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#1
第096回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十七年四月九日(金曜日)委
員会において、設置することに決した。
四月二十一日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      天野 公義君    亀井 静香君
      木部 佳昭君    泰道 三八君
      中川 秀直君    中島源太郎君
      野中 英二君    鳩山 邦夫君
      林  義郎君    松永  光君
      森   清君    渡辺 秀央君
      上坂  昇君    清水  勇君
      中村 重光君    渡辺 三郎君
      石田幸四郎君    北側 義一君
      横手 文雄君    小林 政子君
四月二十一日
 中村重光君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
昭和五十七年八月五日(木曜日)
    午前十時開議
 出席小委員
   小委員長 中村 重光君
      亀井 静香君    泰道 三八君
      中川 秀直君    長野 祐也君
      野中 英二君    鳩山 邦夫君
      森   清君    保岡 興治君
      渡辺 秀央君    上坂  昇君
      清水  勇君    渡辺 三郎君
      北側 義一君    横手 文雄君
      小林 政子君
 小委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局取引部景
        品表示指導課長 山田 昭雄君
        外務省アジア局
        地域政策課長  橋本  宏君
        大蔵省関税局監
        視課長     森  厚治君
        通商産業省生活
        産業局通商課長 林  昭彦君
        参  考  人
        (鹿児島県織物
        工業協同組合理
        事長)     内田 正恭君
        参  考  人
        (本場奄美大島
        紬協同組合理事
        長)      中江 実孝君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
八月五日
 小委員石田幸四郎君四月二十八日委員辞任につ
 き、その補欠として石田幸四郎君が委員長の指
 名で小委員に選任された。
同日
 小委員亀井静香君及び木部佳昭君五月十四日委
 員辞任につき、その補欠として亀井静香君及び
 長野祐也君が委員長の指名で小委員に選任され
 た。
同日
 小委員松永光君同日委員辞任につき、その補欠
 として保岡興治君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 流通問題に関する件(大島紬問題)
     ――――◇―――――
#2
○中村小委員長 これにより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 先般、私が流通問題小委員長に選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。
 流通問題に関する件について調査を進めます。
 本日は、大島つむぎに関する問題について調査を進めてまいりたいと存じます。
 参考人として、鹿児島県織物工業協同組合理事長内田正恭君及び本場奄美大島紬協同組合理事長中江実孝君に御出席を願っております。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 最近における大島つむぎをめぐる諸問題について、参考人各位には忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれお述べいただき、次に小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと思います。
 なお、念のために申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。
 それではまず内田参考人にお願いをいたします。
#3
○内田参考人 御紹介いただきました鹿児島県織物工業協同組合の理事長の内田でございます。
 昨年六月この大任を仰せつかりました新参者でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 去る六月二十九日、県対協、つまり鹿児島県外国紬対策協議会から、韓国、中国つむぎ問題に関しまして、陳情申し上げましたが、国会の諸先生方には、与野党を問わず挙党一致で本問題に深い御理解を寄せられ、早速本日この小委員会に私どもを参考人としてお呼びいただきましたことに対しまして、産地を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 県対協は鹿児島、奄美両産地の役員で組織されておりまして、会長及び副会長は両産地の協同組合長が輪番で務めておりますが、ことしは私どもが当番に当たっております。初めての方もおありと存じますので、まず私の方から、今回の県対協としての要望事項を簡単に御説明申し上げます。
 では早速お手元の陳情書をごらんいただきたいと思います。
 前文にもございますとおり、産地側では昭和四十六年以来今日まで、実に十二年間にもわたりまして、政府、国会に対しまして外国つむぎ阻止対策等につきましてお願いいたしてまいっております。その結果、徐々にではございますが、改善はなされつつございますけれども、産地側から見ました政府の対応は、はなはだ失礼でございますけれども、さながら牛歩のごとく、隔靴掻痒の感を否めないものがございます。
 かてて加えまして、最近、中国つむぎの登場、進出もありまして、産地側の脅威感は一層深刻なものがございます。
 国際的貿易自由化時代の今日、国の対処方にも種々ネックはございましょうが、御案内のとおり、わが本場大島つむぎは、韓国や中国では一反の需要もない日本人独特の民族衣装でございます。しかも本場大島つむぎは、そのルーツをたどるとき、千三百年の歴史と伝統に輝くわが鹿児島県が日本に誇る独特の精巧な伝統工芸品たることを御賢察賜りまして、これから御要望申し上げる外国つむぎ阻止対策になお一層の御協力、御尽力を賜りますよう切望いたす次第でございます。
 では早速本論に入らせていただきます。
 陳情書の二ページをお開きいただきたいと思います。韓国つむぎ対策でございますが、まず第一点の三万六千五百反の厳守の問題につきましては、昭和五十二年の日韓交渉で決まりまして以来今日までなっておりますが、これを厳重に守るようにお願いしたいと思います。
 第二点が、本場大島つむぎ類似韓国産つむぎ製品に対しましては、特別ビザを付すように、これもぜひ実現していただきたい。
 第三点が、対韓国政府だけではなくて、今度は逆に国内の外国つむぎ輸入業者に対しまして、協定数量の厳守方の行政指導を切にお願いしたい。
 第四点が、韓国つむぎの不正持ち込みに対する税関のチェック。
 それから第五点が、原産国表示問題につきましては、今後とも織り込み両端表示と平たたみ方式を厳守するよう御配慮をお願いしたいということでございます。
 御案内のとおり、通関統計によりますと、かすり糸使用の小幅絹織物の韓国生産量は、五十一年から五十五年までの統計によりますと、年を追うごとに激減いたしておるにもかかわりませず、輸入量は昭和五十一年が百五十八万平米、昭和五十五年度が百五十万平米、約三十六万反でございますが、ほとんど変わっておりません。しかも、われわれ産地が民間に委託して調査した結果によりますと、毎年約二十万反近くの大島つむぎ類似品が入っているというようなデータも出ているわけでございまして、この三万六千五百反問題につきましては、できましたならば、この数もこれ以下に抑えていただきたいということを切にお願いしたいわけでございます。
 次が、第二点の中国つむぎ対策でございます。この問題につきましては、昭和五十三年以降の経過につきましては、別添資料のとおりでございますので御参考にしていただきたいと思いますが、何しろ相手が共産圏でございまして、この実態がわれわれには全然わからないわけでございますので、国の方で生産実態の調査方をお願いしたいというのが第一点でございます。
 第二点は、輸入の規制措置厳守と業者に対する行政指導の徹底、これは韓国つむぎ同様でございます。
 また、中国つむぎの不正持ち込みに対する税関チェック、それからみやげ品の持ち込み問題でございますが、中国では空港、ホテル並びに友誼飯店等におきまして、男物の本場大島つむぎを堂々と売っているそうでございまして、現にこれを買ってきている業者も多々あるわけでございますので、この点につきましても、韓国つむぎ同様、規制措置を講じていただきたい。
 以上が県対協としての今回の陳情の要旨でございます。
 最後に、私ども鹿児島産地の現況につきまして簡単に触れさせていただきたいと思います。
 鹿児島県織物工業協同組合は、大正五年に同業組合として創立以来六十六周年目に当たりまして、昭和二十五年に現在の協同組合となりまして今日に及んでおります。
 現在におきます組合員は九百五十五名、出資金五千五百万円でございます。
 生産状況等は、戦前の最高レコードが大正十年で鹿児島県全体で七十四万七千三百四十二反でございます。戦後のレコードとしましては、県全体で昭和五十一年が九十七万一千九十反、生産額で四百七十八億円でございますが、昨年、昭和五十六年におきましては、県計で六十九万七千二百三十八反、約四百七十一億円、このうち鹿児島産地が四十二万八千百十三反、金額で約二百十三億円、反数にいたしまして県計の六一%、生産額で四五%でございまして、残りが奄美産地となっております。
 なお、これを昭和五十五年との対前年比で見ました場合、鹿児島産地では反数、生産額ともに約三・七%程度の落ち込みでございましたが、昭和五十七年に入りましたら、昨年の末に私どもの役員会におきまして二割減産等の自主規制を申し合わせ、その効果が徐々にあらわれつつございまして、現時点、七月現在での対前年比は約一七%という減に相なっておりまして、本年は鹿児島産地にとりましてはまさに正念場と言える厳しい年になろうかと存じております。
 以上、はなはだ駆け足でございましたが、私の鹿児島産地の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#4
○中村小委員長 次に、中江参考人にお願いいたします。
#5
○中江参考人 私は、本場奄美大島紬協同組合の理事長をいたしております中江実孝と申します。どうぞよろしくお願いします。
 先ほど来、鹿児島の理事長がるる説明いたしましたので、私は、韓国つむぎ問題はさておいて、中国つむぎの問題について簡単に申し上げたいと思います。
 昨年の六月に、私たちの奄美大島で、中国の宣伝雑誌、三つの雑誌があるそうでございますが、この雑誌の購読者の会合ができておりまして、この代表が中国に渡ってハルビンとか北京とかいろいろ回りまして、帰りに上海の空港の売店で大島つむぎの男物が二匹並んでおるのを見まして、無理にそれを買ってまいりまして、四万幾らという値段で価格といたしましては安いのでありますが、それを持ってきて私たちに提示しましたので、早速通産省にもお見せして警戒していただきたいとお願いをしたことがあります。
 その後、ことしの五月十四日に、京都の大島つむぎを取り扱っている業界の方々が五十数社ありまして、大島紬会というのをこさえて、私たちもそれの特別会員になっておりますが、毎年二、三回会合いたしておりますが、その五月十四日の会合で、京都の大手の問屋の方が突然、自分の知り合いの後染めのいわゆる友禅とかああいうものを取り扱う業者から、中国で男物のつむぎを買ってきた者がおって自分に見せるので、自分もそれをぜひ分けてくれ一その後染めの業者に売った方の話では、中国では約百匹余りのストックがある、こういう状況で、びっくりいたしたのであります。その数年前に、京都に高橋機料という、機の材料、つむぎを織るいろいろな部品をつくっている業者がおりますが、彼にある業者が来て、五十組の部品を上海に出したという情報もつかまえております。と申しますことは、中国はああいう一元統制の国でありますから、表面には流れてこないのでありますけれども、恐らく香港その他を通じて入ってくる懸念が多分にある、私はこう見ております。
 そして、私たちが手に入れたつむぎを、県の紬技術センターという検査、指導をする機関がありますが、そこで厳密に検査したところ、原料は大島のものではない、韓国のものと似ている。韓国のつむぎは、気候風土の関係で糸のより合わせが、本数が多かったり、それから糸をよる回数がうちでは一メートル間隔で二百ないし三百でありますが、それの倍ぐらいよっている、したがってかたい織物になっているという違いがあるのだそうでありますが、その分析の結果、大島のシャリンバイも使っていないし、恐らく化学染料を使っている疑いがある。はっきりしたことは申し上げかねますが、韓国産のつむぎであるということが言えるのじゃないか。したがって、韓国の大島つむぎは、数年前と比べまして幾らか衰えておりますので、そういう悪徳業者が韓国から材料を何らかの方法によって香港その他に入れて、中国でつくらせているのではないか、かように思いますので、その点いろいろ御検討願いたい。
 先般、先ほど申し上げました三誌友の会が、名瀬の市長やら商工会議所の会頭やらと一緒に八名ほど中国の招聘を受けて、七月一日に出発して十五日に帰ってきておりますが、その中に業者がおりますので、呼んで聞いてみますと、北京の日中友好協会に参って、黄というその方は、日本の駐在大使館の二等書記官で、その三誌友の会の結成のために奄美まで来た人でありますが、その人を訪ねていろいろ事情を訴えたら、自分たちもそういう伝統的な日本の工芸品をつくらせることは好ましくないから、極力努力してそれを抑えるようにしたいという回答であったというお話も聞いております。
