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1981/03/26 第96回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第096回国会 法務委員会 第7号
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1981/03/26 第96回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第096回国会 法務委員会 第7号

#1
第096回国会 法務委員会 第7号
昭和五十七年三月二十六日(金曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 羽田野忠文君
   理事 太田 誠一君 理事 熊川 次男君
   理事 高鳥  修君 理事 中川 秀直君
   理事 稲葉 誠一君 理事 沖本 泰幸君
   理事 岡田 正勝君
      井出一太郎君    今枝 敬雄君
      上村千一郎君    大西 正男君
      亀井 静香君    鴨田利太郎君
      木村武千代君    高村 正彦君
      白川 勝彦君    中村 弘海君
      森   清君    北山 愛郎君
      鍛冶  清君    安藤  巖君
      林  百郎君    田中伊三次君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 筧  榮一君
        法務省民事局長 中島 一郎君
        法務省刑事局長 前田  宏君
        法務省入国管理
        局長      大鷹  弘君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  梅田 晴亮君
        法務委員会調査
        室長      藤岡  晋君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  今枝 敬雄君     有馬 元治君
  上村千一郎君     倉成  正君
  亀井 静香君     田村  元君
  広瀬 秀吉君     岩垂寿喜男君
同日
 辞任         補欠選任
  有馬 元治君     今枝 敬雄君
  倉成  正君     上村千一郎君
  田村  元君     亀井 静香君
  岩垂寿喜男君     広瀬 秀吉君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  佐藤 文生君     中村 弘海君
  佐野 嘉吉君     鴨田利太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  鴨田利太郎君     佐野 嘉吉君
  中村 弘海君     佐藤 文生君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 商業登記法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第四九号)
 証人等の被害についての給付に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六八号)
     ――――◇―――――
#2
○羽田野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 他に質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 商業登記法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#3
○羽田野委員長 起立総員、よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#5
○羽田野委員長 内閣提出、証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案及び外国人登録法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。坂田法務大臣。
    ―――――――――――――
 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案
 外国人登録法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○坂田国務大臣 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、今国会に別途提案されました、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案において、協力援助者及びその遺族の保護の充実が図られることにかんがみ、証人等の被害についての給付制度においても、被害者及びその遺族の保護の充実を図ろうとするものであります。この法律案による改正点は、年金である傷病給付、障害給付または遺族給付の受給権者が一時的に資金を必要とする場合に、これらの給付を受ける権利を担保として国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けが受けられるようにするものであります。
 以上が証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 外国人登録法は、昭和二十七年制定以来三十年を経過し、その間国際交流の活発化に伴い、わが国に入国・在留する外国人の数は著しく増加し、また、わが国の国際的地位の向上、国際人権規約への加入等外国人登録行政を取り巻く諸情勢も著しく変化しており、このような状況に適切に対応するため、かねてより外国人登録制度の見直しを行ってきたところであります。
 そこで、この際、これまでの検討結果を踏まえ、制度の適正化・合理化を図るため、外国人登録法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。
 第一に、各種申請等に際しての本人出頭、新規登録等の申請に際しての写真提出、登録証明書の携帯等の各義務を課する年齢を十四歳以上から十六歳以上に引き上げることといたしております。
 第二は、外国人は、新規登録を受けた日または前回確認を受けた日から三年を経過する日までに登録事項の確認の申請をしなければならないこととされているのを、五年を経過する日までに確認の申請をすれば足りることとするとともに、十六歳に満たない者については確認の申請を要しないことにすることといたしております。
 第三は、登録証明書を携帯しなかった者に対する法定刑のうち自由刑を廃止することとする等罰則について所要の整備を行うことといたした次第であります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#7
○羽田野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#8
○羽田野委員長 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
#9
○高村委員 この制度は昭和三十三年に発足したわけでありますが、現在までの給付の実情を見ますと非常に少ないようでありますが、どうして該当事件が少ないのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
#10
○前田(宏)政府委員 お手元にお配りいたしております資料にもございますように、昭和三十六年と三十九年、それから四十四年ということでございまして、ただいま御指摘のように、件数自体も三十六年が二件、三十九年が給付としては二件、四十四年が二件というふうに少ないわけでございます。
 そのほかに全然こういう事例がないかということになりますと、全然ないわけではございませんで、今回この法案につきまして御審議を願うということもございましたので、つい最近の例も念のために現地等に照会してみたわけでございますけれども、たとえば去年におきましても、数件のそういう証人等が傷害等を受けるという事案もあったわけでございます。ただ、その場合にいわゆる示談が被害者、加害者の間で成立しておるというようなこと、あるいは加害者と被害者との関係と申しますか、そういうようなことから給付の請求をしないという例もあるわけでございまして、そのようなことから、事例そのものはないわけではございませんけれども、給付に至った事例がないということでございます。
 また一方、先ほど仰せになりましたように、この法律ができましたのは昭和三十三年でございまして、第二十八回国会であったと思いますけれども、この証人等の被害者についての給付に関する法律だけではなくて、刑法の一部改正または刑訴の一部改正が行われたわけでございます。特にこの証人関係につきましては、その当時いわゆる暴力団、いまでもあるわけでございますけれども、暴力団の対立抗争がはなはだしいというのが一つと、それからいわゆるお礼参りというものが、当時流行というと変でございますがございまして、それでいろいろな面でその対策を講じなければならないのじゃないかということで、たとえば刑法におきましては、証人をおどかすといいますか威迫する罪というものを百五条ノ二で設けております。また刑訴では、いわゆる権利保釈といいますかその制限事由を拡大する、あるいは保釈の取り消し事由を広げるというようなことをしたわけでございます。また、公判でも証人が被告人の前で供述することを恐れてしない、渋るというようなことがあってはいけませんので、そういう場合の対策も、たとえば刑訴の二百八十一条の二とか三百四条の二とか、そういう規定を設けたわけでございます。
 そのようなことで、刑法の面でもそういう証人をおどかせば罰せられる、また保釈も取り消されるというような、総合的といいますかいろいろな措置を講じたわけでございますので、そういうことの効果もあるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#11
○高村委員 該当する事例が少なくなったということは大変喜ばしいことだと思いますが、今回の改正は、年金である傷病給付、障害給付または遺族給付の受給権者が一時的に資金を必要とする場合、これらの給付を受ける権利を担保に国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けを受けられることとしているわけでありますが、この規定を新たに設けた理由は何であるか、御説明いただきたいと思います。
#12
○前田(宏)政府委員 この証人等の被害についての給付に関する法律におきましては、この法律による給付だけでもございませんが、同種の給付あるいは補償というものにつきましては、いわゆる受給権者の保護という観点から、それを担保にしてはならないというのが原則的な立て方になっているわけでございます。しかしながら、そういう受給権者で特に年金の受給権者があるわけでございまして、そういう方々が一時的な資金が必要だということで金融機関から貸し付けを受けたいという場合に、片方で御本人の権利の保護ということではございますけれども、反面窮屈な面があるということで、その給付を受ける権利を担保にして貸し付けを受けるということがあってもいいのじゃないかということが基本的に考えられたわけでございます。
