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#1
第096回国会 外務委員会 第13号
昭和五十七年七月六日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         稲嶺 一郎君
    理 事
                大石 武一君
                鳩山威一郎君
                松前 達郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                安孫子藤吉君
                大鷹 淑子君
                中山 太郎君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                宮澤  弘君
                田中寿美子君
                戸叶  武君
                宮崎 正義君
                立木  洋君
                木島 則夫君
                宇都宮徳馬君
                山田  勇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       外 務 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       前田 正道君
       科学技術庁長官
       官房審議官    内田 勇夫君
       外務大臣官房長  伊達 宗起君
       外務大臣官房審
       議官       藤井 宏昭君
       外務大臣官房審
       議官       松田 慶文君
       外務大臣官房審
       議官       宇川 秀幸君
       外務大臣官房外
       務参事官     都甲 岳洋君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中南米局
       長        枝村 純郎君
       外務省欧亜局長  加藤 吉弥君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省条約局長  栗山 尚一君
       外務省国際連合
       局長       門田 省三君
       外務省情報文化
       局長       橋本  恕君
       資源エネルギー
       庁次長      柴田 益男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局政策課長   松井  隆君
       科学技術庁原子
       局調査国際協力
       課長       坂内富士男君
       科学技術庁原子
       力安全局原子炉
       規制課安全審査
       管理官      幡野  裕君
       科学技術庁原子
       力安全局核燃料
       規制課長     川崎 雅弘君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       英  正道君
       資源エネルギー
       庁長官官房原子
       力産業課長    長田 英機君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   高沢 信行君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とオーストラリア政府との間の協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○田中寿美子君 総理大臣が参議院の外務委員会にお出になったのは今度が初めてだと思いますけれども、ことに参議院の外務委員会では、総理が国連の軍縮特別総会からお帰りになってまだ一度もそういう問頭についての議論をしておりません、予算委員会、決算委員会その他でやっていらっしゃいますけれども。そこで、やはり私は軍縮特別総会での総理の演説を中心に初めにお尋ねしたいと思います。
 総理がお出ましになります前に、衆議院では超党派で国会の決議にこぎつけた。そして、衆参の決議を持ってお出かけになりました。それから参議院の方でも、総理の演説なさいます六月九日の前、例の生物兵器、毒ガスその他のあれなどを含めた軍縮三条約というのを総理の演説に間に合わせて六月四日に参議院では成立させているわけです。ですから、国会の意思を体し、またNGOの千数百人の人たちも出かけていっておった。そういうものをバックにして演説をなさったと思うんですね。ところが、その軍縮特別総会というものの成果について、そうすぐにというのも無理だけれども、その後の各国の代表の演説はそれぞれ違った立場で、米ソがともに相手方を非難し、受け入れられないような提案をその演説の中でやっている。イギリスに至っては、サッチャー女史は核軍拡をぶっている。軍縮の会議であるにもかかわらず、全体としては東西と非同盟の諸国とがそれぞれ違う立場を言いっ放しに演説をしている、こういうことだったと思うんですね。
 総理の演説は、軍縮についての日本の立場の原則論については一通り入っておりまして、御自分で大変御満足だったようでございますけれども、この特別総会が包括的軍縮計画の採択にすら至らないのではないかと危惧されておりますね。もう九日にはこの総会が終わるわけです。考えてみますと、前回の第一回から四年間たっておりますけれども、軍縮についてジュネーブの軍縮委員会でも何一つ進まなかった、こういうことなんでございますね。それでもこの軍縮特別総会をしたことについてどういう成果があるとお考えでしょうか。
 私が特に注目したいと思いますのは、今回、NGOの人たちが、大ぜい出かけていったこと、それから、全世界から反核の運動が起こって、そしてそういう代表も出てきていたこと、あるいはアメリカの群衆が、百万を超す人たちが国連の前に集まった。署名も提出した。こういう、つまり政府代表じゃない非政府機関の人あるいは普通の反核市民運動の人たちが非常な力を入れてこの特別委員会を見守っていた。その結果といいましょうか、NGOの連絡事務所を設置するということが言われておりますね。私は、国連で政府代表がぶつところの演説というのは、それぞれ自国の利益代表としての演説、これをやっぱりそうじゃなくて、全地球的に平和をもたらす、軍縮をもたらすためにはこうあるべきだという民衆の声が今度ぐらい聞こえたことはない。そして、こういう運動はブリュッセルなんかでも集会を開いておりますが、恐らく今後さらに続けられるだろう。そういう意味では軍縮という問題を世界的な、あるいは地球的なレベルに広げていくためにこの軍縮特別総会は役立ったというくらいに思っておりますが、総理大臣の御所見はいかがでしょう。
#4
○国務大臣(鈴木善幸君) 御質問に対してお答えする前に、まず委員長ほか委員の皆様に政府を代表してお礼を申し上げたいと思うわけでございます。
 私は、参議院でまだ軍縮に関する三条約が成立を見ない時期にベルサイユ・サミット、引き続いて国連特別総会に出席のために出国をいたしたわけでございます。しかるところ、参議院におかれましては、当外務委員会を初めとしまして、私が国連で演説をする時期までに軍縮三条約を成立をさせようと、そして軍縮に対する日本の国会、国民の熱意を明らかにしよう、表明しよう、こういうありがたい御趣旨でこれを成立を図っていただきました。この点、私も面目を施しましたし、改めて皆さん方の御配慮に対しまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 さて、田中先生から今回の特別総会についての評価はどのように総理自身は見ておるのか、こういうお尋ねでございますが、非常に国際情勢厳しい状況の中におきまして、今回第二回目の特総が開かれたわけでございますが、世界各国の多くの国々の代表が全人類の恒久的平和を希求するその願いを代表されて、一堂に会してこの軍縮の問題に取り組んだということは、これは何といってもやはり画期的なことでございまして、また田中さんからも御指摘がございましたが、反戦反核の運動と申しますか、そういう欧州においてもアジアにおいても、またアフリカ等におきましても軍縮、特に核軍縮に対する盛り上がり、これを背景とした中において開かれたわけでございまして、非常な注目を浴びた重要な意味を持つ第二回の特総であった。私は、具体的な成果は、まだ九日まで各作業グループで検討が進められておりますから、この段階であれこれ申し上げる適切な時期で、はないと思いますが、とにかく各国の代表も軍縮、核軍縮、核の廃絶を訴える世界的な機運の盛り上がりに対して今度の第二特総というのは非常に大きな意味合いを持ったと。それだけにこれは今後の軍縮運動の一つの新しい出発点にぜひしたいものだと、このように考えておるところでございます。
#5
○田中寿美子君 成果というものが国連の場ではなかなか簡単に得られないけれども、この軍縮特別総会に向けて大衆運動が全世界から盛り上がった、そしてニューヨークにあのような集結をした、こういう運動がやはり地球に住む人間の要求であるということを反映していったものであるし、いま総理もおっしゃいましたようにそういう反核の運動が今後も盛んになっていくであろうと、そのことがやっぱりただ一つ私は成果かなと思います。今後こういう運動が続けられていけば、各国ともやたらに軍拡、核軍拡に走っていくのに対してチェックする役割りをしなければならないというふうに私も思っているわけです。
 そのNGOというのは、国連が戦後できたときの一番最初に、政府代表だけではいけない、非政府機関の意見を聞かなければいけないというのでああいうシステムがつくられたものでございますから、今後も大衆の声を聞きながら反核、軍縮の方向に進むべきものだということが、NGOなんというものを知らなかったものにも今度は初めてわかったというぐらいが一つの成果かなというふうに思っております。
 そこで総理大臣の軍縮演説の中で、総理がいわゆる平和三原則というのをおっしゃっています。一つは、国家間の信頼関係強化による軍縮、特に核軍縮の促進。二つ目は、軍縮による余力を社会不安や貧困の除去のために活用するべきである。もう一つは、国連の平和維持機能の強化。この三点を強調していらっしゃるわけですね。
 しかし、これの具体的な提案はない。首相は国際の平和と安全が国家間の力の均衡により保たれているというふうな力の均衡、勢力均衡論に立っていらっしゃるわけでございますね。その中でも、ソ連の軍備増強によって西側が中距離核兵器の配備計画を余儀なくされているというようなことをおっしゃっている。ソ連の軍事行動がアジアの安全保障を危うくしていると。つまりレーガン政権の認識と同調していらっしゃるわけなんです。いわゆるレーガン大統領のゼロオプションという、あれも支持していらっしゃるわけですね。つまり、ソ連が地上発射中距離ミサイルを全土から廃棄するならば、撤去するならばアメリカも欧州への中距離弾、パーシングIIの配備をやめてもいいというそのゼロオプションも支持していらっしゃるわけです。
 ですから首相の演説のその翌日にニューヨーク・タイムズが、日本は国連で再軍備を説明したという記事を載せたわけでございますね。これは外務省の渡辺泰造情報文化局参事官が国連の記者団に対して総理の演説をレクチャーなさった。その中で、日本は防衛費を前年比実質で四%ふやしました。日本は戦争への抑止力を強化するためにまず軍備増強が必要と考えているというのが総理の演説の趣旨であるということ。
 それからこのニューヨーク・タイムズの記事は、日本の考え方は軍備削減を達成するにはまず軍備増強が必要だというレーガン政権の考え方と
 一致しているようだというふうにニューヨーク・タイムズは報道しているわけです。一度増強してから次に少しずつ縮小していくんだと、こういう記事が出たものですから渡辺参事官は、それは真意でないということでまたその翌日投書なすっている。しかし、少なくともニューヨーク・タイムズというような有力な新聞が、鈴木演説をレーガン政権の認識に同調したものという解釈ができるようなとらえ方をしているということ、これは事実なんです。つまり軍縮のためには軍拡が必要というレーガンの論理に対して、米国内だって強い批判がいま出ておりますね。ギャラップの世論調査ですか、あれではもう核の凍結論というのが非常にたくさんアメリカの世論の中で出ているのですが、総理はやっぱりそういう論理に立っていらっしゃるわけですか。軍縮のためには軍拡が必要と、こういうお考えですか。
#6
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は国連の演説では、現在世界の平和と安定が厳しい力の均衡の上に保たれておるという、この現実を無視するものではないという客観的な分析をいたしまして、しかしながら、軍拡によっては恒久的な平和、人類の幸せは実現することはできない。この均衡を保持しつつ一つ一つ具体的な軍縮努力を積み上げていって、そして低位にこの軍備というものを均衡させ、最後には私は核の軍備というものを廃絶に持っていかなければいけない。その余力を開発途上国その他の平和と安定のために使う、こういう考え方が私の主張の基本でございます。したがいまして、ニューヨーク・タイムズがどういう取り上げをしましたかは、それは恐らく誤解に基づくことであろうかと、こう思っておりますし、後で真意は、演説の骨子、基本はこうであるということを投書したのに対して、やはり公平にこれを扱って翌日ですか、これを掲載をしておるということも私報告を聞いておるわけでございます。
#7
○田中寿美子君 いまおっしゃいましたけれども、究極的には核廃絶を目指しながら低位のバランスをとりたいということであれば、一歩でも軍縮の提案をしていかなければいけないと思うのですが、矛盾しているわけですね、総理の演説は。
 それの具体的な例は防衛予算の増額ですね。いまおっしゃった第二番目の、軍縮で浮いた余力を世界の社会不安や貧困の救済に充てるべきだというふうにおっしゃるけれども、それならば具体的にわが方は、広島、長崎の経験もある日本は、軍備予算を少しでも、これだけでもカットしてこれをそちらに回しますというような提案があってしかるべきですけれども、そういうことがないのですね。それでやはりレーガンの考え方いまソ連の方が強いからソ連と同じぐらいにバランスをとるのだというその立場に立っていらっしゃるから、防衛予算がもうすでに言われておりますように五十八年度予算も七・五%ぐらいアップしてもいいという立場を政府がとっているというふうに報道されているわけですね。土光さんはけさのニュースでは防衛も聖域にしちゃいけないと言っているけれども一、だから、少なくとももう世界第八位の軍事力を持っている日本ですから、防衛予算のうちの〇・何%でもいいから今度は、つまりゼロシーリングにみんなするならこれもゼロシーリングにしますよと、あるいはこれだけは余力としてそっちに回しますよという具体的な提案がありませんと、幾ら余力を社会不安に貧困にという言葉そのものは大変私考えはいいと思うんですけれども、そうすると説得力はないと思いますが、いかがですか。
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 残念ながら独立国家としての日本国の自衛力を持つという点につきまして田中さんと私は基本的な考え方に違いがございますから平行線をたどるとは思いますけれども、私は日本の平和憲法の精神の上に立ちまして、必要最小限度の自衛力はこれを整備しなければならない、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、また非核三原則を堅持していく、こういうことでもうレーガン政権が誕生する前から、昭和五十一年から現在の防衛計画の大綱を政府は決定いたしまして、自衛力の着実な整備を図っていこう、自分の国の安全と平和、これをすべて人任せにと、他力本願というわけにはいかない――他力本願という言葉は取り消しますが、人任せにするということは適当でない、こういう考え方で自衛力の着実な整備をやってきておるわけでございます。また日米安保体制を堅持いたしておりますが、このような方針に、安全保障の考え方に基づきまして戦後三十七年わが国の平和と安全を確保し、そして今日の繁栄と国民生活の安定を図ることができたと、このように私どもは考えておるわけでございます。この点は田中さんとはちょっと考え方が違うと思います。そういうよって立つ立論の基礎が違いますからかみ合わないとは思いますけれども、私は日本のそういう必要最小限度の平和国家としての自衛力の整備ということと軍拡とかそういうものとは相矛盾するものではない、こういう考えを持っております。
 いずれにいたしましても、国連の機能を強化する等いろいろな具体的な努力の積み重ねの上に立ちまして軍備管理、軍縮等を十分強化をしてまいりたい、日本はその方向で努力をしてまいるつもりでございます。
#9
○田中寿美子君 そうであれば、軍縮をして浮いた余力というような言葉をおっしゃる。これは世界の軍事費はすでに年間六千億ドルぐらいまで使っているということ、これはすでにはっきりわかっていることなんですね。それで国連の事務総長も、大変なむだ遣いをたくさんしていると。一方に飢餓人口が五億も六億もいる、だから、軍縮で浮いた資源とか人材というような言葉を使う場合には、なんというか、自然に浮いてぐるなんということはあり得ないわけですから、それを提案する以上は、総理のとっていらっしゃる立場は私は仮にそれを認めるとして、その自衛力の増強の中でも、何%は軍縮しなかったら余力が浮くというはずはないわけなんですね。だから大変矛盾を感じるということを申し上げておきます。
 それで、経済協力の方も一九八一年の日本の政府開発援助は前年より四・一%減少しています。GNP比で言いますと、前年が〇・三二、昨年が〇・二八。政府は八一年から八五年までの間に開発援助を倍増するということをおっしゃっているわけですね。これすら果たせそうもない。それで軍縮で浮いた余力を貧困や飢餓人口のためにというのは言葉だけに終わってしまうのではないか。政府開発援助は、八五年までに倍増する見込みがあると本当に思っていらしゃるんですか。
#10
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は、政府としては世界に向かっての日本の方針として打ち出した重要な政策でございますから、これは必ず実行をしなければいけない、このように考えております。
 いま、五十六年度に実際に落ち込んだじゃないかと、こういう田中さんの御指摘でございますが、御承知のように二国間の経済協力援助の方は一五%余り伸びておるんです。ところが世界銀行でありますとかそういう国際金融協力機関の出資が五十五年度に比べて四〇%も五十六年度は減っております。これは五十四年度に日本なりが相当これを実行に移しておると、こういうような経緯等もございます。もう外務委員会の専門家の先生方でありまするから御承知のように、各国が協調して世銀とかアジ銀とかそういう国際協力金融機関等に出資をするわけでございますが、それが各国の足並みがそろわなかったりしまして、順調にそれが進まない場合もございます。年度によって違うわけでありますが、いま申し上げたような事情がございます。私どもはこれを五年間に倍増するという中期目標、これは必ず御期待に沿うように実現をいたしたいと、こういう考えでございます。
#11
○田中寿美子君 大変それはありそうにもないことに思われます。防衛費の一部をカットしなかったらとてもできないだろうと思います、全体的に財政を抑えるときでございますから。しかしそれを言い合っていてもだんだん時間がたってしまいますが、国連演説の中で総理大臣は、「核兵器が二度と使用されることのないよう核兵器国をはじめとする世界各国が実効ある措置をとることを強く訴えるものであります。」とおっしゃっております。この立場からすれば、国連に出てくる核不使用決議案に対する政府の態度は大変矛盾しているわけですね。どれも矛盾だらけだと思います。だから演説だけ美しくても矛盾した行動をとっていてもらっては困るわけなんですが、その核不使用決議に賛成しない理由は、これまで私の想像するところ、ソ連とか東側の提案であるから気に食わないということではないかと思いますね。
 それで、六月三十日の参議院の予算委員会でわが党の片岡勝治委員が、日本が核不使用決議案をみずから提出せよ、提出すべきではないかと言ったときに総理が、日本が核不使用決議案をみずから提出するかどうかは関係省庁においていろいろ検討を加えている段階なので、いまは明確に答えられませんというふうなおっしゃり方をした。だから、あるいは日本が核不使用決議案を提出することもあり得ると思わせる発言であったわけです。私は広島、長崎を抱え、あれほどNGOの人たちも集まって言っているように、日本が核不使用決議案を提出するぐらいのことは当然やってもいいものだと思いますけれども、政府首脳という人、外務省の高官なんでしょうか、現段階で日本が決議案を提出することは考えてもいない、具体的な動きはない。ただ、総会ごとに出される国連決議案に日本としてはどう対応するか一種の基準をつくる必要があるというふうなことを検討していると、こういうふうに総理のお答えをまた説明し直しているわけですね。これは一体総理が取り消されたのか、政府首脳というのはどなたなのか、核不使用決議案について積極的に取り組むお考えがないのかどうか、これを伺いたいと思います。
#12
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題につきましては、核兵器不使用の決議案につきまして政府が過去においてとってきた態度、方針についていろいろ国会でも御論議がございまして、今度の第二回軍縮特総を前にして国会で軍縮に関する決議を衆議院、参議院で全会一致で決議をされました。その中におきましても、この核不使用の問題が特に今度の決議案では明記されておるわけでございます。政府としては、今回の決議案に特にこの点が打ち出された、強調されたということに対しては非常にこれを重く見ておるわけでございます。そういうことから今後この核兵器不使用の問題について、日本政府としてひとつ国会の決議の御趣旨も踏まえて検討をしてほしいというのが私の外務省その他に対する指示でございまして、その点はよその国から出てくるであろうその種の決議案に対する対応とともに関係省庁で検討してくれておる、このように私は承知をいたしております。
#13
○田中寿美子君 そうしますと、核不使用決議に関しては日本が考えることもあり得るというようなニュアンスのようにも聞こえるところがあったように思いますが、それはどうもはっきりしません。また別の機会に外務大臣とお話し合いをしたいと思います。
 もう時間がなくなりましたので、いま私どもは日本とオーストラリアとの間の原子力平和利用についての協定の審議の最中なんですが、総理大臣の国連演説の中でも原子力の平和利用の問題を取り上げていらっしゃいますね。そして、平和利用を促進することはきわめて重要だけれども、これを核拡散防止と両立させなければいけないということをおっしゃっております。私どもはもちろん原子力の平和利用そのものを否定しているものではありません。自主、民主、公開の原則、安全の確立、こういうものを持っての原子力の平和利用まで否定しているわけではない。ところが、現実には不安がいっぱいであるし、自主、民主、公開の原則が守られていないから方々で反対運動も起こっているわけなんでございますね。それで、この平和利用ということと核拡散防止、あるいはもう少し言葉をかえて言うならば、原子力の軍事転用との境目というのは非常にむずかしいと私は思うんです。核拡散防止条約の中に入ってこないイスラエルその他もいる、南アフリカもあるわけですね。それでやっぱりこういう二つが両立することの大変困難な問題をおっしゃる。具体的には、日本は原子炉の技術をたとえば第三世界のタイとかマレーシアとかインドネシアとかバングラデシュなんかにも技術を移転する可能性が今後考えられている。そういう場合に軍事転用しないという保証は一体どうするのか。
 それから、こういうことを提案なさるならばもう少し具体的なことを言うべきだと思いますね。ここで注目されることが一つある。というのは、これは日本原子力産業会議の有沢広巳会長が、第二回国連軍縮特別総会に向けてメッセージを送っております。自分たちは核兵器廃絶ということを目的にしている。平和利用以外のものは考えていないというメッセージの中で非常に具体的な提案をしているんです。「たとえば、核兵器保有国各々が、国際監視の下に核兵器のいくつかを解体することに合意し、その核燃料物質を今後原子力開発に参入する国々のためにストックパイルとして提供することを提案いたします。」大変具体的な提案をしているんですね。こういったような具体的な提案がありませんと、平和利用と核拡散防止条約とを両立させねばなりませんとおっしゃるだけではやっぱり説得力がないと思いますが、この点についてはどういう具体案を持っていらっしゃいますか。
#14
○国務大臣(櫻内義雄君) わが国が原子力資材等を相手国に輸出するというときには、これは相手国が平和目的に利用するという場合のみを考えて出すわけですね。その場合の保証というものについて御懸念があるようでございますが、核拡散防止条約、あるいは御承知であろうと思いますがロンドン・ガイドライン等の国際的な枠組みの中でそういう原子力の資機材を提供する、これを日本としての基本方針にしておるわけであります。
 それから、後段の有沢さんの御提案でありますが、これは私どもも大変興味ある御提案だと感じてはおりますが、この際それについていろいろコメントするのはいかがかと思いますので、差し控えます。
#15
