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#1
第096回国会 本会議 第9号
昭和五十七年三月十九日(金曜日)
   午後五時四十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
    ―――――――――――――
  昭和五十七年三月十九日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 法人税法の一部を改正する法律案及び租
  税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 第二 国務大臣の報告に関する件(昭和五十七
  年度地方財政計画について)
 第三 地方税法及び国有資産等所在市町村交付
  金及び納付金に関する法律の一部を改正する
  法律案並びに地方交付税法等の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 中山太郎君、鳩山威一郎君からいずれも海外旅行のため九日間請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) 日程第一 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、法人税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 法人税につきましては、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、法人税制の整備合理化を行うことといたしております。
 まず、法人税の延納制度について、縮減の措置を講ずることといたしております。
 また、適格退職年金契約の範囲に、全国共済農業協同組合連合会が締結する生命共済契約を加えることといたしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、租税特別措置の整理合理化、交際費課税の強化を行う一方、長期安定的な土地住宅税制を確立するとともに、土地供給及び住宅建設を促進する等の見地から、土地住宅税制について所要の措置を講ずる等の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行い、価格変動準備金制度について、価格変動の著しい物品以外の物品を対象から除外するほか、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。
 第二に、交際費課税制度につきましては、今後三年間の措置として、中小規模の企業に対する定額控除を残した上、交際費の全額を損金不算入とし、課税の強化を図ることといたしております。
 第三に、土地住宅税制につきましては、土地譲渡所得の長期、短期の区分を所有期間が十年を超えるかどうかによることとし、長期譲渡所得については、特別控除後の譲渡益四千万円超の部分を二分の一総合課税とするほか、所有期間十年超の居住用財産について買いかえの特例制度を創設する等の措置を講ずることといたしております。
 第四に、同居の特別障害者について五万円の特別控除を認めることとするとともに、年金形式で支払いを受ける一定の勤労者財産形成貯蓄の利子等については、退職後も引き続き非課税とする措置を講ずることといたしております。
 第五に、国際科学技術博覧会出展準備金制度を創設するとともに、適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長するほか、所要の改正を行うことといたしております。
 以上、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。穐山篤君。
   〔穐山篤君登壇、拍手〕
#8
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 まず、わが国の財政の現状は八十二兆円の国債残高を抱え、その元利償還のため、歳出の六分の一にも及ぶ七兆八千三百億円に上る国債費を計上せねばならぬ現状にあります。この国債費は、赤字国債の償還が始まる昭和六十年度には十兆円に達し、また昭和六十二年度には国債整理基金は底をつくというまさに危機的な状況にあります。しかも、急速な高齢化社会の進展や、エネルギー資源の制約、貿易摩擦などへの対応など、わが国経済社会は従来以上に財政への需要が増大し、あわせて財政機能の有効な発揮を必要とするでありましよう。
 国民は、当面しております諸問題につきましても、政府の対応に大きな疑念と不安を持っておりますが、中長期にわたってどのように対応していくのか。今後の財政運営はわが国が抱える最重要な課題であります。政府の責任と将来にわたる財政運営の基本理念について、まず明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 すでに昭和五十六年度補正は、三千七百五十億円の赤字公債追加の発行を含めて成立いたしました。政府はこの補正をもって十分足りるとしておりますが、この見解には国民は何としても納得するわけにはいきません。
 まず、国民に公約をしました実質成長率五・三%は、昨年十月から十二月のマイナス成長により、いまや四・一%を割り込む状況にあります。加えて、わが党が再三指摘をしてきましたとおり、歳入欠陥は一兆四千億円をも超えようとしております。明らかに政府の財政運営の失敗と言わざるを得ません。総理は何を根拠に五・三%の達成は可能だと信じたのでありましょうか。また、最終的な見通しは幾らになると思うのか、はっきりさせていただきたいと思うわけであります。実質成長率の大きな落ち込みや巨額の歳入欠陥などに対し、総理はどのように政治的責任をとられるのか、この際、明確な答弁を要求をするものであります。
 政府は再補正をしないと明言しておりますが、この一兆四千億円を超える歳入不足額の補てんの方法についてどういうふうに考えておるのか、具体的に御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 次に、減税問題についてお伺いをいたします。
 われわれ野党は、一兆円減税について財源を明示して政府に要求をいたしました。減税要求は天の声であったにもかかわらず、総理が決断をしなかったことはまことに遺憾であり、総理の優柔不断は国民の大きな不信を買ったものと言えます。なぜならば、各家庭は生活の合理化を余儀なくされております。また、個人消費は伸び悩み、中小商工業者の中にはすでに倒産が起きております。また、失業者の増加などは明らかに可処分所得が大幅に落ち込んでいるからであります。可処分所得の減少は内需の不振に一層拍車をかけている現状であります。
 先日の減税に対する衆議院議長の見解提示後も、総理は五十七年度を含む減税を決断しているのかどうか全く不明であります。いかなる理念をもって対処されようとしておりますか。総理はしばしば行革は天の声と言われますけれども、いまや所得税の減税、地方税の減税こそが天の声であります。大幅減税せずしてどうして内需拡大型の景気回復が望めるでありましょうか、その点はっきりしてもらいたいと思うわけであります。
 今日まで政府は、われわれの減税要求に対し、財源がないと常に主張しておりますが、たとえば貨幣回収準備金やあるいは外国為替特別会計などからの繰り入れによる財源捻出も可能ではないかと考えますが、この点について明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 なお、わが党は、去る二月二十三日、所得税の物価調整制度に関する法律案を衆議院に提出いたしました。この法律案は、まず物価上昇に伴う名目所得の増大による所得税の負担の増加に対応するため、所得税について物価の上昇に応じ所得控除の額などの改定を行う制度で、よって所得税の負担の適正化と公平化を図ることを目的とするものであります。すでに五年にわたりまして所得税の物価調整が行われず、課税最低限が据え置かれたままであり、毎年の巨額の自然増税の大部分は勤労者の負担となっているわけであります。さきに当面の減税問題の実施について述べたとおりでありますが、所得税の物価調整を政府の恣意的裁量にゆだねることなく、明確に法律による制度として確立するものであります。
 周知のごとく、わが党と同様の所得税の物価調整制度は、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、イギリス、オランダ等、先進国あるいは発展途上国を問わず実施され、いまや世界の常識となっているわけであります。国民は、わが党が提起しました物価調整を強く支持しております。少なくとも世界の仲間入りは、まず所得税の物価調整制度を採用することと確信しておりますが、総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、経済見通しについてお伺いをします。
 昭和五十五年度実質経済見通し四・八%に対し三・七%の実績でありました。五十六年度は五・三%に対し四・一%以下の実績見込みが想定されております。このような苦い体験にもかかわらず、政府は五十七年度実質経済成長率を五・二%という高い指標としておりますが、これは過去の経済運営の失敗を十分検証していない証拠である。OECD並びにわが国民間機関は、いずれも現実的数値として最高でも四%前後であります。明らかに作為的な指標と思いますが、総理は本当に五・二%の達成が可能と考えておられますか。外需によるもの、あるいは内需にわたる算定の根拠をこの際明示をしていただきたいと思うわけであります。
 特に、雇用者の所得の増加は、政府や財界の抑制措置によりまして、伸び率は今年七%以下が想定されております。内需の振興はどの分野でどうやって成長を見込むつもりなのか、納得のいく答弁を求める次第であります。
 さらに、アメリカの一〇%近いインフレ、そして一五%前後の高金利政策は、わが国を初めEC諸国に重大な悪影響を及ぼしておりますが、この際政府は断固としてアメリカに対し注文をつけるべきではないかと考えますが、明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
 総理府の税金に関する世論調査の集計を見るまでもなく、国民は重税感とともに不公平に対し強い不満を表明しております。今回の租税特別措置の整理合理化は、不公平税制是正の一環とは考えます。しかし、私は、さきの行革国会におきまして、税制上の不公平、執行上の不平等などについて具体的に指摘をしました。あわせて歳入対策につきましても政府の再検討を強く求めましたが、今回の改正を見ておりますと、全くそれらに十分にこたえておりません。政府は今回の改正によって不公平税制は一段落したと考えているのかどうか。もしさらに再検討するというお考えであるならば、どの分野を改正なさろうとするのか明示をしていただきたいと思うわけであります。
 次に、今回の税制改正によります延納の縮減は、大企業に比べ資金調達力の弱い中小企業経営者に大きな打撃を与えることは必然であります。大企業からは長期の手形を渡され、担保力も少なくなっており、かえって滞納者がふえ、企業倒産に拍車をかける懸念がいたしますが、大蔵大臣並びに通産大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、土地税制の改正でありますが、今回多年の懸案に着手いたしましたが、相変わらず根本的な土地政策を持たず、あめとむちの税制で解決しようとしております。
 問題はその内容であります。税制改正によって宅地供給の促進を図り、住宅建設を期待している模様でありますが、その効果は宅地転用面積のせいぜい一〇%程度であり、それも遠隔地となることは必然であります。これでは、宅地の需給ギャップを解消し、地価を安定させるにはほど遠い供給量ではないかと考えます。宅地供給の見通しがないまま持ち家需要をあおっておりますのは、再び地価の高騰を招きかねないと思うわけであります。現に、住宅のセールスマンは、土地税制が改正されるならばまた地価が上がります、買うならいまですとあおっているではありませんか。かえって大口土地所有者の譲渡所得について軽減を図るものであり、税負担についての不公平を拡大すると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 なお、最近、住宅・都市整備公団や各地の住宅供給公社などが、庶民には容易に手の届かないほどの四、五千万円もする高級住宅の供給を行っておりますが、明らかに官民の責任分担を無視した不当なやり方ではないかと考えるわけであります。
 次に、グリーンカードについて質問をいたします。
 周知のとおり、この制度は、利子所得の分離課税制度による不公正を是正する目的で制度化されたものであります。ところが、五十九年実施の延期とか、導入に際して高額所得者層の税負担軽減のための税率変更などのうわさが出ています。また、総合課税そのものを否定する意見も出ています。長年の審議の結果制定されたものであり、朝令暮改であってはならないと思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いします。
 また、大蔵大臣はしばしば、直接税、間接税のいわゆる税率構造について言及をしておりますが、それは直接税構造を広げるものであるのか、あるいは直接税のシェアを是正する見地から間接税の見直しを考えているのか、一体本音はどこにあるのか全く明瞭でありません。この点について明確に考え方を明らかにしていただきたい。
 最後に、総理は財政再建のため大型間接税の導入はしないと公約をしてまいりました。しかし、その後政府部内には、たとえば所得税減税などとの抱き合わせで大型間接税導入をほのめかす意見もある模様ですが、はなはだ不見識と言わなければなりません。「所得税の減税」「増税なき財政再建」は、あくまでも行財政の徹底的な見直しと、不公平税制の是正を根本理念とすべきものと考えます。改めて、大型間接税は導入しないという公約を明らかにするよう総理に求めて、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 わが国財政の現状は、穐山議員が御指摘されましたとおり、きわめて危機的症状を呈しておりまして、しかるがゆえに、私は内閣総理大臣就任以来、財政の再建を最も緊急の政策課題としてこれに取り組んできているところであります。すでに五十六年度当初予算において二兆円、御審議願っている五十七年度予算において一兆八千三百億円の国債減額を行いましたが、なお五十七年度においては十兆四千四百億円の公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 第二次石油危機が世界経済に与えた深刻な影響下にあって、財政再建を貫くには種々の困難が伴いますが、政府の当面の基本方針である五十九年度特例公債依存からの脱却を達成すべく全力を傾注してまいる決意であります。高度成長時代の惰性を脱却し、簡素で効率的な政府を目指すことは、わが国経済の長期的かつ安定的な発展と国民生活の安定のためどうしても必要なことでありますので、国民各位の御協力をお願い申し上げます。
 次に、五十六年度の経済見通しに関するお尋ねでありますが、世界経済の停滞が長引くに従いまして、海外需要の落ち込みが急であり、五十六年十−十二月期の実質成長は前期比マイナスとなりました。景気の回復テンポは依然として緩やかなものとなっており、五十六年度の成長率は実績見込みの四・一%を実現することがきわめて厳しい状況であります。
 一方、五十七年度におけるわが国の内外経済環境は、第二次石油危機直後の五十五年度、五十六年度に比べて好転するものと見込まれ、また五十七年度予算では、限られた財源の中で景気の維持拡大に種々配慮しているところであります。明年度の公共事業等の上期執行につきましても、過去最高の七五%以上とすることで各省間の検討を進めているところであります。
 したがって、五十七年度の実質経済成長率の見込み五・二%程度は、今後適切な経済運営のもとで達成可能であると存じますので、御指摘のように所得税減税による景気対策を講ずることは当面考えておりませんが、いずれにせよ、所得税減税の問題は、今後、予算成立後直ちに設けられることとされている衆議院大蔵委員会小委員会で、中長期的な観点に立って所得税減税を行う場合における税制の改正並びに適切な財源等について検討されるものとなっておりますので、国会の御決定についてはこれを尊重してまいります。
 所得税の物価調整制度を採用するようにとの御提案でありましたが、確かにそのような制度を導入している国もありますが、わが国とは国情も異なりますし、また、このような制度自体にも種々の問題が指摘されておりますので、わが国財政が置かれている環境も考え合わせますと、物価調整制度の導入というお考えには賛成いたしかねます。
