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#1
第096回国会 地方行政委員会 第6号
昭和五十七年三月十九日(金曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 中山 利生君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君
   理事 大橋 敏雄君
      池田  淳君    臼井日出男君
      小澤  潔君    片岡 清一君
      北川 石松君    久野 忠治君
      左藤  恵君    塩谷 一夫君
      竹中 修一君    中村 弘海君
      五十嵐広三君    小川 省吾君
      加藤 万吉君    細谷 治嘉君
      部谷 孝之君    岩佐 恵美君
      三谷 秀治君    田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     世耕 政隆君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 中平 和水君
        自治政務次官  谷  洋一君
        自治大臣官房長 石原 信雄君
        自治大臣官房審
        議官      小林 悦夫君
        自治省行政局選
        挙部長     大林 勝臣君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
        自治省税務局長 関根 則之君
        消防庁長官   石見 隆三君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   滝島 義光君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   真鍋 光広君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     植松  敏君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び
 納付金に関する法律の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一九号)
     ――――◇―――――
#2
○中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本幸男君。
#3
○松本(幸)委員 何か大臣が、参議院の予算委員会とか本会議とかにとられて中座をされるようでございますので、まず大臣にお尋ねをしたいと思いますが、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案等に関連をいたしまして、御質問申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、序の口として、租税というものに対する基本的な考え方につきましてお尋ねをしたいと思います。
 国民の租税負担は、国税であるとあるいは地方税であるとを問わず、常に厳正に公平に、しかも合理的に賦課徴収をされなければならないと考えるわけでありますが、租税に対する基本的な考え方につきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。
#4
○世耕国務大臣 税金全般に対して、当然制度、執行の両面においてもその負担の公平が確保されねばならないことは、御指摘のとおりで言うまでもございません。特に、地方税においてもそうでございますが、この点については税制調査会の答申、さらには第二次臨時行政調査会の第一次答申においても指摘されているところであります。今後とも、特に非課税等の特別措置の整理合理化に意を用いながら、税負担の公平が確保されるように努めてまいらねばならないと存じております。
#5
○松本(幸)委員 基本的には当然そういうことであろうと思うのですが、現在行われております国税あるいは地方税、こういったものを通じまして、現行の租税制度のもとにおいて国民の租税負担が全く公平で、しかも合理的に行われているというように大臣はお考えでしょうか。
#6
○世耕国務大臣 私の感じているところでは、比較的公平に行われていると存じております。
#7
○松本(幸)委員 比較的という、何に比較をするのかわかりませんけれども、一〇〇%でないというようなニュアンスでありますが、まあまあ公平であろうというお考えのようであります。しかし私どもとしては、端的に申し上げて現行の国税、地方税を通ずる税体制というもの、租税体系というものが、必ずしも公平妥当、合理的に行われているというようには考えていないわけであります。
 そういう基本的な考え方に基づいて、御承知のように先般も、いわゆる一兆円減税というものを五党で共同の提案として申し上げたところであります。この一兆円減税要求については七千億が国税、三千億が地方税、こういうことになっているわけであります。この一兆円減税要求につきましては、御承知のような経過を経まして、減税財源を含めて検討するという議長あっせんに基づいて、いま衆議院の大蔵の小委員会にいわばお預けのような形になっているわけでありますが、何か仄聞するところによりますと、預けられた大蔵委員会の小委員会の方では、一兆円減税といっても、七千億円の国税分だけについてその財源等を検討すれば能事足れりということであって、地方税の三千億までも検討することは所管外だというようなことを言われているやに聞くわけであります。
 しかし、このこと自体は行政府の責任ではなくて国会の問題でありますから、国会自体が処理をしていかなくてはならない問題でありますけれども、この一兆円減税につきましては単に三千億円の地方税の減税だけではなくて、当然所得減税ということになりますと、国税三税を算定の基礎としております地方交付税にも影響を及ぼしてくるわけであります。七千億円の減税に対する三二%の地方交付税と言えば、おのずからそこに数字が出てくるわけであります。五千億余になるわけであります。そういうことですから、当然地方自治体の行政をあずかる自治省としても、大蔵小委員会が検討するとはいいながらこれは無関心ではいられないはずであります。そういう意味から、この地方税三千億円の減税、そしてまた国税七千億円に伴う交付税の減額、こういったことについて自治省としては、責任者の大臣としてはどういうふうに考えておられるのか、ひとつ御所見を伺いたいということであります。
#8
○世耕国務大臣 もし仮に一兆円減税を行う場合、それから地方税三千億円の減税に関連してその後の見通しはどうするか、処置はどうするか、こういうお尋ねでございました。
 まず第一番目に減税できるかどうかという問題ですが、地方財政の場合は、昭和五十六年度末において地方債の残高が約三十二兆円ございます。それから国からの借入金残高が約八兆円ございまして、合わせて総額約四十兆円の巨額の公債を抱えているという依然として厳しい状況にありますので、大幅な減税を実施できるような状況にないことは事実であります。
 次に、個人住民税についてでございますが、厳しい財政状況のもとではございましたが、昭和五十五年までは一般的な減税を行ってきたところでございます。また、五十六年度と五十七年度の両年度について、低所得者層に対する非課税措置による所要の税負担の軽減に努めているところでございます。
 それで国税の方で、先ほど御指摘のようなことがあった場合に、地方交付税の方にも減額になって影響してくるではないかという御指摘がございましたが、もし仮にそういう状況になったような場合には、地方団体に影響のないように、適切迅速な処置を行っていく所存でございます。
#9
○松本(幸)委員 まず三千億の地方税そのものの減税については、そういう環境にないという総理答弁とやや同じようなお答えがあったわけであります。まあ国税の減税に伴う交付税の減額については、これは当然措置していかなければならないというようなお答えでございましたが、私どもとしては、何としてもこの一兆円減税をやっていただかなくちゃならないという立場からいまの御答弁を伺いますと、必ずしも明確ではありませんが、賛成しがたいということのようであります。先般の渡辺大蔵大臣の予算委員会等における答弁でも、何かこれは国会のことだから、そちらで決まれば四の五の言うことはできない、国権の最高機関の国会が決めれば、もうこれは言うことを聞くも聞かないもないというようなせりふの御答弁があったようでありますけれども、いまの自治大臣のお答えというのはやはり同じように、国会が決めればそれはもうとやかく言う筋のものではない、こういう大蔵大臣のお考えと大体同様なものなんでしょうか。
#10
○世耕国務大臣 そのように御理解いただいて結構だと思います。
#11
○松本(幸)委員 私どもとしては、先ほども申し上げておりますように、今日の日本の税制が公正ではない、その公正ではない税制に基づいて賦課される租税負担が公平ではない、こういう考え方を持っております。独断になるかもしれませんけれども、大多数の国民も、日本の税体系あるいは税制に対してきわめて厳正公正なものであるというようには考えていないのではないか。そのことが、つまりクロヨンだとかあるいはトーゴーサンとかいうことが言われてすでに久しいわけでありますが、そういう言葉になってあらわれているのではないかというように考えるわけであります。
 そこで、今回私どもが、所得税減税、特に中心となるのは給与所得者に対する課税が国民全体の中で均衡を失しているのではないか、給与所得者に対する課税がきわめて厳しいものになっているのではないかという考え方から、この減税要求が出されてきたというように思うわけでありますが、給与所得者に対する苛斂誅求的な厳しい税の根源というものを考えてみますと二つあるのじゃないか。一つは、まず給与所得者のみを対象として行われる源泉徴収制度と、それに伴う経費控除に相当すると言われております給与所得控除、この二つの点からきわめて過酷な課税が給与所得者に行われるという結果になっているんではないか。もちろん、不公平税制という場合に、その他にもいろいろ問題があると思いますけれども、いわゆる給与所得者のみを対象として考えた場合には、源泉徴収制度とそれに伴う給与所得控除、この二つが不公平を生ずる最大の原因ではないかというように考えるわけであります。
 そこで、わが国の税制というのは、原則的には本来申告納税制度、これが本則といいましょうかたてまえといいましょうか、そういうものだろうというように私は理解をしているわけであります。そういう中で給与所得者だけ、納税者でない雇用主に源泉徴収義務を負わせて強制的に課税をする。強制的にと言うと語弊があるかもしれませんけれども、課税をするというところに問題があると思うわけでありまして、ある意味では法のもとに平等だと言われる国民の権利という面から考えますと、一方において給与所得者だけが源泉でいやおうなしに、それはもう四の五の言わずにどんどん取られている。その他の所得者については、一応申告納税というものを原則としている。こういう点から考えますと、この源泉徴収制度そのものについて、やはり国民の基本的な権利という立場からも考え直す必要があるのではないかというように思うわけであります。
 最小限少なくとも納税者である給与所得者が、雇用主に源泉徴収を委任するか、委任して源泉徴収をしてもらうということをみずからの意思によってやるか、あるいは私は自主申告でいたします、みずから申告をいたします、そういう選択の自由というものは給与所得者にあってもいいのではないか。ところが、いまの法のたてまえは、雇用主に源泉徴収義務を課して、もしそれを怠ったような場合、それに違背したような場合は、税法としては、三年以下の懲役とかあるいは百万円以下の罰金とか大変厳しい罰則を設けております。私が申し上げたいのは、そういう意味で、少なくとも源泉徴収制度が不公平の元凶といいますか根源の一つであるとすれば、そこにやはり選択する自由というものがなければならない、あるべきだ、こういうように思うわけでありますが、その点につきましてひとつ大臣のお考えを伺いたい、こういうことでございます。
#12
○関根政府委員 源泉徴収制度につきましていろいろとお話があったわけでございますが、私ども、国税と同じでございますけれども、国税、地方税を通じまして、税収の確保というのはきわめて重要な問題であるわけでございます。特に、その税収の確保をできるだけ効率的に最小の経費で行っていく、確保していくという方策を考えていかなければいかぬ。その際に、源泉徴収制度というのはきわめて有力な有効な方法であるわけでございまして、確かに源泉徴収をする企業サイドにとっては相当な事務量を課することにはなりますけれども、それをもし企業サイドでやらなかった場合にだれがやるのか。かわって役所がやるということになりますと、それなりの手間もかかるわけです。国民経済的に考えますと、やはり一つの効率的な、知恵のある方法ではないかというふうに考えているわけでございまして、との源泉徴収制度について、基本的にこれを変えていくということは考えていない、これを維持していきたいと思っておる次第でございます。
 御提案のございました申告と源泉徴収との選択制というようなお話もあったわけでございますけれども、現在でも一千万超の収入のある人は源泉徴収をされたほかに別途申告をしなければいかぬ、そういうような制度もあるわけでございまして、せっかくの御提案ではございますが、全く最初からそれを選択制にしてしまうことについては、いささか問題があるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
#13
○真鍋説明員 給与所得者に対します源泉徴収の問題は、国税にとりましても大変重要な問題でございますので、一言補足させていただきたいと思います。
 若干整理させていただきますと、現在の給与所得につきましての申告納税といいますか納税制度がどういうふうになっておるかと申しますと、ただいまちょうと御指摘ございましたけれども、御承知のとおり、給与収入が一千万を超えるという方については確定申告をお願いする、こういうことになっておるわけでございます。また、給与所得あるいは退職所得以外の所得が年間二十万円を超えるというふうな方々も、確定申告をお願いすることになっておるわけです。
 一方、医療費控除であるとか雑損控除であるとか寄附金控除、さらにまた、住宅を取得した方についての税額控除でございます初年度についての住宅取得控除、こういった方々は、給与所得者でございましても確定申告をしなければそういったメリットが得られないということになって、こういう方々は確定申告をされることになるわけでございます。
 ただいま申しました方々以外の多くの給与所得者につきましては、御指摘のとおり源泉徴収をされまして、年末調整をもちまして、国税とのかかわりでは納税関係は終わりということになるわけでございます。
 しかしながら、ただいま税務局長からも御説明ございましたように、源泉徴収制度というものは徴税側にとりましても非常に便利な制度でございますと同時に、納税者の方々にとっても非常に便利な制度である、手数がかからない制度であるということでもあると思います。そういうことでもございまして、欧米諸国でも広くこれが採用されておるということでございます。フランスにはそういった制度がございませんが、アメリカ、イギリス、ドイツにおきましては、給与所得者につきまして源泉徴収制度がとられておるわけでございます。
 また、わが国におきましても昭和十五年以来源泉徴収制度がとられていまして、そういった意味合いでは日本の社会に深く定着しておるというふうに考えておるわけでございます。そういうことでございまして、私どもとしましては、源泉徴収制度というものにつきましてはそういった趣旨がございますので、ひとつ御理解賜りたいと考えておるわけでございます。
 次に、そういった源泉徴収制度のもとで給与所得者が不利になっておるのではないかというふうな御指摘であったと思います。それに関連しまして、給与所得控除があるいは低いのではないかというふうな御指摘であったと思います。それにつきましては、現在の給与所得控除は昭和四十九年に非常に大幅な改善をいたしました。その背景といたしましては、確かに今日も言われておりますように、どうもサラリーマンの方が税負担が実質上重いのじゃないかという話もございましたし、さらにまた、資産所得に対してやはり勤労所得といったものはそれなりの評価をしなければいかぬじゃないかという声もあったと思います。
 そういったことを背景としまして、昭和四十九年に今日の給与所得控除の大枠、枠組みというものができたわけでございますが、そのときの思想はどういうことであったかと申しますと、特に低所得者層における負担の軽減を重視するという観点もございまして、給与収入が小さくても一定額の控除、五十万円ということでございますけれども、一定額の控除を保障するという定額控除制度が設けられましたと同時に、控除率も、従来は最低、スタートが二〇%ということでございましたけれども、この際に四〇%というところからスタートしまして、順次三〇、二〇、一〇ということで、現在は一千万超は五%ということになっておりますけれども、給与収入の増加に応じて逓減するという仕組みになったわけでございます。
 そうした大幅控除の中には、背景としましてはただいま申しましたように、単にその勤務に伴う必要経費の概算的な控除という思想、これは主たる思想でございますが、それ以外にもやはりこういった給与所得控除という仕組みを通じまして、給与所得者とその他の所得者との負担の調整を図るというような意味合いも考慮しながら、このように大幅に拡大したという背景があるわけでございます。
 今日におきましては、たとえば給与収入三百万円の場合は給与収入の三五%、給与収入が一千万である場合には二〇・五%が給与所得控除ということで控除されますので……(松本(幸)委員「内容の説明はいいから、それが妥当であるか、改正するかしないかを答弁してもらえればいいんだ」と呼ぶ)すでに非常に高い水準にあるというふうにひとつ御理解を願いたいと思います。
#14
○松本(幸)委員 答弁が長いと、質問の時間がなくなってしまいますので少しやきもきしているんですけれども、源泉徴収制度につきましてはいまのお答えで、要するに経済効率といいましょうか便利さといいましょうか、そういったこと、あるいは源泉徴収を希望して、その方が自分でやるよりもめんどうくさくないからというような点もあると思います。
 しかし、先ほど申し上げたように、法のもとに平等であるという人権的な立場からすれば、これは少なくとも選択の自由というものは、そうしてほしいと雇用主に委任をして、私がやるんではめんどうくさいから雇用主にやってもらいたいということであればそれは当然ですけれども、少なくとも選択の自由というものは留保されてもいいんじゃないか、これが私の趣旨でございますが、これは、片や人権の問題であり片や経済効率とか便利さとか、こういうもののぶつかり合いですから、そこをどうするかという問題だろうと思うのです。私の主張としては、権利意識としては、やはり全体的にどちらをとるかということは選択に任せるべきだということでありますが、それはこれで結構でございます。
 ただ、現在の源泉徴収制度がいろいろな意味でなかなか改正できないということになりますと、たとえば公務員のスト権をとるかわりに人事院を置いて給与の改定を勧告するという代償措置があると同様に、源泉徴収義務制度を存続するとすればいわばその代償として、いまもちょっと御説明がありましたけれども、いわゆる給与所得控除というものについて最大限の考慮を払わなければならないというように私は考えるわけです。
 その内容につきましては、いま御説明があったとおりでありますけれども、日本の所得税制は、御承知のように超過累進税率というものを適用しているわけでございます。これは、国税でも地方税でも同じでありますけれども、所得課税における超過累進税率の適用ということと給与所得者に対する給与所得控除、これは高額になれば逓減をするという逆累進の方式をとっているわけです。逆累進と言うと、少し言葉が妥当でないかもしれませんけれども、その目的が低所得者をなるべく保護すると言うと、これも語弊があるかもしれませんけれども、そういう目的でやっているんだ、こういうことでそれ自体はわかるのでありますが、一方で所得に応じての超過累進税率を課して、高所得者に対してはそれ相応の税金を徴収をしているわけです。
 そういう中で、この部分についても同じような考え方で低所得者を優遇するという考え方だろうと思うのですけれども、経費という問題を対象に考えた場合に、これは率直に申し上げて、高額所得になればなるほどそれなりの必要経費というものは増大をしていく、これはむしろ常識だと思うのです。低所得者における必要経費よりもやはり高額所得を受ける人の方が、まあ冠婚葬祭の費用を含めて、あるいはおつき合いの費用を含めて、経費というものは非常にかさんでいくということになるんではないか。そういう趣旨からいきますと、この高額所得者には経費控除を少なくするという物の考え方、発想についても、やはり一考を要するものがあるんではないかというように私は考えるわけなんです。
 そこで、現行の四〇%、三〇%、二〇%、一〇%、こういう四段階になっておりますいわゆる経費控除、これの算定の根拠というのはどういうものであるのか。たとえば百五十万以下は四〇%の経費控除である、一千万以上は一〇%である、こういうように経費控除率というものを定めた根拠はどこにあるのか、ひとつ大蔵の方からでもお答えいただきたいと思います。
#15
○真鍋説明員 御指摘のとおり現行の給与所得控除は、給与収入の増加に応じまして控除率が徐々に低下するという構想になっておるわけでございます。これは、通常勤務に伴います費用は、収入の増加に応じて何がしか増加はいたします。さはさりながら、必ずしも比例的に増加するものではないということを考慮したものでございまして、税制調査会の答申にも指摘されておりますけれども、そういった仕組みをつくっておるわけでございまして、気持ちといたしましては、論理的に幾らが何割の控除でなければならないということはございませんけれども、財政状況であるとかあるいは給与所得者の状況等々を勘案して、このように決めておるわけでございます。
#16
○松本(幸)委員 いまのお答えでは、財政状況等をも考慮して決めるということですけれども、それでは基本的な考え方が誤っているんではないかというように私は思います。これはあくまでも、源泉徴収をされる給与所得者の給与所得控除というのは、申告納税をする給与所得者以外の経費控除と整合性を持って、それに見合った形で算出をされなければならない性格のものだ、このように私は理解いたします。ということからいきますと、いまの御答弁では満足をいたしません。それでは、いわゆる給与所得者以外の一般の個人、法人を含めての事業者の所得における、あるいは収入における経費控除の実態がどういうものであるのかということになるわけであります。
 これは、申告納税をされる方々の経費控除というものが千差万別でありますし、御商売によってもあるいは規模によってもいろいろ違うわけですから、これを統計的にとらえた資料というものを私も持っておりませんし、恐らく大蔵の方でも、この統計を出すということはなかなか至難なことではないかというように思うわけです。したがって推測の域を出ないわけですが、個人にしろ法人にしろ、申告納税をする事業者の所得における経費というのは、とても給与所得のような四〇とか三〇とか二〇、一〇といったような程度のものではなくて、これはあくまでも推測ですけれども、いわゆる粗利益に対する経費控除というのは、恐らく七〇、八〇にもなっているのではないか。
 まあ、一つの具体的な事例として申し上げますと、決して個人事業者からよけい税金を取れという趣旨で申し上げるわけではないので誤解をしないでいただきたいのですが、たとえば店舗と住宅とが一緒になっている御商売の方、これらの経費控除については、いわゆる事業に要する経費としての控除であるのか、あるいは家計として支出をされるべき経費であるのかということがなかなか判然としない部面があるわけです。特に光熱水道費あるいは車両費、こういったものについては、公私混同と言うとこれも大変語弊がありますけれども、事業と自分の私生活とがもう一体になってしまって、それが全部経費控除として行われる、こういう仕組みになっているわけです。
 そういう点から考えますと、これは給与所得者における経費控除に相当するこの四〇、三〇、二〇、一〇の給与所得控除額よりもはるかに高いものが、経費控除として申告納税の場合には認められている。青色申告等の場合には経費として記帳すれば、広告宣伝費とかあるいは交際費といったような形で、資本金その他によって一定の制限のあるものは別といたしまして、他の経費についてはまあまあのところ――まあまあのところと言うと、これまた語弊がありますけれども、出せば、余り文句も言わずに、調査もされずに認められる、こういう青色申告制度でありますから、そういう意味からいうと、要するに給与所得者の経費控除に相当する給与所得控除と、事業所得における申告納税の際の経費控除というものは、後者の方がはるかに大きいのではないか。
 たとえば社会保険診療における二千五百万円以下七二%、五千万円以上五二%というのであっても、これはやはり一つの経費控除のたぐいでありますし、あるいは各種の租税特別措置の中でも広い意味での経費控除、つまり収入に対する課税所得金額を少なくする、こういう意味合いの租税特別措置によるそれぞれの控除というものは、そういう性格のものではないかというように考えるわけでありまして、そういう意味からいうと、さっきもお話しのような、経済的に考えてもということでこの経費控除率というものが、適当と言うと悪いですけれども決められておるということについてはきわめて不合理で、もう少し事業所得者の経費控除がどのくらいのものであるかということを、困難であってもかなり正確に捕捉して、それに見合うだけの給与所得者の経費控除というものを考えてもらわなければいけないというように思うわけですけれども、その辺についてはどう考えておりますか。
#17
○真鍋説明員 ただいま給与所得控除の割合を決めます際の理由といたしまして、私の方から財政事情や所得者の負担水準の状況等から判断するというようなことを申しまして、必ずしも他のたとえば事業所得者等とのバランスの話を申すのを忘れましたものですから御指摘があったと思います。私どもとしては、そのあたりも勘案して現在の水準に定めたというふうに考えておるわけです。
 そこで御指摘の、要するに事業者の場合に、内と外といいますか、店と家計が一緒になるじゃないかという御指摘のところがございます。さらに御指摘のございました、青色の場合にはそこのところが、帳簿をつけておるのでうまくいけるけれどもということでございました。そういうことでございまして、私どもも青色制度をやはりどんどん推進していかなければいかぬということで努力いたしております。
 一方におきまして、課税の公平を確保するために、白色の大口につきましては、いろいろ重点的にやっていく等の努力をしておるわけでございます。現実の問題といたしまして、店舗と住居が一緒になっておるというような場合には、経費その他につきましてもそれを案分して考えるとか、そこのところはうまくバランスがとれるようにいろいろ考えておるということでございます。
 さらに最後に一点、経費率等がいろいろ違うじゃないかということがございました。そこのところも大事なポイントでございます。業種によって経費率が違うという問題はございますけれども、業種の中ではバランスがとれるように十分注意してやっていくというふうにやっていっております。
#18