 御案内と思いますが、この法律は、先ほどの提案理由でもございましたが、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というものをいわば手本にしておりますし、また、その警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律は、国家公務員の災害補償法を参酌していろいろ決めるというような、順次関連する形になっているわけでございます。そこで、さきにいま申しました国家公務員の災害補償法で、給付を受ける権利を担保にして金を借りられるということが法律の改正でできまして、それにならって今国会で警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部改正が提案されている、私どももまたそれにならって今国会にこの法案をお願いしている、こういう関係になるわけでございます。
 その場合に、国民金融公庫と沖繩振興開発金融公庫でございますが、この参考資料にも載せてございますが、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律というものがあるわけでございまして、ここに並んでおります恩給あるいは恩給に類するもの、これを担保として資金の融通を受けるという道を設けるためにこの法律ができまして、それもあらゆる金融機関というわけにもいかないので、いわば国民金融公庫が窓口となるというようなことになって受け皿的なものができておるわけでございます。また、それにならって、沖繩の関係で、沖繩振興開発金融公庫法が国民金融公庫と同様な扱いをするというふうに二つの受け皿があるわけでございますので、それに見合った形で、この法律でも、そういう給付を受ける権利を担保として貸し付けを受ける場合には、その相手方としてはほかの恩給そのものあるいは他の類する給付というものと同様の扱いをするのが適当であろうということで、このような改正案をお願いしているわけでございます。
#13
○高村委員 この改正で現実に貸し付けを受けられるようになる人はいるのでしょうか。
#14
○前田(宏)政府委員 実際、率直に申し上げまして、この法律におきましては現在年金の給付を受けている方はいないわけでございます。したがいまして、現実の問題といたしまして、当面の問題といたしましては対象者がないということになるわけでございますが、先ほど来申しましたように、母法的な関係に立つ国家公務員災害補償法または警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というものでそういう方法を講じておるわけでございますので、この法律だけへんぱな扱いといいますか、不公平なことも適当でないということでございますから、将来現実にこの改正規定を御活用になる方が出るかどうかということもはっきりいたしませんけれども、やはり道だけは開いておく必要があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#15
○高村委員 貸し付けを受けられる金融機関を、国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫と、この二つだけに限った理由、先ほどちょっと御説明がありましたけれども、何でたとえば民間の金融機関から借りたらいけないのか、そういう理由を御説明いただきたいと思います。
#16
○前田(宏)政府委員 先ほども若干申し上げたところでございますが、基本的に他の金融機関でもそういう道を講じてもいいのかもしれませんけれども、一番もとになります恩給そのものあるいはこれに類する給付といいますか、そういうものについて窓口を一本化するというような趣旨もあろうかと思いますが、先ほど来申しました受け皿的な法律ができておりまして、そこですべてそういうものを担保にする貸し付けを行う制度といいますか、そういうものができておるわけでございますので、それに乗っかるのが一番適当であろう。この法律自体が、最初に申しましたけれども、国家公務員災害補償法あるいは警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律にならっておるわけでございますから、それと横並びの関係もございましてこういうふうにしたわけでございますが、さらに一層こういう必要があるということになりますれば、他の法律ともあわせて考えなければいけないのじゃないかというふうに思っております。
#17
○高村委員 この法律の場合、年金の全額について担保に供することが可能になるわけでしょうか。
#18
○前田(宏)政府委員 実際にどういう手続なりあるいは限度といいますか、そういうことで貸し付けを受けられるかということにつきましては、先ほど来申しておりますように国家公務員災害補償法が先例でございまして、すでに大蔵省なりあるいは国民金融公庫との間で貸付手続と申しますか、そういうものが決められておるわけでございます。ですから当然、この私どもの改正が実現いたしました場合には、またそれにならった一つの取り決めと申しますか、そういうことができることになるわけでございまして、それはまだ決めていない点がございます。
 ただ、先例どおりに恐らくなるだろうというふうに思っておりますので、詳細はこれからのことでございますが、たとえば国家公務員災害補償法による年金担保の場合には貸付金の限度額が百五十万円以内、ただし年額の三年分以内というようなことが決められておるようでございますから、大体そのような形で今度の場合も取り決めができるのじゃないかというふうに思っております。
#19
○高村委員 貸し付けを受けようとする場合のその手続等についてまだ詳細は決まってないにしても、先例どおりにならった場合どういうことになるのか、お聞きしたいと思います。
#20
○前田(宏)政府委員 ただいま一部申し上げたところでございますが、貸付金の限度額は一応百五十万以内、ただし年額の三年分以内というのが前例でございます。さらに、利率は年七・三%ということでございますし、償還期間が四年以内、償還方法は、年金として支払われる金がそのまま償還に回るということで、その償還の手続が、御本人といいますか、受給権者と国民金融公庫との間で必要でございますし、その場合に、国の方でといいますか私どもの方で、そういう事例がございました場合には、その人が受給しておるというような証明であるとか、そういう関係の書類も必要になるのじゃないかというふうに思います。
#21
○高村委員 実際に支給される傷病給付、障害給付または遺族給付の各年金額の最高と最低は、普通の場合はどのくらいになるでしょうか。
#22
○前田(宏)政府委員 御案内のとおり、傷病給付あるいは障害給付におきましては、その傷病なり障害の程度に応じまして一級から三級まで、あるいは一級から七級までというような定めが決まっておるわけでございます。それと給付基礎額というものがございますので、それを基礎にして計算ができてくるわけでございますが、基本的な例で傷病給付年金について申しますと、一級の場合には、一応の給付基礎額によりますと百六十九万二百円、さらに最高限度額までの給付基礎額によりました場合には二百九十一万九百円というようなことに相なりますし、傷病給付年金における最低の場合は三級でございますけれども、それによりますと、原則的には百三十二万三千円、最高の給付基礎額によりました場合には二百二十七万八千五百円というような計算になるわけでございます。
 それから、ついでに障害給付年金についても申しますと、一級から三級までは、ただいま申し上げました傷病給付年金の場合と同額になります。障害給付年金におきましては最低が七級ということになっておりますから、これが七十万七千四百円、最高の場合には百二十一万八千三百円という計算になるわけでございます。
 また、遺族給付年金についてみますと、遺族が一人であります場合には八十二万六千二百円、最高で百四十二万二千九百円、あと、遺族の数等に応じまして若干ずつ増額される、こういうような計算になっております。
#23
○高村委員 施行令四条二項ただし書きには「その額が、被害者の通常得ている収入の日額に比して公正を欠くと認められるとき」と書いてあるわけでありますが、それはどのような場合を指しているのでしょうか。
#24
○前田(宏)政府委員 この証人等の被害給付に関する法律の場合だけではなくて、先ほど来申しております先例の場合も同様なことになっておるわけでございます。基本的には、この給付はいわば定額制みたいなことが原則であるわけでございますが、それだけでは実態に合わない場合もあるだろうという配慮から、原則は一応決めておりますけれども、それで計算した場合にはどうも現実に合わないという場合に、ある程度上積みした金額を支給する。ただ、それも全然無制限というわけにもいきませんので、一応の上限を決めている、こういう姿になっておるわけでございまして、著しく公正というのもちょっとオーバーと言えばオーバーな感じがするわけでございますが、実質的にはただいま申しましたように妥当でないということ、ただ、原則は定額制でございますからなるべくその定額制の姿は維持しますけれども、やはりそれでは極端に非常識ではないかという場合に、現在で申しますと五千四百円でございますけれども、九千三百円まで決められる。これはどうやって認定するかということになりますと、やはり当該御本人、被害者御本人の通常得ている収入の日額がどのぐらいかということを調査いたしまして、それをにらみながら決めていくということになるわけでございます。
#25
○高村委員 現行の給付基礎額が近く改定される旨聞いているわけなんですが、その点についてもあわせて説明していただきたいと思います。
#26
○前田(宏)政府委員 その点は政令でございますので、本日の閣議で決定されたはずでございますが、現在の給付基礎額五千四百円を五千七百円に引き上げる。それから最高限度額の九千三百円を九千八百円に引き上げる。それからいわゆる加算額がございますが、配偶者についての三百六十七円という加算額を四百円にする。それから配偶者がない場合の加算額二百五十円を二百六十七円に引き上げるという改正が近く行われることになっておりますが、その内容は、やはり先例といいますか、もとになる法律と同様でございます。
#27
○高村委員 国選弁護人及びその近親者が国選弁護人の職務に関して他人からその身体または生命に害を加えられた場合に、この法律と同じような給付を行う旨の規定を新設するという予定があったというふうに聞いているわけでございますが、今回の改正案には盛り込まれていないのですが、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。
#28
