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#1
第096回国会 商工委員会 第12号
昭和五十七年四月九日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 渡部 恒三君
   理事 野田  毅君 理事 森   清君
   理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君
   理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君
      天野 公義君   稻村左近四郎君
      植竹 繁雄君    浦野 烋興君
      田原  隆君    泰道 三八君
      中川 秀直君    中島源太郎君
      野中 英二君    橋口  隆君
      鳩山 邦夫君    林  義郎君
      松永  光君    上田  哲君
      上坂  昇君    城地 豊司君
      中村 重光君    水田  稔君
      渡辺 三郎君    石田幸四郎君
      長田 武士君    横手 文雄君
      小林 政子君    渡辺  貢君
      石原健太郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  安倍晋太郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       原田昇左右君
        通商産業省通商
        政策局長    若杉 和夫君
        通商産業省通商
        政策局次長   黒田  真君
        通商産業省貿易
        局長      中澤 忠義君
        通商産業省立地
        公害局長    神谷 和男君
        通商産業省機械
        情報産業局長  豊島  格君
        通商産業省生活
        産業局長    志賀  学君
        資源エネルギー
        庁長官     小松 国男君
        資源エネルギー
        庁次長     柴田 益男君
        資源エネルギー
        庁石油部長   野々内 隆君
 委員外の出席者
        防衛庁装備局管
        理課長     村井  仁君
        科学技術庁研究
        調整局宇宙企画
        課長      吉村 晴光君
        文化庁文化部著
        作権課長    吉田  茂君
        運輸省航空局監
        理部航空企画調
        査室長     植村 武雄君
        郵政省電波監理
        局無線通信部陸
        上課長     立野  敏君
        消防庁危険物規
        制課長     藤田 康夫君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 エネルギー、基礎素材及び鉱物資源に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなるエネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題小委員会
並びに
 流通に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなる流通問題小委員会を、それぞれ設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 両小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 両小委員会の小委員及び小委員長は、委員長において追って指名し、公報をもってお知らせいたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任、補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#6
○渡部委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
#7
○中川(秀)委員 委員長のお許しを得て、ただいまより三十分間、現下の喫緊の課題であります対外経済摩擦ほか一点についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 まず、経済摩擦問題でございますけれども、ただいま政府部内において新たなるわが国としての対応策の検討を進めていると思うわけでございます。従来、昨年末の関税二年前倒し、総額二億ドルぐらいになったと存じますが、その措置並びにNTB六十七品目の撤廃、改善措置を本年一月末にとったところでございます。しかし、ますます欧米各国における対日批判は度を加えておりまして、本問題はきわめてわが国の今後の国家戦略にもかかわる大変重大事になってきていると思うわけであります。
 そこで、いま政府部内で検討している内容でございますが、内需拡大とかあるいはいろいろ議論がございますけれども、私も一つの意見を持っておりますが、残存輸入制限再検討とかあるいは産業協力とかいろいろやっておると思うわけでありますが、具体的な中身について、項目だけでも結構ですから、まずお伺いをして、その措置がどの程度この問題の解決に寄与し得るか、この辺の御決意、見通しについてお尋ねをしたいと存じます。
#8
○黒田政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございましたように、昨年の暮れから関税の二年間前倒しでありますとか、輸入手続等のNTBについて思い切った見直しをするということで努力をしてきたわけであります。それらにつきましては、それなりの評価を受けておるというふうに思いますが、現在のいろいろ厳しい状況のもとにおきまして、なお一段と市場開放の実を示してほしいというような要求があることも事実でございます。先方から、アメリカあるいはヨーロッパ等からいろいろなことが言われておりまして、それは行政ベースの日米貿易小委員会でありますとかへあるいはECとの間のハイレベル協議の機会等において先方から示されておるわけですが、それは相当広範にわたっております。それらの措置の中には、現在の輸入制限品目の見直しでありますとか、関税率の見直しでありますとか、あるいはもっと広範な日本の産業、経済の仕組みにかかわるような問題まで大変広い問題かと思います。
 それら個々について現在いろいろ検討しておりますので、具体的内容に立ち入ることはあるいは控えさせていただいた方がよろしいかと思いますが、それらの問題を片づけた場合に、本件摩擦問題というものにどういうふうな影響を与えるだろうかという御趣旨の御質問だったかと思いますが、個々に見ますと、ある種の措置をとったとしても、日本へのそれら先進国からの輸出が急に飛躍的に拡大するということはなかなかむずかしいわけでございまして、もし現在の摩擦問題の原因というものを貿易のインバランスというところに着目をいたしますと、実はこれは出口のない議論になってしまうわけでありまして、私どもといたしましても、いろいろ努力はするけれども、その努力の成果というものを、何か輸入増大と直に結びつけるような議論をしてもらっては非常に危険だぞということは強調しておるつもりです。しかし同時に、現在われわれがとっている、あるいは先方の主張の中には日本の基本的な態度にかかわるような問題もあるわけでございまして、それらのうちの政府がやれるものにつきましては、一つの象徴的な意味で、政府の姿勢を示すという意味でやれるものについては積極的に取り組んでいく必要があると思いますし、また民間等にかかわる問題については、相手方の誤解等も解きながら、話し合いの中で先方の理解を求めるということも必要なのではないかというふうに思っております。
#9
○中川(秀)委員 検討中でございますから、あえて具体的な中身は当然お尋ねをすることが無理だと存じますけれども、ただ、私いろいろ新聞等、またいろいろな方々のお話を聞き、さきに訪米、訪欧された自由民主党江崎調査団の御報告等もお伺いをしていろいろ感ずるわけでありますが、たとえば米側が関心を持っている十三品目とも十四品目とも言われていますけれども、その中身を考えてみましても、原子力機器、重電機器といったなかなか値の張るような工業製品もございます。しかし、あらかたは全部輸入制限でない輸入自由化をされているものばかりでございまして、その要求ということもなかなかつかみ切れない、つかみどころのないものなのではないかと思うわけであります。また農産物にいたしましても、仮に百歩、一万歩譲って輸入自由化をしたところでインバランスの解消には恐らく何十分の一にしか寄与しないだろうと思われますし、たとえばこれが牛肉等自由化したところで、米国からだけ入ってくるということは考えられないわけでございまして、そういうことを考えてみますと、対応策というのは非常に言うはやすく簡単ではない、こういう感じもするわけであります。そしてまた、今回の一連の米国、欧州の動きを見てみますと、底流、背景に日本の経済的な飛躍的発展に対する何か牽制というかあるいは抑制を加えたいというかそういったような意図せざる意図かもしれません、あるいはもっと具体的な戦略になっているのかもしれませんが、こういう貿易交渉あるいは具体的な品目に絡んだものだけでないもっと底流に大きなものがあるような感じもおそれも抱いておるわけであります。
 そこで、ひとつ提案を交えてお尋ねをしたいのですけれども、こういう状況になると、余り個別に議論をしてもなかなか解決にならないのじゃないか。総理がサミット前に決着を図りたい、こういう御意思も表明なさっておられるわけでありますから、その包括的な対応策というものを立てていくということの方がより大切であろうかと思うわけであります。各省間によっていろいろ意見もあるようでありますが、通産、外務、農林水産省、こういうところの意見の多少の違いということも言われているわけでありますけれども、早急にそういうところは調整して、余り場当たり小出しではなくて――場当たり小出しですとポケットに入れられるだけでありますから、そうでない包括的なものを五月上旬のOECDの閣僚理事会までに出せという総理の御指示もあるわけでありますから、それをやるべきだと思うわけであります。
 そこで、その出し方としては、すぐできることと、二、三年かけなければできないこと、しかしやるという意思を表明すること、それからこれは全くできないということと、完全に誤解であるということの四つくらいに分けて、全体像についてきちっとしたものを出して、しかるべき人が欧米に対して存分にこの説明をする、こういう段取りが必要なのではないか。その段取りをとった上で、わが国は決して市場閉鎖社会ではない、世界に冠たる開放市場である、こういう宣言も加えてお出しになるということが肝要なのではないか。これは私見でございますけれども、その点について政府のお考えを聞いてみたいと思います。
#10
○原田(昇)政府委員 中川委員のおっしゃるとおり、今回の貿易摩擦問題というのは、やはりわが国が現在自由世界で第二の経済大国になったという現状を踏まえて、国際社会の責任ある一員として、世界経済の安定的な発展に向けて積極的な貢献をしていかなければならぬということに対する批判が含められておると私は思うのです。このような考え方から、わが国としては、いま中川委員のおっしゃったような考え方で自発的に市場開放の努力を懸命に行うということ、そして同時に、産業協力とか経済協力等を通じまして、世界経済の再活性化と発展に貢献していくということが必要だと思うのです。したがいまして、わが国は従来から関税の一括引き下げとか、あるいは輸入検査手続の改善等を初めとする一連の市場開放策をやってはまいりましたけれども、先方から言いますと、まだまだ市場開放努力についてもう一段と要求が来ておるわけでございます。
 こういった問題について積極的に取り組んでいくのはもちろんでございますが、今後とも各国との話し合いを緊密にいたしまして、先方の誤解を解くことも必要であるし、またわが国としても、自由貿易体制の維持に努めていかなければならぬことは言うまでもないわけであります。さらに産業協力についても、相互の投資の交流とかあるいは共同してプロジェクトを開発し発展途上国に応援をするというような問題、あるいは今後の先端技術の開発に共同して当たるとか、こういう意味の産業協力を強力に進めていく必要があるんではないか、こういうように考えておる次第でございます。
#11
○中川(秀)委員 政務次官の御答弁はそのとおりだろうと私も同感の意を表させていただく次第でありますが、非常に長期的な問題としては、産業協力ということが大きな柱になるだろうと思うわけであります。
 それと同時に、当面の措置ですが、昨年の輸出の伸びあるいは輸入の伸びというのと、それから最近のこの一、二カ月の数字を見てみると、いまや輸出も落ち込み、また市場拡大というか輸入も落ち込む。これは双方の経済情勢というものが非常に停滞しておる、景気も悪い、こういうこともあるだろうと思うわけでありますが、そういう状況であるわけです。そこで、これはもう産業界のみならず、国民一般に対してもそうでありますが、わが国にとって輸出が大事だ、輸出で日本は生きていかなければならぬというのと同時に、いまや国際協力の見地で、国際社会で生き抜いていく上でも輸入も大切なんだ、こういうことも啓蒙していかなければならぬ。それから産業構造そのものあるいは経済運営そのものを輸出依存型から市場拡大型に持っていかなければならぬ。釈迦に説法でありますが、こう考えるわけであります。この市場拡大という問題についてどうしても中心になり得るのは、わが国の内需というかそういうものを振興していかなければならぬ、こう思うわけであります。逆に言えば、これがインバランスの具体的な解消には一番効くことなのかもしれない、こう思うわけであります。
 そこで、最後に貿易摩擦の関係で政策当局の御判断をお尋ねしたいのです。
 いま財政再建、行政改革ということで大変な血のにじむ努力を政府もわれわれもやっておるわけでありますが、それと国内の景気の立て直しということは必ずしも矛盾することではないと考えております。そこで、いよいよきょう閣議で公共事業の前倒しも決定をすることを伺ったわけですが、かつてない七七%の前倒し、これは決まったのですか、ちょっと定かでありませんけれども、そういう措置をとる。後半息切れをすれば、当然建設国債ということを考えて公共事業の上乗せもすべきだ。そういうことで、社会資本の整備も投資も進め、かつまた内需も振興させていくということが私はきわめて大切だと思う。同時に、それではいま具体的に景気の立て直しのために、公共事業の前倒しとかそれ以外のものはないかというと、もう一つは、住宅対策というものが大きな目玉になっていくんじゃないか、こう思うわけですが、潜在需要も十分にある。単にこれは住宅金融公庫の枠を広げるということだけではなくて、まさに各層の住宅に対する質の要求とかいろいろなニーズがあるわけですから、公庫の対象面積とか所得制限とか、あるいは地方の住宅開発公社等々の施策に対する国の助成とかいろいろなことをきめ細かくやっていかなければならない時期なんじゃないか。余り画一的な、いままでのことを多少いじっただけではだめなんではないか、こういう気もするわけで、具体的なことまで一遍に言ってしまいましたが、内需と景気対策、この秋にかけて建設国債の発行を含め、あるいはこれは五十八年度になるかもしれませんが、具体的には住宅対策も含め、相当思い切ったことをやっていくことが経済摩擦の解消にも役に立つ、こういうことではないかと思うわけで、ひとつ政策当局の御判断を明快に、簡潔でいいですからお伺いをしたいと思います。
#12
○原田(昇)政府委員 中川委員の御指摘まことにごもっともだと思うのです。内需の拡大なくして輸入の促進はできないわけです。これからの日本の経済運営にとって、外需依存型から内需拡大型に転換するというのが政府の基本方針でありまして、それによって対外的な問題、また国内的な均衡も図っていかなければならぬ、こういうことが私どもの基本的な考え方であります。
 そこで、今回公共事業の前倒しをきょうの閣議で決定したはずでございますけれども、それによってわれわれは内需振興の一つの機動力に期待しておるわけでございますが、なお景気対策としましては、金融政策の機動的な運営とか住宅建設の促進とかあらゆる努力を払っていかなければならぬというのは全くお説のとおりでございます。
 さて、先ほどの財政再建との関係でございますけれども、そもそも財政再建なり行財政改革の基本的な理念は、私は、活力ある成熟社会へ向けて財政再建をやらなければいかぬということであろうと思うわけでございまして、活力ある成熟社会をつくり上げるには、景気が沈滞しちゃってどうにもならぬということでは、そういう目的にそぐわなくなってくるわけでございますし、また財政再建の基本的な考え方は、歳出カットと歳入の増加にあるわけであります。税収の欠陥あるいは税収不足ということになってくれば、基本的な財政再建構想も崩れてくる、こういうことでございますから、経済に活力を与えるということは、私は決して財政再建の基本的な使命と相矛盾しないものであるというように考えております。
#13
○中川(秀)委員 大臣、参議院の本会議からお着きになったばかりですが、要するに、経済摩擦問題で具体的にインバランス解消のために一番役に立つのは、やはりわが国の内需拡大、景気対策、経済の活性化、こういうことなんじゃないか。具体的にいろいろ考えても、それ以外には余りないのじゃないかという感じであるわけです。きょう閣議で公共事業の七七%の前倒しということで、かつての最高が七六%でしたから、最高の前倒し、上半期集中ということを決めたそうでありますけれども、年度後半に息切れをしてくるのが昨年の例でもありましたが、たとえば建設国債の発行とか、年を通じて、後半にも備える思い切った景気対策を政策転換をしてやっていくことが経済摩擦の解消にも役に立つ、こういう趣旨でいま政務次官の前向きの御答弁をちょうだいしたわけですが、大臣のお考えもひとつお伺いをしたいと思います。
#14
○安倍国務大臣 わが国経済自体の現在の情勢からしても、また貿易摩擦を解消していく上からいっても、内需の拡大というのは、わが国の経済運営の最大の課題になってきております。そのために何をやるかということで、政務次官も答弁をいたしましたように、公共事業の前倒しとか金融の機動的な運営だとか住宅対策の推進とか、あるいはまた民間の設備投資の拡大であるとか、いろいろとやっていかなければならぬわけですが、政府自体としてまず方向づけをしたのは、公共事業の前倒しで、実はきょうの閣議で、渡辺大蔵大臣から七七%程度の前倒しを行いたいということでございました。これは相当思い切った措置であります。これに対して建設大臣から、それはやらなければならぬと思うけれども、しかしやはり下半期は一体どうなるかということが心配になるので、上半期の七七%を確実に実行するためには何らかの、下半期の公共事業の落ち込みをカバーするための補正予算措置というのが必要になってくる、ぜひひとつ考慮願いたい、こういう強い要請が始関建設大臣からもありました。
 さらに、きょうの閣議では、こうした経済運営の問題と、実は最近の財政が非常に厳しくなってきておって、五十六年度の財政の欠陥といいますか、税収の落ち込みが予想以上に激しい。とにかく二月の税収の状況をそのまま機械的に三月に当てはめてみると、二兆数千億に上る税収の落ち込みが出てくる、こういう財政的に非常にむずかしい状況になったことの説明も渡辺大蔵大臣からあったわけでございます。しかし、景気を回復しなければ自然増収もふえてこないわけですから、こうした財政の大変な情勢を盛り返していくためにも、景気の回復ということはいま以上に大事になったのじゃないか。総理大臣からも発言がありまして、近いうちに政府・与党で、五十七年度の経済運営をどうするか、景気対策をどうするかということについてお諮りをしたい、こういうふうなことでもございました。私どもはいろいろと今日の経済の実態等を詳細に調査をしておるわけでございますが、通産省で調べた状況から見ましても、中小企業は依然として力が弱い、こういう状況にありますし、十二月が内需の方は多少〇・四%ばかり伸びたとはいえ、まだ本格的な内需の拡大の動意は見られていない、こういうことでございますし、何としてもこれは公共事業の前倒しを中心とした相当思い切った、そして上半期に何らかの措置を講ずるということも含めた総合的な国内経済対策というものを考えていかなければならない、そしてこれを決定しなければならない、実行に移さなければならない、そういう時期に来ておる、こういうふうに私も判断をいたしております。(中川(秀)委員「下半期は」と呼ぶ)下半期につきましても何らかの措置を講じなければならぬ、こういうことです。
#15
○中川(秀)委員 ありがとうございました。
 余されたあと三分ばかりの時間、方向が全く違う質問なんですが、簡潔にお尋ねをしたいと思います。
 いま通産省においてテクノポリスという、地方経済の活性化あるいはわが国の産業構造の高度技術化、そうしたものを推進していくために、全国で大変な期待をしておる構想を推進をされているわけでありますが、これについて簡潔に一問だけお尋ねをしたいと思います。
 いま五十九年の地域指定を目指して二十地点の調査対象区域を決めまして、目下地元自治体を中心に基本調査をやり、基本構想を立てる。私の選挙区の広島県もその一地点に入れていただきまして、一昨日通産省へあてて、学術と技術の融合を目指す緑豊かな広島中央イノベーションシティーという、非常に長いのですが、基本構想を提出したわけでございます。この点について一つだけお尋ねするのですが、今後開発構想、さらには地域指定、こういう順番で進んでいくわけですけれども、これは本来地域の意欲と活力を最大限に生かしていく、そしてその地域固有の特色ある特性を生かした推進をしていこう、こういうことにあるわけですから、このモデル地域を指定するのはいいことでありますけれども、無理にこの二十地域を何地域かにしぼり込んでしまう、何が何でもしぼり込んでしまうというのはよろしくない、こう私は思う。それよりも、非常にこの要件にかなった、つまり条件にかなったところならば大いにやるべし、こういうことで政府の方も号令をかけるべきだ、こんなふうに考えるわけであります。そしてその上であくまで地域中心に国が助けていくという考え方で、実施主体等も第三セクター、民間の活力も生かすというような形でやっていくべきだし、そしてまた、特に日本は産学協同などということに対して大学側も対応がおくれておりますけれども、地方にまで高度技術を普及させようというねらいがあるわけでありますから、通産省、文部省両省でさらにこうした体制についても詰めていかなければならない。
 私もアメリカでそういうテクノポリスについて調査をしたことがございますが、向こうの大学などというのは、社会にいかに有用な存在であるかということを常に気にかけておって、たとえば農業改良普及員などという制度が日本にはありますけれども、アメリカはそれを全部州立大学の農学部がやっているわけでありまして、産業界とともどもに研究者を交流し合い相互乗り入れの研究所をつくったりしておるわけでございます。そういうような形というものも推進をしなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、お答えは簡潔で結構でございますから、これについてお尋ねをいたしまして質問を終わらせていただきたい、このように思います。
#16
○安倍国務大臣 テクノポリスの構想につきましては、五十六年度、通産省におきまして、全国二十地域を調査対象地域としてテクノポリス基本構想調査を行ったところであります。一方、調査対象地域となっている各地域においても、それぞれ独自に基本構想が策定をされまして、現在通産省に提出されております。
 五十七年度に行われるテクノポリス開発構想調査においては、それらの基本構想を総合的に評価をして、その内容のすぐれた地域を調査対象地域とすることにしており、またそれらの地域においてそれぞれ独自にテクノポリスにおける事業内容、実施主体、事業期間、事業費概要などを内容とする開発構想が策定をされることになるわけでございます。
 私はこれからの日本の将来を考えていきますときに、やはり技術立国といいますか、技術、特に先端技術を中心にした新しい経済分野を拡大をしていかなければならぬ。そういう際において、地域の発展とこれが結びついていく、あるいは地域の大学と結びついて地域開発がこれによって大きく前進していくということを非常に期待して、これは夢のある構想として取り上げ、ぜひとも将来にこれは実現してまいりたい。これまでのいわゆる新産都市といったようなハードな面と並んで、ソフトな面といいますか、そういう面での一つの地域開発構想につながっていくわけでございますし、これはぜひとも私の在任中に大きく前進をさせたい、こういうふうに考えております。
#17
○中川(秀)委員 ありがとうございました。
#18
○渡部委員長 鳩山邦夫君。
#19
○鳩山委員 中川先生から貿易摩擦の総論についてのお話がありましたが、私は各論、とりわけ皮製履物、皮靴、その他輸入自由化はすべきでないという私どもの考え方をお話し申し上げて、政府の大臣以下の皆様方に御理解いただきたいと思っております。
 一月二十八日の東京新聞にでっかく出まして、残存輸入制限品目は大幅に自由化をするんだということで、皮製履物のところに星印がついておりまして、星印は政府・自由民主党の自由化検討項目で年内には実施する方針だ、こういうことが出たわけであります。私ども驚きましたし、業界や私どもの地元はハチの巣をつついたような大騒ぎになったわけであります。党と政府と両方がやるべきだ。党については、私どもの宣伝不足もあるが、反省をしておりますし、梶山商工部会長や日増しに名委員長としての誉れが高くなっておられる渡部恒三先生にお願いをして、何とかしたい、こう思っておるわけでありますが、政府の方がそのような方針でありますと大変困るわけでありますので、あえてお話を申し上げます。
 昭和五十四年の工業統計によりますと、皮製履物製造業は二千二百七社三万八百四十三人、何だ二千社以上あって三万人しかいないのか、三十万人の間違いじゃないかと思われますが、三万人なんです。平均すれば十四人そこそこ。実は九人以下という一けたでこのような皮靴をつくっておられるところが何と七一%であって、十九人未満ということですと八三・三%にもなってしまう。日本人はウサギ小屋に住んでいるとよく批判をされますが、そのウサギ小屋の中に四畳半があって、その中で一つの産業が存在をしているわけで、皆さん大変苦労をして靴の生産に励んでおられるわけであります。アメリカの、あるいはヨーロッパの大農式と言われるような大規模な畑、あるいは大規模な牧場と日本の農業とを同じ土俵で取っ組み合いさせることができないと同じように、欧米には原材料の加工から製品の販売まで一手に行うような大靴製造メーカーが存在をしておるわけで、彼らが日本に乗り込んできた場合に、そういう四半畳メーカーと同じ土俵で相撲をとれというのは無理であって、もし相撲をとればこてんぱんにやっつけられてしまうわけでございます。
 さらに、四畳半メーカーと申しましたが、これでもメーカーなんでありまして、その部品をつくっているところはさらに規模が小さくて、それこそ一畳メーカーであるかもしれないのであります。全部合わせますと八万三千人の方が働いておられる。家族を合わせれば三十三万人になる。革靴の自由化をして三十三万人の皆さん方を路頭に迷わせてしまうのか、それともそうした皆様方の暮らしを守ってあげるか、いま政治は重要な境目に来ているのだと私は思います。
 とりわけわが台東区は全国の三三・一%を生産しておりますし、東京全体の六六%を生産しております。まさしく地場産業そのものでございまして、よく中小企業白書あたりを見ますと、地場産業育成というのが出てくるのでありますが、具体的な政策としては余り目立ったものがないのが残念であります。東都製靴工業協同組合というのがありますが、昭和五十五年末で三百七十八社靴をつくっておりましたが、昨年一年間で何と二十二社が倒産をされたわけで、恐らくこのままでいくと倒産件数が全体の一割に迫るような勢いでありますから、これはぜひ政府の皆様方にもその辺を慎重に考慮していただいて、今後のとるべき道をお決めいただきたいと思うわけであります。
 欧州履物連盟というのがあるそうで、その事務局長のマイヤーさんという人がおっしゃるには、日本にはいい靴が入ってこない、安い靴が入ってこない、もっとわれわれヨーロッパ側が日本に靴を売れば、日本人はもっと靴を履くようになる、靴の消費がふえる、こういうようなことを言うわけでありますが、こんなとんでもない意見はありません。いま大学の構内を歩いてみれば、昔は革靴を履いていた学生もいまはほとんどサンダルでございます。女性の場合も革靴よりはサンダルを好む傾向が最近では強い、そういうふうに聞いております。欧米各国のように、家の中まで靴を履いて歩き回る国民と、そもそも畳の上で暮らしをしていた日本と、この生活様式の比較を忘れて、もっと靴が普及すれば日本の靴の消費量はふえるはずだ、そういうばかげた言い分に耳をかしてはならないと思います。
 さらに、これは大臣にぜひお聞きいただきたいのでありますが、一九七〇年代にヨーロッパでは革靴の消費は非常に伸びたのでございます。しかし、生産は逆にひどく減少しております。どうしてだろうか。これはヨーロッパへ他国から大量の革靴が流入をしたからであります。ヨーロッパが靴を輸入したからであります。そのために消費は伸びても生産は減少し、現にヨーロッパで中小の製靴業者、靴のメーカーは倒産をしたり転廃業を余儀なくされてきたわけであります。しかも、その輸入の半分以上、毎年台湾、韓国、中国、香港、この四つの国から大量の靴が流れ込んでおるわけであります。イタリアの靴をもっと安く履きたいなとか、アメリカの靴を履きたいなという希望が日本国民の中にないとは言えないと思います。しかし、仮に革靴の輸入を自由化した場合に、まず、そうした靴が多少売れるかもしれませんが、結局はヨーロッパが悩まされたような、いや、悩まされているような、台湾、韓国、中国、香港からの大量の革靴の流入となってあらわれます。そのために三十三万人の四畳半メーカーの皆様方が路頭に迷い、そして貿易摩擦の改善にはちっともならないとするならば、こんなばかげたことはない。絶対に靴のメーカーの皆様方をスケープゴートにしてはならないというのが私のきょうの質問よりむしろお願いでございますが、大臣、一言だけで結構でございます。通商産業大臣、通商と産業と非常にむずかしい絡みだと思いますが、産業の保護というのも大臣の手のひらの上に乗っかっておるわけでありますので、ひとつ御答弁をいただいて、よろしくお願いする次第であります。
#20
○安倍国務大臣 いま貿易摩擦、大変激しくなっておりまして、いまお話しのように、わが国の残存制限品目に対して、これの自由化を求める声がアメリカ、ヨーロッパ等で大変厳しくなっております。私も米国やあるいはECの貿易代表の皆さんと会って話をするたびに、彼らは、この残存制限品目、二十二の農産物と五つの皮、石炭等の通産関連の物資について、これは一日も早く自由化しろ、こういうことを口をきわめて言っておるわけでございます。彼らの言い分は、貿易のインバランスもあるけれども、それ以上にアンフェアだ、要するに日本の扱いがアンフェアだ、こういうことで強く主張をいたしております。それはそれなりに一理はあるわけでございましょう。
 これに対してわが国としては、十二月の末に、御承知のように、政府で対外経済政策の基本方針を決めまして、残存制限品目の中で特に諸外国が関心を持っている品目については留意をしながらレビューをする、こういう決定をいたして、それに基づいて今日までいろいろと検討をいたしております。
 しかし、残存制限品目に、いては、これまで日本が幾たびかの貿易摩擦あるいはまた対外交渉の中で、一枚一枚着物を脱ぐように脱いできまして、どうしても日本の国内情勢からもうこの辺はできないというところまでしぼりにしぼったのが二十七品目、こういうことになっております。
 しかし、アメリカやECはこれを求めておる、こういうことでございますが、革製品については、いまお話がありましたように、日本で革の製品の製作に従事している事業者の人たちは大変な中小企業の皆さんでございます。私たちもその実態というのはよく承知をいたしております。ですから、諸外国はその自由化を求めておりますが、そう簡単にこれが自由化に応ぜられるものではない、基本的にそういうふうに考えております。
 いま日米あるいは日本・EC等で交渉も進んでおりますが、私たちは、そういう交渉の中で日本のいまの国内の実態というものを説明して、そして理解を求める、そういう基本的な考え方で慎重にいまこれに対処をしているということでありまして、はっきり申し上げれば、自由化と言われても、われわれとしてこれにそうおいそれと応ずるわけにはいかない、これが私の基本的な考え方であります。しかし、折衝が続いております。貿易摩擦も解消していかなければならぬ。そういうジレンマの中で、むずかしい課題でございますが、取り組んでおる、慎重に対処しておる、こういうことであります。
#21
○鳩山委員 どうもありがとうございました。党の方につきましては、私どもが責任を持ってやっていかなくてはならないと思っております。政府の方の御配慮を重ねてお願いをする次第でございます。
 次に、鹿島石油鹿島製油所の事故についてでございますが、昨日、重傷者のお一人が亡くなられまして、亡くなられた方は、これでトータル三人、重傷者五人という大事故となったわけでありまして、亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げながら、遺族の皆様方にお見舞いを申し上げ、そして重傷者の皆様方の一日も早い御全快を心からお祈りをさせていただきたいと思います。
 そこで、お尋ねでございますが、昨日一人亡くなられましたが、現在の重傷者五人の皆様方のその後の状況はいかがでございましょうか。
#22
○神谷政府委員 残り五名の方のうち一名は筑波大学へ緊急移送をされております。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
残りの四名の方は、地元の鹿島労災病院で治療中でございますが、いずれもやけどできわめて重傷でございます。
#23
○鳩山委員 一般によく言われる被害総額というのは、大体幾らくらいに上るのでしょうか。それから原因調査にもよると思いますが、原状回復のめどはどんなものでありましょうか。
#24
○神谷政府委員 被害額は、会社側の算定では二十億程度というふうに言っております。もちろん、間接的なものも含まれると私ども了解をいたしております。
 再開のめどでございますけれども、私どもの高圧ガス取締法に関連いたしましては、茨城県知事が設備の停止命令をかけてございます。当該設備に関連いたしましては、現在行っております事故原因の調査の結果が出てくる、これが先決になろうかと思いますが、それ以外の関連した設備に関しては、今回の被害との関連の有無、それを点検した上で茨城県の方で判断をすれば操業は可能になる、こういう状況であろうかと思います。
#25
○鳩山委員 昭和五十五年、出光徳山製油所の事故があったわけでありますが、その際にも、事故原因調査小委員会が設置をされたわけであります。今回も同じような委員会が設置をされております。鹿島製油所の場合、今後どのような展開になるかをはかる上で、五十五年の場合は、どのような調査をして、どれくらい日にちがかかって結論を出して、その結論によってどういう対策が行われたのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#26
○神谷政府委員 先生御指摘の出光興産の五十五年四月の事故は、製油所の第二接触水添脱硫の気密検査を実施中に反応塔が破裂をしたものでございます。死傷者はゼロでございましたが、反応塔の破裂ということでございますので、直ちに事故原因を調査するために、広島大学の頼実教授を委員長とした十名の委員会で事故原因の調査を行っていただいて、四月四日から調査を開始いたしまして、報告が八月十一日、約四カ月強で出てございます。この結果に基づきまして、特殊反応装置の精密な検査の指針というものを発出いたしまして、それに基づいてその後の保安の万全を期しておるところでございます。
#27
○鳩山委員 四カ月かかったということでありますが、今回の事故原因調査小委員会も、やはり同じくらいの期日を要するものでしょうか。
#28
○神谷政府委員 現在、事故調査委員会では、重傷で治療中でおられる方々からの回復を待ってのいろいろな状況の聞き取り、さらに破裂した個所の金属材料の精密な分析を行う必要がございます。ここまでの結論が出ておりまして、さらにその後どういう精密な検査が必要であるかというのは、今後の検討が進んでまいりませんと何とも申し上げられませんので、現時点でどの程度の期間と申し上げるのはいささか早計かと思いますが、一般的な感触としては、三、四カ月は欲しいと先生方は言っておられます。
#29
○鳩山委員 いわゆるコンビナート関係の事故というのはどれくらいの数起きているものなのか。そしてそういう数々の事故の中で、今回の規模の大きさはどの程度ですか。でっかい方なのか、真ん中ぐらいなのか、その辺をお教えください。
#30
○神谷政府委員 概数で申しまして、四十八年から八十件くらいございます。ただ、その中には、先ほど申し上げましたような負傷者あるいは死者がゼロというような重大な事態に至っておらない事故もございます。今回の場合は、事故の大きさに関連して申し上げれば、当該事故を起こしました装置の周辺で直ちに消火が可能になりまして、本体設備等にも波及いたしませんし、もちろん他のコンビナート等にも影響を及ぼしていないという点におきましては、きわめて局所的に対処し得たという点で一つの見方ができますが、非常に残念なことに、現場に駆けつけられた方々八名もやけどを負われ、うち三名もすでに死亡された、こういう意味におきましては、人身的に大きな被害を与えたという点で、私どもとしては、やはり大きな事故と見て、原因究明あるいは今後の対策に取り組んでまいりたいと考えております。