 最後に、大型間接税は導入しないとの決意を明らかにせよとのことでありましたが、従来から申し上げてきておりますとおり、財政の再建を進めるに当たっては、まず大型増税は考えず、何よりも歳出の節減合理化を第一に考えてまいりたいと存じます。
 以上お答え申し上げましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一兆四千億円を超えると見込まれる歳入不足額の補てんをどうするのか、こういうことでございますが、実際幾らになるかということは、三月の法人の決算、五月以降の締め切り、そういうものが出てみないと、実際のところはっきりした数字はわからないということでございます。仮に歳入欠陥が生じたような場合には、現在ある諸制度等によって適切に対処してまいりたいと考えております。
 それから物価調整減税の問題については総理がお答えいたしましたが、多少補足いたしますと、この制度は、物価が上がれば自動的に減税されるという制度でございまして、これはいろいろ問題が実はございます。結局、インフレを抑制するということについてどうしても甘くなるという欠陥が一つございます。それから、これによってやったところが、はしなくも非常にインフレ率が高い。イギリスなどは、したがって今回は一時中止。ドイツと日本はやっておらない。カナダも、あれだけの国でありながらインフレ率が非常に高い。これはどういう因果関係があるか非常に問題がございます。したがって、われわれとしてはこれを導入するという考えはございません。
 その次は、不公正税制の是正ということで具体的にいろいろ御指摘をちょうだいいたしました。われわれといたしましても、皆様の御指摘を尊重いたしまして、交際費については一定のものを除いて全額課税というようにしてまいりましたし、また企業関係の特別措置につきましても、期限の来たものはやめる、あるいは見直しというようなことで、これも皆さん方の御要求に応じまして極力やってきたわけでございます。貸し倒れ引当金につきましても、金融保険業以外の業種の法定繰入率等の引き下げということをやってまいりました。今後、退職給与引当金あるいはその他の問題について、まだ実施をしていないものもございますが、これにつきましても検討を深めておるところでございます。
 次に、法人税の延納縮減は中小企業に打撃となるというお話でございますが、現在、中小企業の法人もたくさんございますが、個人所得もございます。個人所得との関係上、実際は個人所得とのバランスということから見れば、現行法の方が有利である、法人の方が有利というようなことになっておりますので、これらのバランスも考えまして改正をすることにしたわけであります。この制度ができた昭和二十六年当時は、滞納が非常に多くて四七・九%、四八%近い滞納があったということでございますが、法人の滞納割合の最近の状況はもうまるっきり違いまして、昭和五十五年度は二・二%という滞納率でございます。現在は昔と違いますから、金融も緩んでおりますし、したがって中小企業に大きな打撃にはならない。税金というものは欠損会社からは取っておらぬわけでございまして、収益の高いところ、担税能力のあるところからいただいておるわけでございますから、そういうような点で、特にそれが倒産に拍車をかけるというようなことにはならないと考えております。
 それから土地税制の改正は大口土地所有者の譲渡所得軽減ということで、不公正への拡大じゃないかということであります。確かに今回は八千万円超の部分についても四分の三総合課税というものを二分の一総合課税ということにやったわけであります。しかしながら、問題はこれは政策の問題でありまして、土地を売ってくれなければ住宅が建たないという、どちらを優先するかというような政策問題。住宅政策が重要であるし、景気刺激の点からも住宅が一番波及効果が大きいというようなことも考えまして、これについては政策の優先度ということから、住宅の促進ということを優先的に考えて改正をしたものでございます。そして長期安定的な税制度にしようということであり、仮に土地を買ってそれをほったらかしておくというものにつきましては保有税等をともかくかけて、それについては圧力をかけるといいますか、余り有利にならないように歯どめをかけていく、両面を考えておるわけであります。
 グリーンカードの導入につきましては、実施延期あるいは累進税率の見直し論というようなことを言っているが、どうかということでございます。しかし、政府としては実施延期ということは考えておりません。ただ、私が申し上げましたのは、総合課税をするという場合においては、これは世界じゅうで、アメリカ等も総合課税でありますが、非常に急カーブな最高九三%というようなところまで総合課税という国は実は世界にないわけでございますから、総合課税にする場合には、そこらの点等についてもグリーンカード実施後検討する必要があるのではないか。
 たとえばいま分離課税制度でございますが、三五%。これをやめて総合課税にするということになりますと、七百十万円以上の所得のある方は、郵便局、銀行国債合わせて九百万円、それ以上の部分については三七%というようなことになりますし、一千百万から一千二百万程度の方は五二%ということになりますし、高額所得者になると八〇%ということになります。勤労して税金を取られた残りで貯金をして、それは仮に国債も買ってくれればいいが、国債を買わなかったならば六百万ということになりますが、それ以上仮に百万円銀行預金があれば、それについては利息の半分、いま言ったような方以上ですよ、半分以上が税金というようなことにもなる。したがって、この税率構造については、これは中長期の問題ではあるが、再検討すべきものではないかということを私が申したのは事実でございます。
 それから税の直間比率の見直しという問題につきましては、これは余り直接税にばかり偏るというのはいかがなものか。現在のように、財政を支える税収の約七割が直接税、そのうちの四割が所得税、一方において所得税を減税せよと。しかし、ほとんど所得税と法人税で七割も支えておるわけですから、それを減税するということになれば、どうしたって歳出の大幅カットをしなければならぬというような見合いの問題がございます。しかし、どんどんともかく所得税と法人税だけがふえていって、間接税がだんだんなくなってしまうというようなことで本当にいいのだろうかということを私は申し上げたわけでありまして、これは中長期の問題として、いますぐという問題ではございませんが、みんながどうしたならば税負担の本当の公平が図られるか、そして景気不景気に関係なく社会保障のようなものを守っていくのにはどうしたらいいかということを検討することはいいことではないかということを申したにすぎないわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和五十六年度の経済成長目標についてお話がございましたが、当初五十六年の目標を五・三%に設定をいたしましたが、これは四十五年基準にしておったのでございます。その後、五十年基準にこれを改めましたので、五・三%は四・七%になりました。中身は全く一緒であります。さらに、経済情勢の変化に応じまして、昨年の秋、成長目標を四二%に修正いたしましたが、先ほど総理からお話しのように、現在はこの目標を達成することはきわめて厳しい状態になっておるという現状でございます。
 それから五十七年度は欧米諸国よりも非常に高い水準に目標を設定しておるではないか、こういうお話でございますが、私どもは、欧米諸国に比べまして、物価、失業率、それから労使関係、貯蓄率、金利水準、生産性、こういう分野ではるかに条件はいいと考えております。したがいまして、欧米諸国に比べまして当然高目の成長はできる、このように判断をいたしておるのでございます。その欧米諸国も、御案内のように各国政府並びに権威ある国際機関の見通しを総合いたしますと、ことしの後半は三%強の成長になる、こういう見通しを発表しておるところでございます。わが国といたしましては、物価が引き続いて安定しておりますし、一番大事な在庫調整、これはもうすでに現時点で完全に終わったと考えております。そういうことを背景といたしまして、今後引き続きまして適切な経済運営をすることによりまして目標を達成したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(安倍晋太郎君) 法人税の延納縮減が中小企業に大きな打撃となって企業倒産に拍車をかけるのではないかというお尋ねでございますが、法人税の延納制度の縮減によって中小企業者の資金繰りに与える影響は、先ほど大蔵大臣も答弁をいたしましたように、制度の創設当時と比較して金融事情が非常に好転しておる、こういうこともございまして、全体としてはそれほど大きいものではないと考えております。しかしながら、延納制度の縮減によりまして今後中小企業の経営に支障が生ずるような事態になりますれば、個々の中小企業者の実情に応じて必要な資金の確保に一層の配慮を払うように政府系中小企業金融機関を指導してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣始関伊平君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(始関伊平君) 私に対するお尋ねは、土地税制改正の効果についてでありますが、現行の土地税制の基本的部分は、昭和四十七、八年当時の異常な土地投機の状況を背景に整備されたものでありますが、このような投機が鎮静化した今日においては、これが土地の流動化を阻害し、近年の宅地供給停滞の一因となっていると考えられます。このような状況を踏まえて、今回の土地税制改正は、良好な住宅宅地供給の促進、住みかえの促進等の見地から、個人の譲渡所得課税の改善を初め所要の改善を図ることとしたものであり、これらの改正による効果については、経済情・勢等の影響もあり、数量的に言うことはむずかしいと思いますが、土地の流動化の促進を通じて住宅宅地供給の促進に相当の効果を上げるものと期待いたしております。
 次に、公団や公社等が高級住宅を供給していることについてのお尋ねでありますが、住宅・都市整備公団及び地方住宅供給公社の分譲住宅価格は、中堅勤労者に対して適切な住居費負担で良質な住宅を供給することを目的といたしておりまして、例外として特別な事情のある場合のものを除きまして、全体的には施策の目的に沿った適正な価格水準を維持しているところであります。今後とも、このような考え方の上に、適正な価格の維持に努力してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(徳永正利君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#15
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました二法案について質問をいたします。
 政府は、五十六年度、財政再建を口実に物品税など一兆四千億円の大増税、所得税減税見送りによる実質増税、公共料金の値上げなどの負担増を国民に押しつけたのであります。その結果、国内消費は停滞し、加えて外需すなわち輸出の伸びも落ち込んできており、当初目標五・三%の実質成長率も低下を余儀なくされ、結果、五十六年度の税収は大幅に不足が生じることが憂慮されています。
 大蔵省の発表によれば、昨年四月から今年一月までの十カ月間の税収累計額は対前年同期比一〇・五%増で、五十六年度補正後の見込み一八・五%増より八ポイントも下回っております。このままでは年度末には一兆円をはるかに超える税収不足が生じるものと推定されます。自民党首脳の中にも、「もし今年度税収が当初比一兆円も不足すれば政治責任の問題である」との発言もされております。財政再建の破綻とも言うべき異常事態に対し、総理は政治責任をどう考えているのか、お伺いしたい。
 また、今年度の税収が最終的にはどの程度の不足になると予想しているのか。さらに、今年度の実質成長率はどの程度と予想しているのか。大蔵大臣、経企庁長官にお尋ねをいたします。
 政府は、五十九年度赤字国債脱却という財政再建目標の達成には、年間四、五%以上の実質成長と、年間四、五兆円以上の自然増収があることが大前提であると言明してきました。今日までは内需の低迷を辛うじて外需すなわち輸出の伸びでカバーしてきましたが、厳しい対外摩擦の状況で今後輸出の伸びは期待できず、財政再建の大前提となる経済成長と税収増が現状のままでは困難ではないかと憂慮するが、経企庁長官のお考えを聞きたいのであります。
 政府は、民間各機関の予測よりもはるかに高い昭和五十七年度実質成長率五・二%を目標とし、その達成のため公共事業七五%の前倒しをやろうとしておりますが、五十七年下半期は一体どうなるとお考えか、あわせて経企庁長官にお尋ねをいたします。
 政府は国民の強い要望である所得税減税を四年連続見送り、その結果、収入を完全に把握されている給与所得者に実質増税が集中していることは何人も認めるところであります。物価上昇に伴う実質増税は、少なくとも五年間で約三兆五千億円に達すると言われています。税負担の増加は中低所得者層においてその伸びが高くなっており、国民の生活をますます圧迫していると言えます。日本経済の発展を支え、消費の大半を占めてきたのは、国民の大半を占める給与所得者であります。この階層が所得税減税の連続見送りのために将来への明るい展望を失い、財布のひもをかたく締め、自己防衛を余儀なくされ、結果は不景気を拡大していると言わなければなりません。総理府の家計調査は、実質消費支出と可処分所得が二年連続のマイナスとなっていることを示しております。
 一兆円減税の問題は、衆議院議長見解で、五十七年度実施の方向で一応の解決を見ましたが、財政再建達成のための大前提である経済の成長を確保し、かつまた実質増税による国民生活の圧迫を避けるためにも、野党がこぞって要求してきた一兆円減税を五十七年度に実施するための財源確保にどういう対策をお考えであるのか、総理大臣にお尋ねをいたします。
 私たちは、補助貨幣回収準備金の一般会計への繰り入れ、外国為替資金特別会計からの一般会計繰入額の増額、公社有資産所在市町村納付金の改善等を主張しております。大蔵大臣、自治大臣のこの問題についての御意見を伺いたい。
 次に、租税特別措置法の改正案について伺います。
 今回の土地譲渡所得税の軽減措置は、給与所得者の実質増税をよそに、一部の土地保有者のためにのみ行われる減税措置であり、税の不公平のみが拡大されるだけに終わるのではないかと指摘されています。果たしてこの措置により土地供給がどの程度促進されるとお考えなのか。また、この措置に伴う減収は幾らになるのかさえ明らかになっておりません。この二点につきまして、先ほどは具体的数値のお答えがなかったわけでありますが、具体的数値をもって建設大臣、大蔵大臣にお答えをいただきたいのであります。
 さらに、税制面と徴税面の不公平についてお伺いします。
 大蔵省は、先日発表した実態調査において、いわゆるクロヨンなど所得の捕捉率の差はなく、税負担の不公平感は税制上の問題に根差している旨の調査結果を発表しております。税制度上に不公平ありとすればいかなる点か、また、この不公平是正をどうするか、大蔵大臣に伺いたい。
 しかし、東京国税局が所得調査をした五十五年度分の申告所得のうち、調査対象三万六千五百八十四人の九三・三%から八百八十三億円が申告漏れになっていることが明らかになっております。こうした実態を見ると、税の不公平は制度上のみの問題とする大蔵省の見解はいかがなものか。これは明らかに執行上の不公平もあると考えられるのであります。大蔵大臣の見解をお聞きします。
 また、現在の個人で約五%、法人で約一〇%の実調率を上げるための税務職員の体制強化、県税事務所との相互協力など、執行面の不公平是正にどう対処するか、大蔵大臣にお聞きします。
 さらに、最近、中小企業の事業承継という視点から、所得課税はともかく、財産課税の相続税の見直しを迫る声が強くなっております。具体的提案として、事業用土地の評価改善、取引相場のない株式の評価方法改善などが挙げられておりますが、この取り扱いについてはどのような御見解をお持ちか、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 最後に、グリーンカード制についてお伺いをいたします。
 長年指摘されてきた不公平税制の是正のためようやく実現したこの制度が、実施を前に反対論が相次いで起こっております。隠すべき財産も持たない大半の庶民にとっては理解しがたいことであります。総理は国会の答弁においても、断固予定どおり実施する御決意と伺っておりますが、これらグリーンカード制反対論の根拠がいかなる点にあると総理は理解されておりますか、お伺いをいたします。
