くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 大蔵委員会 第18号
昭和五十七年四月七日(水曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 森  喜朗君
   理事 大原 一三君 理事 粕谷  茂君
   理事 小泉純一郎君 理事 中西 啓介君
   理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君
   理事 鳥居 一雄君 理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      今枝 敬雄君    木村武千代君
      笹山 登生君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    中村正三郎君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      毛利 松平君    森田  一君
      柳沢 伯夫君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    与謝野 馨君
      大島  弘君    佐藤 観樹君
      塚田 庄平君    戸田 菊雄君
      野口 幸一君    平林  剛君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      渡部 一郎君    正森 成二君
      蓑輪 幸代君    小杉  隆君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山崎武三郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵大臣官房審
        議官      矢澤富太郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  勝君
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
        大蔵省主税局長 福田 幸弘君
        大蔵省関税局長 垣水 孝一君
        大蔵省理財局長 吉本  宏君
        大蔵省証券局長 禿河 徹映君
        大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆司君
        大蔵省国際金融
        局次長     大場 智満君
        国税庁長官   渡部 周治君
        国税庁次長   小山 昭蔵君
        国税庁調査査察
        部長      岸田 俊輔君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局取引部流
        通対策室長   山田 昭雄君
        防衛庁防衛局計
        画官      宝珠山 昇君
        法務省刑事局刑
        事課長     飛田 清弘君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 小倉 和夫君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部施
        設課長     深田 彰一君
        会計検査院事務
        総局第四局農林
        水産検査第一課
        長       黒田 良一君
        日本国有鉄道常
        務理事     半谷 哲夫君
        大蔵委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出第九号)
     ――――◇―――――
#2
○森委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言申し上げます。
 一昨日、昭和五十七年度総予算が成立いたしましたことに伴い、去る三月七日の衆議院議長見解で示された小委員会設置問題につきましては、理事会において協議の上、可及的速やかにこれを設置することといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
     ――――◇―――――
#3
○森委員長 昭和五十七年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。正森成二君。
#4
○正森委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、先ほどの理事会でも種々論議がありましたが、私どもとしては、やはり公式の委員会の席で一言申し上げておきたいと思います。
 昨日の新聞及びけさの新聞にも出ておりますが、ある新聞では「自民党は、六日午前の役員会及び総務会で、五十九年一月に導入を予定していたグリーンカード制を見直し、実施を延期する方針を正式に決めた。」云々というリードの後で、田中六助政調会長は「すでに鈴木首相はじめ、グリーンカード対策議員連盟の金丸信会長、山中貞則・党税調会長らと協議した結果、1制度実施を三年間延期することとし、今国会中にそのための所得税法付則改正の議員立法を行う2延期の間、税制のあり方を総合的に見直す――との方針を固めている。自民党は、同日の正式決定を受け、今週中にも政府・自民党首脳協議で「三年間延期」を明確にする方針だ。」こう書いてある。
 また、別の新聞ですが、同様なことが書いてありまして、「政調会として再検討したいと発言、了承を得た。」田中六助政調会長です。「政調会のこれまでの検討では1制度の実施を三年間延期する2この間、利子・配当の源泉分離選択課税制度(税率三五%)は存続する3このため、今国会に議員立法の形で所得税法改正案を提出、成立を図る――といった案が浮かんでいる。」云々というようになっているのです。私どもが非常に重要であると思いますのは、この一部の新聞には「鈴木首相はじめ、グリーンカード対策議員連盟の金丸信会長、山中貞則・党税調会長らと協議した結果」こう書いてある。
 それで私ども共産党は、二年余り前にこの制度が所得税法改正として審議されましたときに、そもそもグリーンカードには反対でありました。これはこの席で明確にしておきますが、それはプライバシー侵害のおそれがあること、非課税の貯蓄を厳重に管理しながら課税貯蓄についてはしり抜けの面があること、あるいは預金のシフト等々二、三の理由を挙げて反対したわけです。しかし、そのことと、一たん決まった後で総合課税の方に向くという姿勢を全く変えてしまって、グリーンカードを実施しなくても総合課税にはこうこうすればできるというようなもっといい案があってお出しになるなら別ですが、そういう方向が全くなしで、グリーンカードはやらないわ、それに変わるべき案はないわ、分離課税の三五%はそのまま野放しだわということでは、余り政権政党として身勝手過ぎるのではないかと言わざるを得ないのです。
 こういう新聞等の報道について、きのうまで大蔵委員会で審議されましたことよりも、きのうの夕刊、きょうの朝刊と世間の声がさらに前進しておりますので、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
#5
○渡辺国務大臣 そういうような新聞を私も見ました。そこで、いまも山中税調会長にも聞いてみたのですが、何ら協議した事実はないというお話でございます。それから総理大臣も、延期することに同意したということもないようでございます。私は所管の大臣でございますが、私のところには何も言ってきておりません。
 そこで、きのう私が田中政調会長に電話をいたしまして、一体どういうことなんだという話をしました。幾ら議会は議会、政府は政府と言っても政府・与党の間柄なんだから、所管の長に連絡なしでいろんなことを決められては困りますよという話もしました。いや、もちろんそれは連絡するよということでございましたが、いまだに具体的にどうこうしたいという話は来ておりません。
 私といたしましては、かねてから、いろいろ問題点があるということはこの委員会でも言っておるわけですから、そういうような周辺整備を急いでやったらいいよという気持ちは変わっておりません。しかしながら総合課税という方向で法律どおり、予定どおり実施をするということで、政府としては、目下それ以上のことは考えておりません。
#6
○正森委員 大蔵の事務当局に伺いますが、主税局長がおればもっといいのですが、ある新聞には、きょうの朝刊ですが、大蔵省の福田主税局長は六日の記者会見で、自民党がグリーンカード制度の見直し方針を決めたことについて「総合課税移行で所得税負担が高くなることはわかる。できれば五十八年度からでも累進税率の緩和を図りたいと語った。」こう書いてあるのですね。
 そうしますと、この表現だけだと、庶民が一番望んでいる四人家族で二百一万五千円という課税最低限の問題については触れていないのに、累進税率の緩和だけを図るというのが先に出ておるということになって、庶民感情から見ても非常に問題であると思うのですが、事務当局は本当にこういうぐあいに考えているのですか。
#7
○水野(勝)政府委員 所得税制につきましては、最近の税制調査会でもたびたび取り上げられているところでございますが、基本的な検討といたしましては、一昨年の十一月の中期答申があるわけでございます。それから近い答申といたしましては、昨年十二月の税制改正答申があるわけでございます。
 中期答申におきましては、この所得税の税率の点も取り上げていろいろ検討をいただいているわけでございますが、たとえば、そこには「我が国の税率構造については、最低・最高税率の水準を含め、今後、個人所得課税の負担水準のあり方、利子・配当所得の総合課税への移行等租税特別措置の整理合理化の実現による課税標準の拡大等を踏まえつつ、そのあり方について検討を加えることが必要である。」というふうな御指摘もいただいているわけでございます。また、昨年十二月の五十七年度税制改正答申におきましては、控除、税率等が長年据え置かれるということはいろいろ問題も出てきますので、できるだけ早くそういったものの見直しが行われるような環境ができることを期待するような御答申をいただいているわけでございまして、そういった点も含めまして、幅広く今後勉強はいたしたいと思っているわけでございます。
#8
○正森委員 同時に、きょうの別の朝刊を見ますと、「グリーンカード制の見直しを自民党役員会、総務会が決めたことに対して、大蔵省は六日、「あくまで予定通り実施する」との方針を確認するとともに、Gカード制度実施の障害を少なくするため、1所得税の最高税率の引き下げ2郵便貯金、マル優預金などの非課税限度額を現行の三百万円から五百万円に引き上げる――などの方策も検討し始めた。」こうなっておりますが、これが本音なんじゃないですか。このことによって、できれば自民党側と話し合いをして結着をつけたいということではないのですか。この報道について、大蔵省はどう考えておりますか。
#9
○水野(勝)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げておりますように、この問題につきまして、特にいろんな方面から特別の御指示があって何を検討している、そういうことはございませんので、そういうふうな記事にございますような具体的な検討が行われているということは、私どもとしては、記事としてはいかがかという気がいたしておるわけでございます。
#10
○正森委員 大臣、しかしいま言った二つのうち、一つはもう大臣の持論ですね。たびたび予算委員会、大蔵委員会で言われています。それから二番目の点も、いままで何回か新聞にちらちら出たありそうなことで、大蔵省としては、一たん決めたものをお蔵にするのもこれはできない。しかしこのままで突っ走ったんじゃ、自民党三百人近い署名があるということで、まずまずここらかというようなことを心の底では考えておられるんじゃないですか。
 もしそうだとすると、やはり総合課税を推進してほしいという庶民の願い、私らはグリーンカード制度による総合課税というのには賛成できませんけれども、しかし、いいところだけを食って悪いところはやめさせるというような、自分たちの利益から見てですよ、というようなことはいかがかと思うのですけれども、大臣としての御見解を、いま先ほど挙げました二項目の報道について伺いたいと思います。
#11
○渡辺国務大臣 分離課税を残すとか非課税の枠を広げるという話は、実際のところまだ検討してないのです。
 問題なのは、去年一年間に仮に三十五兆円、個人の預金とか何かの金融資産がふえた。ところがそのうちどうも、これは推計ですから、しっかりした、きちっとしたものははっきり言えないかもしれませんが、おおよそ二十二兆円程度のものが非課税貯蓄がふえてるんですね。急激にふえている。分離課税の分とか総合課税の分というのが、どうも推計から見て幾らもふえてないんですね。ですから、果たしてみんな分離課税というなら、分離課税制度があるんですからふえているんだけれども、三十五兆円のうち、課税貯蓄というのは大体六兆円ぐらいじゃないか。そのうち分離課税が二兆円、それから総合課税分が四兆ぐらいかな、あとは二十二兆ぐらいのものが郵貯、マル優、特別マル優、財形というようなことで、みんなこれは非課税になっているんだけれども、本当に一人三百万とか、合計九百万とかという枠が守られているのかどうか、私は、非常にこれを見て疑問に実は思っているんです。
 本当に非課税をやるのならば、たとえば国債なんというのはふえるんならいいけれども、二十二兆のうち、特別マル優というのは一兆六千億円、二兆円弱じゃないか。その方は枠がだぶだぶあるわけですね。それがなくて、要するにマル優、郵貯のところだけががばっとふくらんでいるのですから、私は、こういうことを見ても、余り好ましくないということであって、特別マル優なんかのふえ方がもっと多い、大体みんな目いっぱい入っているというなら別ですけれども、そうでない状態の中では、ただ銀行預金だけがオーバーしているようだから、そこだけをうんと広げてしまうというようにはいまどうしても考えられないわけです。
#12
○正森委員 私の質問にはずばりとお答えにはなっていない。回り道の御答弁ですけれども、いままでこの委員会でも何回か御表明になった御見解ですから、本日はそれぐらいにしておきたいと思います。
 必ずしも速記しなくてもいいんですが、主税局、どうして主税局長が来ないのですか。水野審議官でお答えができないなどという失礼なことを言うわけじゃありませんが、きょうこれから私がする質問は、全部、福田主税局長が過去に言ったことに対して、事実と合っているあるいは合っていないという議論になるわけです。それを答弁もしていない水野さんに、あなたの言ったことは違うじゃないかと、こう言っても議論にならないので、福田主税局長が何をしているのか。なぜ本来の自分の委員会である大蔵に出てこないのか、その理由を言うてください。
#13
○水野(勝)政府委員 私ども、委員会でもお聞きをいたしておりましたし、また議事録も十分勉強さしていただいておりますので、主税局長がこういうことを御答弁し、それが事実関係がどうという点につきましては、全く主税局として私どもお答えはできますので、その点は御了解をいただきたいと思います。
#14
○正森委員 私はそんなことは聞いてないのですよ。なぜ出てこないかと聞いているのです。
#15
○水野(勝)政府委員 ちょっと私、出てくるときには、所用があるということで、私がかわりに参りました。直ちに聞いてはみますが、御了解いただきたいと思います。(発言する者あり)
#16
○正森委員 いま、大臣が出てきているのだからいいじゃないかというような御発言がありましたが、それは逆だと思うのですね。大臣が出てきておられるのに、担当の局長が出てこないのは何事かということになるのです。私は、大臣が出ておられれば、それは一省の責任者として十分で、しかし、答弁では、主税局長の責任において答弁したことがあり、予算委員会では、大臣が言われる前に、税収に欠陥が起こったらこれは主税局長の責任だということを飛び出して先に答弁したいきさつもあるんですね。
 私は一月三十日に、すでに予算委員会の始まる前に質問して、税収欠陥が生じる可能性があるということを指摘しておきましたが、それから約二カ月半たちました。本当は六月段階、七月段階になってから、これはもう議論の余地なく結論が出るんですから、そこで議論をしなければなりませんが、その中間的な問題として議論をしなければならない。
 財政特例法というのは、税収の欠陥があるからこそ特例債を発行しなければならないのでしょう。だから、ある意味では、主計局よりも主税局の問題なんですね。あるいは理財局よりも主税局がもとにあって、そこが一生懸命やったけれども税金が集まらないから、申しわけないがということで特例債を発行し、主計局はそれによって歳出の計画を立てる、こうなっているのでしょう。それが十分な確固たる理由がなくて出てこないとは一体何事ですか。私は当然出てくると思うから、質問を組み立てて、私の第一問も主税局長に対する質問になっている。言語道断じゃないか。それで本当に特例法を通そうという気があるのか。委員長、私は主税局長が出てくるまで、私の質問を留保させていただきます。
#17
○森委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#18
○森委員長 速記を始めてください。
 大蔵大臣。
#19
○渡辺国務大臣 実はドイツとの租税条約の問題がありまして、いまラムスドルフが来ておって、きょうくらいしかいないものですから、ちょっと問題点がございます、そのことで話をしているということでございますが、ただいますぐ出席をさせますから御了承を願います。
#20
○正森委員 そういう外交的な問題も含めて用事があれば、それは私もおくれることは快く了承します。しかし水野審議官、あなた出てくるときにそれくらいのことは聞いて出てこないといかぬよ。審議官にそれを言うのは酷なんで、審議官に出てくださいと頼む者が――文書課長おらぬか。えらいあちらこちらに当たって悪いけれども、大蔵省顧問として言うと、そういうところがやはり、ちょっと一言言えば議員としては気持ちよく質問をできるわけで、とっぱながこれだと議員の質問もついがっと声が大きくなるということになりかねないから、以後注意してください。
 それでは水野さん御苦労さん。あなた、責任もないのに気の毒なことをしましたけれども、それでは福田さんのかわりに答えてください。
 主税局長は三月十七日の大蔵委員会で、同僚の塚田委員の御質問に答えて、税収の今後の最大のファクターというのは法人の三月決算にあるということをたびたび言明をしているんです。三月十七日の議事録を私持ってきましたが、議事録を見ていただけばわかることですが、十七旧の議事録を見ますと、一月税収は前年比一〇・九%と今年度最高の伸びを示した、特に大法人が九月期は二三%、十月三〇%、十一月二〇%と伸び、中小も最近はよくなっている、こう述べているんですね。
 ところが、二月以降法人税だけをとっても、あなた方がことしの三月八日にお出しになりました「昭和五十六年度一月末租税及び印紙収入、収入額調」というのがありますね。それを基礎にして私たちが計算をしたものですけれども、法人税だけをとってみまして、補正後あなた方が予定しておられる税収確保のためには、二月から年度末まで三二・五%で伸びなければいけないんですね。これは機械的に算出できることです。ところが、法人税以外の税収がすべて予定どおり伸びる、これは、あなた方が確保するためにはこれだけ必要だと言っているのが、法人税以外は三五・五%なんですね。そして二月から四月までの法人税収が、一月に前年度比で伸びたその率と同じ、つまり一〇・九%で伸びるとして、三月決算の五月に出てくる法人税収は前年同月比四三%の伸びが要るんですね。これは機械的に出てくることであります。
 ですから、二〇%やそこらの伸びではとうてい追いつかないんです。仮に計算を少し変えまして、法人税以外の税収が一月の前年同月比一二・五%、これは一月段階での実績ですが、それで二月以降も伸びる、そういうことで同じ計算をしますと、三月決算の法人税収は八一%伸びる必要があるわけです。こういうことはまず不可能だと言ってもいいんじゃないですか。
#21
○水野(勝)政府委員 先生のお示しの数字につきましては、大体御計算のとおりかと思います。法人税について言えば三二%でございます。これを、この二月以降の法人税収につきまして過去の例を見ますと、いろいろばらつきがあるわけでございまして、高いときは五〇%のものもございます。あるいは一〇%のものとかいろいろございまして、これは全く今後の予測でございますが、先生のような計算での八割云々ということはなかなかむずかしい面もあろうかと思われますが、いずれにしましても、なおこれは五月末になってまいりませんとはっきりいたしませんので、確たることは申し上げられないわけでございます。
#22
○正森委員 五月末にならないと確たることは言えない、それは一〇〇%確たることは言えないですよね。しかし、確たることが言えないと言って済ましておったんじゃ、そもそも予算は編成できないし、補正予算ももちろん編成できないしということになるわけで、それをある程度ほぼ確たる見込みで予算というのは編成するのですからね。それが崩れてくる可能性が非常に大きいんじゃないかということを指摘しているんです。
 さらにもう少し詳しく言いますと、二月十日のわが党の岩佐議員の質問に対して、予算委員会で主税局長はこう答えているんですね。鉱工業生産は計算上非常に影響する、鉱工業生産がふえれば税収も上がるということを言うた上で、前年同月比で十月は五・八%、十一月は六・八%とよくなっている、こう言うているんですね。ところが、その後よくなっていないんじゃないですか。
#23
○水野(勝)政府委員 その点は御指摘のとおりでございまして、鉱工業生産は、夏ごろから年末にかけまして毎年一%程度ずつ上昇してまいったわけでございます。そういった点をある程度織り込みまして推定をいたしておることは事実でございます。
 その鉱工業生産が、年末から年が変わりまして三%台に落ちてきているという点があるわけでございまして、最近出ております二月分につきましても三・三%というのがあるわけでございます。そういった点からいたしまして、私ども、ここへ参りまして若干心配をいたしているわけでございまして、二月以降三月までの鉱工業生産がどうなっているか、そこらの点も織り込みまして、いろいろ心配はいたしておるわけでございまして、若干どうも先般の三・四半期の経済活動の様相といい、そういった点を考えますと憂慮はいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げておりますように、確たる点は若干まだはっきりしないのでございます。
#24
○正森委員 数字がもう出てしまっているから、しようがなくて正面におっしゃったんですが、経済企画庁が出している五十七年三月十一日付の月例経済報告というのがございます。
 それを見ますと、いま水野審議官が言ったことが載っているんです。これで見ますと、主税局長が申したのは、十一月までの伸びで、五・八から六・八と、こう伸びていたんですが、今度は十二月からがくんと落ちて、十二月が四・三、一月が三・五、二月が三・三というように、ずっとこう下降しているんですね。主税局長みずから、鉱工業生産は税収の計算上影響いたします、こう言っているのは、主税局長のは、こういうぐあいに伸びていたからその延長線上ならうまくいくだろう、ところがそれが逆にぐっと物すごい速度で落ちているわけですから、法人税の税収がそんなに上がるわけがないんで、事務当局も心配しております、こう言わざるを得ない、こういうぐあいになっているわけです。
 大臣に御意見伺う前に、もう少し数字を挙げますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
 また水野さん、えらい悪いけれども、主税局長は同じく三月十七日の塚田委員の質問に対して、二月調査の日銀短観で五十六年下期は経常利益が前期比三九・一%伸びとなっており、十一月調査三五・一%よりよくなっている、つまりよくなるから大丈夫だ――御苦労さん。それじゃいいですか。もう一度言いましょうか。
 主税局長、いままで二、三やりとりがありまして、どうもあなたがお答えになったことがずっと議論になっているのです。それで、いまこれから言いますのは、あなたが三月十七日に大蔵委員会で同僚の塚田委員にお答えになった論点で、二月調査の日銀短観で五十六下期は経常利益が前期比三九・一考伸びとなっており、十一月調査三五・一%よりよくなっている、こう言っておられるのですね。ところが、税収の立場から経常利益を見る場合には、前期比というと九月との比較ですが、そうではなしに前年同期比、つまり五十六年三月に対する五十七年三月比で見るべきではないかというように思うのですね。そうでなければ正しい比較ができないわけですから。
 そうしますと、ここで、日銀短観を持ってきましたけれども、どうなっているかといいますと、全産業ではプラス四・六、それから製造業では二八・八、非製造業ではマイナス二五・九%へこういうぐあいになっておる上に、局長の言う十一月が三五・一で五十六年下期は三九・一というのは、落ち込みの激しい電力やガスを除いた数字なんですね。ですから、これは非常に過大な数字をお挙げになったんじゃないですか。
#25
○福田(幸)政府委員 出席がおくれまして申しわけございませんでした。
 御指摘の税収の関係で日銀短観を引用してお答えした部分についての御質問だと思います。これは、経常利益のところで数字を、除く電力、ガスの経常利益対前期比で申し上げた数字が三九・一であるということで、十一月時点が三五・一であるということです。われわれ、税のときではあらゆるいろいろなものを見ますけれども、日銀短観のところで、電力、ガスはいろいろな為替等で影響がありますから、除く電力、ガスの経常利益のところ、ただ経常利益は税収にはそのまま響きません。これは御承知のとおりです。それでそのサイドチェックというか、一つの景気の景況感を見るのに使うというのが、日銀の見方というのがわりにセミオフィシャルな感じでございます。その見方で三五・一が三九・一になったというところが、それは大体聞き込みでやっておるようですけれども、そういうふうな景況感がそこで前期比でよくなっているということを申し上げたわけです。おっしゃるように、税の面では対前年度というのが正しいと思いますね。ただ、それは直ちに税収の方にはそのまま使えませんので、ただ景況感を見るという意味で申し上げたというふうに御理解願いたいと思います。
#26
○正森委員 主税局長が来ておられませんでしたので、前のことをちょっと言っておきますと、鉱工業生産が税収の計算上影響する、あなたはこう言われて、二月段階では十月五・八%、十一月六・八%とよくなっている、こう言われたのですけれども、その後その鉱工業生産が十二月四・三%、一月三・五%、二月三・三%というように急激に下降しているじゃないかということも指摘しまして、水野審議官は、非常に心配しておるということをあなたにかわって、大蔵省はだれが答弁しようと同じことである、こういう前置きの上で答弁されたから、これはあなたの答弁だと思っておきます。
 そこで、さらに次に行きますが、三月期の企業業績というのが三月の法人税収に非常に影響するんですね。これは論をまたないところですが、これについて民間の証券会社系の調査機関が大幅に全部下方修正しているんですね。これは御承知のとおりで、三月末の新聞に載りましたが、たとえば野村総合研究所というのは、五十七年三月期の経常利益が前期比三二・三%伸びると思ったのを一二・三というように下方修正しているんですね。これはほかの山一、大和、日興、皆似たようなものですから数字は省略します。
 それで、五十六年度下期の大企業の経常利益の見通しというのを、私の方の事務局が四月六日、つまりきのうですね、一番新しいのを野村、日興、大和、山一に電話で聞いたのです。そうすると、こういう答えであります。これは、いずれも金融と保険を除く一部上場の企業ですね。それで野村総合研究所の場合は三百九十一社に当たった結果、全産業で見れば、前年同期比の経常利益というのは全産業でマイナス五・六%なんです。製造業全体ではプラス二一、それから日興リサーチセンターでは、全産業ではマイナス三%、製造業で二八・二プラス、大和証券では、全産業ではマイナス五%、製造業でプラス二二%、非製造業はマイナス三四%、山一経済研究所では、全産業ではマイナス四・二%、製造業ではプラス二五・一%、非製造業マイナス三五・八%、こういう数字で、非製造業の落ち込み、特に電力が足を引っ張っているというのが各調査機関の共通の言明であります。
 そうしますと、これらを総合しますと、全産業で大体三%から五・六%の間で経常利益が落ちると見ておる。製造業ではやっと二一から二八・二ふえる。しかし非製造業では三十数%のマイナスであるというのが冷厳な事実なんですね。そうしますと、これは比較的景気のよい大企業の場合でもこうだということになりますと、不況で十分立ち上がり切っていない中小企業の指標というのは、これは非常に多くを期待できないということにならざるを得ないんですね。
 そうしますと、あなたが一番問題なのは法人税だ、それも三月期だと言っているその三月期にかける期待というのは、余り多くを望めないのではないかというように思いますが、いかがですか。
#27
○福田(幸)政府委員 お答え申し上げます。
 われわれも民間機関の資料を随時とっております。最近の数字は、言われるようなことがあると思うのです。しかし、われわれが当面をいたしておった時点は、日興リサーチで、これは五十七年三月の数字、野村が五十六年十二月の数字だったわけです。五十七年三月が由一、その他ずっとわれわれ持っております。それで景況感というか今後の伸びを見るものですから、税収、まあ対前年同期比というよりも前期比のところで角度のところを見たいものですから、そうしますと、さきの日銀のように一三九・一というのがありますし、日興リサーチは三月ですけれども一二八・七というようなのがございます。お手元にあると思うのですが、野村総研が一三九・一という数字を十二月に出しております。その後の数字は、確かに電力と石油化学系統には為替の影響が非常にあらわれてきておるのが、最近われわれの聞き取りの感じです。それは最近の円安の問題が、これは二月税収に影響するかもしれないというので、いま作業中で、近々発表できると思うのですが、そういう最近の時点におけるところの問題が、各証券会社の最新時点での先生のいまおっしゃったような感じになっておると思うのです。
 しかし、いままでのところは、そういう問題を除きますと、角度の見方としては――それともう一つ申し上げたいのは、経常収支でございますので、黒と赤を相殺しておるわけですね。そうすると税収の場合は黒だけで、赤は赤でそのままで、赤のところは赤、こういきますから、そのグロスとネットの差という問題は、税収で見るときにはまた調整いたします。
#28
○正森委員 それはもちろんあるでしょうね。しかし主税局長、角度の面から言うとよけい事態は悪化しているんじゃないですか。あなたの十二月段階ではこうなっていたのが、それ以後こうなっているのですから、角度から言えば、福田主税局長の立論をもってすれば、どうもますます心配でございますということにならざるを得ないんで、そして十二月段階の予測よりも三月段階の予測の方が、大企業法人の税収にとってはより大きな影響力を持つことは事実ですからね。ですから、私は、何もあなたが二月段階にそれ以前の数字をもとにして言ったことをうそをついたなんと言っているんじゃないのですよ。その時点では、それはそれで正しかったでしょう。しかし、その後二カ月有余たった結果となっては、そのときの見直しは若干修正しなければならないんじゃないか。
 だからこそ、大蔵省一体でございますと言って先ほど答弁した水野審議官は、非常に心配だということを言って楽観的な口調は全くなかったということになっているんですね。これはあなたの副官みたいな人でしょう。うなずきましたから、そうだということのようでありますが、そうしますと、法人税に非常に足をかけておる、頼りにしておるという点がなかなかしんどいということは非常にはっきり出てきたと思うのです。
 それからその次に、主税局長は、税収確保の点では、一方では法人税、一方では申告所得税、これが二つの柱だという意味のことをあちこちで言うておられますが、申告所得税について見ますと、三月十五日の確定申告で三月税収としてばっと入うてくるわけですね。来月の初旬に公式発表があると思いますが、いますでに三週間たっているわけですから、その中間の時点で大体のことがおわかりになるはずだと思いますが、いかがですか。すでに昨日の朝日新聞では、申告所得税というのもおおよその集計では余りうまくない、それで大蔵省はいよいよ腹を固めて、これはもうあかんという気持ちになったらしいと、俗な言葉ですよ、そういう意味のことが一面に書いてあるんですね。御見解を承りたいと思います。
#29
○福田(幸)政府委員 お答えします。
 法人は、確かにだんだん決算が近まれば各社ごとの数字が見当がついてきますので、そういう意味で確度が高まってくる。しかし決算を締めますので、そのときにやはり配当を考えたり各社考えますので、どういうふうなことでやるか。資産処分をやってでも利益を出したりいろいろなことをやったりしますので、これはその辺も決算を見なければわからぬ。しかし全体的には、やはり円安というのが本当は貿易の方にはね返ってプラスになる形が普通のパターンであったのが、貿易摩擦でそこのところがそのままあらわれない。輸入の方に依存するところで円安が去年と反対の形で電力それから石油化学に影響しているという、率直に申し上げてマイナス要因というか、われわれの見方としては不安要因ということで懸念はいたしております。ただ、数値としてどうなるかは、さきの日銀短観だけが反対に上方修正したのですが、ほかのところは下方修正を最近やっています。そういう状況の中でこの決算を見たい、こう思っています。
 それから、いまの申告でございますが、これはわれわれとしては、税収ベースというのは今度八日になると思いますが発表しますのは二月分でございます。あと国税庁の方が申告状況の感触というか税務署からの連絡を受けたりしながらやっておると思いますが、われわれは、税収の確定というのはやはり三月の分というのが四月の終わりになってわかってくるという、ふだんの月と同じ計算でございますので、申告状況の感触でしたら国税庁でございましょうが、税収としてお答えできるのは、やはり四月の終わりに例年ともその感じがわかってくるということでございます。しかし余り、いいか悪いかはやはり今後の非常に懸念材料であります。
