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#1
第096回国会 科学技術委員会 第4号
昭和五十七年四月十三日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 近藤 鉄雄君
  理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君
   理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君
   理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君
   理事 草川 昭三君 理事 和田 一仁君
      小沢 一郎君    中村喜四郎君
      平沼 赳夫君    武部  文君
      村山 喜一君    吉田 之久君
      瀬崎 博義君    田川 誠一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 一郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     宮本 二郎君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  三井 嗣郎君
        科学技術庁計画
        局長      下邨 昭三君
        科学技術庁研究
        調整局長    加藤 泰丸君
        科学技術庁振興
        局長      原田  稔君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   赤羽 信久君
 委員外の出席者
        外務省国際連合
        局科学課長   林  安秀君
        外務省国際連合
        局原子力課長  金子 熊夫君
        文部省大学局大
        学課長     齋藤 諦淳君
        厚生省医務局総
        務課長     山内 豊徳君
        厚生省保険局医
        療課長     古川 武温君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     植松  敏君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  戸倉  修君
        海上保安庁水路
        部測量課長   佐藤 任弘君
        郵政省電波監理
        局周波数課長  大瀧 泰郎君
        郵政省電波監理
        局宇宙通信企画
        課長      磯野  優君
        自治省税務局府
        県税課長    丸山 高満君
        参  考  人
        (日本原子力船
        研究開発事業団
        専務理事)   倉本 昌昭君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      中島健太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月一日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     瀬崎 博義君
同日
 辞任         補欠選任
  瀬崎 博義君     山原健二郎君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     瀬崎 博義君
同日
 辞任         補欠選任
  瀬崎 博義君     山原健二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○近藤委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する件について、本日、参考人として、日本原子力船研究開発事業団専務理事倉本昌昭君、動力炉・核燃料開発事業団理事中島健太郎君から意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○近藤委員長 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。
#5
○岸田委員 昨今の経済社会情勢を見ておりますと、たとえば安定経済成長への移行、また老齢化社会が次第に成熟しつつあること、さらにまた国際的な経済摩擦の問題等々厳しい環境に置かれているということが言えると思います。こういう中で日本に明るい展望をもたらすもの、日本の将来を切り開くものはやはり科学技術をおいてはない、私はそう確信をしておる次第でございますが、科学技術の役割りについて、大臣どういうふうにお考えになるか、基本的なお考え方をまずお伺いしたいと思います。
#6
○中川国務大臣 御指摘のとおり、高度経済成長から安定成長に変わりまして、過去を振り返り、わが国がこれだけの経済成長を遂げ、世界からむしろうらやまれるような経済力を持ったこの原因はどこにあるか、それは科学技術であった、最近こういうことが強く言われるようになりました。しかし、中身においては、どちらかというと民間主導型といいますか、改良技術、国の先端技術がおくれておったという反省もあります。
 一方、これから経済が厳しくなるにつれて、さてどう生き抜くかねと考えた場合、いろいろあるでありましょうが、やはり科学技術である。特に日本はこれだけの経済力を持ってまいりましたから、防衛力についても責任分担が出てきておりますが、より以上に、平和国家を目指す日本としては、経済協力のほかに技術協力といったような意味で、日本自身の発展のみならず、世界の経済の発展のためにも、日本が科学技術について果たすべき役割りは大きいのではないか、こういう認識が高まったと思っております。
 これは内外について言えることだろうと思います。今度ミッテラン大統領がわが国に参りますが、ミッテラン大統領もそういった方面には非常に関心を持っておられるようでございまして、今度来日を機会に、こういったことについて総理もお話しされるのではないかと思いますし、これを契機として日本とフランスのみならず諸外国、先進国その他の国々とも話し合いを進めて、国際協調を図った上で、より効率的な研究開発を進め、世界、特に開発途上国への経済協力にまさる技術協力というようなことで、南北問題の解決にも大きく貢献していくべきであろう、このように考えておる次第でございます。
#7
○岸田委員 わが国の経済規模は御承知のとおり自由世界第二位である。それから科学技術の面を取り上げてみましても、研究投資額また研究者数、いずれをとりましても世界の一割を占めるということでございまして、アメリカ、ソ連に次ぐ大きな地位を占めるようになってきたわけでございます。ただ、反面考えてみますと、技術貿易の収支の数字を見る限りにおきましては、いまだに輸入超過というものが相当大幅である。外国の導入技術に依存する面も多いということも否めない事実かと思うわけでございます。
 ここで、わが国の科学技術というものが国際的に見てどのような水準にあるのか、また今後の展望はどうか。この点について、これは計画局長でございますか、ひとつお答えいただきたいと思います。
#8
○下邨政府委員 わが国の科学技術の国際水準ということでございますけれども、指標がいろいろございます。研究投資について比較する場合、研究人材について比較する場合、技術貿易について比較する場合等々ございますが、まず、総理府統計で研究投資について見てみますと、五十五年度におきますわが国の研究投資は、官民合わせまして四兆六千八百億円程度ということになっておりまして、世界の約一割を占めております。研究者の数にいたしましても、約三十二万人でございまして、これも世界の約一割でございまして、アメリカ、ソ連に次ぎまして大きな規模を有しております。一九六〇年代の末ごろには約五%程度でございましたので、大きな改善がされているということが言えるかと思います。
 しかしながら、研究費について見ますと、アメリカの約三分の一程度でございます。ソ連の七割程度というようなことでございます。それから研究者の数について見ますと、アメリカの二分の一程度、それからソ連の四分の一程度というようなことになっております。
 それから研究投資を国民所得との比率で見てみますと、現在わが国が二・四二%ということになっております。ここ数年著しい改善を見せておりますけれども、欧米の先進国の中ではアメリカ、西ドイツに比べまして、必ずしもまだ十分なものとは言えない状況でございます。
 それから技術貿易でございますけれども、主要先進国の中では、西ドイツを除きまして全部黒字ということでございます。わが国は大幅な輸入超過でございます。その収支の比率を見ますと、受け取りと支払いとの比率は、近年改善されつつありますけれども、一対四といいますか、〇・二六といいますか、その程度ということになっております。
 今後のことを考えますと、国際貿易摩擦の発生等ますます問題が出てくるわけでございまして、自由世界第二位の経済規模にふさわしい国際的貢献をしていくことが必要でございます。独創性に富んだ自主技術の開発を中心にいたしまして、一層科学技術の振興に努めていきたいと考えております。
#9
○岸田委員 いまのお話から、わが国の科学技術が着実に前進しつつある、特に量的な面では相当の水準までやってきた。もちろん、先はまだまだ長いし遠いわけでございますが、ある程度のところまでやってきたということがうかがえるように思うわけでございます。ただ反面、質の面でいろいろ問題があるんじゃないかという気がいたします。
 特に、わが国の科学技術は、欧米先進国で生み出された発明なり発見なりあるいは先端技術、こういうものを導入し、それを消化吸収して今日の高い技術水準を達成してきた、こういうようによく言われるわけでありまして、みずから創造的といいますか独創的といいますか、こういった技術を生み出すという点においてどうもまだまだ欠けるところがあるのではないか、こういう意見について所感をひとつ伺いたいと思います。
#10
○下邨政府委員 先生御指摘のとおり、わが国におきましては、主として外国の先端的な技術を導入いたしまして、これを消化吸収、改良いたしまして優秀な製品をつくり出すということに重点が置かれてまいりまして、民間の意識調査によりましても、創造的な研究につきましては立ちおくれていると言わざるを得ないと思います。技術面で見ましても、応用技術とか生産技術とか、そういう面では非常にすぐれておりますけれども、革新的、独創的な技術の面ではまだまだ諸外国に比べて十分ではございません。
 基礎研究の水準を示す目安といたしまして、アメリカで調査したものでございますけれども、学術刊行物の引用割合というようなのがございますが、それを見ますと、わが国はアメリカ、イギリス、西ドイツよりも大分少なくなっておりまして、フランス、カナダ並みというようなことで位置づけられておる状況でございます。また、基礎研究の最高水準を示すと思われますノーベル賞の受賞状況を見ますと、同賞創設以来の自然科学部門の受賞者、約三百五十人程度おられますけれども、わが国の受賞者は先日の福井謙一先生を含めまして四人にすぎないというような状況でございます。この点では一%程度というようなことになろうかと思います。
 そういうことで、質的な面で見ますと、まだまだわが国は欧米先進国に比べまして十分ではないと言えるかと思います。
#11
○岸田委員 いまお話のありました創造的技術の開発、この問題につきましては、後ほどまた少し別にいろいろお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣が冒頭でお触れになりました国際的な協力関係の拡充、この問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。
 いまも話に出ましたように、欧米の方はどちらかといいますと基礎的な科学においてすぐれた業績を持っておるわけでございます。これに対してわが国は、生産技術を中心として組織的に商品を生み出す、こういった点においてはほかの追随を許さない力を持っておる。できることならば、この二つが力を合わせることによって大きな技術成果を期待し得るのではないか、こういうような気がいたしますし、そのことは世界経済にも大変な貢献をし得るものではないかと考えるわけでございます。
 大臣は、こういった先進国間の問題に加えまして、発展途上国との経済協力問題にもお触れになりましたが、それらの問題を含めまして、わが国の科学技術分野における国際協力の現状と今後の発展の方向をひとつお答えをいただきたいと思います。
#12
○中川国務大臣 御指摘のとおりでございまして、どちらかというとわが国は改良技術あるいは生産技術と言われる分野において突出をしておる。欧米先進国では先端技術、基礎技術、こういった分野で進んでおる。この組み合わせが必要であるということについては全くそのとおりだと思いますが、わが国でも先端技術として、たとえば核融合であるとかあるいはまた遺伝子組みかえ、ライフサイエンス等についてわが国独特の先端技術もありますので、そういった分野での協力関係も必要だと思いますし、さらにはいま御指摘のありました先端、基礎技術の発達している欧米先進諸国とわが国の改良技術、生産技術というものの組み合わせは非常に大事ではないか、こう思って、そういった面でも促進してまいりたいと思っております。
#13
○原田(稔)政府委員 若干事務的な補足をさせていただきたいと思います。
 先生おっしゃいましたとおり、日本の科学技術の特色と、特にアメリカ、ヨーロッパ、先進各国の科学技術の特色、そのドッキングということは、世界的な意味で非常に意味が大きいと思っております。全体的な科学技術の発展という観点からいきますと、一つは競争という点がありますが、競争という点からいいますと、最近は日本もアメリカやヨーロッパ各国とかなりいい線になってきているわけでございます。そういった意味におきましても、先進国との間の科学技術の共同研究といったような協力の地盤ができ上がってきつつあるという状況にあるのではないかという感じを持っております。
 従来から、アメリカやフランスや西ドイツ等々といろいろな科学技術協力協定を締結いたしまして、主として情報交換、人材交流といったような観点からの協力を進めておりますが、今後はむしろいろいろな分野、先端的な分野において本当の意味で共同研究をしていくということが必要ではないかと思っております。そういった観点から、先進国との関係では共同研究の推進といったような、さらに突っ込んだかっこうで共同にお互いに研究していくということを進めてまいりたいと思っております。
 それから、発展途上国との関係でございますが、発展途上国との関係では、御案内のとおり、主として技術移転という点が重点になるかと思いますが、それでもなおかつ、両方の資源の状態ですとかそういった特色をお互いに持ち合いながら共同研究をしていくという面がかなり多いわけでございます。御案内のとおり、インドネシアですとかあるいは中国ですとか、そういった各国との間で、主として東南アジア各国でございますが、東南アジア各国における資源の有効利用といったような観点で、いろいろな意味で共同研究体制ができ上がりつつあるわけでございます。発展途上国との関係におきましても、こういった方向で今後とも一層努力を続けてまいりたいと思っております。
#14
○岸田委員 これまた大臣が触れられたことでございますが、明日、フランスからミッテラン大統領が来日される。科学技術に大変御熱心であるということが新聞でもしばしば報道をされておるわけでございます。伝えられるところによれば、大統領は就任直後に研究技術相を創設された、それから研究費の国内総生産に対する比率、八〇年で一・八%であったものを八五年までに二・五%に上げようというような意欲的な計画を組まれる。これらの例に示されるように、大変科学技術を重視しておられるわけでございます。特に、今回来日されるに当たって筑波学園都市を見学する予定を持っておられるなど、日本との科学技術協力について大変強い関心を持っておられるし、いろいろ希望も持っておられるやに聞いておるわけでございますが、今後の日仏技術協力をどういうふうに進めるのか、ひとつお話を聞かしていただきたいと思います。
#15
○原田(稔)政府委員 御案内のとおり、ミッテラン大統領は明後日来日されるわけでございます。ミッテラン大統領は、御就任以来科学技術を最重点施策の一つとして取り上げてきておられるようでございます。日本に参ります主たる目的も、科学技術の関係が重要な目的であるというぐあいに私どもは聞いております。
 御案内のとおり、フランスとの間では、昭和四十七年に日仏原子力協力協定が締結されております。また、四十九年には日仏科学技術協力協定が締結されております。それぞれの協定に基づきまして、原子力関係あるいはその他のいろいろな広範な分野におきまして情報の交換、あるいは原子力関係の安全性につきましての情報交換、あるいは人材交流といったような点で広い協力が行われております。
 明後日ではございませんので、あした来日されることでございますから、訂正させていただきます。
 従来からの日仏協力は広範な分野ではございますが、主として情報交換、人材交流が中心でございますが、今後は、私どもといたしましては、フランス側とも連携をとりつつ、あるいは国内の関係各省庁とも調整を進めながら、いろいろな先端的な分野で、むしろ共同研究ですとかそういった突っ込んだ形でお互いに協力を進めてまいることが非常に大事ではないか、かように考えております。そういった方向で努力を続けてまいりたいと思っております。
#16
○岸田委員 しっかりお願いいたします。
 それでは、少し各論に入って若干の問題について意見をただしておきたいと思います。
 まず、研究資金の確保の問題でございます。研究を進めていくのに何よりも先立つものはやはり資金の拡充ということになろうかと思います。先ほど来話に出てまいっておりますように、ずいぶん努力に努力を重ねて研究費の増額を図ってまいりました。従来の科学技術会議の答申におきまして、たしか、国民所得に対する比率において当面二・五%を目標にしよう、そしてやがては三%まで持っていきたい、こういったことがうたわれていたかと思うわけでございますが、すでに、当時当面の目標とした二・五%にほぼ近いところまでやってきたわけでございます。これから先、どういう展望を持ってどういう意欲のもとに進めていくのか、今後の目標をひとつお示しをいただきたいと思います。
#17
○下邨政府委員 わが国の研究投資でございますが、先ほど申し上げましたように、五十五年で約四兆六千八百億ということでございます。対国民所得比にいたしますと二・四二%ということになっております。古い話でございますが、昭和三十五年は国民所得比では一・四二%でございました。四十六年度に初めて二%を超えたわけでございますが、その後、少しこの水準で推移をいたしまして、五十四年に二・三%、五十五年に二・四%、最近急に伸びてきておるわけでございます。これは民間の投資が非常に活発であったということでこういうような数字になってきているわけでございます。
 それで、目標でございますけれども、四十六年に第五号答申というのがございましたが、このときには七〇年代のできるだけ早い時期に二・五%にしたいというようなことでございまして、その先三%ということでございました。五十二年に改定されまして、「長期的展望に立った総合的科学技術の基本について」という第六号答申というのが出ておりますが、この答申におきましても、四十六年の見解を引き続いて維持するということで、当面二・五%を目標にして、長期的に三%を目指すことというふうにされておるわけでございます。現在、二・四二%でございますので、まあ七〇年代の早い時期にはできませんでしたが、近く二・五%を達成することも可能かと思いますが、ただ、長期的に見た三%というのはまだまだ道が遠い感じがいたします。官民挙げて、今後より一層その充実に努めていかなければならないことだと考えております。
#18
○岸田委員 そのことをもう一度後で触れたいと思いますが、実はこの研究費の中身を見てすぐ気がつくことでございますが、どうもわが国の研究費というのは民間に依存する割合が非常に高い。研究費の中で政府がどのくらいの割合を持っているのかということを各国の数字を見てみますと、欧米諸国は大体五割程度が官の力によっておる。これに対してわが国は、三割弱の水準にとどまっておるわけでございます。ところが、これから独創的、創造的技術開発を進めていくということになりますと、おのずから研究開発のリスクも非常に大きくなりましょうし、それから相当息の長い研究をやっていかなくちゃならない、資金量も膨大になってくる、こういうことが当然予想されるわけでございます。そうなりますと、民間だけに任してはおけない、やはり政府が持っている力を振りしぼって大型の研究開発に取り組んで、ひとつ独創的な分野を開発しようではないか、こういうことが当然要請されるようになるかと思うわけでございます。この辺についての意見をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○下邨政府委員 御指摘のように、わが国の研究投資の官民負担の割合は、民間が現在七四%、それから政府が二六%ということでございまして、欧米先進国の約五〇%に比べますと非常に少ないということになるわけでございます。従来、わが国の研究開発は民間の活動に負うところが非常に多かったわけでございまして、政府といたしましても、民間のそういう研究開発を活発化するためにいろいろ補助金だとか税制等によりまして各般の施策を講じてきたわけでございまして、今後ともこういう施策の維持、充実ということが必要になろうかと考えております。
 一方では、国が直接資金を負担して研究開発を行わなければならない分野も非常に多くなってきております。原子力とか宇宙とか、いろいろ独創的な研究開発につきましてはリスクが大きいこともございますし、また、その開発に長い期間を要するというような問題もございます。そういう先端技術をやるには、やはり国が直接資金を投入していかなければならないというふうに考えておりますし、また、気象とか防災とか、そういう事柄の性質上国が行っていかなければならないような問題もたくさんございます。事業者に期待できないような農業関係の技術とか、あるいは生活環境とか健康に関するような技術とか、標準の維持のよりなじみな技術もございます。また、基礎的、共通的な分野の科学技術についても、これは国が直接にそれを推進していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 とりわけ、今後は独創的、創造的な科学技術をつくり出していくというようなことに力を入れていかなければなりませんし、国際社会に積極的に貢献していけるような研究開発を行っていかなければならない、そういう面で強化をしていかなければならないわけでございまして、政府といたしましても、その充実を図っていくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。
 こういう状況のもとで、厳しい財政事情の中ではございましたけれども、科学技術関係の予算につきましては、ここ数年、一般歳出の伸びを上回る努力をしてきておりまして、特に五十七年度の予算におきましても、ゼロシーリングの厳しい財政事情のもとで、科学技術関係の予算につきましては、対前年比で三・五%増という予算を計上させていただいたわけでございます。科学技術政策につきましては、その総合調整機能の強化を図るということが必要でございます。そういうことを通じまして、研究開発を一層重点的、効率的に推進することに努めますとともに、また、研究資金の確保につきましても、今後とも最大限の努力をしていきたいと考えておるところでございます。
#20
○岸田委員 この際、政府の方も本腰を入れて、創造的技術の開発に取り組んでいかなければならないのは当然のことでございます。しかしながら、わが国の場合は民間の活力があふれておる、このことが今日までの技術向上のために大変大きな役割りを果たしてまいったことも見逃せない事実でございまして、政府がやるからということで済まされるのではなくて、民間にも今後とも大いにひとつ力を入れてがんばってやっていただかなければならない、こう考えております。
 いろいろの助成策があろうかと思います。もしその辺についてあらましお聞かせいただければありがたいと思いますし、特に私関心を持っておりますのは、税制の問題でございます。と申しますのは、アメリカにおきまして、レーガン政権ができました直後に、民間の科学技術振興の趣旨をもって、かなり税制面で助成の強化を図ったということが伝えられておるわけでございます。それらの内容と対比しながら、わが国における科学技術振興税制のあり方、こういったものについてもあわせて御報告をいただきたいと思います。
#21
○下邨政府委員 民間の研究開発投資というのが非常に大きかったということを申し上げたわけでございますが、各省庁におきましては、民間の研究活動を活発化するためにいろいろな施策をとられております。補助金、委託費等の助成等、振興策がとられているわけでございます。
 たとえば通商産業省の重要技術研究開発費補助金とか大型プロジェクトとか、それから農林水産省の農林水産試験研究費補助金とか、厚生省の科学試験研究費補助金でございますか、文部省にも科学研究費補助金がございますが、等々社会的ニーズに応じました補助金等による助成策がとられておるところでございます。
 それから新技術を実用化するための措置といたしまして、たとえば新技術開発事業団によります委託開発の制度もございますし、また、通産省の方の中小企業事業団におきます技術移転促進事業、これは技術のあっせんでございますけれども、そういう事業もございます。また、民間の科学技術振興のために税制措置をいろいろととらせていただいておりますけれども、増加試験研究費の税額控除制度というのがございますし、技術等の海外取引にかかわる所得の特別控除というのもございます。また、試験研究法人に対する寄附金の控除制度というようなもの等々、民間におきます自由な創意工夫に基づく研究活動の展開に税制が大きな役割りを果たしてきているわけでございます。
 また、金融上の助成措置もございまして、たとえば日本開発銀行の技術振興融資制度とか、中小企業金融公庫の中小企業新技術の企業化等に対する融資制度というのがございまして、一般の金利よりも低利の融資によりまして技術水準の向上に貢献しているわけでございます。
 御質問にございましたアメリカの税制につきまして、ちょっと御説明を申し上げたいと思います。
 アメリカでは、レーガン政権になりまして、一九八一年六月三十日から一九八六年、六会計年度までの研究開発に対しまして、当該年度の試験研究関連人件費が過去三年間の平均を超える場合には、その増加分の二五%を税額控除するということを認めるという強力な科学技術振興税制を創設されました。この制度は、研究開発におきます人材の確保を特に重視したものでございまして、わが国の先ほど申しました増加試験研究費税額控除制度に比べましても一層強力なものになっております。と申しますのは、増加分を計算する基準といたしまして、アメリカの場合は過去三年間の平均値というものを採用しておりますが、わが国の場合は過去の最高水準を超えるものというようなことになっておりまして、その差も大きいことになるわけでございます。
 それから税額の控除率でございますけれども、控除率につきましても、アメリカでは増加分の二五%ということになっておりますけれども、わが国の場合は二〇%ということでございまして、わが国よりもアメリカの方が控除率が大きいということでございます。
 それから、いま人件費のお話を申し上げましたけれども、試験研究用の機械器具につきましては、アメリカにおきましては、投資額全額の六%を別途税額控除するというような制度がつくられております。これもわが国の場合に比べますと有利な措置となっているかと思います。
 こういうような税制がアメリカでとられてきたわけでございますが、わが国におきましても、増加試験研究費の税額控除制度というものは昭和四十二年から創設されて、これを実施してきているわけでございますが、その適用期限が五十六年度末に来ているということでございましたが、五十七年度税制の改正におきまして、厳しい財政事情の中でございましたけれども、研究開発投資拡充の重要性にかんがみまして、従来どおりの税額控除率で五十八年まで延長することをお願いいたしまして、先般御承認をいただいたところでございます。
 わが国は、先ほどから申し上げておりますように、導入技術に依存してきたわけでございますが、今後、導入に依存するということは非常に困難になってきております。自主技術の開発を推進していかなければならないわけでございますので、科学技術の振興に重要な役割りを果たしておりますこういう税制につきましても、各方面の要望を伺いながら、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#22
○岸田委員 研究費についてなおお伺いしたいこともございますが、次の話題に移りまして、続いて優秀な人材の確保という観点から若干の質問を試みたいと存じます。
 文部省お見えになっておられますか。――まず最初にお伺いしたい点でございますが、創造的な技術を開発する、こういうことを思い切って進めていくためには、次の世代の研究を担う創造性の豊かな若い人材をしっかりと養成するということが何よりも基礎になってくる、こう考えるわけでございます。こういう観点からして、これからの高等教育の充実のあり方、お考えを報告いただきたいと思います。
#23
○齋藤説明員 文部省におきましては、大学設置計画分科会というのがございまして、ここで高等教育の計画をいろいろ検討しておるわけでございます。現在、昭和五十六年度から六十一年度までをめどにその計画が整備途上でございますけれども、その中におきましては、大学の整備は量的な拡充よりも質的な充実に重点を置くべきこと、これを第一点に挙げておるわけでございます。
