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#1
第096回国会 内閣委員会 第12号
昭和五十七年七月六日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     片岡 勝治君     大木 正吾君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     大木 正吾君     吉田 正雄君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     野田  哲君     加瀬  完君
     矢田部 理君     和田 静夫君
 七月五日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     成相 善十君
     加瀬  完君     野田  哲君
     和田 静夫君     矢田部 理君
 七月六日
    辞任         補欠選任
     桧垣徳太郎君     岡部 三郎君
     成相 善十君     梶原  清君
     源田  実君     福田 宏一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                山崎  昇君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                岡部 三郎君
                梶原  清君
                源田  実君
                竹内  潔君
                林  寛子君
                福田 宏一君
                堀江 正夫君
                山内 一郎君
                矢田部 理君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       田邉 國男君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  伊藤宗一郎君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   禿河 徹映君
       内閣官房内閣調
       査室長      鎌倉  節君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       人事院事務総局
       給与局長     斧 誠之助君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   柳川 成顕君
       総理府人事局長  山地  進君
       総理府恩給局長  島村 史郎君
       臨時行政調査会
       事務局次長    佐々木晴夫君
       臨時行政調査会
       事務局首席調査
       員        山本 貞雄君
       青少年対策本部
       次長       浦山 太郎君
       行政管理庁長官
       官房総務審議官  門田 英郎君
       行政管理庁長官
       官房審議官    古橋源六郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       法務大臣官房審
       議官       亀山 継夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  勝君
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
       水産庁次長    山内 静夫君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部保安課長   仲村 規雄君
       科学技術庁原子
       力安全局放射線
       安全課長     佐藤元之介君
       大蔵省主税局税
       制第三課長    真鍋 光広君
       大蔵省銀行局特
       別金融課長    松田 篤之君
       厚生省医務局医
       事課長      吉田  勇君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    末次  彬君
       通商産業省産業
       政策局大規模小
       売店舗調整官   佐伯 嘉彦君
       通商産業省立地
       公害局保安課長  谷   仁君
       運輸省船員局船
       舶職員課長    小和田 統君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部財
       政課共済管理室
       長        沖  健二君
       運輸省自動車局
       業務部長     棚橋  泰君
       郵政省簡易保険
       局業務課長    松田恵一郎君
       労働省労働基準
       局労災管理課長  小田切博文君
       自治大臣官房文
       書広報課長    井下登喜男君
       自治省税務局府
       県税課長     湯浅 利夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及
 び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○障害に関する用語の整理に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月十三日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。同月十四日、大木正吾君が委員を辞任され、の補欠として吉田正雄君が選任されました。また、昨五日、岡田広君が委員を辞任され、の補欠として成相善十君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(遠藤要君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山崎昇君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(遠藤要君) 行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○柄谷道一君 本法案は幅広い内容を含んでおり、かつ質問時間にも制限がございますので、衆議院内閣委員会でわが党の木下委員が質問に取り上げました電源開発立地に係る関連許認可関係とエネルギー問題、データ通信規制関係、輸出入検査関係等国際経済的見地から早急な検討を要するもの、国民経済的見地からの対応を要するもの、民間活力にゆだねるのが適当と思われるもの等につきましては、本日の質問から省略したいと思います。ただし、木下委員の意を酌みまして、その答弁にもありますように、行政の簡素合理化を一層強力に推進されることをまず冒頭強く求めておきたいと思います。
 まず、行管庁長官に御質問いたしますが、他の委員からも多く指摘されたところでございますが、自動車の定期点検整備及び検査問題につきましては多くを語る必要もないと思いますが、臨調が異例の抗議声明を行うなど、国民負担軽減という見地に立つ臨調の考え方に逆行することは疑う余地はございません。政府は与党の力に押されまして心ならずも罰金制度を設けたものの、臨調異例の抗議声明やまた国民世論のもとで、悪質ダンプ等に限り、一般ユーザーには無害にするという答弁でこれをそらそうとしております。まさに羊頭狗肉の策と断ずるほかはございません。
 罰則削除の私たちの要求を拒否しておられるのは、法案を提出した政府のメンツと、与党内でこれを推進してきた業界利益代弁議員に対する気がね以外の何物でもないと思います。過ちは改むるにはばかることなかれという格言もございますが、むしろこの際思い切って修正することこそ、臨調答申を尊重し、この実現に政治生命をかけるという政府の姿勢を一層鮮明にし、政治に対する国民の信を取り戻すゆえんではないか、こう信ずるものでございます。長官の御所見をお伺いいたします。
#7
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる車検問題につきまして十万円の過料を科することにした件につきましては、いろいろお騒がせをいたしまして、はなはだ遺憾に存じておるところでございます。
 この条文がつきましたゆえんは、整備を促進して教育的効果を重んじたという考え方に立脚している由であります。いろいろこの点につきましても論議がございましたが、ともかくそういう教育的効果という面におきましては、実際の運用上においてこれはやれるではないか、そういうことになりまして、運輸大臣が正式に国会の委員会及び本会議においてその実施要領を言明いたしました。いま柄谷さん御指摘のとおりでございます。その点につきまして、閣議で私はこれを確認を求めまして、同じような答弁をしていただいたわけでございます。そういういろいろな措置によりまして啓蒙的教育的効果はとられると思いますので、この程度でやむを得ないと、こう考えておる次第でございます。
#8
○柄谷道一君 重ねて御質問いたしますが、きょう運輸委員会で理事会の場を通じ、この法案の取り扱いが協議されると承知しております。
 そこで、一点確認したいんですが、今日までの経過を踏まえて、いわゆる参議院の審議にゆだねる、良識にゆだねる、政府としてはこの原案に固執しないという点を行管庁長官として申し述べていただきたい、こう思うんですが、いかがでございますか。
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 私といたしましては、国会の御審議にゆだねてしかるべきものであると思います。
#10
○柄谷道一君 次に、臨調事務局にお伺いいたしますが、臨時行政調査会は本年二月十日の第二次答申の中で、従来から問題点の指摘がございました医師等の年次届について、これを二年ごとに一回とするように答申しておりますが、これを二年ごととした理由について端的に説明をいただきたい。
#11
○政府委員(山本貞雄君) 医師等につきまして個人の現況を一斉に把握いたしますことは、行政計画を策定したりあるいは医療監視等を行う上で必要なものでございます。しかしながら、その目的等から見まして毎年実施する必要はないのではないかと考えられるわけでございます。しかし一方、届け出の間隔につきましてこれを余り長くいたしますとデータの信頼度等が低下いたしますので、いろいろ検討したわけでございますが、たとえば医師等を例にとりますと、大体医師は毎年総数の増加率は四、五%程度、そしてまた従業地の県内における異動率あるいは県外等に対する異動率というのは一〇%前後あるわけでございます。したがいまして、全体を総合勘案いたしまして、二年に一回程度であれば行政上特段の支障はないであろう、そういった判断を臨調でいたしたわけでございます。
#12
○柄谷道一君 厚生省に確認をいたしたいと思いますが、ただいまの臨調事務局の説明を私なりに整理してみますと、年次届を徴する目的は、一つは医療関係者の分布、就業形態等を明らかにして、医療及び公衆衛生行政の基礎資料を得るということ。第二に、地域における医療、薬事監視や医療体制の把握のために不可欠であるということ。この二点にあると理解いたしますが、そのとおりですか。
#13
○説明員(吉田勇君) 先生御指摘のとおりでございます。
#14
○柄谷道一君 それでは再度質問いたします。
 いまのような目的ではございますが、三十九年に提出されました第一次臨調の答申の中で次のように指摘されております。
 いま私が申し上げました目的の一については、医療業務に従事している医師、歯科医師、薬剤師に関する統計資料は、県、保健所を通じて実施する医療施設調査、これは指定統計第六十五号と重複する面があり、また届け出事項中の身分関係については変更を生じた都度届け出の義務がある。目的の二については、別途、医療施設の設置、休廃止または再開等を行おうとする者は許可または届け出を必要とされていること。以上の二点から見て、年次届を提出させなくても目的は達せられるという指摘が三十九年に行われているわけでございます。
 再度、どうしても届け出を必要とするという理由があるとすれば、それを厚生当局から明らかにしていただきたい。
#15
○説明員(吉田勇君) お答えいたします。
 医療施設調査におきましては、確かに届け調査で把握できる面があるわけでございますが、それは医師の従事者数等でございまして、常勤、非常勤というようなこともついでに届けることになっております。しかしながら、医師につきましては、必ずしも医療施設だけではなくて、公衆衛生や福祉の分野につきましてもいろいろ就職している方もいらっしゃいますし、今後その方面での需要もますます増してくるんじゃないかと思っております。
 したがいまして、医療施設調査ではどうしても把握できない点がありますし、それから医療施設調査によりますと、医師につきましては兼務しているような場合がありまして、正確な何人医師がいるかというようなことはやはり医師届でないと把握できない場合があります。それと私ども、いま医師等の適正数というのが非常に大きな問題になっておりまして、一方ではこのままでは医師は過剰になるんじゃなかろうかと、一体適正数というのは幾らか、諸外国と比べてどうなんだというようなことが大きな問題になっております。今後私ども医師の適正数について検討しなければならない事態になっておりますので、この届け出によりまして随時正確な数を把握をしていきたいと思っております。
#16
○柄谷道一君 長官にお伺いいたしますが、いわゆる第一次臨調は、いろいろ分析をいたしまして、原則としてこの届け出制は廃止すべきである。もし、特に必要が生じた場合、何年か置きに実施することに改めるべきであるという答申をいたしておるわけでございます。厚生省の資料によりますと、この届け出対象者数は八十七万四千四百十名にも及んでおります。これは一都道府県当たり平均いたしまして一万八千六百人に達するわけでございます。
 私は、行政の徹底的な簡素合理化を実現しようとすれば、むしろ第一次臨調の答申を尊重してこの届け出制を廃止するか、どうしても特に必要とするというのであれば、最低五年に一回程度の実態調査を行い、年度の変更は都度出されてくるわけですから、厚生当局がその実態が把握できないというただいまの説明は合理性がない、こう思うのでございます。
 これはいま直ちに法改正は困難であろうと思いますけれども、今後の重要な検討項目として、長官としてこの点にさらにメスを入れるというお考えがおありかどうか、お伺いします。
#17
○政府委員(中庄二君) 事務的な問題も入りますので、私からお答えさしていただきます。
 臨調の答申も、ただいま先生の御指摘のように、全廃した場合にも必要のある場合には一定の期間を置いてやったらどうか、どのくらいの周期がいいかという問題に帰着するかと思います。私どもも厚生省との話し合いで、厚生省もすぐ廃止はできないということでございますので、今回のように年次届を二年に延ばしまして、後の折を見ましてから私どもの方で慎重な検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#18
○柄谷道一君 これは要望でございますが、長官、「何年かおきに」というふうに書かれていることは事実なんですけれども、そのいまの他の統計の調査ですね、それと総合して考えるならば、これは何年か置きに特に必要な時期に調査をしなさいということであって、画一的に二年なら二年間隔で調べろという趣旨では第一臨調はなかったわけですね。この点、長官ひとつ十分配慮をいただいて、これは膨大な事務量を要するわけですから、八十七万人を二年ごとに全部を調査をする、これは調査の対象者も大変でございますし、これを整理分類する事務当局の作業量も大変だろうと思うのでございます。これは行革を一層徹底化するために一つの大きな宿題であると、こう思いますが、長官、いかがですか。
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) よく検討してみたいと思います。
#20
○柄谷道一君 次に、法人事業税及び法人住民税の申告、納付について自治省にお伺いいたしたいと思います。
 臨調の答申は、「申告書については、新様式に統一化を図る。納付書についても、できるだけ速やかに関係者と調整の上、様式の統一化を図る。」と、こうございます。そこでお伺いいたしますが、この答申にある納付書についていつまでに様式の統一を実現しようとしておられるのか、今後の対処方針を明らかにしていただきたい。
#21
○説明員(湯浅利夫君) お答え申し上げます。
 現在、法人関係税の納付書につきましては、各地方団体がそれぞれ自己の事務の流れに応じましてその様式を定めているわけでございます。そのために、分割法人を中心といたしまして、納付手続の簡素化の見地からその統一を図るべきであるという御意見があることは十分存じ上げているわけでございます。ただ、この納付書の様式統一をするためには、各地方団体の事務処理をある程度調整する必要がございますし、また他の税目の納付書とも関連いたしましてその納付書の内容を考える必要がある。また各地方団体のみならず、たとえば金融機関との調整を図る必要があるというような多くの問題点があるわけでございます。
 したがいまして、秋ごろまでに各地方団体の納付書などの実態調査を終えまして、その調査結果を踏まえまして、今後これらの問題を十分検討いたしまして、関係者との調整を行い、できるだけ早い機会に納付書の統一を図るように努力してまいりたいと思っております。
#22
○柄谷道一君 行管庁にお伺いいたしますが、この法人事業税、法人住民税の申告書、納付書につきましては、現状では、ただいま答弁もございましたように、サイズ、レイアウト、各県ごとに区区でございます。したがって申告、納付に関する事務処理が繁雑であるということはたびたび各方面から指摘されておるところでございます。また、特に事業税、都道府県民税関係では約八万法人、市町村民税関係ではこれをさらに大きく上回る数の法人は分割法人、いわゆる各地に事業所を持つ企業でございます。したがって、自治体ごとの申告、納付が要求されますので、特にこの分割法人についてはその事務手続が非常に繁雑化することは避けられません。同時に、各団体指定の金融機関に納付しなければならないということになっておりますので、その納付の方法も繁雑でございます。この面について多く改善の要望が出されておることは行管庁も御承知のところであろう、こう思います。
 そこで私は、秋ごろといま言われたんですが、この申告書、納付書の様式の統一化が実現いたしますならばこれは相当の改善が行われることになりますので一ぜひその時期を促進を自治省と連絡の上いただきたい。これは要望でございます。
 と同時に、さらに進んで本社の所在する都道府県に一括申告、納付してその都道府県が自治体ごとの配分を行うという方法、また特定の金融機関に一括して納付するという方法、一歩進んでこれらの措置を今後引き続き前向きに検討することが行政簡素化の精神に沿うものではないか、こう思うのでございますが、いかがでしょう。
#23
○政府委員(中庄二君) 確かに先生の御指摘の面、二つございますかと思いますが、まずは都道府県で本店所在地で一括納付ができないか、それから払い込みの方も一本でできないか、非常に大きな前進だと思います。ただ、これは地方税法上の問題とも絡んでまいります、徴税権の問題等も絡む問題でございますので、ここはひとつ慎重にやりたいと思いますが、御指摘のように、社会保険料についても同じような問題がございますので、私どもこれらをあわせまして、まずは申告書の様式それから納付書の様式、その辺を第一弾にいたしまして幅広く、単に税のことだけではなくて、保険料も含めまして今後十分自治省なり関係省と連絡をとりながら進めてまいりたいと思います。貴重な御意見をありがとうございました。
#24
○柄谷道一君 長官、法律というものは必要であれば改正すればいいわけです。やはりいま求められておるのは行政事務の簡素化、合理化ということですね。長く続いた伝統、慣例というものを踏襲することは安易でございますけれども、しかしそのために、官庁の行政簡素化とあわせて合理化できる民間の手続というものも簡素化、合理化する。全体的な、国全体の事務量の合理的処理というものは当然念頭に置かなければならない宿題であろうと思うんです。
 私は、これいままでも申し上げましたし、今後も質問いたしますが、私たちはこの法案に賛成でございます。しかし、それは全面的にいいというのではなくて、まだまだ不十分な面がありますよと、今後多くの宿題が残っておりますよということをきょうは指摘する意味で各問題を質問しておるわけでございまして、いま御答弁にもございましたように、長官としてもそういう目をもってこの問題について対応願いたいと思います。いかがでしょう。
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 柄谷さんの話を聞いておりますともっとものように思いまして、そういう方向にできるだけ早く促進しなければならぬと思います。
#26
○柄谷道一君 次に、高圧ガス取締法の一部改正について通産省にお伺いいたします。
 高圧ガス製造のための施設等について通産省令で定める軽微な変更の工事に係る事前許可制を廃止して、事後届け出制に改めるという内容が本改正案の中に盛り込まれております。私は、行政事務の簡素化は当然推進しなければならない、これに対しては異論はございません。
 しかし一方、配慮しなければならないのは、最近における高圧ガス事故の多発という現実でございます。五十五年四月以降この二年間の主要な高圧ガス事故というものを一応私調べてみました。
 昭和五十五年四月一日、出光興産徳山製油所接触水添脱硫装置反応塔爆発。五十五年四月二十二日、旭化成工業水島製造所アンモニアドラム・アンモニア合成塔火災。五十五年五月二十日、日本エラストマー大分工場合成ゴムプラントのブタジエン蒸留塔爆発。五十五年十月二日、昭和四日市石油四日市製油所潤滑油製造装置火災。五十五年十月二十二日、三菱油化鹿島事業所安全弁の火災。五十五年十月二十九日、新日鉄大分製鉄所転炉ガスサンプリング装置爆発。五十五年十二月二十四日、ゼネラル石油堺製油所重油脱硫装置内の高圧分離槽冷却器ガス漏れ。五十六年六月十五日、東亜燃料工業和歌山工場水添脱硫装置熱交換器の火災。五十六年八月三日、昭和四日市石油四日市製油所ガソリン水添脱硫装置の火災。五十六年九月二十一日、三井東圧化学大阪工業所メタノール製造設備改質炉出口配管のガス漏れ。五十六年十一月二十五日、横浜冷凍の冷凍設備ストレーナーの事故、ガス漏れ。五十七年三月三十一日、鹿島石油鹿島製油所第一重油脱硫装置の爆発。五十七年四月十二日、水島エチレン株式会社の脱プロパン塔リボイラー爆発。主な事故だけを挙げましても十三件に及んでいるわけでございます。そして、このことに伴いまして、当然死者と重軽傷者を出しております。
 私は、この通産省の事後届け出制に改めるということが安全性の確保という面とどういう関連を持つのか、この点によほど配意しなければ人命軽視の結果につながるのではないかと、こう憂うるものでございますけれども、その点に対する通産当局の対応をこの際明らかにしていただきたい。
#27
○説明員(谷仁君) 御説明申し上げます。
 現行の高圧ガス取締法におきましては、製造施設の変更工事が行われました場合には、許可をしたときの態様と異なることになりますので、保安に関する技術上の基準に違反するおそれがあるという可能性が生ずるということで、変更の工事を許可または届け出にかからしめております。
 今回の法律改正に伴います「軽微な変更」と申しますのは、その変更によりまして保安上全く支障が生じない場合を考えておりまして、その場合は許可を事後届け出に緩和しようということでございます。たとえば、省令に委任しておりますけれども、具体的には複数の製造ラインがございます場合に、その一部、独立した製造ラインを撤去するような場合にはこれは変更届け出ということに相なりますけれども、施設そのものを一部分撤去すると、独立した製造ラインを撤去するということでございますので、そういう場合には保安上全く問題はないという判断ができると考えております。
 したがいまして、今回の法改正によりまして保安レベルが後退することはないと考えておりますが、なお先生の御趣旨を体しまして、今後とも私ども通産省といたしましては、人命の尊重と安全の確保ということに十分配慮して対応してまいりたいと考えております。
#28
○委員長(遠藤要君) 谷課長、いまのあれは柄谷先生に対する答弁ですね。説明というお話があったようだが、お答えでしょう。
#29
○説明員(谷仁君) はい。
#30
○委員長(遠藤要君) ここでは説明は求めておりませんから。
#31
○説明員(谷仁君) 失礼いたしました。訂正いたします。
#32
○柄谷道一君 高圧ガスの安全性の確保、これは、重要な政治課題である。事人命に関する問題については、ただ簡素化という視点だけで問題をとらまえてはならない、私はこう思うのでございます。
 そこで、いまの答弁にもございましたけれども、今後通産省は省令の制定に当たって人命尊重、安全性への万全の配慮というものを行いまして、今回の改正というものが安全性の後退につながるということがあってはならない、十分の配意をこの際求めておきたい、こう思います。よろしゅうございますね。
#33
○説明員(谷仁君) 御趣旨のとおり、人命の尊重と安全の確保に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
#34
○柄谷道一君 次に、運輸省にお伺いいたしますが、バス停留所の位置変更の許認可等についてお伺いいたします。
 臨調の答申では、バス停留所の位置の変更の許可については、「競合路線、運賃区界に係るもの等特定のものを除き許可制を届出制に改める。」と、こうなっておりまして、本法案はそれを受けております。しかし私は、このバス停留所の位置の変更、新設、廃止等は地域住民の生活と密接に結びつくものであって、たとえ届け出制にはなるとはいえ、これを運輸大臣から委任を受けた陸運局長が所管し続けなければならない必然性は乏しいのではないか。端的に言えばないのではないか。地方にこれをすべて行政の移譲を行ってはどうかとすら思うわけでございます。運輸省がこの種の問題について所管し続けなければならない理由というのは一体どこにあるのか、御説明いただきます。
#35
○説明員(棚橋泰君) お答えいたします。
 いま先生からお話のございましたように、今回の臨調の御指摘によりまして、停留所の位置の変更のうち、他社との競合区間とそれから運賃区界にかかわるもの以外のものを届け出制にしたわけでございます。したがいまして、先生の御指摘は、残る停留所の新設、廃止及び競合区間と運賃区界にかかわるものも都道府県知事に落としたらどうか、こういう御指摘であるというふうに理解をいたします。
 それで、なぜそのようなものを現在陸運局長が所管しておるかと申しますのは、バス路線は現在免許にかかわっておりますが、ただいま申し上げました新設、廃止、競合区間、運賃区界というものにかかわりますものはバス路線を免許する際の重要な判断要件でございます。たとえば、過当な競争が行われて利用者の利便を損なわないように、ないしは運賃というものは免許の際に同時に認可をいたしますが、そういうものに密接な関係がございますので、今回の届け出から除外をしたということになっております。したがいまして、免許権限が現在陸運局長に路線の部分がございますので、それに密接関連のございます部分につきましては、引き続き陸運局長がこれを所管するのが適当ではないかということで今回の改正となったというふうに理解をいたしております。
#36
○柄谷道一君 長官にこれお伺いいたしますけれども、いま運輸省が御答弁されましたように、形式的に言えばそのとおりなんですね。しかし私は、行政改革の方向は、国の権限と地方の関係を見直して可能な限り地方分権を推進していくということではないかと思うのでございます。しかも、この関係は三月答申の中に大幅に盛り込まれるであろう、こう言われております。特に、地域住民の生活と密接な関連を持って結びついているものは、特別の理由がない限り地方分権を進めるべきである。国の地方出先機関の廃止までが議論されているこの段階で、今後この種の問題は自治体の長に権限を移譲することを真剣に配慮する必要があるんではなかろうか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
#37
○国務大臣(中曽根康弘君) 基本方針といたしまして、地域住民に密着した仕事はできるだけ地方自治体に任せる、そういう方針が好ましいと思います。本件もそういう性格のものであると考えておりまして、柄谷さんの御趣旨に沿って努力してまいりたいと思います。
#38
○柄谷道一君 続いて運輸省にお伺いいたしますが、自家用貨物自動車の使用の届け出は、営業類似行為規制のために必要な範囲を除き原則として廃止することとなりますけれども、今後の運営によっては、現在でも問題を起こしております白トラを一層拡大させ、その結果、業界秩序の混乱、過当競争の激化、さらにそれが労働条件への波及、交通事故の増大につながるおそれがある、こう思うのでございます。
