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#1
第096回国会 大蔵委員会 第16号
昭和五十七年四月二日(金曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 森  喜朗君
   理事 大原 一三君 理事 粕谷  茂君
   理事 小泉純一郎君 理事 中西 啓介君
   理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君
   理事 鳥居 一雄君
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      木村武千代君    熊川 次男君
      笹山 登生君    椎名 素夫君
      中村正三郎君    平沼 赳夫君
      藤井 勝志君    毛利 松平君
      柳沢 伯夫君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    与謝野 馨君
      大島  弘君    佐藤 観樹君
      塚田 庄平君    戸田 菊雄君
      野口 幸一君    平林  剛君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      正森 成二君    簑輪 幸代君
      小杉  隆君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        経済企画庁物価
        局審議官    佃  近雄君
        大蔵政務次官  山崎武三郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  勝君
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
        大蔵省主税局長 福田 幸弘君
        大蔵省理財局長 吉本  宏君
        大蔵省証券局長 禿河 徹映君
        大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
        国税庁直税部長 吉田 哲朗君
 委員外の出席者
        臨時行政調査会
        事務局総務課長 重富吉之助君
        経済企画庁調整
        局調整課長   海野 恒男君
        経済企画庁調整
        局財政金融課長 宮島 壯太君
        厚生省児童家庭
        局母子福祉課長 横尾 和子君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     八島 靖夫君
        建設省道路局道
        路総務課長   牧野  徹君
        大蔵委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
四月一日
 南方軍国鉄派遣第四・第五特設鉄道隊軍属の処
 遇改善に関する請願(愛野興一郎君紹介)(第
 一七六九号)
 同(奧野誠亮君紹介)(第一七七〇号)
 同(木野晴夫君紹介)(第一七七一号)
 同(原田憲君紹介)(第一七七二号)
 同(藤田義光君紹介)(第一七七三号)
 同(堀之内久男君紹介)(第一七七四号)
 同(山田耻目君紹介)(第一七七五号)
 同(古屋亨君紹介)(第一八四六号)
 同(山中貞則君紹介)(第一八四七号)
 同(佐藤隆君紹介)(第一八九二号)
 一兆円所得減税に関する請願(飛鳥田一雄君紹
 介)(第一七七六号)
 同(平林剛君紹介)(第一七七七号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第一七七八号)
 同(松本善明君紹介)(第一八二五号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第一八四八号)
 同(枝村要作君紹介)(第一八四九号)
 同(山田耻目君紹介)(第一八五〇号)
 同(横山利秋君紹介)(第一八五一号)
 身体障害者使用自動車に対する地方道路税、揮
 発油税免除等に関する請願(春田重昭君紹介)
 (第一七九八号)
 税制改革に関する請願(上原康助君紹介)(第
 一八二三号)
 大企業優遇税制の改正に関する請願(松本善明
 君紹介)(第一八二四号)
 新一般消費税の導入反対等に関する請願(村上
 弘君紹介)(第一八二六号)
 大幅減税に関する請願(安藤巖君紹介)(第一
 八二七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出第九号)
     ――――◇―――――
#2
○森委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。野口幸一君。
#3
○野口委員 質疑に入る前にお断りをいたしますが、私はまだ大蔵委員会の一年生でございますので、御答弁に当たりましては、どうぞ懇切丁寧に、わかりやすくお答えをいただきたいということをお願い申し上げておきます。
 特例公債については、申し上げるまでもなく、わが国の財政の基本的なルールを踏み外したものだと言われているのでありまして、財政法第四条に違反するものをわざわざ特例措置として位置づけたものでございます。特例とは申せ、昭和五十年以来もう七回目でございまして、特例という名が泣くわけでございまして、常例化しているわけであります。当面のやむを得ない措置であるとはいえ、政治論としましては重要な課題であり、厳正に考慮すべきものだと考えます。
 この点につきまして、やはり政治的責任と申しますか、基本的ルールを守り得なかった責任について、担当大臣として大蔵大臣の御所見をお伺いいたしておきます。
#4
○渡辺国務大臣 特例公債でありますから、本来から言えば特例的に出さなければならないというのが財政法の趣旨だろうと私は思います。しかしながら、いろいろな経済事情等によって特例公債が毎年出されるということは、私は好ましいこととは思っておりません。したがいまして、一刻も早く特例国債からの脱却を図らなければならないというような観点から、これを早めまして、ここ三年ぐらいの間に特例公債から脱却しようというようなことで、政府は鋭意努力をしておるわけでございます。
 特例公債からの脱却ということは、それだけ消費的経費の財源を失うということでありますから、自然増収がその分あるか、それでなければ歳出を思い切ってカットするか、そのいずれかをやらなければ脱却しようとしてもできないことでございます。一遍つけた歳出というものは、なかなか切りづらいということも現実でありますが、それは発想の転換を図って、極力歳出カットによって特例公債からの脱却を図っていきたい、さように考えております。
#5
○野口委員 いまおっしゃいましたように、特例公債というものは、そう簡単にいつまでもやるものではないということは先刻御承知のとおりでございます。財政改革というのは、国債の減額というものが一つの問題点として大きくクローズアップされているわけでありますが、国債を減額するだけではなくて、この特例国債などというものの発行を余儀なくされた原因について、その根源に対してメスを入れるということが重要であると言われておるわけでありまして、その意味では、行財政改革が行われていて、それに対応しているんだ、こうおっしゃるんだろうと思うのでありますけれども、私どもから見まして、まだまだ十分とは言えないと考えますし、また、不公平税制の問題につきましても、もっと積極的なアプローチが欲しいということも感ずるわけでございます。
 総括的に、財政改革をこの後どのような形で進めていこうというのか。大臣は非常に経験豊かで、しかもまた、昨今テレビの放送なんかで、茶の間の婦人にもわかるという財政論をおぶちになっていらっしゃるわけでございます。今後、どのようにすればこの問題を具体的に消化することができるのか、大臣の御所見を伺いたい。
#6
○渡辺国務大臣 財政改革をするに当たりましては、なぜ財政が悪化したか、その原因を究明することが先決ではないか、私はそう思っております。
 御承知のとおり、昭和三十年代から高度経済成長になって、ともかく湯水のごとくお金が使われたということも事実でありまして、幸いに、お金を使ってもなお自然増収が入る、減税をしてもまた自然増収が入るという時代が長らく続きました。そこで、そういう環境のもとで日本としては、立ちおくれておった社会保障、文教、こういうふうなものを早急に伸ばしていかなければならぬというような風潮になりまして、昭和四十八年福祉元年ということで、それからスタートを大きくしたわけでございます。
 ところが、いわゆる第一次石油ショックということで、昭和五十年には大幅に税収が落ち込む、二兆円も落ち込むというような事態になりました。本来ならば、収入が少なくなれば歳出もそれに見合って切り詰めるというのが財政の筋論ではございますが、そうは言ってもやはり不況にするわけにはいかないということで、それまで政府は余り借財がなかったものですから、大幅な建設国債の発行をして景気のてこ入れをしよう、一方、せっかく社会保障とか文教政策に力を入れ始めたんだから、これは伸ばそうというようなことで、それは税収の落ち込みに関係なく伸ばしてまいりました。人件費のベア等も、民間がいいんだから民間準拠ということで役人の月給も伸ばしてきた。
 その結果、四十八年対五十五年、私が就任する前の年の決算ベースで見ますると、税収が約二・四倍にしかならない、にもかかわらず社会保障費は約四・八倍とか、文教費が三倍というようなことになって、人件費は二・五倍、公共費も二・五倍とか、防衛費も二・五倍とか、結局いずれも税収の伸びを上回る歳出を示したわけでございます。その差額が簡単に言えば赤字になったわけでございますから、そういうように、歳出の要求というものの圧力の強さを防ぐことよりも、安易に借金をして圧力をかわすことの方がややもすればやりやすいというようなことも、私はなかったとは言い切れない面があるのじゃないか。そのために安易に、安易にと言っちゃしかられますが、やや気が大きくなって、どうせ国民のためになるんだからということで借財をして歳出に充てた。その結果がもう七十兆、八十兆という借財残高ができたということでございます。
 いまや、言うべくして、過去の夢よもう一度、高度経済成長来るというわけにはなかなか世界じゅういかない。なぜ高度経済成長ができたかという最大の原因は、石油の安い時代が長い間続いて、金さえ出せば石油は存分に幾らでも手に入る、そこで日本経済が築かれてきましたが、その土台ががらっと変わってしまったわけでありますから、ここへ来ると、やはり安定経済成長路線というものにならざるを得ないわけですから、高度経済成長時代の発想というものは考え直していかなければなるまい。そういう観点から、われわれとしては、歳出の抑制によってまず赤字国債の脱却を行っていくということを最大の眼目にしておるわけでございます。
#7
○野口委員 ありがとうございました。そのように詳しくおっしゃっていただきますと、私のような頭の悪い者でもよくわかります。
 しかし、私ちょっと気になりましたのは、それだけではないと思いますけれども、福祉あるいは教育、それから労働者の賃金というものを民間準拠によって上げなきゃならないといったもの、それぞれに手当てをしたために赤字国債が出たんだという意味合いの話がございました。私はつくづく感ずるのでありますけれども、いま大臣がたまたま最後の方に言われましたが、経済担当をしておられる大臣が大体一年か二年くらいで次々おやめになる、自分の在任のときだけ何とかうまく回ればいいということでかわしていかれる、その姿が赤字公債の発行というものについて少しく安易な、安易なというところまでいかないのでしょうけれども、そういう考えがあったのじゃなかろうか。私はオーストラリア国へ参りまして、担当大臣がいずれも七年、八年とやっておられるのですね。そして長い在任中に長期の見通しを立てて、自分の思う政策というものを年度別に実施しておられる。こういう姿を見ますと、日本の特に大蔵大臣とか外務大臣とかそういう重要ポストというのは、そうぽこぽことかえられては困るというような気が私はするのであります。
 大臣は、いま引き続いて第二次内閣でも大蔵大臣におなりでございますけれども、こういった所管大臣が次から次とかわっていくということについては、いかがなお考えをお持ちでございますか。やはりそれはかわってもいいと思っておられるのでしょうか。これはある程度長く、少なくとも、長期見通しというのをよく立てられますけれども、それが完成するといいますか、ある程度それができるまでぐらいは責任者としておるべきが筋道だなと思われますか。いかがでしょうか、この際ちょっと伺っておきます。
#8
○渡辺国務大臣 これは適任な人があればかわらない方がいいでしょうし、不適任ならばかわった方がいいだろうと思います。問題は、仮に大臣がかわっても、その政府の政策が強力に進められるということが大事だと思います。
 私は、よく会社の社長連中には言うのですが、皆さんは借金をしても、手形を発行しても、十年なんていう手形を発行する人はめったにないわけでありまして、そんなものは大体半年か三月、自分の在任中に自分で落とさなければならぬということになりますと、そう安易に発行できない。しかし政府の借金は原則十年でございますから、短期のものでも二年とか五年とかとありますが、大部分が十年、そうすると、発行する方は、発行してもしりぬぐいする方は十年先の人がしりぬぐいという話になりまして、やはりそういうところに、長期国債というものは発行しやすいかもしらぬけれども後が大変になるという問題が確かにございます。
 したがって、わが党の自民党内閣が続いておるわけでございますから、責任を持たなければならないわけでございます。いずれにせよ、長期の国債というものは、本当に発行するときは楽ですよ。しかし、年々利息はかさむし返すときは大変だ。だけれども会社なんかは短期間だから、発行するときにかなり心理的ブレーキと責任と、発行する人は支払いの義務を一遍に負うわけですから、そういうところが少し政府と民間との違いがあるんじゃないかということは言えるだろうと思います。
#9
○野口委員 いまも言われたように、担当大臣というものが短期でおかわりになる、借金を借りる方は自分がやるけれども、返すのは人がやる、こういったものが底流にあって、自分の任期中うまくつじつまが合っていればいい、こういうような考え方が、先ほど言われたような赤字国債を出さなければならない理由があったにしろ、それに依存しようとする態度の中に甘さがあったのではないかというような気が私はしてならないわけであります。
 大臣は、たまたま返済をしなければならない、何とか圧縮しなければならないという時代に大臣になったわけでありますし、そういうことを思えば余りいいときにならなかったわけでございますけれども、さて、横道にそれましたので本題に戻しまして、本年度の国債費は七兆八千億円の計上でございます。償還の本格化される六十年度には十兆円になる。また六十五年度には十七兆、いまの借金の返しでありますが、六十二年度には国債整理基金は底をつくという危機状態だ。
 それで、この六十年代の利払いの問題と、それから償還に対応した財政運営がどのようになっていくのだろうか。これは立場を変えてでも私自身、どうすれば本当にこれは返していけるのだろうか、一応償還計画というのがつくられておるのでありますけれども、どうもこの償還計画というのが、信じられないと言ってはおかしいのですけれども、いまの財政状態からいって、本当にこのようにうまくいくのだろうかということを考えるわけであります。特に、いわゆる特例債は何か満期時期には現金で返戻するということになっておりまして、まず私ども素人が見て、こんな大きな額が本当にできるのだろうか、来年度の要調整額三兆何ぼ、来年度においてすでにもう三兆何ぼ財源が足りないんだというと、どういうような見通しをいま大臣なんかお持ちになっているのだろうか、ちょっと詳しくお教えをいただきたい。
#10
○渡辺国務大臣 六十年以降の計数的な返還の見積もりにつきましては事務当局から説明をいたさせますが、いずれにせよ、これは六十年からは返済が始まってくるということになりますと、本当にあなたの御心配になるように、それだけ毎年何兆というものを現金で返済できるのかという御心配があるのは当然だとわれわれも実は思っております。これは、そのときの経済事情、財政事情にもよることでございますから、一概には言えないけれども、いまのような低迷した世界の経済情勢だとすれば、これは本当になかなか大変だなという心配をわれわれはしておるのも事実でございます。
 いずれにいたしましても、経済をある程度拡大をしていく、そうせざるを得ない。しかし、現実には、世界の景気に関係なく日本の景気だけをどんどん大きくするということも、経済はつながっているわけですから、言うべくしてそれは簡単にできるかどうか非常な疑問がございます。疑問がありますが、われわれとしては、せめてまずできるだけのことをいろいろな面からして、返せるような経済状態をつくっていかなければならないという考えでございます。
#11
○野口委員 現金償還計画の問題と、さらに十年償還でありますから十分の一ずつ基金に積み立てるということが望ましいのでありますけれども、とりあえず繰入率百分の一・六というのがいま決められているわけでございますが、これを割り増しするような方法だとか、この償還の具体的な問題について、担当局長から少し御説明をいただきます。
#12
○西垣政府委員 制度の問題でございますから、私からお答え申し上げます。
 現在、国債の償還につきましては三つの柱を考えてやっているわけでございます。つまり、前年度期首の国債残高の一・六%を国債整理基金に繰り入れる、それから前年度剰余金の繰り入れを行う、それから必要に応じまして予算繰り入れを行うということで国債整理基金に積み立てをいたしまして、その中から国債の償還に充てていく、こういう状況でやっているわけでございます。
 いま御指摘がありましたように、特例公債につきましては現金償還という原則でございまして、六十年度から償還をしなければならない、それが相当の額に上ります。そういったことで国債整理基金の積立金の残高がいまのところはかなりの額に上っておりますけれども、いずれ枯渇してしまいまして、その分は予算繰り入れの必要がそれだけふえていくという状況になるわけでございます。六十年度以降の国債の償還につきましては、そういった意味で大変むずかしい問題がございます。それにつきましても私どもは、現金償還の負担が大きい特例公債につきましてはできるだけ早く発行しないでもいいようにしたいということで、五十九年度特例公債脱却を目指しまして、できるだけの努力をしたいということで全力を挙げているところでございます。
#13
○野口委員 そこで質問の方向をちょっと変えますが、わが国の財政が世に言うサラ金財政だと言われて、いまもお話がありますように、借金を返済するために借金をしなければならぬという状態が起こるわけであります。本年は、国債そのものは特例公債もまた四条国債も含めまして十兆四千四百億、本年度末における累計はおよそ九十二兆八千億円、まさに百兆円という大台に上ろうとしておるわけでございますけれども、五十六年度、いまもう四月になりましたから昨年度になるわけですが、五十六年度の税収見込みは、当初とは下回りまして三千七百五十億の特例公債をさらに発行されました。昨年は増税を行われまして、財政再建元年としての二兆円の発行減額を図ろう、こういうことでございました。しかし、この状況を見ておりますと、所期の目的にはおよそ到達をしないのじゃないかと思われます。しかも、ことしの六月末まで行きますところの五十六年度の税収不足は、皆さんがそれぞれおっしゃっておりますように、まだ約一兆円ぐらい不足するんじゃないだろうかということだそうでございます。
 そこで、この五十六年度の状態というものをベースにして五十七年度の税収見込みを立てておられるわけでございまして、そういたしますと、五十六年度の実態というのは非常に悪い状態である。しかし、五十七年度の税収見込みを見る限りにおいては、必ずしもそのような算定にはなっていないと思うのであります。
 その基本的な問題にかかわる問題として、経済成長率実質五・二%という数字がございます。私は、先ほども申しましたように一年生でございますので、五・二%という算出根拠について、また民間がそれぞれ三%内外あるいはちょっと多いところで三・八%程度というものがございますが、いろいろと書いてあるものを読ませていただきました。政府が五・二%とされた理由がいまだもってちょっとわかりかねるのであります。したがいまして、五・二%とされましたその根拠を経済企画庁の方からひとつ御説明をいただきたい。
#14
○宮島説明員 お答えを申し上げます。
 先生お尋ねの五十七年度の経済成長率が実質五・二%と経済見通しではなっているその根拠ということでございますが、五十七年度経済を考える前に、最近時点でのわが国経済の状況から考えてみたいと思うのでございます。
 最近のわが国経済を見ますと、五十六年度の四―六月期が対前年一・二%の増加、それから七―九月期が〇・七%というように順調に伸びてきたのでございますが、十―十二月期がマイナス〇・九というように、これは第一次石油ショック直後の五十年一―三月期以来のマイナス成長になったわけでございまして、この点が、日本経済は本当に順調に成長していくのかどうか、そういった議論が出てきたわけでございますが、ただ、この五十六年十―十二月期のマイナス成長の内訳を見てみますと、これは世界経済の停滞の影響もありまして輸出が非常に落ち込みました。そのために、私どもは海外需要というように呼んでおるのですが、その海外需要が落ち込みましてマイナスになったわけでございます。いわゆる消費とか設備投資という国内の需要でございますが、そちらの方はプラスとなっておりまして、緩やかに回復してきておりまして、その傾向は、ついこの前終わりましたけれども、まだ統計は出ておりませんけれども、五十七年一―三月期にも個人消費とか設備投資などの国内民間需要というのは順調に回復していく、こういうことが考えられます。
 五十七年度のわが国経済というものを考えてみますと、五十六年度と違いまして取り巻く環境がかなり改善してくることが考えられます。
 一つは国際的な環境でございまして、アメリカを初めヨーロッパの景気も五十七年度後半には上向くであろう、これはOECD等の国際機関の見方もそういうことになっております。国内的にわが国の問題を見ますと、景気がどういうようになっているかということを一番はっきり短期的にあらわしますのが在庫でございまして、在庫調整がすでに終わっているという状況でございまして、景気がよくなりますと今度は在庫がどんどん積み増してくるという状況でございますし、それから金融も引き続き緩和してきております。物価も引き続き安定することが考えられますし、過去の石油ショック等の状況から見ましたときに石油価格が引き続き安定する、これも大変プラスの要因でございます。
 そういった点を考えますと、経済成長の五・二%という算出をいたす場合に、それぞれの需要項目、需要項目と申しますと個人消費であるとかあるいは設備投資、そういった点を一つ一つどの程度伸びるか計算をして、全体の経済成長率を出すわけでございます。
 まず個人消費につきましては、先ほど申し上げましたように、消費者物価の安定が続くであろう、それから在庫調整の終了とともに経済が上向きますから残業もふえていく、こういうことになりますと、五十六年度に比べまして相当程度の個人消費の伸びが期待できるであろう。
 それから住宅投資でございますが、この点が、先ほど先生が御指摘になりました民間の見方と極端に違うところでございますが、この住宅投資というのも、物価の安定、実質所得の回復、資材価格の安定、そういったものに加えまして、予算編成におきまして住宅金融公庫を中心とした政策金融の充実、それから税制改正等の諸施策によりまして、相当大幅に伸びるということが見込まれるのではないかと思います。
 それから、三番目の柱といたしまして設備投資でございますが、大企業を中心とした設備投資意欲というのは、銀行等の聞き取り調査によりましても非常に強いものがございます。問題は中小企業の設備投資でございます。消費、住宅関連の業種が多いわけでございますが、そういった消費、住宅等に明るさが見えてくれば、設備投資をしたいという意欲は中小企業の方々も持っておるわけでございますので、これも設備投資が出てくるであろう、こういうように考えております。
 それで、政府といたしましては、こういった五十七年度の環境が非常にいいという状況に加えまして、去る三月十六日の閣議におきまして、公共事業の上半期の契約率を過去最高の七五%以上とすることを目途として、現在各省庁間で検討を進めているところでございます。また、長期金利につきましては〇・二%引き下げが行われましたし、住宅ローンも引き下げられるということでございますので、こういった状況のもとで、わが国経済は五・二%程度の成長が期待できると考えております。
#15
○野口委員 お聞きしている限りにおきましては何かバラ色でございまして、ありがたい、そうなれば私も何も言うことはないし、いま直ちに質問をやめてもいいと思うくらいでございますが、実際はそのような状態でない。
 私どもも素人ながらにもいろいろと読んでおります文書あるいは情報等によれば、全くそのように書いてないのであります。国民の可処分所得の減は依然として続いているし、生産性向上率もそんなに多くは期待できないし、設備投資の問題にしましても、いまおっしゃったように住宅問題も必ずしも好転しているとは思えない。そういう状態だからこそ、いわゆる公共事業の前倒しをやるのであって、いまおっしゃるような非常に前向きのといいますか、五十七年度がそういうようなバラ色の状態で予測されるのならば、何も公共事業の前倒しなんてしなくてもいいと私は思うのです。
 だから、経済企画庁が出されます数字五・二%の根拠は非常にあやふやな、そうなればそうであるし、こういうようになればというような、ある一定の希望的観測の中で出されているのじゃないだろうかという気がしてならないわけであります。もっと現実的に数字を並べて、特に民間の調査機関なんかがやっておりますものは、ひどいのになりますと二・七、八%の伸び率だと言っているのもあるわけです。五・二%の半分以下だ。民間の成長率と政府の経済企画庁等がお調べになった成長率との差が倍も違うというような調査結果の出ているのは、私の見せていただいた限りにおいては、いきまで余りないのです。ことしに限って、そういうものが出ているように思えてならないのです。
 もう一度お伺いいたしますが、五・二%というのは、経済企画庁としては全く自信を持って本年度はこの数字は間違いないということが果たして言えるかどうか、お聞かせいただきたい。
#16
○宮島説明員 お答え申し上げます。