 いずれにしましても、現在の段階では数量的には大した数量ではないと思いますけれども、やはり韓国の二の舞を犯すおそれが多分にありますので、いまから警戒してこれに当たらなければ、必ず大きな問題に展開するのじゃないか、かように思います。
 御承知かもしれませんが、奄美大島は、十五万三千人の人口の中で、大島つむぎに関係している人口が約七、八万、半分は大島つむぎで生活しているという実情であります。年産約二十六万反、金額にして二百七十億円ぐらいで、大島でも最も大きな生産額を示している産業でありますので、この点をわれわれとしましては、生命産業であるからこれを守らなくてはならないと一生懸命努力をいたしておる段階でありますから、委員の先生方におかれましても、どうかその辺のことを御勘案くださいまして、御協力賜りますれば、この上もない幸いだと思います。
 時間もありませんので、この程度で簡単に御説明申し上げますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。
#6
○中村小委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
#7
○中村小委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。
#8
○保岡小委員 きょうは本当にお忙しい委員会の日程の中を、渡部商工委員長あるいは中村重光小委員長初め委員会関係の皆様方に、郷里奄美大島のつむぎの問題でいろいろ質疑をさせていただく時間を与えられまして、本当にありがとうございます。また、御出席の政府関係者、地元からおいでになったお二人の先輩にも心からお礼を申し上げます。
 きょう自民党の方では、鹿児島一区、鹿児島産地で選出されている長野祐也議員が韓国つむぎの問題についてはお聞きになるということで、私はいまお二人の参考人から話の出ました中国産つむぎの問題について質問をしてみたいと思います。
 この中国産つむぎの問題につきましては、昭和五十三年京都の業者の情報として、韓国で大島つむぎをつくっていることに対して、だんだん賃金コストが上がってきたり、その他日韓繊維交渉等で大島つむぎについて日本側が厳しい態度に出ているということから、韓国からつむぎを入れることよりも、中国からつむぎを入れた方が有利ではないかというようなことで、中国の方で大島つむぎ類似のものをつくって日本に入れようという動きがあるという情報が入りました。それで、その後、政府の方にも、あるいは国会あるいは政党の方にも、地元を中心として中国つむぎ対策ということで陳情してまいりました。いま参考人お二人からも述べられましたから、時間も関係しますので詳しくは申し上げませんけれども、私たち奄美大島にとっては、先祖伝来の伝統工芸品であるというもの以上に、現在において大島つむぎは、ああいう離島のいろいろな産業において非常に条件が悪くて、農業も、これはサトウキビをつくっているわけですが、台風の常襲地帯ということで、それ以外の農作物等に転換することもできず、非常に生産性の低い農業を余儀なくされている。そして第二次産業としても、この大島つむぎを除いてはなかなか産業として定着するものが見出せないというようなことで、いまお話のあったように、十五万余りの人口もあり、沖縄の六分の一の面積、人口ぐらいでございますから、そう小さな存在ではないのですけれども、非常にこの大島つむぎに依存して生きているということで生命産業、これがなくなったらその地域の社会が成り立たないという意味では、単なる経済問題を超えて社会問題であるというような重要な位置を占めているわけでございますから、そういう前提で、生命産業を守らなければならないという必死の地元の気魄、執念がこもっているものとして、それを前提に聞いていただきたいのでございます。
 韓国つむぎの問題が起こって以来、これは私たちも対応がおくれたと思うのですけれども、二国間交渉で昭和五十二年に三万六千五百反の数量規制をして今日来ておりますけれども、実はそれに数倍にまさる二十数万反というものが何らかの形でわが国の市場を脅威に陥れているのが実態であるというのが産地側の認識でございまして、その点、通産省側とも若干認識の違いもあって、果たして韓国との二国間交渉の数量規制、この合意が権威のあるものであるのかどうかという基本的な問題にまでなっておるわけでございますが、そういうことから、私たちはその反省に立って、中国問題についてだけはどうしても向こうで生業として定着しないうちに中国にも十分産地の実情を訴え、そうして友好的に貿易の発展を図り、定着をさせていくという姿勢で対処しなければ、両国間の友好に傷がつく。中国との国交を回復して以来、非常にいろいろな面で大事な国でございますので、日本政府としてもそういう認識に立って、小さいことと思わないで、先ほど申し上げたように、産地にとって大変な問題でございますから、われわれは、これを中国で生産されるようなことになって、今日努力が十分でなかったという結果になったときは、これはもう何とも悔いることのできない、それだけの問題であるという認識で当たっていただきたいのでございます。
 時間がありませんので、いろいろ聞いていきたいのですけれども、まず政府において、従前伺っているところによりますれば、中国との繊維輸入というものは一元輸入であって、カルテルであるからちゃんと着尺のつむぎ類似のものですら輸入をさせない方向で行政指導して、それは守られているというお話で、また組合員のみならず、アウトサイダーにも念書を得て、そしてもしそれに違反することがあれば、輸入業者としての指定を取り消すというようなことまでして、強い態度でやっておるから心配がない、こういう話を承っているのですが、実際の問題が、産地からの話で、先ほど中江理事長も言っておられましたが、五十六年に現に、先ほどお話しの三誌友の会というものが中国に行った際に、上海の空港売店に男物の亀甲二匹があった、四万七千円相当の日本円で売られていた。これを買ってきてあるわけですが、私も参考に見せていただいて、手元にあるわけですけれども、品物は非常に粗悪品で、日本で売っても品物としてはよくない。しかし、これは消費者が見ると、あるいは高級品であるか粗悪品であるかわからないというようなことから、こういうものが日本に入ってくるようになったら、これはもう消費者に対しても非常に重大であるという面も含めて、これだけの類似製品がつくられているということは重大である。これは通産省の方もごらんになったかもしれませんけれども、委員長もちょっと見ていただきたいのでございますが、このつむぎが現に販売されている。
 それからもう一つは、五十七年五月十四日に京都で産地の業者と京都の問屋とがいろいろと大島つむぎの販売について懇談会をしているわけですが、その席で、中国南京地区の国営の貿易会社の締綱公司で百匹やはり大島つむぎの男物の亀甲の製品があった。そのうち三匹をおみやげとして買ってきたということで、情報では、月に三十匹から四十匹の生産がなされていると関係者が語っていた、こういうことでございますが、五十三年以来、いま私が認識しているところに従えば、政府等で中国と交渉し、伝産品はつくらないような方向でということで中国側も理解している。しかも、一元輸入であるから、管理も政府としてはきちっと輸入組合に対しても行政指導もしてやっている。その内容は先ほど申し上げたようなことで、われわれもそれは理解できるところでございますけれども、しかしながら、こういうふうに実際に生産されている現品が出てきた以上は、それぞれ、一体どういうところでどんなふうにしてつくられているかということを中国に一度でも、特に五十六年の上海で買った物についてお聞きになったことがあるか、そしてこういう現品が出てきたことに対して、中国との交渉においてどういうような対応をされるつもりであるか、まずそのことを伺いたいと思います。
#9
○林説明員 ただいまの、保岡先生から、現に五十六年に空港の売店で売られているものがあったということについて認識しておるかという御質問でございますが、この点については、私どもも産地の方々から現物を含めて十分な情報をいただいておりまして、こういうものが中国で生産されておるということについては、そういうことを是認せざるを得ないだろうというふうに思っております。
 ただ、これが本格的な商業生産と申しますか、そういうベースのものではないのではなかろうかというふうに思っております。これは先ほど先生も御指摘のようなことで、ただいまの中国と日本との協定の履行の体系が日本側のカルテルという形で運営されておりますので、中国としてもそういう本格的な商業生産をするメリットがないということから、そういう判定をしているわけでございます。
 それから、こういう事実と申しますか、こういう情報をもとにして中国とどういうふうな形で対応しているかという点でございますが、そういう情報を踏まえまして、私どもとしては、まず、東京にございます大使館の責任者に対しまして、大変産地の方でこういう問題を心配しているのだという実情を説明いたしまして理解を求めました。
 それから、先月、七月二十二、二十三日の二日間にわたりまして、実は絹織物の交渉の予備交渉を行いました。本交渉は、実は昨日決着しておりますけれども、五十六年度の協定ができずに終わりましたものですから、ぜひ今回は決着したいということで予備交渉を行ったわけでございます。その節に私どもの方から、対外経済貿易部の責任者、それから最近絹の生産から販売まで全部扱うために締綱公司というのが新しくできたわけでございますが、ここの責任者に対しまして、産地側の心配を説明するとともに、伝統的な工芸品、それから産地にとっては先生も御指摘になりましたように生命産業であるということから、こういうものを中国でつくるということについては遠慮していただけないかということを要望し、かつ、この事態がわからないということが非常な不安を生むということにかんがみまして、実態の調査をお願いしたわけでございます。これに対しまして、中国側としては、一応要望も理解した、それから調査については検討いたしますということでございました。
#10
○保岡小委員 いろいろ努力されていることを感謝いたしますけれども、この中国つむぎの問題、予備交渉でいろいろ打診をされた結果、本交渉でどういう形かできちっと中国と話し合いをする、たとえば伝統工芸品については中国もこれを尊重して日本に輸出をしないというような趣旨を明確にできるかどうか、それをまず伺いたいと思います。
#11
○林説明員 本交渉におきまして、本件を絹織物一般の数量と同じ次元で取り上げるということは、若干、まだ現実に本格的なベースでの輸入問題が起こっておりませんので、いかがかというふうに思っておりますが、私の方から予備交渉の方で申し入れました点については、本交渉においても十分向こう側に意を通じているということでございます。
#12
○保岡小委員 先ほど私が申し上げました二つの例、これは実態調査をお願いするにしても、具体的に、この売られていたものはどういうふうなルートでつくられているか、こういうふうにこちらが把握している、ここで押さえた現品はどういうことで生産されてどういうふうになっているのか、そういうやはり実態調査も具体的に向こうに話をしないと、また回答も得ないと、先に進まないと思うのです。ですから、そういう交渉のあり方、実態調査のお願いのあり方などについても十分考えてもらいたい。
 加えて、中国は確かに社会主義の国ですから、国家が先産を管理しているという点だろうと思いますが、また一方、非常に人口が多く、国土が広く、いろいろな統計や行政組織というものが必ずしも日本のようには行き届いていないというようなこともあると思いますので、その点、こちらでもどの程度の実態調査、把握であるのか。これがそういう行政レベルの調査の不十分さから将来また大きな問題になってくれば、これは問題ですから、その辺の実情もよく踏まえて、わが大使館でも十分中国のそういう実態についてはわかるわけですから、その辺どの程度の調査であるか、われわれはそれを信頼して、中国で生産されてないとか、あるいはこの程度の生産であるとか承知することでいいのかどうか、そういうことも含めて、詰めて実態調査の交渉ないしその分析に当たっていただきたい。その上で、私としては要望として、もし多少なりともそういう動きがありやということであれば、これは本交渉でも、伝産品の尊重については十分交渉の場に上げて、何らかの合意を得るように努力をしてもらいたい、このように思います。
 それから、時間がもうございませんので、あと若干、いま輸入組合で、入ってくるもの、これは絹織物で、しかも着尺のものは輸入しないようになっているというのですが、これは一反も輸入させないということでやっているのですね。
#13
○林説明員 協定に基づきます絹織物の中国からの輸入につきましては、いま御指摘もございましたように、輸入組合のカルテルという形で実行しております。もちろんアウトサイダーもおりますので、アウトサイダーに対しては念書という形で抑えておりますが、過去に板締めのつむぎ類似品というのが入ったことがございますが、その後これも指導いたしまして、五十六年度以降はこの協定に基づきます中国からの絹織物には、大島つむぎのみならず、類似のものも一切入っていないということでございます。
#14
○保岡小委員 もしその中に紛れて入っているとか何かそういうことの可能性、これは大蔵省の監視課の方の問題だと思いますが、大蔵省の方に一言、そういう検査、監視も十分中国に向けてもとってもらえるのかどうか、それを一点伺いたいと思います。簡単に答えてください。
#15
○森説明員 つむぎの問題につきましては、御承知のように、通産省の承認がないと入らないということになっておりますし、また海外旅行者が携帯品として持ち帰るものについては数量制限があるわけでございます。これにつきましては、空港におきまして通常の携帯品検査のときに厳重に検査をしておりまして、超過分については積み戻しあるいは任意放棄といった措置をとっております。