 この問題についての大蔵大臣の今日までの御答弁は、総理とはややニュアンスの異なるものであります。所得税の累進税率の高額所得者の税率を下げるのか、あるいは利子配当の分離課税制度を残すことを考えておられるのか、明らかではありません。私は、このようなはっきりしない大蔵大臣の姿勢がグリーンカード制をめぐる混乱を助長していると言わざるを得ません。
 この制度は、昭和五十五年、共産党を除き全党が賛成をし、不公平税制是正のために決定されたものであり、最近のグリーンカード反対論にはこの不公平是正の代案が示されておりません。私は、不公平税制是正のためには、この制度を予定どおり実施する以外にはないと思うのでありますが、大蔵大臣の御答弁をいただきたい。
 また、グリーンカード制実施が日本経済にどのような影響を及ぼすのか、活力を失わせるおそれ等があるのかどうか、経企庁長官のお考えをお尋ねしたい。
 グリーンカード制についての国民に対する政府の説明が全く不足しており、銀行や証券会社のグリーンカード枠獲得競争等で無用の混乱を生じることが懸念されます。大蔵大臣は今後国民にどのようにPRをしていくのか、このお考えをお聞きし、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、歳入見積もりの問題でありますが、御承知のとおり、歳入予算は、見積もりを行う時点における利用可能な資料を用いて、最大限の努力を傾けてその道の専門家が見積もりを行っているものでありますが、資料その他いろいろな点で限界があることも事実でございます。お尋ねの五十六年度補正後予算も、そのような限界の中で、できる限り適切な税収見通しを行うべく最善の努力を傾注した結果のものであることを御理解いただきたいと存じます。いずれにせよ、五十九年度特例公債脱却は政府の不動の方針でありますので、その実現に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 衆議院議長見解についてのお尋ねでありますが、私はこれを文字どおり受けとめております。今後、予算成立後に直ちに設けられることとされている衆議院大蔵委員会小委員会で、中長期的な観点に立って所得税減税を行う場合における税制の改正並びに適切な財源等について検討されることになるものと理解いたしております。
 グリーンカード制実施につきましては、税の公平確保の見地から国会の御決定をちょうだいしたものでございまして、政府としては既定方針どおりこれを実施してまいる所存でございます。
 以上お答えいたしましたが、その他の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 五十六年度の税収は最終的にどの程度不足すると予想されるか。これはいろいろ心配はされるわけでございますが、具体的数字で幾らということは、実際問題として申告の締め切り、法人税の三月末締め切り、それから五月申告、そういうものがないと具体的には正直のところわからないというのが現実の姿でございます。
 それから減税財源として補助貨幣回収準備資金の一般会計繰り入れというようなものをやってはどうかということでございますが、これは前にもお答えしたことがございますけれども、確かにそれは日本とか、ベルギーかどとかしかやっておらないということでございますけれども、このことは、たとえば五百円コイン、あれは政府が幾ら発行してもいいわけですから、国会に関係なく発行できるんです、決まれば、額は。したがって、そこに歯どめがなかなかないのじゃないか。いまのように積み立てるということになれば歯どめがかかる。そういう点をどういうふうに評価するのか、そこらのところの少し頭の整理を今後しなければならぬ、そう思っておりまして、減税財源として直ちにこれを一般会計へ繰り入れるということは考えておりません。
 これは、減税というのは一遍やれば永久的なものでございますし、一回こっきりで、やればもう終わってなくなってしまうわけでございますから、来年の財源にならないわけです。そういう点の問題等もございますから、これが一兆円あるから、それで一兆円できた、じゃ来年の一兆円分はどうするのだということになると、またすぐに収入不足ということになるので、慎重に考慮しなければならぬと考えております。
 外為資金特別会計から一般会計への繰入額をふやせということでございますが、為替相場の変動によって保有外貨の巨額の評価損、評価益がしょっちゅう年々発生する、その外為会計の性格から見て、御指摘のような一般会計繰入額の増額はできない、そう思っておるわけでございます。五十六年度の外貨運用益には、米国の異常な高金利から発生した特別な部分が約二千億円相当含まれている。この二千億円の繰り入れであれば、為替変動に対して当面会計の健全性はほぼ維持できるということを考えまして、臨時異例の措置として今回はその二千億円だけを繰り入れたわけで、最大限の額であるというように考えております。
 それから土地税制の改正で減収額が何ぼになるか。これは、土地がいっぱい売られればその分は税金もふえるわけですから、いままでどおりしか売られなければ幾らか減になりましょうが、土地が売られることを前提にして考えておるわけであって、さてそれじゃ幾ら売られるのかと言われましても、これはかなり売られるであろうというように思っておるだけで、数字的には、よけい売られれば税収が少なくとも数でいきますから減らないということになるわけでございます。したがって、はっきりした具体的な数字を見込むということは非常に実は困難なわけでございます。
 それから、大蔵省は実態調査の結果、いわゆるクロヨン問題、そういう問題があるのじゃないのか、東京国税局が所得調査をした五十五年度の申告所得の場合、課税対象の三万六千五百八十四人のうち九三%から八百八十億円の申告漏れが見つかった、こういうようなことになればいっぱい出るのじゃないかということでございますが、これは税務調査に行くときは、この人はかなり申告していますという人はみんなはねてしまうわけですから、どうもこれは足らぬな、ほかから見てもうんと低いというのをねらって、主として大部分がそういうのをねらって行くわけですから、したがってそれは出てくる。ですから、ねらわれた数字をもって一般の善良な人までも全部脱漏があるというようにはわれわれ考えておらないわけでございます。
 それからサラリーマンと事業所得者との税負担の負担感の差が制度上あるのじゃないか、その是正はどうするということでございます。これは、サラリーマンと事業者というのは、大体サラリーマンが一人で働いている、隣の魚屋さんは夫婦子供三人で働いているというときに、仮に法人成りしておると所得が分散される。片方は一人で働いているから一人だけの所得で高い税率がかけられる。したがって、一人一人の税金を見ると、非常に同族会社みたいなところの従業員といいますか、主人公というものはサラリーマンより安い、そういうようなところでそういうことが言われるわけでございます。これは税法上みんなそれらの人がサラリーマンになっているというところに問題があるわけでございます。なかなかサラリーマンになるなということは言えないし、非常にむずかしい実は問題でございます。
 それから所得税や法人税の実調率を高めるために県税事務所との相互の執行面での協力というようなことをやらせよ。これは本当に貴重な御意見でありまして、われわれといたしましても、地方団体、民間団体等の協力関係は今後ともどんどん推進していくつもりです。
 それから情報収集のためのコンピューターの活用とか、青色申告の普及とか税務相談とか広報、そういうようなことも進めてまいりたい。
 要員の確保の問題につきましては、これはできるだけわれわれといたしましても、中のやりくりで税務署の税務関係の増員を、ほかを削っても税務関係の方へ回すということはことしもやってきておるわけであります。しかし、これからは、非常に脱税というものが知能犯的になっておるわけでありますから、人だけふやしたら大口脱税が見つかるというものでもありません。したがって、それと同時に非常に勉強をさせて、もう知恵比べになっておりますので、コンピューターの勉強とかあるいは国際の租税の勉強とかそういうようなことをうんとやらして、大口、悪質というものを重点的にねらってやるようにしてまいりたい、そう考えております。
 それから中小企業の承継税制という問題につきましては、取引評価もないし取引市場もない同族会社の株券の評価について、大手企業は市場で見る、同族会社は財産を時価で評価して株数で割り算して出す、不公平じゃないか、これはその限りにおいてはこういうような御主張があるのです。あるのですが、一方、それでは純然たる個人で事業をやっているという人と、同族会社組織にしてやっている、株価にしないという人との間で、株の方だけを値下げしてしまえば、軽く評価してしまえば、個人の企業の方と不公平になる、こういうような問題もございます。
 農業は、土地の評価だけについては特別な扱いをしているのじゃないかという御主張があります。これは、農業振興地域というようなところでは自分のものであっても自由に転売はできない、壊廃はできない、かなり社会公共的な制約をかけられておりますし、またもう一つは、日本の農業政策上土地の細分化、次男、三男にみんな共有相続で分けてしまうことは困るというような大きな政策目的でやっておるわけです。問題は、じゃ東京都内の農地まで何でそんなことをやっておるのか、そういうような問題につきましてはいろいろと今後検討してまいりたいと思います。
 グリーンカードの実施の問題でございますが、これにつきましては、確かに御指摘のようにPRが足らない、実際は九百万も持っていないのだけれども、よくわからないで、みんな税務署に調べられるのじゃないかというような非常に不安を持っているという層のあることも事実でございますから、今後そういう点については不安のないように努力をしてまいりたい。
 それから税率区分を直すというのか、分離課税を置けというのかという御質問でございますが、私といたしましては、これは総合課税にするためにつくった制度でありますから、総合課税にするという法律どおりでいいと、そう思っております。ただ、税率の問題は、将来所得税を直す場合においてはやはり税率構造の区分というものについても、先ほど言ったように、勤労をして仮に稼いだ利息、その利息について高率課税が行われるという現在の税率構造そのままでいいというように私思っておりません。一千万円になりますと四四%ぐらい地方税、国税両方でかかるわけでありますが、一千万円というのは昔は高額所得者だけれども、現在は本当に高額所得者というのかどうか、これらについては研究を要する問題があろうと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(河本敏夫君) 新経済社会七カ年計画というのは、昭和五十四年から六十年までの計画でございます。この間、平均いたしまして実質五・一%の経済成長を続けていこうということでありますが、毎年事情が違いますので、ある年は五・一%以下、またある年は五・一%以上と、こういうこともあろうかと思いますが、七年間おおむね平均いたしましてこの水準を達成したい、こういう目標でございます。
 これは、この程度の成長をすることによって国民生活を向上させ、わが国が国際経済社会に貢献していく力を維持していこう、こういうことが内容になっておるのでございますが、さて初年度、五十四年度におきましては、ほぼ目標どおりの成長が達成できたのであります。しかし、五十五年、五十六年は、第二次石油危機のきわめて深刻な影響がございまして、なかなか目標を達成することがむずかしい状態になったのでございまして、五十五年度につきましては三%台に落ち込んでおります。五十六年度につきましては四・一%という目標を掲げておりますが、現時点ではこの達成もきわめて厳しい状況になっておるのでございます。五十七年度につきましては、第二次石油危機の深刻な影響もだんだんと調整の方向に向かっておりますし、在庫調整も現時点ではほぼ終わったと私どもは考えております。そこで、わが国経済のすぐれた幾つかの点を生かしまして、適切な経済運営をすることによりましてこの目標を達成したい、このように考えておるところでございます。
 なお、グリーンカードの影響をどう考えるか、こういうお話でございますが、この経済効果につきましてはにわかに判断できないと思います。影響ありといたしますならば、一番の問題点はわが国の貯蓄率にどのような影響が出てくるか、こういう点でなかろうかと考えております。(拍手)
   〔国務大臣世耕政隆君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(世耕政隆君) 一兆円減税のうち地方税の方での減税の財源として、専売公社、国鉄、電電公社に係る国有資産が所在する市町村交付金及び納付金の見直しで財源がかなり出てきはしないか、こういう御質問でございました。
 まず第一番目に、電電公社などの三公社に係る市町村納付金については、公社が有している公共的性格などから、二分の一に軽減する特例措置が設けられております。
 二番目に、この二分の一の特例措置については、制度創設が昭和三十一年でございまして、以来かなりの年数を経過しているので、また一方では、地方団体からもこれの廃止について強い要望がございます。そんな点から、長期的な観点に立って、地方税源充実の一環としてその見直しを検討する必要があると考えております。
 仮にこの特例措置を廃止した場合には、昭和五十七年度分としておよそ八百六十億円程度の増収が見込めます。しかしながら、すでにもう各公社は昭和五十七年度の収支計画を樹立済みでありますので、明年度の財源対策として取り上げることは困難であると考えております。なお、この八百六十億円の増収を確保するためには、巨額の赤字を抱えているところの国鉄についてもその特例措置を廃止せざるを得ないのでございますが、これは現実問題としてきわめて困難と思われます。(拍手)
   〔国務大臣始関伊平君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(始関伊平君) 現行の土地税制の基本的部分は、昭和四十七、八年当時の異常な土地投機の状況を背景に整備されたものでありますが、このような投機が鎮静化した今日においては、重課税などを含む現行税制は土地の流動化を阻害し、近年の宅地供給停滞の一因となっていると考えられます。このような状況を踏まえ、今回の土地税制改正は、良好な住宅宅地供給の促進、住みかえの促進等の見地から、個人の譲渡所得課税の改善を初め所要の改善を図ることとしたものであります。
 もちろん、税制改正だけで土地が出てくるわけではございませんので、土地の税制改正とあわせて、たとえば公的・民間金融機関による計画的な宅地開発の推進、土地区画整理、都市再開発事業など土地有効利用の推進、それからいわゆる線引きの見直し等もございますが、その他の政策手段とこの土地税制の改正とをあわせて行うことによって、数量が具体的にどうかとおっしゃいましたが、これは経済情勢等の関係もございますので正確にはっきり申し上げることは困難でございますけれども、かなりな土地の供給の増加を期待し得るものと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(徳永正利君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#22
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました両改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 五年連続減税見送りによる所得税の国民負担は、総額八兆四千億円、納税者一人当たり実に二十万円の負担増となり、加えて社会保険料、公共料金の値上げなどが国民の消費支出を大きく圧迫し、これが今日の不況の最大の原因であります。これは、河本経企庁長官が「景気回復のおくれは実質可処分所得がふえず、消費が伸びないからだ」と答弁しているように、政府みずから認めざるを得ないところであります。したがって、一兆円減税は正当かつ当然の要求であり、政府の責任において実施すべきことであります。
 わが党は、軍事費一兆円以上の削減、大企業補助金や大型プロジェクト、産業基盤投資の削減、大企業、大資産家優遇の不公平税制の改革等によって財源を確保し、これにより、一兆円減税を初め福祉や教育条件の充実改善など、国民生活擁護の施策を進めるための三兆六千億円規模の予算組み替え案を示し、政府にその実現を求めました。しかるに政府は、不当にもわが党以外の五会派と自民党との合意を盾に、参議院での予算審議に際しても、「衆議院大蔵委員会の小委員会審議の結果を尊重する」と言い張るのみであります。これは実質的に参議院における減税審議の拒否ではありませんか。参議院軽視であって断じて許すことはできません。参議院軽視は、昨十八日の渡辺大蔵大臣を初め、各閣僚の予算委員会における態度からも明らかではありませんか。