#30
○正森委員 主税局長も、いいか悪いかはまだ確定的に言えないけれども懸念材料だ。主税局長はわりと強気ですよね、役目上やむなく。だけれども、その主税局長も、懸念材料でございますということで余りいいようには見ておられないということなんですけれども、これはよほど伸びないと補正後予算を確保できないということになるんじゃないでしょうか。私の方の見方では、大体去年が一兆二千六百億円ぐらい三月の申告所得税があったということになっておるようですが、それが大体四〇%弱ぐらい伸びないと補正後予算には追いつかないということになるんじゃないですか。
#31
○福田(幸)政府委員 手元に数字を持っておりませんが、補正後の数字に達するには、いままでの実績との差額ですから、そういう数字があると思いますが、いずれにしましても、これは計数としてまだ確報を得ておりませんので現在申し上げられない。しかし、経済環境のもとでどういう税収が報告されるかという点については非常に関心を持って、懸念を持って見守っております。
#32
○正森委員 それから最後に一つ。
 ほかにいろいろ聞きますとずいぶん長くなりますので、物品税というのは比重はそれほど多くないのですけれども、局長が予算委員会段階での答弁では、物品税のことを大分よくなったよくなったと言っているのですね。
 それを一応もう一遍おさらいをしますと、前年比二カ月連続十二月二一%、一月二〇・九%と伸びている、これが続くかどうか、こういうことで、競馬か野球の予想みたいに、これが続くかどうかなんというのはなかなか名言だと思うのです。しかし、二〇%台が続いても補正後の確保はできないので、物品税について計算してみますと、二月以降は、一月まで出ておりますから五九%の伸びが必要なんですね。しかも局長は、乗用車の新車登録が伸びているという例を挙げて九月が一〇・四%、十月一〇・一%、十一月一一・六%と、こういうことで非常にいいんだと言われたのですが、その後経企庁の出している月報を見ますと、十二月が二・二%、一月〇・〇%、二月五%というように、がくっと落ち込んでいるのですね。これは疑いのない事実であります。
 そうすると、物品税というのは、比重では申告所得税や三月の法人税に比べれば大したことはないとはいっても、やはりこれも非常に状況は悪いということになるんじゃないですか。
#33
○福田(幸)政府委員 お答えいたします。
 物品税は比較的いい姿で推移をしているのが一つの安心材料、安心までしてはいけないのですが、やはり十二月二一、一月が二〇・九と不思議に物品がうまく継続しています。ただし、おっしゃっているように、これからの伸び率は相当なものでなければいけないと思うのですね。増税分も入ってまいりますけれども、自動車の方は登録台数が最近落ちたということはありますけれども、わりにいい姿というのは、やはり輸出に向けられないわけですね、輸出に向けられないので国内市場に非常に力を入れておる。国内市場に売る分は物品税が入るわけですね、輸出分は物品税入りませんから。そういうことであろうと思うのですが、物品税については、わりにいま見ている数字はいいので、これがやはり国内の需要というものとどう結びつくかが非常に解明し切れない点があって、これだけでいいとは言い切れない。残りの差額として大きなものを期待せざるを得ないので、おっしゃっている点は、われわれとしても非常に関心を持っておるところです。
#34
○正森委員 直接はお答えにならずに、数字を挙げて、物品税はわりといいのです、こう言われましたが、率直に言って、この程度の物品税でいいと言わざるを得ないぐらい、ほかは悪いのかということを言わざるを得ないのですね。自動車が一〇・四、一〇・一、一一・六と新車登録が伸びているというのが、十二月は二・二、一月〇・〇、二月五・〇というように落ち込んでいると言っても、それに対しては直接の御反論がない、あるいはできないということでしょう。それから、新規課税分で十月庫出しで一月分から反映するということを相当言うておられたのですが、新規分は増収七百五十億円のうちの暫定ベースだから二百五十億円ぐらいで、これは比重としてはそんなに大したことはないというように言わざるを得ないのですね。
 そうしますと主税局長、どうも法人税はそう伸びない、申告所得税もどうもあれだ。物品税といってあなたが誇らかに挙げた数字もやはりおりておるということになりますと、昔南北朝時代に南風競わずという言葉があったけれども、どうも主税局競わずというような感じで、余り税収について安心はできないという状況だと言わざるを得ないのですね。
 そこで大蔵大臣に伺います。以上、技術的なことを長々と申し上げて失礼いたしましたが、以上のような状況を見ますと、四千億余り補正を立てましたが、その補正後の税収に比べても、相当程度の税収の見込み違い、ほぼ数%というものは出るのじゃないかと覚悟をしているあるいは心配しているということを、きのう同僚の戸田委員に対してお答えになりましたが、これは御心配としてはやはりそういう御心配は妥当じゃないかと思いますが、いかがですか。
#35
○渡辺国務大臣 私は、計数の専門家じゃないので、直観的に物を見ているのです。税収の見積もりというのは、これはなかなかむずかしいものでありまして、過去ずっと昭和四十年からなかなかぴしゃっと当たるということはめったになくて、大体一〇%前後上下に振れがあります。多いときは当初予算に対して、狂乱物価のころは名目に課税していますから一〇%、二〇%取り過ぎた。それから五十年のように不況のときには今度は二〇・七%も不足、これは見積もり過大、こういうことがございます。
 そこで、今回は物価が非常に安定してしまっておって、狂乱物価のときと正反対。だからといって、私は、二〇%なんという見積もり違いはない。一〇%か、一〇%もないだろう。数%だ。数%として上か下か。数%も一から二%、三%から九%までありますから、数%は幅が広いが、これはいまいろいろなことを言っておっても、大勢はもう余り動かぬと思うのですね。確かに部分的にはいいところがあります。だけれども、大勢は余り動かないのじゃないか。私の第六感ですよ。当たらないかもしらない、積み上げ計算じゃないから。大局的に見ているわけですから、過去の物価とか何かの関係から見て。したがって、当初予算に対して、数%でも高い方の数%になる可能性も場合によってはあり得ると私は思っております。
#36
○正森委員 非常に率直なお答えでした。
 大臣は、数%といえば一から九まであるというようなこともちょっと言われましたが、そうではないので、日本語として数%といえば四、五%ないし五、六%ということですね。ですから、高い方の数%もあり得るということは、五、六%があり得るということは……(「もっと高いのだよ」と呼ぶ者あり)もっと高いですか、なるほど。しかし、ここは執行猶予で、日本語の普通の見方としては九%という数%はないわけで、普通は五、六%を数%と言うのですから、私としてはそういうように承っておきたい。数%といたしますと、大体一兆五千億あるいは下手すると一兆七、八千億ということになるわけですね。
 そうしますと、大臣、決して二カ月半前のことを申すわけじゃありませんが、ここに一月三十日に私があなたと議論したものを持ってきました。このときに私が、補正後でもなおかつ一兆五千億円くらい出るのじゃないか、こう言うたのに対して、いや、わりといい税収のあれだから、何とかいけるのじゃないかと考えておるという御答弁で、そのときに私は、どちらの見通しあるいは良心が正しいかということは六月にはわかるでしょう、こう申しておいた。六月でなければまだわかりません。現在は四月です。しかし、その段階で大臣が率直にお答えになったということは、やはり一月段階の見通しに若干無理があったということだと思います。
 ただ、あえて申しますが、これは大臣の見通しが悪く、私の見通しがやや正しかったというふうな不遜なことを考えているのじゃなくて、それは立場の相違だろうと思います。大臣としては、十分にそういう先見性、見通しは心の一部にはあっても、言えない立場の役職についておられる方であったというように理解したいと思うのですね。これはやむを得ざることである。しかし、やむを得ざることであっても、予算が通りました現在となっては、やはり起こり得る一番高い可能性に対して事を備えなければならないということだと思います。
 それで、予算も通りましたので、率直に御質問いたします。主計局に次は聞きます。
 税収不足が起こります場合に、大臣は二〇%から狂ったことがあると言われましたが、これは当初予算に対してなんですね。補正予算に対してそんなに狂ったということはいままで一度もないのです。そして、補正予算の税収も確保できなかったということは、松下主計局長も予算委員会で答えておりますが、これは一度もないのですね、税収欠陥が起こって何もできなかったということは。しかし、今回初めてそういう事態が起ころうとしておる。もう三月三十一日が過ぎましたから、第二次補正を組むということは、法律上絶対にできないわけですね。そうすると、適切な措置をとるという、その残る適切な措置というのは、決算調整資金制度を活用する以外に仕方がないということにならざるを得ないと思いますが、西垣さんいかがですか。
#37
○西垣政府委員 いまおっしゃいましたように、決算対策をしなければならないわけでございます。そのタイミングといたしましては、税収だけではございませんで、税外収入がどうなるか、あるいは歳出の不用がどうなるかということで、大体それがわかってまいりますのが五月、六月でございます。その状況を見ながら適切な処理を図らなければならないということでございますが、制度的には決算調整資金というものがございまして、それを活用するというのが現在の制度でございます。
#38
○正森委員 つまり、不用額、税外収入を見るけれども、それでも賄えない場合には決算調整資金というのがある制度である、つまり、これしかないということをお答えになったと思うのですね。
 そうしますと、不用額やあるいは税外収入というのは、昨年の例を見ても三千七、八百億円程度ですから、ことしもよく出てせいぜいそれぐらいであろう。大蔵大臣が非常に大局的に、勘だけれどもということで数%、大蔵大臣によれば一から九まである、あるいは上の高い方が出れば、三千数百億円ではどうしてもできない。決算調整資金が二千四、五百億あるけれども、これでも足りないということになれば、これは決算調整資金制度で法律上許されている国債整理基金を使うより仕方がないのですね。そういうことになりますね。
 それで、国債整理基金は現在幾ら残高があって、そのうち使えるお金は、これは長期国債に投資しているという部分もあるでしょう、それはどれぐらいあるか、答弁してください。
#39
○吉本(宏)政府委員 お答えいたします。
 国債整理基金の五十七年三月末の残高は二兆五千三百億円でございます。その内訳は、長期国債を一兆八千五十八億円、政府短期証券を七千二百四十二億円持っております。なお、五十七年の五月末日までに一般会計から定率繰り入れがございます。これは五十六年度の定率繰り入れ分でございますが、九千四百七十二億円というものの繰り入れが予定されておりますので、整理基金の残高は、その段階では約三兆五千億程度になるというふうに見込まれます。
#40
○正森委員 主計局長、いま理財局長が先にお答えになりましたけれども、私が言いました、不用額だとか決算調整資金として現に積んである額、合わせて五千億前後、それより以上に税収欠陥が生じた場合には、これは国債整理基金に手をつけざるを得ない、これはそのとおりですね。
#41
○西垣政府委員 いま五千億程度とおっしゃいましたが、決算調整資金で使用可能なものは約二千四百億ぐらいということでございます。
 それから制度といたしまして、それで不足するときには、いまお話がございましたように、国債整理基金の残高を使用することができるという道が開かれております。
#42
○正森委員 私の申し上げたこと、ほぼお認めになったと思います。
 そうしますと、理財局長がお答えになりましたように、国債整理基金では長期国債が一兆八千五十八億、これは長期国債ですから売れば別ですが売れないですね。すぐ流動化し得るのは、短期証券等でお持ちになっている七千二百四十二億円と定率繰り入れで五月ごろに入ってくる九千四百七十二億円、合わせて一兆七千億円前後だ、こういうことになるわけですね。うなずかれましたからそうだと思います。
 そこで大蔵大臣、結局この一兆七千億円くらいが、あなたが万一税収欠陥が生じた場合には大蔵省として適切な措置をとるという措置のまさに対象の中身ですね。
#43
○西垣政府委員 いまおっしゃいましたことの中で、制度論としてはそうでないことがございますので申し上げますが、決算調整資金に関する法律の附則第二条の第二項におきまして、決算調整資金が不足した場合の国債整理基金からの繰り入れの場合につきまして「基金の状況、国債の償還見込みその他の事情を勘案し、国債の償還等基金の運営に支障を生じないようにしなければならない。」という規定がございますが、この規定の趣旨は、国債の満期償還に充てる金を準備する等、国債整理基金の本来の目的を損わないということでございまして、たとえば長期債についてそれを売却して充てるということは、制度論としては許されているわけでございます。
#44
○正森委員 私は、制度論として許されていないということを言ったのじゃないのです。それはもちろんできるのです。そんなことは百も承知で、しかし、わざわざ長期国債で持っているものを売ってやるというのは大変だから、流動的なものがまず第一に対象になるのじゃないか、こういう意味のことを言ったわけです。もちろんそれも償還がありますから、それを最優先しなければならない。その償還がたくさんあれば長期国債を売らざるを得ないし、売ることも法律上許されている。これはよくわかっております。
 そういう前提で大蔵大臣に伺います。結局、これがあなたの言う措置の対象でしょう。
#45
○渡辺国務大臣 法律で許されている手段ということになると、すぐ思い当たるのはいまおっしゃった二つでございます。
#46
○正森委員 すぐ思い当たる以外にあとはないのです。ほかにいろいろあってすぐ思い当たるのがこれだというのであれば、こんな結構なことはないのであれですけれども、これしかないのですね。補正予算はもう組めないのですから、五十六年度の欠陥については。補正予算を組めるのなら、それは幾らでも手段はありますけれども、もう三月三十一日が過ぎて二次補正が組めなくなったのだから、すぐ思い当たるじゃなしに、いろいろ探し回ってもこれしかないということになるのですね。
 そうしますと、また一月三十日にお聞きしたことをさらに詳しく聞くのですが、これは借りっ放しというわけにはいかないですね。支出した次の年度までには返さなければならぬ。だから五十七年か五十八年には返さなければならぬ。遅くも五十八年までだということになっているのです。
 そこで、大臣に先ほど見ていただいたある新聞を見ますと、その場合には五十八年度の通常予算で一兆なら一兆、一兆五千億なら一兆五千億返してもいいのだけれども、そうなると荷が重いから、五十七年度の予算で切り離してこれはばっと返してしまって、五十八年度当初予算編成には荷を軽くして、そうしないと編成が大変ですね、やった方がいいのじゃないかという意見が大蔵省の中にある。しかも、その場合には野党が減税としてねらっている、あるいはねらっている党がいる補助貨幣回収準備資金、これが一兆か一兆二千億ある、あるあるということでこれで手当てしようということが報道されておりますが、なるほどよく考えておられるな、こうすれば当面の国債整理基金を使い込んだ手当てはちゃんとできるし、一方では、野党が減税しろ、ここに財源があるじゃないかというのを、残念ながらもう一足先に使いましたということで、大蔵委員会小委員会を乗り切ることができるしということで、大蔵省にはどこまで知恵者がおるのだろうというように思うのですが、こういうお考えあるいはたくらみと言ったらいけませんが、お考えはあるのですか。
   〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
#47
○渡辺国務大臣 実は、まだそこまではたくらみじゃなくて相談はしておらないわけです。いずれにしても国会が終わり次第、これは五十八年度の予算編成をどうするかという問題との絡みでございますから、その基本的なものの考え方が決まって、それからどうするか。シーリングの枠をおろす段階との関係もございます。したがって、そういうような問題については、夏までには方針をある程度決めないと次に移れないということになります。だから、いろいろな議論がこれから出てくると思います。
#48
○正森委員 その場合に、私は新聞にも出てしまったから言うているので、決して大蔵省にこういうことをやりなさいというようなめっそうなことを言うているわけじゃありませんけれども、しかし、五十七年度補正も大変ですけれども、五十八年度も大変なんですね。
 五十七年度補正について言いますと、五十六年度で大臣の言う商い方の数%というような税収欠陥が出ますと、発射台がそもそも一兆五千億から二兆ぐっと下がるわけですから、下がった上に、政府は実質成長率が五・二%と言っておりますが、最近出ましたいろいろの民間の報道では、実質成長率が三・四とか三・〇とかいうのが多いわけですから、そうすると、それを名目成長率に換算して租税弾性値の一・二を掛けても、政府が見込んでいる税収の伸びが一三%台じゃなしに、一〇%いくかいかないかということになりかねない。そうすると、ここでまた一兆円余り税収欠陥が出る。発射台が二兆円くらい下で、それに掛ける乗数がまた減ってくると、五十七年度は三兆円ぐらい税収の補正を出さなければいけない可能性が最悪の場合には起こり得るのですね。最低二兆円です。
 そうすると、この金をどこかから持ってこなければならない。補助貨幣回収資金はいいんだけれども、これは一足先に国債整理基金を返す方に取られてしまうということになれば、これは大変なことで、財政特例法を審議する上でもこれは重大な問題になってくるというように思うのですが、関係局長あるいは大臣の御意見を承りたいと思うのです。これは決して追及するために言うているのじゃなしに、だれが財政当局になっても大変な事態だというように思うから聞いているのです。
#49
○西垣政府委員 仮に五十六年度の税収が大幅に落ち込むことになるというような事態になりましたときには、御指摘のように非常に深刻な問題がございます。これにつきましては、そういう事態が生じた場合には、それこそその対策につきましては、今後の財政運営にも絡む問題でございまので、慎重に検討しなければならないと思っております。
#50
○正森委員 それでは、時間の関係で次の問題に移らしていただきます。
 そういうことで、非常に財政事情が大変なんですが、さらに国債の借りかえ問題というのが大変なことになってくると思うのですね。
 それで理財局長、あなたの私の諮問機関に借換問題懇談会というのがございますが、その懇談会では、五十三年ごろの国会の論議で、五十七年の二月ごろまでには結論を出す、五十七年といいますのは、そのときにやはり借りかえ債がぐっとふえるからということで五、六回あるいは七回ですか御相談になりまして、たしか五十五年の十二月に答申といいますか見解を出した。それでは、六十年以降とそれまでとは大分性格が違うから、とりあえず五十九年までのことを考えるということのようでありました。しかし、五十七年から五十九年を見ましても相当借換債はある。それから、きのうも質問に出ました期近物というのはどんどんふえてくるというような状況ですね。
 きょうの朝刊を見ますと、ある新聞には、昨日ですか、国債の償還について大蔵省で一応の見解を御相談になったというのが出ておりますが、もしそうでしたら、その点について見解を承りたいと思います。
#51
○吉本(宏)政府委員 国債の借りかえ問題につきましては、御指摘のように、今後の国債管理政策上の最重要の問題であると私ども考えております。ただ、いま御指摘になりましたように昨日何か方針を決めたのではないかというような点は、そういう事実はございません。私、一日国会に来ておりましたし、そういう論議はしておりません。
 もう一つ、借換懇の答申でございますが、これは五十九年度までの一つの暫定的な考え方として、中期国債は中期国債で借りかえる、割引国債は割引国債で借りかえる、十年利付国債については今後シ団と協議をしていこう、こういう方針が示されているわけでございます。
 それで、五十九年度までの間は十年債の市中保有分が余りございません。したがいまして、実質的に十年債の借りかえ問題は六十年度以降に起きてくるわけであります。したがいまして、ただいま御指摘の借換懇の答申はあくまでも暫定的なものでございまして、六十年度以降の十年債の借りかえをどうするかというのが最重要の問題である、このように考えております。
#52
○正森委員 借りかえの問題が一番大変なことになるのは六十年以降であるというのは、そのとおりであると思います。しかし、五十七年から五十九年にかけてもなかなか大変なんじゃないですか。
 たとえば、その幾つかの例証を挙げますと、昭和四十八年度から五十三年度における借りかえの状況というのは、理財局長よく御存じのとおりですね。この場合には、手元に数字がございますけれども、満期到来債が三兆三千五百五十七億、それで借りかえ額が二兆九千六百三十九億でございました。しかし、その内容を見ておりますと、借りかえ額の構成を見ますと、日銀と資金運用部が大部分を持っているんですね。現金償還額について見ますと、資金運用部は七・二%、百五十六億、日本銀行は四・一%、千百五十億で済んだんですね。それはなぜかといいますと、個人の持ち分が非常に少ないものですから、個人については二千四百九十三億、一〇〇%償還をして、金融機関には、このころは七年債ですから、六十分の七の一一・七%を現金償還して、残りは乗りかえでいくというようになってもなお余裕ができて、日本銀行四・一、資金運用部七・二というように現金償還ができたんですね。こういう数字になっているわけです。その結果、個人は一〇〇%償還、金融機関は一一・七が現金償還で借りかえが八八・三ですが、その額はわずか八百九十九億である。あとは全部日本銀行と資金運用部で、これは借りかえ額は九五・九%と九二・八%ということでいけたんですね。
 しかし、確かに借りかえがさま変わりになるのは六十年からであるというのはわかりますけれども、最近の報道を見ますと、個人が国債を持っておるというのがどんどんとふえて、ある新聞を見ますと、国債の保有額は金融機関が減少して一般投資家が首位に立っておるということで、一般投資家の保有率が非常に高いという数字が出ておりまして、大体四〇%台に近いものを持っておるということになりますと、これは前と同じようなやり方ではできないので、やはり違ったやり方を考えなければならないということになるのじゃないですか。
#53
○吉本(宏)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、国債の大量発行は五十年度から始まったわけでございます。それ以前は、国債の発行枠はそう多くありませんでした。それからもう一つは、発行された国債を金融機関が持っておりますと、これを日本銀行が金融調整の一手段といたしまして買いオペをいたしまして、結果的に日銀に保有されるという形になっております。そういうことで、ただいまお話がございましたように、かなりの部分が日本銀行あるいは資金運用部に入っておったということでございまして、その限りにおいて借換債が比較的円滑に借りかえが行われたということかと思います。
 ところで、それじゃ五十七年度から五十九年度までの間にどういう形になっておるかということを若干御説明を申し上げますと、借換債の発行所要額、総額でございますが、五十七年度が三兆二千七百億、五十八年度が四兆五千三百億、五十九年度が五兆五百億ございます。しかし、この相当部分が中期国債でございまして、そのうち十年債の数字を申し上げますと、五十七年度は一兆七千百億、五十八年度は一兆九千八百億、五十九年度は二兆三千六百億ということでございまして、その差額は中期国債ということになります。したがいまして、中期国債の借りかえは五十六年度、五十七年度、かなりの借りかえをしなければいかぬ。五十七年度も借換債を含めて約二兆八千億の中期国債の発行を予定しておるのはそのためでございます。
 ところで、十年債でございますが、十年債は五十七年度については民間保有分がきわめて少ない関係もございまして、実質的に十年債の借りかえはほとんどないという状況でございます。そういうこともございますので、当面のところは、先般借換懇で出された答申の線に沿ってやっていきたい、このように考えております。
#54
○正森委員 細かい数字についてはここにもございますが、これ以上申しません。
 借換懇がいろいろ言われた線に沿ってやっていきたいということですけれども、その中で微妙な表現をしているんですね。十年利付国債については、国債の満期構成の短期化及び将来の借りかえ負担の累増を回避する見地から、長期債で借りかえることが望ましいと考えられる、こういう前提を置きまして、途中省略しますが、なおその他の問題として、借換債への乗りかえを促進するために何らかの優遇措置を講ずることも考えられるのではないかという意見もあり、この点について、今後の借換債の消化状況等を勘案しながら引き続き検討することとされたい、その次にまた「借換債の円滑な発行・消化を図るためには、満期到来日の属する年度以外の年度の場合をも含め、満期到来日以外の日において借換債の発行を行う必要が生ずることも考えられるのでこれに伴う問題について今後検討を進めることが適当である。」こう書いてあるのですね。
 理財局長、ここに書いてあることが、最近新聞に報道されている一年未満の短期の国債を出して大量の借換債の発行事態に備えるということにも該当するわけですか。
#55
○吉本(宏)政府委員 ただいまお話しの点でございますが、借りかえがかなり集中的に出てくる六十年度になりますと、これを借りかえるのに償還日にそれと同額の国債を発行していくという形をとりますと、市場の状況等によって必ずしも円滑にいかない場合があり得るわけでございます。そういうことで、必ずしもその償還日にとらわれないで、その年度間で発行日を市場の状況等を見て調整していくという必要が出てくるんじゃないかというのが第一点でございます。
 それからもう一つは、国債の償還が行われますと、そのお金は国債を保有している方の手に入るわけでございます。それをできるだけ円滑にもう一度投資をしていただく、こういう必要が出てくる。そういうことで、投資家のニーズと申しますか、これは必ずしも十年債だけでなしに、中期債が欲しいとかあるいはもっと短い短期国債なら買うんだが、こういうお考えの方もあろうかと思います。そういうことで、投資家のニーズに応じた商品を適時適切に出していくというのが借りかえの基本的な考え方ではないか、こう考えておるわけでございます。
 そういうことで、一年未満の国債というものも六十年度以降の借りかえを円滑にしていく上で一つの方策ではないかということで、これは一つの研究課題ということで考えておるというふうに御理解いただきたいと思います。
#56
○正森委員 六十年度以降に備えての研究課題ではないかということですが、その六十年にぱっとふえたときに、いきなり始めたんじゃふなれなわけですからね。六十年度をにらみながら、五十八年ないし五十九年には期間の短い一年未満の短期国債を現実に発行するというように理解していいんですか。
    〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
#57
○吉本(宏)政府委員 十年国債が六十年度から償還が始まるということになりますと、五十八年度ないし五十九年度にかなり期近物が出回るということになります。償還期間が一年未満あるいは二年未満の期近物が市場に出てくる。こういうことになりますと、これは実質的には一年ないし二年の国債を発行するのと変わりがないということになるわけでございます。そういう意味で、何も六十年度を持たずもっと弾力的に五十八、九年をにらんでそういうものを考えてもいいじゃないかという御指摘は、私どもも十分理解ができますし、今後の研究課題ということで御理解をいただきたいと思います。
#58
○正森委員 いまの理財局長の答弁で、五十八、五十九年に一年未満の国債を発行することも含めて研究課題であるというように言われたと思います。
 そこで、銀行局長さんあるいは証券局長さんにも関係があって伺いたいんですが、そうしますと、一年未満の短期の国債ということになりますと、これは金利は一方的に大蔵省が決めるというわけにはいかないでしょう。公募入札というようなかっこうにならざるを得ませんね。それから期近物がどんどんふえてくる。ある学者の見解によりますと、残存期間三年未満というふうにちょっと大きくとりますと、五十七年度は十五兆円、六十年三十六兆円、六十三年には四十八兆円と予測できる、こう書いてありますね。そうしますと、この期近物の国債というのはもちろん自由性金利の商品ですね。しかも、これは大口の資金を持っている人だけでなしに、これからはそう大口でない資金の人も金利が非常に有利であるということでこちらの方にシフトするという可能性は十分にあるわけですね。
 そうすると、期間三年未満、二年米満、一年未満というものが、既発債についても自由性の金利で売買される。それから新規債は、いま理財局長が言いましたように借りかえを前提にして発行を考えておる、これも自由性金利であるということになりますと、これはもろに銀行の定期性預金と衝突するということにならざるを得ないんですね。そうすると、この銀行の預金金利体系というものをいつまでも規制金利体系の中にとどめておくことが非常に困難になって、金利の自由化というものが起こるのではなかろうかということが私が考える第一の点であります。
 この点について銀行局長の御見解と、第二番目に、そこでそういうぐあいになりますと、銀行として預金が国債の方にどんどんシフトされたんじゃたまらないから、そのときにも自分らがやっていけるように、窓販が十年ものだけでなしにもっと種類を多く取り扱えるようにしてほしい、あるいは場合によっては、むざむざと既発債について証券会社だけにやられて自分のところの預金がどんどん逃げるのではたまらないから、おれたちも既発債つまりディーリングをやらしてほしいという要求が銀行界から出てくるんではなかろうか、こう思うのですね。
 そうしますと、五十八年以降あるいは五十七年からかもしれませんが、六十年に向かって窓販ディーリングの問題というのは、証券、銀行の間でそれぞれの死活をかけた闘争課題になんて言うといけませんが、競争課題にならざるを得ないんじゃないかというように思うのですが、その二点について、銀行局長と証券局長の御見解を承りたいと思います。
#59
○宮本(保)政府委員 まず第一点でございますが、これは先生御指摘のとおりだと思います。−要するに、実勢を反映いたしまして金融商品が大変出回ってくるということでございます。したがいまして、金利の自由化は、わが国におきましてもいやおうなしに進展するだろうと思います。ただし、わが国におきましては、郵便貯金を初めといたします小口の零細な個人貯蓄というものの占めるウエートというものが非常に高うございます。そういうこともございまして、この間接金融に集まってきております預貯金というものをどうしていくのかという問題は、今後自由化を進めていく上におきまして大変重要なポイントになってくると思います。
 私どもといたしましては、この自由化、アメリカのようなああいう混乱した自由化を進めるつもりはございませんし、また、ああいうふうなことがもろに、ダイレクトに日本に入り込むような事情にもないと思います。したがいまして、今後はこの自由化が進展いたしますと、どうしても金利が高どまりするというふうな点もございます。民間金融機関の経営の問題も出てまいります。それから中小金融につきましても、今度貸出金利の問題にはね返るというような点も出てまいりますので、この点につきましては、いやおうなしに実勢といいますか金利の自由化が進むということと、もう一つは規制金利を残しておくということのメリットというものもあるわけでございまして、この辺の兼ね合いを十分考えながら、慎重に自由化というものに対処していかなければいけない、こういうふうに思っております。
 それから、第二番目のディーリングの問題でございますが、これは金融界から言いますと、当然先生御指摘のような希望というものは出てまいると思いますけれども、この点につきましても、やはり物事には順序があるわけでございまして、こういう金融界の扱います公共債の証券業務という点につきましては、十分大蔵省の中でもコンセンサスをとりながら順を追って対処してまいるということかと思います。
#60
○禿河政府委員 基本的にはいまの銀行局長の答弁であるいは尽きているかと思いますが、最後の方で触れておりますとおりに、期近物の長期国旗というものが市中に出回ると申しますか大量に保有されてくる、こういう状況になってまいりますと、ディーリングという問題がさらに大きな問題として浮かび上がってくることは事実だろうと思います。すでに、実は金融界はディーリングの早期認可ということを要望いたしているわけでございますが、償還期が近づく長期国債の保有量がふえてくれば、なおさらそういう要求というものは強くなってくると思います。
 しかし、バンクディーリング一般につきましては、そういう問題のほかにメリット、デメリット、いろいろまだ検討すべき点も基本的にはございます。ございますが、三人委員会の結論におきましても、ディーリングにつきましては期近物国債が大量に出回る時期等を考慮しつつさらに検討するというのもそういう趣旨かと思います。特に期近物国債が大量に出回る時期ということになってまいりますと、短期の国債の利回りというものがどうなるかということのほかに、先ほど理財局長からも御答弁がありましたとおり、その借りかえをいかに円滑にやっていくか、こういう国債管理政策上の問題も実は出てくるわけでございます。そういう点を勘案して、そういう時期を考えながら今後さらに検討いたしていきたい、こういうことでございます。
#61
○正森委員 何となくわかるような気もするのですが、そこで、そういうことは万々一ないとは思いますが、ある新聞に出ておりますので、一点だけ伺っておきます。
