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#1
第096回国会 農林水産委員会 第12号
昭和五十七年四月八日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 羽田  孜君
   理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君
   理事 戸井田三郎君 理事 渡辺 省一君
   理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君
   理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君
      太田 誠一君    川田 正則君
      木村 守男君    岸田 文武君
      北口  博君    佐藤  隆君
      田名部匡省君    高橋 辰夫君
      保利 耕輔君   三ツ林弥太郎君
      山崎平八郎君    小川 国彦君
      串原 義直君    田中 恒利君
      竹内  猛君    安井 吉典君
      吉浦 忠治君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田澤 吉郎君
 出席政府委員
        厚生省社会局長 金田 一郎君
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        農林水産省構造
        改善局長    森実 孝郎君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    小島 和義君
        農林水産省畜産
        局長      石川  弘君
        食糧庁長官   渡邊 五郎君
        林野庁長官   秋山 智英君
        水産庁長官   松浦  昭君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局計画課長   中島 良吾君
        法務大臣官房審
        議官      吉野  衛君
        資源エネルギー
        庁石油部備蓄課
        長       市川  南君
        運輸省海運局外
        航課長     宮本 春樹君
        海上保安庁警備
        救難部救難課長 藤原 康夫君
        海上保安庁警備
        救難部海上防災
        課長      竹内寿太郎君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
#2
○羽田委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
#3
○松沢委員 きょうはせっかく大臣お見えなのでございまして、本当から申し上げますならもっとでかいところの質問をやらなきゃならぬわけでありますけれども、きょうは非常に小さいところのローカル的な質問でございまして、まことに恐縮をいたしている次第でございます。時間がございませんので、簡潔に御質問申し上げます。
 農地法上の農地の転用をめぐって、これが違法であるかどうかということにつきまして御質問を申し上げたい、こう思うわけなんです。
 これは新潟県の白根市という場所でございまして、ここは昭和四十六年から約五カ年間で、あの地帯というのは構造改善局長もおわかりのとおり大変地盤が沈下するので、地盤沈下対策事業というのを国の大変なお力をかりましてずっとやって相当大きな成果を上げてきているわけであります。いま私が指摘しておりますところの農地転用のその場所というものも、昭和四十六年から地盤沈下対策事業として大通川という川の改修をやった。ところが、川の改修でありますから、川さらいをやりますと残土というのが出ます。その残土置き場といたしまして、周辺の農家から農地を借りまして、そこへ一時的にその残土を置く、そして工事が終わった場合におきましては残土を排除してもとどおりの農地としてお返しをする、こういう契約を結んで工事が進められたわけなのであります。
 ところが、その工事が終わりますと、これは二つの業者でありますけれども、その業者が宅地造成事業というのを始めまして、そしてしかも、宅地に造成する場合におきましては、当然のことながら農地法第五条の地目転換の許可というのを取らなきゃならぬということになるわけですけれども、これは農地性をすでに失っているんだということで、許可なしにそこのたんぼを転用してしまって、そして宅地として分譲した。そういうことは農地法上からして許されないことなんじゃないかということで、県議会におきましてもあるいはまた地元の白根市議会等におきましても、特別委員会等を設置いたしまして、その調査を今日なお進めているというところの現況であるわけなんでありまして、この点につきまして農林省の方としてはどのような御見解を持っておられるか、御質問申し上げたいと思うわけであります。
#4
○森実政府委員 御指摘がありました事案につきましては、実は私の方、二回新潟県を呼びまして事情調査を行っております。今後とも事情調査を続けて、必要な判断を持ちたいと思っております。
 内容は、御指摘のように、白根郷地域におきまして、白根排水機場の設置と大通川のしゅんせつを地盤対策事業としてやったわけでございますが、その残土の置き場として、農地を借り上げまして残土を一時仮置きしたわけでございます。この一部は原形に復旧したようでございますが、約十一ヘクタールにつきましては、新潟県としては、残土の取り除きを行わず、そのまま非農地化させることが適当であるという判断で、非農地化されたようでございます。
 その背景と申しますのは、なかなか、いろいろな事情があるようで、この点もいま調べておるところでございますが、従来から、当該地域につきましては住宅地開発の構想がございます。農用地区域からも除外されていたという経過がございます。また、工事の途中で、いわゆる都市計画法上の用途地域として第一種の地域、住居専用地域に指定されたという経過があるようでございます。
 もう一つは、実は残土の取り除きで、残土の捨て場にしまして、そのあと取り除くと大変お金がかかる、そういう点で、工事費を安上がりにしたかったという事業者の立場もあったようでございますし、また、地権者もそれを希望したということもあったようでございます。したがって、この限りにおいては事業の目的には反していないとも考えられますけれども、なお、細かい点いろいろわからない点がございますので、いま調査をさらに続けているところでございます。
#5
○松沢委員 問題は、土地改良事業でありますが、地盤沈下対策事業というのを農林省の金でこれはやっているわけなんでありまして、しかもこれは、非常にありがたい話には、高額な補助金というのがついているわけなんであります。そんなことで、大変助けられているところの面というのはありますのですが、それはもともとその金を使って宅地を造成するというのが目的ではないと思うのですよ。そういう高額な補助金を使って、そして地盤沈下の対策をやるということは、そのことによって優良農地というものを生み出そう、こういう目的だと思うわけなんです。
 いま局長の方から御指摘がございましたように、確かに、その後におきまして、その周辺というものを住宅専用地域として指定をするという経過がございました。これは私も否定しません。だけれども、その工事が始まる以前にそういう宅造をやるという計画は何にもなかったわけなんです。要するに、工事が始まって、そして残土がその地権者の農地のところにちゃんとおさまるようになって、そしてさらに、大通川の土砂の排除をやるためにサンドポンプなんかを使いましてどんどんとやっていく、そうすれば当然その周辺というものは、農地でありながら、ちょっと素人が見ると農地でないような状態になってしまう、こういうことになったわけなんですね。そのところ、いま疑惑の目で見られているのは、要するに、農林省の方の金を使って、そして地盤沈下対策事業を県営でやるということを利用しながら宅造という事業をやって金もうけをやろうとしたという、その県と業者との癒着というのが問題じゃないかというのが、いま指摘されているわけなんです。
 でありますから、私は、一つはせっかくこのような金を使って仕事をやるというのは、別にそういう業者に宅造事業をやらせて金もうけをさせるためにやったのではないのでありまして、これはやはり優秀農地というのをつくるためにやったんだ、こういうふうにして農林省はお考えになっているのじゃないか、こう思いますのですが、どうでしょうか。
#6
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 基本的には私も御指摘のとおりだろうと思います。ただ、問題は、実は各種の土地改良事業がございまして、この土地改良事業が完了して八年以内に、つまり受益が発生して八年以内に、他の目的に転用した場合は補助金の還付というふうなこともあるわけでございますが、災害とか防災関係の事業等、一部の事業につきましてはそういうことをいたしますとかえって極端に過酷なことや状況の変化に追いつけないということがございますので、補助のたてまえとして防災的事業は除外している経過がございます。たまたまそれがこれに該当するということだろうと思います。
 それからもう一つは、いま申し上げましたように、いわゆる排水機場の設置と大通川のしゅんせつが事業の目的であるわけでございます。現実に農地があれば全体が受益地区になるというわけでございますが、工事の性格からいって、若干の農地の変動自体が工事費の変動を呼ぶものではないという実態はあるわけでございます。
 いずれにしましても、私どもその辺についてのいろいろな経過はまだつまびらかにいたしておりませんので、十分これから調査して判断を持ちたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、一つは地域というか線引きの関係で、四十八年ごろに急速に事情が変わってきたという事情があることや、それからもう一つは、率直にいいますと残土の取り除きに大変金がかかるという実態がありまして、これをこのまま放置できれば工事費も安上がりに済むという事情がある等のこともありまして、目下のところではやむを得ない措置だったのじゃないかというふうに報告を聞いておりますが、先ほど申し上げましたように、事実関係をつまびらかにいたしませんと判断できない点もありますので、さらに調査させていただきたいと思っております。
#7
○松沢委員 農地性が失われるというのはどういう場合でしょうか。少なくとも地目が農地であってそれで現況が農地でない、そういう場合においては、第五条の申請は免除されるわけですね。そういう場合にどういうのを指しているのかということで私もいろいろ考えましたのですけれども、一つはやはり農地法が昭和二十七年ですか、できました以前の状況、地目は農地になっておるけれども、現状はそうでないという場合、それから災害等によって山崩れなんかあるいはまた堤防決壊なんかありますと、これは全く農地なんという状態ではなくなってしまうという場合がありますから、そういう不可抗力的な状況が出ているという場合は、これはやはり農地性がなくなっているじゃないか、したがって第五条の申請というものは除外できるじゃないか。除外するにしましても、この場合におきましては、これは県の方の通達なんでありますけれども、それにはこういう通達が出ておるのです。昭和三十五年二月の通達でありますけれども、「この度農林省農地局長の通達によると行政管理庁より農業委員会の行う証明書の交付につき不適正な運営が見受けられる旨の指摘を受けた趣きであるが、農地法の励行機関としてかかる指摘を受けたような不適正な運営は、農地法の厳正な励行を阻害することとなるので、この証明書の交付について適正な運営を行うよう右通達に示されているから左記事項御了知の上これが取扱いについて厳格な処理をお願いします。」こういう通達が出ているわけです。つまり、名目は農地であるけれども実際上は現況は農地でないというような状態の場合、いいころかげんなことをして確認をするな、しっかりした確認をやりなさい、こういう趣旨の通達であります。
 それで、その場合どういうふうにしてやるのかということになりますと、一つにはこれはこうなっているのです。「農地法第二条に該当する土地以外であることが明らかなものについてのみ証明すること。従って土地台帳地目が山林、原野、宅地等であって現況が農地法第二条に規定する農地であるにもかかわらず、現実に肥培管理されていないからとしての理由で休耕地等を非農地なりとして証明はしないこと。」こう言っているわけなんです。これは絶対非農地ではないのだと言っているわけなんです。それから「農地法第二条の農地とは、現況認定であることは言うまでもないが、無断耕作地、耕作放棄地、苗圃、肥培管理している果樹園及び竹林、桐畑等はすべて農地である。」それからその次は、「災害等の不可抗力によって農地でなくなったものについては、客観的に到底耕作の用に供することができないと認められるものに限り非農地の証明をし、復旧が容易であると認められる状態にあるものについては証明をしないこと。」こうなっているわけです。そして、そういう確認をやるためには、きちんと二名以上の農業委員で行なって、申請人の立ち合いが必要である。そうして、その場合におきましては証明願三部をつくって、一部は願い出をしたところの人、一部は控えとして交付簿を作成して、残余は県の方に送付しておきなさい、こうなっているわけなんです。そういうことになりますと、いま問題になっているところは、これは何にもないのですよ。そういうのが一体――農林省の方で厳正にやれという通達が出されたわけでしょう。それに基づいて県の方としても、そういう通達が来ているのだから、厳正にしてもらわなければならない。そしてわが新潟県の方としては、こういうふうにしてやりなさいと具体的な指示を出したわけなんです。だけれども、その指示どおりこの場所は行われていないわけなんですよ。ですから、農林省が残土置き場として農地を公共事業が終わるまでの間借りて、終わったら残土を排除してそれをお返ししますからという契約までやった場所なのですから、そんな場所を工事が終わったら非農地でございます、農地性を失いましたと言う。仮に、県自体がそんな考え方を起こすとするなら、頭が狂っているのじゃないかと思うのです。農林省の方ではそんな狂ったような措置をやっていいのかというわけで、厳重な監督をやらなければならぬと思うのです。しかも金は農林省の方からたっぷり出しているのだぞ、その金を使っていながら、いい農地を工事が終わったら農地性を失ってしまっているからこんなものは農地でございません、そんなことを言ってもらっては大迷惑だということを農林省が言わなければならぬ話じゃないかと私は思うのです。そういう点をどうお考えになりますか。
#8
○森実政府委員 松沢委員御指摘のお気持ちは、私にも十分理解できる点もございます。ただ、この問題は実はなかなかむずかしい問題でございまして、一つは、御案内のように、農地法は現況主義をとっておりますが、何が農地であるかということは、一般論としてはなかなか決定できないわけでございまして、具体的な事情で、現場で判断していかざるを得ない点がある。つまり、農地行政として優良農地の確保という視点もありますが、他方、司法的判断もありまして、いわば土地の取引の善意の第三者の保護とか、取引の安全という視点からの判例もあるわけでございまして、こういったことを頭に置きながら、現況で、やはり現場で判断していただかなければならぬという点がございます。
 それから、二番目の問題といたしましては、確かに三十五年に農地局長通達がありまして、同じ昭和三十五年に新潟県でも、私どもも調査いたしまして報告を聞いたわけでございますが、県の部長通達を各農業委員会に出しておって、その内容が先生御指摘の内容のようなものであるということも聞いております。ただ問題は、私ども県の担当者から聞いたところによりますと、いままでのところでは、いわば本件は県営工事の施行に伴い非農地化したという特異な経緯があるようでございまして、それについての事実関係とそれから農地法の適用関係がどうなるかということについて、私ども判断を持つ必要があると思っております。
 ただ問題は、何分にも十年も前の話でございまして、いわば工事の施行者も新潟県、農地法の施行に当たっておられるのも新潟県でございまして、いわば国は後見的な監督の立場でございますので、よく詳細な調査をして言い分を聞いた上でないと、私どももちょっといまの段階では軽々に良否の判断はできないのではないだろうかという感じがしております。
#9
○松沢委員 局長、国や県がやる場合においては許可は要らぬわけですね。しかし、その許可の要らないところの事業の範囲というのは、いわゆる地盤沈下対策事業の仕事をやる、その範囲においては許可は要らぬわけですね。それが終わってしまえばこれはもう国、県の仕事ではございません。だから、宅造をやるということは公共事業でも何でもないわけなんですよ。その場合においては許可は要るんですよ、県がやっているわけないんだから。国がやっているわけでもありません。民間がやるわけですから、その場合においては許可が要るのですよ。しかも、土地改良事業をやって周辺の農地の農地性を失わしめるというような、そんな土地改良なんというのは、農林省、いままでおやりになったことあるのですか。土地改良やって、要するに、周辺農地が全部農地でなくなってしまったなんという、そんな土地改良というのは私がいままで聞いた範囲において日本にはないはずなんですがな。新潟県のここだけじゃないですか。そういう、要するに、だれが考えてみても非常識なものをもう一回調べなければわからぬなんということでは私は困るのでありまして、やはりそこにはちゃんと契約があったわけだから、残土置き場として借りたのだから、契約どおりに終わったら残土排除して農地として返す。仮に、残土の排除をやってもらわなくていいですよと言われればそれはそのままに返してもいいかもしれないけれども、しかし、それは農地でございますよということくらいははっきりしておかなければならぬじゃないかと思うのですよ。その後転用をしたいということになれば、正式な手続によって転用の許可をもらうようにすればいいわけなのでありまして、そのところをあいまいにする必要はないじゃないか。残土がそのままになってあっても農地であることは間違いない。農地です。それを転用するという場合においては、これは農地性が失われたから許可は要りませんよという話ではない。やはり許可を受けなさい。許可を受けた場合においては、そういう場所だから宅地として転用許可を出さないなんということはないと思うのですよ。だから、一つ一つ折り目けじめをつけながらやっていけば、この問題なんというのは何も問題にされる必要はないじゃないかと思うのですよ。そういうきわめて簡単なことを、要するに、日本の農地行政を担当しているところの最高の局長がわけのわからぬことを言われた分にはこっちも困りますわな。それはもっとはっきり、これは農地なんだ、だからやはり転用許可というものを当然受けてもらわなければ困りますという答弁をしてもらわなきゃ困るのですよ。どうですか。
#10
○森実政府委員 私、先ほど申し上げましたように、おっしゃるお気持ちというものもわかる点が多々ございます。ただ、これは実は農地法の解釈として一番むずかしい部分だろうと私思います。
 一つは、農地法の現状主義というものを判断する基準をどこに求めていくかという問題でございます。これはなかなかむずかしい点がございます。先ほど申し上げたように具体的な事情で個別に、地域に即して判断をしなければならないということ以上には、一般論としては申し上げかねる点があると思います。
 二番目は、いま先生御指摘の農地法第五条の問題でございます。御案内のように第五条では、権利移動の制限の特例といたしまして、「次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。」ということで、「これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合」ということで、県営工事で残土置き場とする際に、県が事業工事としていわば残土を捨てるための権利を取得したわけでございまして、この限りでは、一時転用、永久転用を問わず転用許可が除外されているということは否定できないだろうと思います。ただ、それが趣旨に合致しているかどうかという問題は、私なお残っているだろうと思います。
 三番目は、実は残土処理でございます。これは、先生はほかにはないだろうとおっしゃいますが、実は少ない例でございますがあるのです。と申しますのは、一種の公共事業を実施しますとき、どこの公共事業でも、狭い国土でございますので残土処理をどうするかということが工事施行者では一番頭の痛い問題でございます。残土処理の形で埋め立てを行って非農地化せざるを得ないという事例がございまして、これは私どもも過去において何件かそういうケースに遭遇しているわけでございまして、そこら辺全部総合的に判断をしてみなければならぬと思いますし、この場所も各地日ごとに事情が大分違っているようでございますので、典型的な例は幾つか二回の報告で聞いたわけでございますが、追加して調査をしているということでございます。
#11
○松沢委員 これは面積大きいのですよ。農林大臣の許可をもらわなければならぬところの大きな面積のものだから、でたらめなことをしたのですよ。二町歩以上ですからね。一つの企業の場合におきましては六・三ヘクタールですよ。それからもう一つの業者は六・四ヘクタールなんですよ。だから、合わせますとそれだけでも約十三ヘクタールという面積なんです。確かに、いま局長言われるようにいろいろな仕事をやって、公共事業をやっている場合においては、それは一反歩や二反歩どうしようもないという場合あるかもしれぬけれども、十三町歩ということになりますと大変広いところの団地なんですよ。それが全部土地改良事業をやって、地盤沈下対策事業をやって国の方から相当の金を出して、つぎ込んでやって、その結果、十三町歩余りが農地性を失ってしまったという結果の出るような仕事というのをまさか農林省がやる道理はないじゃないかと私は思うのですよ。だから、それははっきり申し上げますけれども、そういうことをやっているうちに宅地造成にちょうどいい場所になったのですよ。そこで、それを利用した方がうんともうかるということなんだ。二つの業者はこれで何億円ともうけたのですよ。しかも農林大臣の許可をもらうということになると手続が非常に繁雑になってくるし、繁雑になってくれば二束三文に売ったところの地権者の連中が黙ってはいないわけなんですよ。だから、黙らせるためには、もう地権者には文句を言わないで不動産屋が動き出さなければならなかったというところにこの非農地、農地性を失ったという確認をしてもらわなければならなかったという経過があるわけです。しかも、それを確認をしてもらう機関というのは農業委員会なんでしょう。その農業委員会では、はっきりと確認をしていないのですよ。その書類というのはありますかね。だから、要するに、農業委員会で確認したのかどうかというのは議会で問題になった。ところがそれは確認していないんですよ。
 そうしてもう一つは、農業委員会の方で会議にかげたとか許可を出したとかという場合におきましては、その書類というものは永久保存だそうですな。ところが、書類は何にもないんですよ。まさにでたらめということなんだ。そのでたらめなことをやって、そして、約十四町歩近くの宅地造成が行われてしまったわけなんです。それでも農林省の方では、これは違法であるかないかもう少し調べなければわからぬ、こういうことなんですか。どういうことですか。
#12
○森実政府委員 いま、農業委員会の事務処理の問題について御質問があったわけでございます。問題は、いろいろな事情が重畳的に錯綜しているわけでございまして、一つは、地盤沈下対策事業自体の関係として行われていることの適否の問題、それから一つは、農地法の適用の問題、それからもう一つは、具体的な手続の問題として農業委員会の問題、こういった問題がいろいろ交錯してあるわけでございます。したがって、違法であるか違法でないかということは、それぞれの根拠に従ってそれぞれの事項について判断ぜざるを得ないと思います。
 そこで、いま御指摘のございました農業委員会の問題でございますが、私どもが県から聴取したところでは、これは県の担当者の農業委員会からの事情聴取でございますが、本事案に係る議事録とか証明願のつづりというものは見当たらない模様でございます。このことは一体どういうふうに判断したらいいのだろうかということになるわけでございますが、結局、文書の取り扱い規則の問題になるわけでございまして、白根市の農業委員会の文書の取り扱い規則では、議事録は永久保存、それから非農地証明のつづりは五年間保存というふうな原則が決められているようでございます。したがって、この書類と原則との関係をどう見るかということは、十分事情を知りたいと思いまして、さらに調査を求めているというところでございます。
#13
○松沢委員 終わりますが、局長、これはぜひとももう少しはっきり、農地性が失われるという場合の条件というのはどういう場合なんだろうか、だれでもがわかるように説明をしてもらう。それから、こういうふうにして農業委員会に全然確認はしてもらわなかった、そういう書類はないという場合、これをそのまま放任していいのかどうか、この点明らかにしてもらいたい。それから、農林省のやるところの土地改良事業というのは、もともとこれは非農地、農地性を失うような面積を広げるためにやるのではないのだということだけはやはりはっきりとこの場で言明してもらいたい。あとのものは、いまここでできないということになれば、ひとつ早急にもう一回調査をしてもらってはっきりと御返答いただきたい、こう思うわけでございます。
#14
○森実政府委員 三点御指摘があったわけでございます。まず、農地性の判断でございますが、これはやはり現状主義という立場で土地の客観的性状、たとえば、表土の状況とか植物の密生状況とか構築物の有無とかで判断しなければならないと思います。所有者の意図とか土地登記簿上の地目とかあるいは性状変更をもたらした原因と性格とかそういったことではなくて、やはり現況で判断していかなければならないだろうと思います。