 総理、五十七年度減税の実現は、わが党組み替え案を誠実に検討すれば可能です。本年当初予算において一兆円減税という国民の要求にこたえる意思ありや否や、総理の答弁を求めます。
 渡辺大蔵大臣は、三月十一日の予算委員会で小笠原議員に、「野党が一切増税を考えないというなら減税できない」と答弁しました。増税を認めなければ、五十七年も、また五十八年以降も所得減税はできないということですか。それとも、減税要求につけ込み、大衆負担の増税をしようというのですか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 政府は、減税など国民の切実な諸要求に対し、「財源がない」の一点張りでありますが、さきに述べたように、軍事費削減や大企業優遇税制の是正など財源はあります。大企業がもっぱら利用している海外投資損失準備金、試験研究費の税額控除、技術等海外所得の特別控除などについて、その適用期限は今年限りで終わるにもかかわらず、本改正案では、これらについてほとんど手直しもなく、わざわざ延長しています。また、引当金についても、各業界のトップ企業二十八社の退職給与引当金の今年度末積立金に対して、実際に退職があり支出したのはわずか一割程度であり、貸し倒れ引当金についてはこの二十八社平均でわずか五%という実績であります。これらの制度は当初の政策目的を離れ、ひたすら大企業の内部留保の拡大に奉仕しているだけではありませんか。
 たとえば三菱重工は、二千三百四十五億円という最大の兵器製造の発注や一千三百二十三億円の輸銀融資を受け、かつYX開発など六十四億円の補助金を受ける上に、優遇税制でさらに六十億円もの税金を免れ、その結果、内部留保は二千六百九十五億円に達していますが、このように大企業には二重三重の恩恵を引き続き与えているのであります。
 大蔵大臣、大企業優遇のこうした特別措置こそ厳しく見直すべきではありませんか。大企業五十社の内部留保は毎年ふえ続け、昨年九月期で十五兆六千億円に達しています。敗戦直後の深刻な資本不足の時代ならいざ知らず、GNP資本主義国第二位の今日、実質大増税など国民犠牲の上に独占大企業の内部留保のための減税措置を温存する必要がどこにあるのですか。総理、いまこそ国民本位の税制に転換すべきではありませんか。政府は、こうした国民の声に押されて、退職給与引当金などの課税強化を検討したものの、財界の企業増税反対の大合唱に屈して断念しました。強い怒りを覚えます。総理、断念に至る経過を説明してください。
 次に、土地税制についてであります。
 かつて政府税調は、地価の上昇が庶民の住宅取得を困難にすることなどを指摘し、これを防止するための総合的な土地政策を確立すべきこと、そしてその中に土地税制の活用を位置づけるべきことを提起したことがありますが、建設、大蔵両大臣の見解はどうですか。
 今回の土地税制の大緩和は、こうした総合的な土地政策の観点がありません。大蔵大臣、これでは大地主や土地投機者を優遇し、不公平を一層拡大させるだけではありませんか。政府は、景気回復のてこを住宅建設に求め、百三十万戸供給を目標にしています。住宅政策はそれ自体重要な政策課題でありますが、政府はもっぱら民間の住宅供給促進をあおるだけで、肝心の需要面、すなわち国民の住宅購入能力を全く無視しています。住宅価格が急騰する一方、所得の伸びが停滞しているため、国民の住宅取得能力はこの数年低下の一方です。経企庁長官、これでは住宅供給はかけ声だけに終わるではありませんか。住宅取得能力の実情はどうか、建設省は正確につかんでいますか。住宅金融公庫の金利や枠の若干の緩和では焼け石に水です。建設大臣、住宅取得能力拡大のための有効な具体策を明らかにすることを求めます。
 次に、大資産家優遇の不公平税制の最たる利子配当の分離課税は、早急に総合課税に移行すべきであります。ところが、渡辺大蔵大臣は、これに関し、高額所得者減税必要論を説き、高額所得者には実際九三%も課税されるかのごとく印象づけたり、重税は勤労意欲を阻害するなどと言っています。しかし、実効税率は地方税も含め最高八〇%であります。かつその税率が適用されるのは、年所得何億という超高額所得者のみではありませんか。正確な答弁を求めます。また、何億という所得を勤労所得のみで得ることはまずあり得ず、土地や株式の譲渡など資産所得が大半を占めるので、彼らの勤労意欲への配慮は不必要です。大蔵大臣、このような億万長者減税の検討はやめるべきではありませんか。
 さらに、総合課税の実施は架空名義の禁止や銀行の預金管理の厳密化などによって可能であることから、わが党はグリーンカード制の採用には反対してきました。すなわち、それはプライバシーの侵害、庶民の資産の国家管理につながり、かつ本来把握すべき高額所得者についてしり抜けになるおそれがあるからであります。問題は、この機会に利子配当の総合課税化をおくらせようとする動きであります。総理並びに大蔵大臣、「グリーンカード制は実施するが、総合課税は延期する」という理不尽なことは断じて許せません。そのとおり確約できますか。
 最後に、税収見通しについて質問します。
 経企庁長官、いま公共事業の七五%前倒しなど急いで景気対策を講ずるようですが、国民の購買力を高めなければこの不況はさらに続くのではありませんか。さらに大蔵大臣、見通しを下回り、今年度の税収不足は一兆円をはるかに超えるのではありませんか。予算補正後の税収見通しの確保ができなかった場合どうするのですか。
 特に、国債整理基金からの借り入れは、借金のツケ回しで、将来の財政を圧迫し、かつ財政の単年度主義を破るものであり、認められません。総理並びに大蔵大臣、このような危険で無責任なことはしないと約束できますか。
 以上明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、減税審議に関するお尋ねでありますが、私は衆議院議長見解を文字どおりに受け取っておりまして、この問題は今後、予算成立後直ちに設けられることとされている衆議院大蔵委員会小委員会で、中長期的な観点に立って所得税減税を行う場合における税制の改正並びに適切な財源等について検討されることとなるものと理解しており、その結果は参議院においても御審議がなされるものであり、参議院軽視との御批判は当たらないと思います。
 なお、昭和五十七年度予算は、今日の厳しい状況のもとできめ細かい配慮を行い、全体としてバランスのとれた最善のものであると確信しており、共産党の組み替え案を受け入れることは全く考えておりません。
 退職給与引当金などの引当金制度は、法人の課税所得を合理的に計算するために設けられているものであり、この制度自体を企業優遇の租税特別措置と考えることは適当ではないと思いますが、その繰入率などにつきましては実態から遊離したものとならないよう今後とも検討を続けてまいります。
 また、租税特別措置につきましては、今後とも社会経済情勢の変化に対応して必要な見直しを行っていく考えであります。
 グリーンカードの問題でありますが、いろいろと議論がなされておりますが、昭和五十五年三月の所得税法の改正によりまして、利子配当課税についての税の公平という見地からこの制度が決定されておりますので、政府としてはこれを実施する方針でございます。なお、この制度が国民に無用の不安や誤解を与えることのないよう、正しい理解を深める努力を重ねてまいりたいと存じます。
 以上お答え申し上げましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 野党が一切増税を認めなければ減税はできない、こういうようなことは減税を種に増税につけ込む気かと、簡単に言えばそういう御質問だと思います。
 問題は、何千億という減税をするのには、その分だけ歳出をカットするか、他の部分で税をふやすか、あるいは借金するか、三つしかないわけですから、借金はふやさない、歳出カットも、何千億というはっきりつかんだものができればいいですよ。できなければ、やはりそれにかわって、皆さん方も要するにいろいろ大企業から取れとかなんとか言っておるわけでしょう。これは言っていることは、やっぱりよけい取るわけですから、小さく解釈すればその部分においてはやはり増税になるわけです。したがって私は、要するに全体として整合性がとれなければならないという意味のことを申し上げたわけでございます。
 それから大企業の優遇税制について、退職給与とか貸し倒れとかその他いっぱいまだ残っているじゃないか、これは大企業奉仕であるという御主張でございます。
 われわれといたしましては、いろいろなそういう御主張があって、貸し倒れ引当金等につきましても、金融保険業を除きこれも改正をいたしておるわけでございますし、その他、目的、の達したものはやめたり、あるいは率を減らしたりして年々見直しをやっておるわけです。これは政策目的でやっているわけですから、全部なくしてしまえと言われましても、それは見解の相違でできません。しかしながら、退職給与引当金については実際の繰入率と引当率との間に差があるではないか、だからこれはもっと見直せという御主張がございます。この御主張については、引き続き検討作業を続けたいということを申し上げておるわけでございます。
 それから大企業の優遇について財界が反対したので企業増税をやめちゃったという経過を説明せよということでございますが、やめちゃったわけでなくて、それは直すものは直す、検討中のものは検討中、やらないものはやらないということをはっきりさせただけでございます。
 土地税制のことでございますが、これは地主や土地投機家ばかりを優遇しているじゃないか。これは八千万円を超えたものは四分の三は総合課税にしますよと。ところが、いま言ったように、いまの税率構造は非常にきつうございますから、四千万円もともかくふえてまいりますと、これはかなり高い総合課税になります。地方税とか何かで七割強の、実効税率でも五割五分以上の税金を取られるわけです。
 したがって、そうなると土地を持っておいた方がいい、売らなくてもいい、固定資産税を払えばいいのじゃないかということになって、半分以上も取られてしまうのではということになって、土地が出てこない。土地が出てこなければ住宅も建てられないということになりますから、これは政策判断の問題でございまして、どちらを優先するかという問題でございます。景気対策あるいは住宅対策という点から、やはり土地を金にかえても半分なくなってしまうということよりも、この際は少しなくなる部分を小さくしても土地の供給をふやした方がいいという政策上の決定でございますから、どちらをとるかということであって、それでは土地を増加させて住宅をふやす、両方とろうということに決めたことでございますから、これはもう見解の相違でございます。
 それから利子配当の総合課税について、大蔵大臣は高額所得者は九三%も取られると言うが、うそじゃないか、大違いじゃないかということであります。これは言い方の相違でありまして、たとえば八千万とか九千万とかというところで仮に百万ふえても、ふえた部分について九三%取られますよ、九十三万円。一千万円ふえると、ふえた部分については九百三十万円取られます。だから、ふえる部分については高率の課税になりますということを私は申し上げたわけでございます。しかし、下の方の部分は安いのじゃないか、したがって総合的に全体の税額では八割です。これも、あなたの言うのも正しいし、私の言うのも正しいということでございます。ふえた部分についてはと私言っているのですから。
 その次は、利子配当を総合課税にせよ、税率構造の緩和は断念すべきだと。高額所得といってもいろいろございまして、ともかくこれは御時勢で、皆さんが所得税減税と言う一つは、課税最低限も五年間動かさないということがございます。したがって、これは実際課税最低限は諸外国から見れば高いのだけれども、五年間も動かさないということも事実だし、それによる重税感があるということもわれわれは認めているのです。したがって、これらについては何かうまいことがないか、方法がないかということで、ともかく大蔵委員会等で少し専門的にすぐ研究してもらおうということになっておるわけでございますから、決して認めていないわけじゃないのであります。
 ただ問題は、この総合課税ということ、全部総合課税に今度はなるわけですから、そういうことになりますというと、たとえば一億とか何億とかというとぴんとこないのですけれども、仮に一千二百万円程度の所得のある勤労所得者、子供二人の標準家庭の場合に、九百万までいいんだといっても、それを知らないで、実は郵便局には余りなかった、国債も持っていなかった、銀行だけともかく五百万持っておったと、定期性預金の話ですから。そうすると、三百万まではそれは免税のことができますが、あとの残りの二百万円あるいは百万円、たとえば百万円でもいいです。七万円の仮に利息が定期でついた。そうすると、仮に千二百万円の人だと今度は地方税もかかりますから、その所得については一千百五十万から一千二百七十万ぐらいの人だと五二%、七万円の半分以上が税金になります。そういう話を私は申し上げて、したがって高額所得というけれども、税率構造の税率区分の問題について、ともかくも高額所得という概念等についても、これは昔と同じく一千万円固定ということはいかがなものかということを申し上げたわけでございます。(発言する者あり)いやいや、それは全部つながっておるわけですから。
 その次は税収の見通しについて、税収不足は一兆円を超えるのではないかというお話でございます。
 この点につきましては、これは額が幾らになるか、税収不足が何兆円、何千億円ということにつきましては、申告の結果がわからないということと、それから法人の決算もまだやっていないというようなことで、よく実際のところわからない。意外といいところはいいんですよ、法人でも意外といいところはいい。したがって、どういう結果になるか。悪いところはともかく去年も赤字だったが、ことしも赤字だったという点もございますし、いいところが伸びているというところもあります。悪いところはもう去年も税収に関係がなかったわけですから、いいところがふえて、どの程度までこれがふえるか、しかし去年税金を納めたところがどれくらい減るか、これについてはまだ具体的にわからないというので、はっきりしたことを申し上げることは残念ながらできないのであります。
 それからグリーンカードの実施時期の問題等については、これはわれわれは法律どおり実施をするという考えでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣始関伊平君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(始関伊平君) 私に対する御質問の第一点は、総合的土地政策の一環としての土地税制改正の位置づけについての御指摘でありました。
 建設省といたしましては、宅地供給の促進等の見地から、従来より各般の宅地供給施策の推進に努めてきたところでございまして、土地税制につきましても、御指摘のように総合的な土地政策の重要な一環として、宅地供給の促進、土地の有効利用、それから住みかえの促進等の見地から所要の改善を図ろうとするものであります。
 しかしながら、土地税制の改正だけでは必ずしも万全な効果は期待できませんので、土地税制の改善とあわせて、一、市街化区域内農地の宅地化の促進、二、公的ないし民間機関による計画的な宅地開発の推進、それから三として関連公共公益施設の整備の推進、それから四といたしましては線引きの見直しと開発許可の適切な運用による宅地開発の推進、五といたしまして都市再開発による土地の有効利用の推進等の諸施策を総合的に推進していく必要があるものと考えております。
 それから第二点は、国民の住宅取得能力の現状とその向上のための具体策についてのお尋ねでありましたが、住宅取得能力については地域差等もあって一概に比較することは困難でありますが、一定の前提のもとで平均的な場合について試算いたしますと、五十五年度は、前年度つまり五十四年度に比べて十数%の低下をしていると見込まれ、これは現在でも余り変わっていないと考えております。昭和五十七年度については、実質所得の回復等が見込まれておることに加えまして、住宅金融公庫を中心とした公的住宅金融の拡充、それから住宅土地税制の大幅な改正等各般の施策を講ずることにより、これはすべて住宅取得能力の補完を図ることとしておる次第でございます。
 五十六年度の第四・四半期の公団の住宅申し込み受け付けば一月末から三月一日まで行われましたが、六万戸の募集に対しまして十一万九千戸といういままでにちょっと例のないくらい多くの申し込みでございまして、政府でもって講じておりますこの取得能力の増加に対する政策がある程度効果を発揮しておる、かように存じておる次第でございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(河本敏夫君) 住宅問題についての御質問がございましたが、いま建設大臣からお答えがございましたので省略をさせていただきます。
