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1981/03/23 第96回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第096回国会 法務委員会 第5号
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1981/03/23 第96回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第096回国会 法務委員会 第5号

#1
第096回国会 法務委員会 第5号
昭和五十七年三月二十三日(火曜日)
    午前十時二十一分開議
 出席委員
   委員長 羽田野忠文君
   理事 太田 誠一君 理事 熊川 次男君
   理事 高鳥  修君 理事 中川 秀直君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君 理事 岡田 正勝君
      上村千一郎君    大西 正男君
      木村武千代君    高村 正彦君
      佐野 嘉吉君    北山 愛郎君
      鍛冶  清君    安藤  巖君
      林  百郎君    田中伊三次君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        法務政務次官  竹内  潔君
        法務大臣官房長 筧  榮一君
        法務省民事局長 中島 一郎君
        法務省刑事局長 前田  宏君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局暴
        力団対策官   関口 祐弘君
        法務省民事局第
        四課長     筧  康生君
        国税庁直税部所
        得税課長    入江 敏行君
        建設省計画局建
        設業課長    北村広太郎君
        法務委員会調査
        室長      藤岡  晋君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第一五
 三七号)
 同(枝村要作君紹介)(第一五三八号)
 同(北山愛郎君紹介)(第一五三九号)
 同(下平正一君紹介)(第一五四〇号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第一五四一号)
 同(横山利秋君紹介)(第一五四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 商業登記法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第四九号)
     ――――◇―――――
#2
○羽田野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
#3
○稲葉委員 まず最初に、この商業登記法の一部を改正する法律案に関連をすることなんですけれども、商法と商業登記法との関係で、商業登記法の制定と商法の制定と、時期が非常に違いますね。これはどういう理由からでしょうか。
#4
○中島政府委員 商法の登記に関する部分を処理いたしますために商業登記法という法律があるわけでありますけれども、これはもともとは、非訟事件手続法の中に、現在の商業登記の処理のために必要な条文が規定されておったというようないきさつがあるようでございます。
 それで、昭和二十二年に、商業登記関係は従来裁判所が取り扱っておりましたものを、司法事務局、その後法務局、地方法務局が取り扱うようになったという関係でありますとか、あるいは商業登記に関する手続規定を整備しなければならないというような必要でありますとか、そういうようなことから、非訟事件手続法のうちから商業登記に関する部分を取り出して独立の法律を制定しようということになりまして、昭和三十八年に現在の商業登記法が制定されたという経過でございます。
#5
○稲葉委員 いまのお話によりますと、昭和二十二年ですか、戦後、法律が全部変わったときですが、その前後に裁判所が取り扱っていたものを独立することになったというにしては、年数がたち過ぎているのじゃないでしょうか。これは、三十八年七月九日、法律第百二十五号、施行は三十九年四月一日、こういうふうになっていますね。その間、日にちがたち過ぎておって、なぜ商業登記法の制定がこういうふうにおくれたわけですか。この商業登記法を制定するときに、一体法制審議会にかかっているのですか、かかっていないのですか。
#6
○中島政府委員 二十二年に司法事務局というものが裁判所から分離をしたわけでありますけれども、それに必要な法律の制定ということが問題になりましたが、当時は、それに必要な法律というものは非常に多くて、制定せざるを得ないような緊急の必要のある法律のみを処理するだけでも手いっぱいであったというような実情であろうかと思います。
 それで、商業登記の処理のためには従来の非訟事件手続法によって処理することでさして大きな支障はなかったということから、そのときには新しい法律を制定するということにはならなかったわけでありますが、次第にその間の整理も進んでまいりまして余裕もできてきた、あるいは法務局、地方法務局の処理の実績がたまってきて、商業登記についての新しい法律をつくるということが可能になってきたというようなこともありまして、新しい法律の制定に至ったというふうに承知をしているわけでございます。
 それから、法制審議会の点は、これは民事に関する基本法というわけではございませんので、法制審議会の審議は経ておらないと思います。
#7
○稲葉委員 そうすると、非訟事件手続法がいまでもありますね。それで、今度は商業登記法が昭和三十八年にできましたね。前に出ていた非訟事件手続法のところとこの商業登記法とは、どこがどういうふうに違うわけですか。
#8
○中島政府委員 一番顕著な違いということになりますと、今回問題になっております商号の仮登記というものが非訟事件手続法の時代にはございませんで、三十九年から施行された商業登記法に初めて登場した制度であるというふうに承知をいたしております。
#9
○稲葉委員 いま仮登記の話が出ました。それじゃ、仮登記のことについて一般的なことをお尋ねをするわけですが、よくわかりませんのは、たとえば民法では登記の制度がありますね。では、民法の中にはなぜ仮登記の規定が入っていないわけですか。
#10
○中島政府委員 民法の登記ということになりますと、あるいは未成年者の登記あるいは後見人の登記、その他いろいろあろうかと思いますけれども、その登記が妨害をされて、それによって非常に困った結果が起こるというようなケースがちょっと考えられないのでありまして、その点は商号の登記あるいは会社の商号に関する登記とは事情が違うのじゃないかというふうに考えます。
#11
○稲葉委員 ちょっと私の質問が舌足らずであったわけですけれども、私の聞いている民法における登記というのは、所有権移転の場合の登記のことを聞いているわけで、ほかにもいろいろなのがありますけれども、そういうようなことを聞いているわけではないのですね。
 そうすると、所有権移転の場合は、日本の場合はフランス法の意思主義の立場をとっていますね。登記は対抗要件になっているわけでしょう。そこで私の疑問というのは、対抗要件としての登記ということならば、当然民法の中に仮登記の規定というものを置いてもいいのではないか。ただ一号置けばいいわけですから、いいのじゃないか。それを不動産登記法に置いているのは一体どういうわけなんでしょうか。それは一緒に施行されたならいいですよ。民法と不動産登記法の施行は違いますね。そう長くないけれども違うでしょう。その間一体どうなっていたということになりますね。
 だから、仮登記ということも物権の変動の一つの態様と言うと語弊がありますけれども、登記に関係することならば、仮登記ということも民法の規定の中に置いておいても当然ではなかろうか、こういう疑問を私は持っているからお聞きしているわけです。商法になると別ですよ。商法の方はまた聞きますけれども。
#12
○中島政府委員 よく考えておりませんでしたけれども、民法には登記の効力ということについての規定がございますが、これは基本的なところに限って民法に規定を置いておる、そしてその不動産登記の効力のうちでも、仮登記というようなものにつきましては不動産登記法に規定を置いておるということであろうかと思います。
#13
○稲葉委員 同じ問題が商法の中にも出てきますから、考えていてくださいね。大体わかったでしょう、どういう質問が出るか。
 そこで、私はもう一つお聞きしたいのは、不動産登記法の二条の場合の一項の仮登記があります。これは普通の仮登記というか、俗に言う二条一項の仮登記ですね。裁判所で仮登記仮処分命令などでやっているのが二条一項でしょう。しかし、これは非常に少ないですね、実際問題としては。
 それから、きょうは三課の人来ていませんから、詳しいこと聞くわけじゃありませんけれども、ところが二条二項の方がいろいろなことが書いてありますね。こんなふうにたくさんのことを書く必要が実際にあるのかないのかということですよ。不動産登記法の二条の二項の問題、こういうふうにたくさん書く必要はあるのですか。実際にはそれがどんなふうに運用されているかということです。これは商業登記の関係で、余り広げちゃってもいけませんから聞きませんけれども、これは問題があるんじゃないですか、不動産登記法の二条の二項の方。
 これはあなた、実際問題としては、金融機関がありとあらゆる手を使ってこの二条を活用しているわけでしょう。逆に今度は債務者は、仮登記という制度を使って財産の隠匿を図っておるというのがあるわけでしょう。それは主として二条から出てくるんじゃないでしょうか。とにかく私らが見ても、登記簿に載っておる仮登記というものは、常識ではわからないような、学者でも実務家でもわからないようないろんな登記がいっぱい並んでいるわけですよ。これは一体どうしてこんなふうにたくさんのものが二項を中心として仮登記が出てきたかということですね。これはなぜこういうことを聞くかというと、結局いまこの法律をつくって、商業登記法のあれをつくっても、幾らでも抜け穴を考えてくると思うんですよ。彼らの方が一生懸命ですから、生活がかかっているから、いろんなところにかかってくるから。
 不動産登記法の二条の二項というものの実際の運用がどういうふうになっているか、これは古い統計はあるのですよ。きょうでなくていいですよ、そこまで要求していませんから。古いいろんな資料はありますよ。特に二条の一項は非常に少ないわけです。仮登記仮処分命令というのは本当に少ないわけでしょう。あとは二項の方はいろんなものが出てきておるということ、実態はどういうふうになっているかということは別の機会に、きょういまここで聞いても、これはあれでしょうから聞きませんけれども、脱税の手段、金融機関の方から見れば、よく言えば金融機関、悪く言えば金貸し、そういう連中の利用にこれがされておる、こういうことじゃないですか。それから債務者の方は、財産逋脱の手段として仮登記というものを悪用しておる、これが実際なわけですね。これは統計がありますけれども、古いんですよ、民事局の出した統計は。
 これは四課長は知っておられると思うのですが、この不動産登記法の二条の二項の問題に関連して、こういうふうなものについてはこれは受け付けてはいけないという意味の民事局長の通達が出ているんじゃないですか。その点についてはどうですか。そこまでこっちの方であれしていかなかったからあれですが、どうでしょうか。
#14
○筧説明員 申しわけございませんが、私は直接の所管でございませんので、その詳細はよく存じておりません。
#15
○稲葉委員 これは別の機会にどうせ聞きますから、ことにいま言った二条の二項の運用実態、これに対するいろんな新しい統計をあなたの方でも整備しておいていただきたい、こういうふうに思います。
 これはわからないですよ。代物弁済予約の仮登記とか、こんなのはある程度わかるのだけれども、賃借権の設定の何とかの仮登記だとかなんとかいっぱいあるのですよ。裏の裏を行っていて、しかもその中で税金のかからないやり方があるのですね。資本利子税がかからないやり方があるというようなことが書いてあるのですね。そういうことを言っている人もいます。それから財産を隠匿するための仮登記という形で債務者が利用していますね。だから、その仮登記の場合に、一体どういうふうに税金がかかるわけですか。当事者間では所有権移転しているわけでしょう。当事者間では意思表示の所有権移転するのだから、仮登記だって所有権移転するわけだから、そうすると、これは税金どういうふうにかかるのです。まあそういうあれじゃないから、三課の所管ですから、そこら辺にしておきます。ここら辺のところ、よく研究しておいてください。これは非常に問題があると思います。意思表示によって所有権移転するならば、仮登記したところで片方の方は不動産取得しているわけですから、だから不動産取得税かかってもいいはずなんだけれども、そこのところがかからない。しかも仮登記の場合、登録税が非常に安いということでこれを悪用している、こういうことになってきているわけです。それはそれとして……。
 そこで、私のお聞きしたいのは、仮登記ということについての効力なんですが、これはよくわかりませんが、商法の九条、仮登記に関連する効力で、登記というのが、これは事実上の推定力を有するに過ぎないから、他の証拠によって右記載に反する認定をしても違法ではないという最高裁の昭和三十四年八月二十八日の商法九条に関連する判例があるわけです。これは事実上の登記が推定力があるという、これは商業登記の問題ですが、これはどういうふうな意味なんでしょうかね。この判例はどういう事件で、どういうあれですか。そこまでも通告してないから、きょうでなくてもいいですけれども。
#16
○中島政府委員 商法九条は管轄登記所に関する規定でありますので、仮登記あるいは登記の効力ということになりますと、商法の十九条あるいは二十条あたりの規定であろうかと思いますが、そのうちで推定の問題ということになりますと、二十条二項の規定であろうかと思います。「同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為二他人ノ登記シタル商号ヲ使用スル者ハ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ之ヲ使用スルモノト推定ス」と、こうあるわけでありまして、いわゆる法律上の推定と呼ばれるものであろうかと思いますが、ただいま御指摘の裁判例につきましては詳細調査いたしておりませんので、後ほど調査してみたいと思います。
#17
○稲葉委員 実は私もけさ見たので、けさ見たというか、六法全書ひっくり返しておったらそこのところの判例が載っかっているのですね。最高裁の昭和三十四年八月二十八日の判例ですね。私の記憶違いかもしれません。商法九条のところを引っ張ってあるのです。私も変だなと思って見ていたのですが、いずれにしても、きょうでなくて結構です。
 そこで、今度の法案のことなんですが、商号というものについては、これは財産権という形で理解していいわけですか。どういうふうに理解するのですか、商号そのものを。
#18
○中島政府委員 どういう性格かということを一言で言うのはむずかしいかと思いますけれども、人格権の面もあるというふうに考えます。それが財産的な保護を受けることによって財産権としての性質も持つようになっておるというふうに考えております。
#19
○稲葉委員 人格権という場合は、個人の商号の場合は人格権という考え方は非常に強いと思うのですけれども、そうでない場合には人格権という考え方は、ちょっと出てこないとは言わぬけれども、まあ出てこないんじゃないでしょうか。
 商号とのれんとの関係はどうなんですか。のれんというものを含んで商号というものがあって、そしてそれが財産権的な価値を持つということになるのでしょうか。そこをどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。のれん、グッドウィルとの関係ですね。
#20
○中島政府委員 商号というのは企業を特定し、それを個別化する名称でありますから、それには当然に取引関係に立つ第三者がその商号によってその営業を認識するという面が出てまいりまして、その商号に一種の世間の信頼と申しましょうか、営業に対する信頼というようなものが生まれてくる、そこにのれんというものと結びついてくる、それは一体として財産的な価値を強めてくるようになる、こういうように考えております。
#21
○稲葉委員 そうすると、のれん的な考え方というか、そういうようなものも含まれてくるということになると、商号そのものの取引というものもあり得るわけですか。商号の売買とかなんとかいうことがあり得るわけですか。仮にあるとすれば、それはどこに規定されているわけですか。
#22
○中島政府委員 商号は営業とともにするにあらざればというような規定があったかと思います。二十四条でございます。「商号ハ営業ト共ニスル場合又ハ営業ヲ廃止スル場合二限リ之ヲ譲渡スコトヲ得」という規定がございまして、これによって商号の譲渡というものが行われておるようであります。それで、二十五条、二十六条あるいは二十七条等にそれに関連する規定があるようであります。
#23
○稲葉委員 だから、商号が独立の財産権的な色彩を持つとするならば、商号独自の売買ということもあり得ていいはずではないでしょうか。営業とともにしなければならないという理由、普通はそうかもわかりませんけれども、必ずしもそうでなくてもいいんじゃないでしょうか。そこはどうなんですか。そうすれば、そこで商号の仮登記ということも考えられてくるのではないですか、売買による仮登記ということも。
#24
○中島政府委員 理論的には商号単独の取引、譲渡ということも考えられると思いますけれども、商号というものが営業の実態と結びついておる、営業の実態のない商号については登記の抹消請求も許されるというような関係にありますために、これを営業とは切り離して譲渡の対象にするということは、世間に混同、誤認を生じさせるおそれがあるということから、こういう制度になっておるのだろうというふうに理解しております。
#25
○稲葉委員 それは立法政策の問題で、どちらでもいいことですが、契約自由の原則だから、商号だけ売買しようと思えば売買したって構わないわけで、世間が混同するかもわかりませんけれども、それは契約の自由ですからね、別にどうということはないのじゃないかと思いますが、それはそれほどの問題ではありません。
