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#1
第096回国会 運輸委員会 第6号
昭和五十七年三月二十三日(火曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 越智 伊平君
   理事 加藤 六月君 理事 三枝 三郎君
   理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君
   理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君
   理事 草野  威君 理事 中村 正雄君
      阿部 文男君    岸田 文武君
      北川 石松君    熊川 次男君
      佐藤 文生君    関谷 勝嗣君
      近岡理一郎君    中村 弘海君
      浜野  剛君    林  大幹君
      古屋  亨君    三塚  博君
      井岡 大治君    伊賀 定盛君
      小林 恒人君    関  晴正君
      浅井 美幸君    小渕 正義君
      辻  第一君    四ツ谷光子君
      田島  衞君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 小坂徳三郎君
 出席政府委員
        運輸大臣官房長 角田 達郎君
        運輸大臣官房観
        光部長     西村 康雄君
        運輸省航空局次
        長       山本  長君
 委員外の出席者
        運輸委員会調査
        室長      荻生 敬一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十三日
 辞任         補欠選任
 小此木彦三郎君     熊川 次男君
  久間 章生君     北川 石松君
  小山 長規君     岸田 文武君
  山村新治郎君     中村 弘海君
  中馬 弘毅君     田島  衞君
同日
 辞任         補欠選任
  岸田 文武君     小山 長規君
  北川 石松君     久間 章生君
  熊川 次男君    小此木彦三郎君
  中村 弘海君     山村新治郎君
  田島  衞君     中馬 弘毅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 旅行業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五一号)
 船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第七〇号)
 船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出第七一号)
     ――――◇―――――
#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、旅行業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
#3
○草野委員 今回の旅行業法の改正に当たりましては、主催旅行の確実、安全な実施の確保、不健全旅行等への関与の禁止、旅行業者の業務運営の適正化、こういうような事柄が骨子となっているようでございます。
 その中で、まず営業保証金制度の大幅な拡充強化、こういうことが打ち出されているわけでございますけれども、まず初めにこの営業保証金制度の拡充強化に対する概要またその理由、この点についての御説明をお願いいたします。
#4
○西村政府委員 お答え申し上げます。
 このたびの法律改正の一つの主眼が、主催旅行に関します営業保証金の拡充でございます。
 その内容といたしますことは、一つは、主催旅行を行います者につきましては、まず主催旅行をするかどうか、そのことを登録の内容といたしまして、次いで、主催旅行をする場合の営業保証金を、特に主催旅行をしない場合の営業保証金と区分してその額を定めることにしております。その額の内容といたしましては省令で決めさしていただくことになるわけでございますが、現在のところ予定しておりますのは、主たる営業所につきまして一般旅行業者が六百万円でありますのを二千五百万円にすることを予定しております。また、国内旅行業者が現在二百十万円でありますものを五百万円にすることを予定しております。なお、この額につきましては、法施行二年後にはそれぞれ倍額にすることを一応の関係業界等に話しかけをしておりまして、そういう方向で処置をするようにいたしたいと考えております。
 それから、今回の主催旅行に関します営業保証金を引き上げる理由でございますが、御承知のように、昨年の十二月には一般旅行業者が倒産いたしました。その場合に、一般の旅行者からあらかじめ多数旅行代金を預かりまして、そのまま倒産したということがございまして、主催旅行というものについてのこわさを改めて教えられたわけでございますが、主催旅行というものは旅行業者の方が計画を立てますものですから、一定の見積もりであらかじめ交通機関、宿泊機関を手配をし、新聞等に多額の広告費をかけて広告をする、あるいは多数のパンフレットをつくって宣伝をする、そういうことでいたしますが、この思惑が外れますと、あらかじめ出した費用を全部かぶってしまうということで大変な痛手を受けるわけで、この点でかなりの投機性があるわけでございます。そうして、一たんこのような会社が倒産いたしますと、旅行代金というのはあらかじめ前受けなものですから、その前受け金を払えなくなるような事態がございまして、こういう点で、その他の手配旅行に比べまして主催旅行につきましては営業保証金の額を多くするということがその必要性でございます。
 以上が、今回の法律改正をさしていただいた理由でございます。
#5
○草野委員 昨年、一般の業者が倒産したということでございますけれども、昨年の一般旅行業者、また国内業者の倒産件数と弁済業務の状況について御説明をいただきたいと思います。
#6
○西村政府委員 倒産件数というのは正確にはわからないのが現状でございます。実は三年ごとの更新をいたしますが、その登録の更新をする前に更新の申請をしてこないという業者がかなりございまして、事実上廃業してしまうという例も見受けられるわけでございます。したがいまして、どの程度のものが倒産をしたかということは明確ではございませんが、最近で申しますと、これは日本旅行業協会関係では、たとえば弁済の認証を請求してまいりますが、その対象となった事業者は五十五年で四社、五十六年で六社ございます。また、全国旅行業協会関係でございますと、認証の申し出の対象となりました会社は五十五年で十七社、それから五十六年では十三社に上っております。
#7
○草野委員 弁済の場合ですけれども、限度額はどのくらいになりますか。
#8
○西村政府委員 弁済の限度額は、先ほど申し上げました営業保証金の額まで、すべての債権者の額が積算されましたところで限度が生ずるわけでございます。
#9
○草野委員 弁済の対象になる方は、一般の旅行者以外にどういう種類の方々が弁済の対象になりますか。
#10
○西村政府委員 営業保証金から弁済を受けることを営業保証金の還付と呼んでおりますが、この還付を受けることができる人は、旅行業者と旅行業務に関し取引をした者で、その取引によって生じた債権につきまして弁済を受ける権利があることになります。したがいまして、旅行業者と旅行契約をいたしました旅行者、そして旅行のサービスを受けなかった旅行者、あるいは損害賠償請求権を持っている旅行者などがまずこれに当たります。そして、ホテル等の宿泊機関あるいは航空会社等の運送機関が、代金が未払いである場合がこれらに次いでのグループだと思います。
#11
○草野委員 そういたしますと、還付の請求に当たって、まず旅行者それからホテルとか運送機関、こういう人たちが実際には還付の請求を行うわけだろうと思いますけれども、これは順序か何か決まっているのでしょうか。まず旅行者に対して優先して還付されるとか、またホテルとか交通機関いろいろあると思いますけれども、どういうような順位で支払われるようになるのでしょうか。
#12
○西村政府委員 法務省の供託所に出されております営業保証金でございますと、供託の申し出の順でこれが認められた場合、それから旅行業協会の弁済業務保証金、営業保証金に相当するものでございますが、これもその債権があるということが認証された順に従って還付を受けることになります。
#13
○草野委員 そういたしますと、必ずしも旅行者が優先して救済されることにはならないと思うのですね。この点については、こういう事故の場合の性質から考えても、まず旅行者から優先して救済される、こういう方向でなければならないのじゃないかという感じがするわけでございますけれども、いかがでしょうか。
#14
○西村政府委員 ただいま御指摘のあった点、まことにごもっともなことだと思っております。確かに旅行業者と取引をした者のうち、一般的に保護を必要とされるのは旅行者でございまして、この営業保証金制度の主たるねらいはやはり旅行者の利益の保護ということになるのが当然でございます。
 ただ、現行の営業保証金の制度にはいろいろな経緯がございます。この法律の施行当時から、四十六年の改正前の旅行あっ旋業法の当時から、営業保証金制度は一般の取引をした者を対象としておりまして、前回の四十六年の改正のときもその点は従来のものを引き継いできたわけでございます。今回この法律の改正案を提出させていただくに当たりまして、その点も当然議論になったわけでございますが、実は、現在営業保証金の大部分をこれにかわって行っております旅行業協会の弁済業務保証金、その実際の運営を考えますと、一般旅行業者の方の日本旅行業協会は、旅行者に対する弁済が中心でございます。これに対しまして国内の旅行業者、非常に小さい規模のものでございますが、この国内の旅行業者の弁済はもっぱら旅館等に対して行われているということで、一般旅行者からの申し出は非常に少ないのが実態でございます。そして今回の法律改正の場合には、ひとつ旅行者だけにしたらどうかという意見あるいは旅行者だけを優先したらどうかという意見がございましたが、現状では国内の旅行業者の相手をしております旅館業、こういうものが旅行業者の営業保証金を頼りにして取引をしているという実態がございます。国内の旅行業者は非常に営業規模が小さく、そういう意味での担保力がない、通常の旅館等の取引との担保の力がないものですから、結局、この法律による営業保証金というものが旅館側の頼りなものでございますので、この点についての旅館と旅行業者側の対応関係が改善されない限り、円滑な旅行業者からの旅館に対する送客はできなくなるということで、若干の期間を置いて旅行者優先ないし旅行者だけに限定するような法制に近づけようということで、旅行業界側と旅館業界側とで話し合いをするということになっております。
#15
○草野委員 ただいまの観光部長の御説明にありましたように、やはり将来は旅行者の救済、保護に重点を置くべきであると思うのですね。したがって、この制度についてはできるだけ早く進めていただきたい、このように要望をいたします。
 それでいま、JATAの場合と全旅協の場合では、国内業者の場合についてはホテルとか交通機関とか、そういうところの還付、弁済ということが主になっている、こういうようなお話でございますけれども、国内の場合、全旅協クーポン会、こういう制度がありますけれども、これはどういう性質の団体でしょうか。
#16
○西村政府委員 旅行業者の集まっている全旅協、その会員が発行するクーポンの運用について協議をするための団体でございます。
#17
○草野委員 これはどういう性質の団体ですか。
#18
○西村政府委員 公益法人なり株式会社でもなく、任意団体でございます。
#19
○草野委員 このような任意団体で、ホテルとか運送機関に対する実際の保証業務ということを行っているのですか。
#20
○西村政府委員 クーポン会は、旅行業者が発行します旅館に対するクーポン券、これを損害保険の方に付保いたしておりますが、その裏保証をするための団体でございます。
#21
○草野委員 ちょっと変えますけれども、この弁済業務の分担金の問題でございますけれども、日本旅行業協会、JATAの場合は、昭和五十五年度の決算で弁済業務保証金準備金収支決算書を見ますと、全部で七億七千二百十六万、これだけの分担金が入っているわけですね。そして、その元金の運用によって生ずる利息等が、預金利息、証券利息その他全部含めまして七千百十三万円、こういうような状態になっております。将来、この営業保証金がいまの約八倍以上に引き上げられるわけですね。こういうふうになった場合に、この利息等の収入もかなりの額にふえてくると思いますけれども、分担金の額、それから利息の収入の額は大体どのくらいまで上がってまいりますか。JATAの場合で結構です。
#22
○西村政府委員 現在の主たる営業所につきましての二千五百万円の営業保証金の額を引き上げました時点で、これは全部の業者ではなくて、主催旅行業者、主催旅行を行う事業者だけが営業保証金の額がふえるわけでございますが、これに伴って分担金もふえるということで、現在の額の大体倍程度の額に増加してくるということが予想されております。分担金の額がふえるに従いまして、実際の準備金となってまいりますのは、ほぼこれに比例してふえてくるということが予想されるわけでございます。
#23
○草野委員 これが、いまの予想では、昭和六十年度にさらに倍になるわけですね。その場合はどのくらいですか。
#24
○西村政府委員 現在の段階では、先ほど申し上げました主たる営業保証金が二千五百万円、これがさらに五千万円になりますが、その場合は、主たる事務所についてだけ上がるものですから、まだ正確に計算しておりませんが、全体としては約一・五倍強になろうかと思います。
#25
○草野委員 そういたしますと、来年の一月一日から実施された場合、分担金の額は倍ということですから、約十四億円になる。それから、六十年度の時点で一・五倍といいますと二十一億円になる、こういうことですかな。この場合の、六十年度以降のいわゆる利息等の収入、これは大体どのくらいになる予定ですか。
#26
○西村政府委員 現在の利息収入が七千万でございますので、それの大体三倍近い二億程度のものが、現在の分担金の率でございますと、最終的には収入になろうかと思います。
#27
○草野委員 この決算書によりますと、法定業務実施のための取り崩し額が、五十五年度の場合二千四百万円、こういうふうになっているわけですね。このうち、弁済業務関係の事業費が九百九十五万円、こういうような数字が出ているわけでございますけれども、これから将来のことを考えた場合に、利息収入だけでも二億円以上になる、こういうような予想でございますので、やはり弁済の限度額ですね。現在、弁済の限度額は営業保証金の範囲内、こういうようになっているようでございますけれども、やはり弁済の限度額の引き上げ、こういうことの検討をしたらどうか、このように思いますが、いかがでしょうか。
#28
○西村政府委員 旅行業協会からの弁済の限度額は、個々の事業者ごとにつきましては、個々の事業者が本来納めますべき営業保証金の額を限度とするわけでございますので、いまの先生のお話でございますと、結局、営業保証金の額そのものの引き上げを将来さらに考えるかということでございましょうが、この点につきましては、営業保証金の額そのものは、現在のところ、今後の取引の実態を考えて、当面は二年後、先ほど申し上げましたように、主たる事務所については、一般旅行業者の場合は五千万円、その他の一般国内旅行業者につきましては一千万円ということを考えているわけでございます。
 実際に旅行取引が今後どこまで大きくなっていくか、中小の事業者もどこまで伸びていくかということとの関連で営業保証金の額を決めなければいけないと思います。現在のところ、営業保証金の額は、法施行二年後と考えているわけでございますので、その時点でも五千万円、この間のジャンボ・セブンの倒産の場合には一億数千万円を一般旅行者から預かっているわけで、決して十分な額とは申せないわけで、その点では、今後なお引き上げの必要性というのは場合によってはあるかもしれません。
 しかし一方、実際の旅行業者の負担ということ、そして中小の旅行業者を育成して、多様な旅行サービスの提供をやってもらうという点から申しますと、これまた負担力に一定の限度があるわけでございますので、分担金の率を変えない限りそういう意味では負担が大きくなる、そこで一つの限界が来るというふうに考えております。ただ、将来取引の額が非常にふえてくれば、なおまた分担能力もあるいはふえてくるかもしれないということで、両方の事情を勘案の上営業保証金の額は決めていかなければならない、そういうふうに考えております。
#29
○草野委員 大体おわかりになっていただいたと思いますけれども、営業保証金が一般で五千万、それから国内で一千万円に引き上げられるわけですね。倒産等の事故の実態が、先ほどの説明では、JATAの場合、五十五年が四件、五十六年が六件、こういうお話だったですね。そういたしますと、このように営業保証金が引き上げられると、その限度額というものは営業保証金の範囲内に抑えられるわけでございます。しかし、額の引き上げによって利息等の収入がかなりまた大きくなってくるわけですね。それで別の業務を考えておられるようでございますけれども、まず、旅行業者に対する損害等を埋めるためにも、昨年の事故の場合でもとうてい追いつかないわけでしょう。そういう意味で、この弁済限度額の引き上げを図ったらどうか、早急にこれは検討すべきじゃないか、私はこのように申し上げているのですよ。この点、いかがでしょうか。
#30
○西村政府委員 運輸省で考えております現在の案では、おっしゃるとおり旅行者の保護という点では、まだまだ営業保証金の額そのものとしては不足しているという事態が生ずるおそれはあるわけでございます。そういうおそれを一方で感じながら、しかし現実の旅行業者の育成ということも考えていく必要もございますので、現在のところは、私どもが提案させていただきましたような額で推移することはやむを得ないかと思いますが、もうしばらくこれからの実際の弁済業務の推移を見まして、先生のいま御指摘の点につきましては十分検討していくべきことだと思います。
#31
○草野委員 ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、さらに法定業務を拡大するようでございますけれども、その拡大する理由、また内容、これはどういうものでしょうか。
#32
