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#1
第096回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和五十七年三月二十五日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 枝村 要作君
   理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君
   理事 楢橋  進君 理事 渡辺 省一君
   理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君
   理事 田中 昭二君 理事 小渕 正義君
      北口  博君    久間 章生君
      古賀  誠君    保利 耕輔君
      三原 朝雄君    山下 徳夫君
      塚田 庄平君    細谷 治嘉君
      岡本 富夫君    小沢 和秋君
      石原健太郎君
 出席政府委員
        資源エネルギー
        庁石炭部長   福川 伸次君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (石炭鉱業審議
        会鉱害部会部会
        長)      加藤 一郎君
        参  考  人
        (佐賀県知事)
        (佐賀県鉱害対
        策連絡協議会会
        長)      香月 熊雄君
        参  考  人
        (福岡県鉱害対
        策被害者組合連
        合会会長)   三村  保君
        参  考  人
        (三井石炭鉱業
        株式会社社長) 松田  修君
        参  考  人
        (石炭鉱害事業
        団理事長)   町田 幹夫君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措
 置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三
 号)
     ――――◇―――――
#2
○枝村委員長 これより会議を開きます。
 臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として石炭鉱業審議会鉱害部会部会長加藤一郎君、佐賀県知事・佐賀県鉱害対策連絡協議会会長香月熊雄君、福岡県鉱害対策被害者組合連合会会長三村保君及び三井石炭鉱業株式会社社長松田修君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております本案について、それぞれの御立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。
 それでは、まず加藤参考人にお願いいたします。
#3
○加藤参考人 加藤でございます。
 きょうはお招きをいただきましてありがとうございました。私がここへお招きを受けましたのは、石炭鉱業審議会鉱害部会の部会長ということだと存じておりますが、私の専門は民法でございまして、その関係から損害賠償について関心を持っているということで、特に鉱害復旧についての専門家というわけではないのですけれども、そういう関係で前からも部会に入っていたようなことがございまして、私が部会長として審議をするということになりましたわけで、その点よろしくお願いいたします。
 鉱害部会としましては、昨年の六月に大臣から、石炭鉱害関係二法の有効期間の延長についてという諮問を受けまして審議を進めてまいりましたが、昨年の十二月に答申を出した次第でございます。その審議の経過それから内容について、簡単に最初に御説明をいたしたいと存じます。
 まず、審議の前提としましては、現在復旧すべき鉱害量がどれくらいあるかということが問題になるわけです。これにつきましては、通産省で昭和五十四年からやっております鉱害復旧量の調査というのがございまして、昨年までにその結果が出ております。これは金額は五十四年当初の金額で出ておりますので、現在また復旧費等上がっておりますからもう少しふえているのかもしれませんが、そのときの金額としまして六千六百七十億円という数字が出ております。委員の中では、これは少し過大ではないかというような議論もございました。つまり、十年前、昭和四十七年に十年間の期間延長を決めた際には鉱害量は千七百億であった、そしてそれがその後十年間復旧を続けてきておりまして、最近では年間に六百億余りの資金を投じているわけですから、鉱害量は当然減っているはずだ、鉱害復旧の進捗率も、全体をならしてみますと八割近くまでいっているという状況なのに、なぜ現在六千億余りのものが残っているかというのが最初の疑問で、いろいろそれを資料などについて検討いたしました。
 通産省あるいは調査をした方の説明といたしましては、復旧は進んだけれども、その後復旧費が非常に増加しておりまして、昭和四十七年に把握した鉱害のうち、残存量が現在価格、五十四年価格で申しますと三千百億も残っている、そのほかに四十七年以後に増加した新しい鉱害、それから浅所陥没とか湧水とか、これは閉山に伴い、また閉山後の期間が延びるに従ってそういういままでになかった新しい鉱害がふえてきている、それからさらに科学調査が発達いたしましたり、あるいは裁定などによって新たに鉱害と認定されて復旧を要するものも出てきている、そういうものを合わせますと六千六百七十億になるという説明でございました。私どもとしては、そういう数字として一応納得がいく説明がありましたので、それを前提として審議を進めることになったわけであります。
 次に第二には、それではこの石炭鉱害関係二法を延長すべきかどうか、延長するとすれば何年が適当かということが問題になりました。これは必ずしも、当然延長しなければならないというものではないわけで、本来、鉱業法の鉱害賠償制度から申しますと、これは賠償義務者である鉱業権者と被害者との間の私法的な賠償で済ますはずのものでございまして、鉱業法には、御承知のとおり無過失の鉱害賠償制度というものが昭和十四年からできております。しかし、それでは一たん鉱害に遭いました農地あるいは家屋等の復旧が進まない。と申しますのは、鉱業法では金銭賠償の原則をとっておりまして、極端なことを言いますと、被害農地を時価で買い上げればそれで金銭賠償は済んでしまうという形になっております。しかし、それでは荒れた農地はそのままでございますから、復旧法をつくりまして、国土保全の見地と民生安定の見地から国が補助を出して復旧をしようというのがこの趣旨でございます。ですから、復旧法がなくなりましても鉱害賠償だけで動かないわけではない。しかし、戦後のいろいろな事情、それから、産炭地域のいろいろな事情を考えて臨鉱法をつくって復旧をしようということに踏み切ったわけでございますから、現在これを突然やめることはもとより適当でないだろう、やはり被害が残っており、その復旧が必要な限りはそれを続けるのが妥当ではないだろうかということで、これは延長をすべきである。
 それでは何年延長するかということになりますが、いままで大体十年刻みで延ばしてきておったのですが、現在はいろいろ行政改革の問題もあり、国庫の支出を抑制するという要請もあるので、委員の中でもかなり厳しい意見もございました。つまり、かなり資金を投入しているけれどもなかなか鉱害がなくならないではないか、一体効率的にやられているのか、あるいはそれは少し見積もりが放漫に過ぎるのではないか、それから、実際には産業化している、というと語弊がありますが、復旧事業でかなりの労働力が雇用されておりますので、そういうものがずっと永続していくのでは困る、いろいろな御意見がございました。しかし、やはりまだ鉱害が残っている以上、それを復旧するのが本筋である。本来ならばこれを完全に復旧すべきでありますが、そうだとしますと、いま六千何百億、それでこれが五十四年の計算ですから、五十七年までは三カ年復旧しておりますので、それがまた千億余り減っているはずですけれども、いずれにしても現在の年間六百億余りの復旧量でまいりますと、十年というのはやはり一つのめどではないだろうか、復旧費もまた上がってまいりますから、それで完全になくなるかどうか必ずしもわかりませんが、ともかく十年間で鉱害を完全に復旧するという態度で十年間の延長を決めるべきである、そういうのが部会の結論でございます。
 さらに、今度は期間を延長するとした場合に、いまの臨鉱法の中身はそのままでいいだろうかということをいろいろ検討いたしました。これは被害者側の団体あるいは石炭鉱業の方からの要請と、いろいろな要望が出てまいりましたので、それを逐一個別的に検討して、とるべきかどうかを見たわけであります。しかし、法律自体としましてはこれはいままで数次の改正を経てきておりまして、その間に、法律的にやれるところあるいは財政的にやれるところは一応手を打ってあるという形で、いま法律改正をしてまで改善をしなければならないという点は直接はない、それから、いまの厳しい情勢からすると、これ以上改正をすることは適当でない、そういう判断から、法律の新たな改正はしないで、運用上措置ができるところは運用の問題として考慮していったらいいのではないかということで、個別的に検討した項目それぞれにつきまして部会としての結論を一応出しておりますが、それは、いまの臨鉱法のたてまえ、制度の枠組みはそのまま維持しながら、運用の点で改善できるところは改善した方がいい、そういう結論になっております。
 いろいろ細かい項目はございますけれども、それは一々御説明している時間もございませんので、大きく申しますと、効率的に復旧を図るべきである、計画的、効率的な復旧の促進ということ、それから、できれば地方公共団体にできるだけ協力をしていただきたい。これは有資力、無資力の鉱業権者が併存しているような複雑な地区もございますし、そういう場合に鉱業権者、被害者それから事業団、そういうものの話し合いを円滑に進め、それを取りまとめていくためには地方公共団体にも御援助をいただきたいという考えでございます。
 そんなことで私の持ち時間も一応終わりましたので、これで最初の話は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
#4
○枝村委員長 ありがとうございました。
 次に、香月参考人にお願いいたします。
#5
○香月参考人 私は佐賀県知事の香月熊雄でございます。衆議院石炭対策特別委員会の諸先生には、鉱害復旧につきまして日ごろから格別の御高配を賜っておるわけでございまして、さらにまた、臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償法等の一部改正に当たりましても格別のお力添えをいただいており、この機会に改めて厚く御礼申し上げます次第でございます。
 さて、本日審議されております鉱害二法は、いずれも佐賀県鉱害地域におきましてはきわめて重要な法律でございまして、大変関心を寄せていたところでございます。私に発言の機会を与えていただきましたことに対し、心から厚く御礼申し上げます次第でございます。佐賀県の残存する鉱害量はおよそ一千億円と推定しておりますが、十カ年間の延長はまことに妥当ではないかと考えておるところでございます。ただいまから、法律延長に当たりまして、実情なり意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず第一点は、鉱害対策費の確保と復旧の促進についてでございますが、事業の財源であります原重油関税収入は、現在の脱石油と申しますか、いろいろな省エネの関係で輸入が落ち込んでおりまして、今後関税収入の落ち込みが予想されるわけでございますので、予算の安定的確保を図っていただきますとともに、国の長期計画策定に当たりましては、県の意向を十分反映していただきまして、計画的な復旧ができるようにしていただきたい、このように考えます。
 次に第二点は、軟弱地盤地域の施行制度確立についてでございますが、本県の有明海に面します軟弱地盤は全国一と言われております。ところで、本県鉱害量のおよそ八〇%は、この全国一の軟弱地盤地域でございまして、ほかの地域に比べまして農業用施設及び家屋の基礎工事等で約三倍の割り高になっております。計画的復旧を図りますためには特別な予算措置が必要であろうか、かように考えます。
 なお、この地域では、現在最良と考えられる工法で復旧しておりますが、復旧後、沈下、傾斜等により手直し、または再復旧の必要が生じております。このことから、特別に地域の実情を踏まえて、予算の重点配分並びに補修工事の実施などにつき適切な対応が絶対必要ではないか、このように考えております。
 第三点は、果樹園鉱害認定基準の緩和についてでございますが、果樹園特にミカン園の鉱害は、地下採掘によって生じた亀裂によりまして、地下水及び保水力が低下したものでございます。