 民間の経済予測の主要機関の平均は大体三・八%、先生御指摘のように四%弱の見方がほとんどでございます。政府が五・二%というそれから比べて高い見方をしておるのは事実でございますけれども、その一つは、先ほど申し上げましたように、民間住宅投資の見方が、民間の場合は大体十二月の初めに出されたものがほとんどでございまして、予算において政策的な配慮がなされる以前の状況でございますので、住宅投資の見方が政府よりも極端に低いというのが一点、もう一つは、日本経済の潜在的な力を引き出していかなくてはいけないという気持ちが私どもには強く働きまして、つまり、わが国経済は上昇機運にあるわけですけれども、それが失速することになったのでは、雇用の問題にいたしましても業種間の跛行性の問題にいたしましても、あるいはまた財政再建が着実に行われるような経済運営をしていく必要からも、あらゆる政策的な配慮をしながら五・二%を達成し得る、こういうように考えて政府として五・二%というのを決めたわけでございますので、民間の見方と違います点は、一つは住宅の投資の問題と、同時にもう一つは、雇用とかそういった面を考えて、環境が整いつつある日本経済が、心理的な要因によって、せっかく上向きになってきているところが冷えてしまわないような、そういった適切な経済運営を行っていくという前提のもとに五・二%を考えたわけでございます。
#17
○野口委員 もう一度反論はいたしませんが、私どもから見ますと、五・二%というようなものは本当にとてもじゃないがいく数字ではないと思っているわけでございます。しかし、一応そういうものを基盤として五十七年度の税収見込み等が出されているわけでございますから、一応それはそれとしまして、五十六年度の税収の実態というのは、今日時点でどのようになっていて、それから見る限りにおいて、本年度の六月末におけるところの税収不足というのは一体起こり得るのか起こり得ないというのか、起こり得るとすれば五十七年度に対してどういう影響があるのか、その辺のところをひとつ御説明いただきたいのであります。
#18
○福田(幸)政府委員 お答えします。
 いままでわかっていますのは一月末まででございます。二月分というのはまだ発表いたしておりません。毎月大体八日ごろですからまだということです。わかっていますのが、まだ全体の六一・八ぐらいですから、残りが四割近くあるというのが税収の入り方でございますから、やはり今後にかかっておる分がある。
 それは、御指摘のような問題、経済全体の不確定要因が背景にあるわけですから、十月から十二月の間が経済が余り伸びなかった、それが税収にどう響くかは非常に注目しておるのですけれども、特に法人税のところが三月にどう出るか。これは各企業ごとにいろいろな決算をやりますから、前年赤字だったのが、ことしも赤字であるかどうか。それからまた為替が影響する企業が、石油化学とか電力等には影響がマイナスに出ます。それから輸出の方は本来プラスなんですけれども、貿易摩擦的な問題で伸び悩む。企業は決算して配当しなければいけませんから、いろいろなやりくりをしながら、また利益を出していくということもございますので、具体的にはどういう決算を示すか。これはやはり三月決算が五月にならないと入らない。これがわかるのが七月初めということです。もう一つ、三月の所得税確定申告は終わっておりますけれども、この数字が今月の終りにならないとわからないということで、補正後の予算額をそのまま置かざるを得ない、それにかわる数字がないということでございます。
 来年の経済の伸びがどうなるか。これはもう経済の見通しが前提になりますし、われわれまた税収というのは別の見方もやりますけれども、ことしの経済見通しが一応前提にされたままであり、来年度の経済見通しも、いろいろ問題があるにしましても、それを達成するようにいろいろな施策が講ぜられるということで置かれております五・二、しかし税収の方はむしろ名目が影響します。そういうことで、物価の動き等も見た上で、各企業の決算がまた今後五十七年度どう行われるか、また物品税等になりますと別個の動きをしていきますので、いまのところ物品税はわりにいい姿を示していますけれども、これが続くかどうか、そういうことで、ことしの決算がどうなるかということについて、特に新しい数字を確定的に申し上げられない。したがって、来年度につきましても、いままで御説明した以上のことは申し上げられないという事情を御理解願いたいと思います。
#19
○野口委員 現在時点で数字的にはお示しいただけないだろうとは思いますけれども、年末に経済成長率がマイナスになりましたのも関連いたしまして、決して私は、いい結果が六月時点であらわれるというような予測ができないのでございますが、そう考えますと、先ほどもちょっとお話が出ましたように、公共事業費の前倒しということが行われるようでございます。
 前倒しを行うということは後半に穴があくということでございまして、新聞等でもこの後をどうするかということについて、政府は一体何を考えているのかということがあるようでございますが、きょうの新聞なんかにも、この穴埋めにさらに建設公債を発行して景気対策にもっと拍車をかけるべきだというようなことが書かれてあるわけでありますが、大臣、この辺はいかがお考えでございましょうか。
#20
○渡辺国務大臣 これも非常にむずかしい問題でございまして、前倒しをやったからといって、それだけの効果がすぐにどれだけ出るか、計数的に出すということは困難だと思います。しかし、やらないよりもやった方がいいというのも大体一般的に認められておるところでございますから、政府としては、与えられた予算の中でまずできるだけのことをやってみる。世界の経済がつながってはおりますが、日本のものをやってみて、きょうの新聞等でも、アメリカのレーガン大統領が、アメリカの景気は後半から確実に上向くということを言い切っておるわけです。これも実際はその時期になってみないとわからない。もう経済は生き物でございますから、断定的に言ってもなかなかそのとおり動かないというのも、これは事実なんです。
 したがって、そういうのを眺めながら、また余り焦って日本だけでやるときになって物価を異常に上げてしまったのでは、これまた何にもならないことで、庶民大衆は、ベースはそんなに上がらない、物価だけ上がってしまったということでは困るわけですから、やはり物価には最大の関心を持ちながら慎重に配慮しつつ、景気の持続向上というものに努めていきたいと考えております。
#21
○野口委員 きょうの新聞の論調は、少なくとも本年度の後半において景気対策の一環としてやった前倒しの後埋めも建設公債等を発行してやるよという意気込みを政府が示せば、その意気込みを示すことによって、少しくまた向上をするのではないだろうか、そういう意気込みを示すことがまず大切なんだ、こういうことも書かれてあるわけでありますが、まだ五十七年度予算は通っていないわけでありますから、そういうことも言いがたい状態であろうと思いますけれども、考え方としてはそういうことは考えられますか、どうでしょう。
#22
○渡辺国務大臣 予算もまだ審議中で補正予算をやるようなことを大蔵大臣が言うということは不謹慎だと逆にまた言う意見も出ます。ですから、余り言えないわけですよ。言えないわけですけれども、われわれとしては、衰弱しないように十分に考えてまいりたい、そう思っております。
#23
○野口委員 衰弱しないようにということでありますから、恐らくそういう考え方をお持ちなんであろうと思います。
 そこで、たびたびこの問題を本委員会等でも伺っておるわけでございますが、実は中期見通しでも明年度の要調整額というのは三兆三千七百億ということでございますし、いま申し上げましたように、税収の伸び率にいたしましても、また経済成長率の問題を考えてみましても、私は、この五十七年度から五十八年度にかけて、さらに五十九年度というように前を見てみた場合に、決してこの経済情勢が上向いていくというようには受け取れないのでございます。
 そうしますと、実は前々から言われているところの五十九年度赤字国債脱却、そして六十年度返済というこの路線と、それから増税はしない、このことは本当にできるのですか。こんな状態で、本当に増税もしないわ、赤字国債は必ず返すわ、また建設公債はこの後半にでも出さなければならないというような状態、景気対策はやらなければならぬ、そこへもってきて、私どもが要求している減税の問題、これは後からまた話をいたしますが、やらしてくれと言っている、こういうもろもろの状態を考えたときに、増税もしないわ、現金償還を始めなければならないわ、国債発行は五十九年度でゼロにするわ、そういう両手に花のような話が本当にいくのでしょうか。私は、その点はもうちょっと現実の問題として、大臣の率直な御心境をひとつ伺いたいと思うのです。いかがでしょうか。
#24
○渡辺国務大臣 これは、この前佐藤委員の質問にも私お答えしたのですが、増税なき財政再建、これは財政用語でも会計学の用語でもなくて政治用語ではないでしょうかという話を申し上げたのです。
    〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
 ただ、われわれとしてはいま行政改革をやっておりまして、第二次の答申が出ようという時期であります。いままでの財政運営に高度経済成長の惰性で運営されているものまだなきにしもあらず、これも事実でございます。何でも政府、政府ということで政府にうんと負担をしょわせれば、政府というのは結局国民なんですから、それをだれかが払うということは国民が払うわけです。一時的に政府にかぶせたようだけれども、結局それは何らかの形で国民の方に返ってくるということも事実でございます。
 一方、税負担は重い、何とか減らせという要求があるわけです。そのためには、経費の切り詰めということは当然考えなければならない問題。ところが一方、どうしてもふえる経費があります。どういう経費がふえるかというと、老齢化社会になれば老人がふえる、老人がふえれば年金がふえる、病気がふえる、病気がふえれば医療費がふえる、これなどは基本的に少なくするといっても言うべくしてむずかしい。
 それから、行政改革で人員を一遍に減らすといっても、一挙に国家公務員を、口では削減できますが、現実には大量解雇なんてことはできない。いかにしてふやさなくするか。徐々に、どうして退職待ちで減らしていくかというのが現実のやり方でしょう。それには数年かかります。
 したがって、その間ふえるものはふえるが、しかしながら、高度経済成長のときには当然政府が持つべきだと思ったものであっても、こういう時代になれば、何もそれは受益者が持ったっていいのじゃないか、受益しない人まで含めて全部で持たなくてもいいのじゃないかというようなものもあると私は思うのです。そういうものが答申の中にも出てくることは明らかです。
 となれば、われわれとしては、安易に財源をこちらで用意しますよということになると、歳出カットといっても、それは非常にむずかしい。したがって、退路を断って、まず極力歳出カットに最大の努力を示すというためには、増税なきというまくら言葉がないとなかなか緩んでしまうということだと私は思います。したがって、安易に、要するに国民に負担を求めることは考えないで、まず歳出カットを最優先でやるという決意の表明でございます。
#25
○野口委員 増税なきという言葉は決意表明だとおっしゃいました。これは大変なことだと思うのですけれども、しかし、確かに、歳出カットをやろうという先に増税ということを頭に描いておれば矛先が鈍る、それで、それはしたいのだけれども横へ置いておいて、まずは歳出カットに全力をふるうのだ、こういうお気持ちから出てきた増税なきということだということでございます。
 そこで少しく伺いますが、私も、行政改革で補助金などを一律カットするなんていうのは一年生がやるようなことで、政策手段が多様化しておるこの中で、できることだとは思っておりません。それはいろいろと差があってしかるべき問題でございます。
 もう一つ、五十九年までに特例公債をゼロにするということはまことに結構なことなのでありますけれども、一歩踏み込んで、この問題、少しく延長するという気持ちはないのですか。そこまではお考えになっておらないのですか。そういう意味での増税なきというのは横へ置いておいて、行政改革が思うように進まない、あるいは歳出金のカットも思うようにいかない、少しく延長してなだらかにやらせていく。いまの大臣の話じゃありませんけれども、公務員の定員削減についてもそう一遍にいかないのだということになれば、達成年次五十九年というのは前へやるというわけにはいかないものだろうかどうなのか、いかがでしょうか。
#26
○渡辺国務大臣 私は、これも同じ考え方だと思うのです。増税をするよりも借金をする方がもっと簡単なのですね。増税よりも安易な財源なのですよ。増税は、何のかんの言っても一応抵抗がありますが、借金の方は意外と抵抗が薄いのですね。
 したがって、要するに五十九年まで脱却ということは、五十九年になれば赤字国債を発行しないよということですね。それを延ばすということは、五十九年にも財源は赤字国債でつくりますよということです。財源は借金してそろえてありますということになれば、なお歳出カットが鈍るということであります。赤字国債を発行してちゃんと手元金は用意しますから歳出カットしてくださいと言うのと、手元金はもう用意しませんから歳出カットをしてくださいと言うのとでは、実際迫力が違いますからね。したがって、それは五十九年までは全然できないのだと断定的にいま決めてしまうことでもない。それが本当に手の届かないようなところであるならば、そういう考えもあろうかと私は思いますが、届くかもしらぬし、あるいは届くのはむずかしいかなと言う人もある。
 これはやはり目標ですから、目標というものは安易にすっとすぐ手の届くところに置いたのでは努力のかいがないので、困難ではあるがひとつがんばって、跳び上がってでもその目標を達成しようというつもりで増税なきとともに、五十九年度にはもう赤字国債を脱して財源は安易に調達しませんという決意がないと、歳出カットというものはなかなか言うべくして困難だ。だから、そういう出口をふさいでおいて、最大限歳出カットに心がけて挑戦していくということでございます。
#27
○野口委員 そういう目標でがんばっていただくのならば、それはまたそれとして結構でございますが、いずれにいたしましても、大変な時期にあるわけでございます。
 そこで、私は、一つの提言というほどのものではございませんけれども、物の考え方として、実はこういう考え方はいかがなものかということを申し上げてみたいと思うのであります。
 それは、実は財政制度審議会でも、将来は公債依存度を一〇%未満に縮減すべきである、こういうことが目標だ。私は、公債の依存度を一〇%に縮減する達成年というのを一応想定しまして、それを逆算してきて、それによって税収はどれだけなければ依存度一〇にはなりませんよということによるところの税収対策を今度は別の面で考えていく、こういう意味での公債縮減対策というのはいかがなものだろうか。逆にひとつ、税金がこれだけしかない、だから公債はこれだけなのですというのじゃなくて、公債をこういうぐあいにして減らしていきます、減らすためには税収をこれだけずつもらわなくちゃいけないのです、だからそのためにどういう税制改革をやるか、あるいは増税をやるのか、いろいろあるでしょうけれども、それはおきまして、逆の発想をしてはどうなのかということをひとつお考えになってはいかがなものか、この辺はいかがでしょうか。
#28
○渡辺国務大臣 まず、歳出はどれだけ切り詰められるか、どうしても切れない、これ以上切ったのではひどいじゃないかと言うならば、ひどければ、じゃ財源はどうして調達するかということになりますね。その必要な財源はやはり国民に負担してもらうわけです、税金とかあるいは雑収入もあればいろいろなものもありますが、全額、本来は国民の負担でそれを持つということでございますが、一挙にそんなことを言ったって、なかなかできないということであろうと思います。したがって、税調等でもやはり国の財政というものは八割以上は租税で負担をするというのが当然の姿ではないか、私もそれは当然だと思います。
 ですから、そういうことで、国債は本当は出さない方がいいんですよね。これは恒常的に出すということは余り意味がない。足りないときには出すが、何とかなるときには出さないということで財政が介入できるわけですから、ただそれをずっと永久に一割出しっ放しというのは、これも能のない話じゃないか。しかし、一挙にそうはいかないから、極力ここ数年間のうちにやはり財政で、ともかく国民の租税で八割以上のところまで持っていきたい、まず切るものを切っておいて、そういうものを目標にしたい、こう思っておるわけです。その間には税収を九割とかそういうようにできない。そうすると、何か売り払うものはないか、不要不急のものはないか、積み立てなくていいものはないか、そういうもの等も全部含めて、歳入歳出等について全面的な洗い直しをさらに続けていく必要がある、そう思っております。固定的に一〇%ということを考えているわけではありません。
#29
○野口委員 私は、一〇%固定的に公債を発行していくのがいいというようなことを基本的には思っておるものではございません。ことしは二一%程度でございますから、これは半分でありますから、できるだけ一〇%未満に縮減するのが望ましいと言われておる、このことは私も正しいと思うのであります。
 だから私の言うのは、一〇%となるのをいつごろに目標を置けば、それまでの税収というものをどういう形でとっていかなければ一〇%になりませんよ、ただ、もちろん歳出はカットしていただくとかいろいろな方法があるとしても、これは国債依存度という面だけを見た場合の話ですが、国債依存度を一〇%に仮にするとするならば、他の財源はこのような状況で生み出さなければだめなんです、こういう一つの指標もあってしかるべきなんじゃないだろうかと思うのでございます。局長、御答弁がございましたらひとつお答えいただきたい。
#30
○西垣政府委員 では、ちょっと私から補足してお答え申し上げますが、財政審が言っておりますのは、財政の弾力性を回復しなくてはいけないということで、特例公債からの脱却だけではそういった意味では長期的な目標としては十分ではない、つまり、どんな状態でも財政が対応し得るようになるためには、四条公債をいつでも発行して景気対策にも乗り出せるような、そういう財政体質に変えておく必要がある。そのためには、いまのように四条公債の対象になっているものはまるまる建設公債が発行されているような状態ではなくて、半分程度にとどめておく。あと半分程度はあけておきまして、いざ必要があれば建設公債を発行し得る、そういう状況に早く持っていくべきだという意味で、それを具体的に申しますと一〇%以下にいずれは縮減すべきである、こういうことを言っているわけでございます。
    〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
#31
○野口委員 いや、それはわかるのです。だから、そういった意味で、いわゆるそのためにどういう形で他の収入を図るべきかというような指標といいますか、そういうものをおつくりになってみてはいかがなものだろうか、こういうことを申し上げてみたわけであります。
#32
○福田(幸)政府委員 いまの御質問は、税の面で申し上げますと、税調の答申の中で言っておりますのは、歳出に対する税収入の割合という形でとらえておりまして、これを八〇%程度までに回復する、これは昭和四十年代の水準及び諸外国の水準を見て言っておるわけです。四十年代でしたら、税金で賄ったのが四十年度に八一・九で四十五年度は九〇、こうなっておったわけです。八〇というのはそこから来ている。その後は六五とか六〇というふうに下がってきている。現在は七三・七でございますが、諸外国はアメリカ八九とか、イギリスが八二、西ドイツ八二、フランス八九・九。
 そういうことで、八〇%程度というのを、これは裏から言えば公債依存度、ほかに税外等がございますけれども、直ちにいまの一〇%程度には匹敵しませんが、国からサービスを受ける受益、歳出でございますが、一方、税の方における負担、これが見合うべきだという頭がありますから、全部を見合わせる必要はございませんが、そこを縮めていくということで、八〇%をめどにするというのを考えながら、その負担率を高めていくということで、これは答申自体はちょっと古くなったかもしれませんが、五十五年十一月のときの状況で、そして、国税収入の国民総生産に対する割合を、当時の現在より三%程度上昇するというようなことの想定をしています。そのうちで税の自然増収によるものが一%程度であろうというようなことの検討はいたしております。そういうことが御指摘の点と関連があるのかと思います。
#33
○野口委員 これは直接いまの特例公債とは関係のある話ではありませんけれども、将来を見通して、国家の財政政策の中にありましても、国債の依存度をやはり一〇%以下にしておくということが本当の健全な財政のあり方だとするならば、それをどのような状況において達成していくのかという一つのプランといいますか、そういうものをたとえば税収ではこう、税外ではこうというようなものがある程度目安にしてつくられればいいのじゃないかな、こう思ったわけでございます。それによって毎年度の税収見込み、さらにまた税制の改革の問題、あるいはまた、余りいい話じゃありませんけれども増税の問題、よく言われております間接税の問題なども含めて一体どうしていけば、そのように見合う税収をカバーする方法で、たとえば国債依存をそれだけ減らしていけば税収というものが必要なのかということがわかるようなものが欲しいなと実は考えてみたわけでございます。
 以上でその辺のことは終わります。
 少しく時間がございますので、一つだけ税制の問題でお伺いをいたしたいと存じます。
 不公平税制の問題と関連いたしまして租税の構造の見直しが行われるべきであるということは最近の経済学者がたくさん言われておりますが、この五年間の自然増収は大体十三兆五千億、そのうち所得税は六兆七千億、この間の消費物価指数は大体一・二六倍程度で、実質で五兆三千億という数字が出てまいりまして、六兆七千億から引きますと約一兆四千億という数字がインフレによる増収分だ、これは返してやるというのが正しいのであって、返さないというのがおかしいのじゃないか。そこで一兆円減税とつながってくるわけでございますが、これに対しまして、再三言われているわけでありますけれども、こういった物の考え方、つまり私がいま申し上げました自然増収のうちインフレによる増収分というのは少なくとも納税者に返していくのが正しい、こう言われておるわけでありまするが、この辺に対するお考えはいかがなものでしょうか。
#34
○福田(幸)政府委員 インフレの程度という問題がまずあろうかと思うのですが、御指摘のように日本の場合、いま安定しています。ですから、完全にインフレを調整すべきかというのが所得税制の本来の性格かという問題はやはりあろうと思うのです。そういう意味で、ある程度の物価上昇といういまの世界経済の趨勢、これはある程度容認していいかどうかという問題はあろうと思います。これはシャウプなんかは一応そういう考えをとっているのです。しかし、異常に高くなってくれば当然それは調整すべきであるというのは常識であろうと思うのです。ですから、物価水準がどうかということは、やはり一つの前提を置きませんと、直ちに物価がどうだということから調整すべきだということにはならないというのが第一点であろうと思うのです。
 それで、御指摘の数字は、これは国会提出資料の方から検討されたものであろうと思いますし、今後いろいろ御検討が進みますので、その機会に資料についてもいろいろと御説明ができると思うのですが、御指摘のは、計算しますと、五十二年度から五十七年度の六年間の数字に大体なるようでございますね。これは、課税最低限の消費者物価上昇率の政府の当初経済見通しの方の数字で引き上げた場合の減収額各年度の合計の数字が大体いま御指摘の数字のようです。
 それで、この辺の考え方は、いまのような、毎年の物価アップ率を直ちに調整すべきかと、いままでやっていないからと、非常に基本的な問題として今後御議論になると思うのです。ただ、これもまた計算の問題でございますが、いまのは五十二から五十七でございますから、さかのぼりまして、今度は反対に、では四十六から五十一年までの六年間どうだったかというのを急いで計算してみて、またこれは概算ですからなんでございますが、その間の所得税減税額の初年度ベースで見ますと、二兆四千減税をやっているわけですね。その間、特に四十九、五十年度で大幅な減税があるわけです。ですから、その間物価はやはり上がっていますから、ただ物価以上の減税をやったということであるわけですね。というのは、これは概算ですが、いまの初年度ベースの所得税減税額の二兆四千億という中で、いまのような物価調整的な計算をやってみますと、ちょうど一兆四千になるわけです。その後、五十二以降一兆四千ぐらいの累計があるとしましても、その前のところで二兆四千あって、その中で一兆四千ぐらいがちょうど物価調整計算に見合うのですね。ですから、いまのところやっていないと言われても、その前のところの異常な物価高のときには、それを上回るものをやったということもやはり考え合わせませんと、その後やっていないというだけでやるべきであるという議論にはならない気がするのです。
 そういう意味で、前のところでは物価以上にやった。そういうことをもっとさかのぼれば、時間がございますればいろいろ申し上げますが、四十から五十七、四十年というのは、三十年代と四十年代が高度成長期なんですね、ちょうど四十年のところが区切りになった、中休みみたいな、踊り場だったところなんですが、そことの比較でいけば、課税最低限は日本四・二五で、CPIは三・三九倍しか上がってないんですね。諸外国をずっと見たのですが、反対に、課税最低限よりはCPIの上がるのが各国すべて高いのです。ですから、結果的に言いますと、四十年で四十七万四千円、約五十万切っておった、一番低い課税最低限であったのがいま二百一万五千円。間接税国のフランスよりも若干下回りますが、非常に改善されて、高い水準になった。水準が高くなっているという問題があると思います。
 それから、物価の話で申しますれば、歳出の方でまた物価スライド的な項目が各種年金にあるわけです。各種年金の方では、消費者物価が五%ふえたら調整するというのが厚生年金など、ずらっとございまして、また、生活保護基準費もあるわけで、歳出の方は物価を見ながらまた歳出を組んでおるということも考えませんと、その辺も一つの関連項目であろうという気がします。いろいろな問題点が今後議論されると思いますが、そういうことで、いろいろな点から見て、この問題は今後御検討を願いたいと思います。
#35
○野口委員 時間が参りましたのでやめますが、いまたまたま一兆四千億という数字を出しましたのは、先ほど御説明申し上げたように、自然増収から割り出しました数字でございますが、たまたま四人家族で二百一万五千円という数字が課税最低限でございますが、総理府の統計局の家計調査報告の示す五十五年の平均生活費は二百七十七万ということになっておりまして、仮にそれまで課税最低限を上げますとちょうど約一兆四千億円という数字が埋まるようになるわけでございます。私は、内需拡大とか景気回復という意味からの減税ではなくて、いま申し上げたように、制度上、この問題は、インフレによる分だけは返すべきであるという立場をとっただけでも一兆四千億という数字が今日時点で存在するじゃないかということを申し上げたかったわけでございます。
 以上で私の質問を終わります。
#36
○森委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時六分開議
#37
○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大島弘君。
#38
○大島委員 けさほど同僚議員から、五・二%実質成長率達成の見込みがあるかどうかということでいろいろ討議が行われましたが、私も、それにつきまして、それと関連いたしまして、特に「財政の中期展望」ということについて的をしぼってお伺いいたしたいと思うわけでございます。
