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1949/04/13 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 農林委員会 第24号
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1949/04/13 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 農林委員会 第24号

#1
第007回国会 農林委員会 第24号
昭和二十五年四月十三日(木曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○牧野法案(内閣提出、衆議院送付)
○家畜改良増殖法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それではこれより委員会を開きます。
 本日は最初に、昨日出席漏れになつておりました……国有林野の放牧採草地への解放の方針或いは現状、こういうようなものについて昨日岡村さんからの御質問のありました点について、林野庁の方から御説明を伺うことにいたします。この関係で、前から專門的にやつておられた中川技官から、政府委員ではありませんが、説明員として説明を聽取することにいたしましたから御了承願います。それでは中川君。
#3
○説明員(中川久美雄君) それでは国有林野の中にあります放牧採草地、牧野についての従来の経過、現在の状況、今後の考え方という問題につきまして御説明を申上げます。
 この国有林の中にあります放牧採草地というものは、地元との関係において非常に密接な関係があつたのでありますが、特に戰時中軍の方の要望に基きまして、昭和十四年は北海道でありますが、その前に大正五年に陸軍省と当時の農商務省との間に馬産供用限定地、馬のための放牧並びに採草地の取決めがありまして、当時府県の、内地の方の国有林に十三万町歩でしたか、その後昭和十四年に至りまして更に北海道の国有林に対しても、千島、北海道、本島を含めた九万八千町歩を設定、府県の方においても更に……、ちよつとその数字につきましては後程詳しく資料を持つて参りたいと思いますが、昭和十四年に至りまして、大々的に馬産限定地を拡張したのであります。これは林業の、国有林の方の側といたしましても、植伐の対象になる非常に至便な地帶を割愛したというような恰好にも国有林側としては一応考えられるのでありますが、併し何といつても馬産の重要性ということからそこに相当の面積が設定された、併しながら実際の現状は果してその設定された牧野が安全に余すところなく運用されたかどうかという点については非常に疑問があるのでありまして、当時の早急な設定の方針のために、やや立地條件が欠けておつたというような所も多いのでありまして、それが完全に利用されてはおらなかつたというような状況であります。そういうような経緯が馬産供用限定地にあつたのでありますが、その外にも地元の畜産業の振興、又農業の多角的な経営、有畜農業なり主畜農業なりの経営形態において、どうしても国有林に牧野を依存しなければならないといつたような面が多分にあつたのでありまして、それについては国有林野としましては、地元施設制度というような意味合において、国有林野法の十一條を適用しまして、地元のために産業助長という面でこれに絶大な協力を拂つて参つたということで、現在その馬産供用限定地と、それから地元のために解放した放牧採草地というものを合して、凡そ二十八万町歩でしたか、国有林の中にある放牧採草地という現状になつております。併しながら先程ちよつと申上げましたように、その国有林の中にある牧野が完全余すところなく利用されておるという状態にはなつておりません。その後農地改革の一環としまして、未墾地開放と同時に牧野開放ということが叫ばれまして、自作農特別措置法の四十一條によつて、小作牧野を自作牧野に開放するという線で国有林野の開放も強く要求されまして、農地局と林野丁との間においてその所属換の問題が起つて参つてのであります。併しながら牧野と申しましても、牧野法に称する牧野というものは、これは目的主義を採つておるようでありまして、現在の自作農特別措置法による牧野というものとの関係がはつきりしない、つまり現状牧野をなしていない所であつても、それを牧野にする意思があるといつたような場合には、牧野法による牧野と称せられる点もあるのでありますが、この自作農特別措置法による牧野というものは、現状主義を採つておるというような関係で、ここで開放する、即ち林野庁から農地局に所属換をし、農地局から一般農民に売拂をする牧野の定義を決める必要があるのじやないかということになりまして、当時昭和二十四年一月、二十三年の十月頃からその牧野の定義について実は農地局と林野庁及び司令部の方のハーディさんでしたか、その三者においてその定義を決める必要があるということで、その定義の検討を約二ケ月半に亘りましていろいろ練つたのであります。それで二十四年の一月になりまして、次官通牒という形においてその定義を明らかにしたのであります。それによりますると、牧野か林野かという線をどこへ引くかという問題が論義の中心になるのでありまするが、その場の私共の考え方としては、従来牧野の指導方針、或いは又家畜のための草生というものは、裸地におけるよりも少し日蔭があつた方がむしろいいのだというようないろいろな実験結果から、〇・三という、これはテクニカル・タームで鬱閉度という言葉を使つておりますが、丁度太陽の光線が七〇%その草に当るように、三〇%程度の日蔭があつた場合の草生が一番量においても質においてもいいというような観点から、技術的な面から〇・三というところへ線を引きまして、放牧なり採草が行われておる土地であつて、〇・三以下の場合はれは牧野と認定をする、決定をするということに定義を決めたのでありまするが、併しこれは明らかに林野の場合はこれに該当しないのであつて、林野か牧野かはつきりしないという場合に今の〇・三という一つの線を作るということになつたのであります。それによつて更に国有林にはどれだけ開放する面積があるかという問題に入りまして、これはただ一方的に国有林の方の判定に待つたところで使用者側で了解をしないであろうし、又使用者側の要求のみ強く取入れるということになりますると、国有林の管理経営上の問題も起つて来るというので、農地局と林野庁において共同通達をしまして、各県並びに各営林局の所在地の営林署、この両者において共同調査をしよう、お互いが納得の行くところでその所属換をする。つまり開送をする牧野の決定をしようということに相成つたのであります。その調査を始めまして、現在の段階では、これは大分食い違いがあるのでありますが、営林局の方で開放してもよいとこれは牧野に該当するという個所が千八百九十八箇所、面積にしまして、九万八千二百十六町歩という面積が挙がつております。これは勿論その定義による所属換の見込の面積であります。ところが農地局の方の調査によりますと、これは県側の方の、又一方的な調査ということにもなるのですが、そちらの方の見込によりますると、個所数ははつきりしませんが、面積においては、十四万三千三百四十六町歩という数字になつております。約五万町歩程の食い違いがありますが、これは今の牧野の定義並びに現在の使用状況というものから判断して、更に共同調査を進めて、相方の納得の行く数字を見出したい、かように考えておるわけであります。
 次に今後の行き方でありまするが、先程もちよつと触れましたように、この国有林の中にある牧野といつたようなものは、要するに非常に戰時中の馬産の要求によつて、林野としては造林或いは伐採、植伐を非常に重要視している至近の地帶、と申しますか、そういう地帶を割愛をしたという恰好になつておるので、それが完全に使われておるのならば問題はないのでありますが、使わないといつたようなことから、その使用状況については、十分抜術的な判断をする必要があるので、單に土地の開拓とか、或いはそこに生えておる立木を目当と、こういつたようないろいろの含みのある行き方は一切排除する必要があるというようなことで、非常に技術的な面を嚴格に扱つておるのでありますが、といつて何も使つておる土地を全部取上げてしまうのではないというのであります。それは先程林野庁長官名で各営林局長に方に通牒をしたのでありますが、その開放した牧野、つまり所属換をした牧野というものが、余すところなくよく使われて、更にどうしても畜産振興上、農業の経営上必要だという土地を国有林を求める場合は、国有林はそれに全面的な協力を惜んではいけない、ただ所属換をしたり或いは開放したと言いますか。その牧野が使われておるか使われていないかをよく見定めて、その土地の高度利用という面を十分掴んでから、更に国有林の地元に対する考え方をはつきりさせなければいけない。ややもしますとその点非常に不明瞭な問題が起き易いということを心配しての話なのでありますが、そういうような意味の通牒を出しております。従つて国有林の今後の行き方としましては、開放した牧野が十分使われたという客観的な資料としうものが揃つた場合には、更に国有林の管理経営上支障のない所を使つて頂く、その使い方にはいろいろあるのでありまして、牧野という形態で行くか、或いは混牧林、つまり林業と畜産とをそこに等分の重みにおいて使つて行くといつたような混牧林の行き方もありましようし、同時に使い方にはいろいろ使い方があるわけでありますが、とにかくそういつたような高度の土地の利用に持つて行くということに方針を決めておるような次第であります。
