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1947/11/13 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第16号
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1947/11/13 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第16号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第16号
  付託事件
○地方分權の確立に關する陳情(第二
 十三號)
○經濟緊急對策中、料理飮食店の措置
 に關する陳情(第二九號)
○料理飮食店の措置に關する陳情(第
 三十五號)
○料理飮食店の休業に伴う藝妓營業に
 對する措置に關する陳情(第三十七
 號)
○地方自治連盟の即時解散に關する陳
 情(第三十九號)
○地方分權の確立に關する陳情(第五
 十四號)
○特別市制實現に關する陳情(第百十
 三號)
○地方公共團體職員の給與に關する陳
 情(第百二十二號)
○地方公共團體職員の暫定加給國庫補
 助その他に關する陳情(第百三十五
 號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百三十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第百五
 十四號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百五十七號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百六十五號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百八十號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百八十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第百八
 十九號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百九十四號)
○特別市制實現に關する陳情(第百九
 十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百十七號)
○兵庫縣武庫郡の取扱いを都市同樣と
 することに關する請願(第百二十八
 號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 二十五號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百二十九號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百三十號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 四十號)
○地方公共團體職員の給與に關する陳
 情(第二百四十二號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百四十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百五十三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百五十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十八號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十九號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 七十二號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百七十七號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百七十八號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 七十九號)
○特別市制施行反對その他に關する陳
 情(第二百八十一號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百八十六號)
○地方官公廳職員待遇改善費國庫補助
 に關する陳情(第二百九十號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 九十三號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 九十七號)
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○地方自治法の一部を改正することに
 關する陳情(第三百八號)
○特別市制實現に關する陳情(第三百
 十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百四十一號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百六十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第三百
 七十三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百七十四號)
○町内、部落會廃止後の措置に關する
 陳情(第三百八十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百九十六號)
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 四百十一號)
○料理飮食店營業の即時開業等に關す
 る陳情(第四百六十四號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 四百七十三號)
○地方分與税の追加分與増額その他に
 關する陳情(第四百九十四號)
○警察行政權の市長委讓に關する陳情
 (第四百九十八號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 五百十四號)
○特別市制實現に關する陳情(第五百
 十五號)
○料理飮食店營業の即時開業に關する
 請願(第四百三十五號)
○警察法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
   午前十時三十五分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○地方自治法の一部を改正する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより委員會を開會いたします。本日は地方自治法の改正案につきまして、證人の方の御出頭を求めまして、逐次各證人の證言を聞くことになつておるのでありますが、それに先立ちまして、明日開きます委員會についてでありますが、明日より警察法の豫備審査に入りたいと思つておるのであります。それにつきまして、司法委員會の委員長から、提案理由の説明を聞く最初の審議から一つ合同委員會にして貰いたいというところの御提案がありまして、あの議案は本委員會に付託されておるのでありますが、御尤もな御提案であると思いますので、委員長の間だけではできるだけそのように取り運びたいというふうに、御返事いたして置いたのでありますが、本日この機會に皆さんに一つお諮りいたしたいと思いますが、そのように取運びまして、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉川末次郎君) それでは司法委員會と合同いたしまして、警察法の審議を取運ぶことにいたします。
 今出頭せられました證人をこの席上へ呼ぶようにいたしておりますので、それまでちよつと休憩いたします。
   〔速記中止〕
#4
○委員長(吉川末次郎君) それじや速記を頼みます。尚この機會に、もう一つお諮りいたして置きたいことは、本月の二十六日に、先般の委員會で警察法の審議に關しまして公聽會を開くことを委員長及び理事に御一任願つたのでありますが、その後理事の方々とも御相談いたしまして、申しましたように、二十六日に開會するように大體取決めましたのでありますが、よろしうございますか。御承認を御願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(吉川末次郎君) それでは御異議ないものと認めます。そのように取運ぶことにいたしますから、そのように御了承願います。二十六日午前十時からやりたいと思います。
 それから明日警察法の審議に著手するのですが、大體十時からやりたいと思います。明日は本會議がないそうでありますから、ただ總理大臣が來るのが、午前中來られないと言つておりますので、午後引續いてやりたいと思います。午後は二時から大體やる豫定であります。
 それでは引續きまして委員會の議事を續行いたしたいと存じます。本日は新たに政府から提出せられました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして御意見を承りますために、證人といたしまして神奈川縣知事内山岩太郎氏外七名の方々の御出席をお願いいたしたわけでございます。これらの方々は御多用の中にも拘わらず繰合せ御出席下さいましたことを厚く御禮申上げたいと存じます。この度の地方自治法の改正は地方公共團體の自主性をば更に強化いたしまして、新憲法の精神に基いて地方自治の本旨を一層徹底せしめることを目的といたしておりますことは申すまでもないことでございまして、本委員會におきましては目下愼重に審議いたしているのでございますが、更に地方自治行政の運營に、或いは地方議會に多年御經驗を持つておられまする各位、及び學識經驗ある皆樣方の御意見を十分拜聽いたしまして、皆樣がお持ちになつておりますところの、或いは國民として御抱懷になつておりまする御意見を承りたい。そうして我々委員會の審議に皆樣たちの御意見を反映せじめたいという趣旨を以て今日御出席願つたようなわけでございます。本來ならば國會法の規定に基きまして、公聽會といたしまして御出席を願いたい、このように思つておつたのでございますけれども、審議の關係上成るべく早く皆樣方の御意見を承りたいと存じまして、便宜の方法を採りまして、證人として御出席を願つたようなわけでございます。從つて本委員會といたしましては、公聽會の公述人として御出席を願つたと同樣な氣持を以て皆樣たちに對しているわけでございますから、皆樣におかれましても委員會の趣旨の存するところを御了承下さいまして、御自由な御意見の御開陳をお願いできますならば大變結構と存ずる次第であります。尚時間の關係上、なるべくお一人二十分以内ということで御意見をお纒めを願いまして、お述べ願いますならば結構に存じております。それでは順次御指名申上げたいと思いますが、尚それに附け加えて一言お斷り申上げて置きたいのでありますが、先刻申上げましたように、國會法の規定に基きまして公聽會という形で開きたかつたのでありますが、これがいろいろな都合からこうした會合になりましたことは御了承頂くような次第でありますが、ところが證人として御出頭を願つておりますので、參議院規則の第百八十五條に、「證人が出頭したときは、宣誓書によつて、宣誓させた後、その發言を許可する。」こういうような文言がございますので、甚だ失禮でありますが、そうした法令のあります關係上、只今書記をして宣誓書を皆樣たちのお手許に囘付させますから御署名を願いたいと思います。どうぞ惡しからず一つ御了承願いたいと思います。御起立を願います。
   宣誓書