○西村政府委員 現在の旅行業協会の法定業務といたしまして、まず最初に苦情処理があるわけでございます。そして、さらに弁済業務というのがございます。これが一番の主たる業務になるわけでございますが、今回の法律改正では、一つは、会員に対する指導というのがございまして、これは、今度の法律改正で示されますような、旅行業の持っておりますいろいろ問題点、そういうものが部外から批判されないように、取引の公正を確保するようないろいろな意味での部内の指導をしたいということが一つ業務として加わるわけでございますし、そのためには旅行業界のいろいろな問題を調査する、外国の事情も調査する、そしてこういったことをまた問題点として整理してPRする等のいろいろな広報活動まで含めまして、多様な活動が予定されるわけでございます。
 なお、従来から旅行業務取扱主任者の研修制度がございまして、これに重点を置いてきたわけですが、今回の法律改正で添乗員の研修ということが、従来は一応やってまいりましたが、これを大大的にやるということにも力を入れたいと思いますので、この面でも法定業務の充実ということはなされなければならないと思います。
#33
○草野委員 添乗員の問題についてはこの後お伺いしたいと思いますが、営業保証金の引き上げの問題でございますけれども、やはり一般旅行業の場合、五十人以下のいわゆる中小零細といいますか、こういう業者が全体の七八%程度を占めておるようでございます。しかも、その取扱高に至っては、大手三社で約五〇%ほどを占めているようでございます。したがって、大手業者の場合は何の問題もないと思いますけれども、やはり中小業者に対する経営上の問題がいろいろ出てくるんではないか、こういうような感じがするわけでございますけれども、中小業者に対する配慮等につきまして、どのようにお考えになっておりますか。
#34
○西村政府委員 今回の営業保証金の額の改定をしようとするに際しましては、すべて中小旅行業者の活動の態様を基準として、中小旅行業者が負担ができることを限度として営業保証金を決めていこうという点で、その中小旅行業者にもっぱら配慮をして、いろいろな制度の検討を行ってまいりました。
#35
○草野委員 ぜひとも十分な配慮を行っていただきたいと思いますし、今後とも中小業者の育成にも力を注いでいただきたいと要望いたします。
 次に、添乗員の問題でございますけれども、いただいた資料によりますと、かなりトラブルが、特に海外において起きておりますけれども、このようなトラブル防止のため、今回の法改正におきましてどのような措置をとっておられますか。
#36
○西村政府委員 旅行業者と旅行者との間のトラブルというものはいろいろな態様があるわけでございますが、このトラブルの問題につきましては、一つは、これまでも日本旅行業協会ないしは全国旅行業協会を通じましての苦情処理ということを中心にトラブルの解決を行ってきたわけでございますが、今回の法律改正をするにつきましては、トラブルの問題の主たる発生がやはり一つは添乗員の応接の問題に原因があるということで、法律改正に添乗員の研修というようなことを加えようとしたわけでございます。
 また、トラブルの原因が、旅行契約の際にお互いに不確実な合意をしているということもございますので、旅行業務取扱主任者の業務を強化するということで従来も指導し、また研修をやってきたわけでございますが、今回はそのための準則を決めるということを考えているわけでございます。
 また、さらに、旅行業務をやります場合に実際に多く問題のありますのは主催旅行でございますが、主催旅行につきましては、一つは旅行業者側の基本的な対応が不十分な場合があるということで、主催旅行につきましては旅程管理業務を法律で明定して、その旅程管理の義務をはっきり書かせるということをしておりますが、これと同時に、旅行業約款の改正というのを現在並行的に検討中でございまして、旅行業約款の改正によりまして、トラブルの一つのポイントになる権利義務関係のあり方そのものを改善していこうと、こういうふうに対処しているわけでございます。
#37
○草野委員 ただいま約款の改正について触れられましたけれども、今回のこの法改正におきまして標準旅行業約款、こういうものが新しく打ち出されております。この点について伺いたいと思いますけれども、確かに現在の約款は、私ども素人が見てみましても非常に抽象的な面が多い。また繁雑な点も多い。しかも取引の常識にそぐわない、こういう面もあるようでございます。今回旅行業約款を改正するに当たりまして、どういう点に重点を置いて改正されるのか、その改正の方向について御説明を賜りたいと思います。
#38
○西村政府委員 旅行業約款の改善につきましては、実は先般の国会におきます附帯決議を受けまして、運輸省で省内に学識経験者にお集まりいただいて旅行業制度検討委員会を設けまして、この中で特に約款の小委員会をつくりまして、一年にわたりましていろいろな問題を検討して、将来の約款のあり方につきましてその方向を一応意見を決めております。
 それで、この約款改正の方向といたしましては、一つは、今回法律改正で提案さしていただきました主催旅行、これと、その他のタイプであります手配旅行と、これは契約の内容も違う、責任のあり方も違うということにかんがみまして、従来これが一本であったものを約款は二つに分ける、それぞれの契約の内容に応じて約款は二つに分けるということがまず基本でございます。
 そのほか、約款の改正に当たりましては、取引の実情に合ったものにする、あるいは約款の構成をわかりやすいようにする、文言等につきましても改善をするというのが一般的な問題でございますが、特に今回の約款の改正では主催旅行についての問題を、責任関係を特に明確にしたいというのが約款改正の重要なポイントでございます。
#39
○草野委員 主催旅行と手配旅行について約款上分ける、そして主催旅行についていろいろと改正をするようでございますけれども、まず一つ、事故の問題でございます。
 最近、海外におけるいろいろな事故が起きておるようでございます。データによりましてもかなり出ておりますけれども、この事故の補償ということについて、どういう事故、具体的に何と何の事故について補償すると、まずこの点について伺いたいと思います。
#40
○西村政府委員 事故がありました場合の旅行業者の契約上の責任でございますが、御承知のように、旅行業者は旅行に関します運送あるいは宿泊についてのサービスを手配することを引き受けるのがその業務でございます。したがいまして、一般的には、この手配の仕方、代理なり媒介なり取り次ぎなりいたしますが、その手配の仕方自身に過失があれば、これが契約上責任になるわけでございますが、いま先生が言われましたような、旅行途中で生じた事故と申しますのは、恐らく運送機関あるいは宿泊機関等の過失等によりまして生じた旅行者の身体、生命あるいは財産について生じた損害をどう補てんするかという問題かと思います。この点につきましては、まず手配旅行に関しましては、一般的には依頼者の求めに応じまして交通機関なり宿泊機関との契約を旅行者との間に成立させるということが業務でございますので、交通機関等の事故につきまして直接旅行業者がそのてん補の責めに任ずるということは、法律上まずあり得ないことだろうと思います。
 しかし、これに対しまして主催旅行におきましては、自分で計画を立て、そして自分で交通機関を選び、そしてこれは旅行者が全くその選択に責任を持っていないという状況で手配が進められるわけでございます。こういう形で、しかも一定の額で引き受けるわけでございますので、その点につきましては、交通機関が事故が生じた場合でもある程度、本質的には交通機関なり宿泊機関の責任ではございますが、そういった交通機関を旅行業者の責任で選んだということについて一定限度の責任をとるということが、今後の旅行業者と旅行者との責任あるいは損害の分担という見地からは適当であろうということで、今後の主催旅行につきましては、その約款の中で新たに補償責任という考え方を導入して、旅行者が一定の損害を受けたときに、交通機関あるいは宿泊機関に生じた事故によって損害を受けたときに、その損害を一定限度でてん補するということが適当だろうということを、この約款の改正につきましての意見の中で定めております。
#41
○草野委員 先日の京王観光のフィリピン旅行ですね、幸いにして死者はなかったようでございますけれども、かなり大きな問題でした。旅行者にとっては、一般の人は通常日本における補償金額、こんな程度を漠然と想定している人もかなり多いんじゃないかと思うのですね。しかし、海外でいろいろな事故を起こしますと、われわれが常識で考えているよりもはるかに低い補償額、こういう場合が往々にしてあるようでございます。フィリピンの先日の事故の場合でも、約百五十万円、本当に常識外れの金額だということも聞いております。
 そこで一つ伺いたいのですが、日本人の主な旅行先、そういうところで交通機関等で事故に遭って、そして死亡した場合、こういう場合の補償金額、もしおわかりになればお示しをいただきたいと思うのです。
#42
○西村政府委員 いまお尋ねの補償金額でございますが、実際の補償の額というのは、これはそれぞれの交通機関等の約款で決められている額でございますので、これをいま一々についてつまびらかにすることもできませんし、ただいま資料を手持ちしていないので明確なことを申し上げられませんが、一般的な補償の額の考え方としますと、これはその国々で非常に事情が違いまして、保険の額がある程度参考になろうかと思いますが、日本の通常考えられております額より高い水準で決められているのはアメリカが若干ある、アメリカの州によって若干あるということでございまして、欧州では、日本の損害賠償の額として二千万ないし三千万というような額よりいずれも低いのが通常でございます。そして、東南アジア等では特にその額は著しく低いということでございまして、先般のシコゴン島の航空事故の場合に、この航空会社が入っております保険の額が、一人死亡事故につき百五十万円というのがその額でございます。
#43
○草野委員 ただいま御説明をいただいたとおりでございます。そういうことで、今回この約款の改正に当たって、こういうものをある程度補償しよう、こういうような考えから、生命、身体またその荷物等に対する事故に遭った場合の補償、こういうことを検討されているのではないかと思いますけれども、現実的にいま損保業界との詰めは、これはどういう程度まで作業は進んでおりますか。
#44
○西村政府委員 昨年からもう大体一年近く、いろんな形で損保協会と打ち合わせしておりますが、一つの問題の仕方は、もともと、先ほど申し上げました責任というものを保険する場合に、交通機関等が任じます責任と、旅行業者が今度新たにやりますてん補する責任との関係で、どちらがどういう関係で優先するのか、あるいは相互に求償関係があり得るのかないのかということで保険の仕方がどうなるかという点が、多少理論的な面でまだ最終的に詰めが終わらないということでございまして、したがいまして、保険を現実にやりやすくする、先ほど申しました約款上の責任を保険が確実に担保するということがやりやすいようなことにしないといけませんので、保険のあり方と実際の約款での責任のとり方とが相互に関連づけられて現在議論を進めさしていただいております。
#45
○草野委員 もうちょっと具体的に伺いたいと思いますけれども、航空事故における死亡事故の場合、JALの場合は、これから今度は青天井、それから、たとえば自動車事故の場合は、現在の自賠責では二千万円、こういうことが決まっているわけですね。そうしますと、旅行地においてもしこういう死亡事故等が発生した場合、大体どういう考え方で、たとえば自賠責なら自賠責のその二千万円、そういうものを一つ想定して、それに差額を補てんするとか、そういう考えなんですか。もう少しこの辺のところ、具体的にひとつおっしゃっていただきたい。
 それから、こういうものを実施する時期ですね、いつごろからを予定しておりますか。
#46
○西村政府委員 今回の約款の改正の時期につきましては、このたびの法律の改正がお認めいただければ、その改正法の施行と時期を合わせて実施したい。したがいまして、私どもは、いま考えておりますのは、来年の春からでもできるだけやりたいというように考えております。
 そして、いま先生がおっしゃった具体的な責任のとり方でございますが、たとえば航空事故があった場合に、その航空会社が損害賠償をしたということとの関連で一定の額を予定して、航空会社の損害賠償がその額に満たないときに初めてその差額をてん補することにするのか、航空会社の損害賠償とは別個に独立して一定額を補償するような考え方をとるのか、そこら辺が保険との関係でどこまでやれるかということで、理論的には差額を補償するという考え方をとる方が素直だというように考えておりますが、保険の処理の技術上別個にするということも現在考えて検討しております。
#47
○草野委員 約款の問題でもう一点伺いたいと思います。
 これは当然のことだと思いますけれども、決められたその旅行価格ですね、これの変更というものは原則的にはあり得ないと思いますけれども、やはりこういう点についてもきちっと決めておかなければならぬと思います。こういう点が一つ。
 もう一点は、旅程の変更をする場合、こういう場合の管理責任、こういうものも明確にしなければならないというように思いますけれども、この点については、どのようにお考えになっておりますか。
#48
○西村政府委員 いまお話しのとおり、従来の旅行業の約款でございますと、契約後あるいは募集後の事情によりまして、いろいろな事情変更で旅行の価格を変える、具体的には旅行代金を追徴するということが間々行われたわけでございますが、主催旅行というのは旅行業者側が責任を持って募集をするということでございますので、旅行の価格は安易に変えないということがまず大前提にならなければいけない。ただ、実際にその後のすべての事情まで旅行業者側がかぶるということにいたしますと、かえって法外な価格を初めから見込むおそれもございますので、たとえば航空運賃、これは旅行全体の価格の中で非常に大きな部分を占めますので、それにつきましては、旅行実施のある一定期間前までに変更された場合には、そういったものは事情変更として認めるというようなことを約款で明示しまして、それ以外は一切事情変更があっても費用の追徴を行わないというようなことを約款で書きたいというふうに考えております。
 それから、旅程の管理でございますが、これにつきましても、どういう場合に旅程の変更をするということ、それについてはどういう手続でするということを明確に書きまして、全体としての旅程管理責任を明確にしていきたいと考えております。
#49
○草野委員 では次に、今回の改正案に当たりましてその目玉の一つとなっております不健全旅行の問題でございます。
 この不健全旅行につきましては、売春だけではなくて旅行地の法令一般、このようになっておりますけれども、この旅行地における法令一般、このようにした理由はどういうところにございますか。
#50
○西村政府委員 確かに今回の法律の改正案提案のきっかけになりましたのは不健全旅行、特に売春の問題でございましたが、しかし、実際に旅行業法で旅行業者のあり方を考えますときには、旅行業者はその旅行先で、その国の秩序に従って平穏に旅行をやるということがまず一番の使命でございます。その国の秩序に反した行為をすれば、自分たちが一緒に同行している旅行者の安全というものも損なわれましょうし、今後またその国に日本から旅行者が行くということも困難になろうかと思います。そういう事態を招かないように、旅行業者がその国の秩序を守るということが必要でございまして、売春の防止ということもそういう見地から旅行業法では取り上げることが適当だということで、旅行地の法令に違反する行為にかかわってはいかぬということで案をまとめさせていただいたわけでございます。
#51
○草野委員 そういたしますと、旅行地における法令違反の行為だとかまたサービス、こういうものについては、運輸省の方ではもう全部掌握されておると思いますけれども、主な旅行地における法令違反の事項というものはどういうものがありますか。
#52
○西村政府委員 旅行者を旅行業者が同行しまして、問題になりますような旅行先での法令違反というのは、一つはもちろん売春でございますし、そのほかには賭博あるいは麻薬の問題、あるいは地域によっては飲酒の問題というのもあろうかと思います。大体そんなところが旅行者が現実にかかわり合う違法な行為の類型かと考えております。
#53
○草野委員 当然そういう事柄は国々によって、またその国の中にあっても、たとえば州によっていろいろ違うと思いますけれども、そこら辺の業者に対する指導といいますか、周知といいますか、ここら辺のところはきちっとやっておかないと、これは問題を起こすもとになろうと思うのですね。
 それから、現地において現地の業者が勝手にやった違反行為、こういうものについては日本の業者は全くその責任がない、こういうことになってまいりますと、非常にしり抜けだという感じもするわけでございますけれども、何か有効な方法を検討されていらっしゃいますか。
#54
○西村政府委員 今回の改正案におきましての現地の旅行業者に対する関係でございますが、旅行業者の代理人として現地で旅行の手配をしているいわゆるランド業者というのがございますが、これらの業者は、現地では旅行者に対しまして添乗員相当者を派遣して現場を案内するということを実際の業務として行うわけでございます。このような派遣をされた人が、旅行者に対して不健全なサービスの提供に関与するということになりましたときは、これらの業者の行為がやはりこの法律で対象とする違法なものになりますので、その場合に、それらの現地の旅行業者がそのようなことをすることにつきまして十分な防止監督をしたかどうかということが、やはり旅行業者の責任として問われるべきことだと考えております。したがいまして、そういう面から旅行業法を適用して、現地のランド業者が勝手なことをしないように旅行業者が十分責任を持つということが、一つ今回の法律の期待するところでございます。
 ただ、法律の方はそうでございますが、現実の問題といたしますと、私どもは、そういったおそれのある各現地の旅行業団体と日本の旅行業団体とが十分に話し合いをし、そういったことがないようなことで相互に意見を交換し、体制をつくっていくということが今後とも必要かと思います。
#55
○草野委員 では、最後に大臣に伺いたいと思いますが、きょうは旅行業法の改正につきまして何点かについていろいろと伺ってまいりました。最後に大臣に、国際観光の果たす役割り、これは私は非常に重要なことであろうと思いますけれども、国際観光の果たす役割りについて大臣はどのようにお考えになっておりますか。
#56