 まず最初にお伺いいたしたいのですが、五十六年度の消費者物価指数が大体四%にとどまりそうだということになっているわけです。これはいまのところ東京都の消費者物価指数だけですけれども、全国的にどうなるかわかりませんが、五十六年度の消費者物価指数が大体政府の見通しを〇・五%下回って全国的に四%台におさまるかどうか、ちょっと経済企画庁の方から、その辺の事情を説明していただきたいと思うのです。
#39
○佃政府委員 五十六年度の消費者物価の上昇率でございますが、お話がございましたように東京都区部の速報が出ておりまして、これによりますと四・〇%でございます。全国につきましては二月まで出ておりますが、二月までの実績を昨年度に対比して申し上げますと四・二%ということになっております。三月がまだ発表になりませんので、確定的なことは申し上げられませんけれども、御指摘ございましたように、政府の実績見込みをかなり下回った水準の上昇におさまるということがいまのところの見通しでございます。
#40
○大島委員 もちろんまだ全国的な統計は集まらぬのですからあれでございますけれども、恐らく四%というふうに静まるんじゃないか。つまり、政府の物価見通しを相当下回るんじゃないかと思うのでございますけれども、それは経済企画庁として、非常に結構なことと思うのか、それとも逆の立場として考えているのか。それからもう一つは、物価の鎮静化は生産性の向上によるものであるのか、それとも消費低迷あるいは住宅不振というようなものにあるのか、どちらにあるのか。
 もう一度お伺いします。政府見通しを下回るということは、経済企画庁として結構なことだと思っているのか、その反対なのか。それともう一つは、その原因は生産性を向上して物価を抑えたのか、それとも消費低迷あるいは住宅低迷、こういうことに起因するものか、その辺の説明をお伺いいたしたいと思うのです。
#41
○佃政府委員 最初に、お尋ねの第二点から申し上げさせていただきます。
 物価の動きを決める要因、これはいろいろあるわけでございますが、大別して考えますと、コストの変動と、それからお話しございました景気動向といいますか需給関係、この二つということになるかと思います。もっとも、その辺の事情が個々の品目によって、言うまでもないことでございますが、大変に違っておりますので、一律に論ずることがむずかしい面もございますが、五十六年度の消費者物価が、先ほど申し上げましたように非常に鎮静化してきたことの原因を考えてみますと、景気動向といいますか国内の需給関係が緩んでいたという御指摘の点もございますが、それに加えて、特に原油を中心とする輸入原材料の価格が非常に落ちついてきたこともかなり大きかったのではないかと思います。
 ちなみに数字を見ますと、原油の輸入価格、円建てで見ますと、五十四年度が九〇%、五十五年度が四二%というぐあいに非常に大幅な上昇が続いてまいりましたが、最近の数字では、二月の数字を昨年と比べますと九%程度ということに落ちついてまいってきております。また、全体の輸入物価でございますが、これは日銀の出しております指数で見ますと、五十五年度は二二%でございましたが、五十六年度は二月までの実績で約六%程度ということになっております。
 以上申し上げた点に加えまして、賃金の上昇の度合いが比較的緩やかであったということ、これが特にサービス関係の価格に影響しているということが言えるかと思いますし、さらに、ことしになりましてから天候に恵まれたこともございまして野菜の価格が落ちついているというようなこともございます。
 以上いろいろ申し上げましたが、そういうさまざまな要因が複合した結果として、五十六年度の物価の鎮静化がもたらされているというふうに私どもとしては判断をいたしておるわけでございます。
 それから、最初にお尋ねのございました、こういう物価の鎮静化それ自体はいいことかどうかという点でございますが、これはなかなか申し上げにくい点もございますが、私どもが常々申し上げておりますように、物価の安定というのは、第一に国民生活安定の基礎条件であるし、それからさまざまの経済施策を運営していく上でも基盤になる条件でございますので、経済施策の基本として物価の安定が大事であるというふうに考えております。その点では、諸外国の動向と比べましても好ましい成果ではないかと私どもは考えております。
#42
○大島委員 後から大臣にちょっと大きなことでお伺いしたいのですが、いまの問題に関連いたしまして、消費者物価が五十六年度非常に鎮静化している。けさほど大臣は、とにかく物価の鎮静化を図りながら景気の回復をしなくてはならない、こうおっしゃられたことを私ども拝聴いたしましたが、物価の鎮静化ということは好ましいことかどうかということについて、お伺いしたいと思うのです。
#43
○渡辺国務大臣 予想したよりも物価が上がらなかったということは、二つありまして、財政収入という点からいたしますと税収不足につながる。その一番極端な例は物品税、従価税のようなものは、卸売四・一と見たら一・八以下になるということで、その差額に狂いが出てくるわけでございますから、税収面から見れば、本当は予定どおりいった方が見込み違いがなくていいのでしょうが、国民生活という点から考えますと、そんなに残業もふえない、賃金もふえないという中で、思ったより物価が上がらなかったということは、特に低所得階層にとっては大変いいことだ。
 総合してどうなのだということになりますと、何とも言えないけれども、国民本意に考えれば、税収不足になってもそれだけ世の中が落ちついているのだから、むしろいいのじゃないかという気がいたします。
#44
○大島委員 物価の鎮静化はむしろいいのじゃないかという御答弁でございますけれども、五十七年度五・二%というような経済成長率、これはけさほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、こういう物価の鎮静でありながら果たして実質五・二%というようなことが達成できるかどうか。名目では恐らく九・何%になるかと思いますが、そのことについて、まず事務当局から御答弁願いたいと思います。
#45
○海野説明員 お答えいたします。
 先ほど物価局の審議官から御説明いたしましたように、物価の安定は、国民生活安定の基盤であると同時に国民経済の健全な発展のための前提条件であるという観点からいたしまして、私どもは、物価を安定することによっていろいろな経済政策が打ちやすい面があるという意味で、物価が安定していることが五・二%達成の阻害要因になるとは思っておりません、むしろ五・二%達成のためのプラスの材料であると考えております。
#46
○大島委員 物価の鎮静化が経済成長率五・二%のプラス要因になるという理論的根拠を説明してもらいたい。
#47
○海野説明員 これは仮定の話でございますけれども、先般公共事業の前倒しをやって景気の刺激策をとったわけでございますけれども、非常に物価が安定していなければこういう措置もとれないし、あるいは現時点ではアメリカの高金利の影響を受けてなかなか低金利政策が展開できておりませんけれども、物価の安定ができておりさえすれば、そういう低金利政策も展開できるということでありますので、とにかく物価が非常に狂乱的な状況でありますれば景気刺激策といったような景気対策はとれないという事情もございますので、物価が安定していることはいろいろな意味での経済政策を展開する上で非常にプラスであると私どもは考えております。
#48
○大島委員 生産性を向上させて物価が安定するのならばそれは何をか言わんで、非常に結構なことである。しかし、私が先ほど質問しましたように、消費低迷あるいは住宅不振ということで物価が鎮静化したということで、これは非常に好ましい状況かどうかということを大臣にもお伺いしたのですけれども、そういうことで五十七年度五・二%経済成長が達成できるかどうかということなのです。特に、GNPの半分以上を占める個人消費が低迷しているからこそ、いまの物価鎮静化になっているのだ。もちろん、それは個人消費だけじゃなく住宅不振もあると思うのですが、これらが最も大きな要因となって五十六年度の四%という物価の鎮静化につながっているのではないか、そういうことを言っているのです。
 けさほども伺いました。私もここに筆記しておりましたが、消費者物価もおさまった、民間住宅投資もまあまあ今後回復するであろう、設備投資も回復するであろうというような結構な話ばかりで、五・二%達成できるという話を伺いましたが、たとえばこの中に海外要因なんかが取り入れられているだろうか、それから国民所得の半分を占める個人消費は取り入れられているだろうか、こういうことについて、もう一度事務当局から説明していただきたいと思うのです。
#49
○海野説明員 お答えいたします。
 先生ただいま御指摘のように、個人消費が低迷しているから結果的に物価が安定しているのだという一面もあるかもしれませんけれども、今後を考えた場合には、個人消費を伸ばすためには消費、者物価が安定しているということが前提でございまして、消費者物価が狂乱的に上っているときには、個人消費支出は、御存じのように四十八年、四十九年、非常に伸びが悪かったわけでございまして、五十三年、五十四年のように消費者物価が非常に安定したときには、個人消費支出は五%前後の大きな伸びを示したわけでございます。したがいまして、私ども今後を考えた場合には、物価が安定することが一つの前提条件である。
 たとえば個人消費を一つ拾い上げた場合に考えてみますと、個人消費を決定する要因はほぼ三つあると思います。一つは名目の所得、それから消費性向、そしてもう一つは消費者物価、この三つによって実質的な個人消費の動向が決まる。その場合に、分母になります消費者物価が安定しているということは、他の条件が変わらない限り、当然個人消費支出の上昇率が上がるということを意味するわけでございます。そういう意味で、確かに御指摘のように、消費者物価が安定しているということは個人消費が低迷した結果ではありますけれども、今後を考えた場合には、消費者物価の伸びが安定することが個人消費支出を上昇させる大きな前提条件の一つであるというふうに考えております。
#50
○大島委員 いまの御答弁は日銀総裁の答弁とちょっと違うと私は思うのですが、たとえば物価が安定するから金利政策ができるとか、日銀総裁は金利政策はこれで限界だと話しているわけです。だから、金利政策もだめ、海外摩擦もだめ、いろいろの要因から考えまして、しかもこの前地価が公示された、土地はない、やはり鎮静化とはいえ土地は上昇している。こういうことになって住宅建設も不振である。のみならず、一番近い統計で昨年の十月から十二月は成長率が〇・九%落ちましたね。そうしましたら、企画庁として五・二%やるという、一番悩むのは個人消費を除いて何がありますか。それをはっきり答弁していただきたいと思うのです。
#51
○海野説明員 個人消費支出は、御承知のように国民総生産の半分以上を占める、大きなウエートを占める需要項目でございますので、この伸びいかんが五・二%の達成実現の可能性を非常に大きく左右する要因であることはもちろんでございますが、それ以外に、たとえば住宅投資それから民間の設備投資、たとえば民間設備投資について申し上げますれば、現時点では多少金利コストと資本の利益率との間に乖離が出ておりますので、中小企業など多少の設備投資の動きが弱いわけでございますけれども、環境がよくなりますれば、金利もすでに長期プライム〇・二%を御存じのように下げたという事情もありまして、次第に利益率と資本のコストとの間にいい環境が生まれてくれば、当然中小企業の設備投資も出てくるというふうなことで、民間の設備投資なり民間の住宅、これも御存じのように十二月末の予算編成時期に非常に大きな住宅対策を打っていただいたわけでございますので、そういうものを集めていけば五・二%の達成は見込めるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#52
○大島委員 それは、大臣が言われるように経済は生き物ですから、いまから予想はできません。でも、ある程度の予測というのは、たとえば金利が低下できれば設備投資も回復する、いま日本の金利が低下できるような状況ですか。さっきも話しましたように、海外要因、貿易摩擦あるいは金利、そういうことはさほどは少しも触れなかった。いまそういうことで金利が低下できる、それによって設備投資を回復するとか、そういうことは本当にお考えになっているのですか。
#53
○海野説明員 なかなか答えにくいわけですが、ただ日本の金利がなかなか下がりにくい状況がアメリカの高金利にかなり影響を受けている。アメリカの高金利のために低金利政策がとれない。もしとった場合には、為替レートの円安化を通じて国内経済が非常に大きな影響を受けるというふうなことで、なかなかとれない事情もございます。
 したがいまして、アメリカの高金利政策、これは政策的にとっているということではなくて、結果的にそうなっているんだということだと思いますけれども、しかし、そのポリシーミックスが多少アメリカで反省を求められなければならないような事情もあるわけでございますので、ここに大蔵大臣もいらしゃいますけれども、今後OECDの閣僚理事会あるいはサミット等におきまして、アメリカの高金利の是正を強く求めていく、そして日本は日本なりの応分の努力をするということによって、世界的な協調行動によってアメリカの高金利を下げていくという必要があると思います。いまのままでは、おっしゃるとおり黙っていて金利が下がるというものではないということだと思います。
#54
○大島委員 どうもわかったようなわからぬような答弁ですが、これに答えてくださいよ。
 いまあらゆる要因があります。それは、景気を上昇する以上物価の鎮静化も必要でしょうけれども、私が聞いているのは、いま当面とるべき一番大きな問題は、また現実にとり得る問題は、個人所得の増加たとえば春闘相場の増大とか過去凍結されてきた減税とか、これ以外にあるかということを聞いているわけであります。これが一番大きな問題だと私は思っているのですが、それはどうですか。五・二%成長を達成するため、それ以外に具体的にありますか。金利の低下なんということは言わないでください。
#55
○海野説明員 確かに所得の増加があるということが個人消費を引き上げる一つの大きな要因である。先ほど御説明いたしましたように、実質的な個人消費が伸びる要因は三つございまして、名目的な個人所得が上昇すること、消費性向が上昇すること、それから物価が安定すること、この三つによって個人消費支出の実質的な伸びが期待されるということでございますので、御指摘のように、個人所得が伸びなければ実質的な個人消費支出の伸びはまず一つの要因としてその分だけ落ちてきますので、他の事情が等しければ、それだけ落ちるということになると思います。
 ただ、われわれとしては、春闘問題については、いつも議論されるわけですけれども、労使の決定にまつ以外ないわけです。われわれの見通しでは、一人当たり雇用者所得を六・九%伸びることを前提にしてはじいておりますけれども、これが即春闘の相場であったり、あるいはそれを去年に比べますと、去年の一人当たり雇用者所得が約六・二%前後でございますので、われわれはそれを六・九というふうに見込んでおるということは、春闘相場を引き上げるということで言ったわけでございません。ただ労使の決定にまつわけですけれども、一応個人消費支出の伸びに対して六・九%程度の一人当たり雇用者所得があるということが、われわれの想定した五・二%を構成する実質個人消費支出の伸びの前提になっておるということでございます。
#56
○大島委員 大臣にお伺いいたしたいのですが、昨年の十月から十二月までの実質成長率はマイナス〇・九でしたか何かになったと思う。そして三月たった現在、消費者物価、いまのところ東京都だけでございますけれども、政府の見積もりも非常に低く四%に大体おさまっている。こういう前提を踏まえて、五十七年度に五・二%というような諸外国が聞いたらうらやむような実質経済成長ができると思われますか。何か手を打たれれば別です。建設国債を増発するとかあるいは減税をやってとか、手を打てば別だけれども、そうでない限りこれで果たしてできると思いますか、五・二%というような大きな経済成長率を。それをお答えいただきたいと思うのです。
#57
○渡辺国務大臣 経済は生き物ですから固定的にはなかなか考えられません。いろいろな情勢、何もしないでおいて、このままの成り行きに任して五・二%成長は非常にむずかしいんじゃないか、これは常識かもしれませんね。しかし私はわかりません、所管も違いますし。
#58
○大島委員 これに関連しまして、私がなぜこの消費者物価の鎮静化と経済成長の問題を問題にするかといいますと――それでは所管が違うとおっしゃられましたので、所管のことの「財政の中期展望」に一遍入っていきたいと思います。これは所管が違うわけじゃございませんでしょう。
 もう御案内のとおり、昭和五十六年度から六十年度の「財政の中期展望」という書類が出されておりますが、これはもう何回も予算委員会その他大蔵委員会でも論議された問題であると思うわけでございます。要するに歳出と歳入とその不足額、要調整額、これを五十六年度から六十年度まで計算されているのでございますけれども、このすべての基礎は五十七年、五十八年、五十九年、六十年、税収につきましてもそうでございますけれども、税収は九・九という名目成長率に租税弾性値、過去十年間の一・二をかけて、そうして歳出と歳入の差額を出しておられて、要調整額は大まかに言いますと五十八年度三兆三千七百億、五十九年度五兆六千八百億、六十年度六兆二千八百億という要調整額、つまり不足額が出ているわけです。経済は生き物ですから、それはわかりませんけれども、名目成長率九・九というのに過去平均の租税弾性値を掛けておられる。こうして要調整額を出しておられる。
 そうしましたならば、これは名目成長率ですけれども、九・九という数字がどんなものであるかということを、今度事務当局の主税局長に一遍説明していただきたいと思うのです。こういうことで計算していいのかどうかということです、私がいままで論議してきた前提を踏まえて。
#59
○福田(幸)政府委員 中期展望の性格はあくまで中期展望でございますので、計算としては機械的な計算をやらざるを得ない。歳出の方は、後年度負担ということで、各費目について各省と打ち合わせながらそれを延ばしておるということでは後年度負担を見るという現実的な意味があろうと思います。
 税の方は、期間的にはそれに見合っておりますけれども、計算手法は違っておるというか、非常に機械的な感じが強いということにならざるを得ないわけです。御指摘のように、経済の伸び率の方は、これも前提にするものがほかにないということでございますと、新経済社会七カ年計画の、これはフォローアップ後の数字になりますけれども、それを前提にした九・九ということです。これに掛けます弾性値が過去十年間の平均の一・二ということで、経済の伸びは今後の七カ年計画、それに掛ける弾性値は過去の十年というようなマクロ的なことで計算せざるを得ない。その結果が一一・八八ということで約一一・九、一二に近い数字になるわけです。これは余りにも非常識ではいけないわけですが、弾性値の方は過去十年間、四十六から五十五が一・一九、一・二ということでございますが、過去五年で見ました場合には一・二六ということで、これは一・二ぐらいで腰だめおかしくない、こう思います。掛け合わせた結果の一一・九、約一二というのは過去五年間、五十一から五十五が一二・〇ですから、これも中期展望としては、仮置きの姿としてはこれ以外にないということであろうと思います。
 歳出の方もまた歳入の方も、各年度の話になってきますと、当然にその年度における経済の伸び、またその反映を基礎にしました税収ということで、予算編成がその状況に応じてつくられるわけでありますから、中期的な展望ということはそれなりの制約がありますけれども、手がかりとしてはやはりこれ以外にないということでは、歳入の方につきましてはこれ以外に計算のしようがない。歳出の方は積み上げ的な後年度負担で置かれておる。その差額がそういう性格を前提にしたものとして出ておるということをどういうふうに使うかは、各年度における現実的な歳出歳入の予算編成過程において現実的に詰められるということであろうと思います。
#60
○大島委員 何回も言いますように、経済は生き物ですから五十八年度、五十九年度、六十年度どうなるかわかりませんけれども、いまの各日成長率九・九、租税弾性値一・二、これを掛け合わせて税収を見積もっている。そもそも主税局というところは税収を過小に見積もるのが当然なんです。そうすると、いまこういうような現状になっているというときに、こういう膨大な税収見積もりが果たして許されるのかどうかということなんです。
 特にそれと関連してお答えいただきたいのは、「財政の中期展望」において一番最初に「適宜見直されるべきものである。」こういうふうに書いている。いまこの段階において適宜見直すべきかどうか、それとも、このまま国民に公表していいのかどうかということを主税局長もう一遍答えてください。いま私三十分かかりまして景気見通しをしたので。
#61
○福田(幸)政府委員 税収の方は繰り返し申し上げておるとおりで、こういうマクロの計算によらざるを得ない。これは昨年の中期展望のときには七カ年計画が一一・七でしたから掛けたのが一・二で一四・〇四であったわけで、今回は一一・九、約一二であるわけです。別に過小見積もりとか過大見積もりということではなくて、いまのような前提での機械的計算であるということを前提にして、この中期展望を考えていただきたいということで、焦点は、歳出の方がいまのままでは非常に伸びっ放しになるというところにむしろ意味があるんじゃないかという気がいたします。
 見直すべきであるということは、むしろどういう御趣旨か私わかりませんが、予算編成時点においては、それは現実的なものとして考える。また、中期展望というのも、今後七カ年計画がどうなるかによりますし、そういう意味での見直しはあるかもしれませんが、これは私の所管外でございますので、主計局の方でお答えいたします。
#62
○西垣政府委員 五十六年度の中期展望につきましては、五十六年度予算を前提といたしまして、その時点でつくられたものでございます。
 私どもは、中期展望はローリングプランということで毎年見直しをする。五十七年度の中期展望につきましては、五十七年度予算の前提となりました制度、施策、それを将来に延ばしていきますとどういうことになるかということで歳出の推計を出す。歳入の推計につきましては、ただいま主税局から御説明申し上げましたように、その時点での成長率と弾性値で機械的に計算をする、そういったことで見ているわけでございまして、私どもが当然のこととして予定いたしておりますのは、毎年ローリングプランとして見直しをしていく、固定的なものとしては考えないということでございます。
#63
○大島委員 いや、私が質問しているのはいとも簡単なことなんです。
 先ほどから議論しているわけですけれども、五十七年度に実質で五・二%成長が見込めるかどうかということと、それと連動して五十八、五十九、六十年度の税収見込み、歳出見込み、これを全部九・九%というような、税租弾性値一・二、これは過去十年の平均ですから別にしまして、九・九というような、これは名目ですけれども、そんなGNPを使ってこの数字をつくられたということに対して、果たして事務当局としてそれでいいのかどうか。
 先ほど私が言いましたように、物価も鎮静化した、極端に鎮静化したと思うのです。それから、その他経済の向上の要因も何一つない。もちろん所得税減税やるとかなんとかなら別ですよ。いまのところ何にもない。低金利政策をとってやるとか、そういう仮定の話ではもう応じられない。そういうことで五十七年度連動していくのですから、五十八、五十九、六十と。そのための経済成長という見通しはつくはずなんです。いまのところ何かありますか。九・九という、これは名目ですけれども、そんな高い成長率をつくってそれに租税弾性値を掛け合わせてこの税収なりあるいは歳出を見込むということが、果たしてこの資料というのは信頼できますか、それをお答えいただきたいと思うのです。
#64
○渡辺国務大臣 それは大島委員のおっしゃることもごもっともな話なんです。だから、こういうものは大蔵省は出したくなかった。財政計画を出せという強い御要望がありまして――財政計画なんというものはきちっとした計画を、目まぐるしい、激動する社会経済の中で数年間はっきり決めた固定的なようなものはとても出せないということで、何年もずっとお断りしてきたわけです。何か出せるんじゃないかということなものですから、せっかくの御要望でございますので、一定の条件のもとに、いわゆる三年程度の財政の中期展望というものを一応つくってみたわけです。
 これはもう言うまでもなく、現在の施策、そういうものを動かさないという仮定で、どれぐらい経費が伸びるかということが一つ。この方はある程度わかるのです。問題は歳入の方でございますが、これはもう計算のしようがない。しようがないものですから、やはり経済社会七カ年計画というのがございますから、その計画というものを一応よりどころにして、そうなるかどうかわかりませんよ、わかりませんけれども、現実にそういうものはあるわけですから、別なものでやるわけにはいかない。したがって、その経済社会七カ年計画というものはときどき変更にはなりますけれども、もとは直らぬわけですから、一年度ごとの訂正はいたしますがね、そのもとのものに従って、そういうように伸びるとすればこの程度の税収が得られるはずだというだけのことでありまして、機械的に引き延ばして出しておるということでありますから、このとおりに財政がなるというわけじゃございません。
 当然に、財政というのは、経済の実態に合わして予算の都度につくりかえていく。しかし、これは少なくとも歳出面等においては大変な手がかりになることは間違いないのです。そういう意味において、出せばいまのようなことを言われるし、出したくはないんだけれども、苦労してつくってみた結果は、予算編成の手がかりの検討材料になるという点では苦労のかいはあったんじゃないかな、そう思っております。
#65
○大島委員 幾らいい作文でも、現時点において見直すべき点があれば見直すのがあたりまえじゃないかと思うのです。特に税収というような見込み、これはもう大変なことだと思うのです。
 そういうことで、何も「新経済社会七カ年計画」フォローアップ昭和五十六年度報告ということにとらわれなくてはならないという理由もないので、私がお願いしたいのは、要するに、主税当局に命じられまして正確な資料を出していただきたい、そのお約束ができるか、またいつごろできますかということをお願いしたいんです。
#66
○渡辺国務大臣 これは長期にわたって正確な見通しは、正直のところ申し上げましてできません。したがって、この経済社会七カ年計画も企画庁でもいろいろ考えているようです。しかし、いまのところ国会に毎日張りつけになっちゃって相談もできないというのが実情なようでございますから、いま少し彼らに勉強の時間を与えていただければ何らかの動きが出るんじゃないか、そう推測をいたしております。
#67
○大島委員 いや、そういう御答弁で、私は必ずしも全部満足しているというわけではございませんけれども、できるだけ早く、とにかく五十八、五十九、六十年度を、九・九%の名目成長率を使って税収なり歳出をつくるということは、私は国民を欺罔するものだと思うのです。だから、いまのところこういうことだけれども、こういう景気状況で、こういう予想だと言って正確な資料を出してくれれば、私は国民は全部満足すると思うのです。したがって、これだけ要調整額が出るんだ。だから、この資料はきょう限りこれで破棄したいと思うのですが、これは当てにならないと思うのです。
