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1949/03/02 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 電気通信委員会 第11号
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1949/03/02 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 電気通信委員会 第11号

#1
第007回国会 電気通信委員会 第11号
昭和二十五年三月二日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○電波法案(内閣送付)
○電波監理委員会設置法案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(松野喜内君) それではこれより電気通信委員会を開会いたします。
 電波法案について、前回に引続き質疑応答を続けたいと考えます。どうぞ御質問のある方、御発言を願います。
#3
○小林勝馬君 四十條の下段の方の、「行うことができる無線設備の操作」の方に、「指揮の下に行う国際通信」とあり、これがつまり上級者は下級者に指揮の責任を持つことになるのか、そのことがはつきりしていないが、法的にどこまでも本法に示す処分、処罰をやはりこれに適用して行くのかどうか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
#4
○政府委員(網島毅君) この指揮という意味は、二級通信士の側から申しますと、これは補助としてやるという意味合でございます。従いまして、二級通信士が補助としてやつたことに対しまして、若しも法律違反をやつたような場合には、その二級通信士が処罰されることになります。勿論この二級通信士の行えない範囲のものにつきまして、即ち一級通信士が直接やらなければならないというような問題、或いは一級通信士の指導を受けてやつたものにつきましては、一級通信士もやはり責任を免れないと思います。
#5
○小林勝馬君 その続きですが、「第三級」及び「電話級」と設けてありますが、御説明によりますと、第三級は漁船に使うということになつております。併し第三級は漁船の百ワツト以下の電話と、それから電話級は船舶の百ワツト以下の電話というふうになつておつて、電話に関する限りは、三級は電話級の下に相成つておる。その理由をはつきりして頂きたいことと、それから電話級は公衆などで簡單に交換しておるのが電話級であるのか、将来沿岸の船舶に無線電話の設備ができた場合は、三級は通信長になれず、電話級がむしろ通信長になれるという不合理が出て来ると思いますが、その点を明らかにして頂きたい。
#6
○政府委員(網島毅君) この三級無線通信士は、電話の外に無線電信の取扱もできるわけでありまして、従つて電話に関しましては、この技術方面におきましてそれ程高級の知識を要求しておりません。
 ところが一方電話級におきましては、これは電話オンリーでございまして、電信の方は必要ないのでありますからして、運用の面、或いは技術の面につきましても、電話について相当の技術を要求しております。従いましてこういうふうに電力の差ができて参つた次第であります。
 それから第二のお尋ねの、沿岸を航海する漁船についての通信長の問題でございまするが、この電話のみの船の場合には、勿論その電力によりまして三級通信士、或いは電話級の通信士でいいのでありますが、それが若しも非常に小さな船でありまして、通信士が一人というような場合には、勿論三級の通信士、或いは電話級、どちらも通信長ということになれる次第であります。
#7
○小林勝馬君 第二級は船舶でどんなところで通信長になるのか、いわゆる国際通信とは何を指すのか。いわゆる公衆通信を指すのかどうか。通念的には外国の無線との通信というふうに考えているのだが、船舶が五百トンのものも朝鮮その他の国へ航行して通信を行う。すべての商船は勿論、漁船でさえも日本の沿岸を航行する外国船と通信を行う場合もある。尚、更に素人無線局でも、外国と通信することができるというふうになつておつて、国際條的では、公衆通信の国際業務を行う船舶の通信長として、二級を認めていると思うのですが、その点からいうと、日本だけ何故認めないのか。それから五十條の二種の乙の方の下段で、二級通信士を認めているが、四十條の二級の方の下段では、これを否定することになりはしないかという問題が出て来るのではないかと思うのですが、その点も併せてお伺いしたい。
#8
○政府委員(網島毅君) お説のように、国際通信條約におきましては、二級通信士も国際通信は認めております。併しながら国際條約におきまして、一級、二級という通信士の資格、それからその技術要件というようなものは、おのおの各国の国内法に委任しておりまして、我が国におきましては、従来この国際通信に従事するのが一級、それから二級は国内通信ということで、それぞれのこの資格の要件を決めております。従いまして現在の二級通信士は、その試験を受けますときに、国際通信をやり得るような要件を要求されておりません。従いまして我が国におきましては、国際通信は一級通信士のみというふうに考えておるのであります。勿論この二級通信士におきましても、一級通信士の指揮を受ける、或いはその補助として国際通信をやる場合には勿論、この国際法上のいろいろな必要のことが不明の場合は、一級通信士に尋ねることができますから、それは勿論やり得る次第であります。
 それから第二番目の御質問でございまするが、五十條の方におきましては第二種局の乙におきまして、国内通信の場合には、勿論この第二級の無線通信士でも通信長になれるということを示しておる次第であります。
#9
○小林勝馬君 上段の最後の、特殊無線技士の要因と申しますか、特殊無線技士の内容その他について御説明願います。
#10
○政府委員(網島毅君) この今回特殊無線技士という制度を初めて設けましたのは、最近いろいろ無線技術が進歩して参りまして、いわゆるラジオ・カーと申しまするか、自動車に無線電話、殊にフレケンシーモジユレーシヨンの無線電話通信という近距離において通信をするというようなことが行い得るようになりました。こういうようなものに対して、従来の一級、二級、或いは三級という資格を要求することはちち酷であります。これらは全く特殊なものでありまするからして、極く簡單な特殊な無線技術及び運用だけを知つておつてやれる、取扱いできるという制度を作つた方が適当であろうと考えて、こういう制度を作つた次第であります。
#11
○小林勝馬君 然らば特殊無線技士と、電話級無線通信士との差違如何。尚この電話級程度のものはそういうものでも必要じやないかと思われるが、その点どうですか。
#12
○政府委員(網島毅君) 電話級の方は大体船舶でありますとか、或いは海岸局で、漁船用の海岸局で従来も長波、中波、短波を使つた無線電話でございまするが、ここに特殊無線技士の取扱い方面をフレケンシーモジユレーシヨンという新らしい技術であります。従つてそういう新らしい技術を取扱うのには、特殊なやはり要件が必要でございまするからして、こういう資格を必要とすることにいたしたのであります。勿論この電話級無線通信士におきましても、それに若干この試験を追加することによりまして、併せてこの特殊無線技士の資格をとり得るという途は開きたいと考えております。
#13
○小林勝馬君 四十五條の第三項の所に「申請者の当該免許に係る業務」云々とありますけれども、これも先般一般質問のときに申上げましたように、監理業務をやつておるとか、いわゆる学校の教官とか、そういう者がこれに入るのかどうか。入らんのかどうか。その辺の……。
#14
○政府委員(網島毅君) この條文の解釈は、只今お話のようなものは入らないということに相成るわけであります。
#15
○小林勝馬君 次に四十九條におきまして、無線従事者の「免許に関する手続的事項並びに試験科目、受験手続その他」云々とありますが、それも一般質問の節申し上げましたように、なんら今までの国家試験において、学歴というものを見ていないが、この電波監理委員会規則で定めるものの中に、或る訪度の学歴の最低基準というものが高等学校でなければいけないというようなものを入れられる意思があるのかないのか、その辺を承わりたい。
#16
○政府委員(網島毅君) 御説の点は尤もと考えられる点もあるのでありまするが、この無線従事者に要求いたしますところの国家試験は、その従事者が無線を運用するに必要な技術、技能、知識を持つておればいい。持つておるかどうかということを十分調べ得る試験をやるわけでありまして、必ずしもその人が高等学校の出ておるとか、或いは大学を出ておるとかしうことは必要としないと考えます。勿論義務教育を受けていなければならないということは当然かと考えるのでありますが、この点は従来もそういう学校の学歴というものにつきまして、規定しておりませんので、そのまま踏襲した次第であります。
#17
