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#1
第096回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
昭和五十七年八月三日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 片岡 清一君 理事 小泉純一郎君
   理事 塩崎  潤君 理事 住  栄作君
   理事 佐藤 観樹君 理事 堀  昌雄君
   理事 石田幸四郎君 理事 中井  洽君
      上村千一郎君    大西 正男君
      後藤田正晴君    瀬戸山三男君
      田名部匡省君    竹下  登君
      竹中 修一君    浜田卓二郎君
      粟山  明君    中村  茂君
      山本 幸一君    渡辺 三郎君
      坂井 弘一君    岡田 正勝君
      安藤  巖君    小杉  隆君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 世耕 政隆君
 出席政府委員
        法務大臣官房審
        議官      亀山 継夫君
        自治省行政局長
        自治省行政局選
        挙部長事務取扱 大林 勝臣君
 委員外の出席者
        参議院議員   金丸 三郎君
        参議院議員   松浦  功君
        参議院議員   降矢 敬義君
        参議院法制局長 浅野 一郎君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提
 出、第九十五回国会参法第一号)
     ――――◇―――――
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井洽君。
#3
○中井委員 二年前に行われました参議院の全国区の投票結果でありますが、私は選挙区へ帰りましていろいろな会合で話をするわけでありますが、三重県で、一番投票の多かったのはだれだ、こう言うと、大体市川房枝さんということで、これは皆当たるわけであります。二番目に多かったのはだれだ、こう言いますと、みんないろいろ名前を挙げるわけでありますけれども、全部違っております。二番目に多く票をとったのは無効票でございます。大体各県ともそういう形になっているんじゃないか。そういった意味も含めて、この参議院の全国区の制度は大変やりにくい、あるいはわかりにくい制度だ、これを直していかなければならぬということは各党、各会派、あるいは国民の各階層みんな一致をしておる、私はこのように思います。したがって、国会そのものが参議院の全国区の改正問題に取り組んでいく、こういうことは非常にいいことであろう、このように思います。
 しかし、何といいましても、いま国会があるいは政党が選挙法に関し真っ先に取り組まなければならないのは衆参の定数不均衡の是正問題であろう、私はこのように思います。まして、毎年毎年人口のあるいは定数の不均衡というものが拡大をされておる。しかも裁判所等の判例等も出ておる。そういった中で参議院の全国区制度だけをやって、定数是正に手をつけない、これはだれがどう見ても非難を免れないものである、私はこのように思います。定数不均衡是正につきましては各党間で話し合われ、五十二年には自民党さんも独自の案を出される、社会党、公明党、民社党等も共同で案を出すというようなところまで実は行っておったわけであります。それが今回なおざりにされ、あるいは緊急性の一番高いこの定数是正問題がほっておかれ、参議院の全国区の改正法案だけ出されてきた。ここに私は大きな不信を抱くわけでございます。この点について発議者はどのようにお考えになっておられるか、お答えをいただきます。
#4
○金丸参議院議員 お答え申し上げます。
 参議院の地方区の定数是正につきましては本会議でも御質問がございまして、お答え申し上げましたとおり、私どもも実は緊急を要する問題である、かように考えております。そのためにいろいろと研究をいたしてまいってきておりますけれども、まだ最終的な結論が得られませんでした。
 一方、参議院の全国区につきましては、繰り返しこれもお答えを申し上げておりますように、ここ十年来改正の意見が強うございまして、できますならば明年の選挙に間に合いますようにと思いまして、数年前に結論を出し、昨年の五月でございましたか、国会にこの比例代表制案を提案をいたしたようなわけでございまして、地方区の定数是正の問題をなおざりにいたしておるような気持ちはさらさらないわけでございます。できましたら全国区の改正案と地方区の定数の是正案を同時に一つの法律案に盛り込んでやれればよかったと存じます。私どももそれが理想であると思っておりましたけれども、地方区の問題につきましては最終的な案が得られませんでしたので、今回は全国区の改正を急ぐというふうに考えまして、全国区の改正の方の案を提出いたしました。こういうような事情でございますので、その点はどうぞ御理解を賜りたいと思います。
#5
○中井委員 それではその参議院あるいは衆議院の定数不均衡是正について、発議者の皆さん方は今後どのような形でこれを是正を図っていこうとお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきます。
#6
○金丸参議院議員 私どもは、できますだけ早く結論を得、各党におきましてもいろいろとお考えもおありのようでございますから、できるだけそういうお方々ともお話し合いをいたしまして、一日も早く成案を得て是正案を国会に出すように、議員立法になりますか政府提案になりますかそれはわかりませんけれども、できるだけ早く是正するように懸命の努力をいたしてまいらなければならない、かように考えております。
#7
○中井委員 大至急検討して各党間で話し合ってこれを是正していきたい、こういうお話でございました。また総理大臣等も参議院あるいは衆議院の本会議での御答弁でもそういうお話がございました。私は、これは当然のことである、また各党間で話し合ってというのは民主主義のルールであり、選挙法を改正するということに関して、定数是正ということだけではなしに、公職選挙法のいろんな改正に関して各党間の話し合い、これが一番大事なことであろう、このように思います。しかし今回お出しになっておる、いま審議をしております参議院の全国区の改正問題については、大変恐縮でありますが、長年各党間で話し合いが行われてきたわけでありますが、この拘束名簿式比例代表制、こういうことに関して事前に各党間の話し合いあるいは各党間での議論、こういったものがなされずに、皆さん方単独で提案をされた、そして参議院においてその審議が途中一度打ち切られ、採決の場合には強行採決をされる、こういった形で衆議院へ送られてきているわけであります。選挙の基本的なルールを決めるものが、皆さん方はいつでも話し合いでやろうやろうとおっしやるけれども、現実には話し合いじゃなしに強引な形で運ばれておる。ここのところのやり方が、少し私は納得がいかないものがある、このように考えるわけでありますが、いかがですか。
#8
○金丸参議院議員 全国区制につきましても、各党間の話し合いを済ませて提案をいたすのが一番望ましいとは思ったわけでございますけれども各党にもいろいろとお考えの違いがございました。私どもといたしましては、各党の御意見もおよそ見当がつきましたり、また実は五十五年の参議院の選挙に間に合うようにしたらどうかというような意見も党内でもあったわけでございます。しかし、五十五年には間に合いませんでしたので、明年の選挙には少なくとも間に合うようにやはりすべきではないかという党内の意見もございましたりいたしまして、提案に踏み切ったような次第でございます。何らほかに他意はないわけでございますが、全国区の改正についてはいろいろな方面からいろいろな意見が出ておりましたので、どのような意見があるかということは私どももある程度推測ができたわけでございます。
    〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕
したがいまして、五十八年をリミットと考えましたので、国会において十分に御審議をしていただいたらと、こう思って提案をいたしたような次第でございますので、どうぞこの点も御了承を賜りたいと存じます。
#9
○中井委員 実は私自身はこの公職選挙の特別委員会に去年の一月から委員としてなったわけであります。わが党の高橋高望君が急逝をされましたので、跡を継いでやったわけであります。その間もう一つ前の委員でありました小沢貞孝さんあるいは元気なころの高橋高望君といろいろな話し合いの経過というものを聞いて委員に実はなったわけでございます。
 ところが、去年九十四国会で公職選挙法の一部を改正する法律案、これが提案をされた。この提案の中身を見ますと、その話し合いの経過が一部で一致したところもあるけれども、実はほとんど大半は違った部分の多い法律案であったわけでございます。各党間でこういうルールづくりを話し合う話し合うと言いながらも、去年のように話し合いを基礎に自民党にだけ都合のいい、あるいはまた、去年の法案もそうでありますし、今回の法案でもそうであります。大変失礼でありますが、社会党さんも実は内心でそれでいいのだ、このようにお考えになっているものだけがどんどん先へ提案をされてくる。私は公職選挙法の改正のやり方というものに、皆さん方のやり方あるいは自民党のやり方に非常に不信の念を抱かざるを得ない、このように思うわけであります。
 したがって、この問題を含めて、公職選挙法の改正という非常に大事な問題について、それは小さなことまで各党が一致するというのはなかなかむずかしいと思いますが、基本的なものはとにかく各党間の一致でやっていくのだ、こういうルールというものは本当に必要だと考えるわけでありますが、そういった点について再度お考えをお聞かせ願います。
#10
○金丸参議院議員 選挙法は、御指摘のように共通の土俵づくりでございますので、各党間で事前に話し合い、できるだけ合意の得られたもので法律案として成文化し、御審議をいただくのが望ましいことは私どもも重々承知いたしております。いたしておりますが、先ほど来申し上げておりますように、全国区の改正につきましては各党意見が一致しておりますものの、改正の方法につきましていろいろと意見があり、それにつきまして事前に完全に了解がいただけるような様子でもございませんでしたので、自民党案として作成し、国会において十分に論議をしていただいたらと、かように思ったような次第でございます。
#11
○中井委員 まとまらないということに関しては、いろいろたくさんあるわけなんです。まとまったことからいけば、まず最初に、衆参の定数是正をやろうということが一番最初であったわけであります。そして、それから全国区あるいは政治資金の規正法だ、こういう形で大体各党が一致をしているわけであります。そういうことを無視して、大政党だけがまあまあ裏から見れば有利な点が多いからという形で、理屈をいろいろ並べながらぱっと先におやりになる。それでは私どもを含めて少数政党がこのルールづくりの話し合いに謙虚にあるいは胸を開いて入っていくというわけにいかない、私はこのように思います。そういった態度について十分お考えをいただきますよう強く要請を申し上げたい、このように思います。
 また、もう一つお尋ねをいたしますが、内閣総理大臣の諮問機関として選挙制度審議会というのがございます。これのいわゆる存在価値、こういったものをどういうふうに発議者はお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#12
○金丸参議院議員 政府が選挙制度上の重要な問題につきまして諮問する機関でございます。政府が提案をいたします考えがございましたら、審議会をお設けになって、そこに諮問案をお出しになり答申を得てお出しになる、これが筋合いであろうと思います。六次、七次まではそうでございましたが、その後、絶えてございませんし、かたがた全国区の改正の問題につきましては、各方面一致した要望の意見が強いと存じましたので、政府の方でそのような審議会をおつくりになれば、私どもはそれを待って提案するなり改正を要望するのが筋であろうかと思いましたけれども、それがございませんでしたので、私どもとしては案をまとめて御提案を申し上げた、こういうようないきさつでございます。
#13
○中井委員 自治省にお尋ねをいたします。
 現在、選挙制度審議会というのはどのような状態に置かれておるのですか。
#14
○大林政府委員 現在、選挙制度審議会の委員は任命されないまま今日に至っております。(中井委員「何年ぐらい」と呼ぶ)四十七年の末まで活動しておりましたが、四十八年の初めから任命されておりません。
#15
○中井委員 これもおかしなことで、もう十年間も任命されないまま置いておかれる。そして片一方では党利党略とも言えるような選挙制度の改革がどんどん行われる。非常に残念な気持ちがいたします。
 きょうは大臣等にお越しをいただいておりませんので、また次の機会に議論をいたすといたしましても、とにかく全国区の改正問題以外の急がなければならない衆参の定数不均衡の是正あるいは政治資金規正法の改正、こういったものについて各党間の話し合いと同時に、自民党側もひとつ選挙制度審議会というものを早急に再開をされる、そして政府みずからがこういったものに対して諮問をしていくあるいは成案を得ていく、こういう御努力をとっていただくように要請をしたいと思いますが、いかがですか。
#16
○大林政府委員 選挙制度の改正のたびごとに、御質問のように選挙制度審議会の再開についての御論議があるわけでございます。私どもといたしまして、昭和三十六年から約十一年間にわたりまして七次の選挙制度審議会でいろいろ御論議を賜ってきた歴史がございます。物が物でございますので、やはり個々の問題については各委員、特に特別委員の皆様方の御意見が事ごとに鋭く対立をいたしました。したがって、七次にわたります審議の間におきまして、答申が出たものもございますし、あるいは答申の出ないまま報告に終わったものもございます。答申が出たものにつきましても大変な論議の末まとまったという経緯がございますので、いざ立法化いたす段階におきましてもなかなか御論議が絶えません。
 結局は、こういった問題は第三者機関でいろいろ議論するのもまた意味のあることではありますけれども、最終的には各党の御論議によらなければ実現するものが実現しない、こういう感触を私どもは強く持っております。今後選挙制度審議会を設けなければならないという時期がまいりますれば、その時期において私ども判断をしてまいりたいと、こう考えております。
#17
○中井委員 それでは、また次の機会にいまの点は議論したいと思います。
 次に、先ほど発議者の方から、各党の考えについても十分話し合いをさしていただき、考えた、こういうお話がございましたし、また過般の質疑の中でもそういうお話がございました。その点について少しお尋ねをいたします。
 御承知のように私ども民社党は、参議院の全国区の改正ということに関してブロック制というものを、まあまあ非公式ではありますが提言をしてまいりました。各界から大変高い御評価をいただいたと実は自画自賛をしておるわけでありますが、このブロック制について発議者の皆さん方はどのようにお考えになったのか、お尋ねをいたします。
#18
○金丸参議院議員 実は、自民党内におきまして全国区の改正案の論議と申しましょうか、審議と申しましょうか、いたしました過程におきましてもブロック制の主張がございましたり、実は参議院議員全員につきましてアンケートをいたしますと、やはり数名の方であったように記憶いたします、ブロックがいいのではないかという御意見もございました。が、大勢の意見といたしましては、全国的な人物を選ぶという点から申しまして、たとえば北海道とか四国とか九州とかが仮に一つのブロックだといたしますと、そういう点が選びにくくなりはしないかというのが一つでございます。地域が狭くなるだけ選挙運動の費用は少なくなる、こう理論的には申せますけれども、一面から申しますと、選挙運動が激化すればそう経費が著しくかからなくなるとも言えないのではなかろうかというようなことがもう一つ。それから第三は、四国とか九州というのは地域的に非常にはっきりいたしておりますけれども、関東地方とか中部とかをとります場合に、新潟県が東北ブロックに入っておりましたり、静岡県が東京のブロックに入っておりましたり、そういうようなブロック別のいろいろな日本の政治的な団体、経済的な団体等がございます。それによって違っております。
    〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、わが国にとりましては、ブロックというものは行政なりあるいは政治なり社会生活に本当に十分に根をおろしておるかというと、まだどうもそう言い切れない面があるんじゃなかろうかというようなこともございまして、やはりブロック制ではいかがであろうという意見が多くございました。そういうような点から、やはり全国区制度は存置して、そして拘束式の、政党本位の名簿式にしたらどうであろうか、最終的にはそういうような結論に達した次第でございます。
#19
○中井委員 いまここでとことんまでブロック制と拘束名簿式比例代表制との議論をするつもりはありませんが、いまのお答えをいただいて私は一、二お考えに納得できない点がある。それは、選挙が激しくなれば同じく金がブロック制でも要るじゃないかという、こういうお話もございます。私は、選挙というものはたくさんの候補者が出て、激戦であればあるほどそれでいいじゃないかと思うのです。いま日本のありとあらゆる議会あるいは首長選挙で私どもが一番心配をいたしておりますのは、候補者が少ないということであろうかと思うのです。民主主義でありますから、選挙のときに国民の方々にいろいろな形での判断を仰ぐ、これが基礎であります。その基礎の選挙に人がたくさん出るということが大事であろう、激戦になって結構なことじゃないか、私はこのように一つは思います。
 それからもう一つは、いまの御答弁にもございましたけれども、ブロック制というものはいろいろな形でなじまない、こういうお話がございました。お考えの趣旨はわからないわけでもございません。私の住んでおります伊賀上野というのは、きのうも大変な災害に遭ったわけでありますが、ここは三重県で、行政区からいけば東海という形になり、しかし私の郷里はもう完全に大阪経済であります。言葉も水も大阪、こういう不便さはあろうかと思います。しかし、政党というものよりもブロックの方がはるかに国民になじみがある。もちろんその基準は違いますよ。政党を選ぶのとは別にブロックで選ぶわけであります。しかし、小学校の子供に日本の政党の名前を全部言えと言ったってわからないけれども、日本の地方ブロックの名前を言えと言えば、大体みんな言える。地域住民にとってブロックでの選挙というのは、あるいはブロックでのいろいろなやり方というものははるかになじみのあるものだ、このように判断をいたしております。
 私どもの提唱いたしましたブロック制というのは、地方区もやめて、そして全部ブロックで一本で選ぶんだ、こういうことでございまして、特に皆さん方がお考えになっていらっしゃる、衆議院とは違う形での選挙を何とかやりたいんだ、こういうことにも非常に合致した面がある、このように考えるわけでありますが、いかがでございますか。
#20
○金丸参議院議員 私も、御主張の全部ブロック制にいたしますことが、参議院の特色を発揮する一つの考え方でおありだろう、このようには理解をいたしているつもりでございますけれども、私どもの党内の大多数は、私がいま申し上げましたように、ブロックが国民の政治生活あるいは社会生活からいいまして、まだ十分なじんでいると言えないのではなかろうかということ、それから、選挙が多くの候補者で本当に戦われるということは望ましい面もあろうかと思いますけれども、非常に巨額の金がかかるような選挙制度をつくりますことは、やはりいろいろな政治上の弊害も生じてまいります大きな原因の一つになっておりますので、私どもはできるだけそういうような制度は避けた方がよろしいというような考え方でございまして、そういうようなことから、ブロック制の長所は私どもも十分に理解ができまするし、また自民党内にもそういう非常に強い主張を持った方もおいででございますが、大多数の方は、私が以上申し上げましたような理由で、ブロック制をとらず、全国区制を存置した拘束名簿式ということになったような次第でございます。
#21
○中井委員 おっしゃるように、ブロック制の場合には、拘束名簿式比例代表制のように一遍に選挙がなくなるとかあるいはお金が一切要らなくなるとか、そういうことはないかもしれない。しかし、いまの制度に比べてはるかにお金も少なくなるし、候補者の運動というものも楽になるし、また候補者も出やすい状況になる、私はこのように思うのであります。また、先ほども申し上げましたように、なじみにくい政党よりもブロックにおける代表を選ぶという発想の方が日本人にとっては非常にわかりやすい、あるいはなじみやすい制度だ、私はこのように思うわけであります。
 しかし、自民党の大多数の方は、それではなじまない、また金もかかるし、肉体的にもきついんだ、こういう議論でそれをとらなかった、こういう御答弁でございましたから、それなら逆に、いっそのこと地方区全部やめて、日本じゅう全部、参議院を、二百五十二名の定数を拘束名簿式比例代表制度、こういう制度に思い切ってなすった方がよかったんじゃないか。参議院を何も二つの選挙に分けてやらなければならないということではないわけであります。思い切って全部を拘束名簿式比例代表制にしてやれば、それこそお金も要らない、選挙運動もうんと変わってくる、あるいは衆議院とは全く違った選挙のやり方になる、こういう形になろうかと思うのです。なぜ参議院全体を拘束名簿式比例代表制度にする、こういう改革案になさらなかったのか、その点をお尋ねをいたします。
#22
○金丸参議院議員 大変むずかしい御質問でございますが、現在の参議院の制度が生まれました経緯もよく先生も御承知かと思いますけれども、私どもは地方区と全国区と両建てになっており、地方区の制度は、わが国では何と申しましても府県という制度が非常に国民のあらゆる生活に根づいておりますので、やはり地方区という制度は非常に合理性があるというように考えております。したがいまして、全国区一本にいたしますというと、非常に政治も揺れ動いてきてしまう心配もございますし、また国民の立場からいたしましても、なかなか選挙に当たりまして候補者の選択というようなことについてもむずかしい。やはり地方区は存置して、また全国区も現在ございます制度でございますから、やはりこれも存置するということを前提にいたしましてその弊害を是正するという、いわば漸進的かもわかりませんけれども、このような行き方の方が妥当ではなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。
#23
○中井委員 いろいろとお答えをいただきまして、お言葉を一々返して大変恐縮でありますが、たとえば府県単位で選ぶという地方区は非常に合理性がある、なじみが深い、こういうお答えでありましたけれども、その一番合理性があるとお考えになっていらっしゃる地方区の定数是正をちっともやらずにおいて、この制度が合理的だ、府県で選ぶのは合理的だと言い切られたって、だんだん不合理に実はなってきておるのが現実であります。そんなに合理的だとおっしゃるなら、地方区の定数是正をどんどん人口の変化に応じておやりになるのが私は正しい姿だ、このように思います。政治が揺れ動く、こうおっしゃいましたけれども、どういう計算になるのかわかりませんが、それは多分自民党がしょっちゅう負けるということであろうと思う。負けたっていいじゃないですか。自民党の皆さんが嫌なだけで、国民の御選択である、私はこのように反論を申し上げます。また、お金がかかる、選挙運動がつらい、こうおっしゃるけれども、地方区の方だって、参議院のこの間のこの委員会でも議論がございました。大変なお金がかかっていらっしゃる。たとえば三重県でいうならば、衆議院の場合には九人の国会議員を選ぶところを一人で、候補者自身も大変な肉体労働でありますし、やはり大変お金がかかっていらっしゃるだろうと私は思います。また東京や神奈川というようなところでは八十万、百万という地方区の票をお取りになる方もいらっしゃる。全国区と同じだけの票数の選挙に現実はなっているわけであります。したがって、本当にお金がかかるのがだめなんだから、候補者自体が大変肉体的につらいから、あるいはまた選挙民にとっても大変選びにくいからというのであるならば、私はそれは参議院の地方区も一緒である、このように思うのであります。そういったような意味で、もう一度重ねて、どうして思い切って全部を拘束名簿式比例代表制度にするということをおとりにならなかったのか、あるいは検討されなかったのかもしれないが、そういったことも含めて御答弁をいただきます。
#24
○金丸参議院議員 定数是正の問題の必要性、緊急性は、先ほど申し上げたとおりでございます。私どももできるだけ早くやらなければならない、かように考えております。一応定数是正の問題と地方区、全国区をひっくるめまして参議院の現在の選挙制度をどうするかは、別個の問題として考えておるわけでございます。地方区につきましては、何と申しましても私どもは国民に根づいた制度でございますので、やはりこれは存置することが適当であろう。だから、党内におきましても、地方区を廃止して全国区一本にするという意見は、全然いままで出たことはなかったように私は記憶をいたしてます。両方あわせてやはり私どもは考えていくのが穏当であろう、こういう考え方でございます。
#25
○中井委員 それでは次の議論に移ります。
 参議院におきまして、わが党の委員は、大半の審議時間を実は悪法問題に費やしました。大変熱心に憲法論争をやったわけでありますが、どうもすれ違いに終わった感がございます。私どもは別にこの拘束名簿式比例代表制度を合憲性が強いなんということを言うつもりはございませんが、衆議院段階でいつまでも憲法論争というわけにもいきませんので、憲法論争をおいて、そして百歩譲ってこの制度が皆さん方や社会党さんやあるいは共産党さんのおっしゃるように合憲的なものだ、こういうふうに考えて、その中におけるわからない点あるいは矛盾が多いじゃないか、こういった点について質問をさしていただきたい、このように思います。本会議でもお尋ねをしたわけでありますが、具体的なお答えをいただけませんでした。
 まず、政党の要件というものが三つございます。このうち、所属国会議員五名あるいは十名の候補者、これに関しては政治資金規正法にある政党というものによって要件として出したんだ、こういうことでございます。この四%を直近の選挙で取った政党については政党と認める、この要件については、どういう合理的な、あるいは法的な根拠がおありになってお出しになったのか、お尋ねをいたします。
#26
○松浦参議院議員 お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘をいただきましたように、所属議員五名、候補者十名、これは政治資金規正法あるいは公職選挙法の中の確認団体、法制体系との関連をつけるという意味で、政党らしい政党という認定で一号、三号を定めました。それだけでいいのかどうか検討いたしましたときに、やはり所属議員がそれだけなくても、あるいは名簿候補者がそれだけなくても、直近の選挙において一定の得票数を取っているものについても一つの要件を定めて政党らしい政党と認める方がいいんではなかろうかという意見が出てまいりました。
 そこで問題は四%という数字でございますが、これは正確な意味での算定の根拠があるわけではございません。しかし、一号、三号とのバランスをとりながら考えた、こういうふうにお考えをいただいて結構かと思うのでございます。さらにかみ砕いて言いますと、四%という数字は、現在の全国区制度、今後の比例代表、これについて考えますならば、大体これまでの経緯から、有効投票五千万をちょっと超えるところでございます。四%ということは、大体二百万を超えるわけでございますから、一回の五十名の定員の選挙において二名は確保できるだけの得票だというふうに数字的には考えるわけでございます。それが裏表になりますので四名、まあ五名に近い数字ということを考えたのでございますが、ちょっと下でもよかろうということで四%という数字を使った、こう御理解をいただけたら結構かと思います。
#27
○中井委員 これまた本会議でもお尋ねをしたわけでありますが、いまの御答弁を聞いて、政党の要件というのはこじつけの計算みたいな気もするわけでありますが、政党に信頼を置いて、個人名のかわりに政党というものをお書きをいただく、こういう選挙に変えようということであり、したがって、根本に国民の政党に対する信頼あるいは政党自身のその信頼にこたえる日常の活動、こういったものも必要であろうか、このように思います。特に日本人全体がなかなか政党というものに入っていかない、政党に入っている人は少ない、あるいは普段の衆議院あるいは参議院の選挙あるいは地方議員の選挙等もなかなか国民は政党でお選びにならない。そういったときに、政党で選べ、こういう形で無理やり持っていかれる、そうすると、やはりその政党の基準というものあるいは政党の要件というものをもっともっと煮詰めて、あるいは議論をして、そして将来ともこういう形が日本の政党なんだ、こういう基礎的なものを凌駕しているものが政党として認められていくんだということをはっきりしていくべきだ、大変大事な問題だ、このように私は思います。したがって、当然本来政党法というものをお考えになる、おつくりになった上で議論をされるべき法案であると私は思うのであります。ただ参議院の全国区のことにだけ適用することだからという形で政党法というものをおつくりにならなかったのか、あるいは、日本の国において政党法というものは憲法上の問題やいろいろなことがあってつくることがむずかしいからおつくりにならずにこういう形でお出しになったのか。どういう御選択の中でこの政党の要件というものが政党法抜きで出てきたのか、そこのところを御説明願いたいと思います。
#28
○松浦参議院議員 これまでの過程で金丸先生からもお答えを申し上げておりますように、現在の日本で政党法をつくるというようなことになりますと、政党に対する公権力の介入という問題あるいは一体何に力点を置いて政党法というものを定めるのかといった問題がまだ十分煮詰まっておりませんし、非常に重要な問題でございまして、もうしばらく検討する必要があるのではなかろうかということで政党法というものはあきらめました。
 そこで、具体的には拘束比例代表をとる以上はやはり名簿提出要件というものが必要でございますので、それは国民の意思を媒介する役目を果たす政党でございますから、政党らしい政党というものにすべきじゃなかろうか。この政党らしい政党というものを、現行法制の中から政治資金規正法、さらには公選法の中の確認団体の規定、こういうものとの関連をつけて、それを公選法の中に規定するという形をとったというふうに御理解をいただければ幸せでございます。