 本県での申し出面積は、千二百三十九ヘクタールが申し出されておりますけれども、認定内示になりましたのは七百十ヘクタールでございます。非認定が八百二十九ヘクタタールということになっております。未認定内示を受けた被害農家は、この基準を十分納得せず、農家間の融和が損なわれておりまして、県としても大変苦慮いたしておるところでございます。
 現在、なお地下水及び保水力は依然として復元していない樹園地もございます。未認定園につきましては、科学的に影響範囲や安定の時期について調査検討をいただきまして、実情に見合う判定をしていただきたい、かように考えておるところでございます。
 第四点は、ボタ使用家屋の再復旧制度の確立についてでございますが、ボタを使用した鉱害復旧は、ボタ山処理を兼ねまして、国の強い慫慂によりまして県も同調いたしまして、国、県が奨励したものでございまして、本県でも六百五十四戸の家屋が復旧されておるわけでございます。このうち、生ボタを使用した家屋では物理的、化学的変化を起こしまして、亀裂あるいは腐食、悪臭が発生しておりますが、これは居住者にその責めを負わせることはできないものと、かように考えます。したがって、何らかの改善措置が絶対必要ではなかろうか、このように考えます。
 第五点は、賠償能力のない有資力炭鉱の無資力化促進についてでございますが、佐賀県におきましては、東松浦郡、西松浦郡地方に古い中小炭鉱が相当数ございます。これは、交渉に応じないものが一社、当事者能力がないものが三社、また、能力がございましても債務超過のためにいまだ解決しないものが二社ございまして、実害がありながら鉱害認定が進まず、社会問題となっております。この問題を早期に解決するためには、国の強い行政措置が必要と思われますので、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
 次に第六点は、鉱害認定の促進についてでございますが、法改正によりましてその期限内に復旧させるためには、認定の促進を図る必要がございます。未認定の中には、科学調査等を必要とするものが本県でも相当数あるようでございます。したがいまして、調査委員等の増員を図るなど、随時対応できるような措置を講じていただきたい、このように考えます。
 次は、第七番といたしまして、山林原野の浅所陥没について申し上げたいと存じます。
 山林原野の鉱害復旧につきましては、原則として、御答申のとおり、やむを得ないものと考えております。しかしながら、山林原野に現在発生している浅所陥没、亀裂等は、そのまま放置すると人命にかかわる危険性がございますし、さらにまた、災害を誘発するおそれが多分にございますので、適切な措置をしていただきますようお願い申し上げるところでございます。
 次に、最後でございますけれども、鉱害打ち切り金銭賠償受給者に対する救済措置についてのお願いでございます。
 本県では、農地で約六百三十ヘクタール、家屋でおよそ千八十二戸が金銭賠償で打ち切られておりますが、賠償法体系から復旧の対象とならないことは原則としてもっともでございますけれども、当時、現地の実情は、十分内容を知らない被害者が多く、また、半ば強制的、高圧的に涙金で解決しているのがほとんどでございます。これに対しまして、県等におきましての行政指導も不十分であったと考えられます。しかしながら、現実的には、鉱害のためにその地域が非常に苦しんでおります。金銭賠償で広域的に処理されている地域については、別の角度から、用排水路、農道等の農業用施設あるいは県道、町村道等の公共施設につきましての救済策がないか、ぜひひとつ検討をお願いいたしたい、このように考えます。
 以上八点について意見を申しましたが、よろしく皆様方の御検討を相煩わしたい、このように考えます。どうもありがとうございました。(拍手)
#6
○枝村委員長 ありがとうございました。
 次に、三村参考人にお願いいたします。
#7
○三村参考人 三村でございます。鉱害被害者の立場から、お願いと希望を申し述べさせていただきたいと思います。
 本日、臨時石炭鉱害復旧法と石炭鉱害賠償法の期限延長の御審議に参考人として口述の機会を与えてくださいましたことを衷心から御礼申し上げたいと思います。
 福岡県の石炭鉱害は、筑豊地方に大体集中しております。私の申し上げます筑豊地方とは、粕屋郡、嘉穂郡、田川郡、鞍手郡、遠賀郡と山田、飯塚、田川、直方、中間の各市と北九州市の一部を含んだ地区のことでございます。
 通産省で鉱害量調査を行っていただきましたが、昭和五十七年初めで、全国ベースではなお六千億円からあると言われておるようでございます。従来、筑豊地方の鉱害は、全国鉱害量の約八割弱が筑豊地方に集中しておると言われております。そういうことから考えてみますと、この狭い筑豊地区になお五千億に近い鉱害が残存しておると考えられるわけでございます。この鉱害量の残存は、大体一遍にできたものではございません。ずっと古くから起こっておるようでございまして、その間、地域住民なり、特に農民の生活基盤の阻害ははかり知れないものがあったと思います。
 私の住んでおります部落は、大体筑豊のどこにでも見られるようなありふれた部落でございますが、この部落も明治の終わりごろから一部の鉱害があったようでございますが、炭鉱が長壁式の採炭方法をとり始めました昭和に行ってからの鉱害は急速に進んでおります。その上、戦時中の乱掘、終戦後の国家再建のための強行採炭は、部落の農地四十五ヘクタールのうち二分の一を水没させてしまいました。残りの二分の一は無収田に近い鉱害減収田となったわけでございます。当然、農民は生活ができませんために転業等を余儀なくされたわけでありますが、その上、家屋は地盤沈下のために再々浸水するというような悲惨な状態でございました。
 それが、昭和二十二年以降鉱害関係のことが考えられ、あるいはその後に至りまして、臨時石炭鉱害復旧法等が施行されましたことによって、最近に至りましてようやく農地らしい形態がよみがえってまいりましたけれども、半世紀以上にわたる鉱害との戦いは本当に苦難の連続であり、また忍従の一語に尽きると言えます。それでも私の部落は復旧に取り組んだのが早かったのでありまして、やや農地も返ってまいりましたが、復旧途上の被害者や未着手の鉱害地のことを思いますと、何とも言えない気持ちになるわけでございます。先生方も数次にわたり現地をごらんくださったと思っております。鞍手郡の小竹町の鉱害、遠賀川の堤防を走っております国道二百号線からごらんいただければその無残さがはっきりわかっていただけると思います。こういう地区は、単に小竹町だけでなくして、宮田町、桂川町、田川市等至るところにそういう状況が見られるわけでございまして、地域住民は一日も早く復旧されることを強く望んでおります。旧産炭地の浮揚が叫ばれておりますけれども、鉱害復旧がない限りは、この筑豊の浮揚は望まれないとさえ言われております。
 石炭合理化法によります炭鉱閉山で、筑豊から鉱山は完全に姿を消しました。しかも数年以上を経過しておりますので、鉱害も安定しており、新しい鉱害の発生を考慮する必要はほとんどなくなっておると思います。復旧の時期、条件はそろっております。このような時期に関係法律の期限が迫りました。残存鉱害解消のために提案されております関係法律をぜひ延長していただいて、計画的復旧が行われるよう御配慮をお願い申し上げますとともに、今回の審議で、十年の間にぜひとも鉱害をゼロにするようにしていただきたいというふうに考えておりますが、私どもも長い間鉱害に苦しみたくないと考えておりますので、今回限りの延長にしていただいて、今度の十年間にはぜひとも鉱害を完全に復旧していただきたいとお願いする次第であります。
 次に、鉱害復旧の財源についてお願い申しておきます。
 復旧財源は、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定で賄われておることを知っておりますが、ここ二、三年は毎年のように年度途中で、歳入不足の心配から、一時的でありますが復旧見合わせ等の処置がとられております。関係のお役所や先生方の御配慮により、各年度とも年度内には復旧工事見合わせは解除され、混乱なく済みましたが、今後十カ年に六千億からの鉱害を復旧することになりますと、復旧量に応じた財源が当然必要になってまいります。新聞では、石油の輸入減少傾向が続くかのような報道をたびたび掲載しております。素人の私には、財源はこれで安心かというような不安がたびたび起こります。当然、復旧計画を担当される関係省では十分考慮されることと思いますが、財源不足による復旧の遅延、そのために法律の再延長問題が起こることのないように十分御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 次に、復旧工事について意見を述べさせていただきたいと思います。
 第一が、復旧工事施行後に起きる追加工事についてであります。
 追加工事とは、復旧工事着手前には予想していなかった悪い状態が工事竣工後起こって効用回復が不十分なものに対し、回復を図るために行われている工事のことであります。農地の復旧工事が終わりますと、効用回復の検査が行われることになっております。効用が回復しておると認められますと、加害炭鉱の賠償責任は解除されます。しかし、農民が復旧田を一年か二年耕作してみて、効用の回復が不十分であることがわかりますと、法律に従って再検査の請求をしたり、あるいは再工事施行の陳情等を行った農地に対して行われている工事を追加工事と申しておりますが、早急に工事を着工していただきたいと考えております。
 しかし実態は、十数年を経てまだ追加工事が施行されない地区さえあります。今日のような追加工事の施行量程度では、法律を十年延長していただいても、延長期間内に追加工事が完了するとは思われません。炭鉱は復旧工事の終了で責任を解除されますが、農民は鉱害が残っている状態の田を耕作しなければならないような状態であります。そのために、農用地としての利用幅に大きな支障があることはもちろんでございますので、追加工事の必要田は早く工事をしていただきまして、農用地として十分活用できるようにしてもらいたいとお願い申し上げます。
 なお、追加工事については、家屋復旧等にはこの方法がとられておりませんが、復旧後の戻り現象が強かったり、軟弱地盤等のため復旧効果不十分なものがございますので、農地同様の追加工事を考えていただきたいと思っております。
 第二が、農地復旧に伴う可動井せき、揚排水ポンプ等の維持管理についてでございます。
 有資力炭鉱は、こんな施設をつくりますと、維持管理費を計算方式によって計算して一応積み立てることになっております。しかし、無資力炭鉱の復旧の場合は、維持管理費の積み立てが行われず、毎年の必要経費を石炭鉱害事業団が支払っております。事業団九州支部では、施設約八十カ所、年間経費おおよそ一億円程度を支払っておると思っております。法律が十年延長されますと、その間の経費は支払われますが、その後の対策、方針は何ら示されていないように聞いております。また、早く施設をいたしましたこういう施設が、すでに耐用年数が来ておるものの、更新等について明らかではありません。法律延長に際しましては当然考えていただいていいのではなかろうかと考えておりますが、十年延長されますとその期間だけは事業団で保証されますので、この期間中に将来どうするかということをぜひ考えていただきたいと考えております。
 第三の問題は、坑内水の揚水についてであります。
 閉山炭鉱が、坑内水が充満した場合、あふれ出たり鉱毒水が地上に影響を与えるというようなことを十分考える暇もなく閉山したために、地上に湧水などの新たな鉱害現象が出てまいりました。今後の復旧に当たっては対策が織り込まれることは当然だと思っておりますが、閉山炭鉱の一部では、地下水の上昇、鉱毒水の流出等の被害発生を恐れて、常時坑内水の浄化あるいは揚水を続けながら復旧工事の実施または復旧計画を進めているものがございます。復旧工事の終わった後のこういう揚水機の維持管理のいかんは、復旧地の効用回復を左右すると思われます。もし万一揚水を中止すれば、地下水の上昇による湿害、鉱毒水の被害が発生することは十分予測されます。これらの施設の維持管理は炭鉱の責任で行っておりますが、鉱毒水の浄化や坑内水の揚水は永久に続けなければならない可能性が十分であります。炭鉱が永久に維持管理を続けると被害者に強調なさっても、企業である以上、被害者の不安はとうてい払拭されるものではありません。復旧実施計画の同意に不同意が生ずることも当然だとさえ考えられるのであります。結局地下水の上昇を抑える揚水を続けながらの復旧かさ上げ高さに同意しかねるのは、ある意味では当然だと思っております。ときどき鉱業権者の一部から被害者の同意が得られないという言葉が聞かされることがございますが、被害者が同意する前提は、被害者の不安を解消させ、効用回復限度の確保にあることを先に考える必要があると思っております。閉山後の鉱害処理にこんなことが問題になるとは考えておりませんでしたけれども、現実にはこういう問題が起こっております。
 どうしても復旧を進めるために揚水を中止するわけにはいかない、あるいは揚水を永久に続けなければほかに方法がないというならば、被害者が納得できることを考えてほしいと思っております。被害者は企業の努力にも限度があると思っているのが不安の原因だと思っております。
