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#1
第096回国会 本会議 第4号
昭和五十七年一月二十八日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十七年一月二十八日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の
   続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
 議員請暇の件
    午後二時二分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(福田一君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#4
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表し、さきの総理の施政方針を初め政府演説に対し、質問をいたします。
 最初に、鈴木内閣の政治姿勢について言及しておきたいと考えます。
 総理は、就任後初の所信表明演説において、「政治の浄化と厳正な官庁綱紀の確保」を冒頭に掲げられました。しかし、その言葉と行動の間にはきわめて大きな隔たりのあることを指摘せざるを得ません。
 一連のロッキード裁判における判決がいよいよ出されてまいりましたが、総理は、これらの一審判決を踏まえて「政治の浄化」にどう対処されようとするのか。また、政治倫理委員会の設置について総理はしばしば発言されておりますが、今国会において、自民党総裁として積極的にその設置を推進されるべきだと思いますが、あわせてその御決意を承りたいのであります。(拍手)
 同じく政治姿勢にかかわる問題でありますが、あなたは今国会において参議院全国区拘束名簿式比例代表制の実現に執念を燃やしておられるようであります。しかし、この拘束名簿式比例代表制は、単に大政党に有利となるばかりではなく、憲法違反の疑いがきわめて強いという点に最大の問題を含んでおります。したがって、私どもは断じて反対であります。
 巷間うわさされていますように、自社両党のみでも強行成立を図ろうとすることが事実であるならば、われわれも相応の対抗措置をとらざるを得ません。しかと御記憶いただきたい。(拍手)
 次に、一層激化が予想される対外経済摩擦に関し、総理の基本姿勢と具体的方策について伺うものであります。
 すでに経済大国になったわが国は、今後も無資源加工貿易国として技術立国によって生きていかなければなりません。したがって、日本の存立にとって世界の平和は必須条件であり、国際社会の共存共栄に積極的に働きかけ、貢献せねばならないと考えるものであります。世界経済の繁栄のため、貿易の自由化、拡大を図る意味から、世界各国の再活性化を求めることは当然の前提としても、各国との協調を失するならば、日本は世界の孤児となり、それはまさに日本沈没に通ずるものであります。
 このように重要なところに来たわが国の国際的地位を深刻に理解してこそ、今後の日本の新しい繁栄が世界の繁栄と結びつくと考えるべきであり、それが新しい時代であると私は考えるのでありますが、総理はこれらの基本的な問題についてどのように考えておられるのか、御所見を伺っておきたいと思います。
 さらに、対外経済摩擦を単に景気循環的な要因によるものととらえるのではなく、わが国の産業と経済の構造的要因によるものとしてとらえるべきであり、したがって、経済摩擦の解消を商品別に当面の対応を積み重ねていくだけでは、摩擦の連鎖反応的な拡大を招くのみではないかと危惧するものであります。
 そこで、当面の対策を講ずることは当然として、中長期的視点に立って対応しなければならないと考えるものであります。そうした観点から、次の課題について総理の御所見を具体的にお答えをいただきたいのであります。
 その第一に、わが国の輸出偏重型となっている産業構造を見直し、わが国市場の開放、諸外国との産業協力の推進、国際機関における積極的産業調整などのルールづくりにどう対応していかれるのか。
 その第二に、五十六年度経済白書でみずから指摘された自由貿易体制維持のためのリーダーシップ、製品輸入の促進、幅広い経済関係の形成、相互理解の促進、市場動向に配慮した節度ある輸出などの課題にどう対処されるのか。
 第三に、政府開発援助額の引き上げ、無償援助の拡大、援助条件の緩和など、質と量の面から経済協力の拡大にどう対処しておられるのか。一方、政府開発援助の柱である円借款の未使用残高が約一兆八千億円にも達していることの原因と今後の援助政策のあり方。
 第四に、日本人は「ウサギ小屋に住む働き中毒」との海外諸国の批判はまことに失礼なものでありますが、翻って、彼らの批判を真正面から受けとめ、おくれている住宅並びに下水道、公園等、件宅環境整備のための社会資本の充実、週休二日制と労働時間の短縮など、労働条件の改善に向けてわが国は積極的に取り組まねばならないと思いますが、具体的にどう取り組まれるのか。
 第五に、現在懸案となっている輸入手続の簡素化など、いわゆる非関税障壁問題の解決についてどのような手順で具体化されていくのか、伺うものであります。
 ここで私は、経済摩擦解消の代償策として防衛力増強の道をとることについて、断固反対することを明確にするものであります。(拍手)
 亡くなった大平総理が残された政策研究会報告書、対外経済政策の基本において、「われわれは、GNPに対する軍事支出の比率を現在以上高めるよりは、援助増大・技術協力・市場開放・その他平和的手段で貢献出来る分野に、日本は格段の努力をそそぐべきだと考える。」とうたっておりますが、これらのことを内閣の方針として内外に表明することが日本の平和宣言の一つであると私は考えます。故大平総理の遺志を継がれた鈴木総理の見解を承りたいと思います。(拍手)
 昨年の通常国会で、私はこの壇上で、政府が期待する内需主導による五十六年度経済運営は、それを実現するための多角的政策の用意が不足していることから、恐らくはかけ声倒れとなり、外需主導経済になることが予測されると指摘をいたしました。総理に、その対策整備を要求いたしました。果たせるかな、昨年の輸出は年間合計で千五百二十億九千八百万ドルと史上最高を記録し、その政府の見通しの甘さは、外には貿易摩擦の激化と世界の不信感を増大させ、内には景気を低迷させ、財政収支は大幅に悪化して、財政再建をつまずかせる結果となったのであります。総理の政治責任はまことに重大であり、ここに厳しくその責任を問うものでありますが、総理はいかような気持ちでおられるか、率直に伺うものであります。(拍手)
 五十七年度経済における内需の拡大は、貿易摩擦を緩和するためにも、また、景気回復を通じ、国民生活を守りながら財政収入を確保するためにも、何としても実現しなければなりません。内需の低迷が五十七年度も続くようであれば貿易摩擦が一層激化することは必至であります。そればかりではなく、再び財政を窮迫させ、昨年一年間で一万七千件と史上三番目を記録した中小企業の倒産は、さらに激増さえ予測されるのであります。
 政府は、五十七年度の経済見通しで実質成長率を五・二%とし、その約八割を内需によって実現するとしております。もちろん私もその実現を期待するものでありますが、しかし実現には強い懸念を示さずにはおられないのであります。
 五十七年度の内需拡大の柱に住宅建設を据え、その経済波及効果に期待するとしておりますが、現状では大変厳しいと言わなければなりません。
 五十六年度住宅着工戸数は百十万戸という空前の低迷状態にあります。このような住宅不況の原因は、地価高騰を主因とした住宅価格の異常な高騰、サラリーマンの所得の伸び悩みによる住宅取得能力の低下にあることは周知のところであります。
 ある銀行の調査では、昨年の首都圏における平均的二月建て住宅の平均価格は、前年比二三・一%高の三千四百十六万円、マンションも前年比九・二%高の二千六百八十一万円にもなっており、それぞれがサラリーマンの平均年収四百四十四万一千円の七・七倍と六倍であります。この現状は、一戸建て住宅取得の一つの目安とされていた年収の五・五倍を大きく超えるものであります。サラリーマンにとっては、欲しくても手が出ないのが実情であります。
 総理、このような深刻な事態に対し、政府の施策は、土地税制の緩和や住宅金融公庫の融資額のわずかな改善で対処されようとするのでありますが、この程度の小細工だけではとても促進はできません。
 そこで、私は、次の三点について政府の決意を促し、総理の答弁を求めるものであります。
 第一に、地価を抑制するために国土利用計画法に基づく規制区域の指定が積極的に行えるよう、法改正も含め再度検討すべきであります。
 第二に、宅地供給策の一環として、わが党が主張してきた三大都市圏の市街化区域内農地への選択的宅地並み課税制度を導入しようとしておられるわけでありますが、営農期間など内容はきわめて緩やかなもので、これでは宅地供給の効果を期待できないと思うのであります。
 第三に、建てかえの促進策であります。居住水準の質的向上と都市防災の視点から、木賃アパートを耐火構造のセミパブリック住宅へ積極的に建てかえることを促進すべきであると考えます。これには、政府が発足させる木賃住宅整備事業、既設の住宅金融公庫による土地担保賃貸住宅制度、日本住宅公団による民営賃貸用特定分譲住宅制度を改善し、家賃に一定の適正規制制度を設けることになります。特にこのセミパブリック住宅構想は、新規の宅地需要を全く刺激しないことから地価抑制の効果もあり、大都市地域においては時宜にかなったものであると私は考えますが、総理はどう考えるか、お答えをいただきたいのであります。
 次に、公共事業の投資効果を徹底して追求することであります。そのためには、用地購入費用等の要しない事業に予算を優先的に配分することで、たとえば、政府が昭和五十七年度予算案において老朽危険校舎の改築予算を大幅に削減したことは、考えが全く逆であります。老朽化した校舎や福祉施設の建てかえ、あるいは危険河川、地方道路の改修工事、下水道工事等を優先して施行することであります。また、上期の契約率を七五%程度にまで引き上げるとともに、中小企業に対する発注量を拡大して、地域経済の回復に配慮すべきであります。
 さらに、工事入札における談合問題は、公共事業発注にかかわる長年にわたる綱紀の構造的乱れを象徴するもので、政界、官界、業界の癒着によって国民の血税を食い物にするゆゆしき問題であります。したがって、その是正と入札の厳正化のために、政府のとるべき措置を国民の前に明らかにすべきであります。
 以上の諸点について、総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 また、物価安定について、とりわけ公共料金の値上げが国民の生計に及ぼす影響を重視し、厳しく抑制することを要求いたします。さらに、内需拡大の上から、適切な金融政策の運用がきわめて重要でありますが、景気対策としての金融に対する考え方あるいはマネーサプライの目標値をあわせてお示しをいただきたいのであります。
 次に、内需の動向を大きく支配している個人消費の問題について伺います。
 内需拡大による景気回復と行財政改革による財政再建を同時に遂行するためには、個人消費の喚起と財政負担の公平化が基本的な要件であります。いまやサラリーマンに対する大幅な実質増税は、所得捕捉率の格差問題と絡んで税負担の不公平を拡大し、他の所得者との間に相互不信さえ生じております。労働組合は、減税か大幅賃上げか、さらに同時獲得と運動を強めておりますが、当然の要求であると思います。
 総理、所得税減税の実施は、実質増税の緩和、内需の拡大、生活防衛、負担の不公平是正などの多面的理由から成る国民的要求であります。いまや減税実施いかんがわが国財政経済の明暗を決定づけるものであります。
 今後野党間で一兆円規模の減税を目指し調整が行われると思いますが、現在わが党は、少なくとも課税最低限の引き上げによって所得税五千億円、住民税千五百億円の減税を実施し、さらに五十八年度、五十九年度と連続して同規模の減税を実施すべきであると考えます。私は、総理にこの減税実施の英断を強く望むものでありますが、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理は、これまで減税ができない理由として財源難を強調されておりますが、不公平税制の是正は、行財政改革を推進する中でも最優先されるべき課題であります。それは負担を公平に分かち合う必要があるからであります。したがって、所得税減税の財源は、行政改革、財政再建の中にあっては行財政改革の徹底と不公平税制の是正に求めることが基本であります。五十七年度予算案にあって、増税分三千四百八十億円は、当然所得税減税に引き当てるべきであり、さらに、租税特別措置の改廃を初め不公平税制に対する取り組みを徹底させ、政府が計画していた退職給与引当金の縮小を強化すること等により、われわれが要求する減税財源の相当部分を生み出せるのであります。
 加えて、五十五年度決算報告に見られるような事業執行のむだ、非効率、不公平を徹底的に排除することや、各省庁の経費節減をさらに徹底することによって財源は確保できると私は考えます。(拍手)
 総理、問題は、これらを実施に移す決意があるかどうかであります。このままの状態が放置されるならば、負担の不公平がますます拡大するのみならず、財政再建を理由に社会保障など各種の所得制限が強化されることによって不公平が一層拡大されることになります。しかも、再び個人消費を低迷させることは必至であります。これらの点について総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 政府の一部には、所得税減税の財源として大型間接税の導入論が見られますが、これは大型消費税導入反対の国会決議に反するとともに、増税なき財政再建に反するばかりか、行財政改革の不徹底、物価上昇とデフレ効果等をもたらすものであります。この際、大型間接税の導入、大衆増税はしないとの総理の確約を求めるものであります。(拍手)
 さて、総理が政治生命をかけると公約された行政改革と財政再建の実行を占う五十七年度予算案を見るにつけ、私はその先行きに大きな不安と疑問を抱かずにはおられないのであります。その理由は、当面の緊急策という名のもとに、長期展望も全くない、金減らしのための機械的な支出削減が余りにも先行し過ぎているからであります。
 総理、あなたは、行財政改革の理念として活力ある福祉社会の実現を掲げながら、その具体像も実現へのプロセスも示さず、個人の自立自助、家庭と地域社会との連帯を基盤として活力ある福祉社会をつくり上げるものだと述べられますが、問題は、高齢化社会への急速な進行の中で、政府がいかに国民が自立していける条件を確立するかというところにあるはずであります。
 年金を例にとってみても、年金制度の分立と制度間格差がある上に、厚生年金の給付水準は、モデル年金の給付額は国際水準に達しているとはいえ、いまだに月額八万円以下の受給者が全体の三割を占めております。したがって、速やかに年金ミニマムを設定し、分立している制度間の格差是正のため、わが党が主張するような国民基本年金制度の創設を図るべきであります。
 また、老人保健制度の早期実現を図ることはもちろん、医療費の適正化と医療保険制度における地域保険、被用者保険別の計画的統合化を図るべきであります。
 さらに、高齢者の雇用延長、再雇用についての条件整備は急務であります。特に年金受給年齢と定年制の年齢的結合を合理的に整備すべきであります。これら、個人の自立自助と連帯にかかわる基本的条件について、総理はどのように考えておられるのか、御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 こうした展望も与えない上に、厚生年金を初め、各種年金の物価スライド時期の繰り下げや、高額療養費自己負担限度額を大幅に引き上げることは、活力ある福祉社会の実現の方向に背を向けるものであると申さねばなりませんが、総理の御所見を承りたい。(拍手)
 さて、行政改革の本番と言われる第二臨調基本答申は、本年の六月ないし七月に予定されておりますが、総理は、政府がみずからを削る中央省庁の統廃合を初めとした行政の簡素合理化に対し、いかなる方針で臨まれるのか。この際、総理の御決意を明らかにしていただきたいのであります。
 また、行政改革と表裏一体である財政再建について、五十九年度までに増税に頼らず赤字公債から脱却するという目標は、あくまで堅持されるのかどうか。この際、明確な答弁を求めるものであります。
 総理、五十六年度における赤字公債の追加発行はまことに遺憾であります。これは財政再建をその出発から崩壊させるものであり、しかも内需低迷に対する具体的対策も講じないまま、臨時国会で国民に説明することなく突発的に追加発行することに、国民の理解は得られるものではありません。総理は、公約違反でもあるこの責任をどう感じておられるのか、しかと明らかにしていただきたい。
 また、税収の動向からすれば、五十六年度内にさらに赤字公債が追加発行されるのではないかと懸念されますけれども、あわせて御答弁をいただきたいのであります。
 さて、総理は、施政方針演説で、特に安全保障問題を強調しておられますが、私は、安全保障問題は国民の生命と財産、国の存亡と民族の生存に深くかかわる問題であるたけに、何よりも国民的合意に支えられたものでなくてはならないと考えます。
 しかしながら、厳しい財政事情の中で防衛予算の伸び率を突出させたことは、いかに言いわけをしても、国民的合意を得られるものではなく、軍事力増強路線を強く国民に印象づけ、不安と政府に対する不信感を高めたのであります。
 五十七年度の防衛費は、他の事業予算がゼロシーリングで厳しく抑制された中で別枠扱いされ、概算要求よりも上回る伸び率七・七五%を認めたのであります。総理、これを突出と言い、聖域化と言わずして何でありましょう。(拍手)私は、少なくとも一般会計の伸び率を超える部分については、みずから削減されることを強く要求するものであります。御所見を伺いたい。(拍手)
 五十七年度防衛費は、総額二兆五千八百六十一億円に達し、GNP〇・九三%になります。しかも、その中身において、正面装備の大半はいわゆるツケ買いと言われる後年度負担とされ、この後年度負担額は、実に合計で一兆七千五百億円にも上るのであります。また、防衛庁は、五十八年度から六十二年度の五六中期業務見積もりを作成中と言われておりますが、そこでは「防衛計画の大綱」に定める防衛力水準を達成するためには、正面装備だけで約六兆円近い金額が必要とはじき出されております。それが事実であれば、五六中業期間中の防衛費は、五年間平均でGNP一・三%に達するとまで言われております。
 いずれにしても、後年度負担の増大、五六中業の実施等により、防衛費のGNP一%突破は、もはや時間の問題であるとさえ言います。このことは、昭和五十一年に国防会議、閣議等で決定されたGNP一%以内の政府方針を政府みずから放てきすることになり、鈴木内閣はいまやそのレールを敷こうとされていることになります。果たして、総理は、防費衛をGNP一%以内に抑える政府の方針を変更されるのかどうか。この点について明確に御答弁願いたいのであります。(拍手)
 私どもは、従来から、わが国が独立国として自衛権は当然持つものであり、平和憲法を尊重し、領域保全の専守防御に厳しく任務限定した自衛力を持つことは認められるとの立場をとってまいりました。
