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#1
第096回国会 本会議 第4号
昭和五十七年一月二十八日(木曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十七年一月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。阿具根登君。
   〔阿具根登君登壇、拍手〕
#4
○阿具根登君 私は、日本社会党を代表して、軍拡元年とも言われる五十七年度政府予算案を中心に、いま全国民がひとしく注目している鈴木内閣の施政方針並びに財政方針に対し質問を行います。
 冒頭私は、鈴木総理の政治姿勢についてたださねばなりません。
 総理は、鈴木内閣の発足当時、「政治倫理の確立」を第一の課題として公約され、国民に期待と大きな関心を与えたのであります。しかし、きのうの衆議院におけるわが党委員長に対する答弁は、まことに申しわけにすぎないと言わざるを得ません。総理は施政方針で強調したとは言いながら、わずか一行に満たない字数での表現であり、さらに「倫理委員会の設置等は国会の問題である」とは、まさに総理・総裁の立場にある人の答弁としては、もはや政治倫理を否定したものと受け取らざるを得ないのであります。
 今日、ロッキード事件にかかわる判決が相次いでいますが、いずれも有罪が下され、政治の金権腐敗に対する国民の目は再び大きく注がれております。私は、政治倫理委員会の設置と議院証言法の改正は今国会で当然取り上げ、疑念を抱く国民の前に政治倫理に対する姿勢を正さねばならないと考えるものであります。ここに総理・総裁の立場からの明確な答弁を求めるものであります。
 次に、外交、防衛政策について伺います。
 総理は、「自分の国は自分で守る気概をもって自主的な防衛努力をする」と強調されておりますが、それは行財政改革を大義名分にして福祉や教育費を削り、国民生活に多大の犠牲を求めながら防衛費を歯どめなく突出させることでありましょうか。どこの国でも軍事力の増強には、これで十分ということはありません。一国の増強は他国を必要以上に刺激することになるのであります。ことに、わが国のような経済大国の軍事力増強は、ソ連を初めアジア諸国に脅威と映るのは当然であります。
 いま、限定核戦争を想定したレーガン戦略のもとに、ヨーロッパに核兵器が配置されようとし、核軍縮を求める国際世論に逆行する動きが強まっております。世界で唯一の核被爆国として、再び世界に核兵器による悲劇を繰り返さないために、わが国が率先して核軍縮を訴え、世界の軍拡競争に歯どめをかけるために、主体的な立場から平和への努力をすべきであると考えます。
 昨年六月、第四回科学者京都会議が開かれ、いまは亡き湯川秀樹博士を初め日本の知識人を代表する方々が集い、あくまでも非核三原則の堅持を前提に、ことしの国連軍縮特別総会に向けて次のことを提案しています。核保有国は核非保有国に対して核兵器を使わないこと。核超大国は期限と数量を明示して核兵器の削減を開始すること。
 さらに、今月二十日には、日本の文学者二百八十七名が思想や信条を超えて「核戦争の危機を訴える声明」を内外に発表しているのであります。今日ではすでに三百名を超したと報じられております。
 私は、これらの提案を率直に受け入れ、総理自身出席される国連軍縮特別総会にて積極的に提案すべきであると考えますが、総理いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 ことに、新年早々開かれた日米安保協議委員会で合意され、今月二十一日に文官・制服一体で極東有事研究の初会合が外務省で開かれました。私はこれに対し強い不安を持たざるを得ません。この研究の内容は、極東地域の有事の際、アメリカ軍への日本の便宜供与の程度と範囲、作戦面での自衛隊によるアメリカ軍支援の是非などが含まれているとされております。日本の便宜供与は、自衛隊の基地使用のみならず、場合によっては私権の制限に及ぶことも考えられ、日米安保条約第六条の拡大解釈になる危険をはらむものであります。一方、作戦面では、有事の際にアメリカ軍への自衛隊の支援を含むもので、集団自衛権に拡大する憲法違反の研究であることは間違いありません。
 極東有事とは、明らかに朝鮮半島の有事を想定しており、まさに日米韓の軍事一体化をねらいとするものであり、中国を初めアジア諸国の日本不信につながる原因をつくるものであると思います。
 「わが国は憲法上軍事協力はできないから経済協力で責任を果たす」、これは総理が常に強調されている言葉でありますが、軍事協力の代替として経済協力を行うと解釈できる発言であり、日本政府みずからが経済協力を西側陣営のてこ入れの道具として使い、安全保障絡みの援助を考えているのではないか、ここに重大な疑問を呈して総理の所見をお伺いいたします。
 また、米国の電話会社に輸出された日本電気の光通信設備が、基地間の軍事連絡用に使われていたことが明らかにされました。これは武器輸出三原則に違反するものであると言わなければなりません。私は、いかなる国であっても、戦争に使われるものは一切輸出しないというのが武器輸出三原則の精神であると考えます。エレクトロニクス関係の技術や製品は、民生用であっても軍事用に転用できる汎用品が多いわけですが、これら製品の輸出、技術協力を軍事用に使用しないことを明確にすべきであると考えます。総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、内政、経済運営と財政再建について伺います。
 弱者切り捨て、軍事優先の姿勢を露骨にした五十七年度予算案を見る限り、「国栄えて民苦しむ」という戦前の国家主義の復元とも言うべき危険な選択への道を歩み始めたという感を強くするものであります。以下、一鈴木内閣がいかに国民生活を圧迫し、労働意欲を減退させ、弱い者いじめの財政経済運営を行おうとするのかを指摘しつつ、わが党の主張を明らかにしたいと思います。
 第一は、総理が政治生命をかけると公約された「増税なき財政再建」に対する政府の対応であります。
 当初、政府が打ち出した企業課税強化の方針は財界筋の一喝によって即座に変身し、さらに悪名高い医師優遇課税等には何ら手をつけず、土地譲渡所得税の緩和を図るなど、すべて財界の意向を受け入れ、金持ち優遇の体質は全く改善されていないのであります。
 一方、サラリーマンを中心とする所得税は、言うまでもなく、昭和五十二年から連続五年間も据え置かれるというきわめて不合理な実質増税が行われているのであります。これではサラリーマンの生活が圧迫され、内需の減退も当然のことです。このような企業課税の後退と不公平税制を温存のままで、政府の言う財政再建が果たして達成できるのか、所見を承ります。
 第二は、赤字国債の処理についてお伺いいたします。
 総理は、昭和五十九年までに赤字国債ゼロを達成すると公約し、赤字国債依存からの脱却という財政再建路線を貫くと言われますが、すでに昨年末に三千七百五十億円の赤字国債を増発しており、本年度末では約六千億円の歳入欠陥が予想されるのであります。しかも、最近の景気の動向から見て、所得減税など何らかの景気回復策を講じなければ、五十七年度においても一兆円以上の歳入欠陥が生じるのではないかとも言われ、すでに税収見通しの誤りから、にしきの御旗とした財政中期展望が崩れ、財政再建の破綻をも憂慮されるのであります。もしそういう結果になるとすれば、一に政府の失政であり、総理の政治責任は重大であります。総理並びに大蔵大臣の所見をお聞かせいただきたい。
 第三は、防衛費の異常突出についてお伺いいたします。
 当初、総理は、防衛費の特別扱いはしないと煙幕を張り、次に七・五%のガイドラインを設け、最後は七・七五四%と増大を図っているのであります。しかも、このたびの防衛予算に計上されたのはその一部で、たとえばP3C対潜哨戒機一機百十五億円、F15戦闘機一機百十二億円で、このうち予算に計上されたのはそれぞれ一・一%ないし一・五%であり、これは百億円の買い物をするのに一億円しか計上していないことで、借金が後からやってくる後年度負担が一兆七千五百億円にもなり、二、三年後には防衛費が国民総生産・GNPの一%を突破するのは確実と見なければなりません。
 さらに、けさのニュースでは、防衛庁はF15を百機、P3Cを六十五機、いわゆる新中期計画として認めたいと。それであれば、五年間の中期計画で二十兆以上の支出になり、GNP一%はすでに破られるという状態にあると考えます。米国の要請に基づくP3C導入計画についても百二十五機、これが装備されると、わが国の対潜哨戒攻撃能力は、米国に次ぐ世界第二位の能力を持つと言われておるのであります。このような防衛独走が、福祉や文教の犠牲、弱者へのしわ寄せによって実行されようとしておる、そこが重大なのであります。
 これから総理に提言することは、世界有数の経済学者で、日本でも広く知られ、故ケネディ大統領のブレーンでもあったガルブレイス教授から故大平首相にあてられたものです。「第二次大戦後、西ドイツと日本が成功をおさめた理由は、両国がともに物心両面にわたって軍事支出に限界を設けたことにある」とし、その結びに、「軍事費拡大の誘惑に負けないでほしいと願っています。軍事支出をふやせば安全が保障されるという考えは通りません。軍事費増大を唱える者も、いまやこうした見解を主張しなくなりました。彼らは、理想的な選択というよりは感情と恐怖心に訴えているのであります」と言っております。
 いかがです。この手紙を故大平総理がどう読まれたか、どうお感じになられたか、いまは聞くすべもありませんが、アメリカの一つの良識として、まことに味わい深いものと思います。総理は、これを謙虚に受け取り、防衛費の一部を凍結するぐらいの政治的配慮を持つ勇気ある御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 第四は、経済見通し、景気対策、中小企業対策、さらに貿易摩擦について伺います。
 景気が低迷しているのは、景気の下支えをする個人消費が伸び悩んでいることが大きな原因であり、個人消費は昨年六月以降実質的に減少しています。これは、さきに述べたように、所得税の課税最低限度額が五年間も据え置かれているため、年収が一%ふえると税金が二・五%ふえる実質増税、さらに社会保険料の負担増で手取り収入が減り、国民は税の不公平による重税感を強め、将来への不安から消費を抑えているのが実態であります。