 それから景気を回復するためには国民の購買力を高めることが必要ではないか、こういうお話でございますが、その点はまさにそのとおりだと思います。ただ、購買力を高めるのには物価の問題もございます。それからベースアップの問題もございます。あるいは公的負担の問題もございます。
 そこで、ベースアップの問題につきましては、政府の方はいま労使交渉の結果を見守っておるところでございますが、国民経済的な視野に立って合理的な結論が出ることを期待いたしております。また、減税問題につきましては、先ほど大蔵大臣からお話しございましたように、議長見解によりまして、大蔵委員会でどのような結論が出るのか、その結論待ちである、こういうことでございます。
 政府といたしましては、直接取り上げられる課題は物価対策でございまして、物価対策につきましては、これはすべての経済政策に最優先して重大に考えていきたいと考えております。そこで、万一物価に異変が生ずるというようなことが起こりました場合には、予備費から必要な資金を出していただきまして適切な物価対策を強力に進めていく、こういう合意が政府部内にできておるということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(徳永正利君) 三治重信君。
   〔三治重信君登壇、拍手〕
#28
○三治重信君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案と租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣に御質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さて、わが国の租税負担率は五十七年度で二五・四%を見込まれております。また、最近五カ年間で四・一%もの租税負担率が上昇しております。われわれは「増税なき行財政の再建」を強く主張してきましたが、法人税の増税と所得税の強い累進税率によって租税負担率は年々高められ、実質増税路線を歩んでおります。
 また、先進国の中で日本は租税負担率が低いから、赤字財政を克服するには先進国並みに負担率を高めるのもやむを得ないというもっともらしい意見も聞きます。しかし、先進国の七九年度における租税負担率は、米国二七・七%、西独三一・七%、英国三九・三%でありますが、社会保障費は、日本一二・二%、米国一六・五%、英国一九・九%、西独二八・七%と、わが国は著しくその負担が軽くなっております。
 わが国も現在、先進国の老齢化社会の道を二倍のスピードで進み、老齢者の年金、医療は急増するものと見込まれます。また、防衛費の突出として非難されておりますわが国の防衛費の負担は、五十七年度において〇・九三%であるのに対し、同じく七九年度で、西独が三・三%、英国は四・九%、米国五・二%と大変な負担の差があります。
 わが国の財政は、社会保障費と防衛費において先進諸国に比べ負担が非常に少ないゆえに、租税負担率が低いのは当然でありまして、むしろ多額の国債に依存しているこの現在の状態が、「大きな政府」への芽が強くうごめいていると考えます。総理及び大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、五十六年度は、大増税と自然増収の合計五兆八千億円余と、対前年度二二・二%の増収を見込みました。今回の補正で四千五百億円の減額補正をしましたが、一月末の税収実績からはさらに一兆数千億円の租税収入減が予想され、当初の租税収入額に対しおおむね二兆円の減収になろうかと思われます。財政再建の五十九年度赤字国債発行をなくすという大目標がありますが、初年度から赤字国債二兆円の減額は歳入の減収二兆円ともしもなるならば、実質はゼロとなる結果になりませんか。このような結果が予想されるのは、経済成長率が五十六年度は実質五・三%を見込んだものが、第三・四半期の国民所得速報から判断すれば二%台と予想され、二・五%もの減少による法人、個人所得の伸び悩みの結果となりましょう。
 五十七年度の国内外の環境はさらに厳しく、政府の実質五・二%は民間研究機関のほとんどが三、四%と見込んでおり、本年一月以後における景気は現在においても依然として低迷しております。年度当初に七五%の公共事業、住宅等を前倒しにして景気刺激を図っても、GNP実質五・二%、名目八・四%の達成は非常に困難であろうと思われます。そうしますと、五十七年度の歳入も一兆八千三百億の公債減額と同程度の歳入欠陥を出すおそれがありませんか。大略の推計から判断をいたしますと、五十六、五十七両年度における財政再建の最大目標である赤字国債の発行の減額は、決算をしてみると実質では何もできなかった、ただ、歳出の削減を相当やって赤字増加をやっと抑制した、こういうようなことにならぬかと思うのであります。かかる景気の低迷の状態、歳入欠陥に対しまして、財政再建の方途をいかがお考えか、お伺いいたします。
 去る三月四日、総理府が発表した家計調査では、サラリーマン世帯の月平均所得は五%の伸びにもかかわらず、その可処分所得は、租税、社会保険料等公課の負担増一二・九%と消費者物価上昇分四・九%を差し引いた実質で、史上初めて二年連続一%を超えるマイナスとなったのであります。また、全世帯の消費支出も実質で二年連続のマイナスは史上初めてで、消費不況の根は非常に深いのであります。五十七年度も前二カ年の状態が続き、改善の見込みがなければ、三年連続の対前年度実質消費が減少するであろうととは明瞭であります。このような実質所得の減退が続きますれば、働く勤労者の働く意欲は減退をすることになります。政府は、衆議院の予算審議の過程においての所得税一兆円減税について議長見解の趣旨を十分に生かし、五十八年度はもちろん、五十七年度においても一部減税が実現されるよう要望する次第であります。
 法人税の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。
 確定申告による法人税額にかかわる延納割合を、現行二分の一から四分の一に引き下げるとともに、中間申告による延納制度を廃止することといたしております。この措置は、従来、翌年度税収に掲げられるものを、五十七年度に限って歳入に千四百四十億円繰り上げ先取りしようとするもので、全く小手先の増収策であります。中小企業や金融不如意の法人には資金面で苦しむことになります。
 また、貸し倒れ引当金の法定繰入率の引き下げは、調査の結果実質に近づけた、こういうことでありますから了承をいたします。
 中小企業の四分の一以上が世代交代期にかかっております。農家の農地の相続制と同じように、事業継承税制を設けて中小企業の経営基盤の維持拡大を図るべきだと思います。通産大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、租税特別措置の整理合理化、交際費課税の強化、貸し倒れ引当金の見直し等は、不公平税制の是正の一部として評価できるものでありますが、現行の土地等の譲渡所得課税は、土地価格の暴騰、暴利を抑制する土地インフレ対策として課税強化を図ったものであります。土地の譲渡所得課税の軽減措置は土地価格の暴騰、暴利を再び招来することになりませんか。また、この措置は宅地供給に対象を限定すべきだと思いますが、どうか。
 また、宅地不足のはなはだしい三大都市圏内では、サラリーマン等一般庶民には余りにも土地価格が高価になり過ぎ、勤労者には買うことのできない宅地と化しつつあります。私は、わが国のごとく狭隘な国土の土地は、地主からその土地を手離すことを強制せず、国、地方公共団体においても、利用目的に合致した長期賃借権による地代の収得で安心して土地を提供できるよう借地法の近代的改正を図り、土地の提供を確保する政策がとられるべきだと考えますが、法務大臣及び建設大臣の、土地の制度、政策の改革をすべきだと思いますが、その点をお伺いいたします。
 また、大蔵大臣は、このような土地譲渡所得課税の軽減による税収入の増減見積もりが全然出ておらぬのは、このような措置に対してどういうふうに考えておられるのでありますか。
 また、勤労者財形貯蓄の中で住宅貯蓄控除を五十七年度限りで廃止し、かわりに財形持ち家融資額の引き上げと金利に対する利子補給を行うことによって住宅建設を促進する改正案につきまして、住宅建設には融資額の引き上げや利子補給は前進でありますが、一挙に従来の住宅貯蓄控除を廃止することは、これを利用してきて積み立て中の勤労者をだますことにはなりませんか。何らかの経過措置なり貯蓄の組みかえ措置を講じて住宅資金として利用される道を開くべきだと思いますが、どうですか。
 最後に、租税の自然増収の四分の三強に当たる三兆五千百億円が法人税、所得税の二つに集中されております。「増税なき財政再建」は総理が政治生命をかける行財政改革の最重点でありますが、見えざる増税となっております所得税の一兆円減税による租税体系の是正に踏み出していただくことを重ねて要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、歳入欠陥が見込まれるのではないかという御質問でありますが、五十六年度補正予算につきましては、先ほど塩出議員にお答えしたとおりであります。
 五十七年度予算の歳入見積もりでありますが、これも見積もりの時点における利用可能な資料という限界、その他の制約の中で最大限の努力を傾けて見積もりを行っているものであります。すなわち、これまでの課税実績や政府経済見通しにおける諸指標等を基礎にできる限り適切な見通しを行っているものでありまして、また、わが国経済は今後内需を中心とした高い成長を可能にする条件が整ってきていると考えられますので、見積もりを変更する必要はないと考えております。いずれにいたしましても、五十九年度特例公債脱却は政府の基本方針であり、その実現に向け最大限の努力をするという私の決意には変わりがございません。
 次に、景気対策として公共事業の前倒しが言われているが、これに所得税減税を組み合わせてはどうかというお尋ねであったと思います。
 五十七年度におけるわが国の経済環境は、第二次石油危機直後の五十五年度、五十六年度に比べまして好転するものと見込まれております。先般発表されました五十六年十月−十二月期の国民所得統計速報でも実質マイナス成長となってはおりますが、国内の民間需要は順調な回復基調を示しておりますし、加えて五十七年度予算では、限られた財源の中ではありますが、景気の維持拡大を図るためいろいろと工夫をこらしております。また、公共事業等の上期執行につきましても、過去最高の七五%以上とすることで目下各省庁間で検討が進められております。このような適切な経済運営を今後進めることによりまして、所得税減税という手段によらなくても政府見通しの五・二%という実質経済成長率が望み得るものと考えます。
 所得税減税を見送ると消費購買力の低下がさらに続いて働く意欲を失うことにならないかとのお尋ねでありますが、ただいま申し上げたとおり、五十七年度の経済は回復に向かうものと見込まれ、生産活動の活発化とともに、名目所得の伸びが高まるものと考えられますし、また、消費者物価の安定も続くものと思われますので、個人消費は着実に増加するものと期待されます。したがって、御指摘のような勤労意欲の低下という懸念は当たらないと考えます。
 以上お答えいたしましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 わが国の社会保障費、防衛費というものは現在のところ諸外国に比べて低い、だから租税負担率は低いけれどもこれは年々ふえていく、したがって急スピードで負担が高まるのじゃないかということでございます。まことに先ほどるるお話があったが、そのとおりでありまして、私はむしろそのとおりのお答えをしたい、こう思っております。
 租税負担率がここのところ急に重くなった原因の一つとしては、石油ショック以来、国民経済計算上の国民所得が相対的に伸び悩んだ、しかし経費の方はふえていく、したがってそこのところで急に全体的な負担率がふえてきている、これも事実でございます。将来、しかし社会保障費やなんかふえることも事実でございます。
 赤字国債の削減をやったが、さらに財政赤字が出れば結局帳消しになってしまうのじゃないかという御心配でございます。
 私どもとしては、いろいろ見積もってやってきたわけでございますが、最終の税収の動向というものは、先ほどから返す返す言っているように、決算をしてみないとわからないというのも実は実情でございます。ただ、一月分の法人税というものは、前年対比一〇・九というように最高に伸びておるということ、特に大法人については、九月期は二三%伸びておるし、十月期は三〇%伸びておる、十一月期二〇%伸びておるということで、大法人については三カ月間とも非常にいい成績を実は出しておるのも事実でございます。物品税等についても悪かったのですが、ただ十二月、一月と二カ月間は連続して前年比二〇%を上回るという状況でありますから、それがどれだけ悪いところの部分をカバーするか、そこらのところは本当に出てみないとわからないわけでございます。しかしながら、われわれとしては、五十九年度特例国債の脱却というのが政府の基本方針でございますから、今後もその実現に向かって最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 それから公共事業の前倒しと所得税減税というものを組み合わせてやったらどうかということでございます。
 所得税の減税という問題については、いま直ちにそれができるという状態ではないということでございます。しかしながら、これについては何とか工夫がないかというようなことで、五党間の話し合いによって大蔵委員会で予算成立後早急に検討を進めようということになっておるわけでありますから、その結果を見てどうするかを考えたい、そう思っております。
 それから課税最低限を据え置いておいて給与所得者の税負担がふえておる、給与所得控除を引き上げるということを考えてはどうか。これは、給与所得控除ということだけでございますと、これもいろいろ実は問題がありまして、たとえば一人の人の場合は一人分だけしかふえませんけれども、家の中で三人、青色申告なり法人成りなりで働いている場合は三人とも上がってしまうという問題等もあって、実はいろいろむずかしい問題がございます。いずれにいたしましても、今後ともどういうようなことがいいかということも含めて検討させてもらいたいと考えております。
 譲渡所得税の緩和は宅地供給の促進という観点から宅地だけに限定せよということでございます。しかしながら宅地以外のものも、宅地といっても住宅だけでなくて、工場その他等の土地供給というものもないわけではないわけであります。景気刺激、景気対策ということも考えて、そこに差を設けるということはなかなかむずかしい問題があるものですから、みんな一律にしたということも事実でございます。
 それから増減見積もりがない。これは先ほどもお答えいたしましたが、減税をすれば減収になるというはずじゃないか。しかしながら、土地がそれ以上に売れればその分は増収になるわけでございますから、幾らこれで売れるか、われわれはかなり効果があると思っておりますが、したがって増減の見込みというものは非常に立ちづらい。売れなければ減収になってしまうし、いままでよりも売れれば、売れ方によっては税収がふえるという問題もございますので、そこらのところはよくわからぬというのが本当のところでございます。
 それから賃借方式、公共団体等の土地確保については公共事業費の節減のため賃借方式にせよ。これも一つの考え方でございましょう。公共事業の用地は本来その公共事業をやる者が権原を取得すれば足りるわけですから、確かに所有権までなくてもそれはいいわけなんです、実際は。しかし一方、利用に支障が生じないかどうか。道路、河川のように永久的構造物の場合、返還の可能性のないものに土地を果たして提供するかどうか、いろいろそこらのところの区分けというものも大変むずかしい。しかしながら、この考え方はいい考え方でございますから、私は可能な限り今後、事業の執行官庁としてもよく検討してもらうように相談をしていきたいと思っております。
 それから土地税制については、いまお話をいたしました。
 住宅貯蓄控除の問題でございますが、これは住宅貯蓄控除を廃止するに当たりましては、すでに契約をしておった者につきましても、持ち家個人融資制度の改善による効果的な施策が受けられることといたしております。そのほかに、五十八年度以降の要件の違反についても追徴、さかのぼって取るということは行わないということも配慮しておりますので、要するにいままでの人に不当な不利益を与えるものだというふうには考えておりません。それからこれは年金などと一緒に考えられたものであって、特に融資の問題については年限を切って助成措置もとるということ等も問題でございますから、こめ制度は全体としてひとつ御検討をいただければ御理解を得られるものと、こう考えております。