 運輸省は、本案成立後、この営業類似行為を規制するために、本法案の改正と関連してどのような行政を強化していく考えを持っているのか、お伺いをいたします。
#39
○説明員(棚橋泰君) 先生お話のございましたように、今回の改正によりまして一定トン数以上のもの、私どもでは一応五トン以上ということを考えておりますが、それの自家用貨物自動車の届け出を五トン以上に限るということにしたわけでございます。
 御指摘のように、この条文がございます趣旨は、その届け出を行うことによりましていわゆる白トラ、秩序違反をする車両を追放する、そういうような意義があるわけでございまして、したがいましてまず第一に、五トン以上にした場合に非常に大きな影響があるかということでございますが、五トン以上に限りますと、現在の届け出の中身の約三%ぐらいになりますので、非常に事務の簡素化にはなります。
 そこで、五トン以上というので見てみますと、五トン未満と五トン以上でのいわゆる秩序違反というものの件数を見ますと、圧倒的に五トン以上が多いわけでございまして、大体昨年の例で申しますと、違反車両にしまして約三十倍の比率になっております。したがいまして、これで最も違反率の多い部分は依然として抑えられるというふうに考えております。
 それで、残る分につきましても、それでは全然ないというわけでもございませんので、私どもも従来からいろいろ手を講じておりますが、先生御指摘のように、各陸運局にそのための担当官を置いておりますが、手狭でございますので、民間等に委託をいたしまして、これに協力してもらう者を国から委嘱するというような予算措置等も講じたわけでございまして、それらのいろいろな手段を使いまして、残る車両の違反を極力少なくするように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#40
○柄谷道一君 五トン以上は従来どおりだ。で、簡素化されるから対象の焦点がしぼれる、これは確かに私は評価するんです。しかしその結果が、従来圧倒的に多い五トン以上の白トラ行為というものが、これはたとえば四トン車主体の白トラ行為というものに変形していくということを許しては法の改正の意味は全くない、こう思うのでございます。この点は要望としてとどめておきますけれども、やはり白トラ全般の、五トン未満を含めて、営業類似行為の厳正な規制というものについては一層の配慮をいただきたい、このように思います。
 次に、自治省にお伺いいたしますが、遊技場営業の許可更新について伺います。
 遊技場営業の許可更新については、法改正によりまして六カ月から一年となることとなりますが、短期間に営業の許可を更新させている目的の一つは、娯楽施設利用税の滞納防止にあると聞いております。しかし、最近では遊技場組合等が納税貯蓄組合を兼ねまして娯楽施設利用税の徴収及び納付等の事務を代行し、その徴収は円滑に行われているとも聞いているのでございますがへそのとおり理解してよろしゅうございますか。
#41
○説明員(湯浅利夫君) 最近の遊技施設におきます娯楽施設利用税につきましては、御指摘のとおり、納税貯蓄組合の結成などもございまして、その期限内納付の割合は八割を超え、ほかの税目と比較いたしましても遜色のないものになっております。
 ただしかし、これらの事業につきましては、御案内のとおり他の事業と違って非常に転業、廃業が激しく行われておりまして、この許可制度がないとこれらの転廃業にかかわる税の徴収に非常に困難を来すという問題がございますので、この点につきまして、従来どおり許可更新制度につきまして私どもといたしましては引き続きお願いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#42
○柄谷道一君 警察庁にお伺いしますけれども、風俗営業のうち営業の有効期間を設けておりますのは、いわゆるパチンコ屋、マージャン屋等のみでございます。風俗営業等取締法第一条第七号にその内容が記載されているわけでございます。しかし、これ以外はほかに例がないわけです。しかも、いま自治省の御説明がございましたが、徴税とリンクした営業の許可制というものもまた他に例がないと、こう思うのです。
 そこで、許可更新期間が一年に延長さわるとはいえ、このような短期間で更新をしなければならないという理由は、徴税のリンクという意味のほかに警察庁としてはどのような必要性があるのか、明らかにしていただきたい。
#43
○説明員(仲村規雄君) お答えいたします。
 七号営業につきましては、ただいまお話のございましたような娯楽施設利用税の通脱、免れる者をできるだけ少なくする、こういう必要が一つございます。
 もう一つは、こういった遊技場営業につきましては、大変射幸心をそそる競技でございますし、したがって賭博に移行しやすい営業であるということでございます。したがって、他の営業に比較いたしまして規制を厳しくする必要があるというふうに考えているところでございます。
#44
○柄谷道一君 射幸心をそそるような営業というのは、これはパチンコ屋、マージャン屋に限らないと思うんです。ほかにもいろいろ営業形態はあると思うんですが、そこにしぼって有効期限を設けて更新制をとっておる。このことに対して私はどうもまだしっくりいかない。
 この問題につきましては、民間団体の方で、昭和四十九年十一月の行政監理委員会の答申以来、行政事務の簡素合理化というものとあわせて、負担の軽減を図るために営業許可更新制度は廃止すべきではないか、もしそれができない場合でも、その期間は三年以上に延長する必要があるのではないかということを求めております。私は、納税関係はさらに納税組合の育成強化等を通じて対応がとれると思うんです。したがって行管庁として、この問題についてまだこれは宿題が残っておる、こういう受けとめ方で今後検討を行う用意がございますか。
#45
○政府委員(中庄二君) 御指摘のございましたように、昭和四十九年に当時の行政監理委員会が許認可につきましてもう少し期限を延ばしたらどうかということがございまして、三カ月から六カ月に延ばしてまいり、今回六カ月から一年ということでございますので、その流れからいたしまして、私どもも今後十分関心を持って推移を見守ってまいりたいと思っております。
#46
○柄谷道一君 ということは、こう理解しておきます。だんだん延ばしてきて一年にしたけれども、これは終点ではない、さらに延長する可能性を含めて実態をにらみながら検討が進められていくべきもの、こう理解いたしたいと思うのですが、そういうことですか。
#47
○政府委員(中庄二君) そういう姿勢で実態の把握を怠らないでまいりたいという気持ちでございます。
#48
○柄谷道一君 次に問題を転じまして、漁業許可申請の簡素合理化について農水省にお伺いいたします。
 水産業の効率的発展を図るためには、指定漁業の許可手続を簡素化することが一つの課題であろう、こう思います。しかし現実には、許認可事務手続は、その審査機構が地方自治体の出先機関・地方自治体、国の出先機関・本省と多段階に及んでおりまして、その手続は非常に複雑であり、かつ相当の期間を要しているというのが実態であろう、こう思います。
 そこで、こうした多段階にわたっておる審査機関というものを集約化いたしまして事務の迅速化を図る必要がある、こう思うわけですが、いかがでございますか。
#49
○政府委員(山内静夫君) 事務の簡素化につきましては、漁業者の負担の軽減と、こういう意味から非常に賛成でございます。現在、指定漁業の許可の申請につきましては、先生御指摘のとおり都道府県知事を経由して行うと、こういうぐあいになっているわけでございます。この意味は、申請者が地元の漁業者であることから、地域の実情に精通しております都道府県知事を経由させまして、都道府県知事の段階で申請の内容や添付書類が適切であるかどうか、こういうことを事前審査を行うことによりまして許可事務の円滑化を行う必要があると、こう考えているわけでございます。また、漁業者にとりましても、申請の受付窓口が地元に設けられることによりまして、申請に係る書類の内容等について現地で適切な指導を受けることができる、こういうことから手続の円滑化につながっているのではないかと、こう考えているわけでございます。
 したがいまして、このような手続を変え、あるいは経由機関を省略することはかえって事務の円滑化に支障を生ずる。たとえば具体的に言いますと、書類が不備であるとか、こういう問題からいろいろのトラブルが起きる。こういうことを避ける意味で都道府県知事の経由と、こういうことを現在とっていきたいと、こう考えているわけでございます。
#50
○柄谷道一君 私は全面的に否定しているわけじゃないのです。しかし、いま四階建てになっているのですね。これは地方出先機関の問題がこれから議論されるわけですけれども、都道府県知事から本省直通で十分自治体段階での予備審査というものが行われれば、私は国の出先機関というものの審査を一段階省略することも可能であろうと、こう思うのですね。この点は、何も円滑に事務手続が進捗することを阻害しようという意味じゃないのですから、円滑に進展しつつ、なおかつ一段階等の簡素集約化という問題は可能ではないか、こういう質問をしておるわけです。どうですか。
#51
○政府委員(山内静夫君) 国の出先機関等につきましては、主として瀬戸内海等におきまして漁業調整上、各県との調整を図る、こういう意味からそういう機関を経由する事例もございますが、今後出先機関等につきまして、不要な問題につきましては経由を廃止すると、こういうような方向で検討してまいりたい、こう思っております。
#52
○柄谷道一君 ぜひそのような姿勢での検討を要望しておきたい。
 さらにこの問題について質問いたしますと、現在関係各機関に提出する申請書類への添付書類の問題でございます。これについては船舶原簿謄本、漁船原簿謄本、船舶登記簿謄本等多岐にわたっております。この問題についても、必要な削減を行うこととあわせて、たとえば複写書類でもいいというように改正するなど、私はこの面においても徹底した簡素合理化を検討、実施する余地が残されているのではなかろうか、こう思いますが、いかがでしょう。
#53
○政府委員(山内静夫君) 現在、指定漁業の許可申請には漁船登録謄本、船舶検査証書の写し、申請者が法人である場合には定款、登記簿謄本等書類を添えて行うことになっておるわけでございます。これらの書類は、申請に係る漁船が適正に登録され、かつ所要の検査を経ているかどうか、申請者の経営内容がどうなっているか等を把握するためのものでございまして、指定漁業の許可の判断を行う上で必要最小限のものに限っているわけでございます。添付書類のうち、船舶に関するものにつきましては漁船登録謄本、船舶検査証書の写し及び申請に係る船舶が自己所有船でない場合には当該船舶を使用する権利を有することを証する書面のみでございまして、御指摘のように船舶原簿謄本あるいは船舶登記謄本等につきましては現在添付書類とはしておりません。
#54
○柄谷道一君 私は、念には念を入れよ、これは官庁の姿勢としてはその姿勢は当然だと思うんですけれども、念を入れなくてもいいところまで念を入れているんではないか、こういう感をぬぐえないわけでございます。さらにその添付書類についてしぼることができないかどうか、これはやはり関係団体とも十分意見を疎通して可能な限りの簡素化を図っていく、そういう姿勢が私は本法案の精神ではないか、こう思いますので、この点は水産庁に十分の御検討を煩わしたい。
 そこでさらに、海洋底びき網漁業の許可の有効期間でございますが、現在これは一年間でございます。同漁業の起業許可の有効期間は十カ月となっておると私は承知いたしますが、このような短期間で都度審査をしなければならない理由は一体何でございますか。
#55
○政府委員(山内静夫君) 一般的に申し上げまして漁業法上の指定漁業、たとえば遠洋底びき網漁業もこの例でございますが、許可の有効期間は原則として五年になっているわけでございます。しかしながら、遠洋底びき網漁業につきましては、米国、ソ連が二百海里水域を設定したときにおきまして、外国漁船に対しまして両国とも一年単位の漁獲割り当て量、漁業許可を与えると、こういう規制を行うことになったため、遠洋底びき網漁業につきましては、昭和五十二年二百海里時代の幕明けから許可の有効期間を従来の五年から一年に短縮したものでございます。今後とも許可制度の安定的な運用に努めてまいる所存ではございますが、本許可の問題につきましては、外国の問題等がございまして許可期間を五年にすると、こういうことは実態に合わないんではないかと、こう考えているわけでございます。
 起業の認可制度でございますが、指定漁業の許可制度は通常、許可の申請者が船を持っていると、こういうことを前提として申請を行うわけでございましたが、指定漁業の許可を受けようとする者がたまたま船がなかったと、沈没等によって船がなかった場合には、一定期間内におきまして建造等によりまして船を取得すれば許可の申請ができる、許可を取得できると、こういう許可の予約制度としての起業認可制度があるわけでございます。
 起業認可を受けた者は船舶の建造に着手し、船ができれば当然のことながら許可を取得できると、これは先ほども申し上げたとおりでございますが、船をつくる建造期間等を考慮すれば十カ月で十分であろう、こう考えられておるわけでございます。これ以上また延ばすことになりますと、船をつくる意思がないにもかかわらず許可を取得する準備をしているというかっこうでございまして、ほかの人が漁業をやりたい場合に空席を持つと、こういう意味から一応十カ月と、こういうぐあいに制限しているわけでございます。
#56
○柄谷道一君 ただいまの答弁では、私はこの有効期間を一年とか十カ月に非常に短い期間にしなければならぬという必然性はどうもまだ理解できないわけです。
 そこで、これは行管庁、ひとつ要望いたしておきますけれども、これも民間団体からは強い是正の要求が出ておるわけですね。この問題ばかりできょう突っ込めませんから、ひとつその民間団体の要望の趣旨を踏まえて、それが実態上ただいまの答弁のようなことなのかどうか。この有効期間を延長しても実態的に問題はないということであれば、さらにこの有効期間を長くするということは当然配慮していいんではないか、こう思うんです。この問題についてひとつメスを入れていただきたいと思うんですが、お約束いただけますか。
#57
○政府委員(中庄二君) 先刻御案内のように許認可は約一万件の件数になっておりますので、これの改善につきましては、一義的にはまず各省庁が行うべきものと思っておりますが、各界からの要望等がございますものは従来行政監察でもやってきております。ただいまは臨調と行管が連携してやっておりますので、臨調の方とも御相談申し上げて、どういう方法でやっていったらいいかということを検討してみたいと思います。
#58
○柄谷道一君 次に、官庁統計調査の簡素合理化について質問したいわけでございますが、私は、わが国の官庁統計調査は戦後急速に拡充されて、現在おびただしい数の調査が実施されていると思うのでございます。そこで、一体行管庁として、本当に国と地方自治体を合わせ一体どの程度の官庁統計調査が行われているか、またそのために官側と民側含めてどれだけの人と金を必要としているのか、またその官庁統計というものがすべて有効に機能しているのかどうか、こういう問題についてはまだその実態を十分に把握されていないのではないかと、こう思います。
 もちろん、必要な官庁統計は整備しなければなりません。しかし、現在行われている官庁統計調査のすべてが妥当であるかどうかは、さきにも申し上げましたように、疑問であると思います。たとえば行管庁の統計調査の総合調整監査機能が弱いために十分調整が行われておらない。各省庁各部局独自に実施され、統一性を欠き、重複する部門や代行し得る部分があるのではないか。また第二には、一たん実施した調査というものが安易に継続され、その廃止や改善が進んでいないのではないか。第三点は、調査はもっぱら利用者側の必要という視点からのみ実施されて、記入負担の観点、コスト・アソード・ベネフィットという考え方というものが軽視されているのではなかろうかと私は感ぜざるを得ないわけでございます。
 そこで行管庁として、この際現在の官庁統計調査というものをもう一度洗い直して、その簡素合理化を断行するという姿勢が当然あってしかるべきではないか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
#59
○政府委員(佐倉尚君) 官庁統計の総合調整の話にもかかわる先生のお話でございます。言うまでもなく官庁統計、各省でそれぞれ自分のところの行政分野につきまして統計を作成しております。これは申すまでもなく、わが国の経済社会の状態、そういうものをしっかり把握していろいろと計画を立てる、行政を執行していくという上に整合性のとれた全体の統計体系というものを完成するためでございます。
 先生御指摘のとおり、行政管理庁の中にただいまの官庁統計の総合調整機能があるわけでございます。まず、これが非常に膨大なものになっていると。それから、その利用者のためだけで、申告する国民の負担というものについて配慮が足りないんではないかという御指摘でございますけれども、私どもこれらの総合調整を行う場合に、これは法律では統計法及び統計報告調整法という二つに基づいてやっているわけでございますけれども、常に利用者の負担というものは十分考慮し、それを軽減するようにやっているわけでございますけれども、なお一層そういう点にも十分配慮していきたいというふうに思います。
 それから、どれくらいの官庁統計が行われているかという御指摘でございます。簡単に申し上げますと、五十六年度でございますが、国が行った統計調査、これは指定統計の五十四件を含めまして三百九十件に及んでおります。それで、要した経費はただいまの分で百九十九億六千万円という、これは人件費を除きましてそれだけの経費というような規模のものでございます。このほか、地方公共団体に委任事務で行いますために、都道府県の職員あるいは市町村の職員というものがこれに従事しているわけでございます。なお、先生お話しのとおり、都道府県あるいは市町村の地方公共団体におきましては独自の統計調査をまた別途必要に応じて実施しているという状況でございます。
 ただいま先生のお話しの総合調整をもっとしっかりやって国民のための負担の軽減、これにつきましては経団連等からもいろいろ提言をいただいております。ただいまの先生の御指摘の趣旨と同じような提言でございますので、こういうものを踏まえまして今後とも十分にそういう総合調整というものの実を上げるようにやっていきたいというふうに考えます。
#60
○柄谷道一君 私は、官庁統計が完全に調整され、選別をされているのであれば民間から要望が出てくるはずはない、こう思うんですね。まだまだ問題点を残しておるという認識であればこそ提言や要望が寄せられる、こう理解するのが自然な受けとめ方ではないかと、こう思うんです。
 そこで、いま経団連等からは、当面とるべき措置として五項目、さらに具体的改善策として二十二項目にわたって具体的に廃止、削減、内容の簡素化等の問題が示されております。私は、時間がありますならばこのすべてについて質問したいんですけれども、その二十二項目の内容は、これ通産省、運輸省、労働省、厚生省、建設省、環境庁、資源エネルギー、国土、企画、中小企業の十省庁と、さらに人事院にわたる膨大な要求なんです。一々これ聞いておりますとこれだけで数時間を要しますのできょうは聞きませんけれども、一応行管庁として、この具体的提言に対していまの十省庁と人事院がどういう対応をしようとしておられるのか、これを集約をして、後ほどで結構でございますけれども、私の方にその大要をお示し願いたい。これは資料要求したいと思うんですが、引き受けていただけますか。
#61
○政府委員(佐倉尚君) ただいま御指摘のありました省庁と相談の上、御要望に応じたいというふうに考えておりますので、努力をさせていただきます。
#62
○柄谷道一君 通産省にお伺いいたしますが、わが国の流通段階が非常に多段階かつ複雑であるということはもう多く指摘されておるところでございます。ところが、この流通機構の近代化について大きな政治課題になりながら、法律による規制、また行政指導によりまして、なかなかその近代化というものが進んでいないこともまた実態であろうと、こう思います。また逆に、最近の傾向としては、たとえば大店法の改正等にも見られますように、届け出制を許可制に近いように一層その規制を強化するという、流通機構近代化とは逆の方向もまた行政姿勢として打ち出されておる、これが実態ではないだろうかと思うのでございます。もちろん既存企業の、特に中小企業の育成強化、これは必要なことでございますけれども、一方、国の大きな政策の流れとしては、この近代化、流通機構の簡素化、これも取り上げなければならない大きな政策課題である。そこで、通産省にこの流通機構近代化に関する行政姿勢についてお示しをいただきたいと思います。
#63
○説明員(佐伯嘉彦君) 先生ただいま御指摘のございました最近の大型店の抑制基調の運用につきましては、大型店の出店計画というものが大変高いレベルにあります反面、最近の消費支出の伸び悩みというような状況から、緊急性にかんがみましてとられました措置でございまして、中小小売商の経営というものがこういった消費の伸び悩みということから苦しくなっておりますので、当面の運用といたしましては、出店者あるいは建物設置者の協力を得まして出店の自粛をお願いしているという状況でございます。
 ただ、この大型店の出店につきましての調整問題といいますのは、やはり地域地域の実情に応じまして調整をいたしていくものでございますので、当該地域の商業環境というものを十分踏まえた調整が行われるように考えてまいりたいと思っております。
 また、最後に御指摘のありました流通合理化、近代化の問題につきましては、こういった経済情勢も踏まえつつ、またこれからの小売業のあり方というものについての検討をしてまいりたいというふうに思っておりまして、こういった検討を踏まえまして、今後さらにどういった形でこういつた調整問題を考えていくか、さらに検討してまいりたいというふうに思っております。
#64
○柄谷道一君 最近の当面する現実の中でそのような規制を緊急措置として行ったけれども、しかし大きな今後の流れの方向は、やはり近代化。流通機構の複雑な形態を近代化し、しかも経路を短縮していく、それが通産省の基本的姿勢であると、こう受けとめていいですね。
#65
○説明員(佐伯嘉彦君) 先生御指摘のとおり、大規模小売店舗法の運用におきましても、流通の合理化、近代化ということを十分踏まえまして、かつ周辺の中小小売業の健全な発展というものと両立するように考えてまいりたいというふうに思っております。
#66
○柄谷道一君 時間が参りましたので、この質問はあと一括して三つ申し上げまして、簡単にお答えを願い、終わりたいと思うんでございますが、長官、この法案、一歩前進であることは評価します。しかし、これで行政機構の簡素合理化はすべて満たされたのかということになると、私はずっと法案の内容を時間の範囲内で指摘してきましたけれども、まだまだメスを入れなければならない課題というものはたくさん残っておるということではないか。この点は最後に長官の御所見をお伺いしたい。
 そこで、本来大蔵省に酒税法関係、厚生省に食品衛生法関係について御質問したいと思っておりまして御出席いただいておりますが、ちょっと時間がなくなりました。時間は守りたいと思いますので、これは後の機会に譲りたい。出席願った皆さんには申しわけないと思います。
 ただ一点、自治省に対して、五十七年の四月に全国知事会地方行財政基本問題研究会が地方に対する権限の委譲、関与の整理についてということで、こういう膨大な提言を行っているわけです。本来、時間があればその内容についても触れたいわけでございますが、時間の関係で触れることができないのは残念でございます。ただ、自治省としてこの提言というものをどのように受けとめ、今後この提言をどのような姿勢で消化し実現しようとしておるのか、その一点をお伺いしたい。
 以上二問を申し上げまして、私の質問を終わります。
#67
○国務大臣(中曽根康弘君) 許認可の廃絶、規制の解除、簡素化、これは柄谷さん年来の御主張でございますが、今回の法案はまだまだ改革すべき余地が残されておる点が多々あると思います。御趣旨の線に沿いましてさらに排除、簡素化に向かって努力を続けたいと思います。
#68
○政府委員(砂子田隆君) ただいま御指摘がございましたように、全国知事会の地方行財政基本問題研究会は、本年の四月に、地域住民の生活に直接影響を及ぼす行政という問題に関しまして、権限の委譲あるいは国の関与の整理ということにつきまして具体的事例を挙げて提示をしてございます。その中には、そのほかにも国と地方公共団体あるいは民間、そういうもののかかわり合いにつきましても事例を挙げながらその整理を行うべきことを求めております。この知事会の意見と申しますか、六団体の提言というのは、一つの参考資料といたしまして過般の臨時行政調査会にも提示してございます。そこには全国知事会の会長の鈴木会長が臨みましてその所信を明らかにいたしているところでもございます。
 この提言に当たりましては、知事会、市町村長、そういう方が現実に第一線におりましていろいろな仕事をなさっておる、そういうことの中で、事務処理を点検をする中で、どうしてもこういう事務というのは自分たちの立場から言うと地方におろしてもらいたいのだということの一つのあり方を示したものだと思っております。このことは別に新しいことではなくて、前々からもそういう問題が地方制度調査会でも取り上げておられまして、私たちもその実現に努力をしてきたわけでありますが、この提言に関しましては、一つの改革案としてきわめて示唆に富むものだとわれわれは理解をいたしております。
 今回の行政改革自身が国、地方を通ずる行政の簡素化でありますとか、あるいは地方自治の拡充強化でありますとか、そういう点から取り上げられると聞いておりますので、こういう問題が具体的に取り上げられて調査会で実現をされるということを私たちは非常に期待をいたしております。しかも、もしこのことが臨調の中で今月末の答申の中に含まれるようなことがございましたら、私たちといたしましては、公共団体のそういう意向を十分踏まえながら、各省と協議をして実現方に邁進をしてまいりたいというふうに思っております。
#69
○柄谷道一君 終わります。
#70
○秦豊君 きょうは、私としましては大変たっぷりした時間を珍しく与えられておりますので、ひとつじっくりと中曽根さんの久々の答弁も伺ってみたい、こう思います。法案に即した具体的な質問は後ほどまとめて政府側に伺いたいと思いますが、その前に、中曽根行政管理庁長官にホットな私の疑義をただしておきたいと思うんです。一これは、まあホットといっても非常に新しいわけであって、あなたがきのうある経済団体で発言をされた、表向きはオフレコ発言となっているんだが、広くマスメディアに伝播されている。で、焦点は行政改革の眼目であるとあなた自身がとらえていらっしゃるらしい国鉄改革の成否を左右しかねないような仮称国鉄再建監理委員会の性格づけをめぐって、当の主管大臣、行政改革の束ねの長であるあなたの発言、非常に重大な発言が報道されていますので、あれはオフレコーディングだと、真意は伝えていないという閣僚の常套答弁に逃げ込まないで、やっぱりこの際内閣委員会なんだから、主務委員会なんだから、あなたの真意をぜひとも伺いたいと思います。
 なぜ私がそう申し上げるかというと、非常に発言が重い。たとえば国家行政組織法の第三条によるいわゆるきっぱりした行政委員会として位置づけるのか、あるいは政府がよく使う手なんだけれども、同じく国家行政組織法第八条による諮問機関として監理委員会をきわめて限定的に窮屈に押し込めるのか、もうその発端からして私はレールが決まってしまうような感じするわけですよ、国鉄再建の。しかも国鉄問題というのはワン・オブ・ゼムじゃなくて、まさに政府の認識においても行政改革のポイント、核であるというとらえ方であればなおさらこれは看過できないので、ぜひこの委員会の冒頭に中曽根長官のこの問題についての真意を伺いたいのです。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) けさのある新聞に出ましたその関連記事は正確なものではございません。私はその団体へ出まして、現在の臨調の審議の状況、現状説明を行ったわけであります。その中で、国鉄改革の問題ももちろん現状説明をいたしまして、第四部会の答申はこういうことになっておる、それに対して自民党の内部では三塚小委員会等を中心にしてこういう議論がいま起きておりますと、そういう話をその点についてはいたしました。
 その中で、国鉄監理委員会を設置すべしという議論が第四部会の報告に載っておるけれども、その性格について三条機関にすべしというのは臨調側の強い御意見のようであります、その理由はこれこれであって、歴史的に見ると三条機関にはこういうものがございます、公取とか国家公安委員会とか、あるいは占領下行われた松永安左衛門さん等が活躍した電力九分割に関する審議会がございました等々の三条機関の前例等も説明をして、八条機関というものはこういう性格のもので、そしてたとえば原子力委員会とかあるいは臨時行政調査会といったようなものがそういうものでありますと、これらについてはいま議論が盛んに行われておるところでありまして、臨調の本調査会においてどういうふうに取り上げられるか、われわれはそれを注目して見ておりますと、そういう趣旨のことを申し上げたのであります。私がこう考えておりますというようなことは申し上げません。
 ただ、内容をかなり、これはその団体において三条とか八条という意味がよくわからないと、そう思っておりましたから、内容をいろいろ具体的例も挙げて申し上げた。そういうことで、いろいろ勘ぐる向きがあってそういう必ずしも正しくない記事が出たのであろう、こう思っております。
#72