 私は、一兆円減税を実施して消費を刺激し、景気の浮揚による税の自然増収を図って財政再建を達成すべきであると考えます。総理は減税に見合う財源がないと主張されますが、わが党が主張する租税特別措置の整理、会社臨時特別税の復活など、不公平税制の改革を行えば財源をつくることは可能であると考えます。所得減税に対しては、野党ばかりでなく政府部内にも一部強く主張されていると聞いております。また、経団連は賃上げ率を四・一%に抑制する方針をとっていますが、これはわが国の経済運営についての責任を放棄した議論でありましょう。
 総理は五・二%経済成長を主張されていますが、そのためには、勤労者の所得増を図るべく、経営者団体の身勝手を批判し、労使交渉の環境を整えるべきであると考えます。私は、このようなその場しのぎの調整インフレを非とし、所得減税、物価安定及び民間活力の拡大によって成長率を高め、景気回復を図るべきであると考えます。
 景気の低迷は、五十六年の年間一万七千六百十件という戦後三番目の倒産件数にもはっきりとあらわれております。この倒産のほとんどが中小企業であります。政府は、中小企業対策として、特に官公需発注率三七%をかつて三木内閣が公約した五〇%まで高めること、及び中小企業融資の金利引き下げを断行すべきであると考えますが、御答弁をいただきます。
 一方、貿易摩擦の問題であります。一九八一年に対米で約百三十四億ドル、対ECで約百三億ドルの輸出超過の実績となっており、当然のことながら、対日赤字に悩む各国は一斉にわが国の輸出攻勢に批判を強めております。このまま放置すればわが国は国際的に孤立しかねない状況にあります。しかも、世界経済の停滞により、欧米主要国では失業者の増大、物価上昇等の背景があり、いかに加工貿易立国のわが国としても、もはや外需のみに依存した経済成長を続けることは許されません。
 したがって、これが摩擦解消の決め手は、やはり内需の拡大でありましょう。そのためにも、さきに述べた大幅な所得減税と賃金引き上げを中心に、目減りした国民の実質所得を回復し、個人消費を喚起するための思い切った手を打つことであると考えるものであります。
 この際、私は、アメリカの農産物市場開放要求がクローズアップされておる件について言及をいたします。
 わが国の穀物自給率はすでに三〇%を切っております。特に、オレンジや牛肉の主産地はきわめて影響が大きく、政府はこの実態に即した構造的輸出入政策をとるべきと考えますが、総理の御所見を承ります。
 第五は、沖繩問題であります。
 沖繩は本土復帰して十年目を迎えましたが、沖繩の経済状況は依然として厳しく、これまでの沖繩振興施策の総点検の上に立って、福祉、医療、農林水産、中小企業の振興など、新たな施策を含めた対策を確立すべきであります。
 さらに、地籍不明地を米軍用地収用特措法や土地収用法によって軍事基地に強制的に提供することは合理的根拠を欠くものであり、速やかに県民に返還さるべきであります。
 次は、今年三月で期限切れとなる同和対策事業特別措置法に関し、今日の部落差別の激発状況にかんがみて、また、同対協の最終意見を尊重する立場から、わが党は部落問題の根本的解決を図るために、事業法中心となっておる現行法を、教育、雇用、啓発活動と、これに対する規制措置を重点にした総合法的な法律に強化改正するよう強く訴えるものであります。
 最後に、エネルギー問題についてお伺いいたします。
 言うまでもなく、一次エネルギー供給の八〇%以上を海外に依存するわが国としては、当面の一時的な石油だぶつき現象とは区別して、長期エネルギー政策のもと、代替エネルギーの開発、石炭への転換等石油依存脱却のための施策を強力に進めなければなりません。特に、石油と石炭との価格差が完全に逆転し、多くの産業において石炭転換の機運が高まってきておる今日、貴重な国内資源である国内炭の活用については、エネルギー供給の安定の見地からも積極的な配慮が必要であります。
 特にお伺いいたしたいのは、第七次石炭政策による二千万トン体制の中で、鋭意生産中の北炭夕張における昨年十月十六日の事故で九十三名のとうとい生命を失いました。そのうちの四十四名の遺体は、いまだ坑底の水の中に浸っておるのであります。涙の正月を迎えられ、仏のいない仏壇に手を合わせる遺族の方々の御心中を思うとき、一日も早くと思うのはだれしものことと思います。
 会社の生産第一、保安無視の結果でこのような事態を来したというのに、会社更生法を申請して、金がないからということで、遺体搬出に一生懸命働いておる労働者の賃金も払えないと通告したのであります。幸い一月分は政府の努力で一応の見通しがつき、きのうからは一部出炭も再開されましたが、二月、三月を考えると余りに無責任な会社の態度ですが、それのみ言っていては遺体の収容も新鉱の再建もできません。これは、人道的見地から、四万二千人の夕張市民の社会的な問題、さらには二千万トン体制のエネルギー確保の立場からも、政府の強力な政策が必要であります。御所見をお伺いいたします。
 さて、私は質問を終わるに当たり、論語の一節を引用して鈴木総理のお考えをただしたいと思うのであります。
 それは、政治の根本についての孔子と弟子との問答でありますが、政治の三大要素である福祉と軍備と信頼のうち、やむを得ず一つだけ削減しなくてはならぬとすれば何を削減すべきでしょうかという問いに対し、孔子は「まず兵をそぐべし」、すなわち、ためらうことなく、まず軍備を削減すべきであると答えているのであります。これは約二千五百年前の話でありますが、今日においても不滅の真理であると思います。鈴木総理の政治の方向は全く逆ではありませんか。
 私は、鈴木総理の御反省と政策の一大転換を強く求めて質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、政治倫理に対する姿勢についてお尋ねがありました。
 私はかねてより、清潔な政治、規律ある行政は国民の信頼を得る原点であると考えており、今回の施政演説でもこの点を申し上げておるところであります。私は、公正で金のかからない選挙制度の確立が急務であると考え、就任以来、個人に係る政治資金の明朗化を図るための政治資金規正法の改正や、選挙運動のあり方を規制する公職選挙法の改正を国会にお願いし、その実現を見たところであります。また、今国会で御審議いただいている参議院全国区制の改正法案につきましても、この観点から速やかな成立を念願いたしております。
 さらに、私は、政治倫理の確立を図るため、党総裁として、国会における倫理委員会の設置、議院証言法の検討などの問題についても自由民主党執行部にかねてから要請しているところでありまして、もとよりこの問題は国会でお決めになることでございますが、各党各会派で論議を尽くされ、速やかな進展が見られることを希望いたしております。
 次に、防衛問題についてでありますが、わが国は国際社会の責任ある一員として、みずからの国はみずからの手で守るという気概を持ち、自主的な判断のもとに、わが国を防衛するために必要最小限度の防衛力の整備を着実に進めることは当然の責務であります。このため政府は、財政経済事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りながら、防衛計画の大綱の水準をできるだけ早く達成するよう努めてまいる所存であります。
 なお、このわが国が行っている防衛力整備は、専守防衛に徹するものであり、近隣諸国に軍事的脅威を与えるものではないことは言うまでもありません。
 次に、核の問題についてお答えをいたします。
 わが国科学者や文学者の方々の核軍縮への訴えについては、私も承知いたしております。核の惨禍が二度と繰り返されてはならないということにつきましては、政府としてもこれらの方々と認識をともにするものでありまして、われわれは、核兵器の廃絶を含む全面完全軍縮の実現をこそわれわれの究極の目標とすべきものと考えております。もっとも、今日、世界の平和と安定が核兵器を含む力の均衡により維持されているという厳しい現実も率直に認めねばなりません。政府としては、今後ともこのような考え方に立ち、現実の国際関係の中で、実現可能な具体的軍縮措置を一歩一歩進めていくための真剣な国際的努力が必要であることを強く訴えてまいりたいと考えております。
 いわゆる極東有事に係る研究について御懸念の表明がありましたが、この研究作業は、日米安保条約、わが国の関係法令等の範囲内で行われる便宜供与のあり方について研究を行うものであります。また、わが国の憲法解釈上認められない集団的自衛権の行使を前提とするような研究が行われることはあり得ないということについては、日米間において明確に合意のあるところであります。したがって、御心配に及ぶようなことはございません。
 次に、韓国に対する経済協力についてお答えをいたします。
 韓国は、政治的、経済的、社会的に新しい転換期を迎えており、現に本年より新たに第五次五カ年計画を発足させております。政府といたしましては、隣国の友邦たる韓国が現在、経済的、社会的諸困難に直面しつつ新五カ年計画を着実に実施するための努力を傾注していることを考慮し、あくまでも同国の経済社会開発と民生安定のために経済協力を行っていきたいと考えておりますが、これはいかなる意味においても韓国の軍事力強化に貢献するというような性格のものでないことを明確に申し上げておきます。
 次に、御指摘の米国へ輸出される光通信装置用機器は、米国の一般通信用規格に適合した汎用品でありますので、武器輸出三原則上の武器に該当いたしません。
 政府は、従来から汎用品につきましては、武器輸出三原則上の武器に該当しないという方針を一貫してとってきているところであります。これは、武器の輸出規制は、当該貨物の形状、属性等から、軍隊が使用するもので直接戦闘の用に供されるものと客観的に判断できるものを規制対象とすることが合理的であり、汎用品につきましては、輸出の段階で、その貨物が輸出後仕向け地で実際に何に用いられるか客観的に判断することはきわめて困難でありますので、輸出規制の公正さ及び実効性の観点から、汎用品を規制対象とすることは不適当であるからであります。なお、武器技術についても同様に考えておるのであります。
 次に、財政に関連した御質問が三点ほどございました。企業課税を強化せよ、所得税減税を行って消費を刺激しないと歳入欠陥が生ずるのではないか、所得税減税の財源は不公平税制の是正で出てくるのではないかというのが主な論点であったかと存じます。
 別途、大蔵大臣に対しまして同趣旨の御質問が行われておりますので、私からは、現下の厳しい財政事情のもとでは所得税減税は残念ながら見合わせざるを得ないこと、また、物価の予想以上の安定など年度当初には予想できなかった要因によって、五十六年度予算の補正で三千七百五十億円の特例公債追加を行わざるを得ない次第となりましたが、これによって財政再建の基本路線を変えるつもりはなく、五十九年度特例公債脱却という基本目標の実現に向けて最大限の努力を尽くす所存である旨を明確に申し上げ、詳細は大蔵大臣の答弁に譲りたいと存じます。