 しかし、率直に申し上げまして、これは画一的にはなかなか判断できない点がございます。他方、現に最高裁の判例等もございますように、やはり第三者保護の立場から取引の安全とか法的安定性という議論もあるわけでございます。そういう意味では、私どもやはり現地の農地事情に最も精通した地方自治体、特に、農業委員会等において具体的事案に即して判断していただくという個別主義の原則はなかなか変えられないと思っております。
 それから農業委員会の手続の問題でございます。私、先ほども申し上げましたように、文書扱いの規則がどうなっているか、それから県の農地部長の通達とこの処理との関係がどうなっているか、それからもう一つは、現実の当該農業委員会内部における書類の保存状況なり何なりがどうなっているか、そういうことについては実は多々、私ども照会しております。二回の調査でなおわからなかった点があるので、照会をしております。そういったところもにらみ合わせて、よく事情を明確にしてまいりたいと思っております。
 それから三番目は、いわば土地改良事業の果たす役割りと農地転用の問題でございます。趣旨は私、まことに先生のおっしゃるとおりだろうと思います。ただ、現実の問題といたしまして、地盤沈下対策事業とか災害復旧事業等にたくさんあるわけでございますが、普通の灌排事業や圃場整備事業と違いまして、ある大きな地域を全体を対象にして復旧をやる場合、あるいは防災事業をやる場合、いわば受益地の程度によって若干の変動によって事業費自体が動かない側面もあるわけでございます。それからもう一つは、地元の事情で非常に緊急にやっていかなければならぬ、団地としてとらえてやっていかなければならぬ、そういうことでむしろこれは強い農業団体の御要求やまた自治体の要望もあって、実は防災的事業とか災害復旧事業については、いわゆる八年以内に転用した場合は補助金を返還させるという義務は除外している経過がございます。この除外をやめてしまうのがいいのかどうかということは、私もいささか疑問に思っておりますけれども、しかしお気持ちもよくわかりますので、そういう視点では十分この問題の調査に当たって、調査事項を決めるについてもまた判断をするについても十分頭に置く必要があると思っております。
#15
○松沢委員 これはさっぱり、要するに、あなたと私の行き違っておる話であって、それではどうするかという結論めいたものは、何もあなたの方から答えが出ていない。だからそれならば一定の期限を切って、いつ幾日ごろまで明確にします、このところはこうであった、このところはこうであったということで結論めいたものを一定の期限を決めて明確にするということをやはり答弁してもらわなければ、これはきょうしゃべってもしゃべりっ放し、どうにもならぬということになるのじゃないかと思うのです。はっきりしてください。
#16
○森実政府委員 三月十七日と三月三十日の二回に大分調査をいたしまして克明な資料を求めました。しかし、どうも判断するに当たって必要な資料が、私どもの見るところでは六項目欠けているわけでございます。いまその資料の要求をしております。
 それは具体的に申しますと、置土の状況とか取り除きの計画等の詳細が判断できる設計書を提出してくれ。それからすべての地点についての土置き契約と変更契約の内容を教えてほしい。それからもう一つは、いま先生も御指摘になった非農地証明の必要性と適格性についての県の見解というものを聞きたい。それから四番目は、非農地証明書を交付している筆別の面積確認。これは非農地証明でなくて転用許可をやったところもあるわけでございますし、原状回復もやったところもあるわけでございますが、その筆別の面積確認と事業確認をしてほしい。それから五番目はいま御指摘があった非農地証明手続の実態がどうもよくわからない点があるから、そこを明らかにしてほしい。それから六番目は、登記関係の全容を知りたい。それから七番目は、四十六年、四十七年当時に検討されていた下塩俵ニュータウン計画というものの概要を当初の経過から知らしてほしいということの調査を県に指示しているわけでございます。これは筆ごとに相当事情が違うようでございますから、なかなかそう右から左というふうに資料も出てこないと思いますけれども、督励いたしましてできるだけ早く全体の資料をもって判断ができるようにいたしたい。
 ただ、いずれにいたしましてもこの問題は冒頭申し上げましたようにかれこれ十年近く前の問題でございまして、かなりの年月がたっております。それから、工事自体もそれから農地法の施行に当たりましたのも県自体でございます。いわば国は後見的監督という立場で問題を聞かなければなりませんので、事情調査と事情聴取を重ねなければならないので、なお若干時日が要る点はお許し願いたいと思います。
#17
○松沢委員 終わります。
#18
○羽田委員長 新盛辰雄君。
#19
○新盛委員 世界的に貴重な学術的研究素材となっております屋久島原生林の問題で質問をしたいと思っています。
 参議院の予算委員会で三月二十七日農林水産大臣は、この屋久島原生林の第四次林野庁施業事業の計画について当面中止ということを表明されておるわけですが、いかなる経緯にあったかを大臣からお答えいただきたいと思います。
#20
○田澤国務大臣 第四次の地域施業計画というのが今年度から始まるのでございますが、その実施に当たって瀬切川地域の森林の取り扱いについてその後地元の上屋久町議会が保護を求める請願を採択された。もう一つは国立公園地区の見直しをしようという問題も起きておりますので、したがいまして、こういう事情を参議院の自民党あるいは公明党その他の方々から過般いろいろ御質問がございましたので、それでは関係機関あるいは地元の関係者等と調整が行われるまでこの計画を中止しようということにいたしているわけでございますので、地元あるいは関係者の調整を速やかに行っていただきたいということが私のこれからの念願でございます。
#21
○新盛委員 原生林の保護、町民の生活の維持、林業労働者の雇用の安定、この三つの要素から成っているわけですから、大臣はその調和をとりたい、相互理解の上に立ってどういうふうに調整を見出し得るか、これが今回の問題の一番焦点になるんじゃないかと思っています。
 そこで、昭和四十八年、当時もございました屋久島の自然を守る会、屋久島住民の生活を守る会などございまして、屋久島全島の中において真っ向から二分する勢力で議論が巻き起こりました。それを調整をするために守る会、議会さらには営林局三者で一応の調整をして、自後、その合意に達したことについて計画を進めてこられたやに聞いております。それがいまここになって自然保護団体、特に、環境庁行政の中で霧島屋久国立公園、この範囲の問題から実は議論がまた今日沸騰してきた経緯であります。したがって、貴重な一千年以上の屋久杉、日本の国土の中でも見られない七千年を超す縄文時代の杉もある。そして、そういうことに対する保護と生活を擁護する側の二者択一のどれをとるかということにおいていろいろ議論があるわけですが、林野庁としてはこれから一体どういうふうにしたい、このことをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
#22
○秋山政府委員 屋久島の国有林につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、大変貴重な屋久杉も存在しておりますが、一方におきまして林業で生活をし、林産業で生活をしている方々も多うございますので、私どもこれまでも学識経験者から成りますところの調査を三回にわたりまして進めてまいっておりまして、最近では一昨年から昨年にかげまして調査をし、それに基づきましてまた地元の町の御意向を伺いながら、さらには鹿児島県の意向も聞きながら、今回の第四次の施業計画案を作成したわけでございます。その段階でも地元とは三回にわたりまして現地審議会、さらには現場の説明会等もやりまして、その意見に基づきまして私ども案をつくったわけでございますが、ただいま大臣から御説明ございましたとおり、その後におきましても問題がございますので、現在、地元の意見を再度調整してもらうように私ども要請をしておるところであります。私ども、両者の調和をとりながら地域の林業経営を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#23
○新盛委員 環境庁にお尋ねをしますが、瀬切川の右岸の森林は学術上きわめて貴重なものである、したがって指定区分の中の特別保護地域として第一種特別地域六百五十一ヘクタール、第二種特別地域七百五十九ヘクタール、第三種特別地域一万一千四百五十一ヘクタール、この割合は第一種は三%、第二種は四%、第三種は六一%、この中のどこを今度新たに原環境庁長官が表明している指定地域にされるのか、環境庁お答えいただきたいと思います。
#24
○中島説明員 先生のただいまの説明の中にございました公園計画の中身でございますが、これは既存の霧島屋久国立公園の公園計画でございます。それで瀬切川流域につきまして早急に地元熊本営林局等と調整を進めまして、その流域につきまして保護の規制のわりに強い方向で国立公園の編入をお願いしていきたい、このように思っております。
#25
○新盛委員 いつまでに結論が出るのですか。
#26
○中島説明員 公園区域に編入する区域につきましての素案を近々定めまして、近日中に熊本営林局等と内協議に入ってまいりたいと思っております。
#27
○新盛委員 近日中とおっしゃいますが、現場の方では枠組みは決めるにしても、いずれにしても調和をとらなければならない、両立をどうさせたらいいかという模索をして、いま大変心配しておられる時期でありますから、およそいつごろに環境庁は出すのか、そうでないと林野庁だって計画のしようがないのです。大臣が言っているように一時中止、だからこれはどういうふうな作業の進め方でいつ出るのか、はっきりしてください。
#28
○中島説明員 国立公園管理事務所を通じまして、熊本営林局に対しまして内協議を今週いっぱいに文書をもってを指示をしていきたい、こう思っております。
 それで、先ほども先生おっしゃったように、この調整は地元の生活といった擁護の部分もございますので、これらの調整についてどの程度時間がかかるかいまのところ予測はしがたいわけでございますが、四月いっぱいくらいまでには何とか営林局と話がまとまるような方向で努力してまいりたいと思っております。
#29
○新盛委員 四月いっぱいだということを前提に置きまして、ここで林野庁にお聞きしますが、守る会、議会、営林局、これによって自然保護か、あるいは林業のこれからの確保、雇用の確保、生活も含んでいるわけですが、これの両立のさせ方、これまでの三者の確認合意事項もあるわけですから、それを含めて進められるものと思われますが、どういう計画ですか。
#30
○秋山政府委員 現在問題になっておりますのは瀬切川の流域でございまして、私ども、全体の事業実施につきましては地域の皆さんの意見を聞きながら、これまでの地元との話し合いの結果を尊重しながら進めてまいっておるわけでございます。瀬切川につきましても、現在の私どもの考え方は、約一千ヘクタールの瀬切川のうち七百ヘクタールは残しまして、残りの三百ヘクタールにつきまして、皆伐七十、択伐二百四十というのをここでやっておりますので、細部の調整につきましてはまた公園計画が出てまいりました段階で慎重に検討してまいりたいと思っております。
#31
○新盛委員 一千年以上の屋久杉というのはこれまで計画的に伐採をされ、あるいは収穫を上げておられるのですが、いま幾ら残っているのですか。
#32
○秋山政府委員 若干専門的になりまして恐縮ですが、屋久杉と称しますと、大きく分けて千年以上を屋久杉と呼んでおりまして、それ以下を小杉と呼んでおります。三百年ないし四百年ぐらいの小杉が多うございまして、屋久杉と申しますのは一ヘクタールに五本から十本ぐらいしかないわけでございますので、私どもはそういうものはなるべく集団的に残しながらやってまいろう、ただし枯損したものとかすでに先が見えているようなものは有効活用して、地域の木工、林産業に活用しようということで考えているわけでございます。
 そこで、蓄積でございますが、屋久杉につきましては、屋久杉と小杉合わせまして百二十八万立方メートルございますが、その中で百二万立方メートル残すということで、約八割はすでに保護する対象に入れてございます。残りの部分を現在、いま申しました形で伐採をしているということでございます。
#33
○新盛委員 四十九年現在で、屋久杉一万一千六百本、そのときの計画で、将来七千四百本ぐらい残せばいい、そういう回答をかつてされたことがあるのです。そういう、何本残せば学術的にいいとか悪いとかいう問題ではないと思うのです。いま、小杉だとかあるいは他杉だとかいろいろな要素の中で原生林を保っていることは事実ですけれども、こういう亜熱帯植物が中腹から以下にあって、それから上は亜寒帯植物があるという貴重な屋久島全島を自然保護に主力を置くなら、そこに集中的に倒木をしたり、あるいはかつて百年以前に屋久杉を伐採をしていた当時やぐらを組んでいたのですから、高い位置に切り株が残っている、そういう土埋木をどう処理するのか、土埋木を外したら後は治山治水という面でそれを補強する。いわゆる自然保護という面でこれを管理できる国有林として林野庁は人手を入れなければなかなかうまくいかないだろう、そこに生活の芽が出てくるわけですね。そういう総合的計画をいかにお考えか。大臣も頭振っておられるようですが、そういうお考え持っていらっしゃるのですか、大臣、どうなんですか。
#34
○秋山政府委員 まず私の方からお答えいたします。
 いま先生御指摘の土埋木と申しますのは、御承知のとおり幕藩時代に伐採しまして、いいところだけ取り出して後現地に残置しているものが現在コケがかぶっておるわけでございますので、これは私ども有効活用ということで、事業と並行しましてこれを活用しているわけでございます。したがいまして、土埋木というとちょっと掘り出すような形に御理解されがちでございますが、現実にはコケがかぶっているわけでございますので、エロージョンその他には影響ございませんが、私どもやはり細心の注意を払ってそういうものを活用するということで進めてまいりたいと考えております。
#35
○新盛委員 屋久杉の加工業者というのは、実はこの土埋木にかかわる――根っこの方が大変貴重な素材になるわけでございます。だから、そうした面でも、これから何立方メートルぐらいの収穫量があるのか、そしてそれを活用する加工業者、生産者、こういう皆さんの救済はどうできるのか、それぐらいはおつかみになっていると思いますが、どうですか。
#36
○秋山政府委員 土埋木を生産する数量、最近で申し上げますと大体千五百から千七百立方メートルぐらいございまして、五十六年で申し上げますと、屋久島、地元に約六百七十立米、随意契約で工場等にこれを売り払いまして地元の産業に寄与しているわけでございますが、今後ともできるだけそういうものを活用しながら地元に協力してまいりたいと思っております。
#37
○新盛委員 ここで確認しておきますが、第四次の地域の施業計画を進めるに当たって、環境庁が指定をする特別保護地域を除いて屋久杉あるいは小杉、他杉、いずれにしても原生林を保護しながら調和をとって生活の擁護をということについてどう配慮するか。これはいまここで一挙に言えといったってなかなかむずかしいかもしれませんが、やはり現地の皆さんにしてみれば両立をさしてほしい、そういうコンセンサスなんです。だから、この辺のところを十分に考えてもらわなければ、自然保護だからつて、おまんま食えなくなってしまったのでは大変なことですし、ただ、外野がわいわい騒いで、世界的に非常に貴重な、しかも自然の宝庫であると言われているだけでは済まされないのです。だから、このところ二者択一を迫られているわけですから、林野庁はこれから林野行政として本当に現地の事情等を参酌する、調整する、この役割りについてぜひ決意を聞かしていただきたい。これは大臣、ひとつお願いします。
#38
○田澤国務大臣 私は、第四次のこの計画を進めるに当たって、地元の方あるいはまた自然保護の方が一体になって屋久杉の問題を考えていただくことが一番だと思うのですね。やはり屋久杉あっての産業でもありますし、また屋久杉が産業に大きな貢献をするというのでなければ資源としての価値もないのでございますから、したがいまして私は、総合的に屋久杉の保護そして開発という面を考えていかなければならない、こう思うのでございます。何か林野庁が計画していることが乱伐につながるのだというような書き方、宣伝をされますと、林野行政に携わる私たちとしては非常に迷惑なんですね。ですから、そういうことのないような形を私はとりたい。そして、屋久杉という非常に貴重な資源を私たちは尊重するとともに、それを基本にしながらその地域の産業を興すということにしたい、かように考えておるのでございますので、いま環境庁ともいろいろ打ち合わせをしながら、早い機会に結論を出していかなければいかぬ、かように考えております。
#39
○新盛委員 この問題の最後に、行革絡みで林野庁行政にかかわる問題になってくると思うのですが、御承知のように現地には上屋久、下屋久の営林署が二つございます。非常に貴重な資源を確保する、そして乱伐、そうしたことを防ぐためにも現地にはそれだけの必要要員が確保されているわけです。したがって、今回のこの問題の取り扱いいかんによっては、これらの問題に大きなドラマチックなことが起こり得るということも心配されています。だから、そんなことにならない、これはあくまでも自然保護というたてまえでいくならば、それなりに人手は要るのだ、保護林でありますから、世界的なものでありますから、そういう認識をお持ちなのかどうか、これだけはぜひ聞かせていただきたいと思うのです。
#40
○秋山政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、本来、自然を保護するというには人と金はかかるものでございまして、地域に生存する方々が山を守り管理し、山火事その他の場合には働いていただくわけでございますので、地域と国有林というのは絶えず連携をとりながらやっていくのが大事だと私どもも思いますので、そういう精神で今後ともやってまいりたいと思っております。
#41
○新盛委員 次に、馬毛島の問題で質問をしておきたいと思います。
 ここの地域は、御存じのようにいま議論しております屋久島の近く、種屋久の地域に浮かんでいる島です。この馬毛島に実は石油備蓄基地をという動きがございまして、環境委員会で私も取り上げておるのですが、資源エネルギー庁おいでですね、FSはいつごろ結論をお出しになるのか。四月の中旬とおっしゃいましたが、どうもそうでなさそうであります。昨年FSの結果発表では、気象条件、潮流、経済性などなどでもう一回やり直し、こういうことで現在FSの現地調査集約の時期に来ている、こう思われますが、いつごろに発表をされるつもりですか。
#42
○市川説明員 お答えを申し上げます。
 私ども、三千万キロリットルの国家備蓄基地の建設を推進するに当たりまして、立地可能性調査を実施をいたしているわけでございますが、先生御指摘のように、馬毛島地区につきましても第二次フィージビリティースタディーの対象となっておりまして、五十五年の秋にその立地可能性調査の結果が出たわけでございますが、本計画につきましては、地上式のタンク方式ということで、非常に経験の多い方式でございます。したがいまして、技術的には一応可能であるということではございましたが、しかしながら離島でもございますので、既存のデータが非常に少ないわけでございます。特に地質、気象、海象、環境影響など、先生のおっしゃられたような項目について問題があるという結論、補足的な意見が出ているわけでございまして、このために正確な地質状態についての精度の高い調査検討の実施が必要であること、それから気象とか海象、海底地形、地質等についてさらに精度の高い調査を行う必要があるということ、それから第三番目に現地の陸域生物、海域生物、大気質及び水質等を十分調査して、環境影響調査を実施する必要があること、それから第四点といたしまして、水が非常に少ないということから、それの対応策について検討することというようなことで、補完をした調査が必要であるという結論が出てきているわけでございまして、五十六年一月以来その補完調査に着手したところでございますが、これまでのところ、石油公団が鹿児島県に委託をいたしまして、詳細な現地調査を実施をいたしました。その結果は、昨年十一月に出ているわけでございますが、これは客観的な基礎的な現地調査の結果のデータでございます。このデータを解析をいたしまして、最終的な立地可能性を評価するための調査が行われているわけでございます。これが先ほど先生のおっしゃられた調査に相当するものと思いますが、これにつきましては本年二月に委託調査を開始いたしたわけでございますが、この結果につきましてはさらに一、二カ月の時間が必要かと思います。
#43
○新盛委員 一、二カ月とおっしゃいますが、実際はもうすでに結論が出ているんじゃないかと私は想定しています。ただ、結論が出ていないと言われているのは、いまの石油の事情ですね。国家備蓄の三千万キロリットル、この範疇をすでに超えているんじゃないか。だから、FSの結論がイエスと出ましても、結果的には三千万キロリットルの枠組みを超えて、実際に回転備蓄みたいにしても四千万キロリットル、その範疇をも超えるから、財政的にも予算的にも石油公団は足踏みをしているというふうに思われるのです。この地域における漁業問題その他については後ほど御質問しますけれども、仮にも、いま現在までFS、立地可能性調査で可能であるとしてすでに結論を出されている志布志湾五百万キロリットル、馬毛島で五百万キロリットル、すでに三千万キロリットルの容積が決まってしまっているのです。その上を飛び越えるわけですから、これは結果的には四千万キロリットルということにはなっておりますね。
    〔委員長退席、加藤(紘)委員長代理着席〕
しかし、ほかにもまだ日本全土にわたって基地のFSの調査が行われているのですが、そのところもひとつ参考に言ってみてくれませんか、どの地域でどのFSをやっているという……。そうしますと馬毛島は、これはとてもじゃないが、経済性においても不可能、必然的にはこういうことになると思いますが、どうですか。
#44
○市川説明員 お答え申し上げます。
 三千万キロリットルの国家備蓄に対応いたします施設の容量をどれぐらい用意をすべきかということが先生の御質問のポイントではないかと考えるわけでございますが、備蓄をするのは原油でございます。したがいまして、対応する施設についてはそれぞれの方式ごとにいろいろ施設の規模が決まってくるわけでございます。
 この施設の容量は、いままで幾らということで申し上げてきて国会等でも御議論をいただいてきたところでございますが、私どもの三千万キロリットル体制を実施をするに当たっての必要規模といたしまして、考える要素といたしましては消防法の開放点検等の問題、それから、民間の利用権といたしまして備蓄の基地の建設、管理を行う第三セクター、これの中核となっていただく精製会社等に対して民間の利用権を付与することとなっているわけでございますが、これについてどの程度見積もるかという問題、それから温度の上昇等によって原油が膨張するわけでございます。それをどう考えるかという問題、それから異なる油種を貯蔵いたすわけでございますが、その混合を避けるためにどれだけの余剰率を持つかといったようないろいろな観点から方式ごとに貯蔵の量が決まってくるわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘のように立地が昨年の夏ぐらいからかなり順調に進んできておりまして、施設容量といたしましておおむね三千万キロリットル近い数字が得られているわけでございます。したがいまして、これからどれだけつくるかということにつきましては、いま、先ほど申しましたような事情をいろいろ勘案いたしまして、具体的にどのような方式についてどれくらいの量ということを考えながら最終的にまとめ上げていかなければならない段階かと思うわけでございます。
 特に、これまでは、おおむね平均をいたしまして、貯油率、油を入れる比率が約七割程度ということで考えておったのであります。七割で計算いたしますと四千四百万キロリットルということではございましたが、最近の石油情勢の問題でどういう変化が出てくるかということでございますが、民間利用権として中核会社等に現実に与えている利用権というものが、これは契約ベースで一〇%あるわけでございます。この部分を現実にどれだけ用意をしてくるかということが最近の石油情勢によって若干の変化を来しているわけでございまして、四千四百万という数字で、四千万キロリットル強と考えていたものがどの程度になっていくか、あるいはこれより下回るのではないかということも考えられるわけでございますが、最終的に、具体的にどういう数字になるかということについては、先ほど申しましたようにもう少し候補地点を、これからどのように地元調整が進んでいくか等も見ながら、どの方式がどれくらいということを考えてからでないと申し上げる段階にないわけでございます。
 次の問題といたしまして、それに対応してどういうような候補地点があるかということでございますが、現在までに三次にわたるフィージビリティースタディーで十一地点の立地可能性調査を実施いたしておるわけでございます。これに加えまして、全く新しい方式といたしまして地下備蓄につきましても立地可能性の調査を現在実施いたしまして、本年中に結論を出したいと考えているわけでございます。この合わせた数が候補地点であるわけでございますが、さきに申しました十一地点、これの中で現在までに可能性ありということで残っている地点は七地点でございまして――失礼いたしました。十一地点のうちの六地点を立地決定いたしておりますが、三地点につきましては立地可能性に問題があるという結論が出ているわけでございます。それと地下備蓄についての三地点が現在のところの候補地点でございます。