○秦豊君 長官ね、あなたが言われたとおりならば、それは解説というのですよ。意見がまじれば論説、社説というわけです。あなたが述べたような解説ならばオフレコにする理由は毛頭ありませんよ。それはそうですよ。あなたがあえてオフレコにされたというのは、この経済団体内部におけるあなたのいわゆる発言のある部分がこの際刺激を与えてはならない、今後の進展に。こういう配慮があったから慎重なあなたはこれはオフレコだよと、わざわざクレジットをおつけになったんじゃありませんか。
 しかも、きのうの発言が三条発言問題について初めての発言であれば私は一応そのエクスキューズを了としますかもしれませんが、この三条、八条問題というのはかなり前からちらついており、顕在化しており、それについての中曽根長官の意見というのはかなり方々に反映されてきたはずです。あなた自身が一つの見解をお持ちのはずです。だから、きのうの発言が仮に真意を伝えなければ、当該日刊新聞に対する訂正要求ということも含めてなさったらそれはあなたの個人的な処理になるが、公人としてのあなたの発言としてはまた委員会ではそれじゃ納得できないわけですね。
 きのうの報道が真意を伝えていないとしても、じゃあなた自身の、行管庁長宮としてその国鉄再建監理委員会、仮称、略してこれからはこの委員会では監理委員会と言いましょう、あえて。監理委員会の性格についてはあなた自身はどう思っていらっしゃいますか。三条であるべきか、八条の諮問機関に限局すべきか、この点についてはいかがですか。
#73
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞報道の内容は、報道の自由でございますから、余り私らはとやかくどう報道されたからといって気にかけるようなことはできるだけしないようにと思っておりますが、著しく事実を伝えないとか、誤解を受けるという場合にはそれは措置しなければならぬと思います。
 ともかく、きのうは臨調の動き及び党の動きについてかなり詳細に現状説明をしたのでありますが、それは国鉄の問題あるいは電電の問題あるいは専売公社の問題、どういう点が論議の対象になっており、それに対して党やあるいは臨調の内部においてどういう議論がなされているか、これはその団体に対してよく事態を認識しておいてもらういい機会である、そう思いましたから、かなり詳細にわたって現状説明をしたわけです。中央行政機構あるいは地方問題等についても同じようにすべてやってきたので、そのいろいろ議論の内容を一々新聞に出されては、党の部会あるいは臨調の内部のいまの情勢、現状について誤解を与えてはいかぬ、そういうこともありまして、初めからオフレコでお願いいたしますと、そういうふうにやったわけなのでございます。
 いま審議しておる内容につきまして行管長官としては意見を一切出さないと、私は石の地蔵さんでいきますと、そういう宣言をしておる。それはやっぱり初めから守ってきておるつもりなのであります。現在、じゃお前は三条か八条かとこう言われても、私は石の地蔵さんでおりますと、そういうふうにお答えをしたいと思っております。いずれ答申が出ましたら、それに対してどういう態度をとるかということは内閣あるいは党とも相談をいたしましてやりますが、現在は意見を出すことは差し控えたいと思っております。
#74
○秦豊君 さっきの通産じゃありませんが、あれは委員長の注意を受けた対象になった。説明であったからです。あなたの方は失礼ながら説明の域にとどまっていらっしゃる。閣僚でも一般の政治家でも官僚でも、国会外での発言はかなり奔放になさる。しかもそれはオフレコーディングならオフレコーディングの歯どめをつけて、それからはみ出した分は真意を伝えていないという逃げ方ができる。ところが、一たん国会に入ると途端に口が重々しくなりみずからを地蔵さんだと言う、石に向かって物を言うということは非常にむなしいけれども、いまの大体国会の論議の推移からすれば、あなた、行革論議というのははなはだ寡少なんですよ。
 閣僚には、たとえば国鉄だろうが電電だろうが専売だろうが、いわゆる三公社の問題についてはもうおのおの自在の発言はしないでもらいたいと言って官房長官あたりがしょっちゅうチェックする。ところが指の間から漏れてくる、これが実態でしょう。あなたは説明をされたと、誤解なきようにと言われるけれども、実際にある程度の発言はあったんでしょう。
 ならばこういうふうに聞きますけれども、地蔵さんに向かって聞くという徒労をあえて冒しますが、三条のいわゆる行政委員会の方が答申の趣旨を全うしやすいんじゃありませんか。それについての評価、計量はいかがですか。
#75
○国務大臣(中曽根康弘君) その点も私の私見を申し上げる段階ではないので差し控えさせていただきたいと思っております。
#76
○秦豊君 たっぷりした時間のわりには論議が発展しませんね。これ以上は繰り返しますまい。
 その中曽根さんに、次もそのような答弁で終わるかどうかですけれどもね。じゃ、あなた、七月の二十八日か何かは別として、基本答申があり得たと、答申を行管庁長官として受理し内閣が受理したと、受けたという後の進め方についてはある程度お話がいただけるのではないかと思うが、たとえば私などの受けとめ方では、国鉄の緊急事態宣言ですね、これもいわゆるがつくんだが、これが第一優先ですか。
#77
○国務大臣(中曽根康弘君) その点につきましては、答申をいただきましてから答申をよく点検いたしまして、それでこれをどう処理するか、党及び内閣とも相談をして方針を決めていきたいと思っております。
 ただ、一般的に申し上げまして、臨調答申を尊重すると、そういうことを内閣も私も言明してまいりましたし、法律にも書いてあるわけでございます。そこで過去二回、昨年の七月答申それから本年の二月答申、いま御審議願っておる許認可に関する内容でございますが、過去二回の扱いにつきましてはこれを最大限に尊重して速やかに実施に移すと、そういう閣議決定を一般的にやっております。今回も同じように閣議決定をいたしまして、そしてその上に立って今度は具体的方策を検討し模索し、また皆さんの御論議を煩わしたいと、そう考えております。
#78
○秦豊君 ですから中曽根長官、非常に平明に考えて、受けた、それをじっくり閣議で解析し優先順位をつける。時間があるけれども有限ですからね。そうするとやっぱりこうなるわけですか。国鉄の緊急事態宣言をまず発して事態を引き締め、世論に訴え、次いで仮称国鉄再建監理委員会、いわゆる委員会設置法の立法準備に入る。このあたりは常識的な手順じゃありませんか。
#79
○国務大臣(中曽根康弘君) 答申をいただきましたらそれをよく検討いたしまして、どういう順序で、どういう段取りで、時期的にどれが先か、どれが後になるであろうか、あるいは来年三月に出てくる答申との関係をどうするか等々を踏まえまして、その工程管理に関するプログラミングをやはりやる必要があると思っております。その内容の中に電電も国鉄も専売もあるいは中央省庁も入ってくると思いますが、具体的に一つの問題についていまどうこうするということは、まだ答申も出てこないときでございますから仮想であります。いまのところは具体的なそういう提案なり考えはまとまっておりません。
#80
○秦豊君 ややロングレンジになるかもしれないが、この行革関連の答申をじっくりと吟味された後、それを実行していく場合に設置法の改正とか一連の法改正の作業はずっと膨大に続きますよね。それをどうするかはもちろんプログラミングの中で処理する、考えを位置づけるわけなんだけれども、中曽根長官のいまのお考えの中では、行政改革を推進し実行し実現していくための一連の法改正、関連法案の成立というのは、八三年の通常国会には何とか終えたいと、希望を含めてというまあまあいまのところの受けとめ方なのか、あるいは八三年秋の臨時国会にまたがってもそれはもう仕方がない、いずれなりともそれは国会の推移であるというふうな御認識ですか。
#81
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、まだ答申も出てきておりません。どういう内容のものが出てくるか、よく検討した上でそれらは考えるべきものでございまして、いま時間的にどういうふうに区分けするかというようなこともかいもく見当はついておりません。
#82
○秦豊君 それはプログラムとの問題だから、そういう答弁も一応私はあり得ると思います。
 あなた自身の基本的な認識をこの際伺っておきたいのだけれども、あなた自身の位置づけですね、行政改革についてのデッサンというか、これはまず優先順位は国鉄等を含めた三公社、次いで中央省庁の統廃合というふうな位置づけでしょうか。
#83
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調の答申はみんな大事な重要な問題だと考えております。
#84
○秦豊君 加藤第四部会長はあるところで、あなたじゃないが講演をしまして、国鉄問題を重点に講演をしていらっしゃる。それを拝見したのですけれども、世間には国鉄の分割とか民営化についてかなり誤解があると、それで加藤氏によれば、私鉄との対比で物を考えてもらうとわかりやすくなると。どういうことかといいますと、いわゆる一本のレールでつながった国鉄を機械的に割っていくのではなくて、分割化というのは立ち行くような条件を付与した上での分割化である。あえて言えば私鉄的性格への移行である。だから第四部会長によれば積極的な分権化を意味するんだと。分割というとやや機械的、公式的に聞こえるけれども、私鉄的な機能を付与するようなことも考える。同時に、中央で引きくくる中央集権的なそういう在来機構ではなくて、分権化して活性化するんだと、こういう説明を、要旨をある場で述べていらっしゃるけれども、長官の受け取り方は一それも答申を吟味しなければなかなか答えられない範囲ですか。
#85
○国務大臣(中曽根康弘君) 第四部会の論議の中におきましていろいろな議論がございました。それから第四部会長が内外でいろいろお話しになった点は私も注目してトレースをしておりますが、大体第四部会長のお考えは基本的にそういうような点にあると私も想像しております。
#86
○秦豊君 それからこの問題は、だからどうせ秋に臨時国会も開かれましょうから、そういう場でじっくりやりましょう。
 もう一つ、比較的今日的な問題について、行管庁長官じゃなくて今度は国務大臣としてのあなたにちょっと伺っておきたいんですが、これはあなたの講演ではないが、昨日臨調の土光会長が特に防衛費について発言をされております。内容は恐らく御存じではないかと思いますが、防衛費をも聖域とはせずと、これが発言のポイントです。あとは付随的なものはあります。これは後ほど総理にもぜひ伺ってみたいと思いますが、午後の審議では。国務大臣としての中曽根さんはきのうの土光発言についてはどういうふうな御見解ですか、御認識ですか。
#87
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、前から本委員会におきましてもあるいは本会議等におきましても、臨調の審議の対象には聖域はございませんと、そう申し上げておるので、土光さんと同じ考えでおります。
#88
○秦豊君 それから今度は行革の本論というか、法案にこれからなるべく近づいていきますが、あなた自身は行革グライダー論ですよね。これは非常にしゃれた表現、いかにもあなたらしい新しい語感だなとも思うのだけれども、ちょっと角度を変えると、逃げているなとも受け取れるわけですよ、風任せだと。行革という営み自体が国のトータルな営為であって、グライダーには、牽引はしますけれども、後はソアラーであれ何であれ、セコンダリーであれ、やはり風、上昇気流あるいは偏流に乗るという機能を持っているからそれはわからぬでもないんだが、国民とか世論という追い風しか期待はできない。しかしいまの進め方は、やはり政府は悪い言葉で言えばつまみ食い、あるいは矮小化にともすれば閉じ込もる癖があり、それは必ずしもあなたの基本方向ではないと私はなおかつ思いたいんだけれども、この行革グライダー論にこだわるわけではありませんけれども、私はいままでの政府の行革への取り組み方をずっと見てきたのだけれども、やはり非常に受動的なんですよ。野球で言えば捕手の役割りというかな、そういうところに非常にみずからを局限する、閉じ込める、万事臨調任せと言われているのはそこから発するんですよ。
 そこで私は、あなた自身の行革についての基本的なスタンスというか立脚点というかアングルというか、この辺をもう一度確かめておきたいのだけれども、あなた自身の中では、いま行われている行革が来年の春なら春に一応のピリオドを打つ、そのことが行革論議についての一つの終点という認識なのか、あるいはどこかで述べられたであろう――今度の一連の作業が終わったら、たとえば教育制度の改革というふうなことを焦点にして教育臨調であり、あるいは国家の改造に結びつくようなものを諮問項目とした新たな大型臨調を設けるべきであるというふうにお考えになっていらっしゃるか、行革の終点あるいはいまの行革の臨調の次に何を構想していらっしゃるのか、念のために伺っておきます。
#89
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、この行革の力というものは、もとよりわれわれは答申が出たらそれを断行する責任を持っておりまして断行する決意でやっておりますが、やはりこれだけの大事業をやるについて一内閣、一自民党の力などでやれるものではないと思っております。国鉄の問題あるいは電電公社の問題あるいは中央省庁の問題あるいは中央と地方との財務関係、機能関係の分担問題等々、考えてみても大事業でございまして、私はよく演説で比喩的に申しているのでありますが、国鉄の改革一つ見てもこれは財閥解体以上の大事業である、電電の改革1つ考えてみても農地解放以上の大事業である。これらの財閥解体とか農地解放というようなものは占領軍の権威があってあれは初めてできたのであって、ああいうものがなければ恐らくできなかったでしょう。それに匹敵するようなクラスの仕事をいまわれわれはやろうとしておるので、そういう占領軍みたいな力も何もない中でわれわれがやるということになれば、これは国民の力、みんなの国民の意思を受けてやる以外には絶対できないのです。
 現に、いままでここまで臨調が努力され、われわれも行革を進めてまいれたのは国民の力であり、特にジャーナリズムがこれは終戦以来初めてほとんど一〇〇%土光さんや臨調を激励して御支持いただいてきた大きな力によると思っておるのであります。そういうようなことも考えてみまして、この国民の皆さんのお考え、お力を大事にするということは私の政治の基本線にございまして、それを象徴的に申し上げたので、われわれがそのために責任回避しようなどと思っていることなどではございません。
 それから臨調以後の問題でございますが、これは臨調がその以後のことをどうお考えになるか、それをお聞きしてその上でわれわれは考うべきことで、いま私たちは臨調及び臨調の答申をいかに実現していくかということに専心すべき場合でございまして、それ以上のことは考えておりません。
#90
○秦豊君 ところで、中曽根長官の中では行財政改革はすでに過去のネーミングであって、いまは行政改革なんですか。
#91
○国務大臣(中曽根康弘君) 行財政改革というものは内閣や総理大臣レベルの発言であって、行政管理庁長官とか臨調というものは行政改革ということで徹すべきである。ただし、財政問題というものは行政改革を引き出す一つのトリガーの役目も果たしておるし、それはその基底において相互関連している大きな部分もある。しかし、われわれが主眼とするところは、国の機能、制度の改革ということなのであって財政というのはその一部であると、そう心得ておると申し上げておるのであります。
#92
○秦豊君 中身に入る前に、もう一問だけあなたからあえて伺っておきたいのですが、いま臨調の中にも意見が顕在化しているのは、行政事務全体の計量ではなくて、たとえば内閣の総合調整機能という問題が、必ずしもまだ文言にはなっていないけれども、ちらついている。これは総理にももちろん伺うべき一つの項目ではあるのですが、中曽根さんもこれは国務大臣的な態度も含めて伺っておきたいんだけれども、いまの内閣官房とかあるいは自民党あるいは自民党の個人それから木村委員会とかあるいは外務省、通産省その他というところから、かなり手数多く内閣の情報機能の統一化というか、あるいは国家としての情報の一元化というか、その吸い上げ、解析、分析、効率的処理という観点で、つまり現状が不十分だからという認識が当然常識的な大前提になっているんでしょう。さまざまな試案がすでに問われています。中には時の人二階堂氏の論文までありますけれども、そのさまざまなものはあるけれども、私は、これは要は国家としての情報がロスはあっても効率化されていない、総合調整するセクションがないという反省はどうやら共通していると思うんです。だから現状でよしとする議論は一つもないわけですね。そういう点については中曽根長官の私見としてはいかがですか。
#93
○国務大臣(中曽根康弘君) 内閣の総合機能を強化すべしという議論は第一次臨調のときにもございますし、現在でもございます。その中に情報問題も含まれておりました。この問題については、おっしゃるようにいろいろな議論がございまして、われわれはできるだけ耳を傾けて聞いておりますけれども、最終的にどうするかということは、臨調に一応お任せしているわけでございますから、臨調の答申を見た上でわれわれは判断を決めていきたいと考えております。
#94
○秦豊君 長官自身は、たとえば許認可事項の整理の目的というものを改めて伺いますが、どのように把握していらっしゃいますか。
#95
○国務大臣(中曽根康弘君) これは簡素にして効率的な政府をつくるということ、それからそれによりまして民間の活動、国の活動を活性化する、そういうところにあると思っております。
#96
○秦豊君 過大な規制によって国民や企業体に過大な負担はかけない、つまり負担は軽減するという観点も当然ありましょうし、あるいは事務の整理簡素化によって組織、人員を縮小するという目的とも結びつきますよね。それから自治体行政に対する過剰介入もでき得べくんば是正しなければならぬという発想も含まれますね。それから許認可権限を背景にして官僚と企業がともすれば癒着をする、なれ合うということは当然是正しなければならないという認識、これも含まれますね。
#97
○国務大臣(中曽根康弘君) それらの諸項目も性格的に含まれてくると思います。
#98
○秦豊君 法案の中身に具体的に入りますから、後は必ずしも長官に求めないかもしれない。
 まず、塩専売法の一部改正というのが入っていますよね。第一次臨調の答申を見ると、これはかなりはっきりしていまのあり方と違いますのは、塩の公益専売制というのはすでに意義を失ったんだと、こういう受けとめ方をして廃止を主張しているんですよね。そうでしょう。第一次臨調ですよ。今度の臨調でも専売公社の改革の一環としては当然検討をされたと思うんだけれども、政府としては、第一次臨調の答申以来、その一次臨調のいわゆる廃止を提唱したこの答申、これについてはどういうふうに検討をしてきたのか。何にも検討をしてないならば正直にそれでも答弁をしてもらいたいんだけれども、やっぱり私は、一次臨調以来、塩専売問題の今日的役割り、機能あるいは将来性についてどういうふうに検討してきたのか、まず伺っておきたい。
#99
○政府委員(佐倉尚君) 塩専売の廃止、これは次臨調の中に書かれております。それで、これにつきましては塩業審議会等で議論してきたわけでございます。ちょっと突然のお尋ねなので詳しいデータはございませんけれども、そういうことでございます。
#100
○秦豊君 それから柄谷氏がさっきちょっと違った観点で触れたんですけれども、高圧ガス取締法の過去の事故のデータを検証されましたね。私は違った観点から伺っておきたいんだけれども、これも第一次臨調といまの第二次臨調の方向を比べながら質問したいんだけれども、一次臨調では高圧ガス保安協会、これ通産省の所管なんです。これは特殊法人なんですね。これの廃止が主張されているんです。しかも、そのときには都道府県知事の高圧ガス容器の検査と一本化するという附帯条項つきで廃止が答申されているんだけれども、これについても政府はどういうふうに検討をしてきたのか、どう考えているのか、念のために伺っておきたい。
#101
○政府委員(佐倉尚君) ただいまの高圧ガスのことでございます。これは高圧ガスの作業主任者の試験の実施あるいは免許の交付等の都道府県知事への機関委任、これにつきまして一部部分的に実施というふうに考えております。これは行政事務の配分に関する意見の項目の中で書かれておったというふうに記憶しております。
#102
○秦豊君 それから、これは質問と提案を兼ねますが、政府側の答えを聞きたいが、肥料取締法の一部改正というのが提案されているのだけれども、これも一次臨調とかなり違うんだな。一次臨調の答申では、肥料検査所そのものを廃止してはどうかと、これが前提になっている。今度の法案を見ると、ただこう書いてあるんだな。肥料検査吏員の必置制の廃止というふうにとどまっているというのは、私によれば大変なまぬるい。
 なぜ私がなまぬるいと感ずるかというと、いま粗悪な肥料というのは市場に回っていないんですよ。日本のケミカルの水準は非常に高いんだ、敗戦直後じゃないから。粗悪肥料というのは出回っていないの。商品たり得ていないの。そうすると、かなり質の高い肥料がほとんど一〇〇%に近く出回っている現状の中で、しかも農民とか農協等の商品知識がふえている、つまり目が肥えているのだから、こんな昔ながらのような肥料検査所なんというのはそもそも機能していないわけですよ。廃止というのがむしろ常識じゃないかと思うんだが、どう考えていますか。
#103
○政府委員(佐倉尚君) 先生の御指摘、なまぬるくてちょっと後退じゃないかというような御趣旨であろうかと存じます。この肥料取締法、これは肥料の品質を保全し、その公正な取引を確保することを趣旨としている、そういうことでございますが、これはなかなか抜本的な改革がやりにくい面がございまして、それでただいまの先生のお話のとおり、肥料検査吏員、これが販売業者等に対しまして立入検査、質問、収去を業務としておりましたけれども、今度の改正で、都道府県にその必置制が課されておりますけれども、これを廃止しようかということになったわけでございまして、先生の御指摘のような抜本的な改正がなかなかできにくいという事情があると考えております。
#104
○秦豊君 あなた方の姿勢は、大変失礼だけれども、ぬるま湯なんだ。じっとつかっているんだな。抜本なんという範囲の問題じゃありませんよ、これ。やろうと思ったらすぐできることも、まあまあこの際は先送り。総理大臣に右へならえしているような姿勢なんだな、これ。万事そうなんだ。もちろん局長に言ってみても仕方がありませんが、これは。
 それから柄谷氏がさっき質問されたのを違った角度からさらにトレースしておきたいんだけれども、中曽根答弁は私は了とするんですよ、長官の、バス停留所の問題。あれは運輸省は法規条文の解釈、運輸省権限、陸運事務所等、縦にぱっと割っているから部長はああいうふうに答えざるを得ない。それもわかるんだな。しかし私によれば、あんな軽微な事項にまで運輸本省が介入する、バスストップ、バス停留所、それよりもっと肝心なことがたくさんあるんだから、事の軽重を弁別して、整理すべきはする、譲るべきは譲る、こういう国民常識にいつになったら立てるかと思っているから柄谷質問には一種の共感を持って私も聞いておったんだが、私は、やはりこれは道路事情とか乗客の増減とか、それは地域地域の、たとえば都道府県であり、あるいは道路交通事情なんかだったら都道府県の警察があるでしょう。それから府県の土木部があるでしょう。道路事情、よほど詳しいんで、霞が関からダイレクトコントロールしなくていいんですよ。だから、これは方向が間違っている。あなた方の答弁は求めませんけれども。
 そこで、中曽根長官に念を押しておきたいんだけれども、さっきの柄谷氏への答弁は私は非常に妥当であると思うんですが、じゃ具体的にどうされますか。一場の当内閣委員会、七月六日午前の答弁として一場の答弁に終わるんじゃなくて、実現をするためにはじゃどうするのか。最初の答申にはあった、今度は落ちている。その方向は柄谷質問の方向に沿ってやりたい、改善したいとおっしゃるならば、じゃ臨調や運輸省に対して具体的な何か働きかけかあるいは提起をされますか。
#105
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、柄谷さんのお話を聞きましてもっともだと、特に住民に密着した仕事はできるだけ関係自治体にお返ししてやってもらう、そういう基本方針を私自体が持っておるものですから、いま指摘されたような問題もそういう性格の問題だろうとそう思いまして、そういう方向にできるだけ実現に努力していきたい、そう考えて、いま具体的に運輸省に申し入れるとかどうとかということはいますぐお答えはできませんけれども、しかしそういう方向で努力してまいりたいと思っております。
#106
○秦豊君 酒販業の問題を一つだけ伺っておきます。これは中曽根さん御自身のことに関係しますので、よもやそうではないと思うけれども、念のために伺っておきたいことがあります。
 酒販業は、いま言うまでもなく免許制である。一次臨調では自由化の方向を打ち出している。私どもの見解では、これは大蔵側と全く違うんだけれども、酒販業を仮に自由化しても酒税の確保には全く不安がない、これは次元が違う。あれは酒造メーカーの蔵出しの段階でチェックするんだから、いわゆる酒販業というところとは領域が違う。だから大蔵の言っている議論というのは非常に間違った発想で、間違ったコメントであるとは思うけれども、きょうは大蔵も呼んでいないし、やはり私は自由な競争によって、結局嗜好品として酒を愛している国民の皆さんに利便を還元するという方向が基本的には正しいと思う。
 そこで、中曽根さんへの質問ですけれども、これは東京新聞の昨年十一月二日、月曜日、第十二版、たしかこれは二面の頭の記事だと思いますけれども、かなり大きい、九段で抜いた「これが行革の課題だ」という、「連載を終えて」というから一種の締めくくりですね。この中に中曽根さんのことが書いてあるんですよ。どういうことかといいますと、「臨調事務局が許認可行政改善の一つに酒販売免許をリストアップしたら、中曽根行管庁長官が黙って削ってしまったという話を耳にした。業界の突き上げで自民党も圧力を加えているらしい。」という、これ座談会の中の表現ですよね。まあ、あなたが黙って削ったなんというのは、行管庁長官だからそんなことはないと私は思うんですよね、さっきの報道の話じゃないが。事実ではないと思いたいんだが、まずその事実関係が一つ。
 それから私は行管の姿勢としても、こういう問題は、たとえば酒税の確保に困窮をする、困難を来すというふうな、これはまあ一種の僕は大蔵的俗論だと思うんだけれども、それを正すためにも第一次臨調の基本方向であった酒販業の免許制自由化というふうな方向については、中曽根さんは国務大臣としての立場を加味してどう考えていらっしゃるのか。前段の事実関係、二つをこの項では伺っておきます。
#107
○国務大臣(中曽根康弘君) まず第一に、前段の事実は全くありません。臨調事務局が出してきたリストから私が黙って消したというようなことをいま承りましたが、そういう事実は全くございません。第一、臨調事務局がそういう許可や何かの問題で私のところにリストを持ってくるということ自体があり得ないことなので、それは土光さんとか臨調委員の方へ持っていくことであって、内面的にもそういうことをやったことはいままでありません。それは全くの誤解でございますから、そういうことはないということを申し上げておきます。
 それから第二に、酒販業の措置をどうするかというポイントにつきましては、これはいま臨調が検討しているところでもございますから、私からいまとやかく申し上げることは差し控えたいと思います。
#108
○秦豊君 大変、誤解で結構でしたね。
 それから、これは局長レベルですかな、第一次臨調の答申を私絶えず対比するんだけれども、違いが歴然としているからあえて対比するんだが、これもその一つです。工業品検査所それから繊維製品検査所、これはいずれも通産所管の附属機関ですね。それから日本電気計器検定所、これは通産所管の特殊法人。次に日本消防検定協会、これは自治省所管の特殊法人になっているんですよ。以上私が列挙したところの廃止が主張されているんですよね。
 私はこの廃止という基本方向の方が常識的だと思うんです。理由は、製品管理というのは著しく高度化していることはそのとおりだが、しかしその分野では日本は国際水準を超えているんですよ。そうすると、そういう今日的なレベルからすると、古色蒼然たる、列挙したような検査検定機関というのはこれは生き生きと機能できるはずがない。機能もしていない。ほこりをかぶっている。それから仮に百歩譲って、この一部にしかしまれに、レアケースとして粗悪品の出ることがあるからじっと温存しているんだというならば、これはあなた方得意の行政指導をして、業界をガイダンスして、それで民間の自主的な検定制度の方に移行していくという方向の方が行政としては謙虚な姿勢とはお考えになりませんか。どうですか。
#109
○政府委員(佐倉尚君) いまお話しのございました工業品検査所、繊維製品検査所それから日本電気計器検定所、消防検定協会、これだけ名前が挙がったわけでございます。こういう検査検定機関について、従来とも行政のニーズと申しますか、それの変化を踏まえて、可能なものについては逐次その業務の民間移譲を行っていく、それが行政の簡素化、合理化につながるというのが基本的な私どもの態度である、姿勢であるというふうに申し上げてよろしいと思います。
