したわけでございます。
 そのようなことから話し合いが進みまして、漁獲割り当て量及び漁業協力費は前年同の四万二千五百トン、四十億円ということで妥結いたしまして、二十三日、議定書の署名が行われたということでございます。
 今回の交渉は、このように特に取り締まり関係が中心であったということが特色であったというふうに考えられました。漁獲割り当て量あるいは漁業協力費については前年同ということで、比較的穏やかな結果だったというふうに考えられるわけでございます。
 ただ、この交渉の過程において一つ申せますことは、先方が依然として、沖取りの漁獲については必ずしもこれは容認できる立場にはないということは明白にいたしておりますが、ことしで五年になりますところの協定、つまり漁業協力協定でございますけれども、これが切れる状態であるにかかわらず、向こう側はこれを切るという意思表示は全くしなかったということが特色でございまして、そのような意味では、当面この北洋のサケ・マス漁業は特段のことがない限り続くのではないかという印象を持ったということでございます。
 ただ、取り締まりに関しては非常に先方が強硬な意見を述べて、ようやく合意に達しましたので、今後とも違反がないように十分にわれわれとしては業界を指導していく必要があるというふうに感じた次第でございます。
#7
○松前達郎君 そうしますと、昨年と内容的に大きく変わったというのが、さっきおっしゃいましたオブザーバーを乗せるということですね。問題は恐らく、いまちょっと触れられましたけれども、陸揚げ港への駐在というのをソビエト側が主張してきた。その時点ではオブザーバーというものについては触れてなかったのかどうかですね、それをまずお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(松浦昭君) その点につきましては二点ございまして、一つは日本監視船による共同取り締まり、これは日本の監視船に監視員が乗ってくるということでございます。同じく取り締まり権限を持つという考え方と、それからもう一つは、ソ連オブザーバーが陸揚げ港で駐在する、この二つの考え方を持ってまいりました。この二つともわが方は受け入れられないという立場を明白にいたしました結果、日本の監視船にソ連のオブザーバーが乗るということで合意したというのが経緯でございます。
#9
○松前達郎君 そうしますと、日本の監視船にオブザーバーが乗るということであって、漁船に乗るわけじゃないですね。
#10
○政府委員(松浦昭君) そのとおりでございます。
#11
○松前達郎君 そうしますと、どうも今回の特徴というのは、ソ連側が日本の漁獲に対しての不信感というのを持っている、それもいろいろと私もうわさを聞くんですけれども、船が沈むほどとってしまうとかそういうことはないかもしれませんが、漁獲の量というものが比較的規制がやりにくいという面もあると思うんですね。実際にオブザーバーが乗った監視船が漁獲について規制をするのはどういうやり方をやるんですか、ちょっとそれ私わからないんでお伺いしたいんですが。
#12
○政府委員(松浦昭君) 今回の取り締まりの問題の中心になりましたことは、昨年の漁期におきまして日本のサケ・マス漁船による違反が相当数発生いたしまして、特に太平洋の中型流し網漁業という漁船につきまして二十五隻ほど違反が出たということからでございます。このうちで問題になりますのは、実は操業日誌の記載とかあるいは漁具の違反とか、そういう軽微なものもございますけれども、一番問題はただいま先生のおっしゃいました漁獲量だけではなくて区域の違反でございます。と申しますのは、去年向こうが飛行機を飛ばしまして日本の漁船の位置を確認いたしましたところが、相当禁止区域に入っているということがわかったものでございますから、それでこのような取り締まりの強化をしてきたというのが現実でございます。これがソ連側の一番懸念をいたしている点でございまして、このようなことから日本のサケ・マス漁船に対しまして一般的に不信感を抱いたというのが、今回の取り締まりが非常に問題になりました中心であったと思います。
 そこで、このような信頼の回復をいたしますことがサケ・マス漁業の安定的操業の確保のために非常に重要だというふうに考えたわけでございます。このような区域違反と申しますのは、やはり漁業者は魚群を追いまして禁止区域内につい入ってしまうというようなことがあるわけでございますけれども、一方でやはり漁業者自身が国際的約束を遵守するということにつきまして十分な自覚を持っていない、自覚が足りないという問題もあろうかというふうに考えるわけでございまして、水産庁としましては、違反の防止につきまして関係漁業者に徹底指導をするということをいたしたいと思っております。
 なお漁獲量につきましては、サケ・マスの漁獲量は母船式の漁業につきましては母船に乗船する監督官が全部チェックいたしておりまして、独航船から集まりましたサケは全部母船に揚がってまいりますので、ここでチェックをいたしますればわかりますし、それからまた、基地式のサケ・マス漁業につきましては陸揚げ港に水産庁の監督官が駐在いたしておりまして、水揚げ地の市場でこれをチェックいたしておりますから、その点につきましては大きな問題はないというふうに考えておる次第でございます。
#13
○松前達郎君 そうしますと、日本側の監視船ですね、この役割りというのは一番重要なのはやはりいまの区域を厳守するというふうな方向に指導する、そういうことが問題だというふうに私いま受け取ったわけですが、これはソビエト側が要するに陸揚げ港への駐在というのを一遍持ち出した以上、恐らく何か適当な理由をくっつけてまたこの問題が蒸し返し提出される可能性もあるわけですね。ですから、特に違反という問題については相当厳重にわれわれは守っておかないと今度はその次の段階に、まあワンステップはオブザーバーというので了承したかもしれませんが、その次の段階としては必ずまた出てくるんじゃないか、その辺ちょっと心配をするわけですね。港への駐在となると大分これは性格が変わってきますし、それからもう一つは操業区域を守るという問題ですね、禁止区域に入らない。これもまた、相当この辺はいろんな意味で非常に重要な海域になっているわけですから、そういう意味で魚だけじゃなくていろいろな問題がここでまた発生してくる可能性もある、そういうふうに私は考えておるので、その点についてひとつ十分な監督なり指導なりをしていただかないと来年が今度は困る、ことしは比較的オブザーバーでうまくいったということになりますけれども、その辺ちょっと心配をしておるわけですが、その点いかがでしょうか。
#14
○政府委員(松浦昭君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、陸揚げ港における監視体制の強化ということにつきましては、国民感情の問題もあるということで明確にこれを拒否いたしましたので、向こう側も今回おりたわけでございますが、特に今後気になりますことは、今回は三隻の監視船にオブザーバーを乗せるということでございましたけれども、さらにこれをふやすというような可能性があるというふうに考えておりまして、もしも違反の減少ないしは根絶が図られない限りにおきましては、さらにこの監視体制を強化してくるということが考えられるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては交渉妥結と同時に大臣の談話も出していただきまして漁業者の自覚を促すということをいたしたわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま先生おっしゃられるとおり、将来の問題を考えますと、どうしてもここで違反をなくしていくということの努力をしていかなきゃならないというふうに考えておりまして、今回も出航の前に、業界あるいは実際に乗船する人たち、これを集めまして徹底的に国際約束を守るようにということで指導いたすつもりでございます。
#15
○松前達郎君 それがうまくいきますと、恐らく今後、いまの問題では追及をされなくなってくる。
 それからこの前の委員会でも質問をしたんですけれども、資源量の問題がいつも出てくるわけで、資源量についてもいろいろな解釈があると思うんです。データそのものもお互いに多少食い違っている面もあるんじゃないか。ですから資源量の調査あるいは将来に対する見通し等も含めて、事前にやはり相当日本側としてもそのデータを出しておく必要があるんじゃないか。それでしかもソビエト側と突き合わせながら、これについてはもう大体合意しておくということをしておきますと、量については裏づけがあればそう余り議論が大幅に食い違うということがないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、そのソ連側との共同調査とか、そういうものを行いながら資源量についての合意というものを持つような努力をするということがあるかどうか、その点についてお伺いします。
#16
○政府委員(松浦昭君) 従来までサケ・マスの資源調査につきましては日ソサケ・マス交渉、それから日米の漁業交渉の基礎になる問題でございますので、特に毎年調査船を派遣いたしまして各種の調査をいたしております。特に水産研究所、大学、道県等の水産試験場を動員いたしまして全部で調査船十六隻で各海域を分担しまして分布、標識放流、魚体測定、海洋調査といったようなことを行っておりますし、また、母船上では漁業監督官が漁獲物の種類ごとの魚体測定をいたしておりまして、かなり徹底的に資源の調査をやっておるわけでございます。もちろん、これは先生おっしゃいますように、今後とも充実を図ってまいる必要があるわけでございますが、ただ、実際上こういうような調査をいたしまして話し合いに入りましても、どうしてもお互いの立場がございまして、資源論が常にある程度食い違うということはやむを得ない状況でございます。