 そこで、もう一つの問題は、なぜこういう法案が出てきたかということですね。それは十月一日からの施行ということになっておるわけでしょう。それは改正商法と一緒ということですね。そうなれば、この前の商法の改正のときに当然一緒に立案してもよかったのではなかろうかというふうに考えられるのですが、これは恐らくはかの人からも質問があったと思いますね、これはモデル的な質問で、あなたの方のあれにあるものでしょうけれども。
 そんなことはそれでいいとして、私が聞くのは、そうすると、施行までの間に、一体この法案が通ったときにどういう政令なり何なりを用意するということになるわけですか。
#26
○中島政府委員 商号の仮登記につきましては、現行法におきましても政令で定める供託金を積む、こういうことになっておりますので、今回新設を予定しております商号の仮登記につきましても、新たに政令をもってその供託金の金額を定めなければならないということになろうかと思います。それともう一つ、商業登記規則を改正しなければならないというような関係があろうかと考えております。
#27
○稲葉委員 そうすると、前に質問が出たかもわかりませんけれども、十月一日にしたということの積極的な理由はあるわけですか。
#28
○中島政府委員 ただいま申しました政令を準備し、規則を改正するということに若干の余裕を見込んだということが一点でございます。
 それからもう一点は、先ほど御質問にも出ましたように、これが今回の改正商法の施行に伴って活動の領域を狭められるであろう総会屋等に対して、商号関係で入り込む余地を封ずるというような趣旨もありまして、改正商法の施行と同時の十月一日ということを考えておるわけでございます。
#29
○稲葉委員 総会屋という話が出ましたけれども、結局総会屋の場合に、会社なりあるいは会社に関係する者が株主権の行使として金銭を供与しては懲役六カ月または三十万円以下の罰金ですね。そうすると、それは株主権の行使に関連しなければいけませんわね。株主権の行使をしないで、俗に言う総会屋というものが権利を発揮できるというのは、今後どういう点が考えられるわけですか。
 一つは、質問権の問題がありますね。これは千株なければいけませんわね。議案の提案権、これはなかなか金額的にも大きいけれども、いずれにしても、どちらかの問題ですわね。そのほかに何か考えられるわけですか。
#30
○中島政府委員 会社の運営に介入をする、端的に介入するという形が株主総会ということになろうと思いますけれども、それが株主権の行使に関しての介入であるというふうにとらえられると思います。それで、そこが封ぜられますと、今度は商号の専用権を利用する。商法の十九条を利用して、新しく会社を設立しようという動きを察知して、それを妨害するために同一、類似の商号を登記する、あるいは既存の会社が商号を変更しようとする、目的を変更しようとする動きを察知して、あらかじめその類似商号を登記して、その妨害をして金銭的な解決を図らそうとするということが警戒されるわけでありまして、それに対して何らかの手を打つ必要があるのではないかというのが、今回の商業登記法の改正の趣旨でございます。
#31
○稲葉委員 それはわかっておるわけですね。それならば、東京瓦斯の事件がありましたね、あのときからそういうことは当然考えられていいわけであって、それは私の方からそういうことを聞くのはおかしいので、こっちは立法府なんだから、立法の方はこちらの方で考えなければいけないのでしょうけれども、そのときは私はいなかったからわかりませんが、東京瓦斯のあの事件があったときに、当然そのことは考えられてよかったのじゃないでしょうか。東京瓦斯のときの改正はどういう改正であって――それは商業登記法の改正になるわけですね。だから、そのときは法制審議会にもちろんかかってないということですね。手続法だから、かかってない。そうすると、それはどういう事件であって、そのとき、なぜ現在のような情勢というものが把握できて一緒に改正しなかったのかということですね。
#32
○中島政府委員 まず、東京瓦斯の事件というのはどういうものなのかということでございますけれども、東京瓦斯株式会社というのは当時本店を港区に置いておったわけでありますが、昭和二十七年ころに本店を中央区に移転することを計画いたしまして、二十九年ころまでに中央区内に新社屋を建設したわけであります。ところが、中央区内で電気工事を営んでおりました某会社、これは一般の教科書などにも名前が出ておりますから申し上げてよろしいかと思いますけれども、新光電設株式会社という会社でありますが、これが東京瓦斯の本店移転計画を察知しまして、本店移転計画を妨害し示談金を取得する目的のもとに、そのころ自分の会社の商号を東京瓦斯株式会社に変更いたしました。また、その目的も東京瓦斯と同一の石炭ガスの製造販売というものに変更いたしまして登記をしましたために、東京瓦斯は中央区への本店移転の登記をすることができなかったわけであります。
 そこで、港区の東京瓦斯は中央区の東京瓦斯を相手取りまして、商法二十一条によって商号の使用の差止め及び商号の登記の抹消請求の訴えを起こしまして、結局、昭和三十六年の最高裁判所の判決によって勝訴し、本店を中央区に移転することができたという事件でございます。
 昭和三十八年に現在の商業登記法ができましたときには、その直前に、昭和三十六年にこの最高裁判所の判決が出た時期でありましたために、本店移転の場合の商号の仮登記の制度を新設せよという要望は非常に強いものがあったようであります。昭和三十九年から施行になっております現在の商業登記法におきましては、本店移転の場合の商号の仮登記の制度というものを新設をしたわけでございます。
 そのときに、今回問題になっております商号変更の場合あるいは会社設立の場合の商号の仮登記をどうして法律に取り入れなかったかということでございますけれども、当時は、問題になりましたのはこの東京瓦斯の事件でありましたために、本店移転の場合の商号の仮登記の制度の必要性というものの要望が非常に強かりたわけでありますけれども、その他の場合の商号の仮登記の制度についての要望は、それほど強くなかったということであろうかと思います。商号の仮登記の制度というのは諸外国にも例のない制度でありますために、これを新設をするためには、まず当面問題になっております本店移転の場合の商号の仮登記というものを新設をして、そして会社設立の場合の商号の仮登記あるいは商号変更の場合の商号の仮登記等は、将来の検討課題ということで残されたというような事情にあるというふうに承知いたしております。
#33
○稲葉委員 いまの東京瓦斯の判決というのは、昭和三十六年九月二十九日、最高裁の第二小法廷ですね。ところが、商業登記法は法制審議会にかからなかったというのでしょう。商業登記法、昭和三十八年七月九日の法律ですが、一体その法律が国会に提出されたのはいつなのですか。国会でうんと時間がかかったのですか、あるいは国会は簡単に通ったのですか。いつ国会に付託になったわけですか。法制審議会にかからないというのでしょう。法制審議会にかからないというのなら、簡単にできるわけですよ。いまあなたのおっしゃるようなことなら簡単にできるわけだから、それがこの判決から見ると法案が通るまでに約二年間かかっている。だから、提案したのはいつごろで、国会の中でうんともめたのですか。これは簡単に通ったのでしょう。一国会で通った法案でしょう。その経過はどうなっているのですか。
#34
○中島政府委員 昭和三十八年の法律でありますから、恐らく三十八年あるいは三十七年に提出された法律であろうかと考えるわけでございまして、そのときに三十六年の最高裁判所の判決、いわゆる東京瓦斯事件が頭にあって本店移転の場合の商号の仮登記は取り込んだわけでありますけれども、今回問題になっております商号変更の場合の商号の仮登記あるいは会社設立の場合の商号の仮登記は、将来の検討課題として残したと申し上げておるわけであります。
#35
○稲葉委員 それはそれでわかったのですよ。わかったのですが、判決は昭和三十六年九月二十九日だ、これははっきりしていますね。ところが、法律は三十八年七月九日の法律百二十五号でしょう。その間約二年あるわけですから、法制審議会にかかったというのならおくれるのはわかるのだけれども、そのおくれた理由は、国会の方でうんと時間がかかっておくれたのか、あるいは提案するのがおくれたのか。恐らくこれは一国会で通ったのじゃないかと思うのです、よく調べておりませんけれども。恐らく三十八年の二月か三月に提案されて、簡単に通ったのじゃないですか。だから、それならば二年もかかるのはおかしいのじゃないか、こういうふうに言っているわけです。
#36
○中島政府委員 昭和三十八年の法律は、商号の仮登記の制度を新設したというだけではございませんで、このときに、従来非訟事件手続法に規定されておりました商業登記関係の条文を全部抜き出して、新しい法律をつくったわけでございます。したがいまして、いつごろからその準備をしておったものかわかりませんけれども、その途中においてたまたま三十六年の最高裁判所の判決があり、これも取り入れて三十八年の法律になった、こういういきさつのようでございます。
#37
○稲葉委員 途中で取り入れたのですか。そうすると、商業登記法の改正にそんなに準備期間がかかったのですか。いま言ったように昭和二十二年からずっとやっていたという意味ですか。その辺は重要な問題じゃありませんからいいですよ。この法案が付託になったのはいつか、これは後で委員部で調べればわかりますから、委員部に調べてもらいます。それはそんなにむずかしいことでもないと思いますが、いま言った東京瓦斯の事件だけで改正したような頭で質問しているから、そこで答えと質問が食い違ってしまっているわけですけれども、いずれにしても全部あなたの方で直したというのでしょう。全部直したというのだけれども、じゃ付託がいつごろなのかということで、その直したにしても、商業登記法というものはそんなにむずかしい法律ではないと思う。ことに、法制審議会にかければ長くなりますけれども、かけていないわけですから、事務局で簡単に――簡単にと言うと語弊があるかもわかりませんが、時間がかからないでできたのではなかろうかと思う。いつ付託になったのかということはこっちで調べますから、それを私の方は聞きたい、こう思っていただけの話です。
 しかし、この法律も、登記の抹消で裁判が長くかかったというわけですね。これは不正競争防止法一条一項二号、商法二十一条で登記の抹消はできたのではないですか。訴えは訴えとして、商法二十一条あるいは不正競争防止法に基づいて、そういうふうなことが明らかであるというふうなことで、ことに不正競争の目的が明らかだということになれば、ある程度立証しなければいけませんけれども、それによって断行の仮処分か何かで中央区の方の何とかという会社の抹消ができたのではないですか。そういう点はどういうふうになるのですか。本訴でやっていてうんと時間がかかった、だからそれだけじゃいけないから、そこで商業登記法を改正した、それじゃ足りないから今度また改正しよう、こういうことになってくるわけでしょう。だから、それは不正競争防止法なり商法二十一条に基づく仮処分、それもしかも不正競争の目的がはっきりしてくれば、断行の仮処分で抹消もできたのではないでしょうかと聞いているわけです。
#38
○中島政府委員 この場合に断行の仮処分が許されるかどうかというのは十分調べておりませんけれども、意思の陳述を命じてしまうという形になりますために、断行の仮処分は困難だという見解で、本訴の解決を待ったのではないかというふうに考えられます。
#39
○稲葉委員 断行の仮処分というのはなかなか許すべきではないし、余り許すと弊害がありますから、おっしゃるような形かもわかりませんけれども。
 そうすると、商法第十九条の登記の問題がありますね。「他人が登記シタル商号ハ同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為二之ヲ登記スルコトヲ得ズ」というふうに規定していますね。これはどういうふうな言葉で言ったら一番いいのかな。登記の排他力という言葉がいいのですか、独占力という言葉がいいのですか、どっちがいいのです、商法十九条は。
#40
○中島政府委員 独占力という言葉を使っておるのも見かけますし、あるいは排他的効力というような言葉を使っておるのも見かけるようでございます。
#41
○稲葉委員 商法第十九条の「他人が登記シタ」というところを「登記又ハ仮登記シタ」というふうに直せば、商業登記法はどういうふうに変わってくるわけですか。商業登記法のこの部分に対して改正というようなものは要らなくなるのですか。どうなんです、それは。
#42
○中島政府委員 現在の法律といたしましては、商法の十九条はこのままにしておきまして、商業登記法の三十九条「商号の仮登記は、第二十七条の規定の適用については、商号の登記とみなす。」こうありまして、商業登記法の二十七条というのは「類似商号登記の禁止」ということで、商法十九条とほぼ同趣旨の規定がございますので、その規定の適用については、商号の仮登記は商号の登記とみなす、こういう規定の置き方をいたしております。
#43
○稲葉委員 だから、あなたの方としては、商法の改正ということになると法制審議会へかかる、どうしても非常にめんどうくさいということで、それがこの商業登記法ならば法制審議会へかからなくて済むから、こういう考え方があってできるだけ商法をいじりたくない、それで商業登記法でいこう、こういうふうな考え方じゃないのですか。そういうふうになってきているのじゃないの。だから、ここの十九条は「他人が登記又ハ仮登記」とすればいいし、二十条も「商号ノ登記又ハ仮登記ヲ為シタル者ハ」、こうやればいいのじゃないでしょうか。そうなってくると、たとえば商法二十条だと、「商号ノ登記又ハ仮登記ヲ為シタル者ハ」云々というふうにはできないの。そうした場合にいまの商業登記法はどこが要らなくなるということになるのですか、あるいはそれはそれで残るのですか、どうなんですか。
    〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
#44
○中島政府委員 商号の仮登記という制度自体、そもそも商法には規定がございませんで、商業登記法に規定を置いているわけでございますので、私どもは、商号の仮登記に関する規定は、もっぱら商業登記法において処理すべきものという考え方で考えております。
#45
○稲葉委員 それはわかるのです。問題は、商法で商号の登記の制度があるわけでしょう。それなら商号の仮登記の制度も商法に置いたらいいじゃないかと聞いているのです。どうしてそういうふうにしないのですか。話はわかるよ。片方は手続法だ、仮登記の問題は手続法だというのでしょう。それならあなた、商号の登記の方も、手続法の方の商業登記法に載っけたらいいじゃないですか。商法から省いたらいいんじゃないの。これはどうなの。
#46
○中島政府委員 商号そのものにつきましては実体上の効力の問題もあろうかと思うわけでございまして、商業登記法についてはもっぱら登記法上の問題を規定しておる、こういう理解でございます。
#47
○稲葉委員 だから、商法で商号が規定してあるでしょう。そうすると、何か実体法上の効力があるのですか。どういう実体法上の効力があるのですか、商号について。商法に規定しなければならない理由というのはどこにあるのですか。実体法上の効力というのは、具体的にどういうことですか。
#48
○中島政府委員 たとえば、次に出てまいります二十条の差止請求あるいは損害賠償の請求というようなことになりますと、これは商号の実体法上の効力というようなことになろうかと思うわけでありまして、これを商業登記法で規定することは、理論的でないということになろうかと思います。
#49
○稲葉委員 そうすると、商号の登記と商号の仮登記とで法律上の効力の違うのは、主な点はどういう点が違うわけですか。
#50
○中島政府委員 商号の仮登記の効力につきましては、先ほど申しましたように、商業登記法の三十九条の関係で、一たん仮登記がされますと、それと同市町村内において同一営業のために他人が類似商号を登記することができないという効果が生ずるわけでございます。これはあくまでも登記法上の効果ということになるわけでありまして、商号の効力ということになりますと、その他にもあるわけであります。類似商号の登記をすることができないという効力ももちろんありますが、それに加えて、類似商号を使用する者に対して差止請求あるいは損害賠償の請求その他各般の効力が出てくるということであろうかと思います。
#51
○稲葉委員 私もよくわかりませんが、どこの国でも商号について仮登記という制度が、法系を全然別にしているところは別として、資本主義の国では商号についての仮登記という制度はどこでもあるわけですか。日本と違うわけですか。
#52
○中島政府委員 私どもの調査しておるところによりますと、諸外国ではいわゆる商号の仮登記という制度は見当たらないようであります。ただ、アメリカのイリノイ州の事業会社法というのを見てみますと、そこに名称の留保という制度があるようでありまして、これは会社を設立しようとする者が特定の名称を留保するための申請をいたしますと、申請が相当であれば六十日間その名称を留保してもらうことができるという制度があるようであります。
#53
○稲葉委員 イリノイ州の法律まで調べている。私の方がわかりませんから、現実にそれがいまどういうふうに作用しているかということ、それは調べなければわかりませんけれども、それは大した問題じゃありませんから、いいです。
 そうすると、商号の仮登記という制度なり何なりが外国にはなくて日本にだけあるというのは、どういう意味なんです。その理由はどこにあるわけですか。
#54
○中島政府委員 実際にどういうふうな実態のもとに商号が使われておるかということにつきましては、私ども、諸外国の実情については十分承知しておらないわけでありますので、どうしてこの商号の仮登記という制度が諸外国にないのかということについても十分わかりませんけれども、日本の場合は従来なかった制度でありまして、先ほど申し上げましたような東京瓦斯の事件その他、こういう制度の必要性というものがあって、それに対応する方法として考えられたのではないかというふうに思います。
#55