 大臣、昨年九月六日、ある新聞に「国債消化難打開へ日銀直接引き受け」という非常にショッキングな記事が出ております。これが大阪版で、これが東京版なんです。これはちょうど三カ月間休債せざるを得なかったというときに、大蔵省が来年度実施を検討しておるというようなかっこうで出たわけですね。これは日銀に一応直接引き受けさせて、それで日銀段階で市中へ売却できた順に国庫へ金を納めてもらうというような考え方であるというように報道をされているわけです。これのメリットとしては、国債を発行する場合に、一度に金利自由化ということになりますといろいろな影響が起こるので、金利体系をある程度維持しつつ消化するにはこういう方法がいいというので、大蔵省が相当執心であるというように書いてあるのですね。
 そうしますと、金利体系の維持というのは、大蔵省の銀行局初め各省にとっては非常に魅力的なことであり、理財局にとっても国債費を減らすという意味からも魅力のないことではないから、そういうことが検討されているのかなという気もしますけれども、そうなると、わが国の財政法の見地から見て、これは画期的なことですね。だから、こういう点について、一応中央紙に報道されておりますので、御見解のほどを承っておきたいと思います。
#62
○渡辺国務大臣 そういう事実はございません。財政法でも決まっておることでありますから、どうして出たのかよくわかりません。
#63
○吉本(宏)政府委員 私も、当時その記事を見ましてびっくりしたのですが、いやしくも大蔵省は、昭和四十年度以来国債をやってきておるわけでございますが、これは市中消化の大原則ということを曲げたことは一度もないわけでございます。今後もその基本方針には変わりないというふうに考えていただいて結構だと思います。
#64
○正森委員 それでは次に移りたいと思います。これは若干個別の問題でございますので、あるいは他の局長には御関係がないかもわかりませんが、お許し願いたいと思います。
 私がこれから質問をしたいと思いますのは債券銀行の関係でございますが、長期信用銀行というのは国債消化の点についても一定のウエートを占めておるわけですね。理財局長、どのぐらいのウエートを占めていますか。
#65
○吉本(宏)政府委員 長期信用銀行のシェアは都銀の上位行とたしか同じでございまして、ちょっと手元に資料を持っておりませんが、四・一%か四%か、シェアとしてはその程度だと思います。
#66
○正森委員 そういうように国債のシェアでも一定の重要な役割りを果たしているのですが、そのうちの一つの日本債券信用銀行というのが、私の調査によりますと、非常に不明朗といいますか不正常といいますか、不良な貸し出しを行っているという事実があります。
 私が以下に申し上げますことは、ただ私どもが調べただけでなしに、名前は申しませんが、日本債券信用銀行のこの問題の責任者である役員の方においでいただいて事実を確かめた上で申し上げておりますから、数字等についても大きな間違いはないものというように私どもは考えております。
 私がこれから問題にします日本債券信用銀行の融資というのは、福島県に福島交通という会社があります。これは資本金が大体十三億五千万円程度の会社であります。地方の交通機関でございますから、地方の足を確保するために非常に困難な中でがんばっておられるということはわかりますし、若干の赤字がありましても、地域の足を確保するために地方自治体あるいはその他が協力をしなければならないということは、私もよくわかっているわけであります。しかし、その限度を超えて不明朗な貸し出しが行われ、かつそれが焦げつくということになりますと、一般預金者との関係から言いましても銀行の公共性から言いましても、これは放置できない事態であるというように考えるわけであります。
 私がいま問題にしておりますのは、この福島交通が白河地区というのを中心とする地方開発計画、白河開発計画というのですが、これを昭和四十五、六年ごろ日本債券信用銀行に持ち込んで融資を要請したという事案であります。
 そこで、いろいろいきさつがあったようでございますが、当初一千万坪を買い込むというのを三割の三百万坪ぐらいに縮小した上で日本債券信用銀行がオーケーしたようでありますが、百七十万坪ぐらいまで買い込んだ段階で昭和四十八年十一月のオイルショックがきたということで、とてもこれ以上買い進められないということで、その時点で計画をストップしたということのようであります。ところが、これに対して、その時点まででも約四百億円近くの貸し出しをしておったようですが、その後計画がストップいたしますから、資本金わずか十三億そこらの会社で、現在では赤字が八十五億円なんです。だからこの会社自体ではとても返せない。だからプロジェクトを完成して、その土地を開発して、いい値で売れたらそれで元利を返済するということになっておったのが、計画そのものがストップしたわけですから、これは返せるわけがないということになるのですね。
 そこで、四十八年十一月にストップしてから、これまでの七、八年間どうしたかといいますと、利益は全くないのに利息だけは日本債券信用銀行に入れさせて、その利息を入れる金がどこにもないのですから、その分は日本債券信用銀行が貸しまして、自分の金を自分のところへ利息として入れさせるという自転車貸し出し、自転車操業を七、八年ずっと続けたのです。
 それだけでなしに、当初は交通機関との間は切り離すということだったのですけれども、もとが壊れてしまったのでは回収できないですね。ですから、交通機関の赤字についても肩入れしなければならない、プロジェクトの赤字についても肩入れしなければならない。同時に、この買い受けというのは、福島交通が福島交通不動産というのに出先でやらしていたわけです。そこへ福島交通はどんどん貸し出ししているわけですが、それだけでは足りないからというので、今度は日本債券信用銀行は福島交通不動産にも直接出す。それから、福島交通というのは生命保険会社その他から融資を受けているわけです、約二百億円余り。しかし、それに対して日本債券信用銀行が債務保証するということをやっているのです。
 そうすると、こんな物騒な仕事になったらみんな逃げますね。逃げると、結局逃げた分は自分が貸し増しせざるを得ない。つまり、日本債券信用銀行が短期の融資をして、そのお金で生命保険関係の貸し出し、これは長期ですが、それをどんどん返していって、利益なんか上げていないのですよ、上げていないのだけれども、ついでにその利息も払っている、そして自分が肩がわりするということをやっているのです。
 わずか資本金十三億五千万円の、赤字が八十五億もある会社に締めて一体どれだけ貸し出ししたかというと、七百三十億円になっています。そのうち債務保証というのが百三十億円くらい現在残っておるようですから、これはまだどんどん短期の貸し出しにふえていきますから、将来は、六百億円くらいの貸し出しが支払い保証のある七百三十億円くらいまでふくらむ可能性があるのですが、そういうことをやっておるという状況になっておるのですね。
 もっと詳しく説明できるのですが、時間がございませんので一応ここで切りますが、銀行局は、当然検査等でこういう事実をつかんで、そしてしかるべき指導をしておると思いますが、おつかみになっているかどうか。それから、いつごろからこういう貸し出しに対して厳重な監督あるいは注意をしておられるか、承りたいと思います。
#67
○宮本(保)政府委員 検査におきましては、その貸出金の内容を十分チェックいたしております。したがいまして、いま御指摘の融資につきましても、私どもといたしましては、具体的にその計画の中断というか、やや先行き暗くなったくらいの時点から、十分貸出金内容につきましては掌握いたして、かつ当該貸出金についての回収方について厳重な警告もしておりましたし、また現在も銀行自体が懸命な努力をいたしておりまして、そういう点につきましては十分監督をしてまいっておるわけでございます。検査結果につきまして、特に与信姿勢の厳正化であるとか、あるいは融資の審査管理の充実強化であるとか、あるいはややグレーがかった貸出金についての事後管理について十分な注意をするよう、厳正な示達をいたしておるところでございます。
#68
○正森委員 銀行局長から答弁があったのですけれども、私は、非常に楽観的過ぎる答弁だと思うのですね。
 大蔵大臣、日本債券信用銀行の上場会社への貸し出し状況を見ますと、これは東洋経済の付録に載っておるのを持ってきたのですけれども、五十六年九月現在では、一位が東京電力で七百十八億、二位が住友金属五百三十六億、三位が日本鋼管五百十六億、四位三井物産四百六十七億、五位住友商事四百十九億、六位三菱商事三百九十一億、こういうぐあいにずっと十何位まで並んでいます。日本でも超一流の企業ですね。そういうところへ貸しているのですよ。一位の東京電力というたら大口融資規制から外されているところですからね。だれもこんなところは倒れるなんて思っていない。そこでさえ七百十八億なんですよ。二位の住友金属が五百三十六億で、三菱商事なんというのは、これは私の友人が勤めているのですけれども、日本が滅びても三菱は滅びないなんて言うているところなんですね。そういうところでも三百九十一億、こうなっておるのに、資本金が十三億五千万円で八十五億赤字があって、そういうところへこれらを全部上回る、支払い保証を入れたら七百三十億貸しておるというのは実に異常ですね。大口融資規制から見ても、債務保証は除くとしても六百億あるということになれば、東京電力の次、第二位になるわけでしょう。こういう異常なことが行われるというようなことは常識では考えられないのですね。大臣どう思われますか。
#69
○渡辺国務大臣 ただいま初めて聞いた話なので、私もよくはわかりません。実際に銀行を担当している方から聞いていただきたい。いずれにしても、どういういきさつか知りませんが、異例の貸し出しだというように感じます。
#70
○正森委員 私が先ほど言いましたように、四十八年暮れでもう事業がストップしているのに利息を入れさせて、その利息は貸し増ししておったわけですから、こんなものは一刻も早くとめなければならないのですけれども、それがとまったのはいつからですか。
#71
○宮本(保)政府委員 金融機関の場合には、要するに企業の融資につきましても、たとえば調子のいいときと悪いときとが実はあるわけでございまして、あるプロジェクトに融資を始めた場合に、当該プロジェクトにつきまして事情の変化によって計画等について挫折をするというような場合も、これは仮にいままでどんどん広げていくという計画を縮小してみるとか、あるいは実現可能なものに計画を変えていくというようなことでもって、当該プロジェクトの維持存続というものを図っていかなくちゃならぬ。といいますのは、それを倒してしまいますと債権回収が図れませんものですから、そういうこともございまして、やむを得ずそういうような措置、貸し増しみたいなものが行われたことは事実でございますけれども、企業融資につきまして往々にしてあるケースでございます。
#72
○正森委員 親ガメ倒れたら子ガメも倒れるから余儀なく貸し増ししたという論理ですけれども、私の質問に答えていないのですね。
 いつから利息を取らなくなったのかと聞いたら、それには全然答えないで、親ガメが倒れたら子ガメも倒れてしまうから、親ガメが倒れないように貸し出しをするというのは金融界で往々あることでございます、こうなれば、どんな企業だって、親ガメ倒れたらいかぬのやぞ、もっと貸せよと言って貸し出しを受けたらいいということになって、それをまた銀行局が認めているということになれば、日本の銀行局というのは実に寛大だということになって、何ぼでもこんなことできますよね。
 だから銀行局長、幾ら私が忍耐強いといったって、あんな答弁ではいと言って済ますわけにはいかぬですね。少なくとも、そんな利益も出ないところから利息はいつごろ取らなくなったのか、つまり貸し増しをしなくなったのかということくらいは答えてもらわぬといかぬですな。
#73
○宮本(保)政府委員 五十五年の春でございます。
#74
○正森委員 つまり、四十九年段階にはもうだめなのに、五十五年の春まで六年間、利益も上がらないところから利息を取って、その分自分のところの金を出しておった、支払い保証はちゃんと続けておった、こういうことなんです。
 これは、いろいろ言いますよ、全部を回収するためにはこの会社を生かしておかないと、倒れたら元も子もないのだと言いますけれども、それは倒してしまわずに置いておけば全額取れるという可能性がある場合に言えることで、そうではなしに全額取れないかもしれないで、むしろその間六年も利益が出もしない会社から利息を取り、その利息は自分の会社から貸し増ししておったのだ。その貸し増しの額の方が大きければ、商法に言う明確な特別背任罪です。それに近いことをやっているのですね。
 なぜかと言えば、私は名前は言いませんが、このプロジェクトの最高責任者に来てもらって聞いたのです。そうしたら、担保というのは結局この百七十万坪の土地でしょう、その金で買ったわけですから。これの簿価は幾らあるのだと言ったら、坪一万円しかないのですよ。そうしたら百七十億円でしょう。七百三十億貸しているのですから、取れないのです。どないして取るのだと言ったら、これを開発しますと言う。開発して売るときにも、半分は道路だとか公園だとかの公共用地にしなければならぬでしょう。だから、坪十万から十二、三万で売れれば何とか元と利益が取れる、こう言っているのです。簿価一万円ですよ。それが十二、三倍に売れなければだめだということで、地元では、債券信用銀行というのは元不動産銀行ですから土地の評価が専門だけれども、それがこんなずさんなことでは土地評価を返上したらどうだという声が起こっているのです。何か最高責任者の決断で、それでは余り伝統に背くからもうちょっと続けよう、こうなったようですけれども、そういうような状況があるのに、元を取るためには貸し増しするのはやむを得ないなんて言って五十五年の四月まで、利益も出ないところから利息を払わして、その利息相当分を貸し付けしておった。債務保証はどんどん肩がわりしておった。去年一年間で百四十億短期貸し出しがふえているのですよ。言語道断だ。
 そこで、いま時間だというのが来ましたから、なぜこういうことになったのか。これは小針という社長なんです。この小針という社長を、債券信用銀行の責任者を呼び出して聞いたら、東北の小佐野と言われている男で、何かと物を言うのについて遠慮もございます、こう言っているのです。十三億の資本金のところに七百三十億も貸してなかなか金が取れない、この物件を売れ、場合によったらおまえ社長をやめてちゃんと債権整理ができる者がやれというようなことは銀行なら言うのはあたりまえでしょう。それが言えないのはなぜかというと、なかなかこの男政治力があるのです。
 ここに「夜に蠢く政治家たち」という本があるのです。私も政治家ですから、この題は余りおもしろくないのですけれども、これは赤坂の料理屋の「大野」というところにいたその下足番が逐一だれが来たかということをつけているのですよ。その中に、小針というのが常連で、私が調べて一覧表をつくったら、五十三年一月、まさに五十四年から利息がストップしようという前年ですね。五十三年一月に四回、二月に八回、三月には七回というぐあいにもう「大野」に入り浸っているのですね。そこで会うのが全部政治家と大蔵省。こんなことを言うのは嫌だけれども、大蔵省。いいですか。ここの十六ページを見ると、一月二十一日「東北の小佐野 福島交通社長・小針氏」という見出しで書いてあるのです。「〔予約審〕松」、松という部屋があるそうですね。「安倍官房長官、小針社長、中川農林大臣、長岡官房長、田中理財局長ら六名」「安倍官房長官の席に、小針社長、中川一郎農相、大蔵省の長岡官房長、同田中理財局長らが入った。」こう響いてありまして、その後で訂正みたいのを書いて「なお、大蔵省の長岡氏は五十二年六月十四日付で主計局長に昇任しているが予約台帳では旧職名になっている。このようなミスは他にもあるかもしれない」、この下足番の人はなかなかちゃんとしたあれで、そういうことまで正確に書いておるのですな。
 それで、それ以外にも、たとえば一月十八日の項には「安倍長官と同席した「小針様」とは福島交通社長小針暦二氏のこと。故河野一郎氏の引きで地方政界から中央政界へ進出した天野光晴代議士(福島一区)の仲介で、安倍普太郎代議士と知り合い、安倍氏から福田赳夫氏へと人脈が広がった。だから派閥横断的な小針氏の人脈のキーマンは安倍氏といえる」、こう書いているのですね。
 さらに別のところを見ますと、江川という債券信用銀行の役員がちゃんと小針氏と会っているのですね。社長と間違えていますけれども、債券銀行の「江川社長はのちに加藤先生の部屋に合流。」加藤先生というのは加藤六月さんですね。「その他、安倍官房長官、小針社長、大川西さんらが加藤先生の席に入る。」「債券銀行とは、旧不動産銀行を改名した「日本債券信用銀行」のことである。戦前の朝鮮銀行を母胎としている関係からか日韓人脈との関わりが深い。」というようなことが書いてあって、ずっと解説まで書いてあるのですね。
 これ全部挙げませんが、私はまた、こういう貸し出しの事実と若干の政治家が関係があるということも言いません。それは一、占いませんが、なぜこの小針に対して、かくも大量の不良貸し出しをした債券信用銀行が物が言えないか。東北の小佐野で物を言うのに遠慮がございますという中に、もしこの小針氏が自民党のそうそうたる現職の閣僚でもある政治家と交際があり、大蔵省の現職の主計局長や当時恐らく理財局長だったと思いますが、そういう人が同席し、そういう人たちが次々に次官になる、そういう影響力を持った人物だから銀行局がある程度物が言えない、そのことを見越して本人が大きな顔をしておるということになれば、これはもうもってのほかのことであると言わなければならぬと思うのですね。
 私は、個別銀行の貸し出しについては委員会の質問で余り言いたくないと思ったし、いままでも、そういう関係の投書等がありましても、銀行局にその資料を直接お渡しして、私が公の席で聞かないということもやっまいりました。銀行局はよく知っているはずです。しかし、これは事柄が黙視できないぐらいの大量の不良貸し付けであり、この債権は三分類に入っているのでしょう。三分類というのは回収が困難であるという分類なんですよ、四分類というのはもう回収不能、こうなるのですから。しかも、それに対して政治家が日夜接待を受けておる。その席に大蔵省の最高幹部も同席しておる。けしからぬことです、本当に。
 幸いなことに、渡辺大蔵大臣は一度も出てこない。だから私は安心して聞いているのです。だから、その渡辺大蔵大臣がやはりやるべきことはやってもらわなければならぬ。政治家の影響力が仮にあるとして、あるとは言いませんよ、仮にあるとしても、そういうことには関係なしに銀行局、債券信用銀行は資金回収のために最善の措置をとって預金者の利益を守らなければならぬということをやっていただきたいと思いますが、時間が過ぎました、委員長申しわけありません、これで終わりますが、大蔵大臣の御見解を承って質問を終わります。
#75
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げたとおり、事実関係、私は初めて聞いたことでございますので、実態をよく調査をして適正に対処してまいりたいと存じます。
#76
○正森委員 終わります。ありがとうございました。
#77
○森委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#78
○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
#79
○佐藤(観)委員 大臣、まことに御苦労さんでございます。限られた時間、三つばかりの問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 第一番目は、きのうぐらいから予測記事が出、きょうの各紙は自民党の役員会、総務会でグリーンカード制の導入については再検討、三年間凍結して考えるというようなことが報道されているわけであります。それに対しまして宮澤官房長官が、今後の自民党との折衝というのでしょうか、これを見守るというような態度と報道されているわけでありますけれども、この問題はこの委員会の各委員会ごとに詰められてきた問題でありますが、担当する大蔵大臣としては、一歩の後退もしない、不公平な税制を正す、この執行面にどうしても必要なグリーンカードについてはかねての方針どおり変えずにやります、こういうことに理解をしておいてよろしいんですか。
#80
○渡辺国務大臣 総合課税への移行ということにつきましては、私もかねての持論でございまして、ただ、グリーンカードがそのために使われる、これがまだ非常に理解されていない。そのために余分な、不必要な心配をかけていることも事実。また、いろいろな税率区分等の問題もありますから、そういうような周辺整備、環境整備といいますか、そういうものをあわせてできればやるということで、法律でも決まっておることでもあるし、私は予定どおりやりたいと思っております。
 ことに、昨日から申し上げておりますように、非課税貯蓄が一年で二十二兆円ぐらいふえたというように推定をされておって、課税貯蓄は六兆円ぐらいしかふえない。三五%が不公平どころの騒ぎではなくて、全然無税のものが激増していることの方がむしろ問題があるんじゃないか。三五%も払っていればまだいい方だけれども、無税の方が激増しているということは、私は非常に問題がある。まじめな人とふまじめな人とごっちゃにすることの方がむしろ不公平なわけですから、そういう点は、不公平を正す意味においてはっきりさせることが必要である、私はそう思っております。
#81
○佐藤(観)委員 もう一つ、大臣もこの問題についての答弁の中で、高額所得者の課税率は高過ぎるのではないか、地方税も含めて九三%は高過ぎるので、この際グリーンカードが導入されると同町に、この税率も緩和をしたいということをたびたび言われているわけであります。
 私は、結論的にはそういうふうになるにいたしましても、物の考え方の順序というのは、それでは、大衆政治家だと言い、ニューリーダーと言われている渡辺大蔵大臣の発想としてはいかぬのではないか。この五年間課税最低限をいじってこずに、いわば意図せざる増税が所得の少ない人には行われている。それが五年間で、計算の方法によりますけれども二兆五千億とか言われている。いわば下の方の所得の人には意図せざる増税が行われている。当然それに対して課税最低限の引き上げという緩和を所得の少ない人にはしていくべきでないか。その際に、じゃ下の方だけでいいかということになると、グリーンカードの問題もあり、上の方ももう少し手直しをする必要があるかなという物の発想の順序でいくべきではないか。どうも上だけ、何かグリーンカードが入ったので総合課税になって厳しくなるから、そちらだけいじるという発想はおかしいのではないか。
 この際、五年間所得税の課税最低限をいじってこなかった、所得の少ない人の是正から発して、あわせて所得の多い人もその結果として幾らか緩和されるということに、この所得税法の改正の税率の問題というのは考えるのが政治の肝要ではないかと思いますが、いかがですか。
#82
○渡辺国務大臣 私は、実はそう思わないんです。
 私は、端的に申し上げまして、総合課税になぜするか、諸外国がそうだから総合課税にすべきであると。ところが、諸外国では所得税で七五%なんという高い税率の国は、少なくとも総合課税をとっている先進国の中では私は寡聞にして知らない。したがって、これは総合課税でないから、分離課税があったからそういうことが認められておったと思いますが、総合課税にする以上は、やはり私としては、常識的に諸外国並みのなだらかな、多少国によって違いはありますよ、なだらかな税率区分に同時に発足すべきだ、私はそういうふうに、最初からそうすべきであったと思うのです、実際のところが。
 それはやらない、ただ、ともかく総合課税だけやるということになりますと、水は商い方から低い方へ流れますけれども、お金のようなものは、余り極端なことをやると、いま資本の自由化というようなときに、それは別な方向にその金が動くこともあり得ると私は見ておるわけであります。その結果がさらに円安を加速したりすれば、これは結局はかぶるのは、庶民大衆がインフレという形でかぶることになってくるわけですから、余り感情的、人情的だけで経済の問題を処理しようとすると、意外なところにその伏兵があらわれる。その結果がいろいろな問題を起こす危険性があるということがまず第一なんです。
 だからといって、課税最低限を五年間引き上げない、そのために、よその国よりも納めている所得税というのは、日本は諸外国に比べて、実際のところ下の方は非常に低いのです。低いけれども、しかし過去の日本と比べて、五年間所得税をいじっておりませんから、重税感がつのっているというこの現実は、私は認めているのです。したがって、そういうようなものもできることならばやりたいということをかねて言っておるわけであって、それについては、ただ、いますぐやれるかどうかという情勢でないし、税率区分を直す話も、ことしから直せなんて私は言っていないわけですから、それはグリーンカード実施のときからと、それで結構だと私は思っているのです、実際の話。
 でございますので、それまでには二年以上これは時間があるのですから、きょう、あしたという話じゃないわけですから、私は、できることならばもっと合理的な税体系というものを抜本的に、ある程度時間をかけても見直したらいい。そう何年も何年もかかる話じゃないはずですから、当面の問題としては、この大蔵委員会の中に所得税減税問題に関する小委員会ですかをこしらえて、その財源とか税のあり方も含めて専門家が集まって検討するというやさきでもございますので、私は、別に所得税減税に反対だということだけを言っているわけじゃなくて、財源問題も含めて常識的な結論を出してもらいたい、そう思っておるわけでございます。決して私は非人情な人間ではございません。
#83
○佐藤(観)委員 私も、いわば所得の多い方の人のことを全くいまの総合課税にするだけでいいとは言っておるわけではないのであります。ただ、物の発想としては、やはり一番大衆的に、人の多いところのことも十分頭に置きながら、さりとて税というのはやはり理屈があって合理的なものでなければいかぬので、税さえ取ればいいというものではないと思いますので、それは私もそう思っておるわけであります。
 ただ、主税局、いま言われておりますように、国税で七五%が最高税率になっているわけでありますけれども、たとえば、これを五〇%まで下げたらどうだという話も出ている。しかし、これは余りそちらを下げていきますと、一体何のために総合課税をするのだ、総合課税というのは、それはそれなりに不公平な税制を正すという面もありますが、一面では、もう一つ増収策であることは間違いないわけで、その意味で、たとえば七五%の上限率を五〇%まで持ってきた場合に、一体どのくらいの所得の人がその対象になって、まあこれはなかなかむずかしいのです、利子配当がどういう所得階層にいくかということはなかなかむずかしい点がありますけれども、ざっと丸い数字で、たとえば七五%の最高税率を五〇%まで下げた場合には、一体どのくらいの減収になってくるのですか。
#84
○矢澤政府委員 ちょっと五〇%で計算をしてまいらなかったのでありますが、七五を六〇に下げた場合の減収額が五百億程度でございます。
#85
○佐藤(観)委員 これは、また改めてその機会に詰めさしていただきますが、そのことも十分頭に入れてかからなければならぬと思うのであります。
 大臣にくどくどと申す必要はないわけでありますけれども、このグリーンカード問題を見ていますと、各政党の対応の仕方というのは非常に色合いがありまして、一体どこに一番重点を置いてこの問題を考えるかという特色が非常にあらわれているのじゃないか。自画自賛をするわけじゃありませんけれども、この問題では、わが党は一番筋が通っていたのではないか、公明党さんも同じだと私は思っているわけであります。総合課税は賛成だけれどもグリーンカードは反対だというのは、納税者番号あるいは背番号が反対である限りは、私はこの制度しかないと思いますので、その意味では、それは呪文を唱えているだけだと思いますし、また、いろいろな理屈を言ってグリーンカード反対と言っているけれども、尽きるところは、結局隠し預金の問題じゃないかと私は思っているのです。金に流れる、ダイヤに流れる、土地に流れるといったって、それはおのずと限度があるので、私は、経済はまたもとに復元をすると思っておりますので、そういった意味では、グリーンカード反対という声はどうも脱税幇助的な発想ではないだろうか、グリーンカード反対を言われる方は、今後不公平税制の是正をということを当委員会では言えないのではないか、私はそう思っておるわけであります。
 次の問題に移ります。
 この五、六年間というものは、財政のあり方について大変議論をし、また私たちも、野党といいながらも、財源はこうすべきではないか、あるいは国債の発行はこうすべきではないかという議論をずいぶんしてきたわけであります。国債残高が八十三兆、国債を発行してみても国債費に食われてしまうという、大変な財政になっているわけでありますので、せっかく使ってもらう税金というものが本当に有効に国の施策に十分反映をし、正しく使ってもらわなければ、これはとてもたまったものではないと思うわけでございます。この血の出るような補助金でございますから、いまの財政再建あるいは行政改革の意義から申しましても、目的どおりにちゃんと手続を経て使ってもらう、これは当然のことだと思いますが、大臣、そういう気持ちというのは当然でございましょうね。補助金のあり方、使い方の問題です。当然手続を経て正しく有効に使ってもらう、これはそういうことでございますね。
#86
○渡辺国務大臣 歳出という政策手段を経済的に実現させるために税金をちょうだいをするわけでございますから、その政策手段がむだなことがあったり、国民が余り納得できないというようなものに充てるということは、これは慎まなければならない。したがって、その一つの例としていま補助金の話が出たわけでございますが、これについても私は、毎年厳しく洗い直しをし、見直しをして、惰性に流れることのないようにしなければならないと考えております。
#87
○佐藤(観)委員 そこで主計局、農水省の補助金で特産営農団地整備事業というのがあるんですね。概要と、これをもらうための必要要件、とりわけ、これから問題にしたいのはお茶なんでありますが、簡単で結構ですから、ちょっと説明してください。
#88
○西垣政府委員 特産営農団地整備事業という事業に対しまして補助金の制度がございます。
 事業の内容といたしましては、特定農産物の生産性の向上、品質の向上、コストの低減等によりまして、特産農産物の安定供給と生産農家の経営基盤の強化を図るため、地域の実態に即した特産営農集団を育成するとともに、簡易な土地基盤整備、生産管理用機械、集出荷施設、貯蔵施設等の導入、設置及び補完作物に係る生産処理加工施設等の整備を行うということでございます。種類ごとに地区の要件等が、たとえば何ヘクタール以上というふうに定められております。
 お茶の場合は、一般地区が十ヘクタール以上ということでございます。
#89
○佐藤(観)委員 それで、いま御説明があったように、この補助金をもらうためには、あくまで特産営農集団を育成するということでございますから何らかの組合をつくって、一個人がこの補助金をもらうんではなくて、特に特産農産物について一つの集団をつくってやりなさい、これが一つの最大の要件になるわけですね。
#90
○西垣政府委員 そのとおりでございます。
 それから、先ほど十ヘクタール以上と申しましたが、おおむねということで、実際の適用に当たりましては、八ヘクタール以上ということで採択いたしております。
#91
○佐藤(観)委員 そこで、この補助金のことについて、実は愛知県の県会でも問題になったことがあるわけであります。
 それは、愛知県の西尾市というところがあるのでございますが、そこの西尾上町製茶組合という組合がございます。五十八年に全国のお茶の品評会をやるというので、いま御説明があったように品質の向上あるいはコストの低減、こういうことを図るために、この特産営農団地整備事業の補助金をもらいたいということのために、昨年の五月に組合を設立したことになっているわけであります。
 なぜこういう表現をするかは後でお話を申し上げます。六百平米のお茶の加工工場の建設を計画いたしまして、総事業費が五千七百八十二万円。国の補助が三分の一補助でございますので千七百九十四万、それから県が八分の一ですので六百七十三万、市が二十四分の一でございますので二百二十九万、合計二千六百九十六万。総事業費の四六 六%の補助金をもらってやるという事業だったわけであります。面積的には、いま次長言われましたように八ヘクタール以上ということでございましたけれども、当初八・九ヘクタールということで申請をされたわけであります。
 ところが、地元の市会で問題になりました。というのは、どうも二十五名の組合員の名簿が出ているけれども余りみんな知らないらしいぞということで、地元でもそういううわさになりまして調べてみましたら、何と二十五名の組合員のうちの十二名は、そういう事業に自分の名前が使われているあるいは参加の意思表示を聞かれたということがない。そして、ついにそのうちの七君は、自分はそれに参加する意思がないということで、いわば脱退をしたわけであります。そのことが問題になりましてから、新たに五名新規の加入者を募りまして、面積を八・四三ヘクタールにいたしまして、二十三名で発足したようであります。県に書類を出すときに、何でそんな二十五名のうち十二名も知らないというようなものが出されたんだろうかということを調べてみますと、実は組合発足のときに、定款やあるいは議事録というものがはっきりできたような組合ではなくて、組合長さんを中心にしていわば何人かが寄って、そしてこういった組合をまあでっち上げたというんでしょうか、そういうことのようであります。
 この経過については、すでに愛知県の県会でも問題になって、県側の農業水産部長なりあるいは園芸農蚕課長なり、この指摘された事実はいずれも事実であるというふうに認めているわけでありますけれども、いま主計局にもお調べをいただいたわけであります。一応私いま概略をお話ししましたけれども、私の言っていたこと、どこか間違っておりますでしょうか。
#92
○西垣政府委員 先生が質問でこの問題を取り上げられるということで、農林省に問い合わせました。
 事業実施主体である西尾上町製茶組合、これが架空に近い組合であったかどうかという事実関係でございますが、農林省に問い合わせてみました結果は、愛知県からの中間報告によりますと、この補助事業を行うに当たつての上町製茶組合の設立総会、さっきおっしゃいましたように五十六年五月六日でございますが、この模様につきましては、組合員全員が出席したものではなくて、役員中心のものであったようだということでございます。しかし、児はまだ組合員個々に当たって調査しておりませんので、当時の状況は必ずしも十分には明らかになっていないということだったようでございます。このため農林省は県に対しまして、今後さらに詳細に調査をし報告するように要請したということでございます。また、茶の加工場はすでに完成しております。しかし補助金の県から市への支払いは、調査結果をまって検討することとし、停止させているということであります。