○田中寿美子君 最後ですが、総理大臣、やっぱり日本は広島、長崎という大きな経験を持っている。軍縮に関してはトップをいく意欲を持たなければならないと思うんです。その際に、今後ジュネーブの軍縮委員会などでも軍縮についていろいろと審議されていくわけなんですけれども、具体的な提案をしてほしいと思うんです。一歩でも進めるためにはそうでなければ困る。たとえばパルメ委員会の報告なんかでもヨーロッパとソ連との間に九百マイルの非武装地帯を設定してはどうかというようなことを言っているわけですね。そういった幾つかの平和問題について一生懸命に考えている者たちあるいは反核運動をしている者たちの提案なども参考にしながら、日本は軍縮においてどれだけリーダーシップをとったって非難されるはずはないと思いますので、そういう態度をとっていただきたいと思うんです。いかがですか、最後になりますが。
#16
○国務大臣(鈴木善幸君) この点につきましては、核実験の完全全面的な禁止条約の成立に向かって、ジュネーブの軍縮委員会等におきましても先頭に立って多年日本政府が努力をしてきておりますことは御承知のとおりでございます。とにかく次から次へ新しい核兵器が開発をされるというようなことは核軍縮の方向とは逆の方向に行くわけでございますから、核実験は、地下実験を含めてこれを全面的に包括的な禁止をひとつやろうということ。それから核不拡散体制を強化していく、そういうような問題。それからいまお話が出た非核地帯等の問題につきましては、いろいろの前提になる実現可能な諸条件が整いませんと私は現実の問題としてそれが実現は困難だと。中南米地域等で現に非武装地帯の条約が生まれておるということは私ども注目すべき一つのわれわれが目指していく方向だと、このように考えておりますが、すべての地域にいま直ちにそれが実現可能かどうかという問題につきましては、やはりそういう環境と条件を一つ一つ整えていくように努力していかなければならない、このように考えております。
#17
○田中寿美子君 それじゃもう終わりますが、国連の平和維持機能の強化ということをおっしゃる以上はそういったようなことを私は具体的に提案しなければならないというふうに思っております。
 きょうはアメリカの対ソ経済制裁などにも触れたいと思いましたけれども、時間が終わりましたので次回に譲りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#18
○渋谷邦彦君 総理の国連における軍縮特別総会演説を何回も何回も私読み返しました。確かに全体的には理念として同感するところもございます。ただ、いま質疑のやりとりを聞いておりましてもそうでございましたけれども、総理のお気持ちの中には、実現可能性がないものについて具体的に提案するのはいかがなものであろうかというちょっと足踏みをするようなそういうお気持ちがあったのではあるまいかというふうにいま印象を受けたわけです。今回の一連の内容については総理御自身が何回も手を加えられたと伺っております。それだけ相当な決意を持って今回の国連にお臨みになったのだろうと思うんです。三原則もさることでございますけれども、私がいま共感といいますか、同感だなという理念的な考え方の中には幾つかございます。その一番印象に残るものとしては、先ほども若干問題がありましたけれども、国家間の信頼関係を促進する、それから非核地帯構想ということについても述べられております。それから国連の平和維持機能を強化、拡充すること、あるいは検証措置の必要性、最も重要なことは、核軍縮と並行して通常兵器の軍縮を進めることなしには、核兵器の廃絶を含む全面完全軍縮は達成し得ないと、こうお述べになっております。全くこのとおりだと私は思うんです。
 さて、こうした主張を今後どう一体実効ある具体的な方向へ道を開くことができるんだろうか、果たしてその可能性というものを考えてみた場合どうなんだろうか。四年前の第一回の軍縮特別総会における最終文書、これすらも一歩も前進していない。そういうような経過を踏まえつつ、そしてまたぞろ二、三日来のアメリカ側の宇宙政策に対するレーガンの考え方というものをわれわれが判断いたしますと、これまた軍事優先ということを明確に打ち出している。軍縮特別総会というのは一体何であったのだろうというような疑問を持つのは、私一人ではあるまいというふうに思うわけであります。それほど確かに忍耐を要求される課題であるということはだれしもが認めるところではございましょうけれども、いま手をこまねいてこれを傍観しているわけにはいかない。何か一つでも具体的な方向に道を開かなければならないであろうというのがわれわれの共通した気持ちであろうというふうに思うわけであります。
 さて、いま申し上げた中でこの信頼関係の促進というのは一番基本に置かれなければならない問題であろうと思うのです。ところが一九五五年、ロンドンにおきましてラッセル・アインシュタイン宣言というのがあるのです。これは恐らく私が質問通告を申し上げましたので、お読みになったろうと思うんですけれども、ここには、思想的な対立の排除なくしては紛争というものは絶えないと、こうあるんですね。しかし、それは短絡的に見ればそういうことになるかもしれませんけれども、この信頼関係を回復するにはどういう一体具体的な方法があるのであろうかという一つの疑問、これがもしございましたら後で述べてください。これが第一点。
 それから第二点の非核地帯構想、確かに私もこれは総理のお考え方というものとは全く同感です。しかし、これには条件を政府側としてはつけているわけです。それをいまあえてここでやっぱり申し上げておいた方がよろしいと思うんです。その四つの条件が満たされなければ非核地帯構想の実現はできない。
 つまり一つは、核兵器国を含む関係諸国のすべての同意があること。これは事実上非常に困難じゃないかという感じがするんです。特に当該地域内諸国のイニシアチブを基礎とすること。第二点が当該地域のみならず、世界全体の平和と安全に悪影響が及ばないこと。第三点が査察、検証を含む適切な保障措置を伴うこと。第四点が公海における航行の自由を含む国際法の諸原則に合致したものであること。こういう条件が満たされなければ非核地帯構想というものはできないというのがわが国の基本的な方針のようでありますけれども、しかし総理御自身は今度の特別総会においてこれを打ち出された。日本自身がイニシアチブを持って、少なくともわが党が提唱しておりますアジア・太平洋地帯における非核地帯というものの設定というものは早急に具体化すべきではあるまいか、こういう点について一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、まずその二点、一番基本的な問題になりますので所信をお伺いしたいと思うわけであります。
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は軍縮、とりわけ核軍縮を進める場合におけるその基礎をなすものは、やはり核保有国間における相互信頼関係の回復にある。これなくしては軍縮を語りこれを交渉しても、相手方の削減は要求するけれども、相互に譲り合って軍縮を実効あるものに、実のあるものに進めることは困難だと、このように私は考えるわけでございます。これができれば、さらにそれがまた前提になりまして、その信頼の上に立って促進が期待できると、こういうことになろうかと思うわけでございまして、そういう意味で私は国連の平和維持機能の強化の問題、それから検証の問題、そういう問題が信頼回復の一つのステップになるのではないかと、こういう考えのもとにこれを訴えたところでございます。
 それから、アジアに非核地帯を設定をするという構想、これはいろいろの方が言われておるわけでございますが、私は結論から申し上げますと、そういう環境と条件はまだ残念ながら整っていないと、このように見ておるわけでございます。アジアにおきましては、日本のような非核三原則を堅持しておる国もございますが、一方におきまして米、ソ、中という三大核保有国がここに影響力を及ぼしておる、そういう関係の中にアジアに非核地帯を設定をするというようなことは、これは私どもは理想として捨ててはいけませんけれども、現実の問題としてはこの実現性は当面のところ期待できないのではないかと、このように考えております。
 そういう観点から、私はレーガン大統領とお会いした場合におきましても、ぜひ今度の米ソ間における戦略核兵器の削減交渉、それから戦域核の交渉、こういうものが実質的な進展を見られるように最善の努力をしてほしいと、こういうことを強く要請をいたしておるところでございますし、また外務大臣がソ連の外務大臣にお目にかかった際にも、ソ連側に対してもこれを強く求めておるところでございます。また中国の核実験等に対しましては、直ちに抗議の電報を打つとか、また中国の首脳との会談におきましては、日本の核軍縮に対する立場というものは十分説明をし、理解を求めておるところでございます。
#20
○渋谷邦彦君 いまお述べになりました中で、信頼関係の回復ということはやはり相当の時間がかかるなあという、総理御自身もそういう判断をお持ちになっていらっしゃるのじゃないか。いま御承知のとおりジュネーブではSTARTについての交渉が行われております。この代表団が出発する前にそれぞれの、レーガン大統領にしてもあるいはソビエトの首脳がその代表団に言った言葉を恐らくお聞きになっていらっしゃると思いますね。ソビエトにおいては、十年以上はかかるものと覚悟して取り組めと。それからまたレーガン大統領自身は、不利な交渉が進むようであればけ飛ばして帰ってこいと、これではどこまでいっても平行線をたどるであろうというような感じがしてなりません。そうすると一体、信頼関係の回復というものは永久にあり得るのだろうか、どうなんだろう。もっとも別なそれを回復するための考え方はわれわれも提起したいわけでございますが、いま政府側の一応の考え方を伺っておきたいと思うんです。これじゃどこまでいっても平行線をたどるという一つの不安感があります。
 それから二番目におっしゃった非核地帯構想については、スウェーデンのフェルディン首相のように、欧州において自分がその主宰国になって欧州非核地帯を設けるための特別軍縮総会を設置したいという提言を具体的に行っているようであります。あるいは先ほども御答弁の中にありますように、中南米においてはトラテロルコ条約の成立を見ております。こういったことで何も阻害要因というものはないんではないだろうか。日本がもっと独自性を発揮するならば、むしろ先頭に立って核軍縮へのそういった面での積み重ねの道を開くということが必要であるまいか、こう思うんですが、やはりいまお述べになったような阻害要因というものがあるように僕は思えてならないんですけれども、そういうことがあるためにできないとおっしゃるのでしょうか。
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほども申し上げましたように北東アジアにおきましては、米、ソ、中の核大国の影響が非常に色濃く作用をし、拮抗いたしておるというような状況の中で、安全保障上も、いろいろの面からいたしまして信頼関係をつくり上げて、その上に立っての非核地帯の設置についての協力を求めるということは非常に時間がかかる。しかし私どもは、時間がかかるけれども、中南米においてはすでにいろいろの条件を克服してああいう問題が、現実に条約ができて実行されておるわけでございますから、私どもはそういうことも念頭に置きながら今後とも努力をしてまいりたいと、このように考えます。
#22
○渋谷邦彦君 そうしますと、その可能性は十分あると見てよろしいんでございましょうか、最後にお述べになった問題については。
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま申し上げたその基礎になるもの、根源的な問題はやはり相互の信頼関係の回復にあると、こういうことで、これは国際世論も大きく影響すると思いますし、私どもはこの核保有三大国の信頼関係の醸成ということに今後とも努力をしてまいりたいと、こう思っております。
#24
○渋谷邦彦君 これで議論したのじゃ時間がかかりますので、次へ飛ばざるを得ないんですが、一番象徴的な問題であったのは、最後に私触れました通常兵器の軍縮を進めることなしには完全軍縮はできない、全く同感なんです。いま申し上げるまでもなく世界の軍事費の八〇%は通常兵器で、戦後百回以上超えるという紛争は全部通常兵器によるわけですね。最近においてはフォークランドあるいは、いままた継続中のレバノンの紛争にしてもそうでございます。こうしたことを考えると、日本といえどもやはり例外ではないであろう。先ほども田中委員からその質問がありました。先ほど総理は、独立国家としての自衛力を持つのは当然であるというふうにお述べになった。それはわからぬわけじゃありません。それから必要最小限度の防衛力整備についてはもう当然必要なんだと。これはわれわれはやはり一般論としてはわかるのです。けれども、来年度の予算というものがマイナスシーリングだということが言われて、各省共通五%の削減だということが叫ばれている今日、果たしてじゃ防衛費自体は聖域として考えてよろしいんだろうか。総理がおっしゃっている通常兵器の削減なしにはという、みずから先頭に立って通常兵器の削減に努める方向へお取り組みになることが、論理一貫した軍縮への日本としての姿勢というものが貫かれるのではあるまいかというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#25
○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては、先ほど田中さんにもお答えをいたしましたように、私どもは日本国憲法の精神の上に立って、本当に近隣諸国に脅威を与えるような軍備を持とうなどということは毛頭考えておりません。自衛のための必要最小限度のものにとどめる、こういうことを繰り返し申し上げておるところでございます。非核三原則はもとよりでございますが、そういうようなことからいたしまして、私はいま申し上げた、渋谷さんが御指摘になるように通常兵器の、これが自衛力を超えるような増強を意図しておるものではないということを御理解をいただきたいと、こう思うわけでございます。自衛力を持つ必要がないと、不十分でもよろしいんだと、こういう御意見の上に立てばこれはまた別でございますけれども、私どもは必要最小限度の自衛力は持たなければいかぬ、着実にこれを進めていくと、こういう立場をとっておるところでございます。
 私は、もっと広い視野から見た場合に、国連で申し上げた点は、渋谷さんも御指摘になったように各地域で紛争あるいは小さな戦争のようなものが最近続発をいたしておりますが、これは通常兵器によるものが大部分である、そして工業先進国と言われる国々が兵器の輸出を公々然とやっておる、いわば火種を世界各地にまき散らしておるというような危惧さえも私どもは持つわけでございます。そういう意味からいたしまして、日本は自衛のための最小限度の防衛力は持ちますけれども、国会の御鞭撻を得ながら武器や武器技術の輸出等は、三原則によってこれを厳に戒めておる、こういうことで、日本がとっておる政策はいま私が訴えた点と矛盾するものではない、このように考えております。
#26
○渋谷邦彦君 この議論は、過去においても何回となく繰り返されてきております。たとえば必要最小限度とは一体何かというような問題についても、実際は政府としての明確な答弁はございません。何をもって必要最小限度とするのか。私は、独立国家として自衛のための防衛力は全然それは無視してよろしいという論拠に立ってはおりません。けれども、いま国内においては財政困難、対外的には軍縮というこうした方向に立ったときに、日本として当然のことながら襟を正すというのかどうかわかりませんけれども、そういう方向へ一歩でもリーダーシップをとっていけるという自信のある決意というもの、また具体性というものが必要ではあるまいか、そういうことから私はいま申し述べているわけです。それともやはりアメリカ側の強硬な要求があってのためかということが、これまた常に議論の対象になるわけですね。日米安保体制の中で、少しは日本としてももっともっと防衛力を増強したらいいんじゃないか、これも常に水かけ論あるいは並行線をたどっている。
 ところがガルブレイスという方はおもしろいことを言っているんですね。日本が小規模の軍事支出にとどまっていることを喜んでいる人間の方がアメリカではたくさんいると言うんです。だから一部のそういうようなはね返ったアメリカ政府当局の日本に対する要求というものが、果たしてアメリカ国民全体が総意を持って日本に要求しているものなのか、ごく一部のものがそういう要求をしているのか、そういう物の見方も出てまいりましょう。けれどもいままでの経過というものを考えてみると、自衛力ということを錦の御旗にしながら、一方においてはアメリカの強い要求にどうしても妥協せざるを得ない、そういうことでどんどん日本の防衛費というものはふくらんできたと、こういう経過ではなかったのか。そういう点でいま申し上げたように、むしろこういうマイナスシーリングという時代において、やはり防衛費においても一たんこの辺できちっと歯どめをかけて、行革の一環に寄与するというような方向というものが当然望まれていいのではないだろうか、いかがでしょう。
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛力の整備の問題につきましては、国会にも政府の方針をるる御説明をし、御協力をお願いを申し上げておるところでございますが、国民世論それからまた他の政策との整合性、財政その他の事情、いろいろなことを総合勘案してこれを決めていくわけでございますが、したがって渋谷さん御指摘のアメリカの一部の主張とこうおっしゃっておりますが、とにかくいろいろの意見が米側にもあろうかと、こう思います。しかし究極においては日本政府、日本の国会の御承認を得て、日本が自主的にこの問題は決める問題でございます。私は先ほど来お話がございますような国際世論なりあるいは国民世論なり国の財政事情なり、他の政策との整合性、そういうものを総合勘案して、そういう条件の枠組みの中で防衛費をどのようにやっていくかという問題を慎重に考えていきたいと、こう思っております。
#28
○渋谷邦彦君 軍縮についてはまだまだ政府の考え方を確認もし、またお尋ねをしなければならない問題がたくさんございます。しかし何せ限られた時間の範囲でございますので、もう一点これに関連して申し上げたいことは、これも総理の御発言の中で先ほどずっと申し上げて、一つ一つ全部お伺いしたかったのですけれども、現在核兵器保有国、非核兵器保有国あるいは核不拡散条約に入っている国、入っていない国、いろいろございます。そういったことで、なかなか核軍縮を初めとするあるいは通常兵器に至るまでこれを包括的にその方向へ前進させることは非常にやはり厳しい側面があろうかというふうに思います。しかし、これとてもただ厳しいんだあるいは理念は高邁であっても少しも実効性がないということであるならば、何回軍縮特別総会を開いてもこれはきわめてむなしいことに終わってしまうのではないか。しかし人類の存亡にかけましても、この問題は何としても日本が絶えず意識の中に持ち続けて、これを取り扱っていかなければならぬだろうと思いますし、同時に非核兵器保有国あるいは不拡散条約にいまだ加盟していない国、むしろこういった国々に対して呼びかけて、国際世論を軍縮の方向へ盛り上げていくという手だてこそ新しい一つの道しるべでもありましょうし、もう一つは、経済協力の面についても本気になってやはり取り組まなければならぬ、しかしこのような財政事情の非常に困難な時期に、だからこそ防衛費を減らせということを言っているわけです。総理がおっしゃったように、また国連においても特に発展途上国の方からは喝采を浴びられたということが伝えられています。そればかりで喜んでおれません。結局、具体的にその国々に対しても手当てをしていかなければならぬといういろんな問題がある。そういったことを、からめ手の方から軍縮に対しての道を開くということは非常に大事ではないか、こう思います。それを結論的に所信を伺っておきたいと思います。
#29
○国務大臣(鈴木善幸君) 渋谷さん御指摘の点、私も全く同感でございます。今度の第二回特別総会に出席をいたしまして、あの国連総会における各国代表の真剣な討議、まなざし、真摯な態度、またそれを鞭撻する各民間団体の働きかけ、こういうものを見てまいりました場合に、やはり核兵器を持たない国々の共通の願いを結集をする、そしてこれを、核保有国に自制を求めそれが実現するようにたゆまない努力を続けていく、日本はそういう中で重要な役割りを果たしていかなければならない、このように私も感じておるところでございます。
#30
○渋谷邦彦君 終わります。
#31
○立木洋君 総理は先月の二十一日に、衆議院の本会議でこのように答弁なさっておるわけです。欧州のようにソ連が通常戦力の分野で圧倒的に優位に立っている状況でアメリカが核の先制使用をしないということを表明すれば、米国の柔軟かつ有効な防戦態勢に対する信頼性を失わせ抑止力を損なうことが西側諸国の一致した基本認識である、わが国としてもこれを理解しているという答弁があります。
 そこでお尋ねしたいのですが、総理のおっしゃる抑止力というのは、核の使用を前提としておられるのでしょうかどうでしょうか、端的にお答えいただきたいと思います。
#32
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、戦争の抑止力というのは核兵器及び通常兵器の総和、それ全体のバランス、これが戦争を引き起こそうとするものに対する抑止として働く、こういう認識を持っておるわけでございまして、戦争をあくまで未然に防止するというためにもこの抑止力というものを評価をしなければいけない、このように私は考えております。
#33
○立木洋君 核の使用ということを含んでおりますか、総理のおっしゃる抑止力は。
#34
○国務大臣(鈴木善幸君) これは使用ということよりも、通常兵器と核兵器の総和において一方が非常な劣勢になるということになると均衡が破れる、そこからいろいろな問題が、紛争や戦争や侵略が出てくるおそれがある、こういうことから通常兵器プラス核戦力というものは抑止力として計算の中に入っておるべきだ、こういうことでそれを否定するわけにはいかないということを私は申し上げておるわけでございます。
#35
○立木洋君 先月の二十五日に外務省の松田審議官が、アメリカの核抑止力、核報復力はわが国に対する核攻撃に局限されるものではない、これは宮澤官房長官も認められておるんですね。そしてまたこういう明確な答弁もあるんですね。仮に日本が通常兵器で攻撃された場合、日米安保条約に基づくアメリカの日本防衛には核兵器を使用することも含まれるのかという質問に対して、そのとおりだという政府答弁もありますが、こういう政府答弁について、総理は肯定なさいますか否定なさいますか。一緒でしょうか違うんでしょうか。
#36
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はその使用するという点に着目し重点を置いているのではございません。そういうことが一つの抑止力になっておるのだと、これを無視できない。現実のこの国際軍事情勢なり、そういうものは私はそれは無視できない。それが抑止として現在の安全保障の上に大きなやはり影響を持っておるんだということを申し上げておきたいと思います。
#37
○立木洋君 聞いていますと、やはり抑止力とおっしゃる総理の見解の中には、核の使用ということも含まれておるというふうに大体聞けてくるのですがね。もしかそうでないとおっしゃるならば、いついかなる場合でも核を先に使うということは認めないということを、総理、おっしゃることができませんか。どうですか。
#38
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日本は非核三原則を堅持しておりますし、日本自体は非核保有国であるわけでありますが、そういうことから、あるいはアメリカが世界戦略の中で抑止力という立場からこの問題をどのように扱っていくかという問題はこれはアメリカ自体が考える問題でありますが、少なくとも日本が、日本の領土、領空、領海の中で先制的に核兵器をアメリカに使ってほしいとか、それをわれわれが求めていくとか、さようなことは私はすべきでない、こう考えております。
#39
○立木洋君 総理は抑止力、抑止力といったらいかにもそれを防衛する側に、つまり防衛的な表現のように考えておられるようですが、抑止力というのはそういうものじゃないんですよ。抑止力というのはまさに攻撃するからこそ使用される。そういう点を考えるならば、総理が言っているような考え方ではだあだと思うんですね。だからアメリカが、この間もロストウが述べているように、通常兵器による攻撃が加えられた場合に核攻撃で反撃する可能性を残している、こういうことを言っているわけですね。この点についてはどうお考えですか。
#40
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日本はもともと防衛の問題についてはあくまで専守防衛に徹するという基本方針でございますから、日本の立場に立って申し上げておるわけでございます。ただ、世界戦略の面からアメリカが全体の戦争を抑止するためにどういう態度をとるかという問題はこれはアメリカ自体の問題でございまして、私はその核兵器の、日本の領土、領空、領海の中での使用を容認するというような考えは持っておりません。
#41
○立木洋君 私の質問時間は十三分なんですよね。抑止力と言って総理が繰り返しておれば十三分過ぎますよ。しかし、国民の目をそういう形であいまいに、欺瞞的にやっていくということは許されない。そういう意味では、総理にもう一回明確にお尋ねしておきますが、核兵器を先に使うということは、いかなる場合でも認めないということを言えないのか言えるのか、総理は。いかがでしょうか。
#42
○政府委員(淺尾新一郎君) 私からちょっと抑止の理論を申し上げます……
#43
○立木洋君 いや、そんなことを質問してない、時間がないんだから総理に。淺尾さんには午後に尋ねますよ。質問時間がないんだから、総理お願いします。
#44