○稲葉委員 私の質問が、外国にはどうしてないのかという質問になったから、裏を返せばどうして日本にこういう制度があるのか、それはそれだけの必要性があるんだということになれば、たとえば総会屋なら総会屋というものが日本独特の制度だということになってくる、こういうふうに考えられるわけですが、そこで、総会屋の実態とかなんとかということについては、あなたの方に聞くよりも警察の方に聞くのが筋かと思いますが、いま約六千人いるというのでしょう。東京に約四千七、八百人いるのかな、そのうち二割くらいが暴力団関係で、また二割くらいがその絡みだというようなことがよく言われているわけですけれども、今度の十月一日からの商法の改正の中で、率直に言ってそれとは直接関係がないかもわかりませんけれども、いま問題となっているのは、省令の制定について各方面に意見を求めているわけですね。
 それについては特にディスクロージャーを中心として、営業報告書なら営業報告書に対して、会社がどこへどういう金を出したかということを明らかにしていけというふうなことはディスクロージャーの問題として商法の改正の中で取り入れて、そして附帯決議の中にも入っているはずですね。ところが、それについては法務省は、率直に言うと、ディスクロージャーを完全にやるということについては各方面からの、特に経団連なら経団連あたりから反対があって、余りやりたがらないというふうに聞こえるわけなんですけれども、そこは現状はどういうふうになっているわけですか。
#56
○中島政府委員 この問題につきましては、もともと商法改正を法制審議会の商法部会で御審議いただきました際に、省令改正の段階になればまた商法部会の御意見を伺って、それを尊重して省令制定をするということをお約束しているというふうないきさつもございます。また、いま御質問にもございましたように、国会審議の附帯決議におきまして、商法部会の意見を尊重して省令制定をしろという点も指摘されておるわけでございますので、私どもは、まず商法部会の結論を伺うということを考えておるわけでありますが、商法部会内部の意見が、ただいまおっしゃいましたように、やはりディスクロージャーを強化するという点では一致しておりますものの、その程度等につきましては必ずしも一致を見るに至っていないということでありまして、現在その辺の調整を図っていただいておりますので、商法部会のその結論を伺いまして省令制定をしたい、こういう段階でございます。
#57
○稲葉委員 十月一日からの施行に関連して、一番問題になっているのはいまの省令制定の問題ですね。これがディスクロージャーばかりではありませんけれども、結局骨抜きにされてしまうのではないか。ことに経団連は猛烈に反対しているでしょう。自民党にも働きかけて反対しているんじゃないですか、ディスクロージャーが余り広がることについては。これは会社の金がどこへ動いたか全部わかってしまうのでは困ってしまう、政治献金もできなくなるとかなんとかという理由をつけたのかっけないのか、そういうようなことで反対をしているということが新聞などにも報ぜられているので、ここら辺のところは十分注意をもって商法改正の本来の趣旨を全うするようにお骨折りを願いたい、こういうふうに思います。省令の問題ですから、僕らの方で立法府が口を入れる問題ではないかもわかりませんから……。
 そこで、さっきからあなたのお話を聞いていますと、この前の東京瓦斯事件のときの商号の仮登記の問題についても、何か非訟事件手続法の改正のときから、東京瓦斯の事件が起きる前にも商号の仮登記の方は検討されておったんだ、たまたまそういうのが起きたのでそこでやるようになったというふうにも聞こえるのですが、それはどうなんですか、本当のところは。本当のところと言っては悪いけれども、実際は東京瓦斯の事件が起きて、これは判決があったのはすぐ後ですから、それまで長い間あれしていますから。その間に、この事件が起きてから初めて商号の問題を商業登記法の改正の中に入れよう、こう考えたわけじゃないのですか。
#58
○中島政府委員 第三者が商号の専用権を乱用をして不当な利益を得るというような例は多くあったんだろうと思いますけれども、事柄の性質上、なかなか表に出ないということでありましたが、この東京瓦斯の事件を契機にしてそれが赤裸々な形で世間の知るところとなった、それが二十七、八年ごろから始まった事件でありまして、新聞などにも二つの東京瓦斯というようなことで非常に有名になりまして、それに対して何らかの手を打つべきではないかということであったんだろうと思います。したがいまして、直接のきっかけになったのはやはりこの事件であろうかというふうに思います。
#59
○稲葉委員 それはまた別な方向から考えるというと、同一の市町村ということで、東京の場合なんか区によって同一市町村ということを認定しているわけですね。だから、たとえばいま言ったように東京瓦斯が港区にあったわけでしょう。そして中央区にやろうとしたときに、中央区では先につくってしまったのでしょう。だから、それを何も一つの区というような狭いものに限定する必要はないんで、東京都なら東京都というふうに同一市町村というものを考えていけば、それは済むわけなんですよ。そういう改正はまだあなたの方としてはやりたがらない。なぜやりたがらないかというと、そうなってくるとまず法制審議会にかけなければならない。
 私の聞くのは、港区だとか中央区だとか、そういう区というものを同一市町村ということにしておる法律的な根拠が一つと、いつごろそれがそういうふうになったのか、それは交通だとか経済の状態が違ったときの問題であって、いまはそれをもっと広げて解釈して当然いいことではないか、私はこういうふうな理解をするわけですね。これが第二点。第三点、そういうようなことをするとなると、どこをどういうふうに直さなければいけないのか。そうなってくると、それは法制審議会にかけなければいけないというふうに説明を聞いているけれども、それは事実かどうかということですね。
#60
○中島政府委員 同一市町村内において商号の独占力、排他的効力を認めるというたてまえは、確かに明治時代に商法ができたときからの制度でありまして、そういう意味では当時の経済社会あるいは商人の営業の範囲というようなものを前提にしておるということになろうかと思います。これを改正するということになりますと、商法の十九条を中心とする法改正が必要でありますから、法制審議会の審議を必要とするということも御指摘のとおりであります。
 それでは、現在なおこの商号の排他的な効力の地域的な範囲を同一市町村内に限ることについての合理的な必要があるのかどうかという点でありますけれども、商号につきましては、一方においては商号選択自由の原則というのがございますので、この原則から申しますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲は狭い方がよいということになります。他方、商号が商人の営業の同一性を示すものであるという本来的な性質から申しますと、その商人の営業が及ぶ限りにおいて広く登記商号の排他的効力を認めるべきであるということにもなるわけであります。さらには、登記商号の排他的効力に抵触をする同一、類似の商号の登記申請をチェックするという登記所の事務処理体制から申しますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲が余りにも広くなり過ぎると、そのチェックは事実上実施不可能になってしまうというようなこともあるわけであります。
 以上のようなもろもろの点を総合的に考慮いたしまして、登記商号の排他的効力の地域的範囲を同一市町村内に限るということは、現在でもなお合理性があるというふうに考えております。
#61
○稲葉委員 だって、あなたの方は、このことについて商法の改正を法制審議会に諮問しておるわけでも何でもないですから、いまの段階では合理性があるというふうに答えるのはあたりまえの話なんで、合理性がないと答えたら商法を改正しなければならないから、法制審議会にかけなければならぬから、それはわかりますよね。わかるけれども、これは明治三十二年ですか、ずいぶん古いですね。
 それから、同一市町村というのは、また特例で東京都の場合はあれでしょう、政令都市や何かは別にやっているのですから、特例を外せば東京都は東京都一本になるんじゃないですか。そこはどういうふうになっているの、これは。この同一市町村ということについては、東京の場合は特別区ですか、区をもってあれするということは、何で決まっているんでしたっけ。
#62
○中島政府委員 御指摘の点は、商法中改正施行令の五条で決まっておるわけでございます。
#63
○稲葉委員 そうすると、施行令を改正するのは、やはり法制審議会にかけるのですか、どうなんですか。
#64
○中島政府委員 商法中改正法律施行法という法律のようであります。
 これを改正するのに法制審議会の審議を経由する必要があるかどうかというお尋ねもございますけれども、これはまあ別といたしまして……(稲葉委員「別にしないで、答えてくれなければだめだ」と呼ぶ)それはもう少し慎重に考えてみませんと、何とも申し上げられないわけでありますが、現在のところ、ほぼ各区ごとに先ほど申しました商業登記所というものが置かれておるわけでありまして、その区域等を考えますと、東京都におけるこの市町村の取り扱いとしては、各区ごとということが望ましいのであろうというふうに思います。
#65
○稲葉委員 いまのお話の中で、登記所という言葉が出てきますね。登記所というのは一体どこにあるのか。法務局というのはあるけれども、登記所というのは僕は見たことないんだけれども、どこにあるのですか。それから東京の場合、各区ごとに法務局はありますか。出張所なんかも全部あるのですか。どうなっているのですか。
#66
○中島政府委員 官庁としての名称は、法務局あるいは地方法務局、その支局、出張所ということになりますが、そのうちで特に登記を取り扱うという観点から、不動産登記法あるいは商業登記法上の用語としては、登記所という用語を使っておるわけでございます。
 それから、出張所の数でありますけれども、東京の場合はたしか三十二、三カ所の出張所があろうかと思うわけでありまして、それは二十三区及び都内の市等に、一市区一登記所ということが原則的な姿であろうかと思います。例外的に、たとえば渋谷の出張所は、従来渋谷と目黒、両区を管轄しておりましたけれども、最近、目黒出張所というのを独立させました。それから板橋の出張所というのには、従来板橋区と豊島区を管轄しておりましたけれども、最近、豊島出張所というものが独立をする、あるいはもうしたかもしれません、というような実態でございます。
#67
○稲葉委員 余りよけいなことばかり聞いていてもあれですけれども……。
 そこで、いまのは、登記法には確かに登記所というのはありますけれども、法務局というのは、その後の法律によってできたのでしょう。だから、登記所というのは法務局と読みかえるべき筋合いではないんでしょうか。読みかえるためには特別な法律がまた必要なんですか。どうなの、それは。
#68
○中島政府委員 官庁全体を指す場合には、法務局あるいは地方法務局というふうに呼びますけれども、そのうちで特に登記を扱う機関ということでは、登記所という呼び方になろうかと思います。ちょうど、裁判所が官庁としても裁判所と呼び、あるいは裁判体としても裁判所と呼ぶという場合と似ておるわけでありますが、裁判所の場合は同一の名称を使い、法務局と登記所の場合は名称が別になる、こういう関係であろうかと思います。
#69
○稲葉委員 いや、名称が別になるというか、法務局は登記以外のほかのこともやっているから、範囲が広いでしょう。だから、登記所というのは何なのか。登記所登記所と言うけれども、これは独立した役所なんですか。一体どういうことなんですか。まあ、これはいいですけれども。
 そこで、この登記の排他力の問題で、こういう説があるというのです。一つの説は、商法第十九条は商号登記の私法上の効力を決めた規定だという説と、それから、商法第十九条も商号登記の登記法上の効力を決めた規定であるという二つの説があると、こういうのですが、ちょっとこれは私よくわからないのですが、こういう二つの説があるのかどうかということと、二つの説は現実にどういうふうに違ってくるのですか。
#70
○中島政府委員 商法十九条の規定と商業登記法の二十七条の規定はほぼ同趣旨の内容となっておりますために、二つの条文の関係については学説上も両説あるわけでありまして、商業登記法二十七条は登記法上の効力を定めたものであるが、商法十九条については商業登記の私法上の効力を定めた規定であると解する説、これはただいまおっしゃいました私法上の効力説であろうかと思います。もう一つは、商業登記法二十七条と同様に商業登記の登記法上の効力を定めた規定であるというのが、登記法上の効力説というものであろうかと思います。
 前者、すなわち私法上の効力説では、商法十九条と商業登記法二十七条が重複して存在しておることから見れば、商法十九条は私法上の効力を定めたものと解すべきである、こういう見解のようであります。この見解によりますと、商法十九条によって本来であれば登記することのできない類似商号が、登記官の過誤によりあるいは形式的審査のゆえに受理された場合に、先に登記した商号権者が、この十九条を根拠にして後に登記した商号権者を被告としてその商号登記の抹消を請求する訴えを請求することができる、それによって抹消を申請することができるということになろうかと思います。
 後の説、すなわち登記法上の効力説は、十九条にそういう効力は否定するということになるわけでありまして、その理由としまして、十九条の規定の体裁がそういう私法上の効力を認めるような表現になってないじゃないかということでありますとか、あるいは、たとえ商号権者の同意があっても重ねて登記をすることができない。もし私法上の効力であるならば、先登記商号権者が同意をすれば重ねて登記をすることができるはずであるけれども、そういうような関係は認められないので、これは私法上の効力に関する規定ではないというふうに言う。あるいは十九条を私法上の効力に関する規定であるとすれば、十九条によって商号権者は同市町村内において絶対に他人の登記を排斥することができる、類似商号を排斥することができるが、商法二十条においては、差止請求ができるのは相手方に不正の目的があるということを必要とするという限定された場合に限られるわけで、そういうことでは十九条と二十条が矛盾した結果になるというようなことを根拠にするようであります。
 確かに両方の説にそれぞれ聞くべきところはあるわけでありますが、私どもとしては、現在の多数説、あるいは裁判例もそうでありますが、この登記法上の効力説という後の説がいいんじゃないかというふうに考えております。
#71
○稲葉委員 具体的な問題に入っていきたいと思うのですが、これは施行が十月一日ですね。そうすると、それまでの間はどうなっているのですか。それまでは自由なんですか。この法律で今度規定しようとすることは、総会屋か何かわかりませんけれども、それは自由にできるわけですか。
#72
○中島政府委員 それまでは従来どおりの状態が続くということになります。したがいまして、従来世間でやむを得ず行われておると言われております個人商号を登記することによって商号の確保を図っておく、あるいはペーパーカンパニーをつくって商号の保全を図っておくというようなことが、実際上は引き続き行われるというようなことにもなろうかと思っております。
#73
○稲葉委員 そうすると、この商号の仮登記の場合に、現行法の場合だと、本店の場合は、商号を仮登記する場合に一体どの程度の金がかかるわけですか。
#74
○中島政府委員 登録免許税が要りますが、これは大した金額ではなく一万円前後の金額ではなかったかと思います。ほかに、政令で定める供託金というものが必要になるわけでありますが、これが最初の六カ月は五万円であります。それ以後は半年あるいはそれの端数ごとに二万円ということであります。
#75
○稲葉委員 その供託というのは、どこへ供託してもいいということになっているようですね。そうすると、どこへ供託してもいいといういわゆる供託についての管轄の定めがない場合と、それから供託について管轄の定めが別のところである場合とあるのですか。どういうふうになっているのですか、これは。選挙の供託金なんかはどこでもいいわけですよ。それから、この場合もどこでもいいということになっているのでしょう。
 それでは、管轄の定めがあるというのはどういう場合で、どういう理由からですか。
#76
○中島政府委員 たとえば弁済供託などでありますと、債権者の住所地の供託所ということになろうかと思いますが、こういう場合は、供託書さえ出していただけばどこの供託所の供託であっても差し支えないということになろうかと思います。
 それから、先ほどの答弁を訂正させていただきますが、登録税は三万円ということであります。
#77
○稲葉委員 供託のことについては、管轄は、もちろん弁済供託の場合は、相手方の便利のために相手方の所在の法務局ということになりますね。仮処分なんかの場合でも、その裁判所のあれでなければいけないのですか。これはどういうふうになっているのですか。――いいよ、別にあれじゃないから。
 そこで、私がもう一つお聞きいたしたいのは、今度の改正の場合に「商号又は目的の変更をしようとするときは」「商号の仮登記を申請することができる」、こういうことですね。これは具体的には商号及び目的の変更という場合も含んでいるわけですか。「又は」だから当然含んでいると理解していいと思うのですが、そこはどうなっているのですか。条文ではどうなっているのですかね、これは。
#78
○中島政府委員 含んでおるという規定でございます。
#79
○稲葉委員 そうすると、目的の変更をしようとするときにどうして商号の仮登記が必要なんでしょうかね。その他一切付随事項ということで普通やっているのじゃないですか、商号の場合は。だから、別に目的をわざわざ変更しなくても、付加しなくてもいいんじゃないでしょうか。
#80
○中島政府委員 商号の独占力、排他的効力を決めるのは、目的によって枠がはめられるということでありますので、目的を変更することによってその商号が類似商号になる可能性が出てくるということであろうかと思います。
#81
○稲葉委員 私の言ったのは、会社の、何といいますか、商業登記簿に記載しておる会社のあれは何というのでしたか。定款の記載事項みたいなものがありますね。あれはその他付随する一切の事項と普通書いてあるのが多いですね。最後のところに書いてあるから、それとちょっと混同して聞いているかもわかりませんがね。
 いまあなたの言われたような例だと、具体的にはどういう場合がありますか。
#82
○中島政府委員 従来パンの製造販売を目的としておりました会社で甲という会社があるといたしますが、そうすると、やはり同じく甲という会社がありましても、それがパンの製造販売を目的としておりません場合には、類似商号にならないということになります。その会社が喫茶店営業をやっておるというふうにいたしますと、従来パンの製造販売のみを行っておりました会社が今度目的をふやして喫茶店営業をやるということになりますと、その目的を広げることによって類似商号になる、こういうことになろうかと思います。