 ただここでちよつと附言しておきたいのでありますが、国有林は御承知のように特別会計の立場を採つておりまして、国在林を開放する或いは国有林を所属換をするという場合にその所属換に要する経費というものは国有林の中に見ていないのであります。従つてその経費は全部農地局の方で負担をして頂く、又国有林は一般の山と申しますか、とちよつと違いまして、その管理経営というものを厳にやつて行く必要がある、特に国民の国有林というような立場から、所属換をしたところとの境界線は明からにする必要があるということで、その測量に要する費用、そういつたようなものを農地局の方に見て頂くという建前になつております。農地局でその経費を十分見て頂くということが前提になつての所属換ということになつております。
 それから又所属換を強いてしなくとも、現在牧野になつておるのでありますが、それを地元の農民の方が使うことは一向差支ない。開拓の場合、即ち未墾地の開拓の場合と牧野の場合とか趣が違つておりまして、現在はもうすでに牧野になつておるのでありますから、所属換の時期の問題はそう急ぐ必要もないのではないかというように私共は考えておるのであります。農民としては直ぐそれを使つておるのでありますから、ただ所在権が早く自分のものになるか、或いは遅くなるかという時期的のずれの問題で、それが絶対に自分のものにならなければ使えないというのではないのでありまして、この点は誤解のないように御了承を願いたいと思います。
 それから次に対価の問題なのでありますが、これは林野庁としましては、農民の方に十分な負担をかけないということが建前になつておりまして、旧対価で、旧価格で所属換をしたいということに考えておる次第であります。
 以上概略の国有林の牧野の今までの経過と状況、今後の行き上の御説明を申上げたのでありますが、尚いろいろと御質問を承りましてお答えいたします。
#4
○岡村文四郎君 今お話になつたのは限定牧野のことですが、これはよくお考えになり協議されておやりになつておつて、その立場は非常に筋の通つたよい話だと思います。ところが実態を見ると、上からの指示通りにいつておらんようでありますが、やがてその時期にそれはそうして貰うようにして貰いたいと思います。そのことは今お話がありましたように、実際に牧野として効率的に利用しておるかどうか、それを調査してということのやうでありますが、調査もしないので、とにかく一時返還をする、然る後に何とかする、こういうようなんで、最後にそういうことで判を押して貰つた、こういうのが大分あるようです。他にもありますが、そこでそれはそれとして、東北地方に国有林野というのがありましたが、これは今一体どうなつておるのか、北海道にもあつたが、これは多分開放されておると思うのですが、東北のやつは農地に開放する価値のないような惡い、平坦地であつても価値のないようなものが多かつたと思いますが、現在の状況などは一体どうなつておるか、お分りだつたら御説明願いたい。
#5
○説明員(中川久美雄君) 先程の末端といいますか、営林署の方で林野庁の通牒の趣旨を或いは誤解をして、それで返還を申出たということは、私まだ開いておらないのであります。現に使つておつてそういう所が全部開放するのだと、更にそれが十分使われた後で、更に国有林に牧野を求めるといつたような場合には、国有林野法によつて貸付使用を求めて行くということで、その点は地元の方と営林署の方で連絡がついていないのじやないかと思いますが、そういうことは聞いておらないのです。
#6
○岡村文四郎君 これは現にあることで、実は私の村から私達に陳情書が来た。そこで私の部落のすぐ隣りに八百十九町の限定地があつたわけです。ところが御承知のように調査をするのに相当の手間がかかるし、金も要するわけで、それが全部馬を放して馬や牛を放すようにまだ成功していなかつたらしい、そこで全部が拂下なり或いは借りるようにならんと思つて、適当にそれを考えてやつて貰おうと思つておるうちに、何回も来たそうですが、それは話をして、お互いに話をした上にやつて欲しいという先方の申出があつたので、それを無理に返還するということになつた。その中一区割だけ百三十六町三反九畝二十歩というのが少し許可になつておる、ところがそれは非常に山間僻陬で、もともと土地が惡いので、畜産を加味しなければ百姓が成立たんというのでやつておる。ところが外に放牧地がないので、若しこれが貰えないならば、五部落の農林の経営の方針を変えなければならんというので、そこで林野庁に行つて、それから行くべきところに行つてお聽きしたが、そういうことでこつちには書類が来てないので、向うの道庁の農地課や用地課と営林局の話が決まらないものと見て、そういうことだというので行つた見ましたが、そういうわけであなた方お考えになつておるのと違うわけですが……
#7
○政府委員(横川信夫君) 今のお話を伺いますと、私共の取扱が少し間違つておるように思われます。至急調査をいたしまして公正に取扱をいたすようにいたしたいと考えております。
#8
○委員長(楠見義男君) 牧林の問題でこの委員会にも、委員会といいますか、議長宛にこの委員会に付託されておる請願、陳情が沢山ありますけれども、曾て、北海道の問題も今お話がありましたが、岩手県の問題で相当多くの陳情があるのですが、それはこういうことなんですよ。例の今お話になつた鬱閉度の問題、これは二十四年一月の現在ですが、一定の時期を割して、そのときにおける鬱閉度が、三〇%と、こう出ておる。ところがそのときは例えば農村にもまだ力がなくて、或いは家畜も揃わずに、従つて鬱閉度はそのままにしておいた。ところが他の方は、相当進んでおつた所は三〇%以下になつて、ここは三〇%以上になつておる。そういう一定の時期を劃されたことによつて非常に不公平が生じておる。こういうことが一つですね。それからもう一つは、先程お話になつた中で、完全に利用されておつて未だ足らん場合は協力を惜まないというが、そういう場合にはこれは完全に利用されていないじやないか、こういうことから、頭から撥ね付けられておるから、二の句が継げない。こういう問題ですね。そこでこの場合に二の句は実は継ぎたいのだ。現に牛がこれだけおる、或いは馬がおつて足りないのだ、こういうことでいた場合には頭から撥ね付けられておる。勿論これは私も実は営林局におつたものだから、営林局の心理も分るのですが、大体営林局の扱つておるものは国のものであるということであるが、同時に自分のものであるがごとき、これはよいところであり惡いところであるのですが、可愛さというか、大事さを以てやるものだから、開放ということについては先ず消極的に態度を決めてしまつて行くということが、地元から見ると結局中央へ申込をして来るというようなことになるのですが、そこで一応あなたの方なんかでも御調査になつておると思いますが、岩手県の事情が若しお分りになつておつたら、この機会にお話して頂きたいと思います。
#9
○岡村文四郎君 これは中川さんは北海道におられたのでよく分つておると思いますが、私は今申上げましたところは、その沢が延長十六里の沢で、川口から五里半ばかり行つた所にある。ところが周囲全部殆んど官林なんで、これを牧野の立つように放牧地にするのには苦労しなくてもよいのじやないかという考が強いから、村長よりは住民がやかましい。私はそれを全部どうするということも考えておりませんが、今一区劃お前等やつてくれということは困ると思いますから、営林局長に話しておこうと思いますが、廻れんものですから、手紙を出してよく考えて見てくれということでやつておるのですが……
#10
○説明員(中川久美雄君) 分りました。お答え申上げます。植地の方の牧野ですね。馬産限定地は実は私が当時施業案をやつておりまして、私自身にも記憶があるところです。確かあの辺の農業としましては機構を十分完備して行かなければ立つて行かれない。牧野を高度に持つていくということは、特に関心事だと思います。今の土地を返還さして、一応白紙に戻してからというようなことは、まああり得ないと思つておるのですが、そういうことなら、これは十分、先程長官が申上げたように調査をしまして、若しも誤りがあれば是正したいと思います。
#11
○岡村文四郎君 実はその牧野ができてから戰争直後に種馬の種付場もその附辺に作つた。今は種馬はないが、それぐらいのものですから、これを一区劃の、僅か百坪としても三十坪ぐらいしかできない。まだ草も生えておりませんから、そんなわけで一区劃はどうしても成立つて行かんから何とかして欲しいという陳情書があるのであります。他にもそういう所が多いのです。僕の所ばかりじやないのです。
#12
○説明員(中川久美雄君) まだ北海道の方は協同調査を始めていないものですから、或いはそういう問題が起つているかも知れません。
 委員長の方の岩手県の問題なんですが、二十四年の七月現在の需要状況ということによつて、所層換の一応の方針を決めたというのは、そこに巾を持たしてしまいますと、扱う方の末端の方で非常に混乱をするということが一つと、そういうことで二十四年の現在に……
#13