○松本(幸)委員 事業者所得における経費控除というのは、これは一人一人が申告するんですから、もう全部異なるということになりますので、統計的にはむずかしいと思うのですけれども、やはり税務行政の立場からすれば、ある程度業種ごとにでもいわゆる経費率というものの大筋があって、それに基づいて税務行政というものが行われているんじゃないかというように考えますと、事業者所得における経費控除率の、きちっとしたものは出ないかもしれませんけれども、おおよそのものがおわかりになっておりましたらひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
#19
○真鍋説明員 何分事業者、業種、業態、多様でございまして、地域的にも差がございます。御指摘の事業所得者についての経費控除率が一本の形であるというわけではございません。また、業種、業態によってそれぞれ違ってまいりますので、一応の平均的なものを私どもは内々持ってはおりますけれども、それは一応の平均であり何であるということでございまして、必ずしも公表するというようなものではございませんので、公表いたしておりません。
 いずれにしましても経費の話は、私どもといたしましては、とにかくかかった費用のうち収入を生み出すために直接必要である、あるいはその他合理的にその経費とみなしていいと認められるものについて、つまり適正なものについてそれを経費として見ていくということで、厳正な執行に努めておるということでございます。
#20
○松本(幸)委員 この点では最後に要望しておきますけれども、給与所得者に対する給与所得控除、この控除率が妥当なものであるかどうかということについて説得性を持たせるためにも、一方の事業者所得における、これは仕事量としては膨大なものになるかもしれませんけれども、少なくともできないことじゃないわけです、申告納税されたものを分類し、分析をしていけば、これはもう業種別にでもあるいは所得階層別にでもできるものです。ただ、膨大な作業であるということだけのことでありますけれども、一方において給与所得者の給与所得控除が妥当なものであるということに説得力を持たせるためにも、やはり一方の事業者所得の経費控除がどの程度のものであるのかということは明確にする必要があると私は考えますので、今後の課題としてひとつ十分御検討いただきたいというように思います。
 前段の税の問題につきましては以上で終わりまして、次に議題になっております地方税に関連をいたしまして、何点か御質問をしたいと思うのです。
 まず第一番には、今回の税法改正には載っておりませんけれども、いわゆる個人の道府県民税であります。私は昨年も申し上げまして、たしか検討いたしますというお答えをいただいているような記憶があるわけでありますけれども、これはもう御承知でしょうから内容はあえて申し上げません。個人の道府県民税が、昭和三十七年度以降現行の課税標準率になって、すでに二十一年間が経過をしているわけであります。
 先ほども申し上げたように、国税である所得税あるいはまた地方税である市町村民税、国税については十九段階でございましたか、市町村民税については十三段階のいわゆる超過累進税率の適用になっている。これはつまり、所得課税に対する超過累進税率適用という原則に基づくものだろうと思うのですが、その中でひとり同じ所得課税である道府県民税については、昭和三十七年以来二十一年間もそのまま据え置かれているということについては、これはきわめて不合理ではないかという感じがするわけでありますが、これにつきまして、今回の地方税制の改正の中で何か検討されたのかされなかったのか、まずお伺いしたいと思います。
#21
○関根政府委員 税率構造をどうするかという問題につきましては、私ども常々検討課題として勉強を続けてきているところでございます。そういう一般的な意味におきましては、都道府県民税の税率構造につきましても検討はいたしました。しかし、現実の問題といたしましての五十七年度の税制改正に、この問題は成案という形では出てきていないわけでございます。
 もうすでに先生御指摘いただいておりますし、何遍も御議論をいただいておりますので、わざわざ繰り返す必要はないのかもしれませんけれども、私どもとしては、都道府県民税につきましては地域住民が広く都道府県に要する経費を分任をしていただく、こういう性格の税でありまして、所得税のように、所得の再分配というものに相当なウエートを持っておる税とは、ちょっとその性格が違うんだという考え方を持っているわけでございます。しかし、仮に道府県民税の税率を多少累進度を強めていくということになりますと、市町村民税の税率をそのまま置き、所得税の税率もそのままにしておいて、都道府県民税だけ累進度を高めますと、これは一種の増税になるわけでございますから、ほかの税との調整をどういう形でやっていくのか、それをやはりかみ合わせた形でやっていきませんと、簡単に片のつく問題ではないわけでございます。
 今後ともそういった税源の配分でありますとか、あるいは国税、地方税を通じます税制の全般的な見直し、そういう課題の中におきましては都道府県民税の税率につきましても当然検討対象になってくるというふうには考えておりますけれども、いま直ちにこれを変えるということについての結論を持っているわけではないわけでございます。
#22
○松本(幸)委員 私は、別に道府県民税について増税しろと言っているわけじゃないのです。これを改正すれば、個々にはふえるものもあり減るものもあるという形での調整が当然出てくると思いますけれども、絶対額としての道府県民税を総枠としてふやすというのがつまり増税であって、個別にふえたり減ったりというのは、これはある意味では増税ということではない。要するに、負担の調整ということだろうと思うのです。そういう意味で、この道府県民税がむしろ増税になるかもしれないというよりも、ほうっておくことの方が低所得者に対して――先般、自然増税というのは違っているということを言いましたけれども、この場合にはまさに自然増税なんですよ。それがだんだん強くなっていく。直すよりも、むしろほうっておいた方が低所得者の増税が強化されていく、こういうことになると思いませんか。そういう意味で、この道府県民税が二十一年間もそのままになっているということについては、不合理だというようにはお考えになりませんか。
#23
○関根政府委員 先ほども申し上げましたように、都道府県民税の税率そのものが全体としてそれほど高いものではない。二%、四%という形で、非常に低い税率でまんべんなく広く県民に負担分任をしていただこう、こういう税でございますから、そういう低い税率の中で取られている絶対額をもう一回所得に応じて累進度を持たしてやる意味が果たしてそれほどあるのかという問題も、別途あるんだろうと私は考えております。しかし、そうは言いましても、決してこれは一切検討しないのだということを申し上げておるわけではございません。先ほども申し上げましたように、常にこういう問題も含めて、税率構造全体の問題として今後とも私どもはやっていきたい。いまのものが不合理であるのかというと、一概に絶対不合理であるとは思っておりません。しかし必ずしも、全然問題がないというふうに言い切っているわけでもないわけでございます。
#24
○松本(幸)委員 国税が全くの応能原則に基づく所得課税で、地方税については必ずしも、所得課税であっても応能だけではなくて、多少地域性を持たした応益の原則が加味されるものだ、こういうことについては私もかねがね承知はしております。しかし地方税といっても、市町村民税については超過累進という所得税にやや見合った税率の適用がある。都道府県民税についてはいまのようなお話ですけれども、そういうことで広く地域全体の受益に対応してやるというなら、何で百五十万円以下二%、百五十万円以上四%というような二段階制を設けるのか。所得に応じて一定の税率で、たとえば固定資産税のように、あるいはその他の税のように所得の区分をして、百五十万円以下は二%でございます、百五十万円以上は四%でございます、そういう意味がなくなってしまうのではないか。たとえば、その中間の三%というものをとって、もう道府県民税は全部三%である、百五十万の所得であろうと一千万の所得であろうと三%である、こういうことでもいいんじゃないか、こういう理屈にもなってくると思うのです。
 そこで、百五十万円以下二%、百五十万円以上四%というふうに定めたのは、これはやはり所得の区分に応じて負担を多少違えるという考え方に基づいているものだと思うのです。ところで、昭和三十七年に百五十万以下二%、百五十万以上四%と決められた当時の所得の状態というのは、いわゆる勤労者所得の場合には、当時は年収三十万八千五百円程度でしたか、ところが昭和五十六年度になりますと、すでに三百万を超えているわけです、賞与を含めての年間の全勤労者の平均収入総額が。大体八倍以上になっているわけです。三十七年当時課税所得金額が百五十万というと、これはその時点では相当の高額所得者だったと思うのです。それを境にして二%と四%というふうに分けた。
 相当の高額所得者までが二%で済んで、さらにそれ以上の高額所得者が四%だというふうに定めたときの基準というものにかなり合理的な根拠があるとすれば、二十年もたった今日、当時三十万八千五百円ぐらいの年収であった勤労者が今日ではもう三百九万五千円だったですか、になっているわけです。そういう状態になっているのに、依然としてこの道府県民税については三十七年当時のままで置くというようなこと、もうほとんどの人が、いま税務局長の言うように、結果的には同一税率と同じようなことになりかねない姿に現実はなっているのですけれども、二段階にしているということに合理性があり、三十七年当時百五十万を境にして二%と四%と分けたときに合理的な根拠というものがあったとすれば、いわゆる社会経済情勢の大変化に伴っての今日の実態から考えれば、もう不合理であるということは私が指摘するまでもないところだと思うのです。
 だから当然、くどいようですけれども、私は都道府県民税全体の総額を、税率を上げて増額しろということを主張しているわけではないのです。三十七年当時の負担を今日に引き直して、同じ負担になるような改正を行うべきではないか、こういうことを主張しているわけなんですが、そういうお考えにはなりませんか。
#25
○関根政府委員 お話はそれなりによくわかるつもりでございますけれども、先生がおっしゃいますように、いまの時点でたとえば四%、二%の分界点を少し上へ上げてくるということになりますと、これは税収の減につながるわけでございまして、減税をすべきであるという議論からすればむしろ当然のことであるわけですが、一定の与えられた税システムで、そこから私どもの言う自然増収というのが出てくる、そういうものを財源の当てにいたしましてまたいろいろな財政計画も組まれてくるわけでございます。そういう意味におきまして、お話はわかりますけれども、ある時点にできた税率構造というものは、貨幣価値なり物価なりあるいは経済の状況、収入の状況に応じて、常に実態的にできたときと同じように変えていかなければならないのだ、そういう理論もあるいはあるかと思いますけれども、私どもとしては、常にそういうふうに制度そのものを動かしていかなければならぬというふうにも必ずしも考えていない。その制度がそのままに置かれましても、いろいろな社会的な影響は及ぼすにしても、それがそれほど大きな弊害にはならないという場合には、それなりにある一定期間据え置いてもいいのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
 いま、すべて百五十万超になってしまっておるのではないかというような感じのお話もあったわけでございますが、確かに百五十万以下の人のウエートというのはだんだん少なくなってはおりますけれども、昭和五十六年度で、七〇%の方々が百五十万以下の分類になっております。三〇%の方が百五十万超ということで四%の税率を適用されるということでございますから、この二段階に分けておるその分け方としての百五十万というのは、まだそれほど社会実態からかけ離れてはいないというふうに私どもとしては理解をしているわけでございます。
#26
○松本(幸)委員 どうも論議がかみ合わないようですけれども、いまのお答えにはなかなか納得できない。年収三十万円当時、百五十万以上と以下と分けたときと、二十一年もたって年収が三百万にもなった時点で同じように、当時決めたとおりの百五十万以下と以上というような区分が合理的なものだ、妥当性のあるものだというふうには絶対に考えないわけなんです。当時の百五十万というのは、私の試算によれば、いまでは課税所得金額七百五十万程度になるのではないか、推算ですから正確ではないかもしれませんけれども。昭和三十七年に百五十万以下は二%でございますよと決めたのを今日引き直すと、年収七百五十万以下は二%でございますよと言わなければ、当時といまとは合わない、こういう考え方です。
 しかし、なかなか論議がかみ合わないようですし、時間も余りありませんから、これ以上のお答えは結構です。ただし主張といたしましては、いま申し上げたような不合理があるというように私はあえて強調いたしておきますので、ぜひその辺を含めて御検討いただきたいというように思います。
#27
○関根政府委員 先生は十分御承知だとは思いますけれども、この百五十万という金額はいわゆる粗収入ではございませんで、課税金額でございますので、諸控除を全部差っ引いた後の課税額であるわけでございます。したがって、課税最低限というのは、年々控除が上がってまいりまして相当な額に達しておるわけでございますから、生で粗収入での百五十万の比較という問題ではない。それなりに控除額が上がってきているということを御承知ではありましょうが、そういうことになっているわけでございます。
 なお、引き続き検討すべきであるというお話でございますけれども、最初にも申し上げましたように、私どもとしてもこういう問題について、国税、地方税、特に市町村民税との兼ね合い等について、引き続き検討はしてまいりたいというふうに考えております。
#28
○松本(幸)委員 あえて申し上げますが、いまの税務局長の御答弁、百五十万円が全くの年間収入ではなくて、当然各種控除が行われた所得課税金額であるということは、私も承知をしております。
 その上に立っての計算としても、いま申し上げたように、今日では七百五十万円ぐらいになるんじゃないか。それからまた、仮に各種控除をした場合にどのくらいになるかという計算も出てくるかと思いますけれども、いずれにしても、常識的に考えて、二十年間たった以上、当時決めたことが――これは率とかなんとかじゃなくて金額ですからね。たとえば百五十万というものが、当時の状況としてそれが正しいんだ、合理的なんだ、こういって決めた以上は、それが今日そのままの金額でいるというようなことは、率なら別ですよ、どうしても納得いかないわけですけれども、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。
 次に、今度改正の対象となっております個人住民税のいわゆる非課税限度額の引き上げの問題につきまして、これは昨年の特例に続いて本年は二回目でありますけれども、昨年の税法改正によっても五十六年度限りの措置、こういうことが附則の条項にうたわれているわけです。
 私どものとり方からすれば、一兆円減税に対する解釈の違いじゃありませんけれども、五十六年度限りということは、もう五十七年度はやらないんだな、こう素直に解釈するわけなんです。ところがそうではなくて、当時の百七十五万何がしという課税最低限というのは今年度限りだという解釈も一方では成り立つわけでありまして、何かその辺がはっきりしませんけれども、いずれにいたしましても、こういった課税最低限を引き上げずに、据え置いたままで非課税限度額を毎年引き上げていくというようなことは、きわめて変則的な特例措置だというように理解をしているわけですけれども、これをこれからもずっと続けていくようなおつもりでいるのかどうか、まずお答えいただきたいと思います。
#29
○関根政府委員 非課税限度額を昨年、五十六年度限りの措置として設け、また五十七年度税制改正については、五十七年度限りの措置として、金額は多少動かしましたが、この制度を持つということにつきましては、私どもも、あくまでも特例的な制度であるというふうに考えているわけでございまして、これを将来とも恒常的な制度としていつまでも維持をしていくということは考えていないところでございます。
#30
○松本(幸)委員 それは当然であろうと思います。しかし、にもかかわらず、五十六年度限りの措置であるとされたものが、五十七年度もまたまた同じような形で措置をされる。これは言うまでもなく、本税といいましょうか、国税それ自体の改正が行われませんから、地方税としてはやむを得ないということにもなろうかと思いますけれども、いずれにしても、変則的な措置であるということには間違いないと思います。
 しかも、この非課税限度額の引き上げ措置をとらなければならない原因が、いわゆる生活保護基準額を、課税最低限といいますか非課税の線が下回ってしまうというような結果で、生活保護基準のスライド上昇に伴って、それに引っ張られて、その後追い的な形でこれを改正する、こういうような形に実際はなってきているわけですね。
 それで、今度の生活保護基準、一級地の標準四人世帯で百七十五万三千円ということで、何か先日いただいた資料を拝見いたしますと、今度の非課税限度額が百八十八万五千円、こういうことになるから、いわゆる一級地における四人の標準世帯の生活保護基準支給額百七十五万三千円よりも、なおかつ十三万円ほどよけいになるのだからという説明をされているわけですけれども、生活保護基準が上がってそれよりも課税最低限が下がってしまうから非課税限度額を引き上げるんだ、こういう措置というのは、まことにどうも税制の面から考えますと、大変不合理だというように考えるわけですけれども、そのことについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#31
○関根政府委員 課税をされます所得の最低限が生活保護基準を下回るというような事態は、やはり税制上余り望ましいことではないと私どもは考えているわけでございます。しかし一方、地方財政が大変厳しい状況の中で、本格的な減税を実施することが残念ながらできないわけでございますので、そういう制約の中で最初に申し上げましたような事態を回避いたすために非課税限度額という制度をとっておるような次第でございまして、その結果、いまお話のありましたような生活保護基準すれすれのところの所得の方には住民税が課税されない、そういう仕組みにしているわけでございます。
#32
○松本(幸)委員 余りたくさん時間もありませんので、このことについてもくどくは申し上げませんけれども、生活保護基準の標準世帯百七十五万三千円、課税最低限百八十八万五千円、その差が年間十三万二千円だ、こういう説明がされております。
 私は、少なくとも課税最低限については、国税の二百一万五千円ぐらいまでは当然引き上げられるべきものだ、課税最低限が地方税と国税とで違うということについても若干不合理だ、いわゆる課税最低限で最低の生活保障をしよう、こういう基本的な考え方に基づいてはじき出されている課税最低限ですから、それが国税と地方税とでは違うという考え方についても大変問題があるというように思っているわけでありますけれども、そのことはしばらくおくといたしまして、標準世帯の生活保護費と課税最低限とで十三万二千円違う、こうなっておりますが、実際にボーダーラインの方については、課税最低限からちょっと上の方は、生活保護世帯であれば免除される各種の――免除されるというか、それを対象として生活保護費が支給されるわけですけれども、それらのものをすべてみずから、いわゆる公課のたぐいになりましょうか、そういったものを負担しなければならないことになるわけです。
 たとえば医療費は、生活保護の場合は無料です。これはわずかでも税金を納めている程度だったら、高額医療は別として、医療費は本人、家族を含めて、保険の種類によりますけれども、みずから負担をしていかなければならない。たとえば教育費についても、給食費あるいは教材費、修学旅行費、こういったものは生活保護の方には支給されるたてまえになっておりますけれども、課税最低限ぎりぎりの百八十八万五千円の方はみずから教育費として出さなければならない。私どもの近所では、いま家賃が大体三万五千円前後ということですが、借家に住まわれている人はその費用の負担もしなければならない。となりますと、いろいろ見たり聞いたりしたところ、別に生活保護を受けている人の方が大変楽で、ボーダーライン層にあってわずかでも税金を納めている程度の人というのは公課の負担があるから、逆に可処分所得と言われるものが少なくなってしまって生活が大変苦しいというような実態があるわけです。
 そういう点からいたしますと、果たして百八十八万五千円という課税最低限が生活保護費のそれよりも十三万二千円、年間で上回っているからこれで十分なんだ――十三万二千円なんというのは、仮に三万円の家賃を払って借家に住んでいる人は、課税最低限に近い人は、単純に計算しても家賃だけで一年間に三十六万円取られちゃうわけです。そのほか子供の教育費、医療費、こういうことになりますと、とても十三万二千円ぐらい差があったって、むしろ課税最低限ぎりぎりの納税者というのは大変な負担を、公共料金あるいは公課、教育費、こういったものを含めて負担するということになるから逆転してしまって、その者がむしろ非常に苦しい生活を余儀なくされるという結果になる。
 要は、単に十三万二千円生活保護費よりも上回っているからそれで能事足れりではなくて、せめて二百一万五千円の国税と同じぐらいの課税最低限でなければ、納税をしている人のいろいろな費用負担を考えれば均衡を失してしまう、逆になってしまう。生活保護を受けている人の方が比較的生活が楽で、課税最低限ぎりぎりで納税している人はうんと苦しい生活になってしまうという逆転現象が起こりかねない。実際に地域でそういう事例が間々あるわけですよ。そのことを配慮してもらわなければならない、非課税限度額を決めるときには。そういうことも考慮して決めておられるのでしょうか。
#33
○関根政府委員 生活保護基準と課税最低限ないしは非課税限度額との関係でございますけれども、確かに逆転するという事態は決して好ましいことではございません。しかし、そこのところのすき間が何万円あればいいのかという問題については、一概にある特定の数字をもって説明するということが非常にむずかしい問題であろうと思います。
 もともと制度的に、生活保護基準と税法上の課税最低限ないしは非課税限度額というのは違うわけでございます。たとえば、端的に申し上げまして生活保護を受ける場合には、その人の資産まで一応全部勘案した後で、処分可能な資産があるのかないのかといったストックの面まで考えて判断がなされる。一方課税最低限の方は、税法上の問題ですからあくまでもフローの問題でございまして、収入が各年度においてどれだけあるのかということからのもっぱらの判断であるわけでございます。そういった判断をする範囲が両者で違うものですから、そういうこともありまして、必ずしもぴったり同じ数字で、何万円離れていれば全く同じような条件であるということが言えないわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても私どもとしては、納税をしている人々と生活保護を受けている方々との間で不公正なアンバランスといいますか、だれが考えてもおかしいではないかという不均衡が出てこないように常に見直しをし、しかるべき制度を持っていかなければいかぬのだというふうに考えております。しかしそれは、課税最低限というのは高ければ高いほど納税サイドから言えばいいわけですけれども、一方これを高く設定するということは、地方団体としては歳入がそれだけ減ってしまうという問題もあるわけでございまして、歳入確保との兼ね合いからどの程度までしか課税最低限は上げることができない、こういう問題が出てくるわけです。その両者の兼ね合いの中で、私どもとしては地方財政、苦しい中ではありますけれども、一応今年度非課税限度額を引き上げることによりまして、生活保護基準との差を、先生おっしゃいましたように十三万円程度という差を保つことができたと考えているわけでございます。
#34
○松本(幸)委員 片や福祉行政、片や税務行政という違いがあることは承知をしておりますけれども、やはり国として国民の生活を考えた場合には、それは行政の守備範囲というか分野は仮に違ったとしても、実態として生活の中で、生活保護を受けている者はいわゆる税金を含めてそういった公租公課の負担がない、しかし低所得者、課税ぎりぎりのところの人は普通に各種の公課その他を負担するということになると、逆転現象が起こりかねないという実態を考えれば、それとの整合性が当然考えられてしかるべきものではないか。そういう観点から、課税最低限についても、そのことを配慮して決める必要があろう。わが方は税務行政なんだから、生活保護の方がどうであろうとそんなことは知ったことじゃないよ、こういういわゆるセクショナリズム的な考え方はぐあいが悪いのではないかということなんです。
 その辺までを含めて配慮しつつ、こちらの課税最低限も決めていくという配慮がどうしても必要だということを私は主張したいわけです。別にお答えは要りません。まあ、来年また非課税限度額をもう一年やるなんということはよもやあるまいと思いますから、この論議はことし限りにしていただきたいと思うわけですけれども、課税最低限を考える場合にも、原則的にというか基本的な考え方としては同じように配慮しつつ決めてもらうように、来年はぜひ課税最低限の引き上げについて実現をするように御努力をいただきたいと思い
 続きまして固定資産税でありますけれども、この固定資産税につきましては、五十七年度たまたま三年に一度の評価がえの時期になりまして、土地を中心としての評価がえが行われるということであります。この固定資産税は、いわゆる所得課税ではない、資産課税、こう言われているわけですけれども、固定資産税と一口に言いましても、大きく分けて、これは分け方にもよります、土地あるいは建物、機械設備といったような分け方もありますが、そういう意味ではなくて違った分け方をしますと、生産財としての固定資産と消費財としての固定資産、このような分け方もできるのではないかと思うわけです。
 それで、土地の評価がえを中心として行われる今回の改正ですけれども、やはり土地についても生産財としての土地、いわゆる事業用資産といいましょうか、工場その他が建っている土地だとかと、住宅用の消費財的な資産と分かれると思うのです。あるいは農地というものもありますけれども。そこで、細かく言えば別ですけれども、基本的にそれらのものを固定資産税としては全く同一に考えて、同一の税率で、あるいは評価で課税をしていく、そういうことが妥当なものなのかどうなのか。ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#35
○関根政府委員 先生から、生産財と消費財とに分けて固定資産税のかけ方を区別したらどうかという御提案がなされたわけでございますけれども、そういう区分の仕方ももちろんないとは申しませんが、そうなりますと、現実にその固定資産がどういう目的に使われているのか、生産財として使うつもりになれば使えるものを、ある特定の個人の意思で遊ばしておく場合にはそれは消費財なのかどうなのか、現実の使用形態によって区々になってくる。その辺のところが、実際の徴税事務としても非常にむずかしい手間のかかる問題が出てくるのではないかという感じがするわけでございます。
 もともと固定資産税というのは、税率がそれほど大きな税ではございませんで、まんべんなく固定資産と呼ばれるものを、土地なり家屋なりを持っておる者に対して、それほど負担上、負担にたえないような重い税ではなしに、まあまあほどほどの税を賦課しようという、税制としてずいぶん古くから各国において設けられてきた税制であると私どもは理解をいたしております。
 そういう税でございますので、個々の使用目的なりあるいは現実に固定資産が収益をもたらすのかもたらさないのか、そういう個々の事情によって余りきめ細かい区別をしない税、そういう形で生まれてきた税でございますので、税そのものの本来の性格というものを大事にしながら、地方団体にとっては大変大切な税でもございますので、これはこういう形で基本的には貫いていきたいと考えておる次第でございます。