#29
○中井委員 この法案全体を見ますと、先ほど私が申し上げましたように政党選挙をやるんだ、こういう形で全面的に打ち出されておる。しかし、片一方ではその基礎となる政党法というものをつくらないでいる。あるいはまた政党というものが選挙運動をやるときにどういう選挙運動ができるんだと言えば、いまの個人の選挙運動を規制しておる公職選挙法に合わせて考えるんだというような形、いろいろな形で制度が非常に中途半端だ、このように私は言わざるを得ないと思うのであります。そこのところを一つ一つ明確にしていきませんと、なかなか私どもはこの制度で――私どもは反対でありますからあれですが、この制度がやられたときに、この制度にのっとって思い切って選挙をやっていく、あるいは国民に新しい形で訴えていく、こういったことができないと考えております。そういった観点から御質問申し上げますが、できるだけ細かく御説明を賜りたいと思います。
 まず最初に御確認を申し上げたいのは、こういう要件の中で政党をお書きいただく、これはやはり国民にも政党というものを信頼してください、こういうことをお願いすることであるし、皆さん方も、議会制民主主義の日本の国家においては政党というもので政治をやっている、国民に政党で選んでいただいてそれでもう十分、憲法違反にもならないんだ、こういう自信を持ってお出しになっておると理解してよろしゅうございますか。
#30
○松浦参議院議員 お尋ねのとおり憲法違反の問題はないと思いまするし、また、日本の政治というものが現実に政党を中心に回転しておる。そうすると、どの政党を選んでいただいてどの政党に政権を担当していただくかということを国民の一人一人の方にお選びいただく、これが政治の基本になるのではなかろうかという考え方、言いかえますならば先生のおっしゃったとおりだろうとお答え申し上げていいかと思います。
#31
○中井委員 そうしますと、まず最初に、供託金の制度がございます。二倍に上げて四百万円。今回は政党の要件というのがございますから、一番安くいこうと思っても、参議院地方区に九人を立てて全国区が一名という形でやって二千二百万ですか、それぐらいのお金が要るということであります。このような形で高い供託金にした、あるいはまた、おっしゃる政党というものを信頼しておるのだ、そしてその信頼をしておる政党にしかも要件をつけてやるんだ、その上また供託金を取る、こういう発想はどこから出てくるわけですか。
#32
○松浦参議院議員 本法案で供託金を倍に上げておりますのは、こういう新しい制度をとるから倍に上げたのではございません。たまたまその時期に来ておりましたので上げましたので、いかにもこれが結びついてしまうようにおとりいただくことは非常に残念なんでございますが、五十年に約三・三倍に引き上げております。これまでの例を見ますと大体五年に一回ぐらいの間隔で倍ずつに引き上げてきておるのでございます。すでに七年そのときからたっておりますので倍ぐらいに引き上げることはやむを得なかろうということで四百万円にいたしたわけでございます。しかし、これもあえて私どもこれがベストであると考えているわけではございませんので、十分御審議をいただきたい、こう思っておじます。
#33
○中井委員 私が申し上げておりますのは、高い安いということもございますけれども、もう一つは、信頼をして、制限をつけて政党というものを決めているわけであります。無制限じゃないわけであります。それにもかかわらず供託金を取る。しかも供託金の発想からいけば本当なら個人の選挙と一緒で一人で幾らということでありますから、一政党幾らという供託金であたりまえであります。にもかかわらず候補者一人一人につき幾らだという形というのは、この法体系の中で少しおかしいんじゃないか、こういうことを申し上げているわけであります。
#34
○松浦参議院議員 御承知のように供託金制度は、個人選挙のもとでは泡沫候補の制限と申しますか、できるだけ出ないようにということと、もう一つは、公営についての本当に費用の一部を分担していただく、こういう思想からできておるようでございます。したがって、この新しい制度のもとで一体どうするか、ずいぶん考えたわけでございます。やはり政党というものは、名簿を提出できる政党として、政党らしい政党は決められますけれども、それに載せる候補者の数、これが売名等の極端なものが入ってくるとか、いわゆる泡沫候補に相当するようなものがたくさん入ってくるということはやはり問題があろう。そういう意味で第一の問題はクリアをする、第二の問題は、当然御承知のように公営がまだあるわけでございますから、それに対する費用分担もお願いする、こういう考え方でいっております。特に公営の部分については、名簿登載者の数と、それからたとえばテレビの時間、こういったものとはリンクをさせております。そういったことから考えてもやはり供託金制度はどうしても必要ではなかろうかということで残したわけでございます。
#35
○中井委員 後で御質問申し上げようと思ったのですが、松浦先生お触れになったのでついでに申し上げますが、名簿登載予定者の数で放送時間だとか、あるいは公報とか新聞広告、そういったものは制限をされる、これ自体も私はおかしいと思うのであります。政党を、無条件でとにかく届け出さえしたらみんな立候補できるという制度じゃなしに、政党の要件という形でびしっと制限を加えておるわけです。その制限を凌駕して政党として認められて立候補した政党に対して、供託金が数によってふえてくる。あるいは候補者の数によって放送時間等も制限をしていく。こういう発想というものは、政党選挙であるということをおっしゃるのと少し矛盾があるのじゃなかろうか。政党を主体とした選挙をやっていく、政党を選んでいただく、こういうことで、いまお答えの中でも、名簿の中に少し泡沫候補的な者が載ったり、売名的な者が載ると言うけれども、これは政党を御信頼なすっていないということじゃないでしょうか。どんな候補者の名前を並べようと政党の自由であり、その名簿によって政党が判断をされるわけであります。それは政党に任せることであって、供託金で政党の中の売名行為的な者まで制限をするというような発想、それ自体は制度全体から見て少しおかしくなるんじゃないですか。
#36
○松浦参議院議員 泡沫候補の制限というものと同じように考えて、泡沫名簿登載者というものを制限すべきじゃなかろうかという考え方でございます。
#37
○中井委員 だからそこがおかしいと実は申し上げているわけで、議論していると時間がたちますので進めます。
 泡沫政党をとにかく、泡沫政党という言い方は大変失礼かもしれませんが、制限をするんだという形でおやりになる。したがって、供託金だって政党単位で幾らの供託金となさるのが当然ではないか。まして政党がお出しになる供託金であります。放送時間だって、政党の要件を超えた政党に対しては、やはり平等に与えていくべきじゃないか。もし皆さん方のこの発想がいいとするならば、たとえば私どもお互いに衆議院選挙をやっております。そうすると、各選挙区で、大変失礼だけれども、泡沫候補という方もお出になる。その人に対しても実際、NHK等の政見放送の時間制限をするのか、こういうことになってくると思う。新聞社の方だって、候補者に対しては同じスペースで公約等を聞いてやはりお載せするようにしておる。内心ではいろいろなことを思っていらっしゃると思いますが、そういうことで現実にやってきているわけです。候補者となった政党というものは平等に扱われるべきではないかと私は思うのですが、再度お答えをいただきます。
#38
○松浦参議院議員 衆議院議員の選挙の場合における中井先生と泡沫候補、この取り扱いは全く平等でございます。これは候補者一人と一人でございます。名簿提出政党も一人と一人の場合は同じでございます。一人と十人になりますと、やはりこちらの政党は、こういう人が一人名簿に載っていますよということを言えば足りる、こちらの政党には、一人と違って十人こういう人が載っているのですよと言うチャンスを与えなければなりません。したがって、一人対十人分、こういう感覚で物を律していくのがいいんじゃなかろうか。しかしあくまで五十名までの比例ということになりましても極端になりますので、半数の二十五名以上についてはもう差をつけないということで割り切っておるのも先生の御主張の一部がその中に入っているというふうに御理解をいただけるかと思います。
#39
○中井委員 私自身なかなかいまの御答弁納得できないものがあるわけであります。そうすると、政党選挙だ、こう言うけれども、個人選挙というものを十分まぜてあるんだ、こういうふうに理解しなければいけないのですか。
#40
○松浦参議院議員 選挙は政党に投票していただきますけれども、その政党の提出した名簿の中にどういう人が載っているかということも、これは国民の選択の一つの基準になろうと思います。そういう意味ではどういう候補者が名簿に載せられているかということを各政党がそれぞれ国民に向かって宣伝をする、周知をするという機会が必要だ、こういう理解からでございます。
#41
○中井委員 それではもう一つ、同じ形で御質問を申し上げます。
 そうすると、政党の要件というものを満たして、そして名簿を出して選挙をやった政党、しかもその中から当選者を出した政党が供託金を没収されるというのはどういうことか。たとえば衆議院でも参議院の地方区でも、供託金というのは大体そこの有効投票の何分の一かをとればと非常に緩やかな形になっているわけであります。ところが、皆さん方の制度では、当選者掛ける倍、そこまでは供託金を没収されない、それ以上は没収される、これもまたおかしな話でございます。政党の要件をかなえて、そしてしかも当選者を出した、そういう政党から供託金を没収するという発想はどこからくるわけですか。
#42
○松浦参議院議員 供託金制度につきましては、先生から御指摘をいただいたとおりでございますが、新しい制度のもとにおいて供託金制度を存続する以上、没収という制度が全くなくなってしまうのもどうかと思います。そういうことでこの点については長時間かけていろいろ検討いたしたわけでございますが、どんな政党でも法律上は五十名まで名簿に載せられるわけでございます。そうなりますと、公営の費用も非常にかかるし、一人、二人しか当選させる能力のないところが五十名出すというような形になりましても非常に国民にわかりにくくなるという心配もございます。そういうことで、供託金の没収点というものをそういう角度を入れながら眺めたらどうかということになりました。
 結論的には、当選者の二倍を超える以上の者はこれは没収だということにしたわけでございます。私どもは、この二倍が理論的な根拠がある、絶対であるとは申しません。あるいは二・五倍がいいのか三倍がよかったのか、その辺は私どももわかりませんけれども、まあ倍という通常に使われる観念を取り入れたということでございます。
 先般もお話を申し上げましたように、逆に没収される者が多く出て困るじゃないかというお話がございました。これは各党における一つの選挙の戦略、戦術の問題であろうということを申し上げたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、供託金制度を存続する以上、没収点を決めておく。当選者が出れば没収はしないというような決め方も確かにあるかもしれません。しかし、そうなりますと、先ほど申し上げましたように一人しか当選者が出ないようなところが五十名名簿いっぱいに載せてくる、こういうことになりましても選挙制度としては混乱するし、いかがかということで、二倍に踏み切ったというふうに御理解を賜りたいと思います。
#43
○中井委員 皆さん方のこの法案の制度でいけば、たとえば私どもの党で二十五人なら二十五人立てる、五人当選をした、十人までは供託金没収を免れる、こういうことであります。そうしますと、六年間有効になるわけでありますから、六年の間に死んだり辞退をしたりして六番目から十番目までがずっと消えてしまった、そしてだれか現職が死んだら十一番目の人が当選になる。だけれども、この人は供託金を没収されておるのじゃないですか。供託金を没収された人が当選になるのです。そんなに死なぬとおっしゃるかもしらぬが、私のところはもう二年間で二人死にましたし、何があるかわからないわけであります。そういったことを考えると、非常におかしな制度だ。だから、たとえば政党の要件である四形を取った政党については供託金没収がないとか、そういう形の考えでなければこの法律としてはおかしい、一つも合理性というものがない、私はこのように思うのですが、いかがですか。
#44
○松浦参議院議員 先ほど来お答え申し上げておりますように、供託金制度の中には公営費用の一部を分担していただくという思想もあるわけでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。
 ただいま、二十五名出されて五名当選された。それは十五人分没収されております。五名亡くなられて五名が上がられてさらに五名の中の一人が亡くなられると、十一番目の方が上がる。この供託金という考え方は個人についての考え方じゃございません。したがって、その人が供託金を没収された人という考え方はおとりをいただかないようにお願いをしなければいけないのじゃなかろうか、こう思っております。
#45
○中井委員 それでよけいわからなくなるのです。先ほどは名簿の中に泡沫候補者あるいは売名行為者を出さないためにそういう形で供託金を取るのだ、政党から取るのだ、こういうことであります。そうすると、何か個人というものの制限のために供託金をやる。当選者の倍で供託金を没収する。しかしそれは個人じゃないのだ、党だ、こうなるわけです。そうすると、当選者を出して政党と認められた政党が供託金を没収される。非常におかしな、幾ら考えても僕はわからない。ひとつ、時間がありますから、発議者の皆さんはもう少しお考えをいただく、私どももいろいろな形でこの問題を提言をしていきたいと思いますが、いかがですか。
#46
○松浦参議院議員 この供託金はあくまで政党が供託をするものでございます。名簿に何人載せるか、順番をどうつけるかも政党がお決めをいただくわけでございます。したがって、供託金の没収という問題も当然政党主体になってくる。ただ、政党が何人載せるかという問題、泡沫登載者というようなものを載せるか載せないかということはこの制度によって若干規制が及んでくるだろう、こういう考え方で、あくまで政党が主体であるというふうに御理解をいただきたい。
 それから後段の御質問は、この供託金の額の問題あるいは没収のやり方の問題、こういった問題について私どもの考え方がベストでほかに方法がないとは決して申し上げておりません。十分慎重に御審議をいただきたい、こういうふうに思っております。
#47
○中井委員 それでは、いまの後段の答弁を了としまして、次に移らせていただきます。
 次に、選挙運動というものがございます。名簿登載者は自分の、参議院全国区の選挙運動はできない、こういうことでありますが、そうしますと、政党がいろいろな形で選挙をやるわけであります。政党の選挙運動というものはどういうものか、選挙期間中あるいは事前運動期間とみなされる期間中、政党というものはどういう選挙運動をしても構わないのか、やれるのか、こういったことについて何一つ触れられておりません。いままでどおりだ、こういうお答えのようでありますが、そこのところの御確認を願います。
#48
○松浦参議院議員 政党本位の選挙でございますから、政党が中心になって選挙運動を展開する、これは先生御指摘のとおりでございます。政党の選挙運動とは何かと言えば、この制度のもとにおいては、先生の場合でございましたら、民社党とお書きください、これが選挙運動の主体であろうかと思うのでございます。選挙運動だと思うのでございます。そういう意味で、そういうふうにお願いするのに際して、現行法制上戸別訪問はいけませんと書いてあります。だから戸別訪問をして民社党に投票してくださいと言うのはいけないということになります。文書図画でもそれぞれの規定がございます。それに許された範囲の中において政党がわが党に投票してくれということを展開していく、こういう形の選挙運動になろうかと考えております。
#49
○中井委員 その選挙期間中の政党の日常活動というのはどういうようになるのですか。
#50
○松浦参議院議員 選挙期間前の政党の活動は全く自由でございます。選挙運動にわたらない限りは全く自由でございます。選挙期間中は、原則として自由でございますが、一定の行動については確認団体以外はできないということになっておりまして、その部分については確認団体に許された範囲で政治活動をお願いする、こういうことになろうかと思います。
#51
○中井委員 私は、ここにもこの法案のおかしさがあると思うのであります。いままで衆議院や参議院の選挙では、政党をこういう形で要件として認めるものがなかったわけでありますから、個人の選挙運動をやる。それ以外に、確認団体というものを設けて、確認団体が一つの政党的な運動というものができる。たとえば政連カーというものを出して、中井洽にとは言えないけれども、民社党の政策をやっていける、こういうことであります。ところが今度、政党の選挙をやるんだ、こう言いながら、もう一方で確認団体というのも同じく残しておる。そして、この確認団体がたとえば衆議院だけ、参議院の地方区だけという形で認められるなら、これで筋が通ると私は思うのでありますが、参議院の政党選挙をやる名簿登載の選挙に関してまで確認団体も有効になってくる。そうすると、政党の日常活動、政党の選挙運動、確認団体の選挙運動、個人の運動と非常に複雑な形が出てくるのではないかと思うわけであります。したがって、確認団体と政党の日常活動あるいは政党の選挙運動といったものをどういうふうに区別してお考えになっていらっしゃるのか、明確にお答え願います。
#52
○松浦参議院議員 衆議院の問題はさておきまして、参議院の選挙は必ず比例代表選挙と選挙区選挙とも同時に行われます。したがって、選挙区選挙の方にだけ確認団体制度を残して、比例代表の方ではそれをなくすということは実際の運用上不可能だ、渾然一体となってしまっておる。そういう意味で確認団体制度を残すということでないと、かえってわかりにくくなるだろうという観点からこれを残すことにいたしたわけでございます。
#53
○中井委員 私は逆だと思うのです。地方区において確認団体というものをお残しになっていく、そして比例代表制の選挙に関しては政党選挙をやる、こういう形を明確になされるのが皆さん方の発想からいけば当然のことではないか、このように思うわけであります。
 たとえば、私どもは、選挙期間中であろうと日常の政党活動の自由は保障されるべきだ、また発議者も当然そうお考えになっていらっしゃると思う。そうすると、私どもは日常、毎日党員になってくれ、あるいは党の機関紙を読んでくれ、こういう運動を続けておるわけであります。選挙期間中もこれはやると思います。これは皆さん方はいまは、それはもう日常活動ですから当然自由ですとおっしゃるかもしれない。しかし現実に取り締まり当局、選管当局はこれを絶対許さないと私は思うのであります。あるいはまた、現行法の中では、減税を要求する民社党なんというステッカーを張ってございます。これからも張り続けるわけであります。こういう運動というのは日常活動で許されておるわけであります。ところが、選挙期間中も政党の日常活動は許されるという形でこれをやりますと、実際は、皆さん方はそれは常識の範囲を超えなければ大丈夫だとおっしゃるけれども、選管はやめなさい、外しなさいという通知を出す、警察も外しなさいと言ってくる、必ずそういうふうに言ってくるわけであります。ここのところを明確にしていただかないと、なかなかこの新しい形での選挙に私どもは飛び込むわけにはいかない、このように考えますが、そこの点いかがでございますか。明確な区分をお聞かせ願います。
#54
○松浦参議院議員 私ども取り締まり機関ではございませんので、できました法律をどう解釈をしてどう運用するか、それぞれの機関がお決めになることだと思いますけれども、われわれの考え方は、先般の御質問にもございましたように、常識的にいままでやっておられる、たとえば減税を実行する民社党というポスターをおつくりになられて、それを三カ月も四カ月も前から民社党の掲示板にずっと張ってある。それを選挙期間中になってはぎなさいと言われる、こういうような事例はあったかもしれませんけれども、法律的にそれがどこの条文にひっかかるかということは、私どもはないと思っております。
 ただ、百四十六条、七条といったものの関連から、故意に、たとえば告示の三日前にそういうものを大々的に何万枚と張り出すというようなことになれば、これは脱法行為として摘発を受けるというようなことはあり得るかもしれません。しかしそうでない場合には、一般の場合には法律に違反するということではないようでございます。
 ただ具体的には選挙管理委員会等がクリアにする、きれいにするという意味からでしょうか、何とか取っていただけないでしょうかというお願いをしておる事例は全国にいままで幾つかあるように聞いております。その点については、自治省の方にお尋ねをいただければ具体的なことがある程度わかるのではなかろうかと思います。
#55
○中井委員 具体的な事例についてこれはどうだ、あれはどうだというのは、また岡田議員があしたにでも質問をさせていただくと思うのですが、私どもは、この場で発議者のお考えなりあるいは各党のお考えを明確にしていただかなければ、つくった後は自治省やら何やらとにかく法律をどう解釈するんだということによって決まる、これではとうてい納得はできないわけであります。現実に国会におけるいろいろな解釈と選管あるいは警察、取り締まり当局の考えというのは非常に違うのであります。いま松浦先生はときどきとおっしゃったけれども、ときどきじゃない、ベリーオーフン、しばしばなのであります。大半がそうなのでございます。そうしますと、いまのお答えから言っても、政党は選挙期間中日常活動を全部ストップしなければならない、こういう形が出てくると私は思います。実はこのことを非常に心配をするわけでございます。
 特に参議院の選挙が行われます夏時期は、参議院選挙のない年でしたら政党はいろいろな活動をするときである、それが全部選挙違反だという形になってくるおそれが多分にあるわけでございます。したがって、ここのところを明確にしていただかない限り、私どもはなかなかこの法案を審議終了とするわけにいかないと実は考えております。したがって、そういったことについて発議者にここの審議以外にも十分話し合う御用意がおありかどうか。あるいはまた委員長にもひとつ御要請を申し上げますが、この問題について審議と同時に各党間でこれはどうだあれはどうだという煮詰めを十分一方でしていただく、こういったことについてお考えをいただきたい。このことを御要請申し上げます。
#56
○久野委員長 ただいまの中井君の御提案につきましては、慎重に委員会の審議が行われた後、理事会において協議をいたしたいと思います。
#57
○中井委員 行われた後といいますと、もう当局の解釈の方が先に立ってしまって、それはだめです、これはだめですと言われて、ここで何のために審議をするかわからない、私どもはそのように考えております。したがって、重ねて御要請を申し上げますが、この審議の最中にそういったことを十分煮詰めていただきたい。発議者の方々もなかなかおわかりにならない、私はこのように考えるわけであります。重ねて御要望を申し上げておきます。
#58
○久野委員長 中井君のただいまの御提案につきましては、理事会において協議をいたしたいと存じます。
#59
○松浦参議院議員 一言でおわかりいただけるようにはっきりお答えを申し上げておきたいと思いますが、ただいまのポスター等の問題につきましては、脱法の特別の意図がない限り法律違反にならないというふうに私どもは考えて立案をいたしております。
#60
○中井委員 それは水かけ論に終わるわけであります。私どもは脱法じゃないと言うし、選管や警察は脱法だ、こう言うたらしまいのことであります。現実にそれによって取り調べられたりやられたりしたら、後から脱法じゃないと言ったところでしようがないことであります。したがって、十分、そういった逃げの答弁じゃなしに――具体的なことであります。これは政党の活動にとって大変大事なことなんです。本当に松浦先生紳士でいらっしゃるから紳士的にお答えをいただくけれども、それではとうてい私どもは承知できないと考えております。したがって十分話し合いをする、各党間での合意というものをやっていく、こういうお答えをいただきたい、このように思います。
#61
○松浦参議院議員 現在の選挙法も全くそうでございまして、脱法の意図があるかどうかということは客観的な条件によって決まるわけで、最終的には裁判所が決める問題だと思うのでございます。そういう意味で極端な事例を申し上げますならば、故意に投票日の三日前に一カ所に何万枚というものをばあっと張り出すというようなことは、これは明らかにおかしい。そういう場合、いけないのだというふうに申し上げているので、そこは非常にラフにといいますか、心安らかにお考えいただいていい問題と私は考えておるわけでございます。
 なお、この問題についてただいまの御提案でございますが、十分慎重に御検討いただければ幸せだと思います。
#62
○中井委員 全国区の先生方は、余り大き過ぎて個々の選挙運動とか政党活動というのはどういうのか余りおわかりになっていらっしゃらないのじゃないかなという気がしながら私はこの質問をいたしております。
 こればかりにこだわっておりますと時間がなくなりますので、あしたの岡田さんの質問に譲ることといたしまして、もう一点同じような観点からお尋ねをいたします。
 この法案の中に、各政党は一つの県に一カ所ずつ事務所を設けられる、このようにされております。これはどうしてこういう形が出てきたのか、お答えを願いたいと思います。
#63
○松浦参議院議員 比例代表選挙におきましても、公営の部分のほかにも当然選挙運動というのはあり得るわけでございます。たとえば、法律で禁止をされておりません個々面接あるいは電話、こういったことによりましてわが党に投票してください、こういうことは当然あり得ます。さらに、本部との連絡、情報の収集、こういったことがどうしても必要であろうかと思います。そこで、県に一カ所政党を主体とした政党の選挙事務所をつくることができる、こういう考え方をとったわけでございます。
#64
○中井委員 この選挙事務所で政党はどういう選挙運動ができるのですか。いまおっしゃった電話だけですか。何ができるのですか、具体的にお知らせください。
#65
○松浦参議院議員 自由民主党という看板をそこへ立てるという乙ともありましょうし、個々面接、電話、幕間演説あるいはそういった運動の手配を全部一つの県の中に置いてそこを中心にしていく。それからここの県の情報はどうだということを本部から連絡がございましょう。あるいは本部の方からこういう者を派遣してそれぞれの手当てをしてくれというような問題もありましょう。県単位に何か中心がなければ選挙運動は展開できないのではなかろうか、こういう考え方でございます。
#66
○中井委員 そうすると、そこでの収支報告、選挙中の費用の報告、そういったものをどこへ出すのか、あるいは出さなくていいのか、制限があるのかないのか、その点について。
#67
○松浦参議院議員 わが党の案では、政党主体の選挙でございますから、選挙費用の制限、そういったものは法律の中に書いておりません。
#68
○中井委員 そうしますと、選挙中の政党の使ったいろいろなお金というのは、この間の委員会の御答弁のように日常の常識を超えない範囲であればそれでいいんじゃないか、こういうふうに理解していいわけですね。
#69
○松浦参議院議員 政党の選挙運動でございますし、実際の支出は政治資金規正法の中でどれだけ金を使ったということが表へ出ていくというだけのことであって、法定選挙費用というようなものを定めることはいかがかということで定めておりません。
#70
○中井委員 そうしますと、大変私どもはわからないわけであります。お金がかからないためにする選挙であるのに、金をかけようと思ったら幾らかけても構わないという形が出てくると思う。選挙事務所を持つ、そこへ党員と称する者をどんどこ入れて、懇談会だ会食会だということで飲み食いをさす、あるいは法定的に認められたビラを出すときに、ふだん政党はビラを張ってもらうときには労賃を出しておるからといって幾らでも労賃を出していく、張ってもらった家に党からのお礼だといって出していく、ビラを何億枚と刷って、あなた悪いけれども二十日間一日一万円で毎日ビラまきをしてくれと言っても構わない、個別に持っていっても構わない、こういうことまで全部できると私は解釈するのですが、そういう解釈でよろしゅうございますか。
#71
○松浦参議院議員 選挙運動に要する費用はほとんどが公営でございますから、電話とか個々面接とか幕間演説とかそういったものにそんなにお金がかかると思いませんし、また政党がおかけになるとは思いません。
 ビラやポスター、そういった問題は確認団体の方で一定のものについては制限がかけられておりますから、それ以上のことはできない。したがって、大きな金が湯水のように出ていくというようなことは私どもは考えておりません。
#72
○中井委員 私どもは松浦先生みたいな紳士的な人ばかりが自民党やら他の政党におられたらそういう形でいくと思うのであります。しかし、現実はもっと激しいものでございまして、このような法案でいけば必ずむちゃくちゃな金遣いの選挙になる。それを使っても全国区のいままでよりか安いという形でやる、こういう可能性が私は出てくると思う。
 また、いまポスター張りやビラというものを張るのは確認団体の方での制限がある、こういうわけでありますが、そこにもおかしさがあるわけであります。一つの選挙運動の中に政党というものが出てきて政党の選挙をやるのだといいながら、片一方は確認団体での規制をやるのだ、大変おかしな法律だと言わざるを得ないのであります。この選挙事務所なんかも一県一カ所持たして、何にも運動させない、しかし現実には幾らお金を使ってもいいのだ、こういう形では何のための選挙事務所かわからない。私どもは、つくらすのであるならば、そこでもう少し政党ができる選挙運動というものをきちっと明確にしていく。そして、その範囲でやっていいんだというようなかっこうを考えるべきだと思うのでありますが、いかがでありますか。
#73
○松浦参議院議員 御承知のように、ポスターやビラは、今回の政党本位の選挙において、政党でこれを掲示することを法律で認めておりませんから、その選挙運動のためのポスターやビラのためのお金というのは出しようがないわけでございます。私が申し上げているのは、ポスターとかビラとかいうものは、証紙を振ったりするのもございますけれども、確認団体、いわゆる政治活動として行っていただく分野に金がかかるということでございますから、選挙費用の問題とは切り離して考えていって差し支えないのではないかと思っております。