 次に、今年度防衛費が異常突出であるとの御意見がありましたが、五十七年度防衛予算は、財政再建が現在の緊急課題であること、防衛計画の大綱の水準をなるべく早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しつつ、わが国防衛に必要な最小限度の経費を計上したものであります。
 なお、防衛が独走し、福祉、文教を犠牲にしたとの御指摘がありましたが、五十七年度予算の対前年度増加額を見ますと、福祉、文教の増加額は防衛の二倍となっております。
 また、御指摘のガルブレイス教授の手紙が寄せられた昭和五十四年度には、一般会計歳出に占める防衛費の比率は五・四%でありましたが、五十七年度予算では、この比率が五・二%に下がっているという事実も指摘しておきたいと思います。なお、御提案の防衛費の凍結というようなことは全く考えておりません。
 次に、賃金についてでありますが、私は、賃金の引き上げについては労使が話し合いを通じて自主的に決定すべきものと考えます。今春闘においても、労使の間で国民経済的視野に立った合理的な賃金決定が行われるよう期待をいたしております。
 中小企業対策についてでありますが、まず官公需の確保につきましては、いわゆる官公需法に基づく政府の努力の結果、最近の官公需総額に占める中小企業者への発注割合の実績は年々着実に増加し、五十五年度は三六・三%となっております。五十六年度においても過去最高の三六・八%という高い目標を掲げ、その達成に努めているところでございます。中小企業向け発注比率は、官公需の内容、中小企業者の受注能力などにも深くかかわり合うのでありますから、直ちに大幅に引き上げることは困難でありますが、今後とも中小企業者の受注機会の着実な増大に努めてまいりたいと考えております。
 中小企業向けの貸付金利につきましては、昨年十二月の公定歩合引き下げの効果が漸次浸透していくものと思われますが、特に政府系中小企業金融機関の基準金利につきましては、現在の厳しい経済情勢にかんがみ、民間金融機関の最優良企業向け金利である長期プライムレートを下回る水準に設定するなど特段の措置を講じており、中小企業者の金利負担の軽減を図っているところであります。
 次に、貿易摩擦の問題でありますが、私は、施政方針演説でもこの問題を行財政改革と並ぶ緊急課題として取り上げており、この解決には全力を尽くしてまいります。すでに東京ラウンドの合意に基づく関税率の二年前倒しを決定し、また、明後三十日には経済対策閣僚会議を開催して、輸入検査手続などの改善措置を審議、決定することといたしております。
 御指摘の内需の拡大につきましては、実質成長率を五・二%と見込み、その八割程度を内需に依存するものとして適切な経済運営に努めますが、先ほども申し上げましたとおり、所得税減税による消費の拡大策をとるととは、貿易摩擦の解消と並ぶもう一つの重要施策である財政再建の達成のためにも実施が困難でございます。
 なお、農産物に関する御指摘がございましたが、この点につきましては、わが国農業の実情や、これまでの農産物の輸入拡大措置について今後とも諸外国に十分説明をし、その理解を得ながら適切に対処するとともに、長期的展望に立って農業生産の再編成と農業の生産性の向上に努め、総合的な食糧自給力の維持強化を図ってまいります。
 次に、沖繩に関しましては、沖繩の経済社会の厳しい現状にかんがみ、引き続き沖繩の振興開発を図るため、沖繩振興開発特別措置法を十年間延長するとともに、これに基づき第二次の総合的な沖繩振興開発計画を策定したいと考えております。
 次に、沖繩に所在する施設区域についてでありますが、その大部分の土地については土地所有者との話し合いで契約により使用しており、ごく一部の土地について合意が得られず、やむを得ず公用地暫定使用法により使用しているのが実態であります。この未契約地についても、今後とも合意が得られるよう努力してまいりますが、同法による使用期限が切れる今年五月以降も引き続き米軍の用に供する必要があるものについては、その使用権を確保するため法に定める手続をとったものであり、御理解を賜りたいのであります。
 エネルギー問題、特に北炭夕張社の再建についてお尋ねがございました。
 同社の再建につきましては、会社更生法の申し立てが行われたことにより裁判所の判断にゆだねられているところでありますが、同法に基づく会社再建のためには、遺体の収容に万全を期しつつ、まず当事者及び関連グループの熱意と、それに基づく長期展望が明らかにされる必要があると考えられますので、政府としても目下、この点につき会社が真剣な努力を行うよう促しているところであります。
 なお、当面の資金調達につきましては、資産処分、関連グループの支援などの自己調達を基本とすべきものでありますが、政府といたしましても、地方公共団体の協力を求めながら、現行制度のもとで所要の支援を講ずることとしております。また、会社再建のための財政支援につきましては、司法判断により再建の見通しが立った段階で所要の検討を行う考えでございます。
 最後に、論語を引いての御質問でありました。
 これは、孔子の弟子の子貢が政治の要諦について尋ねたのに対しまして、孔子が「食を足らし、兵を足らし、民これを信ず」と答えた話であります。何しろ西暦紀元前五百年ころの話でありますから福祉政策というべきものはまだなかったわけでありまして、孔子は、福祉ではなく、食糧の充足ということを挙げたわけでありましょう。食糧の確保、防衛力の整備、国民の信頼の三つを政治の要諦として孔子は挙げているのでありますが、食糧、防衛を基本とするところは今日の総合安全保障に通ずるところがあると存じます。政治が国民の信頼を基本とすることは永遠の真理であると存じます。
 なお、孔子は「子の慎むところは斎戦疾」とも述べており、戦争を慎むというわが国の平和憲法にも似た思想の持ち主でありましたが、その孔子にしても、政治の基本に防衛力の整備を挙げていることは、やはり独立した国家においては防衛力の基盤を整備することが必要欠くべからざるものであることを認識していたのではないかと存じます。私も、国民の理解と合意のもとに、国民生活の安定を確保しながら、わが国の憲法と基本的防衛政策にのっとり、着実に必要最小限度の防衛力の整備を図ってまいる考えであります。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 企業課税の後退というようなことで、不公正税制を温存しながら五十九年度までに赤字国債からの脱却が果たしてできるのか、こういうようなお話でございました。
 実は、五十七年度の税制改正の基本方針として、税負担の公平というようなものを中心としていろいろ手直しをしてまいりました。私どもは制度的に不公正税制というものがあるとは思っておりません。それらのいろいろな特別措置というものについては、それぞれの時代において必要であるという点から設置されたものでございます。しかしながら、時代が移り変わる、あるいはまた財源事情も異なるということになれば、それらについては、実情に即して手直しをしていかなければ優遇措置などと言われる可能性もあるわけでございますので、その都度手直しをするという考えでございます。
 したがいまして、今回も交際費の課税強化、つまり中小企業の定額控除を残した上、あとは全額を損金に認めない。全額認めないのですからこれ以上のことはできないわけでございまして、そういうような手直しはいたしています。あるいは特別措置全体の整理合理化についても、二十四項目にわたって改正をいたしました。価格変動準備金等についても直させていただきましたし、また、財源に余裕のあるときには、確定申告のときに延納割合二分の一納めていればあと二分の一は何カ月か延ばしてやるよということになっておったものを、延ばすのは四分の一以下、四分の三はとりあえず納めてください、法人にとっては金繰り上苦しいかもしれません、大法人にとって苦しいかもしれませんが、しかしながら政府も苦しいのだから、これはひとつそういうことにやっていただきたいということで延納措置の縮減を図るとか、貸し倒れ引当金の法定繰入率を引き下げるなど、いろいろやって実はきておるわけであります。
 退職給与引当金については、これはいろいろ議論のあるところでありまして、有力な労働組合などでもこれはなくすのは反対、繰入率を、積立率を下げるのは反対というところもございます。これはいろいろ実は議論のあるところなんです。しかし今回は、税制調査会の答申にもあるように、今後の企業年金の制度、それとの関係は一体どうなるのか。なかなか退職金を積み立るだけでできないから企業年金の方へ回すというような会社も出てきております。したがって、こういうようなものとの関係も踏まえまして、労働の対価としての退職金のことでございますから、これは慎重に考慮をさせていただきたい、こう考えております。
 それから社会保険診療報酬課税の問題につきましては、昭和五十四年度に実は三十数年来の抜本的改正を行ったところでございまして、これによって二千五百万円の売り上げといいますか受取診療報酬、そこまでは現行どおりだけれども、それ以上はだんだん経費率を少なくして、五千万円で五二%以上の経費は認めないということにいたしました。
 したがって、かなり実態に即してまいりましたために、個人開業医等も青色申告がどんどんふえたり、あるいは法人成りのものがございます。これを全部なくしてしまえという議論も実はあるのです。私も、ややもすればそれも一つの手だと、こう思っておるわけですが、問題は零細な開業医、二千五百万円の売り上げもないというような零細な開業医について、一般の企業ですと法人形態というものは認められるわけでございますが、医者の場合は医療法等の関係で目下認められないというような点もございますので、これは医療の公益性という問題とも絡めまして、実は二千五百万円以下のものについては従来どおりになっておるわけでございます。これはやはりなくすということになれば、他の一般の事業所との権衡という問題も考えて、医者一人で看護婦五人でもこれは法人の経理が認められるという医療法その他の法律の整備と相まったときに考えるべき問題だと、そういうふうに私は思っております。
 それから赤字国債の処理の問題で手厳しい御批判をいただいたわけでございますが、いまおっしゃいましたように、確かに五十六年度の補正予算で三千七百五十億円の赤字国債を追加発行することにいたしました。これによって二兆円の特例公債を減額しようと思った最初の目標が全部達成できなかったということは、私も残念に思っております。