#83
○稲葉委員 これは株式会社と有限会社を設立しようとする場合に限るのですか、あるいはその他の場合でも含むわけですか、そこはどうなっていますか。
#84
○中島政府委員 会社設立に係る商号の仮登記につきましては、株式会社と有限会社の設立の場合に限るわけでございます。
#85
○稲葉委員 その理由が、いま合名会社もないわけではないですね。三井はまだ合名会社かな。どうなったかな。いま変わったですか。三菱は合資会社だったんだけれども、これも変わったかな。合名会社も合資会社もまだあるわけでしょう。株式合資会社というのが昔あったけれども、いまはなくなりましたかな。そうすると、合名会社や合資会社の場合は、どうしてこれには該当しないということになるわけですか。
#86
○中島政府委員 現在新設されます会社の圧倒的多数は株式会社と有限会社でありまして、合名会社あるいは合資会社はごく少数であるということが一つございます。
 また、その設立手続を比較いたしましても、合名会社及び合資会社は、二人以上の社員となろうとする者が協議をして定款を作成して設立の登記をするということで、迅速に成立するわけでありますが、株式会社にあっては、定款の作成のほか、株主の募集などの複雑な手続が必要であります。その結果、設立の登記までに相当な期間がかかる、あるいは設立計画が世間に広く知れるところとなるというために、合名会社あるいは合資会社の場合とは違って、第三者から設立の妨害を受ける危険性がより大きく、また、有限会社の設立においても、この間の事情は株式会社と同様であります。
 こういうような事情を考慮いたしますと、株式会社及び有限会社を設立しようとする際に、あらかじめ商号を保全する方策を認めるべき必要性が特に大きいわけでありますので、この両会社に限って、設立の場合の商号の仮登記を認めることにした次第でございます。
#87
○稲葉委員 しかし、それは裏を返すと、ではある地区に、東京なら東京の地区、中央区でもいいですね、そこへ株式会社何々というところの会社は、商号は仮登記されるかもわからぬけれども、そこでは別の合名会社何々というのを総会屋がつくったら、それは構わないのですか。どうなんですか。株式会社と合名会社と全然違うでしょう。それはどうなっているのですか。どういうふうに取り締まることになるのですか。
#88
○中島政府委員 結局、類似商号かどうかということの判断になると思いますけれども、その際に、一方が株式会社であり、一方が合名会社であるということは、類似商号であるということの判断をすることの妨げにならないというふうに考えております。
#89
○稲葉委員 妨げにならなければ、どんどん総会屋はつくっちゃうんじゃないですか、そういうのを。そうじゃないの。そこで抜け道が出てくるんじゃないか。そういうふうに考えられるんじゃないですか。妨げになってできないというんなら話はわかるけれども、ならないというんじゃ、どんどんつくっちゃうですよ。手口を教えるようで悪いかもわからぬけれども、やろうと思ったらどんどんつくっちゃうんじゃないの。合名会社なり何なり、簡単にできるんだから。
#90
○中島政府委員 合名会社あるいは合資会社を設立しようとする者ということになりますと、商号の仮登記は許されないということになります。したがって、合名会社あるいは合資会社を実際に設立するということになるわけでありますが、それは従来どおりということになるわけでありまして、それにはやはり費用もかかり、手数もかかるわけでありますから、よほどそれが何らかの目的を達成できるという確かな見通しがなければやれないことであろうかというふうに考えます。
#91
○稲葉委員 いまのはちょっとおかしいんじゃないですか。株式会社何々というところで仮登記した、ほかの区に。そしたら合名会社何々と全く同じものをやっても類似商号にならないというんだったら、どんどんやりますよ、総会屋は。そんなの簡単でしょうが。金がかかると言うけれども、金なんかかからないですよ。どんな金がかかるのか。預け金でしょう。預け金だったら、預けておいて後から金を引き出しちゃってるでしょう、みんな現実には。定款を作成するぐらいの金がかかるかもわからぬけれども、そんなのわずかな金で、どんどんできるんじゃないですか、これは。ちょっとおかしいぞ、そこのところは。
#92
○中島政府委員 株式会社を設立しようとする者が商号の仮登記をしておきますと、その類似商号は重ねて登記できないということになります。したがいまして、合名会社なり合資会社なりがそれによって株式会社の設立を妨害するということは考えておらないということであります。
#93
○稲葉委員 逆じゃないの、それは。だって、株式会社というもので、また別のところでつくるというのでしょう。新しいところへ、中央区なら中央区でもいいや、そこへつくろうとするときに、それを今度は合名会社なら合名会社というものを、仮に仮登記した後でもつくれるんでしょう。類似商号じゃないと言うんだから、つくれるんじゃないの。類似商号ならつくれないかもわからぬけれども、類似商号じゃないと言うのだから、あなたの方では。それならつくれるんじゃないですか。合名会社と小さく書いておけばいい。名前だけ大きく書いたらいいのだから、同じものをつくるんじゃないですか。
#94
○中島政府委員 後でできます合名会社は類似商号になるという趣旨で申し上げております。片っ方が株式会社であり、片っ一方が合名会社であるということは、類似商号であるという判断をすることの妨げとならないと申し上げたのは、そういう意味であります。
#95
○稲葉委員 わかりました。私はちょっと勘違いをしておりました。どうも変だと思った。そうじゃないと、幾らでもできるものね。
 そこで、個人の場合はどうなんですか。個人の場合は、株式会社何々というのでやったものについて、個人でよくやっていますね、何々商店、こういう場合にも、これも類似商号になる、こういうふうに理解していい。これはあたりまえの話です。いいです。それはそういうふうに理解していい。わかりました。
 そうすると、いま一つのこの問題になったのは、たとえば前橋における前三何とかストアというのですか、ありましたけれども、あれは具体的な例があって、それが今度の法案をつくるようになった一つのきっかけであろう、こういうふうに聞いておるわけですけれども、前三何とか、呉服類か衣類か何かやっているところ、それは具体的にどういうことなんですか。
#96
○中島政府委員 ただいま御質問のような事例を私ども耳にいたしましたので調査をしてみたわけでありますけれども、商業登記簿その他からは、それらしい事例を発見することができないでおるというような状態でございます。
#97
○稲葉委員 それはそうですよ。だって、それは商業登記までいかなかったんだから。片っ方は商業登記までしようとしたんだけれどもいかなくて、そして金を前三何とかというのが払ったんじゃないですか。よく知りませんが、何千万円という金を払ったとか払わないとかいう説があるんですが、払って、そしてやめてもらった、こういうことでしょう。これは一つの刑事上の犯罪になる可能性も私はあるというふうに考えるのですが、これはあなたの方の所管じゃないからあれですが、それは登記簿上載ってませんよ、登記しなかったんですから。しようとしたところを、それを金を出してやめてもらったんじゃないですか。大売り出しか何かしようとしたところが、そこでぱっと同じようなものを、一問ぐらいの店舗をつくっちゃったんでしょう。それで非常に困っちゃったんで、そこで金を出して名前を買ったという形にするのかどうか、まだ登記してないから買った形になりませんけれども、やめてもらって、そして営業を継続した、こういうふうな事案でしょう。
 そういうふうなことが十月一日までにどんどん起きてくるんじゃないですかね。現実に考えられてくるんじゃないかと思いますがね。だから、十月一日ということにしないで、何も商法と一緒にする必要はないので、これは公布の日からということでいいんじゃないですか。こういうのはやるならやるでぱっとやらないと、その間いろいろなことを考え出してきますよ。それはこっちよりも彼らの方は必死ですから、いろいろなことを考えてきてやりますから、幾らでも抜け道が考えられてくるんじゃないですか。だから、これはどうして十月一日にしなければならぬ理由があるのです。公布の日からということにしたらいいんじゃないですか。
#98
○中島政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでありますけれども、今回の改正法律が通りました場合には、供託金の額を定める政令を定めなければならない、あるいは手続その他の細則を決めました商業登記規則の改正をしなければならないということがございますために、若干の時間的余裕をいただきたい。それから、そのために登記官等に新しい制度を十分に理解させまして、その処理に遺憾なきを期するというようなことも必要になってくるわけでありますので、十月一日に施行ということを考えておるわけでございます。
#99
○稲葉委員 そんな政令とか、それは金の額でしょう。そんなものはすぐにでも決められる。もうすでに政令なんかできているわけでしょう。規則なんかだって、そんなものすぐできるわけですから、当然こういう法案というものは日を置いちゃいけないのですよ。日を置くとろくなことはないのですよ、いろいろなことを考えるのだから。
 商法の施行でも、株主権の行使に関して金銭を供与しちゃいけないというところ、あの部分だけでも、本来は商法の改正中あそこだけでも早く施行するようなことが、いまになってみるとよかったんじゃないかということを私も考えてはいるのですけれども、ただ全体としての一つの商法改正ですから、あそこだけ早くするというわけにもいかぬということも確かにあると思うのですがね。
 あの法律が十月一日から施行される。あれは六カ月以下、三十万円以下の罰金か。そうすると、それについて総会屋なら総会屋というものがあの法律の施行に関連してどういう態度をとるというふうにあなたの方は考えておられるわけですか。いろいろ想定されますね。どういうふうな場面――場面と言うと語弊があるけれども、どういうふうなことを想定しておられますか。
#100
○中島政府委員 株主権の行使に関しないで金品を取るという方法をいろいろ考えるのではなかろうかと思うわけでありまして、その一つは、法案の審議の際にも問題になっておりましたように、あるいは雑誌の購読料、広告料というような名目で金を取るというようなことでありますけれども、そのうちの一つとして、この商号に絡んで活動をする、他人の商号の利用を先回りして妨害することによって金品を取るというようなことを考えるのではないだろうか、それに対する手当てとして今回の改正法を考えたということでございます。
#101
○稲葉委員 だから、考えられるのは、一つは自分の持っておる株券を買えと、こう来ますな。しかもそれを相当高い価格で買えというふうに来ることも考えられるし、あるいはもうやめてしまう人もいるだろうし、それから提案権まで持つだけの株をうんと取得しようということも考えられますね。あるいは質問権の問題。質問権は千株ですか、質問権ならわりあいに少ないかもわからぬけれども、そういうようなことがいろいろ考えられてくるわけですね。現にあるデパートでは、その議案の提案権をめぐって、株を取得しようとして総会屋がうんと動いているという話もあるわけですが、そうすると、十月一日までの間はほうりっ放しのような印象を受けるのですよ。そういうふうな妨害をされる。
 法律ができれば妨害をされないと言うのだけれども、法律ができるまでの間に、あなたの方で一体何をしようとするのか。あなたの方の所管でないかもわからないですよ。たとえばそれは警察の所管であるかもわからないし、あるいは刑事局の所管であるかもわからないし、どこの所管であるかわからぬけれども、そういう方面との連絡や何かは一体どういうふうにしようとしているのですか。
 私の言うのは、十月一日からはできても、これは抜け道がありますよ。その抜け道をここで教えるわけにもいかないし、あなたの方ではこういう抜け道がありますということを答えるわけにもいかぬから、それはまずいから、僕も考えられますけれども、それは別として、それまでの間は一体どうするのかということなんですよ。これはみんなどんどんやっちゃいますよ。だって東京の場合、各区でいいのでしょう。各区で簡単に会社がつくれるのです。ペーパーカンパニーが幾らでもつくれますよ。そういうことを具体的にどうしようとしているのか。そこが私は聞きたいわけなんですね。
 十月一日施行なら施行までの話ですよ。この法案自身に反対するのじゃないので、これは一歩前進というか、いいのですが、十月一日までのやっと、十月一日以後にもまたこれはいろいろな抜け道が出てくることは考えられる。それでまた後を追っかけていくことになるわけでしょうけれども、とりあえず十月一日までは一体どういうふうにしたらいいのか。ただ手をこまねいて待っているのかどうかということですよ。
#102
○中島政府委員 現在のところ、本店移転の場合については商号の仮登記というものがあるわけでありますが、商号の変更あるいは会社設立の場合の商号の保全につきましては、商号の仮登記という制度がございませんので、実際界においては、やむを得ず個人商号を登記しておく、あるいは自分でペーパーカンパニーを簡単につくれますために、それをつくって自分の使いたい商号を保全しておくというようなことが行われておるようでございます。それは決して好ましいことではないと思いますけれども、自衛上やむを得ないということで行われておるわけでありまして、十月一日までは必要に応じてそういった形が従来どおり続くのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#103
○稲葉委員 いま言われたのでは、ペーパーカンパニーは簡単につくれるというのでしょう。もうさっきの話では、何か簡単につくれないような話でしたよ。簡単につくれるというのだから、簡単につくれるということになれば、あなた、これは東京の場合は各区でやっているわけですから、そこに問題があるわけですよ。東京都は東京都を一つの市町村として見て、商業活動は一緒なんですから、そこで同一の商号が用いられないということにしていけば、東京の場合なんかはそういう弊害がだんだんそういう点でなくなるわけですよ。
 ところが、それについてはあなたの方はやりたがらないわけだ。なぜやりたがらないかと言えば、法制審議会にかけなければならないからです。商業登記法なら、これは法制審議会にかけないでいいからというふうなことでしょう。だから、そういうふうなことに一つ問題があるのですね。もうさっきから言っているように、一つあるということですね。
 それと、いま言ったように、これは十月一日までに各区ごとに総会屋がどんどんペーパーカンパニーや何かつくって、買えとやってくる可能性があるのじゃないですか。その場合に、一体それが恐喝になるのか強要になるのか、何になるのかわかりませんけれども、それに対処する方法というふうなものについては、これは民事局だけの仕事ではないわけですから、これはほかとの連絡、刑事局を通じて警察と連絡するとかなんとか、いろいろな方法がありますから、こういうふうなことについても十分考えておいてもらわなければ困るというのが私の言っていることなんですね。
 それから、もうさっき言った本店移転の登記は、これで仮登記ができるようになりましたね。実際にはこれはどうしているのですか。実際には本店移転の仮登記というものはどの程度行われているのですか。
#104
○中島政府委員 五十五年の数字でございますけれども、年間の申請件数が百二十六件というふうになっておりまして、そういう利用状況でございます。
#105
○稲葉委員 そうすると、その百二十六件というのは東京の場合がほとんど多いと思います、必ずしもそうでないかもわかりませんが。そうすると、各区ごとでなくて、東京都を、あるいは特別区なら特別区を一つの市町村と見れば、百二十六件というのはどうなっているのですか。うんと減ってくるのですか、ほとんどなくなってきますか。
#106
○中島政府委員 その数字は承知いたしておりませんけれども、商号の効力の地域的範囲を区ごとにするか、あるいは東京都全体として見るかという問題は、確かに、ただいま問題になっております商号の仮登記ということからだけ言えば、あるいは東京都というふうにした方が便利な面もあろうかと思いますけれども、もっと根本的に、商法の商号制度をどうするかということに影響をしてくるわけでありまして、私ども法制審議会にかけるということを少しもいとうものではございませんが、むしろ根本的に現在の制度を改めるだけの実質的な理由、各方面から考えて実質的な理由があるかどうかという問題であろうかと思うわけでありまして、私どもは現在のところ、まだ現在の制度が合理性がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
#107
○稲葉委員 その点については、もう経済情勢が、商法ができたのは明治三十二年でしょう、全然状況が違うわけです。そのころは東京に区なんてなかったはずです。もとの東京市ですね、あのころは、区はあったけれども非常に少なかったわけですが、非常に広がってきているわけですから、そういうことはそう固執しないで、もう直していいことではないかと思いますし、問題は、いま言ったような十月一日までのことですよ。十月一日になってからも、また彼らは彼らで抜け道を考えてくる。
 いろいろありますけれども、恐らく考えてくるのは、一つの方法としては、自分の持っている株を高く買えということになってくるんじゃないですか。それから、質問権なら質問権を確保し三質問権を確保してくれば、そこでいろいろやってきたときに金をもらうけれども、それは株主権の行使ではないように、だれも株主権の行使と関連するように帳簿に載っける人はいませんからね、そうでないような形に会社側でも細工をして金を出すという形がそこにできてくるんじゃないでしょうかね。その他議案の提案権の問題など、いろいろありますわね。大きなのはそっちへ動きますよ。そうでないのは、株を買えだとか、いま言った質問権の確保の中で、株主権の行使と関連ないような形で金をもらおうとか、あるいは賛助金をもらおうとか、いろいろな形になってくる。