○国務大臣(鈴木善幸君) 時間がないようですから繰り返して申し上げませんが、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
#45
○立木洋君 それじゃ総理は、いかなる場合でも核を先に使うということは認めないということが言えないというふうに理解してよろしいですね。
#46
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本側から核を使ってほしいという要請をする考えはございません。
#47
○立木洋君 要請をするということと違うんですよ。核を先に使うということを認めない、どのような場合でも認めない、どこの国であろうと認めない、ソ連であろうとアメリカだろうと認めないということが言えないのか、どうして言えないのでしょうか。
#48
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来繰り返しお答えしておりますように、日本の領土、領空、領海の中での核兵器の使用というような問題は、これは非核三原則の立場から私どもは容認できない、こう思っています。
#49
○立木洋君 じゃ、世界のほかで使われることは、核兵器が先に使われてもそれは仕方ないから認められないとは言えないと。いいですか、いかがでしょう。
#50
○国務大臣(鈴木善幸君) それは先ほど来お答えをしておるとおりでございまして、日本の政府の枠を超えたアメリカの世界戦略、またその他の核超大国の出方等々もあるでありましょうし、日本がそれに対してどうこうという立場にはないということを申し上げております。
#51
○立木洋君 総理、国会決議を十分お読みいただきたいんですよ。これは国会全体の総意としてつくられたものですがね、ここではそんなこと言ってないんです。「特に、核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置」というんです。日本の領海、領域内だけで使われてはならないなんて書いてないんです。いかなる場合でも核兵器が二度と使われることのないような実効ある国際的な措置、これは総理も所属しておられるこの国会の総意として決議されておる。そういう立場から言うならば、どのようなところであろうと核の先制使用は認めないと、明確にどうして言えないんですか。国会の決議と違うんですか、お考えは。
#52
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はこの核兵器不使用の問題につきましては、実効ある措置として、したがって核軍縮を唱え、核実験の全面禁止を唱え、そして一つ一つ積み重ねていって核の廃絶を図る以外に道はない。それが私どもが考えている核不使用に通ずる具体的な最も確実な道である、このように考えるものでございます。
#53
○立木洋君 実効ある措置ではなくて、核兵器が二度と使われることがないようにという国会の意思に立つならば、いついかなる場合でも核兵器が先に使われるというふうなことは認められない。それは同じことじゃないですか。総理、どうしてそれが言えないんでしょうか。それがどうしても言えないというのならば、唯一の被爆国である日本政府の総理である鈴木総理は、長崎の被爆、あるいは広島の被爆、こういう事態が起こされても、それは仕方がないというふうに私は理解しますが、それでよろしいですか、私の理解で。
#54
○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては国連の私の演説の中で、全世界に向かって国連の場を通じて鮮明にいたしておるわけでございます。
#55
○立木洋君 もう時間が来ました。
 鈴木総理は十三分間の時間を、私が核兵器を再び先に使うというふうなことは絶対に認められないということを明確に言っていただきたいと言った。ところが総理は、ついにこの十三分間そのことに対しては明確にお答えにならなかった。つまりそのことは、核兵器が先に使われるということを認めないということは、総理の口からは言えないということであると。だとするならば、これは国会決議とは異なっている。そういう見解である、そういう総理の考えであるというふうに私は理解して、このことを厳しく唯一の被爆国である総理の立場としては認められないということを明確にして私の質問を終わります。
#56
○木島則夫君 総理が国連軍縮総会で演説をされた訴えは、平和を求める日本の理念を披瀝されたものとして大きな反響を呼んだわけで、評価を申し上げたいと思います。
 率直に伺いますが、総理はこの演説の中で国連の平和維持活動を一層強化充実をさせるための積極的な協力を強調されておりましたが、これは国連が強化されなければならないという一般的な願望を意味することなのか、それとも国連の平和維持活動の強化拡充のために、日本も従来と違って新たに何かをやろうとする意味なのか、この辺をひとつはっきりさしていただきたいと思います。
#57
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は国連に対して、世界各地であのような戦争、紛争というような事態が発生をしておりまして、それに対する国連の平和維持の機能というものがいかにも弱い、これを常に痛感をしておるわけでございまして、その機能の強化あるいは活動の拡充、これを参加国とともにあの特総の場で声を大にして訴えたところでございます。
 わが国としては、それならばいかなることをやろうとしておるのかと、こういうことでございますが、これにつきましては、御承知のように財政的な負担は、アメリカそれから西独等と日本は近年特に劣らないような努力を進めておりますことは御承知のとおりでございます。と同時に、紛争が起こった場合、または紛争が起こりかかった場合におきまして事務総長のこの情報の収集、現地の調査という活動が機敏にできるようにやることが一つの国連の紛争予防あるいは紛争の拡大防止に大きく役立つ、初動が大事だと、こう思うわけでありますが、過去におきましてはしばしばこの拒否権に遭っている。そのために国連事務総長がそういう初動における調査、情報収集ということができない、こういう面がございました。こういう点につきまして、日本が率先してこの事務総長のそういう独自の活動、権能というものを認めてやるべきだという働きかけ、これは私は非常に大きな効果をおさめており、国連の事務総長からも感謝をされておるところでございます。今後私は、国連の平和活動に対して何らかの自衛隊によらないところの参加、たとえば医療活動でありますとか、あるいはその他の武力行使に及ばない分野におけるところの日本の参加というものができるような仕組み、組織というものを考えていきたい。これは社会党の横路議員等も受け皿という表現でこのことを言っておりますが、私はそういう考え方を具体的に今後進めていきたいと、こう思っております。
#58
○木島則夫君 外務省にお尋ねをいたしますが、国連の平和維持活動とは、外務省が今国会冒頭の二月八日衆参両院予算委員会に提出された資料によりますと、「関係当事国、特に受入れ国政府の同意を得て、一定の兵員等により構成される平和維持軍ないしは監視団を現地に派遣し、紛争当事者間に介在ぜしめることにより、休戦、停戦の監視、当該地域内の治安の維持といった任務を行わしめ、もって事態の鎮静化や紛争の再発防止にあたる国連の平和維持機能である。」、このように言っておられますけれど、間違いありませんね。
#59
○国務大臣(櫻内義雄君) そのとおりでございます。
 ただちょっと付言いたしますが、この役割りの強化拡充については、各地域の軍事情勢を把握してその実態を適宜公表するような機構の設立をしたらどうかとか、国連の事実調査機能の強化の方策とか、あるいは平和維持活動に関する国連による研修計画とか、そういうようなものがそのほかに考えられる、こういうことでございます。
#60
○木島則夫君 総理、積極的参加というところに私は一つの大きな展望を持ちたいんですよ。いま外務省が御見解を示されました。これが間違いないとすれば、この国連の平和維持活動に日本が協力ということになれば、たとえば監視団に参加をするということになれば、どうしてもやはり自衛隊法の改正ということは避けて通れない問題だと私は思うんですね。
 せんだって、外務大臣が積極的な発言をされて、またそれが後退をされた。そして、非公式なものではありますけれど、総理、たとえば外務省情報文化局が発行をしております「海外政経情報」五十五年八月、ナンバー三八三、これはあくまで非公式な一つの研究データというお断りをしてはおりますけれど、その中で「世界の平和と安定のための貢献」の三項目で、「このような観点から、わが国は国連の平和維持活動に対し、従来のような財政面における協力にとどまらず、人的貢献の面についても積極的に検討すべきである。国連の平和維持活動への要員の派遣は、平和国家として生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方途と思われる。」こういうふうに言っております。
 これは公式なものではございませんけれど、この辺にやはり外務省の本音といいますかが私はあるように思いますけれど、積極的参加というものは、自衛隊法の改正なくしても積極的参加ができる、こういうふうに総理は御判断でございましょうか。
#61
○国務大臣(櫻内義雄君) 要員とか資機材の提供についてはこの問うちから例を挙げておりますように、ナミビアにおける選挙についての監視、これは別に自衛隊とは関係なく要員を派遣するとか、あるいは必要な資機材の提供というのは考えられますので、いまの御引用についてはその辺のことを言っておると思います。
#62
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほどもちょっと申し上げましたように、民間の医療機関でありますとか文民の方々に御協力を願った何らかの組織、受け皿というものをつくって、そして国連のそういう平和維持機能等に協力をしていくということを前向きで検討したいということを先ほどもちょっと触れましたけれども、いまのところ、私は自衛隊法の改正ということまでは考えておりません。
#63
○木島則夫君 民間の何らかの団体をつくって受け皿をというふうにおっしゃいまずけれど、やはり監視団なり何なりというような性格のものであればそこに危険も伴いますでしょうし、やはり相当のこれは注意を要するような問題であろうと思います。
 それはさておきまして、この国連の平和維持活動への協力は国連加盟国の、日本ももちろんその一員でございますけれど、義務じゃないんでしょうか、国連憲章第二条、第四十三条からして義務ではないか。まず、外務省から伺いたい。
#64
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。
 お尋ねのございました第二条につきましては、国際の平和と安全を守るために必要な国連の考え方というものが示されているわけでございます。
 第二の四十三条についてでございますが、これがお尋ねの問題点であろうと拝察いたします。ここで書いてありますのは、安全保障理事会の要請に基づき、特別協定に従って、ということになっております。つまり、このような国連の平和維持活動に加盟国が参加するかどうかは当該国との間の特別協定によるものであるということでございますので、必ずしも絶対に無条件で引き受けるべき義務であるというふうには解されないと存じます。
 また、協力する場合の内容、態様につきましては、「安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。」つまりどういう形で協力するかということに関しましては、加盟当事国の考え方が尊重される、かように解釈いたしております。
#65
○木島則夫君 事のついでですから、法制局の見解……。
#66
○政府委員(前田正道君) 私どももただいま外務省の方から御説明がございましたのと同様に考えております。
 ただもし、これまで行われてきましたいわゆる国連の平和維持活動、これについてのことを問題にしておられるのでございますれば、この国連のいわゆる平和維持活動は国連憲章の四十三条に基づくものではございませんで、安保理または総会の決議に基づきましてその都度行われてきたものだと承知しております。
 そうしまして、このような平和維持活動に対します協力の方法につきましては、経費の分担の点は別といたしまして、要員の提供等の協力につきましては各加盟国の任意とされてきたところでございますので、これにつきましてわが国としましては法的な義務を負っているものではない、こういうふうに考えております。
#67
○木島則夫君 もう時間がございませんので、これ以上私お尋ねできないのでありますけれど、国連に日本が無条件で入っているわけでありますから、私はこれは当然負うべき義務であろうというふうに考える。日本が国際的に約束したことでありますので、国内の憲法の制約はもちろんいろいろ私も承知をした上であります。しかし、本当に国連の平和維持活動に日本が積極的参加ということであるならば、国連平和維持軍への参加はこれはできません、憲法の改正が必要でございます。自衛隊法の改正の中でできる監視団への参加というような受け取り方をするのは私は世界の常識ではないだろうか。こういうことを言うそのことが海外派兵の道につながるとか、あるいは侵略の糸口をつくるなんという議論の方がおかしいんです、はっきり言って。日本が本当に平和国家として生きていくのならば、従来のような金だけで済ますのだというようなそういった気持ちにとどまらず、やっぱり人的貢献の面についてもさらにさらに積極的に私は考えていただくべきではないだろうか。この点について、くどいようでありますけれど、総理にもう一度信念のほどを伺いたい。いかがですか。
#68
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自衛隊法の改正というのは、先ほど申し上げたようにいま考えておりませんが、国連の平和維持活動に対して、日本が国際的な平和に貢献をするという意味合いで協力をする体制を整えていくということにつきましては、先ほど来申し上げるように多いに工夫を要する問題である。医療班であるとかいろんな機材の提供であるとか、そういう面については日本としてやるべき道が残されておるんではないかと、このように考えています。
#69
○木島則夫君 ありがとうございました。
#70
○宇都宮徳馬君 現在世界は、草の根とか言われる民衆の方から戦争への危惧感、軍縮要求が非常に強くなっております。しかし超大国二つのみならず、いわゆる産軍体制と言われる方からは依然として軍拡要請が非常に強く出されております。日本政府も、アメリカの強い軍拡要請を受けて、私は詳細には知りませんけれども、今度アメリカに行きましてそれほど強いものでないということは感じたのですけれども、しかし、日本内においてはそれを増幅しまして、政界においても経済界においても、軍拡当然というような考え方も存在しています。そういう中で首相が軍縮への信念を持たれて、みずから積極的に第二回国連軍縮総会に出て、みずからの軍縮平和への信念を述べられたということに対して私は遠慮なく敬意を表したい、こう思います。
 そして日本の政府首脳は、第一回の国連総会におきましても園田外相は非常にいい演説をしています。日本ではほとんど無視されていましたけれども、非常にいい演説をしている。それは、やっぱり日本の被爆体験とか戦争体験、第二次大戦における悲惨な体験を踏まえまして言っているのですが、私は、これは福田内閣の外相であるだけに非常に現在重要なことじゃないだろうか、こう思っているのですが、それを私はここで一度思い出すために、時間がなくて残念なんですけれども読み返してみます。
  人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神に立脚して、わが国は、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないことをその基本政策の一つとし、国際協調をその外交政策の前提としております。
  わが国がこのような世界史上例の少ない実験にのりだす途を選択した背景には、第二次大戦の体験を通じて日本国民の一人一人の心に深く根ざした「二度とこのような戦争があってはならない」という決意があります。
  御承知のとおり、わが国は、核兵器のもたらす筆舌に尽しがたい惨禍を体験した唯一の国であります。
  三十三年前、広島及び長崎の両市に投下された二発の原子爆弾は、一瞬にして両市を灰燼に帰せしめ、あわせて三十万人に近い生命を奪いました。また、幸いにして生命をとりとめた約三十七万人を数える被爆者の苦しみは、今日も続いております。
 そして、非核三原則の堅持を訴え、核軍拡の停止、核不拡散条約の普遍化、核実験の包括的禁止を求め、また全面完全軍縮の理想を目標としながら、当面の通常兵器の輸出規制の必要を呼びかけています。
 私は、日本政府の首脳が二回にわたって民族の体験を背景にしながら国連の軍縮総会において平和と軍縮を唱えた意味というのは非常に大きいと思うんです。そして特に鈴木首相が、四年前、つまり園田外相の第一回特総の当時から、
  その後、軍縮の歩みは、遅々として進まないばかりか、核兵器をはじめとする世界の軍備は、かえって増大の一途を辿り、四年前に四千億ドルと言われた世界の全軍事支出は、今や五千億ドルをはるかに超えるに至りました。
 このようなやっぱり危機感があなたを軍縮総会に、いろんな抵抗、場合によっては非難を越えて、国及び国民あるいは世界の平和のために国連総会に送った、私はあなたのその決意に対して敬意を表する。
 そしてまた鈴木首相は言っています。私とあなたとは大体同じくらいの年ですから、あの戦争の廃墟というものをよく経験していますけれども、
 「私は、戦火の中にあって、政治に志を立て、」
 「爾来三十五年、平和のために一身を捧げたいと思う私の信念は、今なおいささかも変わるものではありません。」「我々は、祖先から受け継いだこのかけがえのない地球を、愚かな選択によって破滅に追いやることは許されないのであります。繁栄か滅亡かは、かかってわれわれの双肩にあります。」こういうふうにあなたは言っておられるわけです。これは、当然非核三原則堅持、平和憲法堅持というあなたの平常の態度にしっかりとつながるものと思いますけれども、しかし、自民党のみならず一般の政界の中に、必ずしもあなたに同調しない勢力があることは間違いない。あなたは、鈴木内閣のときは一切改憲の問題を論じないと言っていますけれども、鈴木内閣のみならずいかなる内閣、野党の内閣ができましても、あなたはこういう信念を持って一貫した政治活動を続けられるかどうか、それを私は伺いたいと思います。
#71
○国務大臣(鈴木善幸君) 大変ありがたい御鞭撻をいただいたわけでありますが、私は演説のための演説をやったわけではございませんで、本当に私が平和憲法の基本理念の上に立って、また国会の決議や国民の幅広い皆さん方の御意見、願望というものを体して私はあそこで発言をしたわけでございまして、これは私の信念を披瀝したものと受け取っていただいて結構でございます。
 したがって今後におきましても、そういう構えで政治に取り組んでまいる所存でございます。
#72
○宇都宮徳馬君 現在、やっぱり世界は非常な危機ですよ、実際申し上げまして。それで、いままでの軍拡傾向が依然として続いている中で、世界のいわゆる民衆、草の根――一般国民と言ってもいいんですが、それから第三世界ですね、そういうものを中心に何とかこの軍拡傾向を阻止しなければ、一番先にやられるのはわれわれだという危惧感があって、大きな流れが渦巻いているときだと思います。ですから、あなたがなかなか具体的な問題にはっきり答えられないということは、私よくわかります、本当を言うとね。
 それで、一つあなたに申し上げたいのは、ガルブレイスの話がさっき出ましたけれども、ガルブレイスもやっぱりアメリカの良識代表ですけれども、彼は言っていましたが、とにかくいままで軍縮という問題を核神学といいますかね、つまり現在の核を中心にする戦略というものを一種神学化しちゃって、非常に専門分野に閉じ込めちゃって、それで大衆にわからない議論をしている。そして、軍縮というきわめて常識的なだれが考えてもわかる問題を、そういう核神学みたいな変なむずかしい問題に閉じ込めちゃって、国会の議論なんかも、ともするとそういう変な具体的と称する核神学の中で議論されて、問題が少しも進展しない。やはりこれは専門家に任せておいちゃだめですよ、軍縮なんという問題は。それで、外務省なども率直に申し上げると核神学のとりこになっている者もある。防衛庁なんかはまさにそういう者も非常に多いわけです。
 そういう専門家に任せておいちゃこれはだめであって、それから専門家から薄ら知恵を授かった政治家なんかの意見を聞いてもだめであって、やっぱりしっかりした政治的指導者がみずからイニシアチブをとって、民衆、民間の意見を代表して勇気を持って、やっていく以外にないと思いますね。あなたは勇気を持ってやるのだということを言っておられますが、やっぱり外務省等を外務大臣と一緒に徹底的に指揮してやらぬと、つまりさっき言ったあなたの軍縮総会における発言が、これはレーガンの軍拡路線を支持したのだなんというとんでもない変なことになってくる。だから私は、あなたが櫻内外相と一緒に政治家として先ほどの信念を持って強く外務省、防衛庁等を指導するということをお願いしたいと思いますが、どうですか。
#73
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま大変有益な御意見を吐露されたのでありますが、外務省は、鈴木総理の先般の特別軍縮総会における演説の中の平和の三原則を踏まえまして、軍縮の促進を目指して一つ一つ実効ある措置を講じていきたいと思います。
#74
○宇都宮徳馬君 世界がとにかく核による破滅か、それとも平和による生存かという重大な選択の前に立っていることは間違いないわけです。そういうときですから、かつてベトナム戦争時代の国防長官をやったマクナマラという人に私会いましたが、この人はこういうことを言っています。軍拡競争は愚かであり、どこかで歯どめをかけなくてはならない。それで、日本は軍備に金を使うより、平和促進のため何らかの壮大な構想を創出して資金を投入し、世界をリードしていくべきである。こういうことを言っていますが、あなたはこの国連の強化ということを平和の三原則の最後に掲げてありますけれども、国連強化その他、全く国連の現在の費用なんというのは、今度日本が買うF15三台分にも及ばないんです。活動するためにはお金も大事なんですから、そういう国連の強化のためにもつと日本が積極的に、マクナマラの発言に従って大きな構想を持って国連に何かやらせるという具体案をこれからお考えになるつもりはありませんか。
#75
○国務大臣(櫻内義雄君) 国連に対する協力はいろいろの方法がございますが、しかし、日本の現在の財政の状況から、すでに世界第三位の協力金の拠出国にもなっておるわけでありまして、これは日本の国連に対する一つの努力のあらわれであると思います。また他面、世界の平和安定のためには経済協力を特に考えまして、中期目標を立てながらやっておる。これも大きな貢献であろうかと思いますが、あらゆる面におきまして世界平和安定のために努力をしていきたいと、このように考えます。
#76
○山田勇君 総理、参議院の全国区制の改正が大詰めに来ていると新聞もテレビも報道しておりますが、無所属議員の私としましては万感胸に迫るものがあります。総理とのこうしたやりとりもあと何回できるのかと、ちょっとさびしいような気もいたします。複雑な気持ちであることを申し上げて質疑をいたしたいと思います。
 ODAの政府開発援助に関連してお尋ねいたします。同僚議員と若干重複するところがあるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 私は、かねがね経済大国と言われる日本としては政府開発援助を大幅にふやすべきだと提言しておりますが、昨年一月の国会の外交方針演説で、五十六年から五カ年間の政府の開発援助を過去五カ年間の実績の倍以上にすると公約されたわけでございますが、政府は五十六年度のODAの実績が五年ぶりに前年比で四・一%減少したという報告を経済協力開発機構にしております。総理は、さきの外遊の最終の地ホノルルで格調高く、太平洋こそ平和の海、自由の海、互恵の海、開かれた海として太平洋各地域の国々の協力で、ともに発展を遂げようと呼びかけておりますが、これからこれらの成果を上げるのには、わが国としては相当な出費を覚悟しなければならないという議論もございます。国連での総理の軍縮演説でも、軍縮によって生まれた人的、物的余力を南北問題に向けるという提案が最も関心を呼んだとも言われておりますが、開発途上国などに対する技術、経済援助がリップサービスに終わることなく、実績で裏づけなければならないと考えますが、総理の決意のほどをお伺いいたします。
#77
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘がございました政府の開発援助費、ODAの問題でございますが、確かに五十六年度は四・一%減になっております。しかし、その内訳を見てまいりますと、二国間の援助では前年度対比一五%ぐらいは確実に伸びております。ところが、世界銀行でありますとか、その他の国際援助金融機構等に対する出資金等が前年度よりも四〇%減っております。これは前年非常にふえましたが、五十六年度は各国の足並み等がそろいませんで、出資金等は伸びなかった、こういうことに相なっております。
 それからもう一つは、被援助国といいますか受け入れ国の方が世界経済の停滞、非常な財政難等の状況もございまして、やはりプロジェクトにいたしましても地元負担というものがございますから、そういう面で日本の場合はその方も案外伸びなかった。こういう内容がございます。しかし、五年間に倍増するという、これは国際的な、日本の方針として宣明した問題でございますから、今後、非常に日本の財政も苦しい中ではございますけれども、日本の国情からいたしまして、こういう面でひとつ世界の平和と繁栄に貢献していかなければならない。こういう考えでございますので、一層努力をしてまいりたいと、こう思っております。
#78