 ただ現在の状況から申しますと、昭和五十二年と五十三年に大減船をサケ・マス漁業についてはやっておりますので、かつては資源の状態が非常に悪くて、ソ側も資源が非常に悪い状況にある、日本は資源はよい状況にあるといったようなことで対立をいたしたわけでございますが、この大減船の結果やはり資源状態は回復しているということは事実でございまして、ソ側は、ことしもベニ、シロにつきましては資源状態は回復しているが、そのテンポが遅いという言い方になってきております。ただカラフトマスの一部の資源は特に稚魚の河川からの降河が悪かったということでこの資源は悪いということを言っておりましたが、全般的には資源状態は回復しているということについては双方見解が一致しております。これに対しまして日本側は、サケ・マスの資源の一般的な状態は最近の五カ年間の平均的水準及び昨年の水準よりもよいということで今後の増加傾向が続くということを言ったわけでございますが、回復はしているもののテンポの点について、依然として両者の意見が食い違っているというのが現状でございます。
 そこでただいまおっしゃられました共同研究体制というものをとってまいりますと、このような差がさらになくなっていくというふうに考えますので、従来までは日ソ漁業協力協定に基づきまして双方が独自に行った調査結果を、漁獲統計なりあるいは生物統計あるいはうろこの標本といったようなものを交換するということをやっておりましたが、今回一九八二年からは新たに日ソ双方によるサケ・マス資源専門家会議というものを開きまして、日ソ相互の科学調査船に乗船調査すると、つまり相互に乗り入れるということをやりまして、その結果さらに両方の共同の研究の体制を整えて双方の資源の評価についての差を小さくしていきたいというふうに考えているわけでございます。日ソ双方とも円滑かつ効果的な資源の調査をしたいということを考えておりますので、共同研究につきましてもこのような雰囲気を重視しまして、さらにこれを充実していく方向で努力してまいりたいというふうに考えている次第であります。
#17
○松前達郎君 そうしますと、資源調査については今年度からいまおっしゃったようなことでやっていこうと。これはどうなんですか、相互乗り入れといいますか海域のことですね、恐らく。調査対象区域というものをお互いに開放するということですか。
#18
○政府委員(松浦昭君) こちらの科学者がソ連の船にも乗り、それからソ連の科学者が日本の船にも乗ってということで、海域ではなくて船にお互いに乗って調査するということでございます。
#19
○松前達郎君 わかりました。
 それからもう一つ。調査はそれである程度データを近づけることができるので、事前にやっておけば余り大きな問題は起こらないと思うんですけれども、もう一つはサケ・マスのふ化等も含めて、やはり増殖関係の事業というものに対する協力ですね、日本側が出す漁業協力費というのがどういうふうに使われているか知りませんが、恐らくそういうものに使われているんだろう。しかも日本の場合、増殖技術というのは世界最高だと思うんです。ですから、そういった意味で技術的な協力体制というのもある程度とっていたった方が、これもまた交渉においてそれがプラスの方向に作動するんじゃないか、こういうふうに思うんですが、共同増殖事業といいますか、こういうものに関しては今後どういうふうにやっていかれるのか。
#20
○政府委員(松浦昭君) 実はこの共同増殖事業と申しますのは、かなり昔からソ日双方で提案をし合っておりまして、いろいろ検討が行われてきた経緯があるわけでございますが、そしてまた日本の増養殖事業は御案内のとおり世界最高の水準でございまして、回帰率も三%を超えておりますし、去年で大体十万トンの回帰があったということで、非常に高度の技術を持っておりまして、先方もこの技術につきましては非常に興味があるわけでございます。そしてまた、このような共同増殖事業を実施することによりまして北洋におけるサケ・マス資源がふえてくれば、それによりまして日ソ間の問題もさらに軽減してくるということが期待されるわけでございます。
 さらに加えまして、実は四十億の漁業協力費もほどんどがこのサケ・マスの増殖関係の施設でございまして、一番多いのがサケ・マスの養殖をいたします際の餌料、えさの給与施設でございますが、それから人工ふ化増養殖関係の施設、機械、機具類でございますけれども、こういったものが大部分でございます。したがいまして、ソ側はこれにつきましては興味があるというふうに思うわけでございますが、ただ共同増殖ということになりますと、向こうの考え方はおのおのが独自で事業をしていけばいいじゃないかという考えでございまして、実は昨年の十一月に日ソ漁業委員会の席上で日本側はこの共同増殖事業をやろうではないかということを持ち出したわけでございますが、その際のソ側の回答は、双方が事業を実施すればいいという考え方でございまして、その点ではまだ進んでいないわけでございます。日本側といたしましては、日ソの漁業委員会におきまして一度提案をいたしたことでもございますので、今後ともこのような方向でソ側と話し合いを進めていくということが適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#21
○松前達郎君 共同増殖というのは場所が固定されますから、なかなかやりにくい面があるかもしれませんね。特にいろんな面から考えて、なかなかそこにわれわれの方が食い込んでいくということがむずかしいだろうと思うんですが、しかしこういうことを提案しておくということは、交渉の際にこれを使えますから、そういう面でどんどん前向きに提案して、向こうが拒否しようが何しようがどんどん提案するということでやっておいた方が後々いいんじゃないか、これもひとつさらに進めていただければというふうに思うわけであります。そういうことで、この日ソのサケ・マス交渉妥結をして、ことしはその漁獲量あるいは協力費等は昨年と同じ、ただオブザーバーが乗るという問題だけが一つふえているということなんですね。
 もう一つだけ、ちょっとこれについてお伺いしたいのは、実はいただいてある資料で、地図といいますか、海域が入った「一九八〇年のさけ・ます漁業規制図」というのがあるんですが、これについてちょっと簡単に説明していただけますか。こういう規制図です。この図じゃなくても結構ですが、一九七七年からの禁漁区だとか、それから一九七八年からの禁漁区、それから日米加禁漁区、こういうふうに分類されておりますけれども、日ソ間は二つに分かれておりますが、これの重なり合いというのがどういうふうな意味を持っているのか、それをちょっと説明していただけますか。
#22
○政府委員(松浦昭君) この図に関しまして簡単に御説明をいたしますると、現在サケ・マス漁業が活動できます区域というのは過去の状態に比べますと非常に狭くなっております。水域としては、この一番左側にございます日本海につきましては日本海の流し網とはえ縄、この漁業が操業ができることになっております。それから、太平洋につきましては三種類の漁業がございまして、一つは太平洋小型流し網、それから太平洋中型流し網、それから母船式、この三種類の漁業が操業できることになっております。
 その区域がここに書いてあるわけでございまして、まず第一に太平洋の小型流し網は日本の二百海里に非常に近い水域、つまりここにございます百五十度Eと百五十五度Eの間に点線が入っておりますが、ここから西側だけが太平洋の小型流し網の区域になっております。
 それから太平洋の中型流し網でございますが、これは北の方には一般的に上がれませんで、四十四度ノースというところの区域が北限になっておりまして、それからさらに北の方に、三角水域と申しておりますが、四十四度ノースから北、さらに百七十度Eと百七十五度Eの間、それとアメリカの二百海里が来ております。これが、おわかりになっていただけると思いますが、母船式と書いてあるところの下の方に、横の方に書いてございます、この真ん中の、ずうっとこういう水域がございますが、ここにあるこの水域でございます、これがアメリカの二百海里でございます。いま申しましたこの水域におきましてはこの三角水域の四十六度のところまで、これが中型流し網の区域でございます。
 それから、斜線がちょっと入っておりますところ、これが四十六度ノースからアメリカの二百海里の接するところまで、これが母船式の区域であり、それからその北にさらに扇形の区域がございまして、母船式と書いてございますが、これがアメリカの二百海里内における母船式の操業区域でございます。さらに北の方の水域がございますが、これはべーリング海の中の公海でございまして、ここは母船式の区域になっております。
 それで、おのおのの水域につきまして操業期間がございまして、太平洋中型流し網については、四十四度以南のところが五月一日から七月三十一日、それから四十六度と四十四度の間が五月一日から六月十五日、それから母船は、南の三角水域が六月一日から六月十五日、アメリカの二百海里に入りまして六月十日から七月三十一日、さらに北の公海の部分は二つに分かれまして、六月一日から七月三十一日の部分と六月二十六日から七月三十一白の部分がある。その公海の部分は、実はここはマスノスケの混獲があるものでございます、から、特別に操業回数が抑えられておりまして、操業回数が二十二回以下、操業回数三十一回以下という規制がついているという状態でございます。それからアメリカにつきましては、百七十五度Eのところから東側には入れないという状態になっております。
#23
○松前達郎君 そうすると大分複雑になっていますね。この海域をそれぞれ回数で制約があるもの、あるいは期間で制約があるもの、あるいは漁業の方式が変わっておるもの、条件がいろいろついているわけですが、これもまた監督するというのは大変なことじゃないかと思うんですが、これは大丈夫ですか、いまのこの決められた区域からはみ出すことを防止するというのは。
#24
○政府委員(松浦昭君) これらの水域につきましては全部で水産庁の監視船を九杯張りつけてやっておりまして、母船式のところにも母船式のための監視船を張りつけており、一番問題になります今回の太平洋中型流し網地域につきましても三隻の監視船が張りついているわけです。それから太平洋小型流し網、日本海の流し網、はえ縄、これにつきましてもおのおの専属の監視船を張りつけてやっております。さらに海上保安庁からの応援も得ておりますし、また北海道庁その他の県の監視船も投入するということで監視体制をしいておりますので、指導の徹底を図り得れば私どもとしては不安を減少させていくことができるというふうに考えておる次第であります。
