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#1
第096回国会 物価問題等に関する特別委員会 第7号
昭和五十七年四月二十七日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長武部  文君
   理事 狩野 明男君 理事 岸田 文武君
   理事 中島源太郎君 理事 牧野 隆守君
   理事 井上  泉君 理事 長田 武士君
   理事 塩田  晋君
      金子 みつ君    新村 勝雄君
      春田 重昭君    岩佐 恵美君
      依田  実君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 佐藤徳太郎君
        経済企画庁物価
        局長      廣江 運弘君
 委員外の出席者
        外務省北米局北
        米第二課長   朝海 和夫君
        外務省経済協力
        局政策課長   松浦晃一郎君
        文部省大学局高
        等教育計画課長 十文字孝夫君
        文部省管理局私
        学振興課長   坂元 弘直君
        通商産業省基礎
        産業局鉄鋼業務
        課長      緒方謙二郎君
        通商産業省基礎
        産業局製鉄課長 鍵本  潔君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○武部委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
#3
○金子(み)委員 私は、本日は公共料金の問題について幾つか御所見を伺いたいと思うことがございます。
 示されております政府の統計資料等を拝見してみますと、昭和五十年から五十五年まで、ですから最近の過去五年間ということになります。この五年間の物価の上昇の問題なんですが、二倍以上になった品目が四百八十五品目の中で十八品目あるわけでございます。これは、たとえば食品のアサリとか、あるいはキャベツ、白菜、灯油とか、あるいはそのほか国鉄の運賃とか通学定期、あるいは学校の授業料、あるいは戸籍抄本手数料、その他入浴料とか、放送受信料とか、いろいろあるわけでございますが、そういった十八品目の中で公共料金が十一品目あるということを御存じでいらっしゃると思うのですが、たとえばこの公共料金の十一品目の中で、目覚ましくと申しますか、突出しているものに教育費があるわけです。幼稚園から始まって高等学校、大学に至るまでございますが、こういうものですとか、あるいは郵便料金、電報料、通学の定期の問題、あるいは運賃の問題、それから清掃代その他、いろいろございます。この十一品目あるわけで、ところが二倍未満におさまった公共料金品目でも、五十五年の消費者物価総合指数が一三七・二なわけですが、一三七・二の中におさまったものがどれくらいあるかというふうに見てみますと、これは四品目あるわけですね。タクシー代の一三六・七、航空運賃の一二五・〇、高速自動車道料金の一三五・二、それから診察料一二二・六、この四品目だけは一三七・二の総合の指数に比べまして低くはなっているわけです。しかし、ほかのものは全部これ以上になっているわけですね。大体二〇〇台が多いわけですけれども、ひどいものは三〇〇とか四〇〇とかという大きな指数になっているわけでございます。この結果を今度は特殊分類で見てみますと、公共料金は七二・五%の物価上昇になっていまして、総合は三七・二%ですから約二倍になっているということが言えますね。そういうふうに見てまいりますと、この五年間はまさしく公共料金主導型だと言うことができるのじゃないかと思うのです。
 さらに、五十六年度の物価上昇率を特殊分類でもう一遍見てみますと、総合指数の四・九%に対しまして公共料金は六・二%で、はるかに高くなっています。公共料金よりも高いものは何かと申しますと、出版物の七・八%というのがあるわけですけれども、これだけでして、あとはみんな低いです。四・九とかあるいは三・九とかという低い数字になっていますが、公共料金は六・二%上昇になっています。ですから公共料金はぬきんでて高くなっているわけです。
 こういうふうにして見てみますと、この五年間にこのように公共料金が非常に高くなっているということについて、政府はこれを認めていらっしゃるとは思いますけれども、まずその事実をお認めになるかということが一つと、この五年間何か対策を立てておいでになったのでしょうか、それとも公共料金を抑制するというような方針には出ないで、放置という言葉は言い過ぎかもしれませんが、そのままにしてきて歯どめは何もかけてこなかったというふうにしてこられたのでしょうか。その辺のところをひとつ伺わしていただきたいと思います。
#4
○廣江政府委員 御指摘のとおり、五十年以降について見ますと、公共料金が一般物価を上回る上昇を示していることは事実であります。
 次に、公共料金につきましては、先生はいま五十年で御比較になりましたが、多少事情を説明させていただきますと、第一次石油危機に際しましての狂乱物価を鎮静させますために、四十八年、四十九年度に非常に低く抑えました。五十年−五十二年には、その反面といたしまして、低く抑えましたものの是正を行っております。そういうわけで、先生が御指摘になりましたように、五十年を基準にして見ますとかなり大きな数字が出ているというのは事実でございます。
 さらにもう少しつけ加えますと、第二次石油危機の影響で、五十五年度には、電力とガスを中心にいたしまして公共料金の大幅な上昇がありましたもので、そういうことも寄与していると思います。
 次に、公共料金につきましては、申し上げるまでもないことでございますが、物価、国民生活に及ぼす影響が非常に大きいものでございますから、まず何といいましても、経営の合理化というのを一番の前提といたしまして厳しく調整をいたすことにいたしておりまして、今日までそういう方針で、一件、一件合理化を求めるという方針のもとに厳正にやっている次第でございます。
#5
○金子(み)委員 経営合理化の結果が余りはっきりと見えていないのですね。経営合理化を進めるようにしてきたといまおっしゃいましたけれども、この五年間の公共料金の値上げのあり方ではそのことが見えないのですけれども、それは具体的にどういうところでおっしゃられるわけでしょうか。
#6
○廣江政府委員 一つ一つの公共料金の調整査定をいたします際に、個別に内容を精査いたしまして、それぞれの項目につき、または全般につきまして、経営の合理化を求めるという要求をいたしまして、そういうもとでの調整結果が公共料金の認可になっている次第でございます。
#7
○金子(み)委員 それでは少し先に行って、話を進めてみましょう。
 その次に、公共料金の高くなってきているその状態が、家計に占める位置づけと申しますか、あるいはウエートと申しますか、家計の中ではどんなような状態に置かれているかということを少し説明してみたいと思います。
 たとえば五十年と五十五年の平均で見てみますと、五十年には消費支出、これは年間ですが、全体が百八十九万五千七百八十六円でありましたものが、五十五年には二百七十六万六千八百十二円となりましたから、大体四五・九%の増加、ほとんど五〇%に近い増加になっております。そのうち公共料金は五十年が二十四万三千五百三十八円、消費支出に占める割合は一二・八%になります。それから、五十五年の方は四十万七千百七十八円ですから消費支出に占める割合は一四・七%、したがって五十年に比べますと一・九も上昇してきている。これは総理府の資料ですから御承知でいらっしゃると思います。
 この同じような問題を東京都が調べているものを見てみますと、東京都の生計分析調査というのが五十五年の年報に出ておりますが、これで見てみますと、公共料金の負担割合ですが、消費支出に占める割合というのは五十年には二二・四%であったものが、五十一年二二・八、二三・八、二三・九、二四・六というふうにだんだん上がってきまして、五十五年には二五・五%になっているという実態が示されております。あるいはまた、可処分所得に占める割合はどうなっているかといいますと、これは五十年では一七・七でありましたものが、ずっと段階的に逐年上昇してまいりまして、五十五年では二〇・四%という数字になっているわけでございます。これは大変大きな数字になってきたわけなんですけれども、こういうような実態が出てきているわけでございます。
 問題は、公共料金が一般家計の中で占める比率がこういうふうに高くなってくるということが、今度はそれぞれの家計の位置づけから考えてみますとどういうふうなことに結果としてなっているかという問題なんですが、この公共料金の伸び方が、たとえば東京都の生計分析調査を見てみますと、東京都は第一階層から第七階層までに区分して勤労者世帯で調査をした数字を示しております。その数字によりますと、この負担率、生計費に対する割合ですが、一四・〇一というのが平均の数字ですが、これに対して七階層に分けました一番高いと申しますか、上の第七階層で見ますと一〇・四一です。ですから一〇・四一の負担ということになるわけで、平均の負担よりもはるかに少ない負担しか感じていない、感じていないというか実態がそういう形になっておりますが、同じ問題を第一階層、最も低い階層で調べてみますと、東京都の報告ですと一九・四四、第七階層の約倍近い大きな負担を第一階層は負担させられているということになるわけでございます。これは総合が一四・〇一ですからはるかに高いということが言えると思います。
 それから、純粋な公共料金がいまの数字ですが、準公共料金として、この資料の中では、灯油ですとかあるいは理髪代、それから洗濯、新聞、そういうような準公共料金としてくるめてあるものがありますが、それを見てみますと、準公共料金だけを取り出してみますと、平均が九・二二の場合に第七階層では七・九八。ですから、やはり平均よりは負担が軽いという結果になっておりますが、第一階層を見ますと一一・三〇、これは平均よりもはるかに高い数字を示しているということで、これは言葉をかえれば低所得層に対して厳しい数字になっているということが言えると思うのです。
 同じような問題を三菱銀行が、これは五十七年二月十日に行われました調査特報でございますが、この調査特報の中から見てみますと、そこでも言っているのですけれども、ここは第一から第五分位に分けていますが、第五分位の場合には五十年と五十五年の比較では八・九%が九・二%になった、〇・三ポイント増加しておりますが、第一分位の場合は一〇・七が一六・四、五・七ポイント増加するという非常に大きな数字で増加してますが、これは言葉をかえれば、いまの東京都の場合と同じ結果で、とり方が違いますから数字が違うと思いますけれども、やはり低所得階層には厳しく、重く、この公共料金の負担がかかってきているということを示しているものだと思うのでございます。
 そこで、私がお尋ねしてみたいと思います問題は、公共料金が上がってくるという問題は、結局家計に占める大きな負担になっているという問題、この点についてお尋ねをしたいわけなんです。いまさっき局長は、努力をさせているんだというふうにお話しになりましたけれども、このことを民間企業、民間の場合と比べてみますと、果たしてそうかなというふうに思わざるを得ないところがございます。
 たとえば、これは物価指数の年報からとってみた数字なんですけれども、三十五年から五十五年までと申しますと二十年間になりますが、この二十年間、それから五年刻みで調べてみて、二十年間、十五年間、十年間、五年間と、最近までさかのぼって眺めてみますと、たとえば鉄道運賃の場合ですと、国鉄の場合と私鉄の場合と比べてみますと、三十五年から五十五年までの値上げですが、国鉄の場合は五倍になっています。私鉄は四・四三倍、余り違わないかもしれません。その次の十五年間では私鉄が三・四六倍で国鉄が四・三五倍、その次の十年間はこれは逆になりまして私鉄の方がちょっと高いのですね、二・六四倍で国鉄が二・五八倍、ところが最後の五年間になりますと、再びまた国鉄の方が高くなりまして一・五五倍に対して二・一〇倍、こういうふうに高くなっています。
