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#1
第096回国会 内閣委員会 第7号
昭和五十七年四月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     板垣  正君     安孫子藤吉君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     山内 一郎君
     安孫子藤吉君     板垣  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                片岡 勝治君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                野田  哲君
                矢田部 理君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       田邉 國男君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       石川  周君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     斧 誠之助君
       内閣総理大臣官
       房広報室長兼内
       閣官房内閣広報
       室長       小野佐千夫君
       総理府人事局長  山地  進君
       総理府恩給局長  島村 史郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       外務省アジア局
       外務参事官    長谷川和年君
       外務省アジア局
       中国課長     池田  維君
       厚生省援護局援
       護課長      沢江 禎夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、関口恵造君が委員を辞任され、その補欠として山内一郎君が選任されました。
#3
○委員長(遠藤要君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田邊総理府総務長官。
#4
○国務大臣(田邉國男君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額を増額するとともに、戦没者の遺族、傷病者等の処遇の改善の措置を講じ、恩給受給者に対する処遇の一層の充実を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。
 これは、昭和五十六年度における公務員給与の改善を基礎として、昭和五十七年五月から、恩給年額を増額しようとするものであります。また、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給の基本年額等については、同年八月からさらに増額を行い、公務扶助料については遺族加算を含み年額百三十二万円を保障することといたしております。
 その第二点は、普通恩給等の最低保障額の増額であります。
 これは、長期在職の老齢者に係る普通恩給の最低保障額を昭和五十七年五月から七十九万二百円に引き上げ、その他の普通恩給及び普通扶助料の最低保障額についてもこれに準じて引き上げるほか、さらに、同年八月からは、長期在職者に係る普通扶助料の最低保障額を五十二万円に引き上げ、その他の普通扶助料の最低保障額についてもこれに準じて引き上げることといたしております。
 以上のほか、扶養加給の増額等所要の改善を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#5
○委員長(遠藤要君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○堀江正夫君 私は、まずトロトラストの患者の国家補償の問題につきましてお伺いをいたしたい、このように思います。
 戦時中ドイツで開発、輸入をされ、主として軍病院等で戦傷部位の外科手術を行うときに血管や肝蔵等のレントゲン撮影の造影剤としてトロトラストが使われた。このトロトラストは、御承知のように放射性物質である二酸化トリウムを成分としており、一度体の中に入ると血管壁や肝臓等に沈着をしてしまって、生涯排出をされることなく、そこにとどまって半永久的にアルファ線を放出をする。その結果、肝造血器、リンパ組織等に強い影響を与えて、肝がんであるとか肝腺維症であるとか白血病等の悪性疾患を誘発をする危険性が高い、このように言われております。
 戦後、一部の医学界での研究指摘を受けて、厚生省で昭和五十二年度と五十三年度に傷痍軍人を対象として実態調査を行われたようでございますが、どの程度の人を対象にして調査をしたのか、そしてそのうちのどの程度の人にトロトラストの残留が確認されたのか。また、そういう人に対してどのような措置をとっておるのか。これは厚生省がやったことでありますが、きょうは厚生省を呼んでおりません。そこで、恩給局として承知をされておる限度で結構でございますからお聞かせを願いたいと思います。
#7
○政府委員(島村史郎君) 先生御指摘のとおり、厚生省では昭和五十二年度と五十三年度にトロトラストの調査を実は実施いたしております。戦傷病者手帳に基づきまして、戦傷病者の手帳を持っている者約十五万人につきまして厚生省がトロトラストの受診票というものを発行いたしまして、それに対して、約三分の一の五万人程度の方がトロトラストの検査を実は受けております。昭和五十二年、五十三年、この両年にわたりましてそういう検診を全国にわたって実施いたしました結果、この五万人の中から六百九人の人についてどうもトロトラストの注入の疑いがあるということでございました。
 その後厚生省では、さらに五十四年以降二回目の定期検診あるいは随時検診をやりますとともに、その検診の結果に基づきましてトロトラスト沈着者の健康管理委員会というのを設けまして、そこで診査をさらにいたしましたところ、トロトラストの沈着者が二百二十四名おるということでございました。当初全国にわたって、いま申し上げましたように一般的に調査した場合には六百九人でございましたが、そういうふうに診査した結果は二百二十四名ということでございます。
 したがいまして、これらの二百二十四名の方々に対しましては、現在厚生省におきまして健康管理委員会で経過観察をし、要注意者につきましてはさらに精密検査を行っておりまして、トロトラストが沈着している方というのは、先生御承知のように、それが発病いたしますと半年もしくは一年半でがんその他で死亡するということでございますので、したがってそれの早期発見、早期治療というようなことで、厚生省がそういう管理体制を整えて現在やっておるというふうに私どもは聞いておるところでございます。
#8
○堀江正夫君 いま調査状況につきましてお聞きしたわけでありますが、その沈着者二百二十四名ですか、その中ですでに亡くなられた方も相当ある。
 そこで、総理府恩給局にお聞きしたいのは、このトロトラストの残留が認められておられるそういう人に対して、恩給制度上どのような考え方でどのような取り扱いを現にしておられるのか、またされようとしておるのか。聞きますと、三十七年にトロトラストのがんで亡くなられた人に公務扶助料を出しておられるというふうにも聞いておりますが、現在何人ぐらいの人に恩給を出しておるのか。また、その傷病恩給と公務扶助料、これはどのような分類、数になっておるのか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
#9
○政府委員(島村史郎君) 一般に公務傷病を受けましたときにそれを治療いたしますが、薬物あるいは物理療法というようなことでいろいろ治療をやりますが、その治療の結果、さらにいろいろの問題が起きたという場合に対しましても、それは私どもとしては傷病恩給の対象にしているわけでございまして、確かにトロトラストというのは、発見された当時は、これは大変な医学上の大発見であるということで、ドイツで開発をされましてそれが広く世界的に使われたわけでございますけれども、さらに医学が進歩いたしますと、その結果は、いまも先生がおっしゃいましたようにアルファ線が出て、それが二百五十年も体内にとどまっているということでございますから、これは非常に大変なことであるということで、私どももこれにつきましては傷病恩給の実は対象にいたしておるわけでございます。
 現在まで、昭和三十七年からいろいろそういう恩給法上の措置をいたしておるわけでございますけれども、現在公務起因と認めて恩給を給した件数は、傷病恩給で全部で百一件でございまして、すでに亡くなられた方、公務扶助料につきましては九十五件。傷病恩給が百一件、公務扶助料が九十五件、合計百九十六件これを支給いたしております。
#10
○堀江正夫君 いまもお話がございましたように、恩給制度として現にこれを取り上げていただいておる、大変結構なことだと思いますが、いまも御説明ありましたように、発病を一たんしてからでは実際には間に合わない。後から公務扶助料を上げるという結果になりがちである。そこで、初めから残留者とわかっておれば、それに対して恩給の受給の資格を与えるのか、あるいは残留者ではだめなんで、やはり何らかのそこに症状が出てこなければいけないということなのかどうか。あるいは実際に格づけするとしても、一項から七項があり一款から四款がある。どれに格づけするかということは大変むずかしいだろうと思います。その上に、すでに本来の戦傷で格づけされておる。それにこういうようなトロトラストという症状が出てきたというと、それはまた上乗せをするにしてもどの程度上乗せするかという問題もあるだろうと思います。大変そういうことで問題があるだろうと思いますが、何か格づけ上の基準というものはあるんですか。
#11
○政府委員(島村史郎君) いまのところは別に基準というのをまだつくっておりません。それで普通、トロトラストの沈着者だけにつきましては、それの自覚症状が実はございません。いままでトロトラストの沈着者に傷病恩給を出しておりますのは、すでに何らかの傷があって、それで傷病恩給を申請した場合に、それを審査してトロトラストの沈着があったということがわかれば、そのトロトラストの沈着に対して何らかの措置をしているというのが現状でございます。
 しかし問題は、トロトラストの沈着だけがあって現在そういう傷病の自覚がないという方に対してもある程度そういう措置をする必要があるんではないかというふうに実は私どもも現在考えておるわけでございまして、したがって、そういうことについて私どもも早急に顧問医の先生方ともいろいろ相談を申し上げ、なるべく早い機会にトロトラストの沈着者に対して何らかの措置をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、非常にこれ問題がございますのは、さっき申し上げましたように、トロトラストというのが発病いたしますと、半年か一年半ぐらいで亡くなられるということでございますので、これをいまだにいわゆる御存じない方、そういう方に対して、あなたはトロトラストの沈着者であるかどうかということを言うのが果たしていいのかどうかというような問題も実はございます。そういうようなこともいろいろ兼ね合わせながら顧問医の先生方と御相談をし、いろいろの対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#12
○堀江正夫君 ひとつぜひともこういう患者、これはもう言うまでもなく、国が一方的に責任を負わなければならない問題だと思います。また、こういう残留を確認されておる人というのは大変不安の中で毎日を送っておられると、このように思うわけでございまして、さらに申し上げますと、五万人だけしか返答をよこさなかった、しかし実際にはもっとおるんじゃないか、恐らく厚生省でこれも調査をされるんだろうと思います。さらに、残留を確認された人でも、あるいは自分で恩給の申請をしておらないという人もおるかもしれません。そういったような問題も含めまして、この問題を何とかもっと前向きで処理をしていただきたい。また、少なくとも申請した者については、格づけの面についてもそうでございますし、早く査定をして処置するという面においても温かい配慮をお願いしたいと、このように思うわけでございまして、もう時間でございますから、事務当局、さらに総務長官の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#13
○国務大臣(田邉國男君) トロトラストの残留者に対する恩給処遇については非常にむずかしい問題もあろうかと思いますが、御指摘の次第でもございますので、今後とも鋭意前向きに検討をしてまいる考えであります。
#14
○政府委員(島村史郎君) この問題につきましては、恩給局はもとよりのことでございますけれども、いろいろ厚生省とも十分連絡をとりまして、できる限りの措置をしてまいりたいというふうに考えます。
#15
○板垣正君 私は、公務扶助料と恩給等につきましては毎年のように改善措置が行われてきておりますが、今後も引き続いて高齢化を迎えつつある遺族等に対する処遇の問題について御配慮いただくように冒頭お願いを申し上げたいと思います。
 きょうお伺いしたいことは、前の予算審査のときの内閣委員会でもお伺いしたわけでございますが、その後予算の成立を見ましたが、例の戦後処理問題についての懇談会経費ですね、これについてすでに総理府の方では具体的な作業に入っておられると思いますが、その状況についてまずお伺いいたしたいと思います。
#16
○政府委員(石川周君) 御承知のように、戦後処理問題懇談会につきましては、予算編成時のいろいろな経緯を踏まえまして、戦後処理問題につきましてどのように考えるべきかという趣旨で、民間の有識者による公正な検討の場を設けまして検討をお願いするようにしたいということで、五十七年度予算五百万円をお願いいたしまして予算の成立をいただいたところでございます。
 私どもといたしましては、この予算成立を受けまして、戦後処理問題懇談会につきましてその発足のための準備中でございますけれども、何分にもむずかしい問題でございまして、慎重に進めてまいらなければならないと考えております。まだ具体的に御報告申し上げるような段階には至っておりません。
#17
○板垣正君 今後のこれに対する取り組み、そうしたことについては一応の構想はおありじゃないかと思うんですね。いわゆる戦後処理問題についてどういうふうな取り組み方でこの懇談会を構成し、またいわゆる諮問というかっこうになると思うんですけれども、その辺はどういうふうに考えておられますか。
#18
○政府委員(石川周君) どのような運営の仕方になるかと申しますと、これはお願いをいたします懇談会の委員の方々の御意思を尊重しなければなりませんので、政府がいまからどうこうという運営の仕方につきまして推測申し上げるといいますか、お答え申し上げるのはいささか適当でない面もございます。ただ、通例のこの種懇談会の運営のあり方といたしまして、拝見いたしておりますと、ともかくいろいろな関係者から、政府あるいは民間のそういう意識を持っておられる方々から幅広く御意見、考え方をまずヒヤリングをするというのが順序であろうかと思います。そしてまた、この問題はかなり幅広いいろんな御意見を持っておられる方がございますし、これまでの長い経緯もございますし、有識者の方に相当時間をかけてまずいろんな御意見を承り、ヒヤリングをしていただくというのが順序であろうかなと、そんなふうに予想いたしております。それからいろんな御議論をいただいてお答えをいただくということになるんだろうと存じております。
 それから、諮問というような御質問でございましたけれども、これはいわゆる法律に基づかない総務長官の私的な懇談会でございまして、正式な諮問というようなものはございません。ただ、懇談会を最初にお願いいたしますときに、政府の方から、総務長官から、従来の経緯その他お願いをするに至る趣旨、そうしたもののごあいさつ、お願いは当然にさしていただくことに相なろうかと思います。
#19
○板垣正君 いまのお考え方、私はちょっと非常に懸念を持つわけでございます。この戦後処理問題についての懇談会が設けられるに至るまでの経過は十分御承知だと思います。
 昭和四十二年の大蔵大臣、総務長官、自民党三役の間で、戦後処理問題はこれで一応けりをつけると、こういう取り交わしがあった。しかし、現実にやはり戦後処理問題、いろいろ残された問題についてはその後も、従軍看護婦の問題であるとか旧満蒙開拓青年義勇隊員の問題、いろいろ取り上げられてまいりましたが、特に今度大きく取り上げられたといいますか関係者として提起されておりますのは、はっきり申し上げましてソ連抑留者の関係の問題であります。もう一つは、いわゆる恩給欠格者の問題であります。もう一つは海外資産の問題でございます。
 特にソ連の抑留者の問題については、一般の外地からの引揚者とは状況が非常に違う。こういうような特異な形でございまして、前々からこの戦後補償の問題について強い関係者の要望があり、そうした経緯から、この四十二年の申し合わせを一応踏み越えて、政府として公の場でこれらの問題を取り上げようということになったわけでありますから、ソ連抑留関係者あるいは恩給欠格者等、非常な期待を持ってこの成り行きを注目をしているわけであります。したがいまして、いまのお話のように漠然とした一般的な形で御意見を承ります、関係者の意見を聞きますというだけではとうていこの結論を得るのはむずかしいんではないか。
 そこで、総務長官にお伺いしますが、やはり戦後処理問題の中でも、特にソ連抑留者の問題なり恩給欠格者の問題、そうした具体的なテーマを取り上げて、そうしてこの扱いについてひとつ公正な審議といいますか懇談をお願いするというふうな方向でお進めいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#20
○国務大臣(田邉國男君) 戦後処理の問題に関する懇談会を設けることにつきましては、いまお話がございましたように、昭和四十二年に総理は明確に戦後処理は終わったという表現をされております。しかし、その後一部におきましていろいろとこの戦後処理の問題に対する意見が非常に出てまいりました。また各党においてもその意見が出てまいりました。私どもはこういう事情を伺いまして、それらの主張の中には、いわゆるソ連抑留者の問題それから在外資産の問題、あるいはまた恩給欠格者の問題等、いわば戦後処理の問題としてこれが含まれているということは承知をいたしております。
 ただ私は、私的諮問機関として民間の有識者による懇談会をつくるわけでございますが、私の考え方といたしましては、皆様に戦後処置はどうあるべきかということをお願いをするわけでございまして、どれとどの問題をこの中で議論をすると、こういうことではございません。やはりその点は自由に有識者の皆さんが意見交換をされ、そして意見を発表される。時においてはいろいろ関係者が呼ばれその意見を述べる。こういうことで、有識者の皆さんがどうこれを考えるか、こういう懇談会でございますので、私といたしましては、この懇談会にお任せをしてその結論を待つと、こういう考え方に立ってこれを進めていくべきではないか、こう判断をいたしております。
#21
○板垣正君 お考えはわかりましたが、その懇談会のメンバー、どういうメンバーを人選されるか。この点についても、ひとつこうした問題について公平な立場で、しかも豊富な社会経験を持たれた立場で御判断いただけるような方をメンバーにぜひ入れていただきたい。また関係者がそうした会で、いまお話がございましたが、十分希望、意見を述べる機会を設けていただきますように御配慮願いたいと思います。
 外務省お見えですか。――これもこの間の内閣委員会でお伺いしたわけですが、いわゆる台湾の元軍人軍属の方々の問題であります。その後、超党派的にできております議員の関係懇談会におきましても、具体的にこの取り組みについていろいろ検討されまして、党派を超えてこの国会中に何とか議員提案等でまとめて、とにかくあの戦争で旧軍人軍属として亡くなった方、傷ついた方、これにしぼってひとつ具体的な処遇を早急に措置を講じようと、こういうことで作業に入っているわけでございます。
 また、この問題については、わが党においても、過半数の大臣からこれはもう実現すべきだという署名までいただいておると、こういうことで、ようやくにしてこの問題解決の機が熟してきたという感を深くするわけでございますが、この担当と申しますか、扱っていただいていると思いますが、外務省はこの問題についてどういうお考えか、承りたいと思いますが。
#22
○説明員(長谷川和年君) お答えいたします。
