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#1
第096回国会 本会議 第21号
昭和五十七年六月二十二日(火曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十一号
  昭和五十七年六月二十二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大
  臣の帰国報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、科学技術会議議員に米澤滋君を、
 宇宙開発委員会委員に吉識雅夫君を、
 公正取引委員会委員に大森誠一君を、
 公害等調整委員会委員長に青木義人君を、同委員に石丸隆治君、松本敬信君を、
 漁港審議会委員に岡部保君、竹鼻三雄君、梨田精君、野上義一君、早生隆彦君、松田廣一君、宮原九一君、矢野照重君、山田岸松君を、
 運輸審議会委員に小林正興君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、科学技術会議議員、宇宙開発委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、公正取引委員会委員及び公害等調整委員会委員のうち松本敬信君、漁港審議会委員のうち竹鼻三雄君、梨田精君、野上義一君、早生隆彦君、松田廣一君、宮原九一君、矢野照重君、山田岸松君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
 次に、公害等調整委員会委員長、運輸審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、公害等調整委員会委員のうち石丸隆治君、漁港審議会委員のうち岡部保君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#8
○議長(徳永正利君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。鈴木内閣総理大臣。
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、今般、国会のお許しを得て第八回主要国首脳会議及び第二回国連軍縮特別総会へ出席し、さらにその後、ペルー、ブラジル両国訪問を終えて六月十八日に帰国いたしました。
 ここに、その概要を御報告いたします。
 まず、私は、六月四日から六日までベルサイユにおいて開催された主要国首脳会議に、櫻内外務大臣、渡辺大蔵大臣及び安倍通商産業大臣とともに出席いたしました。
 今次サミットにおいて、参加各国首脳は、現在世界経済の直面する失業、インフレ、保護主義の動き等の深刻な事態をいかにして打開し、経済の再活性化を実現するかについて真剣に話し合いました。この結果、サミット宣言に示されているように、将来に向けての協力を確認するとともに、行動の目標を定めることができたことは、大きな成果であったと考えます。
 私は、会議の冒頭発言において、世界経済の深刻な現状にかんがみ、各国が協調しつつ局面打開に当たるべきことを訴え、わが国が貿易、経済政策、南北問題等の諸分野において行っている諸施策に触れつつ、科学技術の振興、国際協力が世界経済の再活性化に果たすべき役割りを強調いたしました。また、各国が固有の伝統、文化を生かしつつ、「多様性の中の結束」を固めていく必要性を強く訴え、各国首脳の理解と賛同を得ました。
 次に、個別の議題について御報告いたします。
 第一に、科学技術の問題について、技術革新が世界経済の活性化のため不可欠であるとの認識に立って、これに積極的に取り組むこととし、作業部会を設置し、その具体的方策について協議を行うことが合意されましたが、わが国としてもその作業に積極的に貢献していく所存であります。
 第二に、経済政策一般、通貨問題に関しては、国際協力が重要であることが指摘されました。特に、通貨の安定がきわめて重要であることについては、私からも強調いたしましたが、通貨当局間の協力の一層の強化が約され、中長期的な観点から対応策を検討すべきことが合意されました。
 第三に、貿易について、開放された多角的貿易体制の維持強化が一層重要であり、十一月に開催予定のガット閣僚会議に向けて積極的に取り組むべきことに意見の一致を見たことは、保護主義の圧力が各地で高まりつつある現在、きわめて重要な意義を持つものと考えます。私からは、わが国の市場開放措置に言及しつつ、わが国として自由貿易体制の維持強化のために最大限の努力を払っていることを強調いたしましたが、いずれの国もわが国の措置を誠意あるものとして高く評価しておりました。
 第四に、南北問題については、援助の重要性を確認するとともに、国連包括交渉の早期開始と成功が期待されることにつき見解を一にいたしました。
 第五に、東西経済関係については、西側諸国は、対ソ・東欧諸国との金融関係に関して慎重な配慮をもって取り進めることが合意されました。
 また、今次サミットの機会に、フォークランド諸島問題、中東問題、東西関係等の政治問題についても率直な意見交換が行われましたが、レバノン問題について、独立及び主権の侵害に対する重大な憂慮を表明し、この地域の平和と安全の保全を求めるアピールが発出されたことは、時宜を得たものであったと考えます。
 私は、アジア太平洋地域からの唯一の参加者として、ASEAN及び大洋州諸国がひとしく有している先進工業国の保護主義に対する懸念を強く訴えるとともに、中国の趙紫陽総理の訪日に言及しつつ、中国が開かれた中国を指向し、穏健な路線のもと、国を挙げて真剣に近代化に取り組んでいることを指摘いたしましたが、各国首脳はとれに大きな関心を示しておりました。
 なお、私は、フランス滞在中、ミッテラン・フランス大統領、レーガン米大統領を初めサミットに参加した各国首脳と個別に親しく会談する機会を持ちました。
 以上、私は、サミット諸国の連帯と協調を図り、さらに他の諸国へも「多様性の中の結束」の輪を広げていくとの視点に立って積極的な働きかけを行った次第でありますが、わが国としての役割りを十分果たすことができたと考えております。同時に、私は、世界経済の諸問題にわれわれが取り組んでいくに当たり、各国のわが国に対する期待と関心はまことに大きなものがあり、わが国の施策はもとより、その対応いかんがいまやきわめて重要な要素となっていることを改めて痛感した次第であります。
 私は、このような観点より、わが国の不断の地道な努力の積み重ねが重要であるとの感を深くするとともに、今次サミットの成果を実行していく上で、わが国の国際社会における責任を十分に果たすべく、なお一層の努力を傾注していく所存であります。
 次に、六月七日から十日まで、私は、櫻内外務大臣とともに、ニューヨークで開催中の第二回国連軍縮特別総会に出席し、六月九日に演説を行いました。
 私が今回の特別総会に出席した目的は、現在の厳しい国際情勢のもとにあって、唯一の被爆国として平和憲法のもとに非核三原則を堅持し、平和国家としての道を歩むわが国独自の立場から、核の惨禍が二度と繰り返されることのないよう核軍縮を中心とする軍縮の促進を世界の各国に訴えることにありました。
 六月九日に行った演説においては、このような基本的立場に立ち、さきに本院で採択された国会決議を踏まえ全国民的立場から、「軍縮を通じる平和の三原則」を提唱したのであります。
 すなわち、第一に国家間の相互信頼を深めて、軍縮、とりわけ核軍縮を促進すること、第二に、軍縮により生じた余力をもって諸国民の民生の安定、経済の発展を図ること、第三に、国連の平和維持機能を強化することがそれであります。
 また、国連事務総長との会談では、世界の平和と安定のために、国連加盟国が国連の平和維持努力に対し、できる限りの協力と支援を行うことが重要であることを再確認しました。
 さらに、櫻内外務大臣は、先般国会で御承認いただいた特定通常兵器使用禁止制限条約の受諾書及び環境改変技術使用禁止条約の加入書を国連事務総長に寄託し、また、これに先立ち六月八日に生物兵器禁止条約の批准書を米国政府に寄託いたしました。
 唯一の被爆国であるわが国が軍縮分野で果たし得る役割りに対しては、ひとりわが国国民からのみならず、世界の各国から大きな期待が寄せられております。私は、今回の演説を通じて、みずから平和国家に徹し、世界の平和と軍縮促進に向けて努力しているわが国の積極的姿勢を内外に明らかにすることができたものと確信しております。
 政府としては、今後とも国民の皆様とともに、核軍縮を初めとする軍縮の促進に向けて努力してまいる所存であります。
 次いで、六月十日から十五日まで、田澤農林水産大臣とともに、ペルー及びブラジルを公式訪問いたしました。両国は、中南米においてそれぞれ重要な地位を占め、その国際的地位も近年とみに向上しております。また、わが国との関係についても、経済的に相互補完関係にあり、また、多数の日系人社会を擁することもあって、きわめて緊密であります。このような両国への今次訪問は、首脳レベルの訪問がしばらくとだえていた後だけに、特に大きな意義を有するものでありました。事実、私たち一行は両国において官民挙げての歓迎を受け、訪問先各地の日系人社会よりも心のこもった歓待を受けました。
 ペルー訪問においては、ベラウンデ大統領及びウヨア首相と二国間関係及び国際問題について有益な意見交換を行うことができました。その際、私は議会制民主主議のもとで、ぺルーの政府及び国民が進めている経済、社会開発の努力を助けるため、わが国より各種の経済、技術協力を供与する用意がある旨を表明し、また、文化交流の一層の推進を図るため、文化協定の締結に関する交渉を開始することで、ぺルー側と意見の一致を見ました。
 ブラジル訪問においては、フィゲイレード大統領と二度にわたり会談し、幅広い問題について率直な意見交換を行いました。その際、私は、同国のセラード地域の農業開発について、今後ともできる限りの協力をする用意があることを明らかにいたしました。ブラジルは膨大な食糧増産の可能性を有しておりますが、わが国の協力により未開発地域の開発が一層推進されるならば、ブラジルの経済の発展に役立つのみならず、ひいては世界の食糧問題の解決にも大きな貢献を期待できるものと信じます。また、私は、ブラジルと科学技術協力協定を締結するための交渉を進める用意がある旨表明いたしましたが、これは、私がさきにベルサイユ・サミットで明らかにした世界経済活性化についてのわが国の考え方につながるものであります。
 なお、ベラウンデ、フィゲイレード両大統領に訪日を招請いたしましたところ、両大統領ともこれを快諾されました。
 私は、今次訪問を通じ、これらの諸国とわが国との友好協力関係を一層増進することを希望しており、また同時に、それによって、広く中南米地域に対するわが国の関心と南北問題に対する積極的な姿勢を示すことをも願っておりましたが、これらの所期の目的は十分達成できたものと確信いたします。
 私は、今回の一連の旅行の帰途、ハワイに立ち寄り、太平洋の中心に位置する同地において、「太平洋時代の到来」と題する講演を行う機会を得ました。
 このスピーチにおいて、私は、太平洋地域が、世界の中でも最も活力とダイナミズムにあふれ、かつ、一層の発展の可能性を秘めた地域であり、この地域の活力及びその発展が、世界経済の再活性化、世界の平和と繁栄を確保していくための原動力となり得ることを強調いたしました。そしてそのためには、各国が現実に進めつつある協力関係を一層助長し、連帯の域にまで高める努力をする必要があることを訴えました。
 私は、今回の歴訪を通じ、わが国が国際社会の責任ある一員として、世界の平和と繁栄のためにその国力、国情にふさわしい役割りを積極的に果たしていかなければならないことを改めて強く認識するとともに、西側先進民主主義諸国の一員としての立場を堅持しつつ、あわせて、開発途上諸国のわが国に寄せる熱い期待にこたえて南北問題に一層積極的に取り組む必要性を痛感した次第であります。
 私は、今回の歴訪の成果を今後の政策運営に十分反映させていきたいと考えております。国民各位の御支援と御理解をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(徳永正利君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山内一郎君。
   〔山内一郎君登壇、拍手〕
#11
○山内一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、総理の帰国報告に関連して若干の質問をいたします。
 まず、鈴木総理初め関係者におかれましては、今回その使命を十分達成され、多大の成果を挙げられました御労苦に対し、心から敬意と謝意を表するものであります。
 さて、今回の総理の一連の外遊は、八〇年代のわが国外交の前途を画する輝かしいものと言えましょう。目覚ましい経済発展を遂げ、今日、世界のGNPの約一割を占めるに至ったわが国の国際的地位は、単に経済面にとどまらず、政治面その他あらゆる分野において著しく向上しております。このような状況下にあって、わが国に対する世界の期待はきわめて大なるものがあり、それに応じて、わが国が国際的に果たすべき責任と役割りはますます重大であると言わざるを得ません。
 総理は、先進国首脳会議あるいは国連軍縮特別総会の場で、さらには訪問国首脳との二国間協議等において、各国のわが国に対する期待と関心はどのようなものがありましたか。また、わが国としてこれにどう対応されたのでありましょうか。今回、一連の外交日程を無事終えられた総理御自身の総括的な所感を最初にお伺いしたいと存じます。
 以下、ベルサイユ・サミット、国連軍縮総会、ぺルー、ブラジル訪問、太平洋連帯構想、経済問題等について順次お伺いいたします。
 まず、サミットに関する問題でありますが、数点お伺いいたします。
 変転目まぐるしい国際情勢のもとに、先進国首脳が国際社会の当面する重要な問題について腹蔵ない意見を交換し、西側の主要国の共同歩調により問題を解決するため、将来へ向かっての方向性を打ち出したことは大いに意義があります。わが国としては今後ともこの場を通じて積極的に貢献すべきと考えるものでありますが、今回のサミットの意義及び成果、また、今回のサミットでは総理は米欧対立の場において調整役を果たされたと聞いておりますが、どのような点を特に主張されたか、伺っておきたいと思います。
 総理はサミットの冒頭発言で、世界経済の再活性化の観点から、経済成長への活路としての科学技術の発展の必要性を力説されました。もとより、科学技術の振興は、経済、産業の各分野の著しい発展を促し、それがひいては人類共通の利益、進歩につながるだけに、世界経済再活性化のために時宜を得た発言であり、また、ライフサイエンスやロボットなどの分野でわが国が貢献できるだけに評価できるものであります。
 そこで、今後の推進については、共同開発テーマや資金等でいろいろ問題もあり得ようかと存じます。今後、作業部会での検討に当たって、どのような具体的構想、段取りを考えておられるのか、また、このためには、わが国の科学技術の飛躍的発展を図るべきであると存じますが、御所見をお願いいたします。
 各国首脳問、特に米欧間で議論が闘わされた問題に、高金利、通貨等の経済政策と東西経済関係があります。アメリカの高金利により為替相場が不安定となり、このため、不況克服のための景気対策が阻まれているとの指摘から、関係各国が経済、通貨上の協力を強化することになりました。円安が急速に進んでいるわが国にとってもこれは最大の関心事でありますが、今後この問題にどう取り組んでいくのか、わが国の姿勢を伺いたいと存じます。
 東西経済関係につきましては、ソ連への戦略物資の輸出規制と信用供与の抑制が大きな議論となったようであります。この問題は、わが国にとってもサハリン開発に関係がありますが、サミットにおいていかなる合意が得られたのか、わが国として今後いかなる対応をするのか、伺いたいと存じます。
 世界経済の再活性化は、ひとり先進国だけの協力だけでできるものではなく、広く開発途上国に対する経済、技術協力と相まって達成されるものと考えます。わが国は、アジアにおける唯一のサミットメンバーであるだけに、特にASEAN諸国に対しては心と心の触れ合いを持った経済協力が緊要であります。先般のASEAN拡大外相会議において、市場開放対策ではアジアに対して冷淡であるとの声を聞くのでありますが、わが国としては、今回のサミットにおいてASEAN諸国の声をいかに反映をさせたのか、また、今後ASEAN諸国に対しどのようにその開発進展を図ろうとしているか、お伺いしたいと思います。
 次に、今回のサミットにおいては、貿易摩擦の問題は、わが国が思い切った第二弾の開放体制を講じたことにより各国から高い評価を受けましたことは、まことに御同慶にたえぬところであります。しかしながら、米上院財政委員会における相互主義法案可決の動静等もこれあり、わが国としては今後も世界経済において相応の積極的役割りを果たしていくべきものと考えます。
 ここで、日米の農産物摩擦についてお伺いいたします。
 農産物の自由化については、日米の貿易摩擦問題の中で大きな政治問題となり、現在のところ、ニシンを加えた四品目の輸入枠の拡大、十七品目の輸入関税を東京ラウンドで合意した最終税率をめどに引き下げるということで一応決着を見ているのでありますが、未解決の残存輸入制限品目についてはなお協議が持ち越されております。今後、農産物市場開放問題に対しては、わが国農業の利益を十分に保障するとともに、食糧の安全保障にも留意して対処されたいと思いますが、政府の御所見を伺います。
 次は、国連軍縮特別総会における総理演説についてであります。
 総理は、核兵器が過剰殺戮の域に達し、人類そのものが滅亡の危機であるとして、今日の逡巡はあすの破滅へとつながり、軍縮が人類生存への行動原理であることを強く主張されました。そして、恒久平和の道程として、核軍縮の促進、軍縮の余力による経済協力、国連の平和維持機能の強化という軍縮を通じる「平和の三原則」を表明され、日本国民の軍縮への強い願いを訴えておられます。さらに、演説は、衆参の国会決議を踏まえて、広島、長崎の惨禍は二度と繰り返すまじと、全国民的立場からの切々たる訴えを行っているのでありますが、この願望の達成のためには、核軍縮を初めとする軍縮の促進を目指して、国際社会の平和と安全が国家間の力の均衡によって保たれている厳然たる事実を踏まえ、現実の国際関係の中で実現可能な措置を一つ一つ積み重ねていかなければなりません。
