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#1
第096回国会 内閣委員会 第8号
昭和五十七年四月二十日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     板垣  正君     初村滝一郎君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     板垣  正君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     増岡 康治君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     林  寛子君     梶原  清君
     増岡 康治君     高平 公友君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                片岡 勝治君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                梶原  清君
                源田  実君
                高平 公友君
                竹内  潔君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                山内 一郎君
                野田  哲君
                矢田部 理君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       田邉 國男君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       石川  周君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       人事院事務総局
       給与局長     斧 誠之助君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    海老原義彦君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   柳川 盛顕君
       総理府恩給局長  島村 史郎君
       総理府統計局長  永山 貞則君
       外務大臣官房審
       議官       藤井 宏昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       外務省アジア局
       中国課長     池田  維君
       厚生省援護局業
       務第一課長    森山喜久雄君
       郵政省貯金局第
       二業務課長    塚原  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、岡田広君が委員を辞任され、その補欠として増岡康治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(遠藤要君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○峯山昭範君 先日の委員会におきまして、すでに恩給問題につきましてずいぶん質疑が行われておりますので、できるだけダブらないようにして私はきょう質問したいと思っております。
 まず、今回の法案が成立いたしました後の問題について少しお伺いしておきたいと思います。
 今回、この法案に対して修正案を出そうというふうに私たち野党は思っておるわけでありますが、その案が通るかどうかわかりませんが、いずれにしましても、今回法案が成立しましていわゆる普通恩給のベースアップを初め公務扶助料ですか、それから傷病恩給、こういうふうな恩給が増額になるわけでございますが、実際問題として証書を書きかえたりいろいろな事務手続があると思いますが、その事務手続が終わって、そういうふうな証書とか、これだけになりましたよというものが受給者の手元に届くのは大体いつごろになるのか、この点をちょっと初めにお伺いしておきたいと思います。
#5
○政府委員(島村史郎君) 恩給の支給は、大体一年間を四期に分けて払っておるわけでございまして、七月それから十一月、一月、四月というふうに四回に分けて支払っております。したがいまして、今回の御審議いただいております法律案が成立した暁の最初の支払いの時期は七月になるわけでございます。
 それで、私どもといたしましては、この改定事務の処理を早くやりまして、そして改正法案が成立されました暁には一日も早く新しい証書が受給者のもとに届くようにしたいというふうに考えておりまして、現在いろいろ作業をいたしております。
 それで、新証書をつくりまして、それを五月から私どもは発送したいということで現在準備を進めておるところでございまして、五月から逐次、これは郵便局から支払いますので、地方貯金局へこれを送付いたします。七月には、大体半分ぐらいの方については、何と申しますかベースアップ分についてのものが支給できるのではなかろうかというふうに考えておりまして、それ以外の方についてもなるべく新証書を早く交付いたしまして、早く手元に届くように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#6
○峯山昭範君 局長、恩給といいますと、やっぱりとにかく手続の長い、遅い、本当に手間のかかる、そういう感覚がわれわれの頭の中にポッとあるわけですよね。局長おっしゃるように、四、五、六月分が七月ですね。そうしますと、これは半分ぐらいは七月中に着くということでございますが、最終的にはどこら辺までかかるんですか。
#7
○政府委員(島村史郎君) 最終は九月ぐらいに若干かかるんではないかというふうに考えております。
#8
○峯山昭範君 ですから、九月といいますと、これは五月から作業を始めて、もう五、六、七、八、九と五カ月もかかるわけですね。これは大臣もお聞きしておいていただきたいんですが、恩給証書というのはいまでも手書きですね、そうですか。
#9
○政府委員(島村史郎君) 一部手書きでございますが、現在機械化を進めておりまして、機械によって要するに書くようにいま努力をしております。
#10
○峯山昭範君 一部手書きとおっしゃっていますが、昔はほとんど手書きだったですね。それで、こういうふうな問題は当然コンピューター化して、それで機械化してやれば、もう少し早く私は手続ができるんじゃないかと思うんですが、実際問題としてはどうなんですか、手書きはどのくらいあるんですか。
#11
○政府委員(島村史郎君) 現在百四十万件ぐらいが手書きでございます。
#12
○峯山昭範君 これは百四十万件が手書きと。延べどのくらいかかるんですか、何人の人がどのぐらいの時間かかって手書きをやっているんですか、これ。
#13
○政府委員(島村史郎君) ちょっといま一日当たりの能率を承知しておりませんが、恩給局におきましては、非常勤職員を雇いまして、要するにこの時期集中してその作業を進めておるわけでございます。
#14
○峯山昭範君 これは、コンピューター化という問題が私はあると思うんですね。少なくとも政府は、これだけコンピューターが発達していわゆる事務処理が能率化されているにもかかわらず、これは総理府だけじゃないんですね、そのほかのいろいろな省庁が全部ばらばらのコンピューターを購入して、本当にもう少し統一された事務処理能力というのをアップするのが当然私は必要だと思うんですよ。そういうふうな意味で、百四十万件というこれを手書きする、それは五カ月かかるわな、そんなことをしたら。やっぱり合理化されるべきところはちゃんと合理化して、そしてその残った職員あるいはそういうふうな予算をまたよそへ回すということも考えられますし、またコンピューター化の方が初めは高いかもわかりませんが、これは当然合理化される面だと私は思うんですね。そういう面からいきますと、実際問題としては最終的には機械化しようと思っていらっしゃると思うんですが、その機械化される予算あるいはその期限、これはどういうふうに考えておられますか。
#15
○政府委員(島村史郎君) このコンピューター化は、五十五年から始めまして一応六十年度で終わる予定でございます。
#16
○峯山昭範君 これはやっぱり遅々として進まないという感じがしますね。もう少し大臣もうんと力を入れていただいて、機械化の推進に力をいろんなところで発揮していただきたいと同時に、機械化を導入する場合に、各省庁とのコンピューターの導入の仕方という問題も大きな問題だと私は思うんですね。こういう点も十分御配慮いただきたいと思います。この点は要望として申し上げたいと思います。
 それからもう一点、恩給の事務手続のおくれという問題ですね。これはいろんな問題についてあるわけですが、特に軍人恩給についての審査のおくれというもの、これはもう本当に私たちいろんな相談を受けておりまして、大変多いわけです。特に、いわゆる加算年を、何というのか実在職年と同様に基礎在職年に加算するという措置というのがこの間ありましたですね。これは昭和五十四年の改正で、六十歳以上の人ということでこの加算年が金額計算されるというふうになったわけでありますが、戦後三十数年たちまして、特にこの高齢者の優遇措置ということでこういうふうな処置がとられたわけでありますけれども、実際問題としてはその事務手続が非常に遅いために、申請があってから認められるまで大体おおむね二年近くかかると、こういうふうに私は聞いているわけです。
 現実に私の手元にもこういうふうな陳情みたいなのが来ているわけですが、それによりますと、府県のいわゆる援護課ですか向こうに申し入れをいたしまして、それでその申請の手続に行きますと、もう大変なんですよ。要するに、これは厚生省の援護局で大体十カ月かかります、まずもうそこでぽんと言われるわけですね。そして、それから恩給局に書類が回って、まあ早くても四カ月、早くてもですよ、そういうふうに言われるわけ、実際問題として。そして、大体それぐらいの期間がかかることはもう初めから御承知願いたい、こうおっしゃるわけですね。
 確かに、個人個人の軍歴とかいろんな問題を詳細調査しなければいけませんから、大変めんどうな事務であるということは私はよくわかるわけでありますが、そういうふうに申請される方々はもう大変な高年齢になっているわけですね。そういうことを配慮いたしますと、本当に二年という期限というのは非常に長く感じる場合があるわけです、これは早くて二年というわけですから。そういうふうな意味では、先ほどから問題になっております機械化という問題が相当大きな問題にもなってくると私は思うんですが、こういう点を十分配慮していただきたい、こういうふうに思うんですが、どうですか。
#17
○政府委員(島村史郎君) 私どももそういうことで十分配慮してまいりたいと思います。私どもも、要するに恩給公務員の方のことを考えれば、一日も早くそういう事務処理をやりたいというふうに考えております。
#18
○峯山昭範君 それでもう一つ、ちょっと皆さんと余り関係ないかもしれませんが、多少聞いておいていただきたいわけですが、恩給関係といいますと、軍恩連にしましても何恩給連盟にいたしましても、選挙になりますと大体一部の政党を一生懸命応援するわけですね。そこでいつも言われることは、野党がこれに反対したからこうなったというふうにしょっちゅう言われるわけです。いや、そんなことはないわけですよ。われわれは一生懸命やっているわけですが、そう言われるわけです。今国会はちょっと違うわけですな。われわれは、これから他の野党の皆さんと一緒になりまして、この支給のベースアップも四月実施にせいと、こういま一生懸命言っているわけであります。実際は法案は五月実施になっておるわけです。自民党の皆さんからは五月実施せいという声はありませんでしたか。
#19
○政府委員(島村史郎君) 自民党の先生方からは、別にそういう特に五月実施しろという話はお聞きした記憶はございません。
#20
○国務大臣(田邉國男君) この問題につきましては、予算査定、申請の際にいろいろと議論がございまして、どうしても四月をやるべきだという強い要望がございました。しかし、財政事情等その他いろいろございまして、なかなかこの問題がうまくいかなかったという経過がございます。この点はたしかこの内閣委員会でも答弁をした経過があると思いますので、さように御理解をしておいていただきたいと思います。
#21
○峯山昭範君 これはちょっとはっきりしておいてもらいたいんですが、この法案が通りまして、こういう恩給の皆さん方の会合へ行きますと、私たちは四月実施を言ったんだと、だけれどもどうしてもだめだったんだという話が出てくるわけです。それで、だんだん聞いているうちに、何となく野党が反対したみたいな話になってくるわけです。それじゃちょっとおかしくなるので、この際はっきりしておきたいんですが、私はその会合へ行ってきょうの答弁を読まなければいかぬから、どうしても一遍。
 これは要するに、これから野党は、この五月はいかぬ、四月実施にせいという修正案を出すわけです。そのときに、自民党の皆さんが賛成してくれれば野党の案が通るわけです。きょうはうれしいわ、本当に。そういうような意味では、これは大臣が何と言おうとやっぱりはっきりしておいていただきたいわけですよね。そこを何となくごまかすように大臣はいまおっしゃっているわけですが、自民党の議員さんの中でやっぱり絶対四月実施せいという声が強ければ、そうなるわけですよね。ですから、そこら辺のところをこれはもう一回大臣、修正した方が――大臣にも感想を後で求めて、修正案に対する所見をおっしゃっていただかなければいかぬわけですから、大臣もやっぱり四月実施ということがいいんじゃないですか。この際はっきりしておいてください。
#22
○国務大臣(田邉國男君) この恩給のベースアップを一カ月従来より繰り下げる、この点については、私どもはやはり四月から実施をしてもらいたい、こういうことで強く要請をした経過がございます。これは、もちろん責任政党であります自由民主党においても、この点については強い要望があったわけです。私どももこの点について政府に強く要望をした経過があるのでございますが、実は公務員の恩給については、従来、五十二年以降は四月実施をしてきたと、しかし今年度は大変な財政事情窮乏の中でどうしてもこの恩給の四月実施は不可能である、こういうことでございます。また同時に、臨調においても第一次答申において、恩給費の増額を極力抑制をせよという指摘も受けました。ですから、かつて前例のない実は厳しい財政事情の中でやむを得ない措置として、五十七年度は恩給のベースアップの実施時期というものを他の公的年金のスライド実施月と実は横並びで一カ月ずらすということになったわけでございます。私どもは、これは予算査定の際にも二回にわたって実は折衝の結果、やむなくこういう結果になったんだということを御理解をしていただきたいと思います。
#23
○峯山昭範君 これは余り押し問答してもしようがありませんけれども、はっきりしておきたいんですが、簡単にお答えいただいて結構なんです。
 結局、反対している人は、総理大臣と大蔵大臣と総務長官と、それから臨調と、これだけですか。そういうことですな。
#24
○国務大臣(田邉國男君) 法案というのは閣議で決定をいたしまして提出をするものでございますから、やはり内閣全体でこの責任を負ってやるということだと私は思います。
#25
○峯山昭範君 大臣は皆自民党の議員さんばかりですから、いまの総理大臣を初め自民党の皆さん一人一人が全部反対ということですな。
#26
○国務大臣(田邉國男君) 私どもは四月実施をしたい、こういうことでございますけれども、私は、給与担当大臣として当然これを四月実施をしたいという、こういうことでございますが、日本の財政事情というものがどうしてもこれを許さない状況にあるということで、やむなくこういう一カ月繰り下げということに相なったと、こう御理解をしていただきたいと思います。
#27
○峯山昭範君 こんなことばかりやり合っていても仕方ありませんし、よく事情はわかっておりますけれども、総務長官はそれじゃ除くんですな。総務長官は四月実施と思っていたけれども、ほかの人が言うのでしようがないと、こういうことになってくるんですけれども、しかし大体中身は明らかになってまいりましたからもうこれ以上この問題については言いませんが、いずれにしても後ほど修正案を提出したいと考えておりますので、よろしく大臣の御所見を明確にお伺いしたいと思っております。
 それから、いろいろとあるんですが、次に恩給の裁定事務の手続の問題ですね。これも私たちが地方の行政監察局の皆さんのところにお伺いをいたしまして、あるいは行政相談等へ参りますと、恩給あるいは社会保障関連の相談が一番多いわけですね。しかもそういうような中で、特に何といいますか恩給局長に対する、いろんな権利を侵害された、あるいは異議の申し立てあるいはいろんな問題が出てくるわけですけれども、手続上はちゃんとなっているわけですね。一応異議の申し立てに対しましても、不服の人は内閣総理大臣に審査請求ができることになっておりますし、またいろんな手続が全部決められていますね。しかし、実際問題としてこれはもう戦後長い間たってまいりましたし、特に軍人恩給についてはもう戦後四十年近くたっていますけれども、軍人恩給そのものがもう三十年ですね、正味。そういうような中で、だんだん年月が過ぎるに従って、そういうような関連の異議申し立てというのは少なくなってくるのは当然だと私思うんですけれども、最近、異議申し立てとかあるいは審査請求ですね、こういうようなのは年間どのくらいの数が出てきているのか、一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#28
○政府委員(島村史郎君) まず、異議の申し立てでございますが、これが昭和五十六年で大体一千件でございます。五十五年が約八百件、それから五十四年が九百件でございまして、八百件から九百件、一千件の間に大体いまあるというふうに考えられます。
 それから審査請求につきましては、五十六年が三百八十件、それから五十五年が三百九十件、それから五十四年がちょっと少ないんですが二百二十件と、こういうことでございます。
#29
○峯山昭範君 この審査請求ですね、こういうような手続はいままで滞留している部分がどのぐらいあるんですか。
#30
○政府委員(島村史郎君) 異議の申し立てにつきましては、これはほとんど滞留はしておりません。ただ、審査請求につきましては、恩給審査会にかけましたりいろいろさらに審査いたしますので、これは時間がかかりますのでわりに滞留しておりまして、現在六百件から七百件ぐらい滞留しておるんではないかというふうに考えております。
#31
○峯山昭範君 これは、先ほど申し上げましたようにできるだけ早く手続できるようにやっていただきたいと思っております。
 それで次にもう一点、特に都道府県における恩給関係を取り扱う事務職員ですね、こういう方々のいわゆる教育訓練といいましょうか指導ですね。これは恩給局としてどういうふうにしていらっしゃるのか、これちょっと一遍お伺いしておきたいと思うんです。といいますのは、最近恩給事務を取り扱う職員の皆さんというのは、いわゆる戦後生まれの方が多いでしょうし、全く軍隊なんて知らぬわけですね。実際問題として二等兵と一等兵とどっちが偉いかなんて言われて、これがわかる人はほとんどいない、そういう人ばかりですね。また伍長とか軍曹とか言われましてもこれはほんまにわかりませんし、ですからそういうふうな人たちばかりになっているわけですが、そういう人たちが実際問題としてこの軍人恩給の、しかも戦地加算とかいろんなむずかしい難解な恩給事務を扱っているわけですね。こういう人たちに対する指導とかあるいは実地訓練といいますか要するに教育ですね。こういうのはどういうふうに実施しているのか、この点ちょっと一遍お伺いしておきたいと思います。
#32
○政府委員(島村史郎君) 一つは、研修会と申しますかそういうものを毎年やっておりまして、普通ですと、昭和四十一年以降大体十月に各都道府県のそういう担当者を百五十名ばかりずつ集めまして、そして研修をやっております。私も昨年恩給局長になりましてこの研修会に出席をしたわけですが、非常に皆さん熱心に研修をやっておられました。それで、そういう成果を踏まえまして、本年度からはさらにこれを二回に分けて実施をしようかということで考えておりまして、いま先生が言われましたように非常に経験の浅い、軍事知識のない方がおられますので、そういう人を対象に六月ぐらいには研修をやり、十月にはある程度そういう仕事に慣熟された方についてさらに深い知識を与えようということで研修をやっておるわけでございます。
 それからさらに、この改正法案が御審議いただきまして参議院を通過いたしますと、私どもとしては六月ぐらいには各都道府県の担当者をブロック別に集めましてブロック会議をやります。ブロック会議でいろいろ個別の相談を事務担当者とひざを突き合わせて実施をしてまいりたい、相談等も受けてまいりたいというふうに考えておりまして、そういうことでブロック会議あるいは研修会等を通じましてそういう職員の資質の向上ということをいま図っておるところでございます。