 これらの炭鉱の揚水は、その地区で最後まで採炭を行ったため、周囲の閉山炭鉱の坑内水が集中したとも言われております。結局、どこの炭鉱の坑内水かわからないものを全部引き受けて揚水しているとも言われております。そんな状態ですから、国がめんどうをみてやるとかあるいは補助するとかの方法で関与していただくことができれば、企業の揚水が困難になっても国が最終的にはめんどうをみてくださるであろうということを考えておりますので、被害者の懸念解消にもそういうことを考えていただきたいと思っております。
 第四は、鉱業権による鉱区は持っておるけれども、ただ単に名義人だけであって採掘等の仕事をしていない、こういう名義だけ持った鉱業権者の鉱害の処理に困っております。場合によっては和解仲介等に提出しておりますけれども、意見書の提出も、あるいは何回請求してもお役所に出てこないというようなものがございまして、これには困っておりますので、何とか善処していただきたいと思います。
 ほかの件は、さきに説明されました香月知事さんと重なりますので遠慮させていただきますが、金銭賠償済みの物件で、農地等は大きな集団で打ち切り賠償がなされております。それで、農地だけを打ち切りしておるが、横の排水路あるいは農道等は当然打ち切りがなされていないので、幹線水路等につきましては現行法の対象になっておりますが、農地が復旧の対象にならない金銭賠償打ち切りをやっておりますので、そういう関連した農地あるいは用排水路、農道等はそのままになっておりますので、この点についても御配慮をお願い申し上げまして、私の口述を終わらせていただきます。(拍手)
#8
○枝村委員長 ありがとうございました。
 次に、松田参考人にお願いいたします。
#9
○松田参考人 私、三井石炭鉱業株式会社の社長をしております松田でございます。
 石炭政策、とりわけ石炭鉱害対策につきましては、かねてから本委員会の諸先生方並びに関係御当局には格別の御配慮をいただきまして、その点厚く御礼申し上げます。また、本日、私ども有資力賠償義務者の立場から発言の機会を与えていただきまして、この点も心からお礼申し上げたいと存じます。
 石炭鉱害対策につきましては、昨年十二月石炭鉱業審議会におきまして鉱害二法の有効期間延長についての答申がなされまして、今回の法律改正案の御審議をいただくことになりました。これまでに数次にわたる制度の改正により逐次助成を拡充強化していただきまして、私どもといたしましても鉱害復旧に鋭意取り組んでまいりましたが、遺憾ながら、当社を含めまして、有資力賠償義務者が復旧すべき鉱害がなお相当量残存しているのが現状でございます。
 私ども有資力賠償義務者といたしましては、答申並びに改正法律案にありますように、鉱害二法の有効期間をぜひとも十年間延長していただきまして、この期間内に関係御当局の適切な御指導のもとに計画的、効率的な復旧事業の推進を図りまして、これら累積鉱害の最終的な解消に向けて最善の努力をいたす所存でございます。そのためには、鉱害復旧体制の整備を初めとして、以下申し述べさしていただきます諸点につきまして、本委員会の先生方にぜひ御理解をいただきまして、今後の復旧事業の実施について格別の御高配、御援助を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 まず第一番に、鉱害復旧体制の整備について申し上げます。
 現在、鉱害復旧工事の施行者は、主として有資力賠償義務者、地方公共団体及び石炭鉱害事業団、この三者でございます。これら施行者の行う鉱害復旧事業は、いずれも地域住民に密接に結びついていること、及び近時地域開発等との関連がますます高まっていること等によりまして、国と関係地方公共団体が行う各種公共事業と整合性を持ったものとすることが肝要だと考えられます。これらの諸事業間の調整及び鉱害復旧工事の施行者間の調整がそれぞれ十分なされないまま個々に各事業が進められますと、相互の事業間の施行期間のずれや施行内容の格差が生じ、その地域の鉱害復旧事業が遅延し、費用の二重投資にもつながり、社会経済的に見て不合理なこととなると思われます。たとえば田川地区の彦山川左右両岸地域のような、一つの水系で複数の賠償義務者が関係している重鉱害地域におきましては、鉱害復旧事業の実施に際しては十分な調整を行い、全体的な復旧計画を作成して施行する等、鉱害復旧がその他の事業と実質的に一元化して処理されるよう御配慮をお願い申し上げる次第でございます。これにより、広域的な鉱害復旧計画の樹立が容易となり、復旧の促進が図られるものと考えております。
 第二に、鉱害復旧事業費の補助率について申し上げます。
 私ども有資力賠償義務者は、臨時石炭鉱害復旧法による復旧の際、おのおのの工種によって定められた補助をいただき、自己負担である納付金と合わせて復旧事業を実施いたしております。この補助率につきましては、先生方初め関係各位の特段の御配慮により逐次改定いただき、特に農地につきましては格別の御配慮をいただきましたことに対し、心から厚く御礼申し上げる次第でございます。
 しかしながら、大量の累積鉱害を抱えております私ども有資力賠償義務者としましては、その復旧促進に鋭意努力しておりますが、現今の復旧費の増大と厳しい経営環境の中で苦慮いたしておる次第であります。つきましては、家屋、公共施設等についても補助率を農地と同様に引き上げていただきまして、復旧の促進について一層の御援助を賜りますようにお願い申し上げます。
 第三に、さきに申し上げましたことと関連いたしますが、鉱害賠償資金及び鉱害防止資金の融資制度についてお願い申し上げます。
 鉱害賠償資金及び鉱害防止資金につきましては、石炭鉱害事業団から御融資いただいておりますが、融資対象など諸条件について制約があり、かなりの自己調達を行い復旧事業を行っている現状でございます。先般は、これらについて御理解をいただき、融資率の引き上げ、返済条件の緩和につきまして種々御検討を賜っておりますことに対し心から厚く御礼申し上げる次第でございます。
 しかしながら、今回の鉱害二法の延長の期間内に累積鉱害の解消を目指すということになりますと、現在までの復旧のテンポをさらに上げて、相当程度の復旧量を毎年消化していかざるを得ないと考えております。その際どうしても問題となってくるのは復旧費の財源であります。さきに申し上げましたとおり、昨今の厳しい経済情勢の中で、関係諸方面の御協力、御支援をいただき、自助努力も精いっぱいいたしておりますが、残念ながら鉱害賠償資金を長期的かつ安定して負担でき得る企業体質をいまだ持ち得ないというのが実情でございます。つきましては、鉱害復旧には欠かすことのできない間接経費等をも融資対象に加えていただくとともに、あわせて利率につきましても近代化資金と同様に引き下げていただくよう特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。
 第四に、石炭鉱害復旧事業費の予算についてお願い申し上げます。
 先般の答申の、累積鉱害を十年間で最終的に処理するためには有資力鉱害の復旧を促進しなければならないとの御指摘を肝に銘じて私どもは鋭意復旧に努力いたしたいと考えております。それにつけても、有資力賠償義務者といたしましては、今後とも臨鉱法等に基づく助成をいただきながら復旧を進めていかざるを得ない現状にあります。つきましては、今後とも石炭鉱害予算の確保につき、特段の御尽力を賜りますようお願い申し上げます。
 さらに、関係御当局には特段の御配慮をいただいておりますが、有資力賠償義務者に対する臨鉱補助金の交付につきましては、今後十年間で有資力の累積鉱害の解消を目指すため、有資力に対する補助金の重点配分について関係各位の格別の御配慮を賜りますようあわせてお願い申し上げる次第でございます。
 第五に、筑豊地区を中心に赤水湧水現象が発生しておりますが、これについて一言述べさせていただきます。
 この赤水湧水については、自然現象も関与しているものと思われますが、さらに周辺炭鉱が関与していた水が、最後まで操業していた炭鉱あるいは低地で操業していた炭鉱周辺に湧水しているものであります。
 関係有資力賠償義務者は、その被害の拡大を防止するため、緊急対策として、自己の負担によりその処理施設を設置してこれを維持管理しているのが実情であります。つきましては、赤水湧水の処理体制について御検討賜りますとともに、当該設備の設置、維持管理に要する費用及び赤水湧水に起因する被害につきまして助成賜りますよう特段の御配慮をお願い申し上げます。
 第六に、石炭鉱害の紛争処理制度の強化についてお願い申し上げます。
 現行の鉱害紛争処理制度としては、御高承のとおり、鉱業法に基づく和解の仲介、臨鉱法に基づく裁定制度がありますが、今後十年間で累積鉱害の解消を目指すとなりますと、鉱害の存否、賠償責任の認定、鉱害量の認定をめぐって一層困難な問題が多発するものと思われます。つきましては、これらの紛争を迅速に解決し、復旧の促進を図るため、現行の裁定制度の機能を強化して、強力なものとするよう御検討くださいますようお願い申し上げます。
 以上、終閉山鉱害について申し上げましたが、稼行中の炭鉱においても新しい形の災害が発生しております。たとえば、一部の海底炭鉱においては、採掘の進展に伴い海底の一部が沈下いたしまして、ノリの養殖などに影響を生じておりますが、漁業組合との間で自主交渉を行い、これを解決いたしております。しかしながら、炭鉱の経営はきわめて厳しい状況にありますので、これが助成の方策等について御検討賜りますようお願い申し上げます。
 私ども有資力賠償義務者といたしましては、今次答申の趣旨を十分理解し、その責務の遂行につきあとう限りの努力をいたす覚悟でございますので、先生方各位におかれましては、本法律の改正案につき特段の御配慮を賜りますようお願い申し上げまして、私の陳述を終わらしていただきます。
 どうもったない話を御清聴いただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)
#10
○枝村委員長 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#11
○枝村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
#12
○愛野委員 各参考人の皆さんにはまことに御苦労さまでございます。私は、加藤参考人と香月参考人にお伺いをしたいと思うわけでありますが、二十分の時間でありますので、その時間の範囲内におきまして質問をさせていただきます。
 まず、加藤参考人にお伺いしますが、先ほどのお話の中にもございましたように、エネルギー事情の変化から、鉱害二法が、一番当初法が制定されたときよりも著しく――答申までの過程において意見が出された。言うなれば鉱害復旧が、ちまたにおきましては何やら前向きの予算じゃないようなことを言う方もあらわれるわけでありますが、このことについて、私は、やはり鉱害二法は一番当初の立法の精神そのものが貫かれねばならない、それも日本の石炭政策の一つであると思うが、御所見をお伺いをしておきたいと思うわけであります。
 その二番目は、先ほどから三村参考人からもお話があっておったようでありますが、鉱害の残存鉱害量が、いろんな要因があったでありましょうが、石油危機による復旧費の上昇等によって未復旧のものも残った。そういうわけでありますから、石油特別会計等々先行き不安の場合に何かそれにかわるような財源等々について論議があったかどうか、この点です。
 もう一つは、先ほどの佐賀県の知事さんのお話であったと思いますが、生ボタを使用した家屋鉱害復旧では、これはせっかく復旧をいたしましても、物理的、化学的な変化で亀裂、腐食、悪臭が発生しておって、これを居住者に責任を負わせるというのは法律上の法学者としてのお立場からどういうものであるか。私ははっきり申し上げますと、これはやはり現在再復旧制度がないわけでありますから仕方ないということ、もしくは何かそれに関連づけてしていただいておるということでありましょうけれども、これは再復旧制度をつくるべきではないかと私は思うわけでありますが、この三つについて御意見をお伺いしたいと思います。
#13
○加藤参考人 私どもの立場からお答えを申し上げます。
 まず、エネルギー事情の変化との関連でございますが、臨鉱法、鉱害復旧制度というのは戦後の石炭政策との関連で出てきたもので、国土の復旧、民生の安定ということを国として金をかけてやるべきだ、そういうことで出てきたわけでございますが、鉱害部会の中でも、これは前向きの予算でないといういまのようなお話の議論もございました。これは直接国が法律的な復旧義務を負うというものではない、つまり本来義務者は鉱害を起こした鉱業権者であるわけですけれども、やはり国としても、政策的には戦後の石炭政策の点で復旧をすべき道義的な責任といいますか、そういうものはあるだろうと思いますし、それから、アメリカのように広いところであれば、そこはもう放置して金をもらってよそへ移って新しい仕事をするということも可能かもしれませんが、わが国のように国土の狭隘なところでは、やはりどうしてもわずかな土地でも復旧していくことが望ましいというように思われます。そういう事情は今日でも変わっていないことはおっしゃるとおりでございまして、その点でやはり鉱害部会としてはいまの制度を維持し、かつ既発生の鉱害は復旧すべきであるという結論でございます。そういたしませんと、またいままで復旧を受けた人と、これはいろいろな事情で復旧がおくれているところもございますので、不公平という問題もありますから、できた鉱害はやはりこの十年間に全部復旧すべきである、そういう考えでございます。
