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#1
第096回国会 予算委員会 第17号
昭和五十七年二月二十四日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 栗原 祐幸君
   理事 江藤 隆美君 理事 越智 通雄君
  理事 小宮山重四郎君 理事 堀内 光雄君
   理事 三原 朝雄君 理事 阿部 助哉君
   理事 藤田 高敏君 理事 鈴切 康雄君
   理事 大内 啓伍君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      浦野 烋興君    小渕 恵三君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      海部 俊樹君    金子 一平君
      鴨田利太郎君    後藤田正晴君
      塩川正十郎君    澁谷 直藏君
      砂田 重民君    瀬戸山三男君
      田名部匡省君    根本龍太郎君
      橋本龍太郎君    原田  憲君
      藤尾 正行君    藤田 義光君
      藤本 孝雄君    武藤 嘉文君
      渡辺 栄一君    稲葉 誠一君
      大出  俊君    大原  亨君
      岡田 利春君    木島喜兵衞君
      新村 勝雄君    中村  茂君
      野坂 浩賢君    武藤 山治君
      山田 耻目君    横路 孝弘君
      鍛冶  清君    草川 昭三君
      正木 良明君    木下敬之助君
      竹本 孫一君    中野 寛成君
      西村 章三君    浦井  洋君
      金子 満広君    瀬崎 博義君
      中馬 弘毅君    依田  実君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 小川 平二君
        厚 生 大 臣 森下 元晴君
        通商産業大臣  安倍晋太郎君
        運 輸 大 臣 小坂徳三郎君
        建 設 大 臣 始関 伊平君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     世耕 政隆君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖縄開発庁長
        官)      田邉 國男君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        人事院総裁   藤井 貞夫君
        人事院事務総局
        職員局長    金井 八郎君
        臨時行政調査会
        事務局次長   佐々木晴夫君
        青少年対策本部
        次長      浦山 太郎君
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 伊従  寛君
        警察庁刑事局保
        安部長     谷口 守正君
        行政管理政務次
        官       中村  靖君
        行政管理庁行政
        管理局長    佐倉  尚君
        行政管理庁行政
        監察局長    中  庄二君
        防衛庁長官官房
        長       夏目 晴雄君
        防衛庁防衛局長 塩田  章君
        防衛庁経理局長 矢崎 新二君
        経済企画庁調整
        局長      井川  博君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省欧亜局長 加藤 吉弥君
        外務省経済協力
        局長      柳  健一君
        外務省条約局長 栗山 尚一君
        大蔵大臣官房審
        議官      矢澤富太郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  勝君
        大蔵省主計局長 松下 康雄君
        国税庁次長   小山 昭蔵君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省社会教育
        局長      別府  哲君
        文部省体育局長 高石 邦男君
        文部省管理局長 柳川 覺治君
        厚生大臣官房審
        議官      吉原 健二君
        厚生省社会局長 金田 一郎君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
        厚生省年金局長 山口新一郎君
        通商産業大臣官
        房審議官    植田 守昭君
        資源エネルギー
        庁長官     小松 国男君
        資源エネルギー
        庁石油部長   野々内 隆君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   福川 伸次君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 川崎  弘君
        運輸省航空局次
        長       山本  長君
        建設大臣官房長 丸山 良仁君
        建設省計画局長 吉田 公二君
        建設省河川局長 川本 正知君
        建設省道路局長 渡辺 修自君
        建設省住宅局長 豊蔵  一君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (住宅・都市整
        備公団総裁)  志村 清一君
        参  考  人
        (住宅・都市整
        備公団理事)  救仁郷 斉君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  正示啓次郎君     田名部匡省君
  村山 達雄君     浦野 烋興君
  渡辺 栄一君     鴨田利太郎君
  武藤 山治君     中村  茂君
  横路 孝弘君     新村 勝雄君
  矢野 絢也君     鍛冶  清君
  木下敬之助君     中野 寛成君
  竹本 孫一君     西村 章三君
  中路 雅弘君     浦井  洋君
  依田  実君     中馬 弘毅君
同日
 辞任         補欠選任
  浦野 烋興君     村山 達雄君
  鴨田利太郎君     渡辺 栄一君
  田名部匡省君     正示啓次郎君
  新村 勝雄君     横路 孝弘君
  中村  茂君     武藤 山治君
  鍛冶  清君     矢野 絢也君
  中野 寛成君     木下敬之助君
  西村 章三君     竹本 孫一君
  中馬 弘毅君     依田  実君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 分科会設置に関する件
 昭和五十七年度一般会計予算
 昭和五十七年度特別会計予算
 昭和五十七年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○栗原委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
#3
○中村(茂)委員 私は、汚職、談合、やみジョイント、天下り手みやげ、この四つの事件が絡まってますます汚染が複合汚染になってきている、この事件をこれから申し上げますから、建設大臣の所見を承りたいと思います。
 建設省の東北地建管内の山形県に、柿崎工務所、社長は柿崎力さん、及び新庄砕石工業所、この代表も同じく柿崎力さん、これに絡まる汚職事件が起きました。これは五十二年十一月、東北地建の職員、高橋、尾形両人への贈収賄で逮捕されました。いずれも入札に絡む不正事件であります。その結果、柿崎工務所は指名停止一年間、新庄砕石工業所は指名停止九カ月間、これは典型的な汚職事件であります。ところが、この談合、やみジョイント、天下り手みやげが、私がこれから申し上げる中で起きてくるわけです。
 どういう形で起きてくるかというと、柿崎と新庄は指名停止になったわけでありますから、いままで続けてきた仕事が今度はその指名に入れないわけです。そこで、新しい会社をその指名に入れるために談合が行われた。そして新しい会社を名前だけにして、そこのところに、建設省に届け出なければいけない現場のいわゆる主任技術者、こういうものだけを届け出て、あとは一切、そこに動いている機械にしても人にしても全く前の形で行われてきたわけです。ですから、新しく会社が入ったというのは名義だけになっている、やみジョイントがそこで行われたわけであります。しかも新しくそこへ入った会社は、そのときに地建から天下りが行われて新しい会社がその仕事に入ったわけですから、それが手みやげになっている、こういう事件であります。
 内容を、いま申し上げた筋に従って若干申し上げますと、立谷沢川流路工工事、これは先ほど申し上げましたように、柿崎がずっと請負工事に参加してきました。ところが、指名停止になると、柴田組が五十三年にそこへ入りました。そして五十三年の後期は新庄、先ほどの指名停止になった会社ですけれども、九カ月ですから、柿崎よりも早く解除になった。したがって、後期はその新庄が入った。そして五十四年の前期も同じく新庄が入った。そうして五十四年になりますと、柿崎がまたそこへ戻ってきた。そこで、この柴田組が五十三年の前期に新しく入ったわけでありますけれども、そのときに地建の職員の五十嵐正美という人が天下りで来た。ですから、その工期を取ることによって天下りが行われたわけであります。そうしてこの五十嵐氏は直ちに現場代理人になりました。
 ところが、もう一つどうしても不思議なのは、柿崎におりましたいわゆる主任技術者松浦長一郎氏が、柴田にその工期の請負が取れたので入ったわけです。柿崎にいた主任技術者が柴田に移った。そうして今度は、新庄が五十三年に入ると、それが新庄に移っている。そうしてずっと新庄にいて、五十四年の前期に柿崎になると、今度は柿崎にこの人は籍が移っているわけです。
 もう一件、それと全く同じ事件を申し上げます。これは濁沢第四ダム、ずっと柿崎がやってきたわけでありますけれども、指名停止になると升川建設がそこに入った。そしてやはり天下りが行われて、その入札で取れたそれを手みやげにこの升川に入っているわけです。そして現場主任はやはり柿崎にいた人が升川建設に移って、そうして今度その仕事が柿崎に戻ると、柿崎にまた移っている。
 これはどういうことを意味しているかというと、指名停止になって新しい会社が入った。そうすると、建設省に現場代理人または主任技術者、これだけは届け出なければいけないわけですから届け出る。そしてちゃんと届出書がここにあります。工期が柴田組にあるその工期の期間は柴田組できちっと届けてあります。ところが、工期が重複して今度は新庄にいっているわけですけれども、そうすると、重複して、新庄の方の籍をもって同じ人間が届け出ている。ですから、その現場を調査してみたわけですけれども、そういう届けはきちっとこの会社へ行っているけれども、そこのところで動いている機械、そこに働いている労働者は前と全部同じだ。届け出なければならない人間だけは、この会社へ移りましたよ、この会社へ移りましたよということで届けだけしている。全くやみジョイントを組んで、かっこうだけは指名停止になった期間他の会社がやったようにしたけれども、中身は前と全然変わらなかった。主任技術者はそのたびに建設省に届け出るわけですが、現場はそういうふうになっているということを建設省は承知でこういうやみジョイントが組まれたということになったというふうに思うわけであります。
 それのみではありません。このように汚職した業者が、指名停止になった期間は確かに下がりますけれども、その後はまた前に戻ってしまう。しかも指名停止になって、他の会社というふうに言いますけれども、みんなこれは親族会社だ。
 簡単にその事例を申し上げますが、河川の工事で柿崎が五十二年には十三件、山形県の県内受注比率は二六・三%。ところが、五十三年に指名停止になりましたから二件、三二四%。五十四年になりますと、六件、一四・八%。五十五年になりますと、七件、一七・〇%。もうほぼ前に復帰してきている。
 ところが、新庄を同じパターンで見ますと、五十二年には二件、一・一%。しかし五十三年の指名停止になった年には七件にふえて一三・三六%。五十四年には四件、五十五年には七件、こういうふうにふくらんできている。
 砂防で見ますと、柿崎の場合には、五十二年に五件、一四・三彩。五十三年には指名停止を受けましたからゼロ。五十四年には十件ふえて二三・〇%。しかも、指名停止になったその間は関連会社にやらせて、やらせたかっこうはやみジョイントを組んで看板だけかけかえて、やっておる仕事は前と全然変わりなかった、こういう問題であります。
 ですから、私は、この姿を見たときに幾つかの疑問点を持つわけです。どうして建設省が知りながらそういうことを黙認しているのか。しかも、必ずそこに、指名になって新しく入る場合には天下りがそこのところに――その期日が皆同じなのですよ、違っても一カ月、必ずやめてその会社へ入る。そうしたら、そこの仕事を取ったこと自身が手みやげです。手みやげの一部になっている。そしてその手みやげの膨大な資料も私のところにあります。時間の関係があるから言いませんけれども、これは全部天下りで行く。そうすると、その翌年から必ずふえているわけだ。全部ふえているわけです。ですから、その癒着、そしてこういう仕組みが行われるということは、いわゆる話し合い、談合が行われなければこういう仕組みを組むことはできません。
 こういう一つの事件を申し上げたわけでありますけれども、建設大臣の所見をまず承りたいというふうに思います。
#4
○始関国務大臣 柿崎工務所と新庄砕石工業所に対しまして、昭和五十二年度に東北地方建設局長が指名停止処分を行ったことは事実でございます。
 ただいまいろいろ御指摘がございまして、その中には私がきょう初めてここで伺うこともございますので調査をすることといたしまして、また政府委員の方で資料を入手しているものがあるかと思いますので、後ほど答弁を聞いていただきたいと思いますが、停止中の業者が従来受注していた工事量を他の業者が受注するということは、これはやむを得ないことでございます。また、指名停止中の業者の従業員が他の企業へ転職するということがありましても、これもある意味では当然のことだろうと存じます。
 ただいま、全く別の新しい会社をつくって、そこに従業員や工事用の施設、機械等を移して、さらに指名が解除された、期間が経過した後においてはまたもとに戻った、こういう御指摘だったようでございますが、その事実は私といたしましては全く承知をいたしておりません。
 ただ、ただいまのお話の中で、新庄工事事務所管内等におきまして、その後、この指名停止のあった後に大分工事がふえたという御指摘がございましたが、これは、当時は石油ショックに伴います景気対策の一環といたしまして公共事業の推進が図られたためでございまして、東北地方建設局の工事契約金額も三年間で大幅な伸びが見られたということがその背景にあるわけでございます。私どもといたしましては、役人が天下っていくとそこに指名が行われる、また工事がいくというふうなことにつきましては、そのような事実はないものと確信をいたしております。
 とりあえず政府委員から答弁を申し上げますので、お聞き取りをいただきたいと思います。
#5
○川本政府委員 お答えいたします。
 ただいま大臣から申し上げたとおり、昭和五十二年に先生いま御指摘の柿崎工務所あるいは新庄砕石工業所が指名停止処分を受けたことは事実でございます。また、先生おっしゃいました立谷沢川の流路工の第一工区の工事につきましても、五十三年度には柴田組が施工しておりまして、その二期工事といたしまして新庄砕石工業所が受注しております。五十四年度では第一工区の第一期工事につきましては柿崎工務所が受注しておる、施工しておるということでございます。
 ただ、松浦長一郎氏たる者のお話がございましたけれども、いわゆる主任技術者の届け出をされておる期間がダブっておるということの御指摘もございましたが、もちろん、こういうことがダブっておれば、これは建設業法の違反になろうかと思いますが、私どもが調べました範囲におきましては、松浦長一郎氏が立谷沢川の流路工の第一工区の工事の主任技術者になりましたのは、五十三年六月一日からの工事におきまして、六月八日にその主任技術者の届け出をしているところでございます。ただ、この工事は五十三年十一月三十日までの工期で発注はされたわけでございますけれども、非常に順調に工事が進みまして、大変早く竣工いたしました。五十三年九月二十七日に竣工しております。
 いま先生御指摘の、工期が重複するじゃないかという御指摘のものは、その立谷沢川流路工の第一工区の二期工事の新庄砕石工業所へこの松浦氏が転職をいたしまして、この工事が五十三年の九月三十日から発注されておる、これが、約二カ月ですか、工期がダブっておるじゃないかという御指摘だろうと思いますが、いま申し上げましたように、第一期工事、柴田組の受注いたしました工事につきましては九月二十七日に竣工しておりまして、九月三十日からの第二期工事、新庄砕石工業所が受注したわけでございますが、松浦氏はその新庄砕石工業所の方へ転職いたしまして、十月三日に届け出をしておるわけでございまして、工期がダブっておるという事実はないわけでございます。そういったことでございます。
 また、機械が同じように元の業者のやつが使われておったというふうな御指摘もございましたけれども、遊休しております機械を貸し借りするということは地方の中小業者の例ではよくあることでございまして、それをもってして先生御指摘のような事実はにわかに即断はできないのではないかというように思っております。
 いずれにいたしましても、天下り云々のお話もございましたけれども、柿崎工務所、新庄砕石あるいは升川建設、そういった名前が出ましたけれども、そういった業者は従来から工事を相当額受注しておる業者でございまして、地方建設局の職員が退職いたしましてその会社に入ったからといって、そういったものに急激にどうこうなったというふうなことはないはずでございます。
 いずれにいたしましても、いま大臣が申し上げましたように、いろいろと御指摘あるような疑いといったものが今後ともないように強力に指導してまいりたい、そう思っておるところでございます。
#6
○中村(茂)委員 私は、言いわけは聞きたくないのです。いろいろ請負工事を担当していたその会社が指名停止になった、だから違う会社にやらせなければいけないのは当然ですわね、いま言われたとおり。それで今度、それならそれで、新しく入った会社が来て、現場主任も新しい人、それから動いている機械も新しいその会社のもの、そこに働いている労働者もその会社の人、これなら胸に落ちるんです。
 ところが、主任技術者は前にいた人。これははっきり申し上げますけれども、柿崎から柴田へ来て、柴田にいた期間は四カ月なんですよ。柴田で立谷沢川のところをやって、それで新庄に行ったんですよ、今度新庄が取ったから。新庄にいた期間が六カ月ですよ。それで今度柿崎へ戻っているのです。それで柴田から新庄に仕事が移ったときに、この松浦さんの主任技術者が重複していると私は言っているわけです。ところが、出ている会社はそれぞれ違うのですよね。片方で先に出した方は柴田組、その次に出した方は新庄、同じ人間を。それで同じ人間をただ使っているわけです。使って、会社名だけ、それは会社と一致しなければいけないですから、移ったようにかっこうだけなっているわけです。ところが、実際にそこで働いている労働者も機械も前のものをそっくりやっているわけだ。それが許されるとか、いろいろ言いわけを言うけれども、どうにもその点についてはきちっとしてもらわなければ困る問題だ。やみジョイントが組まれているからそうなるわけだ。しかし、金は新しく入った人には払うと思うのですよね。そこに働く労働者の賃金は、その一人一人まで転勤したかどうか、その点については私は知りませんよ、恐らくしてないと思うのです、何百人という人間がそんな手続をしてあるはずはありません。そうすると、幾らかの金が会社の方へ来て、今度はこっちから払うという、全くのやみジョイントがそこで成立しているのじゃないですか。
 だから、それに対する対応は、そういう甘さがあるとやはりそういうものを許していく、こういうことになるわけですから、建設省の談合問題、それからこういうやみジョイント、裏ジョイントという建設業法で禁止されている問題、これだけうるさくなってきている天下り問題、こういう問題について真剣に考えていただきたいと私は思うのですよ。ここのところで言いわけするのは私は構いません。しかし、いまの言いわけをずっと聞いていると、本当にそういう問題と真剣に取り組んでいくという姿が見えないじゃないですか。だから、そういう問題を含めて、私は、特に東北地方建設局の関係者の責任を強く追及しておきたいというふうに思います。その責任を含めて、これからけじめを正してきちっといくこの姿勢について、建設大臣の所見をお聞きいたしたいと思います。
#7
○始関国務大臣 お答えをいたします。
 私どもは、公共事業の執行に当たりましては、常に厳正な態度をもちまして、いやしくも世間に誤解を与えるようなことのないように万全な注意を払ってまいったのでございますが、ただいま御指摘の点は、せっかく指名停止にいたしましたのにそれにかわる組織ができて、指名停止そのものの意味がなくなるようなことをやっているじゃないか、こういう御指摘でございまして、その辺、建設省のこういう問題に取り組む姿勢に甘さがあるのじゃないかという御指摘でございます。
 ただいまいろいろと新しいお話も伺いましたので、十分調査いたしまして、今後とも一層姿勢を正しまして、世間の批判を受けることのないように万全の努力をいたしたいということを申し上げたいと思います。
#8
○中村(茂)委員 私は、こういうことを許してきた地建の責任者の責任は重大だと思いますから、その点については大臣の頭の中へ入れておいて、きちっと調査して、また内容について報告いただきたいというふうに思います。後日で結構です。
 この問題、それから天下り等の問題がいろいろと出てきているわけですけれども、私は、率直に申し上げて、これは非常にむずかしい問題だ、こういうふうに思うのです。なぜかというと、この東北地建の中に出てきている天下りの関係を見ますと、俗に天下りというふうに言いますけれども、これは営利企業への就職を人事院へ承認を求めるいわゆる二等級以上の人、それから各省庁で行って、人事院に届け出だけすればいいという三等級以下の者、こういう区別があるわけですが、この東北等の、田舎と言えば申しわけないですけれども、地方へ行きますと、ほとんど省内でやって届け出ればいいという三等級以下の人が多いのです。それで、年齢的に言いますと大体五十三歳ぐらいです。
 そうなりますと、五十三歳という年齢は、子供を大学へやらなければならない、家庭的にも出費が非常に多いときです。そのときに移るわけですね。それで、大体見ますと、長くて五年、短くて三年、三年から五年ぐらいにまた移されているのです。そうすると、五十三ぐらいで行って、五年たって五十八ですよ。そういう人たちはどうなっているかというと、各地域にある建設協会とかOBの組織とか、そういうところに入って、それこそ談合のたまり場になったりしている。そういう人は今度は俸給が低いわけでしょう、大した仕事をしていないのですから。それだから今度は、いままでいた企業とかいろいろなところのいわばたかりになっているわけなんです。だから、そういう人たちは気の毒なんですよ。雇用が非常に不安定なんです。それが全般的なんです。ですから、天下りにおみやげをつけていくのはいけません。しかし、そういうふうになしてきている構造、これは雇用問題とすれば大変な問題だというふうに私は思うのであります。
 その点について、きょうは人事院総裁に来ていただいておりますから、人事院総裁から、建設省の二等級以上でいまどのくらい天下っているのか、三等級以下の報告の面についてどのくらい天下っているのか、それと、私がいま申し上げました雇用問題からにらんだ対応、こういう点について報告と所感を承りたいというふうに思います。
#9
○金井政府委員 建設省におきます法第百三条による営利企業への就職の承認件数につきまして申し上げますと、昭和五十一年から、人事院承認分につきましては、昭和五十一年十件、五十二年二十一件、五十三年十六件、五十四年二十六件、五十五年二十七件、五年間で計百件でございます。
 次に、委任分でございますが、昭和五十一年百二十五件、五十二年百三十二件、五十三年百四十一件、五十四年百四十七件、五十五年百六十三件、五年間で計七百八件となっております。
#10
○藤井(貞)政府委員 いまお話しの中で御指摘もございましたように、営利企業への就職についての審査に関しましては、二等級以上が人事院、三等級以下は各任命権者、各省大臣ということに相なっておるのでございますが、東北地建関係でも、お話が出ました平均年齢の関係は、実は人事院が所管をいたしております関係について見ましても、平均いたしましてちょうど五十三・五、五十三歳六カ月平均ということでいわゆる天下っておるという現実がございます。これは先生もおっしゃいましたように、私たちも、やはり大変な問題じゃないだろうか、要するに雇用の構造関係、構造問題というところに大変な大きな問題があるのじゃないかという問題意識を実は持っております。
 いろいろ各省庁によって職員の構成は違いますが、しかし全体として、何としても世間一般と同じように高年齢化の現象はどんどん進んでまいっておりまして、公務員全般についても平均年齢がどんどん上がってきておるという状況がございます。そういうことで、職場の新陳代謝を図らなければならぬというような要請も現実にございますので、各省庁の人事管理当局はそれぞれ苦心していろいろのことをやっておる。その一環として、いわゆる営利企業への就職というようなことについてあっせんをせざるを得ぬというような面も、実は必要なこととして出てきておるのではないかと思います。それにまつわって、いろいろまた別の意味で問題が生じておるということも事実でございます。
 理想的なと申しますか、あるべき姿といたしましては、この職員構成の点から見ましても、公務員を志した人ですから、これはやはりできるだけ長く職場においてその能力を発揮をする、そしてやめる際には、後はそういろいろなことを考えなくても、年金その他でもって何とか暮らしていけるというようなかっこうになってまいることが、これは理想は理想だと思います。
 現実はしかしそうなっておらないというところから、いろいろな問題が出ておりますが、ちょうど今度、六十年定年制が昨年の国会の御審議の結果成立をいたしまして、各省庁はいまその準備に取りかかっておるところでございまして、六十年という一つのめどが出てまいりましたので、これとの平仄を合わせて、人事管理、退職管理というものをもう少し計画的に、組織的にやっていくという一つの契機が生まれてきたということが言えると思います。
 しかし、これだけでは解決はいたしませんが、これは一つの大きなめどになるということも事実でございまして、その点、各省庁ともよく連絡をとりまして、いまのいろいろな世の中の批判、また構造的な問題、そういうものも踏まえまして、もっと合理的なやり方ということに向かって一歩、数歩の前進を図ってまいる、そういうことでせっかく努力を重ねておるところでございます。
#11
○中村(茂)委員 いま報告をもらったわけでありますけれども、人事院の承認が百人。これは五年間ですけれども、五年いたとすれば、いま百人の人がいるということですね。それから、報告の人については七百八名というのですから、五年いるとすれば、これだけの人が土建業界のそれぞれの重要なポストについていまもいるということなんです。
 ところが、五年そこでいたとしても、五十三で行けば五十八ですから、先ほど申し上げましたように、これは人事院ばかりではなしに、特に所管の建設省などについても、この構造的な問題についてはこれからひとつ真剣に考えていただきたいというふうに思うのです。所見を承ります。
#12
○丸山政府委員 いま人事院総裁からお話のあったとおりでございまして、建設省といたしましても、人事管理面から、五十三歳を目途に勧奨退職制度をとっておるわけでございますが、これには非常に問題があると考えております。大変御理解のあるお言葉を賜りまして感謝申し上げているところでございますが、建設省といたしましても、この改善につきましては積極的に努めてまいりたいと考えております。
#13
○中村(茂)委員 とにかくここへみんな手みやげをつけるわけですから、建設省も大変ですね。まあ努力していただきたいというふうに思います。
 次に、先ほども申し上げましたけれども、いま談合問題を中心にして非常に大きな問題が起きているわけですね。これは、公共事業の執行がいかに適正に行われるかということですから、税金がいかに適正に行われるかということになるわけですね。ところが、談合問題が起きてくる。それから、公務員の事故というか汚職というか、この中で公共事業の契約関係が一番多いですね。だから、そういうことを考えてみると、私はこの際望まれるのは、特に所管の建設大臣、建設省の毅然たる態度を強く望みたいというふうに思うのです。
 そういう面から皆さんの対応を見ていきますと、確かにこの事件が起きてから各省庁に、下部組織に、それから業界にも警告したり、いろいろな文書を出しております。私もここにそれをみんな持っていて、全部目を通しました。しかし、それを見ていきますと、何かのどにひっかかったような、なまぬるいのですよ。談合などという文字は一つも出てきませんわな。しかし、独禁法という字が出てくるからそれでいいじゃないか、こう言うのです。それでまた、業界にしても末端にしても、建設大臣の出した指示、次官の出した指示がこれほど通用しない、言うことが聞かれないというのも珍しいですね。私はつくづく思いますよ。文書を見たってこんなに出してあります。一センチにもなるものを出しておりますけれども、これが全然生きてこないというのだから、どういうことなんでしょうか。
 具体的な問題について一点申し上げておきたいというふうに思いますが、いま談合問題等を審議していただくために、中央建設業審議会の中の専門委員会、その専門委員会において入札の合理化をやっていただく、こういうふうになっていますね。しかし、その構成は、学識経験者、建設工事の需要者、それから建設業者。それで、建設業者が五人入っておりますけれども、これを見ていきますと、まず談合を首謀しているというふうに言われる日本建設業団体連合会公共工事委員会の人が入っていますね。それから全国中小建設業協会の副会長、こういう人が入っています。
 この副会長の見解については私はまた後ほど申し上げますけれども、これらの人が新聞やそのほかにどういうことを言うているかというと、いや、とてもじゃないけれども、談合などについては、いい談合と悪い談合があるのだ、金が動かなければ談合はいいのじゃないか、こういうことを言われているわけなんです。そういうことを言っている人たちが入っているわけです。それで入札制度の合理化をうまく審議できますか。だから、私は、これは改組してもらいたいと思うのです、もう少し真剣に考えるなら。
 それで、これは私の提案ですけれども、公共事業は税金です。ですから、納税者の代表ぐらい入れるようにして、もっと幅広くやる。談合をやっている者同士でどんなに改革を考えてもうまくいきませんよ。その点を建設省の見解をお聞きしておきたいというふうに思います。
#14
○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。
 中央建設業審議会は、御承知のとおり学識経験者と発注者、それから受注者の代表、こういうものから選んでおりまして、特に発注者代表及び受注者代表の数は同じバランスをとるというようなたてまえでございます。それで、それぞれの立場におきます意見を最も公正に反映していただけるような方を、私ども厳密に選んでお願いしているわけでございます。
 ただいま御指摘のありました、建設業界と申しますか、受注者側を代表しております日本建設業団体連合会の公共工事委員会、これは日本建設業団体連合会の中で公共工事に関しましてかなり広い範囲で研究を進めている組織でございまして、この組織は談合組織ではないというふうに私どもは思っております。また、いわゆる全中建、全国中小建設業協会の副会長、この方の御意見も、私ども真意を聞いておりますが、この真意というのは、受注の安定というものがなくて雇用の改善はむずかしいということを発言されているまででございまして、この委員それ自体が談合を容認するというような考えは毛頭持っていないというふうに聞いております。私どもといたしましては、両委員ともそれぞれりっぱな適格な方だと思っております。こうしたそれぞれの立場を代表した方々によります公正な見地からの論議によりまして、結論を得ていただけるものと期待しているところでございます。
#15
○中村(茂)委員 選んだ方はりっぱでしょう。私もそう思います。しかし、いま言われているいわゆる談合問題一つとってみても、そういうところに入っている団体の会社のところで談合しているわけです。だから、そういう者を代表に、それは入れてもいいでしょう。しかし、税金の執行ですから、もっと税金が本当に公正に執行される、そういう立場の人もやはり加えるべきだというふうに私は思うのですよ、その枠内だけでやっていないで。強く要求しておきます。
 私のところに建設産業新聞という新聞がありますが、先般、私ども社会党として「公共事業の執行適正化対策要綱」というものを発表いたしました。珍しくその案がいい案だということでこの新聞にほめていただきまして、中小零細保護に重点を置いている、中小への発注率を五〇%以上にしろ、なかなかほめてもらった、こう思って、その次の新聞を見たところが、なるほど適正化施策ということで評価はできる、しかし、談合を否定していたのでは何の意味もない、こうなっている。自主調整機能は不可欠だ。「社会党の公共事業執行適正化対策は確かに中小建設業者として歓迎すべきものであるが、業者の自主調整機能を奪ったのでは絵に画いた餅になる」、こう書いてある。そこが問題なんですよ。業界の人たちは、調整するとか協調するとか、金が動かなければ話し合ってもいいじゃないかという認識なんです。
 中小企業の人たち、わかるのですよ、そこで仕事を分け合って、みんなが仕事に取りつく、いわゆる企業防衛のような考え方を持っているわけです。その気持ちも私はわかるのです。しかし、法で禁じられていることは禁じられているのですよ、だれが何と言ったって。ですから、この際、談合問題ということを考える際には、まず私は、それなら中小企業対策をどういうふうにするか、それと談合をなくしていくという対策は反面どうするかということをにらみ合わせて進めていく必要があるというふうに思うのです。
 確かにあの人たちが置かれている立場、調整機能というものが、大手企業はいけないけれども中小だけはそれはいいよという区別はできないのです。そういうことはできない。ですから、公共事業の執行の適正化、談合というものを考えていく際に、中小零細企業の育成強化というものも反面考え、そして進めていく、こういう考え方に私ども立っているわけですけれども、そういう立場に立ちながら、業界のいわば調整ぐらいはいいんじゃないか、こういう考え方、これが堂々と新聞に出ているのです。字句を置きかえれば、これは談合ぐらいは許してくれや、どんなにいい対策を立てても、談合がなければだめなんだよ、こう言っているわけです。そういう業界の人たちの考え方、こういうものを考えてみた場合に、公正取引委員会が来ていると思いますけれども、公正取引委員会として独禁法上の立場から、この調整と言われるような問題、金が動かなければ話し合いはいいじゃないかというふうに言われる問題について、見解をきちっと、そういう業界の人たちにもわかるような意思表示をひとつしていただきたいというふうに思うのです。
#16
○橋口政府委員 独禁法の立場で申し上げますと、事業者または事業者団体の活動の結果としまして一定の取引分野における競争が実質的に制限されます場合には、法違反に該当するわけでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような入札談合問題に関連して、業界の一部の方が自主調整は許されるのではないかというような意見を開陳しておられることは、私も新聞を見て承知をいたしております。
 自主調整という言葉の意味、また内容でございますが、結局は、業者が集まるなり、あるいは団体の行為として、受注予定者を決定したり、あるいは決定された受注予定者が真の受注者になるためには、受注価格についての調整が必要になるわけでございますから、そういう形で自主調整を行うことが許容されるかと申しますと、独禁法の立場からは許容されないということは、法の趣旨からはっきりいたしております。したがいまして、よけいなことでございますが、建設業界の一部の方がおっしゃっておりますのは、いわゆる刑事法との関係において、構成要件に公正価格阻害目的とかあるいは不当利益取得目的とか、そういうものの有無によりまして刑事法上のいわゆる談合罪に該当するかしないかという問題は別にあるわけでございますが、しかし、独禁法の立場で申しますと、どういう理由によりましても、いずれにしましても受注予定者を決定したり、決定された受注予定者が真に受注者になるために受注価格について調整を行ったりすれば、これは当然独禁法に触れるということは明確でございます。
#17
○中村(茂)委員 行政管理庁長官にお聞きいたします。
 実は「行政事務運営の公正確保に係る体制及び手続に関する調査結果報告書 昭和五十六年八月」、行政管理庁として調査いたした結果が出ているわけでありますが、この五十二ページの一番最後に(オ)という項があって、ここでこういうふうに総括しているわけですね。
  物品の調達・製造、工事の請負等の国の締結する契約については、会計法では公正性及び経済性の確保の観点から一般競争契約を原則としている。
  しかし、国の締結する契約実績を調査した結果では、指名競争契約によるものが多く一般競争契約によっているものが極めて少ない状況となっている。
  この指名競争契約においては、競争参加者の指名の偏りの防止、適正な指名数の確保等公正性を確保する措置が十分でないものがある。また、指名可能な業者が他にいるにもかかわらず指名数の少ないものがあること、入札不調後随意契約によっているものが多いこと等経済性を確保する措置も十分でないものがある。
  したがって、各省庁は、契約の公正性及び経済性を確保するための措置の徹底を図るとともに、一般競争による契約方式の拡大につき検討する必要がある。
私は、調査の結果は全く的確な指摘だというふうに思うのです。したがって、これについて長官から、これが出された後、どのように各省庁が受けとめているのか、そしてこれを出された趣旨。