#16
○保岡小委員 韓国の問題に関しては非常に努力をしてそれなりの成果を上げているように伺って、われわれも感謝しておりますので、中国問題についてもそういう点からも十分関心を持って、韓国つむぎ以上にまた対応していただけるように心からお願いを申し上げておきます。
 それからもう一点、韓国ルートを通じて入ってくることを地元の参考人の先輩お二人とも心配しておられました。いま委員の渡辺先生からも横から話があったわけですが、大島つむぎみたいなものは外国で着ないんだし、中国で着るものではない、したがって日本だけに輸出をしなければ、生産する意味のない商品じゃないか、それが生産されるとなると日本だけが直撃されることになるから、そういうことも踏まえて考えなければいかぬという趣旨のお話を横からされたわけです。
 全くそのとおりで、現に中国との関係がぴたっとカルテルで抑えられるとなると、他の繊維交渉のない地域を通じてあるいは緩やかな地域を通じてこれが流入する。特に香港経由で入ってくることについて非常に現地で心配しております。これについての対策についてどうなっておるか、どういうふうにするつもりであるか、その点を最後に伺って終わりたいと思います。
#17
○林説明員 中国品が香港等近隣から迂回して入ってくるという問題でございますが、現在、香港を含めまして協定のない国々については、近隣につきましては事前確認制で、そこの原産地であるということを確認した上で入れるという体制がしかれております。したがいまして、香港につきましては、中国と陸続きだということもございますので、この原産地証明は、通常の商工会議所というようなものではなくて、香港政庁の発行のものをもとに確認をするという体制をとっておるわけでございます。したがいまして、中国産が香港あるいはその他の近隣国を経由して入ってくるということは、現在の管理体制上は起こり得ないというふうに思っておりますが、実は昨年統計にちょっと香港からつむぎ類の輸入があったように出ておるわけでございますけれども、これは私どもの確認の原簿を実は全部チェックいたしましたが、ございません。それから、大蔵省の方にもお願いをいたしましてチェックをした結果、これは統計の作成の際、過って入ったということでございまして、現実には香港からも入ってないということでございます。
#18
○保岡小委員 その香港経由については、先ほど例に挙げました南京地区での現品を押さえた際の関係者の話だと、華僑を通じて売る予定で、月産三十匹ないし四十匹の生産をしておるということでございますから、その辺のところは十分なお香港ルートについても検討、調査、その他対策を怠りなくお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
#19
○中村小委員長 長野祐也君。
#20
○長野小委員 参考人の皆さん、本日は遠路御苦労さまでございます。鹿児島の誇る伝統的産業を守り育てるために幾多の困難を乗り越えて、中心的な存在として長年努力されておられることにまず敬意を表したいと思います。
 また、大島つむぎに対します関係当局の温かい御理解、そして委員会の先生方の温かい御指導にもこの機会に感謝を申し上げたいと思います。
 ただいまは、大島つむぎ問題の国会における第一人者である保岡代議士より、中国つむぎ対策を中心に質問がなされました。御指摘のとおり、韓国の二の舞にならないように、私からも十分なる歯どめ対策を要望しておきたいと思います。
 そこで私は、韓国つむぎの問題を中心にお尋ねをいたしたいと思いますが、時間が非常に限られておりますので、答弁もごく簡潔にお願い申し上げたいと思います。
 まず、このたびの日韓新協定の内容を御説明いただきたいと思います。
#21
○林説明員 日韓の絹交渉は、七月の二十八、二十九、三十と三日間行われまして、最終的に妥結をいたしたわけでございますが、この中で絹織物の分につきましては、昨年度は協定ができないままに終わっておりますので、八一年度及び八二年度を一括いたしまして千三百五十万平米の範囲となるような韓国側の輸出自主規制をするということで終わっております。
 それから、特に大島つむぎにつきましては、前年同様三万六千五百反、この内数として出す、こういうことになっております。
 それから、表示その他につきましても、従来同様に織り込みで両端につける、平たたみにするということもあわせて決まっております。
#22
○長野小委員 先ほど内田参考人から指摘のありました特別ビザ、この問題についてその後どのような検討がなされておりますか。
#23
○林説明員 特別ビザの問題につきましては、従来から私どもとしては、そういう全体の絹織物の中に、さらに二重ビザ的につけるということについて韓国側にも要請をしておるわけでございますが、この前提となります大島つむぎとそれ以外のつむぎ類との区分をどうするかという問題が依然として決め手を欠くということもございまして、今回の交渉では、従来どおり、韓国側の自主規制で通報するという形のままで、特別ビザをつけるということに合意が至っておりません。
#24
○長野小委員 技術上の見分け方の決め手を欠くという答弁なんですが、その見分け方について、たとえば専門家の指導による税関職員の研修というようなものはやっておられるのでしょうか。あるいはまた、産地の専門家を税関に派遣をするというような制度についても御検討をしていただけないでしょうか。
#25
○林説明員 税関の研修については、また大蔵省の方からお答えいただきたいと思いますが、とりあえず区別の問題につきましては、専門家の皆様はおわかりになるというふうに従来から言っておられるわけでございますし、私どももそういうことであろうかと思いますけれども、風合いとか長年の経験で、一種の勘と申しますか、そういうことで二国間の協定の履行ということを担保するというのは若干行政上は問題がある。やはり行政ベースで客観的に見分けられる、こういう基準がどうしても必要でございますので、それをまず私どもの方で解決し、かつそれを韓国側に了解してもらった上で、大蔵省にまたお願いをするというのが順序かというふうに考えております。
#26
○森説明員 つむぎにつきましては、御承知のように、税関で規制をしておるわけでございますが、これにつきましては、かねてより税関職員によくその実態を研修させております。
#27
○長野小委員 そこで、国内の輸入業者への行政指導の徹底の問題なんですが、実はこの件について、ことしの四月二十二日の物価特別委員会で、私、従来の口頭による指導ではなくて、協定後、文書による指導を徹底していただきたいということを御提言申し上げたのですが、これはいつ実行していただけるか明らかにしていただきたいと思います。
#28
○林説明員 日本の輸入業者に対する行政指導につきましては、先生の御提案もございまして、当時はもう少し韓国との交渉を早く終了するというふうに考えておりまして、近々ということを申し上げたのでございますが、先ほど申し上げましたように、つい先週に決着を見たということでございますので、これを踏まえまして、八月中には文書で輸入業者に対して要請をするというふうなつもりでおります。
#29
○長野小委員 八月中に文書による行政指導を約束をしていただいたので、一歩前進してくると思いますが、どうか先ほどの保岡議員の指摘にもありましたように、この協定が本当に厳守されますように徹底していただきたいと思います。
 次に、内田参考人が先ほど指摘をされました税関の対策について、三点お尋ねをいたしたいと思います。
 二反規制のチェック体制がその後どのようになっているのか。それから過去三、四年分で結構ですが、関税法に基づいて摘発をした件数を明らかにしていただきたい。それから昨年の二月から、この二反規制になったわけでありますが、三反規制時のときの持ち込み数量と二反規制時のときの持ち込み数量のデータというものをお持ちであれば、それも明らかにしていただきたいと思います。
#30
○森説明員 お答えをさせていただきます。
 つむぎにつきまして、二反規制のチェック体制はどのようになっておるかという御質問でございますけれども、これは海外旅行者が携帯品として持ち帰ります韓国産の大島つむぎ等のつむぎ類につきましては、五十三年の九月からその数量が規制されております。五十六年の二月からこれが二反ということになっておるわけでございます。したがいまして、税関におきまして、これを超えるものが携帯品として発見されました場合には、これは超過分につきましては積み戻しあるいは任意放棄といったような措置をとっておるところでございます。
 それから、過去数年間において摘発件数がどのくらいあったかという御質問でございます。これにつきましては、大島つむぎの不正輸入に関しまして、関税犯則事件として摘発いたしましたものは、年次別に申しますと五十四年が六件、五十五年が十三件、五十六年が十七件、それから五十七年、本年でございますが、一月から六月まで八件という実績が出ております。
 それから、つむぎの三反規制時と二反規制時とを比較いたしまして、持ち込み数量にどのような変化が出てきたかという御質問でございます。この点につきましては、実は私ども航空機等の旅客に対する旅具通関におきましては、何分にも短時間に多数の旅客を迅速に処理しなければならないという要請があるところから、原則として口頭申告で処理するということになっておりまして、携帯品輸入について統計をとっておりません。したがいまして、つむぎの持ち込み数量につきましては、一般的には明らかになっていないわけでございます。ただ、五十六年の二月に三反から二反へと規制を強化したときに、サンプル的に十日前後の期間をとりまして、伊丹空港において韓国産つむぎ類の携帯輸入状況を調査したことがございました。このときの暫定的な調査では、携帯人員一人当たりの平均持ち込み数量にはさして変化は見られなかったという結果になっております。
 以上でございます。
#31
○長野小委員 いろいろ努力をしていただいておりますので、今後とも税関体制に万全を期していただきたいと思います。
 そこで、公取に伺いますが、業界によりますと、協定取り決め量三万六千五百反があるにもかかわらず、二十数万反が韓国から入っているのではないかと聞くわけでありますが、そういう偽って入ってくる問題についての公取としてのチェックはどのようになっていますか。
#32
○山田説明員 先生ただいま御指摘の三万六千五百反ですかの協定であるにもかかわらず、二十万反程度類似品が入ってきておるということでございますが、それ自身につきましては、私どもの所管しております景品表示法の法律は、御存じのとおり品質あるいは規格等につきまして著しく優良であると消費者を誤認させるものにつきましては、不当表示になるということでございます。したがいまして、国会でたびたび問題になりました韓国産でございまして、無表示、全然表示をしないで国内に流通しているもの、あるいは大島つむぎというような表示がされておるようなものにつきましては、これは不当表示ということで、私どもで法的措置をとりましたり、警告等をしております。またこれにつきましては、今後とも十分監視を図ってまいりたいと思っております。
#33
○長野小委員 最後に、時間がありませんので、二点まとめて伺いますが、通産省の絹需要の振興策について見解を伺いたいと思います。
 もう一つは、過剰織機の買い上げについて基本的にどのように対応されていかれるつもりか伺います。
#34
○林説明員 絹需要の振興につきましては、わが国の絹需要の九割というのは和装用でございますので、和装用の需要増進ということ、これがひいては大島つむぎの需要拡大というものにつながるかと思いますが、こういう和装需要の振興というのを基本に進めておるわけでございます。
 いろいろございますけれども、産地振興法に基づきまして産地組合が行います展示会あるいは即売会といったようなものに対する助成というのを一つ行っておりますし、それから繊維工業構造改善事業協会に絹振興資金というのがございますが、この基金の果実を活用いたしまして、全日本きもの振興会の主催いたしますいろいろな催事に対する助成を行っております。それから伝産法に基づきます需要振興というのに対しても助成を行っているということでございます。
 それから、織機の買い上げの問題でございますが、これは昭和五十二年度から五十四年度にかけまして、全国ベースで約二万四千台の買い上げを行った際に、鹿児島県におきましては約八百台の織機を買い上げ廃棄ということを行っております。この五十二年度から五十四年度にかけまして行いました廃棄は、これは五十一年度から始まりました一元輸入制度の恒久化というものによります絹業の被害を救済するその対策の一環として行われたわけでございますので、その際には、いろいろな条件につきまして一般の共同廃棄に比べては優遇されたという経緯がございます。最近和装需要全体が大変低迷しておりまして、この中でやはり大島つむぎについても同様な傾向が出ている、あるいは極度に出ているということが最近については言えるかと思いますが、こういう中で、再度の設備共同廃棄をしたいということが、先般日絹連の総会におきまして正式に決議をされております。こういう決議があったということを踏まえまして、通産省としましても、具体的な検討を開始しているわけでございます。今後十分いろいろな条件を検討いたしまして、結論を出したいというふうに考えております。
#35
○長野小委員 時間が来ましたので、一つだけ最後に要望しておきたいと思いますが、大島つむぎをめぐる今日の厳しい現状は御案内のとおりでございます。
 そこで、いろいろな融資制度というものがあるわけでありますが、どうも伺ってみますと、大変利用率が低い。それは貸付期間とか金利の問題等でいろいろ問題があるようであります。たとえば農林漁業金融公庫でありますと、最低金利三・五%あるいは最高貸付期間三十年というような長期低利の融資制度もありますので、そういうようなものを、こういう厳しい財政再建の中で大変でありますけれども、ひとつ前向きに御検討いただきたい。そして、この長い歴史にはぐくまれてきました大島つむぎが、将来末永く鹿児島の地域産業として、またわが国の伝統産業として守り育っていきますように十分なる対策を強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#36