 昨年末のわが党の大会では、具体的構想として、領域保全能力の保持を明確にし、その装備構想まで明らかにし、いわゆる公明党の合憲と考える自衛隊構想を提示したのであります。また、費用面では、GNP一%以内に抑制することを明確にすると同時に、その大前提として、現憲法を将来ともに擁護し、いかなる憲法改悪にも反対する、日本の軍事大国化や、海外派兵には断固として反対する、非核三原則を厳守するという、反戦平和の理念に基づく考え方を明確にいたしております。
 この立場から、鈴木内閣の防衛力増強策に強い危惧を持たざるを得ません。それは、財政再建のために国民に耐乏を強いる中で、軍事力の増強予算を最優先していることは明白で、軍拡への危険な道へ踏み込もうとしており、アメリカの防衛力増強要請、さらにはソ連脅威論をそのまま受け入れる姿勢が見受けられるからであります。
 最近、総理は、防衛庁長官、官房長官に対し、海空強化、ハリネズミ防衛体制の確立等、九項目にわたる指示を与えたといわれますが、いま改めてこのような指示を与えた総理の真意はいずこにあるのか。軍事力増強のための予算との関連とあわせ、その意図を承りたいのであります。
 次に、平和政策の重要な柱ともいうべき核軍縮について伺いたいのであります。
 核兵器の全面撤廃と軍縮の推進は、人類の生存にかかわる重要な問題であります。しかしながら、従来にも増して核兵器を含めた軍拡競争が繰り広げられている現状は憂慮にたえません。わが国は、世界で唯一の核被爆国として核兵器の全面撤廃に主導的な役割りを果たすべきであります。特に本年六月には第二回目の国連軍縮総会が予定されており、この核軍縮の推進こそわが国外交の重要な柱とすべきであります。このことは、昨年末の党首会談において私が総理に強く要求したところでありますが、総理はどう認識されておられるのか、その基本的な考え方を承りたいのであります。
 私は、政府の軍縮問題への取り組み姿勢はきわめて不十分であったことを指摘せざるを得ません。特に国連総会における核兵器の不使用決議に一九六一年には賛成したにもかかわらず、七九年には棄権し、八〇年と昨年の総会では反対をしておるのであります。また、核兵器の配備禁止決議、中性子爆弾の禁止の決議に対しても反対をしているのであります。こうした国連でのわが国政府の態度は、核兵器に反対し、その廃絶を念願する国民の意思と要求に真っ向から反するものでありますが、なぜ反対したのか、その理由を明確にされたいのであります。(拍手)
 非核三原則を国是とし、核兵器の全面撤廃を標榜するわが国としては、これらの決議に積極的に賛成すべきでありますが、今後どのように対処されるのかもあわせて承りたいのであります。(拍手)
 総理、反核、軍縮の日本と国際社会の中で言われるぐらいの強い姿勢と熱意、具体的な軍縮政策の提案と行動こそが必要であります。政府は国連軍縮特別総会にいかなる態度で臨まれるのか、その方針と政策を具体的に示されたいのであります。(拍手)
 わが党は、かねてよりアジア・太平洋非核武装地帯の設置、核実験の全面禁止、核兵器の不使用協定の締結等を主張してまいりましたが、政府はこれらを積極的に推進すべきであると思います。私は、この際、国民的要求である核兵器の全面撤廃を目指し、政府がこれを積極的に推進すべく、国会の場において全会一致で決議するよう提案をいたしたいのでありますが、それぞれ総理の御所見を求めるものであります。(拍手)
 以上、重要項目に限定しての質問でありますが、総理の率直かつ誠実な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 竹入公明党委員長にお答えをいたします。
 最初に、政治姿勢についてお尋ねがございました。御指摘のように、私は、就任後の初めての所信表明演説において、政治倫理の確立と綱紀の粛正が緊要な課題であると申し上げましたが、いまもその気持ちは全く変わっておりません。今回の施政方針演説でもこの点を重ねて強調した次第であります。
 私は、かねてから政治の浄化を図るためには金のかからない選挙制度の確立が急務であると考え、就任以来、政治資金の明朗化を図るための政治資金規正法や公職選挙法の改正を国会にお願いし、その実現を見たところであります。また、今国会で引き続き御審議いただいております参議院全国区制の改正案につきましては、金のかからない選挙の実現という観点からも、その早期成立を念願いたしているものであります。また、政治倫理委員会の設置について、党の総裁として積極的に推進せよとの御意見でありますが、私は、党総裁として、かねてより党執行部に対し、倫理委員会の設置、議院証言法の検討などを要請しているところでありまして、各党各会派の間で十分論議を尽くされ、速やかな進展が見られることを希望しております。
 次に、参議院全国区制の改革案は憲法上疑義があるとの御意見がありましたが、現行参議院全国区制については、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたことは御案内のとおりでありまして、その改革はいまや緊急の課題であると考えます。
 現在、国会の審議に付されている全国区制の改正案は、憲法問題などについても十分検討を尽くした上で提案されたものと承知しておりますが、今国会においてこそ精力的に御審議いただき、速やかに全国区制の改善が実現されるよう切望いたします。(拍手)
 次に、世界経済の再活性化へのわが国の貢献についてお尋ねがございました。
 世界経済が依然として第二次石油危機のもたらした諸困難を抱えている状況のもとで、各国が協力して世界経済の再活性化を図ると同時に、自由貿易体制を維持強化していくことが肝要であります。
 わが国としても、その国際社会における地位を十分念頭に置きつつ、諸外国との間の協調的関係を維持発展させ、また、世界貿易の拡大均衡を目指す見地から適切に対応していきたいと考えております。
 このため、政府は、昨年十二月の経済対策閣僚会議において、市場開放、輸入促進、輸出対策、産業協力など五項目からなる対外経済対策を決定し、現在その推進に努めているところであります。
 すでに東京ラウンドの合意に基づく関税率の段階的引き下げの二年前倒しを決定し、また、来る一月三十日に予定している経済対策閣僚会議において、輸入検査手続等の改善措置を決定するとともに、諸外国等からの苦情を迅速に処理する体制の充実を図ることとしております。
 また、産業政策等との関連につきましては、今後わが国が国際経済社会の中で応分の役割りを果たしつつ円滑な発展を遂げていくためには、内需中心の経済成長を確保するとともに、国際経済との調和を図りつつ、その発展に貢献するような産業貿易構造を形成していくことが肝要でございます。
 さらに、長期的には、各国が保護主義的な対応を避けつつ新しい分野の拡大に向けて積極的な産業調整を進めていくことが必要でありまして、こうした観点から、御質問で触れられたOECDにおける積極的調整政策についての検討は意義のあるものであり、わが国も積極的に参加してまいりたいと考えております。
 次に、円借款の未使用残高の問題についてお尋ねがございましたのでお答えいたします。
 円借款の対象プロジェクトは、竹入議員も御承知かと存じますが、たとえばダム建設の一つ々とってみましても、開始されてから完成まで四、五年かかるのが通例であり、また、円借款資金はプロジェクトの進捗に合わせて支出されることになっておりますので、プロジェクトの進行中は、円借款の約束額と支出済みの額との間に相当の差が出るのは当然のことであるという事情も御理解をいただきたいと存じます。したがって、これは使い残しというものではありません。
 いずれにいたしましても、わが国は平和国家として、また自由世界第二位の経済大国として、経済協力を通じて世界経済の発展及び世界の平和と安定に貢献していくとの観点から、引き続き新中期目標のもとに政府開発援助の積極的拡充に努めてまいりたいと考えております。
 「ウサギ小屋に住む働き中毒」との日本人評がありましたが、事の正否は別として、海外にはそのような見方があるということは、事実として認識しておかなければならないと思います。
 お尋ねの住宅、下水道、公園等の充実については、厳しい財政事情の中でも所要資金の確保に配慮いたしておりますし、また土地、住宅税制の改善にも配意いたしております。
 週休二日制の普及など労働時間の短縮につきましては、わが国の雇用慣行を考慮し、また、労使の自主的努力を基盤としながら、行政指導を積極的に進めているところであります。
 次に、わが国の平和戦略、特に対外経済面での貢献についてお話がございました。私も、わが国は、世界の安定と繁栄のため、平和国家としてわが国にふさわしい役割りを積極的に果たしていくことが肝要であると考えております。
 かかる観点から、私は、施政方針演説でも述べたとおり、たとえば経済面においては自由貿易の維持拡大及び国際経済の活性化と発展に寄与することが肝要と考え、そのためにもわが国市場の開放などに努力しているところであります。また、経済協力については、開発途上国の経済社会開発及び民生と福祉の向上に資するよう、新中期目標のもとで拡充に努めております。
 しかし、そのような努力と並行して、私は、防衛面においても、日米安保体制を基軸として、憲法及びわが国の基本的な防衛政策に従い、適切な規模の防衛力の整備を行っていくことも肝要と考えております。私は、そのような努力が両々相まって、わが国のみならずアジア、ひいては世界の平和と安定にも貢献するものと考えます。
 五十六年度のわが国の経済運営について、私がどのような気持ちでいるかとの御質問でございました。
 私は、世界の他の国々が置かれている状況を考えるとき、わが国は、国民各位の賢明なる対応によって比較的良好に石油危機を克服してきており、恵まれている状況にあると感じております。
 それにつけても、最近、特に複雑な国際情勢及び経済社会情勢のもとにあって、政策の競合が著しいと感ずることが多くあります。たとえば金利を下げて国内の景気を刺激しようとすれば、円安が生ずる心配をしなければならない。また、省エネが進んで原油の輸入が減少すれば、貿易収支の黒字の拡大となって貿易摩擦が心配になる。さらに、物価の安定という国民生活安定の基本ともいうべき政策が成功すると、税収の自然増が期待ほど伸びないことになるなどの現象があります。
 これから特に国際社会におけるわが国の地位が高まるにつれて、政策の競合が複雑さを増し、政策手段の選択が困難の度を増すことと思いますが、誤りなきよう全力を尽くしてまいりたいと考えます。(拍手)
 今後は、引き続き、国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を促進する一方、行財政改革を着実かつ計画的に実施をし、また、調和ある対外経済関係の形成を図り、これらを通じて中長期の安定成長軌道に即した適切な経済成長を実現してまいりたいと存じます。
 次に、住宅対策についての御提言にお答えをいたします。
 まず、国土利用計画法第十二条の規制区域制についてでありますが、この制度は、土地投機の集中による急激な地価上昇という緊急の事態に対応するために、地域と期間を限定してきわめて強い規制を行う制度でありまして、実需に基づくところの地価上昇についてまで法を改正してこのような強権的な措置を適用することは、効果に乏しいばかりでなく、土地取引の混乱を招くおそれがあります。土地の供給を阻害するという問題が生ずるおそれがあります。
 しかしながら、今後の土地取引及び地価の動向については、なお注意を要するものがあると判断されますので、引き続き監視を徹底させ、必要な場合には機動的に規制区域の指定を行うという考え方に立って、本制度の運用に万全を期してまいりたいと存じます。
 土地税制の問題でありますが、今回、宅地供給の促進に配慮しつつ、長期安定的な土地税制を確立したいと考えており、その一環として、いわゆる宅地並み課税についても、税制調査会の答申を踏まえ、改正を予定しております。これらの土地税制の改正は、他の諸施策とあわせ、宅地供給の促進に相当の効果を有するものと考えております。
 木造賃貸住宅の建てかえを促進せよとの御提言でありましたが、従来から良質かつ低廉な家賃の住宅を供給するため、木造賃貸住宅の建てかえについて利子補給や低利融資を進めてきておりますが、さらに、五十七年度予算においては、公共と民間とが役割り分担して、これらの木造賃貸住宅を計画的に質のよい住宅に建てかえ、あわせて住環境の整備を総合的に進めるための助成制度を創設することとしております。
 公共事業について、用地費等を要しない事業に予算配分するなど、投資効果を追求すべきであるとの御意見がございました。
 公共事業は、各公共施設の整備状況、地域住民の要請などを踏まえ、地域の実情に即して計画的に実施する必要がありますので、基本的には必ずしも御指摘のとおりにまいらない場合もあると存じますが、御指摘のように、国費の効率的活用を図り、景気の維持拡大に資するという配慮も重要でありますので、五十七年度公共事業の執行に当たっては、用地手当て済みの事業に重点的に配慮する方向で検討、対処してまいります。
 また、工事の発注に当たっては、中小企業の受注機会の確保についても十分配慮してまいりたいと存じます。
 なお、公共事業の執行については、経済情勢を踏まえつつ、予算の成立を待って機動的に対処する所存であります。
 また、昨年末、公共事業の発注に関連してさまざまな疑惑が指摘されておりますが、公共事業に係る入札の合理化対策につきましては、建設大臣より、中央建設業審議会に調査審議をお願いしているところであり、この審議状況も参酌し、速やかに改善を進めてまいりたいと考えます。
 次に、物価でありますが、物価の安定は、国民生活安定の基本条件であり、経済運営の基盤となるものであると考えております。
 なお、公共料金については、経営の徹底した合理化を前提とし、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して、厳正に取り扱う方針で臨んでおります。
 金融政策についてお尋ねでございましたが、一昨年の夏以降、物価の安定に配慮しつつ、景気の維持拡大を図る観点から、公定歩合の引き下げ等の一連の金融緩和措置を講じ、昨年十二月にも、公定歩合等の金利水準全般の引き下げを図りました。今後とも、金融政策については、内外経済動向を総合的に踏まえて、引き続き適切かつ機動的な運営を図っていきたいと考えております。その際、金融の量的指標であるマネーサプライの動きにも、十分な注意を払ってまいりたいと存じます。
 次に、所得税減税でありますが、現下の厳しい財政事情のもとでは、残念ながらこれを見合わせるよりほかありません。ただ、所得税の現行課税最低限と税率構造を長期にわたって固定することは適当でないと考えますので、歳出歳入両面にわたる徹底した見直しを進め、五十九年度特例公債脱却の明白なめどをつけるとともに、所得税減税の財源の手当てが可能となる条件を、国民的合意のもとに、できる限り早く整えたいと考えます。
 具体的にどのような方法によるかについては、広く国民各層の御意見を伺いながら、幅広い角度から検討を進めてまいりたいと存じます。
 なお、減税に見合う財源として、不公平税制の改革を挙げておられますが、企業関係の租税特別措置による減収額は約二千億円であり、また、各措置はそれぞれ重要な政策目的を持っているものでありますので、その整理合理化により、税収面で多くの財源を期待できるというものではございません。
 また、事業執行のむだを省き、各省庁の経費節減を徹底することによって財源を確保できるとの御主張でありますが、五十七年度予算編成に当たっては、経費全般にわたり厳しい見直しを行い、思い切った節減合理化措置を講じた結果、一般会計の伸び率を六・二%、特に一般歳出については一・八%と、きわめて低い伸び率に抑えております。したがって、これ以上の経費の削減と申しましても、実際上なかなか困難な問題ではないかと思います。
 次に、年金の問題であります。
 年金制度の今後のあり方を考えるに当たっては、公明党の国民基本年金制度構想も十分参考にさせていただきたいと存じますが、年金制度の一元化にはなお検討すべき点が多く、当面は、各種年金間の不均衡の是正に努め、制度全体の均衡ある発展を図ることが現実的であると考えます。
 また、現在国会で御審議いただいている老人保健法案は、疾病の予防や健康づくりを含む総合的な老人保健対策を確立しようとするものであり、早期成立をお願いいたします。
 医療保険制度の統合は困難でありますが、今後とも、医療費の適正化などを推進することにより、必要な医療を確保してまいりたいと存じます。
 高齢者の雇用対策については、総合的な高年齢雇用対策を推進してまいる考えであります。
 また、雇用政策と年金政策の関係については、基本的には、将来高年齢層に生活の不安を招くことのないように、両者の有機的連携を図ることが必要であると考えております。
 来年度予算における各種年金のスライド実施時期については、厳しい財政事情のもとで可能な限りの配慮を行っており、また、高額療養費については、長年据え置かれてきた自己負担限度額の適正化を図るものであります。
 行政改革につきましては、御指摘のように、本年は臨時行政調査会の基本答申が出される予定となっております。私は、臨時行政調査会の審議の動向、国会における御論議を踏まえながら、行政改革の基本的課題に関する施策の立案、推進に一層努力してまいります。
 五十六年度予算の補正における赤字公債追加に関連しての御質問でありますが、五十九年度特例公債脱却は政府の基本方針でありますので、今回の補正にかかわらず、その実現に向け、最大限の努力をしてまいります。
 なお、御審議をお願いしている補正予算における税収見積もりは、現段階においてできる限り適切な税収見通しを行うべく、最善の努力を尽くした結果であるものと御理解を願いたいのであります。
 次に、防衛費を削減せよとの御意見がありましたが、五十七年度防衛予算は、財政再建が現在の緊急課題であること、「防衛計画の大綱」の水準をなるべく早く達成する必要があることなどを総合的に勘案し、わが国防衛のために必要最小限の経費を計上したものであり、削減することは考えておりません。
 また、防衛費の規模については、昭和五十一年十一月の閣議決定において、当面、各年度の防衛費がGNPの一%を超えないことをめどとすることとしておりますが、現在この決定を変更する考えはございません。
 次に、先般私が伊藤防衛庁長官に指示したことについて、その真意は何かとのお尋ねがありました。私が指示した要旨は、最近国民の間に防衛問題、安全保障問題について関心が深まりつつあるが、わが国は、地勢的に見ても国境線を陸続きに持つ大陸国家でなく、四方海に面した海洋国家でもあり、また、平和憲法のもと、専守防衛に徹するわが国として、これにふさわしい防衛体制を考えることは当然である、このような観点から、専門的に研究をさらに深め、「防衛計画の大綱」の達成に当たってこれを反映させ、侵略の企図を未然に防止する抑止力の一層の向上に努めてほしい、こういうことを指示いたしたわけでございます。
 次に、核軍縮に関連して、竹入議員より提起された諸問題についてお答えをいたします。
 現在、国際情勢は厳しさを増しておりますが、さりとて、私もさきの施政方針演説で申し述べたとおり、その結果、東西両陣営が競って軍備増強を続けるという状況は、好ましきものとは思っておりません。わが国は、平和国家としての立場から、核軍縮を中心とした軍縮に積極的に取り組んできておりますが、その促進に当たっては、現実の国際関係の中で実現可能な具体的措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要と考えております。
