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#1
第096回国会 物価問題等に関する特別委員会 第3号
昭和五十七年三月十八日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 武部  文君
   理事 狩野 明男君 理事 岸田 文武君
   理事 牧野 隆守君 理事 井上  泉君
   理事 小野 信一君 理事 長田 武士君
   理事 塩田  晋君
      熊川 次男君    長野 祐也君
      吹田  ナ君    金子 みつ君
      新村 勝雄君    中野 寛成君
      岩佐 恵美君    依田  実君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 佐藤徳太郎君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 相場 照美君
        経済企画庁調整
        局長      井川  博君
        経済企画庁国民
        生活局長    小金 芳弘君
        経済企画庁物価
        局長      廣江 運弘君
        経済企画庁総合
        計画局長    谷村 昭一君
        経済企画庁総合
        計画局審議官兼
        物価局審議官  川合 英一君
        経済企画庁調査
        局長      田中誠一郎君
        資源エネルギー
        庁石油部長   野々内 隆君
 委員外の出席者
        外務大臣官房審
        議官      山口 達男君
        外務省アジア局
        中国課長    池田  維君
        大蔵省関税局輸
        入課長     忠内 幹昌君
        国税庁直税部法
        人税課長    渡部 祐資君
        厚生省環境衛生
        局食品衛生課長 寺松  尚君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 藤井 正美君
        厚生省医務局指
        導助成課長   小沢 壮六君
        厚生省薬務局経
        済課長     岡光 序治君
        厚生省薬務局審
        査課長     代田久米雄君
        厚生省保険局医
        療課長     古川 武温君
        農林水産省農蚕
        園芸局植物防疫
        課長      管原 敏夫君
        林野庁林政部林
        産課木材需給対
        策室長     白石 和良君
        通商産業省通商
        政策局国際経済
        部通商関税課長 横堀 恵一君
        通商産業省貿易
        局輸入課長   横山 太蔵君
        通商産業省基礎
        産業局鉄鋼業務
        課長      緒方謙二郎君
        資源エネルギー
        庁石油部流通課
        長       長田 英機君
        建設省計画局宅
        地開発課宅地企
        画室長     黒川  弘君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○武部委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。狩野明男君。
#3
○狩野委員 先ごろ大臣より、わが国の経済運営について所信表明がありましたが、それを踏まえて幾つかの問題について御質問をしたいと思います。
 まず最初に、景気対策の問題であります。
 最近における国内景気の動向を見ると、個人消費は一進一退の動きを示すとともに、住宅建設はなお低水準の状況にあります。一方、これまで堅調な伸びを示していた輸入にも、その勢いにやや衰えが見られるところであります。こういう中で、昨年十月から十二月の国民所得統計では、期待に反してマイナス〇・九と、最近にないマイナス成長になったわけであります。このため、五十六年度の実質経済成長率は四・一%の達成がほぼ不可能になったのではないか、そのように思われます。またこれに関連して、来年度五・二%の目標達成率も達成するのがきわめて困難となったのではないか、そのように考えるわけでありますが、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#4
○河本国務大臣 先般、五十六年度第三・四半期の国民経済統計速報を発表いたしましたが、御案内のとおりの内容になっております。内需はやや回復の徴候が見えますが、外需の大幅なマイナスということで差し引き〇・九%のマイナス成長、七年ぶりでマイナス成長になりました。しかし、内需が回復の方向に進んでおるという傾向も出ておりますので、将来の展望についてはそれほど悲観をするという状態ではないと私どもは思っております。もっとも、第一・四半期が一・二%成長、第二・四半期が〇・六%成長、第三・四半期がマイナス〇・九%成長でございますから、いま御指摘がございましたように、五十六年度の政府の成長目標四・一%を達成するということは非常に厳しい状況になっておる、これはもう御指摘のとおりでございます。
 また、五十七年度の経済の成長見通しについても御意見がございましたが、私どもは、昨年の後半からことしの前半にかけては、世界経済の一番悪い時期ではなかろうかと思っております。また、現時点がわが国経済の最も深刻な状態になっておる時期ではなかろうかと思っておりまして、今後、わが国の経済政策を情勢の変化に即応いたしまして機敏にかつ適切に展開をしていくならば、日本経済の持っております潜在成長力等から考えまして、また後半における世界経済の展望等から考えまして、五十七年度の成長目標の達成は十分可能である、このように考えております。
#5
○狩野委員 次に、新年度の経済運営に当たっては、雇用の安定を図るとともに貿易摩擦を解消させ、特例公債からの脱却を円滑に進めるためにも、国内民間需要を中心とした経済の自律的な回復を促進していくことが肝要であり、五・二%程度の実質経済成長率をぜひとも実現していく必要があると思います。このためには、経済見通しにおいて決定した経済運営の基本的な態度のもとで具体的な景気対策を早急に進めることが必要ではないかと思いますが、そういった具体的対策等について大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
#6
○河本国務大臣 当面の経済についての考え方についてお述べになりましたが、政府の考え方もおおむね同じような内容を考えております。
 現在わが国の経済が落ち込んでおる状況をいろいろ分析してみますと、大きく分けまして四つあるのではないかと私は思っておるのです。
 その一つは、先ほど申し上げました世界経済が最悪の状態になっておるということ、つまり世界全体の購買力が激減しておるためにわが国の貿易が落ち込んでおるということでございます。
 第二点は、アメリカの金融情勢が御案内のような状態でございますので、その影響を強く受けまして、わが国においては、わが国自体の金融政策を機動的に展開できる条件は整っておるのでございますが、アメリカのためにこれが思うように展開できない、こういうことが経済の足を大きく引っ張っておると思っております。
 第三点は、社会資本投資、公共事業がここ数年間ずっと横並びになっておりますが、これもやはり経済に活力を与えるという意味においては大きな影響があると思っております。
 第四点は、実質可処分所得が伸び悩んでおる、ときにはマイナスになる、こういうことのために消費が伸びない、住宅が建たない、中小企業の状態が悪いということにつながっておりまして、大体原因は分析をいたしますと四つになろうかと思います。
 したがいまして、その原因をそれぞれ的確にとらえまして分析をしながら対応していく、こういうことだと思うのです。
 今回さしあたりの対策として決定いたしましたことは、金融政策を機動的に展開する条件は厳しいのですけれども、そういう条件の中においてもできるだけの工夫をしていこう。それと五十七年度の公共事業を上半期に集中する、七五%以上、技術的に可能な限り最大限これを消化していく。あわせて、昨年の災害は約一兆になっておりますが、この災害対策をできるだけ早く仕上げる。それから、ことしの住宅建設計画は百三十万戸でございますが、その約半分が公的住宅または公的資金による住宅建設の計画でございますので、これをやはり上半期に集中してできるだけ繰り上げてやっていく。さしあたってこういうことをひとつやってみようということで、二、三日前の閣議でそういう方向を決めたところでございます。
#7
○狩野委員 民間需要の回復力が弱い現在におきましては、いま大臣がおっしゃられたような公共事業に対する期待は非常に大きいものがあろうかと思います。いま、上半期への積極的な経済政策といたしまして、住宅建設とか、また経済閣僚会議で公共事業の七五%以上の前倒しを行うということを決定されたというお話であります。そこで下期においてはそういう対策によって景気が徐々に回復に向うのではないかと期待はされますけれども、その下期における景気の回復が十分でない場合、そういう時点で、たとえば建設国債の発行などによる適切な措置をとるお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#8
○河本国務大臣 私どもとしましては、世界経済も後半回復すると想定をされますし、今回の対策もある程度の効果があるであろう、こう思っておりますので、後半は民間経済の力が拡大できる、それにつないでいきたい、こう思っておるのですが、いまのお話は、もしそのとおりいかない場合はどうするのかということでございますが、万一計画どおり経済の活力が回復しない、こういう場合にはその時点において適切な対策を考えていきたい、こう思っております。
#9
○狩野委員 その適切な措置というのはたとえば建設国債などの発行もお考えになっておられる、こういうことでございますか。
#10
○河本国務大臣 現時点では実はまだそこまでの相談はしておりません。私どもは、多分これによってある程度の活力の回復は期待できる、こう思っておりますし、その相談をするのは時期としてまだ早過ぎる、こう思って相談はしておりませんが、ただ、情勢が悪いときにほうっておくわけにまいりませんから、そのときは適切な対策をとりますということについては、その点は政府部内で意見は一致しておるわけですが、それでは具体的内容は何かということになりますと、そこまではまだ相談が調っていない、こういうことでございます。
 ただ、それとは別の角度から、建設国債につきまして誤解がございまして、何か赤字国債と混同されておる、そういう傾向もございますので、この際建設国債と赤字国債が一体どのように違うのか、こういう研究をするということも決して無意義ではない、そういう研究をするということも必要でなかろうか、こう私は思っております。
 それから同時に、日本におきまして社会資本が非常に充実しておる、こういう議論も一部にございますが、しかし一部には社会資本は充実してない、他の先進工業国から比べますと、たとえば下水道などは三〇%である、中には一〇〇%の国もある、発展途上国に比べると進んでおるけれども、先進国と比べるとおくれておる、こういう議論もございまして、さまざまな議論がございます。それからまた、生活環境等も整備されていない、都市の開発事業も進まない、それからさらに、昨年は御案内のように風水害がございましたが、そのわずかな風水害のために一兆円を超える大災害が発生をいたしました。これも治山治水事業が十分でないからだ、こういう説もございますので、果たして日本では公共事業、社会資本投資というものが充実しておるのか充実してないのか、こういう議論も詰めてやってみる必要があるのではないか。
 こういう課題は別にございますが、そうかといって、いま建設国債を出すとか出さないとか、そういうことについて結論が出ておる、こういうことではございません。
#11
○狩野委員 それでは次に、物価の問題について二、三御質問したいと思うのです。
 わが国経済は、第二次オイルショックによる原油価格高騰を主因とした海外要因による物価上昇が続きましたけれども、官民挙げてのインフレ防止努力が実を結び、ホームメイド・インフレを誘発することなく物価の安定が確保できたことは、国民生活安定の上で非常に喜ばしいことではないかと思います。世界先進国において、特に西ドイツを除いては二けた前後の物価の上昇が続いている、その一方で失業の増加に大変悩まされているわけであります。このような状態と比べた場合、わが国の物価の対応策に対する業績は十分に評価できると思いますが、最近の物価動向を見ると、消費者物価は前年比三%前後の落ちつきを見せておりますが、今後とも気を緩めず、物価の安定は国民生活の安定の基本条件であり、さらに経済運営の基盤であるとの認識に立ちまして、引き続き物価の安定に努力する必要があると思います。そういう意味で大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#12
○河本国務大臣 経済政策を進めます場合に、やはり物価が安定しておりませんとどんな経済政策もなかなか有効に進めにくい、こういうこともございますし、それから、何といたしましても国民生活を安定させるのには物価の安定ということを最優先しなければならない、このように思いますので、物価政策を非常に重大に政府としては考えておるということでございます。
 したがいまして、五十七年度の予算編成をいたします場合も、万一物価に異変が生じた場合には、物価対策としては必要な金額は予備費から幾らでも出していこう、こういうこともすでに合意がされておるのでございます。そして消費者物価、卸売物価、それぞれ政府としては五十七年度の一応の見通しは立てておりますけれども、しかしできればそれ以下におさまるようにそういう努力をしたい、こう思っております。
#13
○狩野委員 いまのお話のように、物価が非常に安定してきたのは事実でありますけれども、消費者にとってみれば、実感としての物価は政府の統計より高いのではないかという声をよく聞かされるわけであります。ある銀行の調査によりますと、政府の統計よりは主婦が実感として感じている物価は約倍ぐらいの感じに受け取っているわけでございます。これは物価の安定基調の中でも、個々に見ると交通関係料金や教育関係の費用など値上がりしているものもあり、これが家計に相当負担になっているのではないかということが実感としての物価を高くしている原因と思われるわけでありますが、この実感としての物価と物価統計との一致しない現象などについてひとつ御説明をしていただきたいのと、それからまた、実感としての物価と政府統計による物価とのかけ離れて考えられる現象について、そういう実態についても国民にもっとPRする努力が必要ではないか、そのように考えているわけでございますが、こういう問題について大臣のお考えをお聞きしたい。
#14
○廣江政府委員 最近の物価、特に消費者物価の動きを見ますと、今年の一月は御案内のように前年同月比で三・三%でございます。非常に落ちついた動きが続いているわけでございますが、御指摘にもありましたように、これを費目別に見てみますと、たとえば一月におきましても交通・通信は七・四%、それから教育は七・一%の上昇となっております。それをもう少しうち分けて言いますと、たとえば私鉄運賃は一七・六%、国立大学の授業料は一六・二%の上昇となっております。もちろん他方では耐久消費財、たとえばテレビのようなものを見ますと一・二%というふうに非常に落ちついているわけでございます。
 物価統計と国民の実感といったものが乖離しているという御指摘でございますが、これはいろいろの理由が考えられると思いますが、値上がりした品目と他の値上がりしていない品目といったものを平均いたしまして指数というものは出します。さらに、一般の実感でとらえられます家計にとってはなるほど上がっておるけれども、国民の各世帯全体で見ますとまた平均で出ますので、少し違った感じが出るといったようなところもございまして、個人の生活実感と実際の消費者物価統計とが一見乖離するように見えることも事実でございます。そういうふうな実感では、多少値上がりをいたしました商品の実感が非常に強く印象づけられて、一方、余り上がっていない物あるいは多少値下がりをした物といったようなものが見落とされがちであるといったような心理的な面もございます。また一方では、生活水準の向上とかあるいは家族構成の変化に伴いまして、いわばそういったことに伴う家計支出の増加というものと一つ一つの物の物価上昇に伴う支出増加というようなものを、区別しにくいために混同して比較をするといった点もこういった原因かと思います。
 政府が物価政策をいたします場合には、物価の動向につきましては客観的な物価統計によらなければいけないわけでございますが、先生もいま挙げられましたように、民間の銀行等の調査によります実感といったものでは、政府の物価統計より少し離れて高いのじゃないかという御指摘があることも事実でございますし、その指摘は指摘としてわれわれとしましても十分に受けとめて、今後の物価対策、物価政策に生かしていかなければいけないと思っております。
 ただ、そうした実態がございますものですから、そういう実態につきまして、政府の物価指数統計とは別にそういった実感があるということにつきましても、統計の持つ意味といったようなものにつきましても十分にPRしていかなければいけないというのもまた事実でございます。
 いま物価全体のPRにつきましては、そうした統計と実感との乖離といったものに基づきますPR、そのほか、物価情勢全般についてのPRにつきましては、当庁を中心にいたしまして各テレビ、新聞、雑誌といったような情報媒体を通じましてのPRをいたしておりますが、また物価ダイヤルといったものもございまして、物価に対します意見の徴取を行いますと同時に、情報も提供を行っておるところでございます。
 こうした点につきましては、物価政策をより一層進めると同時に、今後もなお一層充実をさせる方向で努力してまいらなければならない、かように考えております。
#15
○狩野委員 また今後の物価対策として、マクロの政策も大事でありますけれども、個別の物価対策やインフレマインドを抑制するための調査監視事業など、きめ細かい施策が必要ではなかろうかと思います。この一月から三月にかけて物価安定協力運動が、全国各地の商工会議所や商工会連合会、各商店街で、取り扱い商品についての実施期間中、価格の据え置きや割引などを行うという運動を行っておるわけでありますけれども、このような試みは物価対策上今後とも拡充していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#16
○廣江政府委員 物価安定を図るためのいろいろの施策があろうと思いますが、一番基本には、やはりいま言われましたようにマクロ的な総需要管理政策といいますか、大きな意味での経済政策、財政政策、金融政策といったものが基本になるということはそのとおりだと思いますけれども、また御指摘にもございましたように、それだけではなくて、たとえば生活関連物資の安定的な供給の確保を図っていくとか、あるいは個別物資の価格の調査監視を図っていくとか、また公共料金の厳正な取り扱いをするといったこと、それから先ほどの御質問にもございましたが、物価情報の迅速な提供、こうした細々とした個別物価対策ということをきめ細かく行っているということが、国民の物価マインドといいますかインフレ心理を抑える上で非常に効果があるわけでございまして、大きなマクロ政策とこうした個別的な物価対策を組み合わしてやっていくということが非常に重要かと思っております。
 そういう観点から、お話のございました、いま実施されております物価安定協力運動でございますが、これは消費者とそれから商業者等との物価問題についての理解を深め、かつ、物価の安定を図り、地域の消費者とのコミュニケーションあるいは信頼関係を促進していくというためにやっているわけで、具体的には、現在全国で広く商店街におきまして、自主的な小売価格の据え置きあるいは割引運動といったことを行っておるわけでございます。政府としてもその意義は非常に大きいと思いまして、積極的に本運動の支援をいたしておるところでございます。
 これは、昨年の運動を少し変えまして引き続き行っておるわけでございますが、五十七年度にどうするかというお尋ねでございますが、五十七年度に同様の運動を実施するかどうかということにつきましては、その規模であるとかあるいはいつやるかといった実施時期といったようなものも含めまして、これから関係各省とも相談をし検討してまいりたい、かように考えております。
#17
○狩野委員 政府の物価政策で、いろいろ個別的な対策が必要であるということでいまお答えをいただいたわけでありますが、市場のメカニズムの活用を図っていくことも非常に大切ではないかと思うわけであります。たとえば冬の灯油、それから野菜が落ちついているのも、このような考え方に立って、灯油においては需要期において備蓄を確保したり、そしてまた、野菜については隔離栽培などによる作付面積を確保したりしたことが功を奏していると思われますが、こうした努力も今後とも続けていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#18
○廣江政府委員 まさに御指摘のとおりだと思っております。生活関連物資といった国民生活に非常に緊密な関係のある重要な物資の価格の安定を図るためには、需要に応じた供給の確保を図るということを基本にいたしまして、市場メカニズムを活用してまいることが重要だと思っております。
 こういう基本的な観点に立ちまして、たとえば灯油につきますと、さきに昨年の夏供給計画を改定いたしました際にも、全体といたしますと供給量を下方修正をいたしたわけでございますが、民生用の灯油につきましては、需要期を迎えておるということもございまして、安定供給の見地から下期、前年同期比六%増ということで、確保に特別の配意をいたしまして、また灯油在庫も、昨年九月末の灯油在庫目標も余裕を持って達成いたしたわけでございまして、国民生活に支障のないよう供給の確保に十全の措置をとったわけでございます。そうした影響もありまして、灯油価格につきますと、昨年の秋以来比較的落ちついた動きで今日まで推移してきておる、こういうふうに思っております。
 それから、もう一つお挙げになりました、これまた国民生活に非常に重要な関係のあります野菜でございますが、これはことしは非常に落ちついております。この落ちついている理由には、一つ非常に大きな要因としますと天候の要因もございますが、私どもといたしますと、天候の要因のいかんにかかわらず落ちつかせる努力をしなければならないというわけで、たとえばキャベツ、大根、白菜といった重要な野菜につきましては十分な作付を指導するというような措置をとりましたし、さらにそのほか、契約栽培をするとかあるいは不時の台風等に備えまして予備苗を確保しておくといったようなこと、あるいは保管可能な野菜につきましては保管を図るといったような措置をとっておるわけでございます。もちろんこういう措置に加えまして、本年は非常に天候に恵まれているということが重なりまして、野菜は潤沢な出回りを続けておりますし、価格も比較的安定をしておるわけでございます。
 政府といたしますと、こういうような教訓の数々にかんがみまして、今後とも需要に見合った供給を確保するということを基本といたしまして各般におきます施策を十分にとってまいりたい、かように考えております。
#19
○狩野委員 昨年秋以来、タクシー料金の値上げ、また公営交通、航空運賃の改定など公共料金の値上げが続いておりますが、全体の物価が安定している中で公共料金のそういう値上がり、改定などは非常に目につきやすいわけであります。公共料金主導型の物価上昇であるという声を聞きますが、いかがでしょうか。また、公共料金を安定させるためには、やはり生産性の向上を初め各企業の企業努力を一層推進させるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#20
○廣江政府委員 御指摘のありました特に交通関係の公共料金でございますが、昨年の九月以降で見ましても、タクシー運賃あるいはバス運賃、地下鉄運賃、国内航空運賃といったようなものの改定が行われてきております。これらは、一つには、人件費あるいは燃料費といったようなコストの増加がありましたためにやむを得なかったところではございますが、政府といたしますと、公共料金につきましては特に経営の徹底した合理化ということを前提といたしまして、公共料金が物価、国民生活に及ぼす非常に大きな影響ということを考えて厳しく当たることにいたしております。わけても、実施時期あるいは改定の幅といったようなものにつきましても極力調整を行ってきたところでございます。
 公共料金が物価上昇に大きな影響力を持っておるのではないかといったような御意見等もあるわけでございますが、これを五十六年度全体で見てまいりますと、いままでの平均で見てみますと、本年の場合大体四・二%ぐらいの上がりになっておりまして、消費者物価総合の上昇率と大体並んでおるわけでございます。寄与度で見まして大体〇・八%ぐらい押し上げているということになります。少なければ少ないほどいいわけではございますが、公共料金も、一つの企業といいますか経営体でございますので、ある程度やむを得ないところはございますが、いま申し上げましたように、経営の徹底した合理化というのを前提にいたしまして、極力これを厳しく見ていかなければいけないと考えております。そして今後ともそういう方向でやるわけでございますが、何分、普通の商品でございますと市場を通じましていろいろそうした厳しさが求められるわけでございますが、公共料金は独占であるとか参入規制が行われている分野でございますので、私どもこの料金の調整に当たる者といたしますと、特に生産性の向上ということを考え、経営の合理化ということを考えて、そういうものを求めて、そういうものを前提といたしました料金の調整というのをやらなければいけない、そういうふうに努めていかなければいけない、かように考えております。
#21
○狩野委員 それでは次に、国民生活関連問題で質問したいと思います。
 わが国は、一般家庭、企業、政府、それぞれ懸命な対応と努力によって、第二次石油危機を欧米諸国に比べて比較的うまく乗り越えたと思われますが、しかし対外的には貿易摩擦問題、また国内では個人消費の停滞など、問題がないわけではないわけであります。そういう中で、国民生活を客観点なデータで見ると、生活水準は年々向上していると思われますが、国民生活意識面では中流意識にかげりが見られるという指摘がございます。
 たとえば、総理府統計局が去る三日に発表した五十六年の家計調査報告によりますと、サラリーマン世帯の実質可処分所得は三十八年以来初めて二年続きのマイナスになっている。この報告によると、昨年のサラリーマンの実収入は一世帯当たり一カ月平均三十六万七千百十一円で、これは前年に比べ五%の名目増加であるが、消費者物価の上昇率四・九%を差し引くと〇・一%増で、横ばいとなっている、こういうことになっております。しかし、これから税金、社会保険料など一般消費に回らない支出を引くと、個人の可処分所得では三十一万七千二百七十九円で、実質では一%の減となっている、昨年も一・四%減であったので、二年連続のマイナスとなっているということであります。
 こうした実質減は、課税の対象とならない課税最低限が五十二年度以降据え置かれていることを考えたとき、課税最低限の引き上げをすべきであるという考え方及び、実質所得減から来る減税問題などに関し、財政面からでなく経済政策の面から、大臣の御所見をお聞かせいただきたと思います。
#22
○河本国務大臣 日本の所得水準は、名目的に見ました場合には相当上がっておりますが、食料価格が外国と比べてどうなっておるか、住宅負担がどうなっておるかということを調べてみますと、その分野での負担が相当重くなっております。したがいまして、課税最低限だけで外国との生活水準を比較するということはいかがなものか。やはり生活に必要な食料、住宅、こういう点をもう少し重視をすることも必要でなかろうかという感じがいたします。
#23
○狩野委員 それでは、次へ参りたいと思います。
 中長期的な経済運営についてでありますが、最近の日本経済は内需の停滞が見られ、成長率も鈍化しております。財政再建、雇用安定といったような政策目標を達成するためにも、中長期的にもある程度の成長を続けていく必要があると思いますが、経済計画のフォローアップで見込んでいる五十七年度から六十年度にわたる平均五・一%という成長率は果たして達成が可能であるかどうか、御所見をお伺いしたいと思います。
#24
○河本国務大臣 政府のつくっております中期経済成長目標、これは何を目標にしておるかといいますと、一つは国民生活の充実向上でございます。それから第二は、わが国が国際社会に貢献できるような経済力を維持拡大していくということ、こういうことを目標にいたしまして経済成長目標というものを策定しておるわけでございますが、最近欧米諸国がマイナス成長またはゼロ成長という状態になっておるときに、果たして日本だけが五%成長の達成が可能かどうか、やはり欧米諸国と同じようなゼロ成長またはマイナス成長でもいいではないか、こういうことを言われる向きも相当多いのでございますが、私どもは、欧米諸国に比べまして経済の事情が相当違っておると思っております。
 たとえば物価の問題、失業率の問題、あるいは労使関係、さらにまた貯蓄率、金利水準、あるいは国際競争力、こういう幾つかの点で欧米諸国よりも相当有利な状態にある、こう思っております。だから、欧米諸国がこうだから日本もそれと違う成長をするのはおかしいという議論には私どもは同調できない。日本は人口も非常に多い国でありますし、毎年たくさんの若者が社会に出てまいりまして職を求める、その雇用も解決しなければなりませんし、それから科学技術が日進月歩の勢いで進んでおりますときに、経済の競争力を維持するためにはやはりある程度の投資も必要であります。近代化投資あるいは省エネルギー投資、こういう投資ができるようなそういう経済力、この維持も必要でございまして、そういうことを考えますと、欧米諸国と違う経済政策があっても一向おかしくないのではないか、こう思っております。そういう観点に立ちまして五%見当の成長は十分可能である、このように私どもは判断をしております。
 また、アメリカ経済なんかを見ましても、第一次石油危機の後には比較的順調な経済が続いておりまして、五%見当の成長が二、三年続いたこともございます。さらに、先般アメリカが発表いたしました五十八年度、一九八三年度の経済見通し等を見ましても、五・二%成長、名目は一一%成長、この達成は可能である、こういうことを言っておりますので、現時点は非常に悪い状態でありますが、しかしこういう状態が続くわけではございませんで、政府の考えております五%強の成長を達成するということ、もっともこれも平均でございまして、ある年は五%を超える年もあり、ある年は五%を割り込む年もある、平均して五%成長ということでございますので、それは十分可能である、このように考えております。
#25
○狩野委員 近年わが国の経済社会を取り巻く環境は大きく変化しているわけであり、財政再建を初めとして中長期的視野から取り組まなければならない課題も大変多いと思います。
 そこで、現在の計画は想定と実績との間にかなりのギャップがあるだろうと思われておったわけでありますが、ただいまの大臣の御答弁によりますと、平均五%強の成長率は達成可能であるということであるとするならば、この際現行の経済七カ年計画の改定などは考える必要はない、新しい経済計画をつくっていくというようなことは必要ない、現行のままでよろしい、こういうことになりますでしょうか。
#26
○河本国務大臣 現在の中期計画、七カ年計画がつくられましたのは昭和五十四年八月のことであります。もっともこの大筋は五十四年一月にすでに固まっておりまして、実は一月に閣議決定をして正式に決める予定をしておったのでございますが、たまたまイラン革命が起こりまして、石油事情が相当変わるのではないか、それならば、その年東京で開かれるサミットで当然エネルギー問題が出てくるであろうから、そのエネルギー問題に対するサミットの結論等を見た上で最終決定をするのがよろしかろうというので、半年余りその決定を延ばしておったのでございます。しかし、東京サミットで出ましたエネルギー問題に対する結論は、わが国の経済成長を妨げるものは何もございませんので、当初の計画をその年の八月に決定をいたしまして現在に至っておるというのが現状でございます。
 しかし、その後世界経済の事情も相当変わっておりますし、また、第二次石油危機の影響も全世界にかなりの厳しい影響を及ぼしております。それから、科学技術が日進月歩の勢いで進んでおりますし、かつまた、老齢化社会というものが非常なスピードで進んでおります。そういうこともございますので、実は昨年の春から、経済審議会の中に、二十一世紀を展望いたしまして長期に考えた場合に日本の経済社会はどのように変わっていくのかということにつきまして、いまいろいろ議論していただいているところでございます。ことしの中ごろには、長期展望委員会と言っておりますが、その長期展望委員会からおよその結論が出てきて答申をいただくことになっております。それからまた、同時に、そのころには臨調からわが国の行財政改革、特に行政改革についての抜本的な答申が出る、このようにも言われておりますので、この二つの答申を受けまして、それをよく分析をいたしまして、この際七カ年計画を改定した方がいいのか、改定するといいますのは抜本的に改定するという意味でございますが、あるいはそこまではやらなくとも、従来のようにフォローアップだけでいいのかどうかということに対しての結論を最終的に出したい、こう思っております。