○小坂国務大臣 国際観光の持つ意味は、委員御指摘のように、きわめて多面的ではございますけれども、重要なものだと私は思うのでございます。こうしたことを通じて国際交流も、また各国間の国民の間の交流も、また認識も大いに高まることでございまして一私の個人的な感覚でございますが、特に日本のような国際環境にある国の人人は、できるだけ多くの機会を得て海外の実態に触れるということは非常に大事なことではなかろうかと考えております。
#57
○草野委員 単なる物だけの交流とかお金だけの交流、こういうものだけであってはならないと思うのですね。やはり多くの国民一人一人が相互交流を行うことによってそこで本当の理解を深めるということ、これは非常に大事なことだろうと思います。しかし、実際には、日本人の海外に行く観光旅行の数は年々少なくなってきているようでございます。
 観光政策審議会の予測によりますと、昭和六十年では五百九十万人から六百九十万人、こういうような予測をしているようでございますけれども、実際を見ますと、昭和五十四年の場合で四百万人程度だったものが、五十五年では三百九十万人、それから五十六年では約四百万人、こういうような数字が出ております。これを見ますと、初めの予測と比較しますと約百六十万人もこの三年間で減っている、こういうような結果が出ております。
 いろんな理由があると思いますけれども、大臣はこの点につきまして、予想よりかなり下回っているその減少の理由についてどのようにお受けとめになっておりますか。また、これからの対策といたしましてどういうことをお考えになっておりますか。以上二点、伺いたいと思います。
#58
○西村政府委員 国際観光の海外旅行の人数が、五十四年に四百万人を超えましてからここのところ停滞ぎみにあることは御指摘のとおりで、大体横ばいでございます。当時はこのままずっと伸びていくということを予想しておりましたが、この一つのポイントは、国内の景気が停滞し、国民所得の伸びが思うに任せないということ、第二は、航空運賃が思ったほど安くなっていかなかったということの二点だろうと思います。国内観光におきましても全般にまことに停滞ぎみで、大体横ばいの状態で推移しております。
 ただ、日本人の海外旅行に対します熱意というのは非常に根強いし、若い人たちの傾向を見ましても、いろんなアンケートその他を見ましても、ぜひ海外へ行きたいという意欲が強い。また、熟年旅行というような言葉が出ますように、老後、ある一定の余裕を持った人は海外に行きたいという希望も非常に根強いものがございます。こういった点で、私ども、旅行業界と十分にまたいろいろと知恵を出し、国民の海外へ行きたいという希望、これは日本の国際化の見地からもぜひ伸ばしていきたいことでございますので、そのような方策で魅力ある海外旅行、そして合理的な価格で行けるような工夫をいろいろとしてみたいと考えております。
#59
○小坂国務大臣 ただいま観光部長が申したことと同じでございますが、ひとつの観光政策と申しますか、それ以上に、日本と諸外国の他の人々との間の交流を積み上げていくというような面を特に重視いたしまして、先ほど来いろいろな理由もございますが、しかし、国民自身はなお海外に対しての非常に深い関心と接触を持ちたいという希望を失っておらないわけでございますので、それにあわせて、そうしたことをお世話する旅行業者というものに、より健全な方法とまた新しいアイデア、また多様化したニーズに対応するような勉強を、ひとつこの際やってもらうというようなこと等々を含めて、今度の旅行業法の改正をお願いしているのはそうした趣旨に基づくものでございます。
#60
○草野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#61
○越智委員長 小渕正義君。
#62
○小渕(正)委員 初めにお断りしておきますが、若干重複する部分もあるかとも思いますので、その点ひとつ御了承をいただきたいと思います。
 まず、今回の旅行業法の一部を改正する内容でありますが、その一つは、主催旅行の確実、安全な実施のための対策、そのための営業保証金制度を拡充強化する、それから二つ目として、不健全旅行等への関与の禁止、三つ目に、旅行業者の業務運営をより適正化していく、こういうことが大きな柱であるようでありますが、まず、その前提といたしまして、今日まで主催旅行というものの現状が一体どうなっているのか。五十五年における件数、また取り扱い旅行者数、国内、国外の状況、そういった内容の実態についてひとつ御説明いただければと思います。
    〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕
#63
○西村政府委員 最近の主催旅行の実施状況でございますが、現在五十五年の実績について集計中でございますので正確なところははっきり申し上げられませんが、一応一般旅行業者について申し上げますと、五十五年の末で四百五十三社ございましたが、このうち主催旅行を行った旅行業者はおおよそ四百業者というふうに見られております。
 それから取り扱いの人員でございますが、海外旅行は約百六十二万、国内旅行は七百三十万というようなことを見込んでおります。それから取り扱いの件数でございますが、海外では十万件、また国内では十七万件でございまして、取り扱いの金額につきましては海外が三千三百億、国内では二千百億というのがいまの一般旅行業者の実情でございます。
 それから国内旅行業者でございますが、取り扱いの件数は約二十三万件でございますが、取り扱いの人員は九百二十万くらいと見られております。そして取り扱いの金額は千四百億と計算しております。
#64
○小渕(正)委員 いま五十五年についての説明がありましたが、これの内容を読んでみましても、特にこういった主催旅行におけるトラブルの発生が非常に多いということで、この法改正において旅行者の保護という立場に重点が置かれているわけでありますが、そういったトラブルの発生というものを当局としてはどのように把握されておるのか、当局として把握されておればどういった件数なのか、その状況、また内容としてはどういったものが主なトラブルとして発生しているのか、特にこれは海外旅行中心だと思いますが、そこらあたりについての当局として把握している実態の状況を御報告いただきたいと思います。
#65
○西村政府委員 最近の旅行のトラブルでございますが、これは旅行業協会が苦情の処理に主として当たっておりますので旅行業協会の状況について申し上げますと、日本旅行業協会が五十五年度中に申し出を受け付けた苦情は百六十二件でございます。そして、この旅行業協会で扱った苦情の傾向でございますが、一つは、旅行契約の中で決められた旅行条件が予想したのとどうも違うということのトラブルが一番多うございます。こういった点が、先ほど申し上げました旅行約款のこととも絡むこと、それから今回の法律改正で、広告等で旅行条件をしっかり示せということとの関連がある事項でございます。それから、実際に旅行が終わりましてから、旅程の変更等がありました場合に費用を精算する、そういった点があるわけですが、この精算の額についてどうだというトラブルが二十九件ございます。それから、その他旅行業の約款では取り消しという制度がございますが、その取り消しにつきましてどうだというトラブルが二十件ほどございます。その他荷物がなくなった等々、いろいろと細かいトラブルが出ております。
 それから、全国旅行業協会でございますが、これは正直なところを申し上げますと、実際の苦情がありましても、軽微なものにつきましては中央の旅行業協会に上がってこないで、各地域ごとに処理されている事例も少なくないので、現在私ども聞いておりますのは、八十件あると聞いております。実際の数はこれよりある程度多いというように思いますが、全国旅行業協会の中央で聞いておりますのは、主として宿泊代金とかバス代金とか、先ほど申し上げました営業保証金のトラブルと同じような傾向で、旅館業者、バス業者等々の苦情というのが一番中心になっていると聞いております。
#66
○小渕(正)委員 トラブルの内容についての御報告を受けたわけでありますが、要するにこういったトラブルは、トラブルの内容も多岐にわたっているわけでありますが、現在は、その処理はすべて全国旅行業協会で一切が処理されておるのかどうかということが一つ。
 それから、そういったトラブル発生時における処理の方法として、そういう旅行を契約する場合の旅行者の契約の中で、口頭ないしは文書等で、こういうトラブルが発生したときにはそういった処理機関としてはこういうところがありますよというようなことを、事前に周知徹底するような方法は現在はとられていないのじゃないかと思いますが、そういったものに対しての実態はどうなのか。それから、今回の改正によっては、こういった問題をどのようにそういったところで変えようとなさっていなさるのか、そこらあたりをひとつお願いいたします。
#67
○西村政府委員 実際の苦情が出ますと、これは旅行業協会が間に入りまして迅速な処理を旅行業者にさせ、実際には示談で解決をするということが非常に数多く行われておりまして、大部分のものはそういう形で納得を受け、解決をしております。
 なお、あらかじめ旅行業協会が苦情の処理に当たるよという点について、旅行者に対するPRはどうかという点でございますが、確かにこの点はいささか十分ではないということを反省しております。その点につきましては、今後一つの方法としては、旅行業約款に、旅行業協会が苦情について扱うよということを書かせるということも、約款そのものの本質的な部分ではありませんが、約款ないし旅行条件の中でそういうことを書くということが一つの解決の促進になるかというように考えておりますので、十分検討したいと思います。
#68
○小渕(正)委員 そうすると、今回の改正では、いまお答えになりました約款の中にそういった一つの明文化を図らせるということが今回改正して変えようとしている内容、それだけなんですか。その点、もう一度お尋ねいたします。
#69
○西村政府委員 先ほど申しましたように約款に書くということ、ただ書いておくということじゃなくて、先ほど申しました旅行のパンフレット等にも記載させるということが一番いいわけでございますし、また、実際の窓口でできるだけ、旅行業務取扱主任者が関与するわけでございますので、そういった苦情処理についてはどこどこでやるということを、実際に旅行者に契約の都度教えるような仕組みを検討していぐことが適当だと思っております。
#70
○小渕(正)委員 旅行の場合に、一番トラブルの発生しやすいと言ったらちょっと語弊がありますが、発生しやすい状況にあるのは、私は海外旅行だと思います。しかも海外旅行の場合は、主催旅行をする旅行業者の中では一年ぐらい前から計画を立て、一つのプランを立てて、そしてそれぞれ個人を対象に募集をして、実質的に決まるのはその三カ月ぐらい前になって初めて大体の方向が決まって、そして現地の旅館、ホテル宿泊その他交通機関の手配をするという形で、大体業界の状況をお尋ねしてみますと、主催旅行する計画は一年ぐらい前、実際に本当に具体的な手配をするのは実行の三カ月ぐらい前だというようなこともお聞きしているわけであります。
 契約違反はどういうものをもって契約違反とするか、これは非常にむずかしい問題ではありますが、しかし、ほとんど海外旅行の中で私どもが耳にするのでは、当初の募集といいますか、主催旅行によっていろいろ定められている内容よりも、たとえばホテルが質的な低下をしている、要するにホテルの程度がまるっきり違っておったとか、それから交通機関の手配の関係が若干ずれて、必ずしも旅行スケジュールが予定どおりのスケジュールで消化できなかったとか、当初のスケジュ―ルよりも非常に窮屈になって、自分の自由時間その他いろいろな時間がほとんどとれなくて待機の時間ばかりであったとか、何かそういうスケジュールの中における無理が大体トラブルの、トラブルというほどでもございませんが、苦情の主な内容じゃないかという気がするわけであります。
 したがいまして、これから今回の改正されるという中では、そういった契約の内容の個々のものについては、これは、程度の問題がございますのでなかなかむずかしいとは思いますが、旅行を契約されるそれぞれの人たちに対しても、いろいろとそういった苦情処理機関というものがあるんだということをきちっと周知徹底させるということが非常に大事じゃないかと私は思いますので、そういう意味では、これは単なる意見になりましたが、約款その他における指導とあわせて、いろいろ随時申し込みする、そういった申し込みのときにもそういうものが十分本人にも理解できるような指導といいますか、業務の中における指導というものが必要じゃないかと思いますが、そういった点についてのより突っ込んだお考えがございますれば、お聞きしたいと思います。
#71
○西村政府委員 ただいまお話がございましたように、旅行に関するトラブルで一番多いのは、最初に話があったものと実際に旅行したのと違うということでトラブルが生ずるわけでございまして、このトラブルの原因は、実際に旅行業者があらかじめ言ったことどおりやらない。結局、具体的には旅行条件書あるいはパンフレット等に書いたものが誇大であって、実際はそういう手配をしてなかったというケースも間々あるわけでございます。
 それからもう一つは、実際に手配が不確実であったために、旅行してみたらその旅館がとれていないということがあるわけで、そういう場合にはほかへかわりに泊まるということで、一流ホテルが二流、三流になったということがあるということで、これは旅行業者側の手配の不確実ということでございます。
 こういった点をなくすために、今回の法律改正は、一つは、旅行条件等をパンフレットにはきちっと記載しろということ。そして誇大広告につきましては、新たに罰則が付せられたわけでございますが、そういったことも積極的に取り締まらなければいかぬということ。それから、手配の不確実につきましては、今回の約款改正を通じて、旅行の契約当事者の責任をより明確にすることと同時に、旅行業務取扱主任者の職務の中にそういったものの手配を確実にチェックするということを加えて、いいかげんな契約をさせないように、そういう体制づくりを旅行業者自身の方も内部的にさせていきたいと思っております。
#72
○小渕(正)委員 いまのお話で理解するわけでありますが、要は、そういうふうな行政指導を行った上に立って、なお余り芳しからざる業者がもしも存在した場合、罰則規定があるということになっておりますが、そういう者についてはどういう形で罰則適用までの手続がいくのか。少なくとも旅行業界に対しては行政の方で、そういったもののいろいろな苦情、守られてないようなことが発生した場合に、それにどう対応をして、罰則でそれを処理するような形までいくのか。その手順といいますか、そういうものは一体どのようになっているのですか。
#73
○西村政府委員 具体的な、いまの法律をどう適用するかという点でございますが、先ほども申し上げました多くの苦情は、直接役所の方へお述べいただく場合もございますが、それ以外の場合は主として旅行業協会へ入ってくるわけでございます。実際のトラブルで重要なものは、迅速に旅行業協会から私どもの方へも連絡を受けて、そういった重要な法律違反という問題を含んでいるようなトラブルにつきましては、直接私どもも調査をして、法の適用が必要なものにつきましてはそういうことを考えていくようなことにする所存でございます。
#74
○小渕(正)委員 そうしますと、結果的には、旅行業協会からの届け出というか申請、申請という言葉にはならぬでしょうけれども、そういう報告を受けて初めて物事がわかって、それによって判断をしていく、こういうことですね。今日のところでは、それ以外ほかには考えていないということですか。
#75
○西村政府委員 具体的にトラブルがどう発生したかという情報の端緒は、直接旅行者が私どもにおっしゃっていただきました場合は、これは直ちに私どもが調査をし、法の適用が必要な場合にはそのようなことを検討いたしますが、それ以外の場合は、旅行業協会を通じてそういうことを知るというのが大部分の情報の入手経路だろうと思います。
#76
○小渕(正)委員 それは一つの筋道としてわかりますけれども、ただ、そういう同じ業界の全国協会でしょう。そこから報告を受けてということだけで、果たして本当の実態を掌握し得るのかどうか、ちょっと危惧する面があるわけでありますが、現在の段階ではもうほかには、たとえば直接の当事者からの行政当局に対する何らかのものがない限りにおいては、そういったこと以外に方法はない、そういうことだけでやむを得ないというお考えですか。
#77
○西村政府委員 いま申し上げたように、苦情処理の申し出を受け付けるところが旅行業協会あるいは私どもでございますので、国に直接御連絡がない場合は、旅行業協会を通じてくるのがまずほとんどだろうと思います。なお、新聞等への投書というようなものが端緒になる場合もあろうかと思いますが、どちらにしろ、そういったものがあれば、重要な問題については私ども、直ちに法の適用は検討したいと思います。
 それから、旅行業協会は、旅行業者が組織しているということで、その公正さについて御疑念をお持ちかと思いますが、やはり大きなトラブルというものは、旅行業協会がそういったいかに業界の組織するものであろうとも、当然私どもの監督に入っておりますし、一般旅行者の批判というものもございますので、私どもは、公正に行われることが期待できると思いますし、これまでも旅行業協会がそういったことでもみ消しをしたというような事態はないので、必ず両当事者に対して話し合いをあっせんするという形で処理されてきていると思います。
#78
○小渕(正)委員 ただいま、旅行業協会の公正さが期待し得るという御判断のようでありますので、それ以上は申し上げませんが、一応それを信頼することで本日は終わりたいと思います。
 次に、旅行業の取引の適正化という問題でお尋ねいたします。
 旅行業務取扱主任者の職務について省令で定めるとしているわけでありますが、具体的にどのような内容を盛り込もうとしておるのか。
 それから二番目に、取扱主任者の資質を維持向上させるために、定期的な再教育や研修を強化する必要があるのではないかと思うわけでありますが、その点に対してはどのようなお考えなのか。とりあえずこの二点についてお尋ねいたします。
#79
○西村政府委員 今回の改正で、旅行業務の取引の適正化のために旅行業務取扱主任者の職務を具体的に運輸省令で決めることにいたしておりますが、その業務といたしましては、まず管理監督すべき内容を具体的に決めていこう、その対象は、一つは、先ほどから問題になりました広告、パンフレット類が正しく旅行条件を反映しているかどうか、虚偽の表示がないかどうか、必要な事項が盛られているかどうか、こういうことをチェックさせようということでございます。