 国連における核軍縮関係の決議案につきましては、これが真に核軍縮を促進し、国際の平和と安全に資するか否かという観点から、是々非々の態度で臨んできており、今後とも同じ態度で臨んでいく考えであります。
 また、竹入議員御指摘の核兵器の配備禁止決議に関しましては、核及び通常兵器の総和のバランスの上に、相互抑止に基づく地域的な安全保障の枠組みが存在する現実の国際社会において、核兵器の展開に一定の制限を加えるような措置は、かえって現実の国際軍事バランスを不安定にするおそれがあると考え、反対した次第であります。(発言する者あり)
 また、中性子兵器の禁止の決議については、すでに申し述べたとおり、現実の国際関係における軍事的均衡が、あらゆるタイプの核兵器を含む各種の兵器体系により維持されているという現実のもとでは、核兵器の中から特定の兵器のみを取り出して禁止することは必ずしも適当ではないと考え、反対した次第であります。(発言する者あり)
 わが国は、平和憲法のもと、軍事大国とはならず、その持てる力を世界の平和と繁栄のために向けることを国の基本方針としております。したがって、御指摘のとおり、国際の平和と安全を確保していく上で重要な役割りを持つ軍縮に積極的に取り組んでいくことは、わが国の平和外交の重要な柱であります。このような立場に立って、従来よりわが国は、核兵器の廃絶を含む全面完全軍縮を究極の目標として掲げつつ、核軍縮の促進に努めてきております。
 なお、来る第二回国連軍縮特別総会には、私自身出席して、平和国家としてのわが国の立場から、具体的には、核実験全面禁止条約、核不拡散条約の普遍性の達成を初めとする核拡散防止体制の強化、化学兵器禁止の早期実現など、実現可能な具体的措置の促進を訴えていきたいと考えております。
 以上で私の答弁を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(福田一君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#7
○佐々木良作君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、総理の施政方針について若干の質問を行います。
 古来、政治の要諦に「綸言汗のごとし」という言葉がございます。しかるに、総理は最近、この言葉とは裏返しのような、きわめて不可解な言動を二つおとりになりました。
 去る一月十二日、先ほどもお話が出ておりますように、総理は、防衛庁長官に対し、海洋国家にふさわしい、ハリネズミのような防衛計画の策定などを指示されながら、十八日には、みずから真意説明と称して、事実上これを打ち消す発言を行っておられます。朝令暮改というよりは、国民にとりましては、何のことだかさっぱりわからないのであります。
 またさらに、財政再建の基本方針について、総理の施政方針演説の起草をめぐって諸種の報道がなされておりますが、五十九年度に赤字国債をゼロにするという従来の方針が、それはそのまま従来どおりなのか、単なる努力目標に変わったのか、総理大臣と大蔵大臣の御発言を聞けば聞くほど、国民は実際は一層わからなくなってしまっておるのであります。
 この二つの事例に限らず、最近総理の言動は、はなはだしく安定性を欠いております。防衛問題にしても、行政改革にいたしましても、問題が重要な段階になればなるほど、総理の態度は右に左に揺れ動き、その真意がどこにあるのか、はなはだ理解に苦しむのであります。総理御自身のお考えとは別に、声の大きい方、数の多い方に鈴木内閣の政治が流されていくように見受けられるのでありますが、一体、これが総理の信条とされておる和の政治というものなのでございましょうか。それでは、和の政治というのは、融通無碍、無責任政治の代名詞となってしまいます。(拍手)国民にとってこれほど頼りない政治はございません。まことに失礼な申し方をいたして済みませんでした。しかし、私は、質問の冒頭においてあえて総理の政治姿勢に不満の意を表し、強く反省を求めて、以下、当面する重要課題について質問をいたします。(拍手)
 本年は、国連におきまして第二回軍縮総会が開かれる年でもありますし、平和と安全保障の問題は、いまや内外の最大の課題であります。
 私は、まず、平和戦略の二つの提案を行い、総理の御見解を求めます。
 第一は、米ソが首脳会談を開き、軍縮の話し合いを行うよう、わが国がイニシアチブをとって両超大国に働きかけることであります。
 現在の国際情勢が、一九八二年を軍縮元年にと、そういう意味の世論とは逆さまに、きわめて危険な緊張をはらんでおり、その根源が米ソ両国の軍拡競争にあり、米ソの対話と両国の軍縮のみが現在の緊張を緩和し、平和への希望を取り戻すかぎでありますることは、衆目の一致しておるところであります。さらに、私は、現在のわが国の国際的地位からすれば、いまやこの点について積極的な提案をすることが期待されておる状況にあると考えます。総理の御見解を求めます。
 第二の提案は、わが国がアジア・太平洋サミットの開催を呼びかけ、その総意に基づいて、米ソ並びに国連軍縮総会に向けて、この地域における戦域核を中心とする軍縮提案を行うことであります。
 欧州での米ソ戦域核交渉とも関連しながら、いまや極東地域が、欧州に次いで、米ソ戦域核戦力の熱い対決の段階に達しようといたしております。このような状況にかんがみ、アジア・太平洋諸国の総意に基づいて、この際、改めてこの地域での核軍縮が提案されるべきだと考えます。(拍手)日本がそのためのイニシアチブをとることは、わが国として、アジア諸国民に対する責務でもありましょう。総理の御所見を伺います。(拍手)
 この提案は、私が昨年四、五月東西欧州の六カ国とソ連を歴訪し、十月にはアメリカ、十二月には韓国をそれぞれ訪問いたしまして、野党外交の一端を担いながら、これら各国での要人との会談等を通じて得た感触と論理に基づいたものでございます。総理の御見解を承ります。
 次に、対ソ政策並びに朝鮮半島の平和確保についてお尋ねいたします。
 日ソ関係を考えるとき、すでに解決した日中関係の経験を思い起こすことは決してむだではないと考えます。一九七二年の日中国交回復までは、核兵器を保有する中国は、わが国にとって一つの脅威と映っておりました。しかるに、その後の日中平和友好条約などにより、その脅威は解消したばかりではなく、両国は友好と繁栄のために互いに協力し合う関係にまでなりました。同様の成功をもたらすことが対ソ平和戦略の目標でなければなりません。日ソ友好のためには、ソ連がわが北方領土の返還に誠意ある対応を示すことが不可欠であります。さらに、文字どおりの平和共存を実行することが必要であり、その具体的措置として、アフガニスタン等への不当な侵入やポーランドへの介入から手を引くことなどの面でソ連が建設的な姿勢を示すことが必要であります。わが国といたしましても、これらの点を強く要求し続けていくべきことは当然であります。
 しかしながら、だからといって、わが国が、これらの問題に前進が見られない限りソ連とは一切話し合わないという態度、いわゆる入り口論をとり続けますならば、日ソ関係の硬直を打ち破るきっかけはつかめますまい。これら諸懸案について、いつでもどこでも話し合おうではないかという姿勢こそが日ソ関係を前進させ、平和への脅威を取り除く出発点になるのではないかと考えます。
 私は、このような対話は、両国のハイレベルの政治会談から始めることが適当であると思うのでありますが、先日の日ソ事務レベル協議は外相会談などに発展し得るものかどうか、その展望を承りたいと思います。あわせまして、政府は従来どおり入り口論に固執されるのか、新しい立場で粘り強く前進を図る考えがあるのか、対ソ外交の方針をこの際明らかにされたいと思います。
 朝鮮半島の平和維持について、最近、全斗煥韓国大統領は新たな提案をいたしました。との評価を含めまして、政府は、今後どのような措置が必要だとお考えになっておられるのか伺います。
 また、韓国との関係が例の経済協力問題をめぐりましてぎくしゃくしたものとなっている状態をどう打開される方針か。私は、この問題の解決は、官僚ベースの事務的話し合いだけではなく、これまた高いレベルの政治会談がきわめて緊急の課題であると痛感いたしておるのであります。政府の対処方針を伺います。
 次に、防衛問題について具体的に政府の方針を伺います。
 私は、適正な質と量を持った防衛力の整備は必要であると考えます。そして、その適正規模は、国際情勢と国民生活の両面から国民の合意を得ながら決めていくべきもので、したがって、無限大に向かって大きければ大きいほどよいとか、ゼロに向かって小さければ小さいほどよいとかいうようなものではないと考えるものであります。(拍手)わが民社党は、このような立場から今後も国会審議に参加いたしてまいります。
 このような立場から、これまでわが国が軍事大国とならないためにみずからに厳しく課した諸原則がありますが、それと政府が行おうとする施策とに矛盾が起きるかもしれない疑念が生まれましたときは、政府は、その事情を率直に国民に説明し、一緒になって考え、国民のコンセンサスを形づくっていく努力を惜しむべきでないことを強く私は指摘するものであります。(拍手)
 この見地からあえて三つの疑点を提示いたしまして、政府に現実に即した答弁を求めるものであります。
 その第一は、防衛費の歯どめについてであります。
 まず、今回の防衛費の決定について、国民の多くは、それが合理的な根拠で積算された必要最小限の額ではなく、より多く米国への配慮を優先させた政治的なものではないかとの疑いを持っております。同時に、従来その歯どめとされていた原則、すなわち、他の重要政策とバランスをとるべきこと、GNPの一%以内とすべきことという、この二つの点が破られつつあるのではないかとの疑いを国民に抱かせたのであります。バランスについては、伸び率で見る限り従来のバランスは破れておりますが、これに対して、もし絶対額など、他の基準でそれを求めようという政府の方針でありまするならば、政府は、新たなバランス基準を示すべきであります。
 念のためつけ加えまするならば、今回の予算編成で示されました政府の方針が貫かれた場合には、五十八年度の防衛予算の伸び率は、間違いなく二けたになると予測する者さえあります。
 また、総理は、さきに関係当局に対して、防衛計画大綱の着実な達成を指示されましたが、防衛庁の五六中期業務見積もりによりますと、この大綱に定める防衛力の水準を達成しようとすれば、それだけで防衛費の対GNP比率は、平均で一・二%、最終年次の六十二年度には一・五%前後になろうと予測しております。伊藤防衛庁長官もすでに、GNP一%以内と大綱達成という、この二つの方針が両立がむずかしくなった場合には大綱達成を優先させたいという意味の発言を行っておられます。
 このようにして、GNP一%以内という歯どめ方針も、現実には明らかに崩れつつあります。国民は、いま防衛の必要性とともに、防衛費が歯どめを失って無原則に膨張するようになりはしないかと心配しているのであります。
 総理は、きのうの答弁におきまして、GNP一%以内の方針を守り抜くことを明らかにされましたが、そのことは、それによって大綱達成がおくれてもやむを得ないという考え方を明らかにされたものと了承してよろしいか、重ねて総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第二は、戦域核兵器の極東配備問題と非核三原則のかかわり合いについてであります。
 すでに、米国国防省は、極東にもSS20などのソ連戦域核が相当数配備されていることを明らかにいたしております。これに対抗して米海軍は、八四年に極東第七艦隊の艦船にトマホーク巡航ミサイルなどの戦域核を装備する計画をすでに決定しておると伝えられます。このような方向は、アジアにおける核軍縮とは逆に、新たに戦域核の均衡をつくり上げようとするものであります。これはわが国の港湾に出入りする米第七艦隊の核装備の問題でありまして、少なくとも、わが国のこれまでとってきた非核三原則を中心とする平和戦略の方向とは逆行するものと考えざるを得ないのであります。政府は、この問題に関するアメリカの方針をどのように把握しておられるのでありましょうか、まず、その認識を明らかにしていただきたいと思います。
 そしてその上で、ソ連が極東に戦域核を配備している状況に対して、わが国はいかなる対処を図ろうとするのか、防衛庁長官及び総理から鈴木内閣の基本方針を明らかにされたいと思います。(拍手)
 総理は、昨日の答弁で、一方で非核三原則を堅持すると述べられました。他方で、米国の核の抑止力に依存する方針を変えないと述べられました。私がいま質問いたしておりますのは、これを両立させることが困難な状況になってきており、日本も西ドイツやフランスと同じように、ヨーロッパの西側諸国が経験しておりますのと同じ意味のその選択の岐路に立たされておりますが、この状況に対して鈴木内閣としてはどうされる方針かと承っておるのであります。私は、この実情を隠すことなく十分に説明して国民と相談する姿勢こそが一番いま大切ではないか、こう思うのであります。いかがでございましょうか。(拍手)総理、問題を逃げずに、率直に私はお答えをいただきたいと思います。
 第三は、米国に対する軍事技術協力の問題についてでありますが、この問題に関して米国の要求はきわめて明確であります。すなわち、第一に、軍事に転用され得る一般技術だけでなく純粋の軍事技術についても提供を求め、第二に、民間で開発された軍事技術も含めており、第三に、わが国の武器輸出三原則に明らかに抵触することを承知の上で、あえてこれを求める立場をとっていることであります。
 これに対して政府は、一月八日の日米安保協議におきましても、鋭意検討中として結論を避けたと伝えられておりますが、このようなあいまいな態度による遷延策が今後も可能なのでありましょうか。
 これに関連して、米国は、同盟国での兵器のライセンス生産を制限する措置に出ようとしているとの報道もあります。一方では、F15など航空機、各種ミサイルなどのライセンス生産によって高度の技術を入手しながら、他方では、技術供与を拒み続けることが本当にできるのでありましょうか。この問題もまた、国民の目をごまかし、逃げてばかりおられない事態を迎えていると申すほかございません。総理の責任ある答弁を求めます。(拍手)
 内政問題に移ります。
 鈴木内閣は、内政の最重要課題として、みずから行財政改革を高く掲げられました。しかるに、先ほど来話がありますように、その鳴り物入りのかけ声と実際の予算編成にあらわれた施策との間には余りにもはなはだしい隔たりがございます。
 まず、そもそも財政再建の初年度でありました五十六年度に鈴木内閣が行われましたことは、二兆円の国債減額の見返りみたいに、一兆四千億に上る史上最大の大増税でありました。行革法によっていま力いっぱいしぼったと言われます。しかしながら、実質的な計算によりますと、わずかに五百八十億円程度にすぎません。
 そればかりではありません。先般、五十六年度の年度内歳入不足が明らかとなりますや、話が出ましたように、三千七百億円に上る赤字国債の増発を決定し、これと同じ安易な態度が、今回の五十七年度予算におきましても歳入不足七千億円を増税と税外収入によって埋めるというやり方にあらわれております。そこには、歳入不足に対して何よりも先に支出の削減によってこれを補おうという行財政改革断行の意欲が全く失われているのであります。(拍手)行財政改革の基本方針は、行革の断行によって大幅に支出を削ることであり、増税を行わずして赤字国債体質を解消しようということではなかったのでしょうか。二回にわたる大増税は、増税なき財政再建の方針には反しないのでありましょうか。総理の責任ある答弁を求めます。
 総じて、鈴木総理の行財政改革の姿勢は、その言葉とはうらはらに、事ごとに臨調任せの受け身の姿勢に終始し、みずからが取り組もうとする態度が見られないのは遺憾であります。
 一例を三K赤字の雄である国鉄問題にとってみれば、政府は、今回の予算で国鉄に七千三百億円の助成を行われました。これは私が先ほど強く批判いたしました防衛予算の増加分、突出と言って騒がれておる防衛予算の増加分の四倍もの額であります。しかもそれは五年連続の運賃値上げと、それでもなお一兆三千八百億円もの赤字決算が出ることを認めた上での措置であります。累積赤字六兆五千億、長期債務残高十四兆四千億円に達し、すでに破産状態にある国鉄の現状に対し、いますぐでも政府の責任において手をつけられる改革への努力は露ほども見せず、すべて臨調の答申を待って、それまではずるずると旧来の行き方を続けるというのでは、総理の行革への熱意が疑われても仕方がないではありませんか。(拍手)国鉄改革に対する総理御自身の方針はどんなものでございましょうか。総理の御所見を求めます。
 なお、この際に、ちょっと触れますけれども、後にも触れる所得税減税につきまして、財源のないことが政府の反対理由のようであり、先ほどの竹入さんへの答弁にもるるそのことが述べられております。しかし、たとえばこの国鉄助成のような金を、どうしてもいま国民の税金から支払わなければならないものなのでしょうか。このような支出を削って減税するような発想に立つことこそが、行財政改革の基本理念ではありませんか。(拍手)あわせて総理の御見解を求めます。
 中曽根行管庁長官に伺います。
 昨年七月の臨調第一次答申は、緊急にとるべき改革方策として、歳出削減と財政再建の推進と題して具体的提言を行っております。これは明らかに五十七年度予算編成に向けての提言でありますが、その提言は、さっきも申しましたごとく、決して十分には生かされておりません。だからこそ、伝えられるように、土光会長があの際に、総理は行革の意味がわかっていない云々と激怒したのでありましょうが、長官御自身は、この臨調提言の趣旨が今度の予算の中に十分に生かされているとお考えになっているのでございましょうか。御見解を承ります。
 もし長官が、それは大蔵大臣の職務権限に属するものであるとか、総理のリーダーシップにかかわるものだというような考え方でありまするならば、それでは行革担当大臣としての政治責任は果たせますまい。中曽根長官の政治家としての責任ある答弁を求めます。(拍手)
 なお、この際、行革課題の一つであります補助金整理問題との関連で、わが党はすでに、いわゆる第二交付税の創設を提案いたし、これは行政の分権と合理化とを目的にした、地方の時代にふさわしい提案であると自負しているのでありますが、政府に検討を依頼いたしております。検討結果も含めて、政府の態度を明らかにされんことを望みます。
 次に、財政再建について伺います。
 まず、政府は、財政再建のめどを本当にいつの時点に求めようとしているのか、きわめてあいまいであります。これを明確に、国民にわかるようにお示しいただきたいのであります。
 多方面から指摘されておりますように、政府の赤字国債減額の基本方針はすでに大きく狂っております。予定どおり五十九年度にこれをゼロにするためには、五十八、九両年度にそれぞれ二兆円程度の減額が必要となっております。さらに五十七年度予算において、地方交付税交付金の減額分など後年度にツケを回す形の措置をとったものが、政府保証債の増加分も含めますと約一兆七千億円もあります。これは赤字国債と同様に、今後の財政への重圧となってまいります。その上、現在の景気動向では、五十六年度の税収見込みも、しばしば他からも指摘されておりますように、さらに五、六千億の減収が予想されるようでありますし、そうすると、これをベースにする五十七年度の税収見込みも大幅に狂ってくることになりましょう。なおその上に、五十七年度自身の経済成長そのものにも大いなる疑問もありまして、こういう状況では、五十九年度赤字国債ゼロ方針は、このままではとうてい無理と言わざるを得ません。