○小林勝馬君 次に五十條の下段におきまして「通信長となる前十年以内に」云々とある。これは第一項、第二項と共に第三項もそうなつておりますが、丁度十年前と申しますと、昭和十五年からのことになりまして、当時の無線通信士は殆んどといつていいくらい、大多数が戰争のために犠牲となつてなくなつておる。それでこの点からして十五年にした方がいいのじやないかという考えをするのですか、その点政府当局の方の御意見はどうですか。
#18
○政府委員(網島毅君) この通信長の資格要件に年限を決めましたのは、通信長というのは相当重要な責任を持つた所掌でありますからして、常に十分な新らしい知識、技能を持つていなければならないということから定められたのでございます。併しながら只今お説の点は十分我々としても理由があることと存じますので、国内におきまして適当に御審議されて、若干の期間を延長されることにつきまして私共は異議を持つておりません。
#19
○小林勝馬君 この五十條におきまして、陸上局の規定が何等ない。又陸上局の聽守時間その他の関係も何等謳つておらない。これは如何ようにやられるつもりなのか。又第二項におきまして、「必要があると認めるときは、電波監理委員会規則により、無線局に配置すべき無線従事者の資格別員数を定めることができる。」とありますが、これの大体の案と申しますか、それはどういうふうに相成つておりますか。
#20
○政府委員(網島毅君) この五十條におきまして專ら船舶のことをここに挙げましたのは、現在の国際電気通信條約におきまして、船舶の無線局に従事する職員の資格要件を決めておりまして、そのうちの主任となるものは云々という條項がございますので、その條約を受けてここに挙げた次第であります。陸上の無線局に関しましても勿論そういう資格要件は必要でございまして、例えば固定地間の通信、或いは陸上の移動状態における移動通信、そういうものにつきましても、資格は委員会規則によつて定めるつもりでございます。ところでこの資格の外に員数という問題が出るのでございまするが、私共の基本的な考え方といたしましては、この員数につきましては、十分その無線局の目的なり執務時間に従事し得るだけの従事者が、労働基準法なり、或いは他の法令によつて定められたこの要件を満たすという條件の下に置かれる員数を期待しておるのでございまするが、勿論それだけによつては、この無線通信の円満な運用ができないという場合も考慮されるのであります。従いましてそういう場合にはこの第二項によりまして員数を定めるつもりでございます。
#21
○小林勝馬君 その資格に関連するのですが、四十六條において各級従事者にいずれも本項による相当の責任を負わされ、公共福祉のための重要な電波運用を行うのでありますが、これに対する免許状の年齢制限というものはないので、先程の御説明から行きますと、学校の制限もなければ何もないなら六・三制を経て、その試験に通りさえすれば十八歳であろうと二十歳であろうとやつていい。尚又十七歳であろうと八十歳であつてもいいということに相成りはしないか、どういうような御意見であるのか。
#22
○政府委員(網島毅君) 年齢制限の問題でございまするが、これは従来のような免許は、無期限であるということに相成りますと、やはり一定の年齢というものを限定する必要が起つて参るかと思うのでありまするが、本法におきましては無線従事者の資格は五年ごとにチエツクされることに相成つております。従いまして余り高齢でありまして腕も十分動かないというふうな場合には、その五年毎のチエツクによつて、これは失格するということに相成りますので必要ないかと存じます。尚年齢を区切るといたしましても、果して五十で区切るがよいか、六十で区切るがよいか、七十がよいかということになりますと、これはその人の体力如何にも関係する問題でありまして、法律で決めることは非常に困難じやないかと存じております。
#23
○小林勝馬君 次に四十五條におきまして、経歴及び成績の如何というふうに相成つておりますが、一体この成績はどういうふうにして調べられるのか、事故件数を基準にしてやられるのか、所属会社や官庁の方で調査するということに相成つておりますか、どういうふうな基準でこういうようなことをやられるのか、ちよつと成績の問題は不適当じやないかと思うが、その点はどうでございましようか。
#24
○政府委員(網島毅君) この無線従事者につきましては、無線従事者手帳というものを備えつけることにいたしまして、それにその経歴、或いはその従事期間に事故がなかつたかどうかということを記載することにしたいと考えております。従いましてその手帳に違反事項というようなものがあるかないかということが、この成績の判定の非常に大きな部分を占めることと相成りまして、従らに官庁の権限を以てそれを適当に判断するということは、絶対避けたいと考えております。
#25
○小林勝馬君 次に国家試験を今まで施行されておりますが、私無線通信従事者教育審議会の委員長をやつておりまして、今後検定試験で出られる数、その他が非常に関係して来るのじやないかと思いますが、現在までここ三四年の分で結構でございますが、大体どのくらいの申請率で、どのくらいの合格率を示しておるのか、そういう点が分りましたら知らして頂きたいし、尚今分らなければ後程書類で頂きたいのですが……。
#26
○政府委員(網島毅君) 私共の予想といたしまして、現在無線設備の操作に従事しておる者は、約一万近くあるのではないかと考えておるのでありまするが、その従事者の死亡及び他の移動も考えまして、その消耗減を年五分と見ますと、毎年五百名がその業務から去るということに相成ります。かれこれ考えまして、五六百名が年間必要だと考えるのでありますが、この二十四年の一月から、十二月までの一年間に執行いたしました試験の回数を申しますと、一級が七回、二級が六回、以下いろいろございまして、全体三十六回やつております。それでこれの総数は約数千名に達するかと思うのでありまするが、詳細の数字は追つて資料として差上げたいと思います。
#27
○小林勝馬君 次にこの五十條の問題につきましては、海運局乃至は海上保安庁を一遍呼んで頂くことに相成つておりますが、今日はお見えになつておりますかどうか……。これは電波庁からお伺いしたいのですけれども、船舶局の資格定員を船舶職員法において決めてある、それとこちらの方との相違点があるように聞いておりますが、その点はどういうふうなお考えでありますか。
#28
○政府委員(網島毅君) 現在におきましてお説のような若干食い違いもございます。現在の任線電信法におきましては、その私設、無線電信、電線電話規則によりまして、大きな船には四人の通信士を配置しなければならないことに相成つておりますが、職員法におきましては三人でいいということであります。職員法の方は專ら船舶の安全航行、そういう方面から考慮された数字でございまするし、無線電信法から出て参つた数字は、勿論船舶の安全航行に関する考慮が必要でありますが、それ以外にも公衆通信を通扱う。その公衆通信がうまく運用されなくてはならない。それから又、通信全般が十分その目的を達成するように運用されなければならないというようなことを考慮いたしまして得た数字でございます。今回この法律におきまして、その数字をはつきり明示いたしませんでしたのは、法の目的と通信の運用を、十分その目的を達成し得るように行え得ればいいというような見地から、通信執務時間というものを限定したのであります。これは聞接には員数にも影響して参りまするが、この員数というものは執務時間と、それから労働のいろいろな條件、そういう相方から決まつて参るかと存じます。一応この法案におきましてはそういう員数は、一義的には労働基準法なり、他の法律によるということにいたしたのでありますが、それによつて決められたことが、著しくこの無線の十分な合理的な運営を阻害するということでありますと、第二項によりましてこの電波監理委員会が、員数までも決めるということが必要になつて来ると存ずるのであります。
#29
○小林勝馬君 この問題は非常に重要な問題になつて来るのじやないかと思いますが、現在海員組合の方と船主側との協定もありますし、それから船舶職員法もありますが、併しこれは電波庁としては現在の協定の線で進まれるおつもりなのか、それとも今の御説明のようにその閑散の度合により、いろいろな点でそれ以上にこちらから喙を容れることができないというふうにお考えになつているのか。いわゆる第二項において、無線従事者の資格別員数を定めることになつておりますが、これはどういうふうに定められるのか。例えば八時間ならば八時間だから一人でいいというお考えか。実際問題で船舶においては八時間であるが、それ以外に気象の受信をしたり、いろいろな時間がありまして、例えば予備装置の修理、その他いろいろなものもその以外の時間にやらなくちやならん。そうすると結局は一人ではやれない、いわゆる労働過重に相成ると思いますが、こういう点はどういうふうに決定されるお考えか、又いつこれを決定される御予定であるか、承わりたい。
#30