○中村小委員長 上坂昇君。
#37
○上坂小委員 参考人の皆さんには本当に御苦労さまでございます。非常にお忙しいところをせっかく来ていただきましたので、まず参考人の皆さんにお聞きをいたしたいと思います。
 一昨年私の郷里で、私はいわき市でありますが、市長が奄美大島出身なものですから、デパートで物産展を行いました。非常によく売れまして、全国的にも珍しいぐらい売れたということであります。大島つむぎに対する認識も地域的には大分広がったわけでありますが、全体的に最近の売り上げと申しますか、どのくらいいま出ておるのか、全体的に社会が不景気ですからなかなか高価な品物で買いにくいという点がありまして、販売の面でも停滞をしているんではないかというふうに思いますけれども、従来と比較してどんなふうになっているか、内田さんからお答えをいただければと思います。
#38
○内田参考人 昭和五十五年と昭和五十六年で申し上げたいと思います。鹿児島県全体で、昭和五十五年が七十一万四千二百七十八反、金額にいたしまして五百八億八千六百万円でございます。それから昭和五十六年が生産反数六十九万七千二百三十八反、生産額にいたしまして四百七十一億六百万円、対前年比で県計全体といたしまして七・四%の落ち込みでございます。
 以上でございます。
#39
○上坂小委員 こうした傾向というのは、やはりことしに入りましても同じような形になっておるかどうか。
#40
○内田参考人 先ほどごあいさつの中で申し上げましたとおり、本年は、昨年の末に業界で自主減産等を申し合わせました結果、鹿児島産地におきましては約一七%の落ち込みとなっております。したがいまして、本年度は相当厳しい年になろうかと推察いたしております。
 奄美産地の方は、奄美産地の理事長の方からお答えをいただきたいと思います。
#41
○上坂小委員 それでは中江さんの方からもひとつ……。
#42
○中江参考人 私のところは大体二十五万反ないし二十六万反というコンスタントな生産状況でやっておりますけれども、一昨年から不況の波に襲われまして、昨年等はずいぶん不況の苦しい目に遭いました。ことしの一月からようやく、専門用語でありますけれども、七マルキとかあるいは十三ヨミとかいう大衆的なものは比較的荷動きが動き出している。ということは、いままで九マルキという、かすりの込んだ複雑なものをたくさんつくり過ぎまして、五十万とか六十万とかいう高値を示しましたので、消費者が高値抵抗でそれを買わなくなっているということで、それのストックが問屋の方にもたくさんありますし、産地にもたまって、金融の面でも困りましたが、最近は、先ほど申し上げますとおり、大衆品と申しますか、こういうものが幾らか動き回っておりますので、金融面はことしの一月からは少しはよくなってきているという実情であります。
 そういうことで、私たちも組合員に対して、鹿児島のように機械生産は一つもありませんので、おまえのところは何割減らせというような指導はできませんので、やはり問屋の情報を集めて、こういうものは余り好ましくないから控えた方がいいだろうと役員会あるいは組合便りで指導してやっておりますので、そういう傾向は逐次浸透しておると思いますけれども、九マルキがいいとなると、もうどっと高いものをつくる、あるいはまた十三ヨミとかあるいは五マルキ、七マルキがいいとなると、またみんなそれに向かっていくという一辺倒の傾向がありますので、困っておるのが実情であります。
#43
○上坂小委員 奄美群島の場合、これに従事をされている皆さんは、サトウキビとかそうした方面の仕事をやりながら、その期間を過ぎますと、大島つむぎの方に従事をするというような、本当に家内工業と申しますか、そういう形でやっておられるというふうに聞いております。これを協同組合にまとめて、協同組合でいろいろと指導し、めんどうを見ておられるだろうというふうに拝察するわけでありますが、一戸当たりの収入の場合、たとえばいま言いましたように、七マルキとか何かの比較的安いもの、そういうものをつくる場合の収入と、それからいまの九マルキ、非常に高いもの、そういうものをつくる場合の、日数による点もある、期間によってもいろいろ違ってくるでしょうけれども、収入の面で大変違いがあるのではないかというふうに思うのですね。そういう意味で、どのくらいの、大変失礼な質問でございますが、これからの政策上も重要だと思いますので、そうした携わっておられる皆さんの収入というものがどのぐらいになっておるのですか。参考までにお聞かせいただければありがたいと思います。
#44
○中江参考人 私のところの組合員は、かつては二千四百名ほどありましたけれども、この中にはやはり睡眠組合員がおりますので、組合費を年間六千円ずつ徴収することにしまして、その支払いを怠る者は組合員の資格を失わせるということで整理しまして、現在は千五百名程度に減っております。そして大体北大島、名瀬市を中心とする笠利、竜郷が中心地帯でありまして、徳之島、永良部、与論あるいは喜界というところは、いわゆる出機の方式で、親方は名瀬におって原料を出して、その離島の方では織り賃、加工賃を取ってやっておるというのが実態です。そして主婦の副業としては、景気のいいときは平均十万円ぐらいの織り賃を一月取っておるようであります。九マルキなんかになりますと、二十五万、三十万という高い織り賃もありますけれども、今日はそれは余り生産されていないということであります。
 こういうことを申し上げましてはなはだ失礼でありますけれども、産地価格と末端価格とでは、二倍半ないし三倍の高い値段を呈しております。中間が、繊維界の弊害と申しますか、封建的なそういう残滓がやはり残っておりまして、中間マージンをうんと取られておる。たとえば小売店は、一〇〇の実績を上げておったら、余り売れないから、反数は売れなくてもその価格をつり上げて昨年の実績を保とうということをしますし、また売り方も、店で待っておったのではこのごろ大島つむぎを買いに来る人はほとんどいない、持ち回り販売、そういうことをやっておりまして、問屋も傘下の、系列の小売店を指導して、持ち回り販売でなければ売りにくくなっているというのが大島つむぎの実情であります。問屋の意見を聞きますと、織物界では、なかなか不況であるけれども、結城と大島つむぎはまだ恵まれていると言いますけれども、やはり問屋としましても、従来は系列の機屋から買うのが七〇%もありましたけれども、今日は形態が変わりまして、産地の小さな零細な業者たちが見込み生産するのが七〇%程度になりまして、京都あるいは名古屋、大阪あたりの大きな問屋が図案を出して、できたものは自分たちが買い取るというのはわずかにいま二〇%、二五%しか占めておりません。したがって、問屋は自分が出した図案に基づくものを買うほかに、市場品といいますか零細な業者がつくったものを選別買いしているというのが実情であります。そして、一年間に需要期と不需要期がありまして、この七月の終わりごろから九月の終わりごろまでは問屋はほとんど仕入れません。冬のものは十月ごろから仕入れに来る、こういうのが実態のようであります。
#45
○上坂小委員 去年鹿児島に行きまして、それで産地で品物を見まして、その値段をある人に聞きましたら、地元で買う値段と比較いたしまして、飛行機で行って二、三日鹿児島見物をして、そして一反買ってくればその分で楽しんだ分が出るというふうに言っておりました。そのぐらいいまお話しのように値段の開きがあるわけですね。余り開きがあるものですから、どうしても地方では特殊な人しかなかなか買えないというような状況が出てまいりまして、そういうところからかなり売れ行きの不振も出てくるのではないかと思うのです。
 ここのところは何とか改正をしなければならぬと思うのですが、いま買い手市場のような形になっておりまして、選別買いもされるというような状況ですから、なかなか売りにくい状況だろうと思いますし、大変な状況です。そういう時期に韓国のつむぎ、あるいは中国の脅威というものが云々されますと、これはますます苦しくなるということはわれわれも非常に強く感ずるわけであります。
 そこで問題になります韓国産のつむぎでありますが、これは従来、おみやげ品の三反から二反まで持ち込み規制をする段階におきまして、商社等のツアーを募りまして、それで大島つむぎの販売をやっている業者の人たちがみずからツアーをつくって、それで韓国へ行ってみんなに三反ずつ持たせて持ち帰ってきたというような状況がありまして、そういう業者の人たちがいる限り、せっかく現地で苦労して本場物をおつくりになっても、これがなかなか売りにくくなってしまうというような状況がありました。この件についてはいまどのような形に、そういう形のものはなくなったでしょうか。先ほども三反から二反になりましてからの違反の件数が発表されましたけれども、三反から二反になっても、今度はツアーを何回か数多くやれば同じような結果になってくると私は思うのです。そういうようなことはいま行われているのかどうか、聞きたいのです。
#46
○中江参考人 かつて成田空港を利用して群馬県の高崎関係に根拠地を置いて一万七千反という莫大な数字をそういうツアーを利用して入れた事件がありまして、警察当局にお願いしまして、主として京都府警が活動してもらったと思いますが、これを検挙しまして、すでに有罪の判決を受けた例があるのです。その後、そういうようなツアーを組んで大々的にやっているという例は私たちの耳にはまだ入ってきておりません。
#47
○上坂小委員 これは政府の方とやりとりいたしますと、韓国つむぎについてはなかなかちゃんと取り締まっている、税関の方でも厳しくチェックしているからという回答が返ってまいりまして、本当のところはつかめないわけであります。前からもいろいろお話がありましたけれども、韓国の生産量が三十六万反にも達しているというような状況であったと思いますが、いまもやはり生産量というのは変わらないというふうに把握されておられるでしょうか。これが第一点ですね。
 それからまた、その三十六万反の生産能力を持っているそれらの対象というのは日本に決まっておるわけで、韓国で使うはずはないと思いますから、そうしますと、そのうち一体どのくらいの数量というものが現実に持ち込まれているというふうに考えておられるか、予測しておられるか、この辺について内田さんから御説明いただければありがたいと思います。――どちらでもよろしゅうございます。
#48
○中江参考人 韓国つむぎは五、六年前、もっと前からかなり大きな生産反数ができて工場もたくさん活躍しておるようでありましたけれども、向こうの高度成長と申しますかインフレーションと申しますか、そういう点でかなり向こうの業界は縮小して、もう韓国つむぎのあれは余りよくない、京都あたりでそれを取り扱っているやみ業者と申しますか、これらも、もう韓国は余り見込みがないのだ、こういうことと、それから日本の商社がよく理解しまして、韓国つむぎと大島つむぎの区別がよくわかってきて、本物を買いたいけれども、高いから韓国つむぎを買おう、こういう傾向になっておって、韓国つむぎはそう余り心配要りませんよというのが京都の問屋たちの言葉でありますけれども、やはり実際問題として韓国つむぎは入っておりますので、われわれとしては販売に影響いたしますのでお願いをいたしているところであります。
#49
○上坂小委員 いろいろ前から対策をやってまいりまして、皆さんの陳情も何回か受けまして、私たちもそれぞれにいろいろ努力して政府にいろいろな規制の実施方を要請してきたわけでありますが、その効果は徐々にあらわれてきているというふうに解釈してよろしゅうございますか。
#50
○中江参考人 つむぎのおみやげ品が初めはフリーで十反でしたが、それが三反に減り二反に減ったというのは大きな効果があったのではないかと私は思います。
#51
○上坂小委員 そこで問題なのは、そうは言っても二国間協定の三万六千五百反、韓国つむぎについてこれ以上の入荷をされていることは事実であるということになると思います。そこでこれをどうしても減少しなければならないという形が第一番の要求事項であろうと思うのです。
 そこで、通産省に対してお伺いしますが、この三万六千五百反の厳守ということについての有効な手段ということになりますと、そうすると、三万六千五百反以上のものについての入荷について、これをチェックし、あるいはとめる手だての一番有効なのは何であるかということをひとつお聞きしたいと思うのです。
#52
○林説明員 ただいまのところ韓国との間では現実に韓国がビザを出しておりますのは絹織物一般でございまして、大島つむぎにつきましては、韓国側から毎月の内数としての大島つむぎの量を反であらわしまして通報してくるということでございます。現実に私どもといたしましては、韓国側の通報というものを公式的な基礎に置かざるを得ないという立場にあるわけでございます。
 この三万六千五百反を絶対に超えないようにするためにどういう手段があるかという御指摘かと思いますが、これは一切の制約をとればいろいろなことが考えられると思いますけれども、現実には二国間協定というのがあって、こういう土俵に韓国に出てもらって、日本の絹織物あるいは大島つむぎの産地の現状というものを理解してもらった上での現時点での合意というのは、なかなかこれを踏み出していくことがむずかしいということでございます。
 ただ、私どもとしては、たとえば大島つむぎにつきましては、その内数でございますけれども、さらに特別のビザをつけるという形にすれば、これは管理が一層厳格になるんではないかというふうに思いまして、韓国側に対してはそういう提案をしておるわけでございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、現実には技術的な問題の解決ということがなかなか決め手を欠いておりますものですから、そういうこともありまして、いまだに合意をされてないということでございます。
#53