#36
○松本(幸)委員 考え方にもよりますけれども、百分の一・四だからそう税率の高いものでないといいますけれども、課税客体の評価がどんどん上がっていけば税率は低くてもかなり相当額になるので、税率が低いからそんなに負担を感ずるような税金じゃないという考え方はちょっと納得しかねるところなんですが、とにかく、税率は低くても対象となる固定資産が大変膨大な額の資産なんです、ある程度割引にはなっているといいましても。ですから、税率は低くても結果として出されてくる税額そのものは国民の負担としては大変なものですよ。そういうようにひとつ考えていただきたいと思うのです。
 その場合に、土地についても、単なる住宅の用に供している土地というのは、これを他の事業用の土地等と同じように評価をする、たとえば駅前の商店でそれ自体がかなりのあれになっているようなものと住宅用の土地とを同じにするというようなことについても、これは大変かもしれませんけれども、ちょっと問題があるのじゃないかと思うのです。しかし、そのこともまた後の論議にしたいと思います。
 家屋については、これもまた生産財的なもの、主として会社その他の法人等については、いわゆる家屋についても機械設備についても減価償却というのが行われる。減価償却と固定資産税の課税とは性格が違うものですけれども、同じように個人の家でも十年たち二十年たてば、どんどん資産の価値は下がっていくわけですね。そういう点について、年数がたったときに、家屋の場合にはむしろ評価額を下げていく、こういう方法がとられるべきではないか。建って十年たった家というのはもう中古住宅で、売ったって半値以下、三分の一にしか売れないという状態になってしまうわけですよ。
 土地の場合には住宅であっても、付近の地価が上がれば売るときには高く売れます、住んでいるときには別にそれから何も利益は生まれないんですけれども。まあそういうものですけれども、家屋については古くなれば大変価値が下がってしまうのですから、固定資産の評価がえという場合には土地のみを対象としないで、家屋の建築年数等に応じて減価償却的に評価額を下げていくということも必要ではないかと思うのですが、そういう措置をとろうとするお考えはありませんか。
#37
○関根政府委員 家屋につきましては、現在でも経年減価点数というシステムをもって評価をやっているわけです。ただ基本的な評価の考え方が、再建築費をもって評価をするというやり方をしておりますし、最近の家屋の建築単価が毎年上がっているということで、今回も評価がえに当たりまして二五%ほどの再建築費の上昇というものを前提に置いておりますから、経年減価がストレートにあらわれてこない、こういう面があるわけでございます。
 しかし、その場合でありましても、評価の結果前の評価よりも今回の評価の方が上がってしまうというような場合には前の評価で抑えてしまう、前一〇〇であったものを一一〇になったからといって一一〇に増し評価をして課税をするということはないようにしているわけでございます。原則として新築家屋なんかにつきましても、私ども課税をいたしますときには一年間の経年減価をとりまして、八〇%の評価で課税をされるということになっておりますので、大体先生のおっしゃるような趣旨はいまの制度でも組み込まれているのではないかというふうに考えている次第でございます。
#38
○松本(幸)委員 次の質問に移らせていただきます。
 特別土地保有税でありますが、簡潔にお尋ねしたいと思います。
 一つは、なぜ特別土地保有税については取得価額を課税標準として固定されているのかということと、今回の改正で三大都市圏は三百平米、その他の都市計画区域については五百平米までは土地保有税は課さない、こういうことになっておりますけれども、三大都市圏における三百平米とその他の都市における五百平米というような決め方は、どういう理由でこれだけは非課税にする、それ以外のものは課税する、こういうことにしたのかということ。
 それから、今回の改正で新たに取得した土地については二年間は徴収を猶予する、三年目以降十年間特別土地保有税を課する、こういうことになっているわけであります。ちょっと細かい話になりますけれども、二年間保有して三年目に家を建てた場合あるいは四年目に家を建てた場合、こういったときの土地保有税の取り扱いはどういうことになるのか。たとえば二年間は猶予期間ですから課税されない、三年目になった場合には、三年目は建設をした、その一年というものは課税されてしまうのか、その年に建設されたものは課税されなくても済むのか、あるいはまた年の中途で建設をした場合にはいわゆる月割り的な形で課税されることになるのか、その辺のところ、まだ不勉強でわかりませんので御教示をいただきたいと思います。
#39
○関根政府委員 特別土地保有税の課税標準額を取得価額で据え置くのはなぜかというお話でございますけれども、先生御承知のように評価がえをやっていきますと、土地というのは三年ごとに上がっていくわけですが、現在評価水準というのがございまして、その評価の実態というのはまるまる取得価額ではないわけでございます。一概には言えませんけれども、物によっては三割とか四割とか、相当取得価額よりも低いというのが現実であるわけです。したがって、特別土地保有税につきましては、ある程度投機の抑制というような性格を持っておりますので、多少保有課税を強化することによって有効利用に結びつけるなりあるいは投機的な土地取引を抑制しょう、そういう趣旨が含まれておりますので、できるだけ税負担を効き目のあるものにするという趣旨で、土地の取得価額をストレートに使っておるということではないかと思います。
 また、何十年も据え置けば云々という問題もありますけれども、本来特別土地保有税というのは、早く有効利用してもらうということを目的として課する税でございますので、余り何十年も置かれるということを前提にしたシステムになっていないということでございます。
 それから、特別土地保有税、今度三大都市圏の市街化区域につきまして、小規模な土地につきましても課することにしたわけでございますが、三百平米と五百平米の違いはどうだということでございますが、大都市圏につきましては、比較的小さな規模の土地が遊んでいる場合でも有効利用をさらに積極的に進めていく必要があるのではないか、おのずからその他の都市と三大都市圏の中の土地とは有効利用の仕方が違うというような観点から、三百と五百というふうに区分けをしたわけでございます。これも論理必然的な、絶対に三百でなければならないという明確な数字的根拠があるわけではございません。
 それから、こういう土地を取得いたしまして二年を経過した後どうなるのかということでございますけれども、私どもとしては、せっかく供給されました土地を遊ばせておいていつまでたっても有効利用しない、建物が建たぬということではもったいないことでございますので、できるだけ住宅等の建設をしていただきたい、こういう趣旨で税制上からも補完していこうということでこの税をつくったわけです。したがって、いつまでも有効利用をする意思がないような方に対しては税金を課することになりますけれども、何らかの正当な事由があって、本人はやりたいけれども、たとえば道路の構造との関連でありますとかほかの公共施設の問題とかいろいろな問題がありますが、そういうやむを得ない事情によっておくれてしまっているものにつきましては、徴収猶予の方法等をかまして実態に合うようにしていきたいと考えております。
 なお、年税でございますので、毎年一月一日の現況に応じてその年度課税するかしないかを決めていく、月割りということは考えておりません。
#40
○松本(幸)委員 前段の、今回の土地保有税の十年以上の保有土地については課税を免除するという考え方が、そもそも課税をしたときには、いまもお話があったように土地を早く放出させようという目的で土地税制として創設した。ところが外すときにも、逆に今度は税金をかけないようにするから早く、それもやはり土地を出してもらうための一つの方策だというようなことで、課税を創設したときと課税をやめようというときと、全く逆なことをやるのに同じ目的だと言うのはまことに納得のいかない話なのですけれども、それはお答えは結構です。
 それから、三大都市圏三百平米、その他の都市五百平米のことにつきましても、三百平米というと九十坪ですね。古い言い方で怒られるかもしれませんが、一般的なサラリーマンの住宅とすれば大体三軒分です。それ以内だったら何年持っていても税金はかかりませんよ、地方では五百平米ですから百五十坪、大体五軒分の土地ですね、それは幾ら持っていてもかかりませんよというようなことについては、これもどうも決め方が――個人の住宅を中心として考えるならば、もっと制限は低くてもいいのじゃないか。たとえば一軒の家としては、三十坪と言えば百平米、地方の場合に五十坪と言えば百五十平米あればいいわけです。それ以内だったら土地保有税などというものはかけないで、三年たっても四年たっても構いませんよということですね。五百平米と言ったら、はっきり言って五軒建ちますよ。そうしますと、この決め方については、どこにその合理的な根拠があるのかということについて疑いを持つわけなのですけれども、それも論議として聞いておいていただきたいと思います。
 それから、ちょっとはっきりしなかったのは、徴収猶予という許可を受ければ多少猶予しますということなんですが、もし仮に徴収猶予を受けないで、うっかりしてと言うとこれもまあぐあいがよくないことなんですが、受けずにやった場合に、三年目になって建ったらその年は課税されるのですか。二年間は猶予ですから、これはまあ課税されませんね。いろいろな資金の都合その他でもって、徴収猶予の許可は受けなかったけれども、三年目に建ったという場合も起こってくると思うのですよ。その場合には、その三年目の一年間は課税されるのですか、されないのですか。
#41
○関根政府委員 課税の実態を把握するのは、毎年度一月一日の時点で把握をしてまいります。したがって、二年間一月一日を通過して建っておらなくて、三年目の一月一日も建っていないという場合には、一年分の特別土地保有税が課税されるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 ただ、いま先生の御設定、ちょっと必ずしも私正確に理解はしておりませんけれども、二年間一月一日を通過いたしまして、三年目のたとえば夏ごろに家が建ったという場合には、三年目の一月一日はもうすでに家が建っておりますので、そういう場合には課税をされません。
#42
○松本(幸)委員 私がお尋ねしているのは、二年たって三年目の一月一日というよりも、取得した日を起点にして二年とかなんとか言うのでしょうけれども、暦年の一月一日ということじゃないと思うのですが、取得をした日から二年間、二回りして、それで三年目の取得した日に家が建っていればそれは課税されませんよ、それはわかるのです。ところが、それ以降に家が建ったという場合には一年間は課税されるのかどうかということと、もう一つは、さっき落としましたけれども、その年に建ったら――先日事務当局と話をしましたところ、ちょっと判然としなかったのですが、法律は二年間の猶予だから、仮に三年目に家を建ててもそれ以降十年間は課税されるのだ、そういうことは恐らくあり得まいと思うのですが、はっきりしませんでしたので念のために申し上げておくのですが、いま前段の三年目の初日、まあ三百六十五の二倍した翌日ですね、三年目の一日というのは。二年の次の日ですから。その日に建っていなければその一年間課税されるのか、その年に建てれば課税されないのか、どうなんですか。
#43
○関根政府委員 なかなか日付の話を宙で正確に申し上げるというのはむずかしいのですけれども、取得の日から二年間というふうにもちろん法律はなっておりますけれども、それを具体的に家が建っているのか建っていないのか、保有をしているのかしていないのか、それを判定いたしますのは、固定資産税と同じように、課税の基準日として一月一日というもの、これは暦年の一月一日というものを押さえまして、その時点の現況で判断をいたします。たとえば、四月一日に取得をした土地を二年間一月一日を通過いたします。それまでは建っていなくても結構です。しかし、三年目の一月一日を通過する時点で、時が通過する時点で、もし建っていなければ一年分が課税されます。
 したがって、多分先生のお話は、四月一日に買った土地が一月一日を経過し、もう一回次の一月一日を経過したその翌日に家ができたという場合には、これは三年目のときの一月一日には家が建っておるわけでございますから、これは課税をされない、こういう結論になります。
 それから、もう一つのお話の、たとえば三年たってもまだ家が建っていなくて、四年目に家が建った、その場合に十年間課税されるのかということは、これは十年間ということはございません。その年度だけ課税されるということになります。
#44
○松本(幸)委員 それから、くどいようですけれども、徴収猶予というものの許可がなければ――あれば課税されないわけですが、なかった場合には課税される、そういうように分けていいわけですか。
#45
○関根政府委員 さようでございます。
#46
○松本(幸)委員 大変時間が経過をいたしまして恐縮でございます。実は地方財政計画に関連いたしまして、いろいろ公共事業の前倒し契約その他の問題につきましても、あるいはまた地方交付税の問題につきましてもお尋ねをしたかったわけですけれども、時間の配分が悪くて、時間を超過してしまいましたので、後日また御質問をさせていただくということで、終わりたいと思います。ありがとうございました。
#47
○中山委員長 小川省吾君。
#48
○小川(省)委員 国税においては、いろいろな事情で税金の還付が行われております。これは現年度課税ということだろうと思うのでありますが、地方税は一年おくれの納税でありますので、過誤納を除いては税金の還付というものはあり得ないのではないかというふうに思っておるわけでありますが、もしも地方税で還付が行われるとすれば、どのような場合に還付が行われるわけですか。
#49
○関根政府委員 先生御指摘のとおり、過誤納等の場合に還付がなされるのが地方税の場合には常態でございまして、国税のように申告に基づいて還付が行われるということはほとんど考えられないわけでございます。
#50
○小川(省)委員 もしも倒産をしたとか、あるいは災害を受けたとか天変地異による大損害があったような場合に、還付はどうなりますか。
#51
○関根政府委員 すでに課税したものにつきましては、減免措置をとることになるわけでございます。
#52
○小川(省)委員 そうすると、減免措置以外に還付というようなことはあり得ないというように理解をしてよろしゅうございますか。
#53
○関根政府委員 現在の地方税制上は、還付ということはそういう場合にはあり得ないというふうに考えております。
#54
○小川(省)委員 昭和五十三年以降、課税最低限が全然引き上げられておりません。恐らく納税人員がかなり増加をしておるだろうというふうに思うのですが、これによる地方税の収納の状況はどのように推移をしておるのか、伺いたいと思います。
#55
○関根政府委員 納税義務者数について申し上げますと、所得割の納税義務者数は昭和五十年で三千三百四十二万でございましたものが、昭和五十六年度では四千四十万ということになっております。
 なお、納税者がふえたことに伴う税額の増収というのは、そういう分析的な資料はとっておりませんが、ただ絶対額についてはもちろん統計的にわかっております。
#56
○小川(省)委員 三千何百万のものが四千四十万になったということでありますから、これはかなり厳しい税になっておるのではないかというふうに思っております。ただ単に税収の確保のみを考えて、基礎控除やあるいは配偶者控除や扶養控除をそのままにしておくのはどうかというふうに思われますけれども、なぜこれを引き上げようとしなかったのか、検討されたのかどうか。引き上げようとしたけれども、国税がやらないので今度はがまんをしてくれとか、何かそういうようなことはありますか。
#57
○関根政府委員 減税、特に住民税に対する減税の要請が強いということは、私どもも常々十分承知をしているつもりでございます。しかし、いかんせん、地方財政の状況というのがきわめて厳しい状況になっておりますので、そういう状況の中で実質的な減税をすることによって課税最低限を引き下げていくということが現実問題としてできないということになったわけです。決して検討をしなかったわけではございませんが、そういった財政、経済の状況というものがそれを許さなかったというふうに御理解をいただきたいと思います。
 なお、私どもといたしましては、しかしそうはいいましても、低所得層に対する配慮というものをせざるを得ないという情勢の中で、非課税限度額につきましていま御提案申し上げておりますような措置を講じたような次第でございます。
#58
○小川(省)委員 私どもがいま修正案として提案をしようとしているものは、各種控除を三万円ずつくらい上乗せをして、これを控除しようというような案をいまつくっておるわけでありますが、これについてはどのようにお考えになりますか。
#59
○関根政府委員 課税最低限を引き上げることによって、低所得者層に対する地方税の住民税所得割につきまして非常にすっきりした制度ができると考えるわけでございますが、いかんせん、それには大変な財源を必要とするわけでございます。先ほども申し上げましたような地方財政の状況から、そういう財源を捻出することが実際問題として不可能であるということから、そういう措置が私どもとしてはとれないという結論に至ったわけでございます。
#60
○小川(省)委員 法七十三条の四の二によれば、宗教法人法による宗教法人がもっぱらその用に供する土地、建物については、不動産取得税が非課税になっておりますけれども、不動産取得税に限らず地方税法上における宗教法人の扱いについてはどのようになっておりますか、お伺いをいたします。
#61
○関根政府委員 いま御指摘ございましたように、不動産取得税につきましても非課税規定が置かれておりますが、宗教法人の境内の建物でありますとか境内地等、宗教法人がもっぱらその本来の用に供するものにつきましては、不動産取得税のほか固定資産税等が非課税とされております。また、収益事業以外の本来の宗教活動にかかわる所得につきましては、住民税及び事業税がそれぞれ非課税となっているところでございます。
#62
○小川(省)委員 宗教法人は、宿泊施設をかなり有しているようであります。もっとも、宿泊料は大変安いんだろうというふうに思いますが、料理飲食等消費税の対象にならないのかどうか。また、いま事業税も非課税だというふうなお話でございますが、なぜ事業税については非課税なのですか。
#63
○関根政府委員 宗教法人にかかわりのあります場におきましても、料飲税は、免税点以上であれば当然課税をされるわけでございます。ただ実際問題として、境内地等で宗教法人が関与をするようないろいろな宿坊等での宿泊、これは非常に料金が安いものですから、相当のものが免税点以下ということで課税対象になっていないというのが現実ではないかと思います。料金の高いものは、一般のホテル等と同じようなものでありますれば課税対象になるということで、特別な措置がとられているものではございません。
 事業税が非課税になっておりますのは、宗教法人のいわば公益性と申しますか、宗教法人に宗教活動等をやりやすくするという考え方の一環として、非課税措置が規定されているものというふうに考えます。
#64
○小川(省)委員 また、大蔵省においでをいただいておりますけれども、国税における宗教法人の扱いはどうなっておりますか。
#65
○滝島説明員 お答えいたします。
 宗教法人は、法人税法上公益法人の一つとされております。公益法人に対する課税は、それが収益事業を営むという場合に限って、その収益事業から上がる所得に対して二五%という税率、これは通常は四二%でございますからかなり軽減された税率でございますが、それで課税されるということに相なっております。
#66
○小川(省)委員 税法上において、国税、地方税においても、宗教法人というのはかなりの優遇を受けておるようであります。現実に収益事業を営んだ場合には課税をされるということなんでありますが、ある人が勝手に宗教法人をでっち上げるとか、あるいはわれわれがわれわれの後援会を宗教法人というようにでっち上げた場合には、こういうことでやはり同じように宗教法人としての税法上の優遇対象になりますか。
#67
○関根政府委員 宗教法人は、それぞれ設立手続が個別法に定められているわけでございますので、そういった手続に従いまして正規に設立されたもののみが、宗教法人としての税法上の取り扱いを受けるということになると思います。
#68
○小川(省)委員 それならば、われわれの後援会を宗教法人ということにすれば、税法上そういう扱いを受けるわけですね。
#69
○関根政府委員 私どもは、直接宗教法人法を所管をいたしておりませんので、その解釈を有権的に私から申し上げるわけにはまいりませんけれども、宗教法人というのは、きわめてその目的を持った、まさに宗教法人と言われるべきもののみが宗教法人になっているというふうに理解をしているところでございます。
#70
○小川(省)委員 きょうは文部省を呼んでおりませんが、私も後援会を宗教法人にするように検討しますから、その際には税法上ひとつ優遇をしていただきたいというふうに思っております。
 さて、温泉所在市町村のことでありますけれども、温泉の所在地であるがゆえに税法上ではどのようなメリットといいますか、温泉が所在をしているということで地方税法上の何かメリットになるものがございますか。
#71
○関根政府委員 温泉の場合には、やはり宿泊行為なり飲食行為というものが相当多くなると思いますので、都道府県税でございますが、料理飲食等消費税というものが相当収入されるということになると思います。また、市町村税で目的税ではございますが入湯税というものがございまして、その収入もあるというふうに考える次第でございます。
#72
○小川(省)委員 まあ、料飲税は泊まるんだから当然でしょうが、あとは入湯税ぐらいしかないんじゃないかというように思うのですね。温泉所在市町村では多数の人が集まるし泊まるわけですから、ごみ、屎尿等が非常に排出をされるわけであります。
 そこで、料飲税が主として使われるわけでありますから、料飲税の二分の一とは言いませんけれども、せめて三〇%か四〇%を温泉所在市町村に交付をし得るような方法がとれないのかどうかという問題であります。これは温泉所在市町村ではかなり強い要望でございますけれども、検討をしたことはございますか。
#73
○関根政府委員 お話のございました料飲税を市町村に交付するという制度につきましては、前々から先生からもいろいろお話を承っているところでございまして、われわれなりにも検討はしたところでございます。しかし、やはり税の都道府県と市町村への配分というのは全般的な立場から、ある税は県へある税は市町村へ、こういう区分けをして、全体としてそれぞれの県や市町村の財政需要に見合った財源を付与する、そういう仕方をしているわけでございます。ある特定の税を分けてしまって、やっていいのかどうかという問題もございます。
 確かに、そういいますと、すぐに娯楽施設利用税のゴルフ税等の問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、料飲税にまでそういった市町村へ配分する制度を広げるということは、なかなかむずかしいというふうに考えておる次第でございます。
 お話のございました清掃費等が確かに温泉地はかかりますけれども、清掃費に対する交付税上の財政需要の見方につきましては、入り込み客等によりまして割り増し算入をするというような制度もとっておるわけでございまして、別途、いまお話のございました入湯税等もございますので、そういうものによって対処できるというふうに考えておる次第でございます。
#74
○小川(省)委員 いま御答弁のように、娯楽施設利用税は配分になるわけですよね。ゴルフ場であったならば、ゴルフ場を利用するために車で来るから道路が損傷をするというようなことはあるかもしれませんが、パチンコやマージャンでそういうことはあり得ないわけでありますから、娯楽施設利用税よりももっと切実な問題だろうと思うのですが、この点はいかがですか。
#75
○関根政府委員 配分をいたしておりますのは、御承知のことと思いますがゴルフ場だけでございまして、パチンコその他については配分対象にはなっていないわけでございます。ゴルフ場の場合とこの料理飲食等消費税とどう違うのか、なかなか区分の仕方はむずかしいと思いますが、ゴルフ場につきましては、やはり相当広大な面積をある特定の市町村内でゴルフ場という一つの目的だけに独占的に使われてしまう、そのことがいろいろ地元の市町村に大きな財政負担を伴わせる、あるいはまた、ほかへの有効利用がだめになるといったような問題等もございまして、きわめて異例の措置としてとられておるというふうに私ども理解をしているわけでございまして、確かに均衡の問題はあるわけでございますけれども、ゴルフ場があるからといってすぐに料飲税につきましても配分をする、なかなかそういうふうに簡単にいかないので苦労をしているところでございます。
#76
○小川(省)委員 ゴルフ場を異例の措置だということでありますが、娯楽施設利用税が市町村に交付になっておるわけでありますから、ぜひひとつ温泉所在市町村に対する料飲税の交付についても前向きで検討を願いたいというふうに思っています。
 どうしても交付できないような状態だとすれば、当面、入湯税が現在百五十円ですよね。これをもっと引き上げてもよろしいのではないかと思いますが、料飲税を百五十円以上に引き上げるようなことを考えたことはありませんか。
#77
○関根政府委員 税率の見直しは私ども常にやっていかなければならないわけでございますが、現在、入湯税は百五十円になっておりますが、これは昭和五十三年の一月一日から百五十円になっておるわけでございます。見方によれば、すでにそれから四年たっているではないかという見方もありますけれども、四年しかたっていないではないかという見方もあるわけでございます。物価上昇等との兼ね合いも考えながら、今後ともその見直しについては検討をしていきたいというふうに考えております。
#78
○小川(省)委員 ぜひこれは、百八十円なり二百円なり上げ得るような方法を講じていただきたいというふうに思っております。
 また本年も、固定資産税の見直し時期になったわけですね。またかなり引き上げられることになるのだろうと思っています。しかし、固定資産によって収益を上げ得ない一般住民にとっては、固定資産税の引き上げは生活を圧迫する以外の何物でもないというふうに思っております。固定資産の価値がいかに上がっても、収益処分しない限りは一円の得にもならないわけでございまして、適正な時価とは言っておりますけれども、値上がりが激し過ぎると思いますが、今年度はどうなりますか。
#79
○関根政府委員 固定資産税の評価がえの年に当たっておるわけでございますけれども、土地につきましては、昨年の暮れに各都道府県に指示をいたしました各都道府県の基準地の価格が、平均をいたしまして二四・一%上がっているわけでございます。その間におきます国土庁の地価公示のアップ率が二六・八%であったわけでございまして、全般的な地価の値上がり傾向を反映いたしまして、固定資産の評価額の上昇を見たというふうに考えているわけでございます。これを具体的な各筆に適用をいたしまして、でき上がりの姿での評価額のアップは、現在の時点ではまだまとまっておりません。しかし、従来の経験からいいまして、基準地価格のアップ率を数%上回るものになるのではないかと考えておる次第でございます。
 建物につきましては、再建築費の上昇率がおおむね二五%のアップということになって、現在これも作業を進めておるところでございます。
#80
○小川(省)委員 確かに市町村の税収が、引き上げれば確保されるわけですから、それの面では結構なんでございますけれども、一般住民にとっては大変なことなんでありますから、固定資産税の評価がえについては、自今ぜひひとつ特例措置等を講じていただいて、余り引き上げが強まらないようにお願いをしたいというふうに思っております。
 次に、特別土地保有税でございますが、今回、十年経過をしたものは非課税にしていくようでありますけれども、非課税にしたからといって、住宅の建設が促進をされるわけでもありません。得をするのは、かつて不動産に手を出した大企業だけだというふうに考えられますが、いかなる事情で今回このような非課税措置に変えたのか、その点を御説明を承りたいと思います。
#81
○関根政府委員 従来から課税をいたしてまいりました特別土地保有税につきましては、市街化調整区域内の土地につきましては十年間保有をしたことによって、それ以後は非課税とするという措置をとったわけでございます。
 これは、すでに取得をしてから十年以上経過した市街化調整区域内の大規模の土地があるわけでございますけれども、御承知のとおり、市街化調整区域内につきましては、その開発利用が規制をされているわけでございます。片一方で開発してはならないという規制を加えておきながら、いつまでも相当重い税をかけていくということは、税制上もやはり一定の限界があるわけでございまして、今回、土地譲渡所得に対する課税等の土地税制全般にわたりまして見直しが行われ、その際の長短区分の分界点を十年という保有期間によって分けようということにいたしました、その機会に、こういった市街化調整区域内の土地で従来からありましたものについても、十年経過したものについては課税対象から外すということにいたしたわけでございます。
 なお、今後取得されます土地につきましては、すべて新しい土地税制が長短区分を十年にするということと平仄を合わせまして、市街化調整区域内であろうと市街化区域内であろうとを問わず、すべて十年保有をもって、特別土地保有税は課税対象外とするという制度をつくったわけでございます。
#82
○小川(省)委員 市街化調整区域に特別保有税をかけたということも間違いであるし、市街化調整区域を取得をした企業も、開発が規制されておるわけでありますから、これも誤りだったわけですね。そういう点では、税法上からも、調整区域内に特別土地保有税をかけたのはどうもうまくないなというような反省が強くあった、こういうことですか。
#83
○関根政府委員 いままでの税制が間違っておったというふうには、私ども理解をいたしておりません。いわば二つの要請がございまして、その間のバランスをとったというふうに御理解をいただきたいと思うわけです。
 二つの要請とは何かということでございますが、一つは投機抑制ということでございまして、かつて土地ブームのときに、日本全国にわたりまして大変な土地の買いあさりが行われたわけでございます。将来の土地の値上がりを目的として、土地を何でもかんでも買い込むということで、その結果として土地の値上がりが起こったわけですが、そういった投機を抑制をしていくということから考えますと、その土地が開発可能性があるかないかにかかわらず、投機的に買われたものについてある一定の保有課税を高めていくということは、これはそれなりに税法上の合理性も持っておったと思います。
 ところが一方で、特別土地保有税というのは、もう一つは開発利用の促進という目的を持っておりますが、開発利用の促進というのは、これは市街化調整区域においては通用しない問題です。市街化区域においてはどんどん開発利用を進めているわけですから、その効果を税の保有税によって推し進めるということができるのですけれども、市街化調整区域については、その面の機能を期待することがもともと無理だったわけでございます。
 この二つの、投機抑制という要請と開発促進という要請との兼ね合いを私どもは十年という期間で調整をした、こういうふうに考えておる次第でございます。
#84
○小川(省)委員 結構でしょう。
 現行の市町村の法定外普通税の問題でありますが、どんなものがどのくらいあってどのくらい税収が上がっておるのか、一応実態を明らかにしていただきたいと思います。
#85
○関根政府委員 市町村の法定外普通税でございますが、現在、と申しますのは五十七年の三月現在でございますが、七税目四十八団体が法定外普通税をもって課税をしておるところでございます。課税件数ないしは金額ともに、ここ数年来それほど大きな変動はございません。五十三年から申し上げますと、五十三年が四十八市町村でございまして税収額が六十一億、五十四年が五十市町村が課税をいたしておりまして税収額が六十六億円、五十五年度が四十九団体でございまして七十二億円ということでございます。
#86
○小川(省)委員 どのような税目があって、法定外普通税をつくりたいと思っている団体に参考になるようなものがありましたら、お教えをいただきたいと思います。
#87
○関根政府委員 税目といたしましては、一番多いのが商品切手発行税でございまして、十七の団体で課税をいたしておりまして、金額的にこれが先ほど申し上げました税収額のほとんど大部分を占めております。五十五年度で五十八億円の収入が入っております。その次に多いのが砂利の採取税でございまして、十一団体が課税をいたしております。その次に広告税とか林産物移輸出税というのがございます。珍しいところでは文化観光施設税、これが三団体やっております。それから、従来からの税でありました犬税というのがございましたが、これはだんだん少なくなって、ほとんどなくなるものと考えております。
 珍しい税といたしましては、別荘等所有税というのがこれは熱海市だったと思いますが、一団体課税をいたしております。ヨット・モーターボート税というのが神奈川県の三浦市で課税をいたしておりましたが、これは現在では廃止をしております。
 大体そんなところでございます。
#88
○小川(省)委員 次に、事業所税についてお伺いをいたしますが、第七百一条の三十一に定められておりますが、人口三十万以上を基準としているようですね。事業所税は、実際にはいろいろな団体があるのですが、代表的なところを挙げていただきたいのですが、どのくらい上がっておりますか。
#89
○関根政府委員 五十五年度決算額で千三百八十六億円の収入がございました。課税団体は五十九団体でございます。
#90
○小川(省)委員 事業所税が課せられる建物というのは、県庁所在地にはかなり多く存在をしておるわけですね。この事業所税を県庁所在地で課し得るように、三十万というのを取っ払って、県庁所在の市は事業所税が課し得るようにしろというのが私の年来の主張なんでありますけれども、この主張についてどう受けとめていただけますか。
#91
○関根政府委員 先生から前々からそういう御主張をいただいておることは、私ども十分承知をしているところでございますが、県庁所在地といいましてもその態様が非常に違っておりまして、十万そこそこの県庁所在都市もあるわけでございまして、なかなか一概に人口段階で区分をするわけにもいきませんし、また人口は同じでありましても、産業構造等が大分違っておるというようなこともあるわけでございまして、一律に、県庁所在地であるからといってこの税を課税していくということに、なかなか踏み切れないでいるわけでございます。
 特に、政府の税制調査会におきましても、この問題につきまして御審議をお願いをしてきたところでございますけれども、五十一年の例の課税団体の範囲を五十万から三十万に広げるときにも税調といたしましては、「この税の性格にかんがみ、課税団体の範囲を今後さらに拡大することについては、慎重に対処すべきであると考える。」こういう御意見をいただいておるところでございまして、その後この考え方というのは、それほど大きく変わっていないというような状況もあるわけでございます。私どもも、引き続き各方面の意見を聞きながら検討はいたしてまいりたいと考えておりますけれども、現時点において直ちにこれを拡大するということは、なかなかむずかしい問題でございます。
#92
○小川(省)委員 私は年来主張をしてきたのですが、県庁所在地というのは事業所税の課税客体がかなり多いわけでございますし、ぜひひとつことしの税調あたりには、事務局案として出していただけるようにお願いをいたしたいと思うのです。いま、十万そこそこの団体もあると言われましたけれども、大体県庁所在地というのは二十数万のところが多いわけでございまして、特例として県庁所在地は事業所税が課し得るように、ぜひひとつこれは本当に腰を据えて御検討をいただきたい、このように思っております。
 それから、昭和五十六年度における税収の状況でありますが、もうすでに十二月分が出ているだろうと思うのでありますが、経済界の状態を反映してかなり落ち込んでいるのではないかというふうに思っております。法人関係税など順調に収納をされておりますかどうか、一応お伺いをいたしたいと思います。
#93
○関根政府委員 税収の状況でございますけれども、昭和五十六年度の税収につきましては、現在のところ、五十七年一月末現在の都道府県の徴収実績をもとに判断をしているわけでございますけれども、法人関係税等につきましては入り方が大変よろしくないわけでございます。進捗率にいたしまして、一月末、昨年五十五年度におきましては八六・三%法人事業税が入っておりましたものが、ことしではまだ八〇・六%しか入ってない。六ポイントも落ち込んでおるというような実情でございます。したがって、法人関係二税につきましては、私ども予定どおりの、財政計画掲上どおりの収入というのは非常にむずかしいのじゃないかという見通しを持っておるわけでございます。しかし、幸いなことにほかの税目で、たとえば自動車関係の税目でありますとかあるいは個人住民税でありますとか、そういったもので計画額をオーバーしている税目もございますので、地方税収全体といたしましては何とか地方財政計画に掲上いたしました額を確保できるのではないかというふうに期待をしながら、これからもう何カ月もございませんけれども、推移を見守っていきたいというふうに考えておる状況でございます。
#94
○小川(省)委員 法人関係税がかなり落ち込んでおるということでありますが、恐らく三月末になってかなり落ち込んでくるのではないかというふうに思っています。そうなってまいりますと、五十七年度でありますが、都道府県を一〇・二%、市町村で一三・一%の伸びを見込んであるようでありますが、こういう見込みのとおりいくというふうに御判断できますか。
#95
○関根政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、五十六年度全体といたしましては、ほぼ地方財政計画掲上額を確保することができるのではないかというふうに考えております。したがって、税目間の多少のアンバランスはございますけれども、そういう形で確保がなされました場合には、五十七年度におきまして政府で設定をいたしましたような経済成長率が実現できるものでありますれば、税収としては予定額であります掲上額の十九兆九百四十三億程度のものは確保できるのではないかというふうに考えております。
#96
○小川(省)委員 私は、五十七年度、かなり見込みが狂うような状態が経済の変動で出てくるのではないかというふうに思っています。都道府県一〇・二%、市町村一三・一%という数字は、かなり検討を加えて、一応余り伸びないであろうということも加味した上で出された数字でございますか。
#97
○関根政府委員 税収の見積もりにつきましては、毎年同じような仕組みをとってやっておるわけでございますけれども、基調はやはり国の経済の見通しをもとにいたしまして、国税の見積もりがどの程度のものになるか、そういったものをもとにいたしまして、地方団体独自のいろいろな要素もそれに加えながら積算をしているわけでございます。したがって来年度、先ほども申し上げましたけれども、経済成長が政府で定めましたような見積もりどおりいくということをあくまでも前提といたしておりますので、そういう経済の成長がなされれば、大体計画どおり税の収入はあるものというふうに考えておるわけでございます。
#98
○小川(省)委員 さらにいろいろお尋ねをいたそうと思ったのですが、本会議もあることでございますから、交付税審議の折にさらにいろいろお尋ねをいたすことにして、本日はこれにて打ち切ります。ありがとうございました。
#99
○中山委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#100
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。三谷秀治君。
#101
○三谷委員 法人事業税というものが、企業活動に着目をした物税として制定されました。ところが、実際の課税客体というものが所得になっている。このことは以前にもお尋ねしたことがありますが、そのために、たとえば企業活動を展開しながら、そして地方公共団体の公共サービスといいますか、港湾だとか道路だとかあるいは水道だとか、こういうものの受益を受けながら、事業税を払わない、その負担を免れるという措置が依然として続いております。これは、応益負担上公平を欠くものとして従来からしばしば指摘したところでありますが、これについていま自治省はどのようなお考えか、お聞きしたいと思う。
#102
○関根政府委員 事業税は、先生御指摘をいただきましたように、考え方の基本といたしましては、いわば応益原則に基づきまして、いろいろと公共施設の使用等において地方公共団体から受益を受けますので、その受益に応じて税負担をしていただく、こういう性格のものでございます。
 しかし、現在は一部の業種を除きまして、所得を課税標準といたしまして税が課されておる、そういう運用になっておるわけでございまして、地方団体からは、税収の安定的な確保を図る観点からも、できるだけこの税本来の外形標準課税というものを実施をいたしまして、安定的、平均的な税収が得られるようにしていただきたい、こういわ要望が前々からなされていたわけでございます。
 私どもといたしましても、本来そういう方向で改善を図りたいという考え方を持っておりますけれども、実際問題といたしまして、税制調査会等におきまして議論をしていただいておるわけでございますが、最近におきましては、昭和五十五年の十一月になされました税制調査会の中期答申におきまして、課税ベースの広い間接税の導入問題が出てまいりまして、その税に関する税制改正と一緒に外形標準課税の問題も議論すべきであるということになって、一応のその議論がまとまっているところでございます。今後、課税ベースの広い間接税の導入問題等も絡めまして、私どもとしては、できるだけ早い機会にこういった方向への改善が実現いたしますよう、努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#103
○三谷委員 物税の租税概念からしますと、当然、利益があろうとあるまいと、その事業そのものに課税するわけでありますから、そのような課税の仕方が必要なわけでありますけれども、依然として所得課税をなさっている。一部、収入金課税という部分がありますけれども、これはごく限られたガス、電気ですか、その範囲でありますから、これはほとんどとるに足りませんで、全体としては所得課税をなさっている。所得課税をしますと、事業税の損金として算入する根拠が全くないわけなんです。所得に対して課税するわけですから、それを損金として事業税に反映をさせるというような理論的な根拠はどこにもありませんが、しかし、依然として損金算入がなされまして、大企業が事業税を払わない。
 大体、私どもの計算でいきますと、十億以上の会社で見まして三四、五%から四〇%、この範囲の企業が事業税を全部払っていない。こういう状態でいいだろうかという疑問はだれしも持つわけでありますけれども、もしも所得課税をおやりになる、継続されるのであれば、これを損金として事業税に反映をさせるというようなことは速やかに停止すべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
#104
○関根政府委員 確かに、現時点におきまして、所得を課税標準としながら損金算入をしているのはおかしいではないか、そこだけをとらまえますと、そういうことも言えるわけでございますが、あくまでも事業税というのは、本来的に物税であるという考え方を私どもは捨てていないわけでございまして、御指摘をいただきましたように、まさに電気とかガス事業につきましては、そういった外形標準課税がなされているわけでございますから、そういうものを見てもわかりますように、事業税全体としてはあくまでも物税であるという性格を失ってはいないと思います。そういう物税である以上、それを納税をいたしましたときに、いわゆる法人税の面におきましては、これを経費に算入するというのが税の原則からいって当然でございますので、私どもとしては、この原則を変えることは困難であるというふうに考えておる次第でございます。
#105
○三谷委員 損金算入が変えられなければ、当然物税を課するということが行われなくちゃいけません。その物税という観点に立っているからこそ損金算入が認められるわけであって、一方では物税物税と言いながら実は所得課税が行われておる。そうして、所得課税をしながら損金算入が行われまして、事業税収入がはなはだしく減少するという状態になっておるわけでありますから、もしも損金算入の廃止ができなければ当然事業活動そのものに課税をするという、そもそも事業税の創設されました原点に立ち返って課税の措置をとるべきだと思います。
 そしてこれは、従来からそのようにしたいということはしばしばおっしゃっている。速記録をたくさん持ってきましたけれども、繰り返しそのことをおっしゃっておりますし、それから税調の基本問題小委員会でもそのことが言われております。これは昭和四十六年でありますが、赤字企業の企業活動に対して事業税が課税されないことは是正されなくてはいけない、そういうことが言われております。地方制度調査会でも同様な意見が出ておりますし、税調ではもう一遍同じ意見が出ておるわけであります。また参議院では、しばしばこの附帯決議が付せられておりますが、これが一向に前進をしない。一体いつそれを実現されるつもりなのか、お聞きしたいと思う。
 この間大蔵委員会では大蔵大臣が、赤字企業といえども免税というのはおかしいということを発言されておりますけれども、そういう点からも関連をして考えてみますと、税法上の欠損法人だからといってこれが事業税を払っていないこと、これまたおかしいことだと思うのですよ。そういう点でいつこれを是正されますのか、お聞きしたいと思うわけです。
#106
○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、税制調査会におきましても何遍か答申をいただいております。考え方の基本としては、事業税本来の性格であります物税としての課税ができる方向へ持っていくべきであるという基本的な考え方は持っておりながらも、これが現実には赤字決算をしている企業が相当たくさんございまして、特に中小企業の場合等において赤字を出している企業にまで外形標準課税で事業税を課していくことがなかなか実際問題としてむずかしい、そういうような事実関係等の問題もございまして、税制調査会におきましては、先ほど申し上げました中期答申におきまして、今後課税ベースの広い間接税というものを全般的に検討するときに、一緒にこの問題も含めて検討すべきではないかということになっておるわけでございます。また、地方制度調査会におきましても、何遍か地方団体の意向等を踏まえまして、外形標準課税の導入をすべきであるという議論もいただいておるわけでございます。
 いつまでにするのだというお話でございますけれども、社会的な実態といたしまして、いまなお中小企業等におきまして相当数多くの企業が赤字決算をやっております。こういった企業に対して、直ちに外形標準課税を導入することができるかどうか、こういった問題もあるわけでございまして、なかなか簡単にいかないわけでございます。しかし、私どもとしては、この問題についていつまでもこのままでよろしいという考え方を持っているわけではございませんので、引き続き各方面の意見も聞きながら、検討を続けていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#107
○三谷委員 こういう税のつくられました基本的な根拠といいますか、それを無視したような課税がいつまでも続けられるということは、われわれとしては納得できるものじゃありません。従来から一般消費税を導入した場合、あるいは類似の大型消費税、それと同時にこの問題を方針を固めたいというようなことをしばしばおっしゃっておりましたが、この消費税といいますものは国民全般に大きな影響を与えるものでありますから、大平さんの一般消費税構想というものも国民の批判を受けて瓦解したわけでありますし、それから臨調も増税なしということを言っておるわけでありますから、にわかに一般消費税というものが導入されるとは考えられません。それとは別個のものです。
 この事業税というものが物税であって、これは所得のいかんにかかわらず事業活動に対して課税するものであるということは、初めから決まった租税の概念になっているわけでありますから、その概念に立ち戻りますならば、当然それなりの、たとえば外形標準を導入するというような措置によりましてこの矛盾を解決していかなければ、所得に対して課税するのが損金として事業税にはね返ってくる、そういう道理に合わない話はないわけであります。
 それから、いま中小企業がこれによると困るようにおっしゃっておりますが、それは課税方式のいかんによって決まるのでありまして、従来からの討議の中で税務庁がおっしゃっておりますのは、課税方式が非常に困難だ、こうおっしゃっておる。何を課税の客体としてつかまえるかということがむずかしいんだ、こんなことをおっしゃっておりましたが、私どもの方では御承知のように方針を提示しまして、資本金に利益の剰余金あるいは各種の引当金、そして準備金、特別償却を加えたもの、これを税の対象にする。しかし、これも業種によっていろいろ差がありますから、業種別な補正を加えていく、そしてさらに資本金の規模別の補正も加えていく、こういう措置をとりますならば、この課税は決してむずかしいことではないと考えておるのであります。
 そういう点からしますと、中小企業に対する経過措置というものも容易にできるわけでありますし、あの複雑な交付税というふうな制度をおつくりになって、だれが見ても計算がわからぬような制度を運用されている自治省がこれくらいのことができないというのでは、これは納得できるものじゃありません。それはやる意思がないことを証明している。ですから、この問題につきましては検討中、検討中とおっしゃっておりますが、これはいつまでも検討中で済ますべきものではないわけでありますから、大体自治省としてはどの時点においてこの問題を解決するというふうな目標でもお持ちになっておるのかどうか、お聞きしたいと思う。
#108
○関根政府委員 現在、もちろん財政再建に当たって増税をしないという、増税なき財政再建という原則のもとに諸施策が進められているわけでございまして、なかなか税制の大きな改革ということが非常にむずかしいとは思います。
 しかし、少なくともわが国の国、地方を通ずる税制の基本を御審議いただいております政府の税制調査会におきまして、課税ベースの広い間接税の検討の一環として、この問題についても一緒に片をつけていくようにすべきであるということで、一応の議論のまとまりがなされているわけでございます。なかなか言うべくして簡単に実現はむずかしいとは思いますけれども、一応そういうことで議論が集約されているわけでございますので、私どもとしては、そういう方向に沿ってこの問題の解決を図っていきたいというふうに考えております。
 したがって、わが方独自に、それじゃ何年度までにその問題を片をつけるという計画は、持ち合わせていないのが現状でございます。
#109
○三谷委員 それじゃ、いつになってもこの矛盾は解決しないということになるんじゃないですか。そして、いま大型消費税との関連ですか、抱き合わせといいますか、そのことが何か合意された条件のようにおっしゃっておりますが、私どもはそういう合意は全く承知しておりません。これは税調の基本問題小委員会におきましても、そんなことは言っていない。
 これは、赤字企業の企業活動に対して事業税が課税されないことは是正されなくてはいけない、そのために、事業の規模ないし活動量を的確に測定することができる基準を採用することが必要である、こういうことを言っているわけでありまして、これが一般消費税と連関をしてやらなくちゃならぬという根拠はどこにもないのであって、事業税のつくられました租税の概念からしてそもそも間違っているわけでありますから、その分はその分なりに速やかにこれは是正をするという措置をとるべきだと思います。これは速やかにそのような措置をおとり願いたいと思いますが、大臣どうでしょうか。
 大臣、私は一つ御注文申し上げたいけれども、私ども大臣に特に質問をしますのは、大臣の頭を通じて出ました大臣の胸襟というものをお聞きしたいと思っているのであって、後ろの方からメモを回してきてそれをそのまま読むというふうな、そういう不見識なことは慎んでいただきたい。いろいろ議論をお聞きになって、もっともであると思えばそのように努力をする、間違っておると思われれば指摘していただくということだと思うのです。
#110
○世耕国務大臣 先ほどから伺っていますと、これは税制問題の一番根本的な抜本的なことになってきておりますので、ほかの税制とかみ合わせて広くいろいろな角度から研究してやっていかなければならない、そういったことで、あらゆる検討を重ねた上で導入することに努力してまいりたいと思うのでございます。ただ、こういった非常に重要な問題でございますから、日にちを何日と申し上げることはできませんけれども、十二分に検討してまいりたいと思います。
#111
○三谷委員 これは租税の体系全体にかかわるとおっしゃっておりますが、そういう考え方をしなくたっていいわけなんです。事業税というものは何を目的にして創設されたのか。これは企業の活動に対して、それに着目をして、そこから一定の税を負担してもらう。特に事業税といいますのは、地方自治体の税源でありますから、地方自治体がそれぞれの地域内における企業に対していろいろな公共的なサービスを行っておる、それに対してその負担にこたえるものであります。ですから、所得があろうとなかろうと、その地方自治体の公共的なサービスは受けるわけでありますから、それに対して応分な負担をするというのが事業税のつくられました一番基本的な理念であります。その点からしますと、ほかの一般消費税とかなんとかいうものとは別のものであって、そもそもそういう性質のものである。その点をお考えになりますならば、租税全般の体系上の問題とかなんとかいうものでは全くないのでございます。
 しかし、いまお答えを聞きますと、日を切るのはなかなかむずかしいとおっしゃっておりますが、私は、大蔵大臣などが思い切ったことをぼんぼん言うておりますね、自治大臣もその程度の見識と勇気を持ってみずからの所見を述べていただきたいと思うのです。私は、十年間十人ほどの自治大臣と質疑させていただきましたけれども、自分が責任を負ってどうするこうするということが言えてそれを実現されたのは、残念ながら江崎自治大臣だけでありました。あとの大臣は、残念ながら何一つ理論的な観点に立った、そしてみずから確信を持った所信というものが述べられてきませんでしたから、まことに残念でありますが、どうか新しい大臣もこういう点は十分に御研究をいただいて、これは道理があるということであれば断固として実行するという姿勢に立っていただきたいと思いますが、この問題については迅速に実現のために努力を願いたいと思います。もう一度、決意をお聞きしておきたいと思うのです。
#112
○世耕国務大臣 これは私どもも何とか取り入れたいと思って、昨年からいろいろ努力してきたところでございます。今後とも、その方向には変わりはございません。
#113
○三谷委員 そこで、法人税における税法上の欠損法人、この税法上の欠損を事業税の損金として算入することによりまして一体事業税がどの程度の減収を見ておるのか、お聞きしたいと思う。
#114
○関根政府委員 そもそも現在は一般的には、赤字決算の法人からは事業税をいただいていないわけでございます。したがって、それを外形標準をとった場合にどの程度入ってくる、それが現在赤字だから入ってこない、その差し引きをするわけでございますが、その前提となります外形標準を導入した場合の、どういう税率でどういう外形標準をとるのか、そこのところが決まっておりませんので、現在の所得課税にした場合にどういうマイナスが出ているのかということがちょっと計算ができないわけでございます。
#115
○三谷委員 私どもで試算してみますと、五十四年度、五十六年度両年度やってみましたが、法人所得金額に事業税率を乗じてみる、そして、自然増収見込み率あるいは法人税率等それぞれ掛け合わせて出してみますと、大体五十四年度で四千八百億程度の事業税の収入減になっておるだろう、五十六年度で見ますと、これも大体六千億程度になりますか、その程度の収入減になっておるだろうというふうに思うわけでございます。
 そこで、この問題は、地方財政の問題から見ましても緊急の問題だと思うのでございます。これは、別に新しい税制をつくりまして新しく増税をするという性質のものではない、本来の税金を出してもらうという性質のものでありますから、増税論とは別個のものであります。それで、しかもこれだけの損失が出てきておる。
 そこで、今後全力を挙げて改善するという話でありますが、欠損法人の一部が税務会計上欠損であるということで――税法上の欠損法人といいますのは、御承知のように、租税特別措置法によります諸控除がなされる、そして税法上の欠損になるわけであります。会社の企業会計上欠損であるかないかは別といたしまして、税法上の赤字法人というものがかなりあるわけでありますが、これがやはり政治献金というものをかなりなさっておるわけであります。私たちはこの禁止を主張してまいりました。地方自治体のサービスを受けて事業活動をやりながら、税法上のいろいろな制度によりまして収入を控除されて税法上の欠損法人になってくる。これが、税金は払わなくたってよろしい。税金、事業税は払いませんけれども、献金だけは抜かりなくするというふうな状態は、国民としましてはいかにも釈然としないものでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#116
○関根政府委員 国税も通じて言えることでございますが、国税、地方税とも損金算入のできます寄附金でありますとか献金でありますとか、こういうものはおのずから一定の限定をいたしておるわけでございます。政治資金等につきましても、わが国の政治の健全な発展のために必要なものという、そこに一つの公共的な目的を設定いたしまして、それに基づいて必要な金額について控除対象にしていく、こういう仕組みになっているわけでございまして、そういう公共的な性格上必要な支出、寄附金等について税法上の控除対象にしておるということでございますから、それはそれで必要な理由に基づいてなされているものであって、そのことが税法上許すべからざることであるというふうには決して考えていないわけでございます。
#117
○三谷委員 税法上許すべからざるとは言ってはおりません。国民の道義観からしまして、釈然としないと言っているわけです。いまおっしゃいました公共的性格の政治資金というものは何とかとおっしゃいましたけれども、公共的な性格を持つのは納税なんですよ、税金なんですよ。その最も公共的な性質を持つ税金の方は払わなくたってよろしい、しかし、政治献金も公共的な性格を持つものだから、これは一定の制限の中でやってもいいというようなことであります。いまおっしゃいました制限といいますのは、恐らく政治資金規正法で言います量的な制限の問題だと思いますけれども、資本金によってランクされまして献金の最高額が決まっている。そのことは別に論外のことなんだ。
 要するに、私たちの感覚としまして、そういう元来は物税として公共団体のサービスを受けておる企業から取るべき税金を取らない、所得課税を行っている。そうして、所得課税を行いますならば損金算入は認められない。ところが損金算入を行っている。しかもそれによって、事業税は全く払っておりませんけれども、政治献金だけは規定額までは幾らでもやってもよろしいというのでは、これは国民の判断としまして決して合点のいくことではないわけであります。
 そこでお尋ねしますが、これは全く卑近な例にすぎませんが、事業税を払っておりませんいわゆる欠損法人ですね、これの政治献金の額は少ないものではありません。たとえば、川崎重工などは、これは事業税は払っておりませんけれども、献金は五十四年度の選挙では千七百九万円になっております。それから三井造船などは、これは五十四年、五十五年、それぞれ献金をしておりますが、五十五年で申しますと二千八百万円。田辺製薬で申しますと、これは五十四年、五十五年とも千三百三十万ないし千三百八十万であります。三光汽船などにしましても、これは長年の赤字法人でありますが、それでも献金は約二千万円もしているわけであります。
 こういう状態を見ますと、なぜこの企業に対して物税課税を行って税金を取らないのか、税金のかわりに献金をさせるのかという疑問が起きてくるのは当然の話でありまして、そういう点からしましても、この矛盾は速やかに解決する必要があるというふうに思うわけでございます。これは、ちょっと局長の行政的な答弁ではだめなんだ。本当は、大臣の政治的な観点に立つ答弁が必要だけれども、どうも大臣の答弁というのも私ども何となしに頼りない感じがするわけでありますが、しかし、こういう状態について大臣はどのようにお考えでしょうか。
#118
○関根政府委員 事業税の本質につきましては、先ほどから申し上げておりますように、本来は受益に応じまして、赤字であっても応分の事業税負担をするということが望ましいわけでございますが、実際問題としていろいろな問題がありますし、特に赤字決算をやっている法人に対して相当多額の事業税を外形的に課税することができるかという、実態的な非常に大きな問題があるわけでございます。そういうことで、現在、外形標準課税に踏み切れていないということでございます。
 別途、献金をした場合に、それが税の控除対象になるかならないかということは、その献金の公共的な価値といいますか、公共性というようなものに着目して、それぞれでそれぞれの国会の議決を経た税法に基づいて控除対象にしておるということでございますから、一概に赤字である企業はすべて政治献金をしてはいけない、あるいは社会的な目的での寄附をしてはいけないということには、これまたまいらぬものではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#119
○三谷委員 あなたは、赤字法人に事業税が課せられるか、こんなことをいまおっしゃったけれども、事業税が課せられる証拠に、税金は払っていないけれども、献金はしているという実例を挙げてお尋ねしているわけです。
 しかも、この赤字法人といいますのは、いま問題にしておりますのは税法上の赤字法人ですから、企業会計上黒字かどうか、これはわかりません。いろいろな制度によりまして、法人税による特例措置もあるし、租税特別措置法による特例措置もあって、そこからどんどんと控除した後を税法上の欠損というわけでありますから、よしんば税法上の赤字でありましても、これは十分に事業税は取れるものだし、また、その赤字、黒字にかかわらず地方自治体のサービスを受けているので、それに対して応分の負担をするという性質のものでありますから、あなたのお答えはどうも矛盾をしておって、一貫性がなくて困る。初めは、物税だから事業に着目した税金だ、こうおっしゃつている。いまはまた、事業税が赤字法人に課せられるだろうか、取れるだろうか、こんなことをおっしゃっている。これは全く論理が錯綜してしまって、意味がよくわからぬ答弁になっている。
 そこで、私は嫌がらせをして困らせる意思はありませんけれども、そういう状態であるわけですから、この赤字法人の献金問題などにつきましてはこれは一定の制限処置をとるべきだ。もっとも、いま政治資金規正法によりますと、三年以上連続して赤字を出した企業は政治献金をしてはいけないという規定がありますが、この立法の趣旨はどういうことなんでしょうか、これをお尋ねしたいと思います。
#120
○大林政府委員 現在、政治資金規正法でいわゆる赤字会社の政治献金を制限しておりますのは、政治献金にまつわるいろいろな疑惑を取り除く方法のうちで、やはり無理な政治献金というのが何かと疑惑を招くであろう、そこで、それ相応に応分の寄附というシステムをとっておるのが現行法でございます。
 そこで、赤字会社について見ますと、三事業年度以上にわたって赤字を続けておるというのは、これは大変なことでありますので、そういった大変な会社が無理やり政治献金をするところにまた世間の疑惑を招くことになるであろう、こういう趣旨で制約をしておるところであります。
#121
○三谷委員 まあ、これは三年であろうと、二年であろうと、一年であろうと、赤字と称する会社、そのために事業税も払うことができない会社、そこから献金を受けるということは、三年ならよくなくて二年ならいいということにはならぬと思うのです。そこは恐らく総体的な基準をお決めになったと思うけれども、そういう点からしますと、赤字法人の献金というものは好ましくないということだろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。
 それから、先ほど少し名前を挙げましたけれども、五十四年度、五十五年度の政治献金をなさっております事業税を納めていない会社、たとえばクラレなどは、五十二年度から四年間連続して欠損法人であります。佐世保重工業も、四年間連続して欠損法人になっておる。東洋紡も、三年連続の欠損法人であります。三井金属鉱業も、三年連続であります。三菱レイヨンも、四年連続の欠損法人であります。それから、三井東圧化学もそうでありますし、ラサ工業もそうであります。蝶理という会社もそうであります。三光汽船などもそうであります。これは四年どころではありません、ずいぶん長い欠損法人になっておる。
 そのほかいろいろありますけれども、羅列したところで一緒でありますから省略しますけれども、このようにして、三年、四年にわたりまして欠損法人として税を納めていない。もちろん、これは法人税を払っていない、同時に事業税を払っていない、それが選挙になりますと何千万かの献金をするという、この状態ですね。これは一体いまの社会的な判断からしまして妥当なものだろうか、これは手をつけなくてもいいだろうか。三年以上連続して企業会計上の赤字法人につきましては、法の規制で献金をしてはいけないと言っている。しかし、それは三年以上になっているけれども、二年であろうと一年であろうとそういうことは避ける方が望ましい。それはこの立法の精神からして当然だろうと思いますけれども、その点はいかがでございましょう。
#122
○関根政府委員 税金をいただく方の側といたしましては、できるだけ各企業とも大いに収益を上げていただいて税金を納めていただきたいという気持ちでございます。そういう意味におきまして、すべての企業が黒字決算をすることが望ましいというふうに考えておるわけです。しかし、赤字が出た場合に一切献金なり寄附というものがいけないのかということになりますと、寄附行為等について認めておりますのは、それぞれの寄附の持っている有用性なり社会的な効用、そういうものを認めて多分そういう制度が仕組まれているものだというふうに私どもは考えているわけでございますので、一概に赤字が出たら一切の献金等はだめだと言ってしまうことは、少しそのこと自身に問題が出てくるのではなかろうかということでございます。
#123
○三谷委員 あなた、あらぬ答弁ばかりしてはあかぬですよ。そんなこと聞いておりはせぬがな。私が言っているのは、たとえば三年以上連続して赤字が出た場合には献金をしてはいけないという規定がある。しかし、三年というのに一体絶対的な根拠があるのか。それはない。二年でも一年でも同じことなのだ。赤字で困っている企業が税金、つまり法人税も払わなければ事業税も払わない、そういう社会的な責任を果たさない中で政治献金だけは幾らしてもいいのか。幾らといいましても、これはもちろん政治資金規正法上の量的な制限がありますけれども、それをやってもいいのかということは、国民だれしもが持つ疑問であります。そういう疑問にこたえて政治倫理を確立することが内閣の責任だと私は思っています。そういう点からしまして税金屋さんの答弁では無理だ、やはり大臣の答弁を聞かなければいけませんが、大臣もその点は勇断を持って努力をされる必要があると思います。
#124
○世耕国務大臣 これはモラルのことをおっしゃられたのだと思うのでございますが、事業体は事業体、もうかったら税金をどんどんいただく、それから政治の方は政治の方というように分けて私は考えているのでございますが、三年以上赤字のところは献金をしてはいけないというルールがあるわけでございますから、やはりそこのいろいろな倫理観を考えてこういう政治資金規正法になったのだろうと思うのでございますが、単年度赤字だった事業体はその翌年はあるいは黒字になるかもしれないといった希望とか、そういうことが影響してこういう形になってきたのだろうと思うわけでございます。しかしながら、おっしゃられることはわからなくはないので、今後の検討課題になるかと思います。
#125
○三谷委員 先ほど、税務局長のお答えの中でくしくも問題点をみずから述べていらっしゃいましたが、赤字企業の献金はますます赤字の量を膨張させるわけなのでしょう。赤字が出ているところに、そこから献金するとその献金分は必要経費として認められますから、それがさらに赤字に加算される、こういう結果になってくる。そうしますと、これが事業を継続していきます過程で黒字になる場合には、それまでの赤字は全部補てんするわけでございます。黒字分で埋め合わせをするわけでありますから、当然赤字会社の政治献金は後年度の企業会計に負担をもたらすものであって、それは同時にまた税収に対して重大な影響を持ってくる、そういう関連性を持っている、そのことはお認めになりますか。
#126
○関根政府委員 おっしゃるように、ある特定の赤字企業が献金をした場合には、しない場合に比べてその分だけ赤字額がふくれる、それが後年度繰越控除の対象になってくるという意味において赤字からの脱却がその分だけむずかしくなる、ないしは税金を納める時期が遅くなることは間違いない事実だと思います。
#127
○三谷委員 そういたしますと、結局赤字企業の献金は、単に赤字企業が無理をして献金しているだけでなしに、この献金は今後における会社の企業会計にそれぞれ影響を持ってきて、そして税収に対して重大な支障を与えるわけでありますから、企業が献金をしておりますけれども、実態は税金を献金しているという性格まで持ってくるわけで、そういう点からしますと、この赤字企業の献金は十分に検討を加える必要がある。いま大臣が、今後において検討するとおっしゃいましたからそれで終わっておきますけれども、その点を特に強調しておきたいと思うのでございます。
 事業税の問題はこれで終わりますが、献金の問題と関連がありますのでお尋ねしますけれども、財団法人全国自治協会というのはどういう組織でしょうか。会員構成や資本金や基本財産の資金負担の状態をお聞かせ願いたいと思う。
#128
○石原政府委員 全国自治協会は、現在全国町村会でございますが、全国町村会が法人格がないものですから、町村会館の運営管理あるいは全国町村会が行いますいろいろな研修活動、調査研究、こういったものを法人の名において行うために設立されているものでございます。
 それで、この法人の五十六年度の予算しかわかりませんが、五十六年度の予算は千百五十五万九百余円となっております……(三谷委員「予算はいいです。資本金や会員の構成や基本財産の資金負担の状態をお尋ねしておる」と呼ぶ)財団法人でございまして、社団法人でございませんので、会員というのはございません。
#129
○三谷委員 刑事局長の顔を見て、先ほど質問を失念しておりましたからお尋ねします。
 いま申しました三年連続して赤字の企業が献金しておる場合、これは明らかに政治資金規正法に違反しますが、三年連続して赤字欠損で政治献金を行っている会社について、選挙部長の方では掌握されておりますでしょうか。それがわかりました段階で、警察庁の対処をお聞きしたい。
#130
○大林政府委員 私どもの方では、三事業年度にわたって赤字が出ておるかどうかの会社は、掌握いたしておりません。
#131
○三谷委員 これは先ほど商法の関係で、法務省の管轄だからというので来てもらいましたが、つかんでいないと言う。大蔵に聞きましても、これは法務省の関係でよくわかりません、こう言っている。しかし、私どもの調べたところで、三年連続して企業決算上の赤字会社であって、政治献金を行っている会社が幾つか鮮明になっております。これは、会社の事業報告書を三年間調査しまして明確になっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、四年間連続して税法上の欠損法人はかなりな額に上っております。これらにつきまして、一体この違反の取り締まりはどこでだれが調べて、どう対処するのか、これをお尋ねしたいと思うのです。どこでもわからぬじゃ困る。
#132
○大林政府委員 政治資金規正法でいろいろ制限がございます。赤字会社の制限あるいは補助金を受けておる会社の制限、その他外国法人の制限、いろいろ量なり質の制限があるわけでございますが、こういうものについてはそれぞれの献金を受けた政治団体の収支を公表する、その公表することの過程において違反があれば是正をしていく、こういうシステムを政治資金規正法の基本的な立場としてとっておるところでございます。
#133
○三谷委員 その違反の具体の事実について、それを掌握して、違反には罰則が伴っておりますから、その罰則を適用する処置ですね、これはどこでどのようになされるわけでしょうか。全然それはしり抜けになってしまっておって、規定はあるけれども、だれもその点については調査もしていなければ関心も持っていないということなんでしょうか。
#134
○大林政府委員 政治資金規正法のたてまえが、行政庁というのは、政治資金規正法のルールどおりに行われておるかどうかを個々具体的に調査をする権限というものを与えられておりません。したがいまして、収支報告を通じて、国民、有権者の目で見て、違反事実があれば、何か犯罪の事実があるということになれば、それを是正していく過程を期待しておる、こういう趣旨でございます。
#135
○三谷委員 そうしますと、国民が申告でもすれば調べてみようか、その調べるのはどこがするわけですか。それは選挙部でなさるわけでしょうか、あるいは警察の職権になるわけでしょうか。そこら辺のあやちが少しつきにくいので、せっかくこういう規制法がつくられまして罰則規定までありますのに、だれもそれについて監視、監督あるいは対処するということがないでは、これは全くこの法律が宙に浮いてしまう、そういうことでいいでしょうか。いま特にこの政治献金の問題は、政治腐敗の問題として国民が重大な関心を持っているわけでありますが、それがそのような全く野放しの状態にあるというのでは、これは全く困ったものじゃありませんか。大臣、いかがでしょう。
#136
○世耕国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
#137
○三谷委員 おっしゃるとおりでなしに、どこでだれがどうしてくれますかと聞いているわけだ。私は、三年以上赤字会社であって、そして献金をしている会社をちゃんと握ってきているわけです。そして、まだ時間的にずいぶん掌握をしておりませんが、その疑いのある企業、これはさっき幾つか挙げたわけでありますが、これについては一体どこでどのような調査や対処をされますか、お聞きしたいと思うのです。
#138
○大林政府委員 政治資金規正法違反ということにつきまして、それが一つの犯罪というような事実を構成するというような話になりますと、これは取り締まり当局の方の処置ということになろうかと思います。行政の方では、形式的な審査、こういうものは細かにいたしまして、報告についてのチェックをし、それをそのまま世間に公表するというところまでが実は限界になっております。
#139
○三谷委員 犯罪ということであればとおっしゃいましたが、いま申し上げましたのは政治資金規正法二十四条でありますか、この規定に明確に反するわけであります。その事例を私たちは幾つかここに指摘することができるわけであります。
 そうしますと、いまの選挙部長のお答えによりますと、あとは警察の責任のようになってまいりますが、その点、刑事局長はどのようなお考えなんでしょうか。
#140
○中平政府委員 私どもの立場は、これは犯罪ありと思量した後、具体的な容疑に基づいて捜査をし、刑事責任の所在を明らかにする、こういう立場でございます。政治資金規正法によりまして規制の対象になる会社等の実態とか寄附の状況につきましては、私どもは行政上はそれを把握し得る立場にはないわけでございますし、また事実上、警察はそのすべてをくまなく把握すること、これまた困難でございます。したがいまして、個々具体的な事案が出てまいりましたなちば、それに即して警察は適切に対応してまいる、こういうことでございます。
#141
○三谷委員 選挙部長のお答えや刑事局長のお答えを聞いていますと、この問題についてイニシアチブを持って、こういう政治資金規正法における違法行為を厳格に取り締まるというところはどこにもないことがわかったのです。結局、この法律というものは宙に浮いてしまっている。そうして、先般来から指摘されておりますようなさまざまな違法性のある献金というものが至るところで行われてきている。こういう状態でいいでしょうか、大臣。私は、これはもう少し責任の所在を明確にしてそういう非違行為のないように、国民の疑惑を招かないように、政治腐敗をもたらさないように、努力すべきだと思います。それについて大臣の所見をお聞きしたいと思います。
 そこで刑事局長にお尋ねしますが、いま私は幾つかの欠損法人名を挙げました。これは四年連続の税法上の欠損法人であります。それから会社会計法上の欠損法人、ここに私が持っておりますのは蝶理とラサ工業であります。これはいずれも、五十五年の政治献金が届け出をされておる企業であります。これについては資料を差し上げます。それによって、この実態について調査、捜査をされますかどうか、お聞きをしたいと思う。
 大臣からまずお聞きしたい。
#142
○世耕国務大臣 私もはっきり言いますと、先ほどからの御質問を伺っていて、どうも私自身もはっきりしないところがあるわけでございます。選挙関係の法規で自治省がそれを行政上で立ち入ることができるのは、一つのある事項に対する解釈とかその辺でございまして、あとは現実の問題に即して何か法規上に違反ということが確認され得るような場合には、私は自治大臣と国家公安委員長という二役になるのですが、今度はもう一つの警察とかそちらの方の分野になると思うのでございますが、これは私ははっきりしたことは申し上げられないのですが、会社法とか会計法とか、その間にいろいろな経済に絡んだ会社の、われわれのちょっと知りにくい法規がありまして、その中でいろいろな別な解釈がされるのではないか。
 つまり、継続して欠損を生じているような場合でも、そのある特定の会社の株主総会で利益準備金とか資本準備金の取り崩しが決議されたりなんか、そういった場合に、当該欠損が埋められてしまうと一つの別な解釈が出てくるとか、そういったいろいろな微妙なあれがその間に介在して、結局はなかなか所期の目的が達せられない、こういうところにあるんだろうと思う次第でございます。大変わかりにくいことで、私自身もまだよく理解できないところでございますが、そういった感じ方をしております。
#143
○中平政府委員 いまお示しの事実につきましては、これは具体的に申し上げますと、いかなる事実認識のもとに当該寄附が行われたか、寄附がなされ、寄附の受け取りがなされたか、そういう事実認定をはっきりいたしませんと、形式上三会計年度以上にわたって赤字である、こういっても直ちに犯罪を構成するということは言えないだろうと思っております。したがいまして、資料の提供を受ければ、事実関係につきまして私どもの立場でそれなりに明らかにしてまいりたい、このように考えております。
#144
○三谷委員 資料は差し上げます。
 そこで、大臣のおっしゃったことですが、何となしにわけがわからぬ状態になってしまっているのですよ。商法上の問題、いろいろあるでしょうけれども、しかし会社の決算といいますのは、ちゃんと決算報告書が出るわけですから、まあ事業報告書でありますが、これが会社の企業会計の実態を示すわけでありますから、これに基づいて判断を下すということをしなければ、株主総会でどうしたとかこうしたとか何を取り崩したとか、そういうものを含めて事業報告書があるわけでありますから、当然これに基づいて事実関係を判断するということでなければ、無際限の疑問がそこで生じてくるわけであります。
 そこで申し上げておきますが、いまの状態を見ますと、政治資金規正法によりましてこういう規制が設けられて、そして罰則までついておりながら、これはだれしもこの問題について管轄するところがないという状態になっている。この状態ではこの法律が全く無意味になるわけでありますから、これについてはそれなりの対応が必要であろうと思います。それについて、大臣の善処方をお願いしたいと思います。
#145
○大林政府委員 こういう事件が起こりますたびに御質問のようなお話になるわけでありますが、政治資金の公表というのは、先ほど申し上げましたような趣旨で、とにかく行政庁がそれぞれのルールどおりに行われておるかどうかを個々具体的に調査するということになりますと、どうしても行政庁が政党なり政治団体に介入をする第一歩になる、これが過去の歴史において非常に害悪をまき散らした発端でもあったから、そういうことは絶対にやめようではないかというのが、戦後一貫した政治資金制度の思想でございます。
 そういう意味から、いろいろの御意見は従来もあったわけでありますけれども、私どもとしましても、今後行政庁の権限について、現在の形式審査以上にさらに政治団体の中身までに向かって踏み込んでいくとかそういうことについては、現在のところ全然考えておりません。
#146
○三谷委員 こういう違法な実態といいますか、これは別に政治団体に介入しなくたってわかるわけであって、私ども別にどの政党にも介入したわけではありません。要するに、届け出書類とそして会社の経理状態と照らし合わせてみればわかるわけでありますから、その中から違法性のあるものが出てくる、しかもたくさん出てくる、そういう状態にある。それがいまの一般的な状態です。
 ですからその点から申しますと、少なくともそういう量的な規制だとか質的な規制だとかいろいろな規制が法律の中にはあるわけでありますから、その規制をどのように生かすかという点についてはもっと研究をしてもらう必要がある。あれは法文の上だけであって、そんなものには介入できぬのだ、そういうことではこれは全く国民を欺瞞するものであって、承認できるものではございません。私は、大臣の決意をお聞きしたいと思うのです。
#147
○世耕国務大臣 これは政治資金規正法の一番根本になってきますので、われわれの方も今後いろいろな検討の余地が十二分にあると思いますが、やはり各政党よって立つ基盤が違いますので、政党の御意見の集約化というものも、こういった政治資金の浄化、政界の浄化ということを前提として考える場合には十二分に必要であろうと思います。
#148
○三谷委員 そうしますと、政党に責任があるわけですか。政党に責任があって、政治資金規正法の運用については政党が責任を持つべきだ、こういうお考えなんでしょうか。そういうこそくなことをおっしゃらずに、これはさっきからの議論でわかっているわけですから、そういう不十分な点につきましては何らかの対応策を講じて、そういう違法行為が起きないような努力をすることが、私は大臣の責任だと思いますが、そうじゃないでしょうか。大臣と言いましたが、あなたは自治大臣と国家公安委員長と兼ねていらっしゃるわけだから……。
#149
○世耕国務大臣 自治大臣としての見解は、いまのような形になると思います。さらによりよきものを、そういった政治資金、政界全般の運営の面におきましても、より高いものを望むのは当然のことでございまして、自治大臣としては当然そのことを今後とも考えながら、いろいろな角度から検討していかなければならないと思いますが、一方、政党の方のいろいろな各党の御事情もあることでございますから、そういうものも一緒に総合的にこういった問題に対処していかなければならないと思います。
 それからもう一つ、国家公安委員長としては、やはり一つの問題が起こってきた場合には、よほど何かのことがあった場合には概括的な捜査を警察において行っていくことも可能であろうというふうに期待しておるものでございます。
#150
○三谷委員 一体何や、すかみたいなことをおっしゃっているな。要するに政党の責任なんというものは、これは政党自体の責任であって、政治資金規正法に言っている法的な規制の問題とは別です。私が言っているのは、政党がどうとかこうとか言っているのじゃありません。政治資金規正法によりまして禁止されている事項がある。その禁止に違反をして三年連続の赤字企業が公然と献金をしておる、これは明らかに法の違反ではありませんか。そうすればこれは放任すべきものではない、当然取り締まって、そしてそれなりの罰則規定の適用があるべきものだということを言っておるわけであって、私は、どの政党がいいとか悪いとかを言っているわけではありません。また、どの政党にどういう事情がありましようと、具体的なこの行動につきましては法律できちっと規定されておる、そういう性質のものじゃないでしょうか。
#151
○世耕国務大臣 いまおっしゃられました具体的な事実ですが、具体的な会社名や何かをお挙げになりましたが、この点に関しましては警察としては十分関心を持っていると思います。
#152
○三谷委員 大分時間を食ってしまいました。
 そこで、またさっきの続きになりますが、全国自治協会につきましてはいろいろ細かいことはお聞きしませんけれども、これが政治献金をしているということについては、主務官庁としては御了解になっているわけなんでしょうか。
#153
○石原政府委員 その前に、先ほど御答弁申し上げた点についてちょっと訂正させていただきます。
 予算額でございますが、千百五十五万と申し上げたのですが、けたが違っておりまして百十五億五千万でございます。大きく違っておりますのは、いわゆる一般会計といいましょうか普通会計といいましょうか、そのほかに共済事業、火災保険事業をやっていて、この関係が非常に大きな金額になっております。
 それから、これは財団法人でございますから社員はございませんが、この構成員は全国の町村でございます。
 なお、全国自治協会は、「寄附行為」の中で「本会は、地方自治に関する諸般の調査、研究及び地方自治振興に関する事業をなすをもって目的とする。」こういうことがうたわれております。具体的に、地方自治の振興に関してどのような事業活動を行っているか、ただいまお尋ねの政治献金を行っているかどうかについては、承知しておりません。
#154
○三谷委員 この財団法人全国自治協会といいますのは、いまおっしゃいますように全国の町村の組織なんですね。これに法人格を与えるために自治協会をつくった、財団法人であります。そして、いまおっしゃいますように、一つは町村から拠出されました財産、町村会館と宿泊施設でありますが、これを運営管理する。そしてもう一つは、町村の町村有物件の災害共済事業をやっておる、こういう性質のものであります。この災害共済事業は、「町村財政の安定を図り、地方自治の健全な発達を促進をする」という目的であります。そして組織は、御承知のように町村長が入っておりますから、いわば地方公共団体の裏組織になっている。きわめて公共的な団体であります。これが選挙のたびに、特定の候補者に対して献金をするということが妥当なことでしょうか。
 しかもこれは、町村議会の議決を得たものではもちろんありません。そしてこれは、民法上の目的外の行為にもなっておるわけでありますが、この自治協会は五十五年の選挙に当たりまして、六十二名の国会議員の方に二千百十五万円の献金を行っておるのでございます。しかもこれは、調査をしようと思いましても寄附行為自体をなかなか出そうとしない。全国の市町村に聞き合わせをしましても、ここでも極端にこれを秘匿する姿勢をとってまいりましたからなかなか調査がむずかしかったわけでありますが、こういう事態があるわけでございます。これについては御承知がないでございましょうか。もしもそういうことがあれば、もちろん監督官庁でありますから知らぬ存ぜぬでは済まぬと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#155
○石原政府委員 地方自治振興のために具体的にどのような事業活動を行っているか、詳細には承知しておりません。したがいまして、ただいま御指摘の政治献金の有無については承知しておりません。
#156
○三谷委員 じゃ、あなたが承知されていなくても現実にはこれがなされておるという事実を、私はここに氏名を挙げてお示しをしますが、これに対してどのようにお考えになっておるか。
#157
○石原政府委員 ただいまお示しの資料について初めて拝見するわけでありますが、全国自治協会がその設立の目的である地方自治の振興等に関して具体的にどのような活動を行うか、これについては最終的には自治協会自身の御判断であろうかと思います。直ちに、これらのことが定款に反するということにはならないと思います。
#158
○三谷委員 自治協会といいますのは、さっき申しましたように全国の町村が会員なんですよ。つまり公共団体なんですよ。その住民に対して責任を負うべき公共団体が、特定の人に対して献金を繰り返すというふうなことが認められるべきものでしょうか。公益上、公共上、そういうことがあっていいことなんでしょうか。
#159
○石原政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、全国自治協会がその「寄附行為」の中で地方自治振興に関するもろもろの事業を行うというかなり広い表現でこれを述べております。この事業の具体的内容としてどういったものがこれに該当するのかについては、やはり最終的にはこの自治協会自体あるいはさらにその構成員である全国の町村長、これがこの寄附行為に合致したものであるかどうかの御判断をなさる性質のものではないか、このように思います。
#160
○三谷委員 主務官庁というのは、どういう権限や責任をお持ちになっているわけでしょうか。それから、地方自治振興の事業ということの中に特定の議員に対する献金も入っておるという意味ですか、そのような御理解なんでしょうか。
#161
○石原政府委員 私ども監督官庁としては、各法人の具体的な活動、予算、決算等が、それぞれその寄附行為の定めるところに従って適正に経理されたかどうかという点をチェックするわけでございます。その場合の寄附行為に定められております事業目的、事業内容がかなり概括的である場合には、その個々具体の行為についてこれが寄附行為に合致するかどうか、判定はなかなか微妙な点があると思います。
 また、ただいまのような政治献金があったかどうか、私は承知しておりませんけれども、それが地方自治の振興に役立つかどうかという点の判断は、やはりこの法人自身あるいは法人の執行機関さらにはその構成員が御判断になるべきものと思います。
#162
○三谷委員 あなたは、地方公共団体の性格についてよく御承知だと思う。地方公共団体の公共性といいますか、そのことは当然言うまでもありません。地方公共団体というのは地域住民に対して責任を持つ組織でありますが、その地域住民に対して責任を持つべき組織が、特定の政党の候補者に対してだけ献金をするというふうなことがあり得べきことなんでしょうか。
 住民の中には、いろいろな政党を支持される方もあるし、いろいろな思想、信条の方もいらっしゃるわけです。そういう状況の中で、公共団体というものは不偏不党の活動をする性質のものでありますから、それが特定の候補者に対して献金を繰り返すというようなことがあり得べきことなんでしょうか。あなたはいろいろとおっしゃっておりますが、主務官庁の監督の権限やあるいは管理上の責任というものは一体どこにいってしまうのでしょうか。全くこれは野放しになっておるわけなんでしょうか。
#163
○石原政府委員 法人の活動が適正になされているかどうかということは、当然監督官庁の責務としてチェックしなければならないわけであります。その場合に、具体的な経費の支出等がその法人の設立目的に沿っているかどうかという判定につきましては、その設立の目的が、ただいま申しましたように地方自治の振興に関する事業というふうに非常に広く定められておる場合に、個々具体の支出がそれに合致するかどうかということは、なかなか微妙な点があると思います。
 ただいま御指摘のようなケースも含めて、経費の支出が予算に対してどうなっているか、あるいは決算上それがトータルとしてどうなっているか、こういったことは当然私どももチェックいたしますが、支出目的そのものが寄附行為に合致しているかどうか、この辺の認定になりますと、それぞれの法人の管理者、理事者あるいは最終的にはその構成員が、それについてどう判断するかということに帰着するのではないかと思います。支出の具体的な内容の適否についてまで監督官庁が判定するという点は、相当慎重でなければならないと思います。
#164
○三谷委員 不適切な支出についてまで指導するというのが主務官庁の責任なんだ。それは当然のことです。これは、さっき申しましたように地方公共団体の連合体でありますから、それが特定の政党の候補者に献金を繰り返すというようなことがあっていいものじゃないんだ、それは明らかに公共団体の公共性を喪失したものだ、そういう観点に立つ指導というものが当然必要になってくる。
 この協会の目的は、「地方自治に関する諸般の調査、研究及び地方自治振興に関する事業」でありますが、この献金が地方自治振興に対して何がしかの貢献をするというのであれば、それは明らかに賄賂になってしまう。そういう献金であってはならぬ。そうしますと、この献金は一体いかなる性質のものか。どこで地方自治の諸般の調査研究のカテゴリーに含まれるのか、どういう根拠で地方自治の振興に関する事業の発展に役立つのか、そこのところが基準であって、その観点から金の支出についても指導監督をするというのが主務官庁、監督官庁の当然の責任だ。ところが、これが最終的にはどうとかこうとかおっしゃっておるけれども、最終的な結論を導くまでに妥当な指導をするというのが主務官庁の果たすべき役割りではありませんか。
 そこで、いま私が差し上げました資料をよくごらんになって、そしてよく検討して、こういうことがないように指導してもらいたい。全国の町村議会などにこの点が伝わりますならば、必ず各町村議会において問題になるのは明白なことなんです。公表は全然していないわけです。そういう性質のものだ。それについて責任のある指導をやってもらいたいと思う。お答えいただきたい。
#165
○石原政府委員 この資料は、ただいま初めて拝見したわけでございまして、これがどういったものであるのか、にわかにお答えできないのでありますが、いずれにいたしましても、全国自治協会は全国の町村の自治の振興のために設立されている法人でありまして、その活動が全国の町村のために真に合致するように、今後とも適正を期していただくよう指導してまいりたいと考えております。それの根拠になりますのは、各府県の選管に出しました収支報告書でございます。それも一通りはそろえてあります。
 そこで、もう時間が大分来たようでありますが、一つだけお尋ねしますけれども、固定資産税の電気事業に係る特別措置があります。この特別措置について、その内容、五十七年度の減収見込み額、主として適用を受ける企業について、お知らせをいただきたい。
#166
○関根政府委員 電気事業に係る固定資産税の課税標準の特例でございますけれども、措置の内容といたしましては、新たに固定資産税が課されることとなった年度から五年間は、価格の三分の一に課税標準額を落としまして課税をいたします。その後五年間は価格の三分の二に落として課税をする、そういう特例措置を講じているところでございます。
 ただいま申し上げましたのが、電気の供給事業等におきます変電所または送電施設の用に係る償却資産の課税標準の特例でございまして、そのほかに、五十八年三月三十一日までに建設されました発電所、変電所または送電施設の用に供する家屋及び償却資産でありまして、農山漁村電気導入促進法という法律がございますが、これによりまして農林漁業団体がその用に供するものについても、いま申し上げました五年間三分の一、その後五年間三分の二の特例措置が講じられております。
 以上二つの措置によりまして、五十七年度の減収額は二百四十四億円になるものと見込んでおります。
 この措置が適用される業種でございますが、電気の供給を行う事業、物品の製造事業、旅客または貨物の輸送の事業、鉱物の採掘の事業を業とする者がその用に供するための電気の用の変電所または送電施設でございます。
 以上でございます。
#167
○三谷委員 これは、主要な部分は電力会社にあるわけでありますが、その電力会社についてこのような特例措置がなぜ必要なのか、電力会社のいまの会計経理の状態からしまして、こういう措置が果たして必要であろうかというふうに考えますが、どうでしょう。
#168
○関根政府委員 電気事業というのは、御承知のとおり、国民生活を維持し、生産を確保する上できわめて重要な公共事業であるわけでございまして、そのコストをできるだけ引き下げる必要がある、電気料金をできるだけ低く設定をする必要があるということから、この特例措置は当初設定されたものというふうに考えております。
#169
○三谷委員 要するに料金対策というわけですか。
#170
○関根政府委員 端的に申し上げると、そういうことになると思います。
#171
○三谷委員 この固定資産税の負担というものは、電力会社の経営努力といいますか、あるいはその利益の中に吸収できるものではないのか。この電力会社の純益計算などを見ますと、これは楽に吸収ができるという判断がつくわけでありますが、この点については通産省お越しになっていると思うが、どうお考えなんでしょうか。
#172
○植松説明員 先生御指摘の点は、恐らく昭和五十五年度の決算内容をごらんになってのお話かと思いますが、たまたま五十五年度におきましては為替レートが非常な円高に推移したことによりまして、海外に依存しております石油等が安く手に入ったというようなこと、それから出水率が非常に高くて水力発電が高稼働であった、あるいは原子力発電所が予想以上に順調に動いたというようなことで、燃料代の高い石油火力等をそれほど動かす必要がなかったというようなことで、全体として非常に高収益に推移したということでございますが、御案内のとおりに五十四年度は逆に赤字でございました。
 全体としますと、先ほど税務局長から御答弁ございましたように、電力料金につきましては原価主義ということで、租税公課も含めまして原価を織り込みまして、原価が高くなればその分だけ料金が高くはね返るということでございまして、こういった電気につきましてはエネルギーの中でも最も基礎的なエネルギーということで国民生活あるいは産業活動に与える影響が大きいということで、少しでも税負担の面でも軽減できる部分については軽減をし、コストを低減し、その分料金の安定、さらにもう一つ、電気事業につきましては安定供給を確保するという目的がございますので、そういう面からも発電のみならず、送変電という流通設備についても供給の拡充を図っていかなければならぬ、そういうことで設けていただいておるわけでございまして、たまたま五十五年度は非常に好決算でございましたが、原則としては原価主義で料金が設定される関係から、料金の安定のためにぜひ必要であると考えております。
#173
○三谷委員 時間がありませんから、一つ一つお聞きしなくちゃいけませんが、お聞きする分私がかわって説明をして、確認をしてほしいのです。
 電力九社の純利益金というのは、五十年度は千二百九十二億、五十一年度は千七百三十八億、五十二年度は二千七百三十四億、五十三年度は二千七百四十八億、五十四年度はいまおっしゃいましたように一千九十億の赤字、しかし五十五年度は五千九億円の黒字、これに間違いありませんか。
#174
○植松説明員 相違ございません。
#175
○三谷委員 そうしますと、今度の特別措置によりまして減額されますのは幾らなんですか。
#176
○植松説明員 五十五年度の決算で九電力だけをとって計算してみますと、固定資産税の納付額の方は千百五十四億円、いま御指摘の送変電施設に対する課税標準の特例によりまして減税を受けたと推定されます額は百九十一億円かと思います。
#177
○三谷委員 純益の合計が五千九億円ある。そうして、なるほどさきおととしは若干の赤字になっているけれども、それ以前はずっと引き続いて黒字になってきている。そうして、五十五年度におきましては純益五千九億円、その中で今度百九十億の減収になる、そういう特別措置をとるわけだけれども、その百九十億くらいは五千九億円の利益の中になぜ吸収ができないのか、そこが私どもわからぬ点です。
#178
○植松説明員 先ほど来御指摘がございました事業税を含めてでございますが、固定資産税は、私、税金の方は詳しくございませんのであれでございますが、利益が上がりますと法人税等、所得に対する課税がございますが、固定資産税につきましては別の観点から課されておるわけで、赤字の場合でもたとえば五十四年度九電力で約一千億円近い固定資産税をそれぞれ納付しておるわけでございます。利益が上がりますと、その所得に対しまして当然高額の法人税を納付するわけでございまして、その点から申しますと、固定資産税の課税標準の特例がございますから、したがいまして、所得との関係で云々ということにはならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#179
○三谷委員 時間がありませんから最後の質問をしますが、いま私が赤字とか黒字とか言いましたけれども、これは内部留保をのけた表面決算なんです。そこで、内部留保を含めて計算した場合、五十年度におきましては合計利益は五千九百三十五億円、そして五十一年度は七千三十九億になっている。五十二年度は八千三百二十億、五十三年度は八千五百三十六億、五十四年度は四千九百七十一億、五十五年度は一兆二千五百七十八億という利益が上がっている。これは内部留保分といわゆる純利益分と合わせた額です。それだけの額のもうけの中で今度の措置で減収されますのは、これは電力だけではなしに、いまこの制度を受けます細かいもろもろのものがありましたが、そういうものを含めましても五十五年度で二百二十億円にすぎない。この二百二十億円というものが、一兆二千五百七十八億の電力の利益の中にどうして吸収ができないのか、これはだれしもが持つ疑問であります。そういう点から見まして、このような特別措置の拡大は必要がない。それについて税務局長、いかがですか。
#180
○関根政府委員 この特例措置の制度につきましては、当初二十七年度に税率の特例措置が設けられまして、それをいまのような形に直しましたのが二十九年度でございます。しかし、その後二回にわたりまして、特例措置の縮減が図られてきているわけでございます。
 私どももこういった特例措置につきましては、その実際の果たしております効用でありますとか必要でありますとか、そういうものは常に見直していく必要があると考えている次第でございます。いま直ちにこれを廃止するという計画があるわけではございませんけれども、引き続き、そういった全般的な非課税措置等の見直しの対象には加えて検討していきたいというふうに考えております。
#181
○三谷委員 これこそ、大企業奉仕の税制だと言うことができるわけです。今後一層の努力を希望しまして、時間が来ましたから終わります。
#182
○中山委員長 佐藤敬治君。
#183
○佐藤(敬)委員 大臣にお伺いします。
 きのう、東京丸の内のホテルで開かれた日本商工会議所、その中で議論になった第一の問題に道州制の実現に努めるという項目があります。この道州制は、地方自治に関心のある者としては大変大きな問題であります。私、この前に行革特別委員会の委員をやったのですが、そのときも出てまいりまして、特に財界の代表と目されております旭化工の宮崎輝社長、この人が中心になって、財界の声として強力にこの道州制というものを唱えております。大臣は、同じ大臣でも自治大臣でありまして、この問題に大きな関心を持ち、また、関連があると思われますが、どういうふうにこの道州制の問題を考えておられますか。
#184
○世耕国務大臣 道州制の問題はよく私も伺うわけでございますが、地方自治制のきわめて重大な根本問題になりますので、今後これを慎重に検討を加えながら扱っていきたいと存じております。
#185
○佐藤(敬)委員 ほかの大臣ならともかく、自治大臣として、しかもいま一番大きな問題として第二臨調がやられておりますが、表面にまだはっきりは出てこないけれども、その中の非常に大きな問題なんです。各自治体の関係者、いろいろな自治体に関連している人たちは、この道州制という問題に重大な関心を抱いております。すぐにできるかできないかわかりません。しかし、もしこれができるならば、これはもういままでの町村合併などという問題と違って大変大きな根本的な問題になってくるわけなので、ただこれは重大な問題ですから慎重に検討しますという大臣の答弁では自治大臣とも思われませんので、もう一遍ひとつしかと御答弁願います。
#186
○世耕国務大臣 道州制、広域圏については、私もいろいろ考えを持っておりますが、そう右から左に簡単に取り扱うべき性質の問題ではございませんので、いまここで極言することは遠慮させていただきますが、十分慎重な配慮をもって臨んでいきたいと思います。
#187
○佐藤(敬)委員 この問題は、いま出てきた問題じゃございません。これは地方制度調査会ではっきりと、この道州制の問題はだめだという結論を出して答申がなされたわけですよ。それをあなたは自治大臣として、なぜわざわざ地方制度調査会がこんな問題を、表面にも出てこないものを取り上げたかという意味はおわかりでしょうけれども、事が重大であり、しかも、第二臨調の中で非常に大きな勢力を持っている財界の代表が強力にこれを推進しているので、危機感を感じてああいう答申を出してきているのです。それをあなた、地方問題の最も中核にいる自治大臣として自分の考えを持ってないということは、私どもは合点がいきません。
#188
○世耕国務大臣 私は、自分の考えを持っております。それから、地方行政調査会、地行の調査会の御答申も……(佐藤(敬)委員「地方制度調査会です」と呼ぶ)地方制度調査会の御答申もよく存じております。それから、臨調で出てくる考え方も、大体それ相応に理解をしておるところでございます。その点のいろいろな基本的な考え方を踏まえまして、十分に私も思考をめぐらして対処していく所存でございます。
#189
○佐藤(敬)委員 いま大臣が、臨調でどういう考えでもって議論されているのか、それもよくわかっておるということですが、その大臣の理解の内容をお聞きしたい。
#190
○世耕国務大臣 特に具体的な内容を盛った臨調での考えは出てきておりませんが、臨調での空気は察知しております。
#191
○佐藤(敬)委員 もう一遍お伺いしますが、どういう空気ですか。
#192
○世耕国務大臣 全体としてまとまっておるわけではなくて、いろいろな議論のあるところでございますが、一部にそういった道州制の議論がかなり強くあることは事実であります。
#193
○佐藤(敬)委員 道州制の議論が強くあることはいま私が一生懸命申し述べているんで、そんなことはとっくにわかっていることなんですよ。どういう議論がその中で交わされているのか、その議論の主流を大臣よく御承知だと言うから、その内容を聞いているのです。
#194
○世耕国務大臣 一々ここで詳しいお話をいろいろすることは、遠慮させていただきたいと思います。
#195
○佐藤(敬)委員 自治大臣として、自分の考えはなくてもいいけれども、たとえば自治省の立場としてはどうであるとか、いろいろなそういう考えが何も出されないで、ただ、検討します、詳しいことは述べられません、そんなことではあなたは勉強不足だと私は思うよ。これは非常にみんな関心を持って、さっきも言いましたとおり、第二臨調にそういう強い空気、強い議論があるので、わざわざ地方制度調査会が答申しているのです。こういう重大なことを、しかも地方自治の最も根幹にかかわる問題を、そういう何かわけのわからない、答弁にならないような答弁をしてやろうとすることは、少なくとも自治大臣として勉強不足であると私は思うが、どうですか。
#196
○世耕国務大臣 大変おしかりを受けて申しわけないのですが、最初に軽々しく扱うべき性質の問題ではないと申し上げたのはそのとおりでございまして、大体都道府県の在来の制度というのがずっと長い歴史をたどりながら現在定着してきておりますので、われわれはその考えを基礎にいたしまして、軽々しく考えるべきではない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
#197
○佐藤(敬)委員 私は、大臣就任のときの新聞の大臣に対する御批判だとかいろいろなものを見まして、大臣は非常に哲学的というか、理念的なことに通じている人だ、こういう大変りっぱな御批評がありまして、そのためにわざわざこういうことには大きな関心を持っておるだろうと考えて、実はこれを冒頭にお聞きしたのです。しかし、いま大臣の御答弁をお聞きしていますと、余りにも漠然として合点がいきません。大臣に申し上げておきますけれども、これは非常に大事な問題だと思います。そして、あれだけ第二臨調の主流である財界が大きな力でもって推進しようとして、日本商工会議所がわざわざまた決議をしている。必ずいつかは浮上してくる。そのためには、自治省としても自治大臣としてもしっかりと腹を決めておかなければ対処できないと私は思います。
 あの第二臨調の中で議論されているのは、いま広域化したので、いまのでは狭い、現にわれわれはどこかに企業を持っていこうとしても、役場や市役所や県庁の連中は無能で手続ができない、だからもっと大きくしてりっぱな役人を置くべきだ、さらに公害だとか環境問題だとか、こういうのがうるさくて仕事ができない、こういうのをもっと能率的にやるためには大きくしなければだめだと言っているのです。
 しかも、あなたは御承知かどうかわかりませんけれども、道州制をしくためには、たとえば東北を考えますと、日本海から太平洋まで東北六県を一つにして東北州にする、関東は、関東上信越を一緒にして関東州にする、日本海から太平洋まで通じているのがみそだ、こういうようなことを言っております。しかも非常に危険なのは、知事は官選にすると言っているのです。あの広いところで選挙をしない官選の知事が出るならば、住民は知事の顔なんか見ることができません。しかも、任命された知事は、住民の方を見るか任命した総理大臣の方を見るかといったら、総理大臣の方を見るに決まっているのです、自分を任命してくれたのだから。選挙をした知事は住民の方を見ますよ。これは明らかに民主主義との非常に重大な逆行なんです。
 それが能率がいい、企業がやりやすい、そういうような見地からもし道州制がしかれるならば、これは大変な問題なんです。確かに能率はいい、命令一下、ツルの一声で何でもできてしまう、うるさい議会も要らない、住民運動もない、抑えることができる。これは能率はいいけれども、ヒトラーの能率ですよ。間違えばとんでもないことになる。われわれはそれを避けるために、新しい民主主義というものを採用してやってきているのです、時間はかかるけれども。それではだめだというのが私どもの主張であり、またあなたは言わないけれども、私が知っている二、三代前までの自治大臣は、全部そういう発言をはっきりとしています。ひとつこの点をよく御勉強になって、重大な問題でありますので、これから対処していただきたい、これをお願いいたします。
 次に、先ほども私の方の小川委員から御質問がありました、今度の地方税の自然増収の見通しについてです。
 これは、五十七年度の地方財政計画の自然増収が余りにも大きいので、これで果たして大丈夫という見通しがあるかという問題です。これはもう皆さん、ほとんどだれも質問しているかと思いますが、念を押しても押し過ぎることはないと思います。
 それでお尋ねするのですが、五十七年度の地方財政の歳入というものは、非常にバランスがとれていいというふうに言われておる。なぜそういう結果が出てきたかというと、一つには、五・二%という非常に高目に経済成長率が設定されている。それと、いま出されております税制改正、これによって地方税収入あるいはまた交付税収入が大幅に伸びてくるだろうという予想。もう一つ歳出の面からいきますと、これはゼロシーリングではないけれども、極端に抑制しておる。こういう二つの、歳入はうんと伸び、歳出はうんと切り詰める、当然の結果として五十年度以来の財政不足からやっと抜け出した、財政がよくなった、地方は金持ちになった、こういうふうに言われておるのですね。そして、国に対して一千億だか二千億だか金を貸すようなりっぱな身分になった。いわゆる地方裕福論というやつで、盛んに地方がおだて上げられております。
 しかし、この中をしさいに検討してみると、先ほどからいろいろ言われておりますように、きわめて不安定な状態がたくさんありますね。あなたもさっきそう言っておった。最も心配なのがこの地方税収入なんです。これが果たしてこれほど取れるか、もし取れなければ、これは大変な大きなそごを来すのです。
 自治省では、五十七年度の地方財政は、国税、地方税制の改正によって、増減差し引きして三百十億の増収だ。たった三百十億。ところが、一方自然増収の方は一兆九千七百五十七億円、約二兆円の自然増収を見込んでおるのです。それで両方合わせて、五十七年度では地方税収入というものは十九兆九百四十三億円だ、こう言っていますね。これは大変なことなんです。この金額は、前年度に比べて一一・七%の大幅な増収だ。五十七年度の地方歳出規模として四十七兆五百億円と言われておりますが、これの実に四〇・六%。いままで地方税が四〇・六%なんかになったことは余りないと思うのです。非常に高い地方税率を示しておる。去年は三八・三%、だからそれよりまだ高いという高い税収を見込んでおるのです。
 だけれども、これを考えてみますと、最近の景気の動向、景気回復、これはますます悪くなっている。一月の鉱工業のあれでも、この間新聞に発表されていたのを見ても、最近でも最低の状態であるというのが新聞に出ておる。御承知のとおり、民間の経済調査機関のほとんどが三%か四%ぐらいしかない、それなのに国が五・二%という高いものを無理して見込んである。そういう経済状態の中で果たしてこの巨額の、二兆円になんなんとするような地方税の自然増収が見込めるのか、大変疑問なので、それに対する見通しを、先ほど一遍聞きましたけれども、もう一遍しっかりとひとつお教え願いたい。
#198
○関根政府委員 先ほど私が、五十六年度の地方税の法人関係税について心配をしておるということを申し上げたと思いますが、国税の場合と地方税の場合とでは御承知のとおりでございますが、例の三月決算期の税収がどちらへ入るか、今年度に入るのか来年度に入るのかが国税と違うものですから、わが方としては非常に深刻であるわけです。その反面、国の方は三月期の法人決算の見込みが比較的期待が持てるのじゃないか、こういうことを言っているわけでございます。
 したがって、五十六年度の法人の二税の関係、私どもの方への入り方というのを非常に心配をしておりますが、国税の方の見方によりますと、何とか三月期の決算で国の方の五十六年度の税収というのはほぼいいところまでいけるのではないか、こういうようなことを私ども聞いているわけでございます。もしそういう形になりまして、幸いなことに今年度の税収が三月期まで含めますとほぼいい形になりますれば、来年度の経済運営がよろしきを得て、計画どおりの五・二%の経済成長が実質確保されるならば、私どもはいま計上いたしました税収というのは、それほど無理な話ではないというふうに考えているわけでございます。一にも二にも今後の経済運営がうまくいって、経済成長が目標額を達成できるかどうかということだと思います。
 また、特に私の方で有利な条件というのは、例の個人の住民税でございます。主として市町村へ入っておるものでございますけれども、これは前年所得課税方式をとっておりますので、すでにある程度答えが出ておりまして、所得税の五十五年から五十六年への伸びというのは大体一七・五%あるわけでございます。それを私どもの方の来年度の計上額は五十六対五十七で、一四・六%しか伸ばしていないわけでございます。そういうことも考えますと、まあまあ個人関係の住民税では大体うまく入ってくる、これはむしろ計画を上回るぐらい入るのじゃないか。多少法人関係でむずかしい問題が起こりましても、そういったものを含めますと、まあ何とか計上額は確保でき得るものというふうに、いまの時点では考えておる次第でございます。
#199
○佐藤(敬)委員 これはあなたとやっていても水かけ論で、最後にはあなたが、国がこういうふうに見たのだからわれわれは従わざるを得ない、去年もあなたじゃないけれどもそういう答弁をしておった。恐らくそういう答弁に最後にはなると思いますよ。これは水かけ論ですね。ただ問題は、去年もそうだったし、そして結局は、これは国が見通しを誤ったから国が責任を負えというので、国が半分、地方が半分出して穴埋めをした。その分が地方債として地方財政を圧迫してきておるのですね。ことしも恐らく、これは五十六年度も、まああなたはさっき住民税の方がよけいだから穴埋めができると言って楽観しておりますが、それは非常に結構なことですけれども、また来年、いまの五・二%の見通しが私は大きく狂うだろうと思いますが、もしこれが狂えば、これの穴埋めは、去年と同じように、国が半分、地方が半分持つというようなことになるのですか。
#200
○関根政府委員 税収入が狂った場合にどうするかという問題につきましては、その時点で具体的なことを考えていかなければいかぬわけでございますけれども、地方団体の財政の運営に支障のないように万全の措置を講ずるということを基本的にわれわれ考えておる次第でございます。
#201
○佐藤(敬)委員 地方財政に支障のないように万全の措置を考えるつもりですということは、五十年ごろから同じ言葉を聞いているのです。五十年から大体同じことを言っているのだ。文句まで同じことを言っている。そしてやってきているけれども、その方法というのは、あなたが御承知のとおりいわゆる二分の一方式というもので、実際は四分の一方式だけれども、二分の一方式というものでどんどん地方に借金がふえてきておるのです。またこれで狂えば、恐らく万全の措置というのは一時的に借金で穴埋めをします、これが万全の措置になるだろうと思うのです。違いますか。
#202
○関根政府委員 最近における経験をもって議論をいたしますと、ある特定の年度に急に見通しが狂って歳入が、特に税収が落ち込んだというような場合には、借入金に頼る以外に方法がないというのが現実の問題であろうと思います。
#203
○佐藤(敬)委員 いま五十七年末の地方債の残高三十四兆円です。それを支払っていくところの公債費が四兆二千六百億円なんです。中には、償還能力以上に借金をしょっている地方自治体もあるのです。いま、ことしの予想が大幅に狂って――前には、四兆円も五兆円も狂ったことがあったのですからね。もし大幅に狂えば、それを穴埋めするのはほとんどがまた借金で穴埋めしていくのですよ。そしてあなたは、地方財政に支障のないように万全の措置を講ずると言ったって、あなた、いまでも三十四兆円あって公債費が四兆二千六百億もあるのですよ。それにまたぞろいろいろな借金で、穴埋めした借金だってこうして来る。
 ますます、財政がよくなるどころか、ことし地方債を何ぼか計画したでしょう。ようやくよくなったところじゃなくて、年度当初にはよくなる、しかし年度末には悪くなる、これをいつも繰り返しているのじゃないですか。当初の見込みは万全です、万全です、よくなりそうだと言って、年度末になるといやだめでしたということを繰り返しておる。毎年それの繰り返しですよ。だから、大蔵省は五・二%でやらなければ財政のつじつまが合わないから、それに自治省も合わせなければいかぬと言うけれども、何か毎年同じことをして、ああよかった、悪かった、よかった、悪かったと同じことを繰り返してないで、もう少し何か方法はありませんか。
#204
○関根政府委員 残念ながら、昭和四十九年度以降はほとんど先生がお示しのとおりの、予算の時点で見積もった額を割り込んでしまうというのが実態であったろうと思います。しかし、それ以前には、むしろ自然増収があって処置をしたということもあったわけでございますけれども、最近ではなかなかそうはいかないわけでございます。当初から少し安全サイドに推計をして、最近においてもその決算時点で予算を下回ることのないようにしたらどうかという御趣旨でございますけれども、これも先に答えを御指摘をいただいてしまったような形になりますが、やはり国としては当初に来年度の経済運営の基本方針を決め、経済の成長率の予想値というものを設定をいたしまして財政運営、経済運営をやっていくわけでございますので、またそれは単に推計だけのことではなくて、いろいろな指標に基づきまして数字を出して、われわれの持ち得る予測能力のすべてを動員して推計をしているわけでございますので、そういったようなものに基づいて税収の見積もりというものはせざるを得ないというのが実態でもあるわけでございます。
#205
○佐藤(敬)委員 そうすると、あなたは五・二%という経済成長率は達成される公算が大きいという考えですか。
#206
○関根政府委員 経済財政を担当する者が全力を挙げてその目標達成のために努力すべきものというふうに考えております。
#207
○佐藤(敬)委員 ところが一月の二十日に、おたくの方の近藤事務次官が都道府県企画担当部長会議で、「五十六年度予算は一兆円の歳入欠陥が出るといわれるが、実質成長率五・二%を見込んだ五十七年度予算は前年度以上に厳しい環境にあり、税収、とくに法人税収の見通しには難点がある」こう言明しているのです。どうです。
#208
○関根政府委員 そういう新聞記事があったことは承知をいたしておりますが、私ども次官に承りましたし、まあ現場にもいたわけでございますけれども、必ずしもその記事どおり、来年度の税収の見積もりに難点があるといったような趣旨でお話しになったのではないというふうに聞いておるわけでございまして、御承知のようなことしといいますか、昭和五十六年度の夏ごろから景気回復の過程に地域的な跛行性が非常に強くあらわれてきておりまして、現に昭和五十六年度の法人関係税の収入状況を見ましても、都道府県によりましては対前年度八割程度しか入ってないというようなところもあるわけでございます。そういった形で、今年度においても地域的な税収の入りぐあいに差が出てきておる、五十七年度においてもそういう地域的な跛行性が生じる可能性が非常に強い、その辺のところを十分注意するようにというのが主な趣旨で、次官はお話をなさったというふうに私どもは聞いているわけでございます。
#209
○佐藤(敬)委員 そうすると、これはまともにとらなくともいいということですね。都道府県の連中に、余りでたらめするなというので警告したという形ですね。
 この問題をいつまで論じていても、まさに水かけ論だからやめましょう。達成しなければ、また質問をして、あなたはそのときどういう答弁をするのか、ひとつ楽しみにして待っていましょう。
 それから、これは先ほど三谷委員も質問しておりましたけれども、これもまたきのうの話、これは新聞に書いておったのですが、きのうの衆議院の大蔵委員会で渡辺大蔵大臣、赤字法人にも課税しろと言って、私の方の平林委員の質問に対して答えておった。もしこれができるならば、先ほどの質問ではないけれども、大蔵大臣の意向としても、財産や資本金を対象にしてかける、まさにこれは私ども長年あなた方とやりとりしてきた外形課税の問題なんです。
 住民税の問題にいたしましても、先ほどからこれは議論になったから、しかも何遍も議論してきたことだから言う必要はないけれども、県税でも一千万円、一億ぐらいで二千円しか事業税を納めていない、あるいは市町村税でも一億円で八千円しか納めていない。しかも取引からいくと、もう膨大な取引をし、膨大な敷地を持ち、そして学校を建て、住民の屎尿をくみ取らせ、いろいろな利益を受けておるにもかかわらず、たった八千円しか税金を納めていない。こういうようなことはすこぶる不合理だろうというので、先ほどから議論のあるとおり、外形課税というものを一生懸命唱えてきたけれどもできない。しかし、大蔵省がいまや踏み切って、赤字法人に課税し、財産や資本金を対象にして検討する、こう言っておるわけです。議論は、先ほどもう十分聞きましたので詳しい議論はいたしませんが、この外形課税ということに対して真剣に取り組む決意があるのかどうか、お聞きしたい。
#210
○関根政府委員 法人事業税への外形標準課税の導入問題につきましては、長い間の地方団体を挙げての悲願とも言うべき問題であります。正直な話、私ども、もう一日も早くそういう制度に持っていきたいという考え方は持っておりますけれども、必ずしもわれわれの主張なり希望というものが、政府税調の場なりあるいは最終的に政府の方針を決めるところで貫徹されていない。われわれの力不足ももちろんあるわけでございますけれども、そういうことになっておることについては、私ども自身残念に思っているわけです。
 そこで、きのうの大蔵委員会における大蔵大臣の発言でございますけれども、私どもは、大蔵省としてもすぐにそれをやるということを確約した、そこまで強いものとは理解いたしておりません。一つの検討課題であるというふうな意味合いに受けとめておるわけでございますが、大蔵の方で法人税等についてそういうことをやるということであれば、わが方はすでにもうとっくの昔に発車をいたしておるわけでございますので、むしろ大蔵よりも先に駆けるような形で、この問題について積極的に取り組んでいかなければならない問題だというふうに考えております。
#211
○佐藤(敬)委員 あなた、初めてずいぶん前向きの答弁をもらってこっちがびっくりしたぐらいですが、あいまいなのじゃなくて、新聞の文句だけで見ますとかなりはっきりしたことを言っているのです。「赤字といってもばく大な積立金、利益引当金を持っているところもある。決算利益の有無だけでなく、所有財産や資本金を対象にして応分の負担をしてもいいのではないか」こういうふうに発言しておるから、かなりはっきりした発言じゃないか。いままでのあいまいな検討しますという発言じゃない、かなりはっきりしたものだと思うのです。
 大臣、この問題は、年来地方自治体が安定した財源を得るために非常に強く希望しておったものなんです。御承知のように、いまのような所得課税ですと、もうかれば金は入ってくるけれども、もうからなければ何も入ってこないという状況です。それでは安定した地方財政がつくられません。そこでとにかく、たとえば京葉地帯の大製油所、油をつくるところですね。あれほど膨大な施設を持ち、何万トンだか何億トンだかという油が動いておる、何千億円という金が動いている、それにもかかわらず税金は六千円だか何ぼしか入ってこない。こんなばかなことがあるのかというので大変強い要求があったけれども、とうとう財界に押し切られたのか、自治省も一生懸命がんばったけれどもとうとうできなかったのです。
 いま大蔵省が腰を上げて、これを赤字法人に課税してもいいということになれば、地方にとってはこれができれば大変幸いなことですから、ひとつ大臣としても本腰を入れてがんばっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#212
○世耕国務大臣 この外形標準課税、率直なところを言いますと、去年からやろう、やろうということで準備を進めてきて、税務局長その他自治省の中でいろいろ相談しながらどんどん進めてきたわけで、われわれはやる意思を十二分に持って対処していたのですが、いろいろな事情がありましてなかなかうまくいかない。今後とも自治省としてはこの問題を取り上げていつか実現させたい、こういう所存でおります。
#213
○佐藤(敬)委員 ぜひひとつがんばっていただきたいと思います。
 次に、税制改正。地方税改正の中で個人住民税の寡夫控除制度の創設というのがあるのですが、これでちょっとお聞きしたいのです。
 その前にちょっとお聞きしますが、寡夫という言葉、これは私も何年か前の委員会で、寡夫じゃなくてかん(鰥)夫だということで説明したことがあるのですが、いろいろなものを見ますと、それ以来、寡夫と書いたりかん夫と書いたりしてごちゃまぜになっているのです。これは政府の統一したあれはないのですか。
#214
○関根政府委員 寡夫ということで「夫」を書いた寡夫、いままでのものが御婦人の「婦」を書いた寡婦、全く同じ字を使います。
#215
○佐藤(敬)委員 わかりました。
 それで大臣、ちょっとお伺いしますけれども、男女平等と言われておりますが、この男女平等ということから考えますと、この改正は少しおかしいのですよ。なぜ寡夫と寡婦と差別があるのですか。
#216
○世耕国務大臣 「夫」と婦人の「婦」になっておりますが、多分「夫」の方はカブと濁音になるのだろうと思うのです。あとの方はカフだろうと思います。というのは、色男のことをマブという発音がございまして、多分これはカブ控除とカフ控除ということに、音だけの違いで大変紛らわしいのですが、男女同権であることは確かなのですが、大まかに申し上げまして、あとは税務局長からちょっと説明していただこうと思います。
 大まかに申しますと、仮に寡夫の方は、奥さんに逃げられたり死なれてしまったりして取り残されても何とか食っていけるだろう、仕事も持っているだろう、それから子供がいても、子供には負担はかかるけれども何とかやっていけるだろう、もう一つの寡婦の方の控除は、多分女の人は亭主に死なれたり別れたりすると路頭に迷う可能性があるだろう、つまり仕事を持っているか持っていないか、食えなくなる率が男の場合よりも多いだろう、こういう考え方が前提になっているように理解しております。
#217
○佐藤(敬)委員 私が平等か平等でないかと聞いたのは、カフとカブの話ではなくて改正の内容の問題なんですが、大臣は大変りっぱな答弁をしまして、これはカブだというので一つ勉強いたしました。
 この内容はもう御承知のとおりでありまして、寡夫の方が寡婦の方にちょっと足りないのですね。それで私は一番先に、男女平等というのがどうかと聞いたのですが、女が男に近づくことで男が女に近づくことじゃない、そういうような考え方のようですけれども、私は必ずしもいま言いましたように、女の方が哀れで男の方が哀れでないということはないと思います。これは、この前にこの制度をつくるときに大分議論しましたけれども、むしろ見方によっては男の方が女よりもいまはもっと哀れだ、こういう状態があるのでこれをつくるべきじゃないかという議論からこれが出てきたのです。
 ちなみに、いま寡夫とかん(鰥)夫と聞きましたが、鰥という字は辞書を引いてみますと、川底の泥の表面のところでぱたぱたしている哀れな魚だと書いてあるのです。鰥というのはそういう魚で、ちゃんと字源に書いてあるのですよ。私は調べてきて発表しているのです。だから、それでもわかるように、かん夫、寡夫というのは大変哀れな存在なんです。男が小さい子供を抱えたら、本当にこれは女よりも哀れなんですね。そこで、せっかく寡夫控除制度というものをつくったのだから、なぜ女と一緒にしないで女より一段劣ったところでやっているか、男女不平等じゃないかと思いますが、どうですか。
#218
○関根政府委員 先生のかん夫のお話は、私どももよくわかっているつもりでございます。確かに男でも、子供を抱えて一人になってしまったら大変な御苦労をいただかなければいかぬと思うわけでございますが、子供を持っている場合には、御婦人の場合と同じ扱いを私どもはしているつもりでございます。ただ、所得制限が三百万というのがございますけれども、それを除きますと、子供を持っておれば御婦人でも男性でも同じように寡婦(夫)控除の対象になる、こういうことでございます。ただ、女性の場合には、子供を持っていなくても寡婦控除の対象になる。男性の場合には、子供がもしいなければ寡夫控除の対象にはならない、そこが違うわけでございまして、男性の場合には、一たん結婚をいたしまして、それが離婚をして奥さんと別れてしまっても、子どもがなければもとの独身成年に返るだけのことですから、何もわざわざ寡夫控除を出すことはなかろう、こういう判断で、そういった社会実態に即応いたしまして、国税の場合と全く同じようにこの点だけを差をつけておるということでございます。子供を持っている場合には、全く同じ扱いにしているつもりでございます。
#219
○佐藤(敬)委員 それではどうですか。なぜ男の方には扶養親族が全然出てこないのですか。女の場合は、扶養親族のあれを出してきているんです。男の場合は扶養親族じゃなくて、ただ子供があるかなしかなんです。なぜ扶養親族を出さないのですか。
#220
○関根政府委員 まあ、家族構成その他によりましていろんな対応があると思いますけれども、やはり男やもめが一番苦労するのは、養育を要する子供を持って離婚した場合、あるいは女性というか御婦人に亡くなられた場合、そういうときが一番苦労するんじゃないかということで、そういうものに着目してやったわけでございます。御両親等の扶養親族の場合にもいろいろ御苦労をいただくことはあろうと思いますけれども、まあまあ通常の家庭において、御両親が残っておる場合まで、夫の方の寡夫控除をする必要が果たしてあるのか、その辺必ずしも踏み切れなかったために除かれておるということだと思います。
#221
○佐藤(敬)委員 何となくわかったようなわからないような、わかりませんな。わかりませんけれども、男だって老人が、扶養親族があって奥さんに別れたりすることは幾らでもあると思いますよ。男は親は要らないし、女は親が要るということですか。そんなことないでしょう。これを除いた理由がわからないんだ。
#222
○関根政府委員 御婦人の場合、一人残されますと、御両親を女手で抱えなきゃならぬという形になってくるだろうと思います。大体、そういう差別をするとまたしかられるかもしれませんが、通常の家庭において典型的なものというのは、やはり一家の柱になっておるのは通常男性が多いわけでございまして、男性がお嫁さんをもらって御両親を扶養しているという場合に、奥さんが亡くなっただけのことでございますから、働き手の中心といいますか、そういうものはその場合には残る、男性の寡夫の場合にはそれが残るということでございますので、その辺のところがやはり実態としては多少違う、こういう判断に基づいて差を設けているわけでございます。
#223
○佐藤(敬)委員 よくわかりませんけれども、時間がないからやめます。
 大臣にお伺いします。産婦人科の病院で赤ん坊を取り上げる。一方では、産婆さんと言っては怒られますが、助産婦が赤ん坊を取り上げる。ところがいまの事業税では、産婆さんの方、助産婦さんの方には税金がかかるのですね。ところが、医者の方にはかからぬのです。これは不平等なことだと感じませんか。
#224
○世耕国務大臣 私も昔、医学をやったのですが、十七年前にまるっきりやめてしまいまして、もうまるでひどいものでだめなんですが、その税金の問題は私いま初めて伺ったので、詳しくはよく存じませんが、多分医者よりも助産婦の方が胎児の分娩とかそういうのを取り扱うのが専門的で、うまいからではないか、医者よりも上手なんじゃないか、そういうふうに思っております。
#225
○佐藤(敬)委員 妙な名答弁なんですが、そうすると、医者よりも助産婦さんの方が取り扱いがうまいから税金がかかるんですか。ちょっとそこらが――大臣に聞いているのだ。あなたが答弁したのならあなたに聞くけれども、わからないから大臣に聞いている。
#226
○世耕国務大臣 多分私は、こういうふうに解釈いたします。医者の方も最近は、これは病院とか病院の勤務医師とかそういうのとは違うのですが、医者の方も課税が少しではあるがされるようになってまいりました。個々別々の、たとえば分娩とか注射とか薬を出すとか、そういうことに一つ一つ課税じゃなくて、全体的な課税をされているようであります。助産婦の場合は、お産のときに医者よりももっと高度な専門的な技術を持っているという評価がある。つまり、医者よりもお産に関してはずっと上手である、こういう専門的な見方をして多分税金を取っているのではないか、こういうふうに私は考えます。
#227
○佐藤(敬)委員 いや、大変名答弁なんですが、ところがその助産婦さんが医者に雇われて取り上げますと、税金かからないのですよ、同じ人が。そうすると、どうですか。
#228
○関根政府委員 そういう事態が出てまいりますのは、社会保険診療報酬に対する事業税の課税の特例制度が残っておるからでございまして、私どもといたしましては、前々からこの問題については見直しをする必要があるという考え方のもとに、いろいろの場において議論をしているわけでございますけれども、社会保険診療報酬の積算の基礎に事業税の額が必要経費として算入されていない、そういった問題等との兼ね合いもございまして、なかなか実現を見ていないところでございます。私どもとしては、今後ともこの問題については、一つの検討課題として積極的に取り組んでいかなければならないものというふうに理解をいたしております。
#229
○佐藤(敬)委員 いま、不公平税が問題になっていますね。そして、国税の場合は七二%が何ぼかよくなった。しかし、まだ大変な形で残っています。しかし、県税の場合の事業税の特例措置は全然直ってないでしょう。大臣、この事業税の場合の診療報酬の特例措置というのは御承知でしょうけれども、一銭も税金がかからぬのです。国税の方はかかるのですよ。ところが、医者の優遇税制というのは、国税だけじゃないのです、地方税にもあるのです。しかも、これは徹底して一銭もかからない。あっちの方は何ぼかかかるのですね。こっちは一銭もかからない。不公平税制というならば、これほど不公正なものはありません。
 先ほど申し上げましたのは、産婆さんの技術がうまいために税金がかからぬのじゃないのです。この不公平税制があるために、産婆さんには税金がかかるけれども、同じ赤ん坊を取り上げても医者には税金がかからぬ。あるいは、整形外科の病院でもみ療治をする人がおりますよ。あの人には一銭も税金がかかりません、事業税が。ところが、あんまさんにはかかるのですよ、同じものをもんで。医者はどうですか。大変金持ちで、東京なんかだと金持ちたくさんいるからあれだけれども、わしらのところに行きますと、所得競争すると必ず医者が、十人中八、九人まで医者ですよ。物すごくもうかっている。あんまさんだとか産婆さんというのは、いわば所得の非常に少ない人です。さっきのかん夫の話じゃないけれども、哀れな人が税金取られて金持ちの人が税金取られないなんて、しかも一銭も取られない、こんな不公平な税金はないでしょう。どうです。
#230
○世耕国務大臣 私もそこのところはよく、はっきりした御答弁ができるかどうかわからないのでございますが、医者も、これは金持ちばかりじゃなくて、大学の医者なんというのはみんなぴいぴいしておりまして貧乏ったらしいのですが、私はこういうふうに解釈します。助産婦の場合は、私余りはっきりしたことは言えないのですが、お産のあれというのは昔は扱わなかった。つまり、自由診療の中に入っておって保険の対象にならなかったのであります。いまはどうなっているかわかりません。それから、医者が仮にいろいろな自由診療で仕事をすると、これは課税の対象になると思います。助産婦の場合も、私はこれは自信がないのですが、自由診療の一端のように思われて、それでこの課税がかかるのではないか、こういうふうに理解しておりますが、その場合に、医者が自由診療で助産婦さんと一緒にやっていると多分そこに課税はされるのじゃないか、こういうふうに考えております。
 しかしながら、御指摘の点は、問題が非常に含まれておるというふうに私は思っておりますので、今後、いろいろな点から検討を要する課題だろうと思います。
#231
○佐藤(敬)委員 大臣になったばかりで、よくおわかりにならぬのだろうと思います。よくひとつ研究していてください。最低限度こう思いませんか、これは非常に不公平だと思いませんか。どうです。
#232
○世耕国務大臣 御指摘のことに近い考え方を持っております。
#233
○佐藤(敬)委員 これが最大の不公平税制だということは定説なんです。これは、直そうと思うけれども、医師会の力が強かったりしていままでなかなか直せないできているのです。だからこの際、臨調でもどこでも不公平税を直すということが最大の眼目になっていますから、どうかひとつ十分にお考えをいただきたいと思います。
 それから、国保の問題についてお伺いいたします。
 私は、この前の通常国会のとき、国保の問題についてお伺いしました。その最大の問題は、いまは国民健康保険税、いわゆる応益五〇%、応能五〇%、そのうちの応能のところに所得割と資産割があります。資産割が一〇%ということになっておるのですね。ところが、所得が少なくて、しかも医療費がどんどん上がっていく、医療費の増大に所得が追いつかない、だから医療費が毎年どんどん高くなっていくのですね。去年は二十六万が今度は二十七万になるのですか、その前は二十四万か、毎年どんどん高くなっていくのです。私が最初に覚えたころは上限が三万円でした。いまは二十七万です。来年恐らく一万か二万上がれば二十八万か九万、もう二年たてば三十万になるのですよ。そこにとどまるという保証は何もない。四十万ぐらいにすぐなりますよ。医療費はどんどん上がっていくのです。
 ところが、所得がそれに追いついてふえていかない。したがって、その所得割というのは最初は一〇%であった。ところが、いまになってみれば、所得割が最大の税源になっておるのですね。東京は違いますよ、大都市は。所得が高いから。所得割を八〇%ぐらい取っているところがあるのです。ところが、私どもの方の田舎へ行きますと所得が非常に低い。しかも、医療費がどんどん上がっていくものだから、何としてもそれを取るために資産課税をしなければいけないのです。これは一一%や一〇%なんていうものじゃないんですね。
 私の選挙区の秋田県で見ますと、これはこの前に話したもので、議事録ですからそのまま申し上げますけれども、いまはもう資産割が秋田市では三二%。一〇%の原則ですよ、それが三二%になっておる。それから農村部に行きますと四八・四%、五二%、四三%、五一%、これは農村部の市町村の各割をいまずっと並べたのですが、ほとんど五〇%程度に、いまはもっとよけいになっておるのですよ。所得がないのです。特に減反だ、冷害だ、あれだこれだと、出稼ぎに来なければ何も所得がないような状態の中に、医療費がどんどんふえていっているでしょう。五十七年度の医療費の伸びは十三兆八千八百億と言われている。約十四兆ですよ。毎年膨大な伸びをしていく。それがどんどん税金として上限を上げていく。二万円が三万円になり六万円になり七万円になり九万円になり十三万円になり十五万円になり十七万円になり、ずっと上がっていく。今度は二十七万円になる。
 払う人は貧乏な人だけなんです、所得の低い人。その人がやられると出るところがないから、もう家、庭、田舎に行くと大きいですからね、それからたんぼ、取る方もこういうものにかけざるを得ないのです。取るものがないのです。どんどん高くなっていく。それがある一定のところでとまらなければ、何ぼでもふえていくでしょう。そうするとどうなりますか。家を売るとか屋敷を売るとかたんぼを売らなければ、これに払っていけなくなるのです。そうなんですよ。何も病気にならない人が、一遍も病気にならない人が、家屋敷を売ってこれを払わなければいかぬような矛盾が出てくるのですよ。そのうちに払えなくなりますよ。みんな家も畑も売ってどこかへ行かなければ、国保税を払えなくなる。大臣、これを一体どういうふうに考えますか。現実なんですよ。局長、あなたのしゃべることはもう聞かなくてもわかっているんだ。大臣の感じを聞きたいんだ。
#234
○世耕国務大臣 いろいろおっしゃることはそのとおりだろうと思うのですが、高額の医療費がどんどん出てくるということに対して、私は以前からいろいろな疑点を持っているところでございます。一つの考え方としては、医療費がどうしてそんなに高くつき過ぎるのか、この点もよく検討した上で、できるだけ医療費が国民の負担に大きくなっていかないことをまず検討して実施していきたい、このことが一つでございます。
#235
○佐藤(敬)委員 私の考えておることも同じなんですが、どうすれば医療費が伸びていかないようになりますか。
#236
○世耕国務大臣 一つには、老人医療制度なんかもその一環なんでございますが、健康保険、それから国民健康保険もそうでございますが、私はもう少しいろいろな点から総体的に、全体的に見直しをする必要があるのではないか、あり方と扱い方の点でございますね。
#237
○佐藤(敬)委員 これは単に国保だけじゃないのですよ。いま老人医療のお話が出ましたが、私どもは老人医療は反対しました。原則的に反対だという、本当に反対だというあれじゃありませんけれども、幾ら老人医療を国保から分離しようが何しようが、負担していくのは国民なんですね。しかも、老人医療費はだれが負担するか。各保険がみんな寄り集まって、出し合って財政を負担していくのでしょう。そうすると、医療費がどんどんふえていけば、抜かしたって同じことなんですよ。
 私どもが反対している最大の原因は、いま大臣がおっしゃったように、医療費をふやすような元凶と考えられておる、しかもほとんど定説として考えられているこの薬漬け診療、検査漬け診療、こういうものを、現行の診療報酬支払い制度をこのままにしておいて、どんなに制度をいじくっても、医療費の高騰はとめられない。そうなれば、いま言ったようにどんどん医療費が高騰して、健保でもいいし国保でもいいし、何ぼでも高くなっていって負担に耐えられなくなる。根本的にここにメスを入れなければ賛成できないというのが、老人保健法案に私どもが反対している立場なんですよ。
 いまもお話ししましたでしょう、どんどん医療費が、去年からことしになって七・五%の伸びだ。いままでの最低だと言われていますが、二五%も三五%もふえたことがあるのですよ。膨大なふえ方なんです。ことしはこれで十三兆八千八百億円、先ほど申し上げました、約十四兆円です。しかも、この中に問題になる薬代と注射代がどのくらい含まれているか。三八・二%、これが五十五年度の統計です。約四〇%です。しかもこれが、一生懸命薬価を抑えるとか何とかして努力している、努力していると言っているにもかかわらず、前年度に比べれば薬の方が九%、注射の方が十二・七%という大幅な伸びを示しているのです。さっぱり抑えられていないのです。どんどん伸びていっているのですね。いいですか。
 しかも、外国の先進国のあれから比べると、日本の医療費は倍もかかっていると言われている。これもほとんど定説です。そうすると、十四兆の中の約四〇%ですから、これは五兆六千億ですよ。この約半分、二兆八千億というものが、少なくとも二兆五千億ぐらいというものが、いわば先進国のあれから比べるとむだな薬だということになる。どこがもうけるか。医者と薬屋がもうかっているのです。それに違いない、行くところがないから。二兆五千億円だ八千億円だという膨大なむだが、まずこの中にあるのですね。そして、それが医者と薬屋に行っている。外国では、どこを見たってこんなことはないのです。こういうようなむだから医療費が次から次へと上がっていっているのです。
 たとえば医師優遇税制、先ほどから問題になりました。医師優遇税制で、去年の暮れの大蔵省の発表、私どもは非常に控え目なものだと思っているのですが、一千二百三十億あるのです。そのほかに、奥さんに給料をやったりいろいろなことをして、脱税とは言わないけれども、節税の計画で約一千億ぐらいあるだろうと言われているのです。これで約二千二、三百億ある。そのほかに、薬漬け診療あるいは検査漬け診療。要らない薬をうんと飲ませる、要らない検査をどんどんやる。そして今度は、薬もやらない。薬をやったり注射をやったりして請求するのは、まだいい。薬も注射も何もしないのに、不正請求をして詐欺をやっているのですね。去年、毎日のごとく新聞に出ていたでしょう。不正請求をやっている。医薬分業をやるというと、絶対やらないで、第二薬局をつくって所得をごまかしている。差額ベッドをどんどん、何ぼやめろと言ってもやめない。しかも基準薬価と実勢の薬価の膨大な差、これも何倍というものが縮まらない。
 こういうようなむだをそのままにしておいて、医療費がどんどん上がります、だからどうか税金を上げてくださいと言ったって、しかも、それが家や田畑を売らなければ払っていけないような、日本の税制の中で最大の過酷な税金になっているのです。これはもう払えなくなるのですよ。だから私どもは、単に制度をいじるだけじゃなくて、なぜこんなにどんどん医療費がふえていくか、この根本のところにメスを入れなければ、国保なんかいまに崩壊しますよ、人を助ける国保が人を殺すことになる、こういって、この前からたびたび言っている。国保というのは、なかなかやる人はいないのですよ。私は代表してやっているようなもので、毎通常国会にやっているのですけれども。
 地方に行きますと、一番大きな問題がこの国保税の問題なんです。ところが、国会では何にもこれを取り上げられない。大体、自治省の人たちは、これは厚生省の問題だと思っているのですよ。聞いてみなさいな、もうちょっと突っ込むと何もわからなくなっちゃって、これは厚生省ですとすぐ言う。もっと真剣にやらなければ、地方財政もみんなつぶれてしまいますよ。この点をよく考えてこれから対処していただきたい。大臣によくお願いしますが、いかがですか。
#238
○世耕国務大臣 ちょっと局長の方から……。
#239
○関根政府委員 国保税の問題は、私どももう非常に深刻に受けとめておるわけでございます。田舎の町村などへ行きますと、住民税の負担よりも何倍もの国保税を納税せざるを得ないというようなところに置かれている実情などもよく聞いているところでございます。
 ただ、私どもとしては、何も厚生省の問題というふうに突き放しているつもりはございません。今後とも、この問題については、自分の問題として真剣に取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
#240
○世耕国務大臣 ただいま税務局長から言われたこと、そのとおりでございます。私は御指摘の、特に国民健康保険に対してかねがね憂慮しているところは実はそういうところでございまして、昨年から厚生省それから大蔵省あたりが、私任命されると同時に、国民健康保険の地方の一部負担ということを提唱してくるようになりまして、この提案の持っている背景の意味も、そのときにいろいろよくわかったわけでございますが、これは私としては当然拒否するべく、地方に負担のかからないようにお断りしたわけでございますが、それでもなお、一部そういうことに関して問題が残るということは、先ほどから御指摘になっていたような事柄が背景にあるからだと私は考えております。
 そこで、私もこれは非常に憂慮しておりますので、日本の健康保険、医療体系を全体から見ていく形で、この国民健康保険というものをもう一度見直し、検討していくことが今後必要だと思うし、われわれはそれを今後とも進めていくように考えているところでございます。
#241
○佐藤(敬)委員 これはもう大変深刻な問題だけれども、大変むずかしい問題なんです。これは片手間やいいかげんなあれでは絶対にできない、むずかしい仕事ですから、やっていただきたい。しかも、これをやらなければ、私は日本の医療制度というものは成り立っていかなくなるのじゃないかという危機感を持っております。どうかひとつ大臣の力で、一生懸命この医療制度あるいは医療費の膨張というものを抑えるような方法を考えていただきたい。
 それから、消防庁は来ていますか。――この間ニュージャパンが火事になりました。私どもは現地を見に行きました。それから消防庁が、東京消防庁を中心にですか、いろいろ各種の建物を調査したりしたようですけれども、時間がありませんので私の方からお聞きしますけれども、たとえばスプリンクラーあるいはダクト、あるいはカーペットだとか壁紙だとかいう防炎のいろいろな施設、あるいは防火壁に穴があいている。ニュージャパンなんか、どんな大きな穴が至るところにあいていて、火事の延焼の大もとになっているのですが、ああいうものを調べるのはどういうふうにして調べるのですか。
#242
○石見政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のございました点は三点だと存ずるのでありますが、まず第一点はダクトでございます。ダクトにつきましては、御案内のとおり、防火区画を貫通いたしておりますので、そのような区画を貫通しております部分の埋め戻しができているかどうかという点が第一点であります。それからもう一点は防火ダンパー、御案内のとおり、あそこに熱が通りますと、自動的にヒューズが飛びまして閉まるという装置を設けておりますが、これがあるかないか。あるいはその位置、機能が正常に作動しているかどうかということを中心にして調べてまいっているわけであります。
 それから、二番目のスプリンクラーにつきましては、スプリンクラーヘッドが一番重要な部分でありますが、これにつきましては国家検定を通っておるかどうかということを調べております。それから未警戒の部分がないかどうかということ、あるいはまた水圧の状況、配管の漏水がないか、それからポンプがうまく作動するかどうかということを中心にして査察を行ってきております。
 それから三番目の、いわばカーテン、じゅうたん等の防炎施設につきましては、消防法の規定に基づきまして、防炎ラベルの表示が義務づけられておりますので、その防炎ラベルがあるかどうかということを中心にして検査をしておるというのが実態でございます。(佐藤(敬)委員「もう一つの、穴はどうだ」と呼ぶ)穴は、先ほどのダクトでございます。
#243
○佐藤(敬)委員 私の言っているのは、ニュージャパンみたいに壁に穴があいている、ああいうのは壁紙が張ってあると、見ただけじゃわからないでしょう。
#244
○石見政府委員 一つは、もちろんこれは建築基準法上の問題ではございますが、防災上非常に大きな問題でございます。したがいまして、あのような穴があるというのがこれはちょっと、実はニュージャパンにあったわけでございますが、異常なんでありまして、通常あのような穴があるということは常識では考えられない建築であります。しかし、穴があったことは事実でございますので、消防機関といたしましては、あの穴があるかどうかということにつきましては、先生ごらんになりましたように、表のドアと防火壁の間に約二十八センチ程度の横に通る穴がございますが、これにつきましては消防機関はいろいろな状況の中で知っておったわけであります。
 これにつきましては、この穴はふさぎなさいという指導をしてまいったわけでありますが、なかなかその指導にも従っておりません。したがいまして、せめてもそこに張っております内壁につきましては、防炎加工を施すようにという指導をしてまいってきたところでございます。
#245
○佐藤(敬)委員 ニュージャパンを建築したのは大成建設ですね。大成建設というのは日本でも有数の建設会社です。私は、あの建物は、建築基準法を改正しない前からの違反建築じゃないかとこの間質問しましたけれども、新聞を見ると違反建築だという話です。あなたはいま、穴があるなんということは考えられない異常なことだと言うけれども、ああいう日本有数の大変信頼のある大建築会社がつくったのに、こんな穴が一カ所だけじゃなくて至るところにあいている。この状態をもってすれば、異常だということだけじゃなくて、どこにもみんな穴があると思わなければいけない。火事になってからじゃ遅いのです。
 どこか名もなき建設会社があれをつくって夜逃げしたというのなら、まだ話はわかるのですよ。大成建設という日本一流の建築会社なんです。それがつくって、こんな穴があちこちにあいて、そのために隣の部屋にどんどん延焼しているのは見てきたとおりでしょう。それが全く異常で考えられないことだ、前はそうかもしれません。しかしああいう事実を見せつけられたいまになってしまえば、大成建設であろうが佐藤工業であろうが、ああいう建設会社がつくったのだって、これは油断がならないし、どこかにあると思って調べなければならない。ところが、壁の穴は壁紙が張ってあるからさっぱりわからぬ。どうしてあれを見つけるか、私は非常に大切だと思いますよ。何かそういうあれをやっていますか。
#246
○石見政府委員 ホテル・ニュージャパンにつきましては、ただいまお話ございましたように、通常では考えられない穴が防火壁に――穴と申しますか、空間部分があったということは事実でございます。
 この経緯は、私どもも直接東京消防庁を通じまして、いろいろとあのビルの建ちました経緯等から振り返って調べてもらったわけでありますけれども、あるいは一部言われておりますように、あのホテル自身が、最初はホテルとしてではなくして、マンションとして建てる、あるいは貸しビル的なものにつくりたいということで始まりましたものが、途中でああいう形でホテルに用途変更されたというところにやはり設計あるいは施工の無理があったのではないかというのが、どうも大きな原因だという報告を受けているわけでございます。
 これにつきましては、あのビル自身が最初のとおりならばあのようなことをしなくてよかったのではないか。ただ、いま申しましたように、マンションに建てるつもりを非常に細かく宿泊施設に切ったものでありますから、建物全体のバランスをとるために軽量にしなければならぬ。バランスを崩さないために、部分的には軽い部分をつくらなければならないということで、あのようなブロックを積むとか穴をあけるとかいうようなことをしたのではないかという報告を受けているわけでございます。
 そこで、一般の場合には、ただいま申し上げましたように、通常では考えられないということだと思うのでありますけれども、現実にああいうものがまだあるのかどうかという問題であります。この点につきましては、消防機関といたしましては、もちろんこれは建築基準法上の問題ではございますが、立入調査あるいは査察の際にできるだけそういうものを発見いたしたいということで、いろんな努力をしておるわけでございます。同時に、建設の主管でございます特定行政庁とも連絡をとり、あるいはそういう異常部分があれば直ちにそちらへ連絡をとって、そちらの方の対応もお願いするということで、もしああいうことがありました場合には、できるだけ発見について努力をいたしておるというのが実態でございます。
#247
○佐藤(敬)委員 ありました場合には発見について努力するなんてとんでもない話で、ありました場合にはちゃんとわかっておることなんだから。それをわかるのが非常にむずかしいと思うのですよ。あなたはいま、あれは最初は貸しビルだとかマンションを建てるためにと言っておるけれども、それにしてもあんなばかなことはおかしいですね。軽量にするといったって、これぐらいのブロックの壁のところにこれぐらいの穴を二つぐらいあけて、そんなに軽量になるはずはないですよ。そんなばかなことを考えているはずはない。弁解のためにそう言っているんだろうけれども、とにかくあんな穴がほかのビルにないか、私は探すことが大変大切だと思いますよ。
 電波探知機みたいなやつか地雷探知機みたいなものを持ってきて、こうやって穴を探す。ランダムでもってサンプルを設定して、それでもってやる。いまなら何でもあるでしょう、穴があるかないかというのは。ソーナーみたいなものを持ってきてやってみたら、穴があいているとかなんとか、そういうやつはあると思う。全館を調べろとは言わないけれども、でたらめにランダムにあるビルの部屋を設定して、そこで三つ四つ調べてみる。そして、りっぱな建築だなとか穴がないなということは、私はわかると思いますよ。そういうことを調べる必要があるのではないかと私は思う。大成建設なんというりっぱなものがあんなでたらめな工事をしているということになると、ほかのあれも信用ならない。調べておく必要が非常にある。もし、あの穴が本当にただ壁紙だけで遮られているとすれば、どこからか火が出ればすぐ隣の部屋に移っていく。あれを調べなければいけないのじゃないか、こういうようなことは必要じゃないかと思います。
 時間がありませんので、私ちょっと提案しますけれども、消防車も届かない霞が関ビルあるいは新宿の副都心それから池袋のシティービル、ああいうところに火事が起きたらこれからどうして助けるのですか。
#248
○石見政府委員 高層ビルの火災に際しまして救出の方法といたしましては、端的に申しましてはしご車以外にはないだろうと思っております。はしご車は、現在一番大きなのが四十メータークラスがございますので、大体十階から十三階くらいまでは届きます。しかし、それ以上になりますと、はしご車は届かないと言わざるを得ないと思うわけであります。
 したがいまして、消防といたしましては、それ以上は届かないわけでありますから、最終的には火災を出さないというところに集中的に措置をとっていかなければならないわけでございまして、御案内のとおり高層ビルにつきましては、消防法あるいはまた建築基準法で他のビルとは違ったさらに一段と厳しい規制あるいは設備の設置を義務づけておるという次第でございます。
#249
○佐藤(敬)委員 四十メーター、ビルの十二、三階までしか届かない。それから、火事が起きると実際はただ祈っているしか仕方がないのです。映画じゃないけれども、「タワーリング・インフェルノ」みたいに、まさにインフェルノそのもので焼けるに任せて下から見ていて何ともならない。上をヘリコプターが飛んでいるのを見ているしかないと思うのです。考えようによっては、ああいう高いビルに人を住まわせておくというのは非常に残酷なことなのです。助ける方法がないのです。一体、今後これにどう対処していくか。
 しかも、はしご車の届かないああいうビルがどんどんできてくる。これからもますますできるでしょう。前みたいに大体九階でとめておくというようなことではありませんから、ますますできてくる。そうすると、ますます火事が出てくる率が多くなる。このごろだって、アメリカのサンフランシスコかロサンゼルスかでまた火事が起きて、人が死んで大変な人数がけがをしている。また日本のどこかで起きないとは限らないのです。この高層ビルを一体どうするかというのが、これからの都会地の消防の大きな問題になってくると私は思います。いま言ったように、高いところにはもうほとんど手を尽くすことはできない。焼けるに任せる、地獄の火が静まるのを待つしか手がないのです。これでは余り能がないから、何とかして高層ビルの火災に対してこれを防ぐ方法を発見する、こういうことをやるべきじゃないかと私は思うのです。
 そこで、私は一つの提言ですが、大変金のかかることですが、たとえば十階以上の高層ビルでもいいのですが、高層ビルを対象にして、目的税ですが、特別消防税みたいなものを創設して、そしてその金で、いまあなたが言ったように出さないのが最大のあれですが、なお火災予防の施設、技術を開発する、あるいはまた火事になったならばどうして脱出するか、脱出技術を開発する、こういうようなことをやるべきじゃないかと思うのです。そうでなければ、いま申し上げましたようにまさに「タワーリング・インフェルノ」で、焼けるままにだれかが窓から飛びおりる、そしてアスファルトにたたきつけられて死ぬ、焼け死んでしまう、こういうことを茫然と見ているしか手がないのです。
 だから、ああいうものを建てさせる以上、何か特別消防税みたいな目的税をつくって、それでうんと金をかけてもいいから絶対に火事を出さない方法、もし間違ってあれしたらこうして脱出できるのだという脱出技術の開発だとかいろいろなことをやらなければならぬ、そうでなければああいうものを建てさせない方がいいと思う。人道問題だと思う。助ける方法がないのですよ、大臣。そこに人を上げておいて、それで黙っておられますか。どうです。消防庁長官からまずお聞きしましょう。そういうことを検討してみる意思はないか。
#250
○石見政府委員 お答えを申し上げます。
 高層ビルの火災につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、消火活動あるいは救助活動が非常に困難でございます。したがいまして、現時点におきましては、少なくとも火災を出さない、もし出ましてもごく一部分で食いとめるという措置を消防法上とっておる次第でございます。
 ちなみに申し上げますれば、消防法令では高層建築物におきます……(佐藤(敬)委員「わかるんだよ、そんなことは。それでもなおかつ災害が起きているんだよ」と呼ぶ)したがいまして、いろいろな消防用設備の設置を強く義務づけておりますことと、それから消火活動が行いやすいように連結送水管でございますとか非常コンセントをビルの中には全部つけさせるというような措置をとっておるわけでございます。と同時に、防火壁を設置いたしまして、いま申しましたように万一火災が出ましても一部分で食いとめて延焼しない、ないしは広がらないという措置をとらせておるわけでございます。
 しかし、なお今後、このような高層建築物につきまして火災が起こった場合どうして脱出するか、あるいは人命の安全を確保するかというのは、確かに残された問題だと存じております。私ども、このような現在の設備基準あるいは建築構造で十二分であるとは、もとより考えておりません。今後、御趣旨のような点を十分踏まえまして、なおいろいろ研究をしていかなければならないと存じておる次第でございます。
#251
○佐藤(敬)委員 時間になりましたので念を押しますが、そういうような目的税みたいなものを検討してみる気はありますか、消防庁長官。
#252
○石見政府委員 消防施設につきまして、消防施設利用税というような構想がずいぶん以前からございまして、税務局でもいろいろ御検討いただき、あるいは税制調査会でもずいぶん御検討いただいたわけでございますけれども、諸般の問題等々ございまして、現在まだ実現していないのは事実であります。今後そのような高層ビルにつきまして、対策のためにどういう形でこの税を取るのか、あるいは税を取ると申しましても一体どういう受益関係で税を取るのかという問題点があるかと存じます。十分、税務局とも御相談をしたいと存じております。
#253
○佐藤(敬)委員 大臣から、いまの話について御所見をお伺いしたい。
#254
○世耕国務大臣 特別消防税という発想は、非常におもしろい御提案だと思います。ただ、いろいろな形でああいう高層ビルからうんと税金を取っているわけでして、この上に新たに課税ということもどうだろうかという考え方もありますが、考え方としては大変おもしろいと思います。これは検討に値するものと思っております。
 いままで、地方へ過疎対策とかなんとかで大学、会社が行きまして高層建築をつくりますと、大体下水だ、上水道だ、それから環境をよくするためのいろいろな施設をつくるのに地方自治体が金がうんとかかるので、これを引っ越してきた事業体に持てという話があって、その中に、よく十階建ての高層ビルなんか建てますと、この町は三階ぐらいまでしか消防車のはしごがないから、十階のものを買ってくれとか寄附してくれとか、そういう個々の事業体と地方自治体との間のいろいろなやりとりというのはあったわけでございますが、こういうふうに都市化してまいりますと、どうやったら火災を防げるか、防ぐよりも人命を救出できるかということにいろいろなあれがかかってきますので、この問題もひとつ取り上げて検討してまいって、いろいろなほかの税制と対照して考えてみたいと思っております。
#255
○佐藤(敬)委員 終わります。
#256
○中山委員長 次回は、来る二十三日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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