 ただ、当初に申し上げましたように、いまは経済の非常な激動期でございまして、戦後世界経済が最悪の状態に落ち込んでおる、こういう状態でございますので、こういう中期計画等をつくります場合には、世界経済がおよその正常な形になったときにつくるということが望ましい、こういう議論も実は一部にあるのでございます。大混乱期に数年先のことを展望した計画をつくりますとややもすると間違う、当然そういうこともあろうかと思います。やはり世界経済がある程度落ちつく、そういうときにいろいろなデータを参考にして検討するのがいいのではないか。だから、この秋には世界経済が回復するという見通しも立っておるから、それも参考にした上で最終の判断をしたらどうか、こういう議論もございますので、そういう点を総合的に考えまして適切な判断を下したい、こう思っておるところでございます。
#27
○狩野委員 ただいま大臣より、戦後最大の厳しい経済状況にあると言われるような昨今でございまして、国内外とも厳しい経済環境の中で、経済諸問題に対してどうか積極果敢に取り組んでいただき、そして衆知を結集し、政治の基本である国民生活安定のため、確かな経済政策を推進していただくために、さらに一層の大臣初め皆様方の御努力を御期待し、お願いし、これで質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
#28
○武部委員長 井上泉君。
#29
○井上(泉)委員 いま日本経済が非常に厳しい環境の中に置かれておることは、皆さんも御承知のことでありますし、それに対して、景気のかじ取りと言われる河本長官の一言一句というものは、経済界の間に非常に重きをなしておるということ、これは長官自身も自覚をされておることだと思うわけであります。
 ところで長官は、この間のあいさつの中でも、政府の諸施策と民間経済の活力とが一体となって、五十七年度のわが国経済は実質では三・二%程度の成長が予想されるということと、本年の後半からは景気の立ち直りが予想されておる、こういうことを言われておるわけでありますが、民間経済の活力ということは、民間経済が非常に冷え切っておるわけだから、そのことから考えると、後半に景気が立ち直りをするということが想像できるだろうか、むしろ後半の景気の立ち直りが非常に困難であるという見通しの上に立って、いま思い切った景気回復策を講ぜねばならないときではないか、こういうふうに私は思うわけですけれども、長官、どうですか。
#30
○河本国務大臣 政府では五十七年度の経済成長率を実質五・二%と想定をしておりますが、これはほうっておいてもできる、こういうことではございません。これには大きな前提がございまして、その前提は何かといいますと、内外にわたる経済の激動期でございますので、その激動変化に応じて機敏で適切な経済政策を展開していく、それがあって初めて日本の潜在成長力というものが生かされ、五・二%成長というものが達成されるということでございますから、これから一番必要なことはやはり適切で機敏な政策の展開、これは絶対の条件になる、このように考えております。
#31
○井上(泉)委員 その適切で機敏な政策、その具体的な政策の一つとしては、公共事業の早期発注ということも政策の一環としてとらえておるのですか。
#32
○河本国務大臣 さしあたり、現在政府として考えられる対策は非常に手詰まりになっておりまして、一つは、金融政策を機動的に展開をする。これはわが国の物価水準、国際収支等から見まして機動的に展開できる条件は十分そろっておるのですけれども、それがなかなか思うようにいかない。これはアメリカの金融政策の影響があるということはかねがね申し上げておるところでございますが、しかしながら、そういう条件はありましてもある程度のことはできるのではないか、このように思っております。そこで、厳しい制約のもとではありますけれども、引き続いてわが国の金融政策を機動的に展開をする、これはぜひやりたいと思っております。
 それからもう一つは、御指摘の五十七年度の公共事業を技術的に可能な限り前倒しをする。政府の方では七五%以上、このように考えております。かつて昭和五十二年、五十三年には景気回復の大きな柱といたしまして七三%を目指したことがございます。その結果、五十二年度は実績が七五%、五十三年度は実績が七六%になったのでございますが、そのときよりもはるかに高い水準である七五%以上、こういう目標を設定いたしまして、できるだけ集中して上半期にこれを早期に執行する、こういう考え方が一つでございます。
 それから、住宅なども公的住宅が相当ございますから、これをできるだけ上半期に繰り上げて執行するという考え方に立ちまして、いま建設省の方でいろいろ準備をしていただいておるところでございます。
 それからまた、昨年発生いたしました約一兆の災害も、これまでの災害復旧対策として考えられておりました進捗率よりもできるだけ早くこれが完成するように、災害対策ができ上がるように、そういう方向でこの問題に取り組んでおります。
 それからもう一つは、貿易を拡大均衡の方向に持っていかなければなりませんが、拡大均衡を達成するためには、一つはわが国が市場開放体制をある程度つくらなければなりませんし、わが国の世界経済全体に対する貢献ということも積極的に考えていかなければなりません。そういうこともございますので、市場開放体制をできるだけ早くつくり上げる、いまこういう作業をしておるところでございます。
 それじゃ、これで経済が完全に立ち直るかと言われますと、いま何分にも世界全体が深刻な状態でございますので、私どもは立ち直ることを期待しておりますけれども、万一立ち直らないという際には適切な対策をさらに追加して考えていきたい、こう思っておるところでございます。
#33
○井上(泉)委員 河本長官の景気回復策あるいは経済政策については、率直に言って国民の間においては非常に人気があるのです。経済人は評価しておるのです。これは保守とか革新とかという立場を超えてあるのですけれども、ところが、河本長官の経済政策というものが現実に鈴木内閣の政策としてストレートに動いてくるとは思わない。そういう中で、長官としても非常に苦労がいくと思うわけでありますけれども、私は、断固たる決意で経済運営をやってもらわないと、いまわれわれの周辺、どの企業をとらえても景気がよいという企業はない。先行きに安心が持てる、期待が持てるという企業が一つもない。いまの経済界の中で、景気がよい、先行きもよいと思える企業があれば私は結構なことだと思うわけですけれども、電機業界にしても自動車業界にいたしましても、非常に厳しい条件が重なり合ってきておるわけです。だからそういう点からも、大きく表現すれば、うかうかすると本当に日本経済が全く沈没しやせぬか。それで、いかに経済大国であるとか、経済の力が蓄積されて潜在的な経済力はあるかもしれないけれども、民間の経済の中にはそういう国が持っておる経済的な力というものは非常に弱いのですから、その辺についての認識を長官としては把握をしておるであろうか。いいというものが何もない今日の経済界の状況ですから、その状況の中で、かなり思い切った政策を展開せねば、民間の企業としては倒産倒産の中で追い打ちをかけられるという心配がされるわけでありますので、その辺の決意のほどを私は承っておきたいと思います。
#34
○河本国務大臣 経済の実情はいまお述べになったとおりだと思います。非常に厳しい状態だと思います。特に跛行性が非常に強い。業種によっては非常に深刻な状態になっております。それからまた、企業の規模によって非常に厳しい状態になっておる。換言いたしますと、中小企業の経営状態が全体として非常に厳しい。それから、第一次産業とか公共事業で経済が維持されておる地域、ここはことのほか厳しい状態になっておる。地域、業種、規模、これによりまして跛行性が非常に目立つということでございまして、その点をいまお述べになったのだと思います。
 そういう状態であるにかかわらず、政府は一体何を考えておるのかというお話もございましたが、政府の方でも決してこの問題を看過しているわけではございません。特に昨年末、税収が相当落ち込みそうだということで赤字国債を出さなければならない、建設国債も増発しなければならない、こういうことになりまして六千三百億の赤字国債並びに建設国債を増発することに決めたのでございますが、そういうこともございまして、景気がよくならないと税収もとにかく計画どおりふえない、減ってしまうという認識がある程度徹底した、私どもはこう思っております。
 そこで、五十七年度の予算編成の基本方針を昨年の十二月二十日に決めたわけでございますけれども、そのときも、第一に、内需の拡大をして景気の回復を図る、それを第一の目標に掲げたのでございます。それから第二には、行財政の改革を引き続いて進めるということを第二の方針として決めたのでございまして、景気回復が行財政改革に絶対の条件であるということについての認識も政府部内ではできておりまして、私どもは決してこれを軽視しておるわけではございません。非常に重大に考えております。
 特に、いま財政再建というのは鈴木内閣の最高の目標でございますが、この財政再建を達成するためには歳出の合理化だけではこれはできないのでございまして、先般大蔵省が財政再建の中期展望を国会に出しておりますが、それを見ますと、五十七年から六十年までの四カ年の間に十八兆の税の自然増収がありまして、その上になおある程度の合理化をして初めて財政再建ができる、こういう計画も出ておるのでございます。四年間に十八兆といいますと、一年間平均四兆五千億ずつの税の自然増収がなければこれはやっていけないということでございまして、これだけの税収が確保できるということのためには、経済に相当な勢いがなければならない。もちろん御指摘のように国民生活という立場からも問題を考えていかなければなりませんが、財政の再建という点から考えましても、やはり景気の維持拡大ということが何よりも絶対の条件になるということにつきましては、政府部内では十分合意ができておるところでございます。
#35
○井上(泉)委員 私は、内需の拡大ということはこれは非常に大事なことであるし、顧慮されなければならぬわけですけれども、反対に非常に消費が減退をしてきておる。おかげで物価は安定をしてきておる。物価は安定しておるけれども、物価が安定をしておるというよりも、もっと家計費を圧迫するものが一方においては増加をしてきておる。だから、家計費における伸び率というかそれはむしろ減退をしてきておる。そういう中で物を買おうとしない、買い控えをする。そういう財政政策、そういう政策というもので、いわば国民が非常に消費生活を切り詰めざるを得ないような状態になってきておる。それで、そういう点からも一兆円の減税ということが強く叫ばれて、あるいはベースアップ、そういうようなものについても、国民の所得をふやし国民の負担を軽減する方向に経済というものを持っていかないと、これは消費の拡大にはならぬじゃないか、内需の拡大にならぬじゃないか、これはもうわかり切った理屈だと思うわけですけれども、その内需の拡大を阻んでおる要因というものは、今日の鈴木内閣の政治姿勢にありはしないかと、私はこういうふうに思うわけですけれども、大臣、いかがですか。
#36
○河本国務大臣 景気をどう回復するかということは、これはもう突き詰めて言いますと、私は簡単な表現ができると思うのです。一つは国民が豊かになるということ、それからもう一つは世界経済が回復をして貿易が伸びるということ、簡単に言えばこの二つだと思うのですが、その国民が豊かになるということは、それは実質所得がふえないといかぬではないかというのがいまのお話だと思います。
 それじゃ、実質所得はどうふやすかということになりますと、一つは物価の安定、これがもう絶対の条件だと思います。それから所得そのものがふえませんと、これは仮に税金が下がっても可処分所得はふえたということにはなりませんから、やはり所得がある程度ふえる、これも必要だと思います。それから公的負担が重い。そうすると、所得が伸びても可処分所得はふえませんから、これもやはり大事な課題だと思うのです。
 だから、三つがそろいませんとなかなか思うように国民のふところは豊かにならぬということでございますが、ただいま政府としてやれますことは、物価の安定、これは政府の責任でございますから全力を尽くしてやらなければなりませんが、所得を伸ばすという問題についてのベースアップ交渉、これは労使双方の間でお決めをいただくことになっておりまして、政府はそれに対して一切意見を言わない、こういうたてまえでございますので、ただいまのところはその交渉を見守っておるというのが現状でございます。ただしかし、政府の方では雇用者所得が一体ことしは幾らくらいになるであろうか、こういう見通しはベースアップとは別個の問題でございまして、これは出しておりますが、その数字については御案内のとおりでございます。
 それからまた公的負担の問題、特に税の問題をどうするかは、これは政府には一応の統一見解がございましたけれども、しかし、先般衆議院の議長から見解が示されまして、その結果、予算が通り次第に大蔵委員会の中に小委員会をつくる、そこでこの問題を検討する、こういうことに決まりまして、政府の方はそれを尊重する、こういうことを正式に何回も繰り返して申し上げておるところでございますので、この問題は大蔵委員会に一任された、こういう状態でございます。
 そういうことでございますから、問題点はわかっておるのですけれども、なかなか思うようにいっていないというのが現状でございます。
#37
○井上(泉)委員 確かに、物価を安定さす、所得をふやす、公的負担を軽減をする、それによって国民所得を増加さし、内需を拡大していくという、問題は明確に筋道ははっきりしておるわけです。
 それで政府がなすべきことは、物価の安定にいたしましても、これは政府として当然の責任としてやらねばならぬことであるが、所得の増大にしてもあるいは公的負担の軽減にしても、日本の政治、国民の生活をいわば預かっておる政府としては、やはり私は、このわかり切った道筋にもっとこたえるような政策というものを展開してこそ鈴木内閣の支持率が高まっていく道だ、こう思うわけですけれども、この筋道を歩まぬから、だから国民は家計の中にぐっと負担がのしかかってきて、そこで一般的な市場の景気も後退していく、何かしら重苦しい雰囲気の中に包まれているというようなのが今日の現状だと思うし、これは内閣、いわゆる経済のかじ取りの長官としてもいろいろといわば苦労のいく面が多々あるでありましょう。わからぬ理屈を言う閣僚もあるでありましょう。いろいろありましょうけれども、やはりわかり切ったこの道筋をそれぞれ実行のできるような、推進のできるような、そういう道というものを追求してこそ経企長官としての使命があり、経済の河本としての真価値が発揮されると私は思うわけでありますので、そのことを強く要望すると同時に、公共事業で景気浮揚ということがいわば一つの大きな景気回復の柱のように言われている。なるほど私もそのことについては否定するものでありませんけれども、建設省が、建設国債を一兆円発行することによって景気に活をと、それで税収が一年後に二千億ふえて、輸入が年間で千億ふえる、こういう試算をしておるわけですが、これは経企庁あたりがこういう試算をされたと言えばある程度の信用が置けるわけですけれども、建設省が、一兆円やれば一年後に二千億、それなら二兆円やれば税収が四千億ふえるか、こういうことになるのか、この建設省の試算というものは長官、お聞きになったことがあるのか、またこのことはこういうふうになるという見通しを立てておられるのか、その辺お聞きしたいと思うのです。
#38
○河本国務大臣 その数字は私は実はきょう初めて新聞で見たのでございますが、当然そういう効果が出てくると思うのですけれども、数字そのものの計算の基礎がはっきりしませんので、一回よく聞いてみようと思っておるところでございます。
#39
○井上(泉)委員 これは、私も建設省にこの試算の根拠等も聞きたいと思うわけです。
 それから公共事業のやり方ですが、これは大型の、たとえば新幹線をやるとかあるいは大きな道路工事等をやるというようなことで、たとえば本四架橋でも一千億の公共投資をそこでやっても、私はそれの地域に及ぼす経済の波及効果というものは非常に少ないと思う。やはり地域に経済の波及効果を及ばしていくためには、大型の建設工事をやって鉄鋼資本やセメント資本が喜ぶようなことをするよりも、地域の国民生活に重要な地方道の整備だとかあるいは上下水道の整備だとか、国民生活と密着した、地域経済の中に根を張った、波及効果のある公共事業に重点を置かなければならぬのじゃないか。ただ、いまは千把一くくりに公共事業七五%以上やるというけれども、九月までにそういうことをやっても、恐らく年末が来ればもう大変だと思うわけです。そうすればまた、建設国債だとかいろいろなことで景気に活を入れるようなことをやらざるを得ない。そういうレールは敷かれておると思う。敷かれておると思うわけですが、そういう公共事業のやり方、取り上げ方というものに工夫をこらさないと、ただ千把一くくりに公共事業の予算をふやしたからそれでよい、公共事業を早く発注したからそれでよいというものではないと思うわけですけれども、その点、公共事業の取り上げ方については何も御注文はないですか。
#40
○河本国務大臣 これは建設省の方でもいろいろ考えていただいておると思うのですが、公共事業を大きく分けますと、私は大体二つに分けられると思うのです。その一つは大規模な公共事業、一つは生活関連を中心とする中小規模の公共事業、この二つに分けられると思いますが、大規模な公共事業も、社会資本の充実あるいは国土の建設、こういう意味から、これは年次計画がございまして、その年次計画に従いましてやっておる事業でございますので、これをやめてしまえ、あるいはこれに重点を置くな、こういうことでも私は困ると思うのです。やはり産業基盤の整備等もございますから、これは中期の五カ年計画をそれぞれ持っておりますので、その計画を尊重しながらある程度計画的に進めていく。
 しかし、景気浮揚とか地方の経済に何が大きな影響を与えるかということになりますと、それはやはり、いま御指摘のように中小規模、特に生活関連公共事業の方がはるかに大きな経済効果があることは事実でございますが、目的がそれぞれ違うわけでございますから、両々並行して進めていく、こういうことだと思います。
 それから、特に、公共事業を進めます場合に気をつけるように政府部内で合意いたしましたことは、土地代に食われてしまったのでは困りますので、土地代にできるだけ食われないような事業を優先していこう、事業量そのものをできるだけふやしていこう、こういうことについても十分注意をしていこう、こういう合意をしておるところでございます。
#41
○井上(泉)委員 公共事業は建設省が中心でありますけれども、建設省だけでなしに運輸省その他各省あるわけですから、公共事業の取り上げ方等についても経企庁としても十分注文をつけて、それが地域経済に活力を与えるような方法で、ややもすれば大手の建設業が喜ぶような、そして大手の資本が喜ぶような事業のやり方に指向しがちでありますから、そういう点についても厳重に注意をしてやっていくべきだ、こういうふうに思うわけでありますので、その点についてはなおひとつ、経企庁長官の御奮闘を私はお願いをするわけであります。
 そこでもう一点、行革が財政再建というようなことで鈴木内閣の一枚看板のように言われておるわけですが、行革で、たとえば宅地開発公団と住宅公団とが合併した。ところが役員は全然減らない。しかもそれぞれの役員の退職金は三千五百万円か何ぼか取った。これは、行革で財政がプラスになるのじゃないという現象の大きな象徴的なあらわれだと思うわけですが、こういうふうなことについては、財政再建という面から考えて、所管ではないけれども経企庁長官としても、これに対しては、こういうふうな行革のあり方というものに一言あってしかるべきだ、こう思うわけですが、どうでしょう。
#42
○河本国務大臣 実は昨年の末までは、行財政改革という言葉がございまして、行革をやればそれが即財政再建になる、こういう考え方でずっと来たものでございますが、昨年の末から、政府の方ではこれを再検討いたしまして、行政改革と財政再建は別個のものである、こういう合意ができたのでございます。もちろん行政改革をやりますとそれが大きく財政の改革、財政の再建に影響する部門も当然出てまいります。しかし、行政改革即財政再建かというと必ずしもそうではない。財政再建というのは、先ほど来申しておりますように、景気がよくなってそこから国の歳入というものがある程度確保される、そこでさらに歳出の合理化をすることによって、初めて財政の再建ができるのだ、こういうように二つの概念を分けて考えていこう、こういうことで意思統一したところでございます。
 いまの御指摘は、行革のやり方についていろいろ問題があろうから、それに対してはもうちょっといろいろな角度からやるべきではないか、こういうお話しでございます。確かにこれまでやってきたことにはずいぶん問題があろうかと思いますが、こういう点があればこそ、いま臨調の方でいろいろ御検討していただいておるわけでございまして、特に一番重要な点についての臨調の答申が六月の末か七月の初めにあるということでございますので、政府の方では、これは総理から何回も言明がございますように、これが出ればそれを全面的に強力に実施をいたしますということでございますので、当然これまでの行政のあり方というものは軌道修正される、このように考えております。
#43
○井上(泉)委員 臨調の問題については、これも国民生活に関係が深いわけでありますから、やはり当委員会においてもこの問題は討議しなければならぬじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。大体少数の委員で、これをこうする、ああするというような形で、ただ弱い者にしわ寄せがいくような、そういう答申さえ出せば結構であるというような姿勢、それはやはり、こういう答申を出すことによって国民生活にこれだけプラスになるのだというような国家的な見地、国民的な立場というものを逸脱したいまの臨調のやり方じゃないか、かように思っておるわけであります。だから、統合して一体どれだけプラスになったのだろう、財政的にどれだけプラスになったのだろう、こういうことを考えてみますと、財政的にプラスの面は何もない、財政的にプラスになったのは公社公団の理事諸公である。理事諸公のふところぐあいはよくなったけれども、一般の職員は何らふところぐあいがよくなるような状態じゃない。こんな行革だとか臨調がどうのこうのとかいうことはやめてもらいたい、かように思うわけであります。
 そこでもう一点、景気浮揚の中で住宅政策というものを大きく取り上げられておるわけですけれども、住宅を建てたいという要求というか願望は、家を持たない者はみんな持っておると思う。私は自分の家があるから家を建てたいとは思わぬけれども、私の周辺では皆家を建てたい、建てたいけれども宅地がない、そういう中で、建てる道というものがふさぎ込まれておるわけです。そういう点からも、せっかく景気浮揚の中で住宅建設というものを大きな目玉にしておるが、その宅地供給ということが完全になされるような体制というものが、条件というものが今日あるのかどうか、ないとするならばその条件を整えるのが政府の責任だと思うわけであります。そこで、建設省から宅地企画室長がおいでになっておるわけですが、宅地対策というものは万全であるかどうか、その点を承りたい。
#44
○黒川説明員 建設省が策定しております宅地需給長期見通しによりますと、第四期の住宅建設五カ年計画のために必要な新規の宅地供給量につきましては、五十六年度から六十年度までの五カ年間において全国で六万二千五百ヘクタールというふうに見通しているところでございます。
 具体的な宅地の供給の方の施策でございますけれども、当然総合的な各種の対策が講ぜられるということが前提でございまして、建設省といたしましては、こういった供給に万全を期すという立場から、従来からも行っておりましたけれども、市街化区域内の農地の宅地化の促進、あるいは公的機関あるいは民間による計画的な宅地開発の推進、あるいは関連公共公益施設の整備、線引きの見直し等開発許可の適切な運用による宅地の供給、あるいは既成市街地内の再開発等による土地の有効利用の推進、こういったことに努めてきていたわけでございます。
 今後ともこれらの諸施策を強力に推進していただきたいということでございますが、特に本年度におきましては、土地の税制につきまして、素地供給の促進という立場から、長期譲渡所得に対します特に住宅建設に資するものについての優遇措置等含めました緩和措置、それから三大都市圏の特定市の区域内におきますC農地の一定部分についての宅地並み課税の拡大、そういった諸種の施策を講ずるということになっておりまして、これらの全体の施策を通じまして、そういった宅地供給の促進が実現するというふうに見通しているところでございます。
#45
○井上(泉)委員 作文としてはあなたの言われるところは結構です、それはそのとおりですから。しかし、作文では土地は生まれぬですから。たとえば五十七年度百三十万戸の住宅建設を決める、そうする場合に、今日現在、その先のことには及ばぬでいいです、五十七年度には一体今日の政府の立てておる住宅政策の中から土地がどれだけ要るのか、その土地な獲得するためにはどうするのか、こういうふうにするという、国民の前に一つの明らかな具体的な姿というものを示さぬと、作文ではなるほどりっぱでありましょう、それは間違いない。ところが作文がそのとおりいくかいかぬか、作文を書くのにその根拠になるものはどうなっておるのか、それくらいは明示をすべきだと私は思うわけですが、今年度の政府の住宅建設の目標とそれに対応する宅地供給の関係はどうなっているのか、その点を承りたい。
#46
○黒川説明員 本年度の政府全体の、これは民間も含めた住宅建設でございますが、百三十万戸という経済的な目標が設定されております。これに必要な宅地の供給量でございますけれども、建てかえによるものを除きまして、通常新規に宅地供給が必要なものと見込まれますと、それをベースに試算いたしますと、大体一万ヘクタール強かと考えられます。
 従来の経緯で申しますと、宅地供給の全体の量としましては、昭和四十七年度以降ずっと全体量は下がってきておりましたけれども、現時点で最終的に統計として出ております昭和五十四年度の段階で、新市街地分として八千六百ヘクタールが供給されていました。全体の供給量といたしますと、いまのは新市街地分ということでございますので、既成市街地でいろいろなところから土地を生み出してくるというものも含めますので、大体一万一千五百ヘクタールぐらいが実績であったかと思います。
 こういった従来からの実績、それから本年度の目標とします百三十万戸のベース、それから今後の、先ほど申し上げましたような各種の施策の推進、あるいは税制の改正、そういったことによりまして、百三十万戸のベースというようなものがマクロ的には手当てができるというふうに考えておるところであります。
#47
○井上(泉)委員 その手当てができるという宅地の価格はどれくらいと予想しておるのですか。
#48
○黒川説明員 私が申しました実績ベース、あるいは百三十万戸のベースとしての宅地供給量につきましては、一応供給サイドからの立場での見通しでございます。これを具体的に事業化いたしまして、需要者の方々にお渡しするという段階におきましては、当然それらの取得能力あるいはそれの基礎的な価格、そういったものとの関係でございますので、各種の経済施策、あるいは本年度住宅政策として確保していただいております住宅金融公庫の融資枠の拡大、あるいは融資限度額の拡大、そういったことによります住宅取得能力の拡充ということを当然に前提とするものでございまして、それらと関係なくそういったことができるということではないということでございます。
#49
○井上(泉)委員 それは宅地供給が十分できない、いわば安い宅地の供給というものがなかなか確保されないものですから、家を建てるのに一千万以上の金が要る、それに宅地に一千万以上要ると、こういうことになると、とても今日、平均的な日本のサラリーマンの収入をもってしては家が建てられない。これは大きな重圧になってのしかかってくる。だから安い宅地を提供する、公用宅地を提供する、このことが住宅建設の大きなからめ手だと思うわけです。今日、それぞれの公的な機関、いわゆる国、地方自治体、これらが持っておる宅地可能な用地というものは相当膨大な数字になると思うのですが、それはどのくらいあると思っていますか。
#50
○黒川説明員 公的機関、公共団体とかそういったところが具体的に所有している土地につきましては、現在データを持っておりませんが、先ほどの今後の長期需給見通しというところで考えている割合で申しますと、全体六万二千五百ヘクタールのうち、公的な宅地供給は一万九百ヘクタール程度を見込んでいるということでございます。
#51
○井上(泉)委員 一万ヘクタールある宅地を見込んでおるけれども、それを出さなかったら困るわけだが、住宅建設を促進するためには土地対策というものが大きなかぎになると思うのです。そこで、そういう公的な土地で宅地可能なところは、これを積極的に払い下げするなり何なりの、いわゆる公共宅地として提供さすような施策というものを推進すべきだと思うわけですが、建設省はやっていますか。
#52
○黒川説明員 一般的に建設省の施策といたしまして、住宅を供給するという立場から、土地つきでいろいろな供給をするシステムが一つございます。そのほか、宅地だけについての供給施策といたしましては、住宅・都市整備公団によります宅地造成地の供給という、宅地だけを供給するという制度、それから、住宅金融公庫の融資から地方住宅供給公社あるいは民間の宅地造成事業者に融資をいたしまして、その方々が宅地を造成し、それを一定の適正な価格で需要者の方々にお売りする、そういう制度がございます。
#53
○井上(泉)委員 建設省と宅地供給のことについて論議をしておったら時間がなくなるからやりませんが、大臣、住宅建設というものは景気浮揚に非常に大事な要素を持っておるし、また庶民の希望をかなえるために大事な施策だと思うわけですが、宅地供給というものは非常に困難な条件の中にあるわけですから、やはり経済企画庁あたりとしては、いわゆる景気浮揚の決め手として行う住宅建設ということであればなおさらのこと、それに関連する宅地供給についても、それぞれの機関と連絡をとって宅地供給を容易ならしむるような施策を推進すべきだと思うわけですが、大臣、どうですか。
#54
○河本国務大臣 これも御意見のとおりでございまして、政府は、ことしの予算編成に当たりまして住宅政策を非常に大きく取り上げました。そして、住宅建設を促進するために第四期住宅建設計画というものがございますが、これを一刻も早く軌道に乗せたいと考えております。
 そこで、現時点で考えられる幾つかの政策、住宅金融政策あるいは土地対策、中古住宅対策、こういう政策については全部一応取り上げたつもりでございますが、これでも不十分だ、こういう御議論もございますが、しかし、現時点では考えられる対策を全部やったつもりでおります。住宅対策を非常に重大に考えております。これは国民生活の充実ということもございますが、やはり景気浮揚という面から考えますと波及効果も非常に大きいわけですし、しかも即効性がある、非常に早く波及する、こういうことでもございますので、今後、ことしの計画が順調に進むように、引き続いて動きを見ながら努力をしてまいりたいと思います。
 幸いに、五十六年度の最終の公庫住宅の募集は、先般終わったばかりでございますが、六万戸の募集に対しまして約十二万戸の応募がございまして、倍近い応募があったということは三年ぶりでございまして、これは、新しい五十七年度からの条件、これを一月に繰り上げて実施をした、こういうこともありまして若干の効果があったのだと思います。もっとも、今回のこの応募だけで住宅が軌道に乗った、あるいは回復した、そのように考えるのはこれは早計でございまして、とてもこれだけでは判断ができませんので、もう少し様子を見なければなりませんが、いずれにいたしましても住宅政策は非常に重大に考えている、一刻も早くこれを計画どおりの軌道に乗せたい、このように考えているところでございます。
#55
○井上(泉)委員 私は、その辺のことについてはまた次の機会として、実はきょうは質問の主点を油の問題に置くつもりでありましたが、油の関係の時間がもう十分そこそこしかなくなって、また次の機会にしなければならぬわけですが、いま一般世間では、油はだぶついておる、余っておる、こういう認識が非常に常識的な理解になっておる。そういう中で、今度は油の値上げをしようとしておる。それで、通産省は通産省で上限価格を撤廃するというような、これは石油に対する国民感情を無視した行政、油政策というものが行われておるではないか、そういうふうに思われてならないわけですが、石油の上限価格撤廃とかいうことはまだ新聞記事の段階ですが、通産省の方としてはこういうことも考えておるのですか。そしてさらに、油がだぶついておる状況の中で値上げをする。あすからのOPECの会議では、減産もしよう、値下げもしよう、こういうような話がされておる中で、日本だけが油を値上げをしていくということはどうしても合点がいかない、理解ができないわけですが、その辺のことについて石油部長の見解を承りたいと思います。
#56