○前田(宏)政府委員 ただいまの点は、昭和五十四年の三月末に、最高裁と法務省と日本弁護士連合会との間でいわゆる法曹三者協議の協議結果というものがまとまっておるわけでございます。これは詳しく申し上げるまでもないと思いますけれども、いわゆる過激派的なものの事件におきまして弁護人を解任するとかいうような一種の引き延ばしの法廷戦術が繰り返される、率直に申し上げて、弁護人もそれに同調するような場合もなかったわけではないというようなことで、裁判が進行しないという事態があったわけでございます。そのための対策についていろいろと法曹三者で協議いたしました結果、弁護士会がそういう特殊な事件については国選弁護人の推薦を責任を持って行うというようなこと。また一面、弁護士に対する懲戒、弁護人が不当な訴訟活動を行った場合には懲戒を十分やるというようなこと。それについて裁判所、検察庁が協力をするというようなこと。それから、国選弁護人に対する報酬についても裁判所が努力するというようなこと。最後に、その国選弁護人がその職務に関して生命、身体等に危害を加えられた場合の補償ということについて実現方法を検討するというのが最後の項目になっておりまして、そういうことで当面の話し合いができたわけでございます。
 その当時、いま最後にあります弁護人が被告人なりあるいは被告人の関係者等から危害を加えられるおそれがある場合があるんじゃないか。これは具体的な事件のことはちょっと控えますけれども、そういうことも当時あったわけでございます。ただ、その後幸いにしてないという点もございまして、これは結構だと思いますけれども、そういうことでこの問題が一種の懸案事項と申しますか、になったまま本日に至っておるわけでございます。
 その当時から、この協議結果の最後の項目についてどういう形でやっていくかということについて、当初は余り具体的な考えもなかったわけでございますが、やはりこういう場合の補償というか給付というか、それ自体問題もあるわけでございますけれども、国の方で何らかの措置をするということになりました場合には、いわば広い意味の国家補償になるわけでございまして、その国家補償制度の限界というか性格というか、基本的にいろいろと検討する問題もあるわけでございます。そうなりますと、別個、独立のそういう補償法というか給付法というか、そういうものをつくることになりますと、他の類似の例との関係もございまして、なかなかむずかしいという感じもするわけでございます。
 そこで、国選弁護人が職務に関して生命、身体等に危害を加えられるということは、いわばいま御審議をいただいております証人等の被害についての給付に関する法律、つまり証人あるいは参考人が裁判に協力をする、そのためにいわゆるお礼参り的な被害を受けるというのと似ているんじゃないかということで、この法律の一部改正という形でやれば比較的容易ではないかという話にだんだんなってきておったわけでございます。日本弁護士連合会ともその基本的な問題点、さらに内容的な問題点、何回も協議を重ね、現在も継続中でございます。
 一面、この法律の改正によるという場合には、それ自体も問題がないわけではございませんけれども、比較的容易であろうというふうに思いますが、そうなりますと、先ほどの給付内容においては、弁護人だけを特別扱いにするというのも一つの面はありますけれども、この法律が裁判に協力した人に対する給付だというのが共通事項になるわけでございますから、なかなか差がつけにくいという問題もあるわけでございます。日弁連の方におきましては、やはり弁護人の収入というものは相当高いので、それなりの給付額というものを決めてもらいたいというのが基本でございます。それ以外にもいろいろございますけれども、一番大きな問題はそこになったわけでございまして、そうなりますとまたもとへ戻って、この法律の中で果たしてカバーできるかという振り出しへ戻るような議論もあるわけでございます。
 そういうことで、この国会でいま申しました恩給といいますか、この法律による給付を受ける権利を担保にして金融を受けるという改正をするので、ちょうどいい機会なので、この法律の改正によってとりあえずこの国選弁護人の被害補償問題というものを解決したらどうかということで、日本弁護士連合会との間で詰めをしたわけでございますけれども、一長一短あるというようなことで日弁連の内部でも御議論が分かれておるということで、むしろこの際は見送って、もう少し基本的に検討してやった方がいいんじゃないかというような日弁連側の御意向もございまして、それでは継続的に検討をしていこうということになりまして、今国会のこの改正では取り入れない、こういうことになり、今後引き続いて協議をしていく、こういうことになっておるわけでございます。
#29
○高村委員 国選弁護人が危害を加えられるということは最近ないというのは非常に喜ばしいことでありますが、またいっそういう状態が起こってくるかもしれませんので、できるだけ早くそういうことについても検討を終えられて規定を新設していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#30
○羽田野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時七分開議
#31
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所梅田総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#33
○羽田野委員長 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
#34
○稲葉委員 この証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案、これに関連をして質問をいたします。直接に関連することだけにいたしたいと思います。
 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というのが、昭和二十七年法律第二百四十五号で出ているわけですが、その第六条で「給付の範囲、金額、支給方法等」ということで、「前条の給付の範囲、金額、支給方法その他給付に関し必要な事項は、国が行う給付については、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定を参しやくして政令で定める。」こういうふうになっているわけですが、国家公務員災害補償法を参酌して政令で定めるとなっている理由はどういうところにあるわけですか。これがまず第一点。
 それから、国家公務員災害補償法では、これは今度の法律の改正と同じようなことで、その傷病給付その他における年金、これを国民金融公庫や何かに担保に入れることができるというふうにすでになっておるのじゃないかと思うのですが、そこはどういうふうになっておりますか。
#35
○前田(宏)政府委員 まず第一点でございますが、私どもの法律からいいますと、二重に間接的になるものでございますので、明快なお答えができるかどうかと思いますが、要するに、こういう国が行う補償というか給付というか、これの性格につきましてはいろいろな議論があるところかと思いますけれども、共通した面もあるわけでございまして、そういう意味で給付の種類等も類似しておるわけでございます。したがいまして、その具体的な対象範囲、金額あるいは手続というものは、そういう先例と申しますか、そういうものにならって決めたらよかろうという精神でできているものではないかと思います。
 それから第二点の、国家公務員災害補償法におきます給付を受ける権利を担保として貸し付けを受けるということにつきましては、すでにそういう改正が行われていると聞いております。
#36
○稲葉委員 そういう改正が行われたというのは、これはすでに前国会で行われたのじゃないかと聞いておりますが、それならば当然、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律とそれから今度の証人等の被害についての給付に関する法律、両方一緒に前国会で成立すべきが筋であって、これがおくれているというのは、特別な理由が何かあるのですか。
#37
○前田(宏)政府委員 筋論と申しますか、同じような性格のものでございますので、同じ国会で御審議をお願いするのが筋と言えば筋だろうということは御指摘のとおりであろうと思います。ただ、私どもの法案は、先ほど申しましたように、直接的には警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律にならってやるという従来からの扱いでございますので、特に警察のこの法律につきましてどういう事情があったか、やや内部的なことでございますのでよくわかりませんけれども、予算措置等のこともあって一年おくれになったというような話を聞いておるわけでございます。
#38
○稲葉委員 そうすると、警察庁関係呼んでないのでわからないのかもしれませんが、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律に基づく予算というのは、どういうふうになってどこへ出ているわけですか。これはちょっとあなた方の方でわからなければ、警察庁、呼んでませんから、いいでしょう。
 そこで、私、疑問に思いますのは、いま言ったように、国家公務員災害補償法から警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律が出てくる――出てくるといいますか、そこに基づくわけですが、何も警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律に基づかなくてもいいのであって、国家公務員災害補償法から直接結びついてもいいんじゃないか、こう思うのですが、これを経由しなければならないという理由はどこにあるわけですか。
#39
○前田(宏)政府委員 これも御指摘のような考え方も十分あり得ると思います。強いて申しますと、要するに、国の仕事に協力援助したという意味において、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律と私どもの証人等の被害についての給付に関する法律の共通する点があるということが一つの理由ではないかと思うわけでございまして、国家公務員災害補償法は、そういう面ではなくて、本来の公務員が公務災害に遭った場合、それの補償をするということでございますから、むしろ警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の方が近いと申しますか、親類関係にあると申しますか、そのような間柄ではないかと思います。
#40
○稲葉委員 そうすると、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というのは、昭和二十七年法律第二百四十五号ですね。証人等の被害についての給付に関する法律、これは昭和三十三年法律第百九号ですね。こういうふうに六年ぐらい間があるのですが、これはどういうわけですか。
#41
○前田(宏)政府委員 先ほど午前中にも若干お答えしたところでございますけれども、証人等の被害についての給付に関する法律が昭和三十三年の二十八回国会で成立しているわけでございますけれども、そのときにはこの法律だけではございませんで、刑法の一部改正また刑訴の一部改正が同時に行われておるわけでございます。そういう立法をする原因と申しますか、背景と申しますか、そういうことになるわけでございますが、当時いわゆる暴力団の対立抗争というものが大変目立っておった。そのことはいまでも続いておるわけでございますけれども、特にたしか九州とか四国で暴力団同士が殴り込みをかけるというような事例があったわけでございます。片や、そういう暴力団等の被告人あるいはその関係者が証人や参考人をおどかす、いわゆるお礼参りというようなことがその当時頻発しておって、そういう両者を含めた一種の暴力団対策と申しますか、そういうことが立法の動機になったわけでございます。