○山田勇君 鈴木総理は第二回国連軍縮特別総会の一般討論演説の中で、原子力の平和利用の問題を取り上げ、原子力を人類の未来にとって不可欠なエネルギーと位置づけ、これの平和利用と核拡散防止を両立させなければならない。また平和目的のための原子力施設の安全保障を確保することが肝要であり、このための国際努力の実を結ぶことを期待すると述べ、原子力平和利用に積極的な姿勢を示しておられます。しかしながら、日本の社会心理構造は原子力の軍事利用への強い拒否的態度と平和利用への受容的な態度に分極しております。なかんずく原爆の洗礼を受けた国民として核アレルギーともいわれる反核感情が根深くあることも事実であり、総理としては原子力の平和利用を推進する上で、今後どのように国民のコンセンサスを求めていくのでしょうか。
#79
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、わが国は昭和三十一年に原子力基本法というものを制定をいたしまして、原子力については平和利用以外には絶対にしないと、こういうことを明らかにいたしました。それから、昭和五十一年になりまして核不拡散条約に批准をいたしたわけでございます。そういうことで、あくまで原子力については平和利用に徹する、軍事的なものには絶対に日本は使わないしまた利用されるようなことがないようにしなければいけない。いろんな資材、機材の輸出等におきましても、この核不拡散条約の徹底、実施ができるようなことが確認されなければいかないように注意深い配慮をしながら進めておるところでございます。
 わが国は一方におきまして石油資源等資源貧乏国でございます。この資源小国である日本としては、代替エネルギーとしては最も有力なこの原子力の発電等、原子力の平和利用ということは日本の将来の発展のために非常に不可欠な重要な問題であると、こう考えております。ついては国民の皆さんにこの点をよく御理解を願うと同時に、この原子力の安全の面について十分研究もし、また安全が確保されるように、そういう点を十分国民の皆さんに徹底をしながらこの平和利用を促進をしてまいりたいと、このように考えております。
#80
○山田勇君 最後に、外務省の予算に関連して若干総理の御意見をお伺いいたします。
 外務省の機密費についてですが、これは現在報償費などの名目になっているようですが、これが大変僕は少ないんではないかという気持ちも持っております。また、そういう議論もあります。たとえばレバノンの難民への緊急援助は百万ドルで、アメリカの五分の一では少な過ぎる。経済大国と言われる日本としては、それは相応に見合った金を出すべきだと思いますが、こんなとき外務省の自由裁量で、足らない分はたとえば機密費からぽんと出されれば金が生きてくる。ひいては中東外交にも大きなプラスになったのではないかとも言われておりますが、これは私が言ったわけじゃないんですが、総理のことを外交音痴などと言われる向きもあったようですが、今回のパリに始まる一連の外遊で世界の鈴木へと大きく一歩踏み出したと評価する向きもあるわけですが、平和外交を推進する意味からも、外務省の役割りは今後一層重要なものとなると思います。外務省予算の国家予算の中に占める比率が戦前では平均として一・五%であったが、昨年度では〇・七%という少ない数字になっております。総理としては平和外交推進のかなめとも言える外務省の予算について、機密費を含めて今後どういうお考えをお持ちになっておりますか。御意見を伺いまして私の質疑を終わります。
#81
○国務大臣(鈴木善幸君) 外務省の予算それから定員、それを通じて外務省の外交機能の強化充実、これは報償費だけの問題ではございませんで、私は平和外交を強力に展開をするということがやはり日本が平和国家に徹し、また世界の平和に貢献をする道であろうと、このように考えておりまして、定員等につきましては特別な考慮を払っております。これは五十七年度予算の編成の際、五十六年度の際におきましても、いずれも定員をどの省庁も減らしておる中で、外務省だけはこれをふやしておるということは御承知のところであろうと、こう思います。外務省の予算等につきましては、確かにこういう厳しい財政事情の中でございますから、外務省だけ特別なことはできませんけれども、いまのレバノン等に対する難民救済であるとか、そういうような緊急なまた必要な援助、支援あるいは経費の負担等につきましては、予備費でありますとか、いろんなことを工夫してもやはり日本としての投割りを果たしていかなければならないと、このように考えております。
#82
○委員長(稲嶺一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
#83
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#84
○渋谷邦彦君 最初に、日豪原子力協定について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 初めに、原子力発電というものがさまざまな国民の世論を常に喚起する注目の的になっている。しかし、これからも原子力に依存しなければならないというそういう問題が側面的にあるわけであります。そこで、今後の原子力発電の展望と申しますか、確かに少資源国である日本としては、油にいたしましても一切外国に依存せざるを得ないというそういう状況の中で、政府としてもこれからの中期、長期の展望に立ったエネルギー資源の確保、相当精細に検討も進め、こうあるべきだというビジョンの設定もすでにあるいはまとめられているかもしれない段階であるというふうに判断をしております。そこで、総対的に今後の原力子発電というものが今後も大きな課題になることを前提にしながら、エネルギー資源そのものの確保についてどういう展望を持っておられるか。総体的にひとつ御説明をいただきたい。
#85
○説明員(長田英機君) 先生御質問のエネルギー全体と原子力の位置づけの問題でございますが、エネルギー需給の中長期の展望といたしましては、この四月に総合エネルギー調査会の需給部会で長期エネルギーの需給見通しを報告しております。これによりますと、昭和六十五年度におけるエネルギー需要のトータル量でございますが、これは原油に換算して五・九億キロリットルということになっております。なお、昭和七十五年度の一つの試算といたしましては、総需要として七・七億キロリットルというふうにしてございます。ところで、この総エネルギー需要を確保していくためには、エネルギーの石油依存度を逓減させまして、代替エネルギーの開発が非常に重要な位置づけになります。原子力は特にその経済性あるいは大量供給性という面から、非常に石油代替エネルギーの中の中核として位置づけられております。ちなみに、原子力発電につきましては、六十五年度は四千六百万キロワット、これは全一次エネルギーの一一・三%を占めることになります。それからさらに、七十五年度について試算したものを申し上げますと、九千万キロワットということで全エネルギー需要の一八%を占めるということで、原子力のシェアが拡大していっている、こういうような状況で、非常に重要な地位を占めるというふうに考えております。
#86
○説明員(松井隆君) 原子力開発利用の長期的展望という側面から御説明させていただきたいと思います。
 先ほど通産省からお答えになったとおり、石油代替エネルギーの最も有望な原子力ということは、過去二十余年にわたるわが国の官民挙げての努力によりまして、現在では約二十四基の原子力発電所を運転しております。それで千七百十八万キロワットの発電規模に達しておるわけでございます。政府としても、今後ますますこのエネルギー情勢が厳しくなるという判断のもとに、原子力につきましては昭和六十五年度には四千六百万キロワットの原子力発電の規模にしたいという計画を持ってございます。もちろん、そのためにはその安全の確保が大前提でございます。それから、同時に国民の理解と協力を得るということで、この目標を達成したいというふうに考えているわけでございます。そうなりますと、そのような原子力発電の規模に合いました核燃料サイクルの確立ということが必要になってくるわけでございます。つまり、海外からの天然ウランを確保すること、同時に濃縮ウランの確保に努めること。さらに濃縮につきましては自主技術による濃縮ウランの技術開発という問題、それから原子力発電所で使った使用済み燃料の再処理の問題、さらには放射性廃棄物の処理、処分の問題、現在そういう対策を鋭意検討を進めているわけでございまして、さらに一方ウラン資源も限られておりますものですから、ウラン資源を有効に利用するという観点から、ウランの利用効率の高い高速増殖炉等の新型動力炉の開発もやっておるわけでございます。さらに、人類究極のエネルギー源といわれておる核融合の研究開発等々精力的に進めているわけでございます。
 また一方、原子力をめぐる国際問題でございますけれども、原子力の開発利用が核の拡散防止という強化の観点から、各種のいろいろと厳しい制約が課せられる方向にあるわけでございまして、わが国はそういった、もともと原子力の開発利用というのは平和利用に限るということで進めておるわけでございます、そういった立場。それからさらに原子力の平和利用と核の不拡散という問題とは両立し得るという立場に立って、国際的に適切に対応ということも必要になってくるわけでございます。
 今後原子力の政策を進める上で以上のようないろんな諸般の問題があるわけでございますけれども、先般、六月三十日でございますけれども、原子力委員会におかれまして、これらの課題を総合的に検討いたしまして、今後十年間における原子力開発利用に関する長期計画をとりまとめたところでございます。今後私どもといたしましても、その計画に沿ってわが国の原子力の開発利用を積極的に推進してまいりたい。以上、考えている次第でございます。
#87
○渋谷邦彦君 エネルギー源の供給等については需要に相まって、これからの開発が通産省あるいは科技庁を中心として、原子力にかかわらず総合的に進められているはずだと思うのです。それには、かねてから国会でも何回となく議論されてきておりますように、太陽熱の問題だとか地熱の問題だとか、あるいは風力の問題だとか、石炭の液化の問題であるとか等々可能性として考えられるさまざまな視野に立って、わが国のエネルギー源を確保しよう。しかし、いずれも現段階としてはコストが非常に高いということで、まだ実用の段階に踏み切れない。こういう経過をたどってきているはずだと思うのですね。ただ、やみくもに原子力原子力と。その反対に、国民の反発が非常に強いという背景の中でこれを円滑に進めなければならぬという問題も当然あるでしょうし、そういった国民感情というものを背景にしながら、一方においてはいま申し上げたような開発というものも当然並行して進めなければならぬだろうというふうに、素人的な発想かもしれませんけれども、そんなふうに判断できるわけです。いま基本になるのは石油であり、原子力ということになるわけですけれども、いま申し上げているようなさまざまなエネルギー源開発についての将来の見通しというものは明るいのか暗いのか、いつごろ実用化の方向へ道が開けるのか、その点はどのように検討がいま進められておりますか。
#88
○説明員(長田英機君) 石油代替エネルギーの開発に関しましては、資源エネルギー庁としましても鋭意努力しているところでございまして、石炭、原子力、天然ガスというような、これが非常に将来伸びていくものであるというような考え方でやっております。これは、在来のエネルギーと考えられます。そのほか、さらにいわゆる新エネルギーというような太陽エネルギーを中心とした新しい分野のエネルギーの開発についてもいろいろな努力をしておりまして、これに対する資金の確保、こういう面にも大いに努力し、私どもの現在の一つの目標といたしましては、昭和六十五年度に新燃料油、新エネルギーその他のものとして総エネルギーに対して二・五%ぐらいのシェアを占めるようになるのではないか、ちなみに、昭和五十五年度は〇・二%のシェアでございます。こういう面の努力をしていこうと思いますが、とにかく何分にも量的にこういう面は限りもございますんで、まだ原子力の開発が非常に重要な地位を占める、こういうふうに考えておるところでございます。
#89
○渋谷邦彦君 当面の問題としては、どうしてもいま述べられたように原子力に依存せざるを得ないというのが現状だろうと思います。
 そこで、石油についての依存度というものは全くゼロにするというわけじゃないわけですね。原子力について六十五年度だとか七十五年度だとか、いま計画をお述べになりました。核融合の新しい時代を迎えての実用段階というものもありましょう。それには期間という問題がありますから、それまでにつなぐ一つの補完的な措置としてこれからも進める。しかし、その原子力に依存する割合というものは、その間どのくらいの割合を今後必要とするのかという点についてはどんなふうにいま計算がなされていますか。
#90
○説明員(長田英機君) エネルギー調査会需給部会の計算によりますと、非常に長期なものといたしまして二〇〇〇年、昭和七十五年度でございますが、ここを展望いたしますと、原子力の総エネルギーに占めるシェアを一八%というふうに考えております。なお、この時点における試算といたしまして、現在、昭和五十五年度の実績数値では六六%を石油に依存しておりますけれども、これが二〇〇〇年度におきましては三八%の依存度になると、こういうような試算をしてございます。
#91
○渋谷邦彦君 七十五年度の一八%はあなたがいま述べられたとおりで、それは心得ているんです。しかし、エネルギーというのは何も二十一世紀初頭だけで、それで一切済むわけじゃないですね、それから先もあるわけですから。そういったことを考えれば、なかなか試算の立てにくい面もあるいはあるかもしれません。そうすると、これから約二十年の間原子力に依存しなければならないというその割合というものは一八%、六十五年度までには一一・三%のシェアを占めるであろうと。それで需要供給のバランスというのはどういうことになるんですか。
#92
○説明員(長田英機君) 二〇〇〇年度を例にとってお答え申し上げますと、エネルギーのトータルの需要量が七・七億キロリットル程度というふうに試算しておりますが、先ほど申し上げました原子力が一八%になるというその原子力の供給、そのほか新エネルギー等々を入れまして、その時点においては需給のバランスがとれているということでございます。したがいまして、この時点における新規のエネルギーとしまして新燃料油とか新エネルギー等をとりますと、それが八%ぐらいにこの時点でシェアになっております。それ以外は在来エネルギーでカバーする、こういうふうに考えております。
#93
○渋谷邦彦君 したがって、これからも加速度的にと言ってもいいかもしれない需要量というものが伸びるという判断に立つわけですか。それは人口動態だとか産業規模だとか、さまざまな背景というものがあるだろうというふうに思いますが、その点についてはどんな分析をなされているか。
#94
○説明員(長田英機君) お答え申し上げます。
 やはりエネルギー需要の伸びといいますのは経済の成長率ということと非常に密接に関連しているわけでございまして、一つの指標をとるといたしますと、私どもとしては五十五年度から六十五年度までは五%、六十五年度から七十五年度までは四%というふうに成長率はだんだん低減していくような形では考えておりますが、そういうような絶対値の成長率でいくと一応仮定をしてやっているわけでございます。
#95
○渋谷邦彦君 いまの成長率というのは、いろんな試算に基づいてのことなんでしょうけれども、ずいぶん高い見積もりと違いますか。
#96
○説明員(長田英機君) これにつきましてはいろいろな御意見があろうかと思いますけれども、私ども現在、将来の数字を計算する一つの前提といいますか、そういう数字として五%、四%というものはそれほど高過ぎる数字ではないと、こういうふうに考えているわけでございます。
#97
○渋谷邦彦君 現状をもって将来を即断するということはきわめて短絡的になるおそれがあるだろうというふうに思いますね。現在の国際経済なんかの状況を見、またそれに連動するわが国経済の実態を考えてみた場合に、速度を速めた状況の中で、経済成長というのは落ち込んでいますね。これが果たしてこれから五年先、十年先というものはよほどの変化がない限り、いまおっしゃったような経済成長率というものは見込めるのだろうか、われわれとしては不安感があるわけですね。だから、政府としてはそういう願望に基づいて、何でもいいですよ、願望でも結構なんだけれども、こうありたいという方向というものをお考えになった一つの結論なのか、具体的にこうであるからこうであるという論理的な計数の上に立ってそういうふうに御判断なさっていらっしゃるのか、この点はどうですか。
#98
○説明員(長田英機君) このエネルギー調査会の需給部会が数字を計算するに当たりましては、経済成長率を一つの仮定として置くわけでございますけれども、この成長率五%、四%というものにつきましては、いろいろな学会その他の有識者の意見を伺ってみたり、そういうような点から、まあ大体この辺のコンセンサスが得られるのではないかというような考え方に基づいてこの審議会が計算をしたということでございます。
 なお、先生いま御指摘のように、いま時点ですと非常に世界的に経済が停滞していると、こういう事情もございます。そこで油も非常に潤沢といいますか、世界的にじゃぶじゃぶある状況でございますけれども、こういう状況がそのままずっと続いていくかどうかについても非常に大きな議論があるだろうと思います。そういうようないろいろな事態というものを勘案し、有識者の一つのコンセンサスと申しますか、そういうものとしてこの数字が審議会において計算されたと、こういうことでございます。
#99
○渋谷邦彦君 そこで現時点に立った場合、需要供給のバランスというものはどうなんですか。
#100
○説明員(長田英機君) いま手元にあります数字といたしましては、はっきりと確定した数字は五十五年度でございますけれども、この時点ではエネルギーの総需要量は約四・三億キロリットル、それに対しまして一例で申し上げますと、原子力の総エネルギーに占めるシェアは五・〇%でございますけれども、原子力を初めとする石炭そのほか天然ガス、水力等によって需給のバランスがとれているということでございます。
#101
○渋谷邦彦君 ただ、先ほど述べられたように、昭和六十五年度、七十五年度という展望に立ったときには必ずこれは不足をするであろう、そういう判断に立って原子力発電所の設置もやはり急がなければならぬ。かって電審連の会長からもそういう陳情を受けたことがあるんですよ。たしか昭和六十五年度の時点では六千万キロワットを必要とする、これでは四千六百万キロワットの説明ですね、すると、一千四百万足りない、こうなるのですけれども、電審連あたりで言っているそういう数字というものとあなた方が掌握している数字というものはちょっと開きが大き過ぎる、これで十分バランスというものがとれるのかどうなのか、その点はどうなんですか。
#102
○説明員(長田英機君) 先生のおっしゃっておりますのは、エネルギー全体のバランスという意味でございますか。――私どもとしましては、先ほど申し上げましたような需要ということで、それにさらに省エネルギーというようなことも織り込んであの数字で六十五年度のバランスはとれる。ただし、七十五年度は相当先でございますので、これは一つの試算としての数字でございますが、同様にバランスがとれるようになるであろう、こういうように考えておるわけでございます。
#103
○渋谷邦彦君 ただ、いまずっと御答弁になったように、いま政府として考えている計画が進んだ場合に需給のバランスがとれるということなのか、現状のままでいったらバランスがとれないとするのか、その点はどうなんですか。
#104
○説明員(長田英機君) お答え申し上げます。
 これは政策的な努力をしてということでございます。したがいまして、省エネルギー等の努力も相当にしなければいけないという一つの政策努力をして、そういう形で六十五年度のエネルギーの需給バランスをとっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
#105
○渋谷邦彦君 そうなりますと、これから原子力発電所というものは、その時点まで何基ふやさなければならないのか。現状で間に合うということはないんでしょう。間に合うんですか。
#106
○説明員(長田英機君) 先ほど申し上げましたように、昭和六十五年度をとってみますと四千六百万キロワットの規模を実現したいということを目標にしているわけでございます。したがいまして、先ほど科学技術庁の政策課長がお答えになられましたように、現在二十四基、千七百万キロワットですから、これの差額分をこれから達成していって六十五年度において需給バランスがとれる、こういう……
#107
○渋谷邦彦君 ちょっと、あと何基になる。
#108
○説明員(長田英機君) 現在時点の原子力発電所の規模は二十四基、約千七百万キロワットでございます。
#109
○説明員(松井隆君) 現在運転中のものはそういうことでございまして、それ以外にすでに建設中のものあるいは電調審で決定されているものを含めまして、現在四十一基、約三千三百万キロワットが計画としてのっているわけでございます。
#110
○渋谷邦彦君 これからさらに増設の必要があるのかどうなのか。
#111
○説明員(松井隆君) お答えいたします。
 先ほど申しましたように四千六百万キロワットを達成するためには、現在計画が四十一基で約三千三百万キロワットでございますから、その差額分だけ増設しなければなりません。
#112
○渋谷邦彦君 そこで、常に問題になってきているんですけれども、その見込みが立つかどうか。
#113
○説明員(高沢信行君) お答え申し上げます。
 ただいま科学技術庁の方からもお答えがありましたとおり、運転中のものが現在二十四基、千七百万キロワット、それから建設中のもの、建設準備中のものを含めまして四十一基、約三千三百万キロワットでございまして、残り六十五年度までの供給目標の四千六百万キロワットまでにはさらに千三百万キロワットにつきまして、地元の理解と協力を得ながら、電調審を通しまして建設に向けて努力をしていかなければいかぬ、私どもこれは官民あわせて最大限の努力をもってこの目標を何とか達成したい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#114
○渋谷邦彦君 六十五年度を目標にした場合、七十五年度を目標にした場合、いずれにしてもこれから増設をしなければ計画どおり進まないと、こういうことになるわけですが、これはもう何回も議論されてきた問題ではありますけれども、幸い日豪原子力協定の審議をする際に確認することもむだではあるまいというふうに思いますし、これからもますますこの問題が脚光を浴びるというそういうことでもありますからお尋ねをしているわけでありますが、この狭い日本列島に果たしてそういうような設置の場所というものが考えられるのかどうなのか、地域住民の強硬な反対というものが常に絡み合って、その都度作業がおくれてくる。すると、実際に目標に到達するまでには相当ずれ込むのじゃないかという判断も成り立つわけですね。その点についてどんなふうにお考えになっているのか。もう日本列島どこを探してみても、限度をはるかに超しているのじゃないだろうか、地理的に見ても、条件的に見ても、そんなふうに思えてならないわけですけれども、政府としては、いや十分に進めるだけのゆとりがあるという判断に立っているのかどうなのか。
#115
○説明員(高沢信行君) ただいまおっしゃいましたとおり、原子力発電を推進していくためには地元の住民の方々の御理解と御協力というのは不可欠でございます。そういった観点から、私どもも従来からできる限りの努力を行いまして地元の方々の理解を得るような努力をしてきておるわけでございますが、立地可能性の地点につきましては、自然条件それから物理条件を踏まえた可能性のある地点はまだまだ多数あると考えているわけでございまして、通産省としましても立地地域の合意を促進する観点から、これまで進めておりますような電源三法の活用であるとかあるいは広報活動等のPA活動の強化等によって立地の促進をさらに進めてまいりたいと考えているわけでございます。
 さらに将来の立地可能地点を拡大するという観点から、地下立地方式であるとかあるいは海上立地方式等の新立地方式の検討も現在進めておりまして、そういったものを含めて目標達成に努力をしてまいりたいと考えております。
#116
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられた後段の件について、その可能性は十分に考えられるわけですか。
#117
○説明員(高沢信行君) まず地下立地方式につきましては、五十二年度から通産省内部にその専門家から成る委員会を設けまして検討を進めてきております。とりあえず報告書が出ておりますけれども、それによりますと、経済的にも、それから安全性といいますか、そういった点でもかなり可能性が高いという報告を受けておりまして、現在さらに詳細な、実際に地下空洞の中に模擬的な機器を入れまして実証試験に入るべく準備を進めているところでございます。それから海上立地方式につきましては、昨年度から検討を始めたところでございまして、これについても、方向としては可能な方向ではないかと考えておりますが、この点につきましてはまだ確定的にお答えする段階には至っておりません。
#118
○渋谷邦彦君 そういったことが新たに開発が進むとするならば、いま苦労しているような地域住民の了解というようないろんな問題を通じてのトラブルというものは、これはもう事前に避けることができるであろうという大変明るい展望も考えられると思うのですけれども、それが実際に実施できる段階までは相当のやはり期間がかかると見なければなりませんか。
#119
○説明員(高沢信行君) 先ほど申し上げましたとおり、現在地下立地方式につきましてもこれから実証試験を行うという段階でございますので、まだまだこれを実用化するまでにはかなりの時間がかかるということでございます。
#120