 続きまして、大臣に特にこれはお伺いいたしたいのですが、参議院の予算委員会で、二十九日でございますか、景気の回復も思わしくないので、秋の臨時国会に大型補正予算を建設公債発行でやりたいと考えているということを示唆したということを新聞で見ました。私は参議院予算委員会に出ておりませんから知りませんけれども、これは事実ですか。
#68
○渡辺国務大臣 それは示唆でございますから、はっきりは私申しませんが、聞いた人がそういうふうに示唆されたと思って書いたんだと思います。
#69
○大島委員 しかし、少なくとも一流の新聞記者が何にも根拠もないのにそういうことを言わないと思うのです。恐らく大臣の御心中は、やはり景気がどうしても低迷している、どうにもならないという御心境じゃないかと思うのです。
 私が先ほどからいままで話しましたことと関連しますけれども、このままでは景気を浮揚する要因がないのです。仮に減税とか、先ほどから繰り返し申すように、せめて国民に減税を足かけ五年間ですか、やるとかなんとかいうようなことをやれば別ですけれども、そうでないと何ら景気は、このままでいったら沈滞化するばかりだと思うので、そういう御意思はなかったのですか。そういうことが、大臣が言われたかどうか知りませんですよ。けれども、少なくとも大新聞の新聞記事に載るという以上は、やはり何らかあったのじゃなかったのですか。その辺をひとつおっしゃってください。
#70
○渡辺国務大臣 それはとられても仕方がない雰囲気であったと思います。
 それは要するに、景気対策として公共事業七五%以上の前倒しをやりますと言ったわけですね。それじゃ、後残りがないじゃないか、残りがなくなったらば、要するに、前倒しでやったって業者はなかなか仕事を早くやらないよ、後ろが心配だから。だから、そんな心配をさせないように、後で足らなくなるということのないようにやってやったらどうだという話がありましたから、私は、ともかく二のぜんつきのものを出しているのですから、一のぜんというのは予算のありふれたもの、二のぜんというのは前倒しですね。二のぜんのおぜんをとりあえず食べてくれませんか、そうすれば、またそれを病状によって考えますと言ったら、三のぜんを出せと言うから、二のぜんを食べた後で三のぜんを出すかどうかというようにしますと申し上げたわけです。
 そうしたら、三のぜんを出すということだなと言うから、いずれにしても、要するに健康を回復して衰弱はしないようにしますと言ったところが、衰弱しないようにするのでは三のぜんを出すんではないかと思って、そういうふうに新聞が書いたんだろう、そう思っておりますから、あえてそれは否定を私はいたしませんが、それは一にかかって、経済というものは生き物でございますから、経済の動向を見ておって、アメリカの経済、金利面も話がありましたよ。
 アメリカの金利が下がらないという保証もないのです。もうともかく十数%の物価のときの金利といまの金利は余り大差ないのですから。物価の方は一三、一四のものがどんどん下がっていま七%、九か八か、そこらまで行っているはずです。公定歩合は依然として一三%でくぎづけになっているわけですから、アメリカの方は。ですから、これはドイツもフランスも日本も困っているわけです。イギリスはアメリカに同調していたのだけれども、この間の会議なんかではイギリスもややこっち寄りになりまして、やはりどうもこれは困るということになりますから、国際世論の圧力もありますから、アメリカも、ただマネタリストだけががんばって、もっと高金利を続けて物価を安定させるということだけは言い切れないのじゃないか。
 そうなりますと、アメリカの金利ももう下がらないというのではなくて、私は何%か知りませんが、徐々に下がってもいい環境ができているわけですから、そうなれば日本でも金利政策をとれないこともない。いまの段階では、金利を下げようというのはつまり預金金利の話になりますからね、貸し付け金利というのは預金金利を下げなければできませんから、円安加速ということになります、物価高になります、できない。したがって、一にかかってアメリカさん任せみたいな話だけれども、世界じゅう皆困っているわけですから。
 これは、かつてはドル支えのためにわれわれも協力した、しかるに今度われわれが困っているときにアメリカが協力しないとは何だという議論が国際世論の中に現在あるのです。ですから私は、これは御反省いただけるのではないか、そう思っておるのです。決して何にもやる気がないのじゃなくて、やはり世界の経済はつながっていますから、日本だけでは自由にならぬが、あっちが協力すればこっちもできるということもございますから、国際協調でみんな共存共栄でいかなければならない。
 だから、そういう点でまるっきり手がないわけではない。いろいろまた考えられる点もありますよ、前倒しもやりますから。何にもやらなければ五・二%はむずかしいですよ。はっきり言って、私も全く同じです。しかしそれではいかぬから、何とか五・二になるようにいろいろと苦労もしたり、国際的にも根回し、根回しという言葉は使うかどうか知りませんが、国会じゃないからね、いずれにしてもそういうような根回しも必要だと思うのです。それは続けてやっていきたいと思っております。
#71
○大島委員 そうしたら、胃腸を壊されない程度で一のぜん、二のぜんはすでに準備した、それでは板前は三のぜんをいま準備するために待機中だ、こう考えていいわけですか。
#72
○渡辺国務大臣 しかし、病状にもよりますから、余り早く材料を仕入れて板前を待機させてもまずいので、六カ月もあるわけですから、四カ月も過ぎてみて、板前が必要か、材料が必要かというのはそのときで間に合いますから、しかし、ともかく病状が回復すれば三のぜんをつけなくともお休みできるということもございますし、(「食い過ぎるよ」と呼ぶ者あり)もう少し、食い過ぎないようにしなければならぬし、そこのところは一にかかって健康状態を正しく判断をしていきたい、そう思っておりますから、まだ板前を待機させる必要はないと思っております。
#73
○大島委員 そうしたら、いまのところ板前は待機してないのですか。
#74
○渡辺国務大臣 いまのところは板前は待機しておりません。
#75
○大島委員 いまのところ待機してないということは、大臣のお考えには大型補正予算を組む意図はないというふうに、いまの段階でですよ、きょう現在の段階で、そう解釈してよろしいですね。
#76
○渡辺国務大臣 はい。
#77
○大島委員 それに関連して、同じく参議院予算委員会でございますけれども、直間比率、直接税と間接税、これについて日本はいま直接税が七二%、間接税が二八%、概数で言えば七対三だということになっているのですが、事務当局から諸外国の直間比率をちょっと説明してもらいたいと思うのです。大まかでいいです。
#78
○福田(幸)政府委員 間接税の方で申し上げます。
 諸外国は五十五年、暦年、日本は五十七年の予算ですが、アメリカが九・九、ただしこれは連邦段階ですから、アメリカは州及び市町村に売上税を持っています。これは加味しておりません。英国が四〇・三、西ドイツが四七・八、フランスが六〇・〇、イタリアが四七・五、日本が二七・六ということであります。
 日本の場合、昔に返って見ますと、戦前、九年から十一年における間接税は六五・二ということであったわけです。戦後シャウプ勧告前後の時期を見ますと、三十年で約半分の四八・六、三十五年で四五・七、あとはこれはずっと低下してくるというか、直接税は弾性値を持って伸びてきますし、従量税的な部分もあるこの間接税は下がってくるわけで、現在は二七・六に至っておるということであります。
#79
○大島委員 いまの御報告を聞きますと、大体アングロサクソン系税法をとっている国、たとえばアメリカ、日本もそうですけれども、西ドイツ、やはり直接税が高い。税というのは自分の得た収入から払うものだという正当な理論でやっているわけです。ところが逆に、アングロサクソン系税法に対しましてラテン系税法という国、たとえばフランス、イタリーあるいはスペイン、こういうところは、過去何回も革命を起こされて、自分の持っているものを取られたくない、自分の持っているものを取られるなら一般の間接税でやってくれ、こういう歴史的背景があるわけなんです。
 私は、そういうことで、アングロサクソン系税法とラテン系税法との違いはそこにあると思うのです。したがって、付加価値税にしても何にしても、要するにラテン系民族は、税務署からいじめられるよりもむしろ一般で取ってくれ、こういう傾向で、いまの数字を見ても概してラテン系は間接税は高いわけです。そういうことで、大臣がこの前直間比率をもう一遍見直すと言われましたけれども、そういう歴史的背景をごらんになって、どういうふうにお考えでございますか、簡単に御答弁願いたい。
    〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
#80
○福田(幸)政府委員 いまの直間比率が歴史と国情によって違うということの御指摘だと思うのですが、一般的に申して、歴史的に言えば、関税を含めた間接税から入ったのはどこの国でも同じです。あと、直接税が入ってくるのには、その国の発展段階がなければできません。これは所得計算ができなければできないわけですから、いまなお開発途上国はその所得税制をとり得ないわけです。納税意欲という点から見ても、これがなかなかその段階に入れない。
 しかし、所得税段階、法人税段階を経たその後の今度は第三期という時期に入りますと、むしろ今度は間接税にウエートが出てくる。それはなぜかといいますと、社会保障系統の歳出が伸びてきますと、その財源を安定的に確保するということから、間接税のウエートが各国ともふえてきておる。だから、ヨーロッパで英国が最も代表的な歴史ですが、最初に間接税が大きかったわけです。カスタムとエクサイズで始まって、その後所得税ができてきて、これまた累進構造をつくったのですが、一方、支払い賃金税とかそういうことで間接税の方が補完されつつあったのですが、これを付加価値税ということで近代税制にして、現在間接税ウエートが高まっておる、こういうことなんです。
 したがって、全体の歴史の流れは、むしろそういうふうに間接税から直接税、また間接税というふうに移っておるというふうな流れがあります。直ちにアングロサクソンとラテン系ということは言えない、これは英国を見ておわかりになります。それから、アメリカがアングロサクソン系ではありますが、直接税が重いと言いながら、これは連邦と州の関係ですから、州と市町村には売上税があるわけですから。ヨーロッパの方においては付加価値税がある、それからアメリカにおいては売上税があるという形で、間接税の中の一般的な消費税があるということが近代税制になっているわけで、そういうことで、国情ということもございますけれども、歴史的に見ましても、国情を共通する歴史の流れがあって、間接税のウエートがふえておるのが福祉国家の税制の仕組みであるということで大臣が申し上げておる、こう思います。
#81
○大島委員 これに関連しまして大臣のお答えをいただきたいのですけれども、日本は直接税の比率が外国に比べて高いというようなこと、これにはやはり歴史的要因もあるのだと。いまイギリスの一つの例だけを話しましたけれども、そんなことないと思うのです。それはやはりラテン系というのは、とにかく遊び好きですから、そんな税務署で一々調べられるよりも一般に取ってくれという気風が圧倒的に強いわけです。私はそう思うわけです。
 しかし、私がいまお伺いしていることは、単に諸外国と比較して――もう一つの例を出したいと思うのです。主税局は、いつも諸外国と比較して、日本の課税最低限度はまだいいのだというようなことを言いますけれども、日本に民主主義が始まってから三十五年でしょう。イギリスなんというのは二百年の歴史を持っているわけですね。そのいわゆるフローだけを見て比較して、ストックを全然見ていないわけです。そういう歴史的要因とかあるいはストックとか、そういうことを見た上で諸外国と比べるのならいいわけです。単に統計だけをとって、諸外国と比べてどうだということは私は非常にいかがなものであろうか、そういうことを単純比較するということは。これは主税局がしょっちゅう出すわけです。諸外国と比較してと言いますけれども、その背後にあるものが一体何だということをよく考えての資料ならいいです。その点、大臣はどう考えられますか。
#82
○渡辺国務大臣 まあそれは、いろいろそういう見方もあるでしょう。あるでしょうが、私が六対四ぐらいがいいと言ったのは、外国の例も挙げました。挙げましたけれども、先ほど言ったように、歳出は切ってもふえる部分があるから、どんどん減らしていくというわけにはなかなかいかない、どうしてもふえがちである、それを直接税だけで持つということになれば、主たるものは所得税である。法人税は三割、所得税は四割、合計七割、これが税収の大宗を占めておるものだ。
 ところが、日本も、法人はいまのところ国際競争力があり、法人税が有利だというようなことで、当然所得税に入るべき分野の人も法人の方に法人成りしてくるというような点もあるから、まだ三割シェアがあるが、ドイツあたりに行くと、法人税のシェアは六・八しかないのですよ。イギリスも八%なんですね。フランスでも一〇%しかない。法人ばかり痛めつけると、いずれは法人の方が小さくなってしまう。あるいは法人が、企業が競争力を失うということになりますと、収益が出ないということになると、収益のないものは法人税を払わないわけですから、何でも法人にかぶせていくと、今度は収益がなくなれば法人税を払わぬわけですから、法人税を納めないでも済むわけですから、そうすると、いやおうなしに、いまの状態では大半の税金を所得税が支えていく。国の歳出の根っこは所得税でもっているということになります。
 そういうときにあって、一方には、所得税にだけしわ寄せしたってひどいじゃないか、まして勤労所得のように全部洗いざらい表に出ているものに国の歳出をかぶせるのはひどいじゃないかという議論が現にある。ところが、国を支えていくのには、法人が小さくなって、所得税しかないということになってくれば、所得税の減税なんて、言うべくしてできないじゃありませんか。したがって、所得税を大幅に減税をするというようなことを考えると、やはり他にかわるべき財源がなければできないでしょう。
 そこで、日本でもかつては、昭和九年から十一年のころは間接税は六五%ありました。高度経済成長期にも、それはもう二十五年の四五から始まって、四十年ごろは四〇%、そういうようにもう四〇%ぐらい、二十五年から四十年の間ではそれぐらいシェアがあった。それは高度経済成長で法人税がどんどんふえる、所得税もふえる、間接税を取らなくても済む。ですから間接税のシェアがどんどん小さくなってきちゃった。だから間接税は高度経済成長のときくらいまで、四〇ぐらいあったっていいじゃないですか、その当時非常に苛斂誅求、大衆課税とはだれも言わないのだから。フランスは間接税六〇ですが、イギリスでもドイツでも大体四〇から四七ぐらいのシェアを持っているのですから、日本も二〇台に落ち込んで、一〇台になって、みんな所得税でそれを支えるということの考え方は少し変えてはどうかなという、大まかな長期展望についての話を申し上げた、それが四分六分という話で出たのだと思います。
#83
○大島委員 いや、それは一つのお考えだろうと思うのです。けれども、その理論的根拠を主税局あたりは諸外国と比較してと。単に諸外国との比較だけでは困るということを私は申し上げているので、それだけひとつお願いします。
 それから、間接税でちょっと思い出したのですけれども、昭和三十年代でしたか、間接税というのは最終的には消費者に転嫁されるべきものだから、われわれパチンコ業者は間接税を納める必要がないということがありまして、パチンコ機械には長いこと間接税がかからなかったわけです。これがいつの間にか、かかるようになったのですが、私の言いたいのは、そのかかるということは、何の根拠によってかかるようになったのか、ちょっと簡単に事務当局説明してもらいたいと思うのです。
#84
○福田(幸)政府委員 お答えいたします。
 パチンコ機は、現在物品税法の別表の第八に「遊戯具類」ということではっきり掲名されて、具体的に書かれております。したがって、現在問題はございません。
 この課税の経緯でございますけれども、昭和十六年に遊戯具が課税対象に追加され、昭和二十六年に国税庁から、パチンコ機は遊戯具に該当することの確認的な通達が出されて課税対象になったわけです。このところで、この通達によって遊戯具に入ることを明らかにしたということが課税としては明確になったというか、そこから正確な課税が行われるようになった。それで昭和三十七年以降は法律に「ぱちんこ機」と明確に書かれるようになったということであります。
 いまのは経緯でございますので、あと、租税法律主義等との関連につきましては御質問に応じてお答えいたします。
#85
○大島委員 大臣、いまお聞きのとおり、パチンコ業界には、長いことパチンコ機具類には物品税がかからなかったわけで、それがかかるようになったわけです。
 ところが、御存じのとおり、私もこの前の委員会にも説明したのですけれども、租税法律主義というのがあるわけです。しかも、これは憲法に基づいているわけですね。新たに租税を課しあるいは変更する場合には法律によらなければならない。これを現在往々にして国税庁長官通達一本でやっているということはおかしいじゃないかということで、私は前回の委員会で質疑に立ったわけです。
 私は、前回のときに、相続税の評価の割合を国税庁長官が決めているのはおかしいじゃないかということを言った。いま、たまたま今度はパチンコ業界の話を取り上げまして、いままで税金がかかっていないものを新たにまた今度物品税をかけるということは、これは法律によらなくちゃならぬのじゃないか。これは明白に書かれているわけですね。憲法に書かれているわけです。こういうことを国税庁長官通達一本でやれるのかどうか、まず事務当局から説明してもらいたい。
#86
○福田(幸)政府委員 お答えします。
 これは、いま経緯でお話ししたとおりでございまして、遊戯具というのは法律にあったわけです。遊戯具の中にパチンコが入るかどうかということを、この二十六年の通達がはっきりさせたということであります。パチンコはそのころから一般化されたということもございまして、それまでは遊戯具の中でウエートがどのくらいであったか、これは調べてみてよくわからなかったのですが、いずれにいたしましても、遊戯具の中にパチンコも含まれるということを通達で確認したので、これは昭和三十三年、最高裁判所判決におきまして言っておりますように、「本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げなく、」こう判示されておりますので、そういう意味で、当時におけるこの通達、これは遊戯具というのが法律にある以上、パチンコがそれに入るということを明らかにしたということでありますので、租税法律主義に違反するものではないというふうに解されるところであります。
#87
○大島委員 その判決、私もよく知っています。よく知っていますけれども、それは、遊戯具とは何かという解釈をするということでしょう。
 たとえば、前回私がここで取り上げましたように、相続税の評価額を百分の八十にするのか百分の六十にするのかというようなことを国税庁長官が一人で決めるということはおかしいじゃないかということを私が申し上げたので、この問題はひとつ大臣もよく聞いていただきたいと思うのです。これは大変な憲法違反を起こしたらどうなりますか。いままでの課税処分が全部無効になりますよ。だから、これはやはり長官通達ということを一遍よく考えていただきたい。何もそれを全部法律に書けという、そんなやぼったいことは言いません。法律の委任があればいいのです。政令あるいは省令あるいは通達でも結構です。その委任の根拠をはっきりすべきであるということを私この前申し上げました。いまのことについては大臣の御答弁をいただかなくても結構ですけれども、よくお考えになっていただきたい。憲法違反のおそれがあるということを申し上げます。
#88
○福田(幸)政府委員 誤解があるといけませんので申し上げますが、最初に申しましたように、現在物品税法、法律の中に別表としてこのパチンコの項目は番号八の遊戯具類、それを品目として「ぱちんこ機、スマートボール機」等々、「ぱちんこ機」ということが物品税法に書かれていますから、憲法上の問題は解決しておるということでございます。
#89
○大島委員 だから、そのことは一つの判決もありますしあれですけれども、私の申し上げるのは、無数の通達というものが、すべて法律の根拠なくして、あるいは政省令の根拠なくしてやられているということを私は申し上げているので、そのこと一つだけを取り上げて言っているのじゃないのです。
 時間がありませんので、建設省にちょっとお伺いしたいのですが、道路特定財源のことで最後に一つだけお伺いしたいのですが、五十八年度、来年度は第八次道路整備計画の改定時期になっているのですが、いわゆる自動車重量税とかガソリン税とかを財源とする道路特定財源、これはどのようになっていますか。簡単に答えていただきたいのです。
#90
○牧野説明員 五十八年度から第九次の五カ年計画をスタートさせまして、計画的な道路整備を行いたいと考えておりますが、ただ、全体の規模、そういうものもまだ確定しておりませんので、それについての財源の内訳というものもまだ計算はいたしておりません。
#91
○大島委員 税収総額はどのくらいになっていますか。いわゆる道路特定財源、つまり自動車重量税、ガソリン税、そういうものの税収をちょっと答えてください。
#92
○牧野説明員 五十七年度の予算の原案でいきますと、重量税までも含めまして約一兆九千億程度になっております。
#93
○大島委員 一兆九千億と言われる中で、約八割が道路整備に使われておると思うのですけれども、いま国道は舗装率で九七%、ほぼ一〇〇%整備されているわけですね。それから県道だって八〇%以上整備されているわけなんです。
 その道路財源をなぜ今後も八割、しかも、その八割というのは法的な根拠は何にもないわけです。単に慣例といいますか、そういうことで使われておるわけですけれども、ちょうどたまたま先ほど言いましたように、五十八年度は第九次整備計画ですから、そういうときに当たってこの道路特定財源といいますか、これの八割を道路に使用するというような考え方を改める気持ちはないですか。これは建設省と大蔵省と両方から聞きたいと思うのです。
#94
○牧野説明員 道路整備の現状についてただいま御指摘がございました。
 確かに第八次までの五カ年計画で、戦後に比べまして道路整備が向上したことは、それは事実でございます。ただ、まだそれで問題はないかというと、われわれは問題があるというふうに考えております。たとえば舗装でございますが、ただいま先生がおっしゃいました数字は、実は簡易舗装というものも含んでおります。これを本格的ないわゆる本舗装で見ますと、国道は八三%、それから県道につきましては三八%というふうに下がるわけでございます。こういうことで、われわれは道路整備の質というものはまだ不十分だというふうに考えております。
 舗装率だけではございませんで、このほかにたとえば一般国道、いわゆる国道でございますが、これが片側一車線、一車線というのは大概は追い抜きができません。そういうことで非常に込むわけでございますが、こういう道路が九割以上ございます。それから幹線道路であります国道、県道十七万キロほどございますが、その中で大型の車がすれ違えない、そういうものが約五割ほどございます。それから、たとえば歩道を設置する必要がある道路というのは、全国で二十三万キロほどではないかというふうに考えておりますが、歩道設置済みが約四分の一強程度、そういうことでございまして、われわれとしては、まだ不十分でありますし、舗装率だけで道路整備水準を論ずるのは、やや適切ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 そういうことを前提にいたしまして、御指摘のありました重量税、先ほどから私がお答えして八割とおっしゃっておりますが、誤解のないように申し上げますが、揮発油税と石油ガス税は法定で全額充当されていただいております。先生がおっしゃいましたのは、自動車重量税の国分の八割ということだと思いますが、それはおっしゃるとおり慣行として続けていただいております。この自動車重量税は御案内のように、昭和四十六年に第六次の道路整備五カ年計画をつくるときに、財源が不足するという点を主たる理由として損傷者負担、道路を壊すという意味ですね、損傷者負担という考えで創設された経緯があります。また、その後数回にわたりまして、同様の趣旨で税率のアップもお願いしてきておるわけでございます。
 こういう経緯等がございますので、自動車重量税を初めといたします今後の道路整備財源のあり方につきましては、その各税の創設の経緯あるいは道路整備の必要性あるいは受益と負担のあり方などを踏まえた検討が必要であるというふうに考えておりますが、その際に、やはり道路整備の特定財源というものが受益者負担あるいは損傷者負担ということで、道路利用者に特別の負担をお願いしているものであるということ、それから先ほども御説明いたしましたように、まだまだわれわれは、日本の道路整備水準というものは立ちおくれている、かつ、それを整備を望む国民の声もきわめて強い、そういう事態であること、それからまた、このようなわが国の道路整備の現状から見ると、今後とも先ほど先生もお話がありましたような九次の五カ年なりあるいは十次の五カ年なり、そういう五カ年計画をつくって計画的に整備を進めていく必要があるというふうに考えております。そういうことを踏まえて適切に対処してまいりたい、かように考えております。
#95
○大島委員 大蔵省の方の答弁はもう結構です。大臣に最後にお伺いしたい。
 自動車のすれ違いをするために道路の幅を広くするのと、いま一兆円減税、減税と言ってこれだけ国民が望んでおるのと、どちらが大事だと思いますか。
#96
○渡辺国務大臣 自動車のために道路の幅を広げることと減税とどちらが大事か、これはむずかしい質問でございまして、どちらも大事だろうと思います。
#97
○大島委員 大臣、いま一兆円減税というのは国民の声ですよ。一兆円余りもあるこの財源を道路その他に、私は財源があれば道路などに使うことは大いに結構ですよ。いまの段階で、これを特定財源に回さずに一般歳出として使って減税に回せないかということをお伺いしたい。
#98
○渡辺国務大臣 一方において景気刺激策をやれ、公共事業の前倒しもやれ、必要があれば建設国債も発行しろという声もたくさんございます。問題は、景気がよくならないと、税金を払ってない人がさらに失業するような事態になっては困る。したがって、失業者がふえることと税金が安くなることと、どっちがいいかという話みたいなものでありまして、これはもう景気対策としては減税よりも公共事業の方が効果が倍以上あるだろう、そう私は思っております。
#99
○大島委員 もう時間が来ましたので、減税か公共事業かということに対しては論議が尽きないのでこれで終わりますが、いま私からいろいろ説明しましたような、要するに、中期展望に基づく経済成長の問題、直間比率の問題あるいはいまの道路特定財源の問題、こういうことについて、よくお考えになって事務当局を指示していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#100