○野々内政府委員 確かに国際的には現在油の需給は非常に緩和をいたしておりまして、その対策が週末のOPEC総会で議論されるのであろうと思います。ところが他方、わが国の石油のコストがどうなっておるかということを考えますと、確かにドルベースでの輸入の価格は徐々に下がりつつありますけれども、そのほかのコスト、これが上昇をいたしてきておりまして、石油会社のコスト全体としては上昇しておるということはまた事実であろうかと思います。で、これは三月ごろからすでに値上げを考えている会社もございます。
 これとは全く別の問題といたしまして、私どもシーリング制というものを五十三年のイラン危機のときに導入をいたしましたが、これは御承知のように、第二次石油危機によりまして原油価格が急に上昇いたしまして、これが国内にどのように反映をするかという問題で、便乗値上げのおそれがあるということで、各社のコストを事前にチェックしたというのがその導入の理由でございます。ところが、最近の国際的な石油情勢あるいは国内の情勢を考えますと、もうその便乗値上げというようなことが起こるような情勢ではないという判断をいたしております。したがいまして、できるだけ早期にシーリング制については撤廃いたしたいというふうに考えておりますが、撤廃の時期、方法につきましては現在慎重に検討中でございます。
#57
○井上(泉)委員 これの必要がないということから撤廃、必要があってしたそのときの条件というものはなくなった、こういうふうに言われるわけですけれども、まあ石油資本といえば十二、三社の資本しかないわけだから、これは公取で指摘をされるとかどうとかということなしでも、十二、三社が話し合いをすればこれはどうにでもなる状態です。そういう状態の中で石油の上限価格を撤廃するということは、私はやっぱり国民のために、原油を何ドルで輸入してきた、その輸入した原油から精製されていけばこれだけのものが上限の価格でありますよということは、国民に対する目安として通産省が考えるべきじゃないかと思うのです。石油に対する行政指導も何もしてない庁ならともかく、石油業界に対しては通産省としては非常な力の入れ方ですから、その力の入れ方が、国民のために力を入れるのか、石油資本のために力を入れるのか、そこに道は二つしかないわけです。そうすれば、あくまでも政府の立場としては国民の立場に立って石油行政というものはしなければいかぬ、石油資本のために行政があってはならぬわけだから。そういう点から考えて、そういう石油危機のときに、これを野放しにしたら大変だからといって上限価格を決めたのに、決めたものを今日の経済界の不況の中でまた撤廃することによって、しかもいま油を値上げをしようと虎視たんたんという状態の中にあるわけです。その中でこういうふうな指導の仕方をすると、今度は油の値上がりというものは必然的に国民生活の上にのしかかってくるではないか、こういう心配を強くするものですが、そういう油の値上げをするという心配はいささかもないですか。
#58
○長田説明員 最近の価格動向を見ておりますと非常に軟化傾向が見られまして、民生用の特に灯油あるいはガソリンにつきましても軟化傾向が見られるわけでございます。こういう状況下におきまして、いま部長から御説明いたしましたけれども、本来のシーリングの趣旨にのっとり基本的には廃止する方向で検討しているわけでございますけれども、こういう価格の現状にかんがみまして、シーリングを仮に撤廃したといたしましても便乗というようなことが起こる可能性というのは非常に少ないのではないか、こういうふうに考えていることが第一点でございます。
 さらに、仮に何か問題が生ずるようなことが起こることの懸念があるといたしますと、シーリング制を廃止しました後におきましても、小売価格の調査その他によりまして価格の動向を厳重に監視し、問題がないようにしていくというふうに考えておりまして、こういうことで十分対処できるというふうに考えておるわけでございます。
#59
○井上(泉)委員 便乗値上げする、便乗値上げしたと自分から言う業者はだれもないですから、それは別に、問題として取り上げて言うほどの理屈じゃないですよ。しかしながら、国民生活のみならず、これはいわゆる大きな意味における国民生活ですから、企業にとっても石油を使う産業にとっても、この石油の価格というものは大きな影響を来すわけですから、石油に対する行政の位置づけというものは、三年前につくったものをいま需給が緩和してきたからもうこれは必要ないというような形で廃止をするのはどうかと思うわけです。いつでも冬場になると灯油の価格等も問題になるわけでありますけれども、たとえば家庭用の灯油にいたしましても、一缶が大体千四百円そこそこが卸売価格、それを消費者が買うのには千七百円前後で買い取っておる。それが正当な利潤として認知をすることができるかどうかは別といたしましても、灯油の価格については、灯油は大体これくらいにしなければならないというような指導をこの物特の委員会でもよく話をされたわけですが、石油の価格について、いまこうだからといって上限を除いて、それで別に問題もなかろうというようなことで、これを安易にやるということはどうかと私は思うわけです。これは、向こうが今度OPECで減産をしますとすると、つまり減産をして価格だけつり上げる、こういうことになればすぐ値段が舞い上がってくるわけです。また減産もするけれども、それと同時に産油国が油がだぶついておるから価格をもっと引き下げる、こういうことになれば勢い価格は下がらなければいかぬわけですけれども、ところが、石油資本の経営が悪いから今度は価格をつり上げなければいかぬとなれば、石油資本が円高でたくさんもうけて、もうけたときには企業利益がたくさん上がっておるからそれをひとつ消費者に還元せよ、こう言って当委員会で論議をされてもそれはなかなか返そうとしないで、今度は円安になって赤字になってきて、企業がどうにもならぬ、これは値上げをしなければ事が足らぬ、こういうふうなことでこの値上げを要求をし、さらに通産省が上限の制度を撤廃をする、こんなくるくる変わった石油行政というものをやられたら、国民としては迷惑千万だと私は思うわけでありますが、これは大臣、どうですか、元通産大臣として。
#60
○河本国務大臣 これは通産省も気をつけてやる、こう言っておりますから、私は通産省の考え方で大体いいのではないか、こう思っております。
#61
○井上(泉)委員 通産省の考え方を私はもう一回明確にお聞きしたいわけですが、この上限価格を撤廃するというのは、大体いっこういうことをするつもりで作業を進めておるのですか。われわれは新聞で見る以外には承知をしませんから、だから、これがある日、新聞に出てからびっくりしたような状態ですが、これはどういう過程をたどってきて、それをいつ撤廃をするという予定で作業を進めておるのか。今後の委員会の審議の参考にもしたいので、そのことをお聞きしておきたいと思います。
#62
○長田説明員 私どもといたしましては、できるだけ早く廃止すべきであると考えているわけでございまして、具体的にいつ廃止するか、いつ廃止を打ち出すかというような点については、現在慎重に検討している状況でございます。
#63
○井上(泉)委員 それを撤廃することによって石油類の価格が上昇するという心配が多分にあるわけですが、これは上昇は絶対にしない、こういう認識はしておるのですか。
#64
○長田説明員 石油製品の価格はマーケットメカニズムで決まっていくわけでございますけれども、このシーリング制の撤廃によりまして不当な価格が出てくる、すなわち便乗のような価格が出てくるということはないと考えております。
#65
○井上(泉)委員 便乗とかいうことは、これはどんな値上げをする場合でも、便乗で値上げをしますと言う者はだれもないですよ。これはやむを得ぬ値上げだ、これはこうこうだから値上げをしなければいかぬ、こうなるのでして、便乗であろうが何であろうが、今日国際的に石油の価格がいわば低落の状況の中にある、なるほど円安は続いておる、どうなるかわからないけれども、しかし石油価格が値上がりをするということは国民経済に与える影響が非常に重要だから、それをこういう撤廃のようなことをすると必ず石油資本が値上げを打ち出してくることは間違いない、こういうように思うわけですが、それを便乗値上げはするとは思いませんと言うが、それをやるのに便乗値上げをするんだと言う資本がどこにありますか。私はそんなわかり切ったお答えというものは納得をしないわけでありますので、これによって石油製品が値上がりするような状態が生まれてきた場合には、役人にその責任をとれと言ってもとりょうがないと思うわけですけれども、それは結局国民にとって迷惑千万なことでありますので、何らかの責任ある答弁を承りたいと思うわけです。これは部長はどうですか、もっと責任を持った答弁をできぬですか。
#66
○野々内政府委員 確かに、石油製品と申しますのは国民生活あるいは国民経済上非常に重要な物資でございますから、その価格の安定というのは重要かと思います。私どもとしましても、できるだけ供給が適正に行われ、価格が適正に供給されるように、今後とも監視をしていきたいと思っております。
 ただ、現実にコストが上がっておりますものにつきまして、かつ、会社も大半が赤字になっておる状態におきまして、そのコストが適正に市場に転嫁されていく、これは現在のわが国の市場メカニズムからいってやむを得ないのではないか。そのあたりに、特に社会的に批判をされるような便乗的な値上げというものがあり得るかどうかという点に関しましては、私どもはそういうものは現在の事情ではあり得ないというふうに考えておりまして、したがいまして、現在ありますシーリング制度を撤廃いたしましてもそういう社会的に非難をされるような事態はあり得ない、かように考えているわけでございます。
#67
○井上(泉)委員 時間が来たので質問を終わりますけれども、この制度の撤廃の問題については、私、まだ聞きたいことが非常に残っておるわけですから、次の物特の委員会でのこれに対する論議がなされるまでは待っておってもらいたいと思うわけですけれども、それはどうでしょう。
#68
○野々内政府委員 私どもといたしましては、石油審議会の答申あるいは最近の臨調の動向等を見まして、こういう行政介入は必要がなくなれば廃止するという方針をとっております。いつ廃止するかにつきましては現在慎重に検討中でございますが、たまたま週末にOPECの石油相会議も開かれるわけでございますので、その会議の動向を見て判断をいたしたい、かように考えておりますので、そういう方向で御了承いただきたいというふうに思います。
#69
○井上(泉)委員 そうじゃないですよ。それはあなたはそうおっしゃるかもしれないが、われわれは国民の代表として国民に非常に関心のある石油の問題を論議をしておるわけですから、やはり代表として、きょうではまだ納得しかねるので、次の委員会で、納得いかないまでも、この問題が十分論議をされるまでは待っておってもらいたい。あしたやられたらこれはあっぽろけですから。そのことを言っておるのです。
#70
○野々内政府委員 次回の委員会の前にたとえ撤廃をするということを決定いたしましても、十分御納得がいくように次回の委員会で御説明をさせていただこうと思っております。
#71
○井上(泉)委員 それはどうもいいかげんだ。また……。
 時間が来たから終わります。どうも御苦労さまでした。
#72
○武部委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#73
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。新村勝雄君。
#74
○新村委員 まず最初に、現在の経済情勢に対する大臣の認識をいただきたいわけですが、その前に、これはきわめて大ざっぱなお伺いでありますけれども、わが国がいま世界で国民総生産が第二位、そしていまや一人当たりのGNIも世界のトップクラスにあるわけです。そして、いま世界的な不況の中にありますけれども、先進諸国がいずれも厳しい経済状況の中にあるわけでありますが、その中でわが国はとにかく失業も比較的少ない、そして成長も、五十六年度はまあとても政府目標には達しないでしょうけれども、とにかく三%前後にはいくのではないかというふうに言われておるわけでありまして、こういう点で、大局的には日本の経済は安定的な発展をしておるということが言えると思います。これはある意味では自民党さんの政策がよろしきを得たということもありましょうし、中には多くの矛盾もありましょうけれども、そういう状況の中でひとり財政だけが非常に悪い。国債の依存率にいたしましてもまた国債の残高にいたしましても、先進諸国に比較をして悪い方に飛び抜けておるということでありますけれども、これはわれわれ経済の素人が見ましても何か奇異に感ずるわけであります。経済においては経済大国と言われながら、財政がきわめて厳しい状況になっておるということは、一言にして言えばどういうことなんでしょうかね。この点をひとつ大臣からお伺いをいたしたいと思います。
#75
○河本国務大臣 国債の発行が非常にふえましたのは石油危機が起こってからでございます。御案内のように昭和四十八年に石油危機が起こりまして、四十九年以降日本経済が非常に深刻な状態になりました。民間の活力が失われて経済が停滞をいたしまして、特に昭和五十年などは前年に比べて税収が二割も落ち込む、こういう惨たんたる状態になってしまったのであります。
 そこで、民間経済の活力が回復するのを待っておったのでは日本経済が立ち直るのはいつのことかわかりませんので、やはり思い切って財政の力によって日本経済を立て直そうということで公債の発行を非常にふやした、こういうことだと思うのです。その結果、日本経済は世界で一番深刻な影響が出ておったと私は思うのですけれども、幸いに五十三年ごろから一応立ち直ってきた、このように思っております。
 なるほどそういうことで財政の負担はふえたのでありますが、日本経済が立ち直った結果、相当大規模な税の自然増収が確保される、そういう力も出てきたと思うのです。と申しますのは、昭和五十四年に昭和五十年代後半の新七カ年計画をつくりましたが、そのときには、税収はそんなにふえぬだろう、せいぜい毎年七、八千億ずつくらいしかふえぬのではないか、そうなってくると相当大規模な新しい税というものをつくらないと日本の財政というものはやっていけないということで、御案内のように七年計画には一般消費税を昭和五十五年から始めるということが織り込んであったのでございます。しかしながら、幸いに経済の力も回復をしまして、税の自然増収もそんなに、七、八千億とかそういうことではないのではないか、もっとふえるのではないか、そうなってくると一般消費税をあわててすぐ計画どおりスタートさせるという必要はないではないか、こういうことからこれが見送りになったということも御案内のとおりであります。
 なるほど財政の負担は相当かかりましたけれども、しかしその結果、数兆円という大規模な税の自然増収が初めて日本経済から生まれるようになった、そういう力が蓄えられたということ。
 それともう一つは、第一次石油危機がようやく昭和五十三年になりまして一応おさまりましたそのやさきに、今度第二次石油危機が起こりまして、日本の経済が健康体になっておったということもございまして、第二次石油危機の場合には他の国と比べますと非常に順調な対応ができた、こう思っております。第一次石油危機のときには、経済が病的な状態になっておりまして、インフレ体質であったところへ危機が起こったものですから、一遍にいわゆる狂乱物価、こういう状態になった。しかしながら、昭和五十四年からの第二次危機に対しましては比較的順調に対応できたというのも、やはり財政が非常に大きな役割りを果たしてきた、こう思っておるのです。
 だから一概に、国旗の残高が非常にふえたことに対しまして何か罪悪のように言う人がありますけれども、私はそうは考えておりません。財政の果たした役割りは非常に大きい、しかも建設的であった、このように評価をしておりますし、それからまた、国債の残高が大きいということは、それだけでそんなに心配することはないと私は思うのです。やはり総合的な経済力がその国ではどうなっておるのか、それからまた、毎年どの見当の国民の貯蓄がふえておるのか、国債を発行してもクラウディングアウトが起こるのか起こらないのか、こういう総合的な観点から国債というものを見ていかなければならぬ、こう思っております。
 いまアメリカが、相当大規模な財政の赤字のためにいつまでたっても金利が下がらない。物価は安定しておるのに金利が下がらないというのは、結局国民の貯蓄が非常に少なくて財政の赤字を消化し切れない、そこでクラウディングアウトという現象が起こるのではなかろうか。こういう点から、金融政策が世界全体に悪い影響を及ぼすような高金利になっておる、こういうことだと思うのです。
 日本の場合は、アメリカの経済に比べますと半分以下でありますけれども、しかしながら貯蓄率が向こうに比べて非常に高いということのために、相当大規模な国債を出しましても産業資金の供給も順調に行われる、国債の償還も順調に行われるということでありますから、金額の多寡だけでその国の国債残高が健全であるか不健全であるかということの判断にはならない。果たして国債というものに対して国が償還能力を持っておるのかどうか、そしてこれがインフレを起こさないで消化できておるのかどうか、こういう点から総合的に判断をしなければならない、こう私は思っております。だから、国債残高が多いという面からだけ考えますと大変不健全なようにも考えられますし、そういう議論もあるのですが、必ずしもそうではない、もう少し見方もあるのではないかという議論もございまして、なかなか一概に断定できないのではないかと思っております。
#76
○新村委員 確かにそういう見方もあるでしょうけれども、とにかく国債依存率、国債の残高が非常に高いということですね。それから、この一両年福祉をかなり切り詰めなければいけないというような財政状況にあるわけですが、いま大臣のお話を伺っておりますと、第一次、第二次の石油ショックを乗り切るに当たって、主として財政の機能に依存をして切り抜けてきたということだと思います。そうなりますと、財政の犠牲において二回の石油危機を乗り切った、そのツケとして多額の国債の残高を抱えておる、こういうことだと思います。
 これに関連をして、石油危機が起こりまして以来の政府自民党の財政政策について、これは万全であったとお考えであるのか、あるいはまたその一部については反省すべき点があるのか、あるいは大部分について反省すべき点があるのかということが一つ疑問としてあるわけであります。
 たとえば、これは必ずしも手本というわけではありませんけれども、石油ショックに対する対処の仕方が先進国ではそれぞれ違っておるわけであります。たとえば西ドイツでは増税と歳出の極端な削減によってこれを切り抜けておるようでありまして、七七年、昭和五十二年における赤字国債はゼロ、それから国債の依存率が一三%というふうに、日本とは対照的な形でこれに対処をしておるわけでありますが、大臣は現在の財政は決して危険ではないとおっしゃっておりますけれども、これは必ずしもそう言い切れない危険な面があると思います。今後の経済情勢の展開いかんによっては、五十九年に赤字財政、赤字国債脱却が果たしてできるのかどうか、非常にむずかしい局面があるいは来るのではないかという心配があります。それというのも、やはり余りに財政に依存し過ぎた対処の仕方ではないかというふうにわれわれは考えるわけであります。日本でも西ドイツ的な方向をもう少し取り入れて、不公平税制の徹底的な整理あるいは徹底的な歳出の洗い直し、これを石油危機の段階でやれば、現在の国債残高をかなり軽減させることができたのではないかという気がするわけであります。結果的に現在どうやら先進国の中ではいい状況にあるということではありますけれども、全体を通観して考えてみますと、財政の犠牲においていわば財界の立ち直りを助けた、財政に過重な負担をかけてこの石油危機に対処をしてきたのではないか、こういう印象をぬぐい得ないわけでありますけれども、これについて大臣のお考えをもう一回伺いたい。
#77
○河本国務大臣 私は、財政の果たした役割りをもう少しいろいろな角度から考えてみる必要があるのではないか、こういうことを言ったわけでございます。
 たとえば、繰り返して恐縮ですけれども、予定されておった一般消費税をやらなくともどうにかそれにかわるべき税の自然増収が確保できるような財政になったということも、これはやはり看過することのできない事実だ、こう思うのです。昭和五十一年から五十三年までは税の自然増収は七、八千億しかなかったわけでありますし、五十年は前年に比べてマイナスであった、こういう状態でありましたから、だから失業者もそんなに出ない、それから経済の競争力も維持拡大できた、そして同時に、何とか税収の方も財政がぼちぼちやっていけるだけの背景ができておる、こういうことでありますから、一概にこれはこうだというように断定してしまうのはいかがなものか、もう少し広い角度からいろいろな評価をすべきではないかということを申し上げたのであります。
 ただ、しかし、その間に財政の幾つかのロスというようなものも出てくるようになったではないか、こういう御指摘、これは確かにそのとおりでありまして、そこで、現在の状態ではこれはよろしくない、何とかこの際思い切った歳出の合理化をやらなければならぬ、財政の合理化というものをこの際やらなければならぬ、こういうことで、いま財政の合理化を進めながら財政再建に取り組んでおるということでございますから、幾つかの弊害の面も出てきておることは御指摘のとおりだと思います。
#78
○新村委員 次に、今後の景気の見通しの点を伺いたいわけですが、その前にわが国の経済と大変関係の深い米国の経済でありますが、アメリカの経済は八〇年以降一進一退、若干の持ち直しをするかと思うとまたかなり落ち込むというようなことを繰り返しながら現在に至っておるようでありまして、現在もまだその不調から脱し切れないわけでありますが、八二年は弱い回復基調に向かうんではないかというようなことも言われておりますけれども、アメリカ経済の今後の見通しですね。それから、それとの関連における日本経済に及ぼす影響、これをひとつ簡単に伺いたいと思います。
#79
○河本国務大臣 アメリカの経済は戦後最悪の状態にあると言われております。中には一九三〇年以来五十年ぶりの最悪の状態だと評価する人もありますが、いずれにいたしましても、昨年末からずっと現在でも相当厳しいマイナス成長が続いておるというのが現状でございます。失業者も一千万近い失業者が出ておりますし、経済は非常に厳しい状態にあると言われております。そういうやさきに、二月から三月初めにかけまして幾つかの教書、それから報告等も政府から発表されておりますが、それらを見ますと、いまは厳しい状態であるけれども、経済はことしの後半から立ち直るであろう、こういう見通しを立てておりますが、これはアメリカ政府だけではなく、権威ある国際機関等もそういう見通しを立てておりますので、あながち根拠がないことではない、私はこう思っております。特に、政府の発表を見ますと、ことし後半から回復に向かって、来年は実質五・二%成長する、名目では一一%成長だ、こう言っております。失業者も一%ぐらい減るであろう、こういうことを言っておるのですが、学者とか評論家なんかの意見を聞きますと、とてもそんなことにはならぬだろう、整合性を欠いておるからだ、そんなことを言う人も多いのですが、私は必ずしもそういう見方とは一致してないんです。私は、アメリカ経済はアメリカ政府の言うように回復の方向に向かうだろう、こう思っております。
 その原動力は何であるかといいますと、やはり思い切った大規模な減税だと思います。ことしのアメリカの所得税減税は、日本円に直しまして、いま円安となっておりますから十八兆円、来年は二十八兆円見当の規模でありまして、そこへさらに企業減税というものが加わってまいります。日本の経済の倍ちょっとという経済でこれだけの思い切った大減税をやりますと、それが経済に大きな影響が出てこないはずはない、私はこう思っておるのです。仮に、アメリカがやっておる半分そこそこのことを日本の経済でやった場合にどういう影響が出てくるかということを考えますと、これは相当大きな影響が出てくるであろう、私どもはこう思っておりますし、それから軍事予算は経済全体にとってマイナスだという説も確かにありますが、しかし、さしあたって当面の影響は軍需景気というものが出てくるであろう、こういう見通しもございます。それから、昨年来石油価格の統制を撤廃いたしましたので、石油の掘削部門はずっと続いておる、これも非常に大きな力になっておる。ばらつきがございますけれども、一部にそういう非常に力強い動き等が見られますし、しかも、インフレは一応おさまる方向に進んでおりますので、アメリカ経済は、多少の時間的な早くなったり遅くなったりするようなこともありましょう、あるいは五・二%が多少前後することもありましょうけれども、私は、アメリカ政府の言っておる見通しはそうは狂わぬのではないか、アメリカ経済は回復の方向に向かうのではなかろうか、このように判断をいたしております。
#80
○新村委員 そこで、日本経済の見通しを伺いたいわけでありますが、午前中の質問となるべくダブらないようにいたします。
 政府の五十七年の見通しは、現在の経済情勢からするとどうも心配な点が多いわけであります。最終消費支出にいたしましても百六十兆三千億、果たしてこれが達成できるかどうか。現在の推移が続くとすれば大変むずかしいんではないか。また、民間住宅にいたしましても一四・三%、十七兆七千億、これまた各機関の調査ではほぼ絶望だというふうに予想されております。また、民間の企業設備にしても、最近の発電所の建設の延期というようなことも伝えられておりまして、これまた四十三兆が達成できるかどうか、大変心配なわけであります。その中で特に民間の企業設備の点でありますけれども、最近の月例経済報告によりましても、大手は若干の改善が見られるけれども、中小企業はまだまだとても回復の見通しが立たない。
 それから、最近の伝えられるところによりますと、民間のうちで相当大きな部分を占める発電所の建設の延期が伝えられておるわけでありますが、これらの点について特に民間企業設備、この中における発電所の問題ですね、これを中心にひとつ最近の状況をお聞かせをいただきたいと思います。
#81
○井川政府委員 先ほど先生のお話にもございましたように、経済の現状は非常に厳しい状況でございます。十−十二月のGNPの速報におきましてもマイナス一・三と非常に厳しい状況でございますけれども、しかし、実は予想外に輸出が減りたというふうな状況で、外需が非常に大きいマイナス、マイナス一・三、しかし内需はプラス〇・四で、GNP全体としてはマイナス〇・九ということでございますが、その内需プラス〇・四の中を見てみましても、実は従来経済の上で在庫調整が終わった、終わったと言ってまいりましたが、それが予想より大変長引いておった。その在庫調整が大体昨年の七−九月で底を打った。で、先般発表されました十−十二月のGNP速報では大幅に積み増し局面に移っているという状況でございます。したがいまして、全般的には景気も底を打って回復局面にあるということが言えると思います。ただ、その回復局面にまだ力強さが足りない。したがって、今後はその芽を育てていくということが大変大事なのではないか、こういうふうに考えておりまして、それかあらぬか、鉱工業生産あたりも実は昨年の秋ぐらいから徐々に対前年アップを強めていっている、こういう状況でございます。いま現段階にいろいろな数値が出ておりますけれども、そうぱっとしたものはございません。しかしながら、私は、そういう厳しい中にもそうした在庫調整完了によるいい面、生産で鉱工業生産、それから中小企業生産も少しずつアップをしてきている、こういう状況でございます。
 お話しの設備投資でございますが、実は設備投資につきましては、われわれの見通しと民間のいろいろな経済機関が見通しを出しておりますが、大企業についてはほとんど変わりございません。これは大体二けた、一〇%少々の伸びを示す。御承知のように、省エネルギー投資あるいはまた合理化投資等々、今後も競争力維持ということのために設備投資意欲も強うございますし、そういうふうな努力をして、しかも実行しているという状況でございます。
 ただいま先生から電力投資の話がございました。電力投資につきましては、当初よりも少し削減であるというふうな情報が伝えられておりますが、われわれといたしましても、実は当初の計画をそのまま見込んでおるわけではございませんで、その後の情勢を織り込んで多少修正をいたしておりまして、われわれの見通し自体といま新聞紙上言われております数値はそう違いがないわけでございます。それを含めまして大企業設備投資は大体一〇%余の伸びを示すという状況でございます。
 ただ、中小企業につきましては現在非常に厳しい状況でございまして、各機関のいろいろな調査も、対前年横ばいであるとか微増であるとかいうふうな状況でございます。この点、五十七年度のわれわれ政府の見通しといたしましては、中小企業設備投資が回復をしていくという前提に立っておるわけでございます。この点は先ほども申し上げましたように、徐々にではあるけれども、全般的に在庫調整を終わって回復の基調にある。この基調をしっかりしたものにしていくと同時に、大変厳しい条件下ではありますけれども、いろいろな金融政策を弾力的に運用していくことによって中小企業の設備投資も回復に向かう、こういう前提に立って実質七・七%という見込みにいたしておるわけでございます。
#82
○新村委員 設備投資でありますけれども、これは新聞の報道でありますが、大手七百五十社の調査では工事ベースで四・一%と、これではとても政府の一〇・五%、金額にして四十三兆の達成はむずかしいのではないかというような報道もあります。政府のお考えは大丈夫だというお考えでありますが、それはどういう調査あるいはどういう根拠によるものであるのか、お伺いをしたいと思います。
#83
○井川政府委員 調査の内容をどう読むかという問題がございます。たとえば先生いまお挙げになりましたのは日銀の短期観測の数字、これが四・八という数字を出しておりますが、同じころ調査をいたしました開銀の調査では一一%アップというふうな数字が出ております。開銀調査は先生御案内のように非常に大企業中心の調査でございます。したがって高くなるという面がございます。それに比べますと日銀短観の方は、幅広い調査をしているという面がございます。ただ、日銀短観につきましても、これは日銀自体が申しておりますように、年度の始まる前の調査は低く出ます。それが実績になってまいりますと逐次高まってまいる。五十六年につきましても高い数値を示しておりますけれども、当初はやはり四%あるいは五%という見込みで出てまいる。したがって、それぞれの調査の読み方によるわけでございますが、われわれといたしましては、日銀も同じでございまして、現段階としてはそういう数値が出ても決して驚くに値しない、今後実績が出るに従ってこれは上がっていくというふうな癖といいますか、そういう習性があるということを前提にして考えていくべきだ、こういうふうに考えているわけでございます。
#84
○新村委員 そういう観測が当たれば結構でありますが、ひとつ十分御注意をいただきたいわけであります。
 それから、景気の基調をなすものは何といっても個人消費だと思いますけれども、これに関連をいたしまして、給与所得の伸びがどうであるかというようなことが大きな関係があると思います。いま春闘の真っ最中でありまして、最近の報道では鉄鋼六%台の攻防だということであります。ところが、鉄鋼六%ということになりますと、これは全体として春闘相場はかなり低く決まるのではないかというような感じがするわけでありますが、まずこの五十七年度の民間最終消費支出、額にして百六十兆三千億、この基礎となった給与所得、特に春闘相場というとおかしいのですけれども賃上げをどの程度に見た数字の結果であるのか、これを伺いたいと思います。
#85
○井川政府委員 政府消費、支出の伸びといたしまして五十七年度実質三・九、名目八・六といたしております。この場合の雇用者所得の伸びはやはり八・六というふうに考えておりまして、消費支出の伸びと同じ伸びでございます。ただ、この雇用者所得の伸び八・六は、雇用者数の伸びがございますので、それでは一人当たりにすれば幾らかということになりますと、これが六・九という数値になるわけでございます。われわれはその一人当たり雇用者所得六・九というものを基礎に、物価の安定というふうなこともあり、消費性向もわずかながら回復を示すということを考えまして、先ほど申し上げた最終消費支出をはじいたわけでございます。
 さて、その六・九という数値と春闘の数値の関係いかんということはよく尋ねられるわけでございますが、われわれとしては、マクロ的に雇用者所得全体が幾らに伸びるかという計算をしたわけでございまして、春闘が幾らということと直接そういう作業をいたしていないわけでございます。御案内のように、実は雇用者所得というのは半分は所定給与、春闘はそれを対象にするわけでございますが、しかし、残りの半分は時間外手当、ボーナスその他というふうな項目に占められておるわけでございます。したがいまして、たとえば労働省が発表いたします春闘の数字というのは、その所定内給与のうちの主要企業二百数社の集めたものということでございまして、経済の上がり下がりに応じまして、そうした春闘の数値と一人当たり雇用者の数値は必ずしも一致いたしません。そういうことでいろいろ違ってまいります。われわれといたしましては、そういう春闘幾らということではなくて、五十七年度の経済全体の中で一人当たり雇用者所得は大体六・九というふうな見通しを立てたということでございます。
#86
○新村委員 春闘云々ということは言えないと思いますが、しかし、この賃上げの率がどのくらいにおさまるかということは消費支出の動向に重大な影響があるわけでありますし、同時にまた、勤労国民の生活にも直結するわけであります。御承知のように、昨年、一昨年と二年続いて可処分所得がマイナスになっておるという事実があるわけです。これに対して、われわれは減税を強く要望いたしておりますけれども、これもなかなかむずかしい、こういう状況の中で、仮に三年続いて可処分所得がマイナスというようなことでは、大変遺憾な事態になるわけであります。そういう意味からいいまして、賃上げの状況と可処分所得がどうなるかというその関係、これらについてはどういうふうにお考えですか。
