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#1
第096回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和五十七年二月二十四日(水曜日)
委員会において、設置することに決した。
二月二十五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      上村千一郎君    海部 俊樹君
      亀井 善之君   小宮山重四郎君
      橋本龍太郎君    藤本 孝雄君
      大原  亨君    野坂 浩賢君
      草川 昭三君    木下敬之助君
      瀬崎 博義君
二月二十五日
 海部俊樹君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和五十七年二月二十六日(金曜日)
    午後五時一分開議
 出席分科員
   主 査 海部 俊樹君
      上村千一郎君    亀井 善之君
     小宮山重四郎君    橋本龍太郎君
      藤本 孝雄君    野坂 浩賢君
      湯山  勇君    草川 昭三君
      木下敬之助君    小林 政子君
      瀬崎 博義君    藤原ひろ子君
      三谷 秀治君
   兼務 藤田 高敏君 兼務 岡本 富夫君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 初村滝一郎君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 松井 達郎君
        労働大臣官房会
        計課長     高橋 伸治君
        労働省労政局長 吉本  実君
        労働省労働基準
        局長      石井 甲二君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 望月 三郎君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 久子君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 加藤  孝君
        労働省職業訓練
        局長      森  英良君
 分科員外の出席者
        法務省人権擁護
        局調査課長   水流 正彦君
        外務大臣官房外
        務参事官    斎木 俊男君
        大蔵省主計局主
        計官      篠沢 恭助君
        大蔵省銀行局総
        務課長     足立 和基君
        労働大臣官房審
        議官      倉橋 義定君
        労働省労政局労
        働法規課長   齋藤 邦彦君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 小田切博文君
        労働省労働基準
        局補償課長   林  茂喜君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 林部  弘君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     湯山  勇君
  木下敬之助君     横手 文雄君
  瀬崎 博義君     藤原ひろ子君
同日
 辞任         補欠選任
  湯山  勇君     大原  亨君
  横手 文雄君     木下敬之助君
  藤原ひろ子君     三谷 秀治君
同日
 辞任         補欠選任
  三谷 秀治君     小林 政子君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 政子君     瀬崎 博義君
同日
 第四分科員藤田高敏君及び岡本富夫君が本分科
 兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十七年度一般会計予算
 昭和五十七年度特別会計予算
 昭和五十七年度政府関係機関予算
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○亀井(善)主査代理 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 主査が所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。
 本分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中労働省所管について政府から説明を聴取いたします。初村労働大臣。
#3
○初村国務大臣 昭和五十七年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は五千十六億六千五百万円で、これを前年度予算額四千九百九十億九千八百万円と比較いたしますと、二十五億六千七百万円の増加となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予算額とも一兆四千八百六十五億二百万円で、これを前年度予算額一兆三千六百四十二億九千四百万円と比較いたしますと、一千二百二十二億八百万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予算額とも一兆七千二百五十二億三千七百万円で、これを前年度予算額一兆六千七百八十二億六百万円と比較いたしますと、四百七十億三千百万円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予算額とも二兆二千四百六十三億五千五百万円で、これを前年度予算額二兆一千百九十六億四千五百万円と比較いたしますと、一千二百六十七億一千万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百八十七億三百万円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百九十二億七千五百万円と比較いたしますと、五億七千二百万円の減額となっております。
 昭和五十七年度の予算につきましては、臨調第一次答申を最大限に尊重し、一般行政経費の抑制や補助金等の整理合理化を初め、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い節減合理化を図ることといたしました。一方雇用失業情勢等の社会経済情勢に即応した高年齢者対策や心身障害者対策及び財形政策等について重点配分を行い、きめ細かく、かつ、効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。
 以下、主要な事項につきましては、その概略を御説明申し上げるべきでございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
#4
○亀井(善)主査代理 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○亀井(善)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔初村国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、高齢化社会の進展に対応する労働政策の総合的推進に必要な経費であります。
 人口の高齢化が進む中で、経済社会の活力を維持、発展させていくためには、まず高年齢者に安定した雇用の場を確保することが重要であります。
 このため、まず、六十歳定年を早期実現するため、今後は対応の遅れている企業に対する個別行政指導を一層強化するとともに、高年齢者職場改善資金融資の充実等定年延長への動きをより確実なものとするために努力してまいります。また、今後増加が予想されている六十歳台前半層の働く人々についても、高年齢者雇用確保助成金等の活用により継続雇用の促進を図るとともに、シルバー人材センターの拡充強化を進める等この年齢層の希望、能力に応じた雇用、就業機会の確保について積極的に取り組んでまいります。
 高齢者雇用対策は、今後ますます重要となる課題であり、多様な施策を総合的、一元的に推進していく必要があります。このため職業安定局の再編成により高齢者対策部を設置する等必要な体制の整備を行うこととしております。
 さらに、中高年齢者については、その職業能力の開発向上を図ることが極めて重要であります。このため、公共職業訓練施設における高年齢者向け訓練科の増設や生涯訓練の基本理念に立って事業主等が行う中高年齢者等の教育訓練に対する生涯職業訓練促進給付金の新設等の助成の拡充等、労働者の職業生活を通ずる能力開発体制の推進に努めてまいります。
 これらに必要な経費として五百十五億九千百万円を計上いたしております。
 第二は、産業構造の変化等に即応する雇用対策の推進に必要な経費であります。
 最近のわが国の経済情勢を見ると、景気の回復は総じて緩やかなものとなっており、雇用失業情勢も、なお楽観を許さない状況にあります。
 このため、雇用失業情勢に対応し、雇用の安定を図るため雇用調整助成金等の活用を図るなど、機動的に雇用対策を推進してまいります。
 また、産業構造の変化や急速な技術革新の進展など、雇用を取り巻く環境も変化しつつあります。これに対応し、各種の雇用職業情報の収集提供業務の充実強化を図るほか、第三次産業の比重の高まりに応じてその雇用や労働の実情に即した対策を進めることとし、特にパートタイマーの職業紹介体制の充実や労働条件の明確化指導、雇用・労務管理指導の強化を図ってまいります。また、近年、わが国産業界では、産業用ロボット等マイクロ・エレクトロニクスを利用した技術革新が急速に進展しつつあります。これに伴い雇用を初め労働関係全般に影響が生じることが予想されるため、その及ぼす影響、問題点について総合的な調査研究を進めてまいります。
 さらに、地元定住志向の高まり等に対応して、関係市町村等の連携のもとに地域における雇用開発をより推進していくために、地域雇用開発推進会議の設置等必要な施策を実施してまいります。
 これらに要する経費として一兆二千八百四十六億一千百万円を計上いたしております。
 第三は、社会経済の動向に即応した総合的な能力開発の推進に必要な経費であります。
 産業構造の変化、産業技術の高度化等社会経済情勢の変化に伴い、職業訓練の果たす役割りはますます重要となってきております。特に高齢化社会への移行の中で、勤労者が生涯を通じて職業能力の開発向上ができるよう訓練体制の整備を図る必要があります。
 このため、第一で述べたように生涯職業訓練促進給付金を新設するほか、民間における能力開発の推進として、中小企業事業主等の行う認定職業訓練に対する助成の拡充、地域職業訓練センターの増設等を行うこととしております。また、社会経済情勢の変化に即応した公共職業訓練を推進するため、訓練内容の向上の促進を図る等の措置を講ずることとしております。
 これらに必要な経費として六百四十七億円を計上いたしております。
 第四は、職業生活の向上と安全な労働環境実現のための施策の推進に必要な経費であります。
 勤労者の貯蓄や持家などの資産保有について促進を図るため、勤労者財産形成促進制度の改善を行うこととしております。すなわち、財形持家個人融資制度について新たに利子補給を行うなどの貸付条件の改善を図るとともに、財形年金貯蓄を導入し、退職後も貯蓄から生じる利子等に対する非課税措置を継続することとしており、このための法律案を今国会に提出しております。
 次に、週休二日制等労働時間の短縮については、従来に引き続き、週休二日制等労働時間対策推進計画にのっとり、週休二日制の普及等に取り組んでまいります。
 また、働く人々の生命と健康を守ることは、労働行政の最重点課題であることは言うまでもありませんが、特に五十七年度は第五次労働災害防止計画の最終年度であり、目標達成に向けて万全を期することとし、このため、労働災害の防止に関しては、機械等の安全確保、建設業における労働災害の防止、振動障害の防止及び作業環境管理等の充実を図る等、所要の施策を講ずることとしております。
 不幸にして労働災害を被った方々に対しては、適正・迅速な労災給付を行うとともに労災被災者の社会復帰の促進を図ることとしております。
 このほか、最低賃金制度の推進、未払賃金立替払事業の充実等労働条件に関する施策を推進するとともに、勤労青少年福祉対策の推進、勤労者福祉施設の整備充実等を行うこととしております。
 これらに必要な経費として九千百三十八億一千三百万円を計上いたしております。
 第五は、総合的な心身障害者対策の確立とその推進に必要な経費であります。
 心身障害者の雇用については、昨年の国際障害者年を契機に、各方面の理解も深まりつつあり、雇用状況もかなりの改善をみておりますが、さらに総合的な心身障害者対策の確立とその推進に努めてまいる所存であります。
 このため、心身障害者の雇用機会を確保するための対策として身体障害者雇用率達成指導の強化、重点公共職業安定所の充実等による職業紹介体制の強化、心身障害者職業センターの機能の充実を図ることとしております。
 次に、就職の特に困難な重度障害者については、特定求職者雇用開発助成金の活用等により雇用の促進を図るとともに、障害の種類や特性に応じた対策を推進することとし、五十七年度はサリドマイド等による両上肢障害者について、在学中の早い時期からきめ細かな就職援助措置を講ずることとしております。
 また、障害者の職業的自立を図るためには、その職業能力の開発向上が重要であります。このため、障害者の一般の職業訓練校への入校促進、入校者の障害の重度化に対応した身体障害者職業訓練校の整備を図るほか、職業訓練大学校に身体障害者に関する職業訓練指導員養成課程を新設することとしております。
 これらに必要な経費として百七十億五千九百万円を計上いたしております。
 第六は、特別の配慮を必要とする人々の職業生活を援助する施策の推進に必要な経費であります。
 最初に、家内労働者、寡婦等の就業対策の充実でありますが、工賃の低い家内労働者を保護するための最低工賃の確保、家内労働手帳の普及と定着の促進等について一層の努力を払うとともに、寡婦等に対する職業相談体制の充実等を図ることとしております。
 次に、建設労働者の雇用改善につきましては、建設雇用改善助成金の充実、建設雇用近代化推進員制度の創設等により建設雇用改善計画に沿った建設雇用改善対策を推進することとしております。
 このほか、同和地域住民、沖縄失業者、インドシナ難民、季節・出稼ぎ労働者、駐留軍関係離職者、炭鉱離職者等のための雇用対策についてもそれぞれ充実することとしており、五十七年度より中国引き揚げ者についても職業転換給付金制度の適用による雇用の促進を図ることとしております。
 また、失業対策事業につきましては、失業対策制度調査研究報告の趣旨に沿って、今後も事業の改善運営に努めてまいることとしております。
 これらに必要な経費として一千二百七十七億六千八百万円を計上いたしております。
 第七は、男女の機会と待遇の平等促進と婦人の労働環境の整備に必要な経費であります。
 昨年五月に策定された「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」の達成に向けて、男女の機会と待遇の平等促進と婦人の労働環境の整備に努めてまいります。
 特に、婦人差別撤廃条約の批准に向けての条件整備を図るため、男女の実質的平等のガイドラインの策定と法的整備について検討を進める一方、男女別定年制の解消に向けての行政指導の強化等雇用における男女の機会と待遇の平等促進のための対策を積極的に推進していくこととしております。
 また、育児休業制度の普及促進、勤労婦人の母性健康管理対策の推進、婦人の就業援助対策の推進等に努めるとともに、婦人の労働能力を生かし老人、子供の世話、家事等についての相互援助活動の促進を図ることとしております。
 これらに必要な経費として十二億七千万円を計上いたしております。
 第八は、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりの推進に必要な経費であります。
 わが国の良好な労使関係は、社会の安定と経済の発展に大きく貢献してまいりましたが、さらにこれを維持発展させていく必要があります。
 このため、今後とも産業労働懇話会を初め各種レベルにおける労使の話し合いの場の充実に努めるとともに、労使関係の実情に関する調査研究等を行い、これらの成果の普及を通じて安定した労使関係の形成を促進することとしております。
 これらに必要な経費として八億五千三百万円を計上いたしております。
 第九は、国際社会におけるわが国の役割りにふさわしい労働外交の推進に必要な経費であります。