#25
○松前達郎君 その点十分ひとつ体制を整えていただきたい、これは要望しておきます。
 それから今度は米国との問題ですね。対日漁獲量の割り当て等について、最近は貿易摩擦というやつが何か相当あっちこっちに飛び火をしているような感じを持つわけなんですが、漁獲割り当てが非常に大幅に減らされた。たとえば北太平洋のアメリカの二百海里の中、いまおっしゃった領海の中で漁獲量の対日割り当てが予定量二十八万七千トンが十七万三千トンに減らされたと、こういうことを報道で私見たわけでありますが、これがどう見ても日本だけに対する嫌がらせと言っちゃあれなんですが、逆に言うと私は悪乗りだと思うんですが、そういうようなふうにとられざるを得ないような割り当ての急減、私はそういうふうに見ているんですが、これは実際問題として、アメリカと日本がこの漁獲量に関して何らかの協議をするとか、そういうことがあるのかどうか、この点いかがでしょうか。
#26
○政府委員(松浦昭君) アメリカの二百海里内水域はわが国にとりまして非常に重要な水域でございまして、特にアラスカの周辺の水域につきましてはわが国の主要な漁場の一つになっております。アメリカ水域における対日割り当て量は五十七年で百十四万九千トンでございまして、日本の総漁獲量の約一千万トン強ということから御判断願いますと、いかにこの水域が重要であるかということがわかっていただけると思うわけでございます。従来まではアメリカ側はこの対日の割り当ては一年一回だけで全量を割り当ててきたわけでございますが、ことしからこの割り当ての方式を変更いたしまして、当初半分、四月に二五%、それから七月に二五%割り当てるということで、当初割り当ては五〇%の割り当てをしてきたわけでございますけれども、第二回の割り当て量を四月二十六日に通告してまいりましたところ、予定されていた四月一日よりも一カ月も遅く、しかも量的にも予定量の二五%を大幅に下回って一五%ということで十七万トン、約十一万トンの削減をしてきたというのがその経緯でございます。
 米国側はこの通告の中で、対日割り当て量を削減した理由というものは明確にはしておらないわけでございますが、従来までの交渉の経緯から判断をいたしますと、恐らく洋上買い付け等の問題につきまして向こう側が日本側の協力につきまして不満であるというふうに考えた結果ではないかというふうに考えておる次第でございます。アメリカは御案内のようにブロー法という法律がございまして、将来できるだけアメリカの漁業を優先的に育てていくという考え方がございますし、さらにもう一つは、外国の漁船をアメリカの二百海里内で操業させる場合には、アメリカに対する貿易の協力といったようなことも配慮してこれを割り当てていくんだということを念頭に置いておりますので、このような洋上買い付けにつきましても、恐らくアメリカの水産物の輸出、これを振興させるためにこのような協力を要求してき、それについて不満があったということからこのような割り当てをしてきたのではないかというふうに考えるわけであります。
 ところが、米国の水産物の輸出のおよそ半分はわが国が買っておるわけでございまして、大変な協力をしているというふうに考えますし、それからまた洋上買い付けにつきましても、段階的に拡大するということは先方に言ってございまして、去年は一万四千トンの洋上買い付けでございましたが、ことしは当初四万トン、さらに二万トンふやしまして六万トンまでは買い付けるという約束もいたしております。長期的な問題についても討議をしているところでございまして、そのような努力につきまして、今回の割り当てに際しまして何ら反映されていないということにつきましては、私どもきわめて遺憾であるというふうに考えております。
 ただいま先生のお尋ねでございます、話し合いでございますが、実はこの点、洋上買い付けにつきましても、また対日割り当て量につきましても何回も話し合っておりまして、これは単にワシントンで話し合うだけじゃなくて、アラスカあるいはシアトルといったようなところに参りましても、現地に参りましても話をしておるわけでございます。このような努力につきましては今後とも重ねてまいるつもりでございまして、あらゆるルートを通じましてわが国の、特に洋上買い付け等につきましての態度を明確に向こうに主張いたしまして、安定的な操業を図ってまいりたいというふうに考える次第であります。
#27
○松前達郎君 その話し合いをする場合、アメリカ側はどういうセクションが担当するのか、その点はどうでしょうか。
#28
○政府委員(松浦昭君) アメリカ側の当面の交渉の相手方は商務省でございます。NMFSという組織がございますが、ここがわれわれの相手方でございます。ただこの問題は、直接にと申すよりは、少し薄いわけでございますが貿易問題とも関係がございますので、当然通商代表部との話し合いも関係してくるというふうに思います。
 さらに申し上げておかなければならないことは、実はこのような権限は国務省にもございまして、最終的な外国船への割り当ては国務省が持っておりますから、国務省ともお話し合いをしなきゃいかぬということでございます。
 さらに加えまして、実はこのような話し合いのもとになりますのは、各地区の漁業管理委員会というものがございまして、これがアラスカあるいはシアトルの各地域にございますので、ここも権限を持っておりますから、こことも話し合いをしなきゃならぬ。さらには、このような問題は最終的には議会が非常に御関心を持っておられますので、そちらの方にもお話をしなきゃいかぬということで、きわめて多角的な多方面の交渉をしなければなかなかまとまらないという非常にむずかしい問題がございます。
#29
○松前達郎君 そうですね、商務省ということになれば当然貿易摩擦が絡むのはあたりまえなんで、恐らくそういうこともあってこういった大幅削減というのが考えられたんじゃないかと私は思っているんですけれども、ちょっとアメリカと日本とシステムが違うものだから、いまおっしゃったように相手がやたらにあって、ここで一つまあ撃破と言っちゃ悪いんですが、ここで一つ合意したらまた次に障壁があるということ、そういうふうなことがどうもあると思うんですが、特にアラスカあたりは比較的日本に協力的なところもあったわけですね。たとえばシー・グラント・プログラムなんというのもあって、海洋に関して、魚の増殖その他も含めたプログラムもあるようですから、まあ多方面にわたって交渉するということでこれは大変だと思うんですが、そうしますと、日米間ではそういうふうな交渉を一つ一つ努力していくということなんでしょうが、米ソではやはりあるんですか、こういった漁業に関する取り決めなり交渉は。
#30
○政府委員(松浦昭君) 米国二百海里内におきましてもソ連は操業を行っていたわけでございまして、かつてはある程度までの漁獲割り当て量を受けていたというのは事実でございます。ただ、多分アフガニスタンの侵攻以来だと思いますけれども、米国はソ連に対しまして、漁獲割り当て量につきましても報復措置をとったものでございますから、現在は多分洋上買い付けによります合弁形式での操業だけがソ連の操業として認められている状態であるというふうに承知しております。
#31
○松前達郎君 そうしますと、いわゆる領海といいますか、漁業水域として二百海里というのが非常に大きく、かつてその問題が持ち上がったときにやはりこれは大問題だと言ったのが、いまになってはっきりと出てきたわけですね。米ソもそういうことでお互いに二百海里というものを尊重しながらやるだろうと。日本の方がどうももっぱら相手国の領海内で、領海というか水域内でやらなきゃいけないというそういうハンディキャップを持っているわけなんですが、これから恐らくアメリカとの交渉も相当厳しいものになるだろうと思いますし、これはカナダは関係ないわけですね。しかし、いずれにしても北太平洋にある国々との交渉というものが、これからやはり相当数も多くなるし問題も複雑になってくるんじゃないか、かように思うわけであります。その点ひとつ今後努力していただいて、漁業というのは日本にとっては生きる道の一つ、たん白資源としては非常に大きいですから、また同時に、そこに従事する人たちの問題もありますから、その点も踏まえてがんばっていただきたい。これを要望いたしまして私の質問を終わらしていただきます。
#32
○宮崎正義君 今回のサケ・マス交渉に当たりましては大変御苦労さまでございます。感謝申し上げます。
 私、当委員会で四月八日にこの議定書案の交渉の早期妥結を要請いたしました。そのときの大臣ほか水産庁の担当官の積極的な取り組み方の決意がなされておりましたことは、今回の早期妥結にも私は一つの光を通じたものだと思っております。いずれにしましても、大変御苦労さまでございました。
 この今回の交渉の問題の背景というものは、いま同僚委員からもございましたけれども、一つには陸揚げ港におけるところの監視員をつけるとかあるいは監視船に向こうの監視員を乗せるとかいうようなことが一つと、それらを初めから予測をしておいて、数量の問題のかけ引きがあったみたいなような感じもあるわけなんですが、こういうふうなことから考えてまいりますと、どうもそのように思えてならないのでございますし、もう一つはことしで五年の提携というもの、これからどうしていくんだということが一つの問題だと思います。そうしたことを考えながら、多少は重複するかもわかりませんけれども、お伺いをしたいと思います。
 大体残念なことは、また遺憾なことは、一部の違反船があって、操業海域の潮流の変化だとか気象状況の変化に伴うものがあって操業中ずるずると禁止区域の中に入っていくという場合も相当あるということを、私は見たことはございませんが聞いている範囲ではずいぶんあるわけであります。そういったようなことで、違反船というふうにとらえられてしまう場合があって、同情すべき点も私は多々あると思うんです。そういうふうなことを考えていきまして、本年度の出漁独航船の総数は幾らあるかということですね。まず御答弁願いたいと思います。
#33