○渋谷邦彦君 そうなると、現段階の大きなネックはやはり地域住民の了解を取りつけなければならないという問題が先行いたしますね。いままでやってきていると、いろいろ安全性の問題に絡むそういう危機感という、不安感というものがどうしてもその地域住民の方々の気持ちの中にある。こんなところに持ってきてもらっては困ると、これが大体いままでの反対理由の大きな点であったろうというふうに思いますね。そのためにはやはり認識と理解を深める必要が当然これは常識としてあるわけですけれども、果たしていままで努力をされてきた啓発運動を通じてそれが実際に効果をあらわし得たのかどうなのか。私はその問題については政府側としてやはりもう一遍反省をすべき問題点が相当あるのではなかろうかという感じがするのです。
 それで、あそこに金子さんおられるけれども、おもしろいことをおっしゃっているのですよ。金子さんと向坊さんが対談したのを私読ませてもらいましたよ。原子力委員長さん代理の向坊さんはこうおっしゃっているんですね。短いですから読んでしまった方がいいでしょう。
 原子力のシェアをどれくらい大きくしていくかという問題を慎重に考えねばなりませんが、一つには国民自身の選択によると思うのです。当然ですね、これは。国民が生活水準の向上のために、今までと同じようにエネルギー資源の多消費を指向するなら原子力をもっとやるべきですし、そうでない場合は地道にやるべきでしょう。つまり政府自らの原発推進という方針も大切ですが、最終的には国民が決めることだと思います。きわめて常識的な御発言だろうと思いますね。しかし私は、道理にかなったお考え方ではないかというふうに受けとめました。
 いままでのような、政府の方で計画を立てて、すばっと立てた計画を何とか理解してくれと、こういう行き方がいいのか。最初に地域住民の理解をとって、それを国の一つの政策として吸い上げていくという方法がいいのか。待ち切れないからしてすぱんと上の方からおろしていくみたいな行き方が果たしてこれからまかり通るのか。そこには今度、地域住民のコンセンサスというものが当然必要になってくる。だから事前にそういったような手段、方法というものが幅広く展開される必要があるのではないだろうか。あるいは政府としてはそれは実際におやりになったという御主張をするかもしれませんよ、公開ヒヤリング一つをとってみても。しかし、公開ヒヤリングのあり方自体か、果たしてそれでいいのかどうなのかということも問題がなきにしもあらずだと私は思うんです、たった一日ぐらいでこれで打ち上げだということではね。それともう一つは、そこに参加するであろう方々は専門的な知識を持っている方ばかりとは限らぬ。あるいは感覚的に物を言う立場の人もいるに違いないと思う。それは感覚的に物を言おうと専門的な知識を持った上に立っていろいろとその質疑応答がなされる場合であっても、それに政府側としてはなるほどと、あるいは場合によっては若干の不満は残るけれどもこれはやむを得ないなと、日本の将来の発展のためにはやむを得ないなと、こういう方向に道を開くような取り組みというものがなされてきたかどうか。その辺ここで整理をしてひとつ述べてみていただけませんか。
#121
○説明員(高沢信行君) おっしゃいますとおり、この原子力発電を推進するためには安全性の確保を最前提といたしまして、国民一般のコンセンサスをもとにその地元住民の方々の理解と協力のもとに進めていくということでこれまでも進めてきているわけでございますが、そのためのこれまでの広報活動その他の概略を申し上げますと、まず一般的に原子力の必要性、安全性ということにつまきして、そのパンフレットの作成配布であるとか、あるいはそのPR映画の作製等を通じまして一般国民のその理解の増進に努めてきているわけでございます。さらに個別の原子力の立地地点につきましては、立地の初期の段階におきましてそのパンフレットの作成その他を通じまして積極的な広報活動、さらにその立地地点につきましてはテレビの活用あるいは新聞、パンフレットの発行、そういった措置を通じまして国みずから広報活動をやってきております。さらに同じような活動を地方公共団体にもお願いをしておりまして、そのための必要な広報・安全等対策交付金としてそれに必要な資金を助成をしているわけでございます。
 さらに五十七年度につきましては、より一層地元の方々の理解と協力を得るという観点から次のような制度を創設をしてさらに一層推進に努めたいと考えておりまして、一つが、民間の有識者などを民間機関に登録をしておきまして、地元の要請に応じまして機動的に派遣をしてその地元の方々に御説明をする。私どもこれを原子力エード制度と仮称で呼んでおりますけれども、そういった制度の創設。
 それから二番目が、その地域の地方の自治体の職員であるとか、地域団体の構成員などといった広報活動に直接携わっている方々の研修制度の強化ということが二番目の柱でございます。
 それから三番目は、利用対策重要電源につきましてはさらに一層その広報対策を強化するために重要電源等立地推進対策補助金という制度を新たに五十七年度から創設をいたしまして努力をしようとしているところでございます。今後ともさらに一層そのPA対策につきまして努力を傾けてまいりたいと考えております。
#122
○渋谷邦彦君 つい先日も「もんじゅ」設置の公開ヒヤリングをめぐって反対のデモがありましたね。いまおっしゃるように努力をされているなあということは感じられるんです。それは恐らく地域住民、その辺に住んでいる人が対象になるのだろうと思うんですけれども、これはもっとやっぱり幅広く、いまおっしゃったような資料については、われわれ国会議員全員に恐らく資料もらったことないですよ、たとえばの話。科技特に所属している委員の人とか商工委員会に所属している人はそれはいただいているかもしれません。広く理解を深めるということであるならば、われわれはやはり世論を代表するこの国会に参加をさしていただいているわけですから、そういう一つの方法、手段というものも必要であるまいかなという感じがする。われわれ説得する場合において専門的な、あるいはばっと聞かれてもこうだという説得力のない言い方ですとやはり相手に対して不安感を与える。これは言うまでもない話だというふうに思いますね。ともあれそういう問題がとにかく高速増殖炉の設置をめぐっても問題が起こる。またほかにここに設置しますよというと、またそういう問題が起こる。なかなかその地域住民の理解が得られない。どこに原因があると思いますか。
#123
○説明員(高沢信行君) なかなか原子力というのは日本国民の特殊な体験といいますか、に基づく一般的な漠然とした不安感というのは非常に根底に強いのじゃないかというふうに考えておりまして、そういったことをなくすように私どももできるだけ努力をしていかなければいかぬと思っておりますので、先ほど申し上げたような各種の措置を通じまして、国、地方公共団体にもお願いをしまして、それからまた電力会社の努力はもちろんのことですが、官民挙げてできるだけ御理解いただくような方向で努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
#124
○渋谷邦彦君 これからも努力をされるのでしょうし、また努力をしていただかなければ困るわけなんですけれども、たとえば一つの突破口になり得るかどうかはわかりませんけれども、公開ヒヤリングの持ち方ですね、これをもう一遍改めて検討してみる必要があるのじゃないでしょうか。何百人という大きな升の中に人を入れて、そこで質疑応答してそれでおしまいと、これじゃ実りがないと思うんですね。たとえば五日間とか一週間ぐらい時間をかけて分科会もやってみるとか、それは反対する人はどこまでも反対するかもしれませんよ。しかし、総体的に見て、最大公約数として賛成論者が出てくるかもしれない、可能性があるかもしれない。そういうようなことを十分やって、いままでやってきたのと同じようなパターンでもってやるのじゃなくて、それをどうすれば一体新たな認識と理解が得られるかというためには、そういった同じ努力をするにしても、具体性のある実行可能な問題にまず最初お取り組みになることも啓発運動の一環として非常に重要だというふうに私は思うんですが、その点はどうですか。
#125
○説明員(高沢信行君) 公開ヒヤリングにつきましては、開催の地元からもいろいろと御要望を寄せられておりまして、私どももその中でできるだけ御要望に沿うかっこうでこれまでも運営の改善に努めてきたわけでございますが、今後とも地元の方々の御意見をよく聞きながら、できるだけ実効が上がる形で開催するように努めていきたいと考えております。
#126
○渋谷邦彦君 まあ、やりますというふうに言われればそれ以上のことは聞けないんですが、明確にやっぱりスケジュールを組んで、何もあそこの敦賀だけじゃないわけですから、これからもいろいろな地域があるわけですし、いままでの豊富な経験を駆使しながら、どこをどうすれば道が開けるのかということは、私があえてここで御質問申し上げずとも十分それは方向として考えておられるだろうというふうに思うんです。ただ、それが具体的に展開しませんと、常にそこにいろんな問題が絡みついて、やっぱり不安感というものがマスコミを通して、あれまでに反対されれば、うちあたりに持ってきてもらっちゃ困ると、今度はほかの地域までそれが連動するという波及効果があります。これは日本だけじゃないと思うんです。事故があったりした場合には、スリーマイルあたりで起こった事故だってすぐ日本に反応する。ヨーロッパあたりで起こる問題もすぐ反応する。逆に日本である場合も諸外国に反応するということで、この原発についてはそれだけ非常に関心を世界じゅうの国民が持っているという背景がありますだけに、これは慎重に取り組む必要があるのではないかなというふうに思うわけです。
 そこで、これはいつも問題になることですが、安全性がどうかこうかという問題、あるいは再処理の問題がどうかこうかという。なかんずく再処理の問題がこれから非常にクローズアップされてくるのじゃないかというふうに思うんですね。手間がかかるようなことをいま日本はやっているわけですね、はっきり申し上げると。英国やフランスやなんかに委託をしてやらなければならぬという問題。場合によると二重三重にその問題が絡み合って、最終的には結局高いものについてしまうのじゃないかというそういう心配がある。今後再処理の問題については、いま東海村でも若干ではありましょうけれどもやっているようですが、再処理についてたとえば韓国あたりでは地域再処理センターなんかを設けて、これから推進をするのだというようなことも発言をされているようでありますし、日本のみならずこの問題については非常に重大な関心がある点であろうというふうに思うわけですが、この再処理問題はどういうふうに考えていますか。
#127
○説明員(長田英機君) 使用済み燃料の再処理の問題でございますけれども、現在先生御指摘のように動燃事業団の第一工場と申しますか、東海の再処理工場で再処理がなされ、それ以外のものは英仏に持っていっているわけでございます。しかしながら、私どもとしてはいろいろな再処理問題ということに対処するために、使用済み燃料は再処理を行うという基本的な考え方に立ちまして、大体一九九〇年ごろを一つの目途といたしまして、国内に第二再処理工場を商業工場としてつくるということを考えているわけでございます。このような工場を建設することによりまして、自主的な核燃料サイクルの確立を図るというふうに考えているわけでございます。
#128
○渋谷邦彦君 一九九〇年代あたりには日本ですべて再処理ができるという方向になるのですか。
#129
○説明員(長田英機君) この点につきましては、一九九〇年につくる工場の規模、そういうこととも関連いたしてくる事項でございまして、その時点において国内の工場において全量再処理ができるというふうには、いまの段階でははっきり断定はできないと思います。ただ、国内に第二再処理工場をつくるということで、これでかなりの部分をカバーするなりいたしまして、そしてまたさらに一九九〇年以降需要が伸びていくという段階になりますと、また再度第三番目の工場が必要だろう、海外に委託をする、そういうような事情は出てまいります。
#130
○渋谷邦彦君 今回の改正について、長期包括事前同意というものが日本とオーストラリアとの間に交わされるわけですけれども、しかし一方においては、そのためにはまたアメリカだとかカナダの同意を得る必要が出てくるのではないかという問題もあるのではないかというふうに考えられるのですが、その辺は円滑に推進できるのですか。
#131
○政府委員(宇川秀幸君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、豪州との関係で問題が成立してもカナダとアメリカとの関係は残ります。現状であれば個別に同意を得ていくというスタイルになりますし、現在までのところ個別ではございましたけれども、それでストップがかかったとか拒否をされたということでは必ずしもなかった。ただし、やり方としては日本に関する限り包括同意の態勢を全面的にとる、あるいはとりたいということで、アメリカ、カナダともすでに話を進めております。豪州との取り決めを一つの先例といたしまして、そういう形でぜひ処理してまいりたいというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕
#132
○渋谷邦彦君 今回の改正協定を通じて、摩擦といった方がいいのかトラブルといった方がいいのか、そういう懸念は起きませんか。アメリカ、カナダあるいはイギリス、フランス。
#133
○政府委員(宇川秀幸君) 必ずしも御質問の趣旨がはっきり理解できなかったのですが、豪州との関係においては非常に細目の積み上げというのを要しまして、そういう作業は必要であったわけでございます。カナダとアメリカにつきましてはすでに話を始めておりまして、カナダについてはかなりの進展を得つつあるというのが私どもの心証でございます。アメリカについてはかなりの詰めを要すると思いますけれども、詰めいかんでは豪州を一つの前例とした態勢に入り得るものと期待いたしております。英仏について言及ございました現在の英国、フランスとの協定の上では、特に支障がこの面ではございませんので、直ちに改正の協定交渉等に入るということを予定しておりません。
#134
○渋谷邦彦君 次に、廃棄物処理の問題、これがこれから大変大きな問題になるだろうというふうに思えるわけです。先般も、同僚委員からこの点についての指摘を通じて政府側の考え方が披瀝されました。恐らく、海洋投棄なんかも含めてこれから量的にも急速にこれがふえるであろう。その都度、日本のみならず外国においても大変な抵抗が起きる気配もいまあるようであります。
 将来この問題というのはどんなふうに整理されていかなければならない問題なのか。加速度的に原発がふえることによって、ふえるのは当然なんですから。北海道の一地域でこれがいま考えられているようであります。しかし、それだってマキシマムはもう決まっているわけですから限度というものが当然あるわけです。一体その先はどうなっていくのだろうという、ささやかながらそういう疑問が出てくるのも当然だろうと思いますが。廃棄物の処理についてはどんなふうに今後の展望を持っていらっしゃいますか。
#135
○説明員(坂内富士男君) お答えいたします。
 廃棄物の処理問題につきましては先生御指摘のように、原子力発電を行うに当たっての非常に重要な一つの問題でございます。
 それで、原子力委員会では五十一年の十月に廃棄物対策の基本的な方針を定めておりまして、それによりますと、まず、原子力発電所等から出てまいります低レベル放射性廃棄物でございますが、これにつきましては、陸地の処分、海洋の処分、これをあわせ行うということになっております。それから、いわゆる再処理施設から出てまいります高レベル放射性廃棄物、これにつきましては、最終的にはいわゆる地層処分といいますか、こういった方針で研究開発を行う、概略こういった基本方針がございます。
 それで、まず低レベルの問題でございますが、原子力発電所等その他原子力施設から出てまいりますもので、非常に数多くのドラム缶が原子力施設にいま貯蔵されておるわけですけれども、これが、現在の発電の規模あるいは研究開発等の規模を考えますと、処理技術あるいは処分技術、そういったものの改善ということも十分考慮した上でも、なおかつ二〇〇〇年の時点で累計で百八十万本程度になるであろうというふうに予測されております。そういった本数について、今後どうするかというお話になるわけでございますが、これにつきましては先ほどの原子力委員会の基本的な考え方、つまり陸地処分、海洋処分でもってこれを措置するということになるわけでございます。
 それから、最近、施設貯蔵というふうに言っておりますが原子力発電所外の場所にドラム缶を、低レベル放射性廃棄物を集中的に貯蔵するといった考え方も出ておりまして、そういったことを合わせまして、低レベル問題に今後とも対処していくということになります。それから一方、高レベルでございますが、この廃棄物はまだ相当先の話でございまして、つまり民間再処理工場の本格的な稼働、この辺の時点を踏まえて数多く出てまいるということでございますし、まだ少し時間がございます。それで、そういった時間のある間に十分にガラス固化という処理をやるわけですが、こういった一連の研究開発、それから、どういったところに安全に処分できるかといった地層関係の研究開発、こういったことを今後進めていくというふうな計画を持っておるわけでございます。
#136
○渋谷邦彦君 計画としてはそうでしょうけれども、先ほど申し上げたように、国土の狭い日本で陸上処分というものはもう限界が来るであろう。当然それも予測しながら考えていく必要があるだろうということが一つ。
 それからもう一つは、海洋投棄についてもいまどういう地点を予定しているのか。そういう地点で特に外国との絡みの中で了解というものが得られるような状況にあるのかどうなのか、その点どうなっていますか。
#137
○説明員(坂内富士男君) まず陸の方の処分のことに関する日本の国土が非常に狭いということに関してのお尋ねでございますが、低レベル放射性廃棄物、また高レベル放射性廃棄物、この辺私ども二千何十年に至るどのくらいの一体スペースが必要かという試算をやってございますが、ちょっときょう手元に資料がございませんが、スペース的にはそう大きなスペースを必要としないということでございまして、敷地的には、低レベル及び高レベル、十分に確保できるものというふうに思っております。
 それから海洋処分の問題でございますが、これは当然のことながら内外の関係者の理解を得まして実施する。理解を得ることに今後とも最大の努力を払っていくと、こういうことでございます。
#138
○渋谷邦彦君 どういう地点を想定していますか、海洋投棄については。
#139
○説明員(坂内富士男君) 現在この海洋処分の投棄の予定の場所といたしましては、北緯三十度、東経百四十七度、深さ約六千メートルの海域、これは調査地点のいろいろな調査をやったところの一つでございまして、通称B海域と呼んでおりますが、これがこのIAEAの国際基準等を満たしておるということで、またなおかつ、他国に比べて日本に最も近いということでここが投棄予定地点となっております。
#140
○渋谷邦彦君 この問題はもっともっと細かくやりたいのですけれども、もう大分時間が経過しておりますので、原子力そのものについては一つの締めくくりとして、これは外務省の答弁を必要とするのだろうと思いますが、豪州のウラン濃縮事業計画をめぐって昨年末だったでしょうか、これはURENCOとの間において協定が成立したのですか、日本としては結局動燃がそれに参画できなかったという何か経過があったようですが、しかし豪州側としては資金面か何かでもって日本に協力を要請したいというようなことが伝えられております。この辺の経過と現状というものはどうなっているか御説明ください。
#141
○説明員(坂内富士男君) 俗に言う日豪濃縮ウラン問題でございますが、経過的には非常に長い御説明になってしまいますので、最近の状態といいますか現状といいますか、それを簡単に御説明したいと思います。
 豪州としましては、ウランの鉱石という形ではなくウランをできるだけ付加価値を高めるといった形での輸出、つまり、濃縮ウランにして輸出をしたいという希望を持っておりまして、その技術を日本を含むURENCOそれからアメリカ、そういったところから入手して濃縮をやろうと、こういった計画でございます。これにつきましては日本では民間が中心となりまして、ウラン濃縮の調査委員会というふうなことでお話を豪州側とやっておりまして、具体的にはまだいま先生のおっしゃったような形でのいわゆる資金問題がどうであるとか、市場問題がどうであるとか、そういったことについての具体的な突っ込んだ話し合いはまだなされておらない段階でございます。
#142
○渋谷邦彦君 協力が要請される可能性というものは考えられますか。
#143
○説明員(坂内富士男君) はい。先生の御指摘のとおり、わが国では遠心分離法によりまして動力炉・核燃料開発事業団が従来相当いい技術を開発しておりますし、日本はいわゆる原子力発電所等の、先ほどから出ておりますが、濃縮ウランの需要が非常に高い国であるということから、日本がそのパートナーとなるということは豪州側にとっても非常に望ましいのではないかというふうに私どもからは見えますし、豪州側はその辺のいろいろな事情、各国の事情も勘案した形でこの計画をどういうふうに今後進めていくかということを検討しているというふうに聞いております。
#144
○渋谷邦彦君 それじゃ、条約の方は一応ここでとどめておきまして、外務大臣、お待たせしました。
 まず最初に、午前中の質疑におきまして軍縮を通じてのやりとりをさしていただきました。その中で、国連の平和維持機能の強化拡充というようなことも日本側の考え方の一つとして提言をされているわけであります。確かにそのとおりだと思います。ただ、その前段に立って考えてみた場合、この国連それ自体の機能というものがきわめて脆弱ではなかろうかという、これは何回か私もこの委員会を通じて申し上げてきたわけであります。それは、いろんな阻害要因というものがあるであろうというふうに思います。拒否権の発動というものもございましょうし、あるいは国連自体の運営に資するための費用というものが果たして十分であるかどうかという問題もあろうかというふうに判断されるわけであります。平和ということを大前提にして考えてみた場合に、国連がやはり機能的な働きをしなければならないという要請がこれから非常に高まるであろうし、また、それを期待したいというのが日本のみならず、各国においてもそういう願望が寄せられるであろうと思う。
 そこで、その国連の機能というものは現状でいいのか、いいと思っている人は私はないと思うんですね。それを強化するためにはどういう一体手だてが、あるいは日本としてどういう役割りを持って、そういった問題についての責任が果たせるかどうか、その辺は櫻内さんとしてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずそこからお伺いしたいと思います。
#145
○国務大臣(櫻内義雄君) 午前中ただいまの御趣旨の御質問がございまして、若干のお答えをした記憶がございますが、国連の平和維持機能の強化拡充、これは考えてみますと、国際紛争の予防、紛争の平和的解決及び平和維持について、国連として果たし得る役割りを、そういうことを強化拡充することにあるのではないか。
 そこで、世界全体あるいは各地域の軍事情勢をしっかり把握して、その実態を適宜公表する、こういう情勢になっているというふうなことを明確にする機構の設立、そういうようなものの可能性というものを考える必要があるのじゃないか。それから国連の事実調査機能の強化についてその方策を探求する。また、国連が国際紛争に臨機に対応し得るような各国における国連平和維持活動への協力体制の対応というようなこと。それから、平和維持活動に関する国連による研修計画、こういうようなことが重要ではないか。現実に、いま国連が持っておる平和維持機能として、国連平和維持軍あるいは国連監視団というようなもの、これが適宜いろいろな紛争あるいは紛争後の措置としてとられておるところでありますが、そういうこととともに、いま申し上げたようなことをもう一つ考えていく必要がある、こんなふうに思います。
#146
○渋谷邦彦君 結論から申し上げれば、現在の国連のありようについては、これで十分とは言えないのはだれしもが認めるところである。非常にむずかしい問題がいろいろあるだろうというふうには判断できるのですけれども、あえて言うならば、いま世界の趨勢というのは米ソ二大陣営によって支配されている、こういうふうに申し上げてもいいくらいに、国連というのはもう反面考えると一体何であるのかというふうな感じを非常に深くするわけですね。恐らく外務大臣としてもそんなふうにお感じになるのじゃないかと思うのです。したがって、これから日本が果たし得る役割りとして国連そのものを強化するためには、どんないまお考え方を持っていますかというのが質問の趣旨であったわけです。いかがでしょう。
#147
○国務大臣(櫻内義雄君) いま二大超大国、この米ソが真剣に軍縮に取り組んでいって成果を上げてもらえば一番いいのじゃないかと思うわけで、そういう点からすれば現在、中距離核戦力の削減交渉とか、戦域核兵器の削減の交渉をやっておる。よくわれわれが言う、そういう二大国がよく話し合って、双方で低いレベルに到達するように積極的にやってもらえばそれなりの効果があると思うんですね。
 それから、そういう軍縮措置を十分確保し得るためにはどうかということになると、検証措置というものが非常に重要ではないか。もう一つ、核実験が一向にやまないで盛んにやられるわけですが、われわれが言っておる核実験の禁止ということをぜひ実現してもらいたい。さらには、地下核実験のようなものが引き続き行われる、こういうようなときには国際的地震探知制度をもっと確立したらどうか。この軍縮のために二大国が進んでとってもらうこと、あるいは国連にその機能を与えるとするなら、いま言うような検証機関とか探知制度とか、そういうようなものが相まって効果が上がり得るようにしていくべきではないかと思います。
#148
