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#1
第096回国会 文教委員会 第18号
昭和五十七年八月四日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 青木 正久君
   理事 石橋 一弥君 理事 中村喜四郎君
   理事 西岡 武夫君 理事 三塚  博君
   理事 佐藤  誼君 理事 長谷川正三君
   理事 鍛冶  清君 理事 三浦  隆君
      赤城 宗徳君    臼井日出男君
      浦野 烋興君    狩野 明男君
      鴨田利太郎君    北川 石松君
      久保田円次君    高村 正彦君
      谷川 和穗君    野上  徹君
      長谷川 峻君    船田  元君
      木島喜兵衞君    嶋崎  譲君
      中西 積介君    湯山  勇君
      有島 重武君    栗田  翠君
      山原健二郎君    河野 洋平君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 小川 平二君
 出席政府委員
        文部政務次官  玉生 孝久君
        文部大臣官房長 高石 邦男君
        文部省初等中等
        教育局長    鈴木  勲君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      大崎  仁君
 委員外の出席者
        議     員 狩野 明男君
        議     員 石橋 一弥君
        衆議院法制局第
        二部長     松下 正美君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月四日
 辞任         補欠選任
  坂本三十次君     北川 石松君
  渡辺 栄一君     鴨田利太郎君
  山口 鶴男君     木島喜兵衞君
同日
 辞任         補欠選任
  鴨田利太郎君     渡辺 栄一君
  北川 石松君     坂本三十次君
  木島喜兵衞君     山口 鶴男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立又は公立の大学における外国人教員の任用
 等に関する特別措置法案(石橋一弥君外四名提
 出、衆法第一四号)
 文教行政の基本施策に関する件(教科書検定問
 題)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○青木委員長 これより会議を開きます。
 石橋一弥君外四名提出、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案を議題といたします。
 本案審査のため、去る七月二十七日、二十八日の二日間、京都府に委員を派遣いたしました。
 この際、派遣委員から報告を求めたいと存じますが、私が便宜この席から御報告申し上げます。
 派遣委員は私青木正久のほか、石橋一弥君、臼井日出男君、狩野明男君、船田元君、佐藤誼君、長谷川正三君、鍛冶清君、三浦隆君、山原健二郎君、河野洋平君であります。
 われわれは七月二十七日夕刻東京を出発し、二十八日、京都大学の京大会館におきまして、同大学における外国人教師、研究者等の受け入れの実績及び外国人教員を受け入れる大学の立場から、本案についての意見を聴取いたしました。
 以下、その概要を御報告申し上げます。
 京都大学側からの出席者は、沢田総長を初め全学部長、附置研究所長など関係者各位であります。
 まず、沢田総長より、同大学の沿革及び現状などについて総括的な説明がありました。
 その概要は、京都大学においては、教育、学術の国際交流について特に努力をしており、欧米、アジア諸国からの研究者の受け入れ状況は、昭和五十二年度九十九人、五十三年度百二十一人、五十四年度百五十四人、五十五年度百八十二人、五十六年度百九十四人と毎年増加の傾向にある。
 国際交流についても、文部省及び日本学術振興会などの教員、研究者の交流制度によるもののほか、独自に京都大学に国際交流委員会を設け海外の大学、研究機関との学術協定による交流を行い成果を得ている。
 外国人研究者の宿泊施設としては、現在十五室の近衛ホールがあるが、本年度は新たに百三十三室の規模を有する国際交流会館の開設が予定されている。
 なお、法学部においては、昭和五十七年度から、外国の学校を出た日本人子女の入学について別途受け入れの措置を講ずることとしているとのことでありました。
 次に、この外国人教員任用特別措置法案に対する意見として、沢田総長は、本来、大学とは学問の普遍性の点から見て国際化は必須なものであり、国際交流は不可欠である。この国際化の時代にあって国公立大学に外国人を正規な教員として任用することができるとする本案は時宜に適したものであると言えるであろう。また、外国人教員の任期制及び学部長等の管理職への任用の制約などについては、任期の点は大学管理機関にゆだねられている面があり弾力的に取り扱われていることでもあり、また管理職の問題についても現時点においてはこの程度の制約はやむを得ないものと考えられる。大学側としては、大学に関係の深いこの法案について意見を述べる機会を得たことは意義のあるところと受けとめているとの意見が述べられました。
 続いて、派遣委員と京都大学側出席者との間において、同大学の外国人教師、研究者の専門分野、任用期間等の状況並びにこの特別措置法案に対する大学側の意見などについて懇談の形で長時間にわたり熱心な意見の聴取が行われました。
 その主な点を上げますと、第一は、京都大学における外国人研究者受け入れの状況でありますが、これを昭和五十六年度で見ますと、国別の受け入れ状況は、アメリカ五十四名、中国三十六名、フランス十五名、西ドイツ十三名、タイ十一名、その他六十五名の計百九十四名であり、部局別の受け入れ状況は、工学部五十九名、医学部二十名、農学部十八名、理学部十六名、文学部十名、教養部十五名、東南アジア研究センター十四名、人文科学研究所八名、その他三十四名であります。これら外国人研究者の滞在期間は、二週間以上三カ月未満が八十七名、三カ月以上六カ月未満が三十七名、六カ月以上一年未満が二十四名、一年以上が四十六名となっているとのことであります。
 第二は、外国人教員の任期についてであります。外国人教員にのみ任期を設けることは、日本人教員との差別及び採用に当たって問題が生じないかという点については、一般に外国人教員には契約志向の考え方が強いこともあり、本案の規定は任期については大学管理機関の定めるところによると弾力的になっており、また、再任等も可能であると考えられるので、本案成立後の運用により解決が図られるのではないかとのことでありました。
 第三は、外国人教員の学部長等管理職への任用についての制約であります。この点については、一般的に言えば、外国人教員は、その来日の目的が研究、教育が主であり本来的に管理者を志向しないものと考えられ、また日本語の会話能力等の面から見て学長、学部長といった職についての制約はやむを得ないと考えられる。しかし、特定の学問分野における研究施設の長等については外国人教員、研究者を任用した方が研究、教育の成果が得られることも考えられるので、今後の運用に当たって弾力的な配慮が必要であろうとの意見もありました。
 第四は、本案成立後、大学側において外国人教員を正規に任用する意向があるかどうかについてであります。この点については、法案が審査中であり、教授会等の討議を行ったものではなく、確定したものではないが、各学部とも、定員などの事情が許せば受け入れる意向はあるとのことであり、学部によっては、すでに候補者のめどもあるとのことでした。
 また、法学部においては、昭和五十七年度から外国の学校出身の日本人子女を別途選考入学させていることもあり、本案が成立すればすぐにでもすぐれた外国人教員を招聘したいとのことでありました。
 なお、外国人教員の任用に当たって、できれば定員増、講座、研究部門の増設等の要望がなされたところであります。
 第五は、現行の外国人教師制度でありますが、この制度については、契約に当たっての予算上の制約、契約の期間が短い等の不利な面はあるものの、他方、給与等処遇の面が正規の教員に比較し有利であること、外国人教師、講師、研究員の定員は定員法の枠外となっていることなどメリットもあり、現行の外国人教師、客員教授、特別招聘教授などの制度は併存し、充実されたいとのことでありました。
 これらのほか、外国人教員の任用といわゆる公務員の法理の問題、外国人教員の任用に当たっての服務宣誓についての検討等について意見を聴取いたしました。
 なおまた、この法案は、外国人教員の任用の道を開くものではあるが、これは単に外国人教員をふやすというだけではなく、第一義的には日本人を含め、優秀な人材の選考範囲と視野が広がるという面でとらえるべきである。また、任期制については必要に応じ設けると弾力的にした方がよいとの意見が述べられました。
 以上が、京都大学における意見聴取の概要であります。
 最後に、今回の調査に当たり、御協方をいただきました京都大学を初め関係者の方々に深く感謝の意を表し、御報告といたす次第であります。
    ―――――――――――――
#3
○青木委員長 次に、本案に対し質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
#4
○湯山委員 本法案の質疑に入る前に文部大臣に一言御質問申し上げたいと思います。
 昨日、夕方といいますか夜といいますか、韓国政府から公式に日本に対して教科書検定問題について抗議があったということが報道されております。
 従来からの経緯もありまして、本日この問題を取り上げてお聞きしようかということも検討いたしましたが、今朝来にかけまして文部省自身がこの対応に非常に忙殺されておりまして、質問に対して対応できかねる状態にあるという状態でございますので、本件に関しての質問は金曜日にゆっくりさせていただきたいと思います。
 ただ、ここで一言申し上げたい点は、中国の抗議といい、今回の抗議といい、それらは一応、特に今度の抗議は文部省側の説明の後で行われているということ、また、中国からも文部省の説明の後で、それでは了承できないという意思表明があって、文部大臣の訪中に対してこれを受け入ればできないというような通告もあったということ等々、事態は私はきわめて重大である、このように把握をいたしております。ただ、個々の質問については明後日に譲ることにいたしまして、この際、特に大臣に申し上げたい点は、教科書検定の問題につきましては法律に示しているとおり、これは文部大臣が著作権を持っている教科書あるいは文部大臣が検定した教科書以外は使ってはならないという規定になっております。したがって、検定の過程はいかようにあろうとも、あるいは文部大臣が一冊も教科書を見ていないということもあるいは事実だと思いますけれども、しかし、検定の結果については、これは名実ともに文部大臣に責任がある。しかも、このことに関しては法律は明らかに文部大臣と限定いたしておりますから、総理大臣といえど用検定の結果についてとやかく言う責任を持つ筋合いはございません。
 そう考えてまいりますと、ただ単に事務的な対応ということではもはやどうにもならない段階ではないか。この状況を踏まえて文部大臣としては、最終的な責任者としての決断をする時期が来ておるのではないか。このことに関しましては、あわててどうこうすることではなくて、本当にじっくり考えて、一体どうすることが正しいのかということをしっかりとひとつ検討されて、そして大臣としての最終的な決断、その時期が来ておるのではないかというように私は感じております。大臣の御心境やあるいは今日の状態に対しての御心労はお察しするに余りあるものがありますけれども、これは何といっても文部大臣が全責任を持たなければならない問題でございますので、そういう点に関して決断の時期、決断をされるということに関してお考えがあれば、この際伺っておきたいと思います。
#5
○小川国務大臣 今回のことは、文部省が行いました教科書の検定に端を発しておるわけでございますが、最初に一言申し上げますけれども、これは文部省がみずからの権限と責任において行ったことでございますから、当然文部大臣が責任を負うべきものでございます。これを民間に転嫁しようというような気持ちは全くないということをこの際はっきりお耳に入れておく次第でございます。
 この教科書の問題につきましては、去る七月三十日に鈴木初中局長から駐日韓国大使館の李公使に対しまして、韓国政府が日本の教科書について強い関心を持っておられるということ、並びに韓国の国内でさまざまの論議があるということに対して謙虚に耳を傾けまして、日韓の友好関係を深めていきたいという当方の立場について御理解を求めたところでございます。しかるところ、このたびこのような非常に厳しい申し入れに接したわけでございますが、申し入れの趣旨を十分に検討いたしまして、誠意をもって対処いたしてまいりたいと存じます。
 中国からもさきに非常に厳しい申し入れを受けにおるわけでございまして、わが国の立場、わが国の真意を正しく理解してもらいますために努力をすべき余地が大いに残っておるという気持ちを抱いておりますので、今後も全力を挙げて、誠意をもって理解を求める努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#6
○湯山委員 御答弁は次にいただきますが、ただ誠意をもって理解してもらう努力をされるということだけでは、もはやその段階は通り越している、教科書に関しての名実ともに最高の責任者としての決断というものがなければならないと私は思いますので、それらについては次の機会にお尋ねすることにいたします。
 きょうはそういうことでございますので、議題の国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案についてただいまから御質問申し上げます。前回、野上委員から非常に行き届いた、要点に触れた御質問がございましたので、別な角度から、同じような問題でございますけれども、御質問を申し上げたいと思います。
 その第一点は、なぜ一体これを石橋一弥君外四名の議員提案にされたかという問題でございます。これにつきましてはすでに臨調の報告にも、昭和三十九年でしたか、指摘されておりますし、また、昭和四十六年の中教審の答申にもこのことが取り上げられております。なおその後、文部大臣の国会答弁の中においても、文部省としても前向きにやっていきたい、というのは、国家意思の形成、公権力の行使へ参画する公務員となるためには日本国籍を必要とするという例の当然の法理、このことについて、法律をもってすればそれは可能だという見解も公式に示されておりまして、このことについて当時の砂田文部大臣も、そういう御発言であればわれわれも勇気が出るとか、あるいは安心してやれるとかという意味で立法化を図る意思表示がございました。にもかかわらず今回議員提案になった、これは私ども予想外のことでございました。
 ただ、経験から申し上げますと、かつて、もう二十数年前ですけれども、著作権法で、海賊版がたくさん出まして、この海賊版を何とかなくさなければならない、そのためには罰則強化をしたい、ただしかし、当時著作権は非常に大きな問題を抱えておりまして、文部省として海賊版の罰則強化だけ取り上げて提案することはできない、文部省がやるとすれば、広範なものになるので、とりあえずひとつこれは議員立法でやってもらえないかという要請がございました。ちょうど私は文教委員長をいたしておりまして、それを受けまして、それではというので各党にも諮って議員提案とした経験がございます。
 そこで、今回の場合、一体文部省には外国人の任用について法案を提出する意思が全くなかったのかどうか、それからまた、そのことについて文部省と提案者の間に何らかのそういった意味の話し合いがなされたのかどうか、この二点について伺いたいと思います。
#7
○宮地政府委員 この法案の提出に当たって、従来からの検討経過からすれば、どういう趣旨で議員立法になったのかというお尋ねかと思います。
 従来から国会でも何度か御議論がございまして、特に内閣法制局長官からのお答弁があり、ただいま御指摘のように砂田文部大臣当時、政府としても積極的な対応でいきたいというようなことをお答えをしてまいっておる経緯は御指摘のとおりでございます。それらを受けまして、文部省といたしましては、部内で種々検討をし、さらに内閣法制局とも、それらの点について、従来から何度かこの立法の問題につきまして問題点の整理等を行ってきたということは経過としてあるわけでございます。
 前回もお答えしたわけでございますけれども、問題は、その従来のいわゆる法理の問題と、その法理に対して立法措置を行うことによってどういう特別な措置がとり得るかというその点についての調整の問題と、それともう一つは、この点が大変大きいわけでございますが、公務員制度全体とこの特別立法との関係についてどう理解をするかという点につきまして、御指摘のように、大学の教官について、教育研究を進めていく上で、こういう外国人を正規に任用し得る道を開くということについては大変意義があるわけでございますが、国立大学の中にも具体的には附置研究所でございますとか、あるいは独立の研究所もあるわけでございます。いずれにいたしましても、これらについて特別措置を講ずるということについては、私ども文部省の内部として、いろいろ関係者の意見等を調整する機会はございまして、積極的な対応で臨みたいということはあるわけでございますが、研究所で申しますと、各省所管の研究所というようなもの、たとえば農林水産省でございますとか通産省でございますとか、それぞれ各省所管の研究所も数多くございます。それらの研究所全体を通じてこういう特別立法をするということになりますと、それらの各省所管の研究所についての必要性ということについて各省との対応が必要なわけでございますが、それらについて各省との間で十分そこを調整して公務員制度全体の中で特別立法をしていくということについては、なお相当時日を要するというようなことが一点あったわけでございます。
 それともう一点は、多少立法技術的な問題になるわけでございますが、立法に際しまして、いわゆる当然の法理との関係で、法理に抵触しない範囲内での立法に限るか、あるいは、その点積極的に従来の法理について立法措置をするということで、法理をいわば部分的に修正をすると申しますか、たとえばこういう外国人の教師を教授会のメンバーとして、教授会の議論に参加し議決に加わるというようなことについて、いわゆる従来の法理からすればそこに問題点がなしとしないわけでございますけれども、その点について積極的な対応をするとすれば、従来の法理との関係での問題点を整理するということが必要であったわけでございます。
 しかしながら、提案理由にもございますように、大学の教育、研究について特に国際的にも開かれたものにするということについては、関係者からも大変強い要望がございまして、それらを私どもとして早期に処理をするとすれば、やはり議員立法という形で早急な対応を図る方が今日必要ではないかということを考えまして、提案者の自民党文教部会の先生方ともその点については御相談をいたしまして、こういう取り運びにさせていただいたというのが経緯でございます。
#8
○湯山委員 そうすると議員提案の場合は、各省との対応とか法理の限界と見ておるものを超える超えないということについては、そういうことは余り考えなくていいということであったのか、提案者はそういうことについてはもう全然配慮しないで作業をお進めになったということなのか、この点、提案者から伺いたいと思います。
#9
○狩野議員 お答えいたします。
 先生御承知のように、急激に進展する国際化時代において、わが国が国際社会の一員として、諸外国との交流の中でその協力と協調を進めながら国際社会に貢献しなくてはならない、そういう中で、学問、教育、文化等についての国際交流を活発化しなくてはならない。そういう観点の中で、この問題が非常に重要であるというように考えたわけでございます。特に大学における学問研究の国際化ということは、その必要性がきわめて大である、そのように考えておるわけでございます。
 しかしながら、先生から御指摘のように、国公立大学における外国人教授の任用問題につきましては、従来より、当然の法理といたしまして、公権力の行使または国家意思形成に参画する公務員になるためには日本国籍を要するという、そういう解釈があったためにこの道が閉ざされていたわけでございます。
 しかしながら文部省においても、ただいま説明がありましたように、この問題については、この問題解決のために特別立法などの措置をすべく諸官庁との調整をやっておったわけでございますが、今日までその成案を得るに至ってないわけでございます。
 そこで、わが自由民主党といたしましては、大学の国際化を図るために、国公立大学の教授等に外国人教授を任用する道を開くことはわが国にとって急務な課題であるという認識のもとに、議員立法としてこの法案を提案した次第でございます。
#10
○湯山委員 このことを申し上げるのは、率直に申し上げて、日本の対応がおくれている、文部省の対応がおくれているということなんです。国際的に見ても日本の対応はきわめておくれておるし、そしてまた、ここまで来てなおかつ議員立法に依存しなければならないという姿勢に大きな問題があります。このことは先般ユネスコの国内委員会の常会でも指摘をいたしました。この問題だけじゃなくてほかにも多々あります。このことをひとつぜひ政府に申し上げておきたいというのが一つです。
 第二は、従来ともすれば政府提案よりも議員立法を軽視する傾向があります。これは非常に残念なことですけれども、たとえば私学振興助成法、これはやはり議員立法でなされました。そのときには五年間で経常費の五〇%を負担するようにするという約束がなされておった。しかし、文部省の手に移って五年たってもなお三〇%を行ったり戻ったりしているという状態です。したがって、本来これは政府提案であるべき性質のものであるにもかかわらずそういう経緯で議員立法ということになったのであれば、この際私は、今後の文部省の対応に対して非常に不満を申し上げて、御注意か御要望か申し上げますのとともに、議員立法だからといってこれが政府の手に移ったときに、決して軽視するようなことなく、むしろ積極的に対応すべきだということを考えていまの質問を申し上げました。これは大臣どうお考えでしょうか。
#11
○小川国務大臣 議員立法であるからと申しまして、これを軽視するようなつもりは毛頭ございません。
#12
○湯山委員 それではそういう御精神で以下御答弁願いたいと思います。
 次は、これも野上委員からも御指摘がありましたが、外国人は教授、助教授、講師に限って任用を認めるということになっております。学長、学部長についてなぜこれを除外したかということにつきましては、いま京都へ派遣された御報告で委員長からもございましたが、前回の石橋提案者の御説明では、教特法での学長、学部長の例外的な扱いもある、それからまた、法理等に照らして限界かなと判断したという御答弁でございました。法理等に照らしてということになれば、これは明らかに国家意思の形成、公権力の行使ということとの関連でございましょう。
 そこで、大学というのはおおよそ研究、教育に限定されておるのであって、特に公権力の行使、国家意思の形成に大学が強く参画しているということではない。むしろ他の行政府、特に日本の場合は政策の形成、執行等において行政府の権限というのはきわめて強い。たとえば大学局長は立法にも参画します。それから予算にも関係している。それから省令もつくったり、そういう大きな権限を持っておりますけれども、大学というのは、それらによって決められた法律なりあるいは行政府、文部省のいろいろな指示、指導、そういうものを受けてやっておるのであって、それは行政府の管理職と大学の管理職との間には大きな違いがあるということです。
 しかも、これらの管理職の選考といいますか、それは確かに学長にしても学部長にしても大学の管理機関でやります。しかし、任免権者は大学の場合文部大臣なんです。したがって、教育、研究ということに限定して言えば、私立の大学も国公立もそんなに違っていない。教育は教育基本法、学校教育法、その他法令、法規に従って行われておるのであって、研究、教育においては、そんなに私学も国公立も違っていない。しかも学長あるいは学部長、教授に至るまで文部大臣が任免権者、こうなっておるわけですから、私学に認められて国公立に認められないということも納得がいきかねます。
 つまり他の省庁の管理職、行政府の管理職とはその政策、立案等に対する関与の仕方がうんと違っている。本来の仕事である教育、研究という点においては、私学とさほど差はないということになれば、これはむしろこういう限定をしないで、当然学長も学部長も任用の対象にすべきだ、こうわれわれは考えております。