○政府委員(松浦昭君) 現在サケ・マス漁業の操業に従事しております船を申し上げますと、まず母船式のサケ・マス漁業が母船が四隻、独航船百七十二隻であります。それから太平洋の中型サケ・マス漁業の大臣許可船が二百九隻、それから太平洋の小型サケ・マス漁業が六百七十七隻一日本海サケ・マス流し網漁業が百二十五隻、日本海はえ縄漁業が二百五十九隻、全部で千四百四十六隻であります。
#34
○宮崎正義君 そこで、日本側の摘発されたものとソ連側の摘発された数でございますね、それは五十三年、五十四年、五十五年、五十六年と違反状況の処分隻数というものをいただいておりますが、残念ながら若干ふえておりますが一五十七年が日本側が八隻、ソ連側が十九隻というふうに報告がございますが、これに対する先ほども監視船の話がありましたけれども、非常にこれだけ多くのものの監視をするのに水産庁の方が九隻、海上保安庁の方がいらっしゃると思いますが十三隻、それから関係道県が十一隻、これだけで十分であるかどうかという点が何としても疑問でなりません。御案内のようにあの辺は相当何といいますか特異的な気象状況があるところでありますし変化もありますので、この辺水産庁及び海上保安庁関係の方いらっしゃいますけれども、総括して水産庁の方で答弁を願いたいと思います。
#35
○政府委員(松浦昭君) 本年のサケ・マス漁業に対する監視体制につきましては、私どもとしては万全の体制を整えたいというふうに考えておりまして、洋上におきましては水産庁の監視船が九隻、これは母船式漁業について三隻、太平洋中型流し網漁業三隻、日本海の漁業二隻、北西大西洋全海域一隻という配置を決定している次第でございます。
 なお、昨年の漁期におきましては操業区域の違反も多かったということで、太平洋の中型流し網漁業に対しましては監視船一隻を増加しまして、その取り締まりの強化を図りたいというふうに考えております。また、海上保安庁の巡視船及び関係道県の監視船との連携も密にいたしまして、違反の防止に努めたいと考えている次第でございますが、かつての二百海里の施行前の水域に比べれば現在のサケ・マス漁業の水域はかなり縮小されてきておりますので、これらの監視船を配置いたしましてこれを適切に運用していくということによりまして、監視体制としては十分な体制がとり得るものというふうに考えております。また同時に、このような海上の監視だけでは不十分でございますので、サケ・マスの陸揚げ港の主要港におきまして水産庁の監督官及び関係道県の監督官を漁期中駐在させましてサケ・マスの漁獲量の水揚げ管理を行うということにいたしておりますし、またこのような違反がないように事前に業界を十分に指導しておくということが何よりも違反の防止に役立つということで、そのような体制も目下とりつつあるところでございます。
#36
○説明員(田辺淳也君) 北洋におきます海上保安庁の通常の哨戒体制は、冬季の十二月から三月までは常時一隻、それから太平洋サケ・マス漁業の操業期間であります五月から七月までは常時三隻の巡視船を前進配備させまして、海難の防止と救助及び監視取り締まりに当たっております。前進配備の巡視船は、哨戒中に違反操業船を発見すれば取り締まり検挙も行っております。
 以上でございます。
#37
○宮崎正義君 そういう体制の中でやはり違反船がふえているということはまことに残念なんですが、いずれにしましても、そういう違反船があったがゆえにソ連側の方としても監視をしなきゃならないというような考え方をして、もう交渉の事前から腹の中に押さえておいて、そして交渉の段階では数量の問題を取り上げながら、その腹の中のものを出して妥結したというふうにも勘ぐればとれるわけであります。こういったようなことは、ともあれまた今年度も違反船が出てくればこれが定着していくような形になると思うんです。監視員の定着ということになりますと、これが拡大されてきますと、非常に問題点が国権とか主権とかというような問題まで及ぶようなことがあってはならないと思うわけです。この辺につきまして十二分にお考えなり答弁がありましたけれども、確認の意味で長官及び大臣に私は御答弁を願いたいと思います。
#38
○政府委員(松浦昭君) 確かにお話のとおりでございまして、今回の交渉は当面一番最初に申し出ましたのがソ側は共同監視ということで、しかも日本の監視船上の共同監視ということを申したわけでございます。それからまた、陸揚げ港における駐在員の派遣ということを申しまして非常に厳しい態度に出たわけでございますが、最終的にはオブザーバーの乗船、しかもその場合には、取り締まり権はあくまでも日本のみに属するということを明白にいたしまして合意いたした次第でございまして、当面、主権その他につきまして問題が起こるような事態は防げたわけでございます。お話のように今後違反が続発するというようなことになりますと、このようなわが方の態度も影響が出てくるということも考えられます。また、オブザーバーを増員してくるということも考えられます。さようなことがあってはならないというふうに私ども考えておりますので、先ほどから御答弁申し上げておりますように、業界に対しましても十分自覚を促し、私どもも十分指導をいたしまして、この違反が減り、またなくなっていくということのために最大の努力を尽くしたいというふうに考える次第であります。
#39
○国務大臣(櫻内義雄君) ソ側の視察員を乗船させる問題につきましては、わが方として受け入れられるものとなるよう鋭意交渉を行った結果、先ほどから御説明がありますように、わが国漁業監視船上における取り締まり権限及び管理に関する権利はもっぱら日本側にあること、ソ側視察員の乗船に要する一切の経費はソ側が負担すること等を明確にした上で合意をした次第でございます。
 なお、水産庁の方からるる説明がありますように、こういう視察貝の乗船というようなことは、これは日本側の漁船の違反と比例してくる問題でありますから、せっかく行政指導のもと、そのような違反の起こらないように心がけてまいりたいと、こう思います。
#40
○宮崎正義君 先ほどもちょっと触れましたけれども、ことしは日ソ漁業協力協定の更新期でもありますし、またそのときに問題化されるようなことがあってはならないというようなことを心配されるわけでありますが、ソ連側の方のことを考えてみますと、相当交渉しなきゃならないEC海域とかあるいはアメリカ、カナダ、ノルウェーとかその漁獲していくところの地域の漁獲量が減少をしてきているというようなことも聞いておりますが、その辺のことについてどのようなお考えでしょうか。
#41
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、昭和五十三年に締結されましたソ連との漁業協力協定は、第七条に規定されておりますように、本年の十二月三十一日まで効力を有するということになっておりますが、その規定の後段におきまして、「いずれか一方の締約国がこの協定の有効期間の満了の日の六箇月前までにこの協定を終了させる意思を他方の締約国に書面によって通告しない限り、自動的に順次一年間効力を存続する。」と、こういうことになっておりますので、ことしの六月三十日までにソ連側が通告してこない限りこの協定はさらに一年間効力を存続し、その後も同じような形で自動延長の形式になるわけでございます。それで、この協定につきまして先ほど水産庁長官からも御指摘ございましたように、ソ連側としてこれを廃棄をする意向は特に示していないということ、それからさらに明年からの協力の問題につきましても、ソ連側どの間で話し合いが行われたというようなことを考えますと、実態問題においての協力関係がしっかりしている限り、この自動延長方式による協定の延長ということについて、ソ連側としても異論がないというふうに考えられるわけでございます。
 他方この協定は、昭和五十三年に二百海里時代が倒来したという非常にむずかしい背景をもとに交渉したわけでございますので、この枠組みをソ連側と合意するに当たっては非常な難航いたしましたので、この枠組みの中での協力がうまく行われることが重要であると考えております。私どもとしては日本側から積極的にこれを延長するための交渉を持ち出すということは得策でないというふうに考えているわけでございます。
#42
○宮崎正義君 ECとかは……。
#43
○政府委員(松浦昭君) ソ連の漁業はわが国に匹敵するような大きな漁獲量を上げておりまして、しかも遠洋漁業はわれわれ以上の比重を特っているというふうに考えられます。ところが、先ほどちょっと触れましたように、アメリカの水域におきましてはアフガニスタンの侵攻の問題以来ほとんど操業ができなくなっておりますし、またEC水域におきましてもその操業がほとんどできないという状況でございまして、ソ側としては特にたん白供給ということを考えますると、漁業の比重と大きくしたいという気持ちは持っている中で、このような遠洋の漁業が締め出されているということは、ソ側にとりましても非常に大変な事態になっているというふうに考えるわけでございます。そのようなことで、日本側に対しましてもいろいろむずかしい交渉が生じてくるわけでございますけれども、お互いの二百海里内につきましては、これは日ソ、ソ日の協定を持っておりまして、わが方の漁獲量七十五万トン、ソ側の漁獲量六十五万トンということで去年の秋に妥結をいたしておりますし、今回またサケ・マスの交渉も妥結いたしましたので、当面は日ソの関係においては処理ができているというのが現在の状況であるというふうに考えております。
#44
○宮崎正義君 時間がございませんので、問題点は大分ありますけれども、いずれにしましても方々から悪い言葉で言えば締め出しを食ってるような状況で、とりやすいところが日本海海域ということになってきます。そういうふうに考えていきますと、この今回の協定の重みというものは私は相当あると思うんです。そういうこと等を考えていきまして、これはつい最近のプレスニュース、APNですか、この報道によれば、ソ連側も両国間には漁獲と科学研究の分野で双方にとって有益な不断の交流ができ上がっていると言っていると。この辺細かくありますけれども、時間がありませんからこれは一々読んでいる時間がございませんが、こういうふうにして漁獲量とか協力費等の決め方についても非常にお互いの国がわかっているはずであります、資源の問題につきましても。したがいまして、それだけ今回の締結というものが、ソ連としても先ほど申し上げました諸海域の問題等を考えて、当然いままでの日本との折衝の成功というものを高く評価し、われわれの方も評価しているということになれば、毎年毎年やらないで三年か五年間ぐらいの、何といいますか信頼のもとに長期締結をするという考え方、こういう考え方に当然立たなきゃならないと思うんですがね。どうですか、この辺は。