#87
○井川政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれは賃上げ自体を幾らと想定したわけではございません。ただ、従来の関係を見てみますと、経済が上がりカーブのときと下がりカーブのときで、春闘賃上げ率と一人当たり雇用者所得の実績というものは違ってきている、これは当然御想像いただけると思いますが、経済が底を打って上がりカーブのときには、春闘賃上げ率よりも実績としての一人当たり雇用者所得が高くなる、こういう傾向がございます。しかしながら、経済が下がりカーブのときは反対でございまして、春闘の賃上げ率よりも実績的に雇用者所得が低くなる、こういう状況がございます。五十六年がまさにそういうときでございますが、たとえば過去について申し上げますと、昭和五十二年が春闘賃上げ率が八・八%でございましたけれども、一人当たり雇用者所得が一〇%になっておるとか、あるいはまた、五十三年でございますと春闘賃上げ率が五・八でございますが、雇用者所得が六・一になるというような状況でございます。反対の典型的な例が五十六年でございまして、春闘賃上げ率が七・七と言われておりますが、どうも実績が六・二に終わりそうだ、こういう感じでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、五十七年度経済は、昨年に底を打って、現段階はまだ緩やかとはいいながら回復の基調にあるというふうなことでございまして、そういう回復基調で考えていっていいのではないか、こういう考え方でございます。
 しかしながら、基本的に申しまして、先ほどの可処分所得の問題でございますけれども、われわれといたしましては、可処分所得ということになりますと、実質所得の問題、それから非消費支出の問題がございます。非消費支出については所得税とそれから保険料支払い等々がございます。所得税につきましては現段階では減税もいたさないという前提に立つわけでございますけれども、保険料支払いにつきましては昨年度保険料率の改定がございましたがことしはないということで、その分だけは非消費支出の伸びが鈍るというふうに考えておりますが、しかしそれはあくまでも鈍るということでございまして、そう大きくダウンをするわけではございません。しかしながら、一方におきまして、先ほど申し上げましたように六・九というふうな一人当たり雇用者所得の伸びを示すということ、そして二年続きの五%を切った物価の安定というふうなことによって、先ほど申し上げた消費支出が出てくるというふうに考えているわけでございます。
#88
○新村委員 いま御説明のように、賃上げそのものだけでは推定ができない、物価の動向、景気の動向によって大きく左右されるということはわかるような気がするわけでありますけれども、いままでの御答弁は、いずれも現在の日本経済が底を打って回復基調にあるという前提のもとになされておるようでありますけれども、最近の経済企画庁でお出しになった月例経済報告によりましても、それからまた新聞報道等によりましても、五十七年度はっきりと回復基調に向かったという印象がどうも薄いわけであります。昨年の十−十二月がマイナス成長であるということ、それからまた、一月に入っても経済指標は必ずしも好転しないというふうにわれわれは見ておるわけであります。こういう中にあっての春闘賃上げ、これは景気動向、消費拡大にかなり大きい影響があるのじゃないかと思いますが、それがいま低い方に抑えつけられておるということについて大変心配なわけであります。
 そこで、五十七年度の経済動向でありますが、指標的にはどうもはっきりと回復の印象がないわけであります。政府の皆さんの希望的な観測がそのまま見通しとなってあらわれておるような気がするわけですけれども、どの辺にその基礎を置いてそういう考え方をお持ちであるのか、できればもう少し具体的に伺いたいと思います。
#89
○井川政府委員 いわば一つは、先ほども申し上げましたけれども、在庫が調整を終わったという数値でございますけれども、先ほども申し上げましたように六期ぶりにGNP統計の中の在庫投資がプラスに転じたということでございます。申し上げますと、たとえば一−三月期の民間在庫投資の増加はマイナス三〇・五、だからどんどんまだ在庫調整をしていく途中でございます。それから四−六月期がマイナス三二・六という数値を示しました。これが七−九月期になりますとマイナス六・八。大体在庫調整がここらで底を打って、そして今回発表されました十−十二月はプラス九一・七。実質でどうしてこういう大きい数字になるかと申しますと、在庫調整というのは増分でございますから、増分についての前期の比較をいたしますのでこういう大きい数値が出ますが、趨勢といたしましては、いま申し上げたように、大きいマイナスを続けておりましたのがマイナスがなくなり、今度は大きくプラスに転じ、要するに、在庫調整はおととしの暮れであるとか、昨年の春であるとか、あるいは昨年の夏であるとか言っておりましたけれども、結局は昨年の夏から秋にかけてやっと終わった、こういうような実態でございます。これを示しますものは鉱工業生産の在庫率指数にございまして、在庫率指数というのは、実はこれは毎月でいろいろ変動いたしますけれども、たとえばこれは数値が高ければ高いほど在庫が多いという状況でございますが、昨年の五月が九四・二という数値が出ております。それが九〇%へ、そして八七%へということで、いま八五、六%という状況になっております。したがいまして、在庫としては、これは先生御案内のように一部不況業種についてはまだそれを抱えているというふうなところもございますけれども、全般の生産としては在庫調整は終わったというふうに考えられますし、これは民間の人たちあるいは役所も大体一致するところでございます。いままでどうも生産が伸びない物というのは、仮に需要が従来どおりであっても、在庫があれば在庫でとにかく出していくわけでございますから、生産がそれに比例して伸びていかないというふうな状況になるわけでございますが、在庫が調整を終わりますと今度は需要に応じてそれが伸びていく、こういう趨勢を示すわけでございまして、それをたとえば鉱工業生産でこれは期別に申し上げますと、昨年の四−六月が前年同期比〇・八、だから前の年とほぼ同じぐらいの生産でございましたが、七−九月には四・五、十−十二月には五・七、したがって生産はまだ五・七でございます。一時はもう一〇%内外というふうな非常に高い生産をしましたが、それにいたしますと、先ほど申し上げましたように、きわめて緩やかではございますけれども、いずれにしろ基調としては回復の基調を示す。しかし、私が申し上げたものは、要するに在庫のそうした調整は終わった、そして基調としては回復基調に向かったということでございますけれども、ただいま先生のお話がございましたように、そのほかの指標はやはり相当厳しい指標がございます。したがって、われわれとしては、これをほうっておいて五十七年度の五・二におのずとつながるというものではない、やはり政府としていろいろな施策、できる限りの施策をやっていくことによってそれが可能であるというふうに考えているわけでございます。
#90
○新村委員 そうしますと、端的にお伺いしますけれども、一−三の成長率はどのくらいにお考えになっておりますか。そして、それに基づいて五十六年度の総合の成長率がどのくらいであるかということをお伺いします。
#91
○井川政府委員 御案内のように、一−三の数値ということになりますと、たとえば家計調査の数字あたりは一月の数字もまだ発表されていないというふうな状況でございます。したがって予測困難でございますが、ただ言えますことは、先ほど申し上げましたように十−十二月の数字が外需でマイナス一・三と、ややイレギュラーというか、非常に大きいマイナスを示したわけでございますが、一−三はこれはそんな大きいマイナスは示さないだろう、あるいはプラスになるかもしれない、こういう感じがいたしてございます。
 それから、先ほど言いました内需が緩やかではあるけれども底を打って回復基調ということになると、やはりプラスが期待できるのではないか。したがって十−十二月は、特殊な問題もあってというか予想以上に輸出が落ちたということもありまして、マイナス〇・九という大きいマイナスになりましたけれども、一−三についてはプラスになるであろう。どの程度かというのは、実はそれはいろいろな指標が出てみないとよくわからない、こういう感じでございます。
 それで、先ほど最後に先生からお話しになりました、それでは五十六年度の実績の見込みはどうなるのだということになりますと、これは大変厳しゅうございます。と申しますのは、十−十二月についてマイナスなんという予想はこれはだれもしていなかったわけでございまして、政府も予想しておりませんでした。それがマイナスになったものでございますから、どうもわれわれ考えてみましても、一−三月が相当のプラスになってもやはり五十六年度としては四%台なんというのはとうていいかない。やはり三%前後というかっこうになるのではないだろうか。これはあくまで推測でございまして、今後の諸指標が出そろわないとわかりませんけれども、そういう厳しい状況だと考えております。
#92
○新村委員 この経済企画庁の五十七年度の経済見通しの中に、これだけではなくて、いま盛んに言われており、最大の問題になっております市場開放の問題がございますね。いま制限されているのが二十七品目ですか、この二十七品目はこのまま守ることはできないだろうと思いますけれども、どの程度開放の余儀なきに至るのか、またどの程度までは守れるのか、この点を伺いたいと思います。
#93
○井川政府委員 実は経済の問題で、一つは景気の回復という非常に大きい命題を抱えておりますのと、もう一つはただいま先生からお話のございました対外摩擦を一体どう切り抜けていくのかという、この問題に当面をいたしておるわけでございます。
 この点につきましては、昨年の十二月十六日に、経済対策閣僚会議で、河本長官座長のもとに対外経済対策を決定をいたしまして、五項目を基本方針といたしてございます。
 それは申し上げるまでもなく、一つは、関税の前倒し、輸入検査手続等々の改善をやって市場開放対策を進めていく。第二番目には、できるだけ輸入促進の施策を講じていく。第三番目には、輸出をストップするような制度はつくらないけれども、それは拡大均衡の方向で考えていくけれども、集中豪雨的輸出はやめるように措置していく。第四番目は、産業協力、欧米と産業自体が親戚になるような施策を進めていく。第五番目は、発展途上国に対して経済協力を進めていく。こういうことを決めたわけでございます。
 先生のいまのお尋ねは、市場開放のうちで二十七品目の残存輸入制限があり、全然いままで手をつけていないけれども、今後これをどうするのかという問題でございます。
 実はこれが現段階で大変問題になっているわけでございまして、われわれといたしましては、先ほども申し上げたような関税の二年前倒し、あるいは輸入手続の九十九項目を検討した結果、六十七項目について前向き改善をするというふうな措置を講じ、しかも、やはり今後ともそういう問題について苦情処理をしていく体制をつくらなければいかぬということで、内閣官房副長官を長といたしまして市場開放問題苦情処理推進本部というふうなものをつくって、かつまた、包括窓口として私たち経済企画庁調整局が窓口になって、そうした苦情受付体制を確立をしたわけでございます。
 しかしながら、まだまだ海外、アメリカあるいはヨーロッパからは、ただいま江崎ミッションがアメリカから帰り、ヨーロッパへ行っておりますが、厳しい問題が投げかけられておるわけでございます。残存輸入制限の問題については一つ一つ大変なむずかしい問題を抱えております。しかしながら、彼らとしては、その自由化ないし枠の拡大というふうな要望が出てまいっておりまして、われわれ今後もそういう問題を検討していかざるを得ないという状態でございますけれども、できないことはできない、しかしながら、この際世界経済の中で第二位の日本の立場、そしてまた、現在欧米が日本に比べますと大変悲惨な状況で音を上げているという実態を考え、かつまた、保護貿易になった場合に一番損をするのは日本である、そういう立場に立って、できるものはやはり改善していく、こういう処置で対応していかなくてはならぬということでございます。しかし、具体的に二十七品目をどうするかというのはすべてこれからの問題ということでございます。
#94
○新村委員 大臣にお伺いしますけれども、消費水準を上げるには何といっても勤労者の所得を上げなければならない、これはもう明らかなことでありますが、現在の賃上げの交渉の状況は、恐らく低い方へ抑えられるであろうということが言われております。そこで賃上げの原則として、財界等でベア率は原則的には生産性向上率を超えてはならないということが言われておりますけれども、これでいきますと、これは縮小再生産といいますか、消費の向上は望めないと思うのです。こういう生産性向上率以内に抑えるという考え方に対して、大臣はどうお考えですか。
#95
○河本国務大臣 物価が安定するということはやはり実質所得がふえるということにもなりますので、私どもは物価の安定ということを最優先に考えております。そういう意味から、ベースアップを議論する場合に当然生産性の向上ということが議論になると私は思いますし、それ以外にも、企業にとりましてはやはり利潤という角度からも当然これが議論になると思うのです。
 ただしかし、生産性の向上という言葉はいまいろいろな意味に使われておりまして、一つは国民経済的な生産性の向上、こういう観念もございます。かつまた、その観念もさらに二つに分かれまして、物価が横並びの場合の国民経済的な生産性の向上は幾らか、あるいは物価が若干上昇する場合の国民経済的な生産性の向上は幾らか、こういう考え方もあるようであります。それからまた、生産性本部が言っておりますような労働生産性という立場からの生産性の向上、そういう概念もございまして、幾つかに言葉が使い分けられておりますので、基本的に申し上げますと、賃上げの場合には当然生産性の向上ということがある程度参考にされると思いますけれども、さて一体どの意味の生産性の向上かということにつきましては、それは労使の双方でいろいろ交渉されるわけでありますから、それぞれ具体的にお考えになって判断が出るものだ、こう思っております。
#96
○新村委員 これは、私がお伺いしたのは労働生産性という意味だったんですけれども、時間がございませんので、最後に大臣の、今後の経済情勢に対処する政府としてのお考えを伺いたいのですが、いままでお伺いをいたしまして御答弁をいただいたわけでありますけれども、現在の日本経済が着実に回復の方向に向かっているとは言い切れないと思います。むしろきわめて厳しい状況の中に推移しているというのが実態だと思います。こういう中で従来の政府の方針、あるいは従来の政府の経済政策だけでいいのかどうか、それで果たして五十七年度の予算あるいはそれに関連をする施策を遂行できるのか、あるいはまた財源を確保できるのかという疑問があるわけであります。これについての総合的な御見解と、それからまた、現在このままでいいのかあるいは新しい政策をとるお考えがあるのか、あるとすればどういう政策が考えられるか、これをお伺いいたします。
#97
○河本国務大臣 ただいまの御質問の一番当初に財政問題についてお話がございましたが、私どもも、財政がいまのような状態ではいかぬ、こう思っておることはもうそのとおりであります。何とか財政を立て直ししなければならぬ。これは財政再建という課題でございますが、そのためにはやはり、政府の考えておりますようなそういう国の歳入というものがある程度毎年ふえなければなりません。これが減るようではとても財政再建なんかできるわけがございませんので、そういう意味からも経済がある程度の力を持つということは非常に大事な課題だ、こう思っております。同時に、国民生活の現状から考えましても、現在のような状態ではこれは大変だ。やはり経済がある程度の力を持って、そして国民生活がもっと充実向上するようにしなければならぬ、このように考えておりまして、いま経済の力が回復するということはいろいろな角度から非常に大きな課題だと私は思います。単なる経済問題ではなくして、世界共通の最大の政治課題ではなかろうか、このようにも考えております。
 そこで、一体どうするんだということでございますが、何しろいま世界経済が一番悪い状態になっておりますし、かつまた、非常な激動期でございます。したがいまして、こういう激動期に経済政策を成功させるためには、何もしないでじっとしているというのが一番悪いことでございまして、経済の変化に即応して、そして機敏な対応をしていく、これがありませんとこういう激動期を切り抜けることは不可能だと思っております。
 それでは一体具体的に何かということになりますと、二、三日前に決めましたような金融の機動的な運営、あるいは公共事業、住宅等の上半期繰り上げ、これをさしあたりやると同時に、対外貿易摩擦を解消いたしまして貿易を拡大均衡の方向へ持っていきたい、こういうことを考えておりますが、そういうことをやりながらいましばらくの間は様子を見たい、こう思っております。情勢の変化に応じまして、どうしてもぐあいが悪いという場合には適切な対応をしていかなければならぬ、こう思っております。
#98
○新村委員 景気がよくなるであろうということではなくて、景気をよくするという責任が政府にはあるわけでありますから、ひとつ積極的に御検討いただきたいわけでありますが、公共事業あるいは住宅等の繰り上げは政策のうちには入らないわけですね、運営の問題ですから。そうじゃなくて、もっと財政政策的なものはどういうものがあるかということを伺いたいわけであります。たとえば国債を増発する考えがあるのか、あるいは金利の引き下げをするのか、あるいはまた減税をするのか、こういう具体的な点をひとつ伺いたいわけでありますが、いかがでしょうか。
#99
○河本国務大臣 国債の増発ということは、建設国債を出すのか出さないのか、こういうことではなかろうかと思いますが、そういう問題についてはまだ政府部内では議論はしておりません。
 それから減税の問題につきましては、これは政府はこれまで統一見解を持っておりましたけれども、議長見解が出ましてからは大蔵委員会の議論に全部ゆだね、大蔵委員会の結論が出れば政府はそれを尊重する、こういうたてまえでございます。
#100
○新村委員 金利はどうですか。
#101
○河本国務大臣 金利は実は下げたいのであります。住宅投資の面からいいましても設備投資の面からいいましても下げたいのでありますけれども、そこで金融政策の機動的運営という表現をしておるわけであります。ただ残念ながら、アメリカの金融情勢が御承知のような情勢でございますから、下げたくても下げられないというのが現状でございまして、これはヨーロッパもそうだと思うのです。そこで、ヨーロッパとわが国が提携しまして、アメリカの方に対しまして、物価も下がったことだからもう少し何とかならないのかということを機会あるたびに強く申し入れをしておる、こういうことでございます。国内の条件は下げられると思うのです。物価も安定しておりますし、国際収支も改善の方向にいっておりますから、これは下げられるのですけれども、対外的な要因のために下げられない。微調整は工夫によってはできないこともないと思いますが、微調整をいまやりましてもそんなに効果はない、こういうことだと思います。
#102
○新村委員 終わります。
#103
○武部委員長 次に、長田武士君。
#104
○長田委員 まず初めに、最近における景気の動向について河本長官にお尋ねをいたします。
 経企庁の景気判断については、いまだに、総じて見れば回復過程にあるもののそのテンポは依然として緩やかである、こうしておるわけですね。日銀の前川総裁は先日、景気の流れは変わったとは思わないが全体としてはやや足踏み近い状態にある、従来の緩やかながらも着実に回復しておる、そういう判断よりも、一歩後退した警戒的な見方をしておるわけであります。私も昨年来の各種の経済指標を勘案してみますと、中小企業の実態はきわめて悪い状況であります。経済のばらつきはさらに拡大しておる、こういう状況であろうかと思います。
 そこで、景気は昨年よりも悪化しておる、そういう判断の方が正しいと私は思いますが、河本長官、どうでしょう。
#105
○河本国務大臣 景気は全体として見ました場合には第一・四半期と第二・四半期は緩やかな回復過程にあった、これは言えると思うのであります。第一・四半期が一・二%の成長、第二・四半期が〇・六%の成長、内需、外需の関係はありましても総じて見ますと緩やかな回復過程、これは言えると思います。しかしながら、第三・四半期になりまして内需はややふえておりますけれども外需の方が思わしくないということで、全体としてはマイナス成長になっておるということでありますから、景気は全体としては後退をしておる、これは事実であろうと思います。
#106
○長田委員 長官、最近蜃気楼景気というのが何か一部流行語になりつつある。産業界の一部であるようでありますけれども、そういうことが言われております。オアシスがあると言われて期待を持たした、しかし実際はそれはオアシスじゃなかったんだ、そういうようなことで蜃気楼ということが言われておるようであります。そういう点で景気の実態を的確に見ていなかった、そういう甘い判断がこういう状況になったんじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。
#107
○河本国務大臣 決して甘い判断はいたしておりませんので、景気の動向につきまして一番深刻な判断をしておったのは政府であろうと私は思うのです。だから、先ほど申し上げますように第一・四半期、第二・四半期についても緩やかな回復過程に入った、それは事実数字が示すとおりでございます。ただ、第三・四半期になりまして世界的な不景気のために物が売れなくなった、そこで貿易が片減りになった関係で、総じて見ますと景気は後退の局面に入っておる、こういう状態になっておるということでございますから、数字の示すとおりの判断をしておる、こういうことでございます。
#108
○長田委員 特に中小企業の実態というのは相当厳しいですね。そこで、中小企業金融公庫の売上動向を見てまいりますと、売上高の増加企業割合から減少企業割合、これを差し引きまして売上高のDI、それは五十六年十一月にプラス八・四%だったものが十二月になりますとマイナス五・五%、そうしてさらに五十七年一月にはマイナス九・四%、これが二月になりますとマイナス二〇・二%という状況になるのです。また受注額が横ばいないしは減少の傾向にあるものは全体の九一%、九割を超えておるというのが中小企業の実態であります。その他、生産や設備投資についても同じことが言えるわけでありますが、このような中小企業の状況についてどのように見ていらっしゃいましょうか。
#109
○河本国務大臣 景気の状態は先ほど申し上げたとおりでございますので、その影響がいろんな分野で非常に厳しくあらわれております。その一つが比較的力の弱い中小企業にあらわれておりまして、中小企業不況だとも言われる現状になっておりまして、数字はいまのお話のとおりだと思いますが、そのほかに地域によりまして、第一次産業と公共事業で主として経済の維持されておった地域は、これまた非常に深刻な状態になっております。それから構造不況業種的な状態になっておる業種があることも御承知のとおりでありまして、そういう分野に非常に大きなしわ寄せになっておる。全体としては先ほど申し上げましたとおりでありますけれども、大きなばらつきを抱えながらいま進んでおるというのが現状だろう、こう思います。
#110
○長田委員 長官、地域的なばらつきという問題を答弁されましたけれども、この「地域経済動向」というのを見てまいりますと、その内容は、中小企業の低迷と同じく地域経済の跛行性が今日における景気の動向に大きな影響を持っておる、そういう状況である。中でも東海、北陸、中国では改善の動きが弱まっておりますし、東北、四国、九州、北海道は停滞しておると報告されておるのであります。私は、以前に比べて地域的なばらつきがむしろ拡大の傾向にあるんじゃないか、そう思いますが、その点はいかがですか。
#111
○田中(誠)政府委員 ただいま御指摘のとおり、輸出の増勢鈍化の影響が出てまいりまして、関東地区ではいままで非常に景気がよかったわけでございますが、引き続き緩やかな改善ということかと思われます。一方、比較的相対的によかった地域でございます近畿、東海、北陸、中国というところでは、改善の動きがやや弱まっておるという状況にございます。また御指摘のとおり、東北、四国、九州でも改善の動きがやや緩やかでございますし、北海道では引き続き停滞気味ということでございまして、全体として見ますと、比較的よかったと思われる地域に輸出の影響等が出まして、若干足踏みが見られるということで、御指摘のとおり、一部指標には明るさが見られますけれども、地域的な跛行性の広がりがここのところ見られるという状況かと思います。
#112
○長田委員 三月の月例経済報告によりますと、「大企業では堅調さを維持している一方、中小企業では、日本銀行「企業短期経済観測」によれば、投資計画の上方修正の動きもみられるものの、全体としては、なお停滞を脱し切れていない。」このように報告されておるわけであります。しかし一部上場会社を対象といたしました設備投資動向について日本経済新聞が調査したところによりますと、五十七年度における大企業の設備投資の伸びが私たちが予想していた以上に非常に低いようであります。特に輸出関連の機械は、五十六年度では二一・九%あったわけでありますが、五十七年度はマイナス二・九%、電機が三五・三%あったものが二・九%、自動車が一一・五%あったものが五・八%、精密機械は三五・六%あったものがマイナス一・六%となっておりまして、全産業で見てまいりますと、五十六年度の伸び率が一一・三%あったものが五十七年度は七・七%にとどまる、このような予想を立てております調査であります。また、電力を除きますと一三・二%だったものが五・九%だという状況であります。さらに、電力九社の五十七年度の設備投資は当初計画よりも一七%減の三兆五、六千億の下方修正を昨日発表いたしております。
 こうした状況を考えてまいりますと、私は、五十七年度の設備投資というものは政府が期待しておるほどの伸びができないんではないか。特に大企業はこのような状況であれば景気にも大きな影響を及ぼすんじゃないか。そういう点で景気回復のための設備投資、この点にかげりが出てきているのじゃないかと思いますが、どうでしょう。
    〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着
    席〕
#113
○田中(誠)政府委員 ただいまの御指摘の点、日本経済新聞社の見通し調査によりますと五十七年度計画七・七%でございますが、一方、日本開発銀行によりますと一一・二%でございますし、日本銀行の調査によりますと四・八%という見通しでございます。
 御存じのとおり、二月段階の調査と申しますのは、例年、そのときの景気の動向いかんではございますけれども、上方修正されるのが通常でございます。たとえば今回の日本経済新聞の調査を見ましても、五十六年度の当初計画は八・七%でございましたのが実績で見て一一・三%上方修正されてございまして、調査の対象等によりまして計画見通しに差がございますけれども、二月調査に比べますと、実績は景気が緩やかな回復を見込める段階におきましては上方修正されるのが常ではないかと考えております。
#114
○長田委員 どうかひとつ、もうちょっと上がればと私も期待しておるんでありますけれども、いまの答弁のようにうまくいけばいいと思っておるんですけれども、また余り期待を持たしておいてどうもそうじゃなかったんだと言わないようにしてもらいたい。
 次に物価動向についてお尋ねをいたします。
 物価の動向につきましては、昨年来安定した傾向にありますけれども、五十六年度の卸売物価指数並びに消費者物価指数ではどの程度に抑えることができるのか。また、最近円レートの変動によりまして影響は出ていないのかどうか。その見通しについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
#115
○廣江政府委員 五十六年度の物価でございますが、昨年末経済見通しを立てますときに、五十六年度の実績見通しといたしましては、卸売物価指数一・八%程度、消費者物価指数は四・五%程度と見込みました。
 まず消費者物価でございますが、昨年四月からことし一月までの実績で見ますと、前年同月比で、これは平均値でございますけれども四・二%でございます。そうして、二月の東京都区部速報で三・四%でございますので、実績見通しで考えました四・五%程度の、いろいろこれから先の事情もございますけれども、下の方の程度でおさまるということはかなり確実に言えるのではないかと思っております。
 次に卸売物価でございますが、卸売物価もかなり落ちついて推移しておるわけでございますが、ただ、お話にもございましたように、このところの円レートが安くなっていることを受けまして、輸出入品にもろに影響が出ておることも事実でございまして、せんだって発表されました二月の前年同月比は二・八%でございます。そしてそのときは前月比〇・五%上がりましたけれども、ほとんど全部と言っていいくらい、〇・六%ぐらいは円安要因によって押し上げられているのが実情でございます。ただ実態といたしますと、二月はいま言いましたように前年同月比総合では二・八%上昇ということになっておりますが、国内品は一・四、輸出品が八・八、輸入品が九・三%ということでございまして、なお国内品についてそれほどの影響が出ているということは言えない、落ちついているということは事実だと思います。
 それで、全体どうなるのかということでございますが、卸売物価につきましては、少し最近の状況をトレースしないといけないと思いますけれども、二月までの平均でいきますと一・三%ということになっておりますので、これも年度全体として見ますと一・八%程度の下の方でおさまるというふうに見通せる、こういうふうに思っております。
#116
○長田委員 次に、それでは五十七年度の見通しの卸売物価指数、これは三%ですね。それから消費者物価指数が四・七%。現在消費者物価は低水準にありまして、大体三%台が続いておるわけであります。政府見通しの四・七%よりは相当下回るだろうという感じで私は期待を持っておるわけであります。したがって、政府見通しの四・七%ということになりますと、下半期において五、六%ぐらいの上昇を見込んでいるのじゃないかというような感じがするわけであります。そこで、五十七年度の経済運営を考えるときに、物価の動向についてはどのような点をどのように考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#117
○廣江政府委員 五十七年度の物価見通しでございますが、先生いま言われましたとおり卸売物価三%程度、それから消費者物価四・七%程度と考えております。ただ、これは一つの見通しでございまして、基本といたしますと、現在の落ちついた傾向が続いていくという前提のもとに考えております。ただ、五十七年度は、五十六年度の経済よりも多少需給が正常化する過程におきまして、そういう要因から少し上がるかなというくらいのことは考えておりますけれども、実態といたしますと、基本的にはいまの非常に落ちついた動向を続けるというふうに考えておるわけでございます。
 そして、五十七年度の経済見通しにおきまする物価の見通しといいますものは、先ほどお答えをいたしました五十六年度の実績見通し、この上に構築されておるのが実情でございます。そして五十七年度の後半においてはかなり高くなるのじゃないかということを言われましたですが、私ども経済見通しを立てますときには、基本的にはその年度一本で見ているわけでございまして、それを区切ってこれからこれまではこういうふうに上がる、後半は高くなるというふうに数字を出して見ているわけではございません。あくまでもいま言いましたように年度一本で、基調的には現在と同じように落ちついた傾向でいくというふうに見ているわけでございます。
 いずれにいたしましても、物価は国民生活の一番重要な基本要件でございますし、経済運営のこれまた重要な基盤となるわけでございまして、私どもは一つの見通しとして先ほどお答えいたしましたような見通しを出しておりますけれども、これは低いにこしたことはないわけでございまして、気を緩めることなくいろいろの施策をとっていきたい、十分な対策をとっていきたいと思っております。
 多少一つ気がかりな点があるとすれば、卸売物価等につきまして先生が先ほど言われました円の動向といったようなことがあると思いますけれども、石油にいたしましてもコスト要因として大きく上がるというような要因はいまのところ考えておりませんし、十分に達成できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
#118
○長田委員 私は、物価の安定することに対しては本当に取り組まなくちゃいけないと思っておるのであります。というのは、政府の物価のいわゆる目標と申しますか、それに対して現状は非常に安定しておりますし、そういう点で見通しがちょっと甘かったかなという感じを私は抱きますから、後半になってちょっと物価の上昇が激しくなるのじゃないかなというふうに予想されておるかどうかという点で、私はただしたわけなんです。その点、物価の安定には最大の努力をしていただきたい。
 次に、五十七年度における消費者物価指数の見通し四・七%のうち、公共料金の寄与度についてはどの程度見込んでいらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#119