 これにつきまして、今後どのようにして立地をしていくかということにつきましては、それぞれのプロジェクトごとに地権者、漁業者その他の地元調整の進捗状況、それから全体として必要な施設の容量、それから全国的配置の観点などから総合的に勘案をして検討をしていくことになるということでございまして、馬毛島地区につきましては、先ほど申しましたように補完調査を実施中でございまして、その補完調査の結論を見てみないと最終的に立地が可能であるかどうかという評価は下せないわけでございますが、これが立地可能性ありという結論に最終的になったときには、先ほど申しました候補地点の一つとして残っていく、こういうことになろうかと思います。いまの時点で、馬毛島地区がどういうふうになるかということは申し上げられない段階でございます。
#45
○新盛委員 馬毛島地区は、結局、まだ結論が出ていない。したがって、四月中にと言っていたのは、ここ一、二カ月延びることになろう、こういう結論なようですね。
 この補完調査等含めて、いま十一地域点を挙げられた中で、六地域点を可能と見て、あと残り三地点は少し問題がある。とするなら、あと残りの二地点は馬毛島などが入っていると想像するわけです。したがって、さきに七地域点を六に少し訂正されたようですが、もうすでに馬毛島は七の可能であるという中に入っているのじゃないですか。だから、いまそこで御答弁、ちょっと漏れたのじゃないかと思うのです。どうですか、はっきりしてください。
#46
○市川説明員 第一次フィージビリティースタディーで四地点、第二次フィージビリティースタディーで四地点、第三次フィージビリティースタディーで三カ地点の立地可能性調査をやっておりまして、この中で第一次の四カ地点がすでに立地を決定をいたしております。それから、第二次フィージビリティースタディーの対象となっている中で、苫小牧東部地区一地点が立地を決定をいたしておりまして、そのほかの金沢港と屋久島につきましては、技術的、経済的に困難性があるという結論が出ております。馬毛島については補完調査を実施中ということになっております。第三次フィージビリティースタディーの対象となっております地点、志布志と新潟東港、これはいずれも地元調整を行っているところでございます。したがいまして、馬毛島は十一地点の中の一地点でございまして、フィージビリティースタディーの上では一応フィージビリティーがあるけれどもさらに追加して調査をすべしという対象になっております。
#47
○新盛委員 時間が来ましたので最後に、水産庁は、水深だとか魚の種類、あるいは取り上げているここは漁業の宝庫なんでして、これらの問題から来ると、影響調査をやられなければならぬし、汚染とかあるいは安全性、こういうことについて、開発と水産振興、こうした面でどういうふうにしなければならないか、一言で集約してみてください。
#48
○松浦(昭)政府委員 この馬毛島の周辺の海域でございますが、島の西側は急速に海底に落ち込んでおりますけれども、東側は種子島に向かいまして比較的なだらかな海底でございまして、非常にいい漁場であるということは先生御指摘のとおりでございます。トビウオ、ブリ、ソウダガツオ等を中心にいたしまして、八百六トンの漁獲がございますし、また水揚げ高も昭和五十五年で七億九百万円というふうに聞いております。
 このようなわが国周辺の海域におきますところの沿岸漁場として非常に有効な漁場につきましては、大規模な開発行為がありました場合に、埋め立て等によりまして漁場の喪失がある、あるいは漁業環境がよくなくなるというようなおそれがある場合には、われわれ、原則を持っておりまして、一つは、漁場環境に及ぼす影響が十分に調査されるということ、それから漁業に対する影響が最小限になるということ、それから関係漁業者の理解と納得が得られた状態であるということが基本でございます。
 このような考え方から、個別の開発計画につきまして事前に協議がありました場合には、水産庁はこのような考え方に立ちまして、計画案及び環境影響評価書等につきまして検討を行いまして、各審議会の場を通じまして関係省庁と調整しているという状況でございます。
 今回の馬毛島につきましても、石油備蓄某地計画に関して、ただいま申し上げましたような考え方に即しまして、必要に応じ、関係行政機関と十分に調整を行いまして、水産サイドの発言は十分にしていくというつもりでございます。
#49
○新盛委員 終わります。
#50
○加藤(紘)委員長代理 次に、竹内猛君。
#51
○竹内(猛)委員 私は、霞ケ浦用水をめぐる諸問題に関して質問をいたします。
 まず、霞ケ浦の用水事業というものは、現在どの程度まで進んでいるのかという進捗状況について報告をしていただきたい。
#52
○森実政府委員 御案内のように、霞ケ浦の用水事業は、約二万二千ヘクタールの農地を対象としまして、農業用水の安定供給を図ると同時に、都市用水の供給を行う事業でございます。これにつきましては、都市用水との共用にかかわる幹線水路の約五十一キロにつきましては、五十四年度から水資源開発公団の事業として実施し、また当該地域に農業用水を配水します延長約二百キロメートルの幹線水路については、五十五年から国営灌漑排水事業として事業を始めているところでございます。五十六年までの事業の進捗状況につきましては、公団営、国営合わせまして現在約七%ということでございます。
#53
○竹内(猛)委員 現在三年目に入って七%、この進捗でいって最終年度までに完了する自信がありますか。
#54
○森実政府委員 内容的に申しますと、公団営の事業が一一・七%でございます。国営灌排はいわば配水のための、水を配るための水路でございますので、まだ一・二%ということでございます。公団営事業は六十一年度、国営灌漑排水事業は六十六年度という一応の工期を予定したわけでございます。これは予算の制約等もありましてなかなかつらい状況でございますが、極力事業の促進を図ってまいりたいと思います。
 いまの予定どおりいけるかどうかについては、私どもはいかしたいと思っておりますが、断言できるというふうな状況でもございませんので、努力を続けるということで御堪忍願いたいと思います。
#55
○竹内(猛)委員 そこで、水資源公団の仕事、国営事業、県営事業それから団体営と、これらを経て農家が受益者として受益をされるわけですが、その農家の最終負担はどれほどに見積もられているのか。
#56
○森実政府委員 現在、実施しております国営と公団営の負担というのは、農家の負担は十アール当たり九万九千円程度、年償還額は一万一千円程度と見ております。御指摘の県営、団体営の末端工事を合わせますと、十アール当たり農家負担額は十八万四千円程度、その年償還額は約二万円程度と目下のところ試算しております。
#57
○竹内(猛)委員 当初、調印をするころには一万円以下だ、それがだんだん二万円ぐらいになってくるということになると、負担の方だけは確実に進むのですね。農家の方の負担増は確実に明らかにされていくけれども、これは物価が値上がりをしていきますから、最終段階ではもう少し上がると見なければならないだろうと思います。そこで問題は、営農計画ですね、受益者としての農家の営農計画はどうなりますか、何をどうつくるかということ。
#58
○森実政府委員 工期の進捗を図ることが何といっても負担の軽減に役立つことと考えておりますので、今年からは新規の採択をできるだけ、大臣の御指示もございまして抑えまして、継続地区重点ということで事業を実施しておりまして、なお努力を続けたいと思います。
 営農計画につきましては、端的に申しますとやはり畑地灌漑と水田の用水補給との二つに分かれるわけでございますが、特に、私どもとしては、野菜の大都市圏における重要産地として収益性の高い野菜作をつくるということが中心だろうと思っております。現在、計画的な生産を図っていこうとする品目としては、キュウリ、トマト、スイカ、白菜、レタス等の品目が中心になると思います。また同時に、輪作ということも考えていかなければならないと思って、その場合においては落花生、麦類等も含めていくということになるだろうと思います。
 この地域は、何と申しましても非常に東京に近い、いわば市場性の最も恵まれた地域でございますし、従来からも野菜の指定産地で、先生からもかつて御指摘がありましたが、連作等の障害も出ている地域でございまして、そういう意味においては水の補給によって営農の一段の飛躍が期待できると思っております。
#59
○竹内(猛)委員 そこで、問題になるのは、米はこれからさらに減反をしていくということになる。養豚は生産調整をする。トマトについては、せっかくトマトを進めていこうということで来たけれども、これはやはり自由化という問題で、いま具体的に日程には上っていないかもしれないけれども、しかしもうすでに相当入ってきている。それから落花生についても手がつけられようとしているのですね。それから、あと残ったものは野菜ですけれども、野菜に関しても前々から貯蔵あるいは保冷といったような装置をつくって、付加価値というものも農家が持たなければならないというようなことを提案をしてきているのですけれども、こういう問題も含めて、実際、現在の農業は自由化あるいは自由化の枠の拡大というような中で圧力を食らっているという状態が現状ですね。そういう中で、本当に農家の所得が土地改良の負担に耐えられるかどうかという問題は非常に重要な問題だと思うのですね。
 そこで、これは大臣に伺うわけですが、十二日からいよいよアメリカで交渉が始まるわけですけれども、いま山に差しかかっていると思うが、自由化の問題について、枠拡大ということも含めて反対だということを明確に言えるかどうか。前々からそういうことを言っていたけれども、この辺でさらに明らかにしてもらいたいと思う。
#60
○田澤国務大臣 農産物の輸入拡大についてはアメリカからかなり強い要請があるのでございますが、この種の問題については、すでにこの委員会でも申し上げておりますように、過般の日米貿易小委員会においてこれからのスケジュールがある程度できているわけでございまして、牛肉、柑橘については、十月の日米の適当な時期に話し合いを始めましょう、他の残存輸入制限品目等については、四月から作業部会を開いて、双方の考え方をいろいろ話し合おうじゃありませんかということにいたしておりまして、この十二、十三日に作業部会がアメリカで開かれることに相なっているわけでございます。
    〔加藤(紘)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕
その会議に臨むに当たって、私たちとしては、これまでとってまいりましたいわゆる残存輸入制限品目については、日本の農業の現状からしてこれは緩和するわけにまいらないという態度を強く主張し、またアメリカにもこの点を理解していただくように今後進めてまいりたい、かように考えております。
#61
○竹内(猛)委員 ぜひこれは枠の拡大というようなことも含めて、自由化という問題もこれ以上、前も言ったようにそのことで貿易の黒字をどうこうするということにならない。本当に、せっかく落花生をつくろう、トマトをつくろう、あるいはその土地に適したものをやろうという農家のささやかな願い、あるいは適地適作というか、それを壊してしまうようなことは、絶対にこれはやめてもらわなければ、霞ケ浦用水の目的に反するということなんですね。最近は、その地域から、これは霞ケ浦用水を含めてですが、土地改良をやっても意味がないからということで、非常にちゅうちょする農家も出てきたというぐあいに慎重な態度が見られるわけですから、ぜひこれはそういうふうにしてほしいということを、重ねて要求していきたいと思うのです。
 そこで問題は、前々から私はいつも申し上げているように、国内において長期の食糧生産計画というものがどうも立ちにくい状態にある。私は、この国会へ来てから十年目になりますけれども、四十七年のときに、初めてここで質問したときに、長期計画というものを立てたのですね、五十七年度。その長期計画がすでに何回か狂っているのですね。どうもそのときどきに狂いが来た。自由主義の社会だから狂ったってしようがないじゃないか、計画経済じゃないんだと言われればそれまでだけれども、少なくとも農政審議会の議を経て、あるいは閣議が決めたことがその都度くるくる変わるようなことでは、これは農家としてはたまったものではない。そういう点で、長期の計画と地域別、品目別の作付と単年度の生産計画とが結びつき、それに予算の裏づけをして農家の所得が保障される、こういう計画が立たなければ、これはやはり農業経営としては魅力を持ってやれないということになると思うのですね。それは大臣、そうじゃないですか。どうですか。
#62
○田澤国務大臣 御承知のように、基本的には、農業の基本姿勢は変わっていないわけでございまして、これまでも、やはり長期の展望に立って生産性の向上を図る、しかも国内で生産するものはできるだけ国内で賄うという基本、しかし国民の需要の動向だけは常に見てまいらなければいけない、そうして農業の再編成を図るということが基本でございまして、したがいまして、時代によっていろいろ食生活あるいは生活様式その他が変わってまいりますから、それに応じて、やはり国民の需要というものはある程度変化してまいりますから、それに適応した農業は常に進めてまいらなければならないと思いますけれども、日本で生産できるものは極力私たちで賄うという基本は崩さずにこれからも進んでまいりたい、こう考えますので、したがいまして、ただいま御指摘のような心配も極力排除して、日本農業は一貫した姿勢で農政は進められているのだというための正しい指針を示してまいりたい、かように考えております。
#63
○竹内(猛)委員 私は、ぜひ国内でできるものは国内で極力つくっていく、それを閣議で決定をしながら何遍も何遍も変えるということは、これは農家にとったらたまったことじゃないと思うのですね。そのために資本も投下をする、心構えをする、それが変わっていく。これではどうにもならないわけで、この点は何遍も言うようだけれどもぜひ守ってもらいたいと思うし、今度の貿易の黒字、帳じりの問題にしても、アメリカにしてもECにしてもそうですが、工業製品の輸出の黒字を農産物が賄うというようなことは、実際の話これはできるはずがない。だから、そういう点で、国策であり、国益ということが言われるけれども、食糧の安全保障という立場に立った場合には、当然国内における食糧というものは国内で自給をしていくんだという、何遍かの国会の決議もあるし、それをぜひ実行してほしい。
 そこで委員長にお願いしたいのですけれども、理事会にしばしば出しているけれども、自由化反対の決議ですね、これはぜひこの委員会でしてもらいたいと思うのですよ。どうです、委員長。
#64
○戸井田委員長代理 理事会でまたよく相談をさしていただきますから……。
#65
○竹内(猛)委員 理事会じゃもう相談しているんだから、いいタイミングにこれをして、やはり日本の国会の中でも農林水産委員会がその態度を明らかにしたと――すでに自民党の議員は署名をとって反対をやったじゃないですか、自民党が。中には反対できない人がいるかもしれないが。そういうことを聞いているけれども、ともかく多くの皆さんが賛成しているんだから、ぜひこれは自民党も賛成をして国会でこれを決議する、こういうふうにひとつお取り計らいをお願いをしたいと思うのですよ、委員長。
#66
○戸井田委員長代理 理事会でよく相談をさしていただきますから……。
#67
○竹内(猛)委員 そこで、農林省は、八〇年代の農政の展望というものをさきに発表して、昨年の十月には、食糧安全保障のためにとして、穀物の輸入がゼロであった場合、あるいは一〇%削減された場合というように、いろいろな仮定のもとに試算をされたものを公表した。続いて、今度また二〇〇〇年の食糧需給に関する予測というものを公表した。これは、どういう経過とどういう意図をもってこういうものを発表されるのか。
#68
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 御承知のように、一昨年の十月に農政審議会から「八〇年代の農政の基本方向」というものにつきまして答申を得たわけでございますが、その過程におきまして、今後の日本の農政を進める上で食糧の安全保障という問題が非常に重要ではないかと、これを農政審の答申の中にまとめるには非常にまたむずかしい問題がございましたので、農政審の答申では、この食糧の安全保障及びえさ米の問題、あるいは日本型の食生活という三つのテーマを、今後専門委員会で慎重に検討してもらいたいという内容の答申があったわけでございます。それを受けまして、昨年の十月から、農政審議会の専門委員会におきまして、このいま申し上げました三つのテーマを中心に議論をいまお願いをしておるところでございます。
 そこで、食糧の安全保障という問題を考えます上におきましては、わが国のように農産物の供給を海外に多く依存している国におきましては世界の食糧需給の見通しというものが非常に重要である、これにつきましてはFAOとかアメリカ等からもいろいろ予測がございますけれども、日本自体におきましてもみずから今後の長期の需給予測をすべきではないかということで、農林水産省で開発をしました長期の需給予測モデルというものを使用いたしまして、二〇〇〇年に至るまでの各年の主要農産物、畜産物につきましての需給動向を研究をしておる、それが先日公表いたしました需給動向でございます。これを前提にいたしまして、農政審議会におきましては、これも一つの前提を置いた予測でございますので、こういうものも頭に置きながら食糧の安全保障問題というものを今後さらに検討を深めていくということで、近近その取りまとめに入るように承知しております。
#69
○竹内(猛)委員 検討するのも結構だし、公表するのも結構だけれども、そういう重要な書類を、新聞記者の方には発表して、一体、国会議員というものは、農林水産委員はどういうふうにするのかね。新聞記者の方だけは先に発表して、新聞を見て、地方へ行って聞かれれば、そういうことを知っているかと言ったら、いやそんなことは聞いたこともない、何だ君は無視されていると。それほど無能な議員だとは思わないんだね。せっかくそういうものを出すのだったら、それはもう少し有効に使ったらどうなんだ。どうです。
#70
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 この資料自体は、先ほど申し上げましたように専門委員会での討議の資料の一つでございますので、私どもこれも部内の検討資料ということで予定していたわけでございますが、たまたまその一部が新聞に漏れたというかっこうで私どももこの話を出したわけでございますから、私ども、御要望がございましたら積極的に御説明もし、また委員会に提出したいと考えております。
#71
○竹内(猛)委員 こういう長期の計画を出すときには、それは――僕ら農業基本法には当時から賛成をしていないし、農業基本法というのはとうてい守られるものでないからやめた方がいいと思っているのだけれども、ある以上は、それに基づいてやっているわけだから、長期の計画を出す場合には必ず閣議の了承を得ることになっているのだから、そういう権威のあるものならば、新聞に公表するときには、やはりそれぞれの関係の議員ぐらいにはちゃんと出して説明をして、一緒になって討議をし一緒に努力していくということはぜひ官房としてやってもらいたい。これは要請します。
 そこでまた、問題になっている霞ケ浦用水に入ります。
 霞ケ浦用水の工事に関連をしていろいろの問題が起きつつあります。これは起こしてはいけないので、途中で処理をしなければいけないと思いますが、ともかく工事の請負の問題等について、実際この霞ケ浦用水というところには何社の企業が入っているのか、ちょっと数だけ言ってください。
#72
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど御説明申し上げましたように、国営事業と公団営事業があるわけでございます。国営事業は、入札いたしましたのはまだ一工事だけでございますので、入っているのは一社でございます。それから公団営事業は、十一の工事が入札にすでに出されて工事が行われ、あるいは完了しておりまして、九社と二共同企業体ということになっております。
#73
○竹内(猛)委員 これを見ていると、どうも基準とかその方法についてわからないところが多い。入札なり指名という問題について、別に法律とか政令とか何か決まったものがあるのですか。
#74
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 指名競争入札につきましては、業者の選定は会計法に基づきまして指名競争の参加資格を有する業者の中から指名基準に従って選定をしております。具体的には、農政局ごとに指名基準に基づいて参加者選定会議の審査を経て決定しております。
 さらに、ちょっと内容的に申し上げますと実は契約ランク、工事のランクごとに請負業者の格づけというものがございまして、この格づけをするわけでございます。大体は格づけに対応する工事のランクに応じて指名者が選ばれるわけでございますが、直近上位と直近下位の資格を有するものからは指名が可能ということになっております。
 なお、指名に当たっての勘案事項でございますが、信用度、それから工事、建築、製造、設計等の成績、それから工事経歴、専門技術者の状況、現在の手持ち契約等の状況、地理的条件、労働福祉対策の状況等を頭に置きまして選ぶわけでございますが、先ほど申し上げましたように、選定に当たっては農政局ごとに指名競争参加者選定会議という会議を設けておりまして、この会議の審査を経て決めているということでございます。
#75
○竹内(猛)委員 現在、水資源公団が筑波山の入口のトンネルの工事をしていますね。あの工事をしているのは三井建設と清水建設の合弁です。三井なんというのは、最近の新聞ではそう――大きいことはわかっているけれども、やることもまた大きいですね。だから、そういうものは公正だとか何とかということにはなかなか値しない。だから、どうしてそういうものにしたのかということについて、地元の人たちは非常に危惧をして心配をしている。これ以上のことは追及してもしようがないから言わないです。もう世間ではわかったことだから言わない。三井と清水が組んでいるわけだ。その下請をしているのが霞ケ浦用水事業、つまり、受益地から脱退した桜村に固定資産税を払っている業者である。こういうことでは、せっかく水資源公団が国営事業をやってみても、地元の住民との間の愛情とか意思の疎通は行われない。だから、これからでも遅くはないから、これは地元に固定資産税を払っている業者というものをできるだけ活用して、エネルギーを活用してもらいたいと思う。設計であるとかあるいはむずかしいことについては、確かに専門の業者が必要でしょう。ところが、単純な仕事は地元でできるのだから、その地元のエネルギーというものを活用しなければ、何のためにこういう仕事をするのかわけがわからない。負担だけは十分にさせるけれども、いろいろな企業の仕事は大手が持っていってしまうということならどうにもならない話だ。この点については、今後ぜひ注意をしてもらいたいと思います。これはできるだけ注意をしてもらいたいと思うし、われわれもこれはときどき提言をしていきたいとも思っています。特に、これからの土地改良というのは、田畑の輪換をやっていけるような土地改良だとすれば、できるだけ地元の労働力を活用する、ひとつこういうふうに願いたい、こう思っていますけれども、これについてはどうですか。
#76
○森実政府委員 水資源公団の事業自体は、実は水資源公団が発注しておりますので、私ども直接はタッチしておりません。
 ただ、土地改良事業全体について申しますと、私ども中小企業への発注比率は他の公共事業に比べて一般に高いものと思っております。たとえば、昭和五十五年度における直轄事業の中小企業への発注比率は、金額率で四割ということになっておりますし、補助事業を含めると七四%ということになっております。指名に当たってそういった配慮は今後とも十時必要なことだと思いますが、何と申しましても直轄工事等については一定の技術水準が要求される、あるいはかなり大きな工事として担保責任も問題になる、そういう意味では、技術者の配置とか工事の実績等も物を言いますので、十分な配慮は必要と思いますが、おのずから限度がある以上は、小規模な補助事業等と異なる点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#77
○竹内(猛)委員 信用があると言うけれども、たとえば、間組にしても佐藤工業にしても手抜き工事をやって問題になっている事実があるんだから。だから、大きいから確実だ、小さいからふまじめだなんという話にはならない。そういう点についてだって、われわれはちゃんと調べているんだから。瑕疵のあるものについては、大きかろうと何であろうと言うべきものは言ってちゃんと押さえていかなければ、どうにもならない話だと思うのです。
 そこで、この問題については幾つかの要請をしましたが、できるだけ請負等も公平に明るく、だれが見てもわかりやすく地元のエネルギーというものを活用する、こういうことについてはぜひ要請をしたいと思います。
 そこで、構造改善局長、土地改良の長期計画というものは年度切れになったけれども、これからはどういう土地改良をやっていきますか。つまり、十カ年計画は、金の上では、予算上から言えばかなりのパーセントまでいったと思うけれども、面積から言えば水田にしても畑にしても当初の面積の目標からいくとまだまだおくれている、こういうことでしょう。
#78
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、実は名目の事業費と申しますか、金目で計算いたしますと、五十七年までの累積は約十二兆四千億円でございまして、総額が十三兆円でございますから九五・三%の達成率ということになるわけでございます。しかし、その間すべての公共事業に共通の問題でございますが、賃金、物価の改定等がありまして、リアルベースと申しますか、あるいは発生した受益面積の比率と申しますか、そういったものから見てまいりますと、事業種目によって若干のでこぼこがございますが、おおむね四割台ということは否定できません。今後ともそういった意味では予算の確保が要請されると思っております。