#45
○政府委員(都甲岳洋君) ただいまの御指摘は、サケ・マスの取り決めについてこれを五年なり三年なり長期のものにすべきではないかという御指摘だと思うのでございますが、この点につきまして御説明させていただきますと、昭和五十三年に漁業協力協定を締結いたしました際に、サケ・マスについての議定書につきまして毎年国会の御承認をいただくのも非常に御迷惑をかけるという観点から、基本的な取り締まり等は漁業協力協定の中に入れて、この協定と同じように四年何がしかの期間を特ち得るようにソ連側と交渉したわけでございます。しかし、結果的にはこの協定にございますように第三条におきまして、サケ・マスについての具体的な措置は毎年議定書で定めるということになりまして、その際にソ連側が主張いたしましたのは、ソ連側は原則的にサケ・マスの沖取りには反対であるという立場をとっておりまして、それは先ほど水産庁長官からも御指摘ございましたように、いまになっても変わってないわけでございますけれども、そこでそのような取り締まり等の措置を協力協定の方において四年何がしかの有効期間を与えるということは、長期にわたって沖取りをソ連側が是認したようなことになるという原則的な立場を示しまして、それに反対したわけでございます。
 そういうことで、議定書方式によって毎年サケ・マス漁業については定めるという方式にせざるを得ないという非常に強い主張でございましたので、現在のような枠組みになったわけでございます。そういうことがございますので、ソ連側が基本的に沖取りに反対であるという姿勢を崩していない以上、現在日本側からサケ・マスの議定書について、これを三年なり五年なりの長期のものにしてほしいという働きかけをいたしましても、ソ連側としてはこれに応じ得る立場にはないということでございますので、お申し出はございますけれども、私どもとしてはその見通しはないのではないかと考えております。
#46
○宮崎正義君 そういうふうに見通しがないと言わないで、そこを根気よくやるべきだと私は思います。
 最近はサケの放流を、日本全国北海道から東北から北陸から関東から、東京の多摩川までやりだしている。栃木それから神奈川県も稚魚を放流してサケよ帰ってこい、札幌あたりは豊平川がもうどんどん帰ってくるようになってきた、こういうふうなことを考えていきますと、日本沿岸の開発といいますか、その辺に力を置くということですね。これを私は申し上げておきたいと思うんですが、大体日本の沿岸のサケ・マス資源が最近海洋学的な条件だとか海流とか、ふ化場の設備強化、研究というものがどんどんどんどん進んできて漁獲量がふえてきております。こういったような問題、また海洋条件によってベニザケだとかギンザケじゃなければならないというような考え方も、研究次第によってはそれは確かに潮流の関係とか暖寒流の水温の問題だとか、いろいろございますが、これらの生産の研究というものも今後の私は大きな一つの課題じゃないかと思うんです。こういう面から考えまして、相当の生産量がふえている。それに今度は一つの品種というものを改めて研究技術の進んでいるわが国にできないことはないんじゃないかとも思うわけですが、この辺を含めて御答弁を願いたいと思います。
#47
○政府委員(松浦昭君) 確かにわが国のサケ・マス人工ふ化放流事業というのは非常に進んでおりまして、一つは技術水準も世界最高の水準であると誇っておるわけでございますが、去年の回帰量が約十万トンという大変な量になりました。これはただいま申しましたような技術水準の向上と同時に、やはり河川をきれいにしてくださったという効果も非常に大きかったというふうに思うわけでございます。ただ残念なことに、この魚種のほとんどはシロザケでございまして、価値の高いといわれておりますところの北洋で漁獲されますベニザケあるいはギンザケ、マスノスケというものにつきましてはまだ人工放流の事業がさほど進んでいないという点が問題であろうかと思うわけでございます。
 このような経済価値の高い魚種についても実はわれわれ試験をしておるわけでございますが、これらの魚種――ベニ及びキンでございますけれども、これはシロザケの稚魚の河川の滞留期間、いわゆる淡水滞留期間と申しておりますが、これが約一カ月ぐらいでございます。ところがベニザケあるいはギンザケでございますと、これが非常に長くなりまして約一、二年必要になるということでございます。したがいましてベニが帰ってくる川というのは大体奥に湖がありまして、そこに河川が接続しているという川でなきゃならぬ、そういうところが日本にはないということが問題なわけでございます。通常の状態ではなかなかこのようなベニなりあるいはギンなりの回帰をシロのように行うという方法がなかなかできませんので、新しい技術の開発方法といたしまして、たとえばベニザケにつきましては陸上飼育期間を約十四カ月とる、十四カ月でございますが、長く陸上で飼育しまして、それを放流するということで、実は西別川ですでに五十五年に九万尾放流して試験をやっております。それからギンザケにつきましては養殖もございますが、また河川の滞留期間を長くするということで、人工飼育を行わないで河川に稚魚のまま放流する、生まれたまますぐに放流しちゃうということで、イチャンナイ川というところで放流を五十四年十一万尾ということで実験をしているわけでございますが、残念ながらいままでのところは回帰率が非常に低うございまして、かつまた長期間陸上飼育をするということになりますと非常にコストが高くなるという問題もございまして、まだいろいろな問題を解決しなきゃならぬという状況でございます。
 しかし水産庁としましてはすでにこれらの試験にも着手しておりますので、何とかこれらの試験の結果をさらに追求いたしまして、このような高級なサケ・マスにつきましても資源の増大と品質の改善を行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#48
○宮崎正義君 時間が来たという紙が回りましたのでやめなきゃなりませんけれども、協力費の件につきましては、いろいろデータを持っておりましたんですが、協力費の問題につきましてはソ連側の方もそして日本側の方も、このことでわりあいにうまく融和がとれ、円満な操業ができているというふうに私は思っておるわけですが、この辺のところも十二分に御配慮を願って今後の行き方を進めていきたいということを要請をしておきまして、私の質問を終わります。
#49
○立木洋君 先ほど今度の交渉の過程の一つの特徴が取り締まりの強化といいますか、こういう面に見られたというお話でしたが、これはやっぱり違反船の状態から見て、これは漁業上の問題として当然そういうことが問題になり得た、なり得るというふうに判断されるのか、あるいは現在の日ソ関係が何らかの意味で取り締まり強化という形で影響してきているというふうに受けとめられるのか、そのあたりを大臣はどのようにお受けとめになっておられるでしょうか。
#50
○政府委員(松浦昭君) 交渉当事者でございましたので、まず私の感触から申し上げたいと思いますが、実は昨年のわが方の特に中型の流し網漁船につきましての違反件数は二十五件でございまして、しかもその中でかなり問題になります区域違反が非常に多かったということがございまして、特にわが方の行政処分も非常に重くやったというような経緯がございます。したがいまして、私ども交渉に臨みます当初から、恐らくことしはこの取り締まり問題であろうというふうに考えておりまして、その意味ではまさに予想が当たったという感じがいたすわけでございますが、交渉の過程を通じまして、特に私どもの交渉当事者といたしましては、日ソの関係というものがこの取り締まりの問題に特に影響を及ぼしたような感触は受けなかったというのが実態でございます。
#51
○立木洋君 それからもう一点は、これは外務省の方にお尋ねいたしたいんですが、ことしの一月に柳谷さんがおいでになって事務レベル協議をなさったと思うんですが、その際に日本側が主張して、現在の一年ごとに行っております日ソ漁業暫定協定ですね、これを長期協定にしたらどうかというふうに提案したのに対して、向こう側としては留意するという趣旨のことを述べたというお話ですが、これはその後、ソ連の方からは何らかの進展があるように受けとめられるのか、来年度の場合にはそういうことがきちっとできそうな見通しなのか、そのあたりはどうでしょうか。
#52
○政府委員(都甲岳洋君) 日ソ、ソ日の漁業暫定協定につきましては、私どもとしてもこれがより長期化される、特に二百海里水域内における漁業の安定化を図るということが、二百海里水域ということが国際機構上も安定してきている制度になっているということも踏まえて望ましいのではないかと考えまして、ソ連側には随時その件について働きかけているわけでございますし、それから先般の一月の日ソ事務レベル協議におきましても、柳谷審議官からこのことをソ連側に提示していただいたわけでございますけれども、その際にソ連側は、これをテークノートするということを述べつつも、さらにソ連側としましては従来から主張しておりますように、ソ連側の二百海里水域が暫定的な措置として定められているということ、それから海洋法の帰趨もいまだ明確になっていないということ、この二つの点を挙げましてこの暫定協定を長期化するには問題があるという主張をしてきたわけでございますけれども、この日ソ事務レベル協議の席上におきましても、テークノートはするけれども、このような二つの理由はまだ変わっていないので、なかなかむずかしいという態度表明をしておりますので、今後、海洋法会議が近く妥結する見込みだと思いますけれども、その後これが確立するまで、ソ連側として直ちに応じ得るような状態にはなかなかならないのではないかという感じがいたしております。