 現に、ああ管理機関が言ってくれば、無条件でそのまま認めるのだ、任免権者は任命するのだと言うかもしれませんけれども、実際はそうじゃないです。たとえば学長なり学部長なり管理機関で決めて申請してきた場合に、直ちにそれを任命しないで、いろいろ調査の不備な点を指摘しておくらしたり、あるいはその間に人が差しかえられたり、そういった例がいままであると聞いておりますが、事実はいかがですか。
#13
○宮地政府委員 管理職の任用にかかわりまして従来の国立大学の学長、学部長を発令する際に、発令希望日等がおくれて発令した例が従来どうであったかということについてのお尋ねかと思いますが、昭和五十年度以降において学長、学部長の発令を延期した事例はございません。
 ただ、四十九年度以前の過去におきましては、学長、学部長の発令に際しまして、発令希望日と発令日が一致しなかった事例は、学長について二件、学長事務取扱について一件、学部長について十件というようなケースがございます。これらは選考過程に教育公務員特例法上の疑問点がございまして、大学との間に調整に期間を要したということでございます。
#14
○湯山委員 その間に大学で再検討して人をかえて申請をしてきたという例もありますね。だから第一次の申請者とそれからその審議の期間中に第二次の申請者が出てきて、第一次の人は任用されなかったという例もあるでしょう。
#15
○宮地政府委員 御指摘のように、発令の延期中に大学において再選考を行いまして、当初の発令予定者以外の者が選考されて、その上申に基づいて発令した事例が三件ございます。
#16
○湯山委員 いまのように見ていきますと、とり方はいろいろありますけれども、ある意味で、延期するというのは拒否権に当たるともとれないことはない。そういう状態ですから、大学の管理機関といっても、これは基本法、学校教育法、その他教特法等々の制約のもとで行われておるわけでございますから、私は先ほど提案者がおっしゃった当然の法理、そのぎりぎりというのは他のところとは違うということを認めるべきではないか。現に前回、この委員会における衆議院の法制局松下部長の御答弁でこうお答えになっておられます。大学の国家主権の維持に対する影響はきわめて弱いということが一点御指摘がありました。それから、大学は本質的に国際的性格を持つ学術の研究、教授を目的とするものである。学長ということですから、法律によってこれらを任用するという特例、それをとることは別段差し支えはないという一般論の御開陳がありました。これは同じように、そのことのいい悪いの判断は別です。学長、学部長について立法によって任用されるという道を開くことは、そのことについて法理の特例を設けるということは可能ではないでしょうか。この点について法制局の御見解を伺いたいと思います。
#17
○松下法制局参事 お答え申し上げます。
 いわゆる公務員の就任能力に関する法理といいますものは、自国の主権の維持と他国の主権の尊重という理念から導かれますところの法規範たる性格のものであるというふうに考えられるわけでございます。
 お尋ねの外国人の学長、部局長等への任用の可否につきましても、この公務員の就任能力に関する法理に照らして検討しなければならないわけでございますが、これにつきましては、いま先生もおっしゃられましたように、消極面におきましては主権の維持への影響の度合い、積極面におきましてはこれらの役職に外国人を就任させる必要性の度合いが問題となるわけでございまして、その総合判断につきましては政策論が絡んでまいりますので、これをどう判断するかということは立法政策の問題であるというふうに考えられるわけでございます。
#18
○湯山委員 いまのことを別な言い方ですれば、立法府においてそういう立法をしてもそれは法理に照らして――法理と言っていいのかどうかは別ですけれども、それに照らして不都合だということではないということですね。
#19
○松下法制局参事 お答え申し上げます。
 学長、部局長等への任用の場合につきましては、教授、助教授、講師という教員の場合に比べますと、いわゆる公務員の就任能力に関する法理への抵触の度合いは強いかと思うのでございますが、学長、部局長等に外国人を任用することにつきまして理論上可能であるという余地はあり得る、このように考えます。
#20
○湯山委員 提案者の石橋さん、いまのような法制局の見解です。ですから、ぎりぎりというわけではないということもおわかりいただいたと思います。私はこれの答弁を求めようという気はありません。それは衆議院の審議は内閣法制局よりも衆議院法制局の意見を重視するのがわれわれのとるべき態度と思いますから、ただいまの答弁を私はやはり権威あるものと受け取ります。これは同じ衆議院である石橋提案者も同様でなければならない、こう考えるわけです。したがってそれについての意見をお聞きする気はいまありません。
 ただ、いま御答弁いかんによってはと言うのはおどしみたいですが、法改正も考えないではありませんでした。このことに関して道を開くために、いまのように法律によってやるということであればそれは可能であるということですから、それも考えないことはありませんでしたが、しかし、じゃ直ちにそうしたからといってその実効というのは、なかなか出るのには暇がかかると思います。これも事実です。そこで今回はこれでスタートする、それは了解をいたしまして、今回はこれでスタートするけれども、本来行政府の管理職と大学の管理職との違い、それから、他の省庁との並びじゃなくて、同じ私立大学と国公立大学との違い、これの問題、それから、松下部長が前回言われましたように、大学は本質的に国際的性格を持つ学術の研究、教授を目的とするものであるというこの観点等々から見て、将来はやはり学長、学部長に任用することができるようにすることについて検討しなければならないのではないかということを私は考えますが、この点について提案者のお考えを伺いたいと思います。
#21
○石橋(一)議員 お答えを申し上げます。
 この問題につきましては、すでに前回も御答弁をいたしましたし、またただいまも湯山委員から御意見の開陳があり、文部省当局からもお話があったわけであります。そこで、提案者といたしますと、本議案をそのままの形といたしまして法理に抵触をしない範囲はどこであるか、公権力の行使に対してどの辺のところがその範囲であるか、このようなことを種々考えた結果御提案を申し上げているわけであります。
 将来のことでありますけれども、当然まず第一は、そのようなことでそれぞれの大学当局からぜひ管理職に登用の道を開いてくれというような意見が出た場合、あるいはまた、国内の問題といたしまして、これも種々問題になっておりますが、各省間の意見等が総合調整をされたような段階、このようなことが相整った場合は、これは当然考え方についてその時点について十分討議をする対象になる、こう考えておりますので、よろしくお願いします。
#22
○湯山委員 非常によく理解されて、それぞれ条件を付して検討の余地あるということでございますから、御答弁を了承いたします。したがって、この点について修正案を出すというようなことはいたしませんで、ただいまの御答弁によって、将来そういう場合その道を開くことを検討するということで、この際ですから、ひとつ了承することにいたします。――松下さん、どうぞ御退場くださってけっこうです。
 なお、これと関連いたしまして、先般、七月十六日に日本のユネスコ国内委員会の第七十一回の会議がございました。これはユネスコ国内委員会の総会に当たるものです。大臣も御出席になって、ごあいさつございました。ここでの一般討議の主題は「国際化の課題−教育、科学の側面から−」ということで、元文部事務次官の木田宏氏が同じく委員をしておりまして、基調報告がございました。その討議のときに、私は、この教育、科学等の国際化について日本の政府の対応というのは非常におくれているということを指摘をいたしまして、その一例として、政府の対応がおくれているために今度は議員立法で外人教師を教授等に任用の道を開くことになっている、ただ、それも大変不十分で中途半端で、学長、学部長を除くということになっておって、こういうことは本当に教育、科学の国際化という課題から見て改めるべきことだということの発言と、ついでですから申し上げますと、南極の哺乳類、鳥類を保護する南極条約があります。十何カ国が入っておる中で、日本だけがしてない。そのためにこれが発効しない。文部省がやるか、外務省がやるか、環境庁がやるかとごたごたしたあげく、とうとうこの国会で外務省がやることになりました。それで成立もいたしました。これも一番おくれて、十何年間も先にやった国に迷惑をかけていた。政府の対応が非常におくれているということを指摘したのですが、そのときに、これに対して元文部大臣の永井道雄委員から、これは国連大学の学長特別顧問にもなっておる関係もあって、これに関連しての御発言がありました。
 これは、私がこう聞いたと言うのでは客観性がありませんから、幸い大崎学術国際局長はこれの事務総長をしておりますから、ここからその状況を報告してもらえば客観的なものになりますから、ひとつ大崎局長からこのことについてこの際御報告を願いたいと思います。
#23
○大崎政府委員 ただいま湯山先生から御指示のございました件につきまして御報告を申し上げます。
 ユネスコ国内委員会の総会の一般討議におきまして、ただいまのお話の趣旨の御発言が湯山先生からございまして、それに関連いたしまして、永井委員からおおむね次のような御発言がございました。
 日本人がアメリカ等の大学へ教えに行くときは、英語を話すことがアメリカ等でもあるいは日本人の側でも当然と思われているが、逆に外国人が日本の大学へ教えに来るときは日本語ができないということがあたりまえのようになっている。事実、日本語ができる人は少ない。日本語が全くできない外国人が日本の大学に参りまして、教授会に参加をしたり、あるいは学部長になるということは、実際問題としては考えられないのではないか。そこで、そういうことを考えると、日本の大学に来る外国人が半年でも一年でも日本語を勉強できる制度をつくってはどうであろうか。以上のような御発言があったと記憶しております。
#24
○湯山委員 ただいまのような御発言がございました。このことはこの前には余り――高校以下の英語教育については御発言がございましたけれども、直接教授、助教授等への採用についての御発言ではなかったので、この間京都へ派遣された私どもの佐藤委員にはこのことも聞いてきてほしいということをお願いしておったわけです。確かに、永井委員は私の指摘について、学長、学部長、そういうことに任用も結構だけれども、全体的に日本語ができない人では教授会で物も言えないし、聞いてもわからないし、まして学部長、学長になっても何にもならない、それについての対応が必要だという御指摘がありまして、全くごもっともだと思いました。
 そこで、いま日本にいろんな形で採用になっている外国人教師、いろいろありますけれども、この人たちの日本語のできぐあい、これはどうでしょうか。京都では、ある機関ですけれども、二十何名の中で一人しかできない。私も地元の愛媛大学で聞いてみましたら、三名いる教師で、二人は奥さんが日本人なのでこれは日本語が十分できるけれども、あとの一人は全然できないというようなことがありました。
 そこで大学局長、京都なり東京なり、近辺の大学でその状況はどんなか、ひとつ御報告願いたいと思います。
#25
○宮地政府委員 東京大学と京都大学にその点について照会をしたわけでございますが、東京大学の場合は、三十八人中三十二人は教授会に参加して不自由のない程度の日本語の能力を有しているということでございました。また、京都大学の場合は、二十四人中十二人が教授会に参加して不自由のない程度の日本語の能力を有しているという報告でございました。
 以上でございます。(「日本語なんかわからなくたって学長は勤まるよ。読めればいい」と呼ぶ者あり)
#26
○湯山委員 日本式に読むだけでもそれはそれなりに意義があるということも御指摘があったのですが、それはそれとして、こういう機会をつくることは私は必要だと思うのです。特にいまのように、外国語だけというのではなくて他の方面へも拡大していくとすれば、そういう人たちもやらないと、結局その人たちの間で外国語だけで話をしておるということになると、それは別な意識を形成することもなきにしもあらず。現に国連大学なんかはそういう傾向があるそうです。そういうこともありますから、こういうことについて提案者は御配慮があるかどうか、伺いたいと思います。
#27
○石橋(一)議員 お答えを申し上げます。
 ただいまの問題でございますが、まず第一に、現場の各大学当局で教授、助教授、講師等を任用する場合の一つの大きな要素と申し上げますか、そうしたものの中に、日本語というものが相当程度できる、あるいはしゃべれるということが一つの大きな要素になるのではないか、こんなふうに提案者といたしますと考えておるわけでございます。そのような中において、それ以上もっともっと日本語を勉学せねばならないということも、当然これはケース・バイ・ケースでありますけれども、あると思われます。そうしたことにつきましては、同僚教職員の援助あるいは教授会等の運営、このような中においてみんなでそれを補い、また日本語ができるようにしていかなければならないであろう、そんなことを考えておりますが、特にその問題について特別の措置のところまでは残念ながらまだ考えておりませんでした。
#28
○湯山委員 考えていらっしゃらなかったことは間違いないのですが、これから考えるかどうかの問題です。せっかく非関税障壁のようなものを取っ払うのだ、開かれたものにするというときに、日本語ができるできないという制約があれば、たとえば物理学のいい人あるいは遺伝子工学のいい人を連れてこようと思っても、言葉のために来れない場合があったのでは、せっかくのこの意図が十分発揮できない。そういうときには、不自由の中でやっておれば自然にできるのではなくて、そのための機会をつくる、それは学校をつくるとかなんとかということを意味してはおりません。しかし、とにかくそのための措置を考えるということがなければ、せっかくこんなにしても結局同じじゃないか、日本語のできる人だけというふうなことになりかねない、このことを心配して申し上げておるので、もう一度御答弁願います。
#29
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 私、ただいま御答弁申し上げましたのは、どこまでも特別な措置を考えておらなかったということでございます。ただいまの答弁の中にも申し上げましたとおり、同僚教授あるいは先生方、こうした学内のいろいろな機関と申しますか同僚といった方々で補い合えるようなことをまず第一に考えるのだということであります。
 そこでまず、雇用する以前の問題として、全然日本語が理解もできないというような方について任用するしないというのはなかなかいろいろな問題がそこに生まれてくるのではないか、こう思います。いずれにいたしましても御意見まことにごもっともでありますし、実際問題はそうしたことがなければ前に出ていかないであろう。同意見でありますので、十分研究をいたしたい、こう思います。
#30
○湯山委員 ということを申し上げるのは、この第二条の第二号でございますか「大学の運営に関与する合議制の機関の構成員となり、その議決に加わることを妨げられるものではない。」というようなこともありますから、当然これは考えられなければならない。通訳つきでやるということはむしろ望ましくないことです。それからまた、物理なら物理の人が大学で講義をするときに、物理をやっておる学生であればその程度英語で言われたって専門の方はわかるわけです。問題は、一般問題を討議する教授会とか合議制の機関とかということに参加するのであれば、それに不自由のないようにしておくというのがこちらの一つの配慮じゃないかということで申し上げておりますので、その点はいまおっしゃったように考えなければならないということですから、ひとつぜひ考えていただきたいと思います。
 それでいまの件は終わりますが、ただ、この際申し上げておきたいのは、外国人といっても、後の問題とも関係しますけれども、外国から来る人と定住している人とがあります。ところが、定住しておる人たちについてもなおかつ、今日この排除措置がとられておるために、学識も十分あるし、大学人としての実績を持っていながら万年助手でやっておる人がたくさんある。「たくさん」と書いてあります。こういう人たちについて、この法律が施行された場合には、この際速やかにしかるべきところへ位置づけをするということをぜひやってもらいたいと思うのですが、大学局長どうでしょうか、今度はあなたの範囲になりますね。
 それから特にそれで申し上げますと、桃山学院大学教授で徐龍達、向こう読みでソ・ヨンダルという人が新聞にもずいぶん意見を発表しておりますし、本にも書いております。非常にりっぱな人だと思います。お読みになって、定住しておる万年助手どまりの人たち、しかも学識もりっぱで大学人としての実績を持っている、こういう人たちを速やかにこの適用対象として取り上げるということについて、大学局長、御答弁願います。
#31
○宮地政府委員 御指摘のように、現在国立大学で助手として在職している者については、五十七年四月一日現在の調査では五十八名ということになっておるわけでございます。そこで、この法案が成立をいたしますれば、従来外国人が任用される道が閉ざされておりました国公立大学の教授、助教授及び講師というものについても、この法律の制定によりまして任用への道は開かれることになるわけでございます。したがって、現在助手に任用されております外国人も、それぞれの大学の選考を経まして教授等に任用される道が開かれるわけでございますが、いずれにいたしましても、それの対応は各大学におきまして具体的な対応がとられるということになるわけでございます。
 御指摘の徐さんでございますか、私どものところへも何度かお見えになりまして、御意見もよく伺い、著書等もいただいておりまして、それらの点については御意見は十分伺っているところでございます。
#32
○湯山委員 いまおっしゃった点は、やはり局長の答弁で大学で対応するのだからということじゃなくて、文部省もその心構えで臨むということを明確にしていただきたい。
#33
○宮地政府委員 この法律の立法趣旨は提案者から御提案のあったとおりでございまして、大学を開かれたものとしていくためにこういう特別立法が考えられたわけでございまして、教授、助教授等に外国人の適任者をそれぞれ積極的に登用するということについては、私どもとしても大学がそのように対応することを期待いたしているものでございます。
#34
○湯山委員 結構です。
 次に、任期制の問題についてお尋ねしたいのですが、これは先般の石橋提案者の御答弁によれば、雇用者側と入ってくる側との考え方によってでき得るというような意味の御答弁がございました。本来これは任期制の必要があるかどうかの問題です。たとえばいまのように定住しておる人、これはもうそんなに任期制なんかは必要でないと思うのですが、イギリスから来る人とかアメリカから来る人には、契約で五年なら五年というようなこともあると思います。それらはむしろ一律な任期制というのでなくて、個々に対応すべき問題で、任期制というようなものによって――これはもちろん管理機関の決定によるわけですけれども、しかしそういうことをする必要は私はないと思うのですけれども、提案者、その点はいかがでしょう。
#35
○石橋(一)議員 お答え申し上げます。
 先般もこのことについての考え方を申し上げたわけでありますけれども、結局ケース・バイ・ケースと申しますか、雇われる人と雇う側との間においての問題にどうしてもなっていくであろうと私は思います。そうしたことで、とにかくできれば任期は設けた方がいいなという考え方、このことそのものがとにかく初めての試みであるということもあります。そうしたことも考え合わせて、できれば任期を設けた方がいいなという考え方でありますけれども、ただいま湯山委員御指摘のとおり、その点についてはやはり大学管理機関が定めるところによりますよ、定めなかったからといって別にどうこうする考え方はない、ですから、詰めて詰めて詰め切った考え方といたしますと、大学管理機関が定めてください、こういうことでございます。
#36
○湯山委員 これと関連して、今度この法律適用になって大学に任用になった人の共済の適用はどうなりますか。
#37
○宮地政府委員 共済組合の適用の問題でございますけれども、国公立大学の教官に任用される場合には、当然に国家公務員共済組合あるいは公立学校共済組合の組合員ということに適用があるわけでございます。
#38
○湯山委員 提案者、ちょっといまの、当然国家公務員共済あるいは公立の場合は地方公務員共済ですか、これには任期制というのは考慮してないのです。任期制というようなものは配慮してないのです。いいですか。学部長や学長の任期がありましても、これは教授として当然終身の形で共済適用になっている。任期制でたとえば五年なら五年となった場合、十年となった場合に共済適用しても、短期はお医者さんにかかるのですからいいとして、長期はもらえないのはわかっておる、しかし、制度で掛金は掛けなければならない。これは変でしょう。制度上おかしいでしょう。
#39
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 おっしゃる御疑問ごもっともだと存じますが、地方公務員共済、短期、つまりお医者さんの方は単年度予算としてぴしゃっとできております。一方年金の問題は御指摘のとおりでありますが、その制度の中に脱退一時金という制度があって、その制度の中において処理をすればよろしいではないかな、こう考えております。
#40
○湯山委員 制度のたてまえはそんな任期制というようなものを考慮してないことと、脱退一時金というのは条件が不利です。ですからそういう点から見ても、やはり差別はできてくるわけです。この辺にも任期制には予盾があります。
 それから同じ大学で、定住しておる人はもう終身であって、フランスならフランスから来た人、あなたは任期制をとるというふうに二つに分けても、そういうことも管理機関の意思によって可能でしょう。どうでしょうか。――もういいです。そういうことです。これは管理機関が決めるのだからいいとして、以上で質問しようと思っておったことは終わりました。まあ不満な点もありますけれども、おおむね現状においてはやむを得ないだろうと思われる程度の御答弁でございましたので、いまのような問題いろいろありますから、この任期制というのにはかなり無理がある。これをたてまえとして全部やってほしいというようなことはおっしゃらないで、純粋に管理機関に任せるということで進んでいただきたい。
 なお、最後にもう一度お願い申し上げますけれども、せっかくここまで来たのですから、これがとまりじゃなくて、これから前へ出ていくという姿勢を提案者も持っていただく、これが一つと、それから、これからこれを受け継いでいく文部省としても、やはりいま申し上げましたように日本の政府の対応はこういう点については常におくれておりますから、それをひとつ積極的に対応できるように、特にこの法律などは趣旨を体して御努力を願いたいということを強く要望して、質問を終わります。どうもありがとうございました。
#41
○青木委員長 長谷川正三君。
#42
○長谷川(正)委員 ただいま湯山委員から非常に精緻な御質疑がありまして、実は私、御質問を申し上げようと思っておったことがほとんど尽くされておるのですけれども、もう一回国民にわかりやすく大ざっぱに整理をしていただけたらと思いますので、多少重複する点があるかと思いますけれども、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 まず最初に、提案者にお聞きします。本法案を提出した最大の目的は何ですか、わかりやすく簡明におっしゃっていただきたい。
#43
○狩野議員 お答えいたします。
 国際化時代を迎えている現在において、学問、教育、研究等における開かれたものをわが国につくろう。御承知のように、当然の法理としていままでこれができなかったわけでございます。したがいまして、これからのわが国が国際化時代に対応し、また学問研究、文化等において、そのすぐれた海外の頭脳の交流によって開かれた大学になり、そしてそういう中でわが国の研究、教育面におけるレベルアップをするのと同時に、それを通して国際社会におけるわが国が学問研究の場において貢献できるような道をつくる、こういうことであります。
#44
○長谷川(正)委員 学問研究の問題について、特に国際化が非常に要請されている時代を迎えているという観点に立って本法案を提出した、こういうふうな御答弁と理解いたします。