 第二点は、大学等の適正な配置を図るという観点から、大都市への集中を抑制して、地方において整備を進めると言っておるわけでございますけれども、これはいわば人材のすそ野を広げると申しましょうか、それぞれの教育の機会均等を図ることによりまして、多角的にそれぞれの者が大学に行けるように努力をしたい、こういう趣旨のあらわれでございます。
 なお、高等教育の構造の柔軟化、流動化を進めること、これも計画に入っているわけでございます。これにつきましては、たとえばすでに行われておりますけれども、単位の互換制といいまして、国内のほかの大学で得た授業を自分の大学の単位にするとか、あるいは外国の大学で行った授業を日本の国内の大学の単位とするとか、そういうことも行っているわけでございます。
 なお、そのほか大学院の修業年限を弾力化したところでございますけれども、そのほか種々の柔軟化、流動化をさらに進めることを検討しているわけでございます。
 なお、大学院の整備につきましては、大学の教官だけではなしに、高度の専門的技術者、職業人を養成するという立場から非常に重要であるわけでございますけれども、なおその修了者の進路状況等も勘案いたしまして、高等教育計画では慎重にその拡充を取り扱うべきである、こういうようにしておるところでございます。
#24
○岸田委員 続いてもう一問、文部省にお尋ねをいたします。
 聞いておりますと、技術者が大変足りないという声が聞こえてまいります。ところが一方では、分野によってはせっかく大学を出たけれども思うようなポストがないということで苦労しておる方もおられる。こういうことを見ておりますと、大学の専門分野別の定員というものと、それから他方で産業界の実際のニーズと申しますか需要と申しますか、こういったものとの間にどうもギャップが起こりがちなのではないかという気がするわけでございます。こういうことをなくするためには、ふだんから各省庁あるいは産業界、こういったところと緊密な連絡をとりまして、そういうような需要をきっちりとくみ上げて、それに応ずるような定員を考えていく、こういうことが必要ではないかと思うわけでございますが、意見をお聞かせいただきたいと思います。
#25
○齋藤説明員 御指摘のように、いまオーバードクターが相当数いるわけでありますが、文部省といたしましては、こういうオーバードクターが生じるのは、その卒業生が社会のいろいろな分野で必ずしも十分能力を発揮できない、社会的な態勢もありますけれども、同時に、指導方針なり教育課程にも問題があるのではないか、こういうように考えているわけでございます。
 そこで、大学院設置基準を制定いたしまして、従来、学位規則等におきまして、独創的研究によって新領域を開拓し、非常に高度な者でなければドクターになれない、こういう基準であったわけでございますけれども、その目的を変えまして、「研究者として自立して研究活動を行う」そういう意味で高度な技術者等にもドクターの学位の対象にするように変えたところでございます。
 ただ、大学院の場合には専攻分野が非常に専門的になりまして、専門的になるために実際社会から遊離する面があるわけでございます。
    〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
あるいはその指導者が高度な研究者になりまして、高度な純粋な研究者になるほど実際社会や産業技術と直接結びつかない、こういう欠点があるわけでございます。
 したがいまして御指摘のような事情が起こるわけでございますけれども、先ほどの大学設置計画分科会の高等教育の委員会にも、たとえば日本経済新聞の論説委員でありますとか、あるいは民間の経済研究センターの研究員でありますとか、こういう委員を加えているわけでございます。あるいは総合研究開発機構の理事長、雇用促進事業団の理事長、こういう方にも入っていただきまして、いろいろ検討いたしておるわけでございます。ただ特に、専攻分野別の大学院の定員につきましては、大学の自主性を尊重しながら、新しい分野等に転換が行われたりあるいは必要な拡充が行われる、こういうことを行わなければならないわけでございますけれども、大学を相手にいたします場合には相当時間を要するわけでございまして、そこでタイムギャップが生じて、間々御指摘のような事実があることも事実であるわけでございます。文部省といたしましては、その指導、対策についてはいろいろ工夫をこらしたい、このように考えている次第でございます。
#26
○岸田委員 これからもしっかり御工夫のほどお願いいたします。文部省、これで結構でございます。
 そこで話を進めまして、先ほど来、これからは特に基礎的分野の研究を充実していかなければならない、そのために政府関係の研究機関をもっともっと充実をし、また努力を重ねなければいけないということが明らかになったわけでございますが、実はこの研究体制を支える人の状況を見てみましたときに、民間が二十万人、大学が十四万人、これに比べまして政府関係の研究機関は一万人、大分数が違うわけでございます。しかも一般の行政職と同じように定員で厳しく増加が抑制をされておる。このことのために、新しい頭脳を持った、また柔軟な頭を持った若い人をなかなか採用しにくい、そういう事情にあるようなことをよく私、耳にいたしております。
 また、そのことが一つの原因でもあるわけでございますが、民間あるいは大学の研究者と比べますと、政府関係の研究機関の研究者は平均年齢がかなり高い、四十歳以上の技術者が過半数を占めるというような状況にあるように聞いておるわけでございます。何とかしてひとつ若い血を入れて、そして活力あふれる研究体制をつくっていきたい、こういうことのために何か知恵はないだろうかということを考えるわけでございます。たとえば高齢化した方はそれなりにいろいろの豊富な経験をお持ちでございます。そしてそういう分野を民間が求めておるという場合もあるわけでございますから、それをうまく結びつけるような工夫はないだろうか。
 さらにまた、私は年齢構成を見ましたときに、大分高年齢層のところに集中をしておる層がある。それがもし定年に達したあるいは相当の年齢に達したというときに、これがごっそり抜けるようなことになると、今度また急にあわてて新人をかき集めなければならないというようなことも予想されるわけでございます。こういったことに対して、何か定員管理をもう少し弾力的にするような工夫はないだろうか、あれこれ考えるわけでございます。
 いま言ったような諸点について考え方を披瀝をしていただきたいと思います。
#27
○下邨政府委員 五十七年度におきます国立研究機関の定員は一万五千九百八十一人ということでございまして、このうち研究職は一万百四十六人でございます。研究職の定員につきましては、公務員全体の厳しい定員管理のもとにおきまして、五十六年から初めて定員が純減というようなことになりました。五十七年も、引き続きまして二十二名の定員の純減というようなことになっておるところでございます。国立研究機関につきましては、先導的、基礎的な研究推進の中核的担い手になっているわけでございますので、その重要性にかんがみまして、研究職の定員の確保につきましては、関係方面に対しましても格段の御理解をいただきながら、今後とも充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、国立研究機関におきます研究職の公務員の平均年齢でございますけれども、四十七年度におきましては三十九歳でございました。それが五十六年度になりますと四十二歳になっておりまして、三歳ほど高くなっておるわけでございます。
 年齢別の構成について見ますと、御指摘のように、四十歳以上の者が五十五年には五五・二%と半数を超えておるということになっております。四十六年には四六・六%でございましたが、これも相当高齢化してきておるという実態をあらわしているかと思います。特に四十八歳から五十一歳までの研究者が全体の約一六%程度を占めておりまして、今後十年程度の間には一時的に相当退職をしなければならぬというような状況になるわけでございまして、大量の新規採用も必要になってくるというようなことが予想されるわけでございます。すぐれた研究者を一時的に採用するというのはまた非常にむずかしいことでもありますし、人事管理上も将来問題になることでもございます。こういう状態でございますので、若い研究者を長期的に計画的に採用を進めていく必要があるわけでございまして、こういう問題を解決していくために、いろいろこれからも十分研究さしていただきたいと考えております。
#28
○岸田委員 大分時間も迫ってまいりましたので、そろそろ締めくくりに入りたいと思いますが、ここでひとつ大臣に御所見を伺いたいと存じます。
 中川大臣、大変な御尽力をいただきまして、昭和五十六年度に、従来の特別研究促進調整費を発展的に解消しまして、新たに科学技術振興調整費が科学技術庁に予算計上されたわけでございます。この新しい制度にかける抱負あるいはこれからの展望、ひとつ大臣から大いに語っていただきたいと存じます。
#29
○中川国務大臣 科学技術会議は、御承知のように科学技術のあり方の基本の問題について御議論いただくと同時に、科学技術についての調整機能も持っておったわけでございますが、現実問題としてはなかなか機能を果たし得ないという実態がございました。一方、科学技術が非常に大事である、予算の面でも伸ばさなければならない、それ以上に、やはり調整をされた合理的な試験研究をする必要があるのではないか、特に産、官、学がばらばらになっておって研究投資がむだではないか、もっと合理的な方法があるのではないか、こういう議論がございました。
 私も全くそのとおりだと思いまして、いろいろ調整機能についても研究してみたのでありますが、やはりこの技術会議が調整して行う科学技術振興調整費というものを創設して、こういった各省庁あるいは産、官、学がバランスのとれた協力体制でやっていくことが必要であろう、こう思いまして、昭和五十六年に三十三億五千万で発足をいたしました。五十七年度は六十億円という予算を確保できております。将来は、これをかなり大幅なものにふやしていって、この点を通じて調整がとれた、しかも先端的な基礎的な分野に重点を置いてやっていきたい。こうして、これからの多様化する非常にむずかしい時代の科学技術の研究の進め方についてひとつ画期的な体制をつくりたい、こう思ってやっておるところでございます。
 したがいまして、予算の面で促進すると同時に、科学技術会議の機能についてももっと実用的、しかも機動的な体制も整備していきたい、このようにして、これからのむずかしい科学技術の柱として、目玉として、中心としての役割りを期待したい、こう思っておる次第でございます。
#30
○岸田委員 この制度は私ども大変期待をいたしておる制度でございます。
 そこで、事務方から、五十六年度どういう使い方をしたのか、五十七年度はどういう方針でこれを運用していくのか、さらに今後の展望はどうか、こういう点について少し報告をいただきたいと思います。
#31
○加藤(泰)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまも大臣の方からこの振興調整費の背景につきまして、あるいは展望につきましてお話があったところでございますが、まず、五十六年度、そのような振興調整費をどういうふうに使ったかという点につきまして概略御説明を申し上げます。
 この振興調整費は、先ほど大臣からも答弁がございましたように、科学技術会議が中心になりまして、その調整機能の強化という点で運用すべきものということでございますが、五十六年度におきましては、科学技術会議が「科学技術振興調整費活用の基本方針」というのをお定めになりまして、そのもとにこの運用をしてまいってきたわけでございます。その基本方針には幾つかの内容があるわけでございますが、たとえば先端的、基礎的な研究を推進すること、複数機関の協力を要する研究開発の推進、あるいは先ほど来出ておりますところの産、官、学の有機的連携の強化をする、それからまた国際共同研究を推進する、なお、緊急に研究を行う必要が生じた場合、これに柔軟に対応するようにこれを支出する、なお、研究開発の調査、分析等も十分に行えるようにする、こういったような基本方針が五十六年度について定められておりまして、これに従って私ども運用してまいったわけでございます。
 具体的に幾つかの例を申しますと、五十六年度から新しくかなり大型のテーマを七つほど取り上げました。たとえば、首都圏における直下型地震の予知及び総合防災システムに関する研究、あるいは最近のライフサイエンスの一つの中心でございますDNAの抽出、解析、合成技術の開発に関する研究等々でございまして、そのような七つのテーマに対しまして約十三億五千万円ほど、なお、従来から行っております特別研究促進調整費を合わせまして、いわゆる総合的な研究に合計で二十三億五千万円の予算を充当したわけでございます。
 なお、機動的な対応が必要な国際共同研究といたしましても幾つかのテーマを取り上げまして、たとえば、インド洋、太平洋プレート境界海域における地質構造に関する研究、あるいはまた緊急に対処するための研究といたしまして、たとえば北炭夕張であのガス突出によりまして大変不幸な事故が起きたわけでございますが、私どもそれに対しまして、深部採炭に伴う大規模ガス突出対策といったような点についての研究にも着手をしまして、国際、緊急とを合わせまして約二億円をそれに充当したわけでございます。
 なお、将来の長期的展望に立ってわが国社会、経済の存立あるいは発展を図るための科学技術研究開発の方向というようなものにつきましての、いわゆるソフトの研究等々に二億円をさらに充当し、さらに五十六年度におきましては、先ほど来議論が出ておりますところの創造科学、これも実は当初この三十三億五千万に入っていたところでございますが、これに対しまして六億円の経費を計上したものでございます。これが従来の経緯でございます。
 なお、将来の展望につきまして簡単に申しますと、世界的に見まして最近の技術の革新のテンポがきわめて速い、これまでには想像ができなかったようないろいろな新しい高度な技術が、さまざまの形あるいはさまざまの領域で開発をされている、こういったような先端的な技術には、多かれ少なかれ各種の産業分野あるいは学問領域に幅広く関連しているというものがございまして、これらを総合的に推進する必要があるだろう、しかも国際的な革新技術の競争の中でわが国が今後発展を続けるようにしていく必要があるだろう、そういったようなことを踏まえまして、この辺に特に重点を置きまして、五十七年度以降の振興調整費は有意義に使ってまいりたい、かように思っております。
 たとえば、先ほど来出ておりますところのライフサイエンスの分野であるとか、あるいは極限科学技術の分野であるとか、あるいは材料科学の新しい技術の分野であるとか、そういったようなものにつきまして重点的に配分をしてまいりたい。しかもなおかつ、国際的な共同研究も大いに推進してまいりたい。そしてまた、総合的あるいは効率的な研究というものにさらに基盤的な問題を加えまして、研究支援等に必要な調査、分析も行いたい。また、研究開発等の推進に当たりましては、民間の活力も大いに利用してまいりたい。こういうところに着眼点を置きまして、私どもこの振興調整費を有意義に使ってまいりたい、かように思っているわけでございます。
#32
○岸田委員 最後にお尋ねをいたします。
 いまわが国の科学技術政策の基本方針というものを一応整理したものとしては、いわゆる科学技術会議の第六号答申があるわけでございますが、先ほど来の話の中にございましたように、当時当面の目標とした数字についてほぼそのレベルに近いところまですでに到達したこと、さらにまた先ほど来の質疑に出てまいりました諸制度が新たに発足をしたこと、さらにまたこの数年間で新しい科学技術分野が開発をされ、おのずからその中で将来の大きな柱というものがだんだん明確化されつつあること、これらの諸点を考えてみますと、そろそろ六号答申を見直すべき時期に来ておるのではないかという感じがするわけでございます。これは大変基本的な問題でございますし、また仕事の量から言いましても大きな量になろうかと思います。しかし、大臣のもとでこの問題に積極的に取り組んでいただくことはできないものだろうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#33
○中川国務大臣 私、就任いたしまして、五十六年度を科学技術立国元年と名づけまして、予算の面あるいは制度の面、中身の整備等々を図ってきたつもりでございます。これも基本答申と大きく離れたものではありませんで、大体それに従ったものではありますけれども、やはりそろそろ、こういった安定成長下、世界が科学技術に非常に力を入れる情勢ともなってきておりますので、これらに対応していかにあるべきか今後検討していただきたい、そして新しいものをという気持ちを持っておりまして、もう少し時間をかしていただきたいと存じます。
#34
○岸田委員 終わります。
#35
○与謝野委員長代理 関晴正君。
#36
○関委員 大臣並びに事業団の方に御質問申し上げたいと思います。
 さきの質問の際に、東大の活断層研究会で発表されたものと、事業団が東北電力株式会社から借用した資料に基づいて判断した活断層の内容は全く相異なっているわけでありますが、これを完全に否定してしまっておる、したがって、否定する以上はその根拠になるものを示してください、こう申し上げました。幾ら待ってもそれが示されないままであります。解析の説明をするといっておいでになった方にも、解析の説明はわかるが解析の説明の根拠になるデータというものを示してください、こう申し上げたのですが、それは示されない、こういうことであります。隠されたまま、示されないままで活断層ではないという結果だけをあなた方の独断で示して、そうしてこれを信頼しなさいということは、これは科学的なことじゃないと思う。きわめてこれは非科学的なことではないだろうか、こう思うわけです。
 そういう意味で、あなた方の方は東北電力株式会社の方からのいわゆる下北半島東方海域における活断層の調査の資料を持っているわけですので、その持っている資料をなお隠し続けていくつもりですか、生のデータを出さないままで押し切るつもりですか、お答えいただきます。
#37
○倉本参考人 生のデータと申しますか、これにつきましては、私どもは、ただいま先生のおっしゃいましたように、東北電力及び東京電力の方で出しましたデータを借用いたしまして、この記録をもとに私どもとして解析をいたしたわけでございます。先般も先生の方からそういうお話もございましたし、また、これに関連いたしまして科学技術庁の方からも、電力会社の方といろいろ話をしろ、こういうような御指示もございまして、私どもといたしましても、生データの取り扱いにつきまして電力の方へもお話を申し上げておるところでございますが、これにつきまして、まだ電力の方からお出しをしてよろしいという御回答をいただいておらない段階でございます。そういう段階でございますので、現在の時点ではこのデータをお出しするということはできない状況にあります。
    〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕
#38
○関委員 私の言いたいことは、あなた方は、東北電力がだめだと言えばだめなままでわれわれに納得してもらえるものだ、そうお考えですか。
#39
○倉本参考人 私どもは、このデータにつきまして、解析自身を民間の豊富な経験と技術を持った機関に委託をいたしておりまして、また、その結果等につきましても斯界の権威の方々の御意見等も承りまして、このデータの解析自身には大いに自信を持っておるところでございまして、この活断層と認定しがたいという点について、私どもといたしましては確信いたしておるわけでございます。
#40
○関委員 それじゃ、あなた方は東大の活断層研究会で発表したあの図面というものを否定するのですか。
#41
○倉本参考人 先生がおっしゃいましたのは、活断層研究会が検討いたしましたものを東大出版会が出版をいたした資料であろうと存ずるわけでございますが、この資料は、私どもといたしましては、一つの貴重な文献であるということで、これは参考とさせていただいておるところでございます。
#42
○関委員 参考としてないじゃないですか。活断層研究会はここに活断層ありと示しているでしょう。あなた方は、東北電力の資料に基づいて解析した結果、ないと言うのでしょう。何も参考にならないじゃないですか。参考にしておるならば、参考にしている相手に聞きましたか。何の参考にもならない資料だということを、われわれの調査の結果では、あなた方の調査はでたらめなものである、こういうことを活断層研究会に申し上げておきましたか、参考にしたというのはどういうことです。
#43
○倉本参考人 今回、私どもが東北地方の下北半島の東側地域につきまして、活断層についての調査、検討を行うということを決めましたのは、私どもがこれから予定をいたしております関根浜地区の定係港の建設という面におきまして、主として陸上附帯施設をその地に建設する上で、地震またはそれに対します耐震設計の観点から、この関根浜地区を中心といたしまして三十キロ圏内についての地質の問題、また活断層等の問題についての調査、検討を行うという観点から、これについての検討を進めたところでございます。
 私どもといたしましては、これらの調査におきまして、既存の資料がございますれば、これを十分活用すべきであるという観点に立ちまして、この調査を行うことにいたしたわけでございますが、ちょうどこの下北半島の東側の地域につきまして、私どもの調査範囲において東京、東北両電力の方におかれて、その地域に原子力発電所をつくられるという観点から調査を行っておられるというお話をお聞きいたしまして、この調査の結果を私どもとして利用させていただければ非常にありがたいということで、電力会社の方と話をいたしましたところ、快く使わしてあげよう、こういうお話でございました。
 この両電力の方で行われました今回の調査は、東大出版会の方で出されました「日本の活断層」という文献にこの地域に活断層があるというような点もございまして、その地域についてより具体的な調査を行おうというお考えでございます。また、この活断層研究会の方で行われました活断層図の作製と申しますかバックグラウンド等いろいろ調べました段階で、この解析と申しますか、活断層研究会の方で日本の活断層がどういうところにあるかということで、活断層図を取りまとめられるもとになりました、特にこの海域のものにつきましては、海上保安庁の水路部の方でいろいろ調査を行われたものを踏まえて、それに基づいていろいろ御検討をされたように記憶いたしております。
 また、お話によりますと、活断層研究会のもとになりました調査の目的といたしましては、主として海底地形図の作製ということを目的とされ、調査方法もエアガン方式の音波探査装置を使われたということで、その探査の方法は主として地形の問題と、またこの探査深度は海底下非常に深いところまでの探査をされたようでございます。ただ、この方式でございますと、比較的浅い部分につきましては若干解像力が劣るというようなことでございまして、電力の方では、主として発電所建設に対しての問題から、今回の私どもが参考といたしますこの資料は、活断層がそこに本当に存在するのかどうかということを調査の目的とされまして、海底下比較的浅い約三百メートル程度までを詳細に調べるという目的で、これに適したスパーカー方式の音波探査装置を用いてのデータをとられたわけでございます。
 そういうことをお聞きいたしまして、私どもとしては、同じ目的にこのデータを活用させていただけるということでございましたので、この地域の活断層の状況がどうなっておるかということの調査をされたデータをもとにして、活断層が実際にそこにあるかどうかということについての解析を行わしていただいたわけでございます。
#44
○関委員 あなた、そんなことを言って、みんながわかりましたと言うと思っているの。
 活断層研究会が下北半島の東方に百キロにわたっての長さであると示されておるのですよ、四十名の学者が、そうして編集された九名の学者が権威あるものとして示されているのですよ。それがないと言うんでしょう、あなた方は。ないと言うなら重大なことでしょう。国の金をかけて調べていただいて、そうして研究し、国民に発表された資料ですよ、これは。権威あるものです。これをあなた方がやみくもに否定するのでしょう、東北電力株式会社の調査資料に基づいてと言う。それならば、それ出しなさいと言ったら、はいわかりましたと出したらいいじゃないですか。
 出しもしないで、そうして解析の結果ないと判断した、どうぞ御了解ください、だれがこんなことを言われて了解します、あなた。その根拠になるものを不明にしておいて、わかってくれと言ったら、これは何です。これは科学ですか、宗教ですか、化け物ですか、どっちです。答えてください。
#45
○石渡政府委員 関議員の御要求は、基本的には、原船事業団が行いました太平洋岸の活断層に関する判断の妥当性についての疑問、そういう御要求であろうかと存じます。
 原船事業団は、近い将来、法的手続にのっとりまして、新定係港の建設にかかわります設置変更の許可申請をして、国の安全審査を受けるという段階があるわけでございます。この活断層の問題も含めまして、事業団の行いました技術的判断の妥当性は、所要のデータの提出のもとに、安全規制当局及びダブルチェックといたしまして、原子力安全委員会におきまして、その分野の専門家によって厳正に、かつ慎重に審査されるという立場にあるわけでございます。そういうことを前提として踏まえながら、現在の事業団の判断としては、あそこに活断層は存在しないということを御報告申し上げた次第でございます。
#46
○関委員 何言っているんです、あなた。あなた、あした関根の浜の漁民に会うんでしょう。そうしてこの浜が母港になることを要請するんでしょう。要請しに行く人が返事をもらえると思っていますか、そんな姿で。返事だけもらって、その後に調べてもらうというんですか。後先じゃありませんか、これは。科学技術庁というものはそれほど非科学的なやり方しか知らないんですか。何むずかしいことあるんです。あるかないかという論争をするならば、人のものを借りて、調べに歩かないなんて、自力で調べたらどうです。そっちのものをちょろちょろ借り、こっちのものをちょろちょろ借りて、そうして判断した。借り物で判断して、仮母港だからといっておさまると思っているの。
 長年の時間をかけて、少なくとも東大の活断層研究会が発表されたものを否定する以上は、向こうにもお話をして、これは間違いであったということになれば、これは信頼するでしょう。その言ってくる元気もないでしょう。そうしてあなた、先ほど海上保安庁の水路部の調べたデータによって海底の地形を調べたものだ、こう言った。海底の地形を調べた海上保安庁の水路部のデータというものには断層はありませんか。あなた見たと言うんでしょう。見た結果断層ありませんか、答えてください。
#47
○倉本参考人 水路部の方におかれて調査をされた、また、それに基づいて水路部として御判断された上つくっておられます水路部の資料には、一応この地域には断層ありということは書いてございます。ただ、これが活断層であるかどうかということの判断については、この活断層研究会の方で何人かの学者の方々がお集まりになられて、それでその検討をいろいろされたようにお伺いしております。
#48
○関委員 あったでしょう、断層が。その断層が活断層であるか死断層であるかの判断については、水路部の方としても、それはお調べが足らなかったかもしれない。しかし、断層があるということだけは明確であった。じゃ、あなた方が東北電力で調べたそのものは、活断層じゃなくて死断層があったということですか。そんなことが言えるんですか。
#49
○倉本参考人 私どもの方で解析をいたしました結果、この地域におきましては、確かに、大陸棚のところから緩い傾斜になっておりまして、この傾斜をいたしました地層の上部に新たなその後の地層が堆積をいたしておるわけでございますが、それらの記録等の解析上、この活断層と申しますのは、第三紀層の上にたまりました第四紀層が乱れておるか、またそこに断層があるかということによって、その第三紀層のところに活断層があるかないかという判断をされておるようでございますが、この私どものいたしました解析の結果では、この第四紀層において乱れ、断層等がないという点から活断層とは認めがたいという判断をいたしておるわけでございます。
#50
○関委員 あなた方、少なくとも大事な国の行政を進めるのに、電力会社の方では、国民に明らかにしてくれと願っても、しないと言うのだから、それじゃ相手にしなくてもいいよ、そんなの。電力会社が相手にしなければ仕事ができないというものじゃないでしょう。見せてくれないと言うならば、また見せられないと言うならば見せぬでもいいし、見せてくれぬでもいい、そんなものは。東北電力会社というものは秘密主義の会社だということで承知しておきましょう。
 しかし、事業団がそれでいいというわけにはいかない。科学技術庁がそれでいいということは許されない。独自で調査をして、その活断層問題についてよくお調べになったらどうです。幾らもかかるものじゃありませんよ。この点について大臣、ひとつそうだということでお答えください。
#51
○中川国務大臣 いろいろと御心配をいただきましてありがたいと思っておりますが、いま事業団並びに局長から答弁いたしましたように、現段階で、東北電力あるいは東電の資料ではありますけれども、まずまず大丈夫、こういうことの判断に立っております。したがって、港をつくり、上屋施設をつくるについて支障のあるものとは認められない。ただし、今後いよいよ上屋施設をつくる段階にはさらに精度を高めて、どういうものであるか、それにどう対応した上屋施設をつくる、構造物をつくる、その段階でしっかりしたものをつくれば大丈夫であるということであって、いま上屋施設をつくる段階でもないときに、そんなに精査をするということの必要もないのではないか。上屋施設をつくる段階においては念には念を入れて、いかなることがあっても大丈夫なものをつくる、こういう方針さえ決めておけば、いま詳しいことをやる必要は必ずしもない。時間も迫っていることでありますから、われわれは安全性については責任を持ってやりますから、御信頼をいただきたいと存じます。