 したがって、総理が、「基本路線はいささかも変わるものではありません。」という方針を堅持されようとするならばさらに徹底した行革断行によって、思い切った支出削減を行うことと、新たな景気政策を採用することが不可欠となりますが、総理は、これらの措置を断固としてとることを前提にして、基本路線は変わりありませんと言明されたのでありましょうか。総理の責任ある答弁を求めます。これができないとすれば、新規増税を行うか、財政再建年次を繰り延べるかの既定方針の大変更でありますが、政府は、遠からずこの選択を迫られることになります。
 失礼ですが、総理、どうでしょうか。私は、どうやら鈴木内閣は、総理の言明にもかかわらず、すでに第一の既定方針を貫くことをあきらめて、第二の増税の道をちらつかせながら、第三の年次繰り延べの方向に逃げようとしていると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)もし、果たしてそうでありまするならば、これは明らかに鈴木総理の公約違反であり、その政治責任はきわめて重大であります。総理のはっきりとした誠意ある御答弁をお願いいたします。(拍手)
 次に、経済見通しに関連して、次の三点をお尋ねいたします。
 その第一点は、総理は、昨日の答弁におきまして、来年度五・二%の経済成長は可能だとの所見を述べられましたが、それでありまするならば、当然に税の自然増収は本年度よりは相当程度ふえなければなりません。にもかかわらず、予算案ではそれをほぼ本年度並みにしか見込んでいないのは一体いかなる事情によるものでありましょうか。まず、明らかにしていただきたいと思います。もしそれが本年度の税収見込みがさらに低下するおそれに対する配慮でありまするならば、そのことを何ゆえに今回の予算補正措置の中で明らかにされないのか、この点も含めて御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 第二点は、昨日の答弁で、河本長官は同じように五・二%成長見通しの根拠として海外要因を中心に述べられましたが、海外要因だけで果たしてどんなものでありましょうか。
 失礼ながら、長官は、むしろ五・二%成長を達成することが現在の日本経済にとっては一番大切だ、この観点に立って、そのためには新たな積極政策をも採用すべきであり、きっと採用することになるだろうことを見越して五・二%を固執しておられるのではないかと私は推定するのでございますが、(拍手)河本長官の真意を披瀝されんことを望みます。
 さらに、その場合に河本長官が新たに採用すべきであろうと考えられておられる新景気政策の大綱をここに明らかにされることを要求いたします。(拍手)
 第三点は、貿易摩擦問題との関連においてです。
 総理は、昨日もそれから本日も、わが国の市場開放を一層進めることによってこの問題をかわす方針を明らかにされました。それはそれで私は結構だと思います。しかし、現在の各国の対日要求の本音は、貿易のアンバランス是正そのものであります。しかも、市場開放だけではアンバランス是正がだんだん困難なことを承知して、それを見越して、いまやわが国に対する新たな要求がわが国における内需拡大に集中的に向けられつつあることを御承知だと思います。しかるに、現在、鈴木内閣が内需拡大に向けてとっておられる対策の主軸は、本年度と同様に依然として金融政策に限られており、あとは民間の活力に期待するのみというのであります。
 総理は、日増しに高まる対外経済摩擦が、このような対策だけで、一段と内需拡大に対する努力とその政策を採用せずして解消できるとお考えでありましょうか。あるいは今後、状況に応じては財政面からする刺激政策をも含めて新たな対策を採用するかもしれない、採用しなければならないかもしれない、そういう用意をもお持ちになっておるのでございましょうか。御答弁をお願いいたします。
 河本長官からも、見通しを含めてお答えいただきたいと思います。
 次に、減税問題について伺います。
 すでに、五十三年度以来五カ年間にわたって所得税の物価調整措置は見送られており、そのための実質増税は二兆円を超えると言われております。不公平税制是正の観点から、これは当然国民に返されるべきものであります。
 さらに、可処分所得の低下が個人消費を低迷させ、同じ意味で景気を低迷させている大きな原因になっている現状からして、所得税中心の減税が景気対策上も不可欠のものだという考え方は、いまや衆目の一致しているところだと私は考えます。
 総理は、昨日も本日も、財政再建のめどがつけば減税も考えるが、いまはその時期ではない旨の発言を繰り返しておられますが、私は、その考え方はやはり逆さまでありまして、いまこそ景気を刺激し、税の自然増収を図り、財政再建の基礎固めを行うためにこそ減税が必要であると考えるのであります。(拍手)
 問題の財源措置につきましては、先ほど来竹入委員長からの御指摘のような、その形の歳入財源をふやすということと同時に、国鉄のところでも申し上げましたとおりに、政府が本気になって行革の決意さえ固めるなれば、支出削減というその分からも十分に可能であると考えます。その気があるかないかだと思います。総理及び河本長官の御答弁を要求いたします。(発言する者あり)
 国鉄に限りませんよ、私の言っているのは。だから、皆さん心配しないでください。似たようなものがたくさんあるという例ですから。
 以上のほか、内政に関しては伺いたい重要な課題がたくさんございますけれども、住宅政策など竹入さんからも指摘されたことと大体同じでありまするし、時間の関係上、残念ながら割愛いたします。
 ただ、社会福祉、教育、農業及び中小企業などの重要部門が、今回の行財政改革の最大の犠牲部門としてのみ扱われようとしていることは遺憾であります。私は、これら部門に対する情性的補助行政にメスを入れることに反対しているのではありませんが、それはあくまでも新たなる建設へのスタートとして位置づけられるべきものでありまして、政府は、行革実施と並行して、それら部門の今後の改革目標を明確に打ち出すべきものと考えます。総理の御所見を承ります。
 最後に、総理の政治姿勢に関連して、二つの問題について伺います。
 第一は、皆さんがお触れになりました政治倫理の確立についてであります。
 ロッキード事件によって国民の政治への信頼は大きく揺らぎました。それを取り戻すために、ここ数年実に多くのことが語られましたが、昨今は何を申しても陳腐なものとしか聞こえなくなっております。そして、その政治の金権体質は、情実入学や談合問題に見られますように、わが日本社会にじわじわと浸透してまいっております。まことに残念であります。
 かつて、自民党におきましても、政治腐敗防止法の立案や議院証言法の改正、議員の倫理規程の制定などを積極的に手がけることを言明されました。本日も総理は、そのことを積極的に進めるように党に指示しておるとおっしゃいました。あれから何年たちますか。なかなか進んでおらぬのではございませんか。そして、これらの公約はいつの間にかどこにいったのか、行方がわからなくなってしまっておるのが現状であります。いまや、政治倫理の行方は、ロッキード事件を裁く裁判所にゆだねられているのみと申して過言でありません。
 私は、その責任の一部が私どもにもあることを否定はいたしません。その第一次的責任は、しかしながら、第一党であり、政権党である自民党の総理・総裁たるあなた御自身にあることをお忘れになってはなりません。(拍手)
 鈴木総理は、この際、政治倫理の問題について毅然たる姿勢を明らかにさるべきであります。今後この問題に総理はどのように立ち向かわれますか、政治倫理に関する諸公約がございますが、これをどのように処理される御方針か、総理の御所見を承ります。
 第二に、参議院の全国区選挙の改革問題についてであります。
 私は、先ほどの竹入委員長と同じ立場から、重ねて自民党の反省を求めるものであります。
 私は、現行の全国区制について多くの不都合があるということも決して否定はいたしません、全面的には。しかし、その改革は、あくまでも二院制下にあって、いかにして参議院の機能を高めるかの基本的立場に立って進められなければならぬものであります。
 現在、参議院の衆議院化、政党化が第二院としての権威と機能を低下させる一番大きな原因として大きな批判を呼んでおりまするときに、その政党化を徹底的に進めようとする自民党改革案は、まさに世論に逆行するものであり、憲法違反のそしりをさえ免れないものであります。そのような非民主的な改革案を、まさかとは思いますけれども、党利党略の立場から、多数を頼んで推し進めようとするがごときは、まさに言語道断であります。(拍手)
 鈴木総理に自民党総裁としての御所見を求めまして、失礼な言葉が多くて恐縮でしたけれども、これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 佐々木民社党委員長に御答弁を申し上げる前に、先ほどの竹入委員長に補足御答弁を申し上げます。
 将来所得税減税を検討し得るための条件については、先刻申し上げましたが、その際、必要な財源手当てについては国民的合意の形成が必要と考えており、そのような合意が形成された場合は、それにのっとって考えたいと思っております。
 まず、佐々木委員長にお答えを申し上げますが、私の政治姿勢について御批判がございました。いろいろ御心配いただいておるようでございまして、まことに痛み入りますが、御批判は誤解に基づくものでありまして、私の政治姿勢は就任以来確固不動のものでございます。(拍手)
 まず、御指摘の財政再建に関しましては、今回の施政方針演説でも強調いたしましたとおり、財政再建の基本路線はいささかも変えておりませんし、昨日の答弁でも明確に申し上げたとおり、五十九年度特例公債脱却という基本目標の実現に向けて、私は最大限の努力を尽くしてまいります。
 防衛問題につきましても、わが国は平和憲法のもと、基本的な防衛政策に従い、必要最小限度の防衛力の整備を自主的にする旨、私は一貫して述べてきておるところであります。
 御質問で触れられた、先般の防衛庁長官に対する私の指示に関しましても、これはわが国が海洋国家で、平和憲法のもと専守防衛に徹するわが国として、これにふさわしい防衛体制を考えることは当然でありまして、このような観点に立って専門的研究を深め、その成果を今後の「防衛計画の大綱」達成に当たって十分反映させるよう、防衛庁長官に要請したものでありまして、この考え方は一貫して変わりがございません。
 わが国は、従来より国連等の場を通じ、世界の平和と安定のための最大の課題として核軍縮を中心とする軍縮の実現を強く訴えてきております。かかる観点から、昨年の国連総会の際の園田外務大臣の演説においても、特に米ソ両国に対し、戦略兵器の制限と実質的削減を目標とする交渉の進展に向けて最大限の努力を傾注することを強く要請した次第であります。
 また、その際行われた日米、日ソ間の個別会談におきましても、園田大臣からヘイグ国務長官、グロムイコ外務大臣に対してそれぞれ同様の趣旨を申し入れたほか、先般モスクワにおいて開催された日ソ事務レベル協議におきましても、平和に向けて建設的な米ソ対話が行われるよう強く求めたところでございます。
 私は、近い将来、米ソ首脳会談が開かれるような素地が醸成されることを期待いたしますが、会談が開催をされました際には、両国が核兵器国としての重大な責任を自覚し、世界平和と安全のために大局的見地に立って核軍縮の実現に向けて努力するよう強く希望するものであります。
 アジア・太平洋サミットの開催については、貴重な御意見として承りました。
 現在のアジア・太平洋地域の情勢に照らして見れば、かかるサミットを意義あらしめるような素地は遺憾ながらまだ醸成されてはいないと考えますが、今後とも、国際情勢、アジア・太平洋地域の情勢の推移を慎重に見きわめながら、その可能性について探求してまいりたいと考えております。
 また、中距離核戦力の問題に関しては、米ソ間の交渉が極東アジアの安全保障に持ち得る意味合いについてはわが国としても十分認識しており、かねて御答弁申し上げているとおり、このようなわが方の関心については、種々の機会に米ソ双方に伝えているところであります。
 日ソ関係についてお答えをいたします。
 現在、日ソ関係は困難な局面にありますが、政府としては、かかる情勢においてもソ連との間において幅広い問題について政治的話し合いが重要であるとの認識のもとに、先般、日ソ事務レベル協議を行ったものであります。
 先方との話し合いは、ポーランド問題やアフガニスタン問題を含む国際情勢及び北方領土問題を中心とする二国間の諸問題など、幅広い問題にわたり、厳しい応酬のうちにも、協議自体、きわめて有意義であったとの報告を受けております。したがって、政府としては、ソ連との間に入り口論をとっているとの佐々木委員長の御指摘は当たらないと思います。
 なお、日ソ外相協議については、今般の事務レベル協議の際、わが方より、平和条約交渉その他の問題を話し合うため、グロムイコ大臣が訪日する順番となっている旨を指摘いたしました。私は、グロムイコ大臣の訪日ができるだけ早い時期に実現され、かねてより懸案の日ソ外相協議が軌道に乗ることを強く期待するものであります。
 次に、朝鮮半島の平和維持の問題についてお答えいたします。
 朝鮮半島における平和と安定はわが国の安全及び東アジアの安定にとって重要であることは言うまでもありません。朝鮮半島における平和と安定が維持されていく上では、南北対話などを通じた緊張緩和へ向けての努力とともに、南北間の勢力の均衡の維持及びこれを支える国際的枠組みの存在並びに韓国の民生安定などが必要であると考えております。政府としても、このような考え方のもとに、引き続き韓国の民生安定のための協力を行うとともに、南北間の緊張緩和について、日本としてできることがあれば、積極的に協力していきたいと考えております。
 南北対話につきましては、私は、全斗煥大統領の新たな提案を評価し、歓迎するものであります。わが国といたしましては、今後、南北間で実質的な南北対話が速やかに再開され、平和統一へ向けて建設的な努力が着実に積み重ねられることを心から希望するものであります。
 なお、対韓経済協力問題についてもお尋ねがございましたが、この問題につきましては、政府は、隣国の友邦たる韓国が、現在経済的、社会的諸困難に直面しつつ、新五カ年計画を着実に実施するための努力を傾注していることを考慮し、わが国の経済協力の基本方針のもとに、できる限りの協力を行っていきたいと考えております。現在これまでの折衝を基礎に政府部内で検討を進めておりますが、準備が整った段階で、外相同士の話し合いを行って解決したいと考えております。
 次に、防衛費について、他の施策とのバランス、GNP一%の枠内の二つの条件が崩れつつあるとの疑念が表明されました。
 政府としましては、憲法及び基本的な防衛政策に従い、必要最小限度の防衛力の整備を着実に進めることとしておりますが、昭和五十七年度防衛予算は、このような基本方針のもとに、財政再建が現在の緊急課題であること、「防衛計画の大綱」の水準をなるべく早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しつつ、わが国の防衛のため必要最小限度の経費を計上したものであります。この点を十分御理解いただきたいと存じます。
 また、昭和五十一年十一月の、当面、各年度の防衛費がGNP一%を超えないことをめどとするとの閣議決定は現在変更する考えはございません。
 米国の戦域核の極東配備についてお話がございましたが、現在のところ、米国がそのような具体的計画を有しているといったようなことは承知しておりません。世界の平和と安定を長期的により確固たるものとするためには、東西間の軍事バランスをできる限り低い水準にしていく努力が必要であることは申すまでもありません。政府としては、今後とも、平和国家としての立場から、核軍縮を中心とした軍縮の促進を強く訴えたいと考えております。
 なお、この関連で、私は、米ソ間の中距離戦域核戦力交渉が昨年十一月末に開始されたことを評価し、その動向を注意深く見守ってまいりたいと思います。
 米国に対する軍事技術協力の問題についてお尋ねがありました。
 これまでわが国は一方的に米国から武器技術の提供を受けてきたのでありますが、近年のわが国の技術水準の向上に伴い、相互交流の一般的な要請が米側から出てきたもので、その意味で、本件は新たな問題でございます。
 政府としては、基本的には、米国についても武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき対処する考えでありますが、米国との間では、日米安保条約等との関連もありますので、この点につき関係省庁間で検討を行っているところであります。
 次に、行政改革についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。
 増税で財政再建を行っているのではないかとの御質問でありますが、私は、五十六年度予算の編成に当たりまして、昨年の施政方針演説でも申し述べたとおり、現行税制の枠組みの中での法人税等の増徴を国民の皆様にお願いいたしました。
 昭和五十七年度においては、行財政改革による歳出削減を中心として財政再建を進めるとともに、税負担の公平確保等の見地から、現行税制の枠内で、交際費課税制度を含む租税特別措置や引当金等について、実態に即して見直しを行いましたが、これは増税なき財政再建の趣旨に反するものではないと考えております。
 国鉄再建についてでありますが、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づき昨年五月に承認された経営改善計画に従い、経営の重点化、徹底した減量化、業務運営全般の能率化を進めることとしており、特に貨物について合理化を緊急に促進するなど、合理化の促進対策について絶えず検討を行いつつ、その完全実施を図ることを目下の急務として、最大の努力を傾けているところであります。
 昭和五十七年度予算案においては、予算人員を一万二千人縮減するなど、経営改善計画に基づく国鉄自身の徹底した経営改善措置を前提として、いわゆる構造的問題に対する助成を中心に所要の措置を講ずることとしておりますが、極力抑制を図り、助成の総額は七千三百十九億円と、前年度に対し二十二億円の減としております。国鉄の助成をただ削減してみても、その分だけ国鉄に赤字が累積していくというのでは問題は解決いたしません。国鉄の体質を改善して、補助金を削減できるような状態をつくり出すことが何より肝要と考えております。
 次に、いわゆる第二交付税についてでありますが、補助金交付に伴うむだや労力を省くという御趣旨は理解できますが、公共事業関係の御提案については賛成いたしかねます。
 と申しますのは、公共事業については道路、河川など各種の事業がありますが、おのおのの事業について限られた財源を効果的に活用するためには、各地方団体ごとの整備水準、必要度等を個別に勘案しつつ計画的に実施していく必要があります。したがって、公共事業の実施に関して、地方団体に財源を一括して交付し、その使途を地方に任せるということについては、種々慎重に検討すべき問題があると考えられます。しかしながら、御提案の趣旨も踏まえ、五十七年度予算では、地方の自主性を生かすよう補助金等の統合メニュー化を積極的に行ったところでありますが、この点、今後とも推進してまいりたいと存じます。