#33
○峯山昭範君 そういうふうな事務手続をスムーズにするために、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから次の問題としまして、いわゆる恩給と戦後処理の問題であります。特に今回、今年度の予算に戦後処理問題懇談会検討経費というのが計上されております。この問題は非常にわが委員会といたしましても大事な問題でありますので、いろいろとお伺いしたいと思いますが、もともと戦後処理問題懇談会の発足は、従来の政府の国会答弁をずっと調べてみますと、政府としての立場は、昭和四十一年の特別交付金の支給をもって戦後問題は終了したというのがあるわけですね。これが大体基本的な姿勢になってまいったわけでありますが、やはりこの問題について再検討の余地があるということを認めたということ、この懇談会が発足するということはそういうことになるわけですが、この点についてはどうお考えでございますか。
#34
○政府委員(石川周君) 戦後処理問題懇談会の設置につきまして五十七年度予算で五百万円の予算をお認めいただいて、ただいまその準備中でございますが、御質問は、それが政府の従来の姿勢、考え方を変えたのかという御質問かと存じますが、私ども政府の立場はどうかと聞かれれば、従来から何度も申し上げておりますように、戦争損害というものを完全に償うことは実際上不可能でございまして、国民の一人一人にそれぞれの立場で受けとめていただかなければならない。そして、ただ戦没者の遺族とか戦傷病者あるいは生活の基盤を失った引揚者など、一般の国民と異なりまして特別な施策を必要とする方々につきましては援護等の措置を講じてきておりまして、これまで講じてまいりました一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終わった、こういう政府の従来の考え方には変更はございません。いま御質問ございますれば、戦後処理問題を見直しを行うことは考えていないとお答え申し上げざるを得ないわけでございます。
 ただ、一方におきまして、一部に見直しを行うべきであるという強い御要望のあることも事実でございます。そこで、政府としましては民間有識者による中立、公正な検討の場を設けまして、この問題をどのように考えるべきか御検討していただき、その考え方を承ることにいたしたいと、こうしたものでございます。
#35
○峯山昭範君 これは要するに、政府としては何を考えているわけですか、これ。どういうことを考えているわけですか。
#36
○政府委員(石川周君) ただいま申し上げましたように、戦後処理問題というものにつきましてどのように考えるべきかということの民間有識者の意見を承るということでございます。
#37
○峯山昭範君 われわれの受け取り方としては、昭和四十一年に恩給審議会というのがありましたですね、四十一年だったですかね――そうですね。それで四十三年ですか、あれ恩給審議会から答申が出ましたですね。その答申に基づいて恩給法というのが改正になりまして、その答申が法律に反映をされたということがあるわけですが、その後、実際恩給局としては第二、第三の恩給審議会はつくらない、そういうふうな考えでまいりましたですね、実際問題として。それで、その後出てまいりました問題については、その都度個々の問題として審議し、検討し、対応してきたわけですね、いままでは。そういうような点からいきますと、いまのこの戦後処理問題懇談会というのは、第二の、あるいは第三のいわゆる恩給審議会にかわるようなものではないのかと。内容的には大分違うんですか。
#38
○政府委員(石川周君) 私、恩給の方を所管しておりませんので若干そちらの方の事情は疎いわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、戦後処理問題懇談会でお願いしようとしておりますのは、非常に幅広い一般的な戦後処理問題と言われるものにつきまして、この時期にどのように考えたらよいかという包括的な問題として御検討、御議論をお願いいたしたいと、こう思っております。
#39
○峯山昭範君 これは結局、この懇談会は大臣の諮問機関ですか。
#40
○政府委員(石川周君) 法律的な意味で正式に諮問機関かと言われれば、そうではございません。大臣、総務長官のいわゆる私的諮問機関と称しておりますが、その法律的な意味は、有識者の一人一人のお考えを参考として承らせていただきたいという趣旨のものでございます。
#41
○峯山昭範君 それが問題なんですよね。審議室長は一生懸命一人一人の御意見をなんて言うていますけれども、それが問題なんですよ。要するに、そういうことを言いながら、いわゆる内閣委員会におけるあるいは立法府における審議権を奪ってしまうわけです。そういうような意味では、これはどうして私的諮問機関にするんですか。そういうような大事な問題なら、国の予算を組んでちゃんと五百万も計上しておるわけですから、きちっと立法措置をして、委員の選定についても法律に基づいてきちっとやったらどうなんですか。やっぱり大臣だって、戦後処理問題の懇談会の委員になる人だって、私的諮問機関ということになりますと相当歯どめがありますよ。
 もうきょうは、このことは私の同僚議員も質問されるそうですから余り詳しく私突っ込みませんけれども、やっぱりやるからにはきちっとした委員会にしてやった方がいいんです。大臣もいいんですよ。何でかというと、一人一人御意見をお伺いしてなんて言うたって、権威も何にもないんです。大臣が勉強するだけなんです。そうじゃなくて、やっぱり私的諮問機関なんていうのに国の予算を組んでやるというのはおかしいんだ、ほんま言うたら。国民の税金を使ってやるからには、きちっと法律に基づいてやってもらいたい。大臣の私的な諮問機関ならポケットマネーでやってもらいたい。いや、ほんまですよ、これ。そういうふうになっておりますね、本当は。厳密に言えばそうなんです。
 ですから、そこら辺のところはやっぱり審議室長、ちゃんと法律をつくったらどうですか。恩給審議会だって二年間か三年間の時限立法だったでしょう。そういうふうにした方がいいんです。内閣委員会を所管する総理府としてはそうした方がいいんです。そうでないと、やっぱりわれわれはもっと深くいろんな面から議論をしても、これはもうどうしようもありませんね、ほんま。そういうふうに私は考えるんですけれども、まだ正式にスタートしたわけでもないし、私的諮問機関ということになりますと、いわゆる謝金をどうするかという問題、あるいは本人に対して委嘱する場合に委嘱状はどうするかという問題、委嘱状を書いて持っていってもいかぬなんていうことになるんですよ。電話、レポートをお願いして、時たまぽっと来てもらってやる、こんな権威のないものになりますよ。国の予算を使ってやってもらったら困るんだよ、そんなのに。やっぱり正式の諮問機関にすれば、答申を出してもらって、全体の意見としてまとめて出してもらっていいわけですから、われわれはこういうようなものをやめておけと言うているのと違うんです。必要なんですよね、これが必要でしょう、実際問題として。それならやっぱりきちっとした手続を踏んでやった方がいいと。いま法律がそうなっておるわけですからしようがないわけですよ、これは。
 ですから、そういうふうな基本的な考え方に立ってこの問題について処理をしていただきたいと私は思うんですけれども、これはどうですか。
#42
○政府委員(石川周君) 行政機関が一般的に当面するいろいろな問題につきまして臨機に有識者の方々の御意見を求めて行政施策に反映してまいりたいという、そういうことは一般的にいろいろな形であり得ると存じます。一人一人、たとえば総務長官が総務長官室に一人どなたかおいでいただいていろんな問題の御意見を承るという形もありましょうし、二、三人同じような方々と御懇談をするということもございましょうし、法律に基づいて審議会、調査会というものを設けて承る場合もありましょうし、いろいろな形があり得ると存じます。
 この戦後処理問題懇談会につきましては、いろいろな御議論があった結果、こういう私的な懇談会という形で御意見を承ろうという判断になったわけでございます。ただ、この場合私的なと申し上げますのは、全くプライベートという意味ではございません。法律に基づかない総務長官が個別にいろいろな御意見を承ろう、そういう趣旨のものと理解いたしております。
#43
○峯山昭範君 全然わかっていませんな。審議室長、全然わかってまへんで。何でわかってないかというと、要するにあなたがおっしゃっていることはそのとおりなんですよ。そのとおり、それでいいわけ。われわれが言っていることは全然違うんです。何が違うかということについて、これはまたこれから講釈をすると大分時間がかかるから私はあれですけれども、要するに大臣が識者を呼んで一人一人いろんな意見を聞く、大臣室に呼んで聞く、あたりまえ。そんなことはやっていいんです。やっていいことになっているわけです、そういうことは、いま室長がおっしゃっているようなことは。そうでしょう。
 しかしながら戦後処理というような重要な問題である。恩給審議会のような国としても重要な問題があるわけですね。どうしても必要なんですよ、総務長官としてやらなきゃいけない問題なんですよ。そういうふうなやらなきゃいけない問題あるいは今後どうしても処理しなくちゃいけない問題、そういうような問題というのは、大臣が勝手にどんな人でも選んで来てもらって、その人の意見を大臣の頭の中へ詰めてもらって仕事をしてもらっては困るわけですよ。どうしてもやらなくちゃいけない問題という前もって前提もあるわけですよ。そういうようなときには、何でこんな詳しいこと――中身は言いませんが、最近特にあるでしょう、在外特殊機関の通算の問題とか、あるいは従軍看護婦の問題とか、あるいは最近出てまいりました台湾の元軍人の恩給の問題ですね、そういうような具体的な問題がずっとたまってきているわけですね。そういうような問題をやっぱり戦後処理の問題としてきちっと処理をしなきゃいかぬ、そういうような場合には、そういうような問題を処理するために意見を聞くわけですから必ず国の政策に反映するわけですよ。そのときには、やっぱり八条機関に基づいてきちっとした処理をしないといけないわけです。必ず立法府の洗礼を受けて、いわゆるそういうものを設置するからきちっとしたものができるんです。また、その答申にも権威があるわけです。また国の予算を使うのにもそれだけの値打ちがあるわけです、そうでしょう。
 これはあなたがおっしゃっているような、大臣がいろんな人の意見をただ聞くと、要するにこれはいままで私はもっと――これは、この問題については詳細に時間をかけてやるということになっておりますからきょうこれ以上は言いませんけれども、とにかくそういうことで、いわゆるこれは私たちの立法府と行政府との問題なんです。自民党とわれわれとの問題じゃありませんよ。これはやっぱり行政府と立法府の問題です。行政府が全部いわゆる法律で決まっていることをなし崩しにして――法制局長官やみんながはっきり言っていますよ。総理大臣だってきちっと述べていますよ。こういう場合はこうなんだ、こういう場合はこうなんだとはっきりしていますよ。それをいままで――見てくださいよ、私の手元に私的諮問機関というのがいっぱい出ている。この私的諮問機関のもうほとんどが、結局行政府の権限拡大のためにやっていることなんですよ、これ大臣、実際問題として。これはそういうことを踏まえてやっぱりきちっとした方がいいでしょう、大臣、そう思いませんか。
 ただ大臣の知っている人あるいは有識者を呼んで聞けばいい、そういうふうに、何で――それはそれでもいいんです。ある面ではいいんです、自由に聞けるわけですから。けれども、それでは権威がないでしょう。やっぱり三人なり四人なり、十人なりあるいは二十人なり、きちっとした人たちに集まっていただいて、そこで十分検討していただいて、いろいろな議論を出していただいて、そこでレクチュアをしていただいて、そしてそれをまとめたものが戦後処理としてりっぱな方向というふうにまとまっていくのか本当の方向じゃありませんか。室長のおっしゃるのは、大臣のところへ一人一人意見を述べにきてもらって――大臣の頭の中で全部やらなきゃいけませんね、これ。そんなことできまへんで、忙しくて。忙しいでしょう、大臣そんなことではあきまへんで、これは。これはやっぱりきちっとせなあかぬ。審議室長、そうなりますね。――こわい顔をして座っているけれども、ほんまに。それはやっぱりきちっとそうしていただきたいと私は思いますね。これは大臣どうですか。
#44
○国務大臣(田邉國男君) ただいま私的諮問機関の問題が出まして、戦後処理の問題でございますが、総理も昭和四十二年、戦後処理は終わったということを国会で明確に言っております。しかし、一部の国民の中に戦後処理の問題についてはいろいろと論議がある、まだいろいろ問題がある、こういう声が非常に強くなってまいりました。そういうことで、私どもはこの問題に対してやはりどう戦後処理は考えるべきか、こういうことを実は考えましたときに、私の私的諮問機関として、戦後処理はどうあるべきかということを懇談会をつくりまして検討をしてもらうということは必要なことではないか、こういう私どもは判断をいたしたわけであります。したがって今回は、どういうものをどうやるかということを私どもは言うべきでない。この有識者の皆さんが、どれがいわば戦後処理の中で未処理になっておるのか、この問題については、フリーなトーキングをしていただいて、またいろいろの関係の団体の意見も徴してそれに対応をしていく、こういうことが最も適当ではないか、こういう判断のもとにこの諮問機関をつくろう、こういうことに相なったわけでございます。
#45
○峯山昭範君 いや、大臣のいまおっしゃるとおりでいいわけです。それでいいんです。しかし審議室長、違うでしょう、これ。大臣の答弁とあなたの答弁と全然、まるっきり百八十度違いますよ。大臣は、要するに大臣の頭の中で考えるとは一つもおっしゃってない。大臣は、そういう人たちに集まっていただいて検討してもらってと、ちゃんと言っているじゃないですか。あなたはさっきから、一人一人集まって大臣にレクチュアするというみたいな話じゃないですか。違うじゃない、大臣の言っていることと。百八十度違いますよ。
#46
○政府委員(石川周君) 一人一人の御意見を承るという、その場合の懇談会のやり方といたしまして、お忙しい方ばかりでございますので――一堂にお集まりいただくということは考えておりますし、お集まり願うということを前提しないで御説明したというふうに受け取られたとすればそれはおわび申し上げますが、基本的には、懇談会としてまとまった組織としての意見を求めるというそういう性格のものでないということを申し上げたつもりでございます。
#47
○峯山昭範君 もうそれは室長、そう言ったらいかぬので、もうそれは大臣おっしゃるとおり、やっぱり大臣が、こういう重要な問題があるから、そういう有識者の人たちに集まっていただいて、そして一人一人の意見を出してもらっていろいろな議論をする。それで、この問題についてはこういうふうにしたらどうか、この問題についてはこうしたらどうか、やっぱりそのいろいろな意見の中から、大臣がおっしゃいました、国民のいろいろな各界各層の人たちの意見もそこで聞いて、一つにまとめて、そこで全体として、こういうふうな問題とこういうふうな問題はこうしたらどうか、こういうふうな問題はこうしたらどうかと、ある程度の何というかコンセンサスを得て、いわゆる答申なり報告なり、そこまでいかなくても意見としてまとめてもらう、そういうことなんでしょう、大臣かおっしゃっているのは。――うなずいているからそうじゃないですか。
 それは審議室長違うじゃないですか、全然。全く違うでしょう。いままさに大臣がお考えになっている、うなずいていらっしゃるそのことがいわゆる審議会であり、この八条機関なんです。いま大臣がおっしゃっていることを全部しちゃいかぬというのが内閣法制局の見解です、国会でも答弁になっています。だから審議室長の意見のあれと違うんです。これはもうこの問題、あんまりこんなものは議論したってしようがないわ、ほんまに。私は、きょうは恩給法の審議ですからあれですけれども、本当にこういう問題ははっきりしていただきたいんですよね。そうでないとこんなもの通すわけにいかぬで、ほんま言うたら。ですけれども、もう一つどうしてもやりたい問題があるので、これはちょっと飛ばします。
 それから次に、大臣、この間からいろいろ問題になっております台湾人の元日本軍人等に対する補償の問題ですね、これをちょっと一遍、二つ三つお伺いしておきたいと思います。
 これは非常に重要な問題でもありますし、衆議院でも相当議論をされております。それで、何でこんな問題がいままでこういうふうにほっておかれたのかという問題でございまして、非常に遺憾なことだと思っております。
 そこで、先日東京都議会におきましてもこの問題に対する意見書が出ております。もう大臣の手元にも届いていらっしゃると思いますので全部は読みませんけれども、「台湾人元日本軍人等に対する補償に関する意見書」というのがありまして、
  第二次大戦中、多数の台湾の人びとが、日本
 軍の兵士や軍属として戦闘に参加し、戦死負傷
 した。
  戦後、彼らはその意思とは無関係に日本国籍
 を喪失し、そのために、日本人の戦傷病者や戦
 死者の遺族のような補償を受けることなく、三
 十七年間にわたつて放置されてきた。
  去る二月二十六日、東京地方裁判所は、この
 問題について判決を言い渡したが、これによつ
 て、台湾人元日本軍人・軍属の戦死者とその遺
 族並びに戦傷病者に対する補償は、現行法令の
 下では実現が不可能であり、その救済の手段は
 国の立法措置以外にないことが明らかになつた
 のである。
  彼らの多くは、毎日の生活にも困窮している
 と伝えられており、このまま更に放置すること
 は、人道上、信義上、許されることではない。ま
 た、そのような事態は、日本国民の名誉の上か
 らも、遺憾とするところである。
  よつて、東京都議会は、政府に対し、台湾人元
 日本軍人等に対する補償について、早急に救済
 のための立法措置を講ずるよう強く要請する。こういう意見書であります。
 それで、私の手元にも地方裁判所の判決が参っておりますが、この判決の中の特に最後の方のところですが、「原告ら主張の右戦死傷も一種の戦争損害であるというべく、そうした戦争損害について、いかなる範囲、程度の補償をするかは、国の立法政策にゆだねられているものと解するのが相当である。」、こういうふうに判決の中でも述べられております。国の立法政策にゆだねられているということになりますと、これは政府として、われわれ国会としてもこの問題に取り組まざるを得ないわけでありますが、この問題について、特にまず一つは、いわゆる当時日本軍兵士として参加した皆さんはどのくらいいるのか、現実に戦死した人たちはどのくらいいるのか、あるいは戦傷病者というのは現在どういうふうになっているのか、あるいは軍属の数ですね、これはどのくらいあって、どのくらい戦死したのか、現状はどういうふうになっているのか。そこら辺の実情について一遍お伺いしたいと思います。
#48
○説明員(森山喜久雄君) 台湾籍の旧軍人軍属の数でございますが、総数は二十万七千百八十三人でございます。このうち、軍人が八万四百三十三人、軍属が十二万六千七百五十人でございます。これは厚生省が保管しております部隊名簿から拾った数でございます。
 また、戦没者の数でございますが、総数は三万三百四人でございます。このうち、軍人が二千百四十六人、軍属が二万八千百五十八人でございます。
 それから傷病者でございますが、これは残念ながら私の方に資料がございませんのでその数は明らかでございません。
#49
○峯山昭範君 これは、実際問題として厚生省で明らかになっている分がそれだけということでありますが、日本の国としてはどういうふうにいままで対応してきたんですか。
#50
○説明員(池田維君) ただいまの台湾人の元日本軍兵士の補償問題についてでございますけれども、この二月の東京地裁の判決が出ました後、関係省庁集まりまして協議をいたしまして、この人道問題をどういうようにうまく処理することができるのか、どういう方法があり得るのかという角度から検討はいたしました。その後も検討は続けております。それと同時に、欧米各国におきまして同じような補償の問題というものがあったのではないか、その前例についても調べたいということで目下調査中でございます。
 もともと本件の問題につきましては、御案内のとおり、サンフランシスコ平和条約の第四条によりまして当時の日本と中華民国との間で特別取り決めの主題としてこれを処理するということになっていたわけでございます。しかしながら、その後一九七二年に日本と中国との間の外交関係ができまして台湾との間の外交関係がなくなったということによって、外交チャンネルを通じてはこの問題を解決するということはできなくなったという事情があるわけでございます。それからまた、この台湾人の元日本兵の補償要求につきましては、当然のことでございますけれども、同じように日本国籍をかつては持っていたけれどもサンフランシスコ平和条約の発効によって日本国籍を喪失した地域の人たち、つまり朝鮮半島の人たち、あるいは、日本と台湾との間でも全般的な請求権問題というものは解決されておりませんので、そういった全般の中での関連性というようなものもございまして、そういうことからなかなか解決がむずかしいということで、検討は続けておりましたけれどもいまだに未解決のままになっているわけでございます。