 それから第二点で、予算の方の問題でございますが、これは鉱害部会の議論の中でも、石炭の予算をもっと前向きな方に使うべきだという御意見もございました。しかし、これは鉱害部会としてはいまの制度をどうするかという制度的な見地から意見を直接出すべきもので、予算を具体的にどう使うかは、これら政府、国会で政策的に御判断いただくことではないだろうか。その辺、予算をどう使うかというところまで入りますとこれはまたいろいろ議論が出てまいりますので、こちらとしては、いままでの予算が一応それで、そこから復旧費が出ておりますし、それは先ほど申しましたように、たてまえとしては今後も続けるべきものであろうという見地から、予算の使い方までは立ち入らない。考えとしては、いままでどおりそれを使って復旧をするのが適当だということは内々にはもちろん考えているわけですが、答申の中には予算的措置までは書かないということにしたわけでございます。これは政策的見地あるいは大局的見地から御判断いただくべきことであろうというように思っております。
 それから、第三点の生ボタを使用したところの再復旧の問題でございますが、これは一つは事実問題としてなかなか判定が困難であるというものもございますし、それから、本当に工事のやり方が悪い、そこに欠陥があったということであれば、これはその点から法的に救済を求める道もないわけではない。再復旧の制度をつくることはいまの臨鉱法のたてまえで、つまり一たん復旧が終わればそれで一応復旧義務は消滅するというたてまえをとっているものですから、それを崩すことはほかにも非常に大きな波及するいろいろな問題が出てまいりますし、また財源の問題もありまして、そこまではなかなか全体をカバーするわけにはいかない。そこで、これは運用の上で本当にやり方に欠陥があったということ、それからその被害が一定以上の相当大きなものになっているというものについては、個別的に検討して措置ができるのではないかというように思いまして、再復旧の制度ということは法的には一応考えないで、あとは運用で適切な配慮をお願いするという一応の結論になったわけでございます。
 以上でございます。
#14
○愛野委員 いまの生ボタの問題は、財源等々いろいろな問題で制度化はできないが、運用の面で個別的な措置は十分やるべきであるという前向きの御答申の内容であろうと受けとめておるわけであります。また、役所の中でも鉱害課が自信を持って、いまの加藤参考人の御意見であるわけでありますから、一番重要な役所であるという自信を持たれたことであろうと思っておるわけであります。
 次に、香月参考人にお尋ねをいたすわけでありますが、私も佐賀県でありますから、しかも十年前は私も県会議員で、私が質問する立場、知事さんが農林部長で答弁する立場で、鉱害復旧に対する御苦労というものは並み並みならぬものである、毎県会ごとに私も知っておるわけであります。
 そこで、福岡県とほとんど重複しておるわけでありますから、佐賀県の特別の問題にしぼって御質問をいたしておきたいと思います。
 佐賀県は全国でも有数な軟弱地盤でありまして、佐賀平野、白石平野、ここに国の石炭政策によってその軟弱地盤の石炭を採掘したわけでありますから、当然これはほかのところと違って復旧費が大変な額になるというのはもう明らかであります。御意見によりますと、復旧費が非常に割り高である、このようなところでは予算の重点配分をしていただきたいと言われたわけでありますが、具体的にどのような被害がこの軟弱地盤以外と比較して生じておるのか、また、どのような支障を来しておるのか、御説明をいただきたいと思うわけであります。また、具体的な特別の配慮や措置というものは、知事さんはどういうことをお考えになり、御要望になっておられるのか、これが第一点。
 それから第二は、これも佐賀県独特の果樹、ミカン鉱害の問題であります。この問題は昭和五十五年三月、鉱害物件として認められたわけでありますけれども、この一応の面積が示されたわけでありますが、これについて地元の納得がなかなか得られないで、いろいろと苦慮されておるわけであります。われわれも地元からいろいろと陳情、苦情を聞くわけであります。しかも同じ地域で、内示があるところと内示がないところとあってみたり、何かさっぱりとわからぬわけでありますが、行政の当事者として参考人は非常な御心労をしておられる、こういうふうに思うわけでありますから、その被害の実態等、また原因はどこにあるのか、ちょっと具体的に御説明をいただきたいと思います。
#15
○香月参考人 お答えいたします前に訂正させていただきたいと思いますが、ミカン園鉱害の未認定園あるいは非認定園と申しますか、これを八百二十九ヘクタールと先ほど申し上げたかと思いますけれども、五百二十九ヘクタールでございますので、修正させていただきます。
 御質問の第一点は軟弱地盤の問題でございますが、佐賀県の有明、白石地方におきましては、全国一に粒子が小さい、さらにまた軟弱地盤の層が深いわけです。ほかの地域では一メーターくらいに基盤がありますけれども、佐賀の軟弱地盤の場合は百メーターないし二百メーターにしか基盤がない、こういうようなことで、全国最高の軟弱地盤ということは有名でございます。
 したがいまして軟弱地盤で、いろいろ検討してみますと、二つの特徴があるわけでありましす。一つは地盤沈下、一つは滑りやすいと申しますか、のり面が崩壊しやすいと申しますか、この二つがあるわけでございます。まず、農地におきましては、過去の実績から申し上げますと、一メーター盛り土をしますと二十センチ沈下する、二メーター盛り土しますと六十センチ沈下するというのが実績でございます。したがって、完全復旧しますためには二割ないし三割の盛り土が余分に必要である。さらにまた、盛り土の輸送につきましては、道路問題、輸送経費に多額の経費を要するということでございます。
 さらに農業施設におきましては、滑りやすいということで、五十センチメーターでも掘りましたらのり面が滑っておっこちてくるというのが常識でございますので、五十センチメーター以下につきましては、過去の技術体験からいきまして、板で柵工をつくってそれで支えて掘っておる、あるいは五十センチ以上一メーター内外になってまいりますと、ソイルマスターと申しまして、セメントが大部分でございますけれども、それに薬剤が入っていますが、それを注入しまして地盤をかたくして、それから掘っていくということをやっておるわけです。
 さらにまた、家屋につきましては、盛り土の高さによっていろいろ検討しておりますけれども、技術関係者が今日これがいいと言っておりますのは、五十センチ以下の盛り土の場合は補強基礎工というのをやっております。さらにまた一メーター内外になっていますと、船底形床版工法ということでありまして、コンクリートで船底みたいにやる、そして家を建てるということ。さらにまた松ぐい床版工でございまして、いまコンクリート床版工法、船底形床版工法の下にまた松ぐいをたくさん打つ、こういうことをやっておるわけでございます。
 したがって、農地におきましては、ほかの軟弱地盤外の地域よりも、過去の実績を統計をとってみますと二・四倍かかっておるし、さらにまた農業施設では三・一倍かかります。さらに家屋では三倍ということで、平均いたしますと、一般地域よりも軟弱地盤地域では大体三倍くらいの経費がかかるというのが過去の実績でございます。
 そしてまた、軟弱地盤でございますので地盤の状況を見てやらないとなりませんので、そこまでいくためには最低二年、多ければ三年、二、三年はかかる。そういうことでございますので、やはり予算の重点配分と申しますか、そういうことをひとつお願い申し上げたい、このように考えておるわけでございます。
 さらに、ただいま申しますようなことで技術屋に真剣に研究してやってもらっておりますが、それにいたしましても、やはり軟弱地盤の特性から、農地では不等沈下によりまして不陸になる、農業施設では折損とか排水路の勾配の変化、護岸の亀裂、家屋では沈下、亀裂、傾斜、こういうものが発生しております。したがって、こういうところでは農業近代化施設とか農業構造改善は全然できません。したがって、市町村も非常に困っておるし周辺部落も非常に困っている、こういうことで県に対しましても非常に苦情がございます。したがって、ただいま加藤先生から再復旧制度が好ましくないということでございますけれども、端的に私の立場から申しますと、再復旧の制度を確立してもらいたい、このように私は考えておるところでございます。
 次に、第二点のミカン園でございますけれども、ミカン園は破断角を中心といたしまして影響線内にあること、これは同じ影響線にありましても農家は採掘状態を知らないわけですね。知らぬで経営規模の拡大あるいは複合経営するためにということで植栽をしておる、こういうことで、同じ影響線内のうちでも植栽の時期によって認定になってみたり非認定になってみたりしておる。したがって営農体系、特に共同防除というのは非常に困るわけです。そういうことがございます。さらにまた、この同じ影響線内に亀裂ができましても、地下水というのはやはり影響線外の地下水と連動するのですね。そういうことになりまして影響線外の樹園地の保水力というのは非常に劣っておるという現実がございます。したがって、この辺は科学的にりっぱな調査をやってもらいたい、こういうように考えておるところでございます。
 以上お答えいたします。
#16
○愛野委員 終わります。
#17
○枝村委員長 中西積介君。
#18
○中西(績)委員 本日は、参考人の皆さんには大変お忙しい中をこうして時間を割いていただき、いろいろな御意見を開陳していただくことに対しましてお礼を申し上げながら、大変時間が制限されておりますので、簡単にお答えをいただきたいと思います。
 まず第一点は、加藤参考人にお聞きいたしますけれども、昨年十二月十七日の答申を見ますと、十年間延長するに当たりまして大体鉱害の状況というのは安定段階に入って、鉱害復旧はこの十年間であれば大体終了するのではないか、こうした見通しを立てておられるようでありますけれども、この答申の中の四ページあたりに示されておりますように第二の理由、第三の理由等があるわけでありますけれども、鉱害量の調査結果からいたしまして、まだ私は将来的に不安材料があるのではないかということを考えるわけでありますけれども、この点については、御論議いただいた際にどのような意見でまとまっていったのか、その過程についてお答えをいただきたいと思います。
#19
○加藤参考人 鉱害量調査については、われわれもその点必ずしも専門家ではないものですから、いろいろ実情を伺いながら議論をしたわけですが、それとこの前四十七年には、もう十年で終わるはずだったのに、いまになってまたそれがふえてきているような感じすらあるのはどういうわけだろうかということもございました。
 ただ、なぜその十年間に新しいものがふえてきたかと申しますと、先ほど申しましたように、四十七年ごろはまだ稼働している炭鉱が二十ぐらいございまして、それから新しい鉱害が出てきているのもある。それから、閉山に伴って中に水がたまって、それが湧水などに出てくる。それから、坑木が老化して、まことに稼動しておりませんと傷んでくるところがあるので浅所陥没などもふえるというようないろいろな事情の説明を聞いて、なるほどそういうものか、こう思ったわけですが、それでは今度出ました六千億余りという数字が、また今度十年たったらふえるというようなことはないのかということもいろいろ確かめたのですけれども、現在ほとんどの炭鉱がもうすでに閉山をしておりまして、一応安定と申しますかこれ以上新規鉱害はふえないはずである、それから、いま現にはっきり鉱害でなくても今後発生の予想される鉱害というのも一応は検討して、これ以上ふえることはほとんどないという数字が出してある、こういう説明でございまして、われわれとしては、やはりそれだけ一応のもっともな説明がありますと、それをもとにして検討せざるを得ないということでございました。
 しかし、今度はやはり十年間で全部片づけることをやらないと、またこれが延びるということでは困るのではないか。事実問題としては十年ではっきり切ることはまたむずかしいのかもしれませんけれども、それはこの十年間に後の収束をどうするかということを少し早目に検討して――収束といいますのは、先ほどお話のありましたポンプの維持管理費をどうするかとかそういう技術的な問題もございますし、それから石炭鉱害事業団、それから実際にその事業をやっている人たちあるいはそこで働いている人たちのあとをどうするかということも考えなければなりません。そういうことも考えながら十年間で全部片づけるという覚悟と体制で進んでほしい、そういうことでございました。
#20
○中西(績)委員 そこで、香月佐賀県知事さんあるいは被害者連合会の三村さんあたりにお聞きしますけれども、こうした内容でもって十年というのを確定をしておりますだけに、これから後、いまの鉱害復旧量をそのまま継続をしていけば大体十年程度で終了すると皆さんお考えになっておるのかどうか。細かい数字を挙げていまそれを測定するそうした機関なりあるいは人員を配置して調査はいたしておらないと思いますから、その点はなかなかわかりにくいと思いますけれども、いままでの経験上から考えまして、これがどうだろうという、ここら辺お答えいただけますか。