#52
○関委員 どうしてそんなことを、後で対策を講ずればいいじゃないかなんて言うんです。それならば、要請するのも後にしたらいいでしょう。あした要請に行くんでしょう。要請だけは先にして、返事だけは先にして、調べだけ後でもいいかなんと言うのは、これは後先間違っていませんか、長官。
#53
○中川国務大臣 物事には、概略設計から詳細設計とあるように、港をつくるか、つくらないかという話し合いをする段階では、おおよその見当をつけるということで足りるのであって、物事を、本当に柱をどう立てるというときの調査と同じものをやれと言われても、できません。われわれは、概略は概略、詳細は詳細、こういうことでやりますので、概略的には責任を持って説明をできる、こういう自信を持ってやっております。
#54
○関委員 いまその概略であなたと論争しているのです。百キロに及ぶ活断層ありと言っているのですよ。百キロに及ぶ活断層の場合には、マグニチュードがどのくらいになると予想されますか。どのくらいに計算できますか。すぐできるでしょう。答えてください。
#55
○倉本参考人 活断層とそれから活断層からの距離によって地震の大きさというのは変わってくると思います。いま先生のおっしゃいましたように、活断層が、百キロといいますか、それだけのものが本当に活断層であるということになれば、相当大きな地震が起こり得るというぐあいに考えられますが、私もちょっとこの方の専門でもございませんので、百キロのものにどのくらいのあれが起こるかというようなのは、ちょっといますぐお答えできないわけでございます。
#56
○中川国務大臣 関委員、非常に御心配いただくのはありがたいのですが、たとえば静岡でも、直下型の地震があるというところでも、御承知のように、耐震性のものをつくればできるわけですから、決してだめなものだと否定しないで、地震の予知ができるならばそれに対応する構造物で、安全性を確保するという方法もやっておりますので、いまこれがどうなるんだ、ああなるんだと先々のことを御心配いただくことはありがたいのですが、前向きでやっているわれわれの気持ちもひとつ酌んでいただいて、余り大きい声で怒らないように御指導願いたいと思います。
#57
○関委員 あなた、耐震性も考えてやるからいいだろう、こうおっしゃいますが、これまでの耐震性を考えてつくられた建築物がどんな状況にありましたか。耐震性確かなりというものいずれも壊れているでしょう。わが国の建築技術からいって、耐震性はどこまで信用できるものだと思っておられます。じゃこの認識をお尋ねしましょう。
#58
○中川国務大臣 私も素人ですから、関委員よりももっと素人かもしれませんが、いまの科学技術は進歩しておりまして、東京にもかつては七階以上だめだと言われたのが三十階、五十階と建つ時代になってきたのです。御同様に静岡でも、あれだけの直下型の地震があるだろうというところでも、耐震性を共産党の人がえらい心配してくれましたが、これは大丈夫、技術陣が総力を挙げてやっていることですので、耐震性について御迷惑をかけることはしないようにしますので、ひとつ御安心をいただきたいと思います。
#59
○倉本参考人 いま耐震設計といたしましては、原子力発電所等では四百ガルあるいは五百ガルというような震動のものに対しての設計等も行われておるわけでございます。私どもが今回いろいろ検討をいたしました段階で、関根浜地区におきましては、震度は大体五程度のものがあり得るということで、耐震設計は十分可能であるというぐあいに考えておるところでございます。
#60
○関委員 そこなんですよ、問題は。あなた方は震度を五と見て、五くらいならば大丈夫だ、こう言うのでしょう。しかし、五というものに備える埋立地のあり方、やり方というものは、これは大変ですよ、五と見ても。あなた方でさえ、活断層がないという判断に立たれても、震度五を予想してつくらなければならないなと、こう思っているのでしょう。震度五を予想してつくられる耐震設計の構造物、ましてや埋立地でしょう。大変なことだと思う。
 その上、あなた、先ほどの私の質問に答えていませんが、延長百キロに及ぶ活断層の場合のマグニチュードはおよそ八・二ですよ。logL=0.6M−2.9この関係方程式でいけばLとMとの関係は出てくる。Lというのは活断層の長さ、Mというのはマグニチュードの力でしょう。その方程式は出ているわけです。その方程式に当てはめれば、驚くなかれ八・二というマグニチュードが想定されるのです。八・二のマグニチュードが想定されるようなところの震度はとても五ではおかないでしょう。六にもなるし、七にもなる。
 それじゃ、今日の日本の科学において六や七に対する耐震性の建築物はできますか。幾ら堅牢なものをつくったって、幾ら筋金入りの建物を建てたって、地面が割れたのじゃどうにもなりませんよ、あなた。東京には建物が建てられたかもしれない。関東大震災くらいのものにも負けることのないようなものを建てようということで建てられているでしょう。それは地質においてもそれを可能としているからです。
 しかし、下北半島の東通の太平洋における活断層といい、関根の浜のすぐ近くにある、北に存在する活断層といい、これが持つエネルギーというものをはかった場合にはそういうことが想定されるのです。それがどんなにあっても五程度だというならば、六なんてありやしない、七なんてありやしないというならば、何も申しません。しかし、東大の活断層研究会が示している実態によって測定し、それに基づいて計算すると、マグニチュード八・二になる。八・一六六六だから、四捨五入すれば八・二ということになるでしょう。そういう場合震度はどこまで至るであろうかと見れば、五でおさまらない、六も七も考えられる。
 そうなりますと、この活断層の問題は、単にあるなし論争ではなくて、よほどしっかりとその実態というものについて調べ上げて臨んでくれないと、納得がいかないのです。ましてや、電力会社が、堂々としたものであるならば、ここに持ってきて、どうぞごらんください、御活用ください、これがあるべき態度ですよ。出せ出せ、示せ示せと言っても必要以上に逃げ隠れて、あなた方がそれをよいことにしてわれわれをごまかそうとしているのじゃありませんか。これから船で行って調べなさいよ。
 それから、関根の浜の北にあるところの活断層だって、東大の活断層研究会で発表した活断層をもってあなた方は想定したでしょう。東北電力によれば、これはないからどうにもならなかったのでしょう。そうしますと、あなた方は太平洋の方は否定し、津軽海峡の方はこれを肯定し、めちゃくちゃじゃありませんか。少なくとも、科学だというならば科学らしくやってください。化学だというなら別ですよ。科学でやってくださいよ。われわれはそんなに化学を知っているわけでもない。しかし、科学の方は一般常識があればどなたでも取り組んで理解がいくことのできるものでしょう。
 そういうことからいけば、私は、あなた方が自信と確信を持って当たるというならば――いまだれも東北電力や電力会社、信用してませんよ、電気をつけてくれるところはありがたいけれども。すべての資料において公開というのが原則でしょう。自主、民主、公開、これが核処理に当たってのわが国の方針でしょう。そんなときに隠したまま押し切ろうということは許されませんよ。ましてや、マグニチュード八・二が計算においても想定されるところなんです。幾ら中川長官がそこでがんばってみたところで、静岡の地震の例をとって言ってみたところで当てはまらない。
 ですから、真剣にあなた方が船をこいで――こいでと言って、こぐような船じゃだめでしょう。関根の浜の一トンの船に船外機をつけて走り回ったちゃちな調査資料でわれわれに見せるようなものじゃなくて、二千トン、三千トンの船で、そして堂々とした姿でやってみたらいいでしょう。
 いまから十年前に海上保安庁の水路部でやられた調査というのを私、ここに持ってきていますよ。昭和四十七年の五月二十七日から六月四日まで、実に克明にやっていますよ。この資料を見ながら、ここに記録されているのは何時何分どこそこ、実にみごとなものです。そうしてこれについての記録紙も見ましたよ。帯状の反物みたいなものだ。反物を広げてずっと見ましたよ。きょうは測量課長さんそこに来ておりますから、この方が来て見せてくれました。この方だって、さすがに活断層とは言いませんよ。みんな一緒に組んでいるんでしょう。でも、ある断層だけは否定することができない。この断層が活断層であるかどうかは私どもは言えませんというところがせいぜいのところなんです。
 活断層でなければ何断層なんです。がけ高が二百メートルもあるものが活断層でないと言うならば何断層です。説明できますか。これからでも遅くないから出かけていって調べることぐらいやったらどうです。その上でお出かけになるならお出かけになったらいいでしょう。お出かけになるものを行くなとは言いませんよ。行ってみたところで追い返されてくるだけです。向こうでこの論争が始まりますよ。何と答えます。東北電力の資料にございまして、信頼してください。冗談じゃない。
 漁業を奪われるという憂いに立っているものですから、死活問題です。漁民はいま生きるか死ぬかということでこの問題に注目をしておる。そうして十四日に石渡君が来るという、二十六日には中川君が来るという、本当かね関さん、こうくるから、新聞に出ているから本当だろうね。この点について、明日石渡さん、二十六日長官、まず、おいでになるんですか、聞いておきます。
#61
○石渡政府委員 明日私も原船事業団とともに現地をお伺いしたいと思っております。
 なお、大臣の御日程につきましてはまだ未定でございます。
#62
○関委員 そうしますと、新聞に出たのは、あの報道は誤りと理解してよろしゅうございますか。
#63
○石渡政府委員 明日の分については正しいわけでございますが、大臣の御日程につきましては、恐らく推測でお書きになったものと思われます。
#64
○関委員 あなたが行って何をお話しするんです。
#65
○石渡政府委員 明日の場面は、原船事業団からちょうど一月前にお示しいたしました、あの地区に技術的に原船の母港立地可能という御報告の結果を踏まえまして、その次の段階のお話し合いに進めさせていただけないものだろうかということをお願いに参るということでございます。それをバックアップするというか、政府の立場としても同じお願いを申し上げる、こういう立場でお伺いしたいと考えております。
#66
○関委員 では、いまの論争をあなたはどう把握して行くのですか。
#67
○石渡政府委員 原船事業団の行いました技術的判断というものが正しいというふうに私どもも認識しているわけでございますが、いずれ、このことは厳正なる安全審査の段階において明らかにされるという立場で応対いたしたいと存じております。
#68
○関委員 そんないいかげんな態度で許されますか。良心があるならそんなことできないでしょう。少なくとも活断層百キロ、あるかないかについてはっきりしてから行ったらいいでしょう。その場合にはどういう影響があるかということも示したらいいでしょう。ただお願いだけじゃありませんか。そんなかっこうで青森に行ったって、青森の漁民は喜びもしないし、国ってこんなに軽率なものかといってあなた方笑われてくるばかりですよ。
 事業団が借り物を利用して事を運ぼうとするこの姿勢、何百億使ったら本物の調査をするのですか。何がむずかしいのですか。こんなに言われてもまだ本物の活断層の調査に出かける気を持たないのですか。三週間ぐらいかけてやったらいいでしょう。音波の調査と探査だけでは不十分ですから、ボーリングもしたらいいでしょう。そうするとわかりますよ。
 自分であれしたものでもない、そうしてりっぱな資料については簡単に投げ捨てて、東北電力の資料というけれども、東北電力がどこに請負させてその資料をつくらせたのか、その請負者の実体というものはどんなものであったのか、どれだけの調査を何日にわたってやったのか、そのくらいなら知っているのでしょう。そうして何月何日から何月何日までどの辺をうろついて調べた結果のものであるか、そのことぐらいは知っているのでしょう。そうしてがけ高二百メートルの縦ずり断層のことについてはどう認識されたのか、そのくらいは聞いておきましょう。
#69
○倉本参考人 活断層につきましては、私どもとしては、両電力会社が委託をして実施をされましたこのデータ等も一応拝見をいたしました。またその委託先についても、その調査の上においては、権威ある技術者で、実際に実績も持っておられるところであり、またその記録等を拝見しても、これは十分信頼に足り得るものであるということを私どもとしては確認をいたしまして、それでその解析を行ったわけでございます。
 したがいまして、その結果については、私どもも外部の専門の方々にも一応御意見を伺い、この活断層がないという判断を下し得るに至った経過またその結論につきまして、十分確信を持っておるところでございます。また、電力会社が行われました調査は、五十二年の八月から九月にかけてと五十三年の八月から十月にかけて実施をされたものでございます。
#70
○関委員 十月だとか何だとかと言わないで、十月何日何時から何という組織が受け持って、そうして沖合い何海里もしくは何キロ、そうして幅何メートルにわたり、エアガンかあるいはスパーカーか知らぬが、それと先ほどから申し上げておる二百メートルのがけ高を何と理解するのか。これさえも断層でないと理解して押し切るつもりか。断層でなければ何なのです。
#71
○倉本参考人 電力の方の行われた調査につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、活断層であるかどうかの判定をするために、海底下比較的浅いところをはっきり見るためのもので、スパーカー方式を採用して実施をしておられるわけでございます。
 また、その実施海域につきましては、下北半島の東側地域について二キロメッシュと申しますか、二キロごと、また場所によりましては四キロごとの広さで網の目のように実施をいたされておるわけでございます。(関委員「二百メートルは」と呼ぶ)
 断層と申しますか、この海域におきましては、確かに、北の方から南の方にかけましてそれぞれの海域で大陸棚の場所から若干傾斜をいたしておる場所がございまして、そこの場所について、傾斜角度が比較的大きなところ、こういうところには通常断層があるというようなことが言われておりまして、そういった点から、ここに断層があるというぐあいに水路部の方では判断されたようにお伺いいたしておるわけでございます。
#72
○関委員 あなたの方はどう判断したのです。
#73
○倉本参考人 私どもは活断層であるかどうかということの判断をいたしたわけでございますので、その地点におきましても、この地層が乱れておらないという点から活断層ではないという認定をしておるわけでございます。
#74
○関委員 活断層であるかどうかは乱れがあるかないかということで判断した。乱れがなければすべて活断層なしということですか。それは学者の定説ですか。
#75
○倉本参考人 私も素人でございますが、先生方の御意見等によりましては、第四紀層が第三紀層のところに、今回の資料では一応そこにアバットしておるということ、また、その第四紀のところに断層がないというような点で、これは活断層ではないという判断を下されたわけでございます。
#76
○関委員 あなたの方ではアバットという言葉を使っておりますが、アバットという言葉は適切でないと言われています。収斂と言った方が正しいだろう、こうある学者は言っております。アバットであれ収斂であれ、乱れがないからといって、そこに活断層がないと、それだけでは判断することはできないと言われている。したがって、ボーリングをしてみるしかないだろう、こう言われている。あるいはある程度斜面になったり斜めになったりして走っている断層もあるが、それもふぞろいでないからといって、活断層がそこになしという判断はできないと言われています。その底に活断層があって、そして上層にいくに従って埋もれ、そうして重なり、やがて傾斜をなしている、そういう姿を示さない場合もある、こう言われている。
 ですから、いずれにしろそういうもので活断層なしという判断は早計であったと思うのです。活断層なしと判断するには、やはり出かけていってボーリングをするしかない。ボーリングしてみたらやはりそうでしたというならばわかるでしょう。私はボーリングすべきだと思います。このくらい聞いたら、大臣、さすが中川大臣だから、人の言うことを聞くよりも自分の判断で、よし、ボーリングをしてひとつお目にかけよう、こういうことに決断されたらどうです。
#77
○倉本参考人 電力会社の方の調査におかれましても、いまのいわゆる海上音波探査だけでは、海底の地質が、地層がどういうぐあいになっておるかということはわかりますが、その地層が第何紀層と、どういう地層がそこにあるかということにつきましては、やはりボーリングをしてみないとわからない。これはまた陸の方とそれから海の方の地層が、同じような地層がそこでつながっておるかどうかという判断がどうしても必要になるということで、この海域については、電力会社の方でも一応陸の方と海域の方のボーリングをされて、その層は確かに第三紀の何層である、これが第四紀の何層であるという判断を一応下しておられるわけでございます。
#78
○関委員 これ以上断層の話をし続けることは無理のようでございますので、次回にこの続きをまたしたいと思います。
 そこで、残っている時間、七分ばかりありますからお尋ねしたいのですが、関根の浜の漁民は言うなれば専業漁民、反対だと言うのです。漁協の組合長というのは船一そうも網一カ統もあるわけじゃないのが組合長です。魚をとって生きているところの漁民は、ここに原子力船の母港が来ることは絶対反対だ、こう言っています。
 五者協定を打ち出した昨年の四月二十三日、その十日ほど前にまた長官がおいでになりました。私も、長官が下北においでになることを車の上から歓迎をして、もてなしをするまでには至らなかったけれどもお迎えをしたつもりです。そうしてあなたはいろいろと折衝され、そして漁民の心のわかる長官として評価もされ、そして大湊の方から関根の浜というところに決断をして今日進んでいるわけです。
 ところが漁民たちは、あの五者協定に当たって時の市長である河野君から一言の御相談もなかった。倉本専務理事は今回関根の浜を訪ねてびっくりされたことだと思う。まさか市長が漁民と話し合いもしないであんなことをするとはだれでも思われないでしょう。ただし漁民は、何でもいいから調査だけさせてくれというのだから、国の言うことでもあるし、それによってお金も入ってくるならばまあいいだろう、調査即賛成ではありませんよということを念を押すだけ押して、これだって二十八人のうち十一対十七、際どいところです。初めは十四対十四ぐらいだったんだが、だんだん風化した者が出てそういうことになった。
 ところが今回、漁業を専業とする人たちは、むつの市長のところに鉢巻き姿で行って、こんな粗末な調査でわれわれの海をとっちゃならない、われわれの海を奪われては困る、疑問の多い調査でいいかげんにされては困る、調査のやり直しをしろ、こういう申し入れを六日にされております。
 ところが驚くことに、翌日の七日、原子力船事業団の方が、むつ市のむつ観光ホテルというホテルに漁協の役員一同をお招きして、ねんごろにおもてなしをされました。一体これは何です。世に言う買収供応のたぐいになるのじゃありませんか。長官、そんなことまでしてしゃにむに持っていこうなんということはおよしになった方がいいでしょう。漁民も喜んでいいと言うならばいいけれども、そんなに漁民が反対だと言うのに無理して行くことも、これは考え直さなければならない。
 ましてや、この委員会で活断層をめぐってこのくらい科学的に、論理的に、そうして民主的に論議をされて、お答えのできないまま、神様は東北電力株式会社でございますというような姿で表を歩いたってだれも本にはしませんよ。
 そういう意味で、単に漁協が多数決で、言うなれば権利が欲しくて、大体三百万円ぐらいはもらえそうだからみんな賛成してくれと言って回っているそうですが、一年のうち十日かそこら昆布をとる程度のところで組合員になっている諸君たちは、お金が幾らかでも入ってくるならいいと思って賛成に回るでしょう。しかし、海を自分の生きる根拠地としておる漁民の方々は、とても御免だ、こう言っています。そうしてさきの市長が何にもおれたちに相談もしないでこんなことをして、雲の上でどんなことが行われているのか、海の底にいるわれわれはちっともわからぬと言うのです。
 そういう状態にあるわけですから、佐世保から八月の末に出港していくためには六月の末に、二カ月前にどこかを決めなければならぬのだからというのだけが先に頭にあって、あわてふためいて事を進めるようなことはよして、この際かけるべき時間はかけたらいいでしょう。また、不適当だということになったならば速やかに方向転換したらいいでしょう。
 伝えられるところによれば、お隣の岩手県でも欲しいと言うし、日本海側の方の福井県でもまた欲しいと言うておられる方もあるやに報道されております。何も私はそっちへ行けばいいと言うのじゃありませんよ。しかし、いやだと言っている漁民の抵抗、これによって生活がどうなるかということについて何らの保証もないままで心配しておる諸君、御免だと言っているのです。
 また、むつ市長は何も賛成していませんよ。むつの市長は反対とは言わないけれども、また賛成とも言っておりません。むつの市長が賛成するからとか、おいでくださいとかというので行くならば、これはわかりますよ。私は北村知事に土曜日に会いました。知事は言いました。何せ三者そろわぬものだから困ったもんだ、関君、何とかむつの市長に余り縛りをかけぬようにしてくれぬか、こういうお話だった。いや冗談じゃない、むつの市長がわれわれに縛りをかけているようなもので、わしが縛りをかけるなんということはちっともない。あの方は県会議員時代から科学的な県会議員としてりっぱな方でしたし、いまは科学的な市長としてりっぱな方であることは天下に知られておる。それだけに、この問題で軽率によろしゅうございますなんということは言える方じゃないと思う。
 そうしてあなた方が、自然的条件が悪いのにもかかわらず、社会的条件がいいからここに持っていきたいというて事を進めたことの誤りがいまここに出ているわけです。自然的条件の悪いのは承知の上、そして社会的条件も変わった。情勢が変わったら変わったなりのことをしなければ、またむだ遣いが続けられるのです。行革のときになおむだ遣いを続けるようなことは本当によした方がいい。
 そういうようなことを思いつつ、私はいま申し上げた点についてひとつ意のあるところを聞いておきたいし、いやしくも漁民を供応をもって賛成に回らせるような行いをするなんということはとんでもない。そういう点についても、それがあたりまえだというのかどうか、あわせてお答えいただきます。
#79
○倉本参考人 私どもといたしましては、関根浜への新定係港の建設ということにつきましては、地元の漁業者の方々の御理解、御協力を得て物事を進めるということが何よりも重要であると考えておりまして、地元の漁業者の方々の御意向を無視して計画を進めていこうというような考え方は毛頭ございません。また、御納得いただけるよう十分御説明をしておるし、今後も御説明申し上げていこうと考えておるところでございます。
 なおまた、ただいま先生の方から、七日の日に漁業組合の幹部の者と一緒に食事をしたというような点のお話がございましたが、これは昨年からこの調査等にいろいろ御協力をいただきまして、特に波浪計の海底ケーブル埋設の問題等につきまして地元にいろいろ御迷惑をおかけし、また御協力をいただいたということで、これについてのお礼と申しますか、そういう意味で懇親会を催したわけでございまして、これによって今後漁業者の歓心を買っていこうというような考え方は、私どもとして毛頭持っておるわけではございません。
#80
○中川国務大臣 いろいろ御指摘がありましたけれども、基本的には地元の皆さんの納得を得た上でやるのであって、決して無理押しをしようと思っていません。それだけに、「むつ」もいろいろ苦労して民主的な地元の納得をいただく、その前提を満たすために苦労しているのですから、今後ともそういう基本方針でやってまいります。
 ただ、私が地元へ参りましたときに漁連や地元の皆さんが、ホタテのある湾内は困る、これは水も停滞しているし、風評によっても非常に被害が大きい、だからホタテのないところでぜひ、こういうことでございましたので、ホタテのない、海流の流れる、関根浜は近いし、しかも工事期間中大湊に置いてあげよう、こういう非常に親切な地元の皆さんの気持ちもあったから、それでは民主的に地元の皆さんの意向に沿うてひとつやりましょうということで、基本的に五者共同声明となったわけでございます。
 そこで、御指摘の関根浜の地震の問題ですけれども、これも活断層があるかないか、ボーリングしてみなさいと言っても、そんな深いところをボーリングできるわけではないのです。これは東大の場合も、音波による探査によってやったのではないか、これは海上保安庁の資料をいただいた。そういうこともありましたから、電力会社があの地帯に、東通に原子力発電所をたくさんつくりたい、こういう考えもあって、それをベースにして、それよりまた質の高い調査をしてみた結果、あると断定していることはどうもおかしいのではないか、まずない、こういう判断を持っておられるということから、関根浜は距離ももちろん遠うございますし、しかも施設は、原子力発電所とは違った、それほど大きな施設ではないというようなことからいって、まず大丈夫という判断のもとに建設は可能である、こういう判断でやったわけでございます。
 そこで、今後残されておるのは、漁民の皆さんがそういったことを含めて、大方の方の――反対のための反対の人は別として、本当に暮らしを守る、こういうことからくる声には十分耳を傾けて、そして関根浜の関係者の御納得と五者間の、五人の方々の納得を得た上で進めていきたい、こういう基本方針で進みます。何か国家権力で押しつけてという考えで御指摘ありますけれども、「むつ」がいままでいかに民主的にやってきたか。民主的でない場合はえらいことになるという反省もよく承知いたしておりますので、地元選出の先生としては、地元のことを考えていろいろ御指摘あることは当然かと思いますが、われわれも、そういった地元が悪くなることを無視して国の行政を進めようとは思っておりません。地元とともどもに成り立つという形で進めてまいりますので、しばらくわれわれの努力もひとつ見ていただきたいと思います。
#81
○関委員 時間も過ぎましたからこれで終わりたいと思うのですが、少なくとも、あなた方の方で調査しておる活断層の問題についても、関根の浜の北方にあるものでも、予想されるマグニチュードは六ないし七と計算されているわけです。震度だって五ではなくて六も考えられるというふうに計算もされているはずです。そうなると耐震性というものは、言葉では耐震性というけれども、容易じゃない場所だということくらいはわかるはずだと思いますから、その論議はまたこの次にします。
 その次には、長官はいま民主的と、非常にいいことを言いました。決して漁民の反対するものを無理やりにはしない、納得を得る。結構なことです。納得を得て進めていくためには、八月三十一日は佐世保の方で区切りはつけるけれども、青森の大湊の方にはそのときに決まっておらなければそれにはかかわりはない、それによって八月三十一日出港、九月一日大湊入港、そういうことは強行するものではない、こう理解してよろしゅうございますか。
#82
○中川国務大臣 八月いっぱいで佐世保を出る約束があることは、もう厳然たる事実でございます。そこで、地元の皆さんにおかれても、そんなことは知ったことじゃないと言わずに、そういうことも踏まえながら納得できるかどうか。期限なんというものは一切知らないという冷たいことではなくて、やはりお互い理解し合ってその範囲内にできるかどうか。そういう期限もあるということも横に置いてもらって、納得できる努力をしていただきたいし、どうしてもできないというならこれもいたし方ないことで、期限は知ったことじゃないなんという他人事ではなく、ひとつ温かい気持ちで御理解をいただきたいと思います。
#83
○近藤委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十九分開議
#84
○近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。村山喜一君。
#85
○村山(喜)委員 私は、長期エネルギー需給見通しの改定の問題について、初めにお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、省エネルギーの産業構造というものが進んでいきますと同時に、そういうような省エネの考え方というのが行き渡っていく、そういう中で産業が今日不況の状況になっていく。こういうような姿の中から、エネルギー庁が打ち出してまいりました従来の長期エネルギー需給の見通しは改定をしなければならない段階に入っているんだ、こういうふうにわれわれも見ていたのでございますが、このごろの新聞等で、一五%の下方修正が行われる見通しである、六十五年度には五億九千万キロリットルの需要関係にとどまるのではなかろうかというような話が出ているわけでございます。
 これらの問題についていま審議会が開かれているという状況だと承っておりますが、電力施設の長期計画をいつ決めることになるのか、その中で原子力発電の占める比率が低下することになるというふうな見方になるのか、あるいは原発の比率は、七十五年は六十五年の二倍にするのだという計画を進めていこうとしているのか、この点についてはどういうような状況になっているか、一応お尋ねをしておきたいと思うのです。
#86