 ただ、先生のお話にもございましたけれども、こういう検査検定機関は安全性の確保とかあるいは品質の維持等で消費者の保護といった行政目的を担っているわけでございますので、そういった民間移譲に関しましては、そういう行政のニーズの動向等を踏まえることは当然でございますけれども、あるいはその受ける方の民間能力といったようなものも勘案して、できるものからその行政の簡素化、民間能力の活用というふうなことを考えていくべき問題だと考えております。ただ、そういう問題につきましても、現在臨調の方でもあるいはいろいろと検討していると聞いておりますので、そちらの動向も見守っていきたいというふうに思っております。
#110
○秦豊君 それから、関連しますけれども、大体許認可の整理とか簡素化という問題を、仮にあなた方の答弁のように抜本的に――大好きな言葉のようだが、抜本的に実施しようと仮に思えば、やっぱり省庁の出先機関であるとか附属機関あるいは特殊法人の整理縮小にまでつながらないと抜本にならないんですよ。小手先になるんですよ。矮小化ということを言うんですよ。したがって、臨調の調査とか臨調の審議というのをそのような総合的な観点から進めることがむしろ私は不可欠だと考えているんだけれども、どうもいままでの審議状況、それも審議録は公開されたわけじゃなくて、これも厳重なマル秘マル秘の壁の中から足を使ったジャーナリストの努力によってときどき審議記録が活字になる、電波に乗る。レアケースだ、これも。だから、ちょっとかいま見るのが、国会議員としても主務委員会の委員がそういうことによってしか審議状況をトレースできないというふうなのが現状だ、これは。
 一体、政府は臨調の中で、私の言ったような総合的な見地から、たとえば行政の制度や運営の抜本的な整理簡素化を積極的に進めるようなことを目標にした審議、これが行われているとお考えですか。
#111
○政府委員(佐々木晴夫君) 臨調の審議に対しましての政府の感想でありますから、むしろ私がお答えするのはいささか方向違いであるのかもしれませんけれども、いまの臨調の審議の状況につきまして一言一応あらかじめ申し上げたいと存じます。
 いま先生が言われました許認可等の審議との関連でもって、たとえば附属機関の検査検定機関であるとか、あるいは特殊法人の検査検定機関であるとか、こうしたものの整理が当然行われてしかるべきではないか、そのための審議が行われておるかというふうな御質問であるというふうに一応理解いたします。
 その意味では、たとえば第三部会において現在許認可につきまして諸般の審議が行われておる。この中では、特に各種の資格制度とか検査検定制度が行われているとともに、一方で、たとえば第二部会におきましてこの検査検定機関等の審議が行われ、また第四部会の特殊法人におきまして、先ほど言われました消防検定協会とかあるいは電気計器検定所等の特殊法人の審議が行われていると。そのあたりの審議のトータルの取りまとめにつきましては今後調査会において行われると、こんな段取りになるわけでありまして、許認可につきましても、特に国民の全体の利益を図る観点に立っての諸般の審議が行われ、関連した組織も一応検討されておるわけでありまして、言われるような審議が臨調において行われておるものと私どもは信じております。
 なお、議事の公開等につきましては、従来から私どもが一応申し上げておりますように、諸般の要素もありまして、これはただいまのところは、内部的に自由な討議を促進する見地から議事の公開についてはこの段階では行わないというふうな調査会の決定がありますので、申し添えさせていただきます。
#112
○秦豊君 それから、これ、行管に提案が一つあるんだけれども、非常に具体的でわかりやすいから聞いてくださいよ。これぐらいはせめてやったらどうかなという善意の提案です。
 つまり、今度提案されたこの法律案、これで各省庁の事務量が一体どれぐらい削減、縮小されるのか、効率化されるのか。たとえば人員にしても、ある行政事務についてどうかとか。これはいままでもかなり手数多くやっておるんだな。しかし、いわゆるあなた方の言う抜本がとんでもない羊頭狗肉で、部分的、局限的、すりかえ的矮小化だから大した効果は上がっていない。これは過去の実績だ。あなた方否定したってそうなんだ。実際に今度の法改正でどれほどの簡素化が行政事務として一体できるのか、実現できるのか。それによる効果はどうかと。簡素合理化はこのような成果を上げましたというふうなこと、これは有権者レベルの皆さんに、国民の皆さんにやはりときどきPRしたらどうなの。これがおたくの大臣である中曽根さんの言うグライダーが追い風を得る小さな一つですよ。こういうPRはアクチブにやった方がいい。
 そういう意味で、仕事減らしとか、金減らしとか、人減らしとかいろいろ言うでしょう。言うけれども、許認可の簡素化によって一定の事務当たりの人員はどれぐらい削減されたのか。この辺は一回比較考量し、データを整理して、それこそ監察局の部分になるのか、その辺が私よくわからない部分もありますけれども、一遍やってみたらどうですか。それで、行政改革をすればこうなりますという小さなデッサンにも結びつくと思うが、どうですか。
#113
○政府委員(中庄二君) この法案でどれだけの作業量が減ったか、人員がどれだけ減ったかという御指摘でございますが、そういう計数的にあらわせれば一番いいわけでございます。従来もそういう努力は払ってきたわけでございますが、全部の件数がいままでほぼ六千件やってきたと。そのうち廃止が二千件であるから国民負担も作業量も相当であろうというふうなことを言っておりますが、ただいま御指摘のようにずばりとした数字を出すことが非常に大事だと思いまして、前回の許認可の整理の場合、特に報告を中心にいたしました場合には、そのときの成果が年間の部数にしまして百二万部、ページ数で二万二千ページという推算を一応やりました。霞が関ビルに一杯ぐらいが減ったんではないかという推算をやりましたが、残念ながら今回の場合はそういう推算をしてございませんが、今後ともそういう面には配慮してまいりたいというふうに考えております。
#114
○秦豊君 まだ十分くらいあると思いますけれども、時間の前にお知らせを願いたいと思います。
 よく中央省庁の改革ということを言うんですよね。これは私、どこにずばりメスを加えるかというと、中曽根長官ね、やはりこれポイントは、一般行政で約七割の公務員が配置されて、地方自治体との間に二重、三重行政の弊害というのはもうつとに積年指摘をされているいわゆる地方出先機関ですね。中央と出先機関、これを重複を避け、系統を整理し簡素化する。これがやっぱり言われている懸案というか、ポイントだと言わざるを得ない。
 大平さんの時代にちょっと手をつけましたね。しかし、あれはたとえば九州でもある部分とか、あの財務局によって明らかなように、あのときもたしか中曽根さんがそこに座っておられたんだけれども、やっぱり大平行革によるあの程度の地方出先機関の整理という域ではなくて、政府として臨調に地方出先機関を抜本的に簡素化、統合を断行したいという提案を逆にするぐらいで、この方向でひとつ委員各位の見解を取りまとめていただきたいというふうな問題提起ぐらいは私あっていいんじゃないかと思いますが、この点中曽根長官いかがですか。
#115
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は一般方針の中の一つとして、私や鈴木総理からも臨調の皆さんに申し上げております。総理からは、主として県単位の機関というものを思い切って整理していただいてはいかがでしょうかと。私からも府県単位及びブロック機関等についてもどうぞこのたびは思い切っておやりくださいませ、お待ちしておりますと、そういう趣旨のことを実は申し上げております。
#116
○秦豊君 これは、財界筋からよく聞こえてくるのは、地方出先機関の抜本的整理統合化、簡素化というと、ちょうどいい案がありますと、対案ですといって出てくるのが、たとえば永野さんあたりからは例の道州制ですね、これがちらついたり消えたりするわけだ。僕はこれはすりかえじゃないかと思いますね。失礼ながら問題の取り違いであると、意図があればすりかえであると、こう思っている一人ですが、いまの府県制度とか市町村制のもとでも、本当に行政に真剣さがあり、目的意識がはっきりしている場合には現状でも整理簡素化はできると思うんで、私は道州制がにしきの御旗あるいは万能薬ではないと思っていますが、改めて、事新しくはないが、道州制については中曽根さんはどういうふうな認識でしょうか、ちょっと。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) 道州制につきましては、昭和三十年代の初期に、地方制度調査会におきまして道州制採用しかるべしという建議があったと思いますが、その後いろいろ国情の変化によりましてその議論は引っ込んでまいりまして、第一次臨調の際も議論はあったようでございますが、確定した法案にはなってきておりません。今回またそれが一部の委員から論ぜられておりますけれども、いま臨調の本調査会におきましてそれらも含めて議論されておるところでございまして、その推移を見守っておるという状態でございます。
#118
○秦豊君 この行政機構全体の整理簡素化とこれは関連する大事な問題なんですけれども、これも中曽根長官に伺っておきましょう。
 政府が立てる人員削減計画というのを見ますと、削減というものと増員というのがこういうふうに並んでいたわけですね。次元、位相が違うんだ、これは。そして削減というのは必ずしも実質的なマイナスになっていない。減員になっていないんですよ。これを不思議な算術というわけだ。そういう指摘があると、政府は必ずそれは誤解であり、偏見ですと、ふえているのはよんどころなく国立大学であるとか国立病院などの福祉関連サービス部門ですという答弁がすぐ返ってくるわけだ。
 しかし、それを定員増と言っていますが、定員増のほかに本来大幅に簡素化したり、あるいは将来廃止が妥当であると私見の中では思われる地方出先機関とか、さっきもちょっと具体的に列挙した検査検定機関などでも、一たん退職するでしょう。退職者の何割かをまた新たに採用すると。Uターン採用というのかな。こういう慣例があり実態がある。これは調べてみればすぐわかる。僕の言うマイナスのない計算式というのはそこから出るわけだ。もちろん一〇〇%ではありませんよ。これをやめますと、政府として従来声高に言っている人員削減計画でも実質的に効果に近づくことができるわけです。新規採用というのは一切ストップすることが仮にできなくとも、整理縮小すべき行政部門ではある一定の期間はせめて新規採用だけは厳しく抑制していくというくらいの姿勢は打ち出すべきではないかと考えるけれども、行管庁長官としてはどうでしょう。
#119
○政府委員(佐倉尚君) ただいまの離職後の後補充、新規採用、これをやめれば人員削減、定員削減ができるじゃないか、純減が立つじゃないかという御指摘でございますけれども、これ先生御承知のことと思いますけれども、先ほどもお話の中にございましたように、現在の定員削減計画、これは第六次の定員削減計画をつくって五十七年度から実施しているわけでございますけれども、これを実施しまして、それでどうしても行政需要があり、定員が必要なところへ振り向けていく、それがやはり国立大学であり国立療養所でありあるいは登記所でありといったような――ほかにもございますけれども、外交関係その他もございます。そういうところに振り向けていくというのがいまの定員管理のやり方でございます。それで幾ばくなりとも純減を立てていく――去年は千四百三十四名純減になったわけでございますけれども、これ行政ニーズはやはりどうしてもふえていく部分があるわけでございます。
 それでございますので、先生がいまお話しになりましたような検定所その他の検査検定機関、あるいは減ってもいいところというものについてそれを実施すればいいかというお話でございますけれども、これがやはりなかなか困難でございまして、いまの増員につきましては、毎年の定員査定において厳しく査定をしていく、それから削減計画は削減計画で実施させていただく、この両建てでいくのが一番よろしいのではないかというふうに考えている次第でございます。
#120
○秦豊君 法務省または法制局、おいでかな。――最後の質問ですけれども、過日IBM、日本の企業では日立、三菱関連で連邦大陪審のニュースがかなりラッシュになったんだけれども、私、この問題に触発されてこの許認可との接点を探してみたんだが、ということは、連邦大陪審、陪審といっても日本にはよもや陪審法はないだろうと実は錯覚をしておったわけなんですよ、日本の制度とは違うから、刑事訴訟法も違うから。そう思って念のために調べてみたら、何と日本には陪審法というのはちゃんと牢固としてあるんですな。しかも大正十二年四月十八日法律第五十号として現に存在している。さらに調べてみると、ところがこれには条件というか、その後の変化があって、昭和十八年四月一日付法律第八十八号で、第五十号の陪審法ノ停止二関スル法律というのがあって一応相殺されている――いや、相殺というか機能停止になっているんですね。
 それで、今度の行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案という長いタイトル、これの第二章第三十七条以降を見ると、三百二十件の法律を廃止しようとしているわけです。この方向自体はいいでしょう。ところが、そういう立法の趣旨からすると、私はこのすでに機能を失っている陪審法並びに陪審法ノ停止二関スル法律というこの二法も、同じような今回の立法の趣旨と目的に沿ってやはり私は廃止の対象としてリストアップすべきではなかったのかという観点から質問をするのだけれども、つまりこの法の立法趣旨は、実効性を喪失した法律が対象になっている。それから行政目的がほぼ達成されて存置の必要性が乏しくなった法律が廃止されることになっておる。そうですね。私の言った前段にこれは妥当するのではないかと思う。したがって私は、この私の申し上げた陪審法並びに陪審法ノ停止二関スル法律というのは、この際やはり法務行政の裁量の中で私は当然廃止として掲上すべきが正しい態度ではなかったかと思いますけれども、まずこの点について、法務省、どうなんですか。
#121
○政府委員(亀山継夫君) 先生がただいま御指摘のとおり、陪審法は戦前に施行されておりまして、現に行われておったわけでございますが、戦争さなかに施行の実績が少なくなったということと、それから戦争のためということがありまして、その後、法律としての効果を停止するという法律ができて、そのまま現在に至っているわけでございます。
 ただ、今回のこの御審議になっております法案の趣旨から申しますと、いわゆる適用対象が自然になくなってしまって実効性は喪失しているのだけれども、法律は残っているというふうなのとは若干性質を異にする面がございまして、結局陪審制度はすっかりやらないのだということで廃止してしまったというふうなのではございませんで、法律によって一時その施行を停止する、しかし今後情勢によって再び陪審を復活することもあるべしというような趣旨のもとに陪審法が停止されている、それも法律で停止をしているということで一応始末をつけているわけでございます。
 そういたしまして、陪審制度と申しますのは、先生もよく御承知のとおり、司法に対する国民の関与ということにつきましての一つの非常に有力な制度でございまして、わが国の現在の刑事裁判でも陪審制度は採用されておりませんが、これを採用すべきではないかというふうな意見も種々あるところでございまして、これは重要な検討課題とされております。そのようなときにおきまして、ここですぐこの法律を廃止してしまうということになりますと、そういう現在の検討論議に何か一つの結論を出してしまうというふうなことにもなりかねないというふうなこともございまして、結局、この陪審法及び陪審法の停止をする法律につきましては、陪審制度自体の採否につきまして一定の方向が出るまではなお現状のまま存置しておく方がよろしいということを考えまして今回の法律には入らなかったということになっておるわけでございます。
#122
○秦豊君 一応わかりますよ、一応。法務省、こういうことですか、陪審制度の復活はなきにしもあらず、そういう時点を迎えた場合には、新法をつくるよりはこれを氷漬けにしてある、機能停止している法律を復活させればよいのだから、その方がより簡便であるという解釈があるのか。しかし、仮にそうだとしますと、あれをよく読んでみると、たとえば陪審員として構成される構成メンバーを見ると、帝国陸海軍人とかそれからあるいは宮内省職員とか一定の官位以上のとか、すべてこれ欽定憲法下のカテゴリーですよね。あるいは位階勲等ですね、そういうものが前提になっている。ならば、いずれにせよ、それはしかし改正という作業で処理できるのだから廃止という作業よりは簡単である、こういう認識が根底にあって機能停止にとどめていると、今回の法改正には含めなかったと、こういう考えですか。
#123
○政府委員(亀山継夫君) 御指摘のとおり、仮に陪審制度を復活するにいたしましても、この陪審法をそのまま使えるというものではございませんで、非常に大がかりな恐らくは改正を要することになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、もう陪審制度は復活するのだとかあるいはもう陪審制度は採用しないのだあるいはもっとほかの制度、たとえば参審制度というふうなものがございますので、そういうふうなものを復活するのだ、そういうふうな実体の方の結論が出るまでは、これをここで形式的にせよ陪審法を廃止するというふうな措置はとらない方が適切ではなかろうか、こういう考え方でございます。
#124
○秦豊君 終わります。
#125
○委員長(遠藤要君) 午後二時三十分から委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十二分開会
#126
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(遠藤要君) 障害に関する用語の整理に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田邉総理府総務長官。
#128
○国務大臣(田邉國男君) ただいま議題となりました障害に関する用語の整理に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 国際障害者年を契機として、障害者に関する国民の理解が高まってまいりましたが、障害に関する法令上の用語のうち不適当なものを改めることは、障害者に対する国民の理解を一層深め、障害者に関する対策を推進する上で大きな意義を有するものと考えております。
 このため、政府においては、さきの第九十四回国会において、法律上の「つんぼ」「おし」及び「盲」という三つの用語を改めるため、関係法律の改正案を提案し、国会の御賛同を得て可決成立を見たところでありますが、今回、これに加えて「不具」「廃疾」等の用語を改めることとし、本法律案を提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、恩給法等において用いられている「不具廃疾」という用語を「障害」「重度障害」「心身障害」「重度心身障害」等と改めるものであります。
 第二は、船員保険法等において用いられている「廃疾」という用語を「障害」「傷病」等と改めるものであります。
 第三は、児童福祉法、公職選挙法等において用いられている「不具奇形の児童」「不具」等の用語を「身体に障害又は形態上の異常がある児童」「身体の障害」等と改めるものであります。
 第四は、火薬類取締法及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律において用いられている「白痴者」という用語を、それぞれ「精神薄弱者であって政令で定める程度の障害の状態にあるもの」及び「重度精神薄弱者」と改めるものであります。
 第五は、その他所要の改正を行うものであります。
 また、改正の対象となる法律は恩給法等総計百六十二件であります。
 なお、この法律は昭和五十七年十月一日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#129
○委員長(遠藤要君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言を願います。
#130
○林ゆう君 ただいま議題となっております障害に関する用語の整理に関する法律案は、一九八一年の国際障害者年を契機として高まりを見せている国民の障害者に対する理解を一層深めるために提案されたものであり、私たち各会派ともその提案の趣旨には異論がなく、またその法案の内容についてもおおむね妥当であると思いますが、この際、各会派を代表して私から若干の点について質疑をいたしますので、政府におかれましては、的確、簡潔に誠意を持って御答弁されますようお願いを申し上げます。
 まず、今回の法案において「不具」「廃疾」等の用語を改正することにした理由及び今回の障害用語の改正の意義が何であるかについて総理府総務長官にお伺いをいたします。
#131
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。
 国際障害者年を契機といたしまして、障害に関する法令上の不適当用語の改正につきまして関係者の要望が高まり、第九十三回国会におきまして、総理大臣から政府全体として前向きに取り組んでまいりたい旨の答弁が行われました。以来、各省庁連絡会議を開催をいたしまして検討を重ねてまいりました。第九十四回の国会において「おし」「つんぼ」「盲」という三つの用語について関係法律の改正が行われたわけでございます。「不具」「廃疾」等の用語につきましては、これらの用語を用いている法律の数が多いために調整に時間を要しましたが、このたび成案を得まして改正案の提出をいたした次第であります。
 障害に関する法律上の用語を改正するということは、障害者年を契機として高まってまいっております国民の障害者に対する理解を一層深めることとなり、今後障害者対策を推進する上でもまことに有意義であると考えておるわけでございます。
#132
○林ゆう君 今回改正の対象となった「不具」「廃疾」及び「白痴者」などのほかに改正を検討した用語がほかにあったのかどうか。また、改正を検討したけれども結局は改正しないことにした用語があるとすれば、それはどのような理由から改正をしなかったのか、総理府にお伺いをいたします。
#133
○政府委員(禿河徹映君) 今回改正をお願いいたしております三つの用語、「不具」「廃疾」及び「白痴」と、こういう用語につきましては、関係者から改正の御要望がございましたし、また関係の各省庁の連絡会議におきましても改正すべきである、こういう意見の一致を見たわけでございますので、私ども、障害者の方々の代表も参加して構成されておりました中央心身障害者対策協議会の国際障害者年特別委員会に御報告いたしまして、その御意見を承りまして今回これらの用語につきまして改正をお願い申し上げた次第でございます。
 この間、各省庁の連絡会議におきます検討の過程におきまして、この用語のほかに「欠陥」、こういう用語につきましても論議はあったわけでございます。一部におきまして、この際こういう「欠陥」という用語も改正してはどうか、こういう意見も実はあったわけでございますけれども、大方の意見は、「欠陥」という用語はきわめて一般的な用語でございまして、直接的に障害の状態を意味するものではない、したがいまして障害に関する不適当な用語、こういうものでもないであろうというものでございました。
 こういう経緯を踏まえまして、私ども「欠陥」という用語は今回の改正の対象といたしませんで、先ほど申し上げました「不具」「廃疾」及び「白痴」、この三つの用語について改正をお願いいたしておる、こういう次第でございます。
#134
○林ゆう君 今回の新しい置きかえ用語である「障害」「重度障害」「心身障害」「重度心身障害」などは関係者に受け入れられるものであるかどうか。また、この点について政府は関係者とどのような協議をなされたのか、総理府にお伺いをいたします。
#135
○政府委員(禿河徹映君) 今回の改正作業に当たりまして私どもが一番意を用いましたのは、この置きかえ用語というものが関係者に受け入れられるものでなくてはならぬ、こういうことでございました。このため、今回の改正に当たりましては、昨年の十一月の二十七日には、先ほど申し上げました国際障害者年特別委員会企画部会に御報告し、さらに十二月の七日に国際障害者年の特別委員会に御報告いたしましてその御意見も承りまして、そしてこの今回の改正案を取りまとめたものでございまして、十分関係の方々の受け入れられるところになるであろう、かように考えております。
#136
○林ゆう君 今回の法案の中で、火薬類取締法の「白痴者」の置きかえ用語を「精神薄弱者であって政令で定める程度の障害の状態にあるもの」としておりますが、この点については関係団体との間で論議があったように報道されておりましたが、その間の経緯及び関係者は最終的に納得したのかどうか、通産省にお伺いをいたします。
#137
○説明員(谷仁君) お答え申し上げます。
 このたび、火薬類取締法の文言を変更するに当たりましては、関係団体から法律上の「白痴者」という言葉をそのまま「精神薄弱者」という言葉に直接置きかえないでほしいという御要望がございました。そういう点も考慮しつつ、現行の火薬類取締法で使っておりまする「白痴者」の概念を最も的確に表現をいたしますために「精神薄弱者であって政令で定める程度の障害の状態にあるもの」というふうに規定したわけでございます。この表現につきましては関係者の御了承をちょうだいいたしております。
#138
○林ゆう君 今回の法案では「不具」という用語を用いている法律を改正しているにもかかわらず、同じ「不具」という用語を用いている刑法、刑事訴訟法、監獄法、軽犯罪法がその改正の対象となっていないのであります。本来ならば、これら法律の用語の改正も本法案の中で一括してなされるべきであると思いますが、そのような措置をとられなかった点について法務省の見解をお伺いいたしたいと思います。
#139
○政府委員(亀山継夫君) ただいま先生御指摘のとおり、刑法、刑事訴訟法、監獄法、軽犯罪法におきまして「不具」という言葉が使われておりますが、この法律案を立案中に、刑法及び監獄法につきましては別途法律改正の議が起こっておりまして、その方で手当てをする、こういうことになったわけでございます。
 このうちで、監獄法につきましては、それを全面改正するための刑事施設法案が本国会に提出されておりまして、その中で現行監獄法四十四条に「不具者」という言葉が使われておりますのを改めてございます。
 また、刑法につきましては今国会に改正案を提出するには至りませんでしたが、現在鋭意検討中でございますので、その中で改正させていだたくのが適当であろうかと考えております。
 また、軽犯罪法、刑事訴訟法につきましては、これは刑法と非常に関係の深い法律でございますので、そのときにあわせて改正させていただきたいと考えております。
#140
○林ゆう君 今回の法案の中に「不具」「廃疾」等の用語以外の用語を改めているものがあり、たとえば恩給法において「傷病」を「障害」に改め、国家公務員災害補償法においても「身体障害」を「障害」と改め、また公企体共済の年金改定法において「障害年金」「障害遺族年金」をそれぞれ「公務傷病年金」「公務傷病遺族年金」と改めておりますが、このような用語に置きかえた理由について総理府、人事院及び運輸省にお伺いをしたいと思います。
#141
○政府委員(島村史郎君) 恩給制度につきましては、公務傷病の程度に応じましてそれぞれ金額が決まっているわけでございますが、重度の傷病者に対しましては増加恩給を支給しておりますし、比較的軽度の傷病者に対しましては傷病年金を支給するということに実はいたしておるわけでございます。増加恩給に係ります傷病の程度または状態をあらわすものとして、いままで「不具廃疾」という言葉を使っておったわけでありますが、これが今回「重度障害」というふうに改められましたので、それに平氏を今わせる意味におきまして、「傷病」というものをこの「重度」を除きまして単なる「障害」という言葉に置きかえまして、「重度障害」と「障害」と、この二つの言葉を用いましてその程度をあらわすようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
#142
○政府委員(金井八郎君) 国家公務員災害補償法におきましては、従来、身体のみならず精神の障害をも含む用語といたしまして「身体障害」という用語を用いてきていたところでございます。今回の改正で「廃疾」を「障害」と置きかえることにしたことに伴いまして、「身体障害」の用語のまま放置いたしますと、同法中に「障害」と「身体障害」の用語を用いられることになりまして、「身体障害」につきましてはかえって身体の欠損であるとかあるいは機能障害等、狭義の身体障害に限られてしまい、精神神経系統の障害は除外されることになるのではないかという疑いが残るために、今回は統一的に「障害」という用語を用いることにいたした次第でございます。
#143
○説明員(沖健二君) お答え申し上げます。
 公企体共済関係法におきましても「廃疾年金」を「障害年金」に改めるというふうにしておりますが、このように改めますと、現在すでに公企体共済の年金額改定法、これは略称でございますが、この法律におきまして用いられております「障害年金」という用語と混同を生ずることになります。そこで、そのような混同を避けますため、先ほど申し上げました年金額改定法の「障害年金」を「公務傷病年金」、それから、これとの関連におきまして年金額改定法の「障害遺族年金」を「公務傷病遺族年金」に改めようとするものでございます。
 なお、「公務傷病年金」という用語を用いることといたしましたのは、改正前の「障害年金」が公務による傷病を給付事由とする年金であると、こういうことに伴うものでございます。