 しかしながら、外務省といたしましても、それから日本政府全体といたしましても 人道上の問題であるということで、今後ともどういう方法があり得るのかということにつきましては誠意を持って検討していきたいという態度で臨んでおります。
#51
○峯山昭範君 いろいろ課長さんおっしゃっていますけれども、要するにほっておいたわけですな。あなたの答弁を聞いていましても、この二月の判決があって初めて気がついてやったんでしょう、これは結局は。いまあなた、七二年中国との正常化があって台湾との国交が断絶したからとおっしゃっていますけれども、それまでだって、国交がちゃんとある期間だって二十何年あるじゃないですか。
#52
○説明員(池田維君) 国交が当時の中華民国との間にありましたときには、ただいま申しましたように、サンフランシスコ平和条約の四条に基づきまして特別取り決めの主題にするという規定がございましたので、これを受けまして、当時の日華平和条約の中にも特別取り決めで相談するという規定がございました。それで、この問題につきましては、日本政府が当時中華民国政府に対して何度も交渉を行いたいという要求を出しました。それに対しまして当時の台湾当局の反応は、全般的な請求権問題を話し合いますと、たとえば当時台湾に住んでいた人たちの財産権の問題等が残っておりまして、これはむしろ台湾にとって不利ではないかという判断があったのではないかと考えられますけれども、結局日本政府側が積極的であったにもかかわらず台湾側が当時は消極的であった、そういうことは記録に残っております。したがいまして、日本政府としてこの問題について傍観していたわけでも何でもないわけでございます。
 それから日本と台湾との請求権の問題は、単に台湾人の元日本兵の補償問題だけではなくて、当時、戦争中にございました郵便貯金であるとかあるいは恩給の問題とか、そういった問題もございます。したがいまして、全般的に解決するためにはどうしようかということがあったわけでございます。
 それからもう一つは、私は判決が出ましてから協議を行ったということも申しましたけれども、判決の出る前にも何度かいままで関係各省間でこの問題について協議を行ったことはございます。この点は申し上げておきます。
#53
○峯山昭範君 それじゃ具体的に、あなたは、台湾の当時の政府の責任、日本政府には全く落ち度はないと、そう言っておるわけ、いまね。本当にそうなんですか。
#54
○説明員(池田維君) 私は日本政府の立場に落ち度がないという意味のことは申し上げているわけではございません。
 本件につきましては、日本と台湾との間の請求権全般の枠の中でどういうように解決するのがいいのかということを考えてきたということは申しておりますけれども、その中の一つであります、特に台湾人で徴用されて戦没した人あるいはその遺族の方々、こういう人たちの境遇というのは確かに人道的に見ましても大変に大きい問題であるわけでございます。したがいまして、日本国政府が余裕ができたときに、ほかの国の前例を見て、日本としては何もやってなかったんではないかと、これは非常に人道的にももとるんではないかというような批判があったときに、それについて本当に真剣に取り組んでどの程度のことができ得るのか、あるいは波及を一定のところにおさめて解決することができるのかということで、そういう角度から考えてきておりまして、決してわれわれはこの問題について無視をして、政府としてほうっておいていいんだというようには考えてないわけでございます。
#55
○峯山昭範君 いや、要するにあなたは一生懸命いろんなことを言っていますけれども、それは確かに請求権の問題もあり、いろんな問題がありましょうけれども、すべて戦後もう三十七年もたっているわけだ、これね。その間の検討する時間が長過ぎるじゃないですか、やっぱり実際問題として。考えてきたとか、いろいろなことを言っていますけれども、特別取り決めの主題として話し合いすることになっておったとかいろんなことをおっしゃっていますけれども、結局日本軍の軍人軍属として召集されて、そしてそういう人たちが実際問題としていま非常に苦しんでいるという現実ですね、これはやっぱり外務省として考えなきゃいかぬですよ、本気で。
 これは、私もう時間ありませんから全部言うてしまいますけれども、いずれにしても人道上あるいは信義上、あるいは逆に言えば日本国民の名誉としても、日本の国は考えるゆとりが出てきてからとかどうのこうのというわけにはいきませんよ、やっぱり。そういうような意味では、もっと本気でこの問題は考えるべきだと思います。後で答弁してください。
 それから大臣、やっぱりこの問題は政府として考えるべきですよ。議員立法しようとかいろんな問題もありますけれども、これはもう少しきちっとすべきです。いま現在、外務省中国課の課長さんはいろいろおっしゃっていますけれども、これはやっぱり政府全体として考えるべき問題です。特に、これは中国との問題がありますから一概に解決できないかもわかりませんけれども、そういうふうな難関を乗り越えて人道的にこの問題を解決する。やっぱりある程度きちっとしておかないと、今度は日本の国として言うべきことも言えませんよ、実際問題。そういうことはやっぱりきちっとすべきじゃないかと思うんですが、課長に先に答弁していただいて、あとは大臣にお願いします。
#56
○説明員(池田維君) 日本と台湾との間で外交関係が断絶いたしましてからも、実は民間の機構でございます交流協会と亜東関係協会を通じてこの問題について非公式に日本側から打診をしたことはございまして、それについて台湾側の対応というものもかなりわかってきていると思います。といいますのは、台湾の中でもかつてはかなり複雑な要因があったわけでございます。それは、台湾にもともと住んでいて、日本の統治時代にずっといたいわゆる台湾省籍の人たち、それと国民政府として大陸から戦後来た方々、その間においても若干の感情的な問題もあって、そのときに日本政府としてかつての植民地であった台湾の人たちだけに補償をするということについては、台湾当局がまずどういうように考えているのかということを十分に考慮する必要が当然ながらあったわけでございます。そういう意味から、私どもは何度も聞きましたけれども、その反応は決して余り明確でなかったということがつい最近までの段階だったのではないか。しかしながら、最近になりましてから台湾当局の考え方も、東京地裁で判決が出たりして、この問題についてはやはり日本政府がやれるのであればぜひやってもらいたいということに変わってきているのではないかと思います。
 それから、この問題はそれ以外の請求権問題と切り離して何とか解決できるのではないかということを台湾側は非公式に考えているのではないかと、これもなかなか外交チャンネルがございませんから、私どもの感触も入れてそういう感じになっているわけでございますが、いずれにしましても、そういうことから私どもが今後この台湾人の元日本軍兵士の補償問題について積極的に人道問題の立場から考えて取り組んでいくという素地はできているのではないか。そういう意味で、将来ともこの問題の本当の解決のために努力していきたいというように考えておるわけでございます。
#57
○国務大臣(田邉國男君) 台湾人の元日本軍人に対する補償の問題、いまいろいろと質疑がございましたけれども、私もこの東京地裁の判決等を見まして、裁判所としてはやむを得ないことであるけれども、しかし台湾人であり、元日本兵に対する私どもの感情としては大変気の毒だということは私ども十分理解をいたしております。ただ問題は、日中国交の回復によりまして日華条約というものが失効したために今日までその解決を見なかった、これが大きな理由でもございます。したがって、日台間の国交がないということ、また日台間の相互の全般的ないわば財産請求権問題、いろいろの問題が絡んでおりまして、しかしこういう問題がありますけれども、私どもは何とかこれを解決をしなければならない、こういう気持ちは私どもは十分持っております。
 ただ、この問題はどう解決するか、きわめて困難な問題であると私は受けとめております。しかし、何とかこれに対応していかなければならないであろう、こう考えておりますけれども、相手のあることでもありますし、また台湾といういわば特殊事情の条件の中に置かれた問題でございますから、大変に私ども困難な問題であるけれども、これに誠意を持って対応をしていかなければならないと、こう考えております。
#58
○峯山昭範君 これで終わりますけれども、これ大臣、もう最後に私一言だけ申し上げておきたいと思うんですが、先般の当委員会でも私は戦没者の追悼の日に関する懇談会という問題で質問いたしましたけれども、あのときには、やっぱりこの問題も八条機関の問題という点からいけば大きな問題があるわけです。現実の問題としてこの人たちのいわゆる報告書あるいは意見、これらをまとめたものが結局閣議決定として政府の行政上いろいろな問題で反映されておるわけです、ストレートにね。たとえば先ほどの戦後処理問題懇談会、これも必ずそうなるわけです。大臣の答弁と審議室長の答弁は全く違うわけです。これからの運営いかんにもかかわっておりますけれどもね、この問題は。
 ですから、そういうふうな点では非常に重要な問題でありますし、毎回質問してそれをその都度見逃してしまうというのでは困るわけです、実際問題としては。これは、こういう問題が出てきたらその都度きちっと決着をつけて、決着がついてからその次に進んでいくと、そうでないといかぬわけです。しかしながら、きょうは私は理事会等でも、この恩給問題に対する質問時間も大変オーバーして申しわけないのですけれども、約束がありますからこれは進めざるを得ませんけれども、普通ならばそうはいかぬということです。その点だけ申し上げておきたいと思います。
#59
○安武洋子君 私は、まず最初に法案関係についてお伺いをしたいと思います。
 この法案は、何と申しましても恩給の実施時期、これを一カ月おくらせるという重大な改悪点が含まれているわけでございます。国会のいままでの附帯決議の中でも、恩給につきましては公務員給与より一年おくれになっているというふうなことで改善が求められてきました。その上に、またさらに一カ月おくれていくというふうなことで、実質一年一カ月おくれるということになると思います。臨調の答申に基づいて抑制したのだと、こういうふうに総理府はおっしゃっております。総理府自身といたしまして、まず最初にお伺いいたしますけれども、今回の実施が一カ月おくれたというふうなことについてどのような認識に立っておられるのでしょうか、お伺いいたします。
#60
○政府委員(島村史郎君) 私どもも、いままで先生が言われましたように四月から実施してまいるということで、昭和五十二年以降ずっと四月からベースアップを実施してきたわけでございます。しかしながら、いま先生が言われましたように、五十七年度につきましては、臨調の答申が出てまいりまして、五十七年度の臨調の答申では御存じのように、五十七年度の恩給費についてはその増加を極力抑制する、こういう答申が実は出ておるわけでございます。したがって、私どもも臨調の答申の意を踏まえ、さらにこの恩給公務員という方々の実態を考えた場合に、この二つの立場を調整しながら最も恩給公務員に利益になるような方法を考えた場合に、一カ月おくれというのがやむを得ない最も妥当な、適切な方法ではないかというので、私ども実は御提案を申し上げているわけでございます。したがって、私どももこの臨調の答申が五十七年度というふうな限定つきであるということも考えまして、できればことし一年限りのものにしたいというのが私どもの考え方でございます。
#61
○安武洋子君 臨調答申と受給者と調整をしたと、とんでもない調整の仕方だと思います。しかし、いずれにしても来年度からは四月実施するために努力をすると、こういう御答弁がございましたけれども、臨調の答申というのは大変厳しいものが基本答申でも出されようかという時期、私は、総理府自身がどういう姿勢に立つか、さっきのようなこんな安易な調整というこういう姿勢ではだめだと思うのです。私は、これを突破していくためには、国民の世論もありますけれども、総理府自身がやはりしっかりした姿勢に立っていただくというふうなことが大切ではなかろうか。ですから、来年度以降は断固とした姿勢で四月実施を貫いていくというようなことで、私は長官の決意のほどを伺いたいと思います。御答弁をいただきたいと思います。
#62
○国務大臣(田邉國男君) 私もこの問題につきましては五十七年度の予算獲得の際いろいろと努力をした経過がございます。
 恩給のベースアップを五十八年以降どうするかということでございますが、五十七年の恩給のベースアップを五月に実施をしたということは、いま局長からもお話がございましたように、まさに特殊な財政事情、そしてまた例年にない厳しい状況の中でやむを得ざる措置としてやったことでございます。したがって、五十八年度以降につきましては、もちろん財政事情がどうなるかということ、また諸般の情勢というものを踏まえながら慎重に検討をする必要があるわけでございますけれども、総務長官としては、五十八年度以降は従来どおり四月実施をするような最善の努力を払ってまいりたい、こう考えております。
#63
○安武洋子君 最善の努力をお払い願いたいと思います。しかし、それだからといって、本年度一カ月おくらすということを了承しているわけのものではございません。しっかりとした姿勢をとっていただきたいということを重ねて要望いたします。
 そこで、公務傷病の恩給の審査についてお伺いをいたします。
 恩給審査といいますのは、これはもちろん書面によって行われます。ですから、審査する側と審査を請求する人、こういう人たちとの間に意思の疎通が欠けるというケースが間々ございます。私どもの方にもいろいろ例が持ち込まれております。やはり私はそういう例を見ておりますと、行政の側に血の通ったやり方をすべきではなかろうかという点を痛感いたしております。
 そこで、そういう立場から二、三お伺いをいたします。
 第一のケースでございますけれども、これは終戦の年に下肢に貫通銃創を受けて右足首より下に後遺の障害が生じたという例でございます。これは審査請求をなさいました。足首の障害が貫通銃創に起因したものとなかなか認められないというふうなことで私どもに相談がありました。そこで、審査の際にどういう書類が求められているのかということを調べてみますと、診断書とレントゲン写真を求められ送っておられます。ところが、その人の場合は銃弾の貫通銃創ですけれども、骨を貫いているわけではございませんから骨に損傷はない。レントゲンではそういう損傷が証明されないわけです。ですから私どもは、そういう因果関係を証明するのにはレントゲンではだめだということで、これは恩給局の方々とも御相談を申し上げまして、そこで筋電図をとればよいということで、幸い国立病院で筋電図をとってもらいました。これで明白に因果関係が立証されまして、傷病年金を受給できるようになったわけです。この人の場合のように書面審査と現実、これが乖離をしている。こういう実態が生ずることがございます。こういう点、恩給局として、私は十分に留意をして審査をする必要があるのではなかろうかというふうに思いますけれども、こういう点についてはどうお考えでございましょうか。
#64
○政府委員(島村史郎君) 恩給局では、大体公務員につきましては原則として、先生が言われましたように、書面審査でございます。書面審査をいたしましても、要するに不明なところがいろいろございます。そういう点につきましては、さらに私どもから該当の方に連絡をいたしまして検診をさらに国立病院等で実施していただく、あるいはその担当にかかっておられます医者の方々からそのカルテをとってさらにそれを詳細に見るとか、あるいは御本人のいろいろの医療の経過等あるいはその病症の経過等の書かれたものを出していただきまして、そういうものを審査するわけでございますが、そういうふうなことで私どももなるべく書面審査をしながら、しかもこの恩給を請求してきてる方々に対して何らかの配慮をしてまいっておるつもりでございますけれども、四千件というようなことでございますので、あるいはそういう先生が御指摘のような点があったかと思いますけれども、私どもも今後そういうことは十分注意してさらに仕事を進めてまいりたいというふうに考えます。
#65
○安武洋子君 四千件あるからと申しましても、一人一人の人についてはこの恩給がもらえるかどうかということは大変なことなんです。それで、何もこれ一例だけではございません。いまいろいろお答えでございましたけれども、検診を実施したりあるいは医者からカルテをとったり、本人の経過の書かれたものをとったりとか、十分に配慮しているんだと、こういうことが本当に行われていると私はこういういろんな例が起こってこないと思います。
 次の例もございますが、これは戦争中にごうに墜落をいたしまして足首を捻挫骨折をされております。後遺障害が生じたということで審査請求をされております。この人の場合は、過去何度か異議の申請をされておりまして、いずれも棄却されております。現在、総理への審査請求を行っておられます。ところが、過去の異議申し立てに対する決定書の内容というのが、これがまた大変問題だと思います。これは第二回目が五十一年の三月に行われ、それから五十六年の一月、五十六年十月というふうに行われておりますが、私の手元にあります第二回の五十一年三月と五十六年一月、全く一字一句違っていない印刷物がぽんと送られているだけでございます。
 これは、読んで見ますと、「一、下肢静脈瘤の傷病は、旧軍人在職中の公務に起因したものと認められません。二、公務に起因する傷病の程度は、昭和二十八年法律第百五十五号附則の規定による傷病年金が給される程度に達しているものと認められません。(参考)あなたの公務傷病の程度は、第二目症と認められます。」と、こう書いてあるんです。それが二回も同じ、一字一句違わないで本人に返される。また三番目にも、それが少し文章が違うだけで全く中身は同じことが返されるんです。
 この決定書を見た御本人は、自分は足首の捻挫で審査を求めている、ところがなぜ下肢静脈瘤というふうな傷病名が出てくるのかということで大変びっくりなさっているわけです。自分は戦争のときごうに落ちて、そしてそれに起因して障害が残っているのに、公務に起因したものとは認められないというのはどういうことなんであろうということで、自分の傷病は公務に起因して足首が動かないんだということで証言を得るために、当時の何人かの人たち、たくさんの人たちを訪ねて、その人たちの証明をとるというこういう努力をされているわけです。
 そこで、私どもにも御相談が来たんですけれども、これはちょっとおかしいというふうなことで、誤解があるのではなかろうかということで、恩給局にも確かめさせていただきました。すると、捻挫による後遺は公務に起因したものと認められる、しかし、四款症に達していると認められない。いま一つ、下肢静脈瘤は公務に起因したものとは認められないという意味だそうでございます。こういうことが判明をしたわけです。
 結局、この人の場合は、自分の障害の程度が四款症の程度、傷病年金を給される程度に達していることを書面上どう立証するかということで努力をさるべきだったのに、こういうものを再三再四もらって、一番に出てくるのが下肢静脈瘤の傷病は公務に起因したものと認められませんと書いてあるので、何とか公務に自分の傷病は起因したものと認められたいということで一生懸命公務公務ということで努力をされてこられたわけです。
 お話を聞いてみるともっともなんですね。下肢静脈瘤なる傷病名というのは、自分の診断書にはいままで一度も書かれたことがないんです。これは恩給局の指示で国立病院で診断を受けられまして、本人には渡らない診断書に、直接恩給局に行った診断書の中にそういうものが出ていたのではないかと思われます。ですから、御本人は突然に聞いたこともない傷病名を書かれて、そして公務に起因しないというふうに書かれるものですから、本人にしては、自分の知らない病名に惑わされて、そして公務に起因しないという書かれ方に惑わされて、とんでもないところで五年間にわたって努力を払い続けてこられたということなんです。
 そこで、私はお伺いいたしますけれども、この経過と決定でございますけれども、この書面から見ますと、やっぱり誤解を生ずるのは当然ではなかろうかと思います。文章の表現というのは、それは簡潔でなければいけないということはわかりますけれども、やっぱりこういう方は高齢者の方も多いわけです。ですから、もっと請求者の立場に立った、血の通った、懇切な文章を書くべきではなかろうかというのが第一点です。
 それから、御本人が誤解されて異議の申し立てをなさっているというのは、この過程を見ていただくと、これは専門家なら、とんでもない変なところで努力しているということは一目瞭然だろうと思うんです。ですから、なぜ親切に、これは違いますよと、こういうことであなたは立証しなければいけませんよということを指摘をしておやりにならないんですか。この二点をお伺いいたします。
#66