○中西(啓)委員長代理 鳥居一雄君。
#101
○鳥居委員 大島委員が、中期展望についてはもうこれで破棄する、こういう御発言でありまして、私も、前提がこんなに大きく狂っているものを前提にしなければならないということを大変複雑な気持ちで伺うわけであります。
 まず、五十九年度で赤字国債脱却、こういう財政再建のめどが示されているわけです。その一つの脱却の方法として中期展望では、五十七年度の特例公債の発行予定額三兆九千二百四十億を五十八年、五十九年、この二年にそれぞれ一兆九千六百億円減額して五十九年度ゼロ、こういう前提に立っているわけであります。この二年度均等割で減額、これはどうなんでしょうか、それをそのとおり実行しようとされているのでしょうか、御決意のほどを伺いたいと思います。
#102
○渡辺国務大臣 これも先ほど御質問がございましたが、三年に延ばせとか、いろいろな御要求がございます。しかし、それは赤字国債を発行して財源を差し上げるよ、五十九年にも赤字国債を発行しますよということと同じですから、そういうことをやらないために歳出カットを優先させるという点からも、これは五十九年度までには発行しなくしたいということでございます。
#103
○鳥居委員 ことし一月のこの中期展望によりますと、五十七年度予算で示した制度、施策を変えずに赤字国債の発行額を五十九年度はゼロにするという目標に進もうとしますと、五十八年度には三兆三千七百億円の要調整額が出る。財源不足を歳出カットだけで埋めようとしますと、一般歳出を前年度比〇・三%の約一兆百億しかふやせない、こういう試算の数字になっているわけです。この財源不足を一体どうするのか。その分をぜい肉を落とす、行政改革でやるんだ、あるいは、五十七年度予算編成の際にゼロシーリングを示されたわけですけれども、その方法でいくのか、一体どういう方途をとられるのか伺いたいと思うのです。
 これまで赤字国債の減額については、ともかく一貫した方針、指標というのがなかったと私は思うのです。五十五年一月に財政収支試算を示されまして、後年度ほど減額幅が大きくなる方法を示しているわけでありますけれども、一方中期展望では、均等割の減額を前提にしていると思うのです。その赤字減額の方法、財源、これはまあ増税なき財政再建というのが前提になっているわけでありますから、その前提に従っているわけですけれども、その具体的な方法については全く示されてない。これじゃ国民として本当に五十九年度ゼロが約束されているのか疑問に思うわけですけれども、この点について、減額の方途、具体的な方策。あと二年ですがね。
#104
○西垣政府委員 五十九年度に特例公債依存から脱却するというのが、財政運営、財政再建に関する基本的な目標でございます。
 それでは、具体的に五十九年度にどれだけを減額するかという点につきましては、これは、その年その年全力を挙げて厳しい予算を組んでいくということで、一年一年積み上げていかなくちゃいけないのではないかと思います。先ほど先生が言われました要調整額三兆三千七百億だから増税なしということでいけば〇・三%しか一般歳出は伸びられない、これは本当にそういう厳しい状況でございますが、しかしその前提にありますのは、ここで税収をこのように置いているからでございまして、税収の状況いかんによっては、この要調整額の幅はもっと大きくなるかもしれない、あるいは小さくなるかもしれない、そういう性質のものでございます。
 私どもといたしましては、この中期展望の姿を固定的なものとしてとらえないで、財政運営の手がかりとして考えながら、具体の予算編成は、直近の時点での税収の見積もり、これは経済情勢によって変わってまいりますが、それを踏まえてできるだけの努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#105
○鳥居委員 財政再建、行財政改革、これは私も断じてやるべきだと思うのです。しかし半面、国債減額だけを優先すると、結果において経済成長の低下、国民生活の後退ということで、つまり財政再建もできなくなるというような心配の一面がこれはあるだろうと思うのです。
 私たちが一兆円減税の要求をいたしました。この一兆円減税の要求というのは、個人消費の低迷がずっと続いてまいりましたけれども、この浮揚を何とか図らなければならない。個人消費の喚起をいたしまして景気の順調な回復をさせよう、財政運営の上においてそういう有効な手だてをとるべきだという考え方からこれを提案したわけでありますけれども、五十八年度予算で三兆三千七百億円の歳出削減あるいは一兆九千六百億円の国債を減額できたとしても、景気浮揚、経済成長がどうも思わしくない、五・二%達成できない、二%も大幅に下回る、こういう状況に落ち込んでいった場合には、歳入欠陥が財政再建をまたさらに厳しいものにしていくだろうと思うのです。つまり、適正な経済成長、それと財政再建の両立を図るような経済、財政運営が基本的に考え方になければならないと思うのです。いかがでしょうか。
#106
○西垣政府委員 これは大臣からお答えすべき基本的な問題かと思うのでございますが、基本的には景気の維持、経済の安定も考えながらということだと思いますけれども、現在日本の財政の置かれている状況というのは非常に厳しいものがございます。したがいまして、財政が弾力性を持っていたときと同じような手法ではなかなかいかないのではないか。私どもは、長期的に見た場合には、日本経済のためには財政の弾力性を回復するために多少の無理をした方がいいのではないかという基本的な認識を持っておりまして、厳しい歳出カットをしながら、何とかして特例公債依存体質からの脱却を図りたい、つまり、つじつまを合わせるだけではなくて、体質の改善を図っていきたい、こういうふうに考えているわけです。
 五十七年度におきましても、乏しい財源事情の中で公共投資の規模はできるだけ確保する、それから地方の単独事業についても多少国以上にその充実を図っていただく、あるいは民間資金の活用を図るというようなことでやっているわけでございまして、その中で、できるだけの努力をするという一環として、上期の契約率を従来にないような高い目標を掲げて上げていくというようなこともしたいと考えているわけでございます。経済、景気を見ながら財政の再建を考えていくという点につきましては御指摘のとおりでございますけれども、現在の財政の状況というのは非常に厳しいということを申し上げておきたいと思います。
#107
○鳥居委員 補正予算で祖税及び印紙収入の四千五百億円の減額をした。さらに六千三百億円に上る国債の追加発行。それで、それ以後の景気の低迷で歳入欠陥が避けられない、こういう非常に厳しい状況にあると思うのです。五十六年度予算の決算段階で税収不足がどの程度と考えていらっしゃいますか。
#108
○水野(勝)政府委員 確かに経済情勢は必ずしも好調でございませんので、そういう事情を受けまして、税収につきましても楽観できる状態にはないということは申し上げられるかと思いますが、一月末現在におきましては、まだ税収は予算額の六割程度でございます。その後の確定申告の状況もまだ判明はいたしませんし、それからまた、非常に大きなウエートを持っております三月期決算法人もこれからでございますので、現時点でこの数字をどうこうと申し上げられる段階にはないわけでございます。
#109
○鳥居委員 一兆円を超える税収不足、新聞等で報じられているところでありますが、そういう規模の歳入欠陥が出ることが懸念されるわけでありますけれども、そうなってまいりますと、五十七年度以降の税収見込みの計算も大幅な狂いが生じてくるわけでありますから、五十八年度以降の歳入不足、中期展望の中で示している数字とのずれはますます大きくなってくるだろうと思うのです。こんな狂いの出ている中期展望というのは全く意味をなさないと私は思うのです。全面的に見直しをすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#110
○渡辺国務大臣 企画庁の所管でございますから余り口出しはできませんが、国会が忙しくてとても見直しの暇もない。しかし、現実に御指摘のような声も各般から出ておりますから、恐らく時間的余裕ができれば何か検討はされるのではないだろうかと推測をいたします。
#111
○鳥居委員 財政支出に対する国債依存度でありますけれども、五十七年度でわが国二一・〇%、これはアメリカの六・五%、西独の九・八%、イギリスの一二・四%、これに比較いたしまして、わが国が最も高い。また、国債発行額を比べてみましても、米国が九兆七千億円、西ドイツが三兆三千億円、イギリスが四兆二千億円、わが方が十兆四千四百億円、これもやはり一番。これまでに発行してきた国債残高のGNP比でありますけれども、わが方が三三・五%、イギリスが四五%、イギリスに次いで米国が二八%で西ドイツが一三%でありますから、それをはるかに上回っている。この数字は、経済は優等生かもしれないけれども、もう財政は火の車で、全く劣等生と言わなければならないという酷評が実はございます。
 この数字から見ても、日本は世界一の赤字大国である。赤字財政大国でしょうかね。さらに今後、国債残高は増す一方である。六十年度以降、国債の償還、借りかえが大きな問題になってくることが懸念されているわけでありますけれども、三のぜんの話がございましたけれども、私は、赤字国債の減額、一方においては景気浮揚のために建設国債の発行を考えなければならないという立場にあるだろうと思うのです。二のぜんまでは用意をした、三のぜんについてはこれからだ、こういうお考えでありますけれども、景気浮揚のために七五%の上半期前倒しをやるわけでありますから、後半においては建設国債を発行する、建設国債を発行する場合に、景気浮揚という点である程度の効果があった次の段階で減額をする、そういう節度のある発行の仕方、これをどうお考えでしょうか。
#112
○渡辺国務大臣 それは非常に大事なところなんですね。これをやらぬと、一遍ふくらましたらもう小さくならない。財政当局が二の足を踏む理由の一つはそこにあるわけです。一遍大飯を食ったら、健康になってまた大飯を食ってしまうような話でね。ですから、なかなか簡単にいかない。そこへもってきて今回は、さっきはコックの準備はしてない、コックはここにいっぱいいるんですよ、コックはいるんですが、コックの材料を買う金がない。金をどう調達するか。包丁とまないたしがなくては、材料がなくてはできないわけです。だから、それは無理してどういうふうにやるのかという問題もある。そういう問題もまず第一にあります。
 しかしその次は、いま鳥居委員が言ったように、いままでややもすれば不景気だから公共事業拡大だ、五十三年に景気がよくなったから公共事業縮小だ。できればいいのですね。ところが一遍ふくらましたものは減らすのはなかなか容易なものじゃない。そこに財政硬直化の大きな原因もある。
 したがって、そこらのところは本当に節度あり、しかも公共事業を景気対策に用いるとすれば、神出鬼没と言っては言い過ぎかもしれぬが、ある程度機動的、臨機応変な面もないと、これは財政が介入した後で困るという問題もございます。
#113
○鳥居委員 財特法について伺ってまいりたいと思います。
 財政法の四条で、一般の歳出財源のために公債の発行を認めていないその理由は一体何でしょうか。財政法の原則として赤字国債を出さないとしておりますね。赤字国債を安易に発行してはならないという理由はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#114
○西垣政府委員 財政法の四条では、第一項で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」という規定がございます。これは、国の歳出は原則として税金等の歳入をもって賄う、借金で賄ってはならないということでございます。これは国の財政の健全性を確保するという見地から定められたものでございます。
 ただし書きといたしまして「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」つまり、原則としては禁止しているわけでございますが、ただし書きといたしまして、国民の資産として残るような、そういう投資的経費につきましては、国会の議決を経た金額の範囲内で例外として発行することができるということで、これも財政の健全性を確保するために設けられた制度でございます。
#115
○鳥居委員 四条二項で国会に提出することになっている償還の計画、これを見てみました。五十七年度の発行しようとする特例債の具体的な返還計画ということであります。
 これを見てみますと、五十七年度発行の特例債三兆九千二百四十億、そしてそれが昭和六十二年に予定している五年債の方が一千億、満期日を迎える。それから六十七年に十年たちますから十年債の満期日がやってくる、三兆八千二百四十億円。そして「説明」という覧を見てみますと、現在の減債制度がどうなっているかということの説明はありますけれども、五十七年度発行の三兆九千二百四十億の特例債がどういう措置によって償還されるのか、こういうことは全く不明です。これが四条二項で言う償還の計画なんでしょうか。
#116
○西垣政府委員 財政法第四条第二項の規定は「前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」というふうに規定されておりまして、これに基づいて償還の計画表を出しているわけでございます。その中身がいま先生が言われましたように償還期別の内訳というような形のものでございまして、これは第二項で言っている償還計画表ではないのではないか、もっと具体的な償還財源はどうなるのかといったような計画表を出すべきではないかという御議論は、財政法第四条ができましてから何回か国会でも御論議がございました。
 それに対する考え方でございますけれども、この規定が公債の発行時にその公債の償還財源調達に関する具体的な計画を示すことを要求していると解することは困難であって、実質的には公債の年度別償還予定額を示すもので足りると解すべきであるというのが、何遍が財政審にも御審議をいただいたわけでございますが、一貫した解釈でございます。
 将来の具体的な償還財源の調達まで含めた償還計画を作成するためには、長期にわたります歳入歳出両面の具体的な実行計画を前提とせざるを得ないわけでございますけれども、将来の経済、財政状況の見通しが不確実なものである以上、そのような具体的な計画を作成することは不可能でございまして、したがって、現在のような形の償還計画表を提出することにしているわけでございまして、その点につきましては御理解いただきたいと思います。
#117
○鳥居委員 財政法四条二項の精神は、特例債というのは安易に発行してはならない、そういう前提の上で、償還に当たっては、原則として発行しないその特例債を発行する場合には、どんな方法でどんな財源をもっていつ償還するのかというその計画を国会に提出する。これは前提として、そんな簡単に安易に飲み食いのために借金をしてはならない。一軒の家庭の中で言えば、たとえば新車を買うそのローンを組むあるいは投資的に使うそれとは全く違う、まるで飲み食いに使う部類を借りてくる場合に、どうやって返すか計画なしに借りてくるようなどらおやじであってはならないわけでありますから、この償還計画表を厳格に国会に提出すべきとした法の精神というのは、私は明確にそれをしなければならないということだと思うのです。
 これは、償還計画表を見るとひどいですよ。五十七年度に発行する金額があって、満期日がいつかということしか書いてないのですよ。それから現在の国債整理基金特別会計法に基づく減債制度、それがどういうふうになっているかということがあるだけでありまして、ここのところ数年、七年になりますか、五十年以来発行してまいりました特例債につきまして、昨年のと比べてみましたら、ここに入っている数字が違うだけで、減債制度そのものをここに説明しているだけのものじゃないかと思うのです。これじゃひどいと思うのです。国会に提出すべき償還の計画、それはこれでいいのでしょうか、大臣。
#118
○西垣政府委員 先生の御指摘のように、特例債というのは財政法四条の例外として特にお願いしている公債でございますので、その発行について慎重でなければならないということについてはもうそのとおりでございます。そういった意味で、従来から毎年毎年その根拠をなします特例債の法律を国会に提出して御審議をいただいている、また、その金額につきましては予算の一環として御審議をいただいている、こういうことでございます。
 この償還計画表につきましては、先生のような御議論はいままでもございました。私どももその都度真剣に検討しているわけでございますが、財政審にも何遍かおかけいたしまして、これ以上のものはできない、こういうことでやってきておりますので、その点については御理解いただきたいと思います。
#119
○鳥居委員 これは、国会に提出すべき償還の計画とは違う重大な疑いがある、この指摘をしておきたいと思うのです。
 それで、この特例債発行に当たって、あえて条文の中に国債整理基金特別会計法第五条の規定による償還のための起債は行わない、こうした理由は何でしょうか。
#120
○西垣政府委員 実は、昭和五十年の特例債の根拠を設けるための法律におきましては、この規定はございませんでした。国会審議の過程におきまして、当時の大平大蔵大臣が、特例債の発行については財政節度を厳しく守るようにしたいということで、政府の方針として現金償還をするつもりであるということを答弁をされまして、その後五十一年度以降、その趣旨を法律の中ではっきり書いて、厳しい運営をするよう政府みずからそれを義務づけると申しますか、法律的な義務としてそれを守っていくという姿勢を明らかにしようということで現在に至っているわけでございます。
#121
○鳥居委員 つまり、借金を返済するために借金はしない、こういうことですね。いかがでしょうか。
#122
○西垣政府委員 建設公債について認められておりますような借りかえは行わないということでございます。
#123
○鳥居委員 事実上、借りかえと同じような形になる。これは国債整理基金特会法五条を指定していることに触れる懸念がありませんか。この点についてはいかがでしょうか。
 つまり、間もなく大量の現金償還をしなければならない。その場合に、現金償還の財源を何とかしなければならない。その場合に新たに特例公債を発行するという場合に、事実上借りかえと同じような形になるのじゃないか。こういう実態において借りかえと同じ、特例債の現金償還のための財源がないために特例公債を発行しなければならない。これは、いま五十七年度特例債の発行に関する法律案を審議しているわけでありますけれども、この法案の中の五条を指定している条項に触れる疑いが大ありだと私は思うのですが、この点についてはいかがですか。
#124
○西垣政府委員 制度論として申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 借りかえと申しますのは、満期時にその償還財源を得るために起債を行うということを意味しております。したがいまして、その発行は、公債の償還を経理する国債整理基金特別会計において行われているわけでございます。これに対しまして、四条公債あるいは特例公債収入は、いずれも一般会計の歳出の財源に充当されるものでございます。一般会計において発行されているわけでございます。一般会計から国債整理基金特別会計へ償還財源の繰り入れが行われておりますが、これらの一般会計の公債収入がその繰り入れの特定財源とされるものでないということは言うまでもないことでございます。
 先生のおっしゃっておられますのは、一般会計、国債整理基金特別会計を通じて収支のバランスを見ると、実質的には借りかえを行っているのと同じじゃないかという御指摘だと思いますけれども、公債発行下の財政で、公債に対する国民の信頼と財政の節度を保つことを目的として減債制度を設けておる、こういう実態を考えますと、御指摘のような事態が生じるのは制度として当然のことだということでございます。ただ、できる限り速やかに特例公債依存の財政を克服しなければならないということは御指摘のとおりでございまして、そのためには、できるだけの努力をしたいということだと思います。
#125
○鳥居委員 それで、建設国債の場合には六十年で償還をしよう。ですから借りかえ、借りかえができて、現金償還の時点でその現金償還ができればいい。そのための国債整理基金を準備しておこう。つまり、百分の一・六というのは六十分の一ですね。それから出てきている数字。特例公債の方は十年で現金償還しなければならない。
 そうすると、これは十分の一ずつこの国債整理基金の中に積み込まれなければならないはずのものなのに、六十年償還という形、百分の一・六になっているわけですね。これは十年後の現金償還にかなり無理がある。つまり、借金で借金を返すんだということが前提になりかねない。なし崩しで来かねない。そういう心配が大ありなんじゃないでしょうか。なぜ百分の一・六と特例公債の場合も決められているのですか。
#126
○西垣政府委員 特例公債につきましても、公債全体の減債制度の中で国民の信頼を確保するということで、いまおっしゃいましたように一・六%の定率繰り入れ、剰余金の繰り入れあるいは予算繰り入れ、こういう柱の中で、全体的な減債制度の中で運営していくというのが政府の方針でございます。
 先生の言われたような、特例公債は、その資産が残るわけではないし、十年たてば現金償還しなくちゃならないんだから、十分の一ずつ繰り入れをしたらいいじゃないかという御議論もございます。しかし、他方、高い金利で借金をしながら低い金利で貯金をするようなことはどうだ、むしろ特例公債を減らすために定率繰り入れもやめてしまったらどうだという議論も片方にはございます。この点につきましては、なかなかむずかしい問題があるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、国債全体としての信認と申しますか、国民の信頼を受ける制度の中で考えていくのが一番適当ではないかということでやってきているわけでございます。
#127
○鳥居委員 そうすると、仮定の話ですけれども、十年債の満期日がやがてやってまいりますね。それで、ことしの二月から、一番最初の分の現金償還が始まった。これ、減債制度があって、プールされているうちはまだいいと思うんですね。この試算によりますと、一番可能性の近いものという試算でこれを見てみますと、昭和六十二年には枯渇してしまうという状況ですね。
 そうすると、現金償還ということを考えた場合に、借金で借金を返済するという、一番心配していた事態がこの段階でやってくるんじゃないか。そういう事態を避けなければならないために、財政に一つの節度を要求したものが財政法の四条二項であり、また財特法に国債整理基金特会法第五条の起債を認めないという条文が入っている、その精神がまさにここにあるだろうと思うのですよ。ですから、これはもう麻薬みたいなものだ。七年のうちに見る見るふくらんでしまいまして、いよいよ十年たちますと大量に償還しなければならない。わずか七年の間に雪だるまのように、こんなひどい事態に陥ってしまっている。大臣も総理大臣も一年、二年、三年というきわめて短い期間の中で入れかわり新しい大臣を迎える、こういう事態が生んだ一つの悲劇じゃないかと私は本当に心配するのです。
 この点どうなのでしょうか。五十九年度赤字国債発行をゼロとするのだという厳格な一線がございますから、仮定の問題として六十二年以降、その段階で赤字国債は発行されていないのだ、その場合は心配ないはずでありますけれども、巨額な赤字国債を現金償還をしなければならない、借金で借金を返済するようなことはしない、これを厳格に守るためにも、法の精神を守り抜くためにも、大臣の御決意を伺っておかなければならないと思うのです。
#128
○渡辺国務大臣 全くそのとおりでございます。何とかそれまでに経済の立て直しを図って、赤字国債のために借りかえをやることは法も禁止しておるところでありますから、そういうことのないように十分いまから心得てまいりたいと思っております。
#129
○鳥居委員 国債管理政策について伺ってまいりたいと思います。
 大量の発行によりまして、公社債市場全体に占める国債の割合、これが四十年代にはまだ二一%だった、それが五十年度を境にいたしまして急増いたしまして五十五年度には四六・七%、それまで金融債がトップでありましたけれども、一七・〇%の発行量を超えてついに最大のシェア、こういう形になってまいりました。国債がまさに公社債市場の六三・九%を占めるという主役を演ずるような市場になってまいりました。
 これから償還あるいは借りかえの増大が見込まれているわけでありますけれども、これに対応していく公社債市場はまだまだ未整備だと言われているわけでありますけれども、この育成整備については今後どういうふうにされていくのか、どういうお考えか、お示しいただきたい。
#130
○禿河政府委員 御指摘のとおり、国債の発行残高は大変ふくらみまして、最近におきまして約八十二兆円、こういう大きな金額になっておるわけでございます。それを受け入れますところの公社債市場でございますが、発行の面におきましては後ほど理財局の方からお返事があるかと思いますけれども、国債の種類について申しましても、長期国債に限らず中期国債、割引国債などが発行されるあるいはその発行条件もかなり弾力化されてきておる、こういう発行市場の状況でございます。
 このような国債残高の増大とか種類の多様化というようなものに加えまして、これからは償還期限の短いいわゆる期近もの国債というものが公社債流通市場に大量に出回ってくることも予想されるわけでございます。
 こういう状況を踏まえまして、私ども、かねてから公社債市場の整備につきましてはいろいろ配慮してまいりまして、たとえば店頭市場におきましては、気配価格の発表のための価格開示制度の充実、取引所市場におきましては大口売買制度の導入あるいは小口取引の取引所への集中義務の付加とかいうふうな、いろいろ投資家保護のためにも資する措置を進めてきておるところでございますけれども、これからもさらにその整備育成に十分配慮していく必要がある、かように考えております。
 さらに、公社債金融の問題につきましては、証券会社のいわゆるディーラー金融につきましても公社債流通金融枠の拡大、これは主として証券金融会社を通ずるものでございますが、そういう公社債の流通金融枠の拡大、あるいは最近におきましてはコール市場からの資金の取り入れなどの措置をとってきておるわけでございます。今後とも、その実態に即応しながら充実を図っていく必要がある、かように考えております。
#131
○鳥居委員 これまでに国債の種類及び発行方式の多様化、個人消化の促進、流通市場の拡大、こういう点で国債の管理政策をとろうとしてきたと思うのです。
 国債の消化について、市場状況から、かつてに比べますと弾力化対策がそれなりに打ち出されてきておりますけれども、発行条件の弾力化という点でまだ十分とは言えないと思うのです。公社債市場においてアメリカの実態を見ると、消化の円滑化のために金利上昇期には発行条件が市場実勢を上回る状況で設定される。わが方でももっと市場原理を取り入れた市場実勢に即した対応があっていいのじゃないか、そういう時期に来ていると思うのですけれども、これがまず第一点。
    〔中西(啓)委員長代理退席、大原(一)委員長代理着席〕