○廣江政府委員 公共料金のうち予算関連の公共料金といたしますと、いま見込まれておりますのは国鉄、消費者米価、それから国立学校の授業料でございますが、この寄与度が〇・二%程度と見込んでおります。そのほかにそれでは公共料金は出てこないかと言われますと、これはまだ多少のものは出てくると思いますけれども、それは申請を待ちまして、そのときの状況、その内容によりまして判定いたしますので、いまこれ幾らになるということはお答えいたしかねるわけでございます。
 ことしはどうなっているかということから申し上げますと、ことしはいろいろの公共料金があったわけでございますが、予算関連の公共料金は当初〇・三%見込みましたが、その程度で推移しておりまして、あとそのほかのものがありまして、現在の段階では〇・八%の寄与度というふうに見ております。
#120
○長田委員 昨年来物価が安定しておるのは、民間サービス料金が落ちついていることが大きな要因だろうと私は思うのです。すなわち、サービス部門での競争が激化しておりまして、市場メカニズムは有効に働いておる、そういうことが言えると思います。これに対しまして公共料金の推移を見てまいりますと、民間サービス料をはるかに上回った上昇率なんですね。たとえば五十一年度上半期から五十六年度上半期の間を見てまいりますと、民間サービス料の三五%に対しまして公共料金は六一%の上昇率となっておるわけであります。これは、私は、公共料金を安易に値上げをしてきたという結果じゃないかという感じを強く持つわけであります。
 たとえば、国鉄の例を出して申しわけないのでありますけれども、新宿から八王子まで行くのに、国鉄は四十分かかって四百八十円、京王帝都は三十五分で二百六十円、こういうように企業の姿勢というのが出ているわけであります。そこで、今後における物価政策上、こうした傾向をどう抑制していくか、これが私は物価対策の大きな柱になるだろう、そういう点を強く感ずるわけであります。この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#121
○廣江政府委員 五十六年度、それから五十七年度におきます公共料金につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、先生から、公共料金を一番比較できる一般民間サービスと比べたときに上がっているじゃないかという御質問がございました。
 公共料金も一つの事業体としてやっていくものでございますから、これが経営のできないような低い水準のまま据え置くことはできないわけで、人件費であるとかあるいは燃料費といったようなもののコストが上がりましたときには、それを勘案しなければいけないわけでございますが、ただ政府は、第一次オイルショックが起きましたときに、物価が狂乱と言われたような状況を呈しましたとき、公共料金までもろに上げたのではということで公共料金を厳しく抑えまして、一時凍結のような措置もとりました。したがって、そういうふうに抑えたのでございますが、それを五十年から五十二年くらいにかけまして少しずつ調整戻しをいたしましたものですから、公共料金がその当時非常に上がっております。その後五十三、四年と落ちついておったわけでございますが、五十五年にはまた第二次オイルショックの影響を受けて、公共料金が少し大きく上がったわけでございます。長い期間で時系列で見てみますとそういう流れがございます。したがいまして、先生の言われますようにある時期をとりますと少し高くなっているわけでございますが、それをもう少し目をさかのぼらせまして、一時抑えたというのを勘案できるような状況までさかのぼらせて、四十五年あたりを基準にいたしますと、大体公共料金の動きというものは一般物価の動きと同じくらいになっているという数字も示されるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、公共料金が国民生活に及ぼす影響というものは個別に見てみますと非常に大きいわけでございますし、また、私どもといたしましても公共料金を安易に認めたのでは物価対策は成り立たないわけでございます。物価対策の中では常に公共料金を厳しく抑制するということを大きな柱に掲げておるわけでございます。あくまでも生産性の向上を図ることを目的といたしまして、効率的な経営ということを一番先に求めて、そういう厳しい態度で公共料金の調整を行っていかなければいけないし、今後も行っていく覚悟でございます。
#122
○長田委員 ですから私は、国鉄の例を出したのですよ。ですから、上昇率については民間のサービス部門も公共料金も大して変わらない、四十五年くらいから見てみろ、こういうことですね。では、どうして国鉄と京王帝都とこういう差が出るのですか。よくわかるように理由を説明してください。
#123
○廣江政府委員 先ほどは公共料金全体として申し上げてまいったわけでございまして、個別の公共料金の一つ一つの体系を見ますと、先生の御指摘になられましたような大きな問題があるわけでございます。その中で特に一番問題になっておりますのが、先生が御指摘になりました国鉄であろうと思います。これは、現在までの段階で全国一律の運賃になっているというようなこともございますし、私鉄ともろに比較するということも適当でない面もあると思いますが、何にせよ、先生の言われましたように、やはり経営の効率化を求めて、公共料金というのを厳しく低位に安定させるように努力しなければいけないという点は、全くおっしゃるとおりだと思います。
#124
○長田委員 そういうことで、決して公共料金に対して甘い判断をしてはいけないということを私は言っているのです。
 次は五十六年度の経済成長率について、すでに指摘されておるとおり四・一%の達成は不可能だ、私はそういうふうに考えております。特に先日発表されました五十六年十月から十二月期、この成長率はマイナス〇・九%となっているわけであります。五十六年の暦年の成長率も三%を割り二・九%となっているわけですね。このことから考えてまいりますと、恐らく五十六年度の成長率も二%台になると予想されるわけでありますが、長官はどの程度になると考えていらっしゃいますか。
#125
○河本国務大臣 第四・四半期の状態がまだはっきりいたしませんので何とも言えませんが、政府の目標四・一を達成するということはきわめて厳しい情勢になっておるということでございます。
#126
○長田委員 当然名目成長率も五%台に低下すると私は見ておるのです。そうなりますと、税収欠陥の規模は相当出てくるのじゃないかと私は思いますが、どの程度と見ていらっしゃいますか。
#127
○河本国務大臣 税収の方は、一月末までの結果が大体出ております。大蔵省の方では、残る四カ月の間にある程度改善されるであろう、このように言っておられますが、どの程度の欠陥が出てくるかに対しては、大蔵省は何も意見は言っておられません。ただ非常に心配な状態であるということだけは言っておられますので、私も大体そういうことでなかろうかと思います。
#128
○長田委員 五十六年度の実質経済成長率を三%台にするためには、五十七年一月−三月期に二・三%の成長率が必要なんですね。ところが、ことしに入りましてから、輸出の先行指標でありますところの輸出信用状を見てまいりましても、一月がマイナス三・五%、二月がマイナス七・一%と極端に減少しておるわけであります。とうてい二・三%の成長は望めないというふうに、もうこれは間違いないだろうと私は思うのですね。五十六年一月−三月期が〇・七%であることから考えましても、せいぜい五十六年度は二・六%の成長しか予想できないだろうというふうに考えられるわけであります。したがいまして、このことは、五十七年度の成長率の見通しである五・二%への影響が当然出てくるなという感じがしますが、どうでしょう。
#129
○井川政府委員 三%達成するために、先生いま二・三とおっしゃいましたけれども、二・三まではいかないと思います。しかしながら、それに近い数値でないと達成できない厳しい状況だと思っております。ただ、輸出の信用状、いま決して状況はよくございません。しかしながら、全体をカバーしたものでないというのが一つと、それからもう一つは、それは数カ月先にあらわれるもの、したがって当然、後の期に出てくるわけでございます。一−三月については、そこの輸出信用状に示されている数値とは違いまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは輸入の動向とも関係いたします、外需ということになりますと。したがって、輸出と輸入の動向を一緒に考えないといけませんけれども、少なくとも十−十二月のような外需マイナスというふうなことにはならないのじゃないか、こういうふうに想像しているわけでございます。
#130
○長田委員 五十七年度の経済運営は五・二%の成長率を達成するという、これだけではなくて、そのうち内需が四・一%という、内需主導型の経済運営に切りかえなければならないという重大な課題を持っているわけですね。そういう点では非常にこの点は厳しいだろうと私は思います。この内需主導は五十六年度の経済運営の大きな柱であったわけでありますけれども、実際には五十六年度も結果的には外需主導型になってしまいました。
 そこで、五十七年度はこの切りかえをどうするのか、五十七年度を上期と下期に分けて考えてまいりますと、どのようにいたしまして内需主導型に切りかえるか、経済運営を持っていくか、こういうことが最大の課題であろうと私は思いますが、具体策はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#131
○井川政府委員 五十六年度につきましては、先生いまおっしゃいましたように、やはり外需主導を免れないという感じがいたします。ただ、この点は実は、先ほど先生もおっしゃいました十−十二月あたりの実績が出てまいりますと、御承知のとおり十−十二月は外需は物すごいマイナスという数値が出てまいっております。したがいまして、政府が一月に決定いたしました五十六年度見通しの外需寄与度よりもあるいは寄与度としては少なくなるかもしれない、こういう感じがいたしますけれども、これは十−十二月という特殊な大きいマイナスが入ったというせいでございまして、しかし、それでもやはり五十六年度は外需主導経済であることはほぼ間違いないと思います。
 それで、問題の五十七年度でございますが、五・二%、うち内需が四・一、外需が一・一、まさに内需主導というかっこうにいたしてございます。われわれといたしましては、両面からその必要があるわけでございまして、景気を回復をしてそのことによって内需を高めていくということ、それから貿易摩擦を解消をしていく、こういうことのために外需に頼る成長をすべきでない、こういう考え方でいっておるわけであります。
 内需につきましては大変いろいろな厳しい条件がございますけれども、しかしそれらの中で運営よろしきを得て、五十七年度については寄与度四・一というものをぜひ実現したいと考えております。
 問題は外需でございます。外需につきましてはいま大変議論をしにくい状況でございますが、御案内のように、五十七年度の経常収支は黒といたしまして百二十億ドルという予想にいたしておるわけであります。この点については、実は先般まで民間機関あたりは、ほうっておけば百八十億ドル、二百億ドルいく、こういう話がございました。しかしながら、われわれとしては、先ほども申し上げましたけれども、対外経済対策等輸入拡大策を講じて、外需主導にならないためにも、やはり輸入を拡大することによって経常収支百二十億ドル程度に抑えたい、こう考えてみたわけでございます。現段階になってみますと、政策努力もあり、大体百二十億ドル程度の黒というのがいいところではないか。恐らくいまの段階では民間もそういう感じになってきていると私は思います。と申しますことは、先ほどいみじくも先生おっしゃいましたように、輸出信用状等々やはり予想よりも伸びが鈍く、他面、国内経済の回復ということになりますと輸入はやはり拡大をしていくというふうな状況でございます。もし経常収支が百二十億ドル、政府の見通しないしそれに近いラインということになりますと、これはやはり外需寄与度としては一%程度というふうなことになるのではないか。
 考えてみますと、たとえば簡単に申し上げますれば、五十五年度の経常収支が赤で七十億ドルでございました。それで、今回政府見通し黒の五十六年度は百億ドルと言っておりますが、百億ドル達しないと言われております。多分私も、先ほど申し上げましたが、十−十二月等の景気から見ますと百億ドルいかないと思いますが、仮に百億ドルいったとして、その差は百七十億ドルぐらいになりますが、それと五十六年度、五十七年度の違いというのは百億と百二十億では二十億の違い、仮にこの百億ドルが減りましても数十億ドルの違いということになるわけでございます。そういう意味におきまして、経常収支自体の姿だけから言えば、これが大きく寄与度で占めるという事態はないであろう。したがっで外需主導ではない、経済の成長として内需主導の経済の姿になるであろう、これはもう間違いのないところだ、こういうふうに考えておるところでございます。
#132
○長田委員 内需拡大という点で非常に期待が持たれるわけでありますが、公共投資も五十六年度は七〇%前倒しをやりました。五十七年度については、先日の閣議でも七五%以上のいわゆる前倒しをしよう、このように決定をいたしておるわけであります。しかし私は、このように景気が停滞しておりまして、果たして有効な手段になり得るかどうか。公共投資についても前年並みに抑えられておりますし、そういう点が非常に危惧される。年間を通して見て、前半の景気浮揚にはある程度効果を発揮するけれども、後半になって完全に息切れしてくるだろう、こういう点で非常に厳しいなという年間を通しての経済見通しですね。そうなるとやはり、輸出には余り依存できない、そうすると内需の拡大だ、しかしそれについても拡大がこれだけではなかなか決め手にならないであろう、そういう感じを私は強く持つのです。公共事業でもいまは土地代も高いし、そういう点では非常に無理もあるのです。そういう点で景気浮揚策の本当にこれが決定打になるかどうか、この点どうですか。
#133
○井川政府委員 なかなかこれだけ大きい経済になりますと、決定打の政策というふうなことはございません。特に御案内のような、金融にいたしましても財政にいたしましても、ある程度縛られた状況でございます。そういう条件、前提の中で、やはりできる限りあらゆる政策を講じていく、そうした相乗効果によって内需を高めていく、こういうことが必要かと思います。
 ただいま先生、前倒しの効果についておっしゃいました。確かに年間を通じますればそういうことが言えると思います。しかしながら、国民経済といたしましては、公共事業が二十四兆、これは中央地方を含めてあるわけでございます。通常年でございますれば、これはその年の状況によって違いますけれども、通常上期契約率は六五%程度でございます。今回七五%以上ということでございまして、実際上の作業で結果的にどうなるかわかりませんが、仮にこれが七五%になりましても、要するに一〇%上期へよけい持ってくる。一〇%は幾らになるかということになりますと二兆四千億、二兆四千億を六カ月上期に持ってくる、これは私は、経済に効果がないということはなくて、やはり大きい効果があると考えなくちゃならないと思います。しかし、下期のことばということはございますけれども、先ほど先生もおっしゃっておりますように、現在内需自体が非常に厳しい状況にある、先行きあるいはもう一度病気になるかもしらぬから、いま重い病気だけれども薬を飲むのを少し先に残しておこうというのよりは、やはりいま正常な状況に持っていくためにはそういう薬を飲むという態度の方が正しいのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、結果的には七五%が幾らになるかは別にいたしまして、私は、内需浮揚ということのためには相当大きい効果があるというふうに考えております。
#134
○長田委員 薬も限りがありますから、先に飲んじゃって後でまた悪くなったらどうするのだろうということを私は言っているんですよ。それに対しまして河本長官は、公共事業の繰り上げ発注につきまして、下半期にもし見込みどおりにいかなかった場合適切で有効な手段を考えると、暗に補正予算で建設国債の追加発行を考えておるような発言をされておるわけであります。大変勇気ある発言で、私は高く評価をいたしておるわけであります。
    〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、これは政府の行政改革の絡みで果たして、国債減らしという方針に矛盾するのではないかという感じを私は強く持つのです。しかし、国債の利払いだけでも現在、五十七年度は六兆三千億円計上されております。こうした点を考えましても、五十九年度までに赤字国債をゼロにする、こういう点が非常に大問題だなと思いますが、その点はどうでしょう。
#135
○河本国務大臣 公共事業を幾ら上半期に繰り上げるかということにつきましては、七五%以上ということでありますから、七五%であればいま局長が言ったように二兆四千億が繰り上げになりますが、仮に八〇%ということになりますと三兆六千億ということになります。その中間であれば三兆円ということでありまして、これを上半期に集中するわけでありますから、これはある程度の効果は出てくると思います。
 そこで、さて、それでよくなれば大変結構だが依然として悪い場合は一体どうするのかということでございますが、その際は、ほうっておくわけにはまいりませんから、やはり適切な対応が必要だと思います。どういうことをやるのかということになりますと、それはまだ具体的には何も考えていないということでございます。
#136
○長田委員 まだ予算が通っておりませんから、なかなか発言しにくいと思います。年間二十四兆の予算を持つ公共事業、七五%は前倒しをするわけでありますけれども、下期へのてこ入れが私はどうしても必要だと思いますね。金額の規模にして、赤字国債とか建設国債という問題は別にしてですよ、長官、どのぐらいの資金規模が必要だと思いますか。
#137
○河本国務大臣 それは、私どもの基本的な考え方は、とにかく相当思い切った繰り上げをすれば、それが誘い水になってある程度経済全体の力が回復するであろう、そうなれば公共事業が減っても差し支えないわけでありますが、しかし、さて、もしうまくいかぬ場合には一体どの見当の追加をするのか。それはさっきも申し上げましたように、まだ政府部内でも全然相談をしていない、こういうことであります。
 それから、先ほど建設国債についてはどう考えるかということのお話がございましたが、したがって、建設国債を出すとか出さないとかそういうことについても一切の結論は出ておりません。
 ただ、私が問題点だと思っておりますのは、赤字国債と建設国債をみんな混同しておる向きが相当あるように思うのです。赤字国債と建設国債は若干違うのではないか、こう思いますので、そういうものに対する研究も必要ではなかろうか、こう思いますし、日本で社会資本は充実しているのだ、もう余りやらぬでもよろしいという説もありますが、いや充実していない、こういう説もありますので、こういう点も一つの研究課題ではなかろうか、こう思っております。また、国債というものは国民の貯蓄の伸びる金額と並行してそのバランスをとりながら考えていかなければならぬという議論もありますので、そういう点も研究課題でなかろうかと思います。
 国債については幾つかの研究課題、社会資本投資についても幾つかの研究課題がございますが、そういう点について大変混乱をしておりますから、いろいろな角度から研究をするということは大切だと思いますけれども、何ら結論は出ていない、こういうことでございます。
#138
○長田委員 先ほど当委員会でもちょっと触れられておったわけでございますが、建設省が新聞に発表しまして、建設国債の発行の景気効果についてまとめが出ているわけであります。建設国債一兆円を発行した場合、一つは、発行一年後二千四百億円、三年後には五千億円の税収増が出る。二つ目には、年間二兆一千三百億円の生産増が出る。三つ目には、内需拡大で年間一千億の輸入がふえます。こういう試算をしているようであります。経企庁、今後この研究はされるのですか。
#139
○井川政府委員 実はまだ建設省から詳しい説明を受けておりません。したがいまして、その数字自体についていまどうこう申し上げるわけにはまいりません。しかしながら、要するに公共事業をふやしていけば経済効果はどうか、こういうことでございまして、従来から申し上げておりますように、政府の公共事業をふやすことによる経済効果はやはり大きいものがございます。それで、その効果によって経済が大きくなっていく、経済が大きくなることによって税収がふえる、そういうふうなことを一定のモデルで、それはどういうモデルなのかもわかりませんですが、モデルで計算したものだというふうに考えられまして、筋合いとしてはわれわれとしても理解できるというふうなところでございます。
#140
○長田委員 政府が内需主導型の経済運営を目指すならば、私はもっと個人消費を伸ばすべきである、そういうふうに考えるのです。この五年間における所得税の減税見送り、それによりまして勤労者の税負担が著しく増大をいたしておるのは長官も認めておるわけであります。そのことが可処分所得の減少ということにつながっているわけであります。そのために私たちは一兆円減税を政府に鋭く迫ったわけであります。大蔵委員会の小委員会で今後討議をしていくということでございますけれども、私は、日本の低迷した景気というものはこの減税が大きな切り札になってくるのではないかという感じを強く持っておるわけであります。そこで河本長官、一兆円減税がもしか実現した場合、景気効果としての長官のお考えはどうでしょう。
#141
○河本国務大臣 減税の問題につきましては、政府の統一見解がございました。しかし、先般議長見解に従うということになりまして、大蔵委員会の結論が出ればそれを尊重しますということになっておりますので、それを最優先させる、こういう姿勢でございます。
 それで、仮に一兆円減税が出た場合にそれは景気回復に大きな影響力があるのではないか、どうだ、こういう御質問でございますが、私は、景気の回復力という面からだけで言いますと、一兆円程度の規模の減税では、それは若干は効果はあると思いますけれども、とてもそれだけで景気が回復できるというような力はない、こう思っております。アメリカの減税規模等から判断をいたしまして、日本の経済はアメリカの半分弱ということでございますから、長いこと減税しておりませんからそれで減税するのだとか、あるいは苦しい家庭が大分出ておるからそれで減税するのだという別の角度からの減税であれば、それはそれなりに効果はあると思いますが、景気回復の起爆剤になるのだ、そういうことであれば一兆円ではとても無理だ、こう思います。
#142
○長田委員 多ければ多いほどいいのでありますけれども、財源問題がありますから私たちは少な目に一兆円と申し上げたわけであります。五十八年以降の減税問題につきましては、政府の答弁といいますかニュアンスは、どうも間接税とのセットの話でどうしても私たちの耳に伝わってくる、そういう傾向が出ているわけでありますが、長官、間接税についてはどうですか。
#143
○河本国務大臣 それはすべて大蔵委員会の小委員会で議論をされることになっておると思うのです。仮に私どもがどういう見解を持っておりましょうとも、小委員会の結論が出ればそれを最優先させるということでございますから、結論を待ちたいと思います。
#144
○長田委員 今日の日本を取り巻く経済状況というのは、いままでいろいろ御答弁もいただきましたけれども、非常に厳しい状況であります。特に欧米との貿易摩擦の問題で、輸出の鈍化傾向は、こういう傾向ですからさらに進むのではないかという感じが私はするのですね。また、国民生活も消費支出が二年連続して実質マイナスである、こういう前例のない記録が達成されておるわけであります。こうしたことから国内景気の回復策は非常に早急にやらなければいけない、今後総合的な景気対策を立てる必要があるのではないか、そういう感じがしますが、この点どうでしょう。
#145
○河本国務大臣 総合的な経済対策を立てる考えはありません。それはやろうにも手段がないからであります。したがって、さしあたり考えますことは、先ほど来申し上げておりますような二、三日前に決定いたしました一連の対策を進めます。それと並行しまして、貿易摩擦を解消しまして貿易を拡大均衡の方向に持っていく、そういう対外経済対策を進めたい、こう思っております。現在やり得る方策としてはこの見当しかありませんし、まずこれをやってもう少し様子を見たい、こういうのが政府の姿勢でございます。
#146
○長田委員 先ほど長官は、金融の柔軟的な対応と言いまして、いろいろ御答弁をいただきました。それで、三月十六日の閣議で引き続き金融緩和を進める決定をしておりますね。債券市況、好転が続いておりますが、国債や長期プライムレートなどの長期金利は私は引き下げるべきだと思いますけれども、この条件として経済状況としての環境整備、日本としてはどうでしょうか、アメリカの高金利の問題があってなかなか踏み切れないという問題があると思いますけれども、日本の環境はどうでしょう。
#147
○河本国務大臣 日本としましては低金利政策を強力に進める背景はでき上がっていると思います。物価も先ほど来御議論のように三%台になっておりますし、国際収支も好転をしております。だから、国内の情勢に関する限りは金融を機動的に運営できる背景はあると思うのです。ただ、アメリカの状態が御案内のような状態でございまして、これに非常に大きな制約を受けますので、現在の段階では仮にやったといたしましてもほんの微調整にすぎない、こう思います。
#148
○長田委員 アメリカの金利問題がちょっと出ましたけれども、アメリカのインフレも鎮静の方向に向かっております。しかし金利が下がらない、長期プライムレートはちょっと下げたようでありますけれども。で、その理由として連邦政府が一千億ドルに近い借金をしようとしておる、これが原因じゃないかと言われておりますが、長官、どうでしょう。
#149
○河本国務大臣 これまで、アメリカの金利が非常に高い水準を維持しております理由として二つあると言われておったのであります。一つはインフレがおさまらないということ、一つは財政の大幅赤字、それによるクラウディングアウトの危険性がある、この二つが言われておったわけであります。
 物価の方は幸い大分おさまってまいりまして、いま八%台になっておるようであります。ことしの平均は七・三、こう言っておりますから、なお引き続いて下がる傾向ではなかろうか、こう思います。
 一方の財政赤字の問題が残っておりまして、それがやはり金利に非常に大きな影響を及ぼしておるということでございます。私は、財政赤字の問題もありますが、同時に、アメリカの国内の貯蓄率が政府の計画どおり伸びていないというところにあるかと思うのです。若干の財政赤字が出ましても、政府の計画どおり貯蓄率が伸びていくということであれば民間資金を圧迫することはないわけでありますから、私はむしろこの面について何らかの工夫が加えられるべきだと思いますし、アメリカ政府自身も、貯蓄率を上げるために大減税をやるのだ、こう言っているわけでありますから、それがうまくいってないということでありますから、この問題点をもう少し解きほぐす必要があるのではないか、私はこう思っております。
#150
○長田委員 それでは、ちょっと話題が変わりますけれども、新経済社会七カ年計画についてであります。ことしのフォローアップの中で内外の諸情勢が相当変化しておる、そのために経済審議会においては今後検討しようということであるようでございます。確かに名目経済成長率が平均九・五%、こうなっておりますけれども、私は少し高いと思いますね。また公共事業費も百九十兆円が果たして実行できるかどうか、この点も疑問符がつきます。臨調での抜本的な行革の方針でも出されれば、経済運営にとっても相当基盤が変化すると考えられるわけであります。
 そこで、今後新経済社会七カ年計画につきましてどのような角度から見直しされるのか。さらに、目標となる期間についても二十一世紀を目指すマクロ的な観点からも検討されなくてはならないのじゃないか、このように思いますが、どうでしょうか。
#151
○河本国務大臣 この問題につきましては、ことしの半ば過ぎに判断をしたい、こう思っております。それは、経済審議会の中につくりました長期展望委員会、ここで二十一世紀を展望して日本の経済社会はどうなるかということについて議論をしていただいておりますが、その答申も出てまいりますし、それから臨調の抜本的な行革についての答申もそのころには出ると思います。そこらあたりの幾つかの情勢を見まして、抜本的に七カ年計画をやりかえた方がいいのかあるいは従来どおりフォローアップをした方がいいのか、その判断をいずれしなければならぬ、こう思っておるのですが、ただ、経済の激動期に中期計画を立てるということは果たして適当かどうか、やはりこういうものはある程度経済が落ちついた段階でございませんと、一番どん底にあるとか一番絶頂にあるとかそういう場合につくりますと、ややもすると余り役に立たない計画になりますので、たとえば、現在の計画なども五十四年の一月につくったのでありますが、一月に閣議決定をする予定になっておったのでありますが、石油危機が発生をいたしましてどういう影響が出てくるかわからない、この情勢を見きわめないことにはめったに決められないということで、八カ月間決定をずらしたことがございます。ようやく東京サミットの結果、エネルギー問題は日本の産業の将来に大きな影響はない、どういう情勢になってもさしあたりそう心配はないということから八月には決定したということもございまして、いろいろな情勢が激動しておるときに判断をするのは適当かどうかということは疑問でございますので、そういう点も含めましていろいろ議論をしてみたい、こう思っております。
#152
○長田委員 次に、経済摩擦についてお尋ねをいたします。
 日米貿易摩擦解消の条件については、アメリカの経済の回復及びアメリカの高金利の是正がよく論議されるわけであります。金高利につきましては、ヨーロッパ諸国においても是正を求める機運が非常に高まっているようであります。そこで、この点について米政府への対応はどのように考えておられるのか、また円安の原因がアメリカの高金利だけであると考えているのかどうか、さらに国内におけるところの要因についてはどのように見ておられるのか、この点簡単にお答えをいただきたいと思います。
#153
○井川政府委員 アメリカ政府のわれわれのそうした問題に対するいままでの答えは、アメリカとしても好んで高金利にしているわけではない、やはりインフレを抑えるということのために経済運営をやっていった場合結果的に高金利になっているんだ、しかしながらわれわれの見通しとしての金利は逐次下がっていくと思う、そういう意味でもう少ししんぼうしてもらいたい、こういう返事でございます。ただ、この返事は大分前から同じような返事がございまして、たびたびわれわれは裏切られておる、こういう結果でございます。その結果、世界的に、特にヨーロッパあたりはあれだけの失業を抱えながらしかも低い金利の政策がとれないということ、わが国におきましてもこういう状態でございますから、公定歩合等を下げようと思いましても、円レート等々の関係がございまして金利差が大き過ぎるものでございますから下げられないという制約が強うございまして、今後、国際経済の中でアメリカの高金利是正に対する要望はさらに強くなっていくのではないかと考えております。われわれといたしましては、経済運営の場合に、高金利のために金融対策がなかなか機動的に運営できないという問題と、それからやはり、高金利の結果円レートが安きに過ぎるということになりますと長期的に物価に影響する、こういう影響があるわけでございます。
#154
○河本国務大臣 経済摩擦対策をどうするのだ、こういうお話でございますが、実は江崎ミッションが二十七日に帰ってこられます。で、三十日に経済対策閣僚会議を開きまして、そこで江崎ミッションの報告を聞きまして、政府と党の方で一体どうするかということについて最終の判断をしたい、こう思っております。
#155
○長田委員 貿易摩擦を解消する一つの手段といたしまして、輸出課徴金の創設の話が実は出ておりますね。これは輸出抑制と同時に内需拡大の財源確保につながることから、大蔵省ではすでに検討されておるようであります。また、EC諸国からも暗に輸出課徴金を求める動きが実は出てきております。そこで、自由貿易をたてまえとするわが国がこうした制度を導入しなければならないのかどうか、この点、長官、どうでしょう。
#156
○河本国務大臣 一時そういう議論がありましたけれども、これは貿易立国の日本としては非常にまずい、むしろ日本自身が保護貿易を誘発するようなものではないか、こういうことになりまして、これはもう全然問題にならぬということで取りやめになったといいますか、これは議論の対象にしない、こういうことになっておりまして、それが再燃したとは思っておりません。
#157
○長田委員 終わります。
#158
○武部委員長 次に、塩田晋君。
#159
○塩田委員 河本経済企画庁長官にお伺いいたします。
 河本長官は鈴木内閣におきまして最大の有力大臣でございますし、特に経済通であり、国民が非常に経済政策につきまして河本大臣に期待を寄せているところでございます。鈴木内閣の支持率が落ちましても、河本長官に対する経済での期待というものが大きいために、鈴木内閣もやっともっているというような感じすらするわけでございまして、河本大臣のたびたびあちこちで表明をしておられますいろいろな経済に関する見方あるいは政策についての考え方、これについてはかなり勇気を持って断言をしておられる面もありますし、われわれはその面でもまた期待をしておるところでございます。そういった非常に国民から期待され頼りがいのある方だということで、河本長官のきょうの御発言を期待しておるということで、ひとつ率直かつ大胆にお答えをいただきたいと思います。