 いまお話にもあったように、この総会屋というのは日本独特の制度なんですね。ということは、株主総会というものが非常に形骸化しているというところに問題があるわけですね。株主総会というものが本当に形骸化していて、五分か十分で終わらせることがいわゆる総務部の仕事、総務部長の仕事であって、将来の栄進の道であるというふうに理解されてきておるというところに問題がある。ほとんどの株主総会というものは、有名無実と言いますと語弊がありますが、そこでは論議されていない。同時にまた、少数株主というものの正当な質問権、提案権というものも、まあ提案権は今度あれになってくるかもわかりませんが、それについては十分保護しなければならない。聞く耳に対しては聞かないようにしておくという形を、いまの日本の株式会社制度というものはとっておる。こういうふうなことを私は考えておるわけです。これは前から商法の改正の中では問題になってきたわけですけれども、そこら辺のところをわれわれは十分考慮しなければいかぬと思う。
    〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、最初に話した不動産登記法の仮登記の問題なんですが、これはあなた方の管轄、まあ民事局長は全部管轄しなければいかぬだろうけれども、三課の管轄ですが、不動産登記法の二条の一項、これは非常に利用が少ないんですよ。これが本当の仮登記のはずなんですよ。これは裁判所を通じて普通やるわけでしょう。仮登記仮処分命令という形でやるんでしょう。ところが、二条の二項が非常に数が多くて、それが脱税や何かに、あるいは金融機関に変なふうに利用されておって、わけのわからないものがいっぱい出ているのですよ。これはちょっと見ても、何のための仮登記だか、わからないでしょう。それに対して民事局長は通達を出しているわけですよ。こういうふうな仮登記が出ても、それはたしか受けてはいけないという意味の通達を出しているはずですよ。これはよく研究しておいてください。
 ということは、そこで私が疑問に思いますのは、そうすると登記の形式的審査権の問題と実質的審査権に入る可能性があるわけですね。そこに問題が出てくるのではないか、こういうふうに私、思うのですね。これはあなたの方の所管ではない。民事局長の所管だけれども、あれは三課ですから、いずれ別の機会に三課の方の人に聞きたいと思っているのです。だから、二条の二項のいろいろな出ているものの実態を究明してほしいのですよ。古いのはあるのです。古いのはあるけれども、新しいのはないのです。新しいのは発表されておりませんから、昭和四十五年ごろかなんかのはありますけれども、その後のものはありませんから、これは十分研究しておいていただきたい、こういうふうに思います。
 これは両方発表しているのですよ。金融機関が発表し、同時に債務者が発表する。債務者がよく相談しに来るんだ。仮登記しておきましょうか、こうくるわけだね。仮登記しておくと財産の順位が保全されるから、後でいざというときに名義にすればいい。そのときには税金がかからない。そういうような形で財産逋脱の方法として利用されておるということですね。ここら辺のことについても三課を中心として実態を十分研究して究明しておいてもらいたい、こう思うのです。これは非常に弊害ありますよ。いま言った民事局長通達というのがたしか出ているはずですが、これはきょうのあれじゃないから詳しくあれしませんけれども、それは実質的審査権と形式的審査権の問題にも絡んでくるのではないか、私はこういうふうに思うものですから、聞いているわけです。
 この法案は、率直な話、賛成する法案ですから、この法案としてよくわかりますが、いま言っているのは、十月一日までのことと十月以降のこと。考えてくるからまた何か出てきますよ。後からまた追っかけて法律をつくるのでは、みっともなくてしようがないですよ。法務省の法案は全部そうなんだから。粉飾事件が起きるとすぐまた監査役の権限強化のあれ。全部そうなんだ。そんなことを質問するのはおかしいのだけれども、立法府はそれだけの力がないと言うと語弊があるが、力はあるのですけれどもその力を蓄えているということかな。
 まあここら辺にしておきます。一応終わります。――一応でなくて終わりましょう。
#108
○羽田野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時六分開議
#109
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。林百郎君。
#110
○林(百)委員 最初に、法務省にお聞きしたいのですが、この商業登記法の改正法案をこの時期に提案された理由、これは提案理由の説明やいろいろにもありますけれども、もう少しこれを具体的に、なぜいまこういう改正案を国会へ提案しなければならないのか、そこを説明願いたいと思います。
#111
○中島政府委員 御承知のように、現在の商業登記法は昭和三十九年四月一日から施行になっておるわけでありますが、その商業登記法の中に、本店移転の場合における商号の仮登記という制度が新設をざれたわけであります。その際に、今回問題になっておりますような商号変更の場合の商号の仮登記あるいは会社設立の場合の商号の仮登記ということも問題にはなったわけでありますけれども、将来の検討課題として残されたというような事情にありまして、その後、私ども民事局におきましても、それは絶えず頭の中にあったわけでありますけれども、昭和三十九年以来四十年代前半にかけまして、経済の高度成長の時代でございまして、会社の設立されるものも非常にふえてまいりました。適当な商号を確保するということがだんだん困難になってまいっておりまして、そういう間におきまして、実際界におきましても、商号をあらかじめ確保しておくために何らか適当な方向はないのだろうかということが、法務局の窓口におきまして、あるいは法務省民事局に対しまして、いろいろと御照会があったというような例もあったわけであります。
 私どもといたしましても、商号の仮登記の制度をそういった場合に広げるということを考えておったわけでありますけれども、何分にも、当時は商法の改正という大きな仕事がございまして、そちらの方に専念をいたしておったわけでありまして、昨年の国会におきまして商法改正が一段落をしたということであります。そこで、商業登記法の改正、商号の仮登記の制度の新設を考えた。あわせて、改正商法におきましていわゆる総会屋が活動の領域を狭められるというような事情もございますので、そういったものが商号制度を悪用して不当な利益を得ようとする動きもあるというふうに心配されますので、そういうものに対する手当てをするという意味をも含めまして、今回商業登記法の改正を準備した次第でございます。
#112
○林(百)委員 この商号の確保の必要性というのはどういうところから出てくるのですか。いまのあなたの説明だと、総会屋が何かそれを利用して不当な利得を得るような蠢動もこれありというような説明がありましたけれども、それが主な理由ですか。
#113
○中島政府委員 もともとは、商号として利用できる名称というものが無限のようでありますけれども、一定の数に限られておるというところが問題であろうかと思います。どの会社もあるいは商人も使いたいというような名称は一致するといいましょうか、似たようなものになってくるわけでありますから、商人がふえ、会社の数がふえてまいりますと、なかなか思うように自分の希望する商号を使えないというようなことになってまいります。何かいい名称を考えますと、その名称はすでに他人に使われておるというようなことになるわけでありまして、そういう希望が競合してくるということになります。でありますから、一つの商号を思いついた場合にはそれをあらかじめ確保しておく、あるいはその商号に変更しようという場合にはそれをあらかじめ保全しておくということが必要になるわけであります。それで、一面におきましてはこの制度を悪用するということが可能になってくるわけでありまして、そういう点を考えますと、商号の確保という面で必要な法律制度を創設する必要があるのではないかということでございます。
#114
○林(百)委員 商法十九条で類似性のものについてはこれを禁止されておるのですが、類似性の解釈の解釈権というのはだれが持っているのですか。
#115
○中島政府委員 第一次的に判断いたしますのは、商業登記の申請を受け付ける、あるいは会社の設立登記を受け付ける場合の登記官でございます。
#116
○林(百)委員 登記官は何かそういう基準を持っているわけですか。こういう場合は類似性である、こういう場合は類似性がない。そうでなければ、登記官の自分の判断で任意にすることができるわけなんですか。
#117
○中島政府委員 根拠といたしましては、同一あるいは判然区別することができないということが法律の条文に掲げてございますので、その条項の解釈として個々具体的な商号にそれを当てはめて判断をするということになるわけでありますが、その場合には登記官が専門的な立場で判断するのではなくて、一般通常人が取引をする上において混同、誤認を生じないように、二つの商号の間に判然と区別することができる違いがあるかどうかというものを考えるのだというふうに言われております。
 その要素といたしましては、文字の上で類似であるかどうか、あるいは発音の上で類似性があるかどうか、あるいは観念の上で類似性があるかどうかというような要素を総合的に考えて、かつその地域の特殊性というようなものをも加味して、そして考えるということになるわけでありますが、事柄は法律的な判断でありますので、終局的には裁判所で決着がつくというようなケースも出てまいります。あるいは登記官が処理を重ねるに従っていろいろと処理例というものが積み重なってまいりまして、その間におのずからなる一つの基準というものができ上がってきておるということになるわけでありまして、登記官は常々そういった裁判例あるいは行政先例というようなものを参考にいたして勉強いたしております。あるいは複数の登記官で互いに研究会を設けるというようなことで、平素から勉強をしておるわけでありますが、さらに具体的なケースにおきましては、その処理に迷うというようなことになりますと、法務省民事局に照会をするというようなこともいたしておるわけでございます。
#118
○林(百)委員 総会屋が悪用する可能性があるということなのですか。それとも、商法改正以来総会屋がこれを悪用している事例が出てきているので、それを法律的に規制しなければならないから、こういう提案をしたということですか。それはどちらですか。
#119
○中島政府委員 総会屋と言っていいかどうかわかりませんけれども、商号制度を悪用して不当に金品を取るというようなことは世間に行われておるというふうに、うわさとしては聞くわけでありますけれども、お金を現実に出した者もあるいはもらった者も、いずれもこれは陰で行うことでありますから、なかなか表面にあらわれにくいわけでありまして、その具体的な実例ということを承知はいたしておりません。
 ただ、むしろ逆に金を出さなかった場合に、法律的に解決をしたという場合に、それが表にあらわれましてわれわれが知るようになるわけでありまして、今回問題になっておりますいわゆる東京瓦斯の事件というようなものにおきましては、裁判所は、この新しい東京瓦斯株式会社が実は石炭ガスの製造販売をする設備も能力もないのにかかわらず、目的を変更し商号を変更したというような事実でありますとか、あるいはその新しい東京瓦斯株式会社の関係者が、今回の件では三千万円ぐらいの金が取れることになっておるというようなことを発言しておりました事実やら、そういう事実を認定をして、そして新しいこの東京瓦斯株式会社は不正な目的のもとに東京瓦斯という商号を使っておるのだという判断に達したようなわけであります。
 そういうことを考えてみますと、この商号制度を悪用するというおそれは非常に強い。先ほども申しましたように、活動の領域を狭められた総会屋がそちらの方に進出してくるという可能性と申しましょうか、おそれと申しましょうか、そういうものは非常に強いものがあるので、今回それに対する手当てが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
#120
○林(百)委員 暴力団を専門にいろいろその取り締まりのために検討されている警察庁にお聞きしますが、そういう事例は警察庁の方では具体的につかんでおりますか。たとえばこういう事例がある、こういう事例があると。
#121
○関口説明員 お答えいたします。
 最近、いわゆる総会屋等の動きでございますが、きわめて多様化していると申しますか、資金源獲得のためにいろいろな活動をしているわけでございますが、ただいまお尋ねのような件につきましては、現在まで総会屋がそのような動きをしているという状況は把握しておりません。
#122
○林(百)委員 そうすると、民事局の方は、そういう心配がある、だからいま事前に手を打っておくということなんでしょうか。警察庁の方ではまだ具体的にそういう事例はつかんでおらないと言うのですが、そう聞いておいていいでしょうか。
#123
○中島政府委員 それが犯罪になるかどうかということは、私ども自信がないわけでありまして、警察の問題になるかどうかということは別といたしまして、私どもが商業登記の実務を処理しておる担当者から聞いてみますと、具体的な事件として非常に困っておられるケースをしばしば耳にするわけであります。現在は商号の仮登記という制度が本店移転の場合にしか認められておりませんので、会社設立の場合あるいは商号変更の場合におきましては、個人の商号を仮に登記しておく、あるいはいわゆるペーパーカンパニーをつくることによって商号の保全を図るということが実際界においてはかなり広く行われておるわけでありまして、そのことはとりもなおさず、そういう手段をとっておかなければ第三者に商号の使用を妨害されて、そしてお金の問題に発展をするということを雄弁に物語っていることではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 今回、私どもは、そういう商号の登記の制度を利用したりあるいはペーパーカンパニーの制度を利用したりして商号を保全する方法は、これは現在のところではやむを得ないこととは言いながら、やや脱法的な方法であるということ、それから、そういう方法で商号の保全を図るということは、営業の実態がないわけでありますから、第三者から使用差止めの請求を受けたりなどいたしまして、商号保全の方法として十分な方法とは言えないということから、法律に正規の方法として商号の仮登記という制度を設けようということでございます。
#124
○林(百)委員 民事局が事前に総会屋の手を縛るためにこういう制度を設けること自体、私、決して反対しているわけじゃありませんが、ただ、実際こういう被害が相当実在しているというのと、実在はしないけれども事前にこういう手を打っておかないとそういう商法改正の後の総会屋の動きからいって憂慮すべき事態が考えられるからというのとはちょっと違いますので、ちょっとそこを正確にしようと思って聞いたわけなんです。
 そこで、この仮登記の期限を一年にしたということですね。一年六カ月か一年三カ月、それならいいのですか。要するに一年としたのはどういうのですか。何か根拠があるのですか。
#125
○中島政府委員 商号の仮登記という制度は、現実にその商号を使っていないにもかかわらず、その商号の専用権というものを確保しておくことができるという非常に強力な権利でございます。一方、第三者からいいますと、その商号を自分も使いたい、ところが商号の仮登記がしてあるために使えないということで、第三者の商号選択自由の原則を非常に制限するということでありますから、商号の仮登記の制度というものは必要最小限度に認めればよい、むしろ必要最小限度にしか認めてはならないものであろうかと考えるわけであります。
 そのためには、商号の仮登記をするためには供託金を積まなければならない。あるいは、一たん商号の仮登記をいたしましてもそれが余りに長期間にわたって効力を保つということではぐあいが悪いわけでありますから、できるだけ有効期間を短くしなければならないというふうに考えるわけでありまして、今回新設を予定しております商号変更の場合の商号の仮登記あるいは会社設立の場合の商号の仮登記につきましては、予定期間を一年も見ておけば十分であろう。会社設立の場合に、株式会社にいたしましても有限会社にいたしましても、一年以上かからなければならないという事例はちょっと考えられませんので、それで一年ということにしたわけでございます。
#126
○林(百)委員 局長も御承知のとおり、商業登記法の二十四条には、登記の申請を却下すべき場合が列記してありますね。これを援用して、いま局長が心配されるような総会屋が不法な利益を得る目的で登記を申請したような場合、そういう事態がわかる場合、あるいは陰でそういう金をゆすっているような場合は、これを却下するなり取り消すなり、そういう措置が現行法ではできませんか。
#127
○中島政府委員 登記官の審査権は、御承知のように形式的審査権でございますから、すでに類似の商号が登記されております場合には、商業登記法の二十七条を適用いたしまして、ただいま御指摘の商業登記法の二十四条十三号によって却下をするということになりますが、先に類似商号が登記されていない場合には、その登記を受理するということになります。したがいまして、その後で類似商号の申請が出てきた場合には、二十四条の十三号によりましてそちらの方が却下されることになるわけであります。
#128
○林(百)委員 そういう不法な目的で申請をした場合はこれを却下することができるというたてまえに商業登記法の二十四条はなっておりますので、そういう不法な意図を持って登記の申請をしようとする者に対しては、二十四条十三号、二十七条、これが全然活用できないのですか。
#129
○中島政府委員 二十七条は、商法十九条と同趣旨の規定でございますけれども、「商号の登記は、同市町村内においては、同一の営業のため他人が登記したものと判然区別することができないときは、することができない。」とありまして、その場合に審査の対象になりますのは、すでに登記されておる商号と判然区別することができるかできないかという点だけでございます。新たに商号の登記の申請をしてきた者あるいは会社の設立登記の申請をしてきた者が使用しております商号が実は不正の目的のものであるかどうかという点は、法律上も審査の対象には入ってまいりませんし、登記官の審査権ということから申しましても、審査の対象にはならない事項であるというふうに考えます。
#130
○林(百)委員 局長が、登記官の審査権を形式的審査権、実質的な審査権はないという立場からそういう説明をされるとするならば、そういうようにお聞きしておきます。