 補助金の執行に対する大蔵省の姿勢でございますが、先ほど大蔵大臣がお答え申し上げましたように、補助金は国民から徴収されました税金その他の貴重な財源で賄われているものでございますので、補助金の執行につきましては、かねてから補助金等適正化法の趣旨にかんがみましてその適正化を図るように各省庁に要請しているところでございます。今後とも補助金の執行が適正に行われるようにその趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えております。
 なお、この西尾市の製茶組合に対する補助金の件につきましては、農林水産省に対しまして、事実関係を明らかにした上で補助金適化法の趣旨にのっとりまして適正な措置をとるよう要請したいというように考えております。
 なお、補助金等適化法の内容でございますが、これはもう御存じかと思いますが、不適正な場合につきましては、補助金等の取り消しを行うあるいは返還を行ってもらうというような規定もございますし、場合によっては罰則の規定の適用もあるというものでございます。なお本件につきましては、これはまだ交付が行われておりません。したがいまして、罰則の適用というのは問題にならないかな、こういうふうに思っております。
#93
○佐藤(観)委員 会計検査院にお伺いしますけれども、いま、たまたまこれは地元でそういううわさが出、市議会で問題になり県会でも問題になりということで、いま次長から御報告があったように、まだ現金としてはいってないわけですね。これがたまたま全部完成しちゃって、全部補助金ももらっちゃった、その後で会計検査院の方で調べてみたら、実は最大の必要要件である組合自体はきわめてあいまいなものだったというように事実関係が逆に、通常の場合そうだと思うのでありますが、その補助金が交付されてからわかったときには、どういう処置がとられているのですか。
#94
○黒田会計検査院説明員 ただいま先生から御指摘の事実につきましては、愛知県で会計実地検査を近々行うことにしておりますので、その際に事実関係を調査いたしまして、事実を確認した後に対処したい、かように思っております。
 ただいま先生がおっしゃいましたような一般的なお話といたしましてどうするかという点につきましては、主計局の次長から先ほどお答え申し上げたように、交付決定の取り消しあるいはそれによりまして補助金の減額、補助金の全部または一部の返還あるいは体制の整備を図っていただく、そういう処置をとることになろうかと思いますけれども、本件につきましてはあくまでも事実関係を確認した上で処置したい、かように思っております。
#95
○佐藤(観)委員 法務省にお飼いしていきたいのでありますが、先ほど次長からお話がございました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第六章罰則の第二十九条に「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、」そして「五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」ということがあるわけでありますけれども、この場合、私、何も罪人をつくるのが趣旨じゃないのですけれども、大臣からもあるいは次長からもお話がございましたように、私たちもなかなか財源がないということで苦労しているときに、それを使った補助金が適正に行われてないということについてはきわめて遺憾に思うものですから、この場合に、第二十九条に言うところの「偽りその他不正の手段により」という中で、恐らく偽りの方だと思うのですが、こういういまの具体的な事例というのはその範囲の中に入るのですか。
#96
○飛田説明員 ただいまの御質問の事例についてというお尋ねでございますが、実は私ども、御質問の事例が実際に、組合員十二名の方が何か知らない間になされていたということだけでございまして、それがどういうふうに申請手続にはね返ってきたとか、具体的な事実関係が明らかでございませんので、それが偽りに当たるか、その他不正な行為に当たるかということについては、ちょっとお答えできかねると思います。
 偽りその他不正な行為という文言は、一般に補助金以外にも、税法にもたくさん使われておりますし、言葉の使い方は、偽りその他不正の行為と書いてある場合と、詐偽または不正の行為と書いたものも昔はあったようでございますが、言うなれば詐偽的な行為とみなされるような、そういうふうな手段でということで、偽りとその他不正の行為というのをそう分けないで、「偽りその他不正の行為」という一本で考えているのが通常じゃないかと思います。
 いずれにせよ、そういうふうな構成要件に当たるようなことがあれば当該犯罪が成立する、こういうことになるのだろうと思います。
#97
○佐藤(観)委員 具体例は、あるいは事によっては私文書偽造というようなことになるのかどうなのか、それは具体例だと思うのですね。
 しかし、いずれにしろ私が問題だと思いますのは、これは県の方でも非常に必要なものだから補助は続けたいということのようでありますけれども、恐らく必要なものだから補助金という事業になると思うのでありますけれども、二十五名のうち半分も事実を知らないでそういった組合をつくり、いわばばれたらそれをつくり直して、そして面積的な要件だけは整えて補助金をもらうというようなことで、一体補助金というものの執行のあり方がいいのだろうかということについては、私は大変問題だと思うのです。
 それで、毎年会計検査院の方から決算の検査報告が出ております。私も、この問題が農水省関係でございますので、きのうずっと農水省関係を見ておったわけでありますけれども、同じようなたぐいのものがかなりあるわけですね。
 そこで会計検査院の方にお伺いしたいのですが、それは県なり市なりの指導があってやるのでしょうけれども、もらう方にしてみれば、そうそうたびたび補助金をもらう事業というのはない。したがって、そういう事務的なふなれということなのか、あるいは何らかのことで皆さん方の方から指摘されなければいかぬのが、一番新しいのは五十五年ですけれども、五十四年を見ましても五十三年を見ましても、よく皆さん方が調べられるということかどうかわかりませんけれども、それは対象の事業主体は違っても毎年そういう同じような指摘がなされるということになりますと、これは何かもう少し補助金の執行のあり方というのは考えていかなければならぬのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
#98
○黒田会計検査院説明員 ただいま先生の御指摘のとおりに、農林省関係は補助金をたくさん持っておりまして、また指摘事、項が多いということは事実でございます。私ども、検査報告に掲記してございますのは、過去十年間分をちょっと見てみたわけでございますが、件数で申し上げまして三百九十五件、不当と認めた国庫補助金で十億五千五百万円というような金額に上っております。
 ただ、その内容を見てみますと、過去には工事の施工不良というようなものが多かったわけでございますけれども、こういうものはだんだんと減ってきております。あと事業費の積算過大あるいは補助目的の不達成、補助の対象外、こういったものにつきましても、全体的に見ますと件数、金額は減ってきておりますけれども、おっしゃるように同じようなことが毎年指摘されているということは、私どもも非常に残念に思っていることは事実でございます。
 これにつきましては、事業主体の個々の方がいわゆる補助事業についての認識が不十分であるとか、あるいは農林省その他県、市町村を含めまして、そういうところでの指導が不十分である点がいろいろあろうかと思います。ただ、省、県、市町村、それぞれ一生懸命やっておることは事実でございますので、その点ではだんだんなくなるのではないかと希望しておるところでございますけれども、筋におきましては先生おっしゃるとおりでございまして、まことに遺憾に思っておるところでございます。
#99
○佐藤(観)委員 参考までに、どなたでも結構です、法務省でもあるいは次長でも会計検査院でも結構ですが、例の補助金適化法というのですかの中のいま申しました二十九条だと思うのですが、「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、」云々というようなことで罰則をこうむったという事例はあるのですか。どなたでも御承知の方、こういうのがありましたよとか、その辺で結構でございますから。
#100
○飛田説明員 いわゆる補助金適化法に係る罰則について、どのぐらい現実に罰則が適用され、有罪判決があるかという数字については、あらかじめ御通告がなかったものですから調べてまいりませんでしたけれども、私の知る限りでも、毎年、かなりとまでは言えないかもしれませんが、ある程度の有罪判決が下されております。これが適用されて起訴され、有罪判決が出ているというのは事実でございます。
#101
○佐藤(観)委員 私は、罪人をつくることが趣旨じゃないのですが、何度も言うておりますように、どうも少なくとも補助金をもらう人というのは、何でもこれはもらってよかった、正直言って何か非常に軽い気持ちなのではないだろうかなということを私は思わざるを得ないのであります。いま私が具体的に挙げた事例でも、二十五名のうち十二名、半分が知らないで事業が進められるというようなことで、この貴重な税金というものが補助金でやられる、それで事業をやり何らかの政策目的を達成するということに本当に適合していくのだろうかということについては、財政環境が厳しい折から私は非常に疑問に思うのであります。
 そういった意味で、これは主計局になるかと思いますけれども、きょうは具体的に私も考えてきませんでしたが、補助金の交付について適正に要件もすべて満たし、そしていま罰則を受けるとか、あるいは会計検査院から不適確というような指摘を受けるというようなことにならぬもう少し何か方法はないのか。いますぐということではないかと思いますけれども、せめてもう少し、これだけ財政の問題が厳しくなっている折から、執行面においても考えていく必要があるんじゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
#102
○西垣政府委員 先ほどから申し上げております補助金の適化法を周知徹底するということが最も大事なことではないかと思います。
 適化法によりますと、第三条に「関係者の責務」という規定がございまして、「各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当っては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」また第二項で「補助事業者等及び間接補助事業者等は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従って誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。」という規定がございまして、この精神に従いまして適化法はずっとできているわけでございます。ですから、この適化法の周知徹底ということが大事だということでございまして、補助金等の中央連絡会議というものがございますが、その幹事会におきまして毎年一回この徹底を図るというような努力をいたしております。
 それから、さっき御指摘がございましたような会計検査結果の予算への反映、毎年のように検査院と連絡をとりながら、検査の結果いろいろとお気づきの点を伺いながら、採択基準等につきましても時宜に適した訂正を行うというようなことをいたしております。五十七年度におきましては、たしか五十六年度でございましたか、指摘事項の大半が私学助成であったことにかんがみまして、その補助基準、採択基準につきましては特に厳しくしたというようなことはございます。
#103
○佐藤(観)委員 次に、私は同種類の趣旨で少しお伺いをしておきたいのでありますが、これは新聞の報道でありますし、また個々の企業の問題でありますから、必ずしも的確な答弁がいただけるとは思いませんが、三月三十一日の新聞に、日本郵船の申告漏れ百億円、追徴四十二億円というのが大きく出ているわけであります。申告漏れなりなんなりというのは、これはいろいろな業種にあるわけでありますけれども、ただ海運業界に対しては御存じのように利子補給がされているということであり、また日本郵船については、新聞の記事を見る限りは、余りいい決算を出すと補給金を返さなければいかぬというようなことがあったのではないかと新聞は報じているわけであります。もしこのとおりだとすれば、とんでもないことだと私は思うのです。国からは補助金をもらい、税金は納めないわ、国にとりましてはいわゆるダブルパンチなわけですね。
 国税庁にも来ていただいているわけでありますけれども、記事の内容を読む限りは、チャーター船のチャーター料を一体いつの時期に入れるかという話のようであります。従来の決算を五十二年の三月期から航海が完了した時期にコストを計上するという方式に切りかえたということが報道されているのでありますが、いずれにしろ報道の限りでは、こんなことは船会社なんですからいわば常時あることなのではないだろうか。この基本的な点がずれているというのはどうもおかしいのじゃないかなという気がするわけですね。その点、答えられる範囲で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
#104
○岸田政府委員 お答えいたします。
 日本郵船の課税問題につきましては、先生御指摘のように先日新聞報道がございまして、内容といたしましてはほぼそういうことであるということにつきましては否定はいたしかねますが、具体的な内容は個別企業でございますのでお誓えをお許しいただきたいかと思います。
 御指摘の経理基準の問題でございますが、これは一般的に申し上げますと、私どもといたしましては、船会社につきましては、やはり継続の原則と申しますか、一つの基準を設けました場合にはそれを継続して守っていくということによって、適正な期間損益というものが出てくるというふうに考えておりますので、その点からの指摘は、一般的に申しまして業界を指導しておる次第でござ
 います。
#105
○佐藤(観)委員 そう立ち入って聞こうとは思わないのでありますが、ただ、指摘しておきましたように、片や補助金をもらうために経理を圧縮をしてということはとんでもない話だと私は思うのです。ただ、それは新聞報道だけでありますからそれ以上申し上げませんが、この点だけをあえて指摘をしておきたいと私は思うのであります。
 次に、国の財政は申すまでもなく大変厳しい状況にある。その厳しい状況の中で三K問題というのが言われ、いま国鉄をめぐる再建問題というのが大変大きな問題になっているわけであります。そこで、整備五線と申しますか整備新幹線と申しますか、この新設の問題と財政再建、国鉄再建の問題についてお伺いをしたいわけであります。
 いま赤字、赤字ということが問題になり、赤字自体は大変でありますけれども、国鉄が構造的な欠損を持たざるを得なかった経過あるいはいまの制度的な問題については、私は、基本的にはまた改めて別に申し上げたいと思うのでありますけれども、いずれにしろ、赤字を出しながらも新幹線はいま全国的に広げようとしているわけであります。これは見方を変えれば、その意味では建設国債と一緒じゃないかな、ただ扱っているのが国鉄なりあるいは鉄建公団なりということであって、一つのものをつくり、そしてそれが何年かで償却をされていくということでありますから、その意味では、性格的に建設国債と同じではないかと私は思うわけであります。しかし、経理という面では、それはそれなりに仕切らなきゃいかぬわけでありますから、その点について、国鉄再建と財政再建の問題について絡ませてお伺いをしておきたいと思うのでありますが、これも三月三十一日の新聞に、東北新幹線、つまり盛岡と青森の間、それから北陸新幹線、この場合には高崎といまは武生まででありますけれども、これが工事実施計画の策定にかかる方針を決めたということが報道されておりました。ただ、財政事情や地元の関係やその他のことからいって、着工、開業の時期はめどが立たないと新聞は報道しているのでありますが、この東北、北陸、これは大体どういうスケジュールで進もうとしているのですか。
#106
○深田説明員 お答えいたします。
 三月三十日に、先生御指摘の二つの線につきまして環境影響評価を進めますためのルート及び駅の概要を国鉄及び鉄建公団が発表いたしました。これは、五十七年度予算の編成に際しまして、環境影響評価をその二つの線に対しまして完結し、一方、財源のめどをつけて君工するということになっておりますので、その第一の手順として、まずルート、駅の概要を定めまして、かつ、その限られました二つの線について環境影響評価を完結したいと思っております。それがまとまりますれば、国鉄及び鉄建公団がその評価書案なるものをつくりまして、それを地元の知事さんに送付し、知事さんに各県におきます意見を取りまとめていただきまして、それを国鉄及び鉄建公団に返しまして、その意見を国鉄及び鉄建公団はしんしゃくいたしまして、評価書案なるものを案を取りまして評価書にいたすこととなっております。同時に、工事を進めますための財源のめどをつけまして工事実施計画書を完成し、国鉄及び鉄建公団が施行主体でございますので、それぞれ運輸大臣に工事実施計画雷の認可を中請いたしまして、大臣が所定の判断で認可いたしまして着工、おおむねこういうスケジュールになると思います。
#107
○佐藤(観)委員 それともう一つ。いま青函トンネルをつくっているわけですね。青函トンネルまでつくったら、北海道札幌までつなげないことには効率が悪くてしようがないですね。北海道新幹線というのはどうなっているのですか。
#108
○深田説明員 整備新幹線と申しますのは、四十六年に基本計画が、四十八年に整備計画が定められておりますが、御案内のとおり五つの線がございます。北海道、東北、北陸、九州の鹿児島ルート及び九州の長崎ルートでございます。同時並行的に進めますのには多大の資金を要しますので、とりあえず東北の盛岡から青森までと北陸の高崎から大阪までの二つに優先度をつけたわけでございますが、北海道を含みますその他の三線につきましては、その先行二つの線がある程度進みました後の判断になろうかと思います。
#109
○佐藤(観)委員 そこで、いま国鉄再建の問題が大きくなっている中で、国鉄当局にお伺いしたいのであります。
    〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
 基本計画の段階で、すでに国鉄というのは大変な累積赤字を抱えていたわけであります。そのときが、四十六年ですと、長期の債務残高を三兆円持っていた。四十六年当時の三兆円であります。あるいは赤字の額も、約八千億円繰越欠損を持っていたという状況で、すでに四十六年からいまの状況の前段の状況はあったわけです。
 一体国鉄というのは、いまの国鉄の財政からいってそれはとても無理ですというようなことが言える法制になっているのですか。鉄道建設審議会に総裁が入られて意見を述べられる。そのときには、当然企業性も持っているわけでありますから採算の問題も頭にあると思いますが、一体いまの法制度は、総裁として、国鉄を預かる者としては、いや、とてもそれだけの過大な投資はできませんということで断れる法制度にいまなっているのでしょうか。
#110
○半谷説明員 いまお尋ねの整備五新幹線のお話でございますけれども、先ほど運輸省から答弁がありましたように、これから諸手続があるわけでございます。
 それで、私どもがこの整備五新幹線をどう見ているかということでございますが、新幹線という鉄道ができましたのは昭和三十九年、東海道線が初めてでありますが、それ以来、博多まで約一千キロ開業いたしております。鉄道という面から見まして、この新幹線、特に都市間の都市交通機関としては、鉄道としては最新の技術を結集いたしまして、高速性、大量性あるいは安全性、安定性という面から見まして、すぐれた国内の交通機関であるというふうに考えているわけであります。
 しかし、いままで建設、営業いたしてまいりました東海道、山陽について申し上げますと、一日平均の輸送量で申し上げますと、東海道新幹線は一日平均約十四万人、現在運んでいるわけでございます。山陽につきましては一旦平均約六万人という状況でございまして、新幹線といたしましては、もちろん当然収支相償いまして黒字を出しているという状況でありますが、今後建設いたします新幹線につきましては、優秀な交通機関であることは間違いないわけでありますが、やはり輸送量そのものが比較的減ってくる地域でありますし、また、幾ら優秀な交通機関といえども、経営的に赤字が累積していくというような状況では、これは経営を維持していくことすらできなくなるという状況が予想されるわけであります。特に、いま御指摘のありましたように、国鉄が大変な財政赤字を何とか再建するという状況から考えますと、この財政問題を抜きにして新幹線を判断はできないというふうに考えている次第であります。
 ただ、整備新幹線の収支がどうなるかということにつきましては、今後の輸送量あるいは建設コストの問題あるいは地元負担を含めました公的な助成がどの程度されるのかということによりまして収支の計算ができるわけでございまして、現在環境影響評価を続けておりますけれども、それに基づきまして、当然私どもとしては経営の問題に取り組みまして、工事実施計画を申請するという段階には、その点をクリアして申請いたすことになるかと存じます。五十三年の関係閣僚会議の決定事項をお伺いいたしましても、やはりこの収支の問題をはっきりさせるということが認可の条件というふうに決められたように聞いておりますけれども、私どもとしてもそのように考えているわけでございます。
#111
○佐藤(観)委員 もう一つお伺いしておきたいのは、いまの整備新幹線あるいはその基本計画、整備計画、特に基本計画ですね、これは、国鉄がいまの財政からいってとても無理ですと言えば断れる法的措置というのはあるのですか。
#112
○半谷説明員 直接のお答えにならないかと思いますが、基本計画から整備計画、それから工事計画線となるわけでありますが、その閥において運輸省、運輸大臣の認可を必要としていく過程が何回かありますし、そのような段階で当然運輸省としての御判断が入ってくると思います。国鉄総裁が意見を言うということはあらゆる機会にいろいろ意見を申しておりますけれども、いま申し上げましたように、運輸省、連輸大臣における判断というものがまず出てくるというふうに考えているわけでございます。
#113
○佐藤(観)委員 その問題は今後の問題として非常に重要なのですが、時間が大分迫っておりますので少し先へ進めます。
 そこで、運輸省にお伺いしたいのですが、整備新幹線についての採算性について何か運輸経済研究センターの方で調査をしたようでありますが、その結果についてちょっと説明していただきたいのです。
#114
○深田説明員 五十四年度に運輸省が運輸経済研究センターに委託しまして調査を行っております。それによりますと、沿線地域の人口が東海道、山陽等に比べて低うございますので、想定される輸送量が少のうございまして、したがいまして収支採算が相当悪いということになっております。
 それで、当然建設費に対します助成等の前提条件がいろいろ要るわけでありますが、現在どおりの借入金による建設を行いますれば、新幹線だけでも赤字になるというふうなことになっております。また、仮に建設費を全額企業体、国鉄以外のところが出してやるなら、新幹線は黒字になるというふうなことになっております。
#115
○佐藤(観)委員 では、一体整備五線というのは合計して建設費に幾らかかるのか。それで、いまのお話しのように建設費を全部除いたら新幹線は黒字になるがということは、要するに、在来線との競合の問題があるわけですので、在来線を入れたら収支はどういうふうになっていくのか、ちょっとそこまで説明してください。
#116
○深田説明員 先ほど申しました五線全体でございますが、延長が千四百四十キロございまして、建設費は、五十四年四月時点の価格で当時計算しておりますが、五兆二千三百億円となっております。
 それから、収支をもう少し補足をいたしますと、在来線では、工事費を全額補助を行います場合、先ほど申しましたように新幹線だけでございますと黒字でございますが、いまあります在来線の優等旅客が新幹線に移りまして在来線の輸送量が減少して収支が悪化しますために、整備新幹線と並行します在来線の合計の収支は、工事費の全額補助を行ったとしましても赤字であり、しかも赤字が増大する、こういうのが五十四年度調査の収支に関します大まかな概要でございます。
#117
○佐藤(観)委員 そこで大臣、いま聞いていただきましたように、整備五線の建設費は五十四年四月価格で五兆二千三百億円。五十四年の価格でございますから、恐らく建設費は目分量として約六兆弱ぐらいになるのじゃないかと思いますね。それを全部国が持てば新幹線だけは黒字になりますが、在来線との競合がありますので、これは赤字になります、しかし、在来線だけ置いておいて新幹線をつくらないよりは、幾らかこの赤字の幅は狭くなりますということです。
 もちろん、私が冒頭申し上げましたように、これによって地域開発が進むこと、あるいは人間の移動が大変速くいけば、それだけいろいろな意味での経済のトータルな開発が進むこと等々はありますが、マイナス面もあります。騒音の問題とか振動の問題とかマイナス面もありますが、あるいは全国的にこういった新幹線網をつくることによる経済的なレベルアップ、いろいろな意味での政治的な力がアップするというようないわば計測できないものは、大蔵委員会でございますのでこの際ちょっと置いておいても、いま申しましたようにざっと六兆円弱の建設費をかけ、そしてなおかつ、それでどうにかなるかというと、在来線との問題があって、それを全部国が持ったとしても国鉄は赤字がふえていきますよということなのですね。
 片や国はどうか。大体六兆円全部持てるかどうか。鉄建公団にやらせるにしても、建設費はそれなりに分散はできても、最終経常費の赤というのは、いまの体制の延長で行けば結局は国鉄が持つわけですね。これから臨調の中でどういう経営形態になるかは別といたしましても、いずれにしろ、経常費の赤というものは国鉄が持たなければいかぬことになってくるわけですね。
 こうなってきますと、国は何とか財政再建をしたいということで建設国債もなるべく減らす、赤字国債も減らしていく、五十九年にはゼロにしようということでやっていく。片や、いろいろな経済的な効果があることは私も否定しないけれども、新幹線をつくるために約六兆円の建設費が要り、なおかつ赤字が増していく。一体財政再建、国鉄再建というのは何だろうか。一面では、それに伴っていろいろな技術が向上したり地域開発が進んだりする。そういった意味では、国鉄がいろいろな新幹線をつくっていくことは、性格は建設国債に非常に似ているということは先ほど申し上げましたが、それはそれといたしましても、とにかく財政である限り収支じりは合わせなければいかぬわけですね。
 そうなってきますと、国は何とか財政再建をしなければいかぬということで国債を減らしていこうという方向にありながら、片や新幹線五線をやる。私は、地域の方々が欲しいという気持ちは非常にわかりますが、国の政策全体として、財政再建、国鉄再建というものとの関連からいって、これは一体どういうつながりになっていくのだろうかということについて、大臣のお考えをお伺いをさせていただきたいと思うのです。
#118
○渡辺国務大臣 それぞれの地域の人たちが新幹線を引きたいという気持ちは、私もよく理解ができます。しかしながら、いまお話があったように、この財政事情の非常に厳しい中でどこからその財源をひねり出すかということになると大変なことであります。
 一方、新幹線を引いても、所によってはそれ自身が赤字になり、さらに在来線は一層ひどい赤字になるということで、建設費の利息はかさむわ、また赤字のための借金ができるわというようなことを考えると、これは国有鉄道であり、政府保証債でやる話でございますから国民が連帯保証人である。したがって、新幹線を引いて赤字が累増していけば、結局は国民が税金で払わせられるということになるのであって、新幹線に乗らない国民が税金をいっぱい出してもそれでも結構です、減税どころではない、増税賛成、新幹線のためやむを得ないというのであれば、それはまた話が別な話だけれども、そう考えている人は少ないのではないだろうかということになりますと、現在もう始まってしまっているたとえば盛岡−東京みたいなものは途中で大宮でやめてしまうというわけにはもういかぬですね、利用価値が少なくなってしまう。こういうようなものは東京まで結ぶということもいいでしょうが、それ以外のところに大きく手をつけていっても収拾がつかなくなると私は見ておるわけでございます。何かいい対案があって、地元が全部引き受けて金を出して土地を提供してやるというのなら話は別だが、そうでない限り、財政を預かる大蔵大臣としては、はい、さようでございますと言って賛成をするわけにはいかないというのが実情でございます。
#119
○佐藤(観)委員 最後に、国鉄に聞いておきたいのでありますが、いま五十七年度の予算で繰越欠損金が約九兆円、それから長期債務の残高の合計が十八兆円ある。この点はまた明らかにしますけれども、この中には必ずしも国鉄の意思じゃなくて、いわば地方の要請ということでやるものが国鉄の場合にはかなり多いわけですね。私たちはそれを構造欠損と呼んでいるわけでありますけれども、こういういまのような財政の中で、いま赤字だ赤字だということで言われておるわけでありますが、しかし赤字を出しながらも、それが地域社会やあるいは公共事業的な性格からいって景気を支えたという点もあるし、技術的な発展もあるし、私は単なる数字だけで言うのじゃなくて、それはいろいろな要素があると思うのです。
 ただ問題は、いま大臣からも答弁をいただきましたけれども、国鉄自身がいまの中でなお一層、拡大再生産ならいいけれども、収支じりを見る限りは、私は、拡大をしていくことが収支の面で縮小していく、簡単に言えば赤字が減っていくという方向での解決策の方向が見出せれば、これは非常にいいと思うのですが、いまのお話を聞いても、それはないわけですね。
 国鉄自身が、国だ国だということで、そういった意味での経営的な甘えという言葉も一部であると私は思うのでありますけれども、最終的にはまた国が見てくれるという甘えは国鉄自身になかったかどうか。これは私は、国鉄再建の中でも、しがって次の国鉄をつくるときにはそういう甘えのない、もう少し政治から独立をして、国鉄自身が本当にみずから自分の裁量権を持って、これはもうとても、国が援助してくれるなら話は別だけれども、それ以外やりませんと毅然として言える制度的なものがない限り、国鉄再建というのはむずかしいと思っているのですね。
 そういった意味で、大臣からも答弁をいただきましたけれども、国鉄自身この整備五線について、基本計画、整備計画あるいは実施のための計画ということを順序を経てずっと運輸省と来ているわけでありますが、行き着く先が大体見えているときに、国鉄自身はこれをどうしようと思っていらっしゃるのか、その点についてお伺いをしたいのです。
#120
○半谷説明員 先ほどお答えいたしたところでありますが、この整備新幹線につきましては、ただいま環境影響評価等を進めている段階であります。したがいまして、この調査が済みますと、工事計画の概要がつかめるわけでありまして、それと同時に、その建設コストあるいはさらに詳しい輸送量の想定あるいは在来線の合理化計画、そういったようなものを総合勘案いたしまして、経営にどのような影響があるのか、現在再建期間中のこの国鉄財政に影響がないという形を見定めた上で実施計画を出すということになるわけであります。現在その過程にあるということでございます。
#121
○佐藤(観)委員 時間ですから終わりますけれども、これから「財政の中期展望」を見ましても、三兆だ、四兆だといういわば要調整額が必要になってくる。景気がよくないから歳入欠陥が起こってくるという財政の中で、新幹線は敷けたけれども国鉄はまたますます財政的ににっちもさっちもいかなくなる、その影響というのは結局国が受ける。国というのは、その意味では国民の負担になるということですから、そういった意味では、国民全体でいろいろなことを考えていかなければならぬのじゃないのかな、しかもそれは真剣に考えていかなければならぬ問題だということを指摘をしまして、終わらせていただきたいと思います。
#122
○中西(啓)委員長代理 渡部一郎君。
#123
○渡部(一)委員 きょうは、各論者がいずれもグリーンカードの問題からお始めになっているようでございますから、私は、ちょっとこのお話をどうしてもしなければならぬのでありますが、グリーンカードの見直しを自由民主党が正式に決定し、三年延期の方向と、きのうの夕刊で大きく出ております。そしてそれにあわせて大蔵大臣が、高所得者向け減税を五十九年実施の見返りとして、こういう表明をなさったという大見出しが出て、これは一つの新聞ですが、こういうふうに並べて見ますと、自由民主党というか大蔵大臣は、お金をたくさん持っていらっしゃる方のために奮闘されておられて、やみのお金を持っておられる方に非常に厚い配慮をされておって、高額所得者のためばかりにがんばっておられるという印象が濃いわけですね、こういうふうになってくると。貧しい者、それから税の不公正を嘆いている者、そして国民の中に多く潜在する最近の税の不公平を強く訴えている層に対して、これは余りにもひど過ぎる御発言が続いたのではないかと私は思うわけであります。これからどういうふうになさっていくのか、物事の始まりとしてまずまとめてお尋ねいたします。
#124
○渡辺国務大臣 自由民主党の動きについては、具体的に私には何の相談もございません、いずれ何か話があるのかどうか知りませんが。ただ、政府としてはいままでの所定の方針でやる。私の言っているのは、私は、本来ならば、グリーンカードで総合課税にするときには、これも何回も何回もお答えをしていることでございますが、諸外国が分離課税でなくて総合課税制度なんだから、日本もそれに見習うのだということですので、それならば、やはり税率区分等についても諸外国並みにすべきであるということを言っておるだけのことでございます。最高税率七五などという国はありませんから。ともかく四五から六〇ぐらいまでがヨーロッパ、アメリカは五〇でございますが、そういうようにその最高をそこに決めて、そこでなだらかに直せ。高額者だけ直せとは私は言っておりません。最高税率を打ちどめにした方がいい。余り極端なことをやると、いま資本自由化の世の中でございますから、資金の移動が行われたり何かすると、結局は庶民大衆あるいは経済運営に思わぬ被害を与えることもあり得る、そういうことは私は避けなければならないということを、ただ原理原則を言っているだけでございます。