#74
○中井委員 そうしますと、各党員は、動くときには確認団体として動かなきゃならない。政党員としてポスターを張ったり、いわゆる三種類のビラをまいたりするのはだめだ。これは確認団体でまくのですね。政党としてはやらないわけですね。政党としてやったらだめなんですね。そういうことですか。そんなばかな……。
#75
○松浦参議院議員 政党が行う選挙運動はポスターもビラもできない、こういうことでございます。やるのは同じ政党でございます。現在の制度もそうでございます。
#76
○中井委員 そうしますと、選挙事務所というものを持ちますね。ここは政党がやるわけなんです。そこへ集まる政党員というのはどういう選挙運動ができるのか。選挙事務所があって選挙運動がないということは僕はないと思うのです。電話だけだ。そんなばかなことはないんじゃないですか。あと日常活動でやるんだということであれば、日常活動はそれぞれの県本部でやればいいわけですから。支部の本部でやればいいわけですから。
#77
○松浦参議院議員 各県連の事務所は日常あるわけでございますから、選挙事務所を選挙の公示があってからそれと一緒にしてもらっても構わないし、別につくっていただいても構わないわけです。
 一体選挙事務所が何をやるのかということでございますが、これは、全国を合わせてどれだけの票をとるかということを各党がおやりになるわけでございますから、県ごとに連絡をしないで、情勢がどうかという分析をしないで選挙がやれるはずはないと思うのでございます。具体的にやれる選挙運動は何かと申しますれば、法律で禁止されていない事項が幾らもございます。電話、幕間演説、個々面接、いろいろあると思います。そういったことについても、それぞれ集まった党員に手分けをして活動していただく、こういうことになるんではなかろうかと思います。
#78
○中井委員 大体わかってまいりましたけれども、やはり地方区は地方区の確認団体という形での選挙運動、個人の選挙運動、そして比例代表は比例代表で、こういうふうに選挙事務所を持たせて、そして政党としての選挙運動をもう少しできるようにする。あるいは、たとえば選挙事務所一つ一つに政党の政連カーというものを配置して、そして宣伝だけはできるんだというような形だとか、そういったことを少しお考えになった方が合理的だと私は思うのですよね。選挙事務所は持ってよろしい、しかしそこでできるのは具体的には電話だけだ、こういうことでは何のための選挙事務所かわからない。これなら選挙事務所を認めないという方がまだまだあっさりとされておる。各県本部で、支部の本部でやればいいわけ、ですから、政党が日常活動の中で。そういったふうに思うのですが、いかがですか。
#79
○松浦参議院議員 繰り返しになりますけれども、やはり四十七県それぞれの県に一カ所ぐらい事務所がないと、全国のそれぞれの党の票を集めるという体制としては不十分だ。情報収集、連絡、そういったことだけでも大変な仕事になるんじゃなかろうか、こういうふうに私は考えておりまして、一カ所ということにいたしております。
 なお、先生から御指摘をいただきました、選挙運動というものの幅をもう少し広げていいじゃないか、これも一つのお考え方であろうかと私は思います。私どもとしては、できるだけ政党にも金がかからないようにという意味で公営を中心とした選挙運動に限定したわけでございます。なお慎重に御検討いただけたら幸せでございます。
#80
○中井委員 いまの御答弁にありました、政党にできるだけお金がかからないという形も一つだと私は思います。逆に言えば、さっきの供託金のところへまた戻るわけでありますが、たとえば四%以上とった政党あるいはたとえば当選者を出した政党、名簿で当選者を出した政党、そういった政党に対して公営が少ないわけでありますし、またいままでから言えば、全国区個人個人の公営分として負担しておった分がかなり浮いてくると私は思う。その分を政党に返すという発想、選挙運動の費用として返すという発想、そういったことも一遍将来お考えになるべきだ。これは政党法というものが要るんだというお答えになるかどうかわかりませんけれども、ひとつそういったこともこういう制度のついでにお考えになったらどうかと思うのですが、いかがですか。
#81
○松浦参議院議員 諸外国に例がございます政党への国からの助成の問題であろうかと思います。これは一つの考え方でございます。しかし、政党法ということになりますと、基本的な問題にもかかわってまいりますので、少し時間をかしていただいて検討してみたい問題だと思っております。
#82
○中井委員 他の点でお尋ねをいたします。
 政党名、これは書いていただくわけですから、この政党名がどうあるかというのは大変むずかしい問題だと思います。この案で見ますと、名簿を出そうとしておる既存の政党は九十日以内から七日間の間に届け出る。そして登録することによって似たような急造の政党というものを排除していくんだというようなお考えだ、このように聞いておりますが、そのとおりでございますか。
#83
○松浦参議院議員 御指摘をいただきましたように、一定の時期に、公示前の九十日からたしか七日であったかと思いますが、それだけの期間内に第一号要件に該当する政党及び第二号要件に該当する政党は、名称及び略称一つ、これを届け出ること、これは商標登録法の考え方で、その名称と略称を保護しよう、こういう考え方でございます。
#84
○中井委員 そういたしますと、その後公示になりましてから類似した政党名だと思われるものが登録をされてきたときに、だれがどこで、これはだめ、これはいいという判断をなさるのですか。しかもその判断の基準というものはどこにあるのか。どこまでが似ているとして、どこまでが似ていないとするのか。(「民主社会党は……」と呼ぶ者あり)
#85
○松浦参議院議員 名称保護を受ける団体以外のもの、これは具体的には第三号要件になろうかと思います。これがどのくらい出てくるかわかりませんが、そういう政党が中央選管に届け出てまいりました場合に、たとえば自由民主党という私どもの名称が届け出てまいりました場合に、自由民主党という名前で届け出たものは受け付けられない、これはもうはっきりしております。どこまでが類似するかということになりますと、これは社会常識、判断の問題だと思います。その判断は中央選挙管理会、これで判断をするということになろうかと思います。
#86
○中井委員 実はこの点も私どもはじっくり時間をかけて各党間での合意をいただきたい、このように思うわけであります。選管が、類似しているかしていないかということだけで決めていく。そうすると、全く違う名前だけれども略したら自民党となるような政党をつくって出したときにはどうするんだとか、いろんな問題がある。現実に一回目か二回目にはそういうことがあると思うのです。そういうことをひとつ十分に各党間で煮詰めをしていただきたい。あるいはまた、皆さん方の案では自書式になっておりますが、このときにどこまでを無効とするのか、あるいはどこまでこの政党と読むんだというところの区別をはっきりしていただかなければ、なかなかこれはまた私ども審議終了というわけにいかぬと考えております。実はいま、佐藤先生からお話がございました民主社会党と書かれるおそれがずいぶんあるんではないかと私どもは考えておる。過般法制局の方に尋ねてどうだ、こう言ったら、民主社会党と書いたらそれは多分民社党になるでしょう、こうおっしゃるわけです。しかし、それはここで言っていただいても、全国数千カ所の投票の開票所へ行きますと立会人がおりまして、多分社会党の人は、半分社会党と書いておるからそれはおれのところの票だ、こうおっしゃるに決まっておるわけです。そうすると、そこでわあわあとけんかになって、〇・五票ずつ分けようか、こうなったり、得票数に合わせて比例配分しようかという形が必ず出てまいります。これは、現実の衆議院や参議院の選挙でもいろいろな判断は各開票所でずいぶん違ってくるわけであります。政党名についての判断というものをどういうふうにしていくか、こういったことをやはり煮詰めていただきたい。煮詰めるのがいや、あるいは煮詰められないということなら、一番間違いの少ない記号式というものを御採用いただくことを私どもはお考えいただくべきだ。記号式であればそういった間違いというものはほとんど出てこない。
 あるいはまた、ここに参議院の第一回目から前回十二回目までの無効票の投票率というのがございます。第一回目の全国区の無効投票率というのは実に一四・七二%であります。それが二回目は一〇%、三回目は八%というふうにどんどん減ってまいりまして、最近は五%、四%でありましたが、この間は衆参同時選挙であったために七・一八%という形でまた高い形になっておる。いまのままでいきますと、選管の混乱あるいは各政党の思い違い、有権者の不認識というようなこともあって、大変な間違いが出ると私は心配をいたします。そういった間違いを防止する意味でも、一遍この自書式というものについて十分御判断をいただいて、記号式という簡単なかっこう、こういったものをとるお考え、そういったものはないかどうかお聞かせを願って、質問を終わりたいと思います。
#87
○松浦参議院議員 記号式を採用したらどうかというお尋ねでございます。この点について、いろいろと検討の段階でも勉強さしていただきました。しかしどれだけの政党が届け出てくるかわからない。そういうことのために非常に投票用紙が大きくなってしまいやしないだろうかとか、あるいは各県別に並べる順番は恐らくくじで決めるということを考えるだろう。そうすると、運のいいところと悪いところでえらい差がついてしまうんじゃなかろうかとか、そういった管理上の問題点がございますほかに、やはり日本では自分で考えて書いてもらうことが一番正しい有権者の判断を引き出すゆえんであろうということを考えて私どもは自書式を選んだわけでございます。
 投票の効力の問題につきましては、これは個人選挙の場合も同じでございまして、中井先生と後藤田先生の名前を名字と名前とくっつけて書いてしまう、こういうような事例は全国にざらにあるわけでございます。それを一つ一つ実例で判定をいたしまして、これまで大きな混乱もなく過ごせておりますので、党名を書かせることにいたしましても、十分乗り切っていけるものと考えております。しかもこれは選挙訴訟になりますれば、最後は最高裁判所の右、左の判断で決着がつく問題でございますので、その点は十分御理解をいただきたいとお願い申し上げます。
#88
○中井委員 せっかくのお答えでございましたけれども、いまお話のございました最高裁判所裁判官の衆議院選挙と同時に行われる判断も実はマル・バツでございますし、それから印刷をしていくというのは別にそう大したことじゃない。そんなにたくさん出るわけがございません。お金やらいろんな形で制限をしてあるわけであります。
 また順番を各地区で変えるというのは、現実にいま衆議院や参議院の選挙でも、投票所に張り出してあるあの順番は三重県でも全部変えるわけです。順番変えるわけであります。幾らでもやり方があろうかと思います。私は、一番間違いが少ないし、それからそういった形でのけんかをしなくていいし、とにかく一番最初の制度なんですから、国民にわかりやすい、そしてできる限り無効票の出ない形での選挙というものが望ましい、そういう姿勢を貫くべきだ。その印刷するのはめんどくさいとか時間が間に合わないというのはそれは当局の努力の問題であります。これは印刷することによって逆に集計のときにずいぶん楽になる、ずいぶん早く行われるわけであります。そういったことを含めて、先ほどの問題と同様御検討をいただきますようにお願いを申し上げておきます。
 最後に、先ほど委員長にお願いしましたように理事会でお諮りをいただく。また過般社会党の佐藤先生から御提案のございました、二十五名を限度として差をつける問題、それから放送時間等は政令で定める問題、この問題についても、私どもはぜひとも理事会で十分各党の一致を見る、こういうたことを要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#89
○久野委員長 この際、午後一時より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十三分開議
#90
○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。安藤巖君。
#91
○安藤委員 これから発議者を中心にしていろいろお尋ねをするわけですが、その前に委員長にお尋ねをしたいと思います。
 御承知のように、この選挙制度というのは議会制民主主義の基礎をなす大事なものであるということは御承知のとおりで、これは全く私と委員長は意見が一致しておると思うのですが、それで、国民の意思を正確に議席に反映するという制度でなければならぬと思うのです。その基本的なルールを決めるものですから、これはどうしても国民に十分な理解が得られるような審議というのをこの委員会ですべきだと思うのです。そういう関係でいきますと、一部の党派の数を頼んでの強行採決というのが参議院の委員会であったわけですが、そういうようなことは絶対やるべきでないと思うのです。その関係でまず、強行採決というようなことはやらないということをやはり委員長がこの委員会の席ではっきり明言をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
#92
○久野委員長 安藤委員の御指摘のとおり、ただいま御審議をいただいております案件はきわめて重要な議案であることは、これは言をまたないところでございます。でありますから、従来の定例日にこだわらずに皆さんに大変御精励をいただきまして、連日にわたってこの審議を進めていただいておるというのが実態でございます。
 このような状況下におきまして、でき得る限り論議を通じて国民の前に問題点を明らかにしていただきたいと私は存じます。そのことはやはり国民の判断にゆだねることになるわけでございます。でありますから、この委員会の運営につきましては、理事会の決定に従って運営をいたしておるわけでございまして、ただいまの安藤君の御提案につきましては理事会で改めてまた協議をきせていただく、私としては慎重審議に徹する、かような考え方で審議を進めていきたい、かように思っております。
#93
○安藤委員 強行採決ごときことはいたしませんという委員長の御答弁を期待しておったのですが、そのお言葉がなかったのは非常に残念です。それならば強行採決もあり得るかもしれぬというふうに勘ぐりたくもなってくるのです。
 そしてもう一つは、だから定例日以外にもというお話がありましたが、私はそういうことはお尋ねしておりません。私ども日本共産党としましては、ほかの党も一部はそうでしたが、やはり定例日は厳守すべきだ、あくまでも定例日をやって、その範囲内で慎重審議をやれ、こういうことを申しておるわけです。そこで、強行採決をやらないというふうに言明をいただきたいと思うのですが、それは言明していただけるのですか、いただけないのですか。それは理事会で決めることではなくて、委員長のお考えをいまお尋ねをしておるのです。
#94
○久野委員長 私は、委員会の運営というのは従来とも各党の代表せられます理事の皆さんがお話し合いをなさって、そして円満に運営されるように進められてきたと思うのであります。そうした意味から、やはり委員長がここで自分自身の判断を申し上げることはいかがなものかと存じます。やはり理事会で十分審議日程その他等につきましては各党の御論議をいただきまして、その結果によって判断すべきものと考えておりますので、せっかくの安藤委員の御提言ではございますが、この点については私の意見を申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように存じます。
#95
○安藤委員 私がなぜそういう質問を委員長にしましたかというと、これはことしの四月一日の東京新聞ですが、だからちょっと前ですけれども、委員長がこういう発言をしておられるのが載っておるわけです。御記憶あろうかと思いますが、「四月〇日までに参院で可決して、連休前に私の方に送ってもらう。衆院では毎日でも審議する。最後は結局強行採決になって、委員長席に反対議員が詰め寄り、私の背広が破れる。それが五月〇日だ」、こういうふうに言っておられるのが報道されておるのですが、こういうふうにおっしゃったのですか。
#96
○久野委員長 ただいまお読み上げになりました新聞の記事は、私は残念ながら読んでおりません。事実がどうであったか、一応また後刻調べてみたい、かように思います。
#97
○安藤委員 それでは、お調べいただいた後でまたお尋ねをしたいと思うのですが、結局、「背広が破れる。」と――もちろん私どもはこの法案に反対でございますが、いやしくも委員長の背広を破るというような暴力行為をしようとは毛頭考えておりません。この発言が真実だとすれば、委員長の方で背広が破れるかもしれぬようなことをおやりになるおつもりがあるのじゃないか、こういうふうにも考えたくなってくるのです。ですから、先ほど申し上げましたようにお尋ねしておるわけなんです。まあお調べをいただいた上で、また改めて質問をいたします。
 それから、当委員会におけるこの改正案の審議が終わるころ、強行か何かは一応ともかくとして、採決をされるのが八月十一日ごろだというような新聞の報道があるのですが、これは新聞がそれぞれニュースソースに当たっていろいろ判断をされた結果だろうと思うのです。これは、委員長の方からそういうような話をされたということでもないのだろうと思うのですが、いかがですか。
#98
○久野委員長 そういう事実は絶対にございません。
#99
○安藤委員 もう二つ委員長にお尋ねしたいのです。
 そのうちの一つは、これは理事会でもお話をしておるのですが、私ども共産党は、すでに参議院で独自の案を出しました。御承知のような状況に参議院ではなっておるのですが、この衆議院におきましても当委員会に修正案を出します。最初は四日に出しますということを理事会でも申し上げたのですが、法制局の方の作業の都合で六日になろうかと思いますが、出します。ですから、当然のことですが、修正案の趣旨説明、そしてそれに対する質疑、これをやっていただきたいと思うのです。その取り扱いについて委員長に約束をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#100
○久野委員長 委員会へ修正案が提出をされますれば、その際には理事会に諮りまして、その取り扱いについては理事会で協議をしていただきたいと思います。
#101
○安藤委員 理事会でいろいろ申し上げるということにいたしまして、もう一点。
 御承知のように、参議院の委員会における自民党の単独強行採決というのがあって以後、これを収拾するという形で参議院議長の所信というものが出されました。この所信は、これから二回選挙をやって、それから修正すべきかどうかを検討するのだ、こういうことをおっしゃってみえておるわけですね。といいますと、すでにこの法案が無修正で通ってしまったということを前提にしておられるとしか思えないわけです。
 だから、修正云々、検討して直すべきところがあれば云々ということは、法案の中身にまで立ち入った話だし、成立を前提にしているということになると、これは衆議院でいまも審議しているわけですね、だから、衆議院の審議権を全く無視してしまった越権行為だと思うのです。だから、この問題は委員長としても聞き捨てならぬ内容じゃないかと思うのですね。こういうような衆議院の審議権無視というような越権行為に対して、委員長はどういうふうに考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#102
○久野委員長 私は、参議院の議長の所信の表明については、内容をよく存じませんけれども、新聞紙上で伝えられるような内容であったといたしますならば、適切を欠くものではなかったかという感じを持っておりますが、そのようなことを申し上げるのは、この際、これまた適切ではないと思いますので、意見を申し上げることは差し控えさせていただきます。
#103
○安藤委員 委員長の立場にあられたら、差し控えるどころか、まさに適切を欠くものだと大いに力んでいただいてしかるべきじゃないかと思うのですが、いま、適切を欠くものではないかと思うということもおっしゃったのですから、本論に入りたいと思います。
 そこで発議者にお尋ねをしたいのですが、自民党は昭和五十二年、第八十国会に、いわゆる中西案というふうに言われております参議院の選挙制度の改正案というのを参議院の方へお出しになったですね。この中身はどういうようなものであったかを御説明いただきたいと思います。
#104
○金丸参議院議員 お答え申し上げます。
 中西案なるものは、現行公職選挙法を土台といたしまして、拘束名簿式の比例代表制を採用するということでございます。ただし、私どもの現在の案と違いまして、拘束名簿式でございますから政党が基礎でございますけれども、個人の立候補を認めるという案になっておりました。
    〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕
 第二点として、記号式の投票を採用いたしておりました。
 ドント式で当選人を決定いたします点は、私どもの現在の案と同じでございます。
 第四点は、繰り上げ補充の期間を三年にいたしておりました。
 以上が中西案の要旨でございます。
#105
○安藤委員 いま名簿の関係と個人立候補を認めるというお話をお伺いしましたが、供託金は現行どおり一人二百万円ということではなかったかということ、それから、地方区の定数是正が入っていたのではないか、選挙運動につきましては、現行法とは違って、これは別途法律で定める、こういうふうになっておったと思うのですが、いかがですか。
#106
○金丸参議院議員 そのとおりでございます。
#107
○安藤委員 そこで、このいわゆる中西案なるものは、いま大まかなところを御説明いただいたのですが、どこか不都合なところがあったのでしょうか。結局これはパアになっているのですが、どこか不都合なところがあったというふうに発議者の方はいまお考えなんでしょうか。
#108
○金丸参議院議員 まず地方区に関する部分から申し上げますと、これは午前中お答えを申し上げましたとおり、私どもの方で、その後の人口異動等も勘案をいたしまして検討いたしておるのでございますけれども、まだ最終的な案が得られませんで、今回は提出していないという事情でございます。
 それから、中西案と私どもの案で違います大きい点の一つは、拘束名簿式でございますけれども、中西案では個人の立候補を認めておりました。私ども、その後党内でいろいろと検討いたしました結果、政党本位の選挙と個人の立候補を認めるということは矛盾すると申しましょうか、なじまないと申しましょうか、そういう結論になったわけでございます。政党と申します以上は、たびたび御説明を申し上げておりますように、また判決にもございますように、やはり複数の人で構成される団体でなければならないのではなかろうか。個人の立候補を認めるといたしますと、いわゆる一人一党を認めざるを得ない。そうすれば、候補者を五人とか十人とかというような団体を規定することが、いわば政党を規定することが無意味になってまいります。そういう点から私どもは、政党本位の選挙として、私どもが御提案申し上げております政党らしい政党として一定の団体的なものに限定をして、個人の立候補は認めない、こういう結論になったわけでございます。
 ドント式の点は同様でございます。
 記号式の投票につきましては、先日、また本日も御説明を申し上げましたような理由から、私どもは自書式の方がやはり妥当ではなかろうか、このような結論になった次第でございます。
 繰り上げ補充は、三年ごとに参議院は通常選挙が行われますので、三年という考え方も確かにあると思いますけれども、任期が六年でございますので、やはり六年間繰り上げ補充は認めていいのではなかろうか。また、政党本位の選挙ということで徹底をいたしましたので、政党に対していわば議席を与えるということになるわけでございますから、三年で打ち切ってしまわないで、任期の六年間、その政党の名簿の次順位の候補者が繰り上がるという制度にすることがいいのではなかろうか、このような考え方で、繰り上げ補充の期間を三年から六年に考えを改めた、こういうような経緯でございます。
#109
○安藤委員 その後の自民党の党内におけるいろいろな審議の問題については、これから逐次お尋ねをしていこうと思っております。
 次に、同じ年、昭和五十二年、中西案ができたのが五月ですが、十月になって、当時の自民党の政審会長の園田清充さん、この方が自民党を代表して政治広報センターのアンケートにお答えになって、自民党はこういうふうに考えているというのが出されております。これは後でも出てまいりますが、町村金五さんが座長をしておられたプロジェクトチームでおつくりになったその案をもとにしておられるようですが、時間がありませんから私の方から申し上げますが、そうか、そうでないか、お答えいただきたいと思うのです。
    〔小泉委員長代理退席、住委員長代理着
    席〕
 いま、いろいろドント式とか記号とか、補充の関係もおっしゃったのですが、一番のポイントのところを三つお尋ねしたいと思うのですが、まず、無所属の推薦立候補を認めるということではなかったか、それから拘束名簿式、それから地方区の定数是正、これもこの中にちゃんと入れられておったのではないかという、この三点についてお尋ねいたしますが、いかがですか。
#110
○金丸参議院議員 どうもお待たせして失礼いたしました。
 第一点の無所属のことでございますが、この案では、拘束名簿式比例代表制を採用するということでございますが、無所属ではございませんで、一定の資格を有する政党が名簿を届け出るのを原則として、ただし一定数以上の選挙人の同意を得て立候補ができるようにする、こういうことでございます。一定数というのは、まだこれは要綱みたいなんでございますから、具体的な数字ではございませんけれども、そのような条件づきの立候補も認めようということでございます。
 それから地方区の定数是正につきましては、一応の案がございまして、三つの都府県が二名ずつ増、三つの道県が二人ずつ減、こういうような一応の案がまとまったことがございます。
#111
○安藤委員 委員長、いましばらく時間が空転をいたしましたので、いまの時間はちゃんと認めてくださいよ。
 私が、無所属の立候補を認めていたのではないかどいうふうにお尋ねしたのは、いまお答えになりましたように、「選挙人名簿に登録されている者は、一定数以上連署して、候補者としようとする者の立候補届を提出することができる」とあるわけですね。だから、これからすれば、いわゆる政党要件というのがあって、その政党の名簿に載せられなければ立候補することができないという考え方ではなかったということははっきりしていると思って、そういうふうにお尋ねしたのです。――まあ、うなずいておられるからわかっていただけたと思うのですが。
 そこで、昭和五十五年になりまして、九月の十二日ですね、自民党の選挙制度改革プロジェクトチーム、そのころは金丸さんは座長になっておられたと思うのですが、まあ、比例代表制にしても、一人一党の形で無所属候補も出られるように配慮すれば政党化に歯どめをかけられるなどの意見が相当多かった、そういう意見が大勢を占めたというようなことではなかったんでしょうか。
#112
○金丸参議院議員 大勢を占めたというようなことはございませんでした。むしろ、一人一党を認めたらどうかという意見も全然ないことはございませんでしたけれども、大勢はやはり、先ほど来申し上げておりますように、政党らしい政党に限定をすべきではないかという意見が大勢を占めつつございました。
#113
○安藤委員 それは、そのときの模様をいかにして評価するかの問題とも関連があるわけですが、私がいま言いましたような方向で大勢を占めたというのが朝日新聞の記事として報道されているものですから、そうではなかったかというふうにお尋ねしているのですが、そういう意見もないことはなかったということですね。
 そこで、自民党の方で同じ年の十月になって、いわゆる一票制、それから二票制、この二つの案をおつくりになって、各党に、恐らく野党になるわけですが、打診をされたことがあります。実は私ども共産党へも、これは十一月に入ってからですが、打診にお見えになって、たしかそのときはわが党へは中西さんと松浦さんがおいでになったと思うのですが、うなずいておられるから間違いないと思うのですが、このうちの二票制の方の内容は、問題点が幾つかあろうかと思いますけれども、政党要件の問題、それからいわゆる無所属立候補を認めるかどうかの問題、選挙運動の問題、この三つの関係で言いますと、どういった内容のものだったでしょうか。
#114
○金丸参議院議員 お答え申し上げます。
 一票制、二票制につきましては、おおむね同じと私どもは思っております。ただ、この段階におきましては、選挙運動の点についてまで突き詰めた検討がまだ十分に進んでおりませんでしたけれども、政党本位の選挙といたしまして、拘束名簿式の名簿をつくり、個人は選挙運動、いわばたてまえとして、事実やることは別といたしまして、政党本位の選挙運動をやる、そういう基本の考え方は同じでございました。
#115
○安藤委員 選挙運動のお話があったのですが、選挙運動については現行法のような三つの公営に限るとか、あとは確認団体だというようなことではなくて、文書図画等の関係につきましても、現在の社会党案に近いぐらいの、現行の三分の一ぐらいを認めるというような内容のものじゃなかったのですか。
 それからもう一つ、いわゆる無所属立候補を認めておられたのじゃないんですか。
#116
○金丸参議院議員 重ねてお答えを申し上げますけれども、一票制、二票制の案のときには制度の基本をどのようなふうにするかということが論議の中心でございまして、選挙運動につきましてはまだ十分煮詰まった論議が行われておりませんでした。比較的に自由な意見もあれば、極端に申しますと、ごく一部でも、政党本位であれば平素行われるんだからそう行う必要がないじゃないかという実は極端な、両方の意見があったことを記憶いたしております。
 いずれにいたしましても、選挙運動の具体的な幅でございますとか、あるいは供託金をどうするとかいうような点についてまではまだ十分詳細な論議を行うまでに至っておりませんでした。
#117
○安藤委員 無所属の立候補の関係につきましてはお答えがないのですが、「候補者名簿の提出」というのがありまして、「候補者名簿は政党に限り提出することができるものとする。ただし、政党に所属しない者が個人として立候補することを妨げないものとする。」とあるのですが、これは、このとおり間違いないんでしょうね。
#118
○金丸参議院議員 一票制、二票制を検討いたしておりました段階では、個人の立候補も認めたらどうかというような意見もございました。そういうふうに記憶をいたします。