○戸倉説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の長期エネルギー需給見通しにつきましては、現在の需給見通しは昭和五十四年八月に策定されたものでございまして、その後、需給状況等の変化もございますし、諸般の情勢等を勘案いたしまして、現在見直しの作業を行っているところでございます。具体的には、総合エネルギー調査会の需給部会並びに電気事業審議会の需給部会におきまして検討を行っておりまして、おおむね今月の末には大体の取りまとめをするという方向で現在検討が行われているわけでございます。
 その中で、電力需要あるいは原子力発電のシェアをどう見ているかというようなお尋ねでございますけれども、現在検討中の段階でございまして、具体的な数字を申し上げるような状況になっておりませんけれども、大体の検討の方向といたしましては、先生も御指摘のように、一つは、現行見通しでまいりますと、昭和六十五年度のエネルギーの需要の見通しというのは、石油換算で七億キロリットルという数字になっておりますが、これをある程度見直しをいたしまして、相当程度引き下げを行うというのが一つの考えでございます。
 それから第二点といたしましては、石油代替エネルギーについては、この中でも可能な限り供給の増加を図っていくという方向で検討が行われております。
 それから第三点といたしましては、現在ございますのは昭和六十五年度の目標でございますが、昭和七十五年度、すなわち西暦二〇〇〇年におけるエネルギー需給の展望をいたしましてその方向を明らかにする、こういったことでいま御審議をいただいているところでございます。
#87
○村山(喜)委員 原発比率を高める、その方が経済的に効率性がある、こういうことであろうと思うのですが、この点については後ほど私の方で、その経済性の問題は追及をしてまいりたいと思います。
 そこで、五十六年度の原子力開発利用基本計画というものが五十六年の三月の三十一日に決まりまして、その財源の予算的な配分もなされたわけですが、五十七年度は、この原子力開発利用基本計画というものは前年度の考え方を踏襲をしていこうとしているものなのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
#88
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 五十七年度の原子力研究開発利用計画につきましては、基本的な考え方は五十六年度と変わっておりません。
#89
○村山(喜)委員 そこで私は、八二年の二月の財政金融統計月報、国有財産特集というのが国会議員に配られておりますが、この中からちょっと質問をしてまいりたいと思うのです。
 五十六年三月三十一日現在の政府出資法人一覧、それを見てまいりますると、日本原子力研究所、それから原子力船事業団、動燃事業団、これに対する政府出資額は、三千八十二億あるいは原船が二百十億、動燃が五千八百五十三億という数字がここに出されているわけでございます。そこで、五十六年度の補正後におきます出資額がどれだけになり、五十七年度の予算の中でもう決定を見ましたが、それまで入れてトータルで見てまいりますると幾らの数字になるんですか。
#90
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 五十六年度につきまして見ますと、まず原船事業団が五十三億六千万円、それから動燃につきましては千四十三億三千七百万円、原子力研究所につきましては六百二十七億四千九百万円でございます。五十七年度につきましては、まず原子力研究所六百七十二億五千四百万円、原船事業団につきましては五十七億六千三百万円、動燃事業団につきましては千七十億四千百万円でございます。
#91
○村山(喜)委員 それで、今日までのいわゆる政府出資額として本年度分まで含めた場合には、トータルでそれぞれ原子力研究所から動燃まで幾らになりますか。
#92
○石渡政府委員 五十七年度までの見込みでございますが、まず原研につきましてはトータル四千三百八十二億六千百万円、それから原船事業団につきましては三百二十一億九千万円、動燃事業団につきましては七千九百六十六億九千四百万円でございまして、以上の合計が約一兆二千六百七十一億円でございます。
#93
○村山(喜)委員 そこで、これは出資額として一兆二千億をつぎ込んだ。そのほかに、助成金がございますね。これはおおよそでよろしゅうございますが、五十七年度までに幾らつぎ込んだことになりますか。
#94
○石渡政府委員 ただいま累計の数字を持っておりませんので、しばらく時間をおかし願いたいと存じます。
#95
○村山(喜)委員 そこで、私はこの問題について去年長官に質問をしたことがございました。私が聞きたいのは、こういうふうにして出資額として出した、そのトータルは一兆二千億を超えている、その中で、損失額として国有財産の出資金の資産台帳から削ったものがございますか。損失額として落としたのがありますか。
#96
○宮本(二)政府委員 科学技術庁全法人の欠損金は一兆二千四百九十七億でございますが、国有財産台帳上はこれを損失としては落としておらぬと思います。
#97
○村山(喜)委員 そこで、原子力発電を中心に、原子力の安全性を追求しながら、科学技術庁は原子力庁と名前を改めてもいいくらい一生懸命やっていらっしゃる。一兆二千億という、これは国民の税金を投入してということですね。資産として、国有財産の中には政府出資額として残っているけれども、今日それに見合う資産というものがこの一研究所二事業団に一体どれだけの資産として残っていることになるのですか。
#98
○石渡政府委員 先生御承知のように、ただいま例示に挙げられました三法人につきましては、原子力開発という研究開発を行っているわけでございまして、その研究開発の成果につきましては、直ちに実用化されるという性格のものではないわけでございます。
 そういう意味で、どういう形で残っているかという御質問に対しましては、われわれは、そういう研究開発の成果として知識の形で、無形の資産として残されているんだ、このように考えているわけでございます。
#99
○村山(喜)委員 決算委員会じゃありませんので、ノーハウとして残っているものの中身をこれ以上追及する気持ちはありませんが、単にノーハウとして残っているんですよと国民の前に言うても、きわめて抽象的ですね。それじゃ原子力の理解を深めようと思っても、一兆二千億の出資金が、建物は残っておる、そこには放射能も残っておるわけですが、そういうような意味において、一体どれだけ税金を使った経済効果というものが今日の面においてあらわれてきているのか。国民の税金を使う以上は、やはりそれだけの効果というものを測定をしなければならないのじゃないだろうか。
 特に科学技術庁ですから、もう少し科学的に、ノーハウが残っておりますというだけでなしに、そこの中身を、こういう成果を上げてこういうところまで至りました、国民の税金は消えてしまった、出資金という実態は存在はしないけれども、このような成果を上げておりますということが胸を張って言えるようなことにならなければならないのではないかと思うのですが、そういうような整理をしようというお気持ちはございますか。
#100
○石渡政府委員 先生御指摘のように、確かに無形の財産ということでございますが、まず原子力発電の安全性ということを確立する研究の成果として、今日、電力の供給の二八%を供給しているという実態があるわけでございます。また、この原子力の研究開発の主点は、将来に備えての原子力の開発という点に重点が置かれているという点も御理解賜りたいところでございます。
 なお、たとえば核燃料サイクルにつきましては、それぞれの開発テーマがそれぞれ成果を上げてきておりまして、核燃料サイクルが、わが国として、非常に細いものではございますが、一応完結させることができたということも、大きな成果であるというふうに考えているわけでございます。
 そういうことで整理をしてみますと、無形の資産として一応われわれが御報告申し上げられる事項といたしましては、ウラン濃縮の関係での遠心分離法に関しますいろいろな技術的な開発の成果、あるいは再処理の関係といたしまして東海の再処理施設の運転管理技術、あるいは廃棄物の処理処分技術、あるいは放射性物質の放出の低減化の技術に関する知識といったものが挙げられるかと存じます。
 また、炉の方につきましては、新型転換炉原型炉「ふげん」の運転が非常に安定して行われておりまして、これらの設計に関する知見あるいはプルトニウム利用に関する技術の蓄積等が成果として挙げられると考えております。
 また、将来の、未来のと言っていいのかもしれませんが、核融合関係につきましても、JT60、現在建設中でございますが、この設計に関するデータ、あるいはプラズマ加熱装置あるいは高周波加熱装置の設計あるいは試験に関するデータ、こういったものは世界的に第一線にあるということで、私どもの、税金を使わせていただいた研究の成果として御説明申し上げることができる内容かと考えております。
#101
○村山(喜)委員 原発によります電力の供給比率が一六%を占める、供給ができるようになったというようなこと等を中心にいまお話がありましたが、まだ助成額のトータルはわかりませんか。
#102
○石渡政府委員 先ほど、数字がなくて申しわけございませんでしたが、補助金という名目で、五十七年度末の見込みの数字でございますが、まず、動燃事業団につきましては千三百六十五億三千七百万円、原子力研究所千四百十一億七千九百万円、原船事業団百二十九億九千百万円、以上の合計といたしまして二千九百七億七百万円ということでございます。
#103
○村山(喜)委員 その出資金と助成金とを合わせると大体一兆五千億ですね。これは持ち分から言えば、政府の持ち分比率は九九%とかあるいは九五%、九六%という比率はほとんど変わりがないだろうと思うのです。そうなると、今日の原子力というものを支えていった背景には、国民の税金が一兆五千億もつぎ込まれておるというこの客観的な事実は否定できませんね。どうですか。
#104
○石渡政府委員 昭和二十九年以来、原子力の研究開発、そして利用を進めていこうという方針を日本としてとったわけでございまして、非常に大きな研究開発プロジェクトとしてスタートしたわけでございます。その判断のもとには、一つの巨大なプロジェクトに国を挙げて取り組むことによりまして、日本の科学技術水準を向上させるという、その波及効果も大きなねらいの一つであったかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、わが国が取り上げておりますプロジェクトの唯一の巨大な開発プロジェクトというふうに御理解賜りたいわけでございます。そのために一兆五千億といった巨額の金が過去二十五年間にわたってつぎ込まれてきたということは事実であると考えます。
#105
○村山(喜)委員 それにもかかわりませず、日本におきますエネルギーの国際比較というもの、これは「電力及び石油価格を中心にして」という日本鉄鋼連盟が去年の十月にまとめたレポートがあるのです。これは単に鉄鋼連盟だけの資料ではなくて、あちこち引用されております。私もいろいろ非常に考えさせられるものがあるわけですが、これを見てまいりますと、日本の電気料金というのは国際比較の上において割り高になっている。なぜ割り高になっているのだろうか、いろいろ分析がしてございます。こういうような民間の資料というものがあるわけですが、科学技術庁なりエネルギー庁で、この問題について国際比較という上に立って、特にエネルギー庁の場合には、これからの日本の産業的な発展を考えていった場合には、これは国際競争力をどうしてつくっていくかという上から考えたときに必要な資料だと思うのですが、そのようなものをおまとめになったものがございますか。
#106
○植松説明員 お答えいたします。
 諸外国の電気料金との比較というのは、各国の料金制度が大変違いますことや、需要構造も各国によりまして異なりますものですから大変むずかしいわけで、かつ個別の電気料金をユーザーがどういう形で支払っているかということになりますと、企業機密に属するようなこともございましてなかなかむずかしゅうございます。ただ私どもも、できるだけ各国の比較をし、わが国の電気料金制度にも参考にするということで調査をいたしております。
 公表されましたデータ、いま先生御指摘の鉄鋼連盟の数字もそうでございますが、私どもが調べたところによりますと、たとえば工業用の電力、電力需要のうちでもいろいろございますけれども、仮に契約電力を二千キロワット、月の使用量を六十万キロワットアワーというようなモデル計算をいたしまして、各国から知り得るデータに基づいて比較をいたしますと、わが国の水準は、東京電力を例にとりますとイギリスよりは低い。アメリカは三千近くの電力会社がございますので、これは高いものもあれば低いものもある。それからフランス、西ドイツに比べますと、わが国の方が二割ないし二割五分割り高というような数字になっております。
#107
○村山(喜)委員 それはそのとおりだろうと思うのですが、政府として、エネルギー庁としてそういう国際比較の具体的な数字をまとめられて、一つの価格政策というのですか、電力を中心にしたそういう比較の上に立った政策を打ち出していくという考え方があるのかないのか、その点はいかがですか。
#108
○植松説明員 比較はしなければならないと思っておるのでございますが、各国の電気料金制度として見ますと、わが国の場合もそうでございますけれども、原価主義と公平の原則ということで、大体公共公益事業料金は公正な価格決定ということを各国ともいたしておりますが、そういう見地からわが国の料金制度も見ていかなければならない。そういう点から申しますと、原価を無視して、たとえば外国の料金が低いからそれに合わせるということは、どこかにしわを寄せなければならないことになりますのでなかなかむずかしい。結果といたしましては、できるだけ電力会社の供給コストを引き下げることによりまして、わが国の電力料金を少しでも低水準にしていくという努力をしなければならないかと思いますが、それ以上に、比較をして直ちに料金を国際並みにするという形で、原価主義を捨てるとか公平の原則を捨てるということはできないと考えております。
#109
○村山(喜)委員 それぞれ経営形態も違いますが、あるいは電力の発生源等も違いますけれども、今後電力という問題を中心に考えるならば、エネルギー価格の国際比較というものを用意しながら対応される方がいいだろうと考えますので、その点は指摘をしておきたいと思います。
 そこで、税金の関係なのですがね。自治省も見えておりますが、電気事業税というのがある。これは総収入額の一・五%で、ことしは千五百億。これは、この前地方税法の改正が行われまして、傾斜配分を電源立地のところにするということで法律が通ったものでございます。それから市町村税であります電気税、これは税率が五%ということで四千百七十億の予算見積もりをされている。そのほかに電源開発促進税というのがある。この電源開発促進税というのは、エネルギー庁が所管をされまして、今日、電源立地勘定、電源多様化勘定という二つの種目に分かれておりますが、電源開発促進対策特別会計の中で処理をされている。このトータルが一千四百三十五億という数字になるようでございますが、その点は間違いございませんか。
#110
○丸山説明員 お答えいたします。
 ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
#111
○村山(喜)委員 そこで、電気事業税と電気税は法律によってやってますね。ところが電源開発促進税というのは法律じゃないですね。立地交付金というのは告示によってなされていますね。その点はどうですか。
#112
○戸倉説明員 ただいま先生の御指摘がございました電源開発促進税でございますが、電源開発促進税法という法律に基づきまして徴収をいたしておりまして、その使途につきましても法令で決められておるものでございます。
#113
○村山(喜)委員 法律に基づく、しかし、実際立地交付金という形であめ玉として出しているのは告示で自由裁量によってなされるわけですか。一定基準を決めてこれによってなされている、そういうようなことで行政サイドの立場からなされているんじゃないですか。
#114
○戸倉説明員 電源立地促進対策交付金という交付金がございますが、これにつきましては、新しく原子力発電所あるいは火力発電所等をつくる場合に、キロワット当たり、出力に応じまして一定の単価が決まっておりまして、それに応じて交付することになっております。
#115
○村山(喜)委員 そこで、電気事業税というのは経費として、事業をやる人が損失として落とせるような形になりますね。それから電気税というのは消費者が負担をする。電源開発促進税というのは、電力会社の場合にはもちろん経費として落とせる。そうして今度は、原発やあるいは火力、水力、そういうようなところに対しましては交付金という形で都道府県や市町村等に交付をされる。この財源は当然一般の電力を使用する人たちが負担をする、こういう形に振りかわってくる。そういうような意味においては大衆課税というものですね。
#116
○植松説明員 電気料金の認可に当たりましては、先ほど申しました原価主義でございますが、その原価の中には、電力会社として経営を続けていき電気を供給していく場合には、当然諸税も支払っていかなければなりませんので、そういう意味で租税公課も原価に織り込んでございます。
#117
○村山(喜)委員 電力料金の算定の中で、いろいろ調べてまいりますと、公営水力発電所というのがございますね。これは三十一都道府県、一市一町一村百八十五の水力発電所がある。これは八〇年の三月末の数字でございますが、八十一億キロワットの年間発生電力量の合計がございます。そこで発生をする電力のいわゆる売買単価と、それから九つの電力会社がそれぞれ地域分割をやって独占的に供給をしている電力単価に、非常に大きな開きがあるというふうに数字の上で見るのですが、こういうような公営水力発電所の電気の料金等については、売る方と買う方の当事者間の契約で決まるのですか。
#118
○植松説明員 公営水力の電気は、いま先生おっしゃったとおり一般電気事業者に売っておりますが、料金の決定に当たりましては、卸売業者でございます公営水力とそれから小売側でございます一般電気事業者との間で価格交渉がございます。ただ、電気事業法に基づきまして、卸電気事業者の卸料金につきましては、これも原価主義が適用されておりまして、適正な原価に適正な利潤を加えるというところまでということになっております。その原則に従いましてまた一定のルールというのができておりまして、それに基づきまして価格交渉を行い、その結果まとまりますと政府の方に認可申請が来る、こういう仕組みになっております。認可に当たりましても、原価主義に適合しているかどうかという観点から審査をするという仕組みになっております。
#119
○村山(喜)委員 そこで、お尋ねを具体的なものでいたしますが、これは七九年度で、ちょっと資料が古いのですが、山梨県の県営水力が四億九千七百二十万キロワットを東電に売った。そのときの単価は五円四十五銭で売電をしておる。東電は、山梨県民に対しましては、県営の水力発電所から安い値段で買った倍以上の価格で売っているという具体的な数字があるわけです。
 そのほかに、金沢市の上寺津という市営の水力発電所、それから新辰巳水力発電所、いずれも一万六千二百キロワットと六千キロワットの水力発電所ですが、これの一キロワット当たりの実績値が四円九十一銭、もう一つの新辰巳の方は三円五十四銭という値段で売電をして、そうして北陸電力はそれを今度は十三円九十銭で売っている、そういう実績値が数字としてあるわけですが、そういうような五円以下、四円以下で買って今度はそれを十三円九十銭、まるで三倍くらいの値段で売る。
 東京都営のごみの焼却発電、これも七九年までは売買の単価は三円、八〇年の四月からは八円に乗せたわけでありますが、こういうようないわゆる低い単価で公営の水力発電所等は買われているという仕組みは、一体どういうところから来るのですか。
#120
○植松説明員 現在の電気事業の仕組みといいますか、電気の供給体制というのは、もう御案内のとおり九電力体制ということになっておりまして、一般の消費者あるいは産業の需要にこたえて電気を供給するいわゆる小売業者、一般電気事業者というのが九電力になっております。これは、戦前からの過当競争による重複投資、いわゆるむだな競争によってかえって供給コストが高くなるということで、むだな競争をするよりも、一定の地域独占を与えましてそこで規模の利益を追求させる、ただし、一方では独占による弊害が出ないように厳しく規制を加えるというかっこうになっております。
 その供給をいたします場合、自分で発電をして供給する部分と卸売電気事業者、先ほど申しました公営水力を初めとしまして電源開発株式会社等ございますが、そういった卸電気事業者から供給されるものにつきましても、最も効率的に、むだな送電、変電あるいは配電設備等を重複使用しないように、電気設備の有効利用を図るという見地から、一般電気事業者に一たん集めまして、一般電気事業者が公平の原則、原価主義の原則に基づきまして出すというかっこうになっております。
 電気につきましては発電の形態はいろいろございまして、水力もあれば火力、これも石炭、石油、LNG等いろいろございます。また原子力もございます。それぞれその燃料事情あるいはその他の事情を勘案して最も有効な設備利用をいたしまして、トータルとして最も安い電気が供給できるようにするというのが現在の電気事業の体系でございます。たまたま、公営はほとんど水力でございますので、水力発電について見ますと、既存のものは燃料費がただでございますので、償却費だけということで非常に安いものが一般電力会社に供給されておりますが、これも含めまして電力の供給コストを下げて、その上で一般の需要家に公平に割り振るというかっこうになっております。
#121
○村山(喜)委員 そこで私が疑問に感じますのは、先ほどお話を申し上げました電源開発促進税によりまして、原子力発電所を百万キロワットのところをつくった場合には、百万キロワットに四百五十円掛けてそれの七倍をしてそれが三十一億五千万、それが設置をいたしました当該町村に交付される。その周辺はやはり同額が交付される。
    〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
火力、水力それぞれ交付の基準があるわけでございますが、いま申し上げましたようなたとえば山梨県の水力発電の需要を計算してまいりますと、県内の総需要の二五%を賄うような県営水力発電所がある。そこからは安い値段で買っておって、今度はまた水力発電の場合には、千キロワット以上の発電所に対しましては二百円を掛けてそれの五倍をしてそれで交付をする、こういうようなことをやるよりも、その地域の中でそのような安い単価で生産ができるものをその地域に存在をする県民に還元をする、そういう直接の還元方式というものの方がより合理的ではないか、そういうような気がするのです。
 そこら辺は、いまの独占禁止法の対象外として九分割をしております今日の供給体系の中ではむずかしいとは思うのですが、それらの比較検討をそろそろする方がいいのではないだろうかという気がするのですが、そういう既存の水力発電所等について、そこに住んでいる住民に直接、生産原価に基づく安い電力の供給というものはお考えにならないかどうか、その点についてお答えを願っておきたいと思うのです。
#122
○植松説明員 いま御指摘の点でございますが、個別の発電所を見ますと、非常に安く仕上がるもの、いまおっしゃられた五円とか六円とかいうような水力発電所もございますが、たとえばそれ一つとってみましても、発電所というのは必ず年に一回とか、一定の技術基準に従いまして定期修理、点検をしなければなりません。そういたしますと、その間は一カ月くらいとめなければならない。とめている間その間の電気をどこから持ってくるかというようなことも出てまいりますし、また緊急に事故、故障等で電気がとまることもございます。
 そういう点から見ますと、たまたま一時的あるいは理論的には非常に安い発電所でございましても、定期修理でございますとか事故等の場合には、ほかから電気をまた買ってこなければならないということになりますと、その手当てをどうするかという問題が出てまいります。さらに電気を発電するところまでは安くできましても、それを供給する場合には、それぞれ変電所、送電線、さらに配電線、たくさんの流通コストが必要でございます。
 これも規模の利益でございまして、たくさんの需要家とたくさんの発電所と組み合わせますと、比較的設備利用率が高くなりましてコストも安くなりますが、一発電所に対してたとえば百なり二百なりの需要家と結びつけますと、その間もしも故障がありました場合の電気をどこから持ってくるか、あるいはそういうものをたくさん乱立させますと、相互に重複的な融通をしなければならない、そういったコストを考えますと、かえって高くなる、あるいは供給が非常に不安定になるという問題がございまして、やはり安定的な、かつトータルとして最もコストが安く運用できるのは、現在のような形での規模の利益を享受し、かつそれが独占の弊害が出ないように、公益事業としての規制を受けた形での供給体系をとるということが一番効率的ではないかと考えておる次第でございます。
#123
○村山(喜)委員 その問題はわれわれはどうも納得できないのです。点検、修理をする場合には、その間買電でもいいわけですから、普通の単価で供給されていいわけです。配送電やその他の経費が要ることもわかりますが、どうも考えてみると、発生電力の単価の三倍くらいの価格で売っているというのは、公営なるがゆえに余りにも九電力が安く買い入れて、そしてそれを高く供給しており過ぎるのではないかというような気がしてなりません。そこら辺はさらに検討を願っておきたいと思います。
 そこで、時間が余りありませんので、原子力発電の経済性の問題でお尋ねをしますが、日本原子力発電株式会社の今日の経営状態はどういうふうになっておりますか。
#124
○植松説明員 昭和五十五年度の決算を見ますと、当期経常利益二十九億円、税引き後の当期利益で申しますと十三億円ということになっております。五十六年度は、御承知のとおり事故等もございまして、まだ決算は出ておりませんけれども、相当の収支の悪化が予想されます。
#125
○村山(喜)委員 そこで、これは二十年来一回も株主配当はありませんね。ありましたか。
#126
○植松説明員 ございません。
#127
○村山(喜)委員 そこで、この売買単価は実績値でどれくらいになっておりますか。
#128
○植松説明員 先ほど申しました卸売業者とそれから一般電気事業者との間の取引価格に相当するわけでございますが、個別の契約内容につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。ただ、原子力発電だけをやっておりますので、一般に言われておりますような平均的な売買単価ではなかろうかと思っております。
#129
○村山(喜)委員 これは、古い売買単価は出ておりますが、七九年度の売電単価は八円三銭というのが出ていますね。その後ずっと上がってまいりまして、本年度の売電料金というのは一体どういうふうになっているのだろうか、これはお調べを願っておきたいと思います。
 そこで、五十五年度初めて黒字が出た、しかし累積赤字がずっと続いていますから株主に対する配当は一回もない。これは一九五七年に創設を見た原子力発電の専門の株式会社ですが、それが今日まで一回も配当ができないというような状態は一体何でしょう。原子力発電所は安上がりだ、安くできるのだということを言いながら、日本原子力発電株式会社に関する限りは、これはどうにもならない、こういうふうに受けとめるのですが、売電単価が安くなされているからそういうことになるのですか。それとも五十六年の決算が悪化するというのは、敦賀の原発の事故隠しで運転停止に追い込まれたというような関係がありますから悪化していることは間違いないのですが、これは株式会社でありながら株主に対する配当はない。九つの電力会社が資本金の四分の三を所有しているものだから、売電単価を安くしてやりさえすればよろしいという経営形態をとっているのですか。
#130
○植松説明員 一般的に、卸売電気事業者が一般電気事業者に電気を卸す場合、その卸売電気事業の企業形態はいろいろございまして、いまおっしゃった日本原子力発電の場合におきましては、一般電気事業者がほとんど出資をしておるわけでございます。それから、公営水力の場合についてはそういう出資関係はほとんどない。いろいろでございます。
 そして卸売電気事業者が一般電気事業者に電気を売ります場合の料金でございますが、いわゆる原価主義ということでございますが、原価プラス適正利潤。その適正利潤にどういうふうに織り込むか。電気をつくります場合、その設備あるいは燃料を購入するに当たりまして資金が当然必要でございますが、その資金を調達するコストというものを見ませんと卸売電気事業者も経営ができません。その場合、出資につきましても配当というのが当然資金調達コストとして入ってくるわけでございますが、一般電気事業者の出資にかかわるような場合につきましては、必ずしも一般に言われますような配当率を維持しなくても、結果として電気代の方に還元されてまいりますので、配当率を見る場合、それから配当率を必ずしも十分に見ることをしない場合、いろいろございまして、日本原電の場合につきましても、たしか料金交渉のときにはそれほどの配当を期待していないのではないかと思います。
 それから、なぜ赤字が出るかということでございますが、実際に契約を結びます場合には向こう一年間の原価、いわゆる想定原価でございますが、予想原価をはじきましてそこから料金をはじき出す、こういうことをしておりますが、そのときに稼働率を見て、どのぐらい電気を販売するかということを見て収入を見るわけでございますが、その過程で予想どおりの稼働が確保できないようなケース、あるいはその他特別の支出が必要になった場合等につきましては、その分だけが原価に入っておらないということがございまして、想定された原価よりも高い原価になった場合に十分な収入が確保できず、したがって、決算上赤字になるというようなことが出てまいるかと思います。
 本件につきましても、通常の場合と違いまして、親会社が必ずしも十分に期待しないということで、恐らく配当率を低目に設定されているのではなかろうかと思います。