 しかしながら、これは御承知のとおり、景気の停滞、それから消費節約等の問題によって非常に物価の安定が行われて、それで卸売物価等は年間平均四・一%ぐらい上昇するだろうと思っておったところが、経済見通しでも一・八%ぐらい、現時点では前年比一・六%ぐらいに卸売物価が非常に急速に鎮静した。こういうふうなこともあって、従価税、つまり物価が上がればそれに従って税金がよけい入るという物品税あるいは印紙税、こういうふうなものが予想よりも非常に収入歩合が少ないというのも実情でございます。したがいまして、そういう経済の実態に合わせないで数字だけいじってみたって始まらないことでございますので、そういうような物価の鎮静化に伴って収入の減になってきたという明らかなものについては、これははっきりさせて補正の措置を講ずることが正直でいいだろう、こう思いまして補正措置を講じたわけであります。
 それに去年は、御承知のように予備費等がございましても、いろいろな史上最大の災害というようなもので、これは表の土木事業だけでなくて、たとえば農業共済のように、二年続いた災害がありますから、七百億円というようなものも出されるということになりまして、そういうことがこういう結果になったわけであります。しかし、ただいま総理からお話があったように、これは五十九年までの赤字国債からの脱却という基本方針は変えないということでございます。
 次に、所得税減税の問題でございますが、これも一兆円以上の歳入欠陥が起きるじゃないかというような御心配でございます。われわれとしては、景気の持続と向上というものを、あの手この手いろいろな手を合わせまして図ってまいって、所期の目的を果たしたい。したがって、そういうことにならないようにしなければならぬ、そう思っておるわけでございます。
 次に、一兆円減税をして景気の刺激策をやれという最後の御質問でございます。
 私も、過去五年間所得税の課税最低限が固定されておる、毎年月給は上がる、それによって税金がふえるということについて知らないわけではない、よく私も知っておるわけでございます。確かに、三百万円のサラリーマンが一割俸給が上がって、三十万円上がれば四万七千円課税がふえますから、率に直せばそれは一五・七%ふえた。一〇%しか月給が上がらないのに税金は一五・七%ふえたと。しかし手取りの方は、三十万円ふえて五万円減っても、二十五万円残るということでございますから、それは率だけで比較をされましても一概にそう言うわけにはいかない。ただ、一千万円以上になってまいりますと、かなりこれは課税の累進税率が高くなるから、一千万円の人が一割上がれば百万円給料が上がる。そのかわり税金だけで四十四万円取られる、その他も取られるから五十万円、半分なくなってしまうということになりますから、重税感というものがかなり強く出てくるということは事実でございます。
 こういうような問題がございますけれども、現在の財政事情等から考えまして、それに見合う財源というものはなかなか見当たらない。ここで一兆円減税ということになって、それじゃ景気がよくなって何ぼよけいにはね返りの税金が入ってくるか。これははっきりした計算は実はないのです。ないのですが、ある計算の方法によると、一千億で大体百六億ぐらい初年度入ってくるのじゃないか。百六億では九百億足りなくなってしまうわけでございますから、そのとおり一兆円の場合はつながるかどうかよくわかりませんけれども、いずれにしても当面、差し迫って非常に財源が苦しい。そうかといって、赤字国債を発行してまで減税を行うというような状況ではないというような観点から、どうも御要求には応じがたいわけでございます。
 それじゃ会社臨時特別税、これは一時やったことがありますが、そういうものをやってはどうかというお話もございます。これは昭和四十九年の三月に、狂乱物価と言われた時代に、非常な大変なインフレということで、それにブレーキをかけるというような観点からこういう措置をとったことが二年の特別立法でございます。しかし、現在はそういうふうな状態でもございませんし、むしろ景気の問題では停滞を恐れるというような状況でもございますから、会社に対して、うんともうけ過ぎだから特別税でいっぱい取るというようなことは、いまできる段階だと私どもは考えておりません。
 それから企業関係措置法をもっともっと洗い直せといいましても、これは全部で二千億円ぐらいのもので、いろいろ洗い直したものでございますから、これを全部なくすというととは目下のところできない、こう思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、今後、経済の動向その他全体の問題をいろいろ考えた上で財政政策を進めてまいりたい、かように考えております。(拍手)
#7
○議長(徳永正利君) 答弁の補足がございます。鈴木内閣総理大臣。
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 同和対策につきまして追加答弁をいたします。
 同和対策につきましては、いわゆる残事業の点も勘案をいたしまして、各方面の御意見を聞きながら具体的な法律案としてこれを御提案し、解決をいたしたい、こう考えておりますので、目下そういう考えで検討を進めておるところでございます。(拍手)
#9
○議長(徳永正利君) 藤田正明君。
   〔藤田正明君登壇、拍手〕
#10
○藤田正明君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、当面する内外の重要課題について、総理ほか関係閣僚に対し若干の質問をいたすものであります。
 いまや世界の経済活動の一割を占めるに至ったわが国が、今後進むべき道は、外にあっては世界の中の日本として諸外国との相互理解の一層の推進であり、また、内にあっては、曲がり角に来た日本経済の引き続きの活性化と行財政の抜本的改革にあると思います。
 鈴木総理は、就任以来、これらの課題に責任を持って誠実に対処してこられたことをまずもって評価いたしたく存じます。このことは、国民世論の高い支持によってはっきりとこれが裏づけられております。すなわち、世論調査を見ますと、わが自由民主党の支持率は昨年一年を通じて終始五〇%を超えており、特に十二月には五四%、また内閣支持率についても安定的に推移いたしております。このように国民が寄せる高い支持は、これまでのわが党及び内閣の歴史の中ではかつてなかったことであり、国民各位の深い御理解と御支援に感謝いたすところであります。
 総理は五年前、私に「一内閣一仕事」ということを言われたことがあります。御記憶のことでございましょう。このことは、新内閣の使命は、これまで歴代内閣が果たし得なかったいわゆる積み残した課題のうち、国民的な最重要課題の一つについては新しい内閣は総力を結集してこれが解決に当たり、たとえこの一つでその内閣の生命が燃え尽きることがあってもやむを得ないとの精神であると私は受けとめておるものであります。その意味で、総理が「政治生命をかける」と明言された行財政改革こそこの「一仕事」に当たるものとして、総理の先見的な政治理念を評価いたすものであります。
 いま、わが国をめぐる内外の諸情勢はきわめて厳しく、その行方はますます険しいものがあります。このときに当たり、総理は、国民がわが党に託した審判とその期待をどう受けとめて今後の政権を担当する御意思であるか、その御決意をまずもってお伺いしておきたいと思います。
 さて、現下の最大の政治課題の一つは行政改革であります。
 高度経済成長時代に肥大化した行財政のぜい肉を削り、簡素で効率的な活力ある行政の制度、機構に改めようとするこの行政改革については、国民各階層も総理のその選択に快哉を叫び、熱い期待を込めてこれを見守っているのであります。
 行革は、これからいよいよ正念場になります。第二臨調は本年初夏には基本答申、さらに来年三月には最終答申というスケジュールのもと、四つの専門部会で、行政の果たすべき役割り、行政組織のあり方、国と地方との機能分担、あるいは三公社五現業、特殊法人のあり方、公務員制度、なかんずく三K赤字の処理等について本格的な審議を開始いたしております。しかし、これらは既存の制度、仕組みに大変革を求めることが予想されるだけに、既得権との関係で総論賛成、各論反対の声は一段も二段も激しくなることが考えられるのであります。
 古来、「断じて行えば鬼神もこれを避く」と申します。国家百年の大計であるこの国民的要請に、総理は初志を貫徹され、ぜひともこたえていただきたいのでありますが、総理の決意のほどを再びお伺いいたします。
 次は外交問題でありますが、まず、わが国の外交戦略であります。
 申し上げるまでもなく、世界情勢の安定なくして貿易立国を国是とするわが国の平和も繁栄もあり得ません。その意味において、私は、いまこそ日本は「平和国家としての外交戦略」を確立しなければならないと考えるものであります。
 私は、わが国が世界平和の推進に積極的な役割りを果たしていくためには、まずもって外交基盤を強化し、国際的発言力を増すこと、特に西側の政策決定に大きく関与していくことが必要であると考えます。そのためには、自主的な防衛努力によって西側の信頼を得ることはもちろんでありますが、平和国家であるわが国は、かたいきずなの上に立った友好国をふやしていくことこそ重要ではないかと存じます。発展途上国、特にアジア諸国に対して、真摯にしてかつ相手の国の心の琴線に触れるような援助を続け、真の友好国をふやしていかなければなりません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 わが国が厳しい財政難にあるとき、なぜ外国に援助しなければならないのかという素朴な疑問を持つ向きも国民の一部にはあります。しかし、発展途上諸国の経済的貧困は政治の不安定化をもたらし、世界の混乱のもととなるのであります。いま世界の現状を見るならば、わが国は苦しい中からでも経済援助を強化していかなければならないと私は考えるものであります。こういうことにより、わが国の真の友好国をふやすことによって世界の平和と安定に対しての発言力を強くすることが、平和国家としてのわが国の外交戦略の一つだと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、現在重要な問題になっている貿易摩擦についてであります。
 西側先進諸国経済は、依然として経済成長の停滞、インフレ、国際収支の不均衡という三重苦に悩み続けております。かかる状況の中で、わが国は国内的には厳しい財政難に直面しつつも、ともかく経済運営をうまく維持していることは、国民各位の御努力のたまものであり、深く敬意を表する次第であります。しかし、西側先進諸国が軒並み苦境にある中で、ひとりわが国のみが好調を維持し、しかも昨年におけるわが国の対米、対EC貿易黒字が、それぞれ百八十億ドル、百五十億ドルと見込まれるほどに不均衡の状態が続いていることは、これら諸国の雇用情勢の悪化と結びついて保護主義的傾向を生み出しつつあります。