 総理は、今回の演説が空文に終わることなく、その精神を生かすには、わが国として今後どのように平和外交を展開するのか、伺っておきたいと思うのであります。
 次に、総理のペルー及びブラジル訪問につき触れたいと思います。
 中南米地域は、経済的にはわが国と相互補完関係にあり、また百万人近い邦人移住者及び日系人が在住していることもあり、わが国と中南米諸国の間には伝統的な友好感情が存在しております。総理は、今回のペルー及びブラジル訪問を通じ両国との友好協力関係を一層増進するとともに、広く中南米地域に対するわが国の関心を明らかにすることを意図されていたと伺いました。総理の今次訪問の成果及びその成果を今後いかに生かしていくかにつき、総理の御所見を伺います。
 次に、総理は、今回外遊の最終訪問地であるホノルルにおいて、「太平洋時代の到来」と題するスピーチを行われました。その中で総理は、太平洋地域の持つ巨大な潜在力を最大限に引き出し、世界全体の発展に寄与するためにこの地域諸国の連帯と協力が重要であることを訴えられ、そのような連帯の実現のために五つの原則を提唱されております。
 私は、故大平総理の提唱された環太平洋構想と同一の基盤の上に立ちつつ、さらにこれを発展させたものとして、この総理のお考えを高く評価するものであります。総理は、今後どのような基本的な考え方でこの太平洋連帯を推進していくお考えか、御所見を承りたいと考えます。
 次に、国際経済に対処するためのわが国の基本姿勢について二、三伺います。
 第一は、経済大国としてのわが国が、その持てる経済力を外に向かって貢献するには、何よりもまずわが国自体の経済が健全に運営されることがその要諦であります一総理は、サミットで内需中心の成長を達成するべく努力を続けると発言されておりますが、世界経済の運営におけるわが国の責任と、各国よりわが国に寄せられている期待にかんがみて、今後どのような方針をお考えでしょうか。
 昨今のわが国経済は依然として低迷から脱し切れず、五十六年度の実質経済成長率は二・七%と目標を下回り、五十六、五十七年度を通ずる税収不足は六ないし八兆円と見込まれております。加えて、国債の消化困難と円安加速の状況下では早急な景気対策はむずかしいかと存じますが、その対策の一つとして、公共事業の前倒しによる下半期の息切れに対処するため、建設国債の増発等による景気浮揚を求める強い声があります。これについての総理の御所見とあわせて、税収不足対策、財政再建堅持の方途について伺いたいのであります。
 国際経済への対応の第二は、対外経済援助の問題であります。
 総理がサミットで列国首脳より高い評価を受けましたのは、開発途上国への経済、社会開発の対外援助が世界経済の再活性化及び世界の平和安定に不可欠であることを明らかにされたからであります。また、国連での軍縮演説が好評を博し、その後のペルー、ブラジル訪問の友好親善にも大きく寄与できたのは、かかる対外姿勢にあったと思うものであります。それだけに、国家財政厳しき折ではありますが、これが実行に移すことはわが国の責任と考えます。
 ところで、去る十日発表されました昨年の政府開発援助実績は対前年比四・一%の減少となり、九八五年までに倍増するという中期目標が初年度からつまずいております。国際的事情があったにせよ、これでは対外信用を失墜するおそれがありますが、政府はこれをどのように受けとめ、今後その回復に対処されるのでありましょうか、お伺いをいたします。
 次に、私はこの際、わが国の外交体制の強化について提案をいたします。
 国際情勢は今後一段と厳しさを増していくものと思われます。加えて、いまや世界の大国となったわが国に対しては、政治、経済等について一層大きな役割りと責任が強く期待されるに至っております。同時に、昨今の貿易摩擦に見られるごとく、各国のわが国に対する風当たりは今後ひときわ強く厳しくなることが予想されます。こうした状況下でのわが国の外交実施体制を見るとき、それは旧態依然たるものがあり、他の先進国に比して著しく劣っている状況にあります。いまこそ世界の情勢を十二分に分析評価して、戦略的対応力を有する強力な外交実施体制を整備することは現下の急務であります。
 去る十七日、わが自由民主党の政調、外交調査会外交強化委員会は「外交体制に関する提言」を発表し、外交一元化のための外交統括機能の確立、外務省の機構改革、予算、定員の増強、情報収集機能の強化、議員外交、民間外交の積極的活用を提言いたしました。私は、この提言がぜひ実施できるよう、総理に格段の御尽力をお願いいたします。
 最後に、当面している緊急問題に対する総理の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 総理は、就任直後の第九十三回国会の所信表明において、政治倫理の確立について、清潔な政治、規律ある行政は国民の信頼を得る原点であり、政治の浄化と綱紀の粛正に努力する旨発言をされております。いまほど政治のあり方について国民的論議が高まっているときはありません。このときこそ総理発言の趣旨を実践することが、国民の政治に信を得る緊急課題であります。また、わが党が提案している参議院全国区選挙制度の改正は、金のかかる政治を排除し、参議院制度の改革に資する政治倫理確立の一環であります。
 総理の政治倫理確立に対処する姿勢と、わが党長年の懸案である全国区制改正をぜひとも今国会で成立せしめるよう、総理の御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(鈴木善幸君) 山内議員にお答えいたします。
 まず、今次歴訪を終えて、私の総括的な所感についてお尋ねがございましたが、私は今回の一連の外交日程を通じ、現在国際社会が政治、経済面など多くの困難に直面した状況のもとにおいて、かかる厳しい状況を打開し、永続的な平和と繁栄の枠組みを構築していくためには、先進民主主義諸国や開発途上国を含め、各国が連帯と協調の精神のもとで一致協力していくことの重要性を改めて強く認識した次第であります。
 その中にあって、私は、とりわけわが国に対する各国の期待にはまことに大なるものがあり、わが国としてもかかる期待と関心にこたえ、その国力、国情にふさわしい責任と役割りを積極的に果たしていかなければならないと痛感した次第であります。
 次に、サミットの成果についてのお尋ねでございますが、私は、サミット参加各国首脳の真剣かつ建設的な討議の結果、将来に向けての協力姿勢を確認し、特に科学技術、経済政策、通貨、貿易、南北問題、東西経済関係等につき、サミット宣言に示されたような行動の目標を定めることができたことはきわめて大きな成果であったと考えます。
 サミットにおいて、私は、各国経済の活力の回復と自由貿易体制の維持強化という二大目標に向けて、強い決意をもって協力することが肝要であること、また、各国が固有の伝統、文化を生かしつつ、多様性の中の結束を固めていくべきことなどを強く訴えましたが、こうした主張は宣言にも反映され、わが国としてサミットの成功に積極的な貢献をなし得たものと考えております。
 なお、今次サミットの結果、科学技術に関する作業部会が設置されることになりましたが、同作業部会はその報告を本年末までに作成し、報告の結論及びこれに基づく措置は、来年米国で開催されるサミットで検討されることとなっております。
 今後、作業部会において検討すべき課題としては、先端技術の国際的な共同研究とその成果の交流を初めとして、開発途上国への技術移転、技術革新と雇用あるいは文化との関係等多々あると考えますが、わが国としても、わが国の知識と経験をもってその作業に積極的に貢献してまいる所存であります。
 経済の安定的成長と国民生活の向上を図る上で科学技術の果たす役割りには大きなものがあり、政府としても内閣の重点政策の重要な柱として科学技術の振興に力を入れておりますが、さきに述べた作業部会での検討に際しては、わが国のこのような立場をも踏まえて対処してまいりたいと考えております。
 米国の高金利及び通貨問題についてでありますが、米国の高金利の持続は、各国の経済政策の選択の余地を狭めるとともにドル高の背景となるなど、各方面に大きな影響を与えております。今回のサミットにおきましても、実質金利の引き下げの緊要性を認め、そのために、慎重な金融政策と財政赤字の一層の抑制を図ることで意見の一致を見たところであります。
 通貨問題につきましては、今後、各国通貨当局間の一層緊密な協力を進めていくことにつき合意がなされました。これは今回のサミットの大きな成果であり、わが国としても、国際通貨の安定に資するため通貨当局間の協力に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ソ連への戦略物資の輸出規制と信用供与の抑制についてであります。
 今回のサミットにおいては、昨年のオタワ同様、東西経済関係を西側の政治、安全保障上の利益と合致した形で進めること、さらに、このため各国は戦略物資の輸出規制制度の改善のための協力、輸出信用の制限の問題を含め、ソ連、東欧諸国との金融関係を慎重に取り進めることにつき合意をいたしたのであります。
 また、ASEAN等開発途上国の問題につきましては、私もサミットにおいて、開発途上国の経済社会開発への支援が世界経済への再活性化及び世界の平和と安定に不可欠である旨を強調するとともに、特にASEANの国々が、潜在的発展力を内に秘めつつ、これを現実のものとするべくダイナミックな結束を達成しつつあることを指摘して、サミット諸国がその協力の成果を日米欧の枠にとどめることなく、開発途上国との間にも広めていく必要性を強調いたしました。また、ASEAN諸国がひとしく有している先進工業国の保護主義に対する懸念についても強く訴えました。わが国としては、今後サミットの諸合意も踏まえ、ASEAN諸国との友好協力関係を一層増進してまいる所存であります。
 農水産物の市場開放問題、特に日米間の問題についてお尋ねがありましたが、私は、この問題は、関係国との友好関係に配慮しながら、わが国農業、漁業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であると考えます。
 そのためには、米側にわが国農業、漁業の実情をよく知ってもらわなければなりませんし、また、わが国がこれまでに行ってきた市場開放措置に対する理解も深めてもらわなければなりません。そのような点について十分留意しながら適切に対処してまいりたいと考えております。その際、食糧の安全保障にも十分配慮すべきことはお説のとおりでございます。
 なお、さきの私の国連での軍縮についての演説につきましては、幸い各国代表から高い評価を受け、私としても、みずから出席して演説を行った意義は十分あったと自負いたしております。現下の厳しい国際情勢のもとでわが国がみずからの平和と安全を維持していくためには、今後とも政治、経済上の基本理念を共有する米国を初めとする西側先進民主主義諸国との連帯と協調のもと女世界の平和と安定のために、平和国家としてわが国の国力、国情にふさわしい責任と役割りを果たしてまいる所存であります。
 なお、私のペルー、ブラジル訪問を通じ、これら両国との関係において相互信頼関係を確かめ合うことができましたことは大きな成果であったと考えます。私は、両国首脳との間に生まれた相互信頼関係を今後に生かし、南米においてそれぞれ重要な地位を占めるペルー、ブラジル両国との友好親善関係を一層増進していく所存であります。また、そのことが、ひいては広く中南米地域とわが国との間に存在する伝統的な友好協力関係の維持強化、さらには建設的な南北間の対話の促進にもつながるものと考えております。
 次に、私のハワイにおけるスピーチについてお尋ねがありました。
 私は、太平洋連帯あるいは太平洋協力の問題は、二十一世紀に向けての長期的な展望に立って、広範な地域的コンセンサスをつくりながら一歩一歩着実に前進していくべきものと考えております。このためには、まずこの地域の発展の源泉である民間の英知を結集していくことが肝要であり、わが国としても、これまで活発に活動を行ってきている民間の動きを今後とも支援していく所存であります。また同時に、スピーチでも触れたとおり、すでに行われている種々の交流や協力につきましては、これを一層拡大強化していきたいと考えております。
 次に、経済問題についてでありますが、御指摘のとおり、わが国の五十六年度の実質成長率は二・七%にとどまりました。しかし、深刻な世界的景気後退の中にあって、先進工業諸国は各国とも成長の停滞、インフレ、失業、財政赤字の拡大等に悩まされている状況にあります。このため、サミットにおきましては、世界経済をいかにして再活性化するかについて真剣な議論が行われたのでありますが、相対的に見れば、わが国経済の状況は最も良好であり、他の先進諸国もこれを評価しております。
 私は、わが国の経済運営が、昭和五十七年度予算編成に当たっての経済運営の基本方針に基づき、国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を目指すものであることを説明し、一部にある、わが国が輸出中心に成長を遂げようとしているとの誤解を解くよう努めましたが、現にわが国は公共事業の前倒し、住宅対策、機動的な金融政策などにより内需の拡大に配慮いたしているところでありまして、今後ともそのような態度をもって経済運営に当たってまいりたいと思います。
 建設公債の発行について御質問がありましたが、建設公債もやはり公債でありますから、将来の国債費の増大の問題、国債追加に伴う消化難の問題、さらには民間資金の圧迫の問題などなど、いろいろと考えてみなくてはならない要素がございますことは御承知のとおりであります。今後慎重に検討してみる必要があろうかと存じます。
 次に、わが国の経済協力についてお尋ねがございましたが、わが国は、平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献していくこととしております。このような考え方から、わが国は昨年一月に新中期目標を設定し、今回のベルサイユ・サミットにおいても表明したように、この中期目標のもとに援助の拡充に引き続き努めてまいります。
 政府開発援助予算についても、現下の厳しい財政状況のもとではありますが、援助の効果的かつ効率的実施にも配慮しつつ、今後とも中期目標のもとにその着実な拡充に努めていく所存であります。
 最後に、当面の政治課題であります政治倫理と公選法改正の問題についてであります。
 私は、政治倫理の確立と政治の浄化は議会制民主主義の基盤をなすものであると考えております。政治倫理の確立は、本来、政治に携わる者一人一人の自覚と良識にまつべきものであると思いますが、自由民主党も政権政党としての自覚のもとに、先年、倫理憲章を制定し、政治家個々人が身を正し、常に自粛自戒し、国政に精励しているところであります。今後とも国民の皆さんの声に謙虚に耳を傾け、その負託にこたえるべく一層の努力を続けてまいりたいと存じます。
 また、私は政治倫理について、それを制度面から前進させることも必要であると考え、政治資金の明朗化を図るための政治資金規正法や選挙運動を規制する公選法の改正を国会にお願いし、その実現を見たところであります。現在、国会で御審議いただいております参議院全国区制の改革もまさにその一環でありまして、ぜひともこの機会に改正を実現したいと考えております。長年の懸案であります全国区制の改革の論議が盛り上がっているこの機会を逸しては、将来改革できなくなるおそれがありますので、ぜひとも各党間で論議を尽くしていただき、一日も早く改正法が成立することを念願しておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 対馬孝且君。
   〔対馬孝且君登壇、拍手〕
#14
○対馬孝且君 私は、日本社会党を代表いたしまして、鈴木総理のベルサイユ・サミット及び国連軍縮総会の帰朝報告を初め、ロッキード判決等の重要な政治問題につきまして質問いたします。
 鈴木内閣の約二年間の政治を国民はどう見ていると総理はお考えですか。
 外では軍縮を唱え、内にあっては反核の国民的な盛り上がりに水をかけ、あるいは政治浄化を叫びながらロッキード事件の金権腐敗体質を温存し、和の政治を唱えながら数を頼んで強行する。増税しないと公約をしながら、過去五年間課税最低限度額を据え置き、実質増税を行い、さらに来年度以降は新しい消費税の創設をたくらむ。一方では国民受けにかっこうよく立ち回りながら、他方では全く正反対の行動をする。このように鈴木内閣の政治はその場その場で巧みに使い分ける二枚舌のずるい政府、これが国民の率直な気持ちであります。総理は、こうした国民の不信と怒りのいら立ちにどうこたえ、不安を取り除きますか。まず冒頭に当たり、鈴木政治の欺瞞を厳しく指摘し、総理の政治姿勢を問いながら、以下具体的に伺います。
 まず第一に政治腐敗の問題でありますが、ロッキード事件に関連して受託収賄罪に問われた橋本登美三郎被告、佐藤孝行被告に対する世紀の有罪判決によって、国民の中から改めて政治浄化への機運が盛り上がっているのであります。今回のロッキード判決は、当時の政官財の構造的汚職の実態を法的に明らかにされたものであり、総理大臣、二運輸大臣、運輸政務次官等が黒い金を受け取り、その意を体して政策の展開を行い、国民の政権と政治への信頼を失わしめたという事実を総理はどのように受けとめているのか、明確な答弁を求めるものであります。
 戦前の政党政治が崩壊したのは、政治の汚職腐敗が国民の政治不信につながり、ファシズムに道を開きつつあるといっても言い過ぎではないと思うのであります。いまこそ議会制民主主義を守り、政党政治を維持していくために、政治家みずからが姿勢を正し、国民の政治に対する信頼を回復させなければなりません。その責任は、まず政権党である自由民主党、その総裁である鈴木総理あなたにあると思うのでありますが、所信を伺いたいのであります。
 ことに、裁判所の厳密な事実認定によって有罪と宣告された佐藤議員は当然辞職すべきであり、わが党は国民の厳粛なる信託を裏切った佐藤議員の辞職勧告案をいち早く提案しているのでありますが、自由民主党はこれに同調すべきであります。これに対し総理の明確な答弁を求めます。
