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#1
第096回国会 安全保障特別委員会 第2号
昭和五十七年二月二十四日(水曜日)
    午後一時十六分開議
 出席委員
   委員長 細田 吉藏君
   理事 有馬 元治君 理事 椎名 素夫君
   理事 中村 弘海君 理事 前川  旦君
   理事 横路 孝弘君 理事 市川 雄一君
   理事 神田  厚君
      石原慎太郎君    小渕 恵三君
      奥田 敬和君    後藤田正晴君
      塩谷 一夫君    竹中 修一君
      丹羽 雄哉君    三塚  博君
      岩垂寿喜男君    高沢 寅男君
      渡部 一郎君    金子 満広君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 伊藤宗一郎君
 出席政府委員
        防衛庁長官官房
        長       夏目 晴雄君
        防衛庁防衛局長 塩田  章君
        防衛施設庁長官 吉野  実君
        防衛施設庁総務
        部長      森山  武君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
 委員外の出席者
        安全保障特別委
        員会調査室長  池田  稔君
    ―――――――――――――
委員の異動
昭和五十六年十二月二十五日
 辞任         補欠選任
  石橋 政嗣君     岩垂寿喜男君
昭和五十七年二月九日
 辞任         補欠選任
  金子 満広君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     金子 満広君
同月十八日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     上田  哲君
  矢山 有作君     高沢 寅男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の安全保障に関する件
     ――――◇―――――
#2
○細田委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 外務大臣から、わが国の安全保障問題について、防衛庁長官から、最近の国際軍事情勢及びわが国の防衛政策について、それぞれ説明を求めます。櫻内外務大臣。
#3
○櫻内国務大臣 衆議院安全保障特別委員会が開催されるに当たり、わが国の安全保障問題につき所信の一端を申し述べます。
 わが国の安全保障政策は、積極的外交の展開、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用及び節度ある質の高い自衛力の整備の三つの基本的な柱により構成されております。
 本日は、これら三つの柱のおのおのについて私の感ずるところを率直に申し上げ、皆様の御理解を得たいと考えます。
 外交は、わが国の平和と安全を総合的に確保していく上で死活的な重要性を有していることは申すまでもありません。すなわち、外交努力を通じわが国をめぐる国際環境をできるだけ良好で安定的なものとすることが、わが国の平和と安全を脅かす事態の発生を未然に防止することにつながるのであります。
 このために、わが国は、近隣諸国を初めとする諸外国との間で友好協力関係の構築に努めるとともに、世界の平和に対する脅威、不安定要因の除去に積極的な貢献を行わなければなりません。
 もとよりこのような積極的外交を展開するに当たっては、わが国と政治、経済上の基本理念をともにする米国及び西欧諸国との連帯と協調が肝要であり、ことに、日米安保体制を軸とする日米友好協力関係が今後ともわが国外交の最も重要な基盤であることは、申すまでもありません。
 今日、世界の平和と安全に最も大きな影響を与えているのは依然として米ソを中心とする東西関係の動向であり、これがソ連の一貫した軍事増強とアフガニスタンへの軍事介入に見られるような第三世界への進出、さらにはポーランド問題などを背景として、不安定化の様相を見せていることは、御承知のとおりであります。
 かかる状況の中で、米国を中心とする西側諸国が、緊密な協議連絡を行いつつ、政治、軍事、経済の分野においておのおのの国力、国情にふさわしい責任と役割りを分担し、もって全体として整合性のとれた適切な対応を行っていくことがますます重要となってきておるのであります。
 私は、また、世界の平和と安定の基盤をより確固たるものとするためには、防衛力整備により抑止力を維持すると同時に、長期的により低いレベルで東西軍事バランスを安定させる必要のあることを強調したいと思います。世界の平和と安定が力の均衡によって支えられていることは事実でありますが、同時に、限りない軍拡の悪循環に陥ることは、人類全体を破滅に導くものと言わざるを得ません。