 そこで、刑法ではいわゆる証人威迫罪を設ける。また、刑訴では権利保釈を制限する、また保釈の取り消し事由を緩和するというようなこと、あるいは公判で証人が証言する場合に、被告人の目の前では証言がしにくいという場合の措置とか、そういう一連の措置として証人の保護ということが考えられたわけでございます。さらにその一環として、証人が万々一被告人あるいはその関係者等から害を受けた場合に、国として何らかの給付をする必要もあるのではないか、そういう関連から、こういう法律が必要であろうというような発想になったように承知しているわけでございまして、その際に、たまたま昭和二十七年に警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律がありまして、それに類似した問題があるということで、それをお手本のようにしてこの法律が立案された、こういうことであるわけでございます。
#42
○稲葉委員 この例を見ると、法律のできたのが昭和三十三年ですね。最初の適用が昭和三十四年二月二十日の京都地方裁判所舞鶴支部の法廷の廊下での事件、これがこの事件の一番最初ですね。ところが、それは昭和三十六年になっての給付に入っているわけです。これはわずかな金額ですけれども、昭和三十四年二月二十日の事件が、どうしてこんなに三十六年になって給付されるようになったのですか。
#43
○前田(宏)政府委員 大分前のことでございますので、その間の事情は実は定かでないわけでございますけれども、こういう証人に害を加えられた事件が昭和三十四年の二月にございまして、その事件が本案といいますか、もとの強盗傷人事件と併合されまして裁判が行われて、三十四年に一審の判決があり、またその年の末に控訴審の控訴棄却の裁判があり、さらに三十五年に至りまして上告棄却になっている、こういう経過をたどっておりますので、あるいはそういうようなこともあって事件が一応進行したといいますか、そういうようなことからやはりこういう場合にも支給すべきだということに役所側で気がついたのか、本人側が気がついたのかということもあろうかと思いますけれども、若干その手続がおくれたのじゃないかというふうに思います。
#44
○稲葉委員 そうすると、これは申請人からの申告を待ってやるわけですか、あるいは職権でやるのか、その点はどういうふうになっておりますか。
#45
○前田(宏)政府委員 これは結論から申しますと、請求によるわけでございます。
#46
○稲葉委員 その請求は、時効はどうなっておりますか。
#47
○前田(宏)政府委員 請求の日がたしか三十五年の暮れというふうになっておる記録がございます。
 それから、請求のいわゆる除斥期間でございますけれども、これはこの法律の九条の二項がございまして、一項で「この法律による給付を受ける権利は、これを受けようとする者の請求に基いて、法務大臣が裁定する。」というのが一項でございまして、二項におきまして、「前項の請求は、当該給付の支給原因たる事実が生じた日から起算して二年以内に限り、行うことができる。」こういうことになっております。
#48
○稲葉委員 除斥期間にした理由がよくわかりません。なぜ普通の不法行為と同じように、消滅時効の問題で三年間なら三年間としなかったのか。それから、除斥期間として二年間にしたという理由はどこにあるわけですか。それと消滅時効の場合と普通の不法行為の場合と除斥期間の場合と具体的にどういうふうに違うのですか。何が違うのでしたっけ。中断の問題だけかな。
#49
○前田(宏)政府委員 こういう場合の補償といいますか給付といいますか、そういう場合には除斥期間というとらえ方をする方がむしろ普通ではないかと思うわけでございます。要するに、事案の明瞭なうちに請求をし裁定をする。ただその場合に、実際の給付自体の時効がさらに会計法上当然あるわけでございますから、むしろそういう考えの方が有利な結果になるのではないかというふうに思います。
#50
○稲葉委員 会計法上というと、これは公法上の債権ということになるわけですか。公法上の債権なら五年ですね。そういう理解の仕方をしているわけですか。わかりました。
 除斥期間と普通の消滅時効との場合はどこがどういうふうに違うのでしたっけ。
#51
○前田(宏)政府委員 民事的なことで余り自信のあるお答えはできませんけれども、除斥期間はその期間に請求しなければならぬ、そうしないと請求権がなくなるということでございまして、時効は実際に給付を受ける権利が消滅するということで、性格は違うわけだろうと思います。むしろそれを通算し得るような性格のものではないかと思います。
#52
○稲葉委員 そこで、この提案の趣旨説明についてお聞きしてまいりたいというふうに思うわけです。
 「証人等の被害についての給付」という言葉を使っておりますね。給付という言葉はどういう意味に理解したらいいわけですか。これはドイツ語の翻訳ですね、大臣。給付というのはドイツ語から出ているのですよ。これはその翻訳だよ。給付というのはどういう意味ですか。
#53
○前田(宏)政府委員 当初からこういう名前になっておるわけでございますから、私もそれ以上詳しいことは必ずしも承知しないわけでございますけれども、いわゆる補償ということと使い分けている点がいわば一つの理由であろうと思います。ですから、給付というのは特別な用語というよりも、名前自体といいますか文字どおり給付するということで、請求によって裁定をし給付するという仕掛けになっておりますから、そういう形では権利であることは間違いございませんけれども、いわゆる国家補償等でいう補償とは必ずしも一致しないものだ、そういう意味でむしろ補償という言葉を使わないで、一般的な言葉である給付という言葉を使っておるのではないかというふうに思います。
#54
○稲葉委員 何だかよくわかったようなわからないのですが、こういうむずかしい言葉を使わなくても、支払いという言葉を使ってもいいわけですか。支払いという言葉ではまずいのですか。支払い命令の場合なんか支払いという言葉を使うのだから、支払いというのは法律用語でもありますね、給付というのは給付訴訟の場合なんかに使う言葉ですけれども、そんなむずかしい言葉を使わないで、支払いという言葉を使えばいいのじゃないのですか。
#55
○前田(宏)政府委員 支払いという言葉も決して使えないことではないと思いますけれども、やはりこの場合におきますと、国がいわゆる被害者にこの法律で定めたいろいろな給付をする――また給付という言葉が出てまいりますけれども、給付をするということでございまして、どうも支払いというのは必ずしも適当でないんじゃないか。要するに、補償というよりは国が一定の場合に何がしかの財産的な利益を与えると申しますか、そういうときの一般的な言葉としては給付という言葉は使われていいのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#56
○稲葉委員 補償の「補」という字は、刑事補償の補償という意味ですか。そうすると、補償という言葉を使うとそれは恩恵的な意味だ、こういうふうな理解の仕方ですか。
#57
○前田(宏)政府委員 そういう意味で申したわけではございませんで、むしろ補償という言葉を使いますと、補償責任というものがもともとあるのかないのかというような基本的な問題が起こるのじゃないかと思うわけでございます。そこで、そういう基本的な理屈は一応横に置きまして、ある一定の事由が生じた場合に国がしかるべき財産的な利益を供与するという場合には、むしろ給付というのが一般的な言葉じゃないかという意味で申したわけでございます。
#58
○稲葉委員 たしか給付というのは、ドイツ民訴にある言葉でしょう。ライストゥングというのかな、それの翻訳でしょう。ずっとそういう言葉を使っていますね。給付訴訟と確認訴訟とどう違うのか、それはここに関係ないから、またそんな質問すると怒られるからやめますけれども。
 そこで、この法律案の第一条に目的が書いてあるわけですが、今度はここを直すわけではありませんけれども、「刑事事件の証人若しくは参考人又はその近親者」という言葉が書いてありますね。近親者という法律用語はあるのですか、ぼくは初めて聞くのですが。民法にそういう言葉はありますか。
#59
○前田(宏)政府委員 民法にあったかどうかまでちょっと正確でございませんけれども、ここは第一条の目的でございますから、ある意味では包括的な言葉を使っておるわけでございまして、実際の給付要件としては、三条の方に配偶者、その中にはいわゆる内縁関係も含みますし、直系血族あるいは同居の親族というふうに限定をしておるわけでございまして、目的の一条で細かく書くよりは、それをまとめた言葉として使ったというふうに理解できるのだろうと思います。
#60
○稲葉委員 だから私は、近親者という言葉は法律用語ですかどうですかと聞いているのです。民法にはこういう言葉はありますか。だったら、親族なら親族でもいいんじゃないですか。親族だというふうに書くと、後の方の条文との関係で親族というのが違ってくるのかな。範囲が広がってくるわけかな。事実上の配偶者というものについては、日本の民法では親族に入りませんね。そういったところで違ってくるし、あるいは親族よりもこの三条の方が広がってくるのですか。ここにやはり親族という言葉を使ってありますね。「直系血族若しくは同居の親族」という言葉を使ってあるのですから、そうするとどこが違うのかな。「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」というのですね。生計を一にする者という言葉を基準法とか労災補償で使っておりますね。それが入るという意味ですか。
#61
○前田(宏)政府委員 先ほども申しましたように、一条ではその要件自体を決めているわけではなくて、三条におきまして初めて明確に対象者を決めておるわけでございます。ですから、一条の近親者という言葉自体はややあいまいと言えばあいまいでございますけれども、別にそのことによって支給対象が不明確になるということではないので差し支えはないんじゃないかというふうに思いますし、いま思い出しましたのは、身のしろ金誘拐のところで近親という言葉が出ておったと思います。
    〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
#62
○稲葉委員 身のしろ金誘拐の場合の近親というのは、法律用語としてはこの三条と同じように使っているわけですか。
#63