 ロッキード事件の解明については、刑事手続による司法の真相究明はもちろん必要でありますが、それは言うまでもなく、政治家は刑事責任とは別に重い政治責任を負うているからであります。東京地裁の判決によって、田中元総理、二階堂自由民主党幹事長、加藤六月全国組織委員長らにも黒い金が渡っていたことが事実となったのであります。これら灰色高官は被告人と同じ金を受け取っていながら、ただ職務権限がない、あるいは時効にかかっているという理由で起訴を免れているにすぎないのであります。このような疑惑の人物を党の幹事長に置いた総裁としての総理の責任はきわめて重大であります。この責任をどのように感じておられるのか、明確な答弁をいただきたいのであります。
 アメリカでは、過般、上院のハリソン・ウィリアムズ議員が汚職で追放され、またリチャード・アレン大統領補佐官は主婦の友社から一千ドル、約二十五万円の謝礼を受け取ったことで辞任したように、みずからを浄化することが国民の政治に対する信頼の回復に欠かすことのできない決定的な問題であります。判決において灰色がクロと認定された二階堂議員、加藤議員の政治責任をうやむやにするならば、政治浄化の芽は摘み取られてしまうことになるのであります。
 総理は、言葉では政治浄化や政治倫理の確立を唱えつつも、実際には金権腐敗の体質を温存し、灰色高官を要職につけ、政治疑獄の主役が意図するままに動いてきております。この総理の姿勢は、さきのハワイにおける同行記者団の会見にて「証人喚問は国会で相談されること」と言い、まるで国会でやるべきものだと人ごとのような口ぶりであり、これではもはや国民は納得し得ないのであります。国政調査権の発動による真相究明は国民の念願であり、この国民の期待にこたえるためにも国会への証人喚問を直ちに実現すべきであります。総理の確かな答弁を求めます。
 私は、この際、田中角榮の五億円の受託収賄問題、児玉ルートP3Cオライオンの軍事航空疑惑などはいまだに解明されておりません。この真相の解明のためにも航特委の復活、国会議員の倫理を正すためにも倫理委員会の設置をすべきであります。わが党がすでに提出をしてきた資産公開法並びに政治資金規正法等の成立と強化改定することを要求し、総理の政治決断を強く求めるものであります。
 第二に、私は軍縮と平和の問題について伺います。
 鈴木総理は、国連軍縮総会に出席され、高い視点からの軍縮演説を行って帰国されたのでありますが、もちろんこの総会は、世界の平和を願う多くの人々の核兵器に反対し、軍縮を求める運動に支えられたものであることは十分承知されていることだと思います。この軍縮総会において総理は平和三原則を提起したのでありますが、こうした平和の理念はわが党も評価することにはやぶさかではありません。しかし、現実に自民党政府が進めようとしている政策は、この理念に逆行するものではないかと言わざるを得ないのであります。
 まず、総理の核軍縮の主張とは逆に、今年度予算において財政再建を理由に福祉や教育費の削減を行いながら防衛費を大幅にふやし、防衛大綱の見直しのための五六中業の作成を進め、軍事大国への道を歩もうとしているのであります。総理、こうした軍拡路線を核軍縮へ向けてどのように転換するつもりなのか、お伺いいたしたいのであります。
 また、完全軍縮を達成する上で、核不使用の国際的合意を形成することは限定核戦争の危険が指摘されている今日の状況ではきわめて重要な意義を持っているのであります。これは衆参両院本会議で採択された軍縮決議においても指摘されているところでありますが、日本政府として今後はあらゆる核不使用の決議に賛成すべきだと思いますが、総理の答弁を求めます。
 総理の軍縮総会での演説をニューヨーク・タイムズ紙が、「日本、国連で再軍備策を説明」という報道に相なっております。外務省情文局の責任者である渡辺参事官の説明によれば、「日本は軍事予算を増額しているが、勢力均衡と戦争抑止のため必要なものであり、新たな均衡がとれたときは鈴木総理の言うところの軍縮のプロセスを開始することができるのだが、現在の環境では軍備削減はできない」という説明に相なっているのであります。この姿勢は、まさに「軍縮の前に軍拡」というレーガン政権の見解と軌を一にするものであると言わなければなりません。総理の見解を明らかにされたいのであります。
 総理、国の安全のための核抑止力とか力のバランスといった政策や方法は、すべて軍事力拡大のための方便にすぎないのであります。私は、あなたが核軍縮を真に願うのであれば、核の傘を離れ、非核三原則を厳守しつつ、日本周辺の非核地帯の設定に真剣に取り組み、世界の核軍縮の主導権をとるべきであります。ことに、世界で唯一の核兵器による被爆国であるわが国の立場として、米ソ戦略兵器削減交渉や中距離核兵器削減交渉といった大国間の軍備管理交渉にすべてを任せるという姿勢は許されないのであります。総理の所見をお伺いいたします。
 総理は、世界の軍事支出の六%を引き合いに出し、軍事費の削減をして開発発展途上国に対する経済協力をしていくと訴えたことは多とするものであります。しかし、六月二十日の新聞報道に明らかなように、防衛庁長官は五六中業の見積もり予算要求を防衛費のGNP一%の枠を実現する修正の態度を打ち出しております。これは明らかに総理の言う軍縮の方向とは逆行し、軍拡を強めるものであります。総理の確たる答弁を求めます。
 第三に、ベルサイユ・サミット問題について質問いたします。
 先般のサミットにおいては、世界経済の再活性化を最大の焦点として、各国の通貨、経済政策の協力が合意されたと報道されております。総理は合格点をとれたと自画自賛をしたのでありますが、サミット後の情勢は通貨問題も一段と深刻になってきております。わが国の円も、きのうは二百五十七円六十銭、最安値になっております。政府は為替市場安定のための介入に関するサミットの合意を実行するようアメリカ政府にどのように訴えていく考えか、また、アメリカ政府はどのような高金利是正を約束したのか、明らかにされたいと思うのであります。
 また、対ソ信用供与問題については、アメリカの一方的な制限強化をのまされたことの印象をぬぐい去ることができないのは私一人はでないと思います。先進国の不況、インフレ、通貨、貿易、エネルギーなどの経済問題を中心とするサミットから次第に政治色を強めていることに危惧の念を強めざるを得ないのであります。総理がレーガン大統領との会談でサハリン石油・天然ガス開発協力の弾力的措置を求めたのに対し、アメリカ政府はこれから考えるとの答えがあったと伝えられておりますが、この問題は、わが国にとって今後のわが国とソ連との経済協力全体にも影響を与えかねない重大な問題であり、鈴木内閣は今後アメリカにどう説明をし、実現に向かって努力する考えか、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、貿易摩擦問題について伺います。
 先月末に関税引き下げを中心としたわが国市場開放策第二弾が発表されました。今回の市場開放措置についてどこまで各国との間に合意ができているのか、明らかにされたいのであります。
 さらに、このような米欧諸国の批判や指摘に対し、特に秋の日米農産物交渉ではオレンジ、牛肉の輸入枠拡大が問題となることは必至であります。今後夏から秋にかけて強まることが予想されるこうした米欧からの市場開放圧力に政府はどのように対処していくのか、また、さきの農産物輸入自由化反対の国会決議をどう守っていくのか、総理並びに農水大臣の決意をお伺いいたします。
 第四に、財政問題について伺います。
 五十六年度の税収は、補正後見込みに対し三兆円もの歳入欠陥が必至となっているほか、五十七年度は当初見込みに対し四兆円、五十八年度には財政の中期展望で予定する税収に対し実に七兆円もの巨額の税収不足が発生すると言われており、鈴木内閣の最大の政治課題である「増税なき財政再建」「五十九年度特例公債脱却」の公約達成が不可能な現状にあることは、もはや明らかであると言わなければなりません。政治責任をとると言明された鈴木総理は、財政の現状に対する所見と進退を含め明確な答弁を求めるものであります。
 また、大蔵大臣、あなたの責任はより具体的でなければなりません。この歳入欠陥問題は単なる経済変動とか予期せぬ条件変化によるものではなく、政府の意図的に過大な経済見積もりによるものだけに、明らかな人災事故とも言うべきであります。いまや大蔵大臣の進退を明らかにした上での所信を伺いたいのであります。
 私は、異常な九十四日間の延長を図った今国会に五十六、五十七年度の補正予算を提出し、これに伴う経済計画を含む見通し等の訂正を明らかにすべきであると考えています。歳入欠陥対策として本年度予算の歳出削減をするのか、または赤字国債を増発するのか、さらには財政再建期間を延長するのか、いずれの道を選択するのか、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 また、グリーンカード問題についても政府の責任ある所見を求めます。
 経企庁長官、あなたも責任を免れる立場ではありません。総理はサミットにおいて景気の拡大と内需中心の成長を公約いたしましたが、六月十一日に発表された五十六年度実質成長は二・七%で、改定見通しの四・一%さえも大幅に下回りました。また、五十七年度五・二%の政府見通しは、わが党が指摘したとおり幻の目標であることがはっきりしてきたのであります。長官、もはや他のすべてに優先して内需拡大による景気対策を打ち出すべきと考えますが、ひとつ積極的な所見を伺いたいのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 特に、政府見通しが大きくずれた住宅建設や中小企業の設備投資の落ち込みは、消費需要の低迷と密接な関連があり、所得税減税を初めとする家計消費の回復をてことした内需拡大の積極的な対策をとれと、わが党が春の予算委員会以来再三要求してきたところであります。景気対策として上半期公共事業の四分の三をすでに前倒ししているが、下半期対策として仲裁裁定の完全実施、消費需要の拡大のため一兆円減税を行うべきだと思います。政策の重点を積極的な内需拡大策に転換し、新たな経済見通しを明らかにすべきと思いますが、長官の英断ある所見を求めます。
 総理、故大平総理が愛読された「日暮硯」には、信州松代藩の家老恩田木工の財政立て直しの手だてがあり、それには「うそを言わぬこと」へ「賄賂を取らぬこと」、「財政の実態を明らかにすること」など為政者の基本姿勢が示されているのであります。総理のお考えをしかとお伺いしたいのであります。
 最後に、今後の行政改革について、総理の基本姿勢についてお伺いをします。
 第二臨調のあり方についてですが、わが党は行財政のぜい肉落としには基本的に賛成をいたしております。しかしながら、最近の臨調と政府あるいは国会との関係を見ますと、臨調が政府や国会の上にある特別権力機関ではないかとの疑問をぬぐえません。鈴木総理の諮問機関にすぎない臨調に第四の権力を与えることは、明治憲法下の枢密院を想起し、やがて国会や政府の形骸化を招くなどによる無用な不安を国民に与えております。とりわけ、わが国は世界に例のない戦争放棄の平和憲法を持つ国であり、その精神の上に立って東西の緊張緩和を進め、世界の平和維持に努力すべき決意を明確にすべきであるにもかかわらず、防衛力整備についての政府方針を打ち出すことは厳に慎むべきであります。
 さらに行政改革について、臨調の部会報告を検討するに、行政の理念はあっても行政の民主化という視点は全く欠落し、不公平税制の是正についても触れられておらず、また分権化を言いながら国と地方の関係は不明確であります。中央官庁の統廃合問題についても数字合わせにすぎず、中身のない何ら改革の効果が認められないもので、したがって国土庁に北海道開発庁と沖繩開発庁の吸収合併にはわが党は反対であります。
 臨調から明確な方針を示されているのは国鉄、電電、専売の分割と民営化だけであります。社会経済の変化に対応して改革することは必要であると考えますが、その方針は、政府の干渉から独立し、経営の自主性の尊重、分権化の強化であり、民営化と分割には反対であります。したがって、政府においてもこの取り扱いは慎重になされることを特に要求しておきます。
 私は、臨調部会報告は平和憲法の改悪をねらった意図的な行革であると断ぜざるを得ません。鈴木総理はどう見ておられるのか、また、七月の基本答申が出た際どのように対応されるのか、総理の答弁を求めます。
 さて、私は質問を終わるに当たり、総理の反省と決断を求めてやまないのであります。いま国民大衆の鈴木内閣に対する不信感は極度に達しておると言わなければなりません。それはあらゆる世論調査の結果が物語っているとおりであります。しかも不信の理由は、いたずらに目白の風になびき、国益を忘れた財界の使い走りにすぎない臨調に迎合する愚かな浮き草政治であると言わなければなりません。先哲の言葉に「民、信なくんば立たず」との教訓がありますが、いまこそ真剣に玩味すべきではないでしょうか。清潔にして公正な民主政治をよみがえらせるため鈴木総理の猛省を促して、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) 対馬議員にお答えいたします。
 最初に、今回の判決に関連して一連の政治倫理の問題について御意見がございました。
 私は、政治倫理を確立し、政界の浄化と刷新を図るということは、わが国の民主政治を発展させていく上で非常に重要な問題であると心得ております。政治倫理の問題は、本来、先ほども申し上げましたとおり、政治家個人個人が姿勢を正し、自粛自戒していくことが基本でありますが、同時に、制度的な面からも改善すべきものは改善していくことが必要であると考えております。
 次に、佐藤孝行議員の辞職勧告の問題については、事柄が国会議員の身分に関することでございますから、行政府の責任者である私が意見を言うことは適当でないと思います。
 次に、二階堂氏が幹事長の職にあることについて批判をされましたが、これは政党内の人事の問題であり、党員多数の意思によって選任されているのでありまして、他党からとやかく言われる筋合いの問題ではございません。ただ私は、御当人も世論を謙虚に受けとめ、誠心誠意国政に献身的に努力されており、また選挙民の皆さんの支持を受けて選挙でも連続当選してきているのでありますから、そのことは正当に評価すべきものであると思います。
 次に、判決との関連で数点具体的な提案がございました。
 まず、証人喚問と倫理委員会の設置についてでありますが、私は自由民主党総裁として、かねてから党執行部に対し倫理委員会の設置と議院証言法の検討などを要請しておりますが、この問題はまさに国会の重要事項でございますから各党間で御協議をいただきまして、できるだけ早く結論を出していただきたいと願っておるものであります。
 また、航特委の復活問題も引き続き議院運営委員会で協議するとの了解になっている由伺っておりますので、各党間で御協議をいただきたいと考えます。
 議員の資産公開法の制定などもまさに国会議員に関する事柄でありますので、同様に国会の場で結論を出すべきものと考えます。
 政治資金規正法の改正につきましても、各政党のよって立つ基盤も異なっており、政党活動のあり方とも関連する問題でありますので、同じくまず政党間で話し合っていただく事項かと存じます。
 次に、軍縮と防衛力整備の問題についてお答えいたします。
 今日の国際社会において、各国はみずからの防衛力によって、あるいは他の国家の協力を得てみずからの安全を確保しなければならないのが現実でありまして、わが国の場合も、みずから適切な規模の防衛力を保持するとともに、米国との安全保障体制を堅持しております。しかしながら、同時に、わが国の安全をより確固としたものとするためには、国際社会をより平和で安定したものとしていくことが肝要であり、国連等の場を通じる国際的な軍縮、軍備管理の促進は、このような国際環境をつくり上げていくための努力の重要な一環をなすものであると認識しております。
 具体的には、核軍縮を軍縮分野における最優先課題として取り組み、核不拡散体制の強化、核実験の全面禁止の早期実現などに向け努力していん所存であります。また非核分野では、化学兵器禁止条約の早期実現に努め、通常兵器の軍縮についての国連における研究に積極的に参加する等の努力を行ってまいる所存であります。
 なお、御指摘の核不使用決議につきましては、提出された段階でその内容を十分検討した土で、さきの国会決議をも踏まえ適切に対処していく所存であります。
 次に、アジア非核地帯構想についてであります。
 一般的に適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱により非核地帯が設置されることは核拡散防止の目的に資するものと考えますが、お話のあったアジア非核地帯構想につきましては、これまでもたびたび御答弁申し上げておりますとおり、アジア地域においては、その実現のための現実的な環境は遺憾ながらいまだ整っていないと考えます。
 なお、政府として非核三原則を今後とも堅持する方針であることは、繰り返し御答弁申し上げているとおりであります。
 次に、経済協力についてであります。
 わが国は、平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献するとの観点から、現下の厳しい財政状況のもとではありますが、援助の効果的かつ効率的実施にも配慮しながら、今後とも新中期目標のもとで援助の着実な拡充に努めていく所存であります。
 対ソ公的信用供与の問題についてお答えいたします。
 この問題については、サミットにおける首脳間の意見は、西側諸国が対ソ信用供与を行うことは、ソ連の軍事力増強にいわば財政的支援を与える結果になりかねない懸念もあり、慎重に対処すべきであるとの認識で一致いたしました。
 なお、サハリン・プロジェクトに関しましては、米国は今般、サハリン・プロジェクト関連米国製資機材の輸出ライセンス発給を行わないとの決定を行いました。政府はこれまでサハリン・プロジェクトの問題について全力を挙げて米政府の理解を求めてきたところでありまして、今般米政府がこのような決定を行ったことはまことに残念なことと考えております。今後のサハリン・プロジェクトの進め方等につきましては、日本の関係会社がソ連側と種々協議することとなりますが、政府としてはこの協議の行方を見ながら、本プロジェクトの実現に向けて必要な対応をしていく考えであります。