#53
○立木洋君 それから、これはアメリカとの問題ですが、先ほども同僚委員の質問にありましたように、ことし四月の割り当て通告が約一カ月近くおくれた、しかも二五%のうち一五%、十一万トンですか、少なく通告された、この点については洋上買い付けに対する不満があらわれているんではないかという長官の御説明ですけれども、アメリカ側のあれを見てみますと、アメリカ側はいままでもやはりアメリカの水産物の輸入に対して貿易障壁がどの程度になっているのかというふうなことを見きわめていきたいというふうな態度もとっていますし、特に今年度からでしょう、五〇%後半の割り当てに対しては。これはアメリカの漁業振興についての協力度合いがどの程度であるかということによって割り当てを決めるというふうな保護策を打ち出してきておるという点を考えてみますと、いまの貿易摩擦と無関係ではないのではないか、やはりどうしても水産物に対する自由化を推し進めていく、そういうことの一つのてこにするというか、そういうアメリカ側の意向も当然加味されておるというふうに受けとめるべきじゃないかと思うんですが、そのあたりはどうなんですかね。
#54
○政府委員(松浦昭君) 私は基本的に申しまして、今回の米側の対日割り当てに対する措置は、ブロー法等に見られるようないわゆるアメリカが自国の漁業振興を図るという観点から、洋上買い付けをふやしてほしいということを強く日本側に求めてきておりまして、しかしながら日本側としましても、余りこの洋上買い付けを多くいたしますと失業問題にもなる、減船問題にもなるということもございますし、それからまた去年の洋上買い付けにおきましては、必ずしもわが方が引き合うような値段でなかったということで非常に苦い経験もいたしましたし、またアメリカの漁獲量そのものが、果たして大量の洋上買い付けをやるに必要なだけの魚がとれるのかどうかという問題がございます。もしもこれを適当にやりますと、こちらが母船を持ってまいりましても、実際上は魚が集まらないということで、大変な損害をこうむるということもございます。さようなことから、アメリカ側にわが方の立場も申しまして、いろいろと話し合いをしておったところこのような結果になったということで、主としてやはり対日割り当てをめぐっての議論であるというふうには理解はいたしております。しかしながら、当然この洋上買い付けばアメリカ側にとりましては輸出の増大になるわけでございますから、さような意味で貿易の問題と無関係ではないということは私ども考えている次第でございます。
 ただ一言つけ加えて申しますと、洋上買い付けと申しますのは、これは特定の日本の船舶に向こう側がとったスケトウを売り渡すということになりますので、これは自由化をしてしまってはできなくなるということでございます。
#55
○立木洋君 洋上買い付け、先ほどの御説明もあったように、昨年度が一万四千トンですかね、スケトウ。それでことしは六万トンまで上げる、ところがアメリカ側の要望では何か四十万トンですかというふうなことも新聞に出ておったのですが、こういうふうなことになると、これは日本にとっては大変なことになると思うんですね。アメリカとしてはスケトウはほとんど食用にしていない、しかも二百海里以前はほとんどとっていなかった。それがとり出して、外国にそれを売るということのためにとっているというふうな状況なので、これについては何としてもやはりやめさせるといいますか、そういうふうな大量な買い付けについては毅然として、応じることができないという立場を今後とも貫いていかれることになるのかどうなのか、その点についてはどうでしょうか。
#56
○政府委員(松浦昭君) 確かにアメリカ側はいままでの話し合いにおきまして、四十万トン三年以内に実現してくれということを申しておりました。わが方はとうていこのような量はむずかしいということを申したわけであります。もしもこの量が非常に多くなりますと二つの大きな問題が起こると思います。
 一つは、北洋の漁業につきましては資源量が一定であるということでございますと、やはり外国への割り当てが一定でございますから、アメリカ漁船が余り大量にこれをとりまして日本に洋上買い付けをするということになりますと、わが方の漁獲割り当て量が減ってくるという問題がございます。さような状態になりますと、当然失業問題あるいは減船問題ということが起こりますので、これにつきましては当然わが方としてもその困難性につきまして話をしておかなければいかぬ、また話をしておるわけでございます。また同時に、余りにこの洋上買い付けが多くなりました場合には、すり身の価格にも影響を及ぼしてくるということもございまして、さような意味では価格の安定化ということにつきましても問題が出てくるというふうに考えております。
 しかしながら一方におきまして、わが方もこの漁獲量を決めますためには、洋上買い付けにつきまして妥当な数量を設定しなければならぬということもございますので、十分にアメリカ側と話し合いをいたしまして、現実に即した数量で洋上の買い付けの数量を決めていくということがわれわれの態度でございます。
#57
○立木洋君 外務省にお尋ねしたいんですけれども、このアメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日米間の協定ですね、第四条の(B)項のところに「各漁業資源の総漁獲可能量のうち、各年について、合衆国の漁船によって収獲されず日本国の漁船による収獲に供される部分」という、これは第五条に詳しく述べられていますね。そうしてここでは、いままで日本が伝統的にやってきている収獲、漁獲の問題に関し、あるいはその保存等々の従来からの日本の協力、そういうことも念頭に入れながらも「経済的混乱を最小にする必要性を考慮に入れる。」というふうになっているんですが、これはアメリカとしてはまさにスケトウなどは全然食用に供していない、それが二百海里になってからとり出してそれを日本にどんどん輸出するというふうなことになると、輸出量をふやすというふうなことを日本側に持ってくるということになれば、協定の趣旨から言えば、これはどういうふうになるのでしょうかね。
#58
○政府委員(松田慶文君) 御指摘のとおり、この日米漁業協定の趣旨及び精神に立脚いたしますならば、今回の米側の割り当て量の一方的削減は妥当なものとは理解できません。したがいまして、私どももこれをきわめて遺憾としてその再考、割り当ての増量についてしかるべく措置する考えでございます。
#59
○立木洋君 最後に、もう時間がありませんから大臣に一言お伺いしておきたいんですが、これは航空協定の場合もそうでしたし、漁業協定に関する今回の問題についても、松田さんが言われたように、これは協定上から見ても不当なものだというふうに考えられるということなので、そういう点では大臣やはり今後ぴしっと日本側の立場も主張をして、そういうふうなことにならないように努力していただきたいと思うんですが、この点大臣の御所見を伺って私の質問を終わります。
#60
○国務大臣(櫻内義雄君) 日米間の漁業協定につきましては、その協定の中にも書かれておるように、日本としては非常な努力をして開拓した地域である、そういう歴史的な経緯もあるわけでございますから、今回のような一方的な削減ということについては厳しい批判の目をもって見ておるわけでございます。先ほど水産庁の方からの御説明がありましたように、洋上買い付けの量いかんによりましては、いろいろと日本の従来の漁業のあり方について大きな影響のあることでございますので、現に外交ルートを通じてこれらの点を明らかにしつつ、また不当な削減のないように相努めておる次第でございます。
#61
○木島則夫君 年々厳しくなる条件の中で日ソ漁業交渉に当たられた関係者の皆さん方の御努力に対しましておねぎらいを申し上げたいと思います。私は直接この問題についてきょうは質問をいたしません。
 質問は、福井県越前町のイカ釣り漁船が日ソ親善協会の会員証を船に持ち込んでいるということがわかりました。こういう事実を外務省は認めているのか、またこれをどう思うか、いかがでしょうか。
#62
○政府委員(田中義具君) 一昨年三月二十九日、福井市において日ソ親善協会福井県支部の総会が開かれまして、その際、同親善協会会員証が福井県のイカ釣り漁業協議会貝四十二人に対して交付されたことを承知しております。外務省としましては、このような会員証の交付が万が一にも領土抜きの日ソ友好というような考え方のもとに行われているとすればゆゆしきことであって、見逃し得ないと考えておりまして、引き続き関心を持ってこれらの動きを見守っていく必要があると考えております。
#63
○木島則夫君 昨年羅臼で同じような事実が判明して、これは大きな問題になったのですが、こういった事実はわが国外交にとってきわめて遺憾なことだと考えます。羅臼の会員証の発行が一九八一年三月二十八日、福井の会員証の発行が一九七九年十二月二十一日となっておりますから、福井の方が一年先輩と、こういうことですね。私は何も日ソ親善に反対をするものでは決してない。大いに結構だと思います。これはわかるのだけれど、会員証の船内持ち込みは、事が事だけにやはり大きな問題と見ざるを得ない。日ソ親善協会では普通会員証を発行してはいないのですね。あるのは会員用のバッジぐらいのものだと聞いている。それだけに船舶用会員証の発行は重要な意味を考えざるを得ない。それだけではなく、ソ連の何か偉い人のサイン、色紙が赤いマジックで書かれて、操舵室の中にも張られているというようなことも見聞されました。羅臼の会員証の場合は、世論の糾弾を背景にした北海道当局の会員証の船内持ち込み自粛という指示で世論の関心を浴びている。しかし、福井の会員証の方はいま野放しの状態になっているようです。さっきも申し上げたように、日ソ親善そのものに文句を言う筋合いはどこにもありません。しかし、日ソ親善協会発行の会員証を船に持ち込むことで、たとえばソ連の臨検の際のトラブルがあった場合に、友好的に解決をしてもらうための会員証であったり、また罪一等を減じてもらうためのものだったりとしたならばこれはゆゆしい問題であろう、こういうふうに思うわけであります。