 第二が、旅行契約の締結に当たりまして、正しく約款どおり行われているのか、不当な部分がないかどうか、契約条件をきちっと守っているかどうか、そういった点のチェックが第二番目でございます。
 そしてもう一つは、具体的に旅行業者が提供することを約束するサービスの内容、手配するべきサービスの内容としましてちゃんと手配ができているかどうか、これが一番重要でございまして、先ほどのようないいかげんな確認をしているというのは、旅行業務取扱主任者側の手配の確認の不確実ということに起因するわけでございます。
 そのほか、旅行業務取扱主任者は、外から持ち込まれます苦情処理につきまして、みずからどういう旅行条件で取引をすることになったのか、それについて審査をし、処理に当たるということが考えられるわけでございまして、具体的には旅行契約をします場合の旅行書面等にみずから署名捺印するとか、あるいはそういった関係の書類をきちんと備えるとか管理するとかいうようなことも、これらの業務に関連して行われるべきことだと考えております。
 それから、旅行業務取扱主任者のさらに資質の向上のためにどういったことを今後考えるかということでございますが、旅行業務取扱主任者の資質につきましては、これまで試験制度と認定制度と二本立てでやってきているわけでございます。そして認定制度の場合には、当初、経験のみで認定したという経緯もございます。そういった点では、今後多くの旅行業務取扱主任者の中でやはりいろいろな法律的な問題が非常に複雑化してきておりますので、これまでの単なる旅行実務だけでは処理し切れないといった問題もございますので、新しい事態に対応するためにはどうしても、特に法律的な問題の処理についての面を中心として研修を強化していくというような必要性もあろうかと考えておりますので、今回の法律改正を契機に再研修というものを大幅に取り入れていく必要もあろうかと考えております。
#80
○小渕(正)委員 次に、今回は代理店業者の財産的基礎の有無を登録の基準から外すことになったわけでありますが、そういったやり方をすることによって今回の改正が、結果的に代理店業者を一つの系列化という方向に整理していくのではないかというふうにも考えられるわけでありますが、その点についてはどうかということです。
 それからあと一つは、今回新たに定められる標準旅行業約款は、先ほどもお話があっておりましたが、どのような内容のものを盛り込んだ内容にするのか。特に現在の旅行業約款に記載すべき事項、施行規則第二十五条とされているものに準じたものというふうになるのかどうか、この標準旅行業約款に新たに盛り込む内容について、具体的なものをお示しいただければと思います。
#81
○西村政府委員 今回の法律改正で、代理店につきましては二以上の所属旅行業者を決めてはならないという規定が入りました。と同時に、この反面、財産的基礎につきましては国はチェックをしないということを決めたわけでございます。
 それで、こういった代理店に関する改正によって代理店の系列化が進むかどうかという点でございますが、今日旅行業代理店につきましては、もちろん代理店をさせるためには代理店契約があるわけでございますが、代理店契約では例外なく他の事業者の代理店となってはならないということが定められております。したがいまして、今回の法律改正は、そのような代理店契約の考えておりますたてまえを公法上も書いたということでありまして、代理店と所属旅行業者との関係を実態的には変えるものでも何でもございません。したがいまして、今回のことによりまして特に系列化が進むというような問題は生じないというふうに考えております。
 それから、約款の主な記載事項でございます。
 今回、標準約款として主催旅行につきましても手配旅行につきましても、それぞれ約款の中にいろいろな問題を書いていかなければならないわけでございますが、主な点について申し上げますと、まず主催旅行でございますが、旅行契約の成立の点で、従来旅行契約が一体いつ成立するか必ずしもはっきりしていなかったわけでございますが、今回の約款では、具体的に旅行申込書と申込金が出されたとき、この時点で成立する、そして、とかく従来問題のありました電話による申し込みというものは、電話による順位保全のための申し込みというふうに理解しまして、これは予約という性質だというように約款では書いていくつもりでございます。
 それから、いわゆる旅行代金でございます。
 これは、主催旅行につきましては定額だということを明示する。そして、先ほどちょっと申し上げましたように、この旅行価格、旅行代金の変更というのはこういった場合にだけ許されるということで、これまでは事情変更で随時旅行業者は一方的に変えられるような形であったものを改めていくように考えております。
 それから、旅程の変更でございます。
 従来ですと、旅行業者側の都合で旅程を変える余地もあるかのような表現があったわけですが、今回の改正をする場合には、旅行業者側の管理外の事由が生じた場合にだけ旅程の変更ができるということにして、その場合には今度、一々旅行者の承諾という形ではなくて、旅行業者側が団体を取りまとめるという点から、旅行業者側の責任で旅程の変更をするというようなことを決めます。そして、旅程の変更をした場合の旅行代金の精算の方式につきましても、はっきりと規定するということにしたいと考えております。
 それから、主催旅行につきましては、今回の法律改正でも旅程管理の責任がうたわれたわけでございますので、旅程管理について具体的にどういうことかということを書く必要があるわけで、これが先ほどの、一つは旅程の変更あるいは代替手配をやるということを、はっきりとその権能を書くということになるわけでございます。
    〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕
そして、どのような場合に添乗員をつけてこのような管理をするかということをまた明示をすることになろうかと思います。
 それから、旅行の解除でございます。
 これは従来まで、最低催行人員という一定の団体の規模まで達しないときは解除するということが決まっていたわけですが、これの実施期日、解除をするかどうかを決める期日を一体いつにするかということを非常に明確に決めなければいけないということ、そして解除が、旅行業者側の都合で解除することがないように、解除できる事由を制限しまして、天災地変とかそういったことに限るような趣旨を明確にしたいということでございます。
 それから、これは旅程管理業務の一つのあらわれでございますが、団体の秩序を乱すような勝手な旅行者が出た場合には、今度旅行業者側が、そのような旅行者を団体から排除することができるという権能を具体的に書きまして、今度は逆に旅行者側がそのことに対して異議が言えないような、旅行者側として当然守るべき道筋というものを明らかにしていきたいというように考えております。
 そのほか、一定の事情ができたために旅行の継続ができない事態になった場合の、両当事者側からする将来に向かっての旅行契約の解約の権能を示すということ。
 そして一番大きい問題が、旅行業者が一定の補償責任を持つということでございます。
 これは、交通機関あるいは宿泊機関の原因で事故が生じた場合に、旅行者に生命、身体、財産の損害が生じた場合に、旅行業者も自分の責任で手配をしたということとの関連で、一定の額の損害を補償するということを一つの制度にしようということでございますので、これを標準約款には取り入れていくということが必要であろうかと考えております。これは、約款上は具体的に額を明示していくことになろうかと思います。
 そのほか、包括手配旅行につきましても、旅行契約の成立の時期、これは旅行引受書の交付の時期というようなことを書く、あるいは旅行価格につきましては、定額でやる場合、あるいは精算でやる場合等、どういう場合に旅行者側の申し出で、どういう方式でやるかということを決めること。
 それから、旅程等の変更についての変更権が、両当事者いずれの側もあるということ等を決めて書いていきたいということでございます。
 全般を通じまして、従来問題が不明確であった点を明確にする。それから手配旅行、主催旅行、それぞれの旅行契約の本質に従った責任を明確に書いていく。あいまいな点をなるべく残さないようにしていごうというのが今回の標準約款作成に当たります運輸省側の考え方でございます。
#82
○小渕(正)委員 次に、今回改正の中の一つの柱であります不健全旅行等への関与の禁止、このようなことでありますが、わが国は一ころは非常に悪名高き買春ツアーその他でかなり厳しい批判を受けたわけでありますが、今回の改正の中では現地の法令に反する行為、サービスのみが規制の対象になっておるわけでありまして、たとえば公娼制度が認められているような国へのそういったツアーのあっせん等は何ら規制されていないというようなことになるのではないかという気がするわけでありますが、その点はどうなのか。
 それからあと一つは、日本人の旅行者の海外に行く機会が非常に多い。特に、資料を見ると約四九%近くが東南アジア地区関係じゃないかと思うわけでありますが、そういった日本人の海外旅行者の多い国の中で、こういった公娼制度が認められている国は大体どういうところがあるのか。御参考までにお知らせいただければと思います。
#83
○西村政府委員 今回の法律改正案では、旅行地における法令違反の行為ということを旅行業者が関与しない対象に決めております。したがいまして、御指摘のように、公娼制度が認められている国におきましては今回の規制の対象にはならないということでございます。
 これは、旅行業者がなぜこういった規制を受けるかといえば、それは旅行地の法令を遵守するということが旅行業者の責務だというふうに考えているわけでございまして、日本が売春につきましてこれを防止しているからということで、旅行業者が海外で、日本の法律に従った売春の防止をやるという義務を負うというのはこれは当然に行き過ぎであります。したがいまして、旅行業者の本来の責務としてその旅行地の法令を遵守するということをこの改正案の根幹の考え方にさせていただいたわけでございます。
 それで、公娼制度が認められている国というのは、日本の海外旅客が行くところでどの程度のところで認められているかということでございますが、現在それらの法制につきましては、外務省に依頼しまして、全世界の法令につきましていま調査をお願いしている段階でございます。そこで、現在どうだということを申し上げられませんが、私ども聞いておりますのは、西独、オランダ等で公娼制度があるということは聞いておりますが、世界各国の公娼制度の詳細についてはまだ調査いたしておりませんので、答弁は控えさせていただきます。
#84
○小渕(正)委員 別に公娼制度の詳細を知る必要もないわけでありますが、ただ先ほど申しますように、海外旅行者の大半は東南アジアを中心にして出ていかれているようでありますから、そういった東南アジア方面での主要な国々の中でどうなのか。その程度のこともまだ把握されていないのかどうか。その点いかがでしょうか。
#85
○西村政府委員 東南アジアの各国では、いずれも売春に関しましてはこれを禁止しております。ただ、売春の禁止の態様がいろいろでございます。したがいまして、日本の売春防止法と同じような形でやっているかどうかは別でございますが、フィリピン、台湾、タイ等、私どもが今日いろいろ不健全旅行として問題になるような問題がうわさされるような国々につきましては、いずれも売春が禁止されているということを承知しております。
#86
○小渕(正)委員 それでは、法的に認められている国について、旅行業者が堂々とツアーはやらぬにしても、何かそういう形での主催旅行をすることについては現在やむを得ないという判断にお立ちになるのですね。その点いかがですか。
#87
○西村政府委員 売春が禁止されていない国につきましては、旅行業者がそういう行為に関与するということは、旅行業法としてはやむを得ないことと解しております。
 ただ、売春を防止するという見地が絡みまして、それが適当かどうかということでございましたら、私個人としては適当だとは決して思っておりませんけれども、これは国の売春防止に関する制度のあり方としてひとつ検討すべきことだと思っております。
#88
○小渕(正)委員 わかりました。
 では最後にお尋ねいたしますが、五十三年十二月の観光審議会の提言の中で、日本人の海外旅行者のマナーという問題についていろいろな点が指摘されておったわけでありますが、これらの改善策について、またトラブル防止等についてどのような対策を今日まで講じられてきたのか、さらに、今後そういった問題について何かなおお考えがあるかどうか、その点についてお尋ねいたします。
#89
○西村政府委員 昭和五十三年に観光政策審議会から、海外旅行者のマナーの改善について御指摘があったわけでございまして、運輸省といたしまして、日本人旅行者が海外、特に東南アジア等でのマナーの問題を指摘され、各国からいろいろと指摘を受けますことで諸外国との友好関係を非常に害するということについて、まことに遺憾だと考えております。したがいまして、これまでは一つは政府広報ということで海外旅行のマナーの向上を訴えてきたわけでございます。
    〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕
そして、さらに五十六年四月には私ども運輸省でも、「東南アジアでのマナー」というようなパンフレットを用意いたしまして、これは海外旅行に出ますところの、東南アジア方面への航空機の機内で各旅行者がそれを読めるように配布いたしました。成田、羽田等でもこれは多くの海外旅行者にお渡ししたところでございます。
 また、国際観光振興会でも、海外旅行のマナーの問題あるいは安全のために、それぞれの窓口で相談に応じておりますが、そのほかに、やはりマナーのための小さな冊子あるいはチラシ等をつくりまして、海外の旅行者に呼びかけております。
 それから、旅行業界でもまたパンフレット、チラシ等をつくりまして、いろいろと旅行者にお渡しする、そしてまた旅行業者も説明会をするときには、必ず各旅行者に対してマナーの問題の御説明をする。特に各国々によって、日本人が思っていることが、何でもないと思われることが、相手国にとっては非常な侮辱になるあるいは風俗を害するというようなことで、国民感情を刺激することも少なくないわけで、そういう点は添乗員がやはり一番注意を払うべきことでございますので、その際には特に注意をさせていただいているわけでございます。
 また、運輸省あるいは国際観光振興会でも、旅行業者等に海外情報というようなものを提供いたしまして、そして実際に起きたトラブルの例あるいは日本の旅行者がさらには安全を害された例等を事細かに、各地域ごとに問題点を御説明したものを流しておりまして、そういった旅行者の保護、あるいは旅行者のマナーに対する旅行業者の指導の場合に役立たせていただくように努力しているわけでございます。
 ただ、私どもが期待しますのは、海外旅行へ行くときだけに旅行業者なり何なりからの受け身でなくて、ふだんから一般的なマナーの向上ということは私ども国民全体がやるべきことだし、また各国事情との差というものにつきましても、海外旅行をしようとする方が、積極的にその国へ溶け込むのだという気持ちをお持ちであれば、みずから進んでその国のいろいろな事情を調べるというような気持ちでぜひ旅行に参加していただきたいということを常に希望しているわけで、機会あるたびにそういうこともあわせてお願いするようにしております。
#90
○小渕(正)委員 いま、最後に言われたのは、これはきわめて一般論で当然のあるべき姿でしょうけれども、問題は、やはりそういった当然とするべきものが問題になるわけであります。特に、そういった意味でのいろいろな関心を日ごろから持たれている方たちより、どちらかというと主催旅行というのは、臨時的に海外に行こうという人がわりあいこういう主催旅行の対象になるわけでありますから、どうしても主催旅行が国際観光の役割りを担いながら、結果的には現地において嫌な感情を植えつけて帰ってくる、こういう例がいままでたくさんあるわけです。
 したがいまして、そういった意味で、余り規則にはこだわりたくないのでありますが、ぜひひとつそういう主催旅行を行う場合には、必ずある時間、そういったマナーの教育をやるということを旅行業者に義務づけさせる、こういう方向も私は一つの方法ではないかと思います。現在は自主的にやられているようでありますが、ただ五分ぐらいちょっと状況の説明ではいけないのであって、やはりもう少しそういった意味で、規則ということは抜きにしても、主催旅行をやる場合、必ずそういった時間をとって教育を行うということを、ひとつある程度義務づけるような方向で強力に指導していただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。
 それから、あと一つでありますが、お話を承りますと国際観光振興会というのがありまして、いろいろ日本の政府の肩がわりとして、日本国内に来られた外国人に対するいろいろな観光関係のお仕事をやられているようであります。いま非常に貿易摩擦その他で、日本というものに対して改めてよく見直してもらわなければいかぬわけであります。そういう意味で、日常的に日本を訪ねてこられるそういった諸外国の人たちといかにうまく接していくかということも、これは非常に大きな日常的な仕事であります。
 そういう点から考えますならば、この振興会、ここでやられているいろいろな仕事の内容というものが、一般の人たちに余り知らされていない。だから、たとえば例を挙げますならば、外国から来られた人たちが日本の民宿をどこか希望する、そういったことがあっても、それを受け入れる体制がなかなかむずかしいし、そういうことだったらわれわれも受け入れていいぞというのがあらわれても、そういうものをどこに申しておけばいいのか、そういうところの道がわからない、そういう手だてが知られないままに、そういういろいろ有志の人たちでも、十分受け入れてもいいというような人たちがそういうものをはっきりどこに届けておけばいいというようなことがわからなかったりとかいうことで、せっかくいい仕事をなさっているわりには、一般の国民の中にそういった業務の内容がPR、周知されてないというような面を二、三点耳にするわけであります。せっかくある振興会でございますので、そういった点についてもっと幅広い、国民の皆さん方にわかっていただくような仕事をもう少し重点的にやる必要があるのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#91