 さて、御指摘の新計画の問題でございますが、現在部内で検討を続けております。農政審議会から答申のございました「八〇年代の農政の基本方向」及び閣議決定されました六十五年の長期見通し等を踏まえまして十分検討を続けていきたいと思っておりますが、やはりポイントになりますのは、混住化社会の進展なり、資源の制約のもとで農業用の水資源の確保を量的にどう確保していくか、それからもう一つは、やはり水田利用再編等を頭に置きまして汎用水田化の推進をさらにどう進めていくか、それから土地利用の集積でございますね、集団化なり機械化を図るための基盤の整備としてどういうふうな考え方でどういう手法の工事にウエートを置いていくか。さらに、今日的な状況としてはやはり農村地域の混住化、通勤兼業農家の増加等を頭に置きまして、健全な農村の地域社会建設のための環境整備をどう進めるか、こういったことが特に重要ではないかと思います。また、この場合私どもとしては今日の過密な日本社会の経済発展の中で、農業基盤整備事業が果たしておりますいわば調整的役割りというものも十分主張してまいりたいと思います。
 そういうことを頭に置きまして作業を進め、なかなか厳しい財政制約下でございますが、極力関係各省にわれわれの主張を通すように努力を続けたいと思っているわけでございます。
#79
○竹内(猛)委員 土地改良基盤整備事業は、農業を前進するための基本的な仕事ですから、これはもうぜひやっていかなくちゃならないわけです。
 そこで、また霞ケ浦に返りますが、先ほどから申し上げているように、二万二千ヘクタールという非常に広範な地域での用水事業でありますが、実際、自由化の問題で何をつくっていいかわからないというのが現状の農家の気持ちなんです。水利権だけは何とか確保しようではないかという形で調印はとったものの、それでは何をつくるんですかと言うと、これに対する答えがなかなかできない。ましてこの自由化のあらしの中では農家の危惧というものは非常に深いものがあります。そういうことですから、ぜひ県当局とも相談をして、この地域においての、先ほど野菜の問題が出たけれども、野菜にしてもこれに付加価値が与えられるように努力をしてもらいたい、こう思うのですね。そして、農家の所得が確保される。そして、かかった金が還元できる、償還できるというような方向に努力をしてもらいたいと思います。しばしばその過程で私もまたこの問題については問題を提起してまいりますが、そういうふうにしてもらいたい。
 とりあえずの問題としては、何としても、当面この貿易摩擦と言われる中から、自由化の問題あるいは枠の拡大というような問題について、これは大臣、ぜひがんばってもらいたいと思う。われわれも、これは農業を守るか壊すかという瀬戸際だから、ぜひその点について最後のお答えをいただいて、終わりたいと思います。
#80
○田澤国務大臣 残存輸入制限品目は、わが国農畜産物にとって基幹の作物であり、また地域の重要作物であり、水産振興上これまた重要な品目でございますので、そういう関係から、私たちとしては、この農産物の輸入拡大ということはこれ以上私たちは進めるわけにはいかぬ農業の現状でございますので、私たちとしては、機会あるごとにアメリカあるいはECに対して日本の農林水産業の実情を訴え、あるいはまた農産物の輸入拡大に対する努力というものも御理解していただいて、これ以上この枠の拡大はもちろん自由化にならないように努力を払ってまいりたいと考えております。
#81
○竹内(猛)委員 終わります。
#82
○戸井田委員長代理 この際、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#83
○田澤国務大臣 去る二月二十三日の本委員会における小川委員のモチ米輸入に関する質問に対する食糧庁長官の答弁について、全体として食い違い等はないと思われるものの、一部誤解を生ぜしめるようなところがあったので、今後そのようなことのないよう注意をしたところであります。
 なお、今後、答弁に際しては、一層慎重に行うようにしてまいりたい。
#84
○戸井田委員長代理 質疑を続行いたします。小川国彦君。
#85
○小川(国)委員 いま大臣から、去る二月二十三日の当委員会におきまして渡邊五郎食糧庁長官の答弁が、きわめて不誠意であり、かつまた、内容が虚偽にわたる事項がございまして、これについては、社会党の農林水産部会としても、大臣に対して、厳重に注意、処分を要求したところでありますが、それに対して、いまの大臣の答弁によりますと、一部誤解を生ずる内容があった、こういうことで、今後注意をしてまいりたいという趣旨の御答弁があったわけであります。
 この大臣の処置については一応さておきまして、長官自身は、このことについてどういう責任を感じていられますか。
#86
○渡邊(五)政府委員 先般、小川委員の御質問につきまして、私、答弁で、誤解いたしまして、十分な答弁に至らなかった点があるかと存じます。
 先ほど大臣からも申しましたように、御注意を受けまして、今後慎重に対処いたすつもりでございます。一般的には、そういうことで、私どもこれから慎重に答弁いたしたいと考えております。
#87
○小川(国)委員 私は、今後のこともありますので、この際、もう一つただしておきたいと思いますが、答弁の誤りですね、五十七米穀年度は昨年の十一月から来年の十月まででございます、こういう答弁をされているのです。こういうことでございますと、米穀年度というのは二カ年にわたるということになってしまいますので、これは本年の十月までと答えるのが適正な答弁ではないかと思いますが、この点はいかがでございますか。
#88
○渡邊(五)政府委員 私、議事録につきまして答弁を調べまして、いま御指摘の点と、もう一カ所ありまして、謹んで訂正させていただきたいと存じます。
 御指摘の五十七米穀年度というのは、昨年の十一月から来年の十月というふうに述べましたが、これは間違いでございまして、昨年の十一月から本年の十月までの誤りでございますので、この点を訂正させていただきたいと存じます。
 もう一点、輸入モチ米の緊急輸入的なものと、沖繩に係ります特別な用途に供される泡盛用の原材料というふうに私申し上げましたが、この泡盛用の原材料というのは間違いでございまして、沖繩における主食等の用途に向けられるものでございます。
 この二点につきましては、答弁に誤りがございましたので、謹んで訂正させていただきます。
#89
○小川(国)委員 私はさらに御注意を申し上げておきたいのは、私の方からこの問題点の指摘を党として皆さん方にしたのは、三月十七日、要請書という形で大臣あてに、一つは長官の答弁に対する問題、それから二番目は情報公開の立場から資料公開の点、この二点をただしたわけです。すでにこの時点で速記録の中に重大な誤りがあるということはもう御承知であれば、これについては質問者の私どもに対して答弁者の皆さんの方から、国会の議事録にこういう誤った、長官が米穀年度を間違えて答弁したり、いま言ったように用途を間違えて答弁したり、そういう個所があるなら、当然食糧庁として議事録に誤った答弁が載っていては困るので、ひとつこれを訂正させてもらいたい、国会にはそういう手続があるということを長官になるまでの役人の経験で十分御存じのはずだと私は思うのです。そういうことでするならば、これを訂正させてもらいたいということは即刻行われなければならない手続だと私は思うのですが、一週間たってこういう文書が出て、それから一週間後に回答をもらいたいということになっても、そういう手続のことすら進められてこない。そういうところに私はあなたの不遜な態度があると思うのですよ。国会軽視の態度があると思うのですよ。だから、こういう速記録、自分が答弁を誤った、初歩的と言えば初歩的かもしれない。しかし、それは私が真剣に質問していることに対して、国政の中であなたが答えることはやはり真剣に答えてもらわなければならないし、誤りがあったことについては真剣に正してもらわなければならないわけですね。そういうところを今日、この委員会で指摘されるまで放置しておくというところに、私はあなたの国会軽視の態度がありありとまだあるのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
#90
○渡邊(五)政府委員 訂正の機会が大変おくれましたことについて、おわび申し上げます。私自身として、特に国会を軽視するというようなつもりはございませんでした。手続のおくれた点については遺憾に存じております。
#91
○小川(国)委員 遺憾に存じますじゃなくて、さらに、そのことについては、あなたの方の一方的な考え方で速記録の取り消しというのはできないのですよ。私が誤って質問した場合に、取り消しを求めるときには答弁者の方の了解を得なければ取り消しができない。同様に、答弁者の方の誤りについては質問者の了解がなければできないのですよ。それを求めるお気持ちはおありになるのですか。
#92
○渡邊(五)政府委員 ただいま申し上げました訂正の二カ所につきましては、先生の御同意を得た上、所定の手続をもちまして議事録の訂正をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
#93
○小川(国)委員 そういう明らかになった点については遺憾の意を表しましたけれども、一番最初の、私が質問をしたときの長官の答弁は、モチ米の輸入についてどういう取り扱い商社が何トン取り扱われていますかということについて、これらの問題については「特別な予定はいたしておりません。」ということで答えて、それからさらに私の方が、いや、その中の一部についてはすでに一万五千トン発注があるではないか、これは商社が決まっているではないか、こういう指摘をしましたら、今度はその商社の資料は手元にない、こういう答え方なんですね。そのときに、少なくとも長官以外にここには食糧庁の業務部長もおいでになったであろうし、輸入課長も当然おいでになっていたであろうし、モチ米の問題を質問しようとしているときに、その数量の資料だけ持ってきて商社名の資料が手元にないというのはどうも合点がいかないのですよ。そのときに長官は、やはり振り返って業務部長かあるいは輸入課長か、こういう資料は持ってきていないか聞く、こういうことはお考えにならなかったですか。
#94
○渡邊(五)政府委員 ちょっと私の方から釈明させていただきますが、御質問の五万トンの件につきまして、私、御質問を五万トン全体についての商社が特定しているかというふうに理解し、これが誤解だったわけでございますが、全体は商社がいま決まっていないということで答弁したわけでございますが、中国産の一万五千トンの既契約分につきましては失念いたしておりまして、この点について十分なお答えはできなかったわけでございます。
 なお、一万五千トンについては、私もそのとき確かめたのでございますが、資料を持ち合わせていなかったというのは事実でございまして、私ども答弁の際に十分な資料を持ってこなかったことは十分反省いたしております。今後、そういうことのないように気をつけたいと思いますが、その時点といたしましては、資料の持ち合わせがなかったことについて私ども反省いたしております。
#95
○小川(国)委員 今度は資料を持ち合わせない点を反省されたのはいいのですが、それからもう一つ。
 長官が輸入の予定はないと答えて、私がもし事前の調査をしていなくてそれを知らなかったら、予定はないということで、私はその次の質問ができなかっただろうと思うのです。
 そのときに、私はもう一つ疑問になるのは、そのときにやはり業務部長や輸入課長さんがいまして、長官が間違った答弁をしたのだけれども、そのまま通ればそれで通してしまおう、そういうふうにも理解できるのですよ。その点は、長官が日ごろきちんとした部下の掌握があって、長官を助ける体制をあなたがつくっておられれば、長官、いまの答弁は間違っていますよ、一万五千トン輸入済みがありますよ、決まっている商社がこれについてはありますよということで、当然あなたの部下から答弁の補正が出てこなければならない。だけれども、それもできればほおかむりで通そうとした。これはやはりあなたの指導性の問題だというふうに私は思うのですよ。あなたがいつもすらすらと答弁して、そのまま通ってしまえばいいという形でいままでやってきた。議員の不勉強に対してごまかせるものはごまかして通そう、その場だけ通ればいいということでやってきているから、私はインチキな答弁が出たり、でたらめな答弁が出てきていると思うのです。それをあなたがやっているから、部下もそれを注意しないということになるので、それはやはりあなたの長官としての、指導者としての資質が問われる問題だというふうに思うのですよ。ですから、その点についてもっと厳しい反省が私はなければならないと思うのです。国会法で言うならば、政府委員の任命についてはいろいろ政府の規定もありますし、その政府委員の答弁が不適正であれば、国会ではかつて前例としては、そういう政府委員には国会に答弁に来なくてもいい、まじめでない政府委員は国会に答弁に来なくていいというので、ずっと国会の会期中干された政府委員がかつてあったという事例もあります。あるいはまた、大臣みずからが食糧庁長官を任命する権限を持っているわけですから、私は、いまの行政体制の中で大臣をないがしろにしていろいろな行政が勝手に行われているという事態、そういうことも考えてみますと、やはりこういう際には、大臣が任命権を持っているのですから、あなたがそうした議会に対してきわめて虚偽の答弁をしたまま押し通していこう、そういう態度で通そうということについては、大臣がそういう長官は罷免することもできるであろうし、任命しないこともできるであろうし、そういう権限を大臣は持っていると私は思うのです。大臣がそういう毅然たる態度でこれからやっていっていただかないと、行政が国会の中できちんと国政の審議に協力していくという姿勢が生まれてこないと思う。
 そういう意味で、私は、大臣が冒頭に答弁されたことはおおむね了としますけれども、しかし、今後の行政の姿勢というものについて、そういった観点から、やはりいま私が指摘しました点を今後の長官のあり方としてはやはり厳しくこれをひとつ戒めとして、全行政庁の中で、全省の中でそういった姿勢がきちっと貫かれるような、そういう厳重注意なら注意をやっていただきたいと私は思うのですが、その点いかがですか。
#96
○田澤国務大臣 予算の審議の面あるいはまた法案の審議に当たって国会に十分懇切丁寧に御説明を申し上げ、御理解をいただくことが私たちの役割りでございますので、そういう点では今後国会を十分尊重して、私たちの可能な限りの説明あるいは資料等を提供して御参考に供し、そうして速やかなる御審議をしていただくということが私たちの基本的な姿勢でございますので、今後、こういう点は襟を正して国会に臨みたい、かように考えますので、御理解をいただきたいと思うのでございます。
 先ほど食糧庁長官の答弁にもありましたように、いろいろ訂正等について時期等がおくれた点についてはおわび申し上げますが、長官としても襟を正してこの委員会に陳謝を申し上げているのでございますので、そういう点は御理解をいただきたいと思うのでございます。
#97
○小川(国)委員 次に、私は、中央競馬会の福祉財団による補助金の配分の問題について質問をいたしたいと思います。
 中央競馬会の外郭団体、この運営の問題については、かねてからいろいろな問題点を指摘してきたところでありますが、この福祉財団の補助金は、御承知のように昭和五十一年以降見ましても大変な補助金が配分されているわけです。五十一年で四百九十一件、十九億三百四十六万円から、五十二年五百十九件、十九億五千四百九十九万円、五十三年は五百三十八件、二十億二千六百七十五万円、五十六年にまいりましては、五百五十件、二十二億五千五百万円ということで、大変な福祉施設に対する補助金を配分をされているわけであります。
 ところが、五十六年の五百五十件の取り扱いの中を見ますと、馬主協会の推薦が件数で見ますと四百十一件、本部の直接扱いが百三十九件となっておりまして、この配分については厚生省の協議は行われているということで、前の予算委員会では一回行っている、こういう答弁が社会局長からございました。しかし私どもは、こうした福祉の補助金というものは、本来、厚生省が一元的に配分していくべきものであって、それを競馬会を初め自転車振興会あるいは小型自動車競走会あるいは船舶振興会、こういった特殊法人、財団法人が配分をしていくことには問題が多いということを指摘してきているわけですが、農水省の畜産局や厚生省の社会局としてはこの補助金の配分とか使途、これを適正なものというふうにお考えになっているかどうか、まずその点から伺いたい。
#98
○石川(弘)政府委員 御指摘がありましたように、最近でございますと約二十億前後のものが馬主さんの馬主協会賞という形で福祉に使われているわけでございます。競馬会自身は、御承知のように国庫納付というのを通じて畜産の振興なり社会福祉に尽くすということがあるわけでございますが、昭和四十四年以来、四十五年に初めてやるわけでございますが、そういう一般会計へお金を入れまして国の財源としてやる方法以外にこういう措置をとりましたことは、やはり社会福祉というようなものをいろいろな形で包括的に進めるためには必要ではなかったかと思っております。
 いま、どういうものに使われ、かつそれが適切かどうかという御指摘でございますが、私どものこの福祉財団から流れておりますものは、いわば建物、施設等をつくるようなものとは異なりまして、主として心身障害者の施設あるいは保育所、そういうものの備品等を中心としてやっているものでございまして、地域においてもその要請が非常に強いものと聞いております。
 配分その他につきまして、私もいろいろな形でどういう流れ方をしているかというようなことも調べております。この場合に、御承知のように馬主協会を通ずるものの比重が比較的高うございます。しかし、これもいろいろとその姿を見ますと、馬主協会を通ずるものというものが馬主さんの意向で分けられるというものでございませんで、御承知のように推薦の委員会を設けておりまして、その中で県あるいは市の福祉関係者の方々とかいろいろ福祉に関係なさる方々の意見を聴取した上でそれに基づいて推薦をしてくる、中央におきましても御承知の評議員会、これも馬主の方のほかに福祉関係者の方がほぼ半分くらい入っていらっしゃるわけですが、そういう方の御意見を聞きながら行われているということでございまして、私は現行のような姿でやっていくことについて、やはり必要ではなかろうかと思っております。
 ただ、これを金額の面で申しますと、当初発足の事態よりもかなり大きくなってまいっておりますので、これをさらに広範な形でどう有効に活用するかということについては、今後もいろいろと勉強していきたいと考えております。
#99
○金田政府委員 ただいま農林省からお答えいただいたことと若干重複はするかもしれませんが、この助成に当たりまして、私ども社会福祉の関係といたしましては、内容審査等につきまして次のようなやり方でやっているわけでございます。
 まず中央競馬社会福祉財団の助成先は、馬主協会または中央共同募金会から推薦された申請について、社会福祉の知識経験者が参加している評議員会に諮った上で理事会において決定されているわけでございます。なお、馬主協会の推薦に当たりましては、都道府県段階では都道府県の共同募金会に協議いたしますとともに、都道府県知事の意見も聞くように指導いたしております。また、中央共同募金会の推薦につきましても都道府県共同募金会及び都道府県知事の意見に基づいて行われているわけでございます。
 このように、福祉関係の部局とも十分協議をいたしておりますので、今後とも農林省ともよく相談をいたしてまいりたいと思っております。
#100
○小川(国)委員 両局長の答弁ですと、何か非常によく協議が行われているように思うのですが、私、昭和五十一年から五十五年までのこの福祉補助金の配分状況を見ますと、まさに皆さんの配分状況そのものが馬主会中心に配分をされておりまして、しかも、配分の金額を見ますとAクラス、Bクラス、Cクラスと、これは私が便宜上分けたのですけれども、まさに馬券の売り上げに合わせてこの補助金を配分しているという形が一つ見えるわけです。
 たとえば、この五十一年から五十五年までを見ますと、売り上げの大きい中山競馬場では七億二千五百万、東京競馬場は七億一千五百三十二万、京都競馬場は七億二千五百万、阪神競馬場は七億二千三百八十四万というような形で、これは競馬の売り上げの大きいところですから、これがいわばAクラス。その次に中京の競馬場が四億六千五百二十八万円で、これがそれに次ぐ。今度札幌、函館、福島、新潟、九州、こういうようなところは売り上げがCクラスということで、まさにその売り上げに合わせた配分になっているのですが、これはそのとおりでございますか。
#101
○石川(弘)政府委員 実は、これのもとになります馬主協会賞と申しますのは、御承知のように重賞レースの一、二、三等着、それから特別レースの一等のものについて馬主協会賞を設けております。したがいまして、先生御指摘のように売り上げというものとほぼバランスをするような形に近づいてまいります。
 しかし、これは必ずしも売り上げが即その地域ということではございませんで、御承知のように、比較的売り上げの大きいところ自身はまた人口集中地帯であり、そういう福祉の要請も大きいところということもございますので、結果的には比較的そういうところに大きく配られるという形になろうかと思います。
#102
○小川(国)委員 社会局長は、これをどう見ていらっしゃいますか。
#103
○金田政府委員 一つには、本財団は毎年の馬主協会からの寄附金によって賄われておりますので、そのことから財団の目的の社会福祉等の公益の増進とともに、競馬に関する社会の認識を深めることを目的としておりますことから、競馬場がある馬主協会の存する都道府県にある程度助成のウエートがかかることはやむを得ないものと考えております。
 また、第二番目といたしまして、私ども調べてみますと、馬主協会推薦にかかる十都道府県の人口は全国人口の約六割を占め、また、社会福祉施設の数にいたしましても四割強を占めておりますことからすれば、必ずしもバランスを失しているとは考えておりません。
#104
○小川(国)委員 大変苦しい答弁で、馬主協会からの寄附金あるいは重賞レースから金が出てくる、これは馬主対策でこういう予算が競馬会で組まれる。しかも、馬主協会を通してこのお金が入ってくる。どうしても馬主会の影響力というものが見逃せない状況になっております。
 ところで、それが顕著にあらわれている事例が――私はこれを克明に調査をいたしました。そうしましたところが、どうも福祉補助金の配分がきわめて不公正であるという中で、最も顕著にその事例として見られますのは九州の馬主協会、会長が田中六助氏になっているこの地区であります。福岡県について、昭和五十一年から五十五年の五年間の補助金を調べてみますと、二百七十三件、三億八千二百五十万円がこの福祉施設に補助金として配分されている。私は、これを試みに衆議院の選挙区別に分けてみましたところが、一区は十七件、四千三百二十五万、二区は六十件で六千六百八十七万、三区は十四件で三千百七十万、四区は百八十二件、二億四千六十七万ということで、福岡県に配分された福祉補助金の八割弱が衆議院四区に集中している。まさに、会長の田中六助氏の選挙区に配分されているわけです。これを他の選挙区から見ますと、三倍から八倍の金額になっているわけでありまして、件数では十三倍という数字になっているわけです。これは、この福岡四区は全国水準から見ても異常に高額であるということになってくるわけです。これはなぜかというと、やはり先ほど来お話のように、この補助金申請の六〇%が馬主協会を通じて出てくる。皆さんおっしゃるように、第一段階はそういった市町村ごとの自治体の協議会があるところもございますが、大半は馬主協会を通じて出てくる。そういうことになれば、会長が代議士であれば当然その代議士のところに陳情が多く及ぶでありましょうし、その結果がこういう不公正な福祉施設の補助金の配分になってあらわれているわけです。しかもこの配分表を福岡一区、二区、三区、四区で見ると、福岡四区を除いては大半のところが養護施設とか身障施設、老人施設が大部分でありまして、保育所は数カ所にしかすぎません。ところが、福岡四区だけは二十カ所から三十カ所近い保育所に毎年補助金が継続して出されているわけです。まさに、PTAもあり、票もあり、そういうところにこの福祉の補助金がばらまかれているわけで、こういう不公正、不均等な福祉施設補助金の配分の実態があるわけですが、これについて、それぞれ両省の担当者はどういうふうにこの実態をごらんになっておりますか。
#105
○石川(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、この助成は馬主協会を通ずるというのと、その他の地域協、その他の中央募金会を通ずるのとございますけれども、たまたまいま先生、四区とおっしゃいましたところは、中央競馬会の小倉競馬場の所在地でございます。したがいまして、この所在地におきましては、政令指定都市でございます北九州につきましては、北九州市の民生局が申請の受付をする。そこで推薦序列を付しまして推薦委員会に提出するといった形をとっております。それ以外の地域につきましては、県の共同募金会が助成の窓口を受け付けておりまして、そこから共同募金会を通じて推薦委員会に提出をしてくる。そこの推薦委員会の提出する中で、御承知のようにこの種の大物は、たとえば、自転車競技に基づく補助制度とかあるいはお年玉つき郵便はがきの寄附金だとかいろいろなものを調整しているわけでございまして、そういう調整を行って県からその共同財団の方へ上げてくるというシステムをとっております。そういうことで、確かに先生御指摘のように、小倉競馬場の所在地周辺につきまして、いま御指摘のような保育園等について他の地区よりも相当多い助成がなされているということは、これは事実でございますけれども、そういうことにつきましては、いま申しましたように北九州の民生局あるいは共同募金会、そういうものが推薦をします条件の中でそういうものが適正なものとして上げてこられている。そのことにつきましては福岡県におきましても推薦の書類をつけて上げてきておるわけでございまして、結果的に、いま御指摘のような特定の地区が非常に数が多いという事態もございますが、私どもとすればそれが恣意的に行われているものではなくて、県がそういう意見書を付して上げてきているものについて中央において判断をし、その助成をやっているというように考えております。
#106
○金田政府委員 ただいま農林省の方から御答弁があったこととおおむね同一でございますが、各地区におきましては社会福祉の関係者とも十分協議が行われ、必要性の高い社会福祉施設に助成が行われているものと考えております。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