 私がこのことを心配をして問題にするのは、日本とソビエトとが真に友好的な関係を打ち立てるためには、何といっても北方四島の返還が大前提であると、これはもうわが国の国是ですね。これを会員証の交付を通じて、もしも領土よりも魚、四島の返還よりも漁業安定ということで、国論の分断につながるようなことがあったならばわが国の外交は破綻をしていく、このことを心配するからお尋ねをしたわけであります。
 そこで次の質問。羅臼の場合にその後改善をされているかどうか。福井の事実についてはどうするのか。羅臼、福井以外こういった事実はあるのかないのか、その有無を調べる意思があるかどうか、一括して伺います。まず第一点、羅臼の場合はその後改善をされているかどうか。
#64
○政府委員(田中義具君) 羅臼における日ソ親善協会会員証発給の件につきましては、当初七十六名の漁業関係者が会員証の交付を受けておりましたが、その後発給されたものを含めますと、現在では約百名に上っております。そういう状況でございますが、われわれとしてはこの問題については、先ほど先生からも御指摘ありましたような問題をはらんでいるということで、引き続きこれ以上の状況にならないよう、関心を持って見守っているという状況でございます。
#65
○木島則夫君 必ずしも改善をされていないということですね、福井の場合を含めて。日ソ親善というものに私は反対をする意思は毛頭ございません。しかし、もしこの会員証そのものが領土よりも魚、なりわいということにつながって、国論にくさびを打ち込むようなことにつながったとしたら大変だという意味で心配を申し上げている。外務大臣の御所見を伺いたい。
#66
○国務大臣(櫻内義雄君) 越前町あるいは羅臼町の親善協会の会員証の問題でございますが、先ほど御説明で大体その後の模様を把握していただけたと思うのでありますが、この両町からさらにどんどんこういうことが拡大していくという、そういう傾向はないんではないか。羅臼の場合は当初言われた会員数よりも若干ふえておると、こういう事実であると思うのでありますが、お話しのように、北方領土水域操業においてのソ側に対する免罪符的な性格を持っておると、こういうことでありますと領土より魚、領土抜きの日ソ友好ということにつながっていくのできわめて遺憾なことでございます。ただ、これらの問題もそれぞれ報道機関も取り上げ、世論の厳しい中にこういう事態が続けられておるわけでありますが、われわれもこのような事態というものが、この北方領土水域との関連で仮に今後さらに会員証が交付されるというようなことでありますならば、これはきわめて遺憾なことでありますので、厳重に警戒をしながらかような事態が拡大されないようにいたしたいと思っておる次第でございます。
#67
○木島則夫君 好ましいことではないから、これが拡大されないように警戒をしていくということで私は結構だと思います。
 福井の事実についてはどうするのかということと、もう一点さっき申し上げた羅臼あるいは福井以外ではこういった事実があるのかないのか。もしあったとしたら今後どういうふうにこれを指導をしていくのか、その辺まで含めて具体的にひとつ伺いたいんですが、どうですか。
#68
○政府委員(田中義具君) 福井市の場合においては、一昨年三月二十九日に日ソ親善協会福井県支部の総会が開かれまして、その際に親善協会会員証が福井県のイカ釣り漁業協会員四十二名に対して交付されたということがございます。
 先ほどすでに先生からも御指摘のあった羅臼の件、それからいまの福井の件以外の事例としましては、昭和五十三年の東北海道日ソ友好貿易協会の事例が一つございますが、それを別にしますと、最近において漁業関係者に対する日ソ親善協会会員証発給の事例があるとは承知しておりません。
#69
○木島則夫君 海上保安庁の方おいでになっていますか。
 いま外務省から大体概略をお答えをいただいたのでそれでいいんだけれど、こういった問題はこれが波及をしていきますと、やはり四島抜きの、領土返還よりも漁業だ、なりわいだというこういう世論へのくさびの打ち込み、こういうことにつながるゆゆしい問題なんですね。したがって海上保安庁としてはどういう御方針か、お調べになる気があるかどうか、この辺を承りたい。
#70
○説明員(赤澤壽男君) 海上保安庁としましては、このような行為については特に法的な措置をとることは現在できないわけでございますが、ただこれの動向につきましては、先ほどの説明にもございましたように十分留意していきたいと思っております。
#71
○木島則夫君 羅臼、越前、そのほかではいまのところこの種の会員証を船に持ち込んでいるという事例はつかんでおりませんか。事例があったら報告してもらいたい。
#72
○説明員(赤澤壽男君) 特に事例としては承知しておりません。
#73
○木島則夫君 もう時間でありますから、こういった問題についてもう少し時間があれば細かくお話を聞きたいし、また議論も申し上げたかったのでありますけれど、持ち時間が参りましたので、この種のことは非常にむずかしい問題ですけれど、やはりさっきから私が言っているような国論の分断あるいは国論へのくさびの打ち込みということにもしつながるならば、これは日本の外交にも非常にゆゆしい問題を投げかける問題でありますから、ひとつよくよく御注意をもって見守っていただきたい、また適切な対処があればこれに臨んでいただきたい。このことを要望をいたしまして、もう時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
#74
○田英夫君 今回の日ソ漁業交渉に御努力された皆さんに敬意を表します。五、六年前ですか、大変難航してこの時期に出漁ができないでいるところへ私釧路へ行きまして漁民の皆さんと話し合った経験がありますので、そういう意味で本当に敬意を表したいと思います。
 きょうは同じ漁業の問題ですが、北朝鮮との民間漁業協定について伺いたいと思いますが、御承知のとおり、六月三十日でこの民間漁業協定は期限が切れるということで、この協定は国交がありませんから日朝友好議員連盟が一つの窓口になって結んできたわけでありますけれども、政府、特に水産庁は当然それについては御関心を持っていただいていると思いますので、現在どの程度の日本漁船がこの協定に従って出漁しているのか。隻数あるいは漁獲量、魚種、こうしたものがおわかりならばお答えいただきたいと思います。
#75
○政府委員(松浦昭君) 現行の日朝漁業民間暫定合意によりまして、これまでわが国の漁業はこの水域において安全に継続されておりまして、現在のところ多い年、少ない年とございますが、出ている漁船はイカ釣りの漁船、それからマスの流し網、はえ縄、それから紅ズワイ、これはかごの漁業でございますが、こういった漁業がこの水域で操業されておるわけでございます。その総漁獲量は一番多い年で四万二千トンぐらいに上っておりまして、隻数も約二千隻が出ているというのが現状でございます。
#76
○田英夫君 日本の漁民の皆さんにとってはかなりの重要な漁場だと考えていいと思います。この協定で北朝鮮側は入漁料も取らない、それから隻数の制限、魚種、漁獲量の制限もしていないということで、この種の漁業協定としては日本側にきわめて有利であるわけだし、またこの二百海里時代を迎えて五十海里まで入ることを許していると、こういうことを含めて考えますと、この協定というのは双務的じゃなくて非常に片務的な一方的な問題であるということから考えると、これはイデオロギーの違いとか国交があるなしということを問わず、非常に日本にとっては感謝すべき協定だと言わざるを得ないと思うんですね、漁民の皆さんの立場から。このことは外務大臣、どういうふうに御理解されますか。
#77
○国務大臣(櫻内義雄君) 日韓レベルの協定でございますが、これによって漁業者が非常な裨益をしておることは事実でございますし、また田委員のおっしゃるように北朝鮮の好意的配慮がここにあるということも認めるにやぶさかでございません。したがって現在、久野日朝議連会長のもとでいろいろ御努力されておるということに大きな関心を持って見ておると、こういうことでございます。
#78
○田英夫君 そこで、先日久野会長も北朝鮮を訪問されていろいろ御苦労をなさっているわけでありますが、現在、北朝鮮のこの問題についての交渉をするための代表団の団長の入国を日本政府が拒否しておられるということから、非常に難関にぶち当たっている。このままでいけば交渉ができずに六月三十日を迎えざるを得ない。そうなれば非常に関係漁民の皆さんは苦境に立つという、私どももそのことを非常に心配をしているわけでありまして、この種の問題は繰り返して申し上げますが、国交のあるなしとかイデオロギーの違いということを越えていかなければならない。さっきの木島さんのお話とはちょっと逆なんでありますが、私はそう考えております。したがって、これに対して政府も当然関心を持っていらっしゃるというお話でありますから、打開策をみんなで考えなけりゃいかぬと思うんですが、この北朝鮮代表団の入国の問題について、外務省はどういう根拠から入国を認めていないのか、この際伺っておきたいと思います。
#79
○政府委員(藤井宏昭君) 田先生御指摘のように北朝鮮との間で、われわれとしては経済、スポーツ等の分野での交流を維持していきたいというふうに考えておりまして、北朝鮮から代表団がたとえば来日する際でも、これが政治的な色彩の濃い代表団でない限りにおいては入国を認めるという方針をとっております。
 本件につきましてはいまだ具体的な入国の申請は来ておりません。しかしながら、日朝議連の先生方等と種々話し合いは進めているどころでございます。
#80
○田英夫君 いや、玄峻極団長の入国は認めないということが先日政府側から示されて、そのためにこの交渉が行われていないというのが現状です。
#81
○政府委員(藤井宏昭君) 玄峻極氏につきましては、ただいま申し上げましたとおり、正式な入国申請はございませんけれども、玄峻極氏が団長として訪日するという可能性について種々お話がございまして、これにつきまして外務省としての態度を申し上げております。