#31
○鳩山委員 幸いにして二次災害が起きなかったこと、あるいは消防の手回しの方もまあまあよかったこと、そういうことが報道されておるわけでありますが、今回、事故から鎮火まではまあまあうまくいった方と考えるべきなんでしょうか。
#32
○神谷政府委員 先ほど申し上げましたように、異常な状態を発見して、恐らく点検、あるいは当直に当たっておられる方々は緊急的措置を講じられたのだろうと思います。その状況は、当時の現場の状況がまだ聞き取れない状況でございますので、何とも判断し得ません。そこのところに関しては、私どもはできるだけ教訓を引き出したいと思っておりますが、爆発した後の処置に関しましては、自衛隊の消防車等の出動、あるいは直ちに駆けつけました公的消防隊とのその指揮下における合同的な消火活動その他から見まして、事故の影響は最小限に食いとめられた、したがいまして、コンビナート防災体制として、不幸な事態に備えての備えの効果は十分発揮された、このように考えております。
#33
○鳩山委員 重油脱硫装置というのは、そもそも危険なものなんでしょうか。この重油脱硫装置付近での事故というのは、国内、国外にどのくらい例があるのか、お尋ねをしたいと思います。
 そして同様に、安全弁付近の事故だということに私どもは、素人としてでありますが、ショックを受けているわけで、安全弁というのは、事故が起きないように、圧力が高まったらそっちへ流れるという意味での安全弁なんですが、安全弁付近で事故が起きたということはとてもショックでありますので、その辺ちょっと御説明いただければと思います。
#34
○神谷政府委員 重油脱硫装置はかなり高温高圧の中で反応させる装置でございますので、基本的に危険であり、そのために高圧ガスの法律でいろいろ規定をされておる、こういう意味では、私どもはやはり十分注意して対処しなければならない装置であろうと思います。ただ、もちろん設計段階からその点を十分勘案して、事故の起きないように設計されておるはずでございますが、不幸にしていままでも国内では二件、直脱では起きております。ちょっと海外の件数は手元にございませんが、その二件とも今回とは原因がおのおの別でございまして、一つは、停止操作中の漏れでございます。他の一件は、やはりフランジ付近の漏れでございまして、いずれもそれほど大きな事態に至ってはおらないものでございます。
 今回の場合は、先生御指摘のように、安全弁下流のところに一つ破裂口がございます。それから他の一カ所、重油をタンクの方に送入するところにも破裂個所がございますので、そのいずれがどのように爆発をし、どういう相互作用を与えたのかということは、原因究明の結果を待たないとわかりませんので、何とも申し上げられませんが、安全弁付近というのは、本来、他の部分に比べますと、比較的危険度の少ない個所であるにもかかわらず起きた、このあたりが先生方非常な関心を持って調査されるところだろうと思います。
#35
○鳩山委員 たとえば、この委員会室にガソリンの何か入れたものがあって、私がそれをひっくり返してしまったとしても、直ちにこの委員会室が燃え上がるわけではありません。ところが今回の事故が起きたあたりは、摂氏三百六十度、圧力が百四十キロということで、これも素人の私どもには感覚的にとらえがたいのですが、何かこう自然発火したような印象があるわけであります。だとすれば、これは危険きわまりない装置を使っていたということになるのですが、その辺も当然調査委員会の結果を待たなければ何とも言えませんが、漏れれば爆発するものなのかどうか、いかがでございましょう。
#36
○神谷政府委員 高温、高圧で油あるいは水素ガス等が混合しておる液が通っておるわけでございますので、一般的に言えば、漏れれば爆発の可能性、引火の可能性はきわめて強いものであると考えております。われわれとしては、漏れないように措置するのが必要である、このように考えております。
#37
○鳩山委員 その辺が大変重要な問題だと思いますので、ひとつ通産省の方でも今後のために御配慮をしていただきたいと思います。
 また、非常にショックであったのは、異常に気づいた、どうもおかしいぞというので行ってみたところドカンときて、亡くなられたり重傷を負われたということなんであります。異常がわかっていながら結局は生命まで取られてしまったということ、この辺がショッキングであります。何か異常が起きたら自動的にとまるとか、そういう仕組みというのを考えるべきではないのでしょうか。
#38
○神谷政府委員 夜間十名の方がこの装置の番に当たっておられたわけでございまして、緊急な場合の措置は、上司の判断を通常仰いでから行うことになりますが、緊急であれば班長の判断において装置の停止その他もできる形になっておるわけでございます。最初の通報、二回目の通報等で、煙が見えるとかいろいろな――このあたりももっと整理をしなければいけませんけれども、通報がありまして、それを班長がどのように判断をし、現場でどのような判断のもとにどういう措置を行ったかということについては、まだ皆さん重傷で、状況をお聞きすることができないような状況でございますので、現段階では、そのあたりの措置に関しては何とも申し上げられません。私どもといたしましては、危険な状態であれば、やはりそれに応じた措置をする、できるだけ安全サイドを踏んでそういう措置をしていくということが必要だと思いますので、今回の措置の中からいろいろ教訓を見出してまいりたいと思っております。
#39
○鳩山委員 どうも逆噴射の一件以来、事故は人間が起こすものではないかという疑いが持たれるわけでありまして、果たして操作ミスなのかあるいは設備が不完全であったのか、管理体制が悪かったのか、そういったところに結局は原因が求められていくと思いますが、現段階ではどのような観点から見ておられますか。
#40
○神谷政府委員 先ほど御説明させていただきましたように、まだかなり判断の重要な材料になる部分が不明でございますので、どの点というふうにしぼって申し上げることはできないかと思います。各方面にわたってと考えておりますけれども、やはり保安検査等は茨城県も法律の要請に基づいてのものをきちんと行っておりますし、その他会社の自主検査あるいは点検等も十分行われておる。それから負傷されておられる方々でございますが、当然十分の配慮をしながら措置はされたものと思っております。したがいまして、その点は信じたいと考えておりますが、すべての問題に関してもう一度洗った上で、しかも御指摘の装置そのものに関しても、さらに分析を細かくしながら判断をしていきたいと思っております。
#41
○鳩山委員 鹿島のコンビナートは、エネルギーの供給という面から見てもきわめて重要な位置を占めておりますし、また成田国際空港とも関係が深いようでありまして、まあ考えがたいこと、考えたくないことでもありますが、そういう意図的な犯行その他による可能性も一応踏まえて調査をされるのでしょうか。
#42
○神谷政府委員 茨城県警におきましてもいろいろ調査されておりますので、そちらの方がどういうふうに考えて調査をしておられるか、私どもも十分存じませんけれども、当方で見る限りでは、やはりコンビナート装置の中で予期しない事故が起きたという考え方で物を見ております。
#43
○鳩山委員 三十秒ばかり残っているということで、最後に、また全然違うことでありますが、大臣にお願いをしておきます。
 それはいわゆる大店法の問題でいろいろと議論が華やかでありますが、家具を売っておられる皆様方は、スーパーと本質が違いまして、大変かさばる物を売っておられるわけでありまして、どうしても店舗が大きくなってしまうわけであります。その辺について配慮いただけるような通達が一度、二度と出ておるようではありますが、実際問題として、いま家具の業界が出店をしようとしますと、でかいじゃないか、大店法じゃないか、商調協だと、大変議論が出てくるようでございまして、大店法の精神ということから考えましても、家具の業界、家具販売店につきましては、また別の観点から見直していただきますように、これは答弁は要りません、お願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
#44
○森(清)委員長代理 城地豊司君。
#45
○城地委員 私は、鹿島石油鹿島製油所の事故について質問をいたします。
 具体的な質問に入ります前に、死亡された三名の方の御冥福をお祈りするとともに、現在負傷治療中の五名の方々の全快を心からお祈りをしたいと存じます。
 具体的な点では、今回の事故そのものを見詰めてみますと、死亡三名、重傷五名ということで、人的な災害から見てみますと余り大きな事故ではないというような印象を受けます。といいますのは、昨年から今年にかけて、北炭夕張炭鉱、ホテル・ニュージャパンの火災、日航機の事故等々で多くの方々が亡くなっています。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
そういう関係から見ますと、死亡三名、重傷五名であるからということでとかく考えられがちでありますけれども、この事故そのものを考えてみますと、鹿島の石油コンビナートという特殊地帯であるし、あそこにいろいろな産業が集中している。しかも爆発危険物をそれぞれに内包しているという大変な地帯であります。そこでこの事故が起こったわけでありますし、幸いにもその後の消火作業等々の関係で二次災害が引き起こされなかったという意味では、一縷の救いがあると思います。そういう意味でいきますと、あのまま二次災害が起こったらどうなったんだろうかということを想定いたしますと、この事故そのものは、中ぐらいとか小さいとかいう事故ではなくて、非常に大きな大災害を伴っていた事故ではないか、そういうような考え方に立って、これからの事故の究明や、さらには今後の対策というものを立てていかなければならないと私は考えますが、今回の鹿島石油鹿島製油所の事故について、安倍通産大臣のこの事故に対するお考え方の概要を伺いたいと存じます。
#46
○安倍国務大臣 今回の鹿島の事故は、大変残念に思います。特に、三名の死者が出た、五名の重傷者まで出た、こういうことにつきましては、まことに遺憾にたえない次第でございます。
 通産省としましても、早速、係官を現地に派遣をいたしまして、原因の調査に当たらせております。同時にまた、通産局の中に事故調査委員会を設けまして、学識経験者にお集まりをいただいて、事故の原因の究明に目下全力を挙げていただいております。いろいろと常識的に見ましても問題があるように思いますので、これは徹底的に調査をして、その真相を明らかにしなければならぬ。
 同時にまた、こういう事故がやはり全国的に今後起こっては大変なことになるわけでございますので、早速こうした事故に関連をする事項に重点を置いて、全国の事業所の総点検をいま行っております。四月七日に通達を出しまして、関係の都道府県あるいはまた関係の事業所等に協力を求めて、いま総点検を行っております。これが連続して起こるというようなことのないように万全を期しております。
 さらにまた、原因が明らかになれば、そうした原因を踏まえて、今後の対策を期していかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
#47
○城地委員 次に、具体的に質問いたしますが、この種の石油コンビナートの事故は、過去にどれくらいあったのかという点と、さらには、今回の事故原因や爆発の原因については不明であり、現在調査中であります。しかし、事故原因については、たとえば茨城県の消防防災課では「第一重油脱硫装置の原料張込ポンプ付近で重油が漏れて、着火し、爆発火災が発生したものと推定される。」というように報告書が提出をされています。また鹿島南部地区消防本部では「第一重油脱硫装置の原料張込ポンプ吐出側安全弁ラインの配管が亀裂、漏洩し、着火、爆発したものと推定する。」というように述べられています。そしてまた爆発の原因につきましても、この脱硫装置の付近の重油の温度は二百六十度でございますし、その高温の重油と空気が自然発火をもたらしたという第一の原因、第二番目としては、重油が噴出し、静電気のスパークで発火をしたというようなこと、第三としては、高温の重油と使っております水素ガスの噴出によって爆発をしたというような、爆発の原因としては以上の三つが考えられるというのが一般論でございます。しかし、現在調査委員会で調査中でありますから、それらの結論が出なければはっきりした事故の原因、爆発の原因がわからないということは、私もそのとおりだと思いますけれども、通産省としては、現在までいろいろな状況を判断して、推定でも結構でありますから、こういうようなことで起こったのではないかと推定されるというようなことについて、お考えがあれば承りたいと思います。
#48
○神谷政府委員 最初の御質問の、これまでの石油化学コンビナートにおける主要な事故でございますが、年によって若干の差がございますが、四十八年から五十六年までの数字では、件数が八十二件でございまして、うち人的被害のあったものが三十二件、死亡者の数はこのうち九名、こういうのがこれまでの状況でございます。
 今回の事故につきましては、先生御指摘のとおり原因究明中でございまして、実は、破裂しております個所も、安全弁の下流側のパイプ、それからさらにその若干下部のところにございますタンクに重油を送入していく重油パイプの個所と、二カ所の明らかな破裂部がございますし、それ以外にも器具その他の損傷している個所が非常に多いわけでございますので、どこが具体的な第一次破裂、爆発個所であったか、その原因が何であったかということは、さらに現場におられた方々のいろいろな証言あるいは材料分析等の結果を待たなければ出てまいらないわけでございまして、新聞報道等は、それらの中の考えられるものをそれぞれ報道をしておるのではないかと考えます。したがいまして、いずれの可能性もございますが、いま通産省何かと言われましてもなかなかむずかしいのでございますが、一言で言えば、配管に何らかの異常があって高温、高圧の油あるいはガスの混入物、あるいは油そのものが噴出し、その際何らかの原因で着火をした。着火の何らかの原因というのを自然発火と申しますかあるいは静電気と申しますか、そのあたりは大きな差はないかと思いますが、噴出の際の発火、それによる爆発と考えられます。しかし、前後関係、原因等については、もう少し時間をいただいて調査の結果を待たせていただきたいと思います。
#49
○城地委員 いまのところは新聞その他の報道でわかる程度でございますけれども、この脱硫装置の関係の勤務者が十名であった。しかも当時二名がパトロールに出ていた。異常を発見して通報した。それを受けた班長が、二名がパトロールですから八名が計器室にいたわけですが、そのうち六名で現地へ向かった。そして副長と他の一名の二名がそこに残っていたという状況。そして現地で爆発で被災をされたわけでありますけれども、それらから判断をし、さらにその付近に散乱していたスパナその他の器具類から見ますと、全員で行ってバルブをいち早くとめるとか、そういうような作業をしたのではないかということが想像されますが、この問題については、想像で議論をしていてもなにですし、時間の関係もございますので、実際にその事故原因がはっきりした時点でいろいろ御質問もしてみたいと思いますので、この程度にしたいと思います。
 次に、事故についての対応でございますが、三月三十一日に事故が発生した。そして通産省が茨城県へ高圧ガス取締法に基づく緊急停止命令の発動を要請した。そして茨城県はすぐにその要請どおりに緊急停止命令を発動したわけでございますし、さらに四月一日に事故調査のために現地へ担当官を派遣した。そして四月二日に事故原因調査小委員会の設置を東京通産局内で決定し、三日に調査小委員会の第一回会合を持ち、四月五日に調査小委員会が現地調査したということになっておるわけでございますが、私は、この一連の通産省の対応は、一般的に見て是認されるものだと思います。しかし、これだけの緊急事態であり、事故の大きさからすれば、私個人の見解でありますけれども、これはちょっとなまぬるいのではないかと思います。
 たとえば、調査小委員会設置の決定は翌日四月一日、現地で事故を認証したら、そういうことで調査小委員会を発足し、四月二日にもう打ち合わせ会議を開き、三日には現地へ飛んでいくというような状況にすべきではないか。物理的にいろいろな問題はありますけれども、事故の緊急性という意味では、そのような対応をとるべきじゃないかと思うのです。四月四日が日曜日でありますし、そういう関係で、この通産省がとられた手段からして、私が提案したことでいけば二日間早く現地へ到着できる、専門家の人たちが行けるわけであります。先ほど局長が答弁されておりましたが、たとえば事故調査に数カ月を要する。この件については後ほどまた申し上げますが、事故を分析する、そしていろいろな角度で正確に検討して結論を出すということは、私は時間がかかってもやむを得ない面があろうと思います。しかし、物理的に事務的に対応できる問題につきましては、一日も早く一刻も早くというのが事故に対する対応の姿勢ではないかというように考えるわけであります。そういう意味で、この対応が遅いとは申しませんけれども、もう少し何とかならなかったかと私は考えるのですが、この点についてはどのようにお考えか、釈明をいただきたいと思います。
#50
○神谷政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、大臣からも早急な対処を指示されておったわけでございますが、何分にも調査団の先生方、東大の疋田教授を団長にお願いして、あと金属材料関係、それから事故、爆発の専門家、さらには応用化学の専門家等々各種の大学の先生あるいは研究所の主要幹部の方々で、しかも学識のみではなくして、ある程度経験のおありになる、ある程度と申しては失礼で、十分な経験をお持ちの先生方に緊急にお集まりいただかなければならないということで、諸先生に私どもの担当課の課長以下が飛び回って、ぜひ時間を割いていただきたいということでお願いして、やっとお集まりいただけたのが三日になったということでございまして、二日に確定して三日に集まっていただいて、四日は実は日曜日でございましたけれども、先生方には非常に御迷惑であったかもしらぬのですけれども、われわれ特にお願いして現地に繰り込んでいただいておりまして、その間、基礎的な事情を十分のみ込んでいただいた上で現地調査をお願いした、こういう状況になっておるわけでございます。おくれた言いわけになりますが、御指摘のとおり、できるだけ緊急な対処をすべきであろうというふうに考えております。
 ただ、その後の措置に関しましても、一斉点検その他に関しては、できるだけ事故の原因がつかめて、それを重点に行いたいと思いましたが、先ほど申し上げましたように、早くても三、四カ月、特に分析等に時間がかかりますので、それまでの間、まず全体的な防災保安体制に総点検をお願いすると同時に、重油の直接脱硫装置に関しましては、細かいデータまで本省に上げてくるよう各都道府県にお願いする等、現時点で対応し得る対応を、中間的ではございますが、行っておる次第でございます。
#51
○城地委員 いまの答弁で実情はわかりましたが、最終的にそれでいいということは申し上げません。
 といいますのは、この種の災害は年がら年じゅう起こるものではないし、依頼された小委員の先生方にはいろいろな事情もあるでしょうが、とにかく昔からの言葉にございますように、取るものもとりあえずというのが事故に対するわれわれの対応の姿勢であります。先生方が別なところにいる先生だし、それは鹿島で事故が起こったからということではなくて、やはり一刻も早く一分も早くというのが事故に対する対応ではないかと考えますので、今後この種問題、そう起こっても困りますけれども、十分な対応をお願いしたいと思います。
 次に、現地の対応についてでございますが、ここに緊急通報連絡系統図というのがございます。これは緊急通報、緊急事態が起こったときどうするかということでできているわけであります。特にコンビナートはお隣で何が起こっても大変でありますし、言うなれば、コンビナート全体はコンビナート一家と言ってもいいくらいお互いに隣り合わせで同居している状態でありますから、緊急事態が発生したときどうするかということで、この系統図はできておるわけでありますが、今回の場合、実際にこの系統図どおり行われていなかった嫌いがある、私の調査ではそうなっておるわけであります。
 たとえば、地域の住民にそういう意味の情報連絡がない。これでいきますと、地域の住民にも情報の連絡があるような系統図になっておりますけれども、それらがないというようなことや、それからさらに事故が起こって――これはいいのか、悪いのか、今後具体的に当時のテレビの状況を見てみなければわかりませんが、NHKの「ニュースセンター9時」か何かで放映していた。八時二十八分かに事故が起こった、いち早く放映されたことはいいのですが、その放映をめぐって、そういう事故が起こっているのかということで、現地へ駆けつける人が多かったこと等による、あの地域の道路事情が非常にまずかったわけでございます。私どもの友人が現地へ駆けつけようと行ったのですけれども、車の規制も何も全然できていないので、現地へ到着するのに一時間半もかかったという事実があるわけでございます。そういうような点で交通規制がおくれて道路が非常に混乱したし、そういう意味では道路交通の規制なんかも十分ではなかったという感じがいたします。
 さらに、電話の関係でございますけれども、電話の回線で、五分間でもう幾ら電話をしても通じない、約一間後になってやっと通じたというような現地の混乱があるわけであります。
 さらに、もう一つ申し上げますと、二次災害を防ぐために停泊中のタンカーは移動しなければ危ないということで、タンカーを移動しようとしたが、タグボートの運転手にはそれらの連絡が行ってない。そしてタグボートでタンカーまで行って移動しなければならないのですが、そのことも不可能だったというような状況等々たくさんの現地の混乱した対応があるわけであります。
 これらは、通産省に直接どうだこうだという意見を聞かず、後ほどまた事故原因がわかった時点で、今後どういうように対策を立てるべきかということについての考え方を申し述べたいと思いますが、現地の対応はそういうような大変な状況になっていたということでございましたし、その原因もいろいろあろうと思いますけれども、通産省側としても、直接機器のことだけではなしに、それに付随することも十分調査をしておいていただきたい。これは警察その他の調査の中心でございましょうが、そう考えております。
 さらに、時間があと五分しかありません関係で申し上げますが、二次災害がなぜ防止されたかという点につきましては、自衛消防のみではなくて、あの付近のコンビナートにいるそれぞれの企業に配置をしている消防隊、さらにはいわゆる本来の意味の消防隊の活躍があって二次災害を防止できた。しかも延べ六十台の車が出てできたということや、さらには昨年ですか、消防法等の改正によって、非常にすばらしい化学車を配置することが義務づけられたということで、それらの活動によって二次災害が起こらなかったという点はやはり高く評価をすべきではないかと思いますし、金がかかっても、そういうものの配置は十分やっておくことが二次災害を防止するために必要だろうというふうに私は考えておりまして、このことは評価をしたいと存じます。
 さらに問題として、年一回定期検査をやっているのですが、今回、パイプの劣化現象と言われておりますが、それらのことについて定検が年一回でいいのか、定検の方法に若干問題がないのかという点は、今後の問題としてありますけれども、それらについては後日に譲りたいと思います。
 また、事故原因調査も、局長の答弁でいきますと、三、四カ月かかるというのですが、私たち言うなれば技術の端っこをかじった人間として三、四カ月はやはりかかり過ぎるという感じがいたします。やはり全国にこの種コンビナートもたくさんあるわけだし、全国で注視されている状況である中では、やはり中心になってもう少し一カ月ないし最大でも二カ月くらいで結論を出すというようなことにプッシュをしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 さらに、本事故の重要性については冒頭通産大臣からお答えがありました。しかし、お答えがそういうことでありましたが、前回この事故の報告があった際に、私は立地公害局長が報告をしたから軽視しているということではありませんけれども、この種重大問題でありますから、通産大臣がおられたのですから、当然通産大臣から問題としてこの事故の報告を当初されるべきではないかというように考えておるわけでございまして、これについては通産大臣からその間のいきさつ等について御説明をいただきたいと思いますし、またこれだけの事故の重大性からいたしまして、通産大臣が現地調査をやられるおつもりかどうか。いま貿易摩擦の関係で非常に通産大臣御多忙であります。その中で時間を割かれることは大変でありますけれども、今後二度と再びそういう事故を起こさないために、日本の国の最先端に立っておられる通産大臣として、現地を見た上で、今後のそういう点の行政指導等やられることが重要じゃないかと思いますので、それらについての考え方があればお聞かせをいただきたいと思います。さらに、先ほど、これは通産大臣から、質問の前にお答えをいただきましたが、全国コンビナートの総点検を指示されたという点、非常に時宜を得てすばらしいと思います。点検の指示をされるだけでなくて、できればそのフォローも十分していただいて、点検の結果どうだったかというような報告も十分していただいて、できればわれわれのところにもその種の結果の報告をいただきたい。
 時間がほぼあと一分半くらいしかありませんので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
#52
○神谷政府委員 御指摘の種々の点につきましては、関係方面でもいろいろ検討もいたしておりますし、私どもも関係方面との連絡を密にするように今後協議をしてまいりたいと思います。私どもで、私どもの責務としてやらなければならない点につきましては、原因究明の徹底的な実施とともに、その後の対策も考えてまいりたいと思います。
 御指摘のように、私もどうしてそんなにかかるのかと思うのでございますけれども、やはり技術的な分析等むしろ二、三カ月でも時間が足りないとおっしゃいますので、御趣旨を踏まえてできるだけ早く進めるようにいたしたいと思います。
 本委員会につきましての報告は、実はこの前事故が起きて早々でございましたので、参議院でも私がたまたま御説明をさせていただきましたので、その足でと申しますか、その慣例でこちらで報告をさせていただいたということで、他意がございませんので、御了承をいただきたいと思います。
#53
○安倍国務大臣 私はこの事故を非常に重要に考えております。というのは、とにかく全国各地でこうしたコンビナートがあるわけでございますし、この事業は皆高温、高圧という中で行われておりますから、まかり間違えば大事故に発展をしかねない、こういう基本的な問題点を含んでおるわけでありますし、したがって、今回の事故につきましては、徹底的に調査をして原因を明らかにしなければならぬ。多少は時間をかけても、これはもう原因は明らかにして、そうした原因を教訓として今後の事故の防止に努めてまいりたい、こういうふうに考えておりますし、全国的に総点検も進めております。
 さらにまた、現地に対しては、私自身も参りたいところでございますが、いま係員も派遣をしておりますが、公害局長も近いうちに派遣をいたしまして、さらにひとつ現場を見て、今後の事故防止の教訓を得て帰らなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後こうした事故が起こらないように、ひとついろいろの角度から万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
#54
○城地委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#55
○渡部委員長 後藤茂君。
#56
○後藤委員 きょうは、大臣と機情局長を中心にいたしまして、日本の航空機産業のあり方について、同僚議員とともに御質問を申し上げたいと思うわけですが、まず、大臣、最初に、これは基本的な考え方でありますけれども、こういう意見を言う人がいるわけです。つまりこれからは国際分業に入っていくべきではないか。日本は自動車だとかあるいはカラーテレビだとか、最近では半導体等が相手の国に脅威を与えるような状況になってきている。しかし工業製品を輸出をして、そして日本の経済を支えていかなければならない。それにさらに航空機までも手をかけていくべきなのかどうか。つまり国際分業で、ひとつ航空機はもうおくれてしまったんだからこれは見送っていこう、この方がお互いに経済摩擦を起こさないでいいんではないか、こういう意見を言う人がいるわけでありますが、大臣はこの意見に対してどういうようにお考えになるか、これはひとつ機情局長より大臣に、基本的にこの航空機というものを日本がどう考えていくかという問題でありますから、最初にこの点をお伺いをしておきたい。
#57
○安倍国務大臣 いま御指摘のように、国際分業論というのがいろいろの角度から出ておることは事実でございますが、私は、現実的な姿としてそうした面が出ていくということは、これはあり得ると思いますけれど、一つの政策の基本方向として国際分業論をとるということにはくみしないわけでございまして、やはりその国その国としての総合的なバランスのとれた発展というものを行っていかなければならぬ。そういう意味において、私は、やはりそれぞれの国が自分の力に応じてあらゆる分野において努力をしあるいは技術の開発をして、世界の安定と平和に貢献をしていくということであろうと思います。
 私は、いまこの航空機産業が日本の場合非常におくれておる、ですから、もはやこれは外国に依存すればいいじゃないか、こういうふうな議論もあると思いますけれども、しかし、これからの世界の将来というものを考えるとき、この航空機産業の占めるウエートというものは非常に大きくなってくるわけでございますから、日本はこれだけの技術力というものを持っておりますし、そしてかつては航空機の生産については大きな歴史を持っておるわけでございますし、またすでに国産機としてYS11については、いわば日本としては、戦後のこうした航空機についても具体的に生産をしてまいった、そしてそれが世界的に非常に評価をされておる、こういうことでございますから、われわれは、将来の日本の発展というものを考えるならば、航空機産業につきましても積極的に取り組んでいかなければならない課題であろう、こういうふうに考えております。
 コンピューターなんかも、アメリカは非常に進んで日本なんか取り残された。そういう中で、やはり日本が営々と努力して、まさに現在ではアメリカのコンピューター産業に匹敵するだけの力を持ちつつある、こういうことであります。ヨーロッパは完全に乗りおくれたということでございまして、私はそういう意味において、これは国際分業論というような考え方で航空機産業に対する努力を怠ってはならない、こういうふうに考えておる。むしろ積極的に取り組んでいくべきであるというのが基本的な姿勢であります。
#58
○後藤委員 もう一点、最初に大臣にお伺いしておきたいのですが、いまの航空機産業を積極的に振興させていくというお考えは十分に私も理解ができたわけですけれども、もう一つの問題は、最近特に臨調フィーバー、行革フィーバーといいますか、そういう中でいわゆる民間の活力あるいは民間の創意工夫、つまり民間には活力があり創意工夫がある、公共企業体なりあるいは政府関係の特殊法人等については、裏返して言えば活力はない、あるいは創意工夫も全くないと誤解されかねない風潮というものが特に強くなってきている。私はこれは大変危険な考えだと思うのですけれども、大臣、最近の民間の活力、民間には活力がある、民間には創意工夫がある、その視点が非常に強く出されていく動きというものに対してどういうようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思う。
#59
○安倍国務大臣 これは事業によりまして、やはり民間でやっていかなければならない事業、また民間の方がメリットの高い事業があると思います。しかし、また反面、事業によっては国が直接やる、あるいは国の関係団体がやる方がむしろ成果を上げるという面も私はあるのじゃないかと思いますから、一概にすべての事業は全部民間に任せたらいい、こういうことは私は言えないのじゃないかと思うわけでございます。しかし、民間がこれまで日本の自由主義経済の中で非常に大きな進歩発展を遂げて、いま貿易摩擦と言われるほどの、いわゆる技術の面におきましても世界の最先端を行っておる。これは相当国も協力をしておるわけですが、民間の大きな活力というものが母体であったことも事実でありますし、また日本経済が世界の中でこれだけのすぐれたパフォーマンスを持っておるというのも、やはり民間の経済の活力というものが大きな根源になっておることも事実でございますので、そうした民間の活力というものを大いに育てるといいますか、活用するということは、これはまたわれわれとして、これからの八〇年代、二十一世紀というものを考えるときに取り組んでいかなければならない課題、責任ではないだろうか、こういうふうに思っております。一概に、いま言われるように、一方的にただ民間のみということはもちろん言えない。それぞれの事業や仕事の特色というものを判断しながらやらなければいけない、そういう弾力性というのは必要じゃないか、余り硬直した考えで臨むべきじゃない、そういうふうに私は思っております。
#60
○後藤委員 余り硬直した考えをとるべきじゃない、私も全く賛成です。日本の経済が今日の評価を受けるところまで来ているというのは、私はこうした国の機関なりあるいはそういう援助なりというものが非常に大きな役割りを果たしてきたと思うのです。これは国際的に見ても非常に特異なあり方だというふうに私は思うのです。
 ところが、最近の行革あるいは財政再建というようなことに目を奪われて、とりわけ行政を見ておりましても、私たちも論議をしていく場合でも一年あるいは二、三年のタームでしか物を考えていかない。これからの二十一世紀等も考えていきながら、いまの航空機産業に限って言えば、これをどう開発し、発展させていくかというところの視点というものが、特に日航製の廃止とのかかわりの中でいま大変危険な方向に行っているように思えてならないのです。昭和三十三年ですか、この航空機工業振興を目的といたしました振興法ができた。そして翌年日航製というものが実施機関として設立をされた。私はこのボタンのかけ方は間違っていなかったと思うのです。第一、第二ボタンぐらいは間違っていなかったと思うのですけれども、それから少し行き始めてくると、一つ、二つボタンを飛び越えていって、かけ違い始めたのじゃないだろうかと思えてならない。
 きょう御質問申し上げるためにずっと歴史を調べてみました。いろいろな現象が起こっておりますけれども、先ほど大臣が御指摘になったような、いわゆる日本の航空機産業というもの、これが付加価値の高い、しかもその技術の波及効果というものは非常に大きい。すそ野を広げていくような産業である。それの核となるべき、推進母体となるべきものに対して、もっと政府は愛情を持って考えていかなければならなかったのではないだろうか。ところがすでに閣議決定をして、これを解散していくというところに持ち込んでいった責任というものは、私は非常に大きいように思うのです。しかも何兆円というような大きな金額を食いつぶしていくような性格のものではない。もっともっと助成をしていくべき、育てていくべきものであったのではないだろうか。
 あともう少し具体的に触れてみたいと思いますけれども、それだけに機情局長、振り返ってみて、航空機工業振興法をつくり日航製をつくる、そしてYS11をつくり上げてきて、今日になって世界の名機と評価され始めてきているその母体に死の宣告を与えていくということは、私は大変問題がありはしないかと思えてならない。過去の歴史、国会での議事録等をずっと読んでみまして、いま通産行政の中で航空機産業を振興するということを言いながら、ボタンのかけ違いを始めたのではないだろうか、こう思えてならないわけです。機情局長、いかがでしょうか。
#61
○豊島政府委員 先生御指摘のように、YS11は当時日本が戦後航空機工業について空白があったわけですが、それから立ち上がって国際的にも評価されるような民間航空機をつくったということで、その意味で非常に成果があったということだと思います。しかし、今後どういうふうに航空機工業を持っていくかということになりますと、YS11をつくりました母体となった日本航空機製造の方式というものがいいのかどうかということもございまして、むしろそういう非常にりっぱなものをつくったけれども、一方では大きな赤字を出した、そういう貴重な経験を踏まえて、どういうふうに対処していくかというのが問題かと思います。
 この点につきましては、航空機・機械工業審議会で相当議論をされた結果出た結論があるわけでもありますから、それは今後の航空機工業といいますか、航空機の開発、特に国際的に通用する飛行機といいますか、大型のジェット機ということになりますと非常に資金も膨大であるし、そういうものに対してキャッチアップする点から見ましても、国際協力ということをやはり前提にしなければいけないということが一つでございます。