 財政再建のめどをいつの時点に求めるか、はっきりさせよとの御質問でございましたが、昭和六十年度から特例公債の本格的な償還が始まることでもありますので、当面の基本方針として、昭和五十九年度までに特例公債依存から脱却する必要があると考えております。
 私が、財政再建の基本路線はいささかも変わっていないと申し上げても、実はそうではないのではないかとの御疑念を示されましたが、私は、五十九年度特例公債脱却という政府の基本方針に沿って最大限の努力をしてまいります。現に、五十七年度予算におきましても、歳出の抑制に努め、ゼロシーリングのもとで、一般歳出の伸び率々一・八%と、昭和三十年度以来の超緊縮予算といたしましたし、限られた範囲内ではありますが、景気の維持拡大にもできる限りの配慮を行っております。今後も、臨時行政調査会の審議の状況、流動的な経済社会情勢の変化などに十分配慮したがら、財政の再建に最善の努力を傾注してまいります。
 経済見通しとの関連で、五・二%の経済成長が可能であるというのなら、五十七年度予算の税収の見積もりが過小ではないかとの御意見でございましたが、五十七年度の税収見積もりは、現在入手可能なデータのもとで最善と思われるものでございます。五十六年度の税収が落ち込むことに配慮して、五十七年度予算の税収見積もりを低目にしてあるというようなことはございません。
 次に、貿易摩擦に関しての内需拡大の方策でありますが、昭和五十七年度の経済運営に当たっては、物価の安定を基礎とし、景気の着実な維持拡大に努め、中長期の安定成長軌道に即した適切な経済成長を実現することが肝要であると考えております。
 このため、金融政策の適切かつ機動的な運営を図ることに加えて、民間活力が最大限に発揮される環境の維持整備に努めること、住宅金融の拡充、宅地供給の促進など住宅建設の促進を図ること、個別不況産業対策、中小企業対策等の円滑な推進に努めることなど、きめ細かな経済運営を行うことにより、内需の回復を促進し、雇用の安定を確保したいと考えております。
 所得税減税でありますが、現下の財政状況及びわが国の個人所得に対する所得税負担の割合が国際的に見てなお低い水準にあることから、所得税減税についてはこれを見合わせることといたしました。
 なお、五十七年度予算編成に当たっては、臨時行政調査会第一次答申を最大限に尊重するなど、思い切った節減合理化措置を講じた結果、先ほども申し述べましたとおり、一般会計の伸び率を六・二%、特に一般歳出については一・八%と、きわめて低い伸び率に抑えたところであります。したがって、これ以上の経費の削減は実際問題として困難であると思います。
 行革の実施にあわせて各種の重要施策について明確な方針を打ち出すべきであるとの御提言でございましたが、重要な政策課題に適切かつ効果的に対応していくことは、まさに政府の責任でありますので、今後とも、政策の理念及び目標の具体化に努めてまいりたいと思います。
 政治倫理についてお尋ねがございました。
 政治倫理の確立は、政治への国民の信頼確保のための基盤であり、原点であります。私は、政治のすべての面で国民の不信を招くことのないよう、政治倫理の一層の確立に努めてまいる所存でございます。申すまでもなく、政治倫理の問題は、個々の政治家の良心の問題に帰着いたします。この意味で、政治に携わる者は、私を含め、絶えず自粛自戒し、政治倫理の一層の確立に努めてまいりたいと思います。(拍手)
 最後に、参議院全国区制の改革案について御意見がありましたが、現行の参議院全国区制については、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたことは御案内のとおりであり、その改革はいまや緊急の課題であると考えております。現在、国会の審議に付されている全国区制改正のための公職選挙法の改正案は、憲法問題などについても十分検討を尽くした上で提案されたものと承知しておりますが、今国会においてこそ精力的に御審議をいただき、速やかに全国区制の改善が実現されるよう切望いたします。
 以上、お答えをいたしましたが、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調の七月答申が今度の予算編成でどの程度実施されたかというのが第一の御質問でございますが、かなりの程度実現したと考えております。ただ、大部分の臨調委員から、たとえば給与の抑制、公務員や政府関係要員の給与の抑制が不徹底であった、こういう御批判をいただいております。しかし、今回の答申は当面の緊急措置でございますが、いよいよ六、七月には本格答申が出てまいる予定でございまして、これをいただきましたならば、全力を挙げまして総理の御指導のもとに行革を断行する決意でございます。
 第二に、どの点で実現したかという御質問でございますが、第一は、予算編成におきまして、相当程度の予算の膨張を抑えたということで、これはただいま総理が御説明になったとおりであります。
 第二番目に、そのために先般、御成立をいただきました行革関連特例法を実施いたしまして、補助金の節減そのほか、かなりの点の実現を見ました。
 さらに、各省庁にありまする補助金を一割カットするということを実行いたしまして、かなりの金額をまたそのほかに節減いたしました。
 さらに、許認可につきまして、その後も臨調委員とも協力いたしまして、大体二月の上旬に答申がそれに基づいて出てまいりますが、これをいただきました上は、できるだけ速やかに法案化して、今議会に間に合わせるように努力するつもりでございます。
 この中には、問題になっておりまする車検とか、あるいは自動車のライセンスの問題とか、あるいはデータ通信の問題とか輸入の自由化の問題とか、そういう重大なものが含まれております。
 その次に、地方公共団体及び特殊法人につきましても、国家公務員や政府に準じて諸般の節減、縮減、簡素化の措置を講じております。
 なおまた、人員の抑制につきましても、臨調答申で御指摘を受けました五年間に五%削減するという第一年次といたしまして、各省庁にそれぞれ配分いたしまして、所定の削減を実行した次第でございます。
 以上で終わります。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#10
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は三点ございます。
 第一は、経済政策でありますが、政府の経済政策の基本は、昭和五十六年度の外需中心の成長から、五十七年度は内需中心の成長に切りかえていきたい、こういうことであります。そのためには、いま総理からもいろいろ御説明がございましたが、念のために簡単に申し上げますと、公共事業量もある程度確保しておりますが、同時に、今後経済の実情に応じてこれを機動的に執行していきたいと考えております。
 また、消費拡大のためには、物価政策をさらに強力に進めていくつもりでございます。あるいはまた、投資を拡大するためには、金融政策を機動的に運営をしていかなければならぬと考えております。住宅政策も、御案内のような内容で強力に進めるつもりでございます。
 また、在庫調整につきましては、もうすでにほぼ終了したと考えておりまして、今後は在庫投資も拡大の方向に行くであろうと思います。また、個別対策、構造不況業種対策等の個別対策も強力に進めてまいりますが、以上のような対策によりまして、現在のところは政府の目標とする経済成長は可能であると考えておりますが、しかしながら、現在、世界経済は激動期でありまして、やはり今後の経済の変動に応じて、機敏かつ適切な経済運営が必要であろうかと思います。私の先般の演説におきましても、その趣旨のことを申し述べたところでございます。
 第二点は、貿易摩擦を本格的に解決するためにはどうすべきかということでありますが、いま政府の方では、貿易摩擦に対処するために、市場の開放対策、輸入の促進対策あるいは輸出につきましては集中豪雨的な輸出を避ける、こういう幾つかの対策を進めておりますが、私は、やはり根本的なこの問題の解決は、世界経済全体が再活性化をするということ、そして、世界全体の購買力が拡大をするということが第一の条件であろうと思います。同時にまた、わが国が内需の拡大をいたしまして、それによってこの貿易摩擦問題が解決をされるというそういう方向もあわせて考えていく必要があろうかと考えておるのでございます。
 第三の問題は、可処分所得が減っておるが、減税が必要である、そのために行革によって減税ができるのではないか、こういうお話でございますが、私は、減税の内容によればそういうことも可能かとも思いますが、しかしながら、やはり財源を確保するためには、行革あるいは財政改革も必要でありますが、同時に経済の活力が回復をいたしまして、そこから政府の期待をする歳入が期待できる、これも前提条件であろうと思います。あるいはまた、現在の税体系を根本的に見直す、こういうことも必要でなかろうかと思いますが、時と場合によればこの幾つかの対策の組み合わせ、こういうことも必要であろうと思います。
 いずれにいたしましても、財源がございませんと減税はできないのでありまして、減税を実行するためには、財源をいかに確保するかということがこれからの大きな課題であろうと思います。(拍手)
    〔国務大臣伊藤宗一郎君登壇〕
#11
○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えをいたします。
 ソ連は、極東方面におきましても、いわゆる戦域核戦力を増強してきており、射程約五千キロメートルの中距離弾道ミサイルSS20を数十基配備しているとともに、相当数の、バックファイア爆撃機をシベリア内陸部及び沿海地方に配備しているものと見られます。
 非核三原則を堅持しているわが国といたしましては、核の脅威に対しましては、米国の核抑止力に依存することとしております。このためにも、防衛庁としては、なお一層日米安全保障体制の信頼性の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上で終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(福田一君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#13
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私は、まず初めに、激動する国際情勢に対応する総理の基本的な認識についてただしたいと思います。
 周知のように、アメリカのレーガン政権は、この一年「強いアメリカ」「力による平和」、それを掲げてヨーロッパ、日本をも核戦争の戦場とするいわゆる限定核戦争があり得ることまでを公言し、核兵器の配備計画を強引に進め、国際緊張をかつてなく激化させています。他方、ソ連は、アフガニスタンへの軍事介入やポーランドへの圧力と軍事政権の支持、さらに軍事力の均衡が世界平和に役立つなどという重大な誤りを犯し、国際緊張激化のもう一つの要因をつくり出しているのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 総理、いま諸国民の前には、米ソ両大国を中心とした軍事ブロック間の果てしない核軍拡競争の激化と、それによる国民生活の破壊、核戦争への道を選ぶのか、それとも核兵器の全面禁止、使用禁止、すべての軍事ブロックの解消、軍縮と生活の安定、民族自決と平和の道を選ぶのか、この二つの道の選択が鋭く提起をされているのであります。総理はいまどの道を選ぼうとするのか、まず、その点を最初に伺っておきたいと思います。(拍手)
 私は、そこで、わが国が直面をしている幾つかの重要問題についてただしたいと思います。
 第一は、限定核戦争と軍縮の問題についてであります。
 ヨーロッパでは、すでに昨年来、限定核戦争に反対する大運動が空前の高まりを見せています。アジアにおいても、この限定核戦争の構想が急速に進められており、その危険をますます増大させているのであります。重大なことは、わが国がこの危険なアメリカの限定核戦争構想に深く結びつけられ、アメリカ本土への核攻撃を食いとめるための防壁、つまり核の盾になる、そういう危険が増大しているということであります。
 そこで、総理に伺います。
 その一つは、昨年十月、アメリカの軍備管理軍縮局長官の日本を含む極東への戦域核ミサイルの配備発言、続くロング太平洋軍司令官の今年中にも巡航ミサイルをわが国を基地としている米第七艦隊に配備させるなどの言明、そして来年十月に巡航ミサイルを配備すると言われるアメリカの戦艦ニャージャージーが日本に寄港することが報道されている問題についてであります。
 先ほど総理は、アジアにおけるアメリカの核戦略については、その計画を聞いていないなどと言っておりますが、事はきわめて重大であります。これらの事実についてもぜひ答えていただきたいと思います。アメリカによっていま進められているこのような事実は、ヨーロッパであれだけ反対運動が盛り上がっている巡航ミサイルが、世界で最初に日本にひそかに持ち込まれる現実の危険をつくり出していると断言せざるを得ません。政府は、わが国を核戦争の場にしないためにアメリカの戦域核ミサイルの日本とアジアへの配備に明確に反対の立場をここで表明し、アメリカ政府にそれを公式に通告すべきであります。(拍手)
 その二は、非核三原則についてであります。
 昨年十二月、中南米非核地帯条約について、核積載のアメリカの艦船、航空機の寄港、発着は禁止されないとした米上院外交委員会での証言に関連し、アメリカ当局者は、共同通信社の問い合わせに対して、核の存在は否定も肯定もしないというのがアメリカの政策だ、この政策はどこにでも適用されると答えています。これは総理が国是と言っている非核三原則が実際にはアメリカの核隠し政策によって押しつぶされ、空洞化されていることを何よりも明らかにしたものと言わざるを得ません。
 総理、いまこそ非核三原則を法制化するとともに、いかなる場合といえども核兵器の持ち込みには通過、寄港、発着も含まれていることをアメリカ政府が公式に表明することを要求すべきであります。いつも出てくる総理の答弁は、事前協議がないから核は持ち込まれていないんだという、このひとり勝手の答弁の繰り返し、そういう解釈で事態を済ませるわけにはいきません。国是であるなら、それにふさわしい厳然とした態度をとるべきであると私は思います。(拍手)インド洋の人口六万五千の国、セイシェル共和国は、核積載の有無を言わない艦船も含めて、二年前からこれを拒否しているのであります。どうして日本政府はこのような態度をとれないのか。安保条約があるからとでも言うのですか。この点についても答えていただきたいと思います。
 その三は、在日米軍の核基地、核部隊の撤去とともに、ソ連が極東に配備しているSS20戦域核ミサイルの撤去を求め、アジア・太平洋地域の非核武装地帯化を目指すべきであります。
 以上の諸点について、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 今年六月、第二回国連軍縮総会が開かれます。わが国は世界で唯一の被爆国であります。しかし、驚くべきことに、総理、あなたの施政方針の演説には、核兵器の完全禁止も使用禁止もありません。一体、これはどういうことなんですか。広島、長崎で亡くなった幾十万の人々がいま原爆なくせの声を上げることができないとすれば、生きて政治の衝にあるわれわれこそ、核兵器完全禁止、使用禁止、軍縮、軍事ブロックの解消の声を全世界に向かって大きく上げるべきではありませんか。(拍手)政府は、この明確な被爆国の願いを来るべき国連軍縮特別総会に提案すべきであります。
 次に、総理が昨年五月、日米共同声明で約束をした内容が、いま本格的に実行に入っていることと関連し、特に軍事費の異常な突出について伺います。
 総理は、昨年秋の臨時国会で私の本院での質問に答えて、軍事費を聖域にしないということを言明されました。ところが、あれからわずか三カ月であります。総理の責任で編成をした来年度の予算は、あなたの答弁とは逆に、軍事費は後年度負担を含めて、実に四兆三千億円を超える異常な大突出であります。これこそ重大な食言であります。総理は、この食言をどう考えるか、責任ある答弁を求める次第であります。
 いま、この予算は、防衛独走、重いツケとか、防衛の陰に泣く福祉など、マスコミを含めて国民各階層から痛烈な批判を受けているのであります。ところが、これとは全く逆に、アメリカ側は、国防総省が特別声明を発表するとか、国務長官が外務大臣に感謝の書簡を送るなど、軍事費の突出に高い評価を与えているのであります。こうしたアメリカのお褒めの言葉について、総理はどのようにお考えですか、この点もお答え願いたいと思います。
 新聞報道によりますと、この軍事費の突出は、昨年十二月の下旬に、内政干渉ともいうべきヘイグ国務長官の極秘のメッセージの圧力によって行われたとのことであります。私は、アメリカ当局の一連のメッセージ、書簡を公表することを政府にここで求めたいと思います。
 さらに重大なことは、この大軍拡予算は、レーガン政権が露骨に追求している危険な限定核戦争に自衛隊を結びつけるというものであります。とりわけ、優先発注したF15戦闘機、P3C対潜哨戒機の導入は、日本の防衛ではなく、このアメリカの核戦略に自衛隊を深く加担をさせ、東アジア、西太平洋の広範な地域で日米共同作戦を分担させるものであります。まさに限定核戦争構想下における軍拡元年予算というべきものであります。したがって、私は、このような危険な軍事費の一兆円以上の削減を平和と国民生活防衛の名において強く要求するものであります。(拍手)総理の回答を求めるわけであります。
 総理、さらに強く指摘しなければならないことは、この軍事費異常突出の根源に、昨年の日米首脳会談の際、総理が、米第七艦隊のインド洋、ペルシャ湾出動で留守となった日本周辺海域、海上輸送路の一千海里をわが国の自衛の範囲内、このようにして守っていくとの言明があるということであります。ホールドリッジ国務次官補が昨年十月、ワシントンの日米協会での演説で強調しているように、アメリカはこの鈴木総理の言明を公約と受けとめ、その実行を迫ってきているのであります。総理、この一千海里を自衛範囲とするとのあなたの言明が対米公約と受け取られてもいいのですか。それともこの言明を取り消しますか。明確にお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 次に、政府が着手をした極東有事研究について伺います。
 まず、極東有事、朝鮮有事の際、米軍に自衛隊基地の使用を認めるかどうかという問題であります。ドネリー在日米軍司令官は、昨年十一月の記者会見で、朝鮮有事の際、一九五〇年代の朝鮮戦争当時の先例にならった便宜供与を期待すると述べました。これは米軍基地はもちろん、自衛隊の基地も使い、それでも間に合わなければ民間の港湾、空港も使いたい、なお、その際、武器弾薬、食糧など戦略物資、補給物資の調達、輸送の支援もしてほしいとの趣旨であります。日本と無関係の、アメリカと第三国の戦争に日本が中立を守らず基地の使用を認めること自体、国際法上わが国は報復攻撃を受けてもやむを得ない立場に立たされ、日本を核の戦場にすることになるのであります。総理、米軍による自衛隊基地使用を断じて認めるべきでないと思うけれども、その点についてはどうか。
 さらに、ドネリー司令官も求めている極東有事、その際の後方支援への自衛隊の参加の問題についてであります。日本と無関係の戦争に、いかなる名目にせよ自衛隊が参加することは、集団自衛権の行使となり、自衛隊法上はもちろん、憲法上も許されません。総理の所見を改めて示していただきたいと思います。