 開発途上国の経済社会開発に対する援助協力を進めることは、わが国にとって重要な課題となっておりますが、特にその基礎となる人造りに対する協力を進めることが望まれております。
 このため、民間企業の行う海外職業訓練を援助するための施設として職業訓練海外技術協力センター(仮称)を設置する等、民間の活力を生かした海外技術協力を推進するとともに、アジア・太平洋地域技能開発計画への協力、国際技能開発計画の推進等開発途上国労働者の労働能力の開発その他多角的な技術協力の推進を図ることとしております。
 また、開発途上国の労働問題に対するわが国労使による協力を促進するほか、今後ともILO、OECD等の国際機関の諸活動に積極的に参加協力する等、国際交流等の施策を通じて積極的な労働外交を展開してまいることとしております。
 これらに必要な経費として四十六億三千五百万円を計上いたしております。
 以上のほか、行政需要の増大変化に対応する行政機能の整備充実及び一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和五十七年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして格段の御協力をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○亀井(善)主査代理 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○亀井(善)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
#8
○湯山分科員 私は、金融機関の週休二日制についてお尋ねいたしたいと思います。
 先般予算委員会におきまして、労働大臣は、週休二日制の適用労働者はすでに七四%に達しておるという旨の御答弁がございました。なおまた、金融機関の週休二日制については、月一回土曜日閉店制等を検討しており、関係方面に働きかけて今後もなお積極的に進める旨の御答弁がございましたが、まだ金融機関の週休二日制については何ら見通しが立っていないのではないかというように感じますが、この点はいかがでしょうか。
#9
○石井(甲)政府委員 金融機関の週休二日制につきましては、御指摘のように、さきの国会におきまして銀行法の改正が成立をいたしまして、いわば銀行における週休二日制の法律的な条件を整えたわけでございます。
 そういう実態を踏まえまして週休二日制のこれまでの推移を見ますと、五十年以降ややスローダウンしているという現状を踏まえまして、この際、銀行を含めた金融機関の週休二日制を促進するために、労働省といたしましても、関係各方面の情勢をつくり上げる努力をしてまいりました。
 その一つは、一月十一日に全国銀行協会連合会会長を労働省に来ていただきまして、銀行の土曜日閉店による完全週休二日制を昭和五十九年までに何とか御努力を願いたいという御要請を申し上げました。この要請を受けまして会長から、少なくとも月一回土曜日閉店をまずさしあたりやっていきたいというお話がございまして、昭和五十九年までの完全週休二日制については、それを踏まえながら今後努力をしてまいりたい、こういうお話がございました。
 さらに、日本の場合には金融機関に非常にバラエティーがございますので、具体的に二月十日から十三日にかけまして、全国労働金庫協会それから全国信用組合中央協会、全国信用金庫協会、全国農業協同組合中央会等の代表者に同じような御要請を申し上げたわけでございます。現在のところは、銀行協会におきましては具体的にその実現の方途につきまして現に検討を開始しており、かなりその内容が進んでいるように聞いております。また、銀行協会から各金融機関に対しましても、同じような金融界全体の立場からその指導的役割りを果たしている、こういう現状でございます。
 問題は、特に信用金庫あるいは農協というかなり地元に密着した金融機関が、特に郵便局がどうなるかということに大変大きな現実的な関心を持っておるわけでございまして、私どもとしましても、郵政当局とこれに対する対応の仕方につきましてお互いに検討している、こういう現状でございます。
#10
○湯山分科員 ただいまの御答弁によれば、労働省としては、五十九年までに土曜日閉店による完全な週休二日制を実施するように要望された。それに対して全銀協としては、十月という期限があったと思うのですが、十月ごろまでに第二、第三土曜日を休日にする案を試案として示してきた。なおそれを受けて全銀協の方から、スムーズに進めるように労働省へも協力の要請があった。なお二月十日には労働省が十一団体にいまのような要請をされた。こういうことなので、かなり具体的になっていると私は思いますが、それじゃ四週五休で第二土曜日か第三土曜日か、それを休業にするというスタートは大体いつごろできる見込みか、いかがでしょうか。
#11
○石井(甲)政府委員 いま先生御指摘の、十月から月一回の閉店による週休二日をとろうというお話でございますが、実は十月ということを私どもに言明をしたわけではございません。少なくとも今年中というような表現がございましたが、そこでどの程度煮詰まっているかという問題でございますが、現に銀行協会はかなり精力的にいま詰めを行っている最中でございます。それから、当然のことながら、農協その他、いわば中小金融機関が大変むずかしい情勢が実はございまして、これをどうやってそのむずかしい点を克服するかという努力を重ねている最中でございます。先ほど申し上げましたように、特に郵便局との兼ね合いもございまして、したがいまして、銀行協会としては、できるだけ早くという表現をとっておりますが、いつという期限といいますか、何月というようなことはもう少し様子を見てみないとわからないというのが現状でございます。
#12
○湯山分科員 大蔵省にお尋ねします。
 四月一日には政令で休日を決めなければなりませんね。これはお決めになる予定ですか。
#13
○足立説明員 金融機関の週休二日制実施につきましては、基本的に私どもも各界各層のコンセンサスが必要であろうと考えておるわけでございますが、その中でも私ども特に問題点であると考えておりますのは、一つは、手形、小切手といった決済制度、これは統一的に行わなければならない。あるいは為替の取引、こういったものはやはり全国統一的にやらなければならないということで、そういった観点から、中小企業等、土曜日を休日にするということに同意が得られるかどうかということが一点でございます。それから二点目といたしましては、預金者である国民の理解が得られるかどうか。それから、いま局長が言われましたように、特に郵便局との関係、特にこれは中小金融機関が意識をいたしておりますけれども、同時に実施してほしい、こういうような要望がございまして、こういった問題を総合的に考えていかなければいけないと思っておりますが、基本的にこの週休二日制実施というものは社会の大勢であろうと考えておりますので、金融界におきましても早期実施ということを目指しまして、いまお話しのような、月一回というような休日案を考えて具体的にこの問題に取り組んでおるところでございます。
 そういった月一回の土曜日休日というものは、私どももやはり週休二日制実施の第一歩としては具体的な案でなかろうかというぐあいに考えておりますが、申すまでもなく、そういった月一回の土曜日を休日にするという考え方につきましてもコンセンサスが必要であろうということで、現在、先ほど申しましたような点を含めまして、果たして合意がすでに得られておるかどうかということになりますと、そこはまだ必ずしも判然としていないのではないかというぐあいに考えておりますので、この四月からの政令におきまして、土曜日を休日にするということを規定することはやはりまだ適当ではないのではないかと考えておりますが、私どもといたしましては、先ほどの諸点を含めまして、コンセンサスが得られればその時点で、得られ次第政令に土曜日を休日にするということを規定する所存でございます。
#14
○湯山分科員 多くを申し上げる時間はないのですけれども、かつて大平大蔵大臣のときに雑談のような形でだったか、大蔵省はもう用意できているのだというようなことを話されたこともありました。それから今度は、法律を改正するときには、その前提は週休二日にあって、もう大体の腹構えはできていなければならなかったはずです、あのときの質疑応答から見ましても。ですから、四月からの政令にいまの土曜日を、何週になるかわかりませんけれども、どういう表現かわからないけれども、閉店休業にするというのが入らないというのは、私は、これは余りにも怠慢と言うと言葉は悪いのですが、法律が通ってからもう一年近くなるのですから、それは入れるなら入れる、入れなければいつごろまでにどうするというのがなければちょっと了承しかねますが、いかがでしょう。
 なお、先進諸国でもほとんどやっておって、私が聞いたのではスペインがやっていないだけで、いまスペインへは日本の銀行たくさん行っていますね。だから、日本でできないということはないんじゃないですか。
#15
○足立説明員 先ほど申しましたように、週休二日制の取り組み方というのは社会の大勢であろうということは十分認識しておりますので、私どもは制度的には実施し得るような素地をつくったわけでございます。あとは実態でございます。コンセンサスが得られ次第、政令に規定したいと考えております。
#16
○湯山分科員 本年中ぐらいにコンセンサスは得られますか、あるいは、いつを目途にコンセンサスが得られるように努力すると言われるのか、両省からお聞きしたいと思います。
#17
○石井(甲)政府委員 労働省としましては、先ほど申しましたように、環境の整備を図るということに全力を注いでいきたいと思いますし、また銀行協会自身も大体本年度じゅうという目安を漏らしておりますので、何とかできるだけ早く実現する努力を労働省としてもやってまいりたいというふうに考えております。
#18
○足立説明員 この場で、いつ社会的なコンセンサスが得られるかということを私申し上げる立場にございませんけれども、銀行協会の方もできるだけ早期に実施したいということでこの問題に取り組んでございますので、コンセンサスが得られ次第政令を改正したいと思っております。
#19
○湯山分科員 それじゃ四月の政令はどういう内容になるのですか、いまの向きでは。
#20
○足立説明員 現在私どもが考えております政令の内容でございますが、御承知のように、法律では「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。」、こうなっておるわけでございまして、一つは、国民の祝日に関する法律に規定する休日でございます。それから二番目といたしましては、これは祝日ではございませんが、一月二日と三日。それから三番目といたしまして、銀行の営業所の所在地における一般の休日として大蔵大臣が告示で定める日。これは海外営業所等につきまして、所在国における一般の休日、こういったものをカバーしたい。それから四番目といたしまして、銀行の営業所の設置場所の特殊事情によって休日として大蔵大臣が承認した日。たとえばデパート内に設けられました店舗外のCD等については、デパートが定休日に当たりますと当然その店舗外のCDも休まざるを得ませんので、そういったものを規定したいと考えております。
#21
○湯山分科員 この問題について大臣にお尋ねいたします。
 いま労働省並びに大蔵省からの御答弁を承りまして、ある程度積極的に取り組んでいるということはわかりますけれども、まだ何か歯切れが悪くて、もう一つ……。銀行という職場、金融機関という職場は、職場としてはそんなにおくれているところじゃないと思うのです。むしろ、そういう点では率先してやってしかるべき職場だ、このように考えますが、いずれにしても政令で決められることですから、労働大臣としても、これについては非常に強い所管大臣としての発言力がおありになると思います。速やかに実現できるように全力を挙げていただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#22
○初村国務大臣 いま問答を聞きまして、私も、銀行は早目にそういうことをやっていかなければいかぬなということを感じておりますから、速やかに年度内にできるように、大蔵省にも環境づくり等に側面から力を入れたいと思います。
#23
○湯山分科員 年度内という御答弁で、そうなっていただければ非常にいいと思いますけれども、とにかく、いまおっしゃったような御決意で、ぜひ御尽力をお願いいたしたいと思います。
 次にお尋ねいたしたいのは、同じように労働省で取り組んでいる大きい問題の一つ、銀行等の従業員の定年制の問題でございます。公務員につきましては、すでに六十年六十歳定年ということが法定されました。ところがこれも、金融機関というのは相当近代的な職場であって、しかも都市銀行等については労働省から五十五年に六十歳定年の推進を御要請になっておられると聞いております。そこで、五十五年、五十六年と定年が延長になったり、変則的な形ですけれども再就職、再雇用ですか、そういう形がとられたところもあります。特に地方銀行関係は非常におくれているという資料を私ども得ておるのですが、この進捗状況はいかがでしょうか。
#24
○関(英)政府委員 労働省といたしましては、定年の延長につきまして、本省あるいは地方段階、それぞれの段階で労使の合意の形成促進のために懇談会を開催するなど、いろいろの手段を尽くしてまいったわけでございます。
 金融関係は、先生御指摘のとおり、定年延長についてはなかなか取り組みが遅い面がございまして、そういう意味で、特に昭和五十五年の九月に都市銀行の労使のトップの方にお集まりいただきまして、労働大臣が直接定年延長について御要請を申し上げたわけでございます。その結果、当時はまだ都市銀行十三行中、六十歳という定年制を持っているのはわずか一行でございましたが、現在では六十歳定年は九行に大きく前進しております。残りのうち二行については本年の四月一日から六十歳定年へ移行することが決定しておりますし、他の二行についても、遅くとも昭和六十年には六十歳定年に移行することが決定されている、あるいは予定されているということでございまして、それなりの進展が見られておるところでございます。
 それから地方銀行につきましては、昨年やはりトップの方にお集まりいただきまして、地方銀行の定年延長の動向が地方の経済界に及ぼす影響は非常に大きいと存じまして、六十歳定年導入について積極的な取り組みを要請いたしたわけでございます。その結果、地方銀行協会の会長銀行でございます横浜銀行におきまして、本年四月から六十歳定年に移行することが労使で合意を見たわけでございます。これを一つの契機として、地方銀行におきます定年延長も進展するものと考えておりますけれども、なお今後さらに行政の努力を続けていきたいと考えているところでございます。
#25
○湯山分科員 いま、たまたま局長おっしゃいましたように、地銀の会長の横浜銀行が本年四月から六十歳定年を実施した。これがニュースになっておりましたですね。こういう状態なんです。いかにおくれておるか。私の方の資料で、地銀労組連絡会加盟組合、これが四十六行かあります。その中で三十一行が依然として五十五歳。六十歳を定年にしているのは四行しかありません。
 私、銀行という職場はそんなにハンドルを握ったりスピードを出したり筋肉労働するところじゃないのですから、六十歳定年が一番やりやすい職場じゃないか。なぜそれがそんなにできないのか、局長はどうお考えでしょうか。
#26
○関(英)政府委員 銀行の内部の雇用関係といいますものは、非常に終身雇用形態というものが確立されている職場ではないかと思います。それとうらはらに、賃金とか退職金あるいは職務上の地位、こういったものが年功的に上がっていくということが非常にはっきりしている職場ではないかと思います。それだけに、従来の定年制というものが、そういう終身雇用慣行あるいは年功序列型賃金、退職金の慣行、人事慣行の裏としてできておったということではないかと見ております。そういった慣行を見直しませんと、定年延長というのはなかなかむずかしい問題がございます。そういう見直しに一つは時間がかかっている。定年延長しても何とかやっていける企業経営それから労務管理、人事配置、そういったものをつくり上げるのにはそれなりの工夫がございますし、労使関係としても十分協議を尽くさねばならない問題であろうかと思います。延長後も、それまでと同じように従業員が活力を持って働ける状態、そういうものをつくり上げませんと、なかなか定年延長はむずかしいわけでございますが、そういう点でいろいろと、大きな銀行ほどやりやすく、小さいところほど苦労があるといった面も要因の一つではないかと見ておるわけでございます。
#27