 それともう一点、公共事業がいかに公正に執行されるかということは、税金がいかに執行されるかということですから、非常に大きな課題だというふうに思います。いま中央地方を通じて一年間約二十兆というふうに言われているわけですけれども、それだけの税金を公共事業関係で使っていく。ですから、有効に税金は使わなければなりません。いま行財政改革が行われているわけでありますけれども、この執行に絡む談合問題等を含めて、やはり行財政改革の一環として大きく取り上げ、柱にすべきじゃないか、こういう意見もあります。したがって、いま大きく分ければ二点にわたって申し上げたというふうに思うわけでありますけれども、長官の御意見を承りたいと思います。
#18
○中曽根国務大臣 行政管理庁では、昭和五十五年から監察をやりまして、その結果をまとめて昨年八月に勧告をいたしました。御指摘のとおりの勧告でございます。
 それで、各省庁につきましては、行政管理庁で監察した個々の問題等で心当たりのある問題については具体的に指摘をして、内面的にいろいろ是正あるいは改良方を指示している点もございます。それに基づきまして、各省庁の対応ぶりをいま一つ一つとっておるところでございます。行政管理庁としましては、その様子を追跡調査しようというのでいま準備しておるところでございます。その状況につきましては、局長からお答え申し上げさせていただきます。
 それから第二に、これらの入札等の問題の合理化というものが行政改革の中で非常に重要な地位を占めるのではないかという御指摘はそのとおりでございまして、相当額に及ぶ国費、地方費の改革に資するという面からも、思い切った改革をこの際やらなければならぬと思っております。臨時行政調査会におきましても、予算の編成と執行の分科会ができておりまして、その執行の部面に当たるのがこの入札問題でございます。これらの改革につきましてもいま真剣に討議していただきまして、行政管理庁自体もいまの監察を通じて改革案を考えておりますが、臨調の答申もにらみながら進めてまいりたいと考えております。
#19
○中政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の行政の公正確保に関する項目、大分多岐にわたっておりまして、契約の問題もその一つでございますので、全般を見ながら、ただいま長官からお話がございました監察を実施いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#20
○中村(茂)委員 せっかく調査した結果、原則になっている一般入札、これはもう調査の結果でも、この中に出ているけれども、建設省は一般入札しているのは一件もありません。各省庁を含めて一・六%なんです。原則がそうなっている。大部分は指名入札ということです。指名入札で数がわかるから、その数で談合する、こういう仕組みなんですね。
 そこで、私の時間がございませんから、要求みたいなことを申し上げて、また他の機会に詰めていきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、私ども社会党として、公共事業がいかに適正に執行されるか、こういう綱領をつくって、建設省にもお渡ししておきました。また、私どもの党ばかりではありません、他の党も全部つくったようです。ですから、それぞれの意見が相当きめ細かく出ていますから、そういう意見も活用する機会をひとつ与えていただきたいというふうに思いますし、また、方々にいろいろな機関もあるわけですから、そういうところでもひとつ活用していただきたいというふうに思います。
 それから二点目に、いま申し上げましたように、この入札のあり方についてやはり原則に戻す、一般入札をできるだけ広げていく、こういう努力をしていただきたい、そういう対策を立てていただきたい、こういうふうに思います。
 それから三点自には、予定価格というのがあるわけですけれども、いま本当に秘密にやらなければいけない予定価格がほとんど漏れてしまって有名無実になっているのですが、談合をやるには予定価格を知ることが一番必要なんです。ですから、それをいかに知るかということがいろいろ行われるわけです。それにまつわって汚職が起きるわけです。ですから、この取り扱いをどういうふうにするかということは非常にむずかしい問題ですけれども、私は、幾つかの項目の予定価格の中から二つ、一つは労務賃、二つ目には安全費、これをその予定価格から外すか、中に置いてもこの二つは公表するような制度をつくっていただきたいというふうに思うのです。
 なぜかと言えば、三省協定で賃金は大体打ち合わせして決まります。それを予定価格をつくるデータに入れていくわけですけれども、それが明らかでないわけです。それから安全費、これも明らかじゃない。しかし、建設業界というのは重層下請になっているわけです、ずっと。孫くらいまでみんなある。同じ受けた仕事を下へ持っていって上の方で少しずつかすっていって、何で仕事が成り立つかというと、人件費と安全費を削るわけなんです。ですから下請の方で仕事が成り立つわけです。だから、これをはっきり明らかにして、まずそれを土台にしてこの構造を直していかなければいけないというふうに思うのです。このごろ出稼ぎ労働者の集会がありました。請け負った公共事業に携わっている労働者の賃金は全く惨めなものです。しかし、そこでできた仕事はりっぱなものができている。その下請で仕事が成り立つというのは、そこのところから取っているからなんですよ。ですから私は、そういう構造を直していく意味においても、やはりこの労務賃と安全費というものは、別枠にしても結構です、中に入れておいて公表しても結構です、いずれにしても公にできる措置をとっていただきたいということを強く要求しておきたいというふうに思います。
 それから次に、全体的な入札契約の経過と記録、やってしまった後で結構なんです、それを公表して、多くの納税者の皆さんがそれを監視していく、こういう体制をつくっていただきたいというふうに思うのです。これはまた後ほど細かくはいろいろやっていきますから、一通りの見解をお聞きしておきたいというふうに思います。
#21
○丸山政府委員 まず、社会党がおつくりになられました案でございますが、われわれ建設省で十分検討させていただくのはもちろんでございますが、中建審の場におきましても検討の資料にさしていただきたいと考えております。
 それから、一般競争を原則に、なるべく広げるようにというお話でございますが、これにつきましては、何回も御答弁申し上げておりますように、大変問題のあるところでございますから、現在中建審において鋭意検討をしていただいているところでございますから、その結論を待って対処いたしたいと考えております。
 それから、予定価格の中の労務費及び安全費の問題でございますが、御承知のように、請負契約は総価契約でございまして、たとえば労務費をとりましても、これは積算の中でそのとおりに労務費を使わなければならないということにはなってないわけでございまして、たとえば遊んでいる機械がある場合には、たとえ高くつきましても人のかわりに機械でやるというようなこともあるわけでございますから、これを公表するとかあるいは別枠にするということは、実際の契約問題としてなかなか問題があるのではないかと考えております。
 それから、安全費の問題でございますが、これにつきましては、すでにその安全費の中の重要項目、たとえば指定仮設であるとかあるいは条件明示というような形で契約内容を明らかにしておりまして、これに必要な変更がある場合には、契約代金を変更し安全対策を講ずる、こういう形になっているわけでございます。
 しかしながら、いずれにしましてもせっかくの御意見でございますから、これらの問題をも含めまして、慎重に今後検討してまいりたいと考えております。
#22
○中村(茂)委員 最後に、委員長にひとつお願いしておきたいというふうに思うわけでありますけれども、この談合問題を中心にした公共事業の適正な執行という問題については非常に大きな問題になっております。私ども社会党も、すでに証人喚問をお願いしております。それから参考人もお願いしております。また集中審議もお願いしているわけでありますけれども、こういう時期でありますから、私どもの要求を生かすように、この審議の中でそういう場をつくっていただきますように最後に強く要求いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
 関連質問に移らせていただきます。
#23
○栗原委員長 この際、新村君より関連質疑の申し出があります。中村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。新村勝雄君。
#24
○新村委員 関連をいたしまして、談合の問題について一つだけお伺いをいたしたいと思います。
 なお、私の時間は三十分でありますけれども、時間がちょっと食い込みましたが、大臣が御都合があるそうでありますので、途中であっても二十五分にはお立ちをいただいて結構でございます。よろしくお願いいたします。
 時間がありませんので、まず一つの事態を御説明をいたしまして、これについて御答弁を賜りたいと思います。
 それは、住宅・都市整備公団の事業執行に当たりまして、この事例は測量でありますけれども、測量の仕事を執行するに当たって、一定の業者がグループをつくって、俗に言う談合のグループをつくり、しかもそのルールをつくって実施をしておる、こういう事実があるわけであります。いま談合の問題が非常に世上論議を呼んでおりますけれども、そういう中にあって、住宅・都市整備公団、これはまあ政府と同じ性格だと思いますけれども、その執行がきわめて不明朗な形で行われておるということは大変残念だと思います。その事態というのは、この例は、住宅・都市整備公団首都圏都市開発本部ルールというものがございまして、このルールによってやっておるわけなんですね。
 このルールはどういうものかといいますと、まずこれは三十社が協定を結んでおるという例でありますけれども、この三十社がルールをつくりまして、いわゆる落札業者、仕事をする業者をたらい回しで、機会均等を図るといえば体裁はいいんですけれども、まあ談合ですね、談合の組織をつくっておるということです。
 その内容は、まず落札業者を決定するに当たっては、指名の回数によって落札の会社を決める。そして、一度落札をした会社は下位につける、後回しにするということで、次々にたらい回しをするというシステムだと思います。それが一つです。
 それからもう一つは、測量ですから比較的一件当たりの額は少ないわけですけれども、それでも数千万に上る仕事がしばしばあるわけですが、この一件当たりの仕事の額によってジョイントを必ずその下へつけなければいけない、こういうルールをつくっておるわけですね。このルールによりますと、二千万以上の仕事については必ずジョイントをつけなければいけない、ジョイントといいますか下請をつけなければいけない、落札の会社だけでやってはいけないということですね。下へ必ず子会社をつけなければいけないということです。そして、二千万以上の仕事については必ず下請をつける、二千万から三千万については子会社を一つつける、それから三千万から四千万の仕事については子会社は二つつける、四千万以上の仕事については三つつける、この子会社、ジョイントをつけるということについては、このグループの中においては、これは必ずつけなければいけない義務だ、こういうことを規定をしておるわけですね。これはまさに、このジョイントをつけること自体は、公共事業の執行については悪いこととされておるわけですね。これはつけないことの方が正しいわけですけれども、そういうルールをつくっておるという事実があります。
 それから、もう一つのルールですけれども、第三番目には、このようにして二千万以上の仕事については必ずジョイント、子会社をつけるわけですけれども、その子会社がついた場合に、一定の比率で名義料を落札会社に納めなければいけない、こういうことを御丁寧に決めてある。この名義料については、仕事の額が多くなるほど比率を下げるわけですね。税金と違いまして、これは逆に累退といいますか、下げるわけですけれども、まず工事の額が五百万までについては五%、五百万を超えて一千万までの分については四%、それから一千万以上のものについては三%、その比率で計算をして、これを名義料として落札会社に納める、こういうルールですね。
 このルールの主たる点は三つなんです。以上申し上げた三点なんですけれども、こういう協定をしてこれを実施しているという事実があるわけであります。特にこの二番、三番について、一番ももちろんこれはフェアな公共事業の実施ということについては残念なわけでありますけれども、二番、三番については、これは明らかに法にも違反するのではないかと思われる節があるわけですね。特に三番については、名義料を額によって算出をして、そしてこれを納めさせるということでありますから、よく言われるよい談合、悪い談合という議論がありますけれども、これはそういうことを超えた、場合によっては明らかに法にも触れるのではないかと思われるようなことをルールとして規定をして実施をしている。実施をしているということは確認をしております。
 それから、このルールがあるということは、ここにこのルールのコピーがありますけれども、こういう事実が存在しておるわけです。しかもこれがいま生きて実施をしているということも、この中の数社からその情報を得ておるわけであります。こういう事態に対して、住宅・都市整備公団総裁おいでになっておりますか、どうお考えであるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#25
○志村参考人 ただいま先生御指摘の件につきましては、私実は承知いたしておりません。そのような事実がございますれば、私もまことに残念なことだと存じております。
#26
○新村委員 御承知にならない。御承知になっているということであれば、これは大変ですから。御承知になっていると私は思います。また、総裁が御承知にならなくても、実際に第一線で働いていらっしゃるあるいは支社長とかそういう方々は、これは御存じなんですよ。それも確かめてございます。ただ、公団がこれを公然と認めているかどうかということは別です。別ですけれども、こういうルールがあって、しかもこういうルールに基づいて仕事が執行されているということ、いま申し上げておるのは測量でありますけれども、ほかの部門でも恐らくあるんじゃないかと思います。私が確認しているのはこの測量でありますけれども、測量はこのルールが現在生きて、しかもこのとおりにやられておるということを確認をいたしておるわけです。
 しかし、総裁はいま御存じない。御存じということであれば、これは大変な問題だし、また御存じないということでも、実はこれは大変な問題です。こういうことが行われておるのに知らない、これは大変怠慢だと思いますね。これはいずれにしても大変です。知っていても知らなくても大変です。もう一回ひとつ、この事例を含めた事業の執行についてのいわゆる談合あるいは談合に類することがあるのかないのか、またそれに対していままでどのような対処をしてきたのか、あるいは指導をしてきたのか、それを伺いたい。
#27
○志村参考人 先ほど申し上げましたように、私は談合等につきましてさような事実は承知いたしておりませんが、御指摘のような事実があったといたしましたらまことに残念なことでございまして、所要の厳正な措置を講ずるとともに、今後ともかようなことのないように十分注意してまいりたい、かように存じております。
#28
○新村委員 総裁、これはでたらめな質問じゃないのですよ。これはもう神聖な委員会ですからね。これはでたらめな質問は絶対しません。これはここで確認をして、しかもこれだけではなくて、この関係の出先あるいは業者両方に確認しているわけですよ。確かにいまこういうことをやっておりますということですよ。ですから、これは単に知らないということでは大変困るわけです。この事実があるんです。この事実があるんですから、この事実に対してどう対処されるのかということをまず伺いたい。
#29
○志村参考人 先生の御指摘でございますので、私どもの方でも調査をいたしたいと存じます。
#30
○新村委員 これは総裁及び大臣にもお願いをいたしますけれども、これは厳重にひとつ調査を願って、そして対処をいただきたいと思うわけであります。
 そこで、この問題に関して資料の請求をお願いしたいのです。
 まず、この中のルールの一つ一つについて十分調査、検討することが必要でありますけれども、同時に、過去においてこれをこのとおりにやっておれば――やっておるわけです。やっておるわけですけれども、ジョイントを組んだ場合、これはジョイントを組むことが義務になっておりますから、必ず組んでおる。二千万円以上については必ず組んでおるはずです。組んでおって、しかもこの比率で計算をしたいわゆる名義料が落札会社には納入をされておるはずであります。その事実を調査をして、資料として提出を願いたいわけです。過去五年間の二千万円以上の仕事、これについては全部ジョイントがついていますし、いわゆる談合金、名義料が納められておりますから、その実態を各件ごとに調査をして、これを資料としてお出しをいただきたい。
 それから、この事態に対して調査しますというようなきわめてなまぬるいお答えですけれども、そうじゃなくて、こういう事態があるわけですから、あることに対する対処をどうするかということを、もう少しきちっとした御答弁をいただきたい。
#31
○志村参考人 御指摘のような事実がございましたら、先ほども申し上げましたように、所要の厳正な、措置、たとえば指名の停止とかそういうふうな措置等々を講じたい、かように考えております。
#32
○新村委員 これは関係の会社はここでは三十社あるんですよ。名前は言いませんけれども、三十社ちゃんと書いてあるのです。しかし、私はここで申し上げておきますけれども、業者を責めるということも必要ですけれども、談合の最大の原因というのは発注者ですよ。発注者の態度、それからそれに関係する政治家ももちろん悪いですね。しかし、まず発注者が一番悪いと思います。談合という事態が起こる原因は、発注者が毅然たる態度で臨むならば談合はもう起こるはずがない。ところが、いま談合が非常に世の指弾を受けているということ、これはそのまま現在の官僚機構なりあるいは主として各官庁のいわゆる高級官僚の皆さん、こういう方々の心構えいかんにあると思うのです。そこから出てきているわけですよ、談合問題というのは。ですから、発注者の皆さんの毅然たる態度をぜひお願いしたい。そうすれば、談合問題は自然に解消するのです。発注者の方の態度が毅然としておれば、必ず直ちに解消する問題です。そういう意味で、もう一回総裁――大臣はもう時間ないですね。じゃ大臣から最後にお願いしたいんですけれども、こういう事態があるわけですけれども、大臣、監督の大臣としてどうなさいますか。ひとつ毅然たる方針と態度をお約束いただきたい。
#33
○始関国務大臣 ただいま新村先生から住宅・都市整備公団の発注いたします工事、特に測量の場合に、関係業者が入札のルールをつくって談合をやっているという御指摘でございました。志村総裁がお答え申し上げましたように、実情をよく調査いたしまして善処すると申しておりますから、それを私どもも推進いたしたいと思います。
 さらにまた、ただいまは談合問題については発注側の取り組みが悪い場合が多い、毅然たる態度でやれば談合問題というのは起こらない、こういう御指摘でございまして、ごもっともな点が多いと思います。従前とも私どもは、発注側に対しましても、工事の請負契約業務につきましては、入札の方法を合理化し、改善していくとともに、毅然たる態度でやるように指導いたしておるところでございますが、一層この趣旨を強めまして今後善処してまいりたい、かように存じております。
#34
○新村委員 大臣、時間はいいですか。
 それでは大臣、訓示的な御答弁ではこういうことはだめなんですよ。具体的にこうするんだ、あるいはこういう手を打ちます、あるいはこういう手を打っておりますということをやはりお願いしたいですね。もう一回、もう少し具体的な決意、あるいは手の打ち方をお願いしたいのです。
#35
○丸山政府委員 本件につきましては、公団の方で厳重に調査するそうでございますから、それに基づきまして、違法行為がありましたら、建設省といたしましても厳正な処分をする考えでございます。
#36
○新村委員 公団は御存じない。建設省さんはどうですか、こういう事例を聞いたことがございますか。あるいは建設省の関係でこういうことがございますか、ありませんか。
#37
○丸山政府委員 聞いたことはございませんが、そういう事実がありました場合には厳正に処置する考えでございます。
#38
○新村委員 総裁にもう一回お伺いしますが、さっき過去五年間の資料の提出をお願いしたのですけれども、それはいいですか。過去五年間の二千万円以上の工事の件数と、各件ごとにこのルールでいけば名義料が納められておるはずですよ。それからその額までひとつ調査をして御報告願いたいのですが、いいですか。
#39
○志村参考人 私どもで調べられる限り調べまして、御報告申し上げたいと存じます。
#40
○新村委員 従来建設省に比べて公団、政府関係機関の執行の方がどうも甘い、こういう傾向があるようですね。たとえば指名業者の数にしても建設省は十社以上、ところが公団は七社以上ですね。実際には七社にならない、五社程度が多いですね。こういうことで談合を半ば助長をしているような傾向があるのです、建設省に比べて公団さんの方が。ところが、実際に仕事をする仕事の量は、公団さん非常に大きいわけですよ。ですから、むしろ公団さんの方が毅然たる態度で、厳しい姿勢でやっていただかなければ困るわけですけれども、逆に公団さんの方が緩い、甘い、こういう傾向があるわけですね。こういった点は厳しく反省をしていただかなければなりませんし、また規定等もこれから直していただかないといけないと思うのですけれども、その点はいかがですか。
#41
○志村参考人 先生御指摘のように、私どもの指名競争入札の場合、指名は七名以上ということになっておりまして、建設省の十名よりも少のうなっております。しかし、実際は大体十名程度を指名しているのが例でございます。ただ、測量関係の場合には、特定のそれぞれの応じた技術がございますので、五社程度というふうなことになっておりますが、先生の御指摘もございましたように、ただいまそれらについて検討をいたしておる状況でございます。建設省からもいろいろ御指示を賜っております。
#42
○新村委員 先ほどの資料の提出ですけれども、一般質問の期間中にひとつお願いできますか。これが一つですね。
 それから、この前の質問に関連しますけれども、規定では七社以上となっていますけれども、実際には五社程度でやっておる例が多いようですね。これは確認をしております。それから、測量は一件ごとの金額は比較的少ないですけれども、随契が非常に多いということがありますね。
 そういった点で、私は先ほど公団さんの方が工事の執行について大分態度が甘いということを申し上げたわけです。その点は、ひとつこれから厳しく反省をして改めていただきたいということ。
 それから、資料の提出はこの一般質問の期間中にひとつ出していただきたい、これを確認します。
#43
○志村参考人 できます資料につきましては、なるべく一般質問中に間に合わせるように努力をいたしたいと存じます。
 なお、いろいろ御指摘ございました点につきましては、指名業者の数等については、先ほども申し上げましたように、建設省からもいろいろ御指示を得ておりますので、ただいま検討しておるところでございます。
#44
○新村委員 時間でありますから以上で終わりますけれども、私の言わんとするところは、いまの質問の中でも申し上げたように、談合問題の起こる原因は発注者の態度にある、これを特に申し上げたいと思うのですよ。そういう点からして、建設大臣、それからまた実際に仕事をされる各機関の責任者あるいは出先の責任者、こういう方々にはひとつ毅然たる態度で公共事業の執行に当たっていただきたい。そういう中からしか談合問題の解決はない、こういうことを強く申し上げ、また厳正な執行を特にお願いをして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#45
○栗原委員長 これにて中村君、新村君の質疑は終了いたしました。
 次に、中馬弘毅君。
#46
○中馬委員 鈴木総理は、行政改革に政治生命をかけるとおっしゃっております。これは、日本の二十一世紀を目指した経済社会の活力を大きく飛躍させる意味におきましても、私たちはこれを大いにバックアップしたいと思っているのですけれども、最近のいろいろな国会の審議を見ておりますと、行政改革が少しあやふやになって、逆に財政再建の方にウエートがかかってくる、そして財政再建という方にまた政治生命をかける、政治責任をとるというような御発言もされております。
 行政改革と財政再建はおのずから性格が違うものであって、財政再建というのは、これは景気の状況あるいはいろいろな推移におきましてかなり変動するものだと思うのですね。しかし、大蔵省が鉛筆をなめなめつくった五十九年度赤字国債をゼロにするというものに、何かそういった架空のものに政治責任をお感じになっているようなことで、非常に僕は気の毒に思っております。それを補佐する立場にあられます大蔵大臣あるいは経済企画庁長官あたりに少し御質問を申し上げたいと思っております。
 まず行政改革なんですけれども、中曽根長官がきょういらっしゃいませんので、かわって政務次官で結構でございますけれども、行政改革、行政改革とおっしゃっておりますが、行政改革をしなければならないのは国民一致したところなんですけれども、では、どの程度の規模にしようとしているのか、どの程度のものを民間の方に移そうとしているのか、あるいは地方と中央との役割りについてもどの程度のものなのか、規模がはっきりわからないのですね。ただ行政改革をやります、役所の機構をもっと効率よく簡素化します、あるいは民間の方に移管します、しかし、それがたとえば昭和の何年代ぐらいのところにしたらいいのか、あるいは諸外国と比べてどの程度が理想なのか、そういうところの一つの御判断をお持ちだと思いますので、そこをお聞かせ願いたいと思います。
#47
○中村(靖)政府委員 お答え申し上げます。
 中馬先生御承知のように、わが国の行政は、経済の高度成長期に行政の需要の増大等の関係から肥大化してきた傾向にあったわけでありますけれども、石油ショックを契機に、経済成長の減速化あるいは財政赤字など、これ以上行政が肥大化する基盤は失われてきておるところでございます。他方、人口構成の高齢化あるいはまた国際的役割りの拡大など、行政の果たすべき役割りは今後もなお増大することが予想されております。
 こうした社会経済情勢の変化の中で、行政が国民の要請に的確にこたえていくためには、高度成長期に拡大した行政の体制及び機能の徹底した見直しや施策の重点化を図る必要があると考えております。
 政府は、このような観点から、現在、行政の簡素化、合理化の努力を続けているところでございまして、行政の体制につきましては、行政機構の簡素化あるいは定員の合理化あるいは特殊法人の整理などを精力的に行っております。行政の機能につきましても、許認可等行政事務の整理簡素化、補助金等の整理合理化など、いわゆる行政の仕事減らしにつきましても最善の努力を行っております。そして、不要不急の部分あるいはすでに当初の目的を果たした部分、所期の成果を上げていない部分等につきまして精力的に簡素合理化を図ってまいる所存でございまして、現在、臨時行政調査会におきましてもそのような方向で検討をいただいておるわけでございます。
 先生御指摘のように、行政は国民の御要望とのバランスの上においてどのような規模で今後行政効果を確保していく必要があるかというような点でございますけれども、やはり高度成長期に拡大した行政のあり方について抜本的な見直しを行い、施策の重点化を図ることと、それから最小の行政費で最大の行政効果を確保していくという、むだのない政府を実現することが特に緊要であろう、このように考えておるわけでございます。公務員数等におきましても、諸外国と比較して決して大きな政府ではないと思いますけれども、今後ますますそういった方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。国民のコンセンサスが得られるような方向で行政規模の拡大を極力抑制をしていく必要がある、このように考えるわけでございまして、そのような方向で私ども最大の努力をしてまいりたいと思います。
 なお、たとえばGNPとの比率等計数的な答弁をせよというような御趣旨かというふうに思うわけでございますけれども、数字的にどの計数が最も理想的であるかという点につきましては、私どもいまここで具体的に申し上げる立場にないわけでございまして、御容赦をお願いを申し上げたいと思っております。
#48
○中馬委員 もう少しはっきりした御答弁をいただこうかと思ったのですが、どうも長官でございませんので、大蔵大臣の方にお聞きいたします。
 行政改革をそうして進める中で、財政は、当然簡素で効率のよい政府になるということでございますから、そうしますと、たとえばGNPに対する財政の規模といったものはここ数年非常に大きくなってきております。過去ずっと見てみますと、大体四十年代の初め、前半ぐらいまでのところは一一%から一三%ぐらいのところでございますけれども、ここに来て急上昇して一七、八%になってきているわけです。では、財政再建後のあるべき姿としての財政規模というのをどの程度に大蔵大臣は判断なさっておるのか、どの程度があるべき姿なのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#49
○渡辺国務大臣 国と地方との問題あるいはGNPに占める国家財政比率はどれくらいがいいのか、こう言われましても、一概に幾らがいいということはなかなか言いづらいのです。ただ、現実の姿は、国民総生産の中に占める国とか政府資本の総支出というものは、大体アメリカで三三・五%、イギリスで四二・九、西ドイツが四四・三、フランスが四四・九、日本は三三というようなことになっております。しかしながら、老齢化社会が進むに従いまして、三三ではとても現在の制度は維持できない。もう少し高くなる。普通の状態でいけば、これは四〇ぐらいまでいくんじゃないかということを言う人もございますが、いずれにしても、どういう負担を持てるのか持てないのかということになりますと、負担との関係ですから、制度の抜本見直しをやるか、それとも負担に耐えてもらうかということは、そのときになって決めなければならない問題であって、いまから幾ら幾らということを言うことはできない。なるべく政府は簡素にして効率的な政府がいいと言うにとどまると存じます。
#50
○中馬委員 そこで、中曽根長官とのお話のいろいろなあれをすり合わせをしてみたいと思っておったのですが、先ほどおっしゃいましたように、非常に国の負担が大きくなってくる。大蔵大臣はいつも諸外国の例を出してこられますが、諸外国でもその反省が出ているんじゃないですか。大きくなり過ぎているということで、高福祉、高負担ということに対する一つの反省として、いまアメリカもヨーロッパも、簡素で効率的な政府ということで、これを減らそうとしているのですね。
 日本は何もこれから反省をしているところに合わす必要はないわけで、そうしますと、この簡素で効率のよい政府というのは、少なくともいまの規模よりは少なくなってあたりまえじゃないか。これよりもGNPに対する財政規模をふやすというのは、これは全く行政改革をしないということにつながるわけでございまして、そこの関係をお尋ねしているのです。
#51
○渡辺国務大臣 ふやしたくないのは私も当然なんでございますが、問題は、GNPの大きさとの問題もあるわけですから、GNPが大きくなれば財政規模も大きくなっても比率はふえないということにもなります。相関関係でございます。われわれとしては、現在の状態では、極力まず高度経済成長時代にふくれ上がった機構、制度等は切っていきたい、極力ふやさないようにしたいということでございますが、一方、何といっても高齢化社会なんですね。これは、いやおうなしにいままでに例のないようなふえ方をするわけですから、そのときの年金、医療というものは、なかなか抑えるといっても、いまのやつは中身の洗い直しはできますよ、洗い直しした後でそれを抑え込んでいくということは非常にむずかしい。だけれども、経済の維持発展を図っていって、GNP対比政府総支出がふえないように努力をしていきたいと思っております。
#52
○中馬委員 高齢化社会への対応のことは後で厚生大臣に聞くわけですけれども、それは大蔵大臣がお答えになることじゃなくて、厚生大臣が責任を持ってやられることであって、大蔵大臣としては、そこを厚生大臣の方にこういう形でもっと年金のことをやってもらいたい、高齢化社会に対してもこういう対応の仕方があるじゃないか、そうして効率的な政府をということが大蔵大臣の役目じゃないですか。
#53
○渡辺国務大臣 さようでございます。
#54
○中馬委員 そのことを前提としてお聞きしますが、やはりいま大きくなっているということでございます。このあるべき姿がどの程度かというのは御答弁がございませんでしたけれども、しかし、少なくとも戦後三十年ずっと日本がやってきた、それがそんなに不都合なことではなかったと思っております。その規模が、大体GNPに対する割合として一二、三%なんですね。いまは一七、八%になっております。この中から国債費の分を除いて大体一五%くらい。その程度が中期展望で言う六十年度くらいのところの姿じゃないかと思うのです。
 しかし、大蔵省がおつくりになっている中期展望で六十年を見ますと、これはそういう政策が織り込んでないから当然なんでしょうけれども、かなり高いものになっているんですね。そうしますと、むしろ、行政改革を本当にやる、そしてその姿としての国の全体に対するあるべき姿といいますと、これはこの要調整額どころではなくなってくるのです。ここで一二、三%に落とすことになるわけですから、そうしますと、それだけで五、六兆円のものが十分浮いてくるわけです。そうしますと、ただ単に要調整額を何とかということではなくて、それこそ大きくなり過ぎた租税負担率を下げることすらできるわけですけれども、それが本当の行政改革であり、財政再建じゃないですか、大蔵大臣。
#55
○松下政府委員 御指摘のように、過去の十年におきまして国、地方ともGNPに対する割合は非常に大きくなってございます。私どもやはり長期的な将来を展望いたしますと、大蔵大臣がお答えいたしましたように、高齢化社会に対する対処そのほか歳出を押し上げる要因というのはまだまだたくさんございまして、その分財政に期待されている役割りも大きいと考えておりますけれども、当面の中期的な財政再建というものを見通しましたときに、やはりこれまでGNP比率が上がってきたことをそのまま容認するということはできないのではないか。高度成長の時代に財政そのものの歳出機構も膨張しておりますけれども、現在、これから考えられる安定的な経済成長というものを念頭に置きましたときに、この際、この体質を変えておくということが最大の急務であると思います。
 したがいまして、私どもも、財政の中期展望におきましては、過去の趨勢等あるいは将来の物価上昇等に見合った機械的な歳出増加というものを推算いたしておりますので、歳出の伸び率が一〇%あるいは一〇%を超えるというような姿を描いておりますけれども、このままで財政を運営していくということは考えておりませんので、これをできる限り抑制しながら、歳出の内容を改善合理化しながら全体の規模の伸びを抑制していくということを基本方針として対処してまいるつもりでございます。
#56
○中馬委員 そのことをもう少し鈴木さんにも御説明してあげたらと思うのですが、国鉄が二兆円の赤字、食管で一兆円、それから医療関係で四兆円、その他私学助成、こういったものを数えただけでも六兆や十兆になってしまうわけで、こういったものがいまの姿でいいとは思っておられないはずです。それをやるのが行政改革であり、そしてその行政改革が達成されたならば財政再建なんというのはおのずからできてくるわけでございまして、そちらの方にむしろ重点を置いてもらいたいというのが念願でございます。
 そして、そのときの鈴木さんが言う意味での一つの財政再建、五十九年度でも結構ですけれども、その財政再建がなされた後でのいまの税のあり方、特に直接税と間接税のあり方について、これが過去には大体五対五になっておりました。しかし、いまでは七対三になっております。これに対して、大臣はどのような姿がいいとお考えでございますか。
#57
○渡辺国務大臣 これも最終的には国民の選択の問題でございますが、社会保障というようなものは景気、不景気に関係なく費用のかかるものでございまして、むしろ不景気の方が、失業の問題とかあるいは病気もふえるかもしらぬとかで、よけいかかるかもしれない。そういうときに、現在の税率構造というのは所得税と法人税中心主義、七割がそうなっているわけです。景気のいいときはよけい収入が政府に入るが、悪いときにはがきっと減る。そうすると、そのときどきに応じてまた社会保障を縮めたりふやしたりなんということも、これも非常に不安定なことである。そういうふうな観点から、この社会保障制度を安定的に守っていくためには安定的な財源があっていいのじゃないかという議論が一つある乙とは事実でございます。
 御承知のとおり、フランスでは間接税が六割くらいですね。イギリス、ドイツあたりでは大体四割から四割七分くらいが間接税。日本も昭和九年からあの前後は大体六五%が間接税、昭和二十五年から四十年ごろまでが大体四五から四〇の間くらいが間接税、それがだんだん三七になり、三五になり、三四になり、三〇になり、二八になり、二七になる。このままでいけば、さらに間接税のシェアが小さくなってまいります。世界的に見ても、アメリカを除き、先進国の中では直間比率というのは大体四から六くらいが間接税というのですから、四〇くらいなものがいいのじゃないかという人もございます。いずれにしても、片方だけに偏るというのは問題があるのじゃないか、今後の課題として研究していく必要があると思っております。
#58
○中馬委員 その調整のときに当然間接税がふえる形になるわけでございまして、ただ間接税をふやしただけでこの差を埋めようとすると、大型な間接税、しかも全体としては逆に財政規模、税収規模が大きくなってしまうわけですから、一方では直接税を引き下げる形になるのですけれども、もちろんそういうことも含めてお考えでございますか。
#59
○渡辺国務大臣 いまのところは考えておりませんが、そういうことができれば、いま言ったようなことも当然対象になるだろうと存じます。
#60
○中馬委員 そうしたあるべき姿というものを描いた上で、この財政再建を進めていただきたいと願う次第でございます。ところで、この五十六年度、五十七年度の景気の見通しでございますけれども、いろいろ民間のエコノミストとまた政府の見方あたりが相当違っております。この点について、企画庁長官、十−十二月のGNP、大体速報値が出たのでしょうけれども、非常に悪かったと聞いておりますが、それを含めて、五十六年度の一−三月までの見込みを少し、実績見込みと比べてどうなのか、お知らせ願いたいと思います。
#61
○河本国務大臣 ちょっと一言おわびを申し上げますが、十一時半から予算委員会最優先ということは十分聞いておりたのでございますが、商工委員会がどうしても抜けられませんで、大変おくれまして恐縮でございます。おわびをいたします。
 さて、この五十六年度の経済見通しでございますが、第一・四半期は年率に直しまして四・八%成長、それから第二・四半期がやはり年率で二・四%成長でございました。第三・四半期は目下作業をしておる最中でございまして、来月の中旬になりませんとはっきりした数字は出てまいりませんが、内需の回復がおくれておりますことと、それと予想外に秋以降輸出が落ち込んだ、こういうこと等もございまして、実はその実績について非常に心配をいたしております。あるいは悪くいくとゼロ成長前後の数字になるのではなかろうか、こういう心配すらいたしておるのでございます。もっともまだ数字がはっきりいたしませんし、第四・四半期も残っておりますので、はっきりした見通しを年度間を通じて申し上げる段階ではございませんが、しかし大変厳しい状態である、こういうことは言えようかと思います。