 また、伊藤防衛庁長官、あなたは去る一月十日、私も一緒に出席したNHK番組で、極東有事で行動する米軍のために有事法制を研究するのかとの質問に答えて、そういった点も問題点として研究グループでよく研究してもらいたいと思っている、そのように答えられました。米軍にこれ以上日本人の権利、財産を踏みにじらせるというのですか。そうした研究はすぐやめるべきであります。それとも、伊藤長官はあくまで研究を進めるというのでありますか。その点についてもはっきりお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 以上指摘したように、今日、日米軍事同盟は、集団自衛権容認を前提としたNATO型双務条約の方向に進んでいるのであります。すでに総理が総裁として了承を与えている自民党の改憲草案作成という作業も、その中心はここにあると言わざるを得ません。いま政府に求められていることは、憲法の改悪、改憲ではなく、まさに憲法の前文、すなわち、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、この憲法を確定するとの立場に立ち返ることではありませんか。(拍手)総理、いまあなたはこの憲法問題についてどのように考えているのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 次に、私は、この際、日米間の懸案になっている軍事技術の協力問題についてお伺いをいたします。
 われわれの調査によれば、電電公社と日本電気などが共同で開発した光通信の中継器、端局装置などが北米防空司令部と近郊のピーターソン空軍基地を結ぶ軍用通信網に使用されていることが明らかになっています。これらは政府の認可を得たものかどうか、武器輸出三原則及び政府統一見解、国会決議に抵触するのではないか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 同時に、防衛庁は、軍事技術についての日米の覚書の公表を、新聞によりますと拒否しているようでありますけれども、私は、民主政治の名においてその覚書を国会に提出することを強く要求するものであります。(拍手)
 第二に、来年度予算編成と財政危機、国民生活問題について質問をいたします。
 今日、国民の実質消費支出は、政府の調査によっても、戦後初めて二年連続のマイナスを記録することが確実となっています。それに伴って、中小企業や地場産業、商店の経営は一層圧迫され、その結果、昨年企業倒産は、実に一万七千件を超えたのであります。こうした消費の落ち込みによる不況は、必然的に税収のおびただしい不足を招いています。財政危機をますます激化させています。
 政府は、補正予算で、今年度の税収見積もりを四千五百億円減らしました。事態は、しかし、ますます深刻であります。公表された十一月までの税収の伸び率は、予算で見込んだ伸びの半分以下であります。このままの状態でいけば、今年度の税収の不足は、実に二兆三千億の巨額に達することになりますが、総理は、その可能性を否定できますか。六月にならなければわからないんだなどという無責任な態度でなく、明確に見通しを示していただきたいと思います。
 深まる消費不況のもとで、税金の収入がふえる余地は全く残されておりません。二兆円を超える税収欠陥が出た場合、どのように措置されますか。また、総理は、どのように政治責任をおとりになりますか。はっきりお答えを願いたいと思います。
 しかも、今年度の税収不足は来年度予算に拡大をされ、引き継がれて、来年度は、これがさらに三兆円を大きく上回ることがすでに予想されているのであります。五十九年度には赤字国債をゼロにするんだという政府の目標は完全に吹っ飛んで、逆に国債増発にもなりかねない雲行きになっていることをどう考えますか。
 私は、早くも破産が明らかになった前例のない粉飾決算ならぬ粉飾予算である来年度予算案を撤回をして、全面的に再編成することを強く求めるものであります。(拍手)
 根本問題は、異常な税収欠陥が、軍拡のツケも財政危機のツケもすべて国民に回すという、あの行財政改革路線の必然的な結果から生まれていることは言うまでもありません。これを続ける限り、消費不況を一層深刻にして、財政危機の激化を招くことは避けられません。そして、その穴埋めに、国民への増税と福祉の切り捨てが追加されるのであります。それでも総理は、あくまで従来の路線を固執されますか。
 私は、わが党が繰り返し要求してきたように、軍拡、大企業奉仕の政策をきっぱりと清算をし、まず国民の暮らしを守る政策、すなわち、国民の購買力の向上と生活密着型の公共投資の拡大という二本柱の経済財政政策に転換しなければ、不況の克服も財政再建もできないんだということを改めて強調するものであります。(拍手)
 以下、幾つかの点について具体的にお尋ねをいたします。
 まず、軍事費と並んで第二の聖域とされている大企業奉仕の問題であります。
 来年度予算で、大企業に対する補助金は、第五世代コンピューター開発費が前年度の何と二十八倍であります。次々期民間航空機開発費は、これも四・二倍という大きなふくらみを示しているのであります。三菱重工、この三菱重工一社だけでも国からの補助金は六十億円を超えて、これは児童手当十四万人の打ち切り分にも相当するものであります。この点を考えただけでも、大企業に対してどれほど大きな手厚い補助金が出されているかは明白であります。
 国民の願いである福祉、教育に手をつける前に、どうして大もうけを続ける大企業への補助金にメスを入れることができないのですか。(拍手)
 税制についても同様であります。たとえば、トヨタ自工は、昨年、額面五十円の株式を千四百十五円の時価で売りに出して、実に九百五十六億円のぼろもうけをしましたけれども、これには一円の税金もかかっていないのであります。財源不足ということを嘆くのであれば、なぜこのような大企業優遇の不公平の税制をそのままにしておくのですか。軍事費一兆円以上の減額とともに、大企業奉仕をやめることによって、歳出でさらに一兆円、歳入で三兆円を超える財源確保が可能になるのであります。
 次に、私は、一兆円の減税の断行を求めます。政府の調査でも、五年連続の減税拒否によるすさまじい実質増税のために、四年前には給与の九〇%であった勤労者の手取りの収入は、昨年には八五%に急速に落ち込み、減ってきているのであります。その上、来年度は平均世帯で五万円もの新しい増税が見込まれているのであります。政府が内需中心の、お話に出ております実質五・二%成長を本気で目指すというのであれば、まず取り組むべきは減税であります。ところが、政府は、来年度減税を拒否しているばかりではありません。国民の要求を逆手にとって、大型増税の可能性を繰り返し示唆しております。増税の見返りにその一部で減税をしてやる、こういうようなやり方ほど国民を愚弄する話はありません。
 私は、政府に対し、将来にわたって一般消費税の名前を変えた大型間接税の導入など、勤労国民への増税は一切やらないということを言明するよう強く求めます。(拍手)
 第三に、年金の充実、心身障害者施策の強化、私学助成の増額、四十人学級制の推進のための福祉、教育予算をふやすという問題であります。
 とりわけ老人医療の無料化を継続することであります。いまこの老人医療の無料化を継続せよという国会請願は、連日のように全国から寄せられています。このお年寄りの切実な願いを満たすためには、戦闘機わずか数機でやれることなんであります。冷血無慈悲な老人医療有料化法案を廃案にすることを強く求めます。(拍手)全国のお年寄りに、総理、この場からお答えを願いたいと思います。
 第四に、大企業の横暴から国民生活を守ることであります。財界の賃金抑え込みに対抗して、低賃金の労働者をなくすため、全国一律最低賃金制の確立、障害者の雇用率の引き上げ、高齢者雇用率の義務化を実行すべきであります。
 また、大型店、大資本の出店を行政指導にとどめることなく、許可制として中小業者を守ること、大企業の輸出ラッシュの犠牲を農民に負わせるような、農産物の輸入拡大をやめることも緊急の課題であります。(拍手)
 しかも、これらの対策は一円の予算措置も要りません。総理の決意一つでできることであります。一つ一つについて明確に答えていただきたいと思います。
 第三に、総理が情熱を傾けると述べた本格行革なるものについて質問をいたします。
 昨年七月の臨調第一次答申は、福祉、教育を抑えて、軍事費の異常な突出と大企業の利益擁護という点で、確かに一つの突破口となりました。それがそのまま来年度予算の編成方針書となったことは言うまでもありません。
 いま臨調は、ことしの夏の基本答申に向け審議を急いでいますが、その検討課題として掲げられているものは、第一次答申をはるかに上回る恐るべき内容であります。すなわち、国民の財産である電話網、新幹線を財界に売り渡す電電、国鉄の民営化を初めとして、福祉、教育の諸制度の根本的な見直し、現在の都道府県制の廃止と道州制の採用、防衛庁を国防省に昇格させるという問題、さらには戦時体制を想定した危機管理などがそれであります。
 総理、国のあり方の根本にかかわるこのような重大な問題についてまで、あなたは答申があれば全面的に尊重するというのですか。これらの課題の一つ一つについて、総理自身の見解を含め、明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)財界代表を中心とした少数の人々による密室審議に日本の運命をゆだねるわけにはとうていまいりません。私は、改めて、臨調委員及び専門委員のメンバーの一新、会議の公開を強く要求するものであります。
 いま行政改革を言うならば、真っ先にまず取り組むべきは、公共事業を食い物にする大手大企業の悪質な談合入札の根絶で、あります。ところが、臨調では、第一部会から第四部会に至るまで、この談合問題を取り上げたこともなければ、今後取り上げる予定もありません。総理、談合問題に代表される政界と財界と官界の癒着とその腐敗、国費のむだ遣いは行政改革の課題ではありませんか。総理はどのようにこの問題をお考えですか。この際はっきりさせていただきたいのであります。
 大手企業の悪質な談合は、やめるという気になれば簡単にやめることができるのです。やめさせられます。
 その第一は、天の声と呼ばれる政治家の介入をなくすために、国や公団、公社から発注を受けた企業の政治献金を禁止することであります。(拍手)
 第二は、最近の防衛施設庁の実例にも見られるように、工事発注というおみやげが常識になっている高級官僚の関連業界への天下りを禁止をすることであります。(拍手)
 この二つは、臨調任せではなく、総理自身の決意があれば、それでできることであります。しかと総理の答弁を承りたいと存じます。
 最後に、政界浄化の問題です。
 おとといロッキード事件全日空ルートの判決が行われ、公訴事実はすべて事実と認定され、若狭被告を初め全員に有罪が言い渡されました。当然のことであります。この判決の重大性は、まず、さきの小佐野判決に続き、田中角榮元首相の航空機輸入をめぐる犯罪を立証する上で重要な争点となっているニクソンとのハワイ会談を起点としたいわゆる田中工作を改めて裏づけたところにあります。また、同時に、若狭被告らが組織的、計画的に、いわゆる灰色高官を含む政治家に金を贈るために、あの九十ユニットとか三十ユニットとか言われた裏金づくりをしていたその事実が明らかにされたことであります。
 それをもらった限りない黒に近いいわゆる灰色高官、政治家の政治的道義的な責任が厳しくただされ、追及されなければならないのは当然であります。アメリカでさえ、先般、大統領補佐官が、一千ドル、二十数万円を受け取っただけで、それを追及され、辞任しました。しかし、わが国では、刑事被告人である元首相が現に政界に強力な影響力を持ち、鈴木総理もまたその影響を受けていると一般に見られているのであります。これはまさに、日本の議会制民主主義の根幹にかかわる重大な問題ではありませんか。(拍手)総理は、政治倫理を説くならば、この重大な政治倫理にかかわる今回の判決について沈黙は許されません、総理の所見を伺います。
 いま、国民は、ロッキード事件の真相解明が、一体あれはやれるのかやれないのか、その成り行きに注目をしているのであります。総理は、みずからの責任において、国民の疑惑にこたえ、政治的道義的責任を含むその全容を国民の前に明らかにしなければなりません。その決意があるかどうか。また、そのために、わが党は、一貫して主張してきました航空機輸入問題調査特別委員会を復活させることが不可欠であると確信します。総理の見解を求める次第であります。(拍手)
 私は、質問を終わるに当たって、わが国はいま軍拡による国民生活圧迫と戦争への道を選ぶか、また、軍縮によって生活の向上と安保条約廃棄、平和への道を選ぶか、重大な歴史的岐路に立たされていることを再度強調し、軍事費を削って、福祉と教育と暮らしに回せの国民の声にこたえ、全力を尽くす日本共産党の決意をここに表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) ただいまの御質問に対してお答えをいたします。
 まず、軍拡か軍縮かとのお話でございました。
 確かに、近年国際情勢は厳しさを増しておりますが、さりとて、さきの施政方針演説でも申し述べたとおり、東西両陣営が競って軍備増強を続ける結果となっては、人類の幸せは望むべくもありません。われわれは、力の均衡が平和と安定を支えているという現実を認め、その均衡の維持に努めるとともに、その水準をできるだけ低くするようあらゆる努力を行う責務があると考えます。
 そのような意味で、来る第二回国連軍縮特別総会は、各国がこのような努力を一層強化するためのよい機会であり、私自身もこれに出席して、平和国家としてのわが国の立場から、核軍縮を中心とし、現実の国際関係において実現可能な具体的軍縮措置を一歩一歩促進していくよう強く訴えたいと考えます。
 なお、レーガン米大統領など、米国政府要路のいわゆる核兵器の限定的使用についての発言に言及されましたが、この発言は、米国はいかなる攻撃に対しても、これに対応し得る有効な態勢をとることをその抑止力の基本としているという趣旨を述べたものと認識しております。また、米国政府が戦域核の極東配備について具体的計画を有しているといったようなことは承知しておりませんし、巡航ミサイルについては、実際の配備はいまだ行われていないと承知しております。
 次に、わが国の非核三原則については、内外に広く周知されているところであり、改めてその法制化が必要とは考えておりません。
 また、艦船または航空機による核の持ち込みを含め、核の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となるということは、従来からもたびたび御答弁申し上げているとおり、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解から十分明らかであると考えます。
 在日米軍の核基地、核部隊という御指摘でありますが、この問題についての御答弁も、以上申し述べたところにより御了解いただけるものと存じます。すなわち、そのようなものはそもそもわが国には存在しないということであります。(拍手)
 アジア・太平洋地域の非核武装地帯の設置という問題につきましては、一般的には、適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱により非核地帯が設置されることは、核拡散防止の目的に資するものと考えますが、アジア・太平洋地域においては、そのような現実的な条件はいまだ整っていないと考えます。
 また、核兵器の使用禁止などについての御提言につきましては、私は、現在の国際関係において実現可能な具体的軍縮措置を一歩一歩促進していくという現実的な立場で対処してまいりたいと考えております。
 次に、防衛問題について一連の御意見がありましたが、防衛に対する国民の関心が高まりつつある今日、国の存立の基本ともいうべき防衛問題について、批判のための批判とも思われる論議はいかがかと存じます。
 まず、五十七年度防衛予算がシーリングを超える結果となりましたが、この点については、人件費のウエートが高い省庁はシーリング枠を超えざるを得ない事情もあり、防衛予算のみを特別扱いしたわけではございません。
 なお、五十七年度予算において政府が払った自主的な防衛努力を米国政府が関心を持ち、評価しているのは、日米安保条約の一方の締約国として自然なことであって、そのことについての書簡自体を公表するということは差し控えたいと存じます。
 また、防衛費の中から一兆円以上を削減せよとの御意見でありますが、憲法及び基本的防衛政策に従い、わが国自身の防衛のため必要な範囲で防衛力を着実に整備していくために真に必要な経費であり、それを削減する考えはございません。(拍手)
 また、昨年私が訪米した際、ナショナル・プレス・クラブで述べたわが国の海上交通路の保護のための防衛力整備についての私の発言は、すでに国会においてもしばしば申し述べているところであり、これを取り消す考えはありません。
 次に、いわゆる極東有事の事態にかかわる日米共同研究についてお答えいたします。
 この研究作業の内容は、今後の研究結果を待たなければなりませんが、いずれにしましても、私は、本件研究作業を進めることは、安保条約の抑止力を高め、わが国の安全及び極東の平和及び安全を一層効果的に維持するという意味で有意義と考えております。
 いずれにせよ、わが国が集団的自衛権の行使をすることは憲法上認められていないところでありまして、わが国が米軍に対し集団的自衛権の行使に当たるような協力をすることは考えられないことであります。鈴木内閣においては、現行憲法の尊重、遵守を明確に申し上げておるところであります。
 五十六年度税収見積もりについての御質問でありますが、歳入予算は、見積もりの時点における利用可能な資料という限界の中で、最大限の努力を傾けて見積もりを行っているものでありまして、補正予算における税収見積もりは最善の努力を尽くした結果であることを御理解願いたいと存じます。
 来年度予算の撤回を求めておられますが、政府としては、現に御審議いただいておる五十七年度予算が最善のものと考え、御提案いたしておるところであり、各党の御理解をいただけるものと確信しております。
 この五十七年度予算においては、歳出の徹底した削減に努める中で、財源の重点的配分に努め、中長期的視点から充実を図る必要のある経費には特に配意する一方、社会保障、文教などについてはきめ細かく配慮しております。
 今後とも、五十九年度特例公債脱却を基本目標に財政再建を着実に進め、国民的課題である行財政改革に取り組んでまいりますので、一層の御協力をお願いする次第であります。(拍手)
 大企業に対する補助金、税制上の措置についてのお尋ねがありましたが、補助金につきましては、五十七年度予算編成に対し、厳しく見直しを行っており、大企業優遇といった性格のものではありません。
 所得税減税につきましては、しばしば申し上げておりますように、現下の財政事情では見合わせざるを得ません。
 福祉、教育予算でありますが、これも厳しいゼロシーリングのもとで極力配慮いたしました。一般歳出の増加額五千六百九十六億円のうち、三分の二近くが福祉、文教予算の増額に充てられております。
 老人保健法案の中の医療費の一部負担は、老人の方々に健康への自覚と適切な受診をお願いする趣旨のものであり、撤回する考えはございません。