○委員長(楠見義男君) 七月ですか、一月ですか。
#14
○説明員(中川久美雄君) 七月です。七月現在に使つているところの、開放という巾を持たせるということになると、非常に末端の方において混乱が起るので、そこに一応線を引いたのですが、実際の実情は確かに委員長がおつしやるように、戰時中の家畜の不足問題とか、いろいろの人手が不足だ、こういうために使いたくても使えなかつたという牧野があると思います。それについては、そういう状況を十分判断をして、開放の線に行くようにということを、会議において促がしているわけてあります。というのは、そういうことを明文にしようがないわけなんですね。明文にすると、非常に判断をする上で困る場合も出て来るので、会議においてそれぞれに指示をしている、こういう状況なんです。
 それから岡村委員の方の先程の東北地方の国有牧野の問題でありますが、これは恐らく軍馬補充部の跡とか、或いは畜産局の方の関係で、種畜牧場あたりの関係じやないかと私は思うのですが……
#15
○岡村文四郎君 そういうことをあなたの方で分つておりますか。
#16
○政府委員(山根東明君) 東北に国営牧野が、秋田県一ケ所、岩田県一ケ所、それからもう一つ福島県にあつたわけですが、設立の当初の目的は、馬の放牧を主たる狙いとしてできたわけで、そういう関係がありましたのと、一つには国の予算の関係もありまして、昨年度限りこれを廃止したのであります。それで、そのあとがどうなつているかという点でありますが、調べますと、岩手の世田米にある国営牧野であります。岩手の牧野と福島の牧野は県で引継いで、大部分牧野として引継いで経営をしている、それから秋田県の大湯国営牧野は、これは地元の組合で牧野として経営しておる、一部は入植者が入つている、こういうような実情であります。
#17
○委員長(楠見義男君) それから中川さんもう一、二ですね、今度自作農創設特別措置法が改正になつて、政府買收ということがなくなりますね、そうすると国有林の放牧採草地に対する開放問題は昔に戻つて、地元に対する直接貸與なり或いは直接拂下げる、こういう恰好になるわけですね。
#18
○説明員(中川久美雄君) そうです。それにつきましては、これは牧野のみでなく、地元の薪炭林の問題或いは落葉、下草の採取の問題、いろいろの問題が、いわゆる農用林という形で出ているのでありますが、その農用林の考え方を、国有林野法の改正のときに十分織込んで行く現状の国有林野法の規則では、單に牛馬の放牧というだけであつて、もつと巾の広い家畜という面がないわけであります。牛馬だけじやなく、家畜の放牧というところまでもつと巾を広げた国有林野法の改正というところへ行つた方がいいのじやないか、こういうような考え方で、今委員長のお話の今後の牧野の問題、或いは薪炭林なり、或いは落葉採取の問題は、国有林野法の改正のときに農用林の制度というものをそこに織込んで国有林を地元の方に委して行きたいと考えております。
#19
○委員長(楠見義男君) もう一つは、これは放牧採草地というのは、必ずしも国有林に限りませんけれども、大体国有林の開放というものが目標にされておるわけなんですね。その場合に林野庁と畜産局の間において、例えば牛馬頭数に応じて、こういうふうに国有林を開放して行くのだというふうな畜産増殖計画と結び付いた開放計画というようなものはあるのですか。
#20
○説明員(中川久美雄君) 畜産局とはいつも連絡を緊密にしておるのでありまするが、今度の国有林開放というのは、要するに畜産行政に果してプラスになるかどうか、私もちよつと疑問なんですが、土地を大きなところから取つて細かく農民に持たして行く、農地の場合は別として、畜産のような場合は、むしろ牧野が荒廃するのじやないか、細かく細分をしておのおのが木柵をやつたりおのおの牧童を使つたり、おのおのが水飲場の施設を作つたりするということが、果して畜産振興上いいかどうか、それだけ農民に経済力の負担があるかどうか、こういう問題も考えなければいけないじやないか、飽くまでも牧野というのは共同的に、とにかく施設というのは相当金がかかりますものですから、その施設には共同的に金を出し合つて行くといつたような考え方の方がいいのじやないかということも考えられるのですけれども、とにかく今度は土地の開放の問題ということで農地局と林野庁との間における事務的な関係が多いので、その畜産の振興という問題については、いつも畜産局は緊密に連絡を取つておるのですけれども、その問題とちよつと別なんですね。自作農創設特別措置法による開放という、そういう方の関係があるのじやないかと思います。
#21
○羽生三七君 この牧野法が今お話のように、農地局関係、林野庁関係、それから畜産局関係、それぞれの関連を持つておると思うのです。特に畜産局関係が、この牧野法の問題を主として今度の提案の際担当されておるようでありますけれども、その一体狙いは、ここの提案理由の中にあるように、国土の保全と牧野利用の高度化を図るためというふうに謳われておるのですが、それが狙いなのか、或いは牧野でありますとか、又畜産の意味が含まれていると思いますけれども、大体前の牧野法の歴史的な経過から、畜産局が今度これを担当されるのか、新しく今お話のあつたように、畜産振興ということを織込んでこれが畜産局に担当になつておられるのか、それをちよつと承りたいと思います。つまり歴史的な関係から畜産局にこの法案が担当されておるのか、新しく畜産奬励ということを何か狙いとされて畜産局がこの問題をやつておるのか、それによつて僕は問題がいろいろ違うと思いますが……
#22
○政府委員(山根東明君) 御質問の趣旨に或いはぴつたりしない回答になるかも知れませんが、私から申上げましよう。従来牧野が土地改革の問題ができるまでは主として林野に限られておつたのでありますが、林野との間に非常に関係が多かつたことは従来からそうでありますし、今後においてもそうであろうと思うのでありますが、ただ牧野を改良して、それの効用を最高限度に発揮させることによつて畜産の振興を図つて行きたいということが現行の牧野法におきましても、新しく提案した牧野法におきましても中心の使命をなしておるような関係で、牧野法は従来同樣畜産局の所管の法案として提案したというようなことになつております。
#23
○羽生三七君 前に林野庁の方からお話があつたようでありますが、若しこれが畜産奬励、この法案の狙いが畜産奬励ということにあるとするならば、この先程お話の牧野の開放の問題と非常に私は関連があると思つております。それは地方公共団体がその牧野の関係に基いて、いろいろな規定を作るようになつておつた。そういう問題と関連なしにやつた場合においては却つて畜産というような、非常に広汎な共同的な形の方が発展性があるのに、むしろその逆に行くような、ただ保全ということだけで、何らその利用の面が、広い意味で解釈されておらない場合には、その成果を挙げる意味においては余り効果的なことが期待されないと思うのでありますが、その点はどうでしようか。ただ牧野の保全ということだけ考えて、畜産の奬励の意味の高度の利用ということに重点を置くことがなくなつてしまつたと思いますが、地方公共団体が管理規程の中に、全くただ保全ということだけを謳つて、むしろ共同的な放牧とかそういうようなことを少しも考慮の中に入れていないという場合に、十分効果が期待できるのですか。
#24
○政府委員(山根東明君) 私共としてはあくまで牧野の高度の利用ということを実はこの牧野法全体として狙つているわけでありまして、管理規程の内容等につきましても、例えば第四條に私共が予想いたしております管理規程の内容を列記してありますが、これらも私共の気持としては、ただ單にこうすることによつて国土の消極的な保全、そうしたお話の御趣旨のような消極的な気持を持つて書いたつもりはないのでありまして、積極的に牧野の高度の利用ということを実は狙つておるつもりでございます。
#25
○委員長(楠見義男君) それでは先程の北海道の事例その他よくお調べ願つてからまた適当に御処置を願います。
  ―――――――――――――
#26
○委員長(楠見義男君) それでは家畜改良増殖法案についての質疑をお願いすることにいたします。
 種畜法関係は去年よりも今年の方が予算は減つておるのだが、これはどういうふうなんですか、平衡交付金の方で埋つておるのでありますか。
#27
○説明員(神尾正夫君) これは種畜法の経費は、主として種畜検査を行います旅費でございまして、種畜検査を行う委員の構成が農林部内の職員と、それから地方庁の吏員、こういう構成になつておるのでございまして、この費用の中に旅費として挙がつておりますものは、農林部内から派遣いたしますところの職員の旅費であります。委託費は地方庁関係から種畜検査班として参加する検査員の旅費ということになつております。それが従来の関係からいたしまして、昨年に比べて今年はいろいろと、検査の効率をもう少し高めるようにというような大蔵省の方からの要求がありました関係で、検査の日程その他を二ケ年間の実施の成績に鑑みましてより合理化いたしましたことと、もう一つは、検査の一般の構成人員を本年は一人減らしたというような関係で、昨年に比べまして若干減つて参つたのでございますが、できるだけこれは只今申上げまたように検査の実施の計画を効率的に編成するというようなことで以て最小限度必要な経費としてこの程度で大体やつて行けるのではなかろうか、こういうような考をいたしております。