 次に、わが国が最近とった一連の市場開放対策についてでありますが、これらの措置につきましては、困難な国内事情の中でわが国としては最大限の努力を行った結果であり、先般のベルサイユ・サミットでも、出席した各国首脳から誠意ある行動として高く評価されたところであります。
 なお、お尋ねの農産物の市場開放につきましては、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、食糧の安全保障の上で重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であります。かかる観点から、この秋に予定されている日米農産物協議においては、わが国農業の実情やこれまでの農産物の市場開放措置を米側に十分説明し、その理解を得ながら適切に対処してまいる所存であります。
 歳入欠陥についてお尋ねがありました。
 相当の税収欠陥が予想される事態になっておりますことはまことに残念でありますが、その原因は、世界経済の停滞、予想外の円安、物価の急速な安定など、予想を超える経済情勢の変化があったことであります。しかし、財政再建に当たって最も重要なことは、高度成長下で肥大体質となった行財政の体質改善であります。五十六年度、五十七年度ともこの二十年来例を見ないような厳しい歳出抑制を行ってきているわけでありますが、このような方針を崩すことなく、五十九年度に特例公債依存体質から脱却するという政府の基本方針を堅持し、最大限の努力をしてまいります。すでに、五十八年度予算要求枠につきましては、五十七年度よりも一層厳しいものとするよう検討を指示いたしております。
 「日暮硯」についての私の考えをお尋ねがございました。
 恩田木工が信州松代藩の財政を再建するに当たって、第一にうそをつかないこと、第二に贈り物、賄賂の類は一切とらないという約束をして、領民の信頼を得、その信頼をバックに財政再建を行ったということが「日暮硯」に書かれております。
 国民の信頼の確保は今日でも政治行政の基本でありまして、恩田木工はその意味でまさに政治家、公務員の亀鑑たるべき人物であると考えます。ただ、当時の財政再建は要するに税収の確保であったわけでありますが、今日激動する世界経済など複雑な国際情勢の中で、また高齢化社会の急速な到来に対応する福祉政策など、国民生活に深くかかわっている財政支出の抑制というような感じとは異なるものがあります。特に、年貢の先納め、先々納め、それに御用金といった今日でいえば公債に当たるものを帳消しにしたりしておりまして、当然のことではありますが、財政再建の具体策としては必ずしも参考にならない面もあります。しかし、事に処するに際しての心構えにつきましては、今日においてもこれを頼みとすべきものと考えるものでございます。
 最後に、臨時行政調査会に関連した一連の御質問でありますが、臨時行政調査会の活動が設置法の精神を逸脱しているというようなことはないと思います。臨調の答申内容の実現のためには、法律措置を必要とする重要事項につきましては国会の御判断を仰ぐことでもありますから、臨調が特別の権力機関になっているとの御心配は当たらないと存じます。
 臨調の部会報告に関連して幾つかの点についてお尋ねがありましたが、御案内のとおり、いずれも目下臨調で審議中の段階でありますから、ここで個別問題について見解を示すことは差し控えさせていただきたいと存じます。
 七月末には臨調答申が出される予定となっておりますが、政府としては、答申を得た段階で速やかに所要の施策の検討を急ぎ、その立案、推進に取り組む所存でございます。
 残余の質問につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 国連軍縮特別総会における総理演説と外務省の渡辺参事官の説明についてのお尋ねがございました。
 国連軍縮特別総会における総理演説は、軍縮、とりわけ核軍縮への日本民族の悲願を率直に披瀝したものであります。問題となったニューヨーク・タイムズ紙の記事は、見出しのみならず本文においても総理演説の本旨を十分理解していないところからくる誤解に基づくものであり、きわめて遺憾であります。
 渡辺参事官は、六月九日、軍縮特総での総理演説の英文テキストにのっとって、その主要点を国連詰め外人記者に対し説明して、わが国の軍縮に対する基本方針を明らかにしました。引き続き、米人記者から日本の防衛力整備についての質問が出ましたので、渡辺参事官はこれに答え、防衛力の整備を平和のための外交努力、日米安保体制の効果的運用とともに日本の安全保障政策の基本の一部であると位置づけた上で、かかる幅広い努力の一環をなすわが国の防衛力整備は、平和憲法のもと、専守防衛に徹するとの基本方針によって進められていることを説明いたしました。かかる渡辺参事官の説明は、国会答弁においてつとに明らかにされている軍縮及び防衛に関する総理のお考えと全く軌を一にしており、総理演説と食い違うものではないことを申し上げます。
 次に、核戦略兵器削減交渉についての御質問にお答えします。
 わが国としては、従来から核軍縮を軍縮分野における最優先課題として取り組んでおり、核軍縮の促進に寄与することであれば、多国間の場であれ二国間の場であれ、あらゆる努力を払うべきであると考えております。
 かかる観点から、わが国は、国連及びジュネーブ軍縮委員会等の場で核不拡散体制の普遍性の強化、兵器用核分裂性物質の生産停止、核実験の全面禁止等を訴えてきました。特に、核実験の全面禁止については、昨年の国連総会において決議案を率先して提案し、右決議案は多くの非核兵器国の支持を得て採択されました。また、ジュネーブ軍縮委員会においても、わが国のこれまでの努力が実を結び、核実験の全面禁止に関する作業部会が設置される等の具体的成果を上げております。第二回国連軍縮特別総会においては、米ソ問の戦略兵器の制限及び削減交渉が実質的成果を上げるよう強く訴えてまいったところでございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣田澤吉郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(田澤吉郎君) 今回の第二弾対策は、困難な国内事情の中でわが国として最大限の努力を行った成果でありまして、先般のベルサイユ・サミットでも高く評価されているところでございます。
 また、この秋の牛肉、柑橘に関する日米協議に際しましては、確かに米側は再度自由化を強く迫ってくることも予想されます。したがいまして、わが国としましては、わが国の農業の実情やこれまでの農産物の市場開放措置を十分説明いたしまして、その理解を得ながら、自由化に手を染めずに対処するようにいたしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 大規模な歳入欠陥が生じた原因は何であるか。このことは、御承知のとおり歳入は一年半ぐらい前に見通しを立てるわけでございます。その基本になるものはやはり経済見通しというものが中心でございますが、五十六年度予算は五十五年の十二月に立てたわけですが、当時としては政府はGNPの名目見通し九・一、民間の機関はいろいろございますが、低いところで七・八、高いところで一〇・一、平均九・〇、こういうような見通しを立てておったわけでございます。ところが、世界経済の非常な停滞、あるいは日本においてはそのために輸出の鈍化、あるいは消費節約運動、特に石油の節約、これはある意味では非常に効果を奏して物価の鎮静に役立ったわけでございますが、それは逆に言うと、非常に生産活動がその分だけ鈍るという点もございます。そういうような両面があるわけでございますが、いずれにしても最終的には五・二%というようなことにおさまりました。
 御承知のとおり、税収は名目成長と非常に大きな関係がございます。いままで過去の歴史をとってみましても、名目成長が伸びたとき、あるいは卸売物価が思ったより非常にふえたときは余分に税収が入る。それよりもえらく低かったという場合には税収ががたっと落ちるということで、昭和四十八年の二〇%要するに自然増収がふえたというときと、五十年のように逆に二〇・七%税収見積もりがマイナスの方に、過大に見積もりしてしまったということがございました。今回は大体総理の答弁にもありましたが、遺憾ながらなかなか当たらないのは残念でございますが、一〇%ちょっと、〇・の幾つかということはまだわかりません。わかりませんが、それぐらいのところに見積もりが過大、つまり税収の不足ということになるのじゃないかということを懸念しておるわけでございます。
 それから、五十六年、七年度の財政立て直しの問題、今国会での補正を提出する考えはございません。
 五十六年、七年のどういうふうにして立て直すのかということでございますが、五十六年度の歳入不足につきましては、これも総理からお答えがございましたが、万一の場合に備えて決算調整資金あるいは国債整理基金からの借り入れという制度がございますので、それによって五十六年度については支出に支障のないようにやってまいりたいと考えております。
 五十七年度の問題でございますが、五十七年も、五十六年が税収がへこめば、それがへこまないということを前提である程度伸ばしたんだろうから当然減るのではないか、こういうような御質問はしょっちゅうあるわけであります。そういう心配がないということは申し上げられません。られませんが、いずれにいたしましても予算が始まってまだ四、五の二カ月半というような状態でございますので、それから先一年有余、来年の五月いっぱいまで金の入ってくる期間があるわけでございますから、したがって、いま直ちに、世界の経済の状態、日本の状態等がもう少しわからないと何とも申し上げられない。しかしながら、私といたしましては、配賦した予算ではございますが、極力節約に努めて執行を抑えられるものについては極力抑えていくような方針をとりたい、そう思っております。
 それでも不足の場合はどうなのかというようなお尋ねでございますが、それは先ほど言ったように経済全体との絡みというものもございますので、いまここで申し上げることができません。
 また、財政再建期間の延長云々という問題については、総理からお話があったとおりでありまして、一つの脱出の目標というものを掲げておるわけでありますから、なかなか困難だろうという御同情あるお言葉でございますが、なかなか私は大変だと思いますが、精いっぱいの努力はやってみたい、そう考えております。
 グリーンカードにつきましては、これは法律が成立されておりまして、もうすでに改正が決まっておるわけでありますから、政府としてはその法律に従って処理したい、こう考えております。
 内需拡大のための大型所得税減税という問題につきましては、これは国際的にも、先進諸国においても高金利というものが弊害を及ぼしておるが、その反面、物価の急速な鎮静という方向に行っていることは事実で、それが景気の回復という兆しにも出ておるというような面もございます。国内的にも物価の安定が個人の消費支出の実質的な増加となってあらわれておることも事実でございます。こういうようなものを中心にしてどういうふうにしたならば景気の持続というものができるか、いろいろと経済企画庁とも相談をしながら今後やってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また、サミット等でアメリカの高金利についてどういう話があったかということでございますが、これは各国からともかく高金利はひどいじゃないか、物価も七%以下に落ちついてきたのだから、一三%とか、あるいは貸し付けが一六とか一七とかというようなことではみんな迷惑している、何とかこれはしてくれないかと、嘆願といいますか苦情というか、非常に各国からあったことは事実でございます。
 これに対しまして、アメリカといたしましては、アメリカ政府自身も自動車の売れ行きが悪い、あるいは住宅の着工がそのために進まないというような問題があって実は困っているのだ。これは連銀の問題である。しかしながら政府にも責任がある。政府の方は要するに膨大な財政赤字というもので巨額の国債を、何十兆という国債を発行する、こういうことが見越されて、それだけの資金需要が先取りされるということになればどうしたって金利が高くなる。したがって、アメリカとしては、まず何をおいても歳出のカットということを最優先でいまやっておる。議会にかけておって、議会と話し合いをしておる最中だ。したがって、この政策が成功すればいずれ金利は下がるというような話でございました。なかなか決め手がないわけでございますが、しかしアメリカ自身も高金利の及ぼす別な影響ということについては、それが失業をもたらしているという点については別の反省が私はあるのじゃないか、そう思っておるわけでございます。
 しかし、いずれにしても国際通貨の安定ということが今回のサミットで取り上げられて、各国とも、どうすれば国際通貨の安定というものにつながっていくのか、一緒になってひとつ勉強してやっていこうというような方向づけができたわけであります。委細については時間の関係もありますから省略をさせていただきます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(河本敏夫君) 五十六年度経済の実績をどう考えるか、五十七年度のこれからの経済運営をどうするか、こういうお話でございますが、去る六月十一日に五十六年度の経済実績を発表いたしました。
 この特徴を分析してみますと、第一に、五十六暦年では実質可処分所得がずっとマイナスが続いております。これが一つの特徴であったと思います。それから第二は、中小企業の設備投資が政府の当初見通しよりも相当大幅に落ち込んでおります。それから第三は、昨年の十一月以降世界不況のために輸出がずっとマイナスになっておる、こういうことが特徴でなかったかと思います。
 そこで、第三・四半期のマイナス成長の影響等もございまして、年度間を通じては二・七%成長という数字になりましたが、第四・四半期の実情は年率に直しまして三・三%成長というところになっております。その後、以上申し上げました三つの特徴のうち第一の実質可処分所得の問題につきましては、新年になりましてからプラスになっております。相当大幅なプラスになっております。これは物価が非常に安定をして、最近、消費者物価が二%台になっておるということが影響しておるのだと考えております。中小企業の状態と貿易の状態は、依然として先ほど申し上げましたような状態が続いております。
 そこで、こういう状態では経済の活力がなかなか回復しない、このように判断をいたしまして、五十七年度は公共事業を大幅に前倒しをしていく。これを誘い水にいたしまして民間経済の力が出てくることを私どもは期待をいたしておるのでございます。世界経済も後半ある程度よくなるという意見等も国際的には言われておりますので、そういうことと相まって、政府の見通し、期待どおり民間に力が回復いたしますならばそれでいいわけでございますが、もしそのとおりいかないという場合にはやはり何らかの対策が必要だと思います。
 どういう対策をいつから始めるかということにつきましては、もう少し様子を見まして、政府部内で十分検討するつもりでございます。(拍手)
#20
○副議長(秋山長造君) 答弁の補足がございます。鈴木内閣総理大臣。
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 対馬さんの御質問の中で、証人喚問の問題が一つございました。
 私は、この証人喚問の問題は、現在衆議院段階におきまして議運や、また各党の国対委員長段階でいろいろお話し合いが進められておる。その際に、倫理委員会の設置の問題、議院証言法の改正の問題、こういう問題等相関連いたしまして慎重に扱わなければならない、こういうことで、この証人喚問問題はいま引き続き各党間で話し合いが進められておる、このように承知をいたしております。
 これは、国会におきましてはこの証人喚問の問題は非常に私は重要な問題であろうと、こう思います。これは証言法を改正をいたしまして、そして人権が十分保障されるような形でないと往々にして大変な問題になるのではないかと、このように考えるわけでございまして、これは今日急に始まった問題ではございません。前々からこの証人喚問の問題については、議院証言法の問題とともに十分慎重に検討さるべき問題であるとして国会で論議されておることは御承知のとおりでございます。
 次に、伊藤防衛庁長官が、いま五六中業の作業を進めておるのでありますが、その防衛庁の作業の段階で、あるいは将来GNPの一%を超えることもあり得るのではないかというような印象を与える発言があったということを私、新聞等で見ておるのでありますけれども、私は当面、昭和五十一年に政府が国防会議並びに閣議で決定をいたしました当面GNPの一%以内にとどめるという方針をいま変更する考えは持っておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(秋山長造君) 黒柳明君。
   〔黒柳明君登壇、拍手〕
#23
○黒柳明君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、当面する重要諸課題につきまして、鈴木総理及び関係大臣に質問いたします。
 まず、総理は、来る自民党の総裁選に再度立候補され、現在の胸突き八丁の財政を抱え、赤字国債への依存からわが国の財政を脱却させるという公約時期である五十九年まで政権を担当される決意があるかどうか、質問に先立ってお伺いする次第でございます。
 次に、ロッキード事件に関して総理の政治倫理に関する所信をお聞きいたします。
 昨日の衆議院本会議、また今日の答弁におきましても、結局、政治倫理の問題は議員個人の自覚の問題であると、総理はこう言い切っておられましたが、これで公務の秩序が維持できると思いますか。私は承服しかねる次第であります。
 総理、公務員が禁錮以上の刑を受けた場合は文句なく懲戒免職という行政処分が行われることは周知のことと思います。今回の六月八日判決で有罪、懲役刑の宣告を受けた人たちは、公務員の頂点にいた人またはいる人でありまして、倫理的には公務員以上の処分に相当すべきであります。そういう考えに立つべきではないでしょうか。総理が本人の自覚にまつと言われるのは、行政処分を法的に強制はできないが、行政の頂上にあった人は当然みずから辞職するだろうとの考え方であると解釈してもよろしゅうございますか。そうでなければ行政の秩序を維持することはできないと思うので、総理の真意を明確にお伺いしておきます。