 全国一律最低賃金制を確立せよとの御意見でありましたが、最低賃金は、地域の実情に応じて決定する現行方式が有効であると考えます。
 心身障害者の雇用促進につきましては、国際障害者年を契機として、大企業等で相当の雇用の改善が図られたところでありますが、今後とも、さらに重度障害者を重点に、その対策の充実強化に努めてまいりたいと存じます。
 高年齢者雇用対策は、今後の高齢化社会に対応し、積極的に推進することとしておりますが、わが国の雇用、賃金慣行のもとでは、高年齢者雇用率の義務化は適当でないと考えます。
 農産物の輸入についてでありますが、わが国農業の健全な発展との調和に配慮してまいらなくてはならないと存じます。なお、病害虫規制の問題につきましては、従来から技術的見地に立って、慎重に対応してきております。
 次に、行政改革に関連した御質問にお答えいたします。
 まず、臨時行政調査会の検討課題についての私の見解をお求めになられましたが、御指摘の問題が臨調答申で取り上げられることになるのかどうか承知いたしておりませんし、また、いずれにせよ、臨調で真剣な検討が行われている最中でもありますので、私の見解を述べることは差し控えたいと存じております。
 臨調の委員、専門委員のメンバーを一新せよとのことですが、現在、各界の代表的有識者に参加いたしていただいておりますので、これを改める考えはございません。
 大型店の出店問題についてでありますが、大型店の出店が高い水準にある一方、最近の消費支出の伸び悩みから、中小小売商の経営は厳しいものとなっていることは事実であります。このような状況にかんがみ、政府としては、大型店出店に関する規定の運用に改善を加えることとしており、近く実施に移す予定といたしております。
 談合の問題でありますが、まことに遺憾なことであり、政府としても合理化対策を進めてまいる所存であります。
 なお、この問題は、臨調における検討事項の範囲に含まれているものと考えます。
 談合防止のためには、国から発注を受けた企業の政治献金を禁止してはどうかとのことでありましたが、国から発注を受けた企業は、選挙に関する寄附については禁止されております。
 談合問題は業界内部の出来事であり、必ずしも退職公務員が関連企業へ転職しているから談合が起きたという性質のものとは言えないと思いますし、また、人事院の審査も厳重に行われていると承知しております。しかし、かりそめにもかつて公務員であった者が不正に拍車をかけるようなことがあってはならないことは当然でありますので、人事院でも今後一層の配慮をするものと聞いております。
 最後に、お尋ねのいわゆる全日空ルートの判決につきましては、司法当局において慎重な審理の結果下されたものであり、行政府の責任者である私がその判決について論評を加える立場にはないことを御理解願いたいと存じます。
 なお、国会に置かれていたいわゆる航空機特別委員会の復活につきましては、これは国会の問題でありますが、航空機輸入に関連して指摘されていた疑惑に関しては、すでに司法当局において解明が終わり、委員会の任務が終了したものと承っております。
 以上、お答えをいたしましたが、残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
#15
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本電気が電電公社と共同で開発し、米国に輸出いたしました光通信用装置が米軍に使われておる、これは武器技術や武器の輸出ではないかというお尋ねでございますが、とれら通信装置機器は、米国の一般通信用規格に適合した汎用品でありますので、武器輸出三原則の武器には該当いたしません。(拍手)
    〔国務大臣伊藤宗一郎君登壇〕
#16
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 二点についてお答えをいたします。
 第一点。御指摘の研究は、すでに先生御承知の「日米防衛協力のための指針」というものがございまして、それに基づいて、日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に、日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方に関して研究を行うものであります。そして、それは安保条約、わが国の関係法令等の法的枠組みの範囲内において米軍に対して行う便宜供与のあり方について研究をするものでありまして、国内法の改正問題についての研究を行うものではないのであります。そして、この研究は、もともと同指針で予定されていたものでございますので、研究をやめる考えはありません。
 第二点。報道されておりますいわゆる共同研究開発に関する覚書、これは昭和四十一年に防衛当局間で行った研究開発に関する覚書のことと思われます。これは当局間の資料交換等を効率的に行うための担当者間の考え方を述べ合ったことの記録として取り交わされた、いわば議事録のようなものと承知をしております。
 覚書の内容につきましては、米側当局との間で公表しないこととしているので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○副議長(岡田春夫君) 河野洋平君。
    〔河野洋平君登壇〕
#18
○河野洋平君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表して、総理並びに関係閣僚に対し、当面の問題について質問を行います。
 まず、教育についてお尋ねをいたします。
 大学進学希望者に対する共通一次試験が終わって、入試競争はこれから本番に入ります。毎年三十一万人もの新入生を受け入れている私学は、その公共的使命から、この五年間に一兆円を超える国からの補助金を受けています。しかしながら、今日の私学のすべてが、その建学の精神に沿った教育内容の充実に努力を払って、あるいは公共件に対する社会の期待に真摯にこたえているかどうか、問題があると思います。
 私学が入学試験に独自の方法を考えることは、むしろ当然であります。その基準は、単に受験牛のみならず、社会的な納得の得られる客観性が必要であります。ここ数年、私立大学の入試をめぐる多くの不祥事件が世を嘆かせながら、依然として社会が納得するような物差しをつくるという改善策がとられないことは、きわめて残念であります。
 私は、この際、文部省が一つの方法として、私学が独自の基準によって特定の科目を指定するなどして、たとえば共通一次試験への参加を考えるように勧告をするといったようなことを考えてはいかがかと思います。それは点数至上主義をとれというのではありません。進学希望者の能力を適正に評価するためであり、大学経営が栄えて教育が滅ぶことのないためのものであります。
 文部省は、私学の共通一次試験への参加を一体期待しているのかいないのか、なぜ今日まで純粋私学がただの一校も参加していないのか、活用のための法制化は法律上不可能であるのかどうか、文部大臣から御答弁をいただきたいと思います。もしほかに、私立大学入試の改善策について、すでに文部省が具体的な構想をお持ちならば、あわせてお示しをいただきたいと思います。
 いま、世界の有識者が真剣に憂慮し、警告している問題に、地球環境の破壊があります。
 一昨年の夏、アメリカの環境問題諮問委員会がまとめた報告書によれば、今日の地球は、毎年日本の面積の半分以上に及ぶ森林が減少し、その一方で、毎年九州と四国を合わせた広さの土地が砂漠化するなど、深刻な危機が進みつつあります。二十年後には、空気中の炭酸ガスは二倍の濃度となり、地球上の動植物の二〇%に当たる五十万から二百万の種が絶滅するのではないかという予測さえあるのであります。
 こうした事態を背景に、ことしは五月にケニアのナイロビで国連環境計画の特別の会議が開かれます。わが国においても、超党派の有志議員で組織している自然保護議員連盟と国際軍縮促進議員連盟が協力して、地球防衛基金の創設を提案いたしております。
 政府は、これらを踏まえて、地球の危機を回避するための方策を研究し、世界に具体的な提案をするための特別の国際委員会を臨時に創設することを日本が中心になって働きかけるお考えはないか、お尋ねをいたしておきます。
 徐々に進む環境破壊がいわば慢性的な地球の病だとすれば、一挙に地球を破滅させる急激な危機は、核兵器によってもたらされると思います。
 私は昨年、広島市がつくった原爆記録映画をアメリカの友人あるいは議会関係者などに見せました。彼らは、この映画を見た後、しばらく声が出ないほどのショックを受けました。そして、日本の政府は唯一の被爆国としてなぜもっと全米の人たちに核軍縮の呼びかけを真剣にしないのだろうかと、アメリカの人は口をそろえて感想を述べたのであります。
 さきに広島を初めて訪れた軍縮と安全保障問題に関する独立委員会のパルメ元スウェーデンの総理は、世界の首脳には、就任したらまず広島訪問を義務づけたらいい、戦略担当者、核兵器設計者、シンクタンクで核戦争のシナリオづくりをする者、核戦争に勝利が可能と言っている者も広島市を訪ねるべきであると述べています。
 ことしの第二回国連軍縮特別総会において、総理は、広島や長崎における国際会議開催の呼びかけであるとか、あるいはさらに一歩進めて、原爆の地広島に平和研究所とでもいうべき恒久的な、米ソを含む国際的な英知を集める国際機関の創設を呼びかけてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたしておきます。
 関連して、もう一点伺っておきます。
 政府は、同僚議員の限定核戦争等についての質問書に対して、核兵器装備の巡航ミサイル艦船の寄港や通過は事前協議の対象であり、その場合にはこれを拒否すると答えておられます。また、平和憲法のもとでの非核三原則の堅持によって、核兵器の廃絶という究極的目的を目指すとも強調されておるのであります。
 私は、まず、一九八四年以降と言われる巡航ミサイル搭載艦船の寄港、通過は、これを一切認めないという政府の方針をここで確認をした上で、以下お尋ねをいたします。
 西ドイツのシュピーゲル誌によりますと、ソビエトのブレジネフ書記長は、昨年十月の同誌とのインタビューに答えて、核兵器の生産と入手を拒否し、領土内にそれを持たない国々に対しては、ソ連はいかなる状況下でも決して核兵器を行使することはしないということを、私は全責任を持って声明することができる、われわれは一つの例外もなく、すべての国に対して条約の形でこれを保障する用意があると発言をいたしております。
 非核三原則を国是としているわが国にとりまして、ソ連側のこうした発言の真意をただすべき価値があるのではないか、こう考えますが、政府の御見解を求めておきます。(拍手)
 私たちは、自国防衛のためのシビリアンコントロールによる自衛隊と、日米安保条約は認めるけれども、歯どめのない軍備拡張への道はこれを認めないという基本方針に基づいて、防衛問題に取り組んでおります。そうした立場の私たちから見ますと、来年度予算案における防衛費には無視できない問題が含まれているのであります。少なくとも昨年の日米首脳会談まで、政府は、日本の防衛は自主的に決定すると繰り返し言ってまいりました。しかし、この政府の方針は、日米首脳会談が同盟をうたい、総理が防衛力の増強になお一層の努力を約束されて以来、明らかにアメリカの要求にこたえて増強を図る方向へと大転換されたというほかはないではありませんか。五十七年度防衛予算の持つ真の問題は、こうした質的な転換にあると思うのであります。
 戦後一貫して私たちが国是としてきたものは、平和な文化国家を目指し、断じて軍事大国の道は歩まないという国民的合意であったはずであります。
 総理も、昨年のASEAN諸国訪問の際、軍事大国にはならないことを確約されましたし、福田元総理は、いわゆるマニラ・ドクトリンを二年前にも改めて強調して、日本の持てる経済力をもって世界の平和、世界の繁栄のために貢献するということでなければならない、経済協力といった考え方が具体的にどんどん進んでいくことになれば、何もわが日本が軍事力を強化する必要はないと述べておられます。
 ところが、この経済協力に重点を置くとの歴代総理の言明にもかかわらず、五十七年度予算でも、財政投融資などを含めた経済協力費の総枠は九千四百億円、対GNP比〇・三四%にすぎないのであります。わが国は、早急に国際的な目標の対GNP比〇・七%を達成し、国際社会に対する責任を果たすべきであります。
 一方、防衛費は、来年度程度の増額を五十八年度以降も続けていくのであれば、政府が五十一年に閣議決定した防衛費はGNPの一%以内とするという歯どめは、先ほど来からの話のように、間違いなくほごとなると思います。
 そこで、私は、この場から、防衛費を将来にわたってGNP一%以内にとどめるとともに、経済協力費を従来の政府計画よりも早めて〇・七%水準に速やかに引き上げるよう、国会が決議されるように提案をしたいと思うのであります。(拍手)
 今日の世界情勢は、米ソ両大国による東西対立の構図が、第三世界勢力の台頭、各国における民族主義の高まりなどによって大きく変化しつつあると私は思います。
 米ソ両国が軍事力によって世界を二分し続けていこうとでもするかのような力の政治は、地球資源の乱費であり、世界経済の停滞を招き、人権や主権の抑圧などを促進することはあっても、南北問題の解決、開発途上国の平和と繁栄、限りある地球資源の活用、人類の飢餓からの解放などにとってはむしろ有害と言うほかはないでしょう。国際社会に名誉ある地位を占めたいと誓ったわが国の責務は、米ソ両大国の力の政治に絶えず反省を促し、第三世界をも包み込んだ永続的な世界平和の体制づくりに貢献することにあるのではないでしょうか。ぜひ政府の認識をただしておきたいと思います。(拍手)
 次に、当面の外交課題について伺います。
 貿易摩擦、特に対米貿易摩擦は、防衛問題とも絡みやすく、早急に解決の方途を探さなければなりません。アメリカを訪ねて直接肌で感じることは、アメリカが真に望んでいるのは、日本が対米貿易の不均衡に対していかに誠実な解決策を示すかにあるという実感であります。
 特に日米間では、これほど間断なき対話が強調されながら、事が起きて初めて話し合いのテーブルに着くというのが実態ではありませんか。政府は、日常、常に対話を怠らず、たとえば経済活動の根底にある国民性であるとか、社会、文化などについて、双方の理解を深めるための不断の努力に欠けているのではないでしょうか。特にコミュニケーションの対象がワシントンとかニューヨークなどの大都市に偏っているために、日本に対する理解が十分行き渡っていないばかりでなく、その交流は狭い範囲の人たちに限られているのが現状です。そのために、わが国の平和憲法の存在であるとか、非核三原則、武器輸出禁止の問題等について、こうした問題の理解のない論評が今日でも広く行われているのは、まことに残念なことであります。
 経済活動の実態についても、もっと丁寧に説明をすべきではないでしょうか。アメリカを初めとする先進各国の援助があったとはいえ、焼け跡の中から立ち上がり、ひたすら働き続けてきた国民の血と汗のにじむ努力、商品の優秀さ、困難な状況を乗り越え、絶えざる活動を続けている人たちについて、まず政府が正しく認識をするべきであります。そして、相手側に理解を求める必要があります。その正当な認識の上に、先方の事情も考え、自制ある輸出行動、開放体制の整備などを進めるべきものと考えますが、御答弁を願いたいと思います。
 次に、日韓経済協力問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、政府は、韓国を世界の常識どおり中進工業国として位置づけるのかどうかについてお尋ねをいたします。
 中進工業国という認識に立つのであれば、日韓の間の経済協力は民間ベースを主体とするという両国間の再三の確認があり、金額にも限度があるはずであります。もし朝鮮半島とわが国との特殊な関係であるとか、現在の韓国の困難な経済情勢などを考えて、画期的に増額をするというのであれば、ASEAN諸国などとの関係に影響が出てくるはずであります。
 わが国が朝鮮半島と深くかかわっていたという歴史的事実に立った特殊性ということであれば、北側にも配慮をしなければなりますまい。韓国のみに特殊性を認めるのであれば、韓国が主張してきた北の脅威に備えるという安全保障絡みを結果的に承認することにもなり、ひいては南北の緊張を高める要因にもなりかねないと思います。明確に御答弁を願います。
 次に、財政再建、行政改革についてお伺いをいたします。
 一月二十二日の閣議後の記者会見で、五十九年度に赤字国債から完全に脱却できるかどうかわからないと弱気の発言をされた大蔵大臣は、財政演説では一転して、既定方針に何ら変わりのないことを強調されました。
 そこで、五十六年度及び五十七年度に、政府見積もり以上の財政欠陥が生じることはないのかどうか、まず最初にお尋ねをいたします。
 政府見通しどおり進行したとしても、大蔵省の「財政の中期展望」によれば、五十九年度赤字国債をゼロにするためには、五十八年度の歳入不足は三兆四千億円に上り、五十八、五十九両年度にそれぞれ約二兆円ずつの赤字国債を減額しなければならないことになります。しかし、財政再建元年と呼号した本年度の実績を見れば、五十九年度にゼロにできるかどうかわからないというのが本音ではないのでしょうか、正直にお答えを願いたいと思います。
 経済運営についてもお聞きをいたしておきます。
 政府は、本年度の税収減の原因をもっぱら物価安定に帰して、国民生活の安定にとってよかったと強弁しておりますが、実は、個人消費の伸びをてことする内需の拡大を過大に見積もった、あるいはまた、円相場がわが国経済の基礎条件のよさから円高に推移すると予測した、こういったことが外れたというのが主たる原因ではないのでしょうか、率直な御答弁をお願いしたいと思います。
 予算編成、特に大蔵大臣が得々として述べられたゼロシーリングについてもお尋ねをいたします。
 経費削減の取捨選択を各省の自主的努力にゆだねた結果、生活費とも言うべき経常経費は、五十六年に比べて約三兆円、八%程度ふえたのとは逆に、投資的経費は千八百億円、約二%減ったのであります。雨漏りをそのままにしておいて飲み食いだけはいままでどおり、こう言われてもやむを得ない結果ではないでしょうか。真に行政改革を考えるのであれば、各省の意識変革から始めなければなりますまい。今後もゼロシーリングをお続けになるのであれば、たとえば経常経費は五%減、投資的経費はゼロ、こういったようなアイデアを与えてしなければ、所期の成果は期待できないと考えますが、総理のお考えを伺いたいと思います。(拍手)
 今日、国民の不満は、庶民の負担ばかりがますます重くなっているということであります。これだけ税金を取り、公共料金を上げ続けておきながら、増税なき財政再建とはとんでもないという怒りであります。特に、源泉徴収されるサラリーマンの重税感は、あなた方の想像を絶するものがあり、五年続けて課税最低限の引き上げによる所得税減税が行われなかったために、経済企画庁の調査でも、国民所得に占める租税負担率は、五十年度の一九%から、この七年間に七%もふえて、六十年度には三〇%に近づくとされております。このような状況下でも、なお政府は、減税を最優先課題と考えないのかどうか、お聞きしたいのであります。
 減税によって、仮に一時的に財源が不足しても、心理的効果も加わって、結果として内需が活発になり、景気の回復が早まれば、財政再建が順調に促進されるとの見方もあるのであります。同時に、輸出ドライブの鈍化、輸入の拡大という貿易不均衡の是正につながり、貿易摩擦解消のための有効な対策ともなり得るのではないでしょうか。