 米ソ間では、昨年十一月末に中距離核戦力交渉が開始されましたが、同交渉は、わが国を含む極東の平和と安全にも大きなかかわり合いを有するものであります。御承知のとおり、本件交渉においては、米国は、欧州及びソ連全土において米ソ両国の地上配備中距離ミサイルをゼロとすることを主張しているのに対し、ソ連は対象地域を欧州に限定する等の考え方を明らかにしております。
 わが国としては、ソ連による戦域核の極東配備については遺憾であり、また、本件交渉の結果、欧州に配備されているSS20が極東に移されるようなことがあってはならないと考えており、この意味で米国の提案を支持しているところであります。
 わが国は、また、戦略核兵器削減交渉についても、米ソ間でできる限り早い機会に交渉が開始され、実質的な削減が図られることを強く期待しております。
 政府としては、今後ともこれら交渉の動向を注視していくとともに、米ソ双方に対し随時わが国の考えを伝えてまいる考えであります。
 他方、国連においては本年六月に第二回軍縮特別総会が開催されますが、わが国は、平和国家として、また、核不拡散条約当事国として、核実験の全面禁止、核不拡散体制の維持強化等、核軍縮を中心とする具体的軍縮措置の必要性を訴え、建設的な審議が行われるよう貢献してまいる所存であります。
 国際の平和と安全を確保していく上で、いま一つの大きな問題は、インドシナ、中東、アフリカ、中米等第三世界をめぐる混乱及び紛争をいかにして平和的に解決していくかということであります。
 わが国としては、平和国家としての立場から、西側友好諸国との連帯と協調のもとに、紛争の平和的解決のためにわが国にふさわしい政治的、経済的役割りを積極的に果たしていく必要があると考えます。
 さらに、中長期的観点から、このような混乱や紛争を未然に防ぎ、第三世界諸国の安定的発展を確保していくためには、これら諸国の政治的、経済的、社会的強靱性を強化することが肝要であり、このためにも経済協力の一層の推進が重要であります。この意味で、経済協力は、わが国の国際社会に対する責任であるのみならず、わが国の総合安全保障政策の重要な一環であり、政府としては、世界の平和と安定の維持のために、重要な地域に対する援助を引き続き強化していく方針であります。
 また、わが国の安全保障を確保するために、近隣諸国との間に円滑かつ安定した関係を構築していくことがきわめて重要であることは、申すまでもありません。
 まず、朝鮮半島における平和と安定の維持は、わが国を含む東アジアの平和と安全のために緊要であります。わが国は、在韓米軍の駐留と韓国の防衛努力が同半島における勢力均衡に寄与していることを高く評価するとともに、南北首脳会談等、実質的な南北対話の進展を強く希望しております。また、わが国は、韓国の新しい国づくりの努力に対しては、わが国の経済協力の基本方針にのっとって、できる限りの協力を行っていく方針であります。
 次に、中国が、現在、国内の近代化を目標とし、対外的にも開かれた穏健な路線をとっていることは、この地域の安定のためにも好ましいことであり、わが国としては、中国のこうした近代化政策に対しできる限りの協力を続けてまいる所存であります。
 また、ASEAN諸国の発展と連帯の増進は、アジアの安定要因としてわが国としても大いに心強く感じているところであり、わが国は、これら諸国との政治、経済両面にわたる協力協調関係を一段と強化拡充してまいる所存であります。
 さらに、北方の隣国であるソ連との間では、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約の締結を図ることが、真に安定的な関係を確立するために不可欠であります。また、北方領土を含む極東でのソ連軍の増強、アフガニスタンへの軍事介入やポーランド情勢などの遺憾な事態が是正されることが肝要であります。政府としては、このような見地に立って、引き続きソ連側との話し合いを粘り強く行ってまいる所存であります。
 なお、東西関係ひいては世界全体の平和と安定に大きな影響を与えているポーランドの問題については、わが国は引き続きソ連の自制を求めるとともに、西側諸国との結束を維持しつつ、その一員として適切に対処していく方針であります。
 次に、日米安保体制につきましては、わが国の安全のみならず、極東における平和と安全のための基本的な枠組みを構成しており、その円滑かつ効果的な運用を確保することは、この地域の安定勢力、平和国家としてのわが国の責務であると言えましょう。その意味で、近時、「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインに基づく研究作業、在日米軍の駐留経費の分担、共同訓練等を通じ、日米両国間の協力関係の強化が図られつつあることは、まことに喜ばしいことであります。
 私は、今後とも、このような協力を通じ、わが国が武力攻撃を受けた際に米国が来援しやすいような体制を整備していくとともに、わが国を守ることが米国の国益であることを米国民に心から納得させ得るような良好な関係を米国との間で確保していくことがきわめて肝要と考えております。