#125
○渡部(一)委員 大臣のいま言おうとしておられるニュアンスは、私はわからないではないわけでありますが、もしグリーンカードに対する反対論を克服し、総合課税移行に伴う諸措置をとるというふうな、措置を考えるというために何かを御発言になっているのだとすれば、これは後で議論いたしますが、高齢者の退職金に対する非課税というものが現行のままでは余り十分でない、むしろそういう問題を考えるべきではないかとか、あるいはクロヨンの調査が現在不十分であるから、そうしたものをこの際やるべきではないかとかいうような御発言の中で、税率区分というものは一部不適正だからこれは改正するようにしたいとおっしゃるなら、私はわかったような気もするのであります。
 ところが、高所得者向けの減税だけを大きく取り上げて御発言になったというのは、大蔵大臣は非常にこの問題についてのベテランであり専門家でいらっしゃいますお方がこういうふうにおっしゃるということは、非常に特異な意図があるのではないか。先日あるマスコミの取材の中で、渡辺大蔵大臣はグリーンカードをやめさせるのに賛成だという運動をかねてされておったことがあるというニュアンスまで私は伺ったものですから、きょうは疑いの目を濃くして、猜疑心に満ち満ちた目で見ているわけであります。
 さて、その辺もう一回おっしゃっていただけますか。
#126
○渡辺国務大臣 私はグリーンカードの提案者なんです。一番最初の提案者は渡辺美智雄なんです、実は。もう六、七年前でございますが、少し違うのですがね、いまのものとは。したがって、私がやめさせる運動をやっているなんということは事実無根でございます。
#127
○福田(幸)政府委員 税の理屈の方からお答え申し上げたいと思うのですが、五十五年十一月の中期答申で、御承知のとおりに、最高税率のあり方をメンションしまして、要するに、課税標準が広がってくる、すなわち土地の譲渡あたりも原則的に取り込まれてくる、さらに今回のような利子配当が取り込まれてくる、そういうふうに課税の標準というかベースが原則的な形に戻ってくる、その際は、最高税率をやはりその関連で見直すのが理論的にも正しいということを言っておるわけで、われわれもその考え方に沿って検討は続けておるということでございます。
 そういうことですから、いずれにしろ最高税率の異常な高さ、これは英国が六〇、フランスが六〇、西独が五六、アメリカが五〇なんですが、いずれにしましても税率というものが、課税標準として総合化されてきた場合にはモデレートな、常識的な税率であるべきだというのが一連の問題でございますし、また、金持ちと申しますのも、この際は勤労性所得、給与所得者の問題であるわけで、したがって、その利子配当というものを分離で軽課するという問題を更正しようとするわけですから、そういう意味で、資産性所得というものと勤労性所得を同じに扱うという意味での税率の見直しということで、金持ちというのも勤労としての対価が多い人というふうに御理解いただきたいと思います。
#128
○渡部(一)委員 最近の世論調査を見ましても、鈴木内閣に対する最高の不満が減税の問題であると言っております。税の不公平の問題というものは、明らかにこうした議論の背景として処理されなければならぬ問題だと存じます。
 ところが、クロヨンの問題につき調査を私はお願いしたわけでございまして、もう足かけ二年前になってしまうわけでございますが、昨年の三月当委員会において、特にクロヨンだとかトーゴーサンというような、所得の把握率に対する実態調査をお願いしましたとき、国税庁から前向きの御答弁がありまして、大いに期待をいたしておったわけであります。
 ところが、その後国税庁が税の執行に関する実態調査を発表されましたので、私は非常に興味深くこれを拝見したところでございます。特にこの際表明しておきたいことは、この調査は非常に困難性を伴うものであって、よくこれだけ御調査をいただいたものだと、関係の各位にはもう深くお礼を申し上げたいと私は思っております。
 ところが、詳細に拝見いたしますと、多少不満が残るわけでございます。その第一点は、税執行の公正さについての問題点といたしまして、無申告者の中に潜在している納税義務者の把握が不十分ではないかという点を非常に丁寧に追求されているわけであります。二番目の問題は、納税している者について、その所得の把握が十分でないのではないか、この点については調査をされていないわけであります。それから三番目に、世帯主所得と暮らし向き、つまり世帯単位所得との間にギャップがあるのではないか、この点については多少調査をされているわけであります。これは肝心な無申告者の中に脱税者がおるというのは、これも初めてわかってきたことでありますから、それなりにあれがあるのでありますけれども、この納税している者の中の所得者の掌握不十分という問題がクロヨンの問題とは欠かせない問題でありますから、これが抜けてしまうということは、全体的な調査が必要なのに、部分だけ取り上げますと、結局そのトータルした数字がどんなものかわからなくなってしまう。結局全部の調査というものが非常に意味が薄れてくるわけであります。
 アメリカでは内国歳入庁が、脱税により政府が失った歳入を測定する調査を克明にされておる。そういう先例を考えますならば、わが方でも、それに伴うような調査はできるのではないか、このような感じを持つわけであります。今回発表された総理府世論調査、国税庁の実態調査の公表について思いますのは、これは明らかに調査されておりますけれども、他の資料の援用その他で不十分ではないか、私はまずそう思うのでございますが、この点、国税庁長官の御答弁をお願いしたい。
#129
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。
 最初に、長官が本日よんどころない所用で出席できませんことをおわび申し上げます。
 ただいま先生御指摘になられました、税の執行が果たして公正に行われているのかどうか、いわゆるクロヨン論議というものがあるわけでございまして、昨年の通常国会における本委員会におきまして、先生から、その点について国民に実態を明らかにさせるような実態調査というものを国税庁として実施すべきではないかという御議論がございまして、これを踏まえまして、私ども先般税の執行に関する実態調査をいたしたところでございます。その間の考え方につきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。
 いわゆるクロヨン論議というものの内容は多岐に分おれておりますし、また、したがいまして、これをどのようにして解明するかという実態調査の方法等もいろいろあるわけでございます。一番に考えられますことは、たとえば住民基本台帳か何かをもとにいたしまして、すべての国民を対象として一定の抽出率で無作為抽出に対象を選びまして、これに対して税務調査を行って、所得の漏れぐあい、こういうものを調査するということが確かに一つはあるわけでございますが、この手法がわが国の場合なかなか困難であると考えられたわけでございまして、その一つは、いまのような方法でいたします場合、どうしても職のない者と職のある人とを区別することがむずかしゅうございますので、母集団がかなり大きくなり、全国の相当たくさんの市町村にその対象者がまたがるということになりますが、全部で数百というような市町村について、市町村の協力が十分得られるかどうかというような点について必ずしも自信がなかったということ、もう一つ、わが国の場合ですと、やはりその対象者の中に相当多数の給与所得者が当然入ってくるわけでございますが、給与所得者は、一般にはそういった税務調査になれていらっしゃらないわけでございますので、格別資料があるわけでもない給与所得者に対しまして、あなたは別に何か不動産所得のようなものがあるのではありませんかとかといったような税務調査を行うことはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えられたわけでございます。
 そこで、給与所得者を除いた営業者とか農家だけを対象に、では無作為抽出で調査してはどうかということが当然考えられるわけでございますが、実はこれらの事業所得者につきましては、税の執行の過程におきまして、私ども、相当程度までその申告水準について手がかりになるような資料を持っているわけでございます。先生御承知のとおり、農業所得者につきましては、ごく一部のいわゆる特殊経営農家といったものを除きましては、農業所得標準による課税を行っておるところでございまして、一般的に言いまして、所得水準の問題というものにはなじみにくいのではないかと思いますし、また営業者につきましては、私どもの行っております実地調査によりまして相当所得の漏れがあるのではないかと思う対象者をしぼり込みまして調査をいたしておりますが、その結果把握できております所得漏れの割合というのは、所得金額にして大体二五%ぐらいということになっております。これは、特にそういった資料があるとか申告水準が低いといった相手に限られているわけでございますので、平均的にはこれよりは相当申告水準は高いと推定されるわけでございますが、実はこれをさらに裏づけるような調査を私ども内部の課税資料を得るためにいたしております。これは業種別の経営実態の調査というものを営業者につきまして行っているわけでございまして、幾つかの業種につきまして、ほぼ毎年のように無作為抽出で対象者を選んで念入りな調査を行っております。その結果によりますと、いま申し上げました一般の実地調査よりは相当申告水準は高いというような結果がこれを裏づけているわけでございます。
 さはさりながら、そういった営業者や農家については、暮らし向きと申告水準との間に大きなギャップが見られるではないかとか、あるいは、そもそも所得がありながら全く把握されてないものが相当あるのではないかというようなことも、これまたクロヨン論議の大きな原因になっている点に着目いたしまして、先ほど先生御指摘になられましたとおりの無申告の実態調査と世帯単位所得の実態調査を行ったところでございます。
 その無申告の実態調査の結果によりますと、対象は約九千の世帯主、一定の地域の悉皆調査をいたしたわけですが、その結果、給与所得者十名を含めて三十一名の方が本来所得税を納めていただくべきにもかかわらず申告等が漏れていた、あるいは源泉徴収が漏れていた、こういうような結果が出ております。これは率にしますと〇・三四%ということでございまして、大きな漏れではないというふうに認識できたわけでございます。
 また、暮らし向きの調査の方でございますが、これはサラリーマン家庭それから営業者の家庭、農家の家庭のそれぞれについて特色を調べてみたわけでございます。その調査の結果は、営業者あるいは農家の家庭におきましては、世帯主のほかにも所得のある家族の数が相対的に多いということと、それから本来の事業所得のほかに給与所得が相当程度まで暮らし向きを支えているというような実態が明らかになりました。
 以上の私どもの手元に持っておりますいろいろな手がかりのほかに、今回実施いたしました調査の結果を一応総合いたしますと、いわゆるクロヨン論議といったような問題について、相当程度まで実態を解明することができたのではないか、このように脅えている次第でございます。
#130
○渡部(一)委員 大臣、きょうは私はちょっと手かげんして申し上げておるのですが、国税庁長官に対して私は一週間前から質問通告を行い、出てこいと言っているわけであります。お忙しいのはわかっているのですが、国税庁長官はおいでにならない。ここ一年ぐらい見ていて、ずっとおいでにならない。国民の税金に対する問題が一番沸騰しているときに、政府の正式な政府委員が出席を拒否するなどということは許しがたい。こんなことは当委員会の慣行とも認められているものではない。これはもってのほかである。しかも、きょうは税務大学校の何かがあるというお話なんで、税務大学校においでになるというから、午後から始まっていると思ったら午前十時から始まっているという。いままでのろのろとごあいさつをやっておられるはずがない。三時間も四時間も税務大学校で演説されているはずがない。これはどうかと思うので、ぜひとも御出席をいただかなければならぬと思うのですが、この辺、いかがですか。
#131
○小山(昭)政府委員 冒頭お断り申し上げましたとおり、本日、よんどころない事情で出席できません。先ほど渡部先生からおっしゃっていただきましたように、本日、税務大学校の入校式がございまして、そちらの方に出席いたしておりますため、私が不肖でございますがかわりに御答弁のため出席さしていただいたわけでございます。(発言する者あり)
#132
○中西(啓)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#133
○中西(啓)委員長代理 速記を起こして。
 渡部一郎君。
#134
○渡部(一)委員 私は、内容については次長が十分お答えになることのできるのは知っているのです。しかし、長官が先頭を切って、クロヨンを初めとする国民の不公平税制に対する怒りに対応しなければならぬときに、国権の代表的議論をするこの場所に来て話を聞かないで、後ろへ引きこもっている、それはいかぬ、それは許せない。同じ大蔵省の中ですら、ほかの忙しい方が全部出そろっているのに、国税庁長官だけが出てこないというのはどうかと思う。それはもちろん、国税庁長官が出てきて、私の税金をまけてくれなんて国税庁長官に私がここで言ったとしたら、そういうひどい議論に対してはお答えできませんと言うのが至当だろうし、顔を見せないのが妥当でしょう。
 私がいま言っているのは、そんなことを言っているんじゃないのです。これは大臣、あなたの大蔵省の指揮にも責任がどうしても生じてくると思いますよ。言いにくいかもしれませんけれども、一発、何やっているかとあなたが一喝なさらなければいけないじゃないですか。ほかのへなちょこ大臣とは違いまして、あなたは十分の実力をお持ちの大臣だと僕はお見受けしているから申し上げるのであって、これはひとつ言っていただかなければならないんじゃないですか。
#135
○渡辺国務大臣 私が報告を受けているのは、いま言ったように、一年に一回の入学式で、新入生との対話をやっておるということを聞いております。もう終わるころでしょうから、終わったらばすぐ出席するように私からも言っておきます。
#136
○渡部(一)委員 それじゃ、もうきょうは大甘で少し質問を進めていきます。
 クロヨンについての適切な調査と対応というものが必要でありますのに、今日なおかつクロヨンに対するうわさは消えることはないわけであります。それは、いまの御答弁はいろいろな言い方をなさいましたけれども、その内容ではとうてい納得しがたい点がございます。
 たとえば、住民基本台帳に基づき無作為抽出を行い調査をすればわかると思うのであるけれども、市町村の協力が得られないので無理だとおっしゃっております。しかし、ここの調査の中では、市町村の税務当局が、県の税務課等が協力されて進行していることは明らかであります。それは矛盾をいたしておりまして、できないと頭から決め込んでいたのでは仕方がないのではないでしょうか。
#137
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、私どもの税務職員の手間が大変不足しておる実情にあるわけでございまして、この種の調査を実施するという場合、ただいま先生も御指摘になられましたとおり、今回の実態調査に際しましても、それぞれ所在の区あるいは市町村の非常なお力添えをいただいて調査が実施できた、こういう実情でございます。最初から……。
#138
○渡部(一)委員 よろしい。あなたの言うことは、だから矛盾している、めちゃくちゃなんだよ。
 それから二番目に、給与所得者を調べるのは、給与所得者がなれておられないから、あなたは不動産所得ありますかなどと聞くことは、向こうがびっくりしてやりがたいと言われた。しかし、この調査の中を見ると、給与所得者に対して、ちゃんと不動産所得があるかないかを固定資産税課その他から聴取して、そして給与所得者でありながら固定資産税を納めていなかったというような人を把握されているではありませんか。やろうと思えばできることを調査は示しているではありませんか。サラリーマンは嫌な顔をするかもしれませんけれども、調査権は持っておられるし、質問権は持っておられるあなた方が、聞くことについてできないはずはないわけですね。九千世帯に対してできているのに、これは困難ですからできませんというのは論理が矛盾しております。
#139
○小山(昭)政府委員 お答えいたします。
 今回の実態調査でございますが、給与所得者につきましては、第一番目には、やはり源泉徴収義務者を調べまして、その源泉徴収義務者のところで適正にその従業員に対する源泉徴収を行っているかどうかということをまず調べたわけでございまして、その結果、先ほど十名ほどの方が給与所得者で漏れがあるということがわかったと申しましたが、そのうち八名の方は、源泉徴収義務者が本来所得税を源泉徴収すべき所得があるにもかかわらず源泉徴収の漏れがあった、こういうことでございます。給与所得者に一人一人全部当たってみたということではないわけでございます。
#140
○渡部(一)委員 四十人のサラリーマンを調べたわけでしょう。そうして、そのうち十名が脱税をしていたわけでしょう。だから、あなたはすべてのサラリーマンを当たったわけじゃないと抗弁されたけれども、実に四分の一の高率で源泉徴収義務者があるいは本人が意識的、無意識的の脱税を行ったことをこの調査は示しているわけですよ。その比率でいったら、三千六百万のサラリーマンの四分の一なんだから九百万人が脱税することになるじゃないですか。あなたがそんな四十人ばかりをちょぼっと調べてこんなデータを出してくるから、そういう結論になるじゃありませんか。それでいいのですか。
#141
○小山(昭)政府委員 お答えいたします。
 実地調査の手法でいまのように事業主そのほか調査いたしましたのは、確かに御指摘の数字でございますが、そもそも、最初から源泉徴収等されている多数の給与所得者がその根っこにいるわけでございまして、約九千名の世帯主と申しましたが、そのうち七千名程度は給与所得者であったかと思います。したがいまして、四十人について十名の申告漏れというか課税漏れというかがあったのではなくて、もっと大きな母集団の中で十名の方が全く漏れていた、こういうことでございます。
#142
○渡部(一)委員 そうすると、源泉徴収者についてはむしろ調べていなかったと言いたいのですか。そうしたら、クロヨンの調査にならないじゃありませんか。あなたの言っていることは論理的に逆さのことを言っているから、私は一つずつ一つずつ聞いているのですけれども、めちゃくちゃですよ、それは。サラリーマンは調べてないというお立場をとるのか、サラリーマンは調べたというお立場をとるのか、どっちなんですか。そして、実際調べたのは四十人という立場で議論するのですか、九千人の中に七千人ぐらい何となく入っていたという立場でいくのですか。不明確です。
#143
○小山(昭)政府委員 御説明申し上げます。
 ただいま御説明いたしておりますのは、いわゆる無申告の実態調査でございまして、無申告者、つまり本来所得税を納めていただくべき立場にありながら、全く所得税を納めていらっしゃらない方の実態を調べてみるというのが眼目でございましたので、その地域の、これは九地域でございますが、すべての世帯主の数が約九千ございますが、そのうち、すでに所得税等を納めていただいている方は最初からその実地調査等の対象から除いた、こういうことになるわけでございまして、その所得税を納めていらっしゃらない方について、どういう理由で所得税を納めておられないかということを念入りに調査をした、こういうことでございます。
    〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
#144
○渡部(一)委員 大臣、聞いてください。九千というのは、まずこのいまの言葉一つでも、この調査がどのくらいだめか、わかるのです。九地域を選んでいるのですね。農村地域と営庶業地域とサラリーマン地域か、大体そういう雰囲気で三つ分けてある。九カ所ですから、おのおので三カ所ずつ選んでいる、九千世帯選んでいる。この九千選んだという数字的意味がないのですね。
 世論調査の手法を使うときに、日本全体の世論調査、鈴木内閣の世論調査なんかしますときに、現在の推計学を使うと、二千何百でとれるのです。しかし、それは三五%の五の数字までは当たりませんけれども、三五%と表示された場合は三九%から三一%ぐらいの差はあります、そういうばらつきはありますが、大体大まかな方向というものはそれで出るわけですね。少し精密にしても、四千前後とればもう十分というのが、いまの推計統計学の手法です。これは九千とられているのです。これはむだなんですね、実際から言うと。
 二番目に、その地域を三つ、九地域に分散して、さもうまくいったように見せかけているけれども、この地域が、統計的手法によって全国的な状況をよくあらわす地域を選抜しなければならないのです。それがどうやら、何回も聞いてみたのですが、うまくいかれているように私は聞こえませんでした。
 三番目に、目的が違うのです。クロヨンのための調査でしょう。クロヨンのための調査なのに、所得税を納めている人は除いちゃったわけ。それで、申告していない人だけ調べ上げたわけ。申告していない人の中で、納めているとか納めていないとか、納めるべきだけれども納めてないとか、分けようとしたわけ。ところが、クロヨンの実態に迫るときには、納めている人の中でも大幅な脱税をしている人があるわけだ、だから、納めているところを抜かしたということは、もうクロヨン調査の重要な部分がおっこっちゃったわけ。そして今度は、納めている人の中には、自分が農家でありながらサラリーマンだとか、サラリーマンで営庶業もちょっと小さく兼ねているとか、いろいろなタイプの人がありますから、そういうことも含めて調査していかなければならないのに、頭からはじいたものだから、統計的に意味がなくなってしまった。そして、おまけに今度は、何も申告していない人に取りかかったわけだけれども、それはほんの無申告者の実態調査というべきものであって、それはクロヨンをなくすための調査にはならないわけですね。だから、これは目的外調査の典型的な見本です。これは高級な数学的理論は要らない。これはいまの大学の入学試験問題に出ていいくらいの程度ですよ。手を挙げたってだめだよ。指さないよ。(笑声)
 大臣、私はこれはひど過ぎると思います。目的外調査を典型的にやってのけて、そしてそれを……(「すりかえ、すりかえ」と呼ぶ者あり)私たちのところへ持ってきたときには別の表現をもって説明されようとされた。高級なせりふで言えば羊頭狗肉であり、後ろからいま皆さんが述べておられるように、すりかえだと言っておられるのは無理もないのです。こんなすりかえの論理でクロヨンの問題に対抗されようとしたら、国民の不満というのはさらに増幅するだけじゃありませんか。調査になってないじゃないですか。どうしてこんなみっともない調査をするのですか。
 これは何ですか。どこに数学的、統計的意味がありますか。私は大学時代工学部を出ましたから、統計はなれておりますよ。なれておりますけれども、私がいまここに述べているのは、そんな特に高級な統計をいま一つも述べていませんよ。どこに述べていますか。常識の範疇の議論でしかない。それを麗々しくクロヨン調査をやってのけましたなんて新聞にまで発表した。これは約束違反です。しかも、大臣がおられるところで前川崎国税庁次長が約束されたクロヨン調査の内容になってないじゃないですか。そうしておいて税金ばかりたくさん取る、減税はしない。国民が怒るのはあたりまえだ。それで、ついでに行きがけの駄賃でグリーンカードまで踏みつぶす。これはいかなる横暴なる行政であるかと言うしかないじゃないですか。
 私はもう言ったってしようがないので、あとこれを厳格に言えば責任者がそれこそ怒られるだけの話でしょう。それでも一生懸命やっているんですよ、変な調査でも。努力は買うけれども、効果が全くない。こんな愚かなことであっていいのか。僕は、この調査を見るまでは大蔵省の知性というものはもっと尊敬していましたけれども、もう全く理解に苦しむ。これは陰に陽に上の方から命令が出て、クロヨンの調査をやるなという命令が出ている中で何かをしたとしか思われない。これはやり直していただくしかない。こんな調査だったら。だれかお答えになるならしかるべき人が答えてください。君は答えないでいい。
#145
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。
 今回の調査、先ほど申し上げましたように、クロヨン論議の中に内容的にはいろいろなものがあるわけでございます。アメリカが行いました調査も、申告水準の調査と無申告の調査の二本柱で実施をしたように聞いております。
 今回の私どもの調査によって、まず一つ、無申告の相当の所得がありながら全く税務当局に把握漏れになっているものが一体たくさんあるのかどうかという点につきましては、ただいまの先生の御指摘ではございますが、私ども、相当程度まで手がかりが得られたのではないか、このように考えております。
 それからまた、いわゆる暮らし向きと申告所得との間に大きなずれが何といってもあるじゃないか、こういったいわゆる生活実感といったようなものにつきましては、このたびのサラリーマン家庭と農家あるいは営業者の家庭との世帯所得の特徴の調査によって、相当その辺の手がかりも得られたのではないかと考えております。
 二番目に、それでは申告水準そのものの調査はどうなのかということでございますが、この点につきましては先ほどちょっと申し上げましたが、私ども、業種別の経営の実態調査というものを、これはきわめて統計学的な手法を用いまして、専門の大学の先生の御指導等も仰ぎながら、無作為抽出で対象を選定して調査しているのがございます。
#146
○渡部(一)委員 あなたのその得意な、大学の先生二人呼んでやったという業種別の調査というものは、業種たとえば八百屋さんなら八百屋さんの調査をするときには、八百屋さんというものはどういうものかというのを調べるために行われた調査と私は承っておる。
 そういうことに大学の先生使ったってだめなんですよ。それはその小さいところは、確かに大学の先生の御意向や皆さんのかねてからの懸案で徹底的に洗われるでしょう。八百屋さんというのは、水道料はどれくらい払うものだとか、営業費にどれぐらいかかるものだとか、家賃にどれぐらいかかるものだとかというのは出るでしょう、それは確かに。それは完璧になっているかもしれない。
 しかし、それは全体のクロヨンとは関係がないじゃないですか。全体像がバランスがとれてないのに、その小さな一部だけが正確だといったって意味がないじゃないですか。何のためにクロヨンということに対して調査を始めたのかということを私は問題にしている。いまあなたの言いたいのはわかるけれども、ちょっと待っていただいて、国税庁長官は来られましたか。(発言する者あり)
 じゃ委員長、この国税庁長官に関する部分は留保させていただいてよろしゅうございますか。
#147
○森委員長 いや、ちょっと待ってください。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#148
○森委員長 速記を始めて。
 渡部君。
#149
○渡部(一)委員 じゃ委員長の御配慮によりまして、委員会を代表して国税庁にも御注意いただくということですから、いますぐ始めさしていただきます。
 それでは、次長にお尋ねいたしますが、この調査の中で画期的なことは、昭和五十五年度における申告所得税、営庶業所得の調査について詳しい御調査をなさったと承りました。そうしたデータについては、かなり厳格な調査をやり、見るべき数字が出ているというお話を承ったわけでございますが、経営実態調査、そうしたものについて御報告をいただきたいと思います。
#150
○小山(昭)政府委員 お答え申し上げます。
 この業種別の経営実態調査というものは、実は私どもの内部の資料として同業種の調査等の際に活用することを目的として実施しているものでございますが、その資料、情報の普遍性ということを確保いたしますために、先ほども申し上げましたように、一定の業種の中から無作為抽出の方法で対象を選びまして、これに対しまして熟達した調査官を投入して十分に念査しているわけでございます。したがいまして、その調査結果は、これを集計いたしますと、一応営業所得者の一般的な申告水準を考える上でかなりの程度まで参考になるのではないかと思います。
 その調査結果を御報告申し上げます。
 まず五十二年分の所得についてでございます。調査対象の業種の数は十六でございまして、調査件数は約千百八十件、申告漏れ所得の割合は一二%。五十三年分の所得についてでございますが、業種の数が十四、調査件数が約千件、申告漏れ所得の割合は一三%。五十四年分の所得についてでございますが、業種の数は十六、調査件数は約千百五十、申告漏れ所得の割合は一〇%、それぞれなっております。
#151
○渡部(一)委員 ただいまの業種別調査、経営実態調査は、申告漏れが一二%ないし一三%ないし一〇%の間で、毎年のように同じような水準で続いていることを示しているという点で、私は注目すべきだと思いますが、業種が十六業種とか十四業種とか十六業種とか、国民の中にたくさんある営庶業の中のほんの一部の業種だけをねらい撃ちにしたという点で、全体にこれを引き伸ばして議論することはむずかしかろうと思いますが、どうですか。
#152
○小山(昭)政府委員 対象業種でございますが、これは年によって数も若干違いますが、ほぼ毎年のように対象に選んでいる業種の数は実は大変少のうございまして、かなりの数まで年によって違う業種を取り入れて調査をいたしております。したがいまして、その毎年の調査結果が大体同じような数になっているということは、業種をならしてお考えいただいても、それほど大きな違いはないのではないか、このように考える次第でございます。
#153
○渡部(一)委員 悪いけれども、その発言は全然非科学的、非統計的でありまして、とても信じがたいですよ、そういう意見は。それはあなたの直観にすぎない。アメリカで行われている申告水準調査のように徹底的に調査するということをやれないものかどうか。そして、一つの業種だけじゃなくて、すべての業種にわたってできないものかどうか。また、先ほど言われた抜き取り検査のような方式を使ってできないものかどうか。その辺はいかがですか。
#154
○小山(昭)政府委員 先生御指摘の四年ほど前にアメリカで行われたその種の調査、これはかなり大量の調査を行っておるわけでございますが、アメリカと日本の一番の違いといいますと、何と申しましても、税務当局が持っております資料、情報の量というものが非常に違います。基礎的な違いでございます。
 アメリカにおきましては、たとえば社会保障番号が大部分の国民に付されておりまして、金融取引を初め各種の取引がその番号を通じて行われる。そしてまた、それらが内国歳入庁に法定資料として送られてくるというようなことでございまして、法定資料が年間五億四千万件くらいある。そのうちの三億件以上は磁気テープによって直接入力される。こういうような状況にあると聞いておりますが、わが国におきましては、法定資料は全部で三千万件しか年間ございません。そういうような基礎的な条件の違いがございまして、それほど大がかりな調査をやるということはなかなかむずかしいというのが一点。
 それから、アメリカの納税者と日本の納税者の、ことに給与所得者の税務当局とのなじみの薄さといいますか、その辺の違いが一番最初に御答弁いたしましたようにあるものでございますから、私どもといたしましては、全部の国民を対象とする、対象の数はいかようであれ、無作為抽出というのはなかなかむずかしい。したがいまして、先ほど申し上げましたような業種別の経営実態調査、こういうものをこれまでせっかくいたしておるところでございますので、これにつきまして、今後その内容等さらに十分改善いたしながら、引き続きこれを実施してまいりたい、これでもって御趣旨に沿うような実態を逐次明らかにしていきたい、このように考えております。
#155
○渡部(一)委員 あなたがいかにそれで何とかしたいとおっしゃっても、それは無理なんだ。実態を調べないでおいて、Bを調べておいてAの説明にしたいと幾ら叫んでも、それは説明にならないんだよ。それはあなた、ぼくの隣の家の税務調査をやって私の家に税金かけたって無理ですよ。違いますか。いまあなたの言っていることはそれじゃないですか。こんな簡単なことがわからないというのはどういうわけなのか。先ほどから奇っ怪な議論をしているわけですよ。お化けのような議論をしているわけです。
 私のことを調べるのに隣をのぞいて調べがつくと確信して、あなたは今後もそれでやると叫んでいるわけです。そんな話でこの委員会を突破できますか。違うでしょう。恥ずかしくないですか。そういうふうに答弁しろと言われているのかもしれない。それで月給もらっているのかもしれないけれども、それは気の毒過ぎる。そして、あなたは長官をかばい立てするのもいいかげんにしなければいかぬ。そんな変なかばい立てすれば、長官はどんなひどいことを言っている人かと顔を見たくなるのも当然じゃないか。そうでしょう。長官がおいでになったようですから、もう一回言います。
 いま問題になっているのは、クロヨンが問題になっているのです。クロヨンの調査をしろと私が言った。そうしたら、クロヨンの調査をしないで変なものを調べてきた。そして一生懸命クロヨンだ、クロヨンだと叫ぼうとしている。しかし、さすがにクロヨンがなくなったとも言えない、調査したとも言えない状況のまま、さっきから議論が膠着している。あなたはこの委員会には出てこないルールになっているというような何とない印象を与えて出てこない。そういう雰囲気の悪い状況の中に、いまあなたはおいでになった。だから、もう一回初めから私は言い直します。いいですか。