 そこで、警察庁にお聞きしますが、先ほどから法務省の方では、商法改正によって総会屋が蠢動する余地が狭まってきたので、こういう形で知能的な企業からの入金を意図する、そういう方向があるのではないかと心配をしているわけですけれども、警察庁の方では、商法が改正され、総会屋についてある程度手が縛られた後の総会屋なりあるいは暴力団内部の動きというのは、何か新しい動きがありますか。
#131
○関口説明員 お答えいたします。
 商法改正後におきまする総会屋の動向でございますけれども、私ども総会屋を取り締まる立場といたしまして、きわめて強い関心を持ちながらその実態把握に努めているところでございます。
 お尋ねの総会屋の最近の動きということでございますけれども、改正商法が施行になりますと、株主権を盾に活動いたしますれば検挙されるということで、総会屋を廃業しようとする動きがございます。
 ただ、反面におきましては、悪知恵を働かせまして脱法的に動こうというふうな面も見られるわけでございまして、その幾つかの例を申し上げますと、一つには、いわゆるブラックジャーナルというものへの転向ということでございまして、新聞なりあるいは雑誌等を出版いたしまして、企業から購読料なりあるいは広告料なりということで収入を得ようというふうな動きが一つ見られます。それからまた、政治団体を標榜すると申しますか、そうした形で、政治献金を名目に企業から賛助金を得ようというふうな傾向も見られますし、さらにはまた、表面上は総会屋を廃業する、副業といたしまして、たとえば保険代理店とかあるいはビルの管理会社とかいうものを経営をいたしまして、従来からの企業とのつながりをてこにいたしまして企業から収入を得るというふうな、そうした動きも幾つか見られるところでございます。
#132
○林(百)委員 マスコミなどの伝えるところによりますと、総会屋は全国で約六千人、そのうち東京に八〇%があり、暴力団は二〇%、暴力団絡みが四〇%、総会屋の六〇%が暴力団絡みだというようにマスコミなどで伝えております。したがって、総会屋を一掃するにはどうしても警察力で暴力団を壊滅するということが非常に重要なことだと思うわけです。
 そこで、いま警察庁で右翼団体が七百あると言われていますが、そのうち六割の四百が政治団体の届け出をしていると言われています。自治省や県の管轄に届けているのが二百団体。昭和五十五年の収支報告によりますと、収入は十五億四千万円。たとえばこれを昭和五十一年度に比較しますと、五年間で約三倍に、総会屋、暴力団からの転向右翼の資金源がそのようにふえているわけですが、その寄附金の大部分は企業から集めたものだ。事業収入などは二割から四割で、これも寄附金同様の、いま説明されました企業を対象とした機関紙誌の広告料、購読料などで、結局収入の八〇%前後が企業からの寄附金だということになっているわけです。
 新聞紙上でも、企業の幹部は、企業はトラブルに弱い、内部や外部とのもめごとを書くと言われたり、自宅まで電話をかけられてきたりすると、金で片づけたくなる、その後ずるずるおつき合いしていくというようなことで、最終的に責任を持ってくれるわけでないから、よほどのことがない限り警察に届けないと言っている。このような脅迫行為をすることは明らかなんで、こういう暴力団の資金源は圧倒的に企業である。そうしてしかも、最後は警察が責任を持ってくれないからと企業家は言っている。暴力団にさまざまな名目で金を渡して、警察にも届けない。これでは企業が暴力団の資金源とならないどころか、ますますふえる一方ということになるわけですけれども、こういう事実は警察庁では把握されているんでしょうか。
 要するに、暴力団の資金源のほとんどは企業から集められておる。今度の商業登記法の改正も、その一助として法務省が考えた方法でしょうけれども、もっと直接的に取り締まりをする警察庁としては、こういう嫌がらせをして企業から八〇%以上収入を集めてくるということに対しては、どういう措置を打っておられるのでしょうか。
#133
○関口説明員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のように、総会屋は昨年末現在で六千二、三百ぐらいということを私ども把握しております。
 それでは、彼らがどの程度の収入を得ているかということでございますけれども、数年前に私ども、これはまことに推計でございますけれども、総会屋、暴力団等がどの程度の収入を得ているかということを試算をいたしたことがございます。当時で一人年間約一千万ぐらいの収入を得ているのではないかというふうな試算をいたしたわけでございますが、そうしてみますと、約六百億ぐらいの金を得ているというふうな推計が成り立つわけでございます。
 それでは、その六百億をどこから得ているかというふうなことでございますけれども、総会屋の場合でございますと、その多くは企業からの賛助金あるいは雑誌の購読料等によるものかと思うわけでございます。
 私ども警察といたしましては、この総会屋の取り締まりにつきまして一番御協力を仰がなければならぬのは企業でございまして、企業が恐喝等の被害に遭った場合等につきましては、極力その被害届を出すようにということで、全国に企業防衛組織というふうな形のものがございますが、そうしたところ等を通じまして、協力と申しますか、そうしたものを呼びかけているという状況でございます。
#134
○林(百)委員 暴力団の問題について、私、先般当委員会でも質問をしたことがあるのですけれども、全国的な広域暴力団の日本で最大なものだと言われる山口組の跡目相続と言われる山本健一が、二月四日に死亡をしておるわけです。これは暴力団の世界では重大な跡目相続に絡んでの事態が発生したものだと思いますが、同時にまた、警察の側としては、この際山口組を壊滅をするには絶好の機会でもあるというように思います。このことについて、その後山口組の山本健一の死亡と跡目相続の問題と、それに絡んで、警察もここで言えることと言えないこととありますから、何もかもみんな言えとは申しませんけれども、どんな対策をお考えになっているのですか。
 私が警察にこれを聞くのは、警察は相当暴力団については専門的な研究もされておりますし、いろいろ組織的な関係もよく知っておりますので、ここで事情を聞き、さらにそういう点では警察が一層努力することをわれわれも期待をいたしますのでここで質問をしているわけですから、ここで答弁のできる範囲のことをぜひ答弁してもらいたいと思います。
#135
○関口説明員 お答えいたします。
 警察は、かねてから山口組に対しまして、その組織の分断、解体ということを目標に、鋭意取り締まりを進めてまいっておるところでございます。
 山口組におきましては、ただいま御指摘のとおり、昨年に三代目の組長の田岡が死亡し、ことしに入りましてからナンバーツーと称せられる山本健一が死亡する事態に至りまして、現在、いわゆる跡目相続をめぐりまして幹部及び傘下の組織の間でさまざまな思惑が生まれまして、混迷の度を深めているというのが実態ではないかと思います。
 警察といたしましては、この機会に一気に山口組を解体をするということで、関係府県が総力を挙げまして、山口組及び関係団体の動向等に注目をいたしますとともに、山口組の主要幹部を中心といたしました犯罪をできる限り多く摘発をいたし、それとともに資金源の解明、そしてこれの封圧、あるいは武器の押収等を強力に行いまして、山口組に致命的な打撃を与え、壊滅に向かわせるということで努力をしているところでございます。
#136
○林(百)委員 国税庁にお尋ねいたします。
 私がこの前質問をした際、暴力団の山口組の田岡組長の葬儀について香典名儀で義理返しが行われる。それがもうすでに田岡家の葬儀も済み、そしていわゆる社会的な葬儀と称するものは済んでおるのに、跡目をも含めて田岡組長の葬儀が行われて、そこで莫大な義理返しが行われた。それは当然そういう不当な金員であるから、いわゆる通常の儀礼的な金員とは認めることができないから、わかり次第、これについては税金を賦課する意思だということで、警察もそれなりにそういう不当な義理返しが行われるかどうかについてはそれぞれの手当てもしたようですけれども、彼らもさるものでありますから、そうやすやすと警察の手に乗るような、そういう義理返しの現ナマをふところの中へ手厚く持ってくるようなこともなかったと思いますので、警察も非常に苦労はしたけれども、なかなかつかめなかった。しかし、国税庁はそういうことについての調査をする権限があるわけなんですから、それについて調査をしたのか、また、確定申告の時期でもありますし、それに対して課税についての配慮をしたのかどうか、その点を説明願いたいと思うのです。
#137
○入江説明員 お答えいたします。
 新聞あるいは週刊誌その他でそのようないろいろな情報が行われているということはわれわれも存じておりますが、先生御承知のとおり、本件のようなケースにつきまして真実を追求することは、一般の同種のケースに比べまして格段に困難が伴うわけでございます。
 先般、先生にいろいろお答えを申し上げました後、現地国税局におきましても、県の警察当局と密接な連絡のもとに事情の解明をすべく努めてきておりますけれども、現在のところ、山口組の組葬と称するものにおきまして、どのような性格の金品がどのくらいの金額、だれからだれに手渡されたか等のいわば課税関係を判断する基礎になります事実が、依然として十分つかめないというのが現状でございます。
 ただ、課税すべき所得がありますときに適正に課税するというのは国税当局の使命である、これは何回も申し上げておるとおりでありまして、この香典と称するものの行方につきましては重大な関心を持っておりますので、今後とも警察当局との協力のもとで、引き続き資料、情報の収集に努め、課税すべき事実が見出せれば、適正、厳正に処理をいたしたいと思っております。
 なお、御承知のとおり、税務判断の基礎になりますものは、いわゆるいろいろな課税資料、情報でございます。その中に納税者の申告というものも重大な契機の一つとしてあることは御承知のとおりでございまして、五十六年分の所得税の確定申告期、去る三月十五日終わりました。こういうことも踏まえまして今後一層努めてまいりたい、このように思っております。
#138
○林(百)委員 これは警察に聞いても、警察もなかなかむずかしいと思うのですが、警察は、推定としてこのとき義理返しとして動いた金はどのくらいとお考えになっているでしょうか。そして国税庁は、警察と連絡して事実の把握に努力する努力すると言っていますけれども、その後国税庁と警察との間ではそういう連絡が相互になされているんでしょうか。ここでそういう答弁をするだけで、実際は行われてないんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。警察の方へお聞きします。
#139
○関口説明員 お答えいたします。
 ただいまお尋ねの田岡の山口組組葬の香典の問題でございますけれども、ただいまも国税当局からも御説明ございましたけれども、新聞等ではいろいろなことが取りざたされているわけでございますが、私ども警察としましては、確実にこれを把握しているという状況にはございません。しかしながら、私どもは、その暴力団の資金源の解明という立場から国税当局ともいろいろと御相談をさせていただいているわけでございまして、現地兵庫県警におきまして、国税の関係向きと緊密な連絡をとらせていただいているところでございます。
#140
○林(百)委員 そうすると、警察庁としては、いわゆる義理返しと言うのですか、それぞれの言う言葉があると思いますが、このときにやりとりされた金銭については、真相を把握するために現地の兵庫県警にも十分捜査をさせておる、そしてなお、それは国税庁とも連絡をとっておる、こう聞いておいていいでしょうか。
#141
○関口説明員 お答えいたします。
 この手の香典等の問題でございますけれども、暴力団の社会でいわゆる義理かけと称しているようでございます。いずれにいたしましても、私どもとして、先生御指摘のように十分に関係の向きと連絡をとりながらその実態解明に努めまして、暴力団が仮にもその課税等から逃れるということのないようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
#142
○林(百)委員 続いてお尋ねいたしますが、実は、四月二十七日とマスコミには出ておるようですが、亡くなった山本健一についての山口組の組葬が田岡の未亡人が葬儀委員長になって行われるというふうに聞いておりますが、そういう情報は警察ではつかんでおりますか。
#143
○関口説明員 お答えいたします。
 いわゆる山健、山本健一の山口組組葬でございますけれども、私ども情報として把握しているところでは、四月二十七日に、神戸の田岡宅、山口組本家と称するところでございますが、そこにある空き地で行われる予定ということでございます。
#144
○林(百)委員 それに対してはどういう対策を考えられているのですか。そのままやらせておくということでしょうか。
#145
○関口説明員 お答えいたします。
 警察といたしましては、この葬儀自体が違法行為だと言うわけにはいきませんけれども、多くの暴力団がこの葬儀に参加するということで近隣の住民等に与える不安感等も勘案をいたしまして、葬儀を中止するように強い警告措置をもって対処してまいりたいと思いますけれども、これが強行されたような場合には、昨年の田岡組長の組葬のときと同様、検問等を含めまして厳しい規制措置を講じてまいりたい、かように考えております。
#146
○林(百)委員 時間が参りましたので、大臣にお聞きしますが、いままでこの商業登記法の改正に絡んで、総会屋、そして総会屋の実質的には八〇%が暴力団が絡んでおるという問題から、暴力団の一掃と平和な社会秩序の維持の問題について、警察が非常に熱心にこの点を研究もしておりますし、努力もしておりますので質問したわけですけれども、これは法務省としましても、やはり警察を指揮、監督、激励するなりして、こういう暴力団――ことに暴力団の財源は企業からの献金とも言いましたけれども、さらには、これは三月十七日のある新聞に出ているのですが、覚せい剤約四四・一%、四千五百七十九億円、警察庁調べ、五十五年末、こういう大きな金が動いているということが出ております。暴力団の年間推計総収入一兆三百七十六億円のうち、覚せい剤が四千五百七十九億円、四四・一%という数字が出ているわけです。
 これは法務省としても捨ておきがたいことでして、ことに、このために善良な社会人が非常に残酷な目に遭い、また不安に駆られ、社会秩序が乱れておりますので、厳重な取り締まりをし、警察当局と一体となって、一日も早くこういう暴力団の壊滅のために全力を尽くされたいというように私は希望するところですが、最後に大臣の決意のほどをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#147
○坂田国務大臣 ただいま林委員からるるお尋ねがございまして、総会屋の動き、その背後に暴力団が介在をするというようなことでございますが、当面、この改正商法によって新設されました四百九十七条の罪は、株主の権利の行使に関し会社の計算において財産上の利益を人に供与した取締役等とその利益を受けた者を処罰するということによって、いわゆる総会屋に対する財産上の利益の提供を封じようとするものでございますので、検察当局といたしましては、右の立法趣旨を十分考慮いたしまして、警察当局と密接な連絡をとりつつ、この規定に違反する行為に対しましては適正に対処する所存でございます。
#148
○林(百)委員 終わります。
#149
○羽田野委員長 安藤巖君。
#150
○安藤委員 先ほど林委員の方からもちょっと質問がありましたけれども、本登記にしろ仮登記にしろ、問題となる類似商号ですね。発音上あるいは文字の上からあるいは観念上、類似の基準みたいなのがあるのですが、先例なんか見ても非常にわかりにくいですね。これが基準だというものがどうもない。
 これは後で要望したいと思いますが、何も民事局長をメンタルテストをするわけじゃないですけれども、ちょっと一遍、類似かどうかという点についてお答えいただきたいと思うのです。これは先例集ですが、それを見たらだめですよ。見たら何にもならぬです。たとえば卸売業・小売業関係で「株式会社北海道産商」と「北海産商株式会社」、これは類似しておるのか類似してないのかということですが、どう思いますか。
#151
○中島政府委員 私も二、三日前にそれを見たわけでありますが、先例では類似しておらないということになっておったかと思います。
#152
○安藤委員 そうですね。ところが、照会局の意見は、類似しておるということで照会しておるわけです。
 さっきの質問はまずったですね。もうちょっと忘れたようなやつの方がいいですね。これはどうですか。「秋田トヨタ自動車株式会社」、「トヨタオート秋田株式会社」。
#153
○中島政府委員 類似しておらないという結論になっておったかと思います。
#154
○安藤委員 記憶力いいな。これは照会局の意見もそうですね。
 もうちょっとむずかしいやつがいいな。カンニングしちゃだめですよ。「有限会社仙台タイププリント社」、「株式会社仙台プリント」。
#155
○中島政府委員 これは私、記憶ございませんけれども、類似しておるということではないかと思います。
#156
○安藤委員 これは類似していないということになっておるわけですね。しかし、照会局の方は、類似しているということで照会しているわけです。
 そう幾つもあれですが、「有限会社青函建設」、「株式会社青函観光建設」。
#157
○中島政府委員 類似しておらないということではないかと思います。
#158
○安藤委員 これは本庁の考えは類似している、そして照会局の意見は類似しておらない、こういうことですね。
 もう一つだけ挙げます。「浅虫観光タクシー株式会社」、青森県ですね、それと「株式会社浅虫タクシー」。
#159
○中島政府委員 類似していると思います。
#160
○安藤委員 いまは合っております、両方とも。
 これはいま二つほど記憶を喚起されなかったのか、判断上なのかよくわかりませんが、食い違っている場合があるわけですね。私もこれを見まして、これはむずかしいなと思いましたね。基準といったってこれまたむずかしいだろうと思うのですね。
 そこで大臣、いまお聞きのように非常にこれはむずかしいので、今度仮登記の制度が拡大されるということになったのですが、現場の窓口の登記官は非常に苦労されると思うのです。基準云々のことまでは私もむずかしいと思うのですが、今度法改正されるということとも関連して、いろいろこれから議論をされるのではないかと思いますけれども、何とか仕事がもっとスムーズに、余り頭を痛めないでやれるような方法というのを一遍考えていただく必要があるんじゃないかと思うのです。その辺どうですか。