 その後の過程におきまして、やはり政党本位という考えで徹底をしていったらどうだろうか、それがだんだんと進んでまいりまして、政党本位の選挙運動を行う政党本位の選挙にするならば、いわば一票制でもいいじゃないか、こういう議論に発展してまいったように記憶いたしております。
#119
○安藤委員 それ以後の議論のことはこれからお尋ねしますから……。
 ただ、私がいまお尋ねしておるのは、これはおたくから、自民党さんからいただいたものです、その当時の二票制にいま私が読み上げたことがちゃんと書いてあるのです。だからこれは個人立候補を認めるという方向であったことは間違いないのです。二票制の方ですよ。
 それで、いまお話しになったように、その後年が変わって昭和五十六年の二月五日に、これはおたくの選挙制度調査会ですか、一票制にしぼったわけですね。これは歴史的な事実を申し上げているから、間違いないです。そして異党派投票を認めるとかどうとかという議論になってきた。これです。この一票制の内容は一体どういうものだったのでしょうか。運動の問題と無所属立候補の問題と政党要件の問題と三つにしぼってでいいです。
#120
○金丸参議院議員 一票制は、たとえて申し上げますと、東京都の地方区のある政党の候補者に投票いたしますと、その人の所属する全国区の得票として計算をする、こういう内容のものでございます。
#121
○安藤委員 ですから、私がお尋ねした中身についてお話をしていただかぬといかぬのです。一票制というのは、地方区に投票したのを全国区の政党へ投票されたものとして計算するんだ、これはその骨ですね。だから、では私の方から申し上げますが、全国区関係の運動は、そういうことからしますと、これはさっぱりゼロですね。地方区での投票数によって全国区に計算し直すだけですから、全国区の運動は全然なし、それから無所属立候補、いわゆる個人立候補は認めない、政党要件はちゃんとある、こういう内容のものだったと思うのですが、そうですね。
#122
○金丸参議院議員 この点は御説のとおりでございます。個人の立候補はございません。したがって、また地方区の一票で全国区の得票を計算いたしますから、全国区の方につきましては別に選挙運動はない、こういう考え方でございました。
#123
○安藤委員 そこで、この一票制について金丸発議者は、プロジェクトチームの座長として、いろいろ憲法上の問題が出されておったころですが、憲法上の疑義は憲法第四十七条でかわせるというふうに発言をしておられるというのが新聞の報道であるのですが、そういうふうに発言をされたことは御記憶にありますか。
#124
○金丸参議院議員 一票制、二票制案を検討いたします段階で、もちろん私どもも憲法問題もあると考えておりました。四十七条でと私が申したかどうかは記憶ございませんけれども、私どもは憲法問題もいわば違憲でないというようなことが言えるのではなかろうか、こういうふうに考えてはおりましたけれども、実際に私どもが一票制をやめまして二票制にやはり行った方がいいという結論を得ましたのは、憲法問題ではございませんで、わが国の選挙の現実を考えますと、やはり異党派投票があるわけでございます。東京の地方区に投票して、選挙民の意思に関係なく、投票した人が自民党であれば全国区も自民党、社会党の方であれば全国区も社会党、共産党の方であれば有無を言わさないで共産党の得票というふうになってしまいます。この点は選挙民の意思を少し擬制し過ぎるのではなかろうか。やはり異党派投票が現実でございますので、有権者、投票者の意思を尊重いたしますと、異党派投票を認めるべきではなかろうか。
 異党派投票を認めるということで実はいろいろと検討いたしてまいりますと、投票用紙の形式から実は非常に複雑になってまいります。かつ、一票制でございましても、地方区は一つの選挙、全国区は一つの選挙で実質は二つの選挙であるわけでございます。したがいまして、異党派投票を認めるというのであれば、有権者の立場から見まして、地方区の投票と、比例代表と申しますか全国区の投票とは別々の投票用紙に書いて、有権者の意思を明確に表明するようにした方がよかろう。結局、二票制の方が有権者の意思をそんたくしていいだろう。これが実質的な一票制から二票制に私どもが考えを固めました一番重要な理由でございます。
#125
○安藤委員 いまおっしゃったような憲法問題あるいは有権者の意思をどのようにして尊重するかどうかの問題、すぐ後でお尋ねをしますけれども、そうしますと、金丸さんは一票制については憲法上疑義はあったと思わないということですと、現在でもそういうふうに考えておられるのか。憲法上の疑義がない、それからいまおっしゃったいろいろな問題があるけれども、その問題について何らかの理論構成でもってクリアできるということになったら、一票制を将来実施しよう、してもいいのだ、こういうようなお考えも持っておられるのでしょうか。
#126
○金丸参議院議員 当時一票制について私どもが検討いたしました段階では疑問なしとはいたしませんけれども、憲法の問題も合憲というような理論づけはできるのではなかろうか、こういうふうの気持ちではございましたが、先ほどから詳しく申し上げましたように、わが国の有権者の心理状態、現実の異党派投票から考えて、選挙の実態も二つの選挙でございますから、別々に意思表示のできる二票制が適当である、こういう結論に達したわけでございます。この実態が変わりません以上、私どもは一票制にするとかそれが適当であるとか、そういうことは現在全然考えておりません。
#127
○安藤委員 ところが、これはことしの七月十七日付の読売新聞ですが、田中元総理は、六月四日夜に中曽根派中堅の人たちと懇談をした際、「「全国区新制度の実施は一回だけ」」だというふうに言明しておられる。そして「「自民党が安定議席を得るには、(地方区候補への投票をそのまま全国区比例代表の票とする)一票制比例代表制度ならいいが、二票制では勝てない」」これが田中元首相の言い分だというふうに載っておるのですが、田中元総理はそういうことを考えておられるんではないですか。そういうことは御存じないですか。
#128
○金丸参議院議員 私は全然存じません。現在提案をいたしておりますのは、自民党の公式の機関で調査いたしまして、正式の機関で議決をして提案をいたしておるものでございます。
#129
○安藤委員 そこで、結局一票制を法案化されなかったというのは、先ほどおっしゃったような問題があるからだというふうにお聞きしていいかと思うのですが、そのとおりでいいですか。
#130
○金丸参議院議員 そのとおりでございます。
#131
○安藤委員 憲法上の疑義はクリアできるのではないかというようなお話ですが、この一票制の問題については法のもとの平等ですね、たとえば先ほどいろいろ異党派投票の問題も含めて投票用紙のいろいろな例が出されたことがあるのですが、無所属候補、個人候補への一票が比例代表区では評価されることがない。これは選挙区で無所属の候補者名だけ書いて比例代表区全然白紙の場合ですね、こういうような場合は、その人の意思がちゃんと評価されることがない、こういう問題ですね。こういう問題もあったはずです。うなずいておられるから間違いないと思うのですが、そのほかに同じ法のもとの平等との関係で、やはりいろいろほかにも問題があったかと思うのですが、これは参議院でもいろいろ問題になったのですが、憲法十五条の基本的権利かどうかの問題ですね、無所属締め出しですから。それから結社の自由の問題の二十一条とかそれから四十四条の問題とか、いろいろ無所属立候補を認めないというようなことで憲法上疑義があるということも問題になったんじゃなかったでしょうか、一票制について。
#132
○金丸参議院議員 一票制の問題自体としてただいま御指摘になったような点は、私どもの間ではまだ検討いたしておりませんでした。一票制、二票制につきましては、そのどちらを妥当とするかという問題から、実態論として、選挙の実態が二つの選挙であり、有権者としては別々の投票用紙に別々の意思表示ができるようにすることが適当であるということで、私ども最後の決心をいたしたわけでございます。
#133
○安藤委員 この一票制との関係で、無所属立候補を認めないということが憲法に違反するのではないかというようなことについて、自民党の中では議論があったと思うのですがね。たとえばこれは国民政治研究会で、後藤田先生もお見えですけれども、後藤田さんが講義をしておられて、一票制ということを認めますと、「いまの憲法では個人の立候補を禁止できないですから、」こういう
 ふうに言ってみえているのですね。ちゃんとこれは印刷してあるやつをコピーとったんですよ。となると、やはり自民党の中で、この当時は後藤田さんはたしか選挙制度調査会長代理か会長さんかどちらかだったと思うのですが、こういう発言をしておられるのです。そうすると、やはり自民党の中でも、個人の立候補を禁止できないということが憲法の要請だというふうに議論がなされておったのではないかと思うのですが、そんなことはなかったですか。
#134
○金丸参議院議員 いろいろ意見があったのかどうか、私もつまびらかに記憶いたしておりませんが、違憲だから無所属の立候補を認めなければならないというような主張は、私は記憶いたしておりません。ただ、非常に憲法土の重要な問題であるという問題認識は私ども十分に持っておりました。だから、この点は相当突っ込んだ勉強も私どもでいたしましたし、学者でございますとか法制の専門家の御意見も聞きまして、憲法との関係につきましては、私ども間違いないというまでの勉強をいたしたつもりでございます。
#135
○安藤委員 いろいろ議論をなさってクリアしたみたいな話ですが、もう一つ竹下登議員、これはちょっと古い話で、まさにこういう議論を自民党の中でやっておられたころじゃないかと思うのですが、昨年の四月二十五日、これは読売ですが、「一票制では、憲法上の疑義にどうしてもひっかかる。野党も賛成してくれる見通しにない」という意見を言っておられるのですね。これは調査会の会長さんとしての竹下さんの発言が載っています。やはりこれは一票制は憲法違反だ、疑義がある、どうしてもクリアできないという議論があったんじゃないんですか。
#136
○金丸参議院議員 一票制の案が発表されましてから、いろいろな批判がございました。その中に、そのような意見もあったように私も記憶いたしております。私どもも問題はあるということは十分に考えておりましたけれども、先ほど来申し上げておりますように、一票制をとらないで二票制をとることに決めましたのは、先ほど来二つの選挙という実態があり、有権者の意思を尊重して別々に二票の投票を行わせるのが至当である、こういうことからでございます。
#137
○安藤委員 憲法上の疑義の問題はできるだけ逃げよう、逃げようとなさるお気持ちがありありと見えるのですが、やはりいろいろ問題になったことは間違いないと思うのですね。
 そこで、いまも申し上げましたが、竹下会長さんの発言を新聞の報道で申し上げたのですが、「野党も賛成してくれる見通しにない」やはり野党の方がこれはどうもうんと言ってくれそうもないというのも法案化をしなかった理由じゃないかというふうに思うのですが、これは朝日新聞の記事ですが、昨年の二月二十二日です。これは社会党さんが出てくるんですが、名前は出ませんが、これは社会党の幹部の方ということで、「憲法違反の疑いが強い一票制にはとても乗るわけにはいかない」という発言をしておられるというのが新聞に出ているわけですね。だから、野党の方の協力も得られない、これがやはりもう一つの大きな要因になっておったんではないか。もう一度後藤田さんに御登場願うわけですが、先ほどの二月三日の国民政治研究会での発言でやはり「しかし、少なくとも野党第一党は提案者にはならないにしても、自分の方はこれでいいというほぼ了解を得るところまでいかなければいけないでしょう。」こういう発言もしておられるわけですね。これは覚えがあるのですか。ということになると、やはり野党の同意が得られなかったということも一つの原因じゃなかったかと思うのですが、いかがですか。
#138
○金丸参議院議員 一票案も各党にも御説明を申し上げましたり、世間一般にいわば公知の案になってまいりましたから、いろいろと政治的な批判とか憲法上の論議とかあったのは事実でございます。これを全然無視するようなむちゃなことをわれわれももちろんできないわけでございますが、結局一票制をやめまして、二票制の方が適当だ、やはりこれでいくのが至当だ、こういうようないわば党内の結論をいたしましたのは、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、選挙の実態が三つである、有権者の意思が素直に表明しやすい選挙制度をつくるべきである、こういうことからでございます。
#139
○安藤委員 私はいろいろ公に報道された事実をもとにして申し上げておるわけですが、そこでこの一票制案と現在出されております本改正案とで幾つか似でいるところがあると思うのです。まず政党三要件、これはほとんど同じだと思うのですがどうですか。それともう一つ、無所属立候補、個人立候補を認めないということも同じじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
#140
○降矢(敬義)参議院議員 一票制案の最終の案は、いまの第三号要件の所属候補者十名というのを認めておりますので、全く同じでございます。
#141
○安藤委員 だから、無所属候補を全く認めていないということは、一票制と現在の改正案とが同じだということをいまお認めになったのですね。政党要件はどうですか。
#142
○降矢(敬義)参議院議員 現在ある第二号要件の有効投票のパーセンテージが衆議院の総選挙の場合には二%、参議院の通常選挙は四%となっておりましたのが、それを全部四%に統一します。その点が違います。
#143
○安藤委員 だから、衆議院の二%が違うだけで、参議院の方の四%というのは一緒ですね。
 それから、時間がありませんからあれですが、供託金の関係は、この一票制、二票制を出されたときに、現行の二百万円から四百万円になっておる、中西案のときは二百万円だった、こういうようなことがあるわけですね。そこで、自民党がこの二票制案にお戻りになる、その前に一票制の問題のときで、いろいろ無所属を締め出そう、無所属の立候補を認めないというのは、どういうことを自民党として考えているからなんだろうということがいろいろ議論になって、これはやはり自民党に有利だからそういう一票制にしよう、こういうような議論がなされておったのです。昨年の四月十二日の朝日新聞ですが、「一票制で無所属を締め出そうというねらいがあった。二票制では、もし無所属が一つの会派をつくれば、昨年六月の選挙結果で計算しても、七つか八つの議席を占められそうである。その点、一票制は無所属締め出しの手段として効果的ではある。」こういうような意見も報道されておるのですが、結局、あれじゃないですか。この一票制によって無所属立候補を認めないということによって自民党に有利になる、そういうような考え方を、一票制からまた現法案の二票制に戻るときに、前の一票制、二票制の二票制の案は、先ほどからお尋ねしましたように、個人立候補を認めておったのですからね。二票制にあったそっちの方をなしにして、一票制の持っておった個人立候補、無所属立候補を認めないという案をもって今度二票制に戻った、こういうような考え方に貫かれておったんじゃないか。これはその当時、一票制、二票制が出されたときの一票制、二票制、先ほどからずっと指摘をしてまいりました、これで明らかです。そして今度二票制になったんだけれども、一票制の無所属締め出し、これはそっくり二票制のものに入れておる、こういう歴史的な事実がはっきりしてきておるのですが、こういうようなことはやはりお考えになったんじゃないでしょうか。
#144
○金丸参議院議員 自民党の案は、中西案の時代、それから先ほど例を挙げてお述べになりました園田政審会長の時代、これは五十二年でございます。それから五十三年と、五十五年の選挙を目標にして案をまとめておったのが園田案の時代でございます。それから一票制、二票制は、私がプロジェクトチームの座長になりまして始めたものでございまして、一票制、二票制を考えます時分には、中西案、園田案の時代と違いまして、私どもは政党本位の選挙ということを中心に考えてまいり、その一つの徹底したのが一票制であったわけでございますが、政党本位の選挙ということを非常に強く考えましたので、その影響と申しましょうか、論理的な帰結と申しましょうか、一人一党とか個人の立候補はやはり適当でなかろうというような結論になったわけでございます。したがいまして、自民党の案で過去に無所属を認めておりましたのはその当時の自民党の考え、それから私が座長になりました以降は政党本位の選挙ということで全国区の方を徹底して考える、こういうふうになったわけでございまして、自民党の内部の考え方も五十年前後から、五十二年、三年、それから五十四年、五年と変遷をしてまいっておりますのは事実でございますが、別に私どもとしては党利党略で考えたというのではなく、政党本位の選挙制度をとるとすればどれが妥当かということから結論を得たわけでございます。
#145
○安藤委員 口が裂けても党利党略でございましたなんてことはおっしゃるはずがないと思うのです。だから私が申し上げたいのは、やはり一票制、二票制をおつくりになった、一票制一本にしぼっていろいろ議論してきて問題になった、それで二票制をとることにしたと言うのならば、やはり両方の案を発表されて、そして公式に各党に打診をなさった、それも二票制も打診をなさった、この二票制、一票制、二票制を出されたときの二票制、これにお戻りになるのが一番の筋じゃないかと思うのですね。そこじゃなくて、先ほどから申し上げておりますように一票制の、この新聞はまさに的確に言うておると思うのですが、毎日新聞の昨年の六月三日、「一票制の長所を残しながら二票制にした」、言葉はいいですよ。一票制の無所属締め出しによって自民党が有利になるという長所を残しながら二票制にしたんだ、こういう批判がなされておるわけですよ。そして、「選挙制度改正の歴史をみれば、」これはあたりまえの話だと思うのですが、「常に時の政権政党に有利な改正が行われるのは紛れもない現実ではある。」これは周知の事実だと思うのですね。だからやはり、そういう自民党に有利だというものが働いたからじゃないか、これは衆目の見るところだと思うのですね。ちゃんと毎日新聞にこういうものが報道されているわけです。
 それから、やはり現在のこの改正案なら、先ほどから野党の協力の話も申し上げておるのですが、野党第一党の社会党の協力を当てにできるというようなこともお考えになっておられたのではないかと思うのですが、この辺はどんなものでしょうか。
#146
○金丸参議院議員 私どもは、社会党がどのようにお考えになっておるか、最終的な党としてのお考えはよくわからなかったわけでございます。
    〔住委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、各党に公平に私どもは私どもの案を御説明申し上げ、また、各党を通じまして議員の中には個人的に非常に親しい方もございますから、いろいろな御感触は私どもも承ったりいたしておりましたけれども、自民党といたしましては、繰り返し申し上げますような経緯で、最終的に二票制の現行案ということに落ちついた次第でございます。
#147
○安藤委員 そこで、各党のお考えはわからないというお話ですが、これは金丸さん御自身の言葉じゃありません。が、やはり選挙制度調査会長としての後藤田さんにもう一度御登場いただくと、これはなかなか貴重な大事な意見ですから御登壇いただくのですが、こういうことを国民政治研究会でお話しになっていられるわけです。「民社党も同じです。民社党は電力の関係で、一部に反対があるが、それは名簿の順番の問題のようです。電力の代表者は裏表とも亡くなったのです、死んだのです。その関係があるだけで、強い反対とも思っておりません。そこで僕らとしても泥をかぶるのはいいのだが、泥のかぶり様だね。少なくとも本会議に出てくれなければ困る。欠席されたのではどうにもならない。うちだけというわけにはいかんでしょう。本会議場で反対するのはかまわないが、本会議に出て来なかったら、格好がつかない。」こういうふうに後藤田先生は言っておられるのです。となると、一応そういうことは自民党の内部としても考えておられたのではないかと思うのです。
 ついでにもう一つ言うておきます。後藤田先生ばかり御登場いただいてもあれですが、いま野党第一党の話が出ましたから、同じ国民政治研究会で、これは一昨年の二月十八日、社会党の山本幸一先生が登場してみえるわけですが、こういう問題は、拘束名簿式比例代表制のこの問題についていま社会党案が出されておりますが、それを踏まえての話だと思うのです。「仮に反対意見があっても、端的にいえば、自民党との話し合いがつけば、正しいと信じたものは、何としても成立させる必要がある。」というふうに言っておみえになるわけです。
 ということになると、あれこれ申し上げるつもりはありませんが、先ほどの後藤田先生の本会議に出てくれれば云々というようなことなどを含めて見ると、これまでの本法案に対する当院での審議の状況から見ると、そこまで自民党さんは踏んでこの法案を提出しておられるのだろうかな、こういうふうに疑問に思わざるを得ぬのですが、その辺のところは発議者としてどういうふうに見ておられるわけでしょうか。
#148
○金丸参議院議員 私どもは案の立案を担当いたしてまいり、憲法上の問題がないように、また、できるだけ参議院の独自性の発揮できるような案をつくりたいということで案をまとめたわけでございまして、ただいま御質問の点はあるいは政治家として国会対策をお考えになった発言なのではないかと思いますけれども、これは私のお答え申し上げるような筋合いではないと存じます。私どもは私どもとして、立案を担当いたしました者としてできるだけ適切な案をつくり、これが実現いたしますことは党の執行部のお仕事であり、また国対関係のお方々のお仕事であろう、こういうふうに考えております。
#149
○安藤委員 私は公に発表されましたものをもとにしていろいろお尋ねをしてきたわけです。いままで私が申し上げた経過によっても、途中でも申し上げましたけれども、一票制案の中身をそっくり取り入れて、そして無所属立候補を締め出すという二票制案をおつくりになったのだ、これは歴史的な経過からして歴然だと思うのです。そこに自民党に有利という党利党略が働いている、これははっきりしておるというふうに私は思います。
 この問題についてさらにお尋ねをするのですが、これは参議院の委員会の段階でわが党の近藤議員が質疑をいたしました中でお示しをし、引用したものですが、自民党がいわゆる選挙制度の改正について、たしか独協大学にでしたね、研究を依頼してそのレポートを得て、そしてそれを選挙制度調査会等々でいろいろ議論をなさった、その関係の文書に基づいて私もお尋ねしたいと思うのです。
 この外部に依頼した分析に基づいて自民党の総務局長が昭和五十三年二月九日に選挙制度調査会において報告をなさった。これをもとにして近藤議員が参議院の委員会でお尋ねをしたのですが、この総務局長報告というものはごらんになったことがあるのかないかということと、あればそのポイントのところ、幾つか要点を出しておられるのですが、メリット、デメリットを指摘しておられる項目があるのですが、その辺のところを御存じかどうか、まずお尋ねします。
#150
○金丸参議院議員 私も、近藤委員から御指摘がございましてからその文書を読み返してみましたり、また総務局長の御報告も読んだわけでございます。この資料は、中身はもう先生もよく御承知かと思いますが、実は政審の内部の文書ではございませんで、総務局長のお計らいで御依頼になって作成された文書で、中にこの拘束式比例代表制の長所短所が述べられております。
 私どもが検討いたします段階でも、なかなか党内にもいろいろな意見がございました。したがいましてこの文書は、私どもが自民党の中の政審で結論を得ますまでの本当に一つの資料にすぎません。これが重要な文書であれば、相当な人が記憶に非常に残っておったと思うのです。せっかく調査してくださった方にどうこうというわけではございませんけれども、文書自身は長短をよく調べてお出しになっておるものでございますので、実は党内で論議されておりますことと余り違わない、こう申してもいいわけでございます。だから私どもは、これは調査を依頼して作成した資料ではございますけれども、それは一つの資料であり、私どもが結論を得ます動機になったようなものではございません。これは近藤委員にも何遍もお答えを申し上げたように記憶をいたしております。
#151
○安藤委員 いまお答えになったように、私どももこれは自民党の中でいろいろ論議をなさった一つの資料だと思います。これでもう結論を出そうとかどうとかというようなものではないというふうに思います。だから私は、こういうような議論を自民党の内部でやってこられておるのではないか、こういう趣旨でお尋ねしておるのです。
 そこで、金丸さんも後でお調べになったということですからあれですが、時間の関係もありますから全部あれこれ申しませんが、この総務局長報告の中に一つの結論として、分析の結果が六項目にわたってなされておるわけです。この六項目の方が、リスクといいますかデメリットといいますか、これが指摘されていると思うのですが、そのうちの第二、「党の実体とリストが」、これは選挙候補者名簿のことです。「リストがまるきりかけ離れたものになるのではないか。たとえば共産党や公明党は、当たりのよい学者、文化人を並べることによって、党のイメージとリストのイメージが全く違ったものになるのではないか。」こういうデメリット。それから五番目、「既成政党は、リスト作成やイメージから苦しく、新興の政党が有利になり、多党化現象を起こし社会混乱となるおそれがある。」こういう指摘があるわけです。
 私思うのですが、これは金丸さんもすでに御承知のはずですが、この第二のデメリット、この文書の報告によりますと、共産党や公明党が当たりのよい学者、文化人をたくさん並べて票をたくさん取るのではないか、これを食いとめる方法を考えなくちゃいかぬというので出てきたのが供託金倍増、そして没収規定で、当選者の二倍を超したのは没収する、こういうことで抑えつけようとしたのではないか。これは当然出てくるあれですよ。それから五番目が、リスクが多い、だからこれは無所属立候補を抑えるという議論の発端になったのではないか、こう思うのですが、そういうことをお考えになったことはないのですか。
#152
○金丸参議院議員 結論的に申し上げますというと、そういうことは全然ございません。自民党の中にも、拘束名簿式をとることが果たして自民党にいいのかというような根強い御意見があったわけでございます。
 私どもは、たびたび申し上げておりますように、現在の全国区制度の持っております欠点と言われるものを取り除くのには政党本位の選挙にし、かつ拘束名簿式に改める以外にはなかろう、こういう結論からでございまして、いろいろ御指摘の点はございますけれども、これは党内でもいろいろと論議されております点で、これによってどの政党が特に有利とか、そういうことは考えておりません。拘束名簿式によりまして各党が得票数に比例した議席の配分を受けるというのが、やはり一番合理的だというような考え方からでございます。
#153
○安藤委員 こういうようなデメリットを指摘した総務局長報告の基礎になるのが、独協大学に依頼をして得た分析がたたき台になっておるのですが、この分析の中にも「有権者が個人を求め魅力ある一人一党へ流れる」おそれがある、こういう指摘があるのです。それから、独自の組織をもつもの有力なタレントなどが政党リストの順位によっては独立をしていくということから、こういう分析があるというので、無所属を排除する、無所属立候補を認めないということになったのではないか。これは議論の過程のそのうちの資料だ、自民党内で議論をされてきたその過程を示すものだというふうにおっしゃるから、よけいこういうような議論がこういうような資料に基づいてそういう方向へ議論をなされてきたという事実が後づけされるのではないかというふうに申し上げておるのです。
 そこで、結局、いろいろ議論を自民党の中でなさったのですが、そんなにデメリットがたくさんあるのならその案はもう白紙にしてしまおうじゃないかというようなことをお考えになった段階があるんじゃないのですか。
#154
○金丸参議院議員 御推測になりますのもごもっともかと思いますけれども、独協に依頼いたしました文書に記載されておりますようなメリット、デメリットは、党内の論議でも多くの方から言われておった点でございまして、その文書が動機となって私どもがこのような結論を得た、無所属の立候補を認めないようにしたということは全然ございません。この点は明確に申し上げておきたいと存じます。
#155
○安藤委員 いまの、私が、白紙に戻すというような議論が出て、そういうふうに一応申し合わせたということは推論みたいなお話があるのですが、これはいまから四年前、昭和五十三年二月十日付の読売新聞にそういう報道がなされているのです。「自民“拘束名簿式”結局、白紙に」という見出しがついて、もう一遍出直そうというようなことになったという報道がなされているのです。そこで、デメリットをなくそうというので、いわゆる町村プロジェクトチームというのができて、いろいろ議論をなさることになった、こういうような経過はそのとおりじゃないのですか。
#156
○金丸参議院議員 新聞の報道でございますので、私は主観も交えられておるのではなかろうかと思います。自民党内の検討の過程におきまして、白紙に戻すということは、私は五十二年に参議院に出していただいて、五十三年からこの選挙制度の改正に関与いたしましたけれども、私の記憶ではございません。
 拘束式の名簿の長短についていろいろな論議が行われました。いろいろ論議が行われましたので、そのような推測の記事も出たのかと思いますけれども、方向としてはやはり拘束名簿式が参議院の自民党の大勢であったと私は思っております。そういうことをバックにして案をまとめようとなさいましたのが町村先生でございまして、私が町村先生のお手伝いを申し上げて案の取りまとめに当たった経過がございますけれども、白紙に全然戻してしまうというようなことは、参議院の自民党には一遍もございませんでした。
#157
○安藤委員 私は公に出されたあれでいくのですが、これは読売ばかりではなくて、ほかの新聞も、白紙にという見出しをつけて報道しておったのです。