○政府委員(網島毅君) 只今私共といたしましては現在の組合と船主、或いは運営会との協定の線が適当であろうと考えております。その協定は先程申し上げました私設無線電信電話規則の線に副うたものであるからであります。ところで将来これをどういうふうに考えるかということにつきましては、勿論この電波監理主管庁といたしまして、無線通信士の配置が非常に不当に下げられまして、そのために無線通信の運用がうまく行かないということになりますれば、この法の目的を達成できないことになるわけでありまして、十分これにつきましては関心を持つております。この法案を作成するに当りましても、この法案を作成するに当りましても、この点に関しましては関係官庁と十分協議いたしまして、将来この問題につきましては双方十分意思の交換を遂げて、無理のない線で進むようにしようというふうに協定しておりますので、船舶職員法その他の制定に当りましても、電波主管官として十分これに意見を申し述べ、又その意見を取り入れられるように努力するつもりでございます。
#31
○小林勝馬君 次に第五章の運用というものの定義はどういうふうにお考えになつておるか。これはオペレーシヨンという意味にお考えになつているのかどうか。それから交通の確保、秩序の維持というふうに書いてありますけれども、交通の確保というようなものがどういうふうな意味で入れられているのか、その点を御説明願いたい。
#32
○政府委員(網島毅君) この法案におきまして運用と申しておりますのは、これはただ單に電鍵を操作し、或いはマイクロフオンで話しをして、電波を外に出すということのみではございませんで、これに必要な機関的な操作ということも含んでおります。勿論この操作の中には故障を修理するというところまでは、これは入つておらないのでありますが、電波を出すに必要な一切の操作処置を含んでおります。ところでこの五十二條の第四号にあります交通通信の確保の、交通という意味につきましては、これは汽車でありますとか、或いは電車というようなものが、通信がないためにうまく運行ができない。或いはそういう交通機関が事故を起したその場合に、たまたまそこに他の通信方法がないために、うまくその事故の回復ができないというような場合の、非常通信というものの規定をいたしたいというふうに考えている次第であります。
#33
○小林勝馬君 第四号におきまして受信その他の問題があるのですが、「発生するおそれがある場合において云云」というふうに相成つておるのでありますが、これは船舶の通信士がこれを認定して行くのか、誰が認定してこの決定をして行くのか、伺いたいと思います。
#34
○政府委員(網島毅君) この非常通信を行いまするのは、第五十二條と第七十四條、両方にひつかかりがございます。第五十二條の方は、これは施設者或いは運用者がみずからこれをやる場合でございまして、この判断は非常の場合、この第四号に掲げました、こういうような事態が発生し、或いは発生する虞れがあつて、どうしても人命財産の保全のために通信をしなければならないということを施設者が判断した場合に、それを行うのであります。この判断は、社会一般の常識を基準として、施設者又はその代理人がこれをやるというふうに考えております。それから第七十四條に関しましては、この判断は、電波監理委員会がするということに相成つておる次第であります。
#35
○小林勝馬君 今の御説明によると、施設者ということに相成るので、船舶においては船長という方を指すと思うのでございますが、いわゆる通信士がそれを卒先してやる場合は、問題が起るのかどうか。その点を承わりたいと思います。それからこの船舶においては、非常通信をSOSと大体同格に認めておられるのは、ちよつとおかしいのぢやないかと思うのですが、国際條約にもそういうのがございますかどうか。それから陸上でこそは、遭難通信も余りないが、例えば国鉄とか気象とかの場合は、この非常通信こそがSOSに相当するのぢやないかと思うのですが、その点のお考えを承わりたいと思います。
#36
○政府委員(網島毅君) 先ず第一の通信士の責任範囲如何という御質問でございまするが、これは第一義的にはこの施設者でありまするが、施設者から代理されたる者、或いは委任を受けておる者は、当然その中に含めて考えて差支ないと思つております。従いまして船舶におきまして、この一般の業態におきましては、通信士が船長の許可を得、或いは船長と相談をしてやるということになりまするし、又船長から、非常の場合はお前が適当にやつてよいという委任を受けておりますれば、その委任を受けた通信士がやつて差支ないと考えております。それから非常通信の問題でございまするが、これは條約にははつきりとこういうことはございません。従しながら我が国のいろいろ天災地変の災害が多いことから考えまして、特に我が国におきましては、こういうものを目的外として許すということにした方が適当と考えておる次第でございます。
#37
○小林勝馬君 次に五十九條の「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信」云々とありますがこの特定の相手方というのはどういう意味であるのか、別段の定とはどういうことであるのかを説明して頂きたい。
#38
○政府委員(網島毅君) 本條は專ら無線通信の施設保護をするための條項でございますが、この特定の相手方と申しますのは放送のように不特定多数の者に電波を出しまして、そうして誰が聞いてもいいというものの外、この送信するものとそれを受信するものとが相対抗しておりましてやる通信、即ち固定通信のようなものは、この特定の相手方の通信ということに相成る次第であります。
#39
○小林勝馬君 五十五條において実験無線局は、暗号の使用を許さないが略号は使用させる御意図であるのかどうか。それから一般の通信には暗号も一切許す御予定であるのか。
#40
○政府委員(網島毅君) 実験無線局及びアマチユア無線局は暗号は扱つてはなりませんが略号は扱つても構わないと思います。殊に国際條約の規定によつて決められてQコードというようなものは使用さしてもいいと考えております。尚一般無線局には暗号は使つても差支えありません。
#41
○小林勝馬君 六十條において「正確な時計及び無線検査簿」云々とありますが、この正確なる時計の意義を御説明願いたい。
#42
○政府委員(網島毅君) なかなかどこからどこまでが正確な時計であるかということをはつきり言うことは困難でありますが、この無線通信の業務を運行するに支障のない程度に、時間の狂いのない時計は是非必要だというふうに考えております。尚この時計も小さな懐中時計のようなものは見にくいのでありまして、その大きさ、置く場所というものはやはり業務を運行するに必要な場所、或いは適当な大きさということにしたいと考えております。
#43
○小林勝馬君 この正確な時計が六十四條の沈默時間その他に非常に影響を及ぼし、尚またその関係で百十二條ですかに罰則が設けられておる、こういうふうに相成つて参りますと、正確な時計が一体政府で如何ようにしてこれを指定されるのか、いわゆる管理委員会の規則においてどういうふうに正確な時計を指定して行くおつもりであるかそれを承わりたい。
#44
○政府委員(網島毅君) この時計の正確度は、これは一日に〇・コンマ何秒以内でなければならんという程度のものは必要ないと思います。と申しますのは御承知のように現在我が国におきましては、標準電波と同時にタイムシグナルを出しておりまして最近は二十四時間出しております。従いまして漸次正確なタイムシグナルによりまして、時計の更正ができるのでありまして、この時計の正確度によりまして一日に一回、半日に一回、或いは五時間に一回というふうにこれを直して参りますれば、この沈默時間その他において不都合を生ずるようなことはないと思います。
#45
○小林勝馬君 今管理委員会の規則において大体どういう程度の時計という御指定をされる御予定か、それともう一つ何箇ぐらい備えつけなければならないようにされるのかその点を承りたい。
#46
○政府委員(網島毅君) 委員会規則におきましては、これは将来の委員会で決められることでございますが、只今の案として私共の考えておりますものは時計の大きさを指定する、それから置く場所を指定する、箇数は一箇で差支えないと考えております。それから正確度につきましては目下いろいろ検討中でございます。
#47
○小林勝馬君 電波庁にお伺いしたいのですが、それは一箇ぢやなかつたじやなかつたですか。あれは何箇か指定があつたじやないかと思いますが、例えば機械のことでありますから、正確度がよくても、万一故障が起る場合もあり得るので、一箇でなくて了備かなんか必要じやなかつたかと思いますが、今のお話では一箇ということですが、一箇では無線通信士としては不安で、とても無線通信をやつていけない、その点ちよつとおかしいじやないかと思います。
#48
○政府委員(網島毅君) その時計の箇数は現在も指定しておらないのでありまするが、実際的にはローカルの時間と、それからグリニツジの標準時と両方が船では必要でございまするので、少くとも両方の時間を示す二箇の時計は現在あるようであります。尚この問題は将来十分考慮いたしたいと思います。
#49