 私は、この最大の原因は米欧各国の経済の低迷にあり、各国がみずから経済の活性化に努力していくことこそ重要であると思うのでありますが、貿易立国であるわが国としては、調和のある対外経済関係の形成に努め、自由貿易体制の維持強化を図っていくことが、他のどの国にも増して肝要であると思うのであります。そのためには、総理もつとに明確に指示されておりますように、関税引き下げの二年間前倒し実施や、非関税障壁の撤廃、緩和、一次産品の輸入拡大等国内市場の開放を推進して、欧米各国の強い要請にこたえていくことも必要であります。政府は早急にその具体策をまとめ、実施していく必要があると思うのでありますが、これらの措置は、一方では国民、ことに農業従事者に痛みを与える可能性が多分にございます。この点の配慮も含め、政府の検討状況をお伺いいたします。
 わが国外交の基軸は、申すまでもなく日米安保体制を中核とする日米友好協力関係であります。戦後三十年間にわたって築き上げてきた日米関係は、日米双方にとっての貴重な財産であります。現在貿易摩擦等の問題は生じておりますけれども、両国首脳を初め相互の間断なき対話によってその解決を図るべきだと存じますが、政府の御所見をお伺いいたします。
 次は日ソ関係についてであります。
 一九七〇年代以降のソ連の急速な軍事力の増強と、それを背景とした第三世界への進出は、世界の平和と安定に重大な脅威を与えております。ソ連の脅威がこれ以上拡大するのをいかにして防ぐかは西側共通の課題であり、わが国としても当然、自由と民主主義という共通の価値観によって結ばれた西側諸国の一員として、その責任を果たしていかなければなりません。わが国固有の北方領土に対するかたくなな姿勢とともに、アフガニスタン事件以来、日ソ関係が冷え切った状態にあるのも私は当然であると思います。
 しかしながら、このような険しい関係にあるときにこそ、国対国の対話が重要であります。その意味で、今般、事務レベル協議が約三年ぶりに開かれたことは有意義であったと考えます。今後ともこのような機会を確保して、北方領土問題、アフガニスタン問題、ポーランド問題等に関するわが国の立場を粘り強く主張し、日ソ関係の前進を図っていかなければならないと思うのでありますが、政府の御見解をお伺いいたします。
 次に、アジア各国との関係についてお尋ねをいたします。
 国交正常化十周年を迎える中国とは、ことしは鈴木総理と超首相との相互訪問を通じ、日中関係のより一層の発展を期待するものであります。また、ASEAN諸国とも、鈴木総理の訪問などを通じ、関係が着実に強められていることを私は評価いたします。
 こうした中で、韓国との関係については、韓国側の借款要請が当面の課題となっており、この解決のために真摯な努力が払われております。過去の複雑な経緯もあって、いまもって近くて遠い国という状況にあることは、同じ自由主義を国是とする隣国との関係としてまことに遺憾に存じます。私は、単に経済協力にとどまらず、文化交流、人物交流に力を注ぎ、心と心との触れ合いを図っていくことがまずもって肝要ではないかと考えるものであります。そのために基金設置などの措置を講じられてはいかがでありましょうか。六十億ドル問題も、長期的視点に立って、将来に禍根を残さないよう対処していくべきだと考えますが、総理の今後の御方針をお示し願いたいと存じます。
 外交の最後に、わが国の外交体制の強化についてお尋ねをいたします。
 わが国が、ますます流動化を深める八〇年代の国際情勢の中で、平和外交に徹し、国家の安全と利益を守っていくためには、世界各地の情報を迅速に収集し、かつこれを的確に分析する能力を持つことが何よりも重要であります。しかるに、この点に関するわが国の外交体制は余りにも貧弱であると申さねばなりません。外務省の定員は主要先進諸国よりも大幅に下回っております。また、さきのポーラン下の戒厳令の際に現地大使館からの通報がおくれた例で、はしなくも明らかになったように、在外公館の通信機能もこれまた大幅に立ちおくれておるのであります。政府は、こうした外交体制の強化を図るため、人、施設、通信法令をも含め、積極的に対策を講ずべきであると思いますが、総理の御所見を伺います。
 次に、防衛問題についてお伺いをいたします。
 国の平和と安全を確保することは国家存立の基本であり、国政の最重要事項の一つであることは申すまでもありません。近年、防衛問題について国民的コンセンサスが高まり、自衛隊の支持率が八五%を超えたという現状や、一部政党におかれても現実的な安全保障政策の妥当性、必要性が強く認識されつつあることを私は大いに歓迎いたすものであります。
 国際紛争は武力によらず、話し合いによって解決するというのがわが国の基本政策でありますが、世界の平和が力の均衡によって保たれているということもまた厳然たる事実であります。私は、わが国が米国との緊密な協力関係を維持しながら、みずからの国力、国情に応じて自主的に防衛努力をしていくことは、わが国の平和と安全を確保するゆえんであるとともに、世界の平和と安定を維持する上において西側陣営の一員としての国際的な責務であると考えるものでありますが、この点についての総理の御所見をお伺いいたします。
 五十七年度の防衛予算は二兆五千八百六十一億円、前年度に比べ七・七五四%の増となっております。これは厳しい財政事情の中にあって、政府として防衛問題の重要性について認識され、最大限の努力を傾注された結果であり、高く評価さるべき決断であったと考えます。世上、この防衛予算の伸びについて、「福祉に比べ突出している」とかいった批判がなされておりますが、私は決してそうではないと考えております。
 その理由の第一は、社会保障にも十分に来年度予算では配慮されているということであります。厚生省の社会保障費の伸び率が二・九%で、戦後二番目の低率であるとの非難があるわけでありますが、国民健康保険について会計年度の区分を変えて十一カ月予算で組んでいるとと、厚生年金の国庫負担の一部の繰り入れが財政再建後に約束されていること等を勘案しますと、実質的な伸び率は七。一%となっております。特に、社会保障の中心をなす社会福祉費の伸び率は一五%となっております。これは御承知のとおり、老人、身体障害者、母子、児童等いわゆる社会的弱者に対する経費でありまして、これを大幅に伸ばしていることを考えますならば、防衛費を突出させて弱者を切り捨てたというがごとき議論は、全くためにする以外の何物でもないのであります。
 その理由の第二は、わが国の防衛費は、国際的に見ると、対GNPの比較においても、また国民一人当たりの負担でもきわめて低いということであります。
 その理由の第三は、わが国の財政に占める防衛費のウエートが、先ほども総理から申されましたけれども、かつて昭和四十年度には八・二%であったものが、いまや五・二%と大きく低下しているということであります。
 これらの点から見て、私は、防衛予算は「突出」などと批判されるべきではなく、むしろ厳しさを増しつつある国際情勢を踏まえて、いま「へこみを是正しつつある」と認識すべきではないかと思うのでありますが、総理の御所見を伺います。
 次に、防衛費をGNPの一%以内にとどめることとしている政府決定についてお伺いをいたします。
 政府がこの決定を行った大きな理由としては、五十一年当時想定されていたGNPの成長率等を勘案すれば、当面その一%以内でも防衛計画の大綱に基づく防衛力の質的向上を図っていくことが十分可能であると考えられたことでありましょう。しかしながら、私は、そうであるからといって、GNP一%の制限を設けたことはやはり問題があったと思うのであります。
 およそ国の存立の基本をなす防衛は、国際情勢の現実に配慮しつつ、憲法及び基本的な防衛政策に基づき、わが国として保有すべき最も適切な防衛力の水準を決定し、必要な経費を計上するのが本来の姿であります。特にこれといった根拠のないGNPのような流動的な数値を対象として経費上の制約を課し、その中で防衛を考えるという方法は本末転倒と考えるものであります。このことは世界的に見てもきわめて異例であり、奇異な感じを与えると言わざるを得ません。
 一部の意見として、GNP一%の枠を取り払うと防衛費増額に対する歯どめが失われ、民生を圧迫して軍事大国への道を開くという心配があることは私もよく承知をいたしております。しかしながら、このような心配は全くの杞憂にすぎません。
 政府は、現在、防衛計画の大綱に基づく防衛力の整備に努めております。この防衛大綱は、わが国が保有すべき防衛力の目標を具体的に示し、きわめて明確な歯どめを設けたものであって、無制限な増強などには決してならないのであります。また長期的には、政府は国防政策の基本をなすものとして昭和三十二年に国防の基本方針を決定いたしております。そこにおきましては、国力、国情に応じ自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備することがはっきりと定められております。もとより、民生を安定することもまた重要な柱の一つとなっておるのであります。このことは、政府の防衛に対する基本的方針が、いかに国民生活の安定に配慮しているかを示すものであります。政府の着実な努力により、防衛計画の大綱は近い将来達成されることでありましよう。
 以上のことから、私はこの際、防衛力整備に当たっての考え方を本来の姿に戻すため、すでに申し上げたとおり、歯どめを数字に求めることは必要ないものと考えます。国民にわかりやすくするためどうしても数字に目安を設けるとするならば、ある年は一%を超え、ある年は一%以内であるといった現実的対応が必要であると考えます。この際、五十一年の政府決定でありますところの「GNP比一%以内にとどめる」を「約一%程度とする」というような弾力性を持ったものにすべきではないでしょうか。この点について総理の見解をお伺いいたします。次に、軍縮についてお尋ねをいたします。
 世界の安定が力の均衡によって保たれていることは、先ほども申し上げたとおりでありますが、その均衡が東西の対立激化を反映して軍拡の土台の上にあることは、まことに憂うべきことであります。力の均衡による安定は、軍縮の上においてこそなされなければなりません。ことに、米ソ両国による果てしない核軍拡競争は、人類社会を破滅させかねない危険性さえはらんでおります。いかにして軍拡の傾向に歯どめをかけ、軍縮へのレールを敷くかは各国共通の課題であります。