 この問題に関しまして外務省としましては、先般二月に東京地裁における判決がございまして、その後関係省庁とこの対応ぶりにつきまして種々協議を行った経緯がございますが、現在、欧米各国に対して、欧米各国における同種の問題に関する対応ぶりにつきまして実例を先般来調査しているところでございます。現在までのところ、イタリー、アメリカ、フランス等からは一応の回答が参っておりまして、これ以外にドイツ及び英国にも照会しておりますが、まだ回答が来ておりませんので、回答につきまして督促しているところでございます。
 先生御承知のとおり、この問題に関しましては、台湾側との関係とかあるいはほかの分離地域との問題あるいは日台間の全般的な請求権の問題とか、さらには現在の日本側の財政の問題とか、いろいろございますけれども、われわれとしては誠意を持ちまして、人道上の観点から今後どうやって本件について対応するか、検討してまいりたいと思っております。
#23
○板垣正君 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 それで、この問題については今後とも外務省が担当と申しますか、いずれこの問題も具体化されて、これは政府として取り上げていただかなければならないわけでございますが、そういう政府の立場では外務省が――もちろん関係するところが出てくると思いますけれども、中心となっては外務省で今後とも引き続いて推進していただけると考えてよろしいわけですか。
#24
○説明員(長谷川和年君) お答えします。
 この問題の対外的な面、たとえばただいまも申しました各国における実例の調査とか、それ以外の対外的な面につきましては外務省が職掌柄責任を持って取り進めてまいりますが、国内的な面につきましては総理府の方でまとめて検討していかれるということになると思います。
#25
○板垣正君 この問題につきましても、ひとつ総務長官、いまやはりどうしてもこれ総理府でひとつまとめて、具体化の段階ではイニシアチブをとっていただくというかっこうが一番私どもとしても希望したいところでございます。この問題についても総務長官のひとつ御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#26
○国務大臣(田邉國男君) 各省との話し合いの中で総理府がこれをやるということになりましたら、私どもその対応をいたしまして、これに積極的に取り組む考えであります。
#27
○野田哲君 まず、恩給の改善措置の前提となる公務員給与の取り扱いについて人事院の見解を承りたいと思います。
 公務員給与についての人事院の考え方の基本につきましては、藤井総裁と私は、この委員会でもう七年やりとりをしてきているわけでありますからよくわかっているつもりなんですけれども、公務員給与をめぐる環境が年々変わってきておりまして、せっかくの昨年の人事院の勧告についてもこれが値切られる、こういう結果が昨年出ておりまして、その値切られた形が、恐らく今度はそれが要因となって恩給の改善措置が実施が後退をする、こういう結果を招来をしておりますので改めて見解を承っておきたいと思いますが、人事院総裁としては、公務員の給与の取り扱いについて、国家公務員法の二十八条に情勢適応の原則というのが規定をしてあるわけでありますから、それに基づいて現在勧告に向かっての作業、検討をやられていると思うんですが、まずその原則的な立場というものを伺っておきたいと思います。
#28
○政府委員(藤井貞夫君) 現行の制度のたてまえというものについてはるる申し上げる必要はございません。すでにこのやり方というものは長年にわたって定着をしてきておりますし、このやり方自体がまことに完璧であって何ら改善すべき余地もないほどだとまでは申しませんが、その都度改善すべきことは改善するということの積み重ねで今日まで来ておるわけであります。私といたしましては、やはり世界各国でもこの方法というものが一番すぐれた方法であるというふうに申し上げても口はばったいこととは考えておりません。したがいまして、いまこの給与に関して種々論議があることは十分承知をいたしておりますが、しかし現行の制度が厳存いたしまする限り、このやり方を変えるつもりはございません。すなわち、基本的には官民の給与を比較して検討し、その較差があればその較差を埋めていただくという基本姿勢をもって対処してまいる所存でございます。この点については、従来の方針といささかも変更はございません。
 したがいまして、この線に沿ってすでにことしの場合も、一月十五日現在で国家公務員関係の給与の実態調査はすでに実施をいたしました。また、これに対応する民間の給与実態の調査につきましてもすでに計画はすべて終わりまして、近く説明会等を開いて実行に移したいと思っておりまして、これも大体例年どおり五月の連休明けから取りかかりまして、六月の中旬にかけて詳細な実態調査を行えるという段取りで、目下着々と準備を進めておるということでございます。
#29
○野田哲君 従来どおりのやり方で官民の比較を行って較差を埋める、こういう方式、これは変わらないということでございます。民間の給与の調査の準備を進めているということでありますが、これ給与局長、もう少し具体的にいまのいわゆる民調の手順等について御説明いただきたいと思います。
#30
○政府委員(斧誠之助君) 民間給与の実態調査につきましては、ただいま総裁が申し上げましたとおり、調査計画が策定されまして、来週各担当者それから地方の人事委員会、これらに対しまして調査要領の説明をいたしまして、五月連休明けから調査ということでございますが、内容は、例年どおり企業規模百人以上の民間事業所ということで調査をいたしますし、それから調査項目につきましても、毎月決まって支給する給与、初任給、それから特別給の支給状況、そういうものは例年どおりですし、それから扶養手当、通勤手当、住居手当等そういうものも例年どおり調査する予定でございます。
#31
○野田哲君 例年どおりということですが、問題は、人事院で捕捉し切れない分野が私は若干あるんじゃないかと思うんですよ。たとえば私鉄大手の妥結内容ですね。一万四千五百円と、それから十月以降生活関連分として、何かよくわからないんですけれども十月以降千円、こういうふうになっていますね。私どもが組合側の方から説明を聞くと、この十月以降千円というのは年間ならすと月額五百円だと、四月以降月額五百円。だから一万五千円の賃上げが決まったんだと、こういう評価をしているわけですね。ところが、取り決めについては結局十月以降千円となっているから、人事院のいまやっている民調、今度恐らくこの八月ごろに勧告されると思うんですけれども、その時点ではこれは捕捉されないですね。
 そういうケースは、これは私鉄はわりに表にオープンに出ていますからわれわれは知ることができるんですけれども、一般的にうかがい知れないような年度の途中から支給するような手当、あるいはいろいろ企業の都合で基本給あるいは基準内賃金に入れると年金とか退職手当等の算定基準になって企業負担もふえるということで、そういう企業負担の対象にならない形の臨時給的なもので処理をしていく、こういう傾向がだんだんふえてきている。そういう形のものをもっと的確に把握をしなければ適切な官民比較ができないんじゃないか、私はこういうふうに思うんですが、その辺については人事院の民調としてはどういうふうな把握の方法を考えておられますか。
#32
○政府委員(斧誠之助君) 私たちは四月一日実施ということを毎年勧告申し上げておりまして、そういう意味では、四月に決まって支給する給与を公務員の月額に合わせるということが一番適切であるということで、四月分支給の給与を官民で比較しておるわけでございます。したがいまして、その時点で六月までの間に支給されてない分があるわけでございます。これはできるだけ広く把握したいということで、実は積み残し事業所として、すでにアップが決まっておるものはアップ率を調査をしてきて、それを組み込むということで調整を図っております。それから、そのときにはまだ実はベースアップが決まっておりませんで、その後決まる、あるいは決まりましても支給月が八月からとか十月からとかいうような事業所もございます。そういうものは把握できませんので、これは翌年に反映してくるということになりますが、ただ、いま先生のおっしゃいました臨時的に支給される分につきましては、月例給与とは別に一時金として支給された分として把握いたしまして、これは期末・勤勉手当の方に反映されるような調査、こういうことになっておるわけでございます。
#33
○野田哲君 そうすると給与局長、こういうことですか。四月時点で調査をやる、こういうことですね。だから四月時点というのは、これはまだ春闘の回答が出ていない、あるいは交渉が妥結していない時点ですよね。だからそれでやって、その後六月ごろまでの間にさらにその後の状態を捕捉をすると、こういうことでしょう。
 問題は、その四月なり五月なりの時点で春闘が妥結をするときに、実際はまだ支給はされていないけれども、七月以降こうしますよ、あるいは今度の私鉄の例が一番いい例ですね、十月以降こうしますよと。明らかに十月から千円、人事院の捕促よりも高いものが十月から支給するということに妥結内容がなっているわけです。そういうふうに協約等によって予見をされている七月以降なり八月以降なり十月以降なり、こういう問題については当然その年度で加味することを考えるべきではないんですか。どうでしょうか。
#34
○政府委員(斧誠之助君) 人事院の立場を全体的に申し上げますと、生涯給与問題でもいろいろ人事院は反論をいたしておりますが、実際に支給された額、つまり実額を双方比較するのが一番正確な比較であって、予測を含んだものとかあるいはモデルとか、そういうものは非常に把握しがたいし、あるいは誤りであるかもしれないという危険が非常に多いということで、実は退職金などにつきましても実額での比較ということを申し上げてきておるわけでございまして、そういう意味で、将来支給されるであろうというそういうことは決まっておりますが、実はこれは予測される状況ということでございまして、そういうものは含めない方が正確な比較であるということで、四月に支給された実額支給分というので比較しておるわけでございます。
 ただ、いま先生おっしゃいますように、四月に妥結した分は、民間は非常に配分も早いものですから、四月に支給されるわけですが、その後に妥結しましたものは四月分の支給として把握できない、それが非常に大きくなるということは大変問題があるということで、積み残し事業所の調査ということでその分は加算しておるわけですが、これも実は予測でございまして、ただ余りに大きく予測が狂う分につきましてはこれは加味する必要がある。この分につきましては実は翌年できちっと合わせるということで、大体従来誤りなく積み残し事業所の調査も把握できておるということでやっておるわけでございまして、基本は実額の比較、これが一番いいものであるという考え方でやっておるわけでございます。
#35
○野田哲君 念のために伺っておきますが、国家公務員法二十八条、情勢適応の原則の第二項で百分の五というのが規定されているわけですが、この百分の五というのも一つの目安としてここに掲げてあるんですが、相当時日が経過して、百分の五といっても現在では、これは大ざっぱな言い方ですけれども金額でどのぐらいになりますか、一万円ぐらいになりますね、一万円を超える。だから、この百分の五というものをここに書いてあることについての是非はともかくとして、較差が百分の五以内でも勧告という措置をとられるというふうに承知をしておいていいでしょうね。
#36
○政府委員(藤井貞夫君) これは、当委員会でもいろいろ御説明を申し上げたことがございますように、現在ではやはり百分の五、五%といいましてもこれはかなりの額になるわけでございます。それと三公五現との関連というものもございましょう。また、これを無視をしておきますと来年度にそのツケが回ってくるということで、それなりにまた国民の御納得も得がたいというような面もございます。いろいろな面から、私といたしましては五%にこだわるべきではないという考え方に立ちまして、それは国会の御審議でも御賛同いただきましたように、過去すでに三回にわたって五%未満でも勧告をお願いをいたした次第でございます。その基本線には変わりはございません。ことしのことはどうなるか予測はできません。これからの調査の照らし合わせの結果でございますのでそれはどうなるかわかりませんですが、仮にそのような事態になりました場合におきましても、過去に三年にわたって実例がございますので、その線に準拠してやらなければいかぬという考え方を持っております。
#37
○野田哲君 つまり、いま藤井総裁の言われた意味は、五%以内であっても過去にも勧告をしたしそういうつもりなんだということで、補足的な説明として、つまり仮にことしの較差が四%であった、それで五%以内だからということで見送った場合に、来年の較差が五%出たときにはことしの見送った四%をそれに積んで来年は九%の勧告をしなければならないことになる。だからそれはなかなか理解が得がたいから、単年度単年度で五%以内の較差があってもその都度勧告をしていく、こういう理解でいいわけですね。
#38
○政府委員(藤井貞夫君) そういう理解で結構でございます。
#39
○野田哲君 もう一つ総裁に伺っておきたいのは、五十六年度、昨年総裁も御承知のように勧告どおりに実施されてないわけですね。一時金が旧ベースという処理になっているわけです。十年ばかり前までは実施時期についてもかなりこれが削減措置がとられていたわけですが、勧告どおり行われなかったことについて人事院としては見解を表明をするといいますか意見を述べるといいますか、そういう措置をされるつもりはないんですか。
#40
○政府委員(藤井貞夫君) これは、すでに昨年勧告を出しましたその後の当委員会の御審議等におきましても私から、そのような措置になったことは人事院の立場としては大変残念であり遺憾でございますということは申し上げております。ただ、この点についてはいろいろな諸情勢というものがございまして、最終的には国会でもって御決定になったことでございますのでそれなりの対応をしなければならないが、ただし私はそういうことはやはり繰り返していただきたくないということは、これもまた機会のあるごとに申し上げておるところでございます。
#41
○野田哲君 予算措置との関係ですが、これも私なりには総裁の御見解はわかっているつもりなんですけれども、情勢がだんだん変わってきておりますから、毎度同じようなことですけれども承っておきたいと思うんですが、つい最近、二、三日前のことですけれども、三公社五現業に対して有額回答だと称する三・三%前後の回答が出されています。三・三%前後の回答、一体これは何ぞやとこういうことで根拠をいろいろ突き詰めていくと、これは一%昭和五十七年度予算に計上している引き上げ費と定期昇給分、これを合わせて三・三%前後、こういう形で、これが政府の予算措置に基づく回答なんだ、こういうにべもない回答が出されているわけです。これが毎年毎年この三公社五現業の場合にも春闘をこじらせるもとになっているわけです。
 公務員の場合にも同じように一%しか計上されていない。そこで、いつも秋に問題になってくるのは、大蔵省なんかがこのことを盾にとって予算措置がとられてないから勧告どおりにはいかないんだ、こういう口実にしているわけです。この政府の予算措置、私どもとしてはかなりこれからの三公社五現業の問題についての公労委の取り扱いなり、あるいは人事院の方にも、失礼な言い方になるかもわかりませんけれどもかなり心理的な圧迫感をもたらしているんじゃないか、こういうふうな気もするわけなんですが、その辺、失礼な質問になるかもわかりませんけれども、総裁の改めての御見識を伺っておきたいと思うんです。
#42
○政府委員(藤井貞夫君) 予算計上額をどの程度にするかということについては、私としてはやはり立場上言いたいことはございます。ただ、この点はやはり財政当局の予算編成上の技法というようなこともございますので、われわれとしては、やはり勧告をやればそれは完全実施をしていただきたい、それでなければ困るという立場を堅持してそれを貫いていくということに尽きるのではないかどいうふうに考えております。したがいまして、私といたしましては、一%計上というその事実はむろんよく知っておりますけれども、そのためにいまおっしゃたような心理的圧迫を受けることは絶対にございません。
#43
○野田哲君 わかりました。
 もう一つ、別の問題で伺っておきたいと思います。これは後でまた恩給の問題に関連をして伺いたいと思うんですが、国家公務員法の百八条です。「人事院は、前条の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」、こういう規定があるわけですが、この年金の問題について人事院として意見の申し出を行われたことが過去ありますか、いかがでしょうか。
#44
○政府委員(藤井貞夫君) この規定に基づく正式の申し出を内閣と国会にやったことはございません。
 ただ、われわれも、この点については当然公務員の処遇のことに関連をいたしますので、大変重要視いたしておりますので、これをめぐる諸情勢の展開については十分な関心をしょっちゅう払っております。したがいまして、過去における共済組合法案の改正の場合におきましては、事前に連絡を受けた事柄について、原案をつくりまする大蔵当局に対して実際上の意見の申し出をいたしておる。これがまた事実参考にされて法案の作成が行われておるという事実は過去においてございます。
 ただ、百八条に基づいて正式に意見を申し上げたということはございません。と申しますのは、これは野田委員もよく御承知のとおり、この条文というものは年金制度でございますけれども、いわゆるこの年金というものは保険数理に基づく現在の共済年金――共済保険に基づく年金ということがその前提になっております。しかも、この点の取り扱いについては、いろいろそれぞれの問題点をはらんでおりますが、これが世の中のいま大変重大な関心事項になって方々でそれぞれのお立場から検討が加えられております。八つの公的年金をどうしていくかというようなこと、成熟度をどうしていくかというようなことで、非常にこれ一波が万波を呼ぶ相互に関連をすることでありまして、局部的にわれわれの所管、関係でございまする国家公務員共済組合法だけの問題で処理するには余りに基本的な問題が多いという点もございますので、あえて、私の方は関心は持っておりますが、そのあり方についてかくあるべきだということについて、慎重な検討はやってはおりますけれども、結論を出すとかなんとかというような現在状況にはございません。したがいまして、いま当分のところは、これに基づいて何らかの意見の表示をするとかなんとかということは、目下のところは全然考えておりません。
#45
○野田哲君 給与局長にきわめて今日的な、具体的な問題で若干伺っておきたいと思いますが、昨夜、三公社五現業のいわゆる春闘が一つの山を越した、こういう形になっておりますし、それから公務員関係についても人事院なり総理府の方でそれなりにいろいろ接触をされてこられたと思うんですが、給与局長のところでことしの、今日までの春闘における妥結状況についてどういう現況を把握をしておられるのか、ラフなことで結構ですけれども、大まかなことしの妥結状況の傾向、状況等についてわかっておればお答えをいただきたいと思うんですが。
#46
○政府委員(斧誠之助君) 民間企業の春闘の妥結状況でございますが、これは労働省もまだ発表しておりませんし、それから組合、日経連等で発表いたします資料も、妥結したものと単に回答にとどまっているものといろいろ混合して発表されておりまして、妥結状況の正確な把握は現在のところ非常に困難であるという状況でございます。
 ただ、報道等で私たちが把握しました範囲では、鉄鋼、造船、自動車、電機、私鉄、電力、これらの関連企業の妥結状況が報道されておりまして、その報道の範囲で把握しました内容を申し上げますと、鉄鋼で六・三六%ベースアップ、それから造船の場合はちょっと幅がありますが、大体中心は六・六%自動車の場合ですと七・四%を前後するところ、電機の場合ですと中心は大体七・四%、それから私鉄の場合が七・〇六%、電力の場合が六・二八%でございます。これを昨年の状況と大まかに対比してみますと、大体昨年よりは〇・六%程度低いという妥結状況になっておるようでございます。
#47
○野田哲君 傾向としては昨年より〇・六%前後低いということですが、五十五年度の状態、いまお答えになった業種についてちょっと把握されておれば状況を報告していただきたいと思います。五十五年度との比較ですね。
#48