○小林勝馬君 次に六十三條において、「第二種局にあつては電波監理委員会規則で定める時間割の時間運用しなければならない。但し電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。」というようにはつきり言つておりますが、これは国際條約で決まつておる時間であり、又運用時間であるならば、ここでわざわざ謳う必要はないじやないかと思うのでありますが、それはどういう意味で書かれたのか承わりたい。
#50
○政府委員(網島毅君) お説のように第二種局甲、即ち一日十六時間、その十六時間の如何なる時間に無線局を運用するかということは條約で定まつておりますが、併しこれはときどき開かれる主管庁会議におきまして、変更される場合があり得るのであります。そういう場合に一々法律を改正するという手数を省きまして、監理委員会の規則で定めることにいたしたのであります。
 尚これは條約にあるから法律は要らないじやないかというお説はありまするが、私共といたしましては、條約にありましても、成るべくできるものは法律ではつきりさせて置きたいというふうに考えております。
#51
○小林勝馬君 沈默時間の問題ですが、この前もちよつと申上げたのですが、何故に第二沈默時間を設ける必要があり、又第二沈默時間を国際條約にも規定していないものを作つていかれる御意図であるか、これによつて又処罰の規定もないようですが、如何様にこれを運用されて行くのか、その点。
#52
○政府委員(網島毅君) この第六十四條にございますように、第一沈默時間は、これは五百キロサイクルを対象とした沈默時間であります。普通の商船或いは大型の漁船はいずれも五百キロサイクルを持つておりまするからして、五百キロサイクルのウオツチをしておれば、遭難通信その他が聞えるわけでありまするが、小さな漁船におきましては、設備の関係上五百キロサイクルを用い得ないのであります。従いましてそういうものの遭難通信その他をウオツチするためにはその波長、漁船の持つておるところの波長をウオツチする必要がございまして、これにもやはり一定の沈默時間、いわゆる保護時間を置きまして、その間におきましては、漁船の遭難通信がないかどうかということを確かめることが是非必要と考えております。この第二沈默時間の制度は條約にはございませんが、先般開かれました第三地域会議におきましては、この制度が採入れられまして、こういうことをすることは好ましいということに相成つております。恐らく将来これが條約の上にも取入れられて来るのではないかと、私共は考えておる次第であります。
#53
○小林勝馬君 そうすると、第二沈默時間は、八三六四KCと、八八二OKCの二つだけを指定されるおつもりですか、どうですか。
#54
○政府委員(網島毅君) これは通信計によりまして、いろいろ違うのでありまするが、「かつお」、「まぐろ」、「さんま」、「さば」、そういつた方面の漁業通信計におきましては千六百二十キロサイクル、それからトロール船等におきましては千五百八十キロサイクル、即ちそれらの通信計が持つておる周波数をウオツチするということに相成つております。只今の短波の問題は、これは短波を持つているような船は大体五百キロサイクルを持つておりますからして、五百キロサイクルの第一沈黙時間で、十分その目的を達成し得るのではないかと考えておる次第であります。
#55
○小林勝馬君 この聽守義務ということは、これは聽いて守るという意味ですか、ただ聽くだけという意味ですか、その定義を一つ。
#56
○政府委員(網島毅君) これは昔から使つておる言葉でありますが、聞くと、いわゆるヒヤーという意味でございます。
#57
○小林勝馬君 この六十五條において、「五百キロサイクルの周波数の指定を受けている海岸局及び船舶無線電信局」云々とありますが、これは海岸局は殆んど五百キロサイクルは聽いておらなくちやならないので、この海岸局というものを除外して貰いたいという意見があるのですが、何かそういうのを入れられた御意図を承わりたいし、それから以下「運用義務時間」というのが、人と機械を入れた時間なのか、人だけの時間であるか、その辺を承わりたい。
#58
○政府委員(網島毅君) この遭難通信の場合に、一番活躍するのは海岸局でございまして、従いまして、五百キロサイクルの通信をやり得る海岸局は、第一沈黙時間は勿論でありまするが、この運用時間におきましても、できるだけ五百キロサイクルの周波数でウオツチした方がよいのであります。と申しますのは、御承知のように、この五百キロサイクルは呼出符号でもございますので、当然その人が出るのでございます。現に通信を行なつていると、例えば通信周波数百四十三でやつておるとか、四百二十五でやつておるとかいう場合には、勿論この五百キロサイクルのウオツチはできませんから、その限りではないというふうに相成つておる次第であります。
 それから、先程申しました漁業用の周波数を持つておりまするところの漁業用の海岸局、或いは、漁船というものにつきましても、いわゆる執務をしておる時間中は、その周波数で以てウオツチしておりませんければ、外からいくら呼んで来ても分りませんから、これは、当然の必要なことではないかと考えております。
 先程運用義務時間とは何かという御質問でございましたが、これは言い換えますれば、執務時間、人も機械も働いておる時間というふうに御解釈願いたいと思います。
#59
○小林勝馬君 ちよつと今の答弁はまずいのですがね。私の言つているのは、ここに五百KCの指定を受けておる海岸局、船舶無線電信局は、その運用時間中は五百KCで、聽守しなければならないということに相なつておりますが、海岸局は全部五百KCで聞かなければならんのは当然のことだから、わざわざここで制限する必要はないじやないかということを聞いているのが一点と、それから、今の御答弁によりますと、漁船であろうと、「かつを」「まぐろ」船であろうと、五百KCで聽いておれという御答弁がありましたけれども、それは違うのではないか。五百KCで必ず聽かなければならんということは、ここに指定してはないと思うのです。これは五百KCで指定している船舶、無線電信局と相なつておりますから、それはちよつとおかしいのと、それから運用義務時間の中に人と機械というのは、私の聞いているのは、オートアラームとか何とかの機械的の、いわゆる四百KCの遭難通信を聞いている話なんだから、それを聞いているわけで、普通の受信機の機械とか、そういう意味の機械を聞いたのではないのですから、その点を明らかにして貰いたい。
#60
○政府委員(網島毅君) 先ず第一の御質問ですが、私先程御質問の趣旨を間違つておつたかも知れませんが、海岸局は当然であるからここに書かなくてもよいじやないかという御質問でございますが、これはその通りでございます。併しながら、書かないということに相なりますれば、聽かなくてもよいという反面解釈も出て参りますので、成るべく必要なること、而も義務的に必要なことは法文の上に挙げた方がよいと考える次第でございます。
 それから、先程私の申し上げたことをちよつと誤解しておられると思うのでございますが、私の申し上げましたのは、五百キロサイクルの通信電波を持つておらないところの漁船は、五百キロサイクルのウオツチをしなくてもよろしいのであります。それは第六十五條の第一項に明らかにありまするので、「五百キロサイクルの周波数の指定を受けている海岸局及び船舶無線電信局」云々ということになつておりまして、五百キロサイクルを持つておらん「かつを」「まぐろ」船、底曳船というようなものは、そのウオツチをしなくてもよい。ところが第二項におきまして、千六百二十キロサイクルとか、千五百八十キロサイクルとかいうような漁業用の波を持つているものは、その波のウオツチをしなくてはいかんという、まあ当然といえば当然であるかも知れませんが、当然にしても、どうしても守つて貰わなければならないものでありますから、ここに挙げた次第であります。尚、この運用義務時間というものの中には、オートアラームで以てウオツチしている時間は含まつておりません。
#61
○小林勝馬君 七十三條におきまして、「あらかじめ通知する期日に、その職員を無線局に派遣し、その無線設備、無線従事者の資格及び員数並びに第六十條の時計及び書類を検査させる。」とありますが、これは毎年一回の定時検査であるのではないかというふうに考えますが、これは何かもつと適当な方法、乃至は船の状況とかいろいろなことを考慮してやるべきではないかと思うのですが、これはどういうふうな意味でそういうふうに書かれておるのか御説明を承わりたいのと、「第六十條の時計及び書類を検査させる。」というのは、時計の正確度を検査させるのか、時計を持つておるのを検査させるのか、通信士側から言わせると、いわゆる時計の正確度が重要問題で、当然持つておることは間違いないと思いますが、この点はどういうふうな立法の精神であるか、承わりたい。
#62
○政府委員(網島毅君) 七十三條の「あらかじめ通知する期日」とここに挙げましたのは、検査員が不意打に参りまして、向うの都合も一切構わずに検査するということは、適当な方法ではございませんので、あらかじめ通知をして、而も成るべく向うの都合のよい日にこちらから出掛けて行つて検査をするという趣旨でございます。