#62
○中馬委員 委員長、資料をお配りしていいですか。――そういう事実も踏まえまして、視覚に訴えて少し御質問したいと思っています。
 GNPの動き、これが経済成長率でございますけれども、この経済成長は三十年代から四十年代の初めぐらいまでのところはまだ個人消費、いわゆる民間最終消費、こういったところのウエートが総体的に少なくて、民間設備投資であったりあるいは財政の寄与というのがかなり大きくGNPを動かしておりました。しかし、最近におきましては六割を民間最終消費が占めるようになっておりまして、この動き自体がGNPとほぼ同じ動きをするようになってまいっております。民間設備投資やあるいは住宅投資、それから政府の支出の動きよりも、むしろこの民間最終消費の動きによってGNPが左右されるようになっております。そうしますと、当然それの構成要因の一番大きなものでありますいわゆる勤労者の可処分所得とかなり連動することは、このグラフを見ていただいたらわかるとおりでございます。
 この点線が民間最終消費支出の前年同期比の増減率、実質でございます。ならすために三期移動平均で見やすくしております。それから、一方実線の方が勤労者世帯の可処分所得の前年同期比の実質の増減率でございます。三期移動平均しております。
 そしてこの下の方の数字を見ていただきますと、所得税の減税を以前は大体物価調整としてやっておりました。それが所得税減税額でございます。それから、その次が民間の賃上げ率ですね。これは春闘のベースアップでのいわゆる民間ベアというものですね。それから消費者物価指数、これとの差で大体実質が出てくるわけです。
 そうしますと、これをずっと見ていただきますと、少なくともこの四十年代のところでは民間の賃上げが非常に高かった、そして物価が比較的安定しておった、大体差が一〇%くらいございます。したがって、勤労者世帯の可処分所得の増減率も大体安定して五%以上のところをずっと動いているわけですね。そして、そのとき同時に所得税の減税を物価調整としてやっております。
 ところが、第一次石油ショックで大きく落ち込みました。しかし、そのときにも、これは田中さんのときですけれども、四十九年には一兆七千二百七十億円という大きな物価調整減税をやりました。それがために可処分所得が急激にふえておりますね、当然だと思いますけれども。その次も、もちろん物価を上回る賃上げが行われまして、減税も行われました。
 しかし、五十一年になりますと、このときはもう三木さんになっておられますけれども、そのときは消費者物価が九・四%、まだ余韻として上がっておりますけれども、賃上げが八・八%、ここで初めて下回りました。と同時に、そのときに所得税減税でもしておればまだよかったのでしょうけれども、所得税減税をしなかったがために、ここで大きく可処分所得が落ち込んでおります。
 それ以降は福田さんになりましたが、ここのときには戻し税も含めて五十二年には六千億の所得税減税をされました。そして、もちろん民間賃上げも、高くはございませんでしたがそれを下回る消費者物価ということもございまして、これが平均的に三%台を動いているわけですね。五十三年度もまた戻し税。戻し税の効果がなかったというような議論もありますけれども、これを見る限りにおいてはある程度寄与していることが読み取れるのではなかろうかと思います。
 ところが、大平さんになって五十四年から所得税の減税をされておりません。ずっとしておりません。そうしますと、ここで可処分所得は低迷したままになるのは、これは当然と言えば当然でございます。しかも、五十五年においては物価上昇の方が賃上げを上回っております。五十六年には少し上がりました、物価が落ちついたがために。しかしだんだん所得税の累進度が効いてきておりますから、可処分所得はマイナスのままでございます。そして、いま河本さんから御報告のありましたように、これは三期移動平均ですから三期まで入っておりますけれども、五十六年度を通してもこれがどうも上がっていないようでございます。
 ただ、この可処分所得と若干違う動きを民間最終消費支出がしております。これはもちろん、勤労者の可処分所得は伸びていなくても、それ以外の、たとえば自営業者であったりあるいは民間企業あたりの交際費だとかあるいは物件費だとかそういったものがかなり大きく伸びた場合には、ここで乖離が出ているのですね、四十三年、四十七年、五十一年、五十四年と。こういうことが期待されればいいのですけれども、五十七年、現在の政府の見通しですと民間賃上げが大体七%前後の攻防になろうかと言われております。物価は四・七%上がる、こういう形になっているのですね。そうしますと、ここのところは五十五、五十六、五十七ぐらいのところと余り変わらない。そうすると、可処分所得の方は大体横ばいないしゼロのところで推移するぐらいのところですね。あるいはもっとマイナスになるかもしれません。しかし、政府の見通しによると、民間最終消費だけが大きく伸びることになるわけです。五%まで伸びることになる。そういう伸び率の乖離がどうして起こるのか。説明がつかないじゃないか。
 先ほど言いましたように、別の要素が確かにあります。それはよほど景気がよくて企業が交際費を使い、あるいはいろいろな自営業者がどんどんいろいろな物を買うといった場合、勤労者世帯は余り使わなくてもそれ以外が大きく使うという場合のみに民間最終消費が五%近くなることが言われるわけですけれども、何かそのような手品をいまの企業経営の状態からして大蔵大臣はお考えになっているのか。そうならない限りはこの過去の例から見ても立証されることができないわけでございます。
 ただ、これはちょっと余談になりますけれども、おもしろいのは、五十四年、五十一年、四十七年、四十四年、四十二年、皆さん方衆議院議員さんですからおわかりでしょうけれども、衆議院の選挙の年なのですね。経済が少しはわかっている者として、選挙がこれだけ影響したとは申しませんけれども、しかしたまたま一致していることもおもしろい事実だと思うのです。
 そうすると大蔵大臣は、これは選挙でもやって何か景気でも上げて、可処分所得は伸びていないけれども、民間最終消費だけ大きく伸ばそうとでもお考えになっているのかどうか、この辺の関係を河本さんと大蔵大臣にお答え願いたいと思います。
#63
○渡辺国務大臣 なるほど選挙の年は景気がよくなる……
#64
○中馬委員 景気といいますか可処分所得が余り伸びていないのに、それ以外の民間最終消費では伸びている。ということは、企業なり自営業者が、給料以外の人が使ったということですね。
#65
○渡辺国務大臣 わかりました。私は総理大臣じゃないから、それに合わせて解散しようなんということは考えておりません。
#66
○中馬委員 逆に読んでいるのです。そんな話をしているのじゃない、それは冗談で言った話であって……。
 いま言ったように、これだけ今後の伸びとしてはとうてい――所得税減税をされないとおっしゃっているのです。そして、民間の賃上げは七%ぐらいが大体と考えられているわけです。そして、消費者物価指数は四・七と発表されているわけです。それなのに民間最終消費支出だけがなぜ五%になるのかということをお聞きしているのです。
#67
○井川政府委員 先生からただいま資料を見せていただきましたので、より精密な分析をいたしたいと思います。
 数字としてはここに載っているとおりだろうと思います。しかし、根本の問題は、五十七年度を景気の上向きの年に考えるか、下向きの年に考えるかによって非常にこれは違ってまいると思うわけでございます。と申しますのは、過去の例でございましても、たとえば五十三年、四年という上向きの年、そして五十五年、六年という下向きの年がございます。
 それで、可処分所得の問題につきましては、実はわれわれといたしましては、五十七年度は、五十六年度の半ばに底を打った上がりカーブの年である、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、非消費支出の問題はございますけれども、実質的な所得としては上がっていく、こういう考え方に立っているわけでございまして、御承知のように現に鉱工業生産あたり、じりじりと対前年比の上昇率を高めておりますし、あるいはまた所定外の労働時間及び所定外の給与も少しずつふえている。
 それから、先ほど先生ここで可処分所得三期平均をされておりますが、とこらあたりの数字の上がり下がりはございますけれども、十一月につきましては久しぶりに可処分所得がマイナスから〇・三というようなことになった。これもたった一カ月でございますので、必ずしも全体の趨勢は言いあらわしてはおりませんけれども、しかし、今後の趨勢といたしましては、そういうかっこうを定着させていくことによって景気が上向きになっていく。そうなりますと、一人当たり雇用者所得六・二に対して六・九ということが実現可能であろう。そうなりますと、やはり個人消費につきましても、二年間連続の物価の安定ということもあって、消費性向も上がっていくというふうなことから、われわれが考えております五十七年度の消費というのが実現できるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#68
○中馬委員 あなた、それでもエコノミストですか。経済企画庁を預かる者ですか。過去のところでそういうような事例はないじゃないですか。勤労者世帯の可処分所得の動きを僕は言っているのですよ。それが減税はこれまたやらなかったら、また累進で効いてくるのですよ。そして、民間の賃金の上昇率、これは民間に期待するなんて言っておりますけれども、そんなことじゃなくて、大体予想されるのは七%ですね。政府の見通しの方を使いましょう。消費者物価は四・七%。そして、なぜこれがそんなに高くなるのですか。そのことを、過去の例にはそういうケースがないことを証明してここでやっているわけです。
#69
○井川政府委員 たとえば民間最終消費で申し上げますと、(中馬委員「ちょっと待ってください、そんな話をしてないんだ」と呼ぶ)五十三年度は対前年比五・五ということになっております。五十四年度は四・六でございます。
#70
○中馬委員 質問の意味がわかってないんだ。ちょっとやめてください。いま私は民間最終消費の話をしているんじゃなくて、可処分所得の上がりが五十七年度にそんなに大きくなりませんでしょうと言っているわけですよ。そして、これの乖離があることは私は先ほど言いましたじゃないですか。五十四年なり五十一年なりで、可処分所得が伸びなくても民間最終需要が大きく伸びることだって確かにあります。過去にもありました。それはどうなんだ、そういうことがこの五十七年度予想されるならそれを教えてほしいと言っているのです。
#71
○井川政府委員 非消費支出につきましては、減税ということが行われない以上、可処分所得の伸びは全体の伸びよりは低くなるということは事実でございます。しかしながら、所得全体が伸びるということにより、そしてまた、消費性向が上がるということにより、消費というのはその分だけ回復をしていく。われわれも大いに伸びるとは考えておりません。消費性向につきましても、五十六年度の八〇・三に対して八一程度ではないかと考えておるわけでございまして、回復をしていくということによりまして三・九%の伸びを見込んでいるわけでございます。
#72
○中馬委員 おかしなことをおっしゃいますね。このグラフで考えても、この五十七年度は実線の方はせいぜい横ばいだろう、よくいって横ばいだろう、これはお認めになったわけです。そして、この点線の方が五%近くいくということがいまの政府の見込みなんですから、そうしますと、ここには何か大きな景気を引き上げる要因がなかったら、景気を引き上げると言ってはちょっと語弊がありますが、勤労者でない人たちが何か非常に物を買うとか、消費の方にですよ、これは民間最終消費の支出の話なんですから、そういうようなことがない限りはこういう事態は起こらないのです。それは景気がかなりインフレ景気であったりいろんな景気のときに、先ほどちょっと選挙という冗談も言ったのですけれども、そういうことも含めて、ある場合にのみこの民間最終消費の方が可処分所得が伸びてないのに伸びることはあり得ます。そういう事態になることを予想しなければ、今度の五十七年度の政府の見通しというのはつじつまが合わないのです。
#73
○井川政府委員 いま先生が言われましたいろいろな要因がやはり考えられているわけでございまして、一つは、たとえば直接税の比率は五十七年度も余り変わりません。しかしながら、社会負担費につきましては制度の問題で五十六年度よりも五十七年度の伸びが少なくなるということが考えられております。それからもう一つは、今度は全般の所得の伸びというのは先ほど申し上げたように考えられる。それからさらに、消費については消費性向が、二年続きの五%の以下というふうな物価の状況で伸びが考えられるというふうなこと。それからさらに、景気が上向くことによって勤労世帯以外の世帯の伸びを考えられる。あるいはまた企業所得も伸びが考えられる。したがって、どれ一つという要因ではございませんが、いろいろな要因、要するに景気が上がりカーブということによってそれが可能である、こういう考え方に立っているわけでございまして、単純に要するに先ほど言った非消費支出自体が大きく引き下がるわけにはまいりません。しかし、そのほかの要因が上がりカーブの経済ということを考えてプラスに作用する、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#74
○中馬委員 そんな詭弁を聞いても余り意味がないので、そういうことをある程度経済のわかった方はわかっておられるから、たとえば元総理大臣でも二兆五千億の税収欠陥が出る、こうはっきりおっしゃっているんです。経済にわりあい詳しい元総理がおっしゃっているじゃないですか。大蔵大臣はどのようにお考えですか。
#75
○渡辺国務大臣 これは専門的に企画庁が見通していまお答えをしたわけでございますから、われわれとしてはそれ以上根拠もなくつけ加えるということは差し控えさしていただきます。
#76
○中馬委員 この数字から一応離れますけれども、よほどの景気対策がない限りは、もちろん民間のベースアップも大幅にはとうてい政府が望むほどにもなりませんでしょうし、また現実に消費支出が大きく伸びることもない。ということは、輸出の伸びが大きく期待できない中にあってとうてい経済の見通しというのは政府の言ったような形にならないんですけれども、景気対策として具体的にどのようなことを大臣はお考えですか。また、経済企画庁長官はいま私が説明したことも踏まえてどうしなければならないか、経済企画庁を預かる、経済の動きを実際に見ておられる立場としてお答え願いたいと思います。
#77
○河本国務大臣 経済見通しを考えます場合に一番大事な点は、やはり消費動向だと思います。消費がどの見当伸びるかということだと思いますが、やはり消費が伸びる背景は可処分所得が伸びないと消費は伸びない。いま一番経済に対して私どもが問題だと思いますのは、可処分所得が伸びませんから消費が伸びない。それから同時に、住宅が建たない。それから住宅と消費というのは中小企業と表裏一体の関係にありますから中小企業の伸びが悪いということで、中小企業の投資なども実は政府の見通しよりも約十数%落ち込みそうでございます。金額に直しまして約三兆、こういうことになっておりまして、結局その悪循環が続いておるのが現在ではなかろうか、こう思うのです。
 ただしかし、先ほど局長から答弁をいたしましたように、五十六年度の雇用者の所得は、当初政府の見通しは一人一人が七・五%、全体としては雇用者の数もふえますので九・二%と考えておりましたが、これが実質、中小企業に働いておる人たちの所得が伸びなかったために予定よりも相当大幅に減っております。しかし、五十七年度は、先ほどの話のように後半経済が立ち直ると私どもも想定をしておりますので、一人の雇用者所得の伸びは六・九%、全体としての雇用者所得の伸びは八・六%と想定をしております。一方、消費者物価の方は一応四・七%の目標を設定しておりますけれども、しかし、引き続きまして物価政策を最重点課題と考えておりますので、それ以下の水準に下がるように努力をしてまいるつもりでございます。五十六年度も五・五%と物価を想定しておりましたが、現在は大体四%見当、年度当初が高かったものですから平均で四・五%ということで目標よりも下回っております。そういうことで、去年とことし二カ年は第二次石油危機の厳しい影響が一番大きく経済の足を引っ張ったと思うのですけれども、五十七年度はちょうど三年目にもなりますのである程度の調整もできたのではなかろうかと考えております。
 そういうことを背景といたしまして、住宅投資であるとか、あるいは公共事業の前倒しであるとか、それから金融政策を機動的に運営するとか、こういういろいろな対策を考えながら内需を中心に拡大をいたしまして政府目標を実現したい、このように考えております。
#78
○中馬委員 いまのお答え、それはそれでいいと思います。ただ、中小企業の賃上げが大企業ほどでなかった、そういうような状況がここで改善されるような状況じゃないんです。末端の方での中小企業はもう非常に苦しいのが現実でございます。今度の春の賃上げにしたところで、大企業はたとえば七%上げたとしても、中小企業は去年同様にほとんど上げられないというのがいまの実体の経済じゃないですか。それをただ世界経済が後半によくなるからよくなろう、それは少し甘過ぎるんじゃないかという気がいたしております。そこに大幅な何か対策を打たれるのであれば別ですけれども、対策はいまのところは、住宅政策にしましても、もうほかの委員さんが指摘されておりますからあえて言いませんけれども、土地政策なしにはとうていこれが改善されるものでもございません。そうすると、これは少し大変なことになるんじゃないか。
 ここで言いますように、大蔵大臣はよく減税なんかしたって全部貯蓄に回るとおっしゃいますけれども、別にお金に色がついているわけじゃございませんので、消費性向八割といえばそのまま八割は使われるわけでございます。そうしますと、この効果というのは過去に示したようにかなりあるわけでございまして、ことしやるかやらないかということを別にしまして、経済理論の立場から、あるいは経済政策の立場から、こういう局面のときにはやはり必要だということは河本さんもお認めになるわけですね。
#79
○河本国務大臣 政府の減税に対する考え方は、五十七年度は財政も非常に窮屈でございますから、これはとてもむずかしい。しかし、長い間所得税率も据え置きになっておりますし、実際公的負担が非常に重くなっておる、税金の負担が非常に重くなっておるということは事実でございます。だから、五十八年度以降できるだけ早く所得減税ができるような条件を整備していく、整えていくということが政府の統一した見解でございます。
#80
○中馬委員 こういうような状況の中で、五十九年度赤字国債をゼロにすることは現実問題としてこの夏ぐらいから無理になっていくことがはっきりしてくると思うのですけれども、そういうものに政治生命をかけてもらう、政治責任をとってもらう、鈴木さんがおっしゃいましたけれども、そのことを余り期待いたしておりません。鈴木さんが責任をおとりになるよりも、景気をよくしてほしいというのが国民の願いでもございます。
 そういうところの経済運営を弾力的にされるのが、大蔵大臣、あなたのお役目じゃないですか。ひとつ御見解をお願いいたします。
#81
○渡辺国務大臣 私どもも税収という問題がありますから、景気の動向には非常に敏感に関心を持っておるわけでございます。しかし、ただいま言ったように、現段階で大幅減税をやるといってもその財源炉ない。それから大幅減税でなかったならば、これは景気に対しては、影響がないとは申しませんが、非常にネグリジブルなものである。
 そこでわれわれとしては、先ほど河本長官から言ったように、まず補正予算で災害復旧費等も組んでおりますから、そういうようなものをどんどん執行させていく。それから五十七年度予算が成立をすれば、直ちに公共事業について前倒しの施策をとって前半の様子を見る。その結果どうなるか。これは日本の経済も世界の経済と連動いたしておりますし、経済は生き物でございますから、それでもし中馬委員の心配するような問題が起きるということになれば、起こさないような手は打っていかなければならぬ、当然だと思っております。
#82
○中馬委員 いま財源がないとおっしゃいましたが、しかし、経済の局面としてはその必要性をお認めになったと理解いたしております。財源をわれわれはいま少し練って提示しようとしておりますが、そういう意味での財源が出ればやるとおっしゃる意味ですか。
#83
○渡辺国務大臣 赤字国債からの脱却ということが優先をいたしておりますので、ことしも赤字国債のカットの仕方が足らない、一兆八千三百億全額赤字じゃなかったじゃないかというような御非難も受けておるわけですから、われわれとしては財源が出ればその方に回してもらいたい、そう思っておるわけです。
 しかしながら、さらに非常に景気が落ち込んでいくというような、万一、これは仮定の話だけれども、ことしの秋以降そういうような見通しが立てば、それには対処しなければならぬ、そう思っておるわけです。
#84
○中馬委員 一時間もありませんから、そういうところを機動的、弾力的に運用していただきたい。と同時に、先ほど言いましたように、もうこれはそのことを待たなくても可処分所得の動き、国民のふところぐあい、それを見ただけで景気が上がる方法はこれしがなかろうと私たちは思っております。そのことの御検討をお願いいたしておきます。
 次に、行政改革に関連するのですけれども、高齢化社会、高齢化社会という話を出してきておられます。この高齢化社会への対応、確かにいままでの形で老人対策、そういったものをただお金だけで済ますということであれば、財政的にはとうてい持ちこたえられるものではないと思うのです。ですから、もう将来には破綻することが実際に計算で出ております年金問題、医療問題、そうしてそれに対してどう取り組んだらいいかといった方法も、有識者がいろんな形で出しております。ただこれを実行するかしないかが問題でありまして、実行しないのであれば、実行をおくらせばおくらすほど日本の財政を破綻させてしまうことになるわけです。これが急がれることは国民の一つの願いでもある。将来に対して非常な不安を持っております。それがまた貯蓄率を大きくしていることかもしれません。そうしますと、この年金制度のあり方、医療保険のいまのあり方、このまま続けていったら財政的にはとうていもたないものですね。これをいつも、検討しております、どこかの審議会でやらしておりますという話ばかりですが、はっきりした大臣としての見通しなりあるいはお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
#85
○森下国務大臣 高齢化社会になったということ、すなわち平均寿命が延びたということは、本人の節制はもちろん、保健、衛生、治療、そういう海で非常に大きな成果が上がったことでございまして、これは大いに評価していただくべき問題だと思います。
 ただ問題は、高齢化社会、いわゆる平塚寿命が延びたことと、若い方々のいわゆる出生率の減少によりまして、かなりいびつな人口構成になるのじゃないだろうか、こういう問題が、先ほど大蔵大臣からも、また行管の政務次官からも話がありましたけれども、やはり行政改革、まず財政の再建にしても、すべてこの問題は関連があるわけでございます。一面非常に喜ぶべき現象であると同時に、これが財政に非常に大きな圧迫を生ずるということで、この医療の問題また年金の問題というものは、厚生省だけの問題ではなくなったわけであります。
 いま中馬議員がおっしゃいましたように、この年金の問題にしても医療の問題にしても、いつも答弁が、審議会とか調査会にかけてまずそれによってやりますという通り一遍な答弁であるというような御指摘でございまして、私ども、そういう臨調に逃げ込んだり、また厚生省がやっております社会保障長期展望懇談会等の審議に隠れる、決してそういう意味でございません。ただ、長期の問題でございますし、やはり決めさせていただく場合にはぴしっとしたものをつくらないと、非常に社会不安を与える問題でございます。慎重な上に、やる以上はやはり決断をして、そして民生安定のためにもぴしっとしたものをつくる必要があるということでございますから、そういういろいろな審議機関、各政党からも実は出されておりますけれども、そういうものも十分参考、またその意見を十分生かしまして、万遺憾なきようにいたしたい、私どももできるだけ早くその方向を決めたい。いま、いつまでということは私の口から申し上げられません。早急にこの問題について取り組むことが、厚生行政、特に年金、医療問題についても同じことが言えると思いますけれども、非常に重要なことであるということだけ申し上げて、最大の努力をすることを申し上げたいと思います。
#86
○中馬委員 この年金制度、医療制度、ただ、いままでのお金だけで解決しようという形以外のものを厚生省ももちろんお考えになっていると思いますが、そういうことをもう少し進めていかなければ根本的な解決にならないと思うのです。
 ただ、いまの給付水準を下げるというようなことだけではなくて、たとえばボランティア活動をもっと活発にして、献血なんかも一つの例ですけれども、献血制度のように、いま週休二日制とか何かでみんな時間もあいているわけです、そういう人たちがボランティアに、たとえばお年寄りの手伝いに出たりあるいは寝たきりの人たちの何かお世話をする、そうすると一点なら一点という形で、たとえばそれが十点切符を持っていれば、自分が今度そういう立場になったときには、そういうボランティアの人たちからただで世話をしていただけるとかいうようなことを考えるとか、あるいは、こういう実例もあるのですけれども、学校のカリキュラムの中にボランティア制度を組み込んで、そしてその人たちのお世話もしてあげる、これは本当に教育上必要なことだと思うのですね。そうすることによって、ただお役所が人を雇って金をという形じゃなくなってくるわけですから、そういうこともやはり今後の高齢化社会に対する対応の仕方としては検討していかなければいけないと思っております。
 それから、特に大都市の中では、いわゆるコミュニティーというものがもう壊れまして、老人家庭へ近隣の人たちがお互いに巡回しあったり、お互いに助け合ったりという、これもやはり地方行政あたりがもう少し真剣に取り組まぬといかぬ問題だと思うのですね。寝たきりのままで知らぬ間に死んでおったというケースが最近は非常に多く新聞に報道されております。あるいは住宅対策にしましても、三世代の同居住宅ということはわれわれが主張いたしておりますが、ただ二DK、三DKで核家族が住めばそれでいいというような住宅政策ではなくて、三世代というのは若干は取り入れられておりますけれども、そういうものをもっと積極的に進めていくといったようなことも必要じゃないかと思っております。
 そういうようなことも踏まえて、今後の老人対策、あるいはそれだけじゃなくて、高齢化社会に対する対応の仕方、厚生省の一つの御理念をお聞かせ願いたいと思います。
#87
○森下国務大臣 まさに御指摘のとおりでございます。従来の社会保障政策は、防貧対策、それから救貧対策、それに大体重きを置きまして、物、金という面がどうしても強く出たわけでございますけれども、これからは、よりよき生活に向かってそういう福祉政策も進めなければいけないということを私どもは考えておりますし、特に、臨調でも示されておりますように、活力ある福祉社会をつくろうと。活力という点は、私は、たとえば老人に生きがいを感じていただくとか、老人は必ずしも病気でないんだ、ただ隠居扱いにして老人ホームに入れればすべて終わるんだということではない、新しい福祉の方向と申しますか、日本型の福祉と申しますか、そういうゆとりのある面に福祉の視野を広げて、いま御発言がございましたように、これからの見直しまた考え直しをこれはかなりしていく必要がある、このように思っております。
 たとえば老人対策、まあ医療対策等にいたしましても、今回の予算でもかなり在宅福祉の面で、御老人は老人ホームに入るのがすべていいかどうか、むしろ自分の生まれて育った家で手厚い看護を受ける方が安らぎのある療養もできるし、また生活もできる、万事そういう方向で社会保障また福祉の方向をかなり手直しをし、また見直しをし、皆さん方の知恵等もいただきまして方向を変えていく必要がある。今回の五十七年度の予算にもかなりその問題は出ておりまして、今後ともひとつやっていきたいと思っております。
#88
○中馬委員 いま、いままで救貧対策だったとおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、老人ホームの話も出ましたので、そのことでちょっと申したいのです。
 従来は、憲法でも保障された最低限の生活を保障するということが非常に主眼に置かれまして、老人対策にしましても、本当にお金を持っていなくて、そしてお体が弱くて寝たきりだといったような方々を収容するのが老人ホーム、こういう形になっておりました。しかし、いまふえてきているのは、もっと幅広い、いわゆる中流意識を持った、ある程度ゆとりのある老人の方々が非常にふえているのですね。
 たとえば、普通の企業に勤めておって、そして退職すれば、それで一千万、二千万の退職金をちゃんとおもらいになるのです。しかし、ここが問題なんですね。もう核家族になっているのです、現実は。渡辺大蔵大臣がおっしゃるように、親を見るのはあたりまえだということかもしれませんけれども、しかし現実には、息子はもう北海道の方に勤めに行っている、あるいは娘は九州に嫁に行った、全く夫婦二人だけだ、あるいは一人だけだ、しかしお金はあるんだ、家屋敷もあるんだ、しかしだれもめんどうを見てくれない。老人のぼけでガスの不始末、たばこの不始末で火事になって焼け死んでしまう、こういう新聞記事がやたらに多いじゃないですか。みんなお金は持っているのです。ですから、その人たちにお金をあえて上げる必要もないかもしれません。しかし、その人たちもやはり弱者なんです。お金がある者はもう弱者じゃないんだということではないと思いますね。お金があっても体が弱ければ弱者であるし、逆に、お金がなくても体が非常に強かったら、僕は強者だと思うのです。その人はどんどん働いてもらったらいい。その人たちに福祉をやっているのがいまのおかしなところじゃないですか。
 そういうことから言うならば、いまの老人ホームの定義なんですけれども、この老人ホーム自体は老人福祉法なり社会福祉事業法の中にあるんですが、いわゆる有料老人ホーム、先ほど言いましたような方々は有料老人ホームに入ってもらった方がいいのです、わざわざ国がお金を出して、そして軽費老人ホームといったところへ入ってもらう必要はないのです、自分たちがちゃんと持っておられるのですから。しかし、そういう人たちをちゃんと位置づけなければならないのですけれども、社会福祉事業法第二条には社会福祉事業とはこうこうこうとするということで、軽費老人ホームだとかいろいろなものが入っていますけれども、その中に有料老人ホームは入っていないですね。それから社会福祉事業法の二十二条を見ますと、「「社会福祉法人」とは、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」ということで、老人ホームをやる人は社会福祉法人でもないわけです。
 それから老人福祉法に、「老人福祉施設の種類は、次のとおり」ということで、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センターということで、有料老人ホームは入っておりません。そして二十九条の「雑則」の方に、有料老人ホームは「常時十人以上の老人を収容し、給食その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設であって、老人福祉施設でないものをいう。」ないものを言うのですね。
 ですから、金もうけのためであったり、あるいは土地を遊ばしておくのもなんだからといって、非常に粗末な、粗末でないかもしれませんけれども、そういういわゆるお年寄りが入ってもらって、管理できるような体制でないものをつくって、何の監督もされないわけです。それも、では建てる前に何かのあれがあるかと思ったら、ここではその事業の開始の日から一カ月後でいいのです。一カ月以内に知事に届け出なければならない、ただそれだけのことです。ですから、サンメディックという事件もございましたけれども、いろいろな場面においてそういう人たちのお金を目当てにして、いわゆるお医者さんとの連携も、もちろん看護婦さんの常駐もないような老人ホーム的なものがたくさん野放しで出ているじゃございませんか。そういう人たちがまたいろいろな被害を受けている。この実態をどうお考えになりますか。
#89
○森下国務大臣 社会福祉の定義が、やはり自立自助と申しますか、結局、病人の方は元気になってもらいたい、また所得の低い方は所得の向上のためにその間にやってくださいというような一つの考え方があったわけであります。しかし、これからはよりよき生活ということが一つの考え方の方向でございまして、むしろ精神的な面で御老人は非常に孤独な、金の多い少ないは別にして孤独な層でございますから、たとえば有料の老人ホーム等については、従来の社会福祉の考え方からまいりますと非常に該当しにくいということになっております。
 私ちょっと調べてみますと、老人福祉施設ではこの特別養護老人ホーム、これは寝たきりでございます。これは当然でございます。それから所得の低い方には養護老人ホーム。それから少し生活程度の高い、二百五十万円ぐらいの程度の方には軽費、いわゆる軽い費用の老人ホーム。それ以上が有料老人ホームでございまして、存在があるわけでございますが、いまちょっとお話がございましたように、ときどき有料老人ホームの中でいろいろな不祥事がございまして、せっかく金を出してやりながらかえって不安な状況のようなものがある。もう少し厚生省がそういう面で、自分の安らぎのために有料の老人ホームに入りながらかえって不安を醸し出すようなことはいけないということで、これは何か有料老人ホームの協会があるようでございますね。これは絶対に心配ございませんというようなことで、かなり国といたしましても、厚生省といたしましても、心配ないという面で、従来の社会保障、社会福祉の考え方を大きくしてでも、そういう施設に安心して入所できるように、自分の金で安らぎを求めて入る方のためにそうすべきである、私自身もこのように考えております。
#90
○中馬委員 お役所の許認可は極力外すべしと私たちも主張をいたしております。しかし、本当に人命を預かったりあるいはそういった人たちのお世話をするということの許認可はむしろ強めなければいけないものもあるわけです。たとえばフグを扱う人を、これは好き勝手だから自由にやれといったら、これはもう大変なことになるわけです。それと同様に、お役所は何かいろいろやりたがるくせに、この老人福祉ホームだけはほっぽらかしで、民間の創意に任すというようなことになっておりますけれども、そうではなくて、こういうのは本当にちゃんとお医者さんとの連携をとらすとかあるいは看護婦さんを常駐させるだとか、こういうはっきりした基準を決めて、それを管理監督するのが厚生行政じゃないかと思うのです。社会福祉施設でもないというような扱いではなくて、ちゃんと社会福祉施設、老人福祉施設の中に位置づけされますか。
#91
○金田政府委員 ただいまの先生おっしゃいましたこの有料老人ホームをなぜ社会福祉施設にしてないかということでございますが、老人ホームのうちで、身体上の障害あるいは経済上の理由、低所得等の方に対しましては、ただいま大臣から言われましたような施設があるわけでございますが、それ以外の施設につきましてはやはりニーズが御老人の間に非常に多様でございますので、民間の活力あるいは創意工夫を尊重することが必要であるというような考え方から、現在の老人福祉法は必要最小限度の規制を有料老人ホームについてはすればよろしいという考え方で、現に行われておりますのは届け出の義務、知事の報告徴取、調査、勧告等の権限でございます。
 しかしながら、ただいま先生のおっしゃいましたようなサンメディック等の事件もございまして、これをどのように今後監督を厳重にするかにつきましては、先般、有料老人ホーム問題懇談会で御検討いただきまして、昨年六月に意見書も出たわけでございます。これをもとにいたしまして、私ども有料老人ホームの設置運営基準の指導指針というものを従来から出しておりましたが、これをさらに厳重にすることにいたしまして、これはもちろん現行法の範囲内でございますが、年一回状況を詳細に届け出させる、あるいは有料老人ホームをつくろうとする計画の段階で把握をして、これを地方庁等で指導していただく、こういったような対策を講じたわけでございます。それと同時に、先ほど大臣も言われましたように、社団法人の全国有料老人ホーム協会というものをつくっていただいて、そこで利用者に対する情報の提供あるいは老人ホームの健全な育成を図ろうという対策を講じたわけでございます。
#92
○中馬委員 現行法のことなんか聞いてないのです。現行法はもうすでに過去の遺物であって、質的な転換が老人対策に必要でないか。そういう一つとして、現行法でこうなっていますから、あるいは協会をつくらせたからということではなくて、ちゃんとした法の位置づけをしなさいということを言っているので、その点について大臣お願いしておきます。
#93
○森下国務大臣 現行制度ではいま局長が申し上げたとおりでございます。将来やはり中馬委員がお考えのような方向でわれわれはいくべきである、このように申し上げて御答弁とさせていただきます。
#94
○中馬委員 何もお金が要ることじゃないので、むしろそういう民間の方々が持っているお金を有効に活用して、その人たちの福祉の向上を図ろうとしているのですから、そういう方向で検討されるのが当然かと思います。
 それから、時間がございませんが防衛庁に。
 最近どうも外国との経済摩擦が非常に多くなっております。それとまた軌を一にして日本に対するいわゆる防衛圧力といったものも高まってきておりますけれども、国防費が日本は諸外国に比べて低いというのは、これは日本の一つの方針でもございますし、当然でございますが、低いのもまた事実でもございます。しかし、それが数字の上で合っていないケースがあるわけでございますね。たとえば〇・九ということでございますけれども、あるいは国連統計を見ましても、またミリタリー・バランスという本を見ましても、あるいはいろんな軍事関係の本を見ましても、日本の場合には〇・九になっております。NATO諸国は一応基準を決めておりまして、NATO定義と言われているものですけれども、これに対して少し違った定義を使っております。中身がよくわからないというような、政府に問い合わせますとそういうことでございますけれども、しかし、いまあえて日本で一番低い形、非常に厳密に防衛庁の費用だけといったような〇・九を使っておくのがいいのかどうか。これは日本の国内基準としてはいいですけれども、しかし、外国との交渉の場なりあるいは外国人の特に政府関係者とかなんかは少しは知っているかもしれませんが、議会人あたりはそんな詳しいところまで日本がどういう定義でやっているかというようなことは知らないわけでございますから、そこでいまの〇・九という数字だけを出しておっていいのかどうかということを少し私たちは考えております。