○政府委員(島村史郎君) いま先生、一つは、書面で要するに棄却の理由をここに具体的に書くということにつきましても、これは細かく書くことについて、それが必ずしもまた、これいろいろ患者――患者といいますか、要するに恩給の請求者の方に対しまして、果たしてそれがいいのかどうかというのもいろいろ実は問題がございます。そういうふうに、いろいろ恩給診断をやった結果について、その障害がこういうものであるというものを書くことによって、請求者に対しまして無用の誤解や不安というものを与える危険というのも実はございます。そこで、いろいろまた、そういう書き方についてもいろいろの限界があるのではないかというふうに考えますが、しかしいずれにしましても、そういう誤解を与えることがないように、私どもも、この請求者の方々に対して何らかの公文書の書き方についてもさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから第二点の問題でございますけれども、私どもとしては、そういう傷病恩給の請求の方につきましては、厚生省の嘱託によりまして大体九百人ぐらいの相談員というのが各地にございます。大体のケースでございますと、そういう相談員の方々に御相談になっていろいろ指導を仰ぎながら実は請求をされるというのが通常のケースでございまして、私どもとすれば、そういうふうな相談員の方、あるいは県庁でもいいかと思いますけれども、そういうことを利用いただければ非常に幸せであるというふうに考えます。
#67
○安武洋子君 私は、こういう同じ書類が二度も出てきて、それに添付されているものを見れば専門家ならわかる。私どももこれを拝見して、これはおかしいという疑問を感じたわけなんです。だから、なぜそういうことを親切丁寧にやってあげないのか、血の通った行政が必要ではなかろうかということを指摘しているわけです。これは、私はいま二例を申し上げましたけれども、泣き寝入りをされている方、こんなに根気よくなされていない方、これもたくさんあると思いますよ、こういう例を見ますと。ですから、ただ単に相談員を利用すればいいんだというふうなことでおっしゃらないで、私は、こういう過程をしっかり見られて、先ほどもなるべく一生懸命配慮しているんだ、いろいろなこともやるんだとおっしゃいましたけれども、これでもやっていただければ、そういう誤解は、五年もかかって間違ったケースでがんばらないでも、一生懸命間違った努力を払わないでも解決できたのではなかろうかというふうに思います。
 それで、私はもう一点申し上げたいんですけれども、やっぱりこの請求人の立場に立った行政ということをここでもう一つ真剣に考えていただきたい。本人にしますと、一体いま自分が何が必要なのか、どういうふうにすればいいのかということを、行政の人たちはよく知っておりますけれども、自分たちは素人ですからわからないわけです。ですから、自分の足首は公務障害で動かないんだ、しかし書面上ではそれが実際に出てこないんだというふうな、筋電図で出た人もありますけれども、そういう場合に、私は、どういうふうにすればいいのかということをもっとわかるように、書面でもわかるように返事をしてやらなければいけないんではないでしょうか。
 この書面を見てびっくりしたんですけれども、この下に、ただ単に下記理由で棄却しますというふうなことを述べまして、欄外に判が押してあるんですね。不服があったら一年あるいは六カ月以内に申請をして決定を求めることができるという判が押してありますが、これはちょっと遠くでごらんになれないでしょうけれども、近くでも見れないんです。これに「総理府恩給局」と書いてある。そこに重なって、判は全くちゃんと押しておりませんからね。何が押してあるかというのは遠くでも近くでも見えないという、こういう不親切なやり方になっているわけです。判ぐらいはきっちりと押すべきではなかろうかと。それから、いろいろともっと詳しく知りたい、自分は一体何をしたらいいのかわからないというふうなことにつきましては、もっときちっとした判をはっきり押していただくと。判でも結構ですから、請求者にわかるようにして、恩給局に相談室もあることだから活用してくださいと、こういうことぐらいはなさったらいかがでございましょうか。やっぱり長年苦労されてこれらた方ですからね。そういう請求人に対してはそれぐらいの血の通った行政をやられるのが妥当ではなかろうかと思います。いかがでしょうか。
#68
○政府委員(島村史郎君) いま恩給局の相談室に年間約二万件ばかりそういうふうにいろいろ相談が来ておりまして、私どももそれなりにいま先生が言われましたような血の通う行政をやらなきゃいけないということで努力をしているつもりでございますけれども、さらにいま先生の御指摘もありますので、いろいろ慎重に検討してまいりたいというふうに考えます。
#69
○安武洋子君 では、せめてこの相談室を十分に活用できるというぐらいの趣旨は、こういうものを却下するときにはつけ加えるというぐらいは早急にやっていただきたいですし、全体としてもっと血の通った行政をしていただきたいということを強く要請をいたします。
 そこで総務長官、総務長官は婦人問題の企画推進本部の副本部長でございますね。ですから、いま婦人のあらゆる差別撤廃条約の批准というのが国際的にも急がれているわけですけれども、そういう面からも婦人の差別の撤廃についてずいぶんと努力をしてくださっているだろうし、これからもされようとしているだろうしということで私は承知をさせていただいた上で御質問を申し上げたいんですけれども、長官の足元の総理府の関係で働かれる婦人労働者につきましても、これだけは別だということではなくて、やはり婦人の差別、あらゆる差別をなくしていくというふうな点で御努力をなさる、そういう決意はお持ちでございますね。
#70
○国務大臣(田邉國男君) 婦人であるから差別をするというようなことは考えておりません。
#71
○安武洋子君 大変結構なことなんでございますが、私は、総理府に働く婦人たちがどういう状態に置かれているのかと、たとえば給与面でというふうなことは、一定の資料がなければ、これはどういうふうな状態に置かれているか、差別されているのか差別されていないのか、改善をしてよいのかどうかわからないわけですね。ところが、私が資料を御要求いたしましても、そんな資料はないんだとおっしゃる。そして、私はきょうが質問なんだからと前の週の水曜日に御要求申し上げましたけれども、ゆうべの十時ごろまでお待ちしても、時間的な問題で、総理府の統計局の等級別、号俸別、男女別、そういう資料は時間的に間に合わないんだと、こうおっしゃる。ということは、常になければ女子が差別されていてもわからないわけなんですよね。こういう状態であるというひとつ御認識を持っていただいて、女子がもう少しどういう状態に置かれているかということは足元からもしっかりと見ていただきたい、こう思います。
 そこで、具体的な問題にまいりますが、統計局の昇任の問題で総理府統計局の「見学のしおり」、これを拝見したんですが、わが国最大の調査機能を持って経常的に実施している統計調査では十七種類で、いずれもわが国の基本的な統計調査だと、その精度は世界のトップレベルにあると言われているというふうにこのしおりでは書いてございます。私もそのとおりだろうと思いますけれども、この世界のトップレベルにあると言われているここの職員構成といいますのは、全体の定員が千九百九十五人、女子職員が千六百人で八割でございますね、残りの二割が男子職員と。こういうことで圧倒的な業務量、これを女子職員が支えております。
 ここは、組織的には係長それから組長主任、組員というふうに下部組織がなっているというふうに承知をいたしております。これを男女別に見てみますと、構成はいま言いましたように男子が二割で女子が八割なんですね。ところが、係長というのを拝見してみますと男子が七〇%、女子が三〇%、その下の主任といいますのが三百二十二人のうち女子が三百十六人で九八%、男子が六人で二%、こういうことになります。主任というのはもう圧倒的に女子で、その上の係長になるとたちまちにしてこの比率が逆転していくというふうな現象が起きております。一般的に総理府というのは女性は係長に不向きだと判断なさっていらっしゃるんだろうか、私はこう思うわけです。それで、全体の構成比というのが、さっきも申しましたように女性が八で男性が二、主任がほとんど女性、係長が男性が七で女性が三。なぜこんな不自然な現象が起きるのかと大変私は不思議なんですけれども、一体総理府どういうことなんでしょうか、御説明を願いたいんですが。
#72
○政府委員(永山貞則君) ただいま先生のお話で、統計局の職員構成が一体どうなっているかという点でございますが、実は御存じかと思いますが、これはかなり歴史的な背景がございますので、若干時間をおかりしまして背景をちょっとお話し申し上げます……
#73
○安武洋子君 時間が限られているから短く。そんな歴史なんて要らないわ。
#74
○政府委員(永山貞則君) 統計局の最大の事業が国勢調査でございます。国勢調査というのは昭和二十五年と昭和三十年、三十五年とやっておりまして、二十五年、三十年のときにはパンチカードシステムでやっておりました。三十五年は……
#75
○安武洋子君 そんなことはいいから。
#76
○政府委員(永山貞則君) いえ、それをやらないとお話がわからないわけでございます……
#77
○安武洋子君 国勢調査でたくさん入れたということでいいんですよ。
#78
○政府委員(永山貞則君) それで、そのときに臨時集計員という形で女子を二十五年には二千六百人、三十年のときには千七百人採用いたしました。つまり一時的な人手を必要とする集計でございますので、定員ではできませんのでそこに大量の臨時集計員を採用したわけです。そして、その後臨時集計員の、かなりの方はおやめになっておりますが、継続して勤めておられる方の身分安定というのが一番問題になりました。その後その方々をできるだけ定員に入れようということで、昭和三十三年から三十七年までの間に逐次定員に入れまして、三十七年で全部入れ終わったわけです。そうしますと、御承知のようにその結果、昭和二十五年の国勢調査に採用いたしました女子の臨時集計員と昭和三十年のときに採用いたしました女子の臨時集計員、この方のところの層が非常に厚くなるということは自然でございますが、やはりその当時は臨時の方をできるだけ定員化するということが職員のためではないかということでそれに努力をしたわけです。
 そうしますと、御承知のようにいまの給与法で申しますと八等級、七等級、六等級、ここまでは一般の集計員でも昇給が可能でございます。しかしながら、五等級に上がるためには役につかないといまの昇任はできないわけです。そこで、従来ですと係長しかございませんけれども、そのために昭和四十四年から主任制度を採用いたしました。で、昭和四十四年の四十四人から逐次主任をふやしまして、そして現在三百二十二人までなったわけです。これは、いま申し上げました女子の方々の六等級でストップしてしまうということをできるだけ救うためにそういうことをやってきたわけです。もちろん、まだ不十分でございますが、経過的にはそういうふうになっておりますので、いま先生のおっしゃったほかの省庁では若干見られない職員構成になっているということでございます。
#79
○安武洋子君 職員構成を私は聞いているんじゃありませんですよ。職員構成はなるほど女子八、そして男子が二であると。しかし、それにしても、私はパーセンテージで、数で言っているんじゃないんです。係長になると男子は七、女子は三になると。主任になると女子が圧倒的だと、九八だと、男子が二だと、これおかしいですね。なぜこんなことになっているのかということを聞いているので、いまのは御答弁にならないわけです。
 私は、この前日経連の生涯賃金の問題で御質問を申し上げました。そのときに人事院から資料をいただきました。この資料を見てみますと、六等級から五等級に昇格する行(一)の高卒の平均的な号俸なんですけれども、これは等級号俸別の人員の分布状況、これを見てみますと、六等級の十二号で大体五等級に昇格するというふうに出ているわけです。この統計局の女子職員はこれが私は極端に遅過ぎるのではなかろうかと思います。六の十二ですから、六の十二以上は何人かということで伺いたいんですけれども、しかし六の十六以上は一体、六等級に在職している、この主任も含めまして男女別の人員というのはどういうふうになっておりますか、それをお伺いいたします。
#80
○政府委員(永山貞則君) 女子が大半でございますが、約百人を少し超える数でございます。
#81
○安武洋子君 男女別と言いましたので、男もおっしゃってください。それから百人を超えるといったら百十人ですか、それとも百五十人ですか、百九十人ですか。
#82
○政府委員(永山貞則君) 詳細な数はあれでございますが、百二十人前後と承知していただきたいと思います。
#83
○安武洋子君 男。
#84
○政府委員(永山貞則君) 男は数人でございます。
#85
○安武洋子君 なぜその数字をきちっとおっしゃれないんですか。百二十人前後とか数名とか、なぜですか。
#86
○政府委員(永山貞則君) これは、最初の資料の御要求のときにも申し上げましたように、等級別、号俸別の人員の正確な数というのはこれは内部資料でございまして、一般に公開すべき筋合いのものではないと考えておりますが、特に部局別となりますと個々の、個人の給与の識別が可能になってまいりますので、そのために総理府といたしましては部局別の詳細な数字は出さないということにいたしております。
#87
○安武洋子君 いまも大変、変な御答弁されましたけれども、それには私は後でじっくり申し上げますけれども、ちょっと数だけ先に聞いておきます。
 昭和三十年以前に入局した職員で六等級に格づけされている職員の人数の男女別、男女ですから男も落とさないように言ってくださいね。これは何人ですか。
#88
○政府委員(永山貞則君) 約二十人前後でございます。全部女子でございます。
#89
○安武洋子君 全員で二十人前後と、またこの数を正確におっしゃいませんけれども、全部女だと、こういうことですね。三十年以前に入局したという人ですと、これは短い人でも勤続二十六年、長い人ですと三十数年と、こういうことになりますね。統計業務のベテランで中心的な私は職員ではなかろうかと思うわけです。それで、私が調べさせていただいた中でも、二十四年に定員内職員として採用されている方がおられます。入局しまして勤続は三十三年、この間に特昇が三回、いま四十八歳と。これで六等級の二十四号俸です。六等級の二十四号俸に格づけされておりまして、ことしの七月が来ると枠外にはみ出そうかと、こういう人がいるわけですね。
 統計業務というのは非常に専門的な知識と豊かな経験と、こういう世界のトップレベルと自負なさっていらっしゃるわけですから、この世界のトップレベルの技術を持った人たちがなぜこういう処遇に置かれているのかと。こういう人たちによって統計業務というのは支えられているんじゃありませんか。ですから私は、統計局の場合に男性はどうかと調べてみますと、男性は大体六の八からほとんど五等級に昇格している。ところが女性は取り残されていると。こうなりますと年間の給与でどれぐらい違うか。これは五、六十万円の差がつきます。この五、六十万円の差というのは退職金も年金もということになりますでしょう。ずうっと一生ついて回ると、こういうことを一体どうなさるおつもりなんですか。たまたま統計局に就職したから、女性だったから、不運だからあきらめろと、こういうことになるんですか。総理府としては何か改善策をお考えでございましょうか。
#90
○政府委員(永山貞則君) 先ほど統計局の特殊な職員構成のお話を申し上げました。現在の五等級に昇任するのが主任あるいは係長、そういう役付にならなければできないという制度のもとでございますので、現在はできるだけ主任の数をふやす、あるいはさらに専門職等をふやすと、そういう努力をしておるわけでございます。
#91
○安武洋子君 私の質問に対してお答えになっていないわけです。男性は大体六の八ぐらいから五の六ぐらいになっていくのに、なぜ女性だけが取り残されてこんなに大量にいるんですか。それは男性と女性の比率、女性が多かったらこの同じような比率で男女ともに残されているということなら、これは統計局としてのやはり私は一つの、女性が多かったというふうなことで男女とも一緒に残っているというなら、これはまた問題は別なんです。しかし男性は全部で、女性だけが残っていると、いまお答えでしたでしょう。だから、女性だけがどうして六の十七以上に残っているんですか。
#92
○政府委員(永山貞則君) 先ほどお話を申し上げましたように、二十五年、三十年の採用の方が非常に多く、いまの制度の枠ではなかなか救い切れないと、そういう点で若干のおくれが出るのが現状でございます。
#93
○安武洋子君 またその御答弁はそれてしまった。
 そのたくさんの方が一挙に入られたと、国勢調査で、それはわかりますよ。しかし五年ごとでしょう。ですから、その五年の間にそういう人たちをどうするかという方策を立てられればいいわけです。五年ごとにがばっがばっと採用なさる。それであるなら、そういう特殊性に見合った対策を十分考えて立てられるべきなんです。しかし、その中でも男性はそうではなくてちゃんと他省並みに六の八から五の六へ上がっていくとか、五の十一から四の七に上がっていくとかというふうな中で、女性はそうではなくて六の十六から五の十に比較的早い人でそうだというふうなこと、それから五の十九から四の十四に上がっていくというふうな、もう男性と比べてはるかに大きな差がつくと。しかも、さっき三十年前に入局した職員の中で六等級在職者男女別、男はいない、女は二十人前後だとおっしゃる。なぜこういうことが出るんですか、女だけがこういうことになるんですかということを私は御質問申し上げているので、その質問に対して答えてください。
#94
○政府委員(永山貞則君) まず、三十年以前入局者で現在六等級に在職している方がどういう理由かというのは、これは個人の問題でございまして、あるいは先生の御質問にお答えするとかえって個人に傷つく場合もございますので、それぞれ個人に事情があるということだけ申し上げておきます。
 それからもう一つ、男性の場合でございますが、これは先ほども長官も申し上げましたように、男女の差別はいたしておりません、私たちは。ただ、係長あるいはいろいろな職につく場合にはいろんな総合的な判断をいたします。それによって適格者の方から昇任をさせるということは、これは人事をやる上に当然でございますが、性をもって区別はいたしておりません。
#95
○安武洋子君 女性が二十人前後残っているのを、その理由を言えば傷がつくということは一体どういうことなんですか。大体資料を私はお出しいただきたいと言うと、プライバシープライバシーと先ほどもおっしゃいました。しかし、人事院ですら等級別、号俸別、こういう資料はちゃんと出しておりますよ。これは、人事院というのはプライバシーを皆傷つけっ放しなんですか。
 それから何もおたくだけではなくて、私ども、山中議員が質問しましたときには厚生省はちゃんと等級別、号俸別そして男女別、それも厚生省本省統計情報部、こういうふうなことで出してきております。ここは全体で四百九十人で、統計局の約四分の一、統計情報部は。これだけの数なんですよ。これでもちゃんと出してきている。しかし、これは大分前のことです。これでプライバシーを侵されたなんて言う人はだれもいないんです。なぜこれがプライバシーを侵されるんですか。こういうものをお出しになっても、これを見てわかるのは本人自身と人事管理者だけではありませんか。なぜそういうくだらないことをおっしゃるんですか。
#96
○政府委員(永山貞則君) 先ほどお話し申し上げましたように、総理府は各部局別のものは出さないということでございます。
 私は、その厚生省の出した資料は存じませんので、それについてはわかりません。
#97
○安武洋子君 部局別に出さないと言わないで出すべきなんですよ。それでなければ、先ほど長官が、この婦人問題を推進していく副本部長として女性の差別は全部なくしていくんだ、そのために全般的にも努力するし、足元の総理府についても努力されると言われたけれども、女性がこういうふうに明らかに、あなた方が何とおっしゃろうと性による差別の昇給昇任、これが行われてきたからこそ女性がこういう高位号俸に取り残されてしまっている、こういう事実だけは否定はできないと思うんです。入局して二十年、三十年の統計の業務のベテラン、その人たちがその職務にふさわしくない処遇のもとに置かれているということは、これは重大視していただかなければならないと思います。
 長官にお伺いいたしますけれども、こういうもう本当に世界のトップレベルの統計業務を支えてきている女性が、女性なるがゆえにこういうふうにして高位号俸にいるということだけは否定できない事実なんです、男性はいないんですからね。ですから、こういう長年一生懸命がんばってきた――入局して二十年、三十年、ベテランたちがその仕事にふさわしくない処遇に置かれているということについて、婦人問題企画推進本部の副本部長としてどういう見解をお持ちでございましょうか。
#98
○国務大臣(田邉國男君) 総理府といたしましては、婦人の差別をするなんていうことは毛頭考えておりません。
 ただ、先ほどから局長が申し上げておりますように、昭和二十五年、三十年に大量の臨時採用をした、本来ならば国家公務員の試験を通して採用するのが当然だと思います。しかし、このときはやむを得ない事情でそういう結果になりました。したがいまして、いろいろ制度の上で見まして、いま制度の上でいろいろと差があるという御指摘がございましたけれども、やはり管理職になるにふさわしい職員がそこに大ぜいいれば私はこの問題はおのずと解決をすると思うんですが、しかし局長が答えましたように、なかなかその条件が備わらないというところが第一であろうと私は思っています。
 いずれにいたしましても、私どもはできるだけこの問題につきましては検討をさしていただきたい、こう思います。