○前田(宏)政府委員 刑法の二百二十五条ノ二で「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者」、こういう言い方をしておるわけでございまして、この解釈についてはあいまいではないかという御意見もあるわけでございますけれども、これは近親ということで限定しているわけではなくて、一種の例示として、むしろ実質的には誘拐された被拐取者の安否を近親同様に憂慮する者ということをあらわそうというためにそういう言葉が使われたということで、そういう意味においては、この刑法の解釈は、刑法全体についてやや簡潔な表現を用いておりますから、解釈なり判例の積み重ねによって限定がされてくると思いますが、そういうことで、では民法の親族関係そのものをどこまでこの近親という言葉で含むか含まないかということは、必ずしも民法とは一致していない、そういう意味では、この近親という言葉自体で明確な範囲が出ているわけではないということになろうと思います。
#64
○稲葉委員 法律の目的のところで近親者という言葉は使われているんなら、これは私は別にどうということはないと思うのです。刑法のいまの二百二十五条ノ二というのは、構成要件として入ってくるんじゃないですか。構成要件として入ってくれば、それは近親者というものを明確にしなければ問題が起きてきますよ。そこをやはり目的の場合と構成要件になっている場合とでは使い分けていかなければいけないのじゃないかと思いますが、身のしろ金誘拐のものはすでに通ってしまった法律ですから、いまここで論議しても始まりませんから、それはいたしません。
 そうすると、ここで出ておるのは、結局事実上同様の事情にある者、こういう言葉を使っていますね。「婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。」こういうふうになっていますね。これはほかの法律ではこういう言葉を使ってないんじゃないですか。法律の目的から違うかもわからぬけれども、その者と同一の生計を維持する者という言葉を主に使っているのは、労働基準法なんかとか労災なんかではそういう言葉を使っているんじゃないですか。こういう言葉を使ったのは特に意義があるわけですか。
#65
○前田(宏)政府委員 いま一つ一つ法律の条文を挙げるいとまはございませんけれども、むしろいわゆる内縁関係にある人を含める場合には、年金関係でありますとかいろんな補償関係でありますとか、いろいろな法律におきましては、むしろこういう言い方が多いといいますか、通例であるというふうに、私、理解しております。
#66
○稲葉委員 同一の生計を維持する者というのは、それでは判例かな。交通事故なんかの場合の判例のときにそういう言葉を使っているのかもわかりませんね。私もちょっとあれしているわけじゃないのですが……。
 そこで、この法律で、いうところの証人という言葉が盛んに出てきますね。これは証人でいいわけですけれども、この証人というのは、宣誓するわけですね。刑事事件の証人と民事事件の証人、その他あるいはあるかもわかりませんけれども、一体何に対して宣誓するわけですか。私はよくわからない。いつまでたってもわからぬ。何に対して宣誓するんですか。良心に従ってというのだけれども、良心に従ってというのはあたりまえの話だけれども、アメリカやイギリスならわかるわけです。ちゃんとバイブルに手を置いて、バイブルに誓うのだから、神に誓うのですから。日本の場合は一体何に誓うんですか。よくわからぬですね。これはどうなっているのです。
#67
○前田(宏)政府委員 先ほどの生計を一にするというような表現がございますことは、これはまた現にございます。
    〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
それはまた別な面からいろいろな受給者の範囲を限定する場合、あるいは給付額の加算をする場合の限定とか、そういう場合に使っている場合が多いと思いますので、いわば別な面といいますか、先ほど申しましたような「婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」というのは、いわゆる内縁のことを言うわけでございまして、生計を同一というのは、むしろ同居の親族であるとかあるいは親きょうだいであるとかそれを全部入れないで、同一の生計を維持している者に限るとか、そういうときに使っている用例だろうというふうに思います。
 それから、宣誓はなかなかむずかしい問題で、的確なお答えができないわけでございますけれども、まあ現在の法律の上では宣誓文言も決まっておるわけでございますので、その言葉をかりれば、やはり良心に誓うということになるんじゃないかと思います。
#68
○稲葉委員 ここがはっきりしないんですよ、日本の法律は。これは大臣に聞くんだけれども、ドイツ法の中では、一体宣誓というのはどういうふうになっているんですか。きょうでなくていいですよ。この次まで研究しておいてください。これははっきりしないですよ。英米ははっきりしているんです。神に誓うんですから。バイブルに手を置いてやるのですから。日本の場合は、「良心に従って、真実を述べ」、いろいろ言いますけれども、どうもはっきりしない。それでは何が偽証罪の法益かということになってくると、要領を得ないのですね。どういう見解をとっているのかということになるのですけれども、これもこの法案から余り離れてしまいますから、きょうは聞くのはあれします。
 そこで、よくわからないこと、まだいろいろあるのですよね。この法律は、刑事訴訟法だけに関するのですか。ほかの法律の場合は、どこかで準用でもしているのですか。どうなっているのですか。たとえば民事訴訟法はどうだとか、いろいろありますね。これはどうなっているのです。
#69
○前田(宏)政府委員 この法律は、いま御指摘のように明文で、第二条で証人の定義がされておるわけでございまして、その規定上も、「刑事訴訟法の規定による証人をいい、」というふうに明示されておるわけでございますから、民事訴訟法による証人はここに含まれない。ほかに準用はたしかないはずでございます。
 民事の場合でもこういうことが起こるのじゃないかと言えば、それは起こり得るかもしれません。ただ、この法律ができましたのは、先ほど来当時のことについて申し上げたとおりでございまして、広い意味での暴力団対策と申しますか、そういうお礼参りの防止であるとか、刑事事件の裁判で証人が後ろにいる被告人を恐れて、あるいは傍聴席にいる関係者を恐れて真実を述べないという事例が当時多い。現にまだいまでも幾らかあると思いますけれども、そういう事態がいわば立法動機となってできたものでございまして、民事についてもそういう必要があればまた考えなければならぬことであろうと思います。
#70
○稲葉委員 これは民事についても、離婚事件なんかの場合には、むしろ本人に対して被害を加えるという場合もあるし、それから証人に対して加える場合もありますよ。事件によってずいぶんありますから、これはまたそういうもので出てくると、あわててここへ法律を改正するとかなんとかということではいささかみっともないので、だけどこれは立法府のことですから、こちらの方でやることかもわかりませんが、いますぐということでもないかもわかりません。
 そこで、そうすると、国会の議院証言法なんかで呼ばれる場合がありますね。こういう場合はどういうふうになっているのですか。
#71
○前田(宏)政府委員 その点も、この法律に関します限り限定がされておるわけでございまして、その議院証言法にはそれに類する規定はなかったと思うわけでございますから、現在は適用がないということになるわけでございます。
#72
○稲葉委員 だけれども、国会の議院証言法の場合は、刑事訴訟法を準用していると思います。刑事訴訟法を準用していれば、これはこの規定に入ってくるんじゃないですか。それはどうなっているのです。
#73
○前田(宏)政府委員 その点はなおしさいに検討しなければならない点があろうかと思いますけれども、いまの理解では、いろいろな準用は細かい手続的な面で準用しておるわけでございまして、いわば実体と申しますか、そういうことについては別建てであるというふうになるのじゃないかというふうに思っております。
#74
○稲葉委員 弾劾裁判所の場合も刑事訴訟法を準用していますね。そうすると、あそこでも同じようなことが起きたときには、この法律は適用にならない、こういうことなんですか。広い意味では刑事訴訟法の規定による証人ということになるんじゃないのかな。どういうふうになるのですか。
#75
○前田(宏)政府委員 現在のところは、先ほど申しましたように、狭い意味でと申しますか、刑事訴訟法そのものの規定による証人がこの法律の対象になっているというふうに理解しております。
#76
○稲葉委員 それから、この条文にあります「共同被告人の一人が供述する場合において、その供述が他の共同被告人に関する事項を含むものであるときは、その共同被告人は、同法の規定による証人とみなす。」ということですね。これは分離した場合で、宣誓した場合のことを言っているのですか、あるいは宣誓しなくても、一緒に開廷していますね、そういう場合でも含んでいる、こういうふうになるわけなんですか。そうすると、いまの場合だとすると、仮に分離して宣誓しない場合でも含むということになると、この供述が他の共同被告人に関する事項を含むものに関するか関しないかということで、なかなか争いができてくるのじゃないでしょうか。そこはどういうふうに理解するのですか。
#77
○前田(宏)政府委員 種々この立法当時からの問題点になるわけでございまして、十分なお答えができるかどうかと思いますけれども、まず分離しておれば、分離して証人になっておればまず前段の証人そのものになるわけでございますから、むしろ共同被告人という形で他の共同被告人に関する事項を供述するということを実質的にとらえて、それを証人とみなすというふうにいわば拡大をしておるわけでございますから、この後段の場合は、共同被告人の状態のままで他の共同被告人に関して述べるということを当然含むために、特にこういうみなす規定を置いたという理解になろうと思います。
 あとは、何といいますか、当てはめの問題でございますから、認定上いろいろと問題が起こる場合もあろうかと思いますけれども、それはやはり事実認定の問題に帰するんだろうというふうに思います。
#78
○稲葉委員 そこで、参考人としての場合も含まれているわけですね。それも今度の法律の中で同じように改正がされてくるというふうに思うのですが、これは、参考人というと恐らく検察庁に呼ばれたときの話だ、こう思いますが、それは実際は一般の人は知らないのじゃないですか。どこにそういうような参考人に対して支給をするという規定が、法律であるのか省令であるのか規則であるのかよくわかりませんが、どこにどういう規定があって、それはどの程度の予算が組んであって、実際にはどういうふうに支払いをされておるのか。それから、それに対しては周知徹底を全然してませんね。一般の人は全然知りません。警察における参考人なんかでも同じですね。警察の場合は別として、検察庁における参考人、その場合でも旅費、日当ちゃんと払えるわけですけれども、被害のことを聞いているのじゃないですよ。一応区別して、参考人に対する旅費、日当の支払いの方を先に聞きましょうね。それは具体的にどうなっていますか。全然周知徹底してないんじゃないですか。
#79
○前田(宏)政府委員 一般の国民の方が法律を知っているかどうかという一般論のようなことにもなりかねないわけでございますけれども、検察官の取り調べるいわゆる参考人につきましては、検察官の取り調べた者等に対する旅費、日当、宿泊料等支給法という昭和二十四年の法律があるわけでございまして、そこで刑事訴訟費用等に関する法律というまたもとの法律があるわけでございますが、それをいわば準用し、裁判所とある部分を検察官と読みかえるというのが根拠になるわけでございます。