 いま湯山委員も非常に指摘されましたように、この国際化ということについては、日本の文教行政が非常に立ちおくれていたのではないかという御指摘がありました。私も全く平素そう考えておったところでありますが、議員立法という形ではありますけれども、ようやくこの法案が提出されてそして審議される、実現するという段階へ来たことは、大局的には非常に喜ばしいことと思っておりますが、しかしそれだけにここで、なぜこういう渋滞がいままでしておったのかということをきちっと整理しておく必要があると思います。先ほども湯山委員の御質問にかなり大学局長から御答弁ありましたが、もう一遍、本法案がこうして提出されるに至りました経過について、政府として当初こういうふうに対応した、特にこれは日時、いつどういう時期にこれが起こり、そしてどういう審議を経て、結局政府提案、文部省提案に至らなかった、そして議員立法という形になった、この経過をもう一遍簡潔に整理しておっしゃっていただきたい。
#45
○宮地政府委員 従来の対応の経過でございますが、かねがねこの問題についてはいろいろ議論がございまして、第一点は、五十三年の一月に衆議院本会議におきまして新自由クラブの河野先生から、推進すべきであるという趣旨の本会議での御質問がございまして、今後検討してまいりたいという当時の総理から答弁があったわけでございます。その後、同じく五十三年の三月、参議院の予算委員会におきまして秦野章先生から、任用することが法的に可能かということの御質問がございまして、当時の内閣法制局長官から、特別の立法を行って法理に触れない職務内容を規定すれば可能であるというような答弁がございまして、それらの答弁を受けまして私どもといたしましても、内閣法制局と五十三年の秋から五十四年の春にかけていろいろ議論を詰めたわけでございます。
 先ほども申しましたが、ポイントは法理と立法との考え方の問題それから公務員制度全体と特別法との整合性をどう考えるかということ、それからまた、立法についての具体的なメリットはどういう点かというような点などについていろいろ議論を詰めてまいったわけでございますが、先ほども御答弁しましたような点で、なお公務員制度全体の中でどう取り上げていくかということについてはやはり関係省庁が大変数多くて、それらの点について完全に意見を調整し切るところまで至っていなかったというのが今日までの経過でございまして、国立大学の教官等について積極的に対応すべきであるという議論がさらにその後強く関係者からもいろろい打ち出されまして、それを受けて今日こういう議員立法という形での提案を、自民党の文教部会とも御相談をさせていただきまして御提案をお願いしたというのが経過でございます。
 なお、多少これは従来からの大学局内の対応でございますが、たとえば放送大学学園法案というような大変大きな法律の処理の問題が大学局としてはあったというような事情もございまして、それらの点の対応がございましてこの法案の取り組みについて、先ほど来取り組みが遅いではないかというおしかりを受けたわけでございますが、私どもとしては話が出ましてから今日まで、内部では以上申しましたような事務的な対応はずっと続けてきておったというのが現状でございます。
#46
○長谷川(正)委員 提案者からも、その点について、もしお考えがあれば御答弁いただきたいと思います。
#47
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 ただいまの問題、時間の大変前のことは私はよくつまびらかではありません。ただ、この提案をするに際して、私どもといたしましても、やはり文部省が閣法として出すのが筋ではないかという話し合いは何度もやったわけでございます。ただ文部省といたしますと、各省とのいろんなことのすり合わせがどうしても前に出ないということです。一方、先ほども最大の目的は何であるかというお尋ねがあったわけでありますが、われわれといたしますと世界全体の動き、そしてまた日本のいま置かれている立場、そのようなことを考えあわせまして、もう日を送っていくことはよくないという政治判断、それによって文部省とも相談をいたし、そしてまた法制局とも相談をいたしまして、とにかく踏み切れということで御提案をしたわけでございます。
#48
○長谷川(正)委員 石橋議員のいまの提案者としての御発言は、大変重大なことをおっしゃっていると思います。と申しますのは、ある意味では非常にスピードの早くなっている世界の今日の動き、今回の教科書問題についてもそうでありますけれども、それをいわゆる行政官庁は事務的なそういう各省の整合性だとかいままでの何だとか、そういうことにがんじがらめになって身動きがとれない。しかし世界の歴史はどんどん動いていっている。こういう際にこれに的確に対応するには、特に政治判断というものが大事になってきている。そういう意味で、今回もうしびれを切らして議員立法に踏み切ったということは、ある意味では立法府が立法府らしくなってきたということでもあるのでありまして、そういうことを私はつくづく思うのであります。本論からちょっと外れますけれども、先ほどもお話に出ました教科書問題にしても、まさにそういうことを非常に痛感するわけでありますが、ただいまの御答弁のようにどんどん動いていっている今日の激動の世界情勢の中で的確に対応するということは、いろいろ細かい事務的な面での整備は追ってこれは逐次やらなければならないとしても、肝心なことは踏み切っていくというその態度は、私は非常に大切だというふうに思うわけであります。
 そこで、この法案については、京都に参りましていろいろ御意見を聞くときも、あるいは私どもがいろいろとこの問題について話し合うときも、あるいは大学関係者のいろんな意見を聞いても、先ほど来問題になっているように、任期制と管理職の点について一つの制限を置いたということが議論の中心になってきていると思いますが、この面につきましては、先ほど湯山委員の質問に対しまして、今回一応こういう形でまず発足するけれども将来はその後の実態を見て十分前向きに検討するという御意思が提案者にも文部省にもあるように承ったので、私はそれならばよろしいと思うわけですが、念のためもう一遍、提案者及び文部大臣から、任期制、管理職等の問題について一定の経験を経た後にさらに前向きな検討をするということについて、明確な御答弁をひとついただいておきたいと思います。
#49
○小川国務大臣 教育、学術の交流を促進していくということは今日の喫緊な課題だと理解をいたしております。こういう認識から出てまいりまする各種の要請に対しては迅速に対応しなければならない。文部省ももとよりそういう気持ちで努力をいたしてきたわけでございますが、関係省庁との調整に手間取っておりますうちに今回の議員提案となった。おしかりは甘んじて受けなければならないと存じております。これからも、ただいまの御意見に私は全面的に御同感でございますから、積極的にかつ迅速に各種の問題に対応していかなければならないと考えております。
#50
○狩野議員 お答えいたします。
 御指摘の点を含めて慎重に検討を経て本法案を提出したわけでございますので、幸い本法案が成立いたしました暁においては、大学当局、大学関係者にも本法案の趣旨を十分に徹底すると同時に、よく検討をいたしましてこの目的が十分に達せられるよう、そういうことを期待して本法の運用の状況を見守ってまいりたい、そのように考えております。
#51
○長谷川(正)委員 いまの御答弁の精神をぜひひとつ堅持していただきたいと存じます。
 最後に、これも先ほど湯山委員の御質問にも出ましたが、この法律が施行されて大学の教授等に任用された方々の待遇問題特に共済の問題についてはとうとう何か御答弁がないまま終わったようですけれども、こうした周辺整備と申しますか、たとえば永住している方とそれから新たに来る方の場合は住宅の問題とか、これもいろいろ御用意があるような話も伺っておりますが、そのほかいろいろと配慮が必要だと思います。そういう周辺整備について万全を期すことが必要だと思いますが、それらについて具体的なお考えがあればそれも伺いたいし、具体的なものがまだまとまっていなければ、少なくともそういうものに今後積極的に対応するという御決意を、これまた提案者及び文部省からそれぞれ伺いたいと思います。
#52
○宮地政府委員 外国人の教員の処遇問題を中心に現実の対応と将来どう考えるのかというお尋ねかと思いますが、この法律が成立をいたしまして国公立の教官等に任用されます外国人については、もちろん正規の一般職公務員ということで日本人と同様に任用されるわけでございまして、それらの宿舎等の扱いについても日本人と同様の法令が適用され、同じ待遇ということで処遇をされることになるわけでございます。たとえば赴任旅費でございますとかあるいは帰住旅費、一時帰国休暇というようないろいろと周辺の待遇問題があるわけでございますが、それらもいずれも正規の一般職公務員と同等の扱いがなされるわけでございます。
 一つ問題点は、たとえば任期を終わりまして帰ります場合に、帰住旅費については外国へ帰る旅費について法律上支給されることとなっていない点がございますが、国費を支弁して旅行される必要がある場合には旅費を支給するという規定もあるわけでございまして、任期を終わって退職をしまして、わが国からたとえばフランスならフランスへ帰る際の旅費について直接の支給の規定がございませんが、たとえばただいま申しましたような条項を適用することで帰国に必要な経費が払われるように、そういう具体的な対応をせねばならぬ事柄であろう、かように考えております。
#53
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 提案者といたしますと、やはり一番肝心なことは、先ほど湯山委員からも御指摘がございましたが、言語を初めといたしましての人情、風俗の違い、国柄の違い、そうしたことからいろいろな問題が派生をしないように、そうしたものに一番重点を置いで差し上げねばならないな、こう考えております。
#54
○長谷川(正)委員 これで、質問を終わりますが、特に外国人を日本の教育、文化、学問の前進のために任用するということでありますから、したがって、身分がそうなるから今日の日本の公務員並みの措置はとるという御答弁、それから若干それでは不十分な点についても何とか運用で考える、たとえば旅費の点についていまお答えがありましたが、こういう点については今度こういう制度ができるわけでありますから、むしろ特別の配慮をするというくらいの積極性を持って取り組むことが必要ではないかと思いますので、このことを強く要望いたしまして、これは御答弁は求めません、私の質問を終わります。
#55
○青木委員長 午後一時十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十六分開議
#56
○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、政府より教科書検定にかかわる問題について発言を求められておりますので、これを許します。鈴木初等中等教育局長。
#57
○鈴木(勲)政府委員 教科書検定に関する中国並びに韓国の申し入れの経緯につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 中国につきましては、昭和五十七年七月二十六日、中国外交部肖向前第一アジア局長から在中国日本大使館渡辺公使に対しまして、検定において歴史の事実の改ざんが行われていることには同意できない、この問題は日中共同声明、日中平和友好条約の精神に反するので、日本政府により教科書が正されることを切望する旨の申し入れがございました。
 この申し入れに関しまして、七月二十八日、渡辺公使から中国外交部肖向前局長に対し、日中共同声明、日中平和友好条約に明らかにされたわが国の認識にはいささかの変化もないこと、学校教育においてもこの認識が正しく反映されるべきだと考えているが、中国政府からの申し入れに関してはこれを謙虚に受けとめたいこと、なお、わが国の検定制度などについては東京において文部省から説明することを伝えたわけでございます。
 次いで、七月二十九日、文部省におきまして、初等中等教育局長から在日中国大使館王暁雲公使に対しまして、この問題については日中友好の精神を損なうことがあってはならないと考えており、文部省としても深く憂慮していること、中国政府の御意見には謙虚に耳を傾けたいこと、学校教育においては日中共同声明及び日中平和友好条約の精神に基づいて日中両国の親善と友好を深めていきたいことを述べるとともに、わが国の教科書検定制度の趣旨につきまして説明をいたし、検定済み教科書を渡したわけでございます。これに対し王公使は、文部省の説明を本国政府に伝えるが、個人的見解としては説明の内容には賛成しかねる旨の表明がございました。
 この間、中国教育部より文部大臣の訪中の招聘状が届けられたわけでございますが、八月一日に至りまして、中国教育部李外事局長から渡辺公使に対し、本件問題が解決するまでは文部大臣を中国に招待することは適当でないと考える旨の伝達がございました。
 以上が中国に関連する経緯でございます。
 韓国につきましては、本年の七月上旬から朝鮮日報などにおきまして日本の歴史教科書の記述内容についての批判が行われたわけでございますが、文部省におきましては、このような韓国内の教科書論議にかんがみまして、五十七年七月三十日、初等中等教育局長が文部省に在日韓国大使館李相振公使を招きまして、文部省としては韓国政府の強い関心に留意し、韓国内の論議には謙虚に耳を傾けたいこと、わが国の教科書制度は検定制度を採用しており、文部省としてはこの制度のもとにおいて最善の努力を払っていること、教科書検定は日韓友好の精神の上に立って行われており、今後とも学校教育においても日韓両国の親善と友好を深めていきたいことなどを述べ、検定済み教科書を渡したわけでございます。これに対し、李公使は、説明の内容は本国政府に伝えること、外交問題に発展することを避けるためにも日本の良心と良識に訴え、国民の納得するような対処を望んでいることなどを述べたわけでございます。
 しかしながら、昨夜に至りまして、韓国政府李範錫外相から在韓日本国前田大使に対しまして、日本政府の説明は是正に対する具体的な言及がないのは遺憾であること、韓国政府は日本政府の早急にして具体的な是正措置を強力に要求する旨の申し入れがあったわけでございます。
 以上が韓国に関連いたします検定教科書に関連いたします問題の経緯の概要でございます。
#58
○青木委員長 小川文部大臣。
#59
○小川国務大臣 教科書検定につきましての中国並びに韓国政府の申し入れにつきまして、ただいま初中局長から経緯をお耳に入れたのでございますが、私といたしましては、両国政府の申し入れにつきましても、また両国の国内における論議に対しましても、謙虚にこれを受けとめまして、両国との友好関係を損なわない形で問題を解決するために、誠意をもって努力を続けるつもりでございます。
     ――――◇―――――
#60
○青木委員長 引き続き、石橋一弥君外四名提出、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍛冶清君。
#61
○鍛冶委員 いま議題になっております法案につきまして質問をさせていただきます。
 その前に、ただいま初中局長並びに大臣から教科書問題についての経過並びに所信のお話がありました。前回教科書問題の質疑が交わされました中で、わが党の有島委員が質疑を交わしたところですが、その点のお答えでも不十分なところがございましたし、さらに新しい事実、いま経過報告等ございましたものを踏まえて、金曜日にはその時間がとられているようでございますので、その折にまたこの問題は有島委員からお尋ねをするということで、きょうは方向が違う、法案の審議でございますので、そちらの方に移らせていただきます。
 最初に、このたび国公立大学に外国人を正規の教員として任用する、こういう問題で午前中からいろいろ質疑がございました。重複することはなるべく避けながら御質問したいとは思いますが、重複する点もございますので、その点は御容赦を願いまして、簡明にわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
 まず最初に、午前中にもいろいろ質疑の中でお答えがございましたが、この法案がこういう形で提案される前に文部省も各省との折衝をしながらいろいろと問題点を詰めてきたというふうなことの中で、やむを得ず今回こういう形での提案になったというようなお話もあったわけでございますが、その中で各省とのいろいろな調整、意見のすり合わせ、これは別といたしまして、外国人の方々を正規に教員として今回のように任用するということについては文部省部内でいろいろと何か問題点等が検討されて、いい点、悪い点、これは何にでもございますので、恐らくこのことについても相当議論がされたのではないか、こういうふうに思っておりますが、この内容等具体的にございましたら、率直に文部省から最初にお答えをいただきたいと思います。
#62
○宮地政府委員 本法案が政府としての提案に至らなかったというようなことについての経緯、午前中の御質疑の際にも御説明を申し上げたわけでございますが、文部省内部での検討過程ではどうかというお尋ねでございます。私ども文部省内部でもちろんこの法案についていろいろ検討をいたしてまいったわけでございまして、一つには、大学以外に高等学校以下の学校があるわけでございますが、基本的には大学の学問研究というものについて特に国際化を図ることが必要だということについては部内の検討でも別段異論のなかった点でございます。したがって、高等学校以下についてこのような特別立法することについてはただいまのところ考えていないということについて、内部の意見としては特段その点についての調整に時間を要したというような事情はございませんというのが文部省部内の検討の結果でございます。
#63
○鍛冶委員 検討された内容は、そばにいたわけではありませんからよくわかりませんが、私ども、文部省内で検討の内容そのものではございませんけれども、この問題についていろいろな形での話を聞いておりますが、これは後からの質問でまたいろいろと明らかにお尋ねをしていきたいと思っております。
 では、なるべく重複を避けまして、すぐに法案の中のことでお尋ねをいたしたいのですが、本案の中で第二条の内容について若干お尋ねをいたします。
 教授、助教授、講師への任用について、これは大変前向きに提案されたことでございまして、本法案については全く私どもも一歩前進ということで賛成でございますが、午前中も議論がされておりましたように、外国人の教授として任用された方々の管理職への就任に関する規定というもの、これは実際には設けられておりませんから、具体的にできるとかできないとかいう議論はむしろ大学の方のサイドにゆだねられておるのではないかという気もするわけでありますが、これらの任用について、これはどういうふうなお考えを持たれているのか、まず提案者にお尋ねをいたします。
#64
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 午前中の質疑等について考え方の開陳をいたしたわけでありますけれども、第二条の任用関係については、いわゆる法理のぎりぎりの限界といたしまして教授、助教授または講師に任用をすることができる、そういう考え方が基本でございます。ただ、午前中の答弁でもお話し申し上げましたとおり、大学そのものから、どうだ管理職への任用もというようなときが参りましたならば、これは積極的に取り組んでいかねばならないな、こう考えております。
#65
○鍛冶委員 取り組んでいかなければならないということは、管理職への道も将来展望の中ではあり得るし、考えていいのだ、こういうことになるわけでしょうか。
#66
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 どこまでも、いま申し上げたような前提と申しますか意識の差と申しますか、そうしたことが醸成されたという前提があるわけでありますが、そうしたときには前向きに検討すべきである、こう考えております。
#67
○鍛冶委員 要するに大学側の自治に任して、管理職云々の問題というものは経緯を見ながら、大学側からそういうふうにすべきであろうというふうな結論的なものが出てきたときにはよろしい、こういうことであろうというふうに理解をしていいのだろうと思います。
 先日、京大にこの件で委員会派遣で参りましたときも、御意見の中に、やはりまず当面は学長とか副学長、各学部長、附置の研究所の長等についてはともかくすぐということにはならないだろうし、来られた方の目的とも若干ずれも出てくる形もあろうから、まず任用しておいて、そしてその経緯を見ながら、先になればというような意見もございましたし、また現時点でも教室主任というような言葉が使われておったと思いますが、これは学科主任等も入るのかどうかわかりませんけれども、研究、教育施設の長とか、こういうところはむしろ外人教授でも任用した方がいいのではないかというふうな御意見も出ておったようであります。こういうことを踏まえながら、先ほどの答弁をお伺いしていて、これは大学側の意向に任して、そういう要望等があって文部省に相談があれば、いい、こういうふうに考えるというふうな御答弁のように思いましたが、そういうことに理解をしておいてよろしいのかどうか、再度お尋ねをいたします。
#68
○石橋(一)議員 お答えをいたします。
 ただいまの教育施設、研究施設の長の問題等でありますが、この就任の可否につきましては、それぞれの職務権限あるいは制度、実態に応じていわゆる法理に照らして検討する必要も当然あるわけでございますけれども、この問題はそれこそケース・バイ・ケースの判断にゆだねることに相なるであろう、こう考えております。
#69
○鍛冶委員 これはひとつなるべく幅広く考えて、開くならば大きく開いておった方がいいのではないかというふうに私は思いますので、これは私どもの考えとして、大体そのような考え方に、立場に立っておられるようにも感じますので、御要望として申し上げておきます。
 次に、教授、助教授、講師の任用はこれではっきり明記されているわけでありますが、大学院教授についてはこの任用はどういうふうに考えておられるのか、これは提案者か文部省どちらでも結構ですが、お答えをいただきたいと思います。
#70
○宮地政府委員 それぞれの大学の教授に任用された場合、その教授が大学院担当をするということはもちろんあり狩るわけでございます。
#71
○鍛冶委員 次に進みまして任期の問題でございます。
 国公立の一般教員の任期については現行法ではっきりとした規定というものはないわけで、教授会等の権限で大学にゆだねられておる、こういうふうな解釈をされているようでありますが、今回特に本案につきましては第二条の第三項が挿入されて、確かに大学の自治に任せている。任用の道は開くけれども任期制というものについては大学側にゆだねてはおるものの、要するに任期としてはやはりはっきり考えるべきだという思想の上に立ってこういうふうなものを挿入されたというふうに理解していいのかどうか、この点を提案者にお尋ねをいたします。
#72
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 そのとおりでございます。
#73
○鍛冶委員 この規定、そういう形が根底にあるといたしますと、現在の国公立の一般教員、日本人教員との間に差が出てくるようになるような気がするわけでありますけれども、これはそういう形にはならないのか、この点をお尋ねいたします。
#74
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 この第二条第三項の規定、どこまでも特別措置法という考え方の中においてのことであります。そこで、この法律に基づいて任用いたしますところの教員の任期については結局ぎりぎりのところ大学管理機関の定めるところであるのだ、それならば普通一般の大学の教授あるいは助教授等の任期についてはということを、われわれも種々の角度で検討はいたしました。しかし、これに連動させるべきかとの意見、あるいは公平と申しますか差別と申しますかをつけるべきではないというような意見、いろいろな意見があったわけであります。その結果といたしまして結局、本法に基づくものについては大学管理機関の定めるところによろうということでこのような規定をしたわけであります。
#75
○鍛冶委員 これは文部省にお尋ねしたいのですけれども、大学の閉鎖性ということがよく言われるわけですね。学問の自由、大学の自治というのは大変重要なことでございまして、これは守らなければならないと思いますけれども、その陰でこれを悪用しているという傾向も最近あるのではないかという気もいたします。悪用という言葉が言い過ぎかもわかりませんが、そういう部面もあるような気がするわけです。