○西村政府委員 いま御指摘がございました点についてはまことにごもっともでございまして、私どもも常々、国際観光振興会が行っている業務について国民一般の理解を求めることがもっともっと必要じゃないかと思っております。そして、いまお話がありましたような点がどういうところから来るかといえば、やはり国際観光振興会の仕事が、一つは、まず海外で大きな仕事をしていて一般国民の目につかないということ、そして国内でやっておりますのも、日本に来た外国人をもっぱら相手にするということで、日本人向けの仕事をしてないものですから、一般国民がそういうものがあるということをどうもとかく認識していただく機会が少ないわけでございます。
 この点につきまして、今後実際に国内の国際観光の受け入れと外客のためのいろいろな施策をする場合におきましては、一般国民の協力が何よりも必要なわけでございます。たとえば国内の三カ所に総合観光案内所というものをつくって外国人への案内をやっているわけでございますが、そこの事務所へ外国人がたどり着くためには、やはりそこの事務所でやっているということを日本国民が知らないと、そこへ外国人を連れていってやれないということで、非常に日本の事情を知りたくて困っている外国人が案内所のそばを通り過ぎてしまうという事態も少なくないわけで、どこに案内所があるんだということを本当に多くPRしなくてはいけない。
 これは私ども、国際観光振興会にかねがね言っているところでございますが、この点を特に振興会自身もいろいろな工夫をして、観光案内所がどこにあるんだということを一般国民にわかっていただくような工夫をしなければいけませんし、また、いま国際観光振興会は外客のために善意通訳制度ということで、気楽に通訳の役をしてあげるという運動をしております。一つのバッジをつけて、問題があるならどうぞこの人に気楽に話しかけてくださいということをやっているわけです。
 そういった運動をやっているということも、やはり多くの方に知っていただかなければなりませんし、さらに積極的にはホームビジットあるいはホームスティーということまで今後やらなければいけないと思っておりますが、現在行われておりますホームビジットは、外国から来られましたお客様が日本を理解するという点では非常に有効な制度でございますが、そういうことをやっているということ自体を一般の方が御存じないと、各家庭で協力するということも、その気があっても協力していただけないわけでございます。
 そういうことで、先ほどもおっしゃった民宿の問題もやはりその一環でございます。私どもは、こういった問題につきましては、民宿協会等にももっと積極的に呼びかける。さらに、民宿協会に対して、現在民宿に英語の客の接遇の仕方も研修をやっているわけでございますが、そういったことをもっと拡充をして、そういうことを通じて国際観光振興会をもっと利用してもらうようにしなければいけないと思いますし、そんな活躍についても、一般のマスコミに対しましてもまた御協力をお願いして、ぜひ振興会を生かすような工夫をしていくことが必要だと思いますので、ただいまの御趣旨に沿いまして努力さしていただきたいと思っております。
#92
○小渕(正)委員 終わります。
#93
○楢橋委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
#94
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。四ツ谷光子君。
#95
○四ツ谷委員 昨年の一月二十日、参議院の決算委員会でわが党の安武洋子議員が、五十五年十月二十一日運輸省が通達を出しておられますね、不健全旅行に関与したことが明らかな場合、当該旅行業者名、事実を公表するということで、同年の末から立入検査、もちろん情報に基づく立入検査を行っておられたようでございますが、その検査の結果の質問に対して、当時の観光部長が、精力的に取り組んでおりますというふうな答弁をしておられます。そして、「私どもとしては、先ほど申し上げました通達の線に沿って、厳正に処置すると、こういう心構えでおるわけでございます。」こういうふうに当時の観光部長がお答えになっているわけですけれども、その後の検査の結果はどうであったのでしょうか。そして、売春に関与した業者に対してどのような行政指導を行われたのでしょうか。お答えください。
#96
○西村政府委員 ただいまお話のございました、不健全旅行をやっているかどうか、一般旅行業者の事務所に立入検査を昨年からいたしておるわけでございますが、五十五年、五十六年を通じまして五十七業者に対して立ち入りをいたしました。特にその場合の立入検査の重点は、旅行業者がどういう不健全な旅行を企画したかどうかということが、パンフレットその他の資料でうかがえるかどうか。それから、現地の旅行業者との契約書その他の書類で、不健全な要素を含む内容を依頼したかどうかというようなこと、あるいは領収書等いろいろな計算書類等におきまして、いわゆる不健全なあっせんに伴うキックバック等、そういうものがあるかどうか。そういうものについて調べたわけでございますが、結果は、ほとんどの立入検査の場合に問題が発見できませんで、運輸省として不健全旅行について警告を発しましたのは日本エアー・ツーリスト株式会社でございまして、この会社は不健全な旅行を企画して、これを募集したわけでございます。そういう点で、これに警告し、公表をいたしました。その結果は、日本旅行業協会の方もこれに応じまして、その会社を協会の会員から除名をしたということ、その後この会社は、営業保証金の増額分が納められないまま、私の方で登録の取り消しを行いました。
 そういう事実がございますが、その他につきましては、先ほど申し上げましたように、立入検査の結果、不健全旅行に関与したという事実は発見できませんでした。
#97
○四ツ谷委員 いまの観光部長の御答弁によりますと、運輸省から警告書をもらって除名処分になったのが日本エアー・ツーリスト一社、こういうことになっているわけですね。
 そういたしますと、五十七社のうちでただ一社だけがその不健全旅行といいますか、買春ツアーに関与したということが明らかだ、あとの方はそういう事実がつかなめなかった、こういうことですね。
 そういたしますと、五十七社のうち一社でもそういうものがあるということは大変不都合なことですけれども、これだけ国際的に大変大きな問題になり、いろいろとフィリピンあるいは韓国、タイ、そういうふうなところの婦人団体などから、ずいぶんいろいろな抗議の声が上がっているにしては、そんな不健全な業者はただ一社しかなかった、そういう程度なんですか。いかがですか。調査のやり方に何か手落ちがあるのじゃないですか。
#98
○西村政府委員 不健全な旅行の実態につきましての調査の仕方としますと、私ども、東南アジア方面の旅行で、非常に旅行価格が安いという事業者の営業所につきまして調査をしたわけでございます。その結果、そのような安い旅行を企画することができる背景に、世上言われておりますようなキックバックがあるとか、そういう事態があり得るではないかということで見たのですが、キックバックに関する証拠書類等はありませんでしたし、もちろん一般的な不健全旅行の企画というものをうかがわせるような資料は全くなかったわけです。
 ただ、それでは世上伝えられているようなキックバックはどういう形であるかということですが、確かにそれは非公式な形で、公式の書類でない簿外のものとして処理されているおそれはあるわけですが、残念ながら私どもの現在の調査では、そういうものを探り当てられなかったということでございます。
#99
○四ツ谷委員 重ねてお伺いしますけれども、ただ一社だけしかぐあいが悪いところがなかった。運輸省としては、やれやれよかったと思われたのですか、不思議だと思われたのですか、どちらでしょうか。
#100
○西村政府委員 たった一社出ましたのは、日本エアー・ツーリスト株式会社は不健全な旅行の企画が外へ出てきたということでわかったわけでございますが、その内容についてはなかなかわからない。それで運輸省としまして、この点はいまの形では調べても、先ほど申し上げましたように、もしあるとしてもそれがすべて簿外で行われているということであれば、これは今後この調査を継続してもなかなかむずかしい。ただ、こういうことをしているうちに、いわゆる不健全旅行というのは、たとえばフィリピンなんかでは非常に数が減少したということが現地でも報ぜられておりますし、その点ではかなり自粛効果が上がってきた。そしてまた現地のフィリピン側が、一般新聞まで、日本が不健全旅行に対しての監督を非常に厳しくした結果、フィリピンの観光が非常にさびれているということまで言い出すような方がいる程度に日本側の反応が非常に早いということで、かなり自粛の線が出て定着しているというふうに理解しております。
#101
○四ツ谷委員 いま、何か日本側の反応が大変早いというふうにおっしゃいましたけれども、大体この話が出てきたのは一体何年だと思っているのですか。一九七三年の七月ですよ。それから何年たっているんです。日本人の男性による韓国のキーセンパーティーの問題で韓国側から抗議を受けて、それから後ほぼもう十年になろうとしておりますよ。一体何が早いんです。十年も何しておったんや。今度業法の一つの目玉というふうになっていますけれども、早いどころか遅きに失している。怠慢もいいところだと言わざるを得ないと思います。
 さて、今回の改正法案で、日本の旅行業者が旅行地の業者に請負わせた場合、もちろん契約では、こういう法律ができていますから、法律のないときでも調べたらそういうふうな不健全な契約はなかったということですから、もちろん表向きはこういう売春のあっせんをするような契約はないと思いますけれども、現地の旅行業者がその便宜を図った、そういうようなことがわかった場合、日本の旅行業者は罰則の適用を受けるのですか、どうですか。
#102
○西村政府委員 今回の改正案の十三条の三項では「旅行業者又はその代理人、使用人その他の従業者は、その取り扱う旅行業務に関連して次に掲げる行為を行ってはならない。」として、行為の禁止の対象者として「代理人、使用人その他の従業者」というのが入っております。
 いまお話しの現地の手配をする旅行業者、これは、その旅行業者の旅行業務に関して業務をする場合には法の言う「その他の従業者」に含まれるわけでございますので、そのような現地の業者が違法な行為、ここにありますようなあっせんその他の行為をいたしましたときには、これは日本側の旅行業者の責任となるわけでございます。
 ただ、旅行業者の責任として見る場合には、これは一般の責任の原則と同じでございまして、その旅行業者に期待可能性があるかどうかということは考慮されるべきだとは思いますが、これが一応対象となることは、法律の構造がそうなっておりますので、明確に申し上げます。
#103
○四ツ谷委員 今度は、旅行地におけるいわゆる法令に違反をする、そういうことが禁止の対象になるわけです。これは運輸省からいただいたものですけれども、売春に関する禁止を規定している国ですね、いまのところは韓国、台湾、タイ、それからフィリピン、この四つを運輸省ではお調べになっているようですけれどもね。これは午前中にも問題になりましたけれども、こういうふうな禁止の法令のない国にもし業者がツアーを組む、これはこういうものがあればまさに、本当にそこだけが買春観光の目玉になりますから、そこに行こうと思えば幾らでも行けるわけでしょう、先ほどの御説明によりますと。これはもう大変なことになると思うのですけれども、そういうふうな禁止の法令のない国に対して観光買春ツアーを組むような業者に対しては、一体どういうふうに対処されるわけですか。
#104
○西村政府委員 旅行業法自身としては、いま先生お話しのように、これを旅行業者の違反行為として取り締まるというのは、その国の法令が違反行為としている場合、そういう売春を違反行為としている場合だけこれを取り締まるというのが旅行業法のたてまえでございますので、おっしゃるとおり、売春を禁止していない国にいまのような買春ツアーが仮に組まれるという場合がありましたときに、これは旅行業法の問題ではもちろんありませんが、旅行業者としてそういったこと自身は好ましくない、むしろ日本の国民の一員としてそういうことは好ましくないので、私どもは、旅行業法外の問題としてでもそういうことはやらないような要望はしていきたいと思っております。
#105
○四ツ谷委員 そういうふうなことをやらないような要望だけ、たった要望だけなさるわけですか。どうなんですか。要望というのはいろいろ広いのですけれどもね。やらないでちょうだいと言うのですか。どこら辺まで要望と言うのか、行政指導なのか。この法律は確かに一歩前進だ、私はこれは評価したいと思うのですけれどもね。買春ツアーはいけませんとはっきり法令に書けないという立場があって書いてない。それから、そういうふうな禁止の法令がないところには、この法律で言えば行けるわけでしょう。そうすると、何となくしり抜けをしているような感じがするのですよ。そういうことに対して運輸省は一体どういうふうにされるのか、そこのところを聞きたいと思います。
#106
○西村政府委員 私の言い方が多少舌足らずでございましたが、強い行政指導をもちろんしたいと思っております。
#107
○四ツ谷委員 それでは、いま法律を調べていらっしゃるのはこの四カ国だけだそうですけれども、ほかの国の法律についても調べていらっしゃるのですか。調べておられるとしたら、一体いつまでに調べるのですか。法案が成立してからでもまだその辺のことはわかりませんとずるずる延ばしたのではしようがないと思うのですけれども、一体どういうような目途でやっていらっしゃいますか。
#108
○西村政府委員 外務省にお願いしまして、世界のすべての在外公館を通じて資料を収集するようにお願いしております。そして、それはできるだけ早いことが必要でございまして、少なくとも新法が施行されるまでには、日本の旅行者が行きますような主な国についてはすべてを網羅した情報を整備したいと思っております。
#109
○四ツ谷委員 それでは、せっかくこういう法律ができるわけですから、やはりこれを運輸省としては広くPRをしていただきたい、こう思うわけです。
 といいますのは、この前の委員会のときの御答弁で、幾らこの法律ができても、また旅行業者を幾らこれで規制しても、一億国民とおっしゃったのですが、その言葉は大変不適当だと私は思うのです。一億国民全部がそんなふうじゃないのですから、国民全体がとおっしゃるのはちょっと不都合だと私は思いますけれども、国全体の世論として、こういう問題をちゃんとしていかなければいかぬというふうに観光部長、お答えになりましたね。
 私、運輸省からいただきましたいろんなPRのこういうもの、一番新しいのが五十六年で、運輸省が発行されたことになっていますけれども、法律ができましたらこういうふうなのじゃなくて、もっと法律の趣旨もはっきりと示すような、そういうPRのやり方について運輸省、何か新たに考えていらっしゃいますか。
#110
○西村政府委員 この法案をお認めいただきましたら、施行時にかけまして、いま先生がお持ちのようなPRカードだけでなくて、広く旅行業法がこういう制度を取り入れたということは、私ども周知したいと思います。
 なお、これの法律ができたからといって、旅行業者側だけが責任をとればいいのだというようなことを旅行に参加される方が思っては困りますので、あわせて、一般的な不健全旅行について同時に控えていただくような何らかの方法をぜひ、いままで以上に強く指導あるいは広報をしていきたいと思っております。
#111
○四ツ谷委員 それから、先ほどの御答弁の中にキックバックの話がちょっとありましたね。これも去年の参議院の決算委員会で、わが党の安武議員が質問をされたわけですけれども、キックバックの中に売春あっせん料が含まれている場合があるのではないかという質問をしております。それに対して当時の運輸大臣が、よく調査をし検討したい、時間が欲しい、こういうふうに答弁をされたわけですけれども、先ほどは、表向きのままではなかなかこれがつかめない、こういうことでしたね。表向きではつかめない。だけれども、こういうふうに現地の旅行業者が値段を非常に買いたたかれて、やりきれなくなって売春をあっせんするというふうなことが、この法律のしり抜けになるのじゃないかという指摘をする人もあるのです。そういうふうになりますと、キックバックの中身、こういうものを運輸省が本当にきちんとつかめるような方法があるかどうか、研究をされましたか。どうです。
#112
○西村政府委員 キックバックの問題は、先ほど申し上げましたように、立入検査の結果でもつかめない。正直のところ、いまキックバックのチェックについて有効な方法があるかどうかと言われますと、現段階では、あるということが申し上げられません。
 ただ、キックバックの数が多いかどうかということとの関連でございますが、現在の旅行業者の旅行の価格というのは、現地側の方が確かに非常に安い価格の提示をし、そこで取引が行われていますけれども、日本側の旅行業者がキックバックをしなければやれないような水準かというと、それは日本側の旅行業者は必ずしもキックバックを必要とするような水準ではないと思われますので、一時言われたほど、キックバックの数が仮にあるとしましても、そうは多くないので、現地側の旅行業者がむしろ自主的にやるようなケースの方があるいは多いのではないかと想像しているわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、これにつきましても、現地側の旅行業者が日本の旅客に対していろいろな働きかけをすれば、先ほどの法律の規定に反するわけでございますので、そういうことが現実に調査できれば、日本側の旅行業者の責任を追及するということをさせていただきたいと考えております。
#113
○四ツ谷委員 それじゃ、この次はちょっと大臣にお聞きをしたいと思うのです。
 これは、ことしの二月三日の毎日新聞なんです。「買春観光はなくなるか」ということで東京でシンポジウムが行われた、そのニュースが書いてあるんですけれども、その中に「私の会社の買春ツアー」「ある女子社員の手記」というのがございまして、これは東京のある出版会社が社員に本を売らせて、ある程度ノルマを上げた者に対して報奨制度ということで、会社ぐるみで買春ツアーに出かけておる、これがもう年中行事のようになっておる、こういうふうな会社では困るんだという、ある女子社員の告発の手記が載っておるわけでございます。
 それからまた、自動車の販売会社で、自動車五台売ったらマニラへ、十台売ったらハワイへ、ハワイは健全旅行だからマニラに二回行く、こういうふうなキャッチフレーズで、自動車の販売会社で、いわゆる自動車をたくさん売った社員の報奨制度ということで、企業ぐるみの買春ツアーというものが行われているということがよく報道をされたり、告発の手記が方々に載っているのですけれども、大臣はそういうふうな事実について御存じでしょうか。いかがですか。
#114