 そこで、いま国民が一番問題としております、また悩んでおります問題は、今後の日本経済の見通し、景気の行方でございます。年度ベースにおきましては、経済見通しあるいは経済運営の基本的態度におきましてすでに表明をされておりますから、これはこれなりに政府の公式見解として承っておるところでございますが、これも、前提とした昨年暮れの内外における経済の条件が変化をしてきている。その後の状況を勘案して、これは指標自体が動いておるのかもわかりませんが、それはそれとして、今後の景気の動向、見通し、ごく短期でたとえば一年ぐらいどのような変化をしていくものか、これについて大臣の率直なお考え、見通しをお聞かせいただきたいと思います。
#160
○河本国務大臣 私どもは、いまは景気の状態はよくございませんし、それから幾つかのばらつきが厳しくなっております。したがいまして、決して現状については満足はしておりませんし、むしろ非常に心配をしておるというのが現状でございますが、ただ後半回復の方向にいくであろう、こう思っておりますし、また、後半回復の方向に持っていかないとこれは政府としてもいろいろな政策が行き詰まってしまう、こう考えておるのです。
 ことしの初め大蔵省から国会に、昭和六十年までの財政試算が出されておりますが、これを見ますと、五十七年から六十年までの四カ年の間に十八兆円という税の自然増収が期待できて、そしてなおある程度の歳出の合理化をすることによって財政再建ができる、こういう判断、見通しが示されております。しかし、四年の間に十八兆という税の自然増収を確保するということは、経済がよほど力を持たないとそれだけのものは出てまいりません。したがいまして、財政再建を達成するということのためには、景気の回復、経済の力が維持拡大されるということが前提条件だ、もちろん財政の合理化、歳出の削減ということは必要でありますけれども、それだけではできない、こう私どもは思っております。そういう角度からも、後半にはどうしても景気回復を軌道に乗せなければならぬと思っておりますし、もしいまやっております政策が成功しない、景気が軌道回復をしないということであれば、その時点におきまして景気を軌道に乗せるための適切な政策の対応ということが必要であろう、こう思っております。
#161
○塩田委員 河本長官の景気の見通しの骨格はわかりました。また、予算委員会その他におきましても同じような見通しを述べておられますので、よく存じ上げておるところでございますが、後半はよくなるというその根拠――ならなければならないということはわかります。また、自然増収を上げるためにも財政再建のために必要だということはおっしゃるとおりであります。しかしその根拠、これは何に根拠を置いておられるか。国内経済そして世界経済の状況からいって、果たして後半よくなるという保証、その要因は何だろうかということについて、もう少し突っ込んでお話を聞きたいと思います。
#162
○河本国務大臣 いまの世界経済の状態は、第二次大戦後最悪の状態になっておるということを指摘されておりますが、私もまさにそのとおりだと考えております。そういう背景がありますから、ほとんどの国がマイナス成長になっておるわけでございます。そういう現在の時点から将来はなかなか展望しにくい、これは当然であろうと思いますが、第二次石油危機が起こりましてからほぼ三年になりますし、ある程度の調整も進んできた、こう思うのです。そういうことから、各国政府並びに権威ある国際機関の見通し等も、ことしの後半から経済は回復するということをそれぞれが発表しております。そういう大きな流れになっておるということが一つございます。
 わが国におきましては、やはり経済を回復させるためには最終需要が拡大しなければなりません。そこで、先ごろ五十七年度の公共事業につきましては、技術的に可能な限り上半期に最大限前倒しをしていく、七五%以上の前倒しをしていく、こういうことを決めたのでございます。これは相当な効果がある、こう私は思っておるのです。七五%以上でありますから、例年でありますと大体六五%、五十五年は六〇%ということでございますが、普通の年でありますと六五%でありますから、これが七五%以上、仮に八〇%ということになりますと三兆六千億というものが新たに加わるということになりますので、現在の経済状況から相当な効果は当然期待できると思います。住宅もそれから災害対策もいずれも前倒しをしていきたい、こう思っております。
 それから、実はこの上に金融政策をやりたいのですけれども、金融政策は国内的な条件は整っておりますけれども、いま大胆にやれるようなそういう条件ではございません。アメリカの事情もございましてそういう条件が熟しておりませんが、微調整くらいはできるのではないか、こういう感じがいたします。
 そこで、現在の景気の悪い原因ははっきりしておりまして、貿易が伸びない、それから金利政策が思うようにやれない、あるいは公共事業が原則的に横並びになっておる、あるいは消費、住宅が建たない、その影響で中小企業の状態が悪い、すべて原因はわかっておるわけでございまして、そのうち政府としてやれますことは、公共事業の前倒しのほか消費を拡大する前提としての物価の安定、これはもう現に実現をしておりまして、一応ことし五十七年の目標は消費者物価四・七という数字を出しておりますけれども、これは一応の目標でございまして、さらにこれ以下の水準におさまるように努力をしていきたい、こう思っております。
 そういうことで、どれだけの力が出てきますか実は私も確信はないのでございますが、しかしやれる方法としてはいまこれしかありませんので、とにかくこれを思い切ってやってみる、そしてどうしてもうまくいかなければその時点において適切な対応について相談をして決める、こういうことになろうか、こう思います。
#163
○塩田委員 経済通であり、経済の実務をりっぱにやっておられる大臣の率直なお言葉として、景気の見通しあるいはその原因の分析等はお聞きしたわけでございます。
 この景気の見通しにつきまして事務当局にお尋ねしたいのでございますが、いま大臣の言われました、景気が非常に悪い状態であるしまた非常にむずかしい事態に差しかかっている、内外ともに政策的にも本当にこれという決め手になるものがそうないという率直な御発言でございますから、そう受けとめたいと思いますが、経済というものはやはり生き物でございまして、もちろん政策のよろしきを得ないといけない。言うならば、船でたとえますと船のかじ取り、船長が総理大臣とすれば経済企画庁長官は一等航海士ということで、この船の運用操作をやられるわけでございます。しかし、向こうにあらしがありまたこちらに向かっている、どうしても向こうに行かなければならぬというとき、そのあらしを避けて船の損傷がないように運用する、それは船長あるいは一等航海士の腕でございます。
 しかしながら、あらしなり波というもの、これは避けがたいものが経済の中にあると思うのです。いわゆる景気の変動あるいは景気の循環と言われるものだと思います。現在の日本経済は内外の状況の中でどういう時点にあるかというふうに、経済専門的な分析をしておられるかについてお伺いいたします。
#164
○井川政府委員 大変むずかしい問題でございますけれども、従来、経済の動きをいろいろ循環説等々で説明する向きもございますけれども、しかし現段階はどの国も、第二次石油ショック後、そういう石油ショックによってそういうものが断ち切られ、それからどういうふうに脱却し、成長路線に乗っていくか、こういうふうな形を示していると思うわけであります。そういう意味から申しますと、わが国の場合には第二次石油ショックの影響を各国に比べますといち早く脱却した。この点は御案内のように物価が先進諸国の中で一番低いというふうなこと、失業率も余りふえておらないというふうなこと、それからいろいろなプラス・マイナスはございますけれども、大幅な赤字というふうなことからはいち早く脱却したこと等々にあらわれておりますように、少なくとも第一次石油ショックの一次的な影響からはいち早く抜け出したというところじゃないかと思います。
 ただ問題は、その次の第二次的な影響、すなわち消費、所得消費というふうな面に対する影響が、第二次石油ショックから数回の値上げがございましたが、その数回のボデーブローの影響というものが案外効いておった。それについては、実はなかなかその効き方というものはわからなかったのでございますけれども、五十六年度あたりそれが効いたために所得の海外移転、したがって消費が伸びていかないというふうな状態が出てまいった、こういう感じかと思います。
 しかし、この点に関しましては、大臣が先ほど一言で石油ショック後三年というふうなことも申しましたけれども、それもそろそろ克服される時期ではないか。他面、それが今度生産の面にあらわれます在庫調整ということに関しましては、もっと早く在庫調整をされたというふうな説がございましたけれども、振り返ってみますとやはり去年の夏ぐらいまでは続いた。GNPの速報におきましても、十−十二月速報で初めて在庫調整、在庫投資がプラスになったというふうな状況でございます。したがって、今後は短期的在庫循環からいっても回復というベースに乗っていくというところでございまして、全般的にいってやはり消費あるいは所得消費という面での第二次石油ショックの二次影響というものが効いておったけれども、それをそろそろ克服していける時期に差しかかってきつつある。しかし、諸般の情勢は先ほどから先生おっしゃいますように非常に厳しいものがある。したがって、基調として物価が安定しておる、あるいは在庫調整は終わった、条件はそろっておるというところでございますので、われわれとしては、あらゆる政策手段を駆使してこの景気回復基調というものを定着させていかなければならないというのが、現在の状態ではないだろうかというふうに考えております。
#165
○塩田委員 いま言われましたように、確かにわが国経済は、世界の他国に比しまして物価の安定あるいは失業をふやさないということ、あるいは生産性を上げること等々につきまして成果を上げてきたということを、私は評価するにやぶさかではございません。なかなかうまくやってきたという面も率直に評価してあげなければならないと思います。ただ、問題はこれからです。在庫調整が一巡したから今後は景気の回復に向かうだろう、こういうことも言われました。また、物価も安定している中で、先ほど消費との関係で長官も言われたところでございますが、そういったもろもろの経済ファクターを全体的に考えた場合に、生き物としての景気、経済、これは経済企画庁がつくっておられるディフュージョンインデックスの上からいっていまどういう段階に来ておるか、どう見ておられるかということですね。これは学問的にいろいろ学者が研究もし説もありますけれども、なかなかこれといった定説はないわけですが、一般に言われておりますのはキチンの波、三年置きの景気変動、それからジュグラーの波、七年ないし十年と言われている中長期の波、それからコンドラチェフという四十年、五十年の大きい期間でサイクルする波、その中間にまたクズネッツの波といった十五年から三十年ぐらいの波というものが一般に言われていますね。そういったものの組み合わせが経済の変動であり循環に実際なってきていると思うのですが、現時点の日本経済はどういう波の底なのか、上がりつつあるところなのかあるいは下りつつあるのか、そのあたりはどういうふうに見ておられますか。
#166
○井川政府委員 先生御承知のように、ジュグラー・サイクルであるとかコンドラチェフの波というふうなものがいろいろ学問上言われたりしておりますが、それで現時点を説明し得るかということになりますとなかなか問題があろう。私が最初に申し上げましたのも、そうした経済の自律的な波、たとえば十年周期であるとか五十年周期であるという波よりは、やはり第一次石油ショック、そして第二次石油ショック、そういうショックを受けた後に各国の経済が、そしてわが国の経済がそれからいかに立ち直っているかという波の方が強く表面に出ている、こういう感じがいたします。しかし、強く表面に出るとはいえ、その中にはおのずから在庫投資の循環というのがございますので、先ほど申し上げました在庫投資については循環局面で回復のベースにある。ただ、私が申し上げましたのは、回復の段階にあるということではございますが、ほうっておいてどんどん回復するという状況にないことは御承知のとおりでございまして、少なくとも調整は終わった、方向としては回復というベースに乗っている、これをやはり政策で育てていかなくちゃならない、こういう感じでございます。
 それで、実はもう一つの設備投資についてはジュグラー・サイクルというようなサイクルが言われておりまして、これについてもやはり七、八年とか十年とか十三年とか言われておりまして、そろそろ上向きのサイクルの時期を迎えるという説もございます。しかしながら、そんな上向きのサィクルを迎える云々より先に、すでにわが国では数年前から大企業を中心として設備投資が非常に盛んでございます。これは第一次石油ショックを経験し、減量経営をやり、そして合理化をやらなくちゃならない、省エネルギー投資はぜひやらなくちゃならない、つまりそういうサイクルとは別に強い企業家意識が働いている、これはわが国経済のバイタリティーのゆえんでございますけれども、それは落ちていない。ただ、中小企業については先行きと従来の金利高、したがってそういう意欲を持ちながら様子を見ている、いま一歩踏み出せないという状況でございますので、われわれとしては中小企業設備投資についてそれが一歩踏み出せるような環境整備をいち早くやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、先生のただいまのお話については、ジュグラー・サイクルとかコンドラチェフの波で現時点、五十七年度を説明するというよりは、第二次石油ショックからの脱却のテンポ、あるいはまたその中でサイクルが揺れるとすれば在庫投資サイクルではなかろうか、こういう感じを持っております。
#167
○塩田委員 確かに景気のサイクルを乱すものというか世界的な大きなインパクトを与えたものとしては、第一次、第二次と、二次にわたる石油ショックというものが各国に非常なインパクトを与えているという事実は、これはもうそのとおりでございます。波自体があるいはそれで本質的に変わるかもわからぬというような事態かもわかりませんが、しかしそういう意味があるとはいいながら、やはり経済には五十年、百年、二百年にわたって分析した波が明らかにあるわけですね。ですから、そのときどきの政策というものは、いかに知恵をしぼって、あるいは学問的にもいろいろ検討されたもので手は打たれても、それには限度がある。政策の限度というものがあると思うのですね。生き物であり、変動し循環している経済に本当にマッチした、しかるべき適切な政策でないと、幾らやっても、人知を傾けてもいかんともなしがたいというものもあると思うのですね。しかしまた、政策によってちょうど波に乗って、一九二〇年後半の大きな世界不況を乗り切っていったというところに、ニューディールあるいはケインズ経済学等の発展もあったと思うのですけれども、やはり大きな波に乗っていかないといかぬ。そこに適切な政策がないと、政策してもむだな場合もあるし、逆に悪化を招く場合もあるし、そこに本当に適切な経済運営が必要だと思うのです。その辺について、経済企画庁のディフュージョンインデックスを、最近の状況からこの一年ぐらいの見通し、事務的な分析で結構でございますから、ちょっと述べていただきたいと思います。
#168
○井川政府委員 実は担当しております調査局が参っておりませんけれども、私が承知をしております範囲内で申し上げますと、実はディフュージョインデックスというのは、二十五の指標を用いまして、先行指標あるいは一致指標、遅行指標、その数値の出方いかんによって景気の山、谷を判断する。景気が五〇を下から上に切るときが谷である、今度上から下に切るときは山である、こういうふうに言われていることは先生御承知のとおりでございます。
 このディフュージョンインデックスにつきましてちょっと申し上げますと、実は昨年の五月が二八という大変低い数値、それ以前もいろいろ上がり下がりございますけれども、平均すればどうも四〇幾つというふうなかっこうでございます。それが次の六月に参りまして四四、七月が四八という数字がございますが、八月になりまして五二、それから九月が六二、十月が六〇、十一月が六八、十二月が七〇、これも先生御承知だと思いますが、毎月上がり下がりをいたしますけれども、三、四カ月連続をいたしまして上へ上がった、下へ下がったということになれば大体確かだ、こういうことになるわけでございます。そういうことにいたしますと、大体昨年の六、七月ごろ五〇%を下から上へ切った。したがってディフュージョンインデックスとしては谷であった。ただこの谷というのは、実は認定はもう少し後になってほかの諸指標も全部出てからするということでございますから、半年ないし一年後に出ますので、いま私がここでは断言できませんけれども、少なくとも常識的、素人的に考えれば昨年の夏ごろが谷であった。谷ということはこれから上昇局面にという状況でございます。そういうふうに、いわばそうした指標の面からいたしますのと、それから先ほど申し上げました投資循環という面からいたしますと、昨年の夏ごろから回復基調に経済としては乗っておるというようなことでございます。ただディフュージョンインデックスは、この数値自体が力強さを示しません。したがって、乗ってはいるけれども、先ほど一番最初に大臣が緩やかなと申し上げましたけれども、余り望ましいかっこうではない。したがって、そういう回復基調をもう少し政策によって育てて定着させていく必要があるだろう。五十七年度の五・二を実現するためにもそういう政策努力が必要だということを申し上げたのでございます。
#169
○塩田委員 景気論争はやれば切りがないぐらいの議論になりますし、なかなかむずかしい問題であると思います。そういった分析をせいぜい深めていっていただきたいと思います。
 この景気に関連いたしまして、物価はなるほど落ちつき、今年度の見通し四・五%のCPIあるいは来年度の四・七%、私はもう少し低目でいくんじゃないかとは思いますけれども。また、世界経済の状況もOECD等で見ておるものよりも回復が遅い、むしろまだ低迷が深まる面もある、そういうかなり悲観的な見方もできると思うのです。それとわが国経済との関係で、必ずしも明るい材料が今後あるとは私は思わないのです。
 その一つであるかと思いますが、いま現時点で、わが国経済にあらわれておる特徴的な問題としては、財政の赤字また物価の安定は別といたしまして、株価が異常に下がりつつある、七千円の大台を割るというような状況である。あるいは為替レート、円レートが二百四十二円というような状況で非常な円安になっておるということ。それから、それとの関連は余りないかもわかりません、あるいはグリーンカードとの関係かもわかりませんが、金の価格が二千五百円を割るというような状況。いろいろなことが特異な状況として出てきております。こういったものについてどのように見ておられるか。経済摩擦とか、あるいはアメリカの金利高とか、貿易の停滞とか、あるいは石油の荷動きが小さいとか、いろいろな外的要因がありますが、日本のいまのかってない著しく変動しておるという円安、株、金等の状況ですね。これについてどう見ておられるか、お伺いします。
#170
○河本国務大臣 為替レートは、これまではその国の経済の基礎的な条件によって動くと言われておったのでありますが、最近は国際情勢、それからアメリカの金融情勢、こういうことの方でむしろ大きく動いておるのではないかと思います。ただ一時に比べますと、私は日本の経済の基礎的な条件も少し悪くなっておる、こういう感じがいたします。だから、現在の円安の背景には若干こういう要素が働いておるような感じがするのでございます。
 それから株価の方は、昨日も参議院予算委員会でずいぶん議論になりましたが、予算委員会における専門家の解説によりますと、これは時価発行増資をやり過ぎたせいだ、こういう解説がございました。
#171
○塩田委員 円安の点ですけれども、いままではアメリカとの関係において円安になっておる、それは高金利であり、その他のアメリカとの経済貿易関係等もあってこれがこうなってきておるのだ、しかし、ヨーロッパ諸国に対してはそんなに変わってないという説明がなされてきておりました。どうも最近西ドイツとの関係におきましても百円を割ってきておる、円安ですから上がっていくわけですね、そういう状況が出てきておる。いま河本長官が言われました、基礎的な構造が日本の経済において有利であったのが悪くなってきているのじゃないかということもあると思いますが、今後の見通しとしてレートはどのように推移すると見ておられますか。
#172
○河本国務大臣 いろんな見通しを立てます場合に一番当たらぬのは為替レートだと思います。昨年の一月の時点でも、日本の権威者と言われる人が数十人、五十六年度の為替レートの見通しはどうなるかということに対して見通しを言っておられますが、ほとんど全員当たらない、こういう状態であったのであります。こんなに当たらないのはないのじゃないか。大抵は半分ぐらいは当たるものですけれども、ほとんど全部が当たらない。これぐらいむずかしいことだと思います。したがいまして、政府の方では一応五十七年度の予算編成をする場合には二百十九円という数字を出しておりますが、これは予算編成をする一カ月前の円レートを機械的に出しまして、これはいろんな計算をしなければなりませんので、機械的にそういう数字を出していろんな計算をしたということでございまして、五十七年度における為替レートの見通しとは全然別個のものでございます。
 さて、それでは幾らか、こういうことでありますが、実は私どもも、果たして現時点においてどの見当の為替レートが妥当なものかどうか、判断に苦しんでおるところでございまして、もう少し世界経済全体の流れを見ないと何とも申し上げられないのが現状だと思います。
#173
○塩田委員 円レートの見通しは非常にむずかしいということはわかります。しかし、これはやはりある限度を超えていきますと非常に危険な状況にもなりますし、政策としてもある程度やって操作できるように、限度はもちろんありますけれども、ある程度いける手というものも考えられるわけでございます。むずかしいからどうしようもないということで手放しでほうっておけないと思いますのは、輸出にしても輸入にいたしましても非常に国民経済の各分野に大きな影響を与えるわけでございますし、電力だけ見ましても、一円の為替レートの違い、上がり下がりで、十五億円とか二十億円とかいう数字をはじく向きもあるぐらい、大きな影響を各経済部門に与えておるわけでございまして、これはむずかしいでしょうが、やはり動向を見ながら適切に手を打っていただきたい。このことを、抜かりないと思いますが、よろしくお願いをいたします。
 それから投資の関係ですけれども、投資の動向は先ほど局長が言われましたように景気の変動に大きな波を起こす。特に中長期のジュグラーの波は投資の動きだということでございましたが、投資が拡大していく可能性がない、したがって公共投資をということにもなるわけでございましょうが、一方、民間の投資というものがむしろ縮小に向かう向きがあるのじゃないか。現に電力は、三兆四、五千億の規模でございますが、昨年よりもことしは一〇%ぐらい多くということになるようですが、しかしそれにしても、以前から計画されておりましたものから二割近く縮小するといったようなことが出ておりますけれども、こういったものの影響がかなり各分野で出てくれば景気の先行きになお暗い要素になるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#174
○河本国務大臣 電力投資の見通しがいろいろ伝えられておりますが、電力投資というのは金額も非常に大きいですし、当初は四兆三千億ぐらいと想定をされておったのが相当減る、こういうことが伝えられておるわけであります。ただしかし、電力の供給力というのは二、三年の間に急いで拡充できるというものではございません。早い場合でも数年、時間のかかるものはやっぱり十年かかって初めて電力の供給力が確保できるということでありますので、いま景気がこういう状態でありますから一時的に電力需要は減っておると思いますが、一時的に減ったからといって十年計画でやっておる大計画をすぐあわてて減すというのはいかがなものであろうか、このように思います。監督官庁である通産省におかれても同じ見解でなかろうか、こう私は思うのです。ましてや、このように大規模に伝えられるような投資の減少がございますと、これは無気の足を非常に大きく引っ張ることにもなりますから、監督官庁である通産省におかれましても、電力業界と十分話し合いをされまして、当初の計画どおりの電力投資が実現するように当然取り計らわれるのではないか、このように私は期待をいたしております。だから、十年計画のような大計画のものは一時的な現象でそう右往左往してはいかぬ、こう思いますし、その点は私は政府全体としても電力業界に強く要請をしたい、こういうことだと思います。
#175
○塩田委員 大切な問題でございますので企画庁長官の力量に期待するところでございまして、各面におきましてそういった問題について十分に通産大臣とも話し合われまして、そういう方向でひとつ対処していただきたいと思います。
 次に、景気の問題でやはりいまの時点におきます一番大きい問題は、消費支出の伸び悩みという最近の動向でございます。この消費がふるわないのはどうして起こっておるかということにつきましてどのように分析をしておられますか、お伺いいたしたいと思います。前にお伺いしておりましたのは、物価が上がればなかなか消費が伸びないのだということでございましたが、物価はCPIにいたしましても卸売物価にいたしましても安定をしてきた中におきまして、やはりまだ消費が伸びない。この原因は何でございますか。
#176
○井川政府委員 やはり消費のもとは所得でございます。やっぱり大もとの所得がふえないと消費が伸びないということになります。この点、本日もいろいろ御議論がございましたように、春闘自体は昨年七・七%でございましたけれども、全体としての一人当たり雇用者所得はそんなに伸びなかったというふうなことがございました。したがいまして、やはり実収入自体が予想したほど伸びない、これが一つでございます。
 それからもう一つは、その実収入の中で消費に回すとすれば可処分所得が同じように伸びないといけないわけでございますが、その思ったより伸びなかった実収入が、非消費支出の伸びがそれ以上に大きかったために、可処分所得の伸びがさらにそれを下回った。非消費支出については、大体ことしを通じまして十数%という伸びを示した。ところが実収入の方は、先ほど申し上げましたように六%少々というふうなことでございますから、可処分所得が伸びとして停滞をした、こういうことがございます。
 それからもう一つは、これはどういうふうに見るか、見方によっていろいろ変わると思いますけれども、物価は昨年から落ちついております。しかしながら、上昇率として落ちついてはおりますけれども、消費者の行動としては、ある程度それが落ちついてきてやはり物価が落ちついたなという実感がこないと、なかなか財布のひもを開かない。したがって現実問題としては、五十六年度については消費性向は多少ダウンという傾向を示しておるわけでございます。そういう傾向が全体的に影響して五十六年度は伸びなかった、こういうふうに考えておるわけでございます。
#177
○塩田委員 いろいろと分析をしておられるのはわかりますが、やはり消費支出の一番大きな要因といいますのは、先ほど言われましたが所得の伸び、これにあろうかと思います。もちろん消費性向とか、あるいは物価安定の実感とかいろいろあるでしょうけれども、所得が大きくならなければ、特にその可処分所得が大きくならなければ消費が伸びないことは、これはもう当然でございます。
 そこで、この可処分所得を伸ばす方法としては、この予算案が衆議院を通過する際に議長裁定で出されましたこと、これに期待をいたしまして、それ以上のことはいまの段階では申し上げるものではございませんが、やはり減税の問題があろうかと思います。そういったものに、所得の増の牽引車になっておりますのは春闘における雇用者所得、勤労者所得の伸びかと思います。いま現に賃金の改定時期、ベースアップをめぐりまして労使交渉が行われておるという中におきまして、これは昨年も大臣にお伺いいたしましたら、これは民間ベースで労使の話し合いで円満に解決をして適正な賃金ベースを決めていってもらいたい、こういうことでございます。それを期待されるということでございますから、いまお伺いいたしましても同じ回答であろうと思います。それはそのとおりで結構でございますが、まさに賃金闘争と言われるものが始まろうとしている現段階におきまして、賃金の決まり方についての考え方です。せっかく経済企画庁は衆知を集めて来年度の年次計画、見通しをつくっておられるわけでございます。これを利用してどういう雇用者所得あるいはベースであるべきかということについて政府当局が言えないという、これは先ほど申し上げましたようにわかるのですが、これについての考え方ですね。労使ですから意見は当然対立するし、主張の根拠も違ってくるわけでございますが、この考え方、そこには理論もあるかと思うのです。いまいろいろ議論されている特徴的な二つの理論が出ておりますが、これについてどのように評価されるかということについてお伺いしたいと思うのです。
 一つは、前から言われておりますようにパイが大きくならなければ分け前は大きくならないということですね。そこで生産性という問題が出、生産性の向上の中でという話があることは御承知のとおりでございますが、そこで、経済見通しの来年度実質成長率五・二%、これは言うならばパイの大きさですね。パイが五・二%実質的にふくれるということです。ふくれるというよりも実際大きくなる。それは当然分け前のもとでございます。それから就業者がふえますから、一人当たりはその分は差し引かなければならない。単純計算で誤差等はネグレクトしまして、実質成長率五・二%、就業者の伸びを一・一%とすれば四・一%が一人当たりの実質もらい得るパイの大きさの伸びになると思います。この四・一%が今度の春季の賃金の新しいベースの伸びだという考え方が一つあるわけです。これはもうすでに公にされているいろいろな議論の中にあることは御存じのとおりだと思います。まずこれについてどのようにお考えになりますか。
#178
○井川政府委員 先生おっしゃっておりますのは日経連が言っておる主張だと思うわけでございます。日経連さんは三段階で言っておられると思います。生産性原理というふうなものに基づいて決定すべきであるということが一つ。それから第二段階で、その場合に国民経済生産性、たとえば五十七年度については四・一、そういう数値は十分頭に置くべきである。それから第三点は、現実には支払い能力に応じてやるべきだ。こういういわば非常に意味深重な言い方をされているわけでございます。
 それで、われわれといたしましては、非常に微妙な時期でございますから、これについてどうこうは申し上げません。しかしながら、少なくとも言えることは、第一段階の生産性原理というのは正しい方向でございまして、生産性を超えて常にというふうなことになりますとそれだけコストがかかっていく、物価上昇の原因になるというふうなことになるわけでございますから、生産性の範囲内ということは不易の正しい原理ではないかというふうに考えるわけでございます。
 その場合の生産性をいかにとるか、これは御承知のようにいろいろあるわけでございます。しかも、賃金上昇に一番フィットをしたような生産性というのは実はわが国の場合ない。これはもちろん生産性本部が出しておりましたし、それから政府の経済見通しに基づいて計算するという方法もございます。そのほかの方法もございます。いろいろな方法がございますが、最もフィットした生産性がいろいろな統計等の関係から出ていないというふうなことがあるわけでございまして、したがって、国民経済生産性をそういう先生が言われたような計算でとったものが正しいかどうかという点は、いろいろ勉強してみなくてはいけないかと思います。言えることは、賃金の上昇が生産性向上の範囲内という原則は長期的、中期的な観点としてはやはり正しいのではないか、こういうふうに思います。
#179
○塩田委員 私は、いま申し上げました実質成長率マイナス就業者の伸び率、当てはめますと四・一%、これは実質なんですね。ですから、理論的に考えてもこれにベールとしての貨幣価額、すなわち賃金のベースというのは名目ですから、名目額ですね。実質賃金幾らで較差しておりませんね。何%アップというのは、名目で幾らかということでやっているわけですね。その点から言うと、理論的にCPI四・七%という来年度の見通しを使えば、四・七%をプラスして四・一プラス四・七ですから八・八%というものが名目的なものになるのじゃないか、こう考えるのですが、いかがですか。
#180
○河本国務大臣 先ほど局長が解説をいたしておりましたが、生産性向上という概念には幾つかの考え方がある、こういうことを言っておりまして、政府の方としては、どの概念が一番正しいのか、どういう考え方が一番よろしいのか、そういうことを言うべき立場にはございません。したがいまして、それに対していま解説を加えて甲乙の判断をするということは適当でない、このように思います。
#181
○塩田委員 時間がありませんので、これ以上議論しても水かけ論になると思いますし、やはり内閣としての制約から河本長官としても言いにくい点もかなりあろうかと思います。これはこの辺で、それこそ労使の折衝に任せ、また国民の良識ある合意というものの動向を見たいと思います。