○政府委員(斧誠之助君) 鉄鋼関係では五十五年度が六・一五ということで、本年の方が〇・二程度高くなっておりますし、造船の場合は五十五年度が五・三%強程度でございまして、ことしの場合が六・六%中心でございますので、一・三ばかり高くなっております。それから自動車関連企業の場合は五十五年の場合が七・二%強というアップでございまして、五十五年よりは〇・二弱ぐらい高くなっております。それから電機の場合ですと五十五年は七・〇%から八%強のベースアップでございまして、ことしの場合と比較しますと、平均的に言いますと、ことしの場合が若干高目かというところでございます。私鉄の場合は、五十五年が六・七%強でして、本年の方が〇・三程度高くなっております。それから電力の場合は五十五年が五・九三%でして、ことしの場合は六・二八でございますので、〇・三強高くなっておるようでございます。
#49
○野田哲君 公務員の給与の勧告ですね、これ五十五年、五十六年、それぞれ何%でしたか。
#50
○政府委員(斧誠之助君) 五十五年が四・六一%でございます。五十六年が五・二三%でございます。
#51
○野田哲君 傾向としては、給与局長、いかがでしょうか、いまの報告からいきますと、五十五年よりは大体二、三%高いということです。ちょうど五十五年と五十六年の中間ぐらいのところの傾向だということになると、大体五%ぐらいのところが想定されるんですが、その辺の傾向はいかがですか。
#52
○政府委員(斧誠之助君) いま申し上げましたアップ率は大体大手のアップ率でございまして、私どもが調査の対象といたしておりますのは百人以上ということでございます。昨年もいろいろ予測がありましたんですが、結果的には非常に低目であったと、これはどうしたことかというようなことが議論になりましたですが、全国規模でしかも百人以上事業所ということ、しかも業種も非常に多岐にわたるということでございまして、調査が判明いたすまでは何とも予測しかねるところでございます。
#53
○野田哲君 さて、これは総理府の方ですが、人事院の方の公務員給与に対する基本的な考え方なりことしの傾向についてはほぼ私も理解できたところなんですが、問題は、勧告を受けた政府がどう対処するのかということが一番問題だと思うんです。臨時行政調査会も七月ごろに第三次答申ということで作業をかなり精力的にやっておられるようですが、いろいろ報道されるところを見ると、やはり一番歳出削減の手っ取り早い方法として公務員の給与の抑制、人員の抑制というところを一番手っ取り早い方法として何か焦点を当てているんじゃないかというような感じもするわけですけれども、国家公務員法の原則が動かない限りは、私は第二次臨調で七月にどういう答申がされようとも、それはそれ以降のことであって、八月に出される勧告の取り扱い――まあ八月だろうと思うんですけれども、勧告の取り扱いがそれによって左右されるはずはないし、また法のたてまえが変わらない限りは、私はそれを受けた政府の対応についても原則というものは変わるはずはないんだと、こういうふうに思うんですが、残念ながら昨年ああいう措置があっただけに、私は特にことしの人事院の勧告を受けた政府としての態度、これは非常に重要だと思うんです。総務長官としてはこの点について、この人事院勧告に対してどういうふうに対応されようとしているのか、まずその点を伺いたいと思います。
#54
○国務大臣(田邉國男君) 私といたしましては、人事院の勧告を尊重するという政府の立場は変わりはございません。私といたしましても、今後労使のいわば良好な労使関係というものを維持してまいりたい、またこれがきわめて重要なことである、かような基本的な考え方に立って対処をしてまいる所存であります。総理も答弁をされておるのでございますが、人事院の勧告を尊重するということ、この基本的なたてまえに立って給与問題に対処していくということを言っておられるわけでございまして、私といたしましてもこの考え方は少しも変わりません。
#55
○野田哲君 いまごろ伺えば歴代総務長官はいつもそういうお答えをここでされるんです。それから公務員の組合がいまごろ行きますと、去年もそういうふうに前長官も答えられたんですが、結果的には昨年やはり、どこをどういうふうにメスを入れるかということで、結果的には一時金、いわゆる夏期手当や年末手当、年度末手当を旧ベース、こういう処置をされたわけですね。いわゆるボーナスではないかと言われるかもわかりませんけれども、やっぱりあれで五万円ぐらいは本来支払われるべきものが支払われてないわけですね。だからいま、臨調をめぐる報道あるいは財政再建等をめぐる議論を見ると、公務員が一番悪者にされ、あるいは三公社五現業が悪者にされているんだけれども、昨年の公務員の手当の旧ベースという形での削減だけで大体九百億ぐらいになるんじゃないですか。公務員の犠牲によって財政再建という形に寄与をさせられた結果になっているわけですね。特に私は、指定職の皆さんの扱いについてはもうこれは限界に来ていると思うんですよ、二回も続けてああいう措置をとられるということは。だから、ことしはもう二度とああいうことがあってはならないんじゃないかと思うんです。
 そこで、昨年の問題をいろいろ議論をした十一月二十六日の参議院の行政改革特別委員会で総理がこういうふうに答弁をされています。
  毎年毎年ことしのような異例の措置が繰り返されるようであれば、これはまさに人事院制度の根幹に触れるような結果に相なると思います。政府といたしましては、ことしは御承知のような非常に財政非常の事態でございますので異例の措置をとったわけでございますが、今後は人事院制度の持つ権威なりあるいはその勧告の重みというものを十分心得まして、誠意をもってこれに取り組んでまいる所存でございます。
こういうふうに述べておられます。これによってあの去年の行政改革特別委員会はいろいろごたごたした――私も理事でありまして、ごたごたを起こした張本人でありますから記憶はきわめて明確なんですけれども、これによって行政改革特別委員会の運営のごたごたをおさめたといういきさつがあるわけでして、この総理の答弁を文字どおりこれ日本人の日本語の常識として読めば、あれは去年だけの特別の措置であってもう二度とああいうことはやりませんよと、こういうふうに読むのがあたりまえの読み方だと思うんですが、この昨年の総理答弁、総務長官としてはどういうふうに受けとめておられますか。
#56
○国務大臣(田邉國男君) 人事院の勧告につきましては、先ほどから人事院の総裁からもお話がございましたように、政府は昭和四十五年から十年以上にわたりましてその勧告を尊重をして、そして厳しい財政事情の中にもかかわらず、これに対応をしてまいりました。
 昭和五十六年度の措置でございますが、実は第二次臨調を設ける、そして国の財政事情、財政の立て直し等いわば緊急課題が出た状況の中で、しかも臨調の第一次答申、こういうものが出てまいりました。それに基づきまして臨時緊急の措置をとったわけであります。しかし私は、人事院の勧告を尊重するという政府の立場は少しも変わっておりません。また、総理もそういう点につきましては、いま御指摘がございましたように明確に申し上げておるわけでございます。
 私といたしましても、やはり良好な労使関係というものを維持していく上においては、人事院の勧告というものを尊重をしていくというのが当然のたてまえであろう、こう考えております。したがいまして、人事院勧告が出た場合、これを尊重するということ、この点につきましては私ども基本的たてまえに立って給与問題に対処をしてまいる、こういう考え方でございますので御理解をしていただきたいと思います。
#57
○野田哲君 人事局長、公務員の組合とことしをどうするのかということでいろいろ接触をしてこられたと思うんです。やはり総理府との接触の過程での最大の焦点というのは、政府の方が昨年前科を犯しておりますからね、ことしは一体これちゃんとやってくれるんですかどうですか、こういうことが一番焦点であったと思うんですね。それらの点について、公務員の組合に対してはどういうふうに総理府としては答えられたわけですか。
#58
○政府委員(山地進君) 先生の御指摘のとおり、公務員の組合の最大の関心事は、人事院の勧告を守ってもらえるかどうかということが一番の争点でございます。
 そこで、今回のいろいろの交渉の結果、最後まで皆さんが主張されておりましたのは、ここで政府のやっぱり基本的な態度というものを明確にしてもらいたいということでございまして、人事院の給与勧告というものが労働基本権の制約の代償措置の一つである、したがってそれを尊重するということをまず明確にしてもらいたい。いま大臣のお答えいたしたとおり、私どもとしては、人事院勧告を尊重するという基本的たてまえに立って誠意を持って対処するということはいつも申し上げておる点でございまして、その点については私どもとしても明らかにいたしたところでございます。
 それから二番目に、その基本的態度はわかるんだけれども、一体本年度はどうするんだということでございます。私どもとしても、いまからどういうふうなことをするというようなことではございませんけれども、やはり逼迫した財政事情を厳しい状態があるということは客観的な事実でございますから、そういうことはるる申し上げましたけれども、しかし誠意を持って本年度の給与問題については対処していくんだ、これは第一に申し上げました政府の基本的なたてまえというものを堅持して対処していくということでございます。
#59
○野田哲君 誠意を持って努力するという形があらわれる形としては私は完全実施しかないと思うんですが、いかがでしょうか。
#60
○政府委員(山地進君) 先ほど野田先生がおっしゃられましたように、昨年、公務員制度始まって以来、完全実施から外れていったという初めての事態を私どもとして経験したわけでございますが、この人事院の勧告の取り扱いにつきましては、先ほど人事院総裁の申されましたとおり、最終的には国会で御議論いただくということでございます。したがって、私どもとしても、十分最高裁の判決なりあるいは国会の御議論というようなものも踏まえまして対処せざるを得ないというのが私どもの立場でございます。
#61
○野田哲君 ちょっとぼけていますな、焦点が。
 私が聞いたのは、総理府総務長官なり総理府として、公務員の組合に誠意を持って努力するということを形であらわすのは完全実施という形をあらわすしかないんじゃないですかということで見解を聞いたんですが、人事局長は国会の議論がどうだこうだと、国会の議論じゃないんで、政府がどういう原案を国会に出してくるかということのその誠意のあらわし方を聞いているんですが、どうですか。
#62
○政府委員(山地進君) 昨年のことを申し上げましたのも、政府の原案の提出ということは、やはり広くいろんな御意見を踏まえて提出するというのが政府の立場であるわけでございまして、その中の政府の一員としての総理府あるいは人事局長といたしましては、先ほど申し上げたように、人事院の勧告を尊重するという立場で誠意を持って努力はいたしますが、出す段階に至るまでにはいろいろと曲折があるだろうということでございまして、その中での努力は、私は人事院勧告を尊重するということで努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#63
○野田哲君 歯切れがちょっと悪いですね。
 この辺でこの問題はおいておきますが、人事院の方にもう一つ伺いたいんですが、国家公務員法によると、何条でしたか、人事院は、職員に対する給与の支払いについて「監理する」というような条文がどこかにありましたね。これは一体どういう意味ですか。
#64
○政府委員(藤井貞夫君) 「監理する」というのは、給与の支払いについて全般的には責任を持つということでございまして、給与の決定、給与の仕組みというものは法律でもって国会で御決定いただくわけですが、それを完全にその趣旨どおりに行えるように仕組みを考え、また各省庁によってばらつきがないようにこれを監査監督をしていく。そして、全般としてはそのことについて人事院が責任を持つという意味だと私は解釈しております。
#65
○野田哲君 そこで、これも総裁とも歴代総務長官ともいつもこの委員会で私は長年にわたって議論してきたことなんですけれども、八月ごろに勧告をなさる、それが結局結論がごたごたして出ないで、昨年の場合で言えば十一月の終わりにやっと政府の閣議決定が行われて、十二月の通常国会の冒頭になってやっと処理された。勧告が行われて決定までにいつも非常に時間がかかる。本来四月からのものが十二月にならないと精算処理が行われない。これはやはり人事院が国家公務員法のこの条項に照らして監理すべき事項ではないんですか。どうですか。
#66
○政府委員(藤井貞夫君) それは法理論としては監理の中に入らないと思います。監理というのは、あくまででき上がった法律を正確に実行するということを担保する責任があるという意味だろうと思います。したがってその前提として、いま御指摘になったようなことが取り扱いの実は通例みたいになっておりますことは、これは私といたしましても大変残念なことでございまして、もっと何とか改善措置を講じていただけないものだろうか。いかに四月実施になりましても、それがおくれれば、その分だけふところに差額が入って公務員の生活の足しになる時期がおくれるわけですから、そのことは、実質的にやはり不均衡な問題になっておるということについて、私といたしましても、勧告が出た限りはできるだけ早く実施していただくということが望ましい姿であるということは、申し上げるまでもないところでございます。
#67
○野田哲君 さて、恩給の問題に入っていきたいと思うんですが、恩給の改善措置のバックグラウンドといいますか根拠といいますか、これはどういうことなんですか。
#68
○政府委員(島村史郎君) 恩給法の第二条ノ二に調査規定がございまして、ここにはいろいろ書いてございますが、国民の生活水準なりあるいは国家公務員給与等の状況を勘案して、恩給の実質的経済価値が維持できるように早急に措置をする、こういう規定がございます。それに基づいていろいろのベースアップをやってまいっておるわけでございます。
#69
○野田哲君 具体的には、公務員の給与の取り扱いが一つの根拠といいますか公務員給与の改善措置にスライドする、これが具体的なルールといいますか根拠ですね。
#70
○政府委員(島村史郎君) いま申しましたように、恩給法の第二条ノ二で幾つかの要件が書いてございますが、その中に「国家公務員ノ給与」という項目が入ってございまして、最近、昭和五十二年以降はこの国家公務員給与のベースアップにスライドして毎年四月に恩給がベースアップをやっているということでございます。
#71
○野田哲君 国家公務員のベースアップにスライドしてやってきたと。その改善措置がことしはどうして五月からということになっているんですか。
#72
○政府委員(島村史郎君) この恩給のベースアップにつきましては、年度当初から行うことが妥当であるということで、いま申しましたように昭和五十二年以降毎年四月から実は実施をしてきているわけでございますが、昭和五十六年度の国家公務員の給与につきましてもかなりの抑制措置が実はとられているということと、それからもう一つは臨調の第一次答申におきまして、昭和五十七年度においては恩給費の増加を極力抑制しろ、こういう答申が実は出されております。
 私どもも、一方恩給公務員のそういう状態を維持していくということのほかに、こういう臨調の答申というものも踏まえていろいろ検討いたしました結果、昭和五十七年度におきましてはやむを得ざる措置として四月を五月に一カ月繰り下げたということでございます。
#73
○野田哲君 公務員給与が五十六年度に抑制措置がとられたことと臨調の第一次答申で恩給についても抑制措置をとれと言われているからと、こういうことですが、これは恩給局長、私が納得できないのは、公務員に抑制措置がとられたから抑制したんだと言いましたけれども、公務員の給与の抑制措置は夏期手当や年末手当、この抑制措置がとられたのであって、実施期日、改定の期日は四月からちゃんとやられておりますよ。これは理由にならないと思うんですが、いかがですか。
#74
○政府委員(島村史郎君) 私どもはむしろ臨調の一次答申の方にウェートがございまして、国家公務員の給与について抑制がとられているというそういう精神と申しますか、そういうものを踏まえて今回の要するに恩給費につきましても一カ月の繰り下げをやった、こういうことでございます。
#75
○野田哲君 さっきは公務員給与の抑制措置と第一次答申と言われたんですがね。公務員の抑制措置は一時金で抑制措置がとられた。だから、私は公務員給与のスライドということからすれば、当然これは四月から改定されているんだから、公務員給与にスライドするということであれば四月からやられるべきだと思うんだし、それから臨調の第一次答申で恩給についても抑制措置をとれと、こう言われていると言われるんですけれども、私はこれは少し臨調の言っていることについて受けとめ方に問題があるんじゃないかと思うんです。実施時期でこういう措置を私はとられるべきではないと思うんですよ。
 抑制措置をできるだけ恩給についてもとれという意味は、単に改善措置を四月からやるか五月からやるかという問題と、あとは恩給についても、恩給の関連団体から扶助料をどうするとかあるいはいろんな恩給制度全体にわたって改善の要求がありますよね、その中でできるだけ抑制したらどうかということであって、臨調の第一次答申の抑制措置をできるだけとれというのが実施時期を値切れということに通じているとはどうしても受けとめられないし、それから第一次臨調答申の中で実施されてない部分があったけれども、取り入れられてない分野というのはもっとたくさんあるんですよ。そういう中でなぜ恩給についてこういう形でメスを入れなければならなかったのか。
 これは、総理府の長官や恩給局長よりも、大蔵省もここへ同席してもらって言うべきことかもわかりませんけれども、どう考えてもこの五月というのは、従来からずっと公務員の給与にスライドするという形でとられている恩給措置の実施時期を値切った、削減したというのは、これは関係者に対して説明つかないんじゃないんですか。整合性のある説明がつきますか、これ。どうですか。
#76
○政府委員(島村史郎君) 私どももこの実施時期のことにつきましては非常に気を使ったわけでございますが、この一次答申において、五十七年度において恩給費の増加を抑制しろと、こういうことでございますので、これを抑制する方法としては、要するに増加率を削減していくのか、あるいは実施時期を若干ずらしていくのか、この二つの方法しか実はないわけです。そういたしますと、私どもとしては、増加率を抑制をしていくということについては、恩給公務員の後年度のことまで考えますと、これはとりたくないということでございまして、したがってむしろ実施時期を一カ月ずらした方がまだ恩給公務員の人のためにはより適切ではなかろうかという判断を私どもはしたわけでございます。
#77
○野田哲君 この恩給の措置が、これは公務員の共済年金にも及び各種年金に全部及んでいるんですから、私はこの責任は重大だと思うんですよ。いま、この席で恩給局長はいろいろ説明をされておりますが、結局五月にした根拠というのはこういうことじゃないですか。私はその当時聞いたことがあるんですよ、これ非公式に。
 つまりそれは、公務員の給与の抑制措置がとられた、さっき恩給局長言われましたね、その抑制措置、これは夏期手当、年末手当、年度末手当を旧ベースでするという一時金での抑制措置がとられているわけですね。それを年間で公務員の削減措置を率に引き直して、率に引き直したものが大体約十二分の一、つまり一カ月分に相当するからそこで五月実施にしたんだと、こういう説明をされたことがあるんですが、そうでしょう。
#78
○政府委員(島村史郎君) 私どもはそうは聞いておりません。
#79
○野田哲君 これは、いま根拠が崩れたからそういうふうに言われるんでしょう。昨年の十二月の説明はそうであったんですよ。公務員の、いわゆる年間をトータルすると約十七カ月分ある。その中での、いわゆる夏期手当、年末手当、年度末手当を旧ベースにして切り込んだ部分を率にするとちょうど十二カ月分の恩給の中の一カ月分に相当するからそういう措置をとったんだというのが、これが理屈になっている。私はそういうふうにこの査定段階で説明を聞いたんですが、もしそうだとすると、これは大変な問題があるんですよ。そういう理屈づけをするのであれば、この改善の率は、現職の公務員の場合には夏期手当、年末手当、年度末手当約十七カ月分あるわけですから、十七カ月分で五%上がっているんですから、恩給受給者は恩給年金の場合、共済年金の場合はこれは十七カ月分もないわけなんで、十二カ月分しかないんだから改善措置については十七カ月もらっている現職の公務員の五%であれば、五%を十二カ月に引き直したもので改善措置をとらなければ、一カ月削減を公務員の抑制措置に合わせるとこうなるんだということとは整合性がなくなってくる、こういうことじゃないでしょうか。
#80