○湯山分科員 そうでありながら、実際には、いまのように五十五歳で定年になれば年金受給までは五年間あります。それがふさがらないので再雇用などという便法をとっておりますけれども、再雇用の場合は給与も下がります、それから福利厚生、これも条件が悪くなります。あえてそれを忍んででも再雇用でつないでいこうというのが今日の状態でございまして、おっしゃったように終身雇用で年限とともに給与等も上がっていくということですが、しかし銀行の配当は下がってないですよ。お調べになっていただいたらわかります。かなり高水準の配当を、かなり苦しい中でもやっています。それができるのならば、私は、やる気になれば六十歳定年というのは若干の調整をすればできるのじゃないか、こう考えますが、いかがでしょう。
#28
○関(英)政府委員 先生御指摘のように、五十五歳定年のところも、非常に多くのところが再雇用あるいは勤務延長という制度をとっております。私は、定年はどうしても昭和六十年ぐらいまでには六十歳に延長していただきたい。再雇用なり勤務延長という制度は六十歳以上について、六十五歳ぐらいまでの年代についてぜひまたそういう制度をとっていただいて、大体六十五歳までぐらいの雇用が安定するようなそういう雇用慣行、これが望ましいと思っております。そのためにもできるだけ早く六十歳定年を一般化していきたいと思っておりますが、再雇用するあるいは勤務延長ができるということは、それだけ定年延長をすることが可能だという可能性を持っているというふうに私見ております。それだけの人々が働く職場が現にあるわけでございます。問題は、従来の賃金慣行なり退職金慣行なりあるいは人事配置の慣行なり、そういうものを五十五までとして、その後再雇用という形態で急激に変えることなく延長して六十歳まで円滑にうまくやっていく、その辺の見直し、そして労使の話し合い、そこを円滑に進めていくことが必要ではないかと思います。そういう意味で、私どもの行政指導に当たりましても、そういう点でもし他のよき事例を御紹介するなりいろいろなことでお手伝いできることがあればやっていきたいと考えております。
#29
○湯山分科員 局長のお考えは、全く私たちの理想論だと思います。そうありたいのですが、現実ははるかにそれより逆な方向にあって、そこに問題があると思います。
 労災担当の方いらっしゃいませんでしょうけれども、労災の掛金なんかも、段階的に言えば銀行の人というのは一番労災事故は少ない。一番掛金安いはずです。そういう職場ですから六十まで十分働ける。いまのようなことで、六十五までの再雇用なり延長なりを早くする方法ないのですか。六十五年ぐらいまでにそうするということを言い切れませんか。
#30
○関(英)政府委員 地方銀行につきましては、先ほど申し上げましたように、特に昨年大臣みずから要請をしていただき、協会としても定年延長に真剣に取り組むということになりまして、会長行がトップを切って六十歳定年を決めたわけです。私は協会の中で各行とも非常に御努力をいたしておるというふうに見ておりますけれども、なお取り組みがおくれるようなところにつきましては、来年度から三カ年計画で取り組みのおくれている企業につきまして個別の行政指導、直接その銀行に対しての行政指導に取り組んでいきたいと考えております。
#31
○湯山分科員 いまの御答弁、了承できます。いまのように一番進んでいると思われる地銀が一番おくれている、こういうことはあってはならないことで、これでは従業員の意欲にもかかわりますし、老後の生活の心配等、金融機関に勤めている人が一番大きいというようなことでは、これは労働行政から見ても重要な問題だと思いますので、その点についていまお話がありましたが、三年以内にやってのけるという御決意でひとつ大臣も臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#32
○初村国務大臣 いま局長からお話がありましたとおりに、今後とも私ども行政指導を強くやって、目的のために努力したいと思います。
#33
○湯山分科員 最後になりますが、大蔵省、指導の上からはいまのは関係があるのですね。配当は、地銀もかなり経営の苦しいのもありますけれども、それにしてもかなり高水準の配当を続けています。それでいて従業員に対しては、いまのように六十歳定年の問題については一番悪い条件、こういうことについては大蔵省も指導の責任があると思いますが、いかがですか。また、指導なさるかどうか。
#34
○足立説明員 定年制の延長の問題につきましては、銀行行政の問題と申しますよりは、むしろ各産業を通じます労働行政の一環として考えていく問題であると思っております。したがいまして、大蔵省としましては直接所管する立場にはございませんが、私どもも、金融機関が最近定年制延長問題に真剣に取り組んでおる、こういうことは十分理解をしておるつもりでございます。今後ともこの金融機関の定年制問題について問題が著しく立ちおくれておるというようなことがございましたら、労働省の御意見も伺いながら、私どもといたしましても適切な指導をしてまいりたいと考えております。
#35
○湯山分科員 以上で終わりますが、いま申し上げましたように最も進んでいるコンピューターやいろいろなことが導入されているその金融機関の労働者において、いまの定年の問題、週休二日の問題、非常におくれている。これは非常に遺憾なことでございますので、御答弁はございましたが、なお一層労働大臣並びに大蔵省のひとつ御努力を要請して質問を終わります。どうもありがとうございました。
#36
○亀井(善)主査代理 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡本富夫君。
#37
○岡本分科員 わずかな三十分の時間ですから、率直に答えていただきたいと思います。
 私は、昭和五十一年の十月十九日、七十八国会におきまして、社労委員会で提案を申し上げたことがあります。それは寡婦の雇用の促進についてでございますけれども、当時、政府の答弁によりますと、昭和二十何年かに調査したまま、後調査してないので、調査をして、そして促進法についての的確な取り組みを行います、こういう答弁をいただいたわけです。その後労働省としてはどういうようになっておるのか、もう五年たっておるわけですからひとつお聞かせ願いたい。
#38
○高橋(久)政府委員 まず、私どもの方からこの調査によりまして把握されました実態を御報告申し上げたいと思います。
 昭和五十二年の六月に寡婦等就業実態調査を実施いたしましたが、寡婦等のうち就業している者の割合が八九・六%で、ほとんどの寡婦は就業しているということが明らかになりました。就業者の大部分は雇用労働者でございます。
 この雇用労働者が勤務しております事業所の規模は、三十人未満が過半数を占めているという状況が把握されております。
 この就業者の平均勤労収入を調べてみましたところ、九万五千円でございますが、これを技能、資格等を持ってそれを活用している者とそうでない者に分けて見ますと、活用している者は十一万六千円と比較的高く、活用していない者は八万七千円、このように技能のある者とない者との間で差があるということが明らかになったわけでございます。
 以上が実態調査の大まかな点でございまして、対策等につきましては、また別途説明をさせていただきます。
#39
○岡本分科員 これは五十一年の七月六日、自民党の松野前政調会長、この方が交通遺児の代表に対して、次の国会では必ず寡婦雇用促進の法案を提案したい、こういう発言をされておるわけでございます。関西働く婦人の会からもいろいろと私の方に資料が来ておりますけれども、また、いま八〇%も就職しているというけれども、婦人共励会の方々やらいろいろな人が非常に一生懸命になってこの寡婦の皆さんの就職あっせんをしたり、苦労をいたしておるわけです。
 そこで、このときは浦野労働大臣でしたけれども、私ども公明党としては、参議院からこの寡婦雇用促進に関するところの特別措置法、こういうものを提案いたしておりまして、非常に高く評価されて、必ずこの実態調査の結果こういう法案を具体化していきたい、こういう答弁があるわけなんです。ですから、いまのお答えだけでは私どうも納得できない。ひとつその点について……。
#40
○関(英)政府委員 寡婦等の方々の就業の実態についての調査結果を先ほど御説明申し上げましたが、その点からも明らかでございますが、それらの方々の就業が非常に困難だといいます原因は、やはり保育等の家庭生活上の制約がある、あるいはまた就業先が必ずしも満足のいくところでないということにつきましては、職業経験が乏しく、あるいは技能が十分でないこと等にあるわけでございます。
 したがいまして、寡婦等の雇用を促進いたしますためには、まず保育所等の整備によりまして家庭生活上の負担を軽減することが第一でございますし、また職業訓練あるいは職業講習等によって資格の取得なりその他技能の向上を図って、寡婦等の雇用の障害となっている要因を除くことが必要であろうと思っております。
 それで、寡婦等雇用促進法というような考え方で、雇用率制度によって事業主に雇用を義務づけるというお考え方もございますが、雇用率で強制するということは、このような点から考えてみまして、実態面においても、またあるいは立法技術上も問題が多いというふうに考えておるわけでございます。
 労働省といたしましては、職業相談機能を強化する、あるいは職業訓練、職業講習を実施する、あるいは寡婦等を雇っていただく事業主に対する助成金を支給する、そういうような措置の積極的な活用によって、寡婦の雇用の障害となっている要因を除き、その雇用の促進を図っているところでございます。
#41
○岡本分科員 なかなか実態を見ますと、就職しておると言いますけれども、パートが多いんですね。いつ職業を失うかわからぬ。私はこのときも申し上げたのですけれども、こういった不幸な家庭からりっぱな日本の国の将来の人材が出ておる、こういうことを考えますと、やはりもう一度ひとつ考えていただいて、こういった法律の中からいろいろなものも整備していく、でなければ本当の手厚い、血の通った行政ができないのではないか、こういうふうに考えますので、これは時間がありませんから、大臣ひとつ――前の浦野さんは、ぜひひとつその点については実態がわかれば検討していきたい、こういうような答弁をいただいております。ひとつ再検討していただけませんか、どうですか。
#42
○初村国務大臣 労働大臣がそういう答弁をしたということであれば、一応私もその速記録等をよく調べて、また労働省の責任のある局長あたりともよく相談をして、できるものかできないものかを検討して、もしできるようであれば速やかにすべきであるという考えをいま起こしておりますから、しばらく時間をかしてもらいたいと思います。それで、できなければできない、こういうわけでできませんよという御返事は必ずいたします。
#43
○岡本分科員 次に、私の方にこういう嘆願書といいますか、これは宝塚市に在住の日雇いの仕事に携わっておる方々でありますけれども、不就労時、要するに仕事のないときに受け取る日雇い保険金、これを西宮とか伊丹とかあるいは池田とか、こういうところに通っていって日当をいただかなければならぬ。非常に高い交通費がかかったりあるいはまた時間がかかる。宝塚市においてはりっぱな建物ができた。できれば労政課で受け取れるような状態にしてもらいたいということを再三申してきておるわけでございますが、この点についての御意見をいただきたい。
#44
○関(英)政府委員 雇用保険の休職者給付といいますものは、公共職業安定所に求職の申し込みをいたしまして、そして職業相談さらには職業紹介、そういう手続を経まして、しかしながらどうしても就業の機会のない労働者について、失業だという認定をした上で保険金を支給する、こういうことになっておるわけでございます。
 したがって、職業紹介機能を有しない市町村に保険事務を委託するようなことは、原則としてできないわけでございまして、やはり安定所に来て職業相談を受けて、その上で失業の認定を受けていただくほかないものと思っております。
    〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
 なお、先生も御承知かと思いますが、離島等で安定所まで来ることが非常に困難な場合に市町村等に取り次ぎを委託している場合もございますが、その場合は一般の常用労働者について行っているわけでございまして、日雇いについてそういうことをやっているわけではございません。日雇い労働というものはやはり日々職業紹介を受け、就労する、あるいは翌日は仕事がなくて失業として認定を受ける、こういうことでございますので、一般常用労働者のような扱いということは保険の上でもできかねる、こういうことでございます。
#45
○岡本分科員 この方々は、調べてみますと、大体ここにありますところの競馬場、そういうところにお勤めになっておるわけです。ですから、毎日競馬がずっと続く日と、それから一カ月ぐらいもうストップする、こういうように大体不就労、要するに仕事のない日というのはわかっているわけですね。だから一般の日雇いの方とは若干趣が違うんじゃないか、こういうことで、市の労政課にしましてもこの方々の状態というのは、同じ市内でありますからよくわかっておるわけでございますので、何とかひとつこれも一遍再検討していただきたいと思うのです。ただもうそれはだめですよと言うんじゃなくして、就労する職場というのが競馬場ですから、もう決まっておる。この点をひとつ検討していただきたいと思うのですが。
#46
○関(英)政府委員 御指摘のように競輪場、競馬場、そういったところの仕事に従事される家庭の主婦の方、そういう方が日雇いの被保険者になっておられるわけでございますが、保険という立場あるいは雇用の安定という立場から申し上げますと、競輪なり競馬のない日については、同じような売りさばきあるいは金銭の収受のような仕事に私どもとしてはごあっせんをし、できる限り働いていただくというのがまず第一でございまして、競輪、競馬の開催されない日は必ず日雇いの保険金を受給するんだ、公共職業安定所としてはそれをできるだけスムーズに払えばいいんだということでは、本当の職業の安定にはならないんではないか。私どもはそういった方々につきましても、開催日以外についてはできる限り職業のあっせんをいたしたいわけでございます。その辺の保険の仕組みを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#47
○岡本分科員 これは一遍調査してくれませんか。あなたがおっしゃるように毎日職業をあっせんする、これはまあそうだと思うのですよ。しかしこれだけの、約二百名ほどですが、そんな仕事が毎日毎日こういう方々にあるわけはないのです。またほかの職業をあっせんしてもらいに行っているという方がいますし、そんな安定所の姿を見ましたら、そんなにたくさん人がいませんし、ですから大概お金を払って帰しているわけですよ、実態は。あなたが答弁されたのは、来た人は必ず職業をあっせんするんだ、こうおっしゃるけれども、事実はうそなんです、事実はそうじゃない。ですからこの実態を一遍調査をしてもらいたい、これを要求しておきます。
 時間がありませんから……。
 この間実は二回目、オーストラリアに向こうの政府の招待で行ってまいりましたが、五年前に行ったときに、日本人に移住にもっと来てもらいたいというような意見がありまして、その後どうなっているかと思って参りましたところが、豪州に対する移民というのは非常に少ない。
 外務省にお聞きしたいのですけれども、まず現在の実態とそれから今後どういうようにしていくのか。御承知のように日本の約二十二倍ですか、そこに千四百五十万くらいしかいない。非常に日本の技術者の人たちを希望している、また非常に親日的だ、しかも、向こうから資源を買っている関係上、いまなら非常に移住することについては抵抗がないんじゃないか、こういうように考えられますので、今後の日本の国策についても、ぜひひとつこの点について外務省から、どうするのかお聞きしたいと思います。
#48
○斎木説明員 お答え申し上げます。
 豪州移住の実態は、ただいま御指摘がございましたように、絶対数はいまだ少ないのが実情でございます。過去三年の数字をちょっと申し上げますと、一九七九年度百十一人、一九八〇年度で百四十八人、一九八一年、これは前半でございますが百二十人、このように少しずつふえてはまいりましたけれども、依然として少ない。たとえばカナダのようなところは千人に迫ろうとしておりますので、確かに少ないのが実情でございます。
 この原因は、やはり豪州は歴史が浅いということでございまして、これからの努力が必要であるということになると思いますが、日豪関係というものを考えますと、また、ただいま先生から御指摘がございましたように、豪州の潜在的な力というようなものを考えました場合に、私どもとしましてはぜひこれがふえることを期待しているわけでございます。
 その方策といたしましては、先進国に対する移住というのは、御承知のように技能移住というものが中心でございますので、農業移住のように直接政府が手をかすということはなかなかむずかしいわけでございますけれども、現在までに私ども行っておりますのは、御承知の国際協力事業団を通じまして、全国各地の支部を通ずるところの移住相談、それから移住に旅立たれる前に海外移住センター、これも国際協力事業団の下部機関でございますが、ここで渡航前講習というものを行っております。それから、現地、キャンベラにいま事業団の職員がおりまして情報収集活動を行っております。今後はこうした事業団の活動を充実してまいりたい。またさらに、先進国の移住の場合むずかしいのは移住後の定着でございますけれども、この面についても現地で適切な相談に応じられるようにもっていきたい、かように考えております。それからごく具体的には、年度中に豪州移住の可能性等、現地の事情を調べますために調査団を派遣することにしております。