#131
○村山(喜)委員 そこで、これのいわゆる売電単価の問題は後で説明をいただきたいと思うのですが、電力料金の決定方式の料金算定基準の問題で気になりますのは、電気事業固定資産というものがあります。それに原子力発電の場合には核燃料そのものが固定資産扱いとして、装荷中及び加工中の核燃料というものは当然入ってくる、それから、建設中の資産として建設仮勘定の二分の一が入ってくる、特定投資、それから運転資本、繰り延べ資産というようなものがレートベースの内訳として平均の帳簿価格の上に乗せられまして、適正原価を計算して、そして適正利潤を加えたものが総括原価で、販売予定電力量でそれを割り崩しまして電力単価というものが決まる、こういうふうに承っているのですが、核燃料の場合は契約をしただけで適正利潤まで保証をされる、電力単価が上がるというような仕組みに電力料金の決定方式がなっているということの事実。
 それから、電気事業審議会で、再処理費用というのは回収価格を上回るので料金算入を求める、燃料を燃やしている段階で引当金を計上せよ、税法上はそれは無税の取り扱いをしてもらいたい、こういうような要請が出ているわけでございますが、そのことについての事実。
 それから、廃棄物の処分、それから廃炉等のバックエンドの費用についてはまだ計算に入れていないわけでありますが、イギリスやフランスに再処理を委託いたしました使用済み燃料の高レベル廃棄物が返還をされる、それの処分費用というもの等はまだ計上されていない。とするならば、そういうようなものが計上された後におけるいわゆる原子力の発電コストというものがどういうふうになっていくのか。石油火力の場合キロワット当たり幾ら、石炭火力は幾らという一つの数字が出されておるわけでございますが、こういうものまで含めた場合の原子力発電の単価というものは果たして経済性があるのであろうかということがいま非常に大きく問題になりつつあるのですが、その関係についての見通しを説明願いたいと思います。時間がありませんので、簡潔に願います。
    〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
#132
○植松説明員 まず、核燃料の料金原価への織り込みの点についての御質問でございますが、レートベースの関係でございますけれども、レートベースの場合には、当然のことながら真実かつ有効な資産と認められるものにつきまして入れまして、それに適正報酬率を掛けまして資金調達コストをはじくということをいたしております。その場合に、いまおっしゃられた、契約をすればそれでレートベースに乗るということでございませんで、レートベースに入れます場合の真実かつ有効な資産についての考え方は、原則としまして、支払いをしまして、実際に所有権を確保するという形のものでなければならないということで運用をいたしております。したがいまして、契約をしたから直ちに入るというものではございません。
#133
○戸倉説明員 先生お尋ねの原子力発電の経済性の点でございますが、昭和五十六年度に運転を開始いたします原子力発電所の発電原価は、キロワットアワー当たりおおむね十一円ないし十二円という試算がございます。これは石油火力に比べまして大体六割程度でございますし、石炭火力に比べましても八割程度という数字がございます。このコスト計算の中には、先ほど先生御指摘のように、ウラン鉱石濃縮加工あるいは再処理といったような費用、核燃料に伴うコストは含まれておりますけれども、廃棄物の処分費用あるいは廃炉に伴う費用についてはこの中に含めてございません。
 これは、現時点においていろいろ技術的な問題等もございまして評価がむずかしいということで、確定的なことは申し上げられないわけでございますが、諸外国の評価等を前提にいたしまして、この廃炉費用あるいは廃棄物の処分費用等を試算いたしましても、せいぜい現在の発電原価の一割あるいはそれ以下ではないかというような感じがいたします。こういった点から考えますと、原子力発電の経済性というのは、他の電源に比較してなおすぐれていると私ども考えております。
#134
○村山(喜)委員 時間が参りましたのでこれできょうはやめますが、また引き続いてこの問題については質疑を続けてまいりたいと思います。
 終わります。
#135
○近藤委員長 草川昭三君。
#136
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 私は、きょうはラジオアイソトープの廃棄物処理とATRの事業主体の問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず、ラジオアイソトープの問題でございますが、近年、放射性同位元素というのでしょうか、RI、ラジオアイソトープというのは、原子炉やサイクロトロンで人工アイソトープというものが手軽に製造されるようになったわけでありますし、これが産業あるいは医療その他われわれの日常生活に密着した分野で幅広く利用されるようになってきました。しかし、このアイソトープは放射能を持つわけでありますし、当然そこから放射線が出るわけでありますし、その放射線を利用していろいろと産業用、医療用に使うわけでございますが、これは全体的には障害防止法というのでしょうか、これで規制が行われておるわけでございますが、医薬品の場合は医療法で規制をされるとか、それぞれの各省庁の所管によっておのずから対応が違うわけであります。
 しかし問題は、いずれにいたしましても、廃棄物を処理するところは日本では一カ所しかないわけであります。しかもその処理を取り扱う業者はRI協会以外ないわけでありまして、そこで実は問題がいま起きておるわけであります。まさしくトイレのないマンションという形で、利用が多ければ多いほど、ふえればふえるほど廃棄物処理に難点があるというその問題を取り上げるわけでございます。
 まず、科学技術庁に、全国でいまRI、ラジオアイソトープを使用している事業所の現状をどのようにつかんでおみえになるか、お伺いをいたします。
#137
○赤羽政府委員 放射線障害防止法の対象となっております事業所でございますが、ちょっと統計が古うございまして恐縮でございますが、昨五十六年三月三十一日末現在で四千二百六十九事業所ございます。これは三つに分類できまして、放射性同位元素を使用いたします事業所数が四千八十四、販売の業を行う事業所数が百七十七、廃棄の業を行う事業所数が八でございます。
#138
○草川委員 その中には医療用も含まれるわけでございますか、医療機関ですね。それから産業用として使用しておる事業所はどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。
#139
○赤羽政府委員 障害防止法の対象になっておりますのは、医療機関の中でも研究用に使われておる分だけでございまして、七百四十四事業所ございます。(草川委員「産業用の数は幾らですか」と呼ぶ)医療機関が七百四十四でございまして、そのほか民間機関千五百七十一、これは主として工場等で使われるものだと思われます。
 ちなみにほかの機関を申し上げますと、教育機関が三百四十、研究機関が八百三十二、その他この分類に入りませんものが五百九十七ということになっております。
#140
○草川委員 大規模事業所の実態なり密封をしている使用数量、あるいは非密封、キュリーというのでしょうか。さまざまな分類があると思うのですけれども、実は災害がもし起きた場合に、このRIを使用している事業所あるいは医療機関、いま申し上げましたように医療機関を除いて四千二百あるわけでございますけれども、どこでどのような事故があるか。これは大変なことになるわけです。いま五十六年の三月ということでございますが、科技庁としてはもう少し定期的に、少なくとも災害対策の面からも対応を立てる必要があると思うのですが、その点はどのようにお考えになっておられますか。
#141
○赤羽政府委員 障害防止法に基づきまして、規模によりますけれども、私どもの許可を要する場合、それから密封線源で量が少ない場合は届け出でよろしい場合、両方の規制がされております。災害につきましては、基本的な障害防止法の規制によりまして、耐火性とかそれから放射線の遮蔽性、そういったものを規制しておるわけでございますけれども、、主として火災それから放射線の漏洩、その面の規制をしておるわけでございます。
#142
○草川委員 私が聞いておるのは、一たん大災害というのですか、地震があっても大変なことでございますし、それから火災があっても大変なんで、いまは許可の段階でそれなりの対応をしておるという答弁だと思うのですが、許可の段階だけではなくて、いわゆる廃棄物の処理の面も含めて、もう少しフォローする必要があると思うのです。
 たとえば東京都の場合は、RI対策の現状、問題点及びその対応をどのようにしたらいいかというので、すでに昭和五十三年の四月から、都の施設の整備拡充あるいは医療の面、産業の面、患者が病院に通うあるいは病院から帰る場合の健康管理の問題、あるいは災害時の安全対策、実は避難場所に指定されているところにRI施設があるじゃないかという問題等、東京都では明確に五十三年ぐらいから指摘をしておるわけであります。
 ですから、RIと言って私は軽く考えるべきではない。特にRIの廃棄物の処理方法等については、いまこれから申し上げるわけですが、非常に問題があるわけですから、科学技術庁としても、RIの点検、管理ということを、許可をするときの条件だけではなくて、廃棄物処理の現状等を踏まえて、今後全国的な対応をひとつ考えるべきだと思うのですが、どうでしょう。
#143
○赤羽政府委員 現在、私どもの方で検査官がおりまして、これが重点的に各事業所の検査をしているわけでございます。人数に制約がございまして、年間四百事業所程度を見ておるわけでございまして、その際、御指摘のような廃棄物につきましても、基準に合った保管をしてあるかどうか調べているところでございます。四千に対しまして四百というのは確かに小そうございますけれども、一つのサンプル調査的な選び方をしてみたり、あるいは特に使用の形態によりまして注目を要するところに重点を置いたりというような形でカバーしているわけでございます。
 そうしまして、その四百程度を見て検査してきました実績としましては、非常な危険を伴うような違反事項というのはめったにございませんで、形式的な間違いは幾つかございますが、比較的良好に行われているというのがただいままでの検査結果でございまして、さらに有効にサンプルを抽出しまして、今後も検査を続けていきたいと考えております。
#144
○草川委員 いまきわめて優良というのですか、うまく管理がいっているという御答弁でございましたが、それはどうなんでしょうね。全国の廃棄物の処理を含めて本当に良好であるかどうか、私は疑問があると思うのです。いまから医療用の問題等を含めて、具体的な問題提起をしていきたいと思うのです。
 その前に、このRIの流通及び廃棄物処理の体制についてお伺いをするわけですけれども、ラジオアイソトープの供給は、放射性医薬品を初めとして産業用も含めてでございますけれども、日本の国内で唯一の販売機関は社団法人日本アイソトープ協会だと思うのですけれども、それから同時に、廃棄物の処理をするのも唯一の機関はRI協会だと思うのですが、それの根拠というのは一体どこにあるのでしょうか。
#145
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 社団法人日本アイソトープ協会は放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づく廃棄の業の許可を受けまして、昭和三十五年以来全国的にRIの廃棄物の集荷を行っているということでございまして、先生御指摘のように、その集荷量も非常に増大してきているというのが現状でございます。
#146
○草川委員 法的根拠というのはあるのですけれども、私ここにアイソトープ協会のパンフレットを持ってきておるわけですけれども、「日本アイソトープ協会の事業」の第四番目の中に、「アイソトープ廃棄物の集荷業務」「日本アイソトープ協会は、アイソトープ使用施設から出るアイソトープ廃棄物の集荷をお引き受けしています。当協会はこのような廃棄物集荷、貯蔵業務(「廃棄の業」)の許可を受けて行っているわが国唯一の機関です。」だから、この協会を通じないとRI、ラジオアイソトープは買えないわけですし、自分の事業所なり医療機関で使った廃棄物の処理は、この協会を通じないとできないわけですよ。これは事実でしょう。お伺いします。
#147
○石渡政府委員 廃棄の業の許可を受けている者と申しますのはRI協会のみでございますので、先生御指摘のとおり、購入及び廃棄はRI協会のみを通じて行われているというのが現状でございます。
#148
○草川委員 そこで結論だけ最初に言いますと、たとえば東京都の「RI対策の現状、問題点及びその対応策」というのがすでに昭和五十三年四月二十六日に行われているわけでございますけれども、その東京都の現状及び問題点という中には、1大きな理由で、これは医療用の場合ですが、「血清、尿、便、細菌で汚染されたもの、紙オムツ、衣類、有機溶媒、大型動物等は、RI協会が引取らない。」という問題点を指摘をしておるわけです。こういう事例があるにもかかわらず、非常にRIの管理維持はうまくいっておるとおっしゃるわけですか。
#149
○赤羽政府委員 確かに御指摘のように、すぐ処理しにくいものはその生のままでは引き取らないで、ある処理を要求しているという実態がございます。われわれとしては、廃棄物を使ったところが適正な方法で定められた形で保管するということを基準にしておりますので、廃棄物の保管がきちんとされていることを確認した意味で適正に守られていると申し上げたわけでございます。
#150
○草川委員 いずれにしても、とにかく引き取らないことは事実なので困っているわけですよ、私が長々と申し上げなくても、困っておるという事例は、私はやはり処理をする科技庁の方は真剣に考えてもらいたいと思うのです。それをどうするかというのがきょうのこれから私の問題提起をしたいところになるわけです。
 そこで、最近アイソトープの利用が非常に増大をしてきておるわけでございますけれども、ひとつここで、産業用もあるわけですけれども、医療用というところに問題を一回しぼってみたいと思うのです。それで、医療用ということになりますと、医療法の範囲になりますから厚生省にお伺いをするということになりますが、ラジオアイソトープが医療用にどのように使われておるのか、まずその現状についてお伺いをしたいと思います。
#151
○山内説明員 お答えいたします。
 厚生省が法令上直接所管しておりますのは医療用の中でも特に医薬品でございますところのアイソトープでございますが、先ほどの科学技術庁御当局の御答弁と一部重複しますが、病院等の数にいたしますと五十五年の時点で八百の病院で、実は人の体に使う状態で医薬品であるアイソトープが使われております。そのほかに、実は検査施設を含めちょうど四百カ所の施設がございまして、これは検査用に使う。つまり人間の体に使うのじゃなくて試験管を中心とする、インビトロと申しますそうでございますが、そういう使い方が四百ございますので、合わせますと千二百の医療施設あるいは衛生検査所で使われているというのが現状でございます。
#152
○草川委員 そこで、厚生省の方も、医療機関のRI廃棄物処理対策等については昨年も問題検討会をつくってやっておみえになるわけでございますけれども、この文章の中を見てまいりますと、先ほど触れておりますRIの廃棄物については、アイソトープ協会が医療機関から集荷し、その集荷した廃棄物を日本原子力研究所において処理をしているけれども、当該研究所の処理能力にも限界があるようであり、また、ここからが問題なんですけれども、病原体のついた医療用RI廃棄物等は集荷が行われずに医療機関で保管をされていると指摘をしておるわけですか、この点についての現状を説明願いたいと思います。
#153
○山内説明員 御指摘のように、医薬品でございますアイソトープを使いました結果出てまいりますもので先ほど先生が御指摘のようなものにつきましては、現在アイソトープ協会では集荷していただけないという状態になっております。制度のたてまえだけを率直に申し上げますと、やはり医療機関で責任を持って保管、廃棄するというのが医療法の現行の考えでございますから、そのこと自体でアイソトープ協会に対して直接に法的に私どもがお願いする立場にないわけでございますが、実際問題としては、やはり個々の医療機関では物理的にもやや限界に来ているという例があることは率直に認めざるを得ないと思います。
 ただ、アイソトープ協会におかれましても、先生御存じと思いますが、肝炎の病原体でございますHBウイルスで汚染された固体廃棄物などは以前は集荷されていなかったのでございますが、昨年の七月でございましたか、一定のルールで消毒されれば集荷するというようなことでもございます。ただ、それは一つの例でございますが、それ以外の患者が使いましたおしめとか浄化槽絡みのスラッジなどについては、今後どういう方法を講ずればアイソトープ協会の集荷ベースに乗せていただけるか。
 先生いま御指摘のRI検討会でもそのことが実は論議の一つのテーマだったのでございますが、昨年七月にいただきました検討結果の時点では、まだ技術的に考えた非常に効果的な方法が見出せなかったというのが実情でございますし、私どもとしましては、科学技術庁御当局とも相談しながら、何かこれをもう少し効率的に処理できる方法は十分研究したいという気持ちでおるのが現状でございます。
#154
○草川委員 これは科技庁の方にもぜひ聞いてもらいたいわけですけれども、いま答弁がありましたように、問題は、病原体のついた医療用のRI廃棄物というものは集荷が行われていないということは、現状どうなっておるかといいますと、それぞれの病院の中で、確かに防火用設備としてコンクリートあるいはブロックで囲われてはありますけれども、問題は、ドラム缶の中に入っておるわけですよ。もちろん、低レベルの汚染物質については液体もあれば固体もありますし、それからいまお話がありましたように、手袋もあればガーゼもあればいろいろなものがありますけれども、病原体がついておるわけですから、本来ならば、これは早期にRI協会に引き取ってもらって、そしてRI協会が日本原子力研究所において処理をしていただかなければいかぬものなんです。
 ところが、それに対して科学技術庁の方は、これは使ったところでまず処理をしなさいと言わんばかりの態度が実はあるわけです。押し問答になっておりますから、現状はどうかと言えば、これは病院の中にとにかく積んであるわけです。東京都の例を申し上げますと、患者の待合室の前にその汚染物の保管がある。これはえらいことだから、少なくとも待合室から少し移動しようじゃないか、そのための予算を議会に要求をしておるような例もあるわけです。
 この点は、RIというものについての関心が一般的に非常に薄いものですから、これがいまのように全く野積みになっておるということは大変なことになると思いますし、もしも災害があったときにブロック塀が倒れたとします。それでドラム缶が倒れたとします。ドラム缶の中からRIのいわゆる低レベルの放射性の汚染物質ばかりではなくて、そこから患者に投与したいろいろな、肝炎の話がありましたけれども、肝炎についても長い間、伝染病というのですか、肝炎の菌のついたものは引き取ってもらえなかったわけですが、それがもし一般に暴露されたら一体どうなるのかという問題があるわけです。これは、一面RIの進歩性を唱えながら、その処理ができていないために、かえってRIというものを医療が使えなくなることにもなるわけでありますし、それからその処理が適切に行われてないために、かえって医療全体に対する不信感が出てくるのではないかと私は思うのです。この点は厚生省に聞いてみましょう。
#155
○山内説明員 医薬品であるアイソトープ、それに何か接触しましたような廃棄物の処理がうまくいかないことは、昨年七月の中間答申でも、これからの医薬品使用にむしろブレーキになってしまうということで、これは御指摘のとおりだと思います。ただ、アイソトープ協会が集荷していただけないでいることは、アイソトープ協会の事業運営上の問題といいますよりは、集荷していただいている量も年々非常にふえている実態も考えますと、これは技術的に処理をしなければいけない問題だろうと私ども思います。ドラム缶保存程度で物によっては運搬途中に他を汚染をするような場合もございますので、そこをどのように工夫するかというある意味では技術的な問題だろうと思います。
 それから一例としてお挙げになりました患者が出入りするような場所の近くにそういった保管廃棄物があるといった実態、これは科学技術庁によって御指導いただくというよりも、むしろ正直申しまして、医療法に基づく医療監視の一環としてもっと効果的な指導を行わなければいけない例だろうと思われますし、私ども、基本的には先生御指摘のように、何とかこの種のものを集荷していただける、処理していただける体制を科学技術庁にもお願いして御検討いただきたい立場は先生と同じでございますが、これが直ちに、アイソトープ協会にこういう形にするから持っていってほしいということが言えない状態にあるのも事実でございますので、その点は御答弁させていただきたいと思います。
#156
○草川委員 私の指摘をすることにお答えを願いたいわけですけれども、厚生省は科学技術庁の方に何か非常に遠慮したような物の言い方をしておるわけですが、問題点だけはお互いにはっきりと指摘をしながら、どうすべきかということを議論するのがここの場だと私は思いますから、事実は事実として述べていただきたいのです。
 いわゆる医療用RIの廃棄物の集荷量というものは、いま個所だけで御説明がございましたが、たとえば集荷量というものを百何トンだとか百五十トンだとか、あるいは立米でもいいのですけれども、一番新しい数字で結構でございますから、現在のところどの程度か、お伺いしましょう。
#157
○山内説明員 お答えいたします。
 これはアイソトープ協会が集荷をしておりますドラム缶といいましょうか、缶の本数で申し上げることもいいのでございますが、正確な意味で五十四年の手元の数字で申し上げますと、廃棄物の量がトン数にして年間百二トンと報告されております。かさの量にしますと二百八十立方メートルと申しますので、七メートル真四角といいましょうか、そのくらいの量が五十四年でございます。ただ、前年に比べますと、御承知と思いますが、二割ほどふえた量になっておるのが現状でございます。
#158
○草川委員 そのうちでどの程度集荷をされておるわけですか。廃棄物の集荷量というのは百工トンだ、それでそれは実際廃棄物の総量というものの何分の一くらいになるのかということをちょっとお伺いしましょう。
#159
○山内説明員 いま私がお答えいたしました数字は、アイソトープ協会が集荷した量でございます。それ以外に集荷するに至らなかった量がどのくらいのトン数、どのくらいのかさがあるかにつきましては、ちょっと私ども正確な統計を手元に持っておりません。
#160
○草川委員 医療用が総量の大体三分の一くらいになると思いますが、医療用の今後の見通しでございますけれども、たとえば昭和六十年とか六十五年とかという年度別に一つの見通しを立てていく場合に、どの程度ふえていくと予想されるわけですか。今後の見通しですね。
#161
○山内説明員 私どもは、根拠のある数字をもって五年先なりを詰めた正確なものを持っておりませんが、この数年を見ますと、重さにしまして平均三割は伸びております。そういったことから考えますと、約三年くらいで倍の量になるとしますと、昭和六十年を聞かない前に、トン数で二百トンぐらいのスケールには当然達するというふうに一応考えております。
#162
○草川委員 だから、医療用だけでもRIの廃棄物が非常にふえていくわけですが、ここで、先ほどから出ておりますように、一応はRI協会が引き取るということになっておりまして、それを集荷をいたしまして原子力研究所の東海研究所に廃棄物の処理を委託をするわけでありますが、問題はこの東海村の研究所の方の処理の能力ということになりますけれども、固体、液体それぞれ条件が違いますが、東海村の方の処理能力というものはどの程度か、あるいはその中でRI協会の分はどの程度の位置づけになるのか。東海村の場合は、自分のところの所内での廃棄物の処理もあるわけでありますから一概に言えませんが、大枠を報告していただいて、その処理能力あるいは稼働率についてお伺いをしたいと思います。
#163
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 東海村でのRI廃棄物の処理の現状でございますが、先生御指摘のように、まず原研所内において発生する放射性廃棄物を処理するというのが第一目的。それからRI協会から持ち込まれる廃棄物の処理ということをやっているわけでございます。昭和五十五年度、ちょっと古い統計になりますが、処理量は、実績といたしまして二百リットルドラム缶で換算しまして約一万二千本でございます。このうち、その半分の約六千本が低レベルの固体廃棄物ということでございました。RI協会からの依頼分は二千七百五十二本分ということでございました。うち可燃物、燃えるものが七百五十一本、不燃物等が二百本といったような内容になっておりました。それから液体の廃棄物についてでございますが、低レベル、中レベルを合わせまして、二百リットルのドラム缶に換算いたしまして五千六百本分を処理したわけでございます。この液体につきましては大部分が原研から発生したものでございまして、RI協会からの依頼分は八十一本分というふうに少量でございました。
 この処理能力でございますが、低レベルの固体廃棄物のうち可燃物につきましては、焼却処理装置を使いまして処理をしております。それから不燃物につきましては圧縮等を行っておりまして、それぞれ九〇%以上という稼働率になっているわけでございます。また、液体の廃棄物につきましても、これは先ほど申し上げましたように原研の発生分が大部分でございますが、蒸発処理装置等を使ってこれもかなり高い稼働率で運転されているということでございまして、フル運転に近い形で処理装置は動かされているという状況であるというふうに御理解賜りたいと存じます。
#164
○草川委員 いま五十五年度のRI協会分の不燃物は二百本だとおっしゃいましたけれども、二千一本の間違いじゃないですか。
#165
○石渡政府委員 失礼申し上げました。二千一本でございます。
#166
○草川委員 それで、実はこれはいろいろと私もレクのときに科学技術庁の方とやりとりをしたのです。去年、私、実はこの問題を取り上げようというので勉強をしたことがあるのですが、RIの、ラジオアイソトープの廃棄物の累積保管量は何本だと聞いたわけです。そうしたら、大小ドラム缶があるけれども、ドラム缶で四万二千本だというお話があったわけです。今度のレクのときも四万二千本で話をしておったわけでありますが、実はいまお話がありましたように、一万二千本だというふうにこの数字は変わってきました。それは二百リットルのドラム缶に換算をしようじゃないかということになりまして、数がうんと減ってきたわけですよ。
 私は、何も大げさに四万二千本もあるから大変だなということを外に向かって大騒ぎしようという気はありませんけれども、少なくとも従来は小さいドラム缶、小さい一斗缶ですね、ドラム缶というより小さい缶、それから大きなドラム缶、これがあることは事実なのです。そのトータルが四万二千本でふん詰まりになっておりましたから大変だな、だからと、こう話をしておりましたが、どうも四万二千本はかっこう悪いから、ひとつ思い切って二百リットルのドラム缶で、この際うるさいから統一しようというので一万二千本だ、こうおっしゃっておみえになるわけです。そういう態度はいかがなものかと思うのですが、その点どうですか。
#167
○石渡政府委員 ドラム缶の本数で操作をするつもりは毛頭ございません。ただ、放射線という観点から申しますと、二百リットルドラム缶で何本ということが発電所も含めまして一般的な整理の方法でございますので、二百リットルドラム缶換算ということで統一をさせていただいたということでございまして、四万が一万に減ったから事態が楽になったという認識は毛頭ないわけでございます。問題の本質はそのまま残っているというふうに認識しておりますので、この点、御理解を賜りたいと存じます。
#168
○草川委員 それは本質は変わるわけがないのであれでございますけれども、現実に小さい缶あるいは大きな缶ですから、本数は本数あるいは立米は立米として統一してこの対応を考えられた方がいいと思うわけであります。
 そこで、いま東海村の方の処理能力もフル稼働だとおっしゃいました。私もその点は十分理解をするわけでございますけれども、固体の場合は可燃物で九三%、不燃物等は九二%、まだ若干の余地があるわけでございます。これは地域の自治体との話し合いだとか労働組合の理解が得られないとできないやに聞いておりますけれども、その点についてもなお一段の努力を要望するというわけにはいかないのか。これはもう絶対的にこれ以上能力アップはできないのかどうか、まだ余地があるのかないのか、お伺いをします。
#169
○石渡政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、非常に高稼働率で稼働しているという状況であることは御理解賜ったと思うわけでございますが、これ以上ふやすということにつきましては、実はいろいろお話し合いをしているわけでございますけれども、地元の御了解がなかなかむずかしいというのが実情でございます。端的に申しまして、地元の御感情といたしましては、日本国じゅうのものを引き受けるのはいかがなものかということが根底にあるわけでございまして、その辺も踏まえまして、今後、使用済みと申しますかラジオアイソトープの処理の体制について積極的に新たな手を打っていかなければならない、このように判断しているところでございます。
#170
○草川委員 そういうことで、処理方法の基本的な考え方というのをこの際立てていただかなければいかぬわけでございます。