 私は、ここで、世界で最初に原爆の惨禍を受けた広島の出身者の一人として、声を大にして申し上げたいことがあります。わが国が核軍縮、さらには核廃絶に向けてあらゆる努力をしていくことは、人類社会への責務であるということであります。(発言する者あり)ふざけるなとは何だ。
 総理は、かねてより軍縮に熱意を示され、本年六月の国連軍縮特別総会にもみずから出席し、世界に軍縮の促進を訴えられるそうでありますが、この際、総理の軍縮、特に核軍縮に関する忌憚のない御見解を伺いたいと存じます。
 次に経済運営について伺います。
 政府は、五十七年度経済見通しにおいて五・二%の成長目標を掲げておられます。その中身は内需四・一%、外需一・一%ということであります。
 ここで五十六年度経済を振り返ってみますと、昨年春の景気回復宣言にもかかわらず、その後の推移は決して芳しいものではなく、十二月には経済成長率を当初目標の四・七%から四・一%に下方修正するに至りました。家計部門の消費の低迷、中小企業の不振により内需が伸び悩んだ反面、輸出が急増して大きな国際収支の黒字を生じ、アメリカを初めとしてEC諸国との貿易摩擦をも引き起こしております。これにはアメリカの高金利政策も大きな影響を与えていると私は思うのでありますが、しかし、かような外需に多く依存する経済の拡大は長続きしない。そればかりか、国際的にさまざまの批判を招いて、相互主義という報復的な主張まで引き起こしました。
 安倍通産大臣の出席された三極通商会議では、どうやら安倍通産大臣の努力によって自由貿易の線を維持することになったようでありますが、アメリカ、HC諸国の政府、議会に潜在する保護貿易の主張は、いつ火を噴くかわからない状況と考えます。政府が五十七年度において内需中心の五・二%成長の政策運営に踏み切ったことは、貿易摩擦を解消し、財政再建を進めるという当面の二大課題の解決のためにも、また雇用を確保していくためにも時宜を得た経済政策であり、私の強く支持するところであります。
 しかしながら、率直に言って私は、今年度の外需依存の経済を一転させて内需で四・一%の成長を実現することは、五十六年度の例から見ても相当の困難が伴うものではないかと思います。行革、財政再建という政策課題のもたらす緊縮ムードの中で、民間の予想と比べて高目に設定された政府の成長目標を果たして達成できるのか、国民は若干の不安感を持っているのではないでありましょうか。成長率は経済活動のすべてを集積したものありますだけに、これを実現するための景気対策をどう講ずるのか。特に内需振興へ向けての施策について、経済企画庁長官はさきの経済演説で説明をされてはおりますけれども、国民にわかりやすいように再度答弁をお願いをいたします。
 特に、体質の弱い中小企業や農業水産業にあっては、その経済動向により受ける影響はことのほか大きいだけに、きめ細かな対策を講ずべきであります。
 また、内需振興策として、世上、大幅な所得税減税により国民消費を拡大すべしとの根強い主張が見られるのであります。確かに、近年、税金等の非消費支出の割合が高まっております。これが家計を圧迫し、最近の消費低迷の一因とはなっております。さりながら、新年度予算で所得税減税を行うとすれば、先ほどから説明がありましたように、その財源は結果として増税か、または赤字公債の増発に求めざるを得ません。これは現下の最大の政治課題である財政再建の遂行に逆行するものとなるのであります。今回政府が減税を見送ったことはやむを得ない措置と言わざるを得ません。
 しかし、所得税の現行課税最低限と税率累進構造を長期にわたって固定することは、国民経済及び税制のあり方から見ても適当ではないと思うのであります。国民の一部には、五十八年度以降、行財政改革を強力に推進しつつ、できるだけ速やかに減税を実施すべきであるとの強い主張もありますが、総理の御見解を伺います。
 次に財政について伺います。
 高度経済成長期には、わが国の財政は、税の大幅な自然増収を背景に、減税を行いつつ国民のニーズに沿って福祉施策の充実や社会資本の整備を進めることができたのであります。しかしながら、石油危機を契機としてわが国経済が安定成長へ移行していることは周知のとおりであり、今後もかつてのような高度経済成長は期待すべくもありません。
 他方、今後のわが国経済は、激動する国際情勢や資源・エネルギーの制約に対応していかなければならず、さらには急速な高齢化社会への対応は二十一世紀へ向けての最大の課題であります。したがって、財政再建を推進しつつ、社会経済情勢の変化に対応して新しい国づくりを行うためには、財政構造に根強く残っている高度経済成長型体質を脱却し、安定成長に十分適応する財政体質に転換していかなければならないと存じます。
 歳出については、五十七年度予算の編成に際し、ゼロシーリングの採用や補助金の一律カット等の節減策を講じたことは一つの前進であり、高く評価したいと存じます。しかし、より根本的には、今後各分野においてどこまで財政が役割りを担うべきか、原点に立ち返って検討し、これを明確にしていくととが重要であります。
 すなわち、限られた予算を配分するのには、一つには、経済的、社会的弱者には重点的に配慮する一方、個人、家庭の自助努力にゆだねるべきものはゆだねるという、日本型福祉社会の確固たる創造が必要であります。第二には、価格メカニズムや民間部門の創意工夫を活用することが可能な分野においては、できるだけ民間のバイタリティーを生かすこと等の振り分けが必要であると考えます。このように、安定成長への移行に見合った発想の抜本的改革が必要でありますが、このことは、改めてここで申すまでもなく、総論としては十分に理解されているところと信じます。しかしながら、五十七年度予算編成過程を見ていると、相も変わらぬ陳情による予算争奪合戦が行われたり、これまでと同じような安易な態度で多くの経費について財政に依存する主張が行われるなど、政府、国民の間において高度成長期の惰性が払拭されているとは言えない実情にあると思うのでありますが、政府はかかる意識の変革の必要性についてどのような所見をお持ちか、お伺いをいたします。
 一方、歳入面においても安定成長に見合った改革が進められなければなりません。私は、その最大のものは現在の直接税中心の税体系の見直しにあると思います。
 わが国の直接税と間接税の比率を見ますと、昭和三十年代まではおおむね五対五の割合で推移していたものが、四十年代以降間接税の割合が漸次低下し、現在その比率はおおむね七十二対二十八の割合となっております。今後急速に進む高齢化社会を思うとき、安定した税収の確保は日本型福祉社会の建設のためにも急がねばなりません。それには、福祉国家を標榜する国々に見られる間接税の役割りをわが国も重視し、近年とみに低下した直間比率を、さしあたり六対四程度にまで是正することを検討すべきではないかと考えるのでありますが、総理並びに大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、減速経済下で迎える高齢化社会への対応について伺います。
 これからわが国が迎えようとしている高齢化社会は、いまだ世界の先進国、福祉国家と言われる国々がかつて経験をしたことのないスピードで、今後三十年後、四十年後には確実に到来をいたします。高齢化先進国、福祉先進国と言われる欧州の一連の国々は、高福祉高負担のために、いまや活力を失った縮小再生産国家へと変貌してしまったのであります。「揺りかごから墓場まで」と言われ、高福祉国家のモデルとたたえられたイギリスの今日の苦渋に満ちた姿を見るとき、われわれは日本独自の福祉への道を選ぶ必要があることを痛感せざるを得ません。
 総理は、演説の中で「高齢者が健康で生きがいのある生活ができるようにすることが肝要」と言われておりますが、まさにそのとおりであります。「健康で生きがいのある生活」、それはどういうことでありましょうか。たとえば、私は、元気な老人が長年の経験と趣味を生かして額に汗をして働き、その報酬によって老夫婦が孫に何かを買い与えるとか、来年は老夫婦で旅行しようとか、自助努力において老後の生活設計を楽しむところに生きがいを感じることと考えます。世俗年齢は六十五歳でも、肉体的精神的には若い老人、それらの老人が将来に夢が持てるような社会環境づくりこそ望まれることであります。それでこそ初めて活力のある老人社会が具現されるととでありましよう。
 そのためには、特に若いうちから健康管理が必要でありましょうし、スポーツ振興も大切であります。揺りかごから墓場まで元気で健康で一生を終わることこそ、生きがいの根源であると思います。総理がすでに言われている六十歳代の人々の雇用対策の推進もあわせて重要なことでありましよう。
 人口の高齢化がピークを迎える三十年ないし四十年後に備えて、一つには、いまから元気な老人づくりを本格的に始めるべきであり、二つには、三世代同世帯の増加とその和が必要であり、さらに三つには近隣社会の互助、すなわち町内会、向こう三軒両隣との助け合いということであります。私はこのように考えるものでありますが、総理の御所見をお尋ねいたします。
 次に教育問題について伺います。
 申すまでもなく、教育は民族と国家の発展の礎であり、国民一人一人の人間形成と、その生きがいを実現するための基盤を養うものであります。今日のわが国の目覚ましい発展も、明治以来一貫して国として教育を重視してきた結果であると言っても過言ではないと存じます。
 今日、わが国が世界に誇る教育の普及発展に到達した結果、ともすれば教育の果たすべき使命、認識が麻痺し、教育を真に国家的国民的な視野から考えることが忘れられているのではないでありましようか。
 最近における児童生徒の非行、校内暴力等の著しい増加、さらには、青少年は利己主義に走り、バイタリティに欠ける一方、親もともすればわが子中心の考え方に閉じこもる風潮がはびこっております。このような状態で日本の将来は果たして大丈夫であろうかと不安を覚えるのは私一人ではないと存じます。いまや、わが国の教育をどうすべきか、根本的な検討をすべき時期にきているのではないかと考えるものであります。
 政府は、学校、社会、家庭における教育の問題点について、そのよって来る今日の原因を総合的に調査分析し、その結果を公表することによって、国民が共通の認識に立ち、教育問題の改善に対処すべきであると考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、国際化の時代にある日本にとって、外国人に対するわが国教育の場の門戸開放の問題であります。海外からの留学を受け入れやすくするとともに、外国人に日本語を教える機会を多く提供し、早く日本の習慣、考え方等を知ってもらうことが必要であります。