 さらには二年か三年前に私が一般質疑の中で、大学の教員がいわゆる研究と教育という任務を持っている中で、研究もしなければ教師としての教育の面もやらない教師をやはりあちこちで耳にし目にしてきたものですから、このことについて質問も申し上げました。その中で学会にすら所属してない先生方もずいぶんいるじゃないかということで、データもお聞きしながら質疑を交わしたことがございます。その後も私はあちこち回っておりまして、大学になりますと大変まじめな先生がいらっしゃいますが、そういう先生方がむしろ腹を立てている。一般の大学の教員で勉強しない先生がずいぶんいる、本すら買わないというような人も中にはいるぞというような声もあったりする中で、とにかく教授に一度任用されますと終生安泰であるというふうな感じの中で、前に私は、授業も一年間に二日しか出ない、あとは寝て暮らすか遊んで暮らすかわかりませんが、一年を二日で暮らすよい男、教授というふうな変な言い方で申し上げたこともあるのですが、事実そういう教授もいるようであります。
 そういう中から私は、大学の閉鎖性というのはいい意味では結構だと思いますけれども、悪い意味で働く場合に、これは歯どめがかからずに悪く悪くいくという点もあるだろう。そういう中でいまの教育は、小中学校含めまして大学まで、私は教える側の教員、教師の立場というものは大変真剣にお考えをいただかなければならない時期になってきた、こういうふうに思っております。
 そういう意味から言えば、むしろ大学の先生方も十年に一度はひとつ試験と言いますと語弊がありますが、ちゃんと資格の見直しをするくらいのいわゆる厳しい中で、あえてこういうことは言いたくないのですがそういう環境で、もうひどい人になりますと大学の教授と言えばあれはなまけ者の代名詞だという人もいるくらいでありまして、これはちょっと言い過ぎた言い方かもわかりませんが、そういうことがある中で私は、外から立法府の方で声をかけながら、そういう十年に一度くらいは資格をきちっと見直すくらいのことがあってもいいのかな、むしろそういうふうな気持ちを持っているわけでありますが、はからずも外国人教授の中で任期制というものがこういうふうに入ってまいりました。これはもともと別な角度でのこういう形が考えられてはおるようでありますけれども、むしろ現在の日本人教員の中でも、こういう形で任期制に関しての規定を設けてもいい時期が来ているのではないかというふうな気もいたすわけでありますが、この点について文部省はどういうお考えを持っていらっしゃるのかをお尋ねしたい。
#76
○宮地政府委員 国立大学教官のあり方についてのお尋ねでございますが、国立大学教官についての任期制を採用するということにつきましては、たとえば昭和四十六年の中教審答申等におきましても指摘されている点でございまして、大学教官の人事の閉鎖性を排して生き生きとした教育、研究活動を展開するためにもそういうことは有益な手段であると考えられるわけでございますが、他方、わが国の社会全体には終身雇用的な意識が大変強いわけでございまして、職場間の流動性が高くないという実態もございます。また、公務員制度一般における身分保障の問題との関連もございまして、教員の人事のあり方についてはまた大学の自治にかかわる基本的な問題でもございまして、関係者の意見等も十分聞きながら慎重に対応していく必要があろうか、かように考えております。
 なお、ちなみに先般法案の成立を見ました放送大学におきましては、昭和六十年からの発足を予定しておるわけでございますが、これは特殊法人立ということでもございますが、任期制の実施を予定するということで考えているところでございます。事柄としては大変基本的な問題でございまして、慎重な検討を要する課題であろうか、かように考えております。
#77
○鍛冶委員 それでは、この問題は次に移らしていただきまして、服務の宣誓の問題でちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
 本案では、外国人の公務員服務宣誓義務ということについては免除するとか特例の規定を設けるとかいうようなことにはなっていないわけでありますけれども、服務の宣誓については、当然国家公務員という形での横並びになるわけですから、これが任用の要件として考えておられるのかどうか、これは提案者でよろしいのでしょうか、お尋ねをいたします。
#78
○石橋(一)議員 ただいまの問題でございますが、当然国家公務員になるわけであります。そうした場合は、わが国の考えといたしまして、服務の宣誓ということでいずれの機関においても実施をいたしておるところでありますので、この問題についても同じ考え方に立つことに相なります。
#79
○鍛冶委員 そこで、服務の宣誓になりますと、これは職員の服務の宣誓に関する政令ということで、政令によって宣誓書の内容も定められているわけでありますが、それを読んでみますと、「私は、国是全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」、こういうことでサインするようになっているわけです。
 しかし、各大学側で、こういう教授についてはぜひ来てもらいたい、こういう強い要望を持っておったところが、御本人が、宣誓はいいとしてもたとえばこの中の「日本国憲法を遵守し、」ということについてはちょっと困るというふうな場合も出てきやしないか。
 というのは、私が心配しますのは、国によっては他の国に忠誠を誓うというか、「日本国憲法を遵守し、」というような言葉が入っていてそれにサインしますと日本国に忠誠を誓うということになって、そのことが国籍剥奪ということにつながるというようなこともあるやに聞いているわけです。これは米国なんかもそうだというようなことも聞いておりまして、各国ほかにもあるのではないかと思うのですけれども、具体的な問題として、外国人教授を任用する場合に、この服務の宣誓ということについてそういう問題が出てくるような気がするわけでありますけれども、これは提案者か文部省になりましょうか、そういうようなことで「日本国憲法を遵守し、」というような条項等で宣誓した場合に各国で国籍剥奪というようなことにならないのかどうか、ないしは、本人がいやと言った場合にはどうなるのだろうかというふうに思いますが、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
#80
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 先般の京都大学の視察のときにも、大学側から意見としてこの問題はたしか出たわけであります。「憲法を遵守し、」と書いてあるが、このことそのものが任用するときに一つの障害になりやしないかという意見がやはり出たわけであります。
 そこで、いずれにいたしましても提案者といたしますと、法理に初めて穴をあけてこの法律を出したわけでありますので、服務宣誓書についてもやはりいわゆる特別措置法としてのことで出したわけでありますので、そうした点の阻害になるような点については研究をして、弾力的な施行運用をするように考えていかねばならないではないかな、こんなふうに考えております。
#81
○鍛冶委員 いまの言で、大学側でいろんなことを予測して調査等をされているのじゃないかと思いますが、仮にこれをこのまま宣誓させるとして、「日本国憲法を遵守し、」等と書いてある場合に、各国で国籍剥奪というようなこと、これは忠誠との関係でそうなるということのようですが、こういうあたりというのを感触として各国に当たっておられたら、どういうような取り扱いになるか、ひとつ文部省の方からお答えをお願いしたいと思います。
#82
○宮地政府委員 お尋ねの点でございますが、たとえば外国の国籍法等におきまして、たとえばアメリカのように外国に対する忠誠の宣誓などを行うと国籍を喪失することとなるとされている場合があるわけでございます。アメリカ、イギリス、フランス及び西ドイツの各国につきましては、照会を行いました結果、わが国の現行の服務の宣誓を行うことは忠誠義務違反とはならない、したがって国籍喪失等の問題は生じないという回答をいただいているところでございます。また、現在、国立大学の助手として韓国、中国、マレーシア等の各国人を任用しているわけでございますが、これらの助手につきましても服務の宣誓を行っておりますが、国籍喪失といったような問題が生じた事例はございません。
#83
○鍛冶委員 では先に進ませていただいて、多少細かい問題になりますが、後々、これが実施されました場合に心配になる点もございますので、この場でいろいろとお尋ねをさらにしておきたいと思います。
 外国人の教授を任用することによりまして、国益の保護ということが考えられてくると思います。それに反する事態というものが起こってはならないわけでありますけれども、こういう点について心配はないのかどうか。これは大学側で結構ですが、お答えをいただきたい。
#84
○宮地政府委員 従来、大学において外国人の研究者が研究上の秘密を漏らしたというようなことで問題になった例は私ども承知をしていないわけでございます。
 大学における研究及びその発表というのは研究者の自主性にゆだねられているところでございまして、国家公務員法上の守秘義務の対象として保護すべき秘密を漏らしたということで問題となるようなケースは一般的にはまず起こってこないのではないか、かように考えております。
    〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕
#85
○鍛冶委員 さらに具体的には、いろいろ外人教授の方が入ってこられて研究に従事される、その場合に、その内容や成果及びその利用、こういったことをめぐってトラブルが起こるという心配はないのだろうか。さらには、特許権なんかの問題が起こってまいりますと、その帰属の問題について、だれがこれに権利があるかということでいろいろなことが起こるのではないかという気もいたしますが、こういう件についてはどういう御判断をされているのでしょうか、お尋ねをいたします。
#86
○大崎政府委員 お答えを申し上げます。
 大学における研究というのは原則として秘密がないという前提で行われておりますので、御指摘のようなケースは予想されないわけでございますが、特に特許関係のことについてのお尋ねでございますので、その件につきましてお答えを申し上げます。
 特許を受ける権利は発明をした者が持つわけでございますが、ただ、職務に属する発明につきましては使用者があらかじめこれを承継するということを決めることができるようになっております。
 国立大学につきましては、個々の大学の学内規定に基づきまして発明委員会というのを設けていただいて、そこの検討を経て学長が国が承継するかどうかを決めるという手続を経て決定することにいたしておりますが、私どもとしましては、国立大学の学内規定の扱いとして次のような指導をいたしております。
 一つは、応用開発を目的とする特定の研究課題のもとに国から特別の研究経費を受けて行った研究、その結果生じた発明につきましては、これは原則として国が承継する、それから、同じく応用開発を目的とする特定の研究課題のもとに、国により特別の研究目的のために設置された特殊な研究設備、これを使用して行いました研究の結果生じた発明、これも国が承継するというようなことで学内規定を整備いたしておるわけでございます。これが一般の大学教官に対する取り扱いでございますが、外国人の教員につきましても、正規の教官ということで任用されますと全く同じ取り扱いになるというふうに考えております。
#87
○鍛冶委員 後でもちょっと申し上げようとは思っているのですが、外人の方々、特に欧米の方々にはこういう問題は詳しく事前によく説明をしておかないとトラブルが起きる可能性があるのではないかと心配になるわけです。規定があるわけですから別にどうこうということはないのだろうとは思いますが、万一のことをおもんぱかって申し上げているわけです。
 さらに、IBMの問題がございました。あれは企業の問題でございますけれども、秘密の問題はこれから相当エスカレートしてくることであろう。文部省サイドである今回の問題は、純粋に学問的な立場からの文化交流を含めてのことですから大賛成であるし、意図としては結構なことですけれども、万が一そういうことが起こらないとも限らないだろう。特に日本では先端技術の面で世界の先端を行っている向きもあるわけでありまして、その研究に従事する中に外人教師の方が入ってこられた場合に、やはり守秘義務は当然課されるわけではございますけれども、非常に微妙な問題も出てくるような気がいたします。そういうようなこともございますので、きょう取り上げてどうかなと思いつつもあえて取り上げたわけでございます。こういったことでせっかくの本案の意図が汚されることのないように、これはひとつ実施された節には配慮しながら進めていただきたい。御要望を申し上げておきます。
 さらに、ちょっとこれも聞きにくいことですがお尋ねをいたしますと、午前中の御答弁の中でも大学局長が、たしか外国人教授の任用に関しては適任な方の任用をしたいというふうにもお答えをされていたように記憶しておりますが、まさにそのとおりであろうと思います。ただ、この任用については大学側の裁量に任せられているわけではございますけれども、最終的にはやはり国家公務員でもあり、大学教授の任用ということになりますと文部大臣の命令による発令によってということになるのじゃないかと思うのですね。この場合、大学側の方はもちろんこの人を任用してほしいということで決定をして文部省の方に持ち上げてくる、こういう場合に、文部省サイドで、この人はちょっと教授としてどうだろうかなという場合がひょっとしたら起こり得る可能性もあるのじゃないだろうか。こういうふうな場合にどういうふうな対処をされるのだろうか、これもちょっと起こり得ないことかもわかりませんが、万が一ということがございます。その場合にどういう形に判断されるのだろうか、この点について、これは文部省の方にお尋ねをいたしたいと思います。
#88
○宮地政府委員 大学の選考はもちろん手続に従って適任者を選考して、たとえば教授でございましたら文部大臣発令ということになりまして、大学から上申書が出てくることになるわけでございます。
 午前の御質疑の際にもちょっと申し上げたわけでございますが、実際上は教育公務員特例法上の手続を要するわけでございまして、教育公務員特例法上の手続の上で疑念の出てくるような事柄については、手続が適正に行われているかどうかについては、十分私ども任用に当たりまして精査をすることはもちろん必要なことでございます。適法な手続に基づいて上申が行われますれば、それを文部大臣が発令をするという手続になろうかと思います。
#89
○鍛冶委員 では、次に進ませていただきます。
 現行の国家公務員法の二条七項による従来からの外国人教師の採用については定員法の枠外となっているのでございますけれども、本案による外国人教師の定員は実際上どういうふうな形の取り扱いになるのだろうか、これは提案者の方でよろしいでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#90
○狩野議員 お答えいたします。
 定員法の枠内において行われるものでございます。
#91
○鍛冶委員 これも京大で各学部長さん、総長さんといろいろとお話し合いの中で要望のあったことでございますけれども、私も聞いておりましてなるほどなというような感じがいたしました。これはぜひひとつ定員法の枠外にも若干設けてというような意向が強く出されておりましたけれども、これについてはどういうふうにお考えでしょうか、ひとつ御返事をいただきたいと思います。
#92
○宮地政府委員 ただいま提案者から御答弁があったとおりでございまして、一般職の公務員でございます教授等として外国人を任用することができる道を開くわけでございますが、その任用そのものについては、たとえばある大学の特定の講座に教授の欠員が生じたというような場合に、適任者を選考するに当たりまして国の内外を問わず適任者を広く求める仕組みを開くことになるわけでございます。したがいまして、定員としまして特別にこのための定員措置をとるということは基本的には考えていないわけでございます。
 なお、御指摘のございましたように、既存の個人契約に基づきます外国人教師、講師等につきましては、これは定員法の枠外に予算措置として講ぜられておるものでございまして、私どもとしてもこの制度は引き続き充実を図ってまいりたい、かように考えております。
#93
○鍛冶委員 方向としてはいま御質問申し上げた方向で検討をしていってもいいのではないかというふうな気もいたしますので、これは将来の問題として検討していただくよう御要望は申し上げておきます。
 次に行きまして、国家公務員法の第二条七項による従来からの外国人教師の皆さんの処遇というものと、本法案が可決されて適用されるようになった場合に本案により外国人教員が任用されてくる、こういう場合の処遇は並列でやるということでお考えのようでありますが、その処遇というものに違いが出てくるような気がするわけですね。そういう違いというものについて、大きな点でどういうところがあるのか、さらには、これによって何か問題が起こるようなことはないのかなという心配がちょっとするわけでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
#94
○宮地政府委員 この法律が成立いたしまして任用されます場合には、もちろん正規の一般職公務員として日本人と同様に任用が行われることになるわけでございます。これに対しまして従来の外国人教師、講師の制度は、御指摘のように国家公務員法第二条第七項の規定に基づきまして勤務の契約により雇用されものでございまして、一般職及び特別職以外の公務員であるというぐあいにされているわけでございます。このため、本法により教授等に任用される外国人につきましては日本人と同様に国家公務員法、教育公務員特例法等が適用されるのに対しまして、外国人教師、講師たる外国人については基本的にはこれらの法令の適用はないということになるわけでございます。
 また、本法により教授等に任用される外国人にかかわります健康保険でございますとか年金、公務災害、宿舎等の扱いはすべて日本人の教授等と同じになるわけでございますが、外国人教師、講師の場合には各年度ごとの契約によって雇用するという前提のもとに、それらの諸条件については予算措置によって行われるということで、中身も異なってくるわけでございます。
 一つは給与の問題でございますが、契約に基づいて雇用される外国人教師の給与は予算措置によって支給されるわけでございますけれども、本法によって任用される外国人教授等には一般職の職員の給与に関する法律が適用されまして、日本人教官と同様、教育職俸給表に基づいた俸給が支払われるということになるわけでございます。具体例で申し上げますと、たとえば五十一歳の一般職の教授の場合を例にとって申し上げますと本俸が月額三十八万程度でございますが、これにほぼ相当します外国人教師の場合には、現在俸給は月額四十三万二千円が支払われているという状況になっております。ここに差が出てきておりますが、外国人教師は短期間の雇用でございますこと、それから扶養手当が支給されないことなどが理由になるわけでございまして、そのほか調整手当とか期末手当、勤勉手当、通勤手当、寒冷地手当については、外国人教師に対しても、予算措置によりまして一般職の公務員に準じた支給が行われるということになっているわけでございます。
#95
○鍛冶委員 それでは次に進みまして、特に日本に定住されておる外国人である教員の方々、これは北朝鮮それから韓国の方々が多いようでありまして、助手の人が多いともお聞きしておりますけれども、そういう方々の処遇として、その人たちの中で大変優秀な人たち、そして本人も希望するし、また周囲も自他ともに認めるようなりっぱな方々の本法による教授への昇進の道というものは今後開けるものであるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
#96
○宮地政府委員 午前中のお尋ねにも同趣旨のお尋ねがあったわけでございますが、国公立大学の教授、助教授及び講師についても、本法の制定によりまして従来閉ざされておりました任用への道が開かれるわけでございまして、したがって、現在助手に任用されております外国人につきましても、それぞれ適任者について各大学の選考を経て教授等に任用される道が開かれることになるということでございます。具体的な手続といたしましては、教授、助教授については教授会の議に基づき学長が選考し、学長の上申を待って文部大臣が任命をするというような手続になろうかと思います。
#97
○鍛冶委員 今度は待遇の問題でお尋ねをしたいのでありますが、これも午前中ちょっとお尋ねがありましたけれども、重ねてお答え願いたいのです。本法による外国人教員に任用された場合、本人並びに家族の赴任や帰国のとき、それから一時帰国のときの旅費、休暇旅費、こういったもの等については支給できるようになるのかどうか、お尋ねをいたします。
#98
○宮地政府委員 国家公務員の旅費につきましては、国家公務員等の旅費に関する法律に規定をされておりまして、新たに採用された職員がその採用に伴う移転のため住所または居所から勤務地に旅行する場合には、同法第三条第一項によりまして旅費が支給されることになっております。したがいまして、外国人が外国から赴任する場合にありましてももちろんこの規定が適用されて、航空運賃、移転料、扶養親族移転料等が支払われることになるわけでございます。
 それから帰住旅費の点でございますが、職員に帰住のための旅資を支給する場合については同法の第三条第二項に規定がございます。国家公務員が外国の在勤地において退職等となりましてわが国に帰住する場合について旅費を支給する旨の規定がございますけれども、外国人がわが国におきまして退職しまして外国に帰住する場合については具体的な規定はないわけでございます。ただ、先ほど午前中の御質疑にもお答えしたわけでございますが、外国への帰住旅費は法律上支給されることになっておりませんけれども、同法第三条第五項で「国費を支弁して旅行させる必要がある場合には、旅費を支給する。」という規定がございます。したがって、現在勤務契約によって雇用しております外国人教師等に対しましてはこの規定を適用して帰国にかかわる旅費を予算措置をして支給しているわけでございまして、本法の制定によりまして、今後教授等に任用される外国人につきましても帰国に必要な経費は支払われるような検討が必要ではないか、かように考えております。
#99
○鍛冶委員 重ねて当し上げたのはもう一つ、今度はこちらに外国人教員が来られてからの住居の問題等もあるわけですが、やはり待遇の問題が、これは給与等はきちっとするわけですからいいようなものの、具体的な細かいものになりますと大変問題があるようです。特に住居についても、私もいろいろなところで御意見を聞きました。それは、今度は本案によるものは国家公務員ということになりますから、恐らくは国家公務員の宿舎といいますか、大学教授という立場でそういう宿舎が適用されるのではないかというような気もいたしておりますが、まずその点について先にちょっとお尋ねをいたします。
#100
○宮地政府委員 外国人教授等に対する宿舎の問題でございますけれども、これらの外国人の公務員宿舎への入居につきましても、もちろん日本人の公務員と同様に取り扱われることになるということでございまして、宿舎の確保につきましては十分配慮してまいらなければならぬ点かと思います。
 なお、五十六年六月一日現在の住宅事情調査によりますと、文部省におきます宿舎の貸与を希望する者の九四%程度が入居しているという状況でございまして、希望者に対しては九四%ということでございますので、ほぼ満足している状況ではないか、かように考えております。
#101
○鍛冶委員 いままでの希望に対する入居率のお答えもあったのですけれども、問題は、私が申し上げておきたいのはその中身なんですね。本案による教員の件についてはこれからの問題ですから、法律に基づくものになることはなるのでしょうが、意を注いでいただきたいし、さらに改善の方向があるならば、世界の頭脳をこの際何とか引っ張ってきて日本のためにも世界のためにも貢献するという意味では、そこらあたりが非常に大切ではないかと思うのですね。
    〔中村(喜)委員長代理退席、西岡委員長代理着席〕
いままでは国家公務員法二条七項による外国人教師の方々でございましたけれども、具体的に、私が京大へ行ったときも、学生部長さんから、受け入れ制度がちょっと不備ではないかという御意見が出ておりました。ほかでも私は国立大学でいろいろお話を伺ったときに、これが痛切な声としてお聞きした事実があるわけです。