#21
○香月参考人 最近の年間の鉱害量と復旧事業費が約百億程度でございますので、鉱害残量が一千億でございますから、大体いける、こう思いますけれども、やはり手直し工事、再復旧工事等がございますので、七、八年間で一千億円ぐらいのなには重点配分を願いまして、二、三年はそういうように完全になるようなことをやっていただきたい、このように考えます。
#22
○三村参考人 私も、大体十カ年ぐらいならば何とか復旧は完了させていただきたい、こう考えておりますが、現在、各年度の復旧金額から見ますと、いろいろな物価上昇が今後加わってまいると思います。そういたしますと、将来の年間の復旧費はやはり千億近い復旧費をつぎ込まないとどうだろうかという懸念は持っております。
 ただ、残る心配がございますのが追加工事でございます。この追加工事は、いま五十五年度で大体五十ヘクタール復旧してもらっておると思います。五十六年度がやはり五十ヘクタール。これは工事の難易もございましょうが、金額的には五十五年度で十一億、五十六年度は十六億ぐらいだったと考えております。そして五十七年度はまだ工事中でございますのでわかりませんが、有資力分の負担金としては事業団が大体二億円ほど割り当てられておると思います。全国の鉱害量は、私は追加工事についてははっきりわかっておりませんが、話に聞きますと、全国では約八百ヘクタールぐらいあるというふうには聞いております。そういたしますと、五十五年度、六年度、五十七年度のそういう有資力の負担から考えてみますと、大体五十ヘクタールやっても八百ヘクタールのものは十何年かかる。これを期間内に終わらせようとすれば、それだけやはり通常の復旧をしたのに加えて追加工事が解消するような予算措置を講じていただかないと、あるいはこれだけが残ってくるという心配を持っておりますので、そのあたりはひとつ御尽力をお願い申し上げておきたいと思います。
#23
○中西(績)委員 そこで、またお二方にお聞きしますけれども、いま出てまいりました再復旧なりあるいは追加工事の問題は、佐賀におけるボタ使用家屋の問題等とあわせまして大変な問題をまだ持っておるわけでありますけれども、私は、先ほど不安材料と申しましたのは、そうした中身も含みまして再度こうした再工事をしなければならぬような状況が出てくるのではないかということを考えたり、あるいはいま問題になっております金銭賠償済みの関連工事なりがいろいろ多く残っておりますだけに、そうしたものはいまの段階では六千六百七十億の中に入っておらないのではないかということを私は類推をするわけですね。したがって、これ以外にも、先ほど被害者組合連合会の会長言われましたように、なおこれから後坑内水の問題だとかあるいは揚排水ポンプの問題だとかいろんなたくさんの問題もありますと同時に、山林原野における危険な個所、これを直接人命にかかわりのあるようなところあたりをどうするかという問題等を含めまして考えた場合に、いろいろな問題がまだたくさん残っておるだろう。こういうことを考え合わせていきますと、先ほど加藤先生の方からは、新たな法律改正なり追加をするというようなことはする必要なしにということで言われておりましたけれども、そうした多くの問題を考えてまいりますと、この十年間これだけの量で済ませるかどうかということを私、大変危惧するものですからそうした質問を申し上げたわけでありますけれども、お二方にお聞きしたいと思いますことは、いま私が申し上げたような点とあわせまして、ほかにまだ問題として残っていくようなものがありはしないかと思うのですけれども、そうしたものについて、もしあればお答えいただきたいと思います。
#24
○香月参考人 鉱害残量が一千億と申しましたのは、再復旧あるいは追加工事を入れて一千億と申し上げております。それに入ってないのが金銭賠償で打ち切りになったところの復旧、さらにまた有資力を無資力化にして鉱害復旧をやる、この二つは入ってないのではないか、こう思います。したがって、これらの点につきましては、有資力鉱山との早期な解決を図っていただく、あるいは全般的に申し上げまして鉱害認定を早くやっていただくということが絶対必要である、このように考えております。
#25
○三村参考人 さっき追加工事のことを申し上げましたが、鉱害量調査がどのように行われて、どういうものが含まれておるかは発表がございませんので、私にははっきりこれだけが入っておると言うことはできませんが、多分追加工事の田についてはお入れくださっているのではなかろうかと想像しております。
 ただ、新しく出てくるものにつきましては、金銭賠償済みの家屋の場合には散在して打ち切りがなされている、集団で打ち切りはほとんどなされていないようであります。したがって、散在しておりますがために、道路の復旧とかあるいはその他の復旧の関連で、ある程度救われておるものもございます。ただし、農地の集団で打ち切りましたものにつきましては、恐らく調査の中に入っていないと思います。そういう農地の打ち切りと申しますのは、炭鉱さんと被害者がどう考えたかは別でございますが、恐らく被害者の知恵足らずで先の見通しがなかったために打ち切りをやっていると思いますが、農地の場合には耕作田を相手にしております。したがって、農地の中には灌漑排水路、農道がありますけれども、そういうものは農業用公共施設に入ると考えておりますので、それの打ち切りはなされていないのではなかろうかと思っております。ただ、幹線排水路あるいは幹線用水路、大きいものは現行の対象で取り上げていただいておると思いますが、農地に関連したような小さいものは、どう調査なさっておるかはわかりませんが、私の想像では入っていないのではなかろうか。たとえば鞍手郡の鞍手町の古門ですか、ああいう地域を見ますと、二十四ヘクタールほど打ち切りがなされております。そういうものは現在そのままになっております。ただ、幹線排水路だけは手が入れられておりますが、その他については入れられておりませんし、金銭賠償済みということからそういうものはお入れになっていないような気がして、さっきもお願いしたようなわけでございます。
#26
○中西(績)委員 そういたしますと、これから新たに発生をするであろうというそうしたものについては現在安定をしたという中で、いま残っておるものについて大体お二方そうした見方の中で申されたようでありますけれども、地下のことでありますし、地下水の移動等いろいろなことを考え合わしていきますとまだまだあるんではないか、私たちはこう推測をして質問したわけでありますけれども、この点については一応これで打ち切ります。
 そこで、有資力の問題ですが、佐賀県の場合、先ほど幾つかの中小炭鉱で困っておられる分について申されておりました。さらにまた、全域的には、中小でなしに大きな炭鉱の鉱業権に所属をするところにおきましてはまだそうした問題はたくさんあると思いますけれども、そうした中で一番問題は何なのか、お二方にお聞きをしたいと思います。
#27
○香月参考人 私の県で一番大きな問題は明治鉱業所の果樹鉱害かと思いますけれども、ほかの問題につきましてはその鉱業所の実態がおのおの違うわけでございまして、大まかに申しまして六社あるわけですけれども、先ほど御説明申し上げましたような状態でまだ未解決でございます。
#28
○三村参考人 私が心配しますのは、大手の炭鉱さんと中小の炭鉱がふくそうしておる。たとえば上層は中小炭鉱であるが下層の方は大手がやっておるというような、各炭鉱の鉱害がふくそうしておる場合の負担割合、どう負担していくかというのが、大手さんの方はかなり進んで解決に応じられておるようでありますが、さっき公述しましたときにも申し上げましたように、名義人だけが譲渡の中に入っておった、鉱区の変遷の中に一部分そういう人が入っておるというようなことで、負担割合を決定するのが通産省ではなかなか困難に感じていらっしゃると思います。そういうものがなかなか進まない一つの原因になっておると考えております。
#29
○中西(績)委員 そこで、加藤参考人にお聞きしますけれども、いま私が申し上げたような、まだ十分ではありませんけれども、そうした問題と、それからお二方のいままで申し述べてこられた幾つかの問題、そうしたことを考え合わせていきますと、法律の改正は必要ない、運用上解決を求めるべきだ、こう言われましたが、どのようなものがその範疇に入り、討論の対象になったか、お答えいただきたいと思うのです。
#30
○加藤参考人 これは答申の中で項目を分けて幾つか説明してございますが、まず、金銭賠償済みのものにつきましては法的にはすでに一応決着がついているので、これを蒸し返すことは法的には無理である、もし非常にわずかの金で片づいていて、それが法的に効力のないものであるとすれば、それは司法的に効力を争うという方法でないと、行政がそれを判断して、これは安かったから、これは高かったからということを一々そこで判定することは無理だという判断でございます。いまも他の参考人からもお話がございましたように、附帯工事のような形で、家屋の金銭賠償済みのものなどについては、ほかをかさ上げする場合に関連としてやるというような道はいままでも開かれておるようですし、そういうほかに関連してという形で救済をすることで運用していくほかはないだろう、そういう考えでございます。
 それから、山林原野につきましては、国土復旧の必要性という点からするとやはり農地が第一で、次が家屋ということになると思いますが、それと、全体の予算の中で山林にまた手をつけるとなると、これまた大変なことで、ほかの復旧を要するものがおくれるということにもなりますし、山林はどうしても後回しにならざるを得ないし、ただ、危険性のあるようなものについてはいま別途の形で補助をしているものがございますので、そちらの運用で救うほかはないだろうということでございます。
 有資力、無資力の問題ですが、これは無資力認定の基準をどうするかという問題が一つございます。有資力も、聞いてみますといろいろ具体的な事情がそれぞれ若干違うようでございまして、先ほどもそういうお話がございましたが、これはやはり個別的、具体的にその事情を検討して、制度としては有資力、無資力と二つに分けて考えざるを得ないのですが、その後の取り扱いについては、行政的に具体的な検討の上で適切な措置を講じてもらうほかはないだろう、そういうことでございます。
 簡単でございますが、答申の中には一応そういう趣旨のことはそれぞれ述べたつもりでございます。
#31
○中西(績)委員 そうしますと、いま申されたような点で大体この答申の中に書かれておるような事柄だけを対象として論議された、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
#32
○加藤参考人 主要な項目は答申で網羅しているつもりでございますが、いろいろ御希望、御意見を各方面から伺いまして、取り上げるべきものは一応取り上げたつもりでございますが、あるいは細かい問題で抜けているものがあるかもしれません。
#33
○中西(績)委員 それでは、最後に松田参考人にお聞きをいたしますけれども、一つは、有資力賠償義務者が融資制度をぜひ拡大をしてほしい、こうした要請等がありますだけに、きょうもまたそうした意見の開陳をいただきましたけれども、この問題について、たとえば来年度、五十七年度分として予算化しておりますものを見ますと、五十六年度の倍額になっています。そして、その率なりあるいは償還期限なりいろいろ変更がございますけれども、大体十年間、いま調査されておる全体の鉱害量の約一五%と有資力の関係は言われておりますが、そうした額でもって、有資力関係の鉱害復旧を遂げられていく際にこれが大きな力になり、それで十分であろうかどうかという問題が一つ。
 それともう一つは、先ほどもちょっとありましたけれども、鉱害の中で一五%を占める有資力の鉱害復旧が大変おくれています。その点で、いままで計画、立案されて復旧がなされておるかどうかということをお聞きしたところが、そうしたことはなかったと先般政府の方から聞きましたけれども、これから後十年というものを大変限定しておりますだけに、有資力関係の皆さんの場合、将来十年計画なりを策定して、この期間に応じて実施をしていくという決意なり何なりがあるかどうか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
#34
○松田参考人 お答えいたします。
 有資力賠償義務者として、今回延長されるという十年間の中で現状のいろいろな融資率その他で解消できるかというお尋ねでございますが、私どもが考えておりますところでは種々問題点がございまして、きわめて厳しい状況にあると思います。したがいまして、今後とも先生方初め御当局それから地元関係者の御協力、御支援を得まして、また社内も総力を挙げまして、延長期間内に最終的な処理ができるように最大限の努力をいたしたいというのがただいまの心境でございます。