 それから自然増収で所得税ばかりふえてしまうというような御指摘でございました。
 これは所得税で現在の税収の四一。大体イギリスの四一、ドイツの四一、フランスは間接税が多いから二三ぐらいになっておりますが、アメリカは七〇が所得税で守られております。法人税は、日本は三二シェアがございますが、イギリスの八、アメリカの一八、ドイツの四、フランスの一〇ということで、日本の法人税というのは企業が非常に順調なものですから、かなり税収の面では貢献をしてくれておるのも事実でございます。今後とも所得税問題等については、また全体の税率構造はどうあった方がいいかというような問題等も含めましていろいろと研究をさせていただきたい、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(安倍晋太郎君) 中小企業の事業承継税制の問題についてのお尋ねでございましたが、通産省としましては、中小企業はわが国の経済の活力を支えておる非常に重要な存在である、こういう認識のもとに、相続税の支払いのために中小企業の円滑な事業承継が阻害されることのないよう、税制面の改善のために努力をしてきておるわけでございますが、昭和五十七年度税制改正におきましては、取引相場のない株式の評価方法の改善と個人事業者の場合の土地の課税価格の軽減を要望したわけでございます。取引相場のない株式の評価方法の改善につきましては、昭和五十八年度の税制改正において実施することができるよう検討するということになったと理解をしております。
 今後とも中小企業の円滑な事業承継が行われるように努力していきたいと考えておりますが、私といたしましては、来年はぜひとも中小企業者の長い熱望でございますからこれは実現をしたい、こういう考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣始関伊平君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(始関伊平君) 土地税制の今回の改正は、引き続いて投機的な土地取引抑制の枠組みは堅持しながら、住宅宅地供給の促進と土地の有効利用や流動化の促進等を図る見地から所要の改善を行おうとするものでありまして、建設省といたしましても長らく要請、要望いたしておったものであります。
 今回の改正においては、現下の住宅建設の不振等の状況にかんがみ、良好な住宅宅地の供給につながるものにつきましては、これは三年間の限定措置でございますが、四千万円以下については二〇%、四千万以上は二五%と、分離課税という思い切った軽減の措置を講じておるのでございまして、先ほどお話がございましたように、これはやはり住宅宅地供給の促進に特に重点を置いた、力点を置いた税制改正となっているように存じます。
 それから公共用地の確保につきまして賃借方式というものを導入したらどうかというお尋ねでございますが、大蔵大臣からも御答弁がございました。建設省といたしましては、河川、道路の用に供される場合は、半永久的に所有権者の利用が排除されることなどから賃借契約の締結に所有権者の同意が得られにくく、過大な効果を期待することは困難であると考えております。
 財源対策の方から申しますと、当初経費の節減の効果はあるといたしましても、賃借権設定のための一時金に加えて、賃借料の負担、買い取り請求による買収など将来にわたる経済的な負担も大きく、問題が多いと考えます。したがって、公共用地を賃借方式によって取得することは一般的には困難であるかと思いますが、賃借方式によることが可能である、たとえば公営住宅などでやっておるところがあるようでございますけれども、賃借方式によることが可能であると思われるものについては実情に応じて賃借方式を活用したいと考えております。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。
 私に対する御質問は、地主が安心して賃貸するように借地法の改正をする考えはないかということであったかと思います。
 御指摘のような御意見があることは私も承知をいたしておりますが、借地人の保護との関係がございますので、これは慎重に検討しなければならない問題であるというふうに思います。したがいまして、現在のところ借地法の改正につきましては考えておりません。(拍手)
#34
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
#35
○副議長(秋山長造君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(昭和五十七年度地方財政計画について)
 日程第三 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、自治大臣の報告及び趣旨説明を求めます。世耕自治大臣。
   〔国務大臣世耕政隆君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(世耕政隆君) 昭和五十七年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十七年度の地方財政につきましては、引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により財政の健全化を促進することを目途として、歳入面におきましては、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図るとともに、地方交付税の所要額を確保することとし、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、住民生活に直結した社会資本の整備を計画的に推進し、あわせて地域経済の安定的な発展に資するため必要な地方単独事業費の規模の確保に配意する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
 昭和五十七年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定しておりますが、以下その策定方針について申し上げます。
 第一に、地方財政の実情と地方税負担の現状とを勘案し、法人の住民税及び事業税について徴収猶予割合を縮減するとともに、市街化区域農地に係る固定資産税及び都市計画税の課税の適正化措置等について所要の措置を講ずる一方、個人住民税所得割について、低所得者層の税負担に配慮するため、その非課税限度額を引き上げること等により、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることとしております。
 第二に、地方交付税について、昭和五十七年度の地方財政の円滑な運営のために必要な額を確保し、あわせて中長期的な財政の健全化に資するための措置を講ずることとしているほか、地方債について、施設整備等に必要な額の確保を図りつつ、全体としてはその発行規模を縮減するとともに、資金の質の改善を図ることとしております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民の福祉の充実、住民生活に直結した社会資本の計画的整備及び地域経済の振興等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費に係る地方単独事業費の所要額を確保するとともに、福祉施策の充実、教育振興対策等の推進を図ることとし、また、過疎地域等に対する財政措置を充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講じることとしております。
 以上の方針のもとに昭和五十七年度の地方財政計画を策定しました結果、歳入歳出の規模は、四十七兆五百四十二億円となり、前年度に対し二兆五千三十三億円、五・六%の増加となっております。
 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正に当たりましては、地方税負担の現状にかんがみ、地方財政の実情を勘案しつつ、住民負担の軽減合理化を図るとともに、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることを基本としております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 第一に、地方税法の改正であります。
 まず、個人住民税について、低所得者層の税負担の実情にかんがみ、所得割の非課税限度額を引き上げることとしております。
 また、料理飲食等消費税及びガス税について、住民負担の軽減を図るため、それぞれ免税点を引き上げることとしております。
 さらに、固定資産税について、評価がえに伴う税負担の調整を図るため、評価額の上昇割合の実態に応じたきめ細かな負担調整措置を講ずることとしております。
 次に、固定資産税、特別土地保有税等につき、市街化区域農地に対する課税の適正化措置等土地税制についての所要の措置を講ずることとしております。
 また、不動産取得税等に係る非課税等の特別措置のうち三十五件について整理合理化を行うこととしております。
 そのほか、地方税源の充実を図るため、法人の住民税及び事業税の徴収猶予割合の縮減を行うこととしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道の公害防止設備に係る市町村納付金の特例措置の適用期限を二年延長することとしております。
 これらの改正により、明年度におきましては三百十億円の増収となる見込みであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十七年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額と交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金二千九十八億円との合算額から一千百三十五億円を減額したものとすることといたしました結果、九兆三千三百億円となり、前年度当初に対し、六千百三十四億円、七・〇%の増加となっております。
 また、この減額した千百三十五億円については、これに相当する額を昭和五十九年度から昭和六十一年度までの各年度の地方交付税の総額に加算するとともに、借入金二千九十八億円についてはその十分の十に相当する額を昭和六十三年度から昭和七十二年度までの各年度において臨時地方特例交付金として当該各年度の地方交付税の総額に加算することとしております。
 さらに、昭和五十七年度の普通交付税の算定については、下水道、公園、都市計画施設、清掃施設等の公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教育水準の向上、福祉施策の充実等に要する経費の財源を措置するほか、財源対策債による措置を廃止することに伴い、これに対応する投資的経費を基準財政需要額に算入するため、単位費用の改定等を行っております。
 第二に、激甚災害に係る小災害債の元利補給制度を廃止し、当該地方債の元利償還に要する経費を基準財政需要額に算入するため、所要の改正を行うこととしております。
 以上が、昭和五十七年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(秋山長造君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山田譲君。
   〔山田譲君登壇、拍手〕
#38
○山田譲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十七年度の地方財政計画並びに地方税法、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理初め関係各大臣に幾つかの質問を申し上げたいと存じます。
 まず最初に、私は、地方自治についての基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。
 言うまでもなく、地方自治は憲法で保障された地域住民の固有の権利であり、国はこれを最大限に尊重しなければならないものであります。そして、地方自治こそはまさしくわが国の民主主義の基盤とも言うべきものであります。かかるがゆえに、地方分権の確立は、最近のミッテランの政策にも見られるごとく、いまや世界的な趨勢にあると言っても過言ではありません。しかるに、最近の政府の姿勢を見るに、これを尊重するどころか、かえって地方自治を圧迫し、ますます反動的中央集権的な色彩をむき出しにし始めていることに対し、私は非常な憤りと民主主義の危機を感じざるを得ないのであります。以下、その具体的な例を挙げてみたいと存じます。
 その一つは、地方自治体の職員の給与についてであります。申し上げるまでもなく、地方自治体の職員の給与の決定は、当該自治体固有の事務として、それぞれ地方の実情に即して地方議会において自主的に決定されるべきものであります。そして、その水準が高いか低いかということは当該地方の住民が判断すべきものであります。しかるに政府は、確かな根拠もなしに、その水準が国家公務員よりも高いと一方的にきめつけ、そのような自治体に対しては特別交付税を減額したり、地方債の発行も認めないというような制裁措置を講じようとしているのであります。言うまでもなく、地方債は本来地方自治体の独自の判断に基づいて発行すべきものであるにもかかわらず、たまたま国の許可権限を乱用してかかる恫喝的行為を行うことは、まことに地方自治権に対する重大な干渉であると言わざるを得ません。
 その二つは、国の行財政改革の問題であります。言うまでもなく、いうところの行財政改革はあくまでも国の行財政改革であって、地方の行財政改革ではないはずであります。それにもかかわらず、臨調答申に名をかりて地方自治体の行財政制度と運営にまで不当なくちばしを入れようとしていることは言語道断であります。
 その三つは、国民健康保険給付の一部都道府県負担や地域特例によるかさ上げ率の引き下げ等々、国の財政再建の名のもとに行われた歳出削減のツケ回しを行うことにより、ただでさえ苦しい地方財政を犠牲にするという暴挙をあえて行おうとしていることであります。
 以上、私は最近における典型的な事例を三つほど挙げましたが、その他政府が行っている地方自治侵害行為は枚挙にいとまがありません。
 なお、国の行財政改革と地方自治の関係について、行政管理庁と自治省との間に統一見解が示されたと聞きますが、その内容を明らかにしていただくとともに、この問題について行管長官と自治大臣に基本的なお考えをお聞きしたいと存じます。
 また、臨調と地方制度調査会との関係についても、あわせて両大臣にお伺いしたいと存じます。
 さて、鈴木総理、この際、総理は地方自治について一体どう考えておられるか、まずその基本的考えを明らかにしていただきたい。同時に、かつて大平総理が唱えられた田園都市構想のような夢とロマンに満ちたビジョンをお持ちかどうか。もしお持ちであれば、その内容をここで国民の前に明らかにしていただきたいと思います。そして、そのような総理の地方自治に対する基本的考え方に対し、私がいま申し上げたような地方自治侵害の事実に対してどうお考えになられるか、あわせてお伺いしたいと存じます。
 次に、地方財政対策について申し上げます。
 政府はいち早く昨年六月、景気底離れ宣言を発し、国民に明るい期待感を抱かせたのもほんのつかの間景気は底離れどころかますます底深く沈潜を続け、ついに政府は昨年暮れに経済見通しを一%下方修正せざるを得なくなったのでありますが、これすらもいまや絶望的で、辛うじて三%を達成できるかどうかという瀬戸際に追い込まれております。そして、このことは国税の収入にも大きく影響を及ぼし、ついに補正を行わざるを得なくなったのであります。そこで、まず自治大臣に五十六年度の今後の地方税の収入見込みはどうなっているかお伺いいたします。
 次に、五十七年度地方財政計画では、八年ぶりにその収支が均衡したと言われておりますが、その陰には、苦しい国の財政再建のつじつまを合わせるために、臨時地方特例交付金を打ち切るとか、借入金の利払い費を一部地方負担とするなど、いわゆる風鈴カットを行ったという涙ぐましい事実があるのであります。大蔵省と最終的な予算折衝に当たった自治省幹部が、「今回は地方財政対策というよりは国家財政対策だった」としみじみ述懐したと言われているのは、まさしくそのような事実を裏づけしているということができるでありましよう。