○政府委員(島村史郎君) 私どもが去年の予算編成でいろいろ折衝をしました過程を申し上げますと、当初大蔵省の内示は七月実施ということでございます。その七月実施の、私どもはつまびらかにいたしませんが、その根拠はあるいはそういうことであったかもしれません。しかし、この七月実施の大蔵省の内示に対して、私どもは四月に実施すべきではないかということで、いろいろ折衝の結果五月ということに決まったわけでございまして、これは全く折衝の結果に基づいて決まったものでございまして、私どもはこの率を下げるというよりは最短期限の時期でこの抑制措置を考えた方がいいと、こういうふうに考えたつもりでございます。
#81
○野田哲君 これは総務長官、いろいろいま恩給局長は説明をされましたけれども、私はやはり公務員に対して削減措置を行ったことが連動していると思うんですよ、客観的に見れば臨調の第一次答申の中にも触れられていますが。いずれにしても、しかし恩給の扱いというのが各種年金に全部及んでいるわけですね。そういう意味からすれば、私は総務長官のこの責任というのは大変重大だと思うんですよ。恨まれますよこれは、お年寄りから。私も総務長官のところへこの措置が決まったときにお年寄りを案内したことがありますけれども、これはやっぱり恨まれますよ。ことし、いまこれやっておりますが、五十八年度またこういう形が続くということになれば、せっかくここ数年来で四月からの改善措置という形が決まり、そして各種年金もそれにつれて前進したのが、また総務長官が直接扱う恩給年金で後退をしていくということになると、非常に社会的にもこれは大きな問題を残すことになると思うんです。長官として、一段とこの問題についての責任を痛感してもらわなければならないと思うんですが、長官のこの問題についての今後の方針を伺っておきたいと思うんです。
#82
○国務大臣(田邉國男君) いま恩給の一カ月送りの問題でございますが、実はいま恩給局長から話がございましたように、私ども当初はやはり四月からこれを実施してもらいたい、こういうことを強く要望をいたしました。そのときに大蔵省は財源の問題、いろいろの問題を出しまして、どうしても七月だということでございました。私は、この問題はやはりすべての年金に重大な支障を来す問題であるのでぜひひとつ再考をしていただきたい、こういうことで一たんその予算折衝を中断をいたしまして、そして約三時間後に再びこの問題に取り組みました。しかし諸般の情勢、そしてまた財源、いろいろの問題からどうしてもだめだと、こういうような経過がございまして、私どももやむなく五月実施ということでのまざるを得ない、まことに私は遺憾に存じております。
 いま御指摘ございましたように、たまたまそれが一年間の一カ月分に相当する額が減っておるんだと、こういう御指摘がございましたが、これは結果論でございまして、私どもとしては誠心誠意全力を挙げて、実は予算要求の際、この担当の大臣といたしましてはベストを尽くしてやったわけでございますが、どうしてもこの事態が解決をできないと、こういうことでございまして、実は涙をのんでこれをのまざるを得なかったと、こういう結果でございまして、その点はぜひ御理解をしていただきたいと思います。
 なお、来年度の問題に向かいましては、私どももさらにいろいろの、財政窮乏の折ではございますけれども、最善を尽くしてやはりこの制度を四月から実施していきたいというその基本的な考え方に立って対応をしていく決意でございます。
#83
○委員長(遠藤要君) 午後一時から委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#84
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○山崎昇君 午前中に野田委員の方から、恩給の基礎になります公務員の給与問題等については人事院の御出席もいただいて議論したようでありますから、改めて私はするつもりはありませんが、しかしいずれにいたしましても、いまの法体系上どうしても基本給が基礎で計算をされるという仕組みになっておるものですから、午前中の答弁はあったんだと思うんですが、重ねて総務長官から、すでに春闘も山を越したと言われ、あとは八月に予定されます人事院勧告をどう処理するかということが残されてくると思うんですが、まず最初に、基礎になります公務員の給与について総務長官の決意を聞いてから少しく質問に入っていきたいと思います。
#86
○国務大臣(田邉國男君) 私は、給与担当大臣と
 いたしまして、五十七年度の給与につきましては、人事院の勧告が出ました際にはこの勧告を基本的なたてまえとしてこれを尊重をしていく、この考え方はいささかも変わりございません。ただ、大変に財政事情が厳しい中でもございます。また、臨調の答申も出ておる際ではございますけれども、担当大臣としてできるだけ私は公務員の給与の安定、そしてまた公務員全体のこれによって能率、そしてまた公正なしかも積極的な行動といいますか執務体制がとれると、そういう意味におきましてもでき得る限り人事院勧告を尊重して・いく、そういうたてまえに立って、五十七年度の給与に対する私の基本姿勢として進んでまいる考えでおります。
#87
○山崎昇君 この問題は多く申し上げませんが、昨年の臨調の答申でも「昭和五十七年度においては、」という一つの限定詞がついている。また、行革特別委員会での総理の答弁も、五十六年度は異常な事態である、こう答弁されておる。そういう意味では、私ども五十七年度はよもや昨年のようなことはあるまいと、こう考えておるし、いま長官の決意もございましたから、当然予定されております八月の人事院勧告はそのまま実施されるものと、こう私は考えておるわけなんです。
 そこで、きょうは恩給法の問題でありますだけに、少し細かく技術論にわたるかもしれませんが、長官の見解をお聞きをしていきたいと思っております。なお、厚生、外務の方には少し時間が過ぎてからになると思うんですが、衆議院でも附帯決議がついておりますように、かつて日本人でございました外国人の取り扱いの問題等についての附帯決議等もございますから、それらに関連して後ほど質問をしていきたいというふうに思いますので、しばらくごしんぼう願っておきたいというふうに思います。
 そこでまず、長官にお尋ねしたいんですが、この恩給法が提案されるまでに至る経過について若干御説明をお願いをしたいと思うのは、どうも昨年のやり方と予算要求の段階から違っているのではないだろうか、あるいはまた昨年七月十日に出されました臨調答申との関係についても相当検討されて出されているのではないだろうか、こう考えるものですから、この恩給法の改正案が出されますまでの経過について、まずかいつまんで説明を願いたいと思います。
#88
○政府委員(島村史郎君) 私の方から経過について御説明をさしていただきたいと思いますが、昨年八月の恩給費の概算要求におきましては、まず最初昭和五十七年度の概算要求についての閣議了解がございまして、そこで御承知のようにゼロシーリングという閣議了解がなされております。それからまた、同じ昭和五十六年の七月十日に、いま先生がおっしゃいました臨調の答申が出されまして、ここで五十七年度の恩給費についてはその増加を極力抑制し、新規の個別改善は行わないという答申が出されております。また、普通例年行われますところの公務員給与の改定、この取り扱いが八月中に決定されませんでした。
 そういう情勢を踏まえまして、私どもが八月の末に概算要求を大蔵省に提出しましたものは、平年度化によります増加額二百九十四億円と、この増を要求をいたしたのでございます。それで、恩給のベースアップ等によります必要な経費につきましては、公務員給与の取り扱いを待って要するに所要の措置を講ずることということで、一応八月の概算要求におきまして平年度化分の増額だけを要求をいたしました。十一月に公務員給与の取り扱いが決定されました後に、いろいろ関係当局と話し合いをいたしたわけでございます。
 大蔵省の当初の内示では、公務員給与の引き上げに準じた恩給年額のベースアップの改定を七月にという内示がございましたけれども、一応私どももいろいろ折衝した結果、五月ということで決定をいたしたわけでございます。それによりまして、一応昭和五十七年度の予算額は一兆七千二百五十億円ということになったわけでございまして、その後法律案の作成手続に入りまして、ことしの二月九日に閣議決定、それから国会へ提出いたしましていま御審議を願っているわけでございます。
#89
○山崎昇君 そこで、それと関連しまして、従来から恩給の実質的な価値の保全ということが大変重要になっていることはもう御承知のとおりだと思うんですね。そこで、昭和四十三年のたしか三月二十五日だと思うんですが、恩給審議会から答申がございまして、一体恩給というものを今後どういうふうに扱っていくのかというので、私の記憶に間違いがなければ、三点ほどに集約されると思うんですが、その一つは公務員給与が改定されたのに基づいてスライドといいますか直します。それからもう一つは、物価が五%以上変動があればそれに基づいて直す。もう一つは、著しく経済に変動があればそれに基づいて直すと。これが大筋恩給を改定する際の大体三つの条件であっただろうと思うんです。
 そこで政府は、その三つのうちで、やはり在職の公務員給与と関連があるので公務員給与にスライドさせることが一番いいのではないだろうかという意味もありまして、今日までほとんど公務員給与に大体見合う形でやってきておるというのが私、筋道であったと思うんですね。そこで、恩給法の中では、第二条ノ二にスライド化の規定が調整規定として設けられまして、このスライドの制度化を図らなければ、言うならば恩給の実質的な価値の保全というのはそのときの政治の状態によってかなり不安定要素を残すのではないか。そういう意味もありまして、恩給の実質的価値の保全ということについてずいぶん議論が過去にも行われました。特に、恩給法二条ノ二の法制化の問題にかなり議論がこれまた行われて、私に対しても当時の総務長官あるいはその他の政府委員の方々は、他の年金との関係もあるけれども大臣を中心にして検討いたしますと言って、今日までこの制度化というものは予算的には毎年多少のスライド的要素でやってきておりますが、法制化の問題についてはほとんど触れられていない。とりわけ昭和五十年の本委員会の附帯決議の中に、この法制化の問題については速やかにやれという趣旨で決議がつけられておるんですが、これが今日までほとんど実現されていない。そういう意味でこの恩給の実質的価値の保全、関連をして恩給法二条ノ二によりますスライドの法制化の問題について、どういうふうに今日まで検討されて、現在どういうふうにお考えになっておるのか、お聞きをしておきたいと思います。
#90
○政府委員(島村史郎君) 私どももその間のことは承知をいたしておりますが、昭和四十八年から大体恩給のベースアップにつきましては公務員給与に準じてベースアップを行ってきているということで、私どもは現在ではこれはかなり定着しているものと、こういうふうに考えております。しかし、私どもの受ける感じといたしまして、こういう安定成長のときには公務員給与というものが一つの非常にいい指標ではないかというふうに考えますが、これが世の中がどういうふうに変化していくかよくわからないということもございます。最近の経済情勢のもとにおいては、私どもは公務員給与のベースアップというものに準じて恩給費を改定していくというのが一番ベストであるというふうに考えますけれども、世の中の変動というのはどういうふうに変動するかわかりませんので、現在のところ、直ちにそれを法制化していくということについては、若干私どもも疑念と申しますか、まだ問題があるなという考え方を持っておるわけでございます。
#91
○山崎昇君 それは少しいただくわけにはいきませんね。もうこの委員会で論議されて、またいま申し上げましたように、四十三年の答申が出まして以来すでに十何年経過しているわけでしょう。現実的にはいまあなたの説明のありましたように、予算的にはそういう措置をとられておる。しかし、一番関係者から要請されておるのは、やっぱり法制化をきちっとして、そうして実質的な恩給の価値というものを確定をすべきであると、こういうのがそれ以来の論議の中心であったわけですね。それが、安定成長というのは最近二、三年の話でありまして、いまごろになってからまだそういう議論をしているというのは私は納得しかねる。私にはすでに十年前に、大臣を中心にいたしまして検討いたしますという答弁をされて、それて私は――私の方もまたこれ忍耐力があるんですな、十年も黙って待っておったなんて。逆に言えば何しておったということになるかもしれませんが……。
 いずれにいたしましても、この恩給の実質的な価値を維持するための二条ノ二の発動というものは、きちっとやっぱり法制化をしまして、そうして恩給の価値というものは私どももやはり認めておかなきゃいかぬのじゃないか、こう思うんです。長官、これ十何年たっているんですがどうですか、あなたの決意を聞いておきたい。
#92
○国務大臣(田邉國男君) 恩給の法制化の問題でございますが、十何年間そのままになっておると、まことに遺憾に存じております。私も山崎委員の御趣旨、よく理解をしておるつもりでございます。この問題につきましては早速検討をさせていただきたいと、こう考える次第であります。
#93
○山崎昇君 やっぱり検討ですか。余り見当違いのことをやらぬようにひとつ忠告をしておきたいと思うんですね。
 そこで、私は時間もそうないから進めていくわけなんですが、長官がかわられましたから、少しくどいようでありますけれども、実質的な価値の維持、これは二条ノ二と関連しますが、またそれと関連しまして恩給の性格というものをやっぱりきちっとしておきませんといかぬと思うんです。
 そこで、私が昭和四十三年の五月九日にこの委員会で、当時総理府総務長官は田中総務長官で、いまの総務会長であるわけでありますが、私の質問に対して、「恩給の性格という問題は、恩給法それ自体には性格規定はございませんけれども、まあ通念として今日まで申されておりますことは、多数説といたしましては、公務員が公務を執行するために失った経済上の取得能力を補うものであるというふうな考え方で、これがまあ多数説であろうと存じます。」、こういう答弁がございました。重ねて私から、「そうすると、この恩給というのは所得保障とお考えですか。」と重ねてお伺いしましたら、総務長官は、「大体そういった線でございます。」、こういう答弁が昭和四十三年に行われておりまして、私はしたがって、当然この恩給というのは所得保障であり、また公務員が在職中に失った経済的な能力を補うものだ、こういうふうに理解をして、その後は恩給を社会保障と見るべきでないかという論戦もかなりここで張った一人でありますが、いずれにいたしましても政府側の答弁としては、いま私が読み上げたような考え方に立っているんだろうと、こう思うんですが、総務長官もこの見解に間違いありませんか。
#94
○国務大臣(田邉國男君) 大体私はその考え方に間違いないと思います。恩給法の意義といいますか性格というもの、これは恩給法に別段の規定はございません。ただ、恩給は公務員の相当年限を忠実に勤務をした、そして退職した場合に、公務員が公務のために負傷しあるいは疾病にかかった場合、退職した場合また公務のために死亡した場合、その功労に報いるために法律に基づいて国がその公務員またはその遺族に支給をする給付でございます。これらの者の適当な生活の支えとなるもの、すなわち生活を支えるという意味で所得保障、給与と、こういう意味に私は理解をいたしております。
#95
○山崎昇君 総務長官、田中総務長官の考え方は、公務員が公務を執行するために失った経済上の取得能力を補うものだ、そして受ける恩給は所得保障と考えてよろしゅうございますと、こうなんです。そうすると、もらう方のこれは権利にかかわってくるわけですね。そういうことでしょう。間違いありませんね。
#96
○国務大臣(田邉國男君) そのとおりであります。
#97
○山崎昇君 そうすると、あなた後段で述べたことは、これは違いますよ。これはあなたの方で出された「恩給のしくみ」です。ここには「公務員の忠実な勤務に対する報償制度」と、こうなる。報償制度ではこれはありませんよ。報償制度というのならあなたの方が一方的に判断をして出すものになっちゃう。恩給は、いまさっきあなたに確認しましたのは、もらう方のこれは権利であって、失ったものに対する所得保障になっているんですよ。そういう意味でいえば、あなたの方のこれは改めてもらわなければ困る。長官がここで正確に述べたことでこういうものは書いてもらわなければ混乱しますよ。最後にここに書いてありますように「適当な生活の支え」、適当という言葉も私はどうか、これ問題ありますけれども、生活を支えるという意味では所得保障の意味をあらわしているんだろうと解釈いたします。しかし、忠実な勤務に対する報償ではございませんよ、これは。この点はきちっとしておきませんというと私はいけないと思う。これは恩給局長、あなたがこれ前書きみたいに書いているんだけれども、改めてもらいたい。
#98
○政府委員(島村史郎君) いま先生言われましたように、私どももこの恩給というものの概念は何であるかということでいろいろ内部でも議論をいたしておるわけでございますが、先生も御承知のように、恩給といういろいろ学説を読みますと、五つか六つぐらいの学説がございまして、そのうちでいま言われました一つの説が非常に多数説、先生が言われたのも一つの多数説でございまして、それからここに書いてございますのも、報償説というのも一つの説としてあるわけでございます。この点につきましては、なお私も検討いたしまして適当な措置をとらせていただきたいと思います。
#99
○山崎昇君 検討すると言うから、ぜひしてもらいたい。長官が多数説をとってわれわれに答弁しておいて、事務当局は少数説をとって、あなた勤務の報償だなんていう書き方は許されない。きちっと多数なら多数説で統一をしてもらいたいと思う。これはぜひ直してもらいたい、重ねて申し上げておきます。
 次にお聞きをしていきたいと思うんですが、私は今度のこの法案をずっと見まして、よくこれだけ忠実に臨調の答申に従ったものだという印象が強いのです。これは、これから具体的にお尋ねいたします。先ほど臨調の答申も私は見ておりまして、それによると、説明ありましたように「昭和五十七年度においては、恩給費の増加を極力抑制し、新規の個別改善は行わない。」、こういう文句が入っていることは事実であります。しかし、余りにもこれに忠実で、これから質問しますことは全部この範囲内ですな、この範囲内。よくこれだけ臨調の答申に私は忠実にこの恩給を削ったものだと思うぐらいやられておりますね。
 そこで、一つ一つお聞きをしていきます。まず第一に、実施の時期を一カ月おくらしているわけなんですが、先ほどあなたは、公務員給与が最初大蔵省は七月実施、こういう考え方だったんだが五月に恩給はした、こういう話でした。しかし現実は、一部の方は凍結された人もおりますけれども、公務員給与は四月実施になりましたね。なぜ恩給だけが一カ月ずらして五月にならなければならぬのか、どうして五月になったのか、説明願いたい。
#100
○政府委員(島村史郎君) 五十七年度の恩給費につきましては、いま先生が言われましたように、臨調の方で恩給費の増加を極力抑制すべきであると、こういう指摘がございます。私どももこの臨調の答申というものは尊重してまいらなきやならない。しかし、一方恩給公務員の立場も考えていかなきゃならないという二つの立場があるわけでございます。それで、この臨調の答申の恩給費の増加を極力抑制する方策として一体どういうことを考えればいいのかということをいろいろ考えたわけでございますが、その一つの考え方としては、要するに増加率を抑制するか、もしくは時期をずらすかと、この二つの方法しかないわけであります。増加率を抑制するということにつきましては、これは恩給公務員の立場というものを考えますと非常に後年度に負担を及ぼしてくる、私どもとしてはこの立場はとりたくはない。したがって、この臨調の答申を尊重するということであるならば、私どもとしては要するに時期というものを、しかもそれを最低限の時期、わずか一カ月ということで一応考えたわけでございます。
#101
○山崎昇君 これもまたあなた、当委員会の附帯決議に反するのですよ。昭和五十六年四月二十三日「政府は、次の事項について、速やかに検討の上善処すべきである。恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮するとともに、各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」、一体国会の意思はどうなりますか、国会の意思は。そして、公務員給与はいま申し上げましたように四月実施です。なるほど二等級の一部の方とか指定職の方は一年間凍結されましたから問題がかなりありましたけれども、しかし九割九分の方は四月実施です。さっき言った勤務している間に失った経済的な能力を補てんをする所得保障でありますこの恩給が、なぜ一カ月ずらさなきゃならぬのですか。一カ月ずらすことによってどれだけの予算が余るんですか。それは余りにも国会の意思を無視したやり方でありまして、私はこれは承服することができない。