 昨日の衆議院本会議でわが党の矢野書記長は、中道四党の提出した佐藤議員の辞職勧告決議案に総理は一議員として賛成されるかどうかという質問をしました。総理は全く御答弁をされなかったわけでありますが、どうなんでしょうか、この決議案の本会議上程の際は、議員として総理はどうされるのか、再度明確な御答弁をお願いしたい。
 次に、いわゆる灰色高官についてお尋ねします。
 裁判において金銭の授受が認定され、そして検事調書でも明らかにされ、また、かつて国会でも刑事当局から明示されたように、灰色高官は時効により起訴はされなかったというのが灰色高官に対する私の認識でありますが、法務大臣は、六・八の判決が出た今日、いかなる認識を持っておりますか、まずお尋ねしておきたい。
 この時効で逃れたいわゆる灰色高官も、少なくとも直接政府の行政の頂点において公務に携わった人たちであります。公務の秩序維持の考え方からして、公務員の場合に準じて考える必要があると私は思いますが、総理はいかがでしょうか。
 すなわち、公務員は、刑法上は時効で罪を免れたとしましても、公務員法上の行政処分は時効とは関係なく行われるわけであります。そうしなければ公務の秩序は維持できないという厳しい考え方があります。それは人事院職員局の服務関係質疑応答集の第五章に明示されていることに御注目いただきたいと思います。この公務員に対する厳しい姿勢が、倫理的にはいわゆる灰色高官にも必要ではないでしょうか。国会議員は偉いから公務員のまねをする必要はない、こう言って公務の頂点を犯罪的行為で支配されては、公務の秩序が維持されるはずはありません。私は、灰色高官もこの精神に立って身の処し方をみずから決すべきと思いますが、公務秩序の維持を叫ぶべき行政の長として総理はその考え方を明確に打ち出すべきだと思いますが、総理の考えをお伺いいたしたいと思います。
 総理は行政府と立法府とはっきり立て分けして慎み深い答弁に終始するのが常套手段のようでありますが、わが国は議院内閣制ですので、言うまでもなく立法府の議員が行政のトップを占めるわけでございます。行政の長として、行政の側面から、こうあってほしいとの意見を公的に国会に表明することは決して不適当なことではないはずでありまして、国民はあなたの慎み深い態度を逃げていると見るとすれば、政治不信のもととなります。国会に倫理委員会の設置を促進するよう要請すると一言総理は言うべきではないでしょうか。行政の長が立法府に口を挟まないと言いながら、全国区改正案については促進方を絶えず言っているではありませんか。都合のいいときには行政の長が立法府に口を出し、都合の悪いときにはいわゆる慎み深い答弁をするというのでは国民の皆さん方は納得できないという私の意見が正しいのではないか、こう思う次第であります。
 また、灰色高官の証人喚問及び議院証言法の改正につきましても、あわせて総理の倫理感あふれる御答弁を期待するものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、軍縮問題についてですが、核軍縮最優先を訴えるわが国が、なぜ核兵器不使用決議案に反対するのでしょうか。いま総理は、決議案の内容次第である、出てから見る、こうおっしゃっておりましたが、内容次第というのはどういうことなのか、明らかにしてください。また、わが国こそ率先して核不使用の決議案を国連の場に提出すべきであると思うのですが、総理、こういう考えはお持ち合わせでないのでしょうか。
 次に、ここまで盛り上がった国際世論をバックに、世界の核廃絶と軍備縮小を一日も早く効果的に促進するために、今後わが国としては何をしようとするのか、具体的に政府の方針を示していただきたいと思います。
 本年二月より進めてきた中道四党と同盟を中心にしました核軍縮連絡協議会の一千六百万人余に上る反核署名簿を国連に提出しました際、デクエヤル事務総長は、われわれの広島、長崎訪問要請に対し、訪日に積極的姿勢を示されましたが、政府としても、デクエヤル国連事務総長を広島、長崎へ招聘して、核の脅威というものを直接知ってもらう機会をぜひつくっていただくよう側面から御援助をいただきたい、その考えはお持ち合わせないかどうか、お尋ねしたいと思います。
 また、わが党が提案しました、国連本部内に原爆の被害をPRし平和の大切さを訴える常設の展示場を設置する提案についても、事務総長は有力な提案であると前向きに検討することを約束しましたが、政府としても積極的に働きかけていただだけないでしょうか、お願いいたします。
 さらに、非政府機関の反核・軍縮活動に対し、国連総会で三原則の提案を行い、かつ国連広場での展示会場等も見学した総理として、このようなNGO、すなわち非政府機関の反核運動に対し何らかの国庫補助を考えるべきではないでしょうか。国内の公益法人の公益事業に対しては、例年九百億円に上る交付をしていることから見ましても、この補助金交付の問題は当然であると考えますが、いかがでしょうか。
 世界の反核に対する声が高まっている中で、一方、米ソの核競争が激化していることも事実であります。しかも、米ソの核のバランスが崩れ、アメリカのソ連に対する核の優位性が崩れてきたことも間違いありませんが、わが国政府は日米安保条約によるアメリカの核抑止力に依存するという考え方をお持ちですが、これも当然今日には変化があると思われますが、いかがでございましょうか。
 また、戦域核の登場により、限定核戦争の時代を迎えようとしておりますが、総理は、限定核戦争の可能性につきまして、西欧とアジアの状況を比較してどのような認識をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、財政問題に関してお尋ねします心
 実際の利益以上に利益をふくらませて株主を欺くのは粉飾決算でございますが、政府が五十六年度以来とっている財政方針はいわゆる粉飾予算とも言えるものであります。野党及び民間の経済見通しをばかにして、五%以上もの経済成長率を立て、あげくの果てはその半分の実績にしかならず、税収も見込みの半分にしかならないということが二カ年も連続して続いているわけであります。
 政府は、なぜ経済成長率や税収見込み額を水増ししてこのような粉飾予算を組むのか。大蔵大臣は、経済は生き物だから狂うのはあたりまえで、責任なんかとる問題ではないと発言しておりますが、これでは何の反省もなく、反省のないところには改善される見込みもないので、国民の失望を増大するばかりでございます。なぜこのような水増しの粉飾予算を組んだのか。根本原因は、昨今の政府の財政の基本に、入るをはかって出るを制するとの原則が逆になっている傾向があるからではないでしょうか。以上の点について政府の答弁を求めます。
 次に、五十七年度の経済見通しを高目に設定し、四兆円もの自然増収を見込んだ大蔵当局は、見通しの誤りを経企庁の責任かのようにその責任を回避しております。しかも、渡辺大蔵大臣は、予算審議で見積もりは達成可能と言い続け、税収不足は結論が出てから私がしかるべく責任をとると、こうたびたびおっしゃっておるわけでありますが、これだけ大きな見込み違いを招いた責任は重大であります。渡辺大蔵大臣はその責任を明らかにすべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
 現在、財政は破綻の危機にありますが、鈴木内閣は、五十九年度で特例債依存からの脱却と増税なき財政再建の二本柱の公約をおろしておりません。
 そこで、お尋ねをいたしますが、まず第一に、五十六年度は特例債の増発を行い、また五十七年、五十八年度も特例債の発行は必至と言われておりますが、額の問題は別であります、これらの年度での特例債の発行はあり得るのか、あるいはあり得ないのか、必要もあり得ると思うのか、その必要はないと思うのか、御答弁願います。
 第二に、二本柱の公約の達成年次を明らかにして、その達成のためのプロセスを明らかにしていただきたい。総理、大蔵大臣から明確な説明を求めます。
 第三には、この財政問題と行革の関連はどうなるのでしょうか。中曽根長官は、臨調のもろもろの事項を遂行するには十年はかかると発言しておりますが、現在の財政の危機的状況にとっての処方せんを臨調に求めるのは無理と言うのか、また、政府の水増し粉飾予算の組み方に対する臨調の見解はどうなのか、中曽根長官にお尋ねいたします。
 わが国の経済成長が政府予測の半分しか達成しなかったことについて、政府はしばしば原因をアメリカの高金利等の世界経済環境の悪化に転嫁することを常套手段としておりますが、一方で内需の拡大の政策的努力が不足したことも挙げねばなりません。サミットでも日本の内需の拡大に対する強い要請がありましたが、政府はいかなる施策を行おうとするのか。所得減税を断行すべきと思うが、どうでしょうか。
 五十八年度予算の編成に当たっては、総理がハワイでマイナスシーリングで行くと語り、また、防衛費だけは別枠だと述べておりますが、米国のワインバーガー国防長官がわれわれ四党代表との会談で、日本の防衛費を毎年一〇%以上増額することを期待するとの考えを明らかにしております。この米国の期待にこたえた総理のハワイ発言と思われますが、毎年一〇%以上の伸びは政府として認めるのでしょうか。五十八年度予算ではどうなのでしょうか。また一部新聞に、いま総理がお答えになりましたように、伊藤防衛庁長官は五六中業ではGNP一%の枠を超えるだろう、ぜひそうしてもらいたいと総理に陳情があったとかのように報道されております。これは間違いでありましょうか。また、「当面」というのは、五十八年から始まります五六中業は当面にはかからない、当面以外だと、こういう判断でしょうかどうか、この点お伺いしたいと思います。
 次に、特殊法人等の整理合理化の問題についてお尋ねいたします。
 臨調が立てた整理基準の中に「民間部門の発展等により、事業を行う必要性が乏しくなったもの、又は民間に対する誘導等」云々という主張がありますが、これは、たとえば特殊法人でホテルを経営し、あるいは劇場を運営しているものなどは整理して、民間払い下げとすることを意味するのか、国会で再三役所の仕事としてはおかしいということを指摘してきた一人としまして、私、中曽根長官の明確な答弁を聞かせていただきたいと思います。
 また、これらの特殊法人が百以上にも上ったのは、政策論より省庁の天下り先づくりからできたものが相当あります。そこで、天下りの規制に関して、これを強化し、民間色を大いに発揮できるようにすべきであると思います。その点でどうお考えでしょうか。民間色を強めていくには、一つは、その会計処理についても、従来の官庁会計優先を改め、一般企業会計の原則を導入した会計システムを優先的に取り入れ、かつその標準化を図って、常に企業の成果が会計処理の上で明示できるようにすべきだと思いますが、行管庁長官の所見をお伺いいたします。
 国庫補助金の整理合理化は、臨調の第一次答申もあり、大蔵省も努めておりますが、五十六年度ではその額が前年度より二千六百億円も増加して十四兆七千億円にも上っております。臨調の答申は十分尊重されていません。土光会長は国民が政府に頼るからいけないと言っておりますが、補助金の削減ができないのは、官庁側に主たる原因があります。第一次答申を徹底して尊重できないでいることについて政府はどう考えているか、今後この問題にどう対処するか、所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、日米軍事技術協力について検討中とのことでございますが、当初は通常国会中には政府として結論を出そうということであったと思います。外務、通産、防衛各省の意見の調整がおくれているのか、技術協力そのものが政府として時期尚早であると思うのか、ともかくこの問題に関して総理の説明を求めます。
 最後に、総理の衆議院における答弁を聞いていますと、聞き流しできない問題があります。
 それは、五十九年度までに赤字公債依存からの脱却をすることと増税なき財政再建ということは、鈴木総理が政治生命をかけて実行し、もし達成しない場合には政治責任をとると申された公約の二本柱であると私は思っておりましたところが、昨日の衆議院、そして今日の答弁を聞きますと、この二本柱が公約ではなくして努力目標ということに変わっている感がいたします。これは公約でなく努力目標であって、鈴木総理は一生懸命がんばれば、達成がたとえできなくても責任をとって辞任するととはないという、こういうことに変わったのか、お伺いする次第であります。
 終わりに一言、反国民的な参議院の全国区改正法、自民党政府のごり押しにおきまして九十四日という大幅な会期延長がなされたことに厳重に抗議するとともに、もしこれが強行成立するようなことがあれば、わが党の徹底抗戦により、鈴木内閣の命が危ないと最後に一言警告して、私の質問を終わる次第であります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(鈴木善幸君) 黒柳さんにお答え申し上げます。
 最初に、私が自由民主党の総裁選挙に再度立候補して昭和五十九年まで政権を担当するのかとのお尋ねでありますが、この問題は党員が決めることであって、私自身は一切党員の判断に任せるという心境でございます。それよりも、多事多端なこの折から、日々国政に全力を尽くしていかなければならないという私は気持ちでいっぱいでございます。
 次に、政治倫理の問題は議員個々人の自覚を待っていたのでは公務秩序が維持できなくなるとの御意見でありましたが、一般職の公務員に対しましては、御指摘のとおり公務員法に定める服務規律が適用になりますが、私が申し上げたかったことは、国会議員の身分に関することとか規律に関することは国会の事項でありますから、行政府の責任者である私が指図できる立場にはないということを申し上げておるところでございます。
 佐藤議員の辞職勧告決議案の賛否の御質問につきましても、以上申し上げたような理由によりまして、私の意見は差し控えさせていただきます。
 また、起訴されなかった人もみずから身を処すべきであるとの御意見がありましたが、これらの方々はその後幾たびか選挙の洗礼を受けております。われわれ議員は選挙の厳しさは一番よく承知しておるはずでございます。選挙民というのは日常の活動、身の持し方、そういうものを常に監視をいたしております。そういう方々によって二度、三度と選挙の信任を求めておる、洗礼を受けておる、これはお互い政治家として一番選挙ということが大事な問題であり、政治家の生命にかかわる問題であることは、もう私が申し上げるまでもなく百も御承知のことであろうと思うのでございます。私は、そういう意味でこの主権者であるところの選挙民の方々の信任という結果、これは尊重されるべきものであると、こう思います。この点と議員の身分との関係はきわめて私は重要な関係がある、こう考えております。したがいまして、他から強制をさるべきものであるかどうか、十分慎重にわれわれは検討しなければならない課題である、こう思うわけでございます。
 次に、倫理委員会の設置、証人喚問及び議院証言法の改正について総理としての意見を打ち出せとのことでありますが、先ほど御答弁申し上げたように、自由民主党の総裁としてかねてより党執行部に対し必要な事項は指示、要請をいたしております。これらの問題はいずれも国会の重要事項でございますので、議院運営委員会や議会制度協議会において各党間で御協議を願って結論を出すべきものであると考えております。
 次に、核不使用の問題についてであります。
 核兵器が二度と使用されることがないようにするためには、核実験の全面禁止の早期実現など、核軍縮へ向けての実効ある措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要であると考えます。また、核兵器を使用しないという約束については、実効性及び安全保障上の意味合いをも配慮する必要があると考えます。核兵器不使用決議案について私が内容を見た上でと申し上げたのは、国会決議を踏まえつつ、以上申し述べたような考えに立って適切に対処してまいりたいという意味合いでございます。いずれにいたしましても、政府といたしましては、核軍縮への国民の熱い期待にこたえるべく、今後とも米ソ間の戦略核兵器の制限及び削減交渉並びに中距離核兵器に関する交渉の実質的進展、また核実験の全面禁止の早期実現及び核不拡散体制の強化などを強く訴えてまいる所存であります。
 なお、先般ニューヨークにおいて国連事務総長を訪問し、訪日を招請した結果、同事務総長も喜んでこれに応じられまして、今年八月下旬に来日されることとなっております。具体的な訪問先につきましては、事務総長が日本においでになりましてから、よく御本人の御意向も伺いながら決めたいと、こう思っておりますが、広島、長崎を含め今後検討していただきたいと思っております。
 なお、広島、長崎における原爆の被害の実情を適切な形で世界各国に紹介することは、私もきわめて有意義なことと考えます。そのために、たとえば軍縮広報のための国連視聴覚ライブラリーを設け、原爆関連資料をここに備えつけるというようなことはできないものかと考えており、外務省に前向きで検討を指示しておるところでございます。
 なお、核に反対する民間のいろいろな運動は、民間の方々が独自の自主性と独立性を持って活動をされているものでありまして、政府がこれに補助金を出すことは必ずしも適当ではないと考えます。
 なお、いわゆる核の傘についてでありますが、米国は、ソ連の年来の核戦力の増強に対応してその核の抑止力を維持すべく国防努力を行っており、わが国としては米国の核抑止力の信頼性に懸念を抱いておりません。わが国としては、米国の核抑止力に依存するとの考えに変わりはなく、今後とも日米安保体制をその防衛政策の基本としていく所存であります。
 次に、限定核戦争の可能性についてお話がございました。
 近年におけるソ連の中距離核戦力を含む軍備増強については、欧州、アジアのいずれの地域の平和と安定にも重大な影響を及ぼすものであり、西側諸国としてはこれを憂慮しているところでございます。このような状況のもとで、米国は限定と否とを問わず、いかなる核戦争もこれを抑止するため、核戦力を含む防衛努力を強化するとともに、力の均衡の水準をできるだけ低位に抑えるべく一連の核戦力削減交渉に臨んでいることは御承知のとおりであり、わが国としてもこれを支持しているところであります。