#28
○委員長(楠見義男君) これは予算は減つたけれども、一方で検査手数料というものの收入を見込んでやつておるということはないのですか。
#29
○説明員(神尾正夫君) それは国の方はともかくといたしまして、県の方では法律の改正で、従来全部を検査は国でやるということにいたしておりましたけれども、一部の検査は県地方長官が行うというように改正いたしまして、その際地方といたしましては、やはり若干そこに何か收入の面が入りませんと検査の実施をやるのに県の立場としても甚だ困るというような実情でありましたので、一応そこに検査手数料と、いずれあとで御質問もあろうと存じますが、そういつたようなことも新たに法律改正いたしたのであります。そういう面からも地方庁といたしましては、若干この面にはそういうものを引当てといたしまして県費として若干の経費は組める、こういつたような事情も県から承つておりますので、実質的の経費と申すものは本省で組まれております。全般の経費は若干減つておりますけれども、実際恐らく昨年と同樣の経費が当てられるのじやなかろうか、こういうように思つております。
#30
○委員長(楠見義男君) それからもう一つ、法律の三十六條の手数料の納付、これの手数料として大体どのくらいの金額が予定されておるか、分つておつたら一つ御説明頂きたいと思います。
#31
○説明員(神尾正夫君) 御説明申上げます。大体主として大きな費用は、種畜の検査の一番最初にございます国が行いますところの定期検査、臨時検査、それから県が行いますところの臨時検査、以上の手数料の範囲がそれぞれ千円以内ということになつておりますが、これは実際昨年の実績を見てみますと、一頭につきまして実際の実費が六百四十四円ばかりになつております。従いまして、今回の手数料も一応ここには千円を超えない範囲においてということになつてございますが、実際上は大体これは只今申上げまのたように、ほぼ六百円何がしが昨年の実績でございますので、概ね六百円程度というようなことで一応省令で決めた、こういうふうになつております。
#32
○委員長(楠見義男君) そうすると総額はどのくらいでしようか。
#33
○説明員(神尾正夫君) 昨年の検査の頭数が牛馬を合せまして一万五千頭くらいになつてございますので、平均六百万円といたしますと、九百万円という程度になつております。
#34
○委員長(楠見義男君) 九百万円ぐらいは競馬益金で畜産振興に廻せないのでしようか。去年は取つておりましたか。
#35
○説明員(神尾正夫君) 取つておりません。
#36
○委員長(楠見義男君) 競馬法による畜産博覽会で何十万円か、何億か何か、そんな金を畜産振興に使おうというときに、九百万円の金が出せんという理由がちよつと分らないが……
#37
○羽生三七君 実は午前中は私達社会党の農林関係の議員や政調会の者が集つて農業対策の研究をやつておつたのですが、そのうち、まあ食糧の問題を主にして今日やつているうちに、たまたま談が畜産問題に及んで来たわけで、そのときに各人の意見としては、結局対日援助資金が段々減らされて、昭和二十八年にはゼロになる、そういう場合に本年度は、御承知のように昭和二十四年度は四億五千万ドル程度の補助のうち、輸入食糧は日本の金に換算して九百二十億以上になる、これは漸次なくなつてしまう場合には、まあ恐らく明年度あたりは援助資金と輸入食糧代ととんとんになるのじやないか、そういうことを考えた場合に積極的に畜産振興をやつて、或いはパン食なんかをコンビネーションして日本の食糧の節約を図らねば駄目だというような結論に達したわけなんですが、ところがそれは理論としては結局いいのだけれども、結局価格の点で米よりもずつと高くついて、実際問題としては問題にならない、そういうことにぶつかるわけです。そこで私達は現在そういう乳製品、或いはその他の食生活の指導というものは、厚生省の方でおやりなつていると思うのですが、所管がいずれにあつても、單に畜産を奬励するという、自然に放任して日本の国民がその乳製品なり或いはパン食なりを自然に取入れる時期を待つておつてもこれは始まらない。結局輸入食糧を減らして、国内の自給度を高めて行くという場合に、農林省なり或いは厚生省なり所管はとにかく、或いは一体になつても結構ですが、積極的な食糧という面からもつと高度な何か対策を立てられるということをお考えにならないと、この畜産改良の法律案の内容を見るというと、殆んど人工授精のことが主でありまして、別段そのこと自体は問題ないわけですが、そうやつて奬励して行く根本的の問題は、結局製品の自給度を高めて、或いは農家の農業経営の中に、家畜を導入する、そういうことだと思うのですが、決してそういう根本的な対策というものは全然お立てにならないわけですか。
#38
○政府委員(山根東明君) そうしたお話のような観点から、私も実は畜産局の政策を取上げておるわけで、私共の政策は一口に言えば現在のところそういうことを目標にしておるということが言えると思うのであります。具体的にはどういうことを考えておるかということになりますと、これも一口に言えばあらゆる施策がそういうことを目標にするわけでありますが、成る程この法律の人工授精のことが規定上は大部分を占めておりますが、それによつて種畜の改良増殖を図ることによつていい家畜を増産して行こう、最後の狙いはやはり畜産の増殖にあるわけでありまして、私共が現在一つの計画の目標として持つておりますものは、御承知の畜産増殖五ケ年計画というものが立てられておるわけであります。これが立てられました当初の狙いは、勿論御趣旨のようなことで立てられたわけでありまして、当時すでに状況は今日と若干違つておりましたけれども、畜産物を増産することによつて、一つには我が国の食糧問題をそれによつて解決して行くという狙いは勿論あつたわけであります。五ケ年計画がそういうことで私共の一つの根本的な私共の施策の中心をなしておるのでありまして、それを中心として私共のあらゆる施策が動いておると言うことがまあできると思うのでありまして、これが今日まで頭数の面におきましては、いろいろな事情もありまして幸いに比較的順調に進んでおるということは言えるだろうと思うのであります。ただ情勢がその後変りまして、お話のような関係の事情も更に一層重要視して取上げなければならんような事態に今日立至つておりますので、この五ケ年計画をそうした事態に即応して、もう一度これを検討しなおすという時期は、私共としてはそういう時期に到達いたしておるのではないかという考え方をいたしておりまして、折角いろんな面からこれの再検討を続けておるような現状でございます。
#39
○羽生三七君 それはまあ是頃そういう方針で進んで頂きたいと思うのですが、結局自然に放任しておつても価格の点から、なかなか乳製品を取入れるということは困難であるし、又日本の食生活の点でもそういう事態が全然行われておらない。そういう点から考えて、單に技術面だけの問題でなしに、食生活の解決なり、それとの関連において農林省内の畜産局以外の他の部局、或いは厚生省等の関係において、何かもつと高い見地から一貫してそういう問題を討議されるというようなことはないのでありますか。個々ばらばらにやつておられるのか、或いは今までそういうことがなければ、今後でもよろしいのですが、今のお話のような食糧問題の解決というような基本的な点にこの問題を集中して、高所から、他の部局とも関連性を持つて根本的な立案に向つて行かれる、そういう方向を確立して頂くことを特に希望しておきます。
#40
○委員長(楠見義男君) さつきの検査料の問題なんですがね、これは我々の方の委員会としては、できるだけ農家に負担をかける法律は避けたいというまあ方針を今までずつと採つておるのですが、ここでお伺いするのですが、先程の予算のお話を承ると、大体去年よりは金額は減つておるけれども、併しそれは班の編成を変えたり、或いは合理的にやることによつて大体減額は賄えるとこういうことになつておるとすれば、種畜検査は、去年も種畜法でやつておつたのだし、特にこの際経費の面において、收入の面において生産者から取らなければならん事由がないように思うのですが、その点はどうなんでしようか。
#41
○政府委員(山根東明君) 実は先程、従来のやり方を合理化することによつて検査の支障は大体ない見込だというようなお話を、御説明をいたしたのでありますが、実は従来まで国が出向きますものは、国の役人が出張旅費を使つて出たわけでありますが、地方には委託費として、何と言いますか、掴みで経費を配付して来たのであります。ところがそれがなかなか十分でない、非常に不足勝ちでありまして、恐らく府県は相当の程度の自腹と言いますす、自腹を切つておつたような実情であつたようであります。そういう意味で成る程合理化し、日程は短縮し、更に班の編成も縮少して能率を上げるということで、昨年度との経費の対比の面におきましてはそういう面でカバーして行くつもりではありますけれども、実際本当に掛かる経費が従来或る程度県自体の経費にも負担をかけておつたという実情でありますので、この度新しく県営の検査を都道府県知事の検査に委任した面に対しましては、これはこうした手数料の收入を一つの財源に考えざるを得ないような事情があつたのであります。実は私共といたしましてもできるだけ手数料を取らないことでやつて行きたいという気持は持つておるのでありますが、なかなか国なり県の財政が御承知のような事情でありまして、そういう点と、一つにはこの検査を受ける本人の利益にもなる点もありますので、そういう点も考えまして、まあ他を顧みて申上げますのは如何かと思いますけれども、例えば農林物資検査法案等にも強制検査に対する手数料を徴收する制度もあるわけでありまして、そういうような事情から、手数料徴收の規定を新しく加えたわけであります。