 もう一つは、いわゆる民間のバイタリティーを活用していくということがもう一つの柱としてあったわけでございます。この点につきまして、せっかく育てた日本航空機製造をどうして温存しなかったのか、こういうことでございますが、先ほど大臣からの答弁にもございましたが、先端技術に対しては、国としてはこれまで以上に力を注いでいくということはそれなりの必要性があるわけでございまして、財政が非常に苦しい中でも、通産省は航空機のみならず技術先端産業につきましては、いろいろな意見の中で、これについては最大限の努力をして確保していったということでございますが、国としての資金を確保する一方、それが有効に効率よく使われるということがやはり必要になってくるのじゃないかということでございまして、国として力を入れる、資金を確保する、しかし一方ではそれが効率的に使われるということになりますと、その形態論に入るわけでございます。YX、今後YXXとかでも同じようなことになるのじゃないかと思うのですが、要するに民間の力を結集してやるという場合、その組織というものは開発の段階に応じていろいろ違っていく。最初は予備的な準備段階からあるいは予備設計から、あるいはゴーアヘッドになりまして、ある程度の民間の事情をつかめた後に行われる本格設計ということでやっていく間におきまして、そこに必要な人材の数及びその種類といいますか、そういう方々は違うわけですが、そういうものを最も効率的にやっていくためには、各民間会社に配属された人がその必要に応じてそういう組織の中に入って仕事をしていくということが最も適切でございまして、そういう組織というのは、硬直的な組織ではいたずらに金ばかり要るわけでございますから、そういう国として力を入れあるいはリスクも負担していくということであっても、その場合における方式としては、最も効率的なものを選ぶ、こういうことが必要じゃないか。
 そういう意味で、いわゆる公益法人による開発方式ということを採用し、その実が着々上がっている、このように考えておる次第でございまして、航空機製造自身の評価あるいはYS11の評価あるいはそれにおけるいろいろの問題点、反省を含めまして、われわれとして、今後の方向はいま申し上げたようなことで進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
#62
○後藤委員 私は細かいことを聞いているのじゃないんで、航空機産業をわれわれは一体どう考えていくべきかということを中心に申し上げて、先ほど局長の御答弁では、赤字が大変出てきたというようなことも大変大きな原因である、あるいは硬直した点もあるような発言もある。それでは私は言葉を返すようですけれども、昭和三十四年から出発いたしました日航製、そして今日YXあるいはYXXという方向に行っているわけですが、どのくらい金を使っていますか。
 それと、私は参考のために、きょうこの質問を前にいま科学技術庁へ電話して確認をしてみたわけでありますけれども、たとえば原子力船「むつ」に対して国が出資あるいは援助に五十五年度末決算ベースで三百二億円かけている。さらに漁業振興、これは青森と長崎に三十七億円出している。五十六年度はまだ決算が出ておりませんが、予算ベースで六十九億円、五十七年度は七十二億円、そうしてこの原子力船「むつ」は恐らくまだ二十年くらいの耐用年数というものを考えているのでしょう。これからどのくらいかかっていくかわからぬ、こう言っているわけです。私は航空機産業よりも、この原子力船「むつ」の方がすそ野は狭いと思う。原子力の開発に対する技術というものは、あるいは波及効果も持つかわかりませんけれども、もっと航空機産業が持っております技術なり付加価値なりその波及効果というものを考えていくと違うと思うのですね。しかしいま政府は、大臣、この原子力船「むつ」、賛成反対は別です、これに対してこれだけ金をかけているのです。ところが日航製はあのYS11という名機を百八十二機製造したのですか、まだ現在百六十機飛んでいるということは大変なことだと思う。しかも、これからまだ十年飛び続けるでしょう。なぜこういうのを愛情を持って原子力船「むつ」のように、「むつ」のようにやれと言うのじゃないけれども、もし赤字、黒字を言うんなら、こんなものは真っ先にやめるべきじゃないですか。こういうところに対する通産行政の視点が、行管なりあるいは各省一つくらいは特殊法人をなくせというようなその声に余りにも驚き過ぎて、こういう結論を出そうとしているのではないだろうかと思えてならないわけです。いかがでしょうか。
#63
○豊島政府委員 原子力船に対する補助といいますか、相当な金に対して、航空機はもっと金を出していいのではないか、そう効率ということを考えなくていいのではないか、こういう御指摘であったかと思いますが、私どもとしては、航空機工業の振興のために必要な金は最大限確保し出すという方針に全く変わりはないわけでございます。YS11の場合でも、資本金四十二億とか、その後の赤字補てんのために三百六十億、相当金を出しておりますが、さらにYXには百五十億くらい出しているし、今後YXXあるいはロールスロイスとやっておりますジェットエンジンの開発に相当な金をつぎ込んでいくということは必要だと思っております。
 ただ、ここで一言申し上げたいと思うのでありますが、やはり同じ金を投入して、しかも不必要なマイナスといいますか、そういうことをやる必要があるかどうか。不必要というのは非常に穏当でないかもわかりませんけれども、最も合理的なやり方を追求するということは、一方税金を使う場合に必要でないかということであろうかと思います。したがって、同じ開発をするのに、どのようにしたら最小の資金で最大の効果を上げるかということが一番大事な問題でございまして、航空機製造会社を残してやることが最も適切で能率的であれば、当然そういうことでございます。赤字が出る、単なる赤字というのはどういう方向であっても出るけれども、それを特殊法人を一つ減らすためにやっているということではなくて、もしもっと効率的な組織でやればそれはもっと資金が少なくて済む。少なくて済むということは、一定の資金でもっと幅広い活動ができる。たとえば機体だけでなくてエンジンまで手が出る、あるいはその次のYXXまで金が出せる、こういうことで、限りある国家資金を前提にして、いかにしたら最も効率的にやれるかということが非常に重要でないかということの検討の結果、正直言いますと、若干の問題点というのは双方にあるのかもわかりませんが、そこを大局的に考えれば、日本航空機製造を民間に移管して新しいスタイルでやることが一番望ましい形態である、このように考えたからでございまして、資金をなるべく少なくするとかあるいは航空機工業に対する熱意、腰の入れ方が足らないということの結果では決してない、この点については御理解をいただきたいと思います。
#64
○後藤委員 機情局長はイギリスにも長くおられた、またついこの間までフランスにもおられた。コンコルドがいまどういう状況になってきているかということは十分御承知だと思うのです。私は五年ばかり前にルクセンブルクへ行ったわけですけれども、パリからルクセンブルクへ飛んで乗った飛行機がフレンドシップだったわけです。低空を飛んで、あのフランスからルクセンブルクの原野を本当にきれいに見てきたわけです。こういうなつかしい飛行機が飛んでいるのだな、こういうふうに思ったわけですね。もっと大切にしなければいかぬと思うのです。マッハ2だとか音速の二倍か三倍の飛行機もあるいは必要であるかもわからぬけれども、最近は五百人とか千人とかの飛行機よりも、百五十人とかあるいは二百人とかというようなところに重点を置くというような動きも出てきているのではないですか。余りにもキャッチアップを急ぎ過ぎている。先ほども私は大臣に国際分業の問題を申し上げた。もし本当に世界の人々が仲よくしていって、お互いがお互いの技術を移転し合いながら協力し合っていけば、何も別に五百人や千人の、あるいは音速を二倍も三倍も超えるようなものを、つくっていくところは、その技術を上げていけばいい。しかし、そうでなしに日本経済がバランスのとれた産業構造を持っていくためには、やはりどうしても航空機産業というものは振興していかなければならぬ。しかも民間に活力があるのではなくて、もし民間に活力があるとすれば、その活力を刺激してきたのは、行政がよろしきを得たということを申し上げるというわけではないけれども、やはり国がタックスペイヤーの気持ちを考えていきながら研究開発投資に金をつぎ込んでいったからでしょう。しかも、これが物になるかならぬかわからぬ。それをコスト計算すれば、恐らく赤字のものをやってきているわけなんですよ。こういうところへもう一回思いをいたしてみる段階にあるのではないだろうかという気が私はしてならない。たとえば通産の八〇年代ビジョン、いまここへ持ってきてもらってざっと読んでみましても、「航空機開発の基本となる技術については、九〇年代に本格的な技術革新が実現することが予想されることから、わが国としても新技術の基礎的研究開発体制を整備し、新世代の航空機の開発に即応しうる実力を備えていくことが重要である。新技術の研究開発については、実用化技術を含め、技術的に極めて高度かつ複雑なものであるので、国が中心となって推進することが必要である。」私はこの考え方は間違いではないと思うのですね。機構局長は民間を主体としつつも国がそのリスクの一部をこれからも負担をしていかなければならないというように言っているわけですが、この八〇年代の通産ビジョンの中で「主要産業の展望とニューフロンティアの可能性」というところの中に「先導産業としての自立への道」で航空機産業というものを位置づけているわけです。私は、これからもいわゆる納税者の気持ちを大切にしながら、国の資金というものが必要な産業だろうと思うのですね。リスクの一部というのを一体どの程度にお考えになっていらっしゃいますか。
#65
○豊島政府委員 リスクの一部ということでございますが、現在では、その段階によって違いまして、最も基礎的なところになりますと、四分の三ぐらいを国庫補助しているというところから、相当話が進んでいきますと、五割ぐらいになるということでございまして、YXですと大体五五%ぐらいに結果的にはなって射るのじゃないかと思いますが、エンジンその他もそれぞれによって違いますが、一部といいますけれども半分以上ということにおいては変わりはないと思います。
#66
○後藤委員 私の常識では、一部というのは大体一〇%前後というようなのが常識と考える。たとえば富士山の登山を考えたって、やはり六合目は六割ぐらいのところ、一合目のところはやはり十分の一のところだろうと思うのですね。いま局長の御答弁の中では、五〇%あるいはYXX等は七〇%とか、いまの段階では言う。そのとき、そのときで違っていくでしょうけれども、そうすると、切られ与三ではないですけれども、これでは一部ではけえられめえということになって、過半数から六割も七割も国家資金が要るのでしょう。民間の活力、そこにタックスペイヤーの気持ちを大切にしながらこれから金を使っていくというわけです。研究開発の段階ではないですか、まだ。量産になればもちろん民間でやっていくということになるかわかりませんけれども、もっともっと研究開発をしていかなければならない。とりわけ、単に早く輸送したらいいというものではないわけです。航空機というものは安全というものが大切なんですよ。それだけに、もう一度ボタンのかけ違いというのを整理をしてみる必要があるだろう。これまでも通産行政の中でいろいろな産業が育ってきた。離陸する段階ではまだない。まだまだ研究開発のための資金というものが大切な産業だろうと私は思うのです。その核になるべきものを、わずかな赤字で、しかもこの赤字――きょうは時間があればもう少しその点についてもお聞きをしてみたいと思いますけれども、原子力船「むつ」等があるいはほかのいろいろな研究開発等で使われております資金から見ますと、私はそんなに金食い虫であったとは思えないのですよ。そういう意味で、こうした閣議決定までされて、もうすでに日航製解散の株主総会等での決議をしていこうかという段階で、もう一度私はこれを見詰め直してみるという、こういうところにあるのではないだろうか。
 私はかつて石炭の問題でもこの委員会で質問をしたことがあるのです。流体革命だとか、あるいはもうすでに石炭は要らなくて石油の時代だとかいって、当時五千数百万トンあった石炭というものを合理化法を出して完全につぶしていこうとしてしまった。いま二千万トンとれないじゃないですか。そして一回閉山をしてしまいますと、これを開発をしていくということは容易なことではない。確かに行政は予算に束縛されて、もう年度、年度あるいはせいぜい二、三年先しか考えないのですけれども、もっと長期に日本の航空機産業を、この通産の八〇年ビジョンで言っているようなことをやっていくための体制というものをどうつくり上げていくかというところを考えていきますと、ただ日航製、やあ百何人かの人間をどうするこうするとか、赤字が出ているからいかぬとか、あるいは行管なり臨調がこういった特殊法人に対しては、これはつぶせとか、何かスケープゴートを出さなければいかぬ、こういうところだけに局長やはり目を奪われ過ぎてはいないだろうか。これまでやってきた通産行政の中でたくさんの産業を育ててきた、その経験というものを生かしていく必要が私はまだ大変あるだろうという気がしてならない。ずっとこの議事録を読んでみましても、一々議事録の引用をいたしませんけれども、私はそういうふうに思えてならないのです。いかがでしょうか。
#67
○豊島政府委員 いま先生のおっしゃいましたいろいろな引用されましたことにつきまして、私どもももちろんそういう大事なことであるということは認識しておるわけでございます。ただ、私どもが先ほど来ちょっと説明が不足しておったかと思いますが、航空機の技術の開発というものの中には、いわゆる基礎的な研究というのが一つあるわけでございまして、たとえばこれにつきましては、通産省工業技術院で大型プロジェクトとしてターボプロップのエンジンを開発するとか、あるいはそのエンジンを使った科学技術庁でのSTOLの研究とか、あるいは五十六年度から始まっております次世代技術開発の中での複合材料、航空機用のその他材料面でのそういう基礎的、要素技術的なもの、そういうことは国が全部金を出してやっているというところがあるわけでございます。それでいま議論になっております日本航空機製造がやるとかあるいは民間輸送機開発協会がやっておるのは、いわばそういう基礎的なものというよりは、実用機の開発ということでの一つの研究開発という要素であろうかと思います。
 これにつきましては、どういうやり方をやるかということでございますが、日本航空機製造の場合におきましても、当初研究開発は大体五割ということで民間の金も出していた。組織がそういう特殊会社であったということであります。金としてはその当時からもフィフティー・フィフティーみたいな、いろいろ計算すると違うかもわかりませんが、当初そういうことでスタートしたわけで、その後つぎ込んだ金につきましては、その後の発生した赤字対策として三百億程度つぎ込んでいますが、これはちょっと別の議論かと思います。
 そこで、先生御指摘の航空機工業の将来ということをいろいろ考えて国としてもっともっとやるべきでないかということですが、その点において従来からの考え方と全く変わっているわけでないわけでございまして、ただそのやり方、方式といいますか、そこについてどうやったら一番効率的にやっていけるかということを国の政策を推進する上で考えた結果が、現在の方式を変えて新しい公益法人方式でやっていくということになって、それがYXにおける実際の事業として一つの成功といいますか成果を生んでいる、こういうことでございますので、考え方を臨調とか何かそういうことで、もちろんそういうことも契機にはなったかもわかりませんが、それに引きずられて、ただ単に無責任に、しかも政策を曲げてやっている、こういうことでは決してない、この点は御理解いただきたいと思います。
#68
○後藤委員 政策を曲げてというような指摘を私は申し上げているんじゃないのですよ。これからはもう大体航空機開発というのは研究開発の手を離れた、民間の活力で民間に任せて若干金融なりあるいは税制なりの面で援助すればいいじゃないか、量産体制に入っている、こういうことであれば、それは一つの役割りを果たしているのですから私はいいと思うのです。しかし、まだそうじゃないでしょうと言いたいのです。たとえば原子力船なんかについても事業団がやっているわけでしょう。研究開発のための投資がまだたくさん必要だ。とりわけわが国の場合には、そういう研究開発に対する投資というものが国際的に見てまだ低いというように言われている中で、これからの空のアクセスを考えていく場合に、研究開発投資に対する受け皿といいますか、そういう機関というものがもっともっと大切ではないか、私はこのことを指摘をしているわけであります。
 ところが局長は、もうすでにずっと積み重ねて、そして気の毒だが日航製というものを差し出して、これをなくしますから何とかひとつよろしくというような形にいくために審議会というものをつくる。そしてその審議会の脚本、シナリオをちゃんとつくって、審議会という大変権威のある機関にオーソライズをされましたので閣議決定をいたしまして解散のやむなきに至りました、こういうところに来た、そこのところが間違ってやしないか。何としてもがんばるべき産業であり、そのための研究開発の機関であっただろう。もし日航製がいまの場合に不十分であるとすれば、人材にいたしましてもあるいは資金的、体制的なものを補強していけばいいことであるのに、さっとなくしてしまっていく。これからまだいろんな協会をつくったりなんかしてやっていくわけでしょう。国の責任は、その資金に対して一体どういう担保がなされていくわけですか。
#69
○豊島政府委員 先生の御質問幾つかあったと思いますので、一つずつにさしていただきたいと思うのです。
 まず第一に、もう民間の手に渡してしまっていいようなものになっているというお話でございますが、そういうことではないわけでございまして、たとえばYXを開発しましていよいよ型式承認をことしの夏ごろ終えて量産体制に入るわけです。それにつきまして屡民間が独自に力を結集してやるということ、これは国の補助はないわけでございます。その次に、八六年から八年にかけて百五十人乗りの輸送機ということで考えておりますYXXにつきましては、またYXのときと同様に、その研究開発につきましては、先ほど申しましたような高率の補助金を出してそれを推進していく、こういうことでございまして、その研究開発といいますか、開発段階につきましては、国として十分の措置をとっていくということを考えているわけで、ここで突っぱねておるということでは決してないわけでございます。
 それから、第二の点でございますが、それではなぜ日航製をやめるのか。これは先ほど来いろいろと何遍も御質問がありまして、若干私の答弁の仕方が悪かったのかもわかりませんが、要するに、そういう開発をやっていく場合に国が助成するといいますか、リスクを負担していくというときに、そのやり方としてどういう方法がいいのかということの問題でございまして、この点につきましては、昭和四十八年に赤字が相当出て、今後どうするかということで、すでにそのときにおいて、今後の日航製につきましてはプロダクトサポートというものをやる、後債権回収をやる。それでどういうふうに今後やっていくかということで、そのころから民間移管につきまして検討がされておった。ただし、その場合にもう一つ、十年間でいかにして赤字をなくするかといいますか、資本金まで赤字を減らすかという再建対策等を含めまして、そのころから研究し検討しておったわけでございまして、財政が苦しくなった当今、その問題をあわてて研究し始めたということではございませんでして、そのころからもうその根はあったわけでございます。そういう検討の結果、長期にわたる検討の結果、この際民間に移管していく。それから開発につきましては、先ほど申しましたような公益法人方式がいいということに、審議会の討議あるいは役所の内部の議論を含めましてそういう結論になったわけでございまして、これはあくまでもやり方といいますか組織の問題であろうかと思います。
 たとえば、プロダクトサポートにつきましても、今後十年間さらにまたプロダクトサポートだけをやって日航製を残した場合には、膨大な赤字が出るということでございます。まだ百六十機飛んでいるじゃないかということでございますが、それだけのために一つの組織を維持するということは、たとえば能率の点からいっても、単に赤字をふやすだけである、こういう経済的な問題もあろうかと思います。
 そういうことを総合して私どもは考えたわけでございまして、決して臨調がどうこうあるいは審議会が結論を出したのをうのみにしておる、こういうことでないということだけは十分御理解いただきたいと思います。
#70
○後藤委員 結論が出された後を受けた局長でありますから、私がいま航空機産業のあり方、それを支えていく体制をどうしていくべきかということを幾ら御質問申し上げても、不動の金縛りにあったように、私の質問に対してひとつ考えてみようという答弁ができなくなってしまっておるということは私は理解できなくないわけですけれども、しかし、ここは立法府ですから、政治的にどう考えていくかという場合に、もし赤字、黒字だけを言うとか、あるいはいままでこういう手順を踏んできているんだから、これはもう変えることができないんだと言ってしまうなら、委員会の審議なんというのは要らないんですよ。もう一度考えて見直さなければならない問題がないだろうか。事は、航空機産業は、これからも発展をさせていくべき性格のものであるだけに私は申し上げているのです。たとえば赤字の問題だって、おっしゃいますけれども、しかし為替差損だとかそれに対する金利負担、こういうものがその赤字部分に大変大きなウエートを占めていて、しかも昭和四十八年ですか、十カ年計画をやって、十年後には資本金の範囲内に抑えていくというような計画も立てておられる。その中で出てきている赤字はびっくり仰天するような赤字じゃないじゃないですか。わずか数十億、といっても大変な額ではありますけれども。こうしたものに手を加えていきながら、しかも基礎研究開発を進めていくためには、議事録をずっと読んでみて、あるいは大臣も答弁なさっておりますが、これまで蓄積をしてきた技術なり経験なりノーハウを散逸させていかないようにしたい。こういう機構に対して、もう結論が出ているものに対して、そこから一歩も踏み出した答弁ができないでしょうけれども、私は何としてもこの点だけが理解ができないのです。あるいは日本航空機製造ができて、大学なりそれぞれの専門教育機関を卒業して、これこそこれからの人生をかけていく職場であるということで入ってきた人々が、いやもうYS11はおしまいである、民間の活力を生かすために、国はこれからも相当巨大な資金を出すけれども、もう民間の方に任せていってしまうのだ、あなた方は御苦労さんでございました、どうかそれぞれの職場について――これが先ほど言ったように全く国際分業で、もう航空機産業に手を染めないというのならあきらめがつくでしょう。通産行政の中では一番得意じゃないですか。こういった機構を強化、拡充していきながら民間のいわゆる日本の産業を振興さしていく。日本の通産省というのが国際的にも注目されているのはそこである。にもかかわらず、途中でここで手を放してしまうということが私には何としても理解ができないわけです。赤字の問題ずっと見ていったってそうです。局長、びっくり仰天するような赤字じゃないじゃないですか。しかもそれは日航製が怠慢でずさんで、たくさんの赤字をつくって崩壊をしていくような、そういうことではないじゃないですかということを申し上げている。なぜこれに対してその都度その都度手当てができなかったのかということを御質問申し上げているわけであります。
#71
○豊島政府委員 航空機工業の振興に国が最大限の力を注ぐという政策は、今後も続けていかなければいけないということでございます。ただそこで、何遍も同じことを申し上げて恐縮でございますが、やり方を変えれば赤字が出なくて済む、しかも同じ目的が達成できるということであれば、そちらの道を選ぶということは国の政策として当然ではなかろうかという気がいたすわけでございます。日本航空機製造を残さなければどうしてもそういうことができないのかということでございますが、いわゆるプロダクトサポートの問題に関しましてもあるいは開発の問題にしましても、方式を変えることによって、日航製をそのまま温存した場合に生ずるであろう赤字をなくして、しかも同じ目的を達成できるということであれば、そういう方式をとるということは、われわれタックスペイヤーの立場を考えましても、あるいは航空機工業に同じ金をつぎ込んでより多くの成果を上げるという観点からいたしましても、当然そう考えるべきではないかと思います。
 ただそのときに、先生御指摘ございましたが、いままでの成果というのをいかに温存し活用するか、こういう問題がございまして、組織が変更されましても、その点については最大限、仮に組織が残った場合よりもさらに活用できるというようなことも考えるべきであろうかと思います。それから大学の専門を出てこられた方々も、そういう意味で、いままでよりもより力の発揮できるようなことを、今後体制が変わった場合においてもわれわれとしては十分配慮するというか考えていく必要のあることだと思っております。したがいまして、御質問に直接でございませんが、民間を主導としました体制におきましても、その組織の中で十分力を発揮していただけるようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#72
○後藤委員 時間が参りましたので、最後に大臣に要望しておきたいのですが、やはり一つの礎というものもあるだろうと思うのです。本当にその礎を果たしたのだという気持ちになり切れぬ部分が、大臣、これはあるのです、航空機について。これからますます発展をしていく産業で、しかも国家資金を相当大量に使っていく産業でありながら、そこから離れていかなければならぬ人々をつくるということは、私は行政的に大変大きな問題がありはしないだろうかという気がしてなりません。
 昨年の十一月ごろであったですか、「製造打ち切り早過ぎた」「YS11惜しむ航空業界」という記事があるわけであります。イギリスのBAe社ですか、この航空機は双発プロペラ機、YS11よりも座席数がもう少し少ない。そのメーカーが、日本ではなぜYS11の生産をあれほど早く打ち切ったのだろうかということを言っているわけです。これからは、狭い日本ではそんなに滑走路の長い飛行場というのはつくれませんよ。外国でもそうだと思うのです。その場合に、わずか千二百メーター程度の滑走路でやっておったものを、もう一度死児のよわいを数えるようなことで恐縮ですけれども、これをつくれというのではない。こういった努力をしてきたものが、今日の世界的にりっぱな工業製品というものをつくり上げてきた背景をなしているということも、大臣、お考えいただきたいと思います。こういった航空機産業をこれからのニューフロンティアの可能性を秘めてつくり上げていくのだという場合に、後でまた同僚議員が詰めていきますけれども、航空機産業というものを通産行政の中においてももう一度心を静めて、静かに位置づけを考えてみる必要があるだろうということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#73
○渡部委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十一分開議
#74
○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。水田稔君。
#75
○水田委員 午前中にも航空機産業の問題について質問がありましたが、大臣も、航空機産業というのは大事な産業、こう理解されておるようでありますが、日本の航空機産業の振興というのは、行き当たりばったりじゃなく、ちゃんとした方向というものがなければならぬと思うのです。基本方針というのは、通産省は一体どういうぐあいに持って進められておるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#76
○豊島政府委員 航空機工業は知識集約的な産業でございまして、また先端技術ということで、今後日本の将来の産業を先導するといいますか、そういう産業で、非常に波及効果も多いわけでございます。したがいまして、これを伸ばしていくといいますか、発展させていくということは当然のことでありますが、その方向として、どのような方向でやっていくかということでございますが、現在、世界で通用しております大型ジェット機というものにつきましては、非常に膨大な資金も要るわけですし、現在の日本の力で独自で開発するということもできない段階でございまして、この点につきましては、国際協力を前提としてやっていくわけであります。
 それから、その具体的な対策といたしましては、民間のバイタリティーを活用していく。しかし、開発段階につきましては、膨大な資金とリスクを伴うものでございまして、この点につきましては、国もそのリスク、資金の一部といいますか、相当程度を分担していく。しかし、これが生産、販売段階に入りましたときには、民間の責任で進めていく、こういう方向でございまして、いずれにしましても、ある一定の段階になりましたら、日本としても、従来のような他の国のイニシアチブではなくて、日本がイニシアチブをとって航空機を開発していく、できるような状態にまで持っていきたい、このように考えておるわけでございます。
#77
○水田委員 大事なことが抜けておると私は思うのです。三十三年に航空機工業振興法をつくったときに、提案説明で「航空機等の国産化を促進する」とあります。これは少なくとも、それがいま言われているように、いわゆる大変波及効果が大きいとかということになってくるわけですね。まさにわが国の基本的な方向というのは、民間航空機の、いわゆる輸送機の国産化を目標にして法律もつくったし、日航製もつくったと思うのですね。そして附帯決議には、民間の航空機等の国産化の促進を主目的として運用のこと。したがってその補助を出していく、あるいは国民の納めた税金を使うということが国民との間の合意が求められる、そういう考え方だろうと思うのですね。その点はいかがなんですか。私は、少なくともいま答弁のあったことの基本にあるのは、わが国の航空機工業振興については、国産化を促進していくということが基本であったと思うし、これはいまも変わったらおかしいと思うのですが、その点はいかがですか。
#78
○豊島政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、航空機工業振興法ができたときの提案理由説明、あるいは附帯決議というのがございますが、いずれにしましても、その法律は、戦後七年間の空白期間を経て、再開後間もない日本の航空機工業の振興を図るということが目的であったと思います。
 それで、当時YS11の設計構想の作成が進められておりまして、こうした振興策の大きな柱としてYS11プロジェクトというのが念頭に置かれたことは事実でありますが、一般的に、航空機部品、それから装備品等は一〇〇%近く当時は輸入に依存していたわけでございまして、そういう観点から、機体部品、装備品の国内生産を促進する、そして国産の比率を高めるということが一つの大きな目標となったということはそのとおりだと思います。こうした振興法の考え方を踏まえまして、政府としては、YS11の開発、それからYXの開発、それからさらに五十六年度からYXXの開発等を推進する、そういうことでわが国の航空機工業の振興を図ってきているわけですが、そのプロジェクトの推進に当たりまして、特に実用民間機の開発であることから、市場の状況、わが国航空機工業の開発能力等を的確に把握しまして、最も適切な開発方式を選択すべきであるということでございまして、振興法も、完成機体が全部一〇〇%純国産であるということではなくて、当時の状況から見まして、国産比率を非常に高めていく、こういうことではなかったかと思います。
 現状におきまして、先ほどもちょっと触れたわけですが、大型ジェット旅客機の開発というのは、技術的にも資金的にもリスクがきわめて大きいということで、リスク分散、市場確保という観点から、いろいろと国際協力を前提として進めておるわけでございまして、そこで、そういうのを国産と言えるのか、あるいは国産を捨てたのか、こういう御議論になろうかと思うのですが、この点につきましては、いま世界の常識としまして、ヨーロッパ各国でも、たとえばエアバス等はフランス、イギリス、ドイツその他が入りまして共同でやっている。アメリカのように民間機分野で強い航空機工業でも、たとえばダグラスは、これは解消になりましたけれども、オランダのフォッカーと組む、あるいはボーイングも、YXのときには日本、イタリーと組む、こういうことでございまして、国産ということは、共同開発あるいは共同生産においてある部分についてつくるということも国産の一つになるのではないか、こういうことであろうかと思います。それで、国産というものを、全部を一つの国でやってしまうということは、現状の世界の趨勢からいって、なかなか日本ならずとも非常にむずかしいわけでございまして、そういう情勢に対処しまして共同でやるという、共同事業ということもこの国産の精神には合っているのじゃないか。ただ、将来の姿としては、全部日本でやるわけではないけれども、日本がイニシアチブをとってやる、そこへ各国が参加する、そういう形での望ましい姿ということは当然追求しなくちゃいけない、また目標として努力しなくちゃいけない、こういうことは当然のことだと存じます。
#79
○水田委員 限られた時間ですから、質問したことだけに答えていただきたいのです。弁解を聞くことはないので、三十三年にわが国の航空機工業の振興を図るために国産化を促進するということが方針として国会でも確認された。政府もそういう方針だったのです。いまそれは変わったんですか、こう言ったのです。もう国産化は、部品の国産化ができて、あとは共同開発しかないんですというこういう考え方に変わったのか。午前の大臣の答弁からすれば、いまでも、少なくとも総合された航空機を飛ばすことができる、そういう国際的に通用する飛行機をつくるということが、すそ野の広い先端技術を開発することになるのですよ。それさえも捨てたということなんですよ、いまの答弁からいうと。だから私は、余分なことは言わぬでいいのです、国産化という方針はいまは捨てたのかどうかということ。私はそういう目標がなければ国産化は進まないと思うのです。日本が先端技術を吸収していくことはできない。そういう産業にはならないと思うのですよ。だから、午前中の大臣の答弁からいえば、当然いまも国産化を目標にしておるということでなければおかしいことになるのです。その点だけです。国産化を、この最初のときの考えは捨てたのか、いまもその方針であるのか、それだけ答えていただきたいと思います。
#80
○豊島政府委員 国産化の定義にもよると思いますが、すそ野の広い航空機工業全体としてやっていくという意味での国産化ということは、決して捨てたわけではございません。むしろその国産化を進める方向の一助として、ステップ・バイ・ステップに現在のような方式をとっているということでございます。
#81
○水田委員 いまの答弁にも弁解があるわけですね。だけれども、国産化ということは、総合的な先端技術を伸ばしていくという点であれば、実際に国際的に通用するジェット輸送機が飛ぶというところまでやらなければ、その部分では、全体的な総合的な技術の開発にはつながらぬわけですから、そういう点では変わっていない、やはり国産化は目標にしておるというふうに理解してよろしいですね。
#82
○豊島政府委員 そのとおりでございます。
#83
○水田委員 それじゃ、いまも何回も出たのですが、国際共同開発についてはどういう基本方針でこれまでおやりになったのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#84
○豊島政府委員 共同開発におきましては、相手があることでございますから各国と、各国といいますか、各事業者と協議をして、それぞれの部位といいますか部分を分担することを話し合って、それをそういう関係で共同事業として開発する、こういうことでございますが、その基本方針としては、先ほど来先生の御指摘のように、航空機全体を日本として国産化、全体についての力をつけるということを当然前提として、その部分だけではなくて、全体の基本設計とか概念設計というものも含めまして参加して、飛行機全体を製作し得る、開発し得る能力を取得するような、そういう関係、そういう形での共同開発を進めるということでございます。
#85
○水田委員 昭和四十六年九月の航空機工業審議会の答申で、国際共同開発に対して政府が助成する場合の要件をきちっと答申しているわけですね。一つは「わが国の自主性が確保され、国家的なプロジェクトの性格を有すること。」もう一つは「わが国民間航空会社の意向および空港事情が十分に反映されていること。」日本の空港の整備が大変おくれておる状況というものも、日本の事情に合ったそういうものであるという、二つの条件がつけられています。この点はいかがなんですか。いまの答弁にはなかったわけですが、いまでもそのようにお考えなんですか。
#86
○豊島政府委員 現在でもそのとおりでございます。
#87
○水田委員 そうしますと、YXの開発、ボーイングの767ですが、これはこの航工審の答申の、日本の「自主性が確保され、国家的なプロジェクトの性格を有すること。」こういうことに合致しておったというようにお考えですか。
#88
○豊島政府委員 YXの開発につきましては、わが国初の国際共同事業であるということでございまして、いわゆるリスク・シェアリング・パートナーということでございますが、この場合のやり方としては、わが国の技術者を米国に派遣いたしまして、機体全体の基本概念を決定する全体設計に参加させておる。さらにわが国の開発担当部位以外の設計にも積極的に参加させる等の対応を行っておるわけでございまして、最初のことでございますので、一〇〇%満足し得るような自主性かどうかという点につきましては御議論もあろうかと思いますが、可能な限りでの自主性確保ということでいたしておるわけでございまして、これが今後行われますYX機につきましては、さらに一層の自主性の確保といいますか、それを図っていきたいと考えております。
#89
○水田委員 YXというのは胴体パネルの一五%の設計、生産をわが国が担当したと聞いておるのですが、そのとおりですか。
#90
○豊島政府委員 そのパーセンテージの限りにおいてはそのとおりでございます。
#91
○水田委員 自主性という点では、YS11の失敗したといいますか、設計なり飛行機が悪くて赤字が出たというものではないわけですね。その中で一番反省させられたのは、やはり市場調査であり販売という問題だったと思うのです。ですから、共同開発に言う「自主性が確保され、」ということは、仕様、設計、販売、プロサポまで含めて共同ですから日本に決定権がある。もちろん向こうにもそれだけのものはあるけれども。そういうものがなければ自主性とは言えない。現実には、これは一五%の胴体パネルの一部ですから、まさにこれは、そういう設計や販売やプロサポまで含めて日本に決定権を与えるような開発にはなってなかったのじゃないですか。いかがですか。