 良心に從つて眞實を述べることお誓います。
  昭和二十二年十一月十三日
      證人代表 内山岩太郎
#6
○委員長(吉川末次郎君) それではこれより證人の方の御指名を申上げますから、御證言を願います。都道府縣知事の代表といたしまして神奈川縣知事の内山岩太郎君を御指名申上げます。
#7
○證人(内山岩太郎君) 御指名によりまして府縣知事を代表いたしまして申上げます。本日の會合がたとえ公聽會でないといたしましても、私共に最も關係の多い地方自治法の問題につきましてかような會合をお開き下さいました參議院、殊に當常任委員會の皆さんに對して厚く御禮を申上げると共に、かくのごとき方法をお採りになつたいわゆる民主的態度に對して敬意を表したいと思います。昨年の十一月制定になりました日本の新憲法は、何といつても日本における地方自治の大方針を決定いたしたものでありまして、引續いて本年の四月できました地方自治法は正に畫期的な自治政治の在り方を示したものと思うのであります。併しながら私共極く經驗は淺いのでありますけれども、縣知事と申せば、外の國の例などによりますると、小さいながらも一つの大統領或いは總理大臣というような……決してこれは自愡れではありません。當然なことをしてそういう考え方を持つて仕事をやつておりますると、あの廣汎な地方自治法もどちらかといえば、急に大きなものを作り上げたというような結果、決して完全なものではないのでありまして、將來いろいろの點において改正を要するものがあるのではないかと思われるのであります。從つて本日この地方自治法の改正案についての私共の考え方をあとの方で申上げる前に、取敢えずこの機會を利用させて頂きまして、私共の考えておりまする將來の地方自治の在り方というものについて二三の例を申述べさせて頂きたいと思うのであります。
 大體地方分權下の都道府縣知事の地位は、地方行政におきましての強度の綜合行政廰という立場でありまして、過般來地方自治法制定の前後を通じて濫立されました地方出先機關は、知事の地方行政における綜合行政廰という立場を著しく困難ならしめておるものでありまして、地方行政に對する指導的地位を失わしめるという傾きが非常に多いのであります。例えば地方商工局の出張所の設立は中小商工業に對する知事の指導力を減殺する。農林省の資材調整事務所は農業指導の知事による一元的指導を不可能とする。地方食糧檢査事務の食糧事務所への移管は食糧供出事務にさえ惡影響を及ぼしておるというような實情であります。尚臨時物資需給調整法の施行に伴うところの各種の出先機關及び勞働行政の國と府縣との分割は、府縣行政を混亂せしむる以上に、むしろこれは有害である、こういう考え方であります。勿論現下の社會經濟情勢からいたしまして、國家的統制の下に行われる事務は、國家の直轄機關による行政を適當とするのであろうと思うけれども、地方行政として最も重要である事務をも、これを不當に知事から剥奪するということは、地方分權の確立の趣旨に反するものである。こういうことが言い得ると思います。どうか國會におきましては、速かにこれらの出先機關の濫立を整理、御檢討下さいまして、できるだけ早く私共の希望を達成されるように御盡力を願いたいと思います。
 又教育、衞生、民生、勞働、商工、農林等の事務について申しましても、地方自治組織の整備と相俟つて、中央集權的法制を早急に改革すべきことが澤山あると思うのであります。これら文部、厚生、商工、農林、勞働等各省所管の事務が、依然として極端な中央集權型の法制を以て國民に對しておるということは、地方政治の民主化をしてただ形のみとする傾きがあるのでありきす。地方自治法上に規定されてあるところの特別市制の問題であるとか、又は出先機關の問題というようなことも、結局はどういう事務を市町村に與え、又どういう事務を國と都道府縣に配分するかという根本の問題を研究して處分、處置することによつて、それは實質的に解決せられるのではないかと考えられるのであります。要するに國と都道府縣間の事務配分の調整を行うということは、當面緊急を要する問題と考えます。
 尚地方自治法附則の第八條に規定いたしまする、現在都道府縣においては教育關係事務、社會保險事務、公共職業安定所の指導、監督に關する事務、北海道における開發關係事務に從事するところの者は依然として官吏である。併しながらかかる職員を有することは、警察事務という極めて國家的性質を持つておると思われるものさえも、將來自治體警察として人口五千以上の市街地にすべて委讓されるという、即ち警察官も公吏となるという世の中でありまするので、以上のような方々を、依然として官吏として置くことはどうかと思われるのであります。
 次に地方財政という問題から考えまして、地方團體の財政は、現在窮乏を招いておることは皆さま御承知の通りでありまするが、その原因としては、次のようなことがあると考えられるのであります。即ち國と地方國體との税源の配分が適正を缺いておる、伸縮性、伸張性を持つ強力な税種は殆んど國税でありまして、地方税は甚しく伸張性を缺きまして、その結果インフレーシヨンの時代にあつては税收入が經費の増嵩に追隨し得ないこと、又地方團體の大多數は戰災によつて多大の財源を失つておるにも拘わらず、これの復舊費などのために財政需要は却つて増大しておること、更に又終戰以來の物價騰貴によつて、地方團體の經費が増嵩の一途を辿つておりまするにも拘わらず、特に職員待遇改善費の増嵩は甚だしいのでありまして、これが地方財政を特に壓迫しておる。又經濟安定公共事業等幾多の國庫補助事業が、甚だしく莫大な地方費負擔を伴つて地方團體に配分せられます。地方團體はこれが財源の捻出を地方債に求めざるを得ないのでありまするが、地方債の枠は資金關係から限定されまして、且つ許可せられても、銀行側の態度が強硬でなかなか消化がうまく參らないのであります。又中央の各行政官廳は地方財源の有無を考慮することなく、全く一方的にその事務を地方公共團體に委任し、押付けまして、國に豫算を要求して、減額或いは削減されても事業分量を減ずるということがなく、地方費の負擔はますます増加いたしまして、その事務を行わなければならんというようなことであります。又災害の累積は、地方團體を壓迫するのでございまして、税源の涵養も許さないのであります。要するに地方團體も財政窮乏の原因は、税源配分の不適正、負擔區分の不適正、職員待遇費等人件費の増嵩、災害の累積等によるものでありまして、その原因の大部分は、國の側にあるといつても差支えないのではないかと思います。從つて地方財政の當面の危局を打開いたしまして、地方財政自主權を確立いたしますためには、次のような措置を迅速且つ強力に推進することが必要であります。即ち地方税體系を再檢討いたしまして、地方團體に大幅に獨立財源を與えること、例えば卑近な例を取りますと、地方競馬法において地方税の課税が禁止されておるということが、現在の地方競馬の持つ意義に顧みまして甚だしく當を得ないということを考えております。ただその前提として、國政事務と地方公共團體事務との配分を根本的に再檢討をいたしまして、國の事務を大幅に委讓を斷行することが必要である。國が地方團體に事務を委任する場合、それに要する經費については、原則として全額國庫負擔として、地方負擔を伴う場合は必ず法律又は政令においてその割合を定むべきであります。現在のごとく國庫豫算の範圍において分擔を定め、或いは臨時物資需給調整法に基く統制事務のごとく、地方費負擔を全然考慮することなく、單なる省令を以て執行を強いられることは甚だ迷惑な話であります。又金融機關に對する態勢をできるだけ強化いたしまして、地方債の消化について萬全の策を講ずることが
必要と考えます。地方債の消化について現在の地方銀行の協力能力は十分とは言えないのであります。そこでこの際銀行に對しましては、地方債責任引受制を確立するとか、或いは日本銀行保障による預金部資金の高額地方債投資の制度を確立することが必要と考えます。いずれにいたしましても、現在のような有樣では、地方團體は、經濟安定、公共事業、災害復舊豫算等の緊急事業すらも遂行するに困難を感じておる状態であります。
 更に又災害豫防に關しましては、根本的な對策を樹立することが必要と考えます。災害の起る度に豫算のぶん取りが行われ、又復舊費などにつきましても、常に十分な支出が行われないで、積んだり崩したりするような結果が見られるのであります。どうかこの際災害保險制度のごときものを設けまして、炎害復舊に要する資金の蓄積を圖ると共に、炎害防除について徹底的な施策を迅速強力に行い、これがために要する經費は、金額を惜しまないで投下するように考えて頂きたいと思います。
 又國において行政整理の模範を示し、勞働問題に對しても斷乎たる態度を取つて頂きたいと思います。今日地方豫算の中にあるところの職員費の割合は、都道府縣において約五割五分、市町村において約四割を占めるのでありますが、物價騰貴の現状において、限りある財源の下で、どうしても事務を合理的に行うためには、人員の合理的配置轉換、行政整理の斷行以外には途がないというような考え方から、すでに地方團體の一部ではこういう方面に手を染めつつある所もあるのでありまして、中央においても一つ率先その模範を示して頂きたいと思うのであります。
 尚許可、認可というようなものをできるだけ撤廢して、地方財政自主權の確立のために、地方税法に定めたところの許可權は、事情の許す限り撤廢すべきであると考えます。又許可の行政廳も、事務の迅速處理を圖るため、できるだけ單一化いたしまして、共管というような考え方は止めて頂きたいと思います。
 以上のような諸點について、この際國會におきましても、速やかに根本策を立てまするように、政府を鞭撻して頂いて、そうして一日も早くそれが實行に移るようにお願いいたしたいと考えております。
 終りに、合囘の地方自治法改正案の中で、修正を要すべき點として次に申上げますれば、今囘政府提案の地方自治法改政案は、細部の技術的な點を除いては概ね適當であると思います。併し概括的に見て、地方自治の確立という問題は、頗るむずかしい問題でありまするが、民主政治と議決機關、特に議決機關の尊重ということは、十分に考えた上で申上げるのでありますが、それでも尚且つ地方自治體の最後の責任者というのは知事であるというような考え方から、いま少し執行機關の地位の強化ということについても御配慮を願いたいのであります。
 尚地方公共團體の長の選擧又は決選投票において、立候補屆出期間經過後、選擧の期日の前日までに、候補者が死亡し又は候補者たることを辭したるために候補者が一人となつた場合、そういうときは選擧の期日を五日延期し、更に補充立候補屆出を許し選擧を行わしめるということは、その延長期間が短い點からいたしましても、實際無意味なことでありまして、豫期するごとき結果を得られないと思います。ただ却つて選擧戰を混亂させるものであると思いまするので、この改正はいかがかと考えるのであります。
 次に、議會に豫算の増額修正の權限のあることを明記することは、地方自治法における議會と長との關係が、すでに議會優越的傾向にある際に、一層議會と長との關係を混亂させ、地方行政の運營に支障を來すものではないかと心配をするのであります。
 以上、誠に規定以外のことを申上げまして、皆樣のお耳を汚しましたが、率直に私の所見を申述べまして、皆樣の御高配を頂きたいと思う次第であります。
#8
○委員長(吉川末次郎君) 尚、各證人に對する質問は、すべての證人の證言が終りましたあとでいたして貰うことにしたいと思います。
 次には全國都道府縣議會議長會の代表といたしまして、東京都議會議長石原永明君にお願いいたします。
#9
○證人(石原英明君) 私は只今委員長から申されたごとく、都道府縣議會代表の資格を以て證言をいたしまする關係上、主として議會方面から今囘の修正についての意見を述べさせて頂くということになるのであります。