 いま、日本国民の中で所得税を納める給与所得者は三千五百万でしょう。そして全サラリーマンの八五%が何だかんだといって納税しているわけだ。そして自営業者の方は三七%しか納税していない。農民に至っては一〇%しか納税していない。いいですか。そして農民は、自分たちの納めている税金の百十倍を補助金その他の形で政府から逆に受け取っておる。こういうように言われておって、怨嗟の声は巻き上がっている。ただし、自営業者は気の毒な点もある。それはなぜかと言えば、大きなところは全部法人成りをしておって、法人成りをしている方はもっとちゃんと税金を納めているのに、低所得の自営業者の方ばかりが税金を三七%しか納めていないと言われたんでは割りに合わないという状況は確かにある。ところが、個人の事業者だとか法人の場合には、いろいろな形で金額を落とすことができる。社長が奥さんの名前で給与をもらって税金をごっそり落とす。これじゃ世帯別に税金を納めるのがあたりまえじゃないかという声が起こっている。サラリーマンは、自分が会社に働きに行っても奥さんの名目で給与を受け取ることができないんだから。
 こういう怨嗟の声が起こっておる。明らかに税の制度上の不公平、執行上の不公平と両方あるけれども、制度上にも大きな問題がある。これはクロヨンだと言って騒がれているわけでしょう。しかも自営業者の方には合法的な節税手段が幾つもある。考えれば考えるほどある。サラリーマンは全部その権利を奪われておる。節税のための自由はサラリーマンにはない。ところが自営業者はあるという状況でしょう。そして、クロヨンというものについて、この間の石教授なんかの論文によれば、クロヨンという数字ではないけれども、サラリーマンの方は九割程度、自営業者は六割程度、農民は四割程度ではなくて、九、五・五、二ないし四程度の課税水準であるということが論文でも述べられている、こういう状況があるでしょう。
 そうすると、わが国においては、不正直者が得をするだけではなくて、制度上サラリーマンは全然得しない、不公平感にさいなまれる立場に追い込まれているでしょう。それを解くためには、印象が間違っておるのか、納め方が間違っておるのか、制度が間違っておるか、説明しなければならないでしょう。そのための調査をしろと私が言うたのでしょう。そうしたら、どうしてそれに何も引っかからない妙な調査を持ってきて説明しようとするのですか。この調査が成功だと思うのか、成功だと思わないのか。
 そして、時間も余りないことですから、あなたに最後に申し上げておきたいことですが、成功だと思わないのだったら、もう一回審議会をつくるなり新たに国税庁の中で研究機関をつくるなり、この問題について対処をするべきではないか。あなたが無理ならば、大臣に申し上げて、それ相応の機関をつくるべきではないか。私は、あなたの答弁を整理して申し上げておるわけです。こういう実態についてどう思われますか。あなたがいまの調査はかなり完璧だと論争すると、さっき次長にさんざん論戦してあることをもう一回ぶり返さなければならないので、余り好ましくはないけれども、あなたの御答弁を承ります。
#156
○渡部政府委員 お答え申し上げます。
 クロヨン問題につきましては、つとにいろいろとそういう声がございまして、私ども課税当局といたしましても、その実態というものを明らかにして世の中の誤解を解きたいという念願は持っておったわけでございます。昨年の国会におきまして、先生から、そういう趣旨で税負担の実態について調査をしてみろという御指摘を受けまして、私どもはその方向でいろいろ検討をいたしたわけでございます。
 一番完璧な方法は、アメリカの内国歳入庁が行っておりまするような無差別のランダムサンプリングによりまして全納税者を対象に調査をするということをいたしますれば、一番完璧な調査でございます。ただし、それはまた相当な手数がかかるわけでございます。しかし、われわれはその手数の前に難関にぶつかりましたのは、アメリカの場合は、御存じのように給与所得者を含めましてほとんど申告納税をいたしておるわけでございまするから、いわば彼らの調査権限が及ぶ納税者であるわけでございますけれども、わが国の場合は、御存じのように給与所得者はほとんどが源泉徴収で課税が完結しておりまするために、われわれの調査というものの権限が及ばない対象になっておるわけでございます。
 そういうことで、実はわれわれは法制局あたりともいろいろあれしまして、私どもが調査に行って問題はないかどうかということをやりましたわけでございますが、やはり申告納税をしておられる納税者でございますると、われわれの質問検査権が及ぶかと思いますけれども、源泉徴収で納められる納税者の場合は、源泉徴収義務者がすべて納めておられますので、そこに調査をいたすことはできますが、納税者本人に対して調査をするというのはなかなか問題があるのではなかろうか。かたがた、調査になれておられないそういうサラリーマンの方にいろいろ課税当局が伺うということにつきましては、いろいろ問題があるのではなかろうか。
 実はこの問題は、アメリカ以外の課税当局もいろいろ悩んでおりまして、たまたまつい十日ほど前にイギリスの内国歳入庁長官が参りまして、イギリスでもこういう実態調査をやっておるかということを聞いたわけでございますが、やはりイギリスでも、質問検査権という観点から、申告納税をしておらない対象者にそういうランダムサンプリングの調査をするわけにいかぬので、そこに隘路があってできないのだというようなことを申しておりまして、やはりわれわれと同じような悩みを持っておるのだなという感じがいたしたわけでございます。
 その場合に、いままでクロヨン、クロヨンと言われました問題は、やはり申告をしておられる事業所得者とか農業所得者の課税水準に問題があるのじゃないかという指摘でございました。ところが、申告をしておられます納税者につきましては、われわれは一応メッコをつけて調査をいたしておりまして、調査をした限りにおきます申告漏れ割合が二十数%というような実績は持っておったわけでございますが、実は、申告をしておられない事業所得者の中に一体申告漏れがどの程度あるかという点のデータを持っておらなかったわけでございますから、われわれは、その観点を明らかにすることによって、少なくとも事業所得者に対する申告の実態あるいは申告水準あるいは無申告の状態といったようなものを明らかにすることによって、クロヨンの実態解明に資するのではないかと思って、昨年ああいった調査をいたしたわけでございます。
 先生から重ねて、ああいった調査では不十分であるという御指摘を受けましたので、今後われわれはなお一層検討いたしたいと思いますけれども、率直に申し上げまして、サラリーマンを含めましたところの全国民を対象にして大がかりな実態調査をいたすということになりますと、いろいろ方法論的にも問題がございますので、その点はなお研究課題にさせていただきたい。
 なお、現在われわれは、事業所得者に対して、経常実態調査と称しますか、いろいろ内部データのためのランダムサンプリングの調査をいたしておりますが、それにつきましては、なお統計的に精度のあるものにしたい。現在でも、学者にお願いいたしまして相当精度のある調査をいたしておるつもりでございますけれども、なお一層サンプルのとり方等につきましては検討させていただきたい、かように思っておる次第でございます。
#157
○渡部(一)委員 これはゆゆしいことを言われたわけですよ。
 それはサラリーマンについて、源泉徴収の納税者に対しては調査権、質問権がないというようにあなたは言われました。これは、私は言い過ぎだと存じます。あなたは国税庁の長官として、サラリーマンに対する調査権を放棄なさるおつもりとは私は知りませんでした。それは、私は法制局を呼んだ上で十分論議しなければならない。こんなばかな意見は取り消されたらどうですか。
 なぜかと言えば、あなた方が行われた調査の中ですらも、サラリーマンの源泉所得税による申告者及び納税者に対して調査されて、その数字が載っているじゃありませんか。それは、あなたの言い方によると、国税庁職員は違法な行為をしたことになります。あなたはとんちんかんなことを言っている。そうしておいて、今度は法務当局と打ち合わせした上で、給与所得者に対してそういう調査権と質問権がないなどとあなたが言われるのだったら、それは国税庁じゃなくて自営業者並びに農民に対する課税庁であって、国税庁の後に、ただしサラリーマンを除くと括弧つきで書かなければならないじゃないですか。そんなことをあなたは言っているのですか。いまの御答弁はどうかしているのじゃないですか。
#158
○渡部政府委員 お答え申し上げます。
 私は、われわれが調査いたしますについて、やはりその調査権限というものにつきましては非常に慎重に取り計らわなければならないという点で、あるとはっきり言い切れない、そういう点につきまして疑義があるならば、やはり慎重にやらなければならないという点を申し上げたわけでございます。
 なお、今回の調査におきまして、それじゃサラリーマンの実績が出ているじゃないかという御指摘でございますが、これは御本人に直接調査したわけではございませんで、これは地方税当局等からの資料で推定したわけでございまして、御本人に対して直接調査した結果ではございません。
#159
○渡部(一)委員 これはどういうことを言おうとされているのか不明なんですけれども、疑義のあることは推定も報告もなさるべきではないと思いますよ。それは調査権や質問権がそうであるならば、そんなことは調査の方法も直接、間接を問わずやるべきでないのがあたりまえでしょう。違いますか。あなたは、やっておいてから、そういう権限はないというふうにいま言おうとされている。それはどっちが正しいのですか。あなた、それはとんでもない意見ですよ。
#160
○渡部政府委員 私の説明が不十分であったかもしれませんが、アメリカ等で行っておりますランダムサンプリングによります実態調査と申しますのは……(渡部(一)委員「アメリカとは関係ない。あなたの権限を聞いているのじゃないですか」と呼ぶ)そういう調査ができないかという御指摘でございましたので、その点のお答えでございますけれども、アメリカの場合には、サラリーマンも含めまして税務署に申告をしております納税者を対象に行っておるわけでございます。そういう申告をしておられない方に対して……。
#161
○渡部(一)委員 委員長、答弁中ではありますが、この人は錯乱状態に陥っておられまして、私、いまこの答弁を聞いてやっつけるのは簡単ですが、こういうエラーを続行させると後々の収束が厄介で仕方がないので、委員長、この答弁者に対しては、後ほど十分冷静に考えられて答弁を整理されて当委員会で発表されるように私はお願いしたいと思いますが、委員長からもよろしくお計らい願います。
#162
○森委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#163
○森委員長 速記を続けてください。
 渡部委員からのお申し出につきましては理事会で十分相談をいたしまして、その取り扱いについては後刻処置をいたしたいと思いますので、質問は引き続きお続けをいただきたいと思います。
#164
○渡部(一)委員 ありがとうございました。
 私は、こういう既存的な問題まで国民の大きな世論を代表する当委員会でもまれていなかったということに対して現認した思いがいたしております。こうした状態ではクロヨンどころの騒ぎではないなという実感を深くしているわけでございまして、次回明瞭なる御答弁を整足してお出しになりますようにお願いしたいと思います。
 それと同時に、ごちゃごちゃした議論ばかりになってしまって恐縮でございますが、大臣にまとめていただこうと思います。さきに大臣は、この問題については私と意見をほとんど同じくしておられましたので、繰り返して恐縮でございますが、もう一回。
 一つは、税制上のフローとストックの問題というのが依然として大問題であります。要するに、現金収入に対してまで課税していくというやり方が強過ぎるなというニュアンスが国民の中にあるわけであります。大邸宅に住んでいる人々が固定資産税とか社会保険とかについてはストックが絡んでくる。こういう人たちが、おかしいな、私は現金収入がないのにと言われている面が一方にある。ところが一方では、一生懸命働いている若い夫婦が、自分たちよりもはるかにデラックスな家に住んでいる人よりも高額な税金を払い、自分の子供がしかるべき福祉関係の保護を受けることができないというような福祉差別も続いておる。これはフローとストックの問題に対して税が切り込んでいかなければならないことを示しているということが一つです。
 二番目は金融資産の扱いの問題について。金融資産を運用するということは働くということじゃないのだという牢固とした古い徳川時代以来の日本の観念がある。したがって不労所得とみなされてしまって、頭脳労働が行われている金融資産の取り扱いというものが不明瞭かつ不安定な状況に置かれている。したがって、金融資産の運用について、あるときは非常に高額な課税が行われたかと思えば、あるところは課税が全然抜けてしまうというようなばらばらな状況にある。この問題を解決しなければならない。
 もう一つはサラリーマンの課税の問題について。サラリーマンが国民の多くの人々にとって恒常化してきた。つまり、農民にとっても営庶業者にとっても、家族のある部分はサラリーマンを兼ねていたり、全員が兼ねていたりする時代になってしまった。だから、いままでのようにサラリーマンはサラリーマン、農民は農民として分けられていた区分と全く違う比べ方をされる時代になってきておる。そうすると、大きな農地を持っておられる農民の方が一族挙げて税金を払っていないのに、一番末っ子が町へ出て働くと、その子にだけ税金がかかってくるというような奇妙な状態が出現してくる。こうしたサラリーマンの形態の変化に伴う税制の対応というものをどうしても考え直さなければならないだろう。
 また、業種別の納税者の数と質というものをこの際考えていかなければならないだろう。法人と個人を比べてみると、その両者を全く同一に比較するわけにはいかないし、法人になっているところの納税者については、相当程度に納税のシステムは持っているにもかかわらず今日に至るまで記帳が不十分であり、そして推定によって課税されているという状況が現存して、それを承認する方向に置かれているということは、ある意味の記帳義務を下へ下げていかなければならないことを示しておる。これはどうなっておるのか、この辺も考えなければいけないだろうと思う。
 また、農家に対しては農家の推定標準水準というものを決めておいて、これより金がもうかったのは篤農、これより金がもうからなかったのは惰農というようなきめつけ方をする。正直言って、水準より収入を上げれば税金は比較的安いけれども、収入が水準より低いと極端に税金が高くなる。ところが実際にはどうかというと、農薬などを大量に使う人々にとっては収穫量を上げることは容易であり、農薬を使わない篤農家などはその惰農の中に繰り込まれてしまう。農業経営の実態とも即さぬ数字というものがその際出てくる。そうすると、農業水準を一本化しておいてこれでよいかということにも大変疑問がある。
 こうした、かねてからの税制の基本にかかわる問題についての大きな問題点があった。そこへ、ただいま問題になっている節税の自由度の問題が大きな問題点になっておる。営庶業者の場合には、脳みそを使えば幾らでも節税することは可能である。ところが、サラリーマンが節税の方向へ向かって努力をするということは、最近多少広がってはきていたにしても、ほとんど大型にはできない。そういう不公平感、差別感というものが現存しておる。
 こうしたことが、クロヨンの背景に一つずつ一つずつ存在している問題だと私は思う。したがって、こうした問題については全部が一遍に片づく問題でないのもわかっておりますし、多年における税制上の最大問題点が幾つかあることもわかっている上で、これらの問題を一つずつ解消し、そして解決していく方向に向かう過程の中で、国民の民主政治に対する信頼感が回復されるのだし、そうでなければならないと私は思っているわけであります。
 したがって、今回のこの国税庁の調査は、内容について非常に御努力をされており、実務担当者が多くの苦労を払われたことに改めて敬意を払うとともに、こうした問題について大臣より再調査を行い、また審議会あるいは諮問委員会等適切な関係機関を設立することなども含めて対応策も考えていただいて、当委員会に対し、国民に対し、クロヨンの問題について明快なる説明を行われたいと希望するものでありますが、大臣の御意見を承りたいと存じます。
#165
○渡辺国務大臣 いま挙げられた六項目について、全部お答えをする時間的余裕が私にはないと思いますが、一、二所感を申し上げますと、非常にむずかしい問題であるが、所得制限というものはやはり導入をしなければならないいろいろな事情も福祉等でございます。ところが、これは資産が関係ないものですから、私も厚生大臣のとき、何か資産を一緒に入れたらどうだということを実は言ったことがあるのです。ところが、そうすると、不動産を持っている人だけが不利になって、先ほど言ったように、金融資産を持っている人は、これはわからない、実際問題として。したがって、非常に不公平になる。だから、所得だけでやむを得ないんだというようなむずかしい現実の問題がございます。
 したがって、いま言ったように、隣で農家のおばあちゃんが絹布の布団に寝ておって福祉年金をもらっておるが、その隣で、学校の先生をやめた奥さんが、年金半分、遺族年金五、六十万もらっていて、やっと生活しているが、福祉年金もらえないというような、これは併給の問題でございますけれども、似たような話がいっぱいあります。何とかここのところをうまくならぬかなと思って研究はいたしておりますけれども、いまのところ、うまいことが見つからない。
 金融資産の問題については、これは金融資産を調べるんじゃないんだけれども、グリーンカードが反対だというような話で、まして金融資産の額までこれで調べますなんて言ったら、もっと反対が出てきちゃって、もう収拾がつかないんじゃないかという現実の姿が一つある。しかしながら、ここで金融資産というようなものがどうしても押さまえづらい、したがって、相続税なんというのは、私は一番問題があるんじゃないかという実は気がいたします。ここらのところも大きな問題点がございます。問題は把握の問題だと思いますから、そういううまいことを何かもっと研究する必要がある。
 それから、サラリーマンの恒常化というようなことも、社会が非常に変わってきておりますから、これらも新しい問題として、今後の税制の大改正というようなときには議論の大きな問題点ではないか。
 それから法人に対する記帳義務、せめて法人ぐらいは、私は記帳義務をつけてもいいんじゃないかという気もするのです。しかし、これはどういうふうなことなのか、よく検討をして、前向きでこの問題は解決を考えていきたい。記帳の問題ですね、これは前向きでひとつ考えていきたいと思っております。
 それから、農家の話がいま出たけれども、これもむずかしい問題。みんな帳面つけてくれればいいが、標準率でやりますから、標準以上の収入を上げた人は税金は安いし、それ以下の人は税金が重いという結果に、これは確かになります。しかし、これは農家に全部記帳義務、個々の農家につけさせて、同じ反別持っていても、実際は、所得はそれぞれ違うはずなんですね。そこまでやるということは、事実問題として非常にむずかしい問題があって、当面これはその改革をするということは困難であると私は思います。
 それから、営業者の節税という話がございますが、実際は、これは私は制度上の問題ではないと思っておるのです。営業所得というのは厳格に記帳をして、それで家事関連経費等を厳格に分ければ、給与所得者よりも実は現実は非常にきつい立場になります、制度上は。それは、現金収入がなくとも、売掛金でも何でも、取れるか取れないかでも一遍は税金を払ってもらわなければならぬということになりますから、これは制度の問題ではなくて把握の問題だというように考えております。
 いずれにしても、よく実態がわからないために世間一般で不公平感がある場合もあるし、実態把握が不十分なために不公平感がある場合もあるし、制度上に問題点のある場合もまたあると思います。大変専門的な問題でございますので、今後とも、こういうような御指摘された問題については十分検討をしてまいりたい。そのために、いまの国税庁の調査をもう一遍別に大々的にやり直すということはお約束できません。これは、何かうまい方法があれば別でございますが、アメリカのように、何か背番号方式みたいなものがあればなんでございますが、大体問題点はつかんであるわけですから、そのつかんでいる問題点を掘り下げていく工夫をどうするかというところではないかと思うわけでございます。
 大変いい御指摘を受けたことについて御礼を申し上げて、答弁にかえさせていただきます。
#166
○渡部(一)委員 最後のところでクロヨンの調査はできないというところが気に入りませんでしたね。あとのところは大変結構でしたが。
 クロヨンの調査は、ある程度の問題点がほぼ見えているということは私も同意するんです。しかし、その問題に対してどう対応しなければならぬかという調査をしなければいけない。調査と対応しなければいけない。それを研究するシステムがないと何もならなくなってしまう。ですから、クロヨンという言葉が消えるような、何の対応をするかというための調査と研究を早急に進めて、どういうやり方でやるかを御報告いただきたいと思いますが、いかがですか。
#167
○渡辺国務大臣 これは特別な機関をつくらなくとも、国税庁の中である程度できると私は思うのです。
 問題は、農家の場合は、いま言ったようにできない問題ありますが、一軒一軒の農家全部に青色申告を強制するとか、そんなことはできっこないです。それからもう一つは、菜っぱ、大根とか、うちでつくったものをほかに売れば、売ったときの値段が幾らだから、あなたが食ったものは、農業なんだから、それは要するに、もしほかに売ったとした値段であなたの所得に計算しますということは、これは理論的には正しいのです。しかし、政治問題として非常にむずかしい。
 かつて、昭和二十五、六年ごろ、栃木県で、山から木を掘ってきて燃した木、それから葉っぱを持ってきて肥料に使ったもの、それを全部所得に計算して、栃木県大田原税務署で全部課税したことがある。実際、大騒ぎになっちゃいまして、これは全部後から取り消したという実例も実はあるわけでございますから、これらの問題はなかなか理論と現実の問題と違う場合があります。そういうところが抜けている、サラリーマンはみんな菜っぱ買ったって全部所得の中から払うんだ、農家は自分でつくった菜っぱはただで食っているのはけしからぬ、販売価格で計算して所得加算しろということは理論的には正しいのだけれども、そこのところはなかなかむずかしい問題もございますので、農業所得は低いという問題もありますから、そのために、サラリーマンで一千万所得があって二百万経費がかかったから、かからない人もあっても、二百万は概算控除で引きます、三百万円の人は百万円引きますというところでバランスをとらせているわけですから、余り学問的にきちきち詰めても、できない問題にぶつかってしまう場合もございますので、その点は学問としてはよく拝聴いたしますが、現実問題としてはむずかしい点もあることを御承知願いたい。
 しかし、勉強はしますよ。できるものについては極力、そういうふうなでかい機関はつくりませんけれども、内部でできるものについてはさらに創意工夫をこらして、御指摘の点、もっともな点もあるわけだから、それについてはさらにメスを入れていくというふうにしたいと思っています。その点、その程度でどうぞよろしくお願いをいたします。
#168
○森委員長 伊藤茂君。
#169
○伊藤(茂)委員 けさからの質問者の皆さん、全部グリーンカードから始まっております。つられるわけではありませんが、私も冒頭にちょっと一、二点触れておきたいと思います。
 これは、私どもの主張を大蔵大臣の頭に焼きつくようにというのか、あるいは大蔵大臣を激励する意味でもあろうと思いますけれども、私は、今日の経過を見ていましても、このグリーンカードの問題については、きょうも、もう花が散りかかる季節でありますけれども、花が散るころにぱっと出て、もう散らなければならないし、散るべき、そういうものとして、花の方はきれいですけれども、これはグレーかダークかというような話だろうと思いますけれども、いずれにしても大臣、この見通しを考えましたら、何か新聞報道は誤報であるかないか、理事会でも議論がございましたけれども、いろいろな議論があることは事実だと思います。しかし、自民党でも権威ある会長のもと自民党税制調査会で検討されるのでしょうし、それから政府・与党一体かどうかは別にして、行政の責任を持つ大蔵省とまたそういう意見をお持ちの方々との御議論もあるでしょうし、それからさらに先を考えてみますと、議員立法で出すなんて話もありますけれども、当然大蔵委員会以外の委員会に出るはずはない。けさ方も理事会で委員長の見解の表明などもあったわけでありますけれども、委員長としては、理事会における各党の信義を破るようなことはしない。思いがけないことを何か突然やるようなことはしないという意味だろうと思いますが、それから委員長としては、このような問題について各野党の意向もあり、十分慎重な取り扱いをするというふうな大変良識あるお話もあったわけであります。また、この問題については、私ども野党第一党、第二党などなど、こういう動きについては賛成しておりません。
 そういうことを考えますと、三百人もの人が署名したからというような問題じゃなくて、やはりフェアかダーティーかの話というのか筋論の話でありまして、そういう見通しも含めて、大臣、党内ではいろいろとたくさんの人の言うことをお聞きになることがあるかと思いますけれども、ごりっぱな大臣であったという評価を将来得るという方向に向けても、これらの問題については毅然たる対応、何か答弁を聞いても、新聞の方で誤解して書いて、グリーンカードはやるけれども分離課税は残すとか、全く本末転倒みたいな記事にならないような姿勢で、そういう対応をもってされるべきではないかと思いますが、改めて一言決意のほどを伺いたい。
#170
○渡辺国務大臣 これも私は何遍もお話ししていますから簡単に申し上げますが、これは法律で決まっておることでございますので、政府は法律どおり執行するというのが基本姿勢。自民党の中で三百人近い人の署名があったといいましても、それが直ちにどういう中身の署名でよく理解して出してあるかどうかという問題もございますし、これは議員提案といいましても、判然ほかの委員会にかからない、大蔵委員会にかかるのでしょうし、会期末のどさくさ紛れに強行採決でさっというような、そんな話の問題ではございませんから、そうびっくりしなくたっていいのじゃないですか。大いに問題点を詰めて、必要以上の不安を国民に与えてはいけません。
 したがって、そういうものはちゃんと解明をしていくものは解明をするべきだし、それから中長期的に見れば、現行の所得税体系というものは、総合課税に移行する場合にずいぶん矛盾したものもたくさん持っています。資産合算制度なんかもそうです。ですから、そういう矛盾もございますから、つけ焼き刃のように総合課税だけぱっと出ちゃいまして、全体のバランスを考えない、そこのところだけやっちゃったものですから、私は、矛盾点が幾つか出てきているというのは間違いないと思います。したがって、そこは要するに専門家であらせられる伊藤議員を初め皆様方が冷静に対応をなさっていただきたい。そうすれば、おのずから落ちつくところに落ちつくと私は見ておるわけであります。
#171
○伊藤(茂)委員 大臣は、いままでの質疑の中でも、大変誤解が多い、これは大変フェアな制度なんで、大臣は何か福の神カードとか大変いいことなんだと言われましたが、僕は、ある意味では、これはグリーンカードだけれども、グリーンカードでもあるし、税制から言えば公平カードだというようなことだろうと思うのですね、筋として。
 大臣がテレビに出ると視聴率が上がるという話もありますけれども、こういうときこそ大臣、先頭に出て国民の前にあらゆる手段を通して御理解を得るような、それから誤解に基づいた何か政治家のキャンペーンがないように積極的に努力をなさるべきではないだろうか。週刊誌を見ておりましても、最近ようやくというのか、大臣の話しっぷりに比べたらちょっとむずかしいかなというので、QアンドAとか週刊誌の広告なんかが載っておりますけれども、主税局長もずいぶん御苦労さんと思いますが、主税局それから国税庁連名での広告なんか載っております。こういうときにもつとわかりやすい、もっと大規模に、真実はこうなんですよということを御理解いただくようなこと、それは正しいことを主張するのだから、何も与野党含めて三百何十人が署名したといっても、私は、長い目で見ればきちんと評価されることですから、遠慮なさることではないのじゃないでしょうかというふうに思うわけですね。
 ですから、国税庁、主税局を代表して主税局長からでも、国民にきちんと理解してもらう、そういう意味で、確かに立ちおくれがあったのではないだろうかというふうにも思うわけでありますが、その辺精力的にやるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
#172
○福田(幸)政府委員 御指摘の点を踏まえまして周知を図りたいと思います。
#173
○伊藤(茂)委員 私ども激励しますから、大規模にやってください。また、先ほどもちょっと議論がございましたが、大臣言われましたけれども、高額所得者税率の問題です。
 さっき聞いておりましたら、四五とか五五とか諸外国並みという中で、数字をちょっと言われましたが、私も正確な数字は持ってきておりませんからあれですが、何か前に見たところでは、高い方でイギリスなんかで日本よりも一〇%くらい低いぐらいです。アメリカが二〇%くらい低いぐらいですかね。高額所得者の税率の問題は、国際水準との比較をして総合課税の折にどうするのかという検討はあり得る議論だと思います。ただ、いきなり半分にしてしまうみたいな話というのもいかがかと思うので、これも冷静な議論が大いにあって、どの程度高額所得者への御負担をいただくのが、それぞれの納税者の立場からいっても、また世間から見ても、公正だろうかというふうな議論の上に考えていただくことが検討さるべき問題ではないだろうかというふうに思います。
 それから大臣も、グリーンカードのことがあるので、高額所得部分の税率を下げる所得税法の改正ということを盛んに言われるわけでありますが、この間税法の審議のときに、小倉政府税調会長にお尋ねをいたしまして、そのときに、課税最低限の見直し、それから高額所得者の税率の問題とある。確かに税調答申には二つ並んでおります。どっちの方が大事なんですか、どちらの方がウエートがあると思いますかと言いましたら、税調会長は、並んでいる順番で御判断くださいというふうな話であります。私も物足りないのですが、政府税調会長はそう言っている。恐らくそういう点を含めてこれから税調の作業もなされるであろうというふうな気もするわけでありますが、政府税調会長が言われていることと大蔵大臣の言うこととは百八十度違うわけではないと思いますけれども、その辺いかがでしょう。
#174
○渡辺国務大臣 私は、税調会長と別に連絡をとって言ったわけではございません。ございませんが、私の持論を申し上げただけのことでございまして、高額所得者優遇ということをすぐ言われるのですが、問題は、所得があったり資産があったりした人が何かみんな悪い人のようなことを言う人がありますが、これは大間違いでして、個人事業者だって、所得があっても実際手元に現金がないというようなことはいっぱいあるわけでして、そこには従業員も使っているし、雇用関係もできているのだし、そういうようなことが事業意欲がうんと抑圧されるようなことは、必ずしも日本経済にプラスにならない。お金を持っていて悪いことをする人もあるが、そんな人ばかりじゃないのですから、いい方に金を使っている人だってたくさんあるわけですから、中小企業なんというのは皆そうですよ。国民経済に実は大きな影響力を及ぼす。そういうものがばかばかしいから事業をやらないというようなことでは困る、私はそう思っておるわけであります。
    〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
 それから、いつも言うように、これはいまでも日本では、日本人の金だけでなくて外国からも実はかなり金が入ってきているのですよ。こんなに安い利息でどうして入ってくるか。やはりインフレ率が低いとかあるいは税の問題等にしても何か別な扱いをしてもらえるとか、そういうこと自体が不公平だと言っても、それをやらなければ日本経済が動かないわけですから、逆に言うと。そのことの方が全体的に国民の暮らしで困った問題が起きてくる。だから、余り近視眼的に感情問題だけで税の問題というのは処理できない、経済と絡んだ問題もありますから。私は、そういうことを考えていろいろなことを言っておるのです。
 相続税にしても、それから所得税にしても、かなり考え方の発想が、時代が変わっているわけですから、先ほどもいろいろな御指摘があったけれども、そういう時代の違った点はやはり時代に合ったような直し方を一遍抜本的にする必要がある。それは半年、一年ではできないかもしらない、二年ぐらいかかるかもわからぬ、あるいは三年ぐらいかかるかどうかしらぬが、いずれにしても避けて通れない問題になっている、そう私は思っております。
 たとえば一千万円が高額所得者だと、国会議員は全部高額所得者ですね。皆発表して世間の御批判を仰ぐ、そんな時代じゃないでしょう。会社の課長だっていまは一千万円ぐらい、新聞社のデスクだって一千万円ぐらい取っている時代ですから、それが高額所得者で、大衆の前にみんな発表して皆さんから御批判を受けなければならない、そんな時代じゃないし、こういう問題も、やはり時代が変わっているのですから、一遍抜本的に考え直す必要があると私は思っております。
#175
○伊藤(茂)委員 高額部分の税率がどうあるべきか、あるいはまた課税最低限の問題、双方のウエートなどの問題は、間もなく設置をされる権威ある大蔵小委員会でも権威ある議論がなされると思いますから、それだけにしておきます。
 それからもう一つだけ、グリーンカードに関連して伺っておきたいのです。
 二、三日前の日経新聞の一面トップにグリーンカードが載りまして、私もびっくりして読んだのです。「個人資金 Gカード異変広がる 相銀「掛け金」倍増 信金「積み金」、無配株も人気」、何か大量にまた新しいところに流れていくので大変だみたいな記事が載っておりまして、事実、読んでみましたら、有力金融筋、有力金融筋とはどこの都銀だろうかと言ってもちょっとすぐは思いつかないのですが、だれかがややためにするためにつくった内容じゃないかというような感じで私は読みました。
 ただここで、主税局長に二つ伺いたいのですが、一つは、金かあるいはゼロクーポンと同じようにまた大変なことになりそうなんだというふうな有力金融筋が流した話というのは、僕はおよそ無意味なものであろうという気がします。もう一つは、ずっと読んでみましたら、はからずも金融筋の方が本音というのか、現実を書いているというので、これは興味深かったのですが、それによりますと、マル優の不正利用それから架空名義、そういうものがあって、お金がどっとどこかへ流れていくという数字の推測が書いてあります。それによりますと、マル優の不正利用は現在約十兆円、郵貯の不正利用、これは架空名義など、これが約十六兆円、分離課税預金は十九兆円と推定をしている。それから、高額所得者の預金離れ、マル優の不正利用の解消などから流れたお金の額、合計二十七兆とか書いてあるのです。