 ひとつ今度は厚生省にお伺いをいたします。
 厚生省として、医療機関における、それは研究機関も含めることになるのかどうか別でございますけれども、その処理の方法について何らかのことを考えなければいけないとおっしゃっておられるわけでありますし、それから各自治体の方からも、非常に強く最終処理体制の改善を国に求めておるわけであります。法令面の整備ということも当然考えて対応を立てなければいけないと思うのですけれども、どのような考え方を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#171
○山内説明員 先ほど申しましたのは、最終処分の実態的な点のこれから期待されることでございます。
 ただいま先生御指摘の、さしあたりの医療施設におけるRIの特に廃棄物の面での扱いにつきましては、実は医療法に基づく施行省令の中に病院の中で保管、廃棄しますまでのことは規定がはっきり設けられておるのでございますが、これを部外の、現在で言えばアイソトープ協会のような一定の資格を備えた業態の方に委託して廃棄するということについての規定がございません。したがいまして、現状では省令の規定に根拠のない形で現実に処理がされているわけでございますので、これをやはりきちんと医療法施行省令に規定する必要があるということが昨年の検討会の答申にもあったわけでございます。このため、関係の審議会における御審議もいただきまして、近く医療法の施行規則の中に部外者に廃棄を委託する場合の規定をきちんと設けたいというのをさしあたり考えているところでございます。
#172
○草川委員 それはその施行規則だけの整備でいいわけですか。医療法そのものの整備にも及ぶものですか。
#173
○山内説明員 私も、法制的には検討いたしましたが、これは施行省令の規定でできるという解釈で整備をしたいと思っております。
#174
○草川委員 その場合に、いわゆる処理方法のことまで考えるわけでございますけれども、いわゆる低レベルの廃棄物処理については、現在の科学技術庁の指導の範囲内で行うのか、あるいはまた全然別な、たとえば焼却を考えるとか、特殊なやり方で、それをどこの場所でやるのか、いろいろな問題がたくさん出てくると思うのですけれども、どの程度まで検討されておられるのか、お伺いします。
#175
○山内説明員 私どもが現在考えておりますのは、あくまで現在アイソトープ協会が委託を受けて処理しておられる方法、つまりこれは障害防止法に基づく基準に従った処理でございますので、それをより厳しく、もちろん、より緩和する考えは全く持っておりません。したがいまして、現在アイソトープ協会が最終処理について抱えておられる問題につきまして、先ほど来申し上げておりますような、科学技術庁とも御相談して何らかの方法を将来的には講じなければならないということを考えておるわけでございます。
#176
○草川委員 これはどちらにしても、その具体的な問題になりますと、いろいろな重要な問題がまた出てきますが、何にいたしましても、医療用RIというものの利用範囲が非常に広くなってきたわけですけれども、その廃棄物処理で非常に問題があるということがこれで明らかになったわけでございますから、ひとついろいろな意味での、地方自治体等を含めた研究なり提携をして対応を立てられることを要望するわけです。
 それからもう一つ、医療の場合に、被曝者というのですか、検査の対象になった方々、あるいは治療を受けられる方々の健康管理の問題ですけれども、RIの投与をした患者の管理体制の整備ということについては、たとえば使用した核種、核の種類に応じた、実は退院する場合の基準だとか、あるいは自宅に帰る場合には、その中に半減期というのですか、体内に残存するわけでありますから、実はいろいろと問題がある。いわゆる帰宅基準というのですかね、微に入り細にわたりあれしますと非常に問題があるわけですよ。これは私も専門でないのでわかりませんけれども、テクネチウム化合物というのがあるわけです。これを投与をする場合に、これもいろいろな種類が、化合物ですからあるわけですけれども、いわゆる健康保険の適用になっている核種と、それからまだ保険採用になっていない化合物があるわけでございます。
 ドクターにしてみれば、検査をする場合に、なるべく患者の負担の少ないように、半減期の短い、比較的危険性の少ない放射性医薬品を適用したいわけでございますけれども、そのものがいまだ健康保険に、いわゆる薬価基準に採用されていない場合には、半減期の長いものを投与をするという場合もあるわけでありまして、事は人間の体に投与をするわけですから非常に重要な問題があるので、私は、RI投与についてのいわゆる基準というもの、あるいは健康保険適用品目の範囲を早急に、これは保険局の方でも急がねばならぬと思うのですが、その点はどのようにお考えになっておられますか。
#177
○山内説明員 保険局の担当課長からも後ほど答弁いたしますが、現在、御存じのように医薬品として用いられますアイソトープは、一つの非常に大きな特徴としまして、いま先生御指摘のように、一般的に半減期が非常に短いということ、それから、いわゆる毒性と申しますか、九割方のRIは非常に毒性の弱いグループに入っているということでございまして、従来、一般的に言われます放射能物質よりは、人間の体に使いますものですから当然でございますが、かなり低いレベルのものであるということは基本的に言えるわけでございます。
 それにしましても、現在なお社会保険適用のないものについてどうするかという問題は後ほど御答弁いたしますが、それに絡んで、いま御指摘の、そういうものを使った患者さんのいわゆる帰宅基準の扱いにつきましては、昨年七月にいただきました検討会の議論の一つの柱でございまして、その後も実は検討を続けていただいたのでございますが、ある程度の結論は得たのでございますけれども、これを行政基準としてすべての医療機関に画一的に当てはめることについては、専門家の間からもやや疑問視する声も出てきましたので、私ども、現段階では、関係学会等における、ある意味では医療を行う場における自主的な規律基準という形で実施していただけないかということを考えているのが現状でございます。
#178
○古川説明員 短い半減期の放射線医薬品のいわゆる薬価基準への収載の問題でございますが、現在も、御指摘ございましたテクネチウム化合物あるいはインジウム、非常に短いものではクリプトン、こうしたものが入っております。これらにつきましては、まず医薬品としての承認をされること、あるいはその範囲の拡大と適用の拡大ということになりますと、同じようにやはり薬務局の再度の承認、こういうものが必要でございますが、そうした上でメーカーから薬価収載申請が参ります。こうした収載についての具体的な内容あるいは適用の拡大についても、適当なものであればその拡大を図ってまいりたいと思います。
#179
○草川委員 それは、ぜひその拡大の要望をしておきたいと思います。
 RIの最後の問題ですが、これは問題提起にとどめますが、実は東京都の例で言いますと、避難場所というのが百二十一カ所あるわけです、医療用機関に該当するところが。ところが、そのうちの三十カ所の避難場所にRIの施設がある、これは大変なことじゃないかという指摘もあるわけであります。ですから、この廃棄物処理の対策についてはことの上にも慎重に、そしてまた早期に対応を急ぎませんと、私は、事故があったときに大変なことになるということで、きょうはこの廃棄物処理の問題等について強く行政当局に要望をしておきたいと思います。
 時間がございませんので、最後にATRの問題と、それを取り巻く問題について質問をいたします。
 いろいろな経過があったわけでございますが、新型転換炉に関する評価というものが、昨年の原子力委員会の評価専門部会で結論が得られておるわけですけれども、問題は、その事業主体ということについて、いま非常に大詰めの段階に来ておると思います。そこで、科学技術庁の長官としても、電力会社に対する説得あるいはまたその事業主体をどこに置くのか、日本原電あるいはまた電源開発をどうするか等々についていろいろな意見があるわけでございますが、ただいまのところの現状はどのようになっているのか、お伺いします。
#180
○石渡政府委員 ATRにつきましては、そのチェック・アンド・レビューを行う専門部会が設けられて、すでに原子力委員会に対して報告がなされているわけでございます。その結論といたしまして、このATRの実証炉の建設、運転に当たっては民間が積極的に役割りを担うことが適切であるという点と、国による適切な支援措置が必要である、こういう点が主な点でございます。原子力委員会といたしましては、この報告を受けまして検討を行ったわけでございますが、建設、運転の実施主体、また官民の協力体制等についての関係者のコンセンサスを得る必要があるという立場から、本年の一月に、原子力委員会の有力な方、参与の方にお願いいたしまして、原子力委員長よりの実証炉の建設についての合意形成のための協力、また、実施主体について御意見を承りたい、表現としては御推薦をいただきたい、このようにお願いをした次第でございます。
 この要請を受けまして、民間側の中心となります電気事業者におきまして、電気事業連合会の中に新型転換炉実証炉に関する特別委員会を設けまして、現在検討が進められているということでございます。どういう結論になるのかということにつきましては、いろいろな条件、対外、国際的な条件等も含めまして最終的に判断をしたいという状況のようでございますので、もうしばらく検討会での検討結果を待ちたいというのが現在の私どもの立場でございます。
#181
○草川委員 その検討のところでございますが、電源開発という企業があるわけですが、必ずしもそこに決まっておるとは私どもも聞いてはおりませんけれども、非常に有力な対象の一つになると言われております。民間企業等を含めて、この新型転換炉の実証炉の建設は、果たして経済性は十分満足できるのかどうか、そういう見通しというものがこの専門部会の中でどの程度議論になっておるのか、お伺いをします。
#182
○石渡政府委員 先生御指摘のように、実証炉に進むという判断の最大のポイントは経済性の問題でございまして、実証炉一基だけを考えてみますと、試算によれば普通の現在の軽水炉に比して八割高ぐらいになる。これは実証炉の段階でございますからまたそれなりの判断のしようがあろうかと思いますが、今後相当の基数が入った場合にどこまでいくのかという点についてでございますが、大ざっぱな議論といたしまして、将来のウラン価格の上昇を考えないということで判断いたしますと、現在の軽水炉の約三割高という試算が出ているわけでございます。しかしながら、これも技術改良等によってさらにこの割り高性というものは改善し得る余地があるのではないか。また、このATRの実証炉は一応六十万キロワットという規模を考えているわけでございますが、このスケールアップということもあわせて考えられるのじゃないか。最終的には軽水炉に比して一割高ぐらいにまで持ち込めるのではないかという試算もございます。
 いずれにしましても、先の見通しの話でございますので、確定的な数字にはならないわけでございますが、経済性についてその辺の一割高、三割高というあたりをどのように判断するか、それとプルトニウム利用といった特色、また使用燃料に幅が持たせられるという特色、こういうATRの特色をどの程度判断して最終的に経済性ということについて結論を出すのかというあたりが、非常に現在論点でございまして、今日まで進められてまいりましたATRの今後の進め方という点について各方面で、また各それぞれの場で非常に真剣な議論が進められているというのが現状であるわけでございます。
 ただ、私どもの立場、科学技術庁あるいは原子力委員会といたしましては、今日までとにかく原型炉「ふげん」まで持ち込み、完成させた、その成績は、非常に安定して運転ができるという実績も積み重ねられているということ、またプルトニウムの問題を考えてみました場合に、相当ATRで対応ができるということが期待できる点を考えまして、何とかさらに一歩前に進めたいものだという強い希望は持っているわけでございますが、何分にも大きなプロジェクトでございますので、この判断については慎重にやらなければならない、大方のコンセンサスを得た上で進めなければならないという点も事実でございますので、十分な議論を尽くしてこのATR問題の今後を判断してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#183
○草川委員 ATRの導入の問題をめぐって関係者の意思の統一ということが非常に大きな要素になるわけですし、その意思の統一ができないと、建設主体あるいはまた電力会社との関係もうまくいかないのじゃないか、こう思います。それは十分見守り、また別の機会にお伺いをしたいと思います。
 最後になりますが、中国政府から、日本の原子力産業会議というところに、原子炉の設計図の検証をしてもらいたい、いわゆる技術情報を受けたいやの申し入れが来ておるわけでありますけれども、過去、原子力委員会の、原子力関係物質の輸出等についての基本法の精神等もあるわけでございますが、どのようになっておるのか、情報だけで結構でございますから外務省にお伺いして、私の質問を終わりたい、こういうように思います。
#184
○金子説明員 ただいま先生の御指摘の点は、私ども確かに一カ月ほど前に新聞紙上等で見まして承知いたしておりますが、詳細につきましては、担当官庁でございます通産省にも私どもから照会いたしましたところ、まだはっきり固まっていないということでございますので、したがいまして、私どももそういった先生の御指摘の話につきましての詳細は承知していないわけでございます。
 したがいまして、この話が固まりまして、具体的に中国に対して民間ベースの協力が行われることになりました場合に、その事案に即しまして、まず第一義的に担当省庁の御判断があると思いますし、その後におきまして、さらに必要と認められる場合には、核拡散というような観点も踏まえまして、政府として慎重に考えなければならない問題だ、かように考えております。
#185
○草川委員 終わります。
#186
○近藤委員長 和田一仁君。
#187
○和田(一)委員 民社党の和田一仁ですが、きょうは宇宙開発について御質問をしたいと思います。
 まず第一番目に、宇宙開発が重要であるということについてはいまさら申し上げるまでもないことでございますけれども、人類にとって、人類の未来の夢がかかっているようなこういう宇宙開発について、わが国の科学技術の元締めである大臣といたしまして、この宇宙開発の基本理念をどのようにお考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。
#188
○中川国務大臣 宇宙開発の大事なことは、和田委員御指摘のとおりでございます。わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱に沿って進められております。三つ基本的なことが決められておりまして、一つは、社会的ニーズに対応した宇宙開発を国力との調和を図りつつ進める、第二番目は、自主性を確保することにより宇宙開発の安定的遂行を図る、三番目に、世界の宇宙開発との調和を図り、わが国の宇宙開発を国際的に高いレベルで推進する、この三つを基本方針として進めております。
 具体的にはこの基本方針に従いまして、自主技術を基調として、通信、放送、気象、地球観測等のいわゆる実利用衛星の開発及び科学観測衛星の開発となっておりまして、その打ち上げ用ロケットであるNHロケット、HIロケット等の開発などの宇宙開発を積極的に推進しているところであり、今後とも引き続きこの基本的な考え方のもとに積極的に開発を推進していきたい、こう思っているわけでございます。
#189
○和田(一)委員 宇宙空間に期待する将来というものは非常に大きいものがあると思うのですが、最近は、それが実利用の面においても大変現実的になってまいりました。非常に急速に宇宙開発も進んできている。スペースシャトルの成功もそのよい例であろうと思うのですけれども、予想以上の技術開発が宇宙の面においても進められている、こういう感じが強くいたすわけでございます。
 そういう中で、わが国の宇宙開発の計画の一つといたしまして、来年の二月に実用通信衛星CS2aの打ち上げというものが計画をされておるわけでございますけれども、この実用通信衛星CS2aの打ち上げの目的といいますか任務といいますか、そういうものについてお知らせをいただきたいと思います。
#190
○加藤(泰)政府委員 お答え申し上げます。
 CS2、言いかえれば通信衛星2号でございますが、これは通信衛星に関するもろもろの技術の開発並びに各利用機関におきますところの通信需要、たとえば離島通信であるとか非常災害時の通信であるとか、そういったような需要に応ずることを目的とするものでございます。
#191
○和田(一)委員 来年二月という大分時期的には迫っているようでございますけれども、たしかいままでの静止衛星というものは、これは通信衛星に限らず気象衛星もそうですが、アメリカに全部打ち上げてもらっていたわけですね。今度のはたしか自力で打ち上げる初めての静止衛星である、こういうふうに聞いておりますが、その時期がだんだん迫っておりますけれども、この打ち上げについての準備その他については順調にいっているのかどうかをお聞かせいただきたいのです。
#192
○加藤(泰)政府委員 お答えします。
 まず、わが国の自力で打ち上げますところの静止衛星でございますが、わが国の場合、去年の八月に打ち上げました「ひまわり」の2号、これも実はわが国の自力でNHロケットを用いて打ち上げたものでございますので、そういった意味におきましては、このCS2はすでに「ひまわり」の2号でわれわれが実証した技術を使わしていただくということになるわけでございます。
 そこで、CS2につきましての現在の状況でございますけれども、これにつきましては、今年度の冬季、言いかえれば五十八年の二月ごろでございますが、五十七年度の冬季にまず2号のaを打ち上げまして、引き続きまして五十八年度の夏季に2号のbを打ち上げるというふうにいま考えているわけでございますが、現段階におきまして、私たちはそのような打ち上げの時点を目標にいたしましてもろもろの準備をいたしているわけでございます。
 たとえばCS2aにつきましては、これはもうすでに製作はほぼ終了いたしまして、プロトモデルとしましての認定試験を現在行っているというわけでございまして、今後は調整をさらに行いまして、今年度の夏から機能の最終確認を行って、秋には種子島に向けて輸送の開始を行う。
 衛星につきましては大体そういった状況でございまして、ロケットにつきましては、現在各段の組み立てがすべて終了いたしました。そこで今後は、各段ごとの試験を行いまして、本年度の夏から全段組み立てを開始するというふうに考えておりまして、秋には種子島に向けて輸送を開始をする、大体こんなようなスケジュールで鋭意進めている段階でございます。
#193
○和田(一)委員 だんだんと準備は進んでおるようでございますが、時期は二月というふうに聞いておるわけでございますけれども、この打ち上げる、静止させる位置等について、東経百三十度、赤道の上三万六千キロというふうに聞いておるのですが、そうでしょうか。
#194
○加藤(泰)政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、先ほど申しました2号のaと2号のbがございますが、2号のaにつきましては東経百三十度、2号のbにつきましては同百三十五度ということを予定しておるわけでございます。
#195
○和田(一)委員 そういった計画であると承知しておるわけなんですが、一部の報道によりますと、この打ち上げ計画に対してよその国からクレームがついておるというような記事もあるわけなんですが、そういった事実があるかどうか、お知らせをいただきたいと思います。
#196
○大瀧説明員 お答え申し上げます。
 一般的に、衛星通信回線を設定する場合には、御承知のとおり、国際電気通信条約の附属無線通信規則によりまして、打ち上げ国からの情報をもとに、私どもはIFRBと言っておりますが、国際周波数登録委員会が世界各国にその情報を事前に公表することになっております。この情報をもとにいたしまして、各国は自国の衛星通信回線または地上の通信回線等に混信があるかどうかということを十分に検討いたしまして、混信のおそれがある場合には、関係国と調整を図るということになっておるわけでございます。その場合、それぞれの通信回線が相互に容認できる範囲内で技術特性の変更等を行いまして、お互いに問題の解決を図る、こういうことになっているわけでございます。
 このたびの新聞の報道では、ソビエトとの関係が問題とされておりますが、CS2aの打ち上げ計画と同じ東経の百三十度の位置に、ソビエトのスタッショナー15という衛星を打ち上げる計画がございまして、現在、わが国とソビエトとの間で、先ほど申し上げましたIFRB、すなわち国際周波数登録委員会とも十分連絡をとりながら調整を進めているという段階でございます。
#197
○和田(一)委員 そうしますと、いまのお答えを伺っておりますと、東経百三十度、CS2aを打ち上げようというその位置に、スタッショナー15というものを同じように上げる計画がソビエトにある、こういうことですか。
#198
○大瀧説明員 そのとおりでございます。
#199
○和田(一)委員 そうしますと、国際周波数登録委員会で話し合いをしなければ、同じ位置にCS2は上げられない、こういう理解ですか。
#200
○大瀧説明員 国際周波数登録委員会に対しまして国際周波数の登録のための通告ということがございますが、その通告は打ち上げの三カ月前までに行うということになっておりまして、私ども郵政省といたしましては、本年の十月末までにはこの調整がぜひ終わるように、鋭意努力をしておるところでございます。
#201
○和田(一)委員 スタッショナー15というのは、その前に通告が出るということはないのですね。
#202
○大瀧説明員 お答えいたします。
 私どものCS2aは、事前公表をいたしましたのは昭和五十六年の六月でございます。その一カ月後に、ソビエトのスタッショナー15がIFRBから同じく事前公表が行われました。それでその後、私どもは、スタッショナー15によるCS2に対する混信というものがありますので、ソ連に対しましては不同意である、同意いたしませんという連絡をいたしまして、現在調整中、こういうことでございます。
#203
○和田(一)委員 いまの御説明ですと、通告は打ち上げの三カ月前でよろしい、それに間に合うように準備をしている、こういうことでしたね。いまの御答弁ですと、公表したのは五十六年六月であって、その一カ月後、七月にスタッショナー15が同じような公表をしてきた。したがって、わが国としてはそれに対しては不同意である、こういうことからいま話し合いが進んでいる。
 私が伺いたいのは、あなたがおっしゃった、打ち上げ三カ月前に通告をすればいいんだということで三カ月前に通告をする予定のようですけれども、それ以前にソビエトの方で、同じ位置に上げようという通告をする心配はないんだね、こういうことなんです。
#204
○大瀧説明員 ちょっとお答えする前に、先ほど昭和五十六年と申し上げましたけれども、五十五年の六月にCS2aの事前公表を行いまして、同年、五十五年七月にソ連のスタッショナー15の公表が行われたということでございますので、御訂正を申し上げたいと思います。
 私どもが行っております調整という仕事は、お互いに技術的な情報を交換し合いながら、そしてどちらが先に公表をしたか、しないかということで優先権があるというようなことではなくて、お互いに調整をし合ってまとめていこうということでございます。どちらが優先というようなことはないのでございます。
#205
○和田(一)委員 このスタッショナー15というのはどういう衛星でございますか。これは、例のソビエトも加盟しているインマルサットからソビエトが要請を受けて打ち上げるというような種類の星でしょうか。それとも全然別の軍事的な意味合いを持つような星なのかどうか。そのスタッショナー15の性格を教えていただきたい。
#206
○大瀧説明員 このスタッショナーシリーズというものは1から15まで、シリーズでございますが、現在打ち上げられておりますのはスタッショナー6までというふうに私どもは存じております。そして15は、使用します周波数は四ギガヘルツと六ギガヘルツというマイクロウェーブを使用するわけでございます。
 そうしまして、どういうふうな目的で使用するかということでございますが、現在打ち上げられておりますところの4号と5号は、インタースプートニクという東欧圏の通信衛星のいわゆるネットワークがございますが、そこで使用されております。その後、それぞれの衛星はどのような使用をするかということは、どういうふうな通信衛星系のネットワークに入るかというようなことは、現在のところ私どもはわかっておりません。
#207
○和田(一)委員 調整というのは技術的な情報を交換し合いながらやるんだ、こういう御答弁でございましたが、そういった密接な情報交換をし合いながら、何に使われるかわからぬような星と同じ場所、競合する場所にこれから打ち上げようというCS2、新聞記事等によれば相当強硬に、日本の打ち上げてくるのを遠慮しろ、だめなら五度くらいずらせ、そういうようなやりとりがソ連の通信省ですか、からあったというふうな記事を私見てびっくりしておるわけなのですが、いまのお話によると、早い者勝ちあるいは通告をしたらそれでいいというものではなくて、友好的にどっちが上げるかということは決めていくようなお話でしたけれども、そういうやりとり自体はあったのですか、ないのですか。向こうが遠慮しろというような大変強い要請をこっちへしてきた、そういった事実、これをちょっとお聞きしたいのです。
#208
○大瀧説明員 新聞記事にありましたように、事前公表後間もなく抗議の電報があったというような記事でございましたけれども、そのCS2aの事前公表後間もなくCS2aの軌道位置を東西どちらかに五度ずつずらすようにというような要求があったということはございません。そのような事実はございません。ただ最近、三月の末でございますが、東経百四十五度へ移ってもらえないかという提案がございました。
#209
○和田(一)委員 それに対してどういう返答をしているのでしょうか。
#210
○大瀧説明員 私どもは、先ほど科学技術庁の方からの回答にもありましたように、CS2aの製作の準備は非常に進んでいるわけでございますので、現時点で衛星の位置を百四十五度というように大幅に変えることは不可能でありますということと、逆にソ連の衛星を今度は百四十五度の方に移ってもらえないかという申し入れをいたしております。
#211
○和田(一)委員 そういうやりとりがこれからも続いていくと、時期的に二月打ち上げというものが大変心配になってくるわけなのです。さっき私、衛星は何のために上げるのか、こういうことをお聞きしたわけですが、これは離島間の通信であるとかあるいは災害時の通信用のためにぜひ上げたいのだ、もちろん、技術的な開発というものも含まれておるわけですけれども、実用面でもこういう大事な目的を持った衛星が上げられるわけです。
 伺うと、国際的な機関であるそういう周波数登録委員会の公表も、これも日本の方が一カ月早くしている、向こうの方はそれから一カ月遅い、こういうやりとりの中で向こうがこっちの予定に対してどいてくれという理由はどこにあるとお考えですか。向こうが上げようとしているスタッショナー15というのが百三十度でなければならぬという理由、どういう理由で彼らはそれを主張しているとお思いですか。あるいはそれを言っておりますかどうか。
#212
○大瀧説明員 公表されました資料からサービスエリアを判断いたしますと、このスタッショナー15は、東経百三十五度のハバロフスク等を中心にいたしまして、シベリアを全般にサービスエリアとしているというふうに私どもは理解しております。したがいまして、そういう点で東経百三十度に打ち上げたいということでソ連は計画をしたのではないかと私どもは考えております。
#213
○和田(一)委員 日本が百三十度に上げなければならない理由は何でしょうか。
#214
○大瀧説明員 わが国は、東経百三十五度が神戸の明石にあります。わが国はほぼ中心が百三十五度くらいでございますので、そういう意味で、わが国全体をサービスするということから考えますと、百三十度がいいのではないかということでございますし、CS2bは百三十五度に打ち上げるということでございまして、両方でわが国を十分にサービスできるというふうに考えておるわけでございます。
#215
○和田(一)委員 aを百三十度に上げ、bを百三十五度に上げる、これで日本列島、日本の領土全部をサービスエリアとしてカバーできる、こういうことだろうと私も理解いたします。念のために伺いますけれども、この中に北方四島は入っておりますでしょうか。
#216
○大瀧説明員 北海道をサービスいたしますので、北方四島も含まれております。
 それから、先ほどの御質問の中で、私が二つでカバーすると申し上げましたが、それぞれが独自で日本をカバーすることができるのでございます。
#217
○和田(一)委員 そうしますと、日本にとってはこの百三十度ないし百三十五度という位置は、この衛星を上げる目的としては譲れないというか大変大事な位置ではないかと思いますが、やりとりがそこまできて、向こうはいまはその段階でとまっているんでしょうか、向こうはまださらにそれを主張し続けているんでしょうか。
#218
○大瀧説明員 今月早々に出したばかりでございますので、まだ向こうからの回答はいただいておりません。
#219
○和田(一)委員 どのくらいの頻度でやりとりがあるのかよくわかりませんけれども、こういったことを調整しないで打ち上げるというわけにはいかないのかな、打ち上げてしまえばいいんだというものともやはり違うんだと思います。
 そこで、伺いますけれども、今回のような調整を必要とするようなケースが出た場合に、国際的にこれを調整する機関というのは、一体どういうところがあるのでしょうか。
#220