○小坂国務大臣 いま委員のおっしゃった「買春観光はなくなるか」「婦人団体など東京でシンポジウム」という記事は、拝見いたしております。なおまた、いま最初にお示しになりました出版会社の女子社員の手記は、拝見しております。
#115
○四ツ谷委員 重ねて大臣にお伺いいたします。
 今回のこの不健全旅行を禁止するというふうなことの改正の趣旨につきまして、大臣に何遍もお答えしていただいておりますけれども、なぜこういうふうな法改正に踏み切られたのか、もう一度改めてお聞きしたいと思います。
#116
○小坂国務大臣 先般来この問題については繰り返し申し上げているとおりでございますが、日本の国民性というものが他国に大変誤解をされることにもなるし、また、日本国民の行う観光というものがすべてこうしたようなもので、大変に不健全なものであるというようなことであってはならないのでございます。したがいまして、一義的に旅行業者に対して、こうしたことを自粛し、取りやめるように、今回の改正において強く指摘したわけでございますが、同時にまた、観光に参加される方々も、こうした趣旨を十分に踏まえられて、他国から指弾を受けるような行動には観光地において走らないように特段の自粛を求めたいというのが今回の法改正の趣旨でございます。
#117
○四ツ谷委員 旅行業法全体にわたる改正の趣旨としてはそれは結構と言いたいんですけれども、不健全旅行の禁止の改正の趣旨としては、ちょっと足らぬところがあると私は大臣に申し上げたいんです。
 といいますのは、日本の国の大企業が東南アジアの労働力に対して、特に婦人労働力に対して触手を伸ばして、エコノミックアニマルというふうな非常に厳しい批判を受けております。一方、企業ぐるみの買春ツアーだとか、それから減ったとは言うものの、どんどんとこういうふうなところ、とりわけ東南アジアの国々に対して集団で、男性が相手国の婦人の性をもてあそぶというふうな旅行を計画して、それに参加をする人が多い、こういうことは発展途上国に対する差別であり、婦人に対するあらゆる差別撤廃条約の理念である婦人の人権とか性の尊厳に対するじゅうりん行為である、こういうふうに私は指摘せざるを得ないのですけれども、そういうふうな趣旨をこの業法を改正されることで本当にこの中に盛り込む、そういうふうなことは大臣としてはお考えなんでしょうか、どうでしょうか。
 私はこの間から答弁を聞いていますけれども、相手国との友好を損なう――それは確かに損なってはいけないと思いますけれども、去年鈴木総理がASEAN諸国を訪問されて、現地でずいぶん手厳しい批判を受けて、行政指導をせざるを得ないというふうに鈴木総理がおっしゃって、こういうふうに十年来の重い腰を上げてやっと運輸省が踏み切ったわけですけれども、この旅行業法の改正の目玉である不健全旅行の改正の趣旨というところには、そうした婦人に対する尊厳だとか相手国に対する差別意識、こういうものをなくすというふうな趣旨が盛り込まれてしかるべきだと思うのですが、重ねて大臣にその辺の御決意をお聞きしたいと思います。
#118
○小坂国務大臣 条文にはそう明確なことが出ておりませんが、私たちの基本的な考え方は、こうしたいわゆる不健全旅行というものに、何とかしてここら辺で本当の意味での終止符を打ちたいという考えでございます。
 したがいまして、もちろん法的な措置としては、まだまだ委員御指摘のような抜かりがあるようにも思えないことはございませんけれども、しかし、運輸省といたしましては、今回のこの法案の成立を待ちまして、きわめて厳格にこうした問題について対処をし、また情報を集めフォローアップをし、基本的に言うならば、こうしたことがなくなることを重要な任務として今後は努力をしてまいりたいと思っております。
#119
○四ツ谷委員 ただいま大臣からそういう御答弁があったわけですけれども、大体観光基本法の中には、国際的な協調だとかそれから健全旅行というふうに大変りっぱな条文がうたわれているわけですけれども、先ほど私が初めのときに指摘をしましたように、一九七三年から約十年たって、やっと運輸省が重い腰を上げた。本当に観光基本法の理念に従って運輸省が業者を指導しておったなら、まさに恥かきツアーというふうに新聞でも指摘をしておりますけれども、国際的に日本人の恥をさらして歩くような、こういうふうな状態には立ち至っていなかったわけじゃないでしょうか。私は、このような業法の改正ということはありますけれども、よっぽどしっかりと運輸省の方が行政指導なりを強めていただかなかったら、幾らでも法律というものは抜け穴がありますから、そういうふうな悪質な業者がどんどんと巧妙な手段をとって、まだまだ日本のそうした恥を国際的にさらすというふうなことや、婦人の尊厳を損なうようなことのないように、ぜひとも大臣並びに担当の方々がしっかりとがんばっていただきたいと再度御要望をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 今回の法改正では、旅行者の安全、利便を図るということで、旅行業者の扱うとりわけ主催旅行に重点が置かれている、こう思うのですけれども、主催旅行の概念というのは大体わかりましたが、それをもう少し明確にするために幾つか御質問をしたいと思います。
 ここに「ハワイ六日間の旅」という新聞広告がございます。「主催株式会社鈴屋旅行取扱日本旅行」、こういうふうに並列に書いてあるのですけれども、委員長、済みませんが、これをちょっと運輸省にお見せしたいと思うのです。
 見ていただいたらわかりますように、もし一般の旅行者がその新聞広告を見られましたら、一体鈴屋が主催なのか、日本旅行が主催なのか、共催なのか、どちらに責任があるかよくわかりませんでしょう。そういうふうな場合は一体どっちに責任があるのでしょうか。
#120
○西村政府委員 ただいま拝見いたしました広告は、まことに不適当な表現方法で、これでは一見してだれが主催旅行の責任者なのかわからないことは、まことによくないことだと思います。こういった事例については、私ども、発見した都度旅行業者に直接注意をしてまいっております。
 そして、これをどう理解するかということは、実は具体的には主催旅行の契約は旅行書面が発行されますが、その旅行書面の契約の当事者になった者が主催旅行の責任者になるわけでございまして、私どもの想像では、こういった場合に多くの場合、恐らく日本旅行が旅行契約の当事者で、鈴屋はただ呼びかけをするということが多いのだろうと思います。そういう点では、契約の当事者があくまでも主催旅行の責任を負うわけでございます。
 しかし、このような広告を出すこと自身まことに不適当なんで、今回、主催旅行の場合の広告事項を書かせることになっておりますが、こういう書き方をしますと、この法律の広告事項の規定に違反することになりますし、これが実際に、このような形が場合によっては誇大広告の問題も生ずることがないわけではないということでございます。
 それから、この鈴屋が本当に責任者としてやっているような事態であれば、これは当然無登録営業ということに当たると思います。
#121
○四ツ谷委員 そういたしますと、いまお示ししましたのは、広告のやり方が非常に不適格であるということで御指導いただくわけですけれども、それではもう一度念のために伺います。
 登録した旅行業者がある。そして鈴屋という洋服屋さんがある。そういうふうな場合に、鈴屋が一般に公募して、旅行に行きましょう、それの旅行の主催をするのが日本旅行ということになりますと、その場合は主催旅行の責任者というのは日本旅行、こういうことになるわけですね。一般の団体だとか一般の会社というのがそういうものをやるとすれば、これは旅行業法違反になる、こういうことですね。
#122
○西村政府委員 いま先生御指摘のような形で、一般的に申しますと、旅行業者のみが主催旅行をすることができるわけでございますから、旅行業者でない者が団体を募集するという行為は旅行業法違反になるわけでございまして、あらかじめ団体性がある者、たとえば労働組合なら労働組合というような団体性がある者が、その組合員を頼んで旅行業者に手配依頼するという場合には、これは団体の手配旅行になるわけで、ここに言う主催旅行には当たらないものだと理解しております。
#123
○四ツ谷委員 それでは、これは現行法ですから、この次の新法ではどうなるか、それをお聞きしたいのですけれども、これは京阪交通社という旅行業者ですが、それが「ハワイ グアム」の企画書をつくっているのです。これもそうです。「アジア旅行」の企画書というふうに書いてあります。こういうふうに今度の新法で登録の業者である、しかし主催旅行の登録はしてない、そういうふうな会社があって、そしてこういうふうな企画書をつくって、他の旅行業者にこういう企画がありますよとばらまいて実際に旅行が行われた場合、そういう場合は責任の所在はどうなるんでしょうか。主催旅行と言うことはできるのでしょうか。いかがですか。
#124
○西村政府委員 ただいまお示しの企画書がどういう性格のものかわかりませんが、これは先ほど申しましたように、その企画書をつくったところが主催旅行の契約の当事者に当たれば、その業者が主催旅行したことになります。したがって、主催旅行の登録をしないままやれば、その点で違法になるわけですが、そうでない態様としましては、それは主催旅行をやろうとする個々の旅行業者のために、この会社がいわばその下請として、こういう企画があるよということで提示をしまして、そしてその企画がいいとなれば他の旅行業者、企画の提示を受けた旅行業者がみずから責任者となって主催旅行をするということがあるわけでございます。これを業界では、先ほどの企画をする方をホールセーラーと呼び、主催旅行をやる方をリテーラーと呼んでいる場合もあるようで、どうもこのホールセーラーとかリテーラーという呼び方はいろいろな場合に使われるから正確ではないのですが、そんな形で取引がされる場合があると思います。
#125
○四ツ谷委員 そういう場合にこれは当てはまるのかどうかわかりませんけれども、主催旅行の登録をしないで、そしてもぐり的にやれるというふうなことはあるでしょうか、どうでしょうか。
#126
○西村政府委員 いまの下請の、いわば企画をする方の業者は、主催旅行をやる資格を持っていることは必要がないわけで、主催旅行の資格を持っているのは、あくまでも旅客との間で責任をとるべき旅行業者が主催旅行業者の資格を持っていれば足りるわけでございます。
#127
○四ツ谷委員 それでは次に、第十二条の七の主催旅行の表示事項についてお聞きをしたいと思います。
 たとえば広告で、「旅程 一日目 大阪空港−東亜国内航空−花巻空港」というふうに旅程が書いてあるわけですね。そういうときに、たとえば大阪空港を何時に出るかというふうな表示が全くなかったり、それから観光個所が不明である、どこで下車をするのか、あるいはもうバスだけで車窓観光になってしまうのか、そういうふうなことが全く不明の場合だとか、ホテル名は書いてあるけれどもルーム条件等が書いてないとか、何々ホテルまたは同等クラスのホテルというふうに書いてあって、同等ホテルというのは一体何が同等なのかわからないというふうな表示があったり、それからたとえば、台湾四日間八万九千円よりと書いてあるわけですね。これは下限はわかるけれども上限が一体幾らかわからないというふうな新聞広告だとか、いろいろな広告の表示の中で非常に抽象的な記載がありまして、トラブルのもとになる、こういうふうなことがよく言われているわけですけれども、今度の主催旅行の表示事項の中で、このような具体的な事項まで盛り込まれるようになるのでしょうか。そして、ここに運輸省令云々とありますね、そういうような中身はどういうふうになっているのでしょうか。
#128
○西村政府委員 今回、主催旅行の広告事項を規制した理由の主なものは、実際に旅行者が旅行を選択するときに、やはり特にパンフレットを頼りにしてそれで応募するということが中心的な問題でございますので、そこの点について最低必要な選択の要素を書かせるということがその趣旨でございます。したがいまして、いま御指摘のような旅行の日程、時間、それからどこで見学をするか、あるいはホテルの程度、そういったことは必ず明確に書くというのが当然原則になるわけでございます。
 また、先ほど、金額が何々よりということがあったようですが、旅行の価格は定額できちっと決めるというのが、これは約款でもそういうふうに決めることにしておりますので、それが不定な主催旅行の金額ということはあり得ないと思います。
 それで、ただ、私が先ほど申し上げましたように、旅行者が最終的な選択をするためのパンフレットだということできちっと書かせる必要があるので、単なる抽象的な誘引という程度の広告についてはどうするか、どの程度書かせるかということは確かに課題でございまして、最終的にはきちっとしたパンフレットを見ないとお客さんは態度を決めませんので、それはしっかりしたものをつくらせる。ただ、一般的なお誘い程度のパンフレットあるいはテレビその他の広告については、どの程度そこを省略させられるか、これは少し研究すべき事項だと考えております。
#129
○四ツ谷委員 私の質問の最後ですけれども、第十二条の七の終わりの方に、「その他の運輸省令で定める事項を表示」、それから次の誇大広告のところにも、「運輸省令で定める事項」というのがございますが、その運輸省令についてお答え願いたいと思います。
#130
○西村政府委員 主催旅行の記載事項としまして細目的に決めます事項は、主催者の名称と登録番号、取扱営業所とその連絡の仕方、旅行の日程、提供されるサービスの具体的な内容、旅行の対価、支払いの方法、旅行をやるかやらないかの最低の人員、これは最低催行人員と呼ばれておりますが、その募集人員でございます。それから添乗員があるかないか、その他いわゆる旅行契約上一番重要なポイントになるような責任に関する事項、そういうことを省令では列記して、パンフレットに必ず書かせるということを考えております。
 それから誇大広告の問題でございますが、これはいろいろ漠然と誇大広告の禁止をしておるのでは対象がはっきりしないということで、省令に具体的に書くということにしたわけですが、これにつきましては、具体的にどういうサービスを決めるか、先ほどの広告事項と同じようなことでございますが、そのサービスの内容について誇大があったかどうか、それからどういう旅行地、すばらしい白砂青松の旅行地だと言ったがそうじゃなかった、どぶ泥であったというようなことであれば困るので、旅行先の環境といいますか、そういった状況、それから旅行中の旅行者の負担について、非常に安く行けると言って実は非常に高い旅行だったというようなことであれば、そういった価格負担の問題、それから旅行中に生じた旅行者の損害の補てんに関する事項で、この旅行でどんなことがあっても旅行業者は責任を負いますなんというような、いいかげんな表現は実際には困るわけでございまして、そういった問題。あとは、主催者がどの程度の能力があるか、財産的能力その他について、あたかも旅行業者を信用させるような文言というものが誇大広告の対象として考えられようかと思っております。
#131
○四ツ谷委員 これで終わります。
#132
○越智委員長 辻第一君。
#133
○辻(第)委員 私は、営業保証金の問題について質問したいと思います。
 主催旅行の営業保証金の算定は、どのような基準をもとにして行われたのか、まずお尋ねいたします。
#134
○西村政府委員 今回、主催旅行につきましては、営業保証金の額を特別に引き上げたということでございますが、その考え方といたしますと、平均的な取り扱いをしている中小旅行業者が前受け金をどの程度受けているか、そのピークの月における平均的な前受け金の滞留額というものを推定いたしまして、その滞留額の大体半分ぐらいが保全されるように営業保証金の水準を決めたわけでございます。
 そういう考え方からいたしますと、中小の旅行業者の平均的な年間の取扱高が昭和五十八年ベース、最終的には約十二億円程度あろうかということでございまして、また、海外旅行の集中度は八月が最高でございまして、各月平均の約一・二五倍ぐらいの集中をいたしております。それから、主催旅行の取扱高は全体の取扱高の中で約七割程度でございます。そういたしまして、大体主催旅行の前受け金を旅行業者が預かって手元に置いておく。つまり、旅行の実施までにどのくらいの債務を負うかということになりますと、大体一月前にはその額、前受け金を受けている。それから手配旅行の場合ですと、大体十日ぐらいということが考えられております。
 そういう要素を勘案いたしまして、今回の金額を算定したわけでございます。
#135
○辻(第)委員 営業保証金の引き上げは、旅行者の保護が目的とされているわけでありますが、国内旅行業者で組織されております全国旅行業協会で、旅行者に対する弁済認証額はどのくらいだったのか、お伺いをいたします。
#136
○西村政府委員 国内の旅行業者の集まりでございます全国旅行業協会での弁済業務の実績を申しますと、一般旅行者に対する還付というものはほとんどその例がございません。
#137
○辻(第)委員 それでは、旅行者からの苦情の申し立てはJATAと全旅協、それぞれどのくらいあったのか、お尋ねいたします。
#138
○西村政府委員 一般旅行業者の集まりでございます日本旅行業協会が取り扱っております苦情では、旅行者からの苦情がほとんどでございまして、その他の債権者、取引の相手方からはほとんど寄せられておりません。
 これに対しまして、全国旅行業協会の最近の苦情等の申し出でございますと、申し出がありましたのは二十名ぐらい、一般の利用者もございますが、実際の営業保証金の問題として話が出てきたものは具体的にはほとんどないと聞いております。
#139
○辻(第)委員 いまの答弁にありましたように、全旅協で旅行者に対する弁済認証額はほとんどない、また旅行者からの苦情の申し立ても全旅協ではほとんどないということでございます。
 このように国内の旅行業では、旅行者が被害を受けられたことはほとんどなかったということだと認識するわけでありますが、旅行者の保護という面から申しますと、国内旅行については、営業保証金の大幅な引き上げは必要が薄いのではないかと考えるのですが、運輸省の見解はいかがでしょうか。
#140
○西村政府委員 これまでの国内旅行業者の弁済の実績から申しますと、一般旅行者からの申し立てが少ないので、一般利用者の保護を主とした今回の主催旅行の引き上げの額が少しオーバーじゃないかという御指摘は、非常に重要なことを含んでいると思います。
 私ども、国内旅行業者の場合に、本当に一般利用者の苦情がないのかどうか、そこら辺にやや心配な点があるわけでございます。と申しますのは、国内旅行業者の場合には比較的地縁で募集をするということで、現実には苦情が表面立って出てこない、問題になる前に地元でいろいろと話をして、示談で済ませているというケースがあろうかと思うわけです。したがいまして、これまで全国旅行業協会の網の中に入ってきていない、そして、弁済業務の実行という段階までの話がないということでございます。