#99
○安武洋子君 長官、いま、管理職にふさわしい人が大ぜいいればそういう問題はなかっただろう、だから男性はみんな管理職になっていった、女性はそういうふさわしい人が大ぜいいないから取り残されたのだと、こういうことですか、いまの御答弁は。
#100
○国務大臣(田邉國男君) 必ずしもそういう意味ではございませんが、それに近いことは事実だと私は思っています。
#101
○安武洋子君 とんでもない御答弁でございますね。婦人問題推進本部の副本部長にふさわしくない御答弁で、女性がなぜ管理職にふさわしくないんですか、そういう人がいないんですか。管理職に男性だけはふさわしくて女性だけはふさわしくない、残された理由というのは一体何なんですか。明らかにこれは性としか考えられない。というのは、残っているのがみんな女ですからね、女は管理者にふさわしくない、女はみんな能力が足りないと、言葉をかえればこういうことになりますよ。そういうことで私は承ってよろしゅうございますか。――いや、長官に聞いている、長官の御答弁ですから。
#102
○国務大臣(田邉國男君) 私は、この管理職の問題につきましては、やはり一つの能力というものを持った人が管理職になるべきものであろう。当時においては臨時採用ということで、いわば正規の試験を受けずに臨時採用をしたということがこういう結果につながっておると私は判断をいたしております。決して婦人の地位を私はことさらに下げようと考えたりしているものではございませんし、婦人の地位向上については私は人一倍配慮をしておる立場でございます。
#103
○安武洋子君 大変な婦人の地位向上にこれ配慮、そんなことを聞いたことはありません。管理職になるのに、その管理職にふさわしい能力を持つのに女性がふるい落されているから問題にしているわけです、女性ばかりがね。その点がなぜおわかりいただけないんでしょう。私は、これが男性と女性が同じ比率か、それに近い比率でそういうことになっているなら問題にいたしません。しかし、明らかにだれも否定できないのは、こういうふうに女性だけが取り残されているということなんですよ。長官、ちょっと聞いてください、その横丁から何を言っているの。ですから私、後でもう一遍長官にその点は詰めますが、しかしちょっとここで人事院にお伺いいたします。――人事院おられますか。
 私は、こういう男女差別ですけれども、本当にこれを改善していこうと思えば定数枠の問題がひっかかってくると思うんです。そうなると、人事院にもこれは努力をしてもらわなければいけないと思います。こちらの方の言い分というのは、何だか五年ごとにかたまって採用したからとか臨時で雇ったからその人たちはまるでもう能力がないというふうな長官のおっしゃりようですけれども、やっぱり人事院としてもここの総理府の統計局については特別の問題意識を持ってなさるのではなかろうかと思いますので、その点ちょっとお伺いしておきます。
#104
○政府委員(斧誠之助君) 人事院といたしましては、各省で設置されました組織上のポストにつきまして、これを職務評価をいたしまして定数を配分しておるわけでございます。総理府統計局の場合も主任制を設けられまして必要な部署には主任を置く、その場合に、人事院はその主任を五等級定数とすべきかどうかについて審査をしておりますが、できるだけ、元来主任というのは行政がだんだん複雑になる、困難になる、あるいは業務量も拡大する、そういう中で主任というものを設けてこれに対応していくというそういうものとして標準化したものでございますので、そういうことが認められますれば、主任五等級という定数をできるだけお配りするということには努めておるわけでございます。ただ、個々の職員を、だれをどういうポストに任用するかというのは、これは任命権者がそれぞれ評価してやっていただいていることでございます。
#105
○安武洋子君 そこで、主任についてお伺いいたしますけれども、この主任は、職務に対する官職ということで、これは必ずしも部下がいなければならないということではございませんね。
#106
○政府委員(斧誠之助君) 主任につきましては、組織上どういう地位を与えるかというのは、これは各省でそれぞれ組織上の必要性に応じて与えておるわけでございまして、ただ人事院が評価いたします場合には、必ずしも部下を必要とするという条件は課しておりません。
#107
○安武洋子君 私、統計局の昇任昇格につきまして、やっぱり男女で差別をしているということだけでなくて、まだほかにも要素が重なっていると思います。それは、所属する職員団体それから女子職員の生理休暇と、こういうものについてやっぱり勤務の評価に入れてなさるのではなかろうかという疑いを持っております。
 職員団体について申しますと、三十年に入局した者は約五十人と、このうち二十五人近くが主任に採用されております。ところが総理府労連加盟の職員はたった二人です、この中で。また、三十一年入局者約百二十人、このうちで七十数人が主任になっております。ところが労連の組合員はわずか二人しかなっておりません。こういう点を見ても職員団体の所属による昇格差別の疑いが私は濃厚ではなかろうかと、こう思います。
 それからまた、生理休暇につきましても、勤評について、生休、年休、産休などを含めた全体の休暇の取り方として休暇数として勤務評価を加えるというふうなこと、これを暗にほのめかすというふうなことをなさっていらっしゃるということを私は直接聞いた職員の方から伺いました。これは人事院規則に明らかに反することだと思います。こういうことは絶対に容認できないと思いますけれども、こういうことはおやりになりませんね。
#108
○政府委員(永山貞則君) 先生のおっしゃるまでもなく、職員団体等に加盟しているかいないか、あるいは先ほどの生理休暇等によっていろいろな差別をするということはいたしておりません。
 ただ、先ほど職員団体の、どこかのクラスに二人しかいないというお話でございましたが、数字を比較いたしますときはそのもとがどのくらいかというのが必要でございますが、先生、職員団体の数は総数はどのくらいとお考えでございますか。
#109
○安武洋子君 あなた、私に質問するの。私が質問者ですよ。
#110
○政府委員(永山貞則君) 要するにいまの二人というのは何人中の二人かということでございまして、恐らく比例からいきますとそうおかしくはないと私は考えております。
#111
○安武洋子君 そんなことだけはとっても詳しく調べてなさって、私が要求した資料はなぜこんなむちゃくちゃな資料をお出しになるのですか。
 私は、これは委員長初め同僚議員の皆さんにも聞いていただきたいです。私は資料を要求いたしました。これは、私は等級別、号俸別、男女別の資料を御要求したのです。ところが、持ってきたのは「等級別、号俸別人員分布」と書いてありますが、五等級、六等級、七等級だけなんですね。これをずっと見ておりまして、何だか米印がついている。私はこの米印というのはないということだろうと思っておりまして、資料を後で見ましたら、「米印は十人未満の人数を示す。」と、こう書いてあるのです。なぜ十人未満の人数が挙げられないのですか。ちなみに申し上げますと、ここに私が持っておりますのは人事院の発表しております各等級別の人数でございます。これには十人未満の数もちゃんと挙がっておりますが、なぜこういう資料をお出しになるのですか、お伺いいたします。
#112
○政府委員(永山貞則君) 先ほどからお話し申し上げておりますように、人事院の全体と違いまして、省庁別の場合にはその小さい数は隠してお示しいたしました。
#113
○安武洋子君 なぜ隠すのですか。なぜはっきりさせないのですか。私ははっきりした数を要求しているのに、なぜこういうものをお出しになるのかということを聞いている。じゃ明らかにしていただけますね。明らかにした資料をお出しください。
#114
○政府委員(永山貞則君) 一とか二とかいう数字はそこには出さないようにいたしております。
#115
○安武洋子君 理由は。
#116
○政府委員(永山貞則君) 総理府全体でございましても、やはり特定の枠の場合には個人の識別が可能になるからでございます。
#117
○安武洋子君 ばかなことをおっしゃらないでください。人事院でもこの一号俸の枠外というのが一名とか、あるいは八等級でも一、二、六というふうな数字が挙がっている。七等級でも一、二、二、二、六というふうな数字が挙がっております。こういう本人かあるいは人事権者かしかわからないようなものがなぜプライバシーの侵害になるんですか。
 そうして、お伺いいたします。人に出すのにこんなでたらめな資料を出していいんですか。これは六等級の二十五号俸に米印をつけておりますけれども、総理府だけは六等級の二十五号俸というのがあるんですか。お答えください。――組合のときだけさっさとして、早く答えて、時間がないんだから。
#118
○政府委員(永山貞則君) そこの米印にはだれかいるということでございます。
#119
○安武洋子君 米印にはだれかいるというのは、ここに書いてありますから、それぐらい私もわかるんです。だから十人未満の数ね、人事院でも出している。これがプライバシーの侵害ですか。私が先ほど申し上げたように、どうしてプライバシーの侵害になるのかという点を明確に私に反論してください。
 それから二十五号俸に米印を書いてくるというのは、だれかいるんだということはわかりますけれども、二十五号俸はないはずですよ。六等級の二十五号俸、総理府ではつくられているんですか。
#120
○政府委員(永山貞則君) その後の御質問でございますが、六等級の二十五号俸のところは枠外の意味でございます。訂正さしていただきます。
#121
○安武洋子君 先も答えて。私、二つ聞いているんだから先も答えてよ。プライバシーの侵害ですよ。なぜ答えないの。
#122
○政府委員(永山貞則君) 人事院の方針は私知りませんが、総理府といたしましては、先ほど申し上げましたように、一とか二とか識別可能なところは伏せてございます。
#123
○安武洋子君 そんなことで答弁にならないと申し上げているでしょう。どうしてプライバシーを侵すことになるんですか。ここに厚生省のあれだってありますけれども、これはたった四百九十人ですよ。これでもちゃんと出しております。これでプライバシーが侵害されたって言う人なんかいない。これは人事権者と本人しかこれ見たってわからないじゃないですか。なぜそういうことを固執なさって、こういう単なる資料すらお出しにならないんですか。私はそういうことに対して本当にもう怒り心頭に発しているんですよ。ゆうべ十時まで待たされたと、そうしてこういうものもお出しにならないという、私はこういう姿勢だからこそいろいろこういういままで問題が蓄積してきたと思います。
 ここで委員長にお願いいたします。私は、こういう等級にないものまでも米印で出してくると、この場で私に追及されて訂正をいたしますと、こういうふうなでたらめな資料を出してきて、そうして十人未満の人数は出さないというふうなことは、これは通らないと思います、いかに何でも。人事院であれ厚生省であれ、書類はきちっと出しております。そしてこんなものがプライバシーの侵害になるなんて、だれが考えたってそんな理屈は通りません。そして私は、やはりこれは男女差別にかかわる問題で、憲法上の問題だというふうに思います。
 それで、婦人の地位向上をうたう国連婦人の十年の期間中なんですよ。長官はその問題を推進していく副本部長なんですよ。そのおひざ元がこんな状態なんですよ。こんな状態だから婦人の差別撤廃がなかなか進まないということになりますので、やっぱり政府が範を示していただかなければ、まず足元から範を示すその第一歩として、こういう資料ぐらいはきちっと出していただきたい。委員長にはこれをお願いいたしておきます。
 そして、私は長官にお伺いいたしたいんですが、この、いかにも筋の通らないこういう男女の格差ですね。それと、こういう資料一つにしても誠実に出してこないというふうなことについて、私は婦人問題を推進される副本部長としての総務長官の一度御見解をお伺いいたします。
#124
○国務大臣(田邉國男君) 総理府ではやはり統計等いろいろ重要な問題がございまして、外部に出せないものもたくさんございます。その点はひとつ御理解をしていただきたい。
 また同時に、私は、婦人年の婦人対策の副本部長、婦人の地位向上については人一倍私は努力をしておる一人でもございます。したがって、この統計上の数字の詳細にわたる内容というものを私ども表示できないのは、即婦人の地位向上とは関係はないと私は思っております。その点はぜひひとつ、総理府という仕事の内容、また非常に個人にかかわるいろいろの統計の問題がございますので、その点はぜひ御理解をしていただきたい、こう考えております。
#125
○安武洋子君 とんでもありません。私は統計でなさっている仕事上のそういう何か出して困るようなものを出せとここで言っているわけではありません。そこに従事をなさっていらっしゃる方の単なる等級別、号俸別、男女別の資料を正確にお出しくださいと、こんな米印でなくてと。これぐらいは、統計の本家なんでしょう、こんなもの簡単に出るわけですしね。男女別が、私のお部屋に来られたときには、時間的に間に合わないとこうおっしゃったんです。前の週の水曜日からお願いしているのが、質問の前日の夜の十時になっても間に合わない。こんな状態では、私は統計なさっている局が泣くと思います。ですから、本当に婦人の問題を真剣にお考えなら、最低これぐらいの資料は出していこうと言われるのがあたりまえじゃありませんか。人事院だってもうこんなのはオープンに出ていますし、それから厚生省だって出ているんだし、もっと人数の少ないところでもというふうなことで、いまどきそんなことに固執されるというふうなことは理解に苦しみます。こういうことがおできにならなければ、本気で婦人の問題を解決しよう、婦人の問題がどういうふうな状態に置かれているかというのは、一定の資料がなければおわかりにならないじゃありませんか。それも持たないで婦人の地位向上なんだ、差別撤廃なんだと、空念仏に終わります。
 私は、ここで再度、委員長に資料提出、それを求めまして、私の質問を終わります。
#126
○委員長(遠藤要君) 安武君より委員長に対して御要求がございましたが、これは理事会において協議をいたしたいと思います。
 午後一時から委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#127
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#128
○柄谷道一君 恩給法の一部を改正する法律案につきましては、すでに多くの委員から質問のあったところでございますが、やはり何といってもこの法律案の問題点は、実施時期が一カ月ずらされるということにあるのではないかと思います。
 昭和五十年以降の参議院内閣委員会において決定いたしました附帯決議をひもといてみますと、五十年十一月六日第七十六回国会、五十一年五月十三日七十七回国会、五十二年四月二十一日八十回国会、五十三年四月二十五日八十四回国会、五十四年九月七日八十八回国会、五十五年四月二十四日九十一回国会、五十六年四月二十三日九十四回国会、実に七回にわたって実施時期の改定に関する附帯決議が行われておることは御承知のとおりでございます。この附帯決議の内容は、単に四月実施を確保しなさいという趣旨ではないですね。公務員に比べて一年のおくれがあるのではないか、その一年のおくれというものについて是正改善する措置をとるべしというのがこの附帯決議の要旨である。これは与野党すべて全会一致の決議であるわけでございます。むしろ今回の措置はこれらの附帯決議に逆行するものである、これはもう明らかでございます。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、国権の最高機関たる国会の附帯決議というものの重さについてどうお考えでございますか。
#129
○国務大臣(田邉國男君) 附帯決議は、国権の最高機関である国会において議決をしたものでございますから、これをでき得る限り尊重することは当然だと考えております。
#130
○柄谷道一君 その附帯決議というものの趣旨に逆行する措置をとらざるを得なかった、端的に言いましてこれは大蔵省の圧力でございますか。
#131
○政府委員(島村史郎君) 政府全体として決めたことでございます。
#132
○柄谷道一君 政府全体、決定の形式はそうですよ。しかし恩給局もがんばられたわけでしょう。その折衝の経過は私知っておりますよ。それが閣議決定という中でかくせざるを得なかった、その本当の原因は何ですかということをお伺いしているわけです。
#133
○政府委員(島村史郎君) これは何回も申し上げておるわけでございますが、五十七年度につきましてはそういう臨調の答申が出てまいりました。そういう臨調の答申が国民的な一つの世論として要望されているところでございます。一方、国家公務員の給与の一部抑制というものがございまして、そういうものも兼ね合わせいろいろ考えた結果、いろいろ大蔵省サイドとも折衝いたしましたが、こういうふうに一カ月おくれというのがやむを得ない現在では選択の方法ではないかというふうに考えたわけでございます。
#134
○柄谷道一君 よく臨調というのが出るのですけれども、設置法に基づきつくられました臨調と国会というのはどっちが重いんですか。
#135
○政府委員(島村史郎君) 国会の御意思も十分尊重しなければならないということはこれはもちろんでございます。ただ、臨調につきましても、そういう閣議決定で臨調の答申を尊重する、こういう閣議決定がなされておるわけでございますので、国会の附帯決議も尊重しながら、なおかつそういう臨調の答申も兼ね合わせて考えなければならないということでございます。
#136
○柄谷道一君 どうも答弁の的がずれているんですけれども、国会の附帯決議は、いま大臣もできる限りこれは尊重するというのが趣旨だと、国会の重さと、附帯決議の重さということを言われたわけですね。しかし、結論は附帯決議というものは全く無視されたというのがこれ答えなんですよね。これはもう明らかな事実なんです。そして、局長は臨調臨調と言われるんですから、臨調が答申をすれば行政府も立法府もそれに全部従わざるを得ないんだというふうに国会という立法機関を軽くお考えなんですかということをお伺いしておるんです。おわかりですか。
#137
○政府委員(島村史郎君) 私どもも国会の決議というものは最大限に尊重しなければならないということでございます。そのために私どももいろいろ臨調の答申、これも尊重しなければならないということでございますが、その両者をいろいろ、重さがどちらが重いかということになりますと、これは国会の方が、立法機関でございますので、あるいは重いという判断があるかと思いますが、私どもとしましては、その国会の附帯決議も尊重しながら、なおかつそういう臨調の答申も尊重し、それらのことをいろいろかみ合わせて判断した結果、四月を一応最小限の五月にせざるを得なかった、こういうことでございます。
#138
○柄谷道一君 あるいは国会の方が重いかもしれませんがと言うんですけれども、これは国権の最高機関ですよね。「あるいは」というそんなに、局長、われわれの地位というもの、位置というものを軽く見られたんでは、これはいまのは問題です。それはお取り消しください。
#139
○政府委員(島村史郎君) それは国会の決議は最大限に尊重いたします。
#140
○委員長(遠藤要君) ちょっと待ってください。
 恩給局長、いま柄谷委員からもお話があったし、これは国会の問題でもあるので、「あるいは」という言葉は取り消すことに異議ございませんね。
#141
○政府委員(島村史郎君) 御異議ございません。
#142
○柄谷道一君 まあ、この問題につきましては追って野党の方から修正案が出ますから、この問題にばかり突っかかっておりますと前へ進みませんので、これははなはだ国会決議というものが無視された、このことに対しては遺憾であるということは強く申しておきたい。
 そこで大臣、五月になりますね。これ異例の措置ですか、来年また四月に戻されるんですか。国会の附帯決議を尊重してということになれば当然、ことしは財政窮迫の年でもあるのでこうせざるを得なかったが、国会決議に沿ってその実施時期を前へ是正していく、それが国会決議に忠実なるゆえんではございませんか。
#143
○国務大臣(田邉國男君) 五十七年度の恩給のベースアップの問題は五月実施ということ、まことに残念でございますが、そういう財政事情等もこれあり、こういう結果に相なりました。来年度につきましては、もちろん諸般の情勢を判断をいたして決めるべきことだと思いますけれども、私といたしましては四月実施をしたい、こういう考え方でございます。
#144
○柄谷道一君 これは大臣のお考えだけじゃなくて、附帯決議という国会の意思が加わっておるわけですから、やはり個人としてはといういまお答えであったわけですけれども、そうした国会の意思を背景に総理府長官として強力な折衝をされるべきは当然であろうと、このことを指摘いたしておきます。
 そこで、問題を進めますが、すでに峯山委員からの御質問もございましたが、昭和四十二年引揚者特別交付金支給法が制定された際、政府と与党の間で、本件措置をもってあらゆる戦後処理に関する諸措置は一切終結したものとするという了解事項が交わされたわけですね。ところが本年度、政府は戦後未処理問題を検討する懇談会を設置する方針を決定された。そして検討経費を予算上計上されたということは、これ論理的に昭和四十二年の政府・与党間の了解事項は事実上白紙撤回をされた、ないしは戦後未処理問題があるという認識に戻った、こう素直に読んでいけば考えられるわけですが、そのとおりですか。