 金融政策の一体性を考えるその余りに、国債発行の条件の改定を見送る、そのために昨年は休債という結果を余儀なくされたと思うのです。売り手と買い手の条件が合わない。一方、こういう市場の混乱は事業債の条件改定を困難にさせ、その結果起債調整といったことになって企業の資金調達に影響を及ぼした。これでは金融政策への配慮というのは全く逆の作用をしたことになると思うのです。市場性がある公社債発行条件は市場の流れに従うということが重要だと思うのですけれども、この教訓を今後どういうふうに生かしていくのか、この二点を伺いたいと思うのです。
#132
○吉本(宏)政府委員 国債発行の現状でございますが、国債の発行の種類としてその中心をなすのがシ団引き受けの十年債でございます。それとあわせまして公募入札方式で中期債を発行しておりまして、三年、二年、四年ということで公募発行でやっております。もう一つは運用部の引き受け。これは資金運用部のお金で引き受けをしておるわけでございます。
 ところで、ただいま発行条件の問題について御質問がございましたが、これはシ団引き受けの十年債の発行条件の問題であると考えます。公募入札の場合は、完全に入札によって金利が決定されるわけでございますので、この点は余り問題ないのではないかと思います。
 国債の発行条件につきましては、かねてから私どもとしては、流通市場における実勢に即してこの条件を決定していこうと考えておるわけでございます。国債を中心とした公社債の流通市場もすでに三百兆を超す市場になっております。昭和五十年度に国債の大量発行を始めたころの流通市場は五十兆円の規模でございました。それが五、六年の間にちょうど六倍になっておるわけでございます。そういった流通市場において形成された流通価格を基準にして発行条件を決めるというのが私どもの基本的な考え方でございまして、すでに昨年におきましても、五月の改定、九月の改定さらに十二月の改定、こういうことでかなり頻繁に発行条件の改定をいたしているわけであります。
 昨年の六月ないし七月に休債になったという問題でございますが、これはやや特殊な事情がございまして、御案内のように、昨年の五月に条件改定、これは公定歩合の引き下げに続く長期金利の全面的な引き下げをやったわけでございますが、その直後にアメリカの金利が高騰いたしまして、その結果、わが国の債券市況が非常に軟化する。こういった状況のもとで、それに即して国債の金利の引き上げをやればいいではないかという御指摘もあるかと思いますが、せっかくこの長期金利の引き下げをやり、長期金利の改定をやったばかりのところに、それをまた引き上げるということで景気の芽を摘むということは適切ではないのではないか、こういう判断もございまして、この六月、七月の休債という事態になったわけでございますが、基本的には、先ほどから申し上げておりますように流通市場の実勢に即して改定をやっておりまして、幸いにして五十六年度もすでに市中消化分を全額消化を終わっておる、こういう状況でございます。
 なお、今後ともそういった点については十分に配慮をしてまいりたい、このように考えております。
#133
○鳥居委員 今後の国債管理政策として重要な課題の一つは、国債消化という市中消化、個人消化、数年前と比べるとかなりそのシェアも高まってきております。しかし、将来にわたって、この巨額の国債残高を抱えた今日、さらに個人消化というのが重要な役割りを占めてくるだろうと思うのです。個人投資家などの流通市場への参加の道を広げる必要があるのじゃないかと思います。特に公平を旨とする取引所取引の割合が、現在、五十五年度で三・一%にも満たない現状である。取引所市場への集中度をもっと高めていいのじゃないかと思う点、また店頭市場の公開を積極的に推進すべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#134
○吉本(宏)政府委員 私どもといたしましては、国債の個人消化につきまして、これが国債の安定消化につながる、安定的に国債を個人に保有していただくという観点から、かねて意を用いているところでございます。
 昭和五十六年度の実績について見ますと、証券会社の取扱分が三兆六千三百八十一億円ということでございまして、国債の発行額の二七・二%を占めております。ちなみに、昭和五十年度の個人消化分、証券会社の取扱分は三千五十七億円でございまして、これも五、六年の間に十倍以上になっておるということでございます。なお、その三兆六千億のうち長期国債、先ほど申しました十年債が一兆一千億円余、中期国債が二兆二千億円余ということでありまして、特に中期国債は発行の九割程度が証券会社によって落札され、これが個人を中心として売りさばかれておる、こういう実情でございます。
 それから個人消化促進策といたしまして、御案内のように特別マル優制度というのがございまして、現在三百万円の枠でございまして、現在これの保護預かり口座が五百万口ございますが、その一口当たりの金額は百三十万円、こういうことになっておるわけでございます。
 また先般、三人委員会の御結論に基づきまして、来年の四月から金融機関によって窓口販売が行われる、十年債を中心とした窓口販売が行われまして、これは金融機関の店舗数が一万七千余あるということから見ましても、国民にとってこの国債がより身近な商品として投資対象になり得るのではないかというふうに考えているわけでございます。
#135
○鳥居委員 銀行の窓販が来年四月から始まる。個人消化という点ではウン千億円という表現で参考人は述べておりましたけれども、一定の期待ができるだろうと思うのです。国債を買った個人が満期まで持っていられなくて手離さなければならない場合、もしも国債の価格が大きく下落しますと、これは持った人がけがをしなければならない、こういうことをできるだけ防止しなければならないと思うわけです。個人の小口の国債保有者に対する保護対策、これはどういうふうにお考えでしょうか。
#136
○禿河政府委員 公社債の価格あるいはその利回りといいますのは、そのときの経済、金融情勢に応じまして変動はするわけでございますので、あるときは額面を上回るような価格になることもあります。最近そういう事例もございますが、あるときは額面価格を大幅に下回るというふうなことがございますので、そういう点では市場性のある商品であるだけに確かにリスクがございます。
 これに対しましては、償還日まで持てば当然約束どおりの利回りになるわけでございますけれども、その間において資金の必要が起こりますような場合には、現在やっておりますのは、証券会社を通します国債をいわば担保とする金融というのがございます。これは証券金融会社から行われるものでございまして、最近の実績を見てみますと、毎月大体六億から七億円程度のものが証券金融会社の資金によりまして担保金融を受けておる、こういう状況でございます。
#137
○鳥居委員 時間の都合がありますので次に移りますが、新銀行法が四月一日から施行されるようになりまして、これに伴う政令が三月二十七日公布、省令が三月三十一日公布される。非常に成り行きを注目していたのが、月一回土曜閉店という金融機関の措置でございます。この新銀行法施行に伴う施行令、省令の中で、月一回土曜閉店制、これはどういうふうに位置づけられたものでしょうか。
#138
○宮本(保)政府委員 週休二日制につきましては、世の中の大勢でございまして、金融機関側といたしましても前向きに取り組んでいきたいということで、いま月一回土曜日閉店制につきましていろいろと議論をして努力いたしているところでございます。
 ただやはり、月一回閉店ということになりますと、経済取引を混乱させてもいけない。特に中小企業の経済活動はまだ土曜日活発に行われております。したがいまして、中小企業の経済取引等に御理解が得られるのかどうかという点がございます。そのためには手形と小切手の取引を全部とめてしまうというようなことも必要でございますので、その辺のところのコンセンサスができませんと、月一回閉店してしまうということにはなかなかまいらないということでございまして、私どもといたしましては、鋭意そういう環境づくりに努めたいと思いますけれども、この四月一日から施行になります政令におきましては、銀行の休日規定は従来どおりの規定より以上に出ることができなかったということでございます。
#139
○鳥居委員 これまで全銀協が中心になりまして十一団体への働きかけをやってきたようでありますけれども、大蔵省はその辺の事情をどういうふうに理解していらっしゃいますか、どんな条件が整えば月一回土曜閉店制の政令の手当てができるのか、この辺について。
#140
○宮本(保)政府委員 やはりすべては国民的なコンセンサスだと思います。
 まず第一点は、先ほど申し上げましたように、中小企業の経済活動というものに理解が得られるかどうか、それから土曜閉店によります預金者側の反応がどうかという点がございます。それから、やはり金融秩序というのはすべての金融機関が一体となってわが国全体の信用秩序が守られているものでございますから、一〇〇%とは申しませんけれども大多数の金融機関、これは信用組合、農協、郵便局も含めましてでございますけれども、その辺の体制が整うという必要があるのではないかな、こういうふうに考えておるわけでございます。
#141
○鳥居委員 その場合、これを制度化しようという場合に、銀行法政令だけを手当てすれば月一回土曜閉店が可能になるのでしょうか。
#142
○宮本(保)政府委員 銀行法の政令だけではちょっとむずかしゅうございまして、やはり手形法、小切手法の政令の改正が必要でございます。また、国税通則法とかあるいは地方税法の政令、この辺が改正の必要があろうかと思います。さらに、自治体の金銭の出納事務等で地方公共団体関係の規則、あるいは国庫金の出納事務等で日銀代理店の業務関係の規則とか契約などの手当てが必要になろうかと思うわけでございます。
#143
○鳥居委員 労働省、お見えになっていますね。これまで週休二日制の実現のために御努力されてきていらしゃいますけれども、どんなような状況になっておりますか。
#144
○八島説明員 労働省の対処をお尋ねでございますが、労働省といたしましては、かねてから労働時間のあり方につきまして労働政策の重要な課題として取り組んでまいったところでございます。特に労働時間のあり方としては、今日的な意義から考えまして週休二日制がその中でも特に重要である、このような考え方のもとに、かねて週休二日制の普及拡大につきまして、中央機関及び地方機関を通じましての労使に対する行政指導によりまして、その普及拡大を図ってきたところでございます。
 現在の状況で申し上げますと、三十人以上の規模の企業でございますけれども、企業数にいたしまして約半分弱、労働者数にいたしまして約四分の三につきまして、何らかの形の週休二日制がすでに実現いたしておりますし、特に完全週休二日制について申しますと、製造業では労働者数の約三分の一ほどがすでに完全週休二日制の体制に入っているという状況でございます。
 このような状況でございますので、私どもといたしましては、さらに一段と行政指導に力を入れてまいりますれば、週休二日制の一般的拡大、さらには完全週休二日制の実現という方向に向けての歩みが実現できるものと考えて、昭和五十五年に労働省において推進計画をつくりました。この推進計画におきまして、昭和六十年度までに全産業において何らかの形の週休二日制の一般化を目指す、このような目標を掲げているところでございます。
    〔大原(一)委員長代理退席、粕谷委員長代理着席〕
この推進計画の目標の実現におきまして、私どもは、銀行を初め金融機関の週休二日制というものがきわめて重要な意義を持っておる、そのような認識をいたしておりまして、この観点から、全銀協初め関係各方面と金融機関の週休二日制につきまして現在いろいろお話し合いをしたり、あるいは私どもの労働省の立場といたしましてお手伝いできる分野につきましてはお手伝いをしているところでございます。
#145
○鳥居委員 三月十八日の大蔵委員会におきまして、銀行局長は、五十八年末までをめどに月一回土曜閉店の政令手当てができるように努力したい、こういう趣旨の御発言でありますが、この努力、これはどういうことをお考えになっていらっしゃいますか。
#146
○宮本(保)政府委員 私どもといたしましても、先ごろ、まさに御指摘の、御答弁申し上げましたように、五十八年中にはその政令改正ができるように努力いたしたいと思いますが、まずやりたいと思っております点は、やはりできるだけ多くの金融機関を一斉にということが主眼になりますので、そのためには、特に信用金庫、信用組合、農協等におきまして、交代制による月一回の四週五休制が余り進捗していないのでございます。信金は七五%ぐらいでございます。信組は五〇%ぐらいでございますが、農協は、先ごろ農林省にお聞きしたのでございますが、まだ一〇%ぐらいしか行っていないという状況でございます。
 したがいまして、特に私どもの管轄にございます信用金庫と信用組合の交代制によります四週五休、これを今年中にはできるだけ一〇〇%に持っていくように努力もいたしたいし、また農協等におきましても、この一〇%をできるだけ高めてもらうという努力を農林省等にもお願いいたしたい。そういたしますと、かなり条件が整ってまいります。
 それから中小企業等の取引につきましては、商工会議所等へ私どももできるだけ働きかけたり、預金者、消費者団体等につきましてもできるだけ理解を得るような全銀協の方の努力に対しまして側面からバックアップをする等、できるだけ国会で御答弁申し上げましたようなことが実現できるように、最大限の努力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
#147
○鳥居委員 貿易摩擦で一つだけ伺っておきたいと思います。
 アメリカの下院の貿易小委員会で、昨年の十月だったと思いますが、ギボンズ小委員長の発言として、このインバランスが指摘されております。このサービス貿易のインバランス、まあ金融機関あるいはデータ通信という中に金融機関が実は指摘になっているわけです。これは大変な誤認だと私も思っているわけでありますが、銀行局長はどういうふうに受けとめられていらっしゃいますか。
#148
○宮本(保)政府委員 御指摘のとおりでございまして、在日外銀につきましては、私ども銀行行政上、本邦銀行と同等の取り扱いを行っているばかりでなく、幾つかの点におきましては、実は同等以上の取り扱いを行っているというふうに考えておるわけでございまして、現在外銀等に関していろいろ要望とか批判がございますが、これはどうも、日本の金融制度とか行政面の取り扱いに対します誤解であるとかあるいは古い知識に基づくものが多いのではないか、あるいは金融制度、慣行が外国の制度等と同じでないところに起因しているものが多いわけでございます。
 そういうことでございますので、私どもといたしましては、誤解などがある点につきましては、お互いに意思疎通の円滑化に努めまして、さらに制度等に違いがあるという点につきましても、それぞれの国の制度等がそれぞれの国の歴史的発展の所産であるというようなことも訴えまして意思の疎通を図ってまいりまして、そういう誤解を解いてまいりたいと思っておるわけでございます。
 たとえば、現在複数の支店設置が認められないなんという指摘があるのは、これは全く誤解、うそでございます。あるいは手形交換所への加入が認められないとか、あるいは個人からの預金受け入れが制限されているとか、すべて指摘されている点につきましては誤った事実指摘でございますので、十分意思の疎通を図って、そういう誤解を解いてまいりたい、こう思っております。
#149
○鳥居委員 終わります。
#150
○粕谷委員長代理 簑輪幸代君。
#151
○簑輪委員 財政特例法についてお尋ねするわけですけれども、五十年度の補正予算以来毎年提出されているわけで、普通特例というのは、臨時的特例という言葉がございまして、そのとき限りというのが常識だろうと思うのですが、この財政特例法というのは毎年出てくる恒常的な法律ということで、ちょっと言葉の意味からも理解しがたいような状態になっているわけです。
 公債発行による財源の確保というのは、しばしば言われていますように、そのときは余り痛みを感じない。それで抵抗なくどんどん発行されてくるけれども、後から大変な荷物だった、重荷だというようなことで、その処理に大変困る。公債は税が先取りされるということですから、後始末をするのは当然のことで、それはいまさら言うまでもなく初めからわかっていることではないかと思うわけです。
 政府は、今回予算で、昨年度当初から比べて一兆八千三百億円発行を減らしたということですけれども、とてもこの程度では先の見通しが立たないんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。特例ということを、そして現実のこの実態、私はもうきわめて異常だというふうに考えておりますけれども、大臣は正常だと考えておられるでしょうか。
#152
○渡辺国務大臣 全く僕は簑輪委員と同じ意見でございます。公債は税金の先取りというのは私もかねて言っていることであって、初めて議員の口から聞きました。全くそのとおりであります。
#153
○簑輪委員 同じように異常だというお考えだということでありますと、これに対する対策というのは抜本的に行われなければならないわけですけれども、財政法という法律があるわけですから、この法律から見て一時緊急避難ということで、これから先は決して続けてはならないものだ、許されないものだというふうに思いますが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
    〔粕谷委員長代理退席、大原(一)委員長代理着席〕
#154
○渡辺国務大臣 特例というからには、本当に特例的に出すというのが私は本当だと思うのです。ところが、現在の財政事情も特例中の特例みたいな話になってしまって、現実には歳出を肥大化して、それに歳入が追いつけないというのが現状でございます。
 歳出をどこを切るといっても、今度の五十七年度予算に当たっては私もずいぶんやってみたのです。ところが、もう非常に抵抗が強いし、補助金のようなものは歳出がほとんど法律で決められている。したがって、自民党の中で反対があって、野党に反対があったのでは、絶体絶命通らない。そういうようなところで、しかも年内には編成をしなければならぬ、仕上げるという目標がございます。そんなことで、結局まだこれからもう一遍切らなきゃならない点がございます。
 したがいまして、こういうことについては、もっと長く、三年も四年も延ばしたっていいじゃないかという議論が一方においてあるのです、きついから。しかしそうもできないので、最大限五十九年度では発行しないようにしよう。そうなりますと特例公債というものはなくなるわけですから、ぜひとも――その目標もこれはなかなか困難な、実務的に非常にむずかしい点がたくさんあると私は思いますよ。思いますが、まずそれに向かって最大限の努力をしよう。総理大臣も、特例公債依存の体質から五十九年度までに脱却ということに最大限の政治的精力をつぎ込んでやると言っておるわけなので、その点はお許しを願いたいと存じます。
#155
○簑輪委員 歳出が肥大化したから歳出をうんと切りたいということで努力をされたというお話ですけれども、それにしては、軍事費などはゼロシーリングの中で特別枠を設けられるなんということはとても納得できるものではありませんので、その際思い切ってこれもばっさり削るべきだったというふうに私は思います。
 そして、抵抗が強い云々とか財政事情があるとかいろいろおっしゃいますけれども、いろいろ事情があるから仕方がないということで流されていったのでは、これは解決できないだろう。そして今日の事態は、財政法四条という原則的な法律があるにもかかわらず、公債が大量に継続的に発行されている、そういう事実が積み重なって、結局、憲法を受けた財政法という法律自体を形骸化し空洞化しているということになっているわけです。その異常性というのは、今年度発行公債の三七・六%あるいは今年度末残高の四〇%が特例債であるというところにきているわけで、この点では本当に真剣に取り組まなきゃならないゆゆしい事態じゃないかというふうに思うわけですね。
 ここでまたきちんと原則に立ち戻りまして、財政法というのはいろいろな条文がありますけれども、ことに財政法四条というのは一体どんなねらいで定められたものか、その立法趣旨を明らかにしていただきたいと思います。
#156
○西垣政府委員 財政法四条は、健全財政主義ということで、国の歳出は原則として税収入等で賄わなければならないということを規定しているものでございます。これは、借金等で財源を調達するという安易なことは原則として許されないという形で、財政の健全さを担保するということでございます。
 ただ、ただし書きといたしまして、公共事業等投資的経費につきましては、例外として公債等を財源とすることもできるというふうになっております。
#157
○簑輪委員 さっきも、同僚議員の御質問に対してそのようにお答えになったわけですが、半分は正解だと思うのですね。それだけでは足りないと思うのです。財政法の定められた趣旨を正しく理解するには、健全財政主義だけではなくて非常に大事な肝心なことが抜けているのじゃないかと私は思います。
 ここに「財政法逐条解説」というのがありまして、平井さんという方がお書きになったわけですけれども、ここで財政法四条の解説、「公債及び借入金の制限」というところの解説を見ますと、一番最初に出てくるのは、「第四条は、健全財政を堅持していくと同時に、財政を通じて戦争危険の防止をねらいとしている規定である。」というふうにうたわれているわけです。その意味では、このことを忘れては財政法の正しい解釈は成り立たないのではないかというふうに私は思います。
 健全財政主義はもちろんのことでありまして、これも戦争の過去の経過、歴史を踏まえまして、健全財政でなかったそこの反省から出てきているわけで、健全財政を行うというかたい決意が、戦争の反省を含めてかたい決意が財政法四条、ここにあらわれているわけだ、そういうふうに解釈すべきだということが大蔵省の文書から出されているわけですね。
    〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
それで、その基本的な考え方から見ると、今回の財政特例法というのは健全財政主義を真っ向から踏みにじっている、そして反省から出された戦争危険の防止という点でも新たな心配が生まれてくるというものではないかと思います。この点に関する大臣の御見解を承りたいと思います。
#158
○渡辺国務大臣 財政法四条が健全財政主義ということをうたっていることは御説のとおりでございます。
 しかしながら、現実の問題として、石油の異常な値上がり、こういうことによってどこの国も失業とインフレに悩む、日本においてはなおさらのことである。こういうときに、日本としていち早く経済の立て直しを行い、それで失業を救い、国民生活を安定にしていくというために、異例の措置として、大量の建設国債の発行及び昭和五十年からの大量の赤字国債の発行というものをやってきたものでありまして、法律の趣旨はそうでございますが、問題は、国民生活をどうするのかということも大事なことでございますから、いままではそれが成功したと私は思うのです。昭和四十九、五十、五十一、五十二というあたりは非常によかった。何といっても貿易と国内の内需喚起ということをてことして、いち早く第一次石油危機から日本は脱却したわけですから。ほかの国は、なかなかそれが脱却し切れないところに第二次石油ショックということで、いまだに二けたのインフレと二けた近い、あるいはイギリスのように二けた以上の失業に悩んでいるという国もございますから、総合的に御判断をいただかなければならぬ。
 しかしながら、こういうふうに肥大化した財政というものについては、これはわれわれは必ずどこかで切っていかなければどんどん大きくなってくるわけですから、したがって鈴木総理も、特例公債の発行というのはもう五十九年でやめるのですということをうたい上げているわけでございます。
#159
○簑輪委員 特例公債はやめなければならぬということですが、大臣自身は、この特例公債がずっと発行されることによって今日のような事態を招くというのは、前から当然わかっていたことだろうと思うのですね。しかし、そういう中で発行されてきた。
 それは、いま国民生活を守るためというふうにはおっしゃいましたけれども、そういう観点が全くないというふうには言い切れないとしても、大臣が「中小企業・流通情報」という雑誌の中で述べておられるわけですけれども、国債費の増大の問題に関連して「これには政治家に多少のゆるみがあったと思いますよ、私は。」というふうに言っておられるのですね。「どうしたって要求を抑えるよりも十年先の手形を出した方が楽なんですよ、国の借金というのは十年先の手形なんだから。十年大蔵大臣やっている人はいないから。」というようなことを率直に述べておられるわけですね。
 午前中の質疑でもありましたように、自分の任期中に振り出した手形の決済をしなければならないというふうに日本の政治家、大臣はなっていないということがこういう公債の乱発をもたらしたのだというふうにもお聞きしたわけですけれども、そうだとすれば非常に無責任じゃないか。そして、国民の生活全般を規制し、支え、左右する政治家として、そのときどきの大蔵大臣あるいはまた総理大臣が国債を乱発してきたということ、それは政府そして自民党にも責任があるだろうと思いますけれども、これは非常に無責任なことだと私は思わざるを得ないと思うのですね。気軽に手形を出す、落とす人は別だという、こういう発想をこれまで持ってきたとしたら、大変な問題だと私は思っていますよ。
 それで、大臣がこういうふうにおっしゃった趣旨を、もう一度ちょっと御説明いただきたいと思います。
#160
○渡辺国務大臣 それは、わかりやすく私がお話ししたのです。確かに、それは中小企業の社長さんなんかの会合だったと思います。これは私の財政演説にも同じような趣旨のことが、去年ですか書いてあります。
 要は、借金をする方が抵抗が少ない。歳出を切ることの方が、団体や何かが親方意識で陳情だ何だと非常に抵抗が強い。したがって、その要求を抑えることはどうしても逃げがちで、それで借金をしてその要求を満足させないまでもかわしたというような傾向がなきにしもあらずである。特にそれは、これは比喩的に言ったわけですが、中小企業の社長を三十年もやっているということになれば、自分のした借金は自分が落とす、短いものは。
 国の借金は意外と長い。原則十年です。内閣を十年もやっている人はないしするものだから、そういうような緩みもなかったとは言えないのじゃないかなということを言いました。それは間違いありません。それは、私は歴代の総理大臣だけをどうこうと言うのじゃありませんよ。私らも突き上げてやらした方かもしれませんから、責任の一端はあるわけですからね。だけれども、われわれ政治家みんなが、やはり要求を抑えるよりもむしろ国債発行に便乗して、悪乗りと言っては語弊があるけれども、ややもすれば反省しないわけではありません。ですから、無責任なことを言ったのではなくて、過去を振り返ってざんげの色を濃くしているということであります。
#161