 それから、民営の家賃と公営の家賃と比べてみますとこれは非常によくわかります。最初の三十五年から二十年間の五十五年までは逆に民営の方が高かったのですね。五・六五倍、公営の方が四・七九倍ですが、その次の四十年から十五年間の数字を見てみますと、ずっと公営の方が高くなっています。三・二九倍に対して三・三八、次の十年間が二・一六に対して二・六七、最後の五年間は一・四一に対して一・八七、こういうふうに公営の方が高い。
 さらに、教育費の問題はまた特別の問題がございますけれども、いまの公私の比較でもってここで取り上げてみますと、幼稚園から高校、大学まで公私あるわけなんですが、ここでは時間の関係もありますので、教育はまた後ほど質問させていただきますので、高校だけを取り上げてみますと、公私の差というところで見ますと、最初の三十五年から五十五年の二十年間の場合は八・〇〇倍、それからその次の十五年間が六・五四倍、その次は五・八〇倍、つまり私立はその場合に十年のところが四・〇六に対して公立が五・八〇、最後の五年間は、私立一・七三に対して公立四・七三というふうに、公立の方が高くなっているわけでございます。この公私の比率というのは、このように、ほかにも幾つかございますけれども、こういうものが出ているということをわかっていただきたいと思うわけです。
 このほかに、これは日銀の調査を見るまでもなく、ほかの新聞にも出ていますからおわかりになっていると思いますが、公共料金は五十六年中には国鉄運賃や大学の授業料が相次いで引き上げられているということが書かれていまして、五十一年度上半期から五十六年度上半期までに公共料金は六一%上昇し、民間サービスの方の三五%をはるかに大きく上回っているというふうにまとめています。その中身をいろいろ書いてありますけれども、一番はっきりと例示されておりますものが鉄道の運賃でございまして、よく見る例ですが、東京の新宿から八王子まで国鉄に乗れば四百八十円で四十分かかるのが、私鉄の場合、京王帝都電鉄では二百六十円で三十五分で行ける、こういうような例を引き合いに出しております。公共料金の値上げが、こういうような形で私たちに実態として迫ってきているわけでございます。
 そこで、このような公私の差がどうしてできるのだろうかという問題が出てくるわけでございます。そのことについて、日銀の資料の中にこういうのがあるわけですね。公共サービス料金の方は総合指数をはるかに上回る上昇だと、つまりいま申し上げたような数字が上がっているわけですけれども、これに対して、現在物価が落ちついているのは民間サービス料金が安定しているからだと分析しているのですが、果たしてそうだろうか。私は、政府側の御見解をまずひとつ聞かせていただきたいと思います。
#8
○廣江政府委員 まず、日銀が言っていると御指摘になりました、現在の物価の安定は民間サービス料金の安定のせいではないかという御質問に対しまして、お答えをいたします。
 最近の物価動向を見ますと、御高承のように、全国は二月が三・一%の上昇で、東京都区部は三月速報段階で三・一%と落ちついているわけでございます。そのうち民間サービス料金について見ますと、二月の全国は総合三・一に対しまして三・八%の上昇でございますし、東京の三月は総合三・一に対しまして同じく三・八%の上昇と、比較的落ちついているということは御指摘のとおりだと思います。
 そこで、消費者物価の安定の要因ということにつきましていろいろ考えてみますと、先ほど言われました民間サービス料金の安定、これは、一つには、賃金が比較的穏やかな数字になっておるということが原因の一つだと思いますが、そのことがあろうと思います。さらに、原油等の輸入原材料価格が非常に落ちついておったという面、もう少し長期的に見ますと、労働生産性の上昇率がすぐれておったということ、そういうコストの要因がいろいろあろうかと思いますが、さらに五十六年度の場合は、国内需給の緩和という要因を需給要因として加えなければいけないと思います。もう少し区分をして申し上げますと、特に本年の一月以降は、天候条件にも恵まれたことなどによりまして、生鮮野菜等の価格が非常に落ちついてきたということが寄与したものと考えております。
 次に、公私でサービスを分けた場合に差があるじゃないかと、数字をいろいろお挙げになりましてお話しになりました。民間サービスの場合にはやはり競争場裏にさらされるということで、市場原理が働くというのが一番合理化を迫られるものだと思います。公共料金、公共サービスの場合には、いろいろ事由はございますが、基本的にはそうした民間の市場原理にさらされるという点が欠けておるわけでございます。そういうわけで、私どもといたしますと、そこにいろいろの意味で合理化を求めるということを一番努めなければいけないと思っております。
#9
○金子(み)委員 いろいろな意味で合理化を求めなければいけないと思っていると、いまおしまいごろにおっしゃっていらっしゃいましたが、たとえば公共料金の場合には、その中にはいろいろなものが入っています。電信とか電話あるいは郵便などのように、法律で決められた独占事業みたいなものも入っていますし、よく世間で申します親方日の丸というような感覚的なものも入ってないとも言えないということもございまして、公共サービスの方は民間サービスに比べると、やはり全体的に減量化努力が不足しているのではなかろうかということが考えられるわけですが、その点はどうなのか。
 それから、大臣お立ちになりますから、最後に大臣の御所感を伺わせていただきたいのですけれども、先ほど申し上げましたように、低所得者に厳しく、重く負担がのしかかってきているというこの問題なのです。税金の場合ですと、累進課税ですから高額所得者の方に税金が大きくかかって、低所得者には低くかかるという形にはなっていますけれども、この公共料金の場合、家計に占める割合からいきますと、先ほどお示ししましたように、むしろ逆になっているという実態があるわけです。これをごらんになっていて、政府として、ことに物価調整の役割りにおありになる経企庁とされては、どういうふうにこれを具体的に改善していったらいいとお考えになっていらっしゃるだろうか。物価を抑制する方法をここでもう一遍考えるということをなさるのかなさらないのか、その辺が私の知りたいところなので、国民に安定した生活をさせることを目標とした物価問題の役所の長としての経企庁長官は、今後この問題をどういうふうに解決したらいいと考えていらっしゃるか、伺わせていただきたいと思います。
#10
○河本国務大臣 政府の経済運営の一番基本の目標は、国民生活の充実向上であります。そういうことを念頭に置きながら、当面経済政策の重点を引き続きまして物価の安定に置きたい、このように考えております。
 最近は幸いに消費者物価はある程度安定をしておりますけれども、私どもはこれで満足しておるわけではございませんで、さらに引き続いて物価が低位安定するように努力を重ねてまいりたいと思います。ことしの予算編成に際しましても、物価対策上必要とあらば予備費から幾らでも必要経費を出していく、そういうことで大蔵省とも合意ができておりますが、そのくらい物価政策を重視しておるのでございます。
 それからさらに、国民生活を充実向上させるためには、公的負担の軽減という問題がございます。それに対しましては現在政府の方は意見は持っておりますけれども、自分の政府の意見は棚上げいたしまして、現在大蔵委員会における減税問題の結論待ち、こういうことでいま推移を見守っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、あらゆる角度から国民生活の充実向上のために全力を尽くしたいと考えておりますが、残余の諸問題につきましては局長から答弁をいたします。
#11
○廣江政府委員 先生御質問の中に、所得階層区分に分けた場合の負担というお話がございました。御指摘のように、負担割合で見てみますと、低階層に対するウエートが相対的に大きくなっているというのは事実だと思います。もちろん、公共料金関連支出は、所得階層が高位なほど、実収入に占める比率は額では大きいわけでございますが、比率では、先生御指摘のように低所得層に対して相対的に大きくなっているわけでございます。そこで、一般的な政策といたしますと、公共料金につきまして先ほど来お答えをいたしておりますように、厳正に取り扱っていくということが国民生活の安定に資する一番のゆえんだと考えて、そういう政策をとっているわけでございます。
 なお、一つここでつけ加えさせていただきますと、たとえば五十年から五十五年という数字を先生はおっしゃいました。五十年を基準にいたしまして五十五年までを見た場合には、公共料金のウエートが低所得層ほど増大しているではないかというようなお話がございましたが、これをしさいに見ていきますと、一部には、この期間、主として公共料金関連のサービスの実質の消費量も、所得階層の低い者の方が相対的にはふえているという事実があるのではないかと思っております。たとえば、公共料金サービスの中にあります公営家賃のウエートが高くなっているとか、あるいは電信電話料がそういうことを示すのではないかと思いますし、診療代等もそういうことをあらわしておると思います。そのほか電気代、都市ガス代、水道料といったものも多少そういうことを示す証拠かと思いますが、いずれにいたしましても、公共料金の相対的なウエートは低所得層に大きくなっているということは事実でございます。
#12
○金子(み)委員 その事実をお認めになるのだったらば、それを改善するということが、先ほど大臣がおっしゃった国民生活の安定と充実を図るということになっていくのだろうと思うのですけれども、そのことに対しての具体的な方法はどういうことを考えていらっしゃるかということをお尋ねしたわけです。
 先ほど大臣は、公的負担の軽減を考えているけれどもいまそれは言えないというふうなおっしゃり方でございました。減税との関係があるからということのように承りましたけれども、もしここで減税を取り上げて、減税を行うことが実現するとなれば、その問題は結果的にどのようになると考えていらっしゃるでしょうか。
#13
○廣江政府委員 公共料金、さらに税金の負担、あるいは社会保険料の負担といったいろいろのものを大きな意味で公的負担というふうにくくるといたしますと、そういうものにつきましては配分といいますか分担の問題もございますが、公共料金等につきましては、先ほどお答えをいたしましたように相対的には低階層に重くなっているわけでございますので、私どもといたしますと、そこは非常に厳正に取り扱うのだということでございます。そのことによって国民生活といいますか、物価問題全体に対しましても非常に好ましい影響が出るわけでございますし、今後ともそういう方向の努力は一生懸命やっていきたい、こう思っております。
 税金の問題等につきましては、先ほど大臣がお答えいたしましたので、私はこのことにつきまして触れるのを避けさせていただきます。
#14
○金子(み)委員 大変しつこいようですけれども、ちょっと理解しにくいもので、もう一回お尋ねいたします。
 公共料金等に対しては厳正に取り扱うという御発言がいまありましたけれども、厳正に取り扱うということは具体的にどういうことですか。
#15
○廣江政府委員 公共料金は、先ほどお答えをいたしましたように、経営の合理化というのを一番の基本前提としてやるのだ、そして、かつ、そういう厳正に取り扱って、なおやむを得ないという結果が出ましても、その上げ幅であるとか上げ時期ということにつきまして、国民生活、物価への影響を考えながら、これを調整していくというのが基本的な態度でございます。
 ただ、お断りをしなければいけませんのは、先ほどのをたとえば四十五年からで比較をいたしますと、公共料金と消費者物価の上昇率というのはほぼ同程度に上がっているわけでございますが、五十年を比較いたしますと、先生御指摘になりますように、五十年基準からでは公共料金の方がかなり高い上昇率になっているということになります。それは、第一次オイルショックのときに四十八年度、四十九年度に緊急の措置として抑えたからでございます。そして、その抑えたものの是正を五十年から五十二年にかけてやった結果がそういうふうになっておるわけでございます。公共料金も一つの企業体によって行われるわけでございますので、これを何でもやみくもに抑えてしまっただけではいけないわけでございます。過去の例にもありますとおり、第一次オイルショック当時等にはそういう政策をとったわけでございますが、いつまでもこれを抑えますと結果的にはサービスの問題、経営の問題が起きますし、さらにもう少し先を言いますと、後にツケが残ってくるわけでございますので、ある程度の御負担はやむを得ないところでございますが、その御負担を願う段階におきまして、調整の段階では、いま申し上げましたように経営の合理化ということを第一前提にして、厳しくやるのだということを申し上げているわけでございます。