#145
○政府委員(石川周君) 戦後未処理問題があるということを否定したことはないように思います。私どもこれまで政府のいろんな方々の御答弁を勉強しておりますけれども、さきの大戦はわが国にとって未曽有の事態でありまして、すべての国民が程度の差こそあれ戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたということ、そしてそのような戦争損害については、これを完全に償うことは実際上不可能である、国民の一人一人が受けとめていただかなければならないという御説明をしております。ただ、政府といたしましては、そういう性格の戦争損害というものの中にあって、戦没者の遺族とか戦傷病者とか、あるいは生活の基盤を失った引揚者など、一般の国民と異なりまして特別の施策を必要とする方々につきましては援護等の措置を講じてきておりますということでございまして、戦争損害というものを完全に償うということはない。それは国民一人一人がどこかで受けとめていただかなければいけない問題だということを従来からお話ししてきております。特別な措置を必要とするものにつきましてはいろいろ努力してまいりました。そして、これまで講じてまいりました一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終了したものと考えておりますという政策意思を表明しているということでございます。この政府の基本的な考え方というのは、現在に至るも変わっていないと理解いたしております。現時点で、御質問のようにいままでの考え方を白紙に戻すのかというようなことの御質問であれば、そのようなことはございませんとお答え申し上げることになります。
 ただ、そういう政府の考え方の一方におきまして、一部に強い見直し論の御要望の御意見があることも事実でございます。そこで、政府といたしましては、民間の有識者による中立、公正な検討の御議論の場を設け、その御意見を承りたいと、このような措置を考えているということでございます。
#146
○柄谷道一君 あらゆる戦後処理を一切終結したと、これ昭和四十二年に与党と政府間で了解をつけた。それがいま変ってないというのであれば、一切終結したから未処理問題の懇談会をいまさらつくる必要はないと、こう単純に結びついていくわけです。しかし、いろいろ世論もこれあり、懇談会をつくって検討しようということは、結論いかんではわかりませんけれども、その結論次第によっては新たな戦後未処理問題の解決が必要であるということになるわけですから、情勢が変わったというのはこれは当然の受けとめでしょう。さらに、戦後処理問題が終わったというのは昭和四十二年に決めたと言うんですけれども、しかしその後、たとえば日赤従軍看護婦については五十四年から、旧陸海軍従軍看護婦については五十六年からその援護の措置がとられましたね。また毎年、たとえば満蒙義勇軍の問題その他戦傷病者戦没者の援護法で改善が行われている。それは世論の赴くところ、その結論が妥当であれば、戦後処理問題というものは総合的に考えてこれから行っていくというこれは事例じゃないんですか。端的に言ってくださいよ、これ。懇談会を設けたということは、未処理問題があるということは言えないかもしれないけれども、あるかもしれぬと思うからこそ懇談会を設けるんじゃないですか。終わったなら、どうして国費の五百万円を何のために使うんですか。
#147
○政府委員(石川周君) 先ほども申し上げましたように、戦争損害というようなものにつきましてこれを完全に償うということは実際上不可能でございまして、特別な施策を必要とするものについてはそういう施策を講じてきたということでございます。そういう意味におきまして完全に償なわれていないということであるならば、その部分につきまして未処理問題というふうに認識される問題があることは、事実としてそういうものがあり得るということは否定するものでは決してございません。ただ、政策といたしましてそういう特別な措置を必要とする方々についての施策は講じてきております。それをもって終わりといたしますというのが政府の政策の姿勢であります。
#148
○柄谷道一君 政策の姿勢と現実の対応は違うんですか。そういう姿勢をとったけれども、これは恐らく与党からの強い突き上げがあったと思うんです。そこでこれは妥協したわけですね。懇談会を持って五百万円の予算を計上しましょうということでこれ一件落着と、今回の予算は話をつけたわけですからね。いまの姿勢は姿勢だ、現実は現実だと、これどうもわからないんですけれども、大臣どう理解すべきなんですか。私頭が悪いですかね。これ大臣から明確にお答えください。
#149
○国務大臣(田邉國男君) 戦後処理に関する問題は、いま審議室長からお話を申し上げたように、昭和四十二年に政府・与党間で了解事項として政府の立場を明確にいたしまして、戦後処理問題は終わったということを国会の議場において明確に申し上げております。ただ、国民の中にいろいろと戦後問題につきまして、この問題の強い要望がございます。したがって、私どもはこの問題については一体どう考えるべきか、そういうことを判断をいたしまして、今回私的諮問機関であるいわば有識者の方々に、戦後処理とはどう考えるべきか、こういうことを実は考えていただこうと、こういうことでこの諮問機関を設けることに相なったわけでございます。したがって、この方たちが戦後処理は終わっていない、あるいはまたいろいろの問題を取り上げて関係団体から事情を聴取し、どういう判断を下すかということは、その方々の私は判断にお任せする、こういうように私どもは考え、こういう懇談会を設けることにしたわけです。したがって、それに対するいわば検討費として五百万円を計上したと、こういう経過でございます。
#150
○柄谷道一君 素直に言うとこういうことなんでしょう。昭和四十二年に、これからの膨大な戦後未処理問題をすべてを解決するというのは無理だと、だから一応これでピリオドを打ちますよということは確認したけれども、その後いろいろのものも追加してきたと、今度の懇談会の出される結論によって、それをそんたくをして、これに未処理問題としてさらに追加することあり得べしと、そうなんでしょう。そうでもないとすれば、これ懇談会を持つ必要ないですよ、これ。
#151
○国務大臣(田邉國男君) いま柄谷委員からはその結論のお話をなさるんですけれども、私どもは、この懇談会がどういうように考えるか、どういう判断をされるかということによって物を判断するわけでありまして、その結論を私どもはいまこういう結論を出してもらおうと、あるいはこういうことになるであろうということを実は言っておるわけではありません。ですから、そこが大変に柄谷委員の判断と多少違うところがあるんですが、私どもの考え方は、有識者の皆さんがいかに考えるか、ですから考え方は有識者の皆様の御意見によると、こういうことになろうと思います。
#152
○柄谷道一君 こればかりやっておってもしようがないですが、それは大臣の御信頼される有識者の結論によって、ここを直しなさいというそういう結果にもしなれば、四十二年の了解事項は必然的に、自動的に直される結果になると、そう私は受けとめておきましょう。
 そこで、これから懇談会がいろいろ持たれて、政府は白紙で臨まれるんだそうですが、与党の方は、軍人軍属恩給の無資格者、いわゆる恩給欠格者の救済問題、シベリア抑留者などの戦後強制抑留者の処遇問題、さらに引揚者の在外資産に関する国家補償の問題等について検討すべきではないかという意見が述べられているように私は聞いております。としますと、厚生省などの推計によりますと恩給欠格者は約四百万人いるんですね。また在外財産の交付金の受給者も現在約三百万人ですから、なお半分は残っておると、こういうことになるわけです。結論はわかりませんよ。しかし、いやしくもこれは結論いかんによっては、五千億とも一兆円ともとれる後年度負担を生ずる結果になる可能性があるわけですね。これを私的諮問機関で検討することについて、これは妥当とお考えなんですか。
#153
○国務大臣(田邉國男君) この問題につきましては、この懇談会がどれをどう判断されるか、この問題につきましてはこれをやってくれ、これを調査してくれということは一切私どもから申し上げないということでございます。
#154
○柄谷道一君 それでは端的にお伺いしますが、大臣はこの私的諮問機関を設置するに当たり、昭和二十三年の第二回国会における審議経過、さらに昭和三十六年の行管庁通達、同じく三十八年の行管庁通達、これを熟読されてその要件にかなうとお考えなんですか。
#155
○政府委員(石川周君) 手元に三十六年、三十八年の行管庁からの通達がございますが、私どもこの趣旨に沿ったものというふうに理解いたしております。
#156
○柄谷道一君 私は沿ったものではないと思うのです。
 そこで、これはこの前の内閣委員会でも問題が出まして、理事会預かりになっております。理事会で検討することになるわけですが、その理事会の結論いかんによって、私的諮問機関たる懇談会をたとえば設置法に基づく懇談会に切りかえるなど、それは内閣委員会理事会の決定に沿われますね。
#157
○政府委員(石川周君) あるいは若干お答えにならないかもしれませんけれども、行政機関が当面するいろいろな問題につきまして、いろいろな段階で民間有識者の意見を聞こうとすることは、そしてその行政施策の参考にしようとするのはいろんな形であり得ると思いますし、本来――本来といいますか、そういう意見を聞かないで判断を下しても、行政の責任の法律の範囲内であればそれでしかるべきものだと存じますけれども、本件につきまして、るる申し上げましたような意味での民間の方々の意見を聞いてみようと、こういうことでありますので、行政機関としてこの種の懇談会というものを考えまして行政施策の参考とするということは当然に許されているのではないかと理解いたしております。
#158
○柄谷道一君 果たして本当にその通達をお読みになっているんですかね。これは正確に読めば、この通達からはみ出しておる。これは客観的に見れば明らかですよ。そこで、私は弁解を聞いているんじゃないんで、内閣の理事会で一遍私的諮問機関のあり方、行政組織法による八条機関のあり方、これをいま各省全部洗ってみようということになっているんですね。したがって洗った結果、これは私的諮問機関として総理府関係ではこの懇談会この懇談会は適当でないということになれば、委員会の決定に従われるのが当然じゃないんですか。そのことを聞いているんです。
#159
○国務大臣(田邉國男君) 国会の正式の機関でこれが決まればそれに従わざるを得ない、こう私は判断をいたしております。
#160
○柄谷道一君 それは当然のことだと思います。
 そこで、今度は具体的にお伺いしますけれども、従軍看護婦問題です。日赤従軍看護婦は五十四年、元陸海軍従軍看護婦は五十六年から慰労給付金が支給されるようになっております。しかし、その年金額は十万円ないし三十万円、きわめて低いわけですね。これは、私いま火筒の響き遠ざかるをいまさらここで言う必要もないと思うのですけれども、戦地で将兵と生死をともにし戦った、地域によっては第一線の戦火にさらされた従軍看護婦も多い。また戦後外地で長期間の抑留生活を余儀なくされた。そのために就職も思うに任せない。また、中には病気のために苦しんでおられる方もあるということを考えれば、私はこの軍人恩給の最低保障額と比べて余りにもこれは低過ぎるのではないかと思うことが一つ。
 それから第二には、恩給に関しては公務員の給与改善に準じた改善が行われるいわゆるスライド措置があるんですけれども、事従軍看護婦に関してはスライド措置がないわけですから、その現価というものは、年々実質価値というものは落ちてくる、こういう結果になりますね。こういう矛盾がいまあると思うんです。こういう点については当然この際見直し、改善が行われてしかるべきである。わが委員会の附帯決議はこれから決まるわけでございますが、少なくとも衆議院の内閣委員会はこの改善というものを求める附帯決議をしておる。これが国会の意思ですね。恐らく当参議院も同じような附帯決議がされるのではないかと思います。その改善に関する長官としての御所見をお伺いしたい。
#161
○政府委員(海老原義彦君) 旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金に関する御質問でございますけれども、先生ただいまお示しのとおり、この慰労給付金は、女性の身でありながら軍の命令などによりまして戦地においてあるいは事変地において陸海軍の戦時衛生勤務に従事したという特殊な事情を考慮いたしまして、その労苦に報いるために支給されるというようなものでございまして、この支給に至った経緯を考えまするときに、いわゆる年金制度、たとえば恩給でございますとか共済年金あるいは厚生年金のような老後の所得の保障を図るという性質の年金と性格を異にするものではないかと、戦争中大変な苦労をおかけしたということに対する慰労のための給付金である、こういうふうに私ども考えております。
 したがいまして、こういう基本的な考え方に立って考えまするときに、恩給におけるような高齢者に対する最低保障額の適用でございますとかあるいは加算減算率の撤廃でございますとか、そういった特別措置を及ぼすことはいかがなものであろうか。どうもこれは慰労給付金の基本的性格から考えてそこまではいかないのはやむを得ないのではなかろうか。また御質問の、今後恩給制度と同様に公務員給与にスライドするという慣行を導入してはどうかということにつきましても、そのような、ただいま申し述べましたような基本的な性格から考えまするときに、一般の老後所得保障のための年金と同様のスライド制を導入するということは非常にむずかしい問題ではないかと、このように考えておる次第でございます。
#162
○柄谷道一君 私は何も恩給法の適用にせよと言っているんじゃないんですよ。ただ、客観的に見ると、いまの金額は軍人恩給の最低保障額よりも余りにも低いではないか、また物価上昇によって実質価値というのが低下しているではないか、慰労給付金なら慰労給付金としても、このままでいいということではなくて改善の必要がありますよと。そこで、参議院はまだ附帯決議を決めていませんから参議院を引くわけにいきませんが、衆議院では、その改善を検討すること、それに大臣は尊重しますとお答えになったんでしょう。だから改善のために検討しますと、そのことを長官からお答えいただきます。
#163
○国務大臣(田邉國男君) この慰労給付金の額の改善の問題でございますが、この問題につきましては日本赤十字社の意向等も参酌しながら慎重に検討をし対応をしてまいりたいと、こう考えております。
#164
○柄谷道一君 これは大臣、慎重に対応もいいんですけれども、改善という目標に向かって検討しなさいと、それに対して尊重しますというのですから、余り慎重なお言葉じゃなくて文字どおりお答えくださいよ、改善のための検討をしますと、それが尊重するという御答弁とイコールになるんでしょう。
#165
○国務大臣(田邉國男君) 衆議院の附帯決議等もございまして、私どもはそこで改善に対しては十分尊重をしていくと、こういうお答えをいたしております。したがって、いまの御質問には私どもできるだけ改善の努力を払っていきたいと、こう考えております。
#166
○柄谷道一君 初めからそうお答え願えば一分で終わったわけです。
 そこで、それに関連して、これは仮定の問題ですからなかなかお答えにくいかもしれませんけれども、いま現在従軍看護婦で勤務が十二年未満の者は慰労給付金の支給の対象になってないわけですね。これは恩給法の線から引っ張っていると思うんですね。そこで、これから懇談会で――われわれは懇談会を不適だと思うんですが、何らかの検討が行われて、仮に恩給の欠格者というものに対する是正が行われると仮定するならば、当然従軍看護婦の欠格者についても同様の措置がとられると、これが筋ではないかと、こう思うんです。仮定の話でまことに恐縮でございますが、そういう仮定を置けばそのとおりでしょう、いかがですか。
#167
○政府委員(海老原義彦君) 仮定の問題という先生の御質問でございますけれども、戦後処理問題に関する懇談会におきましては、戦後処理の問題をどのように考えるべきかの御検討を依頼しまして、戦後処理問題をどのように検討していくか、このことについては懇談会がお決めになることと聞いておる次第でございますが、したがって懇談会がまだ発足していない現時点におきまして、個別的な事項について検討されることを想定して政府で物を言うことは差し控えさせていただきたいと考えております。
#168
○柄谷道一君 これは政治論として、大臣もう率直に言って、私お伺いしますが、これは仮定ですよ。しかし、いまの十二年というのは、恩給の十二年と従軍看護婦の十二年、合っているわけですね。やはり公平の原則からしても、仮に一方が是正されればこれに準ずると、これは当然の政治姿勢じゃないですか。政治家長官としてお伺いします。
#169
○国務大臣(田邉國男君) 恩給の問題と従軍看護婦の慰労給付金とは本質的に異なるものでございますし、またこの給付をするときの理由としても、その点は恩給とスライドをしないということでお話がされておると私は記憶をいたしております。ただ、時代が大きく変わり、そして物の価値が変わってきたときに、余りにも慰労給付金の額が異常に少ない、こういうような問題が起きたときにはやはりこれはそれとして私は考えるべきである、こう判断をいたします。
#170
○柄谷道一君 これは私の意見として、確かに性格は違います、しかし適格者というのは同じ物差しを当てている、これも現実ですから、やはり公平を失しないように、その場合は十分配慮されるように希望しておきます。
 そこで、厚生省にお伺いしますが、台湾人元日本軍人軍属の問題でございますが、召集者二十万七千百八十三名、うち戦死者三万三百四名、こう理解しておりますが、そのとおりですか。
#171
○説明員(森山喜久雄君) そのとおりでございます。
#172
○柄谷道一君 戦傷者の実態は不明である、こういうことですが、いまその戦傷者の補償も政治的な課題に上っている中で、この戦傷者の把握について一体どうしてこれを行われますか。
#173
○説明員(森山喜久雄君) 傷病者の数は私どもの方で資料がございませんので、いままで手をつけたことはないわけでございます。それから死亡者の関係につきましては、中華民国政府当時にお互いに名簿の交換をやりまして、約三万でございますが、そのうち二万三千は名前を確定してございます。傷病者についてはそういうことやっておりませんのでわからないわけでございます。
#174
○柄谷道一君 仮に、これ立法措置が講ぜられましたら、わからぬでは済まぬわけですね。何らかの方法をとってその実態を把握しなければならぬ。全貌がつかめなければ申告制によるか、そこに配慮が必要だと思うんですね。しかし、いま外交関係はないんです。しかし、これは手段を尽くして立法化の暁はその対象者を洗い出すということに対して、厚生省はその作業は可能でございますか。
#175
○説明員(森山喜久雄君) いまの段階で何とも申し上げられないわけでございますが、そういう段階になりましたら、それは当然そういう実態というものが必要になってくると思いますので、何らかの調査の方法を講ずることになるんではないかというふうに考えております。
#176
○柄谷道一君 それでは次に、台湾人元日本軍人軍属に対する未払い給与の問題でございますが、私の承知いたしておりますところによると、人員で六万一千二百六十二名、そしてその金額は八千百九十二万五千八百九十円、これが未支給給与として供託されておる、こう承知しておりますが、そのとおりですか。
#177
○説明員(森山喜久雄君) 先生のおっしゃるとおりでございます。東京法務局に供託してございます。
#178
○柄谷道一君 そこで、これは厚生省になるんですか総理府になるんですかわかりませんが、台湾におきましては陸軍の志願兵令は昭和十七年から行われております。海軍の志願兵令は昭和十八年から適用、そして徴兵検査は昭和二十年の一月から実施、こういうことになっておるわけですね。したがって、日本国籍を失うまでの間ということになりますと、いまお元気な方でこの恩給の適用もしくはそれが準用される者の数は必然的に少ないと思うんでございますが、戦没者遺族に対する恩給、すなわち公務扶助料、それから傷痍軍人に対する恩給すなわち増加恩給、傷病年金、これが大体どれぐらい対象者になると推定していらっしゃいますか。
#179
○説明員(森山喜久雄君) それはむずかしいあれなんでございますが、先ほど申し上げましたように、死亡者のうちでいわゆる軍人でございますが、軍人が二千百四十六ございます。これは一応軍人でございますから、遺族要件等が整えれば恩給があれば恩給法に行ったというふうに考えられるわけでございます。それから傷病者はいま申し上げましたように数がわかりませんので、その数はちょっとわからないわけでございます。
#180
○柄谷道一君 すると、軍属に対してはその場合は援護法と、こういうことに当然なるんですが、その場合も戦没者遺族の概数はつかめるが、その軍属の戦傷病者ですね、これはいまの段階ではわからない、これは同じでございますか。
#181
○説明員(森山喜久雄君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#182