 また、国の経済見通しをかなり高目に見込み、それによって地方交付税・地方税の弾性値にはね返らそうという意図がうかがわれてならないのであります。さらに、地方財政が回復したからという理由で、国家財政に千百三十五億円を貸し、あるいは本来国の一般会計に計上すべき臨時特例交付金を借入金とするなど、あたかも地方財政が国の財政に協力したと言わんばかりのかっこうをつけているのであります。このまやかしの財政計画をもって果たして本当に収支が均衡したと喜んでおられるでしょうか。この点について自治大臣の御認識と、この計画どおり実現できるということを自信を持って断言できるかどうか、しかとお伺いしたいと存じます。
 次に、地方財政と景気対策についてお尋ねいたします。
 地方財政計画によると、公共事業費の伸び率がゼロという状況の中で、地方自治体の単独事業は伸び率八・五%ということになっております。聞くところによると、これは大蔵省の激しい反対を押し切って自治省ががんばった結果かち取ったものだそうでございまして、この点を私は高く評価すると同時に、今後これが計画どおり実施されることによって、地域の景気振興と地域開発に大いに役立てていただきますよう期待するものであります。この点についても自治大臣の御決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
 ただ、これに関連して、単独事業の実績をもとにして当該実施団体に地方交付税をよけいに配分しようとしていると聞きますが、これは実質的には地方交付税の特定財源化を進めることになるものとも考えられ、地方交付税法に言う「交付税の交付に当つては、」「条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」という趣旨に反することになると思われるが、自治大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
 なお、先般閣議で決定された公共事業七五%の前倒しを実施するとなれば、いずれは補正予算なり建設公債を考慮せざるを得なくなり、このことは必然的に地方財政にも大きな影響を及ぼすことになると思うが、これについて大蔵大臣の所見をお伺いしたい。
 次に、地方税制の問題に移ります。
 国民全体の心からなる悲願であった一兆円減税については、頑迷固陋の政府の態度によっていまだにはっきりした結論を得ていないことはまことに残念至極であります。一刻も早く政府の前向きの回答が出されますよう、私はこの壇上から声を大にして強く要求するものであります。
 これに関連しまして、これもまた長い間地域住民の強い願望であった住民税の所得控除の額の引き上げが何ゆえに考慮されなかったか、全く理解に苦しむところであります。しかも、住民税の課税最低額の方が所得税のそれに比較して二〇%も低いことを考えるとき、その額の引き上げは当然過ぎるほど当然の話であると考えられます。そしてまた一方、法人に対する均等割の税率をそれぞれ五〇%ずつ引き上げるよう強く要望していたにもかかわらず、これまた全く無視されてしまいました。
 次に、社会保険診療報酬課税の特例措置や電気税の非課税措置等、だれが考えてもおかしいと思われる不公平税制について何ら検討が加えられていないのはどうしても納得できません。これを要するに、今回の地方税法の改正案なるものは、相も変わらず強者に弱く弱者に強い不公平と格差を一層強めるものであって、地域住民の期待を真っ向から裏切ったものと言わざるを得ません。
 以上の諸点について自治大臣の明確なる御答弁をお願いするものであります。
 また、都市近郊の市街化区域におけるいわゆるC農地に対して新たに課税措置を講ずることについては種々問題がありますが、とりわけ、このことはいわゆる都市農業のあり方に深くかかわるものでありますので、これについては特に農林大臣に所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、臨調と地方財政についてお伺いいたします。
 巷間伝えられるところによりますと、主として財界筋は、すでに地方財政にはゆとりが生じてきているとの認識のもとに、地方交付税率を段階的に引き下げるべきであるとの意見を臨調に出しているようでありますが、これこそ全くの認識不足に基づくものであって、とうてい容認できるものではありません。
 すでに述べたように、五十七年度財政計画においては一見均衡がとれているように見えますが、これはあくまでも地方交付税の原資の借り入れと地方債の増発によって辛うじてつじつまが合わされているだけであります。借り入れと地方債の両者合わせて約四十兆円の借金が現存し、これが地方財政硬直化の原因となっていることを考えますと、むしろこの際地方交付税率を引き上げる方向で検討すべきものと考えますが、自治大臣と大蔵大臣に所見を伺いたいと存じます。
 最後になりましたが、すでに御承知のとおり、先週、山形県金山町で全国に先駆けて情報公開条例が制定されました。これは今後当然各地方自治体にも波及するものと考えられますが、自治大臣いかがお考えでしょうか。
 そして、国においても情報公開法制定についていろいろ論議がなされているところでありますので、これを所管される行管長官にも一言御所見を承りたいと存じます。
 終わりに臨み、現在政府は文字どおり歯どめのない軍拡路線を突き進んでおりますが、平和と民主主義の基盤であるべき地方自治が、仮にもこの軍拡の嵐の中に巻き込まれることの絶対にないよう心から祈念をしながら、私の質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、地方自治をどう考えているのかとのお尋ねがありましたが、私は、地方自治は、憲法に基づく民主政治の基盤であり、戦後の新しい地方自治制度が発足してから三十有余年を経過していますが、幸い関係者の御尽力と国民の理解と協力によりおおむね定着しつつあると考えております。今後とも地方自治は民主政治の基盤をなすものという基本認識に立って、地方自治の充実発展に努めてまいる所存であります。
 次に、国づくり、地域づくりの基本的な考え方についてでありますが、わが国は狭い国土ではありますが、それぞれの地域ごとに気候、風土も異なり、人と自然との間に培われた独特の文化や伝統があり、またその地域の特性を生かした産業もございます。私は、このようなことを大事にしながら、全国それぞれの地域がゆとりと潤いのある住みよい地域社会を創造していくことを念願しております。
 このため政府としては、第三次全国総合開発計画に基づきまして、地域の人々の創意と工夫を基本として、都市、農漁村においてその総合的地域環境を計画的に整備することをねらいとする定住構想を推進しているところであります。今後とも、このような基本方針に沿って、国づくり、地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
 最後に、行革の名のもとに地方自治を侵害するような事実があるのではないかとの御意見がありましたが、行財政改革の推進に当たっては、地方自治を十分尊重し、地方公共団体における自主的、自律的な行財政運営に資するよう適切な配慮がなされなければならないことは当然であります。政府としては、このような基本的認識に従い、かねてより地方行財政の適正な運営に配慮してきたところでありますが、今後とも地方自治の充実強化のため適切に対処してまいる所存であります。
 残余の問題につきましては所管大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣世耕政隆君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。
 国の行財政改革と地方自治の関係について、行政管理庁と自治省との間に統一見解が示されたのではないか、その内容はどうか、またこの問題についての基本的な考えはどうか、こういう御質問でございました。
 臨時行政調査会における地方自治に関する事項の取り扱いについては、第九十四回国会において統一見解を明らかにしたところでございます。その内容は、一、臨時行政調査会の調査審議の範囲は前回の臨時行政調査会と同様であり、地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については国の行政との関連において調査審議するものであること、二、具体的な調査審議の対象は、臨時行政調査会において適切な選択が行われることを期待するものであること、この二点でございます。行政改革に当たっては、このような統一見解に従って、地方自治の本旨を十分に尊重しながら、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化と地方分権の一層の推進が図られるべきであるとわれわれは考えているところでございます。
 次に、地方自治を侵害するような職員給与に対する介入、財政制裁、臨調答申に名をかりた自治体の行財政制度と運営への介入、国の歳出削減による地方へのツケ回しについてどのように考えるか、こういう御質問でございました。
 地方行財政制度とその運営は、地方自治の本旨を踏まえたものでなければならないと思います。したがって、今後行政改革を進めるに当たっても、地方の自主性、自律性を高める方向で事務及び財源の再配分を行うとともに、御指摘の諸問題については地方行政に対する国の過度の関与を排除するなど、地方分権を推し進めることが基本課題とされるべきものと考えております。
 次に、五十六年度の地方税の税収見込みはどうかという御質問でございました。
 地方税収の動向については、一月末の都道府県の徴収実績によりますと、法人関係税については確かに伸び悩みが見られますが、個人住民税、自動車関係税等順調な伸びが見られる税目がございます。地方税全体としては何とか当初の計画額を確保することができるのではないかと期待しながら、今後の推移を見守ってまいりたいと思っております。
 なお、法人関係税について当初見込まれた額を確保することが困難となる団体が出た場合には、そういった団体に対して、必要に応じて減収補てん債による財源措置を含め適切に対処することにしたいと思っております。
 次に、五十七年度の財政計画は八年ぶりに収支均衡したといわれるが、国の経済見通しを高目に見込んで、地方税、交付税を高目に見込んだり国の財政に協力するなど、どうもまやかしではないか、こんな計画で収支が均衡したと考えているのか、それに対する考えいかん、これはまた実現できる自信があるのか、こういう御質問でございました。
 昭和五十七年度の地方財政計画の策定に当たっては、歳入歳出の各項目について最も適切な方法によって見積もりを行ったところであります。その結果、五十七年度単年度としては地方財政の収支が均衡する見込みとなったものでございます。しかしながら、収支均衡の要因としては、地方交付税の特例措置や交付税特別会計借入金の償還の繰り延ばし措置を講じていることなどの事情があることや、さらには地方財政が巨額の借入金の残高を抱えるに至っている状況からすれば、これをもって地方財政の基盤が基本的に改善され、また財政再建が達成されたと考えることはできません。再建達成のためには、今後引き続き並み並みならぬ努力を要するものと認識しております。
 なお、昭和五十七年度の地方財政は、地方財政計画で見込んだところに従って、適切に運営され得るものと考えております。
 次に、地方単独事業の対前年度八・五%伸びは評価できるが、これを計画どおり実施する決意があるかどうか、こういう御質問でありました。
 地方単独事業については、地方財政計画に即して、地方団体に対し地方交付税及び地方債により所要の財源措置を講ずるとともに、地方団体においても財源の重点的な配分を行って積極的な単独事業の実施に努めるよう強力に指導してまいりたいと存じております。
 次に、単独事業の実績によって交付税をよけいに配分しようとしていると聞くが、これは地方交付税の特定財源化ではないか、ひもつきではないか、こういう御質問でありました。
 地方単独事業については、普通交付税の算定においても、その重点的、傾斜的な配分の要素を加えることについて、その是非、算定方法など目下検討しておりますが、あくまでも現行の地方交付税制度の基本的な枠組みの中での検討であり、地方交付税の特定財源化につながるようなことを考えているものでは絶対ございません。
 次に、住民税の課税最低限の引き上げを行うべきと思うがどうか。この質問に対しては、依然として厳しい状況下にある地方財政は、大幅な減収につながる課税最低限の引き上げを実施できるような状況にはないことを御理解いただきたいと思います。
 なお、個人住民税に対しては、厳しい財政状況のもとで昭和五十五年度まで一般的な減税を行ってまいりましたところであります。また、五十六年度及び五十七年度については、低所得者層に対する非課税措置により、所要の税負担の軽減に努めているところでございます。
 次に、法人に対する均等割の税率をそれぞれ五〇%引き上げるべきと思うがどうか、こういう御質問でした。
 法人住民税の均等割については、昭和五十一年度、五十二年度、五十三年度と、再三の引き上げによって最高税率が現在百万円に達しております。また、現在の経済情勢等を配慮して今回の改正においては取り上げておりませんが、昭和五十五年十一月の政府税制調査会の答申においても述べられているように、今後とも随時その見直しをしてまいりたいと存じております。
 次に、社会保険診療報酬課税の特例措置や電気税の非課税措置等不公平税制が是正されないのはなぜか。それに対するお答えとしては、地方税の非課税等特別措置については、従来から既得権化や慢性化の排除に努めるとの観点から、課税の公平をより重視する立場に立ってその整理合理化を鋭意推進してきたところでございます。
 ただ、非課税等特別措置の中には、政策効果等の見地から見て、なお今後における社会経済情勢の推移等を勘案しながらそのあり方について検討すべきものもあり、これについては引き続き検討してまいりたいと存じております。
 財界筋では地方交付税率の引き下げ論があるが、借入、地方債合わせて四十兆円を超す借金があって地方財政硬直化の原因となっている、交付税率を引き上げるべきと思うが、見解はどうか。これに対しては、地方交付税率についてはその引き下げを行い得うような状況にはないことは御指摘のとおりでございます。
 ただ、交付税率の引き上げという点については、これは国、地方の財源配分の基本にかかわることでもあり、今後、国、地方間の機能分担と、これに対応する事務配分のあり方等との関連を踏まえながら慎重に検討すべき問題であると存じております。
 山形県金山町の情報公開に関することでございます。
 山形県金山町において公文書公開条例をわが国で初めて制定し、四月一日から施行すると聞いておりますが、この情報公開は、プライバシーの保護等慎重に検討しなければならない関連問題も多いのでありますが、基本的には、地方公共団体がその責任と判断において、行政の適正な、また能率的な運営に留意しながら円滑な情報の公開に努めることは、地方自治の進展の観点からきわめて好ましいものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(中曽根康弘君) 御質問の第一点、国が地方自治に介入するものではないか。そういうものでないことは、ただいま自治大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、中央と地方の財源配分、機能分担、あるいは出先機関の問題、委任事務の問題、地方事務官制度等々は、国と地方との絡みにおきまして検討を要する問題でございます。
 第二点、臨調と地方制度調査会との関係でございますが、これは政府の統一見解をただいま自治大臣が申し述べたとおりでございます。なお、臨調には地方制度調査会長も委員として御参加でございまして、調和ある答申を期待しております。
 第三点、情報公開の問題でございますが、金山町の行いましたことについては非常に関心を持っております。情報公開は時代の流れであると考えまして、大いに参考にいたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十六年度の国税の税収見込みの件、これにつきましては穐山議員を初め何人かの議員にお答えをいたしておりますが、これは具体的に確定申告及び法人税の五月の決算の申告が出てまいらないと責任を持ってお答えすることができません。御了承を願います。