#16
○金子(み)委員 お話はよくわかりましたが、私の方からも要請をしておきたいことがあります。余り公共料金は抑制を厳しくするとツケが返ってくるというような御発言がありました。しかし、それでもやはり、民営の場合と公営の場合との違いというのは基本的に違っているというふうに考えられます。公営の場合には厳しく指導されるということですけれども、何となくそこに違いが出てきて、緩やかなものがそこにひそんでいるのじゃないかなという感じもあるわけです。ですから、厳しくなさるという発言、言葉では厳しくとおっしゃっておられますけれども、それがどの程度になされるものかということに疑問を持つわけなんです。しかしこれから先の問題、いままでの五年間は、石油ショックの後抑制をしたから、そのツケがいま返ってきてそういう数字になっているのだというふうに言っておられるのだと思うのですけれども、これから先のことを考えて、ここでどういうふうにしたらいいかということが私は行政の妙だと思います。ですから、抑制の仕方あるいは抑制の程度あるいは手段方法等いろいろあると思いますけれども、それを的確になさって、何年か先にツケが回るようなかっこうにするのは困ると思いますけれども、このままにしておいたらますます公私の格差はひどくなっていくのじゃないかという懸念も見えてまいってきておりますから、その辺をよく考えて、国民生活が脅かされることがないように、少なくともこの逆の形がつくられることのないように、ぜひその点は厳しく的確に指導していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。
 それから、やはり公共料金の問題でございます。先ほどから公共料金のいろいろな例を挙げてきたわけですが、いろいろな項目で問題はあります。しかし中でも一番、私は数字を見ていて、これは大変だな、こういうことになっているのは驚いた、何とかしなければならないのじゃないだろうかというふうに思いつきましたのは、ほかのものに比べて大変に突出して大きな数字を示しているもの、すなわち公共料金の値上げのひどさですね、それがあるのが、何かと申しましたら教育の費用なんです。教育の費用というものは、家計の中で考えてみても、ほかのものと比べて、たとえば被服なんかの場合だったら、去年買ったからことしは倹約をしようとか、あるいはもう少しこれは使えるから新しいのに買いかえないで節約をしましょうとか、こういうことができると思うのですけれども、教育費ばかりは節約もできないし、まけてもらうこともできないし、家計に赤字が出ても教育費だけは支払わなければならないという、大変絶対的な性格があるわけですね。ですから、これは大変な問題だと思うのです。
 そこで、教育費がどんなふうになっているかということなんですが、改めてああそうかというふうに思う数字なんでちょっと申し上げてみようかと思いますけれども、今度は四十八年からずっと五十五年まで八年間ながめてみました。そうしましたら、四十八年から突然と言ってもいいくらいにぐっと出てくるわけでございます。これは全国中分類指数の中で調べてみたものでございますけれども、教育費というのはこの八年間に二けた上昇です。ちょうど四十八年から二けたになるんですね。四十七年まではずっと一けたで来ていて、四十八年から二けたになっています。ずっと五十五年まで二けたになって、数字がそこまで示されているわけです。ほかのものを見てみますと、二けたになっているものというのは同じときにないんですね。教育費だけがこんなに突出してしまったということが言えると思うのです。その結果、私はいつも五十年から五十五年の五年間を取り上げているわけですが、その間に二・〇七倍の上昇になっております。二〇七・五という指数になるわけですけれども、このときにこんなに高い数字を持っておるものはほかにないんですね。これに続いているものというのは、強いて言うならば一七四・八の交通通信がその次に参りますけれども、それでも二〇〇台にはなってない。ほかのものは全部一一八あるいは一三五というような数字で、二〇七・五などという数字が出ているのは教育費だけしかないという問題がここに出てまいります。確かにこれは、悪い方から数えたらトップだというふうに言っていいんじゃないかしらと思います。
 言い落としましたが、総合平均が一三七・二のときですから、それに対して二〇七・五、最も高い数字を示しているのは教育費であるということがこれでわかるわけです。
 この表の中に五十六年は出てないのですが、五十六年の教育費の上昇率は、ほかのもので見ますと七・五%ですから、今度はがたっと落ちるわけですね。さっき四十八年からずっと八年間二けたになっているということを申し上げましたが、それが五十六年に初めて一けたに落ちます。九年目にしてやっと一けたに落ちたということが言えると思います。
 しかし、長い目で見てまいりますと教育費というのは全体に高い。たとえば五十五年の八・七二倍というような数字に比べて高いものは何があるかといって探してみましたら、食料の中にありまして、教育が八・七二倍のとき生鮮魚介が一〇四五ですから一〇・四五倍と考えられますので、この方が確かに高いことは高いのですけれども、それ以外にはこういう高い数字はないんですね。そういうふうなぐあいで、こう見ても、一番悪いのでなくて二番目に悪い数字だということは言えるかと思うわけなんですが、そんなふうに大変高く出てまいります。
 同じ教育費の問題を、今度は家計の中に占める割合として、先ほどの公共料金の場合と同じように教育だけを抜き出して眺めてみますと、交通費ですとか保険医療費とか被服とか家具とか、いろいろございますけれども、そういうものと比較して家計の調査というのを東京都が出している数字で眺めてみますと、四十八年から五十五年まで見てまいりますと、これもずっと二けたになっているわけです。ほかのものに比べてみますと確かに悪い数字だということが言えるだろうと思います。
 たとえば、四十八年の全世帯で見ますと二千八百七十二円、それがずっとだんだんふえてまいりまして、最後には、五十五年には八千三百二十五円というふうになりますから、約三倍近く、二・八九倍ということでございまして、同じときにほかのものを探してみますと、そんなに物すごくふえたものというのは見つからないわけでございます。ですから、そういうふうなことから考えても、この教育費が家計の中に占める割合は非常に大きなものがあるということが言えると思うのです。公共料金そのものの家計の中に占める割合が、先ほど来申し上げておりますように非常に重くのしかかってきている、その中で、さらに具体的に取り上げてみました教育費というのが、ほかのものに比べて大変に重くのしかかっているということが言えると思うのでございます。
 そこで、さらに、この教育費の問題を、先ほどの場合と同じように公私の比較を出してみたわけです。これを大学で見た場合、高校で見た場合、いろいろな見方があると思うのですけれども、非常にはっきりしたものでひとつ大学で見てみます。大学生を家庭に持っている場合の問題です。これは五十五年十二月ですが、全世帯平均が教育費については六千四百七十五円、消費支出に対して二・九%。そのときに、私立大学に通う子供を持っている場合はその費用が三万八千八百四十円で、消費支出に占める割合が一一・七%。同じときに、国立大学の場合はどうかといいますと二万三千五百十円、七・七%。私立大学の方がはるかに高いということが言えると思います。これは教育費そのものずばりなんですが、教育関係費として関連する費用を含めて入れますと、全世帯の平均が一万五千五十六円で、消費支出に対して六・八%。このときに私立大学は一五・七%、五万二千十四円かかっています。国立大学は三万九千百七十四円で一二・八%。こういうふうに違ってまいります。ですから、公私の違いというものがここにも出てきているということが言えるわけです。
 さらに、それにもう一つ、別のところの調査がございますのを見てみますと、これは子供の教育費に関するアンケート調査というのを東海銀行の「すまいとくらしの相談室」というところがとっている数字なんですが、これで見ますと、幼稚園から大学まで私立と公立とあるわけですけれども、一々申し上げている時間がありませんからまとめの数字だけを申し上げ、とにかく私立と公立の格差のひどさというものを申し上げようと思っているわけなんですけれども、幼稚園から高校まで私立と公立と分けて資料が出ていますが、たとえば幼稚園ですと公立の二・二倍、小学校は七・七倍、中学校が五・四倍、高校が二・四倍、こういうふうな教育費の結果が出ております。
 さらに、今度は、子供の幼稚園から高校卒業までの十四年間にかかる費用というものはどういうものがあるかというのが示されていますが、これを見て、いまさらのようにびっくりするわけなんです。公立だけのコースをたどった場合、幼稚園も、小学校も、中学校も、高校も、公立だけをずっと通してきた場合は百三十二万八千円かかるというふうに示しております。ところが逆に、私立だけを通してきた場合、四カ所ともずっと私立で通してきた場合は六百九十八万六千円という数字ですから、公立だけの場合の五・三倍、大変に高い数字になるわけです。こういうような数字が示されて、公私の差が非常に大きいということがよくわかるわけなんでございます。
 私は、ここでもう少し例を出そうと思いましたけれども、時間がありませんから例を省きまして、最後のお尋ねにしたいと思うのですけれども、公私の格差ができている原因というのをまず一つ知りたい。
 それから、いま時間がないから申し上げませんでしたけれども、都道府県別にこれを調べたものがあるわけです。授業料、入学金、それからいろいろな施設拡充費その他を合わせた、都道府県別の調査がございます。数字を申し上げるのはまたの機会にいたしますが、都道府県別でも大変にアンバランスがあるのですね。物すごいアンバランスがあるので驚きました。東京とか神奈川、あるいは大阪とか京都という大都会が高いというのが出ておるのは一応うなづけるようにも思えますけれども、そのほかにも、たとえばこれは地域的な問題でもなさそうですが、関東とか関西とかいうことではなくて、北陸三県を比べてみて、富山、石川、福井と並んでいますのを見てみますと、富山も石川も大変に低いのです。ところが福井だけがずば抜けて高い、倍以上、こういうようなのが出てきます。これは北陸三県を比較する理由もないかもしれませんけれども、とにかくそのほかに二分の一、三分の一というように違ってくるのですが、このアンバランスがなぜあるのかという問題が一つです。
 それから、従来、私立の費用を緩和するという目的で、私学振興財団を通して国庫負担が行われているということも承知いたしておりますけれども、それを緩和するために国庫負担で交付されているにもかかわらず、私立学校の教育条件が大変に悪いということがまた別の資料で非常にはっきりと出てきております。幾つも例がございますが、一つだけ申し上げますと、授業料は高い、入学金は高い、教育に対する費用は公立に比べて何倍も高い、しかも国庫負担をもらっている、それにもかかわらず、学生一人当たりの教育費は公立が百七十四万一千三百七十八円、これは一九七九年でございますが、それに対して、私立は六十三万三千七百七円しか学生一人当たりの費用を使っていない。これはどうしても腑に落ちないのです。これでは国庫負担で交付している理由がないじゃないかと言いたくなるぐらいに私は感じているわけです。そして、教師一人に対する学生の数も大変多い。こういうふうに教育条件が大変悪いのですが、この辺をどういうふうに考えられるか。文部省のどなたに御答弁いただいたらいいのかよくわかりませんが、四人来ていらっしゃるのですが、どちらでしょうか。その点をひとつ、おかしいじゃないかという疑問を解いていただきたい。
#17
○十文字説明員 私から、先生お尋ねの第一点につきまして、特に大学関係についてのお答えでございますけれども、なぜ国立と私立とで父兄が負担する金額について差があるかというお尋ねでございます。