 老人、身体障害者の施設と保育所というようなお話がございましたが、各地区におきまして福祉のニードも違いますので、全国的に見ましても、たとえば、保育所が非常に多いところ、少ないところ、まだばらばらでございまして、恐らく保育所に対する助成が多く行われている地区は保育所に対する需要が多いものと考えております。このようなばらつきは、他の福祉関係の助成団体におきましても同じようにそれぞれ地区の需要に基づいて行われておりますし、また、私ども老人施設や身障施設と保育所につきまして特に分け隔てをして、質的な差異を置いているわけではございませんので、保育所が多いということはその地区に非常に需要が多いのであろうと思っております。
#107
○小川(国)委員 御両所とも適当な答弁をなすっているわけですが、きわめていいかげんな答弁だというふうに思うのです。馬主会会長のおられる福岡四区では三十三カ所の保育所に補助金が出ているのです。光沢寺保育園百四十一万、これ五十一年ですが、それから三郎丸保育園九十九万、神岳保育園四十五万、あおば乳児保育園百十三万、それから大きいところになりますと貴船保育園二百万というようなお金が出て、田中六助氏の選挙区の四区には三十三カ所の保育所にこういった百万から二百万を超える補助金が出て、いろいろな冷房設備やら人工芝の施設やらピアノやら井戸のボーリング工事やらいろいろな形で、しかもこれは五十一年以降毎年この保育所に出ているのです。ところが、福岡三区の方へ参りますと、保育所、保育園にはゼロでございます。五十一年以降五十二、五十三、五十四と私全部調べ上げたのですが、この五年間ともゼロなんです。これは一体どういうことかというのです。福岡三区には大牟田市とか筑後市とか久留米市とか大きな市がございます。こういうところには保育所、保育園はゼロなんでございましょうか。福岡三区というところには保育所、保育園はゼロなんでございましょうか。この五年間にもわたって一カ所も補助金の交付の事例がないのです。それで四区の方は単年度で見ても三十三カ所、五年間繰り返しそこに出ているという異常な状況があるわけですね。福祉行政としてこういうことがあり得るのでございましょうか。
#108
○金田政府委員 この協会の助成は、各地区における保育所なりあるいは身障なり老人なりの施設の需要を考慮して関係者が集まって決定されるわけでございますので、私ども個々に詳しく調べているわけではございません。そういったことでございますので、私どもとしては適正に配分が行われたものと考えているわけでございます。
#109
○小川(国)委員 畜産局長はどういうふうに思われますか。
#110
○石川(弘)政府委員 私も内容的によく調べておりませんが、御承知のように、福岡は小倉の方が中央競馬でございます。先生いま御指摘のような久留米の方へ行きますと競輪をたしかやっているかと思いますが、そういう地域、地域で、いろいろとこういうことをやります、いわば助成主体も地域によって違っているのではなかろうかと思っております。これは調べておりませんのでよく調べてみようと思っておりますが、どうも中央競馬の場合は、中央競馬が行われている地域についてこの助成の内容が一番よく知られていて、一般的にそういう希望が非常に多いのではないかな。いま申し上げましたように、たとえば、先生がおっしゃるような北九州市で保育施設が一連のものとしてなされるというのは、そういう助成制度を北九州市の民生局が熟知をしまして、そういうものを自分の地区内に必要に応じてどんどん整備をしたいということになりますと、そういうものはどうしても継続するのではなかろうかな。他の地区との関係はもう少し調べてみたいと思います。
#111
○小川(国)委員 よく知らないことで答弁をされていても困るのですが、厚生省の社会局長に伺いますが、いま畜産局長が言ったように、こっちは競輪で受け持っているからこっちは競馬で受け持つ、こういう仕分けをしているのでございますか。
#112
○金田政府委員 私、詳細は存じませんが、あるいはそういうこともあるのではないかと思っております。
#113
○小川(国)委員 いいかげんな答弁をされては困るのですよ。社会局長、あなたは補助金配分の責任者なんですから、福祉施設全体を掌握する立場なんで、よく知らないがという答弁は困るのですよ。しっかり知っていてもらわなければしようがない。国の予算ではこういうふうに分けています、各都道府県にこういうふうに分けています、それから競輪の開催地にはこういうふうに分けている、競馬ではこうやっている、競艇ではこうやっている、それをあなたはきちっと都道府県別に全部にらんで配分していますか。それをしっかり答えてください、いま畜産局長が言ったような配分をあなたがやっているかどうか。
#114
○金田政府委員 先ほど農林省の方からもお答えがございましたように、この競馬財団の方で助成されておられる補助金は、たとえば、施設の新設とかあるいは定員増を伴うような大幅な増改築とか、そういったものでは実はございませんで、もっと細かなニードのある、たとえば、施設の中のいろいろな備品とか、そういったものでございます。こういったものにつきましては、私どもは各県における保育所なりあるいはその他の老人施設なりの施設と希望者との間の需給関係とかについてはかなり詳細に把握いたしておりますが、個々の施設の細かな備品とか、そういったものの需要等につきましてまで全部を必ずしも把握しているわけではございません。そういうように国全体として計画的にやるものと、各地区においてそれぞれの細かな需要に応じて配分をされているものとがございますが、この競馬財団のケースは主として後者に属しているものであると考えております。
#115
○小川(国)委員 だから、掌握してないということですね。
#116
○金田政府委員 必ずしも事細かに全部を掌握いたしておりませんと申し上げたわけでございまして、全般的な傾向については私ども承知しておりますけれども、本日お尋ねの点について、いま直ちにこの場で細かく申し上げるだけの材料等を持ち合わせていないということを申し上げたわけでございます。
#117
○小川(国)委員 きわめて無責任な答弁で、あなたおっしゃるように、だからこういう施設の補助金はいいかげんだと言うんですよ。あなたはいろいろな施設をつくる、園舎をつくる、そういう補助金じゃないから厚生省は把握できないんだ。あなたが言うように電子リコピーだとか鯨形、舟形の遊具だとか井戸の工事をやったりサンルームをつくったり、カーペットをやったり、人工芝ありボイラーの取りかえあり、本当にさまざまなんですよ。そういう需要をあなた方の方でとったことは絶対ないと私は思いますよ。福岡一区、二区、三区、四区分けてそういう福祉施設に、あなた方のこういうきめ細かなリコピーから暗幕から人工芝生からピアノから何でもくれる補助金があるんだ、皆さん希望を出しなさいと言ったら、福岡一区、二区、三区、四区、九州全体から出てくると思うのですよ。私はそういう調査や希望をとったことはないと思いますよ。あったら答えてください。そういう希望をとったことはありますか。
#118
○金田政府委員 それについて事細かにとったことはもちろんございません。施設にどのような需要があるという一般的な傾向については存じております。
 ちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、そういった細かな需要についてなぜ厚生省で知らないかというお話でございましたけれども、実は、先生御承知の共同募金という制度がございます。十月から十二月にやっておりますが、たとえば、共同募金でもこういった細かい配分をいたしております。したがいまして、今回の場合も財団と共同募金の関係者とか県の関係者が集まりまして、その地区の需要に応じていろいろ検討しているわけでございます。たとえば、共同募金の配分も国は直接タッチしておりません。各県単位で関係者が集まって配分しております。したがいまして、共同募金の配分とかこの財団の配分とか全体をお互いに相談されて、財団の方ではどちらの方に配分する、そういうことを各県で自主的に決定されているわけでございます。それを全体的な立場で厚生省は見ているということでございます。
#119
○小川(国)委員 全く実態を把握してないということですよ。こういう細かい備品を買ってくれる、需要がありますかといって福岡県下の保育所に聞いたら、全部から希望が出てくると思いますよ。そうすれば、五年間に毎年三十三件とか三十五件とか保育所で補助金をもらうところがあって、片方は五年間ゼロなんということがあり得るはずがないですよ。おかしいと思いませんか。あなたに聞いてもそういう感覚が狂っている。
 じゃ今度は、こういうあなたが言ったようなことをもっと具体的に挙げてきますよ。結局、あなたの答弁は共同募金会なり馬主会に責任をかぶせて、そういうところで適正に行われていると思うということでしょう。社会局長として適正に行われているとか行われていないという答弁じゃないんですよ。そういうところでやらしているから、やっているであろうというお役人型の答弁で終わっているわけです。
 私、これ以上質疑の時間もありませんので終わりますけれども、恐らく、私は、福岡県の一区、二区、三区の人にきょうの質問の内容を発表したらみんな腹を立てて怒ると思いますよ。そんな補助金があったのか、われわれ知らなかった、馬主会の会長さんが代議士さんであれば、その選挙区はこんなに膨大な福祉の補助金予算は行くけれども、馬主会の政治家のいないところはこんなにみじめになるのか、福祉の補助金の配分もこんなにひどい格差が出るのかということが出てくる。福岡県の問題だけじゃないですよ。馬主の政治家は全国におる、そういうところには私はこういう実態があると思う。調べ上げたいと思ったけれども――もう一つ指摘しておきますけれども、あなた方の方、厚生省も農林省も仕事がでたらめで、「五十五年度施設助成金割当」、財団法人中央競馬福祉財団、これは厚生省と農水省が共管でつくった財団だというのだけれども、この一つ一つの保育園の所在地の住所が入ってない、代表者名も入ってないのですよ。恐らく皆さんの方では、これの補助金配分の都道府県別の実態表なんて持ってないと思いますよ。都道府県別に補助金分けた実態表、ありますか。それだけちょっと聞きましょう。
#120
○石川(弘)政府委員 毎年度事業を行いましたのを確認をしましたものを福祉財団の方で把握をいたしております。報告書の形で、どういう金を出し、どういう形でどういう施設をやったかというようなものを確認書を取って取りまとめて持っております。
#121
○小川(国)委員 局長もまた、さっきの食糧庁長官と同じ間違った答弁をしていいのですか。僕は福祉財団まで行ったのですよ。行ったら、それがないのです。全国の都道府県から出た申請書はあるというのですよ。しかし、馬主会の配分している福祉財団の補助金が、全国都道府県にどういうふうに配分されたかという表はつくってないのです。だから私は、何冊ももらってきた毎年度のあなた方の書類を、今度は厚生省がつくった福祉団体の全国の名簿の住所と照合しながら、一つ一つ住所を入れていっていまの福岡四区の問題なんかを導き出したのですが、あなた方の方は、補助金をやった福祉団体の住所とか代表者名が入って、それで何年度はどこにどういうふうに配分したという結果の一覧表は持ってないのですよ。ありますか。
#122
○石川(弘)政府委員 持っております。
#123
○小川(国)委員 どこに持っておりますか。
#124
○石川(弘)政府委員 現物ここにございます。
#125
○小川(国)委員 じゃ、いつおつくりになりました。
#126
○石川(弘)政府委員 各年度終了後でございます。
#127
○小川(国)委員 そういうことなら、あなたの部下の競馬監督課の人が私に虚偽を申し立てた、それから福祉財団の人も。(「時間、時間」と呼ぶ者あり)時間ですが、非常に重要なことを言っているので……。国政調査でやってきたことに、あなた方の部下がみんなうそを言ってきたことになる。私のところにこういうものを持ってきて、これはちゃんとした印刷物なんですよ。これに住所も代表者名も入ってないのです。それ以外にあなた方のつくったものがあったというなら、住所、氏名を入れたものをくださいというのは厚生省にもあなた方の方にも再三にわたって要求していますよ。そういうものを出さないというのは、それこそさっきと同じで、そういう文書をひた隠しに隠すということでしょう。われわれの国政調査の妨害をしているということでしょう。毎年度あったのですか。
#128
○石川(弘)政府委員 先生から住所と現地が合わないものがあるという御指摘がありまして、私ども資料で差し上げたはずでございます。
#129
○小川(国)委員 それは福岡県のものだけですよ。福岡県のものだけ私は克明に調べ上げるので、そこだけ住所のないものをもらいましたけれども、それも住所と代表者名入ってませんよ。少なくとも、あなた方毎年度つくってきたこういうものあるわけですよ、ちゃんとプリントになったのが。これに保育園の住所と代表者名入ってないのです。あなた方は、つくってきたのはちゃんとあったというのですか。
#130
○石川(弘)政府委員 印刷物にしたものはないようでございます、そういういまお持ちのようなものは。
#131
○小川(国)委員 私は委員長に申し上げますけれども、こういうでたらめなインチキなことをやられていては困るということなんですよ。われわれが請求した資料にはこういうわけのわからない書類を持ってきて、自分の方には――少なくとも補助金配分した福祉施設の住所と代表者名入ったものがあるなら、そのぐらい出すのが当然じゃないですか。
 私は最後に、委員長と大臣に、これはもうはっきりさしてもらいたいと思うのですよ。こういう福祉施設の補助金の配分問題、さっき言ったように馬主会の会長をやっている政治家のところへはほかの選挙区の八倍もの補助金が行っているということはおかしい。そういうことを調べるもとになる資料すらきちっと出さないようでは、審議ができないでしょうと言うのですよ。そういう意味で、資料をきちっと出すということをやってもらわないと、こういうふらちな問題が起こっていても、そういうことがまだまだ数々あると私は思うのです。私は、田中六助氏の選挙区一つ導き出すのに一カ月ぐらい大変な作業をやっているのですよ。そういういわばゆがんだ形のまま国政を残しておくことに、あなた方は一生懸命やっているのだ。そういうことを私は許せないと思うのですよ。私は、最後に大臣と委員長、こういう資料の提出の仕方についてきちんと調べ七回答してもらいたいと思うのです。
#132
○田澤国務大臣 必要な資料についてはできるだけ提出いたしたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
#133
○羽田委員長 ただいま小川君の御提起につきましては、また理事会の方で検討さしていただきます。
#134
○小川(国)委員 時間が大変超過した点をおわびしまして、質問を終わります。
#135
○羽田委員長 田名部匡省君。
#136
○田名部委員 三十分という時間を与えられておりますので、答弁の方もひとつ簡潔に要領よくお願いをいたしたいと思うのであります。わが国の漁業は、五十五年に一千百万トンの漁獲を確保して、国民への食糧はもとよりでありますが、たん白資源の安定供給に資しておるわけであります。しかし、漁業界の内容を見ますときに、その前途はまことに厳しく、非常に問題を含んでいると思うのであります。また、日米貿易摩擦がわが国の農漁民にどのような影響を与えるのか、現在、これらの方々が不安にかられておるのも事実であります。先ほどの答弁を伺っておりましても、大臣からは残存輸入品目あるいは自由化枠の拡大、これらの農畜産物については絶対相入れられない、こういうことであったわけでありますが、漁業関係もあるだろうと思うのであります。どうも、問題の大きさからいくと非常に少ないということなのでありましょうが、水産関係は一向に国会で問題にもされない、委員会等でも議論をされていない。しかし、水産関係が減ったというものの、四五%くらいは国民のたん白資源を供しているということからいたしますと、これは大変重要な問題だと思うのであります。
 そういうことを踏まえまして何点かについて御質問をさせていただきたいと思うのでありますが、最初に、日ソ漁業交渉、毎年漁業協力金が増額をされてきておる。一昨年でありますか、三十七億五千万円が四十億になった。すなわち二億五千万以上の上積みをして決定したわけでありますが、私は、価格に転嫁できるうちはこれらの問題は解決していくといたしましても、魚価に転嫁できなくなってまいりますと、この負担というものは大変重くなってくるだろう。そんなことから、たとえば、水産の年次報告をちょっと読ませていただきましたけれども、これを見てもおわかりのように、消費者は魚価が高くなると消費が減退をする、これが顕著にあらわれているわけであります。そんなことから考えて、漁獲の割り当ての問題あるいは協力金、この辺が一体どの程度がいまの業界の限度であるのか、どのようにお考えになっておるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
#137
○松浦(昭)政府委員 日ソのサケ・マスの漁業交渉でございますが、開催期日については現在まだ交渉中でございますけれども、大体十三日ごろから始まるというふうに考えざるを得なくなっているわけでございます。この交渉におきまして、ただいま先生もおっしゃいますように漁獲割り当ての問題、それから漁業水域の問題、それから操業期日の問題、こういった問題とともに恐らく漁業協力金の問題というのが取り上げられるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 交渉の見通しにつきましては、もちろん現在のところ、相手方もあるわけでございますのでここで明確にお話しをできるような状況ではございませんけれども、とにかく昨年十一月の日ソ漁業委員会におきまするところのソ連側の資源の見解等についての説明から申しまして、わが国のサケ・マス漁獲に対しましてかなり厳しい態度で出てくるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そういう事態も予想して出かけなければいけないということでございます。
 いずれにしましても、われわれとしては、わが国のサケ・マス漁業の維持安定を図るという基本方針のもとで鋭意努力を続けてまいるつもりでございますけれども、ただいまの協力金につきましては、確かに年々これがふえてきておりまして、四十億という状態になってきておるわけで、このような水準から考えますれば、その負担は限界に近づきつつあるのじゃないかという考えもいたすわけでございまして、さような点も十分念頭に入れながら交渉をいたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
#138
○田名部委員 相手方もあるわけでありますから、私どもの考えのとおりいかぬということも十分理解できるわけであります。しかし、前にもこの委員会で質問させていただいたのでありますが、前の今村長官も、コンペの水準というものは大体限度である、これ以上ふやすということはなかなかむずかしい状況にもありますし、この水準を維持できないということになりますと、クォータの水準を下げてもというふうに覚悟しないと、これはなかなか歯どめがかからないのではないかという答弁をされておったわけでありますが、これからの交渉、大変御苦労でありますけれども、気持ちを新たにして大いにがんばっていただきたい、こう思うわけであります。
 次に、二百海里設定国が九十カ国となっておるわけでありますが、これまた、入漁料を払わなければならない。この入漁料も日ソ漁業交渉の協力金のように毎年上がっているのかどうか、その辺の動向についてお知らせをいただきたいと思うのです。
#139
○松浦(昭)政府委員 二百海里の設定に伴いまして、ただいま先生もお話しのように九十カ国に上っているわけでございますが、その沿岸各国がわが国の漁業に対しまして年々入漁料を上昇させてきているということは事実でございます。現在の段階で、昭和五十六年の数字でございますが、トータルで大体八十六億ぐらいになっております。
 そこで、このような状況のもとにおきまして、わが国の入漁を認めてもらうということが必要なわけでございますが、その場合には、もちろん入漁もいたさなければならないということは当然のことでありますけれども、一方で、先ほどもおっしゃいましたように関係漁業者の経営状況を十分考えまして、入漁料の引き上げができるだけなされないようにということで実は鋭意努力をいたしてきておるところでございます。
 一例を申し上げますと、実は、入漁料の支払いの非常に多くはアメリカでございます。と申しますのは、アメリカ周辺水域で約百二十万トン近くの漁獲量を上げておりますので、何分にも非常に大きな入漁料の支払いになります。ところが、昨年の七月に米国は本年の入漁料につきまして、いわゆるブロー法に基づく方式であると申しまして、昨年のほぼ三倍に上る約百三十九億ということで大幅な値上げの通告をいたしてまいったわけでございますが、その後わが方で公聴会であるとかあるいはコメントの提出ということで鋭意努力をいたしてまいりまして、この値上げ案の引き下げ方に努力をいたしまして、結局は、最終的には当初案に比べまして相当に減額いたしました。結論としましては、約三倍の値上げになるところでございましたけれども、一・五倍程度にとどめまして六十億ぐらいということで、ようやく食いとめたというようなことで努力をいたしておるところでございます。
#140
○田名部委員 そこで、アメリカのブロー法、洋上買い付けをした上で漁獲の割り当てを認める、こういうことのようでありますけれども、日米の貿易摩擦との関連でございますが、水産関係はそのほかにどういったものが貿易摩擦の対象とされて要求されておるのか、その辺のところをひとつ……。
#141
○松浦(昭)政府委員 アメリカから要求がございます事項は二点でございまして、一つは、ただいま先生お触れになりましたいわゆるスケソウダラの洋上買い付け、これが一つでございます。それから第二点は、ニシンの輸入の問題、この二つであるというふうに承知しております。
#142
○田名部委員 ニシンの輸入問題とスケソウダラの洋上買い付けでありますけれども、これによって受ける日本の漁業界の影響というものは、どういうものが考えられますか。
#143
○松浦(昭)政府委員 まず、スケソウダラの洋上買い付けでございますが、一つは、去年のようなスケソウダラの洋上買い付けでまいりますと、価格の面からわが方が非常に不利でございまして、常に、赤字の状態で洋上買い付けをしなければならぬという問題が起こります。これが一つでございます。
 それから第二は、この洋上買い付けが余りにも多い状態になってまいりますと、アメリカ周辺水域におきますところの漁獲量というものは、資源量が一定である以上はやはり限度がございますので、その中で洋上買い付け量が多い場合には、わが国の漁船の漁獲量が縮小される。場合によっては、失業問題とか減船問題が起こりかねないということが心配されます。
 それからニシンの問題でございますが、これにつきましては主として北海道でございますが、北海道の地域におきまして、昭和五十一年で約六万トンほどの水揚げがございました。また、最近の数字でも、やはり以西の底びきを合わせまして、北海道と以西底びきと両方で二万トンぐらいの漁獲量がございますので、これらの漁業者に対して影響が出てくるというふうに考えておる次第でございます。
#144
○田名部委員 いろいろとお伺いしたいこともありますが、次に移らせていただきます。
 そこで、日本の漁業の発展を振り返ってみたときに、何と言っても燃油が安かった。それから、世界のどこの国でも魚をとることができた。そしていま一つは、魚価がだんだん上昇し、そういう中で日本の漁業というものは成り立ってきたのではないかと思うのです。ところが、ここに来まして油は、安かったものが大変に高くなった。燃油の高騰ということでもここ何年か大変な問題を抱え、これに対するいろいろな制度の金融もお考えいただいておるわけでありますけれども、しかし、なかなか石油問題、エネルギー問題は、これは将来を見通してみても、これから楽になっていくあるいは価格がうんと下がるということは考えられない。また、世界のどこの国でも魚がとれた、これも二百海里の規制によって、いまお話しのように入漁料を払わないととれない、こういう制約を受けてきておるわけであります。価格の上昇を期待しておったわけでありますけれども、これはこの年次報告にもありますように、価格が上昇すると消費がぴたりととまる。こういう中で、一体今後どうやっていかなければならぬか、これは大変大きな問題だと思うのであります。しかしながら、中でも国全体のいろいろな業界の方々が、いま省エネ問題として大変努力されておる。石炭に思い切って切りかえるとかいろいろなことをやっておるわけでありますが、この漁業界の中でもわずかに努力できるとすれば、省エネの問題だろうと思うのであります。
 そこで、この省エネ対策を一体どういうことをおやりになって、その進行状況といいますか今後の対策、こういったものを考えておられるということがありましたらお伺いをいたしたいと思います。
#145
○松浦(昭)政府委員 先生御指摘のように、わが国の漁業は、特に、高度経済成長の期間を通じまして燃油の価格が比較的低位に安定していたということから、石油消費型の漁業というものをつくり上げてまいったことは事実でございます。
 そこで、昭和四十八年の第一次石油ショックに伴う価格の高騰から、やはり漁業についても燃費を節減しなければいけないという必要性が強調されましたが、当時、ちょうど五十二年の二百海里への移行の態勢ということもございまして、魚価が上昇したということもございまして、省エネの努力が他産業に比べましてやや立ちおくれたということは言えると思います。ただ、五十二年の第二次の石油ショックの後に省エネルギーの必要性は非常に強く叫ばれまして、漁業においてもかなり燃油の消費節減の努力が行われてまいっております。
 ちなみに、数字で申し上げますと、昭和五十二年に比較いたしまして、五十五年までの間、二、三、四、五と、この四年間でございますが、大体二五%ぐらい節減はしてきております。これはもちろん漁業界自身が非常に努力をいたしまして節減いたしましたことと、水産庁といたしましても燃費の節減の指導あるいは省エネ技術の開発、普及ということに努めまして、その指導に当たってきたわけでございます。