#49
○岡本分科員 大臣、これは外務省のことだから知らぬというようなわけにいきませんからね。私が痛切に感じましたことは、豪州は遠いわけですから、同時にまた、貿易をやっている人たちはわかりますけれども、日本の皆さんは余り事情がわからない。したがって、職業紹介やいろいろなときにも豪州の事情というようなものを皆さんにもPRをして、そして向こうに定住できるような施策はいかがでしょうか。
#50
○初村国務大臣 私は先般労働界の方が豪州に行ってきた話を聞きました。すばらしい国だというようなことを聞きまして、だから部落ごと集団でしてもいいのじゃないかというような気もいたしました。
 そういうことで、いまお話がありましたとおりに、私どももそういう話を聞けば聞くほど気持ちはそこにいくわけでございますから、できるだけ機会をとらえてそういう方向の宣伝をしてみたいと思います。
#51
○岡本分科員 と申しますのは、キャンベラに国際事業団から行っておると言ったって、たった一人なんですね。しかもキャンベラは向こうの首都でありまして、経済活動はどんどんシドニーとかあるいはまたメルボルンですね。ですから、経済活動でないところへ一人おるわけです。この一人ぐらいで、こんなものではやっているというだけのことですわ。非常に暑いと言いながらそう暑くない、気候の差は少ない、しかも四季がある。しかも広いところでありますし資源はある。こういうことで、日本の将来ということを考えたときには、私は相当ここに力を入れた方がいい。できれば一千万人ぐらい、一遍に行くと問題が起こりますから少しずつ送り込んでいくことが大切じゃないか、こう思うのです。いま大臣からその問題についての積極的な答弁いただきましたからこれはこれで終わります。
 最後に、これは余りいい話ではありませんけれども、雇用促進住宅、これについて昨年会計検査院から是正要求が出ておるはずです。これについてどういうようにするのか。これはまた社労委員会ででもやりませんと、ちょっと時間がかかりますから入り口だけ聞いておきましょう。
#52
○関(英)政府委員 昨年の十月でございますが、会計検査院から雇用促進住宅の設置、運営につきまして、概要だけ簡単に申し上げますと、次のような指摘を受けたわけでございます。
 一つが、住宅の設置場所が適切でなかったために入居率の悪い住宅がある、二つ目には、移転就職者以外の者の入居、これが非常に多くなっている、三つ目には、入居期間が原則では二年未満となっているのに長期化しているものがある、それから、公務員等、雇用保険の加入者でない者を入居させているというようなことの、その他にもございますが、御指摘があったわけでございます。
 労働省といたしましては、御指摘の趣旨を踏まえまして、雇用促進事業団と協議しながら、第一点としては、入居者の住宅事情等を調査いたしまして、貸与基準なりあるいは貸与期間等について改正案を作成して関係各省と協議することといたしております。それからまた、二番目には、移転就職者や住宅に困窮している勤労者が比較的多いと思われます大都市部について、最近、用地の確保が困難であるというようなこともあって、住宅建設が非常に少なくなってきているわけでございます。しかしながら、来年度予算におきまして、特に用地の有効利用ということで高層の住宅も認められましたので、こういった点を活用し、今後、住宅建設に当たりましては都市部への建設を優先的に考える。あるいはまた運営につきましても、先ほど申し上げましたような所要の改善を行いまして、勤労者の職業の安定のために、雇用促進住宅が設置目的に沿って有効に活用されるように改善に努めていきたいと考えているところでございます。
#53
○岡本分科員 現在非常に不況で、この不況を何とかするためにということで、鈴木内閣は住宅建設というものを一つの目玉にしておるわけです。したがいまして、私は、労働省としましても、この雇用促進事業団におけるところの住宅建設にひとつ大いに今後力を入れていただきたい、きょうはこれだけ要求しまして、あといろいろあるのですけれども、これをやっているとまた一時間ほどかかりますから、これで終わります。
#54
○海部主査 これにて岡本富夫君の質疑は終了いたしました。
 藤原ひろ子君。
#55
○藤原分科員 私は、きょうは労災保険の問題について質問をいたします。
 まず最初に、労災保険と健康保険とはどこがどう違うのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#56
○石井(甲)政府委員 御承知のように、労災保険はいわゆる労働の過程における災害に対して補償する仕組みでございます。その基本は、労働基準法における無過失責任の体系によりまして、使用者がその責任において労災の事故に対してこれを補償する、こういうシステムでございます。健康保険は、一般の私傷病に対してこれを給付する。こういう二つの性格の違いでございます。
#57
○藤原分科員 つまり、労災とは企業の責任によって生じた負傷であるとか病気であるわけですね。労働者を国と企業の責任によって社会に復帰させるということを目的とするものがこの労災保険であるわけです。
 ところが、「労災保険における「はり、きゆう及びマッサージ」の施術に係る取扱いについて」という昨年の九月に出されました事務連絡四十九号は、この目的に反するものだと思います。労災患者の方々や関係医療機関の方々は、この四十九号に対しまして、現実を無視しているじゃないかと反対をして、労働省とも何度か話し合いを進めてこられました。
 そこで、お尋ねをいたしますが、四十九号でははり、きゅうと一般診療との併用は認めないということですが、現在、併用している人たちは全国にどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
#58
○林説明員 お答えをいたします。
 現在、はり、きゅうにかかっておられる方がどのくらいいるかということですが、その全体の数はつかんでおりません。私どもが調査をいたしましたのは、現に六カ月以上にわたってはり、きゅうを受けておられるという方が約千八百人ございます。
 一般医療との併用の内容、どこら辺までの一般医療をやってはり、きゅうと併用をしているかという内容については、定かではございませんが、一応一般医療も受けているというのが大体その半分近くというふうに推定をされるところでございます。
#59
○藤原分科員 私は、山林、建設、製材の各労働者や看護婦さんであるとか保母さんであるとか、そういった方たち、労災認定患者さんですけれども、に直接お会いしてお話を聞いてまいりました。
 チェーンソーを使って振動病になった京都の山林労働者は、夜、腕がしびれて寝られない、はりをしてもらっているが、はり治療の翌日は確実によい、一般治療とはりの両方の世話にならないと回復は遅いというふうに訴えておられました。このように、皆さんは一般診療とはりを併用して治療をしていらっしゃるわけですね。こういうのが実態だと思うわけです。
 ところで、このはり、きゅう、マッサージを必要とする振動障害あるいは頸肩腕症候群の患者は、職業病の中では一体多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
#60
○林説明員 職業病の全体の年間の発生数でございますが、これは、負傷から起因してくる疾病、こうしたものは除きまして、大体年間五、六千人ということになっております。
 いま先生がおっしゃられた最近の病気の発生者数を申し上げますと、振動障害関係が五十五年度で千八百人、それから頸肩腕症候群が約四百人、非災害性の腰痛が百八十六人、むち打ち症関係が千人、大体こんなような状況となっております。
#61
○藤原分科員 労働省が予算委員会に提出された主な職業病の認定件数、この資料を見せていただいても、いまおっしゃったような数字が出ているわけですね。つまり、職業病の中では上位を占めているということになるわけです。したがって、はり、きゅう、マッサージの取り扱いをどうするのかということは大変大きな問題です。だからこそ、労災、職業病患者の方はもちろんのこと、労働組合であるとか関係医療機関が四十九号連絡文書に反対をしておられるわけですね。
 私は、そこで、もう少し実態についてもお尋ねをしていきたいというふうに思います。
 私がお話を聞きました患者さんの中では、六カ月でやめたという人はだれもおりませんでした。たとえば、京都のある看護婦さんですけれども、一年目ははりをしてもマッサージをしてもとにかくしんどかった、どこが悪いのかもわからなかった、続けていたらだんだんどこが悪いのか知覚や痛覚でわかるようになってきた、三年ぐらいやってずいぶんよくなって、現在、職場復帰訓練の段階にまでなっているというふうにおっしゃっておりました。また、ある山林労働者は、一般診療とはりと併用しているが、一年半ほどたってやっと頭痛がなくなってきた、自分の体にははりが適していると思う、このようにおっしゃっておられました。
 労働者にとっては、働きたくても働けないということほど残念至極なことはないわけですね。極道病と言われ、怠け者だと白い目で見られて、本当に情けない、何とかして早く職場に復帰したいのだ、みんなそういうふうに願っていらっしゃるということを、私は御本人の表情を通し、声を通して知ることができたわけです。
 そこで、お尋ねをいたしますが、昨年の十月二十二日に、衆議院の社会労働委員会におきまして、林補償課長さん、あなたがこの期限の問題について次のように述べていらっしゃるわけですね。どう言っておられるかといいますと、「労災保険におきます特殊性から、健康保険における考え方を基礎におきまして六カ月を超えるものにつきましても、そのやりました施術の効果あるいは症状について医師等の意見を求めて、それが症状の固定になるのか、あるいははり・きゅうの効果がなお期待できるものであるのか、あるいは他の治療方法が適当であるのか、そういう点を判断をして対処したいというふうに考えております。」こうお答えになったわけでございます。そうすると、これは九月二十六日付の事務連絡四十九号で期限のことに触れている部分を事実上修正なさったというふうに理解をするわけですが、そのように受けとめていいのでしょうか。
#62
○林説明員 お答えします。
 先生御存じのように、いま現在このはり、きゅう、マッサージに対する取り扱いは健保に準拠してやるということになっているわけです。そうした意味で、各地方で局によって若干取り扱いが乱れているということがあっていろいろな問題を惹起しているので、こうしたものは関係のはり、きゅうの団体ときちんとした協定を結んで、料金的にもそうした施術の問題についても円滑にやり、かつ、いままでのように個人がはり、きゅうにお金を払って私ども労災保険に請求するというような形でなくて、はり、きゅう師から私どもの方に請求がなされるというような形で円滑な運営をしたいということで、はり、きゅうの団体とこれらの問題について話し合いをしたわけでございます。
 現在は健保に準拠しておるのでございますが、先ほども申しましたように、労災保険の職業病の特殊性から、そうした問題について医学的にはり、きゅうの治療効果を検討をして、私どもも研究をいたしております。そうして、はっきりした方針を早々に決めたいというふうに考えておるわけです。
 それで、先ほどの私が委員会で発言しました内容は、そうした検討している過程の方向をそういう方向で対処したいというふうに申し上げたので、現在、そういう方向で直ちにいままでの考え方を直すという通達まではいたしておりませんが、何回も申しますが、そういう形で医学的にはり、きゅうの治療効果の検討をいたしているところでございます。
#63
○藤原分科員 事務連絡によりますれば、「「はり、きゆう」の効果は、通常六か月以内に現われるとされ、これ以上の期間にわたる施術の必要性は医学的には明らかでないので、いたずらに長期にわたるものについては、主治医等に当該「はり、きゆう」の施術の必要性について意見を求め対処すること。」こういうふうに述べておられるわけです。これによりますと、六カ月以上は効果がないのではり、きゅうはだめだということをおっしゃっているわけですけれども、労働省はこの六カ月の科学的根拠というものを示すことができるのでしょうか。
#64
○林説明員 何度も繰り返しになりますが、この医療の評価の問題につきましては、健康保険において施術期間、一般医療との併用の問題について医学的な研究を行っておりまして、そちらの見解に従ったものでございます。
#65
○藤原分科員 この四十九号によりますと「いたずらに長期にわたるものについては、」云々というふうに述べておられますが、こんなことを言っていていいのでしょうかね。私は、全く不穏当なけしからぬ発言だなというふうに読ませていただきました。なぜかといいますと、お医者さんは患者さんが苦しんでおられるときにその痛みをやわらげる、病を治してあげるというのがその仕事だと思うのですね。そして、医療行為といいますか処置といいますか、それは、機械で物を直すようにいついつまでにどこを直すのか機械的に決められるようなものではないというふうに思うのですね。
 健康保険での六カ月という基準も私は問題だと思うのですが、労災の場合に、労災の特殊性といいますか、一番最初におっしゃいました目的、原則から見てもこれは問題ではないかと私は思うのです。だからこそ、労働省も、厚生省とは別にこの問題をどう扱うのかということで専門家の意見を聞いておられるのだというふうに思うわけです。そして、健康保険とは違って、別の目的を持って発足いたしました労災保険は、当然のことながら病気の内容も変わっておりますし、健康保険の準用だけでは済まない問題を多く抱えているというふうにも考えられます。職業病の中には鉛中毒であるとか有機溶剤中毒といったような病気がありますが、これは健保では何も想定していないわけですね。
 労災というのは、その目的の中でうたわれておりますように、あくまでも業務上の事由などによって負傷し、または疾病にかかった労働者の社会復帰の促進や労働条件の確保を図るということがその使命であるわけです。そうすると、治療の打ち切りが優先するようでは、この目的に反するということになってしまうわけです。相互扶助的な色彩の強い健康保険に準ずることがないように、労災の特殊性を考えて、労働省として責任ある態度を明らかにしてもらいたい。健保に準拠してということを拳々服膺されるのでなくて、労働省独自の、労災保険法を確立するという考えに立っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#66
○石井(甲)政府委員 労災保険におけるはり、きゅう、マッサージの施術にかかわる費用の支給につきましては、課長も申し上げましたが、基本的には健康保険の取り扱いに準拠して取り扱っております。すなわち、はり、きゅう、マッサージにつきましては、医師の同意のもとに行われる場合に限りまして補償給付の支給の対象として認めておるわけでございます。また、期間につきましても、原則として六カ月を限度として取り扱っておる、こういう原則がございます。
 そこで、問題は、労災保険の特殊性という問題とのかかわり合いの問題がございまして、二つの問題がそこにあるわけでございます。一つは、一般医療との併用の問題であります。もう一つは、期間の問題でございます。これらにつきましては、何といいましても、はり、きゅう、マッサージというものの治療上の位置づけといいますか、これが必要でございますので、その検討に当たりましては、いわゆる施術効果を含めた専門家の検討をどうしても必要といたします。そういう意味で、この際専門的検討を行いながらこの問題についての処置を行ってまいりたい、これが現在の労働省の考え方でございます。
#67
○藤原分科員 健保に準拠を拳々服膺してもらったら困る、こう言っているのですが、また御答弁はそういうことになるわけですね。
 私は、なぜこのような問題が起こるのか、こう考えますときに、労働省は労働災害というものについての研究、検討が余りされていないのじゃないか。労働災害の特殊性という言葉は使われるけれども、その形態であるとか内容などについても、また社会の変化、とりわけ労働者の作業内容、労働実態、こういうものについての系統的な調査研究が不足しているのではないかという不安を大変強く持っております。そのために労災の認定が七年も八年もかかっているという例があるわけですね。昨年、八年目にやっとこさ認定をされました京都市の保母さんの職業病の場合もそうであったわけです。労働者を保護する立場にある労働省は、労働災害、職業病というものについて、もっと力を入れて対策を講じてもらいたいものです。