#42
○委員長(楠見義男君) 私の聽いておるのは実はこういうことなんです。種畜検査というものは四條の規定で行くと農林大臣がやるのが本則だ、それで第二号で疾病その他やむを得ない事由によつて行うことができない場合に都道府県知事が臨時にやるのだ、従つて検査は本来は農林省がやるのだから、今の御説明で行くと、二号が主で一号が従で、二号のために検査料を取るようにとれるのであります。それはそうでなくて、二号は飽くまで従なのだから、従来もやつて手数料を取つておらないなら、本年改めて取る必要はないのじやないか。農林企画の問題についてのお話がありましたが、実はそれも問題にしておるのです、同様に。だから四條の二号の「疾病その他やむを得ない事由」というのはどういう事由なんですか、そうすると。
#43
○政府委員(山根東明君) 実は国がやる検査が原則でありますけれども、実際問題といたしましては、私共の畜産局の職員が全国百五十万の種畜の検査の全部を局の職員だけでこれをやるわけに行かないのでありまして、局から出た人に県の人が、まあ何と言いますか、参加して、そうして局の人と、国の人と県の人とで一つの班を組織して置くという場合が多いと思うのでありますが、そういう意味で、形は国営検査が本則でありますけれども、県に相当な経費の負担をかける、それに対して委託費をこちらが配付するのでありますが、それが十分でないというような関係になつております。
#44
○委員長(楠見義男君) いや、まだ私の質問のし方がまずいから、或いは分らないかも知れないが、だから余計おかしいというのです。農林大臣の行う検査に対しては、検査手数料は国が收入になるんです、三十六條で。そうすると今のなんで行くと、国は去年と同じことをやつて不当利得を何百万円か取るということなんです。だから余計それはおかしいじやないかという気がするのですが、まあ私の質問はこの程度にして、外に……
#45
○岡村文四郎君 この法律は、前の種畜法から見れば隨分すつきりしている。僕はあの種畜法というものは誠に現在の種畜の価値を非常に落すものだと残念に思うのですが、これは大分いい方に向つておるんですが、ここで問題が主として種付にある法律になつておるのですが、殊の外人工授精を主にして、第三章の十一條から三十二條まで殆んど人工提精のことばかり書いてあるんですが、提案理由の説明の中に都道府県に人工授精所を建てさせる、それが二百六十ケ所で、半額以上の国庫の助成をするというふうに書いてあつて、それをそのまま丸呑みすると、この授精所は都道府県が経営するものだ、こういうふうに考えられるが、それはどうか。
#46
○政府委員(山根東明君) 大体都道府県の、何と申しますか、経営するものに対する人工授精所に対しては、私共は補助して行きたい、こういう気持であります。
#47
○委員長(楠見義男君) いや今の岡村さんの質問は、人工授精所というものは都道府県だけがやるのかということじやなくて、二十四條でむしろ都道府県以外のものもやる人工授精所の方が多いんだから、民間の方が多いのでしよう。
#48
○岡村文四郎君 問題は今までさえもそういうことがなかつたのに、国がやることを廃した以上、都道府県のみにそういう助成を出してやらせて、民間にそういうことをしないということが我々は汲み取れんものですから、私は全部を挙げて助成するならば、民間を助成すべきであつて、都道府県なんか放つて置いてもいいと思う。そこで考え方の根本が分らんものだからお聽きしておるんですが、都道府県もよかろうけれども、それは国が助成しなくても県がやればいい。やる力のない民間がやろうとする時分になんにもなくて、都道府県ばかりやるというのはどういうわけですか。
#49
○説明員(齋藤弘義君) 私は、この法律は都道府県の施設でも国の施設でも、それから民間の施設でも、すべておしなべて一様に人工授精の本来の目的を達成するために、うまく行くように規定する法律であります。それから補助するというやつは、結局その中の政府が最も力を入れてやるべきものを補助するというのはどういう意味かと申しますというと、現在は各地にもう大部前々から人工授精を奬励しておりまして、いろいろな方法で以て普及しておりますが、その普及の進度から申しまして非常にまだ低いわけであります。それでそれを更に、例えば牛に例をとつて申上げますと、この図表にも書いてありますように、人工授精の実施状況の附表10の中の1からずつと全部書いてありますけれども、このやつております一部二府三十県とかやつておる所だけをとつて見ましても、種牡牛一頭当りの頭数が、最高の役牛で見ましても三百とか、最低が百とか、そういうような程度で低いわけです。実際に改良をうんと促進させ、又こういうような生産費の低下させなくてはならん特に種牡牛をうんと経済的に利用して生産費を低下させようというのには、この一頭当りの頭数をもつと上げなければならない。現実に諸外国では一頭当り平均千頭ぐらいのところまで行つているわけです。そういうところに対してはどうしても技術的指導なり、或いはどういうふうにやるのだ、どういう技術を使うのだ、或いはどういう機構でやつたら一番いいのだということを現実に見せればいいわけです。そうすれば、例えば今日一頭について四十頭か五十頭しか年間に種付しなかつたものが五百頭でも六百頭でも種付けすれば種牡牛経営そのものもうまく行くわけです。ですからそれは、民間のやつがそういうふうにうまくやりさえすれば、補助の必要は全然ないわけです。收入があつて、むしろ補助を貰うより儲かるわけです。ですからこの、如何にしたらいいかということを示すためには、こちらの方でモデルを示してやるのが一番いい。モデルを示してやるのには、幸い保健衞生所法で衞生所が今度できます。衞生所で人工授精も相当やつておりますから、そこのところにこの人工授精の設備を、更にない所には付けて、そうして補助の外に又国有の種牡牛貸付なり種牡馬の貸付もそこに置いて、技術者もくつつけてやつて、そうして如何にしてその地区に最も適当な機構で以てやるかということ、モデルさえ示せばあと、いいものはどんどんついて来る。こういうような実情であります。補助の方は一部の都道府県の家畜衞生保健所でやる人工授精だけに補助する、そういう行き方であります。
#50
○岡村文四郎君 家畜衞生保健所でやるのが馬鹿にならないというお話ですが、それなら現在の計画があつてやつておるから別にこの補助を廻さなくてもいいと思うのですが、実はこの法律に何かそういう助成ができるということをなぜ一体書かなかつたかと思うのです。牧野の方には書いてあつて、予算がないからこれはアッペなんだ。これには何にもないのだ。探し廻つて見ると、説明にもあれば参考書にあるから、これは貰えるな、あるなということが分るだけの話なんだ。どういうわけでそういうことをするという、何も国はそういうものに対しては一切考えない、こういうふうに見ないように、法律のどこかに匂わして置く必要があつたと思うのですが、どうなんです。
#51
○政府委員(山根東明君) 牧野に対してはそういうことは書いてありますが、実はこれに対しては奬励補助的な思想を採入れてないという点は、一つには只今衞生課長が御説明いたしましたように、この事業自体が何と言いますか、うまく運営されれば結構種付料收入で賄つて行けるというような関係から、これを補助の対象にするということはなかなか財政面の関係でまあ相当無理があるのではないかということが根本になつておると思います。
#52
○岡村文四郎君 どうも認識が不足で困つたものだ。一体現在の家畜の生産者と市場の状態がどうなつておるかということなんです。それで恐らく今の状態で行きますと、相当又種付するのが出ると思う。そこで将来は別として今これをやろうとしてやる時分には、こういう時期には殊に面倒と言いますか、慣れないと言いますか、実行する時分にはせいぜい補助金を出すとか、保護をしてやるとかいうようなことが最も奬励になつていいことであると思うのですが、今までの話か聽きますと、これはそうではない。法律に書いて置かんと予算の獲得に非常に弱い。裏付がないと予算が取れないから書いて置こうというのが大方なんで、書かないで貰おうということは、これだけなんです。これは又非常に面白いので、どつちが本当か分らないが、まあ、卵が先か、鶏が先かというような議論になるのでしようが、法律の裏付をして置いて予算の要求をするという行き方もあると思う。又法律に書かないで予算だけ貰つて行くという行き方もあり得ると思うが、これはいずれにしても、今の畜産の状態をよく把握しなければこれはいかんと思う。そこで今の衞生課長のお話のように一頭の馬で五百頭も、六百頭も、千頭も人工授精でやるようになれば、日本のぼろくそ馬は全部淘汰されてしまう。僕はそうしたいのだが、なかなかこれはそういうことには行かない。ここに問題がある。そこで一つの授精場を構えて、牝馬を持つて来なければ注入はできないということになると、もう持つて来ないで、自由に廻つて種付をして歩いている馬にどんどん頼む。