 私どもが種々の問題点として考えておりますのは主に三つほどございまして、私は三井石炭でございますが、第一に、有資力会社はいずれも資金面あるいは収支面がきわめて厳しい環境に現状ございます。たとえば、当社の三井石炭の場合を申し上げますと、すでにもう累積損失が五十五年度期末で七十五億円になっておりまして、五十六年度も特に悪くて二十億円という見込みになっております。今後一層私たちは自助努力をいたしますけれども、大幅な収支の好転というものが期待できない状況にありますので、鉱害に関する助成内容の拡充強化、財源の確保につきまして一層の御支援をお願いしたいということで先ほど陳述の中で申し上げたわけでございます。いろいろな面で従来よりも強化をしていただいて、拡充もしていただいて非常に感謝しておりますが、こういう内情でございますので、予算その他許す範囲内で、いろいろな点でまた今後も御検討いただきたい、こういうふうにお願い申し上げておるわけでございます。
 それから、問題点の第二でございますけれども、私どもが抱えております鉱害地域、たとえば田川地区とか大牟田地区につきましても、マスタープランあるいは再開発計画というものがそれぞれ地方公共団体で作成されております。それらと鉱害復旧事業との調査が一つの問題になっておるのじゃないかと思います。特に地方公共団体では、それぞれが国の補助金とかあるいは交付金、そういうものと関連した予算を持っておられるために、私どもの復旧計画の実施と完全に一致させるということがむずかしく、それからお互いの調整を図るために日時を要する結果、鉱害復旧計画の進捗に影響を与えておるというような場合も考えられます。さらに、私どもの三井の田川地区におきましては、他の有資力賠償義務者との調整に手間取っておりまして、総合的な計画ができなければ復旧に着手できないという状況もございます。
 それから、第三番目に、農地等の鉱害復旧は圃場整備事業と同時に行われる場合が多くて、土地の分合を伴うというようなことから農地所有者の同意取りつけが必要でございますので、私どもはその御理解をいただくために鋭意努力いたしておりますが、時間を要しているのが実情でございます。
 こういうふうな問題点を抱えておりますので、いろいろ今後とも御理解を賜りながら、私どもとしましては、この答申の線に沿って、十年間内にぜひこれからの復旧事業のテンポを速めるという考え方ではおります。
#35
○中西(績)委員 終わりますが、ただ、最後に有資力関係の皆さんにお願いですけれども、いろいろな話がつきにくいということで逃げるのでなしに、積極的に十年間なりを提案していただいて、皆さんと協調していくことを特にお願いを申し上げておきたいと思います。
 以上です。同僚委員の方から残る時間やるようになっておりますので……。
#36
○枝村委員長 細谷治嘉君。
#37
○細谷委員 一点だけお尋ねしたいと思います。
 松田参考人から海底鉱害についての対策のことが最後に言われました。その助成の問題でございますけれども、お尋ねいたしたい点は、最初に加藤先生に、この答申の中に、山林原野及び干潟に発生した鉱害、これは「公共的見地からの復旧になじまないこと等にかんがみ、復旧法の対象とすることは適切ではない。」こう言い切っております。ところで、海底を掘っておる炭田というのは、釧路炭田、長崎県の池島の炭田、有明海の有明炭田、こういうところがあるわけでありますけれども、海底でありますから、おっしゃるように公共的見地から被害が起こっている、こういうところがあるわけですね。現に、たとえば太平洋なりあるいは池島の方は別といたしまして、有明海というのはわりあいに浅いところでありまして、そこへ三井石炭の主力というのがその海底を掘っているわけでありますから、かなりの被害が問題になって県議会等でも取り上げられておるわけです。そういたしますと「公共的見地からの復旧になじまない」というように一概に断定することは、実態からすると問題があるのではないか。したがって、お言葉の中に、実情に即してこういう問題に対応する必要があるのではないか、こういうお言葉もありましたので、そういう範疇として理解してよろしいかどうか、これが一つ。
 それから松田参考人には、お言葉のようなそういう復旧について適切な措置が――地元民あるいは地元の漁民、ここのところはとにかく、農業で飯を食っている人と同じようにノリ漁業に生活をかけている漁民が非常に多いわけでありますから、そういう意味においては、地域的には社会的な影響というのが非常に深刻な問題があります。そういうことで対応をいたしておるわけでありますが、現況では年間どの程度の対応を事業量としてあるいは企業の負担として行っておるのか、その辺をひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
#38
○加藤参考人 この答申の考え方でございますが、干潟はおっしゃるようにそこのことが問題になりましたので、それについて討議をしたわけですが、鉱害復旧の考え方は国土の利用、保全ということでございまして、それで考えているのは、出発当時は農地ということだったと思います。その後、いまの山林原野、干潟等はどうかという問題が出てきたわけですが、被害者の救済ということからすれば、これは鉱業法で、金銭賠償ではありますけれども、賠償義務者と被害者との間の相対の問題として一応は解決できるたてまえになっていて、それに国費を投じて復旧をするというのは、やはり国土の保全ということあるいは民生の安定ということのためで、これは臨鉱法の一条に書いてあることでございますが、そういう見地からすれば、農地等に比べて公共的見地からの復旧の程度が、全くないとは言えないと思いますが、程度ははるかに違う。それで、制度の有効的な運用ということからすれば、それを取り入れることは適当でないだろう、そういうことでございます。この表現も、それはよくないという意味ではなくて、復旧法の対象とすることは適切ではないというような、少しやわらかい表現になっているわけですが、それはそういう気持ちを出したものでございます。そして実際には、これは三井と漁民の間で、一応の当事者間の取り決めでいままでもある程度やってきておりますし、それでとりあえずのところはいいのではないか、そういうこともございまして、こういう表現になったわけでございます。
#39
○松田参考人 お答えいたします。
 ただいまの御質問でございまして、有明海の陥没に対して会社としてどういうふうな対応をしたかということをお答え申し上げますが、三池炭鉱は、海底の方に採掘が移行するに従いまして海底の沈下という現象が起こりまして、それに対しまして被害を受けられた漁業関係者に対しまして補償を行ってまいりました。たとえば最近の実績としましては、昭和五十五年に魚介類の共同漁業権に対しまして、十年間分としまして一億三千七百五十万円補償金を支払っております。それから、昭和五十四年に区画漁業権、これはノリでございます。ノリに対しまして、四年間分として約二億円漁業組合連合会に支払っております。それから、これと並行しまして、昭和五十六年には漁業組合連合会の要望によりまして、陥没した海底の埋め戻しを実施いたしました。これは現在の有明港区域でございます。これは有明海へ注ぐ河口付近の土砂を採取しまして、陥没しました海底の方に持っていきまして埋めておるものでございまして、土量としまして約五十万立方メートル強、費用は約六億三千万円程度をかけました。これが昭和五十六年度でございます。
 以上のような状況でございます。
#40
○細谷委員 終わります。
#41
○枝村委員長 田中昭二君。
#42
○田中(昭)委員 きょうは、参考人の先生方、大変御苦労さまでございます。また、長時間にわたっておりますが、よろしくお願いします。
 まず、重ねての質問になって恐縮でございますが、加藤先生に端的にお聞かせ願いたいと思いますことは、この審議会で、期限の延長そして対応についての答申が出たわけでございます。その中で、先ほどから問題になっております十年間で最終的処理が本当にできるのか、こういう問題を、ほかの参考人の方の意見を聞いておりまして、私も思うわけでございます。
 それはそれとしまして、いろいろな議論の中で、こういう鉱害それから損害等の復旧というのは、予算的措置にしましても、重点的にやれるものはやるというような意見があったのではないかと思うのです。そういう意味では、鉱害量の早期かつ最終的な処理、こういうことも言われておるのでございますから、同じ復旧をするにしましても、この復旧については早く、予算も重点的につけてやらなければいけないというようなことについて、何か御意見がございましたらお聞かせ願いたいと思うのです。
#43
○加藤参考人 鉱害部会としましては、答申の中では予算のところまでは立ち入らない、これは政府、国会で政策的にお決めになることで、そこまでは口を出さない方がいい、口を出すとこれは大変めんどうな問題になりますので、制度論として答申を出したわけでございます。その中では、いろいろな複雑な問題の絡んでいるところの復旧がどうしてもおくれがちになる、それはむしろ、鉱業権者――賠償義務者ですね、それから鉱害事業団、地元の市町村、被害者、そういう者が協力して、総合的に計画を立てて復旧を図るという体制をとることが必要だ、そのためにはそういう仕組みを考えていくべきだというような形で、困難なところを重点的に片づけていくということをあらわしております。
 それからもう一つは、地域的に必ずしも鉱害復旧ばかりでなくて、ほかの公共事業なども総合的に、かなり広域的に物を考えて計画を立てて推進することが速度を速めることにもなるし、また効率的な運用ができる、そういう点を考えて、効率的、迅速な復旧を図るべきだ、そういうことも述べておりまして、制度論的立場からいたしますと、そういう形で重点的な復旧を望みたい。もちろんそれに伴って予算が必要でございますから、予算はそういうところに重点的に配分をして片づけていくということが必要だろうと思います。
#44
○田中(昭)委員 次に、佐賀県知事さんにお尋ねします。
 先ほどから聞いておりますと、この答申にも、またいまの加藤先生の御意見にもありましたように、いわゆる三者が意見調整を図らなければならない。そういう意味で、佐賀県の知事さんとしましても、この十年間の中で、できればある程度の期間を残してでも一千億の鉱害に取り組みたい、こういうお話がございました。それで、この答申の中にあります言葉では、地域振興に基本的責務を有しておるという認識に立ってやってくれ、やるべきである、そういう期待をしておるわけでございますが、そういうことを考えますと、三者の意見調整の中では、やはり地方公共団体が主導的立場をとるべきではなかろうかと思いますが、その辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 さらに三村参考人には、先ほども意見調整等については少し問題があるというようなあれがございましたが、どのように進めていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#45
○香月参考人 三者の意見調整というのが一番重要な問題でございますが、県といたしましては、県内の鉱害実態あるいは今日までの経過、そういうことを十分掌握いたして、被害者と加害者との間に立ちまして調整をやっていくというのが一番大事なことだ、私はかように考えておりまして、私が農林部長になりましてから、強く県で鉱害の調整の統制をとるように、この基本方針を堅持いたしておるところでございます。
#46
○三村参考人 私どもとしましては、農地の復旧等では区画整理その他の事業と一緒になる場合がほとんどでございます。したがって、市町村役場なり県の農地関係の方に一緒に進める方法をお願いすると同時に、被害者の方にも、復旧するならば、この際そういう公共的な仕事をなるべく一緒にやりなさいというように勧めております。
 なかなか被害者の承諾がないというようなお話がございますが、どうしても一人だけわからないとかいうような場合には、組合としても説得に努めておりますが、基本的に、効用回復の限度が不足だというような場合には炭鉱さんにお願いしておるというのが実情でございます。
#47
○田中(昭)委員 松田参考人にお尋ねしますが、先ほどの意見陳述をお聞きして、また、いま同僚議員の質問に対する海底の被害状況等についての御意見を聞いたわけでございますが、わが国で石炭鉱業が見直されておるという中で、今後石炭を採掘する企業としての責任を果たしていかないと、いまちょうど鉱害を処理しておりましても、なかなか最終的な鉱害処理ができないということもございます。たとえば海底の鉱害の状況等については、いま発生しているもの、将来発生すると思われるもの、そういうものについてはどのような調査がなされておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#48
○松田参考人 お答えします。
 今後の復旧計画についての対応の仕方としまして、私どもは、田川地区におきましてはまず継続工事を早期に完了させる、また山野地区におきましては、山田川水系と庄内川水系、この農地復旧を同時並行的に施行するというような方法によりまして、期間内に最終的な解消ができるよう取り組む考えでおります。なお、鉱害二法の延長に伴いまして御当局で策定されます今後の鉱害復旧長期計画、こういうものに従いまして今後社内的にも十分検討してまいりたいと思っております。