 そこで、町村チームができて、いろいろおやりになったわけなんですが、この町村プロジェクトチームが、これは一つの報告をおまとめになったのですね。「参議院選挙制度の改正について」というのを報告してみえておるのですが、これが、その翌月の五十三年三月二十八日に報告書ができ上がっておるのですが、この報告書の中に、「政党その他の政治団体は、候補者名簿を提出することができるものとする。ただし、一定の資格を有する政党が候補者名簿を提出する場合を除き、一定数以上の選挙人の同意を得ることを要するものとする。」それから、「選挙人名簿に登録されている者は、一定数以上連署して、候補者としようとする者の立候補届を提出することができるものとする。」というのが入っておるのですよ。となると、これは、前の一票制、二票制のときの二票制案、これと同じものがこの町村プロジェクトチームの報告書、これは町村プロジェクトチームが相当回数、プロジェクトチーム九回、小委員会三回開催して、慎重に審議を行った、その結果出されたのに、いわゆる無所属立候補の問題については、いま私が読み上げましたような報告がなされておる。これは無所属立候補を認めているじゃないですか。それは御記憶ありますか。
#158
○金丸参議院議員 この点は先ほどもお答えを申し上げたとおりでございます。町村先生のこの報告書は、五十三年の案でございまして、先ほども、無所属の問題、一票制、二票制に関連してお尋ねがございました際に、無所属の方を選挙人名簿に登録されている人が一定数連署して候補者を立候補させることができる、こういう案があったということを申し上げましたのがこの町村案でございました。その後、先ほど申し上げましたように、いろいろと党内で議論をいたしました結果、政党選挙を徹底するということから一票制に近づいてまいりましたり、それをまたやめて二票制になったわけでございますけれども、無所属の問題につきましては、このような案が過去にはございましたけれども、政党本位の選挙制度を徹底するということで最終的に腹を決めた、こういう経過でございます。
#159
○安藤委員 町村チームの報告書も、いろいろ自民党の中で議論をなさったこれも一つの経過なんですね。
 そこで、いまの町村チームの方の流れで、町村チームの報告が出たことに関連して、その後の自民党の中でのいろいろな議論というのを新聞の報道等々で私は追ってみたのです。そうなると、この案に対して、これはあれですか、いろいろ無所属の立候補を認めるという問題について警戒論が自民党の中で出てきて、これはやはり問題だというようなことになったのではないかと私は思うのですが、これは、たとえば、昭和五十五年の八月の初め、これはチームの初会合、金丸さんが座長についておられるころです、五十五年八月ですからね。このときに、こういう発言を――五十五年ですと、松浦さんももうプロジェクトチームのメンバーだったですね。うなずいておられますから後でこれをお尋ねしますが、松浦さんがこういう発言をしておられるのです。「無所属の市川房枝、中山千夏、青島幸男、美濃部亮吉の四民がもし党を作れば、九人も当選になり、自民党に不利だ」というふうにおっしゃったという報道があるのですが、これは間違いないですか。
#160
○松浦参議院議員 何の報道でございましょうか。それをちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
#161
○安藤委員 私が、いま例に似ず出所を明らかにしなかったのはあれですが、これは共同通信社の「選挙情報」、これのとおり。括弧をつけて松浦功氏と書いてある。こういうようなことをおっしゃったことがあるのではないか。ということは、やはりこれは無所属を認めてはいかぬのだ、自民党に不和だという議論がなされた歴然たる証拠ではないかと思うのです。そして、松浦さん御自身の発言だというふうに載っております。松浦さん自身もそう考えておられるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#162
○松浦参議院議員 私は役人出身でございますので、揚げ足を取られるような発言は絶対にしていないと存じます。
#163
○安藤委員 揚げ足を取るとかどうとかということではなくて、私は厳然たる一般に報道されておるもので言っておるのです。
 そして、同じ発言が、これは同年九月十六日の朝日新聞に、これは「ある全国区選出議員が」ということで載っておるのです。それと同じ文句がこちらに載っておるのです、松浦さんと名前まで入れて。だから、これはやはり松浦さんのお言葉じゃないかと客観的な報道されている事実をもとにして私はお尋ねしているのですから、それをいまさらそういう揚げ足云々というようなことでごまかしちゃだめですよ。
#164
○松浦参議院議員 私はいろいろと計算もいたしましたので、それらの方々が一緒になって一つの会派をつくれば八議席ないし九議席という形になるのですよ、無所属の方も一緒に手をお組みになれば決して損しないでしょう、こういうことを私はいつも申し上げております。それをそのようにお書きになったことだと思います。
#165
○安藤委員 朝日新聞の報道は、「六月の選挙の得票実績で試算すると、」というのがあります。だから、それで試算をするとこうなるわけだ。そして自民党は不利になるという言い方です。だから、やはり無所属締め出しというねらいは、自民党に不利になってはいかぬというのがあるのじゃないですか。
 それで、さらにもう一つ紹介をしておきましょうか。たくさんあるのですよ。
 読売には、自民党の選挙制度調査会の方の一人の意見として、「もし大きな業界、宗教界などの組織をもった候補者を名簿の下位に置くと、自民党を離れて無所属で立つ恐れがある」という指摘がある。
 それからこれも新聞に載っておることなのですが、山東昭子さん、この人は、「政党だけの選挙運動では確実に集票力は落ちるわよ」というふうに断言をされて、「名簿で下位になるなら、独立して闘った方が得でしょう」こういうような意見も出されておるのです。だから、自民党としてはそげなことになっては大変だというので、松浦さんの言葉にもありますように、やはりこれは無所属を制限する、規制する、認めない、こういうふうにお考えになって、この改正案をおつくりになった、そしてお出しになった、そうとしか言えないと思うのですが、どうですか。
#166
○松浦参議院議員 いろいろ考え方もあると思います。そういうふうにお考えになられるのも一つの考え方かもしれませんが、ここではっきり申し上げたいことは、私はあくまで過去に選挙制度に若干携わった者として、客観的に一つの選挙において政党と個人とが同じ選挙制度という土俵の上で相撲をとるということはナンセンスである、そういうことは制度として成り立ち得ないという基本的な考え方を持っております。したがって、先ほどから大久保先生の独協大学の調査の問題、これも私は当選しておりませんでしたから知りませんでした。また調査の過程でそういうことを頭に置いて議論もいたしませんでした。およそ選挙制度というものはどうあるべきかということの筋を貫く主張をしてきたつもりでございます。恐らく現在この選挙法案の作成に携わった者の中で、この選挙制度で選挙を行って自民党がひどい目に遭いはしないかということを一番心配しておるものの一人だと私は思っておるのでございます。いまのように、無所属を締め出すことが自民党のために有利だ、そのためにそういう制度にする、そういう考え方は毛頭考えたことはございません。私は、現在でもこの制度が通りました場合自民党がどうなるだろうか、ひどい目に遭わないだろうかということを一番心配している者の一人でございます。
#167
○安藤委員 おっしゃることはなかなかいろいろおっしゃるのですが、まさか党利党略でございますなんてことをおっしゃるはずはないので、私は歴史的な事実としてこういうふうに一般の世論は見ているのだということの一つの証拠として、いろいろ発表されたものをもとにしてお尋ねをしてきたわけなんです。だから、これは衆目の見るところではないかと思うのですよ。だから、今度の法案の中には、無所属の人は何人か集まるにしても一人で当選するために九人の立候補者をつくって云々というようなことになるにしても、個人名を冠するようなのはだめだ、こう法案にありますね。そうすると、やはり山東昭子さんのように、私は出てしまう、有名人だったら出れる、それは何とか個人名を冠しないとむずかしかろうと思うのです。だから、それをも封じ込めるというようなことで、やはり無所属を締め出す、そして自民党の有利なものを図る。先ほどもちょっと前にも御紹介いたしましたが、およそ選挙制度というものは、これをつくろうとする政治団体、政治勢力にとっての利益を考えるのはあたりまえだというようなことがこれは公然と指摘されていることだと思うのです。だからどうしてもそういうようなお考えになってきているのではないか。いままでずっと私がお尋ねしてきたことの流れから見ても、これは実ははっきりしてきている。だから、その辺のところも十分お考えをいただいて、そういうようなものではないということを示す意味においても、わが党案もすぐ出しますけれども、いろいろ修正の話もあります。だからそういうわが党案の抜本的な修正ということも含めてお考えいただく、このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
#168
○久野委員長 小杉隆君。
#169
○小杉委員 それでは質問をいたします。
 私は、現在の全国区制度が非常に金がかかる、あるいは候補者にとって肉体的に大変な負担である、あるいは日本列島すべてを選挙区とする大選挙区で八千万の有権者がこれを選択するというのは非常にむずかしいというようなことから、今回拘束名簿式比例代表制というものをとった、こういう考え方については、大筋において支持をしているものであります。しかし、私も先日来から参議院で行われました質疑を全部速記録で調べてみましたし、また先般の衆議院の本会議あるいはきょうの、あるいは先週からの質疑でも明らかになっているところでありますが、特に無所属立候補の問題、個人立候補の問題というのがやはり集約的にいま問題になってきていると思うのです。
 先日来からの答弁では、公共の福祉という観点から一定の規制がなされることは憲法の許容するところだという答弁もありました。それからいまの御答弁でも、政党と個人とが同じ土俵で選挙をするのはどうもなじまない、こういうお話もありました。しかし、いま現実の姿は、有権者の三五%までが無党派ないし無所属支持であると言われております。そして党派に所属しないことを一種の政治信条としている人々もいるわけでして、そういう人々の立候補を妨げることが果たして公共の福祉という観点から単純に許されていいのかどうかという点で私は問題があると思うのです。
 ヨーロッパの例を見ましても、拘束名簿式比例代表制をとっているところでも、たとえば有権者の一%とか千人の署名を集めれば立候補を認めている、こういうケースもあるわけですが、無所属候補を認めない理由というのをもう一度わかりやすく説明していただきたいと思うのです。
#170
○松浦参議院議員 お答え申し上げます。
 今回の御提案申し上げております制度は、政党本位の選挙ということでございます。そして、国民の皆様の意思を政党というものを媒体として国政の上に正確に反映をする、これが基本的な考え方でございますので、政党本位の選挙を貫くというたてまえからいたしますれば、個人の立候補を認めるということは矛盾をする、こういう考え方から、政党のみに名簿提出を認めるということにいたしたわけでございます。
 それともう一つ、選挙制度という側面から眺めました場合に、政党と個人とが同じ土俵の上で相撲をとるということは、いかにも制度として不可思議と申しますか、なじみにくい問題になってくる。
 この二つの理由からと御理解をいただければ幸せだと思っております。
#171
○小杉委員 それでは、政党と個人が混在をするのはまずいということであれば、一人でも政党の要件を備えておれば政党としてみなすというような考え方はできないのかどうか。たとえば、ヨーロッパでやっているように、有権者の一定数以北の署名を持つとか、あるいは個人の名前をその団体の名前として使わないというようなことでそういう一人一党を認めて、その場合には、政党としての要件をいま私が申し上げたようなことをつけて、政党として扱うというようなことは考えられないかどうかですね。
#172
○松浦参議院議員 政党というのは、判例にもございますように、やはり複数の人の集まりということでございますから、一人一党ということは私どもは考えられないのではなかろうか、このように存じております。
#173
○小杉委員 それでは、一体ヨーロッパがそういう一人一党を認めているというのは研究されたことがあるのかどうか、そして具体的にどんな弊害があるのか、その点もしおわかりでしたらひとつお示しをいただきたいと思うのです。
#174
○松浦参議院議員 選挙の風土というものは各国において違いますので直ちに外国の例をそのまま導入するということがいいかどうか、これは問題があると思いますけれども、世界でいま小杉先生御指摘のようなものを認めているところもございます。しかし、そういう形にいたしますために非常に多党化をしてくるというようなことから、逆に西ドイツのように五%条項というようなものを結果的に設けていくというような例も出てくるわけでございまして、わが国の有権者にとっては余り複雑な制度はわかりにくい、わが党がいま提案している制度が一番わかりやすい、こういう考え方でやっておるわけでございます。
#175
○小杉委員 現在の制度から変えるということになりますと、法律論もさることながら、やはり現在の実態をもとにして考えていく必要があると思うのです。一方では、参議院全国区のいいところというのは、政党に縛られない、政党ではなかなか出られなかったような人が出られるという利点もあるわけですね。それで、政党が無制限にできちゃうのではないかということも言われているのですけれども、しかし私は、たくさん出たとしても本当に全国区で当選できるだけの票を獲得できるのは、それはもう何十人とか何百人という単位ではないと思うのですよ。せいぜいいま程度のことであるとしか考えられないのですけれどもね。
 私は、一遍そういうものを認めてやってみて、変な害が出てくるようであればそのとき、ほかの選挙運動についてもあるいは供託金の問題とか記号式の問題とかまだいろいろ検討の余地あり、審議を慎重にやってくれという先ほど来の御答弁ですから、こういう点でも一人一党を認めて、一体どんな弊害が出るのか一回やってみて、どうしても弊害が出過ぎるということであるならばそのとき変えればいいのであって、私はそういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。
#176
○松浦参議院議員 お答え申し上げます。
 政党本位の選挙ということを考える以上は、名簿を提出できる政党はやはり政党らしい政党というふうに考えていくべきだと思います。したがって、一人一党というものはこれは政党とは考えられないわけでございますから、そういうものはとてもこの制度になじまない、こう考えざるを得ないと思っておるわけでございます。
#177
○小杉委員 政党らしい政党というのは一体何を指すのか非常に不明確ですけれども、私は、ただやみくもにだれでも無所属で、個人でどんどん立っていいということではなくて、たとえば一人一党を認める場合には有権者の一定数以上の署名、たとえば実際に有効投票が五千万票あるとすればその〇・一%とすれば五万人、五万人の署名を集めることができるくらいの力量のある人が立候補するというような一つの条件、一定数以上の署名を集めたものというような条件とか、それから個人名を名のらないというような歯どめというか条件をつけまして認めても、そんなに弊害はないのではないかと思うのですけれども、これは意見が平行線をたどるかもしれませんが、再度お答えをいただきたいと思います。
#178
○松浦参議院議員 私どもの案では御承知のように政治資金規正法の五名、それから公選法の確認団体の立候補者十名ということ、これは現行法制との関連を考えております。それが社会党案の中のように三人、五人ということが政党らしい政党ではなくて、わが党の言っている五人、十人が政党らしい政党だ、それを私どもは強弁しているわけではございません。これは御慎重に御検討願いたい、政党らしい政党とは一体何かということをお決め願えればいいわけでございます。しかし、一人一党ということで自分のパーティーにも属さない人のただ推薦状だけがついておるというものを政党らしい政党と認めることについては、見解の相違になるかもしれませんけれども私どもはそれは認められない、こういう考え方に立っております。
#179
○小杉委員 私は、冒頭申し上げたように大筋においてこの拘束名簿式比例代表制というのは支持をしているわけですけれども、そういう本当に具体的な、末端の部分で修正を要するあるいは政党要件の緩和というようなことでもう少し検討の余地があるのじゃないかということで私の見解を申し上げたわけですが、これ以上議論を展開しても平行線をたどると思いますので、私はこの問題はまた次に譲りたいと思います。
 そこで、次にもう少し具体的な問題をお聞きしたいと思うのです。
 いままで参議院の審議を聞いておりました範囲では、いろいろ憲法上の問題とかあるいは参議院のあり方とかそういういわば総論部分の議論がたくさん行われて、実際に選挙運動というのは具体的にどうなるのかという議論が余り突っ込んで行われていないように思われますので、私は実は選挙法をいろいろしさいに検討していま資料をつくりました。ちょっと参考資料を配っていただけますか。――いまお配りした資料は選挙期間中における選挙運動の規制ということですね。これは細かいところまで全部は網羅しませんで、重立ったものだけ抜き書きしてみたのですけれども、今度の選挙戦というのは個人選挙から政党選挙に移るわけですから、原則として個人の運動は認めない、こういうたてまえでありますから、たとえば選挙事務所なども従来は全国で十五カ所あったのが今度は政党として各県に一カ所ずっということになったわけですね。それから、自動車とか船舶あるいは拡声機も従来は候補者一人につき三台というのが今度は政党として六台ということになっているわけです。
 それで、こうやってみますと、ポスターから新聞広告からテレビ、ラジオから選挙公報から街頭演説会からすべてにわたっていままでの個人でできた選挙運動というものが一切なくなるわけですから、いわゆる選挙運動の総量としては大幅に減るということになるわけなんですね。いままで候補者も有権者も個人選挙でずっと戦後一貫して三十数年間やってまいりましたから、今度こういうふうに大幅に変わって恐らく有権者も戸惑うし、候補者だって具体的にどういう運動を進めていいか非常に戸惑うと思うのです。
 いずれにしても、こうした初体験の問題ですから、具体的にこれがどうなっていくのかということをやはり審議を深めていく必要があるだろうと思いますので、これは現行の場合ですね、全部言いますと時間がかかりますから二、三抜き出して考えてみたいと思うのですが、たとえばはがき、上から三番目の「文書、図画の頒布」のところではがきが十二万枚、ビラ二種類で三十五万というのが個人的には全部廃止になりまして、政党としては現行法どおりということで、三種類、枚数制限なしということですが、実際にこれ自治省に伺いたいと思うのですが、現行と改正後で全体の選挙運動の総量というのが相当変わると思うのですが、そういう分析をされたことがあるのかどうか聞かしていただきたいと思うのです。
#180
○大林政府委員 選挙運動の量がどういうふうに変わるかという問題につきましては、御質問にございましたとおり、改正案におきましては、この表におつくりになっておりますような従来の個人候補者に認められておった選挙運動用具というのがかなり削除されておりますので、基本的には選挙行為といたしましては政党が行います政策公報あるいはテレビあるいは新聞広告、それプラス現在の確認団体制度で認められております確認団体が選挙運動あるいは政治活動に使える用具、そういうものに限定されるほか、別途地方区の候補者の方々が御自分の選挙運動用具として現行法上認められておりますものを利用いたしまして政党に対する投票依頼行為ができる、こういうことになろうかと思いますが、量の点検、分析というものまでは現在やっておりません。現在、もっぱらそれに伴います予算措置がどうなるであろうか、こういうことだけをやっておるわけであります。
#181
○小杉委員 金丸発議者に聞きますが、金丸さんのお書きになった本の中に比例代表制の長所と欠点ということで、特に欠点としては、個人選挙に比べて政党選挙になると非常に親近感が薄れる、候補者と有権者との間の関係が非常に疎遠になるということを指摘されておりますが、これはいまでも変わらない考えでしょうか。
#182
○金丸参議院議員 拘束式の比例代表制をとりましたら、やはりそういうことは免れないだろうと思います。
#183
○小杉委員 そこで、有権者はいままで個人本位で選んできたわけですが、今回は政党に投票するということで、有権者の側としては従来も政党で選んでいる人もいれば個人にウエートを置いて選んでいる人もいると思うのですね。今度改正されて政党本位の選挙になったとして、その投票行動というか有権者の何を基準に決めるか、党で決めるのか、人で決めるのか、そういう点は変わるかどうか、その点いかがでしょうか。
#184
○松浦参議院議員 党が国民の皆様方の媒体として国会にその意思を伝えるという形になるわけでございまして、党があくまで中心になってまいります。したがって、政党名を書いていただくという形になるわけでございます。先生がおっしゃっておられるように、政党本位で選んでいる方もおられるだろうし、個人本位で選んでいる方もおられるかもしれませんけれども、今度の制度のもとでは政党の政策が一体個人個人にアピールするかどうか、そういうことを中心に選ばれるものと考えまするし、またさらに、当該政党の名簿に載っている人に好ましい人間が大ぜいいるかどうかということもあわせて御判断をいただくということになろうかと思います。
 御指摘のように三〇%前後の無党派といいますか、政党を必ずしも好まない人がいるということも世論調査の結果事実でございますが、そういう方々の中にも名簿を提出した政党の中で最もベターなものを選んでいただくという形において国民の意思が国会に反映される、こういう考え方で立案をいたしております。
#185
○小杉委員 今度の改正案ですと、たとえばはがきを例にとりますと、候補者一人についていままでは十二万枚あって、たとえば候補者は大体九十人前後ですか、そうしますと仮に百人立候補したと仮定いたしますと、いままでは全国区候補は千二百万枚のはがきが配られていたわけですね。それが今度はがきというのは一切これがなくなってしまう。それからポスターにしても、いままで候補者一人十万枚ですから、百人立ったとしたら一千万枚、これが全国にばらまかれていたわけだったのが、今度は政党のみ七万枚、五人追加ごとに五千枚ふえていきますが、これはせいぜいふえたとしてもわずかなものでありまして、一千万枚が七万枚ないしそれに近い数に激減をするわけです。それから新聞広告も、いままで候補者一人につき六回あったのが、百人ですから六百回載っていたわけですが、今度政党のみ二十五人を限度とした数に応じて寸法を決めるということで、回数が未定ですけれども、まずこの辺、新聞広告とその次のテレビ、ラジオの政見放送、これも従来は一人につき三回認めていたのが今度は政党のみということになりますが、この辺は改正後は一体どういうふうになるのか、具体的にもし腹案があればお知らせいただきたいと思います。
#186
○松浦参議院議員 詳細なことは自治省の方で政令なり具体的には命令で定めることになると思いますが、私どもの考え方は、名簿登載者数に応じて決めるということでございますので、いままでとほぼ変わりのない形、名簿登載者一人について大体変わらない、あるいは少し少なくなる程度の余裕を持って実施できるものと考えております。
#187
○小杉委員 新聞広告は、いままで候補者一人について六回ということは六百回分ですね。これを従来と同じように使うということですが、これは今後法律で決めるのじゃなくて、政令とか省令とかいうことになると思うのですが、それはどういうところで規定をするわけですか。
#188
○松浦参議院議員 政令または命令で決めるようにそれぞれ区分けされておりますが、具体的に申し上げますならば、物理的な限度から考えて、名簿登載者一人について四センチと五センチあるいは何百字という決め方をいたしますから、たとえば十人名簿に登載した党についてはそれの十倍だけのものができます。それを一回で新聞広告をやるか十回に分けてやるか、その辺は全部党に可能な限りお任せをするというつもりでおります。おわかりいただけると思いますが、テレビでもいままで一人四分あるいは三分五十秒、こういうふうに決めておりますが、これが仮に三分となりました場合も、十人立てれば三十分でございますから、放送局の方との連絡がついて物理的に可能であるということであれば、三十分一回でやってしまうという方法もあれば、六分ずつ五回やるという方法もある。その辺は党の御判断にお任せをしたい、こういうつもりでおるわけでございます。
#189
○小杉委員 それからテレビとラジオ放送については、これは自治大臣と放送局が時間とか回数を協議して決める、これは二十五人限度ですね。しかし、これだけではなくて、これはいわゆる公営選挙で公費負担でやってくれる回数であって、そのほか政党など確認団体が政策広告をやる場合には、有料なら何回やってもいい、これは無制限にできるわけです。そうしますと、お金がたくさんあるところは選挙中といえども、公費負担の方はこれだけですけれども、どんどん無制限にできるということになっているわけですよ、これは現行法によるということであれば。そうなると非常に不公平、いわゆるお金のあるところはどんどんテレビとかラジオの広告ができることになるのですが、この辺は規制をしなくていいのでしょうか。
#190
○松浦参議院議員 現行制度のもとで別にこれといった弊害は生じておりません。と申しますのは、無制限にできるのは政治活動でございますから、政党の政策のPR、そういったものだけで、投票依頼にわたるようなテレビ放送はできないわけでございますから、無制限にこれが広がっていくという心配はないものと考えております。現行制度と何ら変わらないというふうに御理解をいただければ幸せでございます。
#191
○小杉委員 ですから、その辺が人間というのは現在の経験からすべてを判断するということで、変わったらどうなるかというのはイマジネーションがなかなかわいてこないので、いままでそういう弊害がなかったから大丈夫だということですが、やはりいままでは個人の選挙運動がどんどん行われていた時代は、その政策活動をしなくたって個人本位の運動だけで事足りていたので、政党のこういうPRというのは余りしなくても済んだし、実際にやってこなかったということは言えると思うのですよ。しかし、今度は個人の選挙運動を全部廃止してしまって、しかも政党名を書かせるということになれば、これは競って政党として政策活動なりPR活動というのはやはり大いにやらざるを得ないということで、この辺も歯どめをかけておく必要がないかどうかということですね。
#192
○松浦参議院議員 本来、政党の政治活動というものは自由であるべきものでございますので、私どもはなるべくこれを制限しない方がいいという考え方でここには手をつけておらないわけでございます。現行制度と変えないということと、いまのような御指摘もあろうかと思いますが、政党に余り介入するということはどうだろうか、こういう気持ちでおります。
#193
○小杉委員 選挙公報、これについては従来候補者一人につき六百字以内ということですが、これもさっきのテレビ、ラジオ、新聞広告と同じ考え方でいくのでしょうか。
#194
○松浦参議院議員 この字数も人数によって動いてまいりますので、それを一まとめにして大きな新聞広告を出すか、いままでのような形で何回も出すか、これは政党にお任せするつもりでございます。もちろん、公営費との関連もございますし、新聞紙の紙面の状況との関連もございますが、大体いままでに近いものを名簿登載者一人当たりに確保するように努力をしていきたいというつもりでこういう規定を設けました。
#195
○小杉委員 先ほど大林部長は、選挙運動の総量がどう変わるかというのはまだ検討していないということでしたが、公営の費用の方は検討しているというお答えだったですかね。どう変わっていくのか。たとえばいま公営の部分というのは、ここに挙げた部分で大体どんなものがどのくらいあるかというのはおわかりになりますか。
#196
○大林政府委員 御参考のために、現行の全国区で個々の候補者の方々に対して行っております公営の種類と金額をちょっと申し上げてみます。ただ、これは一昨年のダブル選挙当時の価格を基準としたものだと御承知おきいただきたいと思います。
 予算的には、たとえば今度改正案におきまして廃止されるものがどういうものがあるかと申しますと、無料乗車券、これが大体二千五百万ぐらい、それから無料はがき、これが一人十二万枚、二千六百万円ぐらい、これは今日で考えますと値段が倍になっておりますから、これの倍ぐらいの金額になるかもしれません。(小杉委員「これは一人当たりですか。」と呼ぶ)いや、総額でございます。失礼いたしました。二億六千万円でございます。
 それから自動車の使用に関します運転手であるとか車体の借入料であるとか油代であるとか、こういったものが一億五千六百万円ぐらい。それからビラ、このビラについては、これは作成費の限定補助をしておるわけでありますが、六千万円ぐらい。それからポスター、これが二億三千万円ぐらい。それから演説会施設公営、こういったものは非常に金額は小さいのでありますが、全部合計をいたしますと約八億近い公営費用、これが今回の改正案になりますと落ちてまいるということになるわけであります。現在の時点の価格で計算をいたしますと、さらにこの金額はふえると思います。
 そこで今度は、改正案によります政党の放送でありますとか、それから政策公報でありますとか新聞広告でありますとか、こういうものにつきましては、適当な機会にまたいろいろ御相談を申し上げたいと思います。その方法によりましてかなり見込みも違ってまいると思いますし、各党それぞれにおきまして名簿の候補者数をどのくらいお出しになるであろうかという見込みによっても違ってまいるわけでありまして、現在のところはまだ確たる数字が詰まっておる段階ではございません。
#197
○小杉委員 減額になる部分というのがその当時の費用で約八億円ということですが、これは物価が上昇していますからさらに上昇していることは間違いないわけです。
 それから、ではこれが減った分が、今度個人の分が全部政党にいくかというと、必ずしもそうじゃないのですね。これはたとえば新聞広告にしても、選挙公報にしても、一応二十五人を限度としてということですから、これはいままでの個人の選挙公営費用掛ける人数分じゃなくて、それよりも減ってくるわけですから、公営費用というのは相当減ってくるというふうに考えていいでしょうか。
#198
○大林政府委員 現在、現行制度でやってまいりました選挙公報でありますとかあるいは選挙放送でありますとかあるいは新聞広告でありますとか、つまり一人当たりで積算をいたしました量、こういうものが今後各政党を主体として行われるというのをまず基本に考えてまいるのであろうと私どもは考えております。
#199