これは例えば僕の村なんかは、一級馬は三千円に燕麦が三俵、種付料が……。二級馬は二千円に燕麦が三俵、三級馬は千五百円で燕麦が半俵。ところが三千円に燕麦三俵の馬は大威張りで人工授精をやつておる。ところが千五百円に燕麦半俵の馬では経営が成立たない。そこでそういう馬はいなくなつてしまう。頭数も減つている。そこで人工授精をするが、この法律に書いてあるように一ケ所でやるとかいう方法もありますが、そういうふうにして一ケ所に持つて来て喜んで種付をするような時期ならばよいが、今はそういう時期ではない。こういう所へ持つて行かないで歩き廻つている。そこで忙がしいとか何とか言つて持つて行かないで、そのままにして置いて種付をして貰いたいというようなことで、ぼろくさい馬が非常に奬励されて、立派な馬に種付に持つて行かないということになると、段段惡い馬ばかり多くなる。こういう結果になると思う。僕はここにありますように、一定の場所を構えて授精する。ところが精液を取つて注入するというような空気ではない。どだいどこでも廻つていて、大つぴらに種付をしておる。これは東京の真ん中では非常に問題だが、田舎ではあれをやつていても問題はないと思う。そこでちつとも物事を把握して実情に即するような法律を拵えないというと、人間が東京の駅の前で抱き合つたり、キッスしておつてもちつとも問題にならないが、もう少し物事を噛み分けた法律にして貰わんといかんと思う。それでこれを見ると、現に僕の村なんかは毎年持つて来いと言うが、持つて行かない。そうすると折角の馬が種付をしないで、そうして人工授精をせんで、何でも構わん、どんどん廻つて種付する。こういう結果になつておる。これはいろいろ考はあるのでありますが、実情を把握して……恐らく三千円に燕麦三俵の種付の馬で、若しその仔が二歳で一万円以上の馬であればこれはしようがない。ところがこれは併し馬がどんどん減つておる。その減るために逆に四千円であつたものが種付料が三千円に下つて来た。そういう実情で、馬の売れ行きは非常に惡い。それで何ぼでもよい馬があるならよいが、そうではない。保有するような、基礎牝馬になるような雌馬ならそれでもよいが、そうでない馬はどうする。そうすると計画倒れで行けないから、事実に即応するようなものを超えなければいかんと思つておる。僕は人工授精は非常によいと思つておる。ところが政府のお考えになつておることは非常に喰い違いがある。殊に家畜改良増殖に関する決議が廻つて来ましたが、あれは都道府県のみに助成をしてやつて、そうして人工授精は都道府県のみにやるというように考えられて出したらしい。ところが、これは都道府県だけでなくて、民間の方にやらせるようにして行かなければいかんと思う。その点どうお考えになつておるか、聽きたいと思います。
#53
○説明員(齋藤弘義君) 今お話になつた通りのことをやろうと思つております。
#54
○岡村文四郎君 違うじやないか、それとは。
#55
○説明員(齋藤弘義君) それで人工授精所へ馬を曳いで来ないでも、こちらから精液だけここへ持つて行つて注入するということでやりたい。それをやるには、現在の人工授精のやり方はそうではないので、全部ここへ持つて行つてここで注入してやる。右から左に注入してやる。それで人工授精というのはここへ取りまして、それをここに書いてあります。処理をいたしまして、それをちやんと容器に入れまして、二日でも三日でも取つて置くのであります。それを電話一本で持つて行きまして、人工授精師というのがここに居りまして、注入してやる。現にそれをやつておる所も数ケ所はございます、西の地帶では。殊に一頭当り八百馬、七百頭年間に付けておるような所はそういう方法でやつておる。それを全国に普及しなければとても駄目で、こういう所に行つてそこで注入する。人工授精師は精液を安全に採つて、それを安全に処理して、検査をして、精虫がどのくらいあれば必ず受精するのだ。又適当な保存方法でやればこれは何十時間、或いは何百時間は保証付ということをちやんと決めたものでなければいけませんから、そういうものを汽車で送るなり、自転車で送るなり、適当な所に送るわけです。そういうところにまで発展しなければ人工授精の意味はなさないわけです。それをやりませんと、現在のような一頭当りの頭数が多くても百五、六十頭ぐらいということになつて、本当のいわゆる種牝牛の経済的利用ということができないわけです。ですからお説の通りの目標を以て進むわけです。それには一定の基準と一定の施設と一定の設備が要るわけです。それの最低基準をこの法律で押さえたい。こういうわけです。ですから、民間のやつは全部どこでも、誰でもそれをできるわけです。そういう一定の設備を持てばよいのです。それから注入する人は必ずどこかで二週間なり、三週間なりの講習を受けて、人工授精に関する講習を受けて、そうして講習を受けたことを地方長官が認定して免許証が貰えるのです。そういうものが駐在しておれば、人間が行かなくても、馬がここまで来て貰わなくても、自由に種付精液を貰つてできるわけです。五月十日を大体目標にしまして、アメリカから精液を今度輸入しまして、北海道並に東京附近にやりますけれども、それもそれと同じような理窟で、試験管に詰めたものを持つて行つて押し込めばいいわけです。二十五日に着くということに今知らせが入つたそうですけれども……。ただ注入すればいい。注入するのも素人は危いから、それは人工授精師ということにするというだけで、全然民間にもどこにもさせないということではない。むしろ協同組合なり、民間なり、従来うまくやつていたものはそのまま続けてやりたい。私は府県なり何なりで衞生所がありましても、それに対しては、我々の方では衞生所をそういうことでこれと競争して人工授精をやるようなことはさせません。それがために衞生所法の第五條かに衞生所の経営に対して農林大臣が命令することができることになつておる。そういうことをすれば、民間と競合してそれを圧迫するような経営をやりましても、これを止めることもできるし、或いは認可を取消すこともできることになつておるのであります。我々の人工授精を奬励する方法はこうやつて衞生所を通してやるわけであります。その土地にちやんとすでに協同組合なり民間なりの立派な経営をやつておるものは、それをむしろ技術的に指導して、例えば年間五百頭種付けをし得る能力の民間の協同組合なり何なりの施設がありましたならば、更にこれを七百頭なり八百頭に成り得るように技術者を衞生所においてこれを指導する。そういうことをもくろんでおるのであります。
#56
○岡村文四郎君 今課長の御説明によれば僕の意見に大体合致して、それでいいことですが、ところが今年二百六、七十ケ所作る、その施設を、保健所を頼つて行つたつて、それはとても足らんと思いますから、これを道庁でなくて民間でも希望者はやらせるということになりましようか。都道府県庁でなく相当成果を挙げようとしておるところならば、そこに半額なら半額の補助金をやつてやらせる方法でもいいのでありませんか。
#57
○説明員(齋藤弘義君) 一応国で補助し得るのは県だけだというような、何かそういうしきたりみたいになつておつて、我々の補助は全部、従来二十一年まで民間に対して、組合に対して補助をし、技術員の補助もし、人工授精の補助もやつておりましたけれども、それは切られたわけであります。
#58
○岡村文四郎君 それは都道府県にやつてもいいでしよう。頭は……。都道府県から自由にやらせればいい。そこまで干渉しない。
#59
○説明員(齋藤弘義君) 実際問題は、家畜衞生所の設置に関しては全部都道府県に従来は任してありまして、それでまだ衞生所が発足しませんですけれども、その前身である保健衞生施設は都道府当の自由に任してあつて、従来の建つておるところを見ると、大体協同組合の根拠のある組合事務所の附近であるとか、家畜種場のある附近であるとか、そういう所に建つておる所が多いのであります。ですから実際は協同組合なり何なりの経営が非常に困難になつて来て、装術員もなかなか置けない。技術員も現役でなければいけないというような実情になつておりますけれども、そういう連中が組合の方の手伝も或る部面はやつておることも多てのであります。ですから実際部面においては、協同組合との連繋とかそういうような、少くとも純粋の個人の施設に対する協力とか、或いは助けるということにはなり得ないかも知れませんけれども、協同組合に対しては、相当現在の状態においてもプラスになつておる部面が多いと思うのであります。
#60
○岡村文四郎君 それはお話のよに、今本当の個人で種付所を開設して人工授精所をやるというのは割合に少いかも知れませんけれども、併しながらそういう形にしておかないと、今言うように保健所は八十ヶ所でございまして、計画は。そこで二百六十箇で、保健所ばかりでは頼つて行けないので、やはり新しく作ると思う。そうするとこれは都道府県が直接にやるのでなければいかんという方針を、何らかそこを変えればどうにもなると思うのです。それがどうしても変えられんかどうか……
#61
○説明員(齋藤弘義君) 今のところは都道府県に対する助成でなければ一応予算上は取れないわけなんです。
#62