 たとえば、これはもう私の方から参考に申し上げて、将来というよりもぜひ改善をしていただきたいのですけれども、外国人の方々が来られますと、契約書の中に、住居についてはこれを供給するというような言葉が入っているのですね。これは向こうの言葉でどういうふうに言うかわかりませんけれども、契約書を日本語に翻訳したものを見てみますとそういうふうになっている。しかし、外国の人は契約書というのをどうも向こうの現地では見ておられない方が多いようですね。日本に来てから見る。しかも、見ておっても、供給するということになっておるから当然無料で提供を受けてやるのだという考え方に立っておられるようです。ところが、実際はそうではなくて、やはり供給すると言いながら家賃を取ることになってしまうわけですね。家賃を取るのは二万幾らか三万幾らでしょうが、それは所定されたところの大学が確保している住宅に入るときはそれでいいのかもわかりません。ところが、現実はその住宅がないために、まず外人教師の方が来られると、担当している関係教授の方が一緒に歩き回って、たとえば東京都内ですと、家を探して回ることから始めなければならぬというのです。そうすると、借りた場合には上限として十一万五千円でしたかぐらいは文部省、国から出るということになっているのです。ところが実際はそういう程度の家賃ですと、東京の場合、家族の方が来られた場合には足りないということで、やはり家賃が二十万なりするようなところに入られるようですね。それを探すのが大変だということなんです。そしてようやく探し当てたと思ったら、その差額は御本人持ちです。給与は大分もらっているかもしれませんが、十一万五千円の差額は自分が持つ。ところが実際は文部省の方には、大学が大学側の家を提供しているということになっているみたいで、結局御本人が――日本の場合には敷金とか礼金とかも入ってくるのですね。こういう例というのは外国ではない。ところがこういうものに対する手当がないから全部御本人が払ってしまう。そしてしかも、自分が払って入ったのだから、十一万五千円くらいは、それは国から出るのだからと、ありがたくちょうだいしようと思うと、今度は文部省の方は、大学側の家を貸すのだから家賃を取るのだというようなことで家賃を取ってしまうわけですね。だから、何か契約を二重みたいな形にしないとうまくならないというようなことがあるようです。
 現実の問題でありまして、これはほかにいろいろ有名な先生方にもお聞きしましたら、極端なことをおっしゃる方は、こういう住居に入れるような制度しかないならば、これはいい先生は来ないよとまで断言された方がいるのですね。せっかく法律ができましても、そこらあたりができないと、しかも世界の優秀な方を引っ張ってきて活を入れようとか交流していこうというような本来の目的から言いますと、こういうことのためにむしろそういう芽をつぶしてしまうという可能性がずいぶんあるようであります。だから、ある大学によっては、やむを得ないから、敷金やら礼金というのは理解させるのに困るから教授の先生方が幾らか金を出し合って基金をつくって、百万円くらいいつもプールしておいてそれを使おうというようなことも苦心をしておられるようなお話すら伺いました。そういう現状は、せっかくこういうものがどんどんいい形で進められていく中で案外見落とされておる大切なことではないかと思います。
 そういう意味で、これは御要望にとどめますけれども、そういう実態ももう一度お調べの上、ことさらよく待遇するということはあるいは必要がないかもしれませんけれども、しかし、外人の教師の方々が来て、喜んでこの住まいならばと言われるような形、これは住まいの例を申し上げましたが、いろいろな形でぜひ私は対処をお願いいたしたいと思います。
 最後に、時間がちょっと過ぎましたので大臣にお尋ねいたしますが、本法が施行されましたときの大臣のお考え、それからさらには、一つ心配は、この法案が通りましても、果たしていまの待遇、いまのような形、いま申し上げたようなことを含めまして、ある場合に所期の目的の本当の意味で優秀な頭脳を持った方々が日本に来てくださるのかなという心配もずいぶんあるわけでございますが、こういうことを含めまして、いま御要望申し上げたことも含めまして最後に大臣のお答えをお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#102
○小川国務大臣 学術、教育の国際交流を活発ならしめるということは、文教政策を進めてまいります上の非常に大切な、大きな課題だと信じております。文部省といたしましては、かねてこのために外国人を国公立大学の教授として任用する道を開きたい、かように考えて関係省庁との間に調整をいたしておったわけでございますが、このたびかような法律案が提出されましたので、心からこれを歓迎し、成立を期待いたしておるわけでございます。成立いたしました暁には、ただいまいろいろ適切な御注意を承っておるわけでございますが、御趣旨を体して、この法律が本来の趣旨に沿って運用され、所期の効果を発揮いたしますように努力するつもりでございます。
#103
○鍛冶委員 質問を終わります。
#104
○西岡委員長代理 三浦隆君。
#105
○三浦(隆)委員 初めに、持ち時間に限りがありますので、予定された質問が全部できるかどうかわかりません。もし残されましたときには、その質問、後刻答弁にかわって、ひとつ資料で御提出いただければありがたいと思います。
 初めに、法案提出に関連してございます。
 まず、論議の前提としまして、第一番目に、本法案は一般外国人の入国、滞在を論じるものではなくて大学教員の入国、滞在の問題であるということ、二番目に、学問の国際性から大学教員の人的交流を促進する機運が高まってきているということ、三番目に、外国人である限り、管理者の身分のあるなしにかかわらず、その入国、滞在などの取り扱いにおいて日本人と当然異なる取り扱いを受けることがあり得るということであります。
 次いで、日本にかつておりましたクラーク博士の例を一言述べます。
 大蔵省の「開拓事業報告」第四編あるいは「北海道大学百年史」によりますと、クラーク博士は一八七六年、明治九年三月三日に日本政府と契約書を交わし、管理者たる教頭として札幌農学校に赴任してきております。クラークが招かれましたのは、新設校の管理者として、教則を熟知し、学科に練達し、わが校長の顧問に応じ、諸規則を議定すべき技量を有する者と認められたからであります。すなわち、明治の初めは、五カ条の御誓文の言葉にもありましたごとく、旧来の陋習を破り、そのためには知識を世界に求め、クラークを新設高校の管理者として迎えようとする開かれた教育への姿勢がありました。
 それから幾星霜を経まして、現在、諸外国では外国人を正規の大学教員となる道を開き、さらに、その道を大学の管理者へと広げております。これに比べわが国では、今日初めて本法案が審議されているのでありまして、教育の門戸はこれまできわめてかたく閉ざされてまいりました。私は、本日の質疑に当たって、改めて明治初年のクラークを招いた政府の心を思いやり、また昭和二十年、敗戦の惨禍の中から国際平和と国際協調主義の旗印のもとに再生を誓ったころを想起し、これからのあるべき教育をここで審議の素材としていただきたいと思います。願わくは、法案提出者である諸先生方が色あせた公務員の法理などというものにとらわれずに、時代を先見する姿勢を持って答弁に応じていただきたいと思います。
 そこで、法案提出理由の中の一項目なんですが、昭和二十九年に、十月二十七日付でありますが、神戸医科大学に助教授として外国人が採用されたことがあります。果たしてそれがよろしいのかという照会に対して回答がなされました。その回答によりますと、「公立大学助教授の地位は、助教授が学校教育法第五十九条第二項の規定に基づき大学の教授会の構成員とされる場合は別として、それ自体としては公権力の行使なり、公の意思の形成への参加をその職務内容とするものではなく、」云々ということで認められておるわけです。
 さて、これは昭和二十九年という原点でありまして、教授会イコール正教授会を名指していたころであります。それから大学紛争などを経由しまして、現在どこの学校でも教授会、そこに助教授もあるいは場合によっては講師、助手も含んでいるところが少なくないわけでして、そういう意味では、もしこの人が教授会に所属していたとしたら、この回答は成り立たなくなってしまうわけであって、その後の処置として、もし所属していることが事実であったとしたら、この人は外国人なるがゆえにどういう処置を受けるようになってしまうのでしょうか、それを尋ねたいと思います。
#106
○宮地政府委員 お尋ねの趣旨、あるいは私取り違えておるかと思いますが、お尋ねの件は、神戸医科大学助教授の国籍条件に関する件についての法制局の回答にかかわってのお尋ねでございましたが、「教授会の構成員とされる場合は別として、」と回答に書いてあるけれども、教授会の構成員となった場合にはどうかというお尋ねでございましたでしょうか。――教授会の構成員となるということであるならば、それはやはり公権力の行使に当たることになるわけでございます。したがって、それはいわゆる法理に抵触をする問題が出てくるというぐあいに考えるわけでございます。
#107
○三浦(隆)委員 としますと、事実抵触していたわけでありまして、これから法案が通れば、教授であれ助教授であれ、教授会に参画し得るのですが、いま法案が通ってないのですから、法案が通らなければだめだというのであれば、この人はずっと違法の状況のままで大学の地位に踏みとどまっていたことになるし、それをそのまま今日まで長い年月見逃してきたところの文部省のいわゆる間違いというものは、やはりそれなりに指摘されることだと思います。
 ただ、ここで私が問題提起して言いましたのは、その前に、いわゆる国公立大学外国人教員採用法案に関する見解として、一九七九年一月三十日付で法学者二十五氏の見解が表明されておりますが、実はこの方々たちは現行法でもいいじゃないかというたてまえでいったわけであります。しかし、もしそれがだめで、特例法をつくらなければいけないのであれば、この人は明らかに違法な状況のままにいたというふうに思います。
 先に進みますと、次に西ドイツあるいはデンマークなどでは、外国人教員の任用を法的地位の上では公務員と位置づけます。そして同時に管理職への就任も認めているわけです。西ドイツ、デンマークにおける公務員の法理では管理職への道を認めているわけであります。では、その認める論理はいかなる立場で認めていたのか、お尋ねしたいと思います。
#108
○宮地政府委員 御指摘の西ドイツのケースでは、管理職への道を認めているということでございますが、それは立法措置で認めていることになっております。
 御指摘のように、その点は諸外国の立法例も、たとえばフランスの場合には認めていないという形がとられているわけでございまして、それぞれの国情によりましてそれぞれの歴史的背景その他、それぞれの国において考え方が、ただいま申しましたように、認められているケース、認めていないケースがあるわけでございます。特別の立法措置で管理職について認めているケースというのは、恐らくは大学というような機関について、一般の行政機関とは異なる性格に着目をして認めているのではないか、かように考えられます。
#109
○三浦(隆)委員 同じ公務員の法理というものがあって、西ドイツ、デンマークではこれを認め、日本では認めないということになると、国際的に開かれるか開かれないかということになりますが、日本はきわめて古い、閉鎖的ではなかったのだろうか、こういうふうに言いたかったわけであります。
 またさらに、外国人教員の管理職への任用は、アメリカでもオランダでもイギリスでもみんな認めているわけであります。公務員とは限りませんが、やはり認めているということについては同じでありまして、日本の国もそれらの国と同じように国際的な基盤を打ち立てたいというのであるならば、よその国が認める論理を持ち得るのには、なぜ日本だけが閉ざされた考え方に、いわゆる古い公務員の法理なるものにとらわれなければいけないのだろうか、きわめて残念であるし、改めて、アメリカその他では逆にどういう理由で認めたのか、お尋ねしたいと思います。
#110
○宮地政府委員 ただいま申し上げましたように、外国の法制におきましてもそれぞれその国情なり伝統というようなものもございまして、アメリカの場合には、州立大学におきましても、それが州政府自体とは別の公法人が大学の設置者になるというような形がございますので、その点は直接国家公務員という形での規制ではない、かように理解をいたしております。フランスの場合には、国家公務員であり、かつ管理職についての制限というものはかぶさっているというわけでございまして、諸外国の制度においてもそれぞれ態様は異なるわけでございます。
 私どもといたしましては、その点は、もちろん国立大学も私立大学もいずれも大学としての機能は全く同種の機能を果たすわけでございますけれども、やはり国立大学の場合には、学長なり学部長についてはいわゆる教育、研究そのものとは異なるその大学としての、行政機関としての、長としての管理運営にかかわる事柄があるわけでございまして、それらについては、やはり従来からの法理の考え方に沿って、ただいまのところなおその点については慎重な検討が必要ではないか、かように考えているところでございます。
#111
○三浦(隆)委員 国立か私立かというのは、昔の時代でしたらまだいわゆる官尊民卑という思想もあるし、国立は大きな意味を持っておりました。むしろいま多くの子弟が関心を持っておりますのは、授業料が安いか高いかくらいの問題だろう。私立でもすぐれた大学は現在幾らでもあるからであります。同じように、アメリカの大学の中でも、私立であっても、そこからすぐれた政治家なり、すぐれた官界なりすぐれた財界をしょって立つ人は幾らでもおりまして、国立私立を区別する理由はほとんどありません。だからそうした私立であろうと国立であろうと、国の公の意思の形成に参画していく人は、現在いろいろな審議会その他を通じても幾らでもあり得るケースだと思いますので、要は根底的に、閉ざされた考え方の中に閉じこもっていようとするのか、あるいはもっともっと広く開かれた社会にこれから進んでいこうとするのか、基本的な認識の違いだ、このように理解いたします。
 さてその次ですが、次は大臣に実は御答弁をお願いしたいのです。
 といいますのは、外国人の任用は、これまで公務員の法理というふうな行政実例によって抑えられてきたわけです。すなわち、行政指導的な行政実例あるいは通達的な行政実例でありますが、いずれにしましても、積極的には、法上は、特別の場合を除きましては、外国人が公務員になることを禁じているものはないわけであります。にもかかわらず、実質的には公務員の法理なる行政実例によって抑えられてきたわけであります。
 さて、外国人といえども人権を保障されるものであるならば、少なくともこれが新しく、いま日本にいるものである、できる限り人権の保障はあるものだ、こういうように思います。とするならば、わが国は法律による行政の原理が働くはずでありまして、法律による行政の原理というのは、行政は法律に基づき、法律に従って行わなければならないという考え方で、法治国における、日本に限らず行政の基礎原理でもあります。その目的とするところは、国民の権利、自由と法律生活の安定の保障ということに尽きます。この原理は、一説二説三説とありますけれども、いずれも権利、自由を保障しようということについては同じ中に入ってまいります。今回この特例法なる法律ができることによりまして、外国人任用への道が開かれたことは大変すばらしいことだと思うのですけれども、これからの教育行政のあり方として、基本的なことはあくまでも法律に、あるいは、法令によるべきであって、主たるものは法令にして、いわゆる行政指導その他が法令以上の力を働かしてしまうというのは考え方としておかしいのだ、こう思うのです。そういう意味でひとつ法律による行政という見地に立って法を前向きにお考えいただけるお気持ちをお持ちかどうか、これからの教育行政のあり方としてその点だけ、大ざっぱでありますが、文部大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#112
○小川国務大臣 いわゆる当然の法理が、明文の規定によることなしに法規範として効力を有することにつきましては次のように解すべきではないかと思っております。わが国の法令上、ある種の公務員については日本国民たることを要件とする旨の規定がございます。たとえば外務公務員法第七条、公職選挙法第十条。しかしそれらの法令が公務員たる要件として日本国籍を必要とする旨を規定しておりますのは、当然のことを注意的に規定したにすぎないのであって、公務員に関する一般の法令が特に明文の規定を設けておりませんのは、その法令が外国人には適用されないということをむしろ当然のこととしているからではなかろうかと考えられます。
 仰せの、法律による行政の原理のもとにありましても、たとえば平等取り扱いの原則あるいは比例原則など、不文法原則の存在は一般に認められていることではなかろうか。したがって明文の規定を置くことなしに、一定の官職への外国人の就任制限が行われても、このことが直ちに法律による行政の原理に反するとは解することはできないのじゃないか、こう考えております。
#113
○三浦(隆)委員 もっとざっくばらんな大臣の御見解が聞きたかったのであります。
    〔西岡委員長代理退席、委員長着席〕
書かれた、モデルとなった、お役人の文章というのは実は生きておりません。たとえば今日教科書問題がいろいろと話題になりましたのも、今日教科書検定における統一的な法令というものを現在持っておりませんで、いろいろなものを寄せ集めたような形で行っております、しかもその法令の文章が大変抽象的でありまして、それが実際具体的になると文部省の行政指導という形で行われている、その行政指導のあり方が、どこでどうやっているか国民にはよくわからない、そうしたようなことがたとえ善意の行政指導であっても、善意に受け取られない、そういう面もあろうかと思うのです。ですから、今後のあり方として、行政指導などというよりも、まず法律による行政なんですから、教科書検定手続法とでも言っても結構ですが、もっとガラス張りの、しっかりとした統一的なものをおつくりいただいた方がより誤解が少なくて済むのじゃないかということなんです。
 同じことで、外国人を教員として任用する場合にも、そうしたいわゆる旧来のように行政指導というふうな形で、わけのわからない形で抑えるのではなくて、もっとはっきりとした、わけのわからない古めかしい公務員の法理などというようなものではない、もっと進んだやり方があり得たのではなかろうかということを前提にして実はお尋ねしたわけであります。
 その次に、外国人教員がいわゆる管理職へなり得るか、なり得ないかという一つのポイントとして、先ほど石橋先生の方から公権力の行使という解釈の幅の問題、もう一つは、各大学から自主的に管理職に登用してほしいという意見がもっと広がったならば、あるいは各省庁間の意見の整合性が整ったならば再検討してもいいといったようなニュアンスのお話が実はあったわけですが、その一番目の公権力の行使についての解釈の幅であります。
 この公権力の行使には、旧来三つの解釈がございました。一つは、旧来の通説でありまして、公権力の行使の意義を行政主体の優越的な意思の発動として行われる作用と解する意見でありまして、わが国における田中二郎先生を中心とする意見です。これが、いわゆる公務員の法理を支えていたと言ってもよかろうかと思います。その次、広義説という見解は、公権力の行使を、行政作用のうち私経済作用を除いたすべての公行政作用とする考え方でありまして、ここでは権力関係はもちろん、管理関係における行政作用も含まれております。これが今日の通説である、すなわち、通説も時代とともに変わる、私はこのように思っております。それから、もっと進んだというか、最広義説では、行政活動は、それが権力作用であれ、非権力作用であれ、あるいはまた私経済作用であれ、それを区別する合理的理由はなく、行政作用のすべてがその対象となるとする意見もございます。
 さて、昨今の判例を見ますと、明らかにかつての通説、田中見解は崩れております。時間の都合もありましていろいろと触れることもできませんけれども、たとえば昭和二十八年、かなり早い時代でありましたが、福岡地裁飯塚支部判決におきまして、いわゆる国家賠償法一条、公権力の行使という解釈につきまして、教師が学校で非行事件の容疑者ないし関係者としての生徒を取り調べる行為、これは非権力作用ではありますけれども、公権力の行使に該当すると述べております。また、昭和三十八年一月十二日の宇都宮地裁判決におきましては、教師が教育のために生徒を支配する関係において、故意または過失によって生徒に損害を与えたときは公権力の行使に当たるというふうに言っております。また、昭和四十五年五月三十日の福岡地裁判決におきましても、小学校の場合ですが、学校行事の一環として計画され、実施された清掃作業中発生した生徒の人身事故についても、これは公権力の行使というふうに認めております。このほか、昭和四十五年の大阪地裁判決、放課後の体操の練習に対して、あるいは昭和四十五年八月、福岡地裁の非行生徒への懲戒に対して、あるいは昭和四十六年、広島地裁の化学の実験における過ちについて、あるいはまた、昭和四十六年七月の大阪地裁の夏季水泳訓練中のそうした事故について、すべてこれを公権力の行使というふうに認めておるわけでして、こうした流れというものはもはや動かすことができないと思うのです。
 ですから、かつての公務員の法理を支えたところの旧通説は完全に覆っているのでありまして、こうしたような覆っているところに論拠を持つということ自体が、開かれた姿勢とは思えないのだと私には考えられるのですが、いかがでしょうか。
#114
○宮地政府委員 公権力の行使に関しましての考え方の問題についてお尋ねがあったわけでございますが、大学の学長なり学部長というような者につきましては、いわば、公法上の営造物利用関係の管理運営の最高責任者ということにもなるわけでございますし、また、事務職員との関係で指揮監督というような関係もございまして、いわば、研究、教育と直接関係のない分野において公権力を行使するという立場にも立つわけでございます。したがって、ただいまのところ私どもとしては、そういう大学の学長、これは大学という点に着目すれば確かに私立大学であれ国立大学であれ、その点は機能としては変わらないと私は思いますけれども、やはり国立大学の場合には国家公務員法の適用があり、また教育公務員特例法の適用というような、法令的に見ましても、国立ということから出てまいります、ただいま申しましたような公権力の行使ということに当たる分野が出てくるわけでございます。したがって、その外国人の管理職への任用を認めないという法理についての考え方というのは、私どもとしては従来の法体系の中から考えましても外国人に対する不当な差別ということにはならないと考えておりますし、本来大学における研究なり教育を国際的に開かれたものとするために、教授等の任用についての従来のいわば閉鎖的な姿勢を改めるということをこの法律としては目的としているわけでございます。したがって、その趣旨からしましても、管理職につくことを特に立法措置として認めなければならないかどうかという問題については、先ほど提案者の方からも御答弁があったわけでございますが、各大学におきます実態等を十分見定めた上で、将来の検討課題としては考えなければならぬ課題であろうかと思いますが、ただいま申し上げましたような点からすれば、わが国の大学における教育なり研究を国際的に開かれたものにするという目的にはこの御提案されております法律案で十分対応し得る事柄でございまして、学長等の管理職にかかわる点については、先ほど御答弁申し上げたような点で、本来的な目的からすればその点は私どもとしてはただいまのところは従来の法理の考え方で対応じていきたいと考えております。
 なお、ちなみにそれらの点について、たとえば公立大学協会が昭和五十四年でございますけれども外国人教員の問題について議論をいたしておりますが、その公立大学協会の基本問題委員会において、学長または学部長その他の教員系部局長は……(三浦(隆)委員「恐れ入りますが、短くお願いできませんか」と呼ぶ)一般の教員と異なって所管大学事務職員等に対する指揮監督権を有しておる。したがって、外国人教員がそのような管理職につくことが適当かどうかは、以上の問題とは別途に今後における外国人の就任能力の問題の動向に見合って検討すべき事柄ではないかというようなことも言われておるわけでございまして、そういう関係団体等の意見に徴しましても、私ども提案されております法案で十分対応できるものではないか、かように考えております。
#115
○三浦(隆)委員 答弁が大変長いのです。しかも私が質問したこととは全く関係のないことをお話しになったわけであります。私が質問しましたのは、公務員の法理と言われるものの中に公権力の行使という概念が入っておった、その公務員の法理を支えた公権力の行使というのは旧田中説を中心とする狭義の概念であった、それが現在各種の判例によって明らかなように、非権力関係を含むような広義の概念に変わったのである、だから公務員の法理を支えているところの論理が崩れたのである、それに対してどのようにお考えでしょうかと言ったのに対して、肝心な質問には何らお答えがなくて貴重な時間を長々と費やされるということは大変に迷惑だというふうに思います。時間ですので、残念ですが先に進みます。