 次に、財政問題についてお答えいたします。
 黒柳議員は、経済成長率や税収見込み額を水増しして粉飾予算を組んでいるとの御見解のようですが、増収を強気に見て、それを引き当てにしていたずらに歳出をふくらませたというような事実でもあれば粉飾とのそしりを受けてもいたし方ないと思いますが、五十六年度も五十七年度も、この二十数年来例を見ないほど歳出増加を抑制しているのでありますから、全く当を得ない御批判であろうかと思います。
 五十七年度、五十八年度の特例債発行についてのお尋ねでありますが、金額の問題は別として、五十八年度予算では、まだ特例債の発行なしで済ますことができる情勢にはないと思います。また、五十七年度に特例債の追加を要するかどうかは、税収の状況も明らかではなく、また追加財政需要についても何もわからない現段階では何とも申し上げかねますが、いずれにせよ、大変困難な財政状況にあることは御承知のとおりでございます。
 昭和五十九年度に特例公債依存体質から脱却するという政府の基本方針に変更はありません。この目標に向けて最大限の努力を続けますが、現在、税収の見通しなどが非常にむずかしい状況にありますから、目標達成までのプロセスを計数的に示すことはいまのところ困難であります。しかし、歳出の節減合理化を主軸に税外収入等歳入面でも広く見直し、検討に努力しながら目標を達成したいと考えております。
 所得減税をせよとの御意見でありましたが、わが国財政の現状及び個人所得に対する所得税負担の割合が国際的にはなお低位にあることなども考えてみなければなりません。しかし、いずれにせよ、この問題は衆議院大蔵委員会に設置された減税問題に関する特別小委員会において検討が行われているところであります。
 次に、五十八年度の防衛予算の取り組み方についてでありますが、財政再建が緊急な課題であること、防衛計画の大綱の水準をできるだけ早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しながら慎重な検討を行い、わが国の防衛のために必要最小限度の経費を計上してまいりたいと考えております。
 なお、当面防衛関係費がGNPの一%を超えないことをめどとするという昭和五十一年度の閣議決定は、現在のところ変更する必要はありません、ないと考えております。
 なお、わが国の市場開放対策につきましては、ベルサイユ・サミットにおいて私から詳細説明をいたしましたが、出席した首脳からは誠意ある行動として高く評価されたところであります。
 米国の高金利の問題につきましては、サミットの場においても真剣に議論された結果、実質金利の引き下げを達成するために慎重な金融政策を追求し、財政赤字の一層の抑制を達成するという意見の一致を見ました。今後この合意に沿って、金利低下のための努力が継続されるものと考えております。
 対ソ輸出信用供与の規制の問題についてお話がありましたが、今回のサミットにおいては、昨年のオタワ・サミット同様、東西経済関係を西側の政治、安全保障上の利益と合致した形で進めることといたしまして、ソ連、東欧諸国との金融関係を注意深く取り進めることに合意を見たところでございます。わが国としても、従来よりサハリン・プロジェクトを含む対ソ経済協力については、かかる基本的立場を踏まえつつ、互恵の原則のもとにこれを取り進めてまいりたいと考えております。
 なお、昨年来の一連の市場開放措置は、ASEAN諸国にも利益が均てんするものであり、わが国とASEANとの間の外相会議においても、櫻内大臣よりこの点を説明いたしました。わが国としては国内的に種々困難な事情を抱えてはおりますが、ASEAN重視の立場から、相互の貿易関係の円滑な進展につき今後とも引き続き努力してまいる所存であります。
 次に、米国に対する防衛技術の供与の問題につきましては、基本的には、米国についても武器輸出三原則及び昭和五十一年の政府方針に基づき対処する考えであります。ただし、対米関係につきましては、日米安保条約等との関連もございますので、目下この点について関係省庁で引き続き検討を行っているところでありますが、いまだ結論は出ていないと承知しております。
 最後に、五十九年度に赤字公債依存体質から脱却できなかった場合の私の身の処し方についてお尋ねがありましたが、私は、現在、その目標の達成のため不退転の決意をもって取り組んでいるところであり、その決意にはいささかの変わりもございません。
 以上のことを申し述べまして、残余の点につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(坂田道太君) 黒柳さんのお尋ねは、法務大臣はいわゆる灰色高官についてどのように認識しておるかというお尋ねでございますが、このお尋ねのいわゆる灰色高官の問題は、国会議員の政治的、道義的責任に関する国会の御判断にかかわる事柄でございますので、法務大臣といたしましては、とかくの意見を申し述べる立場にないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 粉飾予算ではないかということでございますが、実はそういうことで組んだわけではございません。むしろ去年の予算委員会では、財源隠しではないか、もっと収入が、税収が入るはずであるというような御議論もたくさんございました。速記録を見れば明らかでございます。
 御承知のとおり、当時としては先ほども言ったように、民間はGNP一〇・二、少ないので七・八、政府が九・一に見込んだことも事実でございまして、それが世界の経済の変動あるいは景気の停滞、いろいろな消費の節約、そういうようなことで、結局は名目が五・二、実質が二・七というようなことに落ちついた。そのことは物価の安定をもたらし、一方、失業も外国のようにたくさんの失業が出ない、非常にいい状態でございますが、財政収入に約一〇%、見積もりは経済見通しはそれは確かに違いがありますけれども、財政収入で一〇%の違いがあったということは事実でございまして、私は大変残念に思っております。
 昭和四十八年のときには、これはGNP一六と見たら二一だった。あるいは卸売物価は二%で推移すると思ったところが、二二%になって狂乱物価になった。こういうようなときには、税収が十一兆入ると思ったら十三兆入って、二兆三千億近くよけいに入るということもございます。それとは逆に昭和五十年のように、十七兆の税収を見込んだところが、十三兆しか入らない。三兆六千億円歳入欠陥になったこともございます。このときには、逆にGNPが十六と見たところが一〇%になった、卸売物価が七・九と思ったら一・九になったというようなことも実はあるわけでございまして、毎年なかなか、ぴたっと当てるというのは理想なんでございますが、一生懸命やっておるのだけれども、なかなか当たらないというのも実は実情でございます。ことしもそういうことで、その点申しわけなく思っておりますが、そういうことであるということを御了承を願いたいと、かように考えております。
 大蔵大臣の言明、責任はどうとるのか。私は、責任を持ってちゃんと処置をしてまいりたいと考えております。
 それから特例公債の発行可能性の問題につきましては、これは総理からお話がございましたが、先の問題でございますし、われわれといたしましては極力、所定の五十九年度脱出、非常になかなかいろいろな条件でむずかしい問題が錯綜しておりますが、歳出の削減、その他税収、歳入の洗い直し、見直し、いろいろあの手この手いっぱい用いまして極力がんばっていきたいと考えております。
 それから脱却年次等は総理がいま答弁しましたので、省略をいたします。
 内需拡大、所得税問題、これも総理がお答えになりましたので、私は省略をさせていただきます。
 その次に、臨調の第一次答申で補助金の合理化を言っているが、これはふえているのじゃないか。これは政府が答申を尊重して何でふえるんだ、もっと切れというお話でございます。
 私どもといたしましては、極力整理合理化ということにがんばっておるわけでございますが、まあふえるものも中にはある。補助金といってもいろいろございますから、年金の補助金というようなものも、これは年金というのは年々これからも増大をしていく。二兆円というような大きな数字。医療の補助金なども、切ろうと思っても大きなものなかなか切れない。零細な補助金はかなり整理はいたしておりますが、大きいものがともかく切れない、伸びるというような状態もございまして、今後とも極力それは抑え込んでまいりたい、さように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(河本敏夫君) 経済の現状をどう認識し、これからどのような対策を立てるかということでございますが、現在の世界経済は非常に深刻な不況に陥っておりまして、いずれも先進工業国の経済はゼロ成長とかマイナス成長でございます。この深刻な世界不況の影響を受けまして、わが国の輸出も昨年の十一月からずっとマイナスになっております。しかし、最近のIMFあるいはOECDなどの経済見通しを見ますと、世界経済もようやくインフレが峠を越したということ、それから石油の価格が小康状態になっておるということ、世界的に在庫調整がある程度進んだということ、こういうことを背景といたしまして、後半からだんだん立ち直るであろう、こういう見通しを発表いたしております。世界経済が立ち直りますとわが国の貿易も再び拡大の方向にいくのではないか、このように判断されます。これが第一点でございます。
 それから第二点は、昨年一年は実質可処分所得はずっとマイナスでございましたが、ことしになりましてから物価の安定もございまして相当なプラスになっております。これは今後の消費にどのような影響を及ぼすか、もう少し様子を見たいと考えております。また、中小企業の状態が非常に悪うございまして、その投資が政府の当初見込んだ数字よりも相当減っております。これももう少しどのように展開するのか様子を見たいと考えておりますが、一−三月の経済成長は、先般発表いたしましたが、三・三%成長でございまして、政府の五・二%成長とは相当な差がまだございます。
 そこで、五十七年度のGNPは二百七十兆台と想定しておりまして、これを実現するためには一−三月の経済の力では最終需要が約五兆見当不足するのではないかと、このように判断をしております。そこで、さしあたっては公共事業、中央、地方を通じまして技術的に可能な限りの大幅な前倒しをいたしまして、これを誘い水にいたしまして、後半民間経済の力が出てくるように、そのような経済運営をしたいと、いま対策を進めておるところでございます。
 幸いにそのような方向にいけばいいわけでありますが、もしそのようにいかないという場合には当然追加政策が必要になろうかと思いますが、どのような政策をその場合に進めていくのか、時期はどうするかということにつきましては、もう少し経済動向を見きわめながら、政府部内で相談をしてまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革に十年かかるというのは長過ぎはしないかというのが第一の御質問でございますが、今次行革は政府及び政府関係機関の構造改革、体質改善に関する重要な改革でございまして、安易簡便な方法によってできるものではございません。やはり長期、不屈不撓の精神で持続的にやり抜かなければならぬ性格のもので、慎重かつ勇断をふるう必要があると思っております。たとえば国鉄にいたしましても、年金財政を見てみますと、昭和六十年には一千億円お金が足りなくなって、いまのままでは年金が払えなくなるという情勢であります。六十二年には二千五百億円足りなくなるという計算になっております。これらのものを改革して常態に復するようにするにはやはり十年はかかると見なければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、決して安易に、手品のようなやり方でこれはやれるものではない、そういう意気込み、われわれの考え方を実は示しておるのでございます。しかし、答申が得られました場合には、やはりできるだけ速やかにその軌道設定と方向づけだけはやらなければならない。そうして、できるものから可及的速やかに着手していかなければならない、そのように考えております。
 第二に、歳入見通しが甘くないのか、臨調ではどうかという御質問でございますが、臨時行政調査会におきましては、最近の政府の歳入見通しが非常に甘いのではないかという有力な議論がございまして、いままでのようなやり方で果たしていいかどうか、改革を要するのではないかということが熾烈に議論されておりまして、最終的な結論を見守っておるところでございます。
 特殊法人のホテルや劇場経営は行き過ぎではないかという御質問でございますが、全く同感でございまして、これらにつきましては新設を抑制する。しかし、たとえば国鉄が再建のために空間を利用してホテルをやるというような場合は、やはりこれは考えてやらなければならぬところもございます。したがいまして、実情に即しまして、できるだけこれは原則的に禁止ないし抑制する、こういう方向で指導してまいりたいと思っております。
 それから、特殊法人の天下り規制、そのほかにつきましては全く同感でございまして、特殊法人のプロ。八一の職員をできるだけ簡抜する方向で努力してまいりたいと思っております。
 補助金につきましては大蔵大臣から御答弁がありましたので、省略させていただきます。(拍手)
#29
○議長(徳永正利君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#30
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、ロッキード疑獄、歳入欠陥、核軍縮という三つの緊急重大な問題について見解をただすものであります。
 いま、国民の間には、六月八日のロッキード有罪判決、灰色高官認定判決にもかかわらず、反省どころか反対に究明を妨害し続けている自民党に、そして昨日来の総理の答弁に対して大きな憤激が高まっております。
 有罪判決を受けながら居座り続けている佐藤孝行議員に対する議員辞職勧告決議案、並びに天地神明に誓ってとうそぶいて否認したにもかかわらず三十ユニット資金の配分を認定された二階堂幹事長、さらにまた加藤六月、田中角榮、この三人の証人喚問の成否は、国政がその自浄能力を示し、国民の厳粛な信託にこたえ得るかどうかの重要な試金石であります。
 そこで、伺いたい。
 第一に、ロッキード事件の第一審公判さえ終わらないうちに、国政調査続行中の航空機問題調査特別委員会を、その任務を終えたとして不当にも廃止してしまった自民党総裁としての総理の責任であります。もし自民党に一片の良心があるならば、国民の怒りを率直に受けとめ、航特委復活を、そして衆参両院議長裁定と国会決議を実行すべきであります。総理、あなたは、この段階においてもなお航特委の任務は終わったと認識されているのか、伺いたい。
 第二に、現行の議院証言法に基づいて、二階堂、加藤、田中の三氏の証人喚問を直ちに実行することであります。「国会にお任せする」という総理の逃げ口上はもはや通用しません。自民党は議院証言法の改正が前提だとか、果てはこの法律は占領終了時に消滅すべきだったなどと言いがかりをつけて証人喚問を圧殺しようとしております。現行証言法で何ら支障はないのになぜそんなに恐れるのか。それは刑事責任の追及を免れた二階堂幹事長らが、真相が国民の前に明るみに出され、議院証言法による偽証告発を恐れているからにほかならないのであります。
 総理、あなたはかつて二階堂氏を幹事長に据えたときに、「自民党の顔は総裁である私だ」、こう大みえを切られた。だとすれば、顔であり、総裁であるあなたがその気になれば、証人喚問はすぐにでも実現するではありませんか。問題のすりかえではなしに、三名の証人喚問についてあなたは賛成なのか反対なのか、はっきりお答えいただきたい。
 さらに、総理は、昨日わが党の瀬長議員の質問に対し、また先ほども、二階堂氏を自民党幹事長に据えたのは党内問題だと、こう答えられた。しかし、政権与党である自民党の幹事長という役職が閣僚人事や政府の政策に重大な影響を及ぼすこと、すなわち国政上の問題に直結していることは常識ではありませんか。それをあえて灰色高官の二階堂氏を任命したのは、鈴木総理あなた自身ではないですか。自民党総裁としてあなたの責任がいま問われているのであります。問題をそらさずに見解を承りたい。
 第三に、昨日あなたは、二階堂問題は司法的には決着済みと、だれに義理立ててか、ひたむきな弁護論を展開された。また反省しているとも、こう言いましたけれども、二階堂幹事長は国民にわびる必要はないと開き直っているのが実態ではありませんか。二階堂氏は三十ユニットの資金を受け取ったものの、職務権限がなかったということで司法上の責任は免れただけのことで、その政治的、道義的責任、すなわち国会的責任は免れ得ないものであります。したがって、両院議長裁定、国会決議に基づく究明は当然の国会自身の責務ではありませんか。
 以上、国民が注目をいたしておるロッキード問題について総理・総裁としての責任ある答弁を求めるものであります。
 次に、税収欠陥の問題であります。
 昨日来、衆参両院の質問で巨額の歳入欠陥の責任を追及されながら、総理も大蔵大臣も信として恥じない無責任きわまる答弁を繰り返しております。
 まず明白なことは、昭和五十六年度三兆円以上、五十七年度は四兆円から五兆円、五十八年度は五兆円から六兆円と、合わせて十兆円を大きく超す税収欠陥が予測されるに至ったその原因と責任が、歴代の自民党政府の政策と財政運営そのものにあるという点であります。
 経済の論理の貫徹の仕方は常に無慈悲であります。自民党政府が軍拡と財政再建のツケのすべてを国民に回し、五年連続の所得税減税の見送りによる重税を初めとして、臨調路線による福祉、教育の切り捨てを強行してきたことが、国民の購買力を落とし、中小企業の倒産と失業を増大させ、不況を長引かせて、前代未聞の税収欠陥をつくり出したのであります。このことについては、閣内及び自民党内部からも批判と責任追及の声が高まっているではありませんか。それにもかかわらず、鈴木内閣は、小手先のつじつま合わせと口先の逃げ口上で事態を糊塗しようとしております。渡辺大蔵大臣に至っては、政治責任もへちまもないと放言し、その原因と責任を物価安定に転嫁するという詭弁を繰り返しております。