#80
○稲葉委員 それはわかっているのですが、全然それは徹底してないわけですよ。徹底してないのは国民が知らないから悪いんだと言えば悪いかもわからぬけれども、徹底してない。だから、予算がどのくらい組んであって、幾らぐらい払っていますか。
#81
○前田(宏)政府委員 徹底しているかどうかということになりますと、現実にどういうふうになっているかという現実の問題でございますが、現在各地の検察庁におきまして、いわば内規と申しますか、的なものを決めて、出頭していただいた参考人等に対して旅費を支給しているわけでございますので、そういうことで、相当知っていると言えば知っている方もあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 旅費、日当等に対する支給実額をこの三年間で見ますと、昭和五十三年では総額で一億二千六百二十六万五千円、昭和五十四年では一億三千九百三十六万九千円、昭和五十五年では一億五千七百二十九万五千円という数字になっております。
#82
○稲葉委員 それは、だから予算としてはどこへ組んであるわけですか。幾らぐらい組んであるのですか。
#83
○前田(宏)政府委員 予算的には項、目というふうに分かれるわけでございますが、検察費の項で参考人等旅費という目が設けられておりまして、そこに計上されております。(稲葉委員「幾ら出しておるのですか」と呼ぶ)大体先ほど申し上げました数字に近い予算額があって、おおむね一〇〇%に近い支給がなされているということでございます。たとえば昭和五十五年で申しますと、先ほど申しましたように一億五千七百二十九万円余りでございますが、不用額はごく一部、ほんのわずかしか立っておりませんので、予算額と決算額とがほとんど一致しておるということでございます。
#84
○稲葉委員 きょうここで聞くわけじゃありませんけれども、この前大蔵省の何かの報告が出ていたときに、法務省は相当な不用額が出ていますね。どのくらいだったかな。二、三百億でしたかな、ちょっとけたは違うかもしれませんが、全国各省の中で法務省が二番目くらいだったですね。どうして法務省がそんな不用額が出るのかと私は不思議に思ったのですが、きょうでなくてもいいですけれども――いや、わかっていればいいですよ。どうしてそんなに出るわけですか。
#85
○前田(宏)政府委員 法務省全体のことあるいは最近のことは十分存じませんけれども、まず不用額といいますものでうちの方で一番多いものはいわゆる人件費でございまして、人件費の積算見込みと実際の実績が違う。特に退官退職手当等が非常に流動的なものでございますから、当初の予算よりも実際の執行額が少ないというようなことで、そういう系統の不用額が多くなっている関係で全体的に不用額が多いということで、たとえばこの参考人旅費であるとかあるいは一般の職員の旅費であるとか庁費であるとか、そういうものについて不用額が立っているということはないと理解しております。
#86
○稲葉委員 そうすると、この証人の被害についての給付の法律、この表を見るというと非常に少なくて、四件しかないのですか。四件しかないようですけれども、そうすると、これは毎年ちゃんと予算は組んでおるのですか。どういう予算の組み方をして、幾らぐらい組んでおるわけですか。これは裁判所が組んでおるわけか法務省が組んでおるのか、どこが組んでおるの。
#87
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘のように最近実績はないわけでございますので、予算の計上の必要もないと言えばないようなことになりかねないわけでございますけれども、やはり費目を立てて計上しておきませんと、実際に起こりました場合に支給ができないわけでございますので、いわばその根っこと申しますか、もとになる金額として、この数年だったと思いますけれども、一応十万円という計上をいたしまして、不足の場合には他の費目からの流用、あるいは極端に言えば予備費の使用承認というような手続で支給に支障のないように、そういう準備だけはしているということでございます。
#88
○稲葉委員 この法案の今度の改正に入る前にちょっとお聞きしたいのは、この参考人の場合に、こんなに金がどういう人に出ているのですかね。ちょっと私は理解できないのですがね。どこの検察庁が一番多いの、恐らく東京が一番多いと思うのですが。これは暴力団関係とかなんとか、ああいう連中はよく知っていて、そういう連中に出ているのじゃないですか。普通の人、と言っては語弊があるけれども、知らないですよ。そしてまた、検事の方もこういうことは言わないですよ。来たならばこういうふうなあれがあって旅費、日当やなんかが出るんですよということは言わないですよ。遠くから呼んだ場合には気の毒だからというので言う場合があるけれども、言わないのが普通じゃないかと思います。これはここでどうこう言うほどのことじゃありませんが、恐らく東京が一番多いのは決まっているだろうと思います。
 そこで、この問題の中で、「「参考人」とは、他人の刑事事件について検察官、検察事務官又は司法警察職員(鉄道公安職員を含むものとし、」こうなっていますね。これは鉄道公安職員は特別司法警察官だと思いますが、ほかにもあるはずですね。たとえば森林関係だとか、あるいは大蔵省の場合は税の場合とかありますね。そういう者は入っていなくて、鉄道公安職員だけ公安職員という形で使うのですかな。どういうのですか。司法警察官の職務を行う者ではないわけかな。ここのところは、これだけを含んでいるというのはどういうわけですか。
#89
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘になりましたようないわゆる特別司法警察職員は、括弧外のいわば司法警察職員そのものに読めるということで当然入っているわけでございますけれども、鉄道公安職員はやや異質なものでございますから、あれが入らないという誤解があってはいけないというので、念のために、含むということを明記した、こういうことでございます。
#90
○稲葉委員 そこで、この三条の問題の中で、「証人又は参考人が刑事事件に関し裁判所、裁判官又は捜査機関に対し供述をし、又は供述の目的で出頭し、若しくは出頭しようとしたことにより、当該証人若しくは参考人又はこれらの者の配偶者(婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系血族若しくは同居の親族が、他人からその身体又は生命に害を加えられたときは、国は、この法律に定めるところにより、被害者その他の者に対する給付を行う。」こういうふうになっておるわけですね。
 そこで、この法律の適用が実際に非常に少ないというのは一体どういうわけなのかということが一つと、それから、証人威迫罪が確かにできましたよね、証人威迫罪ができたけれども、その場合に、実際はどの程度証人威迫罪が適用されておるかということですね。それに対しては、そっちの方の被害者に対する給付は、これは当事者間の問題だから、国としてはわからぬかもわかりませんけれども、どの程度行われておるというふうに理解しておるわけですか。
#91
○前田(宏)政府委員 確かにこの法律による給付の実績といいますか、例が少ないわけでございます。それで、今度この法案を提出するに当たりまして、念のために、昨年一年じゅうに全くなかったのかどうかということも、確認を含めて各庁に照会をしたわけでございます。そうしますと、午前中も若干申しましたけれども、全然そういう事例がないわけではなくて、何件か事例としてはあるわけでございますが、たとえば、示談が成立しているので別に給付の手続がとられていないということがありましたり、一応検察官の方で説明をしたけれども特に請求はしないというようなことで、要するに、被害者からの請求がないという結果この給付が行われていないというのが実情であるということがわかったわけでございます。その件数もそうたくさんあるわけではございません。三、四件しかございません。
 なお、証人威迫事件の受理、処理状況でございますが、たとえば五十五年におきましては五十六件ございまして、起訴が三十一という数になっております。この威迫の場合は、生命、身体に対する害ではないわけでございますので、この法律の適用にはならないということになるわけでございます。
#92
○稲葉委員 そうすると、いま言ったように、この事件で証人がいろいろな傷害や何かを受けた、こういうふうな場合に、示談が成立しますとこの請求権というものはなくなるのですか。どういうふうになってくるわけですか。これは国に対する請求権でしょう。個人に対する請求権とは別個の問題になるのですか。
#93
○前田(宏)政府委員 その関係は、この法律の八条に、「この法律による給付を受けるべき者が給付の原因である損害につき賠償の責任を有する者」、つまり加害者本人ということになりますが、「から損害の賠償を受けたときは、その価額の限度において、この法律による給付を行わない。」という調整規定があるわけでございまして、これはこの法律だけではなくて、いろいろ国の給付があります場合に損害賠償責任と競合することがあるので、その調整規定は似たようなものがほかにもあったように記憶しております。
#94
○稲葉委員 そうすると、この法律というのは、結局、こういう事件が起きてしまったということは国が何らかの責任があるから支払うということに原因があるとするならば、たとえばこれは裁判所の場合には、裁判所の庁舎管理権なりあるいは法廷指揮権なり法廷警察権かな、そういうふうなものが不備であったということが原因で、そして迷惑をかけた、けがをさせたということで国が支払う、こういうふうな理解の仕方になるのですか。庁舎管理権あるいは法廷指揮権なり法廷警察権かな、そういうふうなものが不十分だったというふうなことから来るわけですか。そこはどういうふうに理解したらいいのですか。
#95
○前田(宏)政府委員 その点は、先ほどその給付という言葉がどういう意味かというお尋ねを受けました際に、若干申し上げたところでございまして、これでいま補償という言葉を使っていないということ、つまり、国が何らかの補償責任がある、国家賠償法におけるような補償責任があるという前提に立ってこの制度が組み立てられているわけではなくて、一つの立法政策として、こういう場合には国が何がしかの措置をとるべきである、とる方が望ましいということで一つの制度としてつくったもの、こういうことで、もともと国に補償責任があるということではない。したがって、いまの点について言えば、そういう考え方ではなくて、、せっかく刑事裁判に協力していただいた方が被害を受けた、それを国がほっておいていいのかという考え方から出発している制度だ、こういうことであろうと思います。
#96
○稲葉委員 そういう考え方だと、むしろこれは恩恵だというふうに理解できますね。そういうふうに理解していいですか。立法政策ということが直ちに恩恵という言葉に結びつくかどうかは別として、恩恵というふうな理解の仕方はちょっとおかしいんじゃないかな。だって、証人が出てきて、たとえば法廷なら法廷で被告人からやられたということになれば、裁判所の方は、率直に言えば、ぼやぼやしていたということになるし、検察庁で参考人を調べている、ことに被告人をそばに置いて調べる場合もあるし、そういう場合に被告人から参考人なりがやられたということになれば、それは検事の方がぼやぼやしていたということになるのだから、そういうふうになってくれば、それは単なる恩恵ではなくなってくるんじゃないですか。