 大学につきましては、文部省では学生生活調査というものを毎年やっております。それの五十五年度の数字を見ますと、国立と私立を比較いたしますと、国立の学生生活費は八十五万円でございます。それに対しまして私立は百十六万円ということで、私立の方が約三十一万円高いわけでございます。
 さらにその内訳を見ますと、この学生生活費を学費と生活費というふうに二つに区分してございます。学費というのは、授業料等直接修学に要する経費でございますが、その学費の部分で比較をいたしますと、国立の二十六万円に対しまして、私立の五十六万円ということになっておりまして、ここで約三十万の差がございます。
 そういうことで、少なくとも、大学につきましては、差異というのは学費による差異ということであろうかと存じます。
#18
○坂元説明員 私学の教育条件が、授業料が高い割りによくないじゃないかという御指摘でございますが、確かに国立と比べるとなお教育研究条件についてはかなりの差がございます。しかし、先生御指摘のとおりに、私立大学に対する経常費助成も四十五年からスタートさせまして、当初百三十二億で始まりましたものが本年度二千八百三十五億ということで、約二十倍以上に増をしておるわけであります。それにつれまして、授業料も年々値上げの率が鎮静化の傾向がございまして、ここ数年間はすべて一けたのアップ率で、本年度は六%弱の値上げ率でございます。そういう意味で、そう際立った改善という、目に見えた改善ということはないとしても、私学の経常費助成が、父母負担の軽減にかなり寄与しているのではないかというふうに思っておりますし、教育条件につきましても、先ほど申し上げましたとおりに、国立と現段階で比較しますとかなりの差はございますけれども、私学自体のこの五年間ばかりの改善状況の推移を見ますと、それなりに着々と改善されてきておるというふうに数字は示しております。
 いずれにしましても、完全に国立との格差を縮めるということは、国立が長年の伝統をもって百年にわたって蓄積し投資してきたわけですから、そう一挙には追いつくというわけにはいかないと思いますが、私学助成を充実していきながら、教育研究条件の維持向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
#19
○金子(み)委員 公私の差のはなはだしさをいまのように御答弁なさったわけですけれども、まだ十分納得できないわけですが、最近国立大学の授業料なんかの値上げをいたしましたね。追いつかせるつもりで上げていらっしゃるのかもしれませんけれども、それが私学の費用をプッシュしているということになるのじゃないかという感じもしないではないわけです。いずれにいたしましても、私学の条件が大変に悪いということは認めていらっしゃるんだと思うのですが、いまお触れにならなかった点がほかにもあるんじゃないかという気がいたします。
 たとえば、私学の方が教職員の人件費が高いんじゃないかというようなことですとか、あるいは将来の拡大を考えて大学院をつくりたいとか、いろいろなことを考えるでしょう。そういうことを考えて蓄積をしているのじゃないかというようなことも考えられると思いますし、あるいは国庫補助がもっとあればいいのかもしれない、国庫補助が増加したらば条件がよくなるということもあるのかなと思ったりもします。さらに、もっと勘ぐれば、ちょっと説明できないような、公表できないような事情がどこかにあって、そういうことに使途があった、お金の使い方があったのじゃないかというふうにも思われたりもするわけですが、そういうことは、私学だから政府としてはタッチできないとか、あるいは行政指導できないとかいうようなことがあるのでしょうか。そういうことがあるとすればまた問題だと思いますけれども、いかがですか。
#20
○坂元説明員 人件費の問題につきましては、確かに全国平均、これも地域によってかなり差はございまして、首都圏、近畿圏、中部圏はかなり国立と比較しますと人件費が高いですが、東北地区、北海道、中・四国はかなり低い、全国的に見ますと大体一割強程度、私学の方が人件費が高いという事実はございます。
 それから将来の投資ということでございますが、これは決して将来の投資ということではなくて、たまたまある建物を将来改築したいという計画があって、確かに減価償却はしておりますが、先生御案内のとおりに減価償却を買い入れ価格で行っておりますので、戦前に買い入れた建物を建て直すという場合には現在ではとてもその減価償却ではやっていけないということで、若干の蓄積を用意するという例もございます。
 それから先生御指摘の、ちょっと公表できない不祥事件的なものがあるのじゃないかということでございますが、そういう問題のある学校につきましては、私どもそういう事実を察知した段階で厳正に調査いたしまして、補助金の減額、カット等の措置はしているつもりでございます。
 いずれにしましても、人件費が若干高い、あるいは将来の投資のために用意しておるのではないかということが、ストレートに教育研究条件の維持向上がなかなか進まないんだということには結びつかないのではないか。言うならば、結局、私学の経常費というのは大体六割程度が学納金で賄っておるわけであります。補助金がその一〇〇のうち三割でございますが、結局、学納金は、先生がるる御指摘になりました事情でそう簡単に上げるわけにはいかないというようなこともあって、なかなか教育研究条件の改善に経費を投資できないというのが実態であるというふうに考えております。
#21
○金子(み)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、教育の問題につきましてはまた機会を改めて、もう少し勉強させていただきたいと考えております。
 公立なら四倍も親孝行だというような言い方をされている時代でありますし、政府は、私学には余りいろいろと言えないとか、あるいは口出しができないというような言い方をされているということも私は仄聞いたしておりますけれども、そのようなことがあったら間違いだと考えております。助成金もおろしておることでもありますし、いまのような問題、これはこのままでいいとは政府でも思っていらっしゃらないと私は思います。ですから、そのようなことではなくて、この問題についてもう少し的確な指導ができるようにこれからお図りいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#22
○武部委員長 次に、岩佐恵美君。
#23
○岩佐委員 きのう新日鉄が鋼材の値上げ発表を行いましたが、これについて、その内容と値上げ理由について、通産省から簡単に御説明をいただきたいと思います。
#24
○緒方説明員 御説明申し上げます。
 昨日、新日本製鉄が五十七年の六、七月積みから鋼材を値上げしたいという意思表明をいたしました。値上げ幅につきましては主要鋼材平均で四千八百円、主要鋼材の平均値上げ率は五・三%程度になると私ども聞いております。
 理由につきましては、原燃料、資材関係を主体に、前年度に比べまして、鋼材トン当たりにいたしまして六千百円程度のコストプッシュがあるという説明でございます。他方、輸出につきましては、五十六年度中、国内の低収益を補てんする好調を示したシームレスパイプを中心とする油井管が、最近に至りまして市況が悪化をいたしまして、先行き見通し難という状況になっております。こういう状況のために、従来から取り組んでおりましたコスト切り下げのためのいろいろな努力というものもいたしたとしても、吸収できないコストプッシュ要因というものがございまして、それを価格改定でお願いしなければならない、こういう説明をしておるわけでございます。
#25
○岩佐委員 鉄鋼業界は値上げの場合、想定される総コストを積み上げ、それに適正利潤を加えたもの、それと現行の価格水準の収入との不足分をはじき出し、その分を値上げする、そういう方式をとっていると聞いておりますけれども、間違いありませんか。
#26
○緒方説明員 鉄鋼の価格につきましては、供給者である製鉄メーカーと需要者の間の交渉によって決定をされるというのが基本でございまして、値上げの理由としては、先ほど申し上げましたように、今後予想される原燃料等のコストプッシュ要因と、それを合理化によって吸収してなお転嫁できない部分を需要家にお願いをするということで、交渉が行われるというふうに私どもは理解をしております。
#27
○岩佐委員 鉄鋼の値上げの価格の決め方といいますか、そういう論理として、コストプラス適正利潤という考え方をとっている、そのことについて間違いがないかということを伺っているわけです。
#28
○緒方説明員 現実の価格形成は、先ほど御説明しましたように需要家との話し合いによって決定をされておりますので、必ずしもメーカー側の言い分が通っていない場合もございますし区々でございますけれども、鉄鋼会社側の考え方としては、企業でございますのでコストプラス適正利潤というものをベースに計算をして、それに基づいて需要家と交渉に臨む、これは当然のことであろうと考えております。
#29
○岩佐委員 五十五年の鉄鋼値上げのことについてちょっと伺いたいと思いますけれども、電力、それから鉄鉱石、石炭、C重油の五十五年度の値上がり状況はどうだったのか、伺いたいと思います。
#30
○緒方説明員 やや細かい数字になって恐縮でございますが、データを申し上げますと、五十四年度と五十五年度を比較しての数字でございます。
 まず鉄鉱石でございますが、五十四年度の通関によります平均の価格は、ドル建てでトン当たり二十三ドル五十セントでございました。これが五十五年度になりますと、同じ通関統計で二十六ドル七十セントということになっておりまして、三ドル二十セント、率にして一三・六%のアップになっております。
 同様に原料炭につきましては、五十四年度の平均が六十一ドル五十一セントでございまして、これが五十五年度は六十七ドル二十四セントと、五ドル七十三セント、率にして九・三%上昇しております。
 以上、二つの数字はいずれも通関統計の数字でございます。
 電力でございますが、大口調整電力の単価というものを見てまいりますと、五十四年度の平均がキロワットアワー当たり九円四銭でございましたものが、五十五年度の平均では十四円七十一銭ということになっておりまして、五円六十七銭、率にして六二・七%のアップという統計がございます。
 油につきましては、これはとり方が大変むずかしいのでございますが、たとえば鉄鋼年鑑というものに出ております鉄鋼需要家向けのC重油というのがございますが、それの五十四年の十月の価格を見ますと、キロリッター当たり三万三千四百円でございますが、五十五年の十月、一年後にはこれが五万三千二百円ということになっておりますので、その間に一万九千八百円、率にして五九・三%の値上げがあったということが統計上出ているわけでございます。
#31
○岩佐委員 いま言われた数字、これをもとにしてちょっとコスト計算を細かい数字を出して見ているわけですけれども、たとえば電力料金の値上げ、これが当時の八千六百万トンに対してキロリットル当たりどれだけの上げ幅になるかという計算ですけれども、これも鉄鋼年鑑から引いた数字ですけれども、五十五年度の大幅な料金値上げの結果、二千三百二十億円の負担増になった、そういう数字がありますので、これをトン当たりに直してみると、二千六百九十七円、それから鉄鉱石の値上げ、これはそのままの数字を使いまして細かい計算をしておるのですが、そこは省略をしますが、二千六十九円、それから石炭の値上げがトン当たり四百二円ということになる。C重油のところがちょっと私の計算と違うわけですが、とり方が大変むずかしいということですが、これが五千円の値上げということでとって二百六十三円、いま言われたのだと三倍になるわけですね。いや、四倍になるわけですか。そうすると、これがもし四倍の数字をとったとしたら千百ぐらいになる、それを半分にしたら五百円、そこら辺の違いが出るのだろうと思いますけれども、いずれにしろこれで計算をしていきますと、C重油五千円ととった場合に五千四百三十円、これは円レートが二百十八円という数字をとりまして試算をしているわけですけれども、こういう数字になる。これを二百四十円ということで計算しますと五千六百八十一円という数字になるわけです。C重油のところの違いがありますが、いずれにしろ、九千円から見ると六千円くらいの試算になりますから、四千円くらいの水増しがあったのではないか、そういう計算が成り立つわけであります。この値上げの後、高炉五社は経常利益、史上最高で四千六百七十六億円を上げているわけです。この数字と、これをトン当たりに直しますとちょうどその水増し分とが一致をする、そういう状況が私どもの計算ではあらわれてきているわけです。