 その結果、第一に、二カ月前に成立したばかりの五十七年度予算が、実は架空の歳入見積もりに立脚したものであることが明白になりました。予算成立までは「見積もりは達成可能」、こう言い続けてきた渡辺大蔵大臣は、国会と国民を欺いた責任をとり、先ほどちゃんと責任をとるとおっしゃったが、直ちに辞職すべきであります。これは政治の常道ですが、いかがお考えか所見を承りたい。
 第二に、鈴木総理も「五十九年度赤字国債脱却」という公約破綻の政治責任をとるべきであります。
 法改正を含めてどのような手当てをするにせよ、五十七年度、五十八年度の赤字国債増発はすでに不可避とされています。それでもなお五十九年度赤字国債脱却の公約は守るんだとおっしゃるなら、数字を挙げて根拠を御説明いただきたい。五十九年度を一、二年延長しても公約違反でないと強弁するのなら、国債の本格的償還が始まる六十年度からの第二次財政危機をより深刻なものとしない保障がどこにあるのか、具体的に明らかにしていただきたいのであります。
 第三に、来年度予算の概算要求枠が五%以上のマイナスシーリングと言われているのに、一方軍事費だけは昨年以上の聖域とされ、まさに戦車のキャタピラが福祉、教育をさらに押しつぶそうとしております。この異常さは一体どういうことなんですか。
 ワインバーガー国防長官は、訪米した公明、民社、新自ク三党代表に「毎年一〇%の防衛予算増加が必要」と述べたと報道されております。これにこたえるかのように、みじめな忠実さで伊藤防衛庁長官は、昨年の特別枠七・五%を上回る一〇%を要求し、GNP一%の枠の修正をさえ総理に要請したとのことではありませんか。私は、軍事費聖域の撤廃と軍事費の大幅削減を強く総理に求めるものであります。明確な答弁を求めます。
 最後に、核軍縮の問題であります。
 核戦争をいかにして防止するか、この問題は第二回国連軍縮特別総会の中心テーマになっています。ところが、この軍縮特別総会に出席した鈴木総理の演説、そしてまた昨日来の答弁は、「平和と安定が国家間の力の均衡によって保たれている」という軍事力均衡論をおくめんもなく繰り返しております。しかも、二つの核大国のうちアメリカを弁護し、レーガンの力の政策の側に立つことを公然と表明いたしました。周知のように、ワルトハイム国連前事務総長の核兵器に関する報告は、核軍拡のもとでの軍事力均衡論を恐怖の均衡論であるとし、「最も危険な集団的誤謬」であると指摘しています。
 総理、あなたは何を聞いても力の均衡論をテープレコーダーのように繰り返すだけです。しかし、力の均衡によって平和が保たれているという主張が、結局は果てしのない拡大均衡、核軍拡のエスカレートに導かざるを得ないことは、核兵器の数が一九五〇年代初めには数百発でした。それがいまや四万五千発を超えるというこの現実からも明白ではありませんか。総理の認識を伺いたいのであります。
 核戦争阻止のための緊急課題は核兵器の廃絶にあります。だからこそ国会決議は「核兵器の製造、実験、貯蔵、使用の禁止をめざし、特に、核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとること」、これを今国連特別総会にわが国会は求めたのであります。ところが、総理は、この前段には全く触れず、また後段についても「そのためにはまず大幅削減」としてしまい、事実上、全面禁止、使用禁止を遠い将来に引き延ばしてしまいました。これはは国会決議の許すことのできない歪曲、改ざんにほかなりません。私は、その責任を厳しく問うものであります。
 総理は、国連演説後の記者会見で、「核兵器不使用決議が提出されれば、前向きの気持ちを盛り込んだ国会決議を物差しに判断する」、こう述べたと報道されています。ところが、宮澤官房長官は、この総理発言について、「必ずしも賛成を意味しない」、こう代弁しています。一体政府は、国民世論と国会決議に従って核兵器使用禁止ということに賛成するのか、それとも反対するのか。総理は、昨日衆議院においても、また先ほども「提出された段階で考える」と、まことにあいまい、無責任な答弁をされたけれども、国会決議をもし物差しにするならば、賛成以外にとるべき態度はないではありませんか。唯一の被爆国の首相として明確な態度をここで聞かせていただきたい。
 最後に、レーガンへの追随があらわれたきわめて重大な二つの問題があります。
 その一つは、国連演説でアジアと日本における限定核戦争の危険について何らの言及もなかったことであります。核弾頭つき巡航ミサイルの第七艦隊への実戦配備が八四年六月と公表され、その日本寄港が新たな核持ち込みとなる事態をあなたはただ座視するつもりなのでありますか。
 その二つは、総理が昨日の衆議院本会議で、ロストウ・アメリカ軍備管理・軍縮局長の対ソ核先制使用発言に見られるレーガンの核戦略について、先制使用の否定は抑止力を損なうというのが西側の見解だとして、これを肯定する態度を表明されたことであります。これこそ進んで核戦争に火をつけるものではありませんか。重大な問題でありますので、明確な答弁を求めるものであります。
 以上、政治倫理と議会制民主主義、経済と国民生活、日本の平和と安全という三つの重大問題で鈴木総理の失政とその責任は明らかであり、放置し得ないところのものであります。総理、日本共産党は、あなたがその責任をとって速やかにみずから退陣されるべきであることを国民とともに断固として要求するものであります。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(鈴木善幸君) 市川議員にお答えいたします。
 最初に、今回の判決に関連した政治倫理の問題について御意見がありました。
 まず、佐藤孝行議員の辞職勧告決議案と証人喚問の問題をどう認識しているかという点につきましては、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、事柄が国会議員に関することであり、国会の重要事項であります。行政府の責任者である私が指図する立場にはありませんので、御了解いただきたいと存じます。
 次に、航特委の復活問題は議院運営委員会で引き続き協議するとの了解事項になっていると伺っております。
 次に、二階堂幹事長、加藤全国組織委員長を任命した責任をどう考えているかとのお尋ねですが、これは政党内部の人事の問題であり、党員多数の意思によって選任されているのであって、他党からとやかく言われる筋合いのものではございません。自由民主党も他党の人事を公の場で批判したことはございません。
 次に、証人喚問等について国会任せの答弁をし、判決も論評せずとか、いかにも問題があるかのごとき発言がありましたが、私は行政府の責任者であると同時に自由民主党総裁でありますので、それぞれの立場をわきまえつつ党執行部にも必要な指示をいたしております。三権分立の立場を十分わきまえながら答弁をしている次第であります。
 なお、二階堂氏について司法的に決着済みであることは事実でございますので、一言申し添えておきます。
 私は、五十九年度に赤字公債依存体質からの脱却を図ることを目標に、財政再建に最大限の努力を続けている途次でありまして、この目標が破綻したとは考えておりません。
 数字を挙げて根拠を説明せよとのことですが、税収の見通しなどが非常にむずかしいことになっている状況でありますので、数字によって目標達成までのプロセスを示すことは目下のところ困難でありますが、いずれにせよ、歳出の合理化、抑制を主軸としてこの目標を達成したいという私の考えはいささかも変わっておりません。
 次に、五十八年度の防衛予算の取り扱いにつきましては、財政再建が緊急の課題であること、防衛計画の大綱の水準をできるだけ早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しながら慎重な検討を行い、わが国の防衛のために必要最小限度の経費を計上してまいりたいと考えております。
 国際問題についてお答えをいたします。
 まず、いわゆる力の均衡についてでありますが、今日の国際社会の平和と安全が国際間の力の均衡によって保たれていることは否定し得ないところであります。さればこそ、われわれは恒久平和を目指し、この力の均衡を少しずつでも低位に抑制していくことが肝要であると考えております。私は、世界経済は拡大均衡、軍事は縮小均衡でなければいけないということを主張いたしておるところであります。私はこのような考え方に立ち、さきの国連軍縮特別総会において、核軍縮を初めとする軍縮の促進を強く世界各国に訴えた次第であります。
 なお、私は、さきの国連軍縮特別総会においては、先般本院が採択された国会決議をも体し、国民の総意を代表して、核の惨禍が二度と繰り返されることのないよう、核兵器のない世界を実現することが被爆国日本の悲願であることを強く世界に向けて訴えてまいりました。また、この強い国民的願望を早急に実現するためには、まず何よりも具体的な核軍縮措置を着実に積み重ねていくことが肝要であるとの考え方に立って、核兵器国を初めとする世界各国が実効ある措置をとるべきことを強く訴えました。このような考え方は、決して国会決議を歪曲、改ざんするものではありません。
 また、核兵器を使用しないという約束については、実効性及び安全保障上の意味合いにも配慮する必要があると考えます。今後における核兵器使用禁止決議案については、提出された段階でその内容を見た上で、国会決議をも十分踏まえ、適切に対処していく所存であります。
 なお、お話のあった核弾頭搭載の巡航ミサイルとわが国との関係につきましては、これまでもたびたび御説明しているとおり、艦船によるものを含め核の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、また、核持ち込みについての事前協議が行われた場合には政府として常にこれを拒否する所存であります。
 また、ロストウ局長等米政府関係者の発言は、現在の国際社会における力のバランスが通常兵力と核戦力との総和の上に成立しているという現実を踏まえて、戦争を未然に防止するための核兵器の抑止力としての重要性を述べたものであると思います。かかる考え方が即核戦争を肯定するものであるという市川議員の御発言は、いかにも短絡したものと考えます。
 最後に、私に退陣せよとの御意見がありましたが、私は民主主義のルールによって選任され、職を務めているものであって、そのルールを否定するかのごとき発言には承服できません。共産党から内閣不信任案が提出されているということはまだ私は聞いておりません。したがって答弁いたしません。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの御質問は、要するに税収欠陥の原因は物価の安定じゃなくて、それは軍備を拡張したり、それから福祉を減退させたり教育を抑えたり、それから減税をやらなかったり、そういうことによって歳入が不足をしたのだと、大体そういう御質問だったと私は受けとめました。事実は違います。現にわれわれは、世界全体の不況ということもあって非常な税収の伸び悩みということは事実でございます。しかし、それにもかかわらず、福祉等についてはでき得る限りいままでも配意をしてきているわけでございます。それよりももっともっとふやせと言われましても、財源はどうしますかという問題がございます。減税をやれ、財源はどうする。私も減税はできることならやりたいと思っていますが、財源はどうしますか。共産党のように軍事費を切って全部回すんだという、そう簡単に解決できるならば、そういうことが現実にできるならば問題はないのでありまして、そこが根本的に考え方が違うわけでございますから、これはとうていその点をのむことはできないわけでございます。
 御承知のとおり、日本はともかく消費節約運動というものを、官民挙げて省エネルギー、それから省資源運動をやりました。その結果、確かに二年間に約二〇%近い石油の節約が行われました。事実でございます。こういうことが経常収支を黒字にしたり、あるいは物価にえらい役立った。そのかわり個人の方は、個人の貯蓄が順調に伸びて、去年一年だけで三十五兆円から個人の金融資産がふえておる、これも事実でございます。
 一方、勤労者世帯を見れば、ことしの二月、三月というのは、去年になかったように初めて実質収入が三%ないし四%というように伸びてきておる。これは御承知のとおり物価が安定をして思ったより下がる。たとえば春闘で七%、六・九の賃金がかち取られて物価が思ったよりも下がるということになれば、実質賃金がよくなって、しかも失業も余りふえない、そのことは各国に比べてもきわめていい状態である。したがって、労働組合の方々も賢明でございますから、ストライキも続発しないというようなことで世の中がうまく動いておるわけでございまして、財政だけがちょっとぐあいが悪いというのは事実でございます。
 したがって、これは収支のバランスの問題でありますから、収入が足らなければ歳出を削る、歳出をどうしてもこれ以上切れないということになればその分は何らかの形で御負担をいただく、簡単明快でございます。これは国民の選択の問題でございますから、そういう方向で、まず私どもとしては歳出の削減合理化を図って、むだだと言われることのないようにまずやろう。そこから後はどうするか、不足分については追って相談をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(徳永正利君) 柄谷道一君。
   〔柄谷道一君登壇、拍手〕
#34
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、総理の帰国報告を中心に質問を行うものであります。
 私は、去る三月二十九日の本院予算委員会でサミットの問題に触れ、世界経済の停滞、不況の長期化、雇用情勢の悪化等の悪環境を背景に高まりつつある保護貿易主義の台頭や米国の高金利政策に対し、日本がとるべき基本姿勢は、米国やEC諸国の対日要求に振り回されることなく、サミット参加国が世界経済を再生、活性化するためにそれぞれの役割り分担を相互に確認し、それを各国が着実に実行するという新協調行動を確立することにあると指摘いたしました。
 すなわち、日本がとるべき分担は経済規模、特に内需の拡大、産業協力の拡充、市場開放の三点であり、米国の分担は高金利政策の是正と世界経済を縮小均衡に導く相互主義法案の撤回であり、そしてEC諸国は保護貿易主義の動きを抑え、金融面を中心とした拡大充実策をとる役割りを分担し、それら各国の任務分担がパッケージされて初めて世界経済は再生されることを具体的かつ建設的立場に立って提言したのであります。総理はその際、私の考え方に賛同し、最善を尽くすことを約束されました。
 今回のサミットの共同宣言を見る限り、一応、インフレの克服、慎重な金融政策や財政赤字の一層の抑制、多角的貿易体制の強化、一保護貿易圧力の排除、代替エネルギー源の開発促進、南北問題に関する包括交渉の早期開始、科学技術の発展と活用、世界の通貨制度安定のための努力などが盛り込まれており、参加国間で広範な問題に一応の合意を見たことは評価するものでありますが、総理は、今回のサミットを通じ、世界経済再活性化に向けて、各国の役割り分担の相互確認に立つ新協調行動体制が完全に確立されたものと確信しているのか、率直な意見を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、具体的に三点について伺います。
 第一は、米国の高金利政策の是正についてであります。
 今回のサミットでは、「国際通貨面での約束に関する声明」を行い、通貨安定を目指した介入協議機関の設置等について合意しましたが、サミット後も為替相場は、米国の高金利の再騰懸念などから円の対ドル相場は二年二カ月ぶりに二百五十円を割り込み、さらに円安が進むことが予測されるなど、現実にはいかなる解決も見ておらず、サミットの合意がどのような意味を持つものなのか疑わざるを得ない現状を呈しております。
 言うまでもなく、円安ドル高は輸入インフレの要因となり、景気回復政策の選択の幅を狭めるばかりか、今後貿易摩擦を再現する火種となる重大な問題を含んでおりますが、その根底にある米国の高金利政策に対し総理は具体的にどのような是正を求めたのか。また、民社党の訪米視察団に対し米国の学者、有識者は一様に「短期的見通しとして年内に二ないし四%金利は下がるであろう」との見通しを述べておりましたが、総理はいかなる展望を持っているのか。さらに、現在の円安傾向についてどう対応するのか、総理及び大蔵大臣の所見を明らかにしていただきたい。
 第二は、内需の喚起についてであります。
 総理は、サミットにおいて「景気の維持拡大に配慮し、内需中心の成長を達成するよう努力を続ける」と発言をされました。しかし、現実には五十六年度の税収不足は当初予算に比べ三兆円を超えるものと見込まれ、五十七年度もこれを発射台として試算すると四ないし五兆円規模の税収不足、五十八年度も財政の中期展望で見込んだ約四十一兆円より五兆円程度の歳入欠陥を生ずる可能性が強いと指摘されている深刻な財政状況、さらに総理の政治責任をかけた「五十九年度赤字国債脱却」という公約による制約、米国の高金利による政策選択の幅の狭さなどの諸情勢の中で、五十七年度における五・二%の内需中心の経済成長という目標を実現するために、どのような具体策を念頭に置いてサミットの発言をされたのか、その内容をお示しいただきたい。
 また、この公約は当然、本年度の補正予算と来年度予算の中で数字で明示されなければならないが、さしあたり補正予算案は本国会の会期中に提出されるべきであると思うがどうか。鈴木内閣にとっては、次期総裁選への思惑や党利党略に立って公選法の強行成立を図ることより格別重大な国際的、国内的な責任であると考えるが、その時期をこの際明らかにしていただきたいのであります。
 また、税収の見通しを誤り、大きな歳入欠陥を生じ、「増税なき財政再建」「五十九年度赤字国債脱却」という総理の公約実現を揺るがす事態を招いた大蔵大臣と、世界経済の動向や日本経済の体力の衰えを見抜けず、経済運営を誤って今日の深刻な事態を招いた経企庁長官の政治責任のとり方を問うとともに、総理の国際的公約を果たすため今後どのような具体的施策をとろうとするのか、両大臣の明確な答弁を求めるものであります。
 第三は、南北問題であります。