 それから、先ほどちょっと申し上げました有明海の陥没につきましても、これから漁連とよく話し合いながら対処していきたいと思います。たとえて言いますと、五十七年度は、現在のところ一応五十六年度と同程度の規模で実施することを予定しております。漁連と、土砂採取地点あるいは埋め戻し区域、こういうものの協議に入っております。五十八年度以降は、陥没の状況並びに漁連からの要望等を検討しまして対処していく、こういうような考え方であります。
#49
○田中(昭)委員 いま出ました有明海でございますが、有明海については、日本でもまたとない干潟でございまして、もう十分御存じかと思いますが、もちろんそこで生活しております漁業関係者または地域住民のことを考えますと、あの干潟にはいろいろな生き物がおるわけで、国土の保全、環境も含めて、私は貴重な日本の一つの遺産である、こういう観点を持っておるわけでございますが、有明海のそういう生物の分布等については何か調査をなさっておりますか、調査してあればお聞かせ願いたいと思います。
#50
○松田参考人 お尋ねの件につきましては、私ども生物関係については調査はいたしておりません。ただ、補償に関しましてのいろいろな話の中から出ております、たとえば陥没区域を埋める場合に、土砂でなくてほかの坑内のズリあたりを粉砕しまして埋めたいというような検討をしておりますが、そういう場合には専門家の方にそれを依頼いたしまして、そういうものが魚介類に影響ないかどうかというふうな調査はいたしております。それから、いろいろな坑内水がどういうふうにノリに影響するかというような問題が出ました場合も、学識経験者とかそういうところに科学的な調査ということを依頼しております。企業といたしまして、そうお尋ねのような詳しい調査はいたしておりません。
#51
○田中(昭)委員 ぜひそれはやっていただきたいと思います。なぜかと申しますと、先ほどから私が言っておりますように、有明海の干潟というのは日本でもほかに例がないような干潟である。また、聞くところによりますと、あそこの魚介類ですね、あの中には日本のどこにも生存しない魚介類が数種類ある。またこれは世界的にもほかには存在しない。ですから、日本でも世界でもただ一つの魚介類の生物に適した干潟である、こういうふうに言われております。
 そこで、佐賀県の知事さんもそういうことはお聞きになったかと思いますが、部会長の加藤先生に審議会等でこういう問題をひとつよく勉強していただきたいと思いますが、加藤先生、国土の保全ということから見まして、日本にも世界にも例のないような生物がすんでおる有明海についてはどのような御意見をお持ちでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
#52
○加藤参考人 公害部会としてどこまでやるかというのは一つ問題だと思います。国としての環境保全といいますか、そういう見地から御趣旨のようなことはどこかでやる必要はあるだろうと思いますけれども、ちょっと公害部会はそこまではできないと思いますので、御了承いただきたいと思います。
#53
○田中(昭)委員 終わります。
#54
○枝村委員長 小渕正義君。
#55
○小渕(正)委員 参考人の方、大変御苦労さまですが、時間も限られておりますので、要点のみ御質問いたしますから、よろしくお願いいたします。
 まず、加藤参考人にお尋ねいたしますが、先ほどからのお話の中で、今回の鉱害法の十年延長には、単純延長でありますが、いろいろとそれぞれの関係筋からはかなり法改正についての要望もあったわけでありますが、結果的には、論議の中で法改正は必要ないだろう、ひとつこれからの運用の中で問題の処理を改善していけばいいのではないか、こういうことで議論として落ちついたというお話でございましたが、端的に言いまして、この運用の中で問題を解決するというのは、どういった問題をおおむね考えて、どういうところで解決されるといった議論がなされたのか。運用という言葉だけじゃなしに、実態的にもう少し何かお示しするものがございましたならば、それをお伺いしたいと思います。
#56
○加藤参考人 運用もこれはいろいろあると思いますけれども、一つは、先ほどの金銭賠償済みのものについての附帯工事としてやる道があるというようなことがございまして、正面から法律論としては取り上げることが無理だと思われるものでも、ほかとの関連においてそれを取り上げるということはできる場合があるので、そうなりますと国庫補助を使えるというようなことになって、それでいくようなものが一つあると思います。
 それから、さっきの山林原野につきましても、危険性のあるものについては、これはこの石炭の方の予算ではないのですが、ほかの形でいままでも出しているものがあり、そういう形で今後もやる道があるだろうというようなことがございます。
 それから、法律の規定の問題では直接ないのですけれども、計画を立てるような場合に、先ほども申しました総合的あるいは計画的あるいは広域的というような形で促進することができる部面が相当ございますし、それから鉱害認定の問題につきましてもいろいろなやり方があるので、鉱害認定を促進するということも一つの道である。
 そういうような、ある意味では多角的と申しますか、いろいろな形でできるものはそれを活用していくことが望ましい。法律的な問題としては、いままでできるところはかなりもう手当てをしているところがございまして、法律論としてはこれから進むことは相当困難である。また、その必要性がきわめて大きいならば、あるいはまた財源がかなり期待できるということならば、まあどこまで、――やっていけないということは必ずしもないと思うのですけれども、現状としてはそこまでいくことは無理があるので、法体系としてはいまの原理でいくほかはないだろう。
 それから他方で、委員の中にも、現在の財政事情とかあるいは臨調との関係とかいうことから見て、あるいはまたほかの石炭の特別会計の方の運用等から見て、石炭鉱害にそれだけ力を注ぐのはどうかというかなり厳しい意見もございまして、もちろんいまより厳しくするということは答申の中には全然ございませんのですが、そういう意見もございまして、制度的改正まではいまの時点ではやはり無理であろうという判断でございまして、できるところは運用でお願いしたいということを述べたわけでございます。
#57
○小渕(正)委員 あと一点加藤参考人にお尋ねいたしますが、この十年間の鉱害処理の実態の中で非常に強く求められているものに、鉱害処理の一元化といいますか、この問題が非常に強い期待的な、過去の実績の上に立ちまして、一つの大きな要望があったわけであります。確かに今日までの鉱害処理は、それぞれ有資力、無資力関係の中で処理されてきた、そういう実績の上で、やはりこういったものを一元的に一体的に処理するのが一番好ましいだろう、もちろんそのために応分の負担はそれぞれの関係筋にしてもらわなければいかぬわけでありますが、そういうのが非常にこれからの残された十年間で鉱害処理を行うに当たっては好ましいことではないかという、そういった判断も私どもとしては成り立つと思うのでありますが、この点についてはいかがお考えでございますでしょうか。
#58
○加藤参考人 一元化にもいろいろなレベルの一元化があると思うのですが、法律的な制度としての一元化ということになりますと、石炭鉱害事業団が一元的処理をして、そこで一応復旧をして有資力から後で取り戻すというようなやり方も、制度論としては考えられないわけではないということもあるわけですが、いまの法制度のたてまえとしては、やはり有資力の鉱業権者は有資力としてやるのが本筋であって、それに国が援助をするというようなことがやはり企業の責任というようなことから見ても本筋ではないだろうか。ただ、現在無資力が非常にふえておりますので、実際には、無資力は事業団の方で扱っておりますから、そこで事実上一元的処理ができているものが相当多くなって、できれば有資力もそこに入れてしまった方が復旧が促進できるんじゃないだろうかという議論もないわけではないのですが、やはりそこまでいくことは行き過ぎなんで、いまの企業責任のたてまえは一応維持しながらやっていくべきではないだろうか。それからまた、事業団としましても、いま予算、人員の窮屈なときで、全部やってくれと言われても、とてもいまの人員では賄い切れないというような事情もございました。それで、そういう意味の制度的な一元化ということは見送らざるを得ないということでございます。
 それから、運用の上の一元的処理と申しますか、運用の上であれば、これは関係者、つまり有資力の賠償義務者それから事業団、それに仲介的な立場に立っている地方公共団体、それから、直接復旧義務があるわけではないのですが、実際には被害者の意向というものも十分取り入れなければならない。そういうものがまとまって、事実上一元的な処理ができるような、運用ができるような、そういうやり方は十分考えていく必要がある。それなりの場を設けるとか適切な協議方法をとる、そして地方公共団体にできる範囲内での積極的なまとめもお願いする、そういうような形で運用の上の一元的な処理はできるだけやっていきたい、そういう考えでございます。
#59
○小渕(正)委員 ありがとうございました。
 次に、香月参考人にお尋ねいたしますが、先ほどのお話の中で、佐賀県の中ではまだ残存鉱害は大体一千億程度だということが言われたわけでありましたが、そういう話の中で、まだ未認定数というのが相当見込まれるというようなことをおっしゃられたわけでありますが、それはこの一千億の別枠という意味で普通考えるべきじゃないかという気がするのですが、その辺の関係はいかがでしょうか。この点が一つです。
 それから、時間がありませんのでまとめて御質問いたします。松田参考人にお尋ねしますが、現在まで十年間、鉱害復旧の有資力としてやられておるわけでありますが、その中で、一つ御意見として、いろいろとそういう地域における公共事業との調整といいますか関連といいますか、そういうものが必要であり、結果的に二重投資にならないようにせにゃいかぬということが言われたわけでありますが、かつて今日までのそういう処理実績の中でそういった事例があれば、一、二お教えいただきたいと思います。
 それから、非常に復旧工事に前向きに積極的に取り組もうとしておっても、結果的にはそういった地域における長期計画、地域における開発計画といいますか、そういう総合的な計画との関連で足踏みせざるを得ない、そういう事例が今日までいろいろあったのかどうか、この点が二つでございます。
 それから、三番目でございますが、三井とされては、今日までの十年間の中での自分の有資力関係における鉱害の中で、大体何%程度を処理したと思われておるのか、詳細まで必要ございませんが、でき得れば件数か金額でも、もし明らかにできますならばその点をお知らせいただければと、かように思います。
#60
○香月参考人 五十一年度以降の残存鉱害量が一千億ということを申し上げましたが、それには未認定地区も認定されるであろうという見込みを入れております。したがって、科学調査等が認定には必要だと存じますので、やはり科学調査等をやって認定の促進をやってもらうということが第一番と思います。入ってないのは、山林の浅所陥没、亀裂並びに有資力の無資力化促進、さらに金銭賠償されたものの何らかの形での補償と申しますか、復旧と申しますか、その三つが入っておりません、一千億の中には。
#61
○松田参考人 お答えいたします。
 二重投資の例は、細かい例がございますが、いまここで発表はちょっと差し控えます。私どもは、むしろこういうことにならないように少し抑えているというふうな現状でございまして、実際大きな二重投資というのは現状はないと思っております。
 それから、足踏みの例ですが、これは大牟田市ではいま再開発の問題が出ております。新しいニュータウン建設というのが提示されておりますが、いま農地で若干大牟田の地区では残っておりますが、やはりそれが決定しました上でそれをやりたいということで、農地が少し残って足踏みをしているというような実例がございます。
 それから、過去の復旧によって大体どのくらいかという御質問でございますが、約四〇%まだ残存しているというふうに考えております。
 以上でございます。
#62
○小渕(正)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#63
○枝村委員長 小沢和秋君。
#64
○小沢(和)委員 加藤先生にまずお尋ねをしたいと思います。
 一つは、金銭賠償済みの物件の問題であります。先ほどからのお話では、これは解決済みだ、これにもし手を触れるならば法的安定性を害することになるから、個々に司法的な救済ということで考える以外にないというようなお話だったように思うのです。しかし、実際にそういう地域に住んでおります者としてそのお話を伺うと、先生の認識が実態と相当にずれがあるんじゃないだろうかということを、失礼ですが感ずるのです。先ほども佐賀県の知事もおっしゃったかと思いますけれども、この金銭賠償というのは涙金程度のものがほとんどで、どうかしたら暴力団みたいなのが絡んだりして、もういやおうなしに押しつけられちゃったとか、判こをぱあっと集めとって本人の知らぬ間に判こついてあったとか、そんなような事例は何ぼでもあるわけですね。だから、そういう点では私ちょっと、こういう以外に救済の道なしというお考えは納得いきかねるのですけれども、この辺のところをもう少し、どういう議論がなされたか。実態としてそうであり、しかも、周辺の鉱害復旧が進みますと、この辺は水がどっとまとまってつくようになって、もう毎年水がつかるというような深刻な事態にもなっておるのですね。この辺ぜひ実際に何らかの救済をする必要があるのではないかという点、どうお考えになるか、ひとつお尋ねしたいと思います。