 そのときの値上げについて通産省、それから公正取引委員会、それぞれのお立場で妥当な値上げだというふうに考えられたのかどうか、伺いたいと思います。
#32
○緒方説明員 鋼材価格の値上げ問題につきましては、先ほど来御説明しておりますように、生産者と需要家の間の自由な交渉において決定されるということが基本と考えておりまして、五十五年の値上げにつきましてもそのような過程を経て価格形成が行われたということでございますので、通産省として、特にそれについて妥当であるとか、高かったとか、低かったとかということを申し上げる立場にはないと考えております。
#33
○佐藤(徳)政府委員 五十五年の鋼材の引き上げに関しましては、御承知のとおり同調的価格の引き上げということで私ども調査いたしたわけでございますが、その際の報告によりますと、引き上げの理由といたしましては、鉄鉱石とか原料炭、重油、電力等の値上がりによりまして、前年度に比べまして、鋼材トン当たり、これは各社でそれぞれ違いますが、約一万一千円程度のコストアップである、そのうち、これも各社で違うのでございますが、約二千円程度は自分たちの合理化努力によって吸収するのであって、その残りの部分について先生お話しの約九千円ということにつきまして引き上げで対処する、そういう理由の報告を受けておるわけでございます。
#34
○岩佐委員 そしてその結果、九千円のものが、最終的に値上げが妥当であったかどうか、公正取引委員会としてフォローされたのかどうか、どう考えておられるのか、そこを伺っているのです。
#35
○佐藤(徳)政府委員 失礼いたしました。価格の同調的引き上げの調査そのものにつきましては、私どもは、理由の報告を求めまして、その理由の概要につきまして国会に御報告するというシステムになっておりまして、その値上げそのものの妥当かどうかということを私どもで明らかに国会に申し上げるという立場にないわけでございます。ただ、私どもとしても報告理由のときにはその解明に一生懸命努めておるわけでございます。
 なお、その後トレースしたかどうかということでございますが、五十五年度の決算が出ました時点につきまして、価格の引き上げの理由とかの報告内容と実績の乖離の状況等につきまして事情を聴取してございます。その際、先ほど先生も御指摘ございましたように、為替レートにつきまして、値上げ当時かなり円安でございましたのがその後かなり円高になったというようなことで、見込みと実績とでいろいろ乖離がございますけれども、その後調査のトレースはいたしておる次第でございます。
#36
○岩佐委員 何か大変頼りない答弁のような気がいたします。為替レートが違うということだったので、じゃ為替レートが二百四十円だったらどうなのか、二百十八円だったらどうなのか、そういう計算もしてみて申し上げているわけですけれども、どうもそこのところがはっきりと通産省でもチェックをされておられないし、それから公正取引委員会からもわかるような説明がない、そういう状況であります。私は、そういうことでまた今回値上げが繰り返される、そうすると、やはり同じように水増し値上げというのが行われる、そういう可能性が強いというふうに思うわけです。
 公正取引委員会に伺いたいと思いますけれども、鉄鋼業界の値上げを可能にする要因として、鉄鋼業界の寡占体制、これがあると思いますけれども、現在の寡占率とそれに対する公取委の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#37
○橋口政府委員 鉄鋼業界が寡占的なマーケットになっておりますことは先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十五年に新日鉄が発足いたしましてから今日まで約十二年経過をいたしておりますが、ことにその十年間の後半におきましては、高炉五社の販売シェアはほとんど固定をいたしておるわけでございます。全体として申しますと、五社以外のシェアが高まって五社のシェアはだんだん下がっておりますが、しかし、五社の中ではほぼマーケットシェアというものは固定をいたしておるわけでございまして、そういう市場の状況のもとにおいて比較的容易に鉄鋼価格の値上げが浸透しやすい、こういう面があることは先生御指摘のとおりでございます。
 そういう点から申しまして、私どもとしましても鋼材価格の値上げにつきましては深い関心を持っておるわけでございまして、今回発表になりました新日鉄の鋼材価格の引き上げにつきましても、経済官庁の立場においていろいろ意見はございますが、しかし、独占禁止法の立場で申しますと、先ほど来ちょっとお話が出ておりますような同調的価格引き上げのベースで物事を解決する以外にないわけでございます。
 五十五年の価格改定の後のトレースにつきましては経済部長から申し上げましたが、為替レート等が変動しましたことのほかに、当初見込みに比べまして生産が低下をいたしております。それやこれや相殺いたしまして、結果的に申しますと、価格引き上げの発表の際に、鉄鋼各社で計算しましたベースに戻っておるわけでございまして、最終のしりは、当初の見通しが大体正しかったということが結論的に言えるのじゃないかと思います。そういう点から申しまして、私どもとしましては、十八条の二の施行はもちろんでございますが、全体として鋼材価格の推移につきましては、重大な関心を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
#38
○岩佐委員 公正取引委員会として、五十年七月の高炉メーカーの鋼材値上げに際して調査をされておられますけれども、その中で昭和四十九年六月以前と以降の値上げの仕方について違いが出てきた、そういうことが言われているわけですけれども、この問題について簡単に説明をしていただきたいと思います。
#39
○橋口政府委員 昭和五十年におきまして、鋼材価格の引き上げの調査をいたしておりますが、最近の鋼材価格の引き上げは昭和五十五年にございまして、それから二年目のことしということになるわけでございまして、その前は五十二年でございますが、それ以前はほぼ毎年さみだれ的に値上げが行われております。そういう状況のもとにおいて、同時にまた、昭和五十二年の改正を念頭に置きまして、当時の公正取引委員会がいろいろ調査をしたわけでございます。
 その調査の結果につきましては、年次報告で明らかにいたしておるわけでございますが、鉄鋼価格の上げ方について違った様相が出ていることと、それから新日鉄が発足して数年たった、そういう時点に立っての調査でございまして、年次報告をお読みいただきますと、率直に申しまして、かなり力の入った表現があちらこちらに見られるわけでございまして、これは改正法によりまして入りました十八条の二の同調的価格引き上げの理由の報告の徴収という規定ができる以前の状態でございまして、そういう状況下において調査したものであるというふうに理解をいたしております。
#40
○岩佐委員 この調査報告の中で、主要鋼材七品目の値上げは、各メーカーが通商産業省の事実上の了承を受けて行っている、それ以前にはユーザーによって価格が異なり、リベート等もあったが、前回の値上げを機に、ユーザー間の価格差がなくなり、リベートもなくなったと言われている、そういうふうにかなり具体的に指摘がされているわけです。また同じ調査の中で、鉄鋼業界は同じ原材料を使用し、同じ製品をつくるという、いわゆる一物一価の考え方を協調的にとっていて、それは価格形成過程における競争を回避し、いわば価格を人為的に一本化するための論理であり、価格面における競争を否定するための論理であるというふうに指摘をしているわけですけれども、その点間違いありませんね。
#41
○佐藤(徳)政府委員 間違いございません。
#42
○岩佐委員 さらに、調査の中で指摘をされているように、この一物一価という考え方のために、市況の影響を受ける店売りの面では逆ざや現象が生じて、鉄鋼問屋、一次卸や特約点、二次卸が負担をせざるを得ない。五十五年の値上げ以降も、問屋、特約店が逆ざやによって急速に経営が悪化し、倒産も続出したというふうに聞いています。公取としては、五十年に指摘をしたこの点、調査をされておられるのかどうか、伺いたいと思います。
#43
○佐藤(徳)政府委員 五十年のこの調査につきまして、五十五年以降も問屋さん等が倒産しているという点を除きましては、いま先生のお話のとおりでございますが、これは先ほど委員長からも御答弁がございましたように、同調的引き上げの制度ができます前の調査でございまして、私どもとしては、この調査はこれで一応完結しているというぐあいに考えておる次第でございます。
#44
○岩佐委員 中小企業の味方である公正取引委員会として、こういう調査はきちんとフォローすべきではないか、そういうふうに思うのですね。
 これは鉄鋼年鑑という五十六年度の資料から私、拾ったのですけれども、全国鉄鋼特約店連合会が行った「特約店動態意識調査」、これをグラフ化したものでわかりやすく表現しているのですけれども、「特約店の損益状況」というのがあります。「多少なり利益をえている」そういう業者が五十五年四月には八四%ありました。それがたとえば五十五年十月には四一・五%に減り、五十六年三月には二七%に減る、それからちょっと回復をして三九・八%というふうになっていて、あと「売り値が仕入れ値を下回り完全逆ざや」こういう業者が五十五年の六月に発生をするというようなことが出ています。それから「営業経費を計算すると赤字だ」というところ、ここがどんどんとふえていっている、そういう状況も出てきている、とのことがかなり明確にわかる図式化したものがあるわけです。
 それから、同じ鉄鋼年鑑ですけれども、「倒産・更生法申請・内整理自主廃業・機構改革」そういうところを詳しく全部会社名を挙げて、不渡りを出したとか、ひどいところでは二百五十億円の負債を出したとか、そういうような報告が出ているわけです。これが五十五年度で四十九社ある、そういう状況が出てきているわけです。
 こういう五十五年の四月の値上げに際して、公取委がここまでせっかく指摘をしたわけですから、こういう調査というのはやはり引き続きやっていく必要があるのじゃないか。十八条の二では関係ございませんということで、突っぱねられるのかどうか。そこのところはどうも疑問に思うし、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、公取委員長、いかがでしょうか。
#45
○橋口政府委員 十八条の二の規定の施行は施行として、これは法律の枠内で仕事をする必要があると思います。
 ただ、いま先生がおっしゃいましたのは、十八条の二の問題と離れて、鉄鍋業界の流通問題一般につきまして調査をしたらどうか、こういう御指摘でございますから、この点につきましては十分研究をしてみたいと思います。
#46
○岩佐委員 私は、五十年の値上げと五十五年の値上げと、鉄鋼値上げに関する本質は変わっていないのではないかというふうに思います。しかし、公正取引委員会としては、いま話題になっている十八条の二に基づいて五十五年の値上げの際には対応されました。これは五十年の対応のときとはかなり違って、五十年七月のときには、私が先ほど述べたように、同調値上げの具体的な背景、それを掘り下げ、問題点まで指摘をしているわけですね。ところが五十五年のときには、メーカー側の値上げの事情を書きつづったというだけにすぎないわけで、どうしてそういうふうにしてしまっているのか、そこのところを伺いたいと思います。
#47
○佐藤(徳)政府委員 十八条の二につきましては、前回の委員会でも私、御答弁いたしましたように、価格の同調的引き上げが行われました際に、その同調的引き上げに対する理由の報告を求めまして、内容を御報告するというシステムでございまして、先生の御指摘がありましたような、私どもの見解をお示しするようなシステムになっておらないということでございますので、あのような報告になっている次第でございます。
#48