○大瀧説明員 先ほどから御説明しておりますように、国際周波数登録委員会は、無線通信規則の規定に基づきまして、関係国間の調整の成立を図るために最大限の努力をすることになっておりますし、IFRBといたしましても必要な意見を述べまして、積極的にその調整を行うことになっております。
#221
○和田(一)委員 そうしますと、その国際機関である登録委員会の意見はもう出ておるのでしょうか。
#222
○大瀧説明員 最終的にはまだでございます。
#223
○和田(一)委員 両方の国のやりとりがあって、それから調整機関である登録委員会が意見を出してくるということになりますと、これは一体予定どおり上がるのかな、予定どおり間違いないのかしらという気がしてくるわけでございます。
 段取りとしては、先ほど御説明のあったようにすでに着々とその準備は一方では進んでいる、こういうことのようでございますから、何としても日本の宇宙開発計画の一環としてこれは変更のできない大事な計画である。これを踏まえてさらにもっと大きく、いま大臣からも御説明いただきましたように、この衛星に対する非常に多くのニーズがある、それに日本もこたえていかなければならない。どちらかといえば日本の宇宙開発に対する技術はおくれをとっている、ニーズの方はどんどん進んでいる、こういう実情にかんがみますと、この衛星が予定どおりいくかいかないかということは大変大きな意味合いを持っているのではないかと思うわけです。
 したがって、打ち上げの方は科学技術庁の担当でございますけれども、これはぜひ各省庁連絡をして、予定どおり間違いなく所定の場所に上げられるような努力をひとつお願いしたいと思うわけですが、いかがでしょう。
#224
○加藤(泰)政府委員 先生御指摘のように、この通信衛星2号はユーザー側の御要望も非常に強いものでございまして、私どももそれがゆえに、いままでともかく衛星の製作あるいはロケットの準備というような面につきましてはスケジュールに間に合うように努力をしてまいったわけでございますが、いま先生も御指摘のように、ほかの理由でこれが上げられないとなりますと、私ども宇宙開発を担当しておる者としましては非常に残念であるというふうに相なります。したがって、ただいま郵政省の方からるるいままでの経過につきましての説明がございましたが、今後さらにソ連の方と十分話し合いを続けて調整が早くついて、われわれのCS2が予定どおり打ち上げられるように努力をしてまいりたい、かように思います。
#225
○和田(一)委員 これに関連してお伺いいたしますけれども、わが国は宇宙条約には加入しておるわけでございますが、これに関連するというか、いわゆる三条約というものがございます。救助返還協定、損害賠償条約、登録条約、これについては批准作業が大変おくれているというのが実情でございます。五十三年に批准促進の国会決議が行われておるわけでございますけれども、いまだに批准の段取りができていない。このことについて、なぜそんなにおくれるのか、どこに隘路があるのかといった点についてお答えをいただきたいと思いますが、外務省の方ですか。
#226
○林説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、宇宙関係三条約、救助返還協定、損害賠償条約及び登録条約の加入でございますけれども、政府といたしましてもできるだけ速やかに加入したいのでございますが、たとえば救助返還協定においては、宇宙物体が落下した場合に備えて、宇宙物体が落下した場合には回収及び返還、搭乗員の救助及び送還方法等がございます。また、特に損害賠償においては条約に、その損害につき、打ち上げ国は無条件に賠償を行う責任を有するという規定がございまして、このための国内措置に関して何分にも非常にむずかしい点がございまして、関係省庁間では鋭意検討しているわけですけれども、これまでのところ、調整がわずかながらついておりませんで、残念ながら今国会には上程することができなかったのですが、政府といたしましても、できるだけ速やかに国会の御承認を仰げるよう最善の努力をしたいと思っております。
#227
○和田(一)委員 二条約一協定ですが、この三つを批准していない国の方が少ないのじゃないかと思いますが、批准状況はどうなんでしょう。
#228
○林説明員 お答え申し上げます。
 救助返還協定が七十八カ国、損害賠償条約が六十七カ国登録条約が三十カ国批准しております。
#229
○和田(一)委員 これだけの国がすでに批准をしているということを見ますと、さっきの御説明のように、物体が落下したときにそれを返還するあるいは人命を救助する、損害賠償についても全額賠償するというためにいろいろ各省庁間で話し合っているというお話でしたけれども、これだけの国は、そういったこともやはり同じ条件で、にもかかわらず批准ができておるというわけですから、私はそうむずかしいことじゃないと思います。では、そのための国内法が整備されているのかということになりますと、批准した国々も、必ずしも国内法が全部整備された後で批准したというケースではないと聞いておりますが、そういうことを考えれば、もっと急いでやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうね。
#230
○林説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございまして、御意見を謹んで拝聴したいところでございますが、日本は、御承知のように、法律的にも非常に生まじめに詰める国民性がございますので、いろいろな国、世界には百六十カ国ありまして、おっしゃるとおり、宇宙条約に加入することの方が大事なんだからそこはしかるべくという国もあると思います。わが国は、先生御承知のように、非常に法的に詰めなければ、要するに万が一にもこれがあってはまずいということがありますので、法的作業が若干難航しておりますけれども、それはそれの長所もあるかと思いますが、政府としても本当に入る必要があると感じておりますので、私どもも最善を尽くすということを重ねて申し上げます。
#231
○和田(一)委員 揚げ足を取るわけではないのですけれども、日本は生まじめだから慎重だということになると、批准した国は余りまじめでないということにもなりかねません。聞くと、これは三つそろってなくてもいいみたいですね。三拍子そろわぬでも、たとえば救助は七十八で、損害賠償六十七、登録三十、こういうことでしょう。そうなると、そういうセットでなくて、登録だけでもでは先にという個別の批准ということは考えられませんか。
#232
○林説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、加入国の数は違うのでございますけれども、三条約の相互の関係を見てまいりますと、宇宙物体が落下した場合に、これらの物体の乗員の救助及び送還並びに物体の回収と返還につきまして、主として被落下国に協力義務を課したものが救助返還協定でございまして、打ち上げ国に対しまして、このような落下によりまして生じた損害につき無条件に損害賠償することを義務づけたものが損害賠償条約でございます。
 他方、送還ないし返還を行うに際しましても、また損害賠償請求を行うに当たりましても、当該宇宙物体の打ち上げ国を確定することが必要でありますので、宇宙物体に関する国内登録及び国連への登録制度を設けたのが登録条約でございますが、登録条約の参加国が少ないのは打ち上げ国数が少ないということも関係すると思いますけれども、ただいま申し上げましたように、これら三条約が相互に密接に関連しておりまして、また国会におかれましても、三条約について一括早期加入を決議されておりますこともありまして、一つだけ入るというよりも、まとめて入る方が効率的である、種々の観点からそう考えておりまして、政府としては入るときは三本まとめて一括して入りたいというふうに考えております。
#233
○和田(一)委員 そうであれば、よけいに三条約そろっての批准を急いでいただきたいと思うわけです。と申しますのも、CS2の打ち上げについて国際的な調整を必要とするというようなことを考えますと、こういった条約をきちっと批准している国と批准していない国の国際的な発言権というものもおのずから違ってくるのじゃないか、こういう感じがするわけです。わが国にとって大事な計画を遂行するためにも、国会もすでに数年前に批准促進の決議をしているということをしっかりと踏まえて、関係省庁はこの批准の促進をぜひひとつ真剣に図ってもらいたい、こう思います。強く要望しておきます。
 それから、大臣の初めのお話の中に、やはり社会的、国際的なニーズにこたえるためにも宇宙開発というものは大変意義がある、こういうお話がございました。まさにそのとおりだと思うわけでございます。わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会で定められた宇宙開発政策大綱に基づいてシリーズが決められ、各年度のプログラムが決められている、こういうふうに理解をしておるわけでございますが、きょうは通信衛星のことが中心でございますけれども、この通信衛星一つとりましても、大臣が言われる実用的なニーズというものが大変先行してきている、こういう感じを持つわけです。そういう衛星を使ってどんどん新しい通信手段を開発したいという当事者は、この宇宙開発政策大綱と一緒にやっていたのでは間に合わないという感じを持ち始めているのじゃないか。
 いや、持ち始めているどころじゃなくて、具体的に郵政でもあるいは電電でも、もうこれは切り離してほしい、HIで上げられるのも一トンまではとてもいかないのだということになりますと、通信コストの面からいっても、もっと大きなものを上げたいのだ、そのためには、日本の宇宙開発の計画と二人三脚で行ったのでは間に合わなくなってしまうということを本気で考え始めているというふうに聞くわけなのですが、大臣、どうです。本当にそういうニーズはどんどん強まっておると思うのです。私は計画がただだめだと言うのじゃなしに、計画を見直して、そういったニーズに間に合うように、もっと大幅に前倒しに計画を促進していくというような時期とお考えにはなりませんかどうか。
#234
○加藤(泰)政府委員 先生が御指摘のように、私どもも、最近、特に通信分野等におきまして、ユーザー側の方から非常に大型の衛星をぜひにというような話があるようにも承っているわけではございますが、先ほど大臣から、広範かつ多様な社会的ニーズに十分に効果的に対応していくことを基本方針としておるということで、政策大綱そのものも、そういった意味では社会的ニーズに十分に対応していくべきであるということが基本的にあるわけでございます。
 しかしながら、われわれの宇宙開発の歴史というのは、ほかの国に比べればはるかに短く、まだ十数年間の歴史しかない。しかし、その十数年間の歴史ではありますけれども、ともあれ先ほどの御質問にもございましたように、わが国は三百五十キログラムの大きさでございますけれども、自力によりまして静止軌道に衛星を打ち上げるという技術をすでにマスターしたというのがいまの段階であるわけでございます。海外のほかの国々を見れば、われわれの宇宙開発よりもはるかに長い経験、したがって歴史を持っているわけでございますが、米ソ並びに欧州宇宙機関いずれを見ましても、すべてみずから衛星を打ち上げる手段を保有するというような目標のもとに宇宙開発を進めているわけでございます。
 こういった打ち上げのための最先端のロケットの技術というものを、先進国といいますか宇宙開発を行う国が保有するということは、宇宙の活動におきますところのいわば自主性が確保できる、当然でございますが、そのほかに、わが国全体から見ましても、技術のセキュリティーを確保するということから見てもこれは非常に不可欠のことではないかと思うわけでございます。
 そこで、自主性を失った宇宙開発という道をわれわれはいまここでどうしても選ぶべきではない。せっかく十数年間努力をしてまいりました。今後ともかく歯を食いしばっても、先進国と言われるいま言った二つの国あるいは機関に一日も早く追いつくということが、われわれの念願でございますし努力の目標でもあるわけでございます。したがいまして、いまわれわれは、昭和六十二年には五百五十キロの衛星を打ち上げ得るHIのロケットの開発を鋭意進めておるわけでございますが、そのHIaの計画以降にも、これは引き続いてさらに大型の衛星を打ち上げ得るロケットの開発を進めてまいりたい、かように思っているわけでございます。
 現在の宇宙政策大綱におきましても、あの大綱の中には五百キロないし八百キロというような数字がございますが、八百キロと申しますればやがて一トンに近い数字でございますので、私たちは、そういったような目標に向かいまして、一日も早くそのようなロケットの開発を進めたい。それまでの間は、ともかくわが国の自主性というものを担保しながら、宇宙開発を進めていくという意味におきまして、ユーザーの方々とも十分に話し合い、納得したかっこうでお互いに開発の方に協力をし合っていくということをわれわれは念願もし、話し合っているというのがいまの実情でございます。
#235
○和田(一)委員 私は、基礎技術の開発をないがしろにしては高度な技術開発にはつながっていかない、宇宙開発についても非常に出おくれてはおるけれども、その出おくれを取り返すために一生懸命やっているのであって、これを飛ばしてしまえということを決して言っているのではないんです。基礎をきちっと積み上げていくスピードを何とか前倒しに速くしてもらいたいなと、こういう感じがするわけなんですが、いまユーザーを抱えている郵政の皆さんも見えておるのですが、そういったユーザーを抱えているその面からいかがですか、私は郵政の方に率直にお伺いしたいのです。
 というのは、電電は通信衛星開発について独自計画というのをもうまとめているのでしょう。そしてその構想によると、六十三年には一トン、それから七十年には四トンくらいの星を上げたい、そうでないといわゆる通信コストとして間に合わないんだということからそういう計画を持っていて、できるならアメリカのスペースシャトルを利用して上げたい、こういうような計画をもうすでにまとめているというふうに伺っているのですが、こういったユーザーの声を聞いている郵政としては、率直なところ、この大綱の見直しがあればありがたいと思っているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#236
○磯野説明員 お答え申し上げます。
 電電公社がただいま通信衛星の利用に関しまして持っている計画について御説明申し上げますと、まず現在、先ほど来お話のありました来年二月及び八月に打ち上げが予定されておりますCS2を用いまして、非常災害時あるいは離島通信等の重要回線の確保のためにこの準備を進めております。さらに、このCS2の寿命が尽きるころに打ち上げを必要とされます次世代、すなわち第二世代の通信衛星CS3計画につきましては、ただいま研究調整局長からお話のありました国産のHIロケットを使用することを基本として、その概要の検討を進めているところでございます。
 先生の方からお話のありました公社の構想につきましては、これは公社の将来の衛星構想についてのお話であろうと思いますが、郵政省といたしましては、公社が一トンあるいは四トン衛星という具体的な計画を持っている、あるいはまとめたということは承知しておりませんで、非公式に聞いておりますところによりますと、将来公社といたしましては、いわゆる高度情報通信システム、これはINSと申しておりますが、このINSにおける衛星通信の果たす役割りにかんがみまして、大容量の衛星通信方式に関する研究を進めるということにいたしまして、研究体制の整備を行っているところでありまして、その中で大型衛星の構想も検討しているということでございます。
 そしてこの打ち上げには米国のスペースシャトルの利用も検討しているようでございますけれども、郵政省といたしましては、将来の通信衛星計画につきましては、今後の通信政策における衛星通信の位置づけ、あるいは国の宇宙開発政策というものとの整合性等に配意しながら、関係各機関で慎重に検討していく必要があるのではないか、このように考えております。
#237
○和田(一)委員 時間もなくなってまいりましたけれども、ユーザーというのはやはり経済性を非常に大事に考えていろいろ計画を立てると思うのですね。したがって、そういう意味で、何か電電の試算でいくと――とにかくいまの方針は、国産の星を国産のロケットで上げよう、これはもう一貫してあるわけですが、その国産のロケットで、三段ロケットでもって静止衛星を上げると、いまのあれでいくと、やはり大変高いものにつく。試算でいけば、もしスペースシャトルみたいなものを使うと六分の一ぐらいで上げられるというような試算も出しておるようでございます。それは正しい試算かどうかは別として、やはりそういったユーザーの非常に急いでいる気持ち、そういうものを考えますと、技術というものは一足飛びにいくものではない。もう一歩一歩積み上げていく以外にはないんですけれども、その一歩一歩の歩みを速めるための方策はもうないのかどうか。
 これは、宇宙開発委員会の責任者でもある大臣としても、いやいやもうこれが手いっぱいだとお考えになっているか、あるいはそろそろ一遍集まって見直しをやってもいいとお考えになっているか、その辺を少し忌憚なくお聞かせをいただいて、私質問を終わらせていただきます。
#238
○中川国務大臣 宇宙開発が国際的に非常に進んできた、その中で日本としてはどちらかというと出おくれておるという感じがありまして、鋭意やっておるところではありますが、一方、御指摘のように社会的ニーズが非常に強くなり、ユーザー側の要望も出てくる、こういうことにわが国のロケット開発がついていけるかね、こういう問題にぶつかっているんだろうと存じます。
 ユーザーの言うこともよくわかるのでありますが、また、先進国あるいは科学技術立国として、こういった大事な技術を外国にお願いする、自主技術を持たないということも、これは非常に問題があるということでございますので、先ほど局長が答弁しましたように、自主技術によってやっていくという基本方針は変えずに、前倒しあるいはスピードアップという点についてなかなか容易でない点もあります、技術がいま言うように一遍にできるものでない、入念な積み重ねというものも必要でありますし、もう一つは、ゼロシーリング、財政が非常に厳しいという側面もありまして、厳しい点はありますが、宇宙開発の責任者としては、できるだけひとつ努力をして、和田委員の御期待にこたえるように努力をしていきたいと思います。
#239
○和田(一)委員 どうもありがとうございました。(拍手)
#240
○近藤委員長 瀬崎博義君。
#241
○瀬崎委員 原子力船「むつ」と再処理工場の問題について質問をいたします。
 まず、中川長官に伺いたいのでありますが、私どもは、原子力船「むつ」に対して新母港の建設であるとかあるいは改修等、当初に建造、建設したときよりもはるかに大きな費用をつぎ込もうとしている政府の方針に対しては、先ほどもちょっと言われたように、財政事情がこれだけ厳しい折、果たしてその必要があるのかどうか、よほど慎重に検討する必要があるのだろうということを申し上げているのですが、中川長官の方は断固として、エネルギー上考えれば、わが国の将来の利益のためには、国家的事業として何としても「むつ」は既定方針どおり進めていくんだ、こうおっしゃっているわけですね。
 しかし、そのために国民は税金という形で、当初の計画をはるかにはるかに上回る負担を強いられる形になっているわけです。ところが一方、これからの事業が結構大きいだけに、企業の方がそういうものを通じてこっちはもうける、利益を上げる、こういうことになると、まさに屋上屋を車ねる不公正という事態になると思うのですが、大臣はそういう点をどう考えていらっしゃるのかということと、国民は大きな負担を背負う、企業はむしろ放射線漏れ等の国にとっての災いをうまく活用してもうけるというふうなことがあってはならないと言うのなら、そのために何か特別な対策を考えていらっしゃるかどうか、まず大臣に伺いたいと思います。
#242
○中川国務大臣 原子力船「むつ」が予想外のむずかしさに遭難をして国民に必要以上の負担を求めた、御迷惑をかけたということは事実でございます。ただ、私どもとしては、だからといって、原子力船の開発が必要ではない、こういう結論には達しておらないわけでございます。将来のエネルギー事情、原子力の平和利用、世界各国の動き等を見れば、将来に向かって国民に責任を持つためにはどうしても進めなければならない、こういう基本線では共産党さんとは一〇〇%違うわけでございます。(瀬崎委員「それを前提にして話しています」と呼ぶ)共産党さんが効率あるように進めろ、こういう御忠告ならありがたく受けますけれども、何をやっても反対だという中で、コストがかかる点だけを指摘されても私は困るのでありまして、コストがそういうふうにかからないように、危ない、危ないと必要以上の御宣伝をなさらないことが、企業だけもうからないようになりますので、その点はしかと申し上げておきます。
#243
○瀬崎委員 「むつ」の改修工事はいま佐世保で、契約で言いますと四期の契約に分けて行われているわけですね。わざわざ四期に分けた理由は何ですか。
#244
○倉本参考人 「むつ」の遮蔽改修工事につきまして、佐世保重工業の佐世保造船所におきまして工事を行うということで、佐世保へ回航いたしたわけでございますが、この工事着工にいろいろ事情がございまして、着工がおくれた。一方におきまして、佐世保での工事期間が地元とのお約束で三年ということがございまして、具体的に工事に着工できるという事態になりました時点で、この工事期間を極力短縮していかなければならないということに直面いたしまして、工事期間を短縮するためには、メーカーとの間で工事期間の問題につき折衝を行います段階において、できるだけ工事期間を短くしようということで、具体的にメーカーとの話し合いがついたものから契約をした方が期間が短縮できるということで、結果としては工事期間が四期に分かれたわけでございます。
 最初の工事は、五十五年七月にとりあえず翌年、五十六年二月末までの工事の契約をいたしたわけでございます。その後、具体的になお工事の計画が固まってまいりました時点で、第二期の工事契約を五十五年十二月に翌年の五月末までの工事につきまして、最初の工事契約の変更をいたしまして五月末までの工事といたしたわけでございます。さらに五十六年六月一日付で第二回目の工事変更、俗に第三期の工事契約ということでございますが、ここで一応同年九月末までの契約をいたしました。
 それからさらに、五十六年十月以降のものにつきまして、本年の六月三十日までのものを第四期工事ということで、工事契約の第三回目の変更をいたしまして、現在工事を進めておるところでございますが、工事期間を短縮するという努力をいたした結果、このような分割契約ということになったわけでございます。
#245
○瀬崎委員 この契約内容を見ると、各期ごとの納入範囲の中に、施工業者の行うべきものとして、改修工事に係る試験、検査とかあるいは上記各項に関する試験、検査というものを入れておるわけですね。これが、いま言われたように、変更契約で一期が二期へ、二期が三期へと引き継がれるということなんですが、肝心の事業団が行うべき検査条項というものがこの中には見当たらない。一体、一期ごとの契約工事内容に対する事業団側の検査はどうなっておるのか。あるいはここに納入範囲として記載されている業者側が行う試験、検査と、それから事業団が当然行うであろうと私は思うのだけれども、その検査とは一体どういう関係にあるのか、説明してほしいのです。
#246
○倉本参考人 検査につきましては、私どもがメーカーといたしました契約書に添付いたしております仕様書の中に、どういうような検査を行うか、またその各検査につきまして、検査の種類、試験の種類によりまして、いわゆる官庁検査と申しますか、科学技術庁の行われます検査、また運輸省の行われます検査、また海事協会における検査、また事業団が行う検査等につきまして、それぞれの項目ごとに各試験、検査等につきまして、私どもが立ち会いを必要とするものについては立ち会いますよということをはっきりいたしております。それで、各検査につきましては、具体的に検査についての計画書を受注者の方から出してもらいまして、その計画に基づいて私どもとしては検査、試験に立ち会っていくということをやっておるわけでございます。
#247
○瀬崎委員 そういう科学技術庁の検査とか運輸省の検査とか海事協会の検査が行われるとすれば、そういう中で、ないことを期待するけれども、場合によっては瑕疵が発見されることもあり得ると思うのですね。だから、当然契約書の中にはそういうメーカー側の瑕疵担保責任もうたわれていなければならぬと思うのですが、瑕疵担保責任については具体的にはどうなっているのですか。
#248
○倉本参考人 この遮蔽改修工事につきましては、瑕疵担保責任の問題については私どもの方では一応特約という形をとっております。一般的には、瑕疵担保の期間といいますのは、民法で定められております一年ということでございますけれども、私どもといたしましては、今回の工事につきましては、工事終了後二年間ということをメーカーとの間で約束をいたしておるわけでございます。
 それで、この二年という期間につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、工事につきましては、契約について、最初の契約をその後三回にわたって変更をいたしておるわけでございますが、契約そのものは最終的には一本の契約でございまして、この最終の変更によりまして、遮蔽改修工事の契約は本年の六月末ということになっておりまして、瑕疵担保の期間はその六月末から二年間ということにいたしております。
#249
○瀬崎委員 そうしますと、先ほど言われた所定のいろいろな検査の中には、たとえば使用前検査等も含まれると思うのですが、そういう場合が瑕疵の最初に発見される一番大きな機会でもあろうかと思うのだけれども、それが二年以内に行われないと、せっかく瑕疵担保期間を二年に決めてみても余り意味がなくなりますね。その辺は大丈夫なんですか。
#250
○倉本参考人 これは検査等を行いまして、なお補修を必要とするとか、修理等をやらなければならないというような点がございますが、これらについては、契約の上で、その修理が終わってから一応一年間ということにいたしておりますが、この一年間の末期が先ほどの契約終了といいますか、工事完了の本年六月三十日より後二年というものよりも短いと申しますか以内であった場合には、これらについてはこの六月末から二年を瑕疵担保の期間として考える、こういうぐあいにしておるわけでございます。
#251
○瀬崎委員 逆に言ったら、二年を超えてからのいろいろな検査でもし瑕疵が発見された場合、いまのこの契約では、もはや責任はメーカー側にないということも意味することになるじゃないですか。そういう説明ではないのですか。
#252
○倉本参考人 工事が終わりまして、こちらとして一応……(瀬崎委員「二年以内に全部の検査が終わればいいけれども」と呼ぶ)工事が終わって二年を過ぎてから、瑕疵担保の期間が過ぎてからそういった事態がわかった場合には保証されない、こういうことになるわけであります。
#253
○瀬崎委員 だから、その瑕疵担保期間二年を生かそうと思えば、すべての検査が二年以内で終わらなかったら意味がなくなるだろう。では、その二年以内のすべての検査は、どこで行うのですか。そうしないと整合性がとれない。
#254
○倉本参考人 いまの検査、試験といいますか、工事に関連をいたしましたものにつきましては、工事をやっております段階で、それぞれ検査または必要な試験を行っておるわけでございます。また、その検査を終えた上で、私どもの方としては、一応工事完了ということを認定をした上で引き取るということでございます。
#255
○瀬崎委員 いや、あなたは先ほどの説明で、別途仕様書の中で、科学技術庁、運輸省とか海事協会などの行う所定の検査で発見された瑕疵については、特約で瑕疵担保責任で、メーカー側に責任を持たせる、こうおっしゃったわけでしょう。その中にはいわゆる使用前検査のように、原子炉を運転状態にしなければできない検査もあるわけでしょう。だから、そういうものが二年以内にできるという一方の保証がないと、せっかく瑕疵担保期間が二年以内にしてあっても、無意味になるじゃないか。いまあなたもそれを認められたわけでしょう。それはちゃんとどこかでやれるようになっているのですかと、こう聞いているのですよ。
#256
○倉本参考人 先ほど、この仕様書の中で、それぞれ官庁検査等を行う項目等ございますが、これらは今度の工事の契約に直接かかわるものについての検査、試験でございまして、この工事が終わった以降において行うことになっております出力上昇試験等は、今回の工事の契約の中には含まれておらないのでございます。
#257
○瀬崎委員 ですから、結局、この契約上の瑕疵担保期間というのは、現在の「むつ」の置かれている事情から考えれば、きわめて形式的で無意味な瑕疵担保責任、一番瑕疵の発見されるチャンス、つまり低出力にしろ、原子炉の運転状態という、この試験は対象外にしているということなんですね。これは前回の轍をもう一遍踏むおそれを十分残していると思うのですよ。
 そこで、この遮蔽改修工事に関する契約金額を見てみますと、石播とは第一回契約七億八百四十万、第二回契約十億二千八百万、第三回契約二億二千八百三十万、第四回契約五億六千七十七万、総計二十五億になりますね。
 それから三菱重工及び三菱原子力とは、第一回八億一千三百六十万、第二回五億五千二百万、第三回四億二千三百万、第四回四億四千百七十八万、合計で十四億一千九百七十八万、こうなっているんですね。普通ですと、これだけの工事になれば当然競争入札ということになって、まあまあいろいろ一方で追及されている談合というような事態がなければ、公正に適切な価格で落札されるということになるのでしょうが、今回の場合はきわめて特殊な工事であり、特殊な経緯を持っておりますから、当然随契になってきますよね。その場合の適正な契約価格の判断をどうして下したのか、これをお尋ねしたいわけなんです。