#97
○前田(宏)政府委員 恩恵といいますと、国の方でやってもやらなくてもいいということになるのだろうと思いますけれども、先ほど来申しておりますことは、基本的に賠償責任があるかどうかはさておいて、そういう責任がない場合でもむしろ手厚くそれを保護しようと申しますか、そういうことでこういう制度をつくることによってそれを権利化する。したがって、この制度に乗ります以上は、やるやらないは国の自由だということではなくて、この要件を満たす限り国は給付義務があるということでございますから、そういう意味では、恩恵という言葉は必ずしも当たらないのではないか。また一方、裁判所の管理なりあるいは検察庁の管理なりにつきまして重大な過失があるという場合には、それ自体国家賠償法の問題が起こるわけでございまして、それとこれとはまた両立し得ることであるわけでございます。
 要するに、この法律は、そういう国の補償責任があるかどうかを問わないで、証人、参考人等が刑事裁判に協力していただいて、そのために害を受けたということについて国としてしかるべき措置を講じなければならないということからこういう制度をつくり、この制度に乗る以上は、国として当然義務として払う、また被害者の方は権利としてその請求ができる、こういう制度としてつくった、こういうことであると理解しております。
#98
○稲葉委員 それは法律ができてしまえば、そしてこれに該当すれば、これが被害者の方の権利になる。これは法律に基づくのだからあたりまえの話ですけれども、こういうような法律は、ほかの国の立法例の中でも実際あるのですか、日本のこれに応じたようなものが。仮にあるとすれば、実際はどういうふうに運用をされているのですか。よくわからないんだね。ただあるということだけではわからないんですよ。
 たとえば尊属殺の場合でも、ドイツの場合には尊属殺を廃止したというのでしょう。フランスではそれは残してあるというのでしょう。どうも私はよくわからないので、フランスのああいう個人主義の国で尊属殺が残っている、廃止しなかったのも変じゃないかと思って、西洋法制史の人にいろいろ聞いてみたら、フランスの場合などは、いわゆる身内に対する犯罪というものは別枠みたいになっているらしいですね。そういう関係が残っておるらしいのですね。だから、必ずしも尊属殺とは言えないらしいのですがね。フランスの刑法の場合、よくわかりませんけれども、それは別として、だから、ただあるだけではわからないので、こういうふうなことのいま言った外国での立法例なり、法律だけではなくてその運用の実態というのはどういうふうになっているのですか。
#99
○前田(宏)政府委員 一般論といたしまして、稲葉委員の仰せのように、諸外国の立法例を参考といたします場合に、その運用の実態ということが問題になることはそのとおりだろうと思いますけれども、いま当面の問題の証人等の被害についての給付に関する法律について言いますと、こういう法律がほかにあるかということになりますと、恐らくないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 ただ、先ほど来申しておりますように、この立法動機が、日本独特でもないかもしれませんけれども、そういう証人を保護しなければならない、それによって刑事裁判が適正に行われるようにする、それが国としても必要であるということでこういう制度を立法政策の一つとしてつくるということは、その内容が合理的である以上は当然許されるといいますか、むしろあってしかるべき七のであろうというわけでございまして、先ほど来申しておりましたような当時の状況からそういう考え方でこの法律がつくられた。先ほども御指摘になりましたように、証人威迫罪が同時にできた、あるいは権利保釈あるいは保釈の取り消しに関する規定等々が整備されましたので、そういうことの影響もあってこういう事例が減ってきたというふうにも思われるわけでございまして、立法当時の資料等もいま見るわけでございますが、こういう事例はもともと起こっては困るわけなんで、そういう適用事例がむしろないことが望ましいというような解説も付されているぐらいでございます。
#100
○稲葉委員 私も、ほかの国の立法例とかその運用ということをそう重く見るのではないのですよ。国によって制度から何から全部違うのですから、それを一々外国の立法例がああだこうだということをそれほど重く見る必要もないと私は思います。
 ただ、この場合には、いかにも何かこの法律ができたこと自身が場当たりのような感じがしてしようがないような、私の印象ですが、受けるので、むしろ一つの通り魔事件の場合のような犯罪被害者給付法、ああいうふうな場合には、あれも国によって非常に違うので、非常に広く認めておるところ、ニュージーランドや何かも非常に広く認めておる、その他の国は必ずしもそうでもない、いろいろあるわけですけれども、あれは国の法律的な責任と認めるのか、国の恩恵と認めるのか、議論があるところですが、恩恵という言葉が悪ければ立法政策という言葉でもいいんですけれども、これもアメリカなんかは、ああいうところですから、こういうようなことが相当あるんじゃないかと思うのですが、そういう場合、一体どういうふうに処理をされているのでしょうか。恐らく犯罪被害者給付法的なものによって処理をされているのではないかと私は思うのですが、そこはどういうふうに実際にはなっておるのでしょうか。
 ただ、アメリカの場合には日本と違うわけですね、アメリカの場合は正当防衛の考え方が非常に強い国ですから。だから、これはこの前ニューヨークに行ったときもよく聞いてみた。領事館の人とも話をしたのですけれども、たとえば免許証の提示を求められて内ポケットに手を突っ込んだら、そこで向こうはもう撃っていいわけですね。これは、こっちから手を突っ込むということはピストルを出すというふうに理解して、相手方が撃っても正当防衛になるんだ、こういうふうなことを言って、絶対に免許証の提示を求められたときに内ポケットに手を突っ込んじゃいけないんだという話をニューヨークで私ども大分聞いたわけですけれども、そういう関係ですから、大分日本とは違うんですけれども、実態はどういうふうになっているか、どうもよくわからない。これはまた別な機会によく調べておいてもらいたいと思うんですがね。
 こういう法律は、むしろ犯罪被害者の給付法の拡大というか、そういう方向で賄っていくべき筋合いではなかろうか、こういうふうに思いますが、これは改正案ですから、その辺のところはよくわかりません。別な機会に聞きたいというふうに思っております。
 そこで聞くのは、年金の権利で「国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口の資金の貸し付けが受けられるようにするものであります。」というのですが、実際には国家公務員の方の場合には前から制度が施行されているわけでしょう。実際には、こういう形で行われていることが現実にあるのですか。何か例でもあったのですか。それでこういうふうに法案を改正しようとするに至ったわけですか。実例が何かあるわけでしょう。どうなっているんですか。
#101
○前田(宏)政府委員 また聞き的なことで恐縮でございますけれども、国家公務員災害補償法では、そういう現実の必要性があって改正をし、現にその規定の適用を受けている者があるというふうに承知しております。
#102
○稲葉委員 それは具体的にどの程度の金額なんですか。小口というとまたおかしいので、小口というのは一体どこまでを小口と言うのかわかりませんが、国金で言う小口というのはどのくらいのことを言っているんですか。
#103
○前田(宏)政府委員 午前中も国家公務員災害補償法の実際の運用の内容について若干申し上げたわけでございますが、その場合には貸付金の限度額は百五十万円以内、ただし年額の三年分以内という扱いになっておると聞いております。
#104
○稲葉委員 そうすると、年金を担保にしてということは、すでに発生をしておる年金を担保にするという意味ですか、将来の給付というのですか、そういうものも含めて担保にするという意味も含んでおるのか。これは普通の状態がそうですね。国金だから大口の貸し付けというのは普通ないわけでして、小口のものが多いわけですから、どの程度実際にこれが利用されるのか、ちょっとよくわかりませんがね。私にもわからない。証人の場合には、特別な事案が出れば別ですけれども、そうでない限り恐らく余り利用されないし、利用されないのが望ましいというふうに私も考えるわけです。
 そこで、変なことですが、改正の中に、「第十条中「差し押える」を「差し押さえる」に改め、同条に次のただし書を加える。」というのですが、僕は読んでみて、どこを改めるのかよくわからなかった。よく読んでみたら、これは「さ」が入るんですね。これはどういうわけですか。どこかの国語審議会かなんかでこういうふうに変わったんですか。ちょっとよくわからないんだけれどもね。
#105
○前田(宏)政府委員 これも直接の所管ではないと言えばないわけでございますが、例の送りがなのつけ方の統一方法が決まっているわけでございまして、それによって「さ」という字を入れるという扱いに統一されているので、この法律に限らず、こういう機会に直すというのが法制局の扱い方であるというふうに承知しております。
#106
○稲葉委員 送りがなというのはどうも僕はよくわからない。新かな遣いと旧かな遣いというのはよくわからない。私は原稿を書くときにはいつも旧かな遣いで書いて、そうして直されるのですが、わからない。それだけの意義があってやっておることでしょうから、別に悪いことでもないと思いますが、よくわかりません。
 そこで問題は、給付の基礎額が今度は変わることになるわけですね。施行令ですね。施行令の中の第四条の三項ですね。いろいろあるわけですね。その中で、五に「不具廃疾者」という言葉がありますね。これは今度は廃止される言葉じゃないんですかね。どうなんですか。こういう言葉は使ってはいけないことになっているんじゃないですか。これはどうですか。
#107
○前田(宏)政府委員 「廃疾」という言葉は、証人等の被害についての給付に関する法律自体にあるわけでございますが、これは各省共通の問題といたしまして、統一的に「身体の障害」というふうに直すという法案が別途出ているわけでございますから、それによって修正されるわけでございます。それに応じまして、政令の方も別途、合わせた表現に政令で修正をするという手はずになっているわけでございます。
#108
○稲葉委員 「不具」は残るのですか。
#109
○前田(宏)政府委員 これも不適切用語ということで、修正の対象になると思っております。
#110
○稲葉委員 そうすると、「不具廃疾者」というのは不適切用語だということで、全部が「身体障害者」に変わるということですね。
 たとえば、刑法の中にもよくわからない言葉があるのです。「いん唖者」という言葉があるでしょう。「いん唖者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス」。条文を引っ張ってこなかったのですが、あれはどういう意味ですか。
#111