○柄谷道一君 それでは総理府にお伺いいたしますが、台湾総督府に勤務しておりました官吏、教職員、警察官等に対して未裁定分を含めて終戦により事実上恩給の支払いができなくなってから平和条約の発効によって日本国籍を失うまで、この間は当然恩給の支給対象期間であろうと思うのですね。その対象になるべき年金、一時金、これをどのぐらいとつかんでいらっしゃいますか。
#183
○政府委員(島村史郎君) 約二億五千万円というふうに見込んでおります。
#184
○柄谷道一君 郵政局にお伺いしますが、台湾住民が所有いたしております軍事郵便貯金の口座数と金額。それから台湾記号の――これはもちろん台湾の方々が持っておる台湾記号の郵便貯金、これの口座数と金額はどうなっておりましょうか。
#185
○説明員(塚原登君) 台湾住民の方々の有する郵便貯金についてのお尋ねでございますけれども、まず軍事郵便貯金につきましては、五十七年三月末の数字はまだ出ておらないので、ちょっと古いので恐縮でございますけれども、五十六年三月末現在で口座数が約六万口座、金額が約一億八千六百万円でございます。また、台湾記号の郵便貯金につきましては日本に原簿がないわけでございまして、台湾の方々の分とそれから日本の方々と一緒になっておりまして、これも五十六年三月末現在で口座数が二百四十二万口座、現在高は約九千二百万円となっております。
#186
○柄谷道一君 それでは、いまのようないろんな問題があるということはここで明るみに出たんですが、昭和五十五年の九月二十九日に、元日本軍人の戦死者、戦病者に対する東京地裁の判決が出ておりますね。これに対して原告側はこれを不服として上告しておるわけです。どういう姿勢で対応されようとしておるのですか。これは窓口は法務局であることはよく知っておりますが、郵政省として、法務局とどういう打ち合わせに基づき、どういう姿勢でいま対応していらっしゃいますか。
#187
○説明員(塚原登君) ただいま先生お話しの五十五年九月二十九日の東京地裁の裁判のことでございますけれども、これは一台湾住民の方から軍事郵便貯金につきましての訴訟でございまして、物価スライドによる支払いの請求を求めた訴訟でございまして、これが東京地方裁判所で五十五年九月二十九日に判決があったわけでございます。
 この判決では、郵便貯金につきましてその元金とそれから郵便貯金の利子をつけた支払いが認められ、一方物価スライドにつきましては主張が認められなかったわけでございます。これに対しまして、原告側が不服ということで控訴いたしたわけでございますが、これにつきましても、実は昭和五十七年一月二十八日、東京高等裁判所におきまして内容的にはほぼ第一審と同様な判決言い渡しがあったわけでございます。第一審の原告、相手方と申しますか、さらに現在最高裁判所に上告し係属中ということでございまして、私ども郵政省といたしましては、郵便貯金につきましては、契約時と弁済期の間に貨幣価値の変動等が生じたといたしましても、物価スライドによる支払いはできないものと、こういうことで考えておるわけでございます。
#188
○柄谷道一君 そこで総理府総務長官、この台湾にかかわる戦後処理問題としては、一つは元日本軍人軍属のうち戦死者と戦傷者の問題、第二には元軍人軍属の未払い給与の問題、第三には軍事郵便貯金の支払い問題、四番目には元文官の恩給問題、五番目には台湾記号郵便貯金の支払い問題、このように五つの問題があるわけですね。これはいずれも大きな問題ですけれども、私は特にその中で元日本軍人軍属のうち戦死者と戦傷者の処遇、これは最も優先して早期に解決しなければならぬ性格のものではないか、こう思うんです。
 そこで、東京地裁の二月二十六日の判決ですね、これは、同じ日本国民の軍人軍属として戦死傷し、自分の意思に関係なく日本国籍をなくした。しかも、日中共同声明で日華平和条約が失効した結果、補償が受けられなくなったということに対しては同情を禁じ得ないと、こう判決文の中に書いておるわけですね。しかしこの問題は、三権分立の立場から「国の国際的外交処理ないし立法政策事項に委ねられるべきものである」、いわゆる裁判所のこれは所管する範囲外のことであるとして請求の棄却を行っておるわけでございます。裁判所は、われわれ国会及び行政府に対してこの処理をゆだねたというのがこの判決の趣旨であろうと思うんです。政府はこの判決をどう受けとめていらっしゃいますか。
#189
○国務大臣(田邉國男君) 台湾人で元日本兵の問題につきまして、裁判の結果、残念ながらこの裁判については台湾人に対して不利な判決を下された。これは日本の国籍を現在有していない、こういう結果ああいう結論に相なったわけでございますが、私は率直に、日華条約もなくなり、そういう中でああいう判決はやむを得ない、しかし私個人の考え方としては大変気の毒だと実は思っております。ただ、この問題につきましてどうこれを処理するか。当時においては日華条約でいろいろの戦後処理問題が議論をされ、双方でいろいろと連絡をとりながら解決に向かっておったんですけれども、日中国交回復後いわば日華平和条約というものが失効をした。したがって、今日までその解決が見ないままああいう結果になり、裁判という結果もああいう形に出た、こういうことでございます。したがいまして、日台相互間の全般的な問題財産請求権問題等もありますけれども、この軍人に対する対応というものは、私ども何らかの対応をしなければならない、こう考えてはおりますが、大変私は解決はきわめて困難な問題であるということを憂慮いたしておる次第であります。
#190
○柄谷道一君 裁判所は立法機関で処理しなさいと、こう言っているわけですから、それを受けて真剣に取り組むというのは当然のわれわれの責務であろう、こう思うんですね。
 そこで外務省、アメリカ合衆国ですけれども、フィリピン国籍を持つ者で第二次世界大戦中にアメリカ合衆国の軍人またはこれに準ずる地位にあった者に対してアメリカは、合衆国軍人、フィリピン通常偵察隊員、フィリピン特別偵察隊員、フィリピン軍軍人に区分いたしまして、いずれもこれらの者及びその被扶養者に対し国庫金の給付を行っておりますが、そのとおりですか。
#191
○政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
#192
○柄谷道一君 アメリカ合衆国以外のかつて植民地を持っておった各国がどういう対応をしておるかということについては、さきの質問で調査中ということでございましたが、いつごろその調査は完結いたしますか。
#193
○政府委員(藤井宏昭君) 詳しい調査は若干時日がかかるかもしれませんが、おおむね結果は出ております。おおむねの結果で申し上げますと――よろしゅうございますか。
#194
○柄谷道一君 きょう私の質問時間がもう残り少のうございますから、それは後ほど資料として御提供いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#195
○政府委員(藤井宏昭君) 提出いたします。
#196
○柄谷道一君 それぞれの国はそれぞれ対応をしておるわけですね。
 そこで外務省は、「日台間の請求権処理の方法および問題点」、私は外務省が出しました公式の文書をここに持っておるわけですね。公式文書だと思うんです。これ弁護士から手に入れた文案でございますから後でこれは確認いたしたいと思いますが、いずれにしても、現在正規の外交ルートを持っていないわけですから、外交ルートを通じての補償支払いは困難であろう、こう思うんです。そこで、いろいろここに問題点が書かれているんですが、たとえば台湾人元日本兵士特別援護法等の特別立法が制定された場合、亜東関係協会もしくは何らかの民間機関を設立をしてそこに政府資金を寄託する、そしてその機関から民間ベースで個々の補償を行うという方法とか、また国際的人道機関である赤十字を活用する等の方法があろうと思うんですが、そのような方法は可能でございますか。
#197
○政府委員(藤井宏昭君) 本問題につきましては、いろいろ先ほど大臣からも総務長官からも御指摘ございましたように、問題点がございまして、政府内部でいろいろ検討中でございますけれども、それは別といたしまして、一般論として申し上げますと、先生御指摘のように、日本と台湾の関係は地域的民間の関係ということでございますので、その原則が貫かれる限り、亜東関係協会と交流協会の間、あるいは赤十字等を通じての話し合いということは可能かと思います。
#198
○柄谷道一君 時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いしたいわけでございますが、私が承知する限り、この問題が国会で取り上げられましたのは昭和四十三年四月二十六日、いまからもう十四年前ですね。第五十八国会で、衆議院法務委員会の場所で、これは亡くなりましたが、わが党の岡澤完治が質問として取り上げたのがまず最初ではなかったろうかと思うんです。その後五十年二月二十一日及び二十八日に衆議院の外務委員会で永末英一、五十二年十一月十八日に衆議院法務委員会で社会党の横山利秋議員、さらに五十六年一月九日に衆議院本会議で田川誠一議員、こう取り上げてきておる。私もまた五十四年四月二十四日の社労委員会でこの問題を取り上げました。これ経過的に見ますともう十四年かかっているわけですね。私、その会議録に全部目を通したんですけれども、十四年間、政府の姿勢は一歩も前に出ていないわけですね。これはいかがなものであろうかと、こう思います。
 私は、政府が議員立法の成立を待つという姿勢であってはならない、単にまたこういう問題点があるという問題点の指摘をするにとどまってはならない。政府の姿勢は、現在考えられる問題点をいかにすれば克服できるか、問題はそのハウツーに対してやはり真剣に立ち向かっていくという姿勢がなければこの問題の解決は私はできないと、こう思うのでございます。
 かつてこれらの戦死者、戦没者はわれわれの同胞でございます。そして日本のために戦ったわけでございます。そしてそのために生命を失い、負傷し、病気を背負ったわけでございます。これは、私は日本政府として問題には困難性があることは十分承知しております。しかし、これは道義的にも人道的にもこれらの人々に対する補償を行う、そのことに対して政府が積極的にいま横たわっている問題点の解明に向かって、総理府が中心になって関係する厚生省、外務省、さらには郵政省などと連携をとりながら立ち向かっていくという姿勢こそがいまわれわれに求められている最も大きなものではないかと、こう思うんです。これに対する大臣のお考えをお伺いしまして、私の質問を終わります。
#199
○国務大臣(田邉國男君) いま御指摘がございましたように、台湾人元日本兵の問題は、確かに日本のために戦場に出てそして亡くなられた方、傷ついた方、また遺族の問題、いろいろの問題がございます。こういう問題につきましては、先ほどから外務省また厚生省、総理府、それぞれいろいろと答弁をいたしておりますが、私といたしましても、この問題はできるだけ何らかの解決を図りたい、またこれを図るべきであると実は考えておりますけれども、国際間の問題でもございますし、大変に困難な問題が横たわっておることは事実でございます。私も誠意を持ってこの解決に当たるべく努力をいたしてまいる決意ではございますが、大変解決が困難な問題であるということを御理解をいただきたいと思っております。
#200
○秦豊君 恩給法もきょうで二日目でありまして、しんがりの私のところまで参りますと、先輩同僚議員の勉強によってほとんどの論点は尽くされております。あとの焦点は、与党の皆さんが、後ほど提案されるであろうわれわれ野党の共同提案修正案に卒然として歩み寄るかどうかが最大の焦点であって、あとはほとんど尽くされている、こう思います。それは、後ほど先輩議員から提案があるはずでありますけれども、私は与えられた時間が六十分でありますが、なるべく六十分マイナスアルファという感じで恩給法そのもの、それからその解釈をめぐる問題、これを総理府と法制局長官にもっぱらお伺いしたいと思います。
 私の質問の大前提としまして、事新しくあえて恩給法に言う恩給とは一体何か、つまりこの問題の原点、恩給の性格についてあえてまず総理府側から伺っておきたい。
#201
○政府委員(島村史郎君) 恩給の性格については種々の説がございますけれども、大正十二年の恩給法制定時におきましては、公務員が職務に服したことにより減損したと見られる経済上の取得能力の補てんとして給付されるものであるという説明がなされているわけであります。大体この思想がずっと一つの流れとして来ておるわけでございますが、その後の要するに恩給制度の改正等からいろいろ見まして、この説だけでは不十分ではないかという議論が実は出ておるわけでございまして、現在では、恩給の果たしている機能に着目いたしまして、公務員が相当年限勤務して退職した場合、公務による傷病のために退職した場合または公務のために死亡した場合において、国がその者との特殊な関係に基づき使用者として給付するものである、公務員の退職または死亡後における生活の支えとなるものである、こういう考え方を実は現在持っておる、こういうことでございます。
#202
○秦豊君 私もこれ全然分野の違う法案だったんですけれども、ちょうどいい機会ですから専門家の勧めで、かつておたくに在職をしていた恩給局の中嶋審査課長ですね、本がわりとないんですね、専門書が。この方の著作が、わりと公正であるのと、実務のふくらみがあるから叙述が学者的なところを超えていると。非常にある意味では、ぎょうさんな表現をすれば恩給法に関する古典的著作ではないかとさえ思います。
 そうしますと、確かにいま恩給局長はそう言われたんだ。大正十二年というのは、これ法制局長官の答弁ですね、当時の。残っておりまして、「文武官其ノ他ノ職員ニ、国ガ恩給ヲ給スル所以ハ、其ノ在職期間ニ於テ経済上ノ能力ヲ消耗シタト云フコトニ対シテ、退職後ニ、国ガ之ヲ賠償シテヤルト云フコトガ、ドウモ本来ノ趣旨デアラウカ。恩給ヲ給スルノハ、何カ恩典ヲヤルノデアルトカ、或ハ恵ミヲ与ヘルノデアルトカ云フコトデハ、ドウモ説明ガ付カヌヤウニ思フノデアリマス。」、これは大正十二年当時の、震災の年ですな、法制局長官の答弁というのは在来あった恩恵説を退けたものですよね、確かに。それから恩恵または保険料であるという説をも超えていますね。それから同様の範疇で、貯金または保険料であるという一部の定説をもさらに超えようとしている。これは、やっぱり私は報酬であるというところと、それから経済上の取得能力減損のてん補、補てんであるという説がコンバインされているというふうな感じがするんですよね。
 あえてここで、まず法制局長官にも伺っておきますが、大正十二年、私が引用した恩給法制定時におけるあなたのはるか先輩長官の答弁、これはあなたどう思われますか。
#203
○政府委員(角田禮次郎君) ただいま委員が御指摘になりましたように、この答弁を見ますと、従来、官吏というものは天皇陛下及び天皇陛下の政府に対して忠実に無定量の勤務義務を負うと。したがって恩給もそういう考え方に立って、恩恵あるいは恩典だというような考え方が恐らく支配的であったと。ところがそれに対して、そういう考え方を若干変える意味で、いま御引用になりましたような在職期間において経済上の能力を消耗したことに対する補償というふうに説明をされたんだと思います。ただ、つけ加えて申し上げますと、やはりそこに官吏関係の特殊性という考え方がありまして、官吏というものは一身を公務にささげると、そこで普通の民間の勤務に比べると心身の消耗もはなはだしいと、そういう考え方がこの当時にはあったというふうに考えます。
#204
○秦豊君 ただいまの法制局長官と先ほどの恩給局長のお考え、解釈は、私非常に妥当ではないかと、中正ではないかと思います。私はこれからずっと恩給法を敷衍して台湾問題に及ぶわけですけれども、台湾問題に及ぶ一つの伏線としまして、いまお二人が述べられた見解のほかに、こういう見解をつけ加えると台湾問題の解釈がやや柔軟性を増すと思うんです、政府側の。ということは、かつて旧軍人軍属恩給の復元方を建議しました恩給法特例審議会の建議書というのが、もうお手元にもあるし、公式記録として存置されておりますけれども、それを拝見しますと、
 国家公務員中、特に軍人にあっては、厳格な服
 務紀律にしばられ、転職の自由なく、しかも、在
 職中の給与は、単に在職中の生活を維持する程
 度のものにとどまり、永年公務に従事して老朽
 となり、また、公務に起因して傷病にかかり、あ
 るいは死亡し、かくて、経済的獲得能力を失っ
 ても、在職中の給与は、これを十分補うものと
 はいい得ない。よって、国家は使用者としての
 立場から、かかる能力の喪失に対しては、これ
 を十分補うべきであり、恩給制度の本旨は、実
 に、ここにあるものと思われる。こういう叙述がありまして、やっぱりこの辺と前のお二人の見解をあわせますと、恩給とは何かという性格が比較的客観的に、また比較的公正に浮かび上がるのではないかと私は考えます。
 そのことについての答弁は求めませんけれども、そこでいろんな衆参の議事録をひっくり返してみると、恩給法に関連しましていろんな議員の方々が、さはさりながらこの恩給というのは社会保障制度のちょっと周辺にあるのか、一環か、あるいは純然たる本来的国家補償なのかという観点でずっと議論が展開をされておるんです。だから、やはり公平なところは、本来は国籍を絶対基準とはしないで、公務員あるいは旧軍人軍属を含めた公務員が永年国家に尽くした、つまり公務に従事して老齢となりあるいはその公務に起因して傷害を受けたりあるいは死亡をした、つまり老齢、傷病、死亡等によって経済能力を減耗した者に対して、国が使用者としてその能力の減耗を補てんする、補う、補償する、これが大体総合的な恩給制度の性格ではないでしょうか。その点については恩給局長いかがですか。
#205
○政府委員(島村史郎君) 基本的にはそういうふうな考え方だと思います。
#206
○秦豊君 そこで、台湾問題との関連に触れてみたいと思いますが、確かに立法府にもはやゆだねられておりますので、立法府の一角から法廷の判決に対してということは繰り返しません。しかし、ここで私は法制局長官と恩給局長のお二人に、場合によっては総務長官にあえて伺っておきたいのは、私見によれば、恩給受給権者に対して国籍の要件というのをまるであたかも絶対のごとく課している。お手元の恩給法をちょっと御披見願いたいんですけれども、第一章の第九条、つまり「恩給権の消滅事由」をちょっとごらん願いたいと思う。この第九条の「恩給権の消滅事由」の中で、特に私か申し上げたいのは第一項の第三号、つまりちょっと左の方にある「国籍ヲ失ヒタルトキ」という旧かなづかいの文言がありますね。これをちょっとごらん願っておきたい。この法の意味するところは、日本国籍に非常に厳しく限定をしているんです。これがそもそもこの台湾問題に関連してくると思っているんです。私はこれは絶対条件であってはいけないという前提で立論をしますから、あなた方はそうでないというのなら、長官を含めて反論をしていただきたい。
 私の趣旨は、国家が使用者としてかつて使っていた公務員、つまりかつて公務員であった者の――私が引用したあのところですよ。かつて公務員であった者の経済能力の減耗を補うという点については私と答弁側の見解が一致したんだから、もっと進めたいわけだ、私はね。そうすると、国が使用者としてかつて公務員であった者の経済能力の減耗を補うということは、言いかえれば恩給の支給時に、受給権者の使用者としてではなくて、かつての使用者であったことから――かつての使用者であっても責任は免れないんですよ。これ大事なポイントですから繰り返しますが、やはり恩給の支給時に、恩給をもらう側、受給権者の使用者としてではなくて、かつての使用者であったことからその責任を恩給支給時に果たす。つまりかつて日本国籍であった者だけれども、国籍を失ったら途端に国は一切免責だと、知りませんよということは許されないのではないだろうかという実は根源的な疑問を持っているんですよ、私は。
 つまり、なぜそういうことを言うかといいますと、あたかも国籍を絶対条件にしたいような政府側の見解というのは、観点を変えますと、日本国籍を離れたような公務員、これは軍人軍属を含みますよ。たとえば台湾のまさに当該の軍人軍属も含みます。国籍を離れたような公務員はそれだけ一般的には国に対する忠誠心が薄いんだというふうなこともちょっと妥当するかもしれない、一般的にはですよ。ところが台湾の人々は、自分の主観的な意思によって日本国籍を離脱したんじゃないんですよ。そうですね。非常に超個人の意思、超恣意的に日本国の植民地政策に基づく台湾統治が始まった。日本国による敗戦という大きな結末がもたらされて、戦後世界体制という大きな渦、怒濤の中にまさに高砂族の人々はのみ込まれた。個人の意思を全く超えているんですよ。そうでしょう。これは常識だと思うんですよ。したがって個人に帰する責任というのはゼロである、国が負うべき責任がすべてであるというケースではないかと私は実は思っているんです。したがって恩給法の、ただいま私が引用した第九条の第三号「国籍ヲ失ヒタルトキ」ということを絶対条件にされるということは、私ははなはだ納得ができない。この点が一番納得できないんですけれども、これ法制局長官からまず伺っておきたいんですよ。どうでしょう。
#207