 それから公共事業七五%前倒しを実施すると、将来補正予算とか建設国債の発行というようなことになって、これは地方財政にも大きな影響を与えるのじゃないか、こういうようなことでございますが、現在も景気を取り巻く環境は、いろいろな在庫の調整というようなこともほぼ終了して、景気回復の条件は鈍いながら整っておる、こう見ておるわけでございます。なお、そこにもってまいりまして、住宅政策、建設工事の前倒し等のことによって景気のてこ入れをやっていきたい、そう考えております。したがいまして、その後の問題はいまのところどうするかということは決まっておりません。景気の動向を見守りながらやってまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣田澤吉郎君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。
 市街化区域における都市農業の現状と今後の方針いかんとの御質問でございますが、都市農業は、都市住民に野菜等の供給、緑と空間を提供いたしておるわけでございまして、また、都市には意欲的に農業に取り組む農家というのは多数存在しているわけでございます。
 したがいまして、五十七年度の地方税法改正案においては、C農地の一部について新たに宅地並み課税が実施されることとなっておりますが、同時に、長期にわたって営農継続の意思を有する者につきましては、徴収猶予制度を通じて実質農地課税となっております。これによって、都市農業に意欲を持って取り組もうとする者に対して営農継続の道が確保されているわけでございます。また、市街化区域においても、当分の間野菜の生産出荷施設に対する助成等一定の施策は引き続き講じてまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#44
○副議長(秋山長造君) 大川清幸君。
   〔大川清幸君登壇、拍手〕
#45
○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和五十七年度地方財政計画並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず初めに地方財政の健全化について伺います。
 昭和五十七年度の地方財政計画によると、伸び率が五・六%で、その規模は四十七兆五百億円と超緊縮型となっており、これまで続いてきた大幅な財源不足は八年ぶりに解消された形になっており、このことをもって地方財政は国の財政と比較してその危機を脱したごとく言われております。しかし、地方財政の現状を見ますと、五十年度以降毎年度二兆円以上の財源不足が生じ、これを補てんするために交付税会計の借入金や地方債の増発などで対処してまいりました。これらの借入金や地方債の累積額は五十七年度で四十二兆円にも達しており、これが将来の地方財政を圧迫することは明らかであります。この借金を返済しつつ、なおかつ黒字が立つような地方財政に体質を改善しなければ、真の地方財政の健全化は達せられたとは言えないのであります。
 そこで、総理は地方財政の現状をどう認識されておられるのか、また、こうした借金体質を改善し、地方財政を再建するための方策について見解を伺いたいと思います。
 次に、地方財政及び地方財政の基盤となる経済の動向についてお伺いをいたします。
 五十七年度地方財政計画は、地方税や地方交付税の伸びを大きく見込み、歳出においても公共事業を三年連続して抑制するなど、その内容は多くの問題点を含んでおります。その中で最大の問題は、財源が計画どおり確保できるかどうかという点であります。
 さきに大蔵省が発表した一月の一般会計税収によると、前年同月比で一二・二%の増で、これは昨年十二月の一四・二%増に比べ、伸び率は再び低下する傾向にあります。また、昨年四月から本年一月までの累計で見ると、政府の見込んだ一八・五%増を大きく下回り、一〇・五%と八ポイントも落ち込んでおります。先日、五十六年度の補正予算で三千七百億円の歳入欠陥の穴埋めを行ったところでありますが、このような実態では今後再び多額の税収不足が生ずることは必至であります。政府は、現時点で五十六年度の税収不足はどのくらい生ずると考えておられるのか、この点について伺っておきます。また、このような状況下における地方税への影響についてもあわせてお答えを願います。
 総理は、歳入欠陥が生じた場合には政治責任をとることを明言しておられます。巷間一兆円以上の税収不足が言われておりますが、もしこのような事態に立ち至った場合の責任をどのようにおとりになるのか、伺っておきます。
 なお、先ほど穐山委員の質問に対する大蔵大臣の答弁で、先の見通しは四、五月のこともあるのでわからないが、しかし歳入欠陥が出た場合は、現在のある制度で対処いたします、こういう答弁をいたしました。予算委員会等でも、心配であるということは御発言なさいましたが、ここまで踏み込んだ御発言はなかったので、これは歳入欠陥を認めざるを得ない状況だという御認識と受け取っておいてよろしいでしょうね。
 ところで、昭和五十七年度の国の予算及び地方財政は、五十七年度の実質経済成長率五・二%を前提に組み立てられておりますが、税収の伸び悩みの実態からも明らかなように、景気停滞が国民生活に重大な影響を与えております。特に、さきの経済企画庁発表によると、十月から十二月期の経済成長率がマイナス成長になっていることから見ても、景気対策はきわめて重要な問題であります。景気のてこ入れ、経済の立て直しについてどのように考えているのか、具体的にお伺いをいたしたいのであります。
 また、政府の景気対策にもかかわらず、なお仮に五十七年度において歳入欠陥を生じた場合、地方財政対策はどのように対処するつもりなのか、この際伺っておきたいのであります。
 次に、国、地方間の税源配分の問題についてお伺いをいたします。
 地方自治運営における重要な側面は、言うまでもなく自主財源の確保の問題であります。現在の地方自治の実態は、三割自治に象徴されるように、自主財源である地方税の配分に対する根本的改革に手がつけられておらず、補助金行政の拡大などによって国主導型の行財政構造が相変らず続いております。地方分権化による住民の自主的行財政運営の推進は、地方自治体及び住民の切望してきたところであります。これまでも地方制度調査会から地方自治制度の改革に対する答申がたびたび出されており、また、国、地方の肥大化した行財政構造に対し抜本的なメスを入れるために、臨調の答申が、昨年に引き続き本年は本格的な答申が出されることになっております。
 こうした状況から見ても、地方分権の推進を図るにはいまをおいてないと考えるのでありますが、総理は行財政改革に当たって地方自治制度の改革をどのように考えておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
 特に、地方自治運営の基本となる地方税については、国、地方の税源配分をおおむね一対一程度に改革すべきであると考えますが、この税源配分に対する見解もあわせてお伺いをいたします。
 さらに、増大している国庫補助事業は地方の自主的行政運営を損なうものとして大幅な整理をこれまで強く要望してまいりましたが、政府はこれに対する抜本策を講じようとしておりません。補助金の大幅整理を行うとともに、同一目的の補助金のメニュー化を積極的に進めるべきであると思いますが、これに対する総理の前向きの御答弁を期待いたします。
 次に、減税についてお伺いをいたします。
 所得税減税については五年間見送ることになり、住民税においても昨年に引き続き減税を見送っております。そのために国民の税負担は年々増大し、可処分所得は一向にふえないのが一般サラリーマンを中心とした国民の大半の実態であります。今日の停滞した景気を刺激し、日本経済に活力を取り戻すためには、何といっても内需を拡大することが第一であります。こうした経済状況に対処するためにも国民の実質所得の増大を図ることが急務であります。総理の住民税減税に対する見解を明らかにしていただきたいのであります。
 また、物価上昇による国民生活の圧迫を考えたとき、物価上昇が一定率を超えた場合、物価調整減税を行うことを制度化すべきであると思うのでありますが、これに対する見解もこの際伺っておきたいと思います。
 最後に、各種産業に対する非課税措置についてお伺いをいたします。
 現在、地方税の減免及び国の租税特別措置等による地方税の減収は、五十七年度見込みで五千三百億円を超えており、また、国の租税特別措置によって地方税が減収する仕組みになっております。したがって、税の公正化を図る上からも各種非課税措置の見直しを行うべきでありますが、この点に対する前向きの御答弁を求めるものであります。
 以上、地方行財政等に関する緊急かつ重要課題について質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の率直な御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、地方財政の再建問題についでありますが、地方財政は、五十七年度において、単年度としては収支が均衡する見込みとなりましたものの、一方、地方債等の借入金の残高は御指摘のような額に達する見込みであります。今後、地方行財政の円滑な運営を図りながら、しかもこれらの借入金の償還に対応していくためには並み並みならぬ努力を要するものと考えます。したがって、今後とも所要の地方税財源の安定的な確保に努める必要がありますが、地方公共団体においても国と同様の基調に立って、極力行政の簡素効率化に努めることが必要であると考えております。
 次に、歳入欠陥が生じた場合どうするかとの御質問でありましたが、五十六年度補正予算の税収見積もりは、利用可能であった資料の制約その他の限界の中で、できる限り適切な税収見通しを行うべく最善の努力をした結果であることを御理解賜りたいと存じます。仮に税収に欠陥が生ずるような場合には、歳入歳出を通ずる全体としての決算見込みを踏まえ、適切に対処することといたします。
 次に、行政改革と地方自治の関係についてでありますが、申し上げるまでもなく、地方自治は民主政治の基盤であり、国と地方公共団体はそれぞれの果たすべき役割りを踏まえつつ、相協力して国民の福祉の向上に努めなければならないものと考えます。今後、行政改革を進めるに当たっては、地方公共団体の自主性と自律性が発揮できるよう十分配慮し、住民の生活に密着する行政は、できる限り住民の身近なところで執行し得るよう、地方自治の尊重と、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化という観点から対処してまいる所存であります。
 最後に、内需拡大に寄与する住民税の減税をせよとの御意見がありましたが、わが国経済の現状を見ますと、景気回復のテンポは依然として緩やかなものにとどまっており、そのため、先日の閣議におきましても、五十七年度の公共事業の上期の執行率を高めるなどの措置をとることとしております。今後は、国内民間需要が回復を見せていることもあり、機敏かつ適切な経済運営のもとにおいて景気は次第に回復していくものと考えております。
 一方、地方財政は、明年度においても巨額の借入金を抱えるきわめて厳しい事情にありますので、内需の拡大に寄与するような大幅な減税を実施できる状況にはなく、住民税減税は見送らざるを得ないと考えますので、御理解を賜りたいと存じます。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣世耕政隆君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。
 五十七年度において歳入欠陥が生じたときには地方財政対策はどういうふうに対処するか、こういう御質問でございました。
 政府の経済見通しなどを基礎として、最も適切な方法によって見積もったのが五十七年度の予算でございます。現段階では見込みどおり確保できるものと考えております。もし確保できないときは、そういう団体が出たときは、必要に応じて減収補てん債による財源措置などを含めて適切に対処する予定であります。
 次に、地方税について国、地方の税源配分を一対一に改革すべきではないか、こういう御質問でございました。
 地方団体の自主性、自律性を高めるためには、地方の自主税源を充実強化する必要があることは当然でございます。これは国、地方を通ずる税源の充実、事務配分等のあり方とともに総合的に検討すべき問題であると思います。今後とも税制調査会や地方制度調査会等の意見を伺いながら検討してまいりたいと存じております。
 次に、国庫補助事業は地方の自主性などを損なうものである、補助金の大幅整理を行って、そのメニュー化を積極的に進めるべきではないか、こういう御質問でございました。
 国庫補助金については、もちろんその意義は非常に重いのでございますが、一方において御指摘のような弊害があることも否定できない事実でございます。このために、国、地方を通ずる行政の簡素合理化と財政資金の効率的な活用を図る見地から、国庫補助金の整理と地方一般財源への振りかえ、また補助金の統合メニュー化等の合理化を積極的に進めていく必要があると私どもは考えております。
 次に、物価上昇が一定率を超えた場合、物価調整減税を行うことを制度化すべきではないか、こういう御質問でした。
 住民税の課税最低限等については、基本的には国民の生活水準、納税義務者数の推移、地方財政の状況、所得税との関連等を総合的に考えながら検討すべきものであると考えます。特に、物価調整措置については制度的な問題もありまして、また、現在の税負担の水準、地方財政の状況、物価の動向等を考慮すると、住民税についてこのような措置を導入することは適当ではないと考えております。
 さらに、五十七年度見込みで減収が五千三百億円を超えておる、税の公正化を図る上から非課税措置の見直しを行うべきと思うがどうか、こういう御質問でございました。
 地方税の非課税等特別措置について、その既得権化や慢性化を排除しながら、課税の公平をより重視するという立場に立ってその整理合理化に努めてきたところでありますが、五十七年度においては、廃止が十一件、縮減が二十四件、合計三十五件の整理合理化を図ることとしております。政府としては、今後とも非課税等特別措置の見直しを行い、整理合理化に努めてまいりたいと存じております。
 最後に、五十六年度の税収は見通しを大分下回って、今後多額の税収不足は必至と思われるが、このような状況下で地方税及び地方交付税への影響についての見解いかん、こういうことでございますが、一月末の都道府県の徴収実績によりますと、法人関係税については伸び悩みがあります。ただし、個人住民税、自動車関係税等が順調な伸びを示しております。地方税全体としては何とか当初の計画を確保することができるだろうと思いながら、推移を見守っているところでございます。
 なお、法人関係税について当初の額を確保することが困難になったような地方団体が出たときには、そうした団体に対して、必要に応じて減収補てん債による財源措置を含めて適切に対処することとしたいと思います。
 なお、地方交付税は、基本的には国税三税の収入額の動向によって影響を受けるものでありますが、国税当局においては補正後予算の見積もりを変更しなければならないような材料はないとしておりますので、なお今後その動向を注視することとしたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 五十六年度の税収不足はどのぐらい見込んでいるか。これは先ほどから再々言うように、よくわかりません。
 それからなお、前にはことしの税収が少なくなること心配していると言っておったが、先ほど穐山委員に対する答えの中で、もしなにのときは現行制度の枠内で対処すると言った。ということは、一歩突っ込んで歳入欠陥を認めたのかということでございますが、私はいつも、仮にということを言っておるわけでございます。税収の見積もりというものは、残念ながらなかなかぴたり当たらない。昭和四十八年は下に二〇%ということでございますので、五月の決算の状況を見なければ正確なことを申し上げられないということ、以上でございます。
 なお、地方自治に対する交付税の影響ということについては、地方財政の適切な運営に支障がないよう自治大臣とよく相談をしてやらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(河本敏夫君) 景気についてのお話がございましたが、政府は先ごろの閣議におきまして一連の景気対策を決定いたしまして、これをいま実行に移しております。引き続きまして、内需中心の景気の維持拡大を図っていきたいと考えております。この際、やはり物価の安定ということが何よりも大切でございますので、物価政策には格別の注意を払っていきたいと考えております。また、経済の激動期でございますので、変化に即応した対策を考えていきたいと考えております。(拍手)
#50
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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