○上坂小委員 これはなかなか委員会の席上では言いにくいことで、国際的な問題になりますから言いにくいことになってしまいますが、特別ビザを韓国側に出させるという形でなければならないわけですね。日本で出したってこれはしようがないと思うのです。そこで、向こうが出すということになりますと、向こうの都合というものが起こってくる。都合という言葉くらいしか、ここで出すと大変なことになってしまいますから。いまそれでなくてもいろいろと問題が生ずるおそれがあるからここら辺にとめておきますが、非常にむずかしいということなんですか。でも、これは交渉のたびごとには折衝の議題としては出して、何回か向こうに要求をしている、こういうふうに解釈してよろしいんですか。
#54
○林説明員 特別ビザの実施につきましては、日本側としては従前から引き続きまして韓国側に要請をいたしておるわけでございます。韓国側といたしましては、実は絹織物全体についての規制というのも自由化すべきであるというような主張もしておりますものですから、それと技術的な問題が合わさりまして、なかなか現実に向けてスタートするというのはむずかしいということでございます。
#55
○上坂小委員 もう一つは、原産国表示の問題でありますが、これの厳守についても先ほどお話がありました。これは内田さん、中江さんにお伺いしたいと思うのですが、前に聞きましたら、向こうから持ってくるものを、日本へ来るところで日本で今度は切ってつないでしまう、そして本場物にして表示をするというようなことまでやられたというふうに聞いております。またそういうことができるような向こうの品質といいますか、こちらの品質となかなか見分けのつかないところまできているんだというようなお話を承ったことがございますが、いまでもそういう形のものはありますかどうか。
#56
○中江参考人 前は、そういう表面はメード・イン・コーリアというものをあれしまして、丸巻きで中に本場産というのをつくって、通関が無事済むとそれを巻きかえて、メード・イン・コーリアを切って本場物であるというふうに偽って商売した例はたくさんありましたけれども、最近はそういう声は余り聞きません。
#57
○上坂小委員 もう一つお伺いしますが、つむぎというのは、私は玉糸で織るというふうに聞いておったわけでありますが、大島つむぎの場合には、これはいまお使いになっていないように聞いておりますけれども、これは前から使っていないのですか。最近になってから使わないようになったのですか。その点ひとつ……。
#58
○中江参考人 私たちが子供のころは玉糸、本糸というので二種類あったのですけれども、最近はほとんど玉糸は使っておりません。だから人によっては、あれはつむぎじゃないじゃないかというようなことまで言う人もおりますけれども、名称はつむぎと称して、実際は本糸を使っているということです。
#59
○上坂小委員 そこで、きのう農林水産委員会の方で繭糸価格安定対策に聞する議案が出まして、法律の一部改正が行われたわけであります。繭糸価格安定法の一部改正ですね、これが可決をされたようであります。そこでこれは実割りというのがあるそうでありますが、この実割りをどういうふうな形で実施をするのか、その辺のところを説明をしていただくこと、これは通産省ですか。
 それから、大島つむぎに対しての実需者売り渡しの割り当てというのですか、これについてはどのぐらいの数量が行われているのかお伺いをいたします。
#60
○林説明員 先生御指摘の新しい法律は、この実割り制度を法律的にしっかりしたものにしようということでございますが、実割り制度そのものは、一元輸入が開始されましたとき、この制度の絹業者への対策の一環として導入されたわけでございまして、五十一年の十月から実施をされておりまして、五十一年度一万四千俵、五十二年度三万俵、五十三年度三万二千五百俵、それから五十四年度三万俵というふうに割り当てられておるわけでございます。これは実は私どもの方は農林省と相談をしておりますけれども、実際に割り当てておりますのは農林水産省でございます。
 こういう形で絹業者に割り当てられております生糸のうち鹿児島県、これは大部分大島つむぎだと思いますけれども、鹿児島県への割り当てというのは、累計で千百二十五俵ということになっております。実際にはこれは組合に、日絹連に割り当てられて、そこで配分を決めてやっているというふうに聞いております。
#61
○上坂小委員 そうすると、いま生糸が十五万俵ほど事業団の方の倉庫にたまっておるわけですね。これについて、この価格安定法の一部を改正する今度の措置でどのぐらいの効果があるかということを通産省としてはどう見ておられるか。いかがですか。
#62
○林説明員 実は実割り制度が発足いたしました当時は、輸入量というものも相当ございまして、そのうち三万俵は実割りに充てるというような原則になっていたかと思います。御存じのように、実割りの生糸は安いものですから、その量が多ければそれだけ絹業者としては得るところがあるという形になっておりました。ところが繭糸価格の低迷で、この実割り糸を出す条件を満たさないというような事態が若干昨年ございまして、そういうことで円滑に実割りが出ていかないということが一つと、それから協定数量が年を追いますごとに小さくなってきた。そして現時点での協定数量あるいは日本側の協定の履行能力ということを勘案いたしますと、とても輸入糸では三万俵ないという事態が現実に起こっておるわけでございます。したがって、絹業者の立場からいたしますと、一元輸入を当初始めたときと若干事態が違っているというふうな声が上がるわけでございます。私どもとしては、今度の法律改正によりましていろいろな実割り放出の要件が緩和され、またいわゆる実割りのために輸入した糸でなくて、一般の輸入糸等が、これも事業団に大変大量に在庫になっておるわけでございますが、こういうものも実割りの原糸として活用し得るというふうに聞いておりますので、従来必ずしも絹業者にとって都合よく運んでいなかった実割り制度というものが、今度の法律改正によりまして若干は円滑に動いていくのじゃないかというふうに期待をしているわけでございます。
#63
○上坂小委員 もう一度韓国の問題でありますが、韓国の方では日本に対する三万六千五百反の反数について全量チェックをする、検査をするというふうに言われておりますが、これは日本と言えば全量検査ができるのかどうか、やっているかどうか、その辺について。これは税関の方おりますか。
#64
○森説明員 韓国産つむぎにつきましては、海外旅行者の携帯品として持ち込むものにつきましては、御承知のように数量規制がございますので、それにつきましては私ども厳重にチェックしておりまして、これは一般的な量検査ということでやっておるわけでございますが、超過分が発見されました場合には積み戻しあるいは任意放棄ということをさせておるところでございます。
 それから、一般的な商業貨物につきましては、通産大臣の承認というのが必要であるということになっておりますところから、これは現実にはインボイスにビザ印が押してあるものにつきましては、輸入を許可をしておるというのが実態でございます。
#65
○上坂小委員 すると、通産大臣の許可があれば輸入できるということになると、通産省の方でそれをチェックする形がないと、一体何が入ってくるのか、どのくらい入っているのかということがちょっとつかめない。その辺は通産省ではどういう措置をとっておられるのか。
#66
○林説明員 ただいまのところ韓国からの絹織物につきましては、協定の数量に見合うピザを韓国側が、それが最高限度でございますけれども、これを出すという形になっておりまして、このつむぎについては、先ほど申し上げましたように、特別にビザを出していない。これは大島つむぎは三万六千五百反、毎月、たとえば今月は二千八百反出ましたというような通報は受けておるわけでございますが、これは絹織物一般のビザと同じビザでございますので、一件一件輸入貨物が、これは大島つむぎであるかないのかというのは日本側ではわからない仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、それで十分かという先ほどの先生の御指摘でございますが、私ども公式には、これは韓国側でそういうことで通報してきてもらっておるわけでございますので、それをもとに考えざるを得ないわけでございますが、より一層厳格に実施されるということのためには、大島つむぎ三万六千五百反については、内数でございますけれども、別のビザをつけてもらえば、そのビザがついていない大島つむぎが入るという場合には税関でチェックをしていただける、そういうことを期待して韓国に要請をしているわけでございます。先ほど申し上げましたように、こちら側の税関にチェックをしていただく場合の客観的な基準をつくらなければならぬという点が一つと、韓国側として、これ以上規制の強化というのは一般論といたしましてひどいではないか、日本の貿易自由化あるいは市場の開放ということにも反するじゃないか、むしろこの際、絹織物全般の規制をやめてくれ、こういうような反論で議論がすれ違っているというのが現実でございます。
#67
○上坂小委員 非常にむずかしい国際間のいろいろな問題があると思いますが、本当に伝統的な工芸を守るために、一層の努力をしてもらいたいと思います。
 そこで、今度は中国の大島つむぎの問題を最後に聞きたいと思いますが、中国とは前からも生糸それ自体についていろいろな関係がありまして、かなり中国側が日本に対して配慮をしてきた歴史的な経過があると思うのです。そういう点で、中国との間の話し合いというのはかなりきちんとした形で進むのじゃないか。ただ、教科書みたいな問題が出てくるとなかなかむずかしくなってしまうのだけれども、そういうものがなくてやるということになると、私は中国との話し合いというのは十分進むと思うのですね。そこで、中国側でもこちら側の問題を十分理解されて調査をされるように聞いておりますが、これはどの時点で中国と確約されたのか、お答えいただきたい。
#68
○林説明員 これは七月の二十二日、二十三日に、先ほど申しましたように、絹織物についての予備交渉を行いまして、実は私が参ったわけでございますが、その席上で中国側に、大島つむぎを生産するということは、わが国にとって非常にいろいろな問題があるのだということについての説明をいたしまして、こういうことは中国としても本来とるべき政策でないというふうに聞いているがどうかという点を指摘して、できるだけ自粛してもらいたいということを申し上げたわけでございます。これは先ほどちょっと申し上げましたように、現実に問題が発生をしておりませんで、潜在的な危機と申しますか、そういう状況でございますので、これを公式の文書にして確認するというような問題ではなかろうと実は非常に非公式に事前に中国側に当たったことがあるわけでございます。そのときにも、中国は、そういう問題の提起のされ方をするというのは、中国としても非常におもしろくないということを言っておりましたので、そういう形でなくて要請をした。それから一方で、この実態がわかりませんと非常に不安だ、実態以上の恐怖を日本側としては持たざるを得ない、これは日中双方にとって得策ではないのじゃないかということを指摘いたしまして、どこでどのぐらい生産しているのかということを調査していただきたいということを申し上げたわけでございます。これについては、彼らとしては具体的には知らないけれども、そういうものは調査する必要があると思うので検討さしてもらいたいというふうな反応でございました。
#69
○上坂小委員 いただいた「中国紬対策の経過について」という資料の「昭和五十六年十月 業者からの中国情報」というところで「鹿児島市内韓国紬取扱灰色業者Aが中国渡航をしていることが判り、調査を開始した。」こうなっておりまして、この業者が中国でつむぎ織りの技術指導を行っているというようなことがございますが、こういう点をどういうふうな形で取り締まったらいいものか、その辺について参考人の方からお聞かせをいただければありがたいと思うのですが、いかがでしょう。中江さんでも内田さんでもどちらでも結構です。
#70
○中江参考人 大島の者で鹿児島に生活している者がもう何十回と中国へ渡っている。これは極秘にしてくれと言われておりますけれども、出入国管理ですか、パスポートの関係ではっきりしている者がおるのです。それを私の方の組合で独自に、名前もわかっておりますので、鹿児島まで行って調査しましたら、自分は観光で行ったことはあるけれども、そういうことで行った覚えはない、こういうことを言って、それ以上どうしても根拠を追及することはわれわれとしてはできないのです。ですから、税関当局とか出入国管理とかいうものがその者をマークして、そして荷物を持ってきたりすれば、それを押さえるということしか本人を押さえることはできないのじゃないかと思って、いま困っているところでございます。
#71
○上坂小委員 時間が参りましたから、私の質問を終わりますが、私たちはこれからこの大島つむぎの維持あるいは発展のためにいろいろ努力をしたいと思いますが、それについての御指示あるいは助言をいろいろいただきまして、参考人の皆さんありがとうございました。一層この大島つむぎの発展のために私たちも努力をしてまいることをお誓いいたしまして、終わります。
#72
○中村小委員長 北側義一君。
    〔小委員長退席、清水小委員長代理着席〕
#73
○北側小委員 参考人の皆さん御苦労さまです。
 この「中国紬対策の経過について」の最初にも少し書かれておるわけでありますが、最近韓国の国内情勢としてのインフレまた人件費の高騰、ここらで韓国つむぎのいわゆる市場競争力が非常に落ちてきておる、こういう話がされておるわけでありますが、そういう韓国産のつむぎの市場競争力が落ちてきたから香港または中国、こちらの方へ流れていくのかどうか、ここらを参考人はどのようにお考えか、それをお伺いしたいと思うのです。
#74
○中江参考人 韓国は先ほど申し上げますとおりインフレで労賃も高くなりますし、そういう韓国つむぎを取り扱っている業者がメリットがない。したがいまして、中国でやれば人口も多いし、労賃も安いから、そういうところに流れていく方がいいという考え方じゃないか、これは私の推測であります。