 皆さん方は、いまこのはり、きゅう、マッサージの取り扱いについて専門家の先生の御意見を聞いているというふうにおっしゃったわけですが、労働省として独自の判断をするために、当然このようなことも必要だというふうに私は思います。
 それでは、これはいつごろまでに意見を聞くのか、どこの先生に意見を求めておられるのですか、そしていつごろ結論というのが出てくるのでしょうか、このことをお尋ねをいたしますので、その問いに対してずばりお答えをいただきたいと思います。
#68
○石井(甲)政府委員 はり、きゅうのいわゆる施術の効果につきましては、まだ統一的な医学的評価が十分に定まっていないというのが現状であろうかと思います。
 しかしながら、この問題については健保の問題がございます。すなわち、健保の場合には六カ月ということでございますが、特に労災医療の特殊性を考慮する場合に、この問題をさらに進める場合に、どうしても専門家の意見を聞きまして、何とか検討してまいりたいというふうに思います。この問題については、できるだけ早くそういう方向で対処したいということで、現在努力中でございます。
 さらに、併用の問題あるいは期間の問題も同じような次元で、基礎的な条件をどういうふうに把握するかということが基本でございますので、現在、鋭意その検討を進めている、こういうことでございます。
#69
○藤原分科員 いまお聞きをしておりますと、できるだけ早くとかいうことですが、それはいつごろまでなのか、どこの先生に意見を求めているのか、いつごろ結論を出すのかという問いに対するお答えではなかったわけですね。
 しかし、専門家の方から意見を聞いてまとめたいということでございますが、まだ、どのようにすべきなのか、医学的にもはっきりしていないというふうなことをいまもおっしゃったわけですが、そうしますと、いつその意見がまとまるかもわからないというふうな段階であるのに、診療の抑制とか打ち切りだというふうにとられてもいたし方がないというような文書を出される、事務連絡という形であってもそういう文書を出されるということは、労働者と労災患者の権利を踏みにじるものにほかならないというふうに思うのですね。確信を持ってそれを出されたのではなくて、まだ検討中でございます、できるだけ早く御意見を承りたいと思っていますとか、そういう状態であるのに、どうして急いでそういうものをお出しになり、混乱を巻き起こすというふうなことをなさるのでしょうか。四十九号で言っているような種々の制限、こういうものは、いま言ったように、はり、きゅうと一般診療を併用してはならぬとか、六カ月で打ち切るぞとか、こういうような制限は、あなた方がいまお医者さん、専門家、こういった方々に聞いておられる、熱心にやっておられる、その結論が出るまではやりません、行いませんとお約束していただけるでしょうか。
#70
○林説明員 それでは、先ほどの局長の答弁のうちで、専門家の委員の先生の問題と、それから九月の通達の問題と、両方お答えいたします。
 お願いして意見を聞いておる先生は、はり、きゅうを研究をされて、実際にはり、きゅうの治療をやりながらその効果をはかっておられる実例をお持ちの方で、そうした私どもが問題にしている、先ほど先生もおっしゃられました頸腕とかむち打ち、振動病、そうした病気ごとにそういう治療のいろいろな効果の測定をされている方々の意見を聞いております。先生方のお名前は、ここでは差し控えさせていただきたいと思います。
 結論の期限は、これはここでお約束してそのとおりできないと困るのではっきり申し上げられませんが、ごく早いときにやれるよう努力をしておりますし、また、そういう見通しでもございます。
 それから、九月の例の通達は、先ほど申しましたように、地方で非常に乱れているところがございますので、いままでの取り扱いはこういう取り扱いだということをはっきりさせる意味でやったので、新しい取り扱いが確定して出るまでは、やはり原則的にはいままでの取り扱いで地方はやっていただくということが、私どもの方としては事務的には筋だろうと思っております。
#71
○藤原分科員 聞いていらっしゃる先生方は、六カ月でよい、一般治療との併用はだめだという意味の意見を言われる先生なんですね。私は、お医者さんにも聞きました。また、医師から指示を受けてはり、きゅうをやっておられるはり、きゅうの先生にも聞いたわけですけれども、そういうふうに、六カ月でいいですよなどと言われる方はないのです。あるのだったら、ここでは言えなかったら、後ででも、どこのどなたなのか。やはり労働者の立場に立って――切々と訴えられたあの方たちの顔を、いま質問していても私は忘れることができないわけです。ですから、ぜひその声を、私はその先生に言いにも行きたいし、わかってもいただきたいというふうに思っております。ですから、できればおっしゃっていただきたいし、こうこうこういう実態ですよというふうにも言いたいし、おまえさんが聞いてきたのは京都だけじゃないかとおっしゃるなら、私は全国の方にもできるだけの手だてを尽くして聞いてきたいというふうにまで思うのです。しかし、いまの御答弁で、とにかくいま検討中なんだから、そういった種々の制限はこの結論が出るまではやらないということが筋なんだというふうにおっしゃったので、またそのことは、そのことはといいますのはさっきの先生の話ですが、後で個別に交渉したいと思っていますが、こういう文書を軽々に出してしまわれたんですから、出してしまったことを、本当は撤回してほしいとまで言いたいのですけれども、それもいろいろ上司の判もついていったわけですから、無理でしょうから、ぜひともいろいろな制限をするというようなことをなさらないようにお願いしたいことをもう一度強く御要望したい。
 それから、労働省というのは国民の働く場所の確保とか雇用の確保も大きな一つの仕事だと思うのです。身障者の雇用についても推進しなければならない。このときに、京都府立盲学校の高等部でお話を聞きますと、昨年は十以上の病院から求人の申し込みがあった、生徒をそこへ就職させた、ところがいま五つぐらいに減っているというのです。これは全国にもあるんじゃないか。採用を取り消されたという方も私知っておりますし、そういう状態が広がっているんじゃないか。これは、健康保険の六・一改定によってあらわれたものだろうというふうに思うわけです。しかし、労災保険についてもはり、きゅう、マッサージを抑制するということになれば、こういう状態に追い打ちをかけることになるのではないかということで、病院としてもますます採用しにくくなるだろう、こういう現象が起こるのではないかということが懸念されます。ですから、これは視覚障害者の方にとっても大変な問題なんですから、この点につきましてもあわせて考えていく必要があろうかと思うのです。
 そこで、この問題も含めて、最後に大臣にお願いをしておきたいと思いますが、いま聞いていただきましたように、労災保険におきますはり、きゅう、マッサージの取り扱いを健康保険に準じてやろうとしたために、各地で混乱が起こっております。これからも、社会の変化に伴って職業病も多様化していくでしょうし、いままでは考えられなかったような職業病もふえてくるというふうに予想がされます。ですから、いままでの考え方では救われない職業病の方が出てくると思います。そんなときに、いままでは職業病として認めていないからといって切り捨ててしまうということでは、救える労働者も見捨てられて働けないようになってしまうというふうなことさえもあり得るわけです。
 労働省は労働者を保護する立場にある省ですから、ぜひともこのことが起きないように、職業病にかかった労働者が一日も早く職場に復帰し、世のため人のため家族のために元気で働ける体が回復することを助けるために、全力を挙げていただきたいと心から願うものでございます。大臣の御答弁をお聞きして、終わりたいと思います。
#72
○初村国務大臣 いま、労働者の労災関係についていろいろ話が出ましたが、やはり私どもは、労働者の病気についてはなるべく早く治療ができるように、また、そういう手当てをするようにしなければならないということは十分承知しております。したがって、そういう気持ちに立って速やかな手当てをするように努力いたしたいと思います。
 なお、特に心身障害者の就職については、私どもは、それを就職あっせんで重点的に取り扱うようにいたしております。特に五十七年度は重度身障者を最重点に取り扱っていく方針でありますから、できるだけいまの趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
#73
○藤原分科員 終わります。
#74
○海部主査 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤田高敏君。
#75
○藤田(高)分科員 私は、鉱山関係労働者の振動病対策を中心に質問をいたしたいと思います。
 率直に申し上げて、きょうの質問は、昨年の臨時国会で質問の予定になっておったのでございますが、国会審議の都合で今日に延びました。したがって、労働省におきましても、また、従来から社労委におきましても、これから質問することにつきましては、陳情、請願を含めて、所管当局においては大変真剣な取り組みをしてくださっておる、そういう前提に立って質問をいたしたいと思います。
 まず第一は、振動病の問題については、従来いろいろ国会でも議論されてきておりますが、その中心は、林業関係に主として論議が集中されておったと思うのですけれども、最近労働省の基準局労働衛生課等から出されておるパンフ等を見ましても、いわゆる金属鉱業あるいは採石業、建設、製造業といったような業種にも非常に振動病が急増傾向を示しております。
 まず、私は、具体的な質問に入る前に、その現状がどういうふうな趨勢をとりつつあるか、これをきわめて簡単に説明してもらいたいと思います。
#76
○林部説明員 患者の発生というベースで申し上げることになると思いますが、労災の毎年の新規認定の数で申しますと、五十一年から五十五年までの五年間の推移を見ますと、確かに、五十一年当時は振動障害として認定された者が千百八十一名のうち林業が八百九十九人でございまして、鉱業あるいは採石業といったような鉱山のような関係の方が、鉱業が五十人、採石業が八十六人、こういう状況でございました。それが、二年後の昭和五十三年には、両方合わせまして、林業関係が千四百三十一ということでふえてきまして、全体では二千五百九十五ということで大きく伸びておりますが、鉱業なり採石業の方もそれぞれ三百八十二、百五十一ということで、数字がやや大きくなってきております。
 しかしながら、直近の昭和五十五年度の数字を見ますと、振動障害全体の新規発生というものは、林業関係が昭和五十五年度におきましては八百二十一人ということで、五十三年のピークの千四百三十一人に比べますとかなり大幅に減少してきたというようなこともございますし、鉱業関係も、ある程度潜在していた患者さんの発掘が進んだというふうに即断はできませんけれども、数字の上では鉱業関係、採石業関係はそれぞれ五十三年当時の数字よりも、特に鉱業について申しますと、ピークの五十三年度の三百八十二という数字が、五十四年には二百七十九、五十五年には二百七十一ということで、横ばいないし若干下回る数字になっております。それから採石業について申しますと、五十三年の百五十一という数字が五十四年には七十七、五十五年には九十四ということでございまして、確かに御指摘のように、従来振動障害と言えば林業の専管であるかのように受け取られておりましたものが、林業以外の鉱業なり採石業なりあるいは建設業その他にも見られるようになってきておるという実態がございますから、その意味では、振動障害は必ずしも林業のみのものではございません。ただ、鉱山関係の数字について申し上げれば、五十三年が数字の上では林業も鉱業もいずれもピークの形になっておる。現在、むしろ直近の五十五年では、いずれも数字としては若干下回った数字になっておるというのが現状でございます。
#77
○藤田(高)分科員 年度によって若干のでこぼこはありますが、いま御説明のように、これは潜在的にあったと思うのですけれども、統計の上にあらわれてきた傾向を見ますと、やはり急増傾向にある、こういうふうに趨勢としては把握しても間違いない、こう思います。そういうことになりますと、先ほど指摘しましたように、金属鉱業とか採石とかあるいは建設とか製造業関係を含めた、特に金属鉱山鉱業関係の振動病対策を急がなきゃならぬと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
#78
○林部説明員 御指摘のように、私どもの振動障害防止対策というのは、確かに歴史的には林業関係におきましてすべて先行いたしておるわけでございますが、その他の業種につきましても、巡回方式によります健康診断でございますとか、その他林業に準じました予防対策のガイドラインというものをお示しをいたしまして、防止対策に努めてきておるということでございます。
#79
○藤田(高)分科員 具体的な対策については、今後積極的に進めてもらいたいと思いますが、私は、一昨年、昨年と、愛媛県新居浜市の別子鉱山に勤めておった退職者、その振動病患者同盟と一緒に労働省にも二回ほど陳情にも参りました。そこで、これはもう私から申し上げるまでもないところですが、患者同盟に代表される、あるいは振動病で悩んでおる患者の立場から言いますと、振動病については林業が中心であったものですから、結果的にはどうしても振動病というのは上半身といいますか、そういうものに限定をされていた。しかし、これは後でも質問いたしますが、せんだって、昨年、鉱山労働者の作業態様というものをビデオにとりまして、労働省にも持ってきて補償課長にも直接ごらんになってもらったところでありますが、これは言うまでもないところですが、振動病については、振動が負荷する部位によって症状が異なる。したがって、首にくる者もあれば肩にくる者もある、あるいは腰にくる者もあれば足の関節にくる者もある、全体的にくる者もある、こういうことになりますと、従来、どうしても上半身の上肢の局部的な障害として認定されておったのですが、やはり今日の現状からいいますと、これは全身障害として認定する段階になってきたんじゃないか、こう思うわけですが、また、そう認定すべきだと思うのですが、どうでしょうか。
#80
○林説明員 確かに先生の言われるように、振動は、振動が実際に起こる部位に関連していろいろな障害ができてまいります。したがいまして、手だけでなくて、鉱山のように足も使うあるいは腰も使うということで、そういうところに障害が起こる場合もございます。それは決して私どもの認定の中で否定しているわけでございませんで、腰に実際の障害が起これば、それは業務上の災害として認定をして補償をしております。
#81
○藤田(高)分科員 この点は、診断の結果そういう全身障害として認定しておるということですけれども、いままでは、どうしても医者の方が局部障害的なものとしてもう先入観的に取り扱うという傾向が強かったのじゃないか。そのあたりには、認定との関係もありますが、行政指導の面で全身障害としてやはり治療の対象にするという観点を重視した行政指導が必要じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#82
○林説明員 いま先生から全身障害ということが言われましたけれども、その全身障害という言葉の意味が、いわゆる振動病は全部全身障害で、どんなものも振動病にかかると頭から胃から腸から、あるいは糖尿病になったりするというような内容になってしまっては非常に困るので、私ども言っているのは、全身障害ということでなくて、振動を受ける局所の障害が主体に起こってくるわけで、ただ、その局所はいろいろ振動工具を使う部位とか体位とか、そういうもので異ってくるというふうに考えております。
#83
○藤田(高)分科員 きょうは、内臓にまで関する問題を含めて直ちに全般的に全身障害として認めろ、そうあるべきじゃないかという議論をする時間的余裕はございません。しかし、少なくともいま私が言ったように、足や腰やあるいは肩というような、そういう主として外にあらわれてくる全身障害的なものについては、端的に言って、文句なしに全身障害として認定の対象にすべきだ、こう思うのですが、どうでしょうか。
#84
○石井(甲)政府委員 御指摘のように、作業の仕方によって、上肢以外の部位に直接振動被曝を受ける場合等がございます。その場合に、そういうことについてどう考えるかということについては、かなり医学的な問題がございますので、専門家会議で御検討願う考えでございます。しかし、当面の場合には、個々の事案に即しまして専門家の意見を求めるということで現状では処理してまいりたいと思います。
 また、御指摘の削岩機取り扱い時の作業姿勢等によって生じた腰痛とかあるいはそのほかの疾患につきましては、振動障害とは別に、業務上になりますので、その場合の措置をとって補償を受けるということも可能でございます。
#85
○藤田(高)分科員 これまた余り突っ込んだ議論はできませんが、余り局部障害的なものとして枠を狭めるような方向ではなくて、きわめて客観的なものによって治療対象あるいは振動病の認定対象としていくような方向で取り組んでほしい、こう思います。