 そこで、第二次のショックで最近の時点まで、この程度までは下がってまいってはおりますけれども、この経営の不振、危機という状況を考えてまいりますと、どうしてもこれから先さらに一段と省エネの努力をしなければいけないということは、私どももまた、業界の皆さん方もそう思っておるわけでございまして、さようなことから今後の対策をぜひ詰めてまいりたい、また強化してまいりたいというふうに考えております。
 その一例を申し上げますと、たとえば、船でございますが、省エネルギー船の建造ということを考えております。ある試算でございますけれども、マグロ漁業をとりまして、速度を一ノット落としまして、大口径のプロペラをつけ、かつ、船をやせ型の船型にするということにいたしまして、補助機関につきましても、できるだけ急速冷凍装置等を燃費節減型に変えていく、それから塩化カルシウム・ブライン凍結といった新しい方法を採用いたしまして、総合的なエネルギー対策を講じますと、計算上は五〇%の燃費の節約ができるといった計算も成り立つと言われているわけでございます。
 それからまた、船そのものではなくていわゆる機器でございますが、補助機関等の補機のエネルギーの節減ということも考えられます。一例を申し上げますとイカ釣り船、これは非常に光力を使うわけでございますが、これにつきましてもエンジン直結式の補機を使う、あるいは補機の数を減らす、いま二つつけておりますが、それを一つにしてしまうということとか、あるいはライトの電力の消費の効率をぐっと上げるというようなことをいたしますと、これも大幅にエネルギーの減になるということが言われております。
 また、そのほかに、まき網におきましては、運搬船の共同化あるいは二そうまきを一そうまきにかえていくといったような操業方式の変更によりましても、このようなエネルギーの節約ができると言われておりまして、実は、私ども水産庁の中の技術陣営をいま動員いたしまして、業界とも一体になりながらこれらの省エネ対策を考えておりまして、これを逐次普及していく。そのためには、構造改善資金等の資金を使ったり、あるいはこの次にお願いいたします税制の改正に関連のある漁特法の改正といったようなこともさせていただきまして、それによりまして一層の省エネを進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#146
○田名部委員 省エネ問題には大変熱心に取り組んでおられるということ、私も北大の水産学部の方でも承っておるわけであります。
 何といっても、漁業経営の非常に厳しい背景というものを調べてみますと、燃油の問題がどうしても出てくる。価格差の補給金をお願いしたいという業界の陳情もあったわけでありますが、水産業界だけこれを認めるということは困難だ、これは十分われわれも理解できるわけであります。しかし、この経営不振、結局は漁業者の皆さんが多くの負債を抱えている。私どもから見ると、非常に破格の資金が必要なわけです。中小企業の方々が設備投資をするといっても、そう大きな金額ではないわけであります。あるいは農業関係もそうでありますが、漁業は設備投資をするというと何億という建造資金から要るわけであります。ところが、お互いに経営内容は苦しいのでありますけれども、保証を頼まれると断れないということで、あっちこっちが保証をする。その結果、経営不振に陥って倒産をすると、それを取り巻く電気関係から何か、いろいろな人たちが一緒になって連鎖反応、倒産を起こすという、きわめてこの業界のむずかしさ、そういうものを私どもは非常に強く感じておるわけであります。
 そんなことを感じながら、今度国では負債整理資金を創設をする。こんなことで、少しでも漁民の皆さんのお役に立とうということで努力をされておるようでありますが、若干この負債整理資金についてお話を伺っておきたいと思うのであります。
 もちろんこの負債整理、漁業再編整備が重要であるということは当然のことであるわけであります。何といっても業界の皆さんが経営をよくしよう、そのためには省エネにみずからも努力しようということがないと――しかしそう言われても、独自でこれを研究し開発をするということは非常に困難なことは十分わかるわけでありまして、こういった点について、何としても水産庁のいろいろな措置を非常に期待しておるわけであります。また、そういった意味で、省エネ船についても税制上の割り増し償却を認める、そういったことが提案されておるということでありまして、これは漁民の皆さんにとっても非常にありがたい、こう思っておるだろうと私は思います。そんなことを含めましてひとつお答えをいただきたいと思います。
#147
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生おっしゃられますとおり、漁業の経営はどの部門にわたりましても非常にむずかしい状況になっておるわけでございますが、これはもとより、本格的な二百海里の到来、あるいは燃油価格の高騰、一方では魚価の低迷ということに原因があると思います。しかし、これから先の漁業を考えてまいりますと、先ほども先生御指摘になりましたが、消費者のビヘービアと申しますか態度は、価格が上昇いたしますと非常に敏感に消費に影響するという状況でございまして、これは経営を立て直し、コストを下げていくという以外にないのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
 そこで、従来のこのようなむずかしい経営問題に対する対応策は、いわば応急的な措置が多かったわけでございますけれども、しかしながら、これからはやはり基本的な構造的な対策に取り組むことが非常に重要であるというふうに考えまして、もちろん、従来の応急、緊急的な経安資金なりあるいは燃油の対策の資金は供給してまいりますけれども、そのほかに、いわゆる生産構造の再編対策というものに取り組みたいと思いまして、五十七年度予算をお願いいたしたわけでございます。これは、業界の自主努力を基本にいたしまして、計画的な減船あるいは施設の合理化といったような構造整備、再編成というものを促進するということでございまして、このために、従来からございますところの共補償資金の融資枠を拡充するとともに、共補償資金の金利の軽減等のためにございます特定漁業生産構造再編推進事業の内容を倍にいたしまして、二十億の金額を投資いただいたわけでございます。
 ところが、これらの再編整備を進めてまいります際に問題なのは、ただいま先生もいみじくも御指摘がございましたが、やはり負債でございます。そこで、この負債の整理を同時に行っていかなければ構造改善ができないという観点から、今回、三百五十億の漁業経営負債整理資金制度というものを設けたわけでございます。この負債整理資金は、減船を一層円滑化するために、共補償資金とかあるいは自己資産のみで整理し切れないほどの負債を抱えている漁業者といった方々、あるいは経営の悪化のために共補償資金による減船も期待できないという方々、こういう方々がございますので、これを対象といたしまして負債整理の資金をお貸しする。一つは減船者の方でございますが、減船はするけれどもなお別の漁業で漁業を継続するという方にお貸しする。それから残存者、共補償をしてくださいまして残っていかれる方、この方々の負債の整理をいたしまして、荷を軽くしてそこで構造改善に取り組んでいただく、この方のための負債整理資金の貸し出し。第三点としては、もうお残りにならないということでございますけれども、漁協等に対しまして非常に借金を残しておられる、これを結局債権放棄といったような形で肩がわりしていただくための漁協に対する負債整理の資金。こういう形でこの資金を貸していくということが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
 それからまた、減船はしない場合でございましても、やはり施設の合理化等によりまして生産構造の改編に取り組んでいくという業種もありましょうが、これらの業種につきましても、その円滑な実施を促進するという意味から、やはり負債の問題が大きくのしかかってきておりますので、このような方々に対しましても、私どもはこの負債整理資金を活用していただくということを考えておる次第でございます。
 それからなお、このほかに、負債整理資金と同時に、漁業信用基金協会による代位弁済あるいは連帯保証人による債務保証の弁済等につきましての負債整理ということもございますので、これにつきましては、中央漁業信用基金協会に二十四億の出資の増といったようなこともいたしまして、この代位弁済に備えるということも考えておるわけでございます。
 なお最後に、エネルギーの問題でございますが、このような漁業の再編整備を進めていく一方で、コストの低下ということのための省エネをやっていただかなければ、やはりこの生産構造の再編成というものはできないというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたような減税措置を伴う漁特法の改正だとかあるいは構造改善資金の活用といったようなことで、この省エネの推進を図っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#148
○田名部委員 時間ですから終わりますが、最後に御要望申し上げて、終わりたいと思うのであります。
 何といっても、世界の沿岸国は、畜産物の動物性たん白質の摂取というのは大変高くつくということから、いままで魚を常食していない国々も魚を食べるようになってきた、あるいはこれに非常に関心を持つようになってきた。このことを考えてまいりますと、もしだんだん日本の漁獲の量というものが狭められるとすると、どうしても輸入に依存していかなければならぬ。ということになると、ここで一つの問題は、何といっても国産品と輸入品の市場の競争というものがまた出てくる、そんなことが考えられるわけであります。私どもの漁業が維持発展されるためには、国際競争力の強化あるいは沿岸国に対する技術あるいは資金の援助、そういったものを行いながら、強力な外交を進めていくということが非常に大事だと思うのであります。そういう意味で、水産庁の果たす役割りというものは大変重要であるし、先ほどから申し上げておりますように、国民のたん白資源の半分は漁業によってとられている、このことを十分認識されて、これからも大いにがんばっていただきたい、このことを要望して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#149
○羽田委員長 この際、暫時休憩いたします。
 なお、本会議散会後直ちに再開いたします。
    午後一時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十九分開議
#150
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
#151
○吉浦委員 私は、三月二十四日に緊急質問を行いましたアカデミー・スター号の座礁事件につきまして、時間の許す限り、海上保安庁並びに水産庁、また法務省等の御見解をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
 すでに経過の概要等については各省庁とも御承知のとおりでございますが、現状の御報告をいただく前に、まず、この地域の問題点を少しばかり述べてみたいと思うわけでございますが、千葉県の千倉千田沖のこの問題は、当地域等におきまして昨年も本年もサバの漁業あるいはサンマの漁業等が大変な不漁でありました。この二年続きのこういう状態に、またもこれに追い打ちをかけるような事件が起こっているということでございます。春先の花の値段等が下落をいたしておりました上に、また、漁民は磯根漁業に対する大きな期待を持ってこの解禁を待っていたわけであります。そういうようなときの不慮の出来事としては、これは余りにも大きなショックを与えている現状をひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。特に、現在抱えておりますような第一次産業の、いわゆる水産業を初めといたします生産者の方々が体と生命を張っての生活でありまして、磯根漁業を守って漁民の生活源の磯根を絶やさない、資源を枯渇させないというふうなことで取り組んでいたやさきでもあったわけですが、ここで重油流出の問題あるいは微粉炭の処理の問題、また、現在残されております船の船首と船尾の撤去等の問題あるいは漁業補償あるいは磯根の清掃等の問題あるいは市町村の救済対策などにつきまして御質問をいたしたいと思うわけでございます。もしも今後、このままこの状態を放置するならば、地域一帯の漁民の生活は死活問題を抱える最悪の事態になろう、こう思うわけでありまして、こういう窮状をお察しの上にひとつ明確な御答弁をお願いをしたいと思うわけであります。
 先に海上保安庁にお尋ねをいたしますが、座礁までの経緯の中で不明な点がまだあるわけでございまして、前回、時間の都合等で詰められなかった点をお尋ねをいたしたいと思うわけですが、乗組員全員を離船させた時点、いわゆる三月十九日の十時の時点で当該船が房総半島沖約五十海里程度の地点にあったわけですが、その時点から、座礁するまでの千倉の千田沖のその地点までの、そのときの風速あるいは風の方向等、漂流して沿岸に座礁するのではないかというふうに予想されたわけですけれども、これを海上保安庁はどのように判断をなさっておられたのか、その点を先にお尋ねいたしたい。
#152
○藤原説明員 人命を救助いたしました時点は、十九日の夜の十時でございましたが、当時は気象条件は、十八日から発令されて、おりました海上風警報が十九日の夕刻解除されまして、巡視船による気象観測でも、十九日の正午には北北東の風が約十三メーター、波の高さが約二メーター、うねりの高さは約四メーターあったわけですが、同日の二十一時から二十二時にかけましては、北東の風が約八メーター、波の高さは約一メーター、うねりの高さは約四メーターと若干おさまった状態でございました。潮流の方向といたしましては、水路部の観測によりますと野島崎の南東七十海里付近では北北東の流れが一・五ノット程度あったということでございます。その後、翌日の二十日になりまして、午前十一時五十五分に海上強風警報、二十一日には午前八時十分に海上強風濃霧警報が発令されておりまして、気象状況は再びしけ模様となりまして、二十日の正午過ぎごろから東または南東の風が十から十三メーター、それから波の高さは二メーターから四メーター、うねりの高さは約四メーターに達しておりまして、その後は乗り上げるまでほぼ似たような気象状況であったということでございます。
#153
○吉浦委員 これは海上保安庁からいただいた当時のアカデミー・スター号の航跡図でありますが、これを見ますと十九日の三時の時点、海難が発生した時点から、同じく十九日の十時二十七分、航空機が到着した時点、同じく十九日の十二時三十分巡視船がこの場所に到達した時点、それから十九日の二十二時十八分乗組員が全員引き揚げた時点までは、これは乗組員が乗っていたわけですから、この海難、いわゆるSOSを発した時点から乗組員を引き揚げるまでの間、この地図を見ますと東京へ向かって避難をしようということでこの方向へ向かったのではないか、こういうわけであります。この二十二時十八分に乗組員を全員引き揚げた後も、漂流というものが当千倉沖に想定できないわけはないと思うのです。ですから、人を引き揚げてしまって無人の状態で漂流させるということ自体に、その付近の判断というものはどういうふうにとらえていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
#154
○藤原説明員 人命を救助いたしましたところは、十九日の二十二時十八分で、ただいま先生も御指摘がございましたようにまだ四十九マイルほど距離がございまして、その後、先ほど申しました風と潮によって結果的にあそこに流れ着いたということになるわけでございますが、この時点ではまだ五十マイルばかりございますので、そこへ、千倉海岸へのし上げるであろうという予見は当庁としてはまだ持っておりませんでした。
#155
○吉浦委員 その点が海上保安庁の掌握の仕方が私は甘いと思うのですよ。陸上の問題じゃないですから、厳しい指摘もできない面もあろうかと思いますけれども、二十一日の朝八時四十一分に座礁して乗り上げたところの状態を聞きますと、巡視船はそのときにはいなくて、ヘリコプターは舞っていたけれども、一番先に見つけた漁民の方の証言によると、全く寄りつけなかったのか、あるいはそのまま放置してあきらめるような形をとったのか、あるいはサルベージ等の契約等がうまくいかなかったのかどうか。そういう点でこの十九日の三時の時点から二十一日に座礁するまでの期間における手の下しようはなかったのかどうかですね。方向あるいは潮流等はわかります。けれども、千倉の漁民の方々にとってはなぜここへ座礁させるまでに手を打ってくれなかったのか、こういう悲痛な願い事にも似る叫びがあるわけでございますが、この点どういうふうに判断なさいますか。
#156
○藤原説明員 海上保安庁の判断が甘いのではないかという御指摘でございましたが、当庁といたしましては巡視船をそばにつけておったわけですけれども、先ほども申しましたようにまだ距離的に五十マイルほどあったということと、潮流の影響、風の影響から見てもまだ直ちにのし上げるというような形ではなかったというふうに判断したわけでございます。
 それから、ただいま乗り上げた段階で巡視船がそばにいなかったではないか、ヘリコプターはおったけれども巡視船はいなかったという御指摘でございますが、先ほども申しましたように、当日はやや、気象条件としましては海上濃霧警報が出ておりまして、陸の方からは巡視船の姿が見えなかったかとも思いますけれども、巡視船は二隻、それからサルベージ船が二隻、計四隻がすぐそばにおったわけでございます。
 それから、手の下しようがなかったかという御質問でございますけれども、十九日の九時にはサルベージ船が出航いたしておりまして、これが二十日の二十二時には現場に着いておりますし、当庁といたしましてはサルベージ船に対して曳航するように再三指示はしておったわけでございますが、先ほど申しましたような気象条件で、残念ながら成功しなかったわけでございます。サルベージ船が、たとえば手が下せないということであれば巡視船はどうかということでございますが、巡視船につきましても当庁の巡視船は、この船が総トン数で三万三千トン、載貨重量トンで申しますと五万七千トン、これが石炭を満載いたしまして、なおかつ一番から六番までホールドに水が満水、浸水して一杯であったというような大きな船につきましては、巡視船の曳航能力はございませんので、日本で最も大きいと言われておる日本サルヴェージの航洋丸に対して曳航を指示しておった、こういう現状でございます。
#157
○吉浦委員 私は、まずい点ばかり指摘をしているわけではないけれども、日本のこういう海上保安庁の対応の仕方というのは実に敏感である、非常に敏速に現地まで到着されている点については敬意を表するわけでありますけれども、その巡視船が、「そうや」で三千八百トン、「みうら」で二千トン、「するが」で千トンというふうに曳航能力のないもののようなところへ駆けつけていくだけが使命でなくて、それをどうするかという次の判断に私は誤りがあったのではないかと思うし、曳航できるような準備はできなかったのかどうかという点を指摘しておきたいわけであります。
 次に、アカデミー・スター号についてでありますが、これは船主がいらっしゃるわけでないし、当事者がいらっしゃるわけでないけれども、話を伺いますと建造して十年を経過しているようです。船の寿命というのは私はよくわかりませんが、耐久年数がもう来ているのではないかというふうな気がするわけですね。人間の年齢に直すと、当てはめるわけにはいかないでしょうが、恐らく七十歳ぐらいというふうにしか考えられない。船長のミスがあったのか、積み荷が重過ぎたのか、あるいは天候で亀裂を生じたのか、その状態というのはよくわからないままこういうSOSを発するという、当時の海は十九日のその時点ではないでいた、波も大変静かであった、こういうふうになりますと、勢い船に問題があったのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、どのようにとらえていらっしゃるのかお答えをいただきたい。
#158
○宮本説明員 お答えいたします。
 最初に、アカデミー・スター号にかかわる所有関係と申しますか用船関係、それから船が古いのではないかということについて申し上げたいと思いますけれども、アカデミー・スター号という船は、リベリアの法人でありますアカデミー・スター・シッピングという会社が所有している船でありまして、同社からジャパンラインという日本の会社が定期用船しているのであります。
 アカデミー・スター号の船齢でございますけれども、先生、十年というお話でございましたが、これは昭和四十三年に日本で建造された船でございまして、船齢は十三年でございます。ただ、古いということでございますが、確かに十三年は経過しているわけでございますけれども、同種の船舶の法定耐用年数は十五年。大体この種の船舶は十五年ないしはそれ以上通常使用されるのが普通でございまして、このくらいの船齢の船は現在相当多数あるということが実情であります。一概に古いとは言えないということでございます。
 以上、契約関係及び船齢関係を御説明申し上げました。
#159
○吉浦委員 古いだけを聞いているわけではないのですけれども、その事故につながる原因というものをどういうふうに判断しているかということを聞いているわけです。どういうふうにとらえていらっしゃいますか。
#160
○宮本説明員 お答えいたします。
 当該事故がどういう原因で発生したかということは、海上保安庁等が実態を調査して最終的に判定するところだと思いますけれども、ただいま申し上げましたとおり船舶の船齢が古いから事故に及んだのではないかということは、当該船舶の実態をよく調べなければわかりませんが、一般的に申し上げれば、船齢十三年というごとは当該型式の船については、特に、それがゆえに事故が起こったとは一概には言えない、そのように判断しております。
#161
○吉浦委員 聞いていることと答弁が全然違いますけれども、一つのことだけで時間があれですから。
 それでは、三月十九日にSOSを発して二十一日に座礁して、そして今日まで、四月三日に船体が割れるという最悪の事態を迎えました。地元漁民の方々が恐らくこうなるであろうというような、最悪の事態を迎えるのではないかということについて大変不信感があるわけであります。それは何も自分たちの要望したものを先に手を打ってくれない。だから恐らく最悪の事態になるのではないかという想定したとおりの結果になっているように私は思えてならないわけですけれども、きょう現在、船の状態がどのようになっておるのか、それが第一点。それから第二点として、積み荷及び重油の状況についてはどういうふうにとらえていらっしゃるのか。この二点を簡潔で結構ですから、まとめてお答えをいただきたい。
#162
○竹内説明員 まず第一点の御質問でございますが、船体の現状につきましては先生御指摘のとおり、四月三日の荒天で二つに折損いたしておりまして、船首部分につきましてはほぼ原形のままでございますが、船倉部分がほとんど水没して表面を波が洗っておるというような状況でございます。それから船尾部分につきましては推進器、プロペラ付近で約四メーターぐらい海底に突っ込んで埋まっているというふうな状況でございますが、その船首部、船尾部、いずれも船固めということでアンカーを打ちまして固定をしておるというような状況でございます。
 それから第二点の、流出した油、粉炭の現在の状況はどうかということでございますが、油の現状につきましては、A重油、C重油と含めまして全体で約千三百キロリッター積載しておったわけでございますけれども、このうち約七百キロリッターはすでに瀬取りをいたしまして除去いたしておりますが、残りがまだ船体中央部の二重底の中にあるタンクに入っておるのかどうか、その辺詳細調査ができておりませんのでわかりませんが、推測ではかなり大半のものは流出してしまったのではないかというふうに考えております。
 それから、その流出状況でございますが、房総半島の南岸沿いに流出いたしておりまして、現在時点の調査によりますと、アカデミー・スター号から北西に約八百メートル、南西に約五百メートル、いずれも幅約三百メートルくらい、もう一つは白浜から野島崎の沿岸沿いに約百メートルくらいの帯状の薄い油の膜が認められるという状況でございます。
 粉炭につきましては約五万五千トンを積載しておったわけでございますが、現時点では大半が船倉に残っておりませんで船外に出ております。そして、各船倉の外側に数メートルにわたって山状のかっこうで堆積しておる、こういうふうな状況でございます。
#163
○吉浦委員 四月三日の朝になって、いまの答弁にありましたように、前日の深夜から続きましたしけがおさまらないところに、午前十時ころ突然船体が割れるという最悪の事態を迎えました。現地対策本部や関係者あるいは漁民等が見守る中を、約五十人の漁民の人たちが心配をしていた中で、船尾のブリッジが揺れ始めて物すごい大音響とともに真っ二つになった。こういうことで五万三千トンの大半の微粉炭が海底に流出をしている、真っ黒い潮が流れ出しているという、微粉炭のこういう状態は全く日本では初めてではないか、こう思うわけでありますが、そういう点で微粉炭とその後の燃油等が流出している範囲、どういうふうにとらえていらっしゃるのか、この点をまず先にお尋ねをいたしておきます。
#164
○竹内説明員 お答え申し上げます。
 現在、拡散といいますか分散している状況はどうかということでございますか。――現在、油につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、粉炭につきましては、船首部分にごく一部が残っておる状態で、その他はそれぞれの船倉の下に堆積しておるという状況で、ざらに航空機からの調査によりますと、微粉炭の粒子の細かいものにつきまして、沿岸沿いに海底の土砂とまざった状態でたまっておるというような状況のようでございますが、御存じのとおりのような荒天でございましてなかなか詳細な調査ができておりませんので、厳密にはまだ十分把握いたしておりません。