 それは、玄峻極氏は過去二回来日しておりますけれども、特に昨年六月に入国なさいましたときに、入国許可条件として政治活動を行わないという非常にはっきりと許可条件を約束したわけでございますけれども、これに対しまして、新聞におけるインタビューにおきまして友好国の元首を誹謗する発言を行う等の政治活動をなさったということで、玄峻極さんの入国を認めることは困難であるというのが外務省の態度でございます。
#82
○田英夫君 この問題は時間がありませんから、私も日朝議連の一人として、また政府といろいろ御相談をしなければならない問題だと思います。
 先ほど水産庁長官からもお話がありましたように、北朝鮮水域では非常にイカがとれる、日本の漁船もとっておりますが北朝鮮側もとっておる。にもかかわらず、まあ日本の漁民の皆さんにとっての問題がありますけれども、アメリカなどからはイカなどもずいぶん輸入しているわけでしょうけれども、北朝鮮からはいま輸入を禁上している。こういう状態ですけれども、イカや、あるいはいま二百海里以来不足しているスケトウダラを北朝鮮側から輸入するということについて、その制限を緩めるというお考えはありませんか。
#83
○政府委員(松浦昭君) まずイカでございますが、北朝鮮から輸入をすることにつきましては、この国がわが国と潜在的に漁場が競合するという可能性があることもございまして、また国交もないといったような理由から、イワシ、アジ、サバ等他の多獲性大衆魚とともに、イカの輸入については輸入割り当ての対象地域に含めていないという状況でございます。わが国の沿岸沖合い漁業の振興という面から、これを実現することはなかなか困難であるというふうに思っております。
 スケトウダラでございますが、現在スケトウダラの方は、これは生鮮につきましては先ほどのイカと同じような状態から、北朝鮮からのスケトウダラの輸入を行うことは困難であるという状況でございますが、御案内のように、スケコでございますタラコは相当輸入しておりますし、それからまた、加工用のスケトウダラ、これは冷凍でございますけれども、これにつきましては、割り当て枠は輸入先が限定しておりませんので、北朝鮮からの輸入も昨年はたしか二百トンほど輸入をいたしているはずでございまして、その輸入は可能でございます。
 ただ問題は、まだ北朝鮮側の技術が高くないものでございますから、すり身加工というわが方の需要に向けることにはなかなかむずかしい点がございます。また、抱卵のスケトウにつきましてもやはりタラコ加工向けに利用できないようなまだ水準でございまして、むしろ技術水準を高めていただくということが今後の加工用のスケトウの輸入には役立つのではないかというふうに考えておる次第であります。
#84
○田英夫君 時間がありませんから、このことも実は水産庁といろいろ御相談をしなければならない問題があります。
 話が飛ぶのですがフォークランド島の紛争が日本の漁業に影響を与えているということを聞きますけれども、どの程度のものかお答えいただきたい。
#85
○政府委員(松浦昭君) フォークランドの周辺水域におきますわが国の漁船の操業の状況でございますが、これは二種類ございまして、一つはジャパンフラッグでやっているもの、それからもう一つはアルゼンチンフラッグのものと二つございます。
 まずジャパンフラッグの方でございますが、これは南方トロール漁船が七隻、遠洋カツオ・マグロ漁船が十八隻、これらの船が操業いたしておりまして、ただ、この場合には漁場の形成がわりあいフォークランドから遠いところなものでございますから、大体三百海里以上あるいは南ジョージア島から五百海里以上離れましたアルゼンチンの二百海里水域外の公海で操業しているというのが事実でございます。このようなことから私どもといたしましては、イカ及びマグロの漁場は紛争地域から遠いということなので、まずまず安全ではないかというふうに思ってはおるわけでございますけれども、なお非常に重大な事態でもございますので、私どもとしましては操業各船に対しまして極力紛争周辺海域から離れて操業するように、また、日章旗を船体各部に掲示するということで日本国籍である旨を明示してほしいということを業界団体に話しております。それからまた、操業各船からは随時その位置を報告させまして、また、外交ルート等から関係情報が入手できれば、全船に対してそれを通報するという態勢をとっておりまして、安全な操業をするように指導をしているところであります。
 それからもう一つは、アルゼンチンフラッグで入っております船でございますが、これは日本水産が九〇%、三井物産一〇%の出資でつくっている現地法人の船でございます。これが二隻ございまして、六甲丸と春日丸という船が行っております。いずれも乗組員は日本人でございます。この船はメルルーサというタラの一種をとっておりますので、比較的この紛争地域に近接した地域にも漁場が形成されるということでやや危険な操業の状態になるわけでございます。したがいまして、これらの現地籍船に対しましては南緯四十二度以北におきまして操業するようにということで、その予定で操業を行っているという状況でございまして、紛争地域からかなり離れたところで操業したいということを言っております。
 なお、二隻のうち一隻はドックに入っておりまして、もう一隻は四月二十八日から操業を開始するということになっております。
#86
○田英夫君 最後にもう一問外務大臣に伺いたいのですが、あしたから連休ということですが、プライバシーのことをお聞きするわけじゃなくて、外務大臣はこの連休は日本国内でお過ごしになるのかどうかということを最後に伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(櫻内義雄君) 連休については私としてもいろいろ考えるところがあるのでございますが、この時点では国内にとどまって孫とともに暮らしていく予定でございます。
#88
○田英夫君 ありがとうございました。
#89
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で質疑は終了したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 北西太平洋における千九百八十二年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(稲嶺一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(稲嶺一郎君) 投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律案、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。櫻内外務大臣。
#93
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この協定につきましては、昭和五十三年にスリ・ランカ民主社会主義共和国側より締結したい旨の申し入れがありましたので、その後両国政府間で交渉を行いました結果、昭和五十七年三月一日にコロンボにおいて、両国政府の代表者の間で、この協定の署名が行われた次第であります。
 この協定の主な内容としまして、投資の許可について、最恵国待遇を相互に保障しているほか、事業活動、出訴権等に関する内国民待遇及び最恵国待遇、収用、国有化等の措置のとられた場合の補償措置、送金等の自由等について定めております。
 この協定の締結により、わが国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の投資及び経済関係が緊密化されるものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、インドネシア政府との数次にわたる交渉を経て、昭和五十七年三月三日に東京において、両国政府の代表者の間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、できる限りOECDモデル条約案に沿ったものであり、従来わが国が諸外国との間で締結した租税条約または協定とほぼ同様の内容となっております。
 この協定の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる所得につきましては、相手国において全額免税することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、配当に関しては、原則として一五%、利子及び使用料に関しては、一〇%を超えないものとしております。
 この協定の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一層促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
 最後に、南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 南極地域の動植物は、学術的にきわめて貴重であり、南極条約の原署名国であるわが国としては、これらの動植物の保存についての国際協力を積極的に推進すべき立場にありますので、今般、南極条約協議国会議が勧告した動植物の保存に関する措置を承認するに当たり所要の国内立法を講ずることとしたものであります。
 この措置は、南極地域に固有の哺乳類または鳥類を殺し、傷つけまたは捕獲すること、南極地域に固有でない動植物を南極地域に持ち込むことまたは南極地域の特別保護地区において植物を採取すること等の行為を規制しておりますので、これを受けて、本法律案においては、南極地域における日本国民の行為を規制するために必要な事項につき規定することとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#94
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 三案件に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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