 そこで、実は、ただいま局長の答弁では、その種のことについても、振動障害の治療専門委員会のことをおっしゃったのじゃないかと思うのですが、そういう専門的な立場においてもさらに検討したいということですが、昨年陳情に参りましたときに、愛媛大学の医学部の百九十名の患者を診断した貴重な資料を持ってまいりまして、医師二十名によるレントゲンあるいは心電図の診断の結果として、たとえば首に異常が出ておる者が五六%とか、腰骨に異常の出た者が三八%とか、あるいはひじ骨が五五%とか、心臓関係にまで及んでいるのではなかろうかと診断した者が四%とか、そういう非常に貴重な資料が出ておりますが、この資料については、単に当局に資料として出しっ放しではなくて、こういう資料を現実の生きた資料として専門的な委員会においても生かしてほしい、こういう要請をしましたところ、たしか昨年の七月の段階では、ことしの暮れまでには、いまから言えば去年の暮れまでですね、それまでには専門の医者を含めて十分検討をしてみたい、こういうことでございました。そういう具体的な作業はその後進んでおるものと考えるわけですが、どうでしょうか。そして、その方向はどういうものだったでしょうか。
#86
○林説明員 先生のおっしゃられている振動関係の専門のお医者さん方によります振動病の治療の検討でございますが、これは、現在までにすでに四回ほど開かれております。まだ内容は確定をする段階ではなくて、いろいろなところの事例を集めて先生方にお渡しをして検討をお願いしている、先生の方から出されました例の映画もそれから内容も皆その委員会の方にお出しをして十分検討している、まだまとめる段階には至っておりませんが、現在はそういう段階でございます。
#87
○藤田(高)分科員 この種の専門的な問題ですから、われわれが考えるように右から左というわけにはいかぬかもわからない。しかしながら、この振動病の問題についても、この問題を提起してから時間もかなりたっておることですから、決定的な最終結論でなくとも、中間的な結論ぐらいは早く出してもらいたいと思うんですよ。これはやはり患者の立場に立って対応すべきだと思うのですが、その点どうでしょうか。
#88
○石井(甲)政府委員 問題の緊急性にかんがみまして、労働省としてもできるだけ早くその結論を得るように努力をしてまいりたいと思います。
#89
○藤田(高)分科員 私は、具体的な期日まではここで求めようとは思いません。局長のいまの答弁を信頼して、早く少なくとも中間的な結論を出してもらえることを期待いたしたいと思います。
 ただ、ここで、最後にこの問題についての要望が一つありますのは、医者といえども万能じゃないと思うんですね。こういった鉱山労働者の作業形態の内容についてまで詳しく理解しておる医者だけだとは思いません。そういう点では、行政的な皆さんの方がいろいろな資料なり材料で医者をリードし得る判断材料を持っておると思う。そういう点では、行政的な立場からは専門的な医者とかあるいは専門家をリードする方向で、中間報告が早く出るように、これは要望をいたしておきたいと思います。それはよろしいですね。――ちょっと返事をしてくださいよ、うなずいたことは議事録には残らないから。
#90
○石井(甲)政府委員 先生御指摘のように大変重要なことでございますので、先ほどできるだけ早く結論を得るように労働省としても対処したいと申し上げましたが、中間報告がいいのか、あるいは場合によっては、早い場合には全体に対処するということで、御趣旨に沿うようなことでやってまいりたい、このように考えております。
#91
○藤田(高)分科員 時間がありませんので先を急ぎますが、二つ目の問題は、労災法十四条二項にかかわる休業補償給付の給付額のスライドに関する問題でございます。
 これは言うまでもないところですけれども、労災保険給付制度のスライドというのは、労働者が労災にかかったら、元気で働いておった当時の稼働能力の損失の補てんを、できる限り早くスライドによって失われた稼得能力の実質的な価値を維持していくんだということがこのスライドの目的であろうと思います。
 ところが、最近、鉱山労働者等がけがをして休業補償の対象になっておりましても、そのスライドの幅が二〇%だというようなことで、実質的には機能してない。もう五年間一回も該当者がいないというようなことになりますと、これは法律があって法律がないということになると思うのですが、その意味においては、時間の関係もありますので結論的に申し上げますと、傷病補償年金では、御承知のように五十二年当時は二〇%であったものが一〇%にスライドの幅が縮まった。五十五年にはこの一〇%が六%に縮まった。ところが、休業補償の方だけは依然として二〇%で残っておる。こういうことになりますと、鉱山労働者の場合等においては月額七万か八万程度で休業補償に甘んじている患者がおるわけです。私は、これはどう考えても、早く法律改正をやって、せめて年金並みの幅にすべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#92
○小田切説明員 休業補償給付のスライドにつきましては、いま先生からお話がございましたように、類似の労働者の賃金の変動幅が二〇%以上ある場合に、この変動幅に応じて給付額をスライドアップするという制度になっておるわけでございますが、こういうような制度になっておりますのは、そもそも休業補償給付の賃金スライドにつきましては基準法の上に根拠の規定がございまして、労災保険法では基準法の規定を準用して、いま申し上げましたような二〇%でスライドを行うというようなことをしているということでございます。基準法の規定がそうなっているというようなこと、それから、年金に比べますと休業補償給付は短期的な給付ということが言えるわけでございますが、他の似たような社会保険的なものにおきます短期的な給付における仕組みというようなものも参考にいたしまして、現在二〇%というようなことにしておるわけでございます。そういうこととのバランスを考えたり、根っこの基準法上の規定をどう考えるかというような非常にむずかしい問題があるわけでございますが、御質問の趣旨も私どもわかりますので、そういうむずかしい問題がございますが、これから慎重に研究してまいりたい、こういうふうに考えております。
#93
○藤田(高)分科員 この問題も、これまた時間的な関係で深く議論をすることができませんが、たとえ短期的なものであっても、不合理なものは不合理なものとして、基準法との関係のあることも十分承知をしておりますが、しかし、そういったものとの見合いあるいは他の法律との関係もありますが、そういうものを含めて、せっかくスライド制があっても五年も六年も機能しない、ほとんど機能しないものについては、やはりここで法律改正を含めて具体的に検討に取り組むというぐらいなことはあってもいいのじゃないか。これは当然の要求だと思うのですよ。その点どうでしょう、大臣。
#94
○初村国務大臣 いま、いろいろとお話を聞いておったわけでございますが、係の方から、労働基準法にのっとってこれをやっておるんだ、あるいはまた社会保険制度というようなものとの兼ね合いもあるというような答弁がありましたけれども、スライド制が二〇%というものをそのままずっと続けておるということは、私はやはり見直すべきではなかろうかと考えます。したがって、実態に合うようなことにすべく、慎重に研究してみたいと思います。
#95
○藤田(高)分科員 いまの大臣の御答弁は、よく逃げ答弁として言う、慎重に検討してみたい、そういうものではないというふうに私はまともにとりました。ですから、具体的にそういう検討に取り組む、もうこの委員会を契機に具体的に検討を始めると理解していいですね。
#96
○初村国務大臣 私は、すべて言ったことはすぐ実行せねば気が済まないたちでございますから、直ちに検討するように指示をいたしたいと思います。
#97
○藤田(高)分科員 私が受けとめたとおりでございまして、どうぞそういう方向で直ちに検討にかかっていただいて、その検討期間も、検討しよる、検討しよるということで今後引き延ばすようなことではなくて、これまた早く、やはり悩んでおる人たちの立場に立って、私がいま訴えておるようなことが実現できるように、その結論を急ぐことを含めて検討をやってもらいたい。要望しておきます。
 最後に、もうあと五分ですから、いま一つだけ質問いたしますが、これまた労災法の施行規則九条の三ないし四号にかかわる問題でございますが、振動病患者の平均賃金の算定のあり方、これももうああだこうだということは申し上げません。結論的に言えば、じん肺患者の平均賃金の算定と同じように、言葉をかえて言えば、稼働能力が適正に反映できるような平均賃金の算定方式を考えるべきじゃないか。これは私から言うまでもなく、法律改正の必要はないわけでございまして、いわゆる政令改正ですか、そういうものによって、規則の改正によって十分できるわけですから、これまた当局においては相当な検討もしておることだと私は思いますので、今日段階における考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
 この問題は、社労委員会におきましては、私ども同僚議員が、五十五年の四月あるいは五十六年の五月というふうに、大臣答弁を含めてもう何度となく要望しておることなんです。私が前段も、検討検討ということで時間を引き延ばさないようにというようなよけいなことを申し上げたのも、この種の問題でも、規則の改正でできるものでさえ二年も三年も検討の期間が長引くということは、きわめて行政の怠慢だとさえ責めなきゃならぬと思うのですよ。
 そういう意味で、この問題については十分な検討をしておることだと思いますので、これこそ直ちに適正な平均賃金の策定方式に改正をするということをひとつ答弁願いたいと思うのです。
#98
○石井(甲)政府委員 平均賃金の問題につきましては、御指摘のように、現在は災害発生前三カ月の平均でやっておるわけでございますが、振動症業務以外に転換した場合については、当時の賃金に比べて賃金額が低下することもございますので、現在じん肺に行っていると同じように、それに準じたような措置をとるように検討してまいりたいと思います。
#99
○藤田(高)分科員 これまた検討してまいりたいということですが、もう結論出していいんじゃないですか、どうですか。
#100
○倉橋説明員 先生御指摘のように、この問題につきましては、労働省内部におきまして鋭意検討しておりまして、その結論も間もなく得られるのではないかという段階でございますが、もう少し時間をかしていただきたいと思うわけでございます。
#101
○藤田(高)分科員 せっかくそこまで検討が進んでおるのでございましたら、先ほどの労働大臣の御答弁ではございませんが、目鼻がつけば、極端に言えば、もうあすあさってのうちにでもまとめさせて、改定するというぐらいなことの御答弁はあってもいいんじゃないですか。大臣、どうでしょうか。
#102
○初村国務大臣 局長あたりは慎重な答弁をすると思います。したがって、私は政治的立場から、先生の言われるとおり、期待に沿うように早急に結論を出したいと思います。
#103
○藤田(高)分科員 かれこれ時間も来たんだと思いますが、どうぞひとつ、これはこの予算委員会が終わるぐらいまでの間に結論を出していただくように強く要望して、質問を終わりたいと思います。
#104
○海部主査 これにて藤田高敏君の質疑は終了いたしました。
 次に、三谷秀治君。
#105
○三谷分科員 私は、大阪の明治乳業という事業所で起きました人権侵害と労働基準法違反の問題についてお尋ねしたいと思います。
    〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕
 明治乳業の大阪工場におきまして、入社後十八年たちます松本寿子さんという三十四歳の婦人労働者がおります。この人をこの明治乳業大阪工場では、下請企業であります、四キロほど離れております港湾冷蔵という企業の冷凍冷気が吹き出す冷凍倉庫入口わきの畳一畳半ほどのプレハブ小屋に隔離する、こういう前近代的な処置を行っております。この松本さんは、会社の差別的な嫌がらせによりまして、十年前に他の労働者と切り離されて、この下請工場の一部に堀っ立て小屋をつくって、そこで作業をやらされる。二年半ほど前からいまの一層狭隘な劣悪なプレハブ小屋に隔離されたのでございます。
 松本さんは、会社に対して改善を要求しますとともに、大阪法務局人権擁護部に対して昨年の十二月五日にこの事実を訴えて救済を求めておりますが、法務省は、この人権侵害の事実について、この事実関係の調査を行っていらっしゃるかどうか、お尋ねしたいと思います。
#106
○水流説明員 御説明いたします。
 御指摘のように、昨年十二月五日にただいまお尋ねのようなお話がございましたので、昨年の十二月二十一日が第一回目でございますが、それから最近と、二回にわたりまして、大阪工場の担当課長等を大阪法務局に呼びまして、事情聴取をいたしております。
 そういう勤務状況になったいきさつ等についての調査は継続中でございますけれども、その調査の間に、人権侵犯に当たるかどうかということは別としまして、現実にそういうふうにして泣いているといいますか、訴えている人がおるということを強く申しまして、人権尊重の立場からしかるべき改善措置をとってほしいということを強く啓発したわけでございます。それで先生も御承知のとおり、会社側は三月の八日付でもとの工場に戻すということを決定したというふうに表明しておる次第でございまして、そういう調査の状況でございます。
#107
○三谷分科員 十二月五日に申告をしまして、こういう深刻な事態、これが改善をされないままで経過したわけですが、十九日ごろでありますか私どもが調査に乗り出しましてから会社の方で帰すということになったわけでありますが、このような非人間的な差別扱いを従業員に対して行ってきたこと、この社会的な責任というふうなものも明らかにしなくてはいけません。問題になったからただ帰す、理由も明らかにしないままでこういうところに隔離をする、理由もわからぬままでそれじゃ帰そうというような処置をとっているわけでありまして、その間の会社側の処置というものは決して首肯できるものではないのであります。
 どういうところで作業をしておったか、これは基準局長にもごらんいただきたいと思いますが、こういう場所でありまして、畳一枚半の狭いプレハブ小屋であります。夏は西日が差しまして大変な暑さになってくる、冬になりますと冷凍庫の入り口でありますから冷凍の冷気がそこに入り込んでくるというような状況になっておったわけでありますが、法務省としましてはまだこの具体の事態については十分におつかみになっていないのかどうか。その場所等についてもお調べになったのかどうか、お調べになっておればそれについては一体どのような所感をお持ちになっているか、お聞きしたいと思います。
#108
○水流説明員 会社の関係者等からいろいろお話を聞いて説明を受けたということで、現実に現場を見たかどうかまでは私ちょっと確認いたしておらないのでございますが、先日報告を受けました際にちゃんと現場も見るようにと申しておきましたのであるいはもう見ておるかもしれませんが、それについて具体的にいまここで感想を申し上げる状況にないのでございますが……。
#109
○三谷分科員 ただ、会社がいまになって帰すと言ってきたからそれでいいという性質のものじゃありますまい。こういう人権侵害事件につきましては説示という制度もありますし、勧告という制度もあるようでありますが、これは単にこの松本君だけではありませんですよ。なお四十五名の労働者がいろいろ差別扱いを受けておるわけであって、そういうことをきわめて一般的に行っている工場でありますから、十分な調査を行って人権についての十分な教育、指導等を行う必要があると思いますが、この点はどうお考えでしょうか。
#110
○水流説明員 先ほども申しましたように、ただいま私どもといたしましては事情聴取をやっている最中でございますので、今後どういう形で進展するか予測がつきませんが、さらに事情聴取しまして、労働基準局その他の関係当局とも十分御相談しながら、啓発の必要があればそれも当然考えていきたい、こういうふうに考えております。
#111
○三谷分科員 この差別の原因というのは、いまからすでに十数年前になりますが、会社側が労働組合を御用化するという意図を持ちまして会社側の意図するような組織、志宝会と言っておりますが、これをつくったわけでありますけれども、これに参加しなかった労働者、二百名中四十五名ほどおります。それが恐らく一つの原因であろうと思う。もう一つは、松本さんが作業着の洗いがえを要求した。松本さんだけじゃありませんが、婦人の方が要求したわけですが、松本さんが先に立って言った。これしか理由がないわけです。
 この志宝会に参加していない四十数名は、それぞれ賃金等におきましても差別を受けております。作業の上でも極端な差別を受けております。いまは少し近代化されましたけれども、何といいましてもこういう冷凍関係の事業でありますから、硬化室といいまして零下三十度の冷凍室があるわけでありますが、そこに入る作業などは、この志宝会に加わらなかった労働者を次々と頻度を非常にふやして入れるというようなことも行っております。それから、高い技術を有しております労働者でも牛乳瓶が壊れているかどうかチェックする単純な作業、これは牛乳瓶を入れる箱でありますが、そういう作業につかせるという例も数多く出ております。