○岡村文四郎君 それはいいので、都道府県にやりますよ。都道府県にやるが、都道府県が自分が直接やるのでなければいかんということになると、今度は本当に都道府県がそこへ行つて県庁の役人を置いてやつておるかやつておらんか見なければならんことになるが、そうでなしに、それは名目で、実際は民間なり協同組合がやるんだ、こういうことならば話は分るが、そうでなくどこまでも都道府県に一方的に頑張ると、今いうようなことになると思う。
#63
○説明員(神尾正夫君) これは実は八十ヶ所の衞生保健所は二十五年の計画なんです。二百六十ヶ所と申しますのは、既設の保健衞生所百八十ヶ所、本年計画されておりますのが八十ヶ所、その合計が二百六十ヶ所になるのであります。保健衞生所は従来人工授精も一つの事業として技術的の指導なり実施をやつておつたけれども、衞生課長がお話しましたように、人工授精を効率的にやるにはどうしてもそこに最小限度必要な設備も必要でありますし、もともと根本的にはそこには種蓄を経営しなくちやならん、種蓄がないことによつて、折角の人工授精の希望がありましても、なかなか円滑に効率的にこれが行われないというような実情でありましたので、従来の保健衞生所に本当に人工授精らしい人工授精が現実に行われ、それを本当の模範的な施設にしたい、こういう考え方から私達の方の生産の立場から申しまして、優良な種蓄をそこに貸付けしたり或いはその種蓄をそこで安全に伺つて参りますために、サイロとか或いはその他必要な建物などを補助して行く。つまり種蓄を伺い、その種蓄を利用するという。従来の保健衞生所に欠けておりました婦を今度新たに国が補助した、保衞健生所であり且つそこは立派な人工授精をやる得るモデル・フォーム、こういうものを作つてゆく。こういう考え方から従来の百八十ヶ所にプラス今年計画されておる八十ヶ所、合計二百六十というものを一応裏付けて行く。こういう意味からして実は団体に対する助成という点については実は予算面において本年度認められなかつた。こういう経過になつております。
#64
○岡村文四郎君 そうすると重複する部面もできて来やしないかと思う。例えば道庁が人工授精所を拵えよえと計画しておるところへ、例えば協同組合が、俺もやるんだ、こうなると、その協同組合も相当優秀な種蓄場を持つておつてやると、それが競合することになるが、その競合は避けることになるか、それでもやろのか。
#65
○説明員(神尾正夫君) それはできるだけ避けてやつて行く。もともと衞生課長もお話しましたように、種蓄の生産或いはその利用というものは、飽くまでもやはり民間が主体になつて、民間のそういう種蓄の改良なりその需要の体制というものが本当に確立され、それが効率的に行われるということでありませんと。本当の畜産というものは起つて来ないと、こういう考え方を我々は常に持つておりますので、今回の場合も民間が本当に力があり、又現実に人工授精をやつておるというような所に対しましては、より一層それを効率的にやつて頂くための技術的な指導は十分いたしますけれども、こういつた新たな施設を現在の個人、或いは民間団体の施設と競合するというような所は極力避けるように、そうして民間のまだ発達の十分でないというような地帶で、而も相当今後種蓄の改良なり或いは畜産の立場から見まして伸び得る素地があるというような地帶に対しては、民間の及ばないところを国なり、或いは県の立場からそれを補つて行く。そうして従来の我々の得た経験なり、或いは技術の交換指導というようなことを行なつて、効率的な指導をやつて行こうと、こういう思想でございますから、民間の現在やられておるような所と決して競合するとか、これを圧迫するというような考は飽くまでもいたしておりませんし、県に対しましても、こういう点につきましては再三再四今回の我々のこの計画を示します際に、十分その点は徹底をいたして行きたいというようにいたしておるのであります。
#66
○岡村文四郎君 先に羽生さんからお話になつておられるように、この法律は家畜の改良増殖を重点的に、そればかり考えて、そのうちで大家畜の種付ばかり考えておつて、あとは殆んど見られないが、一体その改良増殖の本当の狙いは一体どこにあるのかということを聽かして貰いたい。この法律はもう大家畜の種付ばかりであとは何もない。その本当の狙いがどこにあるのか、一つの家畜の改良増殖というと、これは又人工授精が改良だと言えばそれまでかも知れませんが、それだけではちよつといかんと思うのだが、その狙いを聽きたい。
#67
○説明員(神尾正夫君) 或いはちよつと長くなるかも知れませんけれども、実はこの改正法律案の原法になつておりますところの種蓄法を作りました経過につきましては、種蓄法を作りました当時、現在の山根局長がおられませんのだ私からお答え申上げたいと思うのでございますが、従来の種牡牛検査法及び種馬統制法という二つの法律がございましたが、これは御承知のように非常に、何と言いますか、強制的な、特に種馬統制法は專らその目標を軍馬の生産確保というところに置いてりおましたので、法律の内容は非常に強制的な内容ばかりでございまして、御承知のように一々配合検査までをして全部国が統制しておる。種馬につきましても全部国が強制的な種付をし、強制的な放牧政策をやつて行くようなことになつております。一方又種牡牛検査法では、單に病気の点だけではなくて、資質の点につきましても強制的な検査をいたしまして、それによりまして合格不合格を判定いたしまして、合格しないものは種付に供與してはいけない。こういつたような規定になつておつたのでございます。総司令部の方でその点を強く指摘せられまして、こういうふうなものは即刻改めて根本的に民主的な法律に作り代えるか、然らずんば全然これは野放しにしなくてはいけないという強い注意がありましたために、従来むしろ等閑に附せられておりました病気の点だけにつきまして検査をいたしまして、その伝染性の疾患、その他の遺伝性の疾患、こういつたものを検査の一応対象にいたしまして、苟くも他に悪影響を及ぼしまするところのそういつた欠点を持つておるものは全部種蓄としての資格がないということにいたしたのであります。但しその際、従来のように一般の民間の方々は、やはり国なり或いは県なりの技術者が判定いたしまするところの資質についての判定を依頼しておりました。それによつて国が、或いは県が資質がいいという批評したものを頼つて種付をするというような多年の習慣になつておりますので、單にこの種馬なり、或いは種牡牛は病気がないという程度だけで合格不合格を決めてしまいますと、一般のこの技術者はその種蓄に対する甲乙判定の拠りどころがなくなりますので、少くとも一般の鑑識眼が技術的に相当向上して来るまでは、やはり従来と同じように或る程度資質についての民間に対する指導なり、その拠りどころといたしたいというような考から、合格不合格の基準は只今申上げました伝染性の疾患であるとか、或いは遺伝性の疾病、その他の点につきまして決めるだけでございますけれども、合格をいたしましたものにつきましては、御承知のように血統、或いは能力、それからその種蓄の資質といつたようなものを一応判定の基準にいたしまして、大きな三段階に分けまして、一級、二級、三級というように分けまして、そうして種蓄の証明書にその旨を記載いたしまして、一般に対する或る程度の種蓄としての資質を判定する拠りどころを示して行くというのが現行の種蓄法の行き方であつたわけであります。そういうようなわけでございまして、現在のものにつきましては、單に過去の種馬統制法なり、種牡牛検査法による種蓄の検査ということだけを、一応そういつた新しい方向に変えておるわけでございますが、その意味から申しまして、單に種蓄を検査するということだけでできましたものを本当に積極的に効率的に利用するという面が現在の種蓄法には欠けておつたわけであります。従つてここで新たに段々と普及の過程にありますところの人工授精における本当の意味の指導を與えて、立派な種蓄をより一層効率的に利用するという面を採入れてやつて行きたいということになつておる。新たにここに今回提案いたしておりますところの人工授精を採入れた案でございますが、もともとこの名前は改良増殖法になつておるのでござまして、当時いろいろと論議せられまして、もう少しいろいろの要素をこれに取入れたいというような意向もあつたわけでございますが、取敢ずこの改良増殖法には、いわゆる種蓄と、それの効率的利用、それを通じて改良増殖を積極的にやつて行こう、その線だけを一応今回取りまとめたわけでございまして、只今御指摘に相成りましたように、確かにこれは生産なり、或いは生産増強という点だけでございまして、広い意味の、あれから申しますと、更に一層そういつた面も、将来今回の法律を何時か、何らかの形において総合していくような形のものを作り上げれば非常に結構じやないか、こういうように考えております。
#68
○岡村文四郎君 今の説明で、大体現在の考え方は分つたのですが、そこで質を本位にお考えになつているのか、数を本位にお考えになつているのか、それをお聽きしたい。
#69
○説明員(神尾正夫君) どつちかというと質の方でございます。
#70
○岡村文四郎君 そうすると、質を選ぶのには制限があると思うのでございますが、現在の日本の実情に照して……
#71
○説明員(神尾正夫君) 種蓄の質のことですか。
#72
○岡村文四郎君 日本の実情を考えて行つて、馬格の高い良馬を考え、その良馬が良馬として十分果し得るだけの用途があつかどうか。それより数でやつて行つて、安いものを出したら一体どうなるか、それはどう考えておいでですか。