○岩佐委員 五十年の鉄鋼値上げに対する詳細な調査とその問題点の指摘、これは任意調査でやられているわけですが、任意調査だけでもこれだけのことがやれるわけですね。さらに、独禁法四十条では「その職務を行うために必要があるときは、」「出頭を命じ、又は必要な報告、情報若しくは資料の提出を求めることができる。」という規定もあります。さらに突っ込んだ調査ができる、そういう規定になっているわけです。そこで、その同調的値上げについて、もう公取委としては十八条の二だけしか対応できない、四十条も発動しないんだ、あるいは任意調査もやらないんだというふうなことで考えておられるのかどうか、そこのところを伺っておきたいと思います。
#49
○橋口政府委員 昭和五十二年に独禁法の改正問題が取り上げられましたときに、十八条の二という規定といまおっしゃいました四十条の規定との関係につきましては、国会でも議論がございました。また両院で附帯決議がついておりますが、この附帯決議も衆参両院で考え方の違った附帯決議がついておるわけでございまして、したがいまして、十八条の二の運用につきましては私どもは基本的に慎重でなければならないと思っておるわけでございます。したがいまして、値上げの理由について報告を出していただくということにとどめておるわけでございます。
 ただ、それじゃそれだけで問題が解決するかと申しますと、十八条の二の守備範囲に対しまして四十条で切り込むということは、これは適当でないと思います。これは十八条の二の違反に対する罰金と四十条の違反の罰金とは額も相当程度違っておりますから、そこにおのずから法の秩序として、十八条の二に該当する事項につきましてはその枠内で仕事をすることが必要ではないかと思います。
 ただ、問題はそれから先でございまして、十八条の二の規定を施行する際におきましても、いろんな資料を関係会社から徴求をいたしております。これは四十条を発動はいたしておりませんが、四十条の法律的バックに基づきましていろいろ要求をし、また説明も聞いているわけでございますし、さらに、十八条の二の問題から離れまして、関係業界のあり方の問題、あるいは個々の事業者のビヘービアの問題につきましては、法四十条を発動することはもちろん可能でございますし、また四十条をバックとしていろんなことを、資料を徴求したりあるいは話を聞くということは可能でございますから、したがいまして、十八条の二という規定が設けられましたがゆえに、四十条の発動が自動的に疎外されているということはないわけでございまして、その運用につきましては、私どもは最善と考える方法をとってまいりましたし、今後もまたとるつもりでございます。
#50
○岩佐委員 今回の鉄鋼値上げについて、今後、各社とも新日鉄と同様な値上げを打ち出してくる、これは新聞等でも報道されているところですけれども、しかし、各社の原料コスト、これはそう大差がないわけですけれども、省エネ・合理化、こういう問題について、各社の取り組み方によってコスト差は相当出てくるはずでございます。それが同じ幅の値上げをする、そういうことはおかしいのではないか、これは五十年の七月の値上げのときに公正取引委員会が指摘をしているところですけれども、その点について通産省に伺いたいと思います。鉄鋼各社が省エネルギー・合理化競争、こういうのをやっているというふうに聞いていますけれども、その概要について簡単に御説明をいただきたいと思います。
#51
○鍵本説明員 わが国の鉄鋼業の合理化、省エネルギー化の実情でございますけれども、連続鋳造の採用あるいは溶鉱炉のオイルレス操業、従来は石炭に重油の吹き込みをやっておりましたのですけれども、最近重油吹き込みをやめております。そういうオイルレス操業への転換、それから排熱をずいぶん出しておったわけでございますけれども、これを回収して有効に利用する、こういう合理化等を積極的に進めておりまして、これらの結果としまして、国際的に見ましても、エネルギー消費の原単位等の指標において世界のトップレベルの水準にございます。
 たとえば、石油の消費量を鉄鋼業について見てみますと、昭和四十八年から五十六年の間に、鉄鋼業全体でございますけれども約三分の一以下に低減しております。そのほか、高炉の炉頂圧の回収発電などの省エネルギー設備もずいぶんつけ加えられておりまして、省エネルギー化は急速に進んでございます。
 ちなみに、当省が昨年九月に実施いたしました設備投資調査によりますと、こういう鉄鋼業の省エネルギー関係の設備投資額は、鉄鋼業全体の投資の中で二〇%程度を占めておる状況でございます。
#52
○岩佐委員 時間もちょっとありませんので、省エネ・合理化によってどういうふうな金額的な効果を上げているのかという問題について、通産省に金額的にすぐ出せるかどうか、ちょっと伺いたいと思いますけれども、簡単に説明をしていただけますか。
#53
○緒方説明員 合理化の技術的な中身については先ほど製鉄課長が御説明したとおりでございますが、これが費用の面でどれだけの改善に結びつくかという計算は、前提の置き方がいろいろございまして大変複雑なことになります。したがいまして、一概に、連鋳比率が一ポイント上がるとコストがどれだけ下がるというようなことをお示しすることは、大変むずかしいというふうに考えております。
#54
○岩佐委員 それじゃ、私の方で試算をしてありますので、できるだけ簡単に説明をしたいと思います。それで、非常に違っているということがあれば指摘をいただきたいと思います。
 新日鉄は、第一次省エネ計画で千八百五十億円節約をした。第二次でも同様の効果を目標にしており、日本鋼管は五MKC計画で五百七十億円の節約、川崎製鉄も第一次から第三次までで一千八十六億円の節約、住友金属も第一次から第三次の中途までで一千四百四十億円の節約をしていると言われています。これだけで六千七百九十六億円の省エネの効果が上がっている。そういうことであります。
 五十五年、五十六年のオイルレス、連鋳、こういう比率の向上、あるいは自家発電の進展、そういうことによって省エネ効果が非常に上がっているということも指摘をされているわけですが、オイルレスによる重油削減額、これは五十五年、五十六年でトン当たり一千七百五十二円、コークスの増加額がトン当たり九百四十円、差し引き八百十二円のメリットになる。連鋳比率一%向上することによって歩どまり〇・一三%向上するとして、五十五年は連鋳比率七・三%向上ですから一千三百三十四円、トン当たりコスト削減になる。五十六年は一〇・九%の向上で二千八十一円、トン当たり削減をされる。合計三千四百十五円になるのではないか。そういう計算が成り立ちます。結局両年で四千二百二十七円の合理化というふうになり、それだけ省エネ効果が大きいという試算をしてみたわけです。
 この問題を申し上げたのは、五十年の七月の値上げのときには余り問題にならなかった合理化の問題というのが、今回は非常に進んでいますので、恐らく各社の経営状況がこれで違ってきているのではないかということ、これを一つ言えるのじゃないか。特に連鋳比率は、川崎製鉄の場合には九〇・七%だそうですけれども、神戸製鋼は四六・四%、半分くらいなわけですね。ですから、恐らくそのコスト差というのは非常に出てくる。だからそういう点で、ここのところはもっと注意をして見ていかなければならないというふうに思うわけです。
 それから、今回の値上げ理由で鉄鉱石が上がったとか、石炭が上がったとか、いろいろ言われますけれども、しかし、前に比べて非常に合理化が進んでいる、そういう状況でもありますので、簡単にこの問題をうのみにするということはできないのじゃないか、そういう指摘をしたわけですけれども、通産省、公取のお考えを伺いたいと思います。
#55
○緒方説明員 鉄鋼業界がいろいろ目標を掲げて合理化に取り組んでいる、その合理化の非常に重要な柱の一つとして、省エネルギーの問題に取り組んできたことは事実でございます。そういうことで、日本の基幹産業でございます鉄鋼業が、国際競争場裏において今後とも生き残っていくために、ますます合理化の努力というものが必要なことは言うまでもないところでございますが、その合理化の努力の成果というものをどう評価するか、それを織り込んで具体的な鋼材価格としてどう判断をするかという問題は、鉄鋼のユーザーとの交渉の過程において、そこがおのずと明らかにされていくというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 ちなみに、ほかのたとえば、公共料金のように政府が規制をしている料金の対象の品目と違いまして、鉄鋼の場合には、ユーザーも、たとえば自動車産業であるとか、造船業であるとか、電気機械であるとかいう大手のユーザーでございます。こちらのユーザー業界も血みどろの合理化努力をしているわけでございまして、そこは、そういう専門家同士が話し合いをすることが、最も合理的な評価をする方法であろうというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#56
○佐藤(徳)政府委員 コストアップがありました場合に、コストアップというのをできるだけ合理化で吸収いたしまして、価格の上昇の程度を抑えていくとか、最小限にとどめる努力を各企業にしていただくということは、これは当然のことで、望ましいことであると私どもは考えております。もしも、今回の値上げについて同調的価格引き上げということで値上げ理由の報告を受けます場合には、先生の御指摘のような合理化の点についてもできる限り説明を受けるように努めてまいりたい、かように考えております。
#57
○岩佐委員 今回の値上げをするに当たって、カルテルがあったのではないか、そういうふうに疑いたくなるような事実があるわけです。今回の値上げを主導している新日鉄の販売担当常務は、原料担当常務も兼ねておられるわけで、鉄鋼業界は原料の共同購入を行うための会議、原料懇談会、これをも行っていて、その場で値上げの打ち合わせを新日鉄主導でなされたのではないか、そういう話も伝わってきているわけです。公取委としてこういう調査をするお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
#58
○佐藤(徳)政府委員 いま先生の御指摘の原料懇談会と称する会合の活動の実態については、私どもはまだ十分承知してないわけでございますが、もしそういうようなところで申し合わせてカルテル的な値上げがあるということであれば、これは問題であろうかと思いますので、具体的で、有効で、かつ、確度のあるような情報、そういうものがございますような場合には、これは、厳正に対処するのはわれわれの当然の義務だというぐあいに考えておる次第でございます。
#59
○岩佐委員 五十年の調査の中で、価格競争を回避する論理にほかならない一物一価について、各社が共通の認識を持って値上げをすることは、カルテルと実質的に同一の効果を持つものではないかという疑点が強く残る。そういう指摘がされています。
 私は、まさに鉄鋼の値上げはカルテル値上げの疑いが非常に強いというふうに思いますし、しかも同調的値上げという面から見ても、今回五十五年に引き続いてまた二回目の、十八条の二によればそういう調査を行うということになるわけですけれども、前回五十五年のような調査だけではどうもその効果が上がらないということは明らかではないか。つまり、五十五年の報告を見ても五十年の七月の調査に比べると大いに後退をしている、そういうことが感じられて仕方がないわけです。今回二回目でもありますし、もっと適切な調査をすべきだというふうに思うわけですけれども、お考えはいかがでしょうか。
#60
○橋口政府委員 プライスリーダーシップという問題はあるわけでございまして、マーケットシェアで三割近くのシェアを持っております新日鉄の価格行動というものが、他に大きな影響をもたらすということであるわけでございますから、これは世界的に見ましても大変解明のむずかしい問題でございまして、そういう点に関しまして、日本では十八条の二という規定が設けられておるわけでございますから、この規定の活用によりまして事態の解明を図るというのが本筋であろうかと思います。