 NATOの定義によりますと、これはかなり沿岸警備隊的なあるいは国境警備隊的なちゃんとした装備を持ったものもこれは全部カウントされております。それから退役軍人の年金も入っております。こういったものをちゃんと含めてやるならば――これは、日本の軍人恩給全部入れていいとは申しません。NATO定義におきましても戦時年金は含まないと書いていますから、戦時年金部分がどの部分かちょっと計算はしておりませんが、いずれにしましても、一兆五千全部入れることはないにしましても、一兆五千全部入れますと、これはGNPに対して一・六%ぐらいになるのですけれども、大体一・二なり一・三にはなるのではないかと思います。そうしますと、こういうものをはっきり出して比較しないとおかしいと思うのですが、この点について外務大臣、どのようにお考えですか。
#95
○櫻内国務大臣 いわゆるNATO方式で計算したらどうかということがよく言われるわけでございます。いまおっしゃいました恩給費とかあるいは準軍事組織関係費、そういうようなものを加えて考えたらどうかという向きがございますが、御承知であろうと思いますが、NATO方式はこういうものであるというようなことが公表されておらないのですね。そして、よく各国の国防支出を比較する場合に使われます国際戦略研究所のミリタリー・バランスについては、NATO方式にはよっておらないと思うのであります。したがって、こういう数字だけで防衛の内容を論議をしていくのが果たしていいのかどうかということは確かにあると思うのですね。
 わが国におきましても、基本的な防衛政策の進め方につきましては、防衛力の整備の内容について十分説明をする広報を行い、欧米各国の理解を求める、そういう行き方も必要である、このように思います。
#96
○中馬委員 数字でごまかせと言っているのではなくて、少なくともそういう対外交渉なり、また外国人の目に触れる場合には、それと大体合わしたようなものにしておくのが適当じゃないかと思っております。
 参議院でもちょっとこのことが問題になりまして、園田外務大臣のときにおっしゃっているのです。「計算の仕方が違う。そこで、これはおのずから国内と国外に向けての数字の感覚もありますから、いろいろの問題あるわけでありますが、この点は十分もう一遍考えてみたいと思います。」そして「十分研究してみます。特に米国でああいう事態があるわけでありますから、正当な理解を求めることは必要だと考えますので、十分研究をいたします。」と、こう園田外務大臣は答弁なさっているわけです。研究はされましたか。
#97
○淺尾政府委員 いまの委員が御指摘のような応答が確かに委員会であったということを承知しております。私たちもそういうことがいいのかどうかということは、従来から研究しております。ただ、アメリカの議会に対する説明として、日本が採用している防衛費だけでなくて、恩給を加えるということも説明の尺度としてあるいは有効な場合もあるかと思います。
 ただ、先ほど大臣が御答弁しましたように、現在問題になっているのは、むしろ数字ということでなくて、わが国の自衛の整備、これの内容でございますので、特にレーガン政権になりましてから数字のゲームということでなくて、むしろ日本が自衛のためにどういう役割りを果たしているかという方に重点を置いているということでございますので、先ほど大臣が答弁されましたように、むしろ内容について立ち入って説明した方がより各国の納得がいくであろうということでございます。
#98
○中馬委員 ただ国だけに納得させるのであれば、数も少ないことですからそれでもいいかもしれませんけれども、いまアメリカからいろいろな形で出てくるのは議会筋から出てくるんじゃないですか。議会筋の全部一人一人に、日本の場合はこれと少し違いますよといったようなことを御説明になっているのですか。
#99
○淺尾政府委員 従来から在米大使館員がアメリカの議員に日本の防衛費の内訳を説明する際には、いま委員が言われましたような恩給等は含まれていないのだ、まさに日本の防衛費そのものであるということは繰り返して説明しているわけでございます。
 それから、先ほど来論議のあります年金等の加算という面から、これはむしろ防衛庁の方から答えていただいた方が適切かと思いますけれども、現在日本であります軍人恩給というのは、戦前の軍人に対する恩給ということでございまして、この点でも必ずしも国際的に統一された方式ということは申し述べることはできないのではないかということでございます。
#100
○中馬委員 何か余りにもそれを出さないことの方にこだわられますと、逆に疑いたくなってくるわけですよ。低く抑えてもっと軍事費をふやそうじゃないかという意図にすらとれてきますから、こちらはむしろよその国でも、アメリカの議会筋のところでの答弁、やりとりを少し聞いていますと、よその国のNATO方式の話が出ておりまして、そこでもいや必ずしも少なく出そうとしていないのだというふうな答弁もありましたけれども、いずれにしましても、日本の場合もこれを合わして、やはり大方の理解を得るためには、こういうこともむしろ前向きに取り組んでいくべきじゃないかと思っております。
 そこで外務大臣、この点について再度御見解をお願いします。
#101
○櫻内国務大臣 これは中馬委員も御指摘のような、そういうことも念頭に置いて、軍人恩給等を入れれば相当になる、一・五三三くらいですかになるというようなことは、参考には申し上げておるところでございますが、しかし、先ほど申したように、NATO方式というものがはっきり把握されて、そしてヨーロッパ諸国と並べて日本の方も同じ算式で出して比較するということもいいと思うのでありますけれども、しかし、残念ながら、いろいろ取りざたされておる範囲でございまして、はっきりしたものがありませんから、あくまでも仮に軍人恩給を入れるとかあるいは海上保安庁のを入れるという場合は、これは参考ではないか。
 しかし、最近国防力の比較という上においては、日本が実際上どういうところに重点を置いてやっておるのか、その内容的なものに対しても関心が深まっておるわけでございます。また、本委員会の論議でも、後年度の負担が非常にふえているじゃないかというような見地からの御批判もある、あるいはそれは一方においてはそれだけの努力をしておるということでもございますから、この辺は弾力的に考えながら、しかし日本は日本としての自主的な独自の判断のもとに防衛努力をしておるということをよく理解させるのが適切ではないか、こう思います。
#102
○中馬委員 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、この間臨調の方でも、自衛隊の問題がいろいろ論議され始めているようでございます。これはもちろん直接お答えになれる、それに対してどうこうということではなくて、そこで出ておるとうわさされております統合参謀本部構想、いまの三軍のあり方、このあたりについての一つの見直しが出てきているようでございますが、これについて防衛庁長官はどのような御所見をお持ちですか。
#103
○伊藤国務大臣 先生御指摘のように、私も新聞等で、臨調において統合幕僚会議の強化につきまして審議をされているということは承知したのでございますけれども、具体的な審議内容につきまして、まだ通報を受けておりませんので、この段階において私が意見を述べますことは差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
#104
○中馬委員 そのことについて質問したんじゃなくて、そこでそれとの関連でございますけれども、いまの参謀本部のあり方、これについていまの形で、たとえば有事のことを想定することもないかと思うのですけれども、いろんな指揮命令系統で三軍がそれぞれ別々になってかえってコントロールしにくいというような面があるのかないのか、その点の御答弁をお願いしたのです。
#105
○伊藤国務大臣 先生篤と御承知のとおり、ただいまの統合幕僚会議におきましては、各種研究や統合演習の実施、中央指揮システム運用体制の整備等、また統合運用体制強化のための努力を行っているところでございますけれども、有事における三自衛隊の統合運用体制確立の、御指摘のことでございますけれども、重要性にかんがみまして、今後とも統合運用体制の充実向上には努めてまいらなければならないと考えております。
 なお、ただいま御指摘のように、臨調において統幕会議を強化し、陸海空三自衛隊の上に立つ統幕会議とする旨の検討が行われているという報道がありましたことは、先ほど申し上げましたとおり、私も承知しておりますけれども、防衛庁としては、現在のところそのようなことは考えておりません。
#106
○中馬委員 中曽根長官がせっかくお見えになりましたので、このことに関連してちょっとお尋ねしたいと思うのですが、行政管理庁ないしはそれのまた意を受けた形で作業を進めております臨調、これが日本の国防の問題あるいは自衛隊というものを聖域化するのかしないのか、その点について長官のお考えをお伺いしておきます。
#107
○中曽根国務大臣 防衛や自衛隊も聖域化しておりません。これも審議の対象にいたしております。
#108
○中馬委員 その臨調に絡めて言うわけじゃございませんが、日本のいまの防衛のあり方、三軍のままがいいかどうか、これは私見ではございますけれども、私たちは非常に疑問に思っております。日本のように限られた一つの島の中で、そして一つの堀に囲まれたような形になっておるわけでございまして、戦前のように大陸に攻めていくわけでもございません。そうしますと、三軍にそれぞれ分かれていることの意味があるのかないのか。また兵器の進歩にしましても、陸上も海上もあるいは航空も同じミサイルを持つ。あるいは陸も飛行機を持てば、海も飛行機を持つ。その区分けがだんだんあいまいになってくるのじゃないかと思うのです。カナダでも一部始まっておりますが、そのような三軍統合したような国家防衛軍といった形にした方がよほど効率的で、また実効のある国防体制ができるのじゃないかと思うのですが、その点について防衛庁長官の御所見を承ります。
#109
○伊藤国務大臣 自衛隊が有事の際その能力を有効に発揮するためには、陸海空の各自衛隊がその特性を生かしながら、統合的見地に立って効果的に運用されることが必要であると考えます。このような統合運用を確保する上で、統幕会議及び同議長の機能についての法制は基本的には整備されております。これを踏まえながら、統幕が中心となって毎年度統合防衛計画を作成し、三自衛隊の防衛計画を調整して、三自衛隊の運用構想の統一を図っているところでございます。また、統合演習の実施等によりまして、改善すべき点の把握及び解決策の検討にも努めて、もって統合運用の確立を図っているところでございます。
#110
○中馬委員 時間が参りましたので、そのようにそれぞれが効率的に運用とおっしゃっていますけれども、やはりそういうことも踏まえて、日本の防衛のあり方をもう少し効率的にやっていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらしてもらいます。
 ありがとうございました。
#111
○栗原委員長 これにて中馬君の質疑は終了いやしました。
 午後二時より再開することとし、休憩いたします。
    午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#112
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。阿部助哉君。
#113
○阿部(助)委員 今日、中小企業とサラリーマンは、不況の中で、電力料金の高さに泣いております。この前も資材産業の話が出ましたけれども、電力料の値上げというのは大変な大きな負担になっております。物が売れなくとも電気料金は払わなければならないのです。電気料金を払うために商売しているという人もいるほどであります。ところが、電力会社の方は、政府公認の大幅値上げで、昨年三月期には一兆円以上という史上最高の大もうけをして笑いがとまらない。その上に合法的な税金逃れをしておる。この明暗を通産大臣はどうお考えになりますか。
#114
○安倍国務大臣 電力料金につきましては、御存じのように、原価主義というものをとっておりまして、そういう基本的な体制の中で計算をして決まるわけでありますし、政府がこれを認めるわけでございます。そういう中で、電力会社等が利潤を上げる場合は、場合によっては石油の価格の問題とか、あるいはまた、たとえば円高等が予定以上に進むというふうなことになれば、その為替差益というものが利潤ということにもなってあらわれたわけであります。そういう面で、電力会社等もいわば円高差益というものが非常な利潤の上にプラスになったと思うわけですが、最近では円も安くなっておるという状況でございますので、そうした面からは、われわれとしてはいまの電力の経営のあり方に問題があるとは思っていない、こういうふうに考えております。
#115
○阿部(助)委員 この電気料金を決定するときも、この委員会にはいろいろと、高過ぎるのではないか、いろいろな意見がここで出たことは通産大臣は政調会長で御承知のはずであります。私もいろいろな要因があるとは思う。しかし、今日の電力会社の利益の上げ方からすれば、やはりあの決定自体にも、私は、あの当時指摘されたように問題があったんだと思うのであります。私は、その点はいろいろ問題があったと思う。
 そこで、具体的な問題に入りますけれども、この前もちょっとお伺いしたけれども時間切れで深く入れませんでしたが、渇水準備金の残高は九電力でどれだけになっておりますか。
#116
○矢澤政府委員 電力九社の渇水準備金の税法上の残高は、昭和五十五年三月末で五十八億円、昭和五十六年三月末で五百八十三億円でございます。
#117
○阿部(助)委員 五百八十三億円。そうすると、これは電気事業法で積み立てるようでありますが、とにもかくにも前の年の約十倍、そうして約二百億円の税金を免れることになるわけです。大蔵省、そうですね。
#118
○矢澤政府委員 制度的な問題がございましてそういう計算になるわけでございますが、金額はおおむねそういうことでございます。
#119
○阿部(助)委員 電力九社の五十六年三月期の税引きの利益は、先ほど申し上げましたように一兆四十五億と、大変な利益であります。これは通産大臣がおっしゃるように、円高によるものなどいろいろな要因もあろうと思うけれども、何といってもこれは電力料金の大幅値上げによるものと私は考えますが、通産大臣、もう一度御答弁願いたい。
#120
○安倍国務大臣 電力料金を値上げをした当時としては、石油の価格あるいは為替レート等、そのときの時点で算定をして積み上げられた原価主義に基づく料金でございますから、これは妥当なものであったと思うわけですが、その後円高が急速に進んで二百二十円を超えるというふうな状況にもなりました。そういう円高によるところの差益が相当大きいのじゃないか、私はこういうふうに思っておりますし、また当時の石油の価格も、今日に至りますれば石油の需給が非常にだぶついておる、こういうこともありまして、多少算定した時点よりは安定をしているということも言えるわけでございますが、私は、主とした原因は為替の差益ということでありまして、また最近の円安が続いておる、こういうふうな状況ではそうした差益というものもどんどん減ってきておるのではないだろうか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございますので、これは非常に時代の変化が大きいわけでございますから、一年、二年たてばそういうふうな変化も出てくるわけですが、また逆のこともあり得るのじゃないかというふうに思うわけで、そういう意味において、原価主義を貫く電力料金の算定のあり方というものはこれは間違っていないのじゃないか、私はこういうふうに考えております。
#121
○阿部(助)委員 当時、円の為替相場をたしか二百四十二円で算定をしたと私は記憶をしておるのでありますけれども、その当時すでにこれは上げ過ぎだとわれわれは指摘をしてきたわけですが、案の定これほど大きな利益を得た。大臣は、足りないときもよけいもうかるときもあると言うけれども、足らなくなればまた値上げするのですよ。ところが、こういう大きな一兆円もの大変な黒字を出し、もうかっておる、片っ方、中小企業や何かは大変苦しんでおる。そういう中で、これは大変な特別措置による利益隠しが行われておる。まさか通産省、これを御指導なすったんじゃないでしょうな。どうですか。
#122
○安倍国務大臣 これはそういう指導は全くいたしておりませんし、数年前も非常に電力会社が利益を上げたということがありまして、当時いろいろと議論があって、結局国民に還元すべきであるということで何千億か料金を軽減するという形で還元した実例のあることも御存じのとおりでありますから、いまの電力料金のあり方は、おっしゃるように、ただ電力会社が利益を隠して、これが利益隠しを行っておるというふうなことではない、これは明らかになっておるわけでございますし、やはり今後の電力の安定供給ということからいけば、またどういう事態が起こるかもわからぬのでございますから、これはこれなりにわれわれとしては認めるべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。
#123
○阿部(助)委員 これは租税特別措置を適用して合法的ではありますよ。だけれども、ちょっとひど過ぎるのですね。いいですか、通産大臣、公害準備金の積み増しで四億、海外投資損失準備金で三十五億、価格変動準備金で六十一億、渇水準備金に五百三十六億、原子力発電償却準備金で八百二十七億、その上に、余りもうけ過ぎたので税金を納めないように償却の方法を変更いたしました。この償却の変更だけで千四百二十一億円というのが課税対象から外れてしまっておる。特別措置と会計処理の変更で二千八百八十四億という金が利益隠しになっておる。不公平税制の是正だとか所得減税をする財源がないとか言っているときに、一体これはどういうことなんだろうか。本当に鉛筆をちょっとなめただけで約千二百億円もの法人税を、大もうけをしている電力会社は免れることができたなんというのは、これはどうも今日の国民感情からいって、通産大臣、これは国民感情が許すとお考えになりますか。技術的なものじゃなしに、ニューリーダーという大政治家を目指す安倍通産大臣の御心情を私はひとつお伺いしたいと思うのです。
#124
○安倍国務大臣 電力につきましては、御承知のように、数年前には非常な利益が出た。そして、それは国民に還元した。それが二、三年たつと、電力会社が大変な欠損を出して、その結果として電力料金を値上げをせざるを得ないというふうに、最近の石油の情勢あるいはまた為替の状況から、非常に変動きわまりないような時代でございますので、わずか数年の間にもそうした大きな変化があったわけでありますが、そういう中で電力の安定供給を確保する、さらにまたこれからの需要の高まることに対して設備投資等も着実に行っていかなければならない、こういうことでございますから、やはりいまお話しのような特別措置等がいろいろと行われておるわけでございますが、電力事業の公益性というものから考えてみてこれはやはり当然のことじゃないだろうか、私はこういうふうに実は考えておるわけであります。
#125
○阿部(助)委員 いや、公益性だとか安定供給とおっしゃるけれども、それは赤字を出せばまた値上げ申請をして、政府は許すのですよ。これは当然なんですよ。おやりになるのです。だから、いま財政事情がこれだけ窮迫をしておるというときに、これだけ大もうけをしておるんだから、本来ならばこれは消費者に還元するのが私は一つの道だと思うし、そうでなければ、この財政事情の中で償却の方法を変えてちょろっと千四百億をもうけるなんというのが一体許されるんだろうか。私はちょっとひどいと思うのですがね。それは赤字を出すようになれば、また政府の方ではちゃんと電力会社に値上げしてやるのですよ。そんなに御心配にならぬでもいいのですよ。これだけもうけたときぐらいちゃんと税金を納めてもらって不思議はないと私は思うんだけれども、どうですか。
#126
○安倍国務大臣 これは赤字を出せば電力料金を上げる、確かにそのとおりでありますが、赤字を出しながらもいまの利益の留保があれば、ある程度は値上げをすることを持ちこたえることができるということもあるわけでございますから、そういう意味においてはこの利益がむだに使われるわけでも何でもないし、結局は電気料金という形で国民の電力安定供給の要請にこたえるものじゃないか、私はこういうふうに思っております。
#127
○阿部(助)委員 大蔵大臣、どうです、ちょっと眠っておるようだけれども。ちょっと待ってください。いま勤労者は、五年間も所得税の据え置きということで可処分所得が減っていくような状態。それでいま町では一兆円減税ということで大変な世論の高まりを見せておる。そして、不公平税制の是正という問題は大きな課題になっておる。こういうときに電力会社だけが大もうけをしたからこれを特別措置でどんどん外していくなんというのは、私は今日の財政事情からいっても少し考えなければいかぬところじゃないだろうか、こう考えるのですが、大蔵大臣の立場ではいかがです。
#128
○渡辺国務大臣 いろいろな引当金、準備金等につきましてはそのつど実態に即して見直しをやってきておるところでございます。政策目的にかなったものは認めるし、用事の済んだものはどんどん外していくということでやってまいりまして、ことしも幾つかの整理をしたわけでございます。したがって、いま残っておるものについては、それなりの政策目標があるのでそれは残しておるというわけであります。
#129
○阿部(助)委員 どうも私の質問に少しピントを外してうまく逃げておるようでございますけれども、これだけ財政事情が苦しい苦しいと皆さんが言うときに、償却の方法を変えたというだけでこんな大きな財源を見逃していくということにも問題があると私は思うし、これだけ大きな税金逃れをしておるのですから、勤労者の方と比べてみれば、これは余りにも片手落ちな政策なんじゃないだろうかという感じが私はするのでお伺いしたわけであります。大蔵大臣、これはもう少し毅然として処理をしたらいかがなんです。
 次に、じゃ具体的に申し上げますけれども、特に渇水準備金というのは――水主火従と言われて、水力が日本の発電量の大半であった。たしか前は七十何%というものが水力であります。今日はもう全く逆転をいたしまして、水力は一三%、大半が火力あるいはその他であります。
    〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
水力の占めるウエートはわずかに一三%でしょう。こういう中で、この渇水準備金というのが果たして政策目的に合うのだろうかどうか。これはもう全然過去の遺物であります。
 通産大臣、税調でも租税特別措置は常に見直しということになっておるけれども、実際問題として、私たちがこうやって見てくる限り、全般に影響を持っておるところのこの特別措置は多少手直しができるけれども、個別企業のものは抵抗が強くてなかなかできないというのがいままでの例のようであります。そういう点で、渇水準備金なんという過去の遺物が依然として廃止されずにおる。私はどう考えてみても、渇水準備金なんというのはもう過去の遺物なんだ、もうこの辺で通産省も大蔵省も踏み切ってこれは整理をしてしまうべきものだ、こう思うのですが、通産大臣、どうです。
#130
○安倍国務大臣 租税特別措置全体につきましては、大蔵大臣もおりますけれども、これは相当整理をしてまいりまして、ほとんど骨と皮ぐらいしか残っていないのじゃないかと思っております。必要にして不可欠な政策だけが残っておると思っておりまして、その中では非常に公益性の高い、こうした電力関係もありますし、あるいは研究開発とか海外投資なんかもあるわけでありますが、この渇水準備金につきましても、確かにかつてのウエートよりは低くなっておることは事実でありますが、大体二〇%まだ水力は占めておるわけでございます。豊渇水によりまして非常に著しい収支の変動がありますものですから、これを平準化する意味でこの準備金を設けた、この制度というものはいまもってウエート二〇%を占めておる今日の段階においても必要ではないか、ですから今後も残してもらいたいものだ、こういうふうに私は考えております。
#131
○阿部(助)委員 それでは、もう少し聞きますけれども、これが発電量の二〇%を占めておるから電力料金の平準化に必要だとあなたはおっしゃるのだけれども、それならば発電原価のキロワットアワーの値段を出してみてください、一般水力、石炭、石油、LNG、この発電原価。水力の場合には、この値段は、恐らくはこの設備、発電所をつくった場合の値段としては、大体私もわかっています。これはランニングコストで一遍出してみてください。
#132
○川崎政府委員 いま御指摘のように、電源別にキロワットアワー当たりのコストを出すのはなかなかむずかしゅうございますが、私どもが標準的なモデルとして計算いたしますと、キロワットアワー当たり原子力で大体十一、二円、石炭火力で十四、五円、石油火力で十九、二十円ぐらい、LNGが十七、八円、こういうふうな感じになっております。
 ただ、これは一言前提を置かしていただきますと、五十六年度運転開始ベースということでモデルをつくってございます。(阿部(助)委員「水力は」と呼ぶ)水力は、これは五十六年運開ベースでございますが、キロワットアワー当たり十八ないし十九円という数字になっております。
#133
○阿部(助)委員 通産大臣、いま答弁がありましたように、水力が特別安いわけじゃないのです。高いわけでもない、大体似たようなものなんです。昔は大雨が降りますと、電力会社は発電量がよけい出るから大入り袋を配ったなんということもあるのです。雨がよけい降ると電力会社はもうかるから大入り袋を配る。いまそんなことないのです、この値段を見たって。一体どこに――平準化が必要だという理由をもう一遍国民が納得できるように説明してくれませんか。
#134
○川崎政府委員 先ほど前提を置かしていただきました。これは五十六年運開ベースでのキロワットアワー当たりの単価ということで御紹介申し上げましたが、実は水力発電所というのは最近、小水力を除きましてほとんど開発地点が残されてないという状況でございます。したがって、最近では建設費も非常に高騰しておりますので、先ほど申し上げましたような数字になりましたけれども、昔の水力発電所、これは当時非常に安くできたということと、御承知のように、水力発電所は運転費というのがほとんど必要ございません。ところが、この渇水準備金の必要の理由の一つといたしまして、最近火力発電の運転単価それから水力発電の運転単価、この差は非常に大きくなっております。これは御高承のとおり、石油危機以降、石油の値段が五倍にも上がったということが非常に大きな理由になっておりまして、そういう意味で本制度の重要性は一層増大しているのではないかと私どもは考えております。
#135
○阿部(助)委員 全く逆ですよ。昔の発電所は、水力というのは大概ダム式じゃない、たれ流しですよ。だから、雨が降ったときと降らないときに大変な発電量の差ができるのです。いまつくるのは、どっちかというとダム式でピーク、電力なんですよ。そういう点でもう雨が降る、降らないということがそれほど大きなウエートじゃない。また、全体に占めてもそれはない。ただ、電力会社の利益を守るために通産省はやっておるのですか。国民の方はもう知らない、国民なんてどうでもいい、電力会社さえちゃんとすればいいという考えでいまの答弁をやっておるようだけれども、電力のいまの実態をごらんになれば素人だってわかるんじゃないですか。こんなものをいつまでも残しておるようじゃ、通産省は大企業、電力会社のための役所だ、国民のための役所じゃないということになりますよ。もうこの辺で通産省も腹を決めればいいし、大蔵省もこんなものを残しておいてそれで財政が足りませんなんて言われてみたって、これはどうしようもないんじゃないですか。通産大臣もう一遍、もう検討する方向ぐらいは打ち出さなければ私は納得できませんがね。
#136
○安倍国務大臣 これはやはり電力の安定供給、それから電力料金を安定をしていくという意味からこの制度は必要ではないだろうか。特に、いまの渇水準備金については、いまお話がありましたように、豊渇水の差が非常に激しいわけでございますから、そういう意味で電力料金の平準化を図るためにもこの精度は残していくべきじゃないだろうか。まだウエートも二〇%あるわけでございますから、私はそういうふうに考えております。
#137
○阿部(助)委員 この発電量、二〇%あるというけれども、さっきから言っておるように、コストにしたところで、どこから見たってもうこんなのは私は必要がないと思うのですよ。そういうものを個別企業の利益の確保のためにおやりになるということになれば、私たちも、もういまの皆さんに期待をするわけにはいかぬのでありまして、私は反対であります。
 次に、もっと大きな問題がいま起ころうとしております。そのために、まず原則的なことをお伺いしたいのですが、自民党では核燃料の再処理の準備金というのを税制改正大綱で決められたようであります。また、電気事業審議会の料金制度部会、こういうところでもいまこの準備金をつくるべきだみたいな話が出ております。これは前には非常にむずかしいと言っておる。しかし、今度五十六年十二月二日の中間答申では、問題があるので検討すべきだみたいな話になっておるので、これをやろうとしておるようでありますけれども、その引当金というものをつくる場合、その引当金の要件というものは一体どのような要件が必要なのか、通産大臣、お伺いしたいと思うのです。
#138
○川崎政府委員 御指摘の引当金というものをつくる場合の要件といたしまして、三つほどあろうかと思います。一つは、将来において特定の費用たる支出が確実に起こると予想されていることでございます。第二の点は、その支出の原因となる事実が当期においてすでに存在していること。第三番目には、その支出の金額を合理的に見積もることができること。こういう三つの要件が必要ではないかと考えております。
#139
○阿部(助)委員 大変よく知っておられます。この三つの要件すべてを満たし得ないといかぬと私も思うのであります。
 先ほど申し上げたように、自民党の昭和五十七年度税制改正大綱というのでは「核燃料再処理準備金については、昭和五十八年度に創設することとし、そのための所要の準備を進める。」こうなっております。通産大臣、この「所要の準備」というのはどういうことをやることなのですか。
#140
○川崎政府委員 主といたしましては、電気事業の会計処理の問題、これを詰めていくということになろうかと思います。
#141
○阿部(助)委員 これは、自民党さんのおやりになることに私は文句をつけるわけではございませんが、この文章から見ますと、所要の準備として、費用収益対応の原則に従って、準備金を有税で積み立てる会計処理慣行を速やかに開始する。初め有税でやるのです。有税で積み立てていって、こういうふうになっておるからこれは慣行でございます、こういうことで一今度特別措置をつくってばっさり税金を落とす。将来無税にする準備としてこれが一番うまい。二番目には、電気料金の決定に際して、この引き当て分がコストアップ要因として考慮されるようにする、こう言っておるわけであります。これは自民党さんのあれですから、私はそれにとやかく申しません。しかし、新聞では、これを料金算定に入れる場合には大体〇・四%ぐらい電気料金が上がると見られておる。そうすると、その金額は、現在の売電料金の〇・四%とすると幾らぐらいになりますか。
#142
○川崎政府委員 先生御指摘のとおり、〇・四%でございまして、大体いま平均単価が二十二円強だと思います。したがいまして、これで計算いたしますと八銭ぐらいかなという感じがいたします。約十銭というふうに理解しております。
#143
○阿部(助)委員 そうすると、これでまた電力会社は約四百二、三十億ぐらいよけい収入が入る。しかも、それがまた特別措置で税金を落とされると、もうけは四百三十億もまたよけい入るわ、税金はまたごっそりまけてもらえる、こういう行ったり来たりのうまいことになってしまう。こんなことがどんどんやられたのでは、国民は納得しないと思うのです。私はこの辺が一番問題があると思うのですが、通産大臣、これは本当におやりになるつもりなのですか。
#144
○安倍国務大臣 これは、通産省としてもかねがね要請をしておった制度でありまして、いまお話のありましたように、昨年末の予算編成の際の自民党の税制調査会におきましても取り上げられまして、五十七年度は無理であろう、しかし五十八年度からは実施をするということが党において決まったわけでございますので、通産省としても来年からはぜひひとつお願いをしたいということでございまして、これは御案内のとおり、使用済みの核燃料を安全に処理するとともに、ウランとプルトニウムを回収するための費用、いわゆる再処理費用の支払いに備えるための準備金でございます。この円滑な再処理の実施あるいは核燃料サイクル確立のためには、そうした意味でも必要じゃないだろうか、こういうふうに私どもは考えております。
 また、その再処理の費用というのは、本来核燃料が原子炉で燃焼している時点、発電時点の費用とみなされるべきものでありまして、したがって、本準備金は課税をすべき性格のものでもないのだ、こういうふうな考えを持っております。現在、原子力発電のウエートも非常に大きくなっております。かつ、核燃料再処理もようやく本格化しようとしているので、これは企業経理の正常化のためにも、本準備金の創設というものはどうしても緊急の課題となっておるというふうに私どもは考えて、強く要請をしておるわけであります。
#145
○阿部(助)委員 私は、たしか四十九年の商法の改正のときだったと思いますが、法務委員会で質問したことがあるのです。それは、当時の経団連の文書を見てまいりますと、できるだけ初めは有税で積立金や税金を納めておいて、そうしてそれを慣行と称して既成事実をつくった上で引当金という制度を創設していこうとしておる、これは大変問題だということで質問した。一つは、課税の公平の立場から見てみだりに引当金を認めてはならないということで、そのとおりでございますという政府の答弁があった、こう記憶しておるのですが、大蔵大臣、いまでも私はみだりに引当金の制度をつくるべきではない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#146
○渡辺国務大臣 そのとおりであります。
#147
○阿部(助)委員 二番目には、租税特別措置は縮小することが政府の方針であるはずであります。いまも変わりはないし、この前もいろいろと努力をなすった。十分とは私は言いがたいと思うけれども、その努力はなすった。これからも縮小する方針である、こう思うのでありますが、大蔵大臣、いかがですか。
#148
○渡辺国務大臣 基本的にはそのとおりであります。
#149
○阿部(助)委員 昭和五十四年三月二十七日の電気事業審議会料金制度部会ですか、これの中間答申を見てまいりますと、放射性廃棄物の処理及び廃炉の費用については、現時点では、処分方法等につきなお不確定の要素が多く、将来の費用を合理的に見積もることは困難である、こう述べておるわけです。私は、いまもそのとおりだと思うのであります。合理的に見積もることができないのにどうして引当金が設定されるのか、私はお伺いしたいと思う。
 冒頭に私は、引当金や準備金の場合にはどうだという原則を確認をしたわけですが、通産省ははっきり三つの要件を述べられたわけだけれども、これはどうなんです。全然合理性を欠くと思うのだけれども、それでも通産大臣はおやりになるという方向でやられるのですか。
#150
○安倍国務大臣 いま原子力発電が行われておるわけでございますが、これによって生ずるところの使用済み核燃料の再処理、これは今後膨大な資金を要することになるわけですが、これはあらかじめ発電を行っておる時点で準備金として積み立てておいて、実際に再処理が行われる時点でこの準備金を取り崩して支払いに充てて円滑な再処理の実施を図るということがこの制度の目標でございます。
 そういう意味においても、いずれ再処理というものは近いうちに実施しなければならぬ、そういうことを考えるときに、いまからその準備をしていくための制度というものは、これはやはり必要ではないか、私はそういうふうに考えております。
#151
○阿部(助)委員 だから私は、先ほど確認した一つは、将来において特定の費用たる支出が確実に起こると予想される、二番目にはその支出の原因となる事実が当期においてすでに存在する、三番目にはその支出の金額を合理的に見積もることができる、この三つの要件が全部そろわないと引当金の要件とはならぬぞというのを確認してあるでしょう。一体、これがいまどれだけかと見積もれるのですか。見積もれないじゃないですか。
#152
○川崎政府委員 ただいま先生が御指摘になりました五十六年十二月の電気事業審議会料金制度部会の中間報告でございますが、そこでいま先生が、不確定な要素が多いので合理的に見積もることが困難だというふうに御指摘になりましたのは、放射性廃棄物の処分及び炉を廃止する費用の問題でございます。再処理の問題につきましては、電力会社と再処理事業者との間にはすでに再処理契約も一部締結されております。したがって、それに基づいて将来の支出金額を合理的に見積もることはできるとわれわれは考えております。
#153
○阿部(助)委員 あなたたちは、勝手にそういうふうにこじつけてはいかぬですよ。この中間答申だって皆さんの意向が入っておるんだと思うけれども、それでもなお引当金方式の採用に当たっては、「企業会計及び税制上の取扱いとの整合性が図られることが望ましい。」なんて言ってごまかしておるのですが、これは会計原則の違反であります。私は商法の違反になると思うのです。そういうことを無理に無理を重ねておやりになる。しかも、これだけ大きな利益を上げる。赤字になれば、政府が値上げということによって利益を保証する。こういうある意味では公益事業だという性格を持っておる中で、こういう不確定な要素を持ちながら引当金をつくるなんということは、税法の原則からいって私は許されないと思うのであります。
 その上に電力会社は何です。たとえば動燃なら動燃に、この前も問題になったけれども、出資金なんということで政府の金が大変に行っておる。全くおんぶにだっこなんというものじゃないじゃないですか。至れり尽くせりだ。そうしておいて政治献金なんてする。政治献金の金をつくるのにわれわれは協力するわけにいかないですよ。一体、どこまで電気会社のめんどうを見たらいいのです。国民の生活の方も少しは考えて政策を立てるべきなんだ。そういうときに、一体何ということをやるのです。何か理屈をつけて出資金だと言ってはこの研究費を持っていく。そして、税金の方は特別措置で落としていく。それでももうけがあるからといって、償却の方式を変えることによって千何百億も税金はまたまけてもらう。その上で今度は企業会計の原則、商法の原則、税法の原則、これを踏みにじって、またこんなものをやろうなんということは、私は大変な間違いだと思うのですけれども、もう少しその辺、国民全体の立場に立って物を判断してもらいたいと私は思う。
 通産大臣、通産大臣として電力会社のめんどうを見たいだろうけれども、同時に通産大臣は国務大臣という立場で国全体の問題もお考えになるのが当然のことだ、私はこう思う。特にニューリーダーなんて言われる安倍通産大臣のことなんだから、目の前のことだけ考えたんじゃ大物にならぬですよ。もう少し全体の視野に立って、私はこういうくだらないことはおやめになる方がいいと思うけれども、通産大臣、どうです。
#154