 他方、日本の青少年には英語を主とする外国語をマスターさせ、英語的思考法、その習慣等を知らしめることであります。しかしながら、現在の外国語教育、特に英語教育のあり方に対して私ははなはだ疑問を持つものであります。中学、高校、大学を通じ八年ないし十年の英語教育を受けているにもかかわらず、国際人たる必須条件の会話、ヒヤリングのできない青少年の何と多いことか。以前から憂慮されている問題ではありますが、いまだにその対策がなされていないように思われるのであります。
 日本における一言語、一民族、一国家は、国際的には閉鎖社会につながり、いまや世界のあらゆる国々で活躍している日本人にとって、言語、習慣の相違は相互理解のための大きな障害になっております。国際社会における日本の役割り、影響力が今後一層高まるとともに、世界各国との相互理解がいまほど必要なときはないと思うのであります。日本の古きよき風俗習慣は残すとともに、日本人の世界人化を進め、日本社会と世界社会との共通性を高めるために学校教育にいかなる施策をなすべきか、総理の御見解をお伺いいたしておきます。
 最後にお尋ねしたいことは、参議院の全国区選挙制度についてであります。
 勅選による貴族院から公選を採用した参議院へ生まれ変わってから、はや三十五年、十二回の通常選挙を経てまいりました。本院はこれまで二院制の一翼を担って、議会制民主政治の確立と国力の発展、福祉の充実にその使命を果たしてきたところであります。しかしながら、参議院の歴史を振り返って、われわれが真に求められ、期待されるにふさわしい二院制の機能を果たしてきたと言えるでありましょうか。国民の目にはいまだ厳しいものがあると存じます。
 いまこそ参議院の真価が求められ、問われる重大な時期にあります。良識の府、理性の府としての揺るぎない権威を確立し、もって参議院が国権の最高機関としての重責を全うすべきときであります。そのためには従来の議会の組織、運営を見直し、激動の八〇年代、さらに二十一世紀を目指した中長期の政策展望が開けるように国政審議のあり方を改めることであります。さらには、世界に類例のない全国区選挙制度創設の理念に立ち返って、広く人材を求め得るよう、その制度を見直すべきだと考えるものであります。
 すなわち、前者が今日各党各会派間で協議中の参議院改革であり、後者がわが党が提案をいたしました全国区選挙制度の改革であります。金もなく、組織、団体もない有為な人材が広く求められる適正な選挙制度により、その職能的な、専門的な、高度な知識を駆使して、重要な国策の中長期展望を示すことが新しい参議院の使命と考えるものであります。
 今日、全国区選挙制度は、選ぶ有権者から見ても、また立候補する者にとっても、余りにも多くの問題点があり過ぎることはかねてより指摘されているところであり、これが是正は国民の強い声であります。われわれは、この全国区選挙制度の改革にここ十年来取り組んできたところでありますが、特に一昨年の選挙後は、集中的かつ慎重な検討の結果、議会政治における政党が果たしている役割りを現実に肯定して、出したい人が容易に出られる拘束名簿式比例代表制の改正案を党議決定いたしました。
 もちろん、成案が得られるまでの間、各党各会派には十分御理解がいただけるよう御説明を申し上げたつもりでありますが、一部会派の御納得が得られず、わが党は昨年の第九十四回国会に議員立法として単独提案いたしましたが、何らの審議もなく審査未了となりました。次いで第九十五回国会に再提出いたしましたところ、円満に本会議で趣旨説明、質疑をいたしたものが、公職選挙法特別委員会における実質審議はわずか三時間程度、理事懇談会は実に数十時間に及ぶという異例の状況のもとに継続審査のやむなきに至っております。
 われわれの提案している参議院全国区選挙制度改正案は、少なくとも人材が求め得やすく、金のかからない政治の第一歩を踏み出す、現行制度よりベターな案であることは事実であります。また、われわれは自由民主党の案を全く変えぬというかたくなな態度をとるものでもありません。合理的な改善策ならば真摯な態度で協議に応ずることもやぶさかではありませんけれども、反対のための引き延ばしには断じて応ずるわけにはまいりません。われわれは国会のルールにのっとり、毅然たる態度で今期国会こそはその成立を期する決意であります。これらの実現を通じて参議院改革の口火を切り、新しき時代の参議院の権威を高揚するものと信ずるところであります。
 最後にこの問題について総理・総裁の御所見を伺いまして、私の代表質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(鈴木善幸君) 藤田正明議員にお答えをいたします。
 まず、内外の諸情勢がきわめて厳しい今日、国民が自由民主党に対して抱いている期待をどう受けとめて政権を担当していくかとのお尋ねでありました。
 わが国は、第二次世界大戦後の荒廃から、三十年余の間に世界でも最も安定と繁栄を享受する国の一つに成長してまいりました。これはもとよりわが国民の英知と勤勉の輝かしい成果でありますが、この間の自由民主党の政策運営が時代に適切に対応してきたことも、今日の繁栄の一つの要因に挙げて決して過言ではないと思います。自由民主党政権に対する国民の支持と期待は、このような実績に基づくものでありまして、私は、国民の厚い信頼を裏切ることのないよう全力を挙げて国政に取り組んでまいる決意であります。
 わけても行政改革につきましては、藤田議員御指摘のとおり国家百年の大計であります。今年はいよいよ臨時行政調査会の基本答申が提出される予定となっております。私は、臨時行政調査会の審議の動向、国会における御論議などを踏まえながら、国民の期待に沿う行政改革の達成を目指し、邁進してまいる決意であります。
 藤田議員から、わが国は平和国家として経済協力を積極的に進めていかなければならないとのお話がございました。
 お話のとおり、わが国は自由世界第二位の経済大国として、経済協力を通じて世界経済の発展及び世界の平和と安定に貢献していくべきものと考えます。開発途上国の経済的混乱は、政治的、社会的不安定を惹起し、国際的な紛争の引き金ないし国際的緊張の原因ともなりかねません。経済協力を通じ開発途上国の経済社会開発を支援し、民生の安定、福祉の向上に貢献することは、これら諸国の政治的、経済的、社会的安定をもたらすとともに、広く国際間の緊張を緩和することに貢献することになります。政府はこのような考え方に基づき、今後とも援助の拡充に努めていく所存であります。
 対外経済摩擦の問題についてお尋ねがございましたが、御指摘のとおり、貿易の拡大均衡を基本として調和ある対外経済関係の形成に努め、国際経済摩擦の解消を図ることはわが国緊急の課題であります。このため、政府は、昨年十二月十六日の経済対策閣僚会議において、市場開放、輸入促進など五項目から成る対外経済対策を決定し、現在その推進に努めているところでありますが、すでに東京ラウンドの合意に基づく関税率の段階的引き下げの二年前倒しを決定し、また、来る一月三十日に予定している経済対策閣僚会議において輸入検査手続などの改善措置を決定することとしております。
 このような全体的努力の中で、農産物につきましては、わが国農業の実情や、これまでの農産物の輸入拡大措置を今後とも諸外国に十分説明し、その理解を得ながら適切に対処するとともに、長期的展望に立って農業生産の再編成と農業の生産性の向上に努め、総合的な食糧自給力の維持強化に当たってまいりたいと考えます。わが国の外交体制を積極的に強化すべしとの御提言がございました。
 国際環境がますます厳しさを加えつつあるとき、藤田議員も御指摘のとおり、わが国の安全と繁栄を確保していくために外交の役割りはますます重要になってきております。このため在外の大使館などの機能を含め、わが国の外交機能の強化を図ることが必要であります。政府はこのような認識のもとに、外務省の予算、定員等については、五十七年度予算においても厳しい財政状況のもとではありますが、特段の配慮を払ったところであります。政府といたしましては、今後とも御指摘のあった通信体制、情報収集などを含め、外交実施体制の強化につき積極的に対処してまいりたいと考えております。
 次に、防衛問題についてお答えいたします。
 まず、藤田議員の御指摘のように、わが国は、自由と民主主義という基本的価値観を共有する米国及び西欧諸国を初めとする自由主義諸国との連帯と協調のもとで、世界の平和と安定のために、平和国家としてわが国の国力、国情にふさわしい役割りを果たしていく必要があると考えます。
 わが国としては、このようなことも念頭に置き、自主的判断のもとに日米安保体制を基調として、憲法及び基本的防衛政策に従い、みずからの国はまずみずからの手で守るとの決意のもとに、適切な規模の防衛力の整備を着実に進めているところであります。
 五十七年度防衛予算は、このような基本的認識のもとに、財政再建が現在の緊急課題であること、防衛計画の大綱の水準をなるべく早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しつつ、わが国防衛の必要最小限度の経費を計上した次第であります。
 藤田議員から、防衛費が突出し弱者を切り捨てたという議論は、ためにするものだと数字を挙げて御説明がありましたように、私は、国の重要政策の一つとして防衛費を適正なものとしたほか、老人、身体障害者等の経済的、社会的に真に弱い立場にある人々に対しては施策の充実を図っております。国民各位の御理解を賜りたいと存じます。
 なお、防衛費を対GNP比一%以内とする決定について疑問を提起されましたが、政府は、昭和五十一年の当面各年度の防衛費がGNPの一%を超えないことをめどとするとの閣議決定を、現在変更する考えはないことを申し添えておきます。
 わが国は、平和憲法のもとで非核三原則を堅持し、軍事大国とはならず、その持てる力を世界の平和と繁栄のために用いることをもって国の基本的方針としております。今日の国際間の安定が力の均衡によって支えられている厳しい現実があることは否定し得ないところでありますが、その水準を可能な限り低いものとするよう、核軍縮、さらには究極的な核廃絶を目指してあらゆる努力を行うことは、人類に課せられた共通の責務であります。
 その意味で、私は、来る第二回国連軍縮特別総会は、各国がこのような努力を一層強化するためのまたとない機会であると考えます。私自身も特別総会にはぜひ出席して、平和国家としてのわが国の立場から核軍縮を中心とする軍縮の促進を強く訴えたいと考えております。