 なお、これに関連しまして雇用者所得が出ておりますが、これが名目で八・六%の上昇になっておりますね。そして雇用者の伸びが一・六%であれば平均で七%というのは自動的に出てくるわけです。この辺が国民経済のバランス、景気のことも考えた場合の政府が考えておられる経済バランスの上での平均ではありますが、適切な伸びではなかろうか。もう少しこれを上回るぐらいの指導力を持っていかないと、消費の伸びもなければ経済のあるいは景気の浮揚もないというふうに私は考えるわけでございます。
 そこで、最後に河本大臣にお伺いをしたいと思います。それは、先ほども他の同僚議員の質問に答えられまして、減税の規模の問題を言っておられました。私は全く同意見でございますし、きわめて勇気ある発言だと思っております。やはり事柄の中身はそうあるべきでありまして、率直にその点を披瀝されたものだと思います。
 これは昭和三十五年ですからいまから二十年余り前、第一次池田内閣のことを思い出すのでございますが、御承知のとおり政治から経済へ大きくかじ取りをされ、当時の混乱した政局を転回し、国民に大きな希望を与えたという面もあり、また月給倍増から所得倍増ということを大胆に打ち出された。そしてまた、それが十年でというのが実際は七年以内に達成されているということもございますが、それはそれといたしまして、その中で池田内閣が、三十六年度の一般会計の予算規模一兆九千五百億円に対して一千億減税、一千億施策と、減税とともに施策をする。これを現在の来年度予算に当てはめますと、約五十兆円ですから、昭和三十六年度の規模で言いますと二十分の一ですか、そうすると、単純に計算しますと二兆五千億に当たると思うのです。ですから二兆五千億の減税、二兆五千億の積極的施策。このときには社会保障もかなり重点に置いてやっていっておりましたし、寛容と忍耐で出発しておるわけですが、これを考えるとき、先ほど河本長官は一兆円ぐらいではというお話がございましたが、まさにそのとおりでございまして、やはり国民が不景気で低迷している、企業活動も低迷しておるし消費も伸びないこの段階に、池田内閣のあの当時ですらあれだけのことを言っているわけですから、私はぜひとももっと大胆率直に経済政策を語ってもらいたい、主張してもらいたい。公共事業の七五%前倒し、結構でございますが、それくらいのものではという感じがするのです。私は、現在の規模では減税の規模は五兆ぐらいでないといかぬのじゃないかという感じもするのですが、本当に日本の国を思い、経済を発展するにはどうするかということで、思い切った行政改革でむだな経費を縮減するとともに、景気対策として減税、そして消費支出を増加するための雇用者所得を伸ばすといったことも含めて、大胆なビジョンを持って国民に希望を与え、経済が発展するような方向で経済を運営していただきたい。このことを特に河本経済企画庁長官に期待をするからこそ、その奮起をお願いしたいわけでございます。河本総理大臣内閣でなければできないということであれば、これはもうそのような方向もまた選択しなければならぬという時期が来るかもわかりませんが、どうぞひとつそういった観点で経済を運営し、そのための政策を大胆に打ち出して提言をしていっていただきたい、このことをお願いいたしまして終わります。大臣、何かございましたら……。
#182
○河本国務大臣 減税問題につきましては政府は統一見解を持っておったわけでありますが、先般の議長見解が出ましてからは、その見解に従いましてすべてを大蔵委員会小委員会の結論にまつ、そういうことになっておりますので、私どもはどういう結論が出てくるか、それをいま見守っておるところでございます。
#183
○武部委員長 岩佐恵美君。
#184
○岩佐委員 私は、きょうまず最初に、鉄鋼の値上げの問題について一言質問をしたいと思います。
 新聞報道等によると、鉄鋼業界は四月からの値上げを計画していると言われます。業界筋によると、原料費の上昇を理由としてトン当たり九千円余りの値上げで、それを二回に分けて値上げしようとしているということであります。
 ところで、ことしの三月期決算の予想を見ますと、高炉メーカーの経常利益は、昨年より低いとはいえ高水準にあります。また内部留保についても鉄鋼五社、新日鉄、住友金属、日本鋼管、川崎製鉄、神戸製鋼、この鉄鋼五社でございますけれども、私ども、内部留保を試算をいたしましたところ、年々着実にふえております。五社合計で五十五年の三月が七千四百二十九億円、それから五十六年の三月が七千九百十八億円、五十六年の九月が八千二百二十三億円となっておるわけでございます。鋼材の値上げは直接卸売物価へのはね返りは大したことがないとか、あるいは消費者物価への影響ばないとかいう話もありますけれども、実際には、鉄鋼の値上げはあらゆる分野への心理的効果が大きく、諸物価上昇への影響は大きいというふうに思われます。国民が不況で苦しんでいるときに鉄鋼の値上げは許されるべきではないというふうに思いますが、通産省の考え方を伺いたいと思います。
#185
○緒方説明員 お答え申し上げます。
 鋼材値上げ問題に関しまして、新聞紙上でいろいろな報道が行われておりますことは私ども承知をしておりますが、私ども通産省といたしましては、関係者すなわち国内の製鉄メーカーからこの件に関して説明を聞いているという状況にはまだ至っておりません。したがいまして、先ほど御指摘がありましたように、具体的な金額、時期等につきましては、私どもは何も承知をしていないというのが状況でございます。
 なお原料問題、経常利益問題、内部留保問題について御指摘がございましたので、状況を簡単に御説明申し上げますと、鉄鉱石及び原料炭という製鉄業にとっての基本的な原料に関しまして、主原料国であるオーストラリアその他と日本の製鉄会社の間で目下価格の改定交渉が行われているところでございまして、まだ結論を得るには至っていないというふうに私どもは承知をしております。
 さらに、鉄鋼メーカーの経常利益について御指摘がございましたが、御案内のとおり前回鋼材価格の改定が行われましたのは五十五年の上期でございますが、その直前の五十四年の下期の製鉄会社の経常利益、高炉六社の平均で申しますと、売り上げ高経常利益率で五・三%でございました。それが五十五年の上期に値上げをいたしましたので、上期の収益は経常利益にして六・五、それが下期に四・九に下がっておりまして、五十六年度の上期の中間決算では、御指摘のようにさらに少し下がりまして四・六という水準になっております。この水準について高いか低いかという御議論は別途あるのかもしれませんが、数字はそういうことでございます。
 それから内部留保につきましては、ちょっと手元に資料を持ってきておりませんので、御指摘の数字について私、いまコメントできないわけでございますが、御案内のとおり製鉄業は大変な装置産業でございまして、五十七年度も鉄鋼業は一兆円余りの設備投資をする計画を持っておりますが、そういう近代化に向けての設備投資を行うために内部留保を厚くするという努力は、各社とも続けておるものと承知をいたしております。
 最後に、物価へ与える影響等について御指摘がございましたが、まだ値上げについて私ども何も承知をしておりませんので、これらについてコメントすることは適当ではないと思いますので、きょうはあえてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
#186
○岩佐委員 鉄鋼業界は五十五年の四、五月の値上げの際には同調的値上げを行っています。今回もまた値上げのために六百万トンの減産を行っている、こういうようなことも伝えられているわけです。もし鉄鋼業界が同調的値上げを繰り返すとすれば、公正取引委員会としてはどういう対処をされるのか、お答えをいただきたいと思います。
#187
○佐藤(徳)政府委員 先生御指摘のように、五十五年には同調的な引き上げをいたしまして、私ども報告を徴取いたしまして、国会に御報告申し上げたところでございます。
 それから、その同調的引き上げの対象品目といたしまして、鋼材関係では十品目、これも指定しておりまして、そういうような経緯から、私どもは鉄鋼の値上げ関係につきましては大きな関心を持って従来から注視しているところでございまして、御指摘のような新聞報道についても私ども承知をしております。
 それで、まだ値上げの意向的なことが報道に出ているだけでございまして、実際に値上げに至っておらないわけでございますが、仮にということでの御質問でございますのでお答え申し上げますと、仮に同調的な引き上げと思われるような事態がまず現実に生じました場合には、私どもとしては予備的な調査をまずいたしまして、現実に同調的引き上げだということになりますと、法律の定めたところに従いまして報告を徴取いたしまして、国会の方にその概要を御報告申し上げる、こういう手続をとることになろうかと存じます。
#188
○岩佐委員 河本大臣に伺いたいのですが、鉄鋼メーカーの価格引き上げ、これは景気対策を目指す日本経済にとっても好ましくないことだというふうに思います。内部留保の点、私、さっき指摘をいたしましたけれども、最近大企業の内部留保、これは日本経済が不況で苦しんでいる中でも着実にふえている、そういう計算も私どもしているわけでございますけれども、この鉄鋼の値上げ問題については十分監視をしていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#189
○河本国務大臣 この問題につきましては、先ほど通産省側から、まだそういう報告は受けていない、相談も受けていない、こういうことでございますから、その考え方がはっきりわかりませんので、いまの段階では何とも言えない、こういうことでございます。
#190
○岩佐委員 次に、貿易摩擦問題について伺いたいと思います。
 日本は、アメリカやEC諸国と比較をして関税率が高いとか、あるいは輸入制限品目が多いとか、日本への輸入障壁が多いのかどうか、その点について、まとめてお一人の方にお答えいただきたいと思います。
#191
○横山説明員 お答え申し上げます。
 先生いま御質問の輸入障壁の件でございますが、まず残存輸入制限品目という点についてお答え申し上げますと、わが国は従来貿易の自由を目指しまして、残存輸入制限品目の数をずいぶん減らしてまいりまして、現在二十七品目ということになっております。これは他の国々の同じような制限品目について比べてみますると、少ない方と申し上げるわけにはまいりませんけれども、日本の二十七品目という品目よりも多い制限品目を持っておる国もあることは事実でございまして、飛び抜けてその面から制限的であるということも申し上げかねるわけでございます。他の国々は、ガットに違反をいたしている、いないを問いませんで、特に農産物を中心に多くの輸入制限あるいは貿易障壁的なものを持っておることは事実でございます。そういったものを勘案してまいりますと、総合的に判断いたしまして、日本が飛び抜けて制限的であるということは言えないのじゃないかというふうには考えております。
#192
○横堀説明員 関税の点につきまして補足させていただきます。
 東京ラウンドにおきます関税引き下げの際に、いろいろな計算のやり方があるわけですが、一九七六年の輸入額による試算というベースで、石油を除きます鉱工業産品ということについて申し上げますと、この引き下げをする前の実際の実行税率というベースで言いますと、日本は三・七%、それから米国、ECはそれぞれ六%、六・四%という水準でございました。これが引き下げ後はどうなるかということでございますが、日本は最終税率は三%前後、米国、ECは四%強あるいは五%弱ということになりまして、つまり、平均的に見ました石油を除きます鉱工業品目全品目の平均的な実行税率は、関税を引き下げる前におきましても、米国、ECの最終税率よりもやや低いところにあったということが言えるかと思います。
 以上でございます。
#193
○岩佐委員 関税率はいまでも低い、前倒しをすればアメリカ、ECの半分くらいになるということが言われていて、輸入制限についても輸入製品対策会議の中間報告を読みますと、ECでは、直接的輸入制限措置こそ少ないものの、四十七品目について多額の課徴金を課している。またEC各国では、対日差別的輸入制限を多品目にわたり実施している。たとえばフランスが二十七品目、イタリアが三十八品目、ベネルックス九品目、そういう事実を踏まえると、わが国の市場開放はEC以上に進んでいると言うことも可能というふうに述べているわけです。アメリカも同様に輸入制限措置を数多くとっているという報告がありますし、いまの答弁でもそういうことであったわけですけれども、では、日本がいまなぜ関税率をもっと下げよとか、あるいは輸入制限を撤廃せよということを言われるのか、ということについてお答えをいただきたいと思います。
#194
○横山説明員 先生御質問の点につきましては、私どもかように考えておるわけでございます。
 すなわち、確かに制度的な輸入制限措置の面ではお答え申し上げたとおりでございます。ただ、実際の貿易の結果を見てみますると、わが国は大幅な貿易収支の黒字を出しておるという事実がございます。他方、欧米諸国におきましては、貿易収支が赤字のところもございます。それに加えまして、失業でございますとか、インフレでございますとか、あるいは経済成長率の低下といったような、いろいろな経済上の困難を日本以上に抱えておるわけでございまして、そういった経済上の困難を打開する一環といたしまして、日本に対してさらに一層の市場の開放を要求してきておるというのが現状ではないかというふうに考えております。
#195
○岩佐委員 要するに、今回の貿易摩擦に関しては、日米、日欧の貿易インバランスが大き過ぎるから、アメリカやヨーロッパがこれをとらえて日本市場の閉鎖性を問題にしているのだということだと思いますけれども、ただ、いまいろいろ討議をしてきているように、日本市場は諸外国に比較して特に閉鎖的ということではない。とすると、大幅黒字の原因というのは一体何にあるのだろうかということについてどうお考えか、伺いたいと思います。
#196
○井川政府委員 これは長期的、中期的な問題と短期的な問題と両方あるのじゃないかと思います。基本的に言いますと、先生御承知のように、わが国の特に工業品を中心といたしまして、きわめて強いバイタリティーのもとに、設備投資その他革新的なことをやってきましたために国際競争力がきわめて強くなっている。したがって、公平に言って、いろいろな関税等々ありましても、世界各国へ日本の工業品が出ていく力を持っている、これが一つあります。
 もう一つは、ここ数年、実は海外からは外需主導の成長じゃないかと言われておるわけでございます。御案内のように、五十五年度、五十六年度につきましても外需で、すなわち先ほど申しました貿易黒字、ひいては経常収支の黒字というふうな状況の中で成長の相当部分を受け持っているということになりますと、先ほど通産省からお話がございましたとおり、海外としては失業者を抱えている、自分のところは赤字である、ところが日本の場合は、経済運営もうまくいって失業者も抱えていない、おまけに黒字だ、こういう状況ではということでいら立ちが高じてきている、こういう面があろうかと思います。
#197
○岩佐委員 いまの考え方だけでは不十分なのではないか。さっき河本大臣が、国内の景気が悪い問題についてかなり詳細に分析をされましたけれども、そういう視点でこれをもう少し考えていく必要があるのじゃないか。たとえば、こういうふうになった条件の中に世界的な原因があるのではないか、世界的な過剰生産、あるいは世界貿易の縮小、政策的な行き詰まり、そういう原因が考えられるでしょうし、あるいはアメリカ自身の原因、先ほどから議論になっています異常高金利政策、その結果としてアメリカの貿易収支の悪化、私ども国会の場で再三指摘をしてきておりますように、アメリカの大企業がかなり多国籍企業化している、自分の国で設備投資をしないで、他の国に行って設備投資をして、そこから市場拡大を図っている、そういうことも結果的には米国自身の貿易の赤字につながっている。あるいは日本の原因として先ほど挙げられた輸出洪水の問題があるわけですけれども、これを裏返しに見ると、労働条件や中小企業あるいは下請条件などを厳しくして、その上に立っての輸出競争力の強化ということがあるのではないかと思うわけです。
 そういう問題をきちっと分析していって、いまの時点でどういうふうにするのかということできちっと対応していかないと、結局、貿易の拡大均衡を図るために、政府が、非関税障壁の撤廃とか、アメリカ、ECの要求に応じたいろいろな輸入手続の改善というようなことにおいて幾らやっても、輸入はふえない。むしろ根本的な問題をきちんととらえて、これに対する基本的な対策、たとえば国民の購買力の強化とか、中小企業の経営の安定を図って内需を図る。そういうことを抜きにして非関税障壁問題を云々している、あるいは輸入制限を緩和するということになれば、一歩譲るとまた一歩と、とどまるところを知らない形で譲歩をせざるを得ない。ついには通商産業政策や制度とは関係のない社会的、文化的要因や国民生活、慣習、嗜好にまで及んでくることになるわけです。いまそれがもう現実的になってきている、そういう指摘ができると思います。この点について大臣の基本的な姿勢を伺っておきたいと思うのです。
#198
○河本国務大臣 いま非常に神経質な議論が貿易摩擦に関連して行われておるわけでありますが、景気がよければとても問題にならぬようなことまでいま議論されておるということは、要するに世界の景気が非常に悪くなって、それぞれの国の購買力が激減しておる、そこへ日本の商品が出ていきますので、そういう議論が起こっておるのだと思います。
 もう一つは、昭和五十三年、東京ラウンドが妥結をいたしましたときには、各国の経済力をそれぞれお互いに勘案いたしまして、経済力に応じてお互いに関税率を下げていこうではないかということで最終合意ができたわけでございますが、御承知のように翌年、昭和五十四年から第二次石油危機が起こりまして、第二次石油危機後欧米諸国はインフレになりましたし、それからいろいろな悪条件が重なって設備近代化のための投資ができない、しかし、幸い日本は、物価が安定してようやく健康体になったところへ第二次危機が起こったものですから、どんどんと設備近代化投資をすることができた、省エネルギー投資をすることもできた、だから過去三年の間に非常に競争力が強くなったと思うのです。三年前はバランスをとって関税引き下げを決めたのですけれども、いまではその競争力の差というものが非常に違ってきておる。そこで、先ほど来お話のようにどんどんと日本の商品がいま伸びていく、こういうことになっているのだと思います。
 いまいろいろな摩擦が起こっておりまして、私どもはこれに一体どう対応するか。これは月末に江崎ミッションが帰ってきまして、経済対策閣僚会議を開いてその報告を聞きまして、そこで最終の方向を出したいと思っておるのですが、考えなければならぬことが幾つかあると思います。
 その一つは、感情的な議論が非常に高まっておるものですから、ほうっておきますと保護貿易的な動きが非常に具体化してくるかもわからない、理屈は通らない、こういう事態にもなっておりますので、何としても保護貿易的傾向が表面化することを避けなければならぬ、こういうことが一つございます。
 それからさらに、問題はやはり世界全体の情勢が悪いわけでありますから、この世界経済全体をよくするために、再活性化を図るには一体どういう対応があるのか、こういうこともこれからの一つの大きな課題ではなかろうか、こう思います。
 日本が将来発展していくためには貿易を拡大均衡に持っていかなければならぬわけでありますが、拡大均衡のためには、自由貿易体制が維持されるということと世界経済が活性化をする、この二つの条件が必要でございますので、こういう点も考えていかなければならぬと思います。ただアメリカあたりの言っておることを全部やったといたしましても問題は解決しない、私はこう思っておるのです。なぜかといいますと、一年前に比べまして約二割の円安になっておりますから、現時点ではアメリカの商品が一年前に比べて二割高くなっておる、こういうことでもありますし、わが国の国内の購買力が非常に減っておるということでありますから、やはり貿易が成立するためには、安くていい品物が存在をしておって、そして一方の国に購買力がある、これで初めて貿易が成立するわけでございますが、その二つの条件がそろっていない、こういうことでございますから、為替レートの問題、その背景のアメリカの高金利の問題、それとわが国の国内における内需拡大の問題、そういう問題をやはり抜本的に並行して進めませんと、若干の摩擦対策だけをやりましてもなかなか問題は、一時的にはおさまるかもしれませんがすぐまた再燃をするであろう、こういう感じがいたします。
#199
○岩佐委員 輸入検査手続の改善策やいま議論がされております残存輸入制限品目の見直し、こういうことについて国民の立場からどうも納得ができない点があるわけです。
 まず、一月三十日の経済対策閣僚会議で決めた輸入検査手続の改善について具体的に伺いたいと思いますけれども、九十九品目、これがA、B、Cのランクに分けられているわけです。検討に値するというA、Bが全体の七六%弱、政府がとても受け入れられない不合理な要求であるというC、Dが二三%にも上っているわけです。しかも、この要求項目の中には誤解という表現では不正確な、むしろ相手側の考え方を強引にわが国に押しつけようという貿易摩擦便乗型ごり押し、そういうふうにしか旨いようのないものがかなりあるわけです。
 たとえばその一例として、厚生省に伺いたいと思いますけれども、食品添加物である臭素化植物油、輸入検査手続の改善の中ではBランクになっているものですけれども、これはWHO、世界保健機構でCランクになっている、つまり食品への添加は安全性の面から好ましくないという取り扱いになっているものですけれども、それはアメリカでは清涼飲料水に比重調整剤として使っているので日本でも認めてほしい、認めるべきだというふうに言っているものだと聞いているわけですけれども、それについて厚生省としてどう考えられるのか、伺いたいと思います。
#200
○藤井説明員 御指摘のとおり臭素化油輸入についての要求がございます。この油につきましては、アメリカにおいてかつて六〇ppmの添加が許されていたものでございますが、毒性等の問題から一五ppmと引き下げられたいきさつもございます。わが国におきましても臭素化油は清涼飲料水に使うことは禁止いたしております。また、かのWHOにおいてもこの臭素化油については添加物としてふさわしくないというような判断をいたしております。したがって非関税障壁の問題、妥当なものについては今後検討していかなければならないと思いますが、いまの臭素化油の問題につきましては当方としては認めるわけにはいかないわけでございます。
#201
○岩佐委員 引き続いて伺いたいと思いますけれども、Cランクになっている二酸化硫黄ですけれども、これも酸化防止剤としてエビに使用される食品添加物ですが、日本の基準は一〇〇ppmで、WHOの基準並みです。ところがアメリカは基準なしで使っていて、現実の使用平均値が二〇〇ppmになっている。だから日本でも二〇〇ppmを認めよというような強い要請があったというふうに聞いているわけですけれども、これについての考え方あるいは今後の対応について伺いたいと思います。
#202
○藤井説明員 亜硫酸ガスをエビに使います一〇〇ppmというのは、わが国に基準がございます。二〇〇ppmを使用いたしましても衛生上の問題はございません。十分に許容限界の中に入っております。しかしながら、亜硫酸ガスをある目的で食品に使います場合に、三〇から七〇ppmの濃度で十分効果があるわけでございます。非関税障壁の問題とは別個に、食品添加物の使い方という理念があるわけでございます。楽だから、二〇〇ppmというような数字だからというのは本来の使い方ではございません。アメリカ側が考え直すべき問題だろうと思っております。
#203
○岩佐委員 私がいま挙げた例というのは、本当にこれは貿易障壁でも何でもない問題だというふうに思います。こんな不合理なことを要求されること自体がどうも問題だ。日本は国家主権の問題について敏感じゃないからちょっと圧力をかければすぐ引っ込むのじゃないか、そういうふうに思われているのではないだろうかということを痛感をするわけでございます。
 さらに国の主権、国民生活、国民の安全の面からとうてい受け入れるべきではないという項目が、政府が受け入れるというふうに判断したA、Bランクの中にも含まれているというふうに思います。
 その一つは薬事法関係の問題です。これはAランクになっているわけですけれども、日本では従来の規制のもとでも薬害で多くの被害を出しています。現にいまでもたくさんの被害者が苦しんでおられるわけです。中でもひどい被害を出したサリドマイドやキノホルム、これは輸入薬品であります。薬の安全については十二分に対処していかなければならないと思います。全臨床試験について、従来は日本での急性、悪急性毒性の実験を日本で実施するよう義務づけてきたわけですが、それをGLP制度を導入するということで、外国のデータをそのまま受け入れるようにするということですが、専門家の話によると、日本の動物実験というのは世界的にもレベルが高い、むしろ外国の実験は信用できない面もあるのだという話です。たとえばキノホルムやサリドマイドなどは西独からの輸入ですけれども、西ドイツでは薬に頼るというよりも、まずは医学優先であるというために、薬は従の関係になるということでテストに重点を置かないというふうに言われています。ECの中でも西独以外にイタリアも薬についてはルーズであるということが言われていますし、アメリカもメーカーによるばらつきがひどいというふうに言われています。私は、国際化という名のもとに安全基準が引き下げられる、そういうことがあっては大変だと思っているわけですけれども、この点についてどう考えられるか、伺いたいと思います。
#204
○代田説明員 ただいまの先生の御質問の点でございますが、動物試験につきましては、従来から、先生からお話しございましたように、急性、亜急性につきましてはわが国で試験の繰り返しを要求しておる。しかし、長期の慢性毒性あるいは発がん性等の長期の試験につきましては、外国での試験データーの受け入れを行ってきたわけでございます。今回の交渉におきまして、折しも日本ではGLP、つまり安全性に関する動物試験の基準の作成をほぼ終わっておりまして、これにつきまして、近く日本におきましても実施をするという段階になっておったわけでございますが、このGLPの基準に適合するという原則によりまして外国の試験データを受け入れるということを考えておりまして、この点につきましてはGLPの基準を厳密に実施し、そしてその試験データの受け入れを図ることによりまして、いま先生からお話がありましたような問題のあるデータにつきましては排除できるのではないかと考えております。
#205
○岩佐委員 その点についてはかなり多くの専門家の皆さんから疑問が出されているので、私はこの点を指摘しておきたいと思うのです。
 それから臨床試験の第一相試験についても、外国にいる日本人だったら、長期滞在者はもちろん、二世でもいいということで、海外での試験データを受け入れようということですけれども、いままで日本で実施をさせてきたものをなぜ外国での実施を認めたのか、この点大変不満であるわけです。国民の生命、安全から考えるならば明らかな後退だと思います。食生活、環境の違いによる変化の問題もさることながら、試験される人たちの資格が適格かどうかなどどこまでチェックできるのか、この点も専門家が指摘をしています。目の届かないところでの実験となるし、それから人が集まらないために東洋人ならだれでもいいというふうになりかねない、この点も言われているわけですけれども、いかがでしょうか。
#206
○代田説明員 臨床試験につきましては、外国の実態を申し上げますと、必ずしも国別でそう厳しく差別しておるという状態ではございません。先進諸国家におきましても、臨床データの相互の受け入れを現実に行っております。
 いま先生のお話しございましたわが国におきます臨床試験の取り扱いでございますが、人種の差によりますいろいろな効果の発現の差、あるいは副作用の状況等の差異があるというおそれがありますので、従来はこれにつきましては国内で試験を行ってきたわけでございますが、EC等の要望におきます在外日本人のデータというものの普遍妥当性につきまして、薬事審議会等の関係専門家の御意見もいろいろ聞きまして、その取り扱いについて慎重に検討してきたわけでございます。
 外国におきます臨床試験につきましても、世界医師会が定めました医の倫理規定、ヘルシンキ宣言倫理規定もございますし、そういうものが遵守され、また欧米諸国におきます治験に関する法的な規制もございますので、そういう点を十分に検討を加えまして、被験者の人権の保護が十分に配慮されながら適切な試験が行われるというものを受け入れるように、十分検討してまいりたいと思っております。
#207
○岩佐委員 この問題については大変大きな危惧が出されていますので、よく再検討していただきたいというふうに要望したいと思います。
 次にミバエの問題ですけれども、これもAランクで、アメリカのみならずオーストラリアも同じ扱いにしようというものですが、もしミバエが一匹でも入ってきたら大変なことになるわけで、このような措置について、農民団体はもちろん、昆虫学者も反対をしているわけです。レモンにはほとんどミバエがつかないからと、ミバエ発生地域からの輸入レモンの消毒を免除したり、カリフォルニアのミバエ発生地域七郡のうちの二郡が安全宣言をすれば消毒措置をしなくてもいい、そういうような措置をとったわけですけれども、こういう点は非常に理解に苦しむわけです。EDB消毒のレモンというのは、新聞報道にもありますけれども、黒焼けで商品にならないと、実際に輸入をした業者もそう言っています。それから、低温冷蔵の場合には流通段階での腐れが激しいというふうに言われていて、これもロスが大きく採算ベースに乗らない、そういう経済的な事情から日本が圧力に屈したのではないか、そういうふうに言われているわけですが、この点どうでしょうか。
#208
○管原説明員 いまの御指摘は何点かあろうかと思いますけれども、まずアメリカのカリフォルニアのミバエの件につきまして、レモンの輸入を認めたではないかということでございますけれども、これにつきましては、レモンはチチュウカイミバエの寄主であることは間違いないわけでございますが、非常につきにくいものであるということで、これは昨年の夏以来日米間でいろいろ協議しておる問題でございますけれども、つきにくいということは事実でございます。そういう条件が一つございまして、また冬の間は虫が非常に出にくい時期である。それから、レモンの輸入をやってもいいという地域はミバエがいままで発生したことがない所というようなところに限定いたしておりまして、また、もしミバエが出ればその措置は取り消すというような条件もつけておるわけでございます。これは四月十日までというような限定をつけておりまして、そういう面から見まして、私どもは、技術的に侵入防止には万全を期し得ると考えておる次第でございます。
 それから第二点の、オレンジがEDB燻蒸なり低温処理では商品価値が非常に落ちるではないかという……(岩佐委員「レモンです」と呼ぶ)はい、レモンであります。そういう点でございますけれども、これは、アメリカ側と協議しましたときに、その商品価値を損わずにかつ殺虫できる技術ということを前提に話し合っておりまして、アメリカ側も、これは商品価値には影響がないということでこういう措置をとっておるわけでございますけれども、若干見られるということがあれば、それはアメリカの方ではさらに改善するというようなことも言っております。私ども、直接これについてこちら側で調査するというわけにはいきませんけれども、そのようなことで処理していきたい、こういうふうに思っております。
 それから第三点目の、Aランクになっておりますオーストラリアのオレンジでございますが、これにつきましては、従来からEDB燻蒸をすれば完全殺虫できるという技術をオーストラリアで開発しておりましたけれども、これがこのたび完成したということから具体的になってきたわけでございますけれども、EDBにつきましてはアメリカのETAの使用中止というような動きもございます。したがいまして、その推移を見守りながら、また国内の関係省の意見も得ながら、今後対処していきたいと考えております。
#209
○岩佐委員 この間、農水省の説明の中で、チチュカイミバエよりも、果物につくについてはもっと比較的害の少ないと考えられているフロリダ地方でのミバエですけれども、この根絶についてはもう六年にもなるのにできないということが言われているのです。一度日本でミバエが発生したら日本の果実農業者、その方たちがこうむる被害というのははかり知れないと思います。四月以降純科学的にちゃんと対処されるよう強く要請をしたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#210
○管原説明員 四月十日以降の取り扱いにつきましては、四月の上旬に専門家から成ります調査団をアメリカに派遣いたしまして、ミバエの発生状況、また撲滅状況を十分調査いたしまして、その調査結果をもとに判断したいと思っております。
#211
○岩佐委員 次に、Aランクであります合板の白腐れですけれども、この合板については、アメリカからの輸出の要望が非常に強いというふうに聞いているわけです。白腐れのある合板が日本のような高温多湿の環境で使用された場合、白腐れ菌自身が広がって腐れが発生するというより、むしろ白腐れの部分に他の強い菌がつきやすく、それが腐れを拡大する、そういう危険があるという専門家の指摘もあります。いま検査をしているというようなことで、今年度中に調査結果を出すというような話がありますけれども、こうした白腐れなど認めるべきじゃないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#212
○白石説明員 合板の白腐れ問題につきましては、これは経時変化と申しまして、時間がたったらどの程度に変化するということでございますが、経時変化を把握する必要があるということから、その試験にはかなりの期間を要しているわけでございます。
 現在、国立の林業試験場におきまして強度等の試験を継続中でございますが、その結果が判明するまでにはなおしばらくの期間が必要と考えられるのでございます。
 それで、白腐れにつきまして、ただいま御指摘のJAS規格の取り扱いをどうするかという点につきましては、現在行っておりますこの試験の結果を待ちまして対応してまいりたいと考えております。
#213
○岩佐委員 次に、大蔵省の管轄の問題ですけれども、包括審査制の新設によって、検査体制の改善と称して税関検査を大幅に簡素化しよう、こういうことが考えられているわけですけれども、これも国民の主権はもちろん、安全、健康の面から大変問題があると思います。
 たとえば、最近覚せい剤について一般貨物に紛れ込ませて日本に入ってくる例がふえているということが言われております。時間がありませんので私の方からちょっと伺った事例をざっと言いますと、五十五年は三件あって十二キロ、馬の壁かけあるいは綿の布団、石灯籠、そういうものに紛れ込ませて覚せい剤が入ってきている。五十六年には二件で二十九・九キロ、ポリエステル袋のしんの中、伝書バトの箱の中に二重底の部分に隠されて入ってきたというような事例があるわけですけれども、これは空港や港での検査が厳しくなったので、普通貨物の中に紛れ込ませて入ってくる件数がふえているからではないかというふうに思われるわけです。包括審査制度を採用すれば検査が簡略化されることになって、ますますこうした犯罪がふえるのじゃないかという危険があります。先日もわが党の浦井議員が、予算の分科会で、ケーキパウダーと称してIQ品目である米粉が輸入されていたことを取り上げました。こうしたことを防ぐために、包括審査制による検査省略については慎重にすべきだ、見直すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#214
○忠内説明員 先生御指摘のように、覚せい剤の密輸というのは件数的にはふえておりますが、密輸で税関で押収します多くのものは、旅具として持ってくるものあるいは船員が持ち運ぶというようなものが多うございまして、商業貨物に隠匿して持ってくるというのは比較的少ないような状況でございまして、先生が先ほどおっしゃったようなケースが主なものでございます。
 それから、包括審査制を導入するといろいろそういう麻薬類が大量に国内に入るじゃないかという御心配でございますが、これは同一の者の間で継続的に輸入されます貨物を対象に実施いたしますが、荷主の信用度とかその他から問題のある貨物の輸入、あるいは輸入規制上または価格に疑義のある貨物については適用しないことになっておりますし、また、包括承認を与えた貨物についてもスポット検査を実施していくことにしております。こういうようなわけでございますので、包括審査制の導入ということはむしろ審査、検査を重点化し効率化を図るというものでありまして、税関としてはチェック機能を緩めることではなくて、むしろ高めることはあっても緩めることはないものだ、このように考えております。
#215
○岩佐委員 その点、そうであるかどうか、また検討していきたいというふうに思うのです。
 次に、今回の輸入手続の改善項目の中に、同一貨物の継続的輸入についての分析の免除というのが含まれています。これは缶詰も当然対象になるのではないかというふうに思うわけですけれども、二月の末にアメリカ産のサケ缶にボツリヌス菌があるということが判明をして、あるロットについては危険だということで回収手続がとられたわけでございます。この点については時間がございませんので説明等は省かせていただきたいと思いますが、このことの教訓として、缶詰だから安全については大丈夫ということにはならないというふうに思います。今回の事故はどうも製造工程の中で発生したのではないかということが言われているわけですし、缶詰だからといってずさんな取り扱いは許されないというふうに思いますが、その点について伺いたいと思います。
#216
○寺松説明員 いま先生御指摘の件でございますが、九十九項目の話もございましたけれども、包括届け出制でございますが、その辺のこととの関連もございますので一括お答えをいたしたいと思います。
 私どもは、缶詰につきましてはいろいろ問題があるのじゃないかと思いまして、一括といいますか包括届け出制というふうなものは一応該当しないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。それから、実際いま先生が原因につきましてお触れになりましたけれども、まだFDAが調査をやっておりまして、正式な回答をいただいておりません。この辺、私どもも十分そのデータあるいは調査の結果等を参考にいたしまして、厳重な検査を実施してまいりたいと思います。
#217
○岩佐委員 このことで派生的に公取にちょっと伺いたいと思っているのですけれども、今回のボツリヌス菌から、私は厚生省の持ってこられたラベルの資料を見ていて気がついたのですけれども、このごろ缶詰は白缶、ノーラベルの状態で輸入をしてきて、国内でラベルをつけるケースがふえているというのですね。そうした場合に、たとえばこれは現物ですが、どこどこ特選シロサケ、「アラスカ産しろざけ水煮」、よく見ると原産国一括表示があるのですけれども、先ほども同僚委員と話をしていたのですが、この小さい字は老眼になると見えないわけですね。だからこの大きい方しか見えない。しかも缶詰は積んでいますから横から見るわけですね。ですから、そういう意味で輸入品だということがはっきりしない、むしろ国内の製造であるという誤認を与える危惧が強いわけであります。この点について公正取引委員会として具体的な有効な措置をすべきだというふうに思いますので、簡単に説明をいただきたいと思います。
 あわせて、そのときにアウトサイダーの問題をどうされるのか、あと都道府県等について一体どういうふうな指示をされていくのか、伺いたいと思います。
#218
○相場政府委員 食品関係の業界につきましては、昭和四十三年九月に、実は自主規制規約としまして、食品かん詰の表示に関する公正競争規約というものが業界で自主的に作成され、公正取引委員会の認可を受けて、以後実施されているわけでございます。この食品かん詰の表示に関する公正競争規約ができましたいきさつにつきましては、いろいろ先生御承知のとおりの経緯があったかと思うわけでございますが、一つはやはり内容についての誤認表示が多かったということがあったわけでございますが、それはともかくといたしまして、この業界では、先ほどのような輸入物につきましては、昭和五十年以降、この規約に基づきます規則をつくりまして、原産国の表示を明瞭に行うことという形になっているわけでございます。ただいま先生御説明ございました内容を私どもよく拝見いたしまして十分検討いたしたいと思いますが、業界で定めております明瞭に記入することということが守られているのかどうか、私ども実態をよく検討させていただきまして、その上でしかるべき措置が必要であれば考えたい、こういうふうに考えております。
 なお、都道府県その他あるいはアウトサイダーということもございましたが、アウトサイダーにつきましては、公正競争規約に参加している事業者以外の事業者のことを通常アウトサイダーと言っておりますが、そういった人たちは、この規約を守る義務を本来負っていないんではないかということからいろいろ問題はあるわけでございます。私どもといたしましては、規約の内容が一般の業界で実施されております場合、それを守らない業者につきましては、アウトサイダーといえども従来から指導する立場でやっております。
 また、都道府県というお話もございましたが、その点につきましては、実は景品表示法の権限の一部を都道府県に委任しているということもございまして、都道府県の指導方針としてやはり徹底していきたい。これは実態を見ました上で、私どもとしても十分検討させていただいた上で、しかるべき措置が必要であればやりたいということでございます。
#219
○岩佐委員 大臣、きょうは時間がなくて大変細かい問題をごちゃごちゃと提起をいたしまして、はしょったわけでございますけれども、こういうふうに挙げれば切りがない。いわゆる非関税障壁という名前に隠れて国民の安全、国の主権、これが脅かされる、そういう危険があるときわめて重大な事態だというふうに私は思うのです。これは、残存輸入制限品目に対する問題でも同じことが言えると思います。最初に長官から、当面の問題だけではなくて根本的な解決策が必要であるというお答えがあったわけですけれども、私は特に国民の安全、消費者の権利、そういう問題からいっても、経済企画庁としても十分その点監視をしていただいて、重視をして対処していただきたいということを申し上げたいと思うわけですけれども、長官の決意のほどを伺いたいと思います。
#220
○河本国務大臣 いろいろ貴重な御意見をお伺いいたしまして、今後留意をいたします。
#221
○岩佐委員 終わります。
#222
○武部委員長 依田実君。
#223
○依田委員 長官のお時間がないようでございますから、最初に日米経済摩擦について二、三お尋ねさせていただきたい、こう思うわけであります。
 今後のスケジュールでありますけれども、われわれこの日米経済摩擦の解消について前々から伺っておるのは、江崎ミッションがお帰りになって、それから政府としてはいろいろ具体的な方策を考え、そして大体五月ぐらいには結論を出して、サミット前に一括アメリカ側に提示をしたい、こういうふうに伺っておったわけであります。ところが、この間の日米の実務レベル、あれは九日、十日でしたか、開かれました後から、一部に、できるものから解消策を出していくんだ、こういうような議論が政府の中から出ておりまして、われわれは日本の政策が変わったのかなという感じを持っておったわけでありますが、果たしてアメリカ側も、けさの報道などを見ておりますと、一括してサミット前に回答を出せ、こういうふうなことを言っておるわけであります。政府の御方針、変わりないのかどうか、その辺をひとつ伺わせていただきたいと思います。
#224
○河本国務大臣 実は前々から、江崎ミッションがヨーロッパから帰られましてその報告を聞きまして、アメリカの報告はもう聞いておりますので、そこで政府としてはどういう対応をすべきかということを最終的に決めたい、こう思っておるところでございまして、まだ方針が最終的に決まっておるわけではございません。
 したがいまして、いま御指摘のように、先般の日米小委員会でアメリカの代表がやや穏やかな表現をした、こういうことからいまお話しのような議論が一部にあるようでございます。そこで後退したのではないか、こういうお話でございますが、実は何も決まっておらぬことでございまして、江崎ミッションの報告を聞いた上で全体のやり方、スケジュールを最終的に決めたい、このように思っております。
#225
○依田委員 長官がまた機会あるときに御発言を閣内でもしていただければと思うのでありますが、こういう問題は、大体総理がサミットに行かれる前に一回アメリカへ行かれて、レーガン大統領とざっくばらんにお話をなさるのが一番いいんじゃないか。これだけ感情的になっている問題でありますから、やはり総理がお出になるということが一番いいんじゃないか、こう思っておるのです。
 この間、私、予算委員会でお尋ねしましたのですが、どうも総理は行く気がないような御返事でございました。去年、例の日米の防衛問題のときの轍がございまして、伊東外務大臣事件なんか起こしちゃったものですから、総理も、何かまた行って言質をとられたり総裁選を前にミスを出したら大変だ、こういうお考えのようでございますけれども、しかし、ここは本来なら総理が出ていってこの問題は最終的決着を図るべきだろう、こう思うのでありますが、長官、閣議あたりでそういう御意見をぜひ積極的に出していただきたい、こう思います。これはお答えは要りません。
 もう一つ、この問題を解決するには、先ほど長官の方から、基本的にはアメリカの高金利だとかそういうようないろいろの御議論がございました。そのとおりでございます。もう一つは、アメリカの景気が回復することが基本的条件じゃないか、こう思うのであります。アメリカの景気がよくなればまた摩擦問題についてもおのずから曙光が見えるわけでございますけれども、アメリカの景気の回復、これを長官、どういうふうにお見通しになっていらっしゃるか。その点を伺いたいと思います。
#226
○河本国務大臣 アメリカの経済はいま非常に深刻な状態にあると思います。ここしばらくずっとマイナス成長が続いておりまして、失業者が一千万人、こういう状態でございますから、想像できぬぐらい深刻な状態だと思うのであります。
 しかし、アメリカの政府は、先般の教書あるいは報告等を見ますと、やはり後半回復に向かって来年は名目一一%、実質五・二%の成長はできるのだ、こういうことを言っております。学者とか評論家とかそういう方々は、とても無理だ、整合性のないような政策をやっておったらなかなかそうはいかぬだろう、こういう説をする人もありますが、しかしあれだけ大規模な大減税、所得税とそれから企業減税をやっておるわけでありますので、私はここからは相当な力というものが生まれてくるのではないか、こう思います。それから、軍事費にいたしましても約五十兆という大きな金額でございますので、これからもある程度のエネルギーというものが今後生まれてくる、このように思います。すでに石油は掘削ブームのような状態が続いております。だから、これだけの大決断をして何とかアメリカの経済を立ち直らせよう、それがすべての政策のスタートだ、根源だ、こう言っておるわけでございまして、常識的にこれを判断できないのではないか、こういう大決断の中からは理外の理というものが生まれてくるのではなかろうか、このように思います。
 ヨーロッパの経済と違いまして、アメリカは相当な力を持っておるように思いますので、私自身は、アメリカの経済が、多少の時期的な前後、回復の規模、こういうことにつきましては政府の言っておるとおりいくかどうかわかりませんが、大きな傾向としては回復の方向にいくであろう、このように判断をいたしております。
#227
○依田委員 どうぞ長官、ほかの方へお出ましいただいて結構でございます。
 外務省の方にちょっとお尋ねをさせていただきたい。これは日米経済摩擦とは全く違うのでありますけれども、台湾は御承知のように日本の消費物資をしばらく輸入しない、こういうことを言ったわけでございます。この問題は前から日本側に、台湾は公式ルートがないわけでありますけれども、いろいろ言っております。対日貿易の赤字が大変大きい、ですから日本が何とかその解消に手伝ってくれないか。それに対して、日本側から何らの対応策もないということで、消費物資の輸入を禁止するということに踏み切ったわけであります。もっとも日本側から言わせれば、日本側からいろいろ機械などを入れてそれで物をつくってほかの国に売って外貨を稼ぐ、どっちこっちでプラス・マイナス・ゼロだ、こういう意見もあるのでございますが、しかしお隣、特にこれからは防衛問題などでもいろいろ関係の深い国との関係をこのままにしておいていいのかどうか。ここで、日本からの消費物資の輸入禁止というものはどれほどの影響があるのか。そしてまた、外交関係のないこの国とこの問題についてこれからどういうふうな対応の仕方をしていくのか。外務省にお尋ねをさせていただきたいと思います。
#228
○池田説明員 ただいま御指摘のございましたように、台湾当局は、ことしの二月の十三日に、日本製の消費物資約千五百余りについて輸入を禁止する措置をとったわけでございます。日本政府としましては、かねがね日本と台湾との貿易のインバランス問題の重大性を十分に承知いたしておりますが、ただ、外交関係がないために、事実上民間の団体でございます交流協会とそれから亜東関係協会を通じまして、日台間の貿易をできるだけ円滑に進めていきたいということで努力しているわけでございます。
 従来交流協会を通じましてどういうようなインバランス改善策をとってきたかと申しますと、たとえば日本の市場開拓のためのミッションを受け入れるとか、あるいは有望な個々の商品の調査について協力するとか、あるいは技術協力を通じまして台湾の産業の高度化を図るために寄与するというようなことをやってきたわけでございまして、もちろんこういう努力は、まだ日台間がインバランスが三十四億ドルに上るということで十分ではないと考えておりますけれども、今後とも引き続きまして、近隣の台湾との経済貿易関係を十分に、その重要性を認識しながらやっていきたいというふうに考えております。
#229
○依田委員 いま、これまで以上の枠を出るような解決策というものは余りなさそうでございます。しかし、国交はないといえども、日本の安全保障にとっても大事な国であります。ひとつ、この問題を早急にいい方向へ解決するように御努力をいただきたい、こう思っております。
 もう一つ、同じように問題でありますこれも外貨不足の国キューバ、ここへの日本からの輸出品約二億五千万ドル、これが、向こうが金がない、こういうことで輸出できないで倉庫の中にたまっておる、こういうふうに言われておるわけであります。こういう外貨不足のキューバの問題、これについては外務省、どういうふうにこれから解決されていきますか。
#230
○山口説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりましたキューバ向けの貨物の滞貨の問題でございますが、昨年十月末には八十二億円でございました。十二月末になりましてキューバが引き取りを始めまして四十二億円ぐらいになっております。したがいまして、これが千七百五十万ドルくらい減っておるわけでございます。それで、その後も引き取りに努めておりまして、現時点では相当程度解消したのではないかと思っております。現に二月の中旬に日・玖経済懇話会という商社等の連合会の方々がキューバに行かれましてお話をされましたのですが、その席上では、キューバ側は、約十数億円程度に減っております、近々完全に解決する予定でありますということを述べております。したがいまして、キューバ側は確かに、砂糖の価格が非常に下落しておりまして外貨が減少しておるということは、一般的にはそう見られておるわけでございますが、キューバ側は、滞貨の発生の原因は配船上の都合によるものでありまして外貨不足ではないと申しております。御承知のように、砂糖を日本に積んできた船の帰り船で、こういう日本の機械類をキューバに輸出しておるわけでございます。
 本件は、民間契約の履行の問題でもございますので、外務省としましては今後とも注意深く事態を見守ってまいりたい、かように考えております。
#231
○依田委員 外務省関係はそのくらいにさせていただきまして、本題の医療費の問題に入らせていただきたい、こう思うわけであります。
 御承知のように医療費は年々ふえて約十三兆円、こう言われておるわけでありますけれども、その三七、八%、これが薬代じゃないか、こう言われておるわけであります。諸外国、欧米では大体医療費の中の薬代というのは一三%から一五%くらい、それに比べますといかに日本は薬漬け医療になっておるかということがはっきりわかるわけでありまして、そこで昨年の六月に、これではいかぬと薬価基準の改定が行われたわけであります。その方向は確かに結構なんでございますけれども、しかし、どうもその後の動きを見ておりますと、せっかく薬価基準は下がったのだけれども、今度は一部の製薬メーカーを中心に薬を値上げする傾向が非常に強くなってきたわけであります。いまどの物価も安定しておるわけでありまして、薬だけ原料代が高くなるとかそういうことはあり得ない。値上げの理由がはっきりしないわけであります。薬屋が内々言うのは、薬価基準とその差が二〇%以上になると今度また薬価基準の改定のときに引き下げられちゃう、ですから上げておくのだ、こういうような言い分で医家向けの薬を値上げしておるわけであります。これでは困るのでございまして、厚生省、どうでしょうか、一つは、薬価基準の改定後その効果がどういう形で出ておるのか、それと、いま申し上げたような一部の、一部というかほとんどでありますけれども、薬品メーカーの値上げ、こういうものの実態をどういうふうに把握されておるのか、この二つの点、お答えをいただきたいと思います。
#232
○岡光説明員 まず、医療機関に対します納入価格はどういう状況にあるかということでございますが、昨年六月以前の価格とその以後の価格を単純に比べてみますと、やはり全般的な傾向としては納入価格は下がっているのじゃないかというふうに把握しております。しかし、これは個々の事例でございますので、全体的な姿というのは、いま私ども実態調査をやっておりまして、いま十二月分を一月に調査してその回収をしておるところでございますし、私どももみずから現場に出向きましてその状況を把握する作業を進行中でございまして、その集計結果を見なければ明確な御答弁はできないわけでございますが、全体的な状況として傾向的には大変下がっているのではないか、そんなふうに把握しております。
#233
○依田委員 われわれがお医者さんに伺うと、いまの話はそうじゃない、逆になっておりまして、新聞などの投書にも出ておりましたけれども、一斉値上げだ、そしてその理由は先ほど申しましたような次回の薬価基準の改定に対する薬品メーカーの対応策だ、こういうふうに言われておるわけであります。ですから、この前も予算委員会の答弁で、やはり厚生省から、いま実態調査中だ、その調査が出てこなければ、こういうお答えがございました。しかし、一年に一回薬価を見直す、こういうことでございますから、早く実態調査の結果を出されてそして次の基準改定に備えていただきたい、こう思うのであります。NHKの放送など一応私も見ておりましたけれども、そのときも、この薬価基準の改定後の薬品メーカーの一斉値上げということが出ておりましたけれども、実態はそういう傾向になっておるのじゃないかというふうに私、感じ取っておるわけであります。そして問題なのは、厚生省が認める新薬、これ自体が薬価基準改定後非常に高い薬を認める、そういう傾向になってきておるのでありまして、それじゃ、基準を下げたってどんどん高い薬を認めているのじゃ何のために薬価基準を引き下げたのかわからない。
 一例でありますけれども、十二月二十八日に新規に認められたのでありますが、私は薬の効能などはよくわかりませんのであれなんですが、抗生物質の内用薬で一カプセル三百九十八円三十銭、注射薬一バイアル五千七百六十三円、こういうような高い薬が厚生省で認められておる。こういうことではちょっと困るのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 それで、薬屋というのは御承知のように利益率の大変いまいい企業が多いわけであります。株価などを見ましても大体四けた、こういう会社がたくさんある。そういうところで、いたずらに値上げだとか、あるいはまた新規にいろいろ開発費がかかったからとか、理屈はいろいろあるんでしょうけれども、高い薬をどんどん販売していく。これでは困ると思うのでありますが、厚生省、この辺をどういうふうに監督されていくつもりですか。
#234
○岡光説明員 先生御指摘の新薬、昨年の十二月二十八日に収載をしたわけでございます。これが直近でございますが、五十六年につきまして申し上げますと、九月一日付でも収載をしたわけでございます。
 新薬につきましては、その値段のつけ方は、すでに市場に出回っておるというのでしょうか、薬価基準に収載をされておる比較的効能効果が似た薬を持ってまいりまして、それの価格と合わせるという仕組みにしておるわけでございます。したがいまして、いたずらに新薬について高い値段をつけておるというわけではございません。したがいまして、先生御指摘の個別の事例では確かに高いものがあるわけでございますが、それはすでに収載をされている品物も同じレベルの値段にあるというわけでございまして、具体的に昨年の十二月二十八日の収載では、成分数では三十六、そして会社の数では二十六でございますが、銘柄で申し上げますと八十五の銘柄が収載されたわけでございまして、値段的にはいろいろとばらついておるという状況でございます。
#235
○依田委員 これはお医者さんに聞きましたところ、同じ効用の薬でもっと安いものもあるんだということを言われましたけれども、しかしこれはもとに戻ってもう一度お尋ねいたしますが、毎年一回薬価の改定をしていく、こういう御方針だそうでありますが、これは既定方針どおりことしもやられますか。いつごろやられますか。
#236
○古川説明員 次回の薬価改定でございますが、毎年一回やる、こういうふうなことでございますが、先ほど経済課長が申し上げましたように、薬価調査、本調査を終わったところでございます。この本調査に続きまして、今後一連の薬価の特別調査あるいは経時変動調査、こうしたものを行いながら調査をまとめてまいります。そして、その結果を待って薬価算定作業を行い、薬価基準の改定に着手したいと考えておりますので、時期についてはそういうふうなことでございます。
#237
○依田委員 繰り返しますが、一年一回はやりますね。
#238
○古川説明員 一年一回やるということで事務を進めさせていただきます。
#239
○依田委員 そういうことでこういう薬を薬品メーカーが値上げしていく、こういう中で中小病院の経営が最近少し苦しくなってきておるわけであります。それはもちろん、これまで薬価差益を求めてはそれに利益を求めた病院経営のあり方、これ自体も問題ではあるのであります。しかし、いま中小病院では大病院からお医者さんをアルバイト的に雇ってこなければならぬ。その人件費が物すごく高いわけでありまして、中には税金までめんどうを見てやらなければならぬ、こういうような慣習もある。その上、医療機器は高くなってくるということで、見た目には大変もうかっておるようでありますけれども、病院の経営もなかなか苦しくなってきた。病院経営に詳しい税理士さんにいろいろお話を聞いてみますと、最近は税引き前の利益で大体二五%ぐらい利益が落ちてきている。そういう高い器械を買ったところが、借入金をなかなか返せない、こういうような状態にまでなってきておる。あるいはまた、運転資金を借りようとしても、これまた銀行がいろいろ粉飾決算みたいなものを勧めまして、減価償却がたとえば五千万円のところなら一千万円ぐらいにしておけとかいうことで、そうなれば黒字決算で本店で貸してくれるというようなことまで勧めてやっておるようでありまして、その上、例の富士見産院事件以来患者がどうしても大病院あるいは大学病院へ逃げる、こういうことでなかなか苦しいらしい。
 厚生省、どうでしょう。中小病院の最近の経営の実態、どういうふうに把握されておりますか。
#240
○小沢説明員 御説明申し上げます。
 恐縮でございますが、私ども、残念ながら、私的病院を含めた全病院の経営実態について十分な調査をやっておりません。私どもやっておりますのは、日赤でございますとかあるいは自治体病院と言われますいわゆる公的病院を対象といたしまして、毎月、病院の経営収支の報告をいただいておるわけでございます。この収支の報告からうかがえますことは、昨年六月に診療報酬の改定があったわけでございますが、収支率のその後の状況を見てまいりますと、診療報酬の改定の前と後で際立った動きが見られない、したがって依然としてかなり厳しい経営環境にあるんではなかろうか、そういうような認識を持っておるわけでございます。
#241
○依田委員 また、病院経営の苦しさの中でいわゆる公共料金の値上げ、つまりガス代だとか水道代、こういうものが軒並み値上げになっておるわけであります。こういう面からもこの経営が圧迫されてくる、こういうことなんですが、たとえば水道代なんて、これは全然業種が違いますけれども、東京のおふろ屋さんなんというのは大量に水を使う、こういうことで、東京都が水道代値上げについて減額処置を特別に認めてくれておるわけでありますが、病院経営にはそういうものはない。厚生省あたりはこういうものについて経営の一助にいろいろ助成の手段を考えようというお考えはあるのかどうか、お伺いしたい。
#242
○小沢説明員 医療機関の経営、病院の経営につきましての考え方、基本的には医療機関の事業というのは診療報酬で賄われるべき性格のものではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。現在の診療報酬の制度の中で、たとえば救急医療でございますとか、あるいはがんでございますとか、あるいは小児でございますとか、そういった特殊な高度な医療、かつ必要な医療、それからまた、不採算にわたるような医療を行うものにつきましては、自治体病院でございますとかあるいは公的病院が主としてそういうような医療の最終的な責任を担うと思うわけでございますが、こういうような特殊な医療を行う公的病院等につきまして所要の助成措置を現在講じておるところでございます。
#243
○依田委員 一方では経営の苦しくなる病院が出てくる。しかし一方では、新聞紙上あるいはまた国民の皆さん方は、病院というものはもうかっておる、こういうことです。と申しますのは、いろいろ新聞紙上をにぎわわす事件を起こす病院があるわけでありまして、その中で特に病院のチェーン化、つまりいろいろ病院を買収したりなんかして急激に伸びる病院があるわけであります。どうもそういうところの経営というのは、本当にまじめにやっておって果たしてそれだけ伸びるのかどうかということを考えていくと、何か裏があるんじゃないか。たとえば、チェーン化ですから、これは薬屋を現金で買いたたくことができますから、そういう意味でも便利がいいでしょうし、あるいはまたお医者さんにノルマをかけてみたり、あるいはそれだけの大きいところになりますといわゆる脱税というか節税、つまり保険の巧妙な利用法、そういうものを特別に研究する人員を置いていろいろやらせたり、そういうことをして伸びてそして事件を起こす、こういうところが最近非常にふえておるわけであります。有名なのは十全会事件などございましたけれども、国税庁で最近のこういう大どころの病院の不正事件、そしてまたそれの脱税、こういうものについてどういうふうに把握されておりますか。
#244
○渡部説明員 大病院というお話でございますけれども、私どもの場合法人と個人というふうに分けて把握をいたしております。大体大病院と申しますのは法人が多いかと思いますが、法人につきまして申し上げますと、従来から課税上問題がある法人が多いということで、特に法人である病院につきましては、ここ数年来全国的な重点業種ということで調査を重点的に進めております。具体的に申しますと、普通の法人の約二倍程度のいわゆる実地調査というのを実施いたしております。
 その結果でございますけれども、大体四件に一件程度不正が行われておるという状況でございます。ただ、この四件に一件程度と申しますのは、一般の法人と比べてそれほど大きな差がないというところでございますけれども、もう一つの特色といたしましては、いまの不正の一件当たりが大体一千万円程度ということになっておりまして、これは全法人の平均の約二倍程度になっておるということでございます。ただ、この点も、病院の場合には一般の法人に比べますと一般的に規模の大きいものが多いという実態にございますので、そういったいわゆる売上対比では必ずしも多いという状況ではございませんけれども、大体において一般の法人に比べればかなり大きな不正の金額になっておるということでございます。
#245
○依田委員 昨年の、そういう大きいあれを出したところはどういうところとどういうところなんですか。個別的事例について……。
#246
○渡部説明員 具体的な事例は把握いたしておりませんけれども、全体的な特色を申しますと、やはり多いのは、売上金額を落とすとかあるいは架空の人件費を使うとか、架空の薬の仕入れを立てるとか、そういう手口が多いわけでございます。
#247
○依田委員 私の質問の趣旨と違って、私は、十全会病院事件とかそのほか幾つかあったわけでありまして、そういう事件の具体的名を挙げていただきたい、こう思ったわけでありますけれども、もう時間がございません。
 いずれにいたしましても、昨年の薬価の改定、これはいままでの濁った医療の世界、こういうものに石を投げ込んだというような感じだろうと思うのであります。これがこれからいろいろな方面へ波紋を広げていく。私が言いましたように、中小病院の経営の悪化の問題も出てくるであろうし、あるいはまた、薬品メーカーのそういう動きも出てくるであろう、先ほど申し上げたようないろいろな動きも出てくるであろうし、また一方では、今度はそういう病院を買収なりしてチェーン化して大きくなる、しかし一方では、そのチェーン化の途中で正当な行為でない行為で大きくなっていく、いろいろな形の現象が、いままでの医療界の中でなかった動きというものがこれから薬価の改定を機にいろいろ出てくるのじゃないか、こう思うわけであります。
 厚生省はそういう意味で、これからよくこの医療界の動きを注視していただいて、この薬価基準の改定というのは国民の医療費の負担を少なくしようということで行われておるわけでありますから、その結果が逆目に出るようなことがあっては困るのでありまして、そういう意味でこれからの厚生省の行政指導、行政のあり方、こういうものについてわれわれも注視をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 時間が参りまして、きょうはいわゆる医療費の不正請求の問題までタッチできませんでしたけれども、この辺で終わらせていただきます。
#248
○武部委員長 次回は、来る二十五日木曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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