○渋谷邦彦君 次に、一昨日ですか、レーガン大統領の所信の演説の一端がありましたね、コロンビアの到着に相まって。今後米軍の宇宙政策というものは軍事優先にするのだと、非常にどぎもを抜かれるような発言がなされたという点について、どんなふうにお感じになりますか。もう軍拡にエスカレートする一方じゃないかという印象をぬぐい切れないわけです。
#149
○国務大臣(櫻内義雄君) この大統領の発表した宇宙政策は、御承知のようなスペースシャトルの実験が何回か行われて、これで今後は実用段階に移行するのだと、そういう前提から、大統領は宇宙開発が米国の経済的利益と科学研究の進展を確保する上で重要な役割りを果たすことを確認して、さらにいま御指摘の国家安全保障上の目的にも資することができる、こう言われたものだと思うんです。したがって、安全保障上の目的のために宇宙活動を行うのだとというそのことが直ちに、おっしゃるような軍拡を意味するというふうにとるということはどうかなと。これは新聞などの報道ぶりは非常に軍拡の印象を与えるような報道でありますけれども、内容的に申し上げますならばいま私の申し上げることも重要な点であったと、こう思います。
#150
○渋谷邦彦君 その真意というものがなかなか正確に伝わらない場合もあるようで、また受けとめ方の方の判断というものもまちまちであるという場合もあるかもしれません。しかし、いま答弁された中に、安全保障ということを裏返しにして考えた場合、その安全保障それ自体はやはりこれからの軍事バランスというものによらざるを得ないということになりますと、これは必然的にまた軍拡への新しい道を開くということに引き金を引くみたいなかっこうになるのではないかという心配があるわけです。その辺は全く現状としてはないというふうな御判断に立つわけでしょうか。
#151
○国務大臣(櫻内義雄君) これは相手国の衛星破壊能力について、アメリカが具体的にどういうことを考えておるのか、これが判然としません。それで、いま宇宙において果たして軍備に類するものがどのような実態になっておるのか。ソ連、アメリカいろいろ思惑があってやっていることでございましょうが、しかし具体的にアメリカがこういうものを目標にしてそれが軍備の一環で、それを破壊するのだというようなふうに言っておるとは思えないので、安全保障上考えられるという先ほど申し上げたような範囲ではないかと、こう思うのですが、もう一つ明白でないですね。
#152
○渋谷邦彦君 これは若干時間をかけて今後の推移を見なければ、あるいは櫻内さんとしても明確な回答はできないかもしれません。
 この問題はさておきまして、あと時間がありませんので、二つはしょって申し上げたいと思います。
 一つはアメリカの対ソ経済制裁、これがいろいろと日本の場合も影響してサハリンの共同計画が先行き見通しが全く立たないのではないかという問題が一つ。これに対して政府としてはどういうふうにこれから取り組まざるを得ないのか。
 それからもう一つは、難民の問題について、たまたま私が質問通告したその晩にたしか行管庁から意見が出されて、窓口としての外務省が基本的に今後の方針というものを立てなければならぬじゃないかというようなことが出たようであります。もういま依然として、ふえこそすれ決して減ってはいません。レバノンのように難民が難民をつくっているという問題があります。それは日本に難民を引き入れるという、そして日本で定住させるという問題もさることながらそれじゃとてもしょい切れません。むしろ難民地帯に今後日本政府として基本的な方針を貫いて難民救済のちめにもつと具体的に一つの方針として打ち出す必要は当然あろうかというふうに思います。この二点をまず伺っておきます。
#153
○国務大臣(櫻内義雄君) サハリンの石油開発プロジェクトの問題は、御承知のようなアメリカのライセンスが出ない、アメリカの技術の使用ができない、こういうことから非常に大きな影響を受けるので、本年度の事業をどうするかという大変重大な段階を迎えたのでありますが、ただこの会社の今里会長のソ連での交渉ぶりを見ますと、現状において開発のやり得る面があると、こういうことでことし曲がりなりに事業を継続する方向でいろいろ話し合っておるようでございます。アメリカのとった措置が直接日本に大きな影響を与えることで、米側に対する再考を求めておりますけれども、同時に制限された中で何とか事業を継続するように努めようと、こういう努力を続けておるわけでございます。
 いま申し上げましたのはちょっと訂正いたしますが、今里会長が一回行かれ、今度行かれたのは小林社長でございます。
 それから難民について行管の監査報告というのが出まして、きょうの閣議で中曽根管理庁長官から、難民の現状から日本のとるべき対策についていろいろ報告があった次第でございます。ただいまお話のあったように昨年、ことしと比較しますと、いわゆるボートピープルが倍ぐらいにふえておる、そして従来でありますと、日本に到達して一時収容しておるその後に難民のそれぞれの個人の意思で第三国へ向けて収容されると、こういう経緯にあったのが、このごろ希望先の国々が引き受けない。そうなりますと、日本に一時到達しておるという者が長期間滞留をするというようなことから、現在、民間のボランティア活動によって彼らが語学の習得をし、また将来身を立てるための就職の上の技術の会得をするというようなことが行われておったのでありますが、これがただ当てもなく収容をしていかなければならないというようなことで、しかしそれはそれでやはり対策を立ててやらなければならぬというようなことで、大変難民対策の前途が憂慮されるわけでございまして、今度の勧告の全体を流れておるものはそういうことであるので、関係各省庁が恒久的な対策も考えてもらいたい、あるいは一時収容にしてもすでにパンク状況にあるので、これに対する応急の対策を講じてもらいたい、こういうようなことでありますが、難民のそういう事態に対しての対策が一つと、それからもう一つはそういう難民を出すような国際環境というものをどうしていくか。現在主としてベトナム関係の難民が多いようでありますが、インドシナの恒久的な平和安定により、難民の出ることを何とか防ぐ必要があるのじゃないかと思います。
#154
○渋谷邦彦君 この問題はまた改めて時間をかけてさらに政府の考え方をお尋ねしたいと思います。
 最後に、先ほどのサハリンの開発計画について、現状としてアメリカ側の了解を取りつけることが非常に困難な事態がこれからも続くのかどうなのか、その可能性は全くもう絶望的なのかどうなのか。ソビエトがいまおっしゃったように継続していく面もあるという、それでソビエト側は納得するのかどうなのか、この点について最後にお尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。
#155
○国務大臣(櫻内義雄君) この問題については、当初来日本としては、まさかアメリカが日本に対して大きな影響を与えるもの、対ソ制裁ということがそうでなく日本に対する制裁のごとき問題であるので、そういうことのないようにということを申してまいりましたので、そんなことはあるまいという期待感が外れまして、事の性質は違いますが、石油ガスに対してはアメリカは厳しい制裁措置をとると、こういうことでヤンブルグのパイプラインとサハリンの石油開発が同時にストップさせられたと。こういうことで日本としては、いやサハリンの問題はヤンブルグとは違うぞということをるる申しておったわけでありますが、その交渉相手であったヘイグ長官もシュルツ長官に近く交代するわけで、非常に前途が暗いわけでありますけれども、しかし引き続いて再考を促していきたいと思います。
   〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕
 それから、ソ連側の本年度の措置ということは、明年度以降の保証というものを要求しておる内容であったと思いますので、その辺は会社の首脳者がどういう判断に立ったのか、向こうからの連絡からみますと、そういう保証がなければことしについてもなかなかむずかしいような経緯にございましたけれども、この辺のところは恐らく話し合いをつけてやるのだと思いますが、本年事業が継続されたとしても、明年度以降のことについてはやはりアメリカのライセンスの必要が絶対にあると、こう思います。
#156
○立木洋君 大臣にいろいろお尋ねする機会がしばらくの間なかったものですから、きょう協定の審議に先立って二、三の問題をお尋ねさしていただきたいと思います。
 一つは対韓援助の問題ですが、先日外相会談をなさっておられるわけですが、あれは六月の二十二日ですね、韓国の方から新しい提案がなされてきたら外務省の首脳の方では、検討にも値しないというふうにたしかおっしゃったのではないかと思うんですが、その後急遽会談を行うようになった。そして、対韓援助の問題で話し合いをなさったということは、韓国の新しい提案というものが検討に値しないというふうに言っていたのが、新提案に対する評価が変わったから話し合いをなさったのか、あるいは新提案そのものについての評価は変わらないが、やはり話し合っておく必要があるということで話し合ったのか、そのあたりはいかがだったでしょうか。
#157
○国務大臣(櫻内義雄君) 六月二十二日の新外務長官の考え方、これがソウルの前田大使に伝えられて混乱をいたしました。これが新聞報道もいろいろしておりますが、何か提案があったとか、それについては検討の余地もないとかいろいろなふうに書かれておりますが、実態は新長官がいろいろと御自分の考え方を示して、それに対して前田大使が、従来の日本のとってきた措置について経過とか内容とかいろいろ申し上げて、なかなか李新長官の言われるようなわけにいかないということを申し上げたのであるが、そのときにこういう考え方は日本の方へも伝えてほしいと、こういうことであったのですね。そこで、そういう考え方について外務省の方へも経緯とともに知らされてまいりました。そこで、現実には四月に外務省の柳谷審議官が持ってまいりました内容からいうと、検討もする必要もないような内容ではないかと判断されましたけれども、せっかくの新長官が言われていることでありますので、よく省内で検討してみたらどうかと、こういう経緯のことがあったわけであります。
 そして今回の李長官の訪日というのは、アメリカへおいでになるということで、隣国の韓国と日本の外務大臣が、私が更迭以来先方の外務大臣とも会っていないわけですね。今度の新長官も同じようなことで会ってはどうかと。したがって、お帰りがけによければお寄り願えないかということを私が申し上げたわけであります。これには別に皆さんの御関心のある経済協力という問題以外に、両国の間にはいろいろ問題があるわけです。石油の共同開発とか、漁業の問題とか、あるいは麻薬の取り締まりとかいろいろなことがある。ですから、機会があれば両国の大臣が会談をするという必要があるんじゃないかと、こういうことでお寄りになったらどうですかということにこたえて来日をされたと、こういう経韓です。
#158
○立木洋君 会談の中身で、たとえば北からの脅威だとか、韓国の安保情勢だとか、そういうふうなこともいろいろお話し合いになったのでしょうか。話し合ったとされたらどういう内容か、ちょっと御説明ください。
#159
○国務大臣(櫻内義雄君) いま申し上げたような経韓でありますから、久しぶりに、恐らく一年ぶりぐらいに両国の外務の責任者が顔を会わすのでありますから、そこで昨日は午前午後国際情勢、二国間問題、一通りずっとお話し合いをすると、そういうことでございました。
#160
○立木洋君 それで、いままで大臣にも何回かこの対韓援助の問題でお尋ねしました。これは私は反対ですけれども、しかし政府の立場としていままで幾つかのやはり制約がある。一つは、安保絡みということではやらないということが一つでしたね。それからもう一つは、総枠交渉ということもしない。それから商品借款はだめである。さらには、今度輸銀の問題についても、この貸し付けはその諸原則に従ってやるのだというふうなことが述べられておりますが、今回の話し合いの経韓を通じてもこの立場が微動だに変わりないのか、あるいは何らかの変化があったのか。その辺は大臣、いかがでしょうか。
#161
○国務大臣(櫻内義雄君) 従来国会での御質問にお答えしておることと変わっておりません。むしろ、情勢は厳しくなっておると思うんですね。外務省がぎりぎりの線だと言って柳谷外務審議官がソウルで話されたそのことは変わってはおりませんけれども、今回の会談の中で経済協力問題に触れた際、四月に日本側がいろいろ申し上げた当時は、日本の昭和五十六年度の歳入欠陥が三兆近いものが出ておるというようなことは予想もされなかったところです。また、そういうことに伴って、補正予算あるいは政府の考えておる公債の発行をできるだけ減らしたいということもなかなかむずかしくて、日本の公債発行が膨大なものであるというようなこと、そのようなことは情勢の変化として申し上げたりいたしまして、いままで申し上げたところがぎりぎりのところであるということを強調したわけでございます。ただ先方の言い方としては、今度のこの話し合いの中で非常にはっきりしておりましたのは、六十億ドルというようなふうに言われておったけれどもその総枠については検討したい。また、金利の面についても日本の言われておる金利水準の中で考えてみたいというようなふうに、従来伝えられておることとは内容的には非常に緩和されたことを言われました。
 それらのことも、せっかく御招待をしたお客様のことでありますから、そういう話はよくまたわれわれも検討しましょうというようなことできのうは話は終わっておりますが、双方の考え方は相当懸隔がございますし、また日本側の従来の考え方、いま何点かお挙げになりましたが、そういうようなことをこの際変更して話し合いをしようという、そういう考えはいまございません。
#162
○立木洋君 木内さん、局長が衆議院で御答弁なさったのを聞いたのですが、外務大臣は商品援助の問題についてはこれはできない。局長は、それはそうだけれども、プロジェクトの内資補てんについては商品援助ということも考えられないわけではないというふうな趣旨のことを述べられている。しかし商品借款は御承知のようにアンタイドだし、内資の原則からいえば、これはタイドローンだということになっているわけで、前回もお尋ねしたとき八号ローンが適用されるのかと言ったら、いやそれはございませんというふうなお答えであった。そうすると、この輸銀の融資の問題ですね、これがタイドローンであるのに、もしか内資の補てんをそれで行うことができるというようなことになると、これはやはり原則的に見て、諸原則に従って行われるという政府の立場から見るといささか抵触するのではないか、この辺の局長の発言の内意をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#163
○政府委員(木内昭胤君) 円借款による商品援助がむずかしいということは大臣の御答弁のとおりでございまして、私どももそのように考えております。ただし、円借款によりまして手がけられるプロジェクト援助そのものにつきましては、一割ないし三割ぐらいローカルコストをどうめんどうを見るという慣行がございます。したがいまして、どのようなプロジェクトを手がけられるのかまだはっきりいたしておりませんが、具体的な段階になりまして理論的な可能性としてはそういう道が残されておるわけでございます。そのようなことをやるかどうかは、これはそのプロジェクトをしさいに検討しなければ結論的には申し上げられないわけですが、理論的な可能性としてあるということは、先般の衆議院外務委員会、それから予算委員会の分科会におきましてもそのような御答弁を申し上げた経韓がございます。
 それから輸銀につきましてはいろいろな方法があるわけでございますが、ただいま立木委員御指摘の八号ローンというものは現実には資源絡みの事業に対する融資でございまして、韓国の場合にはそのような事業というものがないわけでございます。卑近な例といたしましては中国の渤海湾における石油の開発事業あるいは中国大陸における石炭の開発にこの八号ローンというものを使用いたしておるわけですが、韓国の場合にはこの八号ローンというものは現実の問題として考えられないと思っております。
#164
○立木洋君 この内資補てんの分についての商品援助という問題が一割から三割できるというのは、日本の国として、原則として認められているわけですか、対外向けに行う援助としては。
#165
○政府委員(木内昭胤君) これはOECDの場におきましても、国際的に一割ないし三割ぐらいを限度といたしまして内資のめんどうを見ることが一つの慣行になっております。たとえば、その国における労務費であるとか、あるいはその国で国産で調達できる資機材、これにつきましては部分的に認められておるのは明らかな慣行でございます。
#166
○立木洋君 その問題についてもう少しお尋ねしたいんですが、ほかの問題もあるので、どうも私の考えではその商品援助という形態で行われると、それが結局国内で売りさばいて、その資金がどう活用されるかというのはなかなか見にくいという問題があって、どうも商品借款の形を変えた問題になっていく可能性が大きいのではないかというふうな疑問もあるのですが、これは引き続いて今後、協議を継続するということになっておるので、もう少し時点を見てまたお尋ねをしたいと思います。
 次に、六月三十日に期限が切れましたあの民間の日本と朝鮮との漁業協定の問題ですが、これは非常に漁民の人たちにしてみれば、いままで五年間、二百海里が朝鮮民主主義人民共和国の方で制定されてから、その枠内でも漁をすることができると、マスだとかイカだとかカニだとか、多いときでは百三十億ですか、少ないときでも五十億円ぐらいの収穫があった。それが今後一切できなくなった。いまちょうどイカの最盛期で、イカ漁に出ているのが全部引き揚げて非常に大打撃だというふうなことも漁民の人たちが言っているわけですね。マスは来年どうするかという問題に今度なってくるだろうと思うんですが、ちょうどあそこは大変むずかしい海域で、あそこで今後マスをとって北上すると、どんどん追っかけていってまた二百海里の中に入ってどうだこうだと非常にいろいろ問題が複雑になる危険性というのがたくさんあると思うんですよ。大臣も地元の漁民の方からいろいろ、お国ですからお聞きになっているかもしれませんけれども、これはやはり漁民が漁ができるようにやるというためには、朝鮮の方からその問題で交渉したいというふうな場合には、やっぱり受け入れてやって、そういう交渉が進められるようにしてやるというふうなことが私はよかったのではないか。いまさら言ってもあれですけれども、しかし、こういう事態が長引くと今後漁民にとっても非常に大きな打撃になるし、さっき言ったような新たな問題が誘発されかねないという事態があるので、この点について今後どうなさるおつもりなのか、大臣の御所見だけこの点は一点伺っておきたいと思います。
#167
○国務大臣(櫻内義雄君) 言うまでもないことですが、日本と北朝鮮の間に国交を持っておらないのでありますから、従来北朝鮮の好意によって民間団体代表との間で漁業の話し合いが行われ、継続されてきたと、こういうことで、そういうことが損なわれないように、できるだけの配慮をするというのが政府としての立場であったと思うのであります。そして過去の事例からいたしますと、大体継続の場合、平壌へ行って話が行われて、幸いここ四、五年ずっと継続されたと、こういうことで、今回も五月の下旬ぐらいの情勢では日朝議連の久野会長が向こうへ行かれてこの継続については継続と。しかしその際、日本側が北朝鮮の代表団を受け入れるかどうかと、そういう御相談がございまして、何か漁業の関係の実務者の代表がおいでになるということで、それは結構でしょうと、それからまた、別途大型な使節団を迎え入れると、こういうことでありますから、それはどうぞ時期であるとか目的であるとか人数であるとか、いろいろ具体的に御相談があれば、そのときに政府としてはビザを出すとかということについてよく話し合いましょうと、こういうことでありましたけれども、残念ながら今回平壌における話し合いはされないで、そして三十日の期限が来てしまったと。本当に残念なことであります。
 また同時に、当時北朝鮮側から日本の漁船の操業のあり方について相当厳しい報道が何回か行われました。許可された経済水域外に入っての漁が行われ、そのために拿捕されるというようなことが何回か繰り返されて警告も受けておったわけですね。そういうようなことが絡みながら、とうとう失効をするということで、残念なことでありますが、今後におきまして代表団は受け入れるかどうかということが先般来お話がございますので、それはその際具体的な計画によって御相談しましょうと、こういうお答えをしておるわけでございます。
#168
○立木洋君 私も日朝議連に加盟しているので、去年の時点では、来年の三月ごろ今度は東京でその漁業継続の問題を話し合いましょう。七八年、それから八〇年、二回二年間延長してきたわけで、今度八二年は東京でお話し合いしましょうというふうな経緯になっておったのが、入ることができなかったというふうな問題があるので、ひとつ漁民の問題としても重要な問題ですから、大臣もよく御検討いただいて、前向きに処置していただけるように要望しておきたいというふうに思います。
 それから次に、最近のレバノン情勢なんですが、これは非常に毎日の情報を聞いていて胸の痛む思いがするわけですね。依然としてイスラエルによる攻撃が拡大されておりますし、あそこの空港も攻撃されたということもけさの報道でなされておりました。そして、連日のように戦闘によって人々が殺されておるという中東の情勢。これに対して大臣も何回か記者会見で発言されたり談話を述べられておるのは見さしていただいておりますけれども、こういう状態が依然として継続するというふうなことになると、このレバノンに対する侵攻、イスラエルによる侵略的な行為がますます広がっていくというふうな状態、そしてパレスチナ人のいわゆる全滅をねらうだとかというふうなことまで書かれていますけれども、あるいはさらにこれが引き続いてイスラエル軍がレバノンに半ば事実上占領的な形で居ついてしまうというふうなことも考えられると、これは大変なまた事態になってくるわけですね。いままでもイスラエルが行ってきた占領地からの撤退というふうなことも国連でも問題になってきたわけですし、こういうふうな事態について政府としては、いまの時期やっぱりイスラエルのそういうあり方に対してさらにより厳しい態度をとる必要があるのじゃないかと思うんですが、いまの情勢いろいろ新聞をごらんになって、日本政府として今後どういうふうに対処していくおつもりなのか、そのことをお尋ねしておきたいのですが。
#169
○説明員(英正道君) 御存じのとおり、何遍か停戦が成立し、そして破られておるわけでございますけれども、六月の二十五日にできた停戦が最近まで守られてきたわけでございます。現在はアメリカの大統領特使のハビブという人がレバノンの関係方面及び関係国と精力的な話し合いを行って、当面は西ベイルートに包囲されております六、七千人のゲリラの……
#170
○立木洋君 情勢は私も自分なりによくわかっているつもりなんですが、余り時間がないものですから、その政府の対応だけがお聞きしたいので、ひとつ簡潔にお願いします。
#171
○説明員(英正道君) 失礼しました。
 御指摘のように、政府としては累次今回の侵入は認められないということを明らかにしておりますし、それから、その西ベイルートの問題が非常に緊急であって、そして侵攻が行われるというような場合には、無事の市民に対する被害も大きいしまた国際世論に対する反響も非常に大きいということで、こういう懸念はイスラエル政府に十分伝えておりますし、また関係国にも連絡をとって、そういうことが起こらないように当面最善の努力を尽くしているということでございます。
#172
○立木洋君 六月の九日の新聞によりますと、須之部事務次官が、現在のようなイスラエルの行動が継続されるならば、日本政府は国連の内外で従来のような態度が維持できなくなると警告しておるわけですが、いまのような状態が継続されるとすれば、あるいはイスラエルとの外交関係だとか国連における日本政府のイスラエルに対する態度の問題だとか、そういう問題まで含めて全般的に、いわゆる何といいますか制裁的な内容を含む措置をとるというふうなことが検討なされているんでしょうか、どうなんでしょうか、そのあたりは、大臣。
#173
○国務大臣(櫻内義雄君) イスラエルを話し合いの場から追放してしまう、すなわち国連から締め出してしまうということについてはこれはどうかと、こういうことで従来もぎりぎりのがまんをしてきておるわけでございます。いずれにしても、レバノンに対する武力侵攻というものは日本としてはこれは認められない、したがって速やかに撤退をすべきだということで一貫して本日に至っております。ハビブ特使の調停を見ておりますと、イスラエル、PLOの間で双方やりとりがあるようでございますが、イスラエルの背後にはアメリカの強力な力が作用しておると推定されますので、イスラエル問題については米側に対しても中東の紛争が速やかに鎮静化するような努力をしてもらいたい、こういうことを言ってきておるわけでございます。いまちょうどぎりぎりの瀬戸際のようですね。西ベイルートにもしイスラエルが入れば大変な惨禍が拡大する、そこのところがどうなるか、多少圧力を加えつつあるようですが、私はPLOもこの段階で何か具体的な行動をとるのではないかと推定しておるわけでございます。日本は従来PLOの民族自決権を認め、イスラエルの生存権と両立するようにと、こういうことで臨んできたわけでございまして、本当の瀬戸際でございますが、イスラエルのこの際の自制を強く求める、こういうことでございます。
#174
○立木洋君 大臣御承知のように、いままでイスラエルに対して問題が起こるたびに強い自制を求めるということが何回か繰り返されてきたわけですね。しかし、現実にはそれがうまく解決されていないということにずっとなってきているという経緯がやはりあると思うんです。私はそういうアラブ諸国との関係も重視をして、日本政府がここでやっぱりきちっとしたとるべき措置をとるということも私は本当に大切なことではないかというふうに思うんです。