 私は先ず第一に、この修正原案につきまして、選擧人の資格問題について一言申述べたいと思います。今度の修正案には、選擧期日を基準にして、年齡竝びに住居の資格を決定いたしておりまするが、私は更に一歩を進めて、住居の制限を撤發して頂きたい。生活の中心である住居をその選擧區に持ちたる以上は、六ケ月の期間經過したものと、又經過しないものとの間の心理状態、或いは愛郷とか土地の執著という點において更に變りがないばかりでなく、一定の年限以上の者に性別の區別なく選擧權を與えました趣旨を徹底せしめる上からも、この期間の制限は撤發する方がよろしいではないか、こういう考え方を持つておるものであります。かくいたしますると、選擧名簿の確定とがいろいろな資格の確定の問題について、困難な事情が起り得ると思いまするが、併しそれは技術上の問題で、いかようにも解決のつく道が他にあると存じますから、この期間の撤發は是非この際斷行して頂きたい。
 第二に申上げたいのは、只今神奈川縣知事の内山さんからちよつと述べられた御意見とは、いささか反對の見解を持つております。それは知事の權限擴大ということも必要でありますが、知事の權限を擴大するために議會の權限を縮小せねばならんという方法を取ることは、これは斷じて許されないことと思います。そこで私は現行法の百十二條に「普通地方公共團體の議會の議員は、議會の議決すべき事件につき、議會に議案を提出することができる。但し、歳入歳出豫算については、この限りでない。」という規定があります。この前段の文意によりまして、長と同じ分量の發案權を與えられておるのであります。而してこの發案權を與えて置きながら、苟くも議案として議會に提出する以上は、必らずや豫算が伴わなければ意味をなさないのであります。さようでありまするから、最後の但書に「歳入歳出豫算についてはこの限りでない」というようなことでぼかしてありますが、今囘の改正案につきましては、豫算の總額修正案を認めるが、併し長の歳入歳出豫算の提出の權限を侵すことができないということになつておつて、この間の意味が甚だ曖昧模糊としている。私はさようでありますから、これは執行機關が歳入歳出豫算を出しまして、その歳出入豫算のうちの増減ということは、議會の權限で變更することができるというように明確にして頂きたい。かくすることによつて、初めてこの百十二條の議決すべき議會の議決事件が長と同じ分量の發案權によつて審議することができ得るということになるのでありまして、議員から提出いたしました議案が、執行機關から提出いたしました議案よりも緊急必要である場合には、この執行機關の提出いたしました議案を削除いたしまして、議員提出の議案を成立せしめることができるように明確にして頂かなければならんと思います。この點については、遺憾ながら都道府縣知事代表の御意見と相違いたしまするが、これは現行法百十二條の前段の規定を活用する。折角これまで進んだ法律ができておりますから、これを活用し、これを以て民主化し得るという意味で、是非そういうことにしなければならんという考えを持つておるのであります。
 その外に現行法の定例會と臨時會の區別がありまして、これ又おかしな規定で、「普通地方公共團體の議會は、定例會及び臨時會とする。定例會は、毎年六囘以上これを招集しなければならない。」ということになつておりますが、併し六囘以上で、最少限度は六囘であるが、それ以上は毎日でも開けるということになつておる。こう申すと極端でありますが、とにかく毎月でも、月二囘でも開くことができるようになつておる。ところで、然らば臨時會なるものはどういうことなんだ、こういう疑問が起つて來るのでありますが、この疑問の解決をしようという場合には、僅かに議員の四分の一以上の者から會議に付議すべき事件を示して、臨時會の招集を長がした場合にここに初めて臨時會となるので、定例會と臨時會の區別は、議員四分の一以上の者の請求したものを臨時會、そういうものでないものが定例會というならば、それだけのことでこの區別が起つているようでありますが、これは議員の招集請求權というものは四分の一でよいのですが、わざわざ臨時會にする必要はない。臨時會と定例會の區別は、僅かに臨時會の場合にはその事件のみについて發案することができるというのでありますが、これはこういうことをしなくても、殊更に分らない規定を設けてしなくても、ただ單に必要がある場合には何時でも招集し、會議を開くことができ得るというように簡單明瞭に訂正をして頂きたいと思うのであります。
 それから會議の結果を知事竝びに内務大臣に報告する規定がございまするが、これは成る程内務大臣は今度なくなるようで、地方自治委員會というものができるように原案に出ておりますが、恐らくこの地方自治委員會は内務大臣と同じ權限を持つた行政機關であると思うのでありまするが、併しこれは内務大臣に報告するということは昔からの舊思想の觀念に囚われたことでないかと思うのであります。自治體の獨立を強化して新自治法を制定された以上は、昔の觀念であるところの内務大臣の監督指揮を受けるという関係の下に制定されたこの報告というようなものは先ず削除して、政府みずから、委員會みずから一つこれを削つて頂きたいということをお願いするのであります。
 最後に、普通地方公共團體の議會でよく議案の決議をいたしまして、その議案の財源を起債に求める場合が澤山にある。そういう場合には監督主管行政廳の許可を受けなければならんということになつておつたのでありますが、今度「當分のうち」ということになつておりますが、「當分のうち」という曖昧模糊の文句は一年も當分のうちなら百年も當分のうちです。これはどうも意味が甚だ明瞭を缺くと思いますから、この際「當分のうち」ということは廢して、主管行政廳の許可を必要としないのだ、自治體みずから必要とする仕事の起債は何ら制限も監督も認可も許可も要せず、直ちに實行ができるように改正して頂きたい。
 こういうことでありまして、すでに私の申上げましたことは主として議會ということを中心にして申上げましたから、從つて執行機關の御意見とは多少相違する點があるかも知れませんが、併し今度のこの改正の趣旨から申しますと議會が主になつておらなければならん。帝國議會でも地方自治體の議會でもやはりこの議會を中心にして主としてやらなければならん。その現われの一部として現行法の十三條にも「日本國民たる普通地方公共團體の住民は、この法律の定めるところにより、その屬する普通地方公共團體の議會の議員、」云々と第一番に書いてありまして、その次に「長、副知事若しくは助役、出納長若しくは收入役」、こういう工合に順次書いてありまして、議會の議員ということがこの新自治法の下におきましては首位に置くべきはずでありますから、どうぞ私の申上げたことで或いは執行機關の意見と相違することが今後起るかも知れませんが、併しこの法律の趣旨から行きましても、今度の新制度の上から行きましても、議會が中心であるという前提觀念の下に、委員各位におかれましては御檢討賜わらんことをお願いいたしまして私の證言を終ります。
#10
○委員長(吉川末次郎君) 次は市長會代表鹽釜市長櫻井辰治君
#11
○證人(櫻井辰治君) この度地方制度改革に關する御意見を問われましたので、聊か私の意見を述べたいと思います。
 地方公共團體の自治性を尊重し、自立を尊び、地方分權の趣旨に則つて市町村の自治權を畫期的に強化した地方自治法の根本精神は、我々が從來常に主張して止まないところでございまして、深く滿足し且つ大いに敬意を表しておるところでございます。併しながら地方制度全般に亙りましてこれを檢討するならば、尚解決すべき重要な問題が少くないのでございまして、その點につきまして、項を分けてこれから意見を述べたいと思うのでございます。
 先ず、府縣の廢合でございまするが、府縣の區域が狹少に失し、地方行政の單位として不適當であるということは夙に識者の指摘するところでありまして、今日では一つの輿論と考えられておるのでございます。然るにこれが容易に實現されないのは、府縣民の納得を得るに足る具軆案の得難いことと、機運が熟していないということにあるのでございます。折角國會に治安及び地方制度員會があり、且つ内務省にも地方制度調査會があるのでありまするからして、用意周到な調査研究の上、たとえ數年を要しましても府縣統合の具體案を作成し、これを世論に問うて實現に努力されたいのでございます。
 次に市町村の廃置分合の件でございますが、現行法においては關係市町村議會の決議を要することと規定してありまして、關係議會におきましてはその市町村民の意思を十分尊重して決議するものでありまして、その決定の許可權を内務大臣が有することについては決して地方公共團體を壓縮するものでないと思うのでございます。この度の改正案を見るに地方自治委員會が内務大臣に代つて決定することになつておるのでございまするが、地方自治委員會はいかにして構成されるのかまだ分りませんが、地方自治委員會と關係市町村議會の對立杭爭を惹起するがごときことがあつては、自治制の上に誠に遺憾なるが故に、これは現行法通りを可とするものと思うのでございます。
 次に我が國の地方自治團體の特色は、自治事務の範圍が極めて狹小且つ貧弱で、反對に國家事務とされているものが甚だ多いことであるのでございます。例えば市町村長は、市町村住民の日常生活に最も關係の深い食料及び燃料の生産や配給等についても、全く國の手足としてその末端事務を遂行するばかりでございます。自治團體がみずからの責任において、住民の生活を確保する餘地は殆んどないと稱しても敢えて過言ではないのであります。例えば食料問題にいたしましても、米の配給量は先ず縣から定められておるのでございまするが、これは直接地方公共團體がこれを取扱つておるのではなく、食糧營團がこれを取扱つておるのでございます。ところが、營團は自己の負擔を成るたけ輕減するために、例えば割當されたところの土地から町村に運ぶ場合におきまして、自動車の料金であるとか或いは馬車の料金であるとか、そういうものが非常に公定價格より高いことは事實であります。それらの不便によりまして、折角配給されたところの、割當を受けたところの物を與えられた期間の中に運ぶことができ得ない。又運ぼうともしない。かような場合が澤山あるのでありまして、そういう場合におきましては、市民に配給するところの米が遲配になつたり、或いは又缺配になつたところの例がしばしばあるのでございまして、かかる場合におきましては、市といたしましては何らかの資金を以ちましてこれを運搬し、そうして營團に補助をして、そうして運んでおるといつたような現状なのでございます。又燃料等においてもさようでございます。割當てられたところの燃料を運搬するためには相當の經費が掛かるのでございまして、燃料の組合がそれを負擔し切れない場合があるのであります。さような場合におきましては、いつでも市がこれに向いまして何らかの方法によりまして、負擔を市みずから背負つて市民に配給する。かようなふうになつてお
るのでございまして、直接市の責任においてこれをやつていないのにも拘わらず、經費は多分にこれを出さなければならんというようなことになつておるのでございます。これは決して食糧の面ばかりではなく、他のあらゆる行政面においてこういう例が澤山あるのであります。例えば教育方面におきましてもこういうことが見られるのでございます。御承知の通り新制中學、小學校、これらの教員の俸給は國家の負擔なのでございます、然るに、學校或いは學校の設立というものは地方公共團體の負擔が非常に多いのでございます。然るにも拘わらず教員の任免權は全部これは市にはないのであります。而も内申權すらもないのでございます。御承知の通り地方公共團體はその所によりまして、いろいろの特色があるのでありまして、決して一樣ではないのであります。でありまするからして、教育面におきましてもいわゆる地方の特色を重んじ、地方の特異性に鑑みまして、教員の任免に當りましてはその丙申權を地方に持たして貫いたい、かように思うのでございます。只今の現状におきましては市町村は過重な國家事務の負擔に喘ぐのみでございまして、自治は國家事務によつて壓殺されておるというような状態にあるのでございます。これが自治行政不振の根本理由でありまして、又民主的精神を根柢に培うことが不可能な所以であつて、かくのごとき事態を放置することは、地方自治法制定の精神に反するのみならず、高邁な民主政治を理想とする新憲法は、根のない浮草のごとく國民から全く遊離した存在てなる虞れがあるのであります。