 以上の点から、私たちは一兆円規模の所得減税を主張しているのであります。
 私は、最後に、鈴木総理に対し、政治に取り組む基本姿勢について伺わなければなりません。
 あなたは、軍事大国にはならない、軍縮を呼びかけるとおっしゃる一方で、アメリカの圧力を勘案して防衛費を増大させ、日米同盟をうたい上げました。憲法改正は考えないと言いながら、みずからが総裁である自民党の大会で、ことさらに、ことしは自主憲法制定の党是を強調した宣言を決議させました。すべてあなたの言動は、国民を欺く矛盾の連続と言っていいと思います。(拍手)
 政治倫理の確立についても、就任当初、政治倫理を確立し、二度と国民の指弾を受ける事柄が起こらぬよう、いろいろの分野で検討が必要だと述べられました。しかし、この一年、あなたは政治倫理の確立、政界の浄化のために一体何をなしたというのでありましょう。(拍手)国民一般は、あなたが清潔な政治の実現のために努力するどころか、むしろ、みずからの権力の維持のために、根元から断ち切っていかなければならないはずの勢力の力をかりることにきゅうきゅうとしているとして、大きな不満や憤りを覚えているのであります。(拍手)
 問題となった建設業界の談合事件、音楽界にまで及んだ腐敗、激増する青少年の犯罪などなど、今日の社会における倫理や秩序に対する感覚の麻痺を生んだ元凶は、金と物による力の支配を許している政治そのものであると言って言い過ぎではありません。(拍手)
 そこで私は、この場から、三たび政府倫理法の制定を提案したいと思います。
 この法律は、アメリカがウォーターゲート事件の教訓から四年前に制定したもので、政府高官など公務員に、前年度の資産のほか、副収入、百ドル以上の謝礼、年間二百五十ドル以上の接待などの報告を義務づけているほか、天下りの規制などを定めております。昨年末からことしの初めにかけて、アメリカの高官がこの法律のもとに厳しい指弾を受けたのは御承知のとおりであります。
 私は、政治家や公務員の倫理の確立のために、二回にわたってこの場から、政府倫理法と同様の立法を行うよう提案をいたしておりますが、政府側からは見るべき反応がありませんでした。こうした法律の制定こそ、政治倫理の確立のために緊急に必要であると考えます。今度こそ誠意ある答弁をお願いをいたします。
 ロッキード事件の審理が山場を迎えるいま、総理に政治倫理の確立についてのかたい御決意がおありになれば、その具体的な方策を国民の前に明らかにするのが当然だと思うのであります。
 法律は最低の道徳であり、政治家に求められるのはより高いモラルであると思います。(拍手)この倫理感に欠ける人たちについては、総理・総裁の持つ人事権を発揮し、閣僚や党役員から排除して、国民の政治への信頼を回復する決意があるかどうかお聞きして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) ただいまの御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
 まず、広島、長崎での軍縮国際会議開催あるいはこれらの都市における平和研究所の設置について、来るべき国連軍縮特別総会において呼びかけてはどうかとの御提言がございました。
 わが国は、平和国家としての立場から、核軍縮を中心とする軍縮の重要性を訴えてまいりました。また、具体的には、たとえば昨年の国連総会におきましては、核実験全面禁止条約及び化学兵器禁止条約についての審議促進を求める二つの決議の提案国として、その案文の作成及び各国の支持を取りつけるなど、軍縮措置促進のため積極的な努力を行ってきております。
 御提案のありましたわが国における軍縮国際会議開催に関しましては、たとえば、一九七八年に地下核実験探知制度を確立するための地震専門家会議を東京で招集したほか、昨年十二月には、パルメ委員会の参加を得て国連大学が主催した平和と安全保障に関するシンポジウムに対して、政府も積極的に後援するなどの具体的行動をとってまいりました。今後とも御提言の点をも十分念頭に置いて対処してまいりたいと存じます。
 なお、広島、長崎における平和研究所の設置につきましても、貴重な御意見として承っておきます。
 次に、防衛問題について御意見がありました。
 私は、かねてから申し上げておりますように、国の平和と安全を確保するためには、必要最小限度の防衛力を保持するとともに、経済協力などの外交施策や内政諸施策が総合的に推進される必要があると考えます。このような基本的考え方のもとに、わが国は、政府開発援助の拡充に努めるとともに、防衛面については専守防衛に徹し、軍事大国にはなることなく、かつ非核三原則を堅持しつつ、適切な規模の防衛力を整備しているところであります。
 なお、防衛費の規模につきましては、昭和五十一年十一月の閣議決定において、当面、各年度の防衛費がGNPの一%を超えないことをめどとすることとされており、現在、この決定を変更する考えはありません。
 次に、わが国の防衛政策が転換したとの御意見がありましたが、わが国の防衛力整備については、米国からの防衛努力期待を念頭に置きつつも、あくまでもわが国の自主的判断に基づき、憲法及び基本的防衛政策に従い、「防衛計画の大綱」の水準をできるだけ早く達成すべく努力しているところであり、この基本方針に変更はございません。
 今日の国際社会において、力の均衡が平和と安定を支えていることは否定できない現実でありますが、わが国の場合、平時における必要最小限度の基盤的な防衛力を定めた「防衛計画の大綱」にいまだ到達していない段階であり、軍拡路線という批判はいかがかと存じます。
 対外経済協力の問題につきましては、外務大臣から御答弁をいたさせます。
 国際経済摩擦の解消は、御指摘のとおり緊急の課題であります。
 このため、政府は、昨年十二月十六日の経済対策閣僚会議において、市場開放対策、輸入促進対策、輸出対策など五項目から成る対外経済対策を決定し、現在その推進に努めているところであります。すでに東京ラウンドの合意に基づく関税率の段階的引き下げの二年前倒しを決定し、また、来る一月三十日に予定している経済対策閣僚会議において、輸入検査手続等の改善措置を決定することとしております。
 今後とも、自由貿易主義の維持強化を図るべく、内需の回復を基本としながら、安定した円相場のもと、貿易の拡大均衡を目指して一層の努力を傾注してまいる所存であります。
 歳入見積もりについてのお尋ねでありますが、歳入予算は、見積もりの時点における利用可能な資料という限界の中で、最大限の努力を傾けて見積もりを行ってまいったものであります。五十六年度及び五十七年度の税収についても、このようにして見積もりを行ったものでありますが、この過程において、五十六年度税収については、予想以上の物価安定等により約四千億の減収が避けられないと判断して、補正減を計上することといたしました。これも、現段階においては、できる限り適切な税収見通しを行うべく最善の努力を行った結果であることを御理解願いたいと存じます。しかし、これによって財政再建の基本方針を変更するつもりはなく、五十九年度特例公債脱却の実現に向け、最大限の努力をいたしてまいる所存でございます。
 ゼロシーリングの実態に問題があるのではないかとの御質問でありますが、ゼロシーリングは、各省庁自身がその経費の取捨選択を行い、予算要求をゼロシーリングフレームの枠内に抑えるというものでありまして、予算編成上画期的なものであると思います。これは各省庁の政策の優先順位の選択に厳しさを与えた点、また、歳出増の抑制という点ですぐれた方法であったと考えており、御指摘の役所の意識改革も相当進んだものと理解しております。
 いずれにしても、財政再建、歳出の見直し、削減に当たっては、当然ながら関係省庁の理解が前提となりますので、今後ともこうした点に努力を続けてまいります。
 次に、所得税減税の問題でありますが、現下の厳しい財政事情のもとでは、所得税減税は見合わせるよりほかないと考えております。
 歳出の削減で減税財源を生み出せとの御意見でありますが、五十七年度予算編成に当たりましては、臨調第一次答申を極力尊重し、最大限の歳出削減努力を払ったところでありまして、さらに節減合理化を行って減税の財源を捻出することは、実際問題として困難であります。ただ、所得税の現行課税最低限と税率構造を長期にわたって固定することは適当でないと考えますので、歳出歳入両面にわたる徹底した見直しを今後進め、五十九年度特例公債脱却の明白なめどをつけるとともに、所得税減税の財源の手当てが可能となる条件を国民的合意のもとにできる限り早く整えたいと考えております。
 具体的にどのような方法によるかについては、広く国民各層の御意見を伺いながら、幅広い角度から検討を進めてまいりたいと思います。
 政治倫理についてお尋ねがございました。
 政治を浄化し、政治倫理を確立することは、政治への国民の信頼確保のための基盤であり原点でありまして、この信念は、私が就任以来一貫して変わっておりません。今回の施政方針演説でも、政治と行政のすべての面で国民の不信を招くことのないよう、政治倫理の一層の確立に努めてまいる旨強調したゆえんでございます。
 なお、河野さんから、自由民主党内の役員人事についていろいろ御意見が述べられました。
 私は、各政党はそれぞれ自主的に人事を行っておるわけでありますから、お互いにこれを尊重していくべきものであると考えております。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#20
○国務大臣(櫻内義雄君) 河野議員の外交関係の御質問は五点あったと思います。
 第一に、巡航核ミサイル艦船についての御質問でありますが、核の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、政府としては常にこれを拒否する所存であることは、従来から申し上げておるとおりでございます。
 次に、ソ連提案のごとき条約についてでありますが、これは実効性があるのか、慎重に検討しなければならないと考えており、現在ジュネーブ軍縮委員会において、非核兵器国に対する国際的な保障につき検討が行われているので、わが国としては、これが促進に寄与してまいる所存でございます。
 それから、経済協力についてでございますが、わが国は、新中期目標のもとで、政府開発援助を積極的に拡充し、引き続きそのGNP比率の改善を図り、今後五カ年間における政府開発援助に関する予算の総額をこれまでの五年間の倍以上とすることを目指すなどの措置を講じ、国際的に寄与してまいりたいと存じます。
 第三世界を組み入れた世界平和の体制づくりについての御意見でありました。
 今日、世界の平和を維持していく上で、米ソを中心とする東西関係の安定化は依然として最も重要な要素でありますが、同時に、御指摘のごとく、国際社会における第三世界諸国の地位と役割りが増大していることも事実であります。これら諸国との関係においては、経済協力や地域的紛争の解決のための協力を初めとする外交努力を強化し、第三世界諸国の抱える諸問題に対する理解と協力を深めていく考えであります。
 貿易摩擦の問題でありますが、欧米諸国のわが国に対する要求や主張の中には誤解に基づくものもあり、政府としては、これまでも人物の交流や対話を進め、あるいは広報活動を通じて、欧米諸国がわが国に対し正しい認識を持つよう努力してきておりますが、お話しのように一層の努力を続けたいと思います。
 他方、政府としては、諸外国との間の協調的関係を維持発展させ、また、貿易不均衡を背景に保護主義的動きが高まることを回避するため、わが国市場の一層の開放等を進め、貿易の拡大均衡を図っていきたいと考えております。
 わが国の対韓経済協力の位置づけについての御質問でありますが、対韓経済協力に当たっては、わが国と韓国との歴史的関係も念頭に置く必要はありますが、対韓経済協力の趣旨はあくまで政治的、経済的、社会的に新しい転換期を迎えつつある韓国の経済社会開発と民生の安定のために協力するというものであります。
 なお、北朝鮮との交流につきましては、今後とも貿易、経済、文化等の分野における交流を維持してまいる所存であります。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小川平二君登壇〕
#21
○国務大臣(小川平二君) 大学入学者の選抜につきましては、文部省としてかねてからその厳正、公平な実施について各大学の留意を促してきたところであります。私立の一部の大学で入学試験について妥当性を欠く事例が生じておりますことは、まことに遺憾に存じております。
 入学者の選抜は、独自の学風や私学の特色を生かしつつ、真に大学教育を受けるにふさわしい能力、適性等を備えた者を公正かつ妥当な方法で選抜するよう実施することが基本であります。このような観点に立って、関係者においてさらに十分な検討がなされ、社会の期待にこたえる入試方法が確立されることを願っております。
 大学入学者選抜の改善は、国公私立大学を通じたものとして考えるべきことはもとよりでございますから、共通一次試験を実施するに当たっては、私立大学に対しても入試改善の一環として共通一次試験への参加について検討するよう呼びかけ、昭和五十七年度入試から産業医科大学がこれに参加したことは御高承のとおりでございます。
 今後、文部省としても、他の私立大学の参加については、大学側の自主的、自発的な努力によって実施に至ることを基本とし、国公私立の関係団体に指導助言を重ねてその推進を図ってまいりたいと考えておりますが、私学の参加問題については、現在の私立大学の入試の状況から見て、入試の実施時期、試験科目のあり方など、なお検討、調整を要する問題点があり、当面、共通一次試験の実施の状況を見守りたいとする大学が多いのが実情であります。
 なお、共通一次活用に当たって、特定の科目を指定する等の問題につきましては、高校教育の基礎的、一般的な能力を評価するというのが共通一次試験のたてまえとなっておること等との関連もありまして、法律的な問題と申しますよりは、むしろ教育的な観点から関係者の合意が必要でございますので、慎重な検討を要する問題だと存じております。
 現在、私立大学においても、入試について種々検討されているところであり、より一層の改善がなされることを期待いたしております。(拍手)
    〔国務大臣原文兵衛君登壇〕
#22
○国務大臣(原文兵衛君) お答えいたします。
 河野議員御指摘のとおり、近年における地球の自然環境の悪化は大変著しいものがございます。このことは、一九六〇年代の後半から世界的に注目されてきたところでございまして、ちょうど十年前の一九七二年、ストックホルムで初めて開催されました国連人間環境会議におきましても、環境問題は全地球的な広がりを持つものであり、人間環境を保護し、改善させることはすべての政府の義務であるとの人間環境宣言が採択されておるのでございます。
 それから十年、残念ながら地球環境の悪化はさらに進んでおります。国連の資料によりますと、この十年の間に毎年、不適切な農業開発等によって六百万ヘクタールの土地が砂漠化する、また、無秩序な伐採等によりまして千百万ヘクタールから二千四百万ヘクタールの熱帯雨林が失われたと推定されております。もしこのまま推移しますと、西暦二〇〇〇年には砂漠は二割拡大し、熱帯雨林は四割減少するということになるのでございます。
 さらにまた、いわゆる化石燃料の消費の増加、森林の減少等によりまして炭酸ガス濃度が増加し、二十一世紀の中ごろには現在の二倍になると言われております。これらのことは、地球の気象、土壌、海洋、生物の種にも重大な影響をもたらします。人類の生存にとっても大変な問題であると思われます。
 このような中で、わが国におきましては、国会議員の有志の方々が議員連盟を結成して、地球環境の保全に努力をされておられます。
 国際的には、いま御発言のように……(発言する者あり)まあ、ちょっとお聞きください。国際的には、本年五月ナイロビにおきまして国連環境計画特別会合というものが予定されております。これはいわば世界環境会議ともいうべきものでございまして、百カ国を超す多数の国から閣僚級が集まると見られます。
 ここにおきまして、ストックホルム会議からの十年間の世界各国のこの環境問題に対する努力がレビューされ、次の十年間に何をなすべきかが審議されるわけでございますが、私は、国会を初め関係方面の御了解をいただきましてここに出席し、地球環境の保全の緊要性と世界的な協力の必要性を訴えますとともに、わが国としても、本問題に対して指導的な立場に立って積極的に取り組む姿勢を明らかにしたいと考えております。(拍手)
 地球環境の保全は、長期的な視点からすれば、資源の少ないわが国はもとより、いずれの国の利益にもなるいわば人類共通の利益であることから、全世界的な協力が可能な分野であり、この分野で国際協力の実を上げることは国際緊張の緩和、世界の平和に寄与することにも通ずると考えられるのでございます。(拍手)
 河野議員から御提案いただきました地球の危機を救う方策を考えるための特別委員会の設置を日本が中心になって呼びかけるということは、きわめて貴重な御意見であると承りました。このことにつきましては、外務当局や環境庁におきましても検討してきているところでございますが、その実現に向けて各方面と十分に相談してまいりたいと思います。(拍手)
#23
○副議長(岡田春夫君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#24
○副議長(岡田春夫君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 川田正則君、工藤巖君及び毛利松平君から、二月一日より十一日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(岡田春夫君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#26
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 坂田 道太君
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 小川 平二君
        厚 生 大 臣 森下 元晴君
        農林水産大臣  田澤 吉郎君
        通商産業大臣  安倍晋太郎君
        運 輸 大 臣 小坂徳三郎君
        郵 政 大 臣 箕輪  登君
        労 働 大 臣 初村滝一郎君
        建 設 大 臣 始関 伊平君
        自 治 大 臣 世耕 政隆君
        国 務 大 臣 伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣 河本 敏夫君
        国 務 大 臣 田邉 國男君
        国 務 大 臣 中川 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 原 文兵衛君
        国 務 大 臣 松野 幸泰君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        外務省条約局長 栗山 尚一君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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