 それからもう一つは、再復旧の問題なんです。再復旧のことについても似たようなことが言えるんじゃないかと思うのですね。ここ数年はずいぶんしっかりした復旧工事が行われるようになっておりますけれども、それ以前のものは相当にいいかげんなものもあるのです。農地の場合にはまだ再復旧ということである程度追加工事などもやられておりますけれども、家屋などの場合はそういう道がもうほとんどない。私は、制度論としても、農地については再復旧の道がありながら、家屋については原則としてそういう道がないというのは、これは一つの問題点じゃなかろうかということもかねがね考えておるのですが、この点どうお考えになるでしょうか。二点お尋ねいたします。
#65
○加藤参考人 なかなかむずかしい問題でございますが、まず第一の金銭賠償済みのものについては、これは法的な制度のたてまえの基本として、一度それで結構だ、承知をしたというならば、やはりその契約というか合意が拘束力を持つということにならざるを得ないと思うのです。いまの涙金的なものあるいは暴力団まがいのものというのがあることもあると思いますが、しかし、もし前の契約の効力が問題であるならば、やはりそれは公序良俗違反で無効であるとかいうような形で決めてもらわないと、行政の方で、これは涙金だから復旧する、これはちゃんともらったから復旧しないというような仕分けはとてもむずかしいというように思われます。それから、公平と申しますか、涙金でない人もあるでしょうし、また、自分でその金をもらって復旧した人もあるでしょうし、そういう人との公平というか、法的なバランスの問題というのもございますので、それは行政的な判断には適しないというようなことが全体の意向だったように思われます。
 それから、第二点の再復旧の問題は、それとやや似た点がおっしゃるとおりございまして、工事のやり方が仮に悪いとすれば、その施工した業者に対して、瑕疵担保といいますか、その欠陥を直せというような請求のできる場合もあり得るでしょうし、それから、何が原因でまたうちが傾いたかというようなことも、その復旧の仕方が悪かったためなのか、あるいはもともと地盤が軟弱だったためで、それがあらわれてきたというのか、なかなかその辺の因果関係も判定がむずかしいわけです。制度をつくりますと、そういうものを全部抱え込んで、そちらにまた復旧費を投じなければならない。ほかとのバランスからいってやはりそれは後回しということにならざるを得ないし、また、その中で特に本当に必要なもの、それから本当に原因が復旧工事のやり方にあるというようなものについては、これは個別的に救済をする道はあり得るというように考えたわけです。
 それから、家屋については、これは実際には臨鉱法も最初は家屋は含んでおりませんで、農地から出発したわけですが、家屋も民生の安定に必要だということで入ってきたわけであります。ただ、家屋になりますと、これはある意味では国土というよりは個人資産的な面もございまして、たとえば災害復旧などでも家屋には直接手を出さない形になっておりまして、家屋まで復旧をするというのは臨鉱法が特別にやっているというような、少し外に出ている部分もあるように思われます。そういう点からいいまして、家屋についてまた再復旧をするということはなかなか困難である。それから、家屋の場合には、その機会に改良するということで所有者がまた金を足してよくしている部分もございます。そうなりますと、その間の責任関係が一体どうなるのかというような法律論も出てまいりまして、やはりそこまで再復旧ということを制度的に考えることは無理であろうというような結論になった次第でございます。
#66
○小沢(和)委員 時間もありませんので、それでは、次に、松田参考人にお尋ねをしたいと思います。
 率直に申しまして、私どもは、三井が鉱害復旧がおくれているのではないかということをよく聞くわけであります。そこで、三井として、いま鉱害の残量をどれぐらい抱えておられて、そしてここ数年実績としてはどれぐらいの復旧をおやりか、金額的に明らかにしていただきたいと思うのです。
#67
○松田参考人 お答えします。
 金額で申し上げますが、三井におきまして、最近の臨鉱対象工事の進め方ですが、量を申しますと、昭和五十四年度で約二十億四千六百万円、五十五年度二十一億四千二百万円、五十六年度二十七億。
 なお、五十七年度は、これからお役所とも折衝いたしまして、もう少しこの金額はふえたかっこうで進めたい、こう思っています。(小沢(和)委員「残量全体としてというのを伺っているのですが」と呼ぶ)失礼しました。四百二十億でございます。
#68
○小沢(和)委員 いまのお話ですと、実績としては幾らかずつ伸びておるということはわかりますが、これは物価の上昇なども織り込んだらあるいは横ばいに近いのかもしれません。そういう中で、いま現在四百二十億抱えておられるということになると、このテンポではやはり終わらない、全体としては非常におくれているということは、私、この数字を見ても言わざるを得ないと思うのです。
 先ほどから、経営が苦しいとか、ほかの工事などとの調整とか、被害者の同意とか、いろいろおくれている原因についておっしゃいましたが、こういう点は有資力各社とも抱えている事情だと思うのです。そういう中で、三井よりも苦しいんじゃないかと思われるような会社でも、鉱害復旧については進んでいるところもあるんじゃないでしょうか。ですから、私、もっと三井としては努力をしていただく必要があるということをこの機会に率直に指摘したいと思うのですが、どのように現状をお考えか。十年以内に必ずこの鉱害復旧はやり上げるということをここでぜひお約束いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#69
○松田参考人 答申の中にもございますように、有資力の賠償義務者、十年間で完遂するように、促進するように、そういう精神の上に立って進めるということを指摘されておりますので、私どもその精神を肝に銘じまして、先ほどもちょっと触れましたが、復旧工事の進め方につきまして、たとえば並行的に行うとかあるいはもう少し積極的に合意を得ながら進めるというようなことを進めたいと思いますし、また、関係御当局にも十分御指導を得ながら、ぜひ前向きに取り組みたい、こういうふうに考えております。
#70
○小沢(和)委員 いま前向きに取り組みたいというお言葉ですけれども、十年間はもう最後の延長である、どうしてもこの期間内にやり上げようということで私たちも議論をしておるわけなんですが、その前向きというのは、そういう決意だというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
#71
○松田参考人 そういうふうに受け取っていただいて結構だと思います。
#72
○小沢(和)委員 それでは次に、三村参考人にお尋ねをしたいと思うのです。時間もありませんので、いろいろお尋ねしたいと思いましたけれども……。
 申請してから鉱害として認められ、そして実際に工事がなされるまでに非常に時間がかかるということで、私たちもよく苦情を聞かされるのですね。実態がどうかという点について、どれぐらいかかるというようなことはもうあなたが一番よく御存じだと思うので、その点教えていただきたいのです。
 それから、こういうような鉱害復旧の仕事を促進するためには、私は鉱害事業団の増員を含む体制の充実がどうしてもいま必要じゃないか、この辺がネックになっているのじゃないかということを強く感ずるのですが、その辺どうお考えになっておりましょうか。
 以上二点、お尋ねします。
#73
○三村参考人 鉱害申請してから実際行うまでの期間、それぞれの案件で違いますので一概には申し上げられませんが、大体復旧事業団が基本計画を立ててそれが認可になってくる、それから実施計画を立てるわけですが、最近この基本計画の認可が十カ月ぐらいかかっておるというふうに思っております。この点については、事業団にあるいは通産に、いつも早くしていただきたいということで、努力はしていただいておると考えております。
 それからもう一つ、事業団の充実ですが、これは私ども向こうで事業団と一緒に話し合いすることもたびたびでございますが、事業団としては、やはり限時立法である限りはその後のことを考えなければならぬ、あるいはお役所の関係等もあるようで、なかなか私どもとしては強化していただいて、少なくとも事業が早く終わるように、あるいは被害者側から考えてみますと、もう有資力炭鉱の分も一緒に事業団にやってください、こういうことをお願いしておりますが、いま申し上げますような限時立法だというようなことで、事業団もお困りになっておるようなことでございまして、ほかのお役所等にはそのたびにお願いはしておりますけれども、現実には実現していないというのが現在の情勢でございます。
#74
○小沢(和)委員 時間が来ましたから終わります。ありがとうございました。
#75
○枝村委員長 石原健太郎君。
#76
○石原(健)委員 三村参考人にお尋ねしたいのでありますけれども、被害者同盟の会長さんということで何かと大変御苦労が多いかとも思うのですけれども、復旧不適農地と言われるような農地、こういう農地を復旧するには百万とか二百万といったような金額がかかるのじゃなかろうかと思われるのですけれども、そうして復旧したたんぼでとれるお米は一反歩で十俵としても十七万前後、利益となりますと五、六万ぐらいじゃないかと思われるわけであります。それからまた、国全体を見ますときに、六十万町歩ですか、その程度に及ぶ減反というようなこともなされている際に、そういう多額なお金をかけて農地を回復するよりは、金銭で賠償してどんどんやった方が、農家のためにも国のためにもいいのじゃないかというようなことも私なりに考えられるわけなんですけれども、そういった金銭賠償がなかなか進まない理由を被害者側から見られた場合、どういう点にあるのかといったようなことと、あとこの答申には「今後においては、鉱害の早期かつ効率的な処理を図るため、」復旧不適農地制度の適用のための「共同省令を制定する必要がある。」というようなことが載っておりますが、これについてはどのようにお考えになるか、その二点をお聞きしたいと思います。
#77
○三村参考人 復旧不適農地の取り扱いでございますが、被害者組合としましては復旧不適の取り扱いは十分検討した上でなければ応じなさんなという指導をしてやっています。と申し上げますのは、復旧不適地で残しますと、それはいつまでも鉱害地で残ってまいります。あるいは水没地のまま残ってまいります。それで、できる限りは周囲の団地と関連を持ってやる。復旧不適地といいますと、復旧農地の政府の補助金の限度が決まっておりますが、その限度を超えたら復旧不適農地だというふうにややもすると考えることは、国土保全の意味からも私は危険だと考えております。しかし、どうしてもしなければならない復旧不適地であるというものは、いままでのところ被害者組合からこういうことで復旧不適地の取り扱いを受けておるというような申し出は聞いたことがございません。法律の大体の立法趣旨は国土の保全でございますし、また被害者もそういうことを考えておりますので、復旧不適地の取り扱いを進めろということはどういう意味か私どもにはわかりませんが、家屋の場合等には各地に間々起こることがございます。周辺が高い土地であって非常に石垣を高くしなければならぬというようなものは一、二聞いたことはございますが、農地に関してはいまのところ復旧不適地に応じなさいというような指導はやっておりません。
#78
○石原(健)委員 松田参考人にお尋ねいたします。
 裁定制度の活用が望まれるというようなことをおっしゃいましたけれども、いままで裁定制度が十分活用されるに至らなかった原因といいますか、ネックとなっていたものはどういうことなのか御説明いただきたいと思います。
#79
○松田参考人 いままでの裁定制度は、関係者の方々でいろいろな問題を処理していただいておりますが、私ども今後心配いたしますのは、やはりこの十年の間で解消するということになりますと、現状申し立て数は漸増の傾向にございますが、今後十年の間でやってしまおうと非常にテンポを速めますと、そういうのがかなりふえるのではなかろうか、そういう考え方で少しいろいろな問題を早急に処理できるような裁定機関を強力にしていただければいいなという考え方で申したわけでございます。
#80
○石原(健)委員 終わります。
#81
○枝村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る四月一日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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