○簑輪委員 やはりざんげしなければならないことをやってきたということなんですね。ざんげするというのは、悪いことをしたときにざんげするわけですから、その意味では、猛烈な反省をして以後立ち直るという気持ちだろうとは思いますけれども、やはりこのツケは結局のところ国民のところに全部来る。そして、そのときは気軽に公債を発行してそれなりにやってきたかもしれないけれども、その公債の後始末というのは後の国民が負担していく。そして、ただ単に現代の国民が後の世にその借金を回すというだけではなしに、それは利子をつけて後の者が払わなければならない。そして、国民がそこで福祉を削られ、教育を削られして借金を払っていくという形になり、そしてその元利を受け取るのは国債を持っている人、そういう仕組みになっていくことを思えば、これは非常に大変な問題だ、このことはやはり十分認識していただかなければならないと思うのですね。
 首をかしげていらっしゃいますから、異論があるならおっしゃってください。
#162
○渡辺国務大臣 少し異論がございます。
 それは、当然歳出は歳入によって賄われるわけですから、福祉を伸ばしたかったら、月給を上げたかったら、文教を広げたかったら、それだけの歳入を国民負担のもとに取って、それで本来は賄うべきものなんです。しかしながら、先ほども言ったように石油ショックというものを受けて世界的不況に陥って、日本も非常に困ったわけですよ。税収が昭和五十年で前年対比でどかんと二兆円も減ったのですから、当然片方の歳出は一兆もふえるわけですから、税収は二兆円も減っちゃった、さあどうするか。そこで歳出をばさっと二兆円減らせればいいですよ。しかし物価は上がっているわけですから、そうは言っても民間が月給上がるのに公務員の月給だけ下げちゃう、社会保障も去年まで上げてきたけれども、二兆円減ったんだから年金をことしから二割どんとダウンだ、できればそれはバランスが合いますが、なかなかそうはいかない。
 そこで一つは、景気対策のために国債を発行して公共事業をどんどんばらまいてやった。それによって失業者が出なくて済んだという効果がございます。もう一つは、わかりやすく言えば、たとえば昭和四十八年に月五千円の老齢福祉年金はいま二万五千百円、五倍です、しかし税収は二・七倍にしかなっていない。その差額が借金になったのです。みんな税金を払った人がどうかと言うけれども、本当は税金を払わない人もその恩恵には浴しているわけです。しかし、それはだれかが借金を穴埋めしていかなければならない。税金をずっと払わない人もあるかもしれませんよ、所得税がかかっていない人。そういう階層、たとえば生活保護世帯でも毎年生活保護費を引き上げてやってきたわけですから、その負担はだれかがしょうことは間違いありません。だから、それは一概に、借金をしたからそのツケだけで、国債を買った人だけがもうかっているんだと言うことは異論がございます。
 しかし、私としては、安易にそう借金をしてばらまくということは、結局は先ほど言ったようにいつかは利子をつけて返さなければならない債務である、そういうことを忘れては困ります。これは財政演説にも書いてございます。一部異論がございましたので申し上げます。
#163
○簑輪委員 異常に税収不足が生じたということは、予測し得ざる事態の中で臨時特例措置が設けられるのは、これは臨機応変の措置ということもありましょう。しかし、その後も安易にふやしてきたということについては、先ほど大臣がざんげされたとおりだと思うわけです。
 そういう点について、基本的なことは財政の民主化ということで財政法が規定されているわけです。先ほど申し上げましたように、公債の発行は後の世に不合理な負担を負わせる。その点をなくすためにも、財政の民主化の目的を持って公債発行を禁止しているんだということが言われてもいるわけです。
 財政法制定当時の逐条解説等によれば、特に財政の民主化、そのほかに、さらにまた、先ほど申し上げました戦争の危険防止ということが非常に重要な問題であるというふうにうたわれているわけです。
 ここのところをちょっと読み上げてみますと、「戦争危険の防止については、戦争と公債が如何に密接不離の関係にあるかは、各国の歴史を播くまでもなく、我が国の歴史を観ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であつたことを考察すれば明らかである、又我が国の昭和七年度以来の公債を仮に国会が認めなかつたとするならば、現在の我が国は如何になつていたかいわずして明らかである。換言するならば公債のないところに戦争はないと断言し得るのである、従つて、本条は又憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするものであるともいい得る。」という解説がされているわけです。こういう公債の大量発行というのは戦時に匹敵するようなものである。戦争危険の防止という観点から見て、公債発行の禁止がうたわれている財政法の理念と照らし合わせてみて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#164
○渡辺国務大臣 見方によってそういう御心配をする人もございましょうけれども、私どもといたしましては、いま言ったような趣旨で、要するに特例法は緊急避難的なものでありますから、これをぐうたらにいつまでもやっておるというのはいけない。しかし現実の問題として、それじゃ四兆とか五兆とかいうものを一挙にいま発行停止ということではなかなか行政がやっていけないという現実もございます。したがって、これは極力五十七、五十八、五十九の間でなくすということでありまして、そのために、一々国会にかけまして、国会の決議を得るということにしておるわけです。建設国債の方は必ずしもそういうことはないわけでございますが、特例公債については例年国会の承認を受けるというのは、そのために歯どめとしてやっておるわけでございますから、これによって戦争の問題が起きるというふうには私は考えておりません。
#165
○簑輪委員 公債の発行が即戦争が起きるとかいうふうに申し上げているのではなくて、公債と戦争とが不即不離の関係にあった、つまり、公債さえなければ戦争という危険はないのだということを言っているわけですね。その意味から言いまして、その危険あるいはまた心配がいまのわれわれの目の前に全くないかといえば、今年度の予算を見てみましても、軍事費が特に七・七五四%も前年度比で異常突出になっているというふうに言われていますし、さっき申し上げましたように、軍事費の膨張分だけを削れば、その分赤字公債の発行額も減らせるだろうというふうにも言えるわけです。
 憲法九条の精神を受け、あるいは憲法前文の恒久平和の理念、そういうものを受けて財政法が定められているということを受けてさらに考えてみると、今度の国債大量発行のもとでの軍事費の異常突出というのは非常にゆゆしい事態で、心配をなくすことができないと思うので、こういう国債大量発行下における軍事費の異常突出というのは許されないものではないかということを重ねてお伺いしたいと思います。
#166
○渡辺国務大臣 防衛費、私どもは防衛費というふうに言っておるわけです。本当は、防衛費とか警察費とか病院費用とかというのは、なければないにこしたことはございません。
 しかし、現実の世界においては、われわれは自由主義経済体制の国家としていろいろおつき合いをしておりますが、アメリカからもドイツからもフランスからもイギリスからも、みんな、日本は防衛努力が足らない、自由陣営としての国際分担の役割りを果たしていないというそしりを受けている、これも現実の姿であります。現実を無視して日本だけがひとりよがりのことを言ってもなかなか通用しない。われわれは、ここで自由貿易国家として、資源のない日本民族一億一千万が生きていくために、そういう国際的な争いを起こすことは決してプラスになりません。
 もう一つは、もともと日本の防衛費というのは、なるほど諸外国に比べてGNPに対して非常に低い負担であるという点から、独立国家とすれば、自国の防衛は自国がやるというのが本来の姿でしょう。そういうような点等も考えまして、私は、実はGNPの一%以下の防衛費というものは多いとは思っていないのです。しかしながら、これも、要請があったからといって急激に伸ばすというようなことは財政上なかなかできませんということで、財政当局としては、それなりにやはり抑えるべきものは抑える、防衛予算の中でも極力むだなものがないようにいろいろ査定をしておるというのも現実の姿でございます。
#167
○簑輪委員 財政が大変厳しくて、財政法違反の赤字国債を大量に発行しなければならないというもとで軍事費をふやすということについては、特に国民世論、いろいろアンケートなどを見ましても、こういうときだから削るべきは軍事費ではないかという意見も多数あるわけです。アメリカがどう言った、あるいはヨーロッパがどう言ったということもあるかもしれませんが、そういう方面を見るのではなく、やはり国民世論を背景にして、軍事費の削減をぜひ強く要求していきたいというふうに思っております。
 ここで軍事論争をするつもりではございませんので、続いてまいりたいと思いますが、景気対策の問題で、特に建設国債を発行せよという意見もあるやに伺っております。赤字国債は財政法にも違反し、いけないことであるけれども、建設国債ならば発行してもよいのではないかという意見もあるようです。けれども、大臣も、日ごろから建設国債も借金は借金と、同じように利子をつけて返さなければならないものであるというふうに言っておられるわけで、この建設国債だけでも今年度末ですか五十五兆六千億にも残高が達するわけで、その重圧も赤字国債以上に大変なものがあるというふうに思うわけです。建設国債といえども、景気対策のためならばいいのではないかというのではなくて、同じように借金を抱える問題として厳しく見直して発行額を縮減していかなければならない問題だというふうに思うわけですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
#168
○渡辺国務大臣 本来ならば、やはり建設国債もふやすよりも減らす方がいいだろう。それは普通の一般的な考え方です。しかし財政が国民経済に対して寄与するということになれば、赤字国債とはおのずから違うものである。ただ、借金として、国債として後年度に負担を残し金利をつけて払わなければならない債務である面においては全く同じでございますが、赤字国債は消費的なものでございますけれども、建設国債は社会資本という形で後年度に多く利用されるということが多い。したがって、私としては全く同じものだというふうには考えておりません。しかしながら、やはり債務として利息をつけて払わなければならない負担、後年度にわたるものであるという点においては同じである。だから、これについてもどんどん発行していいという筋合いのものではありません。必要にして最小限度のものでなくてはならない、そう考えております。
#169
○簑輪委員 建設国債発行問題についてこういう意見があるのですけれども、御見解をまたちょっとお聞かせいただきたいと思います。建設国債を発行するのであるから、合法的であり、かつ資本的支出の財源に充てるための借金であるから、赤字国債とちがい不健全財政ではないとして、いわば大手を振って“本格的”に国債を発行するといった態度は問題であるとおもう。なぜなら、建設国債の発行は形式的には財政法第四条によって認められている合法的な国債発行ではあるが、国債とくに国の一般会計の債務としての建設国債の性格は、実質的には財政法制定当時と現在とでは大いに変わっているからである。財政法第四条がその財源を国債に求めることを許した公共事業費、出資金および貸付金には、料金その他収益ないし特定の収入を伴うものが多かった。鉄道事業や電信電話事業はその典型的なものであり、それらは国の特別会計による直営事業であったが、一般会計にも料金その他の特定収入を伴う事業が少なくなかった。いいかえれば投資資金を国債によって調達しても、その元利償還財源は必ずしも税金に直結することなく、自己財源を生み出すものが多かった。しかしその後そうした事業の多くは公社、公団等に移管せられ、それらの建設資金は国債ではなく公社・公団債の発行によって調達されることとなった。
というようなことがありまして、
 現在の建設国債とくに国の一般会計において発行される建設国債は、その元利償還を税金に依存するものであって、税金の先借り、税金の変形にほかならないといってよい。
  赤字国債の発行ではなく建設国債の発行であるとして国債政策の導入をジャスティファイすることは皮相的であり、危険でさえある。むしろ財政法第四条との関係もあって建設国債発行の形式をとるが、実質的には財源が足りないための国債発行であり、赤字国債にほかならないことを率直に認めてかかったほうが、かえって危険が少ないのではないかと考える。という意見があるわけですね。
    〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
 つまり、建設国債だったら、まあまあ財政法から考えても許されるのではないかというふうに言われても、財政法制定当時とは同じ建設国債といっても中身が違ってきているのだから、いまはやはりこれは赤字国債とほぼ同じものとして厳格に考えていく必要があるのではないかという意見なんですね。この点についてはどうお考えでしょうか。
#170
○渡辺国務大臣 それは財政だけの考えからすれば、そういう考えがあったって私は不思議はないと思うのです。しかしながら、日本国経済全体という問題を考えて、やはり景気が落ち込んでしまったのでは税収が不足する、失業者がふえる、社会不安に陥るというような状況が一方にある。そこで国内の内需を拡大をして失業を救い、それから景気をよくし税収をふやしていくというてこになるということであるならば、それは必要最小限度のものにおいて発行してもいい。
 ただ問題は、建設国債を発行するからといって、その投資した資本によってさらにまた赤字を生むところにやるなんということは厳に慎んでもらいたい。たとえて言えば、新幹線を引くとかいう問題について、一時的にはそれは雇用も増大するでしょう、景気も影響あるでしょうが、投資した資本が利息がついたほかに、そのつくられた施設によってまたそこで赤字が出て、またそれが借金しなければならぬというようなことは困りますから、そういうところへの配分というものは、安易に国債を発行してただ施設をつくればいいんだというわけにはまいりませんよということは、私はかねてから言っておるわけでございます。
#171
○簑輪委員 建設国債の考え方についてはいろいろと重要な問題がありますし、私は原則的に、気軽に建設国債に依存するという体制は改めていかなければならないというふうに思っております。
 ところで、六十年度以降は非常に厳しい状態になって国債の返還ということが大きな問題になりますが、六十年度以降毎年一体幾らずつ支払っていかなければならないのか、大まかな数字で結構ですが、当局からお聞かせいただきたいと思います。元利支払いについて。
#172
○西垣政府委員 恐らく御質問の趣旨は、国債整理基金の資金繰りの状況がどうなるのかという関連だと思います。
 現在のところは一・六%の定率繰り入れによりまして余裕金はかなりございます。五十七年度末で四兆三千億ございます。特例債の大量発行分の償還時期が参ることによりまして、これは一定の前提で試算したものでございますけれども、大体六十二年度には余裕金残高がなくなってしまうという状況になります。そうなりますと、償還のために必要なものは直ちに予算繰り入れをしなくちゃならない、こういう状況になります。
 予算委員会に提出しました試算の中で、五十九年度で特例公債依存から脱却する、それから四条公債につきましても、五十七年度の発行規模をそのまま抑えてふやさないで、ずっと推移をするという前提で試算したもので見ますと、予算繰り入れ負担が一番ふえますのが六十五年度でございまして、予算繰入額だけで約六兆四千億ぐらいになる、こういう状況でございます。
#173
○簑輪委員 いま大変な事態ですけれども、特に毎年度元利の支払いの金額が幾らかというようなことを大まかに計算してみますと、大体六十年度以降十一兆円から十七兆円もの元利支払いが必要になるのではないかというふうに思います。
 大変な事態に立ち至るわけですけれども、政府は、五十九年度には赤字国債の発行をゼロにする、それが財政再建だというふうに言っているわけですけれども、赤字国債の発行がゼロになれば財政が再建されたと言えるんだろうかという疑問がここで生じるわけですね。その点についてはどういうふうに考えられますでしょうか。
#174
○西垣政府委員 当面の目標といたしまして、私どもが考えておりますのが特例公債依存体質からの脱却でございます。で、その時点として、私どもは五十九年度までに脱却したいというふうに考えているわけです。
 ただ、いま御指摘がありましたように、特例公債を発行しないで済むようになったらもうそれで終わりかということではございませんで、財政が弾力性を回復するまでまだまだ大変な道のりが残っているということは御指摘のとおりでございまして、そのために努力していかなければならないと存じております。
#175
○簑輪委員 赤字国債発行がゼロになったとしても、その後の支払いのことを考えると大変な事態になるわけです。ある論文では、財政悪化の主要因である国債費の増勢はずっと続いていくし、今後の利払い額や国債償還額を考えると身の毛もよだつ思いがするというような話もあるわけですね。
 で、ゼロにするというふうに言った場合、たとえば「財政の中期展望」では、五十八年度の要調整額二兆四千五百億円の上に、五十九年度に三兆七千億円もの要調整額が上げられているわけですけれども、一方で税収が思うほど伸びないというような中で本当にゼロ発行が可能かという点は、再三質問されておりますけれども、大変憂慮される。本当にできるのだろうかとやはり思うわけです。簡単に一言だけ、この点について御答弁いただきたいと思います。
#176
○西垣政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたとおり、五十九年度の特例公債依存からの脱却というのはそうやさしい問題ではございませんけれども、私どもとしては最善の努力をしていく、これは大変なことだと思いますが、努力を重ねていくということだと思います。
#177
○簑輪委員 何が何でも赤字国債は五十九年度ゼロにするんだという先ほど来決意表明などがあったわけですけれども、そうなりますと、その一方で軍事費もどんどんふえていく、国債費もふえていく、予算は限られているということになりますと、大変心配になるのが福祉や教育にしわ寄せがますますくるんじゃないか。大臣は、今国会の財政演説で「そもそも政治の要諦は、平和で豊かな安定した国民生活を築くことにあります。」というふうに述べておられます。そういうわけで、やはり真剣に考えていかなければならないことは国民生活の安定ということだと思います。
 その際に、福祉の問題について私はちょっと心配なことがありますので、幾つかお尋ねしたいというふうに思うわけです。
 昨年の予算委員会でいろいろ論議がありましたので大臣も十分承知のことと思いますけれども、ベビーホテル関連の問題での保育問題について、ちょっとお尋ねをしていきたいというふうに思うわけです。公的保育が不十分なために乳幼児をもうけの対象にするというベビーホテルのあり方が、事故などもありまして大変社会問題となり、国民世論の大きな批判を受けたところですけれども、これに対して何らかの措置をするということで、五十七年度予算にも新たな予算が盛り込まれたというふうに承知しているわけですが、一体どんな措置がとられたのか、厚生省からちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#178
○横尾説明員 五十七年度のベビーホテル対策の予算は三点ございまして、夜十時ごろまで開所する夜間保育所、これを全国で三十カ所設置すること、それから、都市及びその周辺に夜七時ぐらい程度の延長保育を実施する保育所、これを千カ所設置すること、そのほかに第三点といたしまして、乳児中心の小規模保育所の増設を図ること、以上を計上してございます。(簑輪委員「予算は」と呼ぶ)
 ベビーホテル対策費、総額で八億三千四百万円でございます。
#179
○簑輪委員 こういう新しい施策がとられたということですけれども、すでに五十六年度から、ベビーホテル対策をとらなければいけないということで、厚生省としていろいろと手だてをとられたやに伺っていますが、その内容と遂行状況についてお聞かせいただきたいと思います。
#180
○横尾説明員 ベビーホテルの関係では、昨年の児童福祉法の改正によりまして、まずベビーホテル等無認可の保育所に対する規制の措置を講じたところでございまして、この法改正の趣旨を踏まえて、無認可施設の指導基準というものを各都道府県に指示をしたところでございます。
 そうした規制をした反面、ベビーホテルに入所中の乳幼児を正規の保育所で受け取るいわゆる受け皿対策としまして、乳児院の活用、それから夜間保育所の設置、延長保育の実施を行ったところでございます。
#181
○簑輪委員 それで、具体的に何カ所ぐらいその延長保育なるものがされたのか、お聞かせください。
#182
○横尾説明員 五十六年度の実施状況は、夜間保育所が四カ所、延長保育が七十一カ所実施されております。
#183
○簑輪委員 五十六年度は数が非常に少ないわけですけれども、五十七年度には夜間が三十、延長が一千カ所というベビーホテル対策の予算が組まれているわけですが、新年度に入りまして、五十七年度で夜間保育あるいは延長保育を実施したいということでの申し入れ状況なるものはどうなっていますでしょうか。
#184
○横尾説明員 五十七年の四月から実施のために準備をしております状況をまず申し上げますと、夜間保育が八カ所、延長保育が九十六カ所でございます。
 この数字以外に五十七年度中に事業を開始したいというものが、ただいまの数字に加えまして、夜間保育が五カ所、それから延長保育が約五百カ所ございます。
#185
○簑輪委員 昨年来ベビーホテル問題はずいぶんと問題になりまして、児童福祉法が改正されて以降、あるいは厚生省がいろいろ通達を出して以降、もっともっとこのような対策がとられてもいいはずなのですが、なかなか希望が出てこないというのが実態ですし、四月になってもわずか八カ所あるいは九十六カ所というような目標の数値から見て非常に少ないわけですが、そこの問題点は一体どういうところにあるのかと、どのように認識しておられますか。
#186
○横尾説明員 私ども五十六年度のベビーホテルの受け皿対策を十月から実施するというふうな予算を組んだわけでございますが、この予算は五十六年度予算要求の時点では組まれてなかったものでございます。その後の児童福祉法の改正等も含みまして、急遽そういう対策を決定いたしました。正式に都道府県に内容の通達をいたしましたのが七月及び八月という時点でございましたので、年度途中あるいは準備のための期間が少なかったという時間の問題が最大の要因ではなかったかと考えております。
#187
○簑輪委員 五十六年度についてはそういうことがある程度言えても、五十七年度四月にはちょっとそれでは不十分じゃないかというふうに思いますが、そういうふうにはお考えになりませんか。
#188
○横尾説明員 御承知のように、保育所の運営というのは市町村の事業でございます。市町村が事業を実施するということは、まず都道府県の段階で都道府県負担分の予算が組まれること、市町村がその予算を組むこと、そして各保育園長がその事業の実施内容について理解をすること、それぞれの段階で相当の準備が必要なものでございます。
 そういった準備もありまして、四月の時点では先ほど申し上げました数値でございますけれども、五十七年度中の実施予定で挙がっておりますのが、延長保育については六百カ所を超えるのではないかというふうに思っておりますので、その意味では、かなり早いペースで事態に対処できているんではなかろうかというふうに考えております。
#189
○簑輪委員 厚生省はそういうふうにおっしゃいますけれども、各自治体や保育関係者の話を聞きますと、必ずしもそういうふうには言ってないわけですね。この延長保育を実施するに当たって、自治体も大変問題を抱えておりながら努力をしたいと思うけれども、なかなかそれができない問題の一つとして、延長保育に対する十分な予算措置が講じられるかどうか、国の方でそれだけの十分な保育労働者の問題まで含めて考えた予算になっているのかどうかということが指摘されております。
 それからもう一つ、延長保育を実施するに当たって通達を出されておりますけれども、これが非常に不明確であるということで、各自治体から疑義が出され、それに対する厚生省の回答を出さざるを得ないというようなことがありました。その疑義回答については、ここで通常の保育時間についてはおおむね六時までであるというふうにうたわれて、実は自治体や保育関係者はこれを見てびっくりしたわけですね。これまで六時までというようなことは全く言われてないわけで、労働時間八時間を考えてみましても、六時までの保育が通常の保育時間であるというような認識では、とてもとても延長保育はできませんというような対応が出されてきております。
    〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕
 こういう問題について、各自治体及び保育関係者から疑問や指摘がされたということはございませんか。
#190
○横尾説明員 五十六年十月に実施をいたしましたときに、先生おっしゃるように、延長保育の経費が非常に少ないという御指摘は確かにございました。そういうふうなこともございましたので、五十七年度予算につきましては、延長分の単価を一・八倍ないし二倍の要求に組みかえて、要求を改めた形で単価をふやしたところでございますので、そのこと自体は関係者に大変評価をしていただいているというふうに考えております。
#191
○簑輪委員 通常の保育時間の問題についての指摘はなかったですか。
#192
○横尾説明員 一部の関係者の方々からは、そういうような御指摘もございましたけれども、私ども、全国的に保育の運営の方針としてはそういう考え方でまいったという御説明を申し上げているところでございます。
#193
○簑輪委員 厚生省はそういうふうにおっしゃっても、このような解釈では延長保育がなかなか実現しにくいということで、かなり私どもも訴えを聞いておりますし、これでは本当に延長保育がやっていけるのだろうか。父母負担の方もかなりふえるわけですし、実際問題として、ベビーホテルをなくして公的な保育でこれを受けていくというふうな可能性がこれであるのだろうかという点には物すごい疑問が出されているわけです。
 現に、ベビーホテルは少なくなるどころか、ますます新しいベビーホテルが誕生している。もちろん、一部規制措置によって非常に劣悪なところで問題点の多いところが廃業しているという部分はございますが、新しく大きな経営のベビーホテルがスタートしておるという問題もずいぶん報道されております。そういう点から見ましても、ベビーホテルに子供を預けなくても公立保育所できちんと保育してもらえるという、そういう展望から見て、これではきわめて不十分ではないかと思いますが、ベビーホテルの現状とあわせて、どのようにお考えでしょうか。
#194
○横尾説明員 各都道府県からの報告を受けておりますが、ベビーホテルについては減少の傾向が見られるようでございます。一部の県においては、いわゆるベビーホテルというような看板を掲げるようなものはほとんど見当たらなくなったという報告も受けております。しかし、大都会を中心になお相当数のものが残っていることも事実でございます。私どもは全力を挙げて、そういうふうな場所で育つ子供を正規の保育所の方に連れてきたいというふうに考えておりますけれども、そのことについて何分新しい施策ではございますので、関係者の意見の調整、これには若干の時間を要する問題だというふうに考えております。