#144
○林ゆう君 今回の法案の中で、「廃疾」の置きかえ用語として「障害」とせずに、たとえば労働者災害補償保険法では「傷病」として、相続税法及び国民金融公庫法の一部改正法では「疾病」としておりますが、これらはどのような理由に基づくものなのか。また、このような用語に置きかえることによって法律的な意味、内容が変わらないのかどうか、労働省及び大蔵省にお伺いをしたいと思います。
#145
○説明員(小田切博文君) ただいまの点につきましてお答えいたします。
 労働者災害補償保険法におきましては、こうむりましたけがや病気が重度でありましてかつ療養が長引く場合に、休業補償給付等にかえまして傷病補償年金等が支給されるということになっているわけでございますが、今回の法案におきまして、この傷病補償年金等に係る障害の等級をあらわす「廃疾等級」という用語を「傷病等級」と改めることとしておりますのは、治癒いたしましてその後に後遺障害が残ったという場合に支給されます障害補償年金等に係る障害の等級をあらわす用語として、すでに同じ労災保険法上「障害等級」という用語が用いられておりますので、これとの混同を避けるという理由とともに、あわせて傷病補償年金等に係る障害の等級であるということを明示するために「廃疾等級」を「傷病等級」というふうに改めることとしたものでございます。
 なお、この傷病補償年金等にかかわる障害の等級の名称を単に「廃疾等級」から「傷病等級」に置きかえるにすぎないものでございますから、こういうふうに置きかえましても法律的な意味、内容が変わるということはございません。
#146
○説明員(真鍋光広君) 相続税法第五条におきまして、贈与とみなされない生命保険金の保険事故といたしまして「傷害、廃疾その他これに類する保険事故で死亡を伴わないもの」がこれに当たると定めておるわけでございますが、今回の不適当用語の改正といたしまして「廃疾」を整理しようとするものでございます。
 ただ、その場合「廃疾」という文言を削るだけでは、保険事故の例示が傷害だけということになりまして、狭く解釈されるおそれなしとしないのでございます。そこで、生命保険の加入状況を踏まえまして、保険事故の例示といたしまして「疾病」を加えることといたし、実体を何ら変更するものでないということを明らかにしようとするものでございます。
#147
○説明員(松田篤之君) 国民金融公庫法の改正につきまして御説明いたします。
 国民金融公庫法の附則の第七項と申しますのは、昭和二十八年の法律におきまして、それまで国民公庫の役職員が受けます共済関係のものにつきまして国家公務員共済組合法の適用がございましたが、昭和二十八年以降国民金融公庫の健康保険組合にこの事務が移管されまして、その後におきましても退職年金受給者並びに廃疾年金受給者が従前どおりに年金の受給ができるように改正するものでございます。その規定の中におきまして、文章といたしましては「廃疾にかかり、」という本来日本語としてやや不適切な用語もございましたので、この「廃疾にかかり、」というのを、今回の改正を契機にいたしまして、いわゆる「疾病にかかり、」というふうに直したものでございまして、何ら法律的な意味の変更をしようとするものではございません。
#148
○林ゆう君 今回の法案は、不適当な障害用語として「不具」「不具廃疾」「白痴者」を改正することにしておりますけれども、さらに本法案中で児童福祉法の「不具奇形」という用語も改めております。これは「奇形」という用語も不適当な用語として改めようとする趣旨であるのかどうか、厚生省の御見解を伺いたいと思います。
#149
○説明員(末次彬君) ただいまお尋ねのございました児童福祉法の規定の趣旨は、先天異常あるいは事故等によりまして通常の形態を備えていない児童を世間の好奇心の対象として見せ物にされることを防止することにありまして、従来からこの規定におきましては「不具奇形」という用語を体として用いてきております。したがいまして、今回「不具」という用語を改めるに当たりまして、その一環としてこの規定についても検討したわけでございますが、やはりこの規定の趣旨から見まして、「不具」という用語のみを改めまして「奇形」という用語を残すということは適当でないというふうに考えたわけでございます。
 そこで、具体的な規定の仕方といたしまして、仮にこれを「身体に障害のある児童」というふうに改めるといたしますと、単に形態上に異常のある場合、たとえば多指症と申しまして、指の数が多いというような児童が対象から除外されるということになりまして、この規定の対象範囲が実質的に変わるということになりますので、正確を期するために「不具奇形」という用語を一体としてとらえまして「身体に障害又は形態上の異常がある児童」というふうに改めることにしたわけでございます。
#150
○林ゆう君 今回の置きかえ用語の中で特に「重度」と限定しているものがあります。たとえば、恩給法において「不具廃疾」を「重度障害」とし、一般職の職員の給与に関する法律では「不具廃疾者」を「重度心身障害者」としております。放射線障害防止法では「白痴者」を「重度精神薄弱者」としておりますけれども、この理由及びこのように改正することによって従来の解釈よりも狭くなるおそれがないのかどうか。総理府、人事院及び科学技術庁の見解をお伺いしたいと思います。
#151
○政府委員(島村史郎君) いまさっきも申し上げましたが、恩給制度につきまして、公務傷病者に対しましてその傷病の程度に応じまして重度の傷病者には増加恩給を支給しておりますし、比較的軽度の者につきましては傷病年金を支給することといたしております。このうち、増加恩給にかかわります傷病の程度または状態をいままでは「不具廃疾」というふうにしておるわけでございますが、今回この法律を改正いたしまして、この「不具廃疾」を「重度障害」と改めるようにいたしましたのは、傷病恩給体系の中で増加恩給にかかわる傷病の程度または状態をあらわす用語として、要するに特定、指定をする必要があるからでございます。したがってこの「重度障害」とは、従前の「不具廃疾」と同様、増加恩給を給する程度の障害を意味するものでございますので、用語の改正によりましてその内容や解釈が変わるということは考えておりません。
#152
○政府委員(斧誠之助君) 給与法におきまして「不具廃疾」という用語を用いておりますのは扶養手当に関する規定の中でございますが、この扶養手当の支給対象となります心身の障害者の方につきましては、従前からその心身の障害が永久的、または半永久的でありまして、ほとんど回復の見込みがないと認められる程度のものを言っております。したがいまして、終身労務に服することができない程度という非常にかたい考え方でございました。今回これを洗い直します場合に、心身障害者ということではなお十分ではなかろう、こう考えまして「重度心身障害者」というふうにさしていただいたわけでございます。こういう言葉の置きかえによりまして従前の扶養手当の支給対象者の内容が何ら異なることはございません。
#153
○説明員(佐藤元之介君) 放射線障害防止法におきまして用いられております「白痴者」につきましては、従来より精神薄弱者のうち比較的程度の軽い中等度等の者を除きました重度の精神薄弱者を言うものとして解釈してきておりまして、したがいまして今回の改正におきまして「重度精神薄弱者」と改めることにしたものであります。法律的な意味、内容に変更はないものでございます。
#154
○林ゆう君 今回の法案におきまして、水先法では「不具廃疾」を「重度障害」に改めるのではなく削除しておりますが、このように改正した理由及びこの改正によって法律的な意味、内容が変わらないのかどうか、運輸省にお伺いいたします。
#155
○説明員(小和田統君) お答えいたします。
 現行の水先法におきましては「水先人が不具廃疾その他精神又は身体に欠陥があって業務を行うのに不適当でないかどうか」云々という規定でございまして、したがいましてここでは「不具廃疾その他」という言葉がいわば精神または身体に欠陥があるかどうかということの例示として用いられております。私どもとしては、この「不具廃疾その他」という点を削除いたしましても、全体としてこの条文の趣旨に変わりはございませんし、かつ規定の内容は十分明らかであると考えております。
#156
○林ゆう君 今回の法案において、簡易生命保険法では「(廃疾による保険金の支払等)」を「(保険金支払等の特例)」と改めておりますが、このように改正した理由及びこの改正によって法律的な意味、内容が変わるのかどうか、郵政省にお伺いをいたします。
#157
○説明員(松田恵一郎君) お答え申し上げます。
 生命保険の死亡保険金は被保険者の方が亡くなられたときにお払いすることになっておるわけでございますが、被保険者の方が一定の身体障害におなりになった場合には、死亡されなくとも特例といたしまして生命保険金をお支払いすることに簡易生命保険法ではなっておるわけでございます。このような保険金の支払いにつきまして現行法では、これを特にそのお払いする原因の方に着目いたしまして「(廃疾による保険金の支払等)」と、このように規定いたしておるわけでございますが、今回の改正では、このような保険金のお支払いが一般の保険金の支払いに対する特例になるところに着目いたしまして「(保険金支払等の特例)」と、こういう言い方にしたわけでございます。したがいまして、法律的な意味、内容におきましては全く変わりはないわけでございます。
#158
○林ゆう君 今回の法案が成立されました場合に、同様の障害に関する不適当用語を有する地方公共団体の条例についてはどのような指導をなされるのか、自治省にお伺いをいたします。
#159
○説明員(井下登喜男君) 地方団体に対する指導についてでございますが、自治省といたしましては、国における動向を踏まえながら昨年の一月及び今年の二月に行政局長名をもちまして地方団体に対しまして適切な用語に置きかえる等の措置をとるように指導をしたところでございます。また、先般私どもの方で主宰いたしました都道府県文書法規主管課長会議においても同様の指導を行ったところでございます。その結果、都道府県レベルでございますが、六月議会までに条例の改正等を行いました都道府県は四十一団体に上っております。残りました七団体につきましても、法律の成立を待ちましてしかるべき早い時期に改正するものと考えております。なお、自治省といたしましては今後必要に応じまして指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#160
○林ゆう君 障害者に関する用語の改正は今回の措置で終了するのかどうか、また今後とも要望があればそれに対してどう対処していくつもりであるのか、総理府にお伺いをいたします。
#161
○政府委員(禿河徹映君) 今回の改正は昨年の「おし」「つんぼ」「盲」と、こういう用語の改正に続きまして、「不具」「廃疾」及び「白痴者」と、こういう用語についての改正を図ろうとするものでございますが、こういう点につきましては、関係者の御要望を承りながら各省庁とも十分協議を重ねてきたわけでございます。さらに、先ほども申し上げましたとおり、中央心身障害者対策協議会の国際障害者年特別委員会にも御報告いたしまして、その御意見も承って取りまとめたところでございますので、私どもといたしましては、当面は今回の改正をもちまして障害に関する用語の改正は一応終了するものと考えております。
 ただ、言葉というものに対します受け取り方は時代の推移に伴って変化する面もございます。現在特段の抵抗もなく使用されております用語でございましても、将来におきまして関係者から不適当と感じられるような事態が生ずることもないわけでもないと考えておりますので、将来そういう事態が生じました場合には、関係者の御要望も十分承りながらこれに適切に対処してまいりたい、かように考えております。
#162
○林ゆう君 以上で本法案の細目についての質疑を終わりますが、最後に障害者対策について総務長官の御所見をお伺いしたいと思います。
 障害者に対する施策は、単に言葉を改めるだけではなくて、障害者が社会において一般市民と同等に生活をし活動することを保障するものでなければならないと思います。本年一月、中央心身障害者対策協議会は、このような障害者福祉の理念に基づいて保険医療、教育・育成、雇用・就業、福祉・生活環境の各分野にわたりまして「国内長期行動計画の在り方」について提言がなされております。総務長官とされましては、この提言を踏まえ今後どのように障害者対策を推進しようとされておられるのか、御決意のほどをお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#163
○国務大臣(田邉國男君) ただいま御指摘がございましたように、障害者に対する施策というものは、単に言葉を改める、そういうことではなくて、障害者自身が社会生活を一般市民とともにすることができるような保障をするということがやはりその本質でなければならないと、こう考えております。私ども、今後の障害者対策につきましては、やはり国際障害者年推進本部におきまして、中央心身障害者対策協議会からの提言を受けまして本年の三月二十三日に障害者対策に関する長期計画を決定をいたしましたわけでございますが、同時に、本年の四月一日から新たに内閣総理大臣を本部長といたします障害者対策推進本部を発足をさせることにしたところでございます。今後この長期計画に基づきまして真に障害者の対策というものを力強く推進をしてまいる考えであります。
#164
○林ゆう君 最後に、今回の改正で改められた用語を対照的に一覧できるような資料を当委員会に提出をしていただきますよう政府に私からお願いをいたしたいと思います。
#165
○政府委員(禿河徹映君) 承知いたしました。
#166
○委員長(遠藤要君) ただいまの林君の御発言は各党各委員を代表しての御発言でございましたので、以上をもって質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、これより直ちに採決に入ります。
 障害に関する用語の整理に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#167
○委員長(遠藤要君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#168
○委員長(遠藤要君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後三時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十分開会
#169
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま成相善十君が委員を辞任され、その補欠として梶原清君が選任されました。
    ―――――――――――――
#170
○委員長(遠藤要君) 行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案を議題とし、午前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#171
○山崎昇君 いま議題になっております行革関連法案の質疑に先立ちまして、少し時間がたちまして質問をいたします私たちの方も気持ちの上で重いものがありますが、防衛庁の関係を所管する内閣委員会としては、去る五月の六日に財界人との会合で発言されました防衛庁長官の演説について二、三やはり見解を述べ、長官の反省を私は求めておきたい、こう考えております。
 三点ほどに整理をして長官の見解並びに総理の考え方もお聞きをしたいと思うんですが、第一点は、当時の新聞でもかなり指摘をされた点でありますけれども、俗にいうゆすり、たかりの発言でございまして、これは国民が生活の豊かさあるいは安定を政治に求める、そういうことだとすれば、余りにもこの表現は粗雑ではないか、不適当ではないんだろうか。また、国が保障しております当然の国民の権利でございまして、政治はまずそれにこたえるのが筋道ではないだろうか、そういう意味でまいりますというと、仮に現実の状況が困難であったとするならば、政府は国民に対して理でこれを説得すべきものでありまして、ゆすり、たかりのようなこういう雑な言葉をもってケネディの言葉を引用するというやり方は、やはり国民から言うならば憲法の精神というものを踏み外しているんではないんだろうか。憲法というものの感覚がないのではないんだろうか、欠けているんではないんだろうか、こういう判断をされてもいたし方がないと私は思っています。そういう意味で、この真意とこれに対する長官の見解を第一としてお聞きをいたします。
 それから第二は、F4ファントム戦闘機の爆撃装置問題等を例にとりまして、専守防衛でありますとか憲法解釈論はもういい、現実的な脅威への対応をするべきであるというような考え方の主張があったように私ども聞いております。しかし、私ども考えてみますというと、幾つかの世論調査を見ましても、一番新しいのは昨年の三月朝日新聞で行いました世論調査では、非武装中立が三〇%、防衛力については現状維持が六一%、縮小すべきが七%、合わせまして六八%、むしろ強化すべきというのは二二%しかございません。
 さらに、昨年の委員会でも申し上げましたけれども、去年の五月号の法律時報によりますというと、八百八十六名の公法学者あるいは裁判官、検事、弁護士等々含めましてアンケートをとりました。その際に、昨年の五月で、自衛隊が憲法違反の存在だと答えた者が七一・三%と記されております。さらに、いま自民党の内部では憲法改正についての論議がなされているようでございます。しかし、いま私の手元にございますのは、これは六月の十五日の朝日新聞の「論壇」、あるいは六月の二十八日にも朝日新聞の「論壇」で自民党の方々が投稿されております。特に憲法改正の第四分科会の主査といわれます森清さんは、こう述べられております。「無理な解釈論で自衛隊合憲説をとり、今日に至った。しかし、憲法学者の大部分は違憲説であり、私も、国民が九条の文脈を素直に読めば、違憲と受けとるのも当然だと思う。」与党の憲法改正に関する調査会の第四分科会の主査ですら、いまの自衛隊は違憲だという考え方をお持ちのようであります。したがってこの憲法を改正すべきだというのがその内容のようであります。
 こういう点を考えますときに、国会議員の発言権を制限するかのごとき印象を与えるかのような第二点のあなたの言い分というのは、これは断じて私は許されない。きつくこの点はあなたに指摘をしておきたい、こう思うところであります。
 第三点は、一億一千七百万人の連帯を結ぶ糸は防衛でなければならないと、こう述べたと言われております。国民連帯の手段として防衛を利用するということは言語道断だと思う。国民的な連帯感があって、国民の言うならば協力があって初めて防衛というものが存在するのであって、防衛が国民の連帯感を結ぶ糸なんぞということはおこがましいと私は考える。言うならば国民の価値観に対して、一防衛庁長官がそれをあたかも中心でなければならぬような言い方はやはり許されないのではないだろうか。こう考えますときに、多少時間がたちまして、すでに衆議院におきましては遺憾の意が表され、本会議でも総理から遺憾の意が表された事件ではありますけれども、改めてこの委員会を通しまして、参議院の内閣委員会としてもあなたの非については指摘をしておきたいと思うんです。したがって、今後こういうことのないように繰り返しあなたに対して私は申し上げておきたいと思います。
 特に私は、憲法の問題は、いま憲法の条文を申し上げるまでもなし、九十七条、九十八条、九十九条、きわめて重要であります。特に、御存じのとおり九十八条におきましては、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と規定されています。言うならば、自衛隊につきましてもその国務の一部であります。言うならば、やはりこの条規から言いましても憲法違反と言わざるを得ないのではないんだろうか、こう考えます。それが、いま堂々とこれだけが突出して防衛力の増強に走るという防衛庁の姿勢については私ども納得することができない。そういう意味であなたの発言は、まだほかにもございますけれども、私が重要だと思う三点について整理をしてあなたの見解をお聞きをし、そしてまたこれに対する総理の見解もお聞きをしたい、こう思います。
#172
○国務大臣(伊藤宗一郎君) まず第一点でございますが、私は、政府や国は国民との対立物ではなくて、国民全体がつくり上げております政府や国でありまして、そのような政府や国に対しまして、国民は、この時点において、まず求める前にみずから何ができるかということを考えることが必要ではないかということを強調したかった余り使ったわけでございます。しかし、御指摘もございましたけれども、適切を欠いた表現でもございましたので取り消しを行ったものでございまして、決して国民をべっ視したり、そういう気持ちではなかったのでございます。また、御指摘もございましたように、国家や政府の行政サービスは必要不可欠のものでございまして、また重要な役割りでありますことは論をまちません。したがいまして、国民が国に対しまして行政サービスを期待するということは当然のことであると考えております。
 第二点、私は日本の防衛を所掌する責任者といたしまして、現状等の分析その他にかんがみまして、防衛の重要性、必要性というものを強調をいたしますとともに、あわせて、防衛の問題は従来からの論議の積み重ね、経緯等を十分に踏まえて取り組むことが必要不可欠でございまして、防衛庁長官としてもこのような点を十二分に勘案をして、適切かつ慎重な対処をし得るよう常々自戒をしているところでございます。先般の講演でも、このような日ごろの自戒の気持ちを率直に申し述べたところでございまして、いやしくも憲法解釈論あるいは国会審議のあり方等を批判したりするような趣旨のものではございませんでした。
 第三点。私は、わが国の防衛について国民の連帯感がまだ十分ではない、したがってわが国への侵略を抑止するためには、国民の連帯を結ぶ糸というものは防衛でなければならないというふうに考えている気持ちを申し述べたものでございます。また、わが国の防衛にとって国民の理解と支持が必要なことは言うまでもございませんが、国の防衛に関する国民のコンセンサスが国民一人一人の自発的な意思によって形成されることも、これまた重要な要件でございまして、わが国の平和と繁栄にとって、そのための防衛の重要性にかんがみまして、防衛に対する国民のコンセンサスができ上がってほしい、そういう私のかねてからの気持ちをこれまた率直に申し上げたところでございまして、決して押しつけ等を考えたわけではないのでございます。
#173
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま防衛庁長官から率直に自分の心境、真意につきまして申し述べたとおりでございまして、伊藤防衛庁長官は、防衛庁長官としてわが国の防衛の必要性、重要性というものを訴え、そして国民的なコンセンサスの上にわが国の平和と安全を確保していきたい、こういう趣旨で述べておるわけでございますが、その中で不適当な表現、言辞があったことも、これも否めないところでございます。こういう点を防衛庁長官みずから反省をし、取り消しをするところはこれを取り消し、また国会の公式の場で陳謝もいたしております。私も、このようなことから伊藤防衛庁長官に対して厳重な注意を行ったところでございます。また、国会におきましても、このようなことが起きましたことにつきまして、政府を代表して遺憾の意を表した次第でございます。今後このようなことが二度と起こらないように、閣僚の諸君にも常に自粛自戒をして国務に精励するようにということでお願いをしておるところでございます。
#174
○山崎昇君 必ずしも私の指摘に対して的確にお答えあったわけではありません。私は幾つか具体的に挙げて、いまの自衛隊が何と言われようとも、世論でもあるいは公法学会でもあるいはまた憲法の条規に照らしても違憲だという考え方が相当あるということを、これはやっぱり防衛庁長官は頭に入れて、今後あなたの政策なりその他の問題を処理してもらいたい、このことだけきょうは申し上げておきたいと思うんです。きょうは防衛問題が主力でございませんから、その他本来ならGNPの一%問題でありますとか必要最低限の防衛力の問題でありますとか、そういう点も質問したいという気持ちは持っておりますけれども、きょうはそういう議題でございませんから、この点は後日改めて申し上げ、質問をしたい、こう思っております。
 ただ、一点だけ総理大臣にお聞きをしますが、五六中業を中心にしまして絶えず問題になりますのが、このGNPの一%枠の問題であります。総理は、一%の範囲内でやりますと、こうしばしば答弁をされます。しかし、防衛庁の計画や防衛庁の考え方はそれを超えるようなものが出されてくる。そこに私は最高指揮官とその下の指揮官との間に何かしらぴったりこないものがあるのではないかという気がいたしますが、一%はきちっとお守りになりますね。防衛庁長官、また、その最高指揮官の命令に従って一%の範囲内での予算要求になりますね。この点だけは確認をしておきます。
#175
○国務大臣(鈴木善幸君) 五六中業の問題についてでありますが、ただいま防衛庁におきましては四月の国防会議の決定に基づきまして作業を進めておるところでございます。まだ作業の進行中でございまして、私にも中間報告もなされておりません。
 私は、ただこの五六中業の作成作業に当たりまして二、三の注意をしてあるわけでございます。それは、各年度の防衛予算の要求ができるだけなだらかにいくように、ある年これが突出するというようなことでなしに、編成作業に当たってはそういう点を十分配慮してもらいたいということ。それから日本の国情、また日本の海洋国家としての特性、そういうものも十分考慮に入れて、そして海洋国家にふさわしい計画というものを五六中業の作成の中でできるだけこれを専門家の検討の上に立って取り入れてもらいたい、こういうことを要請をいたしておるところでございます。
 それからもう一つは、五十一年当時「防衛計画の大綱」が閣議並びに国防会議で決定を見ました際に、当面GNPの一%を超えない範囲内にこれをとどめるように努める、こういうことが基本的に閣議で決定を見ておるわけでございます。こういう点を十分頭に置いて、そして昭和六十二年までの展望の上に立って、先ほど私が申し上げたような点を十分踏まえながら、予算が各年度で特別に突出するようなことのないように努力をしてほしいと、こういうことを強く求めておるところでございます。防衛庁におきましては、大蔵省等とも緊密に連絡をとりながら、他の政策との整合性または財政事情、そういうものを勘案をしながらこの作業にいま当たっておると、このように承知をいたしておるところでございます。
#176
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 総理から十分お答えをいただいたとおりでございますけれども、五六中業の事業内容につきましては目下鋭意作業中でございまして、まだ固まっておりません。したがって、期間内の防衛関係費や対GNP比がどのようになるかについて今日申し上げる段階にないということを御理解を賜りたいと思います。
 また、これも総理からお答えがございましたけれども、当面一%を超えないことを目途とするとの閣議決定との関係につきましては、五六中業は効率的かつ節度ある整備に留意をし、この決定を踏まえ、大綱水準の達成が図られるように、このような方針のもとに目下ぎりぎりの努力をしておるところでございますが、先ほど申し述べましたように、まだ事業内容等が固まっておりませんので、これ以上のお答えがいまはできません。
#177
○山崎昇君 いま総理並びに防衛庁長官からGNPの一%については守る趣旨の御発言だと私は理解をしておきたいと思います。
 そこで総理、これは実は質問通告をしておりませんことで大変あなたに恐縮だと思うんですけれども、一点お伺いをしておきたいと思います。それは、実は政治とは一体何なんだろうか。後藤新平さんという方は道徳だとこう言う。原敬さんは力だと言われました。加藤高明さんは正義だと言われました。床次竹二郎さんは妥協だと言う。近くでは、佐藤榮作さんは芸術だと、こう言われました。あなたは一体政治とは何だと思いますか。
#178
○国務大臣(鈴木善幸君) いろんな角度からいろんな体験を通じてそれぞれの過去における著名な政治家、首相等が言っておられることでありますから、いずれも政治の姿、側面というものを表現しておるだろうと、こう私は思うわけでございます。私は、政治に携わる人間としての心構えといたしましては、やはり国民に対して誠意を持って接し、国民の政治に対する期待というものをこれを誠心誠意反映せしむるようにしたいと。そうすることが、国民が力を合わせて、また政治も国民の協力を得てこれを実現することができると、これが私は和の政治である、このように考えておるのでございます。
#179
○山崎昇君 私は、これをいま総理にお聞きをしたのは、実は私も札幌へ行っておりましたけれども、二日から四日まで田中角榮さんが北海道へおいでになっておりました。そして二日の晩は釧路出身の北村義和さんの後援会に出られて演説、三日の日には現職の郵政大臣であります箕輪さんの後援会場で演説をされました。その内容を私どもお聞きをしますというと、いま総理から正義が中心で誠心誠意やることだ、それを一口で言えば和の政治だと、こういまあなたは言われました。
 しかし、あなたを一番支持しております田中さんはまさに力の政治そのものではないんだろうか。どう言っているか。当日十四名の自民党代議士を引き連れてまいりました。そして、政治は一人ではできない、私には同志が百人も百三十人もおり、何でもできる、私のいまの存在は自由民主党周辺居住者である、北海道のローカル線は廃止をするなんていうことはやりません、北海道の鉄道は全部存続いたします、北海道はやがて人口一千万にいたします、そして精密機械工業の基地にいたします、これが田中さんの、えらい演説ですね。新聞の見出しでは「強気強気の角栄節」、最後には、鈴木以外に総理はあり得ないのだと、鈴木を守るんだという趣旨の演説を行っているわけなんです。百三十人も同志というのは無所属でいるわけじゃない、自民党の代議士を引き連れて歩くわけでありますから。そして言っていることは、それだけの勢力があるから何でもできるんだ、おれは何でもやれるんだと、札幌の地下鉄のゴムタイヤもおれがうんと言ったからできたんだ、あるいはその他のことについてもいろいろ演説をされております。
 あなたはせっかくいま誠心誠意、正義が中心だというお話でありましたけれども、あなたを支えている基盤の田中さんといいますか、最もあなたの中心的な存在じゃないかと思うんですが、この人はいま政治被告人です。NHKでも新聞でも田中角榮と呼び捨てです。氏という字はつかない。そういう方々が自民党の代議士を大名行列のように連れて歩いて、そして何でもできると豪語する。これは一体私は正義だろうか、誠心誠意だろうか、和だろうか、疑わざるを得ませんね。そういう意味であなたにいま政治とは改めて何かということをお聞きをしたわけです。これに対してあなたはどういう感想を持ちますか。
#180
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、その場におりませんから、どのような雰囲気の中でどのような気持ちでそのような発言がなされたか、どうもぴんとこないのでありますが、しかし自由民主党の党員の諸君はいずれも良識ある考えのもとに政治活動をやっておるわけでございまして、私は、北海道に御一緒に行った諸君も誠心誠意謙虚に政治に取り組んでおる、そして国民、特に選挙区の方々の期待にこたえていこう、こういう気持ちで取り組んでおられると、このように思っておるのでございます。田中氏がどういう心境でそういう場所で言ったか、私にはいま十分理解ができませんが、同行したといいますか一緒におったわが党の議員諸君は、前段で私が申し上げたようなことで精進努力をしておるものと、このように受けとめております。
#181
○山崎昇君 彼の言っているのは、自民党周辺居住者だと、本人自身は確かに無所属ですね。行っている代議士は全部自民党の代議士ですね。出席した後援会は自民党の現職の代議士であり、現職の大臣ですね。本人自身はロッキード問題の、国民に対して済まなかったという気持ちのかけらさえないです。私はここにいま政治の一番の問題点があるのではないかと思う。
 これは一九六五年十二月二十八日に読売新聞が出した歌でありますけれども、「罪の軽きは監獄に行き、重きは酒楼に行く」――酒を飲む場所に行く。「かくばかり道なきものか世の中の道」という歌を載せたのをいま持っております。生活困難で何かやった者はすぐ監獄へ行かされる。田中さんのように、ああいう人はいまのように土曜日は朝から晩までゴルフ――これもいろいろ問題があったようであります。私は、やっぱりそこにいま政治の一番の問題があるのではないだろうか、そういう気がしてならないものですから、番外でありましたけれども、いまあなたに少し苦言めいたことになりましたが申し上げたわけです。
 しかし、これらの問題は、先般の衆参の本会議あるいは予算委員会等で多く論ぜられたものでありますから、これ以上は触れませんけれども、ぜひひとつ総理の指導性を発揮しまして、この政界の浄化といいますか、そういうものを私は直してもらいたい、強く要請をしたいという意味でいま田中さんの言動について指摘をしたわけです。
 また、これに関連しまして、最近、これはもう総理も御存じのように、つい二、三日前もそうでありますけれども、大変な事件がいっぱい起きる。それは何かと言えば、通り魔事件あるいは孫によって東大の名誉教授が殺される。いま精神鑑定その他をやっておるようでありますが、けさの読売新聞の社説を見ると、こういう精神異常者といいますか障害者といいますか、こういう人の対策について政府は対策がないのではないんだろうか、放置しているんではないだろうか、あるいはまた後ほど聞きたいと思っておりましたが、今度の行革法案の中で性病予防法の一部が改正になりまして、従来都道府県に性病の診療所等は必置でありましたけれども、これは任意の設置に改めるという規定になっています。
 それはそれで私は反対をしているわけでありませんが、ただきょうは厚生省も、警察も、それから青少年対策本部であります総理府も呼んでおりません。私は総理に、一連のこれらの事件を見ながら、一体いま教育とはどういう状況にあるんだろうか、あるいは厚生省であります麻薬の取り扱い等はどうなっているんだろうか、警察の対象になります風俗営業関係だとか、こういうものは一体どうなっているんだろうか。特に性病問題で申し上げれば、だんだん潜在化しつつある。表向きの患者は減っている。そして大変憂慮にたえないのは、低年齢層にふえつつあると言われています。
 こう考えるときに、私は田中さんの問題とすぐ結ぶわけでありませんが、こういうところに政治のひずみというものがやっぱり出てきているんではないだろうか。そういうふうにも、防衛防衛と叫びながらも、片やこういう国内におきましては政治のひずみというものが解決できない。これはこれから総理がいろいろ関係閣僚と御相談願って対策を講ぜられるんだと思うんですけれども、この機会でありますから、これら一連の政治のひずみと僕らは考えるんですが、これに対する総理の見解をお聞きをしておきたいと思うんです。
#182
○国務大臣(鈴木善幸君) 次の時代を担うところの青少年の健全育成の問題は国政の中でも非常に重要な問題であると、このように考えております。先般も、最近における青少年の非行等まことに憂慮にたえない事件がしばしば発生をいたしますので、これを岡本元京大総長を会長とする審議会にお願いをいたしまして、その具体的な指導、教育の問題について御答申をいただいたわけでございます。いろいろ社会環境の変化、非常に複雑な環境の中で若い世代の諸君に確かに国民の期待に反するような行動がしばしば出てくるわけでございますけれども、これは本人だけの問題ではございません。家庭あるいは学校あるいは社会、すべて青少年を取り巻く環境等の乱れといいますか弛緩といいますか、不十分な点が青少年にそういう影響をもたらしておる面もあろうかと思います。それから、いまのいろいろな薬害等によって精神病にかかったりしておるような者に対する保護あるいは監察、そういう面についても改善を要する点も多々あろうかと、こう思うわけでございます。
 私は、前段で申し上げましたように、日本の将来というのは日本の次の時代を背負って立つ青少年諸君が健やかに心身ともに健康に育つこと、りっぱな社会人として成長すると、そういうところにあるわけでございますから、今後とも一層青少年の健全育成につきましては、政府としてもあらゆる省庁、分野を通じまして十分連携をとりながら最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
#183
○山崎昇君 通告しなかった質問等を入れたものですから、時間がなくなりまして大変恐縮なんですが、今度の法案に関連をして、実は単独法案になっております道路運送車両法の一部改正案の過料の問題についてお聞きをしておきたいと思うんですが、この過料の性格は一体何なんだと、またこれを何円にするという基準はどこに置いて決めるんだろうか、この二点、まず法制局長官からお聞きをしたい。
#184
○政府委員(角田禮次郎君) いわゆる行政罰には、いま問題となっております過料と行政刑罰と二種類があると言われております。行政刑罰の方から先に申し上げますが、行政刑罰というのは、ある一定の義務違反があった場合に、その義務違反が行政上の目的を侵害するとともに一般法益をも侵害すると、そういうときに科せられる制裁であると言われております。それに対して過料は、ある行政法規に基づいて課せられた義務違反がある場合に、その義務違反が行政上の秩序維推に対する障害の程度にとどまるという場合に科せられるものである、こういうふうに言われております。
 それから第二の御質問の過料の金額、法定額をどういうふうな基準で定めるかということでございますが、これはそれぞれの行政目的の達成の必要上から設けられるものでありますから、一概にいかなる行為に対していかなる額の過料を科するのが適当であるということを一律に定めることは困難であると思います。
 ただ、一般論として申し上げれば、その過料の額が、目的とする行政上の秩序の維持という観点から必要かつ十分なものでなければならないというのが第一に考えられると思います。それから、その過料の額がその法令中に他にも過料がある場合にはそれとのバランスとか、あるいはその過料の対象とされている行為と同種の行為が他の法令においてもどのような金額になっているかとか、そういうバランスを考慮して決めるというのが一般的な考え方として言い得ると思います。
#185
○山崎昇君 私もここに、これは林修三さんの書かれた「法令用語の常識」という本でありますが、そのほか二、三冊法令用語についての多少の本を読ましてもらいました。あるいは行政法学者の本も読んだり、ここにノートに書いてありますのは田中二郎さんの「行政法」に載っているわけでありますが、過料の性格というのは、いまあなたが言われましたように、大筋三つぐらいになる。一つは秩序を乱す場合。二つ目には懲戒的な意味の場合。三つ目には執行の段階において行うもの。大筋この三つに集約されると言われております。これ以外の理由で過料を付しているような法律がありますか。あったら教えてもらえませんか。
#186
○政府委員(角田禮次郎君) ただいまのような三つの種類が過料にあるというふうに説かれておりますし、現実の法律にそれ以外のものがあるとは私承知しておりません。
#187
○山崎昇君 そこで、行管長官にお尋ねします。
 あなたは、きょう午前中の柄谷委員の質問に答えまして、教育啓蒙的な意味で過料を付したと、こんな法律は一つもないですよ、いま法制局長官が言ったように。教育啓蒙で何で罰則を設けて金を取らなきゃいけないのか。秩序罰でもない、執行罰でもない、義務違反でもない。私は、こういうやり方で今度初めてこの道路運送車両法の一部を改正する法律案に改めて過料というやり方をとったということは承服できませんね。
 ですから、あなたは先ほど柄谷委員の質問に答えて、国会の審議にゆだねます、こういうお話でありました。これは運輸委員会で恐らく削除せよという各党の話し合いになると思うんですが、その場合には、いま申し上げました性格からいっても、他の法令にないものを何でこういうものにつくるのか。これはあなたの方が提案していても考えてみなきゃならぬ点ではないんでしょうか。
 長官の見解を改めて聞きますが、総理、各党で話して、これは当然行政府でありますから国会の決定に従うといえばそれまでの話でありますが、総理としてもいまお聞きのとおり、今度のこの車両法に設けた過料なんぞというやり方はどこにもないんです、他のものに。そういうことを判断されて、運輸委員会で削除したいと思っておりますが、その際には政府も当然でありますけれどもそれに従ってもらいたい、こう思うのですが、その用意があるかどうかお聞きをしておきたい。
#188
○政府委員(角田禮次郎君) 法律上の問題に関連いたしますから私から補足してまいりますが、ただいま過料の種類としては、山崎委員も御指摘になったように秩序罰としての過料、それから懲戒罰としての過料、執行罰としての過料、この三つに限るというのは学説上通説であると思いますから、そういう意味では今回の法案に盛られておる過料は秩序罰としての過料であるということはこれは間違いないと思います。ただ、一つの立法の動機というか考え方といたしまして、定期点検というものをできるだけ有効に実施をしたい、そういうものとの関連において恐らく啓蒙的というような言葉が使われたんじゃないかと思います。したがって、それは一つの行政上のねらいとしてはそういうことは言い得ると思いますが、法律的な性格としてはそういうことは言えない、こういうふうに分けて考えることができるのではないかと思います。
#189
○山崎昇君 それはおかしいんじゃないですか。提案している方が秩序罰とも言わないんです。だから対象を限定しますとか、同じ犯してもこっちのものはこれは非訟事件手続法でやりますけれども、こっちの方は陸運局長が裁判所に言えば罰になりますよ。過料を取られますよ。同じことをやってもこっちのものはそうはならないというんです。こんなばかなやり方がありますか。少なくとも何回か私は議事録を読みましたし、けさほど来の答弁も聞いておりますが、一つは行管長官は最初出すときに目が届かなかった、うっかり出してしまったと言わんばかりの提案説明です。二つ目には教育啓蒙的だ。これは法律論としては成り立ちませんね。そういう意味で総理、もう時間余りありませんので、これはそういうかっこうで、今度のやり方というのは私はやっぱり納得できない。
 それから、先ほど法制局長官からこの基準についても一もちろんむずかしい点はあると思います。私も私なりに十七本ばかりの法律を調べております。つい最近は民事訴訟手続法が変わりまして、いままで三千円だったものを五万円に上げた。五千円だったものは十万円にした。これは可決をされたことは承知をしています。しかし、私の手元に、いまここにあります十七ばかりの法律を見ましても、一番安いのが五百円、一番高いのが百万円。どこら辺が一番多いかというと、二千円から五千円なんですね、私の承知する限り。たくさん法律ありますから全部調べているわけではありません。特にこの中で、たとえば戸籍法でありましても銀行法でありましても刑事訴訟法でありましても、あるいは独占禁止法――これは高いんです。あるいは土地収用法の違反でも一万円以下、公証人法でも五万円以下、医療法でも五千円以下、一番安いのは砂防法でありましてこれは五百円です。
 こう考えるとき、いきなりいままでなかったものを、そして教育啓蒙だと言いながら、限定をしますとか対象を縮めますとか、そういう言い逃れをしながらこの過料を取るというやり方は政治じゃありませんね。ですから総理、時間がないんですが、これから各党は相談いたしますけれども、その際には喜んでひとつ、ある意味で言うならば積極的にこれを削除することに総理は賛成してもらいたいと思うのですが、どうですか。
#190
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま山崎さんから御指摘がございました道路運送車両法の中での過料の問題につきましては、運輸委員会におきまして大詰めの審議が進められておる、そして社会党さんからも修正案が出ておる。自由民主党においてもそういう野党の皆さんの御意見等も十分耳を傾けて、この扱いについていろいろいま協議を遂げておる、こういうように私、中間報告として聞いておるわけでございます。いま御指摘になりましたように、いろいろ問題をはらんだ点でございますから、十分ユーザーの皆さんもこの立法の趣旨にも沿うように、国会論議等も踏まえて妥当な結論が出ることを私、期待をいたしております。
#191
○山崎昇君 期待をすると言うのですから、ぜひ実現をさせていきます。
 次にもう一点、法制局長官にお聞きをしておきます。
 実は、昭和二十九年の三月に国語審議会の建議というのがございまして、法令の用字、用語については整理する必要があるのではないかというので、大筋五点にまとめております。一点は同音語の整理。二点は似た意味の幾つかの用語の統一。三点は意味の通じにくい、むずかしい言葉をやさしく。四点目は、当用漢字表・同音訓表に外れた漢字を用いた言葉のかな書きあるいは変えること。五点目は、当用漢字表にある字でも接続詞、副詞的な言葉をなるべくかな書きにすること等が建議されたと聞いています。
 そして、昭和二十九年の十一月に内閣法制局は、法令用語改善の実施要領というものをおつくりになって、全部これすぐ変えるわけにはまいりません、たとえば民法にいたしましてもその他の法律にいたしましても、これを改正するといったら大変なことでありますから、全部私は直ちにやれという意味ではありませんが、一体この実施要領をつくられて今日までどういう状況にあるのか。たとえば、いま問題にいたしました過料につきましても、これは「科料」と「過料」と、こう言っておるわけですが、この国語審議会等の提案を見ますというと、たとえば「過怠料」というようなものに改めるべきではないかと提起をしております。言うならば、許認可の問題――先ほど身体障害者関係の不快用語の統一をやりました、直しました。法令用語もきわめてむずかしい用語が使われておる。法制局はどういう検討をされて今日に至っているのか、簡単で結構でありますが、現状を説明してほしいと思います。
#192
○政府委員(角田禮次郎君) 昭和二十九年三月の国語審議会の法令用語改善についての建議の中に、いま御指摘のように、「過料」を「過怠料」と改めてはどうかという趣旨がございましたことはそのとおりでございます。当時、同じ年の十一月に法令用語改善の実施要領というものを法制局でまとめまして、今日までそれに従って実施をしているわけでございます。過ち料という、「過料」という言葉は、確かに国語審議会の建議では「過怠料」と言いかえるというふうになっておりますが、この言葉は民法とか刑法とかそういう基本的な法典の中に多数出てきている言葉でありまして、そういう基本的な法典というものをその言葉だけで改正するという機会がなかったために一いや、機会がなかったというか、当時そういう基本的な法典というものについてそういう言葉があるために、いま直ちに実施することは不適当であるということで、二十九年の実施要領では採用しなかったわけでございます。
 その後、そういう基本的な法典を改正する機会がないままに今日までそういう言葉には書きかえられていないというのが現実であります。したがいまして、そういうふうに当時採用しなかったものはございますけれども、採用したものについては実施要領のとおり厳格に今日まで守っております。
 それから、さらにつけ加えて申し上げれば、先般常用漢字表というものが制定されましたので、それに応じまして、昨年の十月に法令用語改善の実施要領の一部については適当な修正を加えた次第でございます。
#193
○山崎昇君 これもやっぱり、いまあなたの言われますように、むずかしい点は私も承知をいたします。しかし、これからつくられる法律とか、改められるべきものは改めていくというのが本筋じゃないかと思う。民法とかそういう基本になるような法律が直らぬからいつまでもできないんだと言ったら、結局は同じことになっちゃう。これはぜひ私はやってもらいたいと思っています。
 もう五分しか時間ございませんから、二、三点まとめて行管長官にお尋ねをいたしておきたいと思います。
 一点は、今度の行革法案は十の法律になっているわけでありますが、そのうち二つは実は単独の改正にしまして、八つを三つぐらいの分類に分けておることは承知いたしておりますけれども、一括して今度の行革法案として出されているわけなんですが、この三つの基準に分類をしたその考え方について、第一点、お聞きをしておきたいと思います。
 それから第二点として、これは大変重要だと思うんですが、法規制の場合には国会で議論をいたします。しかし、運用面については公務員の皆さんがするわけでありますが、運用面についても、たとえば政令、省令、通達等になるかと思いますが、これらもきちっとした整理をしなければ実効が上がらぬのではないんだろうか。法的な点だけ規制しても、運用の合理化ということが行われなければ実効が上がらぬのではないだろうか。しかし、政令や省令等のものは私どもの手元にありませんからよくわかりませんが、運用面にわたって今後どういう指導をされていくのか、これが第二点であります。
 それから第三点は、午前中も質問ありましたけれども、地方公共団体から多くの意見が出されております。特に具体的な例が示されて改善方を求めておりますが、ほとんどなされておりません。臨調の答申がなければできないものなんだろうか。これも納得できませんのでお答えいただきたい。
 それから第四点は、実効性喪失による法律を今度かなり廃止をいたしておりますが、今後こういうことについてどういう対策を講ずるのか。たとえば、十年ぐらいたったら一応全部見直すというのか、あるいは俗に言われておりますサンセット方式でやるのか、いろいろ方法論があると思うんですが、そういう法の見直しというものについてどういうお考えをお持ちなのか、この点が第四点。
 それから第五点は、これは行管で特別地方機関等の設置及び運営に関する調査というのを行っておりますけれども、今回実施をいたしておりますのはきわめて一部にしかすぎません。あとの大半の問題は臨調の答申を受けてやることになるのかどうか。せっかくあなたの方で調査をされているんですが、その結論というものをどういうふうに生かそうとするのか。
 たくさん私はお聞きをしたいことありますけれども、時間ありませんので、この五点だけあなたに見解を聞いておきたいと思います。
#194
○国務大臣(中曽根康弘君) まず第一に、三分類にしたわけでございますが、これは法案の性格等を見まして、たとえば旅券法とかあるいは医師法の問題とかそういう類と、それから許認可関係の整理計画にのっとってやっておる類と、それから旧法令の廃止、整理、そういう関係で取り扱っておるものと、こういうふうにして一応分けたわけであります。そのほかに、車検につきましては道路運送関係として別の法律体系、また電波法の一部の改正につきましても別の法律でお願いをいたしております。そういうわけで、法案の性格やらいままでの取り扱いの経緯から見まして三つに分けた次第でございます。
 それから第二に、政令や省令の運用問題が大事ではないかという点はまさに御指摘のとおりだと思います。単に法律だけを改廃したのでは目的を達することはできない点がかなりあると思いまして、これらにつきましては、われわれはこの法案の趣旨にのっとりまして慎重に配慮してやっていきたいと思っております。
 それから地方公共団体との関係につきましては、これは臨調で目下鋭意検討も加えておるところもございまして、許認可関係あるいはいわゆる機関委任事務の問題等との絡みにおきまして今後とも大いに推進していく考え方でおります。
 それから実効性喪失の法律の取り扱いでございますが、余り長期間こういうふうに放置しておきまして、今度のように三百五十五の法律を一挙に改廃するということは必ずしも適当な措置とは思いません。サンセット方式を加えるとか、あるいは時限立法にしておくとか、あるいはある一定の期間を経過したらこれを自動的に法律を点検してみて、そして不要になったものは速やかに廃止の措置を講ずる等々の配慮をこれからやっていきたいと思っております。
 それから特別機関の問題につきましては、これは鋭意いま実行に取りかかっておりまして、諸般の調査を踏まえましてこれを実施に移したいと思っておりますが、臨調の側におきましても同じようにいま努力がなされておりまして、相まってこれを推進してまいりたいと思っております。
#195
○中尾辰義君 最初に、伊藤長官の発言問題につきまして、先ほどから山崎君からもあなたの失言問題、暴言問題に対しまして厳しく反省を求める追及の質問があったわけですけれども、私も非常にこれは遺憾に思うわけでございます。あなたの発言は国民を侮辱し、国会審議を批判する、そのことにおきましてこれはシビリアンコントロールをないがしろにする、そういう非常に危険性を含んでいる、そういう点にあなたが気がつかなきゃならない。
 さらに、これも先ほどありましたけれども、一億一千七百万人の連帯を結ぶ糸は防衛でなければならない、こういうことは、これも問題なんですよ。これは国民連帯の手段として防衛を利用する、そういうことになるわけです。本来、防衛というのは国民的合意形成の結果として出てくるのが筋なんです。こういうふうに思うんですよ。そういうことで、私は非常にあなたに強く反省を求めるわけでございます。これは、先ほどの答弁もありましたけれども、わが党としても非常に遺憾に思っておるから、長官並びに総理からの答弁を求めるものでございます。それにつけ加えまして、私は国民の生の声をあなたに聞かしてあげたいと思います。いいですか、長官。これは新聞の投書でありますけれども、名前は言いませんよ。
  世の中にはこうした発言をする人間を歓迎し、迎合するものもあるから、ほんとうに困るのだ。しかし、いくら国民がお人よしだと言っても限度がある。一生懸命働いて、高い税金を払いながら、ゆすり、たかり呼ばわりされては腹の立たぬ方がおかしい。国民を盗人にも似た扱いをするような人に内閣にとどまってもらう必要はない。防衛で結びついた新しい国家観うんぬんなど、かつて一億火の玉といった思想を国民に強制した政治家を思い出す。国民をけりとばすような大臣はいらない。
 もう一つこれも読みますと、次は、
  国家に対し国民がたかることのできるものがあるだろうか。国民の税金によってまかなわれている国の財政は、国民の生活を良くするために使うよう政府が任されているだけだ。むしろ国の財政を私物化し、一部圧力団体にたからせて、公正な配分を妨げているのは行政の方である。問題なのは、
 いいですか、ここですよ。
  主権在民を頭から否定している防衛庁長官の論理の方である。長官の発言は、財政難のなかで防衛力増強路線を定着させるのがねらいだといわれる。福祉を切り捨て、さらに軍備を増強することは、国民に対する〃やらず、ぶったくり〃である。
 こういうような、あなたはお読みになったか知りませんけれども、非常に辛らつな、あなたに対して厳しい批判があるわけですから、これをつけ加えまして、総理並びに長官から反省の答弁をお伺いしたいと思います。
#196
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほど山崎委員にお答えしたことの繰り返しになりますけれども、御指摘の点につきましては、国とか政府というのは国民の対立物ではなくて、国民全体がみんなでつくり上げているものであります。したがって、国民はこのような時点においては、国や政府に対して求めるということも大事ですけれども、その前に国や政府に対して何ができるかということを考える必要がある、そういう情勢ではなかろうかというようなことを強調したい余りに申し上げたことでございます。
 しかし、御指摘もございましたように、適切を欠いた表現でございましたので取り消し等の措置を行ったものでございまして、決して国民をべっ視をしたり、また国家の行政サービスの必要なゆえんを否定したものでもございません。むしろ国家の行政サービスは重要な役割りでございます。そのことについては論をまちませんし、また国民が自分の生活の向上等のために国に対して行政サービスというものを期待することは当然であるということについては御指摘のとおりでございます。
 また、連帯の問題につきましては、私はこの防衛、自分の国を守る防衛ということについて国民の連帯感がまだ十分ではないのではないか、わが国への侵略を抑止するためにはやはり国民の連帯感が必要なのではないかというふうに考えておる。しかし、また御指摘にもございましたように、防衛というのは国民の理解と支持が必要なわけでございまして、そういう国の防衛に関する国民のコンセンサスが国民一人一人の自発的な意思によって健全に形成されるということもぜひ期待を申し上げたい、またそのことも防衛にとっての重要な要件であるということを申し上げたのでございまして、しかもそういうわが国の平和と繁栄にとって大事な防衛の重要性、必要性、しかしそういう防衛に対する国民のコンセンサスができ上がることも願うわけでございますけれども、それは国民の自発的な意思によって形成さるべきものであって、決して一防衛庁長官が押しつけを考えたということではないのでございます。
#197
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま伊藤防衛庁長官から申し上げましたように、長官のあの講演における真意は、防衛に対する認識を高めていただく、防衛に対する理解を求めたい、そして相ともに国の安全と平和を確保していきたい、そういう熱意から申し上げたところでございまして、確かに御指摘の点等は、用語、表現等適切を欠いた部分があったわけでございまして、この点は御本人も深く反省をし、これを取り消し、また陳謝の意を表したところでございます。私からも、このようなことが二度とあってはならないという立場から、強く伊藤長官の反省を求めますと同時に、国会の公式の場においてこのことについて政府を代表して遺憾の意を表した次第でございます。
#198
○中尾辰義君 ちょっと時間がありませんから、次に総理にお伺いしますが、七月答申がもうすぐ出るわけでありますが、その前に、総理大臣としての行革に取り組む決意のほどをちょっとお伺いしておきますが、少々苦言を呈することになりますけれども、五月の十七日、第四部会の報告を皮切りに、二十四日が第三部会、二十九日が第一部会、三十一日が第二部会、こういうふうに各部会の報告が臨調に提出をされまして、それが新聞報道もされているわけですが、臨調においては、会長以下九人の委員が精力的に各方面の意見を聴取して最終的な詰めの作業を急いでいる、こういうふうに承っております。
 この各部会の報告を見ても、七月の基本答申は相当膨大な、広範なものである、大がかりなものである、こういうふうに思っているわけですが、これだけのものを実行するとなりますると、これは一つは国民の絶大なる支持が不可欠になってくる、それには総理を初めとする内閣一体となった政治力が絶対的に必要になってくるわけでありまして、この二つの要件につきまして、私が見るところ、最近非常にかげりが見られるように思われるわけであります。
 まず一つは、国民の行革への支持という点。この点で私が一番指摘したいのは、今回のロッキードに関する六・八の判決を契機といたしまして、政治倫理の問題に対する政府・自民党の対応の仕方のなまぬるさ。厳しさが非常にこれは欠けておる。政治不信、政府への信頼感に決定的なかげりを与えている、こういうふうに思っております。この点、国会証言問題、倫理委員会の設置等速やかに処理をして、国民の政治不信感の解消に努めなきゃならない、そうすることが行革の前提になるんじゃないか、私はこう思いますよ。あなたの予算委員会におけるやりとりを見ておりましたけれども、逃げてばっかりの答弁でございましたね。
 次に申し上げたいのは、国民の支持という点で、本国会、政府が去る二月の臨調の許認可整理についての第二次答申の趣旨をないがしろにして、先ほどから質問がありました自動車の点検整備に関して十万円の過料を科すという道路運送車両法の一部改正法案を提出したことが、行革に対する、国民の政府に対する不信の念を一層駆り立てている。いいですか、これは行革と違うんですよ、十万円の過料というのは。くどくど申しますと時間がないんだけれども、臨調の答申を尊重するというふうになっているんでしょう、わざわざ法律を出してね。
 それから総理が昨年の三月十八日に行革に政治生命をかける、こういう発言をなさったが、このため、昨年のいまごろは行革に対する国民の期待というものが非常に大きく盛り上がっておった。このとき、中曽根長官もずいぶん張り切っておられたんですよ。そして、行革フィーバーと言われたほどであったわけでありますが、昨年の秋の政府の行革関連特別措置法案提出で、まず行革の矛先が真っ先に国民に向けられて、福祉、教育へのしわ寄せ、こういうふうになりまして、昭和五十七年度の予算編成では、臨調の第一次答申の指摘事項が大幅に骨抜きをされまして、土光会長自身すらその不満の意を隠されなかった、こういう状況であります。そして、だんだんと国民の鈴木行革への期待がしりすぼみの状態になってきておる。
 こういうような状況の中で道路運送車両法の過料十万円の問題が起こっているわけです。しかも自動車整備業界の自民党への強い働きかけの結果、このような事態に立ち至った経緯が国民の前に報道されてきますと、国民は、総理のおっしゃった国民等しく行革の痛みを分かち合っていただきたい、その言葉に信用がおけなくなってきた。山崎君からも質問がありましたが、この道路運送車両法につきましては運輸委員会等でまた修正があるだろうと思いますけれども、とにかくだんだんと鈴木内閣の行革に対する不信が高まってきておる。
 二つ目は、あなたの総理大臣としてのリーダーシップという点。これは部会報告が問題とされた閣議の席上におきまして、第二部会の中央省庁の統廃合に関連して、北海道開発庁の国土庁への統合について真っ正面から反対論が展開されたとか、そういうふうに報道されておるわけですが、また第四部会の報告に関連いたしまして、電電公社、国鉄、さらには専売の経営形態の民営化、こういう問題につきましても、自民党の中で非常にごう然たるこれは反対が出ておるわけです。このような空気は少なくとも昨年の三月、総理が例の政治生命をかける、こういうような発言をなされたころ、これは全く予想もされなかったことなんですね。その意味では行革に対する総理の威令というものが、自民党総裁としての指導力がだんだん低下してきているんじゃないか、こういうふうに私は思っているんです。
 一つは国民の支持の問題、もう一つはあなたのリーダーシップの問題、こういうふうにだんだん低下しているわけです。それで今度基本答申が出るわけですが、前句狂言が少し長くなりましたけれども、改めてあなたの行革基本答申に取り組む不退転の決意をこの席上で述べていただきたい。
#199
○国務大臣(鈴木善幸君) 行政の改革は、時代の変化、また国民のニーズも変わってきております。この新しい時代が、そして国民が求める方向に行政を改革し、合理化し、そして簡素にして効率的な行政運営ができるようにする。これは私は、日本が八〇年代以降、二十一世紀に向かって生き抜いていきますためには、避けて通れない重要な政治の課題だと、このように心得ておるわけでございます。
 第一次答申を受けまして以来、その実施に当たりまして政府と党が一体になってこれに取り組んでおります。その熱意と姿勢にはいささかの変化もないわけでございます。いろいろ御心配をいただき、またいろいろ御叱正があったわけでございますが、閣僚の諸君あるいは党の一部から、部会の本調査会への報告が出た時点においていろいろこれに対する注文なり異論が出た、こういうようなことを非常に御心配をいただいておるようでございますが、私はその際、行管庁長官とともに党政府の首脳会議、連絡会議等におきましても、せっかく臨調がその部会報告を受けてこれから本格的な最終的な審議をする大事な段階であるから、これを静かに見守って、答申が出た段階において政府と党がいかにこれを尊重し、その答申の趣旨に沿うてこれを実行に移していくか、国会にどのような形で提案をし御審議を願うか、こういうことになるわけであるから、いまの時点であれこれ言うことは差し控えなければいけないと、こういうことを私は閣議におきましてもまた政府・与党の連絡会議等におきましても申し述べまして、自来今日に至っておるわけでございます。
 私は、いま申し上げたように、行革に対する熱意、またこれは避けて通れない国民的な課題でもございます。私はこの行革に取り組む姿勢はいささかも変わっておりません。本当に全身全霊を傾けて、閣僚並びに党員の諸君とともにこの答申を生かすことに全力を尽くしたい、このように考えております。
#200
○中尾辰義君 いまのあなたの答弁には、今度は熱意とか決意とかあったけれども、政治生命をかけるという言葉は出てこなかったんですけれども、とにかく不退転の決意でひとつやってもらいませんとこれはうまくいきませんよ。
 時間がもう余りないので、もう一点だけ。
 これは、きのうの決算委員会でもちょっと問題になったんですけれども、例の税収欠陥とそれに対する対処の仕方、これがどうもまだはっきりしてないですな。こういうものをはっきりしてなくて、五十六年度の税収欠陥がほぼもう出ているんですから、これをどう処理するのか。国債整理基金から一時借りるということがありますけれども、いつそれを返すのか。それから五十七年度の歳入欠陥、こういう問題に対して減額補正をどうするのか。その辺がはっきりしてないでしょう。そういう点をはっきりしないで、予算編成がどうのこうの、ゼロシーリングがどうだとか、これは一体決められるのですかね。ですから、五十七の補正と五十六の欠陥、これはどういうふうにするのか。秋に臨時国会を開いてそれをはっきりさせるのか、その辺をひとつ答弁してもらいませんと、国民は非常に迷っていますよ。幾ら景気対策をしましても先行き不安ではどうしようもない。こういうことでありますから、はっきり御答弁を願いたいと思います。
 それで、つけ加えておきますけれども、これは第一次石油ショック後、あのときも財政危機になったんですが、時の大蔵大臣の大平大蔵大臣も、これは昭和五十年四月十五日ですか、わざわざ緊急財政危機宣言、こういうものをやったでしょう、当面の財政事情について。この中で四十九年度の税収の不足、五十年度の財政執行、今後の財政運営、こういうふうに三つに項を分けてきちっと明示している。そういうふうにあなたは故大平大蔵大臣の前例にならうようなことはないのかどうか、その辺お伺いします。
#201
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度の歳入欠陥、これを一体どう処理するのか、まずこの点から申し上げますが、いろいろの状況のもとに予想を越えた税収の不振等がありまして、あのような二兆九千億前後の歳入欠陥が生じましたことはまことに残念に思っております。この決算処理につきましては、法律のお認めいただいておるところに従いまして、決算調整資金あるいは国債整理基金等からの借り入れによりまして決算をやりたい、このように考えております。これは、法律によりまして、一年以内にこれを戻さなければならない、こういうことに相なっておりますから、五十七年度以降の歳入歳出の状況等をよく見ました上で、五十七年度の補正でやるか、あるいは五十八年度の予算の中でこれを措置するか、今後慎重に検討をいたしたい、このように考えておるところでございます。
 それを臨時国会を開いて処理するかどうかという、いろいろのお考えがあるわけでございますが、五十七年度の予算の執行はいま第一・四半期が終わったばかりでございます。九月下旬ころになりませんと経済諸指標が出てまいりません。その経済諸指標を十分検討、精査いたしまして、補正予算を組む必要があるかどうか、今後の景気対策等をやる必要があるかどうか、そういう点もあわせて方針を決めたい、このように考えておるところでございます。
 五十七年度の歳入欠陥が生ずるのではないか、こういう御指摘、一体それはどうするのかというお話でございますが、いま言えることは、五十六年度の税収が大幅にへこんだと、発射台が低くなったのでありますから、確かに五十七年度の税収にも影響があることは避けられないことでございますが、これから一体どういう景況の動きを示すのか、それが税収その他にどういうようになってくるのか、これは今後の推移を見なければなりません。したがって、五十七年度の補正予算等の問題にいたしましても、具体的な計数の裏づけがないと腰だめではできないわけでございます。税収の例を一つとりましても、それによって印紙税がどれだけ減収になるのか、あるいは物品税がどういうような傾向をたどるのか、具体的に数字の面でそれらの税収がこれだけ減るというようなことが的確に把握できた時点において補正等の措置ができるわけでございまして、腰だめで補正予算を組んで国会の御審議をお願いをするというわけにはいかないことはもうすでに御理解いただけるものと思うわけでございます。
 これから私どもが一番注意をしていかなければならないのは、景気のこれからの動向でございます。この点につきましては、財政並びに金融の運用に絶えず注意を払いながら、機動的効率的に運用してこれに対処をしてまいりたいと、このように考えております。
 それから昭和四十九年の大平蔵相当時、財政の非常宣言をやったことがございます。そのときも大変税収の見積もりその他が大きな狂いを生じまして、物価等も相当変動のあったときでございます。そういうことから財政非常宣言をやりまして、そして翌年度の税収の分までこれを取り込むように政令を改正しましてやったことがございます。それから歳出歳入の全面的な見直し等もその措置の中に含まれておったわけでございます。
 この点につきましては、今回の五十六年度の税収欠陥その他の面に対処いたしまして、財政の再建という観点からゼロシーリングというかつてとったことのない手法を導入いたしまして、歳出の思い切った見直し、削減をやったことは御承知のとおりでございます。五十八年度予算の編成に当たりましては、さらにもっと厳しい歳出の見直しをしなければいけない。このようなことでいまシーリングの作業に入っておるということでございます。私は、翌年度の税収まで前の年に繰り込んで、そしてその当面を数字を合わしていくということはこれ以上できないと、このように考えておるわけでございますから、大体大平さんが財政非常宣言でこれだけはやろうということは、この内閣においてもすでにそれを実行に移しておるということを御理解をいただきたいと、こう思います。
#202
○安武洋子君 伊藤防衛庁長官の御発言につきましては、これは同僚議員からも発言がありましたし、また衆議院ではわが党の議員も追及をいたしております。で、私深くは触れませんけれども、何よりも長官は現行憲法を軽視なさっていらっしゃる。そのお気持ちがやはり根底にある。とりわけ、国家を防衛することが国民の連帯の糸にならなければならないというふうな御趣旨の発言、これは現行憲法は平和、民主主義、基本的人権、こういう憲法の理念をうたい上げておりますが、この理念に逆行するものでございます。総理もこの長官の発言につきまして単に遺憾の意で済まされるというふうなことは、憲法の理念を踏み外していることを容認なさることだというふうなことで、私は重大なことだと思いますけれども、同じような御答弁をいただきましても仕方がございませんので、私は、総理の政治姿勢といたしまして、現在問題になっておりますロッキード事件の問題で、灰色政治家の二階堂自民党幹事長らの証人喚問の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 総理にお伺いいたしますけれども、総理は、議院証言法の改正、この検討がいつから始められたか御存じでございましょうか。
#203
○国務大臣(鈴木善幸君) これは御承知のように……
#204
○安武洋子君 月日だけで結構です。
#205
○国務大臣(鈴木善幸君) ここに月日等詳しいあれは持っておりませんが、衆議院の法務委員会でこの議院証言法の改正問題を三年ぐらい時間をかけていろいろ審議が行われてきておるわけでございます……
#206
○安武洋子君 総理結構です。これは五十二年の十月二十一日からなんです。総理がいまおっしゃろうとした議会制度協議会が衆議院の法務委員会に審議を委託した、そして法務委員会が小委員会をつくって、五十五年四月に小委員会が八項目中六項目の合意をということで協議会に答申をしたと、こういうことですが、この議院証言法の検討作業を始めてから以降証人喚問をしたことがあるかどうかというのは御承知でございましょうか、総理。
#207
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、議院証言法の改正がなされた上で議員の証言が行われる、その目途のもとに法務委員会並びに議会制度協議会等で審議がなされておる、このように承知をいたしております。
#208
○安武洋子君 私は、議院証言法が先ほどの五十二年の十月二十一日、ここから改正の話し合いが行われたと、それ以降に証人喚問をしたことがあるかどうか御存じでございましょうかとお伺いしたわけです。
 御存じないようでございますが、この議院証言法の改正に着手した五十二年十月二十一日以降延べ十四人の証人喚問を行っております。これはもちろん自民党も御賛成でございます。そして海部八郎、この方は偽証でございます。それから有森國雄、この方は証言拒否でございます。この二人を議院証言法違反で告発もいたしております。もちろん自民党も賛成でございます。議会制度協議会での検討というのは現行のこの証言法のもとでの証人喚問を否定するものではない、やっているわけですから。まして自民党が現行法でいまだめだというふうな拒否をする理由にも全くならない、こういうことはこの経過一つをごらんになっても明らかではございませんか。総理いかがですか。
#209
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在の議院証言法、これは各党が合意すれば現行法でもできるわけでございますが、その後の経過等からいって、やはり議院証言法は改正をしなければいけない、こういうようなことで現に衆議院の議会制度協議会の小委員会で検討が進められておる、こういうことでございます。
#210
○安武洋子君 現行法でだめだと言っているのは自民党だけということはもう明らかになっているわけです。そして全日空ルートの若狭に対する判決でも、現行法のもとでの喚問というのは人権も保障されていて適法だというふうにもなっておりますし、それからどんな法律でも、現行法がある、法が改正される、そうすると現行法でいろんなことをやるというのは当然じゃありませんか。一つ税制の改正でも、現行法で税制の改正が検討されている。そのときに現行法で税金を納めないよと、こんなのは全然通らない。現行法でやっぱりやっていく。支障を申し立てているのは自民党だけということがはっきりしている以上、現行法があるんですから、十四人もやったわけですから、いままでどおりやっていくのが当然の筋道だと、私はこう思いますが、いかがですか。
#211
○国務大臣(鈴木善幸君) それはやってできないことはないと思います。しかし、先ほども申し上げるように、国会に証人を喚問する問題でございますから、これは国会の多数の意見によってそれが決められる。いま衆議院におきましては、現実に議会制度協議会で小委員会まで設けてこの議院証言法の改正作業というものがいろいろ審議されておるというこの現実を無視するわけにはいかない、こう思います。
#212
○安武洋子君 現行法で野党は全部証人喚問をというので一致をしている。多数とおっしゃいますが、野党は全部そういうふうになっている。自民党だけがだめだというふうになっているわけですね。
 いろいろと総理は理由を言われます。しかし総理、私が言っている方がちゃんと筋が通っておりますでしょう。現行法がある、それでやるのがあたりまえ、そしていままでもやってきたと、そしてそのことは適法にやられたという裁判所の判断もあるということなんですね。私は、やっぱり自民党がいま拒否をなさっていらっしゃるというのは、総理がそういう態度をおとりになるというのは一片の道理もないと思うんですね。それでもなおそういう態度をおとりになるというのは、私はこの灰色高官のお一人二階堂氏が田中軍団の幹部だというふうなことで、田中角榮の代理人、こういうことで総理は田中角榮の意向を体現なさっていらっしゃる、田中角榮の意向を無視ができない、こういうお立場だというふうに拝察してよろしゅうございますね。
#213
○国務大臣(鈴木善幸君) さようなことはございません。
#214
○安武洋子君 三木元総理もいまの自民党は田中角榮と田中派に支配されていると、こう指摘をされておられます。私はまさにそのとおりではないかというふうに思います。総理はそういうことはございませんといま一言のもとにおっしゃいましたけれども、いまの自民党の中で総理・総裁になるには、これは田中角榮と田中派の協力なしには総理・総裁になれない、総理・総裁になることは不可能だということは政界の常識になっているではありませんか。いかがですか。
#215
○国務大臣(鈴木善幸君) これは政党の議員のいろいろの構成があるわけでございますが、田中派だということでそれらの皆さんが良識を欠いておると、ただその人の言いなりに唯々諾々として動いておると、そう言うことはちょっと私は一国の国会議員を無視された発言ではないかと、こう思います。みんなそれぞれの良識を持ち、そして相応の政治家としてのキャリアも持ち、そして自分の信念で政治行動をやっておるわけでございまして、それを頭から決めつけてそう言うことは私は適当な御発言ではないだろうと、こう思います。
#216
○安武洋子君 私、田中派が良識を欠いているなんて一言も申し上げませんし、その人というのはどの人のことでしょうか。これは田中角榮を指してなさるんでしょうか。その人の言いなりに唯々諾々となるというふうなことはないとおっしゃいましたが、私は一つの派閥は結束を固めなければならないということで結束を固めてなさるというふうに思うわけです。そして総理が幾ら否定をなさってもだめでございます。というのは、総理の側近の田中六助氏でございますけれども、田中六助政調会長が日記も交えまして「再び大平正芳の人と政治」、総理お読みになりましたか、お読みになっていらっしゃらない一お読みになっていらっしゃらないみたいですが、こういう御本の中ではっきり書いていらっしゃいますね。
 これは大平内閣の不信任案の可決とか、それから大平総理の死去とか、それから鈴木内閣がどのようにして誕生したかとか、大変裏面からリアルに書いておられるんです。その中で少し私は引用さしていただきたいと思います。これは百六十ページに出てまいりますけれども、これは大平総理のお葬式のございました七月九日の二日後の十一日の日記でございます。これはこういうふうに書いておられます。
  田中角栄氏の私邸を訪ね、午後十時から約二時間、十二時過ぎまで懇談する。初めは極めて不快な顔をしていた が、時間と共にほぐれる。
  二階堂進氏の処遇を第一にして党三役閣僚人事を考えること。人事の考え方として世代交代などというが、そう はいかない、との意見が出たので、桜内現幹事長の留任、二階堂進氏は党、内閣いずれの起用でもよい、など党、 内閣人事についての意見、要望を全般的にのべた。
  午後四時から約二時間。ホテルオータニで鈴木善幸氏と懇談。田中角栄氏の意見を伝える。
  鈴木氏は田中(角)氏が、六さんにいろいろ文
 句をつげるのは、岸、福田氏寄りとみての機嫌の悪さであまり問題にする必要はない。七月六日の日にゴルフに出 かける朝、田中角栄氏邸を訪ね、僅かな時間、田中氏と会い、話し合った。しかし具体的な問題に入らず、今後の 具体案については二階堂進氏を通じて話をすすめることになった、などと話す。
こういう具体的な問題について、これは田中角榮の意を体した二階堂進氏を通じて話を進めることになったと、はっきりとここに明確に書かれているではありませんか。総理はこのことについてどういう御所見をお持ちでございましょう。
#217
○国務大臣(鈴木善幸君) 全然そういうことはございません。私の行いました人事は、私自身がいろんな角度から判断をして決めたものでございまして、そのようなことはないということを明確に申し上げておきます。
#218
○安武洋子君 では、日記で書いてなさるんですね、田中六助政調会長。これ、「再び大平正芳の人と政治」ということで、前書いたのが大変好評だからと、自分の日記を引用なさって、そして池田内閣時代から大変私はおもしろく全部読ませていただきました。大変リアルなんです。このお書きになったことが全然事実と違っている、この日記は違っていると、こういうことでございますか。
#219
○国務大臣(鈴木善幸君) 私の日記にはそういうことは書いてございません。全然違います。
#220
○安武洋子君 ではもう一つ。この中にまだございます。これは鈴木内閣がどうしてできたのかと。一同も皆知っていることですけれども、鈴木内閣誕生までにはいろいろありまして、どうなるかというふうなことが世間でうわさが乱れ飛んでいたわけです。大変な困難であるというふうなことがずうっと前段にございまして、
 三すくみにも四すくみにもなった状況に、新しい展開への道をつけたのは、やはりといういい方はおかしいかも知れないが、田中角栄氏だったと思われる。あとになって、田中氏が雑誌その他で語っているように、同時選挙を勝 たしたのは大平の偉業である。従って大平の遺業をつぐものが総裁になればいい。それは鈴木だろうが、だれだろ うが構わない。田中派はそれを推すのにやぶさかではないというわけである。宏池会が大平氏のあと、だれを継承者とするかを先ず決めたらよいという示唆とも、受けとれる。それに田中派が同調する。そうなれば、それぞれバラバラの思惑で動いていた各派は自派だけで突っぱれば党内で孤立化しかねないので、この動きに反対することを 避け、早くこの船に乗って、いいポストを手にするよう、いわば条件闘争に転じるだろうという読みでもある。事態はまさにそのように動いた。まことに動物的カンといっていい。だれもが、初めての事態だというので思案投げ首のとき、ピタリとなにが問題なのかを啓示する能力は、吉田政権以来たえず政権の中枢にいて、修羅場をくぐり抜けてきた経験と政治的知恵の蓄積であるとしか、いいようがない。
こういう記述がございます。これはまさに鈴木内閣がどうして誕生したのかと、「やはりといういい方はおかしいかも知れないが、田中角栄氏だった」ということで、こういうことが書かれております。総理の御所見をお伺いいたしとうございます。
#221
○国務大臣(鈴木善幸君) 私の記憶に間違いがなければ、私は全党的に満場一致で選ばれた総裁でございまして、総裁になるための運動をやったこともございませんし、銭を使ったこともございません。全党の御要請によって総裁に就任をした、これが私の偽らざる心境であります。
#222
○安武洋子君 そのことも書いてあるんです。本人が強いてなりたいと言ったわけではないということも、満場一致で最後は党の何階か知りませんが、そのホールのところで選ばれたということも、実にリアルに、総理の言をぴったりと裏づけるように書いてある。しかし、鈴木内閣がどのようにしてもつれた糸を解いていくようにして誕生したかというのは、ここにも総理のいまの言を裏づけたようにぴたりと、やはりといってはおかしいけれども、田中角榮氏なんだと。世間では、総理がいろいろおっしゃいますけれども、いまのロッキードに対する総理の態度を見て、総理はやはり完全に田中角榮に操られていると、こういう世論ですよ。だから私は、総理はいま否定をなさいました。否定をなさったことは偶然にもここの中にぴたりと一致をするということで、この本の信憑性というのも、そして田中六助政調会長というのはずっとやはり党の中枢の中にいられたお方でございますから、私はこの本は信憑性があろうと思います、日記ですから。
 ですから私は、総理が本当に否定なさる、田中角榮に操られていないんだと、そうおっしゃるなら総理、それは口の先、言葉でおっしゃるというようなことではだめです。行動でお示しになるべきです。いまだれも国民が早急に証人喚問を望んでいるそのときに、自民党がやあどうだとかいろんなことを、いままで本当に総理の御答弁というのは、大変失礼な言い方ですけれども、三つぐらいしかパターンありませんですよ。これでは一国の総理としてやっぱり見識を問われようかというもの。私は、ここで本当に総理が行動で証人喚問を実現するというふうに努力をなさる、そして証人喚問を早く実現する、そういう態度でお示しになるべきだと、それが総理の唯一の否定の仕方であろうかと、こういうふうに思います。総理の御所見を承ります。
#223
○国務大臣(鈴木善幸君) 参議院の予算委員会におきましてその議論はさんざん行われまして、社会党の方から代表で、理事会の申し合わせにつきまして、この議院証言法の問題、証人喚問の問題、それについての発言がございまして、それに私がお答えをしたということで予算委員会も了承をされて円満な議事の運営がなされた経過がございます。
 そういうことでございまして、ただいま衆議院の議長の諮問機関である議会制度協議会小委員会で各党の御意見を持ち寄って議院証言法の改正問題が審議が進められておる、こういうことでございまして、私の答弁がパターンが決まっておるというお話しでございますが、正しい御答弁はそう幾つもあるわけではないわけでございまして、私は自分の信念に基づいて同じような御質問には同じ答弁を申し上げておるということを御理解願いたい。
#224
○委員長(遠藤要君) 時間です。1時間が過ぎていますが、安武君簡単にお願いします。
#225
○安武洋子君 私はそういういきさつを踏まえて御質問しています。そして、予算委員会ではまだ引き続き協議をするということになっております。ですから、そこの御認識が違います。同じ問いに対してはとおっしゃいますけれども、問いはいろいろ変わっているんですけれども同じお答えをなさる。私は、田中角榮に操られていないなら行動でお示しになる以外はない、このことをはっきり申し上げて、総理がそれを実現なさらないなら、やっぱり田中角榮に操られてなさると。そのことを申し上げ、私の質問を終わります。もういいですよ、御答弁は。
#226
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自由民主党の党員諸君の声を全部お聞きをしまして、その全党的な最大公約数の意見というものを考慮しながらこの問題にも取り組んでおるということだけを申し上げておきます。
#227
○柄谷道一君 伊藤防衛庁長官が去る五月六日の防衛懇話会総会で行った講演の中で述べられましたいわゆるゆすり、たかり発言は、まことに不見識きわまるもので、野党やマスコミの集中砲火を浴び、平身低頭これを取り消された。むしろ、これは自業自得とも言うべきであろうと思います。しかし、その後長官は、「つい、あんな言葉を使ってしまって。防衛庁に半旗を掲げたい心境である」と述べられたと報ぜられておりますし、公式の場においても衆議院本会議で陳謝かつ取り消しをされておりますので、長官が深く自覚しておられるものと考え、本日はこれ以上の追及は控えたいと思います。
 ところで、長官はその講演の中で、日本の防衛における日米安保体制の重要性、国民の期待にこたえる防衛努力のあり方、防衛問題を取り巻く環境の三点を中心として見解を述べられたと承知しておりますけれども、この講演を通じて一体何を最も強調したかったのか、お答えをいただきたい。
#228
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 御指摘をいただきましたような時点、場所等で、私はわが国の防衛を所掌する責任者として、また長官就任以来の所感を一人の政治家の立場ということも含めまして若干の講演を申し上げたわけでございますけれども、その柱はいまお述べになりました大体三つの柱になりますけれども、その柱に従いまして、まず第一点は、日本の防衛における日米安保体制の重要性でございますけれども、これはわが国防衛の基軸である、また日本の自主的な防衛努力は、安保条約のもとで今日の経済力をつけたわが国としては当然のことであって、米国の対日期待にもこたえることになるということを述べたところでございます。
 また、国民の期待にこたえる防衛努力のあり方につきましては、わが国としても哲学といいますか世界観といいますか、そういうものを持って防衛問題というものを構築をしなければならない、そういう転換期に来ているというようなこと、また五六中業完成時には防衛計画の大綱の水準を達成をしたいということ、また自衛官が国民の期待にもこたえる誇りや自覚、そういうものを持てるような防衛に対する国民意識の向上がきわめて肝要であるということ、また平和は努力をして得られるものであるという意識、あるいはまた日本国民であると、国民がみんなで国なり政府をつくり上げているのだというような意識が必要であるということ、またわが国の侵略を防止するためには防衛についての国民の連帯感というものが重要ではないだろうかというようなことを申し述べました。
 また、防衛問題を取り巻く環境の点につきましては、防衛問題というのは長い間の積み重ねの中にあるわけでございまして、その取り扱いに関する大変むずかしい面があるというようなことにつきましても触れたわけでございます。