#165
○吉浦委員 現時点の調査がなかなかできていないということで、地元民の方々の焦りがあるわけであります。
 水産庁にお尋ねいたしますけれども、微粉炭の流出したのはわかるし、また海底に堆積しているのもわかりますが、その範囲と影響というものをどういうふうにとらえておられますか。特に、粉炭が水産動植物に及ぼす影響というものがこれから問題になるわけでありまして、水産庁はこういうものをどういうふうに、判明している時点で結構でございます、お答えをいただきたい。
#166
○松浦(昭)政府委員 今回の事故によりまして、千倉町を中心にしまして数回にわたり重油が漂着し、アワビ、サザエあるいはイセエビ、ヒジキというような磯の資源に非常に影響を及ぼしているわけでございまして、販売不能あるいは商品価値の低下といったような漁業被害が起こっているわけでございます。これに加えまして、ただいま粉炭の問題がまた生じたということでございます。
 まず重油でございますが、重油の付着が沿岸の魚介類に及ぼす影響でございますけれども、その程度あるいは後遺症につきましては、他の地域に起こった事故による経験によりますと、大体油臭は二、三カ月後にはほとんど消滅したというのがいままでの経験でございますし、また潮間帯生物のその後の発生につきましても、大体一年後の調査ではほとんど油濁の影響が認められないというのがいままでの経験でございます。この地域は特に波の荒いところでございますので、さような意味では長期間影響が残るということは比較的少ないのではないかというふうに判断しております。
 次に、微粉炭でございますが、先ほど先生御指摘のように、この種事件は実は日本で初めてでございまして、私どもも過去の経験が余りないというのが実態でございます。確たることは申し上げられませんけれども、貝類の生息場所、こういったものが喪失するというようなこととか、あるいは石炭を摂取することによります商品価値の低下、あるいは動植物の生殖、繁殖に及ぼす影響といったようなことが考えられます。
 何分にも初めてのことでございまして知見がございませんので、千葉県の方で対策本部を設置してその影響の調査をするということでございますが、水産庁といたしましても積極的にこれに御協力したいということで、実は東海区の水研の研究者を動員いたしまして千葉県とともにこの調査を早急に実施するということで、すでに調査の体制に入っておるという状況でございます。
#167
○吉浦委員 防除作業についてお尋ねをいたしますが、海上保安庁あるいは海上災害防止センター、漁民の方々等が中心になってこの防除作業を行ったわけですけれども、その現状と効果はどうなっているかをまず第一点お尋ねをして、これにかかった費用というのは、かなりの費用がかかっておりますけれども、だれが負担するのか、この二点だけお答えをいただきたいと思います。
#168
○竹内説明員 お答え申し上げます。
 防除作業の現況でございますが、油につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、約手三百キロリットルのうち約七百キロリットルを回収した、それから微粉炭につきましては船倉にあるものから着手したわけでございますが、現在までに約三百五十立米というのを回収いたしましたが、船舶が波に洗われて非常に揺れている状況の中でやりましたものですから、いずれにしましても約五万五千トンという総量の中では非常に微々たるものでございます。なお、船外に流出しました微粉炭につきましては、現在スタンバイいたしておりまして、天候が回復すれば直ちに回収作業に入るべく準備をいたしておるところでございます。
 それから、防除等にかかった経費をどうするのかという御質問でございますが、海上汚染及び海上災害の防止に関する法律第四十一条第一項に規定がございまして、防除費用は船舶所有者が負担するということになっておりますので、当庁といたしましてはアカデミー・スター号の船舶所有者に請求することになります。
#169
○吉浦委員 防除作業の中で、最初はかたくなに漁民の方々に受け入れてもらえなかった中和剤の使用でありますけれども、これは地元漁民の意思を十分聞いて行われたのかどうか。これはもちろん、聞かれたから行うようになったとは私は思いますけれども、その微粉炭の帯が五十メートルから二百メートルにわたって二キロというふうに南の方に延びて、先端は約八キロ先の野島崎沖に至っていて中和剤をまかざるを得ないということで二千リットルにわたる散布をされているわけですけれども、中和剤の使用というものは地域の方々の十分な御理解をいただかなければ、二次被害が起こった場合にこの使用について十分な責任をとらなければならない問題が起こってくると思うわけであります。こういう点についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたい。
#170
○竹内説明員 先生御指摘になりましたように、地元の了解を十分得ないでは私どもとしてもやる体制にはなっておりませんで、本件につきましても関係漁協に通報いたしまして、十分御了解をいただいた区域から順次油の処理剤を使用してまいっております。これにつきましては、私ども十分了解を得たというふうに理解をいたしております。
 なお、先生御心配のように中和剤が後で一体どうなるかということでございますが、これにつきましても油処理剤の毒性についての基準がございまして、油処理剤により処理された油が微粒子となって海中に分散し海底に沈降することのないもの、こういう基準がございまして、これに合致するものを使用いたしておりますので、海底に沈滞することがないというふうに私ども考えております。
#171
○吉浦委員 実験の結果を私はちょっと現地で見させてもらいましたけれども、その点ではかなり不安が残っているような気がしておるわけです。海底のどのくらいまで中和剤等の影響があるのかというデータをきちんと出して、安心できるように見せていただきたいと思うわけでございます。
 時間がありませんので次に進みますが、事故の責任等について私少し詰めておきたいと思うのです。
 法務省、お見えになっておりますか。――本船はパナマ船籍の船でありまして、しかも香港の会社が船主であるし、また保険等はノルウェーの保険に入っている、そしてジャパンラインが定期用船として使用しているという大変複雑な要素を持っておるわけでありまして、今回の事故の責任がどこにあるのか、いわゆる撤去や油濁防止の問題にしても、被害あるいは賠償問題にしても、責任問題がこれから非常に長く問われていくだろうと思うわけであります。また、用船契約の内容がわかっていればお伝えを願いたいし、法務省のこれに対する見解をいただきたいと思います。
#172
○吉野説明員 お答え申し上げます。
 この事故の真の原因を私ども法務省としては的確に把握しておりませんので、だれが責任を負うのかということについては確定的に申し上げかねるわけでございますけれども、いままでの御議論の中で出ました事実関係からおよそ判断をいたしますと、やはり船舶の所有者が損害賠償責任を負担するのではなかろうかというふうに考えております。
 まず、その理由でございますが、堪航能力のない船舶を海上航行に出したということで、何らかの過失が船舶の所有者に問われ得るのではないだろうか、こういうふうに考えますと、これは船舶所有者の不法行為責任が肯定されるのではなかろうかと思います。それからまた、たまたま船長等の操航ミスでこの種の事故が起こったというふうに考えますと、これは商法六百九十条の規定から明らかなように、やはり船舶所有者に損害賠償責任が生じるのではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
 それから、定期用船者たるジャパンラインが責任を負うかどうかということでございますが、実は、定期用船契約は、一般的には船主が船舶について十分な堪航性を保証して、これに船員を乗り組ませ、一定期間用船者の使用にゆだねる、こういう契約と言われておりますけれども、実は、法律関係については商法上明確な規定がございませんし、多くの場合用船契約当事者の契約内容に任せられているところが多いわけでございます。その用船契約の内容は、私ども、私人間の契約でございますので、実は入手しておりませんので明確に申し上げられないわけでございます。そして、用船契約の法律的性質につきましても実は、商法学者の間でいろいろと見解が分かれているところでございます。したがいまして、ジャパンラインが責任を負うのかどうかということにつきましてはここでお答えすることが非常に困難なわけであります。
 ただ、契約の事実関係といたしまして、もし船長、船員等の雇い入れとか解雇等の権限が用船者であるジャパンラインに全くなかった、こう仮定いたしますと、ジャパンラインは商法六百九十条の責任を負わないという解釈になろうかと思います。これは先ほど申しましたように用船契約の実体的な内容、特に、この種用船契約につきましては慣行上いろいろな特約が付加されているようでございますので、その付加された特約条項をいろいろ調べてみませんと明確な御答弁はできないわけでございます。
#173
○吉浦委員 指導というのは政府が行うわけでありますから、指導監督しなければならない立場にあるのは政府でありますから、学者の解説をしているわけじゃありませんので、最終的に私は詰めたいと思うけれども、法務省で責任の所在というものをきちっと明確にしなければ質問の意味がないわけでありまして、その点を明確にしておいていただきたいと思うわけであります。
 続いて、三日の強風によりまして船体が二つに割れてしまった船尾と船首の早期撤去について尋ねたいのですが、船骸の撤去を船主に対して強く申し入れをしているとは思いますけれども、海上保安庁はどのような要請をされたのか。現地にいらっしゃる銚子管区の保安部長ですか、最初渡邊さんがいらして、先月私は渡邊さんにお会いをしてお願いをしたが、この一日で転任になりました。中井さんという新しい方がお見えになっておられます。人事異動というものは過酷なものでありまして、こういう問題が起こって引き続いてやらなければならないところに定期異動だということでぱっとかえてしまうというのは、責任の所在を不明確にしてしまうおそれもあるぐらい地元の方々は悩んでいるわけであります。そういう点、人事ですからやむを得ないというものの、対策については手抜かりのないようにしていただきたいとお願いするわけであります。
 新しく見えました中井さんの意見を重んじて私は質問をいたすわけですが、写真がちょっと遠くて見えませんけれども、大臣、後でちょっと見ておいていただきたいのですが、船尾と船首の方と分けますと、船首の方は四百メートル沖にありまして、船尾の方は三百メートル近くまで海岸の方に流れてきているわけであります。その割れた船体が現時点では撤去可能だけれども、いま二十五度ぐらいの傾斜をしているわけですが、傾斜がだんだんもとへ戻りますと、戻ったということは下へくっついてしまうことになるわけです。斜めになっていれば、片っ方はくっついているけれども片っ方は浮いているから、ふらふらしているということになるわけです。中井さんの言をかりますと、これが固定してしまったら撤去なんか絶対できない、だから撤去するならば早目に手を打たなければだめだ、こう地元の責任者は言っているわけです。これについて、船主に対して強力な要請をなさったのか、どういう手だてをいまなさっておられるのか、簡単で結構ですからお答えいただきたい。
#174
○竹内説明員 お答え申し上げます。
 漁民の方々の御心配というのも、私ども現地で直接肌に感じておりますのでよくわかっております。それで、船体そのものにつきましては海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の第四十三条に違反することになるわけでございまして、除去することが容易である船舶については船舶所有者が除去しなければならない、こういうことになっておりますので、船舶所有者が撤去することを現在指導しているわけですが、具体的には四月六日付で、私どもの第三管区保安本部長からアカデミー・スター号の所有者あてに船体の撤去も含めた警告、要請文を出してございます。
#175
○吉浦委員 責任の範囲についてお尋ねをいたしますが、直接死滅をした動植物あるいは防除作業費用というものは、当然その原因を起こした船主等が責任を負うべきであると思いますが、来年度以降も漁獲物は減少するのではないか、こう思うのです。要するに、微粉炭がそのまま堆積をして、長官は先ほど、海底がかなり荒れているのできれいになるのじゃないか、こういうふうな自然掃除みたいなことを言っておりますけれども、漁獲が減少することは間違いないと思うのです。そういう被害の影響について、損害賠償要求というものはできると私は思いますけれども、この点はどうお考えなのかどうか。特に、これからこれだけ科学の時代ですから、地元でも私は提案をしてまいりましたけれども、海底のクリーンというものをやればできるところなんです。だから、自然に任ぜないで、そういう清掃をするような船を建造することも日本の漁業を守るために必要じゃないかというふうに思います。
 これは提案でありますけれども、そういう面も含めてこの清掃を急いでもらいたいし、また、ただ漁獲物が減少するだけではなくて、民宿とかあるいは観光という面で、もう千倉なんかというふうな言葉が出るくらいキャンセルもふえているし、どうなっているのだという不安の電話もお客様から来ております。せっかく地元へ行って、サザエやアワビが東京ではかなりの金額でしか食べられないものが原価で食べられる。しかも、空気もいいし、花も眺めることができるという自然に親しみながら、そういう舌鼓を打とうという方々がこういう影響――民宿やら旅館やらの影響も甚大なものがあると思うわけですが、そういうものを含めて損害賠償要求というものはどういうふうに考えていらっしゃるか。
#176
○松浦(昭)政府委員 先ほど御答弁申し上げました、波が荒いので比較的短期間と申しますか、それほど長期にかからないで影響がなくなっていくのじゃないかと申し上げましたのは油でございまして、粉炭まで申し上げたつもりはございませんので、その点は御了解をいただきたいと思います。
 実は、損害賠償の問題でございますけれども、本日、現地に派遣いたしました担当官及び千葉県から私の方に連絡が入りまして、本日午前十時に、漁業被害に関する補償ということで、一部見舞い金を含めまして一億八千万円ということですでに妥結したというふうに入っております。これはこのような場所で御答弁申し上げてもいいという状況になっているそうでございます。もちろん、漁民が沿岸で自主的に防除作業を行った経費、これは当然この補償の中に含まれているというふうに考えているわけでございますが、たとえば、海上災害防止センターの指示に基づきまして防除作業等に当たりました漁船等の費用はこの中には含まれていないというふうに考えております。さらに、この補償によりまして、千葉県漁連の傘下の組合員が受けた、あるいはこれから受けるであろうという被害のすべてが補償されたということになっておりまして、この補償の内容によりますと、船主、PI、用船者、乗組員、代理店あるいは日本サルヴェージに対しましては、今後補償請求は行わないという内容になっているそうであります。したがいまして、この補償の請求問題は、この分野につきましては一応妥結したという状態になったということでございます。
 なお、水産庁といたしましては、この漁業被害補償の交渉の推移を見守ってまいりまして、また指導もしてきたわけでございますが、外国船の場合非常に長く期間がかかるということから考えますと、このような早期な妥結ができたということはほっとしたというのが現状でございます。
 なお申し上げますと、漁場の回復につきましては、微粉炭の除去、これは流出した分も含めてでございますけれども、それから船骸の撤去ということは、今回の補償とは別に当然処理をしていただかなければならぬ問題でございますので、この点につきましては原因者の負担において解決するという原則は当然でございますけれども、今後とも関係省庁に対して強力な指導をお願いいたしたいというのが水産庁の立場でございます。
 なお、今後の問題でございますが、このように一応補償交渉によりまして原因者負担というものを前提にして問題の解決は図られたわけでございますが、ただいま先生もおっしゃられましたように、現地の漁業者につきましては非常にお気の毒な事件でございますので、水産庁といたしましては、さらに影響調査等の協力は十分にやっていきたいというふうに考えておりますし、さらにまた、将来におきましては沿岸漁業の振興を図るという見地から、私ども必要に応じまして今後の対応策につきましては千葉県とも十分連絡して対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#177
○吉浦委員 時間もございませんので保険関係をお尋ねいたしたかったわけでございますけれども、原因者が船主責任保険あるいはPI保険というものに入っておるというふうに思いますけれども、その内容がよくわからないまま――私も大蔵省の保険二課に尋ねましたけれども、よくわからない。保険会社あるいは保険金額等について明快な話がないわけなんです。大変不安の要素があるわけでありますが、交渉が妥結をしたからといって問題が解決したわけではございませんで、現時点では十数億も被害を受けている中で、一億八千万では解決をするわけがありません。当面この点はやむを得ず涙をのんだのじゃないか、こういうふうに私は思います。結論が出ているということじゃなくて、現時点における妥結は喜びたいと思いますけれども、そういう点を残しておきたいと思うわけでございます。
 政府の対応の中で、地元の方々の血の出るような被害に対する取り組みというものを、私は漁民の方々にかわって長官並びに大臣によく聞いていただきたいのですけれども、これは、すべての原因がこの被害を起こした原因者にあるというふうに私は思うわけです。これは、今後起こるであろう災害を未然に防いで、また、少しでも救助をしていこうという立場に立ちますと、既存の融資をされていた償還延長等も考えていただきたいのが第一点。第二点は、被害者に対する低利融資資金の融通等も図っていただきたいというふうに思うわけであります。これは新潟沖のタンカーの事故等における漁業特別資金等が四十七年三月に行われておりますし、あるいは水銀、PCB資金等が四十八年に出されておりますし、こういう点で手だてをしていただきたいというふうに思っているわけであります。
 また、漁場の復旧等についての対応がどうなのかという点でお願いをしておきたいのは、五十七年度予算の中に漁場環境維持保全対策費補助金というのがあります。また、沿岸漁場整備開発事業費補助金というのもございます。いずれにいたしましても、こういう補助金における対策でなくて、当面困っていらっしゃる方々に対する対応は、早くもとの状態に戻してもらわなければならないというのがこの願いであります。結婚もできない、家を建てたけれどもローンの返済もできない、また、保険等に入ったものの本年度全く収入のめどが立たなければこれも解約をしなければいけないということで、冒頭述べましたような死活問題になるわけでありまして、こういう対策については一億八千万で解決ができない、その生活の保障にはならない。これから各単協等において全部その金額は少しずつ分けられますと、地元で一番被害を受けておられるところの漁民の方々にどれくらい入るかということになれば、皆目見当がつかないぐらい少ない。こうなりますと、生活に追われるのは漁民の方々でありますから、政府において十分その対応ができるように、生活ができるような対策を、保険でできない、また、補償だけではできないわけでありますから――というのは、一億八千万というものは、私は現地にいるときに聞いていたわけでありまして、妥結したことは大変好ましいことでございますが、それは上の方と下の方と言うと大変語弊がございますけれども、いわゆるもぐって働くような方々の意見は大変複雑なものがございます。私どもが想像できないくらい結びつきの強いきずなを持っていらっしゃる漁業従事者の方々でありまして、それがこういう事故が起こるたびに壊れかかろう、崩れかかろうとしている状態であります。そういう面で漁民の方々を守る農林水産大臣は、こういう災害の起こるたびに泣き寝入りをしなければならないような状態を救っていただくのが大臣の立場だろうと思いますから、どうかこういう点で、補償で足りなかった点は国で何とか手だてをしてあげるというその決意のほどをお願いして、質問を終わります。
#178
○田澤国務大臣 補償の一応の妥結を見たということは喜びにたえないわけでございますが、しかし、完全に旧に戻すということはこれからの大変な作業だと思いますので、そういう点では、千葉県等を通じてさらに指導してまいりたいと思いますし、また、将来のいわゆる沿岸漁業振興のために、私たちの方としては特別に配慮しながら今後いろいろな対策を進めてまいりたい、かように考えております。
#179
○吉浦委員 よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#180
○羽田委員長 藤田スミ君。
#181
○藤田(ス)委員 最初に、チチュウカイミバエの問題についてお尋ねをいたします。
 チチュウカイミバエが八〇年の六月にカリフォルニア州で発生して以来、八一年も異常発生が続きました。ことしはどうなるだろうかという不安をみんな持っているわけです。この間政府は、本来なら植物防疫法やあるいは国際植物防疫条約から見ても輸入禁止措置をとるべきところを、アメリカの圧力に屈してと言ったら反発されるかもしれませんけれども、しかし、そういうことで寄生植物であるオレンジやレモンの輸入を続けてきているわけであります。さらに、ことしの一月の専門家会議では、寄生植物であるレモンを真冬の季節に限ってということで、四月十日まで、その輸出分は無消毒で受け入れるという合意がなされました。政府は、いま、この四月十日以降の措置のための協議ということで、古谷審議官を団長とする専門家をアメリカに派遣されて、あした、九日から専門家会議を開くということになっておりますけれども、私は、あすの会議を前にして、ぜひこれだけはということにしぼって、きょう、お尋ねをしたいと思うのです。
 一月の合意の後、各新聞社もそれから生産者団体からも、すっきりしない合意だ、あるいはまた政治的な決着ではないかという批判が出たのは、私は当然のことだと思っています。政府の方は、政治的な決着ではないんだとおっしゃいますけれども、合意結果を見るとそう言わざるを得ないと考えるわけです。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、あの一月の日米専門家会議の前に開かれましたレーガン・安倍会談で、アメリカ側は早急に解決すべき問題としてミバエ問題の善処を要請しています。それから、カリフォルニア州の農業団体が日本の製品の不買運動をやっているということも報ぜられておりますし、州議会はボイコット決議を行ったということも報ぜられております。そういうものに全く影響されることなくあの合意がなされたんだと言い切れるかどうか、まずそこからお尋ねしたいと思います。
#182
○小島政府委員 いろいろ周囲の情勢はございますけれども、私どもはそういうものに影響されたわけではございませんで、純粋に科学的見地から検討を加えまして一月の合意を取りつけた、こういうことでございます。
#183
○藤田(ス)委員 科学的見地から純粋にあの合意が行われたということなんですけれども、それではレモンですね、あのレモンはミバエが寄生しにくいとはいうものの寄生しないというものではないわけですね。これは国際的にも寄生植物ということではっきりしていると思うのです。
 それで、チチュウカイミバエの生育限界温度は十三・五度だということ、これはおたくの方からいただきました資料の「横浜植物防疫ニュース」ですか、あの中にも書かれておりますけれども、しかし八一年の一月に成虫五匹と幼虫二匹がサンタクララ郡で見つかっています。この捕虫されたサンタクララ郡というのはサンフランシスコの近くにありますので、サンフランシスコの気温を調べてみましたら、十度C以下ということなんです。つまり十三・五度よりももっと低いところでも生育可能だということをこの事実は証明していると思うのです。こういうことから考えましたら、チチュウカイミバエが現在も絶対に生存していない、そういうことは言い切れない。そしてレモンが寄生植物ということから、四月の十日まで無消毒の輸入を受け入れたというのは、科学的に安全というふうにどういうふうに説得されるのでしょうか。
#184
○小島政府委員 チチュウカイミバエの生息限界につきましてはいろいろな説がございます。アメリカ合衆国におきましても、サンフランシスコ周辺の地域においては越冬できないのではないかというふうに思った時期もあったようでございます。しかし、この種の昆虫は、わが国のミカンコミバエなどの北上の傾向から見ましても、急速に環境に対する適応性を取得する、こういう傾向がございますので、一概に温度だけで生息の可能性を云々するということは適当でない、私どももそう思っております。
 レモンについてお話が出ましたので、私どもの考え方を申し述べさせていただきますが、この一月におきまして、すでにカリフォルニアにおいては、前の年の十一月の二十日以降、ただの一匹のミバエの発見もない。レモンの生産地域であります南カリフォルニアについて申しますと、十月の下旬以降一匹の発見もない。したがって、一月の二十日時点において、約三カ月、一匹の発見もないという事実がございましたし、その事実はその後延長されまして、現在、ただいまで申しますならば、すでに五カ月半ほど一匹の発見も見られていないという事実がございます。
 それから、おっしゃいますようにレモンは、私どももミバエの寄主植物でないと思っているわけではございませんで、寄主植物であるとは思っておりますが、果物類の中ではこの虫の寄生する確率がきわめて低い果物であるということも、アメリカの実験結果などから確認をいたしております。