○小杉委員 費用の点はそういうことでしょうが、いわゆる選挙運動そのものの総量というのは、有権者にとってみればかなり激減をするわけですね。これは、はがきは一切だめだ、ポスターも十万枚というのは全部なくなってしまうというようなことになると、果たして有権者はどういう人がどこの政党から出ているのかというのがなかなかわかりにくいと思うのですね。そういう点で、私は、さっき松浦さんの御答弁では、やはり政党を選ぶ、そして個人にも投票をするということは否定しなかったわけですが、政党名を書かせるとしても、どんな人を、どんな候補者を名簿に載せているのかということを有権者にできるだけ周知徹底させる努力というのは各政党はどうしても行わなければいけない、これは当然のことだと思うのですが、そう考えますと、いままで個人個人がこれだけのボリュームで選挙運動をやってきたのが一挙にこれが廃止されて、改正後は政党としてのここに掲げた程度の選挙運動しかできないということになって、果たして有権者に本当にこういう人が立候補していますよということを周知させ得るんだろうかという疑問を持つのですが……。
#200
○松浦参議院議員 今度の選挙は政党名を書いていただく政党本位の選挙でございますから、付随的に、先ほど申し上げましたように、どういう方が当該政党の名簿に載っておるかということをも参考にしていただくということは当然だと思います。そういう意味では、できるだけ選挙運動を縮小しない方がいいのじゃないかという考え方も一つのりっぱな見識であろうと私は思います。ただ、なるべくお金がかからないようにするということは、個人についても同じでございますし、政党選挙になりましても同じでございます。特に個人名を徹底的に知らせるという必要はないわけでございます。むしろ知ってもらってはかえって困るわけで、その名前を書きますと無効になりますから、そういう意味で私どもはあっさりと割り切ったわけでございます。しかし、この案がベストのものであるとは繰り返して申し上げているように思っておりません。十分御論議をいただきたい、こう思っておる問題でございます。
#201
○小杉委員 含みのある御答弁ですが、恐らく私は、この立法の段階で、先ほども御指摘があったように、当初一票制を考えておりまして、そして地方区の投票で全国区を配分するという考え方で、政党のそういう選挙運動というのは余り重要視しないで済んだと思うのです。しかし、これが二票制にかわった以上は、現行と改正後の選挙運動のボリューム、こういうものはやはりもうちょっと慎重に考えられた方がいいのじゃないかと思うのです。
 それで、たとえばわれわれとかわれわれの周辺の選挙に携わっている人間とか、選挙に関心のある人とか政党関係者というのは、今度は何党のだれが出るなんというのは十分にそれは把握しているわけですね。しかし膨大な、特に無関心層とか無党派層なんという人たちは、やはり選挙戦に入って、そのときのいろいろなPRを通じて、ああ今度はこういう人があそこの党から出ているのか、ああこの党はこういうりっぱな人を出したのかというようなことを知るということが多いと思うのですね。そこで私は、やはり選挙中にこんなにボリュームが減ってしまって、一体だれが出ているのかわからないということで、またこれは棄権する人がふえてしまうということも起こり得るのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#202
○松浦参議院議員 政党本位の選挙でございますから、日ごろの政治活動の段階において、たとえばこの法律が皆様の御賛同を得て成立をしたということになれば、各党では、こういう人を載せますよということを当然政治活動としておやりになられるだろう。その過程を通じて、有権者の方々はある程度、どういう方が名簿に載ってくるだろうということは推測できるような形になってくると思いますし、選挙期間中に入りますれば、新聞広告、テレビ、ラジオあるいは選挙公報、こういったもので各党が、わが党の名簿にはこういう者が載っていますよということを当然お書きいただけるだろう。そういう観点から、これだけの選挙運動に限定をしたわけでございます。
 また、すでに政党というものについては、これは国民はちゃんと知っておるわけでございまして、現在の段階で、きょうここで何党を選ぶかどれか一つ決めなさいと言えば、必ず答えが出てくるのだと思うのでございます。そういう問題でございますので、個人の場合ほど、これほど幅の広い選挙運動を認める必要はなかろうと考えたわけでございます。
 しかし、これはあくまでわれわれの考え方でございまして、小杉先生のようにもう少し何とかした方がいいのじゃないかというのも一つの見識だと思うのでございます。どうぞひとつ慎重に御審議をいただきたいとお願いいたします。
#203
○小杉委員 やはり長い間個人選挙になれてきた有権者にとって、余り急激に百八十度変わってしまって、個人の選挙運動が一切なくなってしまう、しかも政党ができる活動も従来と余り変わらない、局限されてしまうと、これは非常に戸惑うと思うのですね。いま御答弁にありましたように、各政党がそれぞれどういう候補者を出したかということを周知徹底させる努力は行うわけですが、選挙期間中余り制限されてしまいますと、今度、結局、事前のPR活動というのを各政党はいっぱいやらなければいけなくなってしまうわけです。現在の選挙戦でも、われわれの衆議院でもそうですけれども、また参議院の選挙でも、選挙期間中に、選挙に入ってしまったらこれは終盤戦で、事前の運動に物すごくお金をかけたり手間暇かけるということになってしまうので、選挙期間中の運動というのはある程度緩和する。いまの法案では選挙運動の規制が非常に厳し過ぎるきらいがありますので、もう一度繰り返しますが、これを余り厳しくしますと、個人じゃなくて、今度は政党ごとの事前運動というものをエスカレートさせる危険がある。
 今度の法案は金のかからない選挙ということにかなりウエートを置いて立てられたわけですから、そういう金のかからない選挙の理想からもかけ離れたものになりかねないということで、私は具体的にちょっと提案をしたいのですけれども、ポスターは政党にのみ七万枚、五人追加ごとに五千枚増ということになって、いままで総量としては一千万枚近い個人ポスターがなくなって、政党のみということになるわけです。そういうふうに極端に減るのであれば、たとえば、いままでは政党のポスターには個人名とか順位というものの掲載はいかぬということになっておりましたけれども、こうして政党の枚数を七万枚ぐらいに減らすのならば、名簿登載者の氏名とか順位というものを告知することを許したらどうなのか。これは、現行の二百一条の六で個人名はだめということになっていますが、全国区、この比例代表選挙に限ってはポスターに氏名と順位を告知することを認めて、その数が非常に減るのを補うというような考え方をとったらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
#204
○松浦参議院議員 名簿登載者も広い意味では候補者でございます。そうなりますと、七万枚のポスターの中に地方区の候補者の名前をなぜ書かさぬかとか、いろいろむずかしい問題が出てまいります。一つの御提案だと思いますけれども、われわれはこういう形であっさりと割り切った方がいいと思って割り切った、こういうふうに御理解を願います。
#205
○小杉委員 たとえば、いま全国の自治体は幾つあるのですか。三千幾つありますね。三千で単純に割りますと、一区市町村に大体二十三枚ぐらいですよね。しかも、これは個人名も書かなければ、名簿の登載順も書かないということで、全国区の候補者はどなたが出ているのかということを七万枚だけで果たして本当に周知徹底させられるのかどうか。いままでとがらっと変わってしまって本当にいいのだろうかと思うのです。ちょっとくどいようですけれども、私は現実問題として――いま地方区の例を挙げられましたけれども、地方区とか衆議院は従来どおり個人でどんどんPRができるわけですけれども、全国区の候補者というのは本当に局限されてしまうわけなんです。たとえばポスター一つ取り上げても、七万枚、氏名も書かない、順位も書かない、それで各市町村に二十枚程度ずつしか張れないというようなことで、全国区にりっぱな候補者を出すのだという今度のねらいが果たして本当に達成できるのかどうか、非常に疑問に思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#206
○松浦参議院議員 選ぶ一番主要な要素というのは、やはりそれぞれの政党の政策だと思います。これにつきましては、日ごろ、国民の皆様方はマスコミ等を通じてわかっているはずでございます。そういう意味で、公報なり、テレビなり、ラジオなり、そういうものを通じて名簿登載者がだれであるかということが理解いただける、足りるのではなかろうか、私どもはそう判断したわけでございます。しかし、小杉先生のおっしゃられるような考え方も一見識であることを否定するわけにはまいりません。そういう意味で、私は、慎重に御検討いただきたいということを申し上げておるわけであります。
#207
○小杉委員 いまテレビ、ラジオの話が出ましたけれども、最近の科学技術の進歩というものは非常に目を見張るものがあるわけでして、テレビ等の活用、あるいはそのほかの媒体も大いに取り入れるべきだと私は思いますし、また現在のテレビ政見放送、ラジオ政見放送というのは、たとえば民間放送がわずか五秒とか十五秒の短い時間帯にあれだけ訴える内容を持っているのに比べまして、あのテレビのカメラの前に座って、四分半ですか、非常に単調――見る側にとっても単調でありますし、たとえば今度はスタジオに政党ごとに候補者を全部呼んで対談をさせるとか、あるいは党首が出てきて一人一人スタジオで紹介するとかということで、若干従来よりは工夫の跡が見えるように思うのです。たとえば、各政党にフィルムの費用を公費で負担をして、そして地方にロケに行ったりいろいろアイデアを駆使してやれば、いま一人当たり四分半とか五分半なんという、いま民間放送のゴールデンタイムなんかでは一秒間何十万円という相場でやっているわけですから、公費の負担を減らすという面でも、いまのテレビ放送のやり方というのは、あんな単調なやり方じゃなくて、もう少し立体的というか機動的というか、そういう工夫をすべきじゃないかと思う。またテレビだけじゃなしに、いまテレビでも多重放送とかいろいろ出てきておりますし、新しい媒体をどしどし活用するというようなことも考えるべきだと思うのですけれども、そういう点の工夫がまだまだ乏しいように思うのですが、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
#208
○松浦参議院議員 今度の法案の中では大分いままでの考え方を変えておるわけでございます。名簿登載者一人当たり四分なら四分と決まりますと、十人立てているところは四十分の枠があるわけでございます。その四十分を一回でおやりになるということも、NHKの方との関連で協議が調えさえすれば結構だと思いますし、また二十分に分けて、小杉先生のところでございましたら、党首を含めて五人なら五人で政策対談をやるというようなことも、NHKが技術上認められるということであればそういうものもできるように考えていきたい。一歩でも二歩でも、もう少し国民になじみやすい政見放送にするように努力をしていきたいという考え方で今度の法案ができているというふうに御理解をいただいて結構でございます。
 ただ、繰り返して申し上げますけれども、時間の配分等でNHKで技術上困るということについては御容赦を願いたいと思います。
 また、一番初めに御指摘いただきました、どこかでロケをしてきたフィルムを流すというようなことは今回の制度でも考えておりません。
#209
○小杉委員 具体的に指摘をすれば、今度変わってもまだまだ非常に疑問点がたくさんあるわけですけれども、ここですべてを羅列することはできませんので、これはもうこの辺で打ち切りますが、いま御答弁をずっと聞いておりますと、非常に含みのある御答弁があったわけですが、これからこの問題を審議するに当たって、こういう具体的な問題についても各党とも関心を持っていると思うので、提案者の方でも積極的に各党の意見を聴して、修正するところは修正するというような姿勢でいくべきだと思うのですが、そのお考えを伺いたいと思うのです。
#210
○松浦参議院議員 同じ繰り返しになりますが、金丸先生も毎回御答弁申し上げておりますように、わが党の案がベストであるとは決して考えておりません。したがって、十分慎重に御検討いただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
#211
○小杉委員 これがこの委員会で通るか通らないか、これからの問題ですけれども、たとえば各党が合意した部分については附帯決議なり、あるいは今回間に合わなければ次の臨時国会で修正部分をつくるとか、そういうふうに柔軟に対応する用意があると考えていいでしょうか。
#212
○松浦参議院議員 そういう考え方がないとは考えておりません。
#213
○小杉委員 あと少し、時間が限られてきましたので、二、三点伺いたいと思うのです。
 私は、この前の本会議で供託金の問題、記号式の投票の問題等取り上げましたので、きょうは繰り上げ当選の問題について触れたいと思うのです。
 今度は、繰り上げ当選の資格を六年間認めているわけですけれども、現実問題として、これはたとえば先日塩崎先生が自分の体験談を語られましたけれども、全国区で次点になられた後いち早く衆議院に転進をする、あるいはほかの政党でも、参議院の地方区に立っておいて次の知事選挙の名前を売るために出るなんというケースだって皆無とは言えないわけで、恐らくいままで現実の選挙をずっと追跡してみますと、六年間も次を期して捲土重来でじっとがまんして備えているという方はそんなに大ぜいいないのじゃないかと思うのですよ。たとえば途中でほかの公職に立候補したり、そういうことで、私は三年ごとの半数改選時に調整する方法を考えた方がいいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#214
○松浦参議院議員 六年間といたしましたのは、任期が六年でございます。そこで、選挙のときに国民の皆様方はその党に六年間ということで議席を与えたというふうに考えるのが至当であろう、それで六年にしたわけでございます。三年という説も検討の段階にはございました。しかし、三年にいたしますと、必ず欠員が出るわけでございます。六年でございますと欠員が出ないわけでございます。やはり欠員が出ない方が選挙制度としてはベターでなかろうか、こういうことも配慮に入っておるというふうに御理解をいただけたら幸せでございます。
#215
○小杉委員 現在だって欠員というものはあるわけですし、それから今度の法案でも、四分の一ですか、それ以上欠けた場合には補欠選挙ができるということになっているのですから、こういう時代の変化の激しいときに六年間ずっと認めているというのはどんなものか。やはり国民の意識もどんどん変わっておりますし、有権者の側だって、死亡したり六年の間には気持ちも変わったりする。それをずっと拘束していくというのは余り現実的ではないのじゃないか。しかも、その次点以下の名簿が、六年前のが残っていて、また三年前のが残っていて、どっちを繰り上げるのかという――それは今度の法案では、そのときの名簿の人を上げるということになっていますけれども、中にはもう次の三年後の選挙にまた出ている人もいますし、そういう点では六年間というのは、国民意識が変化している、あるいはその候補者の方も事情が相当変わるということを考えますと、どうも少し長過ぎやしないか。まあ、これは例に出すのは妥当じゃないかもしれませんけれども、運転免許証にしたって三年ですし、車検の期間にしたって、今度延びたといったって三年ですし、私は、いまの時代に六年間なんというのはこれはもう相当固定的な考え方過ぎると思うので、この辺はひとつ意見として申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一度供託金の問題について申し上げたいと思うのですが、私はこの供託金の問題は政党要件とうらはらの関係にあると思うのです。政党に要件を三つくっつけまして、そしてしかも、政党に対する信頼感というものを中心に考えている以上は、いまの供託金の発想というのはいわゆる泡沫候補とか売名候補を排除しようということなんですから、これは政党要件で政党を縛って、さらにまた供託金を取り上げるというのは、二重に規制をすることになるわけですし、それから今度の選挙費用も、先ほどの大林部長の説明ですと従来よりは減るということもありますし、また、いま選挙公営化を求める声というのが非常に多くなっているわけなんで、私は、むしろ政党の要件をつけるならば供託金というのはなくすべきじゃないかというふうに思うのですが。
#216
○松浦参議院議員 お答え申し上げます。
 繰り返し申し上げておりますように、現在の個人本位の選挙のもとにおける供託金というのは、泡沫候補の制限という一つの目的と、それにあわせて公営費用の一部を分担していただくという思想から発しているように伺っております。政党選挙になりましても、公営部分の一定割合の御負担を願うという思想はそのままでございましょうし、それから党に対して、その党が政党らしい政党として信頼されていないという意味ではなくて、その名簿に載せる者の数が泡沫にわたらないようにという思想が入っておるということを先ほども御答弁申し上げたのでございます。そのように御理解をいただければ御納得いただけるのではなかろうか、こう考えております。
#217
○小杉委員 最後に、名簿作成時の不正についてということで今回罰則規定がありますけれども、名簿の選定に当たって、選定機関の名称及び構成員の選出方法、名簿登載者の選定の手続を文書で報告をして、適正に選定が行われたことを誓うことになっていますけれども、この事実はだれがチェックをするのでしょうか。
#218
○松浦参議院議員 政党の内部に立ち入ってそれが本当にきちんとどういうふうにやられているかということをチェックする権能はどこにもないと思います。しかし、一応法律の上では、選定機関の名称あるいはどういうふうに選定機関が任命されたか、あるいはどういうふうに選定するということを定めているとおりに従って任命をしたか、そういったことはちゃんとやりましたということを、政党はうそをつかない、良識のかたまりであるという形で、宣誓書を出してもらって、まともに行われたということを確認していこう、こういう考え方でございます。
#219
○小杉委員 これは参議院でも大林部長が答弁しているのは、中央選挙管理会には事実調査の権限は全くないということを答弁されておりますし、いま松浦さんの答弁でも、行政がこれに立ち入るということになれば結社の自由を侵すことになるということで、もっぱら政党の良識に信頼をするということなんですが、これが果たして本当にこういう文書の報告に誤りがないかどうかというのがチェックできないというのは、ちょっと法が不十分というか不備というか、その辺どうなのかという疑問がぬぐい去れないわけです。
 それから、名簿の選定に当たって万一不正があったとわかったときの罰則はどうなっているのか。これは当選を取り消すくらいの厳しい処置があってもいいのじゃないか。それが政治に対する信頼を確保するということにつながると思うのですが、こういう場合の罰則というのは一体どうなっていましょうか。
#220
○松浦参議院議員 選定機関に絡む贈収賄、その贈賄の方が名簿に載って当選した方で、その罪に問われて有罪になれば、当然議員の身分を失います。それ以外は身分を失うということはありませんで、また選定機関が罪を犯したからということで十人なら十人当選した者が全部身分が飛んでしまってはこれは大変でございます。そういうことからいまのように御説明を申し上げる以外に方法はない、こう考えております。
#221
○小杉委員 時間が来ましたからやめますが、どうもその辺がまだちょっとあいまいだと思うのです。やはり事実を監視する公正で実権を持った人とかあるいはそういう機関がなければ罰則の規定が幾らあったとしてもそれはすでに死文化しているんじゃないかというふうに思うのですけれども、この点についてはどうお考えですか。
#222
○松浦参議院議員 現在の罰則のたてまえもすべてそうでございまして、選挙違反かどうかということを選挙管理会が認定するわけにはいかない、事実こういうことがあってこれはおかしいじゃないかという他人からの訴えによって捜査当局が手を入れる、こういう形になります。全く事態は同じであろうか、こういうふうに考えます。
#223
○小杉委員 以上で終わりますが、まだまだ検討すればするほどいろいろ従来と大幅に変更になりますので有権者側もあるいは候補の当事者もいろいろと迷う点が多々ありますので、これはやはり各党、各会派の意見も十分に参考にしながらよりよいものに練り上げていく努力を提出者として、発議者としてやっていただくことを特にお願いをして、私は質問を終わりたいと思います。
#224
○久野委員長 中村茂君。
#225
○中村(茂)委員 先般、提案理由の説明をお聞きしたわけでありますけれども、その中に「全国区制度の改正につきましては、まず参議院にふさわしい人を、より得やすい制度にすることが必要だと考えます。」こういうふうに説明されているわけでありますが、これを二つに分けて質問いたしたいと思います。
 参議院にふさわしい人とはどういう人かお聞きいたします。
#226
○金丸参議院議員 できるだけ全国的な視野から、またできますならば専門的な知識、経験と申しましょうか、そういうことにたけた方ということが参議院の制度が創設されますときから言われております。私ども、できるだけ衆議院と違いまして参議院は長期的な視野に立って物事を調査もなさり、判断もなさる方が適当ではなかろうかと考えておりますが、今度名簿式にいたしますというと、各政党で人選をなさって政党が責任を持って当選ができるようになさるという制度でございますので、私どもはできますならば各政党がそのような人を候補者として名簿にお挙げになって当選を期していただく、そうすれば従来は金銭の問題とかあるいは選挙のいろいろなむずかしい問題とかでいわば出られない、出たくない人も名簿に載せることによって政党がそういう人を参議院議員に送り込まれる、そういう意味でふさわしい人がより得られやすくなるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#227
○中村(茂)委員 説明をお聞きしたのですけれども、そういうことを明確に規定してあるものは一つもないのですね。ただあるとすれば、被選挙権について衆議院は二十五歳、参議院は三十歳、この開きがあるということで、いま言われた全国的視野ですから全国区は全国的に選ぶことができるでしょう。専門的、こういうふうに言われますけれども、ではそういう人を選ばなければいけないということはどこにもないわけですね。
 そこで、少し調べてみたんですけれども、古い話ですが、第九十一回帝国議会の衆議院の参議院議員選挙法案委員会議録、これは第二回ですけれども、昭和二十一年十二月二十一日、この議事録の中に、公職選挙法の改正で被選挙権の年齢を何歳にするか、こういうことでずっと審議されて、その当時の郡政府委員がこういうふうに言っているわけですね。中間ですけれども、「年齢というものが、なんと申しましても人間の思想の円熟さ、分別経験の程度というものを現わすものである以上、これによつてよき意味の保守性というものを」保とうとするものであります。このときの審議は、年齢を、衆議院と五歳つけるかつけないかということが論議になって、五歳の差というものについて、五歳程度ではこういう願っている人が得られないのではないか、こういう質問がございまして、また続いて郡政府委員が、「ほかのいろいろな差別よりも一番明瞭に、第一院と第二院の差異を現わす要素ではないだろうか、また各国の立法例によりましても、いずれも年齢に差を設けておるということは、年齢というものが、さような働きをするということを現わしておるもの」と思われます。ここで考えますのは、この当時は貴族院議員から参議院という一応の経過があって、提案者の方は、急激に変化させてはいけないから第二院の参議院の方はある程度の保守性を保たなければいけないという論議が片方あったようです。それについて私ども社会党の先輩は反対したようですが、いずれにいたしましても、私はここのところで申し上げたいというふうに思いますのは、やはりいまの公職選挙法の衆議院と参議院の被選挙権の年齢の差というものは、こういう経過が通って法が成立してきている。たとえ五歳でもここで言っております円熟さまたは経験の豊かさ、こういうものを求めている。ですから、これ以外にきちっと決まったものは私はないような気がするんですけれども、それを今度の制度で政党にそれを一任する、政党が一切それを選んでいく、順位もつける、こういうことですから政党の責任は非常に重くなってきているというふうに一点思うのですけれども、しかし、その点が全部政党に一切一任する、こういうふうになっていて、こういう人を出すんだというものを義務づけていないわけですね。ですから、その点をもう少し明確にしていく必要があるんではないか、こういうふうに私は思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#228
○金丸参議院議員 年齢の点は御指摘のとおりでございます。制定の当初には年齢を四十歳にしたらどうかとか三十五歳にしたらどうかとまで、そういう意見があったようでございますけれども、五歳だけの開きで三十歳になった経緯になっておるようでございます。
 本当に円熟した、経験の豊富な人を選べということを政党に義務づけるようなこともすべきではないか、そういう趣旨の御質問のようでございますが、私は義務づけるとまで法律でいたしますことは適当かどうか。わが国の政治を実際に動かしておりますのが政党でございます。私どもは、政党の良識によりまして人選をなさるであろう、また、りっぱな人を選ぶ政党の方が有権者の支持は得られやすくなってまいるのではなかろうか。
 それから、御承知のとおり、政党が名簿に登載し得る人は政党に所属しておることは必要でないのでございまして、政党外からも政党でりっぱな人物だ、自分の党から参議院に出したいという人は候補者名簿に載せることができるわけでございますので、選択の範囲もそれだけ広くしてございますので、私どもは政党の良識に期待して参議院にふさわしい人を選んでいただきたい、また恐らくは回を重ねるごとにそういう方向になってまいるのではなかろうか、こういう期待をいたしておる次第でございます。
#229
○中村(茂)委員 参議院のあり方ということについてもう少し触れてみたいというふうに思うわけです。
 ここに小林直樹東大教授の「憲法講義」という本の抜粋があるのですが、それは「日本における両院制」、その(ロ)項に「日本国憲法の両院制」というのがありまして、その中の一節、一節といっても若干長くなりますが、ちょっと読み上げてみたいというふうに思うのです。「結論からいえば、憲法が参議院に抑制と均衡の機能を期待していることは明瞭である。参議院に解散がなく、その議員の任期を長くし、より専門的知能を集めて、「理の政治」をおこなうことによって、衆議院に助言や警告を与える役割が望まれる、」こういうふうに憲法と成立当時の趣旨から先生が規定づけていて、しかしながら今度後段の方ですけれども、「従来までのところ、参議院の実情も、選挙区としての全国区制も、うえの」というのは先ほどの趣旨ですけれども、「期待を満たさず、参議院を「小型の衆議院」化する傾きを示しているだけに、この問題は、――もちろん、その背後にある根本問題は、制度の技術的処理によって解決されることはできないけれども――遅かれ早かれ改善を、要するものとなっている。」こういうふうに言っております。
 私は、これはほんの一節ですからですけれども、全体をながめてみて、この主張というか論理は大体当たっているのではないか、こういう立場に立ってもう一度これを見た場合に、専門的な知能を集めて、理の政治を行うことによって、衆議院に助言や警告を与えていく、果たしていまの参議院がそういうふうになっているかどうか。先生も、小型の衆議院化してきている、したがっていまの選挙制度についても遅かれ早かれ検討していく必要があるだろう、こういうふうに指摘しているわけです。
 そこで先ほどの話に戻るわけでありますけれども、確かに政党にその点については一任する、政党は国民、有権者が監視するだろう、こういう言い方ですから、その意味においてはわかるような気がするわけですけれども、それが今度の拘束名簿式比例代表制によってこういう人が本当に得られるのかどうかということになると、この下の方で言っている、より得やすい制度にすることが必要だと考える、得やすい制度がいわゆる拘束名簿式比例代表制だ、こういうわけであります。その選考一切を政党に任せるよ、こういうふうになっているわけでありまして、やはり政党本位の選挙にする以上、先ほども言われておりますけれども、政党らしい政党、これは国会議員が五名とか、四%とか、または立候補者が十名とか、そういう数の問題もそれはありますが、そういう数ではなしに、言い方は悪いのですけれども、政党の質の問題ももっと考えていかなければいけないのじゃないか。質の問題ももっと考えていかなければ、政党に任せる、政党のやることを国民、有権者がきちっと判断していく、それだけではこの制度が本山に生かされて参議院にふさわしい人が出てき、参議院の機能が完全に希望しているような方向で運営できるかどうか、こういうことが非常に疑問になってくるわけであります。
 そこで、この参議院の改革という問題がこれから選挙のほかに一つ出てまいります。その点と、それから二審目には政党らしい政党とはどういう政党か、お聞きいたしたいというふうに思うのです。
#230
○金丸参議院議員 ただいまの小林教授の御見解とか、これに関連しまして先生の御所見と申しますか、私も全く御同様に感ずる次第でございます。
 お尋ねの第一点の参議院の改革の問題でございますが、私どもは拘束式の名簿をとることによりまして、選挙制度の面から参議院にふさわしい人が従来よりもより得やすくなるのではないかという参議院の選挙制度の面と、参議院の機構の改革でございますとか運営の改善の面、この二つの面から参議院の使命が達成できますように参議院の改革を行ってまいらなければならない、このように考えておるところでございます。参議院の改革は、各党の御意見とそれぞれの党の参議院におきます執行部の方々、関連いたしまして衆議院を含めた日本の政党の大きな課題の一つであろうと思いますけれども、何と申しましても現在参議院に籍を置いております各党の先生方を含めまして、私どもが最も今後努力をしてまいらなければならない点ではなかろうか、かように考えておるところでございます。
 それから、お尋ねの第二点の政党らしい政党についてでございます。