 それから、この時計の検査、或いは書類の検査は、只今お話の時計の正確度というようなものも含めたいと考えております。只今この正確度をどの程度にするということはまだ決めておりませんが、やはりこの規則によつてはつきりされた場合には、それに合うておるかどうかというようなこともやるべきだというふうに考えております。
#63
○小林勝馬君 七十六條におきまして「電波監理委員会は、免許人がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分」云々とありますが、放送法違反は、これは入れなくてよいのかどうなのか、いわゆる電波法だけでおやりになるのか、放送法違反の問題を……。
#64
○政府委員(網島毅君) この免許の取消しということは、言い換えますれば、その設備を使つてはいかんということでありまして、設備に関係する問題、或いはその運用の問題は、主として電波法に盛られておりますために、この電波法というものを特にここに上げたのでございます。併しながら放送法にも、極く僅少ではございまするが、いろいろ施設者に義務付けられた事項もございまするので、只今のお説は、私共といたしましても御尤ものお説じやないかと考える次第であります。
#65
○小林勝馬君 第二項におきまして、「無線局の運用を引き続き六箇月以上休止したとき。」とあるのですが、これは先般から公聽会におきまして、遠洋漁業乃至は捕鯨船の問題が論議されておつたように思いますが、では「正当な理由」というのは、例えば遠洋漁業、捕鯨船なんかが帰つて来て、ただ半年乃至半年以上停泊しておるものは入らないと私共も思つておりますけれども、この立法の趣旨からいつた六ヶ月以上の休止というものを御説明願います。
#66
○政府委員(網島毅君) この「正当な理由」というのは、船が沈没したとか、或いは難船したとかいうような場合でございまして、遠洋漁業から帰つて来て、いろいろ整備その他のために半年以上休止するというようなものは入らないのでありまするが、但しその場合に、届出は是非して頂きたいと考えております。
#67
○小林勝馬君 八十四條の第二項の、「異議の申立は、処分のあつた日から三十日以内」というふうに相成つておりまして、その次の、「但し、処分の日から六十日を経過したときは、異議の申立をすることができない。」これは個別的にもお話申上げたのですが、ここではつきりして置きたいと思いますが、私共が考えるのは、遠洋漁業に行く、乃至は南方その他に出漁した場合に、六十日を突破することは往々にしてある。尚又異議の申立中であつて、この処分がまだ決定していない間は、その船会社乃至はその漁業会社において、その無線通信士を活用してまだ処分はされていないから乘船して行くというような問題が起つて、そこで乘つて行つて留守中に処分をされたということになれば、それは資格が無効に相成るのではないかという点を考えまして、先般からお伺いしておるわけでございますけれども、ここではつきりして、そういうことがないならないというあれを承つて置きたい。
#68
○政府委員(野村義男君) お答えいたします。お尋ねのような場合は、恐らく無線通信士が規則違反をやつたとかいうようなことで取消しの処分をする前のお話になるかと思いますが、取消しの処分をする場合においてはあとの方にありますように聽聞手続をして、そうして取消しをする、更にその取消し処分については異議の申立をするということでありますから、二段的に構えておりますので、お説のような場合は起らないのではないか、こういうふうに考えております。殊にこの遅れたのを、取消し処分を、その無線通信士がいない間にするということは聽聞手続の中で、本人乃至は利害関係者を集るて聽聞手続をするということから見まして、本人がいない間にそういう処分をするということは決してない、こういうふうに考えております。
#69
○小林勝馬君 本人が必らず出席して聽聞の手続をやるから、ないという話ですけれども、その聽聞をして直ちに処分なるのじやなくて、相当の日数があるから、その日数のある間において船会社乃至は漁業会所がこの人を活用するために乘船をさせるということがあるのじやないか。そういうような場合で先般から、まだ外国航路は沢山ありませんけれども、ペルシヤ航路にいたしましても二、三ヶ月を要しておりますし、捕鯨船なんかのごときは半年以上かかる場合もあるし、遠洋漁業であつても六ヶ月以上はかかるのだということを心配して、私の方でお伺いしておるので、本人が帰つて来なければその処分を待つのかどうなのか。本人がいなくても、不在中でもそういう聽聞を一遍されておるのでから、そうして当然惡いという場合は、処分をしてしまうのがどうかを聞いておるのです。
#70
○政府委員(野村義男君) この場合は専らその運用の場合に当りますが、この場合においては今考えておりますのは、御説のように場合には不在中においてそういう処分をすることはないと考えております。
#71
○小林勝馬君 次に第九十一條におきまして、「審理賃は、」云々とありますが、この審理官というものは先般もちよつてお聞きしたと思いますけれども、どういう角度から選定し、資格においてはどういうふうに相成つておりますか。もう一度御説明願いたい。
#72
○政府委員(網島毅君) この審理官の取扱う仕事の範囲は主として規則の制定でございますが、その規則の制定にいたしましても、この技術基準というような非常に技術的なものもございますし、或いは運用の関する規則、それには無線通信士のいろいろなことに関する知識経験というものも必要でございます。それから又異議の申立ということになりますと、これは裁判、半司法的な仕事でございますので、司法関係の知識経験が必要でございます。尚ものによりましては、無線局の免許も審理手続を受けることがあると思うのでありますが、そういう場合にはやはりこの実際の無線局のあり方その他についての、広い知識経験というものも必要になつて来ますので、審理官に関しましてそれらの知識経験を一人に全部要求するということは不可能でございます。従いまして電波監理委員会設置法におきましては、この数を一応五名といたしまして、その中には只今申しました各分野の人が入るようにしたいというふうに考えておら次第でございます。
#73
○小林勝馬君 九十七條におきまして、専属管轄を規定しておりますが、これは大体民事訴訟であるから、わざわざ東京高等裁判所の専属にする必要はないのじやないか。いわゆる地方でもこれを認めて行くべきじやないか。いわゆる地方在住者の便も考えて、東京に全部集めてしまわなくちややれないという方法じやなくて、各地において一応やれるように方途をするべきじやないかという意見も多数あるのでありますが、この点どういうふうにお考えになりますか。
#74
○政府委員(野村義男君) 第九十七條で高等裁判所の専属管轄にしておりますことは、この具分的にケースが、多くは非常に技術的に分野を伴つた事件が多かろう、これにつきましては地方では非常に裁判官その他にも困るのではないか、そういうことの性格、並びに電波監理委員会の処分というのが、大体この地方支分部局の処分は少くて、大部分は東京にありますところの電波監理委員会の処分である。それからこれは主として現在行政裁判というものはありませんが、管理庁の許可、認可の取消に関する異議その他でありまして、従来の大体行政裁判の傾向を持つ純然たる民事という分類ではいけないのではないか、こういうふうに考えますので、かれこれ勘案しまして、高等裁判所の専属管轄にする、こういうふうにしたようなわけであります。
#75
○小林勝馬君 先日の御答弁の中で、漁業無線に対して三十七波今度貰えるというふうな御説明でありまして、現在実際には十八波ですか、先般熱海における会議に節は、二十六波を割当てられたようでございますが、この漁業通信に対して、あとの十何波というものはいつ割当てられる御予定なのか、それからどういうふうな割当方法をやられるおつものなのか、その点をお伺いしたいと思います。
#76
○政府委員(網島毅君) 只今は十八波扱つておりまして、それが先般の第三地域会議で一応三十七波ということに相成つた次第であります。これは約倍以上の増加でありまして、これを今直ちに全部使つて参りますと、将来の漁業用の無線の発達に際しまして、いろいろの支障が起るのじやないか、と申しますのは、私共から見まして、この三十七波というものは最大限でありまして、これ以上我が国におきまして漁業用の波を殖やすということは、恐らく不可能であろうと考えております。従意まして取敢ずこの約十波近く殖やしまして、残りのものにつきましては、将来の漁業の発達に備えて取つて置きたい、勿論それを使用する際には、更に漁業界のいろいろな関係面と協議して、最も合理的に使つて行きたいというふうに考えておる次第でございます。
#77
○小林勝馬君 雑則以下は次回で質問申上げたいと思いますが、本日は水産委員長がお見えになつて御質問があるそうでございますから、私の本日の質問はこれで打切りたいと思います。
#78
○委員長(松野喜内君) それでは木下水産委員長の御要望によりまして御発言をお願いいたします。
#79