 この我が國の地方公共團體の事務と國の事務の關係は、我が國と英米とは全く逆になつておると伺つております。地方的事務はすべて地方自治團體の事務とし、國家事務は政府の組織であるとか、外交であるとか、税制その他の存立を確保し、國民全體の福祉を増進はるための國が直接擔當、處理することを必要とすべき事務に限定すべきであります。この方が却つて事を合理的に且つ經濟的に處理する所以であると思うのでございます。從つて我々は健全なる國家體制を樹立すると共に、その地方自治を確立はるため、この際國家事務と自治事務との間に根本的な再檢討を加え、國家事務はこれを大幅に地方公共團體に委讓すべきことが最大、且つ緊急の要務であると信ずる者でございます。
 次に地方出先機關の統合の問題でございます。地方出先機關の統合は、單に地方自治權の擁護という見地からばかりではない。國民の生活上の便宜から考えても、即刻整理統合は斷行すべきものと思うのでございます。私は私の地方の例を一言申上げたいと思うのでございます。私の市は東北における水産港として有名な所なのでございまするが、漁業者に配給さるるところの重油のリンク制の配給につきましてこれを見まするならば、最近はこの油の配給は農林省の出先機關が直接これを取扱つておるのでございます。いかにしてこれを取扱うかと申しますれば、例えば今月の油の配給量は十月の魚の水揚數量に對して、配給を受けた油を以ちまして今月の油の配給量としておるのでございます。でおりまするから、前月の水揚數量が非常に少かつた場合、當然今月配給を受けるところの油の量が少くなるのであります。然るに今月が非常に量が多い場合におきましては、ここに油の不足を來すのであります。その際におきましていろいろな手續を履みまして油を要求するのでありまするが、その間に非常な時日が經過いたしまして遂に漁期を逸するのであります。御承知の通り漁類は或る期間漁がありまするけれども、その期間を過ぎますれば、潮流の關係或いは温度の關係で魚族はいなくなるのであります。その大切なるところの期間を遂に失してしまうのであります。さようなことでは水産食糧としう面から見ても、實に重大なる點でございまして、こういうことはよろしく地方の公共團體に委任して、そうしてそれを監督して、十分生産をさせるようにしなければならんと思うのでございます。最近の地方官吏の數は概ね昨年末の約二倍に達する状況でございまして、行政の能率を國家財政の窮乏の實情から考えても、これを斷行するの機を逸すべきではないと思うのであります。國家事務と自治事務との關係に根本的な再檢討を加えて、地方出先機關は是非とも府縣その他適當の地方公共團體に統合すべはものと思うのでございます。
 次に市長と市會とは憲法上住民の直接選擧に基く機關であり、兩者の關係は、國會と内関總理大臣との關係とは全く異つておるのでございます。即ち市長も住民の選擧によつてなつたものでございます。又市會議員もその住民の選擧によつてなつたものでございまして、その位置は全く對等なものなのでございまして、これは實に今度の改正の大きい二大機關であるのでございます。然るに地方自治法は議會尊重、議會中心主義に餘りに働き過ぎてはおらないかと思うのでございます。そのために市政の運營が相當困難を免れない場合があるのでございます。從つて市長の機限を更に強化して、違法決議や、豫算の不當なる修正等に對して、もつと有效に對抗し得る權限を市長に附與して貰いたいのでございます。今囘の改正案中の豫算増額修正點に關する規定のごときは、徒らに自治行政を混亂に導く虞れが少くないのであります。例えば市會において、往々にして感情の上からして、市長に反感を持つて市政運行を困難ならしむるところの例を見るのでありまするが、これらを防止するためには、市長に對し更に一段の強力なる權限を附與さるべきものと思うのでございます。
 次に選擧に關する法規の件でございますが、選擧に關する法規は、國民が政治に參與するという精神を徹底せしむることが最も大切であつて、この點より見るときは、選擧に關する法規を餘りに複雜ならしめることは、むしろ地方民をして選擧を敬遠し、その結果逆效果を起さしむるの虞れがあると思うのでございます。從つて選擧に關する規定はでき得る限りこれを簡素化し、これを一度公布したならば、重大なる缺陷がない限りは、年々これを改正を加えるがごときことは避くべきものと思うものであります。
 次に選擧人名簿は速かに永久登録制のカード式の名簿を採用して貰いたいのでございます。又選擧運動の費用の制限は全くこれは無意義でありまして、むしろこれは廢止して費用の公開をせしめて、それに止めたいのでございます。
 次に地方公共團體の協議會の制度は、市長會、町村長會等の任意團體に法的基礎を與えるものであり、我々は大いに滿足するところでありまするが、將來更にこの制度の擴充に努むべきものでございまして、今囘の改正案は實情に即し、我々の大なる贊意を表するところでございます。
 以上意見を述べた次第であります。
#12
○委員長(吉川末次郎君) 次は市議會議長代表横濱市議會議長小澤二郎君
#13
○證人(小澤二郎君) 地方自治法が實施せられましてから僅かの期間であります。今日自治法の一部を改正する法律案が提出されたということは私共感謝に堪えないものでございます。從來ならなかなか面子とか或いは面目ということに囚われて、善かれと思うことでもなかなか改正なぞということは、我々が望んでおりましてもなかなか出して頂けないものが、本日ここにお取上げになつていらつしやるということは私共喜んでおる次第であります。
 私市議會を代表する人間として拜見いたしますれば、先程東京都の議長さんからお話がありましたこの改正案の一部改正の内容を拜見いたしますと、全面的に私共御支持申上げていいと思つております。併し現行法の百二條に定例會及び臨時會ということで、先程東京都の議長からお話があつたように、何とか毎年六囘以上これを招集しなければならないというようなことと、臨時會との境い目が、非常に取扱つておるものとすると煩雜なような妙な關係がありますので、これは改正される法律の中にはないようでありますが、こういう點は一つ委員會でもこの點に御留意を願いまして、言わずもがなだとおつしやる方もあるかと存じますが、若しできれば、こういう點は一つ簡單にして頂いた方がいいのではないかと思います。
 その他におきましては、私共三十四條の代理投票のことでありますが、私の方の石河市長から多分お話があると思いますから私は申上げません。全面的に全く結構だということを申上げまして、私の責を塞がせて頂きたいと思います。願くはこの際、各方面からお招きを受けまして、本日皆さんお出ましになつておるのでありますから、この方々の御意見を何分にも採入れられまして、よりよき地方自治法の制定を、私心からお祈りしまして責を塞がせて頂きたいと思います。
#14
○委員長(吉川末次郎君) 町村長の代理である全國町村會の事務局長の松村茂夫君。
#15
○證人(櫻井辰治君) 全國町村會といたしましては、町村自治の運營上のことにつきましては幾多の問題があるのでありまするが、本日のこの問題としましては、地方自治法の改正法律案に對する意見を申上げますればいいのかと思いますので、ここに極めて簡單に全國町村會の意見を申上げたいと思います。
 全國町村會といたしましては、今囘提案になつておりまする地方自治法の教正法案は原則的に贊成をいたしております。この實現を支持しておるのであります。ただ強いて申しますれば、極めて小さなことではありまするが、法案の第三百條にありまする地方公共團體の協議會の副會長が二人以内という案になつておりますが、現在できておりまする都道府縣の町村協議會の副會長は三名となつておる縣が數縣あります。これを今この法律によつて一人減すということは非常に困難な問題になつておりますので、二人以内とありますのを三人以内と修正願いたいと思うのであります。
 尚その規定におきまして、會長及び副會長の選擧を毎年一囘することになつておりまするが、これは大體現在の町村協議會の規約からしますると大體二年の任期になつておるものが多いのであります。事實會長、副會長の在任期間というものを二ケ年ぐらいのものは期間を置かないと、本當に腰が坐つて仕事ができないという嫌いがあるのであります。一年では短か過ぎる感じがありまして、會長及び副會長の選擧、これが一つの政爭の具に供せられるようなことも案ぜられますから、少くとも二ケ年ぐらいの任期に御修正願えれば結構だと思います。
 その他は只今までのところ、會といたしましては原案に贊成を表しておるのであります。
#16
○委員長(吉川末次郎君) それでは次に町村議會の代表、埼玉縣北足立郡蕨町の町議會の議長であられる岡田徳輔君を指名いたします。
#17
○證人(岡田徳輔君) この度地方自治法が改正せられるというので、その原案を見せて頂き、これに意見を述べろということでありますが、拜見したしますと、一貫して民意を尊重し、地方自治體の自主性、自立性というものを強化するというように拜見いたしまして、私共地方自治體の仕事に携わつておるものといたしまして誠に有難く、且つこの改正案については全面的に贊意を表する者でございます。
 ただ常々私共の考えておることといたしまして、私共地方の町村で實際面に當つておる者といたしますと、今日の町村は非常に、これは市も國も同樣と存じまするが、財源に窮乏して、仕事は非常に多くなつて來ておる。そして思うように事務員も使えないというような實情なありまするので、成るべく仕事を簡素化して行きたいというようなことを常に考えておるのでございますが、この改正法案を拜見いたしまして、先程申上げたような地方自治體の自主性、自立性を強化する、こういうような點につきましては非常に有難く考えておるのでありますが、なかなかこの改正法が細かく行き屆いておりますので、仕事はますます多くなりはせんか、こういう點を實は懸念しておるのでございます。例えば八十四條を見ましても、但書が今度附け加えられるのでございますが、これは無投票の當選人に對する問題のようでございまするが、本文の方で行きますと、一年間は解職の請求ができない、こういうことになつておるのでありまするが、無投票の當選人は一年以内でも解職の請求ができる、かようなふうになつておりまして、これは趣旨といたしましては結構なことに考えるのでございまするが、例えばこういうことでも無投票であつた場合には一月か二月でも解職の請求ができる、こういうことになりますると、選擧が再三行われる。一つ選擧するということは町村などといたしますと非常に大きな仕事になるので、かようなことが一年も經たない中に、或いは二月か三月の中に又選擧だというようなことになるのじやないか、このようなことを虞れるのであります。この文案の趣旨といたしましては結構と存じまするが、こういうような點については特に御留意を願いたいと思います。末端の事務を扱つておる者といたしますると、成べく仕事が簡單に行かれるようにして頂きたいと考える者でございます。
 それから尚私共の町村などといたしますると、この九十六條の第八號でございまするが、ここには「公共的團體」は以前にはただ單に「團體」とございましたものが「公共的團體」と、かように改正せられるようでございまするが、公共的というのはどういうふうに解釋していいか、いずれこういうことについては、或いはあとから何か指示があるかとは存じますが、こういう法文の解釋などは成るべく明確にして置いて頂きませんと、地方の實際の取扱者といたしますると非常にまごつくというようなことがあり勝ちなのでございます。
 それから先程も申上げましたように、非常に財政等も窮乏いたしておるのでございまするから、そういう點については特に御配慮を願いたいと存じまするが、この百條の第六項に、町村にも圖書館を設ける、こういうことが今度追加せられるようでございまするが、ここにも「政府は、予算の範圍内において、」こう言つておるのでございますが、この圖書館を設けるということは結構でございまするが、できるだけの豫算を取つて頂いて、できるだけ町村の圖書館を立派なものに、完全なものにさして頂きまして、そうして私共の勉強の場所として設備を十分にさして頂きたいというようなことを考えておりますのでございます。