 ある有力金融機関がまとめた調査というものによれば、何かはからずも金融機関あるいは郵貯などの不正利用が合計二十六兆に上るというようなことを言っておるわけですね。こういうものは大体やっている方々がやっている中身について言うことですから、案外に当たっているのじゃないか、しかも、はからずも真実を暴露したのじゃないかというふうな気もいたしますが、その辺の見方等はいかがでしょう。
#176
○福田(幸)政府委員 お答えします。
 この資料がどこから出たかということまではわれわれわかりませんけれども、こんなに大きく数字が出るというふうな計算は、現実経済としては考えられないといいますか、その辺、詰めた議論ではないという気がいたします。いずれにしましても、むしろいろいろこういう形での不安をあおられるのが問題でございますので、この辺についての根拠のないこういう資料については十分にまた反論しながら、不安のないようにしたいと思います。
 いまおっしゃったような郵貯の不正利用が十六兆もあるというようなことは、郵政省の方では、そういうことはない、厳重な管理をやっておる、こう申しておりますので、これは郵政に対して非常に失礼な数字であろうと思います。マル優の不正利用は十兆、みずからこう認めておることは、やはり限度管理を厳格にやるべきだということの反対の理由になろうと思います。あと、個々の項目についてはお答え申し上げる必要もないようなデータであろう、こう思います。
#177
○伊藤(茂)委員 グリーンカードはその程度にしまして、議題となっている公債発行の特例法に関連をして質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、私どもも、国会へ参りましてから何年か、この財政特例法の議論を毎年いたしております。しかしそろそろ、こういう議論も長くやるものではないだろう、総理や大蔵大臣の決意を伺っても思うわけであります。いかがですか、いまの五十七年度の公債発行の特例に関する法律案、これを別にしまして、あと何回出ますか。あと一回だと思いますが、二回か三回か出ますか。どうですか。
#178
○渡辺国務大臣 五十九年までに脱却できるとすれば、五十七年、五十八年と、御迷惑をおかけするのもあと一回ということですね。そういうふうにぜひしたいと思っております。
#179
○伊藤(茂)委員 ちょっと声が小さかったけれども、総理が言われている言葉からしても、当然こういう法律が出てくるのもあと一回であろうというわけでありますが、ただ現実は、午前中から議論もありましたように、昨年度、五十六年度の締めくくりがどうなるのかも大変心配だ。五十七年度もそれ以上大変かもしれぬ。五十八年のことはこれから勉強だけれども、とても厳しくてわからぬ。わからぬと言っては失礼ですけれども、五十七年よりも非常に厳しいというわけですね。私どもといたしましては、赤字公債依存体制からの脱却というだけではなくて、昭和六十年代の新たな財政の困難な時期をどうしていくのか、また、そういう中で市民の暮らしを初め国民経済をどうやってもたせていくのか、いろいろ心配なわけでありますが、なかなかそこが解明されないわけであります。
 私は、そこで二、三伺いたいのですが、いまいろいろなところで積極財政へ転換の声が出ている。建設国債を増発する、それから公共事業で景気のてこ入れをする、それしかない。そして秋には補正予算を組む。そういう補正予算を組むことが何か既成事実のようにマスコミでも論ぜられているという傾向があるわけであります。またおもしろいことには、大手財界と申しましょうか、そういう方はむしろクールであって行革の方を強く主張しているというふうな現象もあるわけであります。当面のといいますか、たとえば五十七年度の財政経済の運営についても、経済運営と財政運営とを双方含めて冷静に判断しながらやっていく。
 大臣、二、三日前の議論でも、一のぜん、二のぜん、三のぜんみたいなお話がありまして、これで足りなかったら次のぜんが出ますよというふうな印象を受けかねないような言葉が実はあるわけであります。確かに景気はなかなかよくならない。確かに大変です。しかし、数字を見てみましても、五十六年度第三・四半期マイナス成長だ、マイナス〇・九だとか、いろいろなむずかしい数字が出ております。しかし、さらにそういう内容を見ますと、輸出の頭打ちと同時に、内需の比率の方が緩やかではあるが上がってきている。消費も若干伸びるというふうな方向性も感じられる。いろいろな問題があるわけでありまして、何か大変だからすぐ建設国債の増発、補正予算、そして景気対策、そういうカンフル注射的な対応でない姿勢で冷静に考えていく。どっちにしたって、この法案に関係をして非常に先行きむずかしいという議論をいたしておりますけれども、安易にカンフル注射をして、何年か後にはまた頭が痛くなるということはしないようにしなければならない。そういう中で、景気対策に一体どういう手があるのかを工夫して考えなければならない。大変むずかしいけれども、そういうときではないだろうかという気がするわけであります。
 ですから、いずれにしろ積極財政への転換みたいな声が起きる。あるいは秋の補正予算、建設国債増発問題、一兆五千億か二兆か、二兆で足りないかとかいうふうな議論が、予算が参議院で成立する前から年じゅう行われている。ちょっと私は心配なわけでありますが、五十七年度の財政と経済の見通しを含めて、その辺どうお考えになりますか。
#180
○渡辺国務大臣 経済の見通しについては、日本の経済というものは世界の経済と無関係ではいられない。ことに十−十二のGNPの落ち込みという中身を見ると、世界的に非常な不況という点から、輸出が非常に伸びなかったというようなことがマイナス要因に実はなっておるわけでございます。
 ところが、ことしの後半からは、アメリカを初め世界の景気は上向くというのが通説でございますので、その通説はやはりそう素直に受け取っていいんじゃないか。もう一つは、国内的に見ても、要するに内需の方は緩やかではあるが確実に伸びる方向を示しておることも、数字の上で実は明らかになっておりますから、これを育てるという意味で、住宅対策を初めとした公共事業の前倒し執行というものをやって景気の落ち込みを少なくしていく。
 しかしながら、後半はどうなるんだと言われますと、後半のことまでは、いまのところ前半をやってみないうちはわからぬわけですから、後半の対策はやろうとすればすぐできるのでして、ですから、いま余り先走ったことを言ってしまって、それでただ予算の膨張を招いて、しかも国債をふやすというだけが能じゃないので、それは注意深く見守った上で、結論はもっと数カ月後にしたいというのが私の考え方でございます。
#181
○伊藤(茂)委員 いずれにしても、常識で考えまして、サミットの前に二兆円国債を出そうかとか、そんなことはないと思いますし、一定の時間を置き、サミット後か夏かという時点で、注意深く、そしてまた財政の節度というものをきちんと堅持しながら、景気対策を一体どうしたらいいのかということを考えるべきだろうと思いますし、イージーゴーイングにならないようにすることが大切ではないだろうかという気がいたします。
 また、そういう積極財政期待論みたいな声が出るのを聞いたり読んだりいたしておりますと、たとえば景気対策でも、金利の問題がある、減税の問題もある、公共投資とかいろいろ考えられる。ところが金利の問題は、アメリカの高金利でどうにもならぬ。減税と言っても、当面の景気対策からしたら、公共投資の半分か三分の一ぐらいしか効果がないという試算を言われているようであります。目の前の数字を並べたらそうだろうと私は思います。ただ、ここで中長期的に考えながら、ある期間はがまんをしても、どういう健全な体質の財政経済に持っていくのかということが大事なことだろうと私は思うわけでありまして、そういう面から見ましたら、たとえば金利問題でももっと強力に指導すべきだろうと私は思います。
 経企庁長官も、本会議でこの法案で私が質問しましたときに、ヨーロッパの方、EC諸国とも声を一にして強く要求したい、アメリカに要求することは当然であるというふうな御答弁がございましたが、何かアメリカの方から来る防衛力の増強とか、何がどうとか、外圧の方は非常に強いけれども、こちらの方から主張する方は非常にか細くしか聞こえないというのが今日の状態ではないだろうか。確かに、アメリカの方でも早く物価を下げて効果が出るようにしてもらわなくちゃいけません、世界経済に大きな影響を与えるわけですから。
 その辺しかし、もっと強力な主張をしながら、金利政策も機動的に運営できるような状況をどうつくるか、考えていくべきだろうと思いますし、また減税問題にいたしましても、私どもの長年の強い主張でありますけれども、目の前の経済効果、景気効果だけを考えたら、いろんな数字が出るだろうと思います。ただしかし、いろんな意味で、可処分所得がマイナスである、家計は非常に苦しいというのがこの二年、三年続いているわけですね。ですから、内需にしたって消費にしたって萎縮しちゃっているという状況だろうと思うのです。そういう意味で、心理的効果を含めて変えていく。たとえば同じ一兆円にしたって、三回も四回も五回もこの世の中を回れば効果が違ってくるわけですから、そういうふうな意味合いで物事を考えていくことが必要ではないだろうかという気がするわけでありまして、いずれにしろ、目の前だけのカンフル注射的な対応でない、特に財政節度をベースに持った対応が必要であろうと思います。
 同時に、五十七年度だけではなくて、これから先そういう視点がさらに非常に大事なんではないだろうか。特に五十九年度というのが、総理の政治責任も含めた非常に重要な年みたいに実はなっているわけでありますけれども、じゃその処方せんはどうなるのかということはまだわかりません。果たして赤字国債を完全に脱却できるのか。あるいはまた、大型増税はしないという公約どおりにできるのか。これは総理が予算委員会で言われていることですから、権威あることだろうと思いますが、経済と財政と両面含めてどうできるのかということがわからぬ。
 それから、いままでの大蔵大臣の御発言を伺っておりますと、財政のベースになるというのか、裏表の関係での経済見通し、これも経企庁がやられることだけれども、予算も通ったことだし、検討に入るであろうと思います。また入るようです。そういうことも兼ね合いながら、中期展望についてもさらに検討してみたいということを言われております。
 これは、一つの政府のたてまえから言いましたら、他人行儀でやっているような仕事でもないし、状態でもないんじゃないだろうか。やはり経済それから財政見通し、裏表ですから、両面含めて、景気がどうなるか、税収がどうなるか。裏表ですから、両面含めた一体的な総合的な作業があって初めて、五十七年、今年度から、五十八年、五十九年あるいは六十年への展望というものが、確実度の高いものが生まれてくるのじゃないだろうか。また、そういった作業をしなければ、ことし何月だか知らぬけれども、シーリングの作業だって、五十八年度予算のシーリングをどうするのかということにしたって、確度の高い一つの枠組みというのは、私はできないと思います。そういう作業を冷静な分析や見通しをも含めて経企庁がおやりになるようですから、それを見ながらこちらの方もやるということはないことにしなくちゃならぬ。また、そういう上に立って、中期展望についても、ことしはこちらがいろいろ批評する前に、閣議でも自民党の中でも総務会でもさんざん議論があったようで、残念ながら評判がお気の毒に余りよくなかったようでありますけれども、何か同じような手法で五十八年度中期展望をつくればいいという状態ではないだろうと思います。
 ですから、そういう総合的な経済対策を含めた検討を内閣として内閣の責任でシステムとしてやる。特に財政再建について大きなウエートを持つ大蔵省の方でそういうような作業を推進する。それらをこれから五十八年度シーリングの時期、概算要求作業を進める前提としてやらなければいけないということではないかと思いますが、いかがでしょう。
#182
○渡辺国務大臣 世界の経済が変わっておるわけですから、せっかくの七カ年計画も毎年暫定的に直すということでは、いろいろなそごが大きくなってくる。したがって、やはり実態に合わして企画庁の方でも勉強しているようでございます。しかしながら、新しいものができるというのは、一カ月や二カ月でできると私は思っておりません。したがって、概算要求の前のシーリングを発表するときまでには、そういうベースはまだできないのじゃないか。これは企画庁に聞かないとわかりませんが、私はそんな感じがしております。
#183
○伊藤(茂)委員 去年はたしか六月の五日でしたか、臨調との兼ね合いもあって、大蔵省の権威において例年よりもずいぶん早く五十七年度のシーリングを決められるということでありました。
 ことしの場合にはこれからの作業だと思いますが、五十七年度予算も通って、さてこれからというところだろうと思いますけれども、去年と同じように非常に早い機会にやるおつもりなのか、大体例年テンポなのか、どうなりますか。
#184
○渡辺国務大臣 これも本当に早く相談をしなければならぬところなんですが、特例法案でも上げてもらわぬと、実際のところ内部で検討している余裕がないのです。だから、なるべく早く上げていただいて、内部で至急相談をして、どうするか、去年どおりぐらいにするか、多少おくれるか、臨調答申との絡みはどうか、そういう検討をしないと、いま私は何とも申し上げられません。まだこれは全然打ち合わせもやっておりません。
#185
○伊藤(茂)委員 確かに、きちんとした経済見通しをつくるというのは、作業の時間のかかることは事実だろうと思います。一週間や十日でつくれというわけにはそれは確かにいかない。しかし、そういう構え方をもってやらなければ、五十八年、五十九年という見通しのもとで総理が言われたリミットは日に日に近づいてくるわけですから、どうするのか、できないということではないだろうかと思います。
 それから心構えとして、評判の悪いことしの中期展望、それを五十八年度にまた同じ手法で置きかえるというようなことはちょっと権威がなさ過ぎますね。どういう作業をしたらいいだろうか、つまり、どういうお気持ちを持ちますか。
#186
○渡辺国務大臣 中期展望は評判が悪いと言われましても、与えられた条件の中で歳入の見通しをするとすればあれしかないわけですね、手がかりは何でやったと必ず言われるわけですから。歳出の方は大体押さえていますから、どれぐらいずつ伸びていくかということはわかります。歳入の方は経済絡みの話でございますから、どこまでも一定の条件のもとの単なる見積もりというようなことで、そこだけをつかれると評判が悪いと言われるわけでございますけれども、いずれにしても、そんなに成長率も伸びない、他方、歳出はふえていくということになれば、要調整額というものを何でやるか、私としては歳出カットを最優先させてやる、その中で果たして全部おさまるのかどうかという問題は今後の問題であると私は思っております。
#187
○伊藤(茂)委員 そうすると、年末か来年いまごろには、大変むずかしいから、ことしと同じような数字並べぐらいのところでしかできないという考え方ですか。
 そうしたら、五十八年、五十九布と続いている経済の問題もある、財政見通しもある、税制その他いろいろな問題がある、じゃ一体どうするか、深刻な問題でしょう。いままでと一歩違った手法でなくちゃならぬと思います。いままでの話を聞いていると、五十七年度、この間出した中期展望と同じようなものしか見通しはできませんというふうな印象になるわけでありますけれども、それでは幾ら何でも熱意がなさ過ぎると思います。
#188
○渡辺国務大臣 それはことしと同じというのじゃないのですよ。臨調の答申を踏まえて、歳出カットについてもかなりドライなことをやらなければとても財政がもたない、収支が合わないということになりますから。
 一方においては新型、大型増税はやらない、他方において、いまのままでは結局歳出は伸びるのですから、これに対して抜本的に思い切った手を入れる。他方、経済の維持それから拡大というものを図ることも考えていかなければ税収がへこんでしまいますから、そういうこともやりましょうけれども、問題のまず第一は歳出の削減ですよ。それについては、ことしはやったのはやったけれども、まだ法律制度その他根っこから変えなければならない問題もあるわけですから、そういうものは臨調答申を踏まえて実行するということでないと、今度は後送りとかなんとかいうことはもうできない。
 だから、そういう意味で、来年度の予算編成というのは、五十六年の問題、続いて七年の問題、そこである程度の財源は使い果たすものも出てくるかもしらぬ。ということになると、五十八年度の予算編成というのは、赤字国債も減らさなければならぬ、財源はその分だけ減る。そうかといって急激に税収がふえるというようには考えられない。したがって、歳出の削減ということで本当にドライなことをやらなければ、予算が組めないというような状態じゃないか。私は、だれも大蔵大臣になり手がないだろうと思っております。
#189
○伊藤(茂)委員 くどいようですけれども、大蔵大臣、歳出の削減が第一だというそれは、大蔵大臣が言われる気持ちはそれなりにわかります。しかし、五十六年の始末がどうなるか、五十七年度の運営がむずかしい。むずかしい中で何か方向性を示すのが政府の責任でしょう。また、必死にそれを模索をしていく努力をするのが政府の責任でしょう。
 それじゃ、一体五十八年はどうなるのか、もうこれから目の前の作業ですね。そして五十八年があれば、さっきの大臣の答弁ではありませんが、このたぐいの法律は昭和五十八年、八年というとおしまいで、五十九年というのはないのですね。それからまた世間では、果たして赤字公債を五十九年にゼロにできるのかと言っている。最近の一、二年の経過を見ても、なかなかむずかしい経過をたどってきている。大型新税をやらぬと総理は言われたけれども、しかし、政府税調も何か検討すると言っているし、いろいろとまたあるかもしれないという懸念を持っている。また、一面では、そんなにむずかしいのだから、もうこれは五十九年じゃなくて六十年、六十一年――三年、四年といったら大変だけれども、二年間ぐらい弾力的に考えたらどうかという意見もある。
 さまざまな意見があって、定まったものがないという今日の状態でしょう。そして、むずかしい五十七年度の運営と五十八年度の予算編成の作業に向かっていくということなんですから、何か従来の惰性のごとくじゃなくて、てきぱきともう一発、とにかく経済見通しについても経企庁がおやりになりますからそれを拝見しますということじゃなくて、特に責任ある大蔵大臣として、ある意味では政府責任にもなると思いますけれども、確実な見通しを国民の前に提示する作業の責任というものがあると思いますね。ちょっとくどいようですが、もう一つ、そういう努力をはっきり表明されるべきではないだろうかと思います。
#190
○渡辺国務大臣 私は、惰性でやるなんて一つも言っておりませんよ、ドライに、ドラスチックにやると言っているのですから。それにはまず臨調の答申を踏まえて、歳出ですよ、歳出に荒療治をまずやります。ことしよりももっとシビアなことをやります。やらなければにっちもさっちもいかないのですから。
 そういうことを言っているわけで、具体的に、どこの省のどこの予算を何ぼ切るんだということを言われても、臨調答申も出ないうちですから、私はいまそれまで言えない。言えないけれども、臨調答申を踏まえて、これはかなりシビアな答申が出ると私は思っておるのです。ですから、去年よりもかなり厳しい査定もしなければなりません。
 もう一つは、それは赤字の繰り延べというような話もございます。何も九年でなくていいんじゃないか、もう少し延ばしたっていいだろう、しかし、いまからそんなことを言ったのでは歳出削減などは言うべくしてできません。歳出を切るというのはある意味では増税よりむずかしいかもしらぬ。それくらいの気魄となにがなければとても歳出の大幅削減などというものはできるものではない。だから私としては、まず歳出削減を優先するためには出口を閉めておいて、それで切っていくということが肝心だ、そう思っておるわけであります。
#191
○伊藤(茂)委員 惰性でやるわけじゃないと言われましたから、ぜひ惰性でないようにやっていただきたいと思います。
 五十七年度予算は成立をいたしましたから、あえて細かい論評はいたしませんけれども、五十六年度の予算と五十七年度の予算を比べてみますと、私は、より悪くなった問題があるんじゃないだろうかという気がいたします。それは、五十六年度の予算のときにも、たとえば住宅金融公庫の利子補給を財投に入れるとか、それから公務員の給与改善費の問題とか、あるいはこれは粉飾ではないか、粉飾決算という言葉があるが、予算の段階でこれはまやかしで伸び率一けたというのはうそじゃないかということが話題になりました。五十七年度の予算になりますとさらにいろいろと、これはいままででも予算委員会で指摘をされてきたわけであります。私はいまは改めてそれは申し上げません。とにかく並べてみますと、国保の療養給付費補助金の五十八年、来年に一カ月分持っていったこととかあるいは給与改善費の問題もありますし、いろいろあります。合計すれば二兆であるとか三兆であるとか、新聞でもいろいろな論評が行われています。
 私が本法案について本会議で質問をしましたときに、私は大変不満なんですが、大臣の答弁は、つじつま合わせとかツケ回しとかあるいは隠れた赤字国債ではないかというふうにいろいろと言われるけれども、後年度負担というのは制度としてあることですから、国庫債務負担行為というのはあることですから、それでいいではありませんかというみたいな、大変ぶっきらぼうな渡辺さんらしい答弁をなさいましたけれども、通常事業であるいは中期を見通して大体当然であろうというふうなものとは違った状況が非常に多いということが、私だけではなくて指摘をされている状態だろうと思います。予算ができたときだって、よくもこれほどつじつま合わせをしたものだとかやりくりをしたものだとか、大蔵省は本当に知恵をしぼって、ガラス細工というふうな表現もある新聞にありましたけれども出ている。
 たとえば、一々言いませんけれども、国保の療養給付金の補助を一カ月分五十八年度へ持っていったとか、それから公務員のベアの一%とか、あるいは今後さらにふえるでありましょう住宅金融公庫の利子補給の財投に五百十七億逃げ込んでいるとか、本来一般会計で負担すべきものですね、先に送ったり前から借りたり財投に送り込んだりいろいろな形をとっている。こういう姿というのは通常考えられる後年度に送っていいというものとは違った問題が非常に多いので、つじつま合わせ予算という表現がずいぶん出たんだろうと私は思うのです。確かに、非常に厳しい枠の中で予算を組む苦労からこういうことになるであろうということは、現実は私もそういうものだろうなというふうに思うわけでありますけれども、やはりこれからの見通しを考えますと、そういう手法、やり方を五十六年にもあった、五十七年にはさらに拡大をした、さらにこれが広がっていくという形では、きちんとした見通しも制度もあるいは予算編成もできないということになるだろうと思うわけでありまして、その場しのぎはやめて、ひとつこれからのことを考えていくという気持ちが必要ではないかと思います。たとえばそういう気持ちについて大臣どう思われますか。
 それから、公務員の給与改善費にしても一%しか組まない。間もなくこの八二春闘で世間の相場が出てくる。人勧も出る。人事院の勧告も、この間新聞を見ておりましたら、人事院としては従来の仕組み、従来の姿勢でやっていきたいという議論をなさっているようであります。それは公務員制度をフェアに大いに議論をしてより効率のいいものにしていくということは、僕は大切だと思いますよ。ただ、何か組むべきものを組まないで、勧告が出た後お金がないからと言って、ないそでは振れないと言って削っていって、できたら人事院制度まで手をつけていこうというふうな印象がしてならないわけでありますね、この二、三年を見ると。こういうやり方というのは、もう打ちどめにすべきではないだろうか、打ちどめにして今後を考えるということが必要ではないだろうかと思いますが、つじつま合わせの状態についてどう思いますか。
#192
○渡辺国務大臣 公務員給与については、臨調答申にもあるように極力抑制の姿勢でやりたいと思っております。
 それから、つじつま合わせと言われたたとえば国保の給付費ですね、これ等につきましても金繰りであると言われてもそれは仕方がございません。こういうような非常に厳しい財政事情のもとでございますから、三月に診療した分は当年度で支払う予算をとっておかなくても間に合うわけでございますから、そういう意味で二月診療分までというものを予算に組んだということでございます。これは来年もというわけになかなかいかないわけであります。したがって、来年同じようなことが幾つか大きなものができるというように私は考えておりません。
 そういう意味において、本当に来年はもっと厳しい、つじつま合わせしたくてもできない、要するに帳じりといいますか、そういうものを現金を合わせるためにやろうとしてももうそういうことはできないような状態にある、そう思っております。
#193
○伊藤(茂)委員 今後の財政見通しの中で、もう一つ大きな問題として、軍事費の問題について伺いたいと思います。
 大臣は、軍事費ではない、防衛費という表現でこの間言われておりましたが、私は、防衛という問題についての大臣の基本認識、考え方を伺いたいのですけれども、本会議のときにも、高橋是清か井上準之助かだれかの名前を申し上げて恐縮でございましたが、これは、それと比べて悪いとかいうよりも、そういう大臣になってもらいたいという気持ちで実は言っているわけでありまして、五十七年度予算についても、いままでの審議の中で防衛予算の突出ということが大きな特徴として指摘をされてまいったわけであります。
 この間、どこかの新聞でしたか、七・七五四に至る経過を連載して書いておりましたが、大蔵大臣が行動された経過などもその中で見て、私も大変興味深くその記事を読んだのですが、いろいろ立ち回りもあり苦労もあったことはわかりますけれども、出てきたものはいままでにない新しい特徴を持っている。社会保障費の伸びも大きく上回りましたし、シーリングの枠も突破いたしましたし、二十六年ぶりで一般会計の伸び率を上回りましたし、後年度負担も著しく上昇いたしましたしなどなど、いろいろな新しい特徴を持ったものが最後には実は組まれた。いろいろドラマチックな場面を含めて経過があったことは私も推測いたしますし、わかるわけであります。ただ、今日の時代を考えますと、大蔵大臣に大変な見識と決断が要求をされる時期ではないだろうか。
 二、三日前、「男子の本懐」の中の軍縮の部分を、大変な経過だったわけでありますけれども、改めてぺらぺらと読み返してみたのでありますが、軍拡の大臣として渡辺美智雄さんの名前が残るのではなくて、この時代に、財政を守ることと軍縮、平和の方向に毅然とした主張をなさった大臣として名前が残る。私は、だれが考えても当然後者の方であるべきであろうと思いますし、そういう意味では、いろいろな意味で権威を持った発言がもっとなされていいのではないだろうかという気がするわけであります。
 さっき申し上げた新聞の連載の七・七五四の経過を見ましても、大臣もシーリングの枠よりも高い伸び率はだめだというふうに言われたようでありますけれどもずるずる押されて、結果的にはシーリングを突破した枠組みになっていく、総理大臣がそそっかしいことを言うものだからとかいろいろ経緯はあったようですけれども。
 そういうことを考えますと、先般議論がありました関税の質疑の中でも大変思ったわけでありますが、確かに貿易摩擦、関税問題、非常にむずかしい問題が起こっている。ただ、長い目で見れば、いま日本は、何かアメリカにぶら下がっているかあるいは島国的な姿勢で済んだ時代ではなくなって、とにかく世界経済の一割以上を占める状態でありますから、非常に大きな責任と、ある意味では権威ある発言をしなければならない時代に入ったのじゃないだろうか。そういう意味での姿勢を持った一つの提言、構想、そういうものを出していく政府の首脳、政治家が必要である時代になった。目の前に貿易摩擦とかたくさんありますけれども、流れとして言えば、そういう時代ではないだろうかと実は思うわけでございます。そういうことを含めて、歴史に残るいままでの大蔵大臣を見ても、軍拡の大蔵大臣ではなくて、軍縮のために苦労し、財政再建のために苦労した大蔵大臣が歴史に残っていると思うわけです。
 大臣、あなたは、答弁の端々に、非武装中立なんていう主張がありますがなどということをよく言うのですね。この間も二十九条と九条とを間違えておりました。意識して言っておるのか、はからずも出てくるのか知りませんが、私どもだって、一挙に軍備がすべてない社会になれるというふうには思っていません。そういう目標に向けて、どう段階的に進んでいけるのかと思っているわけでありますが、ときどきそういうことも言われるわけでありまして、軍拡の大臣として歴史に残るのじゃないかと思って非常に心配するわけですが、どうでしょうか。
#194
○渡辺国務大臣 私自身が歴史に残りたいとか、そういう考えはございません。
 日本という国はいまや世界の一等国でございまして、世界で通用する話をしないというと、なかなか相手にしてもらえません。日本だけではわかるけれども、アメリカへ行ってもイギリスへ行ってもドイツへ行ってもわからない話では、日本は今後国際舞台で困るわけです。そういう中で、御承知のとおり、自由社会の一国家として防衛費等についても相応の負担、国際分担をしろという国際世論が、アメリカを初めヨーロッパの重立った国から出ていることも事実でございます。日本自身においても国家の安全保障というものは重要な問題でございまして、どこらの部分までいいのかということについて、各政党の間で開きがある非常に基本的な問題。だから、別な政党があるわけでございますから、これは仕方のないところ、それぞれの主張の違うところであります。
 自民党の中だって八%ぐらいにしなければ絶対いかぬと言った人もたくさんいるわけですし、いろいろいるわけですから、一つの政党としてそれをまとめて、しかもわれわれはやはり財政を預かる立場としてやっていくというためには、大蔵大臣だけの意見で自民党がまとまっているわけじゃないわけです。だけれども、防衛費の中身については、やはり不要なものは切るし、がまんしてもらうのはがまんしてもらう、それから、どうしても必要なものについては最小限のものはつけるという姿勢で七・七五四の数字が出たわけでございます。連載物を読んだと言われるから、あれを読んでもらえばおわかりのように、やはり私は私で苦労しているのですよ。あのとおりじゃないですけれども、実際はもっと苦労しているのだ。ですから、そういう点はひとつ御理解をいただきたい。
 私は、防衛費だけ伸ばせばいいというふうな考えは毛頭持っておりません。急激に伸ばすなどということは絶対反対、国民にそれだけの理解がないところで急激に伸ばしてみたところで、魂が入らなければだめだというのが持論でございますから、やはり国民の理解が得られる程度から着実に伸ばすということしか認めるわけにはいかないということを言っておるわけでございます。
#195
○伊藤(茂)委員 平和哲学論争をするわけではございませんけれども、いずれにしても、五十七年度の内幕の経過みたいなことを私も興味深く読ましてもらいましたが、最終的には軍拡論の方に押された。私は、何も社会党だけが平和主義で自民党は全部軍拡だと思っておりませんよ。与党の中にも尊敬すべき平和主義者の方もいろいろといらっしゃるということも私は思っていますよ。
 私が大臣に申し上げておきたいのは、五十七年度については、大変苦労もあったけれども最終的には突出ということになった。しかし、これから先大蔵大臣として同じ苦い思いをしない、新聞に内幕連載が載るとしたら、とにかく巻き返した、新聞に載ったのは、最終的には煮え湯を飲まされたという話ですからね、逆の方が載るように、姿勢をきちっととっていただきたい。
 一般的な議論は別としまして、残された短い時間ですから、具体的な話をしたいと思います。防衛庁、質問の時間が遅くなりまして済みませんが、幾つか数字を伺いたいのです。
 一月の初めに、五六中業についての制服組の素案というものが一斉に報道されております。五六中業で防衛大綱の水準達成を目指すということから、現場の兵隊さん、というのは制服組のことでありますが、相当大規模なものを出している、また、それをたたき台として防衛庁は組んでいくということになっているようであります。新聞によりますと、正面装備だけで六兆円とか、あるいは場合によっては、今後の値段の計算をいたしますと十兆円台になるのではないかというようなこともありましたが、それと、それから防衛庁案をつくる作業の今後のスケジュールですね。
#196
○宝珠山説明員 御説明いたします。
 五六中業につきましては、昨年四月二十八日に国防会議で了承された方針のもとに作業いたしております。五十七年度の予算が成立いたしましたので、作業は促進されているわけでございます。
 先ほど先生御指摘ございました新聞報道などというのがございますが、これは、昭和五十七年度の概算要求がそのまま通ったとしたら、各幕僚監部としてはこのような防衛力整備をしたいというような非常に構想的なものでございまして、それでも防衛庁が発表したわけではございませんし、かなり粗雑といいますか、種々誤ったものがあることを御理解いただきたいと思います。
 それから、現在の作業状況といたしましては、防衛局で主として正面装備を中心といたします事業見積もりを詰めている段階でございまして、数字を幾らと申し上げられるほどにまだ進んでないわけでございます。これから防衛局でほぼ合意のできた段階で、防衛庁の長官を初めとする幹部の御審議をお願いしたいと考えておりますが、その日程がいつになるかということをここで明確に申し上げられるほどに至っておりません。
#197
○伊藤(茂)委員 私が伺ったのは、一つは、五六中業についていわゆる制服組素案と言われているもの、それから防衛庁ではたたき台というふうに位置づけておられるようでありますが、その大まかなというのか総額の数字というのか、中身の大体のことは報道を通じていろいろと話を聞いておりますからいいですが、どのぐらいの金額になるのか。私どもは財政を担当している委員会ですから、説明してください。
#198
○宝珠山説明員 御説明いたします。
 先ほど申し上げましたように、数字を申し上げられるほどには作業が進んでないことを御理解いただきたいと思います。