 政党の質ということをただいま御指摘になりました。私も国民に対しまして政治の責任を負っておりますわが国の政党といたしましては、質的な向上を図ってまいりますことが大事な責任ではなかろうかと思います。政党らしい政党ということを先般来私どもが申しておりますが、この政党らしい政党というのはやや形式的な意味でございまして、政党要件を法定いたしますのに、一人一党ではやはり政党と蓄えないのではないか、わが国ではそういう判決もあるわけでございます。その政党の法定要件を私どもが考えますのに、その実態として、わが国で政党らしい政党と言われるのには国会議員が何人くらいおられたらいいか、過去にどれくらいの得票があったらいいかというようなことを考えたという意味でございます。政党らしい政党というのを理想的に申しますならば、先生がおっしゃいますように、今後、政党の量だけでなく、政策とか政党の構成員であるとか政党のいろいろな物の決め方について国民の理解を得られるとか、そういう質の面の向上が図られてまいりますことが本当の意味の政党らしい政党として望ましいのではなかろうか、私はこういうふうに考える次第でございます。
#231
○中村(茂)委員 次に、憲法と今度の制度とのかかわり合いについて若干お聞きいたしますが、参議院の法制局長がお見えになっていると思いますが、お聞きいたします。
 第九十五回の国会の参議院ですけれども、前回の国会です。五十六年の十月二十一日の参議院の委員会で御答弁なさっているのですが、憲法第十三条、いわゆる基本的な人権に対する公共の福祉による制限の問題ですが、これをずっと見せていただいて感ずるのは、一つの見解であり、先ほど申し上げましたように、この法案が提案になった理由の趣旨というものがほとんどこの説明の中に包含されている、こういうふうに思いまして、その後、この見解が変わっていないのか、もう一度、本院のこの場でお考えをお聞きしたい、こういうふうに思いまして来ていただきました。見解をお聞きいたします。
#232
○浅野参議院法制局長 私の現在の考え方といたしまして、あのとき御答弁申し上げましたのと何ら変わりはございません。
#233
○中村(茂)委員 最後の方ですけれども、ずっと見せていただきましてここのところが私にはちょっと理解しにくいのです。前の方は省略いたします。この拘束名簿式比例代表制が達成しようとする利益こそ国民全体の利益であり、これが公共の福祉であると提案者は考えていると思う、この「利益こそ」というところが断定的過ぎて私にはちょっと理解しにくいのですけれども、もう少し理解できるように御説明いただきたいというふうに思うのです。
#234
○浅野参議院法制局長 このたびの拘束名簿式比例代表制の導入が達成しようとしております利益というものは二つあるのではないか、私はこう思っております。一つは、現行の全国区制が包含しております弊害を是正して、選挙の公正を確保するということではないかと思います。それからもう一つは、国民の政治的意思を忠実適正に国会に反映することにあるのではないか、こう思っております。
 いずれの利益も、全国民を代表する者を選ぶ選挙がまさに目指しておりますところの利益でございまして、これが国民共同の利益ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#235
○中村(茂)委員 もう一点お聞きいたします。
 憲法四十三条の関係ですけれども「全國民を代表する選擧された議員」、これは政党本位で、政党へ投票するわけでありまして、この四十三条の「代表する選擧された議員」ということにこの拘束名簿式比例代表制で出てきた議員が該当するかどうか、許容されるかどうか、この点についてお聞きいたします。
#236
○浅野参議院法制局長 確かに拘束名簿式比例選挙では名簿に投票することになると思います。しかしながら、その名簿には、個人候補者の氏名が登載されておりますし、さらに当選人となるべき順位が付されて登載されておるわけでございますから、有権者はその名簿を見て投票されるわけでございまして、そこで結局的に議員が選ばれる、こういうことになるわけでないか、こう思っております。そうでございますから、こうして選ばれた議員もまさに選挙された議員ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
#237
○中村(茂)委員 名簿が閲覧されるし、見ることによって、したがって政党へ投票するけれどもだれだれが候補者として名簿に載っている、またその中から当選者も出てくるということで、この四十三条の許容範囲だ、こういうふうに言われる。そうなってくると、やはり名簿登載者の国民への浸透、それからその人の活動、こういうものが非常に重要になってくるのじゃないか。こういう人に対しての国民への周知、それが果たされなければ、政党に投票して、したがって名簿に載っているからこれはいいんじゃないかと言っても、この四十三条の言っている趣旨というものが許容範囲として生かされないのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。
 先ほどの十三条の点については、政党のあり方、任務、それから現在の状況を高く評価されている見解になっているわけですけれども、今度は片方、いまの四十三条の方へ来ると、政党は一応するけれども、その中身が問題なんだ、こういうふうに、この二つの関連だけ見れば、片方は政党を強調している、片方は登載者を強調している、こういうふうになっていきますから、この関連において、この選挙制度は政党の責任の重要性というものと、その登載者の国民への周知義務ということが非常に重要な課題になってくる、こういうふうに思いますが、この点についてもう一点お聞きいたします。
#238
○金丸参議院議員 その点は御指摘のとおりでございます。私は、あるいは私の期待が理想論なのかもわかりませんけれども、名簿の作成が回を重ねてまいるにつれまして、各党とも党内外から広く人材を求めて候補者にしようというふうにまいるのではなかろうか、実は私はそういうふうに期待をいたしておるのでございます。
 そういたしますと、候補者がいわば内定されてまいりますと、できるだけ党とされても、東京で大会がございますとか、あるいは地方で大会がございますとか、あるいはいろいろな会合がございますとかいうような際に、その方を党員ないし国民に紹介する意味で活躍をしていただく。また地方選挙がございますから、その応援とか事前のいろいろな会合等にもその人が地方にも出ていかれる。党の機関紙もあるわけでございます。また、やはり今後の名簿の候補者は国民の関心事でございますから、各党で候補者が内定いたしますと、新聞等でも報道され、相当知られるようになっていくのではなかろうか、私はこのように思います。現在は候補者と団体との個人的なつながりで選挙が行われる傾きが強うございますけれども、今後は各党の支援団体と党との結びつきにその関係が変わってまいらなければならない。そういう支援団体と党の結びつきを活用しながら、新しい候補者も国民にできるだけ事前に、名前とかあるいはお考えとか経歴とかが知られるような努力が政党ごとに必ずなされていく、私はこのように思っておる次第でございます。
#239
○中村(茂)委員 いまの参議院の欠陥として、金がかかり過ぎて、組織を持っている者か、それともタレント性があるか、そうでなければなかなかいまの選挙を消化することができない、こういう一つの問題点としてずっと挙がってきていたわけですけれども、いまの御説明でこの点が――りっぱな人なら別に排除する必要はないのですけれども、そういう意味で排除じゃなくて、欠陥として持っている面の排除が今度の制度で可能なんでしょうか。
#240
○金丸参議院議員 少なくとも候補者個人が、自分の選挙の準備とか運動のためにお金をお使いになることは非常に少なく、絶無に近いと申すぐらいに少なくなってまいるのじゃないかと私は思います。今後、候補者に予定されました方が、自分で、あるいは北海道においでになるとか、あるいは沖繩へ会合にお出かけになるとか、その支援していただく政党のために個人的に御活躍になる、これはある意味では当然だろうと私は思います。党費でそれをお賄いになる場合もあれば、個人が積極的に自分が負担して、北海道に参りましょうとか、沖繩に応援に参りましょうとか、講演会に参りましょうとか、こういうこともあり得ると私は思いますが、これは、現在参議院の全国区に投ぜられておる費用に比較いたしましたら、とても比較にならない金額の経費になってまいりまして、党では、ある程度運動のための経費はかかる、これは当然であろうと私は思いますが、少なくとも個人が使います金は、現在とこの改善案では比較にならないくらい少なくなってまいる、このように考えます。
#241
○中村(茂)委員 金のかからない選挙とはどういうことかということですが、制度上金のかからないようにして、金のかからないというふうに言うなら、いまのそれぞれの選挙も法定選挙費用という枠があって、その枠ぐらいはだれも消化できると思うのです。枠内なら金のかかった選挙というふうにだれも言わないと思うのです。ところが、法定内選挙費用というものがありながら、選挙というものは金がかかってかなわない、事前の運動に金がかかる、こういうふうにみんな言うわけですね。だということになれば、全国区の制度をこういうふうに改正してやることもそれは必要かもしれません、金のかからないために。しかし、それ以上に重要なことは、その環境をつくることがより必要なのではないでしょうか。たとえて言えば、いま政治資金規正法、この政治資金規正法というのは、私が申し上げるまでもありません、附則第八条で、「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」というふうに決めて、施行が五十一年一月一日ですから五十六年一月で五年、ことしの一月で六年が経過したわけなのです。ですから、そういう政治資金規正法の一番お金の関係のもとになる、こういうところからきちっと手をつけていかなければ、こういう法律だけつくって、全国区は金のかからないようにしましたよと言ってもどうにもならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、自治省にお聞きしますが、この検討はいまどうなっていますか。
#242
○世耕国務大臣 お答えいたします。
 確かに、この政治資金規正法附則第八条に五年後の見直しを述べているのでございますが、きわめて重要な問題でございます。自治省としましても、これまでのいろいろな公表された資料をもとにしまして、いろいろな分析を行っております。ところが実際、個人献金というものの集まりが非常に悪い、こういう結果が出ておる。いかにしても、この集まり方が非常に思ったようにいかない。そこで、どうすれば今後個人献金を伸ばすことができるかについて、いろいろ検討を加えているところでございます。しかも、この附則第八条では、個人献金の方に今後力点を置いていく。一方では、集まらないけれども、附則第八条ではそういうふうに今後の方向をうたっておりますので、実際問題として、政治とか選挙にかなりの資金を要することも事実でございます。さらに、この個人献金が集まらないとなると、これもまた各政党いろいろ支持母体が違うておりますけれども、現実問題として、政党財政を賄っていくだけの資金が集まってこない、こういういろいろな矛盾した事柄が集積いたしまして、今後選挙制度のあり方と一緒に、各党のよって立つ財政的な基盤をこの政治資金規正法がどういうふうにして、きわめて合理的に現実問題として解決していくことができるか、これを各党の間でいろいろ十分論議を尽くしていただきたい、その上で私どもの方はそれにのっとっていろいろな検討を加えながら考えてまいりたい、こういう時点に立ち至っているところでございます。
#243
○中村(茂)委員 観点が違うのですね。企業献金というのはどうしても政策と結びつきやすい、したがってそこに汚職という問題が出てくる。ですから、そういう企業献金から個人献金、その政治家を愛し、その政党を愛する人の浄財によって賄っていく、そういう方向に政治資金規正法も持っていこうではないか。だから、個人の金が集まらないから、困るからこっち側の検討はできない、こういう方向では私は検討の方向が間違っているというふうに思うのですよ。注文だけ申し上げておきます。
 それから、鈴木総理がいれば鈴木総理に聞けば一番いいわけですけれども、鈴木内閣が誕生したときに鈴木総理は政治倫理の確立ということを公約いたしました。こういう全国区の選挙は金がかかり過ぎるから今度政党本位のものにしてできるだけ金をかけないようにしていこう。先ほども申し上げましたけれども、制度をそういうふうにしていくことも必要ですけれども、やはりその環境、政治の状態、そういうものを正しいものにしていく、いえば政治倫理というものをお互いに確立していく、そのことがともになされなければ一つの制度をつくっても無意味ではないかというふうに私は思うのです。たまたま六月八日ロッキード事件の全日空ルートの裁判の判決がありまして、この国会、衆議院の場においても佐藤孝行議員の辞職勧告決議案、これは野党四党が一本になって勧告案を決議するようにという要求が起きている。議院証言法の改正が論議に上って、それをまとめよう、その上に立って証人喚問しようではないか、こういう動きになってきている。いま国民が求めているのは、そういう問題をめぐって政治倫理の確立、政界浄化、こういう問題を強く求めている。そういう中で、いま全国区の比例代表制の問題をどういうふうにするかということが論議されている。私は車の両輪だというふうに思うのですね。よくことわざに、仏つくって魂入れずということがありますけれども、こういう制度をつくっても魂が入っていなければどうにもならない。ですから、その絡みについて、政治倫理の確立についていま衆議院で課題になっている政界浄化の問題について、総理に聞けばいいわけですけれども、いま申し上げましたようにこの法案と無縁ではない。いま私が申し上げた意見について提案者の考え方をお聞きいたします。
#244
○金丸参議院議員 政治倫理の確立は、今日、私ども国会に籍を置きます者として国民の要望も強いと思いますので、できるだけそれにこたえるような措置が行われていくことが最も望ましいと思っております。具体的にこれをどのようにいたしますかは政府並びに各党の執行部等におかれまして真剣にお考えになっておられることと思いますので、これ以上のことは差し控えたいと存じますが、私は国民の要望に対して本当に誠実にこたえなければならないきわめて重要な課題であると思っております。
#245
○中村(茂)委員 この点については委員長にもお願いしておきたいというふうに思うのですが、繰り返しません。先ほど申し上げましたようにこの法案といま課題になっている政治倫理の確立、政界浄化、こういう問題については両輪だというふうに思うのです。ですから、そういう課題を抜きにしてこの法案を一方的に上げるというわけにもいかない。ですから、そのことを頭の中に入れて、できればその絡みについて理事会などで御相談をいただいて、しかるべき措置をとっていただくように。回答を聞かなくてもいいです。これは私の願いですから、委員長に申し上げておきたいというふうに思います。
#246
○久野委員長 よく承りました。
#247
○中村(茂)委員 次に、少し具体的な中身に入りますけれども、「政党その他の政治団体」、この関係ですが、政党要件について、中身を言うと長くなりますから、ア項、イ項、ウ項で三つの要件を示しているのですが、その「いずれかに該当する政党その他の政治団体に限り」、文字どおりこの三つの要件のどれか一つに該当すればいいというふうに理解してもいいわけですか。
#248
○松浦参議院議員 そのとおりでございます。
#249
○中村(茂)委員 そこでイ項ですけれども、先ほども同僚の委員の方がお聞きしておりましたが、四%にした合理的な理由をお聞きいたします。
#250
○松浦参議院議員 先ほども御説明申し上げましたとおり、政党要件の一号、これは国会議員五人でございます。これは政治資金規正法。それから三号の候補者十人、これは公職選挙法の確認団体ということで、現行制度との関連を考えつつ政党の重要性にかんがみまして政党らしい政党であるという考え方で一号と三号を定めました。それとのバランスをとって直近の選挙において一定の得票数を得た政党も入れた方がいいだろうということで考えたのがただいま御指摘をいただきました四%でございます。
 この四%は、比例代表制に例をとってみますと、有効投票が大体五千万票でございます。四%ということは二百万票。二百万票ということになりますと二人の当選が可能である。これは半数改選でございますから裏表で考えますと大体四、計数的にはこういう数字になろうかと思います。一号と三号とのバランスをとって四%とした、こういう御説明を申し上げました。そういうふうに御理解をいただけたら結構かと思います。
#251
○中村(茂)委員 次に、告示の制度をとったということですが、ア項とイ項の政党とウ項の政党とを分けた理由についてお聞きしたいと思います。
#252
○松浦参議院議員 名称の告示制度は、任期満了前九十日、それから七日の間に届け出るわけでございますから、一号と二号に該当するものは明確にその時点でございますけれども、三号はそのときにはないわけでございます。だから、名簿告示制度には乗り得ない、これは御理解をいただける問題だと思います。
#253
○中村(茂)委員 そうすると、ア項とイ項とウ項で分けて、遅く出すウ項の方は類似事項が出てきても対処できるけれども、ア項、イ項で一緒に出したものについて類似事項が出てきても対処する道はないのじゃないか、こういうふうに思うのです。
 これは私のところの党の例で申しわけないですけれども、以前に同じ社会党で右派と左派で分かれて名前は日本社会党とこういうふうにやった例があるのです。そういうふうにア項とイ項の党が事前にそろって出てくると、それは同じ党の名前だから困るというふうに類似事項で禁止するとかそういうこともできないような気がするのですが、その点。
#254
○松浦参議院議員 一号、二号に該当する政党はすでに現在明確にわかっておるわけでございます。いわゆる大政党、政党らしい政党ということでございますから、それらの名称が一緒になるというような事態はないと考えております。
 たとえば、ちょうど先生から社会党の御指摘がございましたが、同じ日本社会党というのが二つ出てくるということであれば、日本社会党は名称でございます、私の方の略称は右派社会党、左派社会党、こういうふうに区分けをしていただくことによって十分対処できるのではなかろうか、こう考えております。
#255
○中村(茂)委員 現在のところは、確かにア項、イ項の該当は、政党らしい政党というか、ありません。しかし、将来ないという保証はないわけですね、そういう保証は私はないと思うのです。ですから、全く区別のしようもない同じような政党が出てきたという場合に、何らか類似事項をとめるというか変更させるというか、そういう道を考えておいた方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はもう全然考慮の必要はないですか。
#256
○松浦参議院議員 現在ア項、イ項、私の方で一号、二号と申しておりますが、これに該当するのは自、社、公、民、共、新自、社民連、こういうことだろうと思うのでございます。これはもうすでにはっきりしているわけでございます。それらが名称告示制度に乗りますから、それ以外の政党はそれに近い名前は名のれません。その政党は、仮に次の選挙で四%とったとしてもその名前でやっていただくことになりますから、まずそういう心配は起こらないのではなかろうか、こう考えております。
#257
○中村(茂)委員 次に行きます。
 候補者名簿登載者についてですが、冒頭から私はこのことをずっと問題にしてきているのですけれども、選定順位の決定は任意に行う。そこで、任意に行うということですけれども、一応届け出は「機関の名称等を、当該名簿の届出と同時に、」こういうふうに名簿登載者の届け出が出ているわけですが、「選定機関の名称等」、これはどういうものが含まれるのですか。
#258
○松浦参議院議員 名簿選定機関が合議制の機関になるのか独任制の機関になるのか、その辺は一切政党にお任せしているわけでございますが、いずれにしてもこの法律上は名簿登載者選定委員会、そういうような名前を何かつけていただいてお出しをいただく、こういうことを考えておるわけでございます。
#259
○中村(茂)委員 そこへ私は、これからの問題で政令でできるわけですから、ひとつ検討してつけ加えていただきたいというふうに思うのですけれども、選定基準です。選定基準をそれぞれの党でつくるでしょう。その際、先ほど私は政党に一定の選定の義務的なものを与えたらどうだということを言ったのですけれども、義務は無理だとすれば、ある程度のものでやはり選定基準というものを届けさせる。そして公報などについて、まずそういうものを一定の規格の決まったもので出させて、そういうものを前提にして登載者を載せていくとか政策を載せるとか、そこのところが今度の選挙の方法で一番――政党に任せる任せる、一任だというふうに言いますけれども、任せたものを有権者に周知していく、そういう道などをいろいろ考えてみた場合に一応の基準というものを届けさせて周知していく。この政党はこういう考え方でこういう人を登載者にしたのですよ、こういうふうにならなければ国民もなかなか理解できないし、また登載者になった者、それはこういう基準になったのだ、この政党はこういう基準で皆さんに訴えているのだ、政策のほかにそういう点が非常に重要になってくるというふうに思うのです。ですから、この「等」の中へ、これからの検討課題ですけれども、やはり選考基準のようなものをきちっと入れていただいて周知していくようにしたらどうだろう、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#260
○松浦参議院議員 一つの御見識であろうかと思いますけれども、選考基準というものは各党がそれぞれ各党の良識に従ってお決めになる問題であって、それを選挙法の中で届け出を義務づけるということは、いささか政党への介入のおそれもございますし、私どもとしてはにわかに賛成しがたい、こういう考え方でございます。もちろん、先生の所属される社会党が、なるべく年寄りでないようにこれ以上の年齢の者は公認しません、あるいは肉体的に達者でない者は私どもは入れておりません、そういうように非常に良識に従った選定をしたことを各党ごとに国民の間に周知をいただくということは当然のことであろうと思っておりますが、法律の中にわざわざそういう基準まで届けさせるということについては、いま申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、やや政党の内部に介入するような可能性が出てまいりますので避けた方がいいのではなかろうか、私どもはこういうふうに考えております。
#261
○中村(茂)委員 私は、その点については、政党への介入にもならなければ何ら差し支えないと思う。中身がどうということではなしに、その党が自主的に決めたものを、ただ周知するために一定の枠内で届け出て、それを周知して、それに基づいて登載者のこういう人が出てきたんですよ、こういう周知をするわけですから、先ほど憲法問題のところでも、登載者がちゃんと周知されて、政党に投票するけれどもその人が当選人となって議員になってくるんだから憲法四十三条にも容認されるんだ、こういうことがあったけれども、やはりそれは政党へするけれども、並んでいる登載者のこういう人にという関連の中で憲法問題も消化されているわけですし、それから登載者について、ただ名前だけ羅列したきりではだめなんですね。やはりこの党はこういう考え方でこの人を選んだんですというものも周知されるわけですから、その項目の中に、基準の中に何と何を入れなければいけないということを政党に押しつけているわけじゃない。だから、これはいまにわかにそういう方法でいきますということを言いかねると思いますけれども、御検討をいただきたいというふうに思います。
 そういうことをさまざま考えていくと、当面は小会派の問題がありますから、社会党もこのそれぞれのア、イ、ウの項について緩和措置の案を出しているわけですけれども、私は、将来に向かっては、こういう政党要件なりについてはもっと強化していくべきだという考え方を持っているのです。暫定的にはもうやむを得ないと思います。しかし、これが将来にわたっては、やはり政党というものについては、政党らしい政党、そういうところから候補者を責任を持って出していく、こういうふうにしなければどうにもならぬというふうに思うのです。ですから、何回か繰り返すようですけれども、当面は緩和措置をとったりいろいろするにしても、将来の方向としては政党要件については強化していく、私はこういう考え方を持っているということを申し上げておきたいというふうに思います。皆さんの方はどういうふうにお考えでしょう。
#262
○金丸参議院議員 政党要件につきましてはいろいろお考えもおありかと思いますけれども、私どもは現在のわが国の政党の実情からいたしまして五人、十人、四%の程度が妥当ではなかろうか、かように考えておるところでございます。社会党の案につきましては私どもの見解はすでに述べておりまして、御承知のことであろうかと思います。経過的な措置として考えることと、また十年、二十年先のわが国の政党のあり方についての考えと、いろいろございましょうけれども、将来の問題は今後研究を重ねてまいったらよろしいのではなかろうか、とりあえずの問題につきましては、現状を踏まえまして、私どもも実情に即して皆様方の御審議をお待ちするのが適当ではなかろうか、かように考えておるところでございます。
#263
○中村(茂)委員 ずっと御意見を聞いてきたのですけれども、拘束名簿式というふうに言うよりも党東名簿式と言った方がみんなぴんとくるのじゃないかと思うのです。拘束の拘を党にして党束名簿式というふうにやった方が、拘束って何だ、どこで拘束されているんだ、これはもう政党本位の選挙で、党束名簿式というふうにやった方が名からわかってくるような気もするのですが、それは私の意見ですから、別にあなたの意見を聞く必要はないのですが……。
 この登載者の有効期間が六年ということですね。そこで欠員の補欠の場合したがって六年ということで、先ほどもありました、三年にしたらどうだろう、いままでも三年ではなかったか、こういうことで、私もこの三年という意見を実は持っているのです。というのは、先ほどの答弁を聞いていますと、三年後は欠員になってしまってそのままだ、こういうことですね。しかし欠員ということではなしに、そこで三年ごとに選挙が行われるわけで、登載者がいるわけですね。前の選挙じゃなくてそのときの選挙に登載者の名簿がちゃんとできるわけです。ですから、三年で無効にして、それでそこのところの今度三年で選挙をやった登載者のところでやればいいと思うのですね。しかし、その際に、その政党が、または政治団体が次のところへ全部出るという保証はないわね。出なくなる、そうなって欠になった場合、それを適用するといってもするところがないという問題が出てきますね。しかしその際は、有効期間は三年にして、そしてその次の三年間はそのときの選挙の登載者のところへ有効として持っていくとして、その欠になったときの割り当てはドント方式に基づく、いわゆる五十なら五十一のやつが、ドント方式でいけばそこのところへ回ってくるわけですから、前の政党の欠じゃなくてそのときのドントの欠のところへ持っていって、そのときの登載者に補充さしていく、こういう制度を確立すれば三年でいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#264
○松浦参議院議員 先ほどお答え申し上げましたように、今度の選挙で社会党が議席配分を十受けたとすると十の議席を選挙から六年間社会党さんに国民が与えたのだ、こう考える、それが一番自然な考え方だろうということで繰り上げ補充期間は六年にいたしたわけでございます。三年というお説もございますし、また、ただいま丁重な御説明がございましたが、実はそうはならないのでございます。たとえば来年、五十八年に選挙をやったといたしましょう。五十八年に選挙を行った。三年間繰り上げ補充を認めるということになりますと、六十一年までの間は欠員ができた場合繰り上げ補充になるわけでございます。ところが、六十一年の選挙以降に欠員が生じた場合、六十二年に欠員が生じた場合には、次に選挙をあわせてやるのは六十四年にしかないわけでございます。したがって、どうしても二年間は欠員になってくるのでございます。したがって、重ね合わせて、五十人に一名、二名を加えて、あわせて選挙をやったらいいじゃないか、六年議員と三年議員の選挙をやったらいいじゃないかということは、現実の問題として理論的に成り立たなくなってまいります。どうしても欠員が生じてしまう。そういう意味をも含めて六年の方がよりベターではないかという考え方をとったわけでございます。
 もう一度申し上げます。
 五十八年に選挙を行いました。そこで当選人にはならないで次順位に名簿に載って残っておった。そうすると六十一年までの選挙の間にどなたか亡くなった場合にはこの方が上へ繰り上がります。先生三年とおっしゃっているわけですから三年までいいわけでございます。ところが三年を過ぎてから死んだ場合には、繰り上げ補充を認めなければこの人のあいてしまった欠員分というのは、次は六十四年にしか選挙が行えない。もう三年後の選挙は済んでしまっておるわけでございますから、だから私は技術的に不可能だと申し上げざるを得ない、こう申し上げております。
#265
○中村(茂)委員 私の言っているのとすれ違いがあるわけだね。私の言っているのは、六十一年に選挙をやるのじゃないかと思うのですね。そのときに同じ登載者の選挙を、六十一年から六年ですけれども、いずれにしてもそのときの選挙の登載者名簿がきちっとでき、当選者のところまでいってその後も登載者として残るわけでしょう。だから、それを有効とすればいいと思う。ただ、矛盾するのは、そこを六十一年から向こう六年ということで登載したのが、欠員になったときから六十四年の三年以内のところしか任期はなくなってしまうという、同じ登載者でも、六十一年の登載者を活用すれば。だけれども、私は決め方によってそういう方法はできるのじゃないか、あえて欠員でもっていかなくてもいいのじゃないか、こういうふうに言っているわけです。
#266
○松浦参議院議員 ちょっと私が誤解しておったようでございますが、こういうふうにとってよろしゅうございますか。
 五十八年の選挙で当選しないで名簿に残っておった者がおります。次の六十一年の選挙までの三年間に死ねば名簿登載者を繰り上げます。ところが今度は、五十八年の選挙で当選した者が六十一年以降に死んだ場合には、六十一年の選挙で上がらなかった当該政党を上げたらいいじゃないか。だとすると、これはちょっと選挙のつながりがつかなくなると思います。その方はそのときの投票を受けているわけではございませんから、これはどうしてもつながらない、理論的に無理だということになるのではないかと思います。五十八年の選挙でその人は名簿に載っているということを前提に選挙の洗礼を受けたわけです。それが別の選挙で洗礼を受けた人がそっちの欠員に上がっていくというのは、これは全くおかしい、理論的に筋が通らない、こう思います。