○政府委員(角田禮次郎君) 大変むずかしい問題でございますけれども、私は法律的には、やはり絶対的な要件かと言われますと、そうではないと答えざるを得ないと思います。つまり立法政策の問題であろうと思います。ただ、お言葉を返すようですが、先ほど御引用になりました大正十二年の法制局長官の説明の中で、従来の恩恵というような考え方から能力の喪失に対する補償であるという考え方に変わったということを御指摘になり、私もそれを認めましたけれども、やはり当時の恩給法の根底には、国との特殊な関係と申しますか管理関係というようなものが基本にありまして、そこからの連想と申しますか、発展として国籍喪失要件というものを恩給法に取り入れたというふうに考えられます。そういう意味で、当時の恩給法としてはそれなりの合理性があり、今日までそういう制度が維持されてきたんだろうと思います。ただ、繰り返して申し上げますが、立法政策として絶対にどうだこうであるというようなものとまではちょっと言いにくいように考えております。
#208
○秦豊君 いま、非常にそれこそ公正な観点からの御答弁であったと思います。まさにぎりぎり詰めて言えば絶対的な条件ではなくて、やや相対的である、国籍のところですよ。こういういまの法制局長官の御答弁は、今後立法府が台湾問題の処理を考える場合の一つの前進的なステップに優になり得ると私は思います。恩給局長いかがです。
#209
○政府委員(島村史郎君) 私の御答弁も大体いまの長官のお考え方と同じでございますが、私どももこの国籍の要件というものは、日本国籍を有する者に限っているというのは、恩給は管理関係という国との特殊な関係に立脚した点から要するに設けられているというふうに実は考えておるのであります。
#210
○秦豊君 以下は、恩給法第二章「公務員」というところをちょっと開いていただいて、第二十条を私はあえて問題にしたいと思います。私によれば、表現が大変法律の文言的でないと思われますので、きょうは特に法制局長官の御出席をあえて願ったわけでありますが、私が何を言いたいかということを、ちょっとごつごつしますが、敷衍したいと思うんです。第二十条――ちょっと長い表現ですけれども、恩給法第二十条第二項第一号というのは官にある者の定義としまして――間違っていたら御指摘くださいよ。官にある者の定義として、第一号に「天皇ガ任命シ又ハ任免ヲ認証スル官職」を掲げております。このことは、私の解釈によると、「又ハ」以下というのはいわゆる認証官のことを規定しているんだと素直には解せられますが、法制局長官、これいかがですか。
#211
○政府委員(角田禮次郎君) そのとおりでございます。
#212
○秦豊君 そうしますと、そのことと矛盾するんじゃないかという質問をしますから、専門家としての見解を伺いたいんだが、確かに認証官のことだろうと読める、素直に。ところが第二号をごらんください。第二号を見ますと、内閣官房長官とそれから田邉さんのことが書いてあるんですね、総務長官ございますね、下の方に。宮澤さんと田邉さんが並んでおるんですが、これは、法律の素人の私によれば国務大臣でしょう、田邉さんも宮澤さんも。これは認証官じゃございませんか。認証官だったら、これ第一号の「天皇ガ任命シ又ハ任免ヲ認証スル官職」にまさに整合するのであって、そうしますと、第二号に掲げてある田邉さんと宮澤さんに関する職位の表現というのは重複になるんじゃないか、第二号からは削除した方が法律の表現としては的確厳正ではないかと私は素人論として思いますが、法制局長官どうですか。
#213
○政府委員(角田禮次郎君) 非常に技術的な問題でございますので、御疑問もごもっともだと思いますけれども、御承知のように、国家公務員の年金制度は昭和三十四年の十月一日から恩給制度でなくなって共済組合制度に切りかえられたわけでございます。したがいまして、現在の恩給法の規定の適用の対象というものは、三十四年の九月三十日以前の公務員についてのみ適用されているわけでございます。したがって、この二十条の二項の各号に列挙してあります官職も十月一日より前の官職、当時指していた官職を指すわけでございます。その後の官職についての変更というものは、恩給制度上は実は関係がないわけでございます。
 わかりやすく言えば、この二十条の二項の規定というものは三十四年の十月一日をもっていわば凍結をされたわけでございます。したがいまして、田邉さんとか宮澤さんとか言われましたけれども、現在の官房長官なり総務長官には実は適用にならない規定でございまして、官房長官や総務長官が認証官になりましたのは昭和三十八年の六月以降でございます。これは、先ほど申し上げたように、恩給法の二十条の規定が凍結になった以後のことでございます。したがいまして法律的には、ここで書いてある官房長官とか総務長官というのは、三十四年九月三十日以前のそれらの方を指すのでございます。したがいまして、改正としては認証官になったことによる改正というもの、その後成った改正は法律的にはそれに応じた改正をする必要がない、つまり削除する必要がないということで、いわばこれは凍結前の、言い方は悪いんですが、記念碑としてここへ残っているわけです。
#214
○秦豊君 法制局長官の凍結という見解、なるほどなあ。そういう見解があるんですが、しかし、にもかかわらず私はやっぱり疑問が残るんですよね。凍結というのはなかなかプロテクトの力が強い論理のように思われますけれどもね、技術論としては。しかし、あと二つほど聞きますからね。にもかかわらず私はおかしいと。ほかのこれ散文を、僕はロマンを読んでいるわけじゃないですからね、法律文書を読んでいるんですから。だから、なおかつあなたのいまの凍結論だけでは、じゃこういう点はどうですかと聞きますよ。
 たとえば、確かにおっしゃるように官房長官とか総務長官の官職は、恩給法の二十条に出てきたというのは二十六年、最初は昭和二十六年ですよ。その次は三十二年ですよ。そのときには両官職というのはもちろん国務大臣じゃなかった、よく覚えています。それで、したがって天皇が任命なんかする必要なかった。だから法制局長官が言われたように、三十八年には両者は国務大臣とはならなかったんですよね、これ。国務大臣じゃなかったけれどもが、その任命は天皇が認証する認証官だったんですよね、これは。私の記憶に間違いなければ三十八年はそういう経過ですよ。そうですね。ならば、凍結論は凍結論ですけれども、法の表現技術として一ミリの千分の一ミクロンの誤謬をも許さないような、まるでミサイル兵器の精度よりもっと精緻でなければ、法律の文言の中で凍結論だけでこんなことを現実との乖離を認めるよりは、私は、やっぱり三十八年に認証官になった段階で、恩給法第二十条第二項第二号から官房長官と総務長官はせめて削るべきであったと、こだわりますが、重ねてどうでしょう。
#215
○政府委員(角田禮次郎君) 非常に技術的な方法としては、一応ここから削ってその改正法の附則にまた追加して書くという方法はございます。しかし、これをお説のように削りっ放しにしておきますと、過去において官房長官が、つまり認証官になる以前の官房長官が恩給法の適用を受けていた官職でございましたという証拠がなくなってしまうわけです。そうすると、その後恩給法を見た方は、官房長官というのは初めから恩給法の適用を受けていなかったのかと、つまり認証官になる以前にも恩給法の適用を受けていなかったと思うおそれがございます。したがいまして、これは先ほど申し上げたように、記念碑的に残す必要がある。ただし、あくまで記念碑的に残すならば、法律的に正確に言いますと、この表の方からは削っておいて、附則に記念碑的に残すというのが一番正確な方法かもしれません。しかし、そこまで技術を弄する――弄するというのはちょっと……
#216
○秦豊君 弄するというのは妥当じゃない。適当な表現じゃないね。
#217
○政府委員(角田禮次郎君) 適当な表現でございませんが、いま取り消しますが、技術を尽くすよりは、わかりやすくここで表の方に書いておいた方がいいと、こういう考え方でございます。
#218
○秦豊君 私はふだんはこういう種類の質問はしないんだけれどもね。あなたは法典のというか、内閣と法律の関係における頂点に立っている、解釈権、最高、最頂点に立っていらっしゃる。そういう方が、一人の国会議員の法律――まあやや立法技術的な珍しい質問に対して、弄するというふうな表現は妥当しない。取り消したからいいんだがね。いいんだが、しかしながらある時期のつまり官房長官についてのあなたモニュメントという言葉を使ったが、モニュメントとしてとどめるという労作に携わるよりは、私は、現実に整合する表現にする方がむしろ法制局としては謙虚であり、しかも正しく、的確で、現実的な対応、ありようであろうと思う。
 あなたはそう言ったけれども、じゃ同じような観点から昭和四十年のことを振り返ってみると、四十年には総理府総務長官というのは国務大臣をもって充てると、こうなったんですよ。二年たったらそうなったの。それで、やはりこの時点でも私は削るべきであったと思うし、それから四十一年――翌年になりますと、内閣官房長官は今度は国務大臣をもって充てると両々相まったわけですな。だから二つの官職がそろったんだから、法制局長官は確かに秦委員が言うように一たん削って付表にということもあり得るというところまで歩み寄ったのであれば、私はそういう作業をいとわないことが法律の表現として的確じゃないか、厳密じゃないか。また、あるべき姿としてそうあらねばならぬという観点からすれば、削ってそれで付表という、確かに煩瑣ではあるが、これは絶対基準のごとくいま引用されている法律の――法律ですからね、これ。恩給法を受ける人はまだあと二十年、三十年適用を受ける、三十年、四十年、来世紀にまたがるかもしれない。そういうもので、過去のモニュメント論、凍結論というのはなかなか新説であろうと私は思って、工夫された答弁であることはわかりますが、しかしなおかつ私は申し上げたような数々の経緯についてまだ納得ができない。
 それで、確かにこれは立法技術論であって立法の哲学とか本質論じゃないですよ。ないけれども、いやしくも法律の問題ですからね。たとえば、長官そう言われるけれども、第四号を見てくださいよ、検察官が書いてあるでしょう。第九号は裁判官でしょう。この二つについては「第一号ニ掲グル官職ヲ除ク」とわざわざ断ってあるじゃありませんか。これは検察官の中には検事総長がおって次長検事がおって検事長でしょう。それから裁判官の方は最高裁の判事、高裁の長官が含まれておる。これらの官職は認証官であるから、第一号にすでに含まれているから、第四号及び九号から「第一号ニ掲グル官職ヲ除ク」、こうしないと二重規定になりますわね、だからやってある。ところが、総務長官と官房長官とはあえて残してある。これはやっぱり、私は素人だから、あなたみたいに法律ばかりやってきた人間じゃないんですよね。だからわからないんだけれども、同じ六法の同じ第三段に、一方は除き一方はモニュメントであると、これ整合しないとお考えになりませんか。
#219
○政府委員(角田禮次郎君) 最初にお断りいたしておきますが、私が先ほど技術を弄すると申し上げたのは、秦委員のお説を言ったわけじゃなくて、削るだけじゃなくてまた附則にいろいろ書かなければいけない、その点に着目して弄すると申し上げたので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。
#220
○秦豊君 わかりました。
#221
○政府委員(角田禮次郎君) それから、いまの検察官との比較でございますけれども、これは検事総長あたりが認証官になったのはずっと前であるわけで、当時は検事総長が認証官であり、そのほかの検察官がいたわけですが、同時に、この一号と四号というのは併存していたわけです。同じ意味で、内閣官房長官というのは当時は認証官でなかったわけです。だから併存していなかったわけです。ところが、その後内閣官房長官は認証官になったことによって併存するようになったわけです。ところが、そのなったときはもう恩給法と縁が切れていたわけです。そこで、新たに官房長官として任命され、その任命について認証される、その瞬間では恩給法と縁が切れていたわけでございます。
 ですから、そういう意味においては、秦委員の御議論をさらに正確に言えば、検察官についても実は今日関係がないわけでございます。そこで、この二十条の二項というものを全部ある意味では削ってしまって、そして私が先ほども申し上げているように、凍結したという趣旨と、それから記念碑的な、過去において役に立っていた規定というのを附則に全部書き直す、しかもそれを年限ごとにもっとわかりやすく書くというようなことを書きますと、先ほど私が失言したように、附則の規定が物すごく細かくなってしまう。その上、これは恩給法の附則というのはたくさんございまして、一体そういうのがどこに書いてあるのかわからなくなってしまう。そこで、多少法律的には御指摘のように不正確ではあるかもしれません、念が入ってないかもしれませんが、まあ二十条の二項をそのままにしておいた方がいいんじゃないか、こういう考え方でこの規定を改正しなかったということでございます。
#222
○秦豊君 そろそろ終わってもいいと思いますけれども、採決の人々もおそろいのようだから終わってもいいとは思いますが、法制局長官、あなたの答弁というのは非常に正確ですよね。歴代の法制局長官にはさまざまなニュアンス、持ち味があって、真田さんにはやや野人的なところ、高辻さんには冷たさがあって、そしてあなたは正確さが私はあると思うんだが、非常に結構ですけれども、私によれば、にもかかわらずこの第二十条の表現は、裁判官と検察官のところは馬から落ちて落馬するのたぐいですよ、これ。馬から落ちて落馬したる際はというあれに等しい、重複で。あとは足りない。
 法律の表現と政治の現実というのはもちろん違います。次元の違う話は一緒にしませんけれども、公職選挙法でも付表のところでは、直近の国勢調査、センサスの実態を反映するとちゃんと書いてある、定数のところなんかね。サボりサボっているのはすべてこちらの席とこちらの席なんだ。野党じゃないんだ。そういうところは随所にあるんだけれども、こういう二十条なんかについても、煩瑣であろうと労苦が多かろうと、やっぱり一点一画をゆるがせにしない法制局の所管、職掌としては、御苦労でも、毎年現実が変わったら現実と乖離しないように、恩給法なら恩給法、何々法なら何々法の文言と表現を一々修正すると。そんなことに反対する政党はどこにもありませんよ。正確であることを求めこそすれ、ずさんを求める議員はどこにもいませんよ。
 そういう意味では、ぜひ私のこの提言を受けとめて、やっぱり一度工夫してみてはいかがですか。最後にそのことの答弁を求め、終わります。
#223
○政府委員(角田禮次郎君) 工夫はいたしますが、まあ大変申しわけないんですが、工夫と、後でこれを見た人のわかりやすさというのを比較いたしますと、どうも秦委員と逆のことを申し上げて恐縮でございますが、法律の専門家であればあるほど、そこまでわかりにくくするのはかえってという気がいたします。これは秦委員と全く立場を逆にして意見が食い違っておりますけれども、私は法律の専門家であれば正確な方がいいとは思いながらも、どうもそこまでやる必要はないように思います。いずれにしても検討はさしていただきます。
#224
○委員長(遠藤要君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#225
○委員長(遠藤要君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、林寛子君及び増岡康治君が委員を辞任され、その補欠として梶原清君及び高平公友君が選任されました。
    ―――――――――――――
#226
○委員長(遠藤要君) 本案の修正につきまして片岡君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片岡君。
#227
○片岡勝治君 私は、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブを代表して、ただいま議題となっております恩給法等の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 ただいま議題となっております恩給法等の一部を改正する法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給受給者に対する処遇の一層の充実を図ろうとするものとされておりますが、昨年七月十日の臨時行政調査会第一次答申における「昭和五十七年度においては、恩給費の増加を極力抑制し、新規の個別改善は行わない。」とする指摘に余りにも忠実に従い、恩給改定の実施時期は例年より一カ月繰り下げられて五月から実施されることとされております。これでは、恩給受給者の処遇の一層の充実どころか、二百五十万人恩給受給者に対する福祉の後退であると申さざるを得ません。
 周知のとおり、恩給法等の一部を改正する法律案の実施時期は、国会における長年の論議の結果、昭和五十二年以降は四月実施の慣行を確立してきております。
 私どもは、日本国憲法のもと、福祉の後退は絶対認めるべきでないという確信のもとにこの修正案を提出する次第であります。
 これが提案の理由であります。
 次に、修正案の内容でありますが、恩給年額等の改定の実施時期の五月を一カ月繰り上げ、例年どおり四月から実施しようとするものであります。
 以上が修正案の提出理由とその内容の概要であります。
 なお、本修正により必要とする経費は約七十億円と見込んでおります。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されるよう要望して、修正案の趣旨説明を終わります。
#228
○委員長(遠藤要君) ただいまの片岡君の提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。田邉総理府総務長官。
#229
○国務大臣(田邉國男君) 本修正案につきましては、遺憾ながら政府といたしましては反対でございます。
#230
○委員長(遠藤要君) これより直ちに原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御意見もなければ、これより恩給法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、片岡君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(遠藤要君) 少数と認めます。よって、片岡君提出の修正案は否決されました。
 それでは、原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#232
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柄谷君から発言を求められておりますので、これを許します。柄谷君。
#233
○柄谷道一君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法律案に対す
    る附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに検討のう
 え善処すべきである。
 一、恩給の改定実施時期については、現職公務
  員の給与改定時期との均衡を失しないよう善
  処を求めてきた従来の経緯にもかんがみ、今
  後引き続きその改善に努めること。
 一、恩給の最低保障額については、引き続きそ
  の引上げ等改善を図ること。
 一、扶助料の給付水準については、さらにその
  改善を図ること。
 一、戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧
  陸海軍看護婦に対する慰労給付金の増額を検
  討すること。
 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制
  限を撤廃すること。
 一、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分
  の件について、速やかに再検討を加え適切な
  措置を講ずること。
 一、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等
  にかかる戦後処理の未解決の諸問題について
  は、人道的見地に立って検討すること。
 右決議する。
 以上でございます。
#234
○委員長(遠藤要君) ただいま柄谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#235
○委員長(遠藤要君) 全会一致と認めます。よって、柄谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田邉総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田邉総理府総務長官。
#236
○国務大臣(田邉國男君) ただいま御決議になりました事項につきましては、御趣旨を体し十分検討をしてまいる考えであります。
#237
○委員長(遠藤要君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#238
○委員長(遠藤要君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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