 そして、こういういろいろな差割の一つの集約点として松本さんに対する隔離が行われたわけであります。松本さんはいまそこで出品伝票の整理を行っておりますが、これは大阪工場における伝票でありますから、これをわざわざ大阪工場から四キロ離れました下請のプレハブの小屋にボール箱に入れて運んできて、そして隔離部屋で作業させております。しかし、仕事も十分にはありませんから、いわゆる仕事を干されるという状態があるわけであります。
 二度と再びこういう差別があってはならぬことは言うまでもないわけでありまして、松本さんはこれまでの屈辱、そして人権侵害に対して謝罪文を掲示しろということを要求しておるのであります。これに対して、長期にわたりまして――十年以上でありますから、こういう非人間的な扱いをしてきて、理由もまだ明らかにしていない、そしてもとに復帰させるというだけでは、了解できないのは当然であります。
 私は、人権擁護局が本来の使命を果たすために、こういう場合にはもう少し迅速、的確に実態を把握する活動をしてほしいと思うのです。きわめてマンマンデーであって、いわば職務の怠慢に等しい状態があると私は思っておるわけでありますが、そのことをお願いしたいのであります。
 それから、労働省は大阪労基局を通じまして事件の概略は御承知だと思います。労働基準局もやってまいりまして小屋の寸法などをはかって帰っておるようでありますから御承知だと思います。これは労基法の三条に明白に違反していると私は思っておりますが、これについての労基局の見解をお尋ねしたいと思うのです。
#112
○岡部説明員 先生が大阪局に見えられまして監督課長と面談された模様等々につきましては、現地から報告を受けているところでございます。
 本件、松本さんの件でございますが、私どもの観点からいたしますと、作業環境等労働条件確保の面で関係法令に抵触することがあってはならないという観点から、所轄の署から実地に実態を調査いたしたわけでございます。その詳細につきましてはまだこちらに上がってきておりませんけれども、先生お尋ねの労働基準法の差別問題と申しますかそういう点につきましては、つまり三条の差別に当たるかどうかという点につきましては、非常に判断がむずかしいのが一般でございます。
 本件につきまして私ども聞き及びますところによりますと、これは現在三条に当たるかどうかということで民事訴訟中であるというふうに聞いているわけでございます。その訴状なども私ども見たわけでございますが、そのように現在裁判所において係属している事案につきまして、ここで監督署が、それが三条に触れるかどうかという点につきましては申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。
#113
○三谷分科員 確かに四人ほどの労働者の方が裁判所に提訴されておるということは私も聞いておりますが、差別を受けておりますのは四十五名に上るわけでありますから、大多数の人が裁判所の救済はまだ求めてはいないのでございます。ですから、裁判所の救済を求めていらっしゃる方はいまおっしゃる点があるとしましても、大多数の方がそういう状況にはないわけでありますから、基準局としては独自の活動と判断でこの真相について当然調査をされるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#114
○岡部説明員 現在四十五名の志宝会に入っておられない方のうち四名についての民事訴訟というふうに聞いておりますが、その残りの方々の問題につきましても、これは性質といたしまして法的な意味合いは同じ観点からなされるべきものであろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、その点につきましても、その民事訴訟の結果を見て措置いたしたいというふうに考えておるところでございます。
#115
○三谷分科員 四名の方は四十五名を代表して提訴されたわけではないのであって、これは四名の方が四名の任意の意思で提訴されております。事柄の内容につきましては類似している点もあります。個別に条件の違う点もあります。それはそもそもここに勤務しました条件等から差があるわけでありますから、これは全部同一のものではないのでございます。
 そういう点からしますと、裁判中のものについては基準局としては三条についての認否の決定はしないというのもおかしいことであって、裁判に出している人は裁判に出している人、出してない人は出してない人として独自の調査をされる必要がある、私はそれが本当だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#116
○岡部説明員 先生御指摘の点は、これはやはりケースによっていろいろ私どもの対処の仕方が異なってまいるわけでございます。本件につきましては、やはりこの志宝会に入るか入らないかということに基づきまして発生しております事案でございます。そこが問題の本質であろうかと思います。したがいまして、その事案の中核的な部分は同質であるというふうに私ども判断をいたしておるわけでございます。
#117
○三谷分科員 志宝会に入っていないために差別を受けてきている、その差別にはいろいろな形態がある、そして四名の方は訴訟を起こされて、他の方は基準局の救済を受けるという考え方でおるわけでありますから、それはそれなりに調査をされる必要があるのではないかと私は思っておりますが、どうでしょうか。
#118
○岡部説明員 その点につきましては、繰り返すようでございますけれども、事案全体を通じまして、私どもも現地から報告を受けて検討したわけでございますが、この質を同じくする問題の処理ということで、その四十一名の方について判断を下すということは、これはやはりその裁判を待ってからの方がいいというふうに考えたわけでございます。
 なお、本件につきましては、現地におきまして申告事案というふうな形ではなっておりませんで、私どももこの事案を知りましたのがごく最近のことに属するわけでございます。したがいまして、私どもなおいろいろ状況を分析してまいりたいと思いますが、現在における判断というのは先ほど来申し上げているようなことでございます。
#119
○三谷分科員 いまおっしゃったようにいろいろな状況を判断されて、そして少なくともその事態がどうなっておるか、あるいは提訴していない労働者についてはどうなのかという点については、ぜひ調査をお願いしたいと思います。基準局長さんどうでしょうか。
#120
○石井(甲)政府委員 この事案につきましては、いま監督課長が申し上げたような状況でございますが、ただ労基法第三条に違反する事実が認められれば、具体的事実を付して、これを所轄の監督署に申告をお願いしたいと思います。そういう形を通じてこの問題に対処していくという道があろうかと思います。
#121
○三谷分科員 そのおっしゃることはよくわかります。聞きますとどうもまだ基準局の方に具体の状況を付した提訴をしていないようでありますから、これは早急にやってもらうことにしまして、それが出ました場合にはそれに対して適正な対応をお願いしたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#122
○石井(甲)政府委員 十分に実態を把握して対処してまいりたいと思います。
#123
○三谷分科員 それからいまの小屋の件ですね。あの小屋の件については基準局としては調査になったと思いますが、これについてはどのような御見解でございましょうか。
#124
○岡部説明員 この調査も実は昨日か一昨日というふうに聞いておりますが、したがいまして、その報告がまだ上がってきておらないところでございます。十九日に先生がいらっしゃったときにも、現地の課長から申し上げておりますとおり、安全衛生面から言いますと、たとえば一人当たりにつき気積の問題がございます。そういうふうな安全衛生面の問題も含めまして総合的に監督をいたしたことと思っております。
#125
○三谷分科員 いたしたことと思っているというわけであって、それは課長さんの判断であって、実態はどうされたかはまだわかっていないわけですか。
#126
○岡部説明員 これは現地の判断が出れば、報告が来ることになっております。
#127
○三谷分科員 いまおっしゃいますように、基準局がこの調査にかかられたのもつい最近でありますし、それから人権擁護局がこの調査に入られたのも最近でありますから、いまお答えになっているような事情は確かにあると思うのです。
 そこでそれはそれとしまして、いま見ていただきました小屋ですね、大臣もごらんになったと思いますけれども、ああいうところで労働者というものを、まあ最近の速記録を見ますと、職場何というんですか忘れましたけれども、職場から除外するやり方、何かこの表現があるようですが、前回の人権問題の質疑を見ますと職場八分というんですか、そういうものだということを、当時のこれは人権擁護局長ですか、おっしゃっておるようでありますが、まさに職場八分でありますから、これについてはなおよく実態を調べていただいて、こういうことが許されてはならぬということ、この点を十分に警告していただきますとともに、会社側がこういう処置をとってきましたことに対しても、申告をしますから、基準局としてよく調べていただいて、十分な指導をお願いしたいと思うのです。
 それでこういう処置は、松本さん以外にもあります。やはり明治乳業の岡山工場の松田研之という人がおりますが、この人は四年前に農耕をしておってけがをしまして、それ以後会社側の就労拒否に遭いまして、一年ほど前から松本さんと同じような状態に置かれておるという事実もございます。これについてもぜひ御調査をお願いしたいと思いますが、どうでございましょうか。
#128
○水流説明員 ただいまのお話は初めて聞くことでございますので、現地に早速連絡いたしまして、事案によりましてはしかるべき調査等を必要に応じてやっていきたい、こういうように思います。
#129
○三谷分科員 必要に応じというよりも、まず調べてもらわぬとわからぬわけですよ。必要がないから調べなかったということでは困りますから、まず調べていただいて、結論をぜひ出していただきたい。
#130
○水流説明員 そのように努力いたしたいと思います。
#131
○三谷分科員 賃金差別の問題はいろいろあります。四十五名が賃金の差別を受けておりますが、この松本寿子さんの場合は、勤続年数の同じ十八年の労働者と比較してみますと、一般の労働者が十九万三千三百六十円の月収でありますが、松本さんという人は十三万六千円であります。ですから、勤続十八年の労働者が賃金に五万以上の差がついておる、こういう実態があるわけであります。
 これは松本さんだけじゃありません。いま申しました志宝会に入らなかった労働者、たとえば二十一年勤続の伊藤武治君という人がおりますが、この人は二十一年勤続しまして十二万五千八百八十円であります。想像ができない。これに対して、同じ四十歳で勤続年数はなお非常に少ないわけでありますが、これで十七万六百五十円になっておる。非常な格差があります。ナカガユキオ君という人の場合は、これは基本給が十三万五千五百七十円でありますが、これに対して同じ条件で志宝会の会員の場合十七万二千二百八十円、こういう差別も出ておるわけであります。イトガヒサシ君という人は、これは勤続二十年でありますが、この人も基本給が十一万五千四百二十円であります。そしてこれに対して、二年前に入った志宝会の会員というのが九万五千円でありますから、勤続二十年の労働者と入社二年の労働者の賃金がほぼ等しい、こういう差別が出ておるわけでございます。
 ですから、こういう状態を見ますと、四十五名の労働者に対する差別賃金というもの、これは一人の労働者が月四万の差があるとしまして、十年間で一億数千万円の差額が明らかに出るわけであります。こういう実態については基準局としてもぜひ調べていただいて、なぜこういう差が出ておるのかという点を明らかにして、これが思想や信条に基づくものであるならば、これは当然三条に違反をするということになるわけでありますから、これについてもひとつ基準局としても本気に調査をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
#132
○倉橋説明員 賃金につきましては、単に勤続年数が同じだからといって、その者が平均賃金より高い低いことがあったといたしましても、直ちに差別的取り扱いがなされたと即断することはできないと思います。やはりその取り扱っております職務の内容、責任の度合い、能力その他のいろいろな関係で賃金の差があるというのは、いかなる会社におきましてもあり得るわけでございます。したがいまして、私どもそのような差が個々にあったといたしましても、直ちにそれをもって労働基準法に抵触するというような前提で調査をすることは、いささか無理があろうかと思います。
 なお、先ほど局長からお話がありましたように、それらの事案、三条違反ということにつきまして具体的に事実を指摘いたしまして、個々の労働者の方が申告をしていただきますれば、それに基づいて必要な対応をいたしたいと思います。
#133
○三谷分科員 労働者の職務上の責任だとか技能の差とか、そういうものによって賃金に差があるなんということは、これはもうだれでもわかっていることです。
 私が言いましたのは、志宝会に入っている人と入っていない人、技術の問題を比べてみても勤続年数を比べてみても、二十年勤続なんてたくさんおるわけですから、比べてみましても、そのような大きな差がつく根拠はどこにもない。あるのは、志宝会に入ったか入らなかったかというところですね、ここに大きな根拠があるわけであります。
 そして、その差別をどのようにやってきたかという問題につきましては、会社内部の資料も大分持っておりますけれども、きょうは時間の関係でお尋ねはできませんが、いま局長がお答えになったように、この問題についていろんな複雑な要件を絡めておりますから、ぜひ調査をいただいて、そして妥当な結論と指導をお願いしたいと思いますが、ひとつ大臣の所見をおっしゃっていただきたいと思います。
#134
○初村国務大臣 いま、志宝会に入っておる労働者と入っておらない方の差別が非常に賃金的にもいろいろ出てきておるようでありますが、やはり私も中身を十分知らないと軽々な答弁もできません。したがって、中身を十分調べた上で、私の方で勧告するところは勧告をし、さらにあっせんをしてやらなければならないところはあっせんして努力してまいりたい、かように考えます。
#135
○三谷分科員 終わります。
#136
○亀井(善)主査代理 これにて三谷秀治君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林政子君。
#137
○小林(政)分科員 私は、まず労働大臣に確認をいたしたいというふうに思っておりますけれども、大臣に伺いたいと思っておりますのは、労働組合法第一条の目的に「この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進する」ため、労働者の地位の向上あるいはまた
 「労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること」などが明記されているわけでございます。つまりこのことは、労働組合法第二条、第五条二項で定められた労働組合が使用者と対等の立場で交渉をやり、労働条件あるいは地位の向上を図る手続規定を定めたものであると理解をいたしておりますけれども、これで間違いございませんでしょうか、まず確認をいたしておきたいと思います。
#138
○吉本(実)政府委員 ただいま先生がおっしゃっておる法文の運用並びに解釈の問題、おっしゃるとおりでございます。
#139
○小林(政)分科員 その点をまず確認をいたしました上で、私は、東京足立区の光陽社という会社では、管理職である課長が先頭に立って、全金の組合員に対して大変な集団暴力、つるし上げをやっています。一人とか二人とかの組合員を三十人とか四十人の第二組合員が取り囲み、ゴキブリだとか会社をやめてしまえなどと罵声を浴びせながらもみくちゃにして、しごいたりけ飛ばしたりして大変なことがやられているわけでございます。五十四年七月から今日までの二年半の間に、三百四十回もこうした不当な集団暴力が繰り返され、ときには同じ一人の組合員に対して、朝昼晩と集団的つるし上げを繰り返すという事態が起きております。全金の組合員が告訴した傷害事件だけでも五十五年の二件と五十六年の二件と四件にもなるわけでございますし、告訴しなかった暴力事件というのは相当多数あるということでございます。そして、暴力によって会社をやめさせる、組合をつぶすというような、こういうやり方で重大な人権侵害が白昼公然と会社の中で行われている。しかも管理者を先頭としてやられているということは、労働組合法の精神に反するものであり、まさに異常な行動であると言わなければならないと思いますけれども、大臣、これに対してのあなたの見解をまずお伺いをいたしたいと思います。