#267
○中村(茂)委員 これは六年ということで三年以内の補欠だけということは理論的にはつながらないことは私も承知しているのであります。しかし、そのことを事前に周知し、承知して登載者になっている、欠になった場合には、そうなるのだということになっていればそれでいい問題じゃないでしょうか。いままでの選挙の方法でいけば、六十一年のときに欠になっていれば、このときの選挙にあわせて三名欠なら五十名までは六年議員、三人は三年議員、こういうことで補欠をやったわけでしょう。選挙をするときから、こういうふうに欠になった場合には三年以内の議員になるのですよ、そういうことが法律で定められ、周知されていればいいことじゃないでしょうか。
#268
○松浦参議院議員 法律に定めればできないとは私は申しませんけれども、選挙が全然違う選挙でございますから、それを結びつけてしまうのはどうかと思うわけでございます。
 それともう一つは、仮に先生のお説のような考え方をとりますと、これは非常に奇妙な事態が起こってまいります。五十八年の選挙で名簿に載っておった、その人と、今度は六十一年で当選をしないで名簿に載っておった、この人は五十八年の欠員が生じても上がれるし、六十一年の選挙に欠員が生じても上がれるという形がついてきてしまいます。これはやはり選挙制度としてはちょっと理屈が通りにくいかと思います。
#269
○中村(茂)委員 こだわるようですけれども、先ほどの委員の方も言っておりましたけれども、恐らく六年の間には相当変わると思うんですね。恐らく登載者名簿に載っている人は、三年たったときに、三年後までの登載者で、三年後は消えるかもわからない。――私の言うことわからないですか。五十八年のときに登載者になった。それで当選者が何名まで決まった。しかし登載者としてまだそのときに当選人にならないで残った。それで今度は六十一年が次の選挙ですから、そのときに登載者で残った人がまた六十一年の選挙の登載者になる場合があるでしょう。その場合には、もう次の補欠と言ってみても人間はいなくなっていくわけだね。そういうふうに登載者から漏れていく人が相当出るのじゃないかと思うんですよ。だからその点についてはやってみなければわからないけれども、六年間登載者になったまま補欠を待って残っているという人は少ないんじゃないでしょうかね。
#270
○松浦参議院議員 当選をしないで名簿に載っておる者は候補者でも何でもございませんので、この前も議論ございましたように、ほかの選挙に立候補することも可能だし、いろいろな道があるわけでございます。五十八年の名簿にも載り六十一年の名簿にも載るということは可能でございます。両方載っておるわけです。これは可能でございます。しかし六十一年の名簿に載ったからといって、五十八年の名簿から削られるわけではないのでございます。当然残っておるわけです。そして五十八年のどなたかが当選者の欠員が出た場合にはこっちで上がります。こっちが出ないで、六十一年の当選者で欠員が出た場合にはこっちに載っておるということで上がるわけでございます。それぞれ国民の信任という形での選挙の網をくぐったかくぐらないかということで御判断をいただくわけでございます。
#271
○中村(茂)委員 五十八年のところで登載者に載って当選人が出てきますね。あと残された人が登載者として名簿に残っていくわけでしょう。その人が六十一年に今度立候補するというか、その政党で六十一年の選挙に六十一年の選挙の登載者として載せる。それで今度は残されないで当選順位の中に入って当選したという場合には五十八年度は必然的に消えてしまうわけでしょう。
#272
○松浦参議院議員 そういう場合には名簿を抹消するという制度はございませんけれども、片一方で参議院議員になっておりますから、もうその人は繰り上げてもらう資格がなくなって次順位の者が上がる、こういうことになります。
#273
○中村(茂)委員 ところが、当選の順位に入ればいいけれども、六十一年もまた順位から外れて登載者にだけ残ってしまったということになると、両方へ残るんですか。
#274
○松浦参議院議員 ちょっといま答弁に誤りがございましたが、五十八年の名簿に載っておって当選をしなかった。そして六十一年の名簿に載って当選したという場合には選択の道が開かれておりまして、こちらの当選した方について五日の間に職を辞する旨の届出をしない限りはこちらが生きてくる、そういう形になると思います。選択の問題になろうかと思います。これは現行制度でも全く同じ考え方をとっております。
#275
○中村(茂)委員 そうすると、いま申し上げた、五十八年度で当選しないで登載者で残った、六十一年にまた登載されて選挙に立候補した、また順位が後ろの方に並んでいるために当選しなかった、登載者として残ったということになると、新しい万が優先されるのですか、それとも両方残っているのですか。
#276
○松浦参議院議員 両方とも生きておるということでございます。そして、どちらの現職議員が亡くなるかによって決まっていく、こういうことになろうかと思います。両方とも生きているということです。
#277
○中村(茂)委員 何かキツネにつままれたようなもので、検討の余地があるような気がします。特に、両方へ残るというのは納得できないような気もしますが、そういうふうになっているという説明ですから……。
 次に、供託金について、この制度は、いえば二十名登載者で出した、それで十名が当選した、そうすると十名に二倍して、没収される者はゼロ、こういう計算ですね。
#278
○松浦参議院議員 そのとおりでございます。
#279
○中村(茂)委員 この当選人の三倍ということはどういう理論的な、合理的な根拠があるのですか。
#280
○松浦参議院議員 個人の選挙の場合のように法定没収点というものが制度的に考え得られませんので、そこで名簿登載者数と当選者というものの結びつきを考えて没収点を新しい制度として考えたわけでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように私ども二倍が一番常識的な線だろうと思って決めましたけれども、それについて数学的な根拠というものは別にございません。二倍が適当ではなかろうか、こういうことで決めました。
#281
○中村(茂)委員 これは恐らく理論的な根拠がなしに、いえば大体自分の党でいままでの実績からして十名程度は当選させたい、したがって倍ぐらいな登載者を出すというのが常識じゃないかというふうに判断したわけですか。それで、それ以上出しておくとその分については没収される、一つの考え方だというふうに思いますが、そういう当選人の倍にするという考え方、したがって五十名定数満杯に出しておけば二十五名当選しなければ没収される面が出てくる、こういう計算ですね。ですから、そこのところが、自民党さんの考え方で二十五名ぐらい当選させたいということでそういう計算になってきたのかどうか私は知りませんけれども、そういう物の考え方、定め方がここへ一つ出てきたわけですね。
 それで、片方では名簿に登載者として載せる場合には自由、定数いっぱい載せることができる、どんなにうちのところは五名かなと思っても登載者だけは五十名目いっぱい載せることができる、それから、後にまた申し上げたいというふうに思いますけれども、選挙活動の中では二十五名を超える者については二十五名ということで選挙活動の内容は対処していく、一貫してなくてみんなばらばらのような気がして、ここのところがやはりそういうことをいろいろと検討し考えていった場合に、また前に戻るようですけれども、登載者の制限というものを私は考えた方がいいじゃないか。登載者は定数いっぱいですけれどね、それ以内で自由です。少なくも、一つの案ですけれども、半数に一名加えて二十六名にするとか三分の一にするとか、やはり一党の大政党、強力政党がこういう制度を通じてますます広がっていくということは議会制民主主義の面からしても私は好ましいことではないというふうに思うのです。ですから、いま申し上げたような供託金の没収というような面、それから選挙活動で二十五名を超えるというような面をいろいろ勘案すると、登載者の制限ということも必要じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#282
○松浦参議院議員 私どもいろいろ検討いたしましたけれども、登載者の制限ということは、政党らしい同じ列に並んでいる政党で差別をつけることはどうか、だから定員いっぱいまでは法律的には可能なんだということを法律の中に明示をする、こういう考え方でございます。
 あとは繰り返して申し上げておりますように、選挙戦略と申しますか選挙戦術と申しますか、それぞれの党におかれてわが党はどの程度当選できそうだ、その倍以上載せると供託金の没収があり得るぞということを念頭に置いて名簿登載者の数をお決めいただく、こういうことになろうかと思っております。それによって、いわゆる名簿登載者がむやみやたらに多くなるとか、非常に売名的な要素を含んだ名簿登載になるとかいうことをこれで防いでいこう、こういう考え方でございます。
 それから、大政党についてどうも有利じゃないかということでございますが、わが自民党では前回の選挙では二十一名、大体十八、九名くらいは当選者を出しておるわけでございます。いままでの制度によりましても大体比例代表的な結果が出ておるようでございますので、仮にわが党が二十名とれるという前提で四十名立てたといたしますと、選挙運動の方も四十名まで実はしておきたいのでございます。党利党略から言えばそうなると思うのでございますけれども、それでは余りにいけないだろうということで、二十五名以上は幾ら出しても量は同じだよということにわが党は遠慮した、そういう気持ちで二十五名で頭打ちにするということを考えたわけでございます。
#283
○中村(茂)委員 次に、選挙運動の方ですけれども、選挙区、現行の地方区ですけれども、地方区と言った方がわかりいいから地方区というふうに言わしていただきますが、地方区の「選挙区に係る選挙運動が、公職選挙法において許される態様において比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることができるもの」といたしたいということは、いままでの言い方でいくと、全国区と地方区があってそれぞれ選挙法上の態様においてそれぞれ応援の選挙はできなかったわけですよね。それを今回この改正をすることによって地方区の方がいえば全国区の方の比例代表の方だけを、その態様の枠内ですけれども選挙運動できる、こういうふうにした理由はどういう理由なんでしょうか。
#284
○松浦参議院議員 名簿を提出した政党に属する選挙区選挙の候補者が自分の選挙運動において自分の所属しておる政党の得票のために選挙運動をするということを禁止することはむしろ不自然じゃなかろうか。たとえば地方区に私が立候補いたしておりまして、私に投票してください、あわせて自民党もよろしくお願いします、こういうのが自然な姿だろうと思います。そういう意味でわたることを妨げない、それは禁止をしないんだということにいたしたわけでございます。
#285
○中村(茂)委員 しかし、今度は比例代表の全国区の方は地方区の方をすることはできないですね。
#286
○松浦参議院議員 私が仮に名簿に登載されておりますといたしますならば、先生の選挙運動として許された態様の中で私が運動員として応援演説をするとかいうことは一向に差し支えない、こういうことになろうかと思います。
 ただ、名簿登載者であるがゆえに全く先生の個人的な選挙運動とかけ離れて別個にやってしまうということは法律上当然認められておらない、こういうことだと思います。
#287
○中村(茂)委員 確認団体としての政治活動はいままでの選挙もそれぞれできたわけですよね。自由にいまできるわけですが、今度は、地方区という言い方をしますが、地方区だけが確認団体の枠を超えて自分の選挙をやりながら比例代表の全国区の選挙ができるわけでしょう。だから、それは確認団体としての選挙活動と境がわからないわね。どこのところがこの境になっていくのか。その区別というか境はどういうふうに判断するのですか。
#288
○松浦参議院議員 選挙区の候補者が比例代表の選挙にわたることができるのはいまお尋ねのとおりでございます。
 政治活動におきましては、政治活動と今度の政党選挙における選挙運動とは非常に境が分明でなくなってまいりますので、確認団体として許された政治活動の態様の中でわが党に投票してくれということを言っても差し支えない、こういうことにいたして、わかりやすくいたしたというふうに御理解をいただければ結構だと思います。
#289
○中村(茂)委員 ということは、同じに選挙をやるから、しかも政党で選挙をするわけですから、政党名を言う。そういう政党活動が日常なりこういう選挙のときの、今度普通言う政治活動というのもその政党を対象にして選挙運動をする、その境目がわからないから地方区でやるようにしたんだ、こういう説明ですね。ということになると、衆議院なりそのほかの選挙の場合には許されないわけですから、いままで許されていなかったんですが、ダブル選挙というものは裏を返せばしてはいけないということですな。
#290
○松浦参議院議員 参議院の選挙は比例代表区と選挙区の選挙が一緒に行われますからそう考えるわけでございます。衆議院の選挙がそれにダブるかダブらないかはこの制度とは全く別の問題、ダブった場合にどうなるかは現行の制度で判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
#291
○中村(茂)委員 一緒にやるから比例代表の方をできるようにするというのですから、衆議院の方も一緒にやるようになったらできるようにしておいたらいいじゃないですか。
#292
○松浦参議院議員 現在の確認団体の政治活動でも、地方区、選挙区の選挙につきましては特定の政談演説会等の場合以外を除いては候補者などの名前は出せないようになっているわけでございます。その点は改めておりません。したがって、衆議院選挙がダブったとしても、先生の名前を確認団体の政治活動の中でやることは当然それと同じで許されないということでございまして、別に不分明になるとは思いません。確認団体としての政治活動として許された態様の中で、比例代表の選挙区、すなわち政党に御投票ください、これだけはできるということでございますから、不分明になることはない、また矛盾もしておらない、こう考えております。
#293
○中村(茂)委員 先ほどの委員の方も危惧を申し上げていましたけれども、比例代表の選挙は政党本位の選挙で、政党の名を売るわけですね。政治活動も、候補者の個人の名前は別にして、政党の名前を言うことについては許されているわけですね。だということになると、金のかからない選挙というふうに言っているけれども、金持ちはうんと金を使うということになるのじゃないでしょうか。
#294
○松浦参議院議員 現在でも原則として政治活動は自由でございまして、現行法と何ら考え方は変わっておらないというふうに御理解をいただければ結構かと思います。
#295
○中村(茂)委員 制度は変わっていないけれども、政治活動というのは候補者の名前を言うことは禁止されているわけですが、政党の名前で選挙ができる――選挙できると言うのはおかしいけれども、政治活動ができる。その政治活動をすれば全国区の比例代表制は選挙活動と同じになるわけですね。だから、いままでと違って政治活動で名前をどんどん売る。これは候補者の名前がいままでの政治活動に入ればみんなもうその政治活動ということでやりますよ。しかし、個人の名前は入らない、政党の名前だけは宣伝できる。いやあ、政党の名前だけ宣伝しておってはおれの名前入らないからまあこの程度にしておけというふうになるけれども、政党の名前を売ってイコール投票が政党の名前ということになれば、この活動はいままで以上に私は物すごく起きてくるのじゃないかと思うのです。態様は同じでも入れるのが同じになってくるわけですから。それで、金持ちはうんと金を使う、こういう危惧が出てくる、それを先ほどの方も言っていたんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。政党活動に、また政治活動に制限を加えるということは私も反対です。こういうものについては基本的な問題ですから制限を加えるべきじゃない、こういうふうに思いますけれども、そういう危惧はやはり持つ。それを制限するというふうに私は別に主張しているわけじゃありません。その点はひとつ誤解のないようにしておいていただきたいというふうに思います。
 いろいろ聞いてきましたけれども、そうすると比例代表制の選挙のもとにおける候補者名簿の登載者というものは選挙期間中何をするんですか。
#296
○松浦参議院議員 たとえば政党に所属しておる名簿登載者でございますれば、政党の一機関として許された態様における選挙運動に従事するというのが当然のことになろうかと思っております。
#297
○中村(茂)委員 政党活動の中で参加するんだから、その政党が、君はいいよ、もう寝ていろ、出てこなくもいいわと言っても選挙法上は許される候補者だ。選挙民の中へ出ていって、私は日本社会党のたれべえです、今度の選挙はこうなりましたから、ひとつ社会党へ入れてください、こういうふうにしなくてもいいわけですよ。いまの説明も、それぞれの党の政治活動の中でそれぞれ分担しろ、こういうふうに言っているので、だからやることが何にもない、極端に言えば。
#298
○松浦参議院議員 それは各党のあり方の問題だろうと思いますけれども、やはり名簿登載者の一人でも多く当選者にするためには、当然名簿に登載された者をフルに使って、一つの機関として使っていくものと考えておりますし、私どもも仮にそういう立場に立てば、当然フルに、一票でも多くわが党へ投票していただくように活動するということだと思います。逆に先生がおっしゃるように、党の方で、おまえは出てこぬでもいいから温泉に入ってろということ、これは別に法律で禁止されておりません。現に外国へ行っておられて当選した方もおるわけでございますので、そういうことはないというふうに御理解を願いたい。
#299
○中村(茂)委員 私は極端なことを言っているのですけれども、したがって、車一台ぐらい与えたらどうです。
#300
○松浦参議院議員 社会党からそのような案を御提出いただいているのを私ども承知しております。しかし、車一台与えるというのは、これは名簿登載者に与えるのではございません。社会党案でも政党に、名簿登載者について一人一台だと思います。したがって、その車は政党が使うことということでございますから、三十名載せてあれば、二十台の車を政党がよけい使ってよろしいというだけのことだと思います。そういう考え方も一つの考え方だろうと思います。御検討願いたいと申し上げているのはそういう意味でございます。
#301
○中村(茂)委員 それは政党選挙ですから政党への割り当てですけれども、そういう仕組みができれば、当然、政党の考え方ですけれども、登載者がやはり選挙の運動を通じて汗を流す。何も汗を流さないで選挙するというような仕組みだというふうにみんな思うから、これはいろいろな問題が出てくるので、やはり候補者になる以上、過酷なことはいけませんけれども、そういう政党活動なり選挙を通じて汗を流すということは、議員というものの性格からして、私は必要だというふうに思うんですよ。だから、また検討する機会を得て、十分検討していただきたいということを申し上げておきます。
 それから次に、罰則についてお聞きいたしますが、刑事局からだれか来ていると思いますが……。
 地方自治体の議長選挙などをめぐって、金品の問題をめぐって刑法上の収賄がよくあるのですけれども、いままでそういう事例があったかなかったかということについてお聞きいたします。
#302
○亀山政府委員 お答えいたします。
 地方議会の議長選等に関しまして、議員の党の慣例で金員の授受があるという点につきましては、刑法上の贈収賄罪というものの成立があるわけでございまして、この点につきましては、数等につきましてはちょっとただいま正確な統計を用意いたしておりませんが、そういう事例はそう珍しいことではない。大審院以来の判例におきましても、たとえば町議会の議員が議長選挙に関しまして、同僚議員に対して働きかけをする、それについて金員を交付するというふうなことにつきまして、これが職務の密接関連行為に当たるということで、贈収賄罪の成立を認めたという事例が幾つか載っておりますし、最近の処理事例におきましても、主として町議会の議長選挙等に関しまして、議長の候補者が金員を議員に供与したということで贈収賄罪として処理され、判決があった事例というのがございます。
#303
○中村(茂)委員 今度罰則を設けて、特に登載者の選定権限の行使ということで請託を受けて、財産上の利益を収受、要求もしくは約束した者または財産上の利益を供与した者について罰則を設けることにしたというんですが、いま申し上げましたように、地方自治体の議長などの問題をめぐっては刑法上のいわゆる贈収賄罪を適用しているわけですね。同じ党内または政治団体の中のことですから、または推薦団体というかそういうものも関連してくるかもしれませんけれども、いずれにしても、そういう中のことでこういうものが起きたということになると、私は二つの問題が起きてくるんじゃないかというふうに思うのですね。
 一つは、やはり政党独自の規制の問題だというふうに思うのですね、一点は。政党内で金品のやりとりをしてそういうものが起きるということは、政党内の問題である以上、政党内でそれは対処していく、こういうふうにならなければ、警察権力の政党への介入の道を開くのではないか、こういう問題が一つ出てくるというふうに思うのです。
 それからもう一つは、やはりそういう問題ですから、いままで事例がないわけじゃない。ちょうどいま申し上げた地方自治体の議長に対して、党内の同僚に対して金品をやる、これは刑法上のいわゆる贈収賄罪、こういうふうになるわけです。しかも、この(二)のところで連座制は適用しないことにする、こういうふうになっているわけですね。だとすれば、公選法上これを取り上げて罰則を設けるのではなしに、地方自治体の議長のように刑法上の問題で十分対処できるんじゃないか、こういうふうに思いますので、これは削除することがいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
#304
○松浦参議院議員 刑法上の収賄罪は、われわれ国会議員も公務員でございますけれども、国会議員としての権限の行使に関さなければならないわけでございまして、これは党内で金のやりとりがあったとしても当然刑法上の収賄罪には該当してこない、こういうことになろうかと思います。それは第二点のお答えでございます。
 第一点の方は、政党の中の問題として処理すればいいじゃないかというお考えのようでございますが、それは全く一つの考え方だと思います。私どもも政党は悪をなさず、良識ある政党ばかりであるという前提で考えますけれども、やはり国民の側から眺めた場合に、国民の信頼を担保するといいましょうか、そういう意味で、こういうことは万々起こっては困ることだし、起こり得ないと思っておりますけれども、一応こういう形で公正な名簿の選定、順位の決定が行われるように考えた方がいいのではないかということで、この選定罪というものを設けたわけでございます。
#305
○中村(茂)委員 繰り返しませんけれども、いまのことについて法務省はどういうふうにお考えですか。
#306
○亀山政府委員 先生も御承知のとおり、刑法上の贈収賄罪の主体は公務員等となっておりまして、またそれが公務員の職務に関して金品が贈られる、こういうことが要件になっております。その職務といいますのは、要するに国または地方公共団体の事務、こういうことになっているわけでございますが、このたびのこの法案におきまする選定とか順位の決定と申しますのは、これは国、地方公共団体の事務ということの性質ではございませんで、やはり各政党等の内部におきます行為というふうに理解することができようかと思われますので、たまたまその選定機関の構成員が公務員の方であったといたしましても、その職務に、国の事務に関し、あるいは地方公共団体の事務に関してやったというわけにはちょっとまいらないだろうと思われますので、刑法上の贈収賄罪がそのまま適用になるということにはならないのではなかろうかと思われる次第でございます。
#307
○中村(茂)委員 刑法上の贈収賄にはなじまないということですが、しかしいずれにしても政党内のことなんですよね。政党内のことでそれを登載者にする、または順位をつける、それは政党に一任されているわけですね。そして、それに対して、その決定をするいわゆる権限者というか、そこのところへ金品で自分をどういうふうにしてくれということだと思うんですよ。それが外部への、今度の制度を設ければいわゆる公職選挙法上の罰則ということになるのですが、それは刑法上の外部ですけれども、いずれにしてもそういうものを通じて、党内のそこのところに警察権力が介入するという形が出てくる。だから、順位を決める、登載者にする、選出する、そこのところが公選法上の措置かどうかということだというふうに私は思う。それは党内のことで、公選法上のらち外だ、そこのところまでは。載ってからは、もうこれが公表されてからは公選法上の問題だけれども。そうでしょう。いままでの選挙だって公認とか推薦とかいろいろありますけれども、推薦、公認、それは自由ですよ。その党で決めるわけです。全くそれと同じ行為であって、そこのところへ登載されて公になってから、または選挙になって、公示して、届け出る。そうなって初めて公選法上の問題が出てくるんじゃないか。だからこの行為を公選法上の罰則に入れるのは不適当じゃないか、こういうふうに私は思うのですけれども、その点はいかがですか。
#308
○松浦参議院議員 先ほども申し上げておりますように、刑法上の収賄罪には該当しない、政党内部の問題として政党で処理すればいいじゃないかというお考えもおありだと思います。しかし、名簿にだれを登載するかという手続は当然に政党というものを信用して公正に行われるものだという前提でこの制度は成り立っているわけでございますから、有権者である国民の信頼にこたえるために、万が一にもこういうことは私どもないと思っておりますけれども、そういうことのないことを願うがためにこういう規定を入れたのだというふうに御理解をいただければ幸せだと思います。
#309
○中村(茂)委員 御理解いただければ幸せだというけれども、幸せにならないのだよ。私はいま、繰り返すようですけれども、これは党内の選考行為であって、任されておるのですから、順位をつけるのも党内の自主的な選考行為であって、それが届け出て初めて登載者として世の中に認められるようになってから公選法上の適用というふうになっていかなければ、警察権力を党内に許す道だけを残してしまう、こういうふうに思えてしようがないのです。
 法制局長来ておるけれども、法制上私の言っておる、それが届け出るまでは党内の行為じゃないか、届け出て初めて公選法上の対象になってくるんじゃないか、そこのところの区別の辺はどういうふうにお考えですか。
#310
○浅野参議院法制局長 選定手続は確かに形式的に眺めてみますと公選法上の手続ではない、こう考えられますが、その実質が公選法に非常に影響を与える行為でございますからその実質を御判断になって罰則を適用されることにされたのだ、こういうふうに考えております。
#311
○中村(茂)委員 でも私はこの点納得できません。私は何回か繰り返しますけれども、届け出て公になるまでは党内行為だと思うのですよ、それは一任されていますから。そこのところまで公選法のところに罰則を設けて入れていくということについては納得できない。ですからこれも将来の検討事項の一つとしておいていただきたいと思います。将来というのはこの法案をやっていく中で、そこに持っていく、そういう意味じゃなくて。
 それから次に時間もわずかありますけれども、簡潔にお聞きしたいと思いますけれども、定数是正の問題です。参議院のいままでの定数是正の経過を見ていきますと沖繩の復帰の問題に絡んで沖繩に二名増員しているだけで、したがって全国区は創立当時から百名、地方区は百五十名のところ二名ふやして百五十二名、こういうことですね。それから是正の問題が不公正だということで取り上げられて裁判になって、いままでずっときたのを見ますと、いままでの四十六年六月の参議院の通常選挙、このところまで何件か出ていますけれども、最高裁を含めて大体合憲ですね。それからいま五十二年七月この通常選挙で三件、五十五年の六月の通常選挙で一件、それぞれ係争中、一番新しいのについてはまだ出ていない。一件はあれですが、大阪でこれも高裁ですね。最高裁まではまだ出ていない。衆議院の方は違憲がそれぞれずっと出てきている。こういう中で、しかし衆議院ほどではないけれども、格差の出てきていることは間違いない。こういう段階で前からずっと論議してきているわけでありますけれども、自治省としては特に参議院の地方区の定数是正というか定数問題についてはどういうふうに現在お考えですか、お聞きしておきたいと思います。
#312
○世耕国務大臣 御指摘の点に関しましては、衆議院の場合は五十年に定数の是正を行っております。それから、その次の判決は五十三年だったと思いますが、これは合憲ということだったと思います。その際に、ただ逆転現象について判決は触れておりまして、この点が今後かなり定数是正に尾を引く、関係のある部署だと思います。
 参議院の方の地方区だけに限定して申し上げますと、参議院の地方区の定数是正というのは、各選挙区がほとんど偶数になっておりまして、これをふやして奇数にすることはまず不可能である。それから、ふやすとすれば偶数になってまいります。それから、減らすとしますと、これは偶数を減らして奇数にするというのも、これもまた非常に不可能でございます。こういういろいろな隘路がございまして、知恵をしぼってもなかなかいいあれが出てこないのでございますが、これは選挙制度にかかわる非常に基本的な深い問題でございまして、各党のいろいろなよって立つ基盤が違っておりますので、これまでも定数是正に関しましては各党間で論議し尽くした上で是正をなされておりますので、今後ともやはり政党間でいろいろ審議を尽くしていただいて、十分に話し合っていただいて、その合意に基づいて行われていくのが最も民主的であり、現実的であるのではないか、このように考えておりまして、われわれはそれを基準にして今後対処してまいりたい、このように考えているものでございます。
#313
○中村(茂)委員 終わります。
#314
○久野委員長 次回は、明四日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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