 なお重ねて、臨調では五十七年度とこう言っておりますが、いま法案が出されておりますから私ども質問していますが、来年度はどうしますか、重ねて少し先のことになりますけれども。それもあわせて、この国会の意思との関係についてお尋ねしておきます。
#102
○政府委員(島村史郎君) 私どもも、この国会におきます附帯決議というものは十分尊重しなければならないということは当然のことでございます。しかしながら、この附帯決議の実施ということにつきましては非常にいろいろむずかしい問題がございます。それで、この一年おくれあるいは一体化という二つの問題があるわけでございますが、私どももこの問題についてはすべて一挙にぱっとやってしまうということはなかなかできない。これはやはり一歩一歩逐次長期的に実施をしていく必要があるというふうに私どもは考えておるわけでございます。それで、私どもも一年おくれの問題とそれから一本化の問題、私の個人的な感じでいきますと、まず一本化が、二段階発射というような必要がないような状況にまずすべきではないかという感じを実は持っているわけでございますが、しかしいずれにいたしましてもこの問題を解決いたしますのには時間をかしていただきたいというのが私の感じでございます。
 それから来年のことでございますけれども、来年のことにつきましては、臨調の答申におきましても五十七年度という限定つきでございます。この点につきましては大臣もいろいろ苦労をされたわけでございますけれども、私どもは、来年におきましてはこれはもとどおりやはり四月から実施したいというふうに考えております。
#103
○山崎昇君 いまあなたは一体化とそれから公務員の問題と合わせるようにしていきたいと、これ後退じゃないですか。たとえば、いままで四月実施が三月になったというなら私はまだそれでもあなた方の努力を認めてもいいと思う。四月が五月になって何があなた前進ですか。後退もいいところじゃないですか。理屈もないじゃないですか。再三再四にわたる国会の意思を無視して、臨調の答申だけあなた方は前面に出してこういうやり方をするということは、これはとうてい私どもは認めることできない。これは改めてもらいたいと思っているんです。
 そこで、これは共済組合のときにも申し上げようと思っていますが、実はことしの一月二十九日に、国家公務員共済組合の審議会の会長であります今井一男さんから大蔵大臣に答申が出てまして、その中にも、支給開始時期を年度によって変更することは年金の性質から見て褒められないというんです、こんなことは。これは老後の生活保障の問題でありますだけに、ことしは四月で来年は五月で次の年は六月だとか、そういうことはいかぬということをこれまた共済組合の審議会で議論されているんですね。ですから、そういうことはあなた方はやっぱりもっと真剣に考えてこの種の問題をやりませんと、たかだか一カ月なんということで許される問題ではない。受給者からいったら大変なことですよ、一カ月おくれるかずれるかは。これも指摘をきょうはしておきます。
 それから第二に、これまた臨調との関係だと思うんですが、従来は老齢者でありますとか遺族等とかそういう方々のはかなり直してきておりますし、制度内における格差もあるいは不均衡の是正なんかもかなり是正をしてきているんですが、そのために私は恩給局に調査費というのが五百十一万あると思うんです。ことしは新規のものが一つもないだけに、この五百十一万という調査費は何に使ったのか、どういう調査をやったのか、何か実施時期をおくらせるために調査したのか、ひねくれて言えば。これはどういう内容にこの調査費の五百十一万というのを使われたのか、ちょっと説明願っておきたい。
#104
○政府委員(島村史郎君) 五百十一万円の調査費につきましては、これは大体毎年やっておるわけでございますが、恩給受給者の生活実態調査、これが中心でございます。そのほか、傷病恩給に関します調査でございますとか、あるいは先生から長年御指摘いただいております仮定俸給の調査でございますとか、そういうことに使っておるわけでございます。たとえば、傷病恩給につきましてはけさも質問が出ましたけれども、トロトラストの問題でございますとかあるいは目症の問題でございますとか、そういうものを調査をいたしておるわけでございます。
#105
○山崎昇君 それで、調査した結果何も出てこないですな、調査した結果。何も出されてこないで、逆にいままでの既得権を剥奪する方向にいっているわけでしょう。私はそんな後ろ向きの行政というのはないと思う。それだけあなた方が胸張って調査したというなら、一つでも二つでもそれが直って出てくるならまだ私はいいと思う。一つも直って出てこない。
 さらに、これも昨年も議論になりましたけれども、長期在職の旧軍人の仮定俸給の改善につきましても去年は二号やりました、去年を最初の年にして、来年もまた二号やりますというならば四号直しますと、こういうことだったんですね。これもことしは見送られちゃって、ないわけです。
 そこでお聞きをしますが、見送った理由というのは一体何なのか。これも臨調の答申があったからことしはやめようではないか、こういうことですか。
#106
○政府委員(島村史郎君) 長期在職の旧軍人の仮定俸給の二号アップの件でございますが、これはいま先生が御指摘になったのに関連いたすわけでございますが、やはり臨調答申におきましてここに「新規の個別改善は行わない。」ということがうたってございます。この「新規の個別改善」という解釈でございますが、これは私どもは制度的な改善は行わない、こういう解釈でございます。いわゆる量的なものは構わないわけでございますけれども、恩給のそういう仕組みを変えていくというものについては、これは行わないということでございまして、この二号俸アップというものはその仕組みに該当するということで今回これを見送ったというのが私どもの経緯でございます。
#107
○山崎昇君 これ新規でも何でもないじゃないですか、あなた。去年からの引き継ぎじゃないですか。去年あなた方は私どもにどういう説明をしましたか。「長期在職の旧軍人又はその遺族で七十歳以上のもの」括弧書きは省きますが、「に係る仮定俸給について、老齢者等を優遇するため昭和四十八年に行った一般文官の仮定俸給の改善措置(四号俸引上げ)に準じて改善を図ることとし、その第一年目として、昭和五十六年十月から二号俸引き上げる。」と、去年は一年目ですよ。これ新たな事業ではありませんよ。少しあなた方は拡大解釈して、結局は臨調の答申に忠実に従って、忠実というか拡大解釈というか、新たな制度でもなければ新規の政策でもなければ何でもないです、これは。去年やった人にやって、ことしやらなければそこにまた不均衡が生ずる。新たな制度改善ではありませんよ、これ。どうしてあなた方はこういうことをやるんだろうか。そして麗々しく、去年私ども質問したら、第一年目でございますという、わざわざわれわれにこういう印刷物までよこしておいて、ことしはこれを削るというやり方。これは長官、いま恩給局長はそういう解釈したそうでありますけれども、新制度でも新規の政策でもないんですね、これ。去年の、いわばもっと極端な言葉を使えば、適当かどうかわかりませんが、平年度化に属するような問題です、これは。どうしてこれができないんだろうか。長官の見解を聞いておきたい。
#108
○国務大臣(田邉國男君) いまお尋ねの問題でございますが、私どもは臨調の答申に忠実にやったというようにお話がございました。もちろん、その点については私ども臨調の答申を履行することは当然でもございますが、ただ問題は、恩給というものの先ほどからの性格、所得保障という一つの生活を支える意味の給与である、こういうことを考えましたときに、この問題についてできるだけの配慮をしなければならないことは当然であります。ただ、この厳しい財政状況の中で、新しい時代の要請にこたえる行財政のあり方、こういうものを目指して政府は挙げて行革に取り組んでおるというこういう現状でございます。この行革の過程において、やはり国民生活それから産業や社会の各分野におきましてお互いにその痛み分けをするというそういう私は措置が推進をされておるのが現状であろうと思います。
 したがって、こういう時期でございますので、御指摘の本年度の恩給改善の実施時期等の問題につきましても、やはり私どもまことに残念ではございますけれども、恩給受給者の方々の気持ちも十分理解をしておるつもりでございますが、いま申し上げましたように、国民各層のやはり痛み分けと、こういういわば苦しみをともに分かち合うと、こういう考え方の中でこういう措置をとらざるを得なかった、こういう私は苦しい事情も御理解をいただきたいと思う次第であります。
#109
○山崎昇君 私は、だからいまの臨調の答申その他言われていることは弱者の切り捨てじゃないか、福祉後退ではないか、こういう世間の批判というのは具体的にこういうところにやっぱりあらわれてきているわけでしょう。さっきから私が並べているのは、これみんな臨調の答申に基づいてあなた方が削っている内容ですよ。それも拡大解釈して、何にも新規の政策でもなければ何でもない、ある意味では平年度化の中の一つにあるにすぎないものを削ってくる。これは痛み分けだけの言葉であらわせるものではないんじゃないでしょうか。ましてや老齢の方々ですから、これからそんなに長く生きるわけでもない、他に収入があるわけでもない。そういう人の生活をあなた方は守ることができずに、ただ臨調の答申でございますというのでこういうふうにやられてくるということは、どうしても私は承服できないですな、これも。
 さらに次に行きますが、増額分の三分の一カットも一体これ何なんだろうか。これも恐らく在職中の職員が、二等級の第二種管理職手当二〇%以上をもらっている者が一年間人事院勧告が凍結になった。それに見合うためにやったのかもしれません。よくわかりません。とにかくこの増額分の三分の一カットした理由は一体何なんだろうか。その基準にあなた方は六十六号俸以上というものを使っているようでありますが、一体その理由は何なんだろうか。三分の一というのはどういう根拠でこれが使われたんだろうか。この説明を願いたい。
#110
○政府委員(島村史郎君) 昭和五十六年度の公務員給与の改定におきまして、いま先生が言われましたように、管理職以上の給与が一年間ベースアップが凍結されたということを実は考慮したわけでございます。このために、現職公務員の管理職以上に相当する者というのをいろいろ検討しました結果が、六十六号俸というのが妥当ではないかということで考えたわけでございます。
 それから、三分の一なぜカットしたかということでございますが、これは別にそう根拠というものはございませんが、一応いままで、昭和四十四年当時ぐらいに、こういう恩給が高額の人につきまして一応カットしたことがございます。そのときにも一応三分の一を実はカットしているということで、現職公務員は大体全額ベースアップ分がカットされたわけでございますが、恩給公務員につきましては、これは大体恩給額が二百万から三百万円ぐらいの者であるということで、非常に少ないわけでございますので、その分を考慮いたしまして三分の一にしたと、こういうことでございます。
#111
○山崎昇君 それでは私は納得できないんだよ。私の方から説明してみせようか。私は、この六十六号俸というのを何でとったんだろうかと思って、公務員給与と比較してみましたよね。これは私の計算で、間違いがあったら指摘してもらう。
 六十六号俸の仮定俸給というのは、年額が三百九十七万九百円ですね。これを十二カ月で割るというと三十三万九百八円、これが月額になる。そこで、これに近いものを探してみるというと、行政職(一)表では、二等級の十三号が三十二万八千三百円、二等級の十四号が三十三万四千四百円、一等級の五号が三十三万五百円。しかし、これは大体二等級でありますから、本省で言えば私は課長クラスであろうと、こう思うんです。しかし、いま三等級の最高号俸の二十号というのは三十三万三千二百円ですね。これは本省では課長というのは存在しません。そうすると、三十三万九百八円というものをもらっておる者が加算も入れまして三分の一を削られるということは、あなたの言う幹部職員だけではない、現実的には公務員の三等級までこれは該当してくる、私が計算してみるところによると。何でこんなことをせんきゃならぬのか。
 それから、私は三分の一というのがよくわからぬから、私なりに、これ間違っているかどうかわかりませんが、在職者は俸給と期末勤勉手当を入れますと十六・九カ月ですね、年間。これを恩給受給者に直しますと〇・七一ぐらいになる。十六・九対十二にしますと大体一対〇・七一ぐらいになりますね。ははあそれでこれ三分の一かなと、一つは。もう一つは、恩給の最短受給者の恩給額というのは、百五十分の五十ですから三分の一ですね。そういうものをあなた方は頭に入れて実はこの三分の一カットをやったのかなと、こう思って私なりにずうっとゆうべ公務員の在職者の問題と比較してみました。そうすると、いまあなたの説明の現職公務員の上級職だけじゃない、三等級まで入ってくると、課長補佐も入ってくる。
 それからさらに問題は、老齢加算等の加算分も含めて三分の一カットをやっている。一体老齢加算とはこれは何のためにつけているんだろうか。何でこんなことをあなた方はやってまでこの臨調の答申というものを忠実に守らなきゃいかぬのか。これで、痛み分けなんということだけでこれを理解せいと言う方が無理だと思うんだ、私は。ずうっと調べるというと、すべてこういうことですね。今度の恩給法の特徴といったら、確かに率は公務員給与にスライドみたいなかっこうをとっておるけれども、やっている中身を一つずつ検討していったら全部既得権侵害ですよ。そして理屈に合わないんだ、こういうもの、いま私が指摘したように。私のいま申し上げました数字に誤りありますか。こういうことであなた方はこの三分の一のカットをやったんですか。これは私は自分で想定して、ゆうべ給与法を引っくり返してみて計算してみたらこういうふうに該当するんですな。これで間違いありませんか。
#112
○政府委員(島村史郎君) 先生がおっしゃられました三分の一の根拠につきましては、そういう計算をすれば、先生非常によく勉強していただきまして何でございますが、確かにそうなるだろうと思います。しかし、私どもとしてはむしろ過去の先例をとったということの方が近いんではないかというふうに思っております。
 それからいま先生がお挙げになりました三等級の最高号俸であります二十号俸よりは六十六号俸は若干上回る額でございます。したがいまして、三等級の人は入らないというふうに私ども解釈をしております。
#113
○山崎昇君 過去の先例によると言って、あなた何でいま過去の先例によらなきゃいかぬのですか。どうして過去の先例をいま当てはめなきゃならぬのですか。どういう理由がありますか、いまあなた説明したけれども。過去の先例に従うというのなら四月実施もそうですよ。二号アップもそうですよ。過去の先例にならわなきゃなりませんよ。そんな言いかげんな答弁はやめた方がいい。
 実際私は、現実的にない知恵をしぼっていろいろ考えてみると、こういうことをあなた方考えてやっぱり今度の恩給法を巧妙につくって、そして老齢者の所得保障でございますなんて言っているものを削っちゃう。答弁に窮すれば過去の先例にならったと言う。過去の先例でやるべき性格のものではありませんよ、これ。この点も私はとうていこれは納得できるものじゃないです。どうして現職の者がやったらその分だけ年金受給者も削らなきゃならぬのか。これは全く長官、冒頭に私が恩給の性格をあなたに聞いたのは、一生懸命働いたでしょうね、それに対するあなた方の考えもあるかもしれません。しかし、やっぱり勤務中の経済上の取得能力を失ったものを補てんをするという、そして老後の生活保障だというそれが多数説で、あなた方がそういうお考えをとった。私はもっと進めて、本来ならば恩給も社会保障的な考えをもっと入れなきゃならぬという考えを持つ一人ですけれども、現行制度はその枠内で判断したとしても、これだけあなたいろんなことをやって削って削って、それもどれだけの予算が一体削れるんだろうか。三分の一カットやってどれぐらいじゃ削れるんだろうか。二号俸やめてどれぐらいの人間が対象になって――私の計算によれば一億くらいしか違いませんね、予算として。それほどまでして過去の先例に従って削らなきゃならぬものかどうか。長官、こんな細かいこと知らぬでしょう。あなたは事務当局の説明まるのみで、ああそうかそうかで削ったんでしょうけれども、これはしかし私は担当大臣としては許されない、そういうことは。もう少しやっぱり老齢者に温かみを持つならこんなやり方は私はひきょうだと思うよ。臨調なんかそんなことまで言っている問題じゃないと思うんだ、私は。そういう意味でこれは指摘をしておきます。
 それから次に私がお聞きをしておきたいのは、恩給外所得の問題についてお聞きをしておきますが、実はこの問題は、百五十三万に今度は決められておるようですね、恩給額が。それを決められた一体根拠、現行はいま百四十九万ですけれども、どういう計算で百五十三万ということになったのかどうも私よくわからない。私も計算してみたけれどもわからない。説明を願いたいと思います。
#114
○政府委員(島村史郎君) 多額停止基準と申しますのは昭和四十八年から実施をいたしておるわけでございますが、そのときは六十万円ということで実は発足をしたのであります。それから逐次ベースアップがなされましたので、このベースアップのたびごとに一応万単位で要するに四捨五入をいたしまして計算をずっとしてまいっておったわけでございます。しかし今回、行政改革と申しますか、そういういろいろのことがございますので、それを万単位を切り捨てずに、四捨五入をせずにそれぞれ厳密に計算をしてまいったわけでございます。その結果が百五十三万になると、こういうことでございます。
#115
○山崎昇君 それは本当ですか、あなた。いままであなた方のやり方は、兵の仮定号俸を基礎にして計算をしてきたんですよ。いままでの制度を改めるのなら私はあなたの言うことをすんなり聞きます。しかし、そうでなければ百四十九万に、兵の仮定号俸は五・五%上がるわけでありますから一・〇五五掛けますと、百五十七万千九百五十円になるんです。計算に基づいてあなた厳密にやったというのなら、万以下切り捨てにしたとしても百五十七万できなきゃつじつまが合わない。どうして百五十三万という数字が出てきますか。何を基礎に置いて、何を掛けて百五十三万という数字が出たんですか、説明してください、じゃ。
#116
○政府委員(島村史郎君) これはいまおっしゃるように、昭和四十八年からずっと継続して計算をしたわけでございます。その結果が百五十三万になってきた……。
#117
○山崎昇君 去年までそんな方法をとりましたか。違うじゃないですか。前の年の兵の仮定号俸の上がる率をそのときの金額に掛けて出して百四十九万出しているじゃないですか、あなた。どうしてことしだけは昭和四十八年までさかのぼってやらなきゃいかぬのですか。これもまた臨調の趣旨に合わせたということになるんですか。だから私は、きょう細かいことを数字であなたに聞いていますけれども、もらう方から言えば数字ですから、これは、理屈でないですから。だから努めて現実的に私も計算をしながらあなたにお尋ねしているわけなんだけれども、いまの答弁はそれは納得できない。勝手にその年その年で適当なやり方をされちゃたまらない。これも正規で言うならば、大臣、百五十七万でなければつじつまが合わないんですよ、これ。これもあなたは頭に入れておいてもらいたい。
 それから、その次にお聞きをしておきます。私は九十四国会のときにも、当時の恩給局長との間に、恩給受給者というのはだんだん減っていく。将来を見通して恩給というのはある程度考えていいのではないか。それはなぜかと言えば、共済組合やあるいは厚生年金等は十年、二十年先を計算をして掛金が幾ら、受給者が幾ら、何が幾らと出される。当然恩給についてもそういう検討があってしかるべきではないかというので、いろいろここで論争をやりました。そしてその当時、将来検討してみたいということでありますから、それで終わっているんですが、検討されているんだと私は思っています。
 そこで、皆さんの方の資料を見ますというと、大体年間三万五千人ぐらい、受給権者が亡くなっていくわけですね。言葉を変えて言えば失権といいますか、そういう形のものになるわけです。そこで予算を調べてみますと、五十六年度で大体百五十六億ぐらい余る、恩給。それはなぜかというと、普通恩給とかその他もらっている人が亡くなって扶助料に変わる場合もあるでしょう、全くなくなる場合もあるでしょう、いずれにいたしましても。そこでことしの予算は、五十七年度予算というのは臨調の答申に基づいて平年度化したから、さっきあなたの説明では二百九十四億ばかりふえたと、こう言うんですね。二百九十四億ばかりふえた。実際は四百五十億ぐらいふえているんですけれども、百五十六億ぐらい五十六年度で余剰額が出ているから、それ引けば二百九十四億ぴったりなんですな。
 だから臨調の答申、いま私は四つ五つお聞きをしておりますが、実態は全然恩給というのは前進してないんだ、予算からいっても、中身からいっても。すべてもう削る、削る、削る、あるいは停止する、そういうものが予算面からいっても出てくるわけ。私は、ことしのこの恩給法のいま審議をやっているんですけれども、この中身を見れば見るほど実に頭のいい人が巧妙にこういうふうに年寄りをいじめるものだなという気が本当に心から出てきますね。よくこんなに、臨調のあのたった二行の文字にこれだけ忠実に年金あるいは恩給受給者を痛めつけなければならぬものかどうか。改めてこれ長官、考えにゃいかぬじゃないかと思うんですよ。
 さらに、これは少しいままでも違ってあなた方考えた点じゃないかと思うのは、普通恩給の最低保障の問題だけは逆に今度はいままでの方式と違ってふやしているんですね、これは。これだけはいままで私が指摘したことと全く違ったやり方をとっている。それはなぜかというと、昭和五十六年のときは二段階になって、四月実施の分は公務員給与で、六月のときには消費者物価で、二段階方式をとって、そして厚生年金の方式をとりながら最低保障額というのを計算されている。ことしは五月実施ですから一段階方式にしたんですね。ところが昨年の計算でやった額よりことしあなた方がやられた額の方が上になっているんですね。これはまた最低保障額を上げることですから、私はこの点はあなた方苦心されて上げたんじゃないかというので支持をしておきたいと思うんですけれども、一遍、ただ物の考え方として、ことし七十九万二百円にしているわけですが、その考え方だけお尋ねをしておきたいと思うんです。
#118
○政府委員(島村史郎君) 普通恩給の最低保障額につきましては、いま先生が言われましたような形で実は毎年最低保障の金額を引き上げてきたわけでございますが、結局従来方式の厚生年金に準じたそういう方式でやりました場合に、定額部分に掛けます物価倍率、これが五十六年度は非常に低額になっておるわけでございます。これを掛けますと逆に減少してくる、こういうことでございますので、これを取りやめまして、なるべく最低保障は上に持っていきたいということで今回一段階のものにしたと、こういうことでございます。
#119
○山崎昇君 ですから、その点は私も計算したものを持っているわけです。従来方式でいくと七十四万六千二百円にしかならぬのですけれども、今度のこの法案でいきますと七十九万二百円になっておるわけですよ。そういう意味では、あなた方の今度のこの努力については、私は普通恩給の最低保障額については、ですから支持をしておきたいというんですよ。
 しかし、いままでずっとあなたに質問してきましたように、今度の恩給法を本当に見るというと、先ほど来個々について申し上げましたけれども、総括して言えば、実施時期が一カ月おくれる、新規改善項目が一つもない、長期在職者の二号アップもこれもとめられる、六十六号俸以上は増額分を加えて、増額分の三分の一はカットする、また普通恩給の停止基準額についても従来と違ったやり方をとったんじゃないか、予算を見れば、平年度化した予算の範囲内で二百九十四億ばかりができ上がってきている、何の改善にもなっていない、極端に言えば。これが総括して言えば今度の恩給法の内容ですね。
 財政が苦しいことは私も承知しますけれども、これほどまでにして、いろんな年金の基礎になります恩給のあり方というものをめぐってこういう処置というのはやっぱりとるべき筋合いのものではない。それも何百何千億というならいざ知らず、わずか一億でありますとかあるいは一番多くて私の計算では十四億ぐらいだと思いますが、その程度のものを巧妙にこういうふうに何項目かに分けて、また新規の問題も拡大解釈をして、こういう減額の処置の仕方をするというやり方は私は納得できません。
 まだまだ細かな点がたくさんあるんですけれども、せっかくきょうちょっと厚生省と外務省に来ていただいて、問題になっております、かつて日本人であったんですが、いま外国人になっている方々の補償問題等もちょっとお尋ねしなきゃなりませんので、具体的な数字を挙げての実は質問はこの程度にしておきたいと思うんですが、いずれにいたしましてもこの恩給法はいままでのやり方と違って、私はとうていこれは納得できないので、重ねてあなたにその趣旨だけ述べておきたいと思うんです。
 外務省おいでになっていますか。――そこで外務省にお尋ねをしたいんですが、衆議院の内閣委員会で、恩給法に関連して一つの附帯決議がつきました。「現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人、軍属等に関する諸案件(解決済みのものを除く)について検討を行うこと。」、こういう附帯決議がつけられて、最近、具体的には台湾人の元日本兵士に補償をというので裁判がございまして、判決が出されたことは御案内のとおりであります。
 そこで、私ども国際法といいますか外交といいますか、そういうものがよくわからぬものですから、いまとりあえず出ておりますのは台湾でありますが、当然日本は朝鮮も一時併合したわけでありますから、そこらの方々も私は入ってくるんではないんだろうか、こう思うわけなんですが、これを国際法的に見たら一体どういうふうに私ども理解をしてこれからこの問題に対処していったらいいのか、外務省の立場からちょっと御説明願いたい。
#120
○説明員(池田維君) お答えいたします。
 台湾人の元日本軍兵士の補償問題につきましては、去る二月に東京地裁の判決があったわけでございますけれども、外務省といたしましては、現在関係各省庁との間で対応ぶりにつきまして検討いたしておりまして、同時に、欧米各国で同じようなケースについてどういう取り扱いをしたのかということを目下調査中でございます。
 ただいまの御質問の、特に他の分離地域の人々との公平の関係ということで御質問がございましたが、まず最初に台湾人の兵士の法的な問題から申しますと、御案内のようにサンフランシスコ平和条約によりまして日本と台湾との間では特別取り決めを結ぶことになっておりまして、この結果によって請求権問題を解決するということは想定されていたわけでございますけれども、一九七二年に日中間に外交関係ができまして台湾との間では外交関係が消滅したということもございまして、こういう政府間の特別取り決めの対象として扱うということはできなくなったわけでございます。したがいまして、台湾との関係につきましては、民間の機構でありますわが方の交流協会、それから先方の亜東関係協会等を通じまして台湾側の意向等も照会しているということでございます。
 それから本件につきましては、同じような請求権の問題として波及が考え得るわけでございますけれども、その場合に、やはり日本国籍を取得しておりまして、そのときに元日本軍兵士として戦場に赴き、戦没したりあるいはけがをした遺族の方々に対する補償の問題というのは当然出てくるわけでございまして、これは朝鮮半島につきましては北朝鮮との関係で、まず外交関係がございませんし、こういう請求権問題については一切これまで話し合われてないわけでございまして、将来の問題として出てくるという可能性があると思います。
 それから韓国との場合でございますけれども、韓国につきましては、政府間では請求権問題については解決しておりますけれども、仮定の問題といたしまして、もし国内立法によってこういった問題を何とか解決するということになりました場合には、韓国におります個々の該当者が日本の立法をもとにして将来請求をしてくるという可能性も法的には出てくるんではないかというように考えているわけでございます。
 それから法的な問題ではございませんが、実質的な問題といたしましては、かつてやはり日本の占領下にありましたミクロネシアの人たちあるいはインドネシア、シンガポールにおきましても兵補というような形で事実上日本の兵士として徴用したということがありますので、そういう方々から同じような請求というものが出てくる可能性はあろうかと思います。ただ、もちろんこの人たちの場合には日本国籍を付与したことはないわけでございまして、そういう意味では台湾の場合あるいは朝鮮半島の場合と異なるとは思いますけれども、実質的には似通ったような問題があるというように考えております。
#121
○山崎昇君 そうすると、外務省にお尋ねしますが、いま日本国籍でない人、この人たちにもし何らかの措置をするとすれば、これはどういうようなことが考えられますか、外務省の立場から考えて。私よくわからないんだけれども、たとえば朝鮮を一つ例にとりましても、一九一〇年に併合しましたね。明治四十三年になるわけでありますが、そうするとそれから日韓条約によって、ちょうど私が昭和四十年に国会に出たときに日韓条約が出ましたから、南半分の方は日韓条約の中でいろいろ外交的に起きてくる、しかし北半分の方は、言うならばいまあなたの言うように外交関係がないから、これから外交関係の問題も生じてくるであろう、こう思うのです。ところが、それまでの間は日本国籍で日本国民であったわけでしょう。いまは国際関係上、日本国籍はない。そこで日本の国内法で処置をするとすれば、これは外務省のサイドから考えると、どんなことが想定できるんだろうか。どうも外交関係私どもわからぬものですからお尋ねをしているんですが、どんなことが想定されますか。
#122
○説明員(池田維君) 外交的な面でございますけれども、これは恐らく外務省だけの問題ではなくて、関係各省でよく協議しなければいけないことだろうと思いますけれども、日本国籍をかつて持っていた人たち、そしてそれがサンフランシスコ平和条約によって国籍を喪失した人たちというのが、一つの法的な問題としては、はっきりと補償の問題というものを請求権という法的な根拠に基づいて訴えることができる人たちということであろうと思いますし、ただいま申しましたように日本国籍は付与されていなかった人たちというのは、そういう意味では法的な根拠はないわけでございますから、そういう人たちをどういうように扱うのかというのは、これは政策の問題になってくるんではないかというように考えているわけでございます。
#123
○山崎昇君 だからもし、日本国籍を持っておった方については本人に請求権があるとあなたは言う。ただ、現行の法体系上ではできないというのが裁判所の見解であっただろうと思うんですね。そうすると、改めて法的措置をとらなきゃいけないと思うんですね。その場合に、外交的には一体どういうことが展開されるのか、この辺が私どもよくわからない点なんです。
 それから、いまあなたが例に挙げられましたミクロネシアとかインドネシアというのは当時日本国籍もなかった。ただ、現地で徴用されて、そして日本の軍隊に使われていろんなことをやらされた。そういう人たちの分はまた別にこれは法体系を考えにゃいかぬのじゃないかと思うものですから、その辺私どもどうも国内法と外交上との問題がよくわからぬので、改めてひとつあなたにお聞きをしておきたい。
#124
○説明員(池田維君) ただいま御質問の点は大変にむずかしい問題だと思いますけれども、本件がもともと元日本兵であった台湾人の方々の補償の問題ということでありました場合に、波及の問題をある程度防ぐということでありましたら、その立法の内容、仮にその立法ができるとして、そういう立法の内容が台湾人のみを補償するということができれば、それが法的には一番はっきりとした歯どめにはなろうかと思いますけれども、ただ、法律というものは公平の原則と申しますか、特に一定の地域であるとかそういったものだけを対象にするということにはなじまない性格のものだろうと考えられておりますので、台湾人だけにそういうことをした場合に、当然ながらほかの地域から同じような声が上がってくる、それに対してどういうように扱うかというようなことになってくるわけでございまして、やはりこの問題は、単に法的な問題ではなくて、政策的にどこまででとめようとするのかといった問題になってくるわけでございます。
#125
○山崎昇君 厚生省いますか。――そこで、恐らくこの問題を担当するということになると、私は厚生省が中心になるんじゃないかと思うんですが、厚生省としては、この附帯決議を見られて、いま私が読んだわけですが、聞かれて、どんな措置が検討されていくと――まあ、いまこうしますとあなた言えるわけじゃないと思うけれども、想定される対策について見解を聞いておきたい。
#126
○説明員(沢江禎夫君) 先生御承知と思いますけれども、厚生省で所管しております遺族等援護法におきましては国籍要件があるわけでございまして、台湾人の方々それから朝鮮人の方々含めまして、外国人には適用がないということでございます。一つの考え方といたしましては、この援護法の国籍要件の撤廃というようなことも考えられないわけじゃありませんけれども、御承知のように恩給法を補完するという形でできている援護法でございますので、この撤廃というのは制度的な均衡ということできわめて困難というふうに考えておるわけでございます。
 そこで、そういうこととは別にどういうようなやり方があるかということでございますけれども、先ほど外務省からお話ございましたように、外交問題と密接に関連する問題でございます。それから、そのほか波及する問題もいろいろあるわけでございますので、非常にむずかしい問題であるというように承知しております。
 なお、先ほどお話ございましたように、附帯決議であるわけでございますが、関係各省一体となりまして検討方を進めさせていただきたいと思っております。
#127
○山崎昇君 いまの段階は私はそうだろうと思うんです。思うんですが、たとえば何々損失補償法というようなかっこうになるのか。あるいは適用をさかのぼらなきゃいかぬわけでしょう。国内法でやるとすれば、いつからいつまで日本国籍のあった者についてはこうします、しかし日本国籍がないけれども日本で現実に損害を与えた者についてはこうしますと、技術的に言えば法律の中身は整理しなきゃならぬと思うんですね。それをどこの範囲までやるかというのは政策論でそれは出てくると思うんだけれども、厚生省として考えられる援護とすれば――援護といいますか補償といいますか、とすればどんなことが――まあ、あなたの考え方で結構で、これが後であのときあんなことを言ったからどうだなんてそういう言い方をするつもりでいるわけでありませんが、私どもいまいろいろ考えてみるんだけれどもなかなかわからぬものですから、専門であります厚生省のあなたの考お方を参考までにお聞きをしておきたい。
#128
○説明員(沢江禎夫君) 率直に申し上げまして、具体的な検討にはまだ至っておりません。そもそも台湾人の方々に対する補償についてどうするかというようなまだ入門的な段階でございますので、そこには至っていないということでございます。いずれにいたしましても、先ほど外務省からお話ございましたように、外務省その他の関係各省を中心にいたしましてその対応について検討しておるということでございます。
#129
○山崎昇君 いまの段階はまあその程度だと思いますので、こういう附帯決議がついているわけですから十分ひとつ御検討をお願いをしておきたい。結構です。
 そこで、最後にもう一遍総理府に戻りまして一点お聞きしておきますが、総理府に広報室があるわけなんですが、これはどんな組織で、大体どれぐらいの人間で構成されておって、そして大筋どんなことをやっているのか、ちょっと聞いておきたい。
#130
○政府委員(小野佐千夫君) お答えをいたします。
 総理府広報室の職員は四十八名でございまして、その構成は、室長のほか参事官が八名、補佐クラスが十四名、係長クラスが十一名、その他一般職員が十四名でございます。
 次に、どんなことをやっているかというお尋ねでございますが、総理府広報室におきましては、国民生活に関連の深い各種の政府施策を広く国民の皆さんに知ってもらいその理解と協力を得るということを目的といたしまして、私どものところで所管いたしております各種の広報媒体、これは各省庁が共同で利用できる広報媒体でございますが、これらの媒体を活用いたしまして必要とする各般にわたる広報を実施いたしております。
#131
○山崎昇君 私の調べだと、昭和四十八年にこれが発足したと聞いておるわけですよね。昭和四十八年に総理府の広報室というのが発足したとこう聞いているんですが、誤りありませんか。
#132
○政府委員(小野佐千夫君) 総理府広報室ができましたのは昭和三十五年の七月でございまして、先生いまお話しの四十八年というのは、四十八年の五月に内閣広報室ができたわけでございます。
#133
○山崎昇君 内閣広報室はあなたの方と兼ねているわけでしょう。そういう意味では四十八年が名実ともに総理府の広報室といいますか――内閣広報室と兼ねているというふうに考えていま四十八年と聞いたんですが、誤りありませんね。
#134
○政府委員(小野佐千夫君) 私たちは総理府広報室が本務でございまして、内閣広報室の仕事を兼務いたしております。
#135
○山崎昇君 そこで、時間がありませんから私の方から調べた予算をちょっと言ってみるんですが、誤っておったら違うと言ってください。
 内閣広報室とあなたの方は兼ねているものですから四十八年からのを調べているんですか、四十八年が三十四億、四十九年五十八億、五十年七十一億、五十一年九十億、五十二年九十九億、五十三年百億、五十四年百二十七億、五十五年百三十三億、五十六年百三十四億、こうなっていますね、予算で言えば、まあ端数はあるかもしれませんが。とにかく年々この広報予算というのがふえているわけなんですが、多少の違いはあるかもしれませんが、大体私この数字で間違いないんじゃないかと思いますが、どうですか。
#136
○政府委員(小野佐千夫君) 先生いまおっしゃいました五十四年以降の予算はそのとおりでございますが、それ以前の予算は数字が若干違っております。
#137
○山崎昇君 そんなに違いないでしょう。若干違うだろうけれども、そんなに違いないと思うんです。
#138
○政府委員(小野佐千夫君) そんなに大きくは違っておりません。
#139
○山崎昇君 そこでお聞きしますが、一体この広報はテレビとかあるいは新聞、週刊誌あるいは月刊誌、いろいろお使いになるんだと思うんですが、その内訳は大体テレビがどれぐらいで、それから週刊誌がどれぐらいで、月刊誌がどれぐらいで、新聞がどれぐらいで、もし区分けできたら、大ざっぱで結構でありますが、御説明願いたい。
#140
○政府委員(小野佐千夫君) 昭和五十六年度について申し上げますと、テレビ、ラジオ等の電波媒体が五十一億四百万でございます。それから週刊誌、月刊誌それから新聞の記事下等の活字媒体でございますが、五十六年度が三十九億八千六百万でございます。個々の週刊誌、月刊誌別の資料はただいま持ち合わせておりませんのでございますが……。
#141
○山崎昇君 そこで、これはよけいなことですが、この間私は、NHKの番組に「クイズ面白ゼミナール」というのがございますね、NHKのこれは番組ですが、夜八時からやっている。これの三月十八日の番組を見ておりましたら、一日の日本の情報量というのはどのぐらいあるか。カラーテレビに直してこれ計算されているんですが、一日カラーテレビ十八時間だそうでありますが、これを雑誌に直すと二百ぺ−ジの雑誌十一冊分に該当するというんですね、このときの説明では。
 そこで、いまあなたからテレビ、新聞、雑誌等ひっくるめて中身、内訳、いま資料がないと言うから聞きませんけれども、一体これだけ情報網が発達してマスコミも発達しているときに、広報室でこういうことをやらなければ政府の考え方が国民に浸透しないんだろうか、私はどうもその辺のことに少し疑念を持ってきているわけです。加えて、あなた方はテレビとラジオに使っているのは五十一億四百万というんですが、一体この効果の測定をやったことはありますか。一体視聴率がどれぐらいで、どんなこれ効果が上がっているんでしょうか。私はきょうこれはわずか一誌ですけれども、週刊新潮のこれは三月二十五日号、「視聴率ゼロ 行革の盲点政府広報番組」−こんなものはやめなさいというのがこの中身ですけれども、一体総理府の広報室でこれだけの金をかけてどんな効果があるとあなた方は測定しているのか聞いておきたい。
#142
○政府委員(小野佐千夫君) 私どもといたしましては、わかりやすく国民の皆さんに親しみやすい広報をモットーにいたしまして、行政各般にわたる政府広報を実施しておるわけでございまして、先生のお言葉ではございますけれども、かなりの効果が上がっているというふうに確信しているところでございます。
 それから政府広報の測定方法につきましては、民間の視聴率の調査でございますとか放送モニター制度等を活用いたしまして、広報の効果を把握しているところでございます。たとえば総理府提供のテレビ番組の視聴率を例にとって申し上げますと、五十六年の四月から五十七年の二月までの十一カ月間の平均でございますが、これがおおむね三%程度になっております。番組内容等によりましては若干の相違もございますが、高いものは一五%の視聴率を上げているというものもございます。
 なお、政府広報番組はいわゆる教養・教育番組の範疇に入ると思われますが、一般的には娯楽番組等と異なりまして教養・教育番組の視聴率というのは大体三%程度が確保できればまずまずの線というふうに実は承知いたしておるところでございます。
#143
○山崎昇君 これは一誌ですから、私これで全部判断するわけにはいかないと思うんですが、これによると、一生懸命見ているのは中村メイコさんの「メイコのくらしと税金」、それから食糧庁と米穀協会が出した「キッチンパトロール」というのがかなり見るそうであります。あとはほとんど見る者がいない。そして一方的でPRのにおいがぶんぶんだと。そして最近は、特に偏向番組みたいなのが多いのではないかという指摘がされている。ほとんど視聴率ゼロというのが、全体を通じて言えば、ときにはあなたは一五%なんという数字を挙げたけれども、ないというんです。もう行革やるならまず真っ先にこれなくしなさいというのが、一部の人ではありますけれども、意見もある。
 内閣広報室でもう一つ私はお聞きしておきたいんですが、総理大臣が何か外遊されるというと記録映画をつくるそうですね。で、平均一回の制作費が千五百万だそうでありますが、一体これは私ども見たこともないし、公開されたこともないんですが、この総理が外遊するときに千五百万も出して記録映画をつくって、これはどうなっているんですかね。
#144
○政府委員(小野佐千夫君) 総理が海外のサミット等に参加される場合に、いろいろ重要な方々との会談とか接触があるわけでございますが、それらの公式的な記録保持という立場から記録映画を作製いたしております。なお、つくりました映画につきましては、御要望があればこれを貸し出してごらんに入れているというのが実情でございます。
#145
○山崎昇君 だれも知らぬですよ、こんなことは、あなた。私はたまたまこれ「首相官邸の秘密」という本ですよ、これ。これは読売新聞の政治部の次長さんで森岸生さんという方が書かれた本でありますが、この人によると、平均千五百万程度である、「ところがこの記録映画は、首相が一回、首相官邸で試写会をするだけで、あとはお蔵入りである。中には、首相や同行議員の選挙区でこのフィルムを借りて巡回映画会を開いて、ちゃっかり国費で選挙運動をする者もいる。せいぜい利用できるのは、この程度のことである。」と。国費を投じて、あなた方は総理府の広報費と称してこういうものをつくって、使っているのはだれか、与党の一部の議員だというんです。やめるなら真っ先にこういうものをやめなさいというんですよ。これがこの人の――私が言っているんじゃないんだ、これ。こういうことをあなた方は広報費と称してやっておる。
 さらに、佐藤さんが総理大臣のときには一日内閣というのをやられましたね。佐藤さんがいなくなった後、これまたどこかへ消えちゃって何もない。そしていま聞けば、年間百三十三億から百三十四億の金を使って、五十六年度だけで言っても、テレビ、ラジオで五十一億、新聞、雑誌その他で三十九億も金を使って、評判が悪くて、効果の測定も満足にできない。首相が外遊すれば記録映画はつくるけれども、一遍見ただけでお蔵入りで、あと使っているのは選挙運動だと言うんだ。こういう広報費の使い方なんぞということは改めるべきじゃないですか、どうですか。
#146
○政府委員(小野佐千夫君) 先生ただいま御指摘の記録映画につきましては、各都道府県の視聴覚ライブラリーに配布いたしまして、広く国民の皆さんに見ていただくように今年度から措置するようにいま準備を進めているところでございます。
#147
○山崎昇君 結局はやってなかったわけでしょう。いま、あなたいみじくも今年度から各地方に連絡をとってやっていますとか、あるいは最近は大臣の出演番組だとか、その他いろいろなもの出てきますけれども、やっぱり私ども聞いても余り見る人はいませんね。ただ、大蔵大臣なんかおもしろそうだから見ていますと言う人もいますが、やっぱり私は、役所がきちっと広報するなら必要でしょう、効果の測定がどうだということもきちっとしてやるんならいいけれども。これは私が指摘したわけじゃない、この人がいまこういう指摘をしているわけですから、謙虚にあなた方は受けとめて、こういう問題についてはきちっとしておいてもらいたい、こう申し上げておきたいと思います。
 それから長官、あなたに、これは言っていませんでしたことで恐縮でありますけれども、あなたの見解を一点だけ聞いて私はやめたいと思うんですが、最近天下り人事ということについて、主として行管庁長官が何か担当みたいで、臨調との関係もありましてやっておるんですが、私は人事を扱う総理府としてもこれはやはり相当気を使っておかなきゃならぬ問題じゃないんだろうかという気がするんです。きょうは人事局長さんの御出席を言っておりませんからあなたの見解だけ聞いておきたいんですが、ただ私は、天下り天下りと言っても、分ければ三つほどになると思う。
 一つは、国から自治体に行く者。これは、実は私あした自治省と厚生省へ行くんです。今月の二十日ごろに北海道庁の財政課長がかわるんですよ。それからまた同じ時期に北海道の民生部の課長がかわるんですよ。こっちの人事の都合でかわるんですね。そして前回もここで申し上げましたけれども、総務部長、財政課長とか、そういう主要なポストはもうほとんど中央の方で占められる。ほとんど地元の者はついてないんですね。ですから、天下りと言っても国と地方の関係が一つ。二つ目は、各省から政府関係機関、俗に言う事業団あるいは公団とか、こういうところにおりていって、最近、御存じのように渡り鳥だなんという言葉さえつけられて退職金をいっぱいもらって歩く。それから三つ目は、民間企業へ行く。この場合には、一部の方については人事院の審査があって承認がなければ行けない場合もありますが、大体関連ないという形で民間に行っている。
 同じ天下りと言っても、私はこういう大ざっぱに分けると三つぐらいになると思うんですが、これは私は人事を扱う総務長官としても、これだけ長い間騒がれてこれだけ議論されているにかかわらず、ほとんどと言っていいぐらいこれが改善されないし直されない。これは私は、一行管長官が臨調の問題としてだけ扱うべき筋合いのものじゃないんじゃないんだろうか。本来なら官房長官においでいただいて内閣としての見解を聞かなきゃなりませんけれども、きょうはお呼びしておりませんし、突然でありますが、私はやっぱり総務長官の見解を、あなたは知事もやられておられましたから、お聞きをしておきたいと思うんですが、そのうちの一つ、ショッキングな記事として、実は青森県できのうのこれ新聞でありますけれども、中央から行かれました方が組合の追及で、私はやめますという辞表に判こを押したという記事がきのう出ましてね。私は行った人に罪はないと思うけれども、受け入れ側ではそういうトラブルがやっぱり起きているんですね、現実的に。これはきのうの毎日新聞です。実際問題としては。
 それから、これもいつか明らかにしたんですが、北海道で課長さん以上のアンケートをとった。これは現職の方々に実名入りでとったんです。そうしたら、約六割の人が回答を実名で出しまして、やっぱり庁内が暗いと言うんですね。自分と同じようなのが中央で採用されたら課長になって出てくる。自分は何年いても上がっていかない。人材がないわけではない。そういう意味で、実際には管理職の皆さんでも心の中ではかなり大きな批判を持っている。そういう意味で私は、この天下り人事という――天下りという言葉も余りよくありませんけれども、こういう人事というのは、公務能率が私はやっぱり上がらぬ一つの要素になり得るんではないんだろうか、こういう気もいたしますので、知事の経験を持たれている総務長官でありますから、総務長官の見解をひとつ聞いて、きょうは私の質問を終えておきたいと思います。
#148
○国務大臣(田邉國男君) いま、三点にわたっての天下り人事の問題が御指摘ございました。
 国から地方自治体へ行く天下り人事の問題につきましては、私が地方自治体を預かりました十二年間の経験からまいりますと、やっぱり中央から優秀な人材を入れるということは県の、いわば自治体の中に新しい血をつぎ込む、いわば非常に優秀な人材を入れることによって県もさらに政策面、人事面でも大いに意欲を燃やしてくると私は判断をいたしておりました。したがって、十二年間私がやった経験では、総務部長あるいはまたその他の部長、あるいはまた課長を導入いたしまして、そしてよき政策と県政を展開した経験からいきまして、こういうことは大いにやるべきだと私は思っております。
 ただ、この結果はどうなるかといいますと、地方の自治体を十分知った優秀な人材が本省に帰りますと、全国の府県が何を求め、何を考えているかということをよく熟知した人たちがいわば中央官庁の長になったときに、地方自治体に対する理解度というものは非常に多くなってくる、私はそういう判断をいたしております。ただ、最近におきましては、地方自治体も地方公務員の試験によりまして有為な人材が順次ふえてまいりました。そういう意味では、この点につきまして、人員等についてはある程度のやっぱり弾力性を持たせるべきではないかと、こう思っております。
 また同時に、地方自治体から中央に派遣をして、中央の空気を吸い、そして中央のいろいろの機構を身につけて帰ってくる、こういう人事の交流が行われることは、いま地方の時代と言われるときに、特に私はこの問題だけは私の経験から申しますと大事なことであると思います。ただ、一部にいろいろの弊害が出たということは、これは私は一つの局地的な問題であろうと思います。私はその際、組合からずいぶんいろいろの意見を出されましたけれども、この問題につきましては明確にお答えをした経過がございます。
 それから第二の、各省庁から公団への天下りの問題があります。
 私は、この問題につきましては、やはり役所の方たちがすべて浪人をしてしまわなきゃならぬということは考えるべき問題だ。ただ、公団だとか営団というところの総裁とか副総裁だとか、そういうところに全部名前を連ねるということ、これは私は非常に考えるべき問題ではないか。むしろ総裁あるいは副総裁というようなところは民間企業の有能な人たちを投入をして、そして新しい一つの経営形態というものをつくり出していくという必要があろうかと思うわけであります。したがって、この問題について、これは私のあくまでも私見でございますが、そういう考え方で私は今後進めていくべきである、こう思っております。
 それからもう一つは、民間企業へ行く問題があります。
 先般からいろいろと内閣委員会等でも、衆議院でも質問もございました。この点につきましては、私は、長い間の経験を生かした人たちが、民間企業が要望する場合に、その企業へ行くことは決して悪いことではないと思いますけれども、特に何か関連が深い、そして何かおみやげを持っていくような形の人事の異動というものは考慮さるべきものではないか、こう判断をいたしております。
 この特殊法人への天下り問題は、内閣官房でこの点については十分配慮をするという決定、方針が閣議でも出ておりますので、私どもといたしましても十分今後改善の措置を講ずるべきものである、こう考えますと同時に、私は、内閣を代表したということでなくて、総務長官としての考え方としてひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
#149
○山崎昇君 私の方も、何も内閣代表としてきょう聞いているわけじゃありませんし、事前に通告したわけでもありません。ただ、きのうのそういう記事が出て、私があした自治省、厚生省に行くことになっているものですから、現地から、やっぱり中央の都合で人事がいまごろかえられる、そして二年ぐらいおったらまた引き上げられる、そうして同一のポストがほとんど中央の人が全部占める、こういうものはいかがかという意見がやっぱり強いからいま言っているわけなんで、私は一切行くことまかりならぬなんというそんなことで申し上げているわけではありませんけれども、弊害の方が最近多くなってきているものだから、これは人事を扱う総務長官としましても十分ひとつ御検討を願っておきたいというふうに思います。
 本来なら、そのほか「戦没者を追悼し平和を祈念する日」というのを閣議で決めたんですから、それらのことについてもお聞きをしたいと思っておりましたけれども、もう時間が来ましたのできょうはやりませんが、いずれにいたしましても、先ほど述べましたように、この恩給法一つをとってみても、やっぱり余りにも所得保障としての老齢者に対する扱い方が私はひどすぎるんじゃないだろうか、こういう気持ちがどうしても払拭できませんので、重ねてその点だけは申し上げて、私の質問をきょうは終わります。
#150
○中尾辰義君 最初に、恩給改善の基礎となっております公務員給与のベース改定につきまして総務長官にお伺いしますが、昨年の人事院勧告は、御承知のように財政状況あるいは臨調の第一次答申を反映いたしまして一部不完全実施になったわけですが、本年の人事院勧告に対する政府の姿勢、取り組み方、こういう点につきましてまずお伺いしたいと思います。
#151
○国務大臣(田邉國男君) 人事院勧告につきまして私の取り組み方ということでございますが、公務員の給与改善につきましては、政府として、民間の準拠によるいわば人事院勧告を尊重するという従来のたてまえに立ってこれに対処していくことが適当であると実は考えております。
 現在、人事院におきましてはまだ勧告のための作業が進められておる段階でございますので、人事院から勧告が出された場合、その時点におきまして諸般の情勢を踏まえ、その取り扱い方というものを実は検討しなければならない。しかし、私としては、人事院勧告というものが出た場合はこれを尊重するという基本的たてまえに立って対処をしてまいることは従来と変わりございません。この場合におきましては、誠意を持って対処するという考え方であります。
#152
○中尾辰義君 再度お伺いしますが、人事院勧告が本年も昨年に続いて不完全実施になる、そういうことになりますと、これはいままでの安定した労使関係あるいは公務の能率性等を阻害しかねない、こういったような問題が出てくるわけでして――それだけではございません。公務員の例の労働基本権制限の見直しというようなことまで問題になってくるわけであります。そこで、昨年の行革国会における総理の答弁を見ましても、この点は理解をされておると考えるわけです。
 そこで、この問題は財政問題と別々に処理されるように要望したいわけでございますし、この点を念頭に置いた政府の決意といいますか、まだ出ておりませんけれども、その点を再度お伺いをしておきます。
#153
○国務大臣(田邉國男君) 私は、いま申し上げましたように、五十七年度の給与改定問題が出た場合、私といたしましては、やはりその人事院の勧告に従ってこれを尊重していく基本的たてまえにつきましては、何ら変わるものではございません。
 ただ、臨調の第一次答申、こういうものに基づいて臨時緊急な措置を五十六年度はとった、こういう経過もございます。しかし、今年におきましては、この委員会でもいろいろと御指摘がございましたように、大変、この人事院勧告を尊重するか、こういう点を強く求められております。私自身は、やはり人事院勧告は労使のいわばよき慣行というものを継続する、そしてまた基本的人権の尊重、こういうことから考えまして、人事院勧告を尊重をしていく、こういうたてまえにつきましてはいささかも変わりません。したがって、もし勧告が出た場合には、先ほど申しましたように、この勧告を尊重するという基本的たてまえに立って給与問題に対処をしていく、こういう考え方でございます。
#154
○中尾辰義君 次に、今回の恩給法の改正案の内容に入る前に、恩給の基本的な問題につきまして二、三お伺いしたいんですが、これはいままで大分議論されたんですけれども、恩給の概念、性格について政府はどのような見解を持っておるか、お伺いしたい。
#155
○政府委員(島村史郎君) いまさっきもお話がございましたが、恩給法につきましては別に恩給という定義はございません。しかし、いろいろの学説がございまして、五つか六つぐらいの学説がございますが、一つは、何と申しましょうか公務員が在職中のそういう経済能力の補てんに対して要するに補償をする説、それから功労説というような幾つかの説がございます。私どもとしては、いろいろございますが、一つには功労説的な考え方もございますし、所得保障という考え方もございます。いま先生のところでいろいろ御指摘がございましたので、この点もさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
#156
○中尾辰義君 いろんな考え方があるから聞いておるのであって、いろいろありますじゃ余り答弁にならぬのです。
 それで恩給発足当時は、これは恩恵的あるいは国家補償の発想によって出発したことは間違いないと思うんですね。過去の国会答弁にありますように、近年では社会保障制度と切り離して恩給を見るといったことは考えられなくなってきたわけであります。たとえば、公務扶助料受給者の大半の人が最低保障額適用者であると、そういう実態から考えてもそういうふうに言えると思います。すでに昭和二十五年に、社会保障制度審議会が総理大臣に対して出した社会保障制度に関する報告の中でこの関係について触れているわけですが、政府として恩給を社会保障制度の一環としてとらえる考えが必要と思われるが、その辺いかがですか。
#157
○政府委員(島村史郎君) 恩給は、基本的に長年公務に従事した人、それから戦没者の遺族あるいは戦傷病者に対する国の補償として支給するものでございますから、基本的には社会保障制度とは若干違っておるわけでございます。しかしながら、恩給制度というものもいろいろそのときどきの社会的経済的な基盤に非常に影響されますので、私どもも社会保障的な考え方を実は導入をしてきております。たとえば最低保障というようなものとか、あるいは寡婦加算というようなそういうものを恩給制度の中に取り入れて、社会保障的な意味合いというものを強めてきておりますが、今後ともこういう社会保障的な考え方というものは逐次取り入れていく必要があるというふうに考えております。
#158
○中尾辰義君 次に、恩給の予算及び受給対象人員の将来の見通しについて伺いたいんですが、厚生年金保険や国民年金あるいは共済組合などにおける受給者の推移、収支見通しにつきましては、これは厚生省なり大蔵省で試算を行っているわけですが、総理府といたしまして十年、二十年先の試算をこの恩給につきましてしていらっしゃるのか、あるいはしていないとなれば、大ざっぱなそういう程度のものでも見通しは持っていないのか、それとなぜ細かい計算ができないのか、その辺をお伺いしたい。
#159
○政府委員(島村史郎君) 昭和五十七年度の恩給予算額は一兆七千二百五十億円でございまして、その人員は二百四十七万人でございます。そのほかに国会議員の互助年金、これは六百人おられましてそれが十四億円、それから一時金を一応十万人を対象にしておりまして十七億円が含まれております。
 将来におきます恩給受給者の推計は私ども現在やっておりまして、現在のところ一年間に大体三万五千人ぐらいずつ減っていっているというのが実は現状でございます。で、私どもは現在の死亡表というのを使いまして、そして現在の生きている人が六十五歳なら、その方が大体いつごろ亡くなられるかということをずっと推計をして、そういう見込み数を計算をいたしておるわけでございますが、それで私どもが、これは一応の計算でございますけれども、やった結果を申し上げますと、昭和六十五年度が約百九十四万人、昭和七十五年度に約百二十五万人ということでございます。現在は二百四十七万人でございますから、まあ二十年後ぐらいには約半分ぐらいになるんではなかろうかという感じでおるわけでございます。
#160
○中尾辰義君 金額は。
#161
○政府委員(島村史郎君) 金額は、これは非常に仮定を置かないと計算ができないわけでございますけれども、現在のままベースアップは全然しない、それから改善も行わないという前提を置いて計算いたしますと、昭和六十五年度に一兆三千二百六十億、昭和七十五年度に七千百五十八億という一応のこれは推計でございますが、これは非常にいま申しましたようないろんな仮定を入れての計算でございますので、現実にはこうはならないというふうに考えますが、そういう仮定を置いた上で計算すればこういう数字になるということでございます。
#162
○中尾辰義君 まあ、それはいろいろ公務員のベースアップもあるし、なかなか見通しも大変ですわね。大ざっぱなところを大体理解しましたので……。
 次に、五十七年度の恩給予算改善内容は、臨調の第一次答申やあるいは行政改革、こうい、−面が強調されておる中で決定をされたものでありまして、そこで大分厳しく抑えられておるわけですが、行財政改革のどういう点に今回の恩給のベースアップが影響を受けたのか、その特徴といったような点につきましてお伺いします。
#163