#92
○豊島政府委員 先ほどもお答えしたところでございますが、日本の最終的に分担した部分につきましては、責任ある分担というのは確かに胴体の一部でございまして、金額にして一五%であるということでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、全体設計にも人を入れて参加しているということで、設計につきましては、全体的な分野においても相当食い入っているということでございます。
 しかし、御指摘のように、このYXにつきましては、販売面あるいはプロダクトサポートその他の面について全部やっているわけではなくて、販売はボーイングの一元ということでございまして、プロダクトサポートといいますか、スペアパートについては、日本が分担した分は日本側の責任でやるということでございますが、全体についてはやっておらないということでございます。
 ただ、これはYXの場合、そのときの客観情勢からいってやむを得なかったわけでございますが、今後の方向としては、フルパートナーシップといいますか、マーケッティングから全体設計からプロサポートに関しても、全般的に参加し得るようなかっこうでやるべきであるということで、現在関係方面と交渉をさせておる、こういうことでございます。
#93
○水田委員 いまの答弁からすると、四十六年九月の航工審の答申の共同開発についてのこの方針には十分こたえられない形でのYXの開発が行われた、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
#94
○豊島政府委員 YXにつきましては、当然航工審の精神にのっとって、そのときに置かれました客観的な環境のもとにおいて最大限努力をしておるわけですが、それが全部満たされておるということでないことは、そのとおりでございまして、満たされるように、今後あらゆる機会に努力していく、こういうことではなかろうかと思います。
#95
○水田委員 全部生かされてないですね。ごく一部だけあるかどうかわかりませんよ。実際にはまさに下請ですね。実質はこの胴体パネルを引き受けた三社が、その部分を完全にボーイングの下請でやった。極端な言い方ですけれども、YX協会というのは国の補助金を流すだけの機関になっている、そういうことにも考えられるわけです。ですから、少なくとも販売、プロサポまで含めて――販売はボーイングがやるわけでしょう。こっちから納める分の受け入れ機関を何かつくる、こういうことを言っておるわけですから。この航工審の答申から言うと、まさにその一割も忠実に守ってない。国産化の方向を最初に――それが基本方針であり、そして国産化を進めるための共同開発というのは自主性がそこにある。国家的なプロジェクトという意味で税金を使ういわれがあるわけです。それが十分満たされないのに金だけはどんどん流れておるということになっております。
 もう一つは、ではYS11を開発したときの販売なりプロダクトサポートの蓄積されたものは、そういう形ならまさにつながりは全くないわけですね。それはどう生かされたか。YXの中で生かされたと言えるのですか、言えないでしょう。
#96
○豊島政府委員 審議会の答申の中も、基本的には先生のおっしゃったとおりでございますが、最終の組み立てラインとか販路というものについても確保されることということでございますが、この点につきましては、経済性を考慮して、状況に応じて弾力的に措置するということで、若干その辺の客観的な情勢を見てやれということでございます。しかし、もちろんそういうところまで全部やることが望ましいわけでございますが、やれなかった。ただ、先生おっしゃいましたように、単なる一五%分の胴体の下請かという点につきましては、若干繰り返しになりまして恐縮でございますが、全体設計にも参加して、その中におけるその部分の実施設計をやっておるわけで、決して単なる下請ではない。開発段階についても参加しておるわけで、下請ではないということ。同時に、これは若干別の角度でございますが、いわゆる先ほど申しましたリスク・シェアリング・パートナーということで、下請であれば飛行機が売れようが売れまいが、単に発注されたものをこなして納めればいいということでございますが、これは先ほど申しましたように、全体にも参加しているということもございまして、五百機を前提としてリスクを負うということでございますから、これが仮に売れなくても、そのリスクはかぶるという意味で、むしろそれは参加との関係で単なる下請でないためのそういう条件かと思います。
 そういうことで、一〇〇%生かされておるかどうかは別としまして、その精神は、そのときの状況において達成できるだけの最大限のことが行われておるということでございます。
#97
○水田委員 私は努力されておるとかされてないとか言ってないです。結果的に、じゃ全体の設計に参加したり何人かが行って、そのチームの中の一員でおるということと、わが国が自主性を持って、その部分についての責任を持って、たとえば日本の空港事情からいってこれはだめだ、こういうぐあいにしろと言う、そういう決定権は全くなかった。あったと言えないでしょう。それでこの航工審の答申のこの二つの条項というのが満たされているとは、少なくともそういう努力はした、主張はしたということはわかりますけれども、結果、この共同開発そのものは、まさにボーイングの下請をわが国の航空機の各メーカーが部品を担当したにすぎないではないか。それはこの精神からいって半分以上がこれに該当しないのですから、まさにこれは守ってないということになる。
 そして、YS11で積み重ねてきた蓄積はYXのどこに生きておるのですか。たとえば販売については、今度YXは、767はボーイングが売るというのでしょう。それでどうやってこれから市場調査なり販売の力をわが国がつけていくのですか。まさにその部分を、一五%をつくるだけの仕事をやらされたということになっておるじゃないか。それは向こうが力が強いから、結果的にこうなったことを責めようとは思わぬけれども、少なくともわが国の航空機工業の振興というのは、国産化を目指して、そのために国際共同開発をやる場合でも、こういう歯どめをしながらやりなさい、単に政府の金を向うの製造の開発リスクの金を分担するだけのようなことをしたのでは、税金を使う意味がないじゃないですか、私はこう言っておるのですよ。だから、基本方針をきちっとしてやるべきじゃないか。
 じゃ、前のことはいいですが、YS11の蓄積された販売市場調査あるいはプロサポのそういう蓄積はYXではどこで生かされるのですか。
#98
○豊島政府委員 先ほど来申し上げておりますように、YXにつきましては、ボーイングがすでにある程度開発を進めている段階から入ったというような事情、あるいは大型のジェット旅客機に対する初めての参加ということもございまして、いろいろ制約条件がございましたので、先生御指摘の販売とか市場調査に関する点はYXにおいては生かされなかった。しかし、設計その他においては十分生かされておるわけでございまして、今後YXXと次の段階に進む場合においては、その点を十分踏まえて、一〇〇%といいますか最大限答申が生かされるように進めていく、こういうことでございまして、その点につきましては、やはりステップ・バイ・ステップにならざるを得なかったことは認めざるを得ませんが、それは次のステップにおいて最大限活用していく、こういうふうに考えております。
#99
○水田委員 何回も申し上げますように、YS11が赤字になったというのは何なんですか。飛行機が悪かったのですか。そうじゃないでしょう。販売ということがいかにむずかしいかということをいやというほど思い知らされたんですよ。それは国産化を進めていく上ではわが国にとって一番大事な一つの技術じゃないですか。それが継承されないということは、国産化なりあるいはこの航工審の答申からいって大きく外れるわけでしょう。これは午前の質問で後藤君が、ボタンのかけ違い……。
 最初、三十三年、私はいいと思うのです。YXからおかしくなった。ですから、おかしくなったんなら、国産化はやはりいまでも目標にするというんなら、そして共同開発といってもこういう歯どめがちゃんとあるのですから、間違ったら改めたらいいと思うのですよ。それはグリーンカード、法律通したものさえ、いまはあれは誤りだったということで、いまの自民党はすぐやろうとする、法律になったことさえね。まして、法律はちゃんとあって、そして私が言ったように、YS11の蓄積されたものが継承されない。現実にこう何年かなってきておるわけです。間違っておったのなら改める方がいいと思うのですよ。
 そこで、それでは次の質問をお伺いしますが、たとえばいまYXXというのが計画されておるわけです。これはどこになるかわからぬですけれどもね。たとえばボーイングが七何七になるかわかりませんが、それはまだ具体的な設計段階に入ってないですね。どのくらいな人員を抱えてこの準備をやるのですか。
#100
○豊島政府委員 いまおっしゃいました、どのくらいの人数を抱えてということは、それは日本側の体制でございましょうか、向こうの……(水田委員「向こうの」と呼ぶ)
 すでに数十人をかけて予備的な研究に入っておりますし、実際最盛期には数百人の人をこれだけに投入してやることになると思います。
#101
○水田委員 それでは、日航製ができる前にYS協会というのがありましたね。それはどのくらいおったのですか。
 それから、もう一つは、YX協会が発足する前、YXの技術研究会ですか、そこにも人がおったんじゃないですか。どのくらいおったのですか。
#102
○豊島政府委員 非常に古いことなので、手元に正確な数字を持っておりません。申しわけございません。
#103
○水田委員 実はYS協会が日航製になる前、協会ですでに七十人の人がおったわけですね。YX協会が発足する場合にも技術研究委員会で三十六人おった。というのは、一つの飛行機を開発して、あとはもう解散してしまう、わが国は航空機はやらぬということなら全くそういうものは要らぬわけですね。終わった段階で全部もう整理したらよい。ということは、順次開発を考える。これは日本の場合、YS11から今度はYX、YXXと、こういくんですが、常時やはり中核になる人たちあるいは蓄積されたノーハウを引き継いでいくという点からいえば、開発というのは、最初は少なくとも、ピークは物すごく多くなって、終わってくるとこう下がっていくということになりますね。少なくともその基幹要員というのは、今後日本の国産化がもうアメリカのような民間だけでよろしいと――あれでも開発には金だけは出すんでしょうけれどもね。そういうだけの力を持ってくればそれはもういいでしょうけれどね。それがない段階で、基幹要員というのは、私は、少なくとも日本が航空機産業というのをこれから持っていこうというのなら、そういう基幹要員を置くということが必要。組織としてどういう組織かは別としてですね。私は、いままで日航製、YX協会とやったけれど、これは誤りだったのだ、基本方針にもとへ返ってやるのなら、今後については、そういう点の蓄積が継承できる継続的な組織というものを当然考えるべきではないか。アメリカのボーイングやダグラスなんというのは、日本の航空機産業に比べればけた違いな力を持っておるわけですから、そこと共同開発というようなことをちょろちょろ言っても、何を言っておるのだということになるわけですね。ですから、そういう点から言えば、わが国に基本方針があり、そしてそれを実現するための共同開発にも自主性を持って国家的なプロジェクトという立場でやっていくというのなら、それに対応する継続的な組織というのを、どういう形で持つかは別として、今後については――いままでの過ちを幾ら言ったところでつまらぬ話ですから、私はもうこれ以上言いませんけれども、今後についてはそういう方向でやるべきではないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
#104
○豊島政府委員 過去のいろいろな経験あるいは成果というものを引き継ぐための基本要員といいますか、そういう方を温存するということは非常に大事なことであろう、そういうノーハウあるいは経験を踏まえないで、何でも新規巻き直しでやるということは、それだけむだが多い、その点先生のおっしゃるとおりと思います。ただ、これをいかにして温存するか、どの程度の規模であれするかということにつきましては、最も実情に合った方法でやるのがよろしいわけでございまして、一つの継続した組織をつくってやるのか、あるいはそれは民間にそれぞれ帰属させた上で、しかるべき方法で温存させるのか、その辺のやり方につきましては、最もよろしい方法を考えて今後検討していきたい、このように考えております。
#105
○水田委員 いままでの質問で、一つは、国産化がわが国の航空機産業振興の一つの基本であることをお認めになった。それからもう一つは、共同開発をやる場合でも、航工審の答申があったように、少なくともYXでは力不足でできなかったけれども、この方針というのは間違っていない。国産化に向かってやはり自主性を持った、そして国家的なプロジェクトという立場で、国内の飛行場の状況等十分生かされる航空機を共同開発の場合でも開発するということ。同時に、これまで蓄積されたものを継承していく基幹的な組織が、そのたびごとではなくて、将来に向かって必要だということをお認めになった、こういうぐあいに理解してよろしいですね。
#106
○豊島政府委員 国産化ということでございますが、全体をマネージしていくような飛行機ができる、全体をやれる、いわゆる下請でないという点では当然国産化でございます。
 それから、過去の経験その他を残していくということでございますが、こういう技術者というのは非常にすぐれた技術者でございまして、途中で仕事がない場合に、一定の組織にプールしておくということが、日本全体の航空機技術者の数あるいは能力の問題からいっていいかどうかということは、慎重に考えなくてはいけない。したがって、一定の組織をつくって、そこへほかの仕事をさせないでずっとプールしていくということが一番いいかどうかということになりますと、それはやや問題があるのじゃないかと私は思います。
 もちろん一定の数の方は、そういうことが可能であればそういう方法も考えたらいいと思いますけれども、やはり日本の航空機工業全体のために活躍していただく、しかも、その中でそういう方方が次のステップになったときにいつでも動員できる体制といいますか、そういう体制を考えておくということでございまして、その形式ないし方式につきましては弾力的に考えていくべきじゃないか。しかし、そのノーハウ、技術、経験を温存するということにおいて、精神においては全く先生のおっしゃったとおりでございます。
#107
○水田委員 具体的なやり方を私は申し上げたのではなくて、日本の航空機産業の発展のためには、基幹的な要員というのは継続的な組織が必要だ、その点はそういうぐあいでよろしいわけですね。ピークもあることもよく知っておるわけですから、いままでのことはとやかく言わぬにしても、基幹的な継承していく要員というのは、将来に向かってそういうことでやらなければ、国産化なり共同開発でも自主性を持ったものがやれないということで、そのとおりですなということを私は言っておるわけですから。
#108
○豊島政府委員 先生の御質問の趣旨、十分理解していなければ申しわけございませんが、要するに、そういう基幹的な要員というものが、将来の航空機開発のために温存されるということは絶対に必要な要件であろうかと思います。それをどういう具体的な組織その他ということになりますと、これはまた別でございますが、全体として要員を確保されなくちゃいけないという点では私も同じ考えでございます。
#109
○水田委員 それでは、次の質問に行きたいと思いますが、航空機産業というのは、いま論議されておるのは、いわゆる国際的に通用するジェット輸送機、そういうものだと思います。しかし、航空機産業全般で考えた場合には、小型機なり軽飛行機なりあるいはヘリコプターなりグライダー等あるわけですね。いま国産ではスバルのFAとかMU2、MU300などもつくっておる。あるいはグライダーなどもつくっておるわけですが、いずれも、MU300はこれからですが、アメリカ市場だけをねらって三菱が出しておるわけですが、なかなかペイしないわけですね。日本にほとんど需要がないかというと、そうではなくて、セスナは大量に入っておるし、ヘリコプターならベルなりシコルスキー、あるいは航大でもスウェーデンのボナンザを使っておる。パイパーチェロキとかエアロコマンダ。あるいはグライダーで言えばモーターグライダーが西ドイツから入るとかたくさん使われておるわけですね。けれども、国内の航空機産業で言えば、やはりそういうものを含めた産業ということになるだろうと思うのです。この部分については、私は日本の技術というのは決してアメリカやヨーロッパにはおくれをとっていないと思うのです。これはやりようによったらやれるわけですね。なぜそれが伸びないのか問題があるだろうと思います。その点について何が障害になってこういう点の発展ができないのかということは、一つは通産省、一つは航空局、おいでになっていると思いますので、簡単で結構ですから、時間が限られていますから、あとまだ幾つか質問がありますから……。
#110
○豊島政府委員 小型機につきましては、すでに先生のおっしゃいましたいろいろなものも民間独自に開発されておるわけでございますが、基本的に小型機の開発が進まないのは、日本国内の小型機需要というのが意外に少ないということでございまして、たとえばアメリカが二十四万機ある、あるいはヨーロッパにも大体六、七千機あるわけで、日本は千機ぐらいということでございまして、小型機といえどもベイラインというものはやはり三百機とか何か相当ないとできない。こういう非常に狭い市場のもとにおいてはなかなか成り立たない。MU300もアメリカ市場を目標として開発した、そういう事情かと思います。
#111
○植村説明員 先生御存じのとおり、私ども航空局の方では航空輸送需要がどんどんふえてまいりましたものですから、いわゆる航空運送需要中心の安全対策、環境対策、空港整備、こういうものを鋭意進めてまいったわけでございます。それがまだ不充分で、ただいまも空港整備五カ年計画をベースに施策を進めておる、こういう状況なのでございます。
 先生御指摘のような、いわゆる航空機産業育成という目で航空機行政を見直すということは、私の方は実はまだその余裕がなくてやっておりません。もしも私どもの行政の範囲で、たとえば小型空港が少ないという問題一つをとりましても、空域の問題、安全問題、大いに絡んでまいりますので、今後の課題といたしまして、関係者からの御指摘があればいろいろ勉強していきたいと思いますけれども、当面直ちに私どもの行政のどこがどういうことであるからなかなかうまくいかないというあたりが、ちょっと勉強不足でまことに申しわけないと思っております。
#112
○水田委員 あと時間がありませんから、私の見解だけをちょっと申し上げます。
 たとえば、ニューヨークでアメリカのバスを使うとすぐがたがたになるから日本のを入れる。問題になっています。地下鉄も日本から入れる、こうなっています。去年入ったアメリカのヘリコプター、日本へ持ってきて一カ月、どうしても飛ばぬわけです。ばらして何遍もやってみたら、ようやく飛んだ。そうしたらローターを、ピッチを反対につけてあるわけですから、これは上に上がらぬわけですね。だから、設計はよくても、まさに自動車にしろ、地下鉄にしろ、飛行機でもそういうことになってきた。ですから、その点から言えば、日本は現場の労働者の質というものは非常に高いですから、向こうではとにかく字の読めない連中も含めて使わなければならぬという条件の中で、労働者の組み合わせも非常にむずかしい中でつくられておる。ですから、軽飛行機の分野では、技術的にはまさに日本が上である。ところが日本に欠けておるのは、一つは、いま答弁にあった空域が、極端な例を言いますと、沖繩は返還されて十年になるけれども、あの占領中と全く同じような軍事的な空域の中に支配されてしまっておるわけですね。それから民間のパイロットは、ニアミスがよく起こります。管制ミスというのがよく言われます。そうでない場面というのは、やはり空域が戦時的な、いわゆる米軍の空域というのが大変そういう点では民間航空路を阻害しておる。あるいは日本で自動車が伸びたのは、もちろん所得も伸びて買えるという条件ができたけれども、道路の整備あるいは免許の取り方を――これは飛行機免許を簡単に取らせろという意味じゃないですよ。たとえば前は三カ月行かなければ免許は取れなかった。それを営業用と小型用と分けて取りやすいようにするとか、そういう周辺整備があった。それからもう一つは、日本の場合は、いま言われた飛行場が空域との関係で、たとえば東京周辺を見ても、調布と竜ケ崎と桶川に千メーター、八百、六百、そして空域は定期航空でも全部が錯綜していますから、トンネルをくぐるような形でおりてくる、大変危険な中を飛んでおるわけですね。そういう整理ができてないところに問題がある。だから、技術的には飛行機は、軽飛行機については伸ばすことができる条件はあるわけですから、そういう点で航空機全体を伸ばさないことには、単に一つの輸送機をアメリカとの共同開発だけに頼っておったのでは、わが国の産業というのは発展しないだろう。そういう意味で、総合的な航空機振興ということをぜひ考えてもらいたい、こういうぐあいに申し上げておきたいと思うのです。
 それから次は、科学技術庁もおいでいただいておると思うのですが、STOLというのは一体何に使うために、どういう目的で開発を進めておるのか、その点まずお伺いしたいと思います。
#113
○吉村説明員 お答え申し上げます。
 私ども航空宇宙技術研究所でSTOLの技術の研究開発を進めておりますが、それのために実験機というものを開発をしておるわけでございます。その実験機におきましては、STOLの名のとおり、短距離で飛び上がったりおりたりすることができるような動力式高揚力技術というものを組み込んでございますし、それ以外にも、コンピューターによる飛行制御技術だとか電気式の操縦系統技術などいろいろな新技術を数多く織り込みまして、それら新技術の実験機規模での技術の実証を図ろうということで進めておるものでございます。こういう技術が実証されました暁には、それらの技術が日本の航空機開発の上では非常にお役に立てばというふうな考え方で進めておるものでございます。
#114
○水田委員 このSTOLというのは、機体はC1の機体で、エンジンは石川島播磨でつくったエンジンを使っておるわけですね。短距離で離陸する場合に、フラップを大きくして非常に効率のいいものをつければなるわけです。ただその場合に、航空性能が落ちるという問題。ですからそうはいっても、これはいまの翼型の理論から離れたものではないわけですね、でしょう。CzρSV2とCxρSV2という翼の理論というのは、それを単にいわゆる推力によって引っ張って翼に当てるのと、その最後のところの乱流を滑らかにして、翼上面の動圧を大きくすることによって静圧との差が大きくなって揚力を得るということですから、これはいわゆる既知の理論、画期的な技術革新ではないわけでありますね。
 それからコンピューターも、これはたとえば航法というのは推測航法、天測航法、無線航法、そしてドップラー航法からジャイロ航法となって、いまほとんど長距離を飛ぶものはINS、いわゆるジャイロにかかる加速度を解析して、そしてコンピューターでほとんど誤差のないように飛んでいく。あとは天測、いわゆる静止衛星をどう使うかというようなことになっていくわけですね。そうすると、まさにこのコンピューターというのはそういうもので、それを改良する技術にしかすぎないわけですね。いわゆる機能的に全く違った、たとえば水素エンジンを使うエンジンの開発とかあるいはILSに乗って着陸するにしても、自動着陸はできるにしても、いま人間がどうしてもやらなければならぬのは、たとえば色を見る場合、どれほどこれを数値にしようとしても、人間の目の方が正確ですね。においがそうですね。そしてこれは実際パイロットがセンサーでたとえば傾きを直す、傾いて初めてセンサーが感知するわけですね。そこから操作が始まる、必ずおくれが出るわけですね。それは人間がやる場合に、最後の着陸の微妙なところというのは、人間というのは、こう持ってがくっと右にちょっと行くと、左に直したときに次のあれを感知、予知することができる。現在飛んでいるパイロットに聞いてみても、その点だけは、人間はセンサーで感知する前のやはりそれがある、そのことが着陸の微妙な操作に一番かかわるんだ、こう言うのですね。そこらあたりというのはまだまだ先のことだろうと思うのですね。そうしてみると、STOLというのは何か実用に向かっての目標が、たとえば日本は飛行場が地方では千とか千二百だ、それを使えるのに、飛行場拡張に全体でこれだけの金がかかる、それならばこの飛行機を開発して、低騒音で短距離で離着陸できるなら現実に使えるじゃないか、あるいは日本だけでは機数が少ないから、東南アジアとかそういうところで使っていこう、そういうことがなければ意味がないと思うのですよ。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
だから、逆に言うたら、通産省の国産化を目指す飛行機の目標としては、行政改革を言われるのならば、むしろ宇宙とか航空関係の金をあちこちばらまいて使うのではなくて、まとめてまさにそういうことをやるべきじゃないか、私はこう思うのです。いかがですか。
#115
○吉村説明員 ただいま技術の詳しいお話ございましたけれども、私どもの理解では、航空技術につきましてはおっしゃいますような革新的と申しますか、全く理論が違うようなものがあるとは思っておりません。航空技術につきましては、やはり技術的に成熟するという状況になってございますので、そういう意味では電子技術の面で技術が伸びているようなものではございませんけれども、航空技術と申しますのは、当然安全ということを前提に考える必要があるものでございますので、先ほどお話がございましたフラップの問題にいたしましても、やはりそういうアイデアで大きな揚力を得るということを実際に試してみる、そういう場合にどういう問題が起こるかということを実際の場でつかまえるということが、それらのものを実用化する場合に不可欠であるというふうに思っております。私どもは、先生おっしゃいましたように、理論的には仰せのとおりだと思いますが、そういうものを実用化いたしますときに、そう簡単にいけるものではないというふうに理解をいたしております。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
 コンピューターの技術にいたしましても、実はこの航空機につきましては、フラップを動かすときに従来のような機械式で引っ張って動かすというものでございませんで、電気信号でフラップの方に命令を与えまして動かすというやり方をとっております。そういう場合には、デジタルコンピューターが非常に大きな役割りを果たすというものでございます。
 いろいろ技術的には新しいものがございますが、時間の関係もございますので御紹介いたしませんけれども、私どもといたしましては、STOLという以上は、当然こういうものが短い飛行場で使われるという有用性に着目しておることはもちろんでございますけれども、具体的に実用化計画を持って進めるというよりは、これらの技術を実証することによって、それらの技術の特徴を生かした航空機の開発を日本の産業界でやっていただきたいという希望を持ちまして進めておるものでございます。
#116
○水田委員 通産省はどうですか。
#117
○豊島政府委員 科学技術庁において行なわれておりますのは、STOLの実験機の研究開発ということで、短距離離着陸性とかあるいは動力式高揚力の技術等やられておるということでございまして、通産省で扱うというのは、いわゆる実用機でございますので、これが実用機の段階になれば当然当省の問題でございますが、実験機の段階でございますので、科学技術庁にやっていただいておる、このように考えております。
#118
○水田委員 遠慮されて言われておるのだと思うのですが、日本の飛行場の実態から言えば、まさにそういうものに使う、実験じゃなくて、むしろそれを開発していくということの方が、いま航空機産業を発展させよう、振興させようとするならば必要なことだと私は思いますが、もう時間がありませんから、あと一問だけひとつ……。
 これは五十五年八月十八日の第二次中間報告で「将来、国自らの発意で実施するような大プロジェクトが出現した場合には、国自らが開発生産販売のリスクを負担する方式とすべきである。」こう報告しておるわけですね。この大型プロジェクトというのは一体どういうものをお考えになっておるか。
#119
○豊島政府委員 いま先生のおっしゃいました中間答申の大型というのは、「開発生産販売リスクの負担者」についてのところを御指摘になったと思いますが、これは一般的なリスク負担方式を考えておるわけですけれども、たとえば今後そういうものが出るかどうかわかりませんけれども、コンコルドの開発というようなものは一兆円に近い開発費が要る。こうなりますと、いかにバイタリティーのある民間でも、単なる国の補助ということではとてもできないということでございまして、そういうような大規模プロジェクトを念頭に置いた考え方でございます。
#120
○水田委員 コンコルドやそれからコメットのようなものが現用として使えないというのは、いままさに実証されたわけでしょう。わが国の航空機産業で、それでは金額で言ったらどの程度から大型プロジェクトとお考えなんですか。航工審が、たとえば日本でコメットとかコンコルドのようなものを開発する場合を想定した、いまの流れをずっと読んで、そういう飛行機を開発しようということを想定したものではないでしょう。YS11の後継機さえ自前でできなかったのでしょう。それにもかかわらずコメットやコンコルドのようなものを想定した答申をしておるのですか。
#121
○豊島政府委員 YX、YS11の後継機ということでございますが、これは事情がいろいろありまして、同じようなものではなくて相当飛躍があったわけでございまして、現在、大型ジェットエンジンの旅客機といいますか、そういうことになっておるわけですが、そういう場合においては、民間のバイタリティーを活用して一定の補助事業でできるということでございまして、いま申し上げました大規模プロジェクトというのは、たとえばコメットを例に挙げたわけですが、遠い将来の問題としてそういうものもあり得る、したがって、そういうものについては国が全部あれしていくということで、当面の国際協力をしているものについてまでこの点を考えてやったわけではない。これはYXでも実績がございますが、YXに適合したような補助方式で十分できる、こういうふうに考えております。
#122
○水田委員 時間が参りましたからやめますけれども、航工審の委員の皆さんがそれほど突拍子もないことをお考えになっていると私は思いません。私は、ためにする答弁だと思うのです。現にコンコルドがもはや、われわれの世代、これから十年二十年、実用には経済的にも耐え得ない。それは国際的にみんなそういうように見ておるわけです。それでもなおかつ、わが国で大型プロジェクトという場合、何かということを的確に考えてみてください。そしてわが国が国際的に通用するジェット輸送機を考えるときに、いまわが国の力でできないトライスターとかあるいは747とか、そういう超大型機を日本の実情からして考えるべきでないわけですよ。まず目標にすべきは中型ですよ。百人から百三十人、場合によっては二百人ぐらいまでが限界でしょうね。それで大体三千億、恐らくいまだったら五千億近い金が開発に要るでしょう。いまのわが国がいろいろな技術革新に補助を出しておるのに、三千億、五千億の半分とか七五%出せば大変な補助になるわけですね。恐らくこれを大型と言わざるを得ないでしょう。私はそう思うのですよ。だから本当にそこらが途中がボタンのかけ違えで理屈をつけるから、YXで共同開発でなければならぬとか言いながら、片方で大型プロジェクトというのは、私はまさにいまの百三十人前後のところを国産、自前でできるということがわが国の大型プロジェクトの一つの限界だろうと思うのですよ。その上でトライスターのようなものに挑戦するか、せぬか、これは別の問題ですよ。私は航工審の流れを見て、わが国がまず持っていくべきところというのは、それが国産化できるということだろうと思うのです。これはもう意見だけで、あとは改めてまた論争いたしますが、時間が参りましたので、終わります。
#123
○渡部委員長 清水勇君。
#124
○清水委員 午前中から同僚委員を通じて、わが国の航空機の開発体制をいかにするのか、そして日航製をどう位置づけるべきなのか、こういう基本問題について触れてまいりました。政府側からの答弁、きわめて不満であり了承をすることができない、そういう立場でありますから、私は少し角度を変えて、具体問題に触れてお尋ねをしたいと思います。
 まず第一に、航空機工業振興法というものがある。わが国の航空機等の国産化を促進をする、そういう目的を持って制定されておるし、とりわけその中で日航製というものをかなり高く位置づけているわけですね。たとえば航工振法から第四章、日航製に関する部分を削除をすれば、この法律が体をなさないというような性質すら持っている。だから率直に言って、航工振法では日本航空機製造株式会社の果たすべき役割りとか位置づけとか政府とのかかわり合い、こういうものが非常に大きな柱になっている。その柱を外してしまえば、これは現実問題としてこの法律は一体どれだけの意味があるのか、こういうふうに私は考えざるを得ないわけです。
 そこで、問題は今日閣議了解を経て五十七年度末をもって日航製を廃止をする。むろんその前段にいろいろな問題が所在をするわけですけれども、そういう閣議了解というものを受けて、しゃにむに日航製の廃止に向けて事務的、手続的な作業を進めているように見られるわけですけれども、私はいまも議論があったように、今後のわが国の航空機工業の開発体制をどうするのか、あるいは航空機産業の位置づけをどうしていくのか。そういう立場に引き続き立っていくのだとすれば、仮に昨年暮れの閣議了解を経て一定の転換をするならする先に、まず基本的には航空機工業振興法をどうするか。たとえば改正をするならその改正を提案をする。そうした中で具体的に午前中から議論のあったようなことについてこの委員会が審議を尽くしていく。そういう中で一体日航製というものをどうしていくのか。こういうことでないと、僕は悔いを残す結果になるのではないかと考えているわけなんです。だから先月もそういう角度で若干お尋ねをしたわけですけれども、午前中からの局長を中心とした答弁を聞いていると、どうもその辺が相変わらずはっきりしないので、まず基本的にその点だけ尋ねておきたいと思います。
#125
○豊島政府委員 航空機工業振興法の日航製に関する規定といいますか、日航製の扱いというのは、その柱であったということは、その法律制定当時の経緯からいって当然のことでありまして、そこはそのとおりであろうかと思います。
 しかし、その後の日航製の動きといいますか、その後の事情から見まして、これをどうするかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、四十六年といいますか、四十年代半ばから民間移管についても研究検討されてきたところでございまして、今後の日本の航空機工業の進むべき方向、特に国際的に通用する大型ジェット機につきましては、まず国際協力を前提としていくということでございまして、それでその場合における開発、生産、販売というものにつきましては、民間のバイタリティーを活用していく。しかし、その中でもリスクが大きくて資金も非常に大量にかかる、こういう開発段階につきましては、国が相当程度の補助をしていく。それによって民間の開発が可能なようにしていくということでございまして、その方式としましては、日本航空機製造のような形態ではなくて、もう少し弾力的な組織として、民間の組織といたしまして公益法人的なところでやっていく。それが開発が終われば、生産段階は民間独自にやっていく、こういう方式を考えているわけでございまして、ちょっと最初に申すべきことでございますが、航空機工業の位置づけというものにつきましては、日本の将来の産業を引っ張っていく先端産業ということで、これを育成していくということは当然でございます。そのやり方についていま申し上げたわけでございます。
 なお、日航製がもし民間移管されることになれば、航空機工業振興法そのものがどうなるかということでございますが、先生も御承知のとおり、日航製の規定のところには解散という規定もあるわけで、当初からその目的を達したときには解散するということは予想はされておったわけでございまして、そういう流れの中において、法律としても全く趣旨に反するということではないんじゃないか。
 さらに、それでは今後航空機工業振興法は全く要らないかということでございますが、あそこに書いてあります基本的精神は生かされておるわけでございまして、さらに今後国際協力をしていくときに、法律事項が要るかどうかというのは、今後の検討を待つわけでございますが、少なくとも法律事項が必要であれば、それは追加していかなければならない。しかし、法律事項がいまのところまだ十分にあるというふうに確認されているわけではないので、法律そのものはそのままになっている、こういうことでなかろうかと思います。
#126
○清水委員 私はそういうことを聞いたのではないのですよ。今日航空機工業振興法の中に日航製の位置づけというものをかなり高いウエートで行っているわけでしなう。ところが、閣議了解を受けて五十七年度中にこれを廃止をしたいというわけでしょう。そうした場合に航空機工業振興法の一番大きな柱を事実上欠こうという結果になるわけですから、そんな重大ないわゆる法制にかかわる政策変更を行うんだとするならば、たとえば当然のこととして日航製問題に触れて皆さんがいろいろ言われるならば、この法律を改正をするならする、どうするならするということをまず基本的に提起をし、そういう中で今後の開発体制をどうするか、こういったようなことを議論をするのが本来の筋でなきやならぬと私は思うと言っているのですよ。