○安倍国務大臣 私も、やはり全体的な立場に立って、電力のあり方はどうか、あるいはまた電力料金のあり方はどうかという見地から判断をしておるわけでございますが、そうした立場から見てもやはり電力を安定的に国民に供給していかなければならぬし、あるいはまた電力料金そのものが安定をして続いていくということが必要ではないか、そのためにはいま実施をされておるところの特別措置、さらに来年からわれわれぜひ実施していきたいと思うところの再処理準備金の特別措置ということも、やはり広い総合的な立場から見てもどうも必要ではないだろうか、私はこういうふうに思うわけでございまして、そういうものが一切なくなってしまうと、電力の供給という面からも非常に不安定さが増しますし、あるいはまた電力料金そのものが非常に変動が激しくなる可能性すら出てくるのじゃないか、私はこういうふうに思うわけでございます。
#155
○阿部(助)委員 これは大臣と私との見解の相違で、同じことの押し合いだろうと思うのですけれども、こんなことまでやって電力会社を保護しなくたっていいのです。赤字になればまた皆さん値上げをちゃんとするんだから、そんな心配は要らぬのです。それよりも私は、商法であり、企業会計原則だ、税法の原則を崩してはいかぬのだと思うのです。私はどっちかというと原則主義者です。だから、余り税金で何だかんだ細工するのは、本当を言いますと私は好きじゃない、税金というのはきちんと取るのは取って、そしてやるべきだという考えですから。
 この場合、再処理、公害問題、公害施設、あるいはまたその再処理によってできるプルトニウム、これは原爆の材料になる、こんなものの評価できるわけないじゃないですか、いま。評価もできないものに引当金をつくるなんというのは、私は邪道だ、こう言っておるので、あなたの気持ちは、何とか電力会社は安定して国民に電力を供給する義務があるんだから、その電力会社の経営が安定することが望ましい、こうおっしゃるのだろうし、その点である程度わからぬではないです。だからといって、こんなにいろいろな原則を踏みにじってまでこれをやるよりも、その時点になったら値上げをする以外道がないのですよ。それはそれで私は筋が通ると思う。だからといって、それを何かごまかすような形で、こういう税法や企業会計原則の基本を崩してまでそういうやり方をおやりになるということはやめるべきだというのが私の意見なんですが、もう一遍。
#156
○安倍国務大臣 税法の原則に反するような制度は、大蔵大臣がとうてい認めるはずはないわけでございますし、そういう意味におきまして、われわれの主張しておるところの新しい準備金制度というものは、先ほどからお話しのような三原則には合致をして、そして財政当局もこれを認めるような非常に合理的な制度ではないか、こういうふうに思っております。
#157
○阿部(助)委員 何遍言ってもあなたはやりたいみたいですな。だけれども、これじゃだめですな。私も何遍か同じことを申し上げるけれども、準備金の客観的、具体的な引き当て基準を設けることは困難なんですよ、この問題、プルトニウムの算定の問題だとかそういうものは。こういうあいまいもことしたものに引当金をつくる、そして電気料金値上げの算定根拠にするなんというのは全然妥当性がない、こういうことは何といってもやめるべきだということを、繰り返し私は申し上げておきます。
 何といっても、今日のような事態、そのもの自体が、本当を言うと、私は通産省は反省せにゃいかぬと思うのです。赤字を出したら値上げをしてもらう、これだけもうけたら、本当は電気料金を少し下げて国民に還元するぐらいのことをやってもいい。しかも、税金ぐらいはまともに納めてもらって私はしかるべきだと思うのに、これだけ大きな、二千八百八十四億円も特別措置と償却の切りかえで税金対象から隠しておる。ここから税金取ったって、いま四二%だけれども当時は四〇%だと思う、四〇%掛けてごらんなさい、一千億以上の金が国庫に入るのですよ。これだけでも私は大変だと思うのに、またぞろこういうものをおやりになる。その上にさっき言ったような、動燃あたりには出資金なんというわけのわからない形の補助金、研究費、そういう金がまた入っておるとすれば、余りにも電力会社に対する過保護じゃないですか。
 しかも、けしからぬのは、こういう公益事業と言われる、保護をされておる会社が政治献金をするなんというのはもってのほかだと私は思う。そんな金があるならばちゃんと税金払ってもらおうじゃないですか。こういうことまでやって政治献金をする。反対の見方をすれば、政治献金をするからこういううまい制度をつくってもらえるのだという逆説も成り立つかもわからない。そういう疑惑すら受けるようなことを何で無理してやらにゃいかぬのです。
 私は、通産大臣何ぼ理屈をこねたって、これは絶対に承知ができない。むしろ国民全体に聞いてみなさい、みんな反対しますよ。そういうものを無理に無理を重ねて、これを見たって、前には非常にむずかしい、こう言っておるのです。今度は政府の意向がだんだん浸透してくると、整合性が望ましいなんということで、やる方向に出てくる。そして、自民党の案を見れば、初めは税金を納めて積み立てをしてだんだんならしていって、その上に今度は税法をつくってもらおうなんて、なかなか深謀遠慮であります。なかなかうまい手であります。うまい手だけれども、悪は悪なんです。何ぼうまい手順をぐるぐる回してみたって、悪は悪であります。私は、これはもう大臣もこの辺であきらめる方がよかろうと思うし、大蔵大臣、そういう点で、こういう理屈に合わないものを通産省から大蔵省に要請があった場合に、大蔵省はこれを認めるべきではないと思うのだけれども、大蔵大臣、いかがです。
#158
○渡辺国務大臣 それはまことにそのとおりでありまして、高度経済成長時代に財政的に余裕がありましたから、そのために一方で所得税減税、一方では企業減税というようなことで、税率も下げたりいろいろなものを風鈴つけてきたわけです。ところが、現実の問題として非常に財政が窮乏ということになりますと、それらについては、時代が違いますから、抜本的に見直しをするというのが基本姿勢でございます。
 実は、去年あたりもことしあたりも、いろいろ言っては来ているのですよ、表に出ないものを全部断っているわけですから。やはり一遍つくってしまうと、現在あるものを落とすことの方がむずかしい。したがって、これは徐々に、目的を果たしたもの、また、もうシェアがうんと小さくなっちゃって全体的に余り効果がないもの、こういうものは積極的に落としていくという方針でやってまいります。
#159
○阿部(助)委員 そのとおりだと思います。先ほど申し上げた渇水準備金なんというものにしても、一遍つくってしまうと、これをなくするということは大変な努力であります。そういう点で私は、いま通産省の担当官が原則を確認をしたように、この三つの原則の要件を満たしていないような、しかも新しい特別措置をつくるなんということは、これはやめるのがあたりまえだ、こう思うのでありまして、大蔵大臣もそこまでおっしゃったのだから、通産省の方も大体この辺で観念をして、この問題はおやめになる方がよかろうと私は思います。もう一遍、どうです。
#160
○安倍国務大臣 これは新しい目的を持った特別措置でありますし、特に再処理という非常に大きな事業を完遂をしていくためにはこれはどうしても必要な制度ではないか、私はこういうふうに信じておるわけでございますから、これからもひとつ根気強く要請をして、来年度はぜひ実現をしたいと考えております。
#161
○阿部(助)委員 通産大臣も大分しつこいようですが、私もしつこくこれは反対していきます。
 では、経企庁長官おいでになったようですから、通産大臣、ようございます。御苦労さまでした。
 では、経済企画庁長官に、きのうもここで質問が出ましたし、景気見通しの問題、これは大変むずかしい段階へ来たようですし、きのうは珍しく、楽観的な企画庁長官も大分先行きを心配されたような答弁をなすった。経済企画庁長官、大体あなたが余り悲観的なことを言ったら世の中もっと暗くなるからがんばっておるのかもわからぬけれども、大体あなたの話を聞いてみますと、春には、夏口になれば何とかなるだろう。夏になれば、暮れになれば何とかなるだろう。暮れになればまた、春には何とかなるだろう。何か先々希望を持たして、希望的観測としては私はわからぬではない。経済企画庁長官が先行き真っ暗ですと言ったら、確かにこれはもっと暗くなるかもわからぬのですよ。その点では私はわからぬではないけれども、もう少し具体的な政策をお出しにならないと、これは大臣自体の信用がなくなると私は思うのだな。大臣自体が何か適当に言っておられるように私は感ぜられる。
 これはきょうの読売新聞ですけれども、十−十二月はマイナス成長確実だみたいな見通し、見方が出ておるわけでありますけれども、大臣、これは公共事業の前倒しも結構です。しかし、その程度で消費が伸びるのだろうか。二月の経済月例報告を見てまいりましても、個人消費は一進一退であります。年末の商戦、商売は、いろいろと宣伝して努力したようだけれども、全国百貨店の売り上げは前年同月比五・一%増、チェーンストアは三・五%の増にすぎない。まあ実質計算では横ばいかまたは減少であります。この一番大きな原因は、私は個人消費の低迷にあると思うけれども、一体、回復基調にないんじゃないですか。私は個人消費の低迷じゃないかと思うが、どうか。もう一つは、私は回復基調にない、こう思うが、長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#162
○河本国務大臣 まず、わが国経済を取り巻く環境でございますが、御承知のように、いま、第二次石油危機が起こりましてちょうど三年目になります。第一次石油危機のときも、およそ三年間世界経済が大混乱になったわけでございますが、現在も依然として混乱が続いておりまして、OECD、先進工業国二十四カ国の抱える失業者は三千万人である、このように言われておりまして、一九三〇年、世界恐慌が起こりまして五十年でありますが、そのとき以来の最悪の状態になっておる、こういうのがいま世界経済の現状でございます。
 そういう中におけるわが国経済の運営でございますから、非常にやりにくいということは事実でございますが、しかし、三年を経過いたしまして、世界経済全体がやはり調整を終えて回復の方向にいくのではないかというのが、おおよそのいまの各国政府並びに権威ある国際機関の大体の見通しでございまして、日本経済も、いろいろな工夫と努力は必要でありますけれども、ことしの後半からだんだんと立ち直りの方向にいくであろう、私はこのように考えております。
 いま御指摘のように、内需拡大を進めるために、個人消費の問題あるいは住宅投資あるいは公共事業、中小企業対策、それから貿易の拡大均衡、こういう諸問題については細心の注意を払いながらその都度適切な対策を立てていかなければならぬ、このようには思っておりますけれども、まず経済のそういう大きな激動期になっておる、こういうことを御理解をしていただきたいと思うのでございます。
#163
○阿部(助)委員 世界経済が大変に低迷しておるということは、私も承知をいたしております。それはそうだけれども、どうも大臣のいままでのお話は、OECDがこういう見方をしておるから後半からよくなるだろう。自律的な民間活力を期待するなんて、期待したって実際言って手を打ってくれなければ、大臣が期待しただけじゃなかなか民間活力は出てこないのですよ。何か手を打たなければいかぬ。
 そこで、先ほど申し上げたように、わかるのは公共事業の前倒し。住宅住宅とおっしゃったって、これは個人には購買力がないから住宅は建たないのですよ。私だって住宅を建てたいのです、田舎で借家住まいしておるのだから。家を建てたいのだ。買う力がないから私は家を建てないだけの話なんです。借家住まいしておるだけの話なんです。そういうことを考えると、個人の購買力が低下している段階で住宅関係が伸びるわけがない。ことしは皆さんの期待するような百三十万戸はまず建たないと断言していいと私は思うのです。これは大変むずかしい。大臣の期待はわからぬではない。だけれども、この住宅の百三十万戸はまず見込みがないと私は思う。そうすると、大臣の気持ちとしては何とか景気がもう少し上がってくれればいいという期待感はわからぬではないけれども、それだけでは景気はよくなってこない。現実に消費は低迷しております。可処分所得が低下をする中で消費が回復するはずはないと私は思うのです。
 そういう点で、もう少し大臣、これはあなたをいじめるわけじゃない、こういう大変な苦しいとき、財政が苦しい、その上に全体の世界経済が大変低迷しておるという中で内需を盛り上げよう、こういうむずかしいところでありますが、それには、私はくどく言うようだけれども、何らか個人消費を伸ばす以外に道がないんじゃないか、これが一番大きな道なんじゃないかと私は思うが、大臣、いかがですか。
#164
○河本国務大臣 いま日本経済の実情を分析してみますと、実質可処分所得が伸びておりませんので、そこで消費が伸びない。それから、家が建たない。それから、住宅と消費には中小企業が関係する分野が非常に多いわけでありますから、日本の大部分の中小企業の経営が思わしくない。したがって、そこで働いておる三千四百万人の人たちの給与もよくならない。こういう悪循環が繰り返されておるというのがいまの現状ではなかろうかと私は思うのでございます。
 そこで、可処分所得をある程度ふやせば一応活路は見出される、こういうことでございますが、可処分所得をふやすためには、まず物価の安定が前提条件になろうかと思います。また、所得が実質ある程度伸びなければなりません。また同時に、公的負担というものが余り重くなると可処分所得がふえませんから、公的負担がある程度軽くならなければいかぬ。だから、問題点ははっきりしておるわけでございますが、しかしながら、なかなかその解決がむずかしい。
 たとえば、公的負担を軽くしようといたしましても、現在の財政事情では減税することはできない。五十七年度は不可能であります。そこで、政府といたしましては、五十八年度以降できるだけ早い機会に減税ができるようなそういう条件を整備したいということは、総理大臣や大蔵大臣からも何回か繰り返して御答弁があったところでございまして、一番の問題はここらあたりにあるのではないか。つまり、可処分所得をどう伸ばすかというところが問題であろうと思います。また、景気がある程度回復をしてまいりますと、中小企業の投資もある程度進んでまいりますし、景気が非常に上向きになるであろう、私どももこのように期待をしておるのです。
 もう一つ申し上げたいことは、日本といたしましては、物価が非常に安定をしておりますので、低金利政策をもう少し進めたいというのが政府の考え方でございますが、ところが、アメリカが非常に高金利でありまして、第三回目の公定歩合、昨年の三月に実施をいたしました。第四回目の公定歩合も昨年の十二月に実施をいたしましたが、アメリカの金利が上がりますので結局二回の公定歩合の引き下げは余り効果が出てない、こういうこと等がございます。つまり、金融政策が全然進められないということもございまして、アメリカに対しては、できるだけ高金利政策を避けてもらいたい、物価も安定したんだからもう少し何とかならないのかということを絶えず要請をいたしておりますが、最近幾らか下がっておりますけれども、思うようにはいっていないというのが現状でございます。先ほど申し上げましたように、アメリカにも幾つかの問題がございますので、なかなか私どもの言うことも聞きませんが、しかし、そういう限られた政策手段の中でいろいろ工夫をこらしながら何とか現状を打開していかなければならぬというのが私どもの考え方でございます。
#165
○阿部(助)委員 いまおっしゃったように、結局個人消費を伸ばすということが一番の中心なんです。金利を下げたいけれども、なかなかアメリカの高金利は当初予想されたような下がり方をしてくれない、そうすれば、日本も金利はなかなか動かせないというのがこれは苦しい現実であります。
 大臣がいまおっしゃったように、われわれの方ではことしから一兆円減税をやれと言っておるが、大臣としてはまあ閣僚という立場もこれあり、いますぐ減税とは言い出せないが、可処分所得をふやすためには五十八年度以降なるたけ減税のできるような方向を期待しておられるという発言でありますが、大蔵大臣、そういう条件、いまのようにこの低迷する消費不況を脱却するために、大蔵大臣としてはいかがですか。
#166
○渡辺国務大臣 私も企画庁長官とほぼ同じような考えであります。
#167
○阿部(助)委員 そういたしますと、具体的に段取りを考え、具体的な道を考えていかなければ、また来年も希望意見だけで、財政が窮屈でございます、このようでございますということでこれは終わるのじゃないか。
 もう一つは、長官いろいろおっしゃったけれども、えてしてこれは希望的意見みたいなもので、いろいろと手を打ちますと言うけれども、そのいろいろがなかなかわからないわけですよ。いまおっしゃったように、金利の場合はアメリカが下げてくれないからなかなか思うようには下げられない。公的負担の問題も、上がりこそすれ、下がるはずがない。ただ、これは上げ幅を少なくするとか努力はなさるだろうけれども、上がっても下がりはしない。ということになると、これはもう最後のところ、やはり個人の可処分所得をふやす以外にない。その道は賃上げ、賃金を上昇させることか、それと減税かという、これ二つ以外ないのじゃないですか。いまやれるやれないは別にして、可処分所得をふやし、消費を伸ばしていこうとすれば、賃金を上げるか、それとも減税をするか以外具体的には道がないんだと私は思うのですが、何か別に名案というのがあるのですか。
#168
○河本国務大臣 いまも申し上げましたように、可処分所得をふやす絶対の前提条件はやはり物価が低位で安定することだと思います。これはもう政府は最優先課題として取り組んでおるわけでございますが、それ以外の方策は何かといいますと、やはり根っこの所得がふえるということが必要でありますし、それに対して重い公的負担がかかったのでは可処分所得はふえませんから、この二つの課題はあろうかと思います。
    〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
#169
○阿部(助)委員 ところが、民間の賃上げとなると、これは民間の労使関係で決まるということでしょうけれども、日経連の方針から見ますと、実質GNP成長率マイナス就業者増加率ということでやると四・一%ぐらい、その程度にとどめたいなんという意見が出ておる。政府の物価見通しですら四・七%ですから、これはまた実質的に賃金が低下をするということになっておる。まあ日経連の方針へ物を申すのは言いにくいかもわからぬが、こんな日経連のわがままな方針は私はどうかと思うけれども、長官はどうお考えになりますか。
#170
○河本国務大臣 ベースアップの問題につきましては労使双方で交渉をするということがたてまえになっておりますので、私はそれについて論評は加えませんが、ただ政府としては、その労使の交渉が順調に進むようなそういう背景だけはつくらなければならぬ、こう思っております。それは何かといいますと、一つは、やはり産業界全体の生産性が上がるということだと思います。それから、構造的に不況業種が現在相当ございますが、こういう業種が存在しておりましたのでは大変やりにくい。そこで、一般的な景気回復とあわせまして、こういう業種に対しては個別対策をしっかりやっていくということが必要だと思います。それから、中小企業対策。こういう政策を進めることによりまして、労使の交渉が順調に進むような、円滑に進むような背景づくりをするということは政府の責任であろう、このように考えております。
#171
○阿部(助)委員 もう私の質問はやめますけれども、もう一遍確認をしておきたいのだけれども、個人消費の低迷の原因というのは、実質収入の低下、可処分所得の低下、それとやはり将来の生活の不安、この三つがあるがために、苦しい中からある程度は貯金をします、そういう点で消費が低迷しておるのだ、こう私は思うのですが、長官、同じでしょうな。
#172
○河本国務大臣 昨年総理府の調査によりますと、土五%の人が生活が苦しくなっておる、こういう統計が出ておることはもう御案内のとおりでございます。年末の企画庁の調査では、生活が苦しくなったという人が三四%出ております。したがいまして、私どもの政策の目標が国民生活の充実向上である、こういう点から考えますと、大変遺憾な傾向になっておると思います。
 しかし、先ほども申し上げましたように、何分いろいろな観点から政策が手詰まりになっておりますし、世界情勢全体が非常に悪い状態になっておる、その中でも日本は比較的いい方である、こういうことを考えますと、この景気回復の方法といたしましては、さしあたりは公共事業の前倒しを図っていく、そういうことでとにもかくにも現状を何とか打開したい、このように考えておるところでございます。
#173
○阿部(助)委員 私は、ちょっと時間があるけれども、かぜで苦しいからもうこれで質問をやめますけれども、大臣がさっき五十八年度以降減税が望ましいとおっしゃったけれども、もう少し政府全体として取り組むように大臣おやりにならぬと、大臣自体も、冒頭に申し上げましたように、先へ先へと希望的意見を述べられるけれども、それだけでは、アドバルーンを上げるような形だけでは大臣の職責としてはだめなんじゃないだろうか、やはり政治責任というものも感じてもらわなければいかぬのではないかと私は思うのです。渡辺大蔵大臣ではないが、経済は生き物だ、こういう説をなせばこれは何をか言わんやでありますけれども、生き物だろうからこそ、具体的な政策をお打ちにならないでただ民間の活力を期待しますというようなことだけでは、企画庁長官として、しかも大物大臣としては責任を感じてもらわなきゃいかぬのではないか。
 確かに、世界的な経済情勢も大変な低迷をしておる中で日本だけがうまくやるというのは、むずかしいのは重々わかります。だけれども、今日一番大きな問題は可処分所得をふやすこと、そのためには思い切って一兆円減税をやるぐらいのことをもっと閣内で声を大にしてやるぐらいの勇気がなければ、日本の経済の方向を決める大臣としてはいただけないと私は思うのでして、そういう点で閣内がもっと勇気を出してこの景気低迷を打破していくべきだと私は思うが、最後に、大蔵大臣と企画庁長官の御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#174
○渡辺国務大臣 経済が衰えては財政も衰えるわけですから、そういう点は十分注意していかなければなりません。経済は生き物でございます。世界の経済はまた連動をいたしておりますから、どういうふうなところでアクセルを踏むか、いろいろ総合的に考えなければなりません。やり方を間違えますと、ともかく可処分所得をふやすといっても、物価を上げてしまったのでは何にもならない。税金を払ってない階層もいっぱいいるわけですから。だから、そこらとの関係をどういうふうに持っていくか、十分御意見は承っておりますので、真剣に検討してまいりたいと思います。
#175
○河本国務大臣 ただいまのいろいろ建設的な御意見をお聞きいたしましたが、これからの参考にさせていただきます。
#176
○阿部(助)委員 では、終わります。
#177
○栗原委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
 次に、鍛冶清君。
#178
○鍛冶委員 私は、きょうは文教の問題とエネルギーの問題について御質問を申したいと思います。最初は文教問題から入りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最初に、危険校舎の改築の問題で御質問を申し上げたいと思いますが、現在、公立小中学校の建物の全保有面積に占めます非木造建築の比率というものが毎年増加をしてきておりまして、御承知のように、小中学校では、昨年の五月一日現在でもう八五%が非木造になってきておる、こういうふうな現状になっております。そういうことを考えてまいりますと、今後は、地震の対策等とも関連いたしまして、これらの非木造老朽建築の改築というものが公立文教施設整備の大きな課題になってくる、こういうふうに思います。
 本年度の予算の中で、ゼロシーリングの中でこの危険校舎改築の問題が大幅にダウンした予算になったのは大変残念なことですが、これは総括質問の中でわが党の正木政審会長が質問を申し上げたので省きますが、もう一歩進めまして、国は現在、木造危険物の改築事業につきましては、御承知のように、法律補助によって補助金を出しているわけでありますけれども、非木造建築の改築事業につきましては予算補助でもって行っているというのが現状であろうかと思います。私はこの際、これらの改築事業に対する国の責任を明確にして、この危険校舎の改築、不適格建物の改築事業を軌道に乗せるためにも、これは法令上の整備をする必要があるんではないか、こういうふうに思うのですが、この点についてまず第一にお尋ねをいたします。
#179
○小川国務大臣 仰せのように、近年、非木造建築の改築が漸増していく傾向にございます。そこで、従来は専門家の鑑定を受けて判定をいたしておったのでございますが、昭和五十二年度の第二次補正予算から、建築後五十年以上経過した建物で教育を行うのに著しく不適当なものにつきまして改築の補助対象とすることとして、制度の簡略化を図ってきたところでございます。
 いま、きわめて適切な御質疑があったわけでございますが、昭和五十五年四月に、耐震度の判定についての簡略な方法が建設省、建築学会等を中心に作成されておりまして、この診断方法が地震防災対策強化地域の改築の判定基準とされております。今後、この方法を一般的に適用すること等を含めて検討をいたしております。この検討を待って、仰せのような法令の整備を実行するつもりでおります。
#180
○鍛冶委員 その点はぜひお願いをいたしたいと思います。
 先に進みまして、次に教科書の問題でちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが、教科書の問題をお尋ねする前に、これはいま各長官、大臣お見えでございますから、プライベートな個人のお考えで結構でございますが、義務教育というものは一体どういうものか、どういう内容であってよいのかというふうなことにつきまして、義務教育のあり方と申しますか、それをひとつ文部大臣初め各長官がいらっしゃいますので、これは個人的な見解で、勉強にもなると思いますので、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。文部大臣からよろしく。
#181
○小川国務大臣 義務教育としての小中学校の教育は、人の一生を通じましての成長発達の基礎を培うものであると考えております。子供の成長していく過程に応じまして、基礎的な学問、技能、あわせて豊かな心を培うことに努めまして、将来りっぱな社会人として活動していく力と意欲を培っていくべきものだ、このように心得ております。
#182
○世耕国務大臣 私の主観を申し上げます。余り言いますと、文部大臣の方にさわりがあるとまずいのであれでございますが、義務教育は、日本のあれを見ておりますと、文部大臣のおっしゃるとおりの義務教育というものの必要性というのはあるわけなんですが、日本の場合を見ておりますと、私は、特に中学の教科書などは外国、特にヨーロッパとかああいうところに比べますと全般的に内容が非常にレベルが高過ぎるというのか、非常にむずかしいものをたくさん盛り込んでいるように思います。それが第一にちょっとひっかかったところでございます。
 もう一つ、義務教育の、小学校からずっとまいりますと――大体人間というのは、生まれたときには原始的な形態で、何の倫理観とか、人間に普通に備わったいろいろな対社会性とかそういうものはないものですが、それが徐々に幼稚園とか家庭のしつけの中で自然発生的に出てきて、それがしつけによっていろいろな方向に行くわけでございますが、これが小学校に入りますと、人間の基本的な倫理というものを外側からいろいろ教わってくるわけでございますが、その点で、義務教育の中で、一番最初の、つまり個人の倫理性とか、社会における倫理性とか、家庭の中におけるきょうだいとか家族に対する倫理性とか、それから対国際的な、世界的な立場に立つ倫理性とか、だんだん順序を追って段階的に出てくると思うので、いまの実際学校で行われる義務教育がそれに対して果たして義務を完全に近い状態で果たしているかどうかという点には、私は多少問題があるのではないか、そういうふうに考えております。
#183
○中曽根国務大臣 前二大臣と同じですが、一言感想を申し上げますと、いまの子供は、いわゆる原体験というものが不足してかわいそうに思います。やはり子供のころの、原っぱとか石けりとか隠れんぼうとか、あるいは川で魚を取りに行って蛇に追っかけられたとか、そういうような子供のころの自然から来る原体験が非常に少ない。これは大きくなってから子供の精神性に非常に影響があると思っておりまして、そういう点は特に心がけていただきたい。私の群馬県にはそういう山野がうんとありますから、東京の学校が契約して、大いに出てきてもらえば大歓迎いたします。
#184
○鍛冶委員 どうも貴重な御意見をありがとうございました。
 私は、実は義務教育は、わかりやすく言って、義務教育を卒業いたしまして社会に出ましたときに、最低限ちゃんと一人前に歩いていける、そういうものをやはりしっかり教え込んでおくということが必要であろう、こういうふうにも思っているわけですが、いま御意見をお聞きいたしました特に文部大臣も、社会に出て云々とおっしゃいましたが、そういうことを踏まえながら教科書の問題で、若干内容に突っ込んだお話になるかもわかりませんが、質疑を交わさせていただきたいと思います。
 私は、昨年までいろいろと教科書問題が取りざたになりまして、特にイデオロギーに偏った形での論争が行われ過ぎたのではないか、こういうふうに実は思っております。本当に子供というものが真剣に考えられていたのであろうかという疑問が多少あるわけでございまして、したがって、それがゆえに社会科の教科書のみがどうもやり玉に上がってきたというふうな気がいたしてなりません。私は、そういうあり方ではなくて、本当に義務教育にふさわしい教科書のあり方、こういうものは真剣に議論をしていかなければならないのじゃないか。子供のためにどうあるべきかということを真剣に議論すべきであろう、こういう立場からお尋ねをいたしたいと思います。
 これは中学校用の保健体育の教科書でございます。私は、ここで二冊代表的なものを選んでいただきましたので、これを実はずっと読ましていただきました。その中でいろいろと、これはどうかなというふうなことにぶち当たりました。大要、これをまとめてみますと、大体三つになるようであります。一つは、いわゆる因果関係を大変単純化し過ぎて断定的に教えているがために、子供が大変な思い込み違いをするという危険なことになるのではないかということが一つ。それから、二番目には、誤りですね、間違ったものを教科書に載せている個所がある。これはやはり危険なことであると思いますし、さらに三番目は、誤りではないと思いますけれども、説明が足りないために、子供がそれを学習しましたときに非常に偏った考え方になるのではないか、そういう記述はやはり改めていくべきではないか、こういうふうにも思うわけです。
 そういう観点から二、三例を引いて、時間が余りありませんからはしょって申し上げて、あといろいろな個所がありますが、また後々文教委員会等で時間をとって論議することができれば、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、最初の因果関係を単純化するということでございますが、これはコピーしてくればよかったのですが、大日本図書の中学用の「保健体育」の教科書をここに持ってまいりました。これの六十二ページに記述があるわけですが、これをちょっと読み上げてみます。これは「呼吸のはたらきの発達」のところの説明になっているわけですけれども、「肺活量が増加するとともに、ふつうの呼吸で一回に交換される呼吸量も増加するので、生まれたばかりの赤ちゃんの呼吸数は、一分間に約五十回と多かったのが、年齢とともにしだいに減少し、十歳以上では、毎分十六〜二十回となり、ほとんどおとなと同じ回数となる。」こういう記述があるんですね。これは一応聞きますと、なるほどそのとおりだという気がするのです。ところが、これは危険なのは、ここで問題は「呼吸量も増加するので、」と「ので」という語句を入れている。これは私は取るべきだろうと思うのですね。
 というのは、なぜかと申しますと、これを考えてみますと、肺の大きさとそれから呼吸の回数、これを掛け合わせたものがどうも一定であるというふうな誤解を招くと私は思うのです。小さいときは肺の大きさが小さいから、呼吸をたくさんわっとしなければもてないのだ。ところが大きくなってきたら肺の大きさが大きいから、一回の呼吸量が大きくなるから回数は少なくていい。これは一応、記述ならいいんですね。ところが、「ので」こうなるということになりますと、イコール肺の大きさ掛けることの呼吸回数が一定であるという中で、片一方が小さくなれば片一方が多くなる、こういうことをどうも言っているように誤解されがちなんですね。
 ところが、呼吸というものはそういうものではない。速くなったり遅くなったりするということは、これも大きな一つの原因と結果みたいなことでありましょうけれども、これだけではないと私は思うのですね。やはり何か感情が高ぶったりしたときにはどきどきして呼吸が速くなるとか、こわいものにびくっとしたときには思わず呼吸がとまるとか、大きな深呼吸をした後には、瞬間的ではありますが、ぱっと呼吸がとまるということもありますし、自分の意思の力で呼吸をとめることもできるわけですね。さらには、血液から来る信号を受けて呼吸が速くなったり遅くなったりすることもあり得る。実際にはそういうことがあると私は思うのです。
 ところが、これが「ので」こうなるというふうな形で記述をされますと、これは子供にいろいろな場合のあり方というものを考えさせるという機会を奪うことにはならないのか。いわば新しいものを考えて、こういう場合もあるぞ、こういう場合もあるぞという可能性をここで切ってしまうというふうな気が私はするわけです。指導要領とか指導書でどういうふうに書かれてあるのかということも私は調べてみましたけれども、これは大枠で書いてあるので、ここまで触れておられません。だから、現場でどういうふうに教えられているのか、私は一度聞いてみたいと思うのですが、教科書を読んだ限りではそういう感じがいたします。
 これと類似の個所が同じ図書で六十四ページの「呼吸・循環のはたらき」のところ、時間の関係でこれは省きますが、九十ページにも「からだの適応作用」のところでございます。こういう記述、いわゆる原因と結果というものを短絡的に書き過ぎる、こういう個所が幾つも見受けられる。これは私は教科書として余りうまくないのではないか、こう思いますが、この点について大臣、どうお考えでしょうか。
#185
○小川国務大臣 教科書は、申すまでもなく学校教育において主たる教材として使用されておるものでございますから、記述に誤りがありますればもとより、適切を欠いておるものがありますれば、絶えず改善に努めていくべきものと存じております。
 私は、生理学の知識はございませんので、お話の内容が実感的にはわかりませんけれども、仰せのとおり困果関係を単純化し過ぎて誤解を招くというような内容のものでありますれば、十分検討いたしまして、改善の必要があればしかるべき機会に改善をするつもりでございます。
#186
○鍛冶委員 いま何カ所か申し上げましたので、それも改めて御検討いただきたいと思います。
 次に、二番目の項目で申し上げましたように、教科書にどうも誤り、間違ったことが書かれてある、ないしは間違った図が載せられてあることに気がつきました。これは学習研究社の「中学保健体育」の本です。この中で九十六ページに記述があるのですが、これは部分だけちょっと読んでみますと、「体熱の発生と放散」というところなんですね。ちょっと前から読みますと、「また、体内では、余分な熱をつくらないように、からだの筋肉が全体にゆるんだ状態になる。それでもまにあわないときには、汗せんが開いて汗をだし、水分が蒸発するときに体表からうばう熱を利用して、体熱を放散している。」このこと自体はいいと思いますが、ちょっと細かいようですが、「汗せんが開いて」、こうなっていますね。これは私は正確には汗腺じゃなくて汗孔だと思います。非常に小さいことになりますが、こういうこともやはり教科書ですから大切なことではないか。
 それから、同じページに、これもコピーしてまいればよかったのですが、下の方に図面がございます。「図II−6 体温調節のしくみ」というのがここに載っておるわけですね。説明で申し上げますとわかりにくいかと思いますが、この中で、皮膚や血管にある感覚器から間脳という脳の中枢のところに知覚神経を通じていわゆる体温の変化を知らせる、こう説明してあるわけですが、そこでとらえられたものが、今度中枢からの命令を伝える自律神経を通して体の各器官、それから内分泌腺とか副腎とか膵臓とかいうようなところに命令を下して、その外の温度に合った対応をするというようなことで説明が書かれてあるわけですね。
 ここで私はやはり間違いだと思いますのは、知覚神経というものが、いわゆる皮膚や血管にある感覚器から知覚神経を通して脳の中にある間脳、ここに体温の変化を知らせると書いてある。体温の変化を知らせるというのは私は間違いであろうと思います。皮膚というのは、手の温度と額の温度、足の温度というのは違うのですね。体温というのはまたそれとは違った感じでとらえているはずです。だから、皮膚の温度は朝と晩でも一度くらい違うのですね。そうして、普通の体温よりは明らかに冷たい。だから、体温を伝えるのじゃないと思うのです、外温ですね。要するに、外の気温といいますか、その変化に応じてその温度の変化を知覚神経を通して間脳に知らして、それから寒くなったからこうしなさいという命令を各所に与えて体の各所が機能する。まあ外温というのが悪ければ皮膚の温度というふうに書いた方が正確だ。体温ではないと私は思うのです。だから、体温というのは手ではかりませんし、額ではかりませんし、やはり口の中とかでやっているわけでございまして、これは明らかに間違いである。
 また、「皮ふや血管にある感覚器」ということが書いてあるのですが、皮膚には感覚器はあるが、血管には感覚器はないというふうに私は思うのですね。これも御調査いただきたい。もう一つここにもあるのですが、この図面自体でもこのまま教えたのでは正確ではないのではないかというようなことがございます。大変丁寧につくってはあるのですが、やはり問題点がある、誤りもあるのではないか、こういう点ですね。
 さらに、これは第三点にも入ってまいりたいと思いますが、取り上げればたくさんございますけれども、三番目の、誤りではないけれども説明不足というところがあるわけですね。これはやはり学研の「保健体育」の中に、百十二ページにあるのですが、「公害の発生」の最後のところにこういう記述があるのです。「このように、公害は人間をはじめ生物の生存をおびやかす人災であり、国や企業が公害防止への配慮を欠き、活発な産業活動を優先させたことがその背景となっている。」私はこの記述は、このものも決して間違いではないと思います。だけれども、大変足りないところがあるのじゃないか。
 なぜかといいますと、企業の活動とかいうもの、また国のいろいろな行政というものは、やはりある意味ではその以前に、住んでいる人の需要といいますか要望といいますか、そういうものから発生した活動であるわけですね。しかも、公害というのは、現在では国民が被害者であるけれども同時に加害者であるという場合もよくあります。たとえば車に乗っていてもそうですね。自分が乗っていて排気ガスをまき散らかす。原因をつくりながらしかも被害者であるという場合がある。だから、この記述はこれで私は間違ってはいないと思いますけれども、それ以前の問題でのいろいろ原因のつかまえ方に言及すべきであると私は思うのです。そこにいくところから、一人一人がまず自分から気をつけていこう、こういうことで本当に子供のうちから公害に対する正しい認識をさせることができるであろう。