 その次は、公立の小中学校の教諭に対する外国人の就任能力につきまして、ことしの五月三十一日付の文部省の見解が表明されております。これによりますと、「教諭の職務は、児童生徒の教育をつかさどることを内容とするとともに、校長の行う校務の運営に参画する等、公の意思決定への参加と認められる事項をもその内容とするものであると認められる。したがって、教諭の地位は、日本国籍を保有する者のみがこれにつき得るものと考えられる。」、こう述べているのであります。この場合、この「公立の小・中学校の教諭」というところを読みかえまして、「教諭」を教授に、「児童生徒」を学生に、「校長」を学長へと切りかえますと、教授は学生の教育をつかさどることを内容とするとともに、学長の行う校務の運営に参画するなど、教授会などがあります、公の意思決定への参加と認められる事項をもその内容とするものであると認められる、したがって、教授の地位は、日本国籍を保有する者のみがこれにつき得るというふうになってしまいまして、この法案の根底が崩れてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#116
○鈴木(勲)政府委員 質問の御趣旨を若干正確に理解し得ない点があろうかと思いますけれども、いま先生がお挙げになりましたものは、公立の小中学校におきます教諭の職務がその法令に規定されておりますところからいたしまして公の意思形成に参与をするという内容であるというところから、公務員に関する当然の法理として、日本国籍を有する者のみがつき得るということを説明した内容でございまして、これと、現在提案されております大学教員等の職に外国人を任用するということは、これはまた別な、任用における必要性とかいろいろな観点から検討されている課題であろうと思いますので、その点は公立の小中高等学校等におきます必要性とは異なっておるというふうに考えるわけでございます。
#117
○三浦(隆)委員 昨日もちゃんと文部省と質問を打ち合わせしておるはずでございますので、別石にお答えいただきたかったと思います。これも私の質問していることとは全く違う答えであります。このあれは読みかえると、言うなれば日本国籍を保有する者でなくては教諭にはなれないと書いてあるわけです。ですから、教諭を教授と読みかえれば、教授は日本国民でなくてはなれないと、こうなってしまうわけであります。ですから、これまでの一連の理論の裏づけ、公務員の法理というふうなものでかた苦しくやってくると無理があるということなんです。これはだれがやっても矛盾ですから無理があるのです。それを言いたかったわけであります。
 それから今度は、理論だけじゃなくて実態面からひとつ質問をしたいと思います。
 学校教育法五十八条三項の学長の職務というのがありますが、そこに「校務を掌り、所属職員を統督する。」とあります。こうした、大学があり、あるいはまた学長の職務というのは戦前も戦後も実は変わらぬのであります。しかし、学校の実情は戦前、戦中、戦後と大きく変わってまいりました。
 たとえば、せんだって視察で京都大学に参ったわけですが、そこの京都大学は現在、大学生一万一千四百七十四人、大学院生三千四百十二人、短大生四百四十五人、締めて一万五千三百三十一人です。そして、教授、助教授の数だけでも一千二百八十三人、教職員総数が五千七百三十五人です。さて、京都大学の第一回の全卒業者は四十七名であります。学長が四十七名に対応するのと、学生数あるいは教職員数が大変多くなった場合に対応するのとでは、おのずと実態的に対応のあり方が変わってこなければならない。これは小さな小学校の校長先生と、五百人、千人の小学校とマンモス校、二千人、三千人では目の行き届く行き届かない、実態的に違ってくる、これは考えていただけばすぐわかるところだろうというふうに思うのであります。
 そこで私は、この大学の実情を踏まえて、これからの二十一世紀を目指しての大学論としての法案だ、このように理解しているのにかかわらず、答えの方は依然として昔の論理のままから一歩も踏み出ようとしてこない。それが先ほど来言うように無理が起こるのではないかというふうに考えるわけであります。この点についてももう少しただしていきたいのですが、残念ですが、少し進みます。
 さて、実は実態的に大学紛争というものが起こりました。そこでは、各大学は全共闘の学生によります全学封鎖、連日のごとき大衆団交というのが続いております。たとえば一九六七年、昭和四十二年一月に明治大学で全学ストが行われ、警察力でこれを排除し、授業再開をいたしましたが、翌年、一九六八年、昭和四十三年三月には東大医学部紛争、ここで学生は卒業不能になりました。同年九月、東大、日大等の五十一大学で紛争が起きました。同じく九月、日大で約二万人の学生と徹夜団交が行われました。同年十一月、東大の大河内学長は紛争責任で辞任いたしました。同年十二月、東大、教育大では入試の中止が決定されました。年を越えて一九六九年、昭和四十四年一月には、有名な東大七学部集会が行われまして、学生約一万人を前にして、紛争解決のための確認書が取り交わされました。同年一月、東大安田講堂、八千人の機動隊で封鎖を解除いたしました。同年七月、大学法案反対闘争の出現。紛争大学は百十二校に拡大しました。同じく同七月、衆議院では大学法案の強行採決。八月、百一校の大学学長が大学法に対し非協力、無効化の意思を表示いたしました。同じく九月、東京日比谷で全国全共闘の結成がなされる。実はこういう時代があったわけでありまして、このときに、もし総長なりあるいは学部長だけが管理者である、教授会メンバーである、教員は管理者でないのだ、研究、教育だけに専念すればよいのだというならば、大衆団交に出る必要はないのであって、自宅で自分の好きな研究に専念し、論文を書き、業績を残せばよかったのであります。しかし、われわれの友人である学部長、先輩の学長が連日の疲労の中で倒れているのを見るに忍びないし、また同時に、学部長も学長も引き受ける人がいなくなって、われわれを補佐してくれるなら引き受けるからということでもって、教員も自分の研究を放棄して、できない管理責任というものの一翼を担うようにして、大学防衛の中に一生懸命立ち向かった時代があったのであります。この法案によって教員というものは研究、教育にだけ専念すればいいのだというふうなことであるならば、こうした紛争のときに一生懸命かかわった教員というのは過ちであったということになろうかと思うのでありますが、これに対してどのようにお考えでしょうか。
#118
○宮地政府委員 先ほど来御説明申し上げている点は、教員の職務としてもちろん教授会に参加をし、したがって、その限りでは、教授会の機能としては重要事項を審議するための教授会でございますし、具体的に大学の管理運営にも加わることになるわけでございます。ただ、その点をまさにこの立法によりまして外国人の教授に任用することとし、かつ、その点は議論のある点ではございますが、教授会の構成メンバーに加わり、かつ議決に加わるところまで踏み込んで対応するというのが今回の法案の立法の一つのねらいでもあるわけでございます。教授会の一員として管理、運営にはもちろんかかわることになるわけでございますが、基本的には提案の理由にも述べられておりますように、大学全体を開かれたものとし、国際化を図りということがねらいでございまして、そこの点は、教授会の構成メンバーとなって議決に加わるという点に着目すれば公権力の行使に当たる部分になるわけでございますけれども、それを今回の特別の立法措置によって、議決に加わることを認めるという趣旨での外国人を教授に登用するという道を開いたわけでございまして、この立法の趣旨からすればその点は御理解をいただける点ではないか、かように考えております。
#119
○三浦(隆)委員 いまの答弁では全く理解ができないのです。いわゆる大学の実態と余りにも遊離し過ぎてしまっているからで、大学の教員というのは研究、教育の役割りをもちろん主として担いますが、同時に教授会メンバーなり評議会メンバーなり、同じ教員として同時に学部長なり学長をやってみたり、あるいは場合によっては私学に至っては組合の役員をやってみたり理事会メンバーになってみたりというか、いろいろの役割りを担わざるを得なくなってきているということでありまして、切り離せないのだということであります。また、研究、教育というものは、自分の研究、教育を支えるために、守るためにもいろいろな役割りをしなければなりません。
 そこで、次には大学の自治に関連して質問をしたいと思います。
 大学の自治、これもせんだって京都大学を訪ねたわけでありますが、時間もございませんので私の方から概略述べます。
 まず、京都大学の大学自治の歴史を振り返りますと、岡村教授の譴責事件というのが一九一一年、明治四十四年の年に起こっております。ここでは、その教授が述べました民法上の学説でありますが、そうしたものが時の政府がだめであるということによりまして、この教授は辞職させられるようになってまいりました。いわゆる教授の研究、そうしてそれを発表する自由というものがなかったわけでして、ここには教授会もまだ存在しなかったのでしょう。そして、次に沢柳総長事件というのが一九一三年、大正二年に起こっております。この事件で総長は退陣いたしました。むしろ総長は研究、教育を重視すると述べたのですが、しかし、その教員の選任、任用に当たっては自分が決めるのだ、いわゆる人事の専断であったのでしょうか、そのために教授会から批判が出まして、以後教授会による教員人事の自主決定権というのが内規により定められることになりました。そして、河上肇教授の事件ですが、一九二八年、昭和三年に起こりまして、河上教授は辞職いたしました。ここでは政府の圧力を受けまして、教授会が形式あれども実質なしというのでしょうか、教授会の自主性の名によってやめさせられております。それから、京都大学には滝川教授事件というのが一九三二年、昭和七年に起きました。ここでも教授は免職させられております。例の刑法読本などが発禁されました。そして、教授会が一致して教授の方を守ったのですが時の政府の圧力によって無視され、一時は教員全員が辞表を提出するというふうな羽目になったのであります。
 すなわち、大学教員が研究、教育に専念し得るためには、外は政府による干渉、内は学内の過激派ゲバ学生たちの干渉を排除しなければならないのでありまして、このため大学教授は、政府に対して、公の意思に時によっては逆らい、また過激派学生に対しては時によっては厳しく公権力の行使をもって対処しなければならないことがある。これがこれまでの大学の自治の歴史を切り開いた教訓であると私は思うのですが、いかがでしょうか。時間ですので簡単にお答えいただきます。
#120
○宮地政府委員 御指摘のとおり、大学の自治というものは尊重されなければならない大変基本的な原則ではないか、かように考えております。
#121
○三浦(隆)委員 その答えの中で、大学の自治、私は、政府の干渉によっても大学の教員の研究、教育は守り切れないこと、そして内にあっては、大学内のそうした過激派集団がばっこしても研究、教育が守り切れないものであるということを言ったわけでありまして、それを守るためには、いま言ったように仮に政府のどんな圧力があってもその圧力に屈しないように、場合によっては公の意思の形成に対しても逆らうことが出てくるのだ。それではそういうのは教員になってはいけない者なのか。外国人であろうと一教員となって来れば、一教員として、あるいは教授会メンバーとして、同じような立場に立つことなきにしもあらずであります。かつての大学紛争は産学協同的な問題を中心として高度経済成長の中で行われました。しかし、これからもし日本が再びいわゆる軍国主義への道を逆行しようとするならば、軍学協同という中で大学紛争は再燃する可能性を持ってきますし、その中における大学教員というのはまた大変むずかしい立場になってまいります。そのときにもう一度振り返りまして、大学教員が単に研究、教育だけでいいものならば、そういう紛争のときには、学校へ来ないで家へ帰っちゃう、あるいは大学へ来ても研究室だけに閉じこもって自己の個人的な研究だけに没頭してしまうようになって、大学はみずから物理的に崩壊をたどることになってしまうのではないかということを私はおそれます。
 さて、時間でございますので、あとは質問ということではなくて、冒頭申し上げましたように、質問の主な要点だけを発言さしていただき、終わりたいと思います。
 初めに、法案提出に至る経緯について。第一次案が五十三年四月に、第二次案が五十三年五月に、第三次案が五十三年九月に、第四次案が五十四年三月に、そして本案が出てきたわけですが、この間の異同関係について意見を承りたい。むしろ、この資料によりますと、第一次案の方が管理職への道も認められておったりして進んでおったように思うのですが、時間をかけた法案がなぜおくれなければならなかったのかという問題点であります。
 その次の問題は法案の解釈で、第二条第一項の文理解釈からは管理職となることを制限していないわけであります。また、第二条第三項の文理解釈からも任期制の採用とは言えないわけであります。それがなぜどういう解釈によって変わってくるのかという問題であります。
 それから外国人の人権に絡みます。外国人の人権で著名判例は例のマクリーン事件判決、第一審、第二審と揺れ動きまして、一応最高裁の判例が確立されておるわけですが、一つに、各大学が外国人教員の採用を自主的に仮に決めたとしても大学の自治であります。国は国の判断でその入国を時として拒否することもあり得るのではないかということです。次に、同じようにして、滞在期間の更新を申請したときに、時として国は更新の許可をしない旨の処分をすることもあり得るのではないかという問題点。
 それから、外国人が日本の憲法上の取り扱いを受ける場合、人権の享有主体たり得るかについては三つの説があります。不適用説、部分的適用説、性質的適用説の三説があるのですが、御提案者はどの説に立たれようとするのかということです。もし性質的適用説に立とうとされるならば、大学への外国人教員の任用は、日本国民のみを対象とする参政権のような場合と異なって、学際性から来る人的交流としての意味を持つものですから、もっと早くから認められてよかったのではないかという点です。
 それから、少し細かいのですが、仮定の問題としまして、産学協同による共同研究の成果としての情報交換の限界についてであります。去る六月、電算機産業スパイ事件でアメリカのFBIに産業スパイ容疑で日本人六名が逮捕され、ほかに日本にいる十名に対しても、盗難資産移送の共謀という容疑がかけられておりますが、こうしたような産学協同下におけるいわゆる研究活動と情報交換というものとの限界点についてです。二番点、同じようにおとり捜査が容認される場合、産学協同や軍学協同による共同研究にはどのような注意を払ったらよろしいものか、その限界についてであります。同じく、国公法百条一項に秘密の規定というものがある。共同研究等によって秘密が漏れる、外国人教員が本国に帰った後にこれを漏らしたような場合どのように考えたらよいのかという問題。
 あるいはまた、国公法百二条一項の「政治的行為」、同じく人事院規則一四の七の「政治的行為」に外国人教員が触れた場合に、一つ、その処置はどうなるのか、二つ、また学内の処置と国の処置とが異なった場合にはどうなるのかという問題があります。
 またその次に、服務宣誓の問題で、日本人教員の場合と同じ取り扱いをするものかどうかであります。国公法九十七条の「服務の宣誓」及び地公法における「服務の宣誓」の問題、これは一般公務員でありますが、同時に、国公立教員の場合の教特法十一条の問題がかかっております。どのように行われるのか。そしてそれがアメリカの場合ですと、服務宣誓を行うとアメリカの国籍を失うという関係をどうするのか。
 あるいはまた同時に、逆に服務宣誓を行わなければ、国公法九十六条あるいは地公法三十条に言います「服務の根本基準」との関係に絡んで、国民全体の立場と学際性との関係をどのように理解するかという問題があります。
 また、外国人教員の任用に絡んで、外国人が外国国籍を持つ場合と、無国籍者を含むとするならば外国人としての無国籍者を任用した場合に具体的にどのような問題が想定されるであろうかという問題があります。
 そのほか、まだ幾つも残されておりますけれども、質疑時間が終了という紙が入っておりますので、大変残念でありますが幾つもの質問を少し言い残しまして、これをもって質問を終わらせていただきます。
#122
○青木委員長 栗田翠君。
#123
○栗田委員 外国人教員任用法案に関連して質問いたします。
 学問に国境はなくて、わが国の学術研究を充実発展させていくためにも、国際的な学問の交流というのは一層広く進められなければならないと思います。そういう意味でも、この法案はこのような世論にこたえたものだと考えております。
 ところで、けさほども先日の京都大学への委員派遣調査の報告がされておりましたけれども、この中で、「京都大学においては、教育、学術の国際交流について特に努力をしており、欧米、アジア諸国からの研究者の受け入れ状況は、」云々ということも書かれておりますし、また、研究者の中にどのような国からの研究者を受け入れているかということで、欧米諸国はもちろん、中国三十六名、タイ十一名、その他六十五名の計百九十四名があるというふうに述べられております。京都大学だけでもこれだけの諸外国の研究者を受け入れているわけで、今度この法案がもし成立した場合には、このような研究者の中からも教員になられる方たちがどんどんふえてくるだろうと思うわけです。
 それで、まず大臣に伺いますけれども、この教育、学術の交流にとってどうしても必要なものというのはやはり諸外国との友好関係だと思いますが、いかがでしょうか。
#124
○小川国務大臣 御同感でございます。
#125
○栗田委員 それを大切にしていかなければならないときに、いまそれを脅かす問題が出てきているわけで、これがいま問題になっている教科書の問題だと思います。特に、新しい事態として韓国からの公式の抗議を含めた申し入れがあったことが本日正式に報告されたわけですけれども、中国に引き続いて、重大性は一層増加しております。これに対して、この国際交流、友好関係の維持という立場に立ちましても、文部大臣はどういう姿勢で対処していこうとしていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。
#126
○小川国務大臣 仰せのような趣旨からも友好関係を促進していかなければならない今日の時期に、このような事態を生じましたことは非常に残念に思っておりますので、当方の立場、当方の真意を正しく理解してもらうことに努力をいたしまして、友好関係を損なうことなしに問題を解決するためにこれからも努力していきたい、こう思っております。
#127
○栗田委員 その御努力の中身なんですけれども、韓国側も良心と良識に訴えてという申し入れで、具体的措置を強力に要求してきているようでございます。中国もそういう立場です。昨日の朝刊などを読みますと、文部大臣がこのことに関係していろいろ発言をなさっていらっしゃる中で、「記述の再改訂に含み」などという形で報道もされております。つまり侵略という言葉を侵入とか進出とかに変えたことを初め、記述の再改訂の可能性も考えていらっしゃるかと思いますが、その点はいかがでございますか。
#128
○小川国務大臣 私は、繰り返して申しておりまするように、わが方の真意を理解していただくことによって問題を解決したい、こう考えておりまするので、改訂された部分を原稿本のとおりに戻すというようなことには一度も言及しておらないのでございます。何度も申し上げております方針で努力をしていきたい、こう申しておるわけで、格別含みのある発言をいたしたつもりはございません。
#129
○栗田委員 「(書き直しに応ずる)気持ちがないというつもりで申し上げたことはない」とおっしゃたというような報道がありましたが、そうではないのですか。
#130
○小川国務大臣 中国の政府の要求は、教科書を原稿本記載のとおりに直せ、かような要求が出ておるわけで、私はこれに対しましてさようなことはいたしませんというような高飛車な態度はとりたくございませんので、その問題に触れておらないわけでございます。もし、幸いにしてわが方の立場、わが方の真意が十分理解されまするならば、あるいは中国政府にいたしましてもあくまで当初の要求に固執することなしに問題が解決されるかもしれない、このように期待をいたしております。
#131
○栗田委員 簡単に伺いたいと思っているのですけれども、いろいろおっしゃるのですが、その真意というのは何の真意ですか。
#132
○小川国務大臣 これは文字どおり、一口に申して真意でございますが、私どもは軍国主義を復活しようとかあるいは歴史の事実を改ざんしようというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、問題点として指摘されておりまする個々の具体的な事項につきましてはそれぞれ理由があって検定をいたしておるわけでございます。それらの理由についても、これを正しく理解をしていただきたい、こう考えておるわけで、それらのことをひっくるめて真意と言っておるわけでございます。
#133
○栗田委員 昨日新聞を見ますと、中国の新華社通信が南京大虐殺の写真を五枚配付したということが報道されて、その中の特にひどい写真が掲示されておりました。特にひどいかどうかわかりません、報道されておりました。また、きょうの新聞を見ましたら、引き続いて有名な三光作戦の焼き尺くされた家の写真などが載っておりました。それにつけ加えて中国側などが言っているのは、これは歴然たる歴史の事実である、しかしこの南京大虐殺の問題についても、教科書が修正されたという点で非常に遺憾である、これをもとに復せという要求も出ていると聞いておりますが、これについてどう対処なさるのでしょうか。
#134
○小川国務大臣 本日は法案の御審議を願っておるわけでございまして、私が個々の具体的な問題について余りくどくど申し上げることは差し控えさせていただくべきものかと思っております。明後日この問題について十分時間をかけて御審議がなされると聞いておるわけでございますから、多くを申しませんが、たとえば南京大虐殺でございますけれども、南京の占領に際して、日本軍が中国の多数の軍民――軍民と申しますからもちろん非戦闘員も含まれておるわけでありまして、これを殺害して国際的な非難を浴びた、このように検定を経た教科書は記載しておるわけでございます。検定によって著作者が自発的に修正意見を入れて削除した部分は、たとえば二十万人という数字でございますが、言うまでもなく、歴史の記述は信憑性ある史料に基づいた客観的な事実を書かなければならない。二十万人という数字には十分な根拠がございませんので、この点を指摘いたしました結果、著作者の方で二十万人という数字を削除いたした、かようなわけでございます。
 文部省といたしましては、繰り返しになりますが、歴史の事実を改ざんしようなどとは考えておらない。ただ、歴史の教科書でございますから、客観的な事実に即して物事を判断をする能力を養うというのが歴史の教科書というものでございましょうから、事実に基づいた客観的記述では必ずしもないと思われる部分については、削除なさったらどうでしょうかという要求をいたしておるわけでございます。
#135
○栗田委員 日中の友好、日韓の友好、また日本とアジア諸国との友好ということで私はいま伺っているわけでございますが、そういう態度をおとりになりますと、友好関係というのが破壊されていく事態にもう来ているのではないだろうかと私は思って、あえて質問をしているわけです。
 実は昨日、家永教授に直接お電話をいたしまして、高校日本史の検定をめぐる問題などを伺いました。家永さんがお書きになった南京大虐殺の記述は三省堂の「新日本史」にあるわけですけれども、四十八年の検定ではこれがフリーパスであったそうですが、昨年も改訂のままこれが残って、ことしになって修正意見がついたというお話です。しかも修正された中身というのが、先ほど歴史の事実を変えるつもりはないと大臣はおっしゃっておりますが、また当時の戦争の責任を回避するつもりはないのだとおっしゃっているのですけれども、その初めの記述が「南京占領直後、日本軍は多数の中国軍民を殺害した。南京大虐殺と呼ばれる」と書かれていたものが、書き改められて「日本軍は中国軍の激しい抗戦を撃破しつつ激昂裏に南京を占領し、多数の中国軍民を殺害した。南京大虐殺と呼ばれる」というふうに、いかにもどさくさの中で興奮状態であったからそうなったというふうに書き直された。そして人数などは不正確だということで、「多数の」というふうに直っているわけだけれども、そこが手直しをされて、中国からの抗議でも、「占領直後」ということを消させたとか、日本軍が組織的にやったという記述を変えさせたというのは歴史の事実にもとるものである、事実は、占領直後、多数が殺され、日本軍が組織的だったのだということを言ってきているわけですね。ですから、こういうことがあくまでも直されずにいたならば、これは幾ら理解を求めるとおっしゃっても理解は得られないだろうし、日中または日韓の友好ということは図れないだろうと思います。