#75
○北側小委員 次に、この中国の実態というのは非常にむずかしいわけですが、これは同僚の委員も聞いておられましたけれども、おいおい後から私もお伺いしてまいりたい、こう考えるのですが、奄美大島でのタテヨコがすりとヨコがすりの合計生産量は大体二十六万から二十七万反、このように私、この数字から見ておるわけです。鹿児島の方は合計数量で最近相当数落ち込んできているわけです。たとえば昭和五十一年の約七十万三千反、これがピークですね。年々減少しまして、五十六年度においては約四十三万反。その内訳を見ますと、減少している主なもの、これはヨコがすりがこのように減少しておるわけです。ここらについてどこに原因があるのか、参考人にお伺いしたいと思うのです。
#76
○中江参考人 奄美大島のことについて申し上げますと、私たちのところはほとんど全部が手織りでありまして、ヨコがすりは一〇%にも満たないと思っております。ほとんど全部がタテヨコがすりということを申し上げて差し支えないと思います。
 鹿児島の方は鹿児島の理事長に答えていただきたちと思います。
#77
○内田参考人 タテヨコがすり関係の生産状況でございますが、昭和五十六年と五十五年度を対比いたしました場合、鹿児島産地におきましてはタテがすりが三%の増、ヨコがすりが九%の減でございます。その他しまがすりとかいろいろございますが、そういったものが大分減っております。
 これらの原因につきましては、ヨコがすりは御案内のとおり機械生産でございますので、これがフルに回転いたしますとすぐ価格暴落というようなことになりますので、しかも単価が安いといったようなことから、鹿児島産地におきましては、ヨコがすりの方が大幅に減産になっておるようなわけでございます。
#78
○北側小委員 これは通産省の方にお伺いしたいのですが、日韓二国間協定で数量が三万六千五百反、こうなっておるわけですね。産地の皆さん方が京都の矢野経済研究所、ここへ何か調査を依頼されたその結果を見ますと、三十万反近い韓国つむぎが日本へ流入しておる、こういう報告が出ておるわけなんです。先ほど来いろいろ論議されておるわけですが、こういう実態について通産省はどのように考えておられるのか、まずそれを伺いたいと思います。
#79
○林説明員 矢野経済研究所の調査結果につきましては、私どもの方も非常に貴重な一つの資料ということで、これを参考にさせていただいておりますけれども、これはこれで大変労力もかけた調査かと思いますが、私どもの方はこれを若干疑問点なきにしもあらずという感じで見ておるわけであります。
 と申しますのは、この調査方法が、調査目的を秘匿しましてやっておるということで、これはたとえば調査員の聞き方いかんによっては、答える側としては、自分の事業活動が相当大きいよということを相手に思わせようというような場合も起こり得ますし、調査目的というのを秘匿せざるを得ない事情はよくわかりますけれども、秘匿していろいろな表現を使っておりますと、そういう意味での狂いが出てこざるを得ないということが基本的にあるかと思います。それからその結果、たとえば私どもの方でインボイスと矢野経済研究所の調査結果の中で大手の二、三の輸入業者の数字を突き合わせをやったわけですが、これはインボイスで、大島つむぎを含めてすべての類似のつむぎ類合わせて一つの番号になっておるわけでありますが、この数量よりも矢野経済研究所で、たとえばA社ならA社がLCベースで輸入したというつむぎの数量の方が多くなっておる、これはちょっとあり得ないことでありまして、こういうこと、あるいはこれは矢野経済研究所の担当された方も認めておられますけれども、たとえば男物のいわゆる板締めのつむぎ、これは大島つむぎではないわけでございますが、つむぎ類似ということでは入りますけれども、そういうものも入れておったというような率直なお話もあったというようなことを勘案いたしますと、これに信をおいて――信をおかないということではありませんけれども、これをもとに韓国政府と交渉するというのはなかなかむずかしい。ただ、これは一つの貴重なデータでございますので、これが出ました後の韓国との交渉におきましては、こういう調査結果も出ているということで向こうにこれを示しましていろいろ議論はいたしました。そういう意味で、私どもとしても非常に役に立ったわけでございますけれども、いずれにしても、これがたとえば二十五万反と言っておるから韓国から二十五万反入っておるという形で少なくとも二国間の議論はちょっといかがかというふうに思っておるわけでございます。私どもとしては、たてまえと申しますか、公式的には韓国が毎月通報してくれておる数字というものを基礎にせざるを得ないという立場にあるわけでございますが、ただ、産地の皆様方も折に触れていろいろ協定数量と現実に入ってきている数量に違いがあるんじゃないかという指摘をされておられますので、そういう問題意識は私どももともに持たせていただいております。そういうことの一環としまして、先ほど来御答弁しておりますように、特別ビザを付するというような提案も韓国側にしているということでございます。
#80
○北側小委員 先ほど来の論議を聞いておりますと、韓国つむぎの日本へ入ってくるルート、携帯品は数量規制、また商業荷物で入ってくる、こういうことですね。
    〔清水小委員長代理退席、小委員長着席〕
絹織物はつむぎも一般で全部入ってくる。実際問題として、税関の方でこれは見てわかるかどうかという、韓国つむぎであるとかあるいは一般の絹織物であるということがわかるかという疑問を私は持っておるのですが、これはどうですか。
#81
○森説明員 韓国つむぎにつきましては、職員に対して常日ごろ研修しておるところでございまして、旅具通関の場合には数量規制がございます。これはフライトの発出地等からもどこから来たものということが大体推定されるわけでございますけれども、これにつきましては、数量規制を旅具通関の際履行せしめることといたしておりまして、超過分については積み戻し等しかるべき措置をとっておるところでございます。それから商業貨物でございますが、これにつきましては、通産大臣の承認というものは絹織物全体についてかかっておるわけでございまして、現実にはインボイスにビザが押捺してあるというものについて輸入を承認するということになっておるわけでございます。したがいまして、税関においてもそのように現実には実施しておるということでございます。
#82
○北側小委員 やはり韓国産のつむぎについては、別に何らかの形をやるのが一番いい方法じゃないかと思うのですよ。二国間の協定ができている以上は、やはりそういうこともできるのではないかという考えを私は持つのですが、そこらはどうですか。
#83
○林説明員 その協定数量の三万六千五百反を厳格に実施、履行していくという観点からは、先生御指摘のとおりだと思います。ただ、先ほど来何度も申し上げておりますように、つむぎ類の中から大島つむぎとそうでないもの、これは私ども一応板締めとそうでないものという形で分けるというのが適当かと思っておりますけれども、こういう区別が行政ベースでなかなかつきにくいというのもこれまた現実だと思います。したがいまして、韓国側への申し入れをすると同時に、その点についての問題を解決しなければいけないわけでございまして、私どもの方の専門家とそれから産地の専門家の方々で協議をして、そういうはっきりした基準、行政ベースで使える基準というものを確立した上で、初めて韓国との交渉でいま申し入れておりますことに迫力が出てくると申しますか、ということではないかと思うわけでございます。ただ、一方韓国の方は、この大島つむぎの日本の生産者の窮状というものについては非常に理解を持っておるわけでございますが、それが現実に二国間の協定で非常に厳格に規制をされるということについては、哲学上非常に受け入れがたいという態度を基本的に持っておるということがございますので、私どもとしては、韓国に対して理解をより一層求めるという努力とともに、技術的問題の解決ということを並行的に進めてまいりたいというふうに思っております。
#84
○北側小委員 そこで、次は「中国紬対策の経過」、これは私ずっと読ましていただきまして、この初めの方にも「京都高橋機料から京都業者がオサ六十台を依頼、大阪空港から上海へ発送する」、こういう情報があったとかいろいろずっと書いてあるわけです。こういう状況を見まして、通産は通産としてのいろいろな対応をなさっておられるのだろうと思うのです。率直にお聞きしますが、中国での生産の実態、これが通産で把握できるのかどうか、これが一点です。それと、中国産のつむぎの輸入規制等不正持ち込みに対する税関のチェック、これがどのようにやっていかれるのか。また国内の取扱業者に対する行政指導、これをどのように今日までやってこられたのか。この三点について伺いたいと思うのです。
#85
○林説明員 ただいまの御質問の第一点の中国の実態把握でございますが、これは私どもとして直接その実態調査をするということはなかなかむずかしいというふうに思います。したがいまして、通常の国のように、たとえばアメリカでございますとかその他の国では調査機関というのが発達しておりますので、そういうものに頼むということもできますけれども、中国についてはそれもできないということでございます。そういうことで事態を踏まえまして、私どもとしてはその実態の把握というのは非常に必要ではないかと思いますが、これは中国の政府に頼むということ以外にないのではないかというふうに理解しております。したがって、先日そういう依頼を中国にしたわけでございます。
 それから二点目の、中国品についての税関のチェックでございますが、現実にその潜在的なおそれというものはあるかと思いますけれども、現実に中国つむぎの流入というのが起こってはいないというふうに私ども認識しておりますので、特にこれを協定上の数量にするということは当面考えておりません。したがって、税関の方に中国産のつむぎをこういう形で規制してもらいたいというような依頼は現実にはしていないわけでございます。
 それから最後に、国内の行政指導によりまして、日本の輸入業者の方を指導するという御指摘でございますが、これは韓国産のものについては現実にいろいろな問題が指摘されておりますので、そういうものを踏まえて、私どもとしては、従来主要な人を呼びまして、自粛を要請するというようなこと、あるいは文書で、韓国との協定上は三万六千五百反です、そういうものを見ながら自分の取引というものを考えてもらわないと困りますよというような要請を出しておりますが、これは大分時間がたっておりますので、先ほど長野先生の御指摘もございましたので、八月中に新たに文書での要請をしたいというふうに思っております。
 それから、今回の韓国との交渉の準備といたしまして、実は本省及び大阪通産局に主要な輸入業者を呼びましていろいろなヒアリングを行いましたが、その中でつむぎを扱っております有力な業者に対しては、これから文書で要請しようということをかなり懇切に申しまして、自粛の要請を行っておるわけでございます。
#86
○北側小委員 時間がありませんのでもうやめますが、いずれにしましても、大島、鹿児島の、わが国の伝統的なつむぎ問題につきまして、ここでこれだけ論議されておるわけですから、なお一層の御努力をお願い申し上げたいと思うのです。
 それから、これは参考人の方にお願い申し上げたいのですが、鹿児島県中小企業団体中央会と鹿児島県絹織物工業組合、これは「新しい躍進のために」ということで研究報告をなさっておられます。これを読ましていただきました。その中でいろいろな問題があるわけです。これについては一つ一つお尋ねしたいと思っておったのですが、する時間がないのでやめますが、どうか業界内部なら内部として、このような研究報告書に基づいた新しい躍進のために、変えるべきところは変えていく、このような御要望を私の方から申し上げまして、質疑を終わらしていただきます。
#87
○中村小委員長 横手文雄君。
#88
○横手小委員 本日は大変遠いところからわざわざお越しいただきました両参考人に、心から御礼を申し上げます。御苦労さまでございます。また、日ごろわが国の伝統産業として大島つむぎの生産に携わっておられることに対しまして、心から敬意を表する次第であります。
 先ほど来ずっと質疑が繰り返されております。私は、生産者の皆さん方の立場に立ちますれば、この大島つむぎは、われわれの遠い祖先が大変苦労してつくり上げた生活に密着をした着物であり、そのことを今日まで守り続けてきた、このことは、まさに日本人のみが着るものであり、したがって日本人だけに生産権を与えてもらいたい、このようなお気持ちもあろうと思うわけであります。しかしながら、国際通商の関係の中から、なかなかそうもいかない。しかし、他の国でできたものは、自分のこの伝統産業に指定をされておる産地が生き残れるような形で、その通商の秩序は保っていただきたい、こういうお気持ちでいっぱいであろうし、それが守られていないという多くの事実を見られてここにお出ましになったことであろうと思います。また、お帰りになりましても、各組合員の皆さん方は、参考人のお二方あるいは役員の方々に対して思い切り言いたいことがあるだろう、そういう中で御苦労をしておられることだと思うわけであります。
 そういった観点に立ちまして、まず内田参考人にちょっとお伺いをいたします。
 先ほど意見を述べられる中で、その前段の中で、われわれは今日までこの韓国からの二国間協定以上のいわゆるこれに違反をする輸入、これがある、これを何とか締め出してもらいたい、取り締まってもらいたい、やめてもらいたいということで、繰り返し国会に対してもあるいは政府機関に対してもお願いをしてまいりましたということでございました。そのことは私もよく承知をいたしております。しかし、今日なおその対策は、牛歩のごとく、あるいは隔靴掻痒の感がございます、こういうことをお述べになったのでございます。そしてそういう前段に立って、以下かくのごとき対策をということで、この陳情書の中に記載をされていたことについて述べられたわけでございますが、その前段における具体的な隔靴掻痒の感これありというようなことについてお述べをいただきたいと思います。