 ただ、いまお話がございましたように、仮にカルテル的な行為があったとすれば、これは法に従って調査をし、また処置をすることが必要でございますが、いずれにしましても、もとへ戻りますが、プライスリーダーシップというものに対してどうやって挑戦するかというのが大変むずかしい問題でございまして、そういう点で申しますと、先生のおっしゃるような疑念が出る可能性もあろうかと思いますが、同時にまた、鉄鋼業界の首脳部の方が、機会をとらえては一物一価というようなことをおっしゃるわけでございまして、一物一価という論理にも首肯すべき点もございますけれども、しかし、先ほど来お話がございましたように、各企業が努力をして省エネをやったり、あるいは連鋳比率を高めるということをやっておるわけでございますから、結果として当然一物一価になるわけではないわけでございまして、それなりの企業努力というものが価格にも反映すべきではないか、それがリベートの形とか、あるいは大量購入に対する優遇とか、いろいろな問題が出ておるわけでございますから、そういう点につきましては、機会をとらえて、さらに掘り下げた調査をしてみたいというふうに考えております。
#61
○岩佐委員 それから、通産省が短期需給見通しを四半期ごとに行っていて、その短期需給見通しとそれから実際の実績が一致をしているということが指摘をされています。とりわけ五十五年の第二・四半期以降減産が行われたときには、それが顕著にあらわれていたということがあるわけです。公正取引委員会は、通産省に対して、五十五年十二月にこの問題について口頭で指摘もしたし、それから年次報告の中にも、この減産の問題について、業界の対応の仕方、あるいは通産省の対応の仕方について注意を換起したということが触れられているわけですけれども、この問題について一体どういうことだったのか、もう少し説明をいただきたいと思います。
#62
○佐藤(徳)政府委員 御指摘の減産調査の結果に基づきまして、私どもは、五十五年十二月に通産省に対しまして、従来からいろいろ独禁法に違反しないような御配慮はいただいているとは思いますけれども、さらにそういうことのないように御注意いただきたいということで要望をいたしまして、通産省の方も、その私どもの要望を受け入れて、いろいろ御注意いただいているというぐあいに理解しておるわけでございます。
 なお、これは補足でございますが、その後五十六年三月でございますが、御承知の独占禁止法と行政指導との関係についての考え方というのも私ども明らかにしておりまして、これもまた通産省その他関係官庁にお伝えして、行政指導が独占禁止法に違反することがないようにということで御協力、御理解を求めている。そういうような手を打っている次第でございます。
#63
○岩佐委員 五十五年九月に石油の刑事判決が東京高裁で出されました。その中で、通産省の行政指導について、たとえ個別にした場合でも、基準をつくって割り当てれば、みんなが従うことを前提とするだろうから、カルテルを招く危険があるというふうに指摘をされています。
 また、その年の十一月六日の当委員会で、同僚議員の質問に橋口委員長が答えられ、恒常的に、通産省設置法の規定をベースにした行政権限を行使することは、どう考えても適当ではないように思うわけでございます、と見解を述べておられます。
 短期見通しについて、業界が暗黙のうちに生産量の目安にし、それが競争制限につながる、そういう危険があると判断をされたからこそ、公正取引委員会として、五十五年十二月に通産省に注意を喚起されたのだろうというふうに思います。いままた、値上げと呼応して減産が行われる可能性も取りざたをされているわけです。公正取引委員会としてこれに対してどう対処をしていかれるのか、伺っておきたいと思います。
#64
○佐藤(徳)政府委員 先ほど委員長からの御答弁もございましたように、同調的引き上げそのものにつきましては、十八条の二の規定に従いまして私ども法律を執行するわけでございますが、この値上げに関連しまして、たとえばカルテル的行為でございますとか、あるいは不公正取引的行為でありますとかがございますれば、それはまた別個の問題として、私ども独禁法執行官庁の十分果たすべき義務の範囲の問題でございますので、そういう点につきましても十分細心の注意を払いながら、注視をしてまいりたいというぐあいに考えております。
#65
○岩佐委員 先ほど委員長からもそういう決意を伺っておりますので、公正取引委員会に、今回の値上げの問題については、ぜひ公正取引委員会としての従来のきちんとした対応をお願いをしたいというふうに思っています。
 同時に、同調的引き上げの監視対象品目、これは五十三年の数字に基づいてリストアップをされていて、数字が古いというふうに思います。古い数字でやっていたのでは間尺に合わないというふうに思いますけれども、今度の値上げについてどういうふうにされるのか、技術的な問題ですけれども、伺っておきたいと思います。
#66
○佐藤(徳)政府委員 御指摘のとおりに調査の数字が古くなっておりますので、最新の数字に直しまして、ガイドラインの別表につきましても最新の時点で直すようにいま作業をしておる最中でございまして、そう遠くない機会には品目の改正ができるのではないか、そういう事務的な運びにいまなっておる次第でございます。
#67
○岩佐委員 最後に大臣に伺っておきたいと思いますが、現在の不況下の国民生活、中小企業の状態、そういうところから見ますと、今回の鉄鋼の値上げというのは非常に大きな影響を与えるというふうに思います。そういう観点から、経済企画庁としてどうこれをとらえ、どうされていかれるのか、伺っておきたいと思います。
#68
○河本国務大臣 この問題はいま通産省からもいろいろ御説明がございましたが、原料が高くなった、こういうことで値上げ問題が起こってきたわけでありますが、全部を値上げするということではなく、一部は合理化で当然吸収されるのだと思います。吸収し切れないものを値上げをするということでありますが、しかし、これは鉄を買う方としてはいろいろ言い分もあろうかとも思いますので、これから値上げ交渉ということになろうと思います。
 現在の日本の鉄鋼価格水準は、相当合理化が進んでおりますので、欧米諸国の価格から比べますとある程度低いと思います。しかし、それであればこそ日本の産業の競争力があるわけでございますが、中小企業にどのような影響がありますか、これはもう少しこの値上げ交渉の推移を見ないとわかりませんが、中小企業に対しても私はできるだけの配慮をしていただきたい、このように思います。
#69
○岩佐委員 終わります。
#70
○武部委員長 次に、依田実君。
#71
○依田委員 きょうは、日米経済摩擦の最近の動き、それと韓国への経済援助の問題、この二つをお尋ねをさせていただきたい、こう思うのであります。
 まず最初に、日米経済摩擦の中で一番最近の動きで、先般ブッシュ・アメリカ副大統領が日本へ参られ、きょうは韓国を離れるようでございますけれども、日本へ来られたときに、経済摩擦の問題についてどういう意見交換が行われたのか。紙上いろいろ言われておりますけれども、そのお話を御報告をしていただきたい、こう思います。
#72
○朝海説明員 ブッシュ副大統領が来日されましたとき、日米の経済関係では、総理との会談でも取り上げられております。私ども聞いております範囲では、総理の方から、現在の情勢のもとにおいてアメリカ経済が速やかに回復する、再建されることが、日本にとっても世界全体にとっても非常に重要であるといったような点を指摘されまして、ブッシュ副大統領の方から、米国としても同じような認識であって、経済の再活性化についていろいろ努力をしているし、インフレ率も少しずつ下がりつつあるというような説明があったようでございます。
 それから、日米二国間の関係につきましては、ブッシュ副大統領の方から、アメリカの中はそうはいっても依然失業率も高いし保護主義的な傾向も強まっているので、日本側において一層の市場開放努力を期待したいというような発言があったようでございまして、総理の方からは、これまで関税の前倒しであるとかOTOの設置であるとか、すでに一連の措置を講じているということを御説明された上で、今後も日本の一層の市場開放に向けて種々の施策を検討中であるというふうに御説明されたと承知をしております。
#73
○依田委員 最近、この問題でひっかかっておるのが例の農産物の自由化問題でありまして、例の農林水産委員会などで絶対反対決議がされておるわけでありますけれども、アメリカのこの問題に対する真意が那辺にあるのかということで、多少行き違いが出てきておる、こういうことでいま両方とも非常に模索の段階じゃないか、こう思うわけであります。
 当初は、例の残存輸入品目の残っておった二十二項目の完全自由化をアメリカは言っておったわけでありますが、その後、個別の数量枠の拡大などを言ってきている。つまり、アメリカ側が何を本当に求めておるのか、こういうことについて多少日本側も困惑をしておるのじゃないか、こう思うのでありますが、この問題については外務省としてはどういうふうに受け取られておるのか。聞くところによりますと、今週あたりアメリカ側から参りましてこの問題についてもう少し詰めてみたい、こういうふうな動きもあるというように聞いておりますが、いまどういう状態になっておりますでしょうか。
#74
○朝海説明員 農産物の問題に関しましては、アメリカ側の基本的な考え方は、私どもが理解しておるところでは、まず、できる限り速やかに数量制限の撤廃を期待したいということが一つ。それから二番目には、もし現在のままの状況で推移するのであれば、ガットの紛争解決の手続をとることも考えざるを得ない。それから三番目には、現在検討されておるところの市場開放措置にぜひ農産物も加えてもらいたいということだと理解しております。
 その後、先生御指摘のとおり、農産物作業グループの後、若干の行き違いがあるやに受けとめられておりますので、アメリカ側の考え方をより正確に把握すべく現在努力中の段階でございます。
#75
○依田委員 今週、向こう側から来て協議するのですか。
#76
○朝海説明員 これからどういうことになるのかは現段階では流動的でございまして、はっきりしたことはわかっておりません。
#77
○依田委員 こういうこともありまして、当初は五月七日、日本側のいわゆる市場開放の第二弾を出す、こういうことになっておったのですが、どうもその線が崩れてきているような感じがしておるわけでありますが、経済企画庁として、この日米間の経済摩擦について今後どういうスケジュールでアメリカ側の要望にこたえていくのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#78
○河本国務大臣 五月七日までにまとめたい、こう思っておりましたが、いま外務省から御説明がありましたようなそういう経過もありまして、作業が若干おくれております。しかし、六月初めには七カ国サミットもございますので五月下旬にはこれをまとめ上げなければならぬ、このように考えております。現在、五月下旬を目標にしまして作業を再開したいと考えておるところでございます。
#79
○依田委員 農産物の問題が出ましたときに、田澤農林大臣が、例の河本構想についてこれに賛意を表するような御意見がありました。しかし、その伝えられる真意は、例の日米経済摩擦の矛先をそらす、こういうことで言われたんじゃないか、こう言われておるわけであります。この河本大臣の河本構想、要するに各国が資金を出し合って、アメリカから穀物を買って、世界の食糧不足のところへ回したらどうか、こういう構想でありますけれども、この河本構想というのは、日米経済摩擦と連携はあるのですか、私はないと見ておるのですが。
#80
○河本国務大臣 これは日米経済摩擦とは関係ありません。
#81
○依田委員 これからいろいろと動きが出て、いま長官の言われたような五月の末までにぜひその具体的な案を提示していただきたい、こう思うのでありますけれども、一方、この農産物の問題が出てきた中で、アメリカ側の中にもどうもいろいろ意見があって、当事者能力というのか、そういうのが不足しておるのじゃないかとか、あるいはまた、少し日本をいじめ過ぎて反米意識などが日本の国の中に出てきた、こういうことじゃ困るので、この際、日米経済摩擦について少し手を緩めたらどうか、というような意見がアメリカの中にいろいろ生まれているというようなことも日本へ伝えられてきて、何となく日本側も、一時のような意気込みというのか緊迫感というのがなくなってきておるというふうに感ずるわけであります。それじゃ私は困るのじゃないかというふうに思うのでありますが、いまアメリカの議会の中の例の相互主義法案、この動きはどういうふうになっておるのでしょうか。