 ところが、こういう記述になりますと、これがイデオロギー的に取り上げられてしまって、やれ右だ左だという中で、けしからぬ、けしからぬという議論になっていく。私は、それはもう一歩踏み込んで、子供には本当に正しいあり方を伝える、教えるという意味から教科書の記述というものは説明すべきところはやはりきちっと説明をして、それで子供に判断をさせる、こういう教科書のあり方、教育のあり方でなくてはならない、こういうふうに思うのです。この点についていかがでしょう。
#187
○小川国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、教科書については、検定に際しまして、誤った記述がないように、あるいは不測の誤解を与える記述等がありませんように十分留意をいたしておるわけでございますが、人間のやっておることでございまして、御指摘を受けるような適切を欠く点がないではございません。御注意いただいた点につきましては、早速十分に検討をするつもりでございます。
#188
○鍛冶委員 これは、だからといって、私は検定をむやみやたらに強化しろということを申し上げているわけではございませんので、そこだけはお含みをいただきたいのですが、正確に真剣に取り組んでいただきたい。そこに子供にこういうことをしてはいかぬぞという熱意があると、おのずからそのチェックの仕方も変わってくるのではないだろうか、こう私は思うから申し上げるわけです。
 さらに、もう一つ申し上げますと、いま申し上げた三つ以外に、記述をしておいた方がいいのじゃないかというのが欠落している部分があるように思います。その大きなものは何かと申し上げますと、火災及びその対策ですね。これは、この中に救急法とか災害のときの対応、応急措置とかというものがずっと保健の教科書に書かれてあるわけですよ。病気とかなんとかはわりとあります。それから、人工呼吸とかいろいろな対応が書かれてあるわけですが、どういうわけか火災が漏れている。この前もニュージャパンの火災がございました。そういうことがあるにつけても、昔と違っていまの火災は、木造建築ではなくて大変に有毒ガスの出る建材を使った、しかも高層ビルになってきておりますから、今度の事件のようなことがありますと、逃げ道とか対応を誤ると大ぜいの死者が出るという悲惨なことになるわけですね。したがって、交通事故とかなんとかよりも、こういう火災による死者というものは統計からいけば確かに数は少ない。しかし、相当、毎年亡くなられている方があるわけですから、そうだとするならば、やはりたとえば子供に、教科書にはそういう記述を入れておいて、そして火災があったときにはどうするか、自分のうちに帰ってもし火災になったときにはどういうふうに逃げるか、逃げ道も考えておきなさいとかというようなこと。
 それから、さらにもう一つ、これは補充して申し上げたいのです。応急措置とか救急措置とか読んでみますと、患者の運搬法とか、主な急病の応急措置とか人工呼吸法とか止血法とか包帯を巻く法とかいうことで確かに丁寧に記述してあります。これはこれで誤りではないし、必要だと私は思いますけれども、早い話が、たとえば日射病で倒れたのかガス中毒で倒れたのか、何で倒れたかわからぬこともあるだろう。ところが、そういうところの現実の対応というものに対しては書かれてない。
 なぜそう申し上げるかというと、アメリカあたりの小中学校でこういう対応を教えているようですね。そういうものをずっと私、読んでみますと、非常に話が具体的なのです。たとえば火災の場合で、私はびっくりしたのですが、家の中にいた、高層の中にいた、ドアから煙が出てきたという場合には、窓は絶対にすぐあけるな、こういうことなのですね。あけるとぐわっと空気が流れますからかえって大変なことになる。だから、そのときにはすぐに何かで目張りをせい、なるべく入ってくるところをとめろ、そして窓をあけなさい、それで、声の届くところなら大声で呼べとか、高いところならああいうふうに敷布をくくって安全な形でぶら下げて出なさいとか、具体的にやってあるわけです。廊下を行くときははえとかあるわけです。こういうようなことですね。それから、人が倒れておった場合でも、向こうの義務教育のときに教えているのは、倒れていた、そうしたら起こしてはだめだ、寝かしたまままず体をたたけというのですね。ほっぺたをたたくとかどんどんどこでもいいからたたけ、そういうことによって意識の回復をさせ、その間にいろいろ応急措置とかいろいろなところに連絡するというようなことをしなさいとか、具体的なのですね。
 そういう意味からいきますと、保健の教科書はよくできてはおるものの、現実との対応、じゃ実際そこにぶつかったときにこれはすぐに役立つのかといいますと、現実との接点における対応の記述というものは、残念ながらどうもなさ過ぎる。
 そういう意味では、最初申し上げたように、義務教育というものは、社会に出たときに何があっても最低限ぱっと対応できるものを教え込んでおかなければいけないという立場からいいますと、残念ながら、こういう記述のあり方、教科書の書き方というものはもっともっと検討されるべきであるし、特に火災とかについてはこういう中でちゃんと教えておく必要があるのじゃないか、こう思うのですが、この点についていかがでしょう。
#189
○小川国務大臣 火災があった際にどのように対応すべきかということにつきましては、それぞれの地域の実情に応じて学校の教育におきまして教師が指導いたしておるわけでございますが、教科書の記述がなお具体性を欠いておるじゃないかという御指摘をただいまいただきました。この点も念頭に置いて十分検討さしていただきます。
#190
○鍛冶委員 学校で特別ほかの時間に火事のことも教えているということは事実のようでありますけれども、安全会から出ている本とかいろいろなものを見てみましても、どちらかというと、学校で火災が起こったときにどう逃げるかという、そういう誘導とかなんとかいうのが主になっているような嫌いがあるのですね。だから、自分自身がそういう立場になったときにどうするかというようなこと、ここで服に火がついたらどういうふうにやるんだとか、的確な、現実に対応したところのものを教える。それはやはり教科書に入れていただいた方がいいんじゃないかという、私は私なりの判断でございました。
    〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕
 まあ、検討いただくということでございますので、時間がございませんからこの点はこれで終わりといたしますが、要するに私は、教科書というものはイデオロギー的に見るというのではなくて、本当に子供をどう育てるかという中からよりよい教科書というもの、しかも正確に、そしてまた義務教育だけで社会に出て働く人があったとしても、それは義務教育さえ受けておればいろいろな対応がとっさにできるという最低限のものはぜひ教えておいていただきたいし、そういう教科書の中身であっていただきたい、こういう意味からこの問題を取り上げたわけでございますので、ひとつ十分な御検討をお願いをいたしたいと思います。
 それでは、次に参ります。教科書問題はこれで終わらしていただきまして、少年の非行の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これは私は、文教委員会で事あるごとに校内暴力なり非行の問題というものは連続して取り上げてまいりました。きょうは各大臣御出席していただける中での機会でございますので、改めてまたこれを取り上げてお尋ねをしてみたいと思うのです。
 最初に、年々少年非行というものは急増しているわけでございますが、その状況についての御説明を、これは公安委員長ですか、その方からひとつぜひお願いをいたしたいと思います。
#191
○世耕国務大臣 詳細に関しますので、政府委員の方から答弁させていただきます。
#192
○谷口政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十八年ごろからふえ始めた少年非行でございますけれども、依然として減少の兆しを見せておりません。逐年増加の傾向が見られるわけでございますが、特にここ数年急激に増加しているということでございます。
 昨年におきます刑法犯少年の補導人員でございますけれども、十八万四千九百二人でございまして、対前年比一一・三%ということで、戦後最高と言われました一昨年をさらに上回るというような状況になっております。また、全刑法犯検挙人員中に占める少年の割合でございますけれども、これも四四・二%、それから同年齢層千人当たりの人口比も十八・六人ということで、いずれも戦後最高というような状況になっております。
 特徴的傾向について簡単に申し上げますと、第一に、校内暴力が増加している。特に教師に対する暴力事件が激増しておる。それから第二には、少年による通り魔事件とか殺人などの凶悪、粗暴事件が多発しておる。それから第三には、低年齢化傾向が一層顕著になっている。第四には、万引き、自転車盗などのいわゆる遊び型非行、これが依然として増加しておる。第五には、覚せい剤乱用少年が増加しておるというようなことでございます。これ以外にも、家庭内暴力の問題だとかあるいは女子少年の性非行の問題、近年ますます深刻化しておりまして憂慮される状況にあるわけでございます。
#193
○鍛冶委員 時間の枠がございますので、残念ながら全般にわたることができませんので、しぼってお尋ねをいたしたいと思います。
 いまお答えをいただきました中で、最近の非行は中学生を中心に非常に低年齢化してきている、こういうふうな御答弁がございました。その低年齢化の実態ですね。実際言ってどういうふうな形になっておるのか、また、その原因なり背景というものはどう考えていらっしゃるのか、これを警察庁の方でお答えをいただきたいと思います。そして、文部省のサイドで、実態の方は別といたしまして、低年齢化してきた原因なり背景というもの、文部省の方でこれはお答えをいただければと思いますので、よろしくお願いします。
#194
○谷口政府委員 低年齢化の具体的な状況でございますけれども、一言で言いますと、十四歳から十六歳のいわゆる年少少年でございますけれども、これが大幅に増加しております。これに対しまして、十八歳から十九歳のいわゆる年長少年でございますけれども、逆に減少しておるというふうな状況でございます。
 主な数字をちょっと申し上げますと、たとえば十四歳でございますけれども、昨年の状況で見ますと四万七千四百二十四人を補導しております。これが対前年比で実に二八・一%の増加というような状況になっております。学職別で見ますと、学生、生徒、有職、無職に分けられるわけでございますけれども、学生、生徒が七五・三%、四分の三が学生、生徒のものでございます。したがって少年非行はいまや生徒非行の問題としてとらえてもいいのではないかというような感じがいたします。
 それから、こういった非行の増加の背景、原因、いろいろあると思います。一言では申し上げられないと思いますけれども、やはり本人についての問題、それから家庭、学校、地域社会、それぞれが抱えるいろいろな問題が複雑に絡み合ってこういうふうになっておるのではなかろうか、こう思う次第でございます。
#195
○小川国務大臣 この非行の低年齢化ということは必ずしも的確に把握することは困難でございますが、一つは、幼児期におけるしつけが十分でない、家庭の教育機能が低下しているということがございましょうし、あるいはまた今日の社会環境、享楽的な風潮ということが大いに影響いたしているでございましょう。あるいはまた、児童、生徒本人が身体的あるいは性的にはきわめて早く成熟するのに、精神的な自立心がこれに伴わない、いろいろな原因が絡み合って出てきておるものと考えております。
#196
○鍛冶委員 そこで、その低年齢化とともに少年非行の六割ぐらい、これも先ほど御答弁ございましたが、万引き、自転車を盗むとかいったようなことで占めているという実態があるようでございますが、この実態をどういうふうにとらえていらっしゃるか、これは警察庁の方にお答えをいただきたいと思います。
#197
○谷口政府委員 万引き、自転車盗などのいわゆる遊び型非行でございますけれども、昨年中警察の方で補導いたしました少年が十一万二千七百七十七人でございまして、対前年比で一二・四%の増というようなことでございます。十年前に比べまして約二・五倍というような状況になっております。こういった非行が少年非行全体の約六割も占めておりまして、今日の少年非行の著しい増加の主要な原因になっておるのではないかと、こう思うわけでございます。
 そこで、こういったいわゆる遊び型非行の増加の理由というものもいろいろ挙げられると思いますけれども、一つには、やはり規範意識の乏しい少年によりまして、単純な動機から容易に行われる非行であるということでございますけれども、それが何かこう集団化あるいは常習化いたしまして、本格的非行に進化していく危険性がある非行ではないかというようなことで、こういった非行の発生を抑止していくことがわれわれにとって重要な課題ではなかろうかというようなことで、いろいろな対策を推進しているところでございます。
#198
○鍛冶委員 いまの万引き、自転車盗という非行、遊び型非行といまおっしゃいましたけれども、確かにそういう形があるのかもしれませんが、こういう遊び型の非行といいますか、甘え型非行というのですかわかりませんが、そういう非行について、これは大変数多く、これが少年非行の数を押し上げているといういきさつ、経緯もあるようでありますが、人によっては、これは一過性の軽微な非行だ、そんなに問題にするのはおかしいんじゃないかというふうな人がよくあるわけでございますし、また有識者の中でもそういうことを言う人が間々出てまいりますが、こういう考え方について警察庁、文部省どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#199
○谷口政府委員 ただいまもお答え申し上げましたとおりでございますけれども、いわゆる遊び型非行ということで、確かにその大部分は一過性的なものが多いかと思いますけれども、その非行を重ねることにより、あるいは集団でやることによりましてより深刻な悪質な非行に移行するおそれがあるわけでございます。そういう面で、私ども遊び型非行と申し上げておりますけれども、ややその表現が適切でないんじゃないかというような感じがするわけでございます。
 そういうことで事案そのものは、一つ一つは大したことはなくても重大な意味を持ちますので、関係機関、団体等と連携をとりながら、まずやはり少年自身の規範意識を高めるための啓発活動をやるとか、あるいは地域におきまして非行防止座談会あるいは防止講話などを開催いたしまして、家庭、学校、地域社会に積極的に働きかけるということ。それから、デパートだとかスーパーマーケットなどの関係業界に対しまして、そういった非行を誘発しにくいような環境条件づくりというものをしていただくように呼びかけておるわけでございます。私ども総量抑制対策と言っておるわけでございますけれども、こういった点につきまして、いままでも強力に進めておりますけれども、今後とも努力してまいりたい、こう思っております。
#200
○小川国務大臣 万引き等の非行は、倫理性の欠如あるいは自分を抑制する力が乏しいということから出てまいるわけでございますから、平素から道徳心を涵養する、あるいは善悪の判断力を養うということに努力すべきものでございますが、反復されるうちにだんだん罪の意識が乏しくなるようでございますから、早期に発見して指導する必要があると存じております。
 一たん明るみに出ました折には、被害者に対して代金を払うとか陳謝するということはもとより当然でございますが、同時に、警察あるいは家庭、密接な連絡をとりまして、さようなことを繰り返さないように十分指導をする必要があると考えております。
#201
○鍛冶委員 規範、子供に対する、していいことと悪いことが、物事のけじめがないんじゃないかというふうなお答えもございましたが、こういう子供たちの一種の甘えといいますか、そういうけじめがつかないというか、そういうようなことについては、これは小学校教育の中でもちょっと問題があるんじゃないかなという気がいたしますが、いまお答えの中でもちょっと触れられておったようでもありますけれども、文部大臣、どういうふうに小学校の教育の中で問題なのか、こういった点についてお答えをいただきたい。
#202
○小川国務大臣 学校教育におきましては、道徳の時間においてあとう限り道徳心の涵養に努めておるわけでございます。かたがた、豊かな心を養うことは非常に大事なことだと存じておりますので、文部省におきましては、本年早々、豊かな心を育てる施策推進会議というのを設けまして、従来この観点から文部省が実行してまいりました施策を全面的、総合的に行う体制をも整えたような次第でございます。
#203
○鍛冶委員 この問題はまた後々文教委員会等でも細かくいろいろとやりとりをしてまいりたいと思いますのできょうはおいておきますが、確かに私も地元とかまたいろんな教育現場、いろんなところに足を運びますと、先ほどからたびたび出てまいりましたように、特に万引きなんかは、スーパーなどでこれは大変に取りやすい環境になっている。要するに、置いてある品物を握って持っていってもまだ盗んだかどうかわからないという、やはり入り口でああいうまとめて会計、支払うところがございますから、そういう意味で、スーパーによってはそういう店の構造が特にまたそういうものを誘うような形になっているということは事実あると思います。いろんなところでそういう話を聞きます。この点について、これらの遊び型非行に対する対策、これは警察でも相当に力を入れていらっしゃるようでございますが、具体的にはどういうふうな形で対策を進めていらっしゃるか、これは警察庁の方にお尋ねをいたします。
#204
○谷口政府委員 先生御指摘のとおりでございます。主としてスーパーマーケットになると思いますけれども、最近のような商品販売形態になりますと、万引きしやすいというような面があるわけでございます。もちろん、万引きをした少年に対しまして補導する、それで再非行を防止するということも重要でございますけれども、それ以前に、やはりそういった少年に万引きさせないように配慮するということが社会の全体の責任ではなかろうか、こう思うわけでございます。そういう面におきまして、スーパーマーケット、デパート、その他いろいろな関係業界があるわけでございますけれども、具体的にこういった措置をとってもらいたいというような要請を行いまして、万引きを未然に防止するような形態、条件の整備を図っていただいておるところでございます。
#205
○鍛冶委員 これは私が御参考までに警察の方々や文部省の方々に申し上げてはちょっと行き過ぎているのかもわかりませんが、私は私なりに実は私の地元でございます福岡県の中で十二店舗ばかりスーパーをいろいろ当たって調べてみました。その中で、確かにプライベートに関することも出てくるので、スーパー自体で実際に出てきておる数字というものを正確にはなかなか口を割らないといいますか、しゃべりにくい点もおありなんでしょう、そこらあたりのつかみが非常にしにくかったわけでございますけれども、いろいろなお話を聞いて私も私なりにびっくりしたようなことがございます。そういったことを御参考までにちょっと申し上げてみたいと思うのです。
 この十二店舗、これは店の名前を申し上げてはあれですからA、Bという形で申し上げてみますが、若干申し上げてみますと、A店、Aというスーパーですが、これは年間に約四百八十件ぐらいそういうのがあるというようなことでございまして、その内訳を大体パーセントで見てみますと、小学生が約八%ぐらい、中学生、高校生、これはひっくるめてのようでございましたが四七%、それ以外は大人になるわけでございましょうが、四五%ということでございまして、とにかく小中高合わせまして五五%というので、やはり小中学生、特に中学生が中心になっておる。それから、Bというところでは、小学校の生徒が一七・五%、それから中学生が二五%、やはり多いのですね。高校生が七・五%、それ以外が五〇%という形です。さらに、もう一つのD店では、小学生が一七・七、中学生二六・六%、高校生四%ということで、これは合わせて四八・三%、やはり五〇%ぐらい。小さい、低年齢化している、特に中学生が多い、こういうことで、いろいろございますが、大体似たような数字が出てきているわけです。
 そういう中で、いろいろな意見なり、また、取り調べに当たっている保安係の方ないしは店長さんにお話を伺ってみまして、いろんな話が出てきたのでございますけれども、とにかくいま申し上げたように、その中から幾つか申し上げてみますと、やはり中学生が圧倒的に多いということですね。
 それから、やはり死活に関することだから一生懸命対策を講じたところ、警察、学校と連携をとっていろいろと手を打ったところでは事件が減ってきたというふうなことがございます。極端なところは、年間にとにかく千二百から千五百件、こういういわゆる補導したのですね、見つけて補導した数がそれくらいあったというのです。もうこれはたまらぬということで、真剣にそういうところと連携をとりながら、また保安要員もふやしてやったら、これは減ってきた、こういうことを言われておりました。
 それから、おもちゃ売り場、それからゲームセンター、こういったところがあるとないとでずいぶん違うという実情がはっきりいたしております。特にゲームセンターがあるところで、女子高校生に、女の子にいたずらしたりすることもあるし、いろいろ付随して万引き等もやるということが多いようでありまして、学校サイドや父兄の人たちと話し合う中で、ゲームセンターをひとつスーパーからのけてみようということでのけましたら、非常にそういう数が減ってきたという実例も何カ所かで報告があっておりました。
 特に言われておりましたのは、最近はもう計画的になってきたというのですね。子供でももうとてもばかにできない。単独でやる場合は、ちょっと見ているとおどおどしているし、挙動不審ですから、気をつけていると、やったなということで補導がすぐできるそうでありますけれども、一度そういうことをされたのが、どういうわけかすぐに何か組織みたいなところ、グループにそういう情報が行きまして、そうして、それがそれから呼び出しを食らって、先生に言いつけるぞとか親にばらすぞとかいうようなおどしをされる中でそのグループに巻き込まれて、今度は計画的に万引き集団ができ上がる。こういうのは非常に監視もしにくいし、手がつけにくい、こういうことがございました。
 それから、さっきありましたように、けじめがないといいますか、子供に他人の物と自分の物との区別ができない、話をしていても補導をしていてもそういうことがありありと見えるということの話がございました。
 それから、特に親の姿勢を問題にしているところが多いようです。親を呼びまして言いましても、ぶすくれて食ってかかる親もある。それから、子供にきつくしかることができない。ある話では、これはスーパーの人ではありませんけれども、スーパーの店で母親がちっちゃい子供を連れて買い物に来ていた。果物のところで買っていたら、母親が一生懸命それを選んでおったら、そばにおった子供がブドウをちぎって口に入れては食べていたというわけですね。それで、その付近にいた中年の、これは男性の方ですが、見かねて母親に注意したらしいのですね。ほら、ああいうことをしていますよと。お母さんがどう言ったかというと、子供に、何々ちゃん、あのおじさんがそう言っているからやめなさい、こう言ったという話なんですね。はてこれはどういうことかなという気がしたわけです。そういう家庭のしつけも含めての問題はずいぶんあるとは思いますけれども、非常に何かそういうけじめがつかなくなっているという状況がやはりあるようであります。
 それから、女子中学生のグループというものがやはり相当に目に余る行動が多いということですね。
 それから、小学生は取った物の単価が安い、非常に低廉な物であるからこれを見逃すということが多いようだけれども、だから数字の上では実際的にはずっと多い形が出てくるのだ。中には子供を使って親が万引きをさせているという例もあったというふうなことも報告があっておりました。
 いろいろこういうことを現実に当たってみまして、びっくりするような、ここでは時間がないから申し上げられませんが、問題があるようであります。こういうことについて、先ほどからいろいろとお尋ねをいたしましたが、遊び型非行をなくしていく、そして、きちっとした環境づくりをするという意味からもあえてきょうは御質問を申し上げましたので、いろいろな対策、特に学校と相談するとか警察と相談するとか父兄と相談するということ、いわば地域ぐるみでこういう対策に取り組むということが大変いい結果を出していっているという実例が、如実にいろいろな調べてみました中で出てきております。こういった形はひとつぜひ生かしていただいて、われわれももちろん努力をいたしますが、今後こういう問題での取り組みをやっていただきたい、これは御要望を申し上げておきます。
 次に移りますが、これは中曽根長官にお尋ねをいたしたいのですが、本年の一月二十日に行政相談委員の方々の日常の本当にじみちな活動の中から貴重な意見というものがまとめられて、全国行政相談委員連合協議会、こういうところから長官にあてて「行政運営の改善に関する意見」というものが提出をされていると思います。この中で「少年の健全育成のための地域活動の推進」という項で少年非行を取り上げてありまして、これは地域社会全体の問題として個人も含めて一丸となった国民運動の展開が必要である、こういうふうに提案がなされております。これについてひとつ長官の御意見と、この提案について何か手を打たれたことがありましたら、ないしは打つお気持ちがあればどういうふうなことをされるのか、行政監察をやるとかいうようなことも私は一つの方法であろうかと思いますが、こういった点を含めて長官のお答えをいただきたいと思います。
#206
○中曽根国務大臣 ことしの一月に相談委員の連合会の会長さんから御指摘の書類はいただきました。その中で青少年の問題が取り上げられておりまして、青少年に有害な映画や出版物等の対策、それから有職少年の非行の防止、非行少年の補導、非行児童の処遇、青少年健全育成のための諸施策、それから施設の問題、青少年対策に関する総合調整の問題、こういう点について検討しよう、こういう御指摘をいただきまして、文部省その他必要な部局とよく相談するように指示しております。
#207
○鍛冶委員 これは実はことしと昨年と鈴木総理大臣が施政方針演説の中でこの非行の問題を取り上げていろいろと方針を示されているわけですね。これは調べてみますと、歴代総理大臣が少年非行の問題を取り上げましたのは久しぶりのことでございまして、十五年前に佐藤総理大臣が在任中に、やはり第二のピークと言われる非行が激しくなった時期がございました。その折に、この施政方針演説の中で取り上げておられるわけです。それを受けて実は行政管理庁におきましても各省庁に行政勧告というものを出されて、そういう中でその対応も回答をとりながら進めていったということもあるようです。そういう意味からも、行管庁におかれましても、やはりこういう問題は国民的な運動の中で上り坂の非行というものを押し下げて流れを変えていくという努力が必要であろうと思いますので、そういう意味での取り組みをぜひこれはお願いをいたしたいと思います。そして、これは特に鈴木総理は本当に昨年と本年の二回にわたってこの問題を取り上げている。にもかかわらず――前回、佐藤総理らが取り上げましたときは、みごとといいますか、若干ピークになっておったのかもわかりませんけれども、いろんな形の中でずっと下降線をたどっていった、こういうことが言われているわけでございまして、総理が昨年に引き続いて、昨年やるぞという決意で施政方針の中へ取り入れられたものが、対策はされたのであろうとは思いますけれども、それが功を奏せずにむしろそういう非行問題が押し上がってきた。さらに重ねてことしも施政方針の中で取り上げなければならなかった、こういう事態、これが果たして各関係の大臣の方々がどれくらい総理の施政方針というものを真剣に受けとめてこの問題に取り組んだんであろうか、こういう疑問を私は大変持つわけであります。こういう点について、これは直接的には総理府がいろいろな関係官庁の中心でやられるような形になっておると思いますけれども、どういう対策を講じられておるのか、総理からは具体的にまたほかに、施政方針以外に指示があったのか、そういったこと等についてお答えをいただきたいと思います。
#208
○世耕国務大臣 総理からの御指示以外に私どもはこれに積極的に取り組んでいくつもりでございますが、この少年非行、実は先ほどから文部大臣初め警察庁の保安部長の方からいろいろ申し上げまして、全部そのとおりでございます。その上に私、もう一つ考えてますのは、少年非行は世界的な現象になりまして、アメリカでもそうだし、ヨーロッパの各国でも少年非行、それから校内暴力というのは非常に流行をしておる。日本の場合はある一カ所ではやり出してからそれから全国的に発生してきたわけでございまして、そういう非常に世界的な傾向が強いのです。
 そこで、私どもは、教育ももちろんそうであると思いますし、いろいろなことがあるのですが、考えてみますと、現代社会はすべて、先ほどから先生もおっしゃられておったように、マーケットとか販売とか性風俗とか雑誌とかあらゆる点がオープンシステムになっている、中学生の十四、五歳から十六歳ぐらいまでが非常に犯罪がふえてきているのですが、この時期は大人のなりかかりになっているところで、体の方も心の方も非常に不安定で中途半端な存在なんです。そのときにオープンな社会のオープンないろいろなものに触れていきますと、そこにいろいろな反応が起こってくる、こういうふうに考えまして、私は、教育であると同時に社会の中の大きな問題、国際的にも非常に注目を引いているところでございますから、そういった立場から、先ほど先生がおっしゃられたような国民単位のあらゆる階層からの動員をして御協力をいただきながら、今後この少年非行に対する問題、教育の方ももちろんそうですが、警察の方まで、総合的に私どもの方で関係各省庁、いろいろなところと国民各位にお願いをしまして、連絡をとりながらこの問題を総理がおっしゃられた公約を進めてまいろうといろいろ計画を立てているところでございます。
#209
○田邉国務大臣 お答えをいたします。
 最近の青少年の非行問題、これは私はいろいろの角度から検討しなければならない問題であろうと思います。一つは、やはり家庭の問題であります。家庭の中でのしつけ、そしてまた両親の行動がやはり子供に無言の行動を教えている、こういう事実だと思います。
 もう一つは、学校教育の中での教師の態度だと私は思っております。学校の先生は、生徒に教えるその態度というものが、生徒に襟を正させるような気持ちを持たせることが大事である、そういうことであろうと思います。
 もう一つは、先ほどもお話がございましたように、社会全体が子供に対する、社会人としての子供に注意を与える、そして社会道徳を守らせる、こういう指導が必要であろうと思います。
 もう一つは、私は幼児教育が大事な一つの柱になっておると思います。今日幼児教育は、ともすると疎んぜられ、そして夫婦がともに家庭を離れておる。したがって、子供はどうしても預けられる。しかも、母の愛情というものを十分受けない形の中で成長をしていく。私は、幼児期における子供のいわば反抗期というものは、一歳、そして三歳あるいは六歳という時期にある、そういうものをやはり家庭の中でしつけていく、そこに子供が少年期になったときの反抗期を是正させる一つの大事な要素が幼児に抜けておる、こういう問題が絡んで、今日社会的に非行問題が大きくクローズアップされたものだと思います。
 今回の鈴木総理の施政演説の中にもこの問題が織り込まれ、また幼児問題も取り上げていただいたわけでございます。私どもは、この問題につきましては、やはり従前にも増して、関係各省庁が一丸となって取り組まなければならない問題であろうと思います。現在、青少年問題審議会で基本的な対策につきまして審議をいたしております。少年非行防止対策につきましては、関係省庁と協議をいたしまして、各種の非行防止の啓発事業を展開をしてまいり、今後の青少年非行対策に慎重な対応をいたすべきであると考えております。
 以上です。
#210
○鍛冶委員 非常に抽象的なお答えで、本当にこれで押し下げることができるのかと疑問を持ちます。抽象的な議論ではなくて、長い目で見ての対応というものは、これはいろいろ教育を中心にやらなければならないと私は思います。しかし、総理が二度にわたって触れながらも、しかも、それを押し飛ばすような勢いで非行が毎年戦後の記録を更新しているという最初の御説明がありました。これは大変な状況です。
 これに対して、前回の十五年前のときは、総理が施政方針の中でそういう方針を示し、総理府が音頭をとっていろいろな対策がとられ、曲がりなりにも推し進める中で、あのときにいろいろタッチした方々にお話を伺うと、それなりに盛り上がりがずっと出てきた。これは国民の皆さんの自覚とか、十五歳云々とかがありましょうけれども、端的な対策としては、この押し上げる力に対抗する、流れを変えるだけのエネルギーというものは押し込んでいかなければならぬと私は思います。
 それはどこでやるかといえば、やはり組織を持つ政府がその組織を、せっかくでき上がったものもあるわけですから、総理府長官を中心にしていろいろな連携をとりながら、むしろこれは総理みずから先頭に立ってこの問題に取っ組むという姿勢、各大臣がもう人ごとでなくてじかにそういうものに乗り出していくという姿勢をつくっていかなければ、私はこの流れを変えるということはできないだろうと思うのです。私は、そういう意味でお尋ねをしているわけでありまして、総理の施政方針で幾ら言おうが、私たちは大したことありませんよ、連絡だけしていればいいんですよというなら、これは四十円のはがきを書いて、こうですからとか通達だけしておけば済むのです。けれども、それでは私は変わらないと思う。何とかしなければいかぬじゃないか。
 そういう中で、前回は曲がりなりにも総理演説にこたえた形でありましょうか、非常に盛り上がりが出てきた。ところが、今回はそれに比べて、熱気といいますか盛り上がりというものが、いわばなれっこになったのか、そのとき打った手を継続してやってはいらっしゃるようですが、それが効果的に機能していないというような気がするんですね。これは大変な問題であろう。これはなぜそういうふうになるのか。これは非行対策につきまして、縦割り行政の弊害が一つあるのじゃないか、また権限の問題もいろいろとあるのじゃないか、こういう気がいたします。この際、重大な問題ですから、法体系の整備とか組織の見直しを含めて、長期展望に立っての非行対策というものをやっていい時期になっているのじゃないか、こういうふうに私は思いますが、総理府長官、いかがでございましょうか。
#211
○浦山政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、非行対策につきましては戦後いろいろと議論がございまして、そして、それなりの対応策が政府全体としてできてきているわけでございますが、確かに、仰せのとおり長期的な対策が必要であるというように考えているわけでございます。基本的には、やはり非行防止は当然でございますけれども、積極的な健全育成の観点に立って、家庭、学校及び地域社会、さらには行政の幅広い対応が必要であるというような考え方に立っているわけでございます。したがいまして、こういったものにつきましては、私ども総理府、前回の第二のピークを契機といたしまして、総合調整という機能を特に強調する意味において組織立てられまして、一生懸命取り組んでまいったわけでございまして、各省庁と連絡を図りながら、それぞれの月間あるいは対策というものに取り組んでまいったわけでございます。
    〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕
 具体的な非行防止につきましては、各種法令による取り締まり、指導はもちろん行っているところでございますけれども、それにあわせて健全育成のための運動を推進しているということがございます。昨年の六月に青少年問題審議会から提言が出されまして、これに応じまして、先ほど来、警察庁あるいは文部省の方からお話がございましたような対策が立てられているということでございまして、現在さらに細かい点を詰めておるというのが現状でございます。そのような青少年問題審議会の最終的な答申等をもあわせながら、今後とも長期的な対策に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
#212
○鍛冶委員 具体的に一つだけ提案申し上げたいのですが、もう抽象的なお話で、私は何かかゆいところを靴の上からかくような感じがして大変歯がゆくて仕方がないのでありますが、現実には、前回のときに総理府が全国的な指導の中でとった運動の中に、毎年七月に青少年を非行から守る全国強調月間、こういうものが持たれて一カ月間やっていらっしゃるようです。私は、大変申しわけないことながら、今回これに取っ組んでみて、初めてこれがあることを知ったんですね。これは私も大変申しわけない思いではございますけれども、PRする方も、これは全くされていないのじゃないか。一体、本気になってやっているのだろうかという気がするわけです。
 大変意地の悪いことを言うようで申しわけないのですけれども、たとえばこの七月に行われる青少年を非行から守る全国強調月間、ことしの七月にございますが、青少年問題審議会の答申とかいろいろなものがございましょうけれども、さしあたって、この大きな押し上げてくる、毎年毎年最高記録を更新している非行問題というものに対処するにつきまして、この月間には、ひとつ総理府長官からも厳重に総理の方にも話をしていただいて、ぜひやっていただきたいと思うのです。総理自身が二回も言われているわけですから、この月間には、総理みずから、たとえばたすきをかけて出るとか、街頭に、一日でもいいですよ、飛び出して、そうして現場を見るとか、非行少年に声をかけるとかいろいろな話し合いをするとか、わずかな時間でもいいから、レーガンやブレジネフに会おうとか会うとかいう話もこれは大変大切な話ではございましょうけれども、日本の中のこういう青少年の問題というのは、私は、とりわけて大切な問題である。それだけに、ひとつこういう月間には総理みずから街頭に飛び出す。総理府長官もしかり、文部大臣もしかり、行管庁長官もしかり、公安委員長もしかり、各大臣が飛び出す。衆参議長も飛び出す。われわれも飛び出す。県知事も市町村も右へならえするでありましょうが、そういう中で各機関が盛り上げてこういう問題をひとつ取り上げて変えていこうではないか、なくしていこうではないかという中での努力をやるというぐらいの気魄が、押し上げていくすごい力、目に見えない力が、流れを変えていく一つの大きなポイントになるのじゃないかと思うのですが、こういう点につきまして各大臣一言ずつ御決意をいただいて、この問題を終わりにいたしたいと思います。
#213
○田邉国務大臣 お答えをいたします。
 大変貴重な御提言をいただきまして、私自身もこの青少年の非行問題は、真剣に取り組まなければならない重大な時期だと判断をいたしております。御指摘の七月の青少年を非行から守る全国強調月間、この問題につきましては関係省庁、特に総理にもお願いをいたしまして、できることならば御指摘のような形の中でこの問題に取り組み、青少年の非行に対する全国的なPRができれば幸いだと考えております。
 以上です。
#214
○鍛冶委員 それでは、代表して文部大臣どうぞ。
#215