 次に、所得税減税についてでありますが、今日の厳しい財政事情のもとでは、残念ながら所得税減税は見合わせるよりほかいたし方ございません。しかしながら、所得税の現行課税最低限と税率構造を長期にわたって固定することは適当でないと思いますので、将来、条件が整えば減税を検討したいと考えております。
 その際の条件としては、歳出歳入両面にわたる徹底した見直しを進め、五十九年度特例公債脱却の明白な目途をつけることと、所得税減税の財源の手当てが可能であることなどが必要であると考えております。
 次に、高齢化社会についての私の所見を求められましたが、私は、来るべき高齢化社会に適切に対応していくためには、福祉、労働、産業、教育、住宅、地域など各般の施策を整合性を持って推進していくことが必要であると考えます。特に、高齢者が健康であることが何より重要であり、このような観点から、現在本院で御審議いただいている老人保健法案の早期成立をぜひお願いいたしたいと存じます。
 また、高齢者の雇用対策は社会の活力を維持するために重要であり、六十歳定年の早期実現はもとより、六十歳代の人々の雇用対策についても、今後ともその推進に努力してまいる所存であります。
 高齢化社会への対応を考える際、家庭や近隣地域社会等の連帯、相互扶助の果たす役割りが大きいことは御指摘のとおりであり、こうした相互扶助の仕組みなどを生かしながら、真に福祉を必要としている人々に対して重点的に福祉の充実を図り、生きがいと活力のある福祉社会を目指してまいりたいと存じます。
 次に、教育問題でありますが、御指摘のように、校内暴力などの青少年の非行がなお増加していることはきわめて憂慮すべきことであります。その原因としては、学校における教育指導のあり方や家庭におけるしつけの問題があり、さらには社会の風潮として、青少年の豊かな心をはぐくむ面に欠けるところがあるのではないかと考えられますが、これらの問題を解決し、わが国の将来を担う青少年の健全な育成を図るためには、社会全体が取り組まなくてはならないと存じます。政府としては、このため積極的な対策を講じていく所存であります。
 国際化の進展と学校教育との関連についての御見解を述べられましたが、わが国が各国との協調のもとに発展していくためには、各国民との相互理解を深めることがきわめて大切であり、学校教育においても、コミュニケーションの手段として重要な役割りを持つ外国語教育を一層充実するとともに、わが国の文化に対する理解と尊重の念を・育て、さらにその上に立って国際理解を深める教育を一層推進してまいりたいと存じます。
 最後に、藤田議員から、参議院のあるべき姿、特に参議院全国区制の改革について熱意のあふれた決意の表明があり、私も感銘深く御所見を拝聴いたしました。
 現行参議院全国区制は、御指摘のように、選挙に金がかかり過ぎること、選挙人にとって候補者の選択が困難であること、候補者にとっても広大な区域にわたる選挙運動が過大な負担となっているなどいろいろの問題を抱えており、その改革はいまや緊急の課題であると考えます。したがいまして、現在国会の審議に付されている全国区制改正のための公職選挙法の改正案につきましては、今国会においてこそ精力的に御審議をいただき、速やかに全国区制の改善が実現されるよう切望してやみません。
 以上お答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(櫻内義雄君) 藤田議員から外交関係について三点の御質問がございました。
 まず、日米間に生じている貿易摩擦等は、両国首脳を初め相互の間断なき対話によって解決すべきだとの御指摘でありました。
 政府としては、これまでも両国首脳を初め、あらゆるレベルにおいて間断なき対話を進めることによって相互理解を深め、問題の早期解決に努めてきたところでございますが、今後なお一層米側との対話を密にして問題に対処していきたいと考えます。
 日ソ関係についてのお尋ねがございました。
 先般行われた第二回日ソ事務レベル協議では、日ソ双方は率直かつ忌憚のない意見交換を行いましたが、日ソ関係は、北方領土における軍備増強、アフガニスタンへの軍事介入、ポーランドの情勢等により困難な局面にありますが、政府としては、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、両国間の真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを対ソ外交の基本と考えており、引き続きソ連に対し、北方領土問題を初めとする日ソ間の問題の解決に粘り強く働きかけていく所存であります。
 韓国との関係について御質問でございました。
 わが国と最も近い隣国である韓国との関係は、幅広い国民的基盤と、より深い相互関係の上に築き上げていくことが肝要であると考えます。御指摘のように、人物交流等日韓間の各種の交流を強化していくことがぜひとも必要であります。また、最近民間レベルで日韓交流強化のための基金設置等の構想があると聞いておりますが、政府としてもこのような動きを歓迎するものであり、側面からの協力を行いたいと考えております。
 韓国に対する経済協力については、現在、経済的、社会的諸困難に直面しつつ新五カ年計画を着実に実施するために努力しておることに配慮し、わが国の経済協力の基本方針のもとに、できる限りの協力を行っていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は、内需の拡大をどう進めるか、こういうことでございますが、内需拡大策を申し上げます前に、経済運営の背景について一言申し上げたいと思います。
 第二次石油危機が起こりましてことしは三年目になりますが、ようやく石油の需給関係は安定の方向に行っておると思います。それから同時に、世界各国政府並びに権威ある国際機関の発表を見ますと、世界経済は昨年からことしの前半にかけてが一番悪い状態である、しかし、ことしの後半から順次回復の方向に向かうであろうと、こういう見通しが出ておるのでございます。
 そういうことを背景といたしまして、日本といたしましては、内需拡大のために、まず第一に物価の安定政策を強力に進めてまいりたいと思います。消費の拡大のためにはいろいろ条件がございますが、やはり物価の安定ということが何よりも必要である、このように考えております。
 また、公共事業の事業量の確保のためには五十七年度の予算ではいろいろの対策が講ぜられておりますが、あわせて、予算が国会で成立をいたしました暁におきましては、これを機動的に運営することにいたしております。
 また、在庫調整はようやく終了したと私どもは考えておりますが、この春以降在庫投資もある程度回復するであろう、このように考えます。
 また、金融政策につきましては、これを引き続き機動的に運営することにいたしておりますが、そのことによりまして民間の設備投資の拡大を図っていきたい、このように考えております。
 住宅政策につきましては、住宅金融、土地の供給拡大、中古住宅の建てかえ政策、こういう政策を積極的に進めることにいたしておりますが、これによりまして住宅投資はかなり回復に向かうのではなかろうか、このように判断をいたしております。
 また、現在の景気低迷から各方面に跛行性が見られます。ばらつきが見られるわけでございますが、そのために個別業種対策を強力に進めることにいたしております。
 また同時に、中小企業あるいは農林水産業、こういう業種に対しましては特別のきめ細かい配慮が予算案で示されておるのでございます。
 以上のようなことを総合的に進めることによりまして、内需の拡大によりまして、政府の経済成長見通し五・二%達成のために全力を挙げる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔にお答え申し上げます。
 財政の担うべき役割りを原点に立ち返ってもう一遍見直したらどうかと。全くそのとおりでございまして、余りつけ加えることはございません。財政制度審議会等におきまして財政の関与すべき分野に関する報告というものがなされておりますが、その中でも同じようなことが説かれておりまして、やはり高度経済成長時代には何でも財政依存でやれということで、それがいまもつながっておって、なかなかこれは制度化、慣行化したので切り切れないというのが実情でございます。これはこのように安定成長の中に入ったときでございますから、もう一遍原理原則に立ち返って抜本的に見直す必要がある、私も同感でございます。
 その次は、この経済社会情勢の変化に対応して、これから財政に余裕がなかなかない、一方高齢化社会が進む。老齢化社会が進みますから老人がふえる、老人がふえれば年金がふえる。年金がふえるばかりでなくて病気もふえて医療費がふえる。これは本当にそういうことになって、その一例を取り上げましても、これから財政支出はある部門では着実に増大せざるを得ないという面もございます。そういうときに当たって、景気、不景気で税収がうんとふえたり減ったりするような直税中心主義ということで果たして大丈夫なのか、こういうような心配は元来税制学者の中にもあるわけでございます。
 藤田先生のおっしゃるのは、直間比率という問題でそういう点はどうなのかというお話でございますが、これは昭和九年から十一年までは日本も六五%は間接税で賄っておりました。昭和二十五年から四十年ごろまでは、大体四五から四〇%ぐらいは間接税でやっておりました。それから非常に景気がよくて所得税、法人税がどんどん入るというような状態になりましてから間接税の比率がどんどん落ちてまいりまして、昭和五十六年度では二八・六、五十七年度は二七。この調子でいけば、もっと二五とか四とか、だんだん落ちていくのじゃないかという見通しでございます。
 したがって、アメリカなんかはこれは特別で、ほとんど所得税と法人税でございますが、地方は別ですよ。イギリスは約四〇%が間接税、西ドイツは四七・八%が間接税、フランスは六〇%が間接税という状況でございますので、こういうふうな過去の日本の歴史、世界の先進国の直間比率というような問題については、どちらかに偏るということも余りいいことではないのじゃないかと思うのでありますが、これはなかなか、国民の理解と協力を得なければ大蔵大臣といたしましては軽卒に何とも申し上げられないわけでございますが、今後真剣に国民の皆様と一緒に検討してまいりたい、さように考えております。(拍手)
#15
○副議長(秋山長造君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○副議長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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