 前回も私お尋ねした、ゴラン高原の併合のときに国連での態度がいろいろ変わったという問題もお尋ねしたわけですが、ああいうふうなことでは非常に困るわけで、そういうことにならないように、私はやはり自主的な立場で本当にイスラエルのこうした誤りに対しては断固とした態度をとっていただきたい。もちろん私たちもイスラエルを抹殺するだとかというふうなことは毛頭考えていないし、そういうイスラエル抹殺論などと言われるような考え方には私たちは反対をしております。その点は明確にしておきたいと思うんですけれども、いまの国連憲章がじゅうりんされるような事態はやはり厳しい態度をとっていただきたい。あそこに淺尾さんがおられるけれども、いろいろ事態が起こると何かアメリカからあって、北米局がいろいろと動くようであるなんていうことが書いてある新聞もありますから、そういうようなことになると私はまずいと思うんです。やっぱり自主的な態度でやっていただきたいということを、このことを強く御要望しておきたいと思います。
 まだお尋ねしたいことがありますけれども、協定自身の問題もありますので、きょうは一般の問題についてはこれぐらいにさしていただきたいと思います。
 それから、協定に関連してさっきもちょっと出されていたんですが、「もんじゅ」の問題で端的にお尋ねしておきたいのですが、先ほどの質問もありますのでダブらないようにしたいのですけれども、敦賀市の「もんじゅ」高速増殖炉ですね。この建設予定地と目される近くの海底に活断層があるというふうに現在の時点ではお考えになっているのか。現在の時点でも、いやないというふうにお考えになっているのか、そのいずれかはっきり、一言で結構ですから、いかがでしょうか。
#175
○説明員(幡野裕君) お答えいたします。
 「もんじゅ」の周辺敷地でございますが、私ども安全審査する過程で現地調査を実施しておりますし、各種文献あるいは航空調査等実施した結果で「もんじゅ」にどの程度の地震を想定しておいたらいいかということを考えたわけです。その場合に活断層を一つ一つ評価するわけでございます。それで、皆さん御存じのように、日本周辺には至るところ活断層がございまして……
#176
○立木洋君 時間が短いので、済みませんが……
#177
○説明員(幡野裕君) 「もんじゅ」周辺で一番大きな活断層を考える場合に、私ども柳ケ瀬断層というのを取り上げてございまして、これで評価しておけばすべての活断層は十把一からげに評価できるという結果でございまして、新聞報道にございましたような活断層につきましては、その影響の程度が非常に小そうございます。したがいまして、その活断層も評価はいたしてございますが、先ほど言いました柳ケ瀬断層で十分評価しておけば十分であるということで判断してございまして、お答えになるかどうかわかりませんが、そういうことでございます。
#178
○立木洋君 小さいか大きいかは別として、いまあなたがお述べになった地域に一応活断層はある。これは公開ヒヤリングが開かれた二日の日に川島さんと石塚さんが記者会見なさったときに、そのことについてあるということをお認めになっておるということですから、認めないということにはならないだろうと思うのですが、しかしこれは申請書の中には明確に活断層はないというふうに書かれてあるわけですね。これは
  敷地付近の海域で実施された音波探査の結果によると、敷地付近の海域には断層は認められない。
  以上の結果、敷地付近に判読されたリニアメントは活断層に伴う変位地形でないとすることは妥当と判断する。
 というふうに書かれてありますが、これは食い違いが出てくるのですけれども、申請書を書かれた段階ではこういうふうに判断されていたということですか。
#179
○説明員(幡野裕君) ちょっと整理して御説明いたしたいと思います。
 まず、海底の活断層につきましては、これは海上保安庁の調査による観測であります。これはわれわれあるというふうにもちろん評価しておるわけでございます。それから、いまリニアメントとおっしゃいましたのは、陸上部におきます活断層の疑いがあるリニアメントがあるのではないかという指摘が一部にございまして、これらにつきましては私ども空中写真判読とか現地調査をいたしまして活断層ではないという判定をしておるわけでございます。それから問題は、海中に想定される海上保安庁が言っております断層と、陸上の疑いのあるリニァメントの連続性についてなお私ども審査をいたしまして、これは船によります音波探査で調査されておりまして、ここには断層はございません。したがいまして、海上保安庁が調査した、これは長さが五キロほどございまして、これをどの程度評価するかということでございまして、これは「もんじゅ」の設計あるいは安全審査の方で十分評価してございますので、何ら問題がないということでございます。
#180
○立木洋君 地形断面図で、いま述べられた海上保安庁の調査をした測線と、それからアジア航測の測線とは全く違っているわけですね。ですから、新日本技術コンサルタントが行った調査のデータを資料として提出していただけないでしょうか。
#181
○説明員(幡野裕君) これは申請者が調査したものを私ども審査の過程で見せていただいて、それからなお、私ども専門家の顧問を引き連れておりますので、相談した上で判読したものでございまして、私どもに所有権はございませんので。
 それからもう一つ、現在安全審査中でございまして、引き続き原子力安全委員会においてダブルチェックが行われておる最中でございまして、その段階で必要な都度、公開する必要があれば公開していきたいと、このように考えております。
#182
○立木洋君 この安全性というのは、これはもうきわめて重要な問題ですよね。これが安全性が損なわれるというようなことになると、これはどういう角度から検討したって許されることではないということですね。これは改ざんされているというようないろいろな問題が問題になっております。だから、これはやっぱり公にして、やはり原子力基本法の中では明確にされているわけですから、そういう自主、民主、公開という原則から見てもそういう疑いがある場合には明確にして、実はこういう経過でこうなったんだということをしないと、やはり先ほどの審議でも問題になりましたように、これはますます国民から疑惑を持たれて、一体どこでどんなふうにされているかわかりゃせぬというふうなことになると、われわれ自身この原子力の平和利用というのはこれは反対していないんですし、これはやっぱりきちっとした形でやる場合にはやらぬといかぬという考え方を持っているわけですから、そういうことに抵触するようなことにならないように、私は厳重な形でそういう問題は公開する場合はすると、そしてはっきりと疑いを取り除いて、問題を解決していくようにする必要があるというふうに思うので、この点を私はよく検討していただきたいと思うんです。あなたの一存であれできませんでしたら、いろいろと関係者あるいは関係方面とよく検討して、そういう措置をとれるようにしていただきたいと思いますが、いいですか。
#183
○説明員(幡野裕君) この地域におきます活断層の調査につきましては、隣にございます日本原子力発電株式会社敦賀二号炉と共同で調査をいたしてございますので、私どもの一存でできませんので、通産省とも相談の上対処してまいりたいと考えております。
#184
○立木洋君 最後に、時間がなくなりましたので、この日豪原子力協定についてのこちらの見解を述べるような形にちょっとなってしまいますけれども、やはり今度の豪州産のウランを買い入れてやるといっても、いままでの状態から言えば結局アメリカにほとんど濃縮を頼むという形になってしまう。フランスにも一部頼んでおりますけれども。そうすると、供給先はいろいろ多様化していくけれども、しかし問題は、依然としてアメリカに濃縮を頼むということになると、日米原子力協定の関係から見てどうしてもアメリカに従属していかざるを得ないという、そういう制約がやはり大きな問題として問題になっているというふうに指摘せざるを得ないと思うんですね。
 それから、依然として原子力協定の前段に書かれてある核拡散防止条約に対する評価が載っておりますが、この点から言いますと、これもすでに核拡散防止条約が調印され、発効されてから今日までの時点たってみて、本当に核大国の核抑止にあの核拡散防止条約が役に立ったのかどうなのかというと、この四年間見たって核開発はどんどん進んでいるんですね、SS20にしたって巡航ミサイルにしたって、中性子爆弾にしたってB1にしたって。そして新聞で見ても、レーガン大統領の記者会見でも、今後安保の問題から宇宙技術の問題まで考えざるを得ないと。それに対してはソ連も反発して対抗措置をとるだろう。だから、地球どころか宇宙全体にまでそういう軍拡の流れに沿っていく。そういう事態になっていて依然として核拡散防止条約が前段で評価をされるというふうなことも、これはやっぱり問題ではないだろうかという点を指摘せざるを得ないと思うんですが、この二点、私たちのこの原子力協定に対して賛成でき得ない問題点ですが、それについてお答えをいただきたい。
 それで質問を終わります。
#185
○政府委員(宇川秀幸君) お答えいたします。
 第一点については、確かに御指摘のように豪州との関係で包括同意がとれても、アメリカとの関係で今後とも米側の同意を場合によっては得る必要があるというのは御指摘のとおりでございます。先ほど質問に対して御答弁させていただきましたように、私どもとしてはアメリカとの関係もそういう観点から整理いたしたいと考えております。相手がありますことでございますので結果は予断できませんが、そういう方向に持ってまいりたいと考えております。
 第二点につきましては、確かに核兵器というものが世界的にふえているという御指摘は事実のとおりであろうかと思います。あえて言わせていただければ、この協定では日本も豪州も双方いわゆるNPTの非核兵器国として参加しておる。この目的の一つである核不拡散というのを双方とも支え合ってきたということを確認して、そのもとにおいて日豪共同して原子力を平和的な目的のために推進していくという枠組みをつくったと、そういう意味で前文に書かれておると私どもは理解しております。
#186
○宇都宮徳馬君 先ほど鈴木総理にいろいろ伺ったわけですけれども、鈴木総理は、鈴木内閣の首相としてはもちろんですけれども、政治家として信念を持って現在の核戦争がいつ起こるかわからぬような危機的状況を阻止する、そのためには軍拡傾向に抵抗する、そしてあらゆる平和的努力をする、そしてみずから平和三原則ということを示されたわけですが、外務大臣は鈴木総理と全く同じお考えですか。
#187
○国務大臣(櫻内義雄君) 鈴木総理の特別軍縮総会における演説は、これは日本政府を代表して行ったものでございまして、この演説草稿については私どもも相協力をしてつくったものでございまして、いまお話しの平和三原則、それはもとより私も同じ所見を持っております。
#188
○宇都宮徳馬君 平和憲法の護持、それから非核三原則の確保ということですね。しかし、現在の日本の政界、特に自民党内においてはそれに反発するような動きが存在しますが、これはどう思われますか。
#189
○国務大臣(櫻内義雄君) 宇都宮委員御承知のように、自民党は党内でよくいろいろ論議がされますが、しかし一度党として決定をいたしますれば、党員はその線に沿って言動をしておられるわけでございますから、特にこの総理演説に対して党がこういうことは当を得ないというようなことを決めたとか、言っているとか、そういうことは承知をしておらないので、いろいろ論議の過程で、自民党の一部でこういう意見があるというような場合はあり得るかと思います。
#190
○宇都宮徳馬君 いろいろな意見はあるけれども、自民党の現在の政府及び自民党の本流といいますか、基本的な線は平和憲法護持、それから非核三原則を守るという方向に動いている。そうでなければ困りますね。国際的な舞台で園田外相も四年前に福田内閣の外相として約束し、それから今度は総理みずから積極的に出られてああいう発言をされたのですから、非常に貴重な発言であり、日本国民の大部分は私は素直に支持していると思います。この点は、自民党の大幹部として、それから有力閣僚として、特に外交を担当せられる閣僚としてしっかりひとつ、二つの国連総会における発言から日本の政治が外れないように御努力願いたいと思います。
#191
○国務大臣(櫻内義雄君) 宇都宮委員のおっしゃることはよく理解ができるところでございまして、余り雑音がないように、また、ただいま私が申し上げたように政府・与党一体でございまして、政府の主張というものはまた党の主張であると、こういうふうに御理解いただいていいと思います。
#192
○宇都宮徳馬君 歴史を見てもそうなんですが、理性的な平和を維持するという動きは、しばしばやっぱり無分別な人間の暗殺その他の脅威にさらされることもあるわけです。やっぱりこういう国際的な情勢の中で相当な決心を持ってやられる。そういう点で私は非常に尊敬を惜しまないわけですけれども、私の尊敬をひとつ裏切らないようにしていただきたいことをお願いします。
 そして、平和を維持するいろんな具体的な問題はたくさんあるわけですけれども、世界の平和を維持し、核戦争を防ぐ、世界の破滅を防ぐという具体策のうちで、日本だけができることが私は少なくとも一つあると、こう思います。それは、広島、長崎で原爆の洗礼を受けた唯一の民族であり、それに対して日本人が一番多く情報を持っているわけです。この情報をやっぱり世界に知らせる積極的な努力がなされなければならないと私は思いますけれども、現在政府はそういう積極的な努力をされていますか。
#193
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。
 総理の国連特別総会におきます演説の中でもこの点に触れておられます。つまり広島、長崎の貴重な経験を軍縮のキャンペーンのために、軍縮に関する啓蒙活動の一環としてこれを国連の使用に供することを事務局に求めるという趣旨の御発言があったというふうに理解いたしております。こういう線に沿いまして、これを実現する方向に努力してまいりたいと、かように考えております。
#194
○宇都宮徳馬君 首相はそう言われておる。ただ、実際の行動をするのは、日本の外交機関あるいは文化宣伝機関いろいろありますけれども、あちらこちらに外務省もいろいろなみずからのPR組織を持っておりまするけれども一いままで積極的に広島、長崎の情報を世界に伝えるという努力をしたかどうか非常に私は疑わしいと思っているのですが、それについてはどうお考えですか。
#195
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回、特別軍縮総会で広島、長崎の被爆の展覧会などを行いまして、これは大変な反響を呼んだ。また、政府がやったということではございませんが、国会議員の皆さん方に当時のフィルムを映写していただいたというようなことがございましたが、政府としては今後とも原爆資料の国連への備えつけに努力するとか、あるいは国連軍縮フェローシップ計画参加者の広島、長崎訪問への協力をするとか、いろいろな機会におっしゃるような被爆に伴う各種の情報を積極的に提供するように努めたいと、こう思います。
#196
○宇都宮徳馬君 私は、今度アメリカに行ってまいりまして、これは日本文ですけれども、広島被爆のこういう本をみんな会う人に全部渡しました。やはり知らないんですね。特に私が驚いたのは、コルビーという元CIAの長官夫妻に会ったのです。コルビーさんは何といっても男でCIAの長官ですからこういう情報はある程度知っていたでしょうけれども、奥さんの方は全然知らない。この絵を見まして非常な何といいますか聳動を受けていましたね、こんなことがあったのかという。世界の情報をみんな集めているようなCIAの長官の奥さんがこういう情報を知らないんですよ。これを見せると、こんなことがあったのかということになって、一種のショックと同時に、こんな戦争はいかぬ、人類は何とかしなきゃいかぬという素朴なそういう結論に達するわけですね。ですから、こういう小さなパンフレットですけれども、そういうものを外務省としては積極的につくり、情報として提供する必要がある。もしも日本の政府あるいは民間、特に政府がそういうことを怠りまして、たとえばいまイスラエルで戦争している。あるいはフォークランドで戦争が済んだ。どこでまた戦争が起こるかわからぬ。そういうときに、十分被爆というものの悲惨さに対する知識がないためにいいかげんに核戦争が起こっていって、その被害を受ける人は、こんなひどいものなら日本はみずからの経験を情報としてもっと世界に伝えてくれればよかったということに私は必ずなると思いますね。だから、日本人が被爆経験を基礎に平和運動をするということは、やっぱり日本の民族の一つの道徳的責任であるくらいに私は考えていますけれども、外務大臣はどうお考えになりますか。
#197
○国務大臣(櫻内義雄君) CIA長官の婦人も広島の原爆の実態を御存じなかったということは、きわめて遺憾なことでございます。広島、長崎の実態を広く世界に知ってもらい、また日本がしばしば申しておるように、再びこのような惨禍を繰り返さないということを徹底していく必要があると、こう思います。
 ただ、一つ私今度の特別軍縮総会の中でこういうことも見落としてはいけないと思ったのは、サッチャー首相がこの核のことについては、これはサッチャーさんの言われるとおりを申し上げるのですが、長崎の問題を最後にその後そういう悲惨なことはないが、第二次大戦後、百四十回からの紛争があって一千万人からの人が死んでおることの事実を知らなければいけないといって、通常兵力をうっかりしておってはいけないということを言われたのがいろいろ頭に残っておるのですが、核はもとよりのことであるけれども、同時に通常兵力の問題も考えていかなければならないことだと、こう思いますね。
#198
○宇都宮徳馬君 イスラエルの問題なんかでも、これは国連が平和維持部隊をレバノンとそれからイスラエルに、特にレバノン側に相当な緩衝地帯といいますか、それを設けまして四千人の国連の平和維持軍がそこにいたわけですね。この国連の平和維持軍ももちろんこれは戦争抑止力です。それから双方でやっぱり適当な地上軍を持っているということもこれは戦争抑止力である。しかし、そういう抑止力が存在したにもかかわらず、イスラエル軍というものは国連の平和維持軍の駐留地域を突破して、その国連軍の中に参加していたノルウェーの兵士の中に死者が出るというようなことで、現在レバノン内部においては戦闘員も殺されるでしょうけれども、非戦闘員の大変な犠牲が起こっているということですね。ですから、要するに、抑止力としての軍備というものの意味が非常にああいうのを見るとおかしくなる。結局あそこでは国連の平和維持軍というものが権威を認められている。そういう権威を頭から否定していろんなことをやってはこれはどうにもならないわけですね。戦争というものは、結局勢力の均衡によって維持されているかもしれないけれども、あるいは国連のいろんな平和維持機構によって維持されているかもしれないけれども、しかしながら、無法というものが一つの国に行われるとこれはどうにもならなくなるわけです。平和というものは力によって維持されるよりも、結局は一つのグループあるいは民族なり人類なりが持つそういうばかな人殺しをしちゃいかぬというあたりまえの理性と徳性によって維持されている。だから、力と理性と徳性とどっちが平和維持の本当の力になるかということは非常に大事なことで、これから人類がその問題をどうやって解決していくかという問題ですけれども、櫻内外相はどう考えられますか。
#199
○国務大臣(櫻内義雄君) 中東の情勢は、東西の軍事勢力の枠外で起きておる地域的紛争である、こういうふうに認識せざるを得ないわけであります。
 そこで国連によって平和維持軍が展開をしておる、しかしそれをも侵犯をしたというイスラエルの行動は、国連としてはこれはもう絶対に許せない行為だと思うんですね。
 またレバノン侵攻自体は、レバノンの主権、領土保全及び政治的独立に対する重大な侵害であるので、これも許せない行為であって、イスラエルに対してはそういう意味では国連としてとり得る制裁をすべきものだと、こう思うのでありますが、現状におきましては、これ以上の惨禍が拡大しないようにと、こういうことでイスラエルの武力侵攻を、これをもう即時中止をすべきである。また、ハビブ特使の調停が実行されて、イスラエルとPLOの間での何らかの話し合い、決着をつけべきであると、こういうふうに考えておるわけでありますが、事態の一応の鎮静化を機会に、国連安全保障理事会でこの問題については、あらゆる角度から厳正な批判が行われるべきものである、また、このようなことが世界のいずれの地域においても再び起きてはならないことだと、このように認識します。
#200
○宇都宮徳馬君 力によって平和を維持するということは、力が無法者によって用いられる場合にはどうにもならぬということなんですね。ですから、力というものによって平和が保たれるという思想が一たび広がると、もうあらゆる無法が通る。ですから、国連の基本的原則のような、やっぱり人類は理性と徳性によって平和を維持しなきゃならぬというふうに大きな悟りといいますか、それがないと平和は維持できない。そういう悟りをするには、日本人なんかの、第二次大戦で大失敗して、それで戦闘員より非戦闘員がうんと死ぬというようなそういう経験をし、次の戦争においてはまず戦闘員の大量死から始まるという認識を一番持ちやすいこれは民族ですから、そういう点で、力なんというものが平和を維持することに対して厳しく対応して、日本の外交というものは理性と徳性が必要であるという観念をもっと世界に広めていく必要がある。それでなければ日本の外交なんて成り立ちません、本当言いますと。これだけの人口を抱えてこんな狭いところで攻められたらどうにもならぬですから、これは意見を求めません。そういうつもりでやっていただきたいと思います。
 通常戦争があちこちで起こっている、たくさんの死人が出ます。しかし交通事故なんかでもずいぶん死んでいるのですね。私は今度はアメリカへ行って、アメリカ人が言ったのだからこれは本当だと思いますけれども、アメリカはやっぱり第一次、第二次大戦に参加したけれども、アメリカ自身はほとんど、つまり大した被害を受けなかった、これがアメリカの平和主義が甘いゆえんである。第一次大戦、第二次大戦で死んだ戦死者の数と、それからある年度の自動車事故で死ぬ人間の数とは同じぐらいだということを言っていましたが、だから日本とアメリカとの違いは、ソ連なんかもそうなんですけれども、要するに戦争の犠牲が非常に多いという点にあると思うんですが、そういう点をやっぱりアメリカ人なんかによく知ってもらう。戦争というのはこんなものなんだぞということを知ってもらう必要があると思う。ソ連ももちろんですけれども、ソ連はやっぱり二千万人くらい死んでいますから、少し違うところがあります。私が一番心配なのは、とにかく第二次大戦そのもののときには朝鮮半島は戦場にならなかったわけです。しかし分割された。分割された後大変な犠牲を伴う大戦争が起こったわけですけれども、結局、現在の情勢においては国連の平和維持力というのは十分ではありませんから、戦争が起こるとその周辺諸国というものは非常な不安と、場合によってはショック、場合によっては打撃を受ける。これは間違いないんですが、日本の周辺でそれが一番可能性のあるのは、やっぱり朝鮮半島であるというふうに私は考えているんです。
 それで、朝鮮半島の緊張緩和という問題に対しては、これは政治家として一貫して努力してきたつもりですけれども、そういうことと関連して、たとえば金大中事件なんというものに非常に深入りするということになったわけですが、最近、全斗換政権になっていわゆる日韓癒着なんというものが清算されて、新しい関係ができて、そして韓国の正常な発展を支援しなきゃならぬ。そういう意味で借款交渉というものが行われているわけですけれども、先ほどから鈴木総理なども言っておられましたが、とにかく平和三原則の一つに、軍縮によって浮いた金を第三世界に回すということを言われました。確かに発展途上国とか経済的に弱い国に先進国が援助を与えて、そこの社会的動揺をなくし、経済的な貧困をなくしていくということはいいことに違いないわけですが、韓国もそういう範疇に入るんでしょう。入るから広い意味の経済援助を求めてきているわけですが、われわれ日本人の普通の庶民の感覚から言いますと、何か非常に膨大な金をいたけだかに求めてきているという印象を私どもは受けているわけです。またそういう印象を受けている日本人も相当いるわけです。櫻内外務大臣はそれについて反駁するならしてください。
#201
○国務大臣(櫻内義雄君) 宇都宮委員の御所見について、私は別段異論を言うわけではないんですが、韓国の経済協力について御批判があるようですが、これは全斗換大統領による新五カ年計画が本年一月から発足をして、そしてそれに対して隣国である日本から応分の援助をしてもらいたい、こういう希望ですね。その希望を、具体的にはどういうことかと、こういうことで十一のプロジェクトが提示されて、それについて日本側が検討をした結果が、政府借款になるものあるいは輸銀で考えるものというようなふうにお答えをしておる。これは普通の交渉をやっておるわけで、しかもそれらのことについては、日本の持っておる経済協力の基本計画を損わないようによく考えていこう、それらのことを勘案しながらやっておるのですが、しかしこの話し合いがいまだに決着を見ておらないわけでありますが、そういう正しい手順のもとにどういう最終結果になるか、こういう問題ですから、それ以上のことをいま宇都宮委員が何かお立場が違う点から御所見があるようですけれども、私どもは現実に物事を処理をしておるので、その処理が正しく行われるならば別段御批判を受けるものではないと、こう思っております。
#202
○宇都宮徳馬君 お立場が違うとおっしゃるけれど、お立場は違わないんですよ。日本のやっぱり政治家として、有益な経済援助ならいいけれども、有益でない、不当な経済援助は困る。当然国民の税金ですからね、これは。いずれにしても最後は国民の税金になるものですから、それに対してやっぱり議員としては相当言わなければなりません。特に経済援助というものは韓国一つだけにやるものじゃなくて、やっぱりあちこちにやる。それでそれがバランスがとれ、公正であって、そしてどの国も適当な満足をして、それが経済外交にもなるし親善にもなる、こういうものですからね。だからあるところに不合理な援助がなされると、これは援助全体が何か役に立たなくなるという問題がありますから、決してあなたと違う立場で言っているわけでも何でもない。ただ私は、あなたは適当と思われるかどうか知らぬけれども、私らはどうも韓国が最初から持ち出してきているたとえば六十億ドル、そういうことだって新聞で伝えられていますね。それからその次に日本の四十億ドル、韓国はそれにはなはだしく不満である。国民の中では、お金を借りるのに少し少ないからつて居直るというのはふざけているじゃないかというような当然の批判があるわけです。現在の経済的苦境の中で税金を払う者としてはこれは当然ですね。
 それでこの六十億ドルという数字なんだけれども、一体六十億ドルにしろ四十億ドルにしろ、私は相当大きな巨額のお金だと思うのは、政府がいろんな形で経済協力援助を出しているわけですけれども、おととしのあれで言いますと、韓国は七億九千五百万ドル、中国が三億二千百万ドル、台湾が二億九千万ドルというふうに出されているわけです。フィリピンなどが二億六千二百万ドル、インドネシアが比較的多くて五億四千五百万ドル、大体五億ドル以下というような金額が出されているが、韓国、インドネシアは五億ドル以上、それでもまあ八〇年度は七億九千五百万ドルにとどまっていますね、年間のあれが。今度は一年のあれじゃないですけれども、年間どのくらいになりますか。韓国に対するいろんな援助を四十億ドルと見た場合に。
#203
○政府委員(木内昭胤君) 韓国に対します政府開発援助は昭和五十五年度が最後でございまして、その後御案内の経済協力問題が持ち上がり決着を見ないまま、五十六年度分についていまだ合意に達していないわけでございます。
 五十五年度につきましては百九十億円……
#204
○宇都宮徳馬君 ちょっと間違えましたから私説明しますが、いまのは八〇年度じゃなくて、六〇年度から八〇年度の累計です。
#205
○政府委員(木内昭胤君) 五十五年度につきましては百九十億円と、それから古米の延べ払い輸出が政府開発援助にカウントされますので、その合計が政府開発援助になるわけでございます。
 累計的に申し上げますと、政府開発援助に私の記憶に誤りなければ十三億二千五百万ドルが一九六〇年から一九八〇年の累計でございます。これには基金の政府開発援助と、先ほど申し上げました古米の延べ払い輸出も含まれる数字でございます。
#206
○宇都宮徳馬君 私の六〇年代−八〇年代の累計と少し違うんです。これは後から調べる必要があると思いますが、十三億ドルと七億九千五百万ドル、こういうことなんですが、いま韓国に対して四十億ドルは出していいということは、これは何年間に出すのですか。
#207
○政府委員(木内昭胤君) 四十億ドルを出すということについて韓国との間に私ども取り決めるつもりはございませんで、あくまでも単年度主義でやってまいる所存でございます。したがいまして、先ほど触れましたとおり、五十五年度が百九十億円であるとするならば五十六年度はどのくらいになるであろうかという交渉に相なるかと思います。ただ、宇都宮委員御指摘の四十と申しますのは、これは双方で合意し合う数字ではなくて、単年度主義でいくにしても、大体これとこれとこれのプロジェクトを手がければ総額がおよそどういうことになるであろうかという一つの目安として議論し得る数字でございます。韓国が六十であるとか四十であるとか申しておりますのは新しい五カ年計画の事業完成のための希望額でございまして、したがいましてこの五カ年計画に見合う援助ということに相なるかと思います。五カ年計画に基づきます事業はすべてが五カ年で完結するわけではなくて一九八八年以降にずれ込む事業もあるわけでございまして、したがいまして、大ざっぱに申し上げまして五カ年プラスアルファ年というふうにお考えいただければいいのじゃないかと思います。
#208
○宇都宮徳馬君 そうすると、日本政府が五年度なら五年度に四十億ドルでよろしいと言ったというのはうそですか、これは。
#209
○政府委員(木内昭胤君) 四十億ドルで合意するといういうなことは考えられません。
#210
○宇都宮徳馬君 いずれにいたしましても、ある国に非常に厚くある国に非常に薄い場合には、世界総体として見て日本の経済協力というものの効力が非常に減りますから、十分に考えていただかなきゃならぬですね。
 それから現在の韓国、別にわれわれは韓国に悪意も何にも持っていないけれども、しかし今度の汚職事件なんというのはなかなかひどいし、金額も大きいですね、何千億ウォンとかなんとかいうような大きなお金が汚職の中へ流れて、それで銀行が損失したとかなんとか。だから、やっぱり国民の税金ですから正しく使われないといかぬからよほどこれは警戒を要するということと、もう一つは、やっぱり外交の折り目けじめ、つまり金大中事件にしてもあるいは竹島の問題なんかにしても折り目けじめをめちゃくちゃにしてはいかぬ。こういう特に外国に比して巨額な借金を特別な友好関係を打ち立てるためにやるのならば、向こうも襟を正すところは正すというふうにしてもらわなければ本当の意味の友好というのはなかなか生まれにくい。何か日本のどこの弱点を握っているか知らぬけれども借金するのにいたけだかになる姿勢があるとすれば、私は日韓両国の親善のために、日韓両国民の立場からも非常にこれは悲しいことであると思いますね。だから竹島問題とかそれから金大中問題とかという問題は、これはいろんな解釈はあるけれども、いずれにしても日本の立場と韓国の立場は明らかに違います。ここら辺はやっぱり今後、こういう日本国民の税金で援助して、そして向こうの発展をわれわれは願うのだけれども、しかしやはりその問題に対しては何かこういたけだかにやってくるということは非常に困ると思いますが、これはもう時間も参りましたからやめますけれども、櫻内外務大臣、ひとつお答えください。
#211
○国務大臣(櫻内義雄君) 金大中さんの事件というのは宇都宮委員が詳しいことで、私がいまさらいろいろ申し上げる必要もない。まあ私の乏しい知識で言えば、不満はありますけれども政治決着をした、そして金大中さんの死刑というのは無期になり、無期は二十年というふうに減刑されてきておるというそういう経緯にあるので、これは御不満の方も多いようであるがひとまず決着を見ておる問題ではないか。
 それから竹島の問題については、これは現に韓国の警察がこの島に駐留しておる姿であるわけで、しかし日本はこの問題については日本の固有の領土であるという主張を機会あるごとにしておって本日に至っておるわけでございますから、今後においても竹島の領有権の主張は繰り返し徹底していかなければならない、こういうふうに考えております。
#212
○山田勇君 オーストラリアとの原子力協定に関連しての質問を行います。
 フランスのミッテランは環境保護派の支持を取りつけて大統領に選出されたのですが、当選後は電力における原子力の依存率を十年後には六七%にするという野心的なエネルギー政策を議会にかけ信任を得ていますが、環境保護派からはまた半面厳しい反発も受けているようです。
 また、一九九〇年におけるエネルギー構成の目標を原子力三〇%、石油三〇%、天然ガス三〇%、自然エネルギーを一〇%としているようですが、資源環境面で類似点の多いと言われているわが国としては、社会党政権であるフランスのエネルギー政策をどう見ておられますか、御所見を伺いたいと思います。
#213
○政府委員(宇川秀幸君) お答えします。
 山田委員の方から、かなり詳しくミッテラン政権成立後の原子力政策の動きというものについて御紹介がございましたので、当方からは触れませんが、すでにフランスは現時点においてもわが国を上回る原子力発電規模を有しているのは御案内のとおりでございまして、このような形で対外エネルギー依存の削減等の視点から原子力の平和的な利用を推進していくという政策は、ある意味ではエネルギー事情が似通っておりますわが国にしても評価かつ参考とすべき点が多いかと考えております。
 また、日仏間には原子力協力協定がございまして、かなり密接な関係でございますし、いろいろフランスの施設を私どもも使わせてもらっておりますし、東海村等の技術の基礎は御案内のとおりフランスでございます。
#214
○山田勇君 反核、反原発運動の中には、この核エネルギーの利用は平和目的であれ軍事目的であれつまるところ人類にとって相入れない、共存できないものであるという考えもあります。人類を滅亡のふちに立たせている核軍備競争の現実が何よりも証拠ですが、危険な核開発に向ける人類の情熱を別の技術で、核を使わないエネルギーの開発に転換すべきではないかという主張もヨーロッパでは提起されているようですが、この点はどうお考えになっておられますか。
#215
○政府委員(宇川秀幸君) 御指摘のとおりそういう主張があることは事実でございます。私どもとしては、先ほども若干お答えさせていただいておりますが、基本的には原子力の平和利用と核不拡散というものは両立し得るし、またさせなければならないという考え方でございますし、現にわが国の場合、原子力がエネルギーの供給の中にすでに多くの地位をもって組み入れられておるということもございまして、そういう政策はやはり続けざるを得ない選択肢であろうと考えます。同時に、原子力以外のエネルギーというものにつきましても、私どもとしては重視してまいらなければならないというふうに考えております。
#216
○山田勇君 六月三十日に原子力委員会が発表した原子力開発利用長期計画によりますと、高速増殖炉の実用化の時期は二〇一〇年ごろとあり、今後ともかなり長期の間原子力発電の主流は軽水炉である、そのため天然ウランの供給源確保手段の多様化、また濃縮ウランの国内事業化の推進などにより燃料の安定確保を図らなければならないわけですが、この協定の締結はこれらの趣旨に沿ったものになりますか。
#217
○政府委員(宇川秀幸君) 私どもとしては、そのような趣旨に沿った協定であるというふうに認識しております。
#218
○山田勇君 一九七四年、インドがカナダから導入した原子炉でインド産のウランを燃焼させ得たこのプルトニウムで核実験を行ったことが世界に衝撃を与え、わずかな平和利用の施設を用いて核爆発装置ができることがわかったわけですが、オーストラリアもこういったことから一九七七年五月天然ウラン供給国としての規制制限を強化したい旨の声明を発表し、これに基づいてわが国に対しても現行協定の改定を申し入れた交渉が始まり、本年三月に現行協定にかわるべきこの協定が署名されたということですが、この協定には現行協定にない包括的事前同意方式が導入されることになっていますが、この包括的事前同意方式ではオーストラリア産ウランを第三国に移転したり、再処理する場合、あらかじめ日豪両国間で確定した施設内で行う場合は通告だけでよく、個々の同意は必要としないということですが、これは核拡散を厳しく取り締まる立場から問題はないんでしょうか。
 また、包括事前同意制度の導入により手続の簡素化、供給国としてのオーストラリアの規制、それを濃縮ウランとする米国の規制の二重の規制の繁雑が回避できるということもやはり、核拡散防止の見地から考えてどうなんでしょうか。
#219
○政府委員(宇川秀幸君) お答えいたします。私どもの理解するところでは、豪州が最初に打ち出しました核の平和利用、輸出政策というものの根本は、不拡散条約に加盟しておる、あるいは平和利用に徹底しているということが確認できる国と協力関係に立ちたいというのが本義でございまして、したがいまして、その趣旨を押し進めて今度の協定を交渉してまいったというのが私どもの理解でございます。したがいまして、この協定に基づく包括同意の取り決めの基本になっておりますのは、お互いにこういう処置をとり国際的にも査察を受け入れておるということを確認し合って、この施設において使われる限りにおいては平和利用に徹底しているということが双方で確認できますねということを確認し合って、その上において包括同意という取り決めを行った。したがいまして、この協定の枠内である限りにおいては、平和利用に使われているということは確認できる。同時に日本側の立場からすれば、どういう状況のもとで自分みずからの計画を押し進めていけるかという長期的な計画を立てるのがきわめて容易になる双方にとってメリットがございます。したがいまして、その意味でかかる取り決めが規制が緩くなったという見方をするのは私どもは正しくないと存じますし、これはむしろ日本の政策にも支えられておることでございまして、したがいまして、核拡散上のリスクがふえるとか、規制が弱まって方々問題を生ずるという趣旨ではないと考えております。
 したがいまして、豪州との関係では二重規制、アメリカとの関係で回避いたしますが、これは単に手続を簡素化するというだけの問題ではなくて、日本として平和的な計画を進めてまいるということを確認した上でこういう包括同意取り決めをつくったというのが本義であると私どもとしては考えております。
#220
○山田勇君 本協定の第四条で、協定により規律される核物質などについて、その盗難、不法な奪取などに対する防護を行うべきことを規定していますが、ニューヨーク発六月三十日の時事通信によりますと、「米エネルギー省国防計画保安室は三十日、全米の原子力兵器施設に貯蔵されている原子力燃料のプルトニウムおよび一部濃縮されたウラニウムの量が、貯蔵されているべき量より約二百ポンド(約九十キロ・グラム)少ないことが判明した、」と発表しています。原子力兵器に利用できる危険なプルトニウムが紛失し、その原因調査が行われたがまだ結論が出ていないということですが、わが国ではこのような類似的な事件は発生していないでしょうか。また盗難、不法奪取に対する対策はどうなっていますか。
#221
○説明員(川崎雅弘君) ただいまの先生の御質問のポイントは三つに分かれるかと思いますが、順序を追ってお答え申し上げます。
 まず第一の点でございますが、いわゆる新聞報道にございましたアメリカにおける核物質の所在不明量が大量にあったという点についてでございますが、米国はエネルギー省所管の特殊核物質、これはプルトニウムであるとか、高濃縮ウランといった核兵器に利用可能な核物質でございますが、これらについて半年ごとに定期的にその記録されております帳簿の値と、それから実際にその核物質が存在しているかどうかというのをいわゆる棚卸し方式によりまして帳簿と実在庫とを比較するという作業をやっております。まだ私ども正式に米国政府のこの報告には接しておりませんけれども、察するところ、新聞記事はそのような半年ごとに行われる定期的な実在庫の確認と帳簿上との検認との結果出た差が、二百ポンド相当のプルトニウムが行方不明といいましょうか、所在不明という形であらわれたのだと思っております。
 わが国の場合も同様でございまして、現在のバルクと申しますか、いろいろ大量な形で核物質を扱っておる施設につきましては年に一度とか年に二度国際原子力機関の立ち合いのもとに同様に帳簿在庫量と実核物質の在庫量との比較検認を行っておりまして、これまでの経験ではやはり分析の誤差等の問題がございまして、どうしても帳簿上の在庫量と実際の核物質の在庫量との間には若干の差異が出ますけれども、まだ私どもの経験では有意な差と申しましょうか、核兵器に転用するに足るような量ほどの大きさでの差はどの施設からも出ておりません。
 それから第三点でございますが、第四条に規定しておりますいわゆる俗称核物質防護と言われるものにつきましては、やはり国際原子力機関において一九七七年以降いろいろのガイドラインづくりが進められておりまして、現在、わが国におきましても原子炉等規制法及びその他の関係法令を足がかりといたしまして行政指導によりましてこれらの国際的なガイドライン、指針を満たすに足る措置を事業者をして講じせしめるというような措置をとっております。なお、この結果につきましてはこれまでいろいろ各国とも協議をいたしておりますが、わが国で進めている核物質防護と言われるものの措置については満足できる状態、国際的な水準に達しているというふうな評価を受けているところでございます。
 なお、これについて補足をいたしますと、昨年の三月に原子力委員会が長年検討してまいりましたわが国における核物質防護体制の整備について委員会決定を行っておりまして、私どもといたしましては、この委員会決定に沿ってなお改善すべき所要の制度としての確立という点について、現在関係省庁とも協議を進めているところでございまます。
#222
○山田勇君 高速増殖炉の原型炉で「もんじゅ」の建設に福井県が五月七日に正式に同意したのを受けて、五月十四日の閣議で敦賀市の白木に「もんじゅ」を建設することが決定され、建設に向けて踏み出したわけですが、この公開ヒヤリングなども反対派の抵抗などまだまだ前途は多難のようですが、高速増殖炉は現在の原子力発電の主流である軽水炉と違ってプルトニウムを核燃料とする原子炉で、これは核燃料を燃やせば燃やすほど新たな核燃料が生まれる夢の原子炉とも言われておりますが、軽水炉の使用済み燃料の再処理を前提とする増殖炉の開発利用が核拡散の危険を増大させることにもつながるとすれば、核拡散防止への有効な方法を制度的、技術的に確立して、高速増殖炉開発利用の国際的条件をつくり出すことが必要であります。わが国が今後これらのことについて果たすべき国際的な役割りはどうお考えになっておられますか。
#223
○政府委員(宇川秀幸君) お答えいたします。
 プルトニウムの分離あるいは使用については、特別な配慮が必要であるという点は御指摘のとおりでございますし、この趣旨で関係諸国が支持できる国際的な制度が設立されるということは望ましいこともまたおのずから明らかであるかと思います。私どもとしては今回の協定の「附属書B再処理」というところにまさにこの趣旨を盛り込んでございまして、短いので読ましていただきますと、両国政府は「核拡散の危険を最小のものにとどめるためにプルトニウムの分離及び使用には特別の注意が必要であること並びに再処理又はプルトニウムに係る適切な国際的制度の発展に支持が与えられるべきであることを確認する。」とございます。これはまさに私どもの基本的な考え方でございます。
#224
○山田勇君 先ほど来、同僚議員が難民の受け入れ体制についてお尋ねをしております。重複するところがあるかもわかりませんが、難民問題についてお尋ねをいたします。
 日本へ逃れてくる難民は、五十万人とも六十万人とも言われるアメリカへの難民に比べるとごくわずかのようですが、それでも六月三十日現在の一時滞在者が一千九百四十八人に達しているようですが、行政管理庁が六月二十八日までにまとめた初の難民行政監察の結果によりますと、難民対策の不備がいろいろ指摘されております。難民行政の主管庁が決まってないこと、各収容施設ともパンク状態で人道的にも問題があること、二十九の収容施設のうち国の施設は三カ所で、残りは民間ボランティアに頼っていることも問題ですが、その他一時滞在者への日本語教育、職業訓練など、また難民が病気になったときの医療問題、これは収容所任せで国が援助してないようですが、とにかく難民の立場に立った温かい気持ちが欠けているように思います。定住難民が一時滞在者の中でたった百八十五人というのは、やはりわが国の難民対策が冷たいという印象を与えているのではないでしょうか。いずれにしましても経済大国と言われるわが国といたしましては、その名に恥じないよう人道上からも政府が積極的な予算措置をとり、温かい施策を推進することがひいてはわが国の国際的な評価を高めることになると考えますが、いかがでしょうか。
 まず、この難民に対する主要の所管庁はどこですか、そこからひとつお答えをいただきたいと思います。
#225
○政府委員(木内昭胤君) 難民問題に携わっております主務官庁というものは現在ございませんで、ただし内閣官房にインドシナ難民対策連絡調整会議がございまして、そこの事務局が各省との連絡調整に当たっておるわけでございます。関係省庁といたしましては、入国との関連で法務省、それから渉外的な側面と定住促進の業務を外務省でやっております。それから職業訓練につきましては労働省、語学、日本語取得等につきましては文部省、それに厚生省といった関係省庁がすべて関係いたしておるわけでございます。
#226
○山田勇君 大臣、いまお聞きのとおり、各省に分かれてこの難民救済という業務が行われているわけですが、これは一つの省にまとめるといいますか、外務省ですべてを見るというようなことは不可能ですか。
#227
○国務大臣(櫻内義雄君) 難民が日本に定住を希望して、そして職業にもつくというようなことになってきますと、これは内政の関係になりますね。現在一過性の性格がありますから、そこで外国へ向かっての窓口である外務省がお世話をしておる。一時日本に滞在して、難民の多くの方々は従来でありますと英国へ行きたい、カナダに行きたいということでいずれかそれぞれその落ちつき先へ行くわけで、その間のお世話については、これは対外関係のことでやるということについては外務省の仕事としてなじむわけでございますけれども、これが現状におきましては各国がなかなか希望をしても受け入れないということになると、一時というのが滞留して何年かになってしまっていく、それから施設も御指摘のような政府施設が不十分である、ボランティアでお願いしておってもこれもそう長期では困るということになってまいりますから、いま調整会議があるわけでございますが、いずれこの難民について、もう一つよく検討の上で国内の問題に当たるどこかの省がしっかりしたお世話をいただくことが至当なんではないか、こんなふうに思っておりますが、現状では外務省が処理に当たっておる、また施設が足りなければ緊急措置をとってもらわなければならぬというようなことでございます。
#228
○山田勇君 次は国際問題に関連して日米間の問題について質問をしたいと思いますが、先日ヘイグ国務長官の辞任について、ヘイグ国務長官を辞任に追い込んだレーガン政権内の対立は対ソ外交をめぐるものに大きな原因があるようですが、ソ連には力しか通用しないとするレーガン大統領の対ソ強硬路線に、対ソ軍備の必要性を認めながら、一方、ソ連との共存、そのための対話の重要性を認めてきたヘイグ長官の辞任により、アメリカの外交政策は従来よりも力の立場を強め、日本や西側諸国に軍事力の一層の増強を求めてくると考えるが、どうでしょうか。米国の西側諸国に対する軍事力増強の要請が世界の緊張を高めることになる懸念が十分にあります。わが国としては米国の対ソ強硬策に追従する危険を冒してはならないと考えますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#229
○国務大臣(櫻内義雄君) 一つには、レーガン大統領は国務長官の更迭によって外交政策は変わらないということを言っておられますので、まずそのことを念頭に置かなければならないと思うんです。
 それから次にはシュルツ新長官でございますが、近く就任をされるわけでありますが、シュルツ長官はニクソン政権下で労働長官、財務長官を務められ、訪日経験も多い、こういうことで私どもは日本経済あるいは日米関係について深い理解を持っておられるものと思うので、ヘイグ長官同様日本として大きな変化がなく対応されるものではないか、こんなふうに見ておるわけでございます。特に御質問のありました対ソ政策につきましては、シュルツさんの共和党内における立場というものを考えますと、穏健中道派と言われておったので、対ソ強硬政策を推進されるとは思わないのでありますけれども、しかし米ソの現在の対立の状況からして、レーガン大統領の姿勢からいたしますと、レーガン大統領とともに対ソ問題を協議されていくということになりますと、あながち従来穏健中道であったからそうだという断定をするのはどうかと、こう思います。
#230
○山田勇君 アメリカ上院で同盟国としての日本に防衛費の国民総生産の一%に増加することを求める決議案が上院の過半数である五十三名の議員が共同提案者として署名したとの報道が、六月二十九日毎日新聞でありました。「同決議案が近く表決に付され、可決される見通しが強くなった。」と言われておりますが、白米防衛努力の公平な分担という見地から、日本に対しその防衛費を少なくともGNP一%以上のレベルに増加することを求めているこの決議案の提案者カール・レビン上院議員は六月二十二日上院本会議で演説し、「日本の防衛努力の不十分さは日本自身の基本的な自衛能力に支障をきたしているばかりか、米国との間ですでに合意した日米共同防衛への日本のコミットメントの不履行を生んでいる。日本の政治、軍事指導者自ら日本の防衛努力の不足を認めており、米国としてはそれが日本および日米の安全保障を脅かす結果となることを日本国民に明確に伝えるべきだ。この点で私は米政府が日本の防衛問題に対してとっている〃静かなる外交〃のアプローチに反対である」ということを述べ、決議案の採択の必要性を訴えたと報道されておりますが、要するに防衛力増強を強く求めるアメリカ上院の動きを日本政府はどう受けとめておられますか。
#231
○国務大臣(櫻内義雄君) レビン上院議員のこの決議案について山田委員がお見通しを言われましたが、それは私どももそのように決議案が上院で通る可能性があるという判断はいたしておりますが、ただアメリカが安保条約を結んでおる立場で日本に対するそういう防衛問題に対する関心を示す、またアメリカの国会がいま御指摘のような趣旨で決議をしようということについては理解ができますけれども、しかし元来、日本政府は日本政府の独自の防衛大綱に基づきまして、憲法の制約のもとに自主的な判断をして防衛努力をしておるということもこれは山田委員も十分御承知のことであると思うのであります。そういうことでありますから、決議は決議として、日本の防衛については日本の財政あるいは防衛大綱にのっとった上で日本自身が判断をすることが当然ではないか、こう思います。
#232
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(稲嶺一郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(稲嶺一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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