 それで、特にこれに関係して、当時調査官が、鈴木明氏の書かれた「“南京大虐殺”のまぼろし」という著書なども提示して、つまり南京大虐殺の事実は確証がなかったのだという引用に使ったそうですね。これは事実でしょうか。
#136
○鈴木(勲)政府委員 ただいまお挙げになりました家永教授の日本史は昨年度の検定のものでございまして、中国が例に挙げておられますのとは若干違うのではないかと思います。
#137
○栗田委員 ちょっと済みません。いま聞き落としましたが、まことに済みません。
#138
○鈴木(勲)政府委員 栗田先生がいま家永教授の著作の日本史の例をお挙げになりましたが、それは昨年度の検定にかかわる日本史の教科書でございまして、いま大臣が申し上げたものとか、あるいは中国において例に挙げておられるものとかとは違う教科書の例をお挙げになったのではないかと思います。
#139
○栗田委員 余り詳しく入ってしまいますと法案の審議からずれていきますので、ほどほどにいたしますが、ことし新たに検定されて修正されているという中身で言われている内容です。しかも、こういうわけでして、大臣が、歴史の事実をゆがめることはすべきでない、それから、日中の国交回復に当たって戦争責任を深く反省していくという言葉が書かれている、それに沿っていくのだということをおっしゃいますけれども、そういうことにも非常に差し支えのあるような、問題のある内容になっているというふうに私は思います。
 あさってまた集中審議がされるということですので、さらにあさって引き続いて伺っていきたいとは思っておりますけれども、歴史の事実にもとるもの、それからも非常に残酷な虐殺がやられた場合に、これを次代の子供たちに伝えて反省をしていくという態度を日本の政府が持ち続け、特に文部省が教育の中で持ち続けていくということは、日中、日韓の友好のために必要であり、そのことがいま非常に要求されていると思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
#140
○鈴木(勲)政府委員 日中友好の精神とか日中共同宣言に盛られた精神については、これは現代社会とかあるいは日本史の教科書におきましても明記をされておりまして、大臣の申し上げました趣旨は、全体の記述の中においてそういう精神に従って記述がなされているのであるから、教科書全体をごらんいただきまして、そういう日中友好を損なうような、あるいは軍国主義であるとか、あるいは日中友好の精神に反するというふうなことは毛頭考えていないということを全体として御説明申し上げ、真意を御理解いただくような努力をするということを申し上げたわけでございまして、教科書につきましては、そういう配慮とともに、個々の記述における客観性、統一性、いろんな観点がございますから、そういう観点から個々の記述についての意見を申し上げ、それに従って教科書が適切に形成されていくということでございますので、その個々具体的な問題と全体を流れる記述の精神とを御説明して、真意をお伝えするということを申し上げたと私は理解しております。
#141
○栗田委員 大臣に伺ったのですが、初中局長お答えになりました。改めて大臣に伺いたいと思います。そしてこの問題については切り上げたいと思っておりますが、いま私が伺ったのは、残虐な過去の歴史の事実があっても、それを子供たちに伝え、二度とこういうことを起こさないように反省させていくこと、これこそが戦争への深い反省であると思うわけですが、そういうあり方について大臣は御賛成でしょうねと伺ったのですが、いかがですか。
#142
○小川国務大臣 事実を事実として伝えまして、厳しい反省のよすがとすること、仰せのとおり必要だと存じております。
 また、南京事件でございますが、占領に際して、多数の軍民を殺害し国際的な批判を受けた、こういう記述は、あるいは不十分であるというそしりを免れないかもしれませんが、歴史の事実を改ざんしたという言葉に当たるのだろうか、私はその点疑問に思います。
 いずれにいたしましても、基本的な姿勢は先生がただいま仰せられたのと全く同様でございまして、あくまで事実は事実として記載しなければならない、ただし歴史でございますから信憑力のある史料に基づいた史実を書かなければならない、こう考えておるわけでございます。
#143
○栗田委員 まだ伺いたい点はたくさんありますが、それでは次の点に移りたいと思います。
 法案の第二条などに関連して質問をいたしますが、初めに確認しておきたいのですけれども、大学の学長や学部長に就任が制限されておりますが、それ以外はすべて大学では教育公務員特例法が適用されると解釈してよいのかどうか、この法文の解釈で法制局に伺いたいと思います。
#144
○松下法制局参事 お答え申し上げます。
 この法律によりまして任用されます外国人の教員につきましても、当然教育公務員特例法の適用はあるわけでございます。
#145
○栗田委員 もう少し具体的に伺いますと、それではこの場合、学長や学部長などの被選挙権が与えられないだけで、それ以外は日本の教員の権限と全く同じと考えていいのですか。
#146
○松下法制局参事 お答え申し上げます。先生仰せのとおりでございます。
#147
○栗田委員 それで、この第二条第二項の規定について伺いますけれども、これこれが「妨げられるものではない。」という規定になっておりまして、文言上直接的に学長などへの就任を禁止しているものではないと思います。それで、大学が今後必要に応じて学長などへ選出したとしても法律違反とはならないと言えるのではないでしょうか。
#148
○松下法制局参事 お答え申し上げます。
 今回のこの法律案は、いわゆる公務員の就任能力に関する法理を前提といたしまして、国公立大学の教員、すなわち教授、助教授及び講師に外国人を任用することにつきましては、その法理の例外を設けるに足りる特別の合理的な理由があると認められるということを根拠といたしまして立法措置によりその任用の道を開いたものでございまして、規定の設けられていない学長、部局長等の管理職に外国人を任用することはできないわけでございます。
#149
○栗田委員 そういうお話は先ほどから幾度も伺っているのですが、私が伺っているのは、それもはあくまでも法理解釈に立ったものであって明文化されているわけではありませんし、また公務員が公権力の行使者であるということ自体も一だから外国人を任用してはならないということも明文化はされておりませんね。ですから、そういう法理解釈があることによってたとえ大学が学長を選出しても文部大臣は任命なされないかもしれませんけれども、選出すること自体は法律違反にならないのではないだろうかということでいま伺ったわけなのです。また、法理解釈そのものを、教育公務員の場合には、日本学術会議などは違った解釈をしておりますね。そういうことも含めていま伺っているわけでございます。
#150
○松下法制局参事 お答え申し上げます。先生の御指摘は、この法律案には外国人を学長、部局長等に任用することを禁止するという明文はないということから、現実に任命するかどうかはともかくとしまして、仮に任用してもこの法律違反ではないのではないかという御趣旨であろうかと思うのでございますが、いわゆる公務員の就任能力に関する法理というものがございまして、この法律で特にその法理の例外として任用することができることを明らかに定めております教員、すなわち教授、助教授及び講師以外の職に外国人を任用することはこの法律のもとにおいてできないと解さざるを得ないと思うわけでございます。
#151
○栗田委員 私がこれを問題にしますのは、大学の自治とのかかわりで問題にしているわけですけれども、大学の自治というのはあくまでも国家権力からの分離、独立を本質としているという考え方、これは広く定着していると思います。そうなりますと、その中での人事の権限も国が法律その他で決めていくということになれば矛盾が出てくるのではないかということでの関係で伺っているわけでございます。ですから、文言上禁止しているのでなければ法律違反にはならない。ただしかし、こういう法文があれば大学側が自主規制していく効果はあると思いますけれども、そういうかかわりを持っているのではないかということで伺っているのですが、そうではないのですか。
#152
○松下法制局参事 お答え申し上げます。
 先生の御趣旨は、要するに理論上外国人を大学の学長あるいは部局長等の管理職に任用することができないのかどうか、そういう御趣旨のお尋ねであろうかと思うのでございますが、これにつきましては、公務員の就任能力に関する法理というものを前提として考えられなければならないわけでございます。それで、外国人の学長、部局長等への任用の可否につきまして、公務員の就任能力に関する法理との関係はどういうふうに考えるべきかということになるわけなんでございますが、これにつきましては、消極面におきましては主権の維持への影響の度合い、それから積極面におきましてはこれらの役職に外国人を就任させる必要性の度合い、これが問題になるわけでございまして、その総合判断につきましてはそこに政策論が絡んでまいります。そういう意味で、これをどう判断するかということは立法政策の問題であろうというふうに考えられるわけでございます。
#153
○栗田委員 いまおっしゃられたような中身も含めて、本来でしたらこれは大学の自主的な判断に任せた方がよいのではないかと私などは主張したいわけであります。この問題はそういうことですが、次に移ります。法制局、ありがとうございました。
 提案者に伺いますが、いまとのかかわり合いですけれども、そうなりますと、私立大学との整合性の問題で矛盾が出てくるのではないだろうかと思うわけです。まず、公教育を担うものとして国公立の大学とそれから私立の大学の果たすべき役割りは同質のものだと思いますが、いかがでしょうか。
#154
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 まさに、国公立、私立の学長、学部長というものそのものに関しては差異はないと思います。ただ、今回の法案そのものが、いわゆる私学ではなく、国立または公立の大学における外国人教員の任用の特別措置法です。特別措置法ということで法理に穴をあけ、そこの限界がどうであるかという上に立って、そして提案をいたしたが教授、助教授または講師だよという考え方であるわけであります。ただ、午前中あるいはこの前のときからもお答え申し上げておりますが、現実的な中においてそのような必要性等があった場合は、これはやはり積極的に考えねばならない、こう思っております。
#155
○栗田委員 それではちょっと飛ばしますが、任期制の問題について、次に伺いたいと思います。
 提案者は、先日、七月七日の文教委員会での質問に答えられまして、任期制について、希望する人の考えや大学側の考え方もあり、両方の要請を満たすのがよいという判断で大学管理機関に任せられる、したがって定めなくても法律違反にはならないというふうに答弁していらっしゃいますが、これはそのとおりでよしろいでしょうか。
#156
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 そのとおりでございます。
#157
○栗田委員 そうしますと、その任期制条項というのはわざわざ設ける必要はないのじゃありませんか。それはなぜ設けられたのでしょうか。
#158
○狩野議員 お答えいたします。
 この任期制を設けた意味は、大学などにおける国際交流は一定の研究目標のもとに研究機関などが定められて、そして実施されるの事が一般的であります。これに対応するためには年限を切って人材を任用するということも予想されることであり、もう一つは、大学がより積極的に外国人の任用を行うためには任期制というローテーションシステムをとることがその受け入れをより円滑化するということ、それからもう一つは、外国人本人及びその招聘される外国人の所属する機関の承認を得るために任期があった方がいろいろな意味で便利であろうという場合も想定されるので任期制というのを入れたわけでございます。
#159
○栗田委員 しかし、大学側の管理機関に任せて、そこでいまのような判断から、この方にはこういう任期が必要であると考えたらそれを大学側が決めていくという、あくまでも自主的なやり方をさせていくということになれば、わざわざ設けなくても必要であれば大学側で任期をつくっていくでしょうし、したがって、さっきおっしゃったように、定めなくても法律違反にはならないのであれば定める必要はないのではないかということで、そこをもう一歩お考えを伺いたいと思うのです。
#160
○狩野議員 いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、せんだって京都大学に参りました折にもそういう現場からの御意見もあり、それから実は私の地元の茨城大学において各先生方との話し合いの中で、国内的に日本人の先生を大学に任用する場合にはいろいろな意味でその先生の資質や学校の授業にかける意欲だとか、それからほかの先生方と協調していけるかどうかというようなことはわかるけれども、外国人教授の場合には、外国から招聘する場合にはそういう意味でいろいろな面でまだ不安定なところもある、したがって一応そういう任期を決めさせていただいた方が実質的な運営上好ましいのではないか、そういう御意見もございました。
#161
○栗田委員 それではちょっと角度を変えて伺いますけれども、ことしの四月十二日の官庁速報にこんな記事が出ておりました。それは、「議員立法だからできること」と表題がついていたのですけれども、内容を読みますと、「二月中旬から始めた法案作成作業は順調に進み、三月中旬には部会の同意を取り付けた。ところが、いざ政審レベルに上げる段になって、総括担当政調副会長の」、ここにいらっしゃるのですが、「西岡武夫氏が、「国、公立大教授に任期制を適用する突破口として、まず外国人に任期制を導入すべきだ」」とおっしゃって、「「ともかく、西岡さんを崩さぬことには、にっちもさっちもいかない」状況に。」なったなどと書かれてありまして、「そこで、「任期は大学管理機関が定めるものとする」との、読み方によっては大学の判断で任期を定めなくても済む“玉虫色”の条項を加え、なんとか同氏のOKを取りつけた。だが、」とかなんとか書いてあるのです。いろいろ出ておりますが、一体ここに書かれていることはあったのでしょうか。こういう経過はあったのでしょうか。
#162
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 午前中の答弁の際もある程度触れたわけでありますが、いわゆる御所論の、いまお話しのようなところまでの深い突っ込み方はそんなにいたしてありません。ただ、問題は、外国人だけに差別をしていいのかですね。いまの日本では教授は任期はないわけであります。外国人だけに対して差別をしていいのかという議論、一方また、かえって、初めての試みであるので、そういう差別論の上でなく、いろいろなことが考えられるので任期を定めた方がいいという議論、このような両論があったことは間違いない事実であります。そうしたことで最後まで詰めていったところはそれぞれの雇われる人、そしてまた片方雇う人、機関、結局そこで決めていく以外はないだろうという考え方でこのような決め方にしたわけであります。
#163
○栗田委員 そうしますとこれは問題が出てくるのですけれども、いまのようなお話で、外国人だけに差別をしてよいのかということがひいては国公立大学教授に任期制を適用する突破口としてつながっていくことになるとしますと、これはまた相当な論議が必要になってきてしまうわけですね。これは大変大きな問題だと思います。
 この任期制の問題というのは、以前中教審が二回ほど任期制の導入について答申をしていらっしゃると思います。昭和四十六年の中教審答申では、「大学の内部管理体制の合理化については、たとえば同一大学内の継続勤務年数に限度を設けること。」云々といったような答申をしていらっしゃいますし、それから四十九年の国際交流に関する答申でも、国公立大学へ外国人教員を受け入れる際には、これは外国人ですが、任期を定めるということも答申をしていらっしゃったわけです。しかしこれがいままで実現していないということは、やはりこの背景に多くの合意が得られなかったという事情もあったことは確かで、もし日本人教員にまで任期制を設けていくという問題につながって発展していくのですとなかなか大変な論争になってくるだろうと思います。
 それで、一体そういう心配があるのか、日本人め大学教員に対してこれを契機に導入を図ることはしないと考えていらっしゃるのか、そこのお考えを伺いたいと思います。
#164
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 日本人の大学の教員の任期の問題、これはこれとしまして、御所論のような意見、任期は定むべきではないという御意見もあります、定めるべきだという御意見もあります。そうしたことについてはこの法案とは切り離して、どこまでもその問題はその問題として討議をすべきことである、こう考えております。
#165
○栗田委員 それでは、もう一度はっきり確認させていただきますが、この法案成立を契機に日本人の大学教員に対する任期制導入を図るつもりはないということですね。
#166
○石橋(一)議員 そのとおりです。
#167
○栗田委員 この点については提案者ばかりでなく文部省からのはっきりした御見解も伺いたいと思いますので、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#168
○小川国務大臣 文部省といたしましても、ただいま提案者からお耳に入れたとおりの考え方でございます。
#169
○栗田委員 次に、高校以下の外国人教員の任用問題について伺いたいと思います。
 先ほどもちょっとお話は出ていたと思いますけれども、官庁速報などによりますと、文部省は今回の法案成立を新たな根拠に高校以下の外国人教員任用を認めない指導を強化しているといったようなことが報道されております。たとえば六月四日の官庁速報に載っておりますが、この基本的な考え方を説明していただきたいと思います。文部省に伺います。
#170
○鈴木(勲)政府委員 文部省といたしましては、従来から公立の高等学校以下の学校に外国人を任用することにつきましては、いわゆる公務員に関する法理に基づきまして正規の教諭として外国人を任用することはできない旨の指導を行っていたわけでございますが、特に現在審議されている法案に関連いたしまして都道府県の主管課長等いろいろな照会がございましたし、また疑問が寄せられたりいたしましたので、そういう人事課長等の会議におきまして誤解のないように指導いたしたわけでございまして、この際指導を強化したというものではございません。
#171
○栗田委員 それでは、この法案との関係というのは特にないということですか。
#172
○鈴木(勲)政府委員 この法案の提案の理由等に述べられておりますように、これは本質的に国際的性格を有する学術研究、教授を目的とする大学における教官の任用と高等学校以下の教育とはおのずから異なるわけでございますから、前者につきましてはいま御審議の特別立法をもってこの適用を図るということでございますし、高等学校以下の公立の教員につきましては、大学における外国人教員の採用の必要性という観点とは違いますので、従前どおり当然の法理に基づきまして、正規の教諭として外国人を任用することは今後ともしないということで指導してまいっているわけでございます。
#173
○栗田委員 都道府県教育委員会やそれから政令指定都市で現在外国人任用を認めているのは何県何市あるでしょうか。
#174
○鈴木(勲)政府委員 三県一市でございます。
#175
○栗田委員 そのうちで今回の文部省の新たな指導で外国人任用を認めない意向を打ち出しているところというのはありますか。
#176
○鈴木(勲)政府委員 ただいま申し上げました三県一市はこれまで任用したというところでございまして、そのほかに教員採用試験におきます国籍条項等を設けまして採用についての原則を定めているという県は多いわけでございます。
#177
○栗田委員 いま小中学校、高等学校で外国人が任用されている数はどのくらいでしょうか。
#178
○鈴木(勲)政府委員 二十八名でございます。
#179
○栗田委員 すでに任用されている外国人教員については従来どおり扱うのですか、どうしますか。扱うべきだと思いますが。
#180
○鈴木(勲)政府委員 この点につきましては、従来から外国人教師の任用について当然の法理に基づいてこれはできないという指導を行ってきたわけでございますけれども、すでに採用された者につきましては、その者の身分保証とかいろいろな観点があろうと存じますので、各地方公共団体の判断と申しますか、それにゆだねざるを得ないというふうに考えております。
#181
○栗田委員 小中高校などの教員採用は本来、権限が都道府県教育委員会にあるわけですけれども、その都道府県教育委員会に今後の任用のあり方も任せるべきではないでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
#182
○鈴木(勲)政府委員 教諭の身分は学校教育法によりまして定められ、かつ職務についても定められているわけでございまして、また、正規の教諭に外国人を任用するかどうかということは公務員任用上の基本的な問題でございますから、文部省は都道府県教育委員会等を通じまして地方行政に対して指導、助言、援助を与える責任がございますので、そのような基本的な事項については当然指導をしなければならないと思っておりますし、今後もその方針によって指導をしてまいりたいと考えております。
#183
○栗田委員 時間がありませんので最後になりますけれども、教育は不当な支配に服さないという教育基本法十条の条文もあるわけでして、果たして小中高校の先生たち、確かに公務員ではありますけれども、一般公務員と同じような考え方でそのような制限を加えるべきかどうかというのは大変疑義があるわけです。それから先ほどの大学の問題でも、日本学術会議が法理解釈について、特に大学教員の場合には疑義を唱えているわけでして、私はその考え方についてはかなり討論の余地もあり疑問があるというふうに思っております。ただ、時間が参りましたので、これだけ申し上げて、質問を終わりにいたします。
#184
○青木委員長 河野洋平君。
#185
○河野委員 法案について少しお尋ねをしたいと思います。
 本法案は石橋さん以下の議員の方々によって提案された法案でございますが、この法案に文部大臣は御賛成でございますか。
#186
○小川国務大臣 賛成でございまして、速やかな成立を期待いたしております。
#187
○河野委員 なぜこの法案を文部省が提案をされなかったのか、理由を伺いたいと思います。
#188
○小川国務大臣 文部省といたしましては、学術、教育の国際交流ということを非常に大事な事柄だと考えておりまして、この法律案と同趣旨の立法をしたい、かような考えで関係省庁と調整をいたしておったわけでございますが、調整半ばにしてこの法案が出てきた、こういうことでございます。
#189
○河野委員 大学局長、もう一回御答弁をいただきたいと思います。
#190
○宮地政府委員 従来、この趣旨の法案の必要性については、先ほども経過の際に申し上げたわけでございますけれども、最初に五十三年一月に衆議院本会議におきまして河野先生から、外国人の日本の大学の教員の任用を推進すべきであるという趣旨の御質問を受けまして、当勝の福田総理から、今後検討していきたいという答弁があったのが恐らく国会で取り上げられた最初の時点ではないかと思っております。それ以来、私ども文部省内部でいろいろ検討し、特に公務員制度全体との整合性の問題につきまして内閣法制局等といろいろ具体的な詰めを行ってきたというのがその後の経過でございます。
 何度かお尋ねがございましてお答えをしたわけでございますが、国立大学ないし大学の研究所について特に、外国人の教員を登用するということについては関係者に異論がないわけでございますけれども、研究所にいたしましても各省所管の研究所、たとえば農林水産省でございますとか通産省の研究所でございますとかいろいろ、研究機関としても各省所管の研究所があるわけでございます。それらについてやはり外国人の研究員を登用すべきかどうかということについては、それぞれその研究所の設置目的なりに照らしていろいろと議論があるわけでございます。それらを全体を通じましての法制化ということになりますと、各省庁とのいろいろなやりとりということが具体的にございまして、それらの点について必ずしも調整が今日までの間に十分煮詰まらなかったということがございます。