 ところが、なぜそうしなかったのか。つまりいま局長の言う、たとえば解散を議決することができるという規定のあることは私も百も承知なんです。百も承知だけれども、これを議決したからといって同時に効力を持つわけじゃないんですよ。通産大臣が認可をしなければ、それは効力を発生しないんですよ。だから、そういう立場からいっても、国が国策会社としてこれまで位置づけてきている日航製をどうするのか、ことにこれは法律行為なんですから。そこで、そうだとすれば、まずそういうものを提起をして、その提起を受けながらわれわれが委員会で議を尽くして、さてどうすることがよりベターであるかという方向を本来ならば求めるべきであった。政府がどうしてそういう選択をしなかったのか。つまり事務的、手続的に、日航製はその気になれば規定もあるんだから解散ができるんだ、どうしてこういうふうに軽く済まそうとしているのか、この点を実は聞いたんです。一言で言ってください、余り長い時間お答えをされるとほかの質問に支障を来しますから。
#127
○豊島政府委員 たびたび申し上げておるところでございますが、日航製の問題につきましては、かねてよりどういうふうな扱いをするかということは問題となったわけでございまして、四十八年には相当な赤字を抱えた末に、今後の日航製は新しい機種を開発するということでなくて、むしろ従来の、売ったYS11のプロダクトサポートあるいはその債権回収ということでやっていく、その上でどのような取り扱いをするか、民間移管するかどうかの検討をしていたわけでございます。
 新しい航空機の開発につきまして興YXというものをやる場合には公益法人方式でやる、事実上もうそういう方向に進んでおったわけでございまして、その辺は予算その他の御審議を通じましても皆様に御理解をいただいておったと思います、航空機政策の方向としては。もちろんその間われわれの組織の中では、航空機審議会その他での検討もあったわけでございますが、国会の場においても、YXの予算をつけていただくに当たりましては、その辺の御審議をいただいておるわけでございます。
 最後にこの段階に至りまして、民間移行を正式に決めるというのに当たりまして、特に法律改正の必要はないわけでございますが、この点につきましては、国会を含めまして関係方面の各位の十分な御理解をいただくということで、この場を通じてもいろいろと御説明をし、われわれの考え方を申し上げておる次第でございます。
#128
○清水委員 ちょっと了解ができないのですけれども、時間がないので先へ進めていきたいと思います。
 いま局長の答弁の中で、今日日航製はプロサポ業務等を中心に存続をしているというようなお話です。ところで昨年八月十七日の審議会の答申の中でも、YS11の継続的な安全運航等の確保が図られることを前提にと言っている。いま世界の空を百六十機が飛んでいる。YSは名機として高い評価を受けている。しかし、これは日航製だからある意味で安全航行の確保のためのプロダクトサポート業務が遂行できているんではないかと私は思う。これをたとえば民間会社に移管をしたらどうなるのか。民間会社というのは営利を追求するために組織をされている企業なんです。プロダクトサポートという業務は、私が言う必要もないけれども、主としてサービスが中心であって、どうしても採算性を欠くという性質を持っている。そうなると、いわゆる採算主義的な発想に仮に立つとするならば、安全航行のために万遺憾のないプロダクトサポートというものが遂行し得るかどうか。その場合には、どうも採算第一で安全第二といったような懸念が起こらないか、こういうことなどがどうしても消えない疑問なんですね。だから、その辺も審議会は安全運航等の確保というこを大前提にして云々と言っているわけなんです。
 お聞きをいたしますが、安全運航等の責任をこれからはどこが持っていくことになりますか。
#129
○豊島政府委員 先生御指摘のように、プロダクトサポートにつきましても、日航製の重要な仕事でございまして、日本の国としましても、国際的に評価されたYS11の安全運航が十分確保される、そういうプロダクトサポート体制が完備しておることが重要であることは当然でございます。この日航製解散に当たりましては、その業務を最も適切な民間会社に移管するということで現在検討しておるわけでございます。いずれにいたしましても、これまで日航製がプロダクトサポートする場合におきましても、実際の具体的な部品の設計あるいは製造等は各メーカーがやっておったわけでございまして、そういう部品業者その他部品を担当するメーカー等もこれに対して従来同様全面的に支援するということを表明しておるわけでございます。そういうことで、仮に民間移管されたといたしましても、万全を期せるようわれわれとしても指導していくところでございますが、民間も受けて立つ態勢にございます。
#130
○清水委員 ちょっとついででお尋ねいたしますが、そうすると、いま政府が考えている民間への委託、想定される機体メーカー、そこでは自前で安全運航を確保するためのプロダクトサポートを行い得る体制を持っている、こういうふうに理解をしていいのですか。
#131
○豊島政府委員 プロダクトサポートを行う企業、特定の名前はいままだ検討中でございますから申し上げられませんが、いずれにしても、日本における機体各社の一つになろうかと思います。その機体メーカーにつきましては、すでにYS11も自主的につくっていることもございますし、その後のプロダクトサポートにつきましてもかなりやっておるわけでございます。それからほかの飛行機もいろいろやっておるわけでございまして、プロダクトサポートにつきましては、むしろ幅広くやっておるわけでございますので、十分その任にたえ得るといいますか、十分実施できるものと考えて間違いないと思います。
#132
○清水委員 そういたしますと、YS11のプロダクトサポート業務は、今日までもっぱら日航製が担当しているわけですね。必要な施設、設備あるいは技術陣等々を専有しておるわけですが、いまの局長の話を聞くと、そういうものは無関係で、今後委託をする民間の機体メーカーが責任を持ってやられる、受け入れ体制ができていると言っている、こういうようなお話なんだが、そう理解していいのですか。
#133
○豊島政府委員 業務移管につきましては、日航製と機体各社との間で引き続き技術的検討をしておるわけでございますが、当然のことながら、移管先企業に対しましてはプロダクトサポート業務を遂行するに必要な施設等、また人的にも移管が行われることになるものと思います。
#134
○清水委員 そうすると、結局いまの日航製のたとえば蓄積された技術だとかノーハウだとか、プロダクトサポートに必要な施設なり設備というものは、何らかの形で継承をしていかなければやれないということなんじゃないですか。
#135
○豊島政府委員 施設については当然必要である。移管しなくちゃいけない。人につきましてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、いままでやっておられた方々が、その移管先に移って同じ仕事をしていただくことが望ましいと思います。この点はいま携わっておられる方々のお考えにもよろうかと思いますが、われわれとしては、そこへ移って引き続きプロダクトサポート業務をやっていただくことが望ましい、このように考えております。
#136
○清水委員 私はそこで考えるのですけれども、たとえば審議会の答申の中でも、日航製の職員の取り扱いというか処遇、こういうものには十分配慮を払わなければならないということが言われている。ことにいま言われるように、仮に安全運航等に必要なプロサポ業務一つをとってみても、現実にいまの日航製の皆さんの力にまたなければならない、こういうことであるとするならば、参考までにお聞きをしたいのでありますが、そういうことの取り扱い等がまだ遅々として進まない状況であっても、承ると、六月に日航製の株主総会があるそうでありますが、その定期株主総会に解散を議決するなどというばかげた議案を提出するということになるのかならないのか、その辺をちょっと聞かしておいてもらいたいと思います。
#137
○豊島政府委員 閣議了解で決まっておりますのは、五十七年度中ということでございまして、六月の総会でそういうことになるのかどうかということにつきましては、いろいろといま申し上げましたプロダクトサポート体制の問題とか、あるいは日航製の職員の方々の身の振り方の問題とかございまして、そういう解決さるべき問題は当然解決した上でということになろうかと思いますので、六月までに解決すればそういうこともあり得るかもわかりませんが、閣議了解との関係からいえば五十七年度中ということでございます。
#138
○清水委員 これは大臣にちょっと所信を聞いておきたいのですけれども、たとえば私企業の場合でも、会社の解散を議決するというようなことは容易ならざる事態なんだ。そこで当然のこととして、たとえばそこに労働組合が存在をするならば、雇用あるいは今後の身の振り方等も含めて十分に合意が得られるように、談判というと語弊がありますが、交渉が重ねられる、少なくとも当該労働組合等の了解なしに事務的、形式的に株主総会を開いて解散を議決する、解散を決めたのだから、後はそれに協力をしてもらわなければならぬなどというような一方的な処置をとるなどということは事実上できない。私企業であっても、企業の社会性という観点からいってそんなことはできない。いわんや、国策会社として存在をしている日航製が、まあ、いま十分な事前の段取りが整わなければ、何も六月株主総会で議決をするなどということは考えないと局長が弾力的な発言をされたわけでありますが、私はそれは当然のことだと思う。だから、今後どういう展開があるかは別の問題といたしまして、少なくとも基本的なものとして、審議会もあそこまで言葉を尽くしている。こういうこととの兼ね合いで、やはり職員の取り扱い等について最重点的に配慮を払う、また次期航空機開発体制等について事前の環境整備を十分に行う、そういうこととの関連で具体的に株主総会での議決といったものが行われるであろうと私は想像するわけですが、そんな腹づもりでおられるのかどうか、ちょっと聞かしておいていただきたい。
#139
○安倍国務大臣 日航製と労働組合の間においては、これまでも累次にわたる交渉が続けられておるわけですが、今後職員の処遇問題についても交渉が行われるものと考えております。これを見守りたいと存じます。
 日航製解散後の職員の処遇につきましては、同社の職員の知識、経験、ノーハウ等を生かすべく、今後さらに航空機工業界において活躍していただくことを基本として、雇用主である日航製において努力されるものと思うわけですが、労働組合の方々におかれても、日航製の置かれている立場及び現在の雇用情勢等客観的な諸情勢を踏まえ、可能な限りの御理解が得られることと期待をいたしておるわけであります。日航製の解散に当たりましては、事業に関する引受会社の諸手続及びYX開発作業の終了等、日航製の事業の存廃をめぐる諸条件を総合的に勘案をして決定をされるべきものであると考えておりまして、それまでの間に労働組合の方々の御理解が得られることを期待をいたしておるわけです。
#140
○清水委員 少しばかり奥歯に物が狭まった感じで、十分腑に落ちないわけなんですが、いまの大臣のお話の中で、解散後の職員の取り扱い等について云々と言われています。私は、事前に一体職員の処遇をどうするのか、こういうことをまずきちっとして、そうした手続を踏まえて初めて総会で議決をするというなら多少理解ができるのです。その辺のところを多分大臣は、私がいま言ったことを想定をして言われたのだと思うのですが、いま私が申し上げたように理解をしてよろしいですか。
#141
○豊島政府委員 大臣、解散後ということを申されましたが、これは実際再雇用になるのは、その前にやめる方があれば別ですが、解散されてからになるわけでございます。身の振り方につきましては、一次的には会社でやっておるわけでございますが、もちろん解散してから職を探すということじゃなくて、解散前にどういうことでそれぞれのところで働いていただくかということのめどは十分つける、めどといいますか中身は決めるということになろうかと思います。もちろん、その具体的な実施は解散しなければ、いまいるうちには行けない、そういうことでございます。
#142
○清水委員 誤解をされては困るのですが、私がいま聞いておるのは、あくまでもこれは仮説の話ですから、仮にという前提でお聞きをしているわけですから。仮にという前提で聞いている場合でも、これは言うまでもなく、いま言われたような問題を重視をする、こういうことですね。
 それで、なおその点に関連してお聞きをしておきたいのですが、これはよしんば民間の場合だってそうなんですけれども、つまり本人の意思というものを尊重する。それが九九%になるか九〇%になるか一〇〇%になるかという先のいきさつは別として、基本的な姿勢としては本人の意思をまず尊重する、こういうことが前提にならないと、あなたの方が勝手にこうしてもらいたい、ああしてもらいたい、言うことを聞かなければ知りませんなんてばかなことを言っていたのでは、これは話などというものは一歩も進まぬと思うのです。だから、どういう事態であれ、仮に日航製が存続をして新しい体制に一部が移行していくにせよ、どういう事態であるにせよ、常に国の方針に忠実にいままで携わってきている職員なんですから、しかもYS11という名機を生み出す、あるいはYXの共同開発にも携わる、そういう実績を持っているのですから、そういう立場から言って、これまでの長い長い歴史を踏まえ、歴代の大臣等の約束事なども踏まえて言うならば、これは御本人たちの意思というものを十分尊重をして、具体的に相談をしていくんだ、こういうことでないと筋が通らぬと思いますが、それはそういうことでいいですね。
#143
○豊島政府委員 先生のおっしゃるとおり、これまで日本の航空機工業の発展のために尽くされてきた方々でございまして、やはり航空機工業の分野で仕事をしたいという御希望を持っておられる方が一番多いんじゃないかと思いますが、そういう方向で進めたいと思います。またあるいは公社公団に勤めるという御希望の方もいらっしゃる、あるいはそうじゃない分野ということでございますが、基本的にはそういう御希望を最大限かなえるように努力をしていきたい、このように思っております。
#144
○清水委員 私はいまそこまでお尋ねをしたつもりはないんだけれども、局長の方からそう言われているわけですから、承っておきましょう。
 そこで、次にYXの関係なんですけれども、七月をもって事業が終了する。ところで、五十七年度の予算を見ると、約四億が計上をされているわけですが、この使い道はどういうふうに定めておりますか。
#145
○豊島政府委員 YXにつきましては、御承知のようにすでに開発の終了段階に入りまして、夏に型式承認を得るばかりになっておりまして、四億というのは、その型式承認を得るために必要な作業、事業があればということでございまして、たとえば若干の設計変更その他があるということで、そういう最終段階の事業としての予算をつけておる、こういうことでございます。
#146
○清水委員 いずれにしても、今度はYXの量産体制に入っていく、こういうことになろうかと思いますが、一つ承っておきたいのは、これまで政府がYXの開発のために、トータルをしてみると百四十億ぐらいつぎ込んでいるんじゃないかというふうに思いますね。この補助金というものは、ある意味で成功払い的な性格を持っているんじゃないですか。たとえば量産に入る、利益が出るということになれば、これは返還をされていくという性質を持っているのかどうか、その辺ちょっと聞かしてください。
#147
○豊島政府委員 この補助金そのものにつきましては、他の補助金と同じような考え方でございますが、収益納付という考え方でございまして、一定のルールに従いまして、収益が出た場合には、それを国庫に納付するということになると思います。
#148
○清水委員 同時に、YXの量産体制に移行する場合に、たとえばこれまでYXの開発という中で形成をされてきているさまざまな資産、特に物的資産が相当あるんじゃないかと思いますね。問題は、治工具等を中心に相当のものがあるんだろうと思うんだが、量産会社にこれを移していくという場合にどうするつもりですか。具体的に量産会社から使用料を取る、あるいは他の方法をとる、どんなふうに考えていますか。
#149
○豊島政府委員 開発に使用した機材といいますか、設備等のうち量産に使えるものにつきましては、当然量産会社に売却するということになりますと、その売却した代金の補助金比率というものは国庫に返納されることになると思います。
#150
○清水委員 参考までにちょっと聞きたいのですが、YX協会の物的財産というのはいまどのくらいありますか。
#151
○豊島政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
#152
○清水委員 私の方には資料があるのだけれども、まあそちらから聞かなければかっこうが悪いものですから申し上げませんが、しかし相当なものがあるのですね。ですから、こういう点は万遺憾のない対応をする、こういうことは当然なことだろうと思います。
 次に、日航製の五十七年度予算というのはどうなっていますか。たとえば解散を前提に、赤字補てんのために九億円ほど計上するとか、その他に特別費用を見積もるとか、こういうようなものがあるようでありますが、この特別費用というのはどういうものですか。
#153
○豊島政府委員 いま先生おっしゃいました九億円は、総合的に日航製に生じた赤字を補てんするために計上されているものでございます。
#154
○清水委員 いやいや、特別費用。
#155
○豊島政府委員 大変申しわけございません。特別費用というのは解散に必要な特別費用という意味でございますか、ちょっと私……。
#156
○清水委員 いやいや、私からそっちに聞いているのですよ。そっちで答えてください。
#157
○豊島政府委員 日航製全体として生じた赤字を埋めるために九億円が計上されている。個々の事業ということではございません。
#158
○清水委員 たとえば補用品とか不動産とかいろいろなものがあるでしょう。受取手形なんかもあるのだと思うのだけれども、そういうものをトータルして何か特別費用というふうに見ているのではありませんか。ありませんか。なければないでいいのですよ。
#159
○豊島政府委員 仮に日航製を解散するということになりますと、その資産というものを評価して民間に移管するわけでございます。それで、その資産を評価して売却益が出るのかどうか、そういうことでございますが、そういうものと、それから過去からの累積赤字というものもございまして、これは資本金で賄えるかどうかということでございますが、そういうものを総合して考えました上に、さらに出た赤字を埋めるために九億円というものが計上されているわけでございます。特別費用というのは、私どもちょっと存じません。
#160
○清水委員 ところで、五十七年度の日航製予算の中で一般管理費が計上されていますね。五十五年度なり五十六年度なりの予算規模と比較をしてみると、かなり額がふくらんでいますね。これは何か特別な理由があるのでしょうか。
#161
○豊島政府委員 現在YXの開発のためにCTDCに日航製から出向しておられる方がございまして、この方々に、YXの仕事がなくなるといいますか減少するに従って一応復帰していただくということになっておりますので、そのために人件費その他が要るということで用意をしておるということでございます。
#162
○清水委員 いわゆる退職金などというものはどうなっているのですか。
#163
○豊島政府委員 退職金につきましては、現在の退職金規程によって支払われるべきものは、その予算の中に入っておるということでございます。
#164
○清水委員 これは、あくまでもいまこの場で議論をする話じゃありませんから、答弁は要りませんけれども、既定の退職金で解散ができるなどというそんな安易な考え方で取り組んでいるのですか。答弁は要らないと言ったけれども、やはりちょっとしてもらおうかな。
#165
○豊島政府委員 もちろん、ここで日航製を解散して民間移管になるという特殊事情を踏まえて、その辺の問題につきましては、今後組合と会社で話し合いが行われるべき問題であろうかと思いますが、そういうものにつきましては、一応計上してはないわけですが、予算というものはいろいろほかの不測の要因もあるかもわかりません。その辺のところについては今後の処理に任されているということでございます。
#166
○清水委員 これはいずれにしても大臣もよく御存じのとおり、日航製という会社は社長以下当事者能力がないわけなんです。そういう言い方は大変失礼なんだけれどもないわけです。だから、いかなる処理を今後していくにしても、会社が云々あるいは会社と組合が云々ということではなかなか進まない。常に大臣以下通産省が責任を持ってどうするか、こういう立場で取り組んでいかなければ何一つ解決が見られない、私はそういうものだと思うのですが、その点はどういう御認識でしょうか。
#167
○豊島政府委員 日航製も会社でございますから、基本は労使の交渉によって決まるべきものということでございますが、この日航製の民間移管というのは、国の政策の一環として行われるものでございますので、その辺につきましては、国としても十分の認識を持って日航製当局に対しても対処していきたい、このように考えております。
#168
○清水委員 十分な認識を持ってということではちょっと十分でないので、私は重ねて聞きたいのですが、やはり国が責任を持って対応するということでなければ、いまも局長言われるように、国の方針、国の政策によって日航製の存廃という方向が左右されるわけなんですから、やはりそういう点は国の責任というものが前提にならなければならぬと私は思いますが、どうでしょう。
#169
○豊島政府委員 法律的な問題はともかくといたしまして、基本的精神においては先生の御指摘のような考え方に立っております。
#170
○清水委員 それでは次に、たびたび出ているYXXの問題について、これは最後になりますが、お尋ねをしておきますが、最近の新聞報道によりますと、ボーイング社との間で共同開発についてある程度煮詰まってきている、こういうふうに伝わっておるのですけれども、その辺どうなっているか。
 それから、時間もありませんから一緒に聞きますが、いわゆるYXX開発のための五十七年度の予算、政府は約十五億円計上しているわけですね。ですから、YXXの開発に対する見通しと、今年度計上している十五億、その予算を、たとえば人員計画はどうなっているとか事業内容はどうなっているとか、この辺のところを少し具体的に聞かしていただきたい。
#171
○豊島政府委員 YXXの国際協力事業としての相手方につきましては、現在三つのグループがあるわけでございまして、ボーイングとダグラスとエアバス・インダストリーとあるわけでございます。これにつきましては、若干、その途中の経過もいろいろ起伏はございますが、最終的にはまだはっきり決まっておるわけではございません。
 次に、YXXの五十七年度の予算でございまして、十五億円弱でございますが、これにつきましては、相手方を探して最終的には国際共同事業ということで、その予備設計をやるわけでございますが、その決定前におきましても一予備的に検討しておく事項があるわけでございまして、そういうものは、まだ相手方がはっきり決まらない前でも、仕事の量としてはあるということでございまして、これは五十六年度にやっていたのを引き続いていくということでございますが、作業人員といたしましては、五十七年度の前半は十名強、後半になれば三十名程度、大体この程度の規模になろうかと思っております。
#172
○清水委員 昨年十二月二十八日の閣議了解の中では、「今後の航空機開発体制の整備に配意しつつ」ということを前提にしているわけですね。それで、YXXの開発については、相手方がまだ定かではない。しかし、見通しとして、前半はどうで後半はどうでと、こういうふうに言われるのだが、どうもその程度では閣議了解の趣旨に必ずしも十分沿っていないのではないかという感じがして仕方がない。これは私の意見です。
 そこで、YXXの開発は、YX協会を横滑りさせた形で進めようというのか、あるいは他の方法によるのか。
 それからまた、このYX事業の経過を見ても、YX協会を設立したころは八十七人で出発している。しかし、ピーク時には百六十二人というスタッフになっている。当然のこととして、なるほど五十七年度は数が少ないかもしれないけれども、五十八年度、五十九年度というふうになれば、これはふくらんでいかざるを得ない性質を持っていると私は思うのです。この場合に、これまで日航製なりYX協会でYS11なりYXなりの開発を担当してきたような職員、これを活用するということは当然のことだと思うのですね。そういうような具体的な構想はあるのですか、ないのですか。
#173
○豊島政府委員 YXの場合におきましても、先生御承知のように、日航製からそういうことで出向していただいてやったわけでございます。仮に日航製が解散し、民間移管された場合におきましても、それぞれ航空機業界のどこかで仕事をしておられる方々なので、新しいYXXの開発段階に応じて、必要な方々にそこでまた集まっていただいてやっていただくということは十分考えておるわけでございますが、人数その他は今後の事業の進行状況によるものと考えております。
 なお、最初に御質問のございました、現在のCTDCでやるのか、あるいは新しい組織でやるのかという点についてでございますが、いずれにいたしましても、公益法人方式でやるということには変わりございませんが、相手方もあることでございまして、相手方の選択によっては、現在の組織以外の組織になるかもわからないし、また現在の組織そのままという可能性も十分あるわけで、これはまだペンディングでございます。
#174
○清水委員 なお詰めたい点も幾つかあるのですけれども、時間が参りましたから、そのようなことについては今後また改めてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 最後に大臣に、これはとりわけ強く希望を申し上げますが、午前中から、同僚委員を含めて、日航製問題について、今後の航空機開発体制との兼ね合いでいろいろ注文をつけてまいりましたが、その辺の事情を十二分に踏まえて、後世に悔いを残す、こういうことのないように、しっかり対応をしていただきたいということだけを希望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
#175
○渡部委員長 石田幸四郎君。
#176
○石田(幸)委員 私は最初に、過日の鹿島コンビナートの爆発事故につきまして、三名の死亡者に心から弔意を表しつつ、また負傷者に対しましても心からお見舞いを申し上げながら、若干の質問をいたしたいと存ずるわけでございます。
 この爆発直後、いろいろ調査の活動が進められていると聞いておるわけでございますが、いま調査を進めているという段階でございますから、爆発の原因がどこにあったのかというのは定かではないと思うのでございますけれども、いつごろまでにこの調査の結果を示そうとされるのか、お伺いをいたしたいと思うわけでございます。
 いままでのいろいろな事故問題を見ますと、特に日本坂トンネルなんかの場合は二年以上もかかっているというような状況でございます。これでは今後の事故に対する対処はできないわけでありますし、現実に死亡者も出ているという状況でございますので、明確なめどをお示しいただきたい、こう思います。
 それから、もう一点は、今回は幸いにして二次災害が起こらなかったわけでございますけれども、コンビナート内には多くの危険物があるわけでございまして、本来、事故防止対策としては、やはり二重、三重の対策が講じられてしかるべきであります。そういう意味で、そこら辺の問題点はないのか、現在の法的整備で十分なのか、あわせてお伺いをいたしたい。
 最初の問題についてはぜひ消防庁の方からお答えをいただきたいと存じます。
#177
○藤田説明員 今回の事故原因の究明についてでございますが、現在地元の消防当局におきまして、関係機関とも連絡をとりながら鋭意調査中であるという報告を受けております。
 先生御指摘のございましたごとく、事故の再発防止のためには、できるだけ早い原因究明が望まれているところでございまして、そういう方向で地元消防機関を指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
#178
○石田(幸)委員 では、通産省の方に、先ほど申し上げた二番目の質問についてお答えをいただきたい。
#179
○神谷政府委員 今回の事故に関しましては、原因究明の結果を待ちまして、私どもといたしましては、反省すべき点を反省し、新しい方針のもとで万全を期してまいりたいと考えておりますけれども、基本的には、高圧ガス取締法に基づく諸基準の遵守並びに保安チェック、これの励行、さらには不幸にして事故が起きた場合の危害の拡大を防ぐための防災体制の整備といったものを中心にして今後とも進めてまいる必要があろうかと考えておるわけでございまして、こういう観点から、先般七日に、私どもといたしましては、コンビナートの保安体制の総点検並びに特に今回の事故を起こしました装置と同種類、厳格には完全に同じではございませんけれども、比較的同じような機能を果たしておる重油直脱装置に関しましては、その設計データ等も含めて、私どもの本省の方までデータが上がってくるような形にして慎重なチェックを進めてまいり、所要の指導を行ってまいりたいと考えております。
#180
○石田(幸)委員 四月二日の新聞報道によりますと、この鹿島石油製油所の所長さんが一日に記者会見を行いまして、昨年の定期検査でパイプ内の腐食検査を怠ったというような事実を何か申し述べておられるようなのでございますが、そうだとすれば大変問題なわけで、鹿島署に県警の方では準捜査本部を設けて、業務上過失致死傷などの疑いで捜査を始めたというふうにあるわけであります。破損原因については、断定的な発言は避けたけれども、一つには、重油の圧力が平常どおり百五十気圧以下であった、したがって、破損した個所に何らかの傷か腐食があったと考えられる、また昨年夏の定期検査では、外部からの傷はないことを確認したというふうに述べて、「内部からの損傷の可能性が強いことを示唆した。」こういうことがありますね。それからもう一つ大事なことは、
 「昨年六月の定期検査で、今回破損したパイプについて、外側から気密検査したが、内部腐食などを突き止める肉厚検査を怠ったことを認めた。」ということになっております。これが事実であれば大変重大な問題であるわけなんですけれども、これが事実なのかどうか、そういう発表をしたのかどうか、そこら辺の問題をまず伺っておきたいと思います。
#181
○神谷政府委員 御指摘のように、事故直後の新聞報道の中に若干奇異の感がいたします記事がございましたので、混乱中ではございましたが、いろいろ状況を聴取もいたしましたが、新聞記事で一部言われておりますような、定期検査を怠ったとかあるいは行わなかったという事実はございません。茨城県におきましても、昨年六月、法に基づく検査を行っておりますし、会社の自主検査もその後十一月、六月時点の検査とは異なった検査でございますが、外部からの検査を行っております。ただ、六月の検査では、気密検査あるいは肉厚検査等を十分行っておりまして、一部に報ぜられておりますように、外部からは見たが、内部の状況はわからないという報道はやや誤解を招くものではないかと思っております。もちろんコンビナートの配管でございますから、中を切り開いて見るわけにはまいりませんけれども、外部から超音波による肉厚試験とかその他内部に安全な不活性ガスを入れての気密試験といったものは行っており、したがいまして、傷の有無、肉厚の状況あるいは腐食になる損耗といったようなものの有無は十分検査をいたし、法の基準上問題のあるような事実は発見されていない、こういう状況にございます。
#182
○石田(幸)委員 私が事情聴取を若干したところによりますれば、いわゆるパイプなどは全部を点検することはできないので摘出検査をやる、こういうことのようでございますね。しかし、今回漏れたと思われるパイプについては、摘出検査であるからたまたまそれが検査から外れてしまったということになるわけでございますね。そうしますと、この摘出検査そのものの正当性が逆に問われてしまう。各製油所においてそういうような検査はやっておる。しかしながら、摘出検査でございますから、漏れるパイプは当然出てくるわけでございます。その検査に漏れたパイプの事故によってこのような死傷者の出るような事故が起きるということになりますと、この摘出検査そのものを見直さなければならぬということになりますね。そこら辺のところは今後どうされますか。
#183
○神谷政府委員 御指摘のように、肉厚測定は定点を定めまして、鹿島の場合全装置では六百点ぐらいの点というふうに了解をいたしておりますが、それらの点を定めて肉厚検査を超音波等で行っておるわけでございます。ただ、もちろんパイプ等が長いものでございますから、全部見ていくわけにはまいりませんが、その定点を設定いたします場合には、おのおのの設備の材質の差異、中の流体の温度、圧力の差異、それからその他の条件等で異なる部位ごとに、しかもそれらの中で特に危険と思われるような個所を選定をいたして検査を行っておるわけでございます。御指摘のように、安全弁下流サイドのパイプの地点での定点はございませんが、逆のところでほぼ同様の条件のところの定点があるわけで、それで代替をさせておったと申しますか代表をさせておったわけでございます。
 ただ、御指摘のように、そういう状況のもとにおいて、肉厚測定のミスからあるいは肉厚測定によって判定し得なかったがために起きた事故なのであるか、その他の原因の事故なのであるかということも、今後原因究明の結果を待たなければならぬと思いますけれども、われわれといたしましては、いずれにいたしましても、今回の事故原因が究明されました場合には、それに基づいていろいろな点を検討いたしまして、定点の選び方その他に関して指導も行っていく必要があろうかと考えております。
 なお、つけ加えさせていただきますれば、気密試験については、全装置について当然のことながら行っておるという状況でございます。
#184
○石田(幸)委員 もし、事故調査が進んで、このパイプの検査の漏れによるところの事故であるということになれば、当然それに従ってさらに検査をいかにすべきかということを、私の主張を含めて検討するというふうに理解をいたした次第であります。
 この問題について、最後にお伺いいたしますが、当初この問題については人為的な事故ではないかというような報道がなされた場合もあるわけでございまして、今後の事故調査によって、不作為あるいは操作ミスによる人為的原因と思われるものが出るかもしれない。その面の対策についてどのように考えていらっしゃるか、通産省と消防庁の両方のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#185
○神谷政府委員 原因の調査の結果が出ますまで、余り断定的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、基本的には、やはり装置周辺の配管の部位のところの何らかの欠陥から起きた事故であろうかと思います。操作上特に異常な操作が行われたというふうには、いままでのところわれわれは了解をいたしておりませんが、ただ、御指摘のように、パイプあるいはその周辺に異常が察知あるいは発見されたがために、八名の方々が何らかの措置をとろうとされた可能性はあるわけでございまして、そういう緊急的な措置に関して安全をどう考えるかという問題等は、状況がいま少し明らかになりましたところで、私どもはその中から教訓を得て関係方面にできるだけ指導をしてまいりたいと考えております。
#186
○藤田説明員 同じ答弁の繰り返しになろうかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、現在地元の消防機関で原因について調査究明中でございます。先生御指摘のいろいろな可能性その他について、その中に含めて検討するよう指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#187
○石田(幸)委員 では、その問題については以上で終わります。消防庁の方は御退席して結構でございます。
 私は、本日石化問題について少し質疑を展開をいたしたいわけでございますが、その根っこになっております石油業界の問題についても若干お伺いをしておきたいと思うわけでございます。
 石油業界については、御存じのとおり、現在空前の経営危機にあるわけでございます。その業務浮沈のかぎを握ります円レートについては、採算レートが二百二十九円というふうに言われておるわけでございますが、さらに円レートが円安の方向に推移するとすれば、これは大変な事態になるわけでございます。これに加うるに、市場の低迷はさらに深刻な影響を石油業界に与えているわけでございますが、今回値上げの動きがありますけれども、値上げをしたとしてもそう簡単な状況にないわけでございます。現在の円安状況の中で、本年度の上半期については一体どんなふうに推移するというふうに見通しておられるのか、まず通産省の見解についてお伺いをいたしておきたいと思います。
#188
○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、石油業界は非常に厳しい事態に追い込まれておるわけでございます。それは原油価格の方は、長期契約で買っておりますので、そう下がっておりませんで、CIFでようやく三十六ドルを若干割り込むというような状況でございますが、それに引きかえまして為替レートは二百四十円台というようなことでございますし、一方、石油の需要が全体的に低迷いたしておりますので、国内の販売価格その他についても、石油業界の思うような価格では推移してない、こういう状況で、非常に厳しい事態でございます。ですから、恐らくこの上半期は相当厳しい事態が続くのではないかというふうに思います。上半期の需要につきましても、現在の経済動向で考えますと、昨年と比べてそれほど大きな需要の伸びは期待できないということで、私ども、石油供給契約につきましても、上半期について一応の見通しを立てておりますが、これは昨年同期に比べて三%くらい需要が落ちるという見通しを立てておりますので、こういう需給動向の中で円安が現在のようなことが続くということになりますと、石油業界の経営状況は非常に厳しいというふうに思います。ちなみに、昨年度の石油主要十七社の経常赤字が、五十六年四月からことしの三月まで、若干見込みは入りますが、約三千六百億円ということでございますので、恐らくこういう状況がこの上半期も、いまのようなレートの状況であり、需給状況であれば、続くのではないかというふうに心配をいたしております。