 その他例えば財政というような面から見ましても、この二百二十條には、「國が普通地方公共團體の財産又は營造物を使用するときは、國庫においてその使用料を負擔しなければならない。」、こうございまするが、直ぐあとに但書で、「議會の同意があつた場合は、この限りでない。」こう消しておるのでございますが、かような町村の財政を考えますれば、國家はもうこれは拂うべきものだ、いつそこう簡單に決めて頂いたらいいじやないか、かようなふうに存じます。
 大體私といたしますれば、今囘の改正については非常に結構なことを存じまして、全面的な贊意を表するものでございます。
#18
○委員長(吉川末次郎君) それでは丁度お晝でありまするので、あと二人の證言を午後に延しまして、尚質問も午後續行いたいたいと思います。
#19
○證人(石河京市君) 私は二分か三分ですが、どうですか午前中におやり下すつたら……。
#20
○委員長(吉川末次郎君) それでは御希望があるようでありますから、五大都市の市長の代表として、横濱市長石河京市君を指名いたします。
#21
○證人(石河京市君) 證言を求められた事項については、五大都市の側では概ね贊成であります。ただ三十四條の代理投票の點で、これは小さいことかも知れませんが、非常に趣旨は結構でありますが、従來この不在投票の形でやつておつたのでありますか、いろいろ複雑な手續上の問題もあつたりいたしますので、これが代理投票となりますと、更に事務上の煩雜さが増して來るのではないかと思うのでありますので、これらの點に對して命令等で特別の措置が講ぜられたいと思うのであります。この點はとかく問題を起し易い點でありまするので、特に御注意の上何らかの處置を講ぜられたい、こう考えるのであります。
 それから出先機關の問題でありますが、出先機關は非常にこれは地方で迷惑いたしておることであります。この點に對しましては、今度は議會の方の承認を得ることになるそうでありますが、この點議會側におきましては、特に出先の機關の在置せられまする自治體の意見を徴する何らかの方法を講ぜられないものだらうか、かようなことを考えます。これは市町村長の代表の意見でもよろしいのでありますが、又特にその部分に對して行われる場合には、その當該都道府縣若しくは市町村の意見を一應諮問なり何なりの方法によつて徴せられて、御決定を願うような措置を講じて頂きたい、かようなことを考えております。
大體地方自治法に關しまする簡單な意見でありますが以上でございます。全體的には贊成を申上げることができるものと考えております。
 この際、この案と關係は極めて薄いのでありますが、特に委員會の方で御考慮を煩したいことがあるのであります。それは今度地方に縣から非常な權限が委讓されます。委讓されるものが大變多いそうでありますが、この委讓に伴うて一番心配いたしまするものは財政的處置であります。この點に對しては、特に權限を委讓せられました都市が、そのために財政的な窮乏を更に増すというようなことのないような、特別な御配慮を頂きたいということを特にこの機會にお願いを申上げて私の發言を終ります。
#22
○委員長(吉川末次郎君) それでは一時休憩いたします。午後は一時から再開いたします。
   午前十一時五十分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時十三分開會
#23
○委員長(吉川末次郎君) 午前に引續きまして議事を再開いたします。學識經驗者の代表といたしまして、財團法人東京市政調査會の吉山眞掉君を指名いたします。
#24
○證人(吉山眞掉君) 私吉山でございます。私共の組織しております財團法人東京市政調査會は過去二十六年の歴史を持つておりますので、それ以來地方自治につきまして中正不偏な見地からいろいろ都市問題を調査研究して參つております。この度證人として御召請を得ましたことは誠に感激に堪えない次第であるのであります。
 私共は、この地方自治法が使命とするところは、先ず憲法の精神に則つて、戰時中彼の地方行政簡素化と申しますか、そういう線に副つていろいろ地方自治が畸型化されておるということをこの際認識を新たにして、そうして地方自治というものを本然の姿に囘復をするということが、この際我々の目的とせなければならんと固く信ずる次第であります。然らば現在のこの地方自治法がこれらの要請に應じておるかと考えますというと、なかなかそうは行つていないのであります。その點は大體五點あると思います。
 第一は、まだ中央官廳の行政統制というものが地方自治を著しく阻んでおる。地方自治の領域を侵している。この點が第一點である。それから第二點は地方團體の財政源というものが末だに獨立していない。そうして事ごとに國家というものがいつも地方財政を犠牲にしている。その忍從、犠牲を強いているという點であります。それから第三條は、國家から地方に委讓さるべき權限というものは大部分まだ國家に保留されておるということが第三點であります。第四點といたしましては、現在の地方自治法の構成というものが、果してこれが本格的の地方制度であるや否やということについて相當疑問を有するのであります。いろいろこの點について後刻申上げたいと思いますが、第五點といたしましては地方制度の全體の構成、内部構成と申しますか、その構成について或いは人事の點であるとか、或いは内部の各區制、或いは特別市制と申しますか、そういう點に至りますというと、まだまだ解決すべき點を殘しておると思います。
 先ず第一點の行政官廳の地方自治を阻んでおる、この點を極く簡單に一例を取つて申しまするならば、先程もお説が出ましたが、例えば地方商工局と申しますか、そういう出先機關というものが、どのくらい地方自治の領域を侵しておるかということは、これは丁度御案内のごとく、各地に商工局があつて、そうして戰時中より一切の統制をやつております。それに對する資材の配給というものが含まれておる。その資材の配給というものは、未だにすべてこの地方商工局がやつておるのであります。そのことは地方の商工行政というものを非常に阻害しておるということははつきりしている問題である。御案内のごとく日本のこの中小工業というものは戰前において、その六割というもの、中小工業者の生産の平均の六割というものは外國は輸出されておつたのであります。今後日本の將來を立て直すためには、この中小工業の生産に依存しなければならんものが相當多いと考えます。然るに拘わらず、地方、道府縣知事或いは市町村長の各位は、これに對して何らの權能も持つていない。いかに中小工業を振興すべきやということになりますというと、主要資材の何一點もその統制力を持つていない。權限を持つていない。これでどうして日本の今後の産業を振興し、貿易を振興することができましようか。丁度地方の各位は浮いておる、こう言つていいのであります。これは勿論戰時中にいろいろ資材の面において統制を要することがあり、その他集中的に、重點的にいろいろ考えなければならんこともあつたでありましようが、今日に至りまして、こういうことを繼續するということは、いかに地方分權と申しましても、その實のないことを現わしておるのでありまして、これは將來ともに十分お考えにならなければならんと思う次第でございます。それからその外いろいろそういう事例はありますけれども、この中小工業振興の一點をお取りになつても、今後いかにこの出先機關の整理ということが、緊急であるかということを實證し得られると信じます。
 それから第二點の財政源がない。獨立の財源を得ていない。地方が獨立の財政源を得ていないということは、これは先程もお述べになつたように存じておりますが、例えば、これを一例を取りますれば、今日各都市における住宅の問題、庶民の住宅の問題は皆樣非常に御心勞のことと考えられます。御案内のごとく戰爭によつて日本の九十一都市というものは爆撃を受けて、そうして相當なる被害を受けております。それから又百十五の町村、市を含めての數でありますが、それも相當の被害を受けておる。そうして大體平均被害率と申しますか、それは五三%の被害を受けておるのであります。これを將來いかに復興するかということは、これは地方の當事者各位の非常な御苦心と私共は信じております。これを復興せしむる財源というものは果してどこに求めるのでありましようか。いろいろこれに對して私共は調査研究を重ねてはおりますが、假りに東京都の例を取つて見ましても、東京都は今後大體七十八萬戸くらいの住宅を建設しなければ、到底この現状を克服することは困難であります。それに要する金額と申しますのは大體千四百九十億というふうな計算であります。これを假りに十五年によつて實行いたしまするにしても、年々相當の費用を要することは明らかなことであります。これらの財源を今の現状の財政組織で以てどういうような建前で復興するかということに思い及びますならば、非常に私共は危惧に堪えないのであります。有力なる財源というものは、國家に取つて入場税一つをこれを都市のために返すということは、まだまだ他日の問題であろうと思うのであります。そういうようなことをいろいろ考えて參りまするというと、都市復興或いは地方の復興、都道府縣の復興ということは容易ならざることだと信じております。こういうときに當つて我々の考うべきことは、財政權を獨立させるということは、要するに地方と國との財源の調整をどういうふうに考え、そうして有力なる財源を國より地方に渡すということであるのでありまするが、私はこういうふうな調整問題以上に考えなければならん、それは何であるかと申しますと、丁度國の税を地方で取つて、そうしてすべての税は地方においてこれを收納し、そうして國家に渡す、今までの租税の徴收方法を逆に持つて行くというような程度にまで考えなければ、到底地方は有力なる財源、財政權を得られない、こういうふうにまで私は考えておるのであります。
 それから又に第四の地方自治制それ自體の構成というようなことになつて參りますると、現在の地方自治法というものは、選擧、或いは公共國體それ自體の議會の構成、或いは理事者の構成というようなものまで一連の法規になつておりますけれども、財政に關する點につきましては、地方自治法に何ら根本的の規定がないのであります。こういうこともやはり地方自治法の中に財政に關する根本規定を挿入して、そうして一連の體制を整えなければ完全なる地方自治制とは申されないのであります。そういうようなこと、或いは議會と理事者との關係、その他についても、まだまだ研究すべき餘地が殘されておるように思います。
 それから又地方公共團體の法制上の内部のいろいろの問題は、全部現在の地方自治法によつて解決されておるとは決して申されないのであります。只今お説にも出ましたが、例えば附則第七條と申しますか、それにはやはりまだ若干の官吏という制度が殘つておるのであります。
 それから又東京都で申しますれば、東京都の都、各區、特別區の問題、これも完全に私共はその關係が調整されておるとは信じないのであります。
 さようないろいろ問題が殘されておる。要するにそういう問題を根本的に解決して、そうして地方の自主權を確保することこそ、地方自治法の本來の使命である。こういう本來の使命が徹底的に根本的に解決されないときに、ここに僅か本年の五月の三日より施行されて、試錬を經たことが七ケ月であつたのであります。この七ケ月の期間にしか過ぎないこの期間に、重大なるこういう根本的の問題が殘されておるにも拘わらず、ここにこの自治法の一部を改正するということは、いろいろの事情もおありになることを思うのでありますけれども、私はやや早計の感に堪えないものがあります。何率この點についても十分にこの前提で一つ御審議をお願いしたいと存じます。併しながらこういう前提はいろいろ申せば時間がかかりますので、要するに本日は證人としては、現に國會に提出されておりますところの地方自治法の改正部に對する御諮問と考えますので、その部分についていろいろ申上げたいと思います。