 わが国への外部からの侵略を抑止し、かつ排除する上で、日米安保体制と並んで防衛力の着実な整備が不可欠であることは、改めて申すまでもありません。
 わが国としては、総理が施政方針演説に述べられたように、憲法の範囲内で必要最小限度の防衛力の整備を着実に進めることは、自由主義国の有力な一員としてのわが国に課せられた当然の責務でもあるとの認識に立って、わが国の基本的防衛政策にのっとり、専守防衛に徹し、近隣諸国に軍事的脅威を与えることなく、かつ、非核三原則を堅持しつつ、わが国の防衛力を「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く到達させるよう努めていくことが肝要であります。
 以上、わが国安全保障政策のあり方につき所信を申し上げました。政府としては、今後とも国民の皆様とともにわが国安全保障の確保に真剣に取り組んでいく所存であります。
 ここに、改めて、本委員会の皆様の格段の御指導と力強い御支援を賜りたく、お願い申し上げます。(拍手)
#4
○細田委員長 次に、伊藤防衛庁長官。
#5
○伊藤国務大臣 衆議院安全保障特別委員会が開催されるに当たりまして、最近の国際軍事情勢及びわが国の防衛政策につきまして私の所信の一端を申し上げます。
 最近の国際軍事情勢は、ソ連の一貫した軍事力の増強とこれを背景とする周辺地域及び第三世界への勢力拡張、特にアフガニスタンへの直接軍事介入やポーランドへの陰に陽にわたる影響力行使等によって、西側諸国のソ連に対する不信感が高まっております。このため、軍備管理、軍縮交渉等の話し合いは行われているものの、東西間においては対立の側面が強まっているとともに、中東における情勢は混迷を続け、朝鮮半島及びインドシナ半島においても緊張した情勢にあるなど、総じて不安定かつ流動的であり、依然として厳しいものであります。
 ソ連の軍事力の増強は、従来欧州方面が中心でありましたが、わが国の固有の領土である北方領土への師団規模の地上軍部隊の配備にも象徴されるように、近年は、極東方面においても顕著となってきております。地上兵力については全ソ連軍の約四分の一に相当する師団及び兵員が、海上兵力及び航空兵力については全ソ連軍の約四分の一ないし三分の一に相当する艦艇及び作戦機がそれぞれ配備されており、これらの兵力は、最近では、量的増強のみならず、質的増強にも著しいものがあると見られます。また、わが国を含む広範な地域をカバーし得るいわゆる戦域核戦力のSS20中距離弾道ミサイルやバックファイア爆撃機も配備されており、さらに、複数の軍管区等を統括する統合司令部が設置されたと見られるなど、極東ソ連軍の各般にわたる増強には目覚ましいものがあります。このような増強に伴い、極東ソ連軍の行動も近年活発化してきており、特にソ連の太平洋艦隊は、ベトナムの海空軍施設を常時使用することにより、西太平洋における展開能力等を強化してきております。他方、米第七艦隊は、中東情勢に対処するため、インド洋にその一部の勢力の派遣を余儀なくされており、その結果、同艦隊の西太平洋におけるプレゼンスが低下しておりますが、このような状況もわが国周辺の安全保障を考えるに当たって留意すべき要素となっております。
 以上のような情勢を背景として、米国は、このまま放置すれば、遠からず東西間の軍事バランスがソ連に有利に傾く趨勢にあることを深く懸念しており、レーガン大統領は、予算全体の伸びを厳しく抑える中で国防費を大幅に増加し、国防力の強化を図るという強い決意を表明しております。たとえば、最近議会に提出された国防報告によれば、一九八三会計年度の国防省費としては、総額二千百五十九億ドルを支出するとともに、今後、実質年平均約八・一%増加することにより、核戦力及び通常戦力の全面的な近代化を行い、信頼性のある抑止力の維持強化を図っていくことが明らかにされております。また、米国は、日本及び西欧等の同盟諸国に対して、なお一層の防衛力を強く期待しているところであります。NATO諸国においても、困難な政治経済情勢下にもかかわらず、国防力の強化に努力しております。
 このような国際情勢のもとにあって、わが国は、みずからの平和と安全を確保するには、外交、経済、エネルギー、食糧等総合的な安全保障の視点から政府全体として整合性のとれた施策を推進することが必要であることはもとよりでありますが、侵略を未然に防止し、また万一侵略が生起した場合にこれを効果的に排除できることが必要不可欠であるので、みずからの防衛のために適切な規模の防衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によってみずからの安全を確保することとしております。
 わが国の防衛力の整備につきましては、政府は昭和五十一年に閣議決定された「防衛計画の大綱」に従い、防衛力の整備を進めておりますが、次のようなことからなお一層の努力を行う必要があると考えております。
 まず、現下の厳しい国際情勢があります。この点についてはさきに述べたとおりであります。