#189
○石田(幸)委員 石化メーカーと石油業界との話し合い、さらにまた通産省の省議においてこの話し合いが確認をされておるようですが、したがって、石化業界との問題、一部は解決の方向に進んでおるわけでございますけれども、ここにもまだいろいろな問題があるようでございますが、しかし、C重油ユーザー、これらの方も、新聞報道によると、直接輸入をしたいなんというような話が出ておる。通産省の方に伺うと、まだそんな話は聞いておりませんということではございますが、他の油種については、石化業界と同じような何か動きがあるのかどうか、またそれに対する考え方はどうなのか、お答えをいただきたいと存じます。
#190
○小松政府委員 いま先生からお話ございましたように、石油化学用のナフサにつきましては、石油業界と石油化学業界との間に立ちまして、通産省といたしましても、その輸入のあり方、それから価格のあり方について一応の対応策を決めた段階でございます。ただ、今回省議決定という形でこの対策を決めたわけでございますが、これは石油化学用のナフサがきわめて特殊な事情にあるということに着目して決めておるわけでございまして、ナフサの場合には、その輸入の量がすでに最近ふえてきておりまして、今年度上期の石油供給契約でも輸入ナフサが五〇%を超すというような見通しになっておりますし、今後とも輸入のナフサというのは増大していくのではないかというふうに考えております。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
こういう中で、一方、石油化学製品の中に占めますナフサのコスト、これは原料費として非常に高いわけでございますし、石油化学製品の方は国際価格に連動して動いておる、こういう特殊な事情を考えまして、今回のように、しかもナフサにつきましては、コンビナートでパイプで両業界の需給関係がつながっている、こういう特殊事情も配慮いたしまして、国内のナフサにつきまして一定量を石油化学業界との間で引き取りが決まった場合には、残りのものについては実質的に輸入ができるようにする。それからまた価格についても、国際価格にさや寄せした形で価格体系を考えていく、こういうような措置を決めたわけでございますけれども、これは先ほど来申し上げましたように、ナフサの特殊事情、石油化学業界の置かれておる特殊な状態、特に国際化の波の中でナフサ価格も変動せざるを得ないという実態に着目しまして、こういう措置を決めたわけでございまして、その他の油種につきましては、消費地精製主義の原則に基づきまして、関連油種を安定的に供給するという立場から、それから価格についても長期的に安定した価格が要請されるというような問題もございますので、その他の油種について、こういう措置をとるつもりはございません。むしろC重油その他のものにつきましては、国内の供給をベースに今後とも安定供給を図っていきたいというふうに考えております。
 さらに、C重油の需要業界の中に直接輸入の動きがあるかどうかということでございますけれども、いままで低硫黄C重油その他を中心に、これは間接的に入っておりますが、直接C重油のユーザーからこれをぜひ入れたいというような要望は、私どものところには現段階では参っておりません。
#191
○石田(幸)委員 大臣にお伺いをするわけでございますけれども、この石油問題の中で最も基本的な問題は、円安の問題ですね。それによって石油業界は大変な低迷を続けておるわけでございまして、この円安の原因がアメリカの高金利政策にあるというようなことも、大変日本の各界から非難が上がっておるわけでございますけれども、一つは、アメリカの高金利政策、通産大臣として、大臣は今後これが急激に解決の方向に、われわれが希望しているような利下げの方向に向かうというふうに思っておられるのかどうか。あるいはまた、円安問題について、これは通産大臣の掌握の範囲ではないかもしれませんけれども、そこら辺の動向に対してどのような見通しを持っておられるか、簡単にお答えをちょうだいしたいと思います。
#192
○安倍国務大臣 円安の基本的な原因とも言えるアメリカの高金利は、アメリカ政府がインフレを収束するという政策として打ち出したわけですが、今日まで続いております。これが円安の非常に大きな原因になっているのですが、しかし、最近のアメリカの経済の実情、特に消費者物価が一けた台、七%台になって落ちついてきておる、こういうふうな事態から見まして、私は、今後はアメリカの金利も多少下がっていく方向へ進むんじゃないかというふうにも考えておりますし、また特にこれは期待をしておるわけで、日本だけじゃなくて、EC諸国もアメリカの高金利政策を批判して、アメリカ政府が高金利政策の改善に努めるように強く求めておるところでございます。
 それから、円安が続けば石油産業の経営は非常に悪化するわけでございます。残念ながら、経営努力というよりは、まさに為替の変動によって経営が左右されておるというのが石油産業の実態ではないか、こういうふうに考えておりますが、これに関しては、やはり輸入金融の円金融化であるとかあるいは為替予約の実施等のいわゆる為替リスク対策を自主的に積極的に講じていくということを期待しておるわけでございますけれども、いままだふえ続けておるという状況でございます。
 さらに、根本的には石油産業の構造改善によってその経営体質を強化していくことが必要であろう。このために通産省としては、昨年来の石油審議会石油部会の小委員会報告において提言されました過剰設備の処理、元売りの集約化、生産・物流面の合理化、中間留分対策等を積極的に推進をすべく、所要の施策を講じていく考えでございます。
#193
○石田(幸)委員 大臣にもう一つお伺いをしたいのですが、円安対策もいろいろな考え方があると思うのですけれども、時間がありませんので、この問題はこれ以上触れられないのですけれども、その円安対策の中で、いま大臣もおっしゃった円金融の問題ですね、円シフトの問題、これはかなり効果のある対策の一つなんですげれども、この円シフトについて、通産省としては積極的にこれを支援するというようなお考えがあるのですか、お伺いしたいと思います。
#194
○安倍国務大臣 これは金融政策に関係するわけですから、大蔵省あるいは日銀当局が円安対策として打ち出して措置していかなければならない課題であろうと思いますけれども、通産省としても、やはりこれが貿易の面において非常な問題を起こしているということから、この問題に対しては非常に関心も持っておりますし、また要請もすべき点は要請をしてきておるわけであります。
#195
○石田(幸)委員 余りはっきりした答えはないわけでございますが、大臣としてはお答えにくい点もあるのでしょう。いまの円シフトの問題は、別の機会に改めてやることにいたしましょう。
 そこで、長官の方にお伺いをいたしますが、さらに基本的な問題としまして石油行政の問題で、エネルギー政策上からきているわけですが、先ほどもお話がちらっと出ましたけれども、わが国は消費地精製主義をとっているわけです。一体将来とも消費地精製主義だけでやっていけるのかどうか。
 いろいろな報道を見ておりますと、サウジを初めといたしまして、産油国も輸出用の製油所の建設に乗り出しておるわけでございます。それの進行状況をどういうふうに通産省として見ておられるのか。もし近い将来において、この産油国の製油所が積極的に稼働するということになりますれば、当然わが国の石油関係製品に対しても原油と抱き合わせで輸出を迫ってくる。わが国はやはり原油を確保しておかなければならぬ関係もあって、他の石油製品についても抱き合わせで買わざるを得ない状況が出てくるのじゃないかと思うのですけれども、そういう傾向にある中で、通産省としては今後どういうふうに対応しよう、どの方向に引っ張っていこうとするのか。あくまで消費地精製主義を貫き通していくのかどうか。私は困難だと思うのだけれども、そこら辺の見解をひとつ承りたい。
#196
○小松政府委員 お答えを申し上げます。
 いま先生からお話ございましたように、産油国におきましても、単に原油を輸出するだけじゃなくて、これを加工した形での輸出向けの製油所建設計画が、これはサウジを初め二、三の国にそういうものがございますし、また産油国自身、みずからの石油需要、それから石油製品需要というものがふえてきておりますので、そのために、原油を輸出して製品を輸入するということではなくて、国内で石油製品を製造する、こういう形での製油所の建設計画を各産油国とも相当持っております。
 ただ、ここへまいりましてかなり石油需要が緩和しておりますので、こういう建設計画は一部とんざしているというような問題もありますし、そういう意味でのテンポは緩んでおりますけれども、将来の方向といたしまして、原油価格がなかなか上がらないという段階、その段階で外貨を稼ぐということが産油国には当然課された重要なあれになるわけでございますので、そういう観点から、当然加工度を上げていくということで製油所の建設が今後とも進むであろうことが予想されますし、それがさらに石油化学の段階にまで発展していくということもあるわけで、すでに石油化学プロジェクトについても、一部の産油国はそれを手がけておるという状況でございます。
 こういう状況の中で、当然日本としても今後国際的に、原油調達とあわせて一部の石油製品が輸入されてくるということは念頭に置かざるを得ないのではないかという気がします。最近は石油・原油需給が緩和しておりますので、そういうことはございませんが、一九八〇年にもたしかイランが原油の輸出に重油の一部輸出をリンクさせて日本にその取引を迫ったというような経緯もございまして、今後ともそういう問題がある程度起こってくることを前提に石油政策を考えていく必要はあると思います。
 ただ、日本の場合には、いろいろの連産品の石油製品について、産業ないし国民生活に必要な製品を安定供給していくことが必要でございます。しかも原油の調達につきましては、今後のOPECの動向、さらには国際的にも原油調達についての一般的な管理が進むという中では、消費地精製主義の原則を変えることはできないのじゃないかというふうに思いますが、未来永劫にわたって消費地精製主義の原則で全石油製品を供給するかということになりますと、海外からのそういう輸出動向というものについても、日本としても国際化の波の中でこたえていく必要があるということでございますので、消費地精製主義の原則を守りながらも、一定の石油製品については、今後国際価格で輸入されることを前提に石油産業の体質改善を進める、こういうことで、できるだけ国内の需要構造、価格体系も国際化させるための努力をし、将来国際化された中で一部の石油製品が輸入される中で、全体としての石油の安定供給が保たれることが大事だというふうに思います。そういうことで、消費地精製主義の原則は今後とも変えるつもりはございませんが、運用としてはかなり弾力的に考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っております。
#197
○石田(幸)委員 その問題、もう少し議論をしたいところですが、先へ進みたいと思います。
 石油業界と石化業界で、ナフサが国際価格並みで使えるというようなことが了承された。先ほどもちょっと内容に触れておられますが、新聞報道によりますと、輸入ナフサの使用比率を五〇%に引き上げていくということ、それから石化原料共同輸入会社を通して石化会社が自主的に自由に輸入できるという問題、国産ナフサ価格が輸入ナフサのCIF価格に諸経費と石油税の二分の一を加えたものとするということ、それから三点方式の中で、来年度から石油税分は通産省が補助金を交付する形で安くするというようなことが両業界で了承されておるわけです。省議でこれを確認されたというふうに伺っておりますが、これ以外に省議で何か補足的に確認されたことがあるのでしょうか。
#198
○小松政府委員 いま先生からお話がございました事項でございます。ただ同時に、こういうナフサに対してとりました措置は、例外的な措置であるということで、しかもナフサの特殊事情、国際市場とか国際価格で動く石油製品の特殊事情、こういうものを念頭に置いて決められた措置でございますので、こういう措置が他に余り波及しないようにということを同時に私どもとしては考えておるわけでございます。
#199
○石田(幸)委員 大臣、この中で非常に問題があるのは石油税の問題。通産省が来年度から補助金を交付する形でその分だけ安くするというわけですね。これはいまの財政事情がございますから、五十六年度だけでも二兆円を超すような税収不足と言われる中で、五十八年度だってそれは厳しいと思わなければならぬが、これは私は通産省の方としても非常に御英断だと思いますよ。五十八年度予算要求の中で通産省、これは本当にがんばるのですか、大丈夫ですか。いかがですか。
#200
○安倍国務大臣 いまお話がございましたように、最近の石化業界の状況から見まして、われわれ省議決定によりまして、国産ナフサの値決めが輸入価格を反映して行われることとするということを基本としていろいろの施策を講ずることにしたのですが、これにかんがみまして、国産ナフサにかかる石油税負担が昭和五十八年度以降実質的に現行の輸入ナフサと同様の扱いとなるような所要の措置の実施を期することといたしている、こういうことでございまして、石油税の問題は、これは税制全般の問題から、来年度もちろん問題として取り上げられるかどうかということも含めて大きな課題にもなるわけですが、ここで言っているのは、実質的に現行のナフサ同様の取り扱いとなるように所用の措置をするということで、これは通産省自体としていろいろな知恵を出して、そういう方向でやろうということで決心を固めたわけでございまして、この方向に踏み切ったわけですから、ぜひとも実行しなければならないと考えています。
#201
○石田(幸)委員 その面については結構だと存じます。
 そこで、もう少しいろいろ伺っておきたいのですけれども、これは長官に伺ったらいいのか大臣に伺ったらいいのかわかりませんけれども、石化業界の問題の中で、この主要な原料はいわゆるナフサと天然ガスなんですね。アメリカ、カナダにおいてはナフサの依存度が一〇%から一五%、きわめて低くて、そのほかはほとんど天然ガスを原料としているわけですが、その天然ガスがいわゆる向こうの政策的な立場から非常に安く抑えられておるわけですね。そのために、石化製品というものががんがん日本に安く輸入されてくるということで、日本は、いわゆる輸入ナフサもありますけれども、国際価格の問題で大変高いものを買っておるわけで、このままでいくと大変なことになるというふうに思わざるを得ないわけですね。
 たとえば、これは一つの事例でありますけれども、ポリエチレンなんかの輸入を見ますと、五十年度が二百五十一トン、五十五年が一万四千八百八十四トンというふうに六十倍弱ということですね。そういうわけでもうどんどん入ってきている。逆に日本のポリの輸出というものは、五十年度に四十一万三千三百六十五トンあったのが、五十五年度では二十七万四千五百三十二トン、もう四〇%ぐらいに減っておるわけですよ。それは、一つにはいわゆる原料価格政策、ここに大きな原因があると思わざるを得ないわけですが、いま盛んに日米貿易摩擦が言われているのですけれども、こういう形では逆に日本が貿易摩擦の問題として要求しなきゃいかぬ、そういう問題の一つなんですね。そこら辺をひとつ、どういうふうに対処されるのか、お伺いをいたしたい。
#202
○安倍国務大臣 これは私たちも不当だと思うのですね。いまのアメリカ、カナダの天然ガス、価格統制によって抑えて、そしてわが国に対して大量に安い石化製品を送り込んでおる。そこで、日米間でスタディーグループ等を持っておりますし、これを通じまして日本として強くアメリカに反省を求める、カナダにも反省を求めて、そして妥当な線で、適正な価格の線で、これは実勢価格といいますか市場価格というか、そういうもので縛るのが筋じゃないかということで強く要求をしておるわけでございまして、アメリカなんか、逆に何か日本の方が不況カルテルなんかつくって、そしてアメリカの石化製品を恣意的に抑えておる、市場閉鎖しておる、こういうことを言っておるわけですが、これは全く逆でして、いまのように天然ガス等価格統制をやっておりますし、またアメリカの石化製品等はいまお話のように日本にどんどん輸入がふえておるわけですから、日本の石化業界としては苦しい中で懸命な経営をしているということで、何も日本が石化製品に対して閉鎖措置をとってない。むしろ石化業界の方は輸入に対して制限措置をとってほしい、こういうふうな要請もあるくらいですけれども、自由貿易を原則としておりますから、これに対しては、業界とも話をしながら、いまアメリカの製品がふえている、こういうふうな状況であります。
#203
○石田(幸)委員 日本は盛んに日米貿易摩擦でやられておるわけですから、一つぐらい要求してもいいんじゃないかという気がしますので、これはひとつがんばってもらいたいと思うのです。
 石化業界の問題、これは労働者も五十万人と言われているような状況ですから、この与える影響というのは非常に大きい。そういう角度から私はこの問題を、一つは景気回復のためにも、一つはそういった働く人たちの生活を守るという立場からも御質問を申し上げておるわけでございますが、長官にひとつお伺いしたいのは、このナフサ業界での問題点は、つとにもう知られているように、一つは国産ナフサへの石油税の賦課の問題、それから備蓄費用負担の問題、それからナフサの輸入権の問題、この三つは際立って大きな問題だと言われているのですけれども、石油税の問題は、先ほど来ちょっといろいろやりとりがあるのですけれども、これは石油業界全体としても、税金をまけてくれ、もう税金を払うだけの能力がないということを盛んに言っておられる。しかし、いまの財政事情の中で、その問題が俎上に上るとは私も考えられない。一挙に減税措置を講ずると、またこれ混乱が起こる、財政の方に非常にひずみが起こるわけでございまして、そういう点からいきましても、この石油業界の中での要求の中で一番論理的に整合性があるのは、私個人の考え方では、やはり備蓄負担の問題、こういうふうに私は考えるわけなんです。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、この負担額の問題そのものも、業界全体の収益の状況から考えてみると、少し過酷に過ぎるなというふうには思いますけれども、一番基本的な問題は、ヨーロッパ等においてはナフサの備蓄の義務化というものが課されておらない。ところが日本は、備蓄化が課せられておるというふうになっておるわけでございますけれども、なぜ欧米諸国と日本の対応が違ってきたのか、まずここら辺から少し伺いたいと思います。
#204
○小松政府委員 いま先生からお話ございましたように、石油化学業界としては、ナフサについてできるだけ輸入を自由にしろ、また石油税は、輸入のナフサについては石油税が免除されておりますので、国産ナフサについてもその減免を図れ、それからいまお話のございましたナフサの備蓄義務を免除したらいいじゃないかという三つの御要請が私どものところにも来ておりまして、それに対する回答という形で、きのうの省議決定で、国内ナフサの引き取りとあわせて、その他のナフサについては原料共同輸入会社を通じて自主的に輸入が自由にできるような体制にした。
 それから、石油税につきましては、輸入については当然減免されておるわけですので、国内の石油税負担分、これにつきましては、石油税自身がエネルギー対策財源の重要な財源になっておりますので、これについて、税についていろいろ対策を講ずるというのはなかなかむずかしいという観点から、自主的に石油業界に対して必要な措置を講じながら石化業界の負担がないようなことを考えていこうということにしたわけでございます。
 それとあわせて三番目として、いま先生からお話のございましたナフサの石油備蓄義務を外したらいいじゃないか、特にほかの諸外国では課されていないじゃないかというお話でございますが、まず日本の場合には非常にエネルギー構造が脆弱でございますし、石油依存度が高いわけでございまして、そういう観点で民間に対しても石油備蓄法という法律をつくりまして、石油全体について備蓄義務を課しているわけでございます。そういうことで、現在、原油につきましては九十日の備蓄義務、その他の石油製品につきましては七十日、その他の石油製品の中に当然ナフサも入っているわけでございまして、ナフサを例外的に扱うということはなかなかむずかしいわけですし、特に日本の場合は、そういうことで民間の備蓄分、もちろんこれ以外に国家備蓄ということも考えておりますが、民間に対してそういう備蓄義務を課すことで石油関連製品の安定供給を図るという基本的なエネルギー政策のねらいがあるわけでございます。そういう観点から見ますと、ナフサについて例外を設けるということもなかなか厳しいわけでございますし、また当然石油化学製品についても、素材産業として一定の安定供給ということは、今後とも考えていただかなければいかぬわけです。そういう観点で、現在原油に比べれば二十日低い七十日ということになっておりますが、今後これを今年度は七十日で据え置く、さらに五十八年度以降はこの備蓄問題について検討をしようということにいたしておりまして、備蓄というのは供給サイドから見ますと確かに負担になり、厳しい問題でございますが、エネルギー政策全体の基本的な方向の問題でもありますので、これは慎重に検討せざるを得ないというふうに思っております。
#205
○石田(幸)委員 余り納得のいくようなお答えじゃないわけで、日本は確かにエネルギー確保の面においてはヨーロッパ各国よりも厳しい状況にあるわけですね。これは了承しましょう。しかし、それだからというわけにはいかないように私は思うのです。さらに考えられることは、ヨーロッパ諸国はナフサを除外しているというのは、いま申されたように、石油エネルギー確保の様相が日本の方がより厳しい、それだけの理由ですか。それとは少し違うのじゃないですか。備蓄をしなければならぬことにおいては、これはやはり量の差こそあれ消費国同じ性質のものであって、私はそれだけではなかなか納得できない面があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#206
○小松政府委員 ヨーロッパ各国の場合は、石油・原油そのものについても、実は法律上の義務を課しているということにはなっておりません。ですから、そういう意味で備蓄法を持って法律の義務を課しているのは日本の特殊事情でございますが、そういうエネルギー政策の中で原油と他の石油製品とのバランス論ということがあるものですから、石油製品の一製品について備蓄義務を免除するということになりますと、他の石油製品はどうするか、それが今度は原油の備蓄日との関係でどう対応するかという問題もございますので、私どもとしてはその点慎重に検討せざるを得ないというのが現段階の考え方でございます。
#207
○石田(幸)委員 確かに長官の言われることは、いままでの経過、いわゆる第一次石油ショック、第二次石油ショックの状況を踏まえての議論なんですけれども、ここへ来ていわゆる石油事情、需給が大変に緩んできているという状況、それからいわゆる原油の産出状況ないしは埋蔵量の問題、そういった点についても、かつての第一次石油ショックのような状況からはずいぶん違ってきている。需給緩和に示されるように、さらに石油事情というものは拡大基調にあるというのがいまの定説になっているわけですね。そういうふうに考えますと、そろそろ通産省としても、石油行政の中で弾力的に物事を考えていかなければならない状況の中に来ているのではないかと思うのですね。
 しかも、この石化業界の方のランニングコストの問題がございまして、たとえばそういうような危機状況が起きても二カ月ぐらいのランニングコストは十分にある、あるいは製品そのものとしてももう一カ月分持っているぞという話すらあるわけでありまして、そういう観点から考えてみると、この備蓄制度を石化業界に押しつけているという根拠はかなり脆弱になっているのじゃないか、私はそういうふうに思うのですけれども、そういった意味で方向転換の方向に来ているのじゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
#208
○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、確かに現在は石油需給は非常に緩和をいたしておるわけでございますが、中長期的には、産油国それから発展途上国の石油の需要は伸びますし、それから日本が依存しております中東情勢、これは必ずしも楽観を許さない状況でございますので、こういう緩和状況がいつまで続くかということになりますといろいろの説がございますが、私どもエネルギー政策を担当している立場からいたしますと、むしろ中長期的な観点からこの問題に取り組まざるを得ないと思っておるわけでございますが、そういう観点から見ますと、現段階では民間の備蓄義務を緩和するとか、また国家備蓄を減らすということは考えられない。むしろ長期的な方向としては、備蓄量は、国家備蓄も含めれば、さらにもっと持っておった方がいいのではないか。ヨーロッパ、IEA諸国の平均で、原油の場合で大体百七十日ぐらいの備蓄を持っていますから、アメリカなどの場合には戦略備蓄を相当強化するというような動きもございますけれども、日本の場合は、そういう観点から見ますと、国家備蓄にいたしましても民間備蓄にいたしましても、まだ必ずしも十分ではないというふうな状況でございますので、将来の石油の需給動向にもよりますけれども、現段階では、そういう観点で、備蓄について緩和するのではなくて、原油の備蓄としてはむしろ強化の方向で考えたいというふうに思います。
 ただ、石油化学業界が置かれておる事情というものは、私ども十分わかっておりますので、これについては他の備蓄義務との関連で慎重に検討いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
#209
○石田(幸)委員 ランニングコストの問題については十分なお答えがなかったのですが、大臣、たとえば参議院の予算委員会あるいは昨今の新聞の状況から見まして、いわゆる公共事業の七十数%の上半期前倒しの問題がありますね。そういう方向を見ると、いわゆる財政需要は財政需要としながらも、全体的な景気回復策への積極的な施策をしなければならないという方向に政府は来ていると思うのです。当然産業界を掌握しております通産省としても、その方向で積極的に行かなければならないというふうに私は思うのですけれども、そうしてみると、たとえば備蓄問題を、いまのエネルギー庁長官のおっしゃることは一面の対策として、これはこれとしてあり得ると思いますけれども、同時的に、機能的に現在の景気不振に対処するとすれば、そういう方向から見れば、ナフサの備蓄問題というものを一時的に緩和して、そちらの方から景気対策としての一つのショックを与えていく、大きな波及効果をねらうということだってあり得るのじゃないかと思うので、これはエネルギー庁長官のお答えだけでは、現在の政府の施策の方向とはちょっと違うのじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないのですけれども、通産大臣はどういうふうにお考えですか。景気対策の面から考えた場合に、どういうふうにお考えになりますか。
#210
○安倍国務大臣 エネルギーについては、日本の国の体質というものが非常に弱いわけなんです。やはりいまは緩んでおっても、これから中長期的な立場に立つと、一体日本がどうなるか。中東だって決して安心するような状況でありませんし、われわれ第一次石油ショック、第二次石油ショックという教訓を経て今日に至っておりますから、やはりそうした全体的なことを考えると、私はいまのエネルギーに対する基本的な政策、備蓄政策等も変えるべきではないと思っております。
 そういう中に、やはり景気対策は景気対策として進めていくことは、いまの国の経済の状況から見て、これはまた当然のことである。きょうも閣議で七七%という公共事業の前倒しを行うことを決めたわけなんですが、その他住宅対策とかあるいは金融政策だとか財投の運営だとか、あらゆるものを動員して、このままでいけば経済もまかり間違えば失速するおそれがありますから、これは景気対策にうんと力を入れていかなければならぬ。それはそれでやるべきじゃないか。ただ、一時的に備蓄を、石化製品の備蓄から吐き出したって、どれだけの景気に影響があるか、われわれも判断ができないわけですが、景気そのものに大きなパンチがあるとも思えないわけでありまして、やはり景気対策については、全体的な立場で推し進めていかなければならぬ。しかし、石化業界も非常に悪いわけですから、この体質をどうするかということも、私たちとしては腰を据えて取り組んでいく課題であろう。
 今度輸入ナフサについてのいろいろな課題を、一応取り決めはできたわけですけれども、やはり体質そのものに構造的な面もあるわけですから、そういうものについては、今後産構審の報告等も踏まえて、これはやはりこの際本格的に取り組んで、そして将来にわたって石化業界の安定的な基盤を確保していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
#211
○石田(幸)委員 いまちょっとランニングコストの点を触れたんだけれども、何か危機があって備蓄の原油を精製しなければならぬ段階にくれば、これは当然順番がつくわけですね。たとえばガソリンだとかあるいは灯油だとか、そういうものが優先されるわけですよ。そうしてナフサなんというものは、需要度からいってあるいはランニングコストの点からいって一番下なんですよ。そういう性格を考えますと、私はもう少し積極的な施策をすべきではないか、こういうふうに思いますので、意見として申し上げておきます。これはいま以上のお答えはいますぐは出ないでしょうから、今後の検討課題だと思いますので、私の意見としてのみ申し上げておきたいと思います。
 まだ申すことあるのですけれども、時間でございますので以上にいたします。
#212
○森(清)委員長代理 横手文雄君。
#213
○横手委員 私は現在問題となっております貸しレコード店の問題について通産省並びに文化庁に対して御質問を申し上げます。
 この問題は、すでに本委員会においてあるいはまた予算委員会の分科会においても取り上げられたのでありますが、今日問題はいよいよ広がりを見せている状態の中にあります。なるほど貸しレコード業は一面きわめてユニークな新商法でもあります。つまり一枚二千七百円から二千八百円するLPレコードが二、三百円のレンタル料を支払えば家に持って帰って聞ける、そうしてそのほとんどがコピーされ、消費者はその音楽を繰り返し聞くことができるのであります。したがって、この新商売は若者を中心にして大ヒットいたしました。
 先日、私はある若い人たちを中心とした集会に参加をいたしまして、この貸しレコード業のあり方について問題があるという指摘をしたのであります。ところがそれについて若者たちからは、そういう指摘はさきの日航機の事故の逆噴射にも等しいという反撃を受けたのであります。しかし私はなお、この問題は多過ぎるし、しかも重大であるという指摘をせざるを得ません。今日どなたの話を聞いても、消費者のニーズは多様であり多岐であるという話を聞きますし、私もそう思います。そのあらわれの一つとして、いまやレンタル業は社会の中で大きなウエートを占めておるのであります。
 しかし私は、このレコードのレンタル業はほかのレンタル業と決定的な違いがあると言わざるを得ません。それは借りたものが返したあとにそっくりそのまま残るということであります。これはレコード協会の調査によっても明らかでありますし、また調査を待つまでもなく、だれが考えても常識であります。ここに問題の根底があります。そしてここから多くの重要な問題が派生をしてくるのであります。
 その主なものは、第一は、レコードが売れなくなりレコード小売業の経営が行き詰まってしまう、このことであります。第二は、そのことによってレコード製造業が成り立たなくなるおそれがあり、その結果、レコード音楽創造のリサイクルが壊れ、音楽文化の衰退につながり、やがてそのことは音楽愛好家に対してその火の粉が舞い戻ってしまうのではないかということであります。第三は、このレコードレンタル業が著作権法に抵触をしないかという問題をはらんでおります。
 そこで、通産省にお伺いをいたしますが、先ほど通産省が調査をされましたこの結果にも示されたとおり、あるいは私もまた直接出かけていきましてレコード業界を調べてまいりましたが、特に近くに貸しレコード屋があるところでは、売り上げの落ち込みは当然のこととしても大変ひどいものであります。このレコード小売業界の窮状について、通産省はいかなる認識をしておられるのか、そのことをまずお尋ねをいたします。
#214
○志賀政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘がございましたように、貸しレコード店の進出によりまして、レコード小売店に対しあるいはレコード製造業に対しましていろいろな影響が出ているあるいは将来の問題として考えられるというふうに私どもも考えているわけでございます。
 それで、先般私どもこの貸しレコード店のレコード小売業者に対する影響につきまして調査をいたしました。ざっと調査の内容を御説明させていただきますと、昨年の十二月時点で全国から、貸しレコード店が商圏内にあるレコード販売店及び貸しレコード店が商圏内にないレコード販売店に分けまして調査をしたわけでございますけれども、その結果によりますと、貸しレコード店が商圏内にある小売業者の五十五年に対する五十六年の販売額の状況、それから貸しレコード店が商圏内にない小売店の同じく五十五年の販売額に対する五十六年の販売額の伸び率、双方を対比してみますと、商圏内に貸しレコード店がある小売店の方が、貸しレコード店がない小売店に比べまして、指数で申しまして大体一一ポイントくらい下回っております。それから貸しレコード店がある小売店につきまして、貸しレコード店ができる前とできた後の同じく販売額の前年の水準に対する対比をしてみますと、これまた貸しレコード店ができる前に比べまして、できた後は大体一四ポイントぐらい、指数で大変恐縮でございますけれども下回っております。いずれにいたしましても、そういうことで一一ポイントないし一四ポイントの影響というものをどう評価するかという点については、さまざまな見方があろうかと思いますけれども、ともあれ貸しレコード店の進出によって小売店が影響を受けている、かなりの影響を受けているということは否定できないというふうに思っております。
 なお、私どもの調査におきましては、ただいま申し上げましたようにポイント数で一一ないし一四ポイントの影響というふうに出ておりますけれども、ただ、私どもの調査の際に、貸しレコード店がそばにない小売店の回答状況は非常に悪かったわけでございます。恐らく貸しレコード店がそばにございませんと、経営が比較的良好というような、そういう小売店が多かったと思います。したがいまして、そういった回答がなかった小売店のことを考慮いたしますと、恐らくこの一一ポイントないし一四ポイントの影響というのはもっと大きな影響であっただろうというふうに推測されます。
 そういうことでございまして、私どももこの貸しレコード店についてどのように対応していくかということにつきまして、先生から御指摘がございましたように、著作権法上の問題も絡む問題でございますということで、文化庁の方とも密接な連絡をとりながら対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
#215
○横手委員 御承知のとおり、このレコード小売業は中小企業がそのほとんどであります。したがいまして、いま御指摘ございましたような数字よりも、私はもっと現実には進んでいるというぐあいに言わざるを得ません。私が実際に当たってきたそのことをもってしても、近くに貸しレコード店ができた店の売り上げは、いまの数字よりも大きく落ち込んでいるという事実を見てきたからであります。そういう形で既存の業界、特に中小企業が大半を占めるこの業界対策を、その所管省庁として、通産省はどういう形で進めていかれるのか。このまま衰退していってもいいという形ではもちろんなかろうと思いますけれども、業界対策としてこれをどう進められていくのか、このことについてお伺いいたします。
#216
○志賀政府委員 お答え申し上げます。
 日本のレコード製造業を含めまして、文化産業であるレコード産業を支える一つの部門として、小売店というのは非常に重要な役割りを果たしている。先生から先ほどお話がございましたように、小売店に大きな影響が出ると、結局はメーカーに影響が出て、ひいては日本のレコード文化それ自身にも影響が出てくるというようなことも考えられるわけでございまして、私どもとして、レコード小売店に対する貸しレコード店の影響について、先ほど申し上げましたように調査をし、慎重に見守っているところでございます。
 そこで、貸しレコード店との関係におきまして、小売店についてどのように対応していくかという問題でございますけれども、先生御案内のように、現在、文化庁の方で著作権法上いろいろな検討が行われているところでございます。したがいまして、その辺をにらみながら貸しレコード店に対しましていろいろな対応を考え、小売店の健全な発展ということも図ってまいりたいというふうに思っております。
#217
○横手委員 私は、通常各中小企業を救済をするために、いま御答弁の中にございましたように、健全な発展のために通産省としてはがんばっているということは、一般論としてはわかるのであります。たとえば昭和十二年の百貨店法、現在の大店法であります。これは、それまでに存在をしていた地域の小売業、そういったところに大型店が進出をしてくる、そのことによってその地域の小売業は決定的な打撃を受ける、したがって大型店の参入に対してある程度の規制を加えていく、しかも大型店は大資本をバックにして入ってきておる、こういった実態にかんがみあの法律はできた。そしてさらに、大型店に対して行政指導という形でこれの出店規制も行われているのであります。一方、小売業界に対しては、高度化資金等の融資によって、アーケードをつくれ、あるいはカラー舗道をしてお客さんを呼ぶ、あるいは仕入れに対しても共同仕入れ等によって何とかこれに対抗していく、こういったことで救済の道があるというぐあいに私は考えておるのでございますけれども、しかし、このレンタル業と現在のレコード小売店との関係は、そういうこととは全く違うということを申し上げなければなりません。