 先ず第二十五條でありますが、第二十五條は同時選擧の原則を決めております。これは選擧を能率化し或いは棄權を防止するというような上から見まするならば、一應肯定さるべき制度と考えます。併しながら弊害は又これに伴つておると信じます。一人にして都道府縣或いは市町村の議員となる、或いは都で申せば區會議員、區長というものに立候補できるということに相成るのであります。これはいろいろの點において選擧の實際を考えますと、去る四月選擧におきましても、或いは費用の點、或いは會場の點、或いは宣傳用諸印刷物の點について、自分が力を注ごうというところの選擧に主力を注ぐというようなことが、結果においていろいろの弊害を齎すのではないか、そうしてその結果、自分が情勢によつて有利なところにそれを持つて行く、そうして他の立候補の點は樂にそのままそれでいいというような結果になる、これはどうしても兼職の禁止の範圍を擴張し、それによつて解決して行くということが一應考えられるのであります。或いは名簿式というよすな投票方法を新たに包含して、この弊害をなくするということに相成るのであります。これは實際兼職の禁止の範圍を擴張することによつて相當解決されると思いますけれども、要するに振返つて同時選擧の利弊というものをもう一度御研究願いたいと存じます。これは御案内のごとく、政黨法案を今日御審議になつておるように伺つておりますが、それとも又重大なる關係があると信じます。彼此この際この點について御檢討を願う必要があるのじやないかと考えます。
 それから次に第八十四條でありますが、第八十四條の但書は、無投票によつて地方公共團體の長なり議員が選擧されたときには、一年未滿においても解職の請求ができるという制度であります。而して第五十八條に但書を加えてそういうことにすることは、一面五十五條によつて一般の選擧によつて當選された人と、無投票によつて當選された人と、待遇を異にして處理するということに、若干の疑問を持つておるのであります。元來無投票の當選制度という問題は、一定數以上の候補者がなくて、事實上多數決法によることができないという場合に、これに代る補充方法として消極的に選擧人の一致の意思というものを擬制するのでありますから、その結果というものは、消極的ではありますけれども、法律上は同一の立場によつてその職を得たのであります。でありますから、當選したその人に、假りに無投票でありましても、その資格には何らの優劣がなく、何らの差異がないと思うのであります。然るに拘わらず、ここに突然として無投票當選者は一年以内においても解職の請求ができると相成りますと、甚だ法律上、實際上當を得ない優劣の差を附するということに相成ると思うのであります。これらは一つこの際御審議を相願いたいと思うのであります。いわんや今度この法案におきましては、五十三條と六十五條と二つを御改正になつて、そうして立候補者が期日までに一人となつた場合は、五日間を延しで、そうして選擧の間際までに徹底的に多數の人口の立候補を促しておるのであります。そういう法令を一方に改正しつつ、一人となつた場合に當選した者、無投票の場合には一年以内でも解職することができる、こういう優劣の差を附することは、どうも五十三條、六十五條の改正の點から考えましても平仄が合わんように私共考えるのであります。どうぞこういう點も民主主義に反しないという意味を十分にお考えになつて、一つ御檢討を相願いたいと思うのであります。
 それから第九十七條に一項をお加えになつて、「議會は歳入歳出の豫算については増額して、これを議決することを妨げない。但し、普通地方公共團體の長の歳入歳出豫算の提出の權限を侵すことはできない。」、これも先程御説が出ましたようでありまするが、どうも増額修正の議決を法律上認めるということは、これはどうもいろいろ從來とも行われておつたようにも考えるので、突然のことではないと思います。併しながらいろいろ外國の立法令その他を調べましても、増額の修正を許すということは、例えばニユーヨークの制度を見ましても、これは認めていない。例えばニユーヨーク市制の百二十四條の二項に、「法律により決定若しくは議決したる金額又は收税若しくは市債の利子、若しくは元金を除くの外、市會は市理事會によりて採用せられたる豫算における項目の費額を削除することを得るも、その項目を追加し、若しくはその金額を増し、又はその明記せる名稱を説明若しくは條件を變更することを得ない。」、こういうことが明記されております。豫算の増額の修正ということは、但書の末項にありまする、公共團體の長と議會との間にいろいろの問題が起るではないかと思うのであります。これを置きまする結果は、この規定にもあります通り、百七十六條或いは百七十七條の關係を生じて、いろいろの紛議を釀す種になるんじやないかと思うのであります。そうして一般の市のお役人共は、大體發案權の内容とが意義とか限界というものについては、はだ十分の認識がおありにならん、淺いものであるように私は考えておるのであります。それでありますから、これらの關係も十分にお考え下さいまして、若し本條の改正を認容せられる場合におきましては、所轄行政廳、今度申しますというと自治委員會になりますが、そこらあたりでこの解釋例というものを以定して、そうして紛議の讓成をなくするというふうな點についても、御配慮を合せてお願いしたいと思うのであります。
 それから第百條を改正して、議會の調査研究機能を充實するということは、非常に結構なことだと思います。大都市とか或いは市とか町とかいうものにつきましては非常にいいのでありますけれども、村ということになりますと、圖書室を置くというような大きな組織をいろいろ心配はいたしますけれども、極めていい制度でありますから、先ずこういうところから出發されることは結構と思います。ただその百條の第七項に都道府縣はその出版物、公報その他を都道府縣の議會に送れということでありますけれども、これはやはり情報の交換を十分にして、そうして相互啓發の實を擧げるためには、都道府縣に對しても市の印刷物を相互交換するというふうなことをお加えになつて然るべきじやないか。非常に結構なことで、こういうことが端緒となつて、いろいろ都市の一般の氣分が、調査研究という科學的な取扱いに進むことを私共は念願しておる次第でありますから、合せてそういうふうなこともお考えを願いたいと思う次第であります。
 それから第百五十六條の改正部分でありますが、これは只今私が申上げました通り、中央の出先機關の整理その他に關する御改正であります。併しながらこの改正につきまして、先ず想い起すことは、地方制度調査會の曾ての御研究というものがどの程度に實現せられるかということが、具體的にその方向なりその機關なりの解釋或いは割振りというものを拜承しなければ、これに對する意見を申上げることは困難であります。例えば戰災復興院の出張所というようなもの、それから又只今申しました地方制度調査會において御審議になつてそうして御答申になつておるうちの財務局の地方部とか、或いは税務署、或いは地方商工局、或いは臨時農地事務局、營林局、地方物價事務局、或いは地方專賣局、土木出張所、地方經濟安定局、陸海軍病院であつたものが今國立病院になつておるものの措置、公共職業安定所、勞働基準局、資材調整事務所、作物報告事務所、海運局、こういつたようなものが曾ての地方制度調査會におきましては、すべてその事務の殆んど大部分を府縣の所管に移讓すべしという御決定になつて、その部分が段々とそういう方向に向つておるように承知しておりますが、又逆にこれを豁然と國に移したということも聞いております。只今も申しましたこれらの行政機關というものが、今度のこの條項によつて百條の第三項によりまして、それが都道府縣知事の指揮監督になつて來るという御解釋でしようか。或いは第四項によりまして、それは國會の承認を得なければできないということで、新たにこれらの機關が國會の議に掛かるということに相成るのでありましようか。これらの關係が、全くこの條項そのものでは出て來ないのであります。これらは參議院におきまして、十分に當局との御檢討を具體的に相願いたいと思うのであります。
 それから又第五項に司法行政及び懲戒機關というようなことを表現されておりますが、その司法行政の中には、先に司法行政調査會によつて、司法行政の中の登記に關すること、戸籍に關すること、公證に關することは、すべて都道府縣に移讓すべしということに御決定になつておる。今日第五項に、司法行政は國の保留すると、こういうことがありますが、それは先に行政調査會において決定せられた公證に關すること、戸籍に關することはもうそれは地方に移すこととして、司法行政は單なる司法に關する人事その他の地方直接の行政のみが國に保留されておるのであるかどうかというようなことがはつきりしないのであります。
 それから又行政調査會は、先に陸海軍病院であつた中のもので現に國立病院にななつておるものを、これを府縣に移すというように御決定になつておるように承知しております。ここでは國立病院及び醫療施設と單にあつて、そうしてその内容がどういうものが國に保留され、そうして行政調査會の決定によります陸海軍病院で現に國立病院であるものは、府縣に移すのだということがはつきりしていない。これらは十分御明確にされて御審議を願いたいと希望するのであります。
 要するに只今申上げましたいろいろの機關はこれはすべて都道府縣若しくは市に歸屬して、そうして自治の綜合行政の實を擧げることが、勿論當然なことでありますから、これらも十分に一つ御研究を願いたいと思います。
 それから第二百二十六條に一項をお加えになりまして、「普通地方公共團體は、地方債を起すについては、所轄行政廳の許可を必要としない。但し、第二百五十條の規定の適用はあるものとする。」、こういうふうな改正になつておる。そうして二百五十條に「當分の間」という字が附いております。これは現在の金融行政、金融統制的の情勢いおきましては、地方債を許可するのに當分の間、やはりそれぞれの許可が從前のごとく必要であるということは或いは止むを得ぬかも知れません。併しながら元來この地方債というものは、起す事業の性質と公共團體の擔保力と申しますか、持つておる力からいつて、そして一定の限界を置いて不都合のないものは許して行く、自由にしなさいということが原則的にならなければならんと思うのでありまして、それから又現在の金融情勢から申しましても、許可があつても現實に金を借り得ないということが現状であります。國としてこれに對して金融の斡旋とか或いは又資金の枠の設定を十分に當局と交渉して、そうして地方の資金枠の設定に苦勞しないようにしてやるということが必要である。それから又進んではこの協同の信用保證制度というようなものを作つて、そうしていろいろの地方の事業を金融上便宜にしてやるということが積極的に必要であります。そういうような、いわゆる財政の根本をなすような制度とか、或いは地方債に關する制度が何ら確然としていないときにもつて行つてこの點だけ御改正になつても餘り效果がないじやないかと思います。要するに今日の情勢といたしましては、當分の間なら止むを得ない。併かしながらこの當分の間は速かに撤廢して、一日も早く本然の姿において地方が自由に起債を得るように、又得るような起債の段階に達するようになりますまで、國として十分の準備をしてやる、援助をしてやる、組織を新たにしてやるということが、必要ではないかと思うのです。
 それから又こういう規定の許可をいろいろ取るということは、その前提においてやはり財政上の中央集權的の思想が殘つておるのでありますが、本來自由にしていいものでありますが、一面においてこの地方財政とか或いは地方の政治というものを、選擧民或いは住民に、公共團體それ自身が不斷に知らせて置くということが必要じやないかと思うのであります。これらに關しても、この地方自治全般に、自分の政治をしておるその政治の在り方とか、情勢とか、状況というものが住民とか選擧民に知らされていない、不斷に知らされてない、これは非常に惡いのであつて、今後この地方自治制を御改正になる場合には、そういうことを公共團體の長の義務として不斷に物を知らす、殊に財政のごとき状況は不斷に住民、選擧民に知らすということに一つ御按排を願いたいと思います。こういうことを考えますというと、先ず地方債の自由な起債は許す、財政上の状況を一般に知らすために、この際、経濟白書類の發表ということを、國で申せばこの間發表しましたこういうものの發表というものを義務付けたい、こういう感じをもつておるのであります。そういうことからいたしますというと、例えばこういう條項を一つお入れ下さるというと非常にその點はつきりするんじやないかと思うのであります。「地方公共團體は豫算が立成したときは直ちにその豫算、前々年度の歳入歳出決算及び公債借入金及び財産の現在高、その他財政に關する一般の事項について印刷物、講演その他適當な方法で選擧人に報告しなければならない。前項に規定しておるものの外地方公共團體は少くとも毎四半期毎に豫算の使用の状況、收入の状決その他財政の状況について選擧人に報告しなければならない。」、こういうような條項をお入れになつて、そうして財政の状決或いは歳入歳出の状況というようなことが義務として一般選擧民その他に知らされてありまするならば、この起債の問題は金融市場においてはその財政状況が一般に明白にせられることでありますから、金融機關においてもいろいろの判斷が付き得るのであつて、そう苦しまない結果を得るのではないか、こういうことに相成ると思うのであります。これらの點は丁度アメリカあたりの大都市においても、或いは洲においてもそういうような制度を取つておるのであります。例えればアメリカの状況を御參考までに申上げるならば、各洲共憲法又は法律によつて起債に一定の制限を設けておられるということは事實であります。併しながらその制限は通常の態樣では都市の課税し得べき財産の評價額を基準として認めておるのであります。その基準は課税し得べき財産の評價額の大體、ニユーヨークで申しますれば一〇%、各洲の實例で申しますと最少一・五%から最高二五%、通常は五%から十%、課税し得べき財産の評價額、それで指定された都市の起債能力というものは自動的に分る、こういうふうな制度があるのであります。これに對して洲の評價額を不當に評價するというものもありましよう。そういう弊害も若干ありましよう。
 又洲によつては一定の金額を捻出して、そうして實際の制限というものを置いておるものもありましよう。それから又一ケ年の收入というものを標準にして、その限度を起債の限度としておるところもありましよう。こういうふうに自動的に一定の根本基礎を定めて自動的に自分がその能力を發揮し、自由に得るような制度もこの際お考えになつて頂く方が便宜じやないか、そういうふうに考えるのであります。勿論これに對しては、例えば學校とか病院とか、或いは公益企業の收入の伴う事業については、それは全然制限なく許されておるところもあります。要するに事業の種願とこういつた標準を置いて、そうして成るべく地方のそれぞれの情勢において自由起債の制度をお認めになる方がいいじやないか、こういうふうに考えます。
 その外いろいろ申上げたいこともございますけれども、又御質問によりましてお答えを申上げることにいたしまして、私はこれだけにいたして置きます。
#25
○委員長(吉川末次郎君) それではこれより質疑に入りたいと思います。どなたも非常に御多用の方々ばかりなんでありますが、特に石原東京都議會議長は他に公的集會を持つておいでになるようなお話でありますので、石原君に對する御質問を特に先にして貰いたいという御要求がありましたので、そのように取運びたいと思います。
#26
○黒川武雄君 石原都議會の議長にお尋ねいたします。選擧權に關しまして六ケ月の住居の制限を撤廢すべしというお考えは、民主主義國家として誠に結構な御意見のように拜承いたしましたが、ただその實行の方法がなかなか困難であろうと思います。どういうお考えを持つていらつしやいますか。
#27
○證人(石原英明君) お答えいたします。選擧人の資格を決定する原則といたしましては、現行法及びそれに對する修正案の規定によつてよろしいのですが、ただ選擧期日以前に遡つて六ケ月以内に移轉したものに實行がやや困難なるがために選擧權を與えないということはいけませんという考えから出發しておるのですが、それは生活の中心を移轉いたしました以上は、いろいろ居住證明というようなものは、出先、その管轄の行政廳、地方廳であるとか、それから取つて、先ず以てそこに住んでおるということを明らかにします。而してその半面に今までおつたところで選擧人名簿が確定して、それへ選擧資格が載つておる場合には、そこへ行つても選擧するのじやないかという虞れがあるのです。併しそれを防ぐ方法といたしましては、現在居住いたしておりますところの選擧投票區の居住證明というものを得て、その前におつたところの官廳で選擧權を執行する場所を承認、認證を得た場合には、居住證明によつて現在住居しておる所で、選擧についてはこういうふうにできれば一番簡單だと思つております。それじやそうすると證明を取るなめに今まで居住していた所へ行かなければならんのじやないか、こういう考えもありますが、越して來て前の所へ選擧權があるからそこへ行つて選擧する虞れがある、それを防ぐためでありますから、差支えないと考えてこの案を出したわけでありきす。
#28
○委員長(吉川末次郎君) 他に石原君に對する御質問はありませんか。それでは他の證人の方全部に對する御質問を順次御開陣願いたいと思います。御質問ありませんか。
#29
○鈴木直人君 吉山さんにお尋ねいたします。この改正法によつては、この法律の施行された後における出先機關については規定がある。併しながらこの施行する前においてすでに澤山の出先機關がある。それをいわば整理するというような意味における法律案が内容にない。そこでそれをどうするか。或いは百五十六條の第三項の改正によつてその資格を存置せしめながら知事が指揮監督できるような工合にして行くつもりだというお話がありましたが、これを既存の出先機關を整理をするという場合ですね、どういうふうな法案をお考えになつていらつしやいますか。
#30
○證人(吉山眞掉君) 大體この條項を地方自治法にもつて來ることが非常に無理なところがあるのじやないかと思うのです。大體これは行政官廳法の附則的の規定か、それでなければ單行法的の議決によつてなされるのがいいのじやないかと思うのですが、要するに只今申上げました各種の行政官廳というものがいろいろある。これは大體改正條項の百五十六條の五項は、はつきりしておる。五項で只今申しました司法行政とそれから國立の療養施設というものについてはつきりしないところがありますが、その外は國で保留するというのですから、これは大體分ると思う。併し只今私が個別的に述べました地方のいろいろの機關、例えば土木出張所というようなもの、或いは職業安定所というものは、一體今ここでどこの條項によつて……三項によつてそれは包括されておるのだ、移しておるのだ、或いは四項によつて國會の承認を得るんだということが具體的にはつきりしていないので、それをお聞きしてみよう、こういうようなことをお聞きして、その結果を得れば、私はやはりこれは了承すべきは了承するのであります。こういうふうに考えておるのです。具體的になつておるのですから、それを何か調べたものがあれば有難いと思うのですが、大體お聞き返すようになりますが、こういう各種の官廳というものは、今どういうふうに處理されておるのですか、そういうことを知りたかつたんです。
#31
○鈴木直人君 この委員會においては、我々は審議する機關になつております。今の御質問はむしろ政府側に對して内容を知りたい、その外の委員の方からもそういうふうなことがありましたが、それによつて自分たちはこれに對する考え方も申した方がいいということを意見を述べたいというような御意見なんですが、委員會では政府として、實はこういうふうな氣持で案を立てておるのだということをやれるものですか。そういう場合に政府の案というものを政府から直接聽くことができないにしてもですね、或いは委員のうちにおいて政府はこういう意味である、或いは專門調査員においてこれはこういうふうな意味の下に政府が出しておるのだという説明をするということになると、間違つたりするのかも知れませんが、その點はどうなりますか。
#32
○委員長(吉川末次郎君) 政府がどういう意思で法案を出しておるかということについては、ちよつと言いにくいかと思うのですがね、それで吉山君の證言、その他にも鈴木委員から問題になつたような御發言があつたようですが、これは直接一つ内務省にでも聞いて頂くというより致方ないと思うのですが、必ずしも形式に拘泥しないで、役人の方がおればこの機會に聞いてもよかろうと思いますが、午前中はおつたのですが、歸つてしまいましたから、どうぞ一つそのように……。
#33
○羽生三七君 實は甚だ失禮でありましたけれども、本會議の方に出席のために午前中缺席しておつたので他の方の御意見を承りませんでした。吉山さんの御意見だけ承つたので、吉山さんの御意見だけ承つたので、吉山さんについてお尋ねしたいと思います。一番最後にお話のあつた地方自治體がその實情を不斷に當該關係住民に知らしめるということは非常に結構な御著想であると思います。私共前からそういうことを考えて多少私は關係したことを實行したことがあります。この場合お尋ねしたいことは、當該地方自治體が、關係住民に知らした方がいいか、關係議員が座談會とか講演會という形で、議員自體が住民に知らした方がよいか、その點は先程のお話では自治體自體が知悉せしめるというようなお話でありましたけれども、その邊はどういうふうにお考えになりますか。一つ承りたいと思います。
#34
○證人(吉山眞掉君) お答え申上げます。それはいろいろ見方があると思いますけれども、私は自治法の上からすれば、義務としてこういうことは年に一つの期間を決めて、そういうことを公の義務として公共團體の長が選擧人、住民に知らすということが義務付けられたいと思うのであります。議員自體がいろいろの機會においてそういうことをなされることは非常に結構なことで、より以上にお考え願いたいと思いますが、丁度國の財政法にもあります通り、經濟白書を出すということは國家の財政的の主務大臣の義務としておる。こういうふうな義務を、財政に關せず、一般の土木行政とか或いは社會事業とか、そういう方面にも一つ年に二囘、或いは財政の點などは毎四半期ということに私共は今御報告申上げましたが、そういうふうに期間を定め、そうして整理の状況、財政の状況を公共團體の長が定期的に義務的に住民に知らす、選擧人に知らして、そうして選擧人はそれによつて當該公共團體の政治の在り方、行き方ということがはつきりして、そうしてこれに對していろいろの權能奉仕ができるのではないか、こういうふうに考えますので、一應はそういう形式的の義務にしたいと思つております。
#35
○委員長(吉川末次郎君) 内務省の鈴木行政課長が見えたようでありますが、形式的には本日の會合より直接的に多少逸脱する感がありますけれども、この會合を開きました目的の線に沿うたことでありますから、先程吉山證人から御質問のありましたことをもう一度簡單に行政課長にお尋ね願いたいと思います。
#36
○鈴木直人君 今大體話しました。
#37
○委員長(吉川末次郎君) それでは行政課長。
#38
○説明員(鈴木俊一君) お尋ねのございました際に不在でありましたので或いはお尋ねと平仄の合わないことを答辯申上げるかも知れませが、その點は又後程お尋ね直しを頂きまして、更に足らないところは補足いたしたいと思います。出先機關の關係の、既存の出先機關を、今囘改正をしたこの百五十六條の規定だけで一切政府としては賄つて行くつもりか、こういう御趣意のお尋ねが最初にございましたそうでありますが、これは政府といたしましては、百五十六條の改正案は、今後國が出先機關を作ります際に、このような國權の最高機關である國會において、果して眞にその必要があるかどうかということを認定をして貰いまして、その認定の上で置く必要があるというものだけを設けることにいたしたい、こういう考え方でありまして、現在すでに設けられております出先機關につきましては、これは別途政府としては整理統合の案を目下鋭意檢討中であります。