#73
○説明員(神尾正夫君) 数の点につきましては、一応どういう面からでも種蓄の頭数さえ或る程度確保いたしますれば、できるだけ生産の面は、おのずから行われて行こうと思うのでありますが、特に人工授精の面から申しますと、等しく質と申しましても、やはりそれは、その土地々々の事情によつていろいろ程度が異るかと思うのであります。従つて人工授精をやることは、それだけ生産を増強するということに結論的にはなるわけでございますが、その生産を増強する場合の、只今御質問の家畜の質という点につきましては、今までのような、全国、特に馬の点について申上げて見ますれば、軍馬というものを対象にいたしまして、全国殆んど割一的な質を強要したというようなことは、当然これは改められなければならない。従つて人工授精のようなもので、特にそれを効率的に利用して、生産をうんと高めて行こう、こういつた面については、十分その県なり、その土地々々の事情によつて、最もそこに適したものを人工授精の方に利用する。こういうことで行かなくてはならないという考え方を持つております。それは人工授精の方を利用する。そういう種蓄については、その県の知事さんが十分学識なり、その土地の事情に明るい人々の意見を十分聽かれまして、この地帶には、いわゆる従来のような見方からしていい……従来の見方で見ていい馬、牛ということではなくて、只今後段に申上げましたような、そういう観点から見た意味の普及したいというようなものは人工授精所の方で利用して頂くというような考え方から、法律の方でも、やはり人工授精を利用する、そういつた過程を踏んで適当な種蓄をそこで利用して頂く、こういつた規定をいたしておるわけであります。
#74
○岡村文四郎君 いろいろお話がありますが、私共素人で、馬を生産したり、使つたりすることでは素人ではありませんが、今申上げますようなことは、素人に違いないのでありますが、現在の日本の状態から考えて見て、一番大家畜の征費の面は、まあ都市馬もありますが、なんといつても農耕牛馬が一番多いと思う。そこで非常に今変化しておると思つておることは、耕馬が耕牛に変りつつあると思うのであります。そこでこれは、生産に大影響がある。例えば北海道が牛乳の生産地と誇つておつたが、それはとんでもないことで、終戰今日になつて見ると、まるで北海道の牛乳の生産量は内地と比べると恥かしいものである。そういうように変つて来ておるが、これはいいことであつて、北海道はどうなつても構わんから、日本全体がそういうようになり、牛乳が豊富になつて、人口の殖えるに伴つて、それが使えていいことであります。さてそうなると一体馬はどうなるか、今一番困つておるのは、輸送費が高くなつて、なかなか北海道からこちらに馬を持つてきても、その馬を捌けない状態なんです。そこで質のいい馬は、誰が見てもいい馬はいいので、使つても、安くていい馬が買えれば一番いいのでありますが、何も悪い馬を使いたいという人は殆んどないと思うのですが、今お考えになつておるような状態で進んで行つて、現在の日本の大家畜の状態が一体どうなるだろう、これが産地の一番の悩みなんです。そこで人工授精にも、普通種付もさることながら、この馬は一体どうなるだろうか、牛はこの関東近辺は下つておりますが、北海道は上りつつあるということは、北海道庁が今二千頭の牛を買つて貸付ける、それから岩手から一年に千五百頭の牛を入れる、こういうわけで、どんどん牛は高くなつても、馬は逆に安くなる、こういうことになるのですが、畜産局の方で專門にお考えになり、生産する以上は用途も心配になつておると思うのですが、どういつたお考えになつておるか。
#75
○政府委員(山根東明君) その点につきまして、私から私共の考を申上げます。馬については、先程申上げましたように、五ヶ年計画でも一つの増殖目標を立てております。ただ外の家畜が、例えば牛等が計画目標を超過、オーバーしておりますのに対しまして、馬は今日計画目標に到達していないという現状であるのでありまして、このいろいろ理由を考えて見ますと、終戰以来、馬に対する一般の考え方、或いは国の政策の取上げ方が、一時反動的に動きまして、いわば殆んど確たる政策が立てられなかつたことが原因であろうと思うのであります。そこでこれをそのまま放任するつもりは実はないのでありまして、私共も本年度の予算にも、今後の馬をどうして行くかということについて、少し新しく問題としと取上げる必要があるという見地から、実は或る程度の経費の計上も計画したのでありますが、いろいろな都合で予算も実現を見なかつたわけであります。併しそのために私共は、差迫つた事情を、予算の実現を見ますまでこのまま放置しておくつもりはないのでありまして、私共は、経費の面では既定の経費をやり繰つてでも今後の馬をどう持つていくか、先程生産課長からもちよつと申上げましたように、地域的に、どの地域でどういう馬を、どういう用途にこれを作り上げて行くかということを中心にしてまし、馬の問題を早急に取上げる、そうすることによつて今日まで放置されて来ました馬に対する政策を新しく私共取上げて参りたい、かような考えをいたしております。
#76
○岡村文四郎君 話が飛び飛びでなんですが、委員長が最初に、種牡馬の免許に千円、人工授精師の免許に千円、その書換に百円、これは大したことではないかも知れませんが、人工授精師の許可は、一回切りでしようからどうかと思います。種馬は毎年千円取られて、そうしてどうも今の千円という考え方は、法律に書いておいてこれはどうなるかということです。私も委員長と同じように、当然今までやつたような無料でやるべきでないか。若しそうなると恐らく今の千円で馬の仔が二頭買えるようになりやしないか、こういう心配をするわけであります。これは委員長もお話のように、何とか遺り繰りをして、千円、千円というのを取らないで、無料でやらせるようなことをお考えになつたらどうか。絶対に駄目なのか。
#77
○委員長(楠見義男君) この点、私は申上げたのだけれども、少くとも検査手数料というものは、不当利得です。不当利得をこの際する必要がないじやないか。一方で競馬益金というものは畜産振興に使うということを、法律の修正までやつて、又衆議院の方から民間団体に競馬をやらして、その利益で畜産振興をやろう。こういうような提出法案を出そうとしておる際に、よく衆議院がこの法案を僕は通したと思う位不思議なのですよ。不当利得をしなければならん理由、それから検査手数料を取らなければこの法律が施行されないという理由が納得できればよいのですが、それでなくてはこの法律には同意し兼ると思います。
#78
○政府委員(山根東明君) 岡村委員の御指摘のように、千円と法律では書いてありますけれども、先程御説明いたしましたように昨年の実績で計算いたしてみますと大体六百円前後の実は経費が一頭についてはかかつておるわけでありまして、千円以内と法律にはこう規定してありますので、六百円程度にこれは……確か省令で定めることになつておりますので、六百円程度に省令で定めたいと考えております。将来経済事情が変りまして、或いはその額は高下される場合もあるかも知れないと思いますが、差当りはこういう考え方をしております。
 それから新しく、従来無料でありましたものが新しく負担をかけるという点は、私共も非常に気になる点であります。併しながら先程来、たびたび申しましたように財政上の負担が国におきましても地方におきましても相当多い現状でありますので、一方にはこの検査によつて、検査を受けた人は種畜として、まあ具体的に言えば検査に合格すれば非常な馬は値上りにもなりますし、そういうような面で受検者の利益になるという点もありますので、先程もちよつとお断りしましたが、他のいろいろなこうした検査の例等も参酌いたしまして、これに対する実費程度の検査手続料を徴收することは必ずしも無理ではないじやないかという考え方を持つておるわけでありまして、必ずしも……
#79
○委員長(楠見義男君) そこがどうも……ちよつと速記を止めて下さい。
   午後三時二十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十八分速記開始
#80
○委員長(楠見義男君) では本日はこの程度で散会いたします。
   午後三時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           羽生 三七君
          池田宇右衞門君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           北村 一男君
           深水 六郎君
           赤澤 與仁君
           徳川 宗敬君
           岡村文四郎君
  政府委員
   林野庁長官   横川 信夫君
   農林事務官
   (畜産局長)  山根 東明君
  説明員
   農 林 技 官
   (畜産局生産課
   長)      神尾 正夫君
   農 林 技 官
   (畜産局衞生課
   長)      齋藤 弘義君
   農 林 技 官
   (林野庁指導部
   計画課員)   中川久美雄君
ソース: 国立国会図書館
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