○小川国務大臣 青少年の非行あるいは校内暴力の問題は、学校、家庭あるいは社会のあり方に起因いたしますいろいろな要因が絡み合って出てきている問題だと理解をいたしております。家庭の教育機能は、核家族化が進行する等のこともあって非常に低下いたしておりますので、これに対しましては家庭教育講座を設けて、家庭教育について学ぶための機会を提供するということもやっておりまするし、家庭教育相談事業、これは東京、大阪等を除くほとんどことごとくの県で、一歳から三歳までの一番上の子供を持っておる六十万の世帯に対しまして、繰り返し繰り返しはがきを出すというような相当濃密な指導をやっておるわけでございます。今日の社会の風潮から出てくるこのさまざまな好ましからぬ問題につきましては、総理府の主催されます各種の行事等にこれからも積極的に参加をいたしてまいるつもりでございます。
 校内暴力につきましては、校長を中心として教職員が一致してこれに当たるべき問題だと考えておりますが、間々足並みの乱れておる学校もあると指摘されておりますので、これは学校の現場で起こっている問題でございますから、学校の先生方にも責任を痛感していただいて、真剣に対処していただく必要があると信じております。
 この点につきまして、実はいろいろなことをやっておるわけでございますが、具体的にというお言葉が先ほどございましたから、これは担当者から……。
#216
○鍛冶委員 大臣の簡単な決意だけで結構でございます。
#217
○小川国務大臣 およそ以上のとおりでございます。
#218
○鍛冶委員 どうもありがとうございました。文部大臣、最終的にはちょっとずれたようなお話でございましたが、ひとつ強調月間に文部大臣もみずから飛び出してお取り組みをいただきたい、こういうふうに思います。
 それでは、この問題は終わりますので、関係の大臣の方々、大変ありがとうございました。
 それでは次に、時間が延びまして大変お待たせいたしましたが、エネルギー問題をちょっと時間の限り触れておきたいと思います。
 義務教育のあり方についてお聞きしようと思いましたが、時間がございませんので、早速エネルギー問題に入りたいと思います。はしょって申し上げますが、簡明にお答えをいただきたいと思います。
 総合エネルギー調査会において、長期エネルギーの需給暫定見通しの見直しというものが進められているわけでございますが、最近一年間の世界におきますエネルギー事情の変化は非常に著しいものがございまして、これに対応する見直しというものは、正確に早急にやる必要があると私は思うのでありますが、この見直しの発表の時期はいつごろになるのか、そして、それは報告として出されるようになるのか、答申として出されるようになるのか、この点についてお伺いをいたします。
#219
○安倍国務大臣 現在の長期エネルギー需給暫定見通し、これは昭和五十四年八月に報告されたものでありますが、この見通しは、昭和六十五年度石油輸入量が、御承知のように、六百三十万バレルを前提としておるわけでございますが、その後サミットあるいはIEA等の場におきまして石油輸入目標値を相当程度下げることを合意いたしまして、わが国のエネルギー需給の以下のごとき構造的な変化の徴候、すなわち近年の省エネルギーや燃料転換の急速な進展、昭和五十五年度はエネルギー需要、特に石油需要が大幅に低下した、そういうふうな情勢を踏まえまして、総合エネルギー政策の指針である長期エネルギー需給見通しを見直すことといたしたわけでございます。
#220
○鍛冶委員 これはいつごろ答申が出るようになるのか、答申になるのか報告になるのか、いわゆる中期的な、短期的な見直しという形での報告になるのか、若干長期的な答申という形になるのか、この点を再度お尋ねをいたします。
 と同時に、総エネルギーの供給量というものは、前回の見通しよりは下方修正ということになるようでありますけれども、この下方修正について検討されている重点的なもの、エネルギーの対象となっているものはどういうところにあるのか、さらに今後のエネルギー対策の重点はどういうところに置いてやろうとされておるのか、お尋ねをいたします。
#221
○小松政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま大臣から御答弁したとおり、現在、総合エネルギー調査会で審議をお願いしているわけでございます。できるだけ早くということでお願いをしておりますが、恐らく時期としてはここで予想を申し上げるのもあれですが、春三、四月ごろになるのではないか、できるだけ早く結論を出していただくようにお願いしているという状況でございます。答申といいますか、形としては審議会の報告ということになると思っております。
 先ほど先生から御指摘ございましたように、現在のエネルギー事情が非常に変わっておりまして、特に最近の省エネルギーの実情というのが予期した以上に進んでおりますし、また一方、五十五年、五十六年とエネルギーの需要動向、特に石油の消費の動向が変わっておりますし、また今後の価格動向についてもいろいろの議論がなされておるわけでございます。
 こういう中でございますので、長期の見通しを立てるということはなかなかむずかしいわけでございますが、まず一つとしては、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、この前の答申が、石油の輸入目標を六百三十万バレルというふうに置いておったのですが、これはその後の国際的な協議、その他の場においてこれをできるだけ下げるということを言われておりますので、この点をできるだけ輸入目標を下げる形で需要見通しをつくりたいと思っております。
 さらに、現在七億キロリットルということで六十五年の需要想定ができ上がっておりますけれども、これも現在の需要動向、省エネルギーの進行状況、その他から見ますと、これは七億キロリットルをかなり下回る数字になるのではないかと考えております。
 いずれにしましても、将来のエネルギー政策の基本になるものでございますし、安定供給の基本でございますので、その点を中心に、また脱石油という観点からの代替エネルギーの供給目標、これは現在見通しております代替目標をできるだけ実現する方向で御議論をいただく、そういういろいろのお願いをしながら、現在総合エネルギー調査会で御検討をいただいているというのが実情でございます。
#222
○鍛冶委員 この下方修正、いまのようなお話の中でせざるを得ないということでありますが、その中の一つに石炭液化問題があるのではないかと思います。
 これについてお尋ねをいたしますが、国際的な石炭液化共同事業のSRIIは中止のやむなきに至ったわけですが。その後の状況、それから最近ちょっと新聞にも出ておりましたEDSの現状、
 これはどういうふうになっておるのか、特にEDSについては当初目標というものは達成できるのかどうか。これはエクソンが、実証プラントの建設は採算の見通しが立たないとして見合わせるというような方向が言われているわけでございますが、こういうことを踏まえてこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
#223
○小松政府委員 お答えを申し上げます。
 現在、石炭液化は、石油の代替エネルギーの開発導入の非常に大事な一つということで研究開発が進められておるわけでございまして、先ほど先生から御指摘のございましたSRCII、EDS、さらにはサンシャイン計画の一環としての石炭液化方式、それから豪州の褐炭液化のプロジェクトといろいろ進められております。
 まず、御指摘のございましたSRCIにつきましては、昨年二月、特に六月に米国側から、日、米、西独三国共同事業としてやっておりましたこのSRCIIの計画につきまして、コストが非常に増加するということもございまして中止せざるを得ないという申し入れがございました。これに対しまして西独側も、やむを得ないと同調いたしまして、日本としてはできるだけこのプロジェクトの遂行を主張したわけでございますが、関係する両国がやめる方向に傾いたということもございまして、結果といたしまして、昨年の八月十四日に本協定が最終的に終了したわけでございます。
 ただ、これにつきましては、いままで行われました研究成果について、いろいろのデータその他を含めて、わが方に徐々にアメリカ側からの送付が行われてきております。現在その研究成果を評価し、また、これを今後の石炭液化の研究開発にできるだけ役立たせる方向で、この開発計画がむだにならないように、そのための検討を続けておるという段階でございます。
 次に、EDSでございます停れども、計画としては二百五十トン・パー・デーの大型パイロットプラント、これをつくりまして石炭液化技術の研究開発を行うというプロジェクトでございまして、日本は五十三年五月に、民間の十二社から成り立っております日本石炭液化技術開発株式会社というのがこれに参加しております。御承知のように、この計画は米国のエネルギー省、民間企業、西独それからイタリアの民間企業、こういうものが参加しておるわけでございまして、五十五年三月にこの二百五十トン・パー・デーの大型パイロットプラントの建設が完了いたしまして、六月以降運転研究を行っておるという状況でございます。
 現在までの状況でございますけれども、大型液化プラントとしては史上最高の連続運転五十八日間ということを達成いたしておりまして、稼働率も八五%という状況でございます。研究開発は、全体として順調にいっておるというふうに聞いております。
 ただ、先ほど御指摘がございましたように、実証プラントの建設が疑問という報道がなされたというお話でございますが、この計画は、もともと実証プラントをつくるということは含まれておりません。あくまでもパイロットプラントによる研究開発をするということでございます。問題は、実証。ワラントを今後つくるかどうかは、当然この研究開発パイロットプラントによる研究開発の成果を踏まえてその必要性、規模、時期等が検討されるものと思われますし、本来の計画の中にもともと実証プラントはなかったというのが実情でございます。
 以上でございます。
#224
○鍛冶委員 これはどうも後退していくような気がしてなりませんけれども、そういうことがないように、また税金のむだ遣いにならないように、これは最高、最大の努力をしていただきたいし、もし変なことになる見通しならば、早目に、損害が少ない中で手を打っていく必要があろうかと思います。これは御要望申し上げておきます。
 時間がとうとう迫ってまいりましたので、石炭関係その他ははしょって飛ばしまして、こちらからちょっと説明をしながら最後にお聞きをいたしたいと思いますが、深部における石油ガスの問題でございます。
 最近、深部の掘削技術が進行してまいりまして、新しく石油ガスというものが世界的にも、また日本でも発見されておるというふうにも聞いております。この深部ガスについては、また、あるいは若干の石油については、現在有機生成説が主流でございまして、無機生成の石油ガスということについては否定的な状況下にある、学説もそれが多いということでございますけれども、現実にいま申し上げたように、深部の掘削技術の進行によりまして、いままでの有機生成説では若干説明しにくいような、特にガスなんかが最近出てきておるということが言われております。
 これは時間があれば読み上げるところでございましたが、「正論」という本の中で東京工大名誉教授の崎川範行先生という方が、「国産原油の開発、夢でない」というタイトルで、日本におきまして有機生成でない深部ガスというものが発見されておる。「秋田県では玄武岩層から石油が発見され、長岡では緑色凝灰岩の中に石油が見つかっている。いずれも五千メートルもの深い孔を掘った結果である」ということで紹介をされておりますし、その中で、自分は有機生成説に立つ人間だけれども、こういう問題というものは大きく変化して逆転することもあるのだ、そうして、これはアメリカのコーネル大学の教授ゴールドという方がこの無機生成説を発表されて、それに沿った深部ガスというものも現実に世界の各地でいろいろと発見をされておる、こういうふうに言われておるわけです。
 こういう流れの中で、これが事実としてこれから実証されていくことになりますと、わが国においてもこの深部ガスが相当に産出するであろうということは夢ではないというふうにも言われているわけでございまして、現状ではこれは確かに学説的に主流をなしておりませんし、実際に掘る立場からいきますと、これは一笑に付される内容かもわかりませんが、事実こういう有機生成説で説明のできないような状況の石油ガスが出てきておるのであるならば、これは特に深部の方で出てくる可能性が強いというふうに言われておりますし、これについてたとえば通産省の工業技術院か石油公団の中の開発センターですか、技術センターというのですか、ございましたね、そこらあたりでそういう深部の掘削技術の開発というもの、それからソフトウエアなんかも積み重ねていく努力もいまからやられておいていいのではないだろうか。
 さらには、これは文部省の方にお伺いいたしますが、この学説に共鳴される方々もおられるわけで、そういう実証が世界各地でだんだん出てきておるのならば、文部省の科学研究費の中で、この研究費を使ってプロジェクトチームをつくって、学問的研究、情報の収集等をやるようにしていったらいいのではないか。そして、こういう問題が現実化したときに、いつでも対応できるような形をとっておくべきであろう、こういうように思いますが、この点につきまして通産大臣、文部大臣にお尋ねをいたします。
#225
○小松政府委員 お答え申し上げます。
 まず、先生からお話のございました石油無機生成説、深部ガス説と言われておるようでございますが、こういうことを米国のコーネル大学のゴールド教授が提唱しておるということは私どもも聞いておりますが、先生からもるる御説明がございましたように、現在の石油の探鉱技術というのは、有機生成説に立ちましてどこに石油があるかというような探査技術、探鉱技術が行われておるわけでございます。そういう意味で、それを前提とした技術体系になっておるわけでございますけれども、この石油の無機生成説ということにつきましては、私どもとしても関心がございます。いずれにいたしましても、まだ理論的研究の段階をそう出ていないのではないかというふうに思いますので、今後の研究が期待されるところでございますし、これについては当然私ども関心がございますので、今後ともこの仮説に基づきました研究動向等につきましては情報の収集に努めたいと思いますし、必要があれば必要なデータその他の提供を考えてもいい。特にこれは先ほど先生から御指摘がございましたように、まだ恐らく地球物理学とか地球化学とか、そういういろいろの学際的な検討が進められる段階だと思われますので、そういう学際的な検討が今後進められるとすれば、そういうところに対して資源エネルギー庁ないしは石油公団の立場からいろいろ御協力していくということは考えてみたいと思います。
 それから、御指摘の、深いところを掘る技術でございますが、現在でもかなり深いところが掘れるわけでございます。ただ、いままではどちらかというと石油のありそうな場所を掘るということで、必ずしも深いところを掘るということにはなっておりませんのであれですが、過去の一番掘削されました例としては、日本の場合は五千三百メートルぐらいの掘削の前例がございます。米国の場合は九千六百メートル、ソ連の場合は一万五百メートル掘削されたという事実がございますが、掘削技術そのものとか深部を掘る技術については日本の場合も最近相当進歩しておりまして、ほとんど米国、ソ連に遜色がないというところまで行っているというのが実情でございます。
 いずれにいたしましても、今後とも研究開発、それから掘削技術を含めた探鉱技術開発については、公団を中心に、また業界を挙げて、今後ともその研究開発を進めてまいりたい、かように考えております。
#226
○小川国務大臣 仰せの点は、もし申請がございますれば補助の対象になり得る問題だと考えております。十分研究させていただきます。
#227
○鍛冶委員 時間がちょっと延びまして済みません。
 ありがとうございました。
#228
○栗原委員長 これにて鍛冶君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#229
○中野(寛)委員 児童憲章には、私ども大人が、子供の教育環境、また生活環境について、よりよいものをつくらなければいけないことを明記してあります。しかし、いまの子供たちの生活環境は
 一体どうなのか、そのことからお尋ねをし、論議を深めていきたいと思います。
 まず、いまいろいろな資料が出ていますが、文部大臣と各大臣にこのビニ本というやつをごらんいただいて、お聞きしたいわけであります。
 警察の方からお答えいただきたいと思いますが、そのビニ本は、日本の警察の基準では取り締まりの対象になりますかどうか、まずお聞きしたいと思います。
#230
○世耕国務大臣 これは当然なると思います。
#231
○中野(寛)委員 取り締まりの対象になる。いわゆる日本の法規範の中で行き過ぎている、こういう基準で見られるビニ本であります。
 このビニ本を中学生や高校生たちが買うことができると思いましょうか、文部大臣にお聞きしたいと思います。
#232
○小川国務大臣 自動販売機で販売しておりますこの種の本については、恐らく青少年が自由に買うでございましょう。また、この種の出版物を多くの県は条例で規制をいたしておりますが、なかなか条例の実効を確保することは実際問題としてむずかしいことではなかろうかと考えております。
#233
○中野(寛)委員 大臣がおっしゃるのがいまの実態であります。この本も特別のところで買ってきたものではありません。上野駅前の一般書店で買ってきたものであります。そして、その隣には子供たちが買い求める学校の参考書も並んでいるわけであります。それがいまの子供たちを取り巻く生活環境です。
 ちなみに、どういう事態があるか、ここにいろいろな本があります。これを全部が悪いというのではありません。私は現実を御指摘申し上げたいだけであります。たとえばこの本、ごらんいただいたらおわかりのように、少女のヌード写真であります。こういうものがいまブームになっている。まだ恥毛も生えそろわない、そういう子供たちのヌード写真です。いまはやりの言葉ではロリータ・コンプレックスと言うのだそうですけれども、結局こういうものを大人が先を争うようにして買い求めるという実態。この子供たちが大人になって果たしてどういう感じを持つのだろうか。いまはまだ幼い状態の中で一種のスター意識があるかもしれない、まだ恥ずかしさを持たないかもしれない。しかし、この子供たちの人権はどうなるのだろうかということが一点あります。
 それから、ここに「グッバイ・バージン」という本があります。これは、ある放送局が子供たちからの電話によって性体験の告白をさせるわけであります。それだけではありませんけれども、十四、五歳、中学生、高校生の女の子たちが「好きだからやったの」「友だちもほとんどあるみたい」という感じで告白をしていくわけであります。
 そして、ここに少女雑誌があります。中学生、高校生の女の子たち、うっかりすると小学校の上級生でもこういう本を買って読んでいます。出てくるのは何か。結局、私のセックス生活ということで、初体験だとかレイプだとか避妊だとか、そして、この本に至っては、創刊号もしくはその次の号にセックスの体位、よく言われる四十八手というのまで載せられたのであります。
 そして、これはセックスABCD、セックスに関するABCDのランクが子供たちの間では言われている。
 そのことを大臣は御存じかどうかわかりませんけれども、私がこの質問をしようと思ったきっかけは、私の小学校の五年生、六年生の娘、今度中学校に入りますが、「お父さん、Cってどういう意味」と私に聞いてきました。私の子供でもそういうものが目に触れ、そして疑問を持ち、そうして、それからどうなっていくのか、私は恐ろしささえ感じました。
 たとえば、これは大人の読む雑誌でしょうけれども、このたぐいのものは全部セックス記事が載っていると言っても過言ではない。大人が読む分には結構です。しかし、子供の読む雑誌にそれが行き過ぎるほど載っていて果たしていいのかどうか。この新聞がいい悪いを言っているのではありませんけれども、たとえばスポーツ新聞、夕刊新聞、これにはごらんのようにポルノ映画の広告が堂々と載っています。そして、サラリーマンが電車の中で、通学の子供が乗っていたって、これが開いて読まれているわけです。
 こういう事態の中で、私たちはいかに子供たちに良好な生活環境をつくっていくかという努力をしない限り、その実態は大変なことになっていく。子供たちは、まだ性体験がなければ、中学生や高校生でも、私はおくれているのかしらと、もうそこへのめり込んでいってしまう。それが実態なのではないでしょうか。
 まず、そのことについて、現在のいわゆる性非行を含めての青少年の実態について、警察の方からお伺いをしたいと思います。
#234
○谷口政府委員 少年非行の状況でございますけれども、簡単に御説明申し上げますと、残念ながら四十八年から激増しておるわけでございます。昨年が十八万四千九百二人でございまして、一昨年の戦後最高の記録をまた上回るというような状況になってきております。
 内容的に見ますと、第一に、校内暴力あるいは教師に対する暴力事件が激増している。第二に、少年による通り魔事件、殺人など凶悪粗暴事件が多発しておる。第三に、低年齢化がいよいよ顕著になってきている。第四には、万引き、自転車盗などのいわゆる遊び型非行が多い。第五に、覚せい剤乱用少年が増加しておるというような特徴的傾向がございます。
 これ以外にも、家庭内暴力などのような問題がございますけれども、女子少年の性非行あるいは青少年による性犯罪の問題も非常に深刻な状況になっておるということでございます。昨年中に警察が強姦あるいは強制わいせつ、いわゆる性犯罪で検挙をしました少年が一千四百九十人ございます。このうち中学生、高校生が五百九十九人、全体の実に四〇・二%を占めているというような状況でございます。ただ、過去五年間の推移を見てみますと、昭和五十二年で一千三百五十七人検挙しておる。わずかながら増加しておりますけれども、大きな変化がないというような状況でございます。
 ただいま申し上げましたのは強姦罪とかわいせつ罪といった犯罪を犯した少年でございます。これに対してもちろん厳正な取り締まりをやっておるわけでございますけれども、それに至らない、たとえば不純な異性交遊などの不良行為をしている少年があるわけです。これに対して私ども補導しまして、場合によっては家庭裁判所に通告するなどの所要の措置をとるということでございます。
 そういったこれらの取り締まりあるいは補導を通じまして痛感されますのは、ポルノ雑誌等の影響もあってか、最近の青少年の性の乱れが非常に大きなものがあるということは言えると思います。
#235
○中野(寛)委員 そのような深刻な事態に陥っている。
 それからもう一つ、先般も話しておりましたら、警察関係の皆さんの方から、この表に出てくる数字以外に、実際に取り締まろうとしても、または補導をしようとしても、たとえば強姦という犯罪要件を構成しない、結局もうこのような状態の中で子供たちは洗脳されてしまって、そして、むしろみずから進んで、もしくは興味本位でそういう性行為にのめり込んでいく、そういう状態が見られるのです。警察の補導に当たる皆さんは、そのことを見ながらむしろ歯ぎしりをかんでおられるというのが実態だと思います。果たしてこれでいいのだろうか。私は、たとえばそのようなビニ本だとか、ほかに何か裏本というのがもっとあるんだそうです。茶本といって茶色の封筒に入っているのがあるんだそうです。それはもっとひどいそうですが、別にその内容を云々しようとは思いません。別に「愛のコリーダ」というハードコアが日本で上映されようと、無修正で上映されようと、私はそれに対してクレームをつけようと言っているのではないわけであります。節度が欲しいと思うのであります。大人だけがそれを見る、またはこういう本を売っている場所というのは特定のアダルトブックスの本屋で売っている、表から、青少年がそのお店の前を通ったって何を売っているかはわからない、そういう一つのけじめと節度というものを設けながら大人の世界の中で性文化が発展していこうと、それはそれで一つの主張というものが行われるだろうし、また言い分もあるだろうと思うのであります。しかし、いま警察の方から発表されたような現在の実態、少年少女を取り巻く犯罪の実態というものを見る場合に、やはりこれは何とかしなければならない、手をこまねいて見ているわけにはいかない、これが実態だと思います。
 先ほど来同僚議員の質問に、文部大臣、総理府総務長官等々、今日の青少年非行の問題について御答弁がありました。余りにも歯がゆい。この問題が指摘され始めてもう何年たつんだ。具体的な方針は立ったのか。審議会でまだ審議中、そんな答えは聞きたくない、具体的に何をしているんだ、そのことをはっきりとお答え願いたい、私はそういう気持ちでいっぱいであります。総理府総務長官にお答えをお願いいたします。
#236
○田邉国務大臣 お答えをいたします。
 ただいま御指摘の本も見せていただきました。余りにも一般の書店でそういうものが販売をされておるということは大変遺憾なことだと私は思っております。
 最近の青少年の非行につきましては、御指摘のとおりだんだんこの非行の形が性犯罪また暴力、いろいろの形に、多方面に変わっております。この影響はどこからきておるのか。もちろん、生活環境も大事なことでございます。たとえばかぎっ子。私は、たまたま山梨でこのかぎっ子の実態調査をやった経過がございますが、甲府の隣の町で、千人の中学生の中で三百人のかぎっ子がおりました。たまたま甲府に出てきて補導をされた子供が、その三百人の中で約二百人近く補導された。それは最初はパチンコであり、だんだんそれがいろいろと非行の深みに入っていく、その実態を見まして、私はこれを何らかの形で阻止したいということから、青少年対策のボランティアの一つの運動といたしまして、カウンセラー組織というものを全県下的につくってこの対応をいたしました。そして、その少年たちと、学校を退職した先生方のうちあるいはお寺の一室を借りまして、そして共同生活をして、子供の生活の仕方、いろいろのやり方を教え、したがって、その三百人の子供がともかく非行から脱出をしたという経過がございます。
 私は、それやこれやを考えまして、いま御指摘のように、私どもいろいろの雑誌あるいはまたテレビ、いろいろのものの中で青少年の目に強く刺激をするものがあるということは、まことに遺憾なことだと思います。したがいまして、この青少年対策につきましては、御指摘のように、やはり具体的な問題としてこれを取り上げ、そして関係各省とも十分な連携をとりまして私は対応をしてまいりたい。いま青少年問題審議会にもこの答申をかけております。しかし、その結論を待ってということだけでなくて、さらに一歩進んだ対応を、関係省庁とも連絡をとりましてやってまいりたい、こういう気持ちでございます。
 以上です。
#237
○中野(寛)委員 総務長官の後半のお答えの中で具体的なことをむしろお聞きしたがった。前半のお答えの分については、それはいろんな方がいろんな体験を持っていると思うのです。しかし、それが総合的な力として発揮されないで、部分的には問題解決することに役立っているかもしれませんけれども、しかし、全体的な風潮としてこれをとめることはできない、それが実態であります。
 たとえば、先般の日教組の教研集会においてもこれらの問題が取り上げられています。現場の先生方の悩み、苦しみ、苦悩というものが報道を見ても如実に語られている。しかし、国としてのきちっとした方針というものが示されない中で、先生方も悩みを抱えたまま、御自身の部分的な体験の発表はあるけれども、総合的な対策になってこない、そういう事態があるわけであります。
 私は、むしろこの際、青少年環境浄化非常事態宣言というふうなものを政府自身がすることにより、また同時に、総理自身が長となって、国民各層の代表から青少年健全育成会議というふうなものを総理府が事務局になっておつくりになる、そして一大国民運動としてこのことを盛り上げる、取り上げる、そのことが大事だと思います。そして、緊急に、たとえば各都道府県の青少年保護育成条例などに任せるだけでなく、もっと全国民的な運動として取り上げていくということが必要であります。その中に、警察の経験というものも十分生かされるべきでありましょう。教育の現場にある先生方の御意見も生かされるべきでありましょう。それらについて即座に取り組む御意思がおありかどうか。今日までのどの審議会、どの委員会を見ても、現実がこの実態である限り、それは効果を上げたとは言えない。私はそういう意味で、新たな決意を持って臨む御意思がおありかどうか、お聞きしたいと思います。
#238
○浦山政府委員 ただいま先生御指摘の性非行を含みます青少年全体の非行の問題、これは先ほど来警察庁等からのお話もございましたように、私どもといたしましても深刻に受けとめ、これについて真剣に取り組まなければいけないというように考えてまいっているところでございます。
 この取り組みにつきましては、御承知かと思いますけれども、すでに非行の増加が続いておりました昭和五十三年に、青少年育成国民会議を中心にいたしまして、青少年の健全育成の月間を設定いたしまして全国運動を進めるという形をとるとともに、さらに翌年の昭和五十四年には、それのみでは足りないということでもって、総理府が主唱いたしまして、七月に非行防止の月間をさらに設定をいたしまして、各県にございます青少年育成県民会議あるいは県下の青少年育成市町村民会議等を通じまして、こういった非行問題に取り組んでまいってきているわけでございます。
 遺憾ながら、現在まで、それにもかかわりませず非行が増大をしてまいっているわけでありますけれども、特に性非行に関連をいたしましては、法令による取り締まりあるいは青少年健全育成条例の運用、関係業界に対する自主規制の要請あるいは住民の地域活動等を通じまして、総合的にこれに取り組むということで運動を展開してまいっております。特に最近におきましては、各府県における取り組みがようやく浸透してまいりまして、各府県の青少年育成都道府県民会議、こういったようなところでそれぞれの対応方策を地域の実情に応じて練っているというのが現状でございまして、私どもとしてもこういったことをさらに進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#239
○中野(寛)委員 そのことの効果が上がることを期待いたしますが、まだ全国民的な運動、意識を喚起するというところまでいかない、静かな運動で経緯している。私は、そのことをもっとクローズアップさせて運動を進めていく必要があると思います。たとえば、よくこのたぐいのものを規制する、法規制をしようとしますと、表現の自由や職業選択の自由やその他憲法論議が出てまいります。しかし、その憲法にさえ、たとえば第十二条には「この憲法が国民に保証する自由及び權利は、國民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と記載されております。第二十二条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移轉及び職業選擇の自由を有する。」等々、すべて権利を保障する規定には公共の福祉という歯どめがかかっているわけであります。それはより大きな国民の権利を守るためにであります。そういう意味で、政府が勇断を持ってこの重大な事態に対応するその真摯な姿勢と、そして前向きの行動というものをいま私は望みたい、このように思うわけでありますが、そのことについて、総務長官お時間の都合もあるようですから、私は総務長官の政府を代表する立場での御意思をお聞きしたいと思います。
#240
○田邉国務大臣 いま御指摘がございました問題は、確かに私自身もこの問題は重大な問題である。青少年を非行から守る七月の月間もございます。各関係省庁と私は具体的に打ち合わせをいたしまして、できるだけこの問題に対して真剣に取り組み、行動に移してまいりたい、こういう考えでございます。
 以上です。
#241
○中野(寛)委員 法規制についても含めてお考えになるということですか。御検討されるということですか。たとえばポルノを取り締まるということを私が言っておるのではないわけです。結局、発達途上にある子供たちを、このような生活環境を是正し、守っていくために、もっと、たとえば広告だとか店舗のあり方だとか興行の場所のあり方だとか、そういうことも含めて、いかにして子供たちからそれを隔離するのか。そのことを法規制する場合に、たとえば芸術の自由や文化の自由や、そのようなものを制限することにはならない。むしろそのようなけじめというもの、節度というものを持ちながら政府自身が臨んでいかれれば、決してそれは非民主的だとか反動だとか言われないはずです。そういう立場での御見解を私はお聞きしたいと言っておるわけです。
#242
○田邉国務大臣 この問題につきましては、御指摘のように、法規制の問題、いろいろあると思います。その問題もあわせて慎重に、しかも、これに対して積極的に取り組んでまいる考えであります。
#243
○中野(寛)委員 政府の答弁に慎重にと出てきたらやらないという意味だと思えと先輩議員に言われたことがありますが、その後で積極的にというお言葉が出てまいりまして、私たちはどっちを受けとめたらいいのかわかりません。しかし、積極的にの方が大臣のお言葉の語調が強かったようでございますから、そのことに期待をしたいと思います。
 時間のこともあるようですから、総務長官に対する質問は以上で終わりたいと思います。
 続きまして、質問を続けます。
 私は、青少年非行の実態から考えますと、やはり親の教育も必要です。いま私自身も子供の親として考えるときに、核家族時代、若いお父さん、お母さんが子供をどう教育していいのかわからない、そういうことからもっと親の教育というものに力を入れてほしいと、この数年来訴え続けました。そして、若いお父さん、お母さんたちのための教室を文部省としておつくりになったことも、評価をしたいと思います。しかし、もっともっとそういうものを一般化させていく。昨年も申し上げましたけれども、たとえば母子手帳を必ず新しいお母さんになる方はもらいに行くわけです。一日その人たちの時間をとって、カウンセリングの方々やいろいろな方々に参加していただいて、子供の教育のあり方、育児のあり方、そのようなことについてやはり討論、御本人たちの討論も含めてやっていくというシステム、そのようなものに発展させていかなければいけないと思います。
 同時にまた、学校の問題として、もっともっと学校の先生、しっかりしてください。言うならば、先生が教育の最大のプロですよ。私は、やはりそのことを申し上げないわけにはいきません。しかし、特定の先生が、一人か二人の先生ががんばってみても、あとの先生が足を引っ張る。校長先生は多数派の方の顔色をうかがって、何も手出しをしない、そういう事態があることも事実であります。
 私は、警察関係のお尋ねの最後として、今日までの警察としての補導等の体験上から、いま何が欠けているのか、そして警察としていまどういうことをやろうとしているのか。そのためには家庭の協力や学校の協力やいろいろなものが必要でしょう。そのことについて端的に、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
#244
○谷口政府委員 激増する少年非行に警察としてのいろいろな対策があると思いますけれども、当面三つの点に重点を置いてやっています。
 第一には、非行の総量抑制対策ということでございまして、これはいわゆる遊び型非行の未然防止を図りたい。それから第二は、校内暴力だとかあるいは暴走族などの暴力非行対策を進めていく。第三には、有害環境を浄化していく。ポルノ雑誌等もありますし、あるいはいかがわしい風俗営業なんかありますから、そういった面を関係機関、団体あるいは地域の人々と連絡をとりながら浄化してまいりたい。この三つが当面の重点項目でございます。
 ただ、こういった点につきまして私どもなりに努力はしておりますけれども、何と申しましても、警察のやることは対症療法的なものでございます。検挙、補導ということでございますけれども、やはりそういった増加する少年非行の背景というものは、すでに御指摘がいろいろありました家庭あるいは学校、地域社会にそれぞれひそんでいるいろいろな要因が絡み合っている、こう思うのでございます。そこで、やはりそれぞれの立場の方々が自分たちの問題として受けとめて、そして協力して幅広い国民運動を展開していただきたいというような感じがいたします。警察としては少年非行の実態、問題点というのを、具体的な事例を通じましてよくわかっておるわけでございますから、そういった点で関係の機関、団体、そういったところに提示しまして、実情はこうなんですよ、こういったところに問題があるんですよというような広い意味の啓発活動、そして全体としてはやはり広い意味の国民運動を展開していただきたい、そういうことを痛感しておる次第でございます。
    〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕
#245
○中野(寛)委員 それでは、文部省へ学校の問題についてお聞きをしていきたいと思います。
 青少年非行、そして校内暴力の原因につきましては、家庭の条件や社会条件があることは先ほど来指摘もいたしました。学校のことになりますと、このような指摘がなされております。学校の先生のやる気のなさ、二番目に、勉強中心過ぎる、三番目に、また先生のことですが、事なかれ主義である。
 私の聞いた事例にこういう実態があります。ある先生が、ペーパー試験で教頭先生としての採用の道が開かれていく現在のシステムの中で、子供たちが暴れていようとどうしていようと関係ない、時間になりますといそいそと帰って、そのペーパー試験の準備のために勉強するわけであります。そして、父兄や生徒たちからは、あの先生は一体何を考えているんだと、事なかれ主義と出世主義の典型の事例であります。
 このような実態の中で、先般わが党の塚本書記長が山谷の蓬莱中学校のことについて触れました。あの先生方は朝七時から夜九時まで当番を決めて子供たちの相談相手になったり、クラブ活動の指導をしたりしているわけです。念のために申し上げておきますが、私は日教組批判をしようとは思わない。あの蓬莱中学の先生方もれっきとした日教組の組合員の先生方であります。しかし、ところによって、組合の方針だといっていろいろと言いわけされる先生方がいらっしゃることも事実であります。私は、そういう事態の中で、教育委員会や文部省のしっかりとした信念に基づいた指導というものが、干渉ではない指導というものがあってしかるべきではないかと思います。
 そこで、教育委員会の最近の実態を示すものとして幾つかの文書を挙げたいと思います。
 これは大阪府寝屋川市の「教育・教育行政及び学校運営等に関する確認書」という教育委員会と教職員組合が取り交わした確認書です。大臣に差し上げます。
 その最初の文書にこう書かれています。「教育行政は、憲法・教育基本法の民主的理念と地方自治の精神に基いて行われるものである。この理念・精神に反し、あるいは寝屋川の実情にいちじるしくそぐわない「法・条例・規則」等があれば、主体的に判断し対処していく。」すなわち、自分たちが判断をして守らないこともあるということであります。
 二番目に、「国家権力も、教育基本法第十条で規定する「不当な支配」の主体となり得る。教育委員会は、「不当な支配」から教育を守る防波堤とならなければならない。」云々の言葉がずっと続くわけであります。これは昨年十月一日に結ばれた確認書であります。