 総理、あなたはサミットにおいて「発展途上国の経済社会開発への支援を推進する重要性」を強調されました。その言やまさによしと言うべきであります。しかし、政府の発展途上国向け政府開発援助の五年間倍増中期計画の達成は、八一年支出純増ベースで前年比四・一%減、GNP対比でも前年より〇・〇四%落ちております。この結果、これまで五年間に年率八・七%ずつ援助額をふやせば達成できた倍増計画が、この削減により今後年率一五%ずつふやさなければならないことになり、その目標達成が危ぶまれておりますが、政府はこの公約をどのように実行していくのか、総理及び外務大臣の見解を求めます。
 次に、国連軍縮特別総会に関連して質問します。
 この総会には私自身も参加の機会に恵まれましたが、いまや核兵器の廃絶と軍縮の促進が人類の悲願となっていることをひしひしと実感し、決意を新たにいたしました。特に国連事務総長が、中道四党及び同盟の「相互的・段階的軍縮の提言」を高く評価し、「総会は満場一致を前提とするため野心的かつ大胆な決議は期待できないとしても、私個人としては提言に全面的に同意するものであり、できる限り実効ある決議を実現したい」と回答されたように、世界の世論喚起に貢献できたものと信じております。総理自身も総会に参加され、高邁な理想に向けての日本国民の意思を披瀝されたことはきわめて有意義であったと考えるものであります。しかし、その演説内容は、どちらかといえばきれいごとに過ぎ、具体性を欠くとの感を禁じ得ませんので、この際若干の質問を行います。
 第一は、世界の核兵器の大半を所有する米ソ両国が戦略兵器削減交渉に入ることを決定したことはまことに歓迎すべきことでありますが、日本にとって看過できないことは、日本周辺のいわゆる戦域核の存在についてであります。
 特に、ソ連のSS20が極東に百基以上配備され、日本全域が覆われ、その一基の破壊力は広島型原爆の約百五十倍にも達するという事実であります。ヨーロッパのSS20については米ソ間で削減の提案がそれぞれ出されておりますが、しかしアジアのSS20についてはソ連のブレジネフ書記長が交渉から切り離すと発言していることはきわめて重大であります。ヨーロッパのSS20がそのままアジアに回されるという事態を許すことはできません。総理はレーガン米大統領との会談でこの点に言及したと言われますが、具体的に何を求め、その結論はどうであったのか、この際承りたいと思います。
 同時に、この方針はソ連政府に対しても申し入れているのか、それに対してソ連政府からはどのような回答を得ているのか、日ソ外相会談に臨んだ外務大臣からも明確な答弁をいただきたいのであります。
 第二に、総理は総会における演説の中で「適切な条件の整っている地域における非核地帯の設置を目指す」と発言しておられますが、これはアジア太平洋地域を想定したものかどうか。この場合は、この地域における米中ソの核兵器をすべて撤廃させ、かつこれを国際的に査察、検証する必要があると考えるが、こうしたことが現実に可能かどうかを含め総理の見解を伺います。
 第三に、総理は「国連の平和維持活動を一層強化充実させるための積極的協力」を強調されましたが、それは一体何を意味するのかということであります。それは、国連憲章に定められ、かっ加盟国が遵守の義務を負う国連軍への参加の方向を示唆したものか、あるいはそこまではいかなくても、国連停戦監視団には参加するということでありましょうか。この際、総理の真意について明確な答弁をいただきたいと思います。
 最後に、ロッキード裁判全日空ルートの有罪判決に関連して質問いたします。
 今回の有罪判決は、その論告にも明らかなように、「航空行政の公正と、これに携わる者の潔白性に対する国民の信頼を著しく失墜させ、同時に国民に政治不信の念を抱かせた」点を重視した結果であり、議員個人の汚職犯罪にとどまらず、自民党の金権体質に由来する構造的汚職に対する厳正な裁きと考えるものでありますが、総理は自民党総裁としてこの判決を厳粛に受けとめ、政治浄化に全力を尽くす決意をお持ちかどうか、まずお伺いいたします。また、われわれは、有罪判決が下された関係者が、判決の趣旨にかんがみ、みずから政治的、道義的責任を国民の前に明らかにすることが筋としてその進退を見守ってまいりましたが、今日に至るも毫も反省の姿がないのははなはだ遺憾と言うほかはありません。橋本、佐藤両氏に対して自民党としてはいかなるけじめをつける考えか、総裁としての見解を示していただきたい。
 次に、法務大臣に質問したい。
 法務省は、昭和五十一年十月のロッキード事件の捜査処理に関する中間報告で、不起訴となったいわゆる灰色国会議員五名に対し、ロッキード社から流入した金銭そのものの授受を明らかにしておりますが、今回の判決は証拠を明らかにしてその事実を裏づけたものと考えるが、そのとおりかどうか、大臣の受けとめ方を明らかにしていただきたい。
 そうだとすれば、特に二階堂氏の場合、昨年国会に提出した上申書と今回の判決内容には重大な食い違いがあり、上申書を全面的に信頼して幹事長に起用した総理の政治責任も問われることになるが、真実を究明し、灰色高官の政治的、道義的責任を明らかにするための関係者の証人喚問について、自民党総裁としてどのように対処するのか、国民の前にその姿勢を示すべきであります。
 自民党は証人喚問の前提条件として議院証言法の改正を挙げ、与野党間でほぼ合意に達するや、新たに改正項目を追加し、さらに倫理委員会の設置を証人喚問の条件として持ち出すなど、真実の解明を先延ばしにする意図があるとしか考えられない行動に出ていることは、政治浄化という国会の任務を放棄し、国民の政治不信を一層増幅するものとして強く警告するものであります。
 国会が怠惰の標本となることや、灰色隠しを意図することは絶対に許されるべきことではありません。それは議会政治の自殺行為に通ずるものであり、証人喚問を国会事項として逃げることは、総理個人の政治家としての倫理感の欠如と、総裁として党内に対する指導性のなさを露呈するものであります。総理として、また自民党総裁として、今国会の会期中に、しかも可及的速やかに証人喚問を実現することの確約を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(鈴木善幸君) 柄谷さんにお答えいたします。
 まず、サミットについてでありますが、厳しい国際経済情勢のもとで開催された今回のサミットにおいて、世界経済が直面する諸困難を乗り越え将来の展望を切り開いていくためには、われわれは各国経済の活力の回復と自由貿易体制の維持強化という二大目標に向けて、強い決意を持って協力していくことが肝要であることを強調いたしました。また、この関連で私より、サミット直前にわが国がとった市場開放措置につき披露するとともに、わが国の経済政策についても言及をいたしました。
 参加各国の首脳とも、このサミットにおいては同様な問題意識を持って真剣な討議を重ねた結果、将来に向けての協力姿勢を確認し、科学技術、経済政策、通貨、貿易、南北問題、東西経済関係等につき、サミット宣言に示されたような行動の目標を定めることができたことは大きな成果であったと考えております。今後はサミット参加国が協力してサミットの成果を実行に移していくことが肝要と考えます。
 次に、米国の高金利及び円安の問題でありますが、金利問題及び通貨問題はサミットでも大いに議論されました。基本的にはインフレの抑制が金利の引き下げ、安定した為替相場をもたらす助けとなるとの認識のもとに、緊急な課題として、慎重な金融政策を追求し、財政赤字の一層の抑制を達成するとの合意に至ったのでありますが、特に通貨問題について、今後各国通貨当局間の一層緊密な協力を進めていくことについて合意があったのであります。今回のサミットの一つの成果と考えております。
 金利及び為替問題の詳細につきましては、後ほど大蔵大臣からお答えを申し上げます。
 内需中心の成長についての私のサミットでの発言についてでありますが、先ほど山内議員にもお答えいたしましたように、現にわが国は内需、特に国内民間需要を中心として景気の着実な回復を目指しているわけでありますから、そのような実情を説明し、これに全力を挙げておることを説明した次第であります。
 補正予算提出の時期を明らかにせよとのことでありましたが、この延長国会の提出は技術的にも困難でありますし、また、五十七年度に入ったばかりの現段階で予算補正の時期を申し上げることははなはだむずかしいことであります。いずれにせよ、今後の経済情勢を慎重に見定め、必要があれば適切に対処いたします。
 次に、経済協力についてであります。
 わが国が内外に表明している新中期目標は五カ年間を対象とするものであり、したがって昨年のODA実績のみでは必ずしも全体を判断し得ないと考えますが、いずれにいたしましても、政府としては新中期目標の達成のため、同目標にある一般会計の伸びを確保することを初め政府借款の積極的拡大を図るなど、同目標達成のため今後とも一層努力する所存でございます。
 次に、軍縮の問題についてでありますが、私は多くの日本国民が平和・軍縮運動に熱心に取り組んでいることを真摯に受けとめており、御指摘の中道四党及び同盟の提言についても、核の惨禍が二度と繰り返されることのないよう、核兵器のない世界を目指す願望を表明したものと受けとめております。
 なお、アジアにおけるSS20の問題につきましては、パリにおける私とレーガン大統領との会談において、欧州から撤去されたSS20が極東に配備されることとなれば日本としても大変なことになるとして、わが国としての関心の次第を述べたのに対し、レーガン大統領からは、日本の関心、心配はよくわかる、米国としてはこの問題を含め米ソ間交渉に対しては誠意を持って臨みたいとの発言があったことを御報告申し上げます。
 次に、非核地帯設置の問題についてお答えいたします。
 私は、第二回軍縮特別総会において、核拡散防止の見地から適切な条件の整っている地域における非核地帯の設置を目指し、国際的な努力が続けられることを望む旨述べました。非核地帯設置構想に関しては、その地域の政治、軍事情勢等の地域的特性が十分勘案されなくてはならないことは申すまでもありません。さらに、具体的には核兵器国を含む関係諸国すべての同意があること、特に当該域内諸国のイニシアチブを基礎とすることなどの条件が整っていることが必要であると考えますが、アジア太平洋地域においては遺憾ながらいまだこのような条件は整っていないと考えており、したがって現状においては御提言の趣旨の実現が可能であるとは考えておりません。
 また、国連の平和維持活動につきましては、わが国はこれを国際の平和と安全の維持に資するものとして高く評価し、これに対し従来より財政の分野で積極的に協力してきております。わが国としては、国連の平和維持活動にさらに積極的に貢献するために、従来から実施している財政面での協力に加え、いかなる形での協力がなし得るか、具体的に検討していきたいと考えておりますが、いずれにせよ、平和憲法の精神を体して、わが国の国連平和維持活動に対する協力は、幅広い国民の支持の上に立つものでなくてはならないと考えております。
 最後に、政治倫理の問題についてであります。
 今回の判決につきましては、これは司法当局が長い間慎重な審議を重ねた結果下したものであり、厳粛に受けとめております。私は、政治倫理の確立と政界の浄化刷新を図り、政治に対する国民の信頼を確保していくことが議会制民主主義を守っていく原点であると考えておりますので、引き続き政治倫理の確立のため努力してまいる所存であります。
 次に、今回の有罪判決を受けた国会議員の辞職勧告問題につきましては、先ほど申し上げましたように、本人自身が判断すべきことであって他から強制すべき性質のことではないと思いますが、国会議員の身分に関する事柄でありますから、行政府の責任者である私は意見を差し控えさせていただきたいと存じます。
 最後に、証人喚問についてでありますが、現行の議院証言法は人権上種々の問題があるため、ここ数年来、各党間で論議されていることは御承知のとおりであります。私は自由民主党総裁として、かねてから党執行部に対して倫理委員会の設置等、議院証言法の検討などを要請いたしておりますが、この問題はまさに国会の重要事項でございますので、各党間で十分御協議を願って結論を出すべきものと心得ております。
 以上お答えいたしましたが、残余の点につきましては関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔にお答えいたします。
 米国の高金利政策について、これはいまお話がありましたように、われわれもなかなか予断を許さない、人によって違いますが、なかなか下がらないのではないか。アメリカの財政が、予定どおり歳出カットが行われるかどうかということにかかっておるわけでございますから、もう少し議会の様子を見ないと何とも言えないということでございます。
 為替の問題につきましては、これはともかく、いままではアメリカとしては為替は一切ノータッチという形でございましたが、IMF等で決まっておる市場の秩序が乱れるというような為替の乱高下に対しては協力をするにやぶさかでない、今後とも共同介入という問題については、共同で介入することが本当に効果があるのかどうかも含めて、事務当局間でひとつ大規模なものについてはもう少し突っ込んだ検討をしていこうではないかということになっておる次第でございます。
 円安の問題でございますが、それは裏表ということであります。これはもう何といっても金利差、つまりアメリカは二二、四%というような預金金利で、しかもインフレ率がずっと少なくなっていますから、七%を切るというところまでなっていると六%の実質金利がある。日本は六%程度の金利で、三%を切るインフレ率で三%の実質金利。そうすると、三%そこに開きがあるわけでありますから、この金利差が一番問題であって、ドイツなどは五、六%にインフレ率が下がったにもかかわらず、二けた近い金利を維持しなければならない大変な苦しみの中にあるわけであります。
 そこで問題は、わが国としても現在の景気動向から、金利を上げるということは現実にできません。日銀等が短期金利についてはやや高目の指導といいますか、介入を行っておりますが、私は適切なものと考えております。
 為替レートの乱高下については、十分に時宜を得て適切な介入は行ってまいりたい、かように考えております。
 歳入欠陥の問題につきましては、先ほどから何回もお答えいたしておりますから省略いたしますが、今後とも適切な見通しが得られるよう皆様方のお知恵も拝借して、資料の収集等に努めて精度を高めたい、こういうことを考えております。いろいろこれはございまして、九月決算がなくなった、それから三月までのものを五月まで延ばすように見積もりをつくったというようなことなども問題でありますが、これはいますぐ直すことはもちろんできないことでございますが、将来の問題としてどういうことがいいのか、検討をさせてもらいたいと考えております。
 ベルサイユの内需拡大問題については総理からお話がありましたので、省略させていただきます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(河本敏夫君) 世界経済の現状は第二次大戦後最悪の状態にある、このように言われております。先進工業国二十四カ国の失業者は三千万と言われておりますし、いずれも先進工業国の経済成長率はゼロ成長またはマイナス成長でございます。
 しかしながら、そういう中にありまして、わが国は五十六年度第三・四半期マイナス成長という要因はございましたが、それを含めまして二・七%成長、一月から三月までは三・三%成長という数字になっております。これはやはりわが国の基礎的な経済力が欧米に比べまして非常にすぐれておるからだと、このように私どもは判断をいたしております。すなわち、物価、雇用、国際収支、あるいは貯蓄率、金利水準、労働者の質、国際競争力、労使関係、こういう点の違いが成長率の差になってあらわれておるのだと、このように理解をいたしております。
 最近、OECDあるいはIMF等で、ことしの後半から来年へかけての経済見通しを発表し、また近く発表することになっておりますが、それを見ますと、大体後半はほぼ二%成長、世界経済全体が二%成長、来年はIMFは二・五%成長、OECDは三%弱の成長、このように言っております。このように世界経済が回復をいたしますならば、先ほど申し上げましたように、わが国経済は欧米経済に比べまして幾つかのすぐれた点がございますので、これらのすぐれた点を十分生かしました経済政策を展開いたしますならば、政府の考えております経済成長も十分可能である、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(櫻内義雄君) 極東に配備されているソ連のSS20についての御質問でございましたが、このことはまことに遺憾なことであると考えており、本年一月の日ソ事務レベル協議において、現在米ソ間において行われている中距離核戦力削減交渉で、極東を含むソ連全土においてSS20に代表される中距離核戦力の削減、撤廃をソ連に求めたところでございます。また、先般ニューヨークで行われた私とグロムイコ外務大臣との会談において、私より極東配備のSS20について厳しく非難いたしましたところ、先方より、極東におけるソ連の行動について日本が心配することは何もない旨の応答がありました。いずれにせよ、政府としては機会あるごとに、ソ連側に対し本件中距離核戦力の削減と撤廃を求めていく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(坂田道太君) 柄谷さんにお答えいたします。
 いわゆる灰色高官五名に対する金銭授受の事実は六・八判決によって裏づけされたと受けとめてよいのか、法務大臣の見解を問うという御質問でございます。
 今回の判決は、橋本、佐藤の両氏に対するものであり、他の政治家については、右両氏に対する有罪認定との関連において言及しているが、これらの政治家に対する金員授受の事実自体は直接的には認定されていない。
 なお、橋本氏及び佐藤氏の有罪認定の証拠とされた伊藤宏証人及び副島勲証人の証言の信用性に関する判示部分において他の五名の政治家についても触れているところでございますが、何分にも、お尋ねの点については、判決言い渡しに際して配付された判決要旨の上では明示されていないので、断定的なお答えはいたしかねるところでございます。(拍手)
#40
○議長(徳永正利君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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