○前田(宏)政府委員 確かに、刑法はいま御指摘のことに限らず、読みにくい言葉がたくさん残っておるわけでございまして、それも一つの改正の理由になっているわけでございますが、その「いん唖者」につきましては、これもまた解釈が二つくらいあるようでございまして、いわゆる口のきけない方あるいは耳の聞こえない方両方を含むのだというのと、帰するところ口のきけない人のことを称するのだという解釈とがたしかあったように思うわけでございますが、いずれにしましても、その結果いわゆる責任能力がないという人を対象に考えているわけでございます。そこで、今度の改正草案といいますか改正の中では、むしろそういう言葉を使わないで、またそういうことを特に明記する必要もないので、要するに精神の障害によって責任能力がないかあるいは低いかというとらえ方で足りるのじゃないかという考え方をとっているわけでございます。
#112
○稲葉委員 この第四条の二「傷病給付の範囲、金額及び支払方法」に「法第五条第一項第二号に規定する傷病給付は、被害者が負傷し、又は疾病にかかり、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後一年六月を経過した日において」云々とありますが、この「一年六月」というのはどこから出てくるのですか。
#113
○前田(宏)政府委員 どうもこれも自前で決めておりませんので、また的確なことを申し上げかねるわけでございますけれども、この傷病給付というものは当初はございませんで、たしか昭和五十二年の改正で追加されておるわけでございます。その改正も、国家公務員災害補償法、また警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令とか、そういうものの改正と横並びで私どもの法律の施行令も改正しておるわけでございます。そのときの考え方としては、当初負傷しあるいは病気にかかって療養をしておるわけでございますが、それが相当長くかかってなかなか治らない、まだ完全に治って障害というふうに固まったというまでにはいかない、そういう一種の中間段階がある場合に、その改正以前のように療養給付と休業給付だけではなかなか大変ではないか、むしろ手厚く保護した方がいいのじゃないかという考え方が基礎になりまして、療養給付と障害給付との中間的なものとして傷病給付というものが考えられた、そういうことで一年六月というのは一応のめどといたしまして、ある程度の期間療養したけれどもなかなか治らないという場合に、何らかの給付をするという時期としてはこの辺が適当ではないかという考えに基づくものであろうと理解しております。
#114
○稲葉委員 傷病給付が療養の開始後一年六月、六月と半端があるものですから、どこからこういうのが出てきたのかよくわからぬから聞いているわけですけれども、これは横並びと言えば横並び、孫引きでもないか、そういうような関係ですから、ここでいま聞いても根拠がはっきりしないかもわかりませんがね。
 そこで、別表第一は第四条の二関係、一級、二級、三級、こういうふうにあるわけです。それから、別表第二は第五条、第七条関係です。一級、二級、三級、四級、五級、六級、七級とずっと分かれて、そこで倍数を掛けていくわけですね。これは自賠責、あれの表に後遺症の認定がありましたね。あれは十四まであるわけですから、あれとは全然違うようでもあるし、ある程度似ているところもあるし、これとの関係は一体どういうふうになっておるのですか。
#115
○前田(宏)政府委員 その点も必ずしも明快なお答えができないわけでございますけれども、私どもの法律は、先ほど来申し上げておりますように警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律を参酌して決める、その警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律は国家公務員災害補償法を参酌するということになっておるわけでございますが、さらにその参考にしておるのは労働災害補償法であるようでございます。ですから、三段目、四段目というような関係になるのじゃないかと思いますが、そういう一種の労災関係の系統では、こういう等級の決め方あるいは倍数の決め方、またその身体障害の程度の類型別、そういうものを大体このような形で整理していると理解しているわけでございます。
#116
○稲葉委員 労災関係中心となれば、どうしても労働能力の喪失ということを中心として考えていくわけですね。そうすると、慰謝料や何かは含んでいるのですか、含んでいないのですか、被害額というものは。
#117
○前田(宏)政府委員 その前に、さっきの表でございますが、別表第二では十四級まであるわけでございます。
 それから、いまの性格でございますけれども、そういった療養の実費、あるいは負傷または疾病のために収入を得ることができないとか、御本人が亡くなった場合に遺族にそれなりの給付をするとか、亡くなった場合に葬祭の費用を給付するとか、いろいろ類型があるわけでございますが、遺族給付とか葬祭給付ということになりますと、そういう慰謝料的なものが全くないわけでもないように思いますけれども、むしろ実費という言葉が適当でないかと思いますけれども、負傷または疾病によってそれを治すために必要な実費、あるいはその負傷または疾病のために働けないということに対する補てん、そういうことが中心になっているように思います。
#118
○稲葉委員 私の方も全部の法律、政令、もとに当たって質問しているわけじゃないので、あなたの方でくれた法律案関係資料だけで質問しているものですから違ってくるかもわかりませんが、いま言った別表第二は十四級まであるのですか。あなたの方のものは七級までしか書いてないじゃないですか。
#119
○前田(宏)政府委員 あるいは全部載せればよかったのかもしれませんが、この法律案では年金たる給付を担保にするということが改正点でございますので、その年金に関係のある等級だけを抄として掲げたということでございます。ですから、それ以外のいわば軽い方は一時金の対象になっているわけでございます。
#120
○稲葉委員 十四まであるというと、自賠責の場合の表も十四までありますが、これと同じですか、違うのですか。
#121
○前田(宏)政府委員 一字一句対照したわけではございませんが、実質的には差異がないということでございます。
#122
○稲葉委員 それで私もわかりました。
 そうすると、これは認定権者はだれなんですか。これに対して不服の申し立ての場合には、どういう不服の申し立ての方法があるわけですか。
#123
○前田(宏)政府委員 認定権者と申しますか、裁定という言葉を使っておりますが、この法律では法務大臣が裁定するということで、大臣がいわばおっしゃったような意味での認定権者に当たるわけでございます。不服があれば、行政不服審査法等の一般の例によって不服の申し立てができるというふうに理解しております。
#124
○稲葉委員 実際に一々大臣まで上がってくるのですか、これは。検事正が全部やるのじゃないですか。こんなことが一々大臣まで上がってきたのじゃ、あなた……。
#125
○前田(宏)政府委員 それは法務省部内のいわば委任関係によりまして、検事正におろしております。
#126
○稲葉委員 それがあたりまえで、一々大臣まで、それは無理だ。それは検事正のところで決める。だから、もちろんこれは基づく基準によってやるのでしょうけれども、私は、やはりこういう法律は、これはつくったのはつくったのですからそれはそれとして、こういう法律が実際には適用にならないように十分な注意を今後ともしてもらわないと困る、こういうふうに思っておるわけです。
 そこで、いま言った年金である傷病給付とかいろいろありますね。これを国民金融公庫と沖繩振興開発金融公庫の二つに限ったのはどういうわけなんでしょうか。
#127
○前田(宏)政府委員 午前中も同じような御質問があったわけでございますが、実質的に考えますれば限る必要もないかと思いますが、恩給等は本来担保とするのは認めない、これはむしろ受給権者の保護という観点からそういう制度があるわけでございますので、その運用に慎重を期するというようなことも必要なのじゃないかと思いますし、いずれかのところで貸し付けを受けられれば、それで目的を達するということであろうと思います。そのためにいわば受け皿的な法律として国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律というものが特に設けられておるわけでございまして、まず恩給が代表になって、それに加えて、戦傷病者戦没者遺族等援護法などによります年金等もその恩給等の中に含められるようになっておるわけでございます。
 したがって、同じような恩給またはこれに類するものを担保とする場合には、窓口としてまず国民金融公庫がこれに応ずる、これに並ぶものとして、沖繩に関しましては沖繩振興開発金融公庫がいわば準用的な立場にあるわけでございますので、その二つが窓口になってやれば足りるということで、このような法律ができ、また、それに見合うものとしてそれぞれの法律が改正されている、こういう関係になるのだろうと思います。
#128
○稲葉委員 いろいろお聞きをいたしまして、今度の法案そのものは、年金を国民金融公庫とそれからもう一つに担保にすることができるということの法律ですから、内容はそれだけのことですけれども、今後はこういうような事件が起きないようにどうやって注意をしていくかということが一番問題ですね。やはり暴力団の事件が一番多いわけですからね。
 同時に、私どもが感ずるのは、とにかく、刑事の場合はわりあいに証人が出ますけれども、民事の場合は、日本の場合は本当に証人に出るのを嫌がりますね。どういうわけか知らぬけれども、証人に出るのを嫌がるのですね。これは本当に困っちゃうですね。そして証人申請すると、この前私のところに、これは証人じゃなく関係者から電話がかかってきたのですね。これはまた変な電話でして、裁判と選挙は同じだと言うんだ。だから証人を呼んで飲ませなければだめだ、証人を呼んで接待をしろという電話が僕のところにかかってきたことがあるのです、ばかを言えというわけで僕は断ったのですけれども。
 裁判と選挙は同じだという言葉は非常に荒っぽい言葉で誤解を招くから、これは十分注意してあれしますけれども、とにかく日本の場合に証人が出るのを非常に嫌がりますね。後でいろいろな面で個人的な生活の平穏関係というものが害されるとか、いろいろな形がありまして、いろいろな理屈をくっつけて出ませんね。刑事の場合はある程度出ますけれども、ことに民事の場合は全くと言っていいぐらい出ないですね。心臓が悪いから出ないだとかああだこうだ言ってきて、とにかく出ないで非常に困っているんですね。これは日本人の一つの国民性でもあるわけですね。外国はそういう点はないんですね。非常に割り切っておるのですけれども、日本人はどうもそういう点が足りないというか、まあ割り切り方が足りないということはずいぶん考えますね。
 いずれにいたしましても、この法案については賛成する法案ですから、質問はこの程度にして終わります。
#129
○羽田野委員長 次回は、来る三十一日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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