#161
○中島政府委員 確かに、他と判然区別することができるかどうかという条文の解釈の問題でございますので、人によって若干の判断の差が出てくる。これはちょうど、商号の類似性が裁判で問題になることもありますけれども、一審と二審とで結論が異なるというようなこともあり得ると同じようなことではなかろうかと思うわけでありますが、余りにその判断が区々になっては、制度の趣旨からいって困るわけでありまして、その間に区々にならないようにということで、先ほど申し上げましたように登記官はいろいろ苦労いたしておるようでございます。
 したがいまして、いろいろな先例、裁判例というようなものも積み重ねられてきておるわけでありまして、それについてのいろいろな研究の成果というようなものもできております。「類似商号に関する実証的研究」というような本も見たことがございますし、そこに先生お持ちになっておりますのは「類似商号の理論と実務」ですか、そういう研究であったかと思いますけれども、そういうものに先例なり裁判例なりを網羅的に取り上げまして、そしてそこに実務の処理の資料としておるということでございますが、それでもやはり判断は個別的、具体的なものについての結論ということになりますので、登記官が判断に困りました場合には本省民事局に照会をするというような制度も設けておるわけでございまして、さらにいろいろと登記官の苦労を軽減をし、そしてその区々たることを防止する方法をいろいろ工夫してみたいと思いますけれども、これは形式的な基準をつくるというような問題でもございませんので、大変むずかしい問題であろうかと考えております。
#162
○安藤委員 大変むずかしい問題だと思うのですが、先ほど私が要望いたしましたようなことで御配慮をいただきたいと思います。
 それから、これは午前中にちょっと質問がありましたが、合名、合資会社を設立する場合の仮登記制度、今度の改正案の中に入っていない問題ですが、やはりこれは合名、合資会社設立については不公平になるのではないかと思うのですね。たとえば私が安藤自動車合名会社というのをつくろうと思って仮登記をしようと思っても、仮登記の制度がないわけです。ところが、これは悪意でないにしても、ある安藤さんという人がほかにおりまして安藤自動車株式会社というのを仮登記してしまったということになると、そういう制度がないために、私が安藤自動車合名会社あるいは合資会社、そういう名前の会社を設立できないという不合理が出てくるのではないかと思うのですが、その辺については何かお考えにならなかったのですか。
#163
○中島政府委員 この点は午前中も申し上げたところでございますけれども、まず、合名会社なり合資会社なりというものの設立が非常に数が少ないという点が一つございます。それから、設立の手続が比較的簡単で、そしてそれが外部に漏れるおそれがない、少ないということが株式会社なり有限会社とは大いに違うところでございます。でありますから、今回の場合、合名会社なり合資会社についてまで設立の場合の商号の仮登記という制度を広げる必要はないのではないかということで、ただいまのような法案になったわけでありますけれども、理論的に考えますと、合名会社なり合資会社についても、設立の場合に商号の仮登記ができないという問題ではないわけでありますから、今回の改正法施行の実績をも見ながら将来の検討課題にさせていただきたいと考えております。
#164
○安藤委員 外部に漏れないということはおっしゃるとおりかもしれませんが、先ほど私が言ったのは、漏れる漏れないの問題ではなくて、たまたま偶然かち合ったという場合に、そういう制度がないために仮登記で早く自分の商号を確保しておくということが合名、合資会社にはできないという点、やはりいまおっしゃったように検討課題にしていただきたいということを要望させていただきます。
 ところで、基本的な話をお尋ねするのですが、商業法人登記、会社が登記する場合の話ですから法人登記というふうに申し上げますが、その制度の趣旨というものは一体どういうところにあるのですか。
#165
○中島政府委員 商業登記と一口に申しますけれども、会社あるいは会社以外の商人、個人の商人に関する一定の事項を商業登記簿という公の帳簿に記載しておきまして、これによってその商人と取引をする相手方が不測の損害をこうむることのないように取引の安全と円滑を図り、あわせて商人自身の信用の保持に役立てることを目的としている制度であるというふうに理解をしております。
#166
○安藤委員 ですから、平たく言えば、こういう会社が存在しておりますよ、責任者はこうですよということもはっきりさせるわけですね。そういうことになりますと、取引なんかする場合に、登記簿謄本を法務局でとって、こういう会社でございますというふうに持っていくわけです。ですから、法務局から取り寄せた登記簿謄本を見せられた取引の相手方の人たちは、一応信用する。こういう会社が存在しているのですね、だれだれが責任者ですねということになるわけですね。だから、いわゆる登記の公信力といいますか、そういうものは存在するということも言えるのでしょうね。
#167
○中島政府委員 一定の限度で公信力に似た効力が認められていると思うわけでありまして、商法の十四条でございますが、「故意又ハ過失ニ因リ不実ノ事項ヲ登記シタル者ハ其ノ事項ノ不実ナルコトヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」ということになっております。
#168
○安藤委員 そういうことになりますと、取引の安全と円滑化を図る、そしてそれにうそのことが書いてあれば対抗することができない、一定の公信力があるということになりますと、実際は登記簿上ある会社が登記をされておる。実際上おるわけです。ところが、その会社が実際は全く架空のものであって、何にも実態はないということになった場合は、登記と実態とが全く合致しない状態が現出するわけですね。先ほど来いろいろ言われておりますように、登記のときは実質的な審査をしないんだ、だから受け付けてしまう。ところが、それが後からわかった。あれは全くの幽霊会社だというような場合、何か方向はないのですか。
#169
○中島政府委員 法務局の実際の取り扱いといたしましては、現在休眠会社の整理ということをやっておりますが、そういうことで解散の登記をするということが一つ考えられようかと思います。
#170
○安藤委員 私が言っているのは、休眠会社の方のことはわかるのですが、後から具体的な事例は申し上げますが、これは大臣が登場する場面ですから、大臣、よく聞いておいてくださいね。
 商法の五十八条という規定があるのです。これは、裁判所に対して法務大臣は、ほかにも株主、債権者その他と利害関係人がありますけれども、法務大臣は会社の解散を請求することができるということですね。それによって裁判所はしかるべく判断をして解散命令をする。解散命令をすれば解散になることになって解散登記を嘱託する、こういうような手続があるのですが、これはどういうような趣旨で設けられておるのでしょうか。
 先ほどのような幽霊会社ですね、これには一項の本文の方にいろいろ条件があります。ありますけれども、そういうような不法行為あるいは不正行為、こういうのをやっておるというようなこととあわせて、その会社が全くの幽霊会社だというような場合に、まさにこの商法五十八条を発動して法務大臣が解散の請求を裁判所にすべき事案じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#171
○中島政府委員 商法五十八条の解散命令という制度が確かにございます。この場合は、五十八条の一項各号に要件が規定してございますように、「会社ノ設立が不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ」というように、むしろ会社の存在自身が公益に反すると申しましょうか、会社の存立すること自身を許しておくことができないという場合が、代表的な場合であろうかと考えます。
#172
○安藤委員 私もいろいろ聞いたり調べたりしたのですが、実際上ほとんどこの制度が活用されていないらしいですね。そこで、法律学者の中では、活用されていないということは遺憾な状況にあるんだというような意見を出しておられる人が相当ある、私も最近よく調べてみたのですが。だから、この制度が活用されるように期待をしているというのが商法学者の人たちの意見のようなんです。
 そこで、こういうような会社こそ、いま民事局長がおっしゃったような内容の会社じゃないかと思いますので、これから具体例を申し上げるのですが、まず田中角榮ファミリーの幽霊会社の話です。
 これはいろいろあります。新星企業だとかあるいは室町産業だとかあるいは東京ニューハウスだとか、新潟遊園だとか、越後道路サービスだとか、たくさんあるのですが、きょうは全部を取り上げる時間的な余裕がありませんが、東京ニューハウス、現在、株式会社新潟遊園というのですが、これがどういうようなことをやっているかということを具体的にお話ししますので、まさにこれは五十八条に該当するんだと思いますから、お聞きいただきたいと思うのです。
 室町産業が田中角榮ファミリーの幽霊会社だということは天下に隠れのない、公知の事実になっているほど有名な会社ですが、この室町産業の本社は東京都新宿区市ケ谷本村町二十八の四にあります。詳しく言えば市ケ谷ニューハイツ五〇一号ですが、この同じ五〇一号に、これから問題にいたします株式会社新潟遊園という会社が本社を持っているわけなんです。この株式会社新潟遊園という会社は、東京ニューハウス株式会社に後で言いますように吸収合併をされたのですが、ですから東京ニューハウスの会社のことからちょっと説明をいたしますと、この東京ニューハウスというのは、昭和三十六年八月二十九日設立をされて、その当時は銀座七丁目に本社があった。ところが、それからまさに田中角榮の本宅、東京都文京区目白台一の十九の十二、ここへ昭和四十二年四月十二日に移転、そして四十八年八月一日に、いま言いました室町産業と同じ部員に本店を移しておるわけです。そして現在は、新潟遊園を合併したその後で、商号を東京ニューハウス株式会社から今度は新しい株式会社新潟遊園というふうにまた変更して、本店はいま言ったところにあるわけです。
 この東京ニューハウスというのは、田中角榮の財産を法人名義にしておくための会社で、目白の田中邸の約四〇%、九百五十坪、それから軽井沢にある田中角榮の別荘六千坪を持っておって、これを田中角榮に貸しているということになっているけれども、田中は一文も地代を払ったことがないという会社です。
 そして、この会社は、きょう発売された週刊朝日によりますと、損益計算書、現在の新潟遊園がまだ東京ニューハウスと言っておったころのやつですが、これはこの会社が宅建業法の免許を取得するに際して、直前の三年間の決算書類を提出しなければならぬというので、出したものなのです。これを見ますと、売上高、五十二年度ゼロ、五十三年度はちょっとあるのですが百万円、五十四年度またゼロ、そして印刷費も五十三年度、五十四年度はゼロ、光熱水道費、五十二年度ゼロ、五十四年度ゼロ、こういうような調子ですね。だから、光熱水道費もゼロ、売り上げもゼロ、ゼロというのが二年間あるというようなことからして、これは全く何も仕事をしていない幽霊会社だとしか言いようがないと思うのです。それから、宅建業法の免許を東京都に申請したときに、役員だけ書いてあって従業員がゼロ、それで東京都の方から、これは一体どうなっているんだというので、注意をされたいわくつきの会社なんです。
 そして、これもマスコミの報道なんですが、現在は株式会社新潟遊園という会社に商号変更しておるにもかかわらず、先ほど言いました市ケ谷ニューハイツ五〇一号には、室町産業株式会社という看板と並んで東京ニューハウス株式会社の看板がまだかかっているのです。だから、いかに名前なんかどうでもいい。商号変更登記はちゃんとやっていますよ、株式会社新潟遊園に。ところが、実際の看板は東京ニューハウスになっている。だから、どうでもいいというようなことからしても、これは幽霊会社だとわかるのです。
 マスコミの報道によりますと、ガスの使用量の通知が郵便受けに挟まれていたが、使用量は全くゼロだ。先ほどのあれと合うわけです。それからビルの管理人の話によれば、人はほとんどいません。新潟遊園あてで送金通知など来るときがあるが、郵便受けに差し込んでおくと、たまに男が来て郵便物を持っていく。そして、この代表取締役の桜井信一という人は、もちろん新潟に一人おって、従業員はなしで、一人でぼつぼつと遊園の仕事なんかをやっているということです。電話をしても全然通じないし、たまに電話がかかると、この東京ニューハウスあるいは新潟遊園と全く関係ない人が、はあ何ですかというふうに応答するありさまだということです。
 その合併のいきさつをちょっと言いますと、これは私は登記簿謄本をちゃんと取り寄せてやったのですが、新潟市の万代一丁目六番一号、ここにあった新潟遊園を、昭和五十六年の四月十三日に登記しておりますが、この日に吸収合併をしておるわけです。だから、旧新潟遊園の閉鎖登記は、それに合わせて解散の登記をしております。それから、この四月十三日には新潟遊園を吸収合併しておりますから、商号は東京ニューハウスなんです。そしてその六日後の四月十九日に、今度は株式会社新潟遊園、合併された会社の名前に商号変更して登記しておるわけですね。こういうようないきさつがあります。
 そこで、問題の吸収合併なんですが、この新潟遊園という旧の会社は、新潟市内にいわゆる新潟遊園という遊園地を持っておって、それを経営しておる会社、その持っていた遊園地は、後で問題になりますが、七千七百坪、約二万五千四百十平米。で、この旧新潟遊園、これは浦浜開発という会社がありまして、この会社が一〇〇%株を持っている会社なんですが、この浦浜開発というのが新潟交通と田中角榮が株を半分ずつ持っている会社だ、こういうような関係にあります。そして浦浜開発と旧新潟遊園、これは新潟交通の本社と本店の位置が全く一緒、三つ同じところにあるのです。こういう会社なんです。
 そして、この旧新潟遊園が新潟市内に持っておった土地を新潟市が公園の用地として買う話が持ち上がって、先ほど言いました二万五千四百十平米、この土地は約九億円、三・三平方メートル当たり約十二万円強で新潟市が買ったわけです。この売買契約は旧新潟遊園との間に行われておったわけです。新潟市の方としては、九億円捻出するために、五十五年度の予算で、九億円のうち四億円をまず五十五年度に払うというふうに予算を通した。ですから、これは五十五年度中に四億円は支払うことができる状態にあった。残りの五億円はその年の十一月に支払うということになっておったのです。
 ところが、そういう準備を新潟市がしておる間に、新潟交通の役員、これは先ほど言いました新潟交通と田中角榮が浦浜開発の株を半分ずつ持っておって、そしてその浦浜開発の一〇〇%子会社が新潟遊園、こういう関係にあって、マスコミの報道によりますと、旧新潟遊園の取締役会は新潟交通の常務取締役会の席上で行われておる。これもまたおかしいと思うのですが、こういうような関係にあるわけです。だから、新潟交通の役員が、新潟市はもう支払う準備を――五十五年度中に予算を執行しないと、翌年度に回すとこれは大変なんです。議会に申し入れて特別の承諾を得なければなりません。にもかかわらず、支払いを五十六年度に延期してくれということを申し入れている。新潟市は困って、議会に特別にお願いして五十六年度に支払うように認めてもらった、こういういきさつまで行われておるのです。
 そこで、先ほど言いました合併のときのことを思い出していただきたいのですが、昭和五十六年の四月十三日合併、そして四月十九日に東京ニューハウスから株式会社新潟遊園にまた社名を変更しておるというからくりがその間に行われたわけです。新潟市に対して四億円の支払いを待ってくれということを言っている間に合併の手続をして、新たな株式会社新潟遊園に成りかわっている。だから、その売買代金の四億円と後からの五億円、合計九億円はごっそりと新しい新潟遊園に入ったのですが、新潟市当局は、名前が一緒だものですから、前の旧新潟遊園だと思っておって、そこへ払った。だから、口座も旧新潟遊園の口座に払い込まれておる。そして、桜井信一という代表取締役は前の旧新潟遊園の代表取締役でもあったのですが、新しい新潟遊園の代表取締役が二人になって、そのうちの一人です。で、旧新潟遊園の口座に振り込まれたその金を受け取って、そして東京の本社に送った、こういうようないきさつになっておるわけですね。大体わかりましたか。
 ということになると、ここで二つの問題があると思うのです。一つはまず税金逃れ、脱税。といいますのは、公共団体に不動産を売った場合、これは譲渡に伴う課税というものがなく、税法上の特典がありますね。売って、売買代金が入ったその年の決算をして、利益が計上されておったらそれに対して課税になる、それが赤字決算であれば税金は全くかからない、こういう特典があるのです。これをうまく東京ニューハウスは利用をしてやったわけですね。
 旧新潟遊園は合併当時、債権債務は全くなしで、九億円入れば当然利益が計上できるわけですね。だから、これに対して課税ということが出てくるのですが、この東京ニューハウスは合併当時約十六億円の赤字を持っておって、そしてそのうち十三億八千三百四十六万円、これは田中角榮に対する未払金ということで赤字が計上されているのですね。これは前から私ども知っておりましたけれども、たまたまきょう発売されました週刊朝日の中の貸借対照表、この中に未払い金として同じ金額が計上されているのです。これが田中角榮に対する未払い金ということになって、赤字を抱えておるわけですよ。だから、九億円入ったって、それと差し引きすれば赤字の決算が出てくる。そして、先ほど言いましたように、税法上の特典を利用して、これは九億円土地を売って入ったけれども全く課税はされない。まさにこれは巧妙きわまる脱税、不法行為だと思うのですよ。大臣、よく聞いておってくださいよ。
 しかも、この東京ニューハウス、いまの株式会社新潟遊園は全くの幽霊会社なんです。その幽霊会社へすぽんとこれが入ってしまった。しかも税金は課されない。一体これはどうなるのですか。これはとんでもない不法行為と言わなければならないと思うのです。しかも、これは新潟市が払ったお金ですから、市民の税金ですよ。こういうような公園をつくるときには、御承知のように都市公園法による国からの補助金が出ているのです。その補助金もそういうようなからくりで課税の対象にはならないし、幽霊会社のふところへぽっと入った。言うまでもなく田中角榮のふところにぽっと入った。貸してあったというのですからね。