 次に、わが国の防衛力の現状であります。わが国の防衛力は、規模的にいまだ「防衛計画の大綱」の水準に達していないのみならず、装備の老朽化や抗堪性、即応態勢及び継戦能力の不足等、質的にも種々の問題があるところであります。
 なお、同盟関係にある米国が、わが国に対し、みずからの防衛のためになお一層努力をするよう期待を表明してきていることでありますが、米国は、日米安保条約に従い、わが国を防衛する立場にあり、また、わが国の安全を確保する上で日米安保体制が不可欠なものであることから、わが国が防衛努力を行っていく上で、このような米国の期待を念頭に置き、日米安保体制の信頼性の維持向上を図ることも必要であると考えます。
 以上のことから、自由主義陣営の有力な一員としてのわが国は、自主的判断に基づき、憲法及び基本的な防衛政策に従い、また、経済財政事情等も考慮しながら、防衛力の整備に努力することとしておりますが、現在、平時における基盤的なものとしていわば最低限の防衛力とも言うべき「防衛計画の大綱」に定める防衛力をできる限り早く達成する必要があると考えております。
 かかる観点から、昭和五十七年度の防衛関係予算につきましては、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、最大限の努力を払ったところであり、これにより質の高い防衛力の着実な整備が図られるものと考えております。
 なお、防衛関係費が特別扱いされたとの批判がございますが、昭和五十七年度の防衛関係予算は、「防衛計画の大綱」に従って着実に防衛力を整備していくとのこれまでの考えに沿って、わが国防衛のための必要最小限の経費を計上したものでありますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 また、昭和五十八年度から昭和六十二年度までを対象とする五六中業は、昨年の国防会議で了承された方針に基づき「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を達成することを基本として、現在防衛庁において鋭意作業を進めているところであります。
 同時に、いわゆる有事に際し、保持する防衛力を最も有効に運用し、最大限にその能力を発揮し得る態勢を整えておくことは、必要不可欠なことと考えております。このため防衛庁においては、従来から、防衛研究、「日米防衛協力のための指針」に基づく共同作戦計画等の研究、有事法制、奇襲対処問題といった、いわばソフト面についての研究作業を行ってきております。有事法制の研究については、昨年四月に防衛庁所管の法令についての中間報告を行い、現在、他省庁所管の法令について防衛庁としての立場から検討を進めているところであります。
 このほか、諸外国の技術の動向に対応し得るよう装備の質的な充実向上を図るとともに、わが国の国土、国情に適した装備をみずから整備するため、装備の自主的な研究開発を重視しており、このため、前年度に引き続き中等練習機、高速ホーミング魚雷等の開発を推進するほか、新たに地対艦誘導弾、新戦車等の開発に着手したいと考えております。
 最後に、防衛施設に関する主要施策について一言触れたいと思います。
 在日米軍の駐留を真に実効あるものとして維持することは、日米安保体制の信頼性を確保する上できわめて重要なことであります。政府は、このような立場から、在日米軍の駐留経費負担について、地位協定の範囲内においてできる限りの努力を行ってきておりますが、今後ともこの努力を続けてまいる所存であります。
 また、防衛施設は、自衛隊及び在日米軍の活動の基盤をなすものであり、その安定的使用は、わが国の防衛にとって必要不可欠なものであります。政府は、従来、関係地方公共団体、住民等の理解と協力なくして防衛施設の安定的使用はあり得ないとの認識のもとに、防衛施設の設置運用とその周辺地域の発展や関係住民の民生の安定との調和を図るべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する諸施策を講じてまいりましたが、今後ともその充実に努め、関係者の一層の理解と協力を得てまいりたいと考えております。
 なお、現在の国際情勢を踏まえ、わが国がみずからの安全保障をいかに確保していくかは、まさに国民一人一人がみずからの問題として真剣に取り組んでいくべき国民的課題であると考えます。
 以上、防衛政策等に関する私の所信を申し述べましたが、防衛政策の遂行に当たっては、シビリアンコントロールの確保について国民にいささかの疑念も生じないよう留意し、今後とも民主主義のもとにおける自衛隊の適正な運営に努めてまいるつもりでありますので、細田委員長を初め委員各位のなお一層の御指導と御鞭撻を切にお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#6
○細田委員長 以上で説明は終わりました。
 次回の委員会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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