#89
○内田参考人 お答えいたします。
 日韓交渉の二国間協定数量が決まりましたのが、昭和五十二年から三万六千五百反になっております。その以前は四万反であったわけでございますが、これすらもなかなか履行されていないというようなことを、先ほど申し上げたわけでございます。
 私どもが民間機関でございます矢野経済研究所に、昭和五十四年十月から五十五年の三月まで約半年間にわたりまして調査していただいた結果、先ほどの矢野研究所の調査報告ということでいろいろ話題に出ておりますけれども、この調査対象が韓国二十四社、日本側の輸入商社五十三社でございましたが、これによりますと、昭和五十二年から五十四年までの年平均で約二十三万反から二十五万反の輸入がつむぎ類全体でなされているわけでございます。もちろんこの中には三万六千五百反も入っております。したがいまして、先ほどから国の方でもるる御説明ございましたが、この三万六千五百反とそれ以外との区別がつかないということで、この厳重な履行ということがなかなかなされないのではないかと思っておるわけでございまして、私どももこの点につきましては、虚心坦懐に反省いたしまして、国の側ともこれの対策等は今後とも詰めていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、特別ビザの問題も一向にらちが明きません。と申し上げますのが、先ほど来お話がございますように、本場大島つむぎであるのかあるいは板締めの村山つむぎであるのか、あるいはその他捺染つむぎ類というのがございます。これらのつむぎが、一般の人たちにはなかなか区別がつきにくいということで、この特別ビザ問題もなかなか実現されないわけでございます。また税関の職員の方にこういった区別を厳格にやれということも、確かに国のおっしゃるとおり無理な点もあろうかと思いますけれども、やはりその点は、また私どもと国の方といろいろ御相談申し上げまして、簡便な見分け方法とかあるいは研修会等を通じまして、これは気長に検討しなければならない問題であろうかと思うわけでございます。
 それから、みやげ品類の点でございますが、当初十反まで認められていたわけでございまして、これが昭和五十三年の九月十五日から三反になり、さらに五十六年の二月十六日以降二反となったわけでございます。私どもとしましては、これもできるならば一反程度くらいまでに抑えさせていただきたいわけでございますけれども、御案内のとおり、男物のつむぎ類というのが一匹単位で取引されます。したがいまして、男物が一匹で女物が一反、その辺がなかなかむずかしい点もあろうかと思いまして、これは現在二反におさまっているというような状況でございます。
 それから、原産国表示問題でございますが、これは当初五十三年九月十五日以降は、普通の反物みたいにしんを中にいたしまして、丸巻きしておったわけでございまして、これだと税関等でのチェックが非常にむずかしいということで、織り込みの両端表示、それから平だたみ方式というふうに改まったという経緯がございます。
 以上でございます。
#90
○横手小委員 先ほど来各委員の皆さん方との間で、このお出しいただきました陳情書の中身についてずっとやりとりが行われているわけであります。皆さん方のお気持ちが十分に反映をされているかどうかは別にいたしましても、このいただいた陳情に基づいて政府側に対して、国の側に対していろいろとやりとりが行われておりました。これらの問題についていままで聞いておられて、特に御意見がございましたら中江参考人にちょっとお伺いをいたしたいと思います。
#91
○中江参考人 私は四十九年に組合に入りまして、もう約十年近くなっておりますが、しょっぱなからこの韓国つむぎ問題と取り組んでおりますけれども、全般的に眺めて、私たちとして所期している目的はほとんど達せられていないというのが率直な気持ちであります。
 したがいまして、いろいろガットの問題等もおありだろうと思いますけれども、ああいう伝統的な産業でありますし、生命産業であります奄美大島のつむぎを守るためには、国ももっと力をかして根本的な対策をとっていただかなくちゃいけない、こういう願望の気持ちを持っております。
 以上であります。
#92
○横手小委員 どうもありがとうございました。
 そこで、通産省にお伺いをいたします。
 現地の方々はお聞きのようなお気持ちであるということでございます。いま中江参考人の御意見の中でございましたように、私は、今日まで長い間ということでございまして、解決されないから、またきょうもこうして委員会が開かれていることであろうというぐあいに思います。
 そこで、先ほどお話ございました矢野研の資料につきまして、通産省としては、これは必ずしも、これをもとにして韓国に対して対応するには、正確性といいましょうか、そういったものに疑いがあるということを言われるのですが、ただ、これは大変興味ある資料であるということは、前回の小委員会でも述べられておるのであります。
 次のとおり述べておられます。「私ども通産省としても業界の方々がお困りになることは大変困ることでございますので、もし韓国産の大島つむぎがたくさん入ってきておるということであれば、これは全力を挙げてぜひとも防がなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。」このように御答弁をなさったわけであります。そして産地の皆さん方は、この政府の答弁を聞いて、そのまままた産地にお帰りになり、組合員の皆さん方にそのことをそのとおりにお話しになったことであろうと思います。しかし、なお今日、この問題がきょうの俎上に上がってきておるという事実であります。
 いま中江参考人は、この際、いままで繰り返しお願いをしてきた、それができないからまたきょうも来ました、何とか根本的にこれらの問題について対策を講じていただきたいという切なる願いでございますとおっしゃいますが、通産省としていかがですか。
#93
○林説明員 私ども、産地の皆様方の窮状というのは十分把握しておりますし、またその気持ちは痛いほどよくわかるわけでございます。したがいまして、従来から申し上げておりますが、何とか大島つむぎが韓国との間で合意されております数量でとまるということにしたいというのは、そのとおりでございます。
 また、先ほど来申し上げておりますように、私どもは立場上、韓国から通報されておりますものによらざるを得ないわけでございますが、しかし、産地の皆様方がおっしゃっていることについては、実は非公式にもいろいろお話を伺っておりますので、そういう声が非常に高いということは理解し、またそういう問題があるということは認識しておりまして、それに基づいて韓国に対しては、特別ビザという制度を導入してはどうかということを繰り返し要請をしているわけでございます。
 ただ、要請のやり方といたしまして、この矢野経済研究所の調査結果というものについては向こうにも見せておるわけでございますけれども、この矢野経済研究所の調査によれば、二十五万反入っていると出ております、したがって、あなた方は二十五万反出しております、こう言うわけにはちょっとまいらないということを、先ほど来申し上げておったわけです。これは私どもが見ましてもいろいろ問題ありという点があるわけでございまして、その問題点をあげつらう気はさらさらございませんが、どうしてもこういう調査というのはむずかしいわけでございますので、そういう問題が出てくるかと思いますけれども、そういう矢野経済研究所の調査は調査として、私どもとしては、非常に貴重なものだと思っておりますし、また韓国に対しては、そのもろもろの情報というものを踏まえた上で、いろいろな要請を今後とも続けていきたいというふうに思っております。
#94
○横手小委員 二カ国間協定に基づく三万六千五百反、通産省としてはこれ以上の数量は入っていないという御見解でございますか。
#95
○林説明員 この三万六千五百反というのは、協定に基づきます輸入でございますので、先ほど来いろいろ議論されております、みやげ品として、携帯品として持ち込まれるというものはこのほかにあるわけでございます。それから不正な手段で持ち込まれるというのは、当然これと別にあるわけでございますが、これはいろいろ取り締まり当局にお願いをして摘発をしていただくよりほかはないのではないかと思います。しかしながら、協定に基づいて入ってまいりますものは、私どもとしては公式な場では韓国に通報してもらっている数量であるというふうに認識をしておるわけでございます。
#96
○横手小委員 通産省としては、あの矢野研の資料は必ずしも正確でないし、国としての交渉の資料に使うわけにはいかぬ、こういうことである。しかし一方、まあ興味あるという言葉がいいかどうかわかりませんが、そういう資料でもあるということであり、不正に持ち込まれるのは取り締まり当局にお願いする以外にない。しかし、正規のものは、これだけ以上は韓国が出していないと言うんだから、これは入ってきていないという見解に立たざるを得ない、こういうことでございますね。
 そうしますと、これは現地の人とかなり食い違いがあるような気がするわけですね。たとえば、多少例が悪いかもわからぬけれども、非核三原則みたいなもので、アメリカは持ってきておる、船に積んだまま日本の領海に入ったことがあるということを言った、どうだと言ったら、アメリカが持ち込むときには言うはずだ、言わないんだから持ってきておるはずがない、こういうようなことが国会で先ごろ議論になったところであります。いやどこかでおろしてきておるはずはない、積んだまま寄ったに違いないということは、国民の八割ぐらいがそう思っておるというようなある世論調査もあったわけでございます。ことほどさように、現地の皆さんと通産省との間に食い違いがあるような気がするわけでございます。
 こういうことでございますので、先ほどから、これをさらに厳格にするために、特別ビザというようなことも一つの方法として出された、しかしこれはなかなか実施されない。現地の皆さんから見れば、韓国がそれを承知しないということは、もしかしたらそういうような気持ちが韓国にあるのではないかというような気持ちだ。しかし、通産省の考え方からすれば、そんなことはありません、これはもう技術的に可能であるとするならば、韓国側もこれを受け入れる用意があるということであって、あとは技術だけの問題であります、こういうところにもまた多少食い違いがあるような気がするわけです。
 このことについても、前回の小委員会での通産省の御答弁の中で、引き続き検討願い、私どもの方とともに業界の皆さんと何らかの解決策を見出していこうじゃないかというのが現状でございますと述べられているわけでございますけれども、その後の進展状態はいかがでございますか。
#97
○林説明員 先ほど私は、技術的な問題が一つの非常に大きなネックになっているということを申し上げたわけでございますが、この考え方そのものについても、実は韓国側の方は反発をしておる。ただ、私どもとしてそれを説得する上で、技術的な問題はまず解決しなければならないのじゃないかというふうに思っておるということを申し上げたわけでございます。
 この技術問題の解決ということにつきましては、実は一回産地側の方で御提案がありまして、私どもの方も、そういうことで区別できるかということで韓国側とも折衝したわけでございますし、その際は、私どもの最高の専門家を韓国に派遣いたしまして、工場段階まで実はチェックをしたわけでございますけれども、その際、やはりその方法では識別の決め手にならぬというのが結論でございました。
 その後、私どもの方としても検討は進めておりますし、また産地の方々にも一緒にやろうということでお願いをしておりまして、折に触れて意見交換というのはあるわけでございますけれども、これという簡便かつ客観的な技術的な基準というものがいまだ見出せないという状況でございます。
#98
○横手小委員 時間が参りましたので、最後に申し上げておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、通産省も国会の委員会の答弁の中で、「私ども通産省としても業界の方々がお困りになることは大変困ることでございます」ということを言っておられるのであります。それにしては、先ほどからずっとやりとりを聞いておりましても、産地の皆さん方とのすれ違いといいましょうか、気持ちがしっくりこないという点が多過ぎるような気がいたします。これからも産地の皆さん方の意見を十分に聞いていただいて、さらに有効な手段をもってこの問題に対処していただきたいし、また、ほかの省庁もお見えでございますので、取り締まり関係につきましても、不正な形でこの業界が荒らされている、日本の法律に違反をした形で行われているのは断じて許されないことだというぐあいに考えますので、その方面についてもさらに積極的な手段をとっていただきたいということであります。
 もう一つ意見として申し上げておきます。
 私は、いろいろのところへ参りまして、これらの話をするわけでございます。率直に申し上げて、消費者の皆さん方からは、大島つむぎは高いというのが印象としてございます。産地の皆さん方にしてみれば、私のところから出るときにはそんなに高くないのでございますけれども、流通コストの中でそれが三倍にも四倍にもなって消費者の手元へ流れてしまうのでございます、われわれはコスト低減のために血のにじむような努力をしているにもかかわらず、それが消費者の皆さんに喜んでもらえない、ここに流通コストの問題がありますということを訴えられるのであります。これでは生産者と消費者の間にまた心のすれ違いがある、受け取り方のすれ違いがある、こういう気がしてならないのでございます。
 特に、通商関係の当局でございます通産省におかれても、これらの商品流通コストの問題なんかについても大胆に切り込んでいって、もっと安い値段で消費者の手元へ届けていく、それが絹織物の振興策につながり、そして日本の伝統であります絹織物のこういった衣料がさらに日本人の中に定着をしてくる道につながるというぐあいに考えておりますので、そのことを御要望として申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#99