 それから、次いで場所の問題でございますけれども、確かに現在の検疫規制区域、これはカリフォルニア州の中で面積で申しますと一万平方キロばかりのものが検疫規制区域になっておりますが、その中にただの一匹も虫が生息していないかどうかということを断言することはできないわけでございますけれども、今回のレモンの暫定措置の対象といたしました地域は、過去において一度も発生したことのない地域であり、かつその検疫規制地域を含む郡はその対象から全域除外をいたしております。南カリフォルニアで規制区域を含んでおります郡と申しますのはロサンゼルス郡一郡でございますが、これは名前は郡と呼んでおりますが、英語で言いますとカウンティー、ロサンゼルスカウンティーの場合には、その広がりは一万平方キロほどございまして、日本の面積でいいますと、大体岐阜県の全域に相当するくらいの広がりを持っております。その中で検疫規制区域はわずか二百六十平方キロぐらいでございますから、岐阜県のたとえで申しますと、郡上八幡町ぐらいの大きさのところに虫がいる、こういうことでございますから、約四十倍のアローアンスを緩衝地域として見ておるということでございます。
 それから、チチュウカイミバエが越冬できるかどうかということと関係するのですが、昨年の発生状況から見て、また同時に、チチュウカイミバエの過去のいろいろな発生状況、生態などから見まして、仮に、生息できるにしましても規制区域の外に飛び出すという可能性は非常に薄い、比較的活動しにくい時期であるということも事実でございます。また、万が一、検疫規制区域外に飛び出す、発見されるという事態がありますれば、この措置は全面的に撤回の権利を保留する、こういうことでこの暫定措置を講じたものでございますので、必ずしも越冬の可能性なしということで判断いたしたものではございません。
#185
○藤田(ス)委員 レモンは、さっき具体的に地名を挙げられませんでしたけれども、私が聞いたところでは、カリフォルニア州のベーカーズフィールド市周辺、あの辺が一番大きな産地なのでしょう。たしかそうであったと私は聞いておりますが、違いますか。
#186
○小島政府委員 カリフォルニア州の中では、レモンの最大の産地は西海岸のベンチュラという郡であろうと思っております。
#187
○藤田(ス)委員 この間、私は、アメリカ大使館へ気温のことで問い合わせたのですが、ロサンゼルスの町に近いということで、ロサンゼルスの気温を教えてくださったのです。さっき、冬場の気温でもミバエは生息できるということでしたので、重ねて申し上げることもないかもしれませんが、一月の平均気温は、ここは大体十二・五度、それから二月は十三・一度、三月は十三・六度、四月は十四・九度ということなのです。まさに生育限界温度を超えて非常に暮らしやすい条件、気温になっているわけなのですね。だから、ロサンゼルスから見ても小さくて、そこは十一月以降捕虫されていないのだと言われても、それは決して断言できることではありませんし、レモンの産地はそこに非常に近いところにあるということから考えても、無消毒で輸入するというのは非常に危険性が高いと見ざるを得ないわけなのですが、どうなのでしょう。
#188
○小島政府委員 先ほど、私、大事なことを言い落としましたけれども、今回のレモンの暫定措置の対象になっておりますところは、規制区域を含んでおります郡の外のお話をいたしておるわけでございまして、検疫規制区域そのものにつきましてはいまでも日本向け輸出を禁止いたしておるわけでございます。
 したがいまして、御懸念のところは、規制区域の中に虫が生息可能かどうかということではなくて、これは、私どもも、その中に虫が絶対にいないということを断言するつもりはございませんけれども、その区域の外側に虫が飛び出す、新しい虫の発生場所が広がるという可能性があるかどうか、こういうことから判断をいたしておるわけでございます。したがって、ロサンゼルスの気温が非常に高い、したがって、虫の生息の可能性がないわけではない、にもかかわらず、過去五カ月以上にわたりまして一匹も出てないという事実と、それでもなおかつ、相当な安全度を見まして暫定措置を決めている、かように御理解いただきたいわけであります。
#189
○藤田(ス)委員 カリフォルニア州のスタニスラウス郡、それからロサンゼルス郡でチチュウカイミバエの撲滅宣言が行われれば、規制は昨年の八月十八日以前の状態に戻す、すなわち、残る五郡の規制だけで、あとのところは、カリフォルニア州であってもその規制は解除するということになっているわけですね、今度の合意は。
 過去二年間の発生状況を見ますと、八〇年にサンタクララ郡とロサンゼルス郡で発生しているのです。ロサンゼルス郡は八〇年の十二月十二日に一たん撲滅宣言を出しているのですね。農水省も八〇年の十月九日に、もう定着しないという最終判断をこのとき下しておられます。ところが、八一年に入りましたら、果樹生産地帯であるスタニスラウス郡を初め七郡で広がっていって、八月に撲滅宣言を出したロサンゼルス郡にも再び発生してきているというようなことがあるわけです。このことは非常に重要だと思うのですね。撲滅宣言を出しているにもかかわらずまた発生したということは、八一年にロサンゼルス郡に新しいミバエが飛んできて捕虫されたということではなく、八〇年に撲滅宣言を出してはいたけれども、実は生き残りがあったのだと考える方が常識的だと思うわけです。
 さらに、八一年の十月十二日に、ロサンゼルス郡の農業委員会の発表では、空中散布する対象地域外で繁殖性のミバエが新たに十月八日に七匹見つかったということが当時アメリカの新聞で報道されまして、危険は去っていないということで大きな問題になりました。それなのに、またまたこのロサンゼルス郡とスタニスラウス郡で五月に撲滅宣言が出れば、それで規制を解除するというのは余りにも甘過ぎる、常識外れの合意であると考えざるを得ないわけなんですが、この点はどうなんでしょうか。
#190
○小島政府委員 まず、一昨年のロサンゼルス郡におきますミバエの発見、その後の撲滅宣言、さらに再発見、これの経過を申し上げますが、昨年六月にロサンゼルス郡のバンヌイという地区の住宅地域でチチュウカイミバエが発見されましたが、その後、直ちに撲滅のための防除が実施されまして、七月十六日が最終発見でございます。その後の観察によりまして、もう全くいないということで、同年の十二月十二日付をもって撲滅宣言を出しておるわけであります。その後、昨年の八月に、同じロサンゼルス郡のボールドウィンパーク地区近辺で発見されております。これは、お話ございましたように、全く新しい侵入でございまして、米側の推定でも、サンフランシスコ周辺のものの飛び火、こう見るのが正しいのではないかと思っております。ロサンゼルス郡が一たん撲滅したと言いながら、生き残って出たということでございますれば、バンヌイ地区でもその後発見されるはずでございますけれども、その地区では発見されておりません。
 先ほども申し上げましたように、ロサンゼルス郡は日本でいいますと岐阜県ぐらいの大きさのある郡でございますし、両発見地区は地域的にも相当隔たっております。そういうことから見まして、生き残りがあったというふうに見るよりは、一たん撲滅、収束したものの新たな侵入があったというふうに見るべきものだと考えておるわけでございます。
 それから第二点の、二郡が撲滅された段階で昨年の八月十八日以前の状態に戻すということの判断でございますけれども、昨年八月までもサンフランシスコ周辺の若干の区域にミバエの発見がございましたけれどもその辺はほとんど商業的生産区域ではない、したがって、対日貿易という過程を通じまして日本にミバエが持ち込まれるというおそれはないものとして、その区域は輸入を禁止しておりますけれども、そのほかの区域については消毒その他の義務づけを行っていなかったわけでございます。ところが、昨年八月に、農業地帯でありますところのスタニスラウス郡に発生し、その後でございますけれども、ロサンゼルス郡にも飛び火をしたというふうなことで、昨年の八月の時点においてはどんどん規制区域が拡大をするおそれあり、かように判断をいたして、御承知のような消毒措置をとらしたわけでございます。
 今後、防除措置が成功いたしまして、昨年八月に飛び火をいたしました二郡の撲滅宣言が出されますれば、残りの五郡につきましてまだ撲滅宣言が出されなくても、昨年八月の状態と比較すればはるかに事態が好転しておる、つまり、上り坂の五郡と下り坂の五部という違いが出てまいるわけでございますし、二郡撲滅が成功ということは、同じような防除措置を五郡についてもやっておるわけでございますから、二郡は撲滅宣言が出されてほかの五郡はどんどん出ている、こういうふうな事態も考えにくいわけでございます。そういう意味で、八月十八日以前の状況に戻すということにいたしておるわけでございますが、残りました規制区域についての輸入禁止措置は依然として続く、かように御承知いただきたいと思います。
#191
○藤田(ス)委員 大臣に聞いていただきたいのですが、私、いまの説明ではまだ納得できないのです。前の亀岡大臣は、ここの委員会で野間議員の質問に対して、こういうふうに答えていらっしゃるのです。「日本からミカンを輸出する際に、アメリカが日本に要求してきておりますいわゆる諸条件、やはり植物防疫の見地から非常にやかましいことを日本に要求しておる。日本としても、チチュウカイミバエが入ってこないようにということで、農作物の輸出をストップすることが一番いいわけでありますが、消毒をして大丈夫という確証があればそれは特別入れましょうということにしておるわけです。」「とにかくチチュウカイミバエのいるうちは安心して輸入できないわけであります」こういうふうに言っていらっしゃるわけですね。いま安心して輸入ができるようになるのか、その二郡の撲滅宣言で果たして安心できる状態になったと言えるのか。ここのところは、私はそうは言えないと思うのです。
 なぜ私がそうは言えないというふうに言うのかというと、昨年も七月に成虫が五匹と幼虫が百四十八匹出ています。それから八月には成虫が九十六匹と幼虫が十六匹、九月は三十八匹と五匹というふうに捕獲されているわけですね。したがって、これは恐らく撲滅宣言は五月ごろに出されるだろうというふうに言われておりますけれども、そうなりますと、その後の方が統計的に見てもずっと多い季節になるわけですね。こういうようなことで、本当に亀岡大臣が安心して輸入できないわけだからと言っていらっしゃるその状態に大きな変化が来るのかというと、そうではないというふうに考えるわけですが、大臣は一体どういうふうにお考えでしょうか。
#192
○田澤国務大臣 チチュウカイミバエが侵入するということは、わが国の農業生産に大きな打撃を与えるわけでございますので、チチェウカイミバエに対する亀岡前大臣の見方、考え方は、私も同じでございます。したがいまして、このチチュウカイミバエに対する日米間の協議についても、あくまでも専門家の科学的な見地からこの問題を判断していかなければならない。ですから、今回のいわゆるレモン等の暫定措置も、これは決して政治的な配慮じゃなくして、専門家間の科学的な見地の上に立っての暫定措置でございまして、それもあくまでもやはり撲滅宣言が前提である。もしそれ、チチュウカイミバエが発見されたときには全面撤回をするという厳しい条件を背景にしていることでございますので、今後ともチチュウカイミバエが一匹たりとも入ってはならない、入らしてはならないというかたい決意のもとに、私たちはこれに対して対応してまいりたい、かように考えております。
#193
○藤田(ス)委員 大臣のおっしゃることはそのとおりだと思うのです。まさに科学的に判断してもらいたい、切にそういうふうに考えます。だけれども、そうじゃないじゃないかという批判が非常に多くあるということで、私はこういう問題を取り上げているわけなんです。
 日本農業新聞が四月六日にこのミバエ問題について記事を載せております。農林水産省筋によるとということで、「加州産レモン無消毒輸入 今後も許可へ」という見出しがついているのですね。そして、常識的に見て今後も暫定措置を続けても安全であり、許可することになろうという見解が書かれております。もう一つ、読売新聞で三月三十一日に、アメリカは出荷期を迎えるオレンジについても緩和を求めてきており、協議の焦点となろうという記事が出されております。真偽のほどをお聞かせいただきたいわけです。
#194
○小島政府委員 先ほども申し上げましたように、レモンの生産地帯におきましては、過去五カ月半ただの一匹の虫も発見されておらないという事実がございます。しかしながら、そういう発生の事実の有無だけをもって今後の扱いを判断するというのは、御指摘ございますように、私どもも十分慎重を期さなければならぬと思っておるわけでございます。そういう意味もございまして、今週初めから調査団をカリフォルニア州に出しております。現在、現地において調査中でございますので、それらの判断を踏まえまして、四月十日以後の取り扱いについては決めたいというふうに考えておるわけでございまして、新聞は恐らく過去の発生状況から見まして推測の記事を出したもの、かように私どもは考えております。
#195
○藤田(ス)委員 オレンジはどうなんです。
#196
○小島政府委員 暫定措置をただいま決めておりますのは、レモンの取り扱いだけでございます。オレンジについてどうするかという問題については目下全く白紙でございまして、現地の情勢判断その他オレンジ自体のいろいろな特質、それから出荷、輸送の状況、そういったものを総合的に判断して決めるべき問題だと思っております。現時点においては、調査チームの結果を待ちたい、かように考えております。
#197
○藤田(ス)委員 ということは、今度の専門家会議では、少なくともオレンジの問題は協議の材料というのですかね、協議されないというふうにお聞きしていいのですか。
#198
○小島政府委員 これは、日本側から切り出すというよりは、アメリカ側が議題として切り出すかどうかという問題でございますが、私どもの側は目下は白紙でございます。
#199
○藤田(ス)委員 だから、向こう側から切り出してきたら、あしたからの専門家会議で、オレンジについても協議してきて、何らかの決め方がなされるというふうに聞くのですか。そうじゃなしに、白紙とおっしゃるからには、今回の専門家会議で向こうから要請があっても、それは協議のまないたにはのらないというふうに聞いたらいいですか。
#200
○小島政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、現地の事情をまさにつぶさに調査するという目的で調査団が行っておるわけでございますから、現時点でわが方が積極的に何らかの提案をするつもりはございません。
 ただ、米側から出てきました場合にどういう対応をするかという問題は、現在、東京におります私がどうしろということを言う立場にはないわけでございまして、現地を見てよく判断した人たちの見解というものを尊重するつもりでございますけれども、現時点、そういう意味において白紙であるというふうにお答え申し上げておるわけでございます。
#201
○藤田(ス)委員 しつこいようですが、そうするといまアメリカに行っていらっしゃる代表団の方、そういう人たちが、そういうふうな相談も、そこで結論を出してくるというふうに聞いたらいいのですか。
#202
○小島政府委員 冒頭からお答えいたしておりますように、この問題は政治的ないしは行政的な判断によって私どもが指図をして決めるという問題ではございませんで、純粋に専門的、科学的見地から果たして安全であるかどうかということを十分調査もし、また協議もし、その上で決定すべき問題でございますから、ただいま東京におります私がどうこうということを指図するという立場にはないわけでございます。
#203
○藤田(ス)委員 これ以上緩和をしていけば、私は、もうミバエの侵入の危険性が拡大するというようなものじゃなしに、むしろ入ってきてくださいと手を広げたようなかっこうになるというふうに言わざるを得ないわけです。それは科学的に判断をしてということです。あたりまえのことなんですが、そのあたりまえがとてもあたりまえとして聞き取れないような経緯になっているから、申し上げているわけです。一応この五カ月間ゼロできたといっても、実際、過去の経験から見てもそういうことですから、私は、そういうオレンジまで譲歩をするということは絶対だめだし、少なくともやはりレモンについては、この四月の十日を過ぎたら、やはりしかるべき規制の対象としてきっちり消毒してきてもらうという対応をしてもらいたい。このことを申し上げておきます。
 イネゾウムシというのを大臣御存じですか。イネゾウムシというのがあるわけです。稲にくっつく虫で、これはアメリカから侵入したのです。このイネゾウムシというのが侵入してから、国と地方のかけたお金は何と十九億七千万円に達しているわけです。五十五年度だけで、イネゾウムシのために稲の被害が十五億円に上っていると推計されております。これほどむだなことはないわけですね。しかも、チチュウカイミバエというのは最悪な虫ですから、これは恐らく壊滅させてしまうだろう、日本の果物も、あるいはその他の農作物にもそういう影響が出てくるだろうということを言われているわけです。先ほども大臣御決意のほどをお聞かせいただいたわけですが、前の亀岡大臣は、一匹たりとも入れない、私の政治生命にかけても、というふうにおっしゃいました。大臣、本当に科学的にやってもらいたいのです。いまアメリカがオレンジのことを言い出したのは、冷凍消毒をやるとミカンが黒くなって腐ってしまうかもしれない、商品価値が低下するということでいまオレンジに対する規制の緩和も言い出してきているわけです。したがって、大臣にこの問題に対してもう一度最後に決意のほどを聞かせていただきたいわけです。
#204
○田澤国務大臣 亀岡前大臣が政治生命をかけるという、その心境を私は尊重して、これから十分この点について努力をしてまいりたい、かように考えます。
#205
○藤田(ス)委員 時間がありませんので、この問題はまた後日もう一度ここで取り上げていきたいと思います。
 私は、次に漁船の海難、先ほどここでもそういう海難事故の問題が取り上げられましたが、特に、海難遺児の問題について若干お伺いをしていきたい。
 船の事故は、海上保安庁が五十七年の四月に調べております、それを見ましても、五十四年、五十五年、五十六年と統計的に見て決して減っているとは言えない状態です。特に、衝突、機関の故障、乗り上げ、こういうものと合わせて、転覆とか浸水とかいうような事故が多発しております。こういう事故が起こりましたら、残された家族、特に、子供を抱えた母親の苦労というものは大変なものなんですね。きょうも、交通遺児を抱えた母親が十万円以下、九万九千円の月収で大変苦労をしているということが取り上げられておりましたが、海難遺児育英会が五十四年に調査をしましたデータを見ましても、事故当時の年齢というのは、たいてい父親、母親が三十歳から三十九歳、そういう年代のものが六二%になっているというのです。つまり子供が非常に小さいわけです。だから小学校未就学の子供が四三・九%、中には胎内というのが三・二%、それから小学校低学年が二三・一%ですから、半数以上が小学校へ行く前、小学生というような状態で取り残されてしまうわけです。そういうことで、子供を抱えたお母さんは働きに行くわけですが、この調査では、お母さんのもらっている賃金というのは平均六万八千円というのですね。交通遺児のお母さんたちの月収が九万九千円ということですから、これは五十四年の調査ですから六万八千円から比較しまして少し賃上げがあったとしても、まだこの階層よりも低いところにいるなというふうに私考えました。大臣、この海難遺児ですね、漁船で出て行って、そして沈没して残されたお母さんが、一カ月にたったの六万八千円で、小さな子供を抱えて非常に厳しい生活に耐えてがんばっているという、こういう実態に対してどういうふうな御感想をお持ちでしょうか。
#206
○松浦(昭)政府委員 海難事故というのは大変不幸なことでございまして、私どももできるだけこの海難事故は減少をさしていきたいというふうに考えておるわけでございますが、なお、昭和五十五年に千百十件、百六十一人のとうとい人命が失われているということでございまして、しかもこの事故が衝突が非常に多い。それからまた乗り上げ、機関故障といったような事故が多いわけでございまして、このような海難事故をできるだけ、将来とも運輸省とも協力いたしまして、減少させていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
 特に、ただいま藤田委員から御指摘のございましたように、海難事故は突然一家の柱が失われるわけでございまして、幸福な家庭を一挙に悲しみの底に陥れる。しかも、その場合に、父親の年齢が三十から四十代ということで、お母さん方が子供を抱えた家庭が多いということは事実でございます。そのためにお母さんが働きに出るわけでございますが、その場合にも、就業形態がきわめて不安定でございまして、ただいまおっしゃられますように漁港地帯の身近な水産加工場あるいは冷蔵会社等へ就業なさっているケースが多い。また、臨時雇い、パートというのが主でございまして、収入も非常に安く、また不安定であるということでございます。
 このようなことから、海難事故というのは大変お気の毒でございまして、私どもとしましては、できるだけこの海難事故をなくしていくことが基本的に重要でございますが、また一部、特にお子さん方の教育というのがお母さん方の非常な御苦労の種であり、また御関心の向きであるということでございますので、海難遺族の生活実態を把握いたしまして、特に、財団法人の漁船海難遺児育英会の活動によりまして、このようなお母さん方を支援していかなければならぬと考えている次第でございます。
#207
○藤田(ス)委員 この海難遺児育英会に対して、国の方は基本財産の造成費として五十五年度に三億円、その後、特別募金活動費として三年という限度を切って、五十五年から今年度まで五百二十七万四千円ずつ出しているわけなんです。私は、そのことは大変結構だと思うのです。この資金が非常に大きな精神的な支えにもなっておりますし、それから、この事業というのは国民の善意によって行われているのですけれども、しかし、国がそういうふうにして援助の手を差し伸べるということは非常に大事なことだ。この事業そのものの信用を広げるという意味でも非常に大事なんです。
 ところが、これが五十七年で打ち切りになるわけです。それは、基本財産が上回ったということを理由にしてそういうことなんですが、実際には、育英会の方も善意の拠金も累積額では確かに十八億を超えるところまで来たけれども、しかし、この残された子弟の学費を賄うにはまだまだ資金が不足しているのだ。たとえば、小学生全国平均で、文部省の調査で一万三百四円が一カ月でかかっています。これが、いまここから出されているのは四千円。中学生で一万一千四百十一円かかっているのに、育英会から出るのが四千五百円。こういう実態の中で、これをもっとふやして、そうしてお母さんたちが少しでも安心できるように援助していきたい。そのためには、継続して国からの援助を求めているわけです。
 もう時間がなくなりましたので私は話を全部まとめてしまいましたけれども、大臣、いまいろいろな理由で育英会に対する国の援助が切られようとしている。私は、その理由に筋がないとは言いませんけれども、しかし国が、たとえば、運輸省が交通遺児に対して何らかの援助を、毎年二億何千万円という援助をしているように、せめてこの海難遺児に対して農水省の方からいままでと同じような援助の継続を考えてもらえないかどうか、そのことによってこの事業の発展を大きくバックアップしてやってほしい、そのことをお訴えしたいわけなんです、大臣。
#208
○松浦(昭)政府委員 大臣がお答えになります前に、私からちょっと状況を御報告いたしたいと思うのでございます。
 漁業に従事いたしまして、海難事故等の災害によって死亡または行方不明になった方の遺児に対しまして育英事業を行うということで、昭和四十五年に財団法人の漁船海難遺児育英会というものが発足いたしました。その後、漁業関係者等からの募金によりまして、その資金を集めまして基本財産を積み立てて、その収益によってこれを賄ってまいったわけでございます。
 ところが、育英資金が年々増大するということで、運用収益にも限度がありますために、数年前は学資の給与等の内容が学校教育費にも満たないという状況になったことは事実でございます。そこで、政府としましても、同会の育英事業の充実強化を図りますために、ただいま先生おっしゃられましたように、昭和五十五年度には基本財産の造成ということで三億円の助成を行いました。その後、三年間に毎年五千万円集めることでその活動を円滑にするということで、毎年、特別募金活動費ということで五百二十七万四千円を助成したということが現実でございます。
 ところが、この活動が非常にうまくまいりまして、実は、昭和五十七年には十七億五千万円というのが目標でございましたけれども、それが実は五十六年度末ですでに十九億二千万円ということで、当初の予想をはるかに超えたような順調な募金が集まりまして、その意味で育英の内容も非常に充実できたというふうに考えているわけでございます。
 このような状況でございますので、私どもとしましては一応この助成金の目的は達したということで、五十七年に打ち切りをいたさざるを得ないということになっているわけでございますが、私どもとしましては、当然この育英会の活動というものは水産庁の非常に重要な仕事の分野だというふうに考えておりますので、今後、募金活動等につきましては、水産庁としても当然十分な支援をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#209
○田澤国務大臣 いま水産庁長官から、この募金等についての状況をお答えしたわけでございますが、確かに、漁業に携わる人は突然海難事故に遭って、そのことによって母親が子供を抱えて大変な苦労だと思うのでございますので、私たちとしても募金を通じてこの点はできるだけ御協力を申し上げたい。私も就任早々、早速この募金に参加をいたしまして御協力を申し上げておるのですから、今後も一層努力をしてまいりたい、かように考えます。
#210
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。(拍手)
#211
○羽田委員長 次回は、来る十三日火曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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