 しかし、これからの状況を考えますと、主催旅行というのが一般化するということ、そして景気が停滞をしますと、特に主催旅行の企画がこの不況を脱するというのか、各会社が自分の経営不振を挽回するためにやや投機に走ることが危惧されておりますので、万が一倒産した場合には、国内の旅行業者といえども、いまの一千万円というような、最終的には二年後に一千万円にするわけですが、その一千万円という程度でも倒産した場合には少ない額なんだ、今日までの弁済の申し立てから申しますと、その必要がないようには見えるのでありますが、その金額自身の多寡からいいますと、これでも決して十分ではないというふうに考えているわけでございます。
#141
○辻(第)委員 いまの答弁の中で、これまでは示談なんかで額が小さかったということも含めて解決されてきたんだろう、実際そういうこともあったと思います。しかし、これまでの実績というのはほとんど大きな問題はなかったということ、そして、いまおっしゃったように小さい旅行業者、本当に営業状態は厳しいものがございます。そういう厳しさの中で、今度は逆にこういう、小さい業者から見れば過大とも言うべき保証金の引き上げは、かえって営業状況を厳しくする、あるいはそれが、まあちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども倒産に結びつく引き金にもなりかねない、あるいはもぐりの営業、そういうものがふえるのではないか、こういうことで、実際問題として逆に旅行者に被害が出る、そのような事例が増加をするのではないか、こういうことを心配するわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
#142
○西村政府委員 いまの御指摘のような心配というのは、私ども今回法律案を提出させていただきます前に関係業界と御相談をするときに、一番念頭に置いたことでございまして、実際に額の引き上げをして負担ができないという事態になりますと、旅行業の健全な育成ということができなくなるわけでございますので、今回の額の引き上げは、旅行業協会に加入しているメンバーにつきましては現在五分の一でございますので、とりあえず五百万に引き上げられました場合でも、これまで二百十万で、その点では営業保証金のベースで二百九十万、実際の納付額で第一回目は五十八万の増加ということでございます。とりあえずの状況では、実際にその程度の額が納められない旅行業者では、みずから主催旅行を募集して、人様の大切な金を預かる資格はないと言わざるを得ないので、やはりこの程度のことはやってもらわねばいかぬ。
 第二回目の引き上げの場合、さらに五百万積むわけで、結果的には分担金のベースで申しますと百万でございますが、あと二年後の間に百万というものを蓄積して、主催旅行者として当然果たすべき責務を果たすべく、その程度の金額の積み立てばぜひしていただきたい、このように考えているわけでございます。
#143
○辻(第)委員 小さい旅行業者にしてみれば、部長の言ったような簡単なわけにはいかない、本当に大変な金額であるというのが実態のように私は思います。あなたのおっしゃったこともよくわかるわけでありますけれども、現実の問題としては本当に大変な問題である、こういうことです。
 ですから、今度こういうふうに弁済業務保証金が相当ふえるわけであります。それから、実際にそんなに倒産がこれまで出ていない。これからのことはいろいろ議論があるところでしょうが、そういうことになりますと、弁済業務保証金というのが相当な額になるわけですから、実際の供託する金はもっと少なくてもいいのではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょう。
#144
○西村政府委員 旅行業者の実際の負担を軽くするために、旅行業協会に入っているものが分担すべき分担金というものの額を、分担率というものを引き下げることによってその負担を軽くすることができるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、当面のところは、いま景気の状態が非常に悪い、一方経営が厳しくなると主催旅行の投機性がますますふえて、経営の危険というものが出てきている状況でございますので、いましばらく様子は見たい。しかし、そういったことが安定してまいりますと、先生のお話のように、長期的には分担金の率というものは引き下げることが可能になろうかと思います。そういう点では、私ども、できるだけ早くそういった経営の行く末というものを見据えて、分担金の率の改定ということで実際の旅行業者の負担を一方では軽くする。そして一方では、営業保証金の額を十分一般利用者の要請にこたえられるようにするということで、両方をにらみながら現実的に可能な線を出していくように努力させていただきたいと思っています。
#145
○辻(第)委員 ぜひそのような方向で努力をしていただきたい、重ねて要望いたします。
 次に、受託契約の問題について質問をいたします。
 従来、旅行業の登録を受けた者は、代理店の登録を受けることなく他の業者の主催旅行の代理契約を行うことが一般化しておった、当局も特別の措置をとっていなかったというのが現実だったと思います。今回の法改正で、他の旅行業者の主催旅行の代理契約を行う受託契約の制度が新設される。この契約を結ばなければ他の業者の主催旅行の代理契約ができないことが明確になってきたということですね。
 大手業者の主催旅行は知名度が非常に高くて、そのような大手業者の主催旅行をどれだけたくさん扱えるかどうかということが、中小の旅行業者にとって、客を集める上でも営業をやっていく上でも大きな問題になるということは当然だと思います。したがって、中小の旅行業者が大手業者に受託契約の締結を求める場合に、中小業者の方はきわめて弱い立場に置かれるのではないか、こういうふうに考えるわけです。
 このような状況が考えられるわけで、大手業者が中小の業者と受託契約を結ぶ場合に、たとえば他の業者との受託契約を制限する、このような不当な条件を押しつけることがないように十分指導すべきだと考えますが、運輸省の見解はいかがでしょう。
#146
○西村政府委員 いま、大手業者の有名ブランドというのは旅行者にとっても魅力的でございますので、大手旅行業者の企画しているものを店頭に並べないと、中小の旅行業者の方も何となく肩身が狭いというような感じがあるようにも思います。したがいまして、大手旅行業者のものは比較的引き合いが多いというのか、そういうことで並べてくれという希望が多い。そういう関係を背景に、先生が御心配のような大手業者がいわば優越的な地位を利用して、中小業者に不当な条件を押しつけるというようなことがあってはならないわけですが、客観的にそのような事態があれば、これは不公正な取引方法に当たると言うことができるわけで、これは法律の規定を待って当然審査すべきことだろうと思います。
 ただ、現実の取引としますと、いま申し上げましたように、大手旅行業者のものを置くことが逆に中小業者にとっても有利なものですから、そういう点ではかなりいい条件を中小業者が出して、それをやるということが場合によってはあり得るかもしれない。しかし、それはその限度がどこまでかということを明確に申すことはできませんが、これは私的な取引の問題でございますので、役所側が一々介入して、どうだこうだと言うことも不適当なことだろうと思います。その度を過ぎた押しつけ販売というものがございましたら、これは不公正な取引方法として取り扱わせていただきたいと思っております。
#147
○辻(第)委員 時間が参りましたが、代理店契約を結ぶ場合に、代理店業務以外の業務についてまで親業者が不当な介入を行うことがないように、その点も指導していただきたい。つけ加えておきたいと思います。
 最後に大臣に、いま何としても旅行者の保護を十分やっていただきたい。そのことと同時に、小さい旅行業者も厳しい状況でございますので、そのような中小の業者を十分育成していただく、そのことに一層の御努力をいただきたい。その点についての御所見を伺いたいと思います。
#148
○小坂国務大臣 ただいまのお尋ね、われわれは何も大規模のものばかりを育成しようというのではもちろんございません。そしてまた、先ほど申し上げましたが、旅行に対する国民のニーズというものは、私は非常に多様化していると思います。そうした場合に、やはり規模の小さいところは小さいなりに、またそうしたニーズに対応して十分活動してほしいという考えでございまして、その辺のところのバランスは、われわれも十分心して今後の行政運営に当たってまいりたいというふうに思っております。
#149
○越智委員長 吉原米治君。
#150
○吉原委員 前回の質問で若干漏れた点がございますので、三十分の間にお尋ねをしたいと思います。
 最初に、添乗員に関する問題について二つほどお尋ねをしたいと思いますが、添乗員の資質を向上させるため、あるいは研修の内容とその運営等等について、政労使三者による常設の委員会を設置すべきではないかと思いますが、この点についてまず一点お尋ねをしたいと思います。
 それから二つ目は、旅程管理業務、この範囲を約款で具体的に明確化すべきではないか、そうして消費者に周知徹底させるべきではないか。旧約款によりますと「必要な業務」となっておりますけれども、今回「旅程管理業務」とわざわざ新しい用語が出ておりますが、この範囲を明確にすべきだ、このように思います。これが二つ目です。
 特に一点目の、添乗員の政労使三者による協議、これは昭和五十四年三月二日の第八十七通常国会での国際観光振興会法、この改正に関する議論の中で、わが党の久保委員が提言をしたものがございます。
 つまり、添乗員の資質の向上のために官民労三者による職業の訓練の制度化、こういうものを提唱したのに対して、当時の山元さんとおっしゃる政府委員が、大いに検討に値する課題でございますから十分検討する、こういう答弁があるわけでございますが、五十四年からといいますともう三年たっておるのです。
 今度の法改正をする際に、ぜひひとつこの添乗員の資質の向上のために関係機関を設けてもらいたい、こう思いますが、観光部長いかがでございますか。
#151
○西村政府委員 先ほどの、五十四年の国会におきまして久保先生から、今後の添乗員の研修についてそのような機関をつくってやったらどうだということについてお話があり、山元政府委員が、大いに研究したいと申し上げてございます。今回法律改正をするに当たりまして、私ども、観光労連という組合の方ともいろいろとお話をしました。今回の法改正におきましては、組合の方も旅行業制度検討委員会のメンバーに入っていただきまして、一緒にいろいろと議論をしてまいったわけでございます。
 どのような旅程管理をし、研修をすべきかということは、まさに旅行業法の基本的な重要な問題でございます。したがいまして、これにつきましては、旅程管理に関する経験のある人あるいは利用者というものから特にいろいろと御意見を聞いて進めていくべきことだろうと思います。そういう点では、いま申し上げました観光労連の方も、本問題について非常に関心をお持ちでございますので、そういった関心とこれまでの経験というものを生かして、私ども旅程管理についての研修の検討をするときに、そういった検討組織をつくりますときにはぜひ参加していただいて、その中で十分御意見を述べていただきたい、そういうことが適当だろうと考えております。
 それから、旅程の管理業務でございますが、今回の法律改正と並行しまして、主催旅行業約款というものを通常の約款から分けて、手配旅行業約款と主催旅行業約款と二つに分けます。主催旅行業約款では、いま申し上げた旅程管理につきまして、旅程の変更の問題、それから添乗員の業務として、具体的な手配のチェックなりあるいは旅程の変更の場合の精算の話だとか、そういったことが内容として書かれることになるわけでございます。
 その他、省令の方では、実際のトラブル防止のための措置等を具体的には書いてまいりたいと考えております。
#152
○吉原委員 一点目の政労使といいますか、官民労という表現がいいのか、これは表現はどうだっていいのですが、いまの観光部長のお答えで、利用者並びに直接添乗の業務に携わる観光労連の皆さん方もメンバーに入れた検討機関といいますか、そういうものはつくるのだ、しかもこれは、一遍つくって、そして一遍協議してもうさよならということでなくて、必要のあるたびに常時設置をする、そういう機関が必要じゃないかと思うのですが、いかがなものですか。
 それから二点目の、旅程管理業務の範囲を約款で具体的に明確にしてほしいということは、そのとおりに明確化いたしますという御返答でございましたか、もう一遍ちょっと確認しておきたい。
#153
○西村政府委員 最初の研修のための検討の委員会でございますが、これは研修のほか、先ほど申し上げました、いろいろときょう御議論いただいております旅行業法全体の問題が常にあるわけでございます。旅行業法全体の運用の仕方というのは、これはいつもそのたびに検討していかなければならない問題を抱えております。そういう意味では、旅行業制度検討委員会というのは、今回の法律改正あるいは法律改正に伴います約款の実施ということに向けて設けられてきたわけでございますが、このようなものを今後とも必要に応じて開催しなければいけないというようにも考えております。そういうことと関連いたしまして、研修の問題も必要の都度やる、開催するということにさしていただきたいと思います。
#154
○吉原委員 次の二つ目の質問は、業務改善命令の事項でございますが、これが同僚議員やあるいは他の質問者の中からいろいろ出ておりますように、まじめな中小業者の企業努力を大変損なうようなことがあってはならぬわけでございまして、行政のいたずらな必要以上の過剰介入、ここがちょっと心配な点でございまして、ぜひ不当な介入がされないような配慮をひとつお願いしたい。それが一つでございます。
 もう一つは、今度の新しい法律案の十八条の三の五号です。これは業務改善命令の条項でございますが、この中で保険契約を義務づける命令、こういうのがございます。これは具体的にはどういうことを指しておられるのか。この業務改善命令というのは、一定の何か不当なことをしたとか、あるいは業者として好ましくないことをやったとか、そういう結果出される命令であろうと思うのですよ。そうすると、その「旅行者に生じた損害を賠償するために」というのは、これは済んだ後のことを指して言っておるような感じがしますので、この五号の保険契約を義務づけるという命令はどういうことを具体的に指しておるのか、そこを明らかにしてほしいと思います。
#155
○西村政府委員 今回の法律改正とあわせまして旅行業約款の改正をする予定でございますが、標準旅行業約款では補償責任の規定を設けることを予定しているわけでございます。
 そして、このような補償責任を約款上うたいました場合には、それに必要な担保能力というものが要請されるわけでございますが、実際に中小の旅行業者が非常に盛大に主催旅行を催しますと、これは恐らく今後やりますような水準での補償責任というのを果たすには大変な金額を準備しなければならない。これは、保険を実際にかけないと安心して主催旅行はやれないという事態にはなろうかと思います。そういう点で、実際にその主催旅行をやります事業者が非常に大々的な旅行を常に催行し、そして保険をかけていないという状態が判明しましたときは、旅行業者に対してまず保険をかけることを勧告いたします。そして勧告して、かつ、どのような方法でそのような旅行業約款による責任を果たすつもりかよく調査いたしまして、その上でする能力がないことが明らかになりましたら、このような保険契約の締結の命令を出すということになろうかと考えます。(吉原委員「最初の行政の介入」と呼ぶ)
 それから、十八条の三の「業務改善命令」でございますが、今回の法律では、「旅行業者の業務の運営に関し、取引の公正、旅行の安全又は旅行者の利便を害する事実があると認めるときは、」という要件が書いてありますが、おっしゃるとおり、この表現だけでは非常に抽象的でございます。したがって、どのような要件があればこのような命令をすることになるのか、この規定からははっきりいたしません。その点では私ども、この法律が成立しましたら、このような各命令をするための前提となる具体的な要件というものを行政当局サイドで用意をしておきたい。これは非常に細かく決めておくことが必要だろうと思いますし、さらに、先ほど申し上げましたように、そのような命令をいたします前によく事情について調査をし、実際にその命令を発することがやむを得ないのかどうか、役所側の事実誤認があるかどうかということも確認する必要がございますので、そういった手続面も十分に含めまして要件を明確にして、このような命令の発動という運用をさせていただきたいと考えます。
#156
○吉原委員 次に、航空局お見えになっておるはずでございますが、前回の質問のときにもこれはずいぶん細かく聞いたつもりでございますが、航空運送秩序確立委員会というのができておるようでございます。従来から無登録業者、いわゆるもぐり業者と言われておる業者が格安な航空券を販売しておる。言ってみれば、政府の認可運賃を否定して、市場秩序を破壊しておる行為が現に行われておるわけでございます。したがって、今回の旅行業法では取り締まることができないというお答えでございましたが、現行の航空法によって、こういった無登録業者による格安航空券というものが一体取り締まりといいますか、指導を強化することができないものかどうか、またこういったもぐり業者の格安航空券は見て見ぬふりをしておるのか、こう私は航空局に言いたいわけであります。ちょっと、そこら辺で航空局の見解を聞かしてほしい。
#157
○山本(長)政府委員 御質問の航空券のいわゆる安売り問題は、運賃市場の秩序を維持し、航空企業の健全な発達を図ってまいるという見地から好ましくないことはそのとおりでございまして、この点につきましてこれまでも航空局におきましては、その秩序維持のための指導を続けているところでございます。特に、日本の航空マーケットに十分な足場を持っていない弱い外国企業、特に発展途上国を中心とする企業、その代理店による行為が、おっしゃるような問題を提起しているその中心になっているというふうに考えておる次第でございます。
 航空代理店の業務は、先生も御存じのように、航空会社にかわって諸般の活動を行うことを事業としておるものでございます。航空代理店における諸般の業務が結局は航空企業の経営にはね返ってまいり、またその信用を失墜するという結果になるわけでございますので、航空代理店の業務自身については、航空企業が定期運送航空事業の活動自身の中において、その適正化を図っていくというのが第一義的な責任であろうというふうに考えておる次第でございます。