 予決令等を見ますと、これは事業団ですからそのとおりやるわけじゃないけれども、参考までに言えば、随契の場合でもなるべく複数の見積書をとるように定めていますね。それからまた、電電公社などの積算要領を見ますと、標準化したコードで予定価格が計算できないごく特殊な工事に限ってのみ専門業者から見積書をとって、その見積価格から一〇%引いたものを予定価格にするように、こういうような手順を決めている場合もありますよね。
 今回の「むつ」改修の場合、あなた方が決められたこういう契約価格の適正を保持するためにどういうふうな配慮をされたのか、たとえば業者の見積もりを出させて、それを基準にいろいろチェックしていったのか、あるいは事業団の方で独自に原価を積算していって契約価格をはじいたのか、あるいはそれ以外の方法で行われたのならそれ以外の方法を説明していただきたいと思います。
#258
○倉本参考人 今回の遮蔽改修工事におきましては、基本設計そのものにつきましては私どもの方で一応行ったわけでございます。それで、この工事そのものにつきましての契約金額につきましては、予定価格につきまして一応私どもの方ではじいておりますが、また一方、メーカーの方から出てまいりました見積書に基づきましてこれについての査定を行い、また、これにつきましては再三見積もりについての折衝を行いまして、その上で私どもの部内におきましても検討を重ねた上で価格を決定いたしたわけでございます。
#259
○瀬崎委員 契約による工事価格の構成要素をもし分解するとすれば、どういう要素で組み立てられているのですか。
#260
○倉本参考人 見積もりそのものの内容は、先生も御案内のように、これを構成いたしておりますのは、材料費とそれから人件費、それにあとは経費、大体この三つであろうかと存じます。それで材料費につきましては、使用いたします材料及び使います数量、また材料についての単価というものが一応材料費を決めてまいるわけでございます。また、人件費といたしましては、主なものは、私どもの行いました具体的な基本設計に基づいて、さらに工事を行うための詳細設計、またさらには具体的には工事を実際行ってまいります工数等がございますが、このそれぞれにつきまして、設計工数について各設計単価、また工事工数については工事の工数及びその単価について細かくチェックをいたしておるわけでございます。
#261
○瀬崎委員 そうしますと、必要となる材料費を適切な単価で、また必要な数量だけ、あるいは工事費についてはこれも適正な単価に対して必要な工数全部を含んでいる。先ほど大臣は、反対の立場から、コストがかかり過ぎるからと文句を言われることには断固反対だとおっしゃったが、われわれは、いま何もわれわれの立場で物を言っているのではなくて、政府がどうしてもやる、そういう政府の方針のもとで物を考えているわけなんです。ですから、通常一般的に、こういう随意契約を行う場合に、高からず安からず、どういう専門家が見ても、これはまさに妥当だ、十分な工事が可能になる価格である、こういうふうに見ていいわけですね。必要なものは全部ちゃんと入っている、そういうふうに見ていいわけですか。
#262
○倉本参考人 「むつ」の遮蔽改修でございますが、この遮蔽改修工事といいますのは、本邦で初めて行います工事でございまして、非常にいまむずかしい部分ももちろんございます。また、私どもといたしましては、前回のような放射線漏れというような事態を二度と起こさないということで、この工事にはもちろん万全の策を講じていきたいということを念頭に置いておるわけでございますが、そうは申しましても、やはり貴重な国費を使い改修を行っていくというたてまえから、工費そのものの見積もりにつきましては厳正に、むしろシビアにこれを見ていくという姿勢で私どもはこの見積もりの検討をいたしたわけでございます。
#263
○瀬崎委員 五十年の六月二十三日に内閣委員会と科学技術委員会の連合審査が行われているのですね。当時の生田原子力局長はこういう答弁をしているわけです。「三菱原子力の責任をここで否定する気は毛頭ございません。」「私は、率直に申しまして三菱原子力にも相当責任はあると思います。」「結果的に非常に不十分な点が多かったわけでございますので、企業といたしましての責任は当然感じていると思いますし、私が三菱原子力の社長初め幹部と接触いたしました範囲内でもそういう心証は得ております。」
 さらに具体的に、「総点検及び改修というこの全体の計画に要します費用につきまして、この因果関係を十分検討いたしました上で、私は、三菱原子力がその応分の負担をすべきだというように考えています。」さらに突っ込んで、「とりあえず遮蔽について、横及び下の一次遮蔽が不十分であったという結論が得られているわけでございます。」「その部分」つまり横とか下とか言われている一次遮蔽の部分ですね。「その部分につきまして、私が先ほど来申し上げておりますように、事業団と三菱との間の費用の分担の問題が出てまいります。これで私は、三菱も相応の分担をすべきだというように申し上げている」そしてこれは政府に伺うことですが、「とるべき責任は当然メーカーとしてとらせるということを行政指導いたしたい」これはいずれも当時の議事録から原文どおり読み上げたわけです。こう明言しているわけです。
 そこで、三菱の十四億円について先ほど来いろいろ倉本専務の説明がありまして、その全体工事価格が適正なものだと前提を置きましょう。そうだとすれば、私はほかの要素も言いたいのですが、少なくも一次遮蔽改修について不十分だったと言われている部分、これに関しては引き渡し時にきちっと三菱の負担する部分を明確にして、そして精算が行われなければならぬと思うのですね。しかもこれは、政府が行政指導をすると当時の原子力局長が言っているわけです。間もなく六月三十日が来るわけでありますが、政府としてはどういう負担を三菱側に持たせる予定にしているのか、そこを明確にしていただきたいと思うのです。これは政府側、当時の局長の答弁です。
#264
○石渡政府委員 生田元局長の御発言につきましては、手元にはございませんが、先生のおっしゃった御発言があったと私も記憶しております。
 三菱原子力、当時のでございますが、その道義的責任を求めていくのだという最終的な発言になったと私は記憶しておりますが、その後、私どもといたしましても、放射線漏れ事故以降、遮蔽改修の概念設計の作成あるいは概念設計までの無償での協力あるいは遮蔽モックアップ実験に対する協力員の派遣、また、基本設計においても協力貝を多数派遣するというようなことを通じまして、三菱、今日では二社でございますが、その道義的責任を求めるという態度で一貫してまいったわけでございまして、私もたしか就任当時、その幹部に対しまして、そういう過去の事実があるのだということを強調し、三菱としての道義的責任を果たすようにということを強く申し入れた経緯がございまして、そういう意味での指導を行ってきたところでございます。
#265
○瀬崎委員 あなた、当時の経過をもう一遍全部議事録を読んでごらんなさいよ。むしろ、道義的責任は三菱が感じているとか、とらせるという話があったけれども、そんななまぬるいことではだめだという話が発展した最終結論がいまの生田原子力局長のこの答弁なんです。ですから、いま言われているようなことは当然のことだけれども、なお当時の国会に対する答弁といいますか、約束からいくならば、少なくとも一次遮蔽の横及び下が不十分であった、この部分については、きちっと現在の十四億の工事費の中から三菱にちゃんと負担を求める、こうならなければ国会答弁を果たしたことにならないですよ。
 これは大臣にも言っておきたいのですが、私は念には念を押しておく必要があると思ったから、当時の佐々木科技庁長官に対して、当時の生田氏が言ったことですが、「当然受け持つべき三菱の責任等についても、」政府は「求めるべき責任は求める、こういう理解でいいわけですね。」こう念を押したのに対して、長官が「そういうことになると思います。」こう答えているのです。
 私どもとしては、本来なら、この三菱の欠陥遮蔽工事の結果その後大変な事態になって、大臣も認められたような余分の費用、補償費用とか、延びたことによる事業団の経費とか、母港撤去費用、新母港建設費用、こういうものについても当然三菱に負担の責任はあると思うのだけれども、それはさておいて、この国会答弁の範囲内については、最終精算できちっと三菱に分担をさせる、そういうことになると思うということを当時の大臣がはっきり言っておるわけです。これはやはり中川長官としても、当時の経緯をもう一遍よくお調べいただいて、きちっと実行していただきたいと思うのです。大臣の答弁を求めたいと思います。
#266
○倉本参考人 私どもは、今回のこの遮蔽改修工事については、基本設計を私どもが行います段階、さらに工事そのものについても、前回の放射線漏れということについても三菱にも責任なしとしないという趣旨から、三菱に対してこれについての協力と申しますか、これを要求をいたしております。また、これに対しまして三菱としては、基本設計さらに実際の工事に関連いたしまして私どもの方に人の面での協力、私どもの方へ人を出してもらって、実際にその仕事を分担をしてもらうというような形での協力というものをいたしております。また、この趣旨を一応踏まえまして、今度の見積もりと申しますか、契約金額の交渉の過程におきましても、三菱としてはできる限りの努力といいますか、出請値引き等も一応いたしておるわけでございます。
#267
○瀬崎委員 だから私は、この契約金額が一体どういう方法で計算されたのか、あらかじめ聞いてあるのですよ。その中で三菱の責任分をこれだけ引きましたというような話は全然なかったわけです。後から突かれて、そういう目に見えないものがちゃんと三菱の負担にいっている、こう言っているのでしょう。一体どこまで三菱をかばえば気が済むのですか。人件費の協力とか言ったって、十四億の工事から見たら知れていますよ。微々たるものです。そんなことで国民が納得しますか。これは大体科技庁の指導が悪いからこうなるのです。あの答弁からいくならば、国民にわかるようにするならば、当然かかるべき改修費が十四億だ、このうち三菱にはたとえば五割の七億を負担させたのだ、こういう説明があってしかるべきですよ。そんな目に見えないようなものが弁解がましく説明があって済むような、そんなあいまいな当時の生田局長の答弁ではありません。もう一遍これは検討し直す必要がある。三菱ときちっと交渉しなさい。
 あわせて、先ほど来、瑕疵担保期間が二年だ。いまのいろいろな事情から考えて、二年以内に所定の政府側の検査なんて終わりっこないんですよ。だから、そういう点から考えても、三菱に社会的責任を負わせる、あるいは三菱が感じているというのなら、最低限、つまり決められた仕様書に載っている政府の行うべき検査の終わる時点までは、あるいは社会的情勢によってそれが何年になるかわからない、けれども、その間は瑕疵担保責任を持つ、このぐらいの契約内容であってしかるべきだと思うのです。でなかったら、国民も納得できないと思うのです。その点ももう一遍検討し直すべきだと思いますが、これは科技庁の指導の問題だと思うのです。きちっとそういう行政指導をやるのかやらないのか、はっきりしてください。
#268
○石渡政府委員 瑕疵担保の問題につきましては、先生も御了承のとおり、いろいろな条件で困難もあり得る状況に今日現在はございます。したがいまして、私どもの方針といたしましては、おっしゃいましたように、その所要の試験が済むまでという方針で臨むというのが、今日現在の私どもの考え方でございます。
#269
○瀬崎委員 金額の面も、重ねてもう一遍当時の国会答弁の経過をずっと見ながら、十分慎重な検討をしてほしいと思うのです。
 次いで、再処理工場の問題について伺いたいのです。これもまたなかなか重大です。現在、高レベル廃液貯蔵用のタンクとしては九十立米の容量のものが四基据えられているわけですね。これは大体何年分の貯蔵能力として当初建設したものですか。
#270
○中島参考人 お答えいたします。
 当初の計画では約五年という予定でございました。
#271
○瀬崎委員 五年ということは、当時の大変古いものだけれども、昭和四十五年度予算概算要求説明資科の中に明記されていることなんですが、つまりこういう形で予算が組まれ、当然また国会にも説明がされておった、そういうことだと思うのです。四基で五年分ですから、一基を予備とすれば三基で五年いけると思ったんでしょうね。このときの高レベル放射性廃液の発生量の見込みですね。つまり使用済み核燃料を一トン処理したときにどれだけの高レベル廃液が出ると予想しておられたのですか。
#272
○中島参考人 高レベルの発生量でございますが、いろいろな条件がございますけれども、簡単に申しますと、一トン当たり約〇・五立方メートルという予定でございました。
#273
○瀬崎委員 中島さんは、そもそもその道の専門家であり建設当時の責任者だったのでしょう。そういう人がそういう無責任なことを言ってはいかぬと思うのです。
 実は鈴木進さんですか、この方はたしか動燃の核燃料部長をされておった方だと思いますね。それからもう一人、瀬川猛さんですか、この方は動燃のガラス固化担当技術部長、現在は何か鈴木さんは石川島播磨へ天下り、瀬川さんは三菱重工へ天下っている。そのあたり原子力産業界と動燃との癒着関係をよく証明していると思うのですが、その方々が「原子力工業」第十三巻第九号にちゃんと論文を出していますね。
 「核燃料再処理廃棄物の量と性状」この中で再処理工程概要と廃棄物の発生量を試算したと書いて、「第一図 再処理工程よりの廃液の量と放射能」という図があって、ここには高レベル廃液がボリュームとしては最高限度七立米、それからそれが蒸発処理されて高レベル濃縮廃液が上限三百リットル、こういうふうに書かれているのです。つまり当時の発生予測が、一トンの使用済み核燃料を処理したときに高レベル廃液が〇・三立方メートルである、こういうことが前提になっておったということがここに証明されておりますね。あなた御存じでしょう。
#274
○中島参考人 その雑誌は何年ごろか、大分古いので、ちょっと私も記憶にないのでございますけれども、その両人が何か書いたことはあると思います。
#275
○瀬崎委員 また当初から、もちろん日量〇・七トン処理、年間二百十トン処理のあれですから、九十立米、四基、五年分の能力だというならば、一トン処理して出てくる高レベル廃液が〇・三立方メートルぐらいじゃないと、計算も第一合わないわけですね。あなたが言われた〇・五立方メートルというのは、現在の動燃の一応見通しではないのですか。
#276
○中島参考人 私先ほど申しましたように、廃液のいわゆるトン当たりの貯蔵量、これはいろいろな条件があると申し上げたのでございます。現在は、われわれのところでおよそ〇・五立米・パー・トンぐらいでやっております。
 それからその雑誌に書かれたのは、これは煮詰め方によりまして、たとえば〇・五をもっと減らすこともできるという意味で書いたものじゃないかと思っております。
#277
○瀬崎委員 いずれにしても、あなた方の、動燃のいわゆる直接の担当者が試算として出しているわけだし、われわれとしては、恐らくこういうものが根拠になって当初の計画ができたもの、こう考えざるを得ませんね。ところがいまあなたは、現在一トンの処理で〇・五立方メートルの高レベル廃液が出ると見通している、こうおっしゃっているけれども、昨年、五十六年の十二月末での使用済み核燃料の総処理トン数と、それによって発生した高レベル廃液を対比してみますと、使用済み核燃料の総処理トン数は百十九・九トンで、これによって発生した高レベル廃液の量は百二十立米に達しているんじゃないですか。
#278
○中島参考人 およそそのとおりだと思っております。
#279
○瀬崎委員 それで計算すると、使用済み核燃料を一トン処理することによってほぼ一立米の高レベル廃液が生じたことになっているんじゃないかと思うのです。そうしますと、一番最初一トンで大体〇・三立方メートルと考えた、その見通しの約三・三倍、こういうことになって、当初の見通しはきわめて甘かったというか、当初こういう部分は未知の領域であったということを逆に証明しているかと思います。
 現状がこうなってくると、最初の九十立米、四基では足らなくなるので当然増設が必要になってくる。そのタンクの増設計画については、現在基本設計についての安全審査申請、法律的に言えば設置変更の許可申請というんですか、これがなされていると思うのですが、それはいつ正式に提出されているんですか。
#280
○中島参考人 昨年の十二月に申請してございます。
#281
○瀬崎委員 その安全審査の結論は大体いつごろ出る見通しですか。これは科技庁の方ですね。
#282
○赤羽政府委員 御指摘のように昨年の十二月に申請が出されまして、行政庁の方で、再処理安全技術顧問会の意見を聞きながら安全審査を行ってまいりました。この三月十一日に今度はダブルチェックのために原子力安全委員会に諮問したところでございます。安全委員会でどれだけかかるか、ちょっと見通しははっきりいたしませんが、まだ数カ月かかるかと思われます。
#283
○瀬崎委員 実は、安全審査に数カ月かかるのですが、それが終わってから今度は詳細設計の安全審査といいますか、いわゆる設計工事方法の認可を求める申請が必要になってくるんじゃないですか。
#284
○中島参考人 いま申請しておりますのは、詳細設計が終わりましてもう本当に工事にかかる前のものでございます。
#285
○瀬崎委員 科技庁、本当にそうなっておりますか。私が事前に聞いたのでは、いわゆる設置変更の許可申請が求められている、この後にいわゆる設計及び工事方法の認可が出てくる、こういうふうに聞いているのですが。
 念のために申し上げますと、現在行われております変更の許可申請というのは炉規制法第四十四条の四に基づくもの、これが終わってから設計及び工事の方法の認可、つまり四十五条の申請が行われる、こういうことではないかと思うのですが。
#286
○中島参考人 先ほど先生が、基本設計が終わってこれから詳細設計かとおっしゃいましたので、私は、詳細設計が終わった段階のもので、もう工事にかかる前のもので申請を出していると申し上げたわけでございます。それでこの安全審査が終わりますと、また動燃の方から設計工事方法の認可申請をいたします。
#287
○瀬崎委員 とにかく私の言うとおりでしょう。もう一遍この安全審査が済んでから設計及び工事の方法の認可を出すわけですね。それが提出されて、その審査には科技庁の方では大体どのぐらいの期間を要すると見込まれますか。
#288
○赤羽政府委員 一般に、設計工事方法の認可、物によってかなり違いまして、本件もどのぐらいとちょっと予想しにくいのでございますが、御承知のとおり、構造的には基本設計との関係で比較的簡単なものでございますから、二、三カ月ではないかと想像されます。
#289
○瀬崎委員 そうしますと、先ほどの設置変更の許可の安全審査に数カ月、常識では五、六カ月ということになるでしょう。それに今度設計及び工事方法の認可で約二、三カ月、合わせてほぼ一年近くかかるわけですね。ほぼ十カ月。その後、実際建設にはどのぐらいの期間を要しますか、建設据えつけ。
#290
○中島参考人 約三十五カ月を見込んでおります。
#291
○瀬崎委員 約三年かかるわけでしょう。都合四年ぐらいかかるわけです。その間一体どうなるのですか。現在ありますのが九十立米、四基だけれども、一基を予備とすれば三基ですね。二百七十立米でしょう。このうちすでに約百二十立米は昨年末で使ってしまっているわけですから、余力は約百五十立米しかないわけですね。それは発生量の計算方法にもよるでしょうけれども、過去の実績でいったといたしますとそんなことはないと思いますけれども、もし思惑どおり二百十トンも年間処理ができたとするならば、これは一年足らずで余裕なくなってしまう。そうしますと、あと三年ぐらいタンク満杯状態になってくるんですが、その間の運転の方は一体どうなるのですか。
#292
○中島参考人 先ほど、昨年末で百二十トン処理して百二十立方メートルであるということでございますが、それはそのとおりでございます。それはなぜそうなったかといいますと、やはりあの施設、初めにホット試験をやるときはきわめて慎重にやるということですので、先ほど申し上げました、いわゆる煮詰め方をかなり抑えた控え目の運転をしております。したがいまして、いわゆる貯槽に行く一トン当たりの高放射性廃液の量がふえているということでございます。それが、だんだんいま運転も習熟につれまして減ってきて、現在〇・五トンになっている。さらにこれは減らし得る可能性を含めております。そういうことで、十分にいまのタイムスケジュールでやれるというふうに考えております。
#293
○瀬崎委員 それは全く私は夢物語だと思うのですよ。といいますのは、お役所の方の二種類の安全審査でほぼ十カ月かかるということは科技庁の答弁ではっきりしたでしょう。現在行われている設置変更の許可の安全審査が数カ月、だから少なく見て五、六カ月、その次のいわゆる設計及び工事方法の認可のための審査が二、三カ月とおっしゃっているわけですから、足して十カ月、その後建設据えつけに三十五カ月とおっしゃっているわけですから、大体これから四年かかると見なければいかぬわけです。そこで過去の実績の一トン処理して一立米出てくるというものをとらずに、あなた方がいま見通しを立てていらっしゃる半分の〇・五立米でいったとしても、二百十トン年間処理すれば、百五立米出てくるわけですね。とにもかくにもタンクの余力が百五十立米しかないのですから、これでいって一年半運転すればしまい。タンクができ上がるまでに四年間かかるんですから、あと二年半どうするんだ、こういうことが起こってくるわけですね。だから、逆に言うならば、とうてい年間二百十トン処理なんてできない。しょっちゅうとまっているんだという前提を置けばなるほど話が合うかな、こういうことではないかと思うのですが、いかがですか。
#294
○中島参考人 いま先生おっしゃいましたことで、まず初めは恐らく一トン当たり二立米くらい出していたと思いますけれども、だんだんいま減らす方向に行きまして現在〇・五立米、さらにこれは減らし得るだろうと見込んでおりますのが一つ。それから、処理トン数は初めから二百十トンというようなことは考えておりません。われわれが考えておりますのは、さらに控え目な数字を考えておりますので、したがいまして、ちょうど間に合うようになるというふうに考えておるわけでございます。
#295
○瀬崎委員 結局まともに動かないということが前提になっているから、これでもつじつまが合うということなんですよ。しかもこれからどんどん発生量減っていくんだとおっしゃるけれども、本格操業に入った五十六年度以降だけ見てみましょうか。そうしますと、五十六年の四月から五十六年の十二月まで通算をいたしますと、三十四・二トンの使用済み核燃料を処理して発生した高レベル廃液は二十七立米になっていますよ。これは私の方の計算です。まず間違いないと思います。これでいきますと、結局トン当たり発生量は〇・八立方メートルになっているのですよ。さらに、去年は二つに運転が区分されているようですから、前半と後半に分けてみたのです。去年の五月−六月で二十・二トン処理しているのです。ここで発生した高レベル廃液は十六立米であります。これもトン当たりに直しますと〇・八立方メートルであります。後半九月から十二月までに十四トン処理していますね。これによって発生した高レベル廃液は十一立米ですよ。これでも結局トン当たりは〇・八立米になっているのです。
 ですから、相当な試運転をやって本格操業に入った最近の実績が、大体どのセクションをとってみても〇・八立米、決してあなた方の考えているような〇・五立米に下がるものではない。これは大体統計上言えることではないかと思うのです。いかがでしょう。こういう点に科学者というものは忠実でなければならないのではないでしょうか。
#296
○中島参考人 いまの先生の数字は、私の方でももう一回調べてみますけれども、少なくとも徐々に減ってきていることは事実でございます。それからもう一つ、運転が、大変高レベルが出るプロセスというのは、先生御存じだと思いますが、溶解液をミキサセトラに入れまして、そこでまず最初に、FPというか高放射性廃液が発生するわけでございますが、運転がシャットダウンというようなことを繰り返しますと、どうしてもそこで発生する量が多くなる、そういう点も、これからだんだんとそういう意味では少なくなっていく一つの要素だろうと思っております。
#297
○瀬崎委員 いま私が指摘したのは、主として統計上のことなんです。今度は発生原因の方から見ても、とてもじゃないがそんな甘い期待は持てない。それはあなた御自身が一番御存じだと思うのです。
 といいますのは、これは五十四年ですか、つい最近ですね。動燃年次報告に「再処理工場のホットテストについて」中島健太郎さん御自身の論文が出ているじゃありませんか。お書きになったこと、覚えていらっしゃるでしょう。ここにはこう書いてますね。この発生量がふえる原因について、「上記試験」つまりホット試験で「発生した高放射性廃液、中放射性廃液及び低放射性廃液を各種蒸発缶で処理し、除染係数の測定、濃縮減容に関する試験を行ってきた。除染係数については、設計値を十分に満足するものであった。」こっちの方がいいのですよ。除染係数の方がいい。「高放射性廃液の濃縮減容については、鉄の含有量が多いため、」これが新しい発見なんでしょう。「鉄の含有量が多いため、貯槽の腐食の観点から、当初予定していた程減容は望めず、」とあなたははっきり断定していらっしゃる。「貯槽の容量を増す時期を早める必要があると考える。」原因の方からも、当初考えていなかったような鉄の含有量が多いという事態が起こっていたわけですよ。
 しかもなぜ鉄の含有量が多いかについて、同じく動燃の小泉忠義さんという方が「動燃事業団東海再処理工場の建設と運転」という論文を出していて、この中で「主な鉄源は燃料集合体の構成部品中のバネ鋼などである」こういうふうに書いていらっしゃるわけでしょう。こうなってくると、このバネ鋼なるものはどの燃料棒にもついているものですから、これを溶解工程に入るまでに取り除くというふうに設備を改善するならいざ知らず、それをしないで溶かしていくということになるならば、鉄分はいやでもおうでもふえてくる。原因の面から見ても減容、発生量の減少というものは望めなくなる、こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#298
○中島参考人 鉄の発生の原因につきましては、そのためにというよりも、むしろ予防的な話として煮詰めを控え目にしているということでございます。鉄がありますとやはり腐食というものが進むというようなデータもございますので、そこでわれわれいま慎重にやっておるということでございます。
#299
○近藤委員長 瀬崎君、時間がもう過ぎましたので、簡単にお願いします。
#300
○瀬崎委員 ということは、結果的には、慎重にやらなかったらまた別の危険が起こるわけですから、いやおうなしに、こういうふうな原因が見つかった以上は、慎重運転で、結局廃液の量をふやす方向をとらざるを得ない、こういうことになるのじゃないかと思うのです。
 しかもこれは科技庁の方にも重大な問題があると私は思うのですが、五十五年九月二十二日の「動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設のホット試験に係る試運転の結果について」という報告書、ここで高放射性廃液蒸発缶の蒸発濃縮試験について、「分離第一サイクルからの廃液及び酸回収蒸発缶からの濃縮液を高放射性廃液蒸発缶に供給しその除染係数を求めたところ設計値を満足することが確認された。」ここでも除染係数のうまくいっていることだけ書いてあって、当初予期しなかった鉄分が増加してきて、減容ができないというこのことは全然科技庁のこの報告書には入ってないわけです。これはきわめて片手落ちな確認報告書だと思うのですね。時間がないからこの答弁は求めません。
 そこで、最後に大臣にお答えをいただきたいのですが、大体再処理工場で一番問題になるのは、最終の高レベル廃液をいかに少なくするかということだったと思うのですよ。これはまさに俗に言う死の灰の缶詰と言われるものであって、しかも非常に核種の寿命が長いわけです。ところが、動燃事業団は、最初は一トンで〇・三立方メートルと思ったのが、いま見通しを変えて〇・五立方メートルいっているけれども、実績からは〇・八立方メートルを下るまい、こういう状況ですね。ところが、今後発生量がふえるということをなかなか認めようとしない。何とか少な目少な目に評価してごまかしていこう、これは科学的でない。こういう態度はとるべきでない。起ったことは起こっていることとして率直に認めるのがまず科学的な態度だ。こういう点を大臣はどうお考えになるかということ。
 それから、こういうふうに当初予想しないいろいろな原因もあって、一番問題になる高レベル廃液が減らそうにもなかなか減らせない。逆に予想よりもはるかにふえる傾向になる。こういう状況のまま再処理工場の運転だけを前へ前へ進める、これは結局、安全軽視と言われても仕方ないと私は思う。だから、原因も大分はっきりしてきているようですから、この高レベル廃液について当初の予想どおりできるだけ発生量を少なく、当初の予想発生量の範囲内に抑えるために、タンクをふやすのではなしにほかの工程で改善する方法をとれ、こういうふうな点を改めて事業団に指示されてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うのです。大臣の見解を求めて、終わりたいと思います。
#301
○中川国務大臣 瀬崎委員も大変な科学者のようでございまして、傾聴には値しますが、私は科学技術庁並びに動燃関係の技術者を信用いたしております。ましてや、量が少なくなるように少なくなるようにという故意のことをするはずはありません。しかし、技術を駆使して発生量を少なくして、そして再処理がうまくいき、核燃料サイクルがうまくいくように最善の技術努力はいたしていきたいと存じます。
#302
○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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