○委員外議員(木下辰雄君) 電波法並びに電波監理委員会法に対して私の意見と、それから三、四の質問をいたしたいと思います。漁業用に無線が普及いたしましたのは確か大正七年頃だつたと思うのでありますが、その当時は大きないわゆる遠洋漁船に普及いたしましたが、その後農林省におきまして、遠洋漁業奨励として普及奨励いたしましたために、その後段々小さい船にも付けまして、最近においてはすでに無線局を付けた漁船が二千六百隻に達せんといたしておる状況であります。これは漁業においては漁業の調査とか、或いは遭難防止とか、その他燃料節約であるとかいうような関係で、現在においては殆んど必要欠くべからざるものとなつております。そういう関係でこの法案が本委員会に付託されまして以来、水産委員会におきましても、非常に関心を持つて研究いたしておつたのであります。つきましては、そういう見地からちよつと御質問いたしたいと思いますが、只今小林委員の御質問によりまして私の質問せんとするところも大分明らかになつたようでありますから、ほんの三、四点についてお尋ねしたいと思います。
 第一点は、電波法の第六條第八号並びに第七條第三号、「無線設備の工事費及び無線局の運用費の支弁方法」というのが第六條第八号にございますが、それから第七條の第三号に「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」こういうような規定がありますが、こういうものは出願する場合に、すでに十分用意をして出願者の方では出願しておりますので、こういうものをいろいろ調査し、或いは研究し、そうして後に許可するということになれば、非常に手間取りますし、面倒が起る。だからして、こういう小型漁船のときにこういうことをすることはむしろ必要ないかと思いますが、これに対して御当局の御意見を伺いたい。
 次の質問の第二点は、免許の有効期間でありますが、漁船においては百トン以上の船及び以西底曳では五十トン以上、「かつお、まぐろ」の遠洋漁船では七十五トン以上の船は強制しておりますので期限がありませんが、それより小さな船、小型漁船に対しては五年ごとに免許を更新するということになつております。これは恐らく五年ごとに国際條約の改正がありますので、又いろいろ破損その他の変化があるから、これに従うために免許を更新するという趣旨だろうと思いますが、こういう場合にはむしろ大きな船も一緒に更新しなければならん、何も小さい船だけがこれに従わなければならんというわけじやありませんが、大きな漁船さえも期限を附さないのに、こういう小型漁船に一々免許の更新を来すということは非常に煩雑であつて、むしろ必要ないのじやないかと思いますが、これに対して電波監理長官の意見を伺いたいと思います。
 質問の第三点は、周波数測定装置の件でありますが、現在漁業無線では水晶発振式を使つておりまして、波長の狂いというものは非常に少いのみならず、陸上漁業無線局がありまして、漁船ごとにすでに修正しておりますので、こういう高価な設備をするということは、漁業の負担にも耐えませんし、その必要もなかろうと思いますが、これに対してどういう考えであるか伺いたい。もとより現在の無線電信法においても五十ワツト以下は免除されております。少くとも私は強制されていない小型の漁船については、この装置を全部免除して貰いたい、こういう意見を持つておりますが、これに対して御見解を伺いたい。
 それから質問の第四点は、これは第百三條の免許料でありますが、免許料及び検査料でありますが、これが非常に高い。申請する者に対しては、三千円、それからその他いろいろ検査料が異なつておりますが、これを一々納めて而も更新のたびごとに納めるということは非常に高価な負担でありますので、むしろこういうものを免じて貰いたい、かように思いますが、これに対する御見解をお伺いしたいと思います。
 最後に電波監理委員会設置法案でありますが、第五條及び第六條の問題ですが、この監理委員会は委員長以下六名を以て組織する、これは「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となつておりますが、現在船舶の無線施設では先に申しましたように二千六百に達しておる。それから陸上の漁業無線設備が五十八局もある。これは全船舶の無電装置に対しまして殆んどその三分の二以上を占めておる。二倍以上あるというような状況でありまして、無線における漁業というものの地位も相当大きなものでありますので、これは大臣にむしろ意見を求めたいと思いますが、電波監理長官が代つて一つ大臣の方に御伝言を願いたいと思いますが、少くとも委員の選定に当りましては、漁業に最も理解ある者を委員のうちにお加えになるように私共の方では切望して私の質問を打切りたいと思います。
#80
○政府委員(網島毅君) 最初に第六條及び第七條関係の御質問にお答え申上げます。この無線局の申請に記載して頂く事項は、これは申請を審査する場合の重要な参考資料でございまして、従いましてこの無線局の運用がうまく行くかどうかということなどは、その審査の対象として十分考慮されなければならない問題であろうかと存じます。
 ところで第七條の第一項第三号の「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」これを審査の基準の一つの対象にしておるのでありまするが、これは非常に少い電波をでき得るだけ公衆の福祉のために、これを公平に能率的に分配するということがこの電波法の目的でございます。ところで如何にこの目的がよくても、つくつたところが直ぐその無線局は維持ができなくなつた、潰れてしまつたということになりますれば、その無線局に割当てたところの波長というものがそのまま死んでしまうことになります。従いましてこういうようなことは一般公衆の福祉という点から考えまして非常に遺憾なことでございますので、一旦この波長の割当を受けたからには、それがこの申請の目的を達成するように、少くともその必要期間は維持ができなければならないということは、これは当然かと考える次第でございます。この問題は一般無線局共通の問題でございまして、やはり漁業無線局にいたしましても、つくつたけれども直ぐその無線局が閉鎖になつてしまつたということでは、電波行政上非常に遺憾と存じますので、財政的に基礎がしつかりしておるということは是非審査の対象にしたいと考えております。
 ところで元へ戻りまして、第六條の第一項の第八号「無線設備の工事費及び無線局の運用費の支弁方法」、これを申請書に書いて頂くのでありますが、これは只今お話いたしましたその申請の審査の際に、財政的にしつかりしておるかどうかということを一つの資料として無線局の工事費がどのくらいかかつておるか、これを運用するのには運用費がどのくらいかかる、而もそれはどういう方法で支弁するか、一方その申請者の財政上のいろいろな基礎というようなものを考慮いたしまして、その審査に資するために是非必要と存じております。これも無線施設全般に通ずることでございまして、漁業無線だけこれを除くという理由は困難ではないかと考えるのであります。併しながらこの一般船舶でありますとか、或いは漁業用の漁船の無線というものに関しましては、その必要性、公益性、ということは十分分つておりますので、審査に当つてはこの点は余りやかましく論議されないだろうと考えております。
 それから第十三條の有効期間の問題でございまするが、現在の無線電信法におきましては、無線施設に関しまして一旦許可されたものに対しましては有効期間というものがございません。無制限にその施設を維持し、運用して行ける建前になつております。併しながらこれは電波の有効な利用、或いは條約上の問題、いろいろな問題からそのままでは工合が惡いのでありまして、これをカバーするために、現在におきましてはこの許可の條件といたしまして、公益上必要のある場合、或いは主務大臣において必要と認めます場合には、いつ何どきでもその無線局の免許を取消すことができる。いわば伝家の宝力を持つておるわけであります。併しながらこういうように電波監理庁が伝家の宝力を持つておりまして、いつでもその免許の取消ができるということは、新らしい憲法の下、民主主義の下においてそれは適当ではないと私共は考えるのであります。従いましてこの電波法におきましては、一旦免許を受けました以上は、これは法律で決められた特定の事情がない限り、その免許の取消はできないことになつております。又設備の変更を命ずるというようなことに対しましても、非常にその制限を加えておりまして、徒らに行政処分によつて免許者に負担をかける、或いは迷惑をかけるということを最小限度に止めるという方針の下にできております。そういたしますると、この免許の有効期間を無制限にするということはできないのでありまして、ここに何らかの一定の期間ごとにそれを検討して行く、チエツクして行くということは必要になつて参ります。そこでこの電波法におきましては、第十三條にありまするように、一般無線局につきましては、その有効期間は五年以内ということにいたしまして、五年ごとにチエツクするわけであります。先程お話のように勿論この條約も五年ごとに変りますし、それによつていろいろな設備の條件も変つて参ります。従つて五年ごとの再検討の際に必要な改正をやつて頂くということに相成るのでございます。