 それから更に進んで申しますならば、出先機關を單に整理統合するというだけてなく、今日の御意見にもございましたようでありますが、國の全體の行政事務を中央政府或いは中央政府の出先機關、それから都道府縣、それから市町村、これらの三者の間にいかに分配するのがよろしいかという根本問題にまで入つて行かなければならないように考えておるのであります。地方自治法とか、今囘國會に提案せられつつあります警察法というようなものは、相當突つ込んで中央が從來持つておりました權限を府縣なり市町村に委讓して行く格好になつておりますが、その他のいろいろの行政の部門におきましては、依然として明治時代或いは大正時代に作られました諸法令、諸制度の下に、依然として新憲法にも行政が行われておるのでありまして、もつと中央政府から府縣に委讓し、或いは府縣から更に市町村に委讓する、新らしい地方自治法の角度からそういう國全體の行政事務の配分を考えて行かなければならん、こういうふうに考えておるのであります。そういうふうにしてこういう範圍のものは國がやり、こういう範圍のものは府縣がやり、こういう範圍のものは市町村がやる、こういうことになりますれば、出先機關の關係もおのずから、國がやらなければならいものについては、そのような出先機關も或いは設けなければならんと思います。それから現在國がやつておりますもの、或いは出先機關がやつておりますものでも、これを府縣にやらせ、市町村にやらせる、こういう根本的な解決ができますならば、當然に出先機關などはそちらの方に吸收される、こういうことになると思うのであります。やはり出先機關の整理統合を考えますと同時に、更に突き進んでは全體の國の制度につきまして、むしろ新たにそういう自治法の角度からの再檢討が必要でないか、これはやや個人的の意見を混えておりますが、そういうふうに考えておる次第であります。
 それから百五十六條の第五項の地方行政機關という中には戸籍事務というようなものも含めて考えておるか、こういうお尋ねだそうでありますが、この地方行政と申しますのは、正にそのような、戸籍事務或いは登記事務を行う機關、現在のそういうものは一應豫定して考えておるわけであります。
 國立の病院の中には陸海軍から移管になりました病院を含んでおるかというお尋ねでございますが、これは正にそのような病院をここでは豫定をいたしておる次第であります。
#39
○委員長(吉川末次郎君) 尚證人に對する委員の方々からの御質疑はございませんか。
#40
○岡本愛祐君 吉山さんの御意見は非常に有益に拜聽いたしました。そこで最後にお話のあつた二百二十六條の改正、それについて今度外の證人の方々に御意見を承りたいのですが、この「普通地方公共團體は、地方債を起すについては、所轄行政聽の許可を必要としない。」という原則を貫いて、但書の當分の間はやはり許可が要るというのを除いてしまつて、その代りにニユーヨークとかその他のアメリカの例を採つて、起債の基準を設ける――なかなか面白い御意見と存じますが、その點について何かそれじや困る、非常な障害があるというような御意見の方があつたらお聽かせを願いたい。又經濟白書の義務としての、地方公共團體の長の義務としての年々の發表、こういうことについても非常に工合が惡い、そういうことは實際にできないというようなお議論の方がおありになれば一つお聽かせを願つて置きたい、こういうふうに思います。
#41
○委員長(吉川末次郎君) どなたか證人のお方の間からお意見をお述べ願いたいと思いますが……。
#42
○證人(内山岩太郎君) 只今の御質問でございますが、そう深く研究したわけでもありませんがお答え申上げます。財政その他に關する報告書を出すがよろしい。これは誠に結構なことでありまして、これが若し全國で例えば都道府縣が一樣にそれを大體の日限を決めて、例えば就任したのが四月でありますから、その期を切りまして、毎一年ごとにそういうものを出すということになりますと、全國の地方財政の在り方がほば明瞭になつて來るのでありまして、これは中央の政府にも、又議會の方々にも、又一般の國民にも、非常に有益なことであろうと思われまするし、又地方の長としてもそれは可能のことでありますから大變に結構なことであります。併しながら先程お話がありましたように、各四半期毎にそれを出すというようなことになりますると、これは餘りに複雜でありまして、なかなか地方財政と雖もそんなに簡單に四半期ごとに區切りのつくもんではありませんので、先ず出すならば毎一年ごとというのが適當でないかと思います。その他の行政の部面につきましても、大體それが穩當じやないかと思います。
 それから地方債の問題につきましては、これは正に私共も起債の枠は貰つたけれども、それを現物化することに非常に困難を來し非常に困つたことでありまして、打開策は何とかしなれけばならんということは、私共ばかりでなしに、すべての都道府縣の長竝びに自治團體のすべてが困つておるものと思います。併しながらこれを自由にというて各市町村が全部自由に飛出したのでは、これは又日本の財政というものもやはり國の財政として立ち行かなければならんので非常に混雜すると思います。從つてやはり國の財法を纒めるところの中央政府が、それに對して統制をとつて行くとか、或いは日本銀行がやるか、或いは特殊の機關を設けてやるかは別といたしまして、當然統制をとらなければならんことは明らかであります。併しながら現在のように非常にむずかしい起債を、議論して漸くその起債の枠を貰つた、然るに今度はいよいよ起債の枠を貰つたが、尚これを現物化することができないということは非常に不合理でありまして、もともと起債を許すときは、中央で十分研究した上で、これを許すべきものは許し、内容においても又量においてもよろしい、許すということで決めたのでありますから、そうした以上は、これはもう自由ということでなければ何の統制の意味か分らん。從つて先ず私の考えることは、できるだけ統制はとつてほしい、併しながら統制をとつて一遍枠を呉れたならば、それが現實化せられるように特殊の金融機構を作らせる、こういうことであります。
#43
○鈴木直人君 内山さんに一つ伺います。地方の出先機關を廢止或いは大幅に縣知事に委讓する、委任するということになりますると、各中央行政官廳においては、全國的に計畫をいたしておるものが、府縣のブロツク制によつて打ち破られて、そうして國全體から見ると、本當に目的とするところの國の行政ができないということが憂えられておるということが、出先機關を出しておるところの非常に強い主張のように聞いております。これに對してあなたの御意見のように大幅に縣知事に委讓してしまうという場合に、縣知事としては、その中央官廳の考えておるところの、憂えておるところのものをどういうふうにして解決されるのですか、それを一つ……。
#44
○證人(内山岩太郎君) これは御尤もなる御意見でありまして、大體中央の出先官廳を、先般來澤山作りましたときには、地方にブロツクができて、知事の公選も行われ、その結果若し實際に放任するならば、恐らく地方縣ブロツクができてしまつてどうにも動きがとれないだろうという考えの下に、中央の出先機關ができたものと思われますけれども、それは一方から見て、或る一つの杞憂には違いありませんれけども、むしろ一方から見れば、それを口實として作られたかの感が多いのであります。固より全國的な問題である鐵道だとか或いは郵便とか、その他どうしても全國的に統一した方がいいという機關もいろいろあります。併しながら縣の中で縣の者が當然實行し得る、又しておつたところのものを、特に中央から出先機關が行つてそれをやらなければならんという理由は全然ないのでありまして、例えば作物の檢査をするということも、誰が一體この作物を檢査するかといえば、それは結局その地方の民衆であり、地方の官憲である。單にそれを外から行つて、分らない人が行つて自分が檢査するんだというだけの話でありまして、そのときに人の手足を借り、又事務所を借り、すべてその土地の人を使つてやるような結果になるのでありまして、その場合は正しく同じことを二人でやつておるということになりはせんか。或る場合においては餘計なことをするということにもなるのであります。例えば先程お話のありました重油を配給するのに、わざわざ中央から行つて配給する、こういうようなことも、地方の者であればこそ、その土地の事情がよく分りまして、この會社がどれだけの程度に働いておるとか、又その個人がどれだけの信用があるというようなことがよく分つて配給ができるのでありますが、わざわざ中央から出て行つてお役人が檢査してやるというようなことになると、手間も掛かるし、仕事がうまく行かないすべてが二重になり三重になるというようなことになりまして、おのずから中央から出て行つてやる必要はなく、又地方でやつて完全に行く、又むしろその方がいいというようなことがあるのであります。特に今年の二、三月から四、五月に掛けてできたところの事務所のごときものは、大部分は出なくてもよろしいし、或いは多分地方が惡いことをするのであろうというような考えからできたところのものが非常に多いのであります。從つて、私共はこの出先機關については、中央はどこまでも全國の共通なような理想的な案或いは具體案を作つて地方にこれを執行させる、執行の機關は中央である、併しながらこれを監督する、或いはこれに對して或る程度の査察を行うということは、これは中央でやつてもよろしいのでありますけれども、その地方のいわゆる手足までも、中央から出て來てやるということは、あらゆる點において不合理であり、現在に状態においては、行政の面においての冗費を徒らに殖やし、又物を混雜させる、こういうことになるのでありまして、この區別は從來私共の仲間でも相當詳しいものを調べ、歎願書の形において提出してありますが、極めてはつきりこれは止めた方がいいもの、相當研究の要のあるもの、又殘していいものというように相當はつきりしたものであるのでありまして、これは具體的に陳情の形において提出したものがあるのであります。
#45
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質問ありませんか。御質問がなければこれで議事を終りたいと思いますが、會を閉じるに當りまして、一言今日御出頭を願いました諸證人の方々に御挨拶申上げたいと思います。
 それぞれ御多用の間をお割き下さいまして、我々が今國會に提案されておりまする地方自治法の改正案を中心とたしまして、地方制度の審議をいたしますに臨みまして、いろいろ有益なる御證言を下さいましたことを深く感謝いたしたいと思います。新憲法の所期いたしておりますところの日本の國政の民主主義化は、現實的には地方行政を通じるのでなければ、これを實現し得ないなのが極めて多いと考えておるのであります。我々新國會におきましては、御承知のように制度上、地方制度、治安、地方行政等に關しましては、參衆兩院におけるところの治安及び地方制度委員會が、實際上それを決定するところの大きい力を持つておると考えておるのでありまして、我々の方からも、不斷に地方の自治體と連絡を取りまして、我々の考えを纒めて行く上においてのいろいろな御意見を承つたり、又參考資料を提供して頂いたり、我々の職務といたしておりますことをば完遂するのについての御協調、御援助を願わなければならないと思つておるのであります。どうぞその意味におきまして、今度とも皆様方たちのためにも、又我々のためにも、日本國政の民主化、日本地方行政の民主化ということの目的のために、不斷に協力して頂くことをばこの機會にお願いいたしたいと思うのであります。長時間、公務御多忙の間をお割き下さいまして、大變有難たうございました。厚く御禮申上げます。
 これを以て散會いたします。
   午後二時二十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           奥 主一郎君
           大隅 憲二君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           青山 正一君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           小野  哲君
           駒井 藤平君
           阿竹齋次郎君
  説明員
   内務事務官
   (地方局行政課
   長)      鈴木 俊一君
  證人
   神奈川縣知事  内山岩太郎君
   東京都議會議長 石原 英明君
   宮城縣鹽釜市長 櫻井 辰治君
   横濱市議會議長 小澤 二郎君
   全國町村會事務
   局長      松村 茂夫君
   埼玉縣北足立郡
   蕨町議會議長  岡田 徳輔君
   横 濱 市 長 石河 京市君
   東京都市政調査
   理事      吉山 眞掉君
ソース: 国立国会図書館
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