 こういう観点から、国際航空運送秩序確立委員会というものが日本に入ってきております全定期航空会社によって設立されておりまして、その委員会の活動を中心にいたしまして、またこれを通じて、運輸省は秩序維持のための指導を行ってきておるところでございます。御指摘のような事実があることは非常に残念に思っておりますが、同時に、私たちといたしましては、定期航空運送事業の指導を通じましてそういった行為をなくしていくようにしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#158
○吉原委員 現行法で一体こういう無登録業者の不法な行為を取り締まれるのかという質問をしておるのですよ。登録のしてある航空会社の代理店がやるのはどうってことはないのでしょう。私が言っておるのは、無登録のもぐり業者がそういう格安な航空券を売っておるのだが、現行航空法ではどう取り締まっていくのか。法が不備なら法を改正する必要があるのじゃないか。いや、もう改正する必要はございません、航空法何条によってそれは十分取り締まっていけます、そこを答えてくれなければ意味ない。
#159
○山本(長)政府委員 航空代理店は航空法によりまして届け出制になってございます。いわゆるもぐりと言われる、届け出がなく代理店のごとき仕事を行うという事業者に対しましては、法律の百六十一条によりまして三万以下の過料に処す、こういうことになっております。また、認可運賃の違反をしたという行為に対しましては五万以下の罰金に処する、こういう罰則が適用されることになっておる次第でございます。
#160
○吉原委員 そこで、現行の届け出制になっております法百三十三条、これは単なる届け出であって、果たして代理店といいますか、そういう業者として適格かどうかという点をチェックする必要がある。特に、マンションの一室を買って電話一本で、従業員と思われるのが三、四名おって、そして看板も何も上げずにやっておる、財産的にそれこそ基礎などは全くない、そういうもぐり業者がこういった格安な航空券を販売しておる例がたくさんあるわけでございまして、航空法百三十三条の改正をぜひ検討すべきじゃないか。今度の旅行業法で言われております一般旅行業者資格、少なくともこういうものを持った者でないと私は適当ではない、こういうふうに思うわけでございます。
 また、特にもぐり業者と登録旅行業者、むしろ登録旅行業者の方がそういった無登録のもぐり業者と手を結んで、いま言いましたような格安な航空券を販売しておる例がたくさんあるわけでございまして、そういう登録旅行業者ともぐり業者の関係、こういうものをきちっと整理すべきじゃないかというふうな考え方から私は申し上げておるわけでございます。そういう観点から、百三十三条は、単なる届け出でなくて登録制に改正を検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
#161
○山本(長)政府委員 御指摘のように、こういった運賃の違反というものが残念ながら後を絶たない実情でございますが、現在の法律が一部事業者によって守られていない、こういう実情から、現在の制度自身をさらに変えていく、守られていない欠点はあるが、同時に、そのためにまた新しい制度を考えていく、制度を逐次細かくしていく、こういうふうな観点からの法改正については、私どもといたしまして慎重に考えざるを得ないという考え方でございます。
 先ほど申し上げましたように、航空代理店の業務というのは航空事業者自身の行為でございます。その代理店の行為が航空事業者の経営を不健全にし、かつ信用を失墜させていくということにつながっていくわけでございますから、先ほど私が申し上げました、そういった罰則の規定による担保はもちろんございますけれども、むしろ航空事業者自身がこの面について指導を十分にしていってそれをなくしていく。制度の罰則というふうなもの、あるいは新しい制度を考えていくということよりは、安売りをやることが自分たちに非常に大きな不利益を生じていくわけでございますから、むしろそういうやり方を通じて正していく、こういう方向で考えていきたいと考えておる次第でございます。
#162
○吉原委員 時間がだんだん参りますので、次に進みますが、これから省令の作成の作業に入られると思うのでございます。この作成に当たっては、役人さんだけではなくて、現地の実情に詳しい人たちを含めた、関係諸機関といいますか、そういうところと十分協議をしていただきたい。たとえばJATAであるとか、全旅協であるとか、先ほど観光部長もおっしゃった観光労連、こういう皆さん方と、省令の作成作業に当たっては十分協議をなさるお気持ちはおありでございますか。
#163
○西村政府委員 このたび提出させていただきました旅行業法の改正案の作成過程におきましても、過去二年余り、関係の方々の御意見を承りながら、そして皆様方の非常に熱心な御討議をいただいてここまでまとめてまいりました。
 今回の法案を具体化するための省令等の作成につきましても、いままでやってまいりましたと同じような手続で、関係の方々の意見をしっかり聞かしていただきまして、現実に実施できるような、そして法の趣旨に沿ったものを十分つくっていきたいと考えております。
#164
○吉原委員 それからもう一つ、旅行業法で言う取扱主任者、これが現地でもいろいろトラブルを起こしておるわけでございまして、特に、主任者個人対旅客との関係、くどいようでございますが、これは旅行を主催する業者の責任であって、添乗員あるいは旅行業務取扱主任者個人に責任が転嫁されるものではない、いままでの質問の過程でこう理解をしておりますが、それに間違いございませんか。
#165
○西村政府委員 ただいまの御質問の趣旨を、十三条の三項の不健全旅行の取り扱いの問題に限定してお答えしてみますと、この場合の添乗員の行った行為というのは、もちろんこの法律に違反いたしますことはいけないわけで、添乗員が実際に旅行者に接して行うわけでございますので、まず添乗員にその行いを正していただかなければいけないわけでございます。しかし、旅行業法が責任を追及するのは、あくまでも旅客に対してそのサービスを提供する責任を持っている旅行業者でございます。したがいまして、旅行業者は、そのような事態がないように常時従業員を教育し指導するということが要請されるわけで、このような違法な事態が生じましたときは旅行業者の登録を取り消すなり営業停止をするなり、そういったことで責任を追及する。この法律は、添乗員そのものの責任を追及するようなことは考えておりません。
#166
○吉原委員 最後に、きょうは労働省を呼んでおりませんけれども、過日の質問の過程で、添乗員の供給業務、供給会社とでもいいますか、そういうものが雨後のタケノコのように最近乱立をしております。私どもが一番心配をするのは、職安法違反の疑いがある、こういう認識を持っておったのでございますが、過般の労働省職業安定局のお答えでは、一定の契約を結べば、内容にもよるけれども、あるいは法違反にならないのじゃないかということでありました。きょうは労働省お見えになりませんから、観光部長、具体的にどういう契約を結べば職安法違反にならないとお思いですか、参考のために聞かせておいてほしい。
#167
○西村政府委員 職業安定法の運用の問題でございますので、私から申し上げるのは必ずしも適当ではないのでございますが、職業安定法の四十五条では職業安定法の労務供給事業について定め、一定の要件を省令で決めております。恐らく労働省の御見解も、その職業安定法の四十五条の解釈の運用に従って、これまで一定の請負として現実の責任を事業者が持って行うならそれは職業安定法として適当だという御見解を示されたものだと思います。
 私どもも、今後は労働省とよく連絡をいたしまして、このような添乗員の派遣をする事業につきましては、職業安定法にのっとった形で運用してもらうように十分連絡をしていきたいと思います。
#168
○吉原委員 終わります。
#169
○越智委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#170
○越智委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、旅行業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#171
○越智委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#172
○越智委員長 この際、本案に対し、加藤六月君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ・民主連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。吉原米治君。
#173
○吉原委員 ただいま議題となりました本案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の六党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 附帯決議の案文は、お手元に配付してありますので、その朗読は省略させていただきます。
 御承知のように、近年、国民の旅行需要は急激に増大し、特に海外旅行のための出国者数は四百万人を超えるといった状況であります。これに伴い、旅行業者との取引をめぐる紛議もしばしば生じているのであります。
 本附帯決議は、かかる現状を踏まえ、旅行の安全、旅行者の利便を確保するとともに、旅行業者の健全なる発展及び取引の公正を図るため、政府において特に措置すべきところを明らかにしようとするものであります。
 以下、附帯決議の内容につきまして、簡単に申し述べます。
 第一は、運輸大臣が業務改善命令を発する場合には、企業の自由競争に基づく発展を考慮し、行き過ぎた行政の介入が行われることがないよう、十分慎重に行うべきであるという趣旨であります。
 第二は、旅行業者の大部分は中小企業者である実情にかんがみ、営業保証金の額の設定等に当たっては、十分配慮して行うべきであるという趣旨であります。
 第三は、主催旅行の増加により、同行する添乗員の需要が高まり、このため添乗業務請負事業が発生したのでありますが、この事業が職業安定法の違反となることなく、適正な運営が確保されるよう配慮すべきであるという趣旨であります。
 第四は、旅行者保護のため、主催旅行に関する広告については誇大広告とならないよう、これまで以上一層厳重な指導を行うべきであるという趣旨であります。
 以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
 何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
   旅行業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、旅行業務に関する取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便等を確保するため、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。
一 業務改善命令を行うに際しては、十分慎重を期すること。
二 旅行業者の実情にかんがみ、特に中小企業者の育成について配慮すること。
三 添乗業務請負事業については、適正な業務運営が確保されるよう配慮すること。
四 主催旅行に関する広告については、誇大広告とならないよう厳重な指導を行うこと。
 右決議する。
    ―――――――――――――
#174
○越智委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 加藤六月君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#175
○越智委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、小坂運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#176
○小坂国務大臣 ただいまは、旅行業法の一部を改正する法律案につきまして、慎重審議の結果御可決いただきましたこと、ありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#177
○越智委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#179
○越智委員長 次に、内閣提出、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案及び船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。小坂運輸大臣。
    ―――――――――――――
 船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案 船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正 する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#180
○小坂国務大臣 ただいま議題となりました船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 海技資格、当直部員の要件等わが国の船員制度は、近年の国際的及び国内的な要因により、これを再検討する必要に迫られております。
 まず、昭和四十二年に英仏海峡において発生したタンカー、トリー・キャニオン号の座礁事故を契機として、船員の資質の向上についての国際的な要請が高まりました。今国会に別途提出されている千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、いわゆるSTCW条約は、このような背景のもとに、昭和五十三年七月に採択された条約であり、船員の技能に関する国際基準を設定することにより、人的な面から海上における人命及び財産の安全を増進することを目的とするものであります。主要な海運国であるわが国としても、海上における航行の安全の確保の見地から同条約の批准を急ぐ必要があり、今国会において別途承認を求めているところであります。
 次に、日本船の国際競争力の低下が昭和四十年代の後半から顕著になってきましたが、わが国の外航海運は、これに対処するため、船舶における技術革新を推進する一方、外国用船への依存傾向を強めてきました。しかし、外国用船への依存傾向がこのまま進みますと、日本人船員の雇用の場がますます縮小するのみならず、わが国の経済的安全保障上の要請にも対応できなくなるおそれがあり、いまや、日本船の国際競争力の回復が緊急の課題となっております。
 船員制度の近代化は、このような日本海運の置かれた環境を踏まえ、かつ、近年の船舶の技術革新にも対応して、わが国の船員が快適な労働環境のもとでそのすぐれた技能を十分に活用し、意欲的に職務を遂行することができる新しい職務体制を確立するとともに、これにより、日本人船員が運航する日本船舶が国際海運界において比重を増し、日本人船員の職域が確保される条件を整備することを目的とするものであります。
 以上のとおり、STCW条約の国内実施を図るとともに、船員制度の近代化を円滑に推進するため、今回、この法律案を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、条約の内容の国内実施を図るため、航海当直に関し遵守すべき事項、航海当直を担当する部員の要件、タンカーに乗り組む職員等の要件、船舶職員法の適用に関する旗国主義の採用、条約の要件を満たした新たな海技資格、海技免状の五年ごとの更新制、外国船に対する監督等について定めることにしております。
 第二に、船員制度の近代化を推進するため、設備等について一定の基準に適合する船舶に関し、条約の定める要件との整合性を確保しつつ、航海当直体制の特例、新しいタイプの船舶職員である運航士制度などを設けるとともに、船舶職員の乗り組み基準を政令で定めることとしております。なお、この機会に、明治以来維持してきた船舶職員資格の名称を近代的なものに改めることといたしました。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 ただいま議題となりました船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 最近、Mゼロ化を初めとして大型化、専用船化など船舶の技術革新はまことに著しいものがあり、それに対応して乗組員の少数精鋭化が進んでおり、また、漁船におきましても、漁場の遠隔化、漁労期間の長期化が著しくなってきております。しかも、そのような状況のもとで船員災害の発生率は、陸上に比べ依然として高く、従来の減少傾向がここ数年鈍化し、横ばいの状況を示すようになってまいりました。
 このような船員を取り巻く労働環境の変化に対処し、船員災害防止対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、安全衛生管理体制の確立その他の船員災害の防止を目的とする船舶所有者の自主的な活動を促進する措置等を講ずることとした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、船員災害防止活動の主体となるべき船舶所有者及び船員についてそれぞれの責務を宣言するとともに、国の援助等について規定することとしております。
 第二に、船舶所有者に総括安全衛生担当者の選任、安全衛生委員会の設置、船員に対する安全衛生教育の体制の整備を行わせることにより安全衛生管理体制の確立を図ることとしております。
 第三に、運輸大臣は、船員災害が多発していること等により総合的な改善措置が必要な船舶所有者に対し、安全衛生改善計画の作成を指示し、またはその変更を命ずることができることとしました。
 なお、以上のような改正点を踏まえ、法律の題名もこれに相応するように改正することとしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#181
○越智委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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