 こういうからくりになっておるのですが、こういうような幽霊会社、架空そして脱税という不法行為というのを、先ほど言いましたように、会社の組織、それから責任者はだれか、そして、一定の公信力があるとおっしゃった商業登記簿上にそのままちゃんと会社として登記しておくというようなことは許されていいのかどうかという問題なんです。法務大臣、どう思われますか。
#173
○中島政府委員 商法五十八条につきましては、先ほど御質問の中にもございましたように、私どもが調査いたしましたところによりましても、法務大臣がこの申し立てをしたという実例はないようであります。五十八条は、そのほかにも株主、債権者その他の利害関係人にこの解散命令の請求権を与えておるわけであります。そういうことでありますとか、あるいは公益上とは申しましても、これは私法上、商取引上の問題であるということを考えますと、第一次的にはその会社の関係者の意向ということが大きな意味を持ってくるのではないかというふうに考えるわけでありまして、一般社会に与える影響が非常に大きくて、そして株主なり債権者なりその他の利害関係人なりに任しておくことができないというような場合には、あるいはこの法務大臣の権限の行使というようなことも問題になるのではないかということを考えるわけであります。
 それにいたしましても、たとえばただいまお挙げになりました税法上の問題というようなことになりますと、私、直接の所管でございませんので正確かどうかわかりませんけれども、法人格を失わせてしまうということまでしなくてもその処理はできるという余地もあるのじゃないかと考えるわけであります。それよりも何よりも、まずこの件の事実関係が十分明らかでないという段階でございますので、そういう点を含めまして、一方においてこの商法五十八条の適用される場面というようなものを考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
#174
○安藤委員 そういうことをおっしゃっているから、この五十八条が適用されたことがほとんどないということになっておるわけですね。
 それで、先ほども言いましたように、この制度が全く活用されていないのは遺憾な状況にあるというのが、多くの法律学者の意見なんですよ。そういう会社の存在を抹殺するというようなことを考えなくても何とかという方向があるのではないかとおっしゃったのですが、何かいい方法がありますか。野放しにしておかないいい方法がありますか。
#175
○中島政府委員 あるいは一般法律上の原則といたしましては、法人格否認の原理というようなものも発生をし、学者の間で検討されておる、あるいは裁判例にもあらわれておるということでありまして、税法上の取り扱いといたしましても、形式は形式として実質の問題、これは繰り返しますように、私、直接の所管でございませんのでこれ以上申し上げるのはどうかと思いますけれども、そういった方法もあるように聞いておるわけでありますからということを申し上げたわけであります。
#176
○安藤委員 事実関係がよくまだつかめていないからというお話ですが、いま私が申し上げたことは、私は本当のことを申し上げたつもりです。それが本当かうそかわからぬというのなら、お調べになったらいいと思うのです。これは後でもお尋ねしようと思っておったのですが、非訟事件手続法の百三十四条ノ四、いまの商法第五十八条の解散命令を裁判所に出してくれと法務大臣が請求する手続に関連をして、そういうことを知った役所、公務員などは法務大臣にそのことを通知すべきものとなっておるでしょう。だから、そんなことはちゃんと法務大臣に通知をして、こういう事実があります、調べて裁判所に対して解散命令を出してもらうように請求してください、こういうことを通知する義務があるのじゃないですか。だから、少なくともそれぐらいはやるべきじゃないですか。
#177
○中島政府委員 これはむしろ、私どもの立場といたしましては、法務大臣への通知を受ける立場ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#178
○安藤委員 法務省の方は受ける方ですね。それは受け身になるのですが、だからそれは後から建設省にほかの関係でお尋ねしようと思ったのですがね。
 法律学者の多数は、先ほど言いましたように、全く遺憾な状況にある、そして株主、債権者その他の利害関係人も請求することができるけれども、実際問題としてはこれはむずかしいのだ、そういう関係者の人がやるのはいろいろな差しさわりがあったり社会的なしがらみか何かあって。だから、これは法務大臣が――法務大臣もと言った方がいいかもわかりません。法務大臣も裁判所に請求することができるというふうに入れてあるのだ。昔は検察官が請求できる制度になっておったのですね。それが法務総裁になって、いまは法務大臣になっておるわけです。これはそういうような必要があるから、この点が変えられないでちゃんと厳然としてあるわけでしょう。そうしてさらに法律学者の大方の意見は、法務大臣の決意に期待されているのが現状だというふうに指摘しているのですよ、この五十八条の問題で。だから法務大臣、大臣の決意によってこの眠っている五十八条が活用されるかどうか、活用されない遺憾な状態を脱するかどうか、それにあるというふうに法律学者は言っているのです。
 だから、この点どうですか、大臣、ひとつ決意をしてみるべきときじゃないでしょうか。少なくとも調査をしてみるべきじゃないでしょうか。
#179
○坂田国務大臣 ただいま民事局長がお答えいたしましたとおりでございまして、現在のところ、両会社が商法五十八条に定めますいずれかの要件に該当する行為をしているというふうに断言はできないというふうにいま申しておるわけでございます。しかしながら、今後さらに新たな事実関係等が判明いたしました場合は、その時点におきまして適切に措置したいというふうに考えております。ただいま申し上げられることは、この程度でございます。
#180
○安藤委員 私は、いま申し上げましたようなことでもう必要にしてかつ十分だと思うのですが、いまこの点についてさらに大臣にお尋ねしても同じ御答弁の繰り返しになるかと思うので、あえてお尋ねしませんが、新しい事実が出てきたら、いまお約束なさったわけですからぜひともやっていただきたいと思います。これは生きているのですから。そのために、参考までにもう一つお話ししておきます。
 これも加味して新しい事実が出てというふうに受けとめていただきたいし、それから、出てきたらというふうに受け身ではなくて、調査してみるべきだと思うのです。安藤巖がこの法務委員会でああいうことを言った、あれは本当だろうか。マスコミにも載っている。きょう売り出された週刊朝日、宣伝するわけじゃないけれども、出ている。これはやはり調べてみるべきだと思うのですよ。それでなかったら、この第五十八条が泣きますよ。
 そこで大臣、いまの九億円の行方、こういうことになっていくのですよ。浦浜開発というのが、先ほど私ちょっと言いましたけれども、新潟遊園の株を一〇〇%持っている会社ですね。この浦浜開発というのが新潟交通に対して七億二千万円の債務を負担していたのです。この七億二千万円がロッキード事件絡みのあの五億円返すとかなんとかいうのと関連があるということも公知の事実になっておるのですが、この七億円の問題について現在の新潟遊園が七億二千万円浦浜開発に貸す、そして浦浜開発が新潟交通に負っているその七億二千万円、これを返す、こういうややこしいことをやったらしいです。しかし、実際にお金がそういうふうに動いたかどうかということは保証の限りではありませんが、担当の重役もその辺は全く説明ができないというのが事実なんです。だから、これも非常にまゆつばものなんですが、こういうようなことをやって、結局新潟遊園が浦浜開発に七億二千万円を貸したというかっこうが残るわけですね。浦浜開発はこの九億円の中から七億二千万円借りて、新潟交通に借金が七億二千万円ありましたから、これを新潟遊園から借りて、そして新潟交通に返した。わかりますか。こういうような仕組みが一つあるのです。
 そこで、浦浜開発は新潟遊園に対して七億二千万円の借金が残るわけですね。新潟交通に返しちゃって新潟交通の借金はなくなりましたけれども、七億二千万円借りたわけですから、九億円の代金の中から。そこで、この浦浜開発が、その前に関新観光開発株式会社というのを昭和四十八年の七月三十一日に吸収合併しておるのです。これも登記簿上ちゃんと出ておりますが、この関新観光開発株式会社は約七十七万平米の、これも有名な、問題になっておる鳥屋野潟の土地を持っておって、これを新潟県が治水、河川環境整備、公園の三大事業計画で買う、こういうことになったわけです。これは約数十億円というふうに言われております。これを新潟県が買うことによって、関新観光開発を吸収合併をして鳥屋野潟の所有権を取得している浦浜開発にお金が入ってくる。この浦浜開発は、先ほど言いましたように、七億二千万円新しい方の新潟遊園から借金をしている。だから、鳥屋野潟を売ったお金でもって新潟遊園にお金を返す。その新潟遊園というのが、先ほど来私が問題にしている東京ニューハウスが新潟遊園を吸収合併して、そしてまた新たな新潟遊園になったその新潟遊園なんです。まさに幽霊会社であり、先ほど言いましたように何も仕事をやっていないですね。そして事務所にもだれも人がいない。電話をかけても通じない。こういうような実態の会社にこのお金がまた転がり込んでいくという仕組みになっているのです、新潟県のお金が。
 大臣、こういうようなからくりがあるのですよ。だから、その辺のところも十分調査をしていただきたいと思うのです。とにかく調査をするというようなことはどうしてもしていただきたいと思うのですが、どうなんですかね。調べてみたらどうですか。
#181
○中島政府委員 商法五十八条の事件を処理する上で調査権ということになるわけでありましょうけれども、その調査権の限界というようなものもあろうかと思います。そういう点も考えまして、許される範囲で関心を持って資料の収集等をやってみたいと思います。
#182
○安藤委員 時間がなくなってきましたので、先を急いでもう一つ。
 これはこの前、二月二十四日に林委員が質問いたしました越後道路サービスの問題ですが、これも……。
 もう一つありました。せっかく刑事局長さん、見えておったですね、いまお聞きのような旧新潟遊園と東京ニューハウスの合併ですね、この合併によって、先ほど言いましたように九億円入るところが、赤字会社と合併させられたおかげで、そちらの方にひゅうっと行ってしまって、全く利益として計上することができないというようなことになったのです。ですから、この吸収合併を決めた取締役会あるいは取締役には商法上の特別背任罪、四百八十六条ですかが適用になるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
#183
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は、前に予算委員会でも似たような問題のお尋ねを受けたことがあったかと思いますけれども、いわゆる黒字会社が赤字会社に合併されるということがおかしいではないかということであろうと思いますけれども、先ほど安藤委員も仰せになりましたように、いわゆる赤字会社側に当たる方の会社についての実態と申しますか、そういうことが一つの問題であろうかと思います。それなりの財産を持っているというようなこともあるわけでございまして、そういうこととの関係で、果たして直ちに、表向き黒字会社が赤字会社に吸収されたというだけでいわゆる背任罪になるかどうかということになりますと、なお問題があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#184
○安藤委員 その問題をもうちょっと詳しくお尋ねしようと思うのですが、時間がありませんから、先ほど言いかけました越後道路サービスの問題をお尋ねします。
 先ほど言いましたように、林委員が質問をした会社なんです。この関係で建設省から来ていただいておるのですが、この会社は昭和五十二年四月に設立をされたのですが、昭和五十二年四月から昭和五十三年三月まで一年間、全く営業をしていなかった、こういうような事実は知っておられますか。
#185
○北村説明員 ただいま御質問の越後道路サービスは新潟県知事の許可業者でございますが、新潟県知事の方で調べたところ、いわゆる営業活動の一部に相当いたしますたとえば新しく開店いたしましたので仕事を下さいというような形の営業活動は行っていたようでございます。
#186
○安藤委員 そうしましたら、二年目の五十三年四月から五十四年三月まで、あるいは五十四年四月から五十五年三月まで、この間この越後道路サービスは北陸自動車道の除雪工事をやっておったようですが、これは自分のところの会社でずっとやったのか、あるいは相当部分をいわゆるまる請けというふうに、ほとんど外注に仕事を出してしまったのかどうかという点については知っておりますか。
#187
○北村説明員 具体的な仕事の施行についてはつまびらかにしておりませんが、新潟県知事の調査では、現在のところ一括下請というような――ただいまのお尋ね、恐らく建設業法に照らし合わせますと一括下請というような形になろうかと思いますけれども、その事実はまだ明確ではございません。
#188
○安藤委員 これもこの前の林委員が質問しましたように、私どもの党でこの会社を調べましたところ、机も営業所も何もない、とにかく架空の会社。それで、これはマスコミの報道するところなんですが、五十三年四月から五十四年三月までの二年目と、五十四年四月から五十五年三月までの三年目、この間建設業法二十二条に違反するいわゆるまる請けをやっておった。完成工事原価報告書、これに二年目は、材料費ゼロ、労務費ゼロ、千二百万円の仕事をやって、外注費が一千万円、こういうことになっておりますと、これは完全にまる請けですね。それから三年目が、七千五百万円の仕事を請けて、材料費ゼロ、労務費二百六十万円だけれども、外注費六千六百万円、これは全部そのまま外注に出してしまっている。そして、先ほど言いましたように、机も営業所も何にもない会社だ。これは全く幽霊会社ですよ。それがこうやって仕事をやっているという実態ですから、これはぜひとも調べていただきたいと思うのです。
 それからもう一つ、建設業法によると、第七条で、建設業の許可を得るには役員の一人は常勤でなければならぬとか、あるいは専任技術者はこういう資格を持っていなければならぬという規定がありますね。ところがこれも、常勤でなければならぬ役員が、ほかの二つの会社の常勤役員をやっておる。だから、とてもじゃないが常勤できないじゃないかという問題がある。
 それから、専任技術者は四人あるということになっておるけれども、三人はでたらめで、一人はにせの、ほかの人がほかの仕事をとるために出した技術合格証明書のコピーをそのまま持ってきて出すとか、あるいは残りの二人はほかの会社の従業員で、仕事も全く関係がない人が越後道路サービスの専任技術者だというふうに出されておった、こういう事実が明らかになっておるわけなんです。
 そうなると、これは建設業法第二十九条で許可を取り消されるべき事案だと思うのですが、どうなんですか。わからなければ、これから調査するかどうかも含めて。
#189
○北村説明員 建設業法の規定は、各二十八業種に分かれる専門の業種別に許可をとるという仕組みになっております。ただいまの越後道路サービスにつきましては、先ほどもお話し申し上げたとおり、知事許可業者でございますので、新潟県知事の方で調べたところ、お話しのように、塗装工事業及び造園工事業の二業種につきましては、専任の技術者がいないにもかかわらず、主たる事務所に専任の技術者ありということで許可申請を出した事実が判明いたしました。したがいまして、新潟県知事といたしまして、二月十九日付をもちまして、この二業種につきまして許可を取り消しております。
 それから、越後道路サービスは、他の一般土木等の業種につきましても許可をとっておるわけでございますが、これにつきましても、職員の在籍の数に不適正な記載があり、または職員の数そのもの及び主たる営業所が変更しておるにかかわらずその届け出がないというような不都合がいろいろございまして、これにつきましては、同じく建設業法の二十八条の第一項の規定によりまして、指示処分という処分を行っております。また、これに関連いたしまして、発注者としての新潟県の方から三カ月間の指名停止処分を行っております。また、建設省、道路公団等におきましても、関連いたしまして指名停止の処分を行っておるところでございます。
#190
○安藤委員 そこで、もう一回さっきの五十八条に戻るんですね。大臣、こういう状態なんですよ。先ほどの新しい新潟遊園にしろ、この越後道路サービスにしろ、先ほど建設省の方からいろいろ言われたように、幾つかのあれに、二十八条にも違反しておるし、二十九条関係にも違反しておるし、だから一部は営業を取り消されてもおるしというようなことは、そういう不法行為を幾つか重ねている会社だということなんですね。そして先ほど言いましたように、全く実態がない。だれか一人くらいおって、それが仕事をもらってきて、全部ほかの会社へまる請けしてしまう。こういう会社を商業登記簿にちゃんと載せておくことがけしからぬ話だと思うのですよ。最初に民事局長おっしゃったように、一定の公信力がある、これは会社の組織、責任を明らかにし、そして取引の安全と円滑を図るためのものだというのですが、その上に乗っかって全く不法の限りを尽くしておる。そういうことに商業登記が利用されておるとしか言いようがありません。だから、これは五十八条をこういうときにこそ、あるいはこういう事例にこそ存分に、フルに生かしてやっていただくべき事案だと思うのです。
 先ほど大臣がお答えになったのですが、もう一遍。私はそれ以後、また新しい話も申し上げましたよ。だから、もう一度。それから、先ほど言いましたように、大臣の決意にかかっているというのが法律学者の意見なんですよ。そういうことも含めて、大臣から最後に御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
#191
○坂田国務大臣 ただいままでのいろいろの御指摘、意を十分踏まえた上で、今後さらに新たな事実関係が判明いたしますれば、その時点において適切に処置いたしたいと考えております。
#192
○安藤委員 終わります。
#193
○羽田野委員長 次回は、明二十四日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
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