#195
○簑輪委員 昨年、児童福祉法の改正というようなことで規制と受け皿というふうにいま御説明があったわけですが、規制について言うならば実は厚生省が定められている児童福祉の最低基準を下回る新たな基準をつくったということで、非常に問題が指摘されているということも理解をしていただきたいというふうに思います。
 それから、いまおっしゃいましたように、ベビーホテルではなく公的保育でこれを措置していきたいという希望を言われましたけれども、これが単なる希望にとどまらず、できるだけたくさんの人たちが早急に措置されるようにする必要があるわけで、そのための予算が十分に裏打ちされなければなりません。現在、保育所に入所を希望しなおかつ措置が適切であると認められながら措置されない児童が、自治省の調査で六十七万人もいるというふうに言われております。希望する五人に一人は措置されないという事態になっています。
 大臣も厚生大臣の経験がおありなわけですから、その辺は十分に御承知と思いますけれども、これから共働きも一層進んでまいりますし、一方出生率が下がっておるとはいうものの、保育措置の希望は現実にはふえているという事態でございます。ベビーホテルの根本解決には、認可保育所で産休明け長時間保育を実施すべきであるというふうに思いますので、保育所の増設や施設あるいは設備の拡充、保育労働者の増員というようなことが、保育予算の増額が不可欠になってくるわけです。
 大臣にお伺いしたいわけですけれども、さきの通常国会では、当時の園田厚生大臣は、保育が金もうけにされては絶対にいけないというふうに言われました。それでいま大手のチェーン化されたベビーホテルもふえているという状況の中で、未来を担う子供たちに対しては、児童福祉法の基本として、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」というふうに国の責任が明らかになっているわけですから、赤字国債が大量に発行されて、一方で軍事費は別枠でふえる、海外経済協力費も別枠でふえるというようなことがやられながら、保育予算が削られていくというようなことは、父母にとってはとても心配でたまらない状況でございます。したがって、財政難とはいうものの、この未来を担う子供たちに対する保育関係の予算などについて十分な配慮をしていただく必要があると思いますけれども、その点で大臣の御見解を一言伺っておきたいと思います。
#196
○渡辺国務大臣 厚生省の予算は一番大きな予算でございます。その中でも医療費のごときは十三兆も使うというわけでございますから、幾らでも中でやりくりができると思いますので、十分に洗い直しをさしていただきたいと思っています。
#197
○簑輪委員 ぜひ、福祉全体を削る中でやりくりみたいな話じゃなくて、今後の高齢化社会の中でその点についても十分な配慮が必要ですし、子供たちも未来を担うという点で十分な配慮をしていただきたいと思います。
 最後に、この際特に大蔵省として関心を持つていただきたい問題について、大臣の見解を伺いたいと思うわけです。それはコンピューターに関連することなんです。
 わが国では、コンピューターの導入が非常に急速度にふえてきておりまして、五十六年の三月、汎用コンピューターが八万八千二百二十三セット、金額にして四兆一千六百四十七億円というふうに言われています。ほかにマイコンとか、大変なコンピューターブームというふうに言われておりますけれども、これが各職場に大変広がってきておりまして、コンピューターのCRT、陰極線管というふうに言うらしいですが、そのディスプレー装置を見ながら、テレビのような画面を見ながらコンピューター操作をする労働者が非常にふえてきているわけです。そのために目が非常に疲労する、あるいは角膜に傷がつくとか、さらには白内障をもたらすとか、異常児出産というような事態まで起こってきているということが報道されているわけです。
 かつてキーパンチャーの問題がありまして、頸肩腕症候群、腱鞘炎が爆発的に発生したために、婦人などもその被害に苦しんで、職業病問題で大変苦労をしたわけです。たくさんの人が被害にあってからやっと基準が設けられて、作業環境あるいは作業基準などについて、一定の政府の見解が明らかにされるというような事態になってきているわけですね。それでは遅いわけです。事が起こってから何らかの措置をするのでは遅いので、コンピューターもやはり同じような問題が起こるのではないかというふうに非常に心配をして、私は国会で、予算委員会で質問させていただいた経過もございますけれども、大臣は、こういうようなコンピューター関連で健康障害が出てくるというようなことを御存じでいらっしゃいましょうか。
#198
○渡辺国務大臣 わかりませんが、朝から晩までテレビを見ているのと同じですから、目には決していいとは私は思いません。言われてみれば、あるいはそれはあり得るかなと、専門家じゃないからわかりませんよ、わかりませんけれども、そういう感じです。
#199
○簑輪委員 より一層理解していただくために少し申し上げますと、コンピューターはアメリカを中心として非常に発達し、いまやヨーロッパやカナダにもずいぶんとコンピューターが広がり、コンピューター労働者も世界に大変多いわけですね。
 そして、わが国では、さらに第五世代コンピューターを開発するということで、大蔵省としても格別の予算措置をして、コンピューター開発に力を入れる、政府として力を入れるというふうになってきているわけです。その際に、先の方ばかり見てどんどんと発展させていくわけですけれども、それがもたらす被害、企業が発展する際に出てくる公害やらあるいは薬害やらという問題もございますけれども、そういう問題と同じように、コンピューターが広がるにつれて労働者に及ぼす影響というような問題を、やはり十分理解していただかなければならないと思うのです。
 カナダの報告では、コンピューター労働に従事する四人の婦人労働者が四人とも出産したのですけれども、その四人ともが異常児を出産したという例があったわけです。それはオペレーターとかプログラマーとかシステムエンジニアとかいろいろな業種がありますけれども、コンピューター業界で働く労働者のうち、システムエンジニアやプログラマーでは四三・九%、オペレーターでは四六・二%、パンチャーでは四七・二%という半分に近い労働者が、視力が落ちたというふうに言っているわけですね。ある婦人のプログラマーは、両方の視力がもともと一・五だったのだけれども、三年間コンピューターのプログラマーをやっているうちに、両方の視力が〇・一と〇・二になってしまったというひどい被害を訴えている人もいます。
 そういう中で、一九八〇年十一月にパリで開かれた銀行・保険のコンピューター合理化に関する国際シンポジウムというのがありまして、そこでは「スクリーンを備えた端末機の導入は労働者の健康に対して直接かつ重大な影響を与えるだけでない。すなわち、視力障害、神経症、騒音は今日最もよく知られている。」というふうに、このシンポジウムの結果が報道されております。それがこの銀行労働調査時報というのに載っているわけですけれども、ヨーロッパでは見やすいようなCRTにするよう法規制の動きもありますし、アメリカでは国立労働安全衛生研究所が推奨基準を発表して、さらに実態調査を進めているという報告もあります。
 コンピューターの導入されているのがどういうところに多いかといいますと、トップが金融、保険、証券、銀行を含めて全体の二一・五%、次が政府機関なんです、一四・二%。その次が卸、小売が一三・四%というふうになっていますけれども、大蔵省の所管の業界、銀行とか証券とかそういうところにどんどんとコンピューターが使われていて、東証の第二部の上場がこの四月から全部コンピューター化されたというふうな事態になっているわけですね。それから大蔵省自身が十九台のコンピューターを持っているんですね。統計、情報検索、予算、会計、資金管理、税務、当然仕事の性質上必要な部分があると思うのですけれども、コンピューターが大蔵省自身たくさんあるということです。
 私が予算委員会で質問をいたしました後に、銀行、証券の労働者、国税局関連で働いている人あるいは港で働いている通関関係の人たちから、すぐ大変心配だという問い合わせが来たわけですね。直接、間接に大蔵省に関係する人たちの中からも、コンピューター導入による健康障害というのはどうなるんだろうかという心配が出てきているわけです。
 私は、そういう意味から、予算委員会では通産省と労働省に警告を発し、これに対する適切な対策をとるように要求をいたしましたけれども、大蔵大臣は、特に莫大な補助金がついているコンピューターのことでもありますし、大蔵省所管が非常に関連の多いものでもございますので、特別の関心を払っていただきたいというふうに思います。そして、現在は全く対策が何もとられていない事態でございますので、事が取り返しのつかないゆゆしい事態にならないように何らかの対策を打たれるように尽力をお願いしたいと思います。それは大臣の方が関係省庁と連絡をとるなりして適切な対処をお願いしたいというふうに思っておりますので、この点についての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#200
○渡辺国務大臣 ただいまの話は、私は専門家ではないのでわかりませんが、ありそうなことだと思います。こういうことは職業病の問題ですからまず労働省あたりでよく勉強していただいて、専門家の意見も聞いて、やはり健康については私も非常に理解がございますから、よく検討させてもらいたいと存じます。
#201
○簑輪委員 そういうことで積極的な対応をお願いして、質問を終わりたいと思います。
#202
○森委員長 小杉隆君。
#203
○小杉委員 大分時間も経過しておりますので、私は、持ち時間の大半を後日に持ち越しまして、きょうはできるだけ切り詰めて、重要な点にのみしぼって質問をしたいと思います。
 まず最初に、大蔵大臣にこれからの財政についての認識を伺いたいと思うのです。
 確かに、先ほど来議論がありますように、今日も日本の財政状況は非常に深刻であります。しかし、今度の特例債の発行にも関連しますが、本当に深刻な状況は六十年代に来るというふうに私は考えるべきだと思うのです。先ほども質問がありましたけれども、大蔵省が予算委員会に提出した資料によりますと、たとえばこの国債の発行額を、特に建設国債を中心にして六十年度の発行額と同額に仮定をしても、昭和六十年代はほとんど国債残高は百兆円を超える状況が昭和六十九年まで続くわけですね。償還しなければならない金額も毎年十兆円を超えるというようなことで、私は、本当の財政の危機というのは昭和六十年代に来るというふうに考えて臨むべきだと思います。これを戦争にたとえれば、いまはまさに前線基地の戦いであって、昭和六十年代以降が本陣での戦いである、正念場であるというふうに考えますが、ひとつ大蔵大臣の認識を聞かせていただきたいと思います。
#204
○渡辺国務大臣 本格的な償還が始まるというときまでに、どういうように経済状態が発展するかという問題ともかかわり合いますが、安定成長が続くということになると、私は、小杉委員の言うことは同感であります。
#205
○小杉委員 そうしますと、単に目先のつじつま合わせとかあるいは財政のつじつま合わせということでは、日本の将来の財政を乗り切ることはできないということで、やはり基本的にいままでの財政体質なり財政構造を変える、そしてまた、そういった体質や構造の変化を断行していくだけの一つのリーダーシップが必要であるというふうに考えるわけです。
 そういう考え方から行政改革というものが出てきたと思うわけですが、大臣は、先日来、行政改革というのは目先の財源対策にはなかなかなりにくいんだ、これはやはり中長期的なものなんだというお考えを漏らされておりますが、そういう行政改革の必要性、あるいはこれは根本的にいままでの財政体質なり財政構造を変えるんだということととらえていいかどうか、ひとつお考えを伺いたいと思うのです。
#206
○渡辺国務大臣 行政改革にはいろんな面もございますが、行政組織等については、やはり一遍法律でできたりなんかいたしますと、不要になってもそれが温存されるというような場合が多いわけでございます。時代に合わせて役所の組織、機構、人員等もしょっちゅう洗い直しをするということは大切なことだと思います。そういう意味で、私は、行政改革は抜本的に行わなければならない、単なる機構いじりに終わったのでは意味が余りない。
 ですから、この臨調の第二次答申というものについて重大な関心を持っております。ただ、世間でよく言われるように、第二次答申が出れば何兆円もの金が天から降ってくる、そんな簡単なわけにはまいりませんよ。問題は、仕事減らし、人減らしが問題なわけですから、急激に人員を何十万人やめさせちゃうというようなことは現実的ではない。やっぱりある程度時間がかかる。仕事を減らさなければなかなか人は減らせないというような問題等もございますので、中長期的には何が何でもやらねばならない課題であるけれども、臨調の答申が出たからといって、直ちに何兆円もの金が打ち出の小づちのごとくわいて出るというような甘いものではありませんということを申し上げたわけであります。
#207
○小杉委員 そういうことで、最近行財政改革に対する熱意というものがどうも薄れてきたような印象を受けるわけですね。特に景気対策ということが声高に叫ばれる余り、行政改革の必要性が少し主張が弱くなってきたというふうに思いますが、これはぜひひとつ強力に推し進めていただきたいと思います。
 そこで、当面五十七年度の予算あるいは五十八年度の財政がどうなるかということをまず問題にしたいと思うのです。いま資料をお配りしてありますが、簡単な資料ですが、まず、五十七年度予算は、衆議院は通過をして、参議院も恐らく近々通るであろうと思います。しかし、予算委員会あるいは本会議等で議論されているところを集約しますと、五十七年度予算案の、特に歳入については非常に疑問視されている議論が多いわけですね。昭和五十六年度でさえ歳入欠陥が危惧されているわけですし、五十七年度は五・二%の経済成長をもとにしてこういう三十六兆円余の税収を見込んでいるわけですが、この議論は再々されておりますが、もう一度改めてこの五十七年度の税収なり税外収入なり、こういった歳入の見通しについて、ひとつ経済企画庁の立場からお考えを聞きたいと思うのです。
#208
○宮島説明員 お答え申し上げます。
 五十七年度の経済成長率は政府では実質五・二%というようにしておりますが、五十七年度のわが国経済を取り巻く環境を考えてみますと、まず、国際的には、先進工業国につきましてはインフレが大分おさまってくるであろう、もう一つは、景気も後半回復するであろうという明るい条件が考えられます。それから国内的には、これまで景気回復をおくらせておりました在庫調整もすでにほぼ終了しているということが考えられること、それから、第二次石油ショック直後の五十五年度、また五十六年度もマイナス成長に十―十二月期になりましたけれども、この五十五、五十六両年度に比べまして、五十七年度は内需を中心とした高い成長を可能とする条件が整いつつあるというように考えております。
 政府といたしましては、これまで内需の回復を図るべく経済運営を行ってきたところでございますが、御承知のように、先般の閣議におきまして、引き続き金融政策の適切かつ機動的な運営を図るとともに、五十七年度の公共事業等の執行について、上半期の契約率を過去最高の七五%以上とすることを目途として、現在各省庁で検討を行っているところでございます。こうした基本方向のもとで、わが国経済は五・二%程度の成長が達成されるもの、このように考えております。
#209
○小杉委員 大蔵省は、この五十七年度の税収を確実に達成できるというふうにお考えになっているかどうか。
#210
○水野(勝)政府委員 五十七年度の税収につきましては、ただいま経済企画庁からお話のございましたような経済見通しを大きくは背景といたしまして、そのもとにおきますところの経済見通しの中の具体的な諸指標を基礎にいたしまして計算をいたしておるところでございます。そういう諸指標をバックといたしまして、最近までの税収なり課税実績なり、こういったものを背景にして全体として計算しておるということでございます。
#211
○小杉委員 大蔵大臣にお伺いしますが、大蔵大臣は、よくてとんとん、下手すると穴があくかもしれないということを答弁されておりますが、そういう気持ちに変わりがないかどうか。そして、もうすぐに五十八年度の予算編成が始まるわけですけれども、たとえばこの表によっても、五十八年度の税収見込みは四十兆円を超えるということになっておりますが、それでは五十七年度の税収の見込み、あるいは五十八年度の財源の見通し、こういった点についてどんなお考えを持っておられるか。
#212
○渡辺国務大臣 この五十六年度の歳入見込みについては、よくてとんとんと思っておったのですが、なかなか愁眉を開くに至らず、憂慮の色を濃くしているというところでございます。
 五十八年、九年という問題については、世界の経済事情、日本の経済情勢等がわからないので、いまここで具体的にどうかということを申し上げられるような立場にございません。
#213
○小杉委員 いまの世界の経済状況とかあるいは日本の国内状況を見ますと、大蔵大臣が答えられたのが正直なところじゃないかと思うのです。少なくとも明るい見通しというのはなかなか立てにくいというのが現実の姿です。私は、その見通しが正しいか正しくないかということをここで論争するつもりは毛頭ありません。
 ただ、申し上げたいのは、五十八年度の予算編成はもうすでに大蔵省では作業を始めるところであるわけですが、この表でもわかりますように、恐らく税収もこれで目いっぱい、これより落ち込むかもしれない。あるいは税外収入も、これより大幅にふえるという見込みも立たない。また公債金については、赤字国債五十九年度ゼロということですから、これ以上やはりふやせない。もし仮にふやしたとしても、それは建設国債ですから、歳出の方もふえるということで、収支プラス・マイナス・ゼロということですから、そういうふうに考えますと、五十八年度の歳入というのは非常に厳しく見なければいけない。
 そうしますと、歳出の方で抑える以外にないわけですが、中期展望によりますと、いまのままで推移しますと、三兆三千七百億円の要調整額が要るわけですね。これを一番右端の試算IIのところで見るように、要調整額を一般歳出のみで削減すると仮定した場合には、もうことしも、左の方に書いてありますが、一般歳出をゼロシーリングだとかあるいは第一次答申を受けて思い切っていろいろな手を打って抑え込んだにもかかわらず、一・八%の増というところになってしまっているわけです。それのさらに六分の一の〇・三%の伸びに五十八年度を抑えなければ、この要調整額を消すことはできない、きわめて厳しい財政状況にあるわけなんですね。
 それで、昨年のいまごろは、大蔵省はある程度ゼロシーリングとかいろいろ具体的な方針を打ち出していたわけです。ところがことしは、五十八年度の予算の具体的なフレームがどのような形になるのか、どういう方針で五十八年度予算編成に臨むのか、そういったものが一向にまだ出てきていないわけですね。恐らくこれから各省とも予算編成で具体的な見積もりを出してくると思うのですけれども、それでなくても防衛予算は、いまアメリカでも公聴会でたびたび日本はもっと応分の負担をしろということで防衛予算の増額を突きつけてくるだろうし、また、公共事業も景気浮揚のためにどんどんふやせ、それ以外の一般歳出ももっとふやせという圧力が強まってくるでしょうし、また、福祉とか教育の面でも、この前の第一次答申に基づいて相当圧縮しているわけです。そうしますと、これを抑え込むということは、五十七年度と同じようにゼロシーリングをやると簡単に言っても、現実にはなかなかむずかしいと思うのです。
 ですから、私は、昨年以上にことしはもっと厳しい断固たる態度で、どういう方針で臨むのだということを少し早目に各省各局に示す必要があるのじゃないだろうか、そういう姿勢でないと、だんだん収拾がつかなくなってしまうというおそれを抱く一人ですが、大蔵大臣、どういうお考えでしょうか。
#214
○渡辺国務大臣 基本的な考え方としては、大体そういうことになるでしょう。これは国会審議中でまだ内部で相談しているひまが全然ないわけですから、予算でも上がって、この特例法でも上がらせていただけば、早速内部において、この非常に激変した経済情勢のもとでどうするか、鳩首協議をして方針を早く決めたいと思っております。
#215
○小杉委員 どうもそういう程度の話ですと、とてもちょっと心もとないのですけれども、では角度を変えまして、行政管理庁の方にお伺いをしたいと思うのです。
 いま、七月の基本答申を目指して四つの部会が精力的に作業を進めておりますが、マスコミ等で報道は断片的にされておりますけれども、これからの基本答申に至る見通しというか段取りというか、そしてどんな内容のものが答申に出されるのか、その点、概略で結構ですからお答えいただきたいと思います。
#216
○重富説明員 お答え申し上げます。
 まず、今後のスケジュール予定でございますが、五月中旬に一部会から四部会の部会報告を調査会に提出してもらい、七月に調査会としての答申を出す予定でございます。
 次に、基本答申に盛り込むことが予定されている事項でございますが、私どもとしては、できるだけ多くの事項を盛り込んで国民の期待にこたえたいということで考えております。
 具体的に申し上げますと、先月の二十九日に確定しました主要検討課題三十六項目のうち二十四項目を基本答申に盛り込む。その二十四項目のうち主なものを四つ、五つ申し上げますと、一つは、今回の行政改革を行う必要性または行政改革の基本的な考え方というものを示します行政改革の理念、それからもう一つは、農政、社会保障等いろいろ解決を迫られている重要な問題についての今後の基本的な方向、三つ目に、中央省庁を初めとします行政組織の問題、次に、公務員倫理の確立、公務員給与の問題等いろいろ解決を迫られております公務員制度の問題、それから次に、公共部門で働く職員の約六割、予算的に見ますと七、八割を占める地方行政の効率化、合理化の問題、それから国鉄を初めとする三公社五現業等の問題、こういうふうな問題を検討する、盛り込む予定でおります。土光会長の意向に従いまして、一本大きな筋の通った整合性のある答申を出すという予定で、いま審議に取り組んでおります。
#217
○小杉委員 この行革に対する大蔵省の取り組み方について、私は質問をしてみたいと思うのです。
 昨年の第一次答申というのは、いわば五十七年度予算に合わせるというような形で、できるだけ緊急的に間に合うものにしぼって答申を出したわけですが、今度の基本答申というのは相当長期的な基本的な問題を出すわけですから、これが直ちに第一次答申のときのように財源に結びつくわけのものではない、これは理解できるわけです。しかし、行政改革の一つの目的は、財政との関連というものが全くないということではないと思うのですね。やはり行政改革をやったからには、財政的に中期的に長期的にこういう一つの節減ができた、合理化ができたというものがなければ、何のための行革かということになってしまうので、私は、基本答申のいま御答弁のありましたいろいろ三公社の経営形態であるとかあるいは公務員制度であるとか、そういうものは直ちにこれは金目のものには結びつかないわけですけれども、しかし、基本答申の中で金に結びつけられるもの、直ちに節減合理化が可能なものについては、やはり大蔵当局は基本答申が出た後きめ細かにこれを拾い上げて、そして年次を決めてこういう財政計画で行くんだ、こういう節減合理化を図っていくんだというふうな対応をしなければ、私は、今度出される基本答申というのは作文で終わってしまうと思うのですね。
 それから、この前の第一次答申も大部分が予算化されたり法律に盛り込まれたわけですけれども、あの第一次答申の中でも検討事項になっていることがいっぱいあるわけですね。表を見ると時間がかかりますから見ませんが、たとえば教科書の無料制度については、あるいは奨学金の財源については民間の資金を導入することを検討するとか、いろいろ一〇〇%あの第一次答申は盛り込まれているわけじゃなくて、検討事項というのはかなりあるわけですよね。
 そういう問題も含めて、ただ単に基本答申が出たらそれを聞きっ放し、出しっ放しということじゃなくて、やはり財政を預かる大蔵省として、いついつまでにどのくらいの節減をするのかという、それは大蔵大臣が言われるようにすぐ五十八年度から、五十九年度から財源になるとは限らないと思うのですけれども、先ほど冒頭申し上げたように正念場が昭和六十年代ということになれば、やはり相当長いレンジで大蔵当局は計数化できるもの、数量化できるもの、計量化できるものについては、目標年次とフレームといいますか削減目標、そういったものを設定していくべきだと思うのですけれども、それについてのお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
#218
○西垣政府委員 基本的には御意見のとおりだと思います。
 五十七年度予算編成に当たりましては、厳しいゼロシーリングを設けるとともに、昨年の臨調答申を極力実行するということで、私どもとしては、きわめて厳しい五十七年度予算の編成ができた、こういうふうに考えております。
 五十八年度につきましては、その厳しさは先ほど言われたとおり五十七年度以上のものがあろうかと思います。そういった意味で、歳出の削減を通じて財政の体質改善を図るということでございますので、歳出カットにつきましては昨年以上に努力をしなければならない。こういった意味で、昨年の臨調答申の中でそのまま検討中として残っているものにつきましてはもちろんのこと、ただいま臨調事務局の方から今後の見通しについて御説明がありましたけれども、どういった内容になるかわかりません、わかりませんが、臨調で御指摘になったようなことはもちろん尊重させていただく、あるいは臨調で御指摘にならないようなことにつきましても、極力歳出削減の努力を重ねていくというようなことで、五十八年度の厳しい予算編成に臨んでいくということだと思います。
#219
○小杉委員 質問はいっぱい予定しているのですけれども、そういった先ほど冒頭申し上げた事情で、私はもう一点だけ最後に申し上げて終わりたいと思います。
 大蔵大臣、この予算が終わったらじっくりというお話でしたけれども、やはり早目に大蔵省の厳しい五十八年度予算編成に対する一つの方針なり考え方なり、そういったものを示す必要があると思うのです。そういうフレームというものを示す必要があると思うのですが、大体いつごろをめどに出されるおつもりでしょうか。
#220
○渡辺国務大臣 これは、実のところはまだ全然決まってないのです。予算が終わったらじっくりもしていられないから、予算が終わって特例法が衆参両院を上がったら、できるだけ急いで相談をしてなるべく早く出したい、そう思っております。まだ全然相談しておりません。
#221
○小杉委員 大至急それはひとつ検討して、出していただくことをお願いをして、また、きょう御出席いただいた各省庁の人には質問ができなくて申しわけなかったのですが、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
#222
○森委員長 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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