○国務大臣(田邉國男君) 昭和五十七年度の恩給改善に当たりましては、例年にない厳しい財政事情のもとに臨調答申の趣旨を踏まえて、いわばベースアップの実施月を一カ月繰り下げるという恩給費の増加を抑制を図っているところでございます。この点につきましては、私ども昨年の暮れの予算折衝におきましてはできるだけの対応をいたしましたけれども、一カ月繰り下げざるを得ない、こういう結果でございました。また、その内容におきましても、基本的には年金恩給の実質的な価値を維持するという観点からも、例年行っておりますベースアップ及び各種の最低保障額等の引き上げに限っている、こういうことでございまして、これも臨調の答申がやはり恩給費の増加を極力抑制をして新規の個別改善は行わない、こういうような答申も踏まえてやむなくそういう形をとったわけであります。
#164
○中尾辰義君 ことしの恩給予算は、前年度と比べまして伸び率は十年来の最低になっておりますが、幾らになっておりますか。
#165
○政府委員(島村史郎君) 四・九%の伸びでございます。
#166
○中尾辰義君 それじゃ過去十年間の資料はありませんか。過去十年間の恩給の伸び率ですね、ちょっと参考までに教えてください。
#167
○政府委員(島村史郎君) これは最近にない低い伸び率でございまして、いま申し上げましたように、五十七年が四・九%でございますが、五十六年度が一〇・九%、五十五年が九・二%、五十四年が一丁四%、五十三年が一四・四%、こういうような数字でございます。
#168
○中尾辰義君 いまお伺いしたように、これは一番最低の伸びなんですね。その最低の伸びの中でまた四月実施が五月実施と、そういうふうに一カ月おくれというようなことになったわけですが、これは臨調の行革の答申もあるんでしょうけれども、臨調は弱い者は救済する、こう言っておるわけでして、高齢者や戦没者遺族のように社会的に弱い立場にある人々のことを考えますと、今回厳しい抑制措置をとったことが、財政の面もありましょうけれども、われわれとしては理解ができぬことだと、こう思うんですが、これはここの委員会でなしに、国民の皆さんにお答えするようなことで答弁してください。
#169
○政府委員(島村史郎君) 私どもはもちろん恩給局でございますので、恩給公務員のそういう給与の増加というものを考える必要があるのは当然でございます。しかし、一方では臨調のそういう答申が出てまいっておりまして、この臨調の答申で、そういう恩給の増加を抑制しろ、こういうことでございます。したがって、それは全く相反する要望でございますので、その辺をいかに調整していくかというところに私どもの今回の予算編成の非常に大きな悩みと申しますか、そういうことがあったわけでございます。それに対して、私どもはできる限り最善の方法をとったつもりでございますけれども、そういう一部確かにいろいろしわ寄せが若干はいっているということは、これはやむを得ないというふうに考えておるわけでございます。
#170
○中尾辰義君 やむを得ないとおっしゃっているが、これは、非常にこういう点に不満があるわけですね。
 それで、次に入りますけれども、今度は恩給の改善の実施の時期ですね。これは例年に比して一カ月おくれになった、四月が五月からというふうになったわけですが、これでは現職の公務員の給与改定実施時期と均衡を失するということであるわけですね。それだけでなしに、衆参における附帯決議の趣旨にも反するし、来年度以降このような措置をとらないことを約束はできるのかどうか。その辺いかがですか。
#171
○政府委員(島村史郎君) 臨調の答申におきまして、恩給費のことにつきましては、「昭和五十七年度においては、」と、こういうふうに、非常に五十七年度という限定づきでございます。したがって私どもも、来年につきましてはそういうことがないというふうに考えて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#172
○中尾辰義君 それじゃことしだけということですな。来年はまたこれは全然考慮に入れない、こういうふうに理解していいですか。
#173
○政府委員(島村史郎君) そういうことがないように努力してまいりたいというふうに考えております。
#174
○中尾辰義君 努力するということで、これは国会答弁としてなかなか理解できにくい点もあるけれども、次に入ります。
 次に、ことしは新規の個別改善はなかったわけですが、昨年の個別改善、つまり長期在職の旧軍人に係る仮定俸給の改善については二号俸アップという積み残しの部分があるわけですが、総理府としてはどのように対処をされるのか。特に来年度に向けての決意なりお考えをお伺いしたい。
#175
○政府委員(島村史郎君) この長期在職の旧軍人の仮定俸給の格づけの是正、いわゆる二号俸アップということでございますが、これは昭和五十六年度に二号俸アップをやりまして、引き続きさらに二号俸アップということでございますが、五十七年度におきましては、臨調の答申で「新規の個別改善は行わない。」と、こういうことでございましたので、この「新規の個別改善」という解釈でございますが、これにつきましては、要するに制度的なものは改善はしないという解釈でございまして、量の増加というものと、制度的な恩給の仕組みを変えて要するに改善をしていくという、この二つがあるわけでございますが、その仕組みを変えて改善をしていくということについては、この臨調の答申によりまして五十七年度はやらないということでこれを見送ったわけでございますが、五十八年度については、これを実施すべく私どもも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#176
○中尾辰義君 そうしますと、来年は実施するということですね。そういうことで理解していいですか。
#177
○政府委員(島村史郎君) 実施するように努力をしてまいりたいということでございます。
#178
○中尾辰義君 次に、恩給年額計算の基礎となっておりまする仮定俸給年額の増額につきましてお伺いしたいんですが、これは公務員給与を回帰分析した結果に基づく調整指標によって増額を行っているわけですけれども、この仮定俸給年額百二十八万円未満について五・五%を引き上げている点が昨年と少し違うわけであります。そこで、この百二十八万という額は何か意味を持った数字なのか、その辺よく私は理解できないんですが、お伺いします。
#179
○政府委員(島村史郎君) 恩給年額のベースアップにつきましては、いま先生も御指摘のように、昭和四十八年度以降は前年度の現職の公務員給与の平均改善率を指標として行っておったわけですが、五十一年度からは公務員給与の水準だけでなく、その改善傾向をも反映させる方式で増額させることにしております。したがって、いわゆる回帰直線を当てはめて実は改善をしているわけでございまして、五十七年度におきましても公務員給与の改善傾向を分析した結果が四・五%プラス一万二千八百円という回帰方程式が得られたわけでございます。しかし、分析の対象とした公務員の給与の最高の引き上げ率が五・五%でございますので、この五・五%の接点と申しますか、それの一番交わるところが、いま先生が御指摘になった百二十八万円ということになるわけでございます。
#180
○中尾辰義君 昨年と本年、つまり五十五年度と五十六年度の回帰線の資料、これを見てみますと、アップ額の分布率はほぼ同じ形を示しているのに、下の方は本年の場合、つまり五十六年度の場合は上げ幅を抑えた形になっている。五・五%ということになっていますね。もし、昨年と同じ方式をとるならば、この兵の仮定俸給二十一号俸は年間九十一万六千七百円、六%アップ、こういうふうになるわけです。そこで、公務員関係の扶助料、傷病恩給、普通恩給、こういうおのおの改善にもろに響いてくるわけでございまして、これでは恩給年額計算の基礎となる仮定俸給の下の方を抑制するのは、いわゆる上の方が薄く下が厚い上薄下厚の趣旨にもとるんじゃないか。それと臨調だの財政だの、いろいろおっしゃったけれども、結局はこれは恩給受給者側に立つというよりか財政当局の側に回った姿勢、こういうふうに言われても仕方がないわけですが、この辺はどうお考えなのかお伺いしたい。
 と同時に、昨年方式をとった場合に、仮定俸給の引き上げ等に要する経費はどのくらいふえるのか、その辺あわせてお伺いしたい。
#181
○政府委員(島村史郎君) 公務員給与のベースアップの率は、私どもは本俸を使っておりますので、平均アップ率が五・〇%、これの公務員給与の分布を見ますと四・四%から五・五%の範囲に散らばっておるわけでございます。それで、公務員給与の今度の改善の実態を見ますと、五・五%というのは要するに中位クラスの――中位といいますか、真ん中クラスの階級のところに実は当たっておるのでございます。したがって、こういう丸型の曲線になっておるわけでございますが、これを要するに直線回帰方程式を当てはめましたために、私どもとしては必ずしもこれが下に薄くなっているとは実は考えておりません。ただ、いま申し上げましたように、五・五%でとめておりますので、先生の御指摘のように、もしそれを無限に延ばした場合に一体どうなるかということでございますが、約十億円ぐらいになると思います。
#182
○中尾辰義君 十億程度なら、これはまあ聞いてもむだかもしれませんけれども、昨年方式をとってもそう財政に響くというようなこともなかったのじゃないかと思うわけです。
 時間がありませんので次へいきますけれども、次に五十六年度の公務員給与改善において、いわゆる管理職手当二〇%以上を支給される管理職公務員の給与が積みおくれたことでありますが、それから仮定俸給年額四百十六万二千四百円、つまり六十六号俸以上の者に給する普通恩給につきましては五十八年三月まで増額分の三分の一を停止すると、こういう厳しい措置をとっているわけですけれども、六十六号俸以上に限った理由は那辺にあるのか。それと三分の一停止するということですが、その理由とそれから停止をされる対象人員、どのくらいあるのか、この三点につきましてお伺いします。
#183
○政府委員(島村史郎君) 恩給のベースアップは公務員給与の改善を基礎として行っておるのでございますけれども、五十六年度の公務員給与の改定におきましては、管理職以上の給与が五十七年の三月まで一年間要するにベースアップが凍結されたということを考慮いたしまして、恩給におきましても、現職公務員の管理職以上に相当するということで六十六号俸以上というのをとりまして、それの三分の一の停止を実はいたしたわけでございますが、この六十六号俸以上というのは、現職公務員の行(一)の三等級の最高号俸を超える人でございまして、大体いまさっきもお話がございました二等級の相当、十三号俸とか何とかという方になるわけでございます。それから一方、軍人の場合につきましては、大体少将以上の階級になるというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございますが、これらの方について抑制措置を実は講じたわけでございます。
 それから三分の一を停止する理由は、いま要するに現職公務員の管理職の方は全額支給停止になっておるわけでございますけれども、結局恩給公務員の方は、非常に、六十六号俸とはいいましても恩給費が年間約二百万とか三百万ということでございますので、そのベースアップ分の三分の一だけ、全額ではなくして三分の一だけを要するに停止をしたということでございます。
 その停止の該当人員は約六千九十名でございまして、節約額は約一億四千万ぐらいになるというふうに推計をしております。
#184
○中尾辰義君 ですから、全額じゃなくしてあなた、三分の一停止したというんでしょう。三分の一に何か意味があるのか。それとも財政の結論から、それにつじつまを合わせるために三分の一という数字を掛けたのか、どういうことですか。その逆算的計算をしたのか、よく大蔵省がやるんですよ、数字いじりでね。なかなかあれは理解できないですね。お金が足らぬからこういう計算をして、何か何分の一掛けて、それから百を引くとか、あれは普通の常識じゃわかりにくいんですよね。結局これだけお金が足らないから、これに合わせるためにどういう計算をしたらぴしっと合うかと、こういうようなことをやっていてなかなかわかりにくいんですね。まあ小理屈を言うかしりませんけれども、三分の一というのはどこから出た数字なのか、どういう点を考慮してこうなったのか、いかがですか。
#185
○政府委員(島村史郎君) これは、別に私どもも正確な根拠があるわけじゃございませんで、いまさっきも申し上げたわけでございますが、昭和四十四年にそういう三分の一の停止をしたことがございます。そういうことから、大体私どもも三分の一の停止でいいのではなかろうかということでしたわけでございます。
#186
○中尾辰義君 余り明確な答弁じゃありませんな。大体お金不足に対するつじつま合わせみたいな感じもするわけですね。
 それで、あなたがいまおっしゃったように、この三分の一を停止した場合に一億四千万ぐらいの額になると、こういうふうにおっしゃったわけですが、これなんかもいまあなたがおっしゃったように、年間二、三百万といったら月に二十万程度ですな。わずか一億四千万程度であれば、これはもうこういうことは弱い者いじめじゃないか、こういう感じもするんですが、そこら辺はどうお答えになりますか。
#187
○政府委員(島村史郎君) 私どもはそういう弱い者いじめということでは必ずしも考えたわけではございませんが、そういう現職の公務員の管理職以上の方が一年間ベースアップが全額要するに停止になっている。そういう精神というものの反映を何らかの形ですべきではないかということで、今回そういうふうに、普通ですと課長職でありますものをさらに上へ上げて考慮をし、さらに現職公務員ですと全額のものを三分の一まで要するに削減をいたしまして配意をしたつもりでございます。
#188
○中尾辰義君 それじゃ次にお伺いしますが、普通恩給の最低保障額の改善について、この改善の方法は昨年と違っておるわけですけれども、昨年は二段階方式をとっておるんです。ところが、ことしはそういうことじゃないわけでして、一段階だけでございますけれども、これはどういう理由に基づくのかお伺いしたい。
#189
○政府委員(島村史郎君) 普通恩給の最低保障につきましては、いままでこれ、過去一、二年厚生年金の方式に準じた算式を使いまして実は計算をしてまいったわけでございます。いままでは、最初は公務員のベースアップの率で四月からベースアップをし、さらに七月なり八月から厚生年金に準じました算出方式を用いましてその額を実は上げてまいったわけでございますが、この算式におきましては物価指数を実は使っておるわけでございまして、物価指数が定額部分と報酬比例部分の中の定額部分に掛けられることになっておるんでございますが、この定額部分に掛けます物価指数が非常に低い場合には、全体の金額が低く出てまいるのでございます。
 それで、五十七年度につきまして、要するに五十六年度の物価指数というものが非常に低く出ておりまして、現在推計されておりますのが約四%ということでございます。そういたしますと、これを計算いたしますと若干低く出てまいるのでありまして、したがって、普通恩給の最低保障を五十七年度につきましては従来方式でやった場合には五・五%のアップ率よりも低く出てくるものですから、したがって私どもとしては、今回はそういう方式をとる必要はないし、またそれをとるということは恩給公務員のためにもよろしくないということで、今回それを採用しませんでした。その結果、今回はそういう一段階方式の引き上げになっておるわけでございます。
#190
○中尾辰義君 次に、公務扶助料の最低保障額を五月から五・五%引き上げて、さらに八月から年額二万一千円を上積みし、遺族加算九万六千円を含めて百三十二万円、つまり月額十一万、こういうことにしているわけですけれども、この月額十一万はどういう根拠があるのか。それと、特に八月から上積みをしている二万一千円、これはどういう意味があるのか、お伺いをしたいと思います。
 この上積みの額は五十五年度が八万五千円ですよ。五十六年度は五万二千円になっております。そして本年度は二万一千円と、大きく動いて少なくなっているんですね。この辺がわれわれとしては、上積みの額というものは何によってこれは上積みされるのか、どういうものを根拠にしているのか非常に理解がしにくいわけです。やっぱり一つの方針なり方式を持って改善していくべきじゃないかと、こういうふうに考えるのですが、その辺いかがですか。
#191
○政府委員(島村史郎君) 戦没者遺族に支給されます公務扶助料につきましては、かねてから要するに恩給が再出発しましてから、他の恩給とのバランスから受給者の非常に強い要望がございまして、特に五十六年度からは月額十二万円にしてもらいたいという要望が非常に強く出されておるのでございます。これらの遺族の特殊事情も考え、それからさらに私どもといたしましても、他の年金との要するにバランスということも考えますと、われわれとしてはこれの増額を図らなければならないということでございまして、そのために今回五・五%、五十六年度が月額十万三千円でございますので、それに五・五%を掛けますと十万八千二百五十円ということになるわけでございます。しかし、これではまだ少な過ぎるという判断から、今度これを八月からさらに年額二万一千円、月にいたしますと千七百五十円というものを実は上積みをいたしまして月額十一万円というふうにいたしたわけでございます。これのアップ率が六・八%ぐらいになるわけでございます。現在のそういういろいろの諸情勢を考えまして、これを非常に大幅に引き上げるということも必ずしも適当でないということで、十一万円というふうに現在考えて措置をしたものでございます。
#192
○中尾辰義君 ですから、この二万一千円というのはどういう根拠があるのかと聞いているんですよ。上積みというのは年々減ってきているんですな、さっきも申し上げましたように。五十五年が八万五千円でしょう、五十六年が五万二千円、今度は二万一千円。上積みというのは何で決めるわけですか。
#193
○政府委員(島村史郎君) これは要するに、全体の約十一万円というのを最初に決めまして、そして五・五%のアップ率を差し引いて実は決めるわけでございます。したがって、この十一万円程度が妥当であるというふうに私どもも判断をいたしまして、この五・五%のベースアップ分を差し引いた額がいま申し上げました二万一千円ということになるわけでございます。
#194
○中尾辰義君 それじゃもう一つお伺いして終わりにしますけれども、増加恩給とか傷病年金の改善につきましては、五月から五・五%増額する、さらには八月から上積み増額を行うというわけですが、各項症、各款症間における上積みのくくり方が昨年とかなり違っておるんですね。この各項症、各款症間における上積みの分は、これをちょっと読みますけれども、増加恩給の方で昨年の一項症が八万、二項症から三項症が七万、四項症から五項症まで六万、六項症から七項症まで五万、こうなっているんですよ。ことしの分は、一項症から二項症までが三万、三項症から四項症までが二・五万、五、六が二万、七で一万五千円と、こういうふうになっているんですね。それで間違いないと思いますが、こういうふうに昨年と項症間のくくり方が低くなり、くくり方が違っているというのは、これはどういうわけでしょうか。
#195
○政府委員(島村史郎君) これは実は昨年、昭和五十六年度につきましてはベースアップの部分が低くて、そしてこの上積み額が多くなっておるんでございます。五十七年度につきましては、逆にベースアップ部分が多くて、そしてこの上積み部分が少なくなっているということでございまして、トータルの金額でまいりますと、それほどの差というものは実はございません。いま先生がおっしゃられましたように、一項症で申しますと確かに五十六年は上積み額が八万円、それから五十七年度は三万円ということでございます。しかしながら、五十六年度と五十七年度の第一項症の総額としての引き上げ額を比較いたしますと、五十六年は二十四万七千円、五十七年度は二十三万五千円ということでございまして、ここの上積み額の差ではないわけでございます。要するにベースアップの部分とそれから上積み額と、こういうふうにあるわけでございますが、ベースアップの率が年によって変動してまいります。したがって、この上積み額の方もこうやってその年によって変動していく、こういうことになっておるわけでございます。トータルとしては余り変わっていないと、こういうことでございます。
#196
○委員長(遠藤要君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、次回は四月二十日午前十時開会することとして、散会いたします。
   午後三時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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