 そして、これに付随する書類として覚書が締結をされています。これは三枚目の最初の上から五、六行目であります。「第五項 教頭任用(指導主事も準ずる)に関しては、公募制・経験年数・教育基本法を遵守する民主的人物(組合員)であることを前提とし、事前協議のあり方・内容等については、別途確認事項とする。」すなわち、組合に入っていなければ教頭先生にはなれないわけであります。これは人事権が明らかに組合によって壟断されていると言っても過言ではない事例のはずであります。
 そして、もう一つここに北海道の道教育委員会教育長と教職員組合委員長との「超勤協定書」というのがあります。
 この中に、「通常の勤務日において、教職員が授業の準備、整理、研修および生活指導に関する業務を行なう場合は、勤務時間内であっても校長の承認を得て学校外においても処理することができる。」自宅において授業の準備、整理、研修その他何をしておってもいいということになります。「この場合、承認にあたっては、校長の恣意にわたらぬよう十分指導し、その徹底をはかる。」ということが書かれてあります。
 あわせて、二番目には「長期休業日の勤務の扱いは次のとおりとする。」とあって、その三番目に、「帰省の場合は自宅研修扱いとし、年休届は必要ないものとする。」一と書かれてあります。
 その他、学校の先生が時間外勤務を命ぜられる例外的な規定としていろいろ書かれておりますが、文部省が昭和四十六年七月九日に次官通達をお出しになった給与等に関する特別措置法の施行についての説明書きの中、生徒の非行防止に関する児童生徒の指導に関し、緊急の措置を必要とする業務は、緊急に時間外勤務を命ずる場合としてあり得ることが記載されておりますが、北海道のこの協定書にはその部分だけなぜか外されております。
 これを評してある方は、この協定がこのまま実行されたら、研修という名目をつけたら校長にはどこそこに行くと告げてどこにでも行けることになる。帰宅して昼寝もできるし、お墓参りも海外旅行も皆研修ということになり、校長の恣意を許さぬというのであるから、校長は一切を拒むことができない、フリーパスを発行したと同様であると言う方がいらっしゃいます。
 このような事態の中で、果たしてだれが責任を持って教育の、または学校の管理をし、指導ができるのでしょうか。これらの協定書や覚書について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#246
○小川国務大臣 初めに、見せていただきましたこの寝屋川の協定でございますが、教職員の人事権の行政は、都道府県教育委員会がみずからの責任と権限において行うべきものでございます。いわゆる管理運営事項でございますから、これは地方公務員法の五十五条三項がこの種のことについて交渉してはならないと明文の規定で定めておりますので、まして協定を結ぶ等のことは違法の行為でございます。かような協定は直ちに破棄されるべきものだと考えております。
 北海道のことにつきましては、担当者からお答えを……。
#247
○三角政府委員 公立学校の教員は、教育公務員特例法二十条二項に基づきまして、授業に支障のない限り、校長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる、こういうふうになっておりますけれども、これは教員の職務の特殊性にかんがみまして、真に必要な研修の機会を確保するという観点から設けられているものでございます。
 通常の勤務日における御指摘のような自宅研修の承認に当たりましては、特に校長は校務に支障を生ずるか否かを適切に判断する、こういう必要がございますが、ただいまのような協定がございますと、その校長の判断といいますか承認というものが、いわば有名無実ないし形式的、自動的なものになるということでありますると、当然それは校長の裁量権というものを阻害するわけでございまして、その結果として勤務にけじめがなくなるというようなおそれがございます。そういうことでありますと、せっかく設けられました勤務日における研修という制度の趣旨に反することになる、こういうふうに思う次第でございます。
 それから、もう一つ御指摘の長期休業日における研修の関係でございますが、これは、運用上の配慮が加えられるということは個々具体のケースでは考えられましても、これを原則的に研修日として取り扱うというようなことは、学校運営上適切ではないというふうに考える次第でございます。
 それから、もう一点の公立学校の教員に対しまして時間外勤務を命ずることのできる事項、これは国立の場合を基準として各都道府県が条例で定める、こういうことになっておりますが、北海道の場合は御指摘の協定書があってのこととも思われますが、条例の規定及び施行通知の内容が文部省の指導と異なっているところがございます。生徒指導に関する緊急の業務というものが含まれておりません。したがいまして、御指摘のように、非行問題等につきまして緊急に対処するということが困難な場合も考えられますので、この運用の実態につきまして北海道教育委員会から事情を聴取したい、こういうふうに考えております。
#248
○中野(寛)委員 これらの出来事はこの二つの事例に限らないと思います。私は、全国的にその実態を調査をし、そして、そのような非行対策に対して常に即刻対応ができるその制度、その体制、そしてまた、その教員の資質の向上、このようなものに努めていくということが文部省にとっては緊急の課題であると思います。現実に非行の実態、そして、その理由等々についての資料をいただこうと思っても、文部省のものが出てこないで、警察庁のものが出てくるというのが実態であります。私は、文部省こそは――どこの町にも学校の先生がいるわけです。そして、教育のプロなんです。学校の先生がリーダーシップを握らずして教育の問題が解決されるはずがない、私はそう思います。
 そこでもう一点、そのような指導的な立場にある先生方と教育委員会の関係でこういう報道がなされました。岩手県教職員組合と同県の高校教職員組合が、四十八年春闘ストライキに伴う昇給延伸処分復元に絡んで、自民党県連の要望に沿って組合運動を自粛する趣旨の念書を同県教育委員会に出していたことが十三日明らかになった。そして、その条件とは、「教育正常化を求めて(1)新教育課程の円滑な実施を図る(2)教育的観点に立って教員の四週五休制問題に対処する」、これは、四週五休制の問題について余り強く要求はしないということが暗に含まれていると読み取れます。「(3)円滑な学校運営推進のため、主任手当問題の解決を図る」すなわち主任手当の問題について大騒ぎしないということであります。四番目、「不服申し立てにかかる係争の解決に努める」というのは、このスト処分のことに関連する不服申し立てについて、その申し立てをおろすということであります。そうすることによって、このスト処分によって三カ月ごとの昇給を一回分おくらせる処分をもとに戻すということであって、そして、これについては約二億円がかかる、それを昨年暮れの県議会で県職員らの給与改定費三十六億円の中に含ませていたというものであります。
 結局、裏取引であります。関係者は、それを守るというメモがあったが、それは廃棄処分にしたとか、いろいろ言いわけをされている実態があります。しかし、この二億円は、県費が出されるだけではありません。その半額は国のお金が出されるはずであります。文部省はこれらの実態をどう考えており、そして、そのお金を支出する御意思があるのかどうかをお聞きしたいと思います。
#249
○三角政府委員 御指摘のようないわゆる和解、これを行いますことは、公務員秩序を乱しますとともに、そもそも、いたしましたところの懲戒処分自体の妥当性を疑わせる、こういうものでございますから、本来きわめて遺憾なことでございまして、文部省としては、従来からそういった和解を行うことのないよう各都道府県に対して指導しておるところでございますが、岩手県に対しましても、今回の事柄につきまして個別に目下強く指導を重ねておるところでございます。
#250
○中野(寛)委員 指導を重ねているということはどういうことですか。私は、このお金を出すのですか、出さないのですかと聞いているわけであります。
 それから、さっき寝屋川市のケースの場合、文部大臣が、このようなものは法律違反であって破棄されるべきだとおっしゃったが、破棄させるのですかどうですか、そのことをあわせてお聞きします。
#251
○小川国務大臣 寝屋川の問題に対しましては、これは法律に違反する協定でございますから、これを破棄するように教育委員会を指導いたすつもりであります。
#252
○三角政府委員 私ども、岩手県に対しましては、先ほど申し上げました趣旨からして和解は行ってはならない、こういう指導をしておるわけでございます。
#253
○中野(寛)委員 それでは、一億円を出す意思はない、こういうことです。そのような文部省の明確な姿勢というものを聞いて、私は幾らか安心はいたしました。今日まで、このような問題が起こったときに、文部省の態度というのはきわめて優柔不断な姿勢があった。もちろん、そのことがタカ派だとかなんとかというふうな批判が他の問題で指摘されることがありますけれども、けじめをつけることとタカ派であることとは全く別の問題のはずであります。平和を守るためにけじめをつけることは、それはむしろハト派であるはずであります。そのような姿勢を私は堅持していただきたいと思いますが、そういう文部省の姿勢というものが果たして現場においてどれだけ徹底しているかの問題があります。
 たとえば、教頭の問題について、ペーパー試験によって任用を決めていくという問題も残されています。私はそれも一つの方法だと思います。だれかの特別の恣意が入らないという意味ではいいことです。しかし、そのことだけにとらわれていくと、今度はいわゆるガリ勉型の先生ができて、生徒の指導はおざなりということになってまいります。教育委員会の主体性、そして学校の校長、教頭の主体性、そういうものがしっかりと守られて初めて非行対策、校内暴力対策もできるという観点に立つと、これらのことについて文部省がしかとした姿勢を保ちながら今後とも指導していっていただく、このことが大切だと私は思います。これらのことについて、私は、今後とも大いなる決意を持って臨まれるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
 なお、教頭の任用に当たっては、端的にはペーパー試験だけではなくて、その先生のやる気の度合い、そして校内におけるリーダーシップの度合い、そういうことをもっとしっかりと把握をし、そして、そのことによって任用が決められるという姿勢を持ってほしいということであります。教員の資質向上、そして、やる気のある先生が報われる人事体制の確立、これには勤務評定の厳格的な実施や――これはもうほとんど崩されてしまっています。研修の報告書の提出の義務づけや都道府県教委の人事権の確立等々が必要です。また、中高の一貫教育の実現ももうそろそろ中教審に諮問をなさってもいいころではないかという気がいたしますし、それらの問題について、私は文部省のしかとした御意見をお聞きしたいと思います。
#254
○三角政府委員 先ほどの私からの御答弁に関しまして誤解があるといけませんので、ちょっと補足をさせていただきますが、現在の義務教育費国庫負担の制度からいたしますと、任命権者であります都道府県の教育委員会の処置の仕方によりましては、制度の仕組みとして、給与費が国庫から負担を自動的にと申しますか、制度上負担をするという結果になるわけでございます。そういうこともございますので、私どもは、先ほど申し上げましたように、和解はこれを行わないようにということで強く指導しておる、そういう次第でございます。
#255
○小川国務大臣 教頭への昇任は、先ほども申しましたとおり、任命権者である都道府県教育委員会がみずからの権限、責任において行うべきものであること、これは申すまでもございません。試験に際しましては、筆記試験のほかに面接試験も行っておりますが、その際、教職員としての強い使命感を持っておるかどうか、あわせて、管理運営の能力を十分備えているか等についても十分審査することになっております。
#256
○中野(寛)委員 時間が参りましたから、以上で私の質問は終わりたいと思いますが、私は、文部省のしっかりした指導の決意、そのことが日本の教育を立て直し、そしてまた青少年の非行を防止していくことにつながるその起点にあるのだということを御認識いただき、今後ともの御努力をお願いしたいと思います。
 なお、私自身も大阪空港の近くに住んでおりまして、空港問題についてお聞きをしたいわけでありますが、より一層詳しい西村委員の方から空港問題についてお尋ねをいたします。
 私の質問は終わります。
#257
○江藤委員長代理 この際、西村章三君より関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村章三君。
#258
○西村委員 限られた時間でございますので、関西新国際空港問題につきまして、中でも当面する諸問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 昭和四十九年に航空審議会の答申が出されまして以来今日まで、いろんな経緯をたどりながら参ったわけでございますが、新空港の建設地につきましては、すでに先日の当委員会におきましても総理あるいは運輸大臣からそれぞれ明確にされましたように、泉州沖ということでほぼ確定をいたしております。泉州沖五キロの海上空港でありますが、この空港は環境上の制約が非常に少ない、また本格的な二十四時間使用可能の空港といたしまして、今日その検討が続けられておるわけでございますが、特に昨年五月からは、国と地元と三府県、この間で運輸省案を中心にいたしましていわゆる予備協議というものが重ねられております。
    〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕
地元におきましても、大阪府を初め、地元中の地元と言われる泉州の八市五町などの地方公共団体はもちろんでありますが、経済界、産業界、また労働界等も含めまして幅広い取り組みの中で真剣にこの問題が検討されております。日に日に地元の機運も盛り上がりつつあるわけでございます。昨日、大阪府の第二次の質問に対する回答がなされまして、これによりましても大きく前進をしたと思っておるのであります。
 そこで、新空港の当面する諸問題、具体的にお尋ねをするのでありますが、空港計画につきましての来年度の予算は、いわゆる一般調査費ということで三十二億円が計上されております。過年度の調査費と合計いたしますと、およそ百四十億円の調査費が今日まで投入をされてまいりました。この三十二億円の五十七年度予算を執行することによりまして、調査は計画全体のどの辺まで進捗をするのか、調査計画全体の何%ぐらいまでこれが終了するのか、まずお答えをちょうだいしたいと思います。
#259
○山本(長)政府委員 お答え申し上げます。
 百億円を超える調査費が五十二年度以来使われてまいりました。御質問のとおり、来年度は予算として御審議いただいておりますのが三十二億円でございますが、調査といたしましては、来年度の調査費をそのとおり執行できますと、調査の基本的な面についての調査はほぼ終わると申しますか、準備ができる、こういったふうに考えておるところであります。
#260
○西村委員 そういたしますと、残される調査というものはほとんどもうない、事前の調査はほとんど完了する、こう認識してよろしゅうございますか。
#261
○山本(長)政府委員 それですぐに工事が始められるような状態とは申し上げかねると思いますけれども、基本的な設計等に入れると思います。ただ、調査というものはより調査を深めますことによって計画の精度が高まってくる、こういう面がございますので、十分であるというふうには申し上げかねますけれども、基本的には先ほど申し上げたとおりでございます。
#262
○西村委員 大臣にお尋ねをいたしますが、この調査と関連をいたしまして、総理は一月十六日、大阪で発言をされておりますし、また、去る二月五日の当委員会の中におきましても御発言をなすっておられまして、いわゆる調査完了時点で関係閣僚協議会というものを設置する方向で検討していきたい、話し合いに入っていきたい、こう明言をされているわけであります。この調査という意味は、いま次長から答弁がございましたけれども、具体的にいま次長が答弁をしたその調査というものを想定して発言をされたのか、それは大臣としてどのように受けとめておられますか。
#263
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。
 関西新空港につきましては、われわれの立場から申しますと、これは一刻も早く完成をしたい、非常に熱意を持っておるわけでございます。また、今回御審議をいただいている予算が通りますれば、先ほど航空局次長が御答弁を申し上げたように、基本的な調査はあらまし済むであろう。われわれはこの間並行的に地元との折衝、そしてまた現在は大蔵事務当局と運輸事務当局の間で採算性その他の問題についての話し合いをいたしておりますが、私はこうした話し合いがある程度進み、さらに地元の各町村が運輸省から提示いたしました条件、こうしたものに対して同意をし、さらに積極的な協力をするというような雰囲気が出てまいりましたときには、できるだけ早く関係閣僚会議を要請いたしまして、そして大阪新国際空港の出発と申しますか、それに進んでまいりたいというふうに思っております。
 先般の総理の御発言でございますが、総理はその点やや、来年度の調査が終了後ということを申し上げましたが、これに対しましては、私は客観情勢が成熟するならば十分関係閣僚会議の招集をお願いする、できるというつもりでおります。
#264
○西村委員 大臣の御見解と総理の発言の内容とは若干食い違いがあるようでございます。大臣の方は大蔵省との話し合いがつけばできるだけ早く関係閣僚協議会を設置をして話し合いを求めていく、また地元協議が煮詰まり次第設置に努力する、こういう表現をとっておられます。総理の発言の受けとめ方につきましては、客観的な情勢が熟せば、こういう発言でありますけれども、いわゆる政府の成案を示す時点におきましては、その段階では当然各省庁の合意というものが得られておらなければならぬわけです。そうすると、先ほどから一貫しておっしゃっておられることを関連づけてまいりますと、いわゆる関係閣僚協議会の設置はいわゆる予備協議が終了した時点だ、かように受けとめてよろしゅうございますか。
#265
○小坂国務大臣 現状におきましてはなお地元との協議が一部進んでおらないところもあるようでございますし、こうしたことから予測はできませんけれども、ただいま私が御答弁申し上げたように客観情勢と申しますか、そうしたものがわれわれから見て熟したという段階で協議会を開催することを要請したいと思っております。
#266
○西村委員 これはまた後ほど関連して予備協議の関係でお尋ねをしたいと思うのでありまして、先に進めてまいりますが、新空港の予算折衝の中で運輸大臣が提案をされまして、大蔵大臣がこれを了承するという形の中で運輸、大蔵両省の省庁間の新空港計画についての具体的な協議に本年一月から入ることがすでに合意確認をされたようでございます。もうすでに開始をされているようでありまして、従来新空港につきましては非常にガードのかたかった大蔵省が理解を示していただくということは、われわれとしても大いに歓迎をするところでございます。ただ、この協議につきまして大臣は、新空港建設着工のための基盤づくりと位置づけだ、着工へのめどがつくことを期待している、かように述べておられるのでありますが、この両省間の協議の具体的な協議内容あるいは検討項目、こういうものはもうすでに決まっておるのですか。
#267
○山本(長)政府委員 両省間では従来から話し合いを進めてきておるわけでございますけれども、なお調整すべき問題について本年当初から具体的に協議をする、こういうことになっておるわけでございますが、現在両省間でこのテーマについてということではっきりと文書に書いたようなものはございませんけれども、両省間で現在話し合いを進めておりますのは主として将来の航空の需要予測、採算性等の問題でございます。
#268
○西村委員 協議というものは一つのめどを置かなければならぬわけでございますが、この協議はどれくらいのベースでいつごろまでにほぼ結論といいますか、大まかなめどをつけようとしておるのか。これは話し合いですからあれなんですが、運輸省の方の姿勢を説明をしていただきたいと思うのです。
#269
○山本(長)政府委員 意見の調整でございますので、運輸省からいつまでというふうな期限を申し上げられる性格のものではございません。運輸省といたしましては関西国際空港の建設の必要性、緊要性という観点からできるだけ早く取りまとめていきたいという考え方でございます。
#270
○西村委員 五十八年度の予算の概算要求時点くらいまでに、ほぼといいますか、大方のめどはつけられませんでしょうか。
#271
○山本(長)政府委員 現時点でつけられるというふうに申し上げかねるわけでございますけれども、一つの目安の時期であろうというふうに私どもは考えております。
#272
○西村委員 いま申し上げましたように、意見調整、協議といいますものはお互いの理解ということが前提になるわけであります。相手方があることですからそれなりに歩み寄りも必要であろうかと思いますが、そして一致点を見出していく、こういう態度が必要なのであります。その過程の中で私どもが一番懸念をいたしますのは、計画の前進を急ぐ余り計画の大幅な修正といいますか、空港能力等につきましても航空審の答申が曲げられる、そういうことを非常に恐れておるのであります。たとえば空港機能の能力あるいは規模、これが非常に縮小されるとか、また現在答申では海岸線からおよそ五キロ沖合いだ、こういうことが明確にされているわけですが、この設置位置の距離が短縮をされるとか、いわゆる審議会答申の基本部分、骨格部分というものが変更あるいは修正、これがあり得るのかあり得ないのか、運輸省の態度についてお尋ねをしたいと思います。
#273
○小坂国務大臣 現時点におきましては、基本部分の変更はない、また、ないように努力したいということを私は申し上げておきたいと思います。
#274
○西村委員 かつて成田の経験にかんがみまして、私どもはこの点を非常に心配をいたすわけでございます。もし仮にあり得るという場合には、これはもう審議会答申を否定するものにつながりますし、また現在進められておりますいわゆる予備協議、この大前提というものが崩れてしまうわけであります。早期着工のための計画の修正に応じるのか、あるいは若干着工時期がおくれても基本計画を忠実に尊重していくのか、どちらをとられるのか、大臣のお答えでほぼわかっておりますが、再度確認をさせていただきたいと思います。
#275
○小坂国務大臣 日本においての最も世界的な空港としての新国際空港を私は考えておりますので、答申の線はぜひ実現していくという方針は曲げないつもりでおります。
#276
○西村委員 それでは、次に進みまして、今後の進め方についてお尋ねをいたします。
 現在予備協議が続けられておりますということは、われわれは民主的な手続として、地元としては評価をし、歓迎をしておるのですが、今後の進め方を一体どうしていくのか、現在予備協議を進行中でございますが、どのような手順、スケジュールというものを考えておられるのか、この辺をまず明らかにしてください。
#277
○山本(長)政府委員 現在関係の三府県との意見交換を行っておりまして、三府県それぞれ実情がございますけれども、その実情に応じて熱心な検討が行われておる段階であり、各府県において意見が取りまとめられたという段階ではございません。そういった段階であり、かつ地元の合意の形成を図った上でプロジェクトというものは進めなければならないという観点から、運輸省としてはいつまでというふうな期限を設けることは適当でないということで期限を設けておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、プロジェクト自身は急ぐべきプロジェクトであるという認識をしておりますので、運輸省としてはできるだけ早く意見を取りまとめていただきたい、こういうふうな要請はしておる段階でございます。
 現在の協議と申し上げますのは、運輸省が五十五年度までの調査というものに基づきまして取りまとめた計画でございます。この計画について府県との協議を進め、かつ財政当局を初めとする各省庁との意見交換、調整というものを通じましてよりよいベターな計画というものを運輸省として最終的につくってまいりたいと考えておる次第でございまして、急ぎたいとは思っておりますが、現在はその過程でございます。そういった合意形成が進み、調整がなりました段階におきましては、そこでの運輸省としての最終案につきまして御意見を聞く、こういうふうになっていくとわれわれは考えておる次第でございます。
#278
○西村委員 地元と国との間ではおよそ一年ぐらいのめどで予備協議をやろうではないか、こういうことが暗黙の了解としてあったように思うのであります。そうすると、ことしの五月ないし六月あたりということになるわけでございます。必ずしも結論を急ぐことがいいということではございません。ただ、予備協議と正式協議との関連、これは非常に大事なところでございまして、予備協議をどのように集約するのか、そして正式協議へどういう手続で持っていくのか、この辺のプロセスをはっきりさせていただきたい。
#279
○山本(長)政府委員 現在は運輸省の案ということで協議を申し上げ、意見の交換をしていこうというものでございます。ファイナルな計画の決定に先立ちまして、やはり三府県とも最終的な合意と言いますか、そういうふうな形にしていく必要があろうと思いますけれども、その次の段階の、現在進めております協議の次の段階の協議というものにつきましては、現在進めております合意形成の過程を見ながら考えたいと考えておりますけれども、具体的にどういう形にするかにつきましては現段階ではっきりした形というものを確定をしておるわけではございません。合意形成の過程を見ながらその方法について考えてまいりたいと思っております。
#280
○西村委員 この予備協議を通じておよそ三府県の合意といいますか、こういうものを求めていきたいというお考えでございますか。いま言われたことはそういうことですか。
#281
○山本(長)政府委員 現在進めております協議の性格は、三府県にこの空港計画等をお示しする際にはっきりと申し上げておるわけでございますが、提示いたします段階における運輸省としてこれがいい案であるということでございますが、運輸省としての案である。三府県のこれについての御疑問点も承り、それに答えましょう、また計画についての意見があればお答えいたしましょうという協議でございますが、同時に運輸省独自に調査もいたします、それから関係政府部内における調整も進めます、そして、そういった合意形成を通じて最終的な運輸省案を固めてまいります、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、現在の性格はそういうものでございます。
#282
○西村委員 正式協議に至る最終的な合意形成をしていくということは、この予備協議の中でほぼめどをつけなければこれはでき得ないわけなんです。その辺をどうするのだ。いわゆる予備協議ではっきり方向性といいますか、出ないまでもある程度のめどというものをつけるのかどうか、その辺を聞いておるのです。
#283
○小坂国務大臣 回りくどい説明でおわかりにくかったと思うのでありますが、要するに私らの考えは、関連を持つ三自治体、三府県の合意というものが、大阪新国際空港をつくることについての基本的な合意をまず得ることであって、それに対して質問と申しますか、こちらの案に対する御意見をいま承っておるところでございますが、なかなか出そろわないという点もございまして、さらにそれが促進されて三府県ともびしっとそろうということから本格的にさらに話を進めていきたいというふうに思っております。
#284
○西村委員 めどをつけるということですか。
#285
○小坂国務大臣 そうです。
#286
○西村委員 いま大臣から、これはめどをつけることかということを申し上げましたら、そうだというお答えがございました。
 きょうは、幸い前大臣の塩川先生もおいでなんでございますが、予備協議も、もちろんこれはそれなりの一定のところまで達しなければ予備協議の意味がないわけなんですけれども、前大臣はこうおっしゃっておるのですね。「原案は運輸省としてはこういう案を持っておるのだが、これはどうだろうか、」「これだけの協議事項で、あるいはまた項目で協議をするという、そういうことの項目が決まってまいりましたら、それを政府に、運輸省から政府全体の計画として持ち込んでいって、そうして政府で決定したものを改めて正式に地元へ出しまして、そこで正式の合意を得る、」このように前大臣はおっしゃっておられるわけであります。いま小坂大臣もおっしゃっていましたように、われわれとしては、この予備協議の性格というのは疑問点の解消でありますとかあるいは問題点の整理でありますとか、各般にわたる調整であるとか、かようなことであって、必ずしもその方向性といいますか、合意を与えたということにつながらないものだ、かように理解をしておったのでございますが、いかがでございましょうか。
#287
○小坂国務大臣 私は、塩川前大臣の申されたことでいいのだと思っております。
#288
○西村委員 三府県の同意の内容なんですが、これと関連をいたしまして最近の国の言動を見ておりますと、どうも新空港の設置につきましては、まず地元の三府県でその腹を固めてこい、それから国が方針を決めるんだ、このように受けとめられて仕方がないわけであります。これは航空審議会の答申、ここに資料を持っておりますが、航空審答申の説明資料の「むすび」で、政府が「強力かつ積極的に、行動することを期待する。政府が計画を決定するのは、地域社会との合意が成ったときである。」こう明記をされているわけであります。また、五十一年九月の六項目の調査の実施方針、これにつきましても「関西国際空港の計画は、関係府県の合意を得て決定する。」このようにうたわれておるわけでございまして、そういう観点から考えてまいりますと、今日いわゆるこの予備協議の中でほぼ合意形成を得るというのですか、あるいはまず地元が腹を固めてこいと言うこと自体逆転した発想だと思うのであります。これは、泉州が請願をしたというのではなしに、むしろ国家の存立にかかわる問題として緊急に必要だ、こういう観点からこのプロジェクトが始まったわけでありますから、まず地元の意見を十分に聞くという態度が必要だと思うのであります。いかがでございましょう。
#289
○小坂国務大臣 私もそうした考え方でございます。それで、いま関連の府県の御意向を十分承るということで進めておるつもりであります。
#290
○西村委員 できるだけ予備協議を通じて十二分に意思の疎通を図っていただいて、そして予備協議の動向の中からほぼ見当をつけた上で、政府案を一日も早く決定をして最終的な同意を求めていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。
 それから、それに関連をいたしまして地域整備構想でございますが、これも地元の大阪府におきましても、あるいは他の二県におきましても、また空港設置地元の泉佐野、泉南、田尻町、これらにつきましても、同様の地域整備構想というものをすでに計画作成をいたしております。問題はこれら地方公共団体が策定をした地域計画でございますね。その実現の方策をどうするのか、政府はどのような支援体制を与えるのか、さらには実現するための協力体制をとるのか、これが一番大事でございます。運輸大臣の率直な考え方を聞かしていただきたいと思います。
#291
○小坂国務大臣 もちろん地域からのいろいろな整備構想が全部出そろわなくてはわれわれも検討の方法がないわけでございますが、恐らくこれも今年の中ごろか、いや後半になるかもしれませんが、いろいろと案が出てまいるであろうということを期待しております。したがいまして、その中から地域で負担するもの、あるいはまた特に鉄道とか輸送機関とかいう大型のものや道路、こうしたものについては、国がそれぞれ分担してこれを進めていくということは当然のことではないかと考えております。
#292
○西村委員 現在、地域整備計画につきましては、すでに運輸省案としては二鉄道、三道路ですか、これのみ示されておるわけでございます。財政事情が緊迫をしておる立場からそれなりにわれわれも理解できるわけであります。
 これは特に大蔵大臣に聞いておいていただきたいのでありますが、地元の方は、空港設置と引きかえに何でもかんでもやれ、あるいはそれに便乗してどうしろ、こういうことではないわけでございます。空港ができれば必然的に人口がふえていく。特に今回の計画では、空港の従業員だけでも完成時にはおよそ五万六千人ぐらい、また一日の来港者が、たった一日ですよ、三十三万人という人が想定をされておるわけであります。これだけ人口がふくれ、来港者が多くなってくるということは、いろいろな問題を発生してくるわけであります。ごみあるいは屎尿処理、これは当然のことでありますが、上水道から下水道、さらに教育、医療、ありとあらゆる生活基盤の施設というものが要求をされてまいります。それがすべて地元の自治体負担だ、あるいは市民負担だ、こう言われては困るわけでございまして、その負担をどこまで地元がするのか、あるいは政府にどこまで支援についての認知をしてもらえるのか、このことがポイントだと思うのであります。
 しかも、空港といいますものは、造成の今度の計画だけでも五期にわたる分割されたものであります。きわめて長期にわたるものであります。将来の空港設置に伴ういわゆる町づくりということを考えてまいりますと、非常に長期にわたるものでありますだけに長期的な御支援もお願いしなければならぬということであります。これについては特に大蔵大臣の理解を求めておきたいと思います。そのためには、単に運輸省だけでは取り組みは当然限界があるわけであります。各省庁間の連絡を密にしていただいて関係各省庁で取り組みをしていただく、このことが一番必要だと思うのであります。しかも、それは早急にやっていただいて、正式協議の案が提示をされる時点ではそれらの点もあわせて明確にしていただきたい、このことが大事だと思うのでありますが、大蔵大臣、ちょうどおいでになっていただいておりますので、御返事をいただければありがたいのであります。
#293
○渡辺国務大臣 財政当局といたしましては、大阪空港の将来における必要性はよく理解をいたします。しかしながら、現段階においてそれが採算が合うものかどういうものなのか、それから工法その他についてしっかりしたものであるのかどうか、ヘドロの問題はどうなのか、環境はどうなのかというような基礎的な調査がまだ足りないという点から、調査を継続するということにしていただいたわけでございます。そういうものが終わってから、いま言ったようないろいろな隣接府県、市町村等との関係、こういう問題も出てこようかと存じますが、そこまでまだ頭が行っておりません。
#294
○西村委員 先ほど大蔵大臣がお見えでないときに、この問題についてはいろいろと申し上げたわけであります。幸い本年から運輸省と十分に御協議をしていただくという場ができました。ひとつなるべく早く結論を急いでいただいて、この国家的な緊急要請に位置づけられます空港問題について、ひとつ前向きで取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。
 そこで大臣、一先ほど申し上げました周辺地域整備計画についての運輸省としての考え方をはっきり聞かせていただきたいのです。
#295
○小坂国務大臣 地域整備計画がなければ飛行場だけできてもどうしようもないので、その辺はよく踏まえておるつもりでございます。
 なお、これは財政事情その他いろいろございましょうけれども、われわれの方としましては新国際空港を関西に持つということは非常に大きな国策である、国策という言葉が不適当であれば、最も喫緊な案件であるというふうに考えるわけでございまして、そうした意味においてもまた皆様方の御協力を賜りたいと思っております。そうした問題の処理のためにも、先ほど来御質問ございました関係閣僚会議等もなるべく早く開催できるように事態が進展するように運輸省としては努力をいたしてまいりたいと思います。
#296
○西村委員 時間が参りましたが、最後にお尋ねをいたしたいのは、着工見通しであります。
 今日まで政府の方は、五十七年度中に地元三府県の同意を取りつけた上で予備協議を急ぐということでございまして、できるだけ早く正式協議に持ち込むということでありますが、五十七年度中に地元三府県の同意を取りつける、五十八年度中に事業主体を設立して五十九年をめどに着工しよう、こういう意向を持っておられたわけでありますが、今日の段階でその見通しはどうでございましょう。今後順調に進んだといたしましても、昭和六十五年の開港を目標にしているものが果たしてどういうことになるのか、大臣の見通しを聞きたいと思います。
#297
○小坂国務大臣 当初の計画どおりの竣工と申しますか完成をわれわれは期待をしておりますが、そうした意味においての努力を積み重ねるのにはいささか現時点では事態がおくれているように思います。これは特に、地元と申しては失礼でございますが、端的に申し上げれば三府県の関連がもう一段とスピードアップしてほしい、そのような気持ちでおりますが、完成目標を変えるという意思はいまはございません。
#298
○西村委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、最後に、大蔵省も十分に御理解をいただきまして、運輸省としてはさらに積極的に取り組んでいただくように強く要望いたしまして質問を終わります。
#299
○栗原委員長 これにて中野君、西村君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#300
○栗原委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。
 昭和五十七年度総予算審査のため、五個の分科会を設置することとし、分科会の区分は
 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁及び国土庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会の所管以外の事項
 第二分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管
 第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管
 第四分科会は、総理府(経済企画庁)、農林水産省及び通商産業省所管
 第五分科会は、総理府(国土庁)、運輸省、郵政省及び建設省所管
以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#301
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#302
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 次いで、お諮りいたします。
 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#303
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 次回は、明二十五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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