#140
○初村国務大臣 私は、やはりいかなる場合でも、労使間において、しかも会社の監督的な立場にあるような方が暴力行為をするということは許されない、かように考えます。したがって、その会社の実態を私もいま聞いたばかりですから、よく東京都に連絡をして、それで実態を聞いた上でしかるべく対処をしていきたい、かように考えております。
    〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
#141
○小林(政)分科員 この会社は長い間このような事態が続けられておりますので、事実不当労働行為の問題についてもいろいろと地労委に提訴されたり、あるいは暴力事件については告訴も行われるというようなことが繰り返されている事案であります。したがって、いまさら大臣がお調べいただかなくてもすでに明確になっているのではないか、このように思います。しかもこうした中で労働組合運動をつぶしていこうとする動きというのが相当極端に行われているというのは、この写真をひとつごらんいただいてもおわかりになると思います。
 その写真のように、実際には第二組合が結成をされたその当時、管理職が先頭に立ってこういったヘルメットをかぶったり、あるいはまたマスクをしたりというようなこういう異常な事態が門前で繰り返されているわけでございます。こうした問題について事実調査をされるということはやはり非常に重要ではないか、このように私は思っております。
 大臣、こうした問題について厳重に労働組合法の精神に照らして、このような異常な事態をやめさせていくという強い指導をしていくことが組合法の精神にのっとっているのだというように言わざるを得ないと思いますけれども、いかがでしょう。
#142
○吉本(実)政府委員 先生御指摘の光陽社の中には、実は先ほどちょっと触れましたけれども、光陽社の全金労光陽社支部とそれからほかに従業員組合もあると聞いております。そういった中でいろいろな問題が起きることでございますが、いずれにしましても、それぞれの組合が労働組合として活動を行うに際して使用者がいろいろと不当労働行為的なことを行うということは、やはりそういった点は法としても許されないところでございますし、本件につきまして一度都労委での命令もあったというふうに聞いております。そういった意味で私どもも企業内におきますそういった労使の実態も踏まえながら、東京都とも連絡をとりながら、先生おっしゃるようによく実態把握してまいりたいというふうに思います。
#143
○小林(政)分科員 いかなる理由があろうと、会社が管理職を使ってこうした暴力が白昼公然と行われていく、しかも集団暴力です。会社側は組合同士の争いだなどというようなことを言っておりますけれども、私は、十七名の管理職が入っている、こういった事実等からも、実際問題としてこれは単なる第一組合、第二組合というような問題としてとらえることはできないというふうに考えています。結局、都労委の勧告もその点を重視して、不当労働行為である。暴力事件ということもさることながら、第一組合から第二組合へ引き抜きなどというようなことを業務命令もあるやに思わせるようなやり方で行わせているということはもってのほかだということで厳重な調査がされているわけでございますし、私どもはこれらの問題については労働省としても何らかの形で厳重に調査をしてもらいたいということを強く願うものでございます。
 しかも、五十年二月に結成をされた全国金属光陽社支部をつぶすために会社側がいろいろと画策をしてまいりました。五十三年十一月、第二組合の結成に際して管理職である部長、課長から第一組合に対する激しい切り崩しが行われたという事実も明らかになっておりますし、また五十五年五月六日、都労委が労働組合法第七条三号に該当する支配介入の不当労働行為ということでこの問題は改善命令を出したわけでございます。私は、いまお見せした写真、管理職や第二組合員に対して会社の業務命令でヘルメットをかぶせたりマスクをさせたり、こうした全国金属組合員の活動を妨害するというものであると断ぜざるを得ません。
 都労委の命令にもかかわらず、会社は集団のつるし上げなど違反行為を改めるどころか、極秘の文書によって方針を徹底し組合つぶしを続けてきていることは明らかなことなんです。この極秘文書というのはどういうことが書かれているかというと、いわゆる団交の席上、取締役とかあるいは現在の総務部長、これはこの人が書いたものだというふうに言われておりますけれども、それにはこういうことが書かれてあります。これだけ不当労働行為をしておきながら何らの陳謝とかそういうものがここには書かれていない。このことは何を意味するかと言えば、「光陽社挙げて闘い抜いたこの事件」とか、「何ら動ずることなく全金の組合を抹殺するまで闘え」というようなことが公然と言われているのです。
 私は、こうした状態の中で、会社の方針を明確にして、管理職を先頭にしてこのような異常な集団つるし上げをやっているという事態から見ても、この点については厳重な調査を要求いたしたいと思いますが、いかがでしょう。
#144
○吉本(実)政府委員 ただいま先生御指摘のように、昭和五十五年五月六日に、都労委の方から救済命令が出ているわけでございます。主文といたしまして、会社は管理職をして組合員に対し脱退工作をさせたり、第二組合への加入を勧誘したりさせてはならないといったようなことを主たる内容として命令を出しているというところでございます。したがいまして、その命令が確定しないおそれがあるとすれば、それはいろいろ問題が多いというように思います。
 いずれにしましても、こういった先ほど申し述べましたような実態を、さらに東京都とも連絡をしながら把握してまいりたいというふうに思います。
#145
○小林(政)分科員 私は、不当労働行為の問題も含めて、会社がこういう暴力をやるなどということは、法律の精神から見ても決して好ましいことではないし、むしろまずいことだと思いますので、この点についてはやはりきちっとした措置をおとりいただきたいということを申し上げたいと思います。
 もう一つの問題は、吉野石膏の問題でございます。
 私は二回商工委員会でこの問題を取り上げましたが、同社は、二回も独禁法違反を犯し、昭和五十六年七月二十日に、一億六千六百七十七万円の課徴金の納付が命令された会社でございます。さらに同社は不当労働行為を続け、中央労働委員会に指摘され、改善命令が出されているにもかかわらず、これを実行に移そうともしないという、全くひどい会社であると言わざるを得ません。
 その吉野石膏が五十四年十一月二十八日付で千葉県の企業庁へ出した用地分譲申請書と施設建設計画書によりますと、同社の千葉県袖ヶ浦新工場の第一期工事は五十七年三月に着工し、五十八年二月に竣工の予定とされておりますけれども、新工場は、従業員の採用予定百人のうち、他の工場から配属する人は二十人と予定をされているようでございます。配転に伴う労働条件等について、労働組合が五十六年六月二日、第二回目は六月二十三日、第三回目はちょっと日時がわかりませんけれども、会社側に団体交渉を申し入れてまいりましたけれども、会社側は現在に至るもこれを拒否しております。
 大臣、このような場合、労使合意の上で進めるのが当然のことではないかと私は思いますけれども、大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
#146
○齋藤説明員 確かに労組法の七条では、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否した場合には、不当労働行為だというふうに定められておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のような事例につきまして、直ちにそれが違法であるとかあるいは不当労働行為になるとかということになりますと、それを判定する機関といたしまして労働委員会というのがございますので、その公正な第三者機関でございます労働委員会において判断をいただきたい、かように考える次第でございます。
#147
○小林(政)分科員 労働組合が団交を申し入れても会社側が認めないということは、これは明らかに第七条第二号の違反だというふうに私は思いますけれども、実際問題としては、労働組合法第七条の二号、使用者が雇用する労働者の代表と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒否することは許されないということが法文にうたわれているのです。
 こういう点から考えても、どうして一々労働者が救済機関である労働委員会に申請をしなければこういう問題が取り上げられないのか。法律にはちゃんと明記されているのです。しかしそれに対して、全部労働委員会を通せ、申告をしなさいということでは、これは筋が通らないのではないか、私はこのように思いますけれども、何のために法律に明記されているのか、その点について明確にお答えをいただきたいと思います。
#148
○齋藤説明員 確かに労組法の七条の二号におきましては、「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。」これを不当労働行為として禁止しておるわけでございます。
 また一方、労働組合法は、この使用者の不当労働行為が行われた場合の救済手続を定めておるわけでございまして、その救済手続の一環といたしまして、労働委員会という特別な組織を設け、そこの判断によって、具体的に労働者が不当労働行為を受けた場合には救済される、こういうような手続を定めておるわけでございまして、そういう意味におきまして、労働委員会において御判断をいただきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#149
○小林(政)分科員 労働基準局に申請をしなければ、そうしたことが法律にうたわれていても、具体的にはそれを実行に移すということはできないとおっしゃるのですか。
#150
○倉橋説明員 労働基準監督機関におきましては、その使命は、労働基準法、労働安全衛生法に定めております労働条件の最低基準を権限を持って履行を迫るということでございまして、労使関係に基づきます種々の問題につきましては、労働基準監督機関の権限ではございませんで、その点御理解いただきたいと思います。
#151
○小林(政)分科員 この問題について、法律できちっと、労働組合法の七条二号にも、団交拒否は禁止されているということは明記されております。それは確かに、救済機関に一々申告をしなければすべての問題が解決できないというのだったら、何でこんな法律を労働組合法の中でうたう必要があったのでしょうか。
 私はむしろ、権利救済ということではなくて、具体的に労働組合の三回も申し入れをしてもなおかつ団体交渉に応じないというような点で、やはりきちっと行政の責任で、そういう事態がわかった範囲内でやらせるというのは、労働行政の上でもこれから非常に重要になってくるんじゃないか、このように思いますけれども、大臣、政治的にもやはりきちっとした見解を発表してください。
#152
○初村国務大臣 いま私の方も、法律的にできることとできないこととあるわけでございます。したがって、不当労働行為をやった場合に、第三者機関の労働委員会にこれを処置していただくというのが筋のようであるそうでございますから、法律にあるから何で法律を守らないかということでございますけれども、相手がおることなんですから、相手が守らなければ、今度はそれを解決する第三者機関に持っていってやるように法律がなっているそうでございますから、その点はそういうことで御了解賜りたいと思います。
#153
○小林(政)分科員 ちょっと納得できません。私が昨年十月二十三日の商工委員会でこの吉野石膏の問題を取り上げましたときに、通産省も、会社運営に際しまして独禁法に違反をするとか、あるいはまた労働基準法に抵触するとか、そういうようなことはあってはならないと答えておりますし、独禁法違反を二回も侵し、労働委員会が三回にわたって解雇を撤回して原職に復帰させ、そして未払い賃金を払うよう命令を出したにもかかわらず、争議の解決交渉さえいまだ拒否されているような、こういう会社です。こうした会社に労働強化が強制されている、こういった実態は、有給休暇も満足にとれないという事態が起こっています。
 私は、五十三年十月十七日付で吉野石膏に対して、こういう中で足立労基署の署長が感謝状を贈ったという事実も許せないと思います。労働行政のあり方としておかしいのではないだろうか、このように思います。
 当時の実態は、吉野石膏は昭和五十一年、休憩時間を保障する労働基準法三十四条を守ってほしいと要求した労働組合に対してこれを拒否し、足立労基署が指導してもなかなか改めない、労基署も手を上げていたという経緯がございます。同年六月、足立労基署が吉野石膏に警告書を出しました。すると翌日、会社側が突っ返してまいりました。労基署は驚いて配達証明つきで郵送したということが伝えられております。
 そんな会社に、「貴事業場は多年にわたり労働基準行政に協力し、関係法令の普及徹底と労働条件の改善向上に努め、行政の推進に寄与されました」と感謝状が贈られたということは、これは当時の足立労基署長はもうすでに退職をしておられますけれども、現在の同署の次長は、「おかしいことだ。私ならば出さない」はっきりこうおっしゃっているのです。
 こうした問題がやられているということについて、大臣の見解を伺いたいと思います。
#154
○岡部説明員 先生の御指摘の感謝状でございますが、これは足立・荒川労働基準協会というものが創立三十周年記念行事の一環といたしまして行われたものでございまして、そのときにその協会長と連名によって交付したという性格のものであります。
 これが対象とされた事業場と申しますのは、その協会の会員として十年以上継続して会員だったものということで、三百四社一律にすべて交付されたというものでございます。労働基準協会というものの持つ機能あるいは地域における労働条件の確保、改善に資するということからいたしまして、この協会の記念行事の一環として一定の要件を備えるものにつきまして一律に出したという感謝状でございますので、その点は御了解をいただきたいというふうに存じます。
#155
○小林(政)分科員 そのような無責任な労基法違反、こういうものが繰り返し繰り返し行われているところに、少なくとも感謝状が出されるなどということは、私は役所の姿勢としても許されるべきではないと思いますが、いかがでしょう。
 時間の関係でもう一点お伺いをいたしますけれども、こうしたことがやられているような会社だからこそ、いわゆる労働者の有給休暇というものが現在制限を受けている。こういう事態が起こっております。それは有給休暇を年末年始、八月の夏休み前後にとらせないというようなことがやられ、それを破った場合には、一時金の査定のときにおいて通常より三倍も差し引かれる、こういう罰則が科せられております。有給休暇を実質的に否定するような考え方がまかり通っているのでございます。
 私は、労働省として、この点について実態を調査し、改善指導されるということは当然のことではないかと思いますが、いかがですか。
#156
○岡部説明員 労働基準法は、年次有給休暇の制度を定めておりますが、これにつきましては、労働者の請求によってこれは取得されるものでございます。しかしながら、その場合にたとえば会社の都合によりまして時季変更権というものが認められております。会社の方でその時季にとってもらうのでなくて別な時季にとってほしいという事情があります場合には、会社側で時季変更権を行使することができる、そういうふうな制度もございます。
 ただ、この有給休暇というものが一切とれないとかそういうふうな極端な場合につきましては、労働基準法上の問題は生ずることがあり得るわけでございますが、もし具体的な問題が生じている場合には、それは先ほど来申し上げておりますとおり、具体的な事実を添えて申告ということがありますれば、私どもの方で調べるということに相なろうかと思います。
#157
○小林(政)分科員 それで申告をしなければ調べられないということでございますか。私は、大臣の発言を最後に求めて終わりたいと思います。
#158
○初村国務大臣 この種の問題は、非常に慎重を期さねばならないと思います。したがって、私もいま初めて聞くわけでございますから、内容を十分聞いた上で慎重に私の方で指導すべきところは指導していきたい、かように考えます。
#159
○海部主査 これにて小林政子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十七日土曜日午前九時三十分から開会し、自治省及び厚生省所管について審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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