 ところで漁業用の無線局というようなものは、これは何人が見ましても、公益上必要なことでございまするので、その五年を区切つてその免許の延長ができないというようなことは考えられません。ただその際に新しい條約なり、新らしい法律によつて技術的な細かい條件が変つて来る、それをやつて貰うという程度のことはあると存じまするが、全然免許が取消になるというようなことは考えられないのでありまして、漁業家の皆さんがお考えになるような心配はないと思います。尚手続が面倒だからというお話もございまするが、手続はこの電波監理委員会規則におきまして、できるだけ簡素化にいたしまして、できれば漁船のようなものにつきましては、葉書一本でも免許の更新ができるようにしたいというふうに考えておる次第でございまして、御心配の点はないようにしたいと考えておる次第であります。
 それから第三十一條の周波数測定装置の備えつけの問題でありますが、これはお説のように小さな漁船につきまして、いろいろ波長計を備えるということは困難でございまするし、又それ程効果もないと考えまするので、電波委員会におきましては、それらのものは除外したいと考えております。勿論この委員会規則は、委員会が発足いたしまして、委員会が決めることがございますので、私がここではつきり申上げることはどうかと思いまするけれども、一応立案者の心構えとしてはそういうふうに考えておる次第でございます。
 次は第百三條の手数料の問題でございますが、これはお説のように、手数料というものは全然ない方がよろしいのでありまして、この点につきましては私共も全く同感でございます。併しながら今日のように国の財政が非常に不如意なときに、その行政に必要とするところの経費を何で賄うかということになりますと、これを租税で賄うか、或いは手数料、その他の收入で賄うかということになるわけでありまするが、これらの無線局の免許というような問題は、免許を受けた人がその免許を受けたことによつて相当な利益を受けるということは、これは間違いのない事実であります。従つて受益者がその中の全部とまでは行かなくても、若干のものは負担するという考えも出て参るのでありまして、今日は財政当局からの極めて熱心な要望もあり、若干受益者に負担して貰うということに相成つた次第でございます。これは勿論電波行政に必要な全部の経費を賄うという意味ではございません。而も百三條に挙げておりますものはこれは最高額でございまして、この最高額と雖も、私共の見積りでは施設費の大体数パーセントという程度でございます。漁船その他に関しまして私共はできるだけその経費を安くしたい、手数料を安くしたいというふうに考えておりまするので、それは恐らく施設費に比べて取るに足らない程度のものになるのじやないかというふうにも考えております。できるだけ漁業者に負担をかけないようにやつて行きたいということを申上げたいと思います。
 次に電波監理委員会の委員の任命でございまするが、これは法案にもございますように、総理大臣が両議院の同意を得て決めることに相成つております。
 只今の御質問の趣旨は大臣にお伝えいたしまして、十分その御趣旨を伝えたいと思います。
#81
○委員外議員(木下辰雄君) 只今電波長官のお答えで大体よく分りました。是非そういう趣旨において、例えば免許更新の場合には葉書一本で足りるようにお願いしたいと思います。又費用あたりも成るべく少くなるようにお願いしたいと思います。測定装置の点もよく分りました。若しこの委員会において相当何か統制等も始まつた場合は困るが、水産委員会の趣旨も十分採入れて善処されるように、全体のことは委員長にお委せいたします。私の質問はこれで終ります。有難うございました。
#82
○委員長(松野喜内君) 水産委員長の御要望、電通委員長としてもよく心得ました。さよう取計らいます。
#83
○小林勝馬君 時間が余つておるようでありますからもう少し質問したいと思います。
 雑則の第百條におきまして、電波監理委員会の許可を受けなければならないというふうに制限してありますが、これは例えば経営主体となる使用高周波のキロサイクル等によつて、この許可を受けなければならない範囲内を限定されたらどうかという点があるのでありますが、この点についてはどういうようにお考えになつておりますか。いわゆるこの條項から行きますと、電気通信省関係のものなどは、非常に有利になつて、民間の発送電気の他のやつは、非常に不利になるような立場に相成るのではないかと思いますが。
#84
○政府委員(網島毅君) これは表面的に見ますと、御説のように言えるのでありますが、実際はこの電気通信省の施設を除いて、民間のものに重くしたということではございません。これはここの第百條の括弧内の除外例は、これは電気通信省にも民間にも通ずるのでありまして、これは全く技術的な見地から出ております。即ちケーブル搬送或いは平衡二線式の裸線搬送におきましては、その性質上、使う電力が非常に少いということと、それから設備の構造上、電波が外へ出ないのであります。従つて電波が出なければ、混信の問題等もございませんので、取締る必要はないということになります。ところでこの電線路に高周波電流を通ずるような通信設備、例えば電力線に通ずる、これは相当な電力のものを必要としますので、又線路の構成上、相当な電波が外へ出るのであります。従つてこれは電波の整理上、是非許可を必要とする。場合によつては、波長を指定しなければならない場合も起つて参る次第であります。尚これは電力線、会社のみならず、電気通信省においても、こういうような設備をする場合には、許可の対象となつていることは勿論でございます。
#85
○小林勝馬君 百二條におきまして、「電気監理委員会の施設した無線方位測定装置云々」と、なぜこの電波監理委員会で施設したものだけに限定したのかという点でありますが。
#86
○政府委員(網島毅君) 現在の無線方位測定装置を使用しておりますものは、電波監理委員会の設置しますところの電波監視局の設備と、それから燈台業務のために、岬等がやつておりますところの方位測定所というような所でございます。ところで現在の状況を見ますと、燈台関係の方位測定所は、岬の先というように、第一非常に使用が不便な所でありまして、概ね人家のない所でございます。従つて特にこういう規定を設けずとも、実際上必要ないんじやないかと、尚この方位測定装置、燈台局の方位測定所は、中波を使つておりますので、妨害を受ける程度も非常に少いのであります。ところが電波監視局の方位測定所におきましては、諸方から出る長波、短波、超短波に至る各範囲の電波の規則をやらなければならんのでありまして、御承知のように、短波とか超短波の方位測定ということになりますと、非常にこれはデリケートなものでありまして、設備も非常にデリケートでございますが、運用もなかなかむずかしい、殊にその設置場所の如何が、正確な電波の方向を測り得るかどうかということに非常な影響を持つて参りますので、特にこの條項を必要とした次第であります。尚できれば、これは一定の範囲内には、妨害を及ぼすようなものは置けないんだというふうにしたいのでありますが、そこまで一般国民の権利を縛る、ということは、適当ではないと考えましたので、一応届けて頂きまして、その届出に従いまして、いろいろ協議するとか、或いは又自分で引下がるとかいうふうなことの行為をするということにしたいと存じております。
#87
○小林勝馬君 只今の説明によりますと、監視業務の方は分りますが、いわゆる燈台局その他のものは岬乃至は海岸にあるからそういう必要がないという説明でありましたが、それじや航空機なんかの方位測定なんかは一体如何ようにされるのか。航空機あたりでは都市の中にある測定所もあるように私は思うのですが。
#88
○政府委員(網島毅君) 航空機用のものに関しましては、これは短波等も使つておりますので、只今御質問にありましたようなことが起ります。これは近く航空保安法というようなものも政府において準備しているということも聞きますので、その方面で必要な保護を加えることにしたらどうかと考えております。
#89
○小林勝馬君 百五條におきまして遭難通信の取扱いを妨害した者も罰則が制定されている。第三項におきまして「前二項の未遂罪は、罰する。」この未遂罪というのは一体如何ようなふうにお考えになるのか。実際に聽き損つたのを未遂罪と言われるのか。それとも機械が故障でやれなかつたのも未遂罪になるのか、その点を、未遂罪を又誰が一体判断するのか。それともう一つは罰いるとは一体何をされるのか。「一年以上の有期懲役に処する」という本條の罰則を適用されるのか、その辺を承わりたい。ただ罰則だけじや分らない。
#90
○政府委員(野村義男君) お答えいたします。これはこの罰則にありますことは、すべて普通の行政法上の処刑の場合と同じでありまして、刑法総則が全部適用になります。刑法総則の中では人を罰するには犯意を持つた者だけを罰する、こういうことになつております。未遂についてもやはりこれは犯意があつて未遂である。機械が故障であるとか、その他自然的な現象によつてできなかつたというようなことは罰しないことになります。常に犯意を持つてやつたということであります。罰するにつきましては未遂罪の罰則につきましては、やはりこれも刑法の一般理論によりまして本條に適用して、本條に対応いる低い罰を科すということになつて、刑の量定は專ら裁判官がやるということになつております。