#82
○朝海説明員 相互主義法案の関係でございますが、しばらくアメリカの議会が復活祭の休暇で休んでおりましたが、また審議を始めるようでございまして、五月の六日あたりに相互主義法案についての公聴会が予定されておると承知しております。
#83
○依田委員 これは前にもお尋ねいたしましたのですが、基本的にはやはりアメリカが経済的に活性化を取り戻す、こういうことだろうと思うわけであります。
 そこで長官に、これは前に質問した時点と少し変わりますのでもう一回お尋ねをさせていただきたいのでありますが、前回のときはアメリカ経済の見通しについてお尋ねをさせていただきましたところ、あれだけ大胆な減税政策もとっておるので秋口からは回復するんじゃないかというようなお見通しをお述べになった。現在の時点で長官、このアメリカの経済見通しというものについてどういうお見通しを持たれておるのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
#84
○河本国務大臣 私は、前半は悪いと思います。後半から立ち直ってくるであろう、こう思っておりますが、来年は回復の軌道に乗るのではないか、こう思います。前回申し上げました見通しと変わってはおりません。
 近くOECDも経済見通しを修正して発表するようでありますが、伝えられるところによりますと、大きな流れは変わっていない。後半OECD全体の経済は回復に向かう、来年からおおむね軌道に乗るであろう、ただ、回復の幅が昨年の十二月の発表の時点よりやや低くなっておる、こういうことはございますけれども、大きな流れは変わっていない。
 アメリカ経済も後半から回復、来年は軌道に乗る、こういう見通しになるようでありまして、私どももおおむねそのようにいま考えております。
 御承知のように、そうはならぬという意見もございますけれども、あれだけ大胆な思い切ったことをやりますとやはり相当な効果が出てくるのではないか、物価も安定の方向にいっておるように思いますし、だんだんと条件は熟しておる、このように理解しております。
#85
○依田委員 それでは、日米経済摩擦の問題はその程度にさせていただきまして、例の韓国への経済援助の問題であります。
 連休中に櫻内外務大臣の訪韓なども伝えられておったわけでありますが、どうもその線もはっきりしない、こういうことでございます。そもそも日本の経済協力、経済援助の基本的理念というか、基本的方針というのはどういう方針で行われておるのか、お尋ねさせていただきます。
#86
○松浦説明員 私どもといたしましては、南北問題の根底にございますのは、相互依存とそれから人道的考慮を基本的な理念と考えておりまして、具体的には開発途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上を支援する、そのために援助を実施する、こういうふうに考えております。
 このような援助は、日本が平和国家であり、経済大国であり、かつまた、対外的な依存度が高い国であるということを考えますと、国際社会で果たすべき国際的な責任である、こういうふうに考えております。
 また、このような援助を通じまして日本が世界経済の発展、さらには世界の平和と安定に貢献することは、ひいては日本の平和と安定にも役立つ、こういうふうに考えておりまして、したがいまして、現在厳しい財政状況のもとにはございますけれども、昨年一月設定いたしました新しい中期目標のもとで、政府開発援助の一層の拡充に努めてまいりたい、こう考えております。
#87
○依田委員 韓国はいま、範疇の上から言うと中進国になるわけでありますが、これに対する援助も同じ理念のもとで行われるものでしょうか。
#88
○松浦説明員 先生御指摘のように韓国は中進国でございますが、中進国に対しましても、私がいま御説明いたしました経済協力の基本方針に基づいて対応したいと考えております。
#89
○依田委員 最近ここ二、三年の経済協力、経済援助の実績はどういうふうになっておるんでしょうか。
#90
○松浦説明員 現在、昨年の統計については集計中でございまして、まだ集計が終わっておりませんが、一昨年一九八〇年の実績で申し上げますと、日本の政府開発援助は全体で三十三億ドルでございます。これは七九年の二十六億ドルに対しまして大幅にふえております。ちなみに、八〇年といいますのは、前の三カ年倍増計画の最終年になっております。
#91
○依田委員 八一年は三十三億ドル、円借款が十六億ドル、これは八〇年ですか。
#92
○松浦説明員 三十三億ドルは八〇年の数字でございまして、先生がいまおっしゃいました円借款の数字も、ちょっと私、手元に八〇年の円借款の実績を持っておりませんが、大体そのぐらいであったかと記憶しております。
#93
○依田委員 いずれにしましても、年間、いまおっしゃったぐらいの金額が日本の経済協力のすべてであるわけであります。そこへもってきまして今度の韓国側の要求というのは六十億ドル、こういうことでございます。もちろんこれは一年間じゃございませんけれども、しかしこういう額になりますと、日本の経済協力の相当部分を韓国一国に出さなければならぬ、こういうことになるわけでありますけれども、韓国の出しております六十億ドル、この要求の根拠というのはどういうところにあるのでしょうか。いわゆる日本の安全保障を肩がわりしているのだから、これは最初の議論でありますが、最近出しておる要求の根拠はどうなっておるのでしょうか。
#94
○松浦説明員 御承知のように、韓国はことしの一月から第五次五カ年計画を発足させておりますが、ちょうど韓国経済は、七九年に始まりました第二次オイルショックで非常に影響を受けまして、現在非常に深刻な状況にございます。たとえば八〇年の経済成長率はマイナス六・二%ということになっております。八一年は一応七・一%に戻しておりますけれども、これは稲作が平年作に回復したというところに大きくよっておりまして、実態で見ますと、八〇年、八一年の二年間で大体〇・五%程度成長したにすぎないと言われております。それから、国際収支について見ましても非常に悪い状況が続いておりまして、経常収支、貿易収支、いずれも大幅な赤字が続いております。
 このような経済的な困難の中で、韓国は新しい五カ年計画を進めようとしておりますけれども、そういうことを背景にいたしまして、五カ年計画の中でどうしても外国の借款を必要とするというプロジェクトに対しまして、積算いたしまして六十億ドル、日本に要求を出してきております。
#95
○依田委員 もう少し細かくお尋ねさせていただきたいのですが、いわゆる五カ年の経済社会開発計画、この中でどういうプロジェクトに日本の金を使いたい、こういうふうに言っておるのでしょうか。
#96
○松浦説明員 六十億ドルの内訳を申し上げますと、全体といたしましてプロジェクト援助が三十五億ドル、それから商品借款二十五億ドル、合わせて六十億ドルを要請してきておりますが、このプロジェクト援助は十一の分野から成っております。十一の分野と申しますのは、主なものを申し上げますと、上水道、下水道、道路、多目的ダム、洪水対策、教育施設、医療施設、住宅等でございます。
#97
○依田委員 確かに向こうの方は、まだ教育なども、小学校は二部教育なども行われておるようでありますし、住宅は建っておりますけれどもいわゆる公共住宅は少ないということで、そういうものを拡大充実したい、その考え方は非常によくわかるわけであります。
 しかし、いずれにしましても、先ほど課長が言われたように一年間の日本の経済協力が三十三億ドルだ、こういう中で、韓国一国だけにたくさんのものを出すわけにはいかぬのじゃないか。ほかの開発途上国とのバランスもあるでしょうし、東南アジア、ほかの国々、みんな日本との貿易はインバランスになっておるわけであります。そういう意味でこの問題はなかなかむずかしいところに来ておるのじゃないかと思うのであります。巷間伝えられておりますように、これを日本側が四十二億ドルだとか、いろいろ数字を言われておるわけですが、これは韓国側に数字を出して交渉をされておるのでしょうか。
#98
○松浦説明員 私どもは、日本の経済協力の基本方針、特に円借款に関しましては、積み上げ方式、それから年次ベースという二つを基本にしております。したがいまして、韓国が従来から要求しておりますように、五カ年計画全体に対しまして借款を約束するということは基本的にできないと思っております。したがいまして、韓国に対しましてはいまのような基本的な考えを伝えておりまして、先生御指摘のように、具体的な数字を韓国に総枠として提示するということは従来もいたしておりません。
#99
○依田委員 そうなりますと、この連休中の解決というのはなかなかむずかしいのじゃないかと思うのですが、今後どういうふうなスケジュールでこの問題の解決に当たられるのか、お話しをいただきたいと思います。
#100
○松浦説明員 韓国は日本の隣国でございますので、私どもといたしましても、なるべく早く現在の経済協力の問題を解決いたしまして、日韓関係を今後とも発展させていきたい、こう考えておりますけれども、具体的にどういうスケジュールで今後臨むかということになりますと、現在政府部内で日本政府の案を検討中でございますので、それができ得ますれば、外交ルートを通じまして韓国側と折衝したい、こういうふうに考えております。
 それから、外務大臣の訪韓につきましても、私どもとしては適当な時期に実現させたいと思っておりますけれども、先生御指摘のように、連休にそれが実現するかどうかという点につきましては、いまから韓国側といろいろ話をしてみなければ、その辺の見通しについては現段階では立てるととはできないという状況でございます。
#101
○依田委員 ブッシュ副大統領は日本から今度韓国へ回られたわけでありますけれども、この韓国援助の問題について、日本側の事情はよくブッシュ副大統領に説明して、向こう側へいろいろ日本側の実情、考え方を伝えていただいているはずだろうと思うのであります。きょうブッシュ副大統領は韓国を離れられるわけでありますが、ブッシュ副大統領が向こうへ入って、逆に韓国側からの何か反応が外務省へ入っておるのかどうか、伺わせていただきたい。
#102
○松浦説明員 ブッシュ副大統領は、御指摘のように二十五日から二十七日まで韓国を訪問しておりまして、二十六日には全斗煥大統領とも会談したと伝えられております。しかしながら、副大統領の方も一連の会談がちょうど行われたばかりでございまして、私どもは、そこで日韓の経済協力問題がどのように取り上げられたか、それから先生御指摘の、それが韓国側の態度にどういう影響を与えたかという点に関しましては、全く連絡を受けておりません。
 ただ、一言つけ加えさせていただきますと、米国は従来から、今回の日韓の経済協力問題に非常に関心を示しておりますけれども、基本的な立場は、これは日韓両国間の問題である、日韓の両国間で十分話し合っていただきたい、米国がとやかく口を出すべき問題ではない、こういう基本的な立場を従来より示しております。したがいまして、今回のブッシュ副大統領の訪日の際にも、総理から日本の基本的な考えをお話しになりまして、それに対しましてブッシュ副大統領から、説明は非常にありがたいという簡単な返事があったと了解しております。
#103
○依田委員 この問題は、全斗煥体制の一種の試金石みたいな形になっておるのじゃないか。この問題がこじれると、全斗煥体制というか、全斗煥大統領の立場にもいろいろ微妙な影響を与えるのじゃないか、こう思うのであります。しかし一方、日本も、先ほどから言われておるような経済協力のいろいろな基本的方針があるわけでありまして、これを曲げてまで韓国一国に膨大な経済援助をやるというわけにはいかぬだろう、こう思うわけです。そういう意味で、この問題は二者択一というか、なかなかむずかしい谷間へ入っておるのじゃないか、こう思うのであります。
 しかし、余りおくれるということはまた問題をこじらせるだけでございますので、この問題はひとつ鋭意早く解決をしていただくようにお願いをさせていただいて、質問を終わらせていただきたい、こう思います。
#104
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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