 すなわち、現在のレコードの小売価格にも多少の問題はあるというぐあいに考えます。したがって、通産省が今後ともにレコード小売業が強化されるためにいろいろの行政指導をされる。仮にその価格を二割合理化によって下げたといたしましょう。しかし、それは二千三百円であります。一方では二百円から三百円でこれが貸し出しをされているのであります。とても同じ土俵の中で相撲をとる、片一方を何とか健全強化、育成をしていく、こういうことにはならないのであります。それだけ決定的な違いがあると言わなければなりません。そういうことでございますので、このまま放置していけば、このレコード小売業の行く先ははっきりしてきた、きわめて残念なことであるけれども、そういうぐあいに見ざるを得ないのであります。この点について通産省、どういうぐあいに考えておられますか。
#218
○志賀政府委員 お答えいたします。
 先ほどもお答え申し上げましたように、貸しレコード店の進出によって、レコード小売店が影響を受けているわけでございますけれども、それに対する対応として、先生からお話がございましたように、レンタル業と販売店との違いというのは当然ございます。したがいまして、小売店の方の経営の近代化などによりまして、あるいはレコードメーカーの方の合理化、近代化によりまして対応をしていくということにつきまして、これは恐らくかなりの限界があろうかというふうに思っております。
#219
○横手委員 私は一方から見ますと、このレンタル業は、特に小売業の皆さん方が口をそろえて言っておられるのでございますけれども、いわゆるただ乗り論というような議論が出てきておるのであります。たとえばレコードをつくる、そしてそれを宣伝をする、そしてそれが広がっていく、そういった努力を何もせずに、その結果の汁だけを吸っているではないか、こういう批判をしておられるのであります。私は、世の中で自分の権利を守ろうとするならば、他人の権利をも侵さず、これは社会の基本でなければならない。それはいわゆる商道徳にも通用することではないかというぐあいに考えますし、したがって、いまレコードの小売業界の皆さん方が言っておられるような気持ちもわからぬでもないという気がいたしますけれども、通産省の御見解はいかがですか。
#220
○志賀政府委員 貸しレコード店につきまして、小売業界において、ただいま先生からお話がございましたような、いわゆるただ乗り論と申しましょうか、そういうような御意見があるということは私どもも承知しております。ただ、いずれにいたしましても、貸しレコード店についてどのように考えていくかという点につきましては、その基本は、やはり著作権法上貸しレコード店、貸しレコード業というものをいかに位置づけるかということが基本ではなかろうかというふうに思っております。そういった基本的な位置づけとの関連において、貸しレコード店についていかに考えるべきかということを考えていくというのが適当ではないかというふうに思っております。
#221
○横手委員 この問題については、いま通産省として、現在千二百店にも上ってきた貸しレコード業、これに対して直ちに悪であるというきめつけ方をして、それらの対策に乗り出していく、これには限界があるということでございましょうし、その見解は、文化庁と連絡をとりながら、こういうことで幾ら議論をしても、それから出ないのではないかという気がするわけでございます。
 しかし、いま申し上げてまいりましたように、今日まで地域の音楽文化を守り育ててこられたこれらのレコードの小売業の皆さん方が、いま大変な窮地に立たされておる、そしてこのままいけばギブアップせざるを得ないというような状態に立ち至っているんだ、こういうことも十分に承知をしていただきたい。御承知でございましょうけれども、私の方からも重ねてそのことを申し上げておきたい。そしてその上に立って今後の対策を進めていただきたいと思うのであります。
 次に、文化庁に御質問を申し上げます。
 冒頭申し上げましたように、本問題については本委員会あるいは予算委員会の分科会等でも議論をされたところでございます。そして、これは三月八日の日経の夕刊でございます。その中に「貸しレコードは問題」「文化庁長官、規制を示唆」という見出しで次のとおり報道をされております。これは小川文部大臣の発言でございますが、「(貸しレコード業を)放置した場合、作詞、作曲家、レコード製造業者らの利益を不当に侵害し、音楽文化に好ましくない影響を及ぼすことを憂慮している。通産省の調査結果などを見て適切に対処していきたい」こういう見解が述べられております。
 そこで、先ほども話がございましたように、通産省は過般その調査結果を発表されました。その内容については先ほど御説明があったとおりでございます。ただ、この中では「明確にして信頼性の高い結論を出すことはいささか妥当性を欠くと言わざるを得ない。」という注釈も残念ながらついております。しかし、このときに言われた現在行われている「通産省の調査結果などを見て適切に」云々、こういうことでございますが、これが出た現在、いかなる御処置をおとりでございますか。
#222
○吉田説明員 お答え申し上げます。
 貸しレコードでございますけれども、これは御承知のように、市販されている商業用レコードを非常に低廉な対価で客に貸し出す、こういうことでございますが、こういった著作物の複製物を貸与するという行為につきましては、現在の著作権法には映画の場合を除きまして直接これを規制するという規定はないわけでございます。しかし、多くの場合、利用者によって家庭内録音がなされる。先生先ほど御指摘のように、家庭内で録音がされて、それが家庭に残る、その結果レコードの売り上げに影響を及ぼすなど音楽作家やあるいはレコード製作者等の関係権利者の利益を損なうのではないかという大きい問題が著作権サイドからまた提起があるわけでございます。
 現行著作権法では、先ほど申し上げました家庭内における私的な録音の自由というものはあるわけでございますが、この貸しレコード業の実態を見た場合には、この家庭内での私的な録音というものを予想しての貸し出しということになるわけでございます。これにつきましては、著作権制度の上から全く問題がないとは言えないと考えるわけでございます。
 一方、貸しレコード問題は、現在当事者間での民事訴訟が係属中でございます。その推移に留意しなければならないところではございますが、一方で著作物利用手段の開発普及に伴って生じてきた著作権制度上の新たな問題である、新たな課題であるというふうに受けとめておるわけでございますので、さらに実態の把握に努力したいと思っております。同時に関係者の意見等も十分聞きながら、著作権制度上、これに対してどのような対応が可能か、これにつきましては検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#223
○横手委員 私が御質問を申し上げましたのは、これは議事録もございますが、大体新聞報道と同じような答弁をしておられるわけであります。このことはもう御存じだと思いますね。その中で、現在通産省が調査を進めております、この結果を待って適切に対処していきたい、こういう答弁がなされておりますよ。そしてこれが出てまいりました。なるほど完全なものではないということを断ってはおられますけれども、一応出てきたわけですね。これが出るのを待って対処していきたいという答弁を、その考え方を述べておられますけれども、どういう処置をとられましたか、こういう御質問を申し上げておるのでございまして、今後さらにいろいろの調査を進めながらということでは、ちょっと私の質問と違うような気がいたします。
 その前に、ちょっと通産省にお伺いをいたしますけれども、いま文化庁の方からお聞きのとおりの答弁がございましたし、先ほど来申し上げておりますように、この結論についてはいささか、こういう注釈がついておりますが、ならば再度その影響について調査するんだ、この御意思がございますか。
#224
○志賀政府委員 先生から御指摘がございましたように、昨年私どもが調査いたしましたけれども、一つは時間的な制約、それから予算的な制約がございまして、サンプル数におきましてかなり小さくせざるを得なかったというようなこと、あるいは聞き取り調査ではなくて調査票を配付いたしまして回答を求める、こういう形での調査でございます。したがって、回答する方にできるだけ回答しやすいようにかなり簡略化して調査をいたしました。そういったいろいろなことがございまして、私ども、一つの調査ではございましたけれども、やや十分さにおきまして欠けるところがある調査であったというふうに思っております。ただ、その調査によりまして、予想されていたところではございますけれども、かなりの影響が出ているところは把握できたと思っております。したがいまして、今後さらに調査をするかどうかという点について、同じような調査をするのかあるいは別途の調査をするのかを含めまして現在検討をしているところでございます。
#225
○横手委員 それでは文化庁、先ほど再質問のような形になりましたけれども、時間が制約されておりますし、まだほかに聞きたいことがございますのでひとつ簡単にお答えをいただきたいと思うのです。
#226
○吉田説明員 通産省の調査につきましては、これを待ってそれから検討を進めるということよりも、私どもとしてはすでにいろいろな検討を進めてまいっておるわけでございます。その通産省の御調査の結果も踏まえながら、これを重要な要素として、この問題解決のための検討をさらに鋭意進めてまいりたいという考えでございます。
#227
○横手委員 では、先に進めてまいりますが、私は福井のあるレコード店に行ってまいりました。そこは本店が町の真ん中にあります。そして二つの支店がございまして、A支店はあるショッピングセンターの中にあります。B支店はまた福井市内のかなり離れたところのショッピングタウンの中にあります。その売り上げの結果等を見てまいりましたけれども、本店の周りにはレンタルレコードがあります。したがって、昨年度比約三割のダウンであります。ただ、その店の社長ともいろいろ話をしましたけれども、今日全般的に消費が落ち込んでおるわけでございますので、その三割の昨年度比ダウンがそのままレンタル業の影響とは言いがたいであろう、したがって、一〇%ぐらいは消費動向のダウンに影響されているのではないか、しかし、それだけでも苦しいけれども、さらにその上に二割オンされておる、これはほとんど間違いない。それを裏づけるように、ショッピングセンターの一角を借りてレコード販売をしておられますA支店は、そのショッピングセンターの売り上げの動向よりも約一割落ち込んでおります。その近くに貸しレコード屋があります。もう一つのショッピングタウンにありますレコード屋は、同じ会社でございますけれども、ここはそのショッピングタウン全体の売り上げとそう変わらない。そこには貸しレコード屋がありません。明らかにその影響は大きなものがあるということを確認をしてきたわけであります。
 私は、こういったものが進んでいく、なるほど便利で安い、だから消費者がこれを好む、こういうことは新しい産業として、あるいは新しい小売業としてどんどんアイデアが出てきてもいい一面を持っておると思いますけれども、ただ、これが進んでいけば、先ほど来申し上げておりますように、レコード小売業がダウンせざるを得ない。そうなったときに、レコード音楽創造のリサイクルを壊してしまう。音楽をつくる人がおる、演奏する人たちがおる、そしてレコード製造業がこれをレコードにして消費者に売る、それが還元されてまた新しい音楽が生まれてくる、そしてまたわれわれはその新しい音楽文化に浴することができる。こういう音楽の創造と愛好家とのリサイクル、こういうものに対して貸しレコードは、言葉は悪いかもわかりませんけれども、穴をあける、そしてそのリサイクルを壊してしまうというおそれがありはしないかという感じがいたしますが、文化庁、いかがですか。
#228
○吉田説明員 貸しレコード問題につきましては、私ども著作権行政の担当者といたしまして、著作権制度からこれを見た場合に、一枚のレコードには作詞、作曲家の著作権、それからレコード製作者や実演家等の著作隣接権というものがかかわるわけでございまして、貸しレコードがこういった著作権の関係権利者の利益を不当に侵害するのではないかということがあるわけでございます。このことは、ひいては音楽文化の創造にやはり好ましくない影響があるのではないか、こういう面からの懸念を私どもとしても持っておるわけでございます。著作権制度から考えた場合には、そういった関係権利者の利益が不当に害されることのないような、何と申しますか、音楽産業のあり方といったものが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#229
○横手委員 そうしますと、もう一遍ほかの見方から聞いてみたいと思いますが、いまの答弁の中で、著作権者の権利を保護する、これが侵されてはならない、こういうことでございますね。貸しレコードはそのことを侵す疑いがありはしないか、こういうことが懸念されるということでございますね。私は、ただそれだけの問題ではなくて、先ほども申し上げましたように、著作権者あるいは隣接権者の権利を守るということは、音楽をつくる、レコードにして消費者に売る、そのことによってまた再生産の方に回ってくる、こういう役割りをレコードの小売業者が担っていませんか。このことについてはどうですか。
#230
○吉田説明員 私ども制度上の仕組みについて申し述べたわけでございますけれども、著作権制度の上でそういった関係権利者の利益をやはり守っていかにゃいかぬということでございます。ただ、先生御指摘のように、それを支えるのがレコード製作者であり、さらにひいてはそれが小売商の方々のお力にもあずかっているという意味であれば、まさにこういった貸レコードの問題が広くそういうところに不利益を及ぼすということであれば、それはまた問題であろうというふうに考えておるわけであります。
#231
○横手委員 そういう音楽文化を創造していく中の一環として守り育てていく、さらに子孫に伝えていく、そういうことのために小売業界もその一端を担っておる、こういう確認をいただいたわけでございます。貸しレコード屋はそれに対して壊滅的な打撃を与えるのではないか、いまも与えつつある、さらにこれが広がっていくのではないか、こういうおそれがあるということでございますね。そうしますと、壊滅的な打撃を与えてしまったのならば、そこで日本の音楽創造、再生産、そういった今日までのサイクルを壊してしまうおそれはありませんか、このことをお聞きをしておるのであります。
#232
○吉田説明員 先生御指摘のサイクルを壊してしまうのではないかということでございますけれども、文化庁の立場といたしましては、やはり音楽産業ひいては音楽文化、こういったものに悪い影響を及ぼすのではないかという観点からのアプローチを考えておるわけでございまして、その意味で、その中心にございます著作権者の利益が侵害されるということであれば、全体のプロセスに影響があれば、それはやはり著作権あるいは文化行政としても大きな問題があるというふうに考えておるわけでございます。
#233
○横手委員 そこで、今日小売業の皆さん方は、先ほど来申し上げておりますように、多くの問題を指摘をしながらもなおがんばっておられるわけでございますけれども、現在全国の八千店のレコード小売商が一斉に貸しレコードに転業したというようなことを仮に想像した場合に、日本の音楽文化というのは守っていけるのであろうか、次の再生産に対しても十分な機能、今日まで持ってきたそういうものを果たし得るのであろうか、こういう心配がなされるわけでございますが、文化庁としてはどう考えておられますか。
#234
○吉田説明員 やはり音楽産業、音楽文化全体を支えていく、それには大きな構造があろうかと思いますが、その中で著作権制度から考えた場合には、著作権者というものが中心にあって、そういうところからアプローチをしていくわけでございますが、その音楽文化全体を支える構造という中で、流通面、小売の方々の力というものは非常に大きいのではないかというふうに考えております。
#235
○横手委員 そうしますと、小売業の皆さん方が音楽文化全体の中に占める割合は大きい、流通の中の小売業の皆さん方の役割りというものは大きなものなんだ、こういうことでございますね。
#236
○吉田説明員 私ども担当が著作権行政でございますので、いわゆるそういった流通、通商という問題につきまして直接云々できないわけでございます。ただ、そういった音楽文化、著作権制度というものを支える小売の方々の力というものは非常に大きいものがある。ただ、直接私どもの行政の対象にはなっておりませんので、間接的な物の言い方になろうかと思いますが、大きな力を持ってこれを支えていただいておるというふうに考えておるわけでございます。
#237
○横手委員 私はそのことを大変憂えるのであります。冒頭にも申し上げましたように、現在、安いから、便利だからというようなことでこれが広がってきておる。しかし、一方でそのことは、日本の音楽文化のサイクルに対して、今日までのそういったサイクルを壊してしまう、壊すおそれがある。つまりレコードの小売業界が大打撃を受けるということになってしまうと、日本の音楽文化全体像から見ると、そういうおそれがあるということでございますし、私もそのことを憂えるのであります。
 そこで、そうなってしまった場合に、いま安くて便利だといって貸しレコードを利用しておる多くの人たち、音楽の愛好家、こういった人たちはやがてどうなるか。そういうことがどんどん進んでいってしまったその行き着くところはどういう現象になってしまうか、文化庁としてはどういうぐあいに考えておられますか。
#238
○吉田説明員 レコードはいろいろな音楽を録音して流通しておるわけでございますけれども、そのレコードの質、量が衰退していくということになりますれば、これは結局音楽文化、著作権制度に重大な影響を与えるのではないかということを感じておるわけでございまして、そういうことにならないような著作権制度面での対策というものを私どもは考えねばならないというふうに考えておるわけでございます。
#239
○横手委員 著作権者あるいはその隣接権者の利益を守っていかなければならない。私がいまお尋ねをいたしておりますのは、日本の音楽文化全体の構造はどうなるのであろうか、こういうことをお尋ねをしておるのであります。ただ、著作権者だけを守るということになると、仮に議論が発展をしていって、そのレンタル業者からもその分だけ徴収をすればいいじゃないか、こういう議論も一方では起こってくるのであります。しかし、そういうことだけで日本の音楽文化というものは守れるのであろうか。それはやがてその行き着く先は、レコードを売っておる会社があるから、そして宣伝をしておるところがあるから、貸しレコード屋というものがいまはやっておるという一面がある。しかし、これがことごとく貸しレコード屋に変わってしまうということになってしまうと、日本の音楽文化全体の中に大きな亀裂といいましょうか、問題を提起する。その結果として、日本の音楽愛好者に対してかえって現在よりも不利益な状態を醸し出してしまうおそれなしとしない。その点について文化庁どうですか、こういうことをお聞きしておる。
#240
○吉田説明員 私ども考えておりますことは、先ほど申し上げましたように、レコードが質と量の両面から充実していくということがまず第一に必要ではないかというふうに考えるわけでございます。でございますから、それを支えるような構造が崩壊するということは一つの大きな問題だと思います。
 ただ、私どもといたしましては、担当の著作権行政の面からは、いわゆる著作権者、著作隣接権者の保護というのにこの制度の限界が一つあるわけでございます。そういう著作権制度から果たしてどのような対応ができるか、これを私どもいま検討を進めておるというところでございまして、アプローチの方向がこの著作権という面からでございますが、そういう面について一言申し上げたかったわけでございます。
#241
○横手委員 これも前に議論をされたことでございますけれども、今日こういうことで貸しレコードという問題が大変大きな問題になってきた。昭和四十五年に著作権法の旧法が改正をされて、現行法の三十条というのが新しく出てきたわけでございます。このときにも、それぞれ衆参両院において附帯決議がなされております。これは御案内のとおりであります。
 この問題に対して、先般の議事録でございますけれども、この法律をつくるときに、今日のようなレコードのレンタル業が生まれてくるということが予想されていたのか、こういった質問に対して、率直なところ予想しておりませんでした、こういう答弁がなされているのであります。いまおっしゃるような形で議論を進めていくということになりますれば、当時こういうことがやがて起こってくるであろうということを予測をしていたならば、三十条はどうなっておりましたでしょうか。
#242
○吉田説明員 この三十条の規定は、御承知のように、家庭内におけるあるいは個人的な複製、録音を含むわけでございますが、これを一定の限度で許容している規定でございます。その当時において貸しレコードというものが予想されなかったということは、確かに事実でございますが、ただ、それが予想された場合に、この規定がどうであったかということについては、これは非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。どういう形でこれが規定されたかということにつきましては、ちょっとこうであろうというような明確なお答えはできないので、御勘弁願いたいと思います。
#243
○横手委員 このときに、もう一つその附帯決議の中に「著作物の利用手段の開発は、今日いよいよ急速なものがあり、」云々として「従って、時宜を失することなく、次の制度改正に向かって検討を始めること。」こういう附帯決議が出ております。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
この問題についても当時からそういう徴候はあったけれども、ここまで普及するとは率直に言って私どもは考えておりませんでした、われわれが予想していたよりもかなり速いものであったということは言わなければならないと思います、こういう答弁がなされているのであります。一方では、いま申し上げましたように、こういった附帯決議の中にもあるわけでございまして、附帯決議といえども、これに沿ってそれぞれ文化庁は対応していかなければならない責務があると思います。今日までこのことについてどんどん進んできているのに手がつけられていなかったという事実、あるいは当時想像もしていなかったというレコードのレンタル業なるものが生まれてきた。したがって、想像もしていなければ――これが起こってきたときに素早く対処する、こういうのがやはり文化庁の責務であろうし、これの所管官庁としての皆さん方の責任であろうというぐあいに思うわけでございますが、この点についてどうですか。
#244
○吉田説明員 先生御指摘の三十条の問題でございますが、これは貸しレコードと非常に深くかかわる問題でございますが、一つまた独立したジャンルの問題があるわけでございまして、いわゆる貸しレコードを借りていった人が家庭の中で録音するあるいは録画する、私的録音、録画問題でございます。この問題につきましては、第五小委員会、これは著作権審議会の委員会でございますが、そこで数年にわたり論議をしてきたわけでございます。この私的録音、録画問題をどのように解決するかということで、最終的な解決方法ではございませんけれども、この問題を解決するためのいろいろな手だてを第五小委員会は提示をしております。たとえば著作権思想をさらに広く普及する必要がある、あるいは録音機器、録画機器のメーカー、それと権利者の間のこの問題の本格的な解決へ向けての話し合いをすべきであるというような提示がありまして、私どもいまこれを進めておるところでございます。あるいはゼロックスによる複写、違法な複写が多いわけでございますが、これをどうするか、これについても、非常に困難な問題ではございますが、いま解決に向けての検討を研究会をつくって進めておるわけでございます。
 三十条に固有のこういった複製の問題につきましては、そういった形で解決に向けての検討を進めておるわけでございますが、貸しレコードの問題につきましては、これが初めてこの店ができましたのは一昨年のことでございまして、これについての検討は比較的最近に取りかかった問題でございます。そういう乙とで、この貸しレコードの問題について、著作権制度からどのような対応が可能かということにつきまして、御指摘のように、十分な対応がとれるように進めてまいりたい、このように考えております。
#245
○横手委員 時間が参りましたので、これ以上の議論はやめますけれども、いずれにしても、いま申し上げてまいりましたように、多くの問題を抱えておるし、そのことはやがて日本の音楽文化そのものに大きなひび割れを起こすおそれがある、こういうことはお認めになっておるところであります。これがいいか悪いか、それはいま裁判の手にかかったから、行政府としてこれに対して云々ということは控えたいという気持ちもわかるわけでございますけれども、しかし、この附帯決議の中にもありますように、やがてそういうことが予想される、これに対して適時な対策をとるべしということが指摘をされているのであります。ならば、文化庁として、司法の問題にかかわらず、行政官庁としてこれを守る立場として、これの施策を進められることは当然のことであろうし、私は急を要する問題だということを申し上げておきたいと思う次第であります。
 いまレコード業界の皆さん方は大変であります。最後に、私のところへたくさんそういった陳情が参っておりますけれども、そのほんの一部を御披露をさせていただきたいと思いますが、次のとおり訴えられております。「私は、貸レコード業が合法的で許されるものならばいつでも営業可能な立場にあります。しかし、永年に亘り著作権法の主旨を守り、音楽文化発展のため末端流通の一翼を担って参りました私と致しましては、著作権者ならびに著作隣接権者の迷惑となる貸レコード業は歯を食いしばっても致しませんし、出来ません。」そして「文化政策の上で、著作物の権利者の権利を国民が正しく理解し、守っていくようにして頂くことが政治行政の大切な仕事ではないでしょうか。」このように訴えられておるのであります。
 私は、冒頭に申し上げましたように、自分の権利を守る、そのことのためには相手の権利もこれを侵してはならない、これは社会の最低のルールであろうと思うのであります。そして私たちの遠い祖先からつくってくれた、そして私たちが残していかなければならない音楽文化、こういうものを大事にしていかなければならないと考えております。そういったことで、いま貸しレコード業が問題であるということをお認めになったわけでございますので、この問題について、やがては消費者の音楽愛好家の上にもそれはゆゆしき問題を引き起こす、こういった観点に立って、この問題に積極的に取り組んでいただきたい。このことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#246
○渡部委員長 渡辺貢君。
#247
○渡辺(貢)委員 鹿島石油の事故の問題について質問いたしたいと思います。
 質問に当たりまして、亡くなられた三名の労働者の皆さんや遺族の方々に心から哀悼の意を表したいと思います。同時に、現在五名の労働者がまさに死線をさまよって、生か死かの闘いを続けているわけでありますが、心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 そこで、最初に通産大臣に要望を含めて申し上げたいと思うわけでありますが、私も現地に参りまして、大変な事故の実態を、つぶさにというわけにはまいりませんけれども、検分をしてまいりました。また重傷者が収容されております鹿島労災病院で院長先生にお会いをしたり、あるいは町長さんなどともお会いをして御意見を交換したわけでありますけれども、この事故の原因等をさらに究明をしなければならないと思うのです。その対策も緊急にとらなければならないと考えておりますが、とりわけ、こうした多数の死傷者が出ておりますので、通産省とし、企業に対して、遺族の皆さんあるいは負傷者の看護についても万全の対策が行われるように、指導あるいは配慮をしていただきたいということをまず要望申し上げたいと思うわけでございますけれども、大臣の所見をお伺いいたします。
#248
○安倍国務大臣 今回の事故による負傷者及び死亡者の遺族の方々に対しまして、労働者災害補償保険法に基づき政府からの保険給付が行われるものと考えておりますが、これに加えて、鹿島石油におきましては、同社の社内規則等により、可能な限りの手厚い補償を行う意向であると聞いております。通産省としても、同社が負傷者及び遺族の方々に誠心誠意対応することを期待しておるところでございます。
#249
○渡辺(貢)委員 ぜひ、そういう立場で進めていただきたいと思います。
 具体的な問題についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
 一つは、事故の発生の経過、事故の発生個所の問題でありますけれども、新聞でも報道されておりますし、また通産省でもすでに現地に係官を派遣される、あるいは消防、警察なども入って現地の状態を把握していらっしゃるわけでありますが、今回の事故は、第一重油直接脱硫装置において、巡回中であった労働者、これは一人の労働者でありますけれども、異常な事態を発見して、携帯していた電話で、安全弁の下流のあたりで油が漏れているようだ、煙が出ているようだ、さらにポンプも調子がおかしいようだという通報があったわけであります。そして計器室にいた九名のうち七名が現場に急行して、二分後ぐらいの八時二十八分ないし二十九分ごろに爆発、火災が発生した、これが経過であります。
 また、この爆発破損個所というのは、その後の調査でも、安全弁とフランジ、つまりこの接合部分の間であると確認されておりますが、経過及び破裂個所については以上のとおりでございましょうか。
#250
○神谷政府委員 先生お述べになりました経緯は、私どもも大筋そのようなものと了解をいたしております。
 巡回中の者は、私どもの方では、二名が行動していたと了解しておりますけれども、通報をしてまいった職員は当然一名でございます。二回目の通報も同一人からなされておる。この点、若干異なった見方もございますけれども、いずれにいたしましても、現在重傷でおられる方々から事情がお聞きできるようになりますれば、もう少し正確な経緯が判明するものと考えております。
 事故発生個所につきましては、それらの聞き取り、あるいは材料の分析等も含めて、事故原因調査がさらに進みませんとはっきりしたことは申し上げられませんが、御指摘の安全弁下流の配管とリカバリータービンの出口の配管の二カ所が破裂した状態になっており、それ以外、周辺の機器がかなり損傷を受けておる、こういう状況でございますので、一次的爆発個所を断定する段階にまだ至っておりません。
#251
○渡辺(貢)委員 いま、断定するに至っていないということでありますけれども、通報された労働者の通報の内容あるいは現場の状況からして、ほぼその個所ではないかというふうに推定がされるわけであります。これは最終的には今後の調査に待たなければならないと思いますけれども、ほぼその場所だという立場から、さらに引き続き質問を進めていきたいと思うのです。
 当然、コンビナートにおいては、災害の防止、保安に関して、自主的に保安の体制をとっていく、あるいは周辺の町村に対する安全の確保等を進めなければならないわけでありますが、特に、この機器類の保安の問題では、高圧ガス取締法において、製造の許可、これは第五条でありますが、さらに製造のための施設の維持、完成検査、危害予防規程、そして保安検査、定期自主検査というふうに条文化されて、その具体的な内容は通産省令で定める技術上の基準に基づいてつくられているわけでありますけれども、今日までの経過を見た場合に、そうした基準が通産省令で決められた基準に合致をしていたのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#252
○神谷政府委員 御指摘の、茨城県の完成検査、その後の保安検査、県の検査も受けておりますし、自主検査も行っております。さらにレイアウト規制その他コンビナート関係の法律の要件も満たしており、危害予防規程も県知事の認可を受けておる、こういう状況でございまして、現在までのところ、高圧ガス取締法違反という事実そのものを当方で見出しておるという状況にはございません。
#253
○渡辺(貢)委員 通産省令に基づく技術基準に適合している、こういう御説明でございましたけれども、さらにその内容を見ますと、高圧ガス保安規則、これは省令に基づいたさらに詳細な規定があるわけでありますけれども、今回、事故を起こした設備に関するその規定ではどういうふうになっているのか。たとえば耐圧であるとか気密、肉厚あるいは設備の材料、そういう点まで一般高圧ガス保安規則に規定されているのかどうか、この点についてもお尋ねをしたいと思います。
#254
○神谷政府委員 御指摘の耐圧、肉厚、材料その他は、御承知のように省令で基準がございます。
 たとえば耐圧に関しては一・五倍以上の耐圧試験に合格する、それから常用圧力以上の気密試験に合格することが必要である。肉厚基準につきましては、常用圧力の二倍以上の圧力で降伏を起こさないような肉厚を有する。さらにこの肉厚の算定方式に関しましては、関係基準によりまして、具体的に、外径、常用圧力、材料の許容引っ張り応力あるいは溶接効率等からの一定の算式が定められており、腐食のおそれのある場合には、その腐食の幅、いわゆる腐れしろまで備えるようにいたしております。材料につきましては、ガスの種類、性状、温度、圧力等に応じた適切なものを選ぶという基準になっておりまして、これらに基づきまして茨城県が検査を行っておる、こういう状況にあると了知しております。
#255
○渡辺(貢)委員 かなり詳細にいま御説明があったように規則では決められているわけでありますけれども、たとえばこの肉厚の検査、この場合に、検査をする個所あるいは数ですね。お話を聞くと、東京から名古屋ぐらいまで全部のパイプのラインはあるんだということでありますけれども、検査する場所であるとかあるいは何カ所やらなければならないかというふうな具体的な規定まであるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#256
○神谷政府委員 肉厚の検査は、保温材等をはがしまして、一般的に超音波厚み計等によって測定をする、内部の腐食状況あるいは肉の厚み等が十分わかるような状況での測定を必要としておるわけでございます。御指摘のように、きわめて長い管でございますから、すべてはかるわけにはまいりませんが、測定は定点を定めて測定することにいたしておりまして、定点のとり方は、当該設備の材質、流体の温度、圧力等の条件が異なるごとに定点をとり、それらの部位のうち腐食の影響等を受けやすいと思われる個所を選定する、こういうことにいたしておりまして、具体的に鹿島の場合は約六百点の定点をとっております。
#257
○渡辺(貢)委員 定点測定ということでありますけれども、そうしますと、今回の事故で破裂した個所は、先ほども触れました重油直接脱硫装置の中でも、通常バイパスラインというふうに言われている部分でありますが、この点で二つ聞きたいと思うのですが、このバイパスラインと言われている部分の機能はどういうものなのかということが一つと、それからこのバイパスラインの部分の中に肉厚検査を行う場所があったのかどうか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
#258
○神谷政府委員 バイパスラインの性能は、本来のルートを通っております流体の圧力が異常に上昇した場合に、その下流にございます計器が故障をし異常を起こすことを防止するため、一定の圧力差が生じた場合に、そのバイパスを通すということで、下流にございます計器の機能を破壊しないような安全的な装置、こういうものでございまして、一般的には、通常流体が流れるというような形にはなっていない設備でございます。
 鹿島で具体的にとりました定点につきましては、そのバイパスという狭義の中に含まれるラインでは定点はとっておりません。ポンプの内側ということで同材質、同条件あるいはもう少し厳しい条件のところをとっております。
#259
○渡辺(貢)委員 バイパスラインの性能はいま御説明がありましたけれども、このラインの中では定点がとられていないということであります。私も現地に行って、所長さんや技術部長さんのお話を聞いたわけでありますが、ここに使われているパイプの金属ですね、炭素鋼だということで肉厚も十八・二ミリ、かなり強いものだというふうなお話を聞きました。しかし、鉄などの金属類は、特に急激な温度差に弱いと言われております。またひずみによる疲労の蓄積、劣化現象もある意味では激しい。バイパスラインでは、重油が流れていないので普通は温度も下がっているわけでありますけれども、そこへ安全弁が作動するたびに急激に二百六十度Cの重油が流れてくる。しかも、この重油には硫黄はもちろん不純物も多く含まれているわけであります。この鉄のパイプにとってある意味では最も悪条件の部分になっているのではないか、こういうふうに思うのです。
 鹿島のさまざまな装置の中には、こうした当然考えられる危険個所が幾つかあると思うのですね。そういう点で、技術基準では肉厚の検査はしなければいけない、個所も設定はしなければいけないというふうに言われておりますけれども、どの個所に定点を設定をして検査をしなければならないのか。先ほどの御答弁では、大体は企業に任されているようでありますけれども、そうなると、こういうある意味では盲点であると同時に、日常的に全体のラインの中に入っているわけでありますから盲点でない、当然だというふうにも言える点では、非常に危険度が高いものが日常的には検査の対象にならない、そういう状況だというふうに思うわけですね。そういう点で、通産省が省令で決めておりますかなり詳細な規則、これはこれからの調査や技術的な検討に待たなければならないと思うのですけれども、今後の対策の問題として、そういう通産省の省令等細かい技術の規定についても、現実に合ったように改善をしていく必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、御見解はいかがでありましょうか。