#199
○伊藤(茂)委員 新聞には出るけれども公式の場では言えないというわけですが、この間も本を読んでおりましたら、政府の言う数字とか何かというのはビキニスタイルの水着と同じで肝心なところは隠されているとありましたが、チャーチルが言った言葉でありますけれども、とにかく肝心なことはいつもはっきりしないということでありまして、まことにどうかと思います。
 そうすると、防衛庁の方としては、防衛庁案ができて、それから予定では概算要求の前の七、八月ごろに国防会議というのが通常考えられる時期だと思いますが、それもわからない、また大幅におくれる可能性もある。ということは、五六中業のスタートは五十八年は断念しているという意味ですか。
#200
○宝珠山説明員 御説明いたします。
 作業としましては、先ほど申し上げましたように、今後防衛庁幹部の審議をいただき、引き続き関係省庁の御審議をいただいて、五十八年度の概算要求を決めます八月には国防会議の付議を終了していただきたいという希望を私ども持っております。
 それから、作業がおくれているのではないかという御指摘でございますが、昨年四月からかかりまして、その当時予定いたしました作業が現在特におくれているというふうには私ども考えておりません。
 それから五六中業は、防衛庁の訓令によりまして五十八年度以降五カ年間の概算要求の内部資料とするものでございますので、スタートがおくれるというようなことは考えておりません。
#201
○伊藤(茂)委員 スタートがおくれることは考えていないと言うのですが、実際問題として五十八年度予算の編成テンポから考えれば、五六中業のスタートは五十八年度は無理、五十九年度にならざるを得ない。どこかの新聞を見たら、防衛庁長官は総理大臣に言ってすでに了解を得てあるという記事が載っていましたが、そういうようなことになってくるのではないかという気がします。
 それから、規模の問題で数字を言わないのだけれども、ある新聞を読みましたら、制服組のたたき台がある、これは少なくとも六兆円規模、それから今後のGNP一%ということを考えるとせいぜい四兆二千億か四兆五千億、そういうことで五六中業の見積もりについては、凶兆五千億から六兆円ぐらいの範囲内で複数の案を出して議論してもらいたいというふうになっているようだという話がありますが、どういうことですか。
#202
○宝珠山説明員 五六中業は事務的にもまだ下の方の作業が進められている段階でございまして、複数の案をつくるのか、御指摘のような四兆五千億から六兆円の範囲で正面装備ができるのか、そういう点についてお答えできる状況にないことを御理解いただきたいということでございます。
#203
○伊藤(茂)委員 夕方の時間ですから、大臣に一つだけ伺って終わりにしようと思うのですが、いままでの衆参の予算委員会とか、あるいはまた、防衛庁を相手とする内閣委員会の議論とか安保特別委員会とかいろいろなものを読んでおりますと、われわれに関心があるのは財政計画との兼ね合い、財政上の問題、特に五六中業の見通しの問題で、新聞報道も含めて総括的に判断をいたしますと大体こういうことなんですね。
 GNP一%という一つのメルクマールがある。これについては、総理も政治的な判断としてしばしば言明されているわけですね。ところが一面では、五六中業の最終は六十二年ですが、いいかげんなと言っては失礼ですけれども、確実性がそう高いとは思えない今日の新経済社会七カ年計画の数字も六十年までですね。大変機械的ですけれども、一応その考え方を六十二年まで伸ばしてみた場合に、時価にして四百二十兆とか四百五十兆というGNPの数字になるのではないか。これも高めの修正はないので低目の修正をしなくてはならぬということですから、たとえば昭和六十二年の場合、GNP換算で一%と言えば四兆とか四兆五千億以内ということになる。ところが、制服組の方からは六兆とかいうはるかに高い数字が出ている。いままでのいろいろな議論を大ざっぱにずっと読んでみますと、これはいずれにしても両立は無理である。一%以内でいくのか、あるいは防衛庁案が二種類出るのか三種類出るのか、たたき台が出るのかわかりませんけれども、国防会議には大蔵大臣出られるわけですが、それらを達成することはどうしても両立しないというのがいろいろ読んでみての全体の判断であります。
 先ほど来決意を伺ったこととも関連をいたしますけれども、大蔵大臣は、そういう状況の中で財政を健全化させる、財政を守るという方を優先してその場合に御判断をされますか、あるいはまた、それを飛び越しても、世間並みか世界並みか知らぬけれども、これも人によって判断が違いますが、防衛庁の意向を実現しなければならないという方をお考えになるのか。その作業がありますから、国防会議が何月に持たれるのかわかりませんけれども、間もなく迫られる選択ですから、大蔵大臣として、その辺は一体どうお考えになりますか。
#204
○渡辺国務大臣 いままでの五三中業の問題は防衛庁の中でつくったものでございますが、今度の五六中業については国防会議にかけるというようなことだそうでございますから、当然大蔵大臣といたしましては、その作業過程においても、とてものみ切れないものをつくられても賛成をするわけにはいかない。したがって、そのときの財政事情がどうなるかという問題もございましょうけれども、やはり鈴木内閣としては、当面GNPの一%以内にとどめたいという内閣の方針もございますので、そういうような基本方針に沿ってつくっていただきたい、こう考えておるわけでございます。
#205
○伊藤(茂)委員 時間が来たようでありますが、そうしますと、たとえば国防会議に五六中業の計画が出て、そしてこれは経済見通しを考えてみて、GNP計算をしても必ず一%を超えるという数字になるという場合には、大蔵大臣としてはそれを断るというわけですね。
#206
○渡辺国務大臣 当面鈴木内閣の方針ですからね。鈴木内閣の方針ですから、私も内閣にある以上、内閣の方針でやるのは当然なことであって、私だけ別な意見を言ってみたって始まらない話でございます。
 要するに、防衛の問題というものは最高の大きな政治課題でございますので、財政当局はもちろん財政当局の意見を言うのは当然のことでございますが、最終的には内閣を挙げてどう決めるかという問題じゃないか。しかし、鈴木内閣は当面一%以内ということを言っておるわけであります。
#207
○伊藤(茂)委員 時間ですから終わりにしたいと思います。
 いずれにしろ、五十八年の防衛費がどうなるか、あるいはまた、最近報道されておりますようにワインバーガーが来たり、アメリカは一二%などという数字ですね。これを伺いたいと思いますが、また別の機会にさせていただきたいと思います。
#208
○大原(一)委員長代理 和田耕作君。
#209
○和田(耕)委員 きょうは、日韓の経済協力問題から御質問をしたいと思います。
 日本と韓国、本当に近い国であります。そしてまた、歴史的に非常に密接な国でありますけれども、精神的には遠く離れておるという感じ、非常に奇妙な関係が現在あると思います。
    〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕
 と申しますのは、日本のいろいろの世論調査の機関で見ましても、日本人が一番嫌いな国はソビエト、これは大体相場が決まっておるのですが、その次が韓国というようになるのですね。ところが、韓国の世論調査でもって見ますと、一番嫌いな国はやはりソビエト、これは非常に共通しているのですが、その次に嫌いな国が日本、これも嫌いなあれで共通をしているというような、非常に奇妙な関係にある両国だと思います。
 しかし、よく考えてみますと、日本の一番近い国であり、安全保障等の問題から見てもあるいは経済的な関係から見ても非常に密接な、理解をし合わなければならない両国であることは間違いない。また、日本には約七十万の在日韓国人もおりまして、日本の生活の中に溶け込んでおるということであるわけであります。そういう関係がやはり精神的ないろいろな問題を起こしておる、隣同士が仲が悪いということもありますから、そういう面があるかもわかりませんけれども、しかし、自由諸国としての立場、このアジアでは数が少なくなってきた、その点から見ても、相当気持ちの通い合いが必要だという時期に来ていると私どもは判断をしているのです。ところが、いまも申し上げたとおり、両国の国民の間には理解のギャップがある。
 私は前の週に、議長の許可を得まして三日ほどソウルに行っておりまして、向こうの要人の何人かともお目にかかって、いろいろと意見も聞きました。私は、全体として日本の方が兄貴格であり、そして歴史的に見ても日本がいろいろと今後配慮しなければならないという関係から見て、両国の意見の違い、感情の違いというものは、日本の方から理解をしてあげるということが必要じゃないだろうか、そういうような気がしてならないのです。
 八年前に日韓議員連盟で、民社党も自民党と一緒に議員連盟をつくったわけで、そのときに私は民社党の団長として韓国に行ったのですが、その当時私は、ソウルというのは大体当時の南ベトナムのサイゴンと同じような町じゃないかという印象を持っておったのです。ところが行ってみると、あのサイゴンのように、アメリカの兵隊が町にいっぱいおるという状態ではない、横文字がいっぱいあるという状態でもない、キャバレーみたいな怪しげなものがあるという状態でもない。むしろアメリカの兵隊は全然いない、そしてまた横文字は一つもない。あの丸井さんのあれみたいなハングルばかりで、ときどき漢字が見られるという状態です。しかも国民、ソウルの人たちあるいは地方の人たちもかなり明るい感じを持っておるし、圧迫されたみたいな感じはない。私は本当に驚いたのです。日本のマスコミ等の報道で、韓国というのはかなりうっとうしそうな顔をしている国だろうなと思ったところが、そういう状態なんですね。
 そして、私は戦争前には満州の満鉄におりましたので、朝鮮半島はよく行き来したのですが、日本の統治下の朝鮮半島というのは、川は干からびて、そして山にはほとんど緑がない荒れた感じでした。最近のソウルはそうじゃないですね。韓国の主な道路、また飛行機で見たって、あれっと思うほど青くなっている。山が青くなっているし、あるいは川は非常にきれいになっている。荒れた山を、荒れた川を、ああいうふうにするというのは大変なことなんですね。やはり自分の国を得たという感じを受けるのです。そういうふうな意味で、韓国に対する日本の理解というのは少しどこか偏ったところがある。
 そして、東京とソウルと比べてはっきり違うのは、ソウルは一度北の方からの全国的な侵略を受けて大変な被害を受けている。したがって、その後も北の方の侵略的な姿勢は、おそれはまだ残っている。そういうことで非常に厳しい対敵的な感じ、姿勢はあるわけです。この点東京の方は、世界の国じゅうでまれに見るほど、どこにもないような自由な国の中におる。こういうようなはっきりした違いがあるわけですから、韓国の人は東京を、日本の首都をとてもうらやましがっているのですね、言葉では余り言わないけれども。かつては自分たちをいじめた国が、いまは最も幸せな、そして安全保障なんて全然考えなくてもいい、国の独立などということすら考えなくてもいいような状態におる。一方、韓国の方はああいうひどい戦争にいじめられて、そして現在また非常に厳しい状態下にある。ああいう状態下で、ある程度の民主的な政治が制限されるのはあたりまえのことじゃないかと私は思うのです。
 そういうようなことを含めて、日本人は韓国の人たちをもっと理解するということが必要じゃないかというふうに思うのですけれども、そういう感じとして、大臣、どのような御理解を持つのでしょう。
#210
○渡辺国務大臣 ほぼ似たような感じであります。
#211
○和田(耕)委員 それで、いま問題になっております六十億ドルの問題、私ども自身も、いかにもこれは大き過ぎるという感じを受けます。したがって、この問題は、前の園田さんのときに二度ほど私園田さんにも申し上げたことがある。やはり感情的ないろいろな問題があるから、余り感情にさわるようなことは言ってはいけませんよということを私は何回も申し上げたことがある。それをもっとじみちに話し合えば、あるいは全部でなくても、私は十分理解できる両国だと思うわけです。
 いろいろむずかしい問題を、大臣も向こうに行かれて二度もいろいろ折衝をされておるわけで、よく御理解しておられると思いますけれども、きょうの新聞によりますと、外務省で大体話し合えそうな線が見つかったような印象を受ける数字が載っておりますけれども、外務省の方、あの問題の経過を簡単にひとつ御報告いただきたい。
#212
○小倉説明員 御説明申し上げます。
 この問題につきましては、先般、ことしの一月に私も含めまして外務省の者がソウルに参りまして、実務的な話し合いにようやく韓国側も応じてきたという経緯がございまして、それを受けまして、ことしの二月に韓国側から外務次官補を中心とします関係省庁のチームと申しますか代表団が参りまして、交渉いたしまして、そういった結果を踏まえまして、一応三月になりましてから、私どもの方でとりあえずの検討結果といったものを、政府の中で御相談いたしましたものを外交ルートを通じまして伝えまして、それに対しまして四月三日に先方から、まあ日本側の検討の誠意はわからないわけではないけれども、やはり考えてほしい、再考を求めるといった形の返答が来ております。現在そういう状態でございます。
#213
○和田(耕)委員 これは日本政府の内部でも今後いろいろと打ち合わせになることでしょうから、具体的なことをいろいろ聞くことはやめますけれども、この問題、ぜひともひとつ、大蔵省としてもできるだけのことはしてあげるという気持ちを持ってもらいたいと思います。それだけぜひともお願いをしたいと思いますけれども、わかったということをひとつ大臣からお答えをいただきたい。
#214
○渡辺国務大臣 韓国と日本との従来の特別な関係のあることは、私は十分承知をしております。
 それからまた、日本の政府は、過去五年間の海外経済協力を将来の五年間に倍にするという方針もございます。しかし、日本のおつきあいをしておる国は、韓国も非常に親しい仲でございますが、それ以外にもたくさん経済協力をしなければならない事情の国もございます。したがいまして、おのずからそこには限度がございますし、原則的には、円借というようなものは、一般の場合ある程度所得の高い国には適用しないというような取り扱いもしてきております。したがって、そういうような条件があるにかかわらず、韓国に対し仮に円借等を与えるという場合は異例中の異例の話でございますから、そういう点も御理解をいただかなければなりません。向こうでいろいろな国のプロジェクトを考えておるようでございますが、それの中には円借には向かないものもたくさんあるわけでございますし、採算のとれるようなものは輸銀ベースなり一般の民間銀行のベースなりで十分間に合うわけでありますから、ことに日本の金利は、高いといっても世界では一番安いわけでございますので、みんな円借だ円借だと言われても、それはとてもお断りする以外はありません。
 われわれは、できるだけのことはいたしますが、大きな金額を円借で御要求されても、それはとても、ほかとのバランス、財政再建途上、そういうような点から、やってあげたくてもできない相談でございます。したがって、こちらの事情も考えていただきながら、私は、末永くおつき合いできるように、小さく産んで大きく育てたらどうですかということは、向こうの高官の方々にも率直に申し上げてきたところでございます。そういう物の考え方はいまだに微動だにいたしません。
#215
○和田(耕)委員 大臣のおっしゃることはよく理解ができます。ただ韓国は、先ほども長々申し上げたように、他の東南アジアの諸国とかあるいはアフリカの諸国とか南米の諸国とかとはおのずから違った立場の国であることも十分考えなければならない。
 去年、私ちょうど二月に、レーガン大統領が就任された直後にアメリカへ行ったのですが、二月二日に全斗煥大統領がアメリカに来られた。あの状態をアメリカのニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストも大きく報道して、そして最初のトップを迎えるということで、前のカーターさんの関係が若干悪かったものですから、大変温かく迎えたような報道だと記憶しておるのですが、アメリカとしても、東アジアの問題、防衛等の問題について韓国の立場を、努力を非常に高く評価していると思うのです。
 その韓国が、きのうもちょっと申し上げたとおり、経済的には非常に困難な状態にあることは事実のようなんですね。日本との貿易でも、去年は大体三十億ドルに近い赤字ですね。累積が二百億ドルにも達するというのですから、日本と韓国との貿易関係から見ても、大変な赤字をあれしているということもあるし、そしてアメリカでも、鈴木総理が去年の五月でしたかアメリカへ行ったときにも、韓国についての援助の問題等にも声明で触れておるわけでもありまして、直接アメリカの人たちが、日韓の経済協力についてくちばしを入れるなんということはしないと思いますけれども、アメリカとしても、気持ちの上では非常に大きな関心を持っていると思うのです。これは当然のことであると思うのですが、何かのことでアメリカが発言するようなことになるとかえってまずいわけでありまして、ひとつ日本政府としても、この問題についてはできるだけの配慮をしていただきたい。私、日輪協力議員連盟の副幹事長という役をしておりまして、そういう立場からも、また民社党の党を挙げてのそういう立場からも、このことをぜひとも要望しておきたいと思います。
 次に、グリーンカードの問題であります。
 これは、私は余り言うまいと思っておったのですけれども、友党の方々がみんな声を大にして言うものですから、一言二言言っておけということを言われたものですから、ここでひとつはっきりと申し上げておきたいと思うのですが、私、この国会から大蔵委員会に所属をしたものですから、いままでの経過は余りよく知りません。しかし、いろいろと話を聞いてみますと、また最近の金融情勢の中でのこの問題の一つの位置づけみたいなものから見ると、これは非常に大事な問題だというふうに感じておる一人であります。
 日本は由来貯蓄をとうとぶ国でありまして、とにかくほうっておいても必要以上に貯蓄をするようなところがあって、財政当局にしてもあるいは政治家等にしても、貯蓄という問題について真剣な考え方をしないような雰囲気がありはしないか。その点、アメリカとは非常に違いますね。アメリカは、三年間のあの膨大な減税というのは貯蓄のためにやるのだというのが一つの大事な目的のようですけれども、そういう面から見て、グリーンカードという問題を意識して、一昨日の新聞によりますと、郵便貯金が三月一日で三千億円も引き出されたという記事が載っておる。あるいはゼロクーポンのあの騒ぎの問題あるいはまた金の騒ぎの問題等々を見ても、郵便貯金あるいは銀行に預けた貯金のお金が、貯金の戦列を離れて他のところへ行ってしまうという状況、これは重要なことなんですね。他の国であれば大変なことになるわけですけれども、日本の大蔵省の場合は少しも騒がずというふうに見える。しかし、これはもっともっと神経を使わなければならない問題の一つだと私どもは思っておりまして、グリーンカードの見直しということについては、私どもは見直しという方向については賛成をしておるのです。
 きょうも私、国会対策委員会におりまして、ただして、確かに党の方針というのは決めておりませんけれども、国会議員仲間の共通の意識としては、この見直し賛成だという方向になっておるわけであります。その内容等については、自民党の皆さん方がどういうふうな動きになるかによって態度は決めていくことになると思いますけれども、貯金を大事に考える、グリーンカードの問題が貯金をいささか軽視しているとはちょっと言い過ぎかもわかりませんが、水清ければ魚すまずということわざがあるのだけれども、大事な貯金の問題ぐらいはそういうふうな少しゆとりのあるところを残した方がよろしい。そういう判断を持っておるのですが、その判断について、ひとつ大蔵大臣と主税局長の御意見を聞きたい。
#216
○福田(幸)政府委員 計数的な感じのお話を申し上げたいと思うのですが、資金の移動があるかどうかの問題、またそれが実際に今後どうかというのが前提だと思います。その点、国際的というか海外に金が流れるという問題と国内でどう動くかという問題、また貯蓄率の問題、その辺が基本であろうと思うのです。外との関係では、金の問題といままで生じたのはゼロクーポンの問題、これは国内で金融資産が全体でどのくらいあるかという問題との関係で見ませんと影響度がわからないという問題がございます。
 法人と個人の金融資産は四百四十兆あるわけでございますね。そういうところで起きた数字自体は金が二千五百億ですし、ゼロクーポンが二千五百億。金は五千億ですが、半分が蓄財用、こう見て二千五百億と申し上げて、合わせて五千億ですから、そういう数字でいきますと、全体の四百四十兆の〇・一%というような大きさですから、国内経済への影響はないというのは一応言えると思うのです。
 海外の問題は金が流出するかですから、それもその程度の金額である。金(かね)を払えば金(きん)は入ってくるわけですから、その金(きん)は国内にある本来の資金、民間の本来の金(きん)があるという姿ですから、対価に応じたものは入っておる。そのときは、その金自体値段がいま非常に下がっていますので、過去の例を見ても、下がれば入ってくるという要素も相当あると思います。それと金利を生みませんから、それだけの危険を考えてはおられると思うのですね。
 それから、ゼロクーポンもやはり割引率の非常に高いものですから、元本保証が不安があっても、それを承知でお買いになる。これは資産の選択の問題ですから、すべてゼロクーポンから始まっておるというところも、説明としてはどうかなという気がします。また、そういうゼロクーポンの問題にさらに入りますと、これは課税の仕方がアメリカと日本で違う。ヨーロッパも違う。これはキャピタルゲインの課税が途中のところでないものですから、アメリカではそれが発生利息は経費で引くし、途中でそれはまた課税を受けるということで、海外商品として売られ、非常に高金利であるということから生じておるものですから、それが去年から始まって最近それが流行したということが口実になったというか契機になって、非常に議論になったという気がいたします。
 ですから、国際的に今後どういう商品が生ずるかという問題は、ゼロクーポン問題でなくて、国際的な資金移動に対してどう対応するかという種の問題であろうと思うのです。また、その大きさもどの程度かはおのずから限度があろうという気がします。資産選好に対しては、これはそれなりのやはり計算して動いているわけですから、ゼロクーポン、金がすべてこの問題から生じたというふうなことではないという気がします。
 あとは国内の問題になってきますけれども、貯蓄率自体は二〇%近い、非常に高い。その伸びも高い。一一%以上に伸びておるわけでございますね。賃金の方は六%くらいですから、その高さというものは租税負担が低いこととの裏返しでもありますし、資金自体は余裕のある形でいま国内では考えられていますから、資金が逼迫して今回の問題から中小企業等の資金が借りられなくなったということはないし、今後も全くそれはないと思うのですね。
 そういうことで、全体の資金状況は別に足らない話じゃない。問題は、これで限度管理がやられるということ、さらに本人確認があるということがやはり問題になっておる最大の点だと思うのですね。非課税枠が九百万であるとかいうのはみんなが承知していますから、一世帯二百五十万の定期性預金ですから、十分に入っていますから、その辺はわれわれ周知するように努力していますし、これはおわかりになれば、いま非課税の申告書をカードでやってチェックをお互いに金融機関と本人がするわけですが、これが非常にルーズであったという問題が限度をオーバーしている問題、さらに仮名預金としてそれが扱われておる。だから、課税を免れた資金がまた非課税枠でその利息についてもまた免税を受けておるというようなことがはっきりしてくれば、やはり困ったという話にはなるわけです。
 それから課税貯蓄の方は、いままで三五%であったものが総合課税になるということで、いま税率が非常に高いのですが、その適用を受けているのは勤労性の所得であるわけですね。あと資産性の所得の方は、これは三五で源泉分離ができて税務署との関係がないということで、税率が勤労性より低いというところに、税の理論から見ると非常におかしさがある。
 アメリカの今回引き下げます税率は、もともと勤労性は五〇であったわけですね。資産性の金利等については七五かけておったのを今度は五〇に下げるので、本来資産性に高くかけておったのを引き下げて、勤労性と同じにして投資を誘発しよう、こういう考えですから、その勤労性と資産性を同じに扱う。英国では、いま勤労性は六〇ですけれども、資産性はもっと高いんですね。
 日本の場合は、反対に資産性が低くなっておるのを同じようにしようというのが、従来から御議論があった結果が総合課税の方向なんで、課税貯蓄の方で本人確認をするのに背番号でやるということにはやはり問題があるということで、その本人確認の手段の一つとしてこれが使われる。ほかの公的証明書でもいいわけで、この辺は弾力的にやりますが、本人は確認しなければいけない。そうしませんと総合課税がやれない、そういうことで、仮名預金があらわれてくることがやはりいやだ、こういう問題から、資金がどうなるかは、やはりそこを正すためにやるわけですから、そこのところを資金移動というものも時効になっているものが相当あるでしょうし、これが一巡すればまたおさまるという見方もございますので、余り初か大ごとが起きるというふうないろいろな情報が流れること自体の方が問題で、金についてもゼロクーポンについても、また国内の資金移動についても、全体の大きな資産の中ではこれはおのずからおさまっていく。むしろ不正を正すということが認識されることの方がやはり評価すべき問題として今後の方向を見定めていく。そこをふらふらすることの方が、まだ不安が残り続けて不正についての感覚がなくなるというのは、納税の方の意欲がそがれますので、その辺がやはり総合課税の方向と限度管理をきちっとやるということを優先して考えるべきもので、資金移動か何か生じて貯蓄率が下がるというようなことは、むしろ貯蓄率の伸びが最近の数字を見てもいいわけですから、一般大衆は九百万の中で着実に貯金を伸ばしておるというふうに考えていいと思います。
#217
○和田(耕)委員 この問題は、共産党以外は全部賛成して、そして一昨年通したという経過があるとおり、十分理屈があると思うのですね。しかし、物によっては、なかなかそのときわからない問題があるものでありまして、ちょっと問題があると言えば見直すということは、これは当然のことじゃないでしょうかね。
 私の選挙区は東京の四区でございまして、杉並、中野、渋谷、ここの中小企業、余り金持ちでない中小企業のおじさんたち全部、これは何とかやってください、おたくの春日さんががんばってくれているそうだけれどもなんて、商店街皆さんそういうことをおっしゃる。最近世論調査で政党支持の調査で、他の党が停滞しているときに民社党がふえておるのはこの問題じゃないかと私どもも思うほどであって、これは冗談ですけれども、理屈はいろいろあることは十分わかります。
 私も党内では、初めは決まったものをそう軽々に急いで決めることはいけないと大きな声であれしたことはあるのだけれども、よく考えてみれば、やはり問題があるわけだから、見直してもっといいものをつくるということをあれしてもらいたい。きょううちの中で、大蔵省の主税局長さんという大事な職の人が、議員立法の動きに、政治家はだしの形で影響力を及ぼすのはあれはどうかという意見がありましたので、このことをひとつここで申し上げておきたいと思います。いろいろこの問題については十分時間をとって検討をするということは私どもも賛成でございますし、ぜひともひとつ国民のためになるように、また貯蓄の問題はやはり気を使わないと、今後公債の消化という問題を考えましても、資金の国際的な移動がもっともっと自由化されてくる。それで国民の慣習的にも、自分の持っているお金をアメリカなりあるいはその他の国に移すということを、大して抵抗なしに移すような国際環境ができてきますと、次第にそうなると思いますけれども、やはり貯金という問題は気を配っておかなければならないことじゃないかということを強く感ずるわけでありまして、その点を御要望しておきたいと思います。
 そして第三の問題は、もう時間もなくなりましたので走り走りですけれども、きのうもちょっと触れましたが、大臣、きょうの新聞で、経団連の財政金融関係のグループの何とかいう人でしたな、いまの日本の景気はそう悪くはない、緩やかながら回復の道をたどっておるのだ、したがって、余りよけいな景気刺激のことは必要でないんだという趣旨の発言をしておられまして、行政改革でもって金をひねり出していまの足らないものを補うようにしろ、こういう趣旨の発言をなさっておられるのです。行政改革でよけいな行政費を削って、そして今年あるいは来年に言われる歳入欠陥の問題に対しても賄えという趣旨のことを財界の一番の影響力のあるところで意見が出ているんですが、こんなことできますか。
#218
○渡辺国務大臣 私といたしましては、極力先ほど言ったように発想の転換を図って、まず歳出カットに最大の重点を五十八年度予算においては置きたい、そう考えております。しかしながら、行政改革で初年度から何兆円なんという金目はどこからも出てきません。これは長い目で見れば、それはもう制度を変えるわけですから、人が減れば、その人がずっと何百年か何十年か、合わせれば大変な金額になりますけれども、行政改革というのは、速効性のものではございません。遅効性のものでございます。したがって、非常に重要なことだから、何が何でもやらなければなりませんが、初年度からともかくぞろぞろという金目が出るというふうには考えておりません。
#219
○和田(耕)委員 これはいま景気刺激とそして財政再建とそして行政改革、何とかこれ三つを三本立てで、いろいろ矛盾の玉っこみたいなものを何とか調整していかなければならぬ時期でありますので、この問題について、やはり政府としてももっと説得性のある、あるいは必要があれば新しい施策を出しながらという考慮が必要な段階に来ていると思うのです。ぜひともひとつ、この問題についても御考慮をお願いをしたいと思います。
 きょうは、私も時間の都合があって早くやめようと思っていますから走り走りになりますけれども、最後に、アメリカ、ECが要求しております日本の非関税障壁の中の商取引機構、流通機構の問題についてお伺いをしたいと思います。公取の方、見えていますか。
 これは全般としては、とにかくもう文字どおり世界の中の日本になっておりますし、日本も世界国じゅうに商品を売りまくって、そして大変な金もうけをして、世界の一等の経済国になっているというわけですから、日本が売ってもうけるだけじゃぐあいが悪いのですね。やはり日本の方でも、外国から品物をできるだけ買う、買いやすいような状態にしなければならないわけでありまして、これはお互いに、日本人から見れば、何も日本は自由にしているんだ、いつでも売りたいものを売れる状態にあるんだというふうに考える人が多いんですけれども、外国人が見れば、そんなこと言ったって、とてもじゃないがあのジャングルみたいな流通機構の中に入って売れるものじゃないというふうに感ずるのも、また無理のないところがあるんですね。そういう問題は、ひとつ公取でもそういう目で、いままでも公正な流通のために努力しておられるのですけれども、そういう思い切った目で見ていく必要があると思いますね。
 と同時に、これは大蔵大臣にお願いですけれども、アメリカもECもそういうふうに思っている人が多いわけです。したがって、それこそドラマチックな形になるように、その関係の人を数十人あるいはそれ以上、トップの人は一週間ぐらい見てもらう、あるいはそれのスタッフは一月ぐらいかかって、日本のそういう自分の商品を売りたい部面を十分見てもらう。日本は他の国と違って秘密にするところはどこもないのです。これはいばれるようでいばれぬような問題なんですが、秘密にしなければならぬものは一つもないのですから、外国からそういう関係の人を招待して、あけっぴろげに見てくれ、もし問題があれば直しましょう、こういう姿勢を今度、しかるべきいろいろな舞台があると思いますけれども、提案をしてもらいたいと思いますね。
 これは、そのことによって、仮に二百人の人が来たとしても大したことはないのです。ぜひともそういうふうなあけっぴろげの、外国人にも、あっ、そうかとわかるような手を打ってもらいたい。そしてまた、多少日本の、これは農業でも商業でも、出血があっても、その出血に対しては十分なかわりの代償を払うという腹を持って、この際、思い切ってそういう問題について対処してもらうような心構えを政府としては持ってもらいたい。
 そういうことをしながら、一方では、日本は独立国ですから、やはり防衛の問題はきちんとするとか、独立国としての愛国心の問題は学校できちんと教えるとか、そういうことをやればいいのです。そして、世界に向かって全くあけっぴろげの、外国の資本や商品が入りやすいような状態をつくっていく。もうそういうふうに国内にたまった各党間のいろいろな考え方の違いなんかも前向きに解決していく時期だと思いますね。そういう問題を、大蔵大臣ぜひともひとつ考えていただきたいと思います。
 きょうは、せっかく通産省の方も外務省の方も来ていただいておると思いますけれども、時間がありません。日本の、つまり何か暗い、確かにいまの日本人でなければわからないような入りにくいところは、やはりたくさんありますよ。排他的な企業グループなんかもそうですよ。あるいはまた、系列下の自分の商品だけ売って、それに対してリベートを取ったりする何行為というのか、そういう例がたくさんありますけれども、こういう問題を、大きな外圧みたいな状態をぜひとも世界の中の日本としてはくぐり抜けていかなければならぬときですから、ひとつ思い切った姿勢をとってもらう必要があると思います。
 それと同時に、いまも申し上げたように、防衛の問題あるいは国民の精神の持ち方の問題、教育等の問題について、これまたきちっとした、独立国としてふさわしい状態をとってもらう、そういうふうな心構えをぜひとも持ってもらいたい、そういうふうにお願いをしますけれども、大臣の御所見をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
#220
○渡辺国務大臣 現実的な面からいろいろ御提案があるわけでございますが、貴重な御意見として参考にさせていただきます。
#221
○和田(耕)委員 終わります。
#222
○森委員長 次回は、来る九日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト