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#1
第096回国会 地方行政委員会 第14号
昭和五十七年四月二十日(火曜日)
    午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 中山 利生君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君
   理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君
      池田  淳君    臼井日出男君
      小澤  潔君    片岡 清一君
      北川 石松君    久間 章生君
      左藤  恵君    塩谷 一夫君
      竹中 修一君    地崎宇三郎君
      中村 弘海君    加藤 万吉君
      細谷 治嘉君    武田 一夫君
      部谷 孝之君    岩佐 恵美君
      三谷 秀治君    小杉  隆君
      田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     世耕 政隆君
 出席政府委員
        警察庁長官   三井  脩君
        警察庁長官官房
        長       金澤 昭雄君
        警察庁刑事局保
        安部長     谷口 守正君
        警察庁警備局長 山田 英雄君
        消防庁長官   石見 隆三君
 委員外の出席者
        警察庁警務局給
        与厚生課長   福永 英男君
        厚生省年金局年
        金課長     山口 剛彦君
        会計検査院事務
        総局第二局審議
        官       景山  弘君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     久間 章生君
  田島  衞君     小杉  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  久間 章生君     臼井日出男君
  小杉  隆君     田島  衞君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関
 する法律及び消防団員等公務災害補償等共済基
 金法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四
 号)
     ――――◇―――――
#2
○中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本幸男君。
#3
○松本(幸)委員 ただいま議題となりました警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、若干御質問を申し上げたいと存じます。
 今回の改正によりまして、これらの法律に基づいて受けられるあるいは現に受けている傷病年金、障害年金または遺族年金権を担保として、国民金融公庫あるいは沖縄振興開発金融公庫から、いわゆる不時の出費の場合に金を借りることができるということでありまして、このこと自体は大変結構なことだと思います。
 まず第一番目に、きわめて単純素朴な質問でありますが、この年金担保貸付制度というのは、まず恩給から始まりまして共済年金、厚生年金、国民年金、労災保険給付といったぐあいに逐次実施をされてまいりました。資料によりますと、昨年の十一月一日から実施されたものが多いようでありますが、今回、協力援助法と消防団員共済基金法の改正によってこれらのものにも担保貸し付けが行われることになったわけでありますが、同じような年金を担保にして小口の資金を借りることができる制度、これが、なぜこのようにかなり時期がずれた形でばらばらに行われるのか。同じような趣旨の法律でありますので、一定の時期にやることが望ましいと思うわけでありますが、これはどうしてこういうふうにばらばらになってしまったのか。
 いわゆる国の省庁のセクトといいましょうか縦割りといいましょうか、そういったことの弊害がこういうところにあらわれてきているのではないかという感じもいたしますし、同じような法律が他の省庁で準備をされている段階で警察庁はそれらの法案の準備をしないということは、多少怠慢のそしりを免れないのではないかという気もするわけでありますが、その辺のことにつきましてまずお伺いしたいと思います。
#4
○金澤政府委員 お答えをいたします。
 協力援助者の災害の給付につきましては、従来からこの給付の性格にかんがみまして、国家公務員の公務員災害補償制度に準じて行うということでやってまいっておるところでございます。したがいまして、今回も、国家公務員災害補償制度が昨年改正になりまして十一月から発足をしたということでございますので、その状況を見まして、この警察官の職務に協力援助した者、それから消防の仕事に協力援助したという二つの法律を従来と同じような経緯で改正をしよう、こういうものでございます。
#5
○松本(幸)委員 論争いたしましても水かけ論のような話になりますから、これ以上あえて申し上げませんけれども、やる気になりさえすれば同時期に、同じような趣旨のものでありますから、当然これらの権利を受ける側の国民の立場からすれば、やはり時期がずれるということは必ずしも望ましいことではない、できるならば同じ時期に一斉に、国民がひとしくそれらの権利が受けられるようにするということの方が好ましいと思うわけであります。
 よけいなことですけれども、昨年は第二臨調の第一次答申が行われまして、かなり関連のないような法律三十六本を一括して、いわゆる一括法案として提案をしてきて一本の法律で処理をしたという経緯もあるくらいでありますから、当然もとになります法律はいろいろあるわけですけれども、結果的に年金を担保にしてお金を借りる、こういうことについては全く同一のものでありまして、そういう点からいたしますと、やはり同時期に行われることが望ましいというように考えるわけであります。今後も、この種の事案は恐らく出てくるのではないかと思われますので、そういう際には、ぜひ一年おくれというようなことにならないように十分御配慮いただきたいというように考えます。
 そこで、少し趣が違いますけれども、これも根源的な考え方はやや同じではないかと思うわけでありますが、これは警察庁の関係ではございませんで、厚生省の年金局からおいでになっていると思いますので、お尋ねをしたいわけであります。
 いわゆる各種の年金が、物価の上昇等に伴ってスライド制が実施をされて、引き上げが毎年行われているわけであります。五十六年度もそうでありましたけれども、この年金の引き上げの実施の時期が各年金ごとにまちまちであるわけです。五十七年度に例をとりますと、共済年金は従来四月であったものが五月になり、厚生年金は七月、国民年金は八月、老齢福祉年金は九月といったぐあいに、昨年よりさらに一カ月ずつ実施時期がずらされている、こういうことでありますけれども、なぜこういうような年金ごとに引き上げ実施の時期をずらすような措置がとられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#6
○山口説明員 先生御承知のように、わが国の年金制度は制度が分立をしておりますので、年金額の改定方式につきましても若干の差異がございます。簡単に申し上げますと、共済組合につきましては、いわゆるスライド制ということではなくて政策的に年金額の改定を毎年するということになっておるわけでございますが、実質的には公務員給与の引き上げに見合いまして、御指摘のように例年ですと四月から年金額の改定をしているという実績がございます。
 私どもが所管をしております厚生年金、国民年金につきましては、いわゆる物価スライド制という措置が制度的にとられておりまして、これが四十八年改正以来でございますが、内容といたしましては、前年度の物価の上昇あるいは下落をするという場合に、五%以上の変動がありました場合、正確に申し上げますと五%を超えて変動がありました場合に、厚生年金ですと十一月から、国民年金は翌年の一月から年金額を改定しなければならないという、物価スライド制が制度的に仕組まれておるわけでございます。
 私どもも、受給者の御要望あるいは経済社会の情勢等をいろいろ勘案をいたしまして、御指摘がありましたように、毎年特例法を設けまして実施時期をできるだけ早めるという努力をしてまいっております。例年ですと、厚生年金については六月、国民年金については七月から実施をするということに五十二年以来なっておるわけでございますが、五十七年度におきましては、御承知のように大変厳しい財政状況ということもございまして、公務員給与も抑制の措置がとられるというようなこともございますし、各制度とも例年に比べて一カ月おくれということで均衡をとろうということになりました。私どもも、こういう情勢でございますので、例年とは一カ月おくれておりますけれども、やむを得ない措置であるということで、五十七年度の提案をしておるわけでございます。
 ただ、御指摘いただきましたように、各制度それぞれ制度的な仕組みにいろいろ違いがございます。そういった違いのうち、不合理なものについてはできるだけ是正をしていこうという基本的な方向を私どもも持っておりますので、現在のままですと、厚生年金、国民年金の場合、前年度の物価上昇率にスライドをするということで、前年度の物価上昇率がはっきりいたしますのが大体五月ぐらいでございまして、共済組合のように四月とか五月から実施をするということについては、現在の制度のままですと物理的に限界があることでもございますので、スライド制の指標あるいは仕組みをどうするかという基本的な問題の中で、今後の方向づけについては検討をしていきたいという問題意識は、私どもも十分持っておるわけでございます。
#7
○松本(幸)委員 給付額を上昇させるという措置のやり方については、いま御説明がありましたように、国民年金あるいは厚生年金等と公務員の関係とはそれぞれ引き上げの方法は異なるわけでありますが、かねてから要望がありますように、いまもお答えの中でも若干触れられましたが、まず物価が上昇して、それに伴って労働者の賃金の引き上げが行われて、それからさらに一カ年おくれて年金等の引き上げが行われる、こういう実態になっているわけであります。
 さらにそこへ持ってきて、いまもお話がありましたように、財政事情によってこうせざるを得なかったんだということについてもわからないわけではないのでありますが、総理は今回の行財政の改革に当たって、国民にかなり厳しいものを要求することになるけれども、国民がひとしく公平に痛みを分かち合っていくんだ、こういうようなことをおっしゃっているわけであります。そういう点からいたしますと、たとえば、財政事情によってずらすということ自体を頭から否定するわけではないのでありますが、それぞれの年金ごとに引き上げの実施の時期が一カ月ずつずれていくということについては、総理の言われる、痛みをひとしく公平に分かち合うんだという趣旨にももとるものではないかというような気がするわけであります。
 先ほどはお尋ねしなかったのですけれども、いま申し上げましたような共済年金、あるいはまた厚生年金、国民年金、老齢年金、老齢福祉年金等の一カ月ずつずらすことによる公費負担の削減額、これはどのくらいになるのでしょうか。
#8
○山口説明員 私どもの所管をしております厚生年金と拠出制の国民年金、福祉年金、それから福祉年金を上げますと関連の諸手当も同様に引き上げるという措置を講じておりますので、厚生省関係を全部ひっくるめますと一カ月分で約百億でございます。
#9
○松本(幸)委員 部分的なもので公務員の共済等は入っていないようでありますが、三つの年金で百億円だということであります。総額としての百億円、あるいは公務員の共済その他もたくさんありますけれども、それらのものの公費負担分の節減額を一まとめにしてある一定の時期にずらす。たとえば五月、七月、八月、九月といったようにばらばらではなくて、公費負担分の総額が幾らであるということになれば、それを節減するためには、年金の額を全部六月あるいは七月というぐあいにする。それでそれだけの額の節減ができるということになれば、これは実施の時期が統一をされるわけですから公平であるということになろうと思うわけであります。そういう措置がとられるべきだというように考えるわけですけれども、そのことについての御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
#10
○山口説明員 現在の分立しております各制度の中で、年金額を毎年どういうふうに改定していくかということにつきましては、先ほども御説明いたしましたように各制度によって差があるわけでございます。共済組合につきましては、公務員の給与の引き上げ額に準じて引き上げるということで、いわば賃金にスライドをする形をとっているわけでございますが、厚生年金、国民年金につきましては、そういう生活水準なり賃金なりの上昇率等に応じた年金の改定というのは、五年ごとに行われます財政再計算期に制度的な改正をして引き上げるという措置をとってきておりまして、その間につきましては、今年度のように物価がその間に上がりました場合に、五%以上変動があればそれに応じて引き上げをするという物価スライドの措置がとられているわけでございます。
 したがいまして、先生御提案の年金額の改定の時期をそろえるということの問題のほかに、年金額をどういう指標に応じてどういうような改定をしていくかということについても制度的に差があるわけでございますので、そういった問題を時期の問題だけでなくて、各制度間で整合性のあるものにしていくためにどうしたらいいかという基本的な問題として検討すべき問題ではないかというふうに、私どもは認識をいたしております。
#11
○松本(幸)委員 質問に対する正確な答えになっていないわけなんですけれども、要するに、五十七年度にそれぞれの年金額を一カ月ずつずらして先に延ばしていくということの主たる目的は、いわゆる財政再建のために、今日の財政事情のもとでこれらの年金の引き上げに要する公費の負担部分について、これを節減をしようというのが基本的な目的だというように理解をするわけです。だとするならば、引き上げ実施の時期をある一定のところに持っていっても、公費負担分の節減額ははっきりしているわけですから、これはそれぞれの年金が支払うものについては別だと思うのです、それぞれの年金における基金その他で支払いが行われるわけですから。
 ここでやろうとしていることは、財政事情がこうだから公費負担分を節減をしたい、こういうことに主たるねらいがあるというように考えますと、結果的に公平ではないのではないか。引き上げがどういう方法で行われるのかということをお尋ねしているわけじゃないのです。
 それは、それぞれの法律に基づいていろいろな方法で、物価にスライドあるいは給与その他の事情を勘案してといったようなことになっていますから、それぞれ引き上げの方法は別ですけれども、引き上げられたものについて公費負担分を節減をするという目的でやるならば、こういった不公平な取り扱いではなくて、一定の時期にそろえて計算をすれば出てくると思うのです。六月にすれば公費負担の総額が幾ら節減できるとか、七月にすればどうなるかということは出てくると思うので、そういった意味で要するに公平を欠く取り扱いではないか。したがって、今後は公平な形で実施の時期も考えてもらいたいということを申し上げているわけであります。お答えは結構でございます。
 次に、今回議題になっております法改正の関係につきましてお尋ねをしたいわけでありますが、いわゆる協力援助法あるいは消防団員等の共済基金法のことであります。
 先ほども申し上げたとおり、これらの法律、大変長い名称の法律でありますけれども、こういった法律があるということを国民がどの程度知っているか、それらを周知徹底させるための措置はどのようにとられているのか、まずその点お尋ねしたいと思います。
#12
○金澤政府委員 政府が発行しております各種の政府広報、こういったもので基本的な広報というものを行っているわけでございます。それと、第一義的には事件を取り扱いました警察官がその状況を一番よくわかっておるわけでございますので、警察官の十分な周知徹底ということによりまして、国民の方々がこういった恩恵から外れるということのないように努めておるところでございます。
#13
○松本(幸)委員 国民が知る前に、法の取扱者といいましょうか執行者である現場の警官が、この法律の存在なり内容なり、あるいはこの法律の適用を受けるような事案が生じた場合の手続といったようなものについて十分に承知しているのかどうか、それらのことについての教育とか指示といったようなものはどのように行われているのか。
#14
○金澤政府委員 現場の警察官につきましては、まず警察学校に入りましたときに、この警察関係の一連の法律につきましてはよく教育徹底をしておるわけでございます。特に、こういった仕事に関連する法律につきましては日常の機会にも、特に法律の改正があったような場合についてはなおのことよく周知徹底させる、こういうことで徹底を図っておるところでございます。
#15
○松本(幸)委員 あえてそのことをお尋ねいたしましたのは、先般いただきました資料を拝見いたしまして、五十一年から五十五年までの災害の発生状況あるいは給付の状況等が示されているわけであります。これは感じの問題でありますけれども、何か思ったよりも少ない、もう少したくさん事案があるのではないかという感じがしたわけであります。
 もちろん、給付を受けられるような事由がありましても、それが請求が行われなければ統計の数字に上がってきませんから、埋もれているものがどのくらいあるのか、要するに給付を受ける権利を有しながら請求手続が行われていないものがどのくらいあるのかということは、正確にはなかなか捕捉しがたいものだとは思いますけれども、請求権を持ちながら請求手続が行われていないものがかなりあるのではないかという感じがするわけであります。その辺のところについてはどのようにお考えになっておりますか。
#16
○金澤政府委員 最近の五年間の平均で、この協力援助法の適用を受けておりますのを、警察官の職務に関連するものだけで申し上げますと、負傷、疾病の関係が約四十人、三十九・四人でございます。死亡された方が十五・四人ということでございます。
 多いか少ないかという点でございますが、警察官の仕事に協力援助されるという方はもちろんもっと数が多いわけでございますが、その結果、こういったけがをされたり亡くなったりという方は、との数字で実態が大体あらわれておるのじゃないかと思います。先ほど申しましたように、警察官は、こういった事案の場合に絶対に忘れてならないぐらいこの法律の適用関係ということを考えておりますので、漏れておる方はまずないと考えておるわけでございます。
#17
○松本(幸)委員 事案が発生した場合には、当然給付の請求が行われたものが統計の上にあらわれてくる、受ける権利を持ちながらも手続が行われなければ、ここには数字としてはあらわれてこないということになるわけであります。
 そこで、給付請求に当たっての災害の認定ということになってくるわけですけれども、まず第一番には、事件の現場における警察官の協力要請によって協力援助したというものが掲げられているわけであります。警察官が民間人に協力援助を求める場合、どういう状況のもとでどのような要請が行われるのかという態様について、これは決まり切った問題ではなくて、起こる事件によって全部違うわけですから大変むずかしいことかもしれませんけれども、一般的にどういう場合に協力援助を求めるか、あるいは協力援助を求める求め方の問題等について、まずお尋ねをしたいと思います。
#18
○金澤政府委員 協力援助を求める場合の態様についての御質問でございますが、一つは、職務執行中の警察官からの協力要請に応じて協力援助した場合でございます。典型的な例といたしますと、たとえば警察官が犯人を追いかけておる、犯人が非常に早くてなかなか追いつかないという場合に、とめてくれ、つかまえてくれというようなことで応援要請した場合に、その要請を受けてその逃走をとめる、こういった行為が一番考えられるわけでございます。
 そのほか、犯人と格闘しておってどうも状況が悪いという場合に、やむを得ず応援を頼むといったようなことがございましょう。それからあと、警察官がいなくても警察官の仕事――明らかに警察官が現場に居合わせた場合には応援を求めるであろう、また、応援することが国民としてもやはり一つの方向であろう、こういう場合にはこの協力援助が適用になるわけでございまして、これは明らかに血のついた何かを持っておる、現行犯、犯罪を犯して間がない、こういった状況の者が走ってくるのをとめようとしていろいろけがをするというような場合が、警察官がいなくてもこの場合に当たると思います。
 それからもう一つの例としましては、水難、山岳遭難、交通事故、こういった事故発生の場合の状況でございますが、こういった場合にはまず、警察官がいる場合の方がむしろ少ないわけでございますので、人命救助というような観点から身の危険を顧みず行うということで、けがをされたり亡くなったりという場合が適用される、こういう状況を考えておるわけでございます。
#19
○松本(幸)委員 事故とか事件の現場において、警察官がいる場合といない場合と二つになるわけですけれども、いる場合には、そこで協力援助を求めるという一つの意思の伝達が援助した者との間に行われなければならないということになるのですが、いまのお話で、強盗と格闘していて分が悪くなって、助けてくれというぐあいに警察官が叫んだというような場合も、協力援助を求めたということに該当するのでしょうか。
#20
○金澤政府委員 該当することでございます。
#21
○松本(幸)委員 自発的な援助、警察官がいて、別に援助を求めないのに、自発的に警察官に協力援助をしたという場合はどうなんでしょうか。
#22
○金澤政府委員 特に格闘しておったような場合で、なかなが声を出そうにも出せない、警察官が協力援助を求めようとしてもなかなかむずかしいというような状況もございますでしょうし、そういった場合はその場の状況で、自発的に援助されるということも当然このケースに当てはまると思います。
 ただ、ちょっと申し添えておきますが、警察官に対する教養といたしましては、自力で犯人逮捕、事件の処理を行うように、常日ごろ教育訓練をしておるわけでございます。
#23
○松本(幸)委員 先ほど、いない場合のことにつきましても御説明があったわけですけれども、特に山岳の遭難あるいは水の事故、こういった場合には警察官がいない場合が多いわけですけれども、警察官がいない場合、第三者が現場にいてそれを現認し、証明するということが行われれば、これは比較的認定も容易だと思いますけれども、当事者だけだといったような場合の認定についてはどういうようになされるのか。
 それから、ついでと言っては大変恐縮ですけれども、これらの審査の請求手続は具体的にどのように行われるべきものなのか、お尋ねをしたいと思います。
#24
○金澤政府委員 警察官が現場にいない場合の方法でございますが、特にこれは山岳遭難、水難等の場合でございますが、警察としましては、関係者をまず探して、その関係者から事情を伺うということにしておるわけでございます。目撃者、関係者、それから、これは被救助者がいらっしゃれば一番いいわけでございますが、そういった関係者をまず探して話を伺うということでございます。
 それから、第三者も一切いない、被救助といいますか、救助の対象になった方も水難の場合には亡くなるということがありますし、救助される人の方も亡くなるということで、ほかにだれもいないという場合は、認定が非常に困難でございます。いろいろと現場の状況等から、できるだけその状況をはっきり把握したいと思ってやるわけでございますが、どうしても何も残っていないという場合には、結果的に認定が困難という場合もあり得ると思います。
 それから、認定の手続の関係の御質問でございますが、まず災害が発生いたしました場合には、担当の警察官または災害が発生いたしました地域を担当しております警察官から、警察署長に報告が参ります。この報告に基づきまして、警察署長から警察本部長に、災害発生報告書というものが出されることになっております。その報告書を受けました警察本部長が、この事案がこの法に該当するかどうか、これを検討いたしまして、該当するという場合は認定をいたします。その認定の結果を災害給付通知書というものによりまして対象者に交付して、手続が終わる、こういうことでございます。
#25
○松本(幸)委員 これは必ずしも公安委員会だけの関係ではなくて、消防の関係もあるわけですけれども、審査の機関といったようなものはないわけですか、この請求を審査する機関というようなものは。
#26
○金澤政府委員 いまのような手続で、一連の報告書から災害を認定するということで、本部長が認定をするということになりますが、この認定に不服の場合には、やはり行政不服審査法による手続が残されておるわけでございます。
#27
○松本(幸)委員 給付の請求が行われて、この資料を見ましても、認定されない事案もあるようですけれども、その場合にはいまお話しのように、行政不服審査法によって申し立てをする、そして再審査の道を開く、こういう手続になるわけですね。わかりました。
 次に、協力援助法の施行令第一条におきまして、いわゆる協力援助法の適用除外地域が五項目ほどにわたって規定されているわけでありますが、これらの除外地域内において発生した事案については、当然のことながら法律の適用は受けられない、こういうことになるわけですね。
#28
○金澤政府委員 いまお話のございました政令で定めてあります五つの場所、たとえばこの国会の構内というのが一つの例でありますが、そういった場所におきましては警察官が通常勤務していない、要するに議長の警察権のもとでございまして、一般の警察官が通常勤務しておりませんので、警察官の職務に協力援助するということは、当然予想していないということでございます。したがいまして、この法律の適用はないということでございます。
#29
○松本(幸)委員 この法律を拝見いたしますと、国会の各議院内部、二番目が裁判所の法廷、三番目がいわゆる米軍の基地、四番目が国連の使用する施設、五番目が外国の大使館とかいうぐあいになっておりますけれども、自衛隊の基地というのは適用区域に例示されていませんから、なるわけですね。
#30
○金澤政府委員 さようでございます。
#31
○松本(幸)委員 消防の場合はこういった除外地域の規定というのは、私も不勉強ですけれども、ないのでしょうか。
#32
○石見政府委員 消防の場合にはございません。
#33
○松本(幸)委員 除外地域内で協力援助法の適用を受けるような事案が生じた場合、この法律そのものの適用は受けられないわけでありますから、それを救済する手段というのはどこかにあるのでしょうか。
#34
○金澤政府委員 端的にはございませんけれども、ケースの状況によりましては、犯罪被害者給付金の対象になるケースがあるかと思います。
#35
○松本(幸)委員 犯罪被害者救援のための法律の適用ではなくて、この協力援助の適用は、施行令一条に規定された地域内で起こった全く同じような事案であっても適用が受けられない、こういうことになりますと、その中で起こった事案でしかもこの協力援助法の適用を受けるようなケースについては、そこに何らかの措置がなければならない。国会内でその種と同じような問題が起こった場合あるいは裁判所で起こった場合、米軍の基地内といろいろありますけれども、その場合は法の適用外だから同じような問題が発生をしても全く給付を受ける権利が生まれてこない、こういうことになりますと、何かそこに権衡を失するような感じがしないでもないのですが、そういう点についての救済の措置というのは全くないのでしょうか。
#36
○金澤政府委員 現在の法律の体系のもとではございません。
#37
○松本(幸)委員 その辺を埋める手段方法、もちろんいろいろな法の改正が伴うことになろうと思いますけれども、何か考えられるものがございますか。
 といいますのは、たとえば国会内では警察官が当然に職務を執行しないというエリアになっていますから、議長の権限によって国会内の自治権といいましょうか、議長の権限の中にある、こういうことになるわけでありますが、その場合には、国会というのは大体議事堂ということだと思いますけれども、どの部分を指すのかということと、そこで発生したものについては議長にその責めがある、裁判所であれば裁判所の所長といった者がそれらの補償をする責任がある、こういうように理解をしてよろしいわけですか。
#38
○金澤政府委員 おっしゃるとおりでございまして、国会というのはこの国会構内でございまして、一般の警察権はこの中に及んでいないわけでございます。議長の警察権によって治安が保たれておるという状況でございまして、現在の法律、この警察官の職務に協力援助したという法律は一般の警察官の職務の及ぶ範囲ということを前提として法律ができておりますので、いま言いました一般の警察権の及ばない地域につきましては、これはちょっとまた別に考えなければならぬ問題かと思います。
#39
○松本(幸)委員 この問題だけを論争しておりますとほかの質問ができなくなりますので、まだ若干、完全に理解をするというふうに至りませんけれども、質問を打ち切らせていただきます。
 次に、施行令の第五条で給付額の算定のことが決められているわけでありますが、それによりますと、基礎額は最低五千七百円から最高九千八百円の範囲内でこれを決めるということでありますが、これについてはいわゆる若年者であるとか老齢者であるとか、収入のない者ある者、若年と老齢というのは年齢の問題になるのですけれども、年齢のいかんにかかわらず、あるいは収入のあるなしにかかわらず、全く同一に算定をされるということになるのでしょうか。
#40
○金澤政府委員 給付の基礎になります基礎額の算定の仕方でございますが、年齢というものは全然考慮しておりません。それで、最低の補償額を決めます。最低の給付基礎額は、警察官の巡査に適用されます俸給の中位号俸、中間の号俸であります公安職俸給表(一)の七等級十六号ということで、現在給付基礎額の日額が五千七百万円でございますが、これを最低の額といたしまして、それからあとその災害を受けられた方がその受けられる前に得ておりました収入の額、これによりまして五千七百円から最高九千八百円――この九千八百円と申しますのは、警察官の警視の階級に適用されます等級の中間の号俸であります特三等級の十号俸の月額を日額に直したものでありますが、この五千七百円から九千八百円までの間で決める。年齢には関係ございません。
#41
○松本(幸)委員 そういたしますと、年齢には全くかかわりがない。五千七百円の最低から九千八百円に至るそれぞれの段階があると思うのですが、それの算定はその協力援助者、給付を受ける者の収入によって最高九千八百円までの段階で引き上げが順次行われる、そういうように理解をしていいわけですね。
 それともう一つは、いまのお話で警察官の(一)の七の十六号という巡査の中位の給与であるということですから、この給付の最低額というのは警官の給料表が改定されれば自動的に改定をされるというように理解をしてよろしいわけでしょうか。
#42
○金澤政府委員 そのとおりでございます。
#43
○松本(幸)委員 続いて、これらの協力援助者に関する福祉施設の利用ですけれども、国家公務員、地方公務員、それぞれの共済組合において病院とか療養所であるとかあるいは一部リハビリテーションのようなものもあるかもしれませんが、これらの年金受給者はそれらの公務員のいわゆる福祉施設を利用することができるのでしょうか。
#44
○金澤政府委員 現在の各共済組合等が持っておりますいろいろな施設につきましては、たてまえ上職員が利用するということで運営をしておりますので、当然にこういった協力者の方々の利用は考えておりませんけれども、これは趣旨が趣旨でございますので、いろいろと便宜を計らってやっていくのが適当というふうに考えるわけでございます。
#45
○松本(幸)委員 特別に法改正等をしなくても、利用させようとする気になればさせられるというように理解をしてよろしいわけですね。
 続いて、今回の改正の問題に関連をいたしまして、まず一点は、時間もありませんからまとめて申し上げますが、この法の改正が行われましたときに、これは非常に長たらしい名称の法律でもありますし、年金等の問題というのはなかなかわかりにくいのでありますけれども、改正が行われた後に該当者に対して周知するようなお考えがあるかどうか。給付を受けている者は明確になっているわけですから、それらの者に対してそういった周知徹底をする方法というものが考えられているのかどうかということと、年金証書を担保にするところの融資額というのは、融資を取り扱っている金融公庫の業務方法書に定められているということでありますけれども、この年金担保による貸付額はどの年金でも全く同額なのかどうか、あるいはまた、同じ条件であるのかどうかということ、これについてお伺いしたいと思います。
#46
○金澤政府委員 まず第一点の周知徹底の方法でございますが、いま考えておりますのは、年金証書の様式にこういった小口金融が受けられるという趣旨を印刷をするというのを一つの方法として考えておりますし、また、年金を受けていらっしゃる方は、全体の数そう多くございませんので、今回の改正は個別にもいろいろとお知らせをしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それからあと第二点の、この小口貸し付けの額でございますが、これは百六十万ということで同じでございます。
#47
○松本(幸)委員 条件の問題といたしまして限度額、これは百六十万円ということで、どの年金でも百六十万円ということになろうと思います。貸付機関、利率、担保、返済方法、保証人というぐあいになっておりますけれども、特に利率についてはいわゆる恩給担保の場合には六%。この業務方法書によれば、今回の年金証書担保による貸し付けは七・三%ということになっておりますけれども、恩給だけが六%である、ほかのものは全部七・三%である、この差があるわけですけれども、どうしてこういうことになっているのかということ。
 それから次に、提案説明によりますと、貸し付けを行う要件として「子女の誕生、入学、結婚等」、こういうように説明をされているわけでありますけれども、このほかにどういう場合に貸し付けを受けることができるのか。子女の誕生であるとか結婚であるとかあるいは入学であるとかのほかにも当然、病気、災害あるいは住宅の新増築、いろいろあると思うのですけれども、そういった場合でもこの貸し付けが受けられるのかどうかということ。
 それから、取扱金融機関が国民金融公庫と沖縄振興開発金融公庫の二つに限定されておりますけれども、これだけでは利用者にとって不便ではないかというような感じがするわけであります。たとえば郵政省、まあこれは具体的には郵便局ということになろうと思いますが、郵便局を窓口にしてこれらの貸し付け等が行われるようなことができないのかどうかということ。
 それから、貸付条件の中で、連帯保証人が一人以上ということになっておりますけれども、御承知のようにいま各地方の団体では、三百万もしくは五百万の小口の事業資金に対する無担保、無保証人の貸付制度がほとんどの地方団体で行われているという状況の中で、年金証書を担保にしてお金を借りるのに連帯保証人までつけなければならない必要はないのではないかということ。
 それから、債務の弁済に当たって、連帯保証人から債務弁済を受ける事態というのはどういうときなのかというようなことにつきまして、ひとつまとめてお答えいただきたいと思います。
#48
○金澤政府委員 まず第一点の利率の関係でございますが、恩給に比べて七・三%ということで高いではないかというような御質問でございます。これは公務災害補償によります年金が、これを担保にした場合に利率が七・三%ということになっておりますし、そういった公務災害補償年金を参酌して定めるということになっておりますので、利率についてもこの七・三%にならったというのが理由でございます。
 それから、貸し付けの理由でございますが、いろいろとありますけれども、ここにありますのは一つの例示でございますので、やはり生活の問題、それから子女のいろいろな問題、家庭内の問題等でこういった小口金融の必要が生じた場合ということで、これは広く解釈するのが至当だというふうに考えております。
 それから、金融を受けます対象の金融機関でございますが、国民金融公庫と沖縄振興開発金融公庫に限っておるのはなぜかというような御質問だと思いますが、これも公務員の災害補償年金の担保先がこの二つに限られておりますので、これに右へならえしたというのが理由でございます。
 それからあと、貸付条件で連帯保証人を必要とするというのはちょっと酷ではないかというような御質問だと思いますが、これも従来から恩給の担保の場合、それから公務災害補償年金の場合、いずれも年金を担保にして金融をするという場合には連帯保証人を必要とするということで制度がずっと実施されておりますので、それにならって今回もこういうふうに定めたということでございます。
#49
○松本(幸)委員 二つばかり重ねてお尋ねいたします。
 出産、結婚という例示以外のものであっても、貸し付けが行われるように広く解釈し運用していきたいということなんですけれども、これらを認める機関といいますか、ところですね。たとえば、ここに例示をされている以外のものについて、災害だあるいは建築だといったようなもので借りたいといった場合に、だれがそれを認めて貸し出しをするのか、また、事業資金等についてはだめなのかということ。
 それから、先ほどお答えがなかったのですけれども、連帯保証人が借り受け本人にかわって債務弁済をするというのはどういうときなのか。一般的には、本人が返さないから連帯保証人から取るということなんですが、年金証書が担保になっているわけですからね。どういう場合に、保証人が債務弁済の責めを負うのかということです。
#50
○金澤政府委員 まず第一点の、貸し付けの理由の場合でございます。今回改正をいたして、年金を担保にして小口金融を受けられるという、その制度の趣旨でございますが、これは一つの例示で、病気であるとか子女のいろいろな、誕生、結婚であるとか、不時の出費、それからやはり家庭生活の困っておるときにそれを一時的に賄うというのが今回の制度の趣旨でございます。したがいまして、これはできるだけ広く、本人に有利に解釈するということでございますけれども、この趣旨から大きく外れるということになりますと、その点はいかがか。それを判断いたしますのは、融資先でございます、先ほど言いました国民金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、こういうところでございます。
 それから、連帯保証人をつける理由でございます。これはもう、一般的に言って返還を担保するということが理由でございますが、特に考えられますのは、本人が死亡したような場合債権を確保するということで、ほかの制度にならって連帯保証人を設けたいということでございます。
#51
○松本(幸)委員 最初のあれは、融資を取り扱っている金融公庫が認めれば広く運用できるということで、それぞれ取り扱い金融機関の裁量、判断にゆだねられているというようなことでありますが、著しくこの法の趣旨から逸脱するといったようなことであっても、これはもう金融機関がそれを認めればそれについて文句を言ったりだめだと言うところはどこもないわけですね。金融機関の判断に一切任せる、こういうことになるわけですね。
 それから、最後の連帯保証人による債務弁済ですけれども、これは貸し付けを受けた者が中途で、返済を完了しないで死亡した場合に連帯保証人から返してもらうんだというお話のようです。しかし、協力援助した者に対する年金が支払われている、それで、貸付額も総額で百六十万円という今日の経済状況のもとから言えばきわめて少ない額である。しかも、亡くなってしまえば打ち切られて消滅してしまうのですから、その後の給付はしなくて済むわけですよ。そのことをあわせ考えた場合に、途中で死亡して債務が完済できないからそれを連帯保証人から取るというようなことについては、これは当然法改正を必要とすると思いますけれども、これもいささか酷だ。損得の話から言えば、ずっと何年も生きていられればその間年金の給付をしていかなければならないのですから、亡くなったためにそこで打ち切られてしまってあとは国がもうかるわけですから、そういう意味からも、連帯保証人から残りのお金を取るということについては何らかの措置を考えてもいいのではないか。くれてやると言うと語弊がありますけれども、葬祭料の一部として差し上げてもいいのではないか。そのくらいの思いやりのある措置を今後とってもらうようにひとつ努力をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#52
○中山委員長 大橋敏雄君。
#53
○大橋委員 いま議題となっております法案について若干質問いたします。
 私の理解が誤っていれば遠慮なく訂正していただきたいのでございますが、今回の改正案の中心課題は年金担保融資に関するものである。この年金担保融資制度というものは、先ほどもお話があっておりましたように、すでに恩給あるいは社会保険、共済組合の各年金給付、あるいはまた一昨年は労災保険給付にもその道が開かれている。本日の改正案によれば、民間等の一定の公的業務に従事して災害を受けた場合の給付に関しても年金担保融資制度を図ろうというものである、こういう理解に立って若干質問をしてまいります。
 そこで、改正案の前提となっております警察官あるいは消防団員の職務に協力援助したことによって負傷あるいは疾病あるいは廃疾、死亡の状態となった場合に療養、傷病、遺族、葬祭または休業等の給付が行われるわけでありますが、私は初めに、きわめて基本的なことでございますが、確認の意味を含めましてお尋ねをするわけでございます。
 その第一点は、一般に恩給や各種社会保障関係の給付は受給権者を保護するという観点から、給付を受ける権利を他人に譲渡してはいけませんよ、あるいは担保に供してもいけませんよ、差し押さえすることもできません、こういうふうにされているわけでございまして、いわゆる一身専属性あるいは不融通性というものがとられてきたわけでございますが、今回の改正案との関係性についてお伺いをしておきたいと思います。
#54
○金澤政府委員 お答えいたします。
 いま御指摘ございましたように、年金を受ける権利は他人に譲り渡したり担保に供したりできないということで、一身専属性という制度でございます。今回の改正におきましてもこの一身専属性につきましては、この関係は変わりはない。ただ、給付を受けております方のいろいろの生活上の問題とかそういう利便のためにその一部を手直しする、こういう趣旨でございます。
#55
○大橋委員 要するに、いま申しました療養あるいは傷病、障害、遺族、葬祭、休業の中で傷病年金、遺族年金あるいは障害年金に関するところが今回の対象になっている、このような理解でよろしいのかどうかということですね、それも含めて後で答弁していただきたいわけでございます。
 次に、消防作業従事者等に係る損害補償制度についてお尋ねをしたいのでございます。
 実は、警察官関係の協力援助に係る災害給付は、いわゆる協力援助法、その施行令に一本化された形で規制されているわけでございますが、消防作業従事者等に係る損害補償制度は災害対策基本法等に基づいて、消防法あるいは水防法等それぞれ個別の法令において規制されているようでございます。私が言いたいことは、こんなに複雑な姿にしないで、警察関係のそれのように整合した内容で法律を一本化した形での規制ができないものなんだろうかということでございますが、いかがでございましょうか。
#56
○石見政府委員 ただいまお示しにございましたように、消防関係につきましては消防法、水防法、それに災対法と三つの法律でそれぞれの規定を置いておるわけであります。この理由といたしますところは、消防業務あるいは水防業務さらには災害対策業務というような、それぞれ異なった行政目的に照らしまして別々の作用法が制定されておりますので、それぞれの法律の中にその一環として民間人の協力依頼をした場合の根拠が設けられてあるというところでございます。
 ただ、お示しにございましたように、これでは非常にわかりにくいではないかという御批判もあろうかと存じております。したがいまして、私どもといたしましては、現在このようにそれぞれの法体系のもとで設けられてはおりますが、いずれもこれを実施いたしますのは市町村でございますので、市町村の段階におきましては、これらに関しまする補償の内容を一つの損害補償条例ということで一本化して規定し、実施をするということを、条例準則を流して指導いたしておるところでございます。各市町村におきましても、すべてそのような形で実施しているところでございます。
#57
○大橋委員 いまの御答弁では、消防法あるいは水防法等目的別にいわゆる主体者、責任者がそれぞれ違うので、このような形になることもやむを得ないというような答弁のように承りましたが、いずれにしましても、市町村段階ではこれが一本化された形で対策がなされているというお話のようでございます。
 それで、消防団員等公務災害補償等共済基金法というのがございますが、この概要について簡単にお伺いしたいのでございますが、いかがでしょうか。
#58
○石見政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、消防あるいは災害対策、水防の補償事務につきましては、市町村の事務として扱っておるものでございます。したがいまして、いま御質問にございました消防団員等公務災害補償等共済基金法におきましては、消防団員それから水防の協力者等にかかわります損害補償に関します市町村の支払い責任を、いわゆる共済制度として消防団員等公務災害補償基金を設立して、そこでやらせることにいたしておるというのがこの法律の主な中身であります。この法律におきましては、その基金の組織、業務あるいは会計、さらには監督等につきまして、それぞれの規定を設けておるところでございます。
#59
○大橋委員 そこで、権利保護規定に関してお尋ねしたいわけでございます。
 この基金法の中に権利保護規定がうたわれているわけでございますが、何となく異質的なものを感じるわけでございます。どういうわけかと申しますと、権利保護規定というものは基金があろうとなかろうと関係なく規定されているものでございまして、原則的にはこの権利保護規定というものは基金とは無関係、無関係というよりも直接関係はないのではないか。ややこしくなりますけれども、むしろそれぞれ消防法あるいは水防法等にそのことがきちっと明記されることの方が正しいあり方ではないかと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
#60
○石見政府委員 消防の協力者等にかかわります年金の受給権は、御案内のとおり消防法、水防法あるいは災害対策基本法の規定に基づきまして制定された市町村の条例に根拠を有するということになっておるわけであります。ただ、その権利の保護に当たりましては、民法の規定の特例を設けなければならないわけでありますので、このような民法の規定の特例としていま申しましたような基金法の中にこの特例規定を設けたということなんでございます。
 ただ、お示しにございましたように、これらの規定をそれぞれの法律の中に規定してはどうかということも一つの方法であろうかと存じておりますけれども、御案内のとおり基金におきましてはこれらの法律に基づきますすべての補償についての契約を受けて損害補償を行っておるものでございますので、便宜消防基金法の中で一括してこの権利保護規定を設けたということだと存ずるのでございます。
 なお、申し上げるまでもないことでございますが、権利の保護に関します規定は、市町村と消防基金との間に共済契約を結んでいるか否かにかかわらず、当然適用があるということに相なっておる次第でございます。
#61
○大橋委員 いまも、私の疑問に答えていただいたような気がするのです。
 もう一回確認のために申し上げますと、基金法はありますけれども、市町村がその基金と必ず契約を結ばなければならないという義務はないのじゃないか、私はこう見てきたわけです。したがいまして基金法に加入している、契約している市町村は基金法の内容によって規定されていくわけでありますけれども、そうでない未加入の市町村についてはこれは有名無実になるのではないか、このような思いがしたわけです。ちなみに、現在基金との間に共済契約を締結している市町村の数は、資料によりますと二千九百十四、全市町村の八九・五%だということでございまして、一〇・五%の未締結市町村があるわけです。
 私はいまの質問の前提に、これはむしろ義務化して全部半強制的にでも基金法に従わせるべきではないかという意見を持っておりますことと、先ほど言った未加入のものについては基金法の中にうたわれている内容は有名無実になるのではないかという私の理解に対して、御見解を示していただきたいと思います。
#62
○石見政府委員 お話にございましたように、市町村と基金との契約を義務化と申しますか法律上位置づけてはどうか、義務として契約しなければならないというふうにしてはどうかという御意見かと存ずるわけでありますが、これも一つの考え方だろうと私は存じますが、やはりその支払い義務を負っておりますのは市町村でございますので、本来は市町村がやるというのがたてまえでございます。
 しかし、市町村が独自でやるということになりますれば、財政事情その他いろいろ問題点が生じまして、補償が十分行われないというようなことになりますればこれは大変なことでございますので、そこは共済的な制度を設けて、基金を設けてやっていこうという趣旨でございますので、現時点におきましては契約によってそれぞれが実施するというのが、市町村が支払い義務者である限りにおいてはその制度の方がやはりなじむのではないだろうかということで、このような形になっておるわけであります。
 しかし、実態はただいまお話にございましたように八九・五%の市町村、おおむね九〇%の市町村が契約を結んでおります。私どもはただいま申し上げましたように、市町村の財政事情でありますとか災害の状況によりましてこの補償が十分行われないというようなことがあってはならないことでございますので、私ども基金を督励いたしまして、できるだけ全市町村が加入していただくことになるようにいませっかく努力をいたしているところでありまして、基金におきましてもまだ未加入の市町村に対しましては鋭意働きかけを行っているところであります。
 なお、もう一点の問題でございますが、いま申しましたように基金と市町村といいますのは、あくまでたてまえ上任意の契約によって結ばれておるわけでありますので、先ほどの御指摘にございました権利保護に関する規定というのは、この契約のあるなしにかかわらずこの法律として、民法の特例法として、全市町村に適用はされるということだと存じております。
#63
○大橋委員 そうしてみれば、基金に加入するしないにかかわらず、いまの権利保護規定というものは原則的にあるわけですから、わざわざ基金の中にこれをうたわなくとも関係ないということにもなるわけですね。
#64
○石見政府委員 この権利保護の規定をどこの法律の中に置くのが一番いいのかという御議論かと存じます。私たちといたしましては、ただいま申し上げましたようにそれぞれの法律に基づきまして、その支払い義務が生じますのは市町村でございますので、その市町村の業務の委託を受けて共済基金を設置して、支払い義務を行っておるところに一本化して設けるのが法体系として適当ではないかという判断で、このような規定が置かれたものと理解をするわけであります。
 ただ、それぞれの法律にばらしてまたそれを置くということも一つの御議論としてあろうかと存じておりますが、この法律がつくられました制定経過におきましては、ただいま申し上げましたような考え方のもとにこの中に設けられたというふうに、私どもは理解をするものでございます。
#65
○大橋委員 消防関係は、消防法あるいは水防法等、いろいろとその責任者や主体者によって法律が動いているわけだから、そのようにいろいろと法がわかりにくい立場になるけれども必要なんだ。一本化した方がいいんじゃないかという私の最初の質問だったわけでございますが、そういう答弁がありました後で、いまの基金法の中に権利保護の規定が一本化されておるし、しかも、その基金に加入していない者は一体どうなるのだろうか、その法律の規制は受けなくてもいいのではないかという単純な疑問が出たものですから、お尋ねをしたわけでございます。それで、ちょっと話は変わりますけれども、基金に加入していない市町村というのはあと一〇%程度ではございますが、それはどちらかと言えば裕福な市町村なのでしょうか。その点を教えていただきたいと思います。
#66
○石見政府委員 基金に加入をしていない市町村というのは、それぞれの市町村の御判断だろうと思っておりまして、裕福と申しますか、必ずしも実態としては財政上裕福な市町村ばかりではございません。御参考までに申し上げますと、山形県で四十四市町村、茨城県で九十市町村、埼玉県で八十四市町村、新潟県で百十二市町村、長野県で十市町村、京都府、大阪府でそれぞれ一市町村、合計三百四十二市町村となっておりまして、市町村長さんなり議会のそれぞれの御判断だろうと理解しております。
#67
○大橋委員 それでは、警察の方にお尋ねをいたします。
 今回の法案の中に、警察官の職務に協力援助する態様というか、状況がいろいろと示されているわけでございますが、たとえば警察官が不在の場合、自発的行為での災害被害者は給付の対象となる、これは私なりに理解できるわけでございますが、次の場合はどうなるのだろうかなという私の疑問を、ちょうど先ほどの松本先生も質問されておりましたのですが、私も、もう一度確認の意味で同じような趣旨の質問をいたします。
 現場に警察官がいて、要請がないのに自発的に協力援助の行為に出た、そして被害に遭った、そういう場合は補償給付の対象になるのかどうか。いかがでしょうか。
#68
○金澤政府委員 要請がなくて協力援助して被害を受けたという場合でございますが、その状況いかんということでもございます。法律にもございますように、警察官の職務に協力援助したことが相当な理由があるという表現がされておりますが、その相当な理由ということの解釈の問題だと思います。これは警察官がいます場合には、協力援助要請をした場合に協力するというのが通常のケースでございますが、ときにはなかなかその援助を求めるいとまがないということもございましょうし、また、これは警察官の気持ちの問題ですが、求めるつもりもなかったということもございましょう。しかし、それはまた周りの状況、そのときの状況から見て、協力援助するのが相当だというふうに判断されれば、現実の協力援助要請がなくてもこの適用があるというふうに考えるわけでございます。
#69
○大橋委員 いまのお話では、状況いかん、相当な理由というところで、警察官が執行していて、客観的に見てあれならば当然要請したであろう、しかし要請するいとまがなかった、また要請したはずとみなされる場合、これはよろしいということですね。
 では、被害に遭ってみなされなかった者の救済措置はどうなるのか。実際にそういうことが起こると思うのですよ。どうなんでしょうか。
#70
○金澤政府委員 もう、ほとんどの場合がみなされるということに入ると思います。特にこういった行為が、警察官の職務に、職務によらずして協力援助しようという、そういう気持ちの上での行為でございますので、これは通常の場合であればほとんど例外なしにと言っていいぐらい、みなされるというふうに考えます。
#71
○大橋委員 それではもう一つお尋ねをいたしますが、これは警察関係と消防署関係のお二人に聞きたいと思うのです。
 というのは、今回の法案と警備業法に基づく警備員さん等の話になるのですけれども、協力援助法第二条には、制度の対象者として、「職務によらないで」協力援助あるいは現行犯逮捕と変事における人命救助をした者との規定があるわけでございますが、この「職務」とはどういうものを指すのか。たとえば、いま申し上げました警備業法に基づく警備員、あるいは捜索隊員、守衛さん、さらに警察官以外の司法警察職員等はこの「職務」に該当するのかどうか、御見解を伺っておきたいと思います。
#72
○金澤政府委員 お答えいたします。
 「職務によらないで」ということが一つの条件でございますし、そういった観点からしますと、いまのお話にございました警備業法、いわゆるガードマン、これがこういった形で警察官に協力援助するというのは、全然表で仕事以外の場合であれば、これは「職務によらないで」ということに該当いたしますけれども、仕事をやっておる最中で、たとえば泥棒を発見してこれを取り押さえようとしてけがをしたという場合には、これは職務によるものでございますから労災法の適用といことになりまして、こちらの協力援助法の適用はない。
 守衛等についても同じ考えでございますが、ただ、一般的山岳遭難で民間の方でもって編成をいたします捜索隊員、こういった方は別に職務でございませんので適用がある。そういう「職務によらないで」の解釈によって異なってくるということでございます。
#73
○大橋委員 消防庁の方にも、同じような趣旨の御見解を伺っておきたいと思います。
#74
○石見政府委員 消防法第二十五条第一項に「消防対象物の関係者その他命令で定める者」となっておりますが、この「その他命令で定める者」という中には勤務者というものが入っております。したがいまして、ガードマン等につきましても、契約によりまして当該消防対象物の勤務者と解されておりますので、いわば応急消火義務者に該当するというふうに私どもは解釈いたしております。
#75
○大橋委員 私の場合は、与えられた時間が三十分だったものですから、あともう一、二問聞きたいので次に移ります。
 協力援助者に対する給付については、給付基礎額が算定の基礎となっているわけでございますが、この給付基礎額はどのような基準で定められているのか、また最高額と最低額はどうなっているのか、お尋ねをしてみたいと思います。
#76
○金澤政府委員 お答えいたします。
 給付基礎額の決め方でございますが、最低額は警察官に適用になっております公安職俸給表(一)の七等級十六号、これは警察官の巡査の中位等級でございますが、これの月額を基準にして日額を出すということで、現在五千七百円でございます。最高の方は警察官の階級の警視に適用されております等級の中位号俸、これは特三等級の十号俸の俸給月額を日額に直しました額でございますが、九千八百円でございます。五千七百円から九千八百円までの間で給付基礎額が決められるということでございます。
#77
○大橋委員 今回の年金担保の貸付条件を拝見いたしますと、貸付限度額が百六十万円または年金額の三年分以内の額のいずれか少ない額となっているわけでございますけれども、いまのお答えによっていきますと、年金額の三年分ということになると全部百六十万円を超すことになるわけでございまして、この年金担保の貸付条件の貸付限度額というものは実質的には百六十万で抑えられていると私は感ずるわけでございますけれども、この点いかがでしょうか。
#78
○金澤政府委員 お話のございましたとおり、現在最低の年金額で八十二万六千二百円でございます。したがって、年金の三年分は百六十万を超しておりますので、現実には百六十万限度ということで運用されることになると思います。
#79
○大橋委員 これは、厚年だとか国年だとかに比べるのはあれでしょうけれども、厚年等はもう四、五百万、国年等は二百万を超しておると思うのですけれども、そういうものに比べてみて百六十万というのは余りにも低額過ぎるのじゃないか、こう感ずるわけです。わざわざ、三年まではどちらかをとりなさいというような言い方をしておるわけですから、その条文が死文にならないような内容での貸付限度額を決めるべきではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
#80
○金澤政府委員 この協力援助の年金の今回の改正が、公務員の災害補償年金の年金担保にならってこの制度を考えておりますので、そちらの方が百六十万ということでございますので、一応その方とバランスをとって今回の金額を出した、こういうことでございます。
#81
○大橋委員 今回の法案は、冒頭に申し上げましたように、他の制度が全部でき上がった後で、おくればせながら警察あるいは消防関係がきょうの法案審議でその道が開かれる、善は急げというわけでございますが、横並び横並びでいくのじゃなくて、実態に即してないと感じられる場合は、むしろ警察あるいは消防関係の方からもっと建議してそれを改善していくぐらいの努力、熱意を持っていただきたい。
 最後に、長官にお尋ねしたいと思いますけれども、治安というものは警察に対する国民の理解と協力があってこそ維持される。災害給付制度も、国民の協力を前提としている一つのあらわれだと私は思うわけでございますが、いわゆる親しまれる、頼りがいのある警察でなければ、国民の真の協力は得られないと私は思うのでございます。国民と警察の関係について、また協力援助法も含めて長官の所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#82
○三井(脩)政府委員 治安の維持について、国民の協力がなければ警察がその職責を十分に果たし得ないということは、もう御説のとおりでございます。そういう意味におきまして、この法案のように、具体的に警察に協力をされた方が災難に遭われたという場合に対する補償措置ということでございますので、この法律の運用については適確に、そしてまた迅速に行うように心がけてまいりたいと思いますし、またお話のございましたように、平素から警察に対する国民の信頼を高めるための警察自身の努力につきましては、鋭意心がけてまいりたいと考えている次第でございます。
#83
○大橋委員 終わります。
#84
○中山委員長 三谷秀治君。
#85
○三谷委員 この法律は、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関するものでありますが、警察官への協力とは具体的には、職務執行中の警察官の要請による協力、現行犯の逮捕、そして人命救助、遭難救助等を対象とするものと聞いております。社会公共のため義務のない者の献身に対して行う対価であると理解しておりますが、それはそのとおりでございましょうか。
#86
○金澤政府委員 そのとおりでございます。
#87
○三谷委員 そこでお尋ねしたいのは、この場合、警備関係のいわゆる情報提供者、これは登録協力者と一般登録者とに分かれておるようでありますが、これは職務執行中の警察官への協力あるいは協力者には含まれないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#88
○金澤政府委員 協力者の問題でございますが、いまお話のございましたいろいろなケース、これを総合いたしますと、警察官からの協力要請の中身でございますが、一つは、状況が非常に差し迫っておって現に職務を行っている警察官から協力援助を求められた、こういうケースを想定しておるわけです。したがいまして、具体的に援助の要請ということを前提にしております。そういった点から考えますと、おのずと事態は限定されるということでございます。
 ただ、警察官がいなくてもというのは、いま御指摘のありましたような山岳遭難とかいった場合には、当然警察官のいない場合を想定しておるわけでございますが、そういう場合には別でございます。
#89
○三谷委員 この協力者というのは、社会公共のため義務のない者ではなしに、義務のある者という解釈も成り立つわけでしょうか。
#90
○金澤政府委員 この法律の解釈上からは、社会公共上協力する義務がないにもかかわらず協力をしたというのが前提でございます。
#91
○三谷委員 私、お尋ねしましたのは、この情報の提供者というのは、一般的には対価を受け取っておる、あるいは酒食の供応を受けておる、金品の贈与なども受けておる、そこで協力すべき義務が存在するものだという判断に立つものでありましょうか、あるいは緊急事態に対応するものではないからこれは該当しないということになるわけでしょうか、どの点でございましょうか。
#92
○金澤政府委員 いまもお答えしましたように、「職務によらないで」ということが前提になっておりますので、この場合には、その協力する義務がないにもかかわらず協力をしたというのが前提でございます。
#93
○三谷委員 そうしますと、この情報提供者はこれに該当しないということでしょうか。
#94
○金澤政府委員 一般的には対象にならないと思います。行為の状況、態様にもよると思いますけれども、一般的には対象にならないと思います。
#95
○三谷委員 警備部長お越しになっておりますが、警察の警備関係の陣容といいますか、これはいま全国で総数どれぐらいになっておるでしょうか。予算上の人員は何名ぐらいなんでしょうか。管区警察の警備関係者は何名でしょうか。各府県の警備専従者は合計しまして何人ぐらいになるでしょうか。
#96
○金澤政府委員 警察官の定員についてのお尋ねでございますが、全国の都道府県警察の定員は、五十七年度におきまして、地方警務官を含めまして二十一万四千二百八十三人でございます。
 部門別についてのお尋ねでございますが、現在の警察の定員の運用につきましては、特に第一線の警察におきましては、階級別まで定員を決めまして、部門別の定員は定めていないというのが実情でございます。これは、特に警察署の組織におきましては一人で二つ以上の係を兼ねておるといったことが間々ありますし、また最近は、機動警察隊といったような非常に多目的に使用されます組織ができておりますので、部門別に定員を分けるということは非常に困難であるというふうに考えております。
#97
○三谷委員 そうしますと、刑事とか交通とか警備とかいろんな部門があって、そこに定員が配置されておりますが、これの集約はできないということなんでしょうか。
#98
○金澤政府委員 詳細にはいま言いましたような形で非常に困難である。概数的に申し上げれば、これは分類は可能でございます。
#99
○三谷委員 その概数で結構ですが、いまお尋ねしました点についてお知らせいただきたいと思います。
#100
○金澤政府委員 警備部門の関係は、全体の約一〇%でございます。
#101
○三谷委員 それだけじゃなしに、管区警察の警備関係者の人員だとか各府県警の警備の専従者とか、こういうことをお尋ねしたわけです。これは各府県警では発表しております。大阪府警でも各部門別に人員の発表がなされておりまして、大阪に関する限りは私も知っておりますが、全国はどうかということをお尋ねしたわけです。
#102
○金澤政府委員 全国につきましては、いま申し上げましたように、現在のところ約一〇%という資料だけを手元に持っております。
#103
○三谷委員 それじゃこれは後で、調査をなさった――調査をなさらなくたって、恐らくそろばん入れたらわかると思いますが、そろばん入れなくても資料見ればわかると思いますが、後でちょうだいできますか。
#104
○金澤政府委員 概数について後で御返事をいたします。
#105
○三谷委員 最近私どもに寄せられました報告を見ますと、私どもの党の党員やあるいは民青同盟という青年組織の同盟員などが、警察官から尾行されたり写真の盗み撮りをされたり、あるいは戸籍をひそかに収集されるというような事態が起きております。何ら具体的な犯罪容疑はありませんが、しかし、このように常時無差別に、そして組織的にこういう個人のプライバシーにかかわることまで情報の収集をされておるわけでございましようか。
#106
○山田政府委員 ただいまお尋ねの日本共産党につきましては、民青を含めまして、いわゆる敵の出方論に立ちました暴力革命の方針を捨て切っていないと私ども判断しておりますので、警察としましては、警察法に規定されます「公共の安全と秩序を維持する」そういう責務を果たす観点から、日本共産党の動向について重大な関心を払っておりまして、任意に御協力いただける方からは必要な情報収集活動を行っております。
#107
○三谷委員 大変説明が、何といいますか、短絡的でありますが、ここでいまの暴力革命の問題について議論しますと大変長うなります。長うなりますが、たった一つ申し上げておきますが、中国共産党がなぜ日本共産党を修正主義といって非難をするのか。それは、中国共産党のように暴力をもって革命をやろうとしない、だから修正主義者だというので、これを批判、非難を加えまして、いま日中の両共産党間におきまして対立があるということは、これはよく御承知だと思う。
 そういう事情は御承知の上で、そういう牽強付会の議論をなさっておりますが、これについていまここで議論しますと時間が長うなりますからしませんけれども、私は、日本共産党についてどうとかこうとかでなしに、個々の共産党員について人権を無視したそういうプライバシーの調査までなさるのでしょうかということをお尋ねしたわけです。
#108
○山田政府委員 先ほどお答えいたしました情報収集を行うにつきましては、適法、妥当な範囲で行っておるところでございます。
#109
○三谷委員 大変説明が抽象的ですが、これも時間がありませんからそれ以上は聞きませんが、一つ具体の事例で申し上げますと、一年ほど前、去年の四月の二十八日でありますが、二時四十分ごろに、右翼団体の大日本朱光会というのが、約十名ほどでありましたが、車三台に分乗して、共産党本部前の路上から、警棒を振り回して本部建物へ乱入する事件がありました。この乱入を阻止しようとした本部勤務員飯田氏の左腕を殴打する、こういうろうぜきを働いた事件があります。
 ところが、加害者側の右翼団体大日本朱光会が、投げ飛ばされたとして、正当防衛を行ったわが方の関係者を告訴するということが起きました。
 これを受けまして原宿署は、七月十五日に現場検証を行った上で、八月二十六日と九月二日の二回にわたりまして、写真を見せたところ田畑さんを特定したのでといって、特定の本部職員の任意出頭を求めてきた事件があります。
 そこで、問題になりますのは、写真によって田畑さんを特定したという原宿署の遠山警備課長代理の発言でありますが、この発言については遠山本人が認めておりますが、この発言を見ますと、共産党、この場合は本部に勤務する者でありますが、この写真をひそかに撮り続けておるというスパイ活動を明らかに認めた点であります。つまり、写真を全部撮っておって、それを見て特定をしたというわけでありますから、ほとんどの勤務員の写真がひそかに撮られて保管されておるということを証明するわけであります。
 しかも、その不法に盗み撮りしたものを右翼の暴力団に見せるという、いかにも、やってきて暴行を働いた右翼暴力集団に加担しておるような印象を与えておるわけでありますが、この場合、乱入を企てた右翼こそ取り締まるべきでありまして、これを放置して、阻止に当たった党本部勤務員に任意出頭を命じて傷害容疑で取り調べるというのは、筋が逆になっているのではないかと私は思うわけであります。さっきのお答えを聞きますと、一般的に、共産党員であれば写真も撮るし、戸籍も調べるし、そしてそういう個人的ないろいろな関係も調べるのだということになるのでしょうか。
#110
○山田政府委員 ただいまお尋ねの事件につきまして、私どもの掌握している経緯を申し上げたいと思います。
 お尋ねのように、昨年の四月二十八日に、右翼団体の大日本朱光会員十人ぐらいが街頭宣伝の帰り道に、二時三十五分ごろでございますが、三台の宣伝車で共産党本部の玄関前に至りまして、停止して共産党批判を始めたようでございます。その際に党本部から十人ぐらいの方が出て、右翼は帰れということを言った経緯もございまして、右翼側も車からおりて双方口論になってもみ合ったという事件であるようでございます。その際、物音がしますので、警戒のため原宿署員が二十名ぐらい出動しまして、現場に駆けつけて双方引き離して、当日、大日本朱光会員六人を任意同行して事情聴取を行い、捜査を開始したわけでございます。
 その後五月一日に、党本部の方から全治一週間の診断書の提出とともに、右翼の暴行について告訴状の提出があったわけでございます。そこで、右翼について取り調べましたところ、自分もやられたということで診断書の提出が五月三十一日にございまして、その際に、確かにいまお尋ねのように面割りで共産党の本部の一人の方が出てまいりまして、この人にやられたのだということで、ただいまその人の出頭を求めておるわけですが、捜査に御協力いただけないために今日に至っておるわけでございます。
 ただ、捜査の関係で、面割りに使いました写真がどういう経緯で――いまお尋ねのような、視察という経緯で撮られたというふうには承知しておらないわけでございます。
#111
○三谷委員 共産党員がそれぞれの写真を警察署に提供して保管をしていただくというようなことはあり得ないわけですから、面割りでこれを確認するとしますと、かなり膨大な写真が保管されていなければできないことであります。そうしますと、そういうことがなされておるということを証明するわけでありますが、共産党員については、そういうことも何でもやりほうだいなんだというお考えなんでしょうか。
#112
○山田政府委員 情報活動自体について申し上げますれば、先ほどお答えしましたように、適法、妥当な範囲で行っておるわけでございます。
 ただ、いま右翼事件の関係で申し上げますれば、こうしたトラブルは再三再四党本部の前で起こっております。その場合、警察官が現認しまして、採証活動の際に写真を撮ることもございます。そういう際に撮られた写真は、原宿署に数多くあることと思っております。
#113
○三谷委員 そうしますと、右翼の連中が共産党に押しかけてくる、つまり個人の生活で申しますと、住まいの玄関に押しかけてくるというような不法な事態を繰り返しておるわけでありますが、その際に、トラブルが起きると写真を撮影して、かなりなものが原宿署に蓄積されておるということになるわけでしょうか。
#114
○山田政府委員 右翼事件の処理の過程を通じて、当然そうした資料というものはあると思います。
#115
○三谷委員 それにしても、共産党のあそこの建物の防衛といいますか、警備といいますか、この関係者は限定をされておりますから、よしんばそこでそういう事件が起きましても、たくさんの党員がそこに出るわけではありませんから、撮影をされますのは限定されておるわけですが、原宿署にどれぐらいの写真が保存されているわけでしょうか。
#116
○山田政府委員 その点は私自身つまびらかにしておりませんし、捜査の過程を通じて得られた資料でございますから、公表すべき限りのものではないと思います。
#117
○三谷委員 私は、おっしゃることがよくわかりません。捜査の過程で得たものでありましても、それを公表するについて、捜査上の障害があるとかあるいは正義、人道に反するとかいうような場合には、公表できない場合があるでしょうけれども、この場合はそういう性質のものではないと思いますから、何でも捜査過程で得たものだから公表できないという論理は成立しないと私は思っております。
 いま、それは改めて答弁は求めませんが、しかし、警察が不偏不党とおっしゃっている、その不偏不党の中には、共産党は含まれないのでしょうか。
#118
○山田政府委員 一党一派の政治的主張に偏らない、そういう意味で、不偏不党ということが政治的中立性を堅持しなければならない警察に求められております。そういう意味におきましては、あらゆる政党の主義主張というものに偏ってはいけないということであろうかと思います。
#119
○三谷委員 偏ってはいけないと同時に、特定の政党を敵視するということもしてはならないことだと思います。私どもは合法的な政党として、国民多数の支持を受けて議会活動等も行っているわけでありますから、私どもを否定するということは、私どもを選んだ国民を否定するということなんだ。そういうことは、警察といえどもできるわけはないわけですから、不偏不党、中立公正でありますならば、いまのようないわゆる警察流の暴力革命論ですね、それに藉口して、共産党員に対しては全く人権を無視したことを警察自体がやるというふうな、国家機関自体がやるというふうなことがあってはならぬと私は思うのです。そのことは、最近の裁判でも明らかにされておりますから、これは後でお尋ねします。
 先ほど、警察が善意で協力をいただく方によって情報の提供を受けるとおっしゃっておりますが、しかし、最近の実例から見ますと、善意で協力するというのでなしに、まず金品で誘惑する、あるいは人の善意を逆用してこれを誘惑していくとか、あるいは金を渡した後で、金を渡したのだから協力しなくちゃけしからぬというような、社会正義の見地から見ましても大変隠微で、卑劣な手段が数多くとられております。時間がありませんから、一つ一つの手法につきましてはいまここで申し上げませんけれども、いろいろな手段でこれが行われておるわけであります。
 たとえば、わが方の活動家の車の後を尾行してくる、それで尾行の途中で前方の車に連絡をする、前方の車がパンクだといって手を挙げて援助を頼む。これは当然社会的な協力関係からしまして、パンクを修繕するために援助をしますと、後でお礼だといって来る。そして、どうだ、情報提供に協力しないか、こうなってくるわけです。あるいは、目的の党員の宅の近くの山へ山菜取りに出かけまして、腹が痛いといって党員の宅に来る、世話を頼む、そこで看病を受けまして、後日礼をするといって来て、そして、どうだろうか、情報を提供してもらいたいというような引っ込みをする。あるいは、党員の運転をしておりますタクシーに預金通帳を座席に置き忘れて、届けた党員にお礼と称して接近して、そうして情報の提供者に仕立てようとする。交通違反の取り消しをしてやるということで困っている人の相談に乗るていにして、そして、これを情報提供の対象者として育てるというふうなことが、いろいろと行われておるのでございます。
 これが善意の協力者とは、私どもはゆめさらさら考えることはできませんが、最近、たとえば福井県下の民青同盟員に対する工作もこのような手口で行われました。接近に成功すると酒食のもてなし、金品の贈与、これが一般的に行われておりますが、中にはポルノ映画の切符をやるとか、あるいは石川県下ではトルコぶろに誘うとか、若い青年を腐敗堕落させる、社会的荒廃をもたらすような、そういう許しがたいことまで情報収集と称して行われておるわけでございます。こういうことが果たして国家権力として、国家機関として行われていいものでしょうか。これは青少年をむしろ犯罪に引っ込んでいく、犯罪を誘発するような手段までとられておるわけでありますが、こういうことが果たして妥当なんでしょうか。
#120
○山田政府委員 日本共産党に対しまする情報収集活動につきましては、先ほどもお答えしたわけでございますが、あくまでも適法、妥当な範囲で任意の御協力を得ていくという方向で行っておりますので、ただいまいろいろ例を挙げられましたが、任意、適法の枠外に至っておるものはないと私どもは思っております。
#121
○三谷委員 こういういわば反社会的な手段でやるものまで任意、適法なものになるのでしょうか。
#122
○山田政府委員 先ほどお答えしましたのは、そういった反社会的とかいうことにわたって行ってはいないというわれわれの方針を申し上げたわけでございます。
#123
○三谷委員 方針と現実と違う点が問題であって、私がいま引例しましたのは、すべて私どもが経験をしました事実でございます。そして、これはすべての人の善意というものを逆用する、そして結局はその善意を裏切るという内容のものでありますし、特に青少年に対してポルノを勧誘するとかあるいはトルコぶろに誘うとかいう堕落をもたらすような手段まで行って、これが適法であるということが言えるわけでしょうか。
#124
○山田政府委員 いま御指摘のような事実はないと思っております。
#125
○三谷委員 事実はないことはありません。事実は明確に存在しております。警察庁は、どちらかといいますと管理的な官庁であって、実際の行政の執行をなさっているわけではありませんから、下から来る報告をそのままありませんといまおっしゃいますけれども、これはもう少し調査をする必要があります。
 そこで、私はその一つの例として申し上げます。これは事件をでっち上げまして謀略的な手法によって情報をとろうとした事例でありますが、大阪市大正区泉尾六丁目二の十五番地宮本宅で発生した放火未遂事件について、警察はこの内容を御承知になっておりますでしょうか。
#126
○山田政府委員 ただいまお尋ねの大阪における事件でございますが、これは昨年の三月十四日に認知した放火未遂事件であろうかと思います。
 これは事件の発覚の経緯を申し上げますと、当時大阪におきましては極左情勢が大変懸念される情勢がございまして、これは三月二十一日の三里塚における成田の極左の全国総決起集会の闘争も計画されておりました。それから、三月十四日に中核派の本多書記長が内ゲバに遭って殺害された記念日ということもありまして、内ゲバゲリラ事件の不法事案、これが敢行される情勢がありましたので、全府下的な警戒態勢をとっておったわけでございます。
 加えまして、この宮本さんが住んでおられる大正警察署管内で一連の放火事件、不審火事件が発生しておりまして、これが極左関係者によって敢行された疑いもあると判断をされておりましたところから、警戒態勢に入っておったわけでございますが、当日の午後十一時三十分ごろに、警戒中の警察官に中年の婦人から、自動販売機の前でマッチをすっていたおかしな男がいたという通報をしていただいたわけです。
 そこで、その場所に参りまして、それが泉尾六丁目二番十五号の宮本官次さんというお宅でありましたが、ごみバケツの横の植木鉢にマッチ軸の燃えかすが落ちておった、ごみバケツのふたがずれて開いておったということがございまして、早速事情をいろいろお伺いしますと、同氏がかつて就職しておりました労組の極左活動家から嫌がらせや集団暴行を受けたというようなこともわかってまいりまして、これは一連の不審火事件に絡むのではないかということで当時いろいろな捜査を尽くしたわけでございますが、現在未検挙であるというケースでございます。
#127
○三谷委員 それは少し日時等に間違いがあるのではないでしょうか。私どもの方で承知しておりますのは、昨年の二月二十八日でありますが、午後十一時過ぎに、いまの宮本官次氏の自宅、大正区泉尾六丁目二の十五に、警察の者ですが、先ほどおたくの家の前で不審な男が家に火をつけようとして、通りがかりの女の人に見つかり逃げ出したようですが、何か物音などを聞いたりしませんでしたかと言ってきたのです。この警察の者ですがというのは、白いヘルメット姿の人物でございました。
 そこで宮本氏は、男の話にびっくりして外へ出ると、家の近くにも片手にトランシーバーを持ちカメラを持った若い警官が、二、三十メートル先の路上で中年の婦人を尋問しておった。男は、宮本氏と一緒にポリ製のごみ箱をのぞき込んでマッチの燃えさし数本を発見して、若い警官を呼んで写真を撮らせ、マッチをビニール袋に入れさせました。男は、私たちは特別警戒でこの辺をパトロールしていたが、連絡が入りすぐ駆けつけたと丁重な口調でおっしゃった。しかも、家の外にはパトカーがとまっておって、若い警官と何やら話し込んだりして走り去ったわけです。
 翌日、三月一日ですが、男は再度宮本氏宅を訪ねまして、目撃者の話によると、あなたの家から少し離れたところにとめてある自動車、この車は城東区の方で盗まれたものだが、犯人はこの車から出てきてお宅に火をつけていたそうだと言うて、盗難中と称する車を確認させる。そして、犯人が戻ってくる可能性があるといって張り込みを開始した。男は、そのとき初めて府警の尾崎と名のったのでございます。これが事件現場の状況でございますが、いま三月五日とおっしゃいましたが、これは恐らく間違いだと思います。
 そこでお尋ねしますが、いま説明されますように、日時は相違がありますけれども、事件があったことはいまの警備局長の説明から見ましても明らかでございます。そこで、この現場でトランシーバーを持ってカメラを持った若い警官というのは、どこの警察に所属される何という方でしょうか。それから、目撃者の中年婦人というのは特定されておりますのでしょうか。そして、放火未遂の証拠品として押収しましたマッチ棒は保管されておりますでしょうか。パトカーのナンバーと所属はどうなっておりましたでしょうか。それから盗難車のナンバー、これも所有者が特定されましたでしょうか。そして、この人物、付近を警備中で火災を発見したと言ってこられた方、府警の尾崎とおっしゃいましたが、この方は現存する方でしょうか。
#128
○山田政府委員 まず最初に、その日にちの点でございますが、これは大阪府議会においても質問がなされたケースでございまして、二月二十八日ということは間違いでございます。私、先ほど御答弁申し上げましたように三月十四日の事件でございまして、それはお答えしましたような経緯の中で府警本部、所轄署共同して現地一帯を警戒中に中年の婦人の方から申告があったという、その三月十四日夜の事件でございます。それで、その申告していただきました御婦人は、夜間のことでもありまして、申告をされた直後立ち去られたということでございまして、警察官はすぐ申告を受けた現場に急行しましたので、それっきりになっておるわけでございます。
 それから、個々の警察官の氏名の問題でございますが、これは放火の警戒に多数の警察官が従事しておりますし、捜査にも従事しておるわけでございます。特にこの事件は、極左絡みという問題もございますので、警察官個々の氏名とか職務内容について明らかにいたしますことを差し控えさせていただきたいのです。といいますのは、極左暴力集団といいますのは警察を敵視しまして、警察を攻撃目標にした各種の闘争、施設のみならず警察官個人個人に対する闘争が見受けられるわけでございます。そのための警備、公安部門の調査も行っているわけでございまして、われわれとしましてはそうした状況を配慮するために、特に個々的なお答えを差し控えさせていただきたい、かように存じておる次第でございます。
 証拠品についての御質問でございますが、これは事件でございますから、証拠品については保管していることは当然でございます。
 なお、盗難車両があってそれを張り込んだという事実もございますが、これも被害者の方は極左絡みという推定の盗難という懸念もございまして、公にすることを差し控えてもらいたいという御意向もございますので、その趣旨も御理解賜りたいと思います。
#129
○三谷委員 制服の警官などにつきまして、いまのようなお答えでは納得できるものではありませんが、しかし、これをここで繰り返してどうこういたしますと時間を食いますし、このような事件があったということは確認された模様でありますから、これで次に行きます。
 そこで、犯人を捕えると称して張り込みが続いております。そして、二日に一度ぐらいの割りで宮本氏宅を訪ねて親しげに接近をしてきたのでありますが、五月の十日に、犯人がつかまったので面割りをしてもらいたい、主人と二人で来てほしいということで、宮本氏夫妻を大正警察に案内しました。大正署の右側の出入口から階段を上りますと、暴力団捜査本部の看板がある部屋がありますが、尾崎という人はその部屋の前のベンチに宮本氏を待たせまして、しばらくして、準備ができたので面割りのために部屋に入ってほしいというので部屋に入りました。部屋は狭くて、一方の壁がガラスになっておって、ガラス越しに手錠をかけられた若い男が座っているのが見えた。尾崎は、向こうからは音も姿もわかりませんから安心してと宮本氏に確認を促しましたが、これに対して宮本氏は、知らないと答えた。帰ろうとしますと尾崎は、御主人、一杯飲みに行きましょうと執拗に誘ってきたのでございます。このようにしまして、宮本夫妻は五月の十日に、大正署に犯人の面割りのために赴いておりますが、これは確認できますでしょうか。
#130
○山田政府委員 これは、放火未遂事件の捜査を継続しておりましたところ、五月十七日でございますが、五時ごろ大正署においていろいろ検挙事案との、逮捕被疑者との絡みを検討しておりましたところ、窃盗被疑者で黙秘している者がおりまして、当時極左活動家の疑いも持たれましたので、その宮本氏の事件との関連、これを究明する必要があるということで、宮本夫妻に面割りをしていただくために署まで御足労いただいたという経緯はございます。
#131
○三谷委員 ここまでは大体状況が確認できますが、その後が少し奇怪なのは、大正署での面割りからは一カ月以上もたちました六月の十九日に、宮本氏の留守中にこの尾崎と称する府警の公安に属しているといいますが、これが清酒を持ってあらわれてきた。つまみも持ってあらわれまして、拒否する夫人に押しつけて包みを置いて帰ったのであります。宮本さんは中身を確認しますと、二十一日早速大正署に電話して、尾崎への連絡方法を問い合わせました。ところが、大正署の返事は意外にも、府警の尾崎など聞いたこともない、そんな放火事件や自動車の盗難も知らない、あなたはどこのだれかと言ってきたのであります。
 宮本氏は、二カ月以上も事件が続いて、私自身大正署に赴いていったのに、まるでそれは夢か幻のように言うではないかというので憤然としたのでございます。宮本氏はすぐ府警に問い合わせましたが、当直センター、四課などにたらい回しにされた上で、尾崎など知らないと言われております。宮本氏は、六月の二十三日に再度大正署の内線五十一番に電話しまして事件の経過を説明したが、タカハタと名のる署員はそんな事件なんかなかった、こういうふうに否定したのであります。このやりとりの途中で別の警官が出て、マジックミラーなどないといって、大正署で面割りを行った事実まで否定をするという奇怪な事態になってきたのであります。
 それで、六月の二十三日、宮本氏は、大阪の統一労組懇の代表の人とともに府警の警備二課の石田係長を訪ねまして、酒などの引き取りを求めましたがなかなか受け取らない。しかし結局、品物は受け取れないが、あなたが勝手に置いていったものとするということで、宮本氏の物品の返還を認めたのでございます。ところがその後、六月の二十六日、統一労組懇の事務所に東警察署の会計課から一通のはがきが届きまして、「宮本官次殿 あなたのものと思われる物件が拾得物として当署に届けられました。お心当たりがありましたら当署まで」こういうものが来ておるのであります。これは、はっきりとした証拠物件として残されておるわけでありますが、この後が実にこれは奇怪きわまる話であって、この接触してきた警官もいないという、あるいは大正署にも面割りはなかったという、そうして、全くこれまでの経過が消えてしまうという状況が現出されたわけでありますが、ここの経過について御承知になっておるでしょうか。
#132
○山田政府委員 捜査中の事件につきまして、警察署員としては外部からの照会には応じないという原則もございますので、電話での応対がどうであったか、府議会でいろいろ議論もございましたときに調査しましたら、担当外のどの警察官が受けたかということが明らかでないわけでございますが、そうした事情もあってちぐはぐになったのではないかと思います。
 なお、捜査に御協力いただいたために、お礼の気持ちもあってそういう酒も差し上げたと思うのですが、これがそういうものだということで返された場合に、受け取った警察としましてはお引き取りいただきたいということをお話ししたのですが、置いていかれた。したがって、いまお話しのような遺失物扱いになって処理されたということでございます。
#133
○三谷委員 警察が持っていったことを確認されたわけですが、それを返した場合、それを拾得物であるというふうなこじつけがなぜ行われなければならぬのか。返したものであれば返したものとして、正当にこれは本人の任意の意思で返還に来たものでありますから受領するというのが、まず私たちの常識からいいますと当然だと思いますけれども、本部長、どうでしょう。
#134
○山田政府委員 お持ちいただいたときに、警察としても処理に困ったことだと思います。それは、警察としても受け取る筋のものでもございませんので、置き去り品と申しますか、結果的には遺失物の取り扱いによらざるを得なかっただろうと思います。
#135
○三谷委員 このお酒も公費で支弁されておるものだと思いますが、酒などを持っていくとか、あるいはその前に飲みに行こうと誘われているわけでありますけれども、そういう行為やあるいは物、そうしてそれが拒否されるとか返されるという場合に、少なくともこれは公費であるという観念に立ちますならば、全く拾得物に化けてしまう、そういう処理が果たして公正な警察の行政の中に存在していいのかという疑問を私は持つものでございます。そして、いまお答えになりまして、公務に関する問題については外部からの問い合わせには答えないとかおっしゃっておりますが、宮本氏は府警にも出かけております。そして、これは外部というよりも一つの当事者にも当たるわけでありますから、それに対して、いままでやってきた行為を全面的に存在しなかったかのような、そういう扱いをされたわけでありますが、これもまことに面妖至極と言わざるを得ないのでございます。
 そこで、この事件といいますのは、結局は放火という事件をでっち上げて、それを利用して活動家に近づこうとしたけれども、拒否され抗議されたので、すべてのかかわりを全面的に否定するという挙に出たものと考えざるを得ません。警察が残しましたものは、東警察署会計課が出しました一枚のはがきでございます。こういう組織的かつ卑劣なスパイ行為というものは、社会の良識の上からいって果たして許されるものだろうかという疑問を私どもは当然持つわけでございます。憲法で保障されました思想信条の自由あるいは結社の自由、あるいは人権を無視するようなスパイ活動は明らかに不法なものであります。
 これは、単に私たちが言うだけじゃありません。こういう事件に対する最近の一番の判決としまして、昭和五十三年九月三十日の福岡高裁第二刑事部における判決理由が、そのことをはっきりと示しておるわけでございますが、この判決につきましては、警察はすでに御承知になっておりますでしょうか。
#136
○山田政府委員 ただいま御指摘の判決については、承知しております。
#137
○三谷委員 こういうのは、法治国家として一定の判決が出ました場合には、しかもそれは警察の行為に関する内容のものでありますから、当然、警察はこれについて研究される必要があると思います。これについて、少し長くなりますが、重要な判決でありますから紹介します。
 警備情報収集活動は、公共の安全と秩序を維持するため不法事犯の予防及び鎮圧に備えて、具体的に公安を害する事態又は犯罪発生のおそれがある場合はもちろん、いまだそのおそれのない日常においてもその発生の可能性がある限り、当該団体又は個人に関する情報を収集し、収集された情報を分析検討することによつて治安情勢を適確に把握する活動であるとされている。
  しかし、いまだ公安を害する事態や犯罪が具体的に発生するおそれのない日常においてまで、警察当局が独自にその発生の可能性を判断し、警備活動の必要性という名の下に、ある個人、団体に対し継続的、組織的、秘密裡に情報収集活動を実施することは、その手段、方法の如何を問わず、その個人、団体にとつては、不断の監視と探索の下に置かれ、いわれのない無形の圧力を受けることになり、その個人、団体が享有する憲法上の権利及び自由は不当に干渉され、かつおびやかされることになるといわなければならない。
  このように、警備情報収集活動は、事の性質上憲法の保障する基本的人権に重大なかかわりあいを有するものであるから、右活動が適法であるといえるためには、その行為の動機、目的が警察法二条一項の責務規定に含まれる正当なものであり、その必要性が具体的、客観的に認められる場合でなければならず、かつ、強制力を行使する具体的な権限規定がない以上、任意な方法によるべきことはもちろんであるうえ、その行為自体が社会通念上相当と認められるものでなければならない。しかも、警察法二条一項が警察の責務として掲げている事項のなかには必ずしも具体的な内容を有せず、時の社会政治状勢との関係において解釈上如何ような内容をも盛り込み得る余地のあるものがあるが、これが解釈にあたつては、同法二条二項が「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」と定めていることに徴してみても、基本的人権保障等の憲法的秩序を維持する観点から慎重に行なわれなければならず、また、いやしくも法律上に根拠を有する国家機関である以上、右活動に従事する警察官は社会的、倫理的に非難されるような手段、方法によることは許されないものというべきである。
 このように判決理由は、警備情報収集活動、すなわち警察の不当なスパイ活動一般について、公安を害する事態や犯罪発生の具体性のない日常におけるスパイ活動は、憲法上の権利と自由への侵害となるとしております。情報収集の動機と目的は、警察法二条一項の責務により、具体的かつ客観的に認められる場合であって、社会通念上相当と認められる範囲でなければならないとしておるのでございます。
 さらに、判決理由は、警察の日本共産党へのスパイ工作について、動機、目的に正当性が認められないとし、また、手段方法も不当であると断じておるのであります。すなわち、判決理由といいますのは、
  これを本件日本共産党に対する警備情報収集活動についてみるに、本件全証拠を精査検討してみても、その動機、目的において警察法二条一項に定める警察の責務に含まれる正当なものであつたとは認め難いし、その必要性を認めるに足る具体的、客観的な理由があつたとも認め難いうえ、前記認定のとおり、直方警察署警備課所属の警察官は、河本――河本というのはスパイなんですが、
 河本に対し、ことさら強制したものではないが、情報提供の対価を与えるという金品の誘惑によつてスパイ行為を勧奨し、ことに当時同人が入党を勧められていることを奇貨として、入党のうえスパイ行為をすることを巧みに慫慂し、いわば同人をスパイとして同党に送り込んだと同様に評価し得る手段を策して、同人から情報の提供を受けていたのであるから、本件警備情報収集活動は、その手段、方法において、社会的、倫理的に非難されるに値する不当なものというべきであり、社会通念に照らし相当性の範囲を越えた違法なものといわざるを得ない。
こういう判決文になっておるのであります。
 この判決理由といいますのは、従来、わが党などに対する警察の不当な情報収集に関しまして、幾つかの判例の中でも最も新しい判断であり、しかも高等裁判所における判決でございます。こういう判決というものを警察が御承知ない、と。それでは全く、警察独善といいますか警察ファッショといいますか、裁判の決定というものを全然考慮もしなければ尊重もしないということであってはいけないだろうと思いますが、その点はいかがなものでございましょう。
#138
○山田政府委員 ただいまの直方判決につきまして私どもの理解は、日本共産党に対する警察の情報活動一般について、その適法、違法を判示したものではないと理解しております。特に判決の中で、日本共産党に対する情報活動の動機、目的の正当性、必要性については、積極的に認定するに至らなかったということでございまして、積極的に否定しているわけのものでもないわけでございます。
 反面、その判決を指摘されましたので、私どもの方からもお答えしたいわけですが、判決におきましては、たとえば東京高裁の昭和四十一年の判決では、
  警察官は、警察法第二条第一項の規定により、犯罪の予防、鎮圧、捜査及び公共の安全、秩序の維持、その他を職務とすることを定められているのであるから、犯罪発生後、その捜査、鎮圧、公共かく乱後その事態の鎮圧・秩序回復をなすべき職責を有するとともに、犯罪の発生前、または公安を害する事態の発生前にこれを未然に防止する方法を講ずることも警察官の職務といわなければならない。そしてその予防手段は、具体的にある犯罪が発生するおそれのある場合や、具体的に公安が害せられる事態の発生するおそれのある場合にとられることもあるし、未だそれらの犯罪や公安を害する事態の具体的に発生するおそれのない平素の場合においても、その発生の可能性がある限り、一旦有事の場合に備えてその発生を予防する手段を研究し、準備しておくことも警察の職責上当然のことである。
ということで、情報収集活動の根拠を明確に述べている判例が多いわけでございます。
 そこで、日本共産党に対して、暴力革命の方針を捨て切っていないということで情報収集の対象にしていると申し上げましたが、これは、ただいま私が読み上げました判例に徴して考えますれば、共産党が綱領解釈の歴史的文献として、党員必読の独習指定文献にしております宮本委員長の「日本革命の展望」という本がございますが、その中では、「平和的な手段による革命の可能性の問題をいわば無条件的な必然性として定式化する「平和革命必然論」は、今日の反動勢力の武力装置を過小評価して、反動勢力の出方がこの問題でしめる重要性について原則的な評価を怠っている一種の修正主義的な誤りにおちいるものである。」と摘示しておりますし、それから「革命への移行が平和的となるか、非平和的となるかは最後的には各国の歴史的具体的条件――反民族的反人民的勢力の出方いかんにかかるという二面性を考慮することは、わが国の革命を展望する場合にも必要である。」(三谷委員「それはもう結構です」と呼ぶ)
 「マルクス・レーニン主義党としては、革命への移行が平和的な手段で」(三谷委員「そんなことを聞いていない。聞いたことに答えなさい」と呼ぶ)いや、いま情報収集の必要性を申し上げているわけでございます。(三谷委員「委員長、委員長、そんなこと、いま時間がないのに、そんなことだらだらやってもらう必要はない」と呼ぶ)「それが平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方によるということは、国際共産主義運動の創造的成果として」(三谷委員「そんなことを私はお尋ねしているわけではない。必要ないことはやめなさい。結構です。結構ですよ」と呼ぶ)「マルクス・レーニン主義の革命論の重要原則の一つとなっている。」と述べておりまして……(三谷委員「委員長、とめてください、そんなもの。何を答えておるんだね」と呼ぶ)われわれとしては、ただいま申し上げた判例の趣旨に従って情報収集活動を行っているわけでございます。
#139
○三谷委員 こちらの言うことに答えていないじゃないか。いまのようなことをあなたが文献を持ち出して、そういう革命論争をするんだったら、三時間も四時間もかかるわけだ。だから、そういうことをしないように具体的な事例について聞いているわけだ。だから、革命はその国の状況によって違うという、日本共産党は、日本においては平和的にやれるのだという立場に立って、議会を通じての革命という路線に立ってやっているわけであって、そのことは、あなた方御承知のとおりじゃないか。それをいまさら、何を引っ張り出してきて、とんでもないことを言っているんだ。
 いま私が聞きましたのは、この福岡高裁の裁判というもの、そしていま東京高裁の裁判か何かをおっしゃいましたけれども、その中においても、社会的、倫理的に指弾されるような不当な情報活動というものは是認するという立場には立っていないんだ。それがよしんば必要であっても、それは適法な範囲において行うものであって、適法性を欠いておるというのが私がいままでずっと指摘してきた問題なんだ。そのことを申し上げておきます。
 時間が来ておりますからこれ以上質問できませんが、ただ一つだけ会計検査院に聞いておきます。
 この捜査費については、会計処理上、どのような処理をしなければならないことになっておるか。また、これは領収書を必要とするようになっております。会計法によりますと、直接債主からの領収書ということになっておると思いますが、これについてはどうなっておりますか。これについてちょっとお答えしていただきたい。
#140
○景山会計検査院説明員 お答えいたします。
 実地検査の際に、捜査費の支出の当否について判断いたします場合、取り扱い責任者が徴しております個々の支払いに係る領収書等の証拠書類を中心にいたしまして、その支払いの当否を判断いたしておる次第でございます。
#141
○三谷委員 実は先ほど指摘し忘れましたけれども、この前、三井警備局長当時のことでありますが、これは愛媛県でありましたか、十五万円ポケットにほうり込んで、そして情報提供を頼んで帰っていくという事件がありましたし、つい最近では名古屋で、六万五千円をパチンコ店で青年のポケットにほうり込んで情報の提供を依頼するというような事件がありまして、これは領収書が発行されておりません。
 私は、いまから二十三年前に大阪府におりまして、警察官のスパイ工作書事件というのを摘発して質疑をしたことがありますが、このときにも領収書はおおよそないという状況でありましたが、そういう状況から見まして、領収書があるとは思えませんが、仮に会計検査院が検査した結果、領収書がそろっていたというのであれば、その領収書は真の領収書ではあるまいと想像されます。この点で、検査院は今後の検査におきまして手抜かりのないように厳重に検査を行ってほしいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#142
○景山会計検査院説明員 実地検査の際に、そういった点、関係者その他から事情を聴取するなり内容の確認に努めたい、かように考えております。
#143
○三谷委員 いま取り上げました事例につきましては、具体の詰めが必要でありますならば、それぞれ金品を渡されて返したという関係者を紹介しますが、その場合迅速に調査、検査を行ってもらえますか。
#144
○景山会計検査院説明員 お答えいたします。
 そういった事実がございますれば、検討いたしたいと存じております。
#145
○三谷委員 終わります。
#146
○中山委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時一分開議
#147
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。部谷孝之君。
#148
○部谷委員 ただいま提案されております法律案についてお尋ねしてまいります。
 年金担保の貸付制度というものは、恩給を初めといたしまして年金、公務災害等につきまして順次制度化されてきたわけでありますが、その小口貸付制度のいろいろなケースの変遷、経緯があるわけですが、それはどのようになっておるか、まず御答弁いただきたいと思います。
#149
○金澤政府委員 小口貸付制度の変遷につきまして御説明をいたします。
 まず恩給につきましては、恩給権を担保といたす小口金融の必要性ということで、これは古く昭和十三年に恩給金庫によります恩給担保の金融の道が開かれております。また、戦後になりましてもこの恩給につきましては、昭和二十八年に国民金融公庫によります恩給担保金融の道が開かれておるわけでございます。また、共済組合の各種の年金給付につきましても、国民金融公庫からの年金担保金融の道が開かれております。これに応じまして昭和五十五年の第九十三回国会におきまして、公務災害補償の年金を担保にして国民金融公庫から小口の資金の貸し付けを受ける制度が設けられたわけでございます。それに引き続いて今回、残っておりますのをお願いしているということでございます。
#150
○部谷委員 いまお話がありましたように、第九十三国会におきまして公務災害補償等の改正が行われました。その中で小口貸し付けの、年金担保貸し付けの道が開かれたわけでありますが、今回改正の対象となっております協力援助法あるいは基金法等につきまして、そのときになぜそうした措置がされなかったのか、今回改めて改正されたその理由はどういうところにあるのか、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕
#151
○金澤政府委員 協力援助者の災害給付の制度につきましては、これは給付の性格からいたしまして、公務員の災害補償の年金制度に準拠しまして逐次改正が行われるということで、これまで経過をしてきておるところでございます。この小口の金融につきましても、そういった従来からの経緯にかんがみまして、公務員の災害補償年金の改正が昨年行われまして、その経緯を見て今回お願いをしておるということで若干おくれておりますけれども、そういった従来からの経緯にかんがみておくれておった、こういうことでございます。
#152
○部谷委員 これは所管省庁がそれぞれいろいろあるわけですけれども、このような年金とか給付金等、そういうもので担保措置がとられたものあるいは未措置のものが、一体どういうものがとられ、どういうものがとられていないのか、お調べでしょうか。
#153
○金澤政府委員 お答えいたします。
 まず、年金担保の措置がとられておりますものを申し上げますと、厚生年金保険法によるもの、それから国民年金法、船員保険法、恩給法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、公共企業体職員等共済組合法、私立学校教職員共済組合法、農林漁業団体職員共済組合法、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法、消防団員等公務災害補償等共済基金法、それに労働者災害補償保険法がいままで措置がとられたものでございます。今回の措置がとられますと、残っておるものはございません。
#154
○部谷委員 そうした恩給、年金あるいは共済、労災関係については、そういうふうな措置がとられたわけでありますが、そのほかにも、たとえばいまはその制度は終えんいたしておりますけれども、引き揚げ給付金というのがございました。
 これは昭和三十年代と四十年代とに二度、外地から引き揚げをして帰ってこられた方々に十年間の国債を発行したことがあるわけでありますが、その引き揚げ給付金については同じような担保措置がとられたことがあるのです。実は私は、当時受田先生の秘書をやっておりましたが、これは受田先生がその引き揚げ給付金に対して国会の中で特段の努力をされた問題であるので、私はそのことをいま記憶しておるのです。
 もう一つ、学校医とか学校歯科医、学校薬剤師、こういう方に対する労災の問題です。こういうものもまだ未措置になっておるのですね。これも実は、私事を申し上げて恐縮なんですが、私が県議会におるときにそういう先生方に対する公務災害の措置がとられたので、よく記憶をいたしております。これは実はまだ未措置なんですね。
 それから、証人等の被害についての給付に関する法律もまだ未措置なんですが、私が申し上げるまでもなく、いまの学校医等の問題あるいはこの証人等の問題については今国会においてそれぞれの所管のところで措置をされる、こういうことになっております。したがって、公務災害のみならずそうした万般の、国が年金的な性格で支給をしておるものあるいは国債的な形で支給をしておるものは、大体そうした小口貸付制度が行き渡ったというふうに考えてよろしいのではないかと思うわけでありますが、いま官房長の御答弁を伺っておりますと、そうした改正の趣旨というものは、九十三国会の改正の横並びというか未措置のところを横並びにそろえていったということですが、それでよろしいのですか。
#155
○金澤政府委員 そのとおりでございます。
#156
○部谷委員 その横並び的に安易に措置をされたというところに、実は私は不満を持っておる。今回改正の対象となられた方々は、いわば衝動殺人の犠牲者に先般あのような措置がとられたわけでありますけれども、そうした人々に対する措置はもちろん大事ですけれども、そうした方々にも劣らない、それ以上にやはり行政側としては配意をしなければならない、そういう対象の方々だと思うのですね。したがって、ただ単に横並びということでなしに、もっとそうした方々の生活実態というものを十分調査した上で報いて差し上げるという、そういう形でなければおかしいと私は思うのですね。そうした実態の調査だとかいうものは十分されたのかどうか、いかがでしょうか。
#157
○金澤政府委員 とろうとしております措置は横並びということでございますが、こういった警察の仕事、消防の仕事に協力援助された方々に対します私どもの方の対応のしぶりといいますか、そういう点申し上げますと、これは警察官、消防職員も同じだと思いますが、殉職した方と同じような気持ちで、現実にはいろいろとアフターケアといいますか、残された遺族の方、また障害を負われた方のアフターケアにつきましては、そういう気持ちで第一線の方を、警察の方を指導しておるわけでございます。したがいまして、状況はいろいろと把握をしておりますし、今後ともその取り扱いにつきましては、こういった方々の気持ちをよく参酌をいたしまして措置をしていきたい、かように考えます。
#158
○部谷委員 次に、消防の関係で少しお尋ねしてみたいのでありますが、消防作業従事者等の災害発生状況、これはどのようになっておりますでしょうか。
#159
○石見政府委員 消防作業の従事者等にかかわります災害の発生状況でございますが、消防基金の方の支払いの対象となりましたものにつきまして、昭和五十一年から五十五年までの過去五年間の実数といたしましては千二百七十九件ということになっておりまして、内訳は、亡くなられた方十二名、負傷された方千二百六十七名ということに相なっております。
#160
○部谷委員 いま、共済基金の支払い対象となったものの数字のお示しがあったわけでありますが、そういたしますと、共済基金の支払い対象とならない人もあるんじゃないかと思うのです。で、申請があって認定をされなかったものは件数としてどれくらいあるのか、また、事例としてはどういうケースが認定されなかったのか、その点いかがですか。
#161
○石見政府委員 ただいま御質問にございましたように、基金と契約を結んでいない市町村で対象になりましたものももとよりあるわけでありますが、私ども手元に持っております資料では、一応基金を通じて支払い対象になったものを御答弁申し上げた次第でございます。
 基金に認定の申請がございましたが認定されなかったものの件数というのは、先ほど申しました過去五年間千二百七十九件あったわけでありますが、その五年間で十六件ということでございます。内訳といたしましては、応急の消火義務にかかわりますものが九件、これはいわば自分の家が燃えたというものでありまして対象にならない分でありますが、これが九件であります。それから、本人の素因のために災害との因果関係がないと判断されましたものが五件、その他二件ということで、合計対象にならなかったものが十六件でございます。
#162
○部谷委員 これは件数としては、まあ一%強ということであればそれほどそのケースが多いわけではないんでしょうけれども、この認定が厳し過ぎるというふうな批判はないんですか。
#163
○石見政府委員 認定につきましては、もう申し上げるまでもなく、法律の趣旨に沿いまして、具体的な協力依頼があったかどうか、あるいはまた協力活動と災害との因果関係があったかどうかというようなことを総合的に判断をして、適切に実施されますように市町村に指導いたしておるわけでございます。私ども現時点で、認定が厳し過ぎて協力者に不利益が生じたというようなこと、具体の事実は聞いておりませんが、また、そのようなことがないように十分慎重に取り扱うように、かねがね指導いたしておるところでございます。
#164
○部谷委員 ひとつ、それを強く希望しておきたいと思います。
 同時にまた、認定問題につきまして、協力援助者の関係についてもそうした認定の状況はどうなのか、また、そうした同じような批判はないのかどうか、いかがですか。
#165
○金澤政府委員 現在までのところ、そういった厳し過ぎるという批判は承っておりません。いま、消防庁の方からもお答えがありましたように、私どもの方もこの法律の趣旨をよく踏まえて認定に当たるように指導しておりますし、今後ともそういうふうにしたいと思っております。
#166
○部谷委員 実は私、十分調査をしておりませんので、観念的に一般論として、すべてのこうした問題についてそうした心配があり、いろんな批判が出てまいりますので、このケースについてもそういうことのないようにひとつ特段の御配慮を願いたい、こういうふうに思うわけであります。
 それと、先ほどちょっと共済の未締結の問題がありましたが、共済基金との間に共済契約を締結していない市町村、これはどれくらいありますか。
#167
○石見政府委員 ことしの三月三十一日現在の調査でございますが、基金と契約を締結しております市町村は二千九百十四でございます。全市町村が三千二百五十六でございますので、八九・五%がすでに契約を締結しておるという状況でございます。
#168
○部谷委員 そういたしますと、約一割が未締結、こういうことになるわけでありますが、共済契約を結んでおらない市町村の場合も、年金たる補償を担保に供することがこの措置でできることになりますか、いかがですか。
#169
○石見政府委員 基金法の第二十四条によります災害補償を受けます権利の保護に関します規定は、御案内のとおり民法の規定の特例を設けたものでございますので、市町村と消防基金との間の共済契約があるかないかということにかかわりませず、この権利に関してひとしく適用されるものであるということでございます。
#170
○部谷委員 そういうことだと思います。
 それで、未締結の市町村において一般的に補償業務に対して支障はないのかどうか。当然、基金の制度をつくるということは、つくらなければならない必然性があってつくられたと私は思う。そして全部加盟するというか、契約を締結していくことが望ましいからそうした制度をつくられたと思うのですけれども、なお一割の市町村がこれに加盟していない、その理由は一体どこにあるのか。それから、締結させるというそうした自治省あるいは消防庁の方の意欲的な気持ちがあるならば、何らかの指導がされておるのかどうか、いかがですか。
#171
○石見政府委員 まだ、基金の方と共済契約を締結していない市町村が三百四十二市町村残っておるわけでございますが、これらの市町村におきまして、実際の補償業務に支障が生じたというようなことは全然聞いておりません。しかし、市町村の補償の責任が災害の程度とか財政状況によって左右されるというようなことはあってはならないことでございますので、私ども、この共済制度に全市町村が加盟していただくことを非常に強く希望いたしておりますし、あるいはまた現在、基金を通じまして、まだ未加入の三百四十二市町村につきましては、加入をするようにという働きかけを引き続きやっておる状況であります。
 三百四十二市町村が加盟をしていない理由でございますが、これはもちろん契約によるものでありますから、それぞれの市町村の独自の御判断によるものでございまして、強制するわけにはまいらないわけでございますけれども、私どもがいろいろ状況を聞いております限りでは、県レベルの共済制度を三十九年以前に発足させてそれを活用しておられる、しかも、そこはまだ内部留保金がかなりあるということで、何もこちらの基金に入らなくても十分やれるという判断のもとにやっておられるところもあるようであります。それから、災害が大変少なくて、ここに入っても、言葉は悪うございますが、掛金を払うばかりで余りメリットがないというような御判断のところもあるようであります。一概には申し上げかねるのでございますけれども、大体その辺が主な理由ではないだろうかというふうに存じておるところでございます。
#172
○部谷委員 消防法の二十五条の二項、また二十九条の五項、この規定は三十六条において「水災を除く他の災害」にも準用される、こういうことになっておるのですが、三十六条の三の第一項、これは「準用する場合を含む。」というふうに規定されておるわけですね。この「水災を除く他の災害」というのは一体何を指すのか、お示し願いたいと思います。
#173
○石見政府委員 消防法の三十六条で言っております「水災を除く他の災害」と申しますのは、水防法が対象としておりますものを除くという意味でありまして、具体的には水防法第一条にございます洪水、高潮、これは水防法の方で措置をするという趣旨でございます。
#174
○部谷委員 これは、消防法の直接対象となる火災も除外されるのじゃないですか。
#175
○石見政府委員 火災につきましては、消防法自体で、消防法が適用されておりますので、そちらでいくわけであります。そこで、水災を除く他の災害について消防法を適用すると書いておりますのは、ただいま申し上げましたように、水防法が対象としております洪水と高潮は水防法の方で措置をいたしておりますので、それ以外でありますから、たとえば地震、それからがけ崩れ、暴風、こういうものにつきましては消防法を適用するという趣旨でございます。
#176
○部谷委員 そこで、いまお話がありましたような災害において、暴風だとか豪雨、地震、そういうものにおける災害については、その大半が人命救助ではないかというふうに私は思うわけです。そういたしますと、ここに言う人命救助の項は、災対法と協力援助法、いずれも重複して規定しておるというふうに思うのですが、これは警察庁の方が御答弁になるのでしょうか。このように、人命救助という問題については災対法と協力援助法、両方に人命救助の項があるわけなんですが、このような場合の法令の適用はどちらの適用関係というか、それはどのようになるのでしょうか。
#177
○石見政府委員 私どもが所管しております消防法関係について申し上げますれば、災害のときにおきます人的な公用負担の権限につきましては、ただいまお示しにございましたように消防法あるいは水防法があるわけでございまして、それぞれ水防法、消防法で措置をされておりますが、このような法律に対しまして災害救助法というのは、いわば一般法的な性格を持っておるというふうに理解をいたしております。市町村の総合的な防災責任者でございます市町村長が、このようないま申しました消防法、水防法に定めのあるものを除く災害につきまして、自分の地域内のあらゆる災害に応急措置をとったという場合には災対法が適用されるということになっておるわけでありまして、いわば個別法と一般法との関係であろうというふうに理解しております。
#178
○部谷委員 そうすると、個別法の方が優先する、こういうことになるわけですね。
#179
○石見政府委員 消防法あるいは水防法に規定されております部分につきましては、その法律がまず優先をいたします。と同時に、それ以外の災害について市町村長が命じましたときには、災対法が適用になるということでございます。
#180
○部谷委員 人命救助のところで、いまの協力援助法との関係は出てこないのですか、いかがですか。
#181
○福永説明員 お答えいたします。
 大規模な災害につきましては、市町村長または警察官が命令を下すことができるわけでございまして、それに基づいて、死亡したり負傷したりした場合は、災害救助法、災害対策基本法の方に適用がありますけれども、そうでなくて、個々に人命救助をするというのが災害の場合でも起こってまいろうかと思います。そういう場合には、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律が適用になるというケースも出てまいります。ですから、やはり個々に具体的に検討をしてまいることになろうか、かように存じます。
#182
○部谷委員 時間が参りましたが、最後に一点だけ。山岳の遭難救助につきまして、これは民間の救助隊の出動に伴う費用の負担は受益者負担だ、こういうふうになっておるようでありますが、そうした受益者で負担ができないケースというのはかなり出てくるのじゃないかという気がするわけです。この点について何か措置がされておるのか、緩和措置と申しましょうか、そういうものがされておるのかどうか、最後にお尋ねいたします。
#183
○金澤政府委員 山岳におきます遭難の救助の問題でございますが、現在、警察官とそのほかに民間の救助隊を組織して捜索を行うという場合があるわけでございます。もちろん、警察のような公的な場合はそういった費用負担はございませんが、民間の救助隊を編成した場合には、その救助隊にかかりますいろいろな出動経費、食糧の問題であるとか費用の問題、これは受益者負担ということを原則にして現在やっております。
 余り費用が後で払えなくなったという直接の話はまだ聞いていないわけでございますが、相当費用もかかりますので、そういった例もあろうかと思います。一部の市町村においては、そのために助成金というようなものも用意しておるところもあるようでございますが、今後、保険を利用するなど、そういった場合の費用に充ててスムーズに救助活動が働くようなことを当然考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#184
○部谷委員 終わります。
#185
○工藤委員長代理 細谷治嘉君。
#186
○細谷委員 いま協力関係の法律について、すでにもう質問者が大分質問しておりますし、範囲の狭い問題ですから、かなり重複するというか繰り返しになるかと思いますけれども、二、三問題を明らかにするために御質問したいと思います。
 最初に私が質問したいことは、この法律を開きましてちょっと不思議に思ったわけでありますけれども、「警察官の職務に協力援助した者の災害給付」、これは災害給付であります。その次に、「消防団員等公務災害補償等」と言って、これは災害補償であります。給付と補償というのが出て、そして同じこの一本の法律で一条と二条で処理しよう、こういうことなんですけれども、給付というのと補償というのと違いますか、お答えいただきたい。
#187
○金澤政府委員 補償と申しますのは、一つ何かの行為がありまして、それに対してそれを償うというような意味でお金が支払われることだと思いますが、給付は、そういった行為に対して特に償うという意味ではなしに、いろいろな意味で一般的に給付される、こういうことではないかと思います。
#188
○細谷委員 年金、たとえば厚生年金をもらう場合に、給付すると言っておりますけれども、たとえば警察官が、おい、あそこへ泥棒が来ている、早くあれをつかまえてくれ、協力してくれという場合に、事故に遭った。警察官の要請によってやった、そして死んだといった場合、これは給付じゃなくて私はやはり補償だと思うのですけれども、警察の場合には、警察官の職務に協力援助した者の災害補償に関する法律となっていないで災害給付に関する法律、こうなっているのです。
 ですから、官房長が言うように、国のものに対して何らかの仕事をした、そして災害に遭った、そして年金を遺族がもらうようになった、こういうことでありますから、これは給付ではなくて補償と言うのが正しいと私は思うのですけれども、警察庁の方の答弁を聞く前に、消防団の関係でも災害補償等共済、そして基準政令でも損害補償の基準と、これはきちっと補償という形になっているわけです。補償というのはどういう意味ですか、お答えいただきたい。
#189
○石見政府委員 消防におきましては、御案内のとおり消防職員、消防団員等につきまして、すべて従来から公務災害補償という言葉を使っておりますので、それとの並びにおきまして、協力した方についてもやはり補償という言葉を使ったわけであります。
 私ども、補償という用語の意義でございますが、先ほど警察庁官房長が御答弁いたしましたように、国あるいは地方団体の業務に対して協力援助願ったものでありますので、やはりある意味では償いというような趣旨も含めて補償という言葉が使われたのであろうと思っております。しかし、警察の方の給付と補償とは、申し上げるまでもないわけでありますが、実態的には差異がないということに相なっておるわけであります。
#190
○細谷委員 実態的に差がないということで一本の法律にくくって、第一条何々、第二条何がしと、二本の法律を一条と二条に区分して、いま審議している法律が出ているわけですけれども、しかし、私は国文学者じゃありませんしあるいは法律専門家でもありませんから、法律用語とか国文学上の問題は別といたしまして、給付と補償というのはちょっと意味が違うのじゃないでしょうか。補償というのは国のために仕事をした、殉難があった、それに対して国家補償的なものをする、こういうことなんではないでしょうか。いかがですか。
#191
○金澤政府委員 補償の意味は、いまお話しのとおりだと思います。給付という言葉を使っておりますこの協力援助法でございますが、これは対象になります方はいわゆる一般の民間人でありまして、こういった仕事をする、協力援助をするという義務というものは一般的にございません。そういった義務がなくて行われた行為に対して一定の給付が行われるという場合に給付という言葉を使っておりますし、また公務員の災害補償というようなことで、やはりいまお話がありましたように国または公共団体等にいろいろ仕事をするという義務がありまして、そのために身体なり生命なりが損なわれたという場合に、国または公共団体が支給をするという場合には補償という意味でこの言葉が使われておる、こういうふうに理解しております。
#192
○細谷委員 国家公務員なりあるいは警察官として当然やるべき任務をやった場合に難に遭った。一方、そういう任務はないけれども、これはやはり一大事だ、社会の安定のためにがんばっていこう、あるいは国民の生命財産を守っていこうということで難に殉じたというのは、これは商売の人よりもある意味ではとうとさを持っているのじゃないでしょうか。そうだとするならば、言葉が警察関係のは給付だ、消防関係のは補償だ、こういったのは、どうもおいこらという昔の警察の考え、それから消防団の方は協力いただくのだという形で、おいこらの抜けた戦後の思想、こういうものから補償という字が使われたと思うのです。
    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
 たとえば、一般の工場で働いている労働者は労働災害補償保険法と、やはり補償という字を使っております。それから国家公務員、地方公務員についての災害補償法、やはり補償です。警察のだけは協力ですよ。きわめて官僚的、権力的な昔の警察の気持ちというのがこの字句にあらわれているのじゃないか。ですから、長官、この段階でやはり補償という、いま原子爆弾の問題で国家補償法という要求があっておりますけれども、やはりこの場合には、給付という形じゃなくて補償という名に足並みをそろえていくことがどうもかっこうがいいんじゃないか、実態が同じなのならばそういうふうにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#193
○金澤政府委員 消防の方で補償という言葉を使った法律でございますが、これは消防団であるとか要するに非常勤の職員であるとか、そういった消防の職員の公務災害を補償する法律でございまして、その中でこの法律の立て方から行きまして、全然関係ない民間人がけがされたり死亡されたりした、そういう事態の補償といいますか給付を行う、こういうことでこの名前の法律の中に「警察官の職務に協力援助した」という警察関係の法律と同じ種類のものが入っておる。今回は、その同じ種類のもののところが改正をされるということでございまして、したがって、この名前からだけで行きますと、特に警察と消防が違った扱いをするということではございません。
 それとあと労災が補償でありますし、そういった関係がありますが、これは先ほども公務員の関係申し上げましたように、労災であれば民間の企業とその従業員との雇用関係というような、全然無関係な民間人ということではなしに、何らかの雇用関係であるとか国と職員との関係であるとかそういった関係がありました場合には、従来も補償という言葉を使ってきておる。警察の場合には、全然関係ございません一般の民間人でございますので、それで給付という言葉を使った、こういうことでございます。特に差別するという気持ちはございません。
#194
○細谷委員 私も他意ないわけですよ。やはり協力したんだから、そして殉難者なんだから。それはやはり、補償という言葉で足並みをそろえるべきだと思うのです。
 ところで、この問題はその程度にいたしまして、この法律をわざわざおつくりになったのは、先ほど来質問がありまして横並び、穴をふさいだ、それだけですか、お答えいただきたい。
#195
○金澤政府委員 横並び、穴をふさいだというのは結果論でございまして、法律改正の目的は、遅まきながらではございますけれども、こういった年金を受けております方の資金需要にこたえる道をこれで開こう、こういうつもりでございます。
#196
○細谷委員 資金需要といっても百六十万円か何か貸してくれる、年金の証書を担保にして百六十万円貸してくれる、それは結婚とか入学とか葬式とかなんという字句は書いてありませんで、「等」の中で対応するのでしょうけれども。
 じゃ、お聞きいたしますけれども、この法律によって大体一年間にそれぞれ何名ぐらい――この調査室の資料には書いてあるのですよ、同名ぐらい適用になると思うのですか。百六十万円、これ最高でしょう、お答えいただきたい。
#197
○金澤政府委員 見込みといたしましては、約二件程度というふうに考えております。
#198
○石見政府委員 この制度をお認めいただきまして、今後どの程度の方が担保に入れられますか、これは推計の域を出ないわけではございますが、私どもといたしましても、やはり年間数件ではないだろうかというふうに推計いたしております。
#199
○細谷委員 この調査室の資料によりますと、利用見込み率というのは二・七%だ。ほかの国家公務員の公務災害補償、それを見て、そして五十六年十二月現在における基礎、こういうものをもって大体警察の場合は二・五人ぐらいだろう、それから消防の場合は三・三人ぐらいだろう、大体お答えのとおり二、三人、こういうことなんですよ。ですから横並び、穴があったからアリが入っても困るというわけで、ちょっとふさいだ、それだけじゃないんですか。
 それはもちろん、そういうものについて落ち度があってはならないのでありますから、慎重に慎重を期して一点のきずもないように対応したんだ、単なる横並びじゃありません、その背後にある精神を酌んでくれ、こういうことだろうと思うのですが、そういうことならば私の話の最初のものは御理解いただけるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#200
○金澤政府委員 今回提案をいたしております趣旨は、いまお話しのとおりでございます。
#201
○細谷委員 先ほど来いろいろ話がございましたけれども、例をわかりやすく言うと、消防の場合、私はかつてこの委員会でも取り上げたことがあるんです。災害に遭った場合には、こういう年金ばかりではなしに賞じゅつ金というのがあるのですよ。そういうものの支給の条件はどういうことかといいますと、消防署を出て、消防のサイレンを鳴らしながらスタートして、そうして途中で交通のために十字路を曲がろうとしてスリップして、消防副団長が死んだという例があるのですよ。ところが、その人はどういうことかというと、消防ポンプが走っていくときであって、消防の火災現場に到達しておりませんから、これは対象にならないといってカット、切られちゃったんだ。そういう例がありますから、いまそういう問題はどうなっているか。これは賞じゅつ金の問題でありますから、同じ認定の物差しだと思うのですよ。いまは何か消防庁の方では、そういう基本的な問題よりも実態で対応しようということで考えてやっているらしいのですが、その辺ひとつお答えいただきたいということが一つ。
 もう一つ、今度はこの問題に直接関連して御質問するわけです。ちょうど火災があった。ところが火事場泥棒が起こった。そこで警察官がおるけれども、火事場泥棒だものですからあんたひとつ加勢してくれ、こういうことで加勢した。ところがその人が刃物で刺された、そして悪くて死んだ、こういう場合には警察官が要請したのですから、間違いなく私は警察関係の協力者になると思うのですよ。しかし、火事の現場です。消防の方がそれを取り上げるのか、警察が取り上げるのか。消防の方が取り上げますと市町村の財政負担になる。警察の方が取り上げますと府県の財政負担になる。法律上は競合するわけですね。競合した場合に一体どうなるのか、認定上の問題がありますが、その辺もひとつきちんとお答えいただきたいと思う。あわせて、賞じゅつ金の問題についてありますからそれもお答えいただきたい、こう思うのです。
#202
○石見政府委員 火災現場に出動中の消防車から転落、死亡あるいは負傷されたというような場合には、もとよりこれは公務災害補償としてその取り扱いをいたしておるわけであります。
 賞じゅつ金につきましては、御案内のとおり消防の表彰規程によりまして、災害に際しまして、一身の危険を顧みることなく職務を遂行して傷害を受け、あるいはそのため死亡されたような消防吏員あるいは消防団員が、その功労によりまして特別功労章あるいは顕功章、功績章を授与されましたときには、その方に対しまして賞じゅつ金を授与するという仕組みをとっておりまして、お示しのございましたお話は、前段の公務災害補償として認定さるべき問題であろうというふうに理解をいたします。
#203
○金澤政府委員 火事場泥棒の問題でございますが、現場の警察官がその泥棒をつかまえてくれということで要請をいたしたという前提で考えますと、これは警察官の職務に協力援助したということで警察の方で処理をいたす、こういうことでございます。
#204
○細谷委員 火事の応援に行って消防作業に協力したという場合に、刀で刺されて死ぬことはないと思うのですよ。火に巻かれて、煙に巻かれて死んじゃう、これは焼け死にだわね。警察の場合は、何かぶん殴られてとかあるいは刀で刺されて死ぬ。そうすると、ちょっと混雑しております消防の現場ですから区別がわからぬといった場合に、県費でやるのか市町村の費用でやるのか、これは争いが起こるかもしれませんね、法条競合で。その場合には、聞くところによると、財政規模の大きな方が大体持っているということでありますが、これは大体運用の問題で片づいている、こういうことじゃなくて、やはりきちっとしておかなければならぬのじゃないか、こう思いますので、消防庁長官、どう。
 たとえば、水防のときに例をとります。Aの自治体とBの自治体があった、それでAの自治体に火災が起こっておった、そしてBのところの人が、おいちょっと加勢してくれぬかということで消防の方から要請があった、それで、川が浅いと思って飛び込んでみたら、その火災の現場に到達しないうちにその人が水におぼれて死んだといった場合、どうなりますか、たとえの例でありますけれども。
#205
○石見政府委員 たとえの例で申されたわけでございまして、個々具体のケースによって判断する以外には手がないと存じますけれども、私どもといたしましてはあくまでたてまえといたしまして、消防の業務あるいは救急の業務に協力援助をお願いをして難に遭われたという場合には、消防すなわち市町村がその補償を行うべきものであろうと思っておりますし、個々具体のケースによって、消防になりますのか、あるいは前段の火事場泥棒の場合に、これは警察官の業務に協力援助したものでありますのか、具体のケースによって判断する以外に手がないだろうと思っております。
#206
○細谷委員 まあ、この種のものは、やはり厳密にということが必要でありましょうから、認定は厳密にということは必要でありましょうけれども、やはり積極的にそれに飛び込んで難に遭ったということでありますから、警察の場合あるいは消防の場合、いずれの場合でも可能な限りこれを認定してやる、こういうことが必要だろうと私は思いますので、そういうことで運用をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 先ほども質問がございましたけれども、基金の問題でまだ一〇%ばかり入っておらぬ、こういうお答えがございました。これによりますと、先ほどのお答えでは三百四十二市町村が入っておらぬ。三百四十二市町村の内訳を消防庁長官言っておりましたが、どうもお聞きしたところでは、全国のべつ幕なしの平均じゃなくて、どこかの県で集中的にこの基金に未加盟が起こっておる、そういうふうに私は聞いたのですが、そのとおりでしょう。
#207
○石見政府委員 三百四十二の市町村はおおむね五県程度に集中いたしております。
#208
○細谷委員 そうしますと、五県程度ということになると、平均しても六十か七十入っておらぬ。これは何か理由がありますか。一つの県でかたまって――さっき言いました、私どもの住んでおる西日本の方ではほとんどないようですけれども、どうも、消防庁の近いところのこの周辺で、PRが足らぬのかどういうことか知りませんけれども、集中的に入っておらぬ。これは一体どういうことですか。あなた、一生懸命PRしようと、こういうことでありますけれども、何かそこでは、もうこんりんざい火災というのはないんだ、余りないんだ、年金者はおらぬのだ、こういうことなんですか、いかがですか。あるいは、もう火災があっても絶対けがせぬで完全に消しとめるのだ、こういう自信がおありかどうか。
#209
○石見政府委員 お答え申し上げます。
 数県に集中をいたしておるわけでございますが、この県で災害がないあるいは負傷者が出ないというようなものではございません。ただ、これらの県の中の市町村が共済制度に加入をいたしておりませんのは、これはいろいろ理由があろうかと存じますが、私どもがいろいろと地方団体を通じて伺っております限りにおきましては、すでに三十年当時に発足をいたしました各県単位のこのような共済制度があって、現時点において基金に加入しなくても、各県単位の共済制度の内部留保金がかなり積まれておりまして、実際の運用には支障がないわけでありますので、国単位での基金にはあえて入らないというような理由もありましょうし、あるいはまた、災害が大変少なくて、いわば人口の割りには負傷者が少ないという意味で、いわば掛金と補償とのお互いのメリットが合わないということが理由であるというふうな事情も承っております。理由は一つではないようでありますが、まあ長い経緯の中で、いま申しましたようないろいろな事情が重なりまして基金には契約を結んでいないということのようでございます。
#210
○細谷委員 まあ基金に入っておらぬでも、協力者は権利の保護がされておるわけですから問題ないけれども、市町村の場合は、二分の一負担が起こるということもあるでしょう。
 実は、私もこのことについて、三十二年ごろ、私の住んでいるところ、福岡県でありますけれども、福岡県にはそういう危険制度が県単位であった。それで、私が自治体の市長をやっておるときでありましたから、消防署の方から、これはもう出しっ放しでありますよ、毎年毎年出っつ放しで、そしてそのときは、決まって毎年毎年多額の県の基金を持っていく市町村があったから、これはもう放蕩息子で困っております、やめようかと思っておりますと消防署長が言った。そして、頭を痛めておったときに、その翌年、三十三年かにこの基金法ができたのですよ。ですから私は忘れないんです。
 そういうことからいって、これはやはりPRをして、任意で参加してもらうようにということでありますけれども、どこかの県、とにかくある県では六十とか七十とか、圧倒的な部分が入ってないということは、こういう法律をすらもつくるときになりますと、その前提である基金法についても、ある程度はやはり加入を義務化しておくことが必要ではないか、こう私は痛感をいたします。これがやはり、全国的規模におけるそういう制度を支えていく根幹になるわけですから。その辺、いかがですか。
#211
○石見政府委員 私どもといたしましては、消防団員あるいは協力をいただいた方の補償が何にも増して円滑に行われるということが大前提でなければならないわけでございます。ただいま申し上げましたように、この基金に加入しておらない市町村におきましても、支障なくそのような補償業務が遂行されておるという実態であります。そこで、当該市町村といたしましては、あえて基金に入らなくても自分らでやっていけるというお気持ちが強いだろうと思うわけであります。しかし、私どもは、ただいま先生御指摘にございましたように、共済制度というのはお互いの制度でありますから、できるだけ広く入っていただくというのが、その運用から見ましても、あるいは一朝事ありましたときの災害補償につきましても、市町村財政が急に大きな負担を負うことを避けるという意味におきましても、私ども非常にいいと思っております。そういう意味で、いまのところ私どもも、あるいはまた基金を通じましてその加入方の努力をいたしておるわけでございますけれども、現実には三百四十二の市町村が残っておるという状況であります。
 これを、法律を改正いたしまして一気にそれを義務づけてしまうというような方法も、私は一つの方法だろうと思っておりますが、基本的には市町村の仕事でございますので、やはり関係市町村の御理解、納得を得た制度改正をやってまいりたいというふうに考えておりまして、もう少し推移を見て研究させていただきたいと思うわけでございます。
#212
○細谷委員 一年に二人か三人という言葉は適切じゃありませんけれども、そのために穴をふさいでいく、横並びで公平を貫いていこう、そして安心して協力できるような一助にしたい、そういうことを願ってこの法律をつくっていく以上は、この法律の前提になっておる基金法についてやはりそういう点をきちんとすることが必要ではないか。PRを盛んにしているということでありますけれども、ある程度義務的な方向に持っていくことがこの制度を、いまこういう法律を議論している前提でなければならないと私は思いますので、御検討をいただきたいと思います。
 大変細かいことで恐縮でありますけれども、私の不勉強かどうか知りませんけれども、この資料によりますと災害給付件数と年金受給者の数の間にはかなり大きな差があるわけですよ。この差によって、年金についてはわずかでありますけれども、こういう制度ができるわけでございますけれども、そうでない人との不公平が少し拡大するということになるのではないかと思うのですが、それは心配ありませんか。――私の質問の意味がわかりませんか。年金をもらっている人は、これを担保にして百六十万円の金を借りることができる。ところが、これは遺族でもいいのですが、年金をもらっていない、一時金や何かでやっている人との間に格差が広がるのではないか、その辺は問題ないのかどうかということを聞いているわけです。
#213
○金澤政府委員 年金をもらっておる人は今回小口金融の道が開かれているわけでありますが、一時金で済んでおります人はもうその時点で一応給付なり補償なりということが終わっておりますので、同一に比較はちょっとむずかしいのではなかろうかと思いますけれども……。
#214
○細谷委員 この資料を見ますと、たとえば警察の場合に、災害給付の人とその年金をもらっているこの対象になる人、大体において五〇%くらいしか年金をもらってないようですね、あとの五〇%というのは対象外。災害給付をもらっている人の半分はこの法律の対象外。消防の場合ですと、損害の補償をしていただいておる人と消防の作業者としてこの対象になる人というのは、この資料によりますと四分の一くらいのようであります。その残りの、警察の場合は二分の一、消防の場合の四分の三というものとの間に不公平が拡大したというそしりを受けないかどうか、こういうことを聞いておるわけです。
#215
○石見政府委員 消防関係で申し上げますれば、昭和五十五年を例にとりますと、補償を受けました人員が四百八十四名、それから今回の担保になります年金を受けた方が百二十四名ということであります。その差の御指摘であろうと存じております。
 この点につきましては、今回担保に供し得ますのは年金、いわば年金を担保に供して一定の金額を借り入れ、それをずっと後年度以降支払っていかれるわけでありますから、年金が償還財源に当たるわけでございます。したがって、年金を受けておられる方でなければこの制度を対象にしても意味がないわけでありまして、一時金は、いわばその時期一遍もらってもらいきりでありますから、担保にも何にもならないわけであります。今回は年金の対象になる方の、その年金を担保にして一定の金額を借り入れるという制度でございます。したがいまして、消防の場合でございますと四百八十四と百二十四との差が出てきておるということかと存じます。
#216
○細谷委員 私がお聞きしているのは、年金という証拠があるからいいけれども、一時金とかなんとかでやった者には考えないんだ、際限がないんだということかもしれませんけれども、こういう措置を講ずることになりますと、年金受給者については、わずかでありますけれども大変結構な法律措置だということになりますが、そうでない人は何ら恩典がない、いままでどおりということで問題がないのかということであります。まあ、小さな問題ですからこれ以上聞きません。
 そこで、時間も余りありません、早くやめるということを言っておったわけですから、もう二点ばかりお聞きしておきたいわけです。
 一つは、さっき給付と補償の問題を提起したわけですけれども、ここでも一つ私は問題点があると思うのですよ。申し上げますと、地方公務員の災害補償法に基づく場合には、各支部で審査会を開いて決定をいたします。これは五十三条によってやっているわけであります。その場合に審査会は、弁護士とか医師とか行政経験者あるいは大学の教授、こういういわゆる第三者の学識経験者で基金の審査会は構成されております。ですから、そういう意味においては大変民主的な構造になっておる、こう言えます。それから、消防団等の場合は、共済基金法に基づく審査会の構成も学識経験者で第三者が審査することになっております。
 申し上げるまでもなく労働災害の場合は地方で審査をする、不服があった場合には中央の審査を求めていく、こういう形でそれぞれ地方と中央に審査会というものがございます。こういう状況の中で警察関係が一つ、警察協力援助法に基づく審査組織は、警察の内部組織で対応して第三者機関というのは全然影も形もございません。こうなりますと、協力を求めた方の警察が一方的に、いやおまえはだめだ、おまえはいい、こういう形になるのであって、民主的な性格というものが、労災法の問題なり地方公務員災害補償法なりあるいは消防団と比べますとかなり劣っておる。これは問題だと私は思うのです。そういう意味において、とりわけ警察協力援助法に基づく審査についての審査組織は第三者によって構成されるのがよろしいのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
#217
○金澤政府委員 不服のある場合の審査の問題でございますが、この警察官の協力援助の場合につきましては、実施機関の長が警察本部長というのが大部分でございます。異議のある場合には、警察の場合には警察本部長に外部の方から異議申し立てがありまして、そこで警察本部長が判断をするということになっております。行政不服審査法の対象になっておりますが、一応警察本部長が異議の申し立てについて判断をする、それで異議がある場合には訴訟を提起する、こういう仕組みになって運用しておるわけでございます。
#218
○細谷委員 そういう仕組みになっておるわけですけれども、一般の人は警察というのはおっかないですよ。そうしますと、言いたいことも言えない。警察本部長とはなかなか会えないということになってまいりますから、警察本部長が決定するという形ではなくて第三者機関にさせる。消防はおたくよりももっと民主的です。消防よりももっと民主的なのが、たとえば公務員共済あるいは労災法ですよ。そういうシステムをとるべきではないか、こう私は思うのです。いかがですか、もう一度。
#219
○金澤政府委員 お答えをいたします。
 事柄の性質上、まず警察の態度でございますが、警察官の仕事に協力援助してくれた方に対する措置でございますので、まず警察が実態を把握して適切に処理を行うということ、そういった立場から判断いたしますとこの辺は当然期待できると思います。
 それからあと、第三者機関に異議の審査をやらせたらというようなお話でございますが、これは都道府県警察という組織が現在の警察法のたてまえからまいりますとどうしても警察本部長が裁定をする、こういう仕組みになっておりますので、その仕組みで現在やっておる。これを改正したらという御意見は御意見としてよくわかるわけでございますが、現在のところこの裁定に当たって異議の申し立てがあったとか判定に誤りがあった、こういうケースは承知していないわけでございます。
#220
○細谷委員 そういう例は承知してない、承知してない背景にはおつかない警察には物を申さぬという空気があると私は思うのですよ。そうだとするならば、警察本部長が主体的には考えるでしょうけれども、それに対して異議がある場合には第三者機関、そういう審議会でも審議をしていただくぐらいの救済措置を心温かく、自分の職務以外のことで犠牲になったわけですからやってやることが大切ではないか、こう私は思うのです。
 後で時間があったらと思いますけれども、給付の問題が出ましたから犯罪被害者給付制度。私はこれを、犯罪被害者補償制度と補償ということを言えとは言いません。しかし、犯罪被害者給付制度というのがございます。こういう問題も含めて、やはり何らかの審査に対する審査会というのを法定しておくことがよろしいのではないか、こう思いますが、もう一度。
#221
○金澤政府委員 重ねてお答えを申し上げますが、仕事の事柄の性格上、警察としては最大に配慮いたしまして、この事柄の裁定といいますか認定に当たるということでやっておりますし、この犯罪被害給付の方の場合とも同じように、そういった警察の組織を挙げて実態を調査し、実態が一番わかっておるのは警察でございますので、これは援助を受けた立場でもありますし、また調査する立場でもありますので、そういった最大的な機能を発揮いたしまして調査をし、その実態を踏まえて適正に判断していきたい。第三者機関ということも考えられるわけでありますが、一番よくわかっておるのは警察であって、そのわかっておる警察が感謝の気持ちを持って事に当たっておるということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
#222
○細谷委員 私が、この法律を見てとにかく大変驚いたのは、システムとしては警察の関係の方はきわめて簡単ですよ。協力援助法、そして施行令、そしてこの法律にさっと乗っかってくるわけだ。消防の方は、これは調査室が一生懸命書きましたけれども、大変だったと思うのですよ、これだけのものを書くのは。複雑怪奇という言葉は使いませんが、複雑で全くわからぬ。しかも、その間に介在するもので危険法なんという任意のものまで入っている、こういうことで全くわからない。
 そして、先ほど来話がありましたようにこの二十四条ですか、去年やっておいて、去年ただし書きのところをちょいといじっておいてまたいじるなんということも不見識じゃないかと言ったら、消防庁長官は、そのときの情勢を踏まえて今度二十四条に手をつけるのです、一段一段石段を上がっていったんです、こう言っておりますから文句の言いようがないけれども、もうちょいとやりようがあったんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
#223
○石見政府委員 消防業務に協力をいただいた方の災害補償につきましては、消防職員あるいは消防団員との均衡あるいはいわゆる横並び等も考慮いたしますと同時に、一つは警察その他の業務に協力された方とのバランスということもあるわけであります。と同時に、一方私どもその後の実施の状況等見まして、この制度自身が担保によって小口の融資を認めていこうという制度でございますので、そのこと自体協力援助を賜った方にも当然必要なことであるということを判断いたしまして、今回お願いをいたしておるような状況でございます。
#224
○細谷委員 いまの消防関係のこの法律に乗っかるまでの道程が複雑をきわめておる。一遍や二遍の説明ではちょっと頭に入らぬ。こういう複雑なのは、そもそも消防関係法規の整理が行き届いておらぬ、こういうところから来ているのではないか、こう思うからちょっと申し上げたいのです。
 消防法と消防組織法、これが消防関係の基本ですね。それを受けて政令、省令、特別法があるわけでありますが、雑然としているのですよ。こちらの方に玉があったかと思うと、こちらの方に石がある。玉石混淆、そういう体系をいまの消防法、消防組織法はなしているのではないかと私は思うのです。たとえば消防法というのは昭和二十三年で、消防組織法というのは昭和二十二年の法律でございます。これを受けて施行令なり、施行規則が出ておりますけれども、重要な問題は、危険物の規制に関する政令、規則というのは十一年おくれた三十四年に出ているわけですよ。そうしますと、消防法に基づいて危険物が消防の重要な対象の一つであることは明らかでありますけれども、それに対する政令と規則というのが十一年もおくれて出たというのは、どうもつけ焼き刃、そのときそのとき主義を物語っておるのではないか。
 そして、消防法ができましたけれども、消防施設強化促進法というのができたのは五年後の二十八年です。いま問題になっておるこの公務災害補償等共済基金は三十一年ということです。それから、消防のいろいろな問題を決める消防審議会というのが三十四年、消防力の基準が三十六年。言ってみますと、消防の基本法である消防法、消防組織法が二十三年、二十二年にできてから、これを補強していく、実際に運用していくための政令、規則が十年とか十二年もおくれてできておる。こういうところに問題がある。ですから、あるものによりますと、今度のホテル・ニュージャパンの火災も、火災報知機だとかなんとかというのが十何年前の技術であるから、ホテル・ニュージャパンも悪いけれども、これが根源であるけれども、同時に、そういう技術を導入していない消防庁自体の責任も免れない、こういう厳しい指摘をしておるのもございます。
 たとえば、消防機器についての検定関係の法令というのはいつできたかというのを消防法の中で見てみますと、二十一条というところがあって、二十一条と二十二条の間に新しい章を設けて「第四章の二」と書いて、二十一条の二から十六まで、消防検定協会については十七から四十九まで詰め、とにかく一つの法律ぐらいのものがこぶをつけるように間にぽつんと入った。こういうような法律の現在の姿というのが、消防法規というのが組織的ではなくて玉石混淆、そして現代に対応できないような体制になっているのではないか、こう私は思います。これは本格的な議論をしなければならぬのですけれども、時間が来ましたから、消防庁長官の決意のほどを伺っておきたいと思います。
#225
○石見政府委員 消防法令につきましては、ただいま御指摘にございましたように大変多岐に分かれておることは事実でございます。消防法令の基本をなしておりますものは、お示しにございました消防法と消防組織法でございまして、消防法におきましては、消防法第一条の規定にあります目的を達成いたしますために、火災の予防、警戒、消火活動、火災調査あるいは救急業務、いわば消防の業務、活動を中心にいたしまして、あわせて予防行政の一環としての検定等の規定を設けておるわけであります。
 一方、組織におきましては、自治省、消防庁、府県あるいは市町村の消防組織について規定を設けまして、この二本の法律によって、基本的には業務と組織が成り立っておるわけでございます。
 御指摘にございました消防法自身、数次にわたりまして改正をいたしてきております。これは、いまさら申し上げるまでもないわけでございますが、戦後、国民生活が非常に多様化してまいってきております。あるいはまた、最近の社会情勢の変化に対応いたしますために、消防法規の改正、とりわけ予防行政にかかわります部分についての、逐年の制度の改正あるいは基準の強化等を図ってまいってきておりまして、いま申されましたような形に相なっておるわけでございます。
 もとより、法律につきましては、わかりやすい法律というのが理想だろうと私は存じております。しかし消防法規は、いま申しましたような経緯を経て積み重なってきております。あるいは、なかなか御理解いただきにくい法律になっておることも事実でございます。今後、私ども、消防法規の改正に際しましては、ただいま御指摘にございましたような点も十分踏まえまして、整理をした法律に整えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#226
○中山委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#227
○中山委員長 速記を再開してください。
 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#228
○中山委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#229
○中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#231
○中山委員長 次回は、明後二十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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