#260
○神谷政府委員 バイパスの設計等につきましては、先生御指摘のように、安全弁が開きますと高い温度の流体が流れますけれども、設計上はむしろ、安全弁が開いて高い温度のものが流れることに耐え得るだけの材質を確保する形になっており、現実問題として、安全弁は開かないでより低い条件のもとで維持されておったという状況にあるわけでございますが、にもかかわらず事故が起きたということは事実でございます。また、定点のとり方等におきましても、より条件の厳しいところをとって、その条件で満足すればこちらの方は大丈夫なはずであるという考え方でおったことも事実でございまして、そこに事故が起きたわけでございますので、私どもといたしましては、その原因、どうしてそのような事態が起きたのかを解明した上で、御指摘のように、その中から教訓を見出してしかるべき対策を講じていかなければならない。それが御指摘のような規則の改正になるのか、あるいは非常に複雑なプラントでございますので、そういう形式的なものではなくして、より実態的な指導になるのか、これは具体的な原因究明の結果があらわれました段階で、専門家の御意見をよく聞きながら、われわれとしてはその反省は謙虚に受けとめながら、より一歩でも二歩でも前進するような体制を整えてまいりたいと考えております。
#261
○渡辺(貢)委員 いまの御説明との関連でありますけれども、会社の説明によりますと、設備は最も近代的で、世界に冠たる鹿島石油だ、また通産省等の技術基準に基づいて全部チェックしている、自主保安体制も十分にとって進めてきているんだ、こういうことをおっしゃっているわけですね。にもかかわらず事故が起きているわけでありますから、この事故の起きているという現実を否定するわけにはいかないと思うのです。しかも、いままでここがというふうに言われていなかった部分で起きている。つまりある意味では盲点ではないかと見過ごしているというふうな部分でなかろうか、このように考えるわけでありまして、ぜひ調査、技術的な分析等もやられて、全国に八十を超えるコンビナートもありますし、今後の安全対策の上からもひとつ積極的な姿勢で取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、大きな二番目の問題として、鹿島の監視システムといいますか、あそこの石油精製全体の機能を見ましても、中央計器室、そしてコンピューター自動化されて運営から管理、あるいは保安まで、計器のシステムで監視をされているということでございました。ところが、会社の説明によりますと、労働者が八時二十数分ごろ第一報を入れたときには、計器には異常がない、アラームを発していないという状況だったということであります。そういう点で、計器に信頼を置いていた、全体の運営から管理、保安まで、そうだと思うのですけれども、そういう現状であります。
 そこで、通産省もその点は確認をしていらっしゃると思うわけでありますが、さらにその計器の関係で、高圧ガス取締法に基づいて、コンビナート等保安規則が定められているわけです。これは先ほどの規定よりもっと踏み込んだ規定になっていると思うのですが、たとえば、重油直接脱硫装置においては、その十二条で、特殊反応設備、こういう装置がある。そういう装置などをいろいろつけながら安全性を、また検知器などを取りつけて担保しているわけでありますけれども、この重油直接脱硫装置における幾つかの部分、この点について御説明をいただきたいと思うのです。
#262
○神谷政府委員 御指摘のコンビナート等保安規則十二条に規定する特殊反応設備、これを重油の直脱装置に適用した場合には、脱硫の反応塔が特殊反応設備に該当する、こういうことでございまして、これには当然のことながら、それらの規則で要請するもろもろの装置が備えつけられておる、こういう状況になっております。
#263
○渡辺(貢)委員 この重油脱硫装置の事故というのは、今回が初めてではなくて、すでに昭和五十一年の四月八日、日本鉱業の水島製油所でも起きているわけですね。
 そこで、ちょっともう少し具体的に、この図が鹿島石油の重油直接脱硫装置の系統フローなんです。通常の流れはここが原料ポンプで、一般的にはこのラインを通じて加熱炉、反応塔から高温分離槽にと、こういうふうに行くわけです。一方こちらはバイパス回路と言われるもので、何か異常事態が起きた場合にこの安全弁が作動して、この管を通ってこのフランジ、接合場所を通って高温分離槽に入る、こういう系統になっているわけです。
 お話を聞きますと、何か異常な事態が起きた場合には、検出器が幾つかの場所に配置をされている。この原料ポンプを出た部分に検出器がある、それから反応塔から高温分離槽に入る部分に検出器がある、さらに高温分離槽の中に検出器がある、こういうふうに説明を聞いているわけでありますけれども、この点については確認されていらっしゃいましょうか。
#264
○神谷政府委員 御指摘のところに御指摘のような装置がついてございます。
#265
○渡辺(貢)委員 そうしますと、この部分ではかなり検出される。あるいは反応塔から高温分離槽に行く部分では、検出器がありますから、温度や異常な事態が検出される。しかし、このバイパス部分にはないわけですね。ですから、労働者が現地へ急行をして、油が漏れている、あるいは煙が上がっている、わずか一、二分で爆発という大変重大な事態になっているわけなんでして、そうしますと、基準の上では検出器をそれぞれ設置しなければならないというふうになっているわけでありますけれども、やはり今度の事故から見て、危険が起き得るであろう。全体として危険なんですけれども、やはりそういう油漏れあるいは蒸気の噴出、そして気化して静電気を起こして爆発する、こういうようなことを考えてみますと、こうした検出器を適切な場所に取りつけて安全性を担保しなければならないのじゃないか。これは、私は素人でありますから、とても今日のコンビナートの全体についてはわかりませんけれども、いろいろお話を承ってみますと、やはりどこかに盲点があったのではないかというふうに考えるわけであります。そこで、通産省でもかなり細かくコンビナート等保安規則で決めていらっしゃるわけでありますが、この点についても、先ほどの技術基準とあわせて、こうした問題について解明をされて、そして十分な安全性が確保できるように一層の努力をする必要があるのではないか、こういうように考えるわけでありますが、御見解を承りたいと思います。
#266
○神谷政府委員 御指摘のいろいろな計器類の設置等に関しましても、私ども、今回の事故に関しまして特に先入観も持っておりませんし、われわれが現在まで高圧ガス取締法違反を発見しないからといって、現実に事故が起きている以上、完璧であるというような考え方も持っておりませんで、出てまいりました結果というものを率直に受けとめながら、虚心坦懐に対策を考えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 たまたまいまの経路について申し上げますれば、その経路につながるところに事実上圧力その他を測定する計器がございましてつながっておりますので、その経路内の圧力が変化した場合には当然キャッチできる体制になっております。また現実に、先ほど申し上げました安全弁そのものも開いておりません。したがいまして、その経路の中で異常な状態が起きた、あるいは他の反応塔の中で異常な反応状態があったということはなかったと推定いたしておりますが、しかし、いずれにいたしましても、すべて検査の結果を見た上で、私どもといたしましては、今後の対策を十分考えてまいりたいと思っております。
#267
○渡辺(貢)委員 検出器もつけられていたということでありますけれども、問題なのは、中央計器室で監視している、全体の運営、保安も含めて進めているわけでありますけれども、その計器が作動してない。異常な事態が起きてこうした大爆発になっているわけですけれども、その周辺部分に検出器がある。計器監視なんですね。つまり計器による監視があっても、それが把握されていないという点では、計器についての過信というのもあるのではないかと思うのですよ。ですから、この事故を教訓にして、どういう個所にはどういう性能を持った計器が必要なのか。たとえばこの水準までいったならば、安全弁が作動する場合には、七十五KG、気圧でありますけれども、そういうときに初めて安全弁が作動する。しかし計器類はどの時点で作動したらいいのか、どの時点で反応して、そして中央計器室に接続されて全体の保安をとっていくのかということになると、計器の性能等についても検討をしていかなければならないのじゃないかという問題が起きてくると思うのです。そういう意味で、私は、労働者の皆さんが現場に行って初めて確認をする、そして確認をしたわずか一、二分後に大爆発を起こして生命がなくなってしまう、こういう事態をなくしていくためにも、このことが切に求められているというふうに思いますので、再度その点についての御見解を承りたいと思います。
#268
○神谷政府委員 正確な事実あるいは詳細につきましては、繰り返すようで恐縮でございますが、事故原因の調査、さらにはその前の段階でも、現場におられた方々のお話等を伺いませんと何とも申し上げられませんが、大宗われわれが考えておりますことは、先生先ほど冒頭に御指摘の流量、温度、圧力等の監視計あるいは監視装置に関しては、特に警報が発せられなかったことは事実でございますが、反応その他あるいは管内圧力等に特に異常が生じたりという徴候は現在のところ見られておりませんので、それらの計器の問題よりも、むしろもし漏れた中にガスがあったとした場合に、ガス探知の方が探知していなかった。これはガス探知の位置あるいは高さ、それから出てまいりますガスの重さ等によって異なってまいりますので、そのあたり、反応塔であるとか、あるいはむしろわれわれといたしまして非常に危険と思われる装置中心にガス検知器が配置されております。そういう配置のあり方等について反省すべき点は、検査の結果を見ながら、検討の結果を見ながら考えていかなければならないかな、このように考えておりまして、計器と申しましてもいろいろございまして、大きな反応そのものに関しての計器上の問題があったとは、いまのところわれわれ考えておりません。
#269
○渡辺(貢)委員 いまガス漏れということでガス探知のお話もございましたけれども、コンビナート等保安規則の第十五条に、ガス漏洩検知警報設備というものもちゃんと設置されるように義務づけられているわけですね。そういうものが全体としては反応していないわけですから、そういう点で、ぜひこうした保安規則等について技術面も含めて検討をし、改善の措置をとっていただきたいということを強く要望しておきたいと思いますが、局長、よろしいですね。
#270
○神谷政府委員 いずれにいたしましても、事故の反省、原因究明の結果というものは十分検討させていただきたいし、とるべき措置は十分とっていきたいと考えております。
#271
○渡辺(貢)委員 次に、当日の広報問題について一、二お聞きをしたいと思うのですけれども、郵政省――当日、私も行って町長さんや消防長さんなどにお話を聞いてみますと、鹿島石油から消防庁に入った連絡というのは二十数分後であった。それから事故の状況が町役場においてもつかめないために全体として広報活動がおくれた。これは各新聞の地方版では「空白の二十数分間」とか、広報活動が大変おくれたというような報道がされておりました。
 そういう点で、一つは、どのくらいの時間電話が麻痺をしてしまったのか。一一九番も十分に作動しなかったということを聞いているわけでありますが、その点が一つと、それから二番目には、このコンビナートには防災相互通信用無線が設置されていると思うのですけれども、それがどのくらいのコンビナートに現在設置をされて、機能はどうなのか、この二点についてまずお伺いしたいと思います。
#272
○立野説明員 お答えいたします。
 まず第一点でございますけれども、電話が故障によって不通になったわけではございませんが、災害発生時にトラフィックが集中したことによりまして、爆発火災が起こった、これは二十時二十九分と言われておりますけれども、二十九分から二十二時までの約一時間三十分ぐらいの間、断続的に電話がかかりにくくなったという事実は承知いたしております。
 それから、第二点でございますけれども、郵政省では、石油コンビナート地帯等における防災通信を確保いたしますために、防災に関係する行政機関や地域内の企業に対しまして、これらの異なる機関相互で必要な情報を迅速に交換するため、百五十八・三五メガヘルツといった電波を用いました防災相互通信用無線局の開設を昭和五十年十月より全国的に認めております。現在、その整備促進を指導しているところでございますが、全国的にこの波を用いて開設しております無線局の数は三千三百八十六局ございます。今回の事故を起こしました鹿島臨海地区におきましては、この防災相互無線局といいますものが二十五局配備されておるわけでございます。しかしながら、今回の事故の例では、多くの関係機関によって通信回線が交差されましたために、指揮系統が多少乱れましたり、さらに操作ミスも幾つかあったりいたしまして、運用が必ずしもスムーズにまいらなかったということは聞いておるわけでございます。
 そこで、今後私どもといたしましては、電波監理局の立場から、さらに実態を調査いたしまして、防災相互無線のきめ細やかな運用要領の整備につきまして指導いたしますとともに、石油コンビナート地帯等における通信訓練を強化することによって、防災通信体制の万全を期したいと考えております。
#273
○渡辺(貢)委員 いまの御答弁でほぼ尽くされていると思うのですが、有線電話はとにかく殺到して機能しなくなってしまう。ところがこの無線なんですけれども、二十五局ある。それがお互いに通信を始めるわけですね。ですから、改善していく上では、二十五局の中に基地局を設けて全体のコントロールを図っていく必要があるのではないか、こういう御意見も出ております。
 それから、一ワットという出力なんですが、ああいう事態のときにもう少し電波の出力が強力になればいいんじゃないか。混線をするというようなこともございますし、そういう点の改善。
 それから、全体として防災、防火ということでは相当日常的な訓練がやられているけれども、無線の訓練というのは必ずしも十分でなかったからこの機能が生かぜなかったようだ、このようなお話がありますので、その点はぜひこれからの問題としても十分な機能が発揮できるように、郵政省としても指導を進めていっていただきたいと思うわけですが、よろしゅうございますか。
#274
○立野説明員 先ほど申し上げました二十五局の中で基地局がなかったということでございますけれども、基地局を認めないということではございませんので、たまたま鹿島地区におきましては、基地の形のものがなかったということでございます。そういうことで、先ほど申し上げましたように、現地で実態調査をいたしまして、先ほど一ワットでは足りないのではないかという御指摘もございましたので、その点も含めまして早急に対策を講じたいと考えております。
#275
○渡辺(貢)委員 時間もありませんので、この問題の最後になりますけれども、大臣からの御答弁もいただきたいと思います。
 今回の事故を見ましても、最近の五十年代に入ってからの事故としては最大規模のものだと思うのです。五十年代に入って人身事故があったのが十三カ所で亡くなった労働者が三名、重傷が五名、軽傷が二十七名というふうに言われておりますが、今度の事故ではすでに三名の労働者が亡くなっていらっしゃるわけであります。
 全国的にも八十のコンビナートがあります。このコンビナートの中核は、いずれも石油精製所がかなりの中核になっているわけでありますが、鹿島の場合には、最も新しい、最新鋭の設備だ。ところがその最新鋭の設備でこうした事故が起きている。長いコンビナートの石油精製所になると、昭和二十年代の終わりから三十年代、もうすでに二十数年間、三十年近く稼働しているところもあるわけです。しかも、一年に約五十日から六十日ぐらいの検査、全部稼働を停止して検査をするわけでありますが、そのほかは約三百日間ぐらい、一日四直三交代で二十四時間のフル稼働で三百日間ぐらいやっているわけでありますから、七千数百時間稼働しているわけなんですね。そういう意味で、かなりこれは、十分安全性が担保されているという機能であっても、機器類であってもあるいはパイプであっても、相当の劣化現象が起きるのではないかというふうに考えるわけなんです。
 そういう点で、通産省として高圧ガス取締法に基づいてさまざまな安全基準、検査基準を設けておられるわけでありますけれども、これから全面的な問題点が解明されるというふうに思うわけでありますが、とりわけコンビナート、しかも場所によってはもう住工混合のようなところもあるわけであります。そういう点で、すでに総点検の通達も出ているわけでありますが、もう一歩踏み込んだそうした保安規則の改定など、これからの教訓を引き出して対処されたいというふうに考えるわけでありますが、御所見を最後に承りたいと思います。
#276
○安倍国務大臣 今回の事故は三名の死者、五名の重傷者ということで非常に重大な事故でありました。私たちも非常にこれは重く見ておりますし、早速事故調査委員会をつくりまして、いま懸命に原因の究明に当たっておるわけでございますが、多少時間がかかるようでありますけれども、私は多少時間はかかっても、本当にこうした原因は真相を突きとめるべきじゃないか、こういうふうに思っております。
 同時に、同じような規模とか同じような方式のコンビナートもずいぶん全国にありますので、今回の事故に関連した事項を中心として、そうしたコンビナートの総点検をするということで、早速四月七日に通達を出しまして、いま総点検が行われておる最中でありますが、われわれはその総点検の結果も踏まえ、さらにまた事故調査の原因究明の結果も教訓として、今後ともこうした事故が二度とないようにあらゆる対策を講じてまいりたいと考えております。
#277
○渡辺(貢)委員 そういう通産大臣の決意が表明されたわけでありますが、最後にこの亡くなった近江克二さん、二十四歳の宮城県出身の方でありますけれども、鹿島石油に就職をされたときに作文を書いていらっしゃるのですね。大変私もこの作文を読んで胸を打たれたわけでありますけれども、こんなふうに書かれております。
  冬に入り、ストーブで暖をとる季節になりました。日本に限らず、この世に石油がなかったら、その影響ははかりしれないものがあります。入社することになった鹿島石油でりっぱにやって行けるかどうか不安はありますが、「失敗があってこその成功」という気持ちでがんばります。
  私は海が好きです。地図で見れば鹿島は茨城県の最南端にあります。私の生まれ故郷の石巻とは太平洋でつながっており、朝日ののぼる海、夕焼けに映える海をみることができてうれしく思います。世の中は就職難といわれていますが、たった一度の試験で、この鹿島石油に入社することができる自分を幸福に思います。というふうに、工業高校を卒業した青年が、就職をして、自分の夢、希望を託してこの鹿島石油に入っているわけですね。
 今度の事故で亡くなった人たちは、ほぼその年代の、二十四、五歳の同級生が多いわけなんです。これから前途もある有為な青年の生命が亡くなっている。大変残念だったと思うのです。家族の皆さんももちろんそうだと思います。そういう点で、ぜひこうした教訓を風化することがないように、一層の努力を改めて要望をしたいと思うのです。
 残念ながら時間がなくなったわけでありますが、きょうは日航製の問題についても若干の御質問をさせていただきたいというふうに思っておりましたが、時間がございません。しかし、いずれにしても、日本で最初の民間輸送機として開発をされて、その技術も高く海外で評価されている。そういう日航製が、まだ労働者の御意見も十分に聞いていない、了解もされていないという中で、廃止というふうな結論になるわけでありますけれども、私は、戦後三十年代から今日まで、ある意味では日本の民間航空機の生産のパイオニアの役割りを果たしてきた労働者の諸君に対して、改めて今日十分な施策をとるようにということを強く要望しておきたいと思うのです。
 またの機会に質問をさせていただくといたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
#278
○渡部委員長 石原健太郎君。
#279
○石原(健)委員 日米間の貿易摩擦に関連してお尋ねしたいのでありますけれども、アメリカが日本と二国間だけの貿易インバランスでいろいろ苦情を言ってくる、これは決して正しいことではないと私は思うのであります。しかし、振り返ってみますときに、過去に日米繊維戦争があり、またカラーテレビの紛争があり、そして鉄鋼、今度は自動車、四度目なわけであります。どうも過去の貿易摩擦の苦い経験が生かされてないような感じがしてしょうがありません。いずれ輸出の自主規制などをしなければならないような状態に追い込まれるのであれば、もっと早く手も打つべきだったのじゃないか。私はそういった点通産省も大いに反省すべき点があるのではないかと思うのでありますけれども、この辺いかがかということと、一たん摩擦が起きますと、外国の対日感情は悪くなりますし、日本国じゅうの人々が心配をして、多大なまた労力も必要とするわけであります。二度と今回のような摩擦を引き起こさないような方向でやっていっていただきたいと思いますけれども、この辺いかがか、二点お尋ねいたします。
#280
○若杉政府委員 日米貿易は現在往復で六百億ドルぐらいになっておりまして、これだけ貿易規模が大きくなりますと、いろんな利害関係者がふえてまいりまして、ある程度の摩擦が常時出てくるのは、われわれ覚悟せざるを得ないと思います。
 しかし、今回の摩擦はかなり程度の高いものでございまして、この背景は、先生御承知のとおり第一にインバランス問題があるのですけれども、それと同時に大きいのは、アメリカなり欧州の経済が非常に悪い。未曽有と言っては変ですけれども、最近十数年、戦後最大の失業とかいう問題が背景にあるわけでございまして、経済の停滞、低迷、そういうものが非常に根底にございまして、今日のような大きなことになっておるわけでございます。
 もちろんその間において、具体的な要望としては、日本の市場開放とか、もっと市場アクセスをふやすということに議論が起こっておりますが、同時に日米間にあるいは日欧間にも相当な認識のギャップというものもございます。したがいまして、認識のギャップあるいは日本の実情の説明というのがまず第一に必要であると同時に、第二には、やはり市場開放をできるだけ進めていく、日本の国際的地位にふさわしい市場開放を進めていく、さらには世界経済全体の再活性化についていろいろな方面で努力していくというようなポジション、こういう基本スタンスで臨む必要があろうかとわれわれは思います。
#281
○石原(健)委員 この程度の貿易摩擦が起こるのはやむを得ない、そういうお考えを持っておられるからアメリカの一般世論はますます激高するのじゃないか。私は、やはりどっちみち自主規制するぐらいならば、もう少し早目に手を打った方がましだったのじゃないか、こういうふうに考えております。
 それで、今年度また自動車の輸出台数をどういうふうにするかというようなことで、市場の拡大量の一六・五%ですか、それに応じて拡大をするような仕組みにはなっておるようでありますけれども、やはりこういった問題に際しましても、アメリカの世論の動向とかあるいは経済の実態のようなものも勘案しまして、そう決まっているからそのとおりするのだというような考えばかりではなくて、なるべく貿易摩擦が火に油を注ぐようなことのないようにしていただきたいと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
#282
○若杉政府委員 この程度の貿易摩擦が起こるのはあたりまえだというふうに御答弁したわけではございませんで、一般的に貿易が六百億ドルぐらいになりますと、小摩擦といいますか、そういうのは常時起こる。けれども、今回は非常にボルテージが高いということの認識を申し上げたわけでございます。
 自動車につきましては、われわれといたしましては、昨年のレベルで対米自動車は自粛しようということで過日発表いたしました。これは単に従来の線にとらわれるわけじゃなくて、アメリカの自動車産業の実情、さらには全体のアメリカの経済の実情、それから日本の協力、いろいろな問題を総合的に勘案いたしまして、そういうような決定をいたしたわけでございます。
#283
○石原(健)委員 次に、新聞、テレビなどで報道されているところでは、アメリカ側の要求としてて、牛肉とかオレンジの輸入枠の拡大あるいは自由化が大変強く日本に迫られているのだというような報道がありますけれども、実態はどうなっているのかということと、通産省としては、直接的な御関係はどうかわかりませんけれども、どのような対応の仕方を考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#284
○中澤政府委員 農産物関係の自由化につきましても、昨年来海外からの要請が非常に強くなってまいっておりますので、昨年の十二月に開かれました経済対策閣僚会議におきまして一二十二品目の残存輸入制限といたしましての農産物につきましては、今後適宜これをレビューしていくということが決定されておるわけでございます。その後、日米間では貿易小委員会等が開かれまして、アメリカからの要望等もクリアになっておるわけでございますけれども、農産物の市場開放につきましては、通産省といたしましても海外の要望あるいは国内の需給関係等々農林省と十分な協議をしながらこれに取り組んでいくということになっております。
 具体的には、先般の日米間の貿易小委員会で決まったわけでございますけれども、農林物資につきまして作業部会を設けまして、これは近くアメリカで開かれるわけでございますけれども、日本側の農産物の現状、それからアメリカからは、アメリカから日本に対する具体的な要請がどういうものであるかということを作業部会という形で詰めることになっております。通産省からも農水産課長がこれに参加しておるわけでございますが、通産省としては、輸入枠の問題あるいは輸入の割り当て基準につきまして当省が所管しておりますので、先方の要請の内容というものを正確に把握していきたい、かように考えております。
 牛肉、柑橘につきましては、十月に交渉の時期を繰り上げて、日米間でテーブルに着くということになっているわけでございますが、これについても通商問題の一環ということで、通産省としてはぜひ先方の納得を得るような解決に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。
#285
○石原(健)委員 私は、枠の拡大とか自由化するということで先方の納得を得るのではなくて、ひとつ十分日本の実態を説明して、向こうに納得してもらうように努力していただきたいと思います。
 それで、先ほど貿易摩擦の背景には、アメリカやEC諸国の経済の実態が非常に悪いといったようなこと、あるいは失業とかインフレの問題があるかと思うのですけれども、牛肉やオレンジのような農産物は多少輸入を拡大しても、向こうの失業が全然なくなるわけではありませんし、経済がどの程度よくなるかといっても、日本に牛肉を輸出してみたって、本当に向こうの経済には影響はないと思うのです。一方、日本が牛肉の枠の拡大をした場合の影響はどうかと言いますと、通産省の方はたかが牛肉ぐらいというふうに思われるかもしれませんけれども、山間地の農家なんかの場合には、たんぼというのは平らなところにわずかしかありません。あとは山で、そういうところで農業をやって生きていくからには、どうしても山地を利用した牧畜とか、あるいはたばこをつくるとか林業、そういったことをやっていかなければならないわけであります。そういったことで牛肉が入ってくると、肉の値段が安くなる、あるいは競争に負けるというようなことで、水田だけでは生活できないわけですから、町に出て何か仕事を見つけて働くほかない。そういう人たちが農業をやめて、町の工場で働いて工業製品をどんどんつくれば、またここで何かを輸出しなければならないということで、貿易摩擦をまた生み出す、そういったことにもなってくるのではないかと思うのです。また日本の食糧の確保という点から見ても、そうなりますと、大変ぐあいが悪いし、国土の均衡ある利用という点でもぐあいが悪い。そういったことで、ぜひ農産物の輸入枠の拡大ということはやめていただきたいと思いまして、再度お尋ねをいたします。
#286
○中澤政府委員 先生御指摘のように、農産物につきましては、自然条件あるいは国内の農業の規模というものに非常に大きく左右されるわけでございますから、工業製品とはまた別の面で自由化について困難な要素があるということは御指摘のとおりと思います。したがいまして、現在残っておる二十二項目につきましては、農林省としても非常に対策に苦慮しておるということを聞いておるわけでございますけれども、一方におきまして、アメリカからの要請というものは、確かに自由化なり枠の拡大につきまして、金額的にそれがすぐ大きなインバランスに効果が出てくるというものではございませんけれども、やはり貿易関係が日米間で大きく進展しておる状況のもとで、日本につきましては、一部の農産物について市場が開かれておらないということに強い不満と、開放につきましての要請が強いという面があることも否定できないわけでございまして、農産物につきましても、先生御承知のとおり、柑橘あるいは牛肉につきまして、過去におきましても漸進的に枠の拡大を図ってきたという実績がございます。そのようなベースで日米間において東京ラウンドの妥結の一環としての枠の拡大というものが過去におきましても図られてきたわけでございます。当然のことながら、国内の事情を踏まえながら逐次農産物につきましても枠の拡大なりあるいは割り当ての合理化というものに取り組んでいかないことには、通商問題の円満店解決は図れないということが政府全体の方針だと思っております。したがいまして、閣僚会議で、先ほど申し上げましたように農産物についても適宜レビューをしていくということが政府全体の方針として決まっておるということでございます。
#287
○石原(健)委員 政府全体という点につきまして、私はちょっと異論を感じるのでありますけれども、アメリカは日本にしきりに要請しているわけですけれども、アメリカ自身、肉類とか酪農製品、小麦製品、いろいろ輸入制限しているものはあるわけですね。それで日本はどうかと言えば、穀類の自給率がわずか二七%で、アメリカから二千万トン近く、六十数億ドルですか、日本はもう世界で一、二のアメリカの農産物のお得意さんだ。そういうアメリカがさらに日本の農業をこれ以上破壊しようというような主張をしていることは非常におかしなことじゃないかと私は思うのでありますけれども、日本に対してはそういうことを要求しておきながら、一方、諸外国には、ほかの国々にはかなり武器の売り込みなんか非常に熱心で、今年度あたりは二百六十億ドルくらい売りたい、大体売る成約があるようです。サウジアラビアなんかには八十五億ドルですか、このサウジの買う八十五億ドルの武器というのは、日本がサウジに一方的に貿易赤字をつくっていて、その日本から吸い上げたお金でサウジは八十五億ドルも兵器を買う。そんな奉仕をするといいますか、そういうこともやっていながら日本はいじめられている。
 日本の兵器の調達の模様を聞いてみますと、ライセンス生産がほとんどで、純粋に外国から輸入するのは一〇%くらいしかない。技術はすべて外国のものを利用しながら、どうして九割も日本の国内で生産しなければならないのか、こういった点、ちょっと疑問に思いまして、もっとF4とかF15とかあるいはP3Cなんというものは直接アメリカから輸入すればいいのじゃないか。そうすれば、輸入の増大にもつながるのじゃないかと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
#288
○村井説明員 御説明申し上げます。
 私ども防衛庁といたしましては、いわゆる装備品の取得に当たりまして、基本的にはまず国の防衛に本当に役立つものを調達する、これを第一の眼目にしておることは当然のことでございます。その場合に、ただいま先生御指摘のように、純粋の国産でいくか、それとも輸入品を買うか、それともその中間で外国の技術によりますライセンス生産物を買うか、この三つの選択があるわけでございますが、その場合に考えなければなりませんのは、装備品の開発と申しますのは非常に資金もかかります。また時間もかかります。さような意味で、コストでございますとか取得のタイミングでございますとか、こういうところを考えまして、一方で防衛上の所要というものを満たすものを、しかも維持、補給、修理というものがうまくいくかどうかということも考え合わせまして処理をしてまいるということがどうしても必要でございます。
 完成品を買います場合には、確かにでき上がりましたものがすぐに手に入るというメリットはあります。一方では壊れましたら一々送り返さなければならないという問題もあるわけでございまして、さらに防衛の関連の技術と申しますのは、一般的に非常に高い技術でございまして、いわゆる技術の波及効果というものもございますし、それから雇用でございますとかあるいは下請の中小企業に対する波及効果というものも多々あるわけでございまして、やはり国内におきまして真の防衛生産力を維持してまいるということが防衛庁の立場からも非常に大切なことだ、かように考えておる次第でございます。
#289
○石原(健)委員 何も全部まるまるすべてを買えと言っているわけではなくて、いまこれほど貿易摩擦が叫ばれて、先ほども出口がないなんというお話もありましたけれども、そういったときに、政府自身で決定できて一番簡単にやりやすいのはそういった兵器を直接買うことじゃないか。しかも直接買えば二、三割安いのですよ。何も全部買わないで、半分なり三分の一なりを買って、技術は技術として、修理機能は修理機能としてそれは持っているのは当然だと思うのであります。
 それで、政府もいろいろ苦心されて、摩擦解消のために関税率を前倒ししたとか、NTBの九十何項目のうち六十七項目を手直しした、そんなことをアメリカに行って一々説明していても、アメリカの国民の一人一人の理解を得るのはなかなかむずかしいと思うのですよ。私自身NTBがどうだったと言われたって、そらでは何もわからない。そういうときに、アメリカ人に向かって日本はじゃ輸入をふやすために兵器をこれだけ買いますよというようなことは、アメリカの世論の納得を得るのに大変いいのではないか。アメリカは日本の防衛力増強ということを非常に求めていますけれども、金額はライセンスよりかえって二、三割安くて、そういった宣伝もできる、そういう点から、全額とはもちろん言っていませんけれども、多少は輸入を考えてみたらどうでしょうか。
#290
○村井説明員 時間の関係もございまして、正確な、詳しいお答えを申し上げませんでしたが、現に、すでに私どもかなり完成品の輸入もいたしておるわけでございます。たとえばC130Hと申します輸送機でございますが、これはまるまる買っておるとか、それからF15の戦闘機の中でもまるまる向こうから輸入したものもございます。
 それから、先ほど先生御指摘の輸入がわずかに十数%というようなことではないかという御指摘がございましたが、実はこれは私ども統計をとります上の便でたまたまそういう数字になっておるわけでございまして、純粋国産と申しましても、ライセンス生産物で部品でございますとかあるいはその素材でございますとか、どうしても向こうから買わざるを得ないものが多々ございまして、実は実態的な輸入比率というものはもう少し高いのでございます。さような意味で、いわゆるライセンス生産物でございましても、このライセンスを与えております、たとえばアメリカの親会社が日本にライセンス生産を認めることによりまして受けるメリットというものは、実はこの程度のものにとどまりませんで、まだ大きいものがございます。相当なバランスができておるというのが実態ではないかと思うわけでございます。
#291
○石原(健)委員 時間がありませんので、これで質問を終わりますけれども、最後に、けさほど靴屋さんのお話がございました。またいま私農業のことを申し上げたわけでありますけれども、どうかそういった資本面といいますか、経済的に弱い立場にあるような人たちにしわ寄せの来ないような形で、この貿易摩擦を解消していただきたい、このように大臣にお願いをいたしまして、大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思うのであります。
#292
○安倍国務大臣 なかなか貿易摩擦は深刻になっておりまして、日本は自由貿易を守っていかなければならない、こういう立場から、これに対しては積極的に対応しなければならぬ。いろいろと認識の違い等もありますけれども、市場開放も進めていかなければならぬと思います。しかし、やはりそういう中で日本としてやれるものとやれないものがあるわけで、やれないものは幾ら言われてもこれは仕方がないわけでございます。そういう点等も十分、全体的に踏まえながら、国内産業の立場もありますし、あるいはまた果たしてこれでもって貿易摩擦が完全に解消できるかどうかという、そうした基本的な判断の問題もありますし、そういうことを全体的に、総合的に踏まえながら慎重に対処していきたい。
 しかし、私としては、貿易摩擦がこれ以上大きくなって、日本に対して諸外国から非常な制限措置をとってくる保護主義が台頭して、世界じゅうを覆う、そうして日本がさらに集中攻撃を受けるということにならないように、これから四月いっぱいをめどにしておりますが、サミットまでに一つの案を考えるために何とか力を尽くしてみたいと考えております。
#293
○石原(健)委員 どうもありがとうございました。
#294
○渡部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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