#91
○小林勝馬君 然らばその三項の未遂罪の実例がありましたらお教え願いたいし、又先般アメリカ沿岸のやつたQ五六号のああいう問題も事実本人は知らずにやつているので、知らないのに罰を免れておらないのでありますが、これは一体どういうふうなことですか、承わりたい。
#92
○政府委員(野村義男君) 我々承知しておりますのは、この遭難通信について意識してこういうことをやつたり、或いは妨害をしたということで未遂罪があつたというようなことの実例は聞いておりません。一つのオペレーターの道義の高いゆえんであろうというふうに考えております。先般ありましたLSTの事件は、これは一般法を以て律せられない特殊な状況によるものでありますので、これと直接関係はないかと思います。
#93
○小林勝馬君 そうするとこれは三項は法律上こういうものを入れて置かなくちやいけないという意味で入れられたというふうにとつてよろしいのかどうか、いわゆる未遂罪というものが非常に判定に苦しむので殆んどないというふうに解釈していいかどうか。
#94
○政府委員(野村義男君) この未遂罪につきましては、現在の無線電信法では、この種の場合及び類似のような場合に多く未遂罪を罰しておるのであります。併しながら今度の電波法におきましては、以下各條に見られるごとく未遂罪を罰するというのは殆んど稀れでありまして、その点において未遂罪ということを御説のようなラインで成るべく外して行きたいということでやつております。この場合においては他のものに比較して非常に罪状が重い。通信を積極的に妨害するということになりますので、この條だけは残す必要があるということで検務当局とも相談をいたしまして、この程度に止めるということにした次第であります。
#95
○小林勝馬君 百六條の二項において、「船舶遭難の事実がないのに、無線設備によつて遭難通信を発した者」というふうに相成つておりますが、これはどういう実例があるのでしようか。又国際條約のこういう箇條はどういうふうに入つておりましようか。
#96
○政府委員(野村義男君) 実際こういうような実例があるかどうかということは、海上勤務に経験のある私の方の石川海上課長から説明して頂きます。それから国際條約等でどうなつておるかというのは、これは広い意味に申しますと、前の虚僞の通信を発した者と同じことになるので、虚僞の通信については電気通信條約の中で、各国政府はそれに対して必要な手段を取らなければならないということになつております。
#97
○説明員(石川武三郎君) 今のお話の船舶遭難の事実がないのに無線通信の発したという例につきまして、私非常に古い記憶でございまするが、約二十年ぐらい前に、日本の船舶の無線通信士がSOSを発信した、印度洋においてSOSを発信した、併しその無線通信士は故意に罰則規定に当嵌まるような犯意を持つてやつたのではなしに、精神病に患つてSOSを発して、自分はみずから船の上から海の中に飛込んで死んでしまつたというようなことを聽いております。それ以外には日本人が虚僞の無線を発したということは聽いておりません。恐らくそういうことはないと思います。
#98
○小林勝馬君 そうすると先般シンガポール沖におきまして、ドツトを出してオートアラムが働いたためにいろいろ問題を起しておるのがあるのでございますが、実際ああいうものは自分の方でも意識して遭難通信をやつたわけではないけれども、向うの船の受信機が働いたために問題が起きておるのでございますけれども、ああいうものも全部遭難の事実がないのに、無線通信設備によつて遭難通信を発したというふうに御解釈になるのか、どういう点か、それを伺いたい。
#99
○政府委員(野村義男君) 先程申上げましたように、この罰則についてはすべて刑法にいうところの犯罪を犯すには犯意を持つてやらなければならない。駄目だというとおかしいのですが、犯意が必要である。もつと具体的に言えばわざと行為を持つてやつた、こういうことをすればこういうことが起るというような明確な観念を持つてやつたということであります。従つて御説のようなドツトを知らずして出しておつた、たまたま他の機械が操作しておつたということは、刑法上の目的にはならないと思います。従いましてただ併し十分の注意を欠いていたということで行政上の処罰を受けるとか、場合によつては処罰というとおかしいが、免許の取消しをしなければならないということが起つて来ると思います。この罰則の対象にはならない。常にこの罰則の中では犯意を持つてやつて、俗な言葉で言えば、わざとやるということになるのであります。その点御了承願います。
#100
○小林勝馬君 百七條及び百八條におきまして「政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者」乃至は「わいせつな通信を発した者」というふうになつておりますが、これは発信人であるのか、これはオペレイトしたオペレイターであるのか、どこを指しておられるのか、両方を指しておられるのか、尚又「わいせつな通信」というのはどの範囲で決定されるのか承わりたい。
#101
○政府委員(野村義男君) 百七條及び百七條の、どういうものがこういう罪を犯すことになるかということも、先程申上げました犯意があるかどうかということと密接な関係があるのでありまして、電報を出す人、或いはオペレイター、施設者でも、それを知つて、こういうことをしようとしてした場合には、これに当るわけであります。
 第二点の「わいせつ」ということについては、これは社会通念でわうせつの観点はあるわけでありまして、従来は無線電信法では風俗壊乱というようなことで言つておりましたが、風俗壊乱というと非常に広い範囲になるので、これは狭めまして、わいせつ、こう相成るのでありますが、これは普通学問上の幾らもわいせつの定義はあるのでありますが、社会通念で御了承になつて頂きたいというふうに考えます。
#102
○小林勝馬君 未だちよつと納得しかねるのですが、犯意があるなしに拘わらず、オペレイターは依託された電報を受信した見たり、送信した見たりすることはあり得るので、通信士にはその罪はないのじやないか。いわゆる発信した方がむしろその犯意があるので、犯意があるかないかということから言えば、通信士はただそれを受信し、送信したに過ぎないのじやないかというふうに考えますので、これはオペレイターを指すのじやないように考えますし、尚又その通信がオペレイター自身の創意によつて通信を行なつた場合は、オペレイターを指すかも知れませんけれども、例えば電報にそういうものが記載された、それを受信し、送信した場合は、自分の発信じやないから、これは発信人じやないのだから、この点ははつきりして貰わないと困るのですが。
#103
○政府委員(野村義男君) これは先程申上げましたように、そういうことをしようとすうようにはつきりオペレイターが、もつと具体的に言えば共犯関係にあるというようなことになりますれば、この罰則の適用を受けますが、機械的に操作をやつているというような場合にはこの罰則の適用がない、こういうふうにお考え願います、要は共謀する意思があつたとかないとか、具体的な事件を見なければ一律にどうであるということはすぐは判定はできないかと思います。
#104
○小林勝馬君 この百七條はこの前の、この前と言いますか、今までの案には盛込まれておらなかつた。新たに今度の案に盛込まれている、草案なんかには入つておらなかつたけれども、どういう意味で今度これを入れられたのか、伺つて置きたいと思います。
#105
○政府委員(野村義男君) これは従来も放送法の方には一部入つておつたのであります。それから現在でもこの程度は無線電信法の中で公安を害する罪というものがありまして、この公安を害する罪というのは先程申上げましたように、非常に漠然たる表現であつて、もつと何か具体的な表現をする必要がある。そういうことで公安という字をもつとはつきりさせる、こういう意味で、公安を害するというようなのは具体的に言えばどういうことになるかというと、こういうことである、そういうふうになつた次第であります。
#106
○小林勝馬君 本日はこの程度で打切りたいと思います。
#107
○委員長(松野喜内君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     松野 喜内君
   理事
          橋本萬右衞門君
           小林 勝馬君
   委員
           大島 定吉君
           水橋 藤作君
  委員外議員
   水産委員長   木下 辰雄君
  政府委員
   電波監理長官  網島  毅君
   電気通信事務官
   (電波庁法規経
   済部長)    野村 義男君
   航空保安庁長官 松尾 靜麿君
  説明員
   電気通信事務官
   (電波庁施設監
   督部海上課長) 石川武三郎君
ソース: 国立国会図書館
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