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#1
第096回国会 法務委員会 第6号
昭和五十七年四月一日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     宮本 顕治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                平井 卓志君
                円山 雅也君
                寺田 熊雄君
                小平 芳平君
    委 員
                臼井 莊一君
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                真鍋 賢二君
                八木 一郎君
                小谷  守君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務大臣官房会
       計課長      河上 和雄君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  千種 秀夫君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省矯正局長  鈴木 義男君
       法務省保護局長  谷川  輝君
       法務省訟務局長  柳川 俊一君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
       法務省入国管理
       局長       大鷹  弘君
       公安調査庁長官  鎌田 好夫君
       国税庁調査査察
       部長       岸田 俊輔君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   梅田 晴亮君
       最高裁判所事務
       総局民事局長兼
       最高裁判所事務
       総局行政局長   川嵜 義徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    森廣 英一君
       法務大臣官房営
       繕課長      緒方 重威君
       法務省法務総合
       研究所国際連合
       研修協力部長   石川  弘君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    滝島 義光君
       大蔵省証券局資
       本市場課長    松野 允彦君
       郵政省郵務局集
       配課長      神谷 和郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和五十七年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (法務省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木一弘君) 昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、法務省所管を議題といたします。
 坂田法務大臣から説明を求めます。坂田法務大臣。
#4
○国務大臣(坂田道太君) 昭和五十七年度法務省所管予算の内容について、概要を御説明申し上げます。
 昭和五十七年度の予定経費要求額は、三千五百九十五億四百十六万円でありまして、これを前年度予算額三千四百三十億七千五十四万四千円と比較いたしますと、百六十四億三千三百六十一万六千円の増額となっております。
 その内訳を大別いたしますと、人件費百六十五億三千五百六十万六千円の増、一般事務費二十一億五千五百二十八万五千円の増、施設費二十二億五千七百二十七万五千円の城となっております。
 まず、増員について申し上げますと、第一に、検察庁において、事務官百人が増員となっております。その内容は、まず、特殊事件処理体制の充実を図るため、事務官三十人が増員となっておりますほか、財政経済、公安労働、国際犯罪等の事件処理体制の充実強化及び公判審理の適正迅速化を図るため、合わせて事務官七十人が増員となっております。
 第二、法務局において、事務官百六十七人が増員となっております。その内容は、まず、登記事務の適正迅速な処理を図るため事務官百五十八人が増員となっておりますほか、国の利害に関係のある争訟事件処理の充実を図るため事務官六人、人権侵犯事件処理の充実を図るため事務官三人がそれぞれ増員となっております。
 第三に、刑務所において、保安体制の充実を図るため看守九十六人、医療体制の充実を図るため看護士(婦)十人が、それぞれ増員となっております。
 第四に、非行青少年対策の充実強化を図るため、関係職員三十人が増員となっております。その内容は、少年鑑別所の観護体制の充実のため教官十二人、保護観察所の直接処遇の強化等のための保護観察官十七人であります。
 第五に、地方入国管理官署において、難民認定事務処理体制の確立並びに在留資格審査業務等の適正迅速化を図るため、入国審査官十八人が増員となっております。
 第六に、破壊活動調査機能の充実強化を図るため、公安調査官二十一人が増員となっております。
 なお、前述の増員の中には、部門間配置転換による振替増員として、法務局の登記事務職員に十一人、保護観察官及び入国審査官に各一人の計十三人が含まれております。
 増員の内容は以上のとおりでありますが、御承知のとおり、昭和五十六年九月の閣議決定に基づく「定員削減計画(第六次)の実施について」による昭和五十七年度定員削減分として、四百四十二人が減員されることになりますので、差し引き一人の定員減となるわけであります。
 次に、一般事務費につき、それぞれ前年度予算と比較しながら御説明申し上げますと、まず、全体としては、前年度に比較して、旅費類が一億四百六十九万七千円の増額、庁費類が十八億二千九百六十四万六千円の増額、その他物件費が二億二千九十四万二千円の増額となっております。
 以下、主要事項ごとに御説明申し上げます。
 第一に、法秩序の確保につきましては、関係組織の職員の人件費を含めて二千八十九億五千二百万円が計上され、前年度に比較して百億一千九百万円の増額となっております。
 その増額分の内容について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、三十六億六千五百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか、検察費一億二千九百万円及び財政経済事件等各種検察活動の充実を図るための経費三千四百万円が含まれております。次に、矯正施設関係としては、五十二億二千九百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか、保安機能の充実経費一千五百万円及び矯正施設収容者の処遇改善経費九億九百万円が含まれております。
 右の処遇改善経費の内容は、生活用備品、日用品、被服費等の改善に要する経費六億二百万円並びに被収容者食糧費における主食、副食の単価改定等に要する経費三億七百万円であります。
 次に、更生保護懐係としては、四億六千六百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか、短期交通事件の処理及び保護観察体制の充実を図るための経費一千七百万円、保護司実費弁償金八千九百万円、更生保護委託費二千四百万円が含まれております。
 次に、訟務関係としては、国の利害に関係のある争訟事件の処理経費として二千四百万円が増額されております。
 次に、公安調査庁関係としては、六億三千五百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか、調査活動の充実経費七千一百万円が含まれております。
 第二に、国民の権利保全の強化につきましては、まず、法務局における登記事務処理の適正化に関する経費として、関係職員の人件費を含めて六百十一億一百万円が計上され、前年度に比較して四十億三千九百万円の増額となっております。
 その増額分の主な内容は、登記事務処理経費二億九百万円、全自動謄本作成機等事務能率機器の整備に要する経費一億三千八百万円、謄抄本作成事務の一部請負処理に要する経費二億六千一百万円等であります。
 なお、前国会で成立しました供託法の一部改正により財政再建期間の昭和五十七年四月一日から昭和六十年三月三十一日までの間は、供託金に利息を付さないことになったことに伴い、供託金利子二億五千九百万円が減額されております。
 次に、人権擁護活動の充実に関する経費としては、三千三百万円が増額されております。その中には、人権侵犯事件調査の強化を図るための経費一千八百万円、人権擁護委員実費弁償金一千一百万円が含まれております。
 第三に、非行青少年対策の充実強化につきましては、一部、法秩序の確保関係と重複しておりますが、関係職員の人件費並びに少年院等の収容関係諸費を含めて三百十二億八千五百万円が計上され、前年度に比較して九億四千万円の増額となっております。
 そのうち、事務的経費の増額分の内容について申し上げますと、
 まず、検察庁関係としては、四千二百万円が増額されておりますが、これは検察活動に要する経費であります。
 次に、少年院関係としては、四千一百万円が増額されておりますが、これは生活、教育備品の整備等に要する経費であります。
 次に、少年鐘別所関係としては、一千六百万円が増額されておりますが、これは生活備品の整備及び日用品の充実等に要する経費であります。
 次に、保護観察所関係としては、一億円が増額されておりますが、これは補導援護活動の充実に要する経費であります。
 第四に、出入国管理業務の充実につきましては、関係職員の人件費を含めて九十七億二千二百万円が計上され、前年度に比較して六億三千六百万円の増額となっております。
 その増額分の主な内容は、出入国審査及び在留管理業務の充実を図る経費六千万円、難民認定事務の実施に要する経費三千五百万円並びに難民一時庇護センター運営費七千五百万円等であります。
 なお、前国会で成立した外国人登録法の一部改正により都道府県における登録写真の分類整理事務が昭和五十七年四月から廃止されることになったこと等により補助職員五十五人の減員に伴い、外国人登録事務委託費一億五千七百万円が減額されております。
 第五に、施設の整備につきましては、矯正収容施設の整備費四十五億七千一百万円、法務合同庁舎の整備費三十一億五千三百万円及び登記所等単独施設の整備費十九億六千八百万円を含め百八億五千三百万円が計上されておりますが、前年度に比較して二十二億五千七百万円の減額となっております。
 なお、このほか、大蔵省及び建設省所管の特定国有財産整備特別会計において、東京拘置所ほか十六施設の施設整備費として百九十六億一千四百万円が計上されていることを申し添えます。
 以上が、法務省所管歳出予算予定経費要求の概要であります。
 終わりに、当省主管歳入予算について御説明いたします。
 昭和五十七年度法務省主管歳入予算額は、七百十二億一千九百三十万三千円でありまして、前年度予算額六百九十七億二千四百五十一万四千円と比較いたしますと、十五億九千四百七十八万九千円の増額となっております。
 以上をもって、法務省関係昭和五十七年度予算についての御説明を終わります。
#5
○委員長(鈴木一弘君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○寺田熊雄君 法務局職員の充実につきましては、今年度法務大臣大変御努力になりまして、まずまずの成績をおさめているように見ておるわけであります。
 この問題は、職員の労働組合であります全法務労働組合の計算によります望ましい定員計画によりますと、大変な欠員があるわけであります。また、民事局長が過去において提出してくださった計画によりましても、まだまだ事務処理を完全にするためには相当の増員を必要とするというふうになっておるようであります。しかし、定員削減計画が毎年実施せられますので、相当の増員をしましても実質的な増員というものがどうも思うに任せないといううらみがあるようで、私どもは各地方に視察に参りますと、一致して要望を受ける問題は法務局の増員問題であります。
 ですから、今後も大臣、民事局長等の御努力が強く求められておると思うのでありますけれども、現時点における法務局職員の増員計画というものは、長期的視野に立った場合とのぐらいのものなのか、それを何年間で充足しようとするものなのか。そういうふうなことで、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#7
○政府委員(中島一郎君) 法務局におきましては、所掌事務全般につきまして人員が非常に不足しておることは、ただいま御指摘のとおりでございまして、そのために法務局業務の七割から八割を占めております、いわゆる登記事務について見ましても、大変遺憾なことでございますけれども、いろいろな弊害の事例というものが起こっておるわけでございます。
 私が申し上げるのもいかがかと思われますけれども、事務処理の遅滞というようなこともございますし、粗雑化というようなことも見られるわけでありまして、そのほかに部外者による登記簿書きかえ、部外者に登記簿を書きかえられた、改ざんされたというような事故も起こっておるわけであります。さらには、部外者による応援というものが年間延べ四十万人にも達しておるというような状態にもなっておるわけであります。
 不足人員ということでありますけれども、ある試算によりますと、大体三千六百人ぐらいの不足人員、現在の仕事をこの状態でやっていくことを前提にいたしましても、それくらいの不足人員があるのじゃないかというような試算もあるわけでありまして、ただいま御質問にありました充員計画ということになりますと、これを何年計画でやる、あるいはこういうふうにして充員してまいりたいということを申し上げたいわけでありますけれども、現実の問題といたしましては、実際の増員要求数というものは、いわゆる予算のゼロシーリングでありますとか、あるいは昨年度増員要求数の二分の一でありますとか、いろいろな制約がかぶってまいりますために、これをどういうふうにして充員していくかということについての明るい見通しというものはないわけであります。
 私どもといたしましては、許される範囲で必要な増員措置を講じていくということに全力を挙げておるわけであります。しかし、何分にも厳しい財政事情のもとでありますから、増員だけで法務局の現状を改善するということはできないわけでありまして、それとあわせて事務処理の合理化あるいは機械化というようなことにも努力をしておるところでございます。
#8
○寺田熊雄君 何年間でこれを充足していくかという計画が立たないという御答弁であったわけでありますが、いまの厳しい財政事情を考えますと、なかなか何年計画で充足しようとあなた方がお考えになっても、それが通らないということはよくわかりますけれども、しかし、やはりそういう不足人員というものが現実に目の前にあるわけでありますからして、担当の部局としてはやはり何年間で充足していくという計画を立てて、鉄の壁にぶち当たるようなものかもしれないけれども、計画を立てて努力するということはやっぱり必要ではないかと私は考えるんですが、この点どうでしょうか。
#9
○政府委員(中島一郎君) 私どもの願望といたしましては、一日も早く充員をということを考えておるわけでありますけれども、先ほども申しましたように、不足数に比べまして現実の要求可能数というものが余りにも少ない数字でございます。増員が認められました数字が大体百分の一というような数字になろうかと思われます。そういうことでありますから、実際問題として具体的に申し上げるような増員、充員計画というものは具体化しておらないという状況でございます。
#10
○寺田熊雄君 私も戦時中に陸軍司政官としてちょうどジャワで法制事務に携わったことがあるんですが、各省の役人が同じ大きな部屋で全部同じように事務をとっておる、各省の代表が一人ずつ机を並べて事務をとっておる、その各省の代表が予算の要求をするときの大ぶろしきというか、にたまげたわけであります。
 それから見ると、司法関係の職員というのは、非常に謙抑主義といいますか、控え目な要求で、私どもがむしろ大蔵関係の代表から、これはこういうふうに要求されたらどうでしょう、この方がいいですよという知恵をつけられて、そしていささかでも分捕るということを経験したのでありますけれども、余り皆さん謙抑主義で控え目にいかれると、いつまでたってもこの充員などというものは貫徹しないように思うんですね、大ぶろしきを広げるというのは余りいいことじゃないけれども。
 坂田法務大臣 これはやはりいまお話ししたように、産業官庁などの諸君と違いまして、司法関係の方々は、わりあい、すべてがうその言えない控え目な態度をおとりになるわけですから、なかなか三千人以上を超える不足人員といいますか、そういうものを充足することが困難だと思いますので、これはやっぱり大臣が先頭に立って御努力くださることが何よりも必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#11
○国務大臣(坂田道太君) 法務局の職員の増員の問題、これは、私就任いたしまして以来、私の頭の中に実はあるわけでございまして、この予算審議が終わりました段階で、ひとつ事務当局ともよく打ち合わせをいたしまして「何とかして大蔵省を説得する理由づけを私自身がひとつ考えてみたい、こう思っておるわけでございます。
 先般、これは日経紙だったと思いますけれども、伊藤次長検事の記事が載っておりまして、先生もあるいはお読みになったと思うのですが、登録関係で約四千五百億ぐらい収入を得て国庫に納めておる。ところが法務省全体の予算は、ただいま御説明申し上げましたように三千五百九十五億円ですね。しかも、私も板橋の出張所やあるいは東京の法務局、それから、くにの熊本の法務局を実際に見てみまして、本当にこの職員の人たちは限られた人員でよくやっておられる。しかし、かなり労働が過重になっておるというふうに思いました。
 これでは、一面において、国民の権利を保全するという使命を持ったお役所といたしまして、国民に対するサービスが十分行き届かないのじゃないか。これではいけない。やはりその使命が全うできるだけの人員は、ひとつ確保しなくちゃならないのじゃないか。また、職員の方々の待遇、処遇につきましても、余りにもほかの部門の職員よりも過重になっておるということは避けなきゃならない。といたしまするならば、やはり行財政の改革というのはこれはもう至上命令でございますけれども、同時に、こういう面についてはもう少し私たちも努力をする余地があるのじゃないだろうか、あるいは説得のやり方があるのではなかろうかと考えておるわけでございまして、先生御指摘のように、ある程度の長期的な展望を持ちつつ、来年度の予算をどういうふうに考えていくか、少し時間をおかしいただきたい、かように思います。
#12
○寺田熊雄君 大臣、長い政治家としての御経歴を持っていらっしゃいますし、人格的にも非常に尊敬せられておる方でありますので、これからのひとつ御努力をぜひともお願いしたいと思うんです。
 二番目は、保護司の処遇、それから更生保護委託費等につきましても、私どもが地方に視察に参りますと、これは一致して強い要請を受けるのであります。保護司のごときは、自腹を切って出張せざるを得ないということを私どもに訴えます。というのは、旅費が足らないからでありますけれども。また、更生保護施設の方々も大変御努力になっておるけれども、委託費の不足を訴えるわけであります。若干の予算の増加はあるようでありますけれども、現実との乖離といいますか、そういうものはどうなるのか、その辺のところをちょっと御説明をいただきたいと思います。
#13
○政府委員(谷川輝君) かねがね寺田委員初め皆様方には更生保護事業につきまして温かい御理解をいただいておりまして、いろいろ御心配をかけておるわけでございますけれども、いわゆる私ども更生保護事業の中で役人だけでは賄い切れない部分、つまり民間篤志の方々の御協力によりまして地域社会内で犯罪や非行に陥った者を改善、更生さしていくというのが私どもの仕事の大きな特色であるわけでございます。そういう意味におきまして、民間篤志の方たちの原点、更生保護の原点というのは、お金の問題ではなくて、そういう更生保護にかける篤志のお気持ち、それが中心であると、こういうことになろうかと思います。
 しかしながら、現実問題といたしまして、保護司の先生方に御努力いただきますときに、実費と申しますか、実際にかかった旅費なり何なり費用をやはり国の方から出さなければならないということから、実費弁償費の問題が出てくるわけでございます。ところが、そういうそもそもの制度の本質とそれから現にございます国家財政の制約ということから申しまして、その保護司さんが職務を行われました場合に、現実に仕事をしていただきましたときに弁償をするということになっておるわけでございます。保護司さんにたとえばどこかに出かけていかれて対象者あるいはその関係者、家族などとお会い願っていろいろ調査をしていただく、そういう場合に、旅費を支給いたします場合には、一定の距離以上出張されました場合には、その距離に応じまして国家公務員の行政職俸給表……
#14
○寺田熊雄君 そういう原則はよくわかっています。足りるか足りないかという現実を伺っている。
#15
○政府委員(谷川輝君) 足りているか足りてないかということになりますと、本当に一生懸命になってケースを抱えて動き回ってくださっておられる保護司の先生方の実費弁償には十分でない、足りてないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
#16
○寺田熊雄君 局長がやはり不足をお認めになったわけですから、これは現場の方々、現場で働いていらっしゃる方々の訴えと一致しているわけでありますね。やはりいまの財政難のもとで大変あなた方も御苦労だと思いますけれども、なおこの保護司の処遇、更生施設委託費の増加、恵まれないところであなたのおっしゃるひたむきな情熱でがんばってくれておる方々のためにも、やはり予算の獲得に精いっぱいの努力をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#17
○政府委員(谷川輝君) 大臣の方からも御命令ございまして、私ども事務当局一生懸命になりまして、保護司さんの実費弁償費の値上げ、増額と申しますか、それから更生保護会におきます、実際に収容者を扱ってくれております、たとえ民間団体であっても私どもに協力してくださっておる保護会の委託費、補助金、そういうものを少しでも増額しようということで、今回の予算の上でもそれなりの努力を払いまして増額のお願いをしておるわけでございます。
 もちろん、それでは実際の現在の複雑な困難を加えておるそういう対象者の処遇、それから近時の物価高、そういうものからいきまして十分ではございません。今後とも国家財政の許す範囲内で、精いっぱいの努力を尽くしていく所存でございます。
#18
○寺田熊雄君 次に、国の利害に関係のある争訟事件についてお尋ねをしたいと思います。
 これはずいぶんたくさんの事件があるようでありますけれども、これを細かに一つ一つ御説明をいただきますと大変時間がかかりますので、大体の数、そしてその事件の主だったもの、そういうものについて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#19
○政府委員(柳川俊一君) 国の利害に関係のある争訟につきましては、一つの争訟の形としましては、国または行政庁が当事者となる事件が一つございます。それからもう一つの類型といたしまして、地方公共団体あるいは公法人、これが当事者となる事件があるわけでございます。これを私どもは権限法七条事件というふうに申しておるわけでございます。
 前者の方、つまり国または行政庁が当事者となっている事件につきましては、事件の受理状況、既済状況を申し上げますと、昨年一月から十二月までの統計によりますと四千三百二十七件の新受がありまして、既済が四千二百九十件、未済事件が八千五百五十件ございます。また、後者の権限法七条の関係の事件につきましては新受が百七十六件、既済が二百八件で未済は七百件という状況になっております。合計いたしますと、現在のところ未済事件九千二百五十件という数になっておるわけでございます。
#20
○寺田熊雄君 それから七条事件あるいは国また柱行政庁が当事者または参加人となっている事件、これはどういう事件が多いのでしょう。千差万別だろうと思うけれども、そこにおのずからやはり特色等で主だった事件とかいうものがあるでしょう。そういうものをちょっと御説明願えますか。
#21
○政府委員(柳川俊一君) 国または行政庁が当事者または参加人となっておる事件といたしましては、主なものは大蔵省関係の事件が多いわけでございます。そのうち一番多いのが租税関係の事件、それから国有財産関係の事件、こういったようなものが多いように思われます。そのほか主だった事件といたしましては、防衛施設庁あるいは防衛庁関係の絡んだ総理府がらみの事件というようなものもかなり数がございます。
 先生御承知のように、最近では公害関係の訴訟につきまして国を相手として国家賠償の請求をするというような事件も多々見受けられまして、そういう事件につきましては、新しい法律問題が出てまいりますので、そのたびに私ども十分検討しながら訴訟に対処しているというのが現状でございます。
#22
○寺田熊雄君 次に、公安調査庁の活動状況、これは破壊活動防止法に基づいて御活動になっておられるということはわかるんだけれども、余りマスコミで書き立てられるということもないし、それから私どもの目の前にいろいろな活動が見えるとかいうこともないし、どのような活動をしておられるのかよくわからないわけですね。
 また、長官以下のスタッフが私どもの目の前にあらわれていろいろと御説明をくださる機会もないし、きょうは予算の審議でありますので、年に一回の予算審議ということになりますが、予算書をひもとくと百十億という巨費を使っていらっしゃるということであります。具体的にどういう活動をしていらっしゃるのか、またその成果はどうかというような問題で、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
#23
○政府委員(鎌田好夫君) 御指摘のように、公安調査庁は、破壊活動防止法に基づきまして、同法で規定するいわゆる破壊的団体に対する規制処分の請求に備えまして、同法で定める暴力的破壊主義活動を行う疑いのある団体に対する調査を行い、規制請求をするための証拠等の収集に努めているということでございます。
#24
○寺田熊雄君 総論は大体わかったけれども、その破壊活動を行う団体というのは、ちょっとあなた方としては言いにくいだろうけれども、大体幾つぐらいを対象にしておられるんです。
#25
○政府委員(鎌田好夫君) 現在はいわゆる左翼系統といたしまして七団体、右翼系統といたしまして八団体程度を調査の対象として推進しております。
#26
○寺田熊雄君 左翼七団体、右翼八団体ですか。
#27
○政府委員(鎌田好夫君) はい、さようでございます。
#28
○寺田熊雄君 その個々の名称、団体名は言っていただけますか。
#29
○政府委員(鎌田好夫君) 現在、公的に申し上げることはいかがかと思いますけれども、二、三申し上げますと、左翼関係としましては日本共産党、大日本朝鮮人総連合等でございます。右翼団体といたしましては護国団、大日本愛国党等八団体でございます。
#30
○寺田熊雄君 最近、これは人の見方によりますが、右翼の活動がだんだん目立ってくるようになりました。私ども、戦前の政治が次第にきな臭く戦争の方向へと音を立てて動き始めますと、軍と右翼とが結んでそういうふうな雰囲気といいますか傾向を非常に強化していくという事態が現実にあったわけであります。いま果たして戦前のそういう状態に似ておるかどうか、これは見る人によって違うでしょうけれども、しかし右翼が暴力的な傾向を持っているということはこれは疑いがないところで、私どもとしましてはやはりこういう方面にあなた方の十分な調査活動というものを望みたいと思うわけです。
 そういう調査活動の成果というものは、あなた方だけで保存されるわけですか。それをどういうふうに有効にお使いになるんですか。もちろん、破壊活動が現実に行われれば、これは当然司直の手でこれをぎゅっと押さえなきゃならぬけれども、恐らくその一歩手前であなた方の調査というものは多くのものがあるんだろうと思いますが、そういう調査結果というのはどういうふうに御活用になるんです。
#31
○政府委員(鎌田好夫君) 御指摘のように、調査活動の推進の過程でいろいろな情報が入ってまいります。その中で、さしあたり規制の請求に直接関連はしないけれども、治安の維持に重要であるという情報もございます。それらにつきましては、関係機関としばしば協議いたしておりますので、その機会にそれらの機関に流しまして、それらの担当機関の方で処理していただくという取り扱いをいたしております。
#32
○寺田熊雄君 これは反対の、いわゆるニューレフトの方で内ゲバという現象がありますね。それで、たとえ思想がどうあろうとも、無抵抗な人を金棒か何かで撲殺するというような、それも一度に五人も撲殺するというようなことが過去においてありました。私ども警察庁の担当職員を呼んで、こういう残忍な犯罪、しかも白昼公然と行われるような犯罪を許してはいけないじゃないか、なぜもっと効果的な取り締まりをしないかと言って叱咤激励をしたわけでありますが、そういう暴力主義的な一派、これは左の方でしょうけれども、こういうものについてもあなた方は十分な調査をしていらっしゃるんでしょう。
#33
○政府委員(鎌田好夫君) 過激派につきましては、現在、公安調査庁としては特に重点を向けて調査をしているところでございます。
 ただ、御指摘の内ゲバにつきまして、この内ゲバという行為が破壊活動防止法上の暴力主義的破壊活動に当たるかどうかという点については法律的にかなり異論がございまして、これについては内部的にも現在寄り寄り検討をいたしておりますが、それはともかくといたしまして、この内ゲバを含む彼らの行動につきましては、これを詳細把握するために努力しているところでございます。
#34
○寺田熊雄君 それじゃ、長官はもうよろしいです。
 次は、人権侵犯事件の実態、これは人権を擁護するということを主要な業務内容とするそういう省というようなものは、恐らく行政官庁の中で法務省の人権擁護局だけだと思うわけであります。したがって、その意義はきわめて高いけれども、正直に申して、果たして人権侵犯を防止するために強力な効果的な活動を営んでおるだろうかと考えますと、実は必ずしも私は十分でないように見ておるわけであります。
 それは一体どこから来ているのだろうか。一つは、やはり有能なスタッフが必ずしも各県の法務局の所管下にそろっているとは言えない。ことに相手が警察官である、人権を侵犯したのは警察官である、あるいは暴力団である、きわめて有力な社会的な実力を持った男であるというようなことになりますと、必ずしも積極的に、そして有効にその侵犯事件に対処するようには思われない、私の過去のぶち当たった経験によりますと。
 それから、人権擁護委員の人選も果たして適切かどうか。これも結局市町村長等の推薦によって法務局長が任命をする、その人選必ずしも適切とは言えない。そういういろんな配慮があるように思うんでありますが、局長としてはいかがです。遺憾なく人権の擁護のために大きな成果を上げていると自負せられますか。
#35
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 私ども人権擁護局の職員は、人権侵犯事件の調査処理に当たりまして任意調査権しかございません。強制調査権などを持っておりません。もっぱら関係者を説得して事実調査に協力させるというようなことになっておりますので、迅速な処理は強制調査権を持っておる場合ほど迅速にはできないと、こういうことでございまして、はた目に見ればちょっとまだるっこいというお感じを持たれるのも無理ないかと思われます。しかしながら、私どもの仕事は啓発を本来の職務としております。そういう職務を持っております以上、やっぱり強制というふうなことはなじみませんので、もっぱら粘り強い説得と、こういう形で調査をし処理をしていると、こういうことでございます。
 ただ、先生おっしゃいましたように、これはやはりそういう面からまいりますと、資質の向上ということが非常に大事でございますので、人権擁護局の職員、さらには人権擁護委員に対して、研修等いろんな機会を見出しては資質の向上を図っておるという現状でございます。
 ただいま警察の話なども出ましたが、たとえば昭和五十四年に尾道市で起きました警察官の発砲事件、これにつきましては極力調査いたしまして、その上で発砲警察官あるいはその上司に人命の尊重ということについてもっと配慮すべきことを説示したり、あるいは県警の本部長に対して部下の指導監督をなすようにという要望もしておる。また、最近の水戸での警官の発砲事件につきましても調査に入っておるわけでございます。これは現在のところ事件が検察庁に送致されて捜査中でございますので、これは推移を見守っているということでございますが、いずれにいたしましても適切な対応を図っていきたいと、このように考えておるわけでございます。
#36
○寺田熊雄君 なるほど局長のおっしゃるように、強制力を持たないということは確かにお仕事がやりにくいことだろうと思うんです。私もそれはちょっと、何といいますか、十分考えなかったわけでありますが、確かにそれはありますね。そういう困難を克服してあなた方の御努力といいますか、情熱的な行動力でやっぱり対処していただきたいと思うんです。
 大体、侵犯事件というのは年にどのぐらいあるんでしょうか。そしてまた、あなた方が御調査になって、いまお話のあったような勧告ですか、勧告措置というのをおとりになるのは、そのうちどのぐらいあるでしょう。ちょっと御説明いただきたいと思います。
#37
○政府委員(鈴木弘君) 人権侵犯事件の受理件数は昭和四十七年以降増加の傾向にございまして、昭和五十六年においては前年より二百九十九件ふえて一万六千九百十六件でございます。この中で多うございますのが、たとえば町内会の寄附を強要したり、親が子の婚姻を妨害するといったような強制圧迫と称しておる事件、あるいは雇用主が従業員を酷使したり、家族間において老人、病人等を虐待するというような酷使虐待事件、あるいは借家人を追い出す手段として住居を壊すとか、水道、便所等を閉鎖するといったような住居の安全に対する侵犯、こういうものが数としては多いわけでございます。
 それから、事件の処理区分といたしましては、勧告、説示、援助、排除措置といったようなものがございますが、昭和五十六年におきます勧告事例は十七件でございます。それから説示したのが七百三十、援助したのが一万四千七百七十一、排除措置が千六、大体このような形になっております。
#38
○寺田熊雄君 次は、少年法の改正についてお尋ねをしたいんです。
 予算書を拝見いたしますと、やはり少年法の改正に向けて水面下でいろいろな御活動をしていらっしゃることはよくわかるんですが、この少年法の改正についてはどういう御計画を持って、どのようにいま作業をしていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(前田宏君) お尋ねの少年法の改正につきましては、御案内のとおり昭和五十二年の六月に法制審議会からいわゆる中間答申と申しますか、をいただいておるわけでございまして、その答申に即した改正を行うべく現在事務的に作業を進めているわけでございます。
 答申の内容は、いわば要綱的なものでございますので、さらにそれを実務的に詰めていく必要があるわけでございます。そういう意味で、実務的あるいは技術的な検討というものが相当必要でございます。その検討がまだ残っているというのが実情でございますし、また、これも申し上げるまでもないと思いますけれども、少年法を改正する場合には関連いたします少年院法であるとか、あるいは犯罪者予防更生法であるとか、そういう関連する法令の改正も必要になるわけでございまして、これは矯正局あるいは当局にもお願いをいたしまして御検討をしていただいているわけでございます。
 最高裁とも、そういう具体的な内容につきましてはその都度その都度御意見を聞きながらいまのような作業を進めておるわけでございまして、従来の経緯からいたしまして、そういう部内の検討あるいは関係機関との検討、そういうものをある程度遂げましたところで、法制審議会の少年法部会にまたその案をお示しいたしまして意見を伺う、そしてその上で最終案を決定する、こういうスケジュールといいますか、筋書きになっているわけでございます。
 そういうことで、いろいろと実務的、技術的な検討を続けているというのが現状でございますが、関連いたしましていわゆる日弁連との調整の問題があるわけでございます。この少年法の改正問題につきましても、日弁連の御意見というものは法制審議会の審議を通じて弁護士会御推薦の委員から開陳されておるわけでございますが、この少年法の改正問題につきましても、日弁連におかれましてはなお相当強い反対をお持ちのように承知しておるわけでございまして、そういう御意見もまた十分踏まえながら作業を進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 御承知のとおり、刑法の改正につきましては日弁連との間で意見交換という場が持たれておりますけれども、少年法の改正につきましてはまだそこまでいくような状況にもなっていないというのが現実でございまして、そういうような問題につきましても、今後どのような運びをするかということにつきまして検討をしながら作業をしたいという状況にございます。
#40
○寺田熊雄君 そうすると、局長の方でも、いつをめどにして法案を国会に提出するというようなめどもまだついていない状況だというふうにお伺いしてよろしいんでしょうか。
#41
○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたように、法制審議会から答申をいただきましたのが五十二年でございますから、すでに相当な時間がたっておることは事実でございます。したがいまして、抽象的に申しますと、せっかく答申をいただいているわけでございますから、なるべく早く成案を得たいと考えておりますが、先ほど来申しておりますような状況もございまして、いまのところ、いつまでに成案を得て国会に御審議をお願いするというような具体的な日時は決められない状況にあるわけでございます。
#42
○寺田熊雄君 そのことで思い起こすのは、国籍法の改正の問題であります。これは男系主義の規定を両性主義に改めると。これはあらゆる形態の男女差別の撤廃に関する条約の批准が次第に迫りつつありますので、着々と御準備になっていらっしゃることとは思いますが、ことに前の奥野法務大臣が何か非常に事務当局を叱咤激励されて、あるいは鞭撻されて、その法案の提出を急がれたようであります。事務当局の方々、もう大変その方面では御苦労が多かったようでありますが、さて現在の状況では、これはいつごろまでに成案を得て、いつ法案を御提出になるというようなめどがもうつきましたか。いかがでしょう。
#43
○政府委員(中島一郎君) 国籍法の問題につきましては、昨年の十月に法制審議会の総会が開かれまして、その際、法務大臣から国籍法改正についての諮問が出されたわけでございます。
 総会では、国籍法部会を設けて審議するということが決まりまして、昨年の十二月と本年の一月、二月、三月と合計四回国籍法部会が開かれたわけでございます。その部会におきまして問題点の説明をし、委員の方々から一応の御意見の開陳があったという段階でございまして、一番最近行われましたのは三月三十日、おとといの部会でございますが、これで一応の一通りの審議を終わりまして、今度は人数をしぼって小委員会でもっと詰めたと申しましょうか、もっと突っ込んだ御議論をいただくということになっております。これはあくまで予定でございますけれども、三回ぐらい小委員会を開いて、六月二十九日の部会にその結果を報告してまた部会の御審議をいただくと、これが現在のところ決めております予定でございます。
 その後の予定につきましては、私どもは従来から申し上げておりますように、一日も早く、遅くともと申しましょうか、来年の通常国会提出をめどにということで審議会に希望は申し上げておりますけれども、審議会の審議の結果にもよることでございますので、具体的な日程ということについてははっきりしたことは申し上げられないという段階でございます。
#44
○寺田熊雄君 来年の通常国会をめどにというのは、非常に当初の民事局長答弁から比べますと大飛躍になるわけです。当初民事局長は、大体五年くらいかかりますということだったんですが、それ以来かれこれ一年有余たっていますか、それにしても来年の通常国会をめどにといいますと、相当な飛躍といいますか、御努力があったわけですが、事務的に見ますと、各国の法制調査などというものはほぼ緒についたといいますか、順調に進んでいるということなんでしょうね。
#45
○政府委員(中島一郎君) 必要な外国法制の調査等を一応終わって法制審議会の審議をお願いしておるわけでありますが、審議の過程におきましてまた必要な資料等の提出をするようにという御要望もございますので、あわせて追加的に外国法制の調査なども行っております。
#46
○寺田熊雄君 次は、明治三十一年の法例についてでありますが、親族法関係の規定が夫系ないし父系主義に満ち満ちておるわけですね。これは私、過去においてやはり民事局長にお尋ねをして、これをやはり男女両系主義に改め得ないものかということをお尋ねしたことがあります。民事局長は、各国の親族法の規定、なかんずくアジアにおける諸国の規定などとの関連上、早急な改正というものはなかなか困難であるというような御意見でした。この点は民事局において、やはり念頭に置いて作業はしていらっしゃるんでしょうか。どうでしょうか。
#47
○政府委員(中島一郎君) 御承知のように、法例の問題は、生涯的な法律関係におきまして適用すべき法律として考えられる法律が幾つかあるという場合に、そのうちからどの国の法律を準拠法に指定するか、こういう問題でありますから、どうしても一つの法律でなければならないという場合もあるわけでありまして、そういう点から夫なり父なりの法律を指定しておるという場合もあるわけであります。
 夫なり父なりの本国法が準拠法として指定されておりましても、必ずしもその法律が夫なり父なりに有利であるとは限らないわけでありますから、本質的には差別の問題ではないというふうに考えておりますけれども、先ほども御指摘のありましたように、法例は明治三十一年に施行になった古い法律でございまして、その後、抜本的な見直しというようなことも行われておりませんので、そういう点も含めまして検討をするということにいたしております。
#48
○寺田熊雄君 これは検討をしていらっしゃって、もうすでに作業に入っていらっしゃるわけですか。
#49
○政府委員(中島一郎君) 法制審議会の国際私法部会という部会がございまして、そこでいろいろ御議論は出ておるところでございます。
#50
○寺田熊雄君 まだいつごろをめどにというような御計画まではいってないわけですね。
#51
○政府委員(中島一郎君) 現状はそのようでございます。
#52
○寺田熊雄君 次は、司法書士の試験についてお尋ねをしますが、司法書士は弁護士と違って非常に数も多うございますし、直接大衆の財産の得喪変更、不動産の得喪変更に大きな寄与をしておる職種であります。
 この司法書士の試験というのは、年々何人ぐらい受験をして、何人ぐらい合格しておるのでしょうか。
#53
○政府委員(中島一郎君) 五十五年の数字で申し上げますと、受験申請をした者が約二万名でございます。そのうち、現実に受験をした者が約一万五千名でございます。合格者は約三百七十名でございます。
#54
○寺田熊雄君 試験の必修科目というものはどういうものですか。
#55
○政府委員(中島一郎君) 試験科目といたしましては、司法書士法の第五条でございますが、「民法、商法及び刑法に関する知識」、それから二といたしまして「登記、供託及び訴訟に関する知識」、三といたしまして「その他司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力」ということになっております。
#56
○寺田熊雄君 必修科目としては民法、商法、刑法あるいは不動産登記法、供託法、民事、刑事の訴訟法、こういうふうなものだと伺ってよろしいですか。
#57
○政府委員(中島一郎君) 具体的に申しますと、そういうことになろうかと思います。
#58
○寺田熊雄君 どうなんでしょうか、司法書士会連合会ですか、この方から憲法を必修科目にしていただきたいというような何か陳情があなたの方に出ておりますか。
#59
○政府委員(中島一郎君) 司法書士法が改正されまして国家試験制度が導入されました際に、そういう要望があったということは耳にいたしております。
#60
○寺田熊雄君 憲法は国の基本法でありますし、公法、私法を通じて、これはもう基本的な大原則を打ち立てておるものでありますからして、これに対する理解は法律の分野に職を得る者としてはきわめて当然の要求だというふうに私どもは見ますけれども、したがって、司法書士会の方で憲法を必修科目にしてほしいという要望は十分理由があるように思うんですが、あなた方としてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。それからまた、何かそれについて御方針でもあればお伺いしたいんですが。
#61
○政府委員(中島一郎君) 司法書士の試験と申しますのは、この試験に合格をすれば直ちに司法書士の業務を行うことができるといういわゆる実務家を選考する試験でございますので、受験科目というものもおのずからそういった実務家を養成するといいましょうか、選考するのにふさわしい科目ということに重点が置かれるべきであろうかというふうに考えるわけでありまして、先ほど申し上げたような知識なり能力なりをテストするということになっておるのであろうと思います。
 それから、先ほど三として申しましたように、「その他司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力」ということになっておりますので、憲法の常識というようなものにつきましても、これによって試験をしようと思えばできるわけでありまして、問題の出し方でありまして、私ども憲法的な知識は全く必要ではないというふうに考えておるわけではございませんで、国民として必要な国民常識というようなものはもう持っているということを前提にしまして、もっと具体的な細かい実務的な能力を試す、そういう意味におきまして、登記申請書を作成してもらうというようなことも具体的な試験の方法としてとられておるようでありますが、重点はどうしてもそこにいくということであろうかと思います。
#62
○寺田熊雄君 監督官庁としてそういうふうに考えられるのはよくわかります、私も。また、実務家を養成するのだ、実際に役に立つ人間だというふうに見られるのはわかるけれども、司法書士会としては自分たちの職分を大切にし、法律家の一人として自分たちの地位を高めたい、そう考えるのはきわめて自然なことであるし、またこれは称揚して差し支えないわけです。自分たちの地位を高める上では憲法の理解というようなもの、これは普通常識以上のものがあっていいと考えるのも、褒めていいんじゃないですか。
 だから、憲法を必修科目にしてほしいということであるならば、そういうみずからを高める努力というものはやはりあなた方も尊重してあげて、その要望はかなえてあげてもいいのではないかと私は考えるのだけれども、御検討を願いたいと思うが、どうですか。
#63
○政府委員(中島一郎君) 現在までの考え方は先ほどから申し上げておるとおりでありますけれども、将来の問題として検討させていただきます。
#64
○寺田熊雄君 次に、国連犯罪防止アジア地域研修協力というような問題、そういうお仕事が法務省のお仕事の中にある。これは予算の項目をずっと拝見して、ある程度の経費をこれに注いでいらっしゃることを知ったわけですが、これはきわめて大切なことなんでしょう。その中で外国人の教官の招聘などのいろいろ費用をお出しになっていらっしゃるけれども、これは具体的にどういう外国人の教官を招聘になっていらっしゃるのか、ちょっと御説明いただきたいと思うんです。
#65
○説明員(石川弘君) 私どものアジア極東犯罪防止研修所というのは、昭和三十七年以来五十九回の国際研修を実施いたしております。その間に約というか、むしろ正確に二十五ヵ国から合計百九人の外国人講師を招聘して、そのコースで講義をして、またいわゆる討論に参加してもらっております。
 その国籍は、アメリカの方が四十人ぐらいおったかと思いますが、イギリスが十人ぐらいで、あと、もう先ほども申したように二十五カ国に散らばっておりますので、一々国籍を申し上げても余り意味がないと思いますが、近くのタイだとか香港とかいうアジア諸国からも、十二ヵ国ぐらいのところから来ていただいておるわけであります。
 そして、どういう人かというお尋ねでございますけれども、こういう国際研修の目的は、私どもこれは地域研修所でございまして、アジアと太平洋地域を所管して、その中で刑事、司法に実際に関係している各国の政府の中堅もしくは上級の幹部職員でございますね、これを研修員として招いて講習をやっておるわけであります。したがって、その外国人講師の方々は、単に学識がすぐれているというだけではなくて、そういう刑事、司法の分野の実務に通じておるといいますか、そういうことも考えて、国際的に一応定評のある方を招聘いたしておるわけであります。
 以上でございます。
#66
○寺田熊雄君 そうすると、かなりな数になるんですね。ただ、この予算書を拝見しますと、何か宿舎の予算などがある。特定の人をずっと恒常的に招聘されておるのかなという気もしたんだけれども。――招聘外国人滞在費か。
#67
○説明員(石川弘君) お答えいたします。
 招聘外国人滞在費ということでございまして、これは言ってみれば日当でございます。大体一日当たり一万六千九百円だったかと思いますが、その程度お払いしているということでございます。
#68
○寺田熊雄君 よくわかりました。それで結構です。
 次に、刑務所在監者の作業による収益、これは先ほど大臣から登記事務による国庫の収入ですか、こういうお話もございましたけれども、刑務所在監者の作業による国庫の収益というものもこれはばかにならないように思いますが、これは年間大体どのぐらいになるものでしょうか。ちょっと御説明いただきたい。
#69
○政府委員(鈴木義男君) 刑務所におきます受刑者の作業による収益は、昭和五十五年につきましては百六十八億六千万余円ということになっております。これは年々増額しておりますが、五十六年度予算では百六十億七千五百万円ということになっておりますが、三月推計では百七十億円ぐらいになるというように考えております。
#70
○寺田熊雄君 現在は在監者の総数、たとえば昨年末ぐらいでどのぐらいおるんでしょうか。一人当たりの食糧費というのはどの程度のものなんでしょう。
#71
○政府委員(鈴木義男君) 受刑者だけを申し上げますと、ということは未決の被告人等を除いた数でございますが、昭和五十六年度で本年の一月末の収容人員が四万三千三百二十一人ということになっております。また、受刑者の一人一日当たりの食費は、昭和五十六年度予算におきまして三百六十四円五十五銭ということになっております。
#72
○寺田熊雄君 私ども刑務所へ行くと、なるほど麦飯ではあるけれども、比較的栄養価が高い食料を提供するように御努力になっていらっしゃるということはうかがえるように思うんです。大体これで何カロリーぐらいの食料が供与し得るんでしょうか。
#73
○政府委員(鈴木義男君) 成人受刑者の普通の作業についております者につきましては、二千九百五十二カロリーという計算になっております。
#74
○寺田熊雄君 次は、大蔵省の方来ていらっしゃいますか。――
 時価発行株式、それから転換社債、この二つの発行状況をちょっとお伺いしたいんですが、どのくらい年間にこれが発行されておるのか。
#75
○説明員(松野允彦君) 昨日で終わりました五十六年度について見ますと、時価発行増資が二百四十件、金額にいたしまして一兆二千七百九十九億円でございます。それから、転換社債の発行は五十二件、金額で五千二百六十億円。いずれも過去最高を上回る水準となっております。
#76
○寺田熊雄君 この時価発行株式、増資の場合ですが、株式の引き受けがなされた後でこれが非常に相場が落ちている、増資の引き受けをした株主に損害を与えるという現象が最近非常にふえてきているということを証券会社の知人から聞いたのですけれども、そういう現象があるんでしょうか。
#77
○説明員(松野允彦君) 御指摘のように、特にことしの二月以降になりまして株価が全般的に非常に下落してまいりました。
 その原因として、一般によく言われておりますのは、日本の経済状態が予想よりも非常に悪くなって、日本の企業全体の業績見通しが悪くなってきた。さらに、それに加えまして対外的に貿易摩擦が非常に深刻化してまいりまして、輸出関連株が特に先行き非常に怪しくなってきたというような問題、あるいは円安が非常に進行しておりまして、外人投資家が株を売るというようないろいろな原因が重なりまして、ことしの二月以降株価が低下いたしまして、三月の十七日にはダウ平均で七千円の大台を割る非常に低い水準までいったわけでございます。
 確かに、そういうような要因で株価が下落いたしました結果、五十六年度の時価発行増資を行いました銘柄の中には、時価発行増資の際の発行株価以下に株価が下がっているというものも相当数見受けられます。
#78
○寺田熊雄君 そういう事態は、やはりあなた方としてはこれは傍観するほかはないわけですか、あるいは将来にわたって時価発行増資について何らかの行政指導を行うというような必要はないんでしょうか。
#79
○説明員(松野允彦君) 一般的に申し上げますと、時価発行増資を行いました企業につきましても、先ほど申し上げましたようないろいろな客観的な情勢あるいは株式市場全体の動向ということから、株価が時価発行増資のときよりも低くなるということは、一般的に株でございますので上がったり下がったりするわけで、それ自体避けられないことだと思います。
 しかし、私ども時価発行増資を非常に健全な形で定着させるという必要から言いますと、時価発行増資を行った途端に発行価格以下に株価が下がるというのは非常に好ましくない。株主に御迷惑をおかけするというようなこともございまして、発行企業あるいは引受証券会社に対しまして株価の水準をよく判断して、タイミングをよくはかつて慎重に時価発行増資を決定していただきたいということは従来からお願いしているわけでございますけれども、株式市場のことでございまして、なかなか予測をするというのはむずかしい面もございます。
 ただ、先ほど申し上げましたような状況で、五十六年度に時価発行増資をしました会社で相当数発行価格を割れている、いわゆる公募価格割れの現象を示している企業がございまして、こういう企業に対しましては、私ども証券会社を通じて、公募価格が割れている間にまたさらに時価発行増資をするというようなことは御遠慮を願いたいというようなお願いといいますか、証券会社を通じての行政指導ということでやっておりますし、また一方、投資家の皆さんに対しましては、時価発行増資を行いました企業が結局その時価で調達した資金を設備投資などに使って収益を上げるというまでには相当時間がかかるわけでございまして、短期的に公募価格割れになったということで、すぐ損になるという見方をするよりは、もう少し中長期的な観点で見ていただく、投資をしていただくということが必要ではないか、あるいは証券会社もそういうような勧誘といいますか、投資家にそういう態度で接するべきではないかというようなことも指導しておるわけでございます。
#80
○寺田熊雄君 転換社債の発行が五十二件、金額にして五千二百六十億というのは、大体あなた方の予想どおりなのか。これも、もう転換社債の制度が十分定着し活用されてきておるというふうに見ていらっしゃるのか、その辺どうですか。
#81
○説明員(松野允彦君) 転換社債につきましては、五千二百六十億円という数字が五十六年度実績としてあるわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、過去の最高は、御参考までに申し上げますと、四十八年度で四千百三億円という数字がございます。
 四十八年度以降五十六年度までは、必ずしも順調にふえているわけではなくて、減ったりふえたりしているわけでございますけれども、五十六年度について見ますと、こんなにふえました原因といたしましては、株式市場が非常に前半好調だ。転換社債というのは、御存じのように、株式に転換できるという魅力がついている社債でございますので、株式市場が好調な場合には非常に発行が促進されるという面はございます。
 ただ、いずれにしましても、株式市場の状況いかんによって発行額が減ったりふえたりする面はございますが、私どもから見まして、日本の企業の資金調達の手段の一つとして、ほぼ定着したのではないかというふうに考えております。
#82
○寺田熊雄君 次は、総会屋の問題なんですが、警察庁の方、来ていらっしゃる。
 改正商法の実施を控えて、総会屋はどういうふうに生き延びようとしておるのか。たとえ商法が変わっても水面下で活躍できると考えて勢力を温存しておるのか、その辺の消息をちょっと説明していただきたいんですが。
#83
○説明員(森廣英一君) 改正商法の施行を十月一日に控えまして、国会の御決議等も踏まえ、私ども警察といたしましては、昨今の総会屋の動向を特に注目しておるわけでございますが、現在大体六千人ほどの総会屋と言われる人々を把握しまして、昨年の実例で言いますと、年間にこの関係の事件で三百数十件ほどの事件を検挙しておりますが、商法改正がらみの総会屋の動向という観点から見ますと、大きく分けまして三種類ほどの特徴点が見られます。
 一つは、この機会に総会屋をやめようというような手合いでございます。しかしながら、こういうやめようとしておる、廃業しようとしておる総会屋につきましても、いわゆる手切れ金をよこせというような要求を企業にしておる動きがございまして、注目をいたしております。
 その次のタイプは、転業型と申しますか、これを機会に、まるきり会社との関係を絶つわけではございませんけれども、株主権の行使に絡んだ収益を図ることができなくなることから、冬日を他に求めまして、たとえば出版であるとか、政治運動であるとか、そういうことを標榜いたしまして相変わらず企業から収益を得よう、こういう動きがございます。
 そのほかに、何と申しますか、成り行き型と申しますか、法律が改正されてもわれわれはもうこれしか生きていく道はないのだということで、違法覚悟で相変わらずこういう株主権の行使に絡んだ金銭を会社から要求しよう、こういうことを強行して続けよう、こういうタイプの大体三つに分けられると思いますが、いろんな動きがございますので、現在注目をしておるところでございます。
#84
○寺田熊雄君 この六千人の総会屋、これを取り締まるというのはなかなか容易なことではないと思うけれども、いわゆる暴力団的な行為に出る暴力的総会屋というのは、このうちどのぐらいおるのですか。
#85
○説明員(森廣英一君) 正確にどれぐらいということは必ずしも把握できておりませんけれども、最近の傾向といたしましては、暴力団の系列下に総会屋と言われる者どもが組み入れられていくというか、連携を結んでいくという傾向が相当強くなってきておりまして、警戒をしております。特に、全国的な広域暴力団と言われておるような団体、こういう者と手を結びまして、会社に対して脅迫、威迫をいたしまして仕事をしやすくしよう、こういう動きが強くなってまいっておりますので、警戒をいたしておるところでございます。
#86
○寺田熊雄君 私、何ヵ月か前に赤坂の方へずっと議長公邸の前を通って食事に行ったときに、あそこにサントリーの会社の社屋がある。それを右翼の自動車が二、三台取り巻いて、サントリーの建物はガラスが非常にたくさん用いてある、地震でも起きたらそのガラスによって通行人等がけがをするんじゃないか、けしからぬというようなことでわめき立てて、ラウドスピーカーで大声を発して放送をする。それから、自動車をずっと向こうの方からまた回してきては社屋を取り巻いて騒ぎ立てる。
 ああいうのは、もう間違いなくこれは威力業務妨害に相当するのじゃないかと思ったんだけれども、あれはどういうふうに解決したか、金一封を包んでやめてもらったのか、その辺のこともこれは想像する以外にないけれども、そういう場合に会社が、企業の方がそういう暴力に屈して金を出すというあしき習慣を改めない限りは、これはああいう手合いというものはなくならないと考えるんですね。あなた方がごらんになって、企業が泣く泣くお金をああいう暴力的な連中、それは右翼もあるでしょうし総会屋もあるでしょう。そういうものに払う、そういうことをやめさせようという努力はなさっていらっしゃるんですか。
#87
○説明員(森廣英一君) おっしゃいますように、こういった総会屋がばっこしておる一つの背景といたしまして、企業の姿勢と申しますか、そういうものも大変問題であるというふうに存じております。
 私どもといたしましては、各都道府県警察がそれぞれの地域におきまして、企業側がつくっております企業防衛懇談会とか、会社防衛協議会とか、いろんな名前がございますが、要するに、総会屋のたぐいに対抗して企業が団結をしてみずからを守っていこうと、どういう動きがございますので、従来からこういった企業側の自主的な防衛活動、こういうものをいろいろ指導し助言を与えてまいってきたところでございます。
 今回の法改正を契機にいたしまして、企業の方の動きにも注目しておるわけでございますが、相当多くの企業が真剣にこの改正を受けとめまして、これを機会として長年のそういったくされ縁を断ち切ろうということで、たとえばそういった総会屋の窓口というものも閉じてしまおう、支払っております会もやめてしまおう、こういう勇気のある傾向が出てまいりまして大変喜んでおるわけですけれども、そういうものを応援をしてまいりたい。
 また、そういった企業の自主的な努力を助長する上では、やはりいま先生御指摘のようないろんな株主総会の場はもちろんでございますが、それ以外の場におきましても、企業がそういった暴力的行為の恐怖にさらされないように、警察といたしましても企業側から訴えがあれば迅速に対応してこれを守っていく、企業暴力一一〇番というようなものもつくりまして、こういう指導をする以上、警察が迅速にそういった暴力の被害から会社を守っていくという体制も十分整えまして十月の改正に向けて一層努力をしてまいりたい、かように思っております。
#88
○寺田熊雄君 それじゃ、結構ですから。
 次に、国税庁の方いらっしゃいますか。――
 これはずいぶん大蔵委員会でも問題になっております使途不明金の問題でありますが、この問題でもあなだ万国税庁の方々は大変御努力になって、使途不明金の実態を明らかにするために努めていらっしゃるということはよくわかるんだけれども、最近における使途不明金というのは年額どのくらいになっておりますか。
#89
○政府委員(岸田俊輔君) 国税庁で把握をいたしております使途不明金の数字でございますが、これは国税局の調査課が所管しております資本金一億円以上の企業につきまして実地調査をいたしました分について取りまとめたものでございますが、その推移を申し上げますと、最近五年間、五十一年度で二百九十五億円、五十二年度で二百四十二億円、五十三年度三百三十七億円、五十四年度三百二十一億円、五十五年度三百三十四億円となっております。
#90
○寺田熊雄君 これはもう初めから企業は、使途不明金として計上しておるわけですか。
#91
○政府委員(岸田俊輔君) このうち、たとえば五十五年度分で見てまいりますと、三百三十四億円のうち、最初から使途不明金として自己否認してまいりましたのが二百二十四億円、それから調査によりましてどうしても使途がわからない、言わないというものが百十億円でございます。
#92
○寺田熊雄君 初めから使途不明金として計上するというのは、どういうことなんでしょうかね。それからまた、あなた方が使途を明らかにせよと言ってもどうしても言わないというのは、あなた方としてはどういう理由に基づくものと把握していらっしゃるんですか。
#93
○政府委員(岸田俊輔君) 使途不明金につきまして自己否認分につきましては、当然法人税の否認でございますので課税をいたしますが、本来から申しますと、それが支出されました相手方に対しましても課税をいたさなければならないわけでございますが、企業といたしましては、自分のところの税負担はしようがないけれども、相手方まで課税されるのは困るとか、そのほか違法な問題とか、いろいろなのが内容に含まれているのではなかろうかと推察をいたしております。
#94
○寺田熊雄君 相手方が税金を払うというのは困る、気の毒であると、宋襄の仁というか何というか、実に不思議なことで、何か会社が弱みを持つというか、相手方が非常に強力であるためか、何にしても好ましくないものであることは間違いないですね。
 これは大蔵委員会でいままで論議された会議録を見ると、武見太郎と四つに組んでけんかをなさったいまの大蔵大臣にしては珍しくトーンを落としていらっしゃる、余りはきはきと積極的にお出になるような態度をお見せにならぬのだけれども、何かこれをやめさせるためにはもっと効果的に、たとえばフランスのように、普通の税金の倍額の税金をかけるとか、そういうふうな効果的な手だてはないものでしょうか。
#95
○説明員(滝島義光君) 寺田先生御承知のように、使途不明金の特別課税につきましては、制度上あるいは技術上いろいろな問題がございます。
 たとえば法人税、これも所得課税でございます。いま査察部長から御答弁いたしましたように、実際に支出されているにもかかわらず、つまり会社からお金が出ていっているにもかかわらず、法人税の課税上はそれが法人の中にとどまっている、つまり所得として残っているという課税をいましているわけでございます。それを超えまして何らかの重課を行うということになりますと、これは法人税のらち外に出てしまうのではないか、一種の罰金的なものになってしまうのではないかといった本質的な問題がまずございます。
 それから、技術的な問題といたしましては、こういった特別課税をやるためには、まず費途といいましょうか、支出の相手先をはっきり税務当局に報告させるという義務を設けなければいけないと思います。それとの関連で、現在、記帳義務というものがまだ設けられていないわけでございますが、記帳義務を設けなければいけないのかどうかといった問題がございます。
 こういった問題を踏まえていま検討をしているところでございますが、何せ初めての問題なので、非常に私どももはっきりとした結論を出せないでいるわけでございます。
 フランスにつきましては、先生御指摘のとおり、特別課税が行われております。当初一五〇%という税率の特別課税が行われていたわけでございますが、これをやりますと、やはり相当実際問題としては過酷なケースが出てくるということで、法制上どおりに執行が行われていなかったというふうに聞いております。そこで、一九八〇年の改正でこの一五〇%という税率が一二〇%それから九〇%、この二つの違いは、基本的には一二〇%で、あと支出した相手の名前は言わないけれども金額は言うといった場合には九〇%に減額しているわけでございますが、そういった改正が行われました。これが実際上どう働ているのか、私どももう少し見きわめてみたいと、こう考えているところでございます。
#96
○寺田熊雄君 私どもは、それがたとえば贈賄の性格を持つ金ではないだろうか。したがって、政治家を腐敗させる、政治を汚すということに利用されては困るというふうに考える。それからもう一つは、先ほどお話しのあった総会屋ですね。せっかく改正商法が総会屋をなくそうとしているのに、使途不明金で総会屋に金が回ったのじゃ、改正商法の目玉が台なしになっちゃうのじゃないか。それからもう一つは、暴力的な右翼ですね。こういうものに企業がこわがって金を出す、それを使途不明金で処理するということ。ともかく、日本の政治及び社会の恥部というか黒い面というか、そういうものに利用されたんじゃしようがないじゃないかということでやかましくあなた方に要請するわけですね。
 ですから、やっぱりあなた方も少し無理かなと思っても、やはりそういういわば悪に加担をする行為なのでありますから、遠慮せずに現行法上びしびし挙げていただくことはもちろんだけれども、立法的にもこれを廃絶するための努力というものを講じていただきたいと思うんですね。
 それで、これが私、商法に密に関係してくると思いますのは、省令で規定せられる業務報告書の記載内容ですね、それから同じように監査報告書の記載内容といいますか、民事局でいま御努力になっていらっしゃる省令の問題がありますね。これは民事局の方では、他人に対する無償供与の総額を業務報告書に載せるという問題として提示していらっしゃる。監査報告書もそうでしょうね。ところが、その総額を載せることに対してすら財界が反対する。もう偉そうなことを言って政治を動かしておるにもかかわらず、暗黒面を助長するものに対してあくまでも自己を防衛しようとするそういう好ましくない傾向があるわけですよ。
 私どもは、単に総額だけじゃなくて、一つ一つを計上させるぐらいにしてもいいのじゃないかと考えておるんですけれども、総額すらいかぬという、これは法務大臣、事務当局は大変そういう正しい御主張をなさって省令の内容を規定しようと御努力になっていらっしゃるんだけれども、この財界の横車にどうも事務当局が押される傾向があるということのように私どもは見ておるわけでありますが、実際はそうでなく、毅然として御主張を貫くという強い立場をとっていらっしゃるのかどうか。ともあれ、これは大臣がやはり社会正義の実現のために、そういう不明朗な金の支出というものをやめさせるために大蔵当局も努力をする、法務省の方も御努力になるということでないと私はいけないと思いますよ。
 それで、大平総理は生前に大変そういう点に着目なさいまして、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というものをおつくりになりました。この協議会の提言を見ましても、やはりそういう不明朗な問題に対しては監視機能の強化を図らなければいけない、「経済界に対し疑惑を招くことのないよう自粛自制を要請する。」というような提言があるわけですね。そういういろんな観点から、法務大臣もそういう不明朗な企業の支出というものをできるだけやめさせるように、法務省の分野において御努力を願いたいと思うんですが、いかがでしょう。
#97
○国務大臣(坂田道太君) 私といたしましては、当然御指摘のように、法務省の分野においても考えていかなきゃならないと、こういうふうに思っております。
#98
○寺田熊雄君 法務大臣がああいう正しい意向をお述べになりました。民事局長、財界がそういう無償供与の総額を記載させようとするあなた方の事務当局案に対して横車を押しても、一歩も引かず、やはり正しい主張を貫いていただきたいと思うんだが、どうでしょう。
#99
○政府委員(中島一郎君) この問題につきましては、法制審議会の商法部会の結論を承りまして、その上で私どもの省令制定の結論を出すということになっておりまして、現在のところ、法制審議会商法部会の結論として、こんなところでどうかというようなことをお示しをいただいておるような状態でございますので、それに依拠しまして商法改正の趣旨も十分に考えた上で省令改正を行いたいと、こういうふうに考えております。
#100
○寺田熊雄君 大蔵省の方結構ですから、御努力願います。
 次に、最近最高裁で近田才典被告事件の裁判があったことは御存じだと思うんです。私もこの近田才兵事件は、これは警察、検察のやはり大きな黒星であったと思わざるを得ないんです。「朝日ジャーナル」の四月九日号に「わたしはなぜ自白したか ただただ楽になりたかった」というような見出しがありまして、「勧銀大森支店強殺事件の近田才典氏に聞く」というインタビュー記事があります。
 これを私、読みまして、これは私が弁護人の一人でありました岡部被告の仁保事件を思い出したんです。仁保事件も最高裁で同じように、やっぱり一審の死刑判決が破棄されて無罪、結局最終的に無罪になった事件ですが、もう全く同じものである。というのは、被告人がやはり浮浪者的な、小さなこそ泥的な犯罪を犯したことのある人物であったわけです。そういう浮浪者的、こそ泥的な行為を犯した被告人というものが一層警察から疑惑を受け、好きほうだいな自白の強制をこうむる、そして虚偽の自白をするということになるわけであります。
 これは大臣、ぜひひとつ「朝日ジャーナル」の四月九日号の「近田才典氏に聞く」という、これを読んでいただきたいと思うんですが、それを読みますと、警察がどういうふうにして虚偽の自白を引き出すかということがよくわかります。これは私どもそのほかの事件でもやはり類似の事件を見ておりますので、これが本当にこのとおりだろうという心証を得るわけでありますが、ただ、ここで救いは、検察官は無理なことはしなかったということがこの中に書いてある。
 「検事のところではそういう誘導はあったに世よ、暴行とか脅迫とか、情に訴えるような取り調べはあまりなかったわけですか。」という質問に対して近田被告は、「検察官はまるきりなかった。最初に黙否権の告知もしましたし、拷問とか脅迫はぜんぜんなかった。」、こう言っておるわけですね。ただ、警察の段階における強制、拷問というものが、結局すうっと検察官の取り調べまで続いてしまったということであります。
 そこで、私はいろんな教訓をこの事件から得ることができるわけで、検察官はやはり警察段階の自白というものを十分吟味しないといけないということが一つ。
 それからもう一つは、やはり警察の留置場というものは、どうしても人権の擁護という点に欠けるところがある。つまり、拘置所に入れられますと、朝は起床時間も決まっていますし、昼寝する時間も決まっていますし、就寝の時間も決まっている。警察の場合は、私どもの経験では、飯を食わすのは、子供なんかは飯を食わさないこともある。小便に行きたいと言っても小便に行かせないこともある。もう小便が出たくて出たくて困ると幾ら訴えても小便に行かせないというような少年の訴え、これは結局無罪になった事件ですが、そういう経験もあります。それから、道場に連れていって正座させるということもある。夜遅くまで調べるということもある。ですから、やはり警察の留置場というものは拘置所と比べると、はるかにその警察官の人権じゅうりんのチャンスを与えるようなそういう施設であるということが言えると思うんですね。
 刑事局長はこの近田才典氏の事件、最高裁で破棄された事件については、どんなふうな御感想をお持ちですか。
#101
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘になりましたように、先般最高裁で上告棄却の決定がございまして、無罪の原審の裁判が支持されたというわけでございます。
 したがいまして、いろいろと内容的には考えるところもございますが、結論的に申しまして、やはり謙虚にこれを受けとめて、十分反省もし、また今後の教訓にもしなければならないというふうに受けとめておるわけでございます。
#102
○寺田熊雄君 これは大臣、検事は拷問や強制しなかったと。しかし、警察ではこんなひどいことをされたんですよ。ですから、虚偽の自白をしたんですよと。そして、最終的に近田被告が言っているのは、「いまの制度だと、国選弁護人が起訴後にはじめてつくんです。それが起訴以前に私選と同じ立場で国選がついてアドバイスするという制度にしてほしい。」と、こう言っております。
 それからもう一つは、「警察の留置場をなくすこと。地検逮捕で東京拘置所に移ると調べがすごく楽になる。朝も警察は、そう早くからはこられない。昼の食事も房に帰って食べ、休憩もして、夜は遅くても、九時が就寝ですから、それくらいまでに取り調べが終わる。それが厳重にチェックされる。それが警察の留置場、つまり代用監獄では、二四時間警察の管理下におかれるわけで、焼いて食おうが、煮て食おうが自由なわけです。それと、逮捕したら逮捕の事件しか取り調べができないという原則は守ってほしい。別件を利用すれば、人間なんてのは明けば誰でもほこりがでてくると思うんです。」、こういうようないろいろなことを言って、私ども大変興味深く、またいろいろな示唆を受けたんですが、大臣はやはりこういう人権じゅうりんによる虚偽の自白、そして起訴され、最終的に無罪になる事件、こういうものをごらんになってどういうふうなお考えをお持ちになりますか。
#103
○国務大臣(坂田道太君) この問題につきましては、いろいろの報道もなされておりますし、「朝日ジャーナル」も私拾い読みをいたしたわけでございます。しかし、先ほど刑事局長から申し上げましたとおりに、最高裁の決定がなされたわけでございまして、私どもといたしましては、この決定に対しましては厳粛に受けとめ、反省すべきところがあれば今後反省いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#104
○寺田熊雄君 再審の問題がこれに関連して考えられるわけですが、再審問題では再審の門を広げるということについては、刑事局長、いままでやはり賛成しがたいという御意見でしたね。それでは現在の刑事訴訟法の再審の規定というものは、これは全然改正する必要はない、改正の余地はないとお考えですか。やはりこういういろいろな人権じゅうりんの事件による誤判事件というのは後を絶ちませんので、何らかのやはり検討をしなきゃいけないというふうにお考えですか、どうでしょう。
#105
○政府委員(前田宏君) ただいま寺田委員も仰せになりましたように、この再審制度につきまして、特にその再審事由を拡大するということにつきましては、基本的にはにわかに賛成できないということを前にも申したわけでございまして、その考え方は現在も基本的には変わっていないわけでございますけれども、やはりこの再審制度の本質と申しますか、あるいは手続の問題とか、いろいろな面があるわけでございまして、そういう点につきましては、今後とも十分に検討をいたしまして、改正すべき点があれば改正しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#106
○寺田熊雄君 最後に、このごろ自然を汚す犯罪、ことにメッキ工場が六価クロムなどの有害な物質を流すというようなことが後を絶たないわけですね。これはもう常に新聞紙上に報道せられるわけで、またかというふうな印象をその都度私どもは受けております。これは八二年、ことしの二月四日の各新聞が報道しているところによりましても、東京都内のメッキ工場四社が有害物質のシアン及び六価クロム、これを下水道を通じて東京湾にたれ流しをしていたことがわかったと、「多摩川にサケを呼び戻す「カムバック・サーモン運動」など河川浄化への願いを踏みにじるものとして、運動を進めている市民の怒りを呼んでいる。」というような新聞報道があります。
 こういう環境破壊、自然を汚染する犯罪、これはどうも行政犯としてそれほど重罰を受けてはいないわけですね。ところが、外国に行きますと、こういう犯罪というのを非常に重く見ている。こういうことをするとすぐに逮捕されてしまう。かなり重い刑を受けるようであります。こういう自然を汚す犯罪については、立法論としてもう少し重い対応、厳重な対応ができないものかと私いつも考えるんですが、この点は刑事局長、どんなふうに考えられますか。
#107
○政府委員(前田宏君) いわゆる公害問題につきましては、御案内のとおり、昭和四十五年でございましたか、いろいろな法律ができまして、私どもといたしましても、刑法に準ずるような法律ということで、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律というものを国会に御提案し、制定を見たところでございます。その後、いま仰せになりましたような水質を汚濁するような行為等につきまして事件も相当数検挙され、処罰もされている実情にあるわけでございます。
 その点につきましては、今後とも十分適正な運用に努めたいと考えておりますが、罰則がもう少し重くてよいのではないかと、こういう御意見のように承ったわけでございます。いろいろな法律がございまして、先ほど申しました私どもの法律では七年というような重い刑も設けておりますが、一般的な行政法規、行政規制の罰則では一年あるいは六月というような法定刑になっておるわけでございます。それをどのようにもっと引き上げるかということは、もちろん検討すべき問題であろうとは思いますけれども、その立法当時あるいはその後の運用状況に照らしまして、それぞれの所管省庁からもう少し上げてほしい、上げたいというような御相談も率直のところないわけでございまして、その点はまた、それぞれの所管省庁とも御協議をする要があるいはあるかと思いますけれども、そのような場合には、十分罰則を所管する私どもといたしまして実態をよくうかがう等いたしまして、適正な法定刑を定めるというふうにいたしたいと思っているわけでございます。
 ただ、このような行政規制の場合に、すべて刑罰ということで片づく問題でもないような面があると思います。いろいろな行政指導なり改善措置なりということが行われまして、それによってそういう犯罪になるような行為自体が未然に防止できるということが、よりまた第一次的に必要なことではないかというような面もあるわけでございますので、そういうようなこともあわせ考えながら関係省庁とも十分協議をいたしてまいりたいと考えております。
#108
○寺田熊雄君 刑事局長のおっしゃることは本当に優等生的な御答弁で、物わかりがいいといいますか、それはそのとおりなんで、これは罰則だけで何もやるべきでない、行政指導というようなものもあるという、そのとおりなんだけれども、行政指導が一つはぬるいわけですよね。
 これは通産省がいままでにいろいろな公害事件で常に俎上に上がってくるんですけれども、企業に対して非常に甘い寛容な態度をとり続けたことが公害の発生をもたらした、健康被害や環境被害のおびただしい被害をもたらしたということが過去にありますから、ですからメッキ工場などの、本来その企業の中で処理してそれから下水道に排出するということを義務づけられているわけですから、私ども見ておってその指導監督が十分でないわけです。ですから、いつまでたってもこれが繰り返されてくるわけですから、やはりそういう犯罪に対して、もうちょっと罰則を厳しくしていただきたいという気持ちが率直にあるわけですよ。よく考えていただきたい。
 大臣、最後に、環境を守るために、こういう事件がとかく軽く扱われていることに対しては留意して、やっぱりこういう点の是正に御努力願いたいと思うんです。いかがでしょう。
#109
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、十分検討すべき課題であるというふうに思っております。
#110
○寺田熊雄君 終わります。
#111
○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十六分開会
#112
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、法務省所管を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#113
○小谷守君 午前中、寺田先生の御質問を拝聴しておりまして、裁判官の定数が若干ふえたようでありますけれども、ごくわずかでございまして、民事、刑事対象事件はどんどんふえてきておると思いますが、こういうことで大丈夫だろうかという気持ちがいたします。司法が聖域だということではありませんけれども、憲法上の独立機関である司法の尊厳というものを保持していく上からも、行革一般論で法務関係の財政が扱われるということでは私は相ならぬと思います。
 そういうようなことで少し伺ってみたいと思いますが、五十七年度の予算要求に当たって、最高裁は裁判所の裁判官あるいは職員の増員についてどういう御要求をなさったのでございましょうか、お聞かせを願いたいと思います。
#114
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 五十七年度の増員の当初要求でございますが、判事十人、書記官六人、事務官三十三人、合計四十九人でございます。
#115
○小谷守君 これは要求のとおりですか、この決定は。
#116
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 実際に認められましたと申しますか、大蔵との間で合意されました人数は、判事八人、書記官六人、事務官三十二人、合計四十六人でございます。
#117
○小谷守君 初めのお答えをちょっと聞き損ねましたが、要求と結論との間にはどれだけの誤差がありますか。
#118
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 要求より三入減っております。概算要求時点の人数よ五二入減っております。
#119
○小谷守君 昨日、寺田先生から財政法十八条をめぐる御質問があったと、こういうふうに拝聴しておりますが、私は財政法十九条との絡みで御見解をただしておきたいと思います。
 いま定員の問題についても初めの要求と結論との間には数名のやっぱり差が出ておると、こういうことでございます。そのことは、予算の上で、当然初めのあなた方の要求をされた見積もりと実際のここに出されております金額とはかなりの誤差が出ておると思います。それに相違ありませんか。
#120
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 最終的に決まりました四十六人の増員と申し上げましたが、実は定員削減計画への協力分三十七がございますので、それを引いた数に相なるわけでございます。予算措置といたしましては、増員分といたしまして八千四百八十一万三千円が計上されております。
#121
○小谷守君 それでは、予算の数字で伺いましょう。
 この刷り物によりますと、裁判所関係の予算は百五十二億八千九百万余と、こういうふうになっておりますが、そのとおりですか。
#122
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 昭和五十七年度予算、裁判所予算の総額は千九百八十一億余でございます。
#123
○小谷守君 それは大蔵省に対する最初からの要求と同じですか。
#124
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 私、直接の所管でございませんので詳しくは存じませんけれども、当初要求より最終的な額は増額しているというふうに聞いております。
#125
○小谷守君 それは結構なことですが、どういうことですか、内容は。
#126
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 概算要求時点は人件費のアップ分を計上せずに要求いたしたわけでございますが、それは各省庁並びのものでございますけれども、人件費のアップ分が上乗世されて結局概算要求額よりは増加したというふうに承知しております。
#127
○小谷守君 私は少し迂遠な質問をしたように思いますから、核心の点について申し上げましょう。
 財政法十九条は、「国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、」国会が云々と、こういうことになっております、ですから、この見積もりが予算と違った場合には、これを詳細に付記してもらわなきゃならぬということになっておるわけです。これは、ただ手続だけではない。根本精神において、司法の独立をやっぱり守っていこうと、こういう根本精神があるわけでありまして、ですからこれは厳正にやっぱり守っていかなきゃいかぬ。昨日寺田先生から御質問のあった十八条とあわせてこれはやはり当局もわれわれも大切にしていかなきゃならぬ条項であろうと思うんです。
 ところが、どうでしょう、大臣、これはことしに限ったことではありませんが、大体大蔵省との間で事前調整ということでこういうことがうやむやになって、そうして何事もなかったという姿で推移しております。一面、非常に滑らかな運営のようには見えますが、しかし私はこのごろのはやり言葉でありますが、一種の談合のような気持ちがしてなりません。こういう点は、裁判所というのは法の番人ですから、もう少しやはり崩し書きをせずに楷書で取り扱っていただくようにお願いをしたいと思いますが、大臣の御見解はどうでしょうか。
#128
○国務大臣(坂田道太君) 先生御指摘のとおり、裁判所の仕事は、司法の独立、これが民主主義社会における非常に大事なポイントであろうかと思うわけでございます。そのために、やはり職員が安心して職務に専念できるためには、必要な人員はぜひとも確保していただかなければならない、かように考えるわけでございまして、大蔵省との折衝におきましても、真剣に予算の要求に対しましてそれを満たすべく努力をして、今回御提案申し上げているようなことに相なったということを御理解賜りたいと思うのでございますが、今後ともやはり当然の要求につきましてはこちらも正々堂々と要請をいたしたい、そして獲得をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#129
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 小谷委員御指摘のとおり、裁判所には二重予算の制度があるわけでございますので、私ども毎年大蔵と折衝いたします場合にもそのことを常に念頭に置いておりますし、財政当局の方でもそのことを十分わきまえて事に処していただいているというふうに考えております。今後もそういった観点から十分努力してまいりたいと思います。
#130
○小谷守君 国の行政事務の一般国民への連絡、通知、こういうものはたくさんございますが、その方法はテレビや新聞、こういう広報によるもの、あるいは官報に掲載するもの、いろいろ様式がございますが、しかし一般国民と国とが利害関係の立場にある場合、裁判所のように係争中の事件に関するものの通知、こういうものは受取人を特定して通知をされるわけでございましょう。
 法務省あるいは最高裁両当局にお伺いをいたしますが、それぞれ通知の受取人を特定して出されるものには何種類、どういったものがございましょうか、簡単にお聞かせを願いたいと思います。
#131
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) ただいま御指摘のとおり、裁判所の書類を事件の当事者あるいは関係人に送る場合、送り方は民事訴訟法百六十条以下に一般的に決めております。この規定は刑事訴訟あるいは家庭裁判所の事件についても準用があるということになっております。
 これがいわゆる送達という方法でありまして、これは執行官あるいは郵便集配人が行うことになっておるわけでありますが、多くはいわゆる郵便法六十六条に定めております特別送達という方法で行っております。この送達、どういう種類があるか申し上げますと、一般的に言いますと、民事の訴訟で言いますれば、訴状を送る、期日の呼び出し状を送る、判決を送る、こういうような場合にすべてこの送達を用いるわけでございます。その他刑事訴訟あるいは家庭裁判所の事件におきましてもいろいろそういう呼び出し、裁判の告知等に使われております。
#132
○小谷守君 裁判所から、はがきによる送達例はどういうものがございましょうか。
#133
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 裁判所の書類を送る場合の原則は、いま申し上げましたとおり特別送達というやり方でやるわけでございますけれども、特別の規定が置かれておりまして、相当と認める方法によってすることができるという場合には、御指摘のように、はがきによる呼び出し等が行われております。
 その代表的なものを申し上げますと、民事訴訟法の三百五十六条ノ二に簡易裁判所における期日の呼び出しは相当と認める方法によっていいという規定がありますが、この規定に基づきまして、はがきで期日の呼び出しをするという場合、それから科料の裁判の告知、これは非訟事件手続法の十八条によりまして相当と認める方法によってやれるというふうになっておりますために、その告知をはがきでやる場合もあるようでございます。その他調停期日の呼び出し等も、はがきでやるという場合がございます。
#134
○小谷守君 裁判所から、はがきによる送達例、たとえば民事でありますと上告記録到達通知書、担保取り消し決定通知書、調停期日呼び出し状、簡易裁判の期日呼び出し状、刑事事件では押収物還付通知書というようなものがはがきによる通達になっておると承知をしておりますが、間違いありませんか。
#135
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 私ただいま申し上げましたのはその一部を申し上げたのでございまして、委員御指摘のようなケースで、はがきによる呼び出しがされている場合もございます。
#136
○小谷守君 法務省関係に伺いますが、検察庁から関係者に出すはがきによる送達例はどういうものがございましょうか。
#137
○政府委員(前田宏君) いろいろとございますが、たとえば証拠品の関係について申しますと、証拠品の所有権の放棄をするかどうかというような意思を確認するための照会書でございますとか、あるいは証拠品を返すので返すという通知でございますとか、それが奉還付、仮還付という場合がございますのでそれぞれあるわけでございますし、また罰金等の徴取手続におきましては、罰金の納付告知書などもそういう部類に入るわけでございます。
#138
○小谷守君 郵政省見えていますね。――
 はがきによる通達の場合におきましても、郵便集配人が業務に関し知り得た秘密を他人に漏らすか漏らさないかということについては、これは郵便法九条に通信の秘密ということで規定がございますが、私がいま大変心配しますのは、最近団地等では主婦に、団地のママさん方に依頼をして郵便物の配達を委嘱をしておる例が多々ございます。郵政省としては、この通信の秘密ということとの関連で、いまのような団地の集配の実態、主婦をパートに頼んで配達をしてもらっておるという状況で通信の秘密ということについての心配はありませんか、どうですか。
#139
○説明員(神谷和郎君) お答え申し上げます。
 団地配達に従事しております主婦などの方々は、全国的に申しますと五百五十九団地で約千四百名の方々がいらっしゃいます。この方々は非常勤職員として雇用しておりますので、おっしゃるとおり四時間の非常勤職員ということでございますが、通信の秘密の確保という関係につきましては、御指摘の郵便法第九条で守秘義務が課せられているほかに、非常勤職員であっても国家公務員に変わりがないわけでございまして、国家公務員法第百条の守秘義務も課されておりますので、これらに違反した者は刑事責任を問われると、こういうことに相なっております、
 さらに、郵政省といたしましては、通信の秘密確保につきまして採用時に十分法律の趣旨を説明するほか、毎月郵便局の幹部が出席しまして開催をしております業務研究会においても指導を徹底しているところでございます。
 なお、通信の秘密に関しまして、こうした団地配達に伴う具体的事故のあったという事例は、現在のところ承知をいたしておりません。
#140
○小谷守君 おっしゃるように、この団地配達の主婦は形式的には非常勤職員でございますが、そうしてこれは国家公務員ということに相なるわけでございましょうが、あなたはいま事もなげに、こういう法律がある、だから大丈夫だと、こういうことでありますが、それはたてまえであって、たとえばこういう例がある。
 検察庁から参考人として呼び出しがあったと、はがきです。すぐさま団地じゅうに知れ渡ってしまった。はがきですからね、これはちょっと見たらわかるわけです。普通のはがきは盗み読みしたりせぬと思いますね。しかし、裁判所だとか、あるいは検察庁だとかというところから出された通信というものは、何か非常に配達に携わっておるママさん連中にとっては異常な関心を持つらしい。どこそこの主人には裁判所から呼び出しが来たとか、検察庁から呼び出しがあったとかいうと大変なうわさになる。こういうことが間々あるようです。
 あなたは大丈夫だとおっしゃるけれども、それはたてまえであって、決して責めるわけじゃありませんよ。そういうことで十分御注意をいただいておることと思うけれども、なおかつそういうことがいろいろある。
 これはひとつ大臣に伺いたいんですが、はがきによってこういう大事な意思の伝達をするということは大臣どう思われますか。もう二十円奮発してこういうことは全部封書で発送するようにできぬものかどうか、これは改善をしなきゃいかぬと思う。プライバシーの上から言ってもぜひ改善が望ましいと思いますが、大臣の所見はどうですか。
#141
○政府委員(前田宏君) 大臣の御答弁の前に若干実情を申し上げますが、たとえば自由刑の執行のための呼び出しというようなものは一番個人のプライバシーにかかわるわけでございますので、そういうものは必ず封書という扱いをいたしております。その他先ほど申しましたように、はがきを用いているものも現在ないわけではございませんが、私どもの立場といたしましても国民の方々の協力を得なければ仕事ができないことでございますので、またプライバシーの保護ということにも当然留意しなきゃならない立場にあるわけでございますので、それぞれの内容に応じまして封書を用い、あるいは直接電話で連絡をするというような配慮に心がけているわけでございます。
 はがきを用います場合には、ほとんどそういう内容的にプライバシーにかかわらないような内容の場合ははがきを用いるというような運用をしておるわけでございますが、今後とも御指摘のような点につきましては留意をしてまいりたいと考えております。
#142
○国務大臣(坂田道太君) ただいま刑事局長から御答弁を申し上げたとおりでございますが、検察庁の仕事につきましてはやはり国民の御協力を得なければなりませんし、またそういうことで個人の名誉にかかわる問題あるいはプライバシーを侵すというようなことがあってはならないわけでございまして、こういういま御指摘になりましたような問題について、十分こちらとしてはそれなりの配慮はいたしておるように思いますけれども、しかし最近の奥さん方が配達をされるというようなことを考えますと、もう少し私たちの方で検討を要するのではないだろうかというふうに思っておるわけでございまして、検討をさせていただきたいと思っております。
#143
○小谷守君 大臣から検討したいというお答えでありますからもうそれ以上申し上げませんが、これは、はがきという人目につく手段の中での工夫、検討ということであっては私はもうだめだと思うんです。やはりこれは封書にしなきゃいかぬ、二十円奮発する以外にないと、こう思うんです。ですから、大臣のおっしゃる御検討の方向はそうあってほしいと思いますが、どうでしょう。
#144
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどお答え申し上げたのも、実はそれを含むつもりで申し上げたつもりでございます。
#145
○小谷守君 郵政省、御苦労さま、結構です。
 最高裁も、その封書の点は同様にひとつ考えてもらいたい。
#146
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 先ほどもお答えいたしましたように、裁判所がはがきを用いている関係は、きわめてその文書の性質、内容自体が軽微なものでありまして、深刻なプライバシーの問題を生ずるおそれはないというような考えで行っているものでございます。深刻なプライバシーの問題を引き起こすおそれがある、たとえば家事事件等につきましては、担当の調査官あるいは書記官が個人名で、しかも封書でやるというような意の用い方もしているわけでございます。
 しかし、御指摘のような配達の実情があるとすれば、なお検討すべきは検討しなければならないものというふうに考えております。
#147
○小谷守君 最高裁結構です。
 さて、次の問題でございますが、午前中寺田先生から保護観察官の問題、保護司の問題について御質問がございました。犯罪を犯した者の更生を図るための保護観察業務というのはきわめて重要な、しかしまた、きわめてじみな仕事でございまして、これらの業務に携わっている官民の方々の御苦労は大変なことだと思います。私どもも心から敬意を表するものでございます。
 ところで、どうもこの制度を見ますというと、ボランティアである民間の保護司制度というものに寄りかかり過ぎておるという点が気遣われてなりません。保護観察官と民間から委嘱される保護司との関係などについてきょうは少し伺っておきたいと思いますが、保護観察の実務に当たっておる保護観察所における観察官の人員はいまどのぐらいでございますか、そして保護司の数はどのくらいですか。
#148
○政府委員(谷川輝君) お答え申し上げます。
 まず、保護司の先生方の数は全国で現在のところ四万七千人前後でございます。それから専門家と申しますか、国家公務員として、役人として保護観察に当たっております保護観察官の数は、職員全体といたしましてはこれまたわずか千二百名余りでございますけれども、そのうちの保護観察官の数は五百八十四名が実際に保護観察に当たっておる保護観察官の数でございます。
#149
○小谷守君 大臣、この数をどうごらんになりましょう、この数を、防衛庁の方ばかり考えずにね。これはひど過ぎると思うんですが、どうでしょう。
#150
○政府委員(谷川輝君) 私の方から先にお答えいたしますが、わが国の更生保護制度で保護観察制度と申しますのは、これまた委員十分御承知だと思いますけれども、民間篤志の方々の力、その民間篤志の方々からお願いする保護司の方が地域性、民間性、それを十分に生かしていただいて地域社会の中で対象者に接遇していただく。これに対しまして国の方からは、専門的な勉強をした専門性を持った保護観察官というのが、その専門性を生かしながら保護司の先生方と共同体制を組んで、それぞれの特質を生かしながら地域社会の中で保護観察をやっていくというところに、わが国独自の制度的な特色があるわけでございます。
 ところで、ただいま数の上で申し上げますと余りにもひどいではないかという御指摘がありますとおり、絶対数といたしまして保護観察官がいまの数でいいとは私ども思っておりません。はっきり申し上げましてそう思っております。
 なぜかと申しますと、やはり最近のように社会の情勢、犯罪がいろいろ複雑多様化してまいりますと、たとえば覚せい剤の犯罪がふえておる、暴力団、暴力組織の犯罪がふえておる、そういう刑余者なり、あるいは少年院から退院しました子供たちなりを扱うには、ただ単に地域社会の民間の燃えるような篤志の方々の御努力だけではとうていやっていけないわけです。
 そこで、専門家である観察官が保護司の先生方を御指導申し上げると言ってはあれでございますけれども、いろいろ研修をしながら一緒になってやっていく。しかも、それでもまだだめな者につきましてはどうするかといいますと、私どもの数少ない保護観察官の中から直接処遇班と申しまして、保護司の先生方にお願いできない、もう自分たちだけでやるのだという専門的な観察の班を組織いたしまして、なかなか苦しゅうはございますが、現在やっておるというのが現状であるわけでございます。
#151
○小谷守君 私が申し上げたいのは、こういう民間のボランティアに甘え過ぎてはならぬということを申し上げておるわけであります。また、保護司の皆さんは委嘱をされるに当たりまして、保護司法第三条で、これは厳しい条件がつけられております。すなわち「保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、法務大臣が、委嘱する。」、こういう厳しい規定があります。
  一 人格及び行動について、社会的信望を有
 すること。
  二 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕
 を有すること。
  三 生活が安定していること。
  四 健康で活動力を有すること。こういう厳重な資格要件ということになっておりますが、これらの条件をすべて満たす人となると、その発掘がなかなかむずかしいと思いますが、どのようにして適任者を見つけ出されておるのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
#152
○政府委員(谷川輝君) お答え申し上げます。
 何せ国がお願いいたします更生保護に御協力を願います方を選ぶには、やはり保護司法にありますような非常に厳しい条件のもとでやっていただける方でないと困る、こういうことで保護司法が存在しておるわけでございます。
 保護司さんを選任いたしますにつきましては、これは第一次的に、現在保護司をやっておられます地域で、先ほどおっしゃいましたような、人格がすぐれ一生懸命にやってくださっておる保護司さんが、地域社会の中から、それぞれの保護区というのがございますが、その地域の中で、この人は保護司をやっていただける方だという人にねらいをつけて勧誘していただきまして、そして候補者が上がってくる。それを各保護観察所が、地方裁判所の管轄に必ず一つ保護観察所がございますが、その保護観察所の中に保護司選考委員会というのがございまして、いま一人だけは委員長は弁護士さんであり保護司さんであるところがございますが、残りは全部その他の地方検察庁の検事正が会長をやっておりまして、そこには地方裁判所の所長あるいは保護司会の役員の方々、大学の先生などがおられまして、そこで候補者の中から、この人ならいいだろうという選定を非常に慎重にやっていただいておるというのが現状でございます。
 ただ、これまた打ち明けて申しますと、先ほど御指摘になりましたような保護司法第三条の要件にあてはまる方、こうなりますと、若い方ではなかなかなり手がないというか、候補者に上がってこないのが現状でございます。御承知のように、戦後の経済成長のもとにおきまして皆さん方が一生懸命になって働いておられるそのときに、三十代、四十代でこの人こそはと思っても、皆さん方御自分の経済活動なり仕事なりに熱中しておられるわけでございますから、なかなかむずかしい。そうなりますと、やはり一定の事業なり生活なり、あるいは公務員の生活なり教員生活なりを終えられまして、子供さんも仕上がりまして、さて世のため人のために仕事をしてやろうという方をお選びする以外にないわけでございます。
 そうしますと、どうしても年齢は五十五、六歳から六十歳に近くなってくる。そこで、現在、平均年齢を申し上げますと、六十・七歳というようなことで、全国平均の保護司の先生方の平均年齢は六十歳というふうにお考えいただいて結構だ、そういう悩みもあるわけでございます。
#153
○小谷守君 保護観察というような業務でございますから、観察対象者との心の通い合いということがきわめて大切であろうと思います。でございますから、地域社会の中で、それにふさわしい人格者で、しかも生活が安定しておるという者を選んで保護司に委嘱しようということになりますというと、どうしてもいま言われたような高齢者にならざるを得ない。
 資料を拝見しますというと、保護司の平均年齢は昭和五十五年で六十・五歳というふうに承っておりますが、間違いありませんか。
#154
○政府委員(谷川輝君) そのとおりでございます。
#155
○小谷守君 過去五年間ほとんど同じような状態であるというふうに承知いたしますが、間違いありませんか。
#156
○政府委員(谷川輝君) 昭和五十三年が六十・七歳、五十四年が六十・六歳、五十五年が六十・八歳、そして五十六年が六十・五歳、過去五年間ほとんど変わっておりません。
 これは、ついでながら申し上げますと、昭和二十八年当時は全体の約四分の一だけが六十歳以上の方であったわけです。ところが、たとえば本年、五十七年の一月一日現在では約半数の五四・七%の方が六十歳以上であるという現状でございます。
#157
○小谷守君 わかりました。
 そこで大臣、お考えをいただきたいわけでありますが、最近の青少年犯罪の急増の趨勢、御承知のとおりでありますが、これからは観察対象者の中に若者の占める割合が多くなってくる、これは十分予想されます。価値観の異なるゼネレーションギャップというものをどう埋めるか、お互いの意思の疎通を欠いて保護観察の目的達成の妨げとなるようなことはないであろうか。私は、保護司の皆さんの大変な御苦労に感謝しつつも、なおこのことを心配いたしますが、大臣のお考えはどうでありましょうか。
#158
○国務大臣(坂田道太君) ただいま政府委員からお答えいたしましたとおりでございまして、私の心配の一つはその点でございます。
 人格高潔で、しかも職務にふさわしいその地域の人材というと、どうしても年齢構成が高くなる。ところが、実際、非行青少年が多くなる、あるいは犯罪を犯す者がいま御指摘がございましたように非常に多様なる価値観のもとに育った人たちでございまして、りっぱな、いままでの保護司さんたちらりっぱではございますけれども、果たしてこれらのニーズに的確にこたえられるだろうかという心配を実はいたしておるわけでございまして、この点については、ひとつ私どもの方で十分検討して、これに対処する方策を考えていかなければならない、かように考えている次第であります。
#159
○小谷守君 これは大臣の御在任中に何かひとつ打開策をお考えをいただきたい。これをぜひ手がけていただきたいというふうに御注文を申し上げておきます。
 さて、きょうは委嘱審査ですから余り嫌なことは申し上げたくないわけでありますが、一つだけ気にかかることがありますのでこれをただしておきたいと思います。
 五十五年度の会計検査院から出されております決算検査報告という書類に、刑務所作業製品展示即売会における販売代金等をごまかしたと、こういう不正経理が金額三千四百六十余万円、中でも宮崎刑務所における不正経理は二千四百十万余円、こういうことになっておるようでありますが、これは一体どういうことでありましたか、関係者から伺っておきたいと思います。
#160
○政府委員(鈴木義男君) ただいま御指摘のありましたような会計検査院から不正経理であるというふうに言われました金額等については、御指摘のとおりでございます。
 これはどうしてこういうことになりましたかという点を申し上げますと、刑務所では刑務所の作業ででき上がりました製品を部外に売却するということがあるわけでございます。刑務所でのいわゆる作業の収入というのは二通りございまして、一つは、外部の業者から一定の物に加工等をしてくれというふうに頼まれまして、その作業をしてその加工賃、普通賃金収入と呼んでおりますが、加工賃をもらう場合が一つでございます。もう一つは、刑務所当局で材料代、それからその他の作業に要する経費を負担いたしまして物をつくりまして、一番いい例が靴とか家具等でございますが、これを外部に売却するということでございます。
 外部に売却する場合は、普通注文生産と申しまして、注文がありました場合にそれに応じて作業をするということでございますが、これだけでは受刑者を完全に働かせるということがなかなか困難でございます。したがいまして、特に最近は業界の不振という問題もございまして、注文だけで作業を進めるということが非常に困難になってまいりました。そこで、ある程度需要を見越しまして刑務所で製品をつくる、つくってある程度ストックができますとそれを展示即売会、すなわちある場所を借りたりいたしまして、そこへ製品を持っていきまして一般の方に来ていただいて買っていただくと、こういう形のものをやるようになったわけでございます。
 これをするにつきましては、会場を借りる費用も必要でございますし、それからある程度宣伝と申しますか、案内をいたしませんと集まっていただけません。そういう意味で、案内をするための費用というものも必要でございます。それから、さらにこういうことをいたしますと、大体休日に行うわけでございますが、その準備も含めまして、職員に相当なこれは超過勤務手当のつかない超過勤務を無理にやっていただくということにもなるわけでございます。
 そういうことがございまして、それぞれの刑務所では何とかしてその費用等を、経費に当たる分を何とか捻出しようということを考えた施設がございまして、そういう施設では、たとえば一万円で売るべきものについて多少の上乗せということをいたしまして、上乗せをして、買った方からは少しよけいいただいて、あらかじめ決められた額だけを国庫収入にいたしまして、その差額は刑務作業製品の即売会の経費に充てると、こういうことをした施設が出たわけでございます。
 それが宮崎刑務所等でございますが、特に宮崎刑務所におきましては、先ほども御指摘のように二千四百万円の上乗せをしたわけでございますが、これはほかの刑務所でいたしましたのとは多少違って大がかりでございまして、宮崎刑務所では屋久杉を使いまして木工製品、家具等をつくっていたわけでございますが、この屋久杉の材料が非常に高騰いたしまして、なかなか手に入らないので、売った製品に上乗せしたお金をさらに使いまして、それで原料を買ってきてまたその作業をする、それに上乗せをしてまた原料を買って作業して売るという形をとったわけでございます。そういう意味で非常に大きな額になったわけでございますが、実際にはこれは作業の材料費に支出しているのが大部分でございます。
 これは約四十庁で行っておりますが、ほかの施設ではそこまでやりませんで、結局額にいたしますと宮崎刑務所だけで、五十三年から五十五年までの三年間に約二千四百万円、それからその他の施設ではいまの三年間に約一千万円という上乗せと申しますか、先ほど御指摘がありましたように会計法上は違法であるという形で処理をいたしたわけでございます。このうち宮崎の二千四百万円、それからその他の施設の一千万円、これの大部分は材料費、それから即売会に必要な経費等に充てられたわけでございまして、決してインチキとか、要するにピンハネとかいうような職員等の私利私欲を図って不当な操作をしたというものではございませんので、その点をひとつ御理解を願いたいと思います。
 なお、飲食費等ということが問題になっておりますが、この点は、一つは宮崎におきましては即売会をこの三年間に三十五回実施いたしましたけれども、その後等に反省会というような形で多少、何といいますか、慰労に充てるような支出をいたしておりまして、その点は御指摘を受けまして、つい先般、全額国庫に納入するという措置をとらせていただきました。それから、その他の施設では、職員の弁当代ということで約二百八十万円使っておりますけれども、この点は、先ほど申しましたように職員が休日もほとんど返上して自発的に働いたということで、一人当たり約四百円程度の弁当を出すのに必要な経費ということで使わしていただいたわけでございます。
 以上のような事情でございますが、刑務作業といいますのは非常に私どもは大事なことだと思っておりまして、これは単に国庫の収入がふえるというだけではございませんで、作業を通じて受刑者が職を身につける、あるいは労働の習慣を養うということもございますし、それからさらに、作業をしておるために、要するにぶらぶらしておりますと施設の規律も乱れてまいりますが、作業をしておるために規律も維持されている、それからさらに、即売会におきましては、ただ単に物を売るだけではなしに、いま刑務所ではどうなっておるのかということを一般の方々に理解していただくという機能も果たしておるわけでございます。そういう大事な作業をさらに推進しようということで、この四十幾つかの施設が多少勇み足をしたというような状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#161
○小谷守君 よくわかりました。会計検査院の指摘のあった件でありますから実情を伺ったわけでありますが、済んだことをいま私は取り上げてとやかく申し上げるつもりはありませんが、これを一つの教訓にして、やはり法務行政というか、特に受刑者を預かっておる刑務官の皆さんに何か妙な不信感が起こらぬように、日ごろ大変な苦労をしておるわけですから、いまのあなたのおっしゃったそんな売上金の中から少し操作をして弁当代を出すとか、慰労会の費用を捻出するとか、まして超勤相当分をひねり出すとかいう、そんなこそくなことをしなくてもいいじゃありませんか。
 これは、予算がないからそういうことをしておると思う。しかし大臣、こういうことをせぬでもいいように、これはりっぱな超過勤務じゃないですか。日曜日に出てきて、受刑者のつくった、作業した製品の即売会を持つというふうなことは、りっぱなこれは超過勤務です。ですから、こういうことは、こんなみみっちいことをせずにやっていただくように、大臣、予算上の措置も心配がないようにしてあげてほしい。それで、二度とこういうことが活字になったりせぬように十分なひとつ御配慮を願いたい。このことを特にお願いをしておきたいと思いますが、大臣いかがですか。
#162
○国務大臣(坂田道太君) 私、就任しまして間もなくこの事件が起こりまして、会計検査院から指摘されました会計法上の不当なやり方、これはわれわれとしては是正していかなきゃならない。しかし、よく私は考えてみますると、いま先生がおっしゃるとおりなので、やはりこれだけのことを、作業をやるということは受刑者が健全になる一つの重要な手段でもありますし、社会復帰への一つの得がたい体験だというふうに思います。
 その意味合いにおきまして、その視点から考えますと、刑務官の方で一生懸命に仕事を与え、あるいは材料を持ってきて、そして健全ならしめようという意思がむしろあった、非常な善意の気持ちがあったということで、考えるべきは、われわれそういう材料費を少なくとも予算的に十分上げるということ、それが必要ではないだろうかというふうに私はあのときに反省をいたしたわけでございまして、今後このような問題について、どういうようなことで予算化するか研究しなきゃならないと思います。
 実際、私は刑務所に行ってまいりましても、あのような人たちが自由を拘束されている、一定の運動も大切、一定の栄養も大切、同時に、こういう社会に溶け込むための一つの手段としての作業をやるということは非常に大きな大事な私は事柄だというふうに思うのです。受刑者を本当に真人間にする一つの大きな手段なのだという私は気持ち、それに対してはやはり予算的にわれわれがきちんとしなければ、本当に受刑者を取り扱うところの刑務官の人たち、あるいは刑務所の方々もどうやっていいかわからない。一々やかましく言われて、そうして結局そういう成果は上がらないということになってしまうと思う。そこは、やっぱりわれわれ中央におる者どもの責任だというふうに私は考えた次第でございます。
 したがいまして、考えるばかりじゃだめでございますから、来年の予算化につきましてはひとついろいろ研究をしてみたいと思っております。
#163
○小谷守君 私がいただきました時間はちょうどぴったりでございますから、これで終わります。ありがとうございました。
#164
○戸塚進也君 委嘱審査でございますから、その趣旨を踏まえて御質問したいのでありますが、なかなかこういう機会がありませんので、法務省所管の全般事項にわたるかと思いますが、その点、多少お許しいただきたいと存じます。
 最初に、私は先ほど小谷委員からも御熱心に取り上げられましたけれども、法務省の施設関係とか、あるいは人員関係のことについて少しお尋ねいたしたいと存じます。
 まず、その話の前提としては、最近の行革でございますけれども、私は法務省さんの所管するいろいろな機関、こういうものについての行革は非常に正確に、しかも迅速に行われている、さすがに法務省だなと、たとえば私の地元静岡県におきましても登記所などは、地元がもう何と言おうと、お許しください、国の方針でございますといって、情け容赦なしにとは申しませんけれども、非常に的確におやりになる、さらにまた統廃合も非常に的確におやりになる。しかし、統廃合する場合には多少新しい建物にしてあげなければいけませんからというので、二つの町にあったものを一つにする、そういう努力をかなりしておる。ところが、せっかくそれを約束しても予算がなくて新しい建物はできない、こういうようなことが間々ある。
 要は、私は法務省さんの弁護をするようで恐縮でございますが、行革についてはかなりまじめにやっておる、私はそう思いますが、その点いかがでございますか。
#165
○政府委員(中島一郎君) 行革全般ということではございませんが、ただいま登記所の統廃合の問題が出ましたので、私からまずお答えをさせていただきたいと思います。
 登記所の適正配置、いわゆる統廃合の問題につきましては昭和四十六年度以降この問題と取り組んでおるわけでありまして、昭和四十六年度から五十六年度までで合計五百三十二庁の出張所を統合いたしております。その結果といたしまして、四十六年当時約千五百庁近くございました出張所が、現在では約九百五十ということになっておるわけでありまして、その間、地元の皆様にはいろいろと御協力をいただいたわけでありまして、私どもは決して無理をした、強引なことをしたというふうには思っておりませんけれども、統廃合のために地元の皆さんにはいろいろと御協力をいただいたことについては感謝をいたしておる次第でございます。
 以上でございます。
#166
○戸塚進也君 住民とのお話し合いは十分してくれたことは認めますが、しかし大変不便になってきていることは事実です。それをやっぱりみんな忍んで法務省の行政に協力しておるわけです。大臣、そういう実態なんでございますよ。ところが、法務省さんの施設というのは正直なかなかよくならない。駐車場もない。昔の小学校の古い木造校舎みたいな感じのところが、大部分とは言いませんけれども、相当のものが残っておる。しかし、五十七年度の予算等を拝見いたしましても、いろいろこれはゼロシーリングとか、私どももお役所にお願いしなければならぬ自民党の立場でもあるわけですから、それをもってどうこうは言いませんけれども、現実には施設費についても減っている、こういうような状態を考えますと、何かやはりここはひとつ工夫でもしてやってみなきゃならぬじゃないか。
 これは一つの戸塚私案でございますけれども、法務省というところはいままでわりあいいい場所にあるんですね。ですから、地価そのものはわりあい高く評価できる。ただ狭い。そこで、これからの時代ですから、車の時代ですから、多少郊外に出ても、いまの比較的高い地所をお売りになって、そして適当なところに駐車場のスペースをとって、土地を売れば建物代も出ちゃうわけです。そうやってやると、今度は近所にあった行政書士の代書屋さんも困るから、法務省で指導されて、その新しく移転された先のところに代書横町といいますか、代書屋さんの団地をつくる。これは代書屋さんも中小企業ですから、それくらいのサービスをやってやれば、来るお客さんも非常に喜ぶし、法務省さんだって、大蔵省さんに一々頭を下げなくても御自分の地所を御自分で処分されてそうしてそうおやりになると、こういう構想も私考えるんですが、何か工夫して、この際、新しい時代に対処して住民も非常に便利だし、それからまた、働く職員の方々も快適だというようなそういう環境を一刻も早くつくらにゃいかぬと思いますが、いかがでございますか。
#167
○国務大臣(坂田道太君) ただいまの戸塚委員のお話は、非常に私は示唆に富む御提案であるというふうに思いますので、じっくりひとつ考えさしていただきたいというふうに思います。
 それから、先般、これは予算委員会におきまして、たしか大蔵省の理財局から指摘を受けておるうちの施設が非常に多いと。しかし、非常に多いというのは、よくうちで調べてみますると、それは木造建築で実はこっちは建てかえたいところなのですね。同じ大蔵省の理財局からそういう指摘を受けておるわけで、主計局の方がそれだけお金をやってもらえれば、その非効率の建物はそれだけ狭まるし、理財局が求めておられることができるわけですね。しかし、そういうことはできないわけです。
 それから、先ほどもちょっとお答えしましたけれども、法務局全体で約四千五百億ぐらいの登録関係その他の登記事務関係の収入が入るわけです。それは国庫へ入っちゃう。そして、法務省全体は三千五百億の予算だということなのです。この辺をもう少し大蔵省としてもお考えいただいたらどうだろうかなと、まだ大蔵省とは話はしておりませんけれども、そういうようなことなども考えあわせましてひとつこの際はアイデアを出さないと、一面において法務局の仕事はちっとも国民のためになっておらぬではないか、職員は非常に労働過重になっているのじゃないかということをわんわんわんわんわれわれは言われるわけです。そして、一面においては行政改革をやれと、こう言われるわけです。定員は削減をされる。増員と定員と合わせてことしの全体では一人減っているわけですね。
 そういうことで果たして国民のサービスにこたえられるか、あるいは法務局としての責任を果たせるか。果たせないようなことであっては、これまた法務省としては申しわけない話なのです。この辺はむしろ何らか大蔵当局も、うん、それはなるほどなあ、そういうことならばいいとか、あるいは行管の方でも、そういうことを法務省が自主的に考えてやるならばそれはひとつ考えてあげようというようなことがあるいは出てくるかもしれぬ。そういう道をひとつ探りたいと考えておるわけであります。ひとつ御激励、またいろいろのアイデアを注入さしていただきたいと思います。
#168
○戸塚進也君 大臣、そのあたりを閣議あたりで一席やっていただいて、ひとつがんばっていただきたいと思うんですよ。
 これは施設の御担当の局長に申し上げておきたいんですが、私はいつも地震県におりますから地震のことが気になるんですが、どうも私の地域の法務局の出張所あるいは簡易裁判所、それから検事さんの出張所、こういったようなところは地震が来たらどうもあれは壊れますね。ですから、公判に来ていた被告人さんも含め、あるいは弁護士さん、その他そういう重要な人を含めてぺしゃんこになるおそれもありますよ。法務省では、そういう地震に対しての補強対策とか一斉調査はしておりますか。
#169
○説明員(緒方重威君) 東海地震に対して、営繕としてはどう対処すべきかということが一つ大きな問題でございます。
 その地震について、どのような建物が一番危険であるかということを営繕では過去五年間にわたって調査をしてまいっておりまして、いま先生が御指摘になりました静岡県内にも木造老朽で倒壊の危険がある建物がございますが、これの建てかえにつきましては予算的な措置がなかなか得られないということと同時に、さらに大きな問題としては、なかなか適地が得られない。
 法務局の出張所といたしましては、確かに先生がおっしゃいますように、交通事情等大変よくなってきておるので、郊外に出るということも考えなければならないわけではございますけれども、しかし、従来の出張所で生活環境を持っておられる代書屋さん等もおられるわけでございますし、できるだけ官庁街の中心部に出張所があるということがやはり望ましいというようなこともあって、土地問題あるいは一般予算の増額がなかなか望めないというようなこともあって、非常に気にはしておるところでございますが、なかなか思うように建てかえが進んでいないというのが実情でございます。
#170
○戸塚進也君 地震というのは、静岡県に来るとばかり思ったら北海道に来るのですから、静岡県だけの問題を言っているのじゃないんです。これは私、全国のことを言っているので、全国的に私は法務省さんが果たしてそういう調査をやって、そうして建物を建てるには何年もかかりますから、せめてここはどうしても頑丈な補強が必要だとか、そういうことをきちっとやるべきだ、おやりなさいと言っているのです。
#171
○説明員(緒方重威君) 御指摘ありがとうございました。
 法務省の営繕といたしましては、全国規模で調査を実はやってございます。御指摘がありましたのが静岡県内だったものですから、そのように限って申し上げたのが失礼だったかと思いますけれども、全国規模で技官を派遣いたしまして、保安度の点検を実施しております。
#172
○戸塚進也君 それじゃ、きょうでなくていいですから、その調査の結果、どのぐらいのいわゆる適合しない建物があるか、それに対してどのような補強をしているか、これを後でまた資料として委員長のところへ出していただきたいと思います。
#173
○委員長(鈴木一弘君) 出せますか。
#174
○説明員(緒方重威君) 承知いたしました。
#175
○戸塚進也君 次に、先ほど小谷委員からも貴重な御意見があったわけでございますが、人員の問題でございます。これは必ずしも判事さんとか検察官とかというだけじゃなくて、登記所とか、あるいは刑務官であるとか出入国管理関係とか、ともかく非常に仕事が多くなっているということは事実だと思うんです。私はこういう点で、やっぱり確かに行革の時代で人はふやせないでしょうけれども、これもやはり必要最小限の人はちゃんと確保しないと、これは本当に法を正しく守るといいますか、そういう立場の仕事がおろそかにならないか、こういう心配があるわけでございますが、この点について、これはひとつ大臣にお伺いしましょうか。
#176
○国務大臣(坂田道太君) 法秩序を維持して、また国民の権利の保全を使命といたしますわが法務省といたしまして、必要最小限度の人員はあくまでも確保したいと、このように考えておる次第でございます。
#177
○戸塚進也君 ぜひその点はひとつ来年度以降もがんばっていただきたいと思うのでありますが、私はこの場では特に検事さんについて、過般来のいろんな雑誌、新聞等を、特に雑誌等で検事さんの仕事を拝見しておりますと、たとえば東京の地方検察庁のお仕事などを見ますと、三百六十五日全然休みがない。三十一日も元旦も出ると、去年ぐらいまではほとんどおとそもなかった。もちろん、それは役所でおとそを飲んじゃいかぬかもしれませんが、やっとお雑煮が二切れぐらい出たと言って検事さんたちが非常に喜んだと、こういうふうに聞いております。
 私は、こんな状態が続いたのじゃ、これから検事さんになり手がなくなってくるのじゃないか。優秀な方にやっぱり検事さんになっていただいて、そしてやはり法をしっかりと守っていただくような、正しい厳正な判断をしていただかなきやならないけれども、そんな労働過重な状態で果たしてこれから検事さんが得られるかどうかという、それすら心配をしているわけでございます。
 犯罪は三百六十五日あるわけでして、伺ってみますと、三十一日につかまった人は何時間だか置いちゃいけないから元旦も連れてくるんだという話でございますけれども、そこらは少しお考えになって、しばらくは警視庁にがまんしていていただくとか何か考えても、もう二十四時間寝ることなく三百六十五日いなきゃならぬというのはこれはどうかなと、実は私のような素人は考えたわけでありますが、それはともかくといたしまして、検事さんのいまの仕事が非常に重要にもかかわらず、そのような労働環境にある、こういうことについては、しかとこれは考えていただいて、いわゆる労働過重になって健康を害して病に若くから倒れるというようなことも聞いておりますけれども、この点についてもう少し温情ある取り計らいはできないのかどうか、伺いたいと思います。
#178
○政府委員(前田宏君) 検察官の勤務条件につきまして大変御理解のあるお言葉をいただきましてありがたく思うわけでございますが、御指摘のような実態にあるわけでございます。
 いまお話にもございましたように時間の問題、つまり訴訟法上身柄を置ける時間の制約というようなものもあるわけでございますので、休日なり、あるいは正月、年末年始というようなものも返上せざるを得ないというようなことにもなるわけでございますし、また夜間にある程度遅くまで残って仕事を片づけるというようなことも起こるわけでございます。そういうようなことが検事志望者について影響がないとも言えないわけでございますが、私どもといたしましては、ただいまお言葉もいただきましたようなことで、今後ともそういう待遇面と申しますか、執務環境の改善というようなことにも努力をいたしまして、できるだけ多くの検察官を確保いたしますとともに、そのことによって検察庁の仕事がより適正に行われますように努力をいたしたいと考えております。
#179
○戸塚進也君 前奥野法務大臣の時代、前国会私がこの場から質問いたしましたときに、刑法の改正につきまして今国会に提出をしたいというそういう意欲を示された。これは大臣でなく、たしか御担当の局長さんでございましたか、それは定かでございませんが、そういうことを聞いておりますが、最近また新聞等によりますと、刑法の今国会提出はもうおやめになったというようなことも聞いております。どういう御方針であるか、さらにそれは主としてどういう理由のもとにそうであるのか、さらにそうであるとしたならば今後いつごろに提出される見込みであるのか、その点を承りたいと思います。
#180
○政府委員(前田宏君) 刑法の全面改正につきましては、御案内のとおり昭和四十九年に法制審議会の答申がございまして、それから作業を続けておるわけでございます。
 刑法の改正ということ自体大変重要なことでございますし、国民の権利義務にも大変かかわりのある重要な法律であるわけでございます。その答申につきましては、たとえば日本弁護士連合会であるとか、その他の団体等からも反対ないしあるいは批判的な御意見が出ておるわけでございまして、賛否いろいろとあるという状況にあるわけでございます。先ほど申しましたように、刑法がそういう意味で大変重要な法律であるということから、私どもといたしましても、できるだけ広範囲の合意が得られて、その上で改正ができるということが望ましいと考えておるわけでございまして、そのために若干の時間がかかっておるというのが実情でございます。
 特に日本弁護士連合会、これは法曹三者の一つであるわけでございまして、私どもの立場からいたしますと必ずしも適当でないのじゃないかというような面もございますが、いろいろな意見が出されているわけでございます。私どもといたしましては、やはりそういう御意見につきましても率直に伺って、また聞くべき点は謙虚に聞くという態度で臨みたいわけでございます。
 そういうことで、日本弁護士連合会との意見交換ということも前々から考えておったわけでございますけれども、なかなかそういう機運が熟しませんで、やっと去年の夏以来、それも何回かの予備会談を経まして、意見交換が月に一回あるいは一月半に一回という程度でございますけれども、行われているわけでございます。幸いにして、いろいろと意見交換も具体的在問題にも入ってまいりまして、特に問題となっておりますいわゆる保安処分制度、これを中心としてこの数回意見交換がなされておるわけでございます。
 それぞれ立場が違いますので意見が完全に一致するというわけではございませんが、過般三月十七日に第六回の意見交換がございまして、次回が四月十六日という予定になっております。そこで一応の意見交換が終わるかどうかそのときの状況でございますが、したがいまして今後どうするかということをいま現段階で決めておるわけではございませんけれども、先ほどお言葉にありましたように、若干時期がおくれておりますけれども、まだ今国会に御提案を申し上げるということを全く断念したわけでもないわけでございます。
 今後どうするかということになりますと、その十六日の状況いかんにもよるわけでございますが、日弁連との意見交換を十分尽くさないままに、いわば一方的にその交換を打ち切って法案を提出するというのも適当でないというような考えを持っているわけでございますので、なおいろいろな御意見を伺った上で結論を出していきたい、かように考えております。
#181
○戸塚進也君 それは大変いい参考になることを伺って私も勉強になりました。
 そこで、いまのお話にありました保安処分の関係で、精神病の人たちの扱いについて、私は素人ですから表現が悪いかもしれませんが、日弁連さんのおっしゃっている内容については、要するに法務省さんで新しくそういう人たちを入れる専門の施設のようなものをつくってそこから一定期間出さないんだ、そこは非常に何か不自由な、しかも外と全く遮断されたような、まあ昔で言う座敷牢といいますか、そういうようなところへ国の権力で閉じ込めようとしているんだ、こういうものは相ならぬ。
 いまヨーロッパではそういう施設があると言いますが、最近ヨーロッパヘ調べに行ってきた学者によると、そういうものはヨーロッパでもだんだん何といいますか、これはよくない、もっとやはり家族が直接会いに来たり、そういう何か多少の開放感みたいなものも味わわせながら、家族とのそうした温かみも味わわせながら治療することが精神病患者にとっていいんだ。いまの法務省のそのままでいくと、いわゆる親権者というか、その人の親とかそういう人が、この人はもう入れてくれということで入れちゃったら最後出られないんだ、こういうような私が聞いてみると、なるほどそういうことじゃ日弁連さんで文句はあるだろうな、こう思いますが、私は国がそんなに一方的に冷たい扱いをするなんというふうには思えないのです。
 それは恐らく日弁連さんと法務省との間の話し合いの中に、どうも説明が不十分というか、いろいろ何かあるんじゃないか。この間、寺田委員からも、弁護士さんと判事さんとの間の話が出ましたけれども、何かお上のえらい方と弁護士というような感じになっちゃっているんじゃないか。もうちょっと本当に肌でお互いが話し合っていけば、そういう誤解は解けて、悪い点は改善をして、そうして日弁連さんにも理解願えるという道があるのじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
#182
○政府委員(前田宏君) ただいま委員の仰せになりましたように、いろいろと、誤解という言葉が適当かどうかと思いますけれども、あるわけでございます。
 私どもで考えておりますいわゆる保安処分制度は、治療処分という名前をつけたいというふうな考えもあるぐらいに治療を中心とした制度でございますし、もともと要件といたしまして、一定の重大な犯罪を現に犯した者がありまして、その人たちがそういう精神障害のために再びそういう危険な行為に出るというおそれがあるという場合に、初めて裁判所で言い渡しをするということでございます。
 それでございますから、犯罪の成否ということはもちろんのこと、そういう危険があるかどうかということが、現在の刑事裁判と同じ手続で裁判所によって審理をされ判断をされるということでございますし、収容している期間もまず一年ずつにしまして、そのいわば延長と申しますか、延ばす場合には裁判所がまた判断をして延ばすということでございますから、先ほどお話のありましたように、全く理由も不明確なままに、また期間も不定のままにどこかに入れておくというような制度では全くないわけでございます。
 入れる施設といいますか、収容する施設につきましてもいろいろと考えておりまして、一言で申せば病院的なものということを考えております。もちろん、そういう要件を満たす人でございますから、いわば危険性があるわけでございまして、そう簡単に外へ出れるような状態では適当でないわけでございますけれども、それなりの開放的な処遇もし、いわば病院でやっていると同じような内容のものを考えておるわけでございます。
 そういうことにつきましては、私どものいわゆるPRが不足しているのではないかという御批判もあろうかと思いますけれども、一応御説明は十分しておるつもりでございますし、日弁連もそこまで誤解しているとは思わないわけでございますけれども、往々にしてそういう誤解といえば誤解というような話が伝わっているようなことでございまして、この機会にそういう点も申し上げさしていただくわけでございます。
 今後ともそういう誤解を解きますように、あらゆる方法を講じまして国民の御理解を得たいものと考えておる次第でございます。
#183
○戸塚進也君 もう一点、日弁連が拡大的に考えて心配していることを、私は日弁連から聞いたわけじゃないが、いろんな物の本で読んだりしますと、今度の保安処分とか何とかということが、要するに国家権力でもっておまえさんは頭がおかしいんだと言ってどんどんほうり込まれると。それは頭がおかしいかおかしくないかこれは医者でもなかなかわからぬところを、ともかく国家権力でそういったものにぶち込まれて、そうしてそれがだんだん高じてきたら、しまいには政治犯でも何でもみんな、おまえ頭おかしいんだということでぶち込まれていくなんということがありはしないが、こういうような心配というものをしている。
 これは、私から言わしたら、明らかに取り越し苦労ではないかと思うけれども、しかしそれは法律を専門にやっている方々がそうではないかということを心配されるということは、それなりの理屈があると思うんです。ですから、そうでないということもはっきりとする必要があると思うが、この点いかがですか。
#184
○政府委員(前田宏君) ただいま仰せになりましたように、中には精神に若干異常があるというだけですぐにほうり込まれてしまうのじゃないかとか、また、あるいは政治的な物の考え方が違うというだけでそういうふうに収容されてしまうのじゃないかというようなことを言われる方も絶無ではないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、法制審議会から答申されました草案、またそれをさらに厳格なものにしたいと考えております私どもの考え方によりましても、先ほど申しましたように、一定の犯罪というものを現に犯しているということが大前提でございますし、また、それが精神の障害のために現在の刑法、刑事手続では無罪ということでそのままになるという、そういう対象者だけを考えているわけでございます。
 そして、先ほど申しましたように、裁判の手続におきまして、また専門家である医者の鑑定等も経まして、また裁判官が証拠も十分検討いたしまして最終的な判断をするわけでございますから、いわばそういうことが乱用されるということを心配しますことは、裁判所を信用しないということにも帰するようなことになるのじゃないかというふうに思うわけでございまして、ただいま戸塚委員の仰せのように、そういうことは万々ない制度であるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
#185
○戸塚進也君 大臣、お聞きのとおりなんですが、私は刑法の今国会提出は完全に断念されたかと思ったが、そうではなく、熱心にやっておってできたら提出したいんだと、こういうお話を伺ってよく納得できたわけですが、大臣、ですから日弁連との間のお話なども誠意を持っておやりになって、できるだけ当初の方針どおりおやりになるということがいいと思うが、いかがですか。
#186
○国務大臣(坂田道太君) ただいまるる刑事局長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、来る四月の十六日、日弁連さんとの交渉をやるつもりでおります。先般の三月の段階におきましては、具体的に保安処分の問題に入ってまいりましたので、この四月の十六日に実は期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまはまだ断念してない。しかしながら、それだからといって、せっかくここまでの機運が両方に来たときに、そういう見切り発車ということもいかがかなというふうにも思っております。
 いずれにいたしましても、やっぱり四月十六日は一つのめどだというふうに思います。それからひとつ御判断をいただきたい。しかし、何とかしてこの刑法大改正を、ひとつ国会の御審議を経て一日も早く成立させたいという気持ちには全然変わりはないことを申し上げておきたい。
 それからいま一つは、いま局長から申し上げましたわけでございますが、大罪を犯して、そしてまた再び精神障害者なるがゆえに凶悪な犯罪を起こすかもしれないおそれのある人にしぼって、そしてこれを裁判所が決める、あるいは鑑定医等の判断をまってやるというふうに実にきちんとした形でやるわけで、基本的人権が侵されるなどということはとうてい考えられないような制度をわれわれは考えておるわけでございます。
 ただ私は、その反対論の中に、何だか加害者の人権は非常によく強調されるわけです。これは当然なことだと思うのです。しかし、今度は同時に加害者から被害者ですね、被害者の立場あるいは被害者のいわば身体あるいは生命、危険、あるいは被害者の受けたことに対する加害者に対する怒り、あるいは政府はこれに対して何もしないのかという主張、これは私はやはり国全体として秩序を考える責任者といたしましては当然考えられなきゃならぬ。そういう市民の自由、生命、財産、そういうものを守るという立場、これがちょっと議論の中に欠落しているのじゃないだろうか。
 ヨーロッパ社会あるいはアメリカについては、最近はだんだん治療、保護そして社会復帰へ開放的な治療制度へ向かっておる。これも私はそうだと思うのです。それじゃ、だからといって、保安処分的な監置制度やその他の拘禁して治療もやるということがないかというなら、ちゃんとそれは厳然としてあるわけですね。病院であったって、そういう市民の生命あるいは身体に害を及ぼすおそれある者は出さないようにしておるわけです、きちんと。
 でございますから、この点はやはりもう少し国民の皆様方に御理解を賜りたいというふうに思うので、従来私ども一生懸命やっておりますけれども、専門家だけの話になっちゃって、もう少し国民全体の中でこれが議論をされて、なるほどそう聞けばそう危険なことではないのだな、いや危険なことがないところじゃないのだ、むしろそういう危ない不安に思っておる被害者等の、あるいはそういう国民にこたえる制度になっておるのだと、こういうことをひとつもう少し議論をしていただきたいものだと私は考えておる次第であります。
#187
○戸塚進也君 それはもういまの大臣のお話は全く私も同感でございまして、その点じゃ、たとえばアルコール中毒の人、日本はどうもお酒の席だったらまあ多少許されるというようなことがありますが、それはやっぱり相手方、被害に遭った人の立場になったらこれはたまったものじゃないんですから、そういう点をよくお考えになって、大臣のお話のように国民的に議論をしていくことが好ましいと私は思っております。
 次に移りますが、これも大臣にぜひ聞いていただきたいんですけれども、実は私、最近ちょっとしたいきさつがありまして、釣りの人たちが、いま釣り人口というのは七百万人ぐらいあると言われているわけですが、その中で半分くらいがいそ釣りに出かけていく。これはもう釣りは健全なレクリエーションでありスポーツでありまして、これからますますレジャーが多くなれば、これは健全なレジャーとして喜ばれると思うし、私は大いに奨励していいと思うんです。
 ただしかし、そのときに気象通報を聞けば、きょうはこれはもう非常に危険で、釣りその他あらゆる漁船等も十分注意をしなきゃならぬ。あるいは海上保安庁等では警報を出して、ここはもうきょうはいかぬと、こういうことを言っているのに、釣りをどこか岩場へ行ってやって、そしてそこへ取り残されると海上保安庁のヘリコプターが助けに行く。助けに行って、助かったら、よかったねと、これで終わりなんですけれども、この海上保安庁が釣り上げに行った費用はだれが出しているかというと、国民が出しているわけです。これは大変莫大な額で、山の場合などは山岳救助隊というのが民間で組織されていて、日当、冬は三万円、夏は一万円、それでもってやっておる。警察庁の方は、本当の危険、もうどうにも危険というときは直接やるそうですが、そうでないときは情報を提供してそういう人たちがやる。海の方については助けられっ放し。
 たまたま釣り保険というのがあって、釣り保険というのを損保協会に聞いてみると、そうして助けた場合には、年に二千円も積んでおけば百万円もその費用を出してくれますよと言っておる。しかも、それは相手が民間だろうと国だろうと地方だろうと、保険に入ってさえすれば、そういうことについて使った費用は払いますよと言っているのに、少なくとも私が聞いた限りじゃ、国じゃ一遍も請求したことがない。また、もちろんその当事者に請求したことがない。聞いてみると、運輸省の中では国際的な取り決めがあって、海において何か事故があったときはみんなただでやるんだということになっているからでございますと、こういうお話だけれども、どうも私、それじゃ納得ができない。
 これは法務省の見解として法的に考えたときに、そういう違法行為的なことがあったりなんかして国や地方公共団体に損害を与えた場合には、やっぱりその当事者が国に対して、あるいは地方公共団体に対してその実費について償うのは私は当然のことじゃないか。民法上ではもちろんこれが当然だと思うが、これは私は行政の面から見ても当然だと思うんですけれども、まず政府の関係の方からその御見解を伺いたい。
#188
○政府委員(中島一郎君) ただいま御質問にもありましたように、これが私人間の関係でございますと、義務なくして他人のために救助行為などをしたということになりますので、事務管理というような法理が働くわけでありまして、救助者はその費用の償還を請求することができるということになろうかと思うわけでありますけれども、いま御質問にありました海中の岩場に取り残された釣り人を海上保安庁が救助したというような場合には、これは海上保安庁法の七条の二号という規定に基づくわけでありまして、この場合の国と救助された市民との間の関係は、いわゆる公法関係ということになろうかと思うわけであります。この民法上の法理が働く余地はないというふうに一応考えております。
#189
○戸塚進也君 確かにそうかもしれませんが、私は、通常の場合にやむを得ずそういう事故に遭ってこれを助ける、これは当然だと思うし、それについて何もお金を払えとかなんとかそんなことは言うべきことじゃないんですが、もうこれはいかぬという禁止をしたのを、あえて違法的な行為をやった者が国や地方公共団体に損害を与えてもこれは取れませんというのじゃ、国民が幾ら税金を払ったって足らぬということになるわけですね。
 あるいはもっと拡大的に言うと、救急車についても最近言われているのは、タクシーを呼んでもなかなか来ないから、かわりに救急車を呼ぼうというような話がよく笑い話的に聞かれるんですけれども、余りにも何かそういう点で公私の区別がはっきりしないといいますか、何でもおんぶにだっこといいますか、そういったような風潮があることは、私はやはりこれだけ国のお金が足らないんだ、あるいは地方の財政が大変なんだと言っているときに何か私は矛盾を感じてしょうがないんです。
 大臣どうでしょうかね、高い次元からお考えになって、こういう点を一遍ひとつ法務省でも考えていただいて、そうして行革が言われている時代なんですから、この辺からやはり正していこう、工夫していこうと、こういうお考えを持つお考えはありませんか。
#190
○国務大臣(坂田道太君) 御貴重な御提言でございますので、私たちの方でも検討さしていただきたいというふうに思います。
#191
○戸塚進也君 続いて外国人登録のことにつきまして、これも大臣に私はお訴えしたいんです。
 私の町では、韓国籍を持っていて日本で生まれて、私は四十二ですが、同じ年の男がおりますけれども、もう本当に日本人と何一つ変わりません。しかし彼の悩みは、この四十二年間一回たりとも外国人の登録のパスといいますか、証明を持っていないと、今度の法律が改正されるまではこれは罰せられるわけで、今度は少し軽くなるんですけれども、まだやっぱり相変わらずその罰はあるんです。これを持ってなきゃならぬというときに、いつも外国人だ外国人だと、こう感ずる、どうも違和感を感ずると。自分は本当は日本人でありたいというくらいの気持ちを持っている男が、そういう気持ちを持っている。
 法務省さんに言わせると、いや、そのたびごとに外国人だと、こう思ってもらうことが大事なんですとおっしゃる。なるほどそうでしょう。しかし、たとえば来られて一年とか半年とか、まだどこの道もわからぬとか言葉もわからぬとか、こういう方についてはいろいろ本人の保護のためもあって、そういうパスを持たなきゃなりませんというのもわかりますけれども、少なくとも二十年か四分の一世紀ぐらい住んでいて、もう日本人と同じような対応をしておったというときだったら、それを一回忘れたら罰金幾らと、こういったような考え方は、これはちょっともうおやめになった方がいいんじゃないか。次の改正の機会には、こういう点を現実を踏まえて考えた方がいいんじゃないか。
 私も国会議員としてパスをいただいていますけれども、このパスがなきゃ本当に一々やっぱり汽車賃を払わなきゃいかぬですけれども、大事だと思っていてもこれを忘れます。ですから、そのたびにちゃんとお金を払ってくるんですけれども、やっぱり自分のことを考えてみても、その登録証を持たなかったらこうだと言われるのは余りにも過酷じゃないでしょうか。この点どうでしょうか。
#192
○政府委員(大鷹弘君) 外国人登録法というのは在留外国人の身分関係、居住関係をはっきりさせて公正な管理に資するということを目的にしているわけです。その意味で、具体的にこの外国人登録法が担っている大きな任務の一つは、不法入国者の摘発でございます。
 この目的を達成するためには、外国人の人たちに常に外国人登録証というものを携帯してもらう必要があります。なぜならば、怪しげな人がいた場合に、その人をその場ですぐに外国人登録証の所持の有無その他をチェックしなければ、不法入国者というものを摘発することは非常に困難だからであります。
 その場合、その外国人というのは、どの範囲の者かと申しますと、ただいま戸塚委員からは、長く日本におられる方々については別に考えたらどうかということでございましたけれども、私どもといたしましては、外国人すべてにこういう携帯義務を課さなければ、実際に私どものこの目的を達成することはできないと考えているわけです。したがいまして、外国人の中で在留期間によって差をつけて、ある人は携帯義務を課されない、ある人は常に持っていなくちゃいかぬということは、私どもがただいま申し上げましたこの登録法の目的を達成するために非常にぐあいが悪い、実際的でないということでございまして、したがって、これを変えることは考えておりません、
 ただ、戸塚委員御指摘のとおり、今度の改正法では二つの点でこの携帯義務に関連する改正をお諮りしております。
 第一点は罰則の点、これは戸塚委員御指摘のとおりでございまして、罰則を軽減化するということでございますが、もう一つは、携帯義務を課される義務年齢と申しますか、これは従来十四歳以上だったものを、もう国会に提出してございます今度の新しい改正法案では十六歳以上ということに改めるようにしたいと、こう考えております。
#193
○戸塚進也君 これはやっぱり平行です。私は、また将来こういったお願いを言い続けていきますが、要するに善意で忘れることもあるんですし、それから、ともかくこれは四分の一世紀も日本に住んでいて自分は日本人だと思っていて、たまたま帰化の手続ができてないというそれだけの人に対してこれを毎日持てというのは、私はこういう友人を持っていますから。そういう気持ちである者から見ると、非常に気の毒だというふうに思います。どうしても何だったら、この辺にこう、このごろじゃ医学が進歩していますからちょんとスタンプでも押しておいて、これはすぐ消えてしまうようにして、もしごらんになりたいときはそれにちょっと試液でもつけたらすぐわかる、こういうふうにでもしておくなら、忘れなくて済むんですからそれならわかりますけれども、毎日証明書を持てというのを四十何年間、五十年間、中には六十年間もやってくるという人がいるということを局長お考えになって、いろいろ今後工夫をしていただきたい。要望だけいたしておきます。
 次に、司法書士の関係のことについて一点伺いますが、司法書士も法務省さんとしては非常に大切な機能を持つ民間としての法務省関係者だと思います。最近、行革が進むにつれまして、いろんなお役所の人をなるべく少なくしていかなきゃいかぬ。ところが、登記関係の仕事や何かは役所関係でも大変多いわけですから、この際こそ司法書士を大いにそうした登記関係の事務で活用さしていくべきだという意味で、公共嘱託というのを非常に強く望んでおります。現に法務省も大変これには御熱心だと承っておりますが、今後この司法書士の公共嘱託につきまして法務省がどの程度熱意を持って御指導くださるか、この点について伺いたいと思います。
#194
○政府委員(中島一郎君) 公共事業等の実施によりまして、官公署が登記嘱託手続をとるというケースが非常に多くなっておるわけでありますが、その登記手続を専業とする土地家屋調査士あるいは司法書士が当該官公署にかわって処理するということは登記事務の適正、しかも迅速な処理のために大変好ましいことであるというふうに考えまして、私どもといたしましてもその積極的な推進を図ってきておるところでございます。
 そのための組織といたしまして、昭和四十六年に公共嘱託登記委員会というのが各府県ごとにできました。これは土地家屋調査士会と司法書士会両業界が共同してつくっておられるわけでありますが、そして中央には公共嘱託登記連合委員会というものができております。一方、発注者側である官公署の団体といたしまして中央用地対策連絡協議会という組織がありまして、官公署から登記嘱託事件がこの嘱託登記連合委員会あるいは登記委員会に流れやすいようになっておりますが、一つの問題として、この公共嘱託登記委員会を法人化すべきだという問題がありまして、いまこの問題がかなり具体的に進んでおります。
 私どももそれに協力をする立場ではありますけれども、本来、その委員会を法人化するとかどういう形の法人にするとかというようなことは、業者といいましょうか、業界側の問題でありますので、そこで十分なコンセンサスが得られますならば、私どもそれにできるだけの協力をして委員会の機能の充実を図るということをしたいと思っております。
#195
○戸塚進也君 司法書士は、会はたった一つしか法に基づいてないわけです。全体が全部まとめられておるわけです。しかし、その中において若干その法人格を持つということについての意見の多少の違いもあるようです。そういったようなことが災いしてこの問題がおくれていくことは非常にこれは残念なことですので、法務省はやはり指導機関でございますから、十分その点ひとつ司法書士会が円満なうちに一つの方向が出て、そして法務省の御指導が受けられるように努力していただくように要望いたしておきます。
 次に、大臣にBBS運動について一点お伺いしたいんですが、大臣は学校の教育問題に大変御熱心で、このBBS運動というのは、これはもう本当の若い人たちが、少年非行を犯した人たちを善導しようというので、銀行員とか、学校の先生とか、市役所の職員とかという若い人たちが、日曜も返上でこれに生きがいを持って、そういう非行に走りつつあったり走ったりした少年たちを善導をしているわけです。私は、これほどとうとい仕事はないと思っております。これがやはりどうしてもそういうボランティアだものですから、正直活動するにもお金もない。またしかし、そのお金を自分たちで持ち寄ってやるところによさがあるんですけれども、しかし、やっぱり今日こう世知辛くなってまいりますと、なかなかそう身銭を切って全部何もかもやれというわけにいかぬのです。そういったような財政面あるいはまた精神面、あらゆる面でこういう若いすばらしい芽というものはこれからも育ててあげていただきたい。私は毎度この質問に立つたびにお願いしておりますが、前大臣にもお願いしましたが、坂田大臣にもひとつその点お願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
#196
○国務大臣(坂田道太君) BBSの運動も、本当にボランティアの青年たちが、非行に陥った青少年の友達となって、そうしてその改善、更生を助ける。それからまた、このことそれ自体が、非行青少年の防止ということにもつながる。私は、こういうことが各地で盛んに行われるということがあって、初めてもう非行青少年がだんだんなくなってくるというふうに思うのでございます。
 特に、戸塚委員はBBSの御経験者でございます。私がかつて青年海外協力隊というものを提案して、そしてもう今日十四、五年になっている。日本の若い青年たちが、開発途上の国に行って向こうの青年たちと一緒に汗を流し苦労をともにし、そして何らの報いを求めないでその国のために働く。そのことそれ自体が、自分も形成することになってきている。
 私は、そういう喜びというものを体験した者は非行青少年になり得ないという確信を実は持っておるわけなので、私はこういうBBS運動が日本全国に及んでいくということ、あるいはまた、これと同じような青年海外協力隊みたいな方が、たとえば残留孤児の方がこちらに帰ってこられる、それに対して日本語を教える、あるいは職業訓練をするというようなそういう結びつきなんかも考えたらどうだろうかなというふうに思っておるわけでございまして、私どもとしてなすべきことを十分いたしたいと考えております。
#197
○戸塚進也君 最後に二点ほど大臣にお伺いいたしますが、最初は靖国神社のことについて大臣のお考えを承りたい。
 昨日の衆議院の法務委員会においても大臣は、いわゆる閣僚が靖国神社に参拝すること自体は、別に何もとやかく言われるものではないと思うというお話もあり、私も同感でございます。私の私見を言わしていただくなら、私は一刻も早く靖国神社の公式参拝というものが行われていただきたいということを願っておりますし、その公式参拝というものは現憲法に照らしても何ら違反にならない、こういうふうに私自身は思っております。しかし、これについてはいろいろな見解があるところでございまして、一刻も早く国民的合意を得られることを私は切望するわけでございますが、私は前奥野大臣にも靖国神社の公式参拝問題、あるいは靖国神社に関する問題について大臣の御見解も伺いました。お立場もありましょうから私が余り突っ込んで伺うのはどうかと思いますけれども、大臣の率直なお考えを承りたいと思います。
#198
○国務大臣(坂田道太君) 私は宿舎が九段宿舎でございますので、いまちょっとかぜを引いているものでやめておりますけれども、ほとんど毎日私はあの付近をジョギングしておるわけですが、後はちゃんと参拝をいたしております。
 これは、何か私自身個人的に申し上げますと、やむにやまれぬというか、もう自然と足が運ぶというのは、ちょうど私ども大学を終えまして戦争に突入、そしてわれわれの同じ大学教育を受けた仲間があちこちに散っていって、そして前途有為の青年たちが帰らない人となってしまったわけなので、こういう人たちのことを考えましたときに、何か国民としてお祈りというものが、人がどうだこうだじゃなくて自然と出てくる、これはあたりまえじゃないだろうかというふうに思うのでございます。また、諸外国の例を見ましても、一国のために犠牲になった人を祭らない、あるいはそのためにお祈りをしないという国はどこの国もないのじゃないかというふうに思っております。
 でございますけれども、私ただいま法務大臣の閣僚の地位にございます。したがいまして、靖国神社に閣僚として参拝することにつきましていろいろ御議論があるということは承知しておりますけれども、靖国神社は国家のために犠牲になられた方々の霊を慰めるためのものでございまして、一般の宗教とはおのずと異なった性格があるというふうに私は思います。
 したがいまして、私といたしましては、国のために犠牲になられた方々を思うという気持ちも自然なものではないかというふうに思いますので、その気持ちを私はあらわしたいというふうに考えております。これが私の気持ちでございます。
#199
○戸塚進也君 もう大臣の本当に人間らしい切々たるお考えを伺って私も本当に感激いたしましたし、それが精いっぱいの大臣の御答弁だと、私は心から大臣のその御見識に敬意を表しておきたいと思います。
 最後に、これまた大臣の御専門で、しかも今度は法をお預かりになる立場になられたのでございますが、最近小中学、高校生、小学校はともかくとして、中、高校生の学内暴力といいますか校内暴力、これはもう本当に深刻な問題でございまして、これはもちろん教育者あるいはわが党の文教部会等いろいろ取り組んでおります。このよって来るところは何かと、こういうことについてもこれは見きわめて、そういう暴力事件が起きないように気をつけることは当然であるし、また、学校の先生の指導というものがそういうことを誘発せしめているというような、これはただ学校の先生だけではありません。家庭も社会もでございますが、中にはそういう教員の責任であるというような立場のこともあるいはありましょう。
 しかし、先ほど大臣が保安処分の際にもお話しなさいましたけれども、少なくともまじめに一生懸命学内で教育をしている教育者に対して、たとえ少年といえども何といえども、暴力を使ってけがをさせたり、あるいは精神的にも大きなショックを与えると、こういうことについては、他面において私は、少年だから見て見ぬふりをする、学校だからそういうことは許されるというようなことでは済まされない。教育者だって、それは責任があると言えばあるのかもしれませんけれども、重ねて言って、私は一生懸命やっている人が大部分だろうと思うので、そういう人たちにさしたる理由もなく学内において暴力をふるうということは、私はやはりこれは法秩序という点においてゆゆしいと思います。
 こういったようなことも含めて、大臣のこれからのこの問題についてのお考えを承っておきたいと思います。
#200
○国務大臣(坂田道太君) 最近、校内暴力がだんだん中学にも及んできたということ、それからいろいろな覚せい剤による犯罪が激増してきておる。この原因はいろいろ私はあると思います。
 ただ私、大学紛争を経験いたしまして、そして、一体学生同士がどうやってああいうふうに憎しみ合わなきゃならないのか、しかも、もういまはリンチみたいな同士殺し合い等が行われておる。当時、教官に対して学生たちがどうやってああまで惜しみ合わなきゃならないのか、だんだんこう調べておりましたが、結局これは大学だけの問題、学生だけの問題じゃないなと、やはりこれは入学試験にも問題がある、高等学校、中学校、小学校の問題でもある、そしてそれを包む社会の問題でもある、いや、われわれ大人の問題でもある。
 戦後三十六年振り返ってみましても、自由と放縦というものの区別がつかない。わがまま、あるいは真の意味の個人主義の確立ということ、あるいは自主性の確立ということと、それからそうじゃなくて利己主義と混同しているというような点も非常に多い。結局、私は考えてみましたら、自己コントロールを失ってしまっている。制御装置を失ったロケットみたいなものだ。やはり人間と動物の違うところは、欲望は動物にはある程度制限的にしか与えられておらない。それは神様がそう動物そのものをおつくりになっている。人間には欲望は幾らでも無限に発揮できるようになっている。しかし、そのかわり人間それ自身が自分をコントロールする力を持たなければ、人間が人間としての生活を営むことができないのじゃないだろうか。そういうふうに神様はおつくりになっている。
 だとするならば、やはり欲望もある段階では制御する。制限するということは、黙っておって、ほうっておってできるものではないのであって、これは小さい段階から、幼稚園は幼稚園の段階あるいはむしろ幼児期から出発すべきであって、そして小学校、中学校、高等学校と、つまりそれぞれの年齢の段階に応じた教育訓練というものをやり、みずからもそれを実践するというそういう訓練なくしては自立ということはできないと思います。
 ところが、いつかもお話し申し上げたと思いますけれども、われわれの小さいときには小学校に行くときにはだれか父兄がついていった。このごろは、どうも大学に行くのにお母さんがついていかれるという。ですから、年齢だけ、あるいは体だけは一人前のようになっているけれども、精神的には非常に幼稚じゃないだろうか。だから乳離れがまだできていない。これは私は自己コントロールができない、あるいはまた制御装置のつかないロケットみたいなものです。
 ですから私は、これは家庭の段階あるいは社会においても、それからまた学校の段階においても、もう少し自己コントロールするいろいろの修行の道、いかにもそれは古くさいように言う人もございますけれども、これなくしては人間が人間として生きられない、あるいは本当の自立ができない、あるいは人に迷惑ばかりかけるような非行青少年がたくさん横行するのじゃないかというような気持ちを私は持つわけです。感想を述べろとおっしゃいましたからつい言葉が過ぎましたけれども、そういう気持ちでおるわけでございます。法務省といたしまして、与えられたことにつきまして、職務の執行につきましてはこういうような犯罪少年の改善、更生に必要な保護、矯正をやはりやっておりますから、この点は充実してまいりたいと考えております。
#201
○戸塚進也君 ありがとうございました。
#202
○小平芳平君 先輩の各委員から法務省の定員についていろいろ御質問がありましたが、私の取り上げる問題も定員が問題になるわけであります。
 先ほど朝方、法務大臣が説明をされた中に、「まず、増員について申し上げますとこというふうに切り出して、二ページですが、第一から第六までずっと増員が幾人ということを挙げております。そうしておいて、四ページになって「五十七年度定員削減分として、四百四十三人が減員されることに在りますので、差し引き一人の定員減となるわけであります。」と、こうなっているわけですね。
 ということは、この第一から第六まで定員を増員いたしますというふうに挙げていることは何の意味もないことなのか、それとも、いやそれは差し引きは一人減になるけれどもこういう意味があるんだという御説明なのか、その点をお伺いしたい。
#203
○政府委員(筧榮一君) 結局、実際上は、削減と新規増員と差し引きというのは現実の数としてはあらわれてくるわけでございますが、考え方といたしましては、やはりまず削減というものがございまして、これは政府全体として現在の行政財政事情その他から考えて、一律にこれだけの人間を削減すべきであるという五カ年の計画ができるわけでございます。それにつきましては、仕事の職種の内容によりましてそれぞれ多少のパーセントの違いはございますが、それ以上の特殊事情はほとんど許されませんで、各省庁一律にトータルで五%ということになるわけでございます。
 したがいまして、その際には登記あるいはその他の関係で、現在の客観事情から人を減らすわけにはいかないというような仕事の業務量あるいは現状というものは、多少は考慮されますけれども、ほとんど考慮されないということで削減数が決まってまいります。削減数がまず決まりました上で、今度は予算要求の際に増員の折衝が行われるわけでございますが、この際にはやはり登記は登記、刑務所なら刑務所の職員、それは現状において仕事の業務量がどうなっておるか、あるいは業務の性質上ここにはこれだけの人をふやさないと適正な円滑な業務の遂行ができないというような個別事情がしんしゃくされまして、それぞれの部局で職種に従いまして増員数が決定されるわけでございます。
 したがいまして、いま小平先生御指摘のように、トータルではマイナス一ということになっておりますが、これを法務省の中の各組織別に見てみますと、数は必ずしも十分とは申せませんけれども、法務局では三十四人の純増、登記が中心で登記三十二、それから矯正は、全体としては削減が多いわけでございますが、刑務所等の実情にかんがみまして、刑務所には削減と増員と差し引きましてプラス三、あるいは業務がふえております入管等につきましては、収容所についてはマイナス二がございますが、出入国あるいは在留管理を扱います地方の入管局におきましては、差し引きプラス四というような数になっておるわけでございます。
#204
○小平芳平君 そうしますと、各局別に見た場合には、一から六までの増員として挙げた局のほかに大幅減員になっている局があるわけでしょう。
#205
○政府委員(筧榮一君) 一番典型的な例は法務本省で、研究所を含めましてマイナス十四、これは法務本省の場合、他省庁と同じで行政事務の簡素化合理化でそれぐらいのといいますか、つまり削減人員が十四でございまして、増員は認めない、行政事務は手を抜くといいましょうか、簡素化、合理化を図ってやるべきであるということで、増員ゼロでございますから、マイナス十四となります。
 それから、ほかで矯正官署全体でマイナス二十七でございますが、その中で大きいのは少年院の削減が二十六でございまして、増員がゼロ、したがいまして差し引きマイナス二十六でございます。少年院につきましても、最近は収容者数がふえてはおりますけれども、いろいろな比べ方があるわけでございますが、査定当局では、まだ従前の数から比べて現在の客観事情下においては増員は認められないということでマイナス二十六になっておるわけでございます。そのほかでは、先ほども申し上げました入国者収容所がマイナス二でございます。その他はプラス一とかゼロとかいうようなことになっております。
#206
○小平芳平君 後にまた人員については触れていくようになりますけれども、次へ参ります。
 これも先ほどの御質問の答弁にあったわけですが、刑務所の作業収入、これは五十五年百六十八億、五十六年百七十億、三月の推計というふうに言われましたが、これは先ほど問題にされた刑務所の作業収入の合計でありますか。
 それから、それであると、五十七年度は幾らと予算が立てられておりますか。
 それで、なおその予算が、この歳入の七百十二億に入っているわけでありますか等をお伺いします。
#207
○政府委員(鈴木義男君) 刑務所の作業収入は、先ほど数字をお挙げになりましたとおり、昭和五十五年度は百六十八億余でございましたし、きのうまでの昨年度は約百七十億程度になる見込みでございます。作業関係の本年度につきましては、予算の内示におきまして約百六十五億という数字になっておりまして、これは先ほどの歳入の一部でございます。
#208
○政府委員(河上和雄君) いま委員おっしゃいました、先ほど大臣が読み上げました五十七年度予算についての後ろの方のページにございます昭和五十七年度の法務省主管歳入予算額七百十三億一千九百三十万三千円というのがございます。これの内訳を申し上げますと、国有財産の利用収入というのが五億四千四百万円、それから諸収入、この中に罰料金と申しますか、罰金とか科料、こういったようなもの、これが五百二十八億円、それから弁償及び返納金というものが八億八千万円、それから矯正官署の作業収入が、いま答弁ございましたように百六十五億六千六百万円余というようなことで、そのほかにいろいろ細かな雑人がございまして、総トータルが七百十三億一千九百万と、こういうことになるわけでございます。
#209
○小平芳平君 その作業収入は、どういうふうにして百六十五億というものが決まるわけでしょうか。いまちょっと説明されたときに、大蔵省の内示がこうなっていたというふうに言われましたが、どういうふうな積算をされるわけですか。
#210
○政府委員(鈴木義男君) これは前年度の実績をもとにして決められるわけでございまして、ほぼ本年はこの程度の達成が可能であろうという線が出されるわけでございます。
 作業の収入が、先ほども小谷委員の御質問の中に作業製品の即売の問題がございましたけれども、作業収入はいろんな形で収入が入るわけでございまして、一つは、業者から委託せられた作業を遂行することによって業者から賃金が入る場合、それから二つ目には、国の責任で国の計算で製品をつくりましてそれを販売する場合、それから三つ目には、これは自給作業と申しておりますけれども、刑務所等で野菜をつくるとか、あるいはみそ、しょうゆをつくる。今度それを他の刑務所等に売る場合でございますが、こういう形でする場合のこれは一種の評価になるわけでございますが、評価された額、そういうものを全部合わせて作業収入ということになるわけでございます。
#211
○小平芳平君 大体、過去は、そういうふうにして最初に立てた目標額と言ってよろしいですか、予算といいますか、目標額といいますか、その目標額に対して何%くらい達成しているわけでしょうか。
#212
○政府委員(鈴木義男君) ちょっと正確な数字をいま調べまして、後ほどお答え申し上げたいと思います。
#213
○小平芳平君 その達成額が五十一年度あたりは九十何%というところがあります。ありますけれども、だんだん達成率が向上してきまして、五十五年度では一〇〇%以下はなしという実績になっておりますか。そういうところに無理がかかってくるのではないかということが考えられますが、それは杞憂でありましょうか。
#214
○政府委員(鈴木義男君) この目標額と申しますか予算額、予算上の歳入額と実際の収入との関係でございますが、これは最初が一つの目安でございますので、必ずしも実際にそれが実現できない場合もございますし、場合によってそれがふえて予想以上に収入が上がる場合もございます。これは別に、まあ一つの目標のようなものでございますから、矯正当局といたしましては、各現場の施設を指導いたしまして、できる限り目標を達成するようにという指導はいたしておりますけれども、これはできないものはやむを得ませんので、ただ目標が示されているからその目標をぜひともあれしなきゃいかぬということで無理をするようなことはいたしておりません。
 ただ、先ほども小谷委員の御質問の際に申し上げましたけれども、この作業というのが受刑者にとって大変大事なものでございます。したがって、その受刑者が作業をしないで遊んでおるというようなことになりますと、これは本人の更生の上にも害がございますし、それから刑務所の規律にも影響を及ぼしてまいるわけでございますので、各矯正施設におきましては、刑務所等におきましては、現在の経済的に深刻な状況にあるにもかかわらず、できる限り受刑者が十分に作業ができるように仕事を集めてくる。一つには、国での製品をつくるという問題でございますが、もう一つは、業者の方々にお願いして委託の作業をさしていただくと、こういうことに努めておるわけでございます。
 予算上の歳入額を上回ったか下回ったかということは、多少見込みの問題でございまして、それがために無理をして作業をするというようなことはないと理解しております。
#215
○小平芳平君 作業の大事なことはよく了解いたしました。作業は大事ですが、予算額というか、目標額が示される。施設が何ヵ所あるか、いま私も数えればすぐ出るわけですが、その施設が全部一〇〇%の目標額を達成するということは、やはりそこにいままで過去にはある程度の無理があったんじゃないか。あるいは一〇〇%を大きく超えている施設もありますね。これはどうしてでしょうか。
#216
○政府委員(鈴木義男君) これは全体として見ますと、予算上の歳入額以上の収入を上げておるわけでございますが、全施設がそうであるということではございませんで、施設の中には目標額の達成、目標額といいますか、予算上の歳入額まで、予算上といいますか、施設についてはまだ別にこれはあれするわけでございますが、それに達成していないところもあるわけでございます。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
 それから、なお先ほど調査した上でと申し上げましたけれども、昭和五十一年以降五十五年度まで、いずれも予算上の歳入額を超えた収入が上げられておりますので、つけ加えさせていただきたいと思います。
#217
○小平芳平君 五十一年度あたり目標額にいかなかったところがありませんか、あるいは五十五年度あたりで超えたところは何%くらい超えておりますか。
#218
○政府委員(鈴木義男君) たとえば、五十一年度と五十五年度をとりまして目標額との関係を見てみますと、五十一年度で施設の目標額に達しなかったところは十二施設ございます。刑務所だけでございますが、これは全部の施設の数が七十四でございます。マイナスの割合でございますが、一番低いところは八七%ぐらい、それからあとはマイナスといいましても九四、五%ということになっております。非常に高いところは、五十一年度では一三〇%近くまでいっております。五十五年度にはその施設の目標額以下のところはございません。
#219
○小平芳平君 法務大臣、先ほど法務大臣は作業が大事である、したがってこういうふうな考え方を変えてやれば、会計検査院から指摘されることもないし堂々とできるんだというふうと言われました。法務大臣の先ほど言われたとおりにいきさえすれば、私がいま問題提起することもないわけです。ないわけですが、現場の責任者あるいはその責任者の下で働いている人たちはそう簡単に切りかえができるのかどうか、また簡単に切りかえができるような従来の慣行であったかどうかということがあるわけです。
 それで、五十六年度百七十億に対して五十七年度百六十五億と五億円減らしたということが、そういうことも考慮して減らされているのか。これは局長さん、どうでしょう。
#220
○政府委員(鈴木義男君) 予算上の歳入額が減っておりますのは、最近の経済状況を反映いたしまして昨年どおりの見通しはちょっと維持できないのではなかろうかという判断に基づいているわけでございます。
 なお、先ほど作業製品の展示即売会との関係で何か無理をしておるのではなかろうか、こういう御指摘もあったわけでございますが、実際、作業製品展示即売会における売り上げによる収入というのは必ずしもそういう大きい額ではございませんで、昭和五十二年度から五十五年度までの三カ年を通じて約八億でございます。年平均にいたしますと三億程度でございまして、
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
百五十億、六十億という数からいたしますとかなり小さい部分を占めておるわけでございまして、何か無理をしておるところが作業の方にもあらわれ、達成率の方にもあらわれということではないわけでございます。
 それで、今後はどうかということでございますが、先ほども小谷委員からの御指摘もございましたように、法を守る法務省、それから犯罪を犯した人たちを収容する矯正局というものが、たとえ私利私欲でなくても、法に違反する、会計法令に違反するようなことをする、それからさらには、それが何か、たとえば新聞等で上前をはねているというようなふうの印象を与えるということがあっては絶対に困りますので、あの事件が会計検査院から最初に御指摘を受けまして以来、矯正局におきましては事あるごとにそういう不正経理と言われるようなことはもう絶対にしないようにという指導をいたしておりまして、現在はそういうことは全く行われていないわけでございます。
#221
○小平芳平君 前年の実績によって予算額を決めると言われますが、たとえば静岡刑務所とか何々刑務所というその受刑者の数とか、それからどういう設備をつくってあるかとか、投資してあるかとか、そういうようなことを参考にされるわけでしょうか。
#222
○政府委員(鈴木義男君) 刑務所で行っております作業の中には、これは比較の問題でございますけれども、比較的収入のいいものもございます。要するに、かなり合理化あるいは機械化された作業工程で作業が行われるものもございますし、それから本当の手だけで行う作業、非常に極端に申しますと紙袋をつくるというようなものもございます。それからまた、作業に従事いたします者も非常に能力のある者もございますし、それから作業等についての能力が落ちる者もございますので、そういうことも考慮をいたすわけでございますが、大体各施設におきましては一応入ってくる人たち、あるいは作業の種類等もわりに毎年似ておりますので、そういうことも考慮しながら各施設ごとにどの程度の収入があるかという予想を立てておるわけでございます。
#223
○小平芳平君 どうもその予想がよくわからないですな。
#224
○政府委員(鈴木義男君) 予想を立てる際に、結局前年の実績をかなり見ているわけでございますが、実は予想を立てます際には、前年の実績があるからそれを予想にするというところまでは必ずしも考えておりませんで、たとえば昭和五十五年で申しますと、大体前年度の実績を少し下回る程度のところに予想を立てましてやっておるわけでございまして、これは施設によって多少の違いはございますけれども、大体は前年度実績より少し下に目標を置いてということで進めているわけでございます。
#225
○小平芳平君 私が先ほど申しましたことは参考にしているわけですか、あるいはそういうことは全然考慮してないというわけでしょうか。その申し上げたことといいますのは、第一に受刑者の数、第二には設備投資。
#226
○政府委員(鈴木義男君) 設備投資の点につきましては、先ほど申し上げましたこの作業の生産性という点で考慮しておりますし、それから受刑者の数というのはもちろん考慮しているところでございます。
#227
○小平芳平君 それで、目標額を決めて五十五年度で一番大きく目標額を超過したところといってもお答えがなかったんですが、私のいただいた資料によりますと、横須賀の一六四%というようなのが大きく上回っているかと思いますが、いかがでしょうか。
#228
○政府委員(鈴木義男君) そのとおりでございます。ただ、横須賀刑務所の場合は、御承知だと思いますが、外国人受刑者、主としてアメリカの軍人、軍属等を入れておる非常に特殊な施設でございますが、前年度の実績よりもかなり低く目標額を立てたために、いま御指摘のように一六四%という非常に大きな数字になっておるわけでございます。
#229
○小平芳平君 奈良の場合はいかがですか。
#230
○政府委員(鈴木義男君) 奈良少年刑務所におきましては、昭和五十五年度は予定の一四五%という収入を上げております。
#231
○小平芳平君 それは特殊事情はないわけでしょう。
#232
○政府委員(鈴木義男君) この奈良の刑務所は少年刑務所でございまして、二十六歳未満の比較的若い人を入れておるわけでございますが、従来は職業訓練を中心として処遇を行ってきたわけでございますが、職業訓練と並んで生産作業も行うというようにいたしたために、五十五年度においての伸びがかなり大きくなったのではないかと推察いたしております。
#233
○小平芳平君 以上、いまここで申し上げましたような目標額とか、それを何%達成したか、あるいは何%足りないか、そういうことは第二義的な問題であって、第一義は刑務所に収容している目的ですね、この方が優先されるべきであると思います。私が言うまでもないことですが、いかがですか。
#234
○政府委員(鈴木義男君) まことに御指摘のとおりでございまして、刑務所という施設はやはり有罪判決を受けて施設に入れなければいけないという判断をされた人たちでございますから、一つには、そういう人たちの収容を確保するということが大きな任務でございますし、それからいま一つ、いま一つと申しますのはそれより重要でないという意味ではございませんが、こういう人たちが世の中へ出れば、世の中へ再び出た後に、もう犯罪を犯すようなことがないようにというように再教育と申しますか、あるいは矯正処遇を行っていくということが大事なわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、作業をしっかりやってもらうということも、そういう人たちの更生あるいは社会復帰に非常に大きな役割りを果たしているというふうに私ども信じておりますので、そういう意味におきまして、充実した作業をやってもらうということで努力しておるわけでございます。
 御指摘のとおり、歳入の予定額に到達したかしないかということだけで物事を考えるというのは本末転倒であろうというふうに私ども理解しております。
#235
○小平芳平君 法務大臣、そういう目標額が決められますと、やっぱりお互い同士連絡をとり合いますし、それで達成したかしないかということが気になるわけです。いや、そんなことは全然気にしなくっていいんだ、要は刑務所はそうやって作業能率を上げて工場のように運転してもうけさえすればいいんだというわけのものじゃないんだから、目標は目標でとらわれる必要はないんだというように、余りそうもいかないし、その辺が現場のつらいところだと思うんですね。
 それで、これから五十八年度から大臣はさっき考えるとおっしゃったですね。五十八年度からは合理的な方法を考えようというふうにおっしゃった。五十七年度はもう予算をこれから立てるんじゃありませんから、五十八年度ということになるんでしょうが、この考え方ははっきりさしておいていただきたい、またそうすることが現場の人にとって大事ではないかと思いますが、いかがですか。
#236
○国務大臣(坂田道太君) いま先生御指摘になりましたとおりでございまして、何も目標達成が第一義的なものではないというふうに私は考えております。いま矯正局長が申し上げましたとおりでございまして、第一義的にはやはり受刑者が受刑者としてのあり方、それが第一義であって、しかしながら受刑者が社会に復帰した場合には、それに役立てるために、やはり作業をやるということは一つの重要な柱であるという認識はわれわれ持っておる。しかし、それだからといって、競争してその目標達成を第一義的に考えるというようなことは私は考えておりません。
#237
○小平芳平君 次に、作業賞与金がずっと総額で出ておりますが、五十六年度が前年度に比べて何%上がっておりますか。
#238
○政府委員(鈴木義男君) 昭和五十六年度の予算におきます作業賞与金の合計額は、十一億五千六百九十八万余円ということになっております。大変失礼いたしました。いま申し上げましたのは決算額でございまして、当初予算額は十億一手四百四十九万円ということになっております。千十四年度の予算額が九億七千九百八十九万円ということになっておりますので、約二%程度の増ではないかというように思われます。
#239
○小平芳平君 これは予算額の推移として出ておりますが、お尋ねしたいことは、四%、三%というぐあいに各年度作業賞与金が上がってきておりますが、五十六年度急に一四%というふうに大きく上がっているのはなぜでしょうかということをお尋ねしたいんです。
#240
○政府委員(鈴木義男君) いま一四%というお話がございましたが、昭和五十三年度におきまして一四%の増というのが認められたわけでございますが、昭和五十六年度、先ほど私、計算を少し誤りましたのですが、昭和五十六年度は四・七%、それから五十七年度は二%ということになっております。
#241
○小平芳平君 そのくらいだと思いますが、後でまた数字をよく合わしてみたいと思います。それで作業の問題は終わります。
 次に、乙号登記事務についてお尋ねします。この登記事務の増加率、それから職員の増加の実情、こういう点をまずお尋ねしたい。
#242
○政府委員(中島一郎君) 乙号事件の伸び率でございますが、昭和四十六年を一〇〇といたしまして、五十五年の数字は一九三ということになります。登記従事職員の数の伸び率でございますが、同じく昭和四十六年を一〇〇といたしますと、五十五年は一一三ということになっております。
#243
○小平芳平君 それで、各委員から御指摘のように、登記事務は一方でふえる、人員の増加は追いつかないということで、どうにもならなくて民事法務協会に委託している、委託するということを考えたわけでしょうと思いますが、いかがですか。どういうふうに何を委託し、どういう作業をしておられるか、ちょっと説明していただきたい。
#244
○政府委員(中島一郎君) おっしゃるとおりでございまして、乙号事務の事務処理は、本来、職員がやるべきでありますけれども、事件増に職員の増が追いつかないというために、その乙号事件の事務処理工程の一部を民間の業者に請け負わせて処理しようということで、この乙号処理事務の一部下請が始まったわけでございます。業者に請け負わせます事務は、謄本、抄本の作成事務のうち複写、転記の作業であります。
 沿革的に申しますと、昭和四十四年度中に名古屋法務局におきまして試験的にこの方法を実施したわけでありますが、良好な結果が得られましたので、その後、順次対象登記所を拡大して今日に至っておるわけでございます。
#245
○小平芳平君 そして、協会はどういう目的で設立されているか。これは、直接法務省のことを聞いているんじゃないわけですけれども、民事法務協会に委託をして、国民は、市民は登記に行きますと、そうすると始めと終わりだけは国家公務員がやってくれるけれども、中間は民間の委託業者がやっている、こういう形になるわけでしょう。
 ですから、そういう意味においてお尋ねするんですが、どういう目的で設立されたか、どういう契約を結んでおられるか、また、法務局で協会に委託する基準はどうなっているか、現在までに何庁くらい委託しているか等についてお尋ねしたい。
#246
○政府委員(中島一郎君) まず、財団法人民事法務協会でございますけれども、目的といたしまして「登記、戸籍、供託の制度に関する知識の普及等これらの制度の円滑な運営に寄与することを目的とする。」というふうに定めております。
 事業目的はいろいろございますけれども「前条の目的を達成するために、次の事業を行なう。」ということになっておりまして、「登記、戸籍、供託の制度に関する啓発宣伝」でありますとか、それらの「制度に関する図書、印刷物の刊行頒布」でありますとか、あるいは「登記、戸籍、供託の運営に関与する者の福利厚生に関する事業」などございますが、主たる事業といたしましては、先ほどから申し上げております「登記制度の運営に関してする謄写等の事業」ということになっておるわけであります。
 それから、選定基準あるいは実施序数ということについてお尋ねがございましたが、対象庁の選定基準といたしましては、謄抄本事件数が年間三十万件以上の登記所というものを選びまして一部下請を導入いたしております。実施序数は、現在までのところ、五十六年度末におきまして八十庁ということになっておりまして、ただいま御審議中の五十七年度予算案におきましては、これに加えて十庁分の予算が新規に認められております。
 それから、この契約の内容でございますが、国と民事法務協会との契約の内容でございますけれども、いわゆる委託契約ということになるわけであります。委託業務に必要な所要経費をもとに謄抄本一枚当たりの委託単価というものを算出をいたしまして、出来高に従ってその代価を支払っておるわけでございます。
#247
○小平芳平君 その単価は、謄本、抄本一枚につき十七円七十八銭ということになりますか。
#248
○政府委員(中島一郎君) 毎年改定をいたしておりますが、現在のところ十七円何十銭であったと記憶しております。
#249
○小平芳平君 それで、八十庁プラス十庁で九十庁になるわけですけれども、このまま委託をふやしていくわけですか。この条件に合えば、委託は何庁でもふやしていくという方針ですか。
#250
○政府委員(中島一郎君) 私どものこの民事法務協会と申しましょうか、乙号事務一部下請についての基本的な考え方というのは、これは本来増員によって賄うべきものであるというのが基本的な考え方でございます。
 しかし、そうは申しましても、増員がなかなか思うに任せないという財政状況でございまして、そればかりに頼っておるわけにまいりません。乏しい増員が認められた、それを全部乙号事務に回すということはとうていできないことでございますので、暫定的にこの下請業務というものを拡大をしていきたいというふうに考えておるわけでありますが、それも無制限に三十万件以上庁は全部ということではなくて、やはりその時期その時期におきます増員事情あるいは事件の伸び率あるいはその他の事務の機械化、合理化の度合い、そういうものを勘案しながら判断してまいりたいというふうに考えております。
#251
○小平芳平君 大臣、乙号事務というこの事務、それは請負処理をしているある部分を、私が謄本をもらいに行く、抄本をもらいに行く、そうすると窓口で受け付けて、抄本なり謄本をくれるわけですけれども、その事務のある部分を請け負わせているということでありますね、説明するまでもないことでしょうけれども。局長も言われますように、本来国がやることなのかどうか、そこをひとつしっかりと決めてもらいたいと思うんですね。
 本来、局長さんは国のやるべき仕事であって、やむを得ず一時的に委託している、請け負わせているというふうにいま説明しておられますけれども、本当にもう正真正銘この仕事は大事な仕事なんだ、基本的な国家としてやるべき仕事なんだというふうに決めるか、まあまあ忙しいとき忙しい庁は一部請け負わせてもやむを得ない。それはいろんな形で役所の仕事を請け負っている業者があります。ありますけれども、そういう役所へ入っている、請け負っている業者の仕事と、ちょっとこの事務は意味が違うんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#252
○国務大臣(坂田道太君) ただいま民事局長から御答弁申し上げましたとおりが、いまの段階としてはそれが本筋だというふうに思うのです。
 ただ、最近わが方におきましても、一面においてこういうような登記事務等がどこまでコンピューターを使い、あるいはその他の機械を使うことによって人間の代替ができるかというのは非常に大きい実は課題でございまして、先般板橋を見せてもらったのですが、新しい庁舎ができつつあります。そこで概念的に、観念的にはそういうことができそうなのだと。
 しかし、この事務そのものが非常に国民の権利にかかわりがある大事なものだけに、それからまた日本の独特の文字ということだけに、簡単にすぐコンピューター化されるかどうか、そしてそれを両方両建てでやってみて、本当にこれがいけるということになるならばこれを全国に普遍化する。そうすることによって、長期的に考えれば人員もある程度は整理ができる。あるいはいままでも非常に人の手を借りなければ、本来的やるべき仕事をだれかに請け負わせてやっておったものも、もうそれは結構でございます、うちでやれますということができるかもしれない。その辺はもう少し時間をかけてひとつ研究さしていただきたいというのが、われわれの考え方でございます。
#253
○小平芳平君 電算化すれば一遍に解決がつくこともあり得るという御答弁ですが、それは本当にまだ海のものとも山のものともわからない段階でしょうか。
#254
○政府委員(中島一郎君) 登記事務をコンピューター化するという問題につきましては、いま大臣も申し上げましたように、これが国民の権利の保全あるいは円滑な取引ということに直接密接な関係を有する登記事務でありますから、これをコンピューター化するということによって処理体制が確保できるかどうかということについては、慎重に判断をしなければならない問題であるというふうに考えておるわけでありまして、四十六年ごろから導入の可否についての検討はいたしておりますけれども、いまようやく机上の研究とそれから室内の実験というものが終わりまして、これもただいま御審議中の五十七年度予算におきまして現場実験の費用が認められておるわけであります。
 それによりまして、特定の出張所に機械を入れまして、そしてこれはあくまで試験でありますから、実際の従来どおりの処理と、それからコンピューターによる処理と、これを並行して進めてみまして、そしてコンピューターを入れるということが本当に可能なのかどうか、そしてまた、可能な場合にどういう問題を解決しておかなければ汁らないのかというようなことをいろいろ検討してみたいと思っております。その実験結果によりまして導入の可否の問題を最終的に判断いたしたい、こういう段階でございます。
#255
○小平芳平君 先ほどの法務大臣のコンピューター化についての御意見はわかりましたが、本来、協会に委託しているのがどうかという問題です。登記制度の本来の趣旨に反することはないか。
#256
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどもちょっと局長からお答えを申し上げたとおりでありまして、本来的には、やはり正式の定員を確保するということでなければならないというふうに思います。
#257
○小平芳平君 したがいまして、法務協会の人たちが登記所の職員と作業場も全く同じ場所で作業しなきゃならないわけですね。ですから、そういう面の弊害が起きはしないか。
 それで、これはその例として挙げていることは、協会の職員は協会で管理している、人事管理もすべて協会にあるわけですから、そういう登記所で人事管理してない職員が一緒に働いているということ。それから業務を区分している、ここからここまでは協会でやりなさい、登記所の国家公務員はこれだけのことはやりますと区分しているところから来る弊害、たとえば相談に来た人に協会の職員は何も答えないで引っ込んでしまうと、何て不親切な登記所だろうというふうに思われたというようなこと。
 それから、登記制度の本来の趣旨に反するということ、まあ間違いも一〇〇%起きないと思っておっても、もしも間違いを起こしたらどうなるのかというようなこと、そういうようなことについてはいかがですか。
#258
○政府委員(中島一郎君) 登記所の職員と法務協会の職員と同じ職場で同じ仕事、お互いに仕事の一部を分担し合っておるわけでありまして、その間の協調と申しましょうか、協力が非常に重要であるということは私どもも痛感をいたしておるわけでありますが、現在のところ幸いにも大変円満といいましょうか、協調的に仕事が行われておりまして、そういった意味でのトラブルというものは聞いておらないわけであります。仕事の一部を分担しておるわけでありますから、一応の区分、分担というものは決まっておりましても、ここまでは私の仕事でここから先は全く知りませんというようなことではこれは仕事ができないわけでありまして、実際の現場における仕事の行われ方というものは、もっとスムーズな形で行われておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
 それから、協会に委託しております関係で、事故が起こって損害賠償の問題なども起こるということになりますと、法律的には委託契約に基づく求償の問題というようなことも理論的には考えられるわけでありますが、これもまた現在のところ幸いにもそういう事例は起こっておりません。
#259
○小平芳平君 ですから法務大臣、先ほど来何回も各委員から述べられましたように、これなどは本来国のやるべきこと、法務省としての重要な柱となるべき仕事を、しかもその仕事の真ん中だけ協会に委託しておく、非常に異例な状態にあるということをあらゆる機会に大臣から主張して、早く解決の道をとってほしいと思うんです。
#260
○国務大臣(坂田道太君) 一日も早く本来的な仕事に返れるように、最大の努力を払ってまいりたいと考えております。
#261
○小平芳平君 法務協会の質問は以上で終わります。
 次に、法務省が管理している施設でありますが、これは先ほど地震の場合などを例にして質問がありましたが、法務省としては計画的に年度計画を立てて建てかえをしておられるわけだと思いますが、それでその計画ではもうそういう老朽狭隘施設の建てかえが終わらなきゃならない計画も立てたことがあるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#262
○政府委員(筧榮一君) 法務省所管の施設は、御承知のように全国各所にございます。数も非常に多うございます。検察庁、法務局等のいわゆる官署施設二千三百九十六、刑務所、少年院等の収容施設三百六、合わせて二千七百二庁あるわけでございます。
 現時点でその整備状況を簡単に申し上げますと、現在工事実施中の官署、収容、合計百二十庁を加えまして、まだ未整備庁が合計五百六十八庁でございます。約四百四十数庁が整備を要する状態でありながら、まだ手がつけられていないという状況でございます。特に官署等を見ますと、地方の中小規模の施設につきまして整備がおくれているわけでございます。ところが、何と申しますか、施設費の予算がここ年々減少といいますか、減額されてきております。一番多かったのがたしか昭和五十四年の百五十五億でございます。これが五十七年度では百八億になっているわけでございます。
 それで、その前のたしか五十二、三年と思いますが、法務局の出張所あるいは検察庁の区検等につきまして古さ、あるいは狭隘度その他を勘案いたしまして順位をつけまして年度計画を立てたわけでございます。ところが、その後、いま申し上げましたように、財政事情その他で施設費が年々減額されてきておりますので、当初計画を立てました年次計画は遺憾ながら現状では大幅におくれてきております。二年ぐらい前にもう建てるといいますか、新営されているはずの登記所等が、まだ現時点では来年度にも順番が来ないというようなものもあるわけでございます。
 ただ、この施設費につきましては、政府関係の公共事業の抑制という政府の方針もございますし、またさらに私どもだけの事情を申し上げますと、ゼロシーリングの中で泳ぐといいますか、予算を組みます場合には、どうしても生活費といいますか、物価値上がり分の方のいわゆる物件費を先に立てなければいけない。しわ寄せはどうしても施設費の方へまいりまして、雨漏りでもございませんが、多少のことはもうちょっとしんぼうしてくれというようなことも言わざるを得ない遺憾な状況でございます。
 先ほど申し上げました年度計画でございますか、昭和五十二年度を初年度といたしまして五カ牛計画が立てられたわけでございますが、五十六年度の達成率は六四・九%になっておるわけでございます。そういうことでございますので、今後どういうふうにやっていこうかという点、施設費の大幅な増がいま申し上げましたような事情で早急にはちょっと期待できないという点もございますので、年次計画を引き続き可能な限り実施をいたしたいということと、もう一つは、出先の中小施設庁につきましては可能な限り各庁を集めまして、いわゆる法務合同庁舎の建設に精を出しまして、経費の効率的な利用を図りたいという点でございます。
 それから、片や収容施設につきましては、これは老朽度も相当進んでおるところがございます。これも整備を要する庁は非常に多うございます。序数で申し上げますと、収容の場合には未整備率が四一・五%に上っておるわけでございます。ところが、収容施設の場合は、これを新営する費用が非常にかさむわけでございまして、刑務所を例にとりますと収容者一人当たり大体八百万から一千万というふうに見込まれております。したがいまして、中程度の五百人を収容する刑務所をここにぽっこり建てるといたしますと、約四十億以上の金が必要となります。一般施設費の方でこういう四十億、五十億というのはなかなか出てこないわけでございます。
 そこで、収容施設につきましては、いわゆる特別会計を利用いたしまして、たとえばもとは野原でありましたのがいつの間にか市街地になっておるという刑務所、これを職員の不便のひどくない最寄りといいますか、郊外の方へ適地を求めましてそこへ新営をする。つまり、現在地の土地を売却いたしまして、それを財源として少し離れたところへ新しい施設を建てると。これは特別会計の中でできるわけでございます。そういう意味で、この特別会計も可能な限り利用をいたしまして収容施設の改善を早急に図りたいと、そのように考えておる次第でございます。
#263
○小平芳平君 これも大臣、大変頭の痛い問題だと思います。いま御説明がありましたように、五カ年計画でやりますということを、五十三年二月十六日ですか、法務大臣が述べておられるわけですね。述べておられるわけですが、達成率が六十何%というようなことでありますけれども、これもやはり国民の権利に関する問題とが非常に重要であると思います。国のやっている仕事に重要でないものはないのでしょうけれども、それにしても、法務省関係の施設の整備ということはゆるがせにできない、猶予することができない問題であるというふうに思いますし、また大臣ももちろんそう思っていらっしゃる頭の痛い問題だと思いますが、しっかりがんばっていただきたいと思います。
#264
○国務大臣(坂田道太君) この問題は、法務省といたしましてどうしても前向きに検討しなければならない課題だ、私に与えられた職務であると考えまして、最善の努力をいたす覚悟でございます。
#265
○中山千夏君 拘置所の問題についてちょっとお伺いいたします。
 現在、拘置所はいわゆる代用監獄というものがあることによって、それで言ってみればそれに頼る形で施設が足りている状態だということを聞くのですけれども、そのとおりでございましょうか。
 それから続けて、収容の割合としては、いわゆる代用監獄とそれから拘置所と大体どの程度の割合になっているのか。
#266
○政府委員(鈴木義男君) 後の方の御質問からお答えしたいと思いますが、現在拘置所に入っている者と、それから代用監獄に入っている者との割合を見てみますと、大体代用監獄に入っている者の数が、これは一日平均といたしまして約五千人でございます。それから刑事施設に収容されている者が、昭和五十五年度でございますが、約八千三百人ということになっております。
 したがいまして、最初の方の御質問に戻るわけでございますが、これはまだ刑事施設の方が完全にいっぱいになっておるということではございませんけれども、この五千人をすぐさま拘置所あるいは刑務所という方へ、これは数だけの問題でございますが、全部入れるのは、現状では大変むずかしい状況でございます。
#267
○中山千夏君 法務大臣のお考えを伺いたいのですけれども、このいわゆる代用監獄というのは、不当な取り調べだとか、それから人権を無視した自白強要などを生んでいるというような理由で従来から批判の声が高いわけですね。そして法制審の答申の中でも、「関係当局は、将来、できる限り被勾留者の収容の必要に応じることができるよう、刑事施設の増設及び収容能力の増強に努めて、被勾留者を刑事留置場に収容する例を漸次少なくすること、」というふうに言われています。それで大臣としては、拘置所の増設をしようというお考えがおありなのかどうかというあたりをちょっとお伺いします。
#268
○国務大臣(坂田道太君) 法制審議会の御答申の中にもいまお述べになりましたような方向が示されておるのでございまして、私どもといたしましても、できる限り法制審議会の御意思を尊重しまして、そして拘置所もふやしていくというつもりであります。しかしながら、なかなかそう財源が許しませんので、思ったとおりの速度でいけるかどうかは別といたしまして、方向といたしましてはふやしていくという方向にあります。
 それからまた、今度は監獄法でなくて刑事施設法というのをひとつ御提案申し上げようと思っているわけですが、それにつきましてはそれぞれの法案が出てから御審議を煩わしたいと思いますけれども、いろいろの処遇の改善等も従来よりもいいものにしたいという意欲を持っておることを申し上げておきたいと思います。
#269
○中山千夏君 そのいま大臣がおっしゃった提案を考えておられるものの方なんですけれども、それがまたいろいろ心配をしている人がおりまして、つまり拘置所がふえていく方向の中で処遇の改善ということを目してそういう法律ができてくるのならいいけれども、拘置所がふえるというめどが全然つかないうちにそういう法律ができてしまうことは、かえって代用監獄を固定化してしまうというような方向になるのじゃないかと、私なんかもちょっとそういう心配を持つわけなんですね。
 だんだんに拘置所をふやしていくということで言えば、先ほどのお話にもあったように、単純に人数からだけ見ましても、急に一遍に引き受けるというわけにはいかないわけですから、相当これは長い年月かかることなんだろうと思うのですね。そうすると、スタートも早くしないとなかなか達成しないだろう。きょうの大臣からの予算の御説明を聞きますと、少なくとも今度の予算ではまだそういう予定は組んでいらっしゃらないわけですよね。
#270
○政府委員(鈴木義男君) 拘置所等の増強の問題につましては、これはすでに努力を始めておるわけでございまして、もちろんそれより前からでございますが、昭和五十一年度以降だけをとりましても、この刑務所あるいは拘置所、さらには拘置支所というものの、これは改築が多いわけでございますが、場合によっては新設という点もございますが、この改築を中心といたしまして、この改築をした場合にはできる限りこの収容能力もふやしていこうという方向でまいっておりまして、五十一年から五十七年までの計画、これはまだでき上がってないのが少しございますけれども、その計画におきましては合計三十二庁につきまして措置をとっておりますが、それによる勾留される者の収容能力の増が大体千名ぐらいということになっておりまして、この点は今後もふやす方向で進めてまいりたいというように思っております。
 それからもう一つ、大臣がおっしゃいました刑事施設法というものを提案したいということを申されましたが、これは代用監獄についての法律というのではございませんで、刑務所それから拘置所等についての法律でございます。恐らく御質問にありましたのは、現在警察庁で準備されていらっしゃる警察留置施設法でございますか、あるいは警察拘禁施設法でございますか、こういう法案におきまして、代用監獄に入ってきた人たち、すなわち裁判所がいわゆる拘置所へ入れるか、あるいは警察の留置場へ入れるかお決めになるわけですが、その勾留になって警察の留置場に入ってくる人たち、こういう人たちについて適正な処遇をしようということで立案されておるように私ども理解しておるわけでございます。
 ただ、先ほど大臣からも法制審議会の答申ということを申されましたが、答申の中には、この代用監獄についても原則として、刑事施設法と申しますか監獄法の規定を適用していくのだということがございますので、私ども法務省では、警察庁とも相談いたしまして、警察方面でそういう留置場に関する法律をつくる場合にも、基本的にはこの監獄法の改正である刑事施設法の規定を適用していくということによって、刑事施設へ入ってきたか、あるいは警察の施設へ入ってきたかということによって法律上の取り扱いに不合理な違いが出てくるということはないようにするつもりでおりまして、その点で警察庁とも十分話し合いをしていきたいと思っております。
#271
○中山千夏君 勘違いして失礼しました。いまおっしゃったとおりです。
 それで、それはまた後々、それらの法案を審議するときに、警察の方の留置場に関する法律ですか、いろいろな名前をいま考えているようですけれども、その法律とそれから法務省の方のお考えとでいろいろむずかしい点もあるだろうと思うんですね。その辺は、またその機会に改めて御質問させていただきたいというふうに思っております。
 それでまず、拘置所を増設する場合に予算が問題だということは、大体素人でもわかります。それからそれに伴って収容者がふえてくると、それだけこちら側の人件費といいますか、人も要るだろう。そのほかに、増設を阻んでいる何か原因があったら言ってほしいんです。
 というのは、私たちから見ていると何かとても遅々としていて、もっと国がやることですから、やろうと腹を決めたらとんとんと行きそうなものだという気がするんですが、なかなか進まないというので、その辺のところをちょっとお話しください。
#272
○政府委員(鈴木義男君) まず、現状に完全に対応できる程度に拘置所を整備しようとすると一体どのくらいお金がかかるのかということは、これは大変計算のむずかしい問題でございますが、数年前に私どもで試算したことを御参考まででございますが申し上げますと、全国に現在簡易裁判所が六百近くあるわけでございますが、そのうち、現在拘置所あるいはその簡易裁判所の所在地で拘置所その他の収容施設がございますところが大体百五十くらいでございます。そういたしますと、裏から申しますと、簡易裁判所の所在地であって、かつそういう施設のないところが約四百出てくるわけでございます。
 そこへ、施設の規模等もいろいろございますが、そういうところは非常に入ってくる人たちの、収容される人たちの数も少ないわけでございまして、十人足らずであろう。ただ、施設というものは日々変動がございますので、平均いたしますと二人か三人ということでも、多いときには十人、場合によっては十五人ということになりますので、そういうことを考慮いたしまして、十人くらいの定員の施設をつくると一体どのくらいかかるのかという計算をしてみたわけでございま十が、そのときは、約三千五百億かかる。
 これは、くしくも本年の法務省の予算と同じ箱になるわけでございますが、これを先ほど官房長からも御説明いたしましたけれども、法務省の営繕関係の予算ということであれいたしますと一体どれだけかかるのか、しかもこれはそういう新しい拘置所をつくるだけではなしに、いままである施設の拡充等を加えますと、相当な目もくらむような額になってまいりますし、それからそういう点についての人件費、どのくらいまた人員がふえるのかという点についても、これはいろんな計算の仕方がございますが、五千人ないし七千人の増員が必要ではないかということでございます。これは、それだけしなきゃどうしてもだめであるという数字ではございませんけれども、一つの試算の方法としてそういうことをしてみたことがございます。
 それから、もう少し単純に申しますと、現在代用監獄に入っている人の数値五千人でございますから、この五千人、一日平均でございます。これは変動がございますので、その人たちを全部刑務所あるいは拘置所へ入れるということになりますと、恐らく一万名程度の定員増を図る必要があるのじゃないか。一万名につきまして、収容を一人ふやしますと八百万から一千万の建設費がかかるということになりますと、一万名でたとえば一千万といたしますと一千億という数字になるわけでございますが、そのほかに土地代等を見なきゃいかぬわけで、いずれにいたしましても、相当な額の費用がかかるということが一つ隘路としてございます。
 それからもう一つは、もうこれはすでに御質問の中に入っていたと思うのでございますが、現在私ども、これは拘置所だけではございませんで、刑務所もそうですし、少年院それから少年鑑別所等もそうですけれども、こういう施設を新たにつくろう、あるいは従来あるところを建て直そうということになりますと、近所の方々からそれは困るという御意見が非常に強く出てまいります。場合によっては反対運動ということも出てまいりまして、それを説得するのは非常に困難である。現在でも私ども非常に困っておりますのは、老朽化した施設がかなりあるわけでございまして、これは拘置所ではございませんが、たとえばこの近所でいきますと小田原の少年院であるとか、八街の少年院であるとか、それから小田原のこれは拘置所になりますが、こういうところは非常にもう老朽化しておりまして、ぜひとも建て直したいというふうに考えて優先順位は先の方につけるわけでございますが、ところが現地の住民の方々との話し合いがどうしてもつかない、そういうことで延び延びになっている施設もあるわけでございまして、つくろうとするたびに非常に大きな問題、そのために、二年、三年という交渉だけで月日がたつということもあるわけでございます。
 それから最後に、先ほど申しましたように、簡易裁判所のある場所ごとに施設をつくるということになると、かなり親族の方であるとか家族の方であるとかいう方が面会に行くのが非常に楽になるわけでございますが、現在あります場所に増設といいますか、収容能力をふやすということにいたしますと、警察の留置場でありますと比較的近くにたくさんございますので、家族の方あるいは弁護士さん等の面会等も容易でございますけれども、これが県庁所在地へ行かなければいけないということになると、その点での不便ということもいろいろあるわけでございます。
 現在、拘置所に収容するか、あるいは代用監獄に収容するかという点については、これは裁判官がお決めになるわけでございますが、恐らく裁判官も一体拘置所に余力があるかどうか、それから関係者にとってどちらへ入れたら便利であるかどうか、それからもう一つ、これは大事な問題でございますが、捜査を十分に行うためにはどうしたらいいかということなどを考えて決められていると思うわけでございますが、現在この代用監獄に入っている人たちを、全部といいますか、大部分を、あるいは相当部分を拘置所の方へ移すということにつきまして、いま申し上げたようないろんな難点があることを申し上げておきたいと思います。
#273
○中山千夏君 本当に、大変困難な問題がいっぱいありますね。
 ただ、後の方のお話で、便利かどうかということに関して言いますと、やっぱり被勾留者の家族とかそれから弁護士さんたちは、少々不便でもきちんと権利を保障されている状態の方を多分お望みになるだろうと思うんですけれども、ともかく予算の面から見ても大変だということはすごくわかります。しかし、やっぱり大変だからといってやらないわけにはいかないわけですから、ぜひとも御努力いただきたいと思います。
 一応この話は終わりまして、次に先ほども大分お話が出ていましたけれども、刑務所ですとか少年院ですとか、それから小さいところで婦人補導院などで、被収容者が作業して、その収益が国庫に入るという話なんですが、たしか刑務所の場合はその見込みが百六十五億ぐらいというふうに伺ったんですが、それで間違いないでしょうか。
#274
○政府委員(鈴木義男君) そのとおりでございます。
#275
○中山千夏君 そして少年院が五千三百万円くらい、それから婦人補導院が十一万六千円くらい、これもよろしいですね、その数字で。
#276
○政府委員(鈴木義男君) そのとおりでございます。
#277
○中山千夏君 そうしますと、これは私、数に弱いものですから間違っていると困るんですけれども、この予算の明細書というのを見ますと、この明細書の事項で分けてあるものの中に「刑務所被収容者の収容に必要な経費」という項目がありますね。その金額が百六十二億円余りでよいのでしょうか。
#278
○政府委員(鈴木義男君) 百六十二億余でございます。
#279
○中山千夏君 よく知らない一般人といいますか、余り刑務所のことなんか考えたことのない人間は、私なんかもそうだったわけなんですけれども、ただで国費を使って刑務所に入っている人たちは生活をしているというようなことを安易に言ってしまうんですけれども、この数字を並べてみますと、百六十二億実際に入るかどうか別として、大変成績がいいようですから多分入るんだろうと思うのですけれども、百六十二億入って、実際被収容者に必要な経費という、もちろんほかにもお金はかかるわけですけれども、少なくともこの項目で出されている予算以上の収入があるということがわかりまして、それで私はちょっとびっくりしたようなわけなんですけれども、決してただで居食いをしているというようなことではなくて、きちんと働いて収入も得ているんだということがわかって、これはちょっとびっくりしたようなわけなんです。
 ここの部分でも、収容者の収容に必要な経費の内訳がいろいろ書いてありますけれども、もちろん管理に当たる方たちの月給ですとか、そういうものも関係ないとは言い切れないので、いろいろ被収容者にかかる費用というものは計算法があるだろうとは思いますけれども、大体生活費というような感じで見て、刑務所の場合、被収容者一人の生活費にどの程度かかるという予算になっているんでしょうか。
#280
○政府委員(鈴木義男君) この収容費を刑務所等について見ますと、収容費の額が百六十二億でございまして、入っている人の数が五万余でございますので、一人当たりに計算いたしますと三十万円程度ということになるわけでございます。
 なお、この収容費の内容でございますけれども、これは大ざっぱに言いますと、衣食住のうちの衣と食であるというようにお考えいただいていいと思いますが、ただ非常にこれは技術的な面がございまして、たとえばこの中には作業賞与金が入っておりますし、それから医薬品等も入っているわけでございます。
#281
○中山千夏君 暖房費といいますか、そういうものも含まれているんですか、ガスとか光熱費とか。
#282
○政府委員(鈴木義男君) 入っております。
#283
○中山千夏君 その中で、もし一日当たり食費一人分がわかりましたら、教えてください。
#284
○政府委員(鈴木義男君) 受刑者について申し上げますと、昭和五十六年度は一日一人当たりの食費が三百六十四円五十五銭ということになっております。
#285
○中山千夏君 今度の予算ではどうなっていますか。
#286
○政府委員(鈴木義男君) 五十七年度予算では三百七十五円二十四銭となっております。
#287
○中山千夏君 少し上がっているわけなんですけれども、この額を見ますと、一般の家庭で相当質素にやろうと思いましてもかなり苦しい。むしろ無理なんじゃないかと思える額なんです。もちろん、たくさん一遍に仕入れたりというようなことがあるから、小さな家庭とは少しその辺違うところがあるかもしれませんけれども、それにしても少ない。特にいま物価高ですから、こんなときにこの程度の予算で、これに準じて被服なんかもやっぱり大変なんだろうと思うのです。食事とか被服を整えるというのはものすごい苦労なんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
#288
○政府委員(鈴木義男君) 刑務所の受刑者ももちろんでございますし、その他拘置所、少年院等すべての施設に通ずるわけでございます。先ほど申し上げました数字は刑務所の受刑者の数字でございまして、少年院等では多少高くなっておるというような事情もございますが、いずれにいたしましても、この額というのは私どもが社会で生活していく上で必要な額ということから見ますと、非常に低いものでございます。
 現在、これをいかに有効に使うかということに非常に大きな力を使っておるわけでございますが、一つは、大量に仕入れをするということでございます。この点も、ただ単にある施設だけでやるのではなくて、近隣の施設が相互に協力しまして、その間で大量共同購入の実を上げていくということも考えております。それからまた、自給作業をいたしまして、自給作業をいたしました場合は、それは先ほど来問題になっております作業収入ということで歳入になるわけでございますが、こういうことを申し上げてはなんですけれども、多少低く見積もっていただいて、作業収入としては低くなりますけれども、それを買うという面から見ますと、かなりある程度低く見ていただけるというような措置も講じていただいております。
 そういう企業努力を非常に重ねまして、この三百何円という額でも何とか日々の生活の最低限度ということにはなろうと思いますけれども、栄養価も、それから中身についてもしようということで努力をしておるわけでございまして、恐らく刑務所等へ参観いただきました場合に、被収容者の食べ物をごらんいただいたと思いますけれども、あの程度のものに何とかするように努力をしておるわけでございます。
 もちろん、この三百何円という絶対額が非常に低いわけでございますから、その点を上げることについても努力をしておるわけでございますが、本年は幸いなことに食糧費全体で約四%ちょっとのアップになりまして、副食費のアップが二・何%が認められており、多少食糧費について理解をいただいたというように考えております。
#289
○中山千夏君 大変御丁寧に説明いただいて恐縮なんですが、できましたら簡潔にお答えいただけると、時間がないものですから、事前に少しはレクチャーも受けておりますので、要領よくお答えください。
 刑務所などに行ってみますと、見学させていただきますと、確かに努力なすっているし、所長さんなんかのお話を聞いても、大変だという中で努力はしていらっしゃるようなんですけれども、やはり一般から見ますと大変に水準が食べ物にしても着る物にしても低い。本当に食べる、着るのぎりぎりのところだろうという気が私はするんです。それから、事実中に入っていた人たちから聞きますと、被服なんか、特に下着なんかについては、やはりかなり状況が悪いという感じを私は受けます。どの程度の水準かというと、質素は構わないんだけれども、一般社会の中で、たとえば非常に貧しいというところへ行ってもなかなか見られないのじゃないかというようなものだと私は思うんです。
 一部の政府の方の中には、悪いことをしたんだからそういう一般とは全然違っていて当然なんだという考えがあるというふうにも聞いているんですけれども、無論法務省ではそういうお考えは持っていらっしゃらないわけでしょう。
#290
○政府委員(鈴木義男君) 悪いことをしたからどうこうということではございませんで、これは犯罪を犯して入ってきた場合に、一体国の予算の中で、あるいはもちろん予算というのは動くわけでございますが、予算の中で最大限のことをしていきたいというふうに考えております。
 たとえば、いま着る物のお話が出ましたけれども、これはひところに比べますと私どものあれではずっとよくなっておるということでございまして、この点についても努力を重ねておるところでございます。ただ、いろいろ中へ入られた方が、後で出てきてからおっしゃることの中には、多小誇張とかいろんなこともあり得ると思いますので、また実情がどうかという点につきましては、もう少し広くごらんいただきたいという気がいたしております。
#291
○中山千夏君 それじゃ、今度ぜひ下着ですとか、見学に行った場合には絶対見せてくださらないようなことを中心に見せていただきたいと思います。
 実は、先日、栃木の女子刑務所に伺いました折にも、受刑者の方と同じ食事を食べさせてくださいというふうにお願いして行ったんです。ところが、行ってみましたら、ずいぶんりっぱなお弁当が出てきたので、こんなものをみんな食べているのかど思って驚きましたら、それは故意だとは思いたくないんですけれども、職員と同じ食事をおっしゃるとおり用意しておきましたと言って、職員の方と同じ食事をいただいてきました。ですから、私たちももっと広く知りたいですから、視察などに伺った際には、受刑者の方たちの食事を一緒に味わうのもいいと思いますし、それから、できれば普通さっと歩いただけで建物だけを見るということではなくて、もっと深く見学させていただいたらありがたいと私も熱望しておりますので、今度行くときにはそのようにお計らいをお願いしたいと思います。
 いま、予算をとるために努力をしていらっしゃるということを伺ったのですけれども、これは大臣にぜひお願いしたいんですけれども、収容者の人権、それからもう一つ教化、この教化ということにもいろいろ予算を割いて力を入れていらっしゃると思うんですけれども、そういう点から考えましても、収容者にせいぜい一般社会の質素な生活くらいの暮らしのレベルというものを持たせる必要が、保障する必要があると思うんです。ですから、少ない予算内でいろいろとさっきからお話しになっているように苦労したり工夫したり、現場でしていらっしゃるようですし、ときには、さっき話題になっていましたように、窮余の一策でちょっと会計上からは指摘をされてしまうようなこともなすって苦労していらっしゃることはわかるんですけれども、やはりそういう苦労では限度があるだろうと思うんです。ですから、やっぱり事は、予算をどうしてもこちらの方面に多く向けてとっていただきたいと思うんです。いかがでしょうか、大臣。
#292
○国務大臣(坂田道太君) やはり受刑者といえども、一般社会の最低限の線は確保しなくちゃならぬというふうに思っております。最大の努力はいたす覚悟でございます。
#293
○中山千夏君 ぜひともよろしくお願いして、きょうの質問を終わります。どうもありがとうございました。
#294
○委員長(鈴木一弘君) これをもって昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#295
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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