○中村小委員長 小林政子君。
#100
○小林(政)小委員 参考人の皆様には、本当にきょうは遠路御苦労さまでございます。私、日本共産党の小林政子でございます。
 大島つむぎの問題につきましては、けさ方からすでにいろいろとお話が出ておりまして、日本の代表的な織物の一つ、伝統産業であるというところから、その着物の美しさというようなものも非常に高く評価をされておりますし、これはやはり人間が織りなした、本当に貴重な生活の中で育てられたものだというふうに受けとめております。この大島つむぎを今後も発展させていかなければならないであろう、このように考えますし、それこそが伝統文化を守っていく上でも非常に貴重なものになるというふうに思います。
 先ほど来のお話の中でも、奄美大島の場合には、人口十五万余の中で大島つむぎに関係を持っている人たちが約七万人、二軒に一軒が大島つむぎの関係者であるというふうに言われておりますし、鹿児島でも約五万人からの人たちがこの事業に携わっているというようなお話が出ておりましたけれども、実際にいま韓国からの輸入によって産地の皆さんは非常に危機感を持っていらっしゃる、こういったこともお話を伺いました。実際私も、輸入規制をするということは当然のことではないかということでお聞きをいたしておりました。
 私は、参考人の皆さんにお伺いをいたしたいと思いますけれども、この輸入規制について、原材料や技術を外国に売らない、あるいはまた製品を輸入させない、国内の商社にも外国製品を売らせない、こういったような三原則について、私どもは、これをやはり実行すべきではないか、このように考えておりますが、お二人の参考人の御意見をお伺いをいたしたいと思います。
#101
○内田参考人 ただいまの委員の御発言はごもっともでございまして、私どももそのような受けとめ方をいたしております。
 かつてこの韓国つむぎ問題が発生しました当初、もう十年ぐらいになろうかと思いますが、その時点に、産地側から技術なりあるいは製品を韓国に持ち込んで指導したりつくらせたりした例がありまして、そういった点につきましては、産地側もいま非常に反省いたしておりまして、その根絶のために、外国紬対策協議会とか委員会等をつくりまして非常に規制しているところでございます。
 それから、先ほど来お願いいたしておりますけれども、韓国に対するわれわれの要求が政府ベ−スでだめならば、これを輸入する日本の業者を徹底的に取り締まっていただきたいと思うわけでございます。何と申しましても、着物というものは日本民族独特の民族衣装でございまして、向こうでは一反の需要もないわけでございまして、その点を特に国の側にお願いしたいと思っております。
#102
○中江参考人 私は、五十年の三月二十六日だったと思いますが、参議院の予算委員会に参考人に呼ばれまして、第一回目でありましたけれども、そのときには全面的な禁止をお願いいたしました。時の通産大臣は河本さんであったと思いますが、河本さんの回答は、秩序ある輸入をする、こういうことで、その間ガットの問題等いろいろ問題がありまして、われわれの全面的な輸入禁止はできない、こういうようなお答えであったと思います。
 それから、原料を向こうに送らないということにつきましては、私たち奄美大島では青年行動隊というのをこしらえまして、鹿児島から原料を送ったのが始まりでございますので、鹿児島のその業者のところに行って相当追及もし、やめてくれということもやりました。あるいはまた、大阪あたりにある問屋で韓国つむぎを取り扱っている業者もわかりましたので、そこへ乗り込んでいって輸入はしないでくれということをやっておりますけれども、なかなか商売人というのは目の前ではうまいことを言いますけれども、実際は裏でやる、これで困っているところであります。
#103
○小林(政)小委員 大島つむぎの輸入規制については、参考人の方も御意見を述べられましたけれども、韓国のものも、あるいはまた中国のものも含めて、私ども大島つむぎを守るということは、伝統産業を守っていくことにつながる問題で、やはりこれは非常に重大な内容を持っているものだというふうに思っております。この問題について政府にお答えをいただきたいと思いますけれども、大島つむぎというものを守るために、この伝統産業を守るというために、いま参考人の方からお答えがございましたように、原材料や技術を外国へ売らせない、あるいはまた持ち込ませないというような、こういう立場から、やはりきちっと通産省がこの立場に立って指導をすべきではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
#104
○林説明員 大島つむぎのような日本の伝統的な工芸品というものを守っていかなければならぬというのは御指摘のとおりだと思います。そういう考え方からいたしますと、いまのような御提案というものが出てまいりますし、私どももそういう伝産品を守るという立場に立っておりますので、そういうものについては非常に理解できるわけでございますが、ただわが国は、一方では通商国家として生きていかなければならぬわけでございまして、そのもとになっておりますガットのルールというのを尊重していかなければならぬという宿命があるわけでございます。このガットのルールで、日本の伝産品に当たるものについて一般の商品と別の取り扱いができるという根拠があれば、私どもとしてもぜひそういう対応をしたいというふうに思っておるのですが、残念ながら現在のガットルールでは、伝産品を特別に扱うということを正当化してくれませんので、私どもとしては、いまの大島つむぎのような問題については、そのバイパスと申しますか、二国間の問題として解決をしたいということでやっておるわけでございます。ただ、何分にもバイパスでございますから、そこで、私どもの方の立場と申しますか、そういうものを一〇〇%通す形での協定ができない。これはいろいろな通商上の問題が特に韓国との間ではございまして、わが国の非常に大幅な貿易黒字というものが存在しておりますとか、その他もろもろの問題があるわけでございまして、そういう環境の中で、私どもの方の考え方を一〇〇%貫徹できないというのはまことに遺憾ではございますけれども、今後ともそういうことで理解を求めていきますが、これを伝産品全般として輸入を禁止する、あるいは原材料輸出を禁止するということを法をもってやるというのはむずかしいのではなかろうかと思います。ただ、繰り返しになりますけれども、そういうことを韓国側に理解していただくということは、今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。
#105
○小林(政)小委員 いまいろいろと理由を述べられましたけれども、端的に言えば、輸入規制は非常にむずかしいのだ、そういうことだったと思うのです。しかし、ガットの十九条でも、条約上でこういう問題については認められているのです。まして大島つむぎのように伝統的な産業で、しかも零細な産業である、こういった零細性の強いものである。しかも、海外輸出向けの産品でない、こういった国内産業の保護のための輸入制限を行うということは当然のことじゃないでしょうか。私は、むしろ通産省の姿勢の中に、こういう問題についての弱さというか、そういうものがあるのではないか、このように思っております。
 特別ビザにつきましても、通産省が本気になって取り組めば、これもできるというふうに確信をいたしておりますけれども、技術上の困難というものを理由に挙げて、――数量規制がいま問題なんです。いわゆる三万六千五百反数量規制をする、こういうことから考えれば、何らかの工夫があってしかるべきではありませんか。このように思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
#106
○林説明員 ガットの十九条では、確かに緊急避難的な輸入制限というのはできるわけでございますが、この十九条の規制と、先生御指摘の伝産品のために輸入規制をするということとは、これは要件が少し違っているのじゃないかというふうに私ども思います。
 それから、十九条を発動いたします場合には、それなりの要件がございますが、それに加えまして、これは代償を出さなければいけないわけでございます。私どもの方でたとえば関税を上げるとかあるいは輸入の数量を制限するということになりますと、これに対応しまして、韓国の方からそれに見合う代償を出せということになるわけでございますが、この代償というのが、これはまた別な業界との関連もございますし、そう先生御指摘のような形で決定できるというわけにもまいらないということかと思います。
 それから、特別ビザについては、お言葉でございますけれども、私どもこれは本気で勉強しておるわけでございまして、またこの点については、産地の皆さんと協力してやっていくということで、産地の皆さんともいろいろな意見交換を、いろいろな機会をとらまえてやっておるわけでございまして、今後ともそれについては一生懸命やっていきたいというふうに思っております。
#107
○小林(政)小委員 中国のつむぎの問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、中国のつむぎの問題は、韓国つむぎとは違って、これはカルテルが結ばれているということで心配はないのだと先ほど来おっしゃっておられます。しかし、これもやはり友好関係を発展させていくという角度から、具体的に韓国のような事態が起きないという保障はどこにもないわけです。ですから、そういう点でやはりそのためにも――通産省が昨年十月に派遣した海外繊維産業事情調査団のアジアチームの報告書によりますと、中国の絹織物の生産量の推移は、一九六五年に三・四二億メートルだったものが一九八〇年には七・五九億メートルへと伸びており、八〇年の時点で日本の四・八倍になっております、こういうふうに書かれております。中国政府も、繊維産業の振興には特段の力を入れていきたいということも述べておりますし、私は、こうした点から考えると、産地の方々が不安に思われることもわかるような気がいたします。そういった立場から、両国の中にある伝統的な産業、こういったものについては侵さないということを、何らかの協定をきちっと結ぶ必要があるのではないだろうか、このように思いますけれども、この点について御答弁を願います。
 それから、時間がなくなりましたが、税関の方もお見えでございますので、大島つむぎの不正輸入事犯についてお伺いをいたしたいと思います。先ほど、五十四年から五十七年六月までの間に件数で五十五件、押収数量で千七十五反とのことでございますけれども、この不正輸入の手口について御説明を願いたいと思います。
 さらに、産地の方々の指摘される、二十万反も流入をしておるという情報に比べますと、先ほど来の御論議の中にも出ておりましたけれども、税関でもいろいろとチェックがむずかしい、こういったような点があるのではないだろうか、このようにも思われますので、具体的にその点についてお伺いをいたしたいと思います。
#108
○林説明員 いま先生御指摘のように、中国は非常に絹織物の生産をふやしておりますし、それから韓国についても、中国とはテンポは違いますけれども、ある程度同様のことが言えるのではないかと思います。この両国に対しましてわが国は二国間協定を行っておりますので、二国とも輸出は当初日本向けが大部分であったわけでございますが、だんだん輸出先の転換を行っておりまして、中国におきましては、むしろ洋装の素材として欧米へ輸出している、あるいは自国で二次製品に加工して輸出している、こういう事情が非常にふえておるというふうに理解をしております。
 それから、伝産品を相互に侵さないという協定をしてはどうかということでございますが、これは非常に検討に値する御提案だと思いますが、実はそういう考え方について中国と非公式な形で話し合いをしたこともございますが、中国側は、趣旨は非常に結構であるが、これを政府間でやるというのはちょっと趣旨に合わないんじゃないか、民間協定として考えたいというようなことを、非常に非公式な場で述べておったという事実はございます。
#109
○森説明員 お答えいたします。
 処分件数五十五件ということでございましたが、先ほど長野委員の質問に私お答えいたしました数字は摘発件数でございましたが、一件につきまして何人か関与しておるということもございますので、処分件数の方が若干多くなっております。これにつきましては、主な手口と申しますか、そういうものはどういうことになっておるのかという御質問でございますが、これについてはいろいろの手口のものがございます。一例でございますが、別のものと偽って申告して税関を通ろうとしたという事例もございます。それから外装をナイロン地で包んで擬装工作をしておったというものもございました。その他布団、毛布等に包んで隠匿をしてきた、あるいは別送品の中に隠匿してきたというケースもございます。私ども旅具通関の場合には数量規制がございまして、韓国産の大島つむぎ等つむぎについては数量規制がございますので、これにつきましては旅具通関の際に厳重に検査しておるところでございまして、今後ともその方向で対処してまいりたいとうふうに考えております。
#110
○小林(政)小委員 やはり伝統的な本場大島つむぎの問題については、その産業が本当に地元の方々にも喜んでもらえるような政策をとっていくことが必要であろうと思います。そのためにも、私どもも皆さんと一緒にできるだけのことはさせていただきたいというふうに思いますけれども、皆様方自身も本当に積極的にこの問題の解決のために地元で取り組まれるよう心から期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#111
○中村小委員長 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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