 大体以上でございます。
    ―――――――――――――
#229
○委員長(遠藤要君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、源田実君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#230
○柄谷道一君 私に与えられております時間は二十分でございますので、答弁はなるべく簡潔にお願いをいたしたい。
 ところで、長官はその講演の中で、防衛問題の野党質問にはきわめて控え目にしか答弁できない、こう嘆かれまして、これまでの憲法解釈論が中心となり、過去の総理や長官の国会発言を盾にとっての国会論議という姿から、世界情勢の現実を踏まえて軍事的脅威への対応論を中心とした実態論に切りかえていく必要性を強調された、こう受けとめられるわけでございます。
 私は、長官の釈明は、このような趣旨に基づいてケネディ元米国大統領の就任あいさつと同じように国民の自助努力を訴えたかったということに尽きると思うのでございますが、私は、院外で本心を述べ、院内では心を偽ってそれを取り消すという姿勢は、まことに失礼ではございますけれども、卑屈ではないかと言わざるを得ません。長官があこがれておられるケネディ演説は、その演説に政治生命をかけました。私は、カラスがこのまねをすればおぼれるだけだということわざがございますけれども、全く異質のものではないか、こうすら思うのでございます。
 もちろん、国会議員の憲法論議に関する発言を制約することができないのは当然でございますけれども、講演の真意が、国会では政府も与野党も本音を出し合って防衛論議をすべきである、もっと防衛の具体的内容に踏み込んだ論議を深めるべきであるということであるとするならば、私はその点については取り消す必要はないと考えるのでございます。私は甘さがあるから甘えられると思うんです。みずからに弱みがあるからたかられると思うのでございます。長官がそのような意図に基づいて真の長官の望まれる防衛論議を国会で展開しようとすれば、まず行政府、長官の姿勢みずからを改められるべきが筋ではないか、このように思いますが、私の意見に対してどう思われますか。
#231
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 答弁が前後するかもしれませんけれども、私は、まず防衛についての論議は、当然のことながら従来の国会の論議の経緯等を十分に踏まえながらも、より建設的、より現実的に取り組むことが必要なのではないかというような考えを頭に入れながら講演をいたしたのでございます。しかし、いまも申し上げましたとおり、防衛問題については長い経緯があるから、そういう国会答弁も、この面も十分に防衛庁長官としては勘案をし、適切かつ慎重な対応をしなければならない、またそのことを防衛庁長官としても常々自戒をしているというようなことを申し上げたつもりでございます。
 また、私がそういう講演につきまして取り消しを行ったのは、私の真意なり内容を申し述べるのに適切さを欠いた表現がございまして、論旨そのものを取り消すとか院の内外で発言の姿勢を変えたといったものではないものと私は考えております。したがいまして、御理解なり御激励をいただいたようなことにもなりますけれども、私としては、あくまでもわが国の平和と独立を守るためには、防衛というものについてのなお一層の国民の意識の向上なり理解というものが、またそういうものの積み重ねで国民のコンセンサスというものが健全に醸成されることがきわめて望ましいと、またその日の一日も早いことを願うというような私の姿勢についてはいささかも変わっておりません。
#232
○柄谷道一君 総理、お聞きのとおりでございます。私は、本音の具体的内容に突っ込んだ防衛論議を深めることがわが国の平和と安全保障を達成する任務を負っております国会の責務であろう、このような考え方に立ちましてわが党は真剣な議論を今日まで行ってまいりました。しかし、とかく政府の姿勢が国会対策をのみ配慮し、真実をどちらかといえば糊塗し、問題解決を先送りする、そういう姿勢が国会における議論というものがいま長官の期待した議論に発展しない私は根源ではないかと、こう思うのでございます。
 この点に関連して明確にお答えいただきたいんですが、私は、国連軍縮特別総会に出席しましたときに、六月九日、中道四党の書記長、幹事長と同席いたしましてワインバーガー米国防長官と会談する機会を得ました。その際塚本民社党書記長から、近く開催される日米ハワイ会談で日本に何を期待するのかと、こういう質問に対して、きわめて慎重な表現はとられましたが、私ここへ記録をとってまいりましたが、われわれはハワイ会談に期待し、その成功を信じている、その結果は今後の両国間の先駆的役割りを果たすであろう、日本の防衛費は日本が自主的に決めることではあるが、防衛費を対前年比一〇%上昇させ、今後GNP一%を少し上回る結果になるという日本政府の方針は、日本が自国を防衛するのみならず、日米の連帯にも寄与し、かつソ連に対する抑止力になると思う、このように答えております。
 私は事の内容の是非は一応横に置くとして、アメリカが五十八年度を初年度とするいわゆる五六中業との絡みで対前年比一〇%以上の伸びを期待し、かつ日本政府が自主的にそれを満たすと信じておるということはこの発言からうかがえるわけでございます。
 しかし、現実には国内におきまして、昨日も土光会長は防衛費も聖域とせず、できる限り圧縮を図るべきであるという意向を述べられたと言われておりますし、また新聞報道によりますと、政府はおおむね七%、具体的には七・五から七・八%の線で収拾できるとの見通しを固めたとも報ぜられております。私は、この点総理に率直にお伺いしたいわけでございますが、この米国の受けとめ方とわが国の現実との乖離、それが日米関係に及ぼす影響というものについてどうお考えか、お答えを賜りたいと思います。
#233
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米安保体制のもとにおきまして、アメリカが日本の防衛努力につきまして大きな関心と期待を寄せるのは当然のことであろうかと、こう思います。しかし、ワインバーガーさんもおっしゃっておるように、究極において日本の防衛費は日本みずからが決める問題である。これは私は、政府は国民に対して責任を負っております。そしてシビリアンコントロールの最終の最も高い立場にあるのは国会でございます。国会の御承認なくして、この防衛予算、防衛費というものが決まるものではない。
 そういうことでございまして、ワインバーガーさんが、いま数字を挙げてのお話でございますけれども、しかし公式に日本政府に対して数字を示して、アメリカの希望はこうだということを申してこられたことはまだ私は聞いておりませんし、また日本には日本の事情がございます。財政の非常に厳しい段階におきまして、他の諸政策との整合性も考えなければなりませんし、国民世論というものもよく見きわめなければなりません。そういうことで、私はまだ五六中業も、先ほどお答えいたしましたように、作業の途中でございまして、結論も出ておりませんし、来年度の防衛費につきましてはこれから諸般の状況を慎重に考慮してこれを決めていきたい、このように考えるものでございます。
#234
○柄谷道一君 日本の防衛は日本が自主的に決めるべき問題である、当然であります。しかもその予算を決定するのは国会である、これも当然でございます。私が指摘したいのは、日米関係がわが国の安全、平和にとって基軸である。とするならば、両国間の信頼関係をより高めていくためには、やはり相手国に対して誤った判断を与えるような発言は慎重たるべきである、一たん発言したことは国の責任においてこれを守るべきである、その原則というものを踏み違えるということになりますならば、これはかえって日米関係の摩擦につながるおそれがある、このような心証を私はアメリカで抱き、かつ予算委員会の議論を聞いておりまして感じました。今後、この問題について総理及び防衛庁長官としての十分の対応を求めておきたい。
 そこで、いま総理も五六中業はまだ決まっていないということでございますが、これは昭和五十六年四月二十八日の国防会議の後で長官指示が出されております。五六中業の作成作業期間はおおむね一カ年を予定する、文書で出された長官指示でございます。すでにこの期間を二カ月超えております。
 そこで、一体五六中業はいつできるのか、さらに仮に七月末までに中業の作成ができないという事態が生じた場合は、五十八年度は五六中業の初年度という位置づけがあるわけでございますから、五六中業が決定されていないときに出される防衛庁の予算の概算要求というものは一体どのような位置づけになるのか、この点をお示しをいただきたい。
#235
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 御質問の中にもございましたように、五六中業は昨年の四月から約一年間というおおよその期間でスタートをいたしまして、ただいま五十八年度の予算概算要求に間に合うように全力を挙げて関係各省庁と作業を進めております。しかし、今日の段階ではまだ固まっておりませんけれども、またしかしながら残された期間も限られてまいっておりますので、さらに関係省庁と随時また精力的に協議を進めながらなるべく早く防衛庁としての案を策定し、今月の中下旬ごろまでには何とかまとめたいということでいま進んでおるという段階でございます。
#236
○柄谷道一君 最後に、総理に御質問したいと思います。
 私は昨日、大蔵大臣に対して、五十六年度の歳入欠陥が当初予算に比べて約三兆五千億、この低い税収を発射台として、弾力値一・六、名目成長率六・四%と仮定すれば、五十七年度は四兆円の歳入欠陥が出る、そしてさらに低くなった発射台を起点として、五十一年から五十五年までの平均税収伸び率一二%と仮定すると、中期計画に見込まれた税収より約五兆円ぐらいの税収不足が生ずる、こういった点を具体的に指摘しながら、大蔵大臣のとるべき、選択すべき道は何かということを御質問しました。
 そこで大蔵大臣が答えられましたことは、明確に言われたのは、行財政改革を断行する、マイナスシーリングをやっていきたいということと五十九年度赤字国債脱却の方針は変更しない、この二つだけは述べられましたけれども、五十七年度における赤字国債の増発、建設国債の発行による景気浮揚ないしは国債整理基金取り崩しに対する返却を五十八年を越えて繰り延べるなどの方法については検討したいという答弁で終わったわけであります。
 私は、この予算委員会における総理の御答弁を聞いておりますと、一つは自民党総裁公選の政治日程と絡ませることば絶対にない、これが一つですね。それで、補正予算編成の時期は昭和五十七年度第一・四半期の各種経済指標が九月の初めに出るであろうから、それをめどとして判断をしたい。三つ目は、経済、景気の動向を注意深く見守り機敏に対応したい、この三点の答弁に尽きるわけですね。
 私は、この三つの連立方程式を私なりに解きますと、これは補正予算編成の時期は九月ということの方程式の解答しか出てこないわけです。私は、雇用情勢や深刻な中小企業不振の実態、公共事業の上期前倒しによる下期の息切れの防止、人事院勧告や仲裁裁定の取り扱い、国債消化のためには早目に発行計画を策定しなければならぬという事情、国の歳入欠陥による地方財政への補てんをどうするかという問題、こういった問題を考え、かつ総理が、私本会議でも質問いたしましたが、内需刺激を中心としてわが国は五・二%の経済成長を達成するために全力を挙げると述べられた総理の国際的公約、こういう点を総合いたしますと、私は時期を失しては問題の解決はできないであろうと、こう思うのでございます。
 事実、閣僚である労働大臣も、早目の補正予算の編成が必要だと記者会見されておりますし、河本長官も、八月の中ごろになれば大体経済指標の大綱はつかめるので、打つならば九月だと、場合によれば九月と十二月に二回臨時国会を開くべきではないかという意見も述べられております。そこで、こうした問題を踏まえて、総理の補正予算編成の時期についてお伺いし、私の質問を終わります。
#237
○国務大臣(鈴木善幸君) 予算委員会におきまして私がお答えをしたのはそのとおりでございまして、いまもその考えに変わっておりません。九月ごろに経済諸指標が出てまいりますので、それを十分検討した上で、予算補正が必要であるかどうか、また景気対策について追加措置が必要であるかどうか、そういうそれに関連した諸般の問題はその時点で改めて協議をしようというのが、私が外遊から帰ってまいりまして、早速経企庁長官、大蔵大臣、官房長官を交えて協議をした方針でございます。でありますから、予算委員会もそのラインに沿うて御答弁を申し上げております。また、その九月の諸指標を見た上でいま申し上げたような判断をしたいと、このように考えております。
#238
○秦豊君 総理、どうもしばらくでした。何かと御心労であろうと思います。私、実は予算委員会のメンバーじゃなかったものですからね、かねてから総理に一度伺いたいことがあったんです。むずかしい問題ではありません。
 この田中角榮という存在は、鈴木総理大臣にとっては一体どういう存在なんでしょうか。たとえば世上よく言われている刎頸の友、盟友、同志、尊敬に値する政治家あるいはそのいずれのカテゴリーにも当てはまらない次元を超えた存在など、いろいろあると思うんです。私見によれば、私は、田中角榮的政治が問われておりますのは、単に五億円の収受をめぐる問題にとどまらないで、政治を利権の対象としてきたこの四十年近い軌跡の総体にあると、これが私の私見です。つまり金は力なり、力こそ正義なりと、あの人々の行動様式の根底そのものが私は問われていると思うんですけれども、いま二つほど質問のポイントはありましたけれども、まずこの辺を伺っておきたい。
#239
○国務大臣(鈴木善幸君) 田中角榮氏は、昭和二十二年新憲法下で初めて行われました選挙で出てまいったわけでございます。私もここにおります中曽根長官も同期の桜でございます。そういうようなことで、戦後の復興、戦後の国の再建という問題につきましては、当時お互いに若かったし、情熱を沸かして取り組んでまいったわけであります。その当時から非常に有能な行動的な人であるという評価がございましたし、まさにそのとおりでございます。私の田中角榮氏に対する所感を求められれば、そのようにお答えを申し上げておきたいと、こう思います。
#240
○秦豊君 こういう場合、総理、宰相、総裁ですから、余りシャープなシェイプアップした答弁はとかく物議の起因になりますから、お気持ちはわかりますけれども、私の後段の方、田中的政治の総体についての秦私見に対しては総裁としてどうでしょうか。
#241
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、田中氏の全貌、真骨頂というものをまだ十分把握をいたしておりませんから、秦さんのように断定的にここでお答えをすることはできません。
#242
○秦豊君 異なことを承るという言葉はそういうときに使いたいですね。私は断定ではなくて、国民的常識を口にしたつもりです。たとえば総理はよく、新聞が言うておるのであると、マスメディアと、こう転嫁していらっしゃる。それは国民が言っているんです。したがって、こういうことを繰り返していると二十分すぐ飛んでしまいますから本論に入りますけれども、私はやっぱりそういう答弁は国民の信を裏切るものであると。――これも断定とあなたはおっしゃりたいかもしれないが、私はあくまで常識であると思います。
 そこで、衆参両院のこれまでの論議を通じて欠落している視点があるので、不肖、提案を含めて総理に申し上げたいんですけれども、これは行政改革にも絡みます、本法案の推移にも。また行政改革全体に絡みます。つまり、いま証人喚問と並行して両院の倫理委員会設置が論議されておりますけれども、私は提案を申し上げたいんです。やはり立法府と行政府のバランスというものが大事だと思います。そこで、政府におきましても、政府倫理法というものを制定し、政府倫理局を新設するくらいの、きわめて能動的な、明確な、きっぱりした対応が必要ではないかと考えております。
 近い例としましては、七八年の十月にアメリカの連邦政府が幾多の不祥事にかんがみて政府倫理法を制定した。退職公務員の天下りを規制した、特別検察官の任命手続も取り決め、行政に対するチェックポイントもつくった、政治家の資産報告書の提出を義務化した、あるいは連邦政府以外から受けた百ドル以上のギャラ、あるいは利子・配当、贈り物等を初め、一千ドル以上の株式や債券の売買、不動産の取得等のチェックや報告義務を課した。あの努力、あれが私は先例であろうと思います。これはまねびではない。だから、アレン補佐官の辞任問題はその延長線上に、アメリカの連邦議会が持っているあの潔癖性がアレン補佐官辞任の引き金になった。翻ってわが国はどうか。こういう点を含めて、総理とされては、総裁とされては、この行政改革にも絡みますが、私の申し上げたことは検討に値するとはお受けとめいただけませんか。
#243
○国務大臣(鈴木善幸君) いま秦さんから御提案があられた問題は、私もアメリカにそういう法律ができておるということも聞き及んでおります。また、西独等にも似たような制度、法律があるということも伺っております。これは臨調の方でどういう御答申が出るかわかりませんが、とにかく政治、行政の原点でございますから、そういう問題については十分私どもも検討を進めてまいりたいと、このように考えます。
#244
○秦豊君 非常に的確な対応というか、お受けとめ方をしていただいて恐縮でした。やはり総理御発言の真意というのは、国会、立法府に倫理委員会常設の命題を課すると同様に、行政府においても私が御提案申し上げたようなことはむしろ能動的にあるいは積極的にただその答弁のしっ放しではなくて前を向いた方向で措置をさせると、あるいは検討に値するというふうなニュアンスとして受けとめてよろしゅうございますか。
#245
○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和五十五年でございましたか五十四年でございましたか、とにかく航空機問題等の汚職事件の再発防止ということで政治家並びに行政官の姿勢を正さにゃいかぬと、こういう協議会からの答申がございまして、行政の分野におきましては当時協議会から再発防止についての御提言がございましたのはおおむね実行に移したと、このように考えております。まだ残っておりますのが立法府の関係等にも若干残っておりますし、あの当時指摘をされました範囲は、秦さんがおっしゃったものより範囲も比較的狭かったという問題がございます。しかし、私どももそういうことでできることについては早速政治、行政の姿勢を正すために役立てるように検討を進めてまいりたい、このように考えております。
#246
○秦豊君 それからもう一つ。私、同僚議員の質問にも連関しますけれども、総理、臨時国会はむしろ開くべきではないかという視点なんです。ということは、衆参両院の論議を通じて行政改革に対する国会の意思の反映がはなはだもって寡少である、すべて答申待ち、答申待ち、答申待ちであると。閣僚も十分に意見の発散をしていない。これは実態です。だから単に景気浮揚対策、いわんや派閥絡みとも思いたくもなし。むしろあるべき姿としては、九月ないし十月には臨時国会を積極的に開くべきではないか。それで行政改革についての国会の論議と、歳入欠陥についての、あるいは不公正税制の是正刷新を含めてのいわゆる財政論議とを車の両輪とした臨時国会をむしろ開くべきではないかという設問が一つ。
 それから、行政府の姿勢がどうであろうとも、国会法の第三条によれば、臨時国会の召集の与件としてはいずれかの院の四分の一以上の議員の連名により可能であるという法的な解釈が確立されています。そういうことで、もし政府がやや消極的でおありであっても、私の申し上げた国会法第三条の問題提起があった場合には当然お受けとめいただけますね。
#247
○国務大臣(鈴木善幸君) 法的なそういう条件が満たされて御要請があれば当然それにおこたえしなければならない、このように考えます。
#248
○秦豊君 先を急ぎますけれども、私、わが国の政治全体の中で非常に欠落をしておりますのは、中長期のビジョンを策定する、貫く視点である、策定である、こう思うんですよ。単に臨調の出された総合管理庁程度の方向ではなくて、幸い自民党の皆さんにも党内にシンクタンクを設置というような御議論があるやに伺っておりますけれども、むしろ行政府として、たとえば経済企画庁を一つのベースにして思い切った総合化を構想してみると。当然総理府とか科技庁とか通産、大蔵、外務、農水、防衛庁等にかかわり、あるいはその一部の機能を総括する総合企画省的な思い切った発想を検討されたらいかがだろうか。つまり、行政府の中にあるシンクタンクという少し大きな構想ですけれども、私はこれがわりと機能し得るのではないかとも考えています。これについては総理、いかがですか。
#249
○国務大臣(中曽根康弘君) 要するに、行政の統合能力をどういうふうに整理をしていくかという問題だろうと思いますが、この点につきましてもいま臨時行政調査会で鋭意検討しておりまして、われわれが途中で口を差し挟むことは控えたいと思っております。
#250
○秦豊君 総理ね、今度は少し視野を狭めますけれども、いま内閣総理大臣としてあそこのクラシックな官邸におられて、絶えず孤独というのを味わわれる瞬間があると思うんです。その孤独の内容は、やはり情報の吸い上げが十全でないとか、つまり一言で言えば総理に対する補佐、助言体制の現状を満足していらっしゃいますか。
#251
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在の内閣官房長官あるいは総務長官、総理府の外局の長官、それから身近な秘書官その他の内閣の機能は、現在のところ、私は非常に熱意を持って活動をし、相当の成果をおさめておると。不敏な私がとにかく国政をお預かりしてこれを進めておりますのは、これらの諸君の非常な努力された、その補佐のたまものでありまして、私は感謝をいたしておるわけでございます。したがって、私はいますぐにアメリカの大統領補佐官制度であるとか、そういうようなものを構想することにつきましては考えが固まっておりません。固まっておりませんが、この非常に複雑多岐にわたる内外の諸情勢の中で、情報を集めて、そしてそれに的確にこたえていくというためには、補佐機関というものがさらにさらに強化されるということは望ましいことである、このように考えています。
#252
○秦豊君 いずれにしましても、総理、この行政改革を真に断行しようとされるならば、これは恐らく政権を貫く重大なアイテムだと思うのですよね。だから、政権の浮沈をかけるくらいの決意とエネルギーが当然求められると。これは常識だろうと思うのですよ。しかし総理が、時の政権の最高責任者が行革の行方、進め方についてより確信をお持ちになるためには、一度やはり有権者レベルに問題を投げて、問うて、そのフィードバックを得る。つまり、改めて国民の負託を新たに受ける必要が私はあると思うんです。もっとも解散問題と外為レートの問題を聞くということは一種の愚問に属します、国会の質疑応答の中では。しかし、あえて聞くんですが、その決意のほどを、それほどの命題ではないかという私の指摘に対してはいかがでしょう。
#253
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この行革の問題をいまの時点で総選挙に問う、そういうことは考えておりません。解散、総選挙という物騒なことはいま念頭にございません。
#254
○秦豊君 いまは念頭にないという日本語が正しいであろうと思います。やがて濃厚に兆してくるでしょう。
 きのう、実は土光臨調会長が、総理ね、行革の問題に関連して、財政再建、行革遂行を第一義とする観点からは防衛費といえども決して聖域ではないという、時宜にかなった、適した発言をされ、午前中の私の質問に対して、国務大臣としての中曽根長官も、私も聖域とは考えないというきわめて明確な答弁をされたんですが、国防会議議長としての総理に伺いますが、土光発言についてはどうお考えでしょうか。
#255
○国務大臣(鈴木善幸君) 土光さんがどういう御趣旨でお話しになったかわかりませんが、本来そうであるべきだと、こう思っております。
 ただ、内閣には一つの重点政策と申しますか重要な政策がございます。これは、私は防衛費を指しているのではございませんが、対外経済協力でありますとか、あるいは科学技術の振興でありますとか、あるいはエネルギーの研究開発の問題でありますとか、やはり中長期の展望に立った重点政策というものはあってしかるべきだ、また、なくてはおかしい、こう思っております。そういうものを聖域と、こうおっしゃってはいないのだろうと、こう思いますが、よく篤と土光さんからその辺のことをお聞きをいたしまして判断をしたい、こう思っております。
#256
○秦豊君 時期がよしだと思いますが、二十八日ごろが大体基本答申の提出と思いますが、一度土光会長とじっくりと路線のすり合わせ、肝胆を照らされたらいかがですか、胸襟を開いて、近く。いかがですか。
#257
○国務大臣(鈴木善幸君) 中曽根長官が絶えず土光さんとはお話し合いをなされております。意見の交換もよくされております。私は中曽根長官の助けをいただいておりますから、いろいろその間のことは、私自身がお会いせぬでも十分にその辺は理解し合えると、このように思っております。
#258
○秦豊君 中曽根長官の聖域論と鈴木総理・総裁の聖域論は、総理の方が境界がややぼやけているなという印象はちょっとするんですけれども、そんなことを詰めているいとまもない。あと二分しかない。
 それで、国防会議議長としての総理にちょっと伺っておきますけれども、よく論議されていますが、GNPの一%対比論において、超えるかどうかの山というのは来年じゃないです、五十九年度である。その五十九年度にも国防会議議長として一%以内を守らせますか。つまり、鈴木政権ある限り一%以内を守らせるという御心境でしょうか。
#259
○国務大臣(鈴木善幸君) この点は、先ほど山崎さんの御質問でございましたか、にもお答えをいたしましたし、防衛庁長官かちも、現在五六中業の作業の過程ではございますけれども、当面GNPの一%を超えないようにという努力をしておる、毎年度の予算の平準化も図っておる、こういうことをお答えを申し上げたところでございます。それが、五十九年度の経済の動向が一体どうなりGNPの成長がどうなるか、そういう問題にも関連をするわけでございます。
 六十二年を展望したところの五六中業、これは防衛計画の大綱の水準を達成するということで、この方は動かないわけでございますが、GNPの方は激動する国際経済情勢の中でどういうぐあいに動いてまいりますか、これは見きわめなければならない問題点であろう。経済審議会の二〇〇〇年の展望に立ったところの経済成長というものが中間的に出ておりまして、それは成長四%という見通しが出ております。しかし、それは二〇〇〇年までの間のGNPの推移を大まかに示したものでございますが、今後その中で五年間の状態がどういうぐあいになるか、分母が大きくなるか小さくなるか、こういうことにもよると思います。これは客観的な事実でございますが、いずれにしても私は、わが国の防衛費は、昭和五十一年に政府が国防会議に諮り決定をいたしましたところの防衛計画の大綱、これを着実に六十二年の五六中業の終点までの間にその水準に達成する、この努力を続けてまいりたい、こう思っています。
#260
○秦豊君 委員長、これは最後の一問は許されないでしょうか。確認だけです。――恐縮です。
 防衛庁に――長官ではありません。さっき同僚議員の質問に対して、さっぱり聞いていてわからない、あれでは。国会での答弁とは言い得ません。
 そこで塩田さんに伺いますけれども、一体この五六中業の庁議決定は、いつでなければ次に開催せなければならぬ鈴木国防会議議長主宰のもとの国防会議と矛盾が起こるのか。これは一種の玉突きですからね。ならば、ホノルルでの日米定期事務レベル協議に連関と影響が生じないためには、逆算していつまでに庁議があり得て、国防会議の内定だろうが了解だろうが、あいまいだろうが、とにかく決める、含みをこんなにして、お得意の。それでハワイに臨むという、全部これ一本の線でつながっているんですよ。その点については、あなたは担当の局長だから長官よりもっとすぱっと言い得るものと言い得ないものとがあると思うが、この点の確認だけをしておかないと、あれでは私は納得できないので、委員長の特にお許しをいただいて追加をしたわけです。いかがですか、もっと明確に言ってもらいたい。
#261
○政府委員(塩田章君) 五六中業の作業の日程につきましては、先ほど長官から七月の中旬、下旬にも防衛庁案を得たいと、そして国防会議に付議というところまで持っていきたいという趣旨のお答えをいたしました。私ども、そういった作業日程をめどに現在作業をいたしております。
#262
○委員長(遠藤要君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、これより直ちに採決に入ります。
 行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#263
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#264
○委員長(遠藤要君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。午後六時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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