 したがって、関係者において異論のない国立大学ないし国立大学の研究所、共同利用機関等について積極的な対応をすべきではないかということは従来から言われてきたわけでございまして、それらの点について検討を進めてきたわけでございますが、一つは内閣法制局との間の議論のやりとりで、従来の外国人教師、講師制度のほかに外国人を正規の教員等に任用することについての具体的なメリットとしてはどういう点があるかとか、あるいは特に公権力の行使にかかわる法理との関連で、たとえば教授会の構成メンバーとしてその教授会の議決に加わるということにすれば、そこについてはやはり内閣法制局との間では議論があった点でございます。
 前に、当時の真田法制局長官はその点を、公権力の行使に当たる部分を除外すれば特別の立法で可能ではないかという趣旨の答弁もされていたわけでございます。それらの点については、しかし内部でも議論の段階では、あるいは議決から除外すべきかどうかというようなことについてもいろいろと議論をしたわけでございますが、それでは実質的なメリットというものが出てこないのではないかというようなことがございまして、それをさらに積極的な姿勢で対応するとするならば、やはり自民党の文教部会で御検討願って議員立法として、しかも速やかな対応をする方が望ましいのではないかというようなことが議論をされまして、議員立法で今日提案になったわけでございます。
 なお先ほど、午前の際でございますか、御質疑がございましたように、従来大学局の抱えております法案関係で申しますと、放送大学学園法案の処理というようなこともございましたことも事実でございます。
#191
○河野委員 いろいろいきさつがあったけれども、さっき大臣がお答えになったように、文部省とすればもろ手を挙げてこの法案に賛成である、こう考えていいわけですね。しかし内閣といいますか、役所間のやりとりの中では、越えるハードルはなかなか高かった、こういうことに聞き取りました。そこで、それならば議員立法でということになったのだろうと思うのです。
 提案者にちょっと伺いますが、私は、こういう法案が一日も早くできることが望ましかったわけでございまして、こうした問題がなかなか文部省から提案できないということになれば、本来この種の法案はたとえば委員長提案でやるとか各党の共同提案でやるとか、そういう種類のものだったのではないかというふうに思うのですが、提案者として、各党に呼びかけるとかあるいは委員長提案でこの委員会でいく、つまり、文部省が各役所間の縄張り争いの中でなかなか苦戦をしているときに、こうした法案を速やかに成立して事施に移すためには、文教委員会一致の委員長提案でいくというようなことは、提案者としては全くお考えにならなかったのでしょうか。
#192
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 河野委員のお話を承り、ある意味では反省をいたしているものでございますが、なかなか私ども経験の浅いものでありますので、とにかく党がいろいろなことを論議いたしまして、それで出して、そして皆さん方の御協賛を得ればと、それだけを考えてきてしまったわけであります。これからのこともありますので、御注意を十分受けとめたい、こう思います。
#193
○河野委員 非常に謙虚な御答弁で、かえってこちらが恐縮するわけでございますが、教育の問題は一党一派に偏さないことがいいということから考えますと、この手の法案はできることなら――つまり議員立法でいくということであれば、反対があって対立すれば別でございますけれども、各党の合意が得られるものは各党合意の上の委員長提案でいくというようなことをこれから先もぜひお考えをいただいてはどんなものだろうかと考えたものですから、あえて一言申し上げたわけでございます。
 そこで、先ほど同僚議員からもいろいろ御質疑がございまして、重複をいたしますから余り深追いはいたしませんけれども、大学局長からもお話があったように、真田さんの答弁以来懸案の問題があって、今度も国家の意思形成にかかわる部分を除いて云々という、そういうものが法理としてあるよと一方で言いながら、この法案では明らかに、教授会の一票の行使は認める、こういうことになっているわけですね。教授会における一票の行使を認めておきながら、こちらの法理によれば、学長、副学長、学部長ですか、それはいけない、しかし教授会の一票は認めるよ、その一票は認めるよというのは真田答弁を越えたものである、こういうことになったわけですね。
 提案者に伺いますが、学部長とか学長とかいうものが教授会の承認を得ずして――教授会の一票によって学部長の公権力に対する判断というものが教授会の反対によってはとまることだってありますね。それから、教授会の一票によってそれをやれということになることもあるわけですね。これはかなり公権力を左右する、そしてひいては国家の意思形成に影響を与えるということに考えようによってはなるのじゃないかと私は思いますが、この辺は実は非常に微妙なところだ、教授会における一票を認めるというなら、学部長だって違わないのじゃないか、この辺は非常に微妙なところだと思うのですね。微妙なところでどちらにも考えられるというふうに思うのですが、そう思っていいですか。どちらにもとれるなと思っていいですか。どちらにもとれるのだけれども、しかしいまはとりあえずこうなんだ、こういうふうに理解していいですか。
#194
○石橋(一)議員 お答えいたします。
 第二条第二項の中において、合議制の機関の構成員、あるいは議決に加わることを妨げられないということで教授会に参画することを明文として認めてあるわけであります。
 さて、そこから上の問題でありますが、学長、学部長の管理者としての日常のいろいろな仕事、そうしたこと全体を考えてみて、とにかくここまでやったということで、きょうの午前中からの答弁の中においてすでに明らかにいたしましたとおり、そのような事態の起こることが当然あり得るな、そうした場合は積極的に認めていくべきであろう、こんな考え方を持っております。
#195
○河野委員 具体的な事態が起きないと実際はなかなかわからぬ問題だ、だから、わからぬ問題はできるだけ任せてしばらく様子を見よう、こういうこと、多少無責任と言えば無責任かもわからぬけれども、非常に大学側を信頼していると言えば信頼している、こういうかっこうになっていると思うのですね。
 そこで、きょうの朝以来の御議論を聞くと、とにかくここまで来たのだから、これから先のところは引き続きみんなで考えましょうや、私は伺っていてこういうふうに理解をしたのですが、文部省、これはもしそうだとするならば、引き続き検討をするといいますか、じっと注視しておくというふうに私は理解したいと思いますが、もう一歩踏み込んで、五年なら五年たったらもう一回この部分については見直してみようじゃないか、こうやってまず始めてみて、五年ほどやってみたら、五年後にもう一回見直してみようじゃないか、そんな気持ちはありませんか。
#196
○宮地政府委員 大変御示唆に富んだ御提案でございまして、私どもとしても、この制度が実際に実施をされて、各大学におきます実際上の運用と申しますか、そういうことを十分慎重に見定めた上で、それらの点についても今後検討すべき課題ではないか、かように考えます。
#197
○河野委員 もうちょっと踏み込んで、見定めるのにどのくらい時間がかかりますか。三十年もかかりますか、それとも三年あるいは五年ぐらいでいいですか。一応見定めてみようというのに、一つのめどを言ってください、何年くらい見定めたら大体わかるか。どうですか。
#198
○宮地政府委員 大変むずかしいお尋ねでございますが、現実にこの制度に沿って各大学で外国人の任用というような実態がどれだけ出てくるのか、それらの点は、この制度を実施し、私どもとしてももちろんこの趣旨の徹底については各大学に十分理解を深めていただくようにするつもりでございますけれども、やはりそれぞれの講座の欠員に対してどういう人材を補充するかというような問題でございまして、大学自体が積極的に対応していただくことがまず第一に大事なことだと思っております。したがって、なるだけめどをというお話でございますが、私どもも、お尋ねがあった点を十分踏まえましてめどを見定めることにいたしたい、かように考えております。
#199
○河野委員 まあ引き続き検討してください。
 そこで大臣、先ほど大臣から、こういう法案には賛成だ、これから国際化時代に対応するために、あるいは学問の普遍性というようなことを考えると、国際交流といいますか、世界に開かれた学術、教育ということが必要だからこういう問題に賛成なんだという御答弁でございました。私も非常に結構なことだと思うのですが、さて、学術あるいは教育という場面で日本の教育というものを世界に開いていこうと本気に文部省がお考えになるのなら、これだけではなくて、まだ方法、やるべきことはたくさんあると思うのですね。大学同士の交流もあるでしょう、いろいろな方法があると思うのです。
 そのいろいろな方法の中の一つに、アメリカやヨーロッパの大学が日本へ進出するといいますか、日本に分校を設置したいなんという話があちこちで聞こえてきますね。事実、日本で教育の場を開設した、しかしこれは大学としては認めないというのですか、認められないというのですか、というようなことがあったように聞いておるのですが、私は、さっきの大臣の御答弁のように、もし日本の教育あるいは学術研究というものを国際化しようということなら、そういうものを受け入れないという姿勢ではなくて、やはり受け入れていくという姿勢にならなければいけないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#200
○小川国務大臣 大学の国際化ということが今日の趨勢とも申すべきことでございますから、これから先、外国の大学が日本の国内に別個に大学を設けるというような事例がだんだん出てくるに違いないと思っております。
 その際、学校教育法上、日本の国内で大学教育を行いますためには、大学として文部大臣の認可を受けることが必要でございます。これは、たとえ外国の大学の分校という形でありましても、大学教育を行う場合は同様の扱いになるわけでございます。その際、教員あるいは施設の確保など十分の準備を整えた上で、期限――期限は開設年度の前々年度の七月三十一日となっておるようでございますが、その期限までに認可の申請があって、大学設置審議会における審査を経て、大学としての基準を満たすものであれば認可されるということになるわけでございます。
 大学設置基準の運用の問題につきましては、国内の大学の設置との均衡から、外国の大学の分校の設置についてだけ、これを弾力的に運用するということは困難だ、こう申し上げざるを得ない。
#201
○河野委員 私は、いまの大臣の御答弁では国際化社会に対応できない。つまり、向こうから日本にも分校を開こうという大学をむしろそれでは排除してしまうのじゃないか。
 大学の設置基準と一言で言いますけれども、アメリカの分校を日本につくろうと思うときに日本の大学の設置基準全部を当てはめるというのは、当てはめようとすれば、それは来るなということに等しいのじゃないだろうか。安易に、外国のだけはもういいよ、ちょっとホテルの一室を借りてそこで五人か十人でやれば、ああ結構だよというほど私は大学を安易に考えてはいかぬと思いますよ。いかぬと思いますけれども、日本の大学の設置基準のように、いま運動場何坪なければいけないとか、文学部を開設しようと思うと八千冊以上の図書を持たなければいけないとか、校舎に隣接して、あるいはやむを得ない場合は少し離れてもいいそうですけれども、何坪以上の運動場を持たなければいけないとか、私はそんなことまで――それはアメリカのあるいはヨーロッパの大学が日本に分校をつくろうと思ってやってくる、設置基準はどうかと聞けば、これだけの運動場を持たなければいけない、生徒が何人いるときには何平米以上の面積を持たなければいけないとか、それから法学部の場合には図書館にある本は一万冊以上なければいけないとか、それは私は、外国のだけ優遇しろと無理に言うのじゃないのです。だけれども、外国に本校があって、分校を日本につくろうというときに、日本の、つまり日本に本校をつくろうという大学の設置基準を当てはめて、そうでなきゃ認めないと言ったら、それは来るなということに等しいのじゃないか。これは、下手をすれば一種の非関税障壁になりますよ。
 もし大臣がおっしゃるように、それから石橋さん、あなたも関係あるが、本当に国際化を目指して、こういういま審議されているようないい法案をどんどん進めようというなら、外国から来る分校なんかには私はある程度、何も全然そういうものがなくていいというのじゃなくて、大学の設置基準あるいは大学設置審議会か何かの中に外国の分校について審議する特別のグループがあったっていいのじゃないか。そして、それらについては、それはしかし、余り根なし草みたいな学校ができて、学生みんな集めて、二年もたったら解散していなくなっちゃったなんということでは困るわけですから、それはやはりちゃんとしたものでなければいけないということはよくわかります。よくわかりますけれども、しかし、この日本の大学に当てはめている設置基準をこのまま全部外国の分校に当てはめて、これでなければ認可しませんと言っていたのでは、それは門を閉ざすのと同じことになりはしませんか。
 現に、こういうことで外国から出てくる学校があると思いますか。大学局長、どうですか、この設置基準を全部満たして出てくる外国の大学があると思いますか。歴史的に見て、特殊な地域は別ですよ。私の言うのは、欧米先進国の中で、この設置基準に当てはまって分校が進出してくる可能性があると思いますか、どうですか。
#202
○宮地政府委員 設置基準そのものにつきまして、たとえば校地の問題等、特に大都市を中心にして校地の確保というようなことなどが、設置基準についてなかなかむずかしいという問題点は私どもも認識をしているわけでございます。したがいまして、設置基準全体についての検討は、これは私ども課題として検討しなければならぬ事柄だとは考えておりますけれども、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、それでは外国の大学の場合について緩くしていいというわけにはまいらぬ点はあろうかと思っております。
 なお、大学を開かれたものとするためにいろいろ、たとえば単位の互換制度を積極的に進めることでございますとか、その他対応としては、従来から比べれば大学の全体の制度の弾力化ということについては私どもも取り組んできておるつもりでございますし、また、臨調等におきましても、大学の制度その他について弾力化をもっと積極的にしろとか、あるいは国際化に積極的に対応しろということは指摘もされている点でございまして、ただいまも申し上げましたように、設置基準全体の検討は、私ども将来の検討課題としては考えなければならぬ課題かと考えております。
#203
○河野委員 確かに設置基準はもう見直すべき時期に来ていると私も思うのです。これはぜひ見直してほしいと思うのです。
 ただ文部省は、いまの答弁だと、私がお伺いしているように、この設置基準では外国から――何も外国資本で新しい大学をつくるという意味じゃないのですよ、私の言っているのは。アメリカなりヨーロッパなりにちゃんとした大学の本校があって、その学校が仮に日本に分校をつくるというようなことについて、それにもこれを当てはめるということでは、私は、それは来ないだろう、教育をそろばん勘定ではじいてはいけないけれども、普通、ざっとそろばんをはじけば、これに当てはめなければできませんよと言われれば、それはもう成り立たないと思いますね。ですから、私は、日本の大学に対する設置基準ももうそろそろ見直すべき時期だと思いますが、それと同時に、先ほど大臣が御答弁になったように、本当に学術、教育、研究、こういうものの国際化時代への対応を文部省が考えるなら、日本の大学の分校も外国に出ていくというのは出ていったらいい。と同時に、アメリカの大学の分校が日本にできるというなら、それはいろいろむずかしい問題はあると思いますよ、この教員の任用だってこれだけむずかしいのだから。だけれども、こんな単純な、何坪なければいけないとか本が何冊なければならぬなんということで窓を閉じているような姿勢は、学術、教育、研究、国際化に対応できない。
 どうですか、大臣、もう少し国際社会、国際的に対応する方法を考えられたらどうですか。
#204
○小川国務大臣 設置基準はいわば最低の基準でございますから、せめてこれは満たしてもらわなければ困ると考えております。
 ただ、御趣旨はよくわかります。私も御同感でありますから。弾力的に運用いたしますという答弁を申し上げていいか後ろに聞きましたら、それは困るということでしたので、しからばどうするか、さしあたって考えられますことは、設置基準そのものを改める、緩和するということで、それは結構なこととおっしゃっていただいたわけですが、御意見は十分理解をいたしておりますので、その御趣旨に沿って研究をいたすつもりでございます。
#205
○河野委員 どうも大学局は大臣に対する物の言い方を少し気をつけてもらわないと、せっかく大臣のお気持ちを途中で変えるようなことがあるのははなはだ遺憾ですね。大臣にそこで耳打ちするだけではなくて、一遍ひとつやってみましょうか。大臣は必要最小限度とおっしゃった。学生の入学定員百人の文学部と理学部、百人ずつ二百人定員で土地が何坪要りますか。校舎、運動場、何坪要りますか。必要最少限度かどうか、一遍説明してもらわなければ。
#206
○宮地政府委員 文学部の学生入学定員百人、収容定員四百人の場合の面積といたしましては、三千三百五平米を基準として定めているものでございます。理学部の場合でございますと、五千七百八十五平米を要するというのが基準の定めでございます。
#207
○河野委員 いまの答弁は校舎だけでしょう。それ以外に運動場も要るのでしょう、講堂も要るのでしょう。体育館も要りますね。図書館もそれ以外につくらなければいけませんね。それが必要最小限とは思えないですね。インチキ言ってはだめですよ。では、それだけあれば認可しますか、いまの三千平米と五千平米だけあれば認可しますか、あなた。そうじゃないじゃないですか。それなら、認可できる必要最小限度の面積を言ってごらんなさいよ。インチキ言ってはだめだ。何が必要最小限度か言ってみろ。そんなうそを言ってはだめですよ。
#208
○宮地政府委員 校地につきましては、建物面積の六倍を基準と考えているわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、今日の、特に大都市におきましては校地の確保が、校舎面積に対してそれだけのものを確保するということについては、実態としてなかなか困難であるというような事情ももちろんあるわけでございます。したがいまして、大学設置基準については設置審議会の基準分科会で御検討を願う課題であるわけでございますけれども、もちろん、この基準分科会で御検討いただいたものとして今日この設置基準を定めているわけでございますが、設置基準を定めました以後の社会的ないろいろな周辺の変化とか、そういうようなことについては見直しということは検討課題であるというぐあいに考えております。
#209
○河野委員 いま非常にラフなお答えですけれども、私が申し上げた文学部の百人、理学部の百人の学生を入れる学校をつくろうと思えば、文部省の考える必要最小限度の面積だって一万七千坪かそこら要りますよ。そんな面積、百人ずつ四年間ですから八百人になりますか、八百人の学生を入れるためにいま一万七千坪とか二万坪の面積を持たなかったら大学の設置を認めませんというのは、外国から分校をつくろうという人にとっては、それはできないということじゃないでしょうか。だから、日本が外国の分校を入れないのだというなら、私はそれでいいと思うのですよ。だけれども、入れることが日本の学術研究にいいというなら、大学設置基準の中に別枠を考えるとか、あるいは全体のレベルを下げるとか、外国からの分校システムについてどう対応するかという検討を大学設置審議会の中で一遍してみるとか、国際化に対応しようというなら、そういうことはもうそろそろ時期じゃないかというのが私の提案なんです。
 私は何もこれに無理に入れろとかなんとか言っているのじゃないですよ。法律を直す分は直されたらいいし、それから大学設置審の中でそういうことを一遍考えてみたら――締め出そうというなら別ですよ。そういう変なのが入ってこられたら困るからなるべく入れないようにしろというなら別なんだけれども、大臣の御答弁を伺っていてもそういう自由に出たり入ったりする窓をあけておくということがいまや大事な時期に来たというなら、そうしてこの法律だって本来は文部省でやりたかったのだけれども他省がいろいろ言うからできなくて石橋さんの御苦労をかけた、こうおっしゃるのだから、そこまで積極的に国際化に対応しようというなら、これだけが国際化の道じゃないのだから、これは石橋さんに御苦労をかけたけれども、こっちは文部省が独自でやろうとか、そういうことはお考えになる時期じゃないかと思うのでございますが、大臣、もうちょっと踏み込んで御答弁いただけませんか。
#210
○小川国務大臣 御意見はしかと承りました。御同感の点が多々ございますので、御期待の方向で研究させていただきます。
#211
○河野委員 どうもありがとうございました。
 質問を終わります。
#212
○青木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#213
○青木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 石橋一弥君外四名提出、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#214
○青木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#215
○青木委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、佐藤誼君外四名より、日本社会党・公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 本動議を議題といたします。
 提出者より趣旨の説明を求めます。佐藤誼君。
#216
○佐藤(誼)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について、御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
 一 政府は、国立又は公立の大学等において教員に任用された外国人について、学長、学部長などの管理職への任用についてその方途を引き続き検討すること。
 二 外国人教員の任期制については、大学管理機関の自主的判断に委ねること。
 三 政府は、外国人教員の任用が円滑に行われるよう、日本語の習得の機会の提供、処遇に対する特別の配慮など諸条件の整備に努めること。
 右決議する。
以上でございます。
 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。
 何とぞ御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
 以上です。(拍手)
#217
○青木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#218
○青木委員長 起立総員。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 この際、附帯決議に対し、政府の所見を求めます。小川文部大臣。
#219
○小川国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意し、検討いたしてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#